第156回国会 内閣委員会 第15号
平成十五年六月六日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 佐々木秀典君
   理事 逢沢 一郎君 理事 小野 晋也君
   理事 星野 行男君 理事 渡辺 博道君
   理事 中沢 健次君 理事 山内  功君
   理事 遠藤 和良君 理事 西村 眞悟君
      浅野 勝人君    大村 秀章君
      奥山 茂彦君    嘉数 知賢君
      金子 恭之君    木村 隆秀君
      菅  義偉君    高橋 一郎君
      谷川 和穗君    谷本 龍哉君
      近岡理一郎君    林 省之介君
      松島みどり君    石毛えい子君
      大畠 章宏君    齋藤  淳君
      平野 博文君    西  博義君
      瀬古由起子君    北川れん子君
      山谷えり子君
    …………………………………
   議員           五島 正規君
   議員           井上 喜一君
   議員           中山 太郎君
   議員           近藤 基彦君
   議員           肥田美代子君
   議員           荒井 広幸君
   議員           西川 京子君
   議員           福島  豊君
   国務大臣
   (内閣官房長官)
   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   内閣府大臣政務官     木村 隆秀君
   厚生労働大臣政務官    森田 次夫君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   山本信一郎君
   政府参考人
   (内閣府男女共同参画局長
   )            坂東眞理子君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           金森 越哉君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           青木  豊君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           渡辺 芳樹君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君
   内閣委員会専門員     小菅 修一君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月六日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     松島みどり君
  亀井 久興君     浅野 勝人君
  横路 孝弘君     齋藤  淳君
  太田 昭宏君     西  博義君
  吉井 英勝君     瀬古由起子君
  江崎洋一郎君     山谷えり子君
同日
 辞任         補欠選任
  浅野 勝人君     亀井 久興君
  松島みどり君     金子 恭之君
  齋藤  淳君     横路 孝弘君
  西  博義君     太田 昭宏君
  山谷えり子君     江崎洋一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 少子化社会対策基本法案(中山太郎君外八名提出、第百五十一回国会衆法第五三号)

     ――――◇―――――
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 第百五十一回国会、中山太郎君外八名提出、少子化社会対策基本法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官山本信一郎君、内閣府男女共同参画局長坂東眞理子君、法務省大臣官房審議官深山卓也君、法務省刑事局長樋渡利秋君、文部科学省大臣官房審議官金森越哉君、厚生労働省大臣官房審議官青木豊君、厚生労働省大臣官房審議官渡辺芳樹君及び厚生労働省老健局長中村秀一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○佐々木委員長 この際、本案に対し、逢沢一郎君外三名から修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。逢沢一郎君。
    ―――――――――――――
 少子化社会対策基本法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○逢沢委員 ただいま議題となりました少子化社会対策基本法案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守新党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 本修正案は、これまでの当委員会における審議を踏まえ、取りまとめたものであります。
 修正案は、お手元に配付したとおりでございます。
 以下、その内容を御説明申し上げます。
 第一に、法案前文において、「結婚や出産は個人の決定に基づくもの」であることを明記すること。
 第二に、施策の対象である「子どもを生み育てる者」を「子どもを生み、育てる者」に改めること。
 第三に、その他所要の整理を行うこと。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○佐々木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○佐々木委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山谷えり子君。
○山谷委員 保守新党、山谷えり子でございます。
 けさの報道でもございましたように、直近の合計特殊出生率一・三二、百十五万人で、これは最低を更新したということでございますが、報道の中にもございましたけれども、厚生労働省の幹部がこれまでの少子化対策は内容が保育対策に偏り過ぎたというコメントを出しておられますが、厚生労働省は、この辺のこと、もう少し詳しく御説明いただけませんでしょうか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 これまでの少子化対策の推進につきましては、平成十一年の関係閣僚会議の決定の基本方針に基づきまして、また平成十三年の閣議決定に基づきまして進めてまいりましたが、先般三月に関係閣僚会議におきまして、新たに次世代育成支援対策の当面の取組方針というものをまとめさせていただいております。
 仕事と子育ての両立支援、これは大変大事なポイントでございますが、今般の当面の取組方針、またそのもとにありますプラスワンという坂口大臣の打ち出した政策の枠組みは、それに加えてもう一段の施策の充実を図るべく、働き方の見直し、あるいは専業主婦家庭にも広く広がる育児不安等にこたえるための地域における子育て支援など、バランスのとれた対策というものを目指していこうというものでございます。その意味で、ちょっと先ほど御引用いただきました新聞報道は、私、詳細よくわかりませんが、保育も、そしてそれ以外の関連の施策もよくバランスのとれたものとして進めていく必要があるという認識を持っておるわけでございます。
○山谷委員 今回の基本法は、家族の支援、命を生み、育てる喜び、それからチルドレンファーストとか、父性、母性をはぐくむことの大切さ、家族を応援することの大切さというような哲学のもとにつくられているというふうに思っておりますけれども、私は、中央児童福祉審議会の委員をしていましたときに駅型保育というのを提案したことがございます。それは、短時間、それから母親たちも保育に参加して、そこが地域のネットワークの拠点になるように、専業主婦のお母さんもパートのお母さんもむしろそういう形で利用してほしいというような提案をしたわけでございますが、実際はそうではなくて、非常に、保育のコンビニエンスストアみたいな形で使われている。これは、やはり労働者としての親を支援するというような発想に偏り過ぎていたのではないかというふうに思います。
 例えば、育児期のパート労働、イギリスでは六五%、スウェーデンは五四%、正社員でありながらフルタイムからパートに変えるというような、そういう働き方がヨーロッパでは主流になっていますし、また、育児休業も、スウェーデンでは八歳のバースデーまで、ドイツで三歳、イギリスで五歳、日本は一歳まででございます。そういう意味で、育児期間中の母親、父親、家庭へのサポート、育児手当も含めて、そのような方策というのが今まで本当に余りにも欠けていたのではないかというふうに考えております。
 今回の修正案でございますけれども、「もとより、結婚や出産は個人の決定に基づくものではあるが、」ということがございますけれども、この「出産は個人の決定」というのは、女性の自己決定権、女性が産まないと決めたらそれはそれだというような意味でございましょうか。
○逢沢委員 先ほど修正案を提出させていただきました。前文の中に、今委員御指摘のように、「もとより、結婚や出産は個人の決定に基づくものではあるが、」を挿入するという形で修正をさせていただいたところであります。
 この修正部分にございます「個人の決定」というのは、少子化に対するための施策が個人の自己決定権を侵害するものではないということを正式にといいますか明確に、文言上も明らかにする方がより望ましい、そういう判断に基づくものであります。
 この委員会で随分議論も重ねてまいりまして、法案提出者の方から、個人の決定権につきまして、それはもう当然のことである、それを前提にした議論であるという趣旨のことは答弁ではたび重ねてなされておったというふうに記憶をいたしておりますし、また、参考人の方々との議論の中でもそのことが浮き彫りになった。そういうものを踏まえて、文言上も明らかにするという対処をいたしました。そして、自己決定の主体は、それは女性そのものの場合もありますでしょう、男性の場合もある、あるいはカップルというふうにとらえる場合もあるのではなかろうかというふうに承知をいたしております。
○山谷委員 今、教育現場では、中絶は認められているというふうに、「日本では中絶することが許されている。」というような小冊子が配られたり、また、教科書でも、「「女性の自己決定権」という考えにもとづく法律にはいたっていない。」、母体保護法の説明で極めて誤解を招く表現がなされております。
 今、男性が産んでほしいと言っても、それは私の自己決定権だから産まないという形で中絶なさる女性も多くて、嘆いていらっしゃる男性方もいらっしゃるわけですよね。ですから、本当に誤ったメッセージが伝わるのではないかということを私は非常に危惧しております。
 これは、堕胎罪との関係ではもう少しシャープにお答えいただければと思います。堕胎罪とどういうような矛盾があるのか、矛盾はないのかということをお教えください。
○逢沢委員 今委員御指摘のような心配が語られる向きもございますけれども、この法案がねらっておりますことはもう既に明確になっているところでありまして、女性の妊娠中絶の肯定といったようなことを後押しする、決してそういうねらいがあるものではないということを改めて明確にさせていただきたい、そのように思います。
○山谷委員 新聞報道などでも、自己決定権、盛り込むという形で、本当に女性が、神ならぬ女性が決定できるというようなメッセージが今、日本の国じゅうに広がっているわけでございます。
 人工妊娠中絶に対しては、原則禁止と。ただ、母体保護法、昭和二十四年に「経済的理由により」というのがつけ加わったわけでございますが、このときの議論の経緯、国会の議事録などを読ませていただきますと、戦後間もないころで、貧しく、お母さんが十分に栄養をとれない、したがってお母さん自身の母体も、そして赤ちゃん、胎児の健康も損なわれる危惧があるということで、この経済的理由というのが入れられたわけでございます。今は事情が違っているわけですけれども、この辺は全然カウンセリングもなくて、また誤ったとらえられ方がしているわけですが、その辺は厚生労働省、どういうふうにお考えですか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のとおり、母体保護法におきましては、第十四条におきまして、第一号でございますか、「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」という記述がございます。
 このうち、先生御指摘の経済的な理由という部分につきまして、確かにこの法律のもとは戦後間もなくのことでございまして、その当時の役所の通知、解釈通知によりますと、妊娠を継続し、または分娩することがその者の世帯に重大な経済的支障を及ぼし、その結果母体の健康が著しく害されるおそれのある場合をいう、こういうように記述されております。そしてさらに、現に生活保護法の適用を受けている者が妊娠した場合あるいは生活保護法の適用を受けるに至るような場合、こういうような記述もされておるところでございます。
 御承知のように、確かにこの五十年余り、経済情勢、国民の生活レベル、大きな変化がございました。さまざまな事情の変動があると思われますが、では、現時点で困窮に伴うそうした問題がゼロかというと、私ども、必ずしもさにあらずという面はあろうかと思っております。ただ、今日的な状況というものは当時と大きく違う点もあり、御指摘のように、ポイントは、妊娠に悩む女性あるいはカップルにつきまして、一体どういうようなきめ細かな相談体制がとれるかというような問題意識が私どもも重要であるというふうに考えております。
 これまで、厚生労働省におきましては、保健所等におけるそうした悩みに応ずる女性健康相談事業というものを行ってまいりましたが、本年度からは、特に、思春期クリニックの場を利用いたしまして、妊娠について悩んでいる若者を対象に、個別に医学的、精神的、社会的な相談援助を行う場を設置するモデル的相談事業を実施するというようなさまざまな取り組みを進めたいと考えておりまして、今後とも、そうした取り組みの中で充実に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○山谷委員 昭和三十年統計では、中絶が百十七万件、平成が、二年のあの一・五三ショックのときで四十六万件、現在三十四、五万件というふうに言われておりますが、実はその二、三倍あるのではないかと。出生数百十五万人に対して中絶数も百十万人前後あるのではないかというふうにも言われております。これは、本当に命を生み、育てるということの喜び、誇り、美しさというものが、余りにも日本ではメッセージとして伝えられていないのではないかというふうに、そこが一番大きな根っこではないかというふうに考えております。
 授かった命はだれのものかという本当に大きな問題が全くないがしろにされていて、小手先だけで、さあ保育所ふやしましょう、さあ児童手当、千円プラスしましょう、二千円プラスしましょうという話になってくるんでしょうか、今回。そんなことじゃないというふうに思うんですね。男女共同参画社会の中で性の自己決定権というのがうたわれているわけでございますけれども、幾度も取り上げてしつこいんですけれども、教科書では先ほど言ったような記述がなされている。中学生全員、百三十万人に配られようとした小冊子でも、「日本では中絶することが許されている。」というような記述がされているわけでございます。
 この辺は坂東局長も、私がリプロダクティブライツについてお聞きしたとき、昨年七月の衆議院決算行政監視委員会で、福田官房長官は、児童の権利条約も児童の権利宣言も胎児の生命権を認めていることを追認なさい、局長は、リプロダクティブライツについては議論が分かれているというふうにおっしゃったわけでございますが、このような教育現場での誤解を招く書き方については、これから男女共同参画室としてはどのように調査あるいは対応をしようというふうにお考えでございましょうか。
○坂東政府参考人 私どもは、妊娠や出産により、ライフサイクルを通じて男性とは異なるいろいろな健康上の問題に直面する女性が、みずからの体について正しい情報を入手する、自分で判断をする、そして健康を享受できるようにしていく、別の表現で申しますと適切な行動を選択する力をつけるということは、大変重要なことだと思っております。
 これに関しまして、一九九四年にカイロで開催されました国際人口・開発会議におきましてリプロダクティブヘルス・ライツの概念が提唱されまして、女性の重要な人権と認識されているというふうに承知をしておりますが、それに関しまして、今御指摘の教育現場のお話でございますけれども、私どもは、男女共同参画推進本部の文部科学省において適切な指導が今後とも行われる、十分に連携をとって推進をしていく、いやしくも誤解を招くようなことが行われないように十分な指導が行われると考えております。
○山谷委員 リプロダクティブヘルス・ライツについての概念はカイロ会議で提唱されたわけでございますけれども、実は中身をめぐって、こんなはずではなかったとか、それはおかしいじゃないかというようなことが、議論がそれからもう延々と何年も続いていて、去年のニューヨークの国連総会では、リプロの文言を削除したらいいのではないかというような議論さえ行われているわけです。
 そんな中で、日本だけは非常にゆがんだ解釈が行われていて、出産は個人の決定というのが、女性の決定権があるように、そしてそれが世界的な流れであるというような解説がなされているということは、非常に憂慮すべきことだというふうに思っております。
 男女共同参画の市町村の条例についても、中絶の容認につながりかねないような表現の、性の自己決定権を明記したものが三十一市区町村でございます。これはもうカイロで決まったことです、世界の流れです、女性の自己決定権ですという、非常にラフな、大ざっぱな、間違った説明の仕方で、恐らく市区町村のレベルの方たちは余り細かいことを御存じないのかもしれません。その辺、やはり誤解を招かないような行政の指導というのが必要だというふうに思いますが、その辺、いかがでございましょうか。
○坂東政府参考人 今現在、地方公共団体の方で、さまざまな男女共同参画の基本にかかわる条例がそれぞれの地方公共団体の議会で決定をされております。私どもといたしましては、それぞれの地方公共団体に対して、男女共同参画についての正しい情報の提供、いやしくも誤解を招くことがないように、男女がともに高い関心を持って、正しい知識、情報を得て、認識を深めるためのその情報提供に努めているところでございます。
○山谷委員 地方分権の時代でございまして、それぞれの地区が条例をつくり、そしてやっていくということは尊重しなければいけないわけでございますけれども、大もとの国のところで、やはりインフォメーションの出し方が間違っていて、誤解が伝わってそのような条例になっているのならば非常に問題だというふうに思いますので、改めて市長の参考人招致、先回申しましたあれをお諮りしていただきたいというふうに思います。委員長、よろしゅうございましょうか。
 例えば、児童の権利条約、子どもの権利条約で、意見表明権というのがあって、これは、子供が意見を表明する権利があって、校則はけしからぬとか、何かそういうふうにまた使われている部分もあるんですけれども、母親は、中絶する前に胎児の意見を聞いて、その意見を尊重しなければならないという考えについてはどういうふうにお考えでございましょうか。
○五島議員 母親が胎児の意見を聞けというのは、具体的にどういうことを意味しておられるのかわかりませんが、母親が子供を産むということについて、産まないという選択をする場合においても、当然、子供の命という問題、そして同時に、その子供を育てていく過程の中におけるさまざまな問題をお考えになって、出産するか出産しないかということは決められていくのだろうと思います。多くの場合、そうした葛藤の中で、残念ながらそうした人工中絶というものも起こり得るというふうに考えております。
 そういう意味において、母親が胎児にかわってそのことについて考えて、あるいは男性もその問題についてともに考えていくということは必要だろうというふうに考えています。
○山谷委員 最も小さく幼い命を守ろうとしなければならないというメッセージは、いじめとか虐待を減らすことにもなると思います。
 胎児の意見を聞くということが荒唐無稽に思われるかもしれませんけれども、私はたった三人しか子供を産んでおりませんけれども、三人とも、おなかの中にいたときから個性があるわけですね。例えば、脂ぎとぎとのものが好きな子は、私は妊娠していたときからラードたっぷりの豚カツととろばかり毎日毎日食べていた。本当に不思議なんです。トレモロのように動く子は、やはり本当に微細な動きをする。どんどんどんどん大太鼓のように動く子は、出てきてからも大太鼓のように動いてけがばかりしているという、これは全く荒唐無稽な意見ではないということをお知らせしたいというふうに思います。
 今回、育児の外注化というようなことに偏り過ぎていた、育児の社会化に偏り過ぎていた子育て支援策を、やはり家族とか共同体、つながりの方にバランスを移す、あるいはそちらも非常に重要だと応援していくというような哲学のいろいろなやりとりがあって、この基本法になったというふうに思うんですけれども、その辺のバランスについて、あるいはその哲学について、どんな議論があったのか御説明いただければと思います。
○井上(喜)議員 山谷議員の前の質問で、胎児の意見を聞けというようなお話がありましたけれども、私は、お聞きしておりまして、やむなく中絶をするような場合にも、そういうような気持ちでもって中絶をするということでなければいけないんじゃないか、こういう趣旨と理解をいたしまして、それはそのとおりだろう、中絶については、やむなく中絶する場合もありますが、極めて慎重にすべきものだろう、こんなふうに思います。
 確かに、子供につきましては、女性の社会進出が多くなってまいりまして、どうしても保育所をつくらないといけないとか何かの手当てをつけないといけないとか、そういう大きな社会的な要請がありまして、そういうのにこたえるために保育所をどんどん増設していくとか、いろいろな手当てが出てくる、こういう背景になったと思うのでありますけれども、生まれてくる子供、あるいは育てる人の立場に立って考えますと、もう少し多様な対応があってしかるべきじゃないか、こういう考え方が最近出てきていると思うのであります。
 もう三年ぐらい前になりますか、一兆円ほど子供対策に使ったんですよね。もっと具体的に言いますと保育対策に使ったのでありますけれども、これも今考えてみますと、もう少し知恵を出して、今おっしゃるような、そういうことに使うべきじゃなかったのかと思うのですよね。あのときは保育所のいろいろな道具類を買うという、その補助に充てたわけなんですがね。確かに、今おっしゃるように、もう少しきめの細かい対応をしていく、そういうぐあいに、社会情勢あるいは労働の多様化というようなことからいっても可能なようになってきていると思うのでありまして、これから大いに参考にしていくべき考え方だ、こんなふうに考えている次第であります。
○山谷委員 この法案の基本理念の中に、「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するとの認識の下に、」というのがございます。そしてまた、政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上または財政上その他の措置を講じなければならないというのがございます。
 政府はこれから、児童手当の見直しとか育児による収入減を年金に反映させない制度づくりなどを検討していくというようなお考えもございますようですが、もっと大きな、例えば日本の社会保障給付費のうち、児童、家族関係は全体の三・五%、スウェーデンでは一〇・五%、ドイツでは九%、欧州に比べて非常に少のうございます。先日の阿藤参考人もやはり、現金給付、現物給付が、GDP比、ヨーロッパに比べて本当に貧弱なものであるというようなことをおっしゃいました。
 例えば、年金、医療と児童手当などを三本柱に充実させるというような、介護保険があるんなら育児保険があってもいいんじゃないかですとか、もっと大きな哲学の、このごろの法案というのは何か枝葉のところをさわって根っこに触れないままというようなことがございますが、その辺のことはいかがでございましょうか。
○井上(喜)議員 子供の関係の予算が少ないということでありますし、特に高齢者と比較いたしますと、その差は歴然としている、これは多くの人が指摘するところでございます。
 もとより、歳出全体を見直しまして、もっともっと少子化対策に充てていくようなことが必要でありますけれども、そうは言いましても、昨今のような状況でありますと、財源自身をつくり出していくような努力も必要なんじゃないかと思うのですね。これは、だから、もう少し議論しないといけないのでありますが、例えばの話としてお聞きいただきたいのでありますけれども、年金の保険料の一定の率を、あるいは年金保険料に上積みする一定の率を子供の対策に充てていくようなことも含めて、これから検討していかないといけないんじゃないか。どうも、高度成長のときのようにどんどん税収が伸びましてそれを振り向けていくというようなことが不可能でありますから、私が今申し上げましたようなことなども考慮に入れて対応を考えていくべきだろう、こんなふうに思います。
 御提案はごもっともでございます。
○山谷委員 先ほどの厚労省の方の答弁の中に、出産を望みながらもいろいろ迷っていたり悩んでいたりなさる方、あるいは疎外されている条件の中で悩んでいらっしゃる方、妊産婦に対して、応援というようなこともお考えということでございますけれども、これはぜひ広く、実施機関等の設置、一部何かモデル事業というようなこともありましたが、基金制度も含めてお考えになっていただきたいというふうに思うのですが、その辺、もう少し踏み込んで、いかがでございましょうか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、思春期クリニックを利用した相談事業というものをモデル的に取り組んでいきたい、こういうふうに申し上げました。このあたりは大変大事な領域であり、きめ細かく、実際に機能するものとしていかなければいけないと思います。
 気持ちといたしましては、さらに充実させていきたいと思いますが、モデル事業を進めながら、また実施のあり方を含めて検討してまいりたいというふうに考えております。
○山谷委員 ドイツなどにある妊娠葛藤相談所とか、あるいは欧米の教会が担っているような、葛藤している方への相談体制とか、あるいは、子供たちへの、赤ちゃんを抱いたりして命へのポジティブなメッセージを与えるプログラムとかを、文科省とぜひ連携しながら、その部分も充実させていただきたいというふうに思います。
 最後に、少子化社会対策会議というのがつくられ、関係行政機関の調整をしながら国の施策としてやっていくということでございますけれども、これが充て職会議になっては無意味でございまして、ぜひ作業部会とか事務局長には、ずっと継続的にやる、だれか民間人を入れたらいかがかと思います。
 観光に関しても、アメリカなんかは、ニューヨークとかアリゾナ州とか、観光局の担当者というのは、役人かと思ったら、インクの契約で民間人なんですね。それで、さまざまな生活のディテールを知っている人がプログラムをつくる。少子化社会対策もそうだと思います。
 例えば、赤ちゃんを産む。産んだときに、昔は、助産婦さんがおっぱいをマッサージしてくれて、お乳が出るようになった。今の産科で、おっぱいを、乳もみおばさんなんてだれも配置しておりません。女は物すごく苦労しています、乳腺が開かなくて。そんなことも知らない。もう一人で懲り懲りだわと言うんですね。
 それから、私は二人目を外国の夫婦がよく出産する病院で産みました。そうしましたら、お父さん、すぐ会社から来なさい。それから、六時から例えば九時、十時、面会時間が終わるまで病室に妻といさせて、お白湯を飲ませて、げっぷの出し方から、おむつのかえ方から、沐浴指導から、全部、毎日毎日、三時間コースでやっていくわけですね。そうすると、父親の育児参加なんて小難しいことを言わなくても、子供の授業参観に出しましょうなんて言わなくたって、それは当然の、親は子供を育てる権利があるんだ、義務があるんだというのは、体にしみ込んでわかるわけですね。そんなこともなされていない。
 それから、脳科学会では、三歳児までの本当に濃密なコミュニケーションが脳を育てると。別に私は、母親だけが三歳児まで育てろということを言っているわけではございません。やはり濃密な接触が必要なんだ、三歳児までに。そうしたら、どんな保育体制あるいは家庭支援がいいのかということもあります。
 例えば、それから、公園が今、老人用に、高齢者用に、砂場が壊され、ブランコが壊され、コンクリート化していって、ベンチがあちこちにできて、子供は走り回れなくなっています。そんなことも、建築関係の学会の方に参加していただく。
 あるいは、レストランのお子様ランチ。欧米のお子様ランチと日本のお子様ランチは全く違います。小さなことだと思われるでしょうけれども、これが全然違うんですね。日本のお子様ランチというのは、添加物のプリンがどんと乗っている。添加物だらけですよ。何の愛情もない。本当に、欧米のお子様ランチと日本のお子様ランチがどう違うか。本当に、神は細部に宿るですよ。柳田国男的な、民俗学的なディテールを事細かにやっていって、子供に対してこの社会がどんなメッセージを発しているかということをお調べいただいて、目からうろこを落としていただいて、このプログラムをつくり直していただきたいと思います。
 欧米のコンサートでは、リハーサルのときは無料で子供とお母さんを招く、それを地域社会がやるというようなプログラムもございます。日本社会が全体として、どれだけ子供に対して、それから親に対して冷淡であるかということをまずしっかりと受けとめて、この少子化社会対策会議というものの中で、テーマを決めて検討していただきたいと思います。
 とにかく、充て職会議だけではもう無意味だというのは、これまでのさまざまな会議がつくられて証明されているわけですから、また同じ間違いを繰り返さないでいただきたいというふうに思います。
 中山最高提出者に、何か一言御感想があれば、よろしくお願いいたします。
○中山(太)議員 委員御指摘のとおり、この少子化社会対策会議というものは、構成メンバーからして、いわゆる充て職であってはならないと思います。例えば、メンバーが半分は女性であるとか、それから座長は女性であるとか、産む人たちの気持ちが生きて伝わるような会議でなければ、それはもう書類をつくるだけの会議でございますから、全く意味がないと、私自身はそのように信じておりますし、ぜひそういうふうに、会議を設置する場合にも、基本理念としてそういうふうな基本理念を持ってやってもらいたいと存じております。
○山谷委員 大変期待して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で山谷君の質疑は終了いたしました。
 次に、小野晋也君。
○小野委員 いよいよこの議論も佳境に入ってきている段階だろうと思っておりますけれども、この段階に当たりまして、少し皆さんが提起された問題外の部分も含むことになろうかと思いますが、いろいろな点からの御質問をさせていただきたいと思います。
 この少子化対策基本法案が提起されました当初の問題意識と申しますのは、恐らく、この基本法案の前文にもありますとおり、我が国における急速な少子化社会の進展が高齢化社会を生み出す、同時に人口構造にひずみを生じさせる、こういう問題を克服しなければ将来の日本のビジョンが描けない、こういうところから、それにいろいろな問題が加味されながら、この法案がまとめられてきたものと思うわけであります。
 そうしますと、この課題、これから少子化対策に取り組んで、子供をたくさん産んでいただこうといいながら、実際にその方たちが労働人口になるには少なくとも二十年、実際に効果があらわれるまで考えると三十年というような月日を要するかと思いますと、その間の人口構成のアンバランスを緩和する措置というものも同時に考えなくてはならない問題なのではなかろうかというような思いを持つわけでございます。
 そこに、もう結論から申しますが、私は、日本の高度な科学技術の力を使って、ロボットを活用して、この人口アンバランスの圧力を緩和する社会を実現してはどうだろうということを考えている次第であります。
 実は、先日、自民党内におきまして高齢社会白書に関しての議論がございました。そこで厚生労働省を中心にしたところから出されました問題提起というのは、まさにこの人口のアンバランスの問題でありまして、労働力人口の減少、また、年金や社会福祉、医療のコスト高に伴うところの財政の問題、日本社会全体の活力の低下、こういう課題があるから高齢社会に対して真摯に向き合わねばならないんだ、こういう提起がされたわけでありますが、私は、それを聞きながら、このようなマイナス要因ばかりでこの問題というのをとらえ続けていって果たしていいものだろうかという根本的な問題意識を持った次第であります。
 と申しますのも、これが一年、二年で克服できる問題であるとするならば、その問題指摘をしながら、その問題のマイナス面にいかに取り組むかというふうな解決法で皆さん方も理解いただけるでありましょうが、この問題と申しますと、現在の状況で高齢化率が約二〇%と言われますが、今後二〇五〇年のところでの予測、これはどうなるかまだわかりませんけれども、三五%に及ぶ。国際比較の表を拝見いたしますと、その間ずっと日本が世界の中で一番の高齢社会を走り続けていく。ということになりますと、この高齢社会というのがマイナス要因ばかりでとらえられるとすれば、これから半世紀以上にわたって、日本はマイナス環境の中で生きる国家ということをみずからが宣言していることになってしまうのではないか、これが果たして本当に国家として望ましい問題のとらえ方なんであろうかというふうな気持ちを持った次第であります。
 ですから、私の論点といたしましては、むしろ、こういう状況に置かれた日本の国だとするならば、逆に、持てる技術力そして富を尽くして、世界の超高齢社会のモデルとなるべき国家を目指すべきである。現実、これが安易に変えられないとするならば、とらえ方を変えて、この厳しい環境の中を、むしろ、問題を克服し、理想的な社会を目指す国家として世界に日本はその取り組みを訴えていくべきであるし、国民にもその理解を求める国家になるべきなのではなかろうかというような気持ちがしたわけであります。
 故ケネディ大統領は、若者は夢を持て、老いたる者はビジョンを描け、夢のなきところ社会は滅ぶ、こういうふうなことを言って理想を語る政治をやられたわけでありますけれども、私は、この日本社会の問題を見るときに、子供や青年たちにとって最も大きな問題は、現象面における問題よりも、将来に対して、この国や社会が、そしてその人たちの未来が希望のないものだと思わせることが最も深刻な問題である、こういうふうな認識を持っているわけであります。
 そこで、繰り返すようでございますけれども、この少子高齢化社会の問題というのも、それを理由として青年や子供の夢を奪うような社会を決してつくってはならない、この逆境と考えられる状況に対して、逆に日本の国は積極果敢に挑戦を行い、新しい可能性を切り開き、そして世界に日本の存在感を示すと同時に、世界じゅうの国家がこれから高齢社会に向かっていくわけでありますから、日本はその高齢社会の中におけるリーダー国として、新しい幸福観、人生観、喜びを世界に広げていくべきである、こういうふうな思いを持ったところでございます。
 そこで、先ほど冒頭に申しましたとおり、ならばこの問題を克服する最も日本的なる解決法はいかなるものであるかと申しますと、私は、ロボットの活用である、こういうふうに思う次第であります。
 これも、単に工場でロボットをたくさん入れて、労働力が不足するからそのロボットで労働力不足を緩和しようというそんな単純な話ではなくて、むしろパートナーロボットというべきものを開発して、お年を召されるとともに身体機能が衰えるならば、衰えた身体機能を、横にぱっとロボットが寄り添ってそれを補う、足が弱いなら足の機能を助けましょう、目が見えないなら見えない部分を補いましょうと。
 こういうふうな形で身体機能も補えば、年をとるとどうしても記憶力が衰えますねというようなことを言われますから、それは、記憶なんというのはコンピューターは得意なわけでありますから、横に寄り添うロボットが、あなた、それはこういうことですよと言ってくれるようなロボットが隣にいれば、精神活動だって若者に負けないでやれるというようなことを通して、年をとられた人の、相田みつをさんの言葉じゃありませんが、一生青春、一生勉強、こういう精神で毎日毎日充実感を覚えながら、最後の最後までその生を燃焼させるような生き方をするような社会がなぜに活力を失う社会になるのでありましょう。
 だから、年をとったら元気がなくなる、仕事ができなくなる、社会での存在場所がなくなる、こういう問題を克服していきながら、高齢者がよりよく生きていくことができる。それを通して、財政問題というのは、お年を召された方々が、福祉のお金をもらうだけじゃなくて、みずから働いて稼げば、ここの部分にお金、そんなにかかるわけじゃないわけでありますから、そういうことで若者や子供たちにも過大なる財政負担を押しつけることにもならない。それで、日本の国は世界をリードする立派な国なんだというふうなことも若者たちにメッセージを送ることができる、こういうふうなことになってくるのではなかろうかと思う次第であります。
 そこで、質問でございますけれども、中山提案者は、二〇〇一年の世界初のロボット総合イベントでありますところのロボフェスタの実現に大変な御尽力をされるなど、ロボット問題への取り組みを進めてこられると同時に、現在も憲法調査会会長として日本の国家ビジョンの大本を立て直していこうとしておられるわけでございますが、そんなお立場の中から、高齢社会、少子社会に対してこういうような提案を織り込んだビジョンを描いて、国家の基本的な課題としてこのロボット問題を織り込んでいくというようなことについていかなる御所見をお持ちか、お尋ねをしたいと思う次第であります。
○中山(太)議員 大変高邁な理論を展開していただいて恐縮に存じます。
 私は、やはりこれからの日本の百年というものを今に生きる政治家がみんな共通して考えていかないと、この日本の未来というものは大変見通しのきかない未来がやってくるだろうと思います。
 巷間、いろいろな方にお尋ねしても、一年先がわからないという若者が随分ふえてきている、こういった中で、着実に百年先までの予測が出ているのは人口統計であります。こういう統計をもとに、今御指摘のように、高齢者が増加してくる中でロボットをいかに活用していくかということは、科学技術立国をこの国の繁栄の一つの大きな柱として立てている国としては、ロボットを開発して介護用のロボットをやるとかいろいろなことは小野先生の世界でありまして、私はロボットにも協力しておりますけれども、ロボットには心がないわけですね。
 この神秘なるもの、中曽根総理が、かつてヨーロッパの欧州共同体に対してヒューマン・サイエンス・プロジェクトというものを提案されて、日本から金がつぎ込まれてフランスの南部で研究開発が行われておりますけれども、幾ら精密な機械が発達しても、人間の感情を伴った心というものはロボットには生まれてこない。だから、ロボットでできる限界とロボットにできないものがある、それをうまくミックスして、来るべき時代に活用していくことが人類にとって必要なのではないか、私はそのように信じております。
○小野委員 中山提案者から非常に的確な御答弁をいただいたと思うわけでありますが、まさに本当にロボットというのは人間の心の作用ということについては、疑似的なことまでは可能でありましょうが、本当の意味で人間の心がそのまま実現できるかとなると、これは恐らく、私はいつまでたっても不可能なことなのではなかろうかというような気持ちがいたします。
 人間の心は内なる宇宙ということを言われますが、人間が幾ら立派な望遠鏡をつくろうが、どんな観測手段をとろうが、宇宙の果ての果てというのは完全には探求し尽くせない、こういうふうなことが言われると同じく、人間の心というものも、表面的な現象というものは解明されるとしても、そのもう一歩奧に入ると、たちまち混沌とした、人間の理解を超える世界なんだろう。だから、それだけに、逆に私は、ロボット社会というのを実現することに人間としての、人類としての救いがあると思うんですね。
 よく、福祉ロボットというような話を申し上げますと、そんなことをして人間の心に対して不遜だと思わないのかというふうなことを言われる方がおられますから、私どもは、こういう福祉ロボット、介護ロボットというものは、あくまで人間の肉体的な負担を軽減するためにそういうものを導入するのであって、心と心の触れ合いというものをロボットが妨げてはならない。これは、アシモフのロボット三原則というものがありますが、福祉介護ロボットにおいての三原則をつくるなら、ロボットが人間の心の触れ合いを妨げてはならないという原則を必ず入れたロボット開発を進めると同時に、そういう社会体制をつくらなきゃならないというような思いも持っているわけでございまして、このあたりを日本の国が思い切りリードすべきだ。
 ロボットの生産高においても、もうこの二十年来日本はずっとトップを行っていますし、技術面で部分的には諸外国の技術が進んでいる部分ももちろんありますけれども、全体的な評価としては、やはり日本の国が世界のトップの位置を占めているわけであります。先ほど言った高齢社会という意味でも、世界のトップを行く。ならば、この両者が結びつき合いながら、世界にその可能性を提起し、新しい高齢社会のビジョンを描き出す必要性というのは非常に高いものがあるし、その実現性も高いものがある、こういう思いを持つわけでございまして、改めまして、国家ビジョンの中にロボットを位置づけるということについての御見解をお伺いできればと思う次第であります。
○中山(太)議員 先進国の中で、アメリカ合衆国を除いて、ほとんどのヨーロッパの国々は合計特殊出生率が一・五以下の国が極めて多い。しかも、それが先進国に入っている。そういった国が集まって、一つの高齢化社会あるいは少子化社会に対して、生産面におけるロボットの活用はどうか。例えばファナックなんかの会社では、ロボットに人間の名前をつけて、愛称をつけて呼んでおりますけれども、そういった形で、プラスになる面をいかに活用するかということは、先生御指摘のとおりだろうと思います。そういう意味での先進国間の話し合いをすることも一つの大きなポイントだろうと思います。
○小野委員 それでは、ちょっとまた具体的な話に入らせていただきたいと思うわけでありますが、この議論を進めていくときに、まず最初の切り口はどこに来るだろうかと思ったときに、私は、やはり介護ロボットから始まってくるんだろうという気がするんですね。それは、現実的な必要性から申しましても、介護でそういう被介護者を抱えた家庭というのは大変な状況であります。被介護者がいるがゆえに家庭が壊れてしまう、子供の育成ができない。また、介護している人の方が逆に疲れて、介護者の方が先に亡くなってしまう、こういうふうな悲劇を随分聞くわけでありまして、社会的ニーズには極めて高いものが一方にあると思います。
 さらに、もう一つの要因を挙げるならば、西川京子提案者も一緒にやっているわけでありますが、今、自民党内でロボット介護研究会というのを立ち上げて、いろいろな検討をやらせていただいているわけでありますが、介護保険制度という非常に興味深い制度をこの介護ロボットの場合活用できるというポイントがあるわけですね。
 つまり、もう説明する必要もありませんが、介護に要した費用の一割だけを被介護者ないしその家庭が分担をするだけでそのサービスを受けることができる。そのサービスについては、別に人的サービスであろうと機械的サービスであろうと何だろうと、これは問わない、こういうふうな形になっているわけでありますから、この制度を使うと、実は一般家庭で使うそういうサービスの内容に九割までの保険ないし国や地方自治体からの補助が加わるという、これは非常にまれなる制度なんですね。ですから、この制度を活用することによって、私どもがスローガンとして挙げていますのは、月々一万円御家庭が負担ください、それによって五百万円級のロボットを御家庭にお送りいたしましょう、こういう話でございます。
 ちょっと細かな話になりますけれども、月々一万家庭が負担するということは、実質は、先ほど申しましたとおり月々十万円の負担が可能になるということになるわけですね。それで、機械ですから、大体五年程度の耐用年数を設定するのは不自然じゃありませんから、それをすると六十カ月、そうすると六百万円ということになります。だから、六百万円のお金を介護保険制度等を活用して出すことができる。それで、間接的な経費を引けば、ロボットの生産コストないしメンテナンスコスト等を入れると大体五百万円だというふうなことで、これは、ロボット製造業の皆さんに投げかけてみますと、五百万円である一定の数が出るとするならばロボットをつくれますかと言うと、ぜひやってみたい、こういうふうに非常に意欲を喚起する金額なんですね。
 一方、家庭の方で月々一万円というと高いようにも思いますけれども、考えてみれば、一日三百三十三円ですからね、月三十日とすると。そうすると、コーヒー一杯のお金で夜ぐっすりと安心して眠れる、どうですか皆さんと言うと、ほとんどの方が、そのお金でぐっすり夜眠れるのならばぜひそれを使いたい。つまり、ニーズ側とシーズ側がこのあたりの金額のところでちょうどうまく折り合うのがこのコンセプトだということでございまして、ぜひこれを実現していくことを通して介護負担を軽減し、高齢社会の問題を克服していくべきなのではないか。
 さらに、これは産業面から考えてみましても、私は、恐らく短期に十兆円産業を立ち上げることができる分野だと思っております。つまり、五百万円という金額で百万世帯に送り込むことができれば、これで五兆円なんですね。国内で五兆円の産業が立ち上がれば、恐らく海外でも同規模のものを想定することは不自然じゃありませんから、これで十兆円。今、六十五歳以上家庭が平成十三年度で千六百万世帯ありますから、大体百万世帯を想定することは不自然ではない。さらに、介護だけでなくて、この分野でインターフェースの技術だとか人間を安全に扱う技術ですとか、こういうものがきちんと確立することができれば、ほかの家庭用ロボットにどんどん波及する可能性を持つわけでありますから、十兆円というのは決して大きなほら話ではない、こういう思いを持っているわけであります。
 そんなことを考えました場合に、この介護ロボット産業を本当に育成し、家庭に介護のためのロボットを導入するということは、むしろ奨励的政策をたくさん導入してでも今緊急に取り組むべき問題である、国家プロジェクトと位置づけるまでのテーマとして早速に取り組んでいくべきである、こういうふうに私は考えるわけでありますが、厚生労働省、いかが御見解をお持ちでございましょうか。
○中村政府参考人 ただいま先生の方から介護保険についてのお話があり、介護ロボットということを国家的なプロジェクトとしてどうかということでございましたが、まず、介護保険の方のことについてちょっと御説明させていただきますと、現在、先生からお話のございましたとおり、介護給付九割に対して一割の御負担で在宅でもサービスを使っていただいております。
 先生が御提案なさっている介護ロボットなどに現段階で一番近いというのは福祉用具、福祉機器だと思いまして、これはレンタルや購入費の支給の対象として扱っております。介護保険がスタートいたしました二〇〇〇年四月には、一月で四億円程度の給付費でございましたが、今日では一月九十億円というふうになっておりまして、介護保険の方で、福祉用具のレンタルにつきましても二十倍以上の伸びになっております。二〇〇〇年に三百億円給付いたしておりますが、昨年度は多分一千億近くになっているんじゃないかということで、そういった意味では、確かに介護保険の方で福祉用具という形の給付がありますので、将来介護ロボットのようなものが開発されましたら、そこを給付対象にしていくというふうなことは十分考えられるのではないかと思います。
 先生のおっしゃる国家プロジェクトというようなお話に比べましては、まことにささやかな問題でございますが、現在、福祉機器、福祉用具の開発につきましては、厚生労働省の関係におきましては財団法人テクノエイド協会で、開発事業とかあるいは開発している方々に対する助成を行っております。
 ちょっと先生の大きな話に対しましては小さな施策で恐縮でございますが、そういうことで、我々としても、介護におきます適切な福祉機器、福祉用具の普及開発というのは大事だと思っておりますので、一生懸命取り組んでまいりたいと思います。
○小野委員 中村老健局長には、答弁が非常に小さな答弁であるということを御認識いただいておりますので、ぜひ、可能性の大きさを省内でも十分御検討していただいて、単に厚生労働省内部だけの問題ではなくて、もっと大きな課題になり得る問題だという視点から、さらなる御検討を積み上げていただきたいものだと思います。
 引き続きまして、少子化社会の根本的な問題としての国民の意識問題を取り上げさせていただきたいと思うわけであります。
 実は、これはもう二十五年くらい前のものでございますが、日本社会の未来の問題を案じたグループが「日本の自殺」という本を著したことがございます。当時一定の評価の出た本でございますから、ごらんになられた先生方もおられるかもしれません。
 その中で、最後に、文明がなぜゆえに没落するのか、その没落をいかに食いとめればいいのかという形での取りまとめを行っているわけでありますが、そこに没落の教訓というのを挙げているんですね。これまで世界の中にあった多くの文明がなぜゆえに滅んでいったのか。そこに五つ我々は学ぶべきものがあるという問題であります。せっかくですので、ちょっと御紹介いたしたいと思います。
  諸文明の没落の歴史からの第一の教訓は、国民が狭い利己的な欲求の追求に没頭して、みずからのエゴを自制することを忘れるとき、経済社会は自壊していく以外にないということである。消費者にせよ、勤労者にせよ、あるいはまた政治家にせよ、経営者にせよ、利己的な衝動に押し流されることなく、自己抑制しつつ、どこかに調和点を見出そうとすることを学ばない限り、際限のないエゴは放縦と堕落に至るほかはない。
  第二の教訓は、国際的にせよ、国内的にせよ、国民がみずからのことはみずからの力で解決するという自立の精神と気概を失うとき、その国家社会は滅亡するほかはないということである。福祉の代償の恐ろしさは正にこの点にある。
  第三の歴史の教訓は、エリートが精神の貴族主義を失って大衆迎合主義に走るとき、その国は滅ぶということである。政治家であれ、学者であれ、産業人であれ、あるいは労働運動のリーダーであれ、およそ指導者は指導者たることの誇りと責任とをもっていうべきことをいい、なすべきことをなさねばならない。たとえ、それがいかに大衆にとって耳の痛いこと、気に入らないことであったとしても、またその発言と行為ゆえに孤立することがあったとしても、エリートは勇気と自信をもって主張すべきことを主張せねばならない。
  没落の歴史からの第四の教訓は、年上の世代は、いたずらに年下の世代にこびへつらってはならないということである。若い世代は、古い世代とのきびしいたたかいと切磋琢磨のなかに初めてたくましく成長していくものである。古い世代がやたらにものわかりよくなりすぎ、若者にその厚い胸を貸して鍛えてやることを忘れるとき、若者はひ弱な精神的「もやしっ子」になるほかはない。
  没落の歴史からの第五の教訓は、人間の幸福や不幸というものが、決して賃金の額や、年金の多い少ないや、物量の豊富さなどによって計れるものではないというごく当り前のことである。人間を物欲を満たす動物と考える限り、欲望は際限なく広がり、とどまるところを知らないであろう。
 まさに、これは二十五年前に提起されているものでありますが、現代社会が抱えているさまざまな病弊を見ました場合に、この基本的な国民の意識の問題というものを抜きにしながらこれらの問題を取り扱うことはできないのではなかろうかという思いをさらに深めている次第であります。
 少子化社会の問題におかれましても、この基本法においてはさまざまな環境を論ずる視点というのが入れられていると同時に、前文の中におきましても、子供を生み、育てる者が真に誇りと喜びを感ずることのできる社会を実現しようではないか、生命をとうとび、豊かで安心して暮らすことのできる社会の実現を目指そうではないかというような形で国民意識の部分に関係する思いというものを盛り込まれた法案になっていることに高く評価をさせていただき、敬意を表したいと思う次第でありますが、現在の少子化社会問題は、必ずしも環境問題だけではないということを改めて認識しなきゃならないのだろうと思うのです。
 種々のアンケート調査を見る中において、子供がかわいいとどうしても思えない、子供を持つと煩わしいから子供を持とうと思わない、自分たちがもっと遊びたいから子供を持ちたいと思わない。こういうふうな意識が随分数多く出されている現状というのを見るにつけまして、日本人の中に、命をたっとび、命を継承することにおける喜びと誇りと責任を喪失してしまっている現象というものをもっと深く考えなきゃならないのではなかろうか。単にお金の面での何らかの対策を行うというだけではなくて、国民意識にもっとしっかりとこの国の中において命を引き継いでいくことの重要さというものを認識し合うことなくして、本当に、子供を育てる喜びだとか、自分が生きているということについての人生の充実感だとか喜び、こういうものを感じる社会というのはできないのではなかろうか、必ずしも私はそれを押しつけるつもりはないですけれども。
 ただ、今、余りにも軽薄で表面的な現象ばかりにとらわれるような論調が多過ぎて、この国を心の面から滅ぼしかけてきているという問題に対して、そろそろ警鐘を打ち鳴らしていかねばならない段階だと思うのでありますが、この問題に関連していかがお考えか、お尋ねしたいと思います。
○近藤(基)議員 お答えいたします。
 全く同感であります。「日本の自殺」という先生からいただいたのを若干読ませていただきました。
 私自身も、こういう没落の歴史を我が国もこのままいけばたどってしまう可能性があるのではないかと危惧する一人であります。ただ、これが先ほどから問題になっているロボットの心の問題、精神の問題なんだろうと思います。これをやはり人間が改めてもう一度問い直してみる必要が当然あるんだろう。
 言っているのは、利己的な欲求、あるいは精神、気概の喪失とか、大衆迎合主義に、こびてはならないとかこびへつらう、そういったこと、あるいは、人間の幸福、不幸は物量の豊富さではないという教訓、これは反面教師的なものでありますけれども、こういうものは当然国のあるべき姿としての根本的問題だろうと思っております。それはもう我々が改めて認識をし直すべき時期に来ているだろう。
 そして、その上で、いわゆる少子化ということだけをとらえてみれば、やはり基本法というのをつくって、各法でもいいという御議論もあるんですが、総合的な部分を、縦割りの行政ではなくて、こういったことで一種総合的な部分をつかんでおいて、あとは各法をしっかり運用するということが大事な問題だろうと思っておりますので、そういった意味では、この基本法というのは、ある意味、全体を網羅した理念的な問題、観点ではありますけれども、やはりこれがあって各法がうまく運用できるのではないかなということで提案をさせていただきました。
 先生の今の御指摘は、これはちょっと少子化対策というよりも国のあるべき姿という形で、「政治家」というものがこの中で二回出てきます。わざわざ政治家と取り上げて、二度この中で出てくるということは、やはり小野先生のような政治家がたくさん出ることを期待して多分これは書いていらっしゃるんだろうと思いますので、我々としても、一生懸命、そういった意味ではこれを基本として、反面教師として頑張っていきたいと認識をいたしております。
○小野委員 提案者から力強い言葉、ありがとうございました。
 今、ロボットと心の問題ということをまた近藤提案者からも触れていただいたわけでありますが、私は人間というものをロボットに擬するような議論が余りに多過ぎると思えてならないんですね。人間は物としての存在であって、機械のような存在であって、理論の上で説明されるもの以外の人間の存在というものを認めようとしない、目に見えるもの、説明できるもの以外はこの世の中に存在してはならないし、そんなものはないんだ、こういうふうな論調が余りにも世の中に広がり過ぎていることが、この社会を極めて軽薄で存在感の薄いものにしてしまっている。そこを考えましたときに、改めて人間の心というものの神秘、その深さ、そこから醸し出されるところの喜びや力、こういうものを見出す中に少子化政策というものもやはり展開されるべきである。これを結論というわけでもございませんが、思いを語らせていただいて、質問を閉じさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で小野晋也君の質疑は終了いたしました。
 次に、齋藤淳君。
○齋藤(淳)委員 民主党の齋藤淳です。
 簡単に自己紹介させていただきますけれども、私、昨年の十月の補欠選挙で衆議院に初めて当選させていただきました。ちょうどその選挙の一カ月前に私の妻が出産いたしました。選挙前の大変忙しい時期ではありましたけれども、私も産院に駆けつけて、新しい命が誕生する瞬間に立ち会わせていただきました。実は、妻はアメリカで妊娠したんですけれども、アメリカで父親が立ち会い出産をすると必ず子供のへその緒を父親が切るという、高速道路の開通式ではありませんけれども、テープカットのような儀式を行うことが慣例となっているようです。私もその産院で若干わがままを言わせていただきまして、テープカットをさせていただきました。そのときの新しい命の生まれるときの感動というものをまだ鮮明に覚えていますものですから、きょう、こうしてこの法案の審議に参加させていただくことに改めて感謝申し上げたいと思います。
 そこで、本題に移らせていただきますけれども、昨年行われました第十二回の出生動向基本調査を見てみますと、若い世代では、法律上の婚姻関係にある夫婦間、この夫婦間の子供の数が、徐々にではありますけれども、しかし着実に減少する傾向を見せているようです。以前は、婚姻率の低下ということが取り上げられていながら、婚姻関係にある夫婦の間に生まれる子供の数というものは一定の数で推移しているのだという主張が根強くなされてきたわけですけれども、最近、夫婦間の子供の数が減少しているということになっているようです。特に、十年以上の婚姻期間を経てなお子供をつくらない夫婦が非常に増加している傾向を見せているようです。
 少子化現象というものは、非常に社会的な複合的な要因が作用した結果、生ずるものだとは思われますけれども、やはりある程度は原因というものを特定し、有効な施策を講じていかなければならないと思っています。
 そこで、婚姻関係にある夫婦の間に生まれる子供の数が減少してきた、その背後にある原因についてどのようなことをお考えか、提出者を代表して中山会長にお尋ねしたいと思います。
○中山(太)議員 大変難しい御質問でございますが、私の考えの中の一つに、子供たちの出生後の乳幼児死亡率、これが世界一日本は低いんです。つまり、それだけ子供たちの出産に関して死亡するケースは少ない。そういうことから、一人子供をつくっても、その子供は事故に遭わない限り成長できるんですね。そして、そのための保健所の指導もある。また、お母さんやお父さんの愛情の行き届いた育児がある。
 その中で、御案内のように、出産手当がまず出ますね。それが大体、労働組合から出る分も含めて平均して三十万ですね。ところが、出産に要する費用は大体四十万円。それから、子育てのときに悩むのが保育所。希望する保育所へ入るのに順番待ちをしなきゃならない。こういった問題がありますし、育っていく間の、風邪を引いたり熱を出したりしたときの親の心配、こういったことがございますから、それは当然起こるべき現象でありますけれども、そういうことで、子供は一人でもう十分、育ってちゃんと後を継ぐ、こういうふうな考え方があるんじゃないかというふうに私は思っておりますし、子供一人成長させるのに、大学を出るまでに大変親も心配をするわけですね。そういうふうな親子の関係も含めて、子供はもう二人程度でいいとか、一人でいいとかといったような気持ちになるような人が多いように思います。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
 中山先生が基本とされた基本的な要因というのは、私も大筋において認識を共有しているものだと思います。
 私も子育て世代の一員として、ふだんからつき合いのある同級生、同年代の皆さんと話しながら感じることですけれども、やはり子供を育てること自体は非常に大きな喜びではあるのだけれども、それに伴う負担感が物すごいものがあると。確かに子供を育てたいのだけれども、例えば病気の子供を見るために会社を休んでしまうと、それが下手をすると長期的には解雇の理由になりかねない。もちろん表立ってそういったことを理由に解雇するということはありませんけれども、人事考課で非常に厳しく査定されてしまう背後的な要因になってしまうことを恐れる、そういった同世代の人間が非常に多いということを考えます。
 このような中で、また改めて伺いたいんですけれども、同じくこの第十二回の出生動向基本調査の中での数字ですけれども、欲しいと思っている子供の数、つまり理想の子供の数、これについてのアンケート調査があります。現実的に産む予定の子供の数、これも予定子供数という形で調査されているようですけれども、婚姻期間別に見ると、すべての期間で予定子供数が理想子供数を大きく下回っている。子供は欲しいのだけれども現実的にはやはり産むことができない、そういう数字がアンケート調査で裏づけられているようです。若い世代では、そもそもが、十代に比べて出産予定の子供数を低く見積もっている傾向があるようです。これがどのような要因に基づくのか。また、時系列で同じ設問に対する回答を追跡しますと、やはり、徐々にではありますけれども、予定子供数、理想子供数ともに漸減傾向にあるようです。
 これにも、中山会長がおっしゃった要因ということと重複するのかもしれませんけれども、改めて、提出者である五島議員の方に、この予定子供数並びに理想子供数の低下の要因について伺いたいと思います。
○五島議員 齋藤議員の御指摘の点が非常に重要な問題だと思っています。
 けさの新聞に載っておりましたが、出生率が一・三三から一・三二に減ったという問題以上に、やはり、理想子供数あるいは予定子供数が間違いなく減ってきている、しかも、その減り方の方が実は大きいという状況がございます。そこのところにやはりこの法案が一番大きく対応しなければいけないと思っているところでございます。
 もちろん、結婚し、そして子供をお持ちになっている家庭の中においても、そうした、子供を何人持ちたいあるいは何人産む予定がある、それが減ってきている。その理由は何なのか。今、先生あるいは中山先生の方からも御指摘ございましたけれども、教育費の問題とかその他の経済的負担、あるいは、子育てによる身体的な、精神的な負担感、あるいは職場における非常に日本的な慣行の問題等々、すべてがそうした問題に影響していることだろうと思っておりますが、果たしてそれだけかどうかという問題もございます。
 そういう意味では、これまで、人口研のデータというのは常に間違ってきているわけですが、その辺の分析が不十分なのではないかというふうに私個人は思っております。
 そういう意味で、この法案は、子育てに伴う負担感を軽減して、結婚や出産の妨げとなっている社会的、経済的、心理的要因を少しでも取り除いていくというところに力点を置いておりまして、それを通じて、子供を産み、そして育てることに夢が持てる、そうした環境の整備を図りたいということがこの法案の趣旨でございます。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
 五島議員の方から、教育費の問題、精神的な負担あるいは職場の慣行の問題などの御指摘がありました。特に、私はやはり、子供を本来生み育てるべき年齢の若年者の抱える雇用ですとか、ないしは子育ての負担の問題に焦点を当ててお尋ねしたいと思います。
 特に、最近、やはり若年者の雇用ということを考えた場合には、まず、雇用以前に、失業率が非常に高いという問題があります。また、雇用されている状況におきましても、非正規雇用、非常に不安定な雇用状況の中で、子供を産むか産まないかの選択、ないしはそれ以前に結婚をするかしないかの選択というのがあるのかもしれませんけれども、そして何人産んで育てるかという選択を迫られるという状況にあります。
 特に、女性について言えば、男女雇用機会均等法が施行されて以降、日本的な雇用慣行の従来からの伝統の中で新たな法的なフレームワークに適応していく中で、なかなか、いろいろ現状と理想との間のギャップの中で非常に困難な問題があったのではないかと思われます。
 こうした、特に若年者雇用を取り巻く状況、そして少子化が進行している現状につきまして、五島議員、提出者を代表して認識を問いたいと思います。
○五島議員 この点も非常に重要な問題だと思っています。
 日本型の雇用と言われているものの中には非常に多くの問題を含んでおりますが、私は、こうした問題、男性、女性のさまざまな企業の中における差別の問題という問題を超えて、男性にとっても女性にとっても、この日本という国の中における職場優先の企業風土というものが、一つは非常に大きな少子化の原因になっているというふうに考えています。
 この職場優先の日本的労働慣行、雇用慣行というものを考えてみますと、やはり、先日、労働基準法が厚生労働委員会で採決されました。その中で、附帯決議で与野党一致して合意した内容の中に、いわゆる均等待遇、雇用の形態による不均衡な状況をなくしていく均等待遇という問題が合意されております。こうした働き方による格差というものを解消することによって、日本型の年功序列制度というものを支えている長期雇用、そうした慣行というものが変えられていく必要があるのではないか。
 すなわち、職場の中における経済的あるいは自己の能力の発揮において、長期雇用を前提とした年功社会の中でしか働くことがうまくいかない、その中において、先ほど先生も御指摘になったように、子育てのために時間をとることまでがマイナスになるのではないか、こういうふうな精神不安が大きいんだろうと思っています。そのことは、その国の個人所得の大きい、小さいとは関係のない内容であるというふうに思っています。
 しかし、残念ながら、今の日本を考えますと、そうした企業風土の中におきまして国民の生活が全体として二十四時間コンビニ化してきているという状況の中において、ますます少子化に拍車がかかるのではないかという不安を個人的には持っております。やはり、そうしたことを是正していくということは非常に重要な問題だというふうに考えております。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
 日本的雇用慣行が抱える問題点について、詳細にわたる御指摘が五島議員の方からなされたわけですけれども、私は、同世代の友人、知人を見渡してみますと、中にはやはり子供三人、四人、私は今三十四歳ですけれども、同年代でも四人子供を産んで育てているというような知人がたくさんおります。ただ、見渡してみますと、そういった友人、知人に共通する職業というのは、なぜかしら公務員あるいは学校の先生である。夫婦のどちらかが公務員、もしくは両方が共働きで公務員というような友人が非常に多いなというのが、例えば毎年お正月に同級会などで集まってお話をしていると抱く、自然な印象でした。
 これは私の周りのサンプルが偏っているのかな、山形の農村地域というサンプルのバイアスによるものではないかと思いまして、いろいろ調べてみたんですけれども、どうやらそうでもないようです。
 提出者の中に、上野千鶴子さんと小倉千加子さん、フェミニストお二人の対談を読まれた方がおられるかどうかわかりませんけれども、恐らくおられないと思うんですけれども、私が必ずしも上野さんですとか小倉さんのお考えに賛同するとかそういったこと等は抜きに、ちょっとこういった対談での言及を見つけたものですから、若干朗読させていただきたいと思います。
 小倉千加子さんがこういったことを言っています。「で、この人たちは女の中では、結婚もし、仕事もし、子どもを産み……。私が調べた中でね、いちばん子ども産んでんの、三人ぐらいぼこぼこ産んでる人の職業はなんやったと思います?」、こう問いかけています、上野さんに対して。上野さんは一言でこう答えます、「地方公務員。」それで、小倉さんはこう答えます、「……の中でも。」上野さんが「の中でも……?」と聞き返しますけれども、小倉千加子さんが「小学校の先生。だから、子ども産んでも、また小学校に帰れると。産休の代理の先生もいるし、産んでも安心して同じ職場に復帰できる、ということがわかったら、女はぼこぼこ産むんですわ。」
 ちょっとこの関西弁の表現、私は東北出身ですのでうまく再現できませんでしたけれども、こういった対談がなされています。同じような考え、こういった考えを持っているのは私だけではないのだな、フェミニズムの研究者も似たような印象を持っているのだなということで自信を持ちまして、若干、今度はデータの分析結果を調べてみました。
 そうしましたところ、国立人口研究所を初めとするいろいろな研究者の書いた論文に、どうやら公務員が、職業が公務員であるということが出生率に対して、ないしは結婚後の、子供を産むか産まないかという判断に対して、統計的に有意な、ポジティブな影響を与えているというような研究結果が、複数の論文からそういった結果があらわされているということを知りました。私も留学中、統計学を若干勉強していたものですから、恐らくこの結果というのは、サンプル数、分析手法から見ましても信ずるに足る結果だろう、かつて研究者であった私としましても評価しているところなんですけれども。
 こういった、公務員であるということが、ほかの職業に比べてなぜ出生という判断についてポジティブな影響を与えなければならないのかということ、これは国の研究所が、国立の社会保障・人口問題研究所の研究で明らかにされた研究成果なんですけれども、これはどうしてでしょうか。提出者を代表して、どなたか御答弁願いたいと思います。
○五島議員 確かに、公務員の夫あるいは妻、あるいはその双方が公務員である家庭において、民間に勤務する者の家庭よりも子供を有する割合が多いという調査結果が出ているということについては、聞いております。
 また、その具体的な一つの例といたしまして、例えば育児休業の取得率の差異というものがございます。育児休業の取得率、公務員の場合は三二・七%でございますが、民間の場合は一二・二%で、半分にも及んでおりません。こうした権利の行使に対してバイアスが少ないということが官と民との大きな違いである、そのことがこうした家庭の中において子供を持つ、持たないということの決定に影響しているだろうというふうに思っています。
 今、日本においても雇用形態がいろいろと議論されておりますけれども、やはり一方において、従来からの均等待遇の問題や、あるいは長時間のいわゆるサービス残業等といった問題をそのまま抱えたままで、出生数をカップルの間でふやしてくれということは難しいんだろうというふうに私は考えております。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
 確かに、いろいろな意味で公務員の職場環境というのは恵まれている。お正月やお盆に同級会があると、当然集まる人間は公務員だけではなくて、民間の企業で働いている友人、ないしは現在職業を持っていない友人も集まります。そうなると、子育ての話にも当然及ぶわけですけれども、公務員だばいいもんだ、田舎の言葉ですけれども、公務員はいいもんだというような嘆きの声が、嘆きと怨嗟に似た声が、民間で働いている同級生からやっかみの声が出るという状況もあるかと思います。
 確かに、いろいろ状況を探ってみますと、子供が病気になった、保育所に預けようと思っても、病気の子供を預かってくれる保育所がない。では会社を休むか、かといって、勝手にラインから抜けられるような状況じゃない。会社の方も、もうぎりぎりの人数で、効率化して中国との競争に勝ち残らなければならないというので、熟練した人たちだけでチームを組んで、もうぎりぎりの人数で回しているので、そう勝手には休めない。
 おじいちゃん、おばあちゃんはどうか。確かに私の地元の山形県というのは、全国に冠たる三世代同居率第一位という県なんですけれども、実は、地元で三世代同居の実態を調べてみますと、おじいちゃん、おばあちゃんも共働きという家がかなりあって、必ずしも……(発言する者あり)農業もやっていますけれども、まあ主業農家かどうかということはともかく、おじいちゃん、おばあちゃんも稼ぎに行っているものですから、そうすると、介護の対象になるひいおばあちゃんぐらいしか子供を見れない。そうするととても、ちょっと危なくて預けられないというようなことがあって、なかなか難しい状況があるようです。
 かといって、民間部門の女性を全員公務員にしろとか、そういった暴論を申し上げているのではありません。民間の活力と両立させながら、従業員がやはり良好な職場環境で、子供を育てながら、家族を大切に働くということ、これはやはり民間の活力にも地域の活力にもつながることだと私は信じています。
 そういう意味で、公務員的な職場環境をいかに民間の労働慣行の実態に合わせて適用していくかという発想が、今後の少子化対策ないしは次世代育成支援対策の中には非常に重要になっていくのではないかと思われますけれども、提出者を代表して五島議員に見解をお尋ねします。
○五島議員 確かに、非常に競争の厳しい民間において、公務員と同じような環境、育児環境を整えろといっても、それはなかなか困難だということだと思います。しかし、この法律は、このような状態をそのまま放置しておいたのでは、現在の少子化には歯どめがかからないという問題意識から始めているわけでございます。そのために、本法案において、国、地方公共団体の責務を規定し、また事業主の責務を規定して、こうした問題を解決していくということを求めているところでございます。
 また、先生の地元のお話でございますが、言いかえれば、六十代のおじいさん、おばあさん、大変労働能力は残っておられて、お元気な方が多い。お元気な方が多いので、家でお孫さんのお守りをするよりは仕事に出ておられる方がふえています。言いかえれば、そういう方々の労働力というのは、こうした地域の中において子育て支援のために十分に活用できるそういう能力、マンパワーを我が国は持っていると考えられます。
 そうしたものもフルに活用しながら、こうした雇用環境の整備とあわせて、公務員にしか子供がたくさん産めない、希望する子供を産めないというような現状を変えていくということがこの法案の目的でございまして、この法案成立後には、個別法でそうした問題の整備がされることを望む次第でございます。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。ぜひ、今の御答弁にあったように、個別具体的な施策で子育ての環境を整える努力をしていただきたい、政府にも強く求めたいと思います。
 基本法の内容を眺めておりまして気になることなんですけれども、子供を育てるのは親か社会か。確かに、バランスの面で難しい部分があるかと思いますけれども、子育てについてやはり保護者の自助努力に過剰な期待をかけている部分があるのではないかなと思います。
 子供は、家庭環境だけではなくて社会環境の中でも育ちます。社会環境というとちょっと大きいかもしれませんけれども、やはりもう少し小さな、地域共同体の中で、私も村の中で育った人間ですけれども、フェース・ツー・フェース・コミュニケーションのとれる地域社会の中でも育つという現状があるわけです。
 その点で、第二条の「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有する」という条項は、若干気になるところなわけですけれども、子育てについて、親並びに保護者と社会ないしは地域共同体というものがどのようなかかわりを持って接していくのか、提出者のお考えをただしたいと思います。
    〔委員長退席、中沢委員長代理着席〕
○五島議員 もちろん、親子を取り巻く社会全体が子育てに対して大きな役割を果たさなければならないというのは、この法律の中で申しているところでございます。
 ただ、子供に対する第一義的な親の責任、これはやはり当然あるわけでございまして、そのことは、例えば、親が子に対して負うべき責任が他の第三者によって代替されることはあったとしても、基本的にかわるということはないものだというふうに考えております。したがいまして、親子の関係の維持も含めて、社会全体がそれを支えるということを私たちは願っております。
○齋藤(淳)委員 極めて明快な御答弁、ありがとうございます。
 確かに、親が責任を持って、保護者が責任を持って育てるということを地域共同体ないしは社会がいかにサポートするかということが非常に重要なのだと思います。
 最初の質問で中山会長からも答弁がございましたとおり、少子化の原因の一つに、教育支出が非常に高いという問題が指摘されております。その中で、第十四条に、ゆとりのある教育を実現するという条項があるわけですけれども、これについて、若干提出者の皆様方の御見解を伺いたいと思います。
 確かに、先ほど引用しました第十二回の出生動向基本調査で「妻の年齢別にみた、予定子ども数が理想子ども数を下回る理由」、これを聞きましたところ、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という答えが全体の六二・九%。これは、全選択肢、選択肢はたしか十五ぐらいあったかと私記憶していますけれども、その中で一番イエスという答えが多かったのが、教育費の問題です。
 若干古い数字になりますけれども、平成九年九月の総理大臣官房広報室、男女共同参画社会に関する世論調査によりますと、出生数減少の理由、何かと問いただしたところ、上位三番の答えというのが、子供の教育にお金がかかるというのが五八・二%、経済的な余裕がない、五〇・一%、仕事をしながら子育てをするのが困難、四四・七%。やはり教育をめぐる問題というのが少子化対策のかぎなのではないかなと思っているわけです。
 繰り返しになりますけれども、基本法第十四条、ゆとりのある教育、特に地域で親御さんの意見を聞いていると、よく出されるのがゆとり教育に対するいろいろな意見なんですけれども、この基本法におけるゆとりある教育と、政府がこれまで推進してきたいわゆるゆとり教育というのは、どのような関係にあるのか。肥田議員にお尋ねしたいと思います。
○肥田議員 私の息子ぐらいの年齢の齋藤議員とこうやって質疑応答できるのを本当に幸せに思います。
 それで、まさにゆとり教育とゆとりある教育というのはほとんど言葉としては同じなんですが、私どもが使っている場合には、例えば、学歴偏重とか出身校を重視する社会の風潮とか、そういうことが親にも子供にも心理的な影響を与えるわけでございますけれども、それをやはり取り除かなければ親子の生活にゆとりが出ないということでありまして、今、同一かどうかというお尋ねですので、私は必ずしも同一でないとお答えしたいと思います。
 といいますのは、文科省で使っておりますゆとり教育には、今議員がおっしゃいましたように、現状認識に皆さんそれぞれ意見がございまして、私どもは、経済的にもそれから心理的にもゆとりある教育をというふうに理解をしていただきたいと思っております。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
 最後のこの経済的にも心理的にもゆとりのある教育というお言葉、非常に重要なのではないかなと思います。
 そこで、やはり子育てと教育ということを考えて、地域の皆さんが、教育、特にゆとり教育についてどのような意見を持っているかということを、私、常々ヒアリングをして歩いているわけなんですけれども、どうもこの教育に対する地域的なニーズというのは各地域で非常に多様であって、例えば全国一斉にこれがゆとり教育ですよというモデルを示して導入すると、かえって家庭教育のゆとりがなくなったり週末の家族のゆとりがなくなったり、そういったパラドックスのような状況がいろいろ生じてきているようです。
 私が日ごろかいま見る状況を若干御報告させていただきますけれども、義務教育のカリキュラムが緩められて、時間数も削減されたわけです。先生方は当然危機感を抱きますから、宿題を出します。そうすると、家庭で宿題を見れる親御さんは一生懸命見れるんですけれども、見れない親御さんも当然いますから、野放しになってしまっている子供と十分なケアを受ける子供との格差が非常に拡大しつつあるという状況があります。
 先生によっては、いや、ゆとり教育なんだからということで、宿題も出さない。そういう先生に当たった親御さんは、子供をやはり塾に通わせたがる、そういう状況があります。確かに、首都圏だと、子供を学校の放課後、塾に通わせる。子供が勝手に地下鉄に乗って塾に行くわけですけれども、私の選挙区は、子供を塾に送ってまた迎えに行ってということをしていると、恐らく五時間ぐらい費やしてしまうような地域がたくさんあります。
 こういった宿題を例えば家庭でやる、そういうことで、本来家庭で行われるべき家族のきずなを強めるための時間が学業にむしろ流れてしまっているわけです。私も学校から帰ると両親の農作業の手伝いをしたりしながら育ちましたけれども、どうもそういった時間が最近の子供たちはむしろ勉強に使われている。本末転倒のゆとりのない教育をゆとり教育が推進しているのではないかなと思います。また、塾通いに伴う経済的な負担ということも当然やはりあるわけです。
 こういった事実を見ていると、やはり子供の数はふやせないなという感想を表明する地域の保護者というのは、非常に多くあります。
 繰り返しになりますけれども、都市部では、幼稚園の段階からいろいろ学校の選択も選択肢が多様です。学校がどうもニーズに合わないとなれば放課後に学習塾に行く、こういった選択肢もあります。しかし、日本全国同じような状況にあるわけではありません。やはり公立学校を強化しながら、あるいは、場合によっては基礎学力の強化というところに力点を置いて教育を組み立てなければならない地域もあるということなんです。そうでないことには教育の機会均等も確保できませんし、教育の機会均等が確保されない地域にだれが住みたいかということなわけです。
 実際、私の地元に朝日村という村がありまして、そこの出生率はコンスタントに二を上回っていて、人口を維持するのに必要な二・一、合計特殊出生率を誇っているわけなんです。しかしながら、やはり若夫婦がその村に住みたがらない。どうしてかというと、やはりそういった子供の送り迎えの負担などを挙げる人が非常に多いという問題があるわけです。
 確かに、目黒区のような〇・七という出生率を一・一まで上げるための努力をするということも大切なんですけれども、もう既に子育ての条件がそろっている、ないしは地域的な総合学習力のあるような地域を大切にしながら、そこでの人口定住策ということも考えていかなければならないのではないか。というときに、やはりこの基礎学力ということを、もう一つ、ゆとりある教育の中の一つの大切な要素として長期的には御確認いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○肥田議員 まさに同感でございます。基礎学力の涵養は当然重視されるものであると私たちも思っておりますし、小学校、中学校の第一の役割は、やはり基礎学力をつけることにあると思います。ですから、わかる授業を実現して、学力の低下、不登校などをなくさなければいけない。先ほど学習塾のこともおっしゃいましたけれども、学習塾ではわかる授業をしてくれると子供たちが言うんですね。わかる授業、おもしろい授業をするためにも、やはりきちんと基礎学力の重要さを我々が認識しなければいけないと考えております。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
 確かに、あと、この基本法の中では、子育て支援の拠点を整備するということもあるわけですけれども、既に、山村ないしは農村コミュニティーの中では、学校というのは立派な地域的な拠点の役割を果たしているわけでして、新たに拠点をこさえるというよりは、むしろ既にある拠点の機能を強化していく、その方が安上がりだと思いますし、いろいろな意味で効果的なのではないかな。
 あと、もう一つ、どういった教育の内容にするのか、地域的に選べるようにしていくということがやはり重要なのではないかなということをつけ加えて申し上げさせていただきたいと思います。
 そこで、義務教育をめぐる環境の変化を考える上で、義務教育負担の国庫支出の問題というのは非常に大きな課題になるかと私は認識しているわけですけれども、地方自治体が自主性を持って公立の教育を子育て支援と有機的に連関させながら推進していこうとすると、やはり財源的な裏づけが必要となります。文字どおり厳しい財政事情ではありますけれども、やはり次世代を育てる部分には、日本の政府として、国として重点的に投資していくべきではないか。そのような中での国庫負担の見直しというのはいかがなものかと私は考えているのですけれども、提出者の皆様方はいかがお考えか、お尋ねしたいと思います。
    〔中沢委員長代理退席、委員長着席〕
○肥田議員 まさに教育費は未来への投資でございまして、この国庫負担が今少し危ういところにおります。ですから、なし崩し的に一般財源化する、ましてや、その先にもしも廃止するようなことになれば、私は、全国どこでも同じような教育を受けられるという最も基本的なところが崩されてしまうと思います。
 先ほども議員がおっしゃいましたように、大変教育費はかかります。二千万円もかかりますから、これはどうしても守っていかなければいけないと考えております。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
 学校教育を離れて、若干、地域共同体ないしは地域社会の問題について質問させていただきたいと思います。
 確かに、次世代を担う子供たちは地域社会の財産であります。先ほど私も申し上げましたとおり、保護者だけでなく、地域として子供たちの能力を最大限引き出していくような、そういった教育ですとか子育てをしていかなければならない、また、そういった視点をもう少し明確に打ち出すべきだったのではないかなと思います。
 第十二条に「拠点の整備」ないしは「地域社会の形成に係る活動を行う民間団体の支援」というような文言がございますけれども、やはりこれから日本の課題、国の課題となっていくのは、地域共同体をどのように維持し、そして再生していくかということにあるのではないかなと思います。
 そうすると、家族の生活基盤である地域の雇用をどうするか、あるいは、従来からの農村共同体、山村共同体、漁村共同体ということに話を移すのであれば、農地や漁場、山林をどうやって守り、維持していくのかという問題があるかと思います。
 私が所属している別の委員会のことでありますけれども、新食糧法の所得補償に関する対案が否決されたから悔し紛れに申し上げるというわけではありませんけれども、例えばスイスの農業政策では、直接支払い型所得補償の一環として、山村の定住対策、子供の人数に応じて児童手当を支給する、ないしは家事に従事する家族に家事手当を支給する、それを農業の面積割の所得補償と一体化して農山村の定住化対策を行っている。事実として、スイスでは九〇年代に山村地域の人口が増加したという実績もあります。
 確かに、このスイスの農業政策に対しては過剰な保護だというような批判もつきまとっているようでありますし、それをそのまま日本に受け入れればいいとは私も思いませんけれども、こういった他分野の産業政策、雇用政策とあわせて総合的に地域を再生していく政策として、少子化対策、次世代育成支援策を打ち出していく必要があるのではないかと思われますけれども、提出者を代表してどなたかお答えいただきたいと思います。
○肥田議員 地域がふくよかに子供たちを守っていくということはとても大事でございます。今子供たちがとても周囲から冷たい目で見られているという状況があります、特に都会なんかではそうですけれども。ですから、おっしゃるように、地域全体でどうやって子供たちを育てていくかということ、これは本当に大きな問題です。
 それで、質問者は山形でいらっしゃいますね。答弁者が質問しちゃいけないんですけれども、地産地消の学校給食の話ですけれども、これなんかは、子供たちが自分たちの食べるものを地元で見るわけですね。そして、農家の人たちも子供たちにそれを提供できるという、私はこれからこういうことも地域づくりのために大変大事だと思うんですけれども、議員はどう考えられますか。
○齋藤(淳)委員 想定外の御質問ですけれども、確かに山形県も、地産地消を推進していながら、実は地域の農産物でない農産物を学校給食でまだまだ使っていたり、改善の余地はございます。
 しかし、食育活動の一環として、スローフード運動ないしは地産地消といったことを学校を挙げて、地域を挙げて、地域住民の皆さんと生徒さんが交流しながら行っていく活動は、非常に盛んになりつつあります。また、そういった活動を離島の振興策と組み合わせたり、あるいは、都市と農村との交流、姉妹都市などを活用して、都市部の生徒さんが農村に来て、滞在しながら農業を経験しながら、農村共同体というものはどういうものか体験しながら学んでいくというような活動も行っているわけです。
 都市部においてもそうですけれども、やはり農村部も、これからは、地域共同体の中で子供たちが育っていく、健やかに育っていく環境を整えていくということが非常に重要になるのではないかと思っております。
 そういった中で、最後にちょっと、これだけは今までの議論で余り触れられることがなかったのであえて取り上げたいと思うんですけれども、地域共同体の話題とは若干話がそれますけれども、ヨーロッパで最近出生率が回復してきた国を見ると、婚外出生の割合が非常に増大しています。
 これは、家族をどうとらえるか、夫婦をどうとらえるか、あるいは税制ですとかいろいろな問題が絡んできますから、非常に難しい問題だと思うんですけれども、例えばスウェーデンでは、一九九九年に生まれた子供の五五%が婚外出生だったと言われております。
 日本は、こういった数字に比べれば非常に小さい割合ではありますけれども、やはり徐々に、一%台の前半から後半へと着実に増加する傾向があるようです。また、日本でも、一方で未婚率が増大しているという現実もございます。例えば、平成十二年の国勢調査では、二十五歳から二十九歳の女性の未婚率が何と五割以上という状況もあります。
 多様なライフスタイルの中で子供を生み育てていくということを考えると、婚外子の問題をどう考えるか、将来的にはやはり避けて通れない問題になっていくと思われます。これまでの議論でなかなか論ぜられることがなかったかと思いますので、あえて、これまでの法案作成の中でどういった議論がなされてきたのか、最後にお尋ねしたいと思います。
○五島議員 婚外子の問題につきましては、議連の中でも議論をしてまいったところでございます。
 子供を生み育てる者といった場合、当然、婚外子も、婚外子を生み育てているシングルマザーも含まれているものというふうに考えております。そして、確かにまだ我が国ではその比率はヨーロッパに比べて少ないとはいえ、シングルマザーあるいは婚外子の人々にとってみますと、仕事と育児の両立においては大変な思いをしておられるという現状もあり、経済的にもやはり恵まれていないという現状にあると考えています。
 こうした場合であっても安心して子供を生み育てることができるように、こうした方々に対する、特に経済的、心理的負担の軽減を図っていくということは大切なことであるというふうに考えております。
○齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
 ともすれば難しい状況に置かれることが多いシングルマザーないしはそういった環境の中で育つ子供たちだと思いますので、どういった議論があるにせよ、社会的に大切に子供は分け隔てなくはぐくんでいく、そういった体制をとっていただきたいということをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございます。
○佐々木委員長 以上で、齋藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、山内功君。
○山内(功)委員 民主党の山内功でございます。
 本法案の十三条二項に「不妊治療」という文言が出てまいります。
 不妊治療については、医学的な治療例が先行しているものの、法律の整備については随分おくれていると私は思いますので、不妊治療の問題に絞ってこれから議論をさせていただこうと思っています。
 まず、そもそも不妊治療とはどういうことをいうのか、また、不妊治療の是非に関する議論は、現在どこまで認めるというか、進んでいるのかについて伺いたいと思います。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 先生お尋ねの不妊治療の関係でございますが、まず、不妊治療とはということでもあろうかと思います。
 生殖年齢の男女が子を希望しているにもかかわらず、妊娠が成立しない状態であって医学的処置を必要とするものを不妊というふうに呼んでおります。こうした不妊の方々に対して、妊娠を目的として一定の治療を行うこと、これを不妊治療、こういうふうに申し上げております。
 具体的には、排卵誘発剤などによる薬物療法、卵管疎通障害に関する卵管形成術、人工授精、体外受精、顕微授精、それから代理懐胎などがございますが、特に人工授精、体外受精、顕微授精、代理懐胎につきましては、精子と卵子の受精を人工的に補助するということでございますので、これを生殖補助医療という形で呼ぶということにされております。
 我が国における生殖補助医療につきましては、御指摘のように、日本産婦人科学会を中心とした医師の自主規制のもとで行われてきたというのが現実でございます。配偶者間につきましては、人工授精、体外受精、顕微授精が実施されております。非配偶者間につきましては人工授精のみが実施されている、全体の状況はそういうことでございます。
 今後に向けてのことといたしましては、先生御承知のように、非配偶者間の生殖補助医療につきまして、親子関係の確定や商業主義等の関連から問題が生じやすい、そういうことから、平成十年十月以来、厚生科学審議会先端医療技術評価部会のもとに設置された生殖補助医療技術に関する専門委員会において検討がなされた経緯がございます。
 また、平成十三年六月からは、当該専門委員会においてまとめられた報告を具体化するために、厚生科学審議会のもとに設置された生殖補助医療部会において検討がなされまして、去る四月、本年四月でございますが、一定の条件のもとに、代理懐胎を除く非配偶者間の生殖補助医療の実施を認める報告書が取りまとめられたところでございます。
 今後は、この報告書をもとに、どのような制度的な対応が可能か、幅広く検討を進めていく段階に至っているということでございます。
○山内(功)委員 生殖補助医療についても不妊治療であるという答弁を前提にこれから聞いていきます。
 少子化対策基本法案の十三条二項に「不妊治療に係る研究に対する助成等」という言葉が規定されていますけれども、この「等」の具体的な内容について、提案者からお伺いをしたいと思います。
○五島議員 今、厚生省の方から、生殖補助医療というものを不妊治療に含めて厚生省が考えているというお答えでございました。行政的にはそのように処理しようということでございましょうが、議連といたしましては、生殖補助医療の問題を議論してここの問題に乗せたわけではございません。
 基本的に、不妊の問題というのは、なぜここまで不妊症がふえてきているのか、女性のサイドあるいは男性のサイドにおいて多くの原因があると思います。そうした不妊というものが非常にふえてきている、その原因としては幾つか考えられますが、そうしたものをいかに治療していくか、あるいは予防していくか。そうしたことの研究というものは極めて大事であり、そのことについて議論してきたということがこの内容でございます。
 今御指摘ございました生殖補助医療の問題につきましては、生殖補助医療の中で一体どの範囲までを医療として認めていくのか、あるいは、それ全体を不妊治療という形でもって、一体のものとして扱っていっていいかどうかということにつきましては、今後各界における議論を待たないと非常に複雑な問題が起こってくるだろうというふうに考えております。
○山内(功)委員 生殖補助医療については、どうも提案者と厚生労働省の間に若干の温度差があるようですけれども、私は、先ほどから議論になっている体外受精とか顕微授精については、大体三十万円から四十万円、一回の施術でかかるとお聞きしておりましたので、そうすると、例えば私の知り合いでも、六月と十二月のボーナス月に年二回試みるというか、それほど若い夫婦にとってはかなりの負担にもなっているんです。
 だから、不妊治療に係る研究に対する助成だけではなくて、こういう生殖補助医療、つまり、体外受精、顕微授精についても助成を考えていくということはないのでしょうか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどは、不妊治療という言葉、それから生殖補助医療という言葉、それに関連します技術的なそれぞれの種類等々につきまして幅広く申し上げました。
 ただいま先生御指摘の、主として手法といたしましても体外受精とか顕微授精とかが費用がかかるという御指摘の中には、前提として、今広く行われております配偶者間の不妊治療における体外受精、顕微授精のことがよく言われるわけでございます。
 非配偶者間の問題につきましては、大変これから、先ほども幅広くと申し上げましたけれども、さまざまな是非について、デリケートな問題がたくさんございますので、慎重に検討してまいりたいと考えております。
 配偶者間の不妊治療につきまして、しかもその中で費用がかさむ体外受精及び顕微授精につきましては、先般三月に、関係閣僚会議で取りまとめました当面の取組方針におきましても、「経済面を含めた支援の在り方について検討する。」というふうに整理をさせていただいております。
 一方、去る五月二十一日、与党三党におきまして、次世代育成支援の一環として、平成十六年度から配偶者間の特定の不妊治療費の助成を行うべきという基本的な方針を合意されたと承知しております。
 私どもは、こうした与党三党の合意のございました基本方針を踏まえまして、配偶者間の体外受精、顕微授精という特定の不妊治療にかかる費用の助成が適切に行われますよう、今後、概算要求に向けて真摯に検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○山内(功)委員 例えば、体外受精について、一回三十万円とすると、大体患者数が三万人ちょっとのようですね。ですから、それが例えば一年間に一回とか二回とか、そういう治療回数で計算をすると約百億円、地方公共団体との間でもし仮に折半という話ができるとすれば年間の予算額は国としては五十億円というのは、まあ、どう見るかによるんでしょうけれども、私はそんなに高額の予算額だとは思いませんので、ぜひ検討をしていただきたいと思っています。
 それから、私、法律実務家としてちょっと興味があるのが出自の権利、つまり、精子提供者あるいは卵子提供者を知る権利を医療部会報告で四月にまとめておられるんですけれども、まず、この権利行使をする方法についてお聞かせ願いたいと思います。
○渡辺政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、本年四月の生殖補助医療部会の報告書というところが政府部内での現在の整理の現状でございまして、また、これは部会の御報告でございますので、これから政府としての、また、与党を含め幅広い御意見も承りながらということであろうかと思っておりますが、この部会における整理ということを前提にお答えをさせていただきたいというふうに思います。
 この部会の報告におきましては、非配偶者間の、提供された精子、卵子、胚による生殖補助医療により生まれた子供がアイデンティティーを確立するためには出自を知る権利を行使することが重要であって、十五歳になれば、氏名、住所等提供者を特定できる内容を含め、その開示を請求することができる、こういうルールでどうかということが部会から報告を受けております。
 さらに、当該部会におきましては、その開示請求に関連いたしまして、事前に公的管理運営機関が相談に応じ、開示に伴う影響についての説明、開示に係るカウンセリングの機会が保障されていることの説明を相談者に行うことが記述されておりまして、その上で、書面による開示請求がなされた場合には、開示業務を当該公的管理運営機関が行うべきである、こういう考え方の整理が提言されておるところでございます。
○山内(功)委員 開示の方法についてはわかったんですけれども、例えば、精子を提供する場合に、これは匿名ですよね。匿名で、例えば十五年後に、開示請求したらあなたが精子提供者でしたと来た。例えば、その子供の家庭はすごく崩壊している、ところが精子提供者は、例えばの話、非常に立派な家庭だ、あなたの養子になりたいとか、今度は逆に、子供がすごくいい子だ、精子提供者はもう世間に見捨てられた、もう全くどうしようもない人だ、これは一定の価値観を持って言っているわけじゃなくて世間的な表現で言っているんですけれども、そういう場合に、子供があなたが生物学上のお父さんですねと来たときに、頼ったりしないか。
 そういうことになると、身分関係というものがこの出自という権利を認めることによって不安定になりませんか。
○渡辺政府参考人 お答えいたします。
 これも部会における整理、提言という範囲内での御答弁になりますことをお許しいただきたいと思うわけでございますが、先ほど申し上げました公的管理運営機関、その姿自身今後の検討課題でございますけれども、生殖補助医療を受けた夫婦の同意書でありますとか、あるいはさらには個人情報の保存、こういうものを長期にわたって行えるものでないと的確な業務はもちろん行うことが難しいので、そういった点についても報告書では触れられておりますが、この部会における議論等々の中で、先ほども申し上げました、一定年齢以上になった際の子供のアイデンティティーということについても、大きな議論の柱ではないかというふうに考えられております。
 この出自を知る権利をめぐっては、さまざまな御議論があると思いますので、これからも幅広く御議論をいただきながら整理がされていくべきものというふうに考えておりますけれども、この部会におきましては、先ほど申し上げましたように、一定年齢以上になって、その子供が一体自分の出自はどうなのかということについてその知る権利の行使ということが、子供の福祉あるいは親子間の安定的な関係の維持のために重要であるという考え方を整理されておられるものというふうに考えております。
○山内(功)委員 国で例えば一つの法律をつくると、必ずそれによっていろいろな問題が起きてきて、例えば、地方で弁護士事務所を開いていると、さっきのケースでいえば、子供からも多分相談を受けるだろうし、親からもでしょうし、提供者からもでしょうし、医療機関から受けることもあるかもしれないので、その辺の議論はやはり十分にやっていただかないといけないなと思っています。
 この今の少子化対策基本法というのが国のために子供を産んでくれという法案でないということを信じて、それを前提としてお聞きするんですけれども、出自の権利を認めることによって、多分精子の提供者は少なくなると思うんですよ。つまり、十五年たったらあなたが生物学上のお父さんと言ってこられる可能性がゼロ%じゃないわけですからね。そうなったときに、やはり提供者が少なくなるということになると、中山議連会長が考えておられるような、子供がたくさんできて活力のある世の中がつくれるかなということと、精子の提供者が少なくなるということとはどういうふうにリンクしていくのでしょうか。矛盾とは言わないまでも、ちょっと考え方を整理していかないといけないかなと思ってお聞きします。
○中山(太)議員 委員御指摘のとおり、精子提供者は減ってくると思います。
 この問題は、お互いの立場を超えて、人間の社会のあり方をどういうふうに考えていくのかという合意がある程度されないとなかなか解決ができない問題じゃないかと思っておりますし、私どももよく海外へ出まして、いろいろな国の閣僚たちと会ってみたら、自分には子供が三人いる、しかし父親はみんな違うといってけろっとしておっしゃる婦人の大臣の方もいらっしゃいます。私の方がむしろびっくりすることがございます。
 そういうふうに、その後、子供の本当の精子を提供した人のことがわかっても喜べる環境にあれば、それはそれでおさまっていくんだろうと思いますが、先ほど委員おっしゃったように、社会的に見捨てられたような人の場合のケースを考えると、これが知る権利によって知られた場合の環境は、喜びよりも悲しみの方が大きくなっていくんじゃないか。
 そこらのところは、厚労省も言っていますが、よほどよくこれから慎重に専門家が協議をしていかなきゃならない問題だと。本来ならもう自然のままで、男女が子供を産む、あるいは産まないといった自然の原則を、人間の英知で、科学と技術によってこのような不妊治療が行えるような社会を現出したわけですから、その新しい科学と技術をベースに世の中を考えるよりも、むしろ人間そのもののあり方が本来いかにあったかということを原点として考えていくことが必要なんじゃないかというふうに私個人は考えております。
○山内(功)委員 どうもありがとうございます。
 物の本で、不妊治療と多胎妊娠ということについて触れた論文を読んだことがあるんですけれども、この因果関係については、現在どこまで究明された論点なんでしょうか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 不妊治療と多胎妊娠ということでございますが、不妊治療の普及に伴いまして多胎妊娠が増加する傾向があるということが言われております。
 例えば、昭和四十九年と平成七年とを比較いたしますと、双子の出産率は一・五倍、三つ子は四・七倍、四つ子は七・五倍、こういうふうにそれぞれ上昇しているという数字がございます。これは、排卵障害の治療として行われる排卵誘発剤の使用、あるいは体外受精の際に複数の受精卵を母体に戻すということに関係して、こうしたことにつながっているのではないかというふうに理解をしております。
○山内(功)委員 それについて、報道では減数手術なんというどきっとするような言葉も躍って、何かちょっと怖い感じもするんですけれども、そういうのを防いでいくというか、そういうようなところまでの研究、議論は進んでいるんですか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 多胎妊娠の増加という状況に対応いたしまして、日本産婦人科学会では、既に平成八年二月に「「多胎妊娠」に関する見解」というものを発表されておられます。不妊治療による多胎妊娠については、その防止を図ることでこの問題を根本から解決することを志向すべきである、体外受精において子宮に移植する受精卵の数を三個以内とする、あるいは排卵誘発に際しての排卵誘発剤の使用量を可能な限り減量する、こういったことを学会として求めておられます。先ほど増加の数字について申し上げましたけれども、こうした取り組みもあってか、近年では、特に三胎以上の多胎妊娠について減少傾向が見られるというふうに言われております。
 また、減数手術に関しましては、同じく平成八年の「「多胎妊娠」に関する見解」において、適応・安全性などの医学的問題点並びに現行法規との関連性、さらに倫理的、心理的問題など、その実施には解決しなければならない問題があり、いまだ結論が得られていないというふうにされております。
 厚生労働省といたしましても、不妊治療に伴う減数手術につきましてはできるだけ避けるべきであるという考え方に立っておるところでございます。
○山内(功)委員 大阪家庭裁判所で出された事例なんですけれども、妻が夫の同意を得ないで第三者の精子を用いた生殖補助医療によって子供を出産したという事件があって、それについて、生殖補助医療に関しての法整備がなされていないからだと思うんですけれども、嫡出否認ということが認められたという裁判が出たんですけれども、これはこれでいってやむを得ない結論なんでしょうか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 重ねて、生殖補助医療部会の報告をベースに物を申し上げさせていただきます。
 当該部会報告におきましては、非配偶者間の生殖補助医療を行う際には、夫婦が当該医療の実施に同意する前にまず医師が十分な説明を行わなければいけない、その上で、実施医療施設は当該生殖補助医療の実施のたびごとに夫婦それぞれの書面による同意を得なければならない、こういうルールづけが提言されておるところでございます。
○山内(功)委員 法務省。
○深山政府参考人 裁判所の具体的な判断の当否については法務省としてコメントするわけにまいりませんが、今議員御指摘の判決は、妻が第三者の精子を用いた人工授精によって、夫が事前に承認した事実もなく、それから事後的に子が嫡出であることを承認した事実もないという事実認定に基づきまして、夫による子の嫡出否認の訴えを認容した事例であると承知しております。
 現行の民法の嫡出推定、それから嫡出否認制度のもとでは、このような事実認定を前提とすると、一般的にこのような判断がなされるということになろうかと思います。
○山内(功)委員 出生届を出したとか、子供に名前をつけてくれたとか、そういうようなことで、夫は同意していたんだということをその間接事実から認定をしていくというのは、やはり認定に困難を伴うこともあると思いますので、やはりそれは個別に、夫に対してよく医療の内容について理解を求めて、同意の大切さというものを認識させる、それによって、今後生じる親子関係の紛争を防いでいくということが望まれる法制度だと思うんですけれども、これについては、報告書を踏まえて、今後、立法化に当たり、どういう制度設計を考えているんですか。厚労省がいいのかな。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 報告書の後の今後の手順につきまして、私どもは、まず、報告書に関しまして、十分関係方面、立法府の先生方も含めて、御理解あるいは御議論を賜れるプロセスが必要なのではないかというふうに考えております。
 今御指摘の点も含めまして、多々論点があるわけでございます。そういうことを短時日に整理するということが大変難しい論点がたくさんございますので、丁寧にこれから関係方面の議論に耳を傾けながら、立法化の道、どういう道をたどるのがいいのかも含めて、よく検討してまいりたいというふうに考えております。
○山内(功)委員 最低でも、一回一回きちんと本人、父、夫の署名、自署による同意書をとって、それをきちんと保管しておく。そういうことは最低必要なことであろうと私は思っています。
 もしそういう保存制度というのができるとしたら、保管管理制度ができるとしたら、例えば、夫が子供の出生について同意を与えていた、与えていなかった、そういう主張をしたり立証したりする責任というのは、それは比較的簡単な訴訟活動だと思うんですけれども、その責任はどちらにあると考えたらいいんでしょうか。
○深山政府参考人 御指摘の、同意の有無をめぐって生まれた子供の親子関係が訴訟で争われた場合の主張立証責任につきましては、現在、法制審議会の生殖補助医療関連親子法制部会というところで審議がされているところでございます。
 一般的に申し上げて、訴訟上の主張立証責任の分配につきましては、ある法律効果の発生によって利益を受ける当事者がその法律効果を発生させる事実について主張立証責任を負うというのが原則で、さらに、当事者と証拠との距離あるいは立証の難易といったようなこともあわせて決まるものだとされております。
 具体的な生殖補助医療によって生まれた子と夫との間の父子関係が訴訟で争われた場合におきましては、夫の同意の事実の存在によって利益を受けるのは、これは子供でございますし、また、今御指摘のような、夫の同意書が長期間きちっと保管されるというような制度が整備されるということになりますと、子の側で証拠である同意書を入手し、夫の同意の事実を立証することも容易であるということになりますので、子の側が夫の同意の事実について主張立証責任を負うということになると考えられまして、先ほど述べた法制審の部会でも、議論の大勢はそのような方向であると認識しております。
○山内(功)委員 体外受精の問題についてはこれぐらいにして、次の質問に入ろうと思うんです。
 中山会長さん、こうやって体外受精とか人工受精について法が整備されていく、あるいは、先ほど論点で指摘させていただきました、体外受精について助成金あるいは個々の夫婦に対して補助金を出していこう、そういうようなシステムができ上がってくればくるほど、そういう制度を使ってでも子供を産んでくれというような圧力というか社会風潮というか、そういうのができ上がってこないかちょっと心配するんですけれども、どう考えておられますでしょうか。
○中山(太)議員 全くその男性と女性の間の合意が原則だろうと思いますね。私は、それを合意なしにやることは、やはり少し社会の乱れを起こす一つの問題を提起するだろうと思っています。非常に難しい問題です。
○山内(功)委員 大変センシティブな問題だと思いますので、これからも、法案化に向けてぜひ真摯な議論をお願いしたいと思っています。
 それからもう一点、四月に出た報告書で論じられている代理懐胎のことなんですが、まず、その概念とはということでお聞きしたいと思います。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 代理懐胎には、代理母と借り腹との二種類が存在すると言われております。
 代理母、英語ではサロゲートマザーと言うようでございますが、それは、妻が卵巣と子宮を摘出しちゃっているということなどによりまして、妻の卵子が使用できず、かつ妻が妊娠できない、こういうような場合に、夫の精子を妻以外の第三者の子宮に医学的な方法で注入して、妻のかわりに妊娠、出産してもらうという代理母というもの。
 それから、借り腹、これはホストマザーと言われるようでございますが、これは、夫婦の精子と卵子は使用できる、ただ、子宮摘出等により妻が妊娠できない、こういった場合に、夫の精子と妻の卵子を体外受精して得た胚を妻以外の第三者の子宮に入れて、妻のかわりに妊娠、出産してもらう、こういうものであり、この二種類がある、こういうふうに言われております。
○山内(功)委員 今言われた代理懐胎については、この四月の生殖補助医療部会の報告では、全面的に禁止するというふうになっていますが、その理由は、主にどういう点が論じられたんでしょうか。
○渡辺政府参考人 この生殖補助医療部会が報告書をまとめ、意見集約をするに当たりまして、幾つかの基本的考え方という原則を明らかにされておられます。
 第一に「生まれてくる子の福祉を優先する。」第二に「人を専ら生殖の手段として扱ってはならない。」第三に「安全性に十分配慮する。」第四に「優生思想を排除する。」第五に「商業主義を排除する。」最後に「人間の尊厳を守る。」こういう六つの基本的な考え方ということで、まず整理、統一を図られております。その上で、個別具体の議論の一つといたしまして、この代理懐胎の問題が議論されたわけでございます。
 この代理懐胎につきましては、第一に、第三者の人体そのものを妊娠、出産のために利用するものであり、「人を専ら生殖の手段として扱ってはならない。」とした、先ほど述べました基本的な考え方に反する。第二に、生命の危険の可能性がある妊娠、出産を第三者に代理させ、子が胎内に存在する約十カ月もその危険性を受容させ続けるというものであり、「安全性に十分配慮する。」という基本的な考え方に反する。第三に、依頼した夫婦と代理懐胎を行った人との間で生まれた子をめぐる深刻な争いが起こり得ることが想定され、「生まれてくる子の福祉を優先する。」という基本的考え方から望ましくないこと。以上、三点の認識の整理のもとに、認めるべきではないという御提言をいただいたわけでございます。
○山内(功)委員 その理由は私もよくわかるんですけれども、ただ、いろいろな方に話を聞いたりする中で、外国へ行ってでも代理懐胎を希望するという方も実際におられまして、そういうような意見については、提出者の側ではどういう見解を持っておられるんでしょうか。
○肥田議員 代理懐胎を希望してアメリカで子供を産んでこられる夫婦がいらっしゃるという。私、これを見ていますと、いかにやはり不妊が悩み多きものであるかということを感じます。子供に恵まれない夫婦に対して献身的な気持ちから代理母になろうという女性もいらっしゃると私は思っております。ただ、代理懐胎について実施を認めている国、認めていない国、これはやはり社会状況、それから倫理観の違いなんかもございますけれども、日本はこれを認めていない。
 それで、先ほどもお話がありましたが、妊娠、出産は多くの危険が伴う。そして、女性が生殖の道具として扱われる危険性もある。それから、生まれてくる子供の福祉が十分に守られるかというと、そうでもない。そこで、私は、一人の女性としても代理出産には賛同できないという立場をとっております。
 それで、今後の法整備のことについてもちょっと聞いてみたんですが、やはり出産した女性が実の母親として認められるという方向になるならば、これはまた法的なことについても大変だなという思いがいたしております。
 以上です。
○山内(功)委員 法的な問題について、例えば、代理懐胎を認めないことがさらに進んで、この四月の報告書では刑事罰も考えているようなんですね。つまり、代理懐胎を禁止しますというのだけでは脱法行為をする方があるだろう、あるいはそういう医師がいるだろうということで、お医者さんとそれからそういうあっせん行為をした人を処罰する方向で検討しているようなんです。
 確かに、本当にみずからの、夫婦あるいは恋人同士でもいいんでしょう、その自己決定に基づいて子供を産もうというときに、国家の意思として代理懐胎は認めませんよということで、それに違反したらあなた方当事者も罰しますよというと、なかなか、それはそれでまた悩ましい問題だと思うんですね。
 だから、そうじゃなくて、まずは医師とかそういうことをあっせんする人を処罰対象にしておけば代理懐胎は防げるんじゃないかということが、その刑事政策上の考慮でもあるのかなとは思うんですけれども、私ばかり政府が考えていないことをしゃべっても何なんでしょうから、厚労省と法務省、こういう点はどう考えていますかね。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 確かに、御指摘のとおり、この報告書におきましては、営利での精子、卵子、胚の授受のあっせんとか、代理懐胎のための施術のあっせんとか、こういうような行為及びあっせん、両方罰則を伴う法律によって規制するという御提言でございます。ただ、同じ報告書におきまして、こうした国民に対して法律に基づく規制を行うということは慎重な検討を要するものであり、その中でも特に罰則を伴う法律によって規制することは、特に慎重にならなければならない、こういうふうにも記述されております。
 先生御指摘のように、医師等、施術者等についての話が報告書に書かれておるわけでございますが、代理懐胎などの依頼者とか依頼を受けた者とか、そういうところについてはそうした慎重な態度から規制の対象として掲げることはなかったものだというふうに認識しております。
 私ども省としての態度も、またこの報告書でも書かれておるのでございますが、「他の法律における罰則との均衡をも鑑み、立法過程において更なる慎重な検討が行われることが必要」というふうに記述もされており、私どももそうした慎重な態度で十分検討していくべきものというふうに考えております。
○樋渡政府参考人 ただいま厚生労働省の方から御説明がありましたように、厚労省におきまして現在その問題については慎重に検討が進められているものと聞いておりますが、将来同省から罰則による規制の創設について協議の申し出がございましたら、当省としてはこれに応じて、罰則の要否、罰則の構成要件、法定刑等について検討を行いたいと思っておりますが、現時点におきましては、まだこのような協議の申し出もございませんでして、お尋ねの刑事罰による行為規制についていかなる点を考えていかなきゃならないかということについて、まだ申し上げる段階にはございません。
 ただ、そのような仮に協議の申し出があった場合におきましてこのような刑事罰則の要否について当省が考えるに当たりまして、一般論として申し上げさせていただきますと、当該法律案の仕組み全体を踏まえまして、刑事罰則の前提となる義務の重要性、それから対象となる行為の行政に及ぼす影響、他の同種の法令との整合性、行政措置による違反の防止の可能性、刑法等による対応の可否、限度等を考慮いたしまして、違反行為に対して刑罰をもって臨むことが行政の円滑な実現及び秩序維持に必要不可欠と認められる場合に、刑事罰則を設けることになるというふうに思われます。
○山内(功)委員 それから、あっせん行為についても刑事罰を考えているというような報告内容になっているんですけれども、あっせんというと精子、卵子の授受をあっせんすること、それからそういう医療機関などとつなぐという意味でのあっせんもあると思うんです。具体的に、今例えば韓国の業者が日本であっせん、精子バンク、卵子バンクみたいな、これも、もしこれがまた商業主義に走ると大変な問題になると思うんですけれども、そういうあっせん行為というものについて、具体的にはどういうイメージで私たちは考えたらいいんでしょうか。
○渡辺政府参考人 お答えいたします。
 御質問の点につきましても、今後の立法過程の中で慎重に検討していくべきものと思いますが、一般的に精子、卵子、胚のあっせんにつきましては、そうしたものの提供を受けたいという者、それから提供をしたいという者を募り、それらの者の仲介を行い、実施医療機関の紹介をする、こういうことなどが考えられるのではないかと思います。
 また、代理懐胎の施術のあっせんということにつきましても、同様に、代理懐胎による子を持ちたいという者、代理懐胎を引き受けようとする者を募り、あるいはそれらの者の仲介を行い、代理懐胎を行う実施医療機関を紹介することなどが一般的には考えられるあっせん行為ということではないかと思いますが、冒頭申し述べましたとおり、立法過程の中で子細に、慎重に検討していくべきものと考えております。
○山内(功)委員 民法、刑法含めて、法律の整備がまだまだおくれていると思いますので、報道によればどうも来年の国会までに法案をつくる方向だということなんですけれども、きょうの議論も踏まえて、ぜひともいろいろな論点をすべて解決するような立法を行っていただきたいと思っています。
 終わります。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で山内功君の質疑は終了いたしました。
 次に、石毛えい子君。
○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。
 冒頭、質問通告をしておりませんで大変恐縮ですけれども、修正案の中身に関連しまして、提出者に一点質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 きょう、修正案、冒頭に御説明がございました。法案前文に「結婚や出産は個人の決定に基づくもの」、これを明記されるという御説明をいただきました。
 この修正案は、前回この基本法案を審議いたしました折に、カイロ国際人口会議あるいは北京会議の行動綱領等々でリプロダクティブヘルス・ライツ、このことが国際的合意であり日本も合意しているという、そのことを提出者の委員の皆様も御確認いただいてこうした修正をいただいたものというふうに私は理解をするわけでございますが、けさほどからの本委員会の質疑の中で、私としましては気になる御発言を聞いたというふうに思っております。
 と申しますのは、「出産は個人の決定に基づく」というこの文言に関連してだとうかがわれますけれども、現在日本の学校教育、その中での保健教育の中で、日本では人工妊娠中絶が認められているということを教育されていて、それは問題であるというような御発言の趣旨であったというふうに私はうかがいました。それともう一点、国際的にもこのカイロ国際人口会議で肯定されているリプロダクティブヘルス・ライツに関しては、昨今では異論も出てきているというような御発言もございました。
 異論は、昨今あるのは、それはある、ないとは言えないとは思いますけれども、実はカイロの国際人口会議の質疑自体、中山議連会長、御出席になられたと前回お伺いいたしましたけれども、このときにも、例えばバチカン公国などからの意見で人工妊娠中絶に関しましては大変議論があって、あった上で行動計画が決定されている、そうした経緯と結論だということを私は改めて確認をしておきたいと思います。
 それから、きょう、その文書を持っているんですが、この行動計画の「女性の健康と安全な母性」、ここの部分で、時間がない中で時間を惜しみながらなんですけれども、途中、省略しまして、
  いかなる場合も、妊娠中絶を家族計画の手段として奨励すべきでない。
ずっと続きまして、
 望まない妊娠の防止は常に最優先課題とし、妊娠中絶の必要性をなくすためにあらゆる努力がなされなければならない。
さらに、途中飛ばしますけれども、
 健康に関する制度の中で、妊娠中絶に関わる施策の決定またはその変更は、国の法的手順に従い、国または地方レベルでのみ行うことができる。妊娠中絶が法律に反しない場合、その妊娠中絶は安全でなければならない。
こういう記述になっているわけでございます。
 日本は、母体保護法におきまして、経済的理由による人工妊娠中絶は制度的に認めているわけでございますから、きょうの委員会質疑の中で言及されました、学校教育の中で人工妊娠中絶が日本では認められているというそうした御発言に対して、肯定的ではないニュアンスを私としては受けとめたわけですけれども、表現のしぶりはいろいろきっと人によって御感想があるのかもしれませんけれども、日本では母体保護法によって人工妊娠中絶は認められているという、このことはきちっと確認しておかなければならないと私はあえてきょう思いました。
 ですので、提出者にぜひとも御確認いただきたいのですが、この少子化社会対策基本法案は、母体保護法の改正につなげようと意図するというようなことが、質問ですから、あるのかないのかとお尋ねする方が質問になるんだと思いますけれども、そのことを御確認いただきたいというふうに思います。
○中山(太)議員 そのようなことは考えておりません。
○石毛委員 ありがとうございました。確認をさせていただきます。
 それでは、通告に従いまして質疑をさせていただきます。
 きょうは、法案の中身につきまして、少し条文に沿いまして質問をしたいと思いますけれども、まず、厚生労働省から政府参考人に御出席をいただいております。法文の雇用環境の整備に関連しまして、前提的にお尋ねをしておきたいと思いますけれども、育児休業制度についての質問でございます。
 育児休業制度の制度対象者がどのように規定されているか、そして、その対象者に照らして該当人数はどれぐらいか、実際に育児休業を取得した人数はどれぐらいか、このことをお答えいただきたいと思います。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 現行法に基づきまして、育児休業の対象となりますのは、育児・介護休業法第二条で規定されておりますが、日々雇用される者及び期間を定めて雇用される者を除く労働者とされております。また、同法六条によりまして、雇用された期間が一年に満たない労働者や配偶者が常態として子を養育することができるものとされた労働者は、事業所の労使協定により対象から除外することもできることとされております。
 そうした除外の前提を置いて育児休業制度の全体的な対象者数というお尋ねであると思いますが、法律に基づく対象者数の統計的な把握というものは残念ながらないのでございますが、実質的には、末子がゼロ歳であって制度対象者となり得る男女の雇用者数というものを私どもは推計しております。男性は約九十万人、女性が約十七万人というふうに考えております。
 なお、実際に育児休業を取得した者はというお尋ねでございますが、育児休業給付の受給者数でこれを見てみますと、平成十三年度で約九万三千人、そのうち男性が約二百八十人、女性が約九万二千人、こういうふうになってございます。
○石毛委員 末子ゼロ歳で推定した該当者数は男女合わせますと百七万人ということで、出生人数よりは若干低いかとは思いますけれども、近似しているかなというふうに思いますが、実際に取得した人は、女性で約半分、男性ではこれは〇・〇五%くらいというふうに多分もう一つ別の法律の資料では発表されていたと思いますけれども、大変人数が少ないというふうなことをまず思うわけでございます、実際に取得した人ですけれども。
 もう一件、政府参考人に質問をいたします。
 個別労働紛争解決システムのもとで、男女雇用機会の均等扱いにかかわる事案として、妊娠、出産にかかわる問題がとらえられておりますけれども、件数はどれぐらいに上っているでしょうか、またその主要な内容はどういうことでしょうかということをお尋ねいたします。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 妊娠、出産に関する女性労働者と事業主との間の紛争につきましては、男女雇用機会均等法に基づきまして、都道府県労働局長による助言、指導、勧告または機会均等調停会議による調停によって、紛争解決のための援助を行っている次第でございます。
 そういう中で、平成十四年度における妊娠、出産絡みの紛争に関して、援助のお申し立てがあった件数は七十七件でございました。内容は、解雇や退職強要に関することでございます。
 こうした紛争のほとんどは、解雇の撤回など一定の解決が図られたところでございますが、厚生労働省といたしましては、申し立てのあった事案につきまして、女性労働者、事業主双方から十分丁寧にお話を聞き、事実関係を把握しながら適切な助言指導を行う等により、当事者の納得のいく解決がなされますように、引き続き効果的な援助に努めてまいる所存でございます。
○石毛委員 もう少し詳しく伺いたいところですけれども、時間も限りがございますので、紛争事案としては解雇、退職強要などというのがあるということを御指摘いただきました。
 そうしたことを前提といたしまして、提出者にお伺いいたしますけれども、まず、第十条第二項に、「雇用慣行の是正が図られるよう」というふうに国、地方公共団体の施策を講じる際のということで規定されておりますけれども、この雇用慣行の是正というのはいろいろなディメンションが考えられると思いますけれども、どんな中身を具体的にお考えになっていらっしゃるかということをお示しいただきたいと思います。
○五島議員 先ほど齋藤議員からも御質問があった内容でございますが、日本型の雇用環境という問題の中で、最大の大きな問題は職場優先の企業風土だろうというふうに考えています。もちろん、従来からあった男女の役割分業を前提としたそうした雇用慣行というものもなくなっていないということがあるとは思います。
 具体的には、年功序列制度という日本のそういう雇用慣行、それを支えるところの長期雇用、そしてそれを前提とした就業の形態によるところの不均衡というような問題が非常に大きな問題だろうというふうに考えています。
 そうした部分をどのように変えていくかということ、そして、具体的な状態としては、そうしたものに基づくところのサービス残業、長時間労働といったような問題、それから頻繁な転勤、あるいは今日の時代における、そういう社会全体の中における、それぞれお仕事を持っておられる男女の間における労働時間のずれ、そうしたものすべてが影響しているんだろうというふうに考えていまして、そうした企業優先の風土というものをどのように変えていくかということに尽きるのではないかというふうに考えています。
○石毛委員 もう一点ぜひお伺いしておきたいと思いますが、今、雇用形態の多様化とか、さまざまな表現ぶりはありますけれども、有期雇用、今回の労働基準法の改正でも大問題の改正になったわけですけれども、育児休業法に関係しましては、期間の定めある労働者の場合に適用にならない。若干の例外的な手だてはございますけれども、法的な規定はそうなっていて、ますますこれからその期間の定めある労働者がふえていくということが危惧される、こういう状況の中で、先ほど五島議員が齋藤委員の御答弁にお触れになっていらっしゃったと思いますが、均等待遇がもっともっと拡充されていかなければ、育児休業制度はあっても、かなりの程度薄められた実施にしかならない。ここは非常に重要なポイントになるところだと思いますけれども、御答弁いただければと思います。
 あわせまして、私は、日本の中でも、例えば北欧、オランダ等々で実施されているというふうに伺っております子育て中の労働者同士のワークシェアリングというようなことも思い切って導入されると、子育て文化と職場環境の解決の仕方としてとてもアピール性の高い解決の仕方が見えるのではないか、そういう考え方を持つものでございますけれども、いかがでしょうか。
○五島議員 均等待遇の問題につきましては、石毛議員御承知のように、先日の労働基準法の修正議決の中におきまして、与野党合意いたしまして、均等待遇の問題について、それに努力することが厚生労働委員会で委員会として決議をされました。私は画期的なことであったと思っております。その中に、やはり子育てに関係する問題、特に育児休業の問題等々も含まれてしかるべきと個人的には思っているところでございます。
 また、仕事と家庭、育児との両立の問題につきまして議論しなければいけないことはさまざまあると思いますが、石毛議員が言われたように、ワークシェアという問題も、個別の問題として、すべての企業で導入できるかどうかという問題を含めまして、しかしながら、一つの方法としてはこれから具体的に検討していかなければいけない問題であるというふうには認識いたしております。
○石毛委員 続いて、雇用環境の整備に関係する質問でございますけれども、第五条に事業主の責務を規定してあります。この第五条の法文の集約が、「必要な雇用環境の整備に努めるものとする。」という規定の仕方になっております。
 それこそ今回の労働基準法に関する審議、あるいはもう一方で厚生労働委員会では次世代支援育成法でしょうか、そうしたことの動きを見ておりますと、こちらの基本法の規定のしぶりとしましては、私は、もう少し緊張度の高い規定の仕方をされるべきではないか、求めたいというふうに思います。
 ここを私は、本日、修正案がもう既にこの委員会に提起されたところではございますけれども、「努めるものとする。」というのを、図るものとするというふうに変えるべきではないか、あるいは「努める」という言葉をどうしても変えることができないのでしたらば、努めなければならないという努力義務規定、このあたりは書きぶりの問題だと言えばそれまでかもしれませんけれども、ここはやはり働いている女性たちは非常に期待をしている、注目を寄せている条文でございますので、ぜひ提出者の忌憚のない率直なお考えをお伺いしたいと思います。
○五島議員 この部分につきましては、国及び地方公共団体、事業主、国民、それぞれについて努力規定が入っておりまして、書きぶりとしてはすべて「努める」という表現になっているところでございます。
 では、事業主もその横並びで問題ないかというおしかりを受けるような感じがしますので申し上げておきますが、先ほど申しました職場優先の企業風土を是正するということを事業主に求める、そうしたことは非常に大きいという意味で、事業主は、国等が講ずる施策に協力するだけでなくて、みずからも必要な雇用環境の整備に努めてほしいというふうに申しているわけでございます。こうした基本法としての一般的規定の中において、強く事業主に対してその責務を求めているわけでございます。
 では、具体的にどうなるかといいますと、先ほども一つ例を出させていただきましたが、個別法の中において、例えば労働基準法の中における、附帯決議に沿ったそれぞれの労働政策の中において、あるいはその他のもろもろの法律がこれに基づいて当然必要になってくると思うわけでございまして、その中において、具体性を持った形での事業主の役割というものについて、物によっては努力規定、物によっては強制的な要求ということがあるのではないかというふうに考えておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
○石毛委員 ぜひとも、その個別法がどのように制定されていくかというところまで、この基本法案提出者の議員の方々の注目と関心と御努力を要請させていただきたいと思います。
 第十一条、保育サービス等の充実が記載されてございますけれども、私は、この条文もいろいろと含み持っている課題、問題点があるというふうに感じております。一点だけ、この第十一条で、病児保育、低年齢児保育、休日保育等々、さまざまに規定されておりますけれども、障害のある子についての保育、障害児保育という記述が規定されていないという意味は特別にあるのでしょうか、そこのところをお尋ねしたいと思います。
○肥田議員 第十一条に関しましては、すべての子供を対象にするというふうに考えております。障害児と健常児を分けた保育は、障害児だけでなくて健常児にとっても大変不幸なことだと思っておりますので、地域の保育施設から障害児を排除するようなことがあってはならないと思っております。
 したがって、障害児保育は、地域の保育所の中で、例えば保母の加配や障害児が適応できる施設改善などを通じまして充実を図るべきであるというふうに思っております。
○石毛委員 提出者の肥田議員がそう御説明くださいましたので、私もそのように受けとめたい、受けとめるところではございますけれども、やはり、ここに規定されていないということに関して、私は、この基本法案全体に寄せられておりますさまざまな不安や疑問ということと関連して問題だというふうに思わざるを得ないということも、つまり、すごく率直な表現をすれば、障害のある子の出生に関してどんなふうに思われたんだろうかとか、あるいは、そのこと自体が、この基本法案の審議のときに、大変率直な表現ではございますけれども、議連で御認識が薄かったのではないか、あるいはなかったのではないかというふうにさえ、私とすれば思う。
 やはり、ただいまは出生前診断がいろいろな方法でされるようになってまいりまして、これに関して議論をし出せばまた大変な議論になると思いますけれども、少なくとも、客観的な事実として、命の選別がされていることは確かであるわけですから、その選別に対して、その判断は、これも先ほどの生殖補助医療と同じようにいろいろ議論はあるんだと思いますけれども、少なくとも、誕生した障害のある子供にきちっと施策を提供していく、サービスを提供していくという観点を考え、提出者にその御意思がおありであるのだったら、せめてここには障害児保育ということをきちっと明記していただければ、そうしたお考えがあるということを私は察することができた。
 だけれども、ここに書かれていないと、それはもしかしたら深読みだよとおっしゃられるのかもしれませんけれども、先ほど来申し上げましたように、少子化社会対策のこの基本法案というのは、元気な丈夫な子を対象に生み育ててほしいということが意味されているのではないかと思わざるを得ない。そうした受けとめ方になる危惧が非常にあるというふうに私は思いまして、肥田議員がお答えくださいましたことに異論というわけではございませんけれども、あえて私はこの法文のつくり方にそうした疑念、言ってみれば、もう少し強い言葉を使えば不信を持っておりますということを申し上げたいのですが、お答えございますですか。
○荒井(広)議員 議連の審議過程でもいろいろございまして、まず、先生、基本法の施策の基本理念というのがすべてにかぶってくるわけですが、第二条の第三項で「子どもがひとしく心身ともに健やかに育つことができるよう配慮しなければならない。」ということで、子育ての観点もありますが、子供そのもの、子供の育ちといいますか、子供の人格といいますか、そういう視点も随分議論しまして、ここに非常に、御懸念の向きなきように、こういうそもそもの理念で入れておるというところをぜひ御理解をいただきたいと思いますし、御趣旨は全く本当にそのとおりだと思います。
○石毛委員 それでは、改めて確認をさせていただきたいと思いますが、「ひとしく」というこの表現の中には、障害があろうとなかろうと、あるいは、先ほど五島議員が御答弁くださいました中にちょっと触れられておりましたけれども、出生のいかんによる差別というようなことも含めてきちっと認識をなさっていらして、大変恐縮な表現ぶりかもしれません、そうしたことをすべて集約して「ひとしく」という、そうした表現になっているということを改めてここで確認させていただきたいというふうに思います。
○中山(太)議員 お説のとおりでございます。
○石毛委員 それでは、きっちり審議録に残りましたので、大切にさせていただきたいと思います。
 多分、質問時間、あと一分だと思いますけれども、大急ぎで。
 私は、この法案が提出された最初のときからとても長くかかっておりますので、多分、提出者の皆様もいろいろと複雑な思いをお持ちの部分もおありになるというふうには拝察いたしますけれども、もう一点、やはり、現在の社会において子供が負っているさまざまな困難、虐待防止法はつくられましたけれども、こちらは基本法ですから、虐待によって死に至る子供のこと、あるいは小児救急医療の不備で命を失っている子供、あるいはいじめや出生による差別など、こうしたさまざまな困難を負っている子供の実態をきちっと認識して、そうしたことに対する支援、相談支援、サポートの充実というようなこともこの中に盛り込まれたらよかったのではないか。まず、これをざっとこのたび読み返しましたときに、そういう思いの一つとして持ちました。このことについても御答弁をいただければと思います。
○肥田議員 子供の虐待、いじめ、差別、これらはまさに子供の生命の尊厳を傷つけることでございます。
 私は、この法案の底に流れているものは子どもの権利条約、要するに子供が権利の主体であるということが一番大切なところだと思っておりますので、それは御安心をいただきたいと思います。
 ただ、いろいろな条項にそれぞれ書いておりますけれども、この基本法が生きて、本当に元気で活躍をし出すためには、やはり個別法もさらに必要でございますし、そして何よりも私たちの発想の転換も必要だと思っております。政策についても、これからぜひ皆さんと一緒に個々に考えてまいり、この基本法を十分に生かしてまいりたいと思います。よろしくお願いします。
○石毛委員 時間が参りましたので、午後、続けさせていただきたいと思いますが、後々残りますのはこの法文だけですので、肥田議員おっしゃりました子どもの権利条約も前文に触れていただければありがたかった、そう感想を申し上げまして、午前中の質問を終わらせていただきます。午後、またよろしくお願いいたします。
○佐々木委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十分開議
○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。石毛えい子君。
○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。午前中に引き続きまして質問をいたします。
 官房長官、おいでいただきましたが、少しその前段で提出者の方に質問をしたいと思いますので、御了解のほどお願いいたします。
 それでは、提出者への質問でございますけれども、これも前回の委員会質疑の折にも大変問題になったところでございますけれども、第十三条は「母子保健医療体制の充実等」としてございます。そもそも母子保健というふうになっていること自体が、やはり足りないところがあるのではないかというような思いもございます。
 十三条第一項を読みましても、「妊産婦及び乳幼児に対する健康診査」あるいは「保健指導等」というふうに書かれていますけれども、妊産婦はともかくといたしまして、乳幼児に対する健康診査ですとか保健指導というようなことでは、昨今では、両親学級とかあるいは父親がこうしたことを受けとめていくということがございます。
 それから第二項、不妊治療のことに関しましても、ここだけを読みますと、そう規定しているわけではありませんけれども、どうしても女性の不妊というふうに受けとめてしまう、受けとめざるを得ないというようなことで、この十三条に、例えば父親への保健指導ですとか、男性の側の不妊理由等々のことを考えれば、両性について規定すべきではないかというような考え方を持つのでございますけれども、むしろそう記載されていないことに、午前中の質問にも続く思いですけれども、こうしたことは女性だという先験的な思いがあってこうした規定の仕方になったのではないかというふうに受けとめざるを得ないということもございます。
 そうしたことも申し上げながら、提出者はどのようにお考えなのかということを伺います。
○五島議員 十三条につきましては、決して子供を生み育てる者を母親に限定してこの十三条を規定しているわけではございません。
 第一項につきましては、その中でも特に子供を出産する側の性である女性に対して、それにふさわしい適切な保健サービスや医療を提供する必要があるということから規定しているものでございまして、父親への保健指導や男性に対する施策をないがしろするというものではございません。
 それから、第二項の不妊治療に対する研究等の問題でございますが、午前中の議論でもございましたように、この不妊という問題の継続線上にあるいわゆる生殖補助医療、この議論をお聞きになってもわかりますように、その主体は主として男性不妊を対象にしているとしか考えられないような内容が多いわけでございます。決して不妊の問題が女性に限定されているという内容ではないし、女性の側に不妊になる原因がある場合は、既に現行の医療保険制度のもとにおいて、多くの場合治療できる。それに対して、男性不妊が非常にふえてきている中で、あのような形での体外受精あるいは顕微授精あるいは第三者受精というような問題まで入ってきているわけでございまして、これらを含めて、決して、不妊といえば女性であるというふうに受け取られるのは大変な誤解であるだろう。今非常に子供が産めないカップルがふえてきておりますが、こうした問題はそういう観点では受け取れないということを私どもは認識しております。
○石毛委員 提出者の御認識は、母子ないしは女性に限定しているのでは無論ないという御答弁でございました。
 前回の委員会質疑を踏まえました後、これは六月五日ですので昨日のことになりますけれども、フィンレージの会という不妊に悩む方々、セルフヘルプグループでいらっしゃるわけですけれども、その会の有志ということで「「少子化社会対策基本法案」に反対します」という声明が出されております。提出者のもとにもきっとお届けされたと思います。
 確かに、不妊の問題で悩んでいらっしゃる方がおられるのは事実ですし、そして、それに対してカウンセリング等々、さまざまな相談あるいは医療的な対応の充実ということも必要だと思いますけれども、今答弁者がおっしゃってくださった不妊の理由というのは男性側のこととして現在的な治療、医療が展開されているという、そうした展開に行くのかというようなこともあろうかと思いますけれども、もう一方で、日本の社会が、不妊のとりわけ女性に対しまして社会的な偏見といいましょうか、あるいは、結婚した女性、カップルは子供を持って当然という先験的な社会意識、それがまだ払拭されていない社会だというのも事実だと思います。
 何か、前回に引き続いて、私が、嫁して三年子なきは去れなんということわざもございましたということを言ったら、そんな古いことわざ知っているのかと言われそうですけれども、まして、そういう表現を使う人は今本当に少なくなっているし、そういう事実も、たる入れ婚とか足入れ婚とかという労働力目当ての婚姻制度というのもかつてはあったわけで、そういうことがなくなってきている社会だということはあります。だけれども、やはり結婚したら子供が生まれて当然、産んで当然、そういう社会的な意識といいますのは、規範と言ってもいいぐらい、社会の底に根強く続いていると思います。
 そこで、このフィンレージの会の皆さんが「当事者のすさまじい葛藤を知らない方は、こう言います。」というふうにおっしゃられて、幾つか御自分たちが受けた言葉をここに記載しています。
 「あんたたちは、なぜ子どもをつくらないのか。老後を支える子どもを産むのは国民の義務だ」
 「うちの子が、あなたたち夫婦の老後の面倒までみなきゃならないのよ!」
 「子育てという責任を負わない人は、老後の介護を受ける資格はない」
これは表現としてはかなり直截な表現だと思いますけれども、一時、ダブルインカム・ノーキッズということで、子供を持たない人は税率を高くしても当然ではないかというような、そうした言葉が言われた時期もございます。それはそれで検討しなければならない部分は私はないわけではないと思っていますけれども、そうした表現にも続いていくように、今御紹介させていただきましたようなことが現代でも交わされている。こういう状況の中で、フィンレージの会の方々は、少子化社会対策の中でこの不妊の問題がテーマとされていると、本当に少子化を解決するために不妊の問題を解決しなければならないと強制されているように受けとめざるを得ないと。これは私は当然のことだというふうに、当然のお気持ちであろうというふうに思うわけです。
 フィンレージの会の皆さんは、
 繰り返しますが、不妊の問題への支援は、私たちも大賛成です。しかし……
 1不妊の問題への支援は「少子化」にかかわりなく、普遍的に行ってほしい。
 2治療のみに突出するのではなく、治療を受けない選択、治療をやめる選択、子どものいない人生への支援など、幅広い支援を望みます。
 3なにより重要なのは、子どものいない人が抑圧されない社会づくり、子どものいない人がそのままで受け入れられる社会づくり
こうしたことを求めているのですというふうにアピールされていらっしゃいます。提出者の議員の皆様にもこのアピールは届いていると思いますので、きっとお感じになられ、お考えになられたところがあると思いますので、そのことについて承りたいと思います。
○五島議員 おっしゃっておられる意味については全く異存ございません。
 ただ、午前中の議論の中にもございましたように、今日の少子化の原因というのは、そうした古い形で子なきは去れというふうなことを言っていた時代の中における少子化とは全く違っているということについては申し上げたいと思います。
 非常に少子化が進んでいって、夫婦の間でも子供が減ってきている。しかし、午前中からも議論ございましたが、じゃ、それが妊娠人工中絶によって減ってきているのかといえば、そこの、妊娠中絶がふえているのは未成年者だけでございまして、全世代において中絶というのは減ってきているわけです。
 それは何を意味するかというと、妊娠できないあるいは妊娠しないカップルがふえているということでございます。そして、妊娠できないということについて悩んでおられる方々が非常に多くおられて、お金もたくさん使っている。そして、そのことは結果的に、不妊の治療あるいは不妊という問題にとどまることなしに、生殖補助医療のところへ行って、私に言わせたらむだなお金いっぱい使っておるという人がふえてきているということだろうと思います。
 基本的に、不妊の原因で女性の側に原因がある部分というものはほとんど、ホルモン的な問題につきましてもあるいは器質的な障害につきましても、医療において現在健康保険で治療できます。ただ、後ほど先生からも御指摘あるかと思いますが、今クラミジアによるところの性感染症が非常にふえています。余りにも症状が軽いために放置されて、そのことによって着床不可能な状態まで内膜炎を広げているケースというのがございまして、これも一つの原因になっていると思います。
 もう一つは、男性の乏精子症、無精子症が非常にふえているということです。そして、乏精子症の場合は、今日の医学の進展の中におきまして、精子そのものを洗浄、濃縮するなどの技術が発達いたしまして、そしていわゆる優良精子選別人工授精法、これはパートナーの精子の数が少ない場合にその処理を加えてパートナーの女性の側に人工的に授精させる方法でございますが、そういうものが今日の最先端の技術としてされています。
 しかし、それでもまだ無理、すなわち乏精子症とも言えない無精子症に近い人たち、それであれば、たとえ一匹でも精子があれば、それを顕微鏡下で授精させようというのが顕微体外授精でございますし、それがだめなら他人の精子、他人の卵子を持ってきて、これは私は不妊治療とは違って生殖補助医療であって、そのことについては別の倫理的な面も含めて議論しなければいけないと申し上げています。
 したがいまして、今の不妊の治療の対象、研究が、母性に対して、女性に対してなされなければいけないという問題は、私はやはりクラミジアの問題をどう中学校、高校できちっと教えていくかということに尽きるのかな。あとは、やはり男性、女性共通した環境的な因子、あるいは社会的なストレス社会というもの、そういうふうなものをどう解決していくかということが不妊対策の主たるものであるだろうと考えておりまして、確かに古いことわざはございますが、そういうことわざというふうなところで議論している段階は超えてきているのではないかというふうに思っております。
○石毛委員 どうも私が古いことわざを持ち出したのが余りよくなかったかなという思いもいたします。古いことわざが今なお日本の社会の深層意識として続いているということが、フィンレージの皆様のメッセージはまさにことしの六月五日、昨日のことでございますので、そうした社会意識のもとで非常に苦悩されている皆様にとりましては、この基本法案の十三条二項というのが日本の社会意識をまだ規定している部分がある、女性が妊娠できないでいる、不妊なのだという、そうしたことにシフトして受けとめられているという、そのことに大変な危惧を抱いているわけですから、今、五島提出者がおっしゃってくださったような御説明でしたらば、二項の書きぶりというのはもう少し環境ホルモンなど自然の影響ですとか感染症の予防とか、そうしたようなことも含めてまさに今の社会の課題というふうに書いていただければ、こんなに不安感とそれから苦悩で皆様が悩み、あえて私は怒りというふうに申し上げさせていただきたいと思いますけれども、怒ることもなかったのではないかなという思いもいたします。
 それで、質問をさせていただいております妊娠の不安ですとか避妊の方法ですとか今の性感染症の予防とか、そうした性と生殖に関する権利を実際に自分の実生活の中で生かしていく、そのことに対する応援のシステムというのが非常に足りない、そういう思いがいたしますけれども、簡単に御答弁をいただければと思います。
○五島議員 今回、我々もこの委員会においても繰り返し答弁してまいりましたし、そして修正案としても出していただきました。まさに結婚、出産、性の問題、これは個人の判断に基づくべき問題であって、国家として監視するものではない。とはいえ、そうした問題につきまして、少なくとも健康という問題を中心に考えた場合に、やはり今広範な形での啓蒙活動というものは必要であろう。それも未成年者の人工中絶が非常にふえているという状況から考えれば、やはり何としても、性教育そのものが今までのあり方でいいのかどうかということを含めた、そうしたものが必要になってきているというふうに思いますし、それらの問題はこの基本法ができれば、各法としてもし整備しなければいけない部分がございましたら、ぜひ整備をお願いしたいというふうに考えております。
○石毛委員 官房長官にお尋ねいたします。
 この少子化社会対策基本法案には、これを進める推進主体としまして、内閣府に少子化社会対策会議を置くというような条文がございます。
 法律が成立すれば、これは官房長官の所掌に入るのだというふうに理解をしておりますが、この委員会の質疑の中で大きな論点となりましたのが、この少子化社会対策基本法案は人口政策や優生思想を推進するというようなそうした趣旨のものではなくて、一九九四年カイロ国際人口会議あるいは北京会議の行動綱領等々で国際的に合意になっておりますリプロダクティブヘルス・ライツ、そのことを基本に置きながら子育てを支援していく、こういう趣旨だという議論がされてきたわけでございますけれども、この論点につきましては、男女共同参画会議の中でも常に基本的な政策の根幹として大事にされてきた点だというふうに思います。
 そうしたことを踏まえまして、恐らく、法律が成立するならば官房長官のお仕事になっていくと思いますので、このことに関して、どのような態度で臨まれるか、あるいはこの少子化社会対策基本法案にどのような評価をなさっておられるかということをお伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 少子化問題というのは、これは大変深刻な今の日本の現状でございまして、このことについて、今回、法案を議員の先生方が用意された、そしてまた、今大変真摯なる議論がなされているということについて、私は大変敬意を表したいと思っております。
 この問題については、今御指摘がありましたように、リプロダクティブヘルス・ライツというような視点、これは私から申し上げることでもございません、委員のよく御案内のことでございますけれども、要するに、カイロの国際人口・開発会議において提唱された概念、これは現在、女性の重要な人権の一つ、こういう認識があるわけでございます。その中心課題は何かと申し上げますと、いつ、何人、子供を産むか、産まないかを選ぶこととか、子供が健康に生まれ育つことなどがございまして、これらに関連して、思春期や更年期における健康上の問題等も幅広く議論をされているわけでございます。
 こういうような視点は、女性の生涯を通じた健康を支援するに当たりまして大変重要でございまして、これは今後とも総合的に推進をしていかなければいけない、そういうことでございます。
 この少子化対策の的確な策定また実施、これをしていかなければいけないわけでありますけれども、この法案が成立しますれば、法案の趣旨に沿った政府としての取り組みを真摯に行っていかなければいけない、このように考えております。
○石毛委員 厚生労働省から政務官においでいただいております。
 私は、子育て支援に関する施策が、厚生労働省、文部科学省、場合によっては、住宅問題などでは国土交通省等々と、縦割り行政の中でされているという、そうした思いが、実際がそうですし、そうしたもとで、今子供を育てるのにどのぐらいの経済的な費用がかかるのかということが明らかにされていないのではないか。
 理想とする子供の人数と出生する子供の人数が絶えず乖離がありますから、その大きな理由である経済的な負担の問題を解消していくためには、少子化社会対策会議できちっとそうしたとらまえ方をする必要があると思っておりますので、政務官に、ごく一言、時間がございませんので、厚生労働省サイドでは子育ての費用に幾らかかっているか、それを踏まえまして官房長官に、総合的に子供を支援する社会的な費用のあり方をどのように考えるべきかということについて、お考えをお伺いしたいと思います。お願いいたします。
○森田大臣政務官 子育てにどのくらいの費用がかかるか、こういうことでございます。
 これにはさまざまな費用等がございまして、それらを足さなければいけないわけで、正確な推計は難しいわけでございますけれども、平成十二年の三月に財団法人こども未来財団が行った推計によりますと、子供が大学を卒業するまで学校がすべて国公立だ、こういった場合を仮定いたしますと約二千百万円でございます。それから、すべて私立学校、こういうことになった場合に約二千九百万円。もちろん、この中には食費等も含まれているわけでございます。
○石毛委員 内訳をおっしゃられたわけではございませんけれども、今の御答弁、三千万近くかかるというようなお話だったと思いますけれども、総合的に、子供を育てる費用について社会としてどのように考えていったらいいかということにつきまして、官房長官のお考えをお聞かせください。
○福田国務大臣 確かに、子育てというのはお金がかかる。特に教育費なんかも、相当な出費になるわけでありまして、そのことが各家庭において大きな負担になるということも事実なんだろうと思います。そういうような意見もたくさんあるわけでございます。
 しかし、経済的なことだけでもないんだろうというふうには思います。思いますが、経済的要因というものは、皆さんがよくおっしゃっているということもあります。ですから、実質そういうことはあるんだろう。その辺については、さらによく究明しなければいけない問題であろうと思います。
 この基本法案について申し上げれば、基本的な施策として、「子どもを生み育てる者の経済的負担の軽減を図るため、児童手当、奨学事業及び子どもの医療に係る措置、税制上の措置その他の必要な措置を講ずる」ということが規定をされております。
 そういう意味で、現在、政府でもって、いろいろと考えており、また実施していることをちょっと申し上げますと、子育て家庭への経済的支援としては、児童手当、扶養控除等の税制措置を初めとして、教育、福祉、医療等の分野でいろいろな配慮をいたしておるものと承知をいたしております。
 さらに、児童手当につきましては、昨年末、与党において、支給対象年齢等の見直しを行うということが合意をされております。また、本年の三月に少子化対策推進関係閣僚会議というところでもって決定をされました、政府としての当面の取組方針におきましては、教育に伴う経済的負担の軽減措置なども盛り込まれているということでございます。
 そういうような施策は、いろいろ今後も政府として考えていかなければいけないことだと思いますけれども、子育て世帯の経済的な状況を十分踏まえながら、適切なる対応をする必要があると思っております。
○石毛委員 例えば、妊婦が出産前に毎月健康診断を受けるのに一万円の費用がかかるというようなこともございますし、それから、出産費用は、今、経済給付で三十万円ぐらいは出されておりますけれども、実際には四十万円ぐらいかかっているとか、子供を育てる費用というのは、多方面、保育料は応能負担ではございますけれども、その応能応益の考え方が妥当かどうか。
 本当にきめ細かに丁寧に考えて、政府があるいは政治が、子供を育てるということに、持ちたい人、育てたい人が本当に子供を育てることを安心してできる、そういうきめ細やかな政治と政策をぜひ、この際ですから要望をしたいと思います。
 最後に、官房長官にもう一点お伺いいたします。
 この少子化社会対策会議の委員の構成につきましては、私は、率直に言いまして大変問題があるというふうに思っております。十九条で規定されている委員は、これはこれで一つの考え方なのかもしれませんけれども、全部閣僚の方々という会議でございます。
 議連の中山会長さんが退室になられましたので、いらっしゃらないところで申し上げるのはいかがかと思いつつですけれども、午前中の質問に対する御答弁で、委員の半数ぐらいは女性がいいというふうにおっしゃいました。その意味は、じゃ、大臣の半数ぐらいは女性になるんですねということを、思っておっしゃったのかどうか、いらっしゃらないことですからというようなことを御紹介しつつ、私も女性が半分になればいいという思いがあります。
 申し上げたいのは、やはり子育てというのは本当にナイーブでセンシティブなもので、しかも元気にというようなことが大事なエッセンスになるんだと思いますので、女性の方々あるいはNPOで活動している方、いろいろな方が参画できるような総合的な仕組みを考えて、少子化社会対策会議を推進していっていただきたい。
 大綱の策定から施策の実施、推進、そして評価も必要だと思いますので、既に男女共同参画会議の御経験も官房長官はお持ちですので、どういう構想を描くことが可能かということで御答弁をいただければと思います。
○福田国務大臣 この法案の前文にございます、社会におけるさまざまなシステムや人々の価値観と深くかかわっておる、こういうことでございまして、対策としてはなかなか複雑な解明を必要とするという部分もございます。
 しかし、少子化社会対策の的確な策定また実施のためには、委員の御指摘のように、国民の意見を幅広く施策に反映していかなければいけない、こういうことがございます。また同時に、国民の理解も得なければいけない、でなければ成功しないというように思います。
 そういうことでございますので、今後、民間からの意見をどのように反映させていくのかということにつきましては、いろいろと検討させていただきたいと思っております。
○石毛委員 参加型のシステムをぜひおつくりいただきたいということを要請いたしまして、終わります。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で石毛えい子君の質疑は終了いたしました。
 次に、西村眞悟君。
○西村委員 大臣がおられますので、まず冒頭に大臣から。
 本法案提出者が協議して、修正の文言を入れられた。その文言は、法案前文における「結婚や出産は個人の決定に基づくもの」ということでございます。
 この法案は成立するでしょうが、成立すれば、内閣府の所掌の中にあるということでございます。したがって、ここで大臣にお聞きしておかねばならないのは、「出産は個人の決定に基づく」ということでありますが、妊娠するか妊娠しないかは個人の自由にゆだねられている、これはいいんですが、妊娠した女性がその胎児を出産するか出産しないか、これも個人の自由な決定の中に置かれることなのかどうか、これについて大臣はどのように考えておられますか。
○福田国務大臣 妊娠や出産等によりまして、生涯を通じて男性とは異なる健康上の問題に直面をしている女性は、みずからの身体について正しい情報を入手して、そして自分で判断し、健康を享受できるようにしていく必要がある、こういうふうに考えております。
 これに関しては、一九九四年のカイロで開催されました国際人口・開発会議において、リプロダクティブヘルス・ライツの概念が提唱されまして、これは今日、女性の重要な人権の一つである、こういうふうに認識をされております。
 リプロダクティブヘルス・ライツは、いつ、何人、子供を産むか、産まないかを選ぶことだけではなく、安全で満足のいく性生活、安全な妊娠、出産、子供が健康に生まれ育つことなどを課題といたしておるものでございます。
○西村委員 ちょっと端的に答えていただきたい。
 妊娠するか、しておる女性がその胎児を産むか産まないかは女性の専権に属するんですか。このように考えるんですか。また、そのように、この法案が成立すれば内閣府で配慮されるんですか。そうなれば、この法案が成立すれば、内閣府の所掌大臣として、刑法における堕胎罪を削除する方向で検討されるんですか。どうなんですか。
○福田国務大臣 ただいま申し上げましたリプロダクティブヘルス・ライツは、いつ、何人、子供を産むか、産まないかを選ぶこと、子供が健康に生まれ育つことなどを課題としているものでございます。
 我が国では、刑法及び母体保護法によりまして人工妊娠中絶について規定をいたしておりますので、リプロダクティブヘルス・ライツはあくまでも法律の範囲内でのみずからの決定を尊重しようとする趣旨でございまして、法律を超えた自己決定権を認めようとするものではないのは当然でございます。
○西村委員 よくわかりました。現法体系の中でやるということですな。言葉がリプロダクト何とかと言われるから、わからぬ。
 昨日のことですから質問通告はしていませんから御感想をお伺いしますが、総理大臣は拉致はテロだと認められた。ということは、テロリストに対しては、国際的に、交渉せず、妥協せず、取引せず。プーチン大統領が、八百人の人質をとって立てこもるテロリストを制圧して、百人の人質が亡くなったけれども、このプーチンを非難する国際的な世論はなかった、こういう世界に入るわけですね。
 万景峰号が数日後に入ってくる。現行法ではできないと言われていたけれども、かなりやると。だったら、現行法で、朝鮮総連を破防法の適用団体として、やれる限りやるべきではないか、このように私は思っております。総理大臣が拉致はテロだと本会議で発言された以上、その世界に我が国の施策は入っていくべきではないか、このように思っておりますので、このように官房長官に要望しておきます。質問ではございませんが、やりますと答えられるなら答えていただいていいです。
 官房長官、結構でございます。ありがとうございます。
 さて、この法案について少々お聞きします。
 私は、山上憶良の歌で、
  銀も金も玉も何せむにまされる宝子に如かめやも
この万葉集のおおらかな歌が好きなんであります。このような、いかに貧しくとも子は宝だという素朴な思いが我々を存続させてきたんだろうと思います。
 さて、この観点からお聞きいたしますが、本法案の前文、憲法前文にも相当する壮大なことを書いておられますが、この前文の精神というのは何だろうか。
 ミクロの問題ではなくて、ミクロというのは、一対の御夫婦が、また一人の女性が子供を産む、産まないというミクロの問題ではなくて、マクロの我が国の人口の構造の問題を力強くうたい、この構造が、ひずみを生じさせている構造だ、有史以来未曾有の事態に直面しているという認識に立っておられる。これは、日本人を絶滅危惧種として認定しておるのかどうか。
 つまり、この前文の精神というものは、我が国人口が絶え間なく増加していってピラミッド型を維持するのが理想であって、そこに近づけねばならない、万葉集の昔から長寿をこいねがった、世界で長寿国となってそれは実現した、したがって老人がふえるのは当たり前だ、この人口構成からやはり理想的な人口構成に戻さねばならない、それは人口が絶え間なくふえ続けていくことだというふうな問題意識の前文でありましょうか。何が未曾有の事態で、何が我らに残された時間が極めて少ないのか、危機感があることはわかっていますが、私はどうもぴんとこない。
○五島議員 今、けさの新聞にも載っておりましたが、出生率が一・三二というふうな非常に急激な少子化が進んでいることは、御案内のとおりでございます。そして、高齢化というもの、高齢社会というものをより一層深刻化させるのはこの少子化であるということについても、疑いのない問題でございます。
 そういうふうな状況の中において、さらにその原因を探ってまいりますと、従来は、晩婚化あるいは結婚しないという人がふえてきた、そうした個人の生活の選択によってそういうふうなものが来ているんだと言われてきたけれども、ここに至って、結婚しておられる御夫婦の間においても子供が生まれないという状況が非常に顕著となってきているというふうな状況を踏まえてこの文言はつくられているというふうに御理解いただきたいと思います。
 結論的に、今回のこうした状況というものが改善されなければ、では日本という国から人はいなくなるのか。そういうふうなことがあると私は思いません。しかしながら、この状況が続くとするならば、早晩、この日本という国の中に占める人々は、現在の日本人だけではなくて、世界から多くの人を迎えることによって新たな日本人を構成し、この地域、この国というものを支えていくのかどうするのかという問題に直面する時代が来ることは間違いないということで、そういう意味において、現状の非常に不自然な少子化の状況というものについて非常に厳しいということを申し上げているわけでございます。
○西村委員 どうも聞いていたら、これはミクロの問題じゃありませんか。子供を産みたくても産めない、生まれない御夫婦について、また、子供を産んで育てたいけれども育ちにくい社会的環境の中にいる御夫婦に関して、それを支援するということじゃありませんか。長寿の社会であり、また、つい最近までバースコントロールという、自分たちの家族の構成を本当に考えようという、この理想が実現した社会がここにある。あと残っておるのは、産みたいけれども産めない、育てる自信がないから逡巡している方々に関していかにするかということじゃないんでしょうかな。今の人口がいびつだと決めてかかる問題ではないなと私は思っておるんです。
 それで、基本理念についてお伺いしたい。ミクロの問題であったらこの基本法は要らないんですけれども、基本法をつくっておられるから、基本理念が書いてあるので。
 さて、基本理念は二条に書いてあって、第二条の施策の基本理念は、「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有する」ことという前提で、「家庭や子育てに夢を持ち、」とある。これは、出産、育児の中心は家庭、人間という哺乳類の一種としては、つまり具体的に、端的には母性が中心である、この前提であると。施策は、この育児の中心である母性をいかに援助するかという観点からなされるべきだという問題意識をうたわれておるんですか。つまり、育児の社会化ということとどういう関係にあるんでしょうか。
 母性が育児の中心だとするならば、育児休業制度の拡充、充実等が、それを支援する方向として、充実させねばならないという方向で施策の重点が移っていくわけですね。しかし、育児の社会化、共産主義社会のように国が保育所をもう一〇〇%つくって、いついかなるときでも二十四時間入れるようにすること、つまりそうなれば、育児のほとんどの時間は保育所でやれるわけですが、それが育児の中心、子育ての場だという認定でやっておられるのか。どうも条文を読むだけでは基本理念がわからないのです。基本理念がわからないから、基本法をつくっても重点的施策がわからないんです。
 いずれですか。
○西川(京)議員 第二条でうたっている「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有する」、これは、あくまでも父親、母親、女性、母性だけを言っているとは、私は、解釈はそうは思っておりません。そして、第一義的に、今、西村先生がおっしゃっている思いというのは、私は十分理解できるつもりでございます。基本的に、今保育所……(西村委員「質問しているじゃない」と呼ぶ)御質問の趣旨は十分わかっているつもりでございます。環境整備が中心になるいろいろな育児制度の整備ということ以上に、もう少し日本の国にとっての人口問題、そして子供を育てるということについて、大きなそういう意思があってもいいということだろうと私は思います。
 その基本として、今我々がここに生きているということは、やはり先祖からこの生を受けて、そして私たち自身もまた子孫にきちんとその日本人の生というものを受け継いでいく義務、これは明らかにあると私は思っております。その意味で、父母その他の保護者が子育てについては第一義的責任を負うということを明らかにここでうたっております。
 その中での、それ以外の環境整備、第一義的にそうであるが、実際に子供を生み育てるときに、今、さまざまな社会的要因でそういう困難な状況があるのなら、それをきちんと整備しましょうということだと私は解釈しております。
○西村委員 男女一対の普通の家庭では、父母のいる家庭、これが子育ての中心だという前提で、あとは補助的な支援だということですね、長く述べられたけれども。
○西川(京)議員 当然、今の社会の多様性の中で、父母がきちんとそろっている家庭だけではないのは事実です。そういう中で、でき得ればそういう家庭が理想であろうということは確かだと思います。ただし、父子家庭、母子家庭、さまざまな家庭の形がある中で、そういう方たちの困難な状況を少しでも環境整備して、子供をでき得れば生み育ててほしいという願いだと思っております。
○西村委員 マクロ的な基本法だからマクロ的に質問すれば、個別的にミクロの答えが返ってくる。前文における、どういう内容なんですかと聞いたときもそうなんですよ。
 だから、先ほどのことを言いますが、全体としての人口政策でしょう、前文がうたっているのは。人口構造が今いびつだ、未曾有の事態だ、残された時間はないんだ、だからこうするんだということで脱兎のごとく始まって、質問すれば、お答えは本当にミクロの、その御夫婦、その御夫婦のことの答えになる。
 結局、繰り返して聞きますが、我が国は一貫して人口がふえ続けていかねばならない、このような前提に立っておられるんですか。そして、この基本法でいかにして出生数をふやすのか、これは確実に確保されるわけですか。この基本法を施行すれば出生率がかくかくのごとく上がるというふうな説明が具体的にあれば、統計を交えておっしゃってください。
 つまり、今、日本では産みたくても産めない人がこれだけおるんだ、こういう施策があればこれだけ生まれるんだとか、そういうことですな。お答えございますか。
○荒井(広)議員 参考人の皆様方の御意見の中にもございましたけれども、大体国民皆さんに共通する認識というのは、少子化という現象は、一つは、子供にとって人間性、社会性というものを非常に阻害するようになるんじゃないか。そしてまた、人口が高齢化してまいりますが、同時に一人一人の社会保障の負担というものも非常に重くなってくるのではないか。さらに、地域を含めました社会全般の活力とか産業、こういったものにも悪影響を及ぼすのではないだろうか。
 しかし、その上において、結婚したりあるいは子供さんを産む、産まない、先ほど来からありますように、それぞれの価値観の中で決定するものである。しかし、さまざまな統計やら御意見などを伺いますと、結婚したいという人も非常に多い、しかし何かが阻んでいる。そして御夫妻になっても、三人近くの子宝に恵まれたいと思いますが、それが実際には、何かが阻害しているためにそこまで現状はいっていない。こういったものについてみんなが共有の認識を持てば、それらを我が事のようにしながら、自己決定ではありますが、みんなで協力してそうした阻害要件というものを取り除いていこうじゃないか。
 その結果、私どもが期待いたしましたのは、そうした少子化傾向に結果として歯どめがかかるという言葉は行き過ぎだという先生方のお話もありましたけれども、でき得れば、先ほどお話がありましたけれども、一・三二と平成十四年の人口動態調査の結果が出てまいりました。これはまた下がってしまったわけです、九〇年のあのショック以来。ですから何とか、ふえなくとも横ばいで進んでいくような、総合的な、しかもかつ長期的な対策を今から講じませんと、一人一人が生まれる環境ですから手おくれになってしまう。そういった危機感を持ちながら、みんなでそうした考えを共有していきたいものだ。
 それには、先ほど官房長官に御質問いただきましたように、きちんと、総理を長として、そしてまた大臣が入るわけでございますが、大臣等々を任命するわけですが、国民の皆さんの多様な、さまざまなライフスタイルやら御意見やらいろいろなものを、ちょうど引き出しでいうと、それぞれに薬の引き出しは大変細かくあります。大きな引き出しではなくて、それぞれ対応できるようにしていこう、こういうような考え方でございまして、大変長い説明になりますが、そういった議連の経緯で議論をしておったということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
○西村委員 また、育てる障害のある方に支援しよう、これはもう本当に温かい動機なんだな。
 それで、後半部分はわかった。前半部分がわからぬ。つまり、いびつだという理由です。これは結局、このままほうったら働き盛りの人口が縮んできて、外国人を入れねばならない、したがって、外国人を入れるぐらいなら自腹で生産しておこうや、これが人口政策です。こういうことなんだよ。
 私は、竹内久美子さんという動物学者が京都におられて、その方が言っておられることが本当に真実なんではないかなと思います。そんなびくびくすることなんかない、御先祖さんがずっと望んでおる状態が今来ておるわけですよ。つい百年ぐらい、農村では戦前まで間引きがあったんです、間引きが。それから理想社会がやっと来たんだから、これを前提にして温かい思いやりの社会、子供こそ宝だ、こんな豊かな社会の中で、何を与えたからいいとかじゃなくて、子供は宝なんだということを再確認するだけでいいと僕は思いますけれどもね。
 竹内久美子さんがこう言っておるんです。衝動的に、余り子供を産まないという方の遺伝子は、子供を産まないことでそこで終わっていくんだ、そうなれば、本当に子供が欲しいな、五人、六人欲しいなという方が頑張り始めるんだ、これが生物としての我らなんだというわけであります。
 お答えがすべて、だれも反対しないことばかり答えられるから質問しにくい。また聞きます。次は十七条「生命の尊厳」。「生命の尊厳」と書いてあるから、これは、生命に胎児は含まれるんですか。
○五島議員 生命という以上、この場合は人の生命を指すわけでございますから、御質問の内容は、胎児は人か否かという問題になるかと思います。(西村委員「いやいや、生命か」と呼ぶ)
 したがいまして、胎児と言われている限りにおきましては、これは、もちろん刑法においてもそうでございますが、母体の附属物として扱われます。しかしながら、この胎児というものが独立した人として成長する過程の中にある、あるいは今日の医学の中において、母体からそれ自身が取り出されて存在した場合、胎児であったものが即人となり、生命を持った存在になることも事実でございます。そういう意味において、胎児の定義とすれば、生命というものをはぐくみ育てていく過程にある母体の附属物ということになるかと思います。
 これは現状の、日々対応する、刑法だけではなくて医療の中においても、胎児が排臨状態になるまでにもし母体に異常が起これば、胎児の命は犠牲にして母体を救うということが鉄則でございます。しかし排臨状態に達すれば、二つの命は平等のものとして、両者を救う努力を最大限するということでございますので、そういうふうなものとして理解しております。
○西村委員 これは、さきの参考人質疑においてこの法案について意見を述べられた方が、ひとしく女性の自己決定権を言われて、ある方においては、堕胎罪は削除、廃止の方向でお願いすると言われたので、私は、その胎児のことについて聞いた、人はいつから人になるかということを。だが、正確に答えられなかった。
 今先生がお答えになったのは、自己決定権とは関係ないですな。(五島議員「関係ない」と呼ぶ)関係ないですね。だから、自己決定権と修正案で入れられたら、それがどう違ってくるんですか。母体を救うために、小の虫を殺して大の虫を救う、昔からの、江戸時代の産科学から鉄則なんですね。そのために我が国は間引きもしていたんです。そのことを述べられた。
 自己決定権というものが入ったらどう違ってくるんですかというのが先ほどの私の質問なんです。これが明らかになれば、この基本法があってもなくても同じなんですから、私は別に賛否に目くじら立てる必要はない、こう思っているわけです。お答えはみんなマクロの問題だから。先生の今言われたので違ってくるんですか、自己決定権とわざわざ修正で入れられて、嫌だ、嫌だと言ったときには、胎児は法律的に人じゃないんですから。ただ法律的に、それはちょっと不正確ですね。相続においては胎児は人とみなされるんだな。刑法においては一部露出説、人は一部露出したときに人になる、こういうことですね、独立攻撃が可能ですから。
 そこで、最後にこれだけ聞きますが、自己決定権を入れたということで、今先生が述べられた、こういうときには胎児を犠牲にして母体を救う、これが変化するのか変化しないのかということをお聞きします。
○五島議員 自己決定権を入れられたことが法案の修正になっているかどうかということもあわせてお聞きかと思います。
 提案者の側は、これまで本法につきまして、結婚、妊娠についてはあくまでも、国家が関与すべき問題ではなく、それぞれの個人の権利に属する問題である、決定にも属する問題であると答えてまいりました。そして、そのことを明文化するという形での修正案であったというふうに考えておりますので、修正案とこの法案との間において矛盾はないというふうに私どもは考えております。
○西村委員 我々の社会は、意外にこの問題にルーズなんですよ。今も明確な答えがないと思う。
 ただ、これは命の問題ですから、法案に「生命の尊厳」とうたう以上は、この問題について、宗教学者、宗教家を呼んだ中での参考人質疑をやって確定していかなければいかぬ。今、お答えになっていない。それはもちろんわかっていますよ、プライベートな、本当の個人の領域なんだよ。個人の領域なんですよ。
 しかし、命も個人の領域だけれども、この命みずから撃つ、自殺ですね、それを横から介錯してくれとやったら、これは犯罪になるんですよ。だから、自殺してしもうた者は罰せられないけれども、それを横から見ていたら犯罪になるというのからわかるように、この世の中には、命に関しては、僕の命でさえ僕が自由に処分すればいかぬという社会規範があるわけでしょう。だから、産科学における小の虫を殺して大の虫を救うという御説明はわかったけれども、自己決定権を言っている人に限って、人はいつから人になるのかということに対しては、参考人が答えられなかったからお聞きしましたけれども、どうもお答えになっていないな、このような感じがします。
 時間があと一分余っているが、終わります。
○佐々木委員長 以上で西村眞悟君の質疑は終了いたしました。
 次に、瀬古由起子君。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 厚生労働省が昨日五日発表いたしました一人の女性が生涯に産む子供の平均数、合計特殊出生率が一・三二人、二年連続で過去最低を記録いたしました。
 ことしの一月に、厚生労働省の委託研究で、子育て支援策等に関する調査研究という大変興味深い結果が出されております。これでございます。
 この中で、例えば、「男性を含めた働き方の見直し」という項目で幾つかのアンケートをしているわけですが、この結果、「父親も、家事や育児を、仕事と同等かそれ以上に優先させたいと希望しているが、現実には仕事を優先せざるを得ない状況にある。」というのが結論の一。二つ目は、「子どもが生まれて、労働時間を減らしたいという希望をもった父親は約三割もいるが、実現させることができた父親は六・五%とわずかである。」三つ目は、「子育てをしながら働く上での問題点としては、「子育てに十分時間をかけられない」、「休みが取りにくい、残業が多い」ことをあげる父親が多い。」こういう男性の働き方というものがこの調査の中でも出ているわけなんです。
 産みたいのに産めない、このような環境では、産むのに不安がある、仕事と子育てを両立することにさまざまな困難があります。とりわけ、長時間労働で、夫の働き方がまた妻にも大きな影響、負担になっている、そういう調査結果でもございます。とりわけ労働時間の長さ、サービス残業は当たり前の中で、育児休業、それから時間外労働、深夜労働の免除を申請することが非常に困難な職場実態がございます。
 今の政治が個人の生活も家族の一員としての責任も無視した働かせ方を野放しにして、国としての子育て支援の立ちおくれが少子化の重要な要因だと私は考えています。少子化の対応というときには、この職場や子育ての改善というものが強く求められていると私は思います。
 そこで質問いたします。
 提案者の皆さんは、我が国の長時間労働の実態についてどのように認識しておられるでしょうか。そして、急激な少子化、子供を産みたくても産めない、産みにくい社会とこの長時間労働との因果関係についてどのようにお考えでしょうか。伺います。
○荒井(広)議員 基本的には、先生おっしゃいますように、我が国の長時間労働、こうしたことを含めた雇用慣行といいますか、こうしたものは、午前中の議論にもございましたけれども、働きながら子供を生み、育てやすい環境であるとは言いがたい状況だろうというふうに思います。
 特に、両立の問題、そして子育て負担感の軽減、こういった点で考えますと、さまざまなところで男女の役割、共同でやっていく、こういったことを念頭に置きながらも、さらに雇用というものの両立問題のところでは、いろいろと御指摘のあります雇用慣行とそして長時間、こういったところ、非常に現状としては両立しがたいものがある。共通の認識でございます。
○瀬古委員 そこで、さらに提案者に伺いますが、第十条で労働時間短縮の促進について触れておられますけれども、具体的に、実効ある施策というのはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
○荒井(広)議員 まさに、今審議されているのかどうかちょっと、審議されているというふうに聞いておりますけれども、いわゆる次世代を含めまして、この法律は方向性を申し上げておりまして、大きな施策の方向ということを言っております。その中で事業主の責務、それから地方公共団体やら国の責務ということで書いておりますが、そういった意味でも、具体的なものをしていくというのはそれぞれの法律に期待するところでございますが、時短、短時間勤務制度、フレックスタイム制、所定外労働の免除、あるいは深夜業の制限などがいろいろと考えられるわけです。
 個別の政策については、今ほど申し上げましたように、労働基準法の改正を含めてさまざまな御議論を行っていく必要があろうと思います。また、広範に今いろいろなところで議論が国会でもされているというふうに思います。
○瀬古委員 現在審議されております労働基準法の問題で言えば、長時間労働という観点からいえば逆行しているんじゃないかというのは個人的に私は思っております。
 同時に、日本は、年間総労働時間の国際比較、二〇〇〇年の製造業の生産労働者の問題でも、外国と比べまして群を抜いて二千三百五時間。そのうち、サービス残業時間は三百三十五時間になっています。労働時間短縮の法整備も含めた具体的な対応が今緊急に求められていると私は思うんですが、提案者の皆さんはどのようにお考えでしょうか。
○荒井(広)議員 あるいは広い意味での話になるかもしれませんけれども、いわゆるサービス残業とかそういったものがなぜ生まれるか。こういうふうに言えば、今、非常に景気が悪い、こういうような状況でもありますけれども、基本的には、やはり長期雇用、年功序列というような慣行が、少し、給料払えないけれども、手当出せないけれども仕事してくださいよとか、またそれを受けざるを得ないような状況、あるいは頻繁に、転勤してもらいたい、これは、ずうっと雇用慣行の中で、やはり年功序列とか長く勤めるというような、そういったものが非常に影響していると思うんです。ですから、そこにどうしても家庭よりも職場の都合を優先させるというようなことがありまして、それが日本の企業風土というようなことになっておった。
 こういうようなものをやはり改善するということが非常に重要なことでございますので、その経過の中で、いろいろな意味での労働の長時間化も改善していく、そういうふうなことになっていくのかなというふうに思います。
○瀬古委員 景気が悪い問題だとか、いろいろな慣行の問題はあるかもしれませんが、私ども、例えばサービス残業の違法性の問題については、国会でも連続的に取り上げさせていただきました。
 実際には、具体的に言いますと、例えばトヨタ自動車などは、景気が悪いといったって史上空前の大もうけをしているわけですね。そこでたくさんのサービス残業をやっているということが指摘されて、労働者に一定、その分を返還するということも起きました。かなり、大企業の中でサービス残業、違法なやり方が行われているということを取り上げさせていただきました。
 二年前の四月六日にサービス残業解消通達が厚生労働省から出されて、政府としても、サービス残業は違法だ、こういう認識のもとで厚生労働省は監督指導をやってきたと思うんですが、この間、不払いの割り増し賃金の是正指導を受けた企業数、対象労働者数、また支払われた割り増し賃金はどのようになっているでしょうか。
 厚生労働省は、このサービス残業や、ともかく長時間労働、これを禁止するということについても、一定、法律はあっても本当にしり抜け状態になっている。ここに本当にメスを入れなきゃならないと思うんですけれども、法整備を含めてどのような改善をされようとしているのか、伺います。
○青木政府参考人 今おっしゃっているいわゆるサービス残業でございますけれども、これは賃金を不払いのまま残業させるということでありますので、労働基準法に違反するというものであります。そういうことで、あってはならないものでありまして、これを解消するため、さまざまな対策を私どもとしては講じているわけでございます。
 今お話ありましたように、平成十三年の四月に労働時間の把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準というようなものも定めまして、個別の事業場に対する監督指導あるいは集団指導、そういったいろいろな場面で周知徹底を図ってまいりました。これは、平成十三年の四月から九月末までの間で全国で集団指導を約四千回、約三十万事業場に対して実施いたしました。特に平成十三年の十月から十一月にかけてとそれから平成十四年の十一月に、それぞれ賃金不払い残業の解消を重点に監督指導をいたしました。
 こういった監督指導の結果、十三年四月から十四年九月の間に未払いになっていた割り増し賃金を百万円以上支払った企業の数でいえば六百十三企業、それによって割り増し賃金の未払いであった分を支払いをさせて是正させたわけでありますが、その支払いを受けた労働者数は七万一千三百二十二人ということでございます。それらの未払いとなっておりました割り増し賃金を支払った合計額は、約八十一億円となっております。
 こういった取り組みに加えまして、厚生労働省としては、各個別の事業場においてそういった賃金不払い残業の実態を最もよく知っている立場にあります労使におきまして主体的な取り組みを行うことが大切だということを考えておりまして、先月の二十三日に、賃金不払い残業総合対策要綱を策定いたしました。それは、企業の本社と労働組合等が一体となりまして、企業全体として主体的にこの問題について取り組んでいくことを促すということが大きなことであります。同時に、今申し上げたような監督指導についても、的確に実施をするというこれまでの対応をさらに強化いたしたところでございます。
 こういった要綱に基づきまして、今後とも、総合的な対策を推進して賃金不払い残業の解消に取り組んでいきたいというふうに思っております。
○瀬古委員 次に、官房長官に伺いたいのですけれども、今お話を聞いていただきましたように、サービス残業の違法性をチェックして八十一億円ばかりの割り増し賃金の支払いというのがあったわけですが、私はこれはまだ氷山の一角だと思うんですね。こういう問題は本当にあってはならないと思いますし、同時に、先ほど私が言いましたように、長時間の残業といいますか、これが本当になかなか解消されないわけなんです。
 それで、労働基準法があっても、労使一体である意味では三六協定などが結ばれていますと、時間外も休日、深夜労働も上限がなくて、本当に野放し状態になっている。政府自身も、目標千八百時間を達成するためには、週四十時間で有給休暇を完全に消化して時間外が百四十七時間以内ぐらいでないと、これは政府の目標も達成できないんですね。しかし、これもほど遠い状況ですし、それを搾り込めば込むほどまたサービス残業もふえる、こういう事態にもなっているわけです。
 私は、先ほど一番最初に、冒頭に厚労省のアンケート、研究結果をお話ししましたが、結局、子供を産みたくてもなかなか産みにくい社会、ともかく男も女も長時間の労働でデートだってできない、こういう事態になっている。
 ですから、私は、一番のこの根本的な長時間労働というものに本当に本格的に思い切った抜本的な対応をしなければ、少子化社会対策といってもかけ声だけになるんじゃないか。その実効性をぜひ、長時間労働にメスを入れる、サービス残業にメスを入れるという点で本格的に、少子化問題を考える上でも重要だと思うんですが、その点、官房長官はいかがでしょうか。
○福田国務大臣 今いろいろお話ございました賃金不払い残業、これは労働基準法に違反するものでございますので、これはあってはならないことなんです。ですから、これを解消するとともに、長時間労働を抑制していくということ、これが結局、豊かでゆとりのある国民生活を実現するためにも重要な課題だ、こういうような認識をいたしております。
 ですから、政府も今後とも、労働時間の短縮等に係ります対策を的確に推進していかなければいけない、そしてそのことによって仕事と子育てが両立できる社会を目指す、このことが大事なので、そのための施策を推進してまいりたいと考えております。
○瀬古委員 今までの延長線上ではなかなか一気に改善するということはできないので、ぜひきちんと、残業時間も、本当に上限規制も含めた法的整備も含めて検討していただきたいというふうに思います。
 そこで、提案者にお聞きしますけれども、日本共産党は、子育て世代には男女とも、変則勤務や夜間の勤務、単身赴任を制限して、残業も本人同意を必要とするなどの措置をとる、それから育児休暇中の賃金保障を六割に引き上げる、保育園などの事情に応じて延長を可能にする、看病や授業参観などのための子ども休暇を創設する、こういった育児休業法の改正を私たちは提唱して、国会にも法案を提出させていただいています。
 法案提出者にお聞きしたいのですけれども、第十条に、「育児休業制度等子どもを生み育てる者の雇用の継続を図るための制度の充実、」こういうところがございますが、育児休業制度については具体的にどのようなことを想定なさっているんでしょうか、お伺いします。
○西川(京)議員 実は私も、この少子化社会の解消のためには働き方の問題を何とか改革していくというのは、質問者と同じ考えを持っております。
 保育待機児童ゼロ作戦とか保育所の充実というのはあくまでも対症療法であって、その中で、保育時間の延長あるいは二十四時間保育というのは、正直、私個人の考えとしては余り望みたくありません。預けられる子どもの立場も考えてほしいという気分もあります。それならば、やはりなるべく母親なり父親なりが夕方、常識的な線で家に帰って子育ても可能になるという働き方の改善、これが一番大事だと私自身も思っております。
 その中で、育児休業制度の充実を想定した中で、短時間勤務制度やあるいはフレックスタイム制、隔日勤務制、そういうものに対しての所定外労働の免除、あるいはこういうことを想定してより充実した指導体制を図っていきたいと思っております。
 特に、今委員がおっしゃいました育児休業給の六割の要求ということですが、これは今、欧米諸国を見ますと、無給のところが意外と多いのですね。その中で今、日本は四割を確保しているということで、これに社会保険料の免除などを加えると実質六割になっているかなというところはあります。
 以上の点のより充実した方向に指導を徹底したいと思っております。
    〔委員長退席、中沢委員長代理着席〕
○瀬古委員 もともと女性の賃金は低いので、四割といってもなかなか本当に大変だと思います。
 それから、子育て支援のためには、根本的な長時間労働をなくしていく。しかし、私は、やはり子供が安心して保育を受けられるような環境整備も同時に必要だと思います。保育問題については、次回にお話ししたいと思います。
 育児休業法では、事業主に、例えば転勤への配慮義務というのが課せられております。しかし、これも抜け道がありまして、配慮したけれども、結局、本人の同意がなくても転勤命令を出して違法とはならない、こういうシステムにもなっているわけですね。私は、企業に対する考え方という点では、配慮するというだけではなかなか実効性がないということを数々の経験から言えると思うんです。
 今回、この法律によって、私は企業責任というのはもっと明確にできる道というのをつくるべきではないかと思うんですが、その点、どのように考えていらっしゃるでしょうか。
○西川(京)議員 委員おっしゃるように、なかなか、配慮をされていても、実際には、この不況下の中でさまざまな企業側のプレッシャーがあるのは事実だろうと私も思います。
 そういう中で、今回の基本法は、あくまでも骨組みをびしっとつくるという法案でございますので、なかなか個別の細かいところまでは行き届かない面もあるかと思いますが、今回、これに対しての、第十条で、長期雇用、年功序列といった慣行、サービス残業などの無償の長時間労働などに対しての配慮をより強化するということをうたっておりますので、少しでもより充実する方向になればと願っております。
○瀬古委員 厚労省にお聞きしたいんですけれども、来年度は、育児休業、介護休業法の改正についての検討がされることになっております。その進捗状況と具体的な改善のポイントについて、どのように考えていらっしゃるのか。
 前回改正のときには、看護休暇についての、努力規定ではなくて義務規定にすべき、こういう要請もあって、野党超党派で修正案も出されました。また、附帯決議でも、かなり具体的に、「各事業所における子の看護のための休暇制度の早期の導入を促進するため、事業主に対する格段の相談・指導・援助に努めること。」こういうふうになっていまして、かなり附帯決議にも出されています。
 この点については一歩踏み込んだ検討をされるべきだと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 育児休業制度等の見直しに関連してでございますが、政府といたしましては、先般、三月十四日に少子化対策推進関係閣僚会議で取りまとめた次世代育成支援に関する当面の取組方針というものがございますが、その中の「今後の推進方策」というくだりにおいて、平成十六年度においては、より利用しやすい仕組みとするための育児休業制度等の見直し等について、幅広く検討を行った上で所要の法案を提出する、こういうような整理をさせていただいております。
 現在、育児休業制度等の見直しにつきましては、去る四月、労働政策審議会において検討を開始しております。これまで二回ほど会議を開催したところでございます。この審議会におきましては、これまでの国会での御議論も踏まえながら、当面の取組方針にありますように、幅広い検討を行っていただきたいというふうに考えております。
 省といたしましては、その結果も踏まえて、育児休業制度等がより利用しやすい仕組みとなるように努めてまいりたいと考えておりますが、現時点で、個別に、どの項目、どの項目ということの整理はまだ審議会としてなさっておられないというのが現状でございます。
○瀬古委員 余り時間がございませんので、最後の質問にしたいと思うんです。
 官房長官、来ていただいていますので、とりわけ女性の管理職への登用問題、職場の女性の参画問題、これについて少し伺いたいと思うんです。
 日本の企業の管理職の女性比率が八・九%、それから国家公務員は一・四%ということになっています。
 民間の場合は、例えば一般職、特別職に分けられて、コース別の採用なども行われてきたわけなんですね。そして、全国に転勤することが可能な管理職コースとしての特別職、それから、管理職にはなれないけれども転勤はしなくていいといいますか、そういうコース、こういう分け方ですね。
 特に、子育て中の女性は転勤もできませんし、遠距離通勤も困難なんですね。
 とりわけ、私は今官房長官にお渡ししましたし、また資料もお配りしたんですが、この表をぜひ見ていただきたいと思うんですが、これは、国土交通省の組合、全建労の東海地本の調べた、女性の管理職への登用がどうなっているかということを大変わかりやすく示した表でございます。私はちょっと色を塗ってきたんですが、カラーの、黒丸のところは女性で、白丸が男性、色を塗って緑になっておりますが、要するに、左へぴしゃっと女性が張りついているんですね。そして、同期でも男性は右側にずっと張りついている。こういう、大変わかりやすいんです。
 国土交通省の場合には、幾つかの、ダム工事現場だとかいろいろなところに行かなきゃなりませんから、女性の場合に転勤というのはすごく困難なんですね。だから、せめて子育てしている間は事業所内である意味では昇格といいますか、そういう制度をつくってほしいというんですが、実際に、役所というのは、転勤して少しクラスが上がっていく、こういうシステムをとっておりますので、女性は、同じように入っても、ずうっと左へ張りつくというか、低いところへ張りついてしまう。こういう状態でずうっとこれが、少しは改善していただいた面もあるんですが、そういう状況がずっと続いております。
 そういう点では、やはり子育て中の人、そういう人たちが働き続けられるというのは、むしろ公務員の、私は民間ももちろんそれはやらなきゃならないと思うんですが、やはり足元の、公務の職場で、国家公務員の職場でぜひこれの改善をしてほしいということで、何度も私も国会でも取り上げてやってきているんですが、いまだに女性の管理職はわずかの比率しかならないという状況なんですね。ですから、やはり子育てしている場合には、そういう転勤の問題や、それから研修なども、長期の時間をかけた研修というのはなかなか、泊まりがけで一カ月も二カ月もというのはやれませんので、やはり、そういう形で配慮した研修になっていくとか、女性が幹部になっていくための配慮が特別に必要じゃないかと思うんです。
 男性も、実は単身赴任というのが物すごく今多くなっております。これは国家公務員でもそうですけれども、民間の企業でも四割の企業で単身赴任者が増加している。そうすると、結局、子育ては女性に任せたまま、男性が転々と転勤している状況なんですね。
 こういうものをやはり改善しないと、本当に、男女共同参画という立場からいっても、子育てを共同してやる、そうして子育てが楽しいという形にやはりなっていかないと思うんですね。そういういびつな働き方のあり方、特にそういう国家公務員の職場などでもぜひ改善をしてもらいたいと思うんですが、官房長官の御意見、また御感想、そして決意なりをぜひ伺いたいと思います。
    〔中沢委員長代理退席、委員長着席〕
○福田国務大臣 男女共同参画社会の実現、こういう観点から見ましても、各職場における女性の管理職のウエート、これはいかにも日本は低過ぎるんじゃないか、こういう指摘はたくさんございます。
 公務員よりも民間の方がもっとひどいなんという、こういうふうなこともございますけれども、そういう社会全体を変えていかなければいけないということでございますので、男女共同参画基本計画を受けまして、人事院から各府省に対しまして、女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針というものが示されております。その中で、女性職員の研修参加の拡大とか、転勤を命ずる場合の配慮などが求められております。また、各府省は、既にこの指針に基づいて、二〇〇五年度までの女性職員の採用・登用拡大計画を作成しておりまして、この着実な実施が重要と認識いたしております。また、このことについては、我々もよく監視をしてまいりたいと思います。
 なお、今後とも、男女が働きやすい環境をつくる一環として、超過勤務の縮減などにも努めてまいりたいと考えております。
○瀬古委員 時間も参りましたので、また次回に譲りたいと思いますが、とりわけ女性の場合には、本当に何とか頑張って仕事をやって、そして国民の皆さんの期待にこたえたいということでやっていらっしゃる国家公務員の方が、実際には不当な状況に置かれているということは、いつまでも放置してはならないというふうに思います。配慮しましたよといったら、その分、育児休業をとった分だけはいろいろな賃金の差が出てくるなどということもあってはならない。そういう点でも、ぜひ、官房長官が男女共同参画の担当大臣として、決意新たに取り組んでいただきたいと思います。
 以上で終わります。
○佐々木委員長 以上で瀬古由起子君の質疑は終了いたしました。
 次に、北川れん子君。
○北川委員 社民党・市民連合の北川れん子です。
 本日は、きょう提案されました修正の部分を中心にお伺いをいたしたいと思うんですが、きょう出された修正は、繰り返しになるかもわかりませんが、九四年のカイロ人口会議における決定に基づく理念に立った修正文言と理解してよろしいのでしょうか。
○山内(功)委員 そうでございます。
○北川委員 先ほどから何度も、出産する、しない、そして、いつ、何人とかというのは個人の決定というのを強調されて言っていたんですけれども、私は、今回の修正された文言が、何度か読み返してみたんですけれども、憲法の二十四条に結婚は両性の合意に基づくというものがありますが、その範囲を出るものではないのではないかという気がいたします。
 そこで、もう一度あえてお伺いをいたしたいんですけれども、これがカイロ人口会議での宣言における中のことだということでありますならば、もう少し具体的に、では、カイロ宣言の実効性がどう担保されるかというところにおいて、カイロ宣言の中の具体性というのは、家族計画のサービス、ですから避妊とかですね、さらに妊娠出産、妊娠中絶の合併症、不妊、生殖器系の感染症、乳がん、生殖器系のがん、エイズを含む性感染症の診断、治療が、必要に応じ、常に受けなければならない、具体的施策としてはこういうものが担保されるというのがあったと思うんですけれども、修正提案者におかれましては、きょう入った修正文においてもこの文言が確立できているというふうに、この後、法案が成立した折には読んでもいいというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○山内(功)委員 ですから、自己決定権というものについて、もとの法案にはそういう文言は書いていなかったんですね。金澄参考人とかあるいは米津参考人が、先日御意見をここで言われて、特に自己決定権というものを本当に前提としているとかあるいは明白に意識しているんだったら、それじゃ書いたらいいんじゃないの、やはり書いていないことによって心配する女性もいるんだからということで、そういう意見を参考にして、私たちも、入れ込んでほしいということで、修正協議を重ねてきたわけなんです。
 この法案は、具体的な法案というよりも基本法だと思いますので、これから雇用の問題とかあるいは保育の問題、あるいは子育て支援の問題、一般的に教育面をしっかりとして、特に理解のまだ十分でない、男性も含めて、これからしっかりと国として取り組んでいくという法案だと思いますし、私たちもそういう法案として修正協議できたかなと思っております。
○北川委員 カイロ宣言では、殊に妊娠と出産機能を持つ女性側への権利の強調というものもあったと思うんですが、きょうの修正提案者はそのことも含めて包み込んでいるんだというふうにお伺いをいたしました。
 とすると、二つ私は疑問を感じてしまうんです。
 一つは、私ども社民党が提案いたしました折に、前文とそれから条文の中なんですね。今回、参考人の意見を聞いて前文には入れたとおっしゃいました。では、どうして条文の中、私どもは、二条の基本理念の方に、少子化に対処するための施策に当たっては、まず女性の自己決定権が尊重されなければならないと入れるのが妥当であるというふうに理解をしておったのですが、今回の立法提案者は条文の中にはお入れになりませんでした。それがなぜなのかというのをまずお伺いしたいと思います。
○山内(功)委員 まず、憲法でもそうだと思うんですけれども、この法律を今きちんと制定していこうというときに、その思い、それはやはり前文に書き込んで、あと逐条についても前文の趣旨を尊重した解釈をしていこうじゃないかという趣旨で前文というのはあると思うんです。だから、まず、二条とか三条とか四条とかに出てくるよりも、最初に、この法律についてはこういう基本理念でいこうということを強く示すためにも、まず法律のできるだけ早いところで自己決定という言葉が出てくる方が私たちとしてはいいのかなと思ったのが第一義的な理由です。
 細かくいえば、例えば第二条については施策についての基本理念というふうに表題がなっていますので、施策というよりは、この法律をどう解釈してどういうふうに運用していくのかということが重要だと思ったので、前文に書かせていただきました。
○北川委員 私どもとしては、やはり、条文の中でももう一度押さえるというところをぜひ御検討いただけたらと思います。
 それと、なおさら、では、前文にこれがすべて含まれているというのであれば、きょう御提案者の方でも「基づくもの」というのを修正で入れられたというふうにおっしゃったんですが、これは正確に言うと、「基づくもの」、その後に五文字つくわけですね、「ではあるが」というふうになります。「基づくものではあるが、」云々かんぬんずっと続きまして、「少子化の進展に歯止めをかけることが、今、我らに、強く求められている。」
 少子化の進展ですから、産めよふやせよ、どちらかというと、ふえているときの施策ではなくて、少なくなっている現在においての施策であるというところであれば、少子化の進展に歯どめをかけるということは産むというところを強調するということになると思うんですけれども、では、自己決定権はあるんだけれども、今我らに強く求められている少子化の進展に歯どめをかけようということがより強調されており、前段の部分の、皆様がせっかく入れてくださった自己決定権の部分が制限されるというふうに読めるのではないか。というふうに私は、これは何度も読んでみたり、いろいろな方たちと、きのう私、理事懇でこれをお示しいただいたので、その後、これはどう読めるんだろうかということで話し合ってもみたんですけれども、やはり「基づくもの」で丸じゃないんですね。一つの文節として成り立っているものではなくて、「ではあるが、」というふうにして続きます。
 それと、前回の参考人で日弁連の金澄弁護士の方からも、第六条に国民の責務が入っている、これは憲法十一条、十三条に抵触する問題にかかわってくるのではないかということで、削除を求めるという御提案がありました。私どももそう思っております。第六条はどう書いてあるかというと、「国民は、家庭や子育てに夢を持ち、かつ、安心して子どもを生み育てることができる社会の実現に資するよう努めるものとする。」とあるわけですね。
 これと重ねますと、前段の「ではあるが、」自己決定権はありますよ、ですが、国民の責務も条文立てはされており、そして前文においての強調が「今、我らに、強く求められている。」というふうに入ってくると思うんですけれども、この点においての理解を、修正提案者もしくは原案提出者におかれましてはどういうふうに整合性を保たれているのか、お伺いをしたいと思います。
○井上(喜)議員 これは法律全文を読んでいただけたらいいと思うのでありますけれども、少子の社会に直面して、今後いろいろなことが予想される、こういうことで、こういった少子化の社会に一定の、結果としてではありますけれども、歯どめをかけていくことが必要じゃないか、こういう判断でありまして、そのためには国も責任があるし、地方公共団体もやるべきことがある、あるいは企業、そういったこともできる範囲でやっていかないといけないということでありまして、そういう全体の関連において、それでは一般の国民も、責務といいますか、そういう少子化の歯どめをかけるための努力をする、やはりそういう責務はあるんじゃないか、こういうことでこの六条の条文が入っているわけです。
 ただ、おっしゃるように、さはさりながら、基本的には、産む、産まないというのはやはり夫婦の間の問題だと思うのでありまして、したがって、そういう意味でそれが前段に来ているわけですよね。
 ですから、表現として個人の決定権、個人というのは何も一人という意味ではないんですよ、関係者という、個々人ということで理解をすればよろしいと思うのでありますが、そういうものではあるけれどもという、ですから、一般の文章のように、ある文章を言って、それを否定するような形でその後が続くというような文章としてこれは理解すべきじゃないと私は思うんです。だから、基本的には個々人の決定に任される、出産というようなことはそうだと思うのでありますけれども、しかし社会全体にもやはり責任がある、六条はそういう文脈において理解されるべきだ、こんなふうに思います。
○山内(功)委員 この法案の前文には、こういうような表現があるんですよね。今まで高齢化社会のことについて議論はいろいろなされてきたけれども、その議論に比べれば、少子化の問題についてはまだまだ環境の整備も十分整っていないんじゃないかというような前文の書き方ですよね。つまりそれを、高齢化社会の問題についても議論は必要だが、しかし少子化社会についてもしっかりと論じていこうという場合に、「が、」を使ったからといって、高齢化社会のことについて不十分な対応をしていいとは思わないですよね。ですから、その「が、」という表現を逆接的な意味でとっていただくと本当に困ります。
 自己決定権について、いわば人間の内面のことについてまず書く。それで、「が、」で、その次には環境整備とか、あるいは子供を持った親たちはこういう豊かな生活をしていこうとか、そういう環境整備という外的な面とを、私はこの「が、」によって表現を、力点を変えているという趣旨でこういう書きぶりにしたわけでございます。
○北川委員 今、山内修正提案者の方から、内面の自由、内心の自由の部分がという、少しお触れになった部分があったんですけれども、福田官房長官にお伺いしたいんですが、男女参画大臣としてこの間お務めになっていらっしゃるんですけれども、このカイロ人口宣言に基づく自己決定権というのは、内心の自由の範囲の問題であるのかないのかという点において、その辺はどういうふうに御理解をされていらっしゃるのでしょうか。
○福田国務大臣 このカイロ宣言ですけれども、リプロダクティブヘルス・ライツ、要するに、いつ、何人、子供を産むか、産まないかを選ぶことだけでなくて、安全で満足のいく性生活、安全な妊娠、出産、子供が健康に生まれ育つことなどを課題とする、具体的にはそういうようなことなんですけれども、今説明したことは、これはもちろん内心の自由ということも含んでいるというように思います。
○北川委員 そこが多分見解が別れるところだろうと思うんですけれども、先ほども少し前段で家族計画云々かんぬんという文言を御紹介したんですけれども、やはりリプロダクティブヘルス・ライツの思想というのは具体化をされなければいけない。その具体化をされないといけない部分というのが、性や避妊、妊娠、出産、中絶、性感染症などに関する具体的なサービスや情報提供を伴うものであるということで、内心の自由の方に傾いてこの自己決定権というものがもたらされるものではなくて、自己決定をするに及ぶまでの下支えの環境というものが、あらゆる、生を終えるまで、生涯を終えるまでの、産む機能を持っている女性側に対して施策を充実しなければいけないということをうたってあると思うんです。
 そういう点に置くと、やはりここのところで、決定に基づくものが内心の自由であって、であるが、内心の自由は、だから自己決定権で自由にあるんですよというところにのみ基調が置かれるということは、カイロの人口宣言からのある特定の部分だけの抽出がここに修正として盛り込まれたというふうになると私は理解するんですけれども、山内提案者、いかがでいらっしゃいますでしょうか、ここのところはずっとこれからも続く議論になっていくと思うんですが。
○山内(功)委員 もちろん、男女が自分たちの自由な意思決定に基づいて、自己決定に基づいて子供を産むあるいは子供を何人産んでいくというようなことについては、北川委員が言われたように、いろいろな環境が整っていて初めて自己決定がなされるんだということ、それは当然のことだと思います。
 だから、「が、」の前の自己決定という文言は、ですから、そういうことも踏まえた上だけれども男女の自己決定権を尊重しようという、そういう意味で内面ということを言ったまでで、心の中の問題はその「が、」の前の表現だけで、あとは環境整備についてだけを「が、」の後の文章で言っているということでもないわけでございます。
○北川委員 いや、私が申し上げたかったのは、出産は個人の決定に基づくものという範囲の中におけるものがどれだけ担保されているかということで、内心の自由という限界だけのものの話にカイロの人口宣言のリプロの話を落ちつかせてはいけないのではないかという意味合いにおいて官房長官にお伺いした点がありました。
 それともう一つ、提案者においてお伺いしているのは、その部分を含め込んでいるのであるならば、これを独立させた文にするべきであり、「ではあるが、」という反転の中から国民の責務までを条文立てをして、あえてその後、少子化の進展に歯どめをかけると。それはまさに、妊娠、出産というところの部分が強調されることへの、自己決定権は制限されるというふうに読めるということは動かないのではないかと思うんですけれども、これはどうしても、基づくものとか、基づくものであると、少なくとも一文立ての独立したものでなければいけないのではないかというふうに思うんですけれども、修正提案者、再度いかがでしょうか。
○山内(功)委員 恐縮ですけれども、この修正の文言については、もともとの法案提出者あるいは法制局と十分議論した上で定めたものでございます。
○北川委員 ということになると、いろいろ検討されてここまでということになるんですけれども、これは逆に言いますと、自己決定が入ったということで喜んでいらっしゃる皆様にとっても、よくよく、後々もう少し見れば、えっと、制限されていくというふうに読めるのではないかと危惧する方たちが逆にふえてくるのではないかと思うんです。ここはどうも落ちつかないんですけれども、では、再度、これは制限されるものではない、後段に続く部分において制限をするものである意味合いにおいての「ではあるが、」ではないんだという意味で、修正提案者はこういう形態をとられたというふうに理解するということなんですか。
○山内(功)委員 男女の自己決定権をきちんと認めた書きぶりにしたつもりでございますし、これについては、もともとの法案提出者ともしっかりと確認をとっていることでございます。
○北川委員 せっかくされた修正が、本当に多くの方が望んでいた、特に参考人などが主張されたカイロ宣言におけるリプロの精神での自己決定権が反映されたものでなければいけないというところでは、ここのところはやはり疑義が残るというふうに思わざるを得ないということを主張しておきたいと思うんです。なぜかというと、内心の自由とかという話になってきますと、きょうも中絶にかかわる文言、胎児との関係とかがほかの委員からも出されておりました。
 そこでお伺いをいたしたいんですけれども、北京の行動綱領においては堕胎罪の廃止を示唆する文言というものがうたわれていたと思うんですけれども、この辺の理解においては、男女共同参画局におかれましてはどのように受けとめていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。
○佐々木委員長 答弁者は呼んでいないんだけれども。北川さん、政府委員は来ていないけれども。
○北川委員 ああそうですか。
 官房長官、その点におかれてはどのような。
○福田国務大臣 我が国では、刑法及び母体保護法によりまして人工妊娠中絶について規定をいたしております。ですから、先ほどから申し上げているリプロダクティブヘルス・ライツは、あくまでも法律の範囲内でみずからの決定を尊重しようとする趣旨でございまして、法律を超えた自己決定権を認めようとするものではないということであります。
○北川委員 ということで、前回、中絶禁止や中絶反対の方たちがよく使われる「生命の尊厳」という文言がここの条文の中に入っていることに対してのいろいろな意見が交わされました。そのときにおいて、法制局からは、この「生命の尊厳」という言葉は、いじめや虐待などを子供の立場から考える、望まない妊娠を防ぐことも含められているが、中絶はかかわっていないというふうに回答をお伺いしているんですけれども、提案者においても法制局と同じ考えでいらっしゃるかどうか、お伺いしたいと思います。
○五島議員 そのとおりでございます。
 なお、若干つけ加えさせていただきますと、先ほどから修正案提案者に対しての御質問の内容とも関連しますが、私たちは、両性による結婚、出産についての自主決定権というのが前提であると。そのことは全文章の中に書き込んであるという立場をとってまいりましたが、修正案の方々が、提案者が前文にそのことを文言として入れろということでございましたので、全く異議なく同意したわけでございまして、そのことはこの文言全体の前提でございます。
 と同時に、少子化の歯どめをかけるについても、どういうふうな理念でもってかけるかということについても、先生が集約された部分の中に詳しく書いているところでございまして、どういう環境を整備することによって少子化の歯どめをかけることをするかということを書いているわけでございます。
 なお、先生が詳しくおっしゃいましたカイロ宣言において掲げている内容につきましては、第十三条を中心に、あるいは第十六条といったようなところにおきましても、そうした問題について具体的に挙げさせていただいているつもりでございまして、それらの問題についてはこの法案の中に文言として入れているというふうに提案者としては考えております。
○北川委員 ちょっとわかりにくかったんで。
 文言の中に入れていくというところにおいて、やはり「生命の尊厳」というのはかなりセンシティブな文言遣いになっていますので、この言葉を外した方がいいのではないかという提案は私も前回もさせていただいたんですが、この言葉が持っている意味はいじめや虐待などで、中絶はかかわっていないんだというのは法制局と同じだというふうにお伺いしたというふうに理解をしておきます。
 それと、きょう、どういうわけか、各新聞、少子化のこの基本法が議論されているということで、いろいろなコラムが出されておりまして、一つ目についたのがあったんですけれども、日本の少子化を食いとめるには、シングルマザーに対しての対応を日本が民法を改正するなり条件整備をすれば、フランスが民法を改正されてから離婚、再婚、単身出産が容易になって、フランスの新生児の母親の四〇%以上はシングルマザーであるという紹介を、斎藤学さんという精神科医の方、ドメステイック・バイオレンスなんかの家庭内暴力の状況等々にもいろいろ示唆を発信していらっしゃる方ですが、日本はこれが一・四に、今、婚外子という状況とか未婚の母の状況というのはなかなか一%を脱却しないというところがあります。
 ここにおいて、やはり日本女性の置かれている状況が余り多くの人たちと共有されていない面があるのではないかと思い、少し数字を拾ってみたんですけれども、女性の三人に一人はドメスティック・バイオレンス、家庭内暴力を受け、二十人に一人は命にかかわる暴力を受けている。そして、年間、配偶者の暴力で百人以上が亡くなっている。これが先進国と言われる日本でも日々繰り返されている家庭の中での状況で、数字としてもあらわれているものであります。
 そして、十年ほど前に、殊に家庭内暴力の禁止法をつくろうといったときに、では、日本の女性の性的な体験は何だろうというところをアンケートをとられた結果がありまして、その五割から六割はセクシャルハラスメント、自分が望んでとてもいい体験として受けるよりは、例えば痴漢行為だとか性的嫌がらせとか、いろいろな状況の中での性の思いがけない状況を受けてしまうという部分の経験者の方が多かったというアンケートも出ているということにおいては、日本の女性たちの状況というのは本当に日々いろいろな努力の改善が必要だと思います。
 そして、母子家庭においての平均収入なども見ますと、昨今は女性の貧困化ということも言われておりますけれども、母子世帯の平均収入というのは、一九八二年で六十三万円で、九七年で七十三万円、これが普通の一般世帯は、八二年が百三十万円、九七年になると二百二十三万円ということで、母子世帯の一人当たりの平均収入というのは十五年間でたった十万円しか上がっていないんですが、一般世帯では百万円ほど収入的にも上がっていて、母子世帯の改善というものは経済性の上においてもバブルを超えても何ら改善をされなかったというところがあります。
 こういう日本の社会的な状況ということを踏まえて、福田官房長官にお伺いをいたしたいと思うんですけれども、これらの数字においての男女共同参画社会大臣として、そしてまた、この少子化基本法が整備されたら大臣としてもされるということなんですけれども、この両面をあわせ持っての状況の中での御見解というものをいただければ幸いなんですけれども。
○福田国務大臣 男女共同参画社会、これを達成すると申しますか、そういう社会に日本を導いていくというために、今いろいろ問題点も御指摘ございましたけれども、やることはたくさんあるんだろうと思います。ですから、そういうことは男女共同参画基本計画などにおいても取り上げております。
 例えば、DV法なども法律もつくりまして、そしてセーフティーネットと申しますか、駆け込み寺というように申すべきでしょうか、そういうような整備もしておるということでありまして、そういうことを着実に、また少しスピードアップしてやらなきゃいかぬというようなものも随分あるんだろうと思います。そういうことを総合的に進めていくということが必要なので、そのことにつきましては全力を挙げて推進してまいりたいと思います。
 今回の基本法案、これは、大変多くの議員の方々の御努力によりまして、また、長期にわたって御議論されて、私はよい基本理念を示してくだすったと思います。このことにつきましては、この法案が成立いたしますれば、政府といたしましてもこれを重く受けとめて、この法案に掲げられました基本理念にのっとって、少子化社会対策会議の開催とか施策大綱の作成など、本法案に規定されております諸施策の推進に誠実に取り組んでまいりたい、こういうように思います。
 その結果、これからの社会が明るい社会になるということを目指しているわけでございますので、総合的な取り組みを行ってまいりたいと思います。
○北川委員 時間が参りました。修正における文言においての私どもの疑念というものがやはり残りましたので、また次回の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で北川君の質疑は終了いたしました。
 次回は、来る十一日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十三分散会