第159回国会 予算委員会 第3号
平成十六年一月二十七日(火曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 笹川  堯君
   理事 大野 功統君 理事 北村 直人君
   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君
   理事 松岡 利勝君 理事 玄葉光一郎君
   理事 筒井 信隆君 理事 細川 律夫君
   理事 谷口 隆義君
      伊吹 文明君    植竹 繁雄君
      尾身 幸次君    大島 理森君
      倉田 雅年君    小泉 龍司君
      小杉  隆君    鈴木 俊一君
      滝   実君    玉沢徳一郎君
      中馬 弘毅君    津島 恭一君
      津島 雄二君    中山 成彬君
      中山 泰秀君    西川 京子君
      萩野 浩基君    蓮実  進君
      原田 令嗣君    二田 孝治君
      町村 信孝君    井上 和雄君
      池田 元久君    石田 勝之君
      生方 幸夫君    海江田万里君
      河村たかし君    木下  厚君
      吉良 州司君    小泉 俊明君
      鮫島 宗明君    首藤 信彦君
      鈴木 克昌君    達増 拓也君
      津村 啓介君    中津川博郷君
      鉢呂 吉雄君    平岡 秀夫君
      藤井 裕久君    古本伸一郎君
      牧野 聖修君    村井 宗明君
      石田 祝稔君    遠藤 乙彦君
      高木 陽介君    長沢 広明君
      佐々木憲昭君    照屋 寛徳君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         麻生 太郎君
   法務大臣         野沢 太三君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         谷垣 禎一君
   文部科学大臣       河村 建夫君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       亀井 善之君
   経済産業大臣       中川 昭一君
   国土交通大臣       石原 伸晃君
   環境大臣         小池百合子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)
   (男女共同参画担当)   福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長)
   (青少年育成及び少子化対策担当)
   (食品安全担当)     小野 清子君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   国務大臣        
   (沖縄及び北方対策担当)
   (個人情報保護担当) 
   (科学技術政策担当)   茂木 敏充君
   国務大臣
   (金融担当)
   (経済財政政策担当)   竹中 平蔵君
   国務大臣        
   (規制改革担当)   
   (産業再生機構担当)   金子 一義君
   国務大臣        
   (防災担当)       井上 喜一君
   内閣官房副長官      細田 博之君
   総務副大臣        田端 正広君
   総務副大臣        山口 俊一君
   外務副大臣        逢沢 一郎君
   財務副大臣        山本 有二君
   文部科学副大臣      稲葉 大和君
   厚生労働副大臣      谷畑  孝君
   厚生労働副大臣      森  英介君
   農林水産副大臣      金田 英行君
   経済産業副大臣      坂本 剛二君
   経済産業副大臣      泉  信也君
   国土交通副大臣      佐藤 泰三君
   環境副大臣        加藤 修一君
   内閣府大臣政務官     西川 公也君
   総務大臣政務官      平沢 勝栄君
   総務大臣政務官      松本  純君
   法務大臣政務官      中野  清君
   外務大臣政務官      田中 和徳君
   外務大臣政務官      松宮  勲君
   文部科学大臣政務官    馳   浩君
   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君
   経済産業大臣政務官    江田 康幸君
   経済産業大臣政務官    菅  義偉君
   国土交通大臣政務官    鶴保 庸介君
   環境大臣政務官      砂田 圭佑君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    秋山  收君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局長)  増井喜一郎君
   政府参考人
   (金融庁検査局長)    佐藤 隆文君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (財務省国際局長)    渡辺 博史君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議官)           岡島 敦子君
   政府参考人
   (農林水産省生産局畜産部長)           井出 道雄君
   参考人
   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君
   予算委員会専門員     清土 恒雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十七日
 辞任         補欠選任
  植竹 繁雄君     中山 泰秀君
  倉田 雅年君     原田 令嗣君
  津島 雄二君     津島 恭一君
  井上 和雄君     鈴木 克昌君
  海江田万里君     牧野 聖修君
  河村たかし君     村井 宗明君
  平岡 秀夫君     津村 啓介君
  高木 陽介君     長沢 広明君
同日
 辞任         補欠選任
  津島 恭一君     津島 雄二君
  中山 泰秀君     植竹 繁雄君
  原田 令嗣君     倉田 雅年君
  鈴木 克昌君     井上 和雄君
  津村 啓介君     平岡 秀夫君
  牧野 聖修君     海江田万里君
  村井 宗明君     古本伸一郎君
  長沢 広明君     高木 陽介君
同日
 辞任         補欠選任
  古本伸一郎君     河村たかし君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十五年度一般会計補正予算(第1号)
 平成十五年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)
     ――――◇―――――
○笹川委員長 これより会議を開きます。
 平成十五年度一般会計補正予算(第1号)、平成十五年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とします。
 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁長官山中昭栄君、金融庁総務企画局長増井喜一郎君、金融庁検査局長佐藤隆文君、金融庁監督局長五味廣文君、財務省国際局長渡辺博史君、農林水産省大臣官房審議官岡島敦子君、農林水産省消費・安全局長中川坦君及び農林水産省生産局畜産部長井出道雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○笹川委員長 これより一般的質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上和雄君。
○井上(和)委員 おはようございます。民主党の井上和雄でございます。
 まず、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
 昨晩、イラクに対する自衛隊の派遣命令が正式に出されたわけです。きょうの朝刊には、石破防衛庁長官は「相当な時間を要する。」というふうにおっしゃっているという報道をされているわけですが、「相当な時間」というのは具体的にどの程度の期間というふうにお考えでしょうか。
○石破国務大臣 これは一応、今年の十二月までということになっておりますが、その後をどうするかということでございます。
 これはきのうも申し上げたかもしれませんが、要は、水であるとか医療であるとか学校の復旧であるとか、法の目指しているところがどこまで成就されたかということだろうと思っております。法律は二年ということになっておりますが、それは、どれだけ法の目的が達せられたか。いずれにしましても、私どもとしては、早く法の目的が達せられるように諸外国とも協力しながら努力をしていきたい。
 相当の期間をどれぐらいと思うかと言われれば、これを数字的にこれぐらいというふうにお示しすることは、今の時点ではかなり困難かと存じます。
○井上(和)委員 いずれにしても、長期であって、隊員の方は原則三カ月で交代されるということですから、かなり多くの隊員の方が実際にイラクに派遣されるということになるわけですね。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、自衛隊の方というのは、もともと国土の防衛ということで自衛隊員になられている、そういう方がほとんどだと思います。そして、服務の宣誓というのがあるというふうにお聞きしています。その服務宣誓で、国のために働く、祖国の防衛のために働くということが確認されている。しかし、今回の任務の性質というのはどうもそれとは大分かけ離れているということは、これは確かだと思います。
 今回派遣される自衛隊員の方を選考する際、やはり今回の派遣というのは自分が思ってきた任務と違う、服務の宣誓の内容とは違うということを思う方も当然いると私は思うんですね。そういう方からもちゃんとヒアリングしているんでしょうかね。つまり、そういう方の意見をちゃんと聞いているのかということに関してお伺いいたします。
○石破国務大臣 先生御指摘になりました服務の宣誓というのは、何度か委員会でもお答えいたしましたが、「私は、」つまり、宣誓する自衛官、自衛隊員でございます。「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、」云々、こう来るわけでございます。
 今回のイラク特措法というのは、日本国憲法の趣旨を体現したものだ。これは御議論があることは承知をいたしておりますが、政府としては、日本国憲法の趣旨を体現したものである。そして、「法令を遵守し、」というのは、当然のことでございますが、国会で成立をさせていただきましたこのイラク特措法というのがこの法令でございます。「日本国憲法及び法令を遵守し、」というところから考えまして、今回の派遣ということはこの服務の宣誓にかなうものだと私は考えます。
 あわせまして、先生御指摘の、では「我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命」、これと違うのじゃないかというお話ですが、これは、PKO法のとき、あるいはテロ特措法のとき――周辺事態法はこれに合致する考え、ぴったりと思います。しかし、PKO法のときも、これはどういう関係があるんだ、我が国の平和と独立にどういう関係があるんだ、国連の活動ではあるけれども我が国の平和と独立にどういう関係があるんだ、そういう御議論がありました。テロ特もそうです。
 それで、そういうような法律ができて、PKO法なんてもう十年になります。我々の自衛隊がそういう任務を持っているということは、当然、隊員はよく知っているはずでございます。加えまして、このイラク特措法の目的とするところが、我が国の平和あるいは我が国の独立、日米安全保障体制のさらなる信頼強化、そういう観点からしまして、我が国の平和と独立に全然関係ないよ、私はそういうようなものだとは一切思っておりません。
 そういうことから、では、そういう隊員がいたのではないかということですが、今回の派遣は服務の宣誓と違うので私としては行きたくない、そういうような隊員がいたということは、私は承知をしておらないところでございます。
○井上(和)委員 ちょっと私は、その長官の認識が本当に正しいのかなという気がしますね。自衛隊員といっても何百人もいるわけですから、それはもういろいろな考えを持っている方がいらっしゃるはずですよね。だから、もう少しよく隊員個々の気持ちというものを長官たる者聞くべきじゃないかと私は思うんですけれども、どうでしょうか、そういう機会があったんでしょうか。
○石破国務大臣 先生の御指摘は、そもそもこの法律を議論したときから、このイラク特措法が審議されたときから何度かございました。それは、私としてもその議論があることは承知をいたしております。
 しかし、国権の最高機関において成立を見た法律です。これはそれなりの重みを持つものであります。そして、自衛官としてそれに従うということは、それは当然のことであります。自分はそれに行きたくないということを言うことがもし可能になるとするならば、「法令を遵守し、」「事に臨んでは身の危険を顧みず、」身を挺して、「もつて国民の負託にこたえる」といった自衛官の服務の宣誓とは何なのだということ自体が問われると思っています。
 私は、法治国家において成立したこの法律の重み、そしてまた、それが日本国憲法の趣旨を体現しているということ、そして、この服務の宣誓の重要性ということを認識した場合に、恐縮でございますが、委員とは意見を異にするということを申し上げなければならないと思います。
○井上(和)委員 実は、この服務の宣誓の問題は、私が、退職した自衛官の方から、こういう問題があるんじゃないかということをお聞きしたんです。そういうことで大臣にお伺いをしているわけです。
 ただし、今大臣がおっしゃったように、自衛官をどういう状況にあるかわからないところに命令として国家が送り込む、それだけまさしく防衛庁長官の責任というものが非常に大きいということは確かですね。きょうの私の質疑の議論は、その長官が持っている大きな責任を本当に正しく今回果たしているのか、そういう議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 それで、新聞の報道には、空自は志願兵を募り、三百人態勢を維持するというふうに書いてあるんですね。空自と陸自、陸自に関しては、私がきのう聞いた話では選考していくという話だったんですけれども、これは質問通告にないんですけれども、もしお答えできればお伺いできますか。
○石破国務大臣 基本的に、どの者を要員として派遣するかという場合に、志願制という形はとっておりません。行きたい者は手を挙げよというような形では、陸海空とも、そのようなやり方はとっておらないところでございます。
○井上(和)委員 わかりました。
 それでは、次に、外務大臣にお伺いしたいと思います。
 きょうの朝刊に、「外務省は、イラクでの陸上自衛隊の派遣先であるサマワについて「テロの脅威」への注意を呼び掛ける渡航情報を出した。」そういうことも報道されています。大臣として現在のイラクの治安状況に関してどのような御認識をされているのか、お伺いしたいと思います。これは非常に大事なことなので、詳細に御説明いただければと思います。
○川口国務大臣 イラクの治安情勢につきまして、これが一般的に全般として予断を許さない状態が続いているということはそういうことでして、治安、これが重要課題の一つになっているということでございます。
 ただ、その脅威の度合いは地域によって異なります。いわゆるスンニトライアングルという地域がございますが、それを中心に連合軍やイラク警察や、そしていわゆるソフトターゲットに対しての攻撃が続いているということは、これはずっと継続をしている基本的な構図であるということです。その中で、攻撃の仕方について巧妙になってきているというところが見られるというふうに感じております。
 米軍がこれに対して掃討作戦を行っておりまして、その結果として、フセイン政権の残党ですとか外国人の武装勢力やその他の過激派、破壊活動分子等の制圧を行っておりまして、これまで大勢の容疑者を拘束しています。フセイン大統領もこの中に入っているということでございます。
 フセイン大統領の拘束について言いますと、これが行われた結果として、イラクの国民が、フセインの体制の復活がなくなったという意味で心理的にプラスの方向の影響を与えているということで、それ以降、情報の提供がふえたり、それから、資金の把握ができるようになったりといったプラスの面がございます。
 ただ、同時に、フセイン大統領が今まで攻撃の全部を自分で指揮していたということでもないものでございますから、引き続き、その拘束後もテロが継続をしているという部分もあるわけです。
 先ほど地域差があるというふうに申しまして、イラクの南東部、ここはコアリション、連合に対しては好意的であるというふうに評価をしています。それはなぜかというと、シーア派ということでフセイン時代のスンニ派にずっと圧迫を受けていたということがありまして、連合による復興活動についてはより好意的であるという面がございます。
 それから、住民組織が比較的、これは市の評議会といったような、比較的よく機能しているといった特徴もございます。そういったことがあって、比較的、南東部は安定をしているということであります。
 あとは、経済的な理由によってのデモがございます。これを受けてイラク警察や連合軍と衝突するケース、これが発生をしています。
 襲撃等の可能性は存在をしていますし、それから、フセイン政権の残党が南東部にも浸透しようとしているという見方もありますので、引き続き注視をしていきたいというふうに思っています。
 それから、米軍の死者数ですけれども、昨年十一月に一月で八十一名ございました。それから、十二月は四十名となって半減をしたということです。今月ですけれども、二十六日現在で三十三名の米兵が亡くなっていまして、はっきりそういうトレンドが定着しているとか、そういうことを一概に申し上げるということは今困難であるというふうに考えております。
○井上(和)委員 まずは、南東部へフセインの残党勢力が進出する可能性があるということは私も確かだと思います。もう一点、スンニトライアングルが非常に治安が悪かったと。
 私も、現在イラクにおける攻撃の状況をインターネットで調べてみました。そうしますと、まさしく地域的に北部、つまり都市でいえばモスル、これはクルド人の地域なんですけれども、かなりモスルで攻撃が起こっている。あとは、北部においてはエルビルというところもあるんですけれども、これも同じクルド人の地、そこでも一件、先月、攻撃がありました。
 CPAのポール・ブレマーが、これは日本のアメリカ大使館でもこれをホームページで公開しているんですけれども、十月にアメリカのテレビ局ABCの放送でインタビューに、北イラクはクワイエットだ、静かだ、シーアのサウス、南は非常に静かだということを言っているわけですね。これはわざわざ日本のアメリカ大使館が日本語のホームページでも公開しているぐらいですから、大使館としても相当力を入れて流している情報だと思うんですけれども、これが十月です。
 ところが、今申し上げたように、ここ数カ月は北イラク、大体、十二月七日、八日、十日、十二月二十四日がまたモスル、十二月二十四日にまたエルビルでもカー爆弾ですか、というふうに非常に北イラクに対しての攻撃がふえている。
 それはもう当然の話で、今大臣がおっしゃったように、スンニトライアングル、バグダッド周辺でアメリカ軍の掃討作戦が成功している、当然そういうところではやりにくいということで、攻撃勢力がまた別のターゲットにシフトしているというふうに私は思います。
 これは十一月のCIAのレポートにもあるんですが、フセインが捕まる前の話なんですけれども、CIAが「アプレーザル・オブ・シチュエーション」という報告書を出しているんですね。ここには、要するに、もうゲリラ戦争はアメリカのコントロールの範囲を超える危険があるということを言っているという報道があります。
 CIAは、もともと、非常にイラクにおけるゲリラ戦争に関して懸念していたわけですね。去年の二月の段階で、CIAは、大統領自身に、イラクにおいて戦争自体は短期に勝利をおさめることができるだろう、しかし、その後に、バース党とかフェダイン・サダム・イレギュラルというのですか、そういう部隊の抵抗を非常に受けるだろうということを指摘しているわけです。
 今言ったようなことを考えますと、私はやはり、イラクでまだ戦争は続いているんだというふうに考えるのが正しいと思うんですね。
 アーミテージが十一月にバグダッドを訪問しました。これはただ十一月に非常に……(発言する者あり)ちょっと聞いてください、アーミテージが言ったことだからね。十一月は確かにアメリカ人の戦死者が非常にふえたときです。アーミテージは、イラクはウオーゾーンだと言ったんですね。これはコンバットじゃないですよ。コンバットゾーンとウオーゾーンは違いますからね。ウオーゾーンだと言ったわけですね。
 だから、フセインが捕まって状況がどういうふうに変わっていくのか、これはまだ冷静に見ていかなければわかりません。しかし、先ほど私が指摘したように、地域的にはある程度の拡散していく状況は見られるし、また、南のバスラにおいてはイギリス軍に対するテロ攻撃というのは継続的に起こっている、こういうふうに私は認識しています。
 そこで、また防衛庁長官にお伺いしますが、長官は、昨年十二月十五日の特別委員会で、民主党の前原議員の質問に答えて、現在、実施要項を策定中であって、そこでは、活動する区域の範囲というものは、それは非戦闘地域になりますと。つまり、その委員会の段階では言えないというふうに御答弁されていますね。
 その後、十二月十八日に実施要項ができました。そして、陸自に関しては、実施区域はサマワ市を中心とするムサンナ県というふうに指定されています。つまりは、その地域が非戦闘地域であるということです。
 サマワでは現在、戦闘行為が行われていないことは私も事実だと思いますけれども、長官がおっしゃっている、活動の期間を通じて戦闘行為が行われないと認められる、そういう根拠というのはどこにあるんでしょうか。
○石破国務大臣 実施要項策定時のお話をなさいました。
 十二月まで戻って物事を申し上げますと、その時点までに我々が収集した各種の情報、それから、オランダにおいて、あの地域はオランダが治安を担当しております。先般、私はオランダの国防大臣とも随分長い時間お話をいたしましたが、オランダの議会でも同じような議論がございまして、これもかなり詳細なレポートを出しております。それも読ませていただきました。
 例えて言いますと、今も外務大臣から答弁がございましたが、イラク南部の事件発生件数全体の七五%がバスラ県、二五%がマイサン県ということで、引き算しますとムサンナ県は〇%になっちゃうわけですね。パーセンテージでカウントするとそうなるということでございます。
 そうしますと、今まで収集した情報を考え合わせてみて、現在、委員御指摘いただきましたように、戦闘行為は行われていない。では、活動の期間を通じて行われることが認められるか認められないか、正確に申し上げればそういうことです。
 いろいろな諸情報を考え合わせてみて、それは行われないという判断、これはもう諸情報としか申し上げることができません。それを予測を超えてひっくり返すような事態、それがないということは申し上げられません。しかしながら、予測し得る範囲においてそういうことがあるとは認められない、それは諸情報から総合的にとしかお答えができません。
○井上(和)委員 長官、冒頭お伺いしましたけれども、長官御自身が、これは「相当な時間を要する。」ということをおっしゃっているわけですよ。それで、諸情報、それはいろいろな情報源があると思いますね。それで大丈夫だという判断をされる。私は、その判断が根本的に誤りだというふうに思います。(発言する者あり)今その説明をしますから。
 私、実はたまたま、これは国際戦略問題研究所、アメリカにありますね、CSISのアンソニー・コーデスマンという方が書いた論文、これはもう長官は読んでいらっしゃる、外務大臣も読んでいらっしゃるかもしれませんが、「イラクと非対称な戦争」という題の論文なんですけれども、これは非常に詳しく書かれている。内容の中心というのは、サダムの残党勢力、それ以外の外国の抵抗勢力も入っていますけれども、それがアメリカに対抗するための戦略というものに関して分析されているんですね。
 そのことに関してちょっと述べたいんですけれども、まず、そのサダムの残党勢力やそれ以外の抵抗勢力というものは、各地に組織をつくって、ピラミッド形の命令形態をつくって多くの攻撃要員を維持している可能性が非常に大きいというふうに指摘しています。
 そして、攻撃の戦略として、これは幾つかあるんですが、大事なものだけいきましょう。
 まず、実際以上に攻撃の効果を上げることができるような、つまり、非常にメディアの注目を引く、ハイプロファイルということですね、ターゲットを選び、そこを集中的に攻撃する。
 二が、米軍に継続的に犠牲者を出させ、アメリカ国内での政治的な影響をつくり出す。また、これまでも既に起こっているように、連合国や国連やNGO、また業者とか外国の外交官とかを攻撃して、つまり、外国のグループがアメリカ軍に協力させないような態勢をつくる。そしてまた、同様にイラク人も攻撃の対象として、イラク人にもアメリカ軍及び連合国に協力させないようにする。
 そして、さらに攻撃の地域を拡大してアメリカ軍の勢力が拡散するようにさせる。そしてまた、国家再建を行おうとしているイラクの地域を破壊させてアメリカに対する連合国の支持を弱める。
 そして、イラク人の警官を殺す。そしてまた、その警官や米軍に反感をつくり出すような事件を地域で捏造していく。
 そしてまた、攻撃要員が認知されないように迫撃砲やミサイルや地対空ミサイルなどを使用する。また、自爆などを行う。
 そういうことがこの論文には述べられているんですね。私は、これを読んで、これは大変なことだと思いましたよ。
 つまりは、まさしく、こういったサダムの残党勢力、要するにテロ組織の、テロじゃないでしょうね、まあ残存勢力だからこれはテロとは言えないと思うんだけれども、その戦略というのが、日本の自衛隊を、つまりソフトターゲットとして攻撃することによって最も達成することになるんじゃないか、私はそれを非常に危惧しているんですね。
 防衛庁長官、何か御意見ありますか。どうぞ。
○石破国務大臣 委員も長くアメリカにいらっしゃいましてアメリカのことは通暁していらっしゃいますから、いろいろなシンクタンクなり研究所なりがいろいろな意見を出す、正反対の分析というものも、この問題に関してではございませんが、あります。ですから、我々、いろいろな情報を精査しながら何が正しいのか、そして先遣隊が行っており、そしてその前に専門調査団が出、そういうことを分析してやっておるわけでございます。
 委員すべて御存じの上でお聞きのことだと思いますが、国または国に準ずる組織による国際紛争を解決する手段としての武力の行使が行われるということと評価をするかしないかという、今そういう話だろうと思うんですね。それと、危険があるのかないのか。
 つまり、フセインの残党ではあるんだけれども、国またはとても国に準ずる組織とは言えないね、仮に本当にイラクに民主的な政府がつくられてしまったらば、自分たちはとっ捕まって裁判にかけられる、それはたまらぬね、そうであれば、あちらでテロを起こし、こちらでテロを起こし、何とか混乱に陥れてイラクに民主的な政府ができるのを一日でもおくらせようというものであれば、国または国に準ずる者、組織という評価は下されないのかもしれない。
 しかし、主体が何であれ、危険があるのかないのかということを分析したときに、現時点において、そして活動を行う期間において、そういうような危険があるというふうには判断をしていない。
 よしんば危険があったとしても、自衛隊が持つ、今ソフトターゲットとおっしゃいましたが、私は、自衛隊は決してソフトターゲットだとは思っていないのです。そのために、権限、能力そしてまた装備を与えているわけであって、テロに対してソフトターゲットなのかと言われれば、私は、ソフトターゲットだとは思っていません。危険というものは限りなく少ないというふうに判断をしておりますが、よしんばその危険が現出をしたとしても、それを避けるための、あるいは抑止をするための権限、能力、装備、それは、私は私の責任においてこれを与えているということでございます。
○井上(和)委員 もう一回言いますよ。
 つまり、サダムの残党勢力、これが、認識の違いかもしれない。長官は、いや、それは国に準ずる組織ではないとおっしゃるかもしれない。ただ、もともとは国家の組織だったものが戦争に負けた状況があるわけですよ。それは当然抵抗勢力で、十分戦力としてみなしてもおかしくないと私は思いますよ。まさしく、各地に組織をつくって、ピラミッド形の命令系統をつくって、計画性を持ってやっているわけですよ。これはまさしく、いつも長官がおっしゃっている武力の行使の定義に合致するんじゃないですか。
 一つとして、問題としては継続性ですよね。この継続性というのはどういうことなんですか。例えば、自衛隊が何回も攻撃されなきゃこれは武力行使と認めないということなんですか。ちょっとそこを説明してください。
○石破国務大臣 まず申し上げておけば、私どもは、今、サマワにおいて、委員が御指摘のような事実があるということを確認しておりませんし、そのようなものだと思っていません。
 冒頭、先ほどの答弁で申し上げましたように、いろいろな見方があります。仮に、委員がおっしゃるような組織的、計画的なピラミッド組織、そしてまた、国に準ずるような、国際紛争の主体に値するような、そういうサダムの組織があったとするならばという前提でおっしゃるとするならば、そういう御議論もあろうかと思います。私どもとして、今、そのような事実がサマワで発生しているという認識はいたしておりません。
 では、どういうことになったらば継続と言えるのかということでございます。一回では継続とは言わぬだろう。では、二回、三回となればそれはどうなのだ。これは何回で継続性を認めるということにはなりませんです。
 しかし、これが散発ではなくて継続している、それが国に準ずる組織でなければこんな継続はできないのだという判断がなされる時点というのはあるのだろうと思います。これはどう見たって散発的なものではない、その場において偶発的に行われたものではない、国に準ずる組織でなければこんなに継続して行われるはずがない、そういう評価がなされる時点ということだと思います。
○井上(和)委員 私は、私自身の分析で、今回のサマワの地域が戦闘地域になる可能性が非常に多い。だから、まずは自衛隊の派遣をやるべきじゃないということをこの場で申し上げたいんですね。
 それはいろんな解釈がありますよ。大体、アメリカ軍ですら、イラクの状況の半分もつかんでいないわけですよ。三〇%から四〇%しかつかんでいないという数字もあるわけですね。だから、それはもう自衛隊ですらはっきり言ってわからないと思いますよ。もしすべてわかっているんだと思ったら、それは大間違いですよ。そうでしょう。そういう、まるっきりわからない、半分ぐらいしか正確な情報がない中で一体最大限どういうふうにするかということが最も大事なわけですね。
 それで、私は、だからそういうことで、やはり防衛庁長官が今回派遣命令を出したということで本当にその責任が非常に重大、もちろん御自分でわかっていると思いますよ、その責任の重さというものは。恐らく、私が今申し上げたようなことも、当然そういうターゲットになり得るということも十分考えていらっしゃると私は思います、はっきり言って。だから、恐らくそういう準備をしているんだとおっしゃっているんでしょう。
 とにかく、あなたが責任者として今回派遣命令を出した。それで、もし私が今述べたようなことが現実に起こったとした場合は、そして犠牲者が出ちゃった場合に、長官の責任はどういう責任をとられますか。状況分析の誤り、判断の誤り、よくありますね。アメリカでもあります、CIAの情報が悪かったとか。それで済むのかということを説明してください。
○石破国務大臣 私は、責任を回避しようとか、そんなつもりは全くございません。それは、そのようなことだったら防衛庁長官なんかやらなければいいと思っています。
 ただ、問題は、これは何度もお答えしましたが、ありとあらゆる、もちろん委員御指摘のように、イラクで起こっていることすべてが掌握でき、分析ができているわけではありません。しかし、いろいろなルートを使って、主要な戦闘が終結したと言われる時点から今日に至るまで、イラクで起こったすべての事象というものを分析して、それを我々としてどのように考えるか、そういうようなことが起こったときにどのように対処するかということは、私として、そしてまた防衛庁・自衛隊として、考えられるすべてのことは考えました。検討はいたしました。
 例えば、自爆テロに対してどうするんだという御指摘もいただきました。そのことについて、本当に詳細な検討を加えてまいりました。そのほか、報道されていること、されていないこと、それについて、現時点でこれ以上の対策は考えられないということまでやってまいりました。
 これから先も、これで責任を果たしたとか、そのようなことを申し上げるつもりはない。防衛庁長官に課せられておりますイラク特措法九条の義務というのは、この活動が続く限り常に続くものだと思っています。これは本当に日々刻々変わっていくものでありますし、その責任を果たすべく、毎日全力を尽くすということだと思っています。
 起こったときにどうするのかということは、全然責任逃れをするわけでも何でもなく、どういう状況でいかなることが起こったかということについて、それは義務を果たしたのかどうなのかということが問われるのだと私は思っています。
○井上(和)委員 その判断がいかに不正確かということに関して、私は、航空自衛隊の実施区域に関して質問したいんですよ。
 つまり、航空自衛隊に関しては、バグダッドの飛行場も実施区域に入っていますよね。しかし、これは前原議員も先月議論したけれども、バグダッド空港ではたびたびミサイルの攻撃があるんじゃないですか。また、バグダッドでは、まさしく先ほどおっしゃったような非常に多くのテロ攻撃が起こっているわけじゃないですか。それでも、バグダッド空港は非戦闘地域だということを長官は主張するんですか。どういう根拠でそういうことを言われるんですか。
○石破国務大臣 この点は、御指摘のように、前原議員とも議論をさせていただいたところであります。
 バグダッドについてはテロが頻繁に発生している、ではバグダッド空港についてはどうなのかと言われれば、これは、加えられる攻撃、それがどのようなものなのか、地対空ミサイルあるいはそれ以外のもの、それの射程がどれぐらいであり、地上のどれぐらいの地域から、つまり、空港の敷地があり、その周辺何キロとあり、そのどれぐらいから撃たれればそういうことになるのだということを、例えばSA14であればどうだ、SA7であればどうだ、そういうことをすべて分析いたしました。
 そして、バグダッド空港の周辺におきましては、そういうことが起こらないようにということで、周辺の監視、下刈りというのでしょうか、林野ではないから下刈りという言い方はおかしいのかもしれないが、その周辺がどうなのかということもパトロールが行われておるところでございます。
 そうしますと、バグダッド空港においてそのような行為自体があり得るのかということを問うてみたときに、バグダッド市内自体は確かにそのようなテロ等の行為がある、しかし、バグダッド空港自体はどうなのかといえば、それはそういうような地域にはならないという考え方を私どもはしておるところでございます。
○井上(和)委員 同じように、これはモスルの空港も入れていますよね。すべてそういうことなんですか。
○石破国務大臣 基本的に、同じ考え方に基づいております。
 バグダッドでありますとかバスラ、バラド、モスル、そういう飛行場そのものにつきましては、外部からの侵入を防ぐための防護手段により周囲を囲まれた一定の広さを有する隔離された場所であるということであって、外部からの攻撃が飛行場にまで及ぶことは想定しにくい。
 つまり、指定しているのは飛行場なわけですよね。そこに攻撃が加えられるということはその周辺から撃たれるということなのだ、飛行場そのものから攻撃がしかけられたということは現在確認されていない、その隔離された状況というものが飛行場そのものである、そうすると、理屈からいえば、そこにおいて戦闘行為が起こるという判断はされないということであります。
○井上(和)委員 長官、でも現実には、バグダッド空港においてもミサイルが発射された例があるんじゃないですか。それはどういうふうに説明するんですか。
○石破国務大臣 飛行場周辺というのは、そもそも実施区域には指定をしておらないところでございます。したがいまして、飛行場自体には指定をすることが可能だという考え方をとっておるわけでございます。
○井上(和)委員 ちょっとよくわからないんですね。つまり、周辺からミサイルを発射されたわけでしょう、現実に。そうでしょう。ちょっと確認してください。それが当たったわけですよね。被弾しているわけですね。
○石破国務大臣 これはバグダッドの例を御指摘なのだと思います。そういうようなDHL機あるいはギャラクシーかな、輸送機、そういうものが被弾をしたという事実は今まで確かにございます。しかしながら、被弾をしたという事実あるいは被弾をした場所、そしてバグダッド空港そのもの、それをどのように考えるかということだと思います。
 いずれにいたしましても、バグダッド飛行場そのものを非戦闘地域に指定するということと、では実際にバグダッドから飛び立った飛行機が当たったじゃないかということとは、また別の判断でございます。
○井上(和)委員 今のような長官の答弁だったら、自衛隊機はバグダッドに行かない方がいいですよ。そうでしょう。飛行場の近くだったら大丈夫だけれども、それたら被弾する可能性があるという。そうでしょう。そうじゃないんですか。私、今の長官の答弁だったら、とても自衛隊員は安心して……。
○石破国務大臣 実際にどの飛行場を飛ぶかということは、これは昨日の議論まで戻ってしまいますが、条文第九条の、派遣される自衛隊に対する安全確保義務というものをどう判断するかということです。
 つまり、どの飛行場にどのように飛ぶのか、現在その飛行場がどのようになっているのか、どのような攻撃が行われているのかというような状況は、これはコアリションとして常に情報が流れます。詳細を申し上げることはできませんけれども、それぞれの飛行場において現在どのような状況であるのかという情報、それは当然、飛ぶ飛行機、これは日本だけに限りません、すべての国が共有をするものでございます。
 したがいまして、どこへ飛ぶかという判断、そしてまた、最初の状況はそうであったとしても、状況が突然変わるということもあり得ます。そうすると、そこへはおりないという判断も当然あるわけでございます。その地域を非戦闘地域として指定するということと、そしてまた安全確保ということは、これはまた違った次元の議論です。
 これはもう報道に随分出ていることでございますけれども、その空港にどういうようなおり方をするか、どういうような飛び方をするか、それにもかかわらず攻撃があった場合にどのように回避するのか、そういうことにつきましてもいろいろな手段を講じておりますが、そもそもそこにおりるのかおりないのかということも含めまして、安全の確認というのはしておる。ですから、バグダッド飛行場に常におりるのかと言われれば、それは常におりるということではないのであります。
○井上(和)委員 まるっきり、そうしたら非戦闘地域の定義じゃないじゃないですか。状況によって変わるわけでしょう、戦闘地域か非戦闘地域かは。非戦闘地域は、活動の期間を通じて戦闘が行われることがないというふうに予測されるから非戦闘地域と言っているわけでしょう。今の長官の答弁だったら、状況が変わってすぐに戦闘地域になっちゃうわけじゃないですか、バグダッド空港も。
○石破国務大臣 その活動を行う期間において戦闘行為が行われると認められないので、指定をしているわけでございます。
 そして、それが国または国に準ずる……(発言する者あり)質問にお答えをしますので、恐縮ですが、先生から質問を受けておりませんので。恐縮です。
 そういう問題と、国または国に準ずる者からの攻撃であろうがなかろうが、とにかく危険を回避しなければならないということが、飛び方の問題であり、飛行情報の入手であり、そしてまた、どのような空港におりるかという日本独自の判断であるということにかかわるものでございます。これは戦闘地域なのか非戦闘地域なのかということにかかわる問題ではございません。危険をいかに回避するかということであって、それが戦闘行為であろうがなかろうが、それを回避するということは当然のことであり、そのことについて義務を果たすということは当たり前のことでございます。
 ですから、それは混同しておるということではございません。そのことによって、非戦闘地域が戦闘地域に変わったり、戦闘地域が非戦闘地域に変わったりするようなものではございません。
○井上(和)委員 でも、それは言葉の定義であって、実態は違うでしょう。
○笹川委員長 委員長が指名をしてから発言してください。
○井上(和)委員 済みません。ちょっと興奮いたしました。
 いや、実態は違うでしょう。きのうの筒井議員のときの議論と同じになりますよ。一体だれがミサイルを撃ったかなんて、それが、国に準ずる組織がミサイルを撃っているのかわかるんですか。私は、答弁は非常におかしいと思いますよ。
 だから、ミサイルを、まさしくいつも長官がおっしゃっているような、国に準ずるような勢力が武力行使として撃っているのかどうか、わかるんですかね。わからないでしょう。だから、つまりはもうバグダッドは戦闘地域なんだと、本来は。そうなんでしょう。そうですか。バグダッド空港は非戦闘地域なんですか。
○石破国務大臣 先ほど、DHL機あるいはギャラクシーの例を申し上げました。誤解を与えるといけませんので申し上げておきますと、自衛隊機でございますC130と同じタイプのものに対して攻撃がしかけられたという例はございません。それはございませんということを事前に申し上げておきたいと思います。
 委員の御質問にお答えをすれば、イラクを、ここは戦闘地域、ここは非戦闘地域というふうに分けるような作業というものは、そもそもこの法律において予定されているものではございません。ここは戦闘地域、非戦闘地域と分けるのではなくて、自衛隊が活動する地域は非戦闘地域でなければならないということでございます。
 そうしますと、バグダッドが戦闘地域なのか非戦闘地域なのかということが我々の議論として求められているわけではない。少なくとも法律の仕組みとしてそうではない。バグダッド空港は非戦闘地域として指定をしているということが事実として申し上げられるわけでございます。
○井上(和)委員 いずれにしても、バグダッド空港は非戦闘地域と指定されてはいるけれども、ミサイルが飛んでくる可能性は十分ある、そういうことをおっしゃっているわけですね。――それでは、ちょっとほかの、最後、大事な問題が残っているので。
 今回の派遣中に自衛隊員が例えば誤射をした場合、イラク人民を殺傷する可能性がないということは言えませんよね。私が先ほど申し上げたCSISのレポートにも、逆にそういう状況を引き起こすような仕掛けをしてくる、そういう状況をつくり出すような、要するに暴動を故意に起こしたりする、そういう可能性もあるということを指摘しているわけですね。だから、当然、自衛隊員がイラクの人民を殺傷する可能性は可能性として私はあると思います。
 そういった場合に、誤射した自衛隊員の責任というのはどういうものなんでしょうか。どういう法律で裁かれるのか。また、誤射された遺族が損害賠償を求めたときは、これはどういうふうに、だれが払うのか。どういうことなんでしょうか。ちょっとそこの解釈をお願いします。
○石破国務大臣 これは委員も法律をよく御存じだと思いますが、どういうような状況でそれが生じたのか。誤射というのが、例えば過剰防衛という形であったのか、誤想防衛という形であったのか、それとも故意に基づくものであったのか。恐らく、誤射とおっしゃいますので、それは過失犯の場合なのだろうというふうに思っております。
 そうしますと、これは過失の場合にはどのような規定になるかといいますと、隊員の行為が殺人罪、殺人未遂、傷害または傷害致死罪に当たる場合は我が国の刑法が適用される。これは国外犯規定に基づくものでございます。
 当該隊員の行為が業務上過失致死罪に当たる場合には云々かんぬん、これは我が国刑法の適用がない、我が国の船舶または我が国の航空機内で行われたものでない限りというような規定がいろいろあるわけでございますが、その誤射というものが今の申し上げました例に当たるという場合には、かなり誤射である場合には難しかろうと思いますけれども、今申し上げました法的評価がなされるという可能性があります場合には隊員の責任が問われることもあり得るという、あくまで可能性の問題でございます。その状況というものがどういうものであるかということは、それぞれにおいて判断をされるものでございます。
 損害賠償の場合には、これは相互保証がなされているかなされていないかということによります。つまり、同じことが日本人に対して行われた場合にその国でも同じことが行われるのだろうかということで、お互いに同じような立場に立っているという相互保証の立場に立った場合には、そういうことが起こり得ます。このことについてイラクにおいてどうなるかは、これはきちんとした確認をしなければならないということで、現在、作業を急いでおるところであります。
 しかし、いずれにしても、仮に誤射によって、万が一本当に過失によって撃ってしまった、過失だから国外犯の規定というものは適用されないにしても、働き手を失ってしまって一家の方々がお困りになっている、そういうような状況において、では日本国として見舞金のようなものを払わないのかといえば、それはそういうことはあり得る、相互保証がないから全く何もしないというようなことにはならないというふうに現時点では考えておるところでございます。
○井上(和)委員 今答弁されたような状況になる自衛隊員は、私は本当にお気の毒だと思いますよ、それは過失であれ業務上過失致死であれ。既に、私がさっき申し上げたように、そういう状況が十分起こり得るということが指摘されているわけですね。
 そういうわけで、私は、今回の自衛隊員の派遣というものは本当にやめた方がいいと思います。今からでも遅くはない。――何ですか、追加。
○石破国務大臣 もちろん、いろいろな御心配をいただき、委員のお考えに基づいて反対されるという御提案は、私どもとしてお聞きはいたしました。しかし、連日のテレビ報道で御存じのように、本当に圧倒的な市民たちから、自衛隊、来てくれてありがとうといって歓迎をされているという状況、これは私ども、その期待にこたえる義務があるのだろうと思っています。
 あわせまして、私どもは、治安の維持ということを任務としているわけではございません。人道支援ということを中心として行う、そして、その支障のない範囲において安全確保活動の支援活動を行うということを申し上げている。メーンは人道支援であり、そのことについて非常にサマワの人たちの期待が高い。それにどうやってこたえるかということに隊員たちは今一生懸命努力をしておるわけでございます。
 そういう状況は極めて起こりにくいことでありますし、そういうことが起こらないようにROEというものを定め、こういう状況になったらどう判断するのかということをみんな本当に日夜歯を食いしばってやってきたのが私どもの自衛官たちであります。そういう状況は極めて起こりにくい。万が一起こったときには、適切に法に従ってこれは対処を行うということでございます。
 以上です。
○井上(和)委員 サマワの人たちが期待しているのは、これはやはり、失業率が五〇%を超えるような高い失業の状態があるから、恐らく自衛隊が仕事をつくってくれるだろうということを期待しているんだと思うんですよ。だけれども、実際に自衛隊がそんな仕事をつくってくれるんですか。これは質問には言っていないですけれども、雇用をつくってくれるんですか。
○石破国務大臣 自衛隊だけで現地のニーズを満たすような、すべての方が満足するような、そのような雇用ができるなどという大それたことは当然考えておりません。自己完結を基本とする組織でございますから、そもそも大勢の方をお雇いするというようなことが組織としてできるものでもございませんし、そのようなことが法によって期待をされているわけでもございません。
 それは、我々防衛庁そして外務省、協力しながら、どうやって雇用を創出していくかということであり、委員御懸念のように、自衛隊に対する期待が失望に変わるというようなことがないように、それは政府として全力を挙げていくのは当然のことでございます。
○井上(和)委員 例えば、医療支援の内容を私は見させていただきましたけれども、病院の機材の管理とか指導とか、医師の指導とか、そういうことですよね。だけれども、今、現地のニーズというのは、医薬品が非常に高くて手に入らない、病気になっても薬が買えない、そういうニーズですよね。そういうニーズにどうやって対処するか、そういうことが大事なんだと思うんですよ。私は、やるんだったらそういうことをやっていただきたいと思いますけれども、何かありますか。
○石破国務大臣 当然、現地で何が足りないのか、何を求めているのか、全くニーズに合わないものをやったって、それは何にもならないわけですよ。
 何が現地のニーズなのかということは、本当に現場に行って日々彼らと接している自衛官たち、あるいは外務省の職員、それが適切に把握をしておるはずでございます。そのニーズにきちんとこたえることがどれだけできるか、そのために隊員たちは真剣に努力をしておる。どうか、御理解をいただき、御支持をいただきたいと思っております。
○井上(和)委員 質問を終わります。
○笹川委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。
 次に、平岡秀夫君。
○平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。
 きょうは、補正予算の審議ということでございますので、幾つかいろいろ聞いてみたいと思っていることがあるんですけれども、その中でもある程度ちょっと絞って聞いてみたいというふうにまず思っております。
 補正予算の予算書をいろいろ見てみますと、従来にないようなことが起こっているというようなことも見受けられるわけでありますけれども、例えば平成十五年度補正予算では、日銀の納付金が減額補正されているということで、三千九百八十八億円減額され千九十六億円になっている、こういうことが見られるわけであります。
 これは、当然、平成十五年度の日銀の決算の状況を踏まえての対応だろうと思いますけれども、平成十五年度上半期決算を見てみますと、日銀では千百二十六億円の損失金が発生しているという状況であります。
 半期ベースで見た場合は、この事態というのは、ニクソン・ショックがあった昭和四十六年下半期以来のことであるということで、極めて珍しいといいますか、レアなケースであるということでありますけれども、我々は、こうした事態がどうして生じたのか、あるいはこのことが日銀の財務の健全性を損ねることになってしまうのではないか、ひいてはさまざまな問題が生じてくるのではないか、こういう観点から、日銀に、財務の健全性あるいは金融政策の持続可能性といったような視点に立って質問をしてみたいというふうに思っている次第でございます。
 そこで、まず最初に、日銀の平成十五年度決算見込み、そして、その見込みというものがどのような要因でそのようになってきたのか、この点について日銀総裁からお伺いいたしたいと思います。
○福井参考人 お答えを申し上げます。
 十五年度上半期の日本銀行の決算は、委員御指摘のとおり一九七一年下期のニクソン・ショックのとき以降、二度目の赤字となりました。金額も、おっしゃいましたとおり、当期で千百二十六億円の赤字でございます。下期は、現在経過中でございますけれども、現在の状況を見ておりますと、赤字にならない、黒字になる見込みでございます。そうしますと、通期でも、つまり十五年度通期でも黒字を維持できるんではないかというふうに考えております。
 なお、上期、赤字でございましたけれども、自己資本の状況等から見まして、直ちに財務の健全性に問題が生じるわけではないというふうに認識をいたしております。
○平岡委員 私の質問にまだちょっと答えていただいていない部分があるんですけれども。なぜそういう決算の状況になってきたのか、日銀の金融政策との関連でもう少し詳しく答弁していただきたいと思います。
○福井参考人 大変失礼いたしました。
 日本銀行では、今、金融の超緩和ということを進めておりまして、市場にたくさんの流動性を供給するために多額の資産を購入しておりますが、日本銀行の帳簿をごらんいただきますと国債の保有額が非常に大きくなっております。長期国債の保有額が六十兆円を超えております。これは市況の変動を伴うものでございまして、市況の変動によって日本銀行の帳面の上で損失が出たり利益が出たりする。上半期は国債の相場に値下がり変動がございました。その影響で損失が大きく出たということでございます。
○平岡委員 今、多額の資産の購入ということで、国債の保有高が六十兆円を超えるというふうなお話がありましたけれども、日銀の資産がGDPに占める割合という面で見ると、過去は大体、半世紀近く一〇%ぐらいだったのが、最近になって三〇%ぐらいまでになってきているという、極めて、ある意味じゃ異例の状態になってきているというふうに思っているんですけれども、では、そういう状態になりながら、本当に日銀の今の金融政策というものが効果を上げているのかという点についてちょっとお伺いしたいと思うんです。
 二十日に日銀が、金融政策決定会合で、銀行の日銀に持っている当座預金口座の残高について、これまで二十七兆から三十二兆円程度までということを、三十兆円から三十五兆円程度までということで引き上げるということを決定されておられますけれども、そのときに日銀総裁は、量的緩和というのはデフレ対策として一定の効果があるんだという趣旨のことを述べられているというふうに伺っております。
 ただ、この点については、これまで日銀当局の方では、量的緩和政策というのは、金融機関の流動性不安をぬぐい、景気の底割れを防ぐ上で大きな役割を果たしたけれども、景気とかあるいは物価を押し上げる効果については確認できていないんだ、そんな説明をしておられたんではないかというふうに思うわけであります。
 そういう意味で、今回、日銀の方で量的緩和政策が効果が上がっているというふうに評価されるに至った理由、これを説明していただきたいというふうに思います。
○福井参考人 お答えを申し上げます。
 デフレ経済からの脱却の過程というのは非常に複雑でございまして、経済の主役は民間企業、そして民間の金融機関、これが積極的な行動をとってもらえる状況に持っていくというのが最終的なゴールでございます。言ってみれば、企業、金融機関のリストラを促し、そして、より前向きの行動がとれる段階まで持っていく、そのために必要な金融面の環境を十全が上にも十全に整える。
 より具体的に申し上げますと、短期及び長期の金利というものをできる限り低くして、リストラないしは新しい行動を企業が行う場合のコストを最小限にする。それから、金融市場の中におきます資金ニーズを隅々にまで探り当てて、タイムリーに資金を供給していくことによって、金融市場の中にさまざまなショックが持ち込まれたときにそのショックを非常に早く吸収するような条件を整える。
 したがいまして、企業や金融機関が苦しいリストラ努力あるいは前向きの体制を準備する場合に、さまざまな不安要因が市場に起こってそれが妨げにならないようにしていく。こういうふうに少し回りくどいやり方にならざるを得ないのがデフレ経済のもとの状況でございます。
 こうしたことを今までやってまいりまして、最近では、金融市場でショックが起こる、例えば足利銀行のケースが起こるといった場合にも、ショックの波は瞬間的に消える、非常に短い期間に消えるというふうに、金融市場の落ちつきは確保させていただいております。
 それから、企業におきましても、過去の借金の返済、最近は大企業、製造業を中心に次第に前向きの投資も始まろう、現に始まりつつございます。これらはやはり、こういった低利の資金コスト、そして落ちついた金融環境というものの支えがあってここまでようやく来たというふうに思っています。
 金融機関の不良債権の処理につきましても同様のことが言えるわけでございまして、これまでのところ、量的金融緩和効果というものは、あれほど厳しい状況にあれば、通常、物価が下がり始めますと限りなく下がる、デフレスパイラルになる、これを抑えてきた、そういう意味で下支え効果があるというふうに申し上げてまいりました。経済が下に突っ込もう、突っ込もうとするときには、それを一〇〇%折り返していくのを押し上げるというところまでこれまで効果を持っていなかったというふうにも申し上げてまいりました。
 しかし、委員御承知のとおり、最近は日本経済も少しずつ回復の方向に向かって、いい動きを示してきております。企業も条件の整ったところから新しい投資を始めようとしています。金融機関の方も、不良債権の処理がある程度進んだところから順次、今は新しい貸し出しの機会を求めるという前向きの動きに変わってきております。
 こういう段階になってまいりますと、量的緩和効果というのは、経済全体を後ろから支援して前に進める効果を持ち始めるというふうに私どもは確信いたしております。したがいまして、つい先般の政策決定会合で、若干ではございますが、さらに流動性の追加供給措置をとらせていただいた。経済全体に新しくていい芽が出てきたときに、これを大切に育てようという強い決意でございます。
○平岡委員 量的緩和政策に対してみずから高い評価を与えているようでありますけれども、実際、昨年十二月のマネーサプライの状況というのを見てみますと、季節調整済みの三カ月前比年率でいくとマイナスの一・二%という状態になっているわけですね。
 量的緩和政策をとっていると言いながらもそのような状況になっているということについては、政策をとっているといっても実際にはそれが本当に機能しているわけじゃなくて、別の要因で今言われたような効果が上がっているんじゃないかというような指摘もあるんだろうと思うんですけれども、このマネーサプライの、先ほど言いました季節調整済み三カ月前比年率でマイナスとなっている理由と、そして、それに対して一体日銀としてはどのように考え、どのような対策を講じる必要があると、あるいは日銀だけではなくて政府全体も含めてなんでしょうけれども、政府に対する注文も含めて、お考え方を示していただきたいというふうに思います。
○福井参考人 お答え申し上げます。
 先ほどちょっと申し上げさせていただきましたとおり、今日本が置かれているようなデフレの状況のもとにありましては、金融緩和政策が効果を浸透していく過程が複雑だというふうに申し上げました。私どもも、一刻も早くマネーサプライの増加に我々の緩和政策がつながっていくことを強く期待している点に変わりはございません。
 普通の経済状態であれば、これほど緩和をすれば、企業の資金需要が起こり、金融機関の貸し出しがそれに直結して、非常に早い段階からマネーサプライがふえるという状況になるわけですが、デフレから脱却の過程においては、もうワンクッション入るということでございます。
 つまり、企業は過去の借金を、過剰な借金を返し、そして新しい投資を手がけていく。金融機関の方は、不良貸し出しを回収したり、あるいは不良債権の処理のために貸出債権を処理し、残った預金と相殺するというふうな形で、一たんバランスシートを縮小しながら、新しい資金需要に応じる段階からまたバランスシートを健全に今度は膨らませていく、こういう過程で、したがいまして、収縮する過程と新しく伸ばしていく過程とが、収縮の過程が時間的には先行しながら進んでいく。
 今は、引き続き企業は過去の借金を返しておられる度合いが強い。金融機関の方もようやく新規の貸し出しに前向きの姿勢をとろうとし始める段階に入ったということでございますので、当面のところ、ネットで見たマネーサプライの伸び率が低いのは当然であり、これは、民間部門のいわばリストラ、構造改革が進んでいるという、デフレ克服の過程の苦しいプロセスがしかしながら着実に進んでいるということを示しているものだというふうに理解しております。ある時間がたてば必ずこれはマネーサプライの増加につながると思っております。
 なお、正確に技術的なことを申し上げますと、ごく最近のところ、マネーサプライの伸び率が低い、そして季調済みの三カ月前年比ではマイナス一・二%になっている、委員の御指摘のとおりでございます。ここは少し技術的な要因もございまして、最近は、企業もあるいは個人の方々も、単純に預金で持つというよりは、資産を例えばほかの国債で持つというふうな形でシフトさせておられる部分もある。これも新しい、将来に向かっての金融の動きの芽生えだと思いますけれども、これは預金というベースでとらえたマネーサプライがほかの形の金融資産に移っているということでございまして、したがって、マネーサプライ、M2プラスCDというような形で見た場合の数字の鈍さに比べますと、国債まで含めた広義の流動性はそれほど変化がしていないということも言えます。これは技術的な理由でございまして、前半の理由の方が非常に重要な点でございます。
○平岡委員 金融政策、非常に難しい環境の中で行われているということで、いろいろ苦労されておられるんだろうと思いますけれども、やはり日銀がしっかりと頑張っていただくということ、日本の経済においても必要だろうということで、今後とも慎重かつ果敢に日本経済のかじ取りをしていっていただきたいということはお願いしたいと思うんです。
 もう一つ、日銀納付金というのは、いろいろ収入から経費を引いて出した収益というものを基本にしてできるわけでありますけれども、日銀自身の経営の合理化というものが果たして進んでいるのかどうかということについても聞いておきたいというふうに思うんです。
 日銀は、とかく高給取りであるとか、あるいはかつて、支店長宅が広大な支店長宅であってかなり経費を使っているんじゃないかとか、経費のむだ遣いも含めていろいろ指摘されたことがあったと思うんですけれども、特に、役職員給与の問題あるいは支店統廃合の問題といったような経営の合理化について、日銀としてどのように取り組んでいるのか、ここで御紹介していただきたいというふうに思います。
○福井参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、もし日銀の経営が非効率であり、したがって、経費が非効率に使われているがゆえに金融政策に資源を十分割く余裕を失っているということであれば、日本銀行の経営上、重要な責任問題だというふうに考えております。
 そういう点からいきますと、経営の合理化という点で一貫して我々は努力をさせていただいているというふうに思っております。日本銀行法第五条に定められております適正かつ効率的な業務運営ということを我々は常に意識しておりますし、政策委員会でも、この点を強い精神的なバックボーンとして日ごろの経営を点検しているという状況でございます。
 その時々の社会一般の情勢に適合するように、総人員の面でも、そしていわゆる役職員の給与の面でも調整を重ねてきているということでございまして、人員の方では、これはもう人員削減は日本銀行は長い歴史を持っております。戦後のピークに比べますと、現在は、全体で約半分、支店によっては三分の一の人間でやっています。機械化、コンピューター化の成果をフルに人員の面に反映させる、これは誇りを持って言えることでございます。最近の五年間でも、その上にさらに五百人以上人員削減しております。約一〇%減らしております。
 経費の面でも、特に役職員給与の調整は、下方調整ということで、ここ数年かなりの努力をしておりまして、五年間で約二割程度の総人件費の削減をしているというふうなことでございます。
 それから、組織の面でも、本店組織をなるべくフラット化しようという努力を引き続きしておりますが、支店の方でも、これは個々に御理解を得るのは大変な、難しい問題なんですけれども、昨年度は小樽におきまして、地域の御理解を得まして、小樽支店の廃止にも踏み切っております。
 今後とも、中央銀行として質の高い業務やサービスの提供ということで、効率的な運営体制を目指してまいりたいというふうに思っています。
○平岡委員 次は、外為特会の問題に移りたいと思います。日銀総裁はどうぞ、結構でございます。ありがとうございました。
 外為特会、今回の補正予算の中身を見てみますと、外為特会での借入限度額の引き上げということが行われております。当初予算で七十九兆円のものを百兆円に上げようということですけれども、この七十九兆円そのものも、ここ数年間急速に上がってきているという状況にありますし、今回も大幅な引き上げになっているということでありますけれども、これは当然、為替介入をすることによって必要となる円資金の調達ということになっているんだろうと思いますけれども、これほど多額の借り入れをするということになりますと、外為特会あるいは日本経済が大きなリスクを負うことになるんじゃないか。つまり、調達資金コストとそして外貨資産の運用利回りといったような逆転現象の問題といったようなことを考えると、いろいろなリスクを抱えてしまうんではないかという問題が一つあるんだろうと思います。
 そういう意味で、その問題について答えていただきますとともに、適正な外貨準備高というのは一体どのように今考えておられるのだろうかということについてもあわせてお尋ねしたいと思います。
 というのも、日本の外貨準備高というのは世界で一位の外貨準備高で、二位の中国の四千三十三億ドルを大きく引き離しているという、こんな状況にあるわけであります。かつては、外貨準備高の制約によって日本の経済の成長が阻害されるといったような要因もあり、それなりの外貨準備高を用意しておくということは必要なことであったのだろうと思いますけれども、そういう視点も含めて、適正な外貨準備高について、今、外為を所管している財務省としての、財務大臣としての見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○谷垣国務大臣 今平岡委員がおっしゃいましたように、この補正予算で外為特会の借入限度額の引き上げをお願いしているわけでございます。
 そこで、これだけ大きくなるといろいろなリスクをしょい込むのじゃないかというお問いかけでございますが、まず、借入金にかかるコスト、利子負担、これは外貨資産の運用から生じる運用収益などによって賄われているわけでありますが、今のところ、数字で申し上げますと、十四年度の例をとりますと、運用収入が一兆八千九百七十八億円上がっておりますが、借入金利子はマイナスで二十七億円ということでございまして、決算剰余金、一兆七千三百五十三億円の決算剰余金が出ておりますので、この面で外為特会の運営に支障が生じているということは言えないのではないかと思います。
 そこで、外為特会の今度は評価損みたいなものがあるんじゃないかということでありますが、現時点での評価損、平成十五年度末で約八兆円評価損というものがあるのは事実でございます。一方で、外為特会の運用しております運用益が平成十五年までで累計見込み約二十八兆円ございますので、これも評価損を大きく上回っている現状でございます。
 それから、評価損が現実化してくるというのは、現在の為替レート、一ドル百十五円ということを想定しているわけですが、これで保有外貨資産を全額売却した場合にこの八兆円というものが現実化してくるわけでありますが、それは、外貨準備というのは持っていることに意味があるわけでございますので、こういう現実化してくるというのはやや想定しにくい状況でございますので、この面からも、今大きなリスクはないのではないかと思っております。
 そこで、最後に、どのぐらいの外貨準備を持っているのが適切かということでございますが、これは、その時々の国際収支の状況であるとか、いろいろな国内外の金融情勢などによって必要となる規模はさまざまでございますから、余り固定的に、このぐらいという、あらかじめ適正規模を想定しているわけではございませんが、今確かに、平岡委員がおっしゃいましたように、日本の外貨準備高は二位の中国よりも多い、世界最高の水準になっておりますが、それぞれの経済規模との比較から考えますと、今我が国の外貨準備高が特に高いということではないというふうに考えております。
○平岡委員 ある意味では、私は、外貨準備高がどのぐらいあるべきかということについての論議というのは、今の日本の経済の中では余り大きなウエートを占めない議論なのかもしれないなというふうには個人的には思っているわけですね。
 ただ、今の状況を見てみますと、為替介入というのが非常に巨額に行われているという、この日本の政策当局の行動というものが外貨準備高にはね返っているという意味においては、為替介入についての基本的な考え方というのが我が国はどういうふうになっているのかというところの方がむしろ問われるべきなのかもしれないというふうに思っているわけであります。
 ほかの先進国では為替介入というのを基本的には行っていないという状況の中で、我が国が多額の為替介入を最近行っている。これについて、我が国の為替介入の方針と、それから一体どこまでならできるのか。このように七十九兆円、百兆円まで借入限度額を上げなきゃいけない、これがまた来年度予算になってくると、さらにたしか百四十兆円まで上げよう、そういう提案になっているわけでありますから、その辺についての、為替介入の方針と限界という点についての財務大臣の御見解をお示しいただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 市場介入は、市場の投機的な動きに対応する、あるいはオーバーシューティングとか乱高下、こういうものを規制するということが目的でございまして、それを超えて、特定の水準を維持しようとか、あるいは意図的に一方に、例えば円安を誘導しようとしたりするということを、これはできるわけではありませんし、またそれを行うことを目的としているわけではございません。
 それで、諸外国と比べました場合に、我が国の場合、輸出入に占める外貨建て取引の比率が大変高いわけでございまして、急激な為替の変動が企業収益等に与える影響も大きいという構造になっておりますので、介入によって市場の投機的な動きを抑制していくということが、企業のビジネスマインドとか、あるいは消費者のセンチメントといいますか、そういう実体経済のマイナスを払拭していく上で、意味がほかの国と比べて若干違うところがあるのではないかなと思っております。
 それから、近年非常に大きくなっているではないかという今の御趣旨でございましたけれども、昨年来為替市場で起こっておりますことは、イラク情勢とかあるいはテロ懸念といった地政学的リスクが、ある意味では、過度にという言葉を使っていいのかどうかわかりませんが、非常に注目をされまして、本来からいえば、今、米国経済というのは世界経済の中でも一番しっかりした足取りをしているんじゃないかと思いますが、それにもかかわらず、思惑といいますか投機的なドル売りの動きが強まっているという面がございまして、そういう投機的な動きに対処していくために結果的に介入額が膨らんでいるという面があるのは事実でございます。
 そこで、介入の限度というのはどういうものかというような御趣旨が今あったと思います。
 介入の円資金調達のために政府短期証券を用いているわけでございますけれども、これは、余り巨大になりますと、こういうものの市中消化が難しくなるというようなことが理論的には懸念されるわけでございますけれども、現在のところ、短期金融市場における政府短期証券、これは中核的な金融商品として幅広い需要が現にあるというふうに思っておりまして、その消化に特段の障害が生じたり、介入の制約要因となっていることはございませんので、その点、今特に心配をしているわけではございません。
○平岡委員 今、財務大臣、為替の介入の話として、投機的な動きに対応するということを大きなものとして挙げられたわけでありますけれども、これだけ根雪のようにずっと外為特会の借入残高が続いているということは、ただ単に投機的な動きに対応するというよりは、もっともっと、何か非常に政策的意図に基づいてこういう状態が続いているというふうにしか考えられないような気がするんですね。そういう意味で、そもそもの、外為特会というよりは、為替介入のあり方、外貨準備のあり方というものを、今の時代に応じて基本的に、根本的にやはり考え直していく必要があるのではないかというふうに思うんです。
 そうしないと、例えば、昨年の十二月の二十六日に、日銀と外為特会、財務省との間で「外貨債券の買戻条件付売却について」という合意がなされて、これに基づいてかなりの金額が外貨債券の購入という形で日銀から外為特会に円資金が行っている。これは、ある意味では借入限度額を国会の議決に係らしめていることの脱法行為ですよね。
 こんな状態を生じさせているということ自体が、何か私は、今まで基本的な制度の見直しを怠ってきたことのツケになっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういう視点から見たときに、どのようにこれからの外為特会のあり方についてお考えかということをちょっとお示しいただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 先ほど申しましたように、昨年の介入の額がかさんでいる原因は、地政学的要因やそういう市場のセンチメントに対応する結果膨らんだという認識をしているわけでありますが、今おっしゃった、昨年十二月に政府と日銀との間で、外貨債券の買い戻しつき売買の合意をしているわけであります。
 これは、今、特会の予算総則で借入金の限度額を決めていることの脱法行為じゃないかという御指摘がございましたけれども、ああいう形で限度額を決めているということは、一定以上の借入債務を行政の裁量によって負担するということはやはり規制していこう、そういう行政の裁量だけで外為特会の運営が不健全に陥らないようにしようというのが、国会の議決で定めている理由だろうと思うんですね。
 今回、日銀と保有米国債の買い戻しつき売却をしたわけでありますが、これは外為特会が持っている米国債の売買でございますので、外為特会で新たな債務を負うものではないわけであります。したがって、総則でこういう限度額を定めている制限には抵触しないんじゃないかというふうに考えております。
 また、過去にこのような形の取引を行ったこともございますが、その場合にもこういう考えに基づいて行ったということでございます。
○平岡委員 今の考え方、説明を突き詰めていったら、これはぐるぐるぐるぐる外為特会と日銀との間で、外貨建て債券の売買を通じて幾らでも日銀から円資金の調達ができるということになってしまうわけでありますから、これは、やはり私は基本的に制度の問題があると思いますね。そもそも、基本的な外為特会のあり方について十分に検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 そこで、総理が来られましたので、次の問題に移らせていただきたいというふうに思います。
 昨日も、民主党の同僚議員の方から、鳥インフルエンザの問題あるいはBSEの問題ということで指摘がございました。いろいろな議論がされておりますけれども、私は、きょうは鳥インフルエンザの問題について限定してちょっと質問させていただきたいというふうに思っております。
 今回の補正予算の中でも、低温による水稲への被害といったような関係で補正予算が組まれておるわけでありまして、それなりに、いろいろなところで農産物に対して被害が生じた場合にはそれを救うという仕組みがそもそも用意されているものもあれば、BSEのときのように全く用意されていなくて、そのときに特別な措置で対応していったものというものもあるわけでありますけれども、この鳥インフルエンザの問題について言うと、日本では今現在、山口県の阿東町で一件ほど生じただけということで、まだ全国的な問題になっているわけではございません。しかしながら、アジア各国を見てみるとかなりいろいろな問題が生じているということで、この問題についてはやはり我が国としても真剣に対応を考えておかなければいけない、こういう問題だというふうに私は思っているわけであります。
 過去のBSEの経験というものがあるわけでございまして、そういう経験を踏まえて、政府がこれからどのような対応をしていくべきなのかということについて、特に消費者対策あるいは生産者対策についてどのような基本的認識に立って対処をしていくべきかということについて、まず総理からその所感をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○小泉内閣総理大臣 鳥インフルエンザによって、鳥肉に対しての不安というんですか、安全性について多くの国民が懸念を持っておられると思います。
 今のところ肉や卵によって人に感染したという事例はないということでありますが、食品に対する安全確保ということに対しては、BSEの問題につきましても、かなり、生産農家に対しても、また消費者に対しても、流通業者に対しても大きな被害を与えた、また、国民にも不安を起こしたということで、より一層、食品に対する安全対策に対しては、今までの対応でいいのかという反省のもとに強化してきたところでございます。
 こういう経験も踏まえまして、今後、この問題につきましては、国民に不安あるいは混乱が起きないようにしっかりした対応をしていかなきゃならない。また、この原因究明も含めて、これがどういう形で進展していくのか、また安全対策はどうあるべきか、あるいは被害を受けた方に対する手当て等どうあるべきか、総合的に勘案して、不安や混乱を起こさないようなしっかりした対応をしなきゃいけないというところで、担当大臣にその指示をしているところでございます。
○平岡委員 総理が非常に真剣に受けとめていただいているということに対して感謝を申し上げるとともに、その指示に従ってしっかりとした対策を関係省庁でとっていただきたいということをまずお願い申し上げたいと思いますけれども、この問題に関してちょっといろいろ質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、この鳥インフルエンザについて言えば、国内ではまだ一カ所しか発生していないということでございますけれども、この山口県阿東町で発生した鳥インフルエンザについては、発生原因が何であったのかということについてしっかりと究明していかなければいけない。このことが二次発生を防いでいくということにもつながるというふうに思うわけでありますけれども、発生原因の究明状況、あるいは今後の見通しについてはどのような状況か、これは農水大臣にお尋ねしたいと思います。
○亀井国務大臣 お答えいたします。
 感染原因、感染経路につきましては、十五日に開催をいたしました食料・農業・農村政策審議会の家きん疾病小委員会におきまして、鶏の導入元からのウイルスの侵入は考えにくい、また、分離されたウイルスの遺伝子解析とともに、疫学関連農場等の調査も進めた上で判断する必要がある、このようにこの疾病小委員会で指摘されたわけであります。
 このうち、ウイルスの遺伝子解析につきましては、一月二十日に独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所から、その進捗状況として、ウイルスは鳥由来のものと判断されること、香港で鳥から本病に感染した人から分離されたウイルス株とは異なっていると判断されております。今後、韓国やベトナムのウイルス株との比較を行っていく予定であります。
 また、現在、人、車両等の動きに着目した、発生農場を含めた疫学調査が山口県において進められているところでありまして、この調査結果を待って、専門家の御意見もお聞きし、感染原因、感染経路につきまして検討を行っていく、このようにしております。
○平岡委員 今の段階ではそれぐらいしか言えないのかもしれませんけれども、もっと早く、人材あるいは財力も投入して、その原因究明を図っていっていただきたいというふうに思うわけです。
 実は、この発生に関して若干私もいろいろと状況を聞いてみましたら、十二月の二十八日ぐらいから鳥が少しずつでありますけれども死亡していたということでありますけれども、鳥インフルエンザということで検査を開始したのが一月の九日ということで、かなり遅い状況になっているんじゃないかというふうな気がするんですね。かつてのBSEのときも、最初にBSEとして疑われるものがあったにもかかわらず、かなり千葉県と農水省との間でも何かいろいろやりとりがあっておくれてしまったというふうなことがあったんですけれども、最初の初動について、政府あるいは県当局の対応に問題はなかったんでしょうか。何かかなりおくれてしまったんではないか、そういう疑問を私は持っているんですけれども、どうでしょう。
○亀井国務大臣 今回の事例につきましては、御指摘の十二月二十八日から少数の鶏の死亡が認められたわけであります。三十日に家畜保健所へ通報がありまして、立入検査を行いました。そのときには大腸菌の感染を疑った、こういうことでありました。その後、死亡鶏の増加が見られたことで、山口県は、一月九日に再度立入検査を実施いたしまして病性鑑定を実施した結果、十一日に本病を疑う結果が得られたため、同日中に独立行政法人の農業・特定産業技術研究機構の動物衛生研究所に検体を輸送して検査を実施したところ、十二日に本病と確定したわけであります。
 異常発見から診断まで時間を要しておりますが、これは、当初、農場内での顕著な鶏の死亡の増加が認められなかったわけでありまして、本病を疑う余地が、判断することが困難であった、こういうことでありまして、今後とも、蔓延防止の措置の徹底や周辺農場の清浄性の確認等、家畜伝染病予防法及びマニュアルに基づきまして対応を的確にしてまいりたい、このように考えております。
○平岡委員 発生時における対応に問題はなかったような説明でありましたけれども、しっかりとした対応をできるように、これからもしっかりと監視していってほしいというふうに思います。それぞれの行政当局に対して、監視をしていってほしいというふうに思うわけであります。
 それで、先ほど総理の方にもいろいろお聞きいたしましたけれども、この問題について、いろいろ被害が生じているということでございます。被害としてはいろいろあるわけでありますけれども、例えば、患畜発生農家あるいは移動制限区域内の養鶏農家、それから、移動制限区域内ではないけれども、例えば山口産については皆さんから敬遠されてしまうといったような問題が生じている関係養鶏農家、あるいは鳥の卵とか鳥の肉の販売業者あるいは食品業者といったようなところが考えられるわけであります。
 先日、私たちは、民主党の菅代表とともに山口県の養鶏農家の方々とお話を申し上げました。彼らからいろいろな要望が出されております。
 簡単に申し上げますと、風評被害を早く解決してほしいということがまずありました。移動制限措置がとられていることが、あたかも鶏卵や鶏肉を介して人に感染することを防御するための対策であるかのような誤解が流通業者や消費者に生じているというようなことである、それについて、生産物から人には伝染せず安全であることをメディア等を通じて、国が先頭に立って消費宣伝等啓蒙活動を強化してほしいというような話もございました。
 それから、移動制限区域内の滞貨生産物の補償買い上げについては、これは発生農家については被害額の八〇%というものの補償が行われるということになっていますけれども、移動制限区域については特にそうした仕組みはございません。そのために、山口県では独自に補償買い上げということの意思を表明しているということでありますけれども、その対象範囲とか、あるいは損害の評価をするときの評価額の算定であるとか、この点について必ずしも十分なものになっていないというような指摘もなされております。
 そういう意味で、これからの、私が先ほど申し上げましたような人たちに対して救済あるいは支援をしていくというためには、どのような被害が生じているかということについての認識がまず必要であろうというふうに思っているんですけれども、これについての農水大臣としてのお考え、認識の状況というものを教えていただきたいというふうに思います。
○亀井国務大臣 今回の鳥インフルエンザの発生によりまして、発生農家におきましては、飼養羽数が約三万五千羽でありまして、約一万五千羽が死亡して、約二万羽が殺処分とされたところであります。また、半径三十キロメートルの移動制限区域内に、発生農家を除きまして採卵農家が十七戸ありまして、約百万羽が飼養されております。生産された卵の出荷ができない状況にあるわけでありまして、これは一日約八十万個ぐらいの採卵、こういうことになろうかと思います。
 そのほか流通の段階では、山口県産の鳥肉、卵が小売業者から敬遠されているなど、一部の小売、卸売業者で混乱を生じているとの話も承知をいたしております。量販店、また商業関係団体等を通じまして、当該産地のものは取り扱っていない等の不適切な説明や表示をしないよう要請をしているところでもありますし、また、それぞれ、そのような表示を行っている店舗に対しましては、地方農政事務所を通じまして個別指導を行い、その解消に努めております。
 いろいろの農家、あるいは区域内農家の問題等々につきましては、山口県よりいろいろとお話もちょうだいいたしております。十分県とも御相談をいたしましてその対応をやってまいりたい、このように考えております。
○平岡委員 生産者の方々にお会いしたときに、こんなことを言っておられました。生産物の出荷停止に伴う廃棄損失等が大きく、制限区域内の生産農家は、何ら問題のない健康な鶏を飼いながら、国内の養鶏産業を守るという防疫の立場から、その社会的、国家的な要請にこたえて生産物が出荷できないことを我慢し耐えている状況にある、このような養鶏農家の気持ちをぜひとも酌んでいただき、社会的公正の見地から国の公的負担を特に強く要請するというふうなことを言っておられました。
 私、冒頭申し上げましたけれども、農産物についてはいろいろなところでいろいろな被害が生じるということで、例えば水稲、米については農業共済という仕組みの中で損失が生じた場合にはみんなで補てんするという仕組みがあります。この仕組みがすべての農産物に適用されるとは思いませんけれども、どこでどのような被害が生ずるかについては非常にわかりにくい場合もありますし、そして、それをどのように救済していくかということについては、全国的に、あるいは国レベルで考えていかなければならない問題であるというふうに思っておりますので、ぜひ国の方でも積極的な対応をお願い申し上げたいというふうに思っている次第でございます。
 それで、この鶏の問題に関してもう一つ指摘しておきたいんですけれども、実は、こういう問題が発生したのとほぼ同時に、京都の山城養鶏生産組合に対する営業停止処分の問題が発生いたしました。昨年の十二月に起こった事件だったんですけれども、実際に処分がなされたのはことしに入ってからというようなことでございました。
 その点について、その処分が軽いんではないか、あるいは、当初発生してから営業停止処分をするまでの間が開き過ぎていておかしいんじゃないかといったようなことで、政府に対して、あるいは行政当局に対してかなり不信の目が注がれているというようなことがあります。
 こういう問題が鳥インフルエンザの問題と絡んでくると、消費者の人たちに対しては大きな不安を与えることになるんだろうと思いますけれども、この点は厚生労働省の所管ということなので、この山城養鶏生産組合に対する営業停止の処分、これは本当に妥当な処分だったのか、不正はなかったのか、この点について厚生労働大臣の見解を教えていただきたいと思います。
○坂口国務大臣 今お尋ねございました京都府におきます山城養鶏生産組合、ここのところの卵に表示の違反があったということで、これは七日間の営業停止処分を行ったわけでございますが、食品衛生法に基づきます営業停止の行政処分といいますのは、違反行為の再発を防止するためという前提のもとにやっているわけでありまして、いわゆる改善計画を出していただいて、そしてそれが可能かどうかということを前提にして決めているというのが実情でございます。
 例えば、食中毒でございますと、食中毒のときにそれをどうするかというようなことも、大体七日間から、東京はちょっと長うございまして十日間ということにいたしておりますが、五日なり七日なりというようなことでやっております。
 そうしたところが今までの経緯でありましたので、我々もその改善計画を出していただいて、それに対応したということでございます。
○平岡委員 この問題については、私も個別的な中身について詳しくは知りませんので、これ以上言いませんけれども、消費者の皆さんにとって、行政当局が本来やるべきことをきちっとやっている、それによって食品が安全であるということにつながっていくような行政を心がけていただきたいというふうに思っていることを指摘させていただきたいというふうに思っております。
 それでは、次の問題に移りたいと思いますけれども、北朝鮮に対する経済制裁の関連で、外為法改正の話が出てきております。これについて、最近、官房長官あるいは総理もいろいろな場で発言されておられますので、その点についてちょっと聞いてみたいというふうに思っているんですけれども、その前に、まず事実関係として、日本以外に、G8諸国の中で単独で経済制裁を行っている国というのは現在あるんだろうか、そして、もしあるということであるならば、その発動の理由とか、あるいはどういう状態になれば解除されるというふうになっているのか、その点について外務大臣からお聞かせいただきたいというふうに思います。
○川口国務大臣 G8の国の中でどういう制度があるかということについては、なかなかよその国の法律ですので有権的に申し上げることが難しい。それから、我が国としては、他国の制度あるいは運用の仕方について十分に詳細を知っているということではないんですけれども、外務省として今把握をしている範囲で申し上げますと、アメリカ及びカナダが単独での経済制裁を実施しているというふうに承知をしています。
 それで、アメリカの場合ですけれども、ここは制度が複雑でして、一般的なそういう制裁の法律は存在をしない、議会が個別の案件について追加的に立法していくという方式をとっていまして、非常に複雑な体系でありまして、一言で簡単に御説明するのは非常に難しいわけです。
 一例として申し上げれば、北朝鮮に対しまして、これは対敵国貿易法というのがございまして、それに基づいて、敵国に対する措置に関する大統領の広範な権限のもとで行われていて、この法律には、制裁の発動要件、内容、議会との関係等の詳細については規定がないということでございます。
 それから、カナダですけれども、輸出入許可法というのがございまして、内閣が必要と認める範囲内で国を特定して輸出を許可に係らしめるということが可能になっております。この法律に基づいて、ミャンマーに対して経済制裁措置を実施しているというふうに承知をしています。
 それから、このほかに、カナダの場合は特別経済措置法というのがございまして、内閣が、国際の平和と安全に対する重大な違反が発生し、深刻な国際的危機が発生した、または発生するおそれがあると判断する場合に、各種の経済制裁措置を単独でとることができる旨の規定がありますけれども、この条項に基づく発動例はないというふうに承知をしております。
○平岡委員 G8の中でもかなり例外的というか、数が少ないというようなお話がありました。
 先ほどのアメリカの例も、北朝鮮に対して実施しているのは、私が説明を受けたところでいくと、一九五〇年から実施しているということで、かなりもう歴史的な遺物みたいな感じもしないわけではありません。
 そういう意味で、今回の外為法改正について言うと、これも官房長官、記者会見で、成立すれば一つの政策手段を持つことになる、有効活用しなければいけないということを述べられたというふうに聞いていますけれども、官房長官の念頭にあったのは、例えば、この外為法がどういうふうに改正されるか、具体的にはまだ御存じないのかもしれませんけれども、単独で経済制裁ができるような内容のものになったときに、北朝鮮に対してどのように適用することになるのか、その発動基準とかあるいは解除基準といったようなものについてはどんなふうなことをイメージしておられるのか、それを答弁いただきたいというふうに思います。
○福田国務大臣 ただいまの委員御指摘の外為法改正、これは現在、各党間においていろいろな協議がなされているというふうに承知をいたしております。その趣旨は、我が国の外交手段として、北朝鮮に働きかけていく際に選択肢を広げる、こういうふうなことになろうかと思っております。
 北朝鮮をめぐる問題につきましては、これは、平和的な解決を促す、こういう意味合いにおきまして、もしその立法がされるならば、今申しましたように、いろいろな選択肢を持つ、そういう意味においては私は有意義であるというふうに思っております。
 ただ、こういうふうな立法が行われたということを想定した場合にも、立法の趣旨、それから外交的な観点、そういうようなことを踏まえまして、適切な運用というものが必要であろうというふうに思っております。
 現在どういうような状況かといえば、これは政府としては、北朝鮮に対していわゆる経済制裁を行う、こういうふうな状況ではないと思っております。北朝鮮がさらに事態を悪化させる、そういうような事態になれば、そのときには、米国とか韓国などとか、そういうような関係国と連携を密にして、よく協議をした上で、状況をよく見きわめながら、事態の改善のために、また問題解決のために適切な措置を講じていくという考え方をいたしております。
○平岡委員 ちょっと話は変わりますけれども、日朝平壌宣言というのは、今、政府としてはどのような状況にあるものだというふうに認識されておられますでしょうか。これは総理にお聞きいたしたいというふうに思うんですけれども。
○小泉内閣総理大臣 日朝平壌宣言は重要な政治的文書だと思っております。これを尊重しながら、日朝国交正常化に結びつけていきたいと思っております。
 両国として、この文書の精神、また、今後いろいろな交渉の際にも、この日朝平壌宣言にのっとって、お互い両国の改善を図っていくためにも重要な文書だと認識しております。
○平岡委員 重要な文書と認識しているということは、今でもこの日朝平壌宣言というのは、有効といいますか、効力があって、これに基づいて日本、北朝鮮との間で努力をしていくべきだという状況にあるというふうに考えておられるということでよろしいんでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○平岡委員 この日朝平壌宣言の中をちょっと思い起こしてみますと、こういうくだりがあります。これは、日朝「双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。」また、こういうくだりもあります。「双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」そしてさらに、こういうくだりもあります。「北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。」こういうくだりがあります。
 このくだりをちょっと思い起こしてみますと、どうも、経済制裁をするという事態というのは、この日朝平壌宣言とは相入れない事態に至っているような事態というふうに私は感じるわけですけれども、仮に経済制裁を発動するというような事態においては、この日朝平壌宣言というのは一体どのような状態になるというふうに考えておられますか。これは無効とするということになるんでしょうか、総理。
○小泉内閣総理大臣 外為法改正によりましていろいろな選択肢を持つことは有意義だと思っております。そのことと経済制裁を科するということは別問題だと思っております。
○平岡委員 それは私もそのとおりだというふうに思うんですけれども、今、経済制裁を科すということを具体的に政策としてとる場合の日朝平壌宣言の位置づけがどのようになるのかということについて聞いているわけでありまして、経済制裁をするということと日朝平壌宣言というものは両立するのかしないのか、総理はどのように考えておられるかということをお尋ねしているんです。
○小泉内閣総理大臣 今、北朝鮮に対しましては、我が国のみならず、関係国間でいろいろ協議を進めております。こういう時点において経済制裁を科するということは考えておりませんし、日朝平壌宣言に反するものとも思っておりません。
○平岡委員 経済制裁を科しても日朝平壌宣言に反しないというふうに今言われたんでしょうか。ちょっとよくわからなかったんですけれども。
○小泉内閣総理大臣 それは、現時点で経済制裁を行うということは考えておりません。
○平岡委員 現在、日朝平壌宣言が有効であるというか効力があるという、重要な文書であると認識しているということで、それは総理の認識としてそういうことで、私は今それを議論しているわけじゃなくて、そういう状態の中では多分経済制裁も科すことはできないんだろうというふうに私も思うんですけれども、では逆に、経済制裁を科するという事態に至ったときには、この日朝平壌宣言というのはもう効力がなくなってしまったものというふうに位置づけられるんでしょうねということを聞いているんです。
○小泉内閣総理大臣 現時点において経済制裁を科するかどうかという、そういう時点ではないと思っております。今、話し合いを続けているわけであります。日朝平壌宣言の精神にのっとって、日朝関係を正常化に結びつけていきたいということをお話ししているわけでございます。
○平岡委員 答えておられないので、何回も何回も同じことをしても、多分同じことを答えられるだけで、いつものフレーズの、あなたにとっては満足のいく答弁ではないかもしれないけれども私は答えていますという、あの得意のフレーズが返ってくるだけなのかもしれませんので、ここではおいておきますけれども、私としては、最初、官房長官に申し上げましたように、経済制裁を科すということについて言うと、やはり相手があるわけでありますから、なぜ科せられるのか、どういう基準にのっとって科せられるのか、そして、どういう状態になれば解除されるのかということについて、明確なメッセージが相手に伝わらなければ私はいけないんじゃないか、それが法治国家である日本のある意味では最低限の義務ではないかというふうな感じもいたします。
 そういう点に照らして、この問題、いろいろと慎重に考えていっていただきたいというふうにお願い申し上げまして、私の質問を終わりにいたします。
○笹川委員長 これにて平岡君の質疑は終了いたしました。
 次に、中津川博郷君。
○中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。
 予算委員会になりまして今回初めての質疑でありまして、今まで財務金融委員会あるいは経済産業委員会等でいろいろお尋ねしてきた問題を中心に、総理への質疑も含めていろいろさせていただきたいというふうに思っております。
 そこで、まず我が国の金融行政に関して聞いていきたいと思っているんですが、竹中大臣とは今までも何度も激しい論争をしてまいりました。そこで、金融行政全般について伺う前に、その象徴的な事例としての足利銀行の問題、これを取り上げてみたいんですが、足銀の破綻、もうここ二カ月ほどさまざまな報道がされております。財務金融委員会でも閉会中審査を二度行いました。
 私も、参考人招致で、前頭取と中央青山監査法人の理事長に来ていただいていろいろお話を伺ったんですが、伺えば伺うほど不透明、わかりづらいということでありまして、きょうは竹中大臣がいらっしゃいますので、その三人の話を聞いて、そうすると事実が浮かび上がってくるというような期待を込めてお伺いしたいと思っております。
 足銀に対しては、公的資金が二度入っておりますね。一回目は、平成十年三月、金融機能安定化法に基づく、これは三百億の劣後特約つき社債という形で引き受けた。二回目は、平成十一年九月及び十一月に、早期健全化法というのに基づいて一千五十億円の優先株式を引き受けました。合計、すごい金額なんです、これは一千三百五十億円という公的資金が入っているわけであります。
 ここで、私はまず不思議に思うんですが、金融庁の検査は昨年の九月に入るんですね。その前は平成十三年五月なんですよ。二年四カ月もの間、この足銀の検査が行われていなかった。この経緯、正しいですね。確認ですので、はいかいいえで結構です。
○佐藤政府参考人 そのとおりでございます。
○中津川委員 なぜ金融庁は足銀への検査を行わなかったんですか。普通ならば、公的資金注入行でもあり、これはもうしっかり見ていこう、頻度の高い検査が必要だ、これは当然ですよ。それなのに、二年四カ月ほったらかしていた。これは変じゃありませんか。検査したら自己資本比率が四%を切ってしまうおそれがあるから検査しなかったんじゃないかなんというふうに勘ぐられても仕方ないように思うんですけれども、これ、ちょっと納得いく説明をしてください。
○佐藤政府参考人 金融検査の実施に当たっては、当局の限られた人員等を踏まえまして、常識的な期間中に各金融機関の検査を一通り終えるということで、地域銀行の場合、百十数行ございますけれども、そういうことで各金融機関の検査周期に著しい差異が生じないように配慮しながら対象を選定している、こういうことでございます。
 地域銀行に対する検査周期、平均的に見て、ここのところ二年七カ月ぐらいになっておりますけれども、足利銀行の場合は、前回検査との間が二年三カ月ということで、地域銀行の平均に比べまして特に長いということはないわけでございます。
 また、この間、同行に対しましては十四回の報告徴求あるいは一回の業務改善命令ということで、経営上の諸リスクへの対応、経営の健全性の確保、収益性の向上に向けた取り組みを促すといった監督上の対応も行っているところでございます。
○中津川委員 地域銀行は二年七カ月とおっしゃいましたが、これは全部の地域銀行でしょう。答えなくていいですから、うなずいてもらえばいいですから。――はい。
 これは公的資金を導入している銀行で、二年四カ月ほっておいた、ちょっと大臣、これはいかがですか。
○竹中国務大臣 今、検査局長から御説明しましたように、我々、とにかく検査をできるだけ頻繁にやりたいという気持ちは持っているんですが、非常に限られた人員の中で、これは総務省の方にも御配慮をいただいて、金融庁の監督の能力は一生懸命今ふやしてはおりますが、それでも地域銀行だけで六百を超える数がある。それを数少ない人数でローテーションして、一生懸命検査を続けているわけでございます。
 申し上げましたように、平均で二年七カ月、それよりは短い周期でこの足利は検査を行ったことになります。ここより、平均より短いところがあるということは、平均より長いところ、つまり、足利の場合数カ月短縮してやっておりますから、そうすると、それとは別に、三年を超えないと検査できないというところも実は出てくるわけで、そこは我々としても、できるだけこの能力を高めながら、かつその資源を有効利用しながら、できるだけ効率的に正確な検査をしよう、これは検査局、大変な努力をしているところでございます。
○中津川委員 今申し上げましたように、足銀に対しては二度にわたって公的資金が入っているんですよ。これは、無秩序に国民の税金を使うことが許されないのは当然ですよね。足銀に今後の経営計画を出させて、検討したはずですよ。これは大丈夫だ、国民の税金はむだにならないということで公的資金を入れたんでしょう。確認だけですから、イエスかノーでいいですよ。
○竹中国務大臣 資本を厚くして健全化させて、それで地域に対する金融機能を円滑化させたい、そのような目的で資本の注入を行っているわけです。
○中津川委員 では、結果としてこれは判断間違っちゃった、結果としてこうなっちゃったんですから、判断が間違ったということじゃないですか。いかがですか、これは、大臣。
○竹中国務大臣 公的資金を注入しながらそれが十分に生かされなかった、これは大変遺憾なことであるというふうに思っております。
 そうした意味で、こういった資本注入の目的が達せられるように、我々は平均よりも短いところで検査を行ったわけでありますし、加えて、先ほど検査局長も申し上げましたように、この間、報告徴求を十四回行っております。
 これは、銀行に対するモニタリングというのは、検査に実際に入る、いわゆるオンサイトのモニタリングというのと、それと、さまざまな情報に基づいてオフサイトで行う、これをやはり両方組み合わせてしっかりとした検査監督になるわけでありますので、そういうものに関しては、十四回の報告徴求、一回の業務改善命令、そういうことを総合的に我々としても努力をしてまいったわけでありますけれども、このような結果になったということは、これは、公的資金を注入した銀行がこういう結果を招いたということは大変残念なことであるというふうに思っております。
○中津川委員 遺憾とか残念じゃないんですよ、これは。足銀に対しては、県や市町村が増資に応じて、そこから栃木県下の一般の法人や個人に増資の依頼が来たわけですよ。
 それで、この数字、平成十一年に優先株が四百二十八億円、十四年に第三者割り当て増資が二百九十九億円、合計七百二十七億円、これは一般投資家から出資されて、その中の個人の出資先は延べ一万一千四百三十三名ですよ、これは。こういう人たちは、国がお金を出したので、我々もおつき合いして、銀行の支店長がやってきたり、いつも取引している行員さんが来たら、これは応援しないといけない、国が助けようとしているんだから我々も協力しないといけないと。これは違いますか、大臣。遺憾、残念じゃないですよ。ちゃんと金融庁の責任というものがあるんだ、これは。しっかり答えて。
○竹中国務大臣 今まで、複数の銀行に公的資金を注入しました。公的資金を注入して、それを返済して再生した銀行もあります。しかしながら、今回のように、それが十分生かされなかったということは、繰り返しますが、まことに遺憾なことであるというふうに思っております。
 再生委員会等々ないしは佐々波委員会等々でその当時最善の意思決定をしたというふうには思っておりますが、さらに我々もその後、先ほど言ったように、十四回の報告徴求、一回の業務改善命令等々さまざまな形での監督をしてきたわけでありますけれども、結果的にこのような結果になった。
 委員御指摘の優先株等々を地元の人が引き受けた、これも、実質的にその価値が無価値化するということに関しては、その方の御心情を考えれば大変遺憾なことであるというふうに思います。しかしながら、これはあくまで優先株、株式でありまして、その意味では、法律にのっとってきちっと対応していかなければいけない、そういう側面があるというふうに思っております。
○中津川委員 株買った人は、これは紙くずになっちゃうんですよ。地方経済や東京、私は東京は江戸川区なんですけれども、さらに厳しい。しかし、後でまた総理といろいろやりとりしたいんですけれども、東京でも、やはり中小零細、商店、もうみんな厳しいんですよ、実体経済は。そこで一生懸命働く町工場のおやじさんとかそこの従業員の方たち、そういう苦しみ、私なんか手にとるようにわかりますから、だから、この足銀の問題は他人事じゃないんですよ。栃木県だから東京関係ない、自分は違う選挙区だから関係ないんじゃないですよ。日本の銀行、とりわけ地銀、信金、すべての問題だ、私はそう思っているんです。
 私もいろいろ考えてみた。この間参考人招致をやったときに、銀行の前頭取、これはぼやくし嘆くし、監査法人の不満、金融庁に対する不満、もう元気ないんですよ、今にも倒れそうだった。それから、監査法人の理事長は一言も謝らない。これは、こうだ、ああだ、私たちはちゃんと仕事をしたということを言っていて、二人は責任ないと言っている。金融庁も、今何か法律にのっとってと。
 何でこれは株主だけが責任とらなきゃだめなんですか。いかがですか。だれが責任とるんですか。
○竹中国務大臣 株主だけが責任とおっしゃいますが、この銀行は債務超過になったわけです。つまり、株式の実質価値がマイナスになった。ここに至った経営の過程、責任については、これは当然のことながら、今の新しい経営陣のもとでしっかりと今調査が行われる体制をとりつつあります。この経営の責任等々についてはしっかりと調査をしていただきたいというふうに思っております。
 しかし、現実問題として、残念ながら株式の実質価値が、債務超過でありますからマイナスになった、それを受けて、このまま放置すれば地域の金融に重大な支障が生じるおそれがあるということで今回の措置をとったわけであります。
 これは、法律で、預金保険法で、銀行というのは、信用を背景にした商売でありますから、普通の企業とは違うわけです。普通の企業でしたら、一時債務超過になっても、資金繰りさえついていけばそれはそれで存続が可能になります。しかし、銀行の場合は、預金保険法によって、債務超過になった場合等々は、これは破綻の申し出をしなければいけないことになっている。これは、法律の枠組みがそうなっているということであります。みずから決算をして、それに基づいて銀行がその破たんの申し出をしたというのが今回の事実でございます。
○中津川委員 それでは、二つ聞きましょう。
 金融庁は、監査法人の責任というのはどういうふうに見ているんですか。確かに、監査法人はリスク情報開示しなかったんですよ、この間、私が質問、参考人招致のときに。決算書を見て、不良債権、この銀行なんてもともと、後でやりますけれども、繰り延べ税金資産で成り立っている銀行なんですよ。そういうことを書いていない。それで、しかも、国がとにかく公的資金を入れているとなればみんな安心するって、今法律が何だかんだいったって。そこのところ、本当に、竹中さんというのは人の心の痛みがわからないね。私は、だから考えたんですよ。公的資金、例えば注入後に買われた株は、特別に保護とか配慮してもいいんじゃないですか。いかがですか。
○竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは株式であります、持ち分であります。その意味では、いわゆる一般的な債権者とはこれは法律上異なっております。こういう方々に特別の、法律では、商法等との枠組みでは決められていない何かの配慮をしろという御指摘なのかどうかちょっとわかりませんけれども、これは、法律上は、やはり株式として扱わざるを得ないという側面がございます。しかし、先ほど申し上げましたように、実質的に無価値化した株主のその心情を思えば、これは大変遺憾であると思います。
 そうした観点から、例えば、それによって担保不足が生じるような懸念がある場合は、そういった一時的要因についてはしっかりと事情を配慮するように、そうしたことは足銀にもきちっとそういう体制をとらせておりますし、法律の枠組みの中で、法律の枠組みは崩せないと思います、しかし、そうした特殊事情については十分配慮しながら、その融資等々が滞らないように、そうしたことは各省庁の連絡会議等々でもしっかりと議論をして、または銀行にも要請をしているところでございます。
○中津川委員 それでは、端的に聞きましょう。金融庁の検査なんですが、監査法人の監査と比べてどっちがこれは厳しいんですか。はいかいいえでいいですよ。簡単に言ってください、簡単に。急いで。
○佐藤政府参考人 検査と監査でございますけれども、それぞれ異なる目的あるいは法的根拠に基づいてそれぞれ独立して行われておりますので、一概にどちらが厳しいといったことを比べるにはなじまないのではないかというふうに思います。
○中津川委員 多分そんなことを言うだろうと思ったんですよね。
 昨年三月決算の金融庁検査と会計監査について聞きたいんですが、いいですか、これ。金融庁は検査において、監査における不良債権の認定が甘かった、引当金が十分積んでいなかった、こう指摘しました。自己査定では、不良債権は第三分類、これは破綻懸念先、危ない、これは五百七億円だったのが、金融庁の検査では、三月時点で第三分類、この危ないが九百八十六億円、加えて第四分類、もうこれは回収不可能、アウトに近い、これが二百九億円ですよ。これは急増。その差が六百八十八億円ですよ。そして、いいですか。中央青山監査法人は資産超過、それで金融庁の検査が債務超過。何ですか、これ。実に不可解、ミステリアス。引田天功だってこんな見事な手品はできないですよ。ちゃんと説明してください、これ。
○竹中国務大臣 監査と検査、まあ、言葉は非常に類似しているわけですけれども、監査は言うまでもなく、これは、会社が行う決算に対して、最初つくった決算書に対して、独立した監査法人がそれを監査して、決算として発表するために行うものであります。したがって、これは決算と同時進行で監査法人が行うということでもあります。決算においてというのは、これは、商法等々で、決算を行って、広くその情報を開示しなければいけないということが定められておりますけれども、特定の、特に規模の大きな企業に関しては、独立した監査法人、会計士による監査が義務づけられている、そういうことになっているわけです。
 それに対して、我々が行う検査というのは、あくまで銀行監督当局として、当局の銀行監督の観点から行うものでありまして、これはもう時点がまず違うわけです。事後的に我々は行います。事前の介入はいたしません。事後チェック型の行政を行えという多くの声に基づいて、事後的な検査を我々は行う。同時に、これは当然のことながら規模も時点も目的も違っておりますから、その意味では、時点も違うということも踏まえて、結果というのは当然のことながら異なってまいります。
 我々はそれに対してどうしているかといいますと、その検査の結果を、検査の結果と自己査定との乖離を発表して、これをできるだけ埋めてくださいと。これも、私が金融担当大臣になってから、この格差を報告して、できるだけ自己査定を近づけてもらう、そういう努力をしてほしいということでお願いをした。そのことも委員はよく御存じだと思います。それを受けて、今、そのギャップを縮めるような努力を各銀行、各監査法人で一生懸命行っている過程であるというふうに思っております。
 その意味では、今回こうしたギャップが生じたということは残念でありますけれども、監査と検査の目的、それと範囲、実際には、投入の工数も、サンプルとして抜き取るのも、やはりかなり違っております。その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。
    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕
○中津川委員 当然、監査と検査、それは違いますよ。それは一億か、まあ十億か、いっても二十億。六百八十八億ですよ、これ。こんな変なことありますか。違うのは当たり前なの、これは。そうでしょう。だから、繰り延べ税金資産、これは入れなかったんでしょう。たくさん質問を用意してきたので、先に進みたいと思うんですけれども、とにかく、これは国民は納得しないですよ。十億、二十億、いって五十億、百億。まあ、これだって違いは多過ぎる。監査法人、これは金もらって、商売で、ちゃんとプロですよ。
 金融庁、いいですか、企業会計原則の一つである単一性の原則というのがある。同じものを見て判断するじゃない、これは。だから、これは引田天功の手品より私はわからぬよと言ったわけですよ。ちょっと、もう一回簡単に答えてください。
○竹中国務大臣 企業会計で言う単一性の原則というのは、これは意味が違うと思います。その会計の情報を開示するときに、いろいろな目的に合わせて開示の仕方がある、その場合の会計情報は単一である、それが企業会計で言う単一性の原則でありますから、我々は、そもそも検査と監査は違うんだということから申し上げております。
 その結果が違い過ぎるのではないかというのが恐らく委員の御指摘だと思います。これは、検査と自己査定がどのぐらい違っているかというのは数字で公表しております。ちょっと今きょうは数字を持ってきておりませんが、実は最初の時点では数十%、場合によっては五〇%以上、一〇〇%も違っているところがあった。それがどんどんどんどん今縮まってきておりまして、二〇%ぐらい、ちょっと数字は正確ではございません、になっていたと思いますが、今回の検査に関して言うならば、検査との乖離幅そのものが非常に極端に、例えば一〇〇%とかそんなに大きかったわけではないんです。
 しかしながら、この足利銀行の場合、例えば不良債権の額、比率等々が、これはもう地銀でトップクラスに高い。自己資本が地銀で一番かないしは二番目ぐらいに低いところにある。したがって、そのギャップが非常に大きな結果で額としては出てしまう、そういう側面がございます。その点もぜひ御理解をいただきたいと思います。
○中津川委員 済みません。繰り延べ税金資産についてちょっとまとめて質問しますので、まとめてお答えいただきたいと思うのですが、繰り延べ税金資産というこのわかりづらいもの、これが銀行の決算、これを不透明にしているということですよね。足銀は昨年三月決算で一千三百七十八億円繰り延べ税金資産を見込んだんだけれども、これはだめだ、アウトだと言われた。
 それで一点は、これは竹中さんも、そのときは私は出席していなかったんですが、財金で、繰り延べ税金資産の中核自己資本への算入に客観的なこういう上限の基準が必要だというようなことをおっしゃったと私は聞いたんですが、それを今どう思っているか、現時点でもしそうだとするならばどのようなことを考えているか、これが一点です。
 それから、この繰り延べ税金資産という、これがさっぱりわからないんです。五年にしたり、ここは三年でいいとか、何%とか。これはやはり欧米並みに無税償却にすべきではないか、専門家に聞くところによると、そういう声があるんですが、この二点、ちょっとお答えください。竹中大臣と谷垣大臣。
○竹中国務大臣 繰り延べ税金資産の問題が重要であるというのは御指摘のとおりであります。特にこの足利銀行の場合、繰り延べ税金資産にある程度銀行は今頼っているわけですけれども、地方銀行平均で見ますと、コアの資本、ティア1に対する繰り延べ税金資産の比率というのは大体二六%ぐらいなんですね。ところが、この足利銀行は一八六%という非常に高い依存度であった。それだけ非常に脆弱であったということがまずございます。
 その上で、お尋ねのまず第一の上限を設けるべきではないか云々でありますけれども、繰り延べ税金資産そのものは、これは自己資本の算入の中でBISの基準によっても当然のことながら認められてしかるべきだというものになっている。それに関しては、きちっと公認会計士協会の実務指針で基準をつくっておりまして、これは、ある場合には五年以内とかある場合は一年とか、いろいろ規定がございますけれども、基準はきちっとつくられているわけです。
 ところが、一部の国では、それに加えて、これは金融監督という特別の視点から、それにさらに上限を設けて、この繰り延べ税金資産というのはほかの実物資産に比べて脆弱であるからさらに上限を設けてはどうかという議論が、あることはあります。そういうことをしている国もあります。しかし、日本はそういうことはしておりません。
 これに対して、今金融審で、こうした世界的な動向も踏まえながら、この上限をどうするべきかということを専門家で、これはもう法律、会計、経済、経営、広範囲な専門家に集まっていただいてこれを議論しております。その専門家の議論を私はしっかりと待ちたいと思っております。
 二番目の、無税償却を認めてはどうか、繰り延べ税金資産がそもそも生じるのは有税償却があるからではないだろうか。これは、我々としては、無税化といいますか、に加えて、実は繰り戻し還付等々のセットを、繰り延べと繰り戻し両方、やはり三点でやっていただかないと、これは意味がないというふうに思っております。
 やや技術的な問題になりますけれども、今、例えばこれを無税化するということは、一種の税額負担が減るということになる、税額負担が減るということは将来の払うべき税金の予測が減るということで、繰り延べ資産そのものを計算の仕方によっては減らす可能性もある。これは三点セットでないと意味がないというふうに私たちは考えておりまして、これは金融再生プログラムのときからしっかりと当局にお願いし続けているところでございます。
○谷垣国務大臣 無税償却基準の緩和をせよという御意見だろうと思いますが、私たちも税務会計と企業会計の差はできるだけ縮める方向で検討しなきゃならぬと思っているんです。
 ただ、今、竹中大臣もおっしゃったことですが、ほとんどの金融機関が赤字である現状のもとで、これを認めますとかえって自己資本が減ってしまうおそれなしとしないということで、ことしはそれを見送りました。
 これは、そういう差を縮めていくという方向でこれからも議論させていただきたいと思っております。
○中津川委員 今、デフレの状態ですよね。不良債権処理をどんどん今進めていると、小泉内閣。繰り延べ税金資産を認めるからどんどんもうやれというようなのが、私は金融庁の今までの方針だったと思うんですよね。ここで突然ルール変更して、これは法的にはちょっと変更できないから、監査法人に圧力かけて、監査法人が引き金を引いたのかなというふうに個人的には思っているところなんです。
 また後で議論したいんですが、とにかく、デフレのときに不良債権処理をどんどんやっていったら、これはみんな倒れて死んじゃいますよ。まあ、それは後で議論したいんですが。
 さっき、ちょっと関連のところで竹中大臣に確認するのを忘れたんですが、簡単に答えてもらいたいんですが、これは公認会計士協会の方も少し反省したというか、やる気があるというか、金融庁へ今回の金融庁の足銀検査に対しての申し入れがあると思うんですが、それは余りにも、私さっき指摘しましたように、もう大幅な隔たりがあった、両者ですね。これを明らかにするためにプロジェクトチームを結成して、一生懸命努力して、やると。だから、金融庁も当然協力しますよね。それだけでいいです。協力する、しない、そこだけ答えてください。
    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕
○竹中国務大臣 公認会計士協会のその意向を受けて、我々もできる範囲で協力を当然のことながらすることになると思います。
 二点だけ。その場合に、やはり先方の、公認会計士の独立性というのを我々が損ねないようにしなければいけない。それと、我々には守秘義務がございますので、その辺についても注意。この二点には注意しながらやっていきたいと思っております。
○中津川委員 それで、きょうの新聞にも少し、一部載っかっておりましたが、公的資金新法と預金保険法との違いについて質問したいんです。これはまだ国会に上程しておりませんので、ただ、もう結構ひとり歩きしていろいろ報道ではされておりますもので、だから、現時点でお答えできる範囲で結構ですので、この新制度のもとで行われる公的資本注入は、今までずっと、りそなのときも、それから今回も使ったこの百二条と、機能、役割の上でどのような違いがあるのかという点が一つであります。
 それで、やはり資本注入の是非を決めるときのポイントになるのは、これは、会計監査、まあ会計士、監査法人ですね、これがやはり基準になるというふうに聞いておるんですが、今回のようなことで見ると、足利銀行の場合、監査法人なんてもうだれがやっても同じで、判こを押して、あと金融庁がもうこれだめだと言えばだめになっちゃうというようなことに、まあ危惧するわけですよ。本当、会計監査を基準にしてやるというようなことでしかないと思うんですが、簡単に答えてください。
○竹中国務大臣 まず、新たな公的資金の枠組みの話でありますが、御指摘のように、まだこれは今議論の最中でございます。
 お答えできることは限られているんですが、基本的な目的の差ということでございますと、預金保険法百二条の第一号措置というのは、金融危機を未然に防止する、金融危機への対応というのが基本的な目的でございます。生ずるおそれがあるような場合、信用秩序が乱される場合、そのような場合を想定するわけでございます。
 新たな今議論をされていますのは、金融機能の強化を目的として、委員御指摘のように、デフレが続いている状況で、さらにそのリスク対応力を高めるために、金融機能の発揮に向けた金融機関の取り組みを公的に支援する、その意味では根本的な目的の差がございます。
 お尋ねの、その場合に資産査定が適切になされなければいけない、これは、審査の基準としては大変申請のときに重要になってくると思います。それをどのような形で行うかについては、これは詳細まだ今議論の途中でございますけれども、預金保険法百二条の場合は、これは緊急の措置でありますから、その時点で、直近で利用可能な、したがって、公表された会計データに基づくというのが預金保険法百二条の場合の通常の例であろうかと思います。
 今回の場合は、そうしたことに加えて、何らかの形で当局もこうした資産査定を確認するような方向がとれないかどうか、そういうことも含めて今検討をしております。
○中津川委員 とにかく、監査法人がオーケーを出しても、金融庁の一声でもう殺されてしまうということで、結局、ますます地銀や信金や信組は金融庁の顔色をうかがうということにこれはなりかねないですね。小泉総理は官から民と言っていますが、これは、金融機関に対するこれからは官僚の支配が強まってきているんじゃないかというような、私そんな気がしてきます。
 要するに、今まで不良債権問題が十年以上にわたって、バブル崩壊とともにいまだに苦しんでいる、我が国は。その背景にあったのは、金融行政の護送船団方式が厳しい批判にさらされてきたわけですね。だから、当時、大蔵省銀行局の裁量行政、業界との癒着がいかに銀行の体質を弱めてきたかが問題になって、金融庁を分離独立したというふうに私は理解しておるんですが、ところが、今の金融行政というのは、何か裁量行政のまた復活じゃないかと。
 私は、金融庁の裁量行政を防ぐために、金融機関の仕事ぶりをこれは客観的に評価できる基準とかいうものをつくって、我々の前にはっきりとその判断をしてみせる仕組みをつくる必要があるんじゃないかと思うのですが、総理、ちょっと専門的な話なんですが、もしコメントがあればお願いしたいと思うのです。
○小泉内閣総理大臣 一方では、金融庁の検査が生ぬるいのではないかという批判も過去あったわけでありますね。また、これから金融健全化に向けてどういう対応がいいか、金融機関もしっかりとみずからの経営に対して国民にわかるような情報公開をしていかなきゃならない、信頼性を高めていかなきゃならない。両者相まって健全な発展のためにどうあるべきか、真剣に考えていただきたいと思います。
○中津川委員 それで、たくさん用意してきたのですが、新生銀行についてちょっとまとめて質問してみたいと思います。
 きのう、金融庁の危機対応室に確認しまして、数字をいろいろ出してもらったんです。佐々波委員会による資金注入が例えば一千七百六十六億円、破綻譲渡に際しての金銭贈与等が三兆七千三十五億円、資産買い取りが二兆九千八百十一億円、それから譲渡後の新生銀行に対して二千四百億円の資本注入があった。それで瑕疵担保特約で八千五百三十億円ということで、合計すると、七兆九千五百四十二億円という巨額がこの新生銀行に使われているということなんですね。
 それで、新生銀行が、何か今マスコミでも、これは上場するということでいろいろ言われておるんですが、実際のところは経営健全化計画どおり進んでいないんじゃないかというふうなことも入ってきているわけでありますが、この新生銀行というのは、とにかく徹底して回収するということですね。
 それから、外資に売却する際に、政府が多目に積んでいた引当金を収益化して、平成十四年三月期には、二百六十一億円もの一般買い取り引当金を繰り戻しで実現することができたと。大した、ある面ではすごいんですが、吸血鬼のような銀行ですよ、これは、私から言わせれば。強引に引き揚げて、中小企業をいじめて、そして国でそれだけお金を使って、ひどいということで、政府の、国の方も十三年の十月に業務改善命令を出していますよね。ですから、こんな銀行がこれからもどんどん出てきて、日本が乗っ取られて、本当にこれは国益にかなっているのかというような気がするんですよ。八兆円の公的資金ですよ、さっき、アバウトで。それをつぎ込んだ旧長銀がたったの十億円で、これ買ったわけでしょう。
 それで、今回上場すると、私が試算したところによると、最大で一兆五千億ぐらいの上場利益が入るというようなことで、竹中大臣は常日ごろから非常にアメリカ寄りな政策をとっておられるので、私は一貫してそこのところを批判してきているんですが、我が国の金融行政、これ竹中さん、もうこんな銀行がどんどん、僕は足利銀行の流れの中でぱっと浮かんだのはこの新生銀行なんですよ、今度は。ハゲタカ、こういうファンドがとにかくもう虎視たんたんと、有利な取引先を求めて我が国の金融機関、不良債権などをねらっているわけですよ。こういう新生銀行の経営、これは上場するしないは金融庁は責任ないと言うかもしれませんけれども、しかし、これは私は責任ないとは言えないと思うんですが、いかがですか、大臣。
○竹中国務大臣 まず、アメリカ寄りとかそういうのは、週刊誌はよくラベルを張っておりますが、それは一体何を意味しているのか、ぜひそういうラベル張りは控えていただきたい、中身のことでぜひお尋ねをいただきたいというふうに思っております。
 まず、新生銀行での公的資金、ちょっと今非常にたくさんのことをおっしゃったのでありますけれども、全体で八兆円ぐらいになるという金額の動きをされましたが、これはちょっと、足し合わせることには実は余り意味がないのではないかと思っております、資金の性格そのものが違っておりますので。私たちの認識では、ペイオフ超の金銭贈与に用いられた交付国債所要額三兆二千二百四億円については、現段階で国民負担として確定している分である、これは間違いございません。
 その他のものについては、資産の買い取りから回収等、資本増強に当たり引き受けた優先株式の処分収入等が返済に充当されることになっておりますので、国民負担になるかどうかというのは、これは今後の問題である、そのためにも経営はしっかりとやっていただきたいということでございます。
 もう一つは、経営の計画どおり進んでいるのかということでありますが、我々やはり当期利益とか業純ROEとかでしっかりと見ていくわけでありますけれども、それについては実はおおむねこの目標を達成しているということで、国民負担を最小にするための努力は経営者としてはしている。もちろん、経営に関しては、これは専門家ではいろんな御議論があるというふうに承知をしております。
 中小企業向け貸し出しについては、確かに大幅に十二年度の貸し出しベースが減少しました。それに対して、我々は十三年十月に業務改善命令を発しております。この業務改善命令を受けて、業務改善計画を盛り込んだ施策を実施しまして、十四年三月期には中小企業向け貸し出しの増加計画を達成しております。十五年三月期についても増加計画を達成しているというふうに認識をしております。
 上場に関しては、これももう委員御指摘のとおり、これは東証が承認を与えるものでございますので、我々の関与というのはその意味では非常に限定されるということになります。これは同時に、資産規模、ポートフォリオ等々、自主的な経営判断によって行われているという面は、これは重視しなければいけない面があると思います。
 それと、売り出すことによっての、今ちょっと委員おっしゃった一兆五千億円もの利益を得るというのは、これはちょっとどういう計算なのか、まだこれは価格、これからブックビルディングを行った上で売り出し価格が決まるわけですので、ちょっとコメントは差し控えたいというふうに思っております。
 一応お答えしたかと思います。
○中津川委員 瑕疵担保、これは、あれでしょう、話が、二〇〇三年の二月までですか。しかし、これはまだ未決着でしょう。そこだけ、イエスかノーで。
○五味政府参考人 瑕疵担保条項に基づく申し出の期限はもう徒過をしておりますので、新たに申し出ることはできません。ただ、瑕疵担保条項に基づいて申し出られた案件を預金保険機構が買い戻すかどうかについて、まだ決着していない案件はございます。
○中津川委員 決着してからじゃないと、こんな上場云々なんて、これはできないですよ。決着していないということは、これは金融庁の責任ですからね。何か裁判しているとかなんとかいう話も聞いていますので、決着しないとこれはもう絶対いけないと思いますよ。
 余り時間がないんですが、為替介入について、先ほど平岡委員が質問しましたけれども、少し繰り返しになるかもしれませんが、質問したいと思うんです。
 円売り介入、これがすごい量でありまして、去年一月から年間累計円売り介入額が二十兆五百七十三億円。最高だった四年前の七兆六千四百十一億円を一気に二・六倍も更新してしまった。二十兆円といえば、もう一般会計の四分の一ですから、これは円高阻止ということが理由でしょう。一円で、ソニーとかホンダでも、大体八十億から百億ぐらいの利益が違うというようなことを聞いておるんですが、輸出で成り立っている日本の国でありますから、これは阻止すると。
 しかし、全然とまらないですね。去年の今ごろは百十七円ぐらいだったですかね。それで、結局、ことしの一月、もうずうっとやって、もうどんどんどんどん円高が進んできている。二十兆円も使って、どんどんどんどんもうどうにもとまらなくなっているということ。欧米ではこんなこと余りやっていないと聞いているんですが、これはもう失敗じゃないですか。いかがですか。
○谷垣国務大臣 為替介入の目的は、一定の為替水準を維持しようとか、あるいは円安ないし円高の方向に誘導しようとか、そういうことを目的としてやっているわけではありません。行き過ぎた投機的な思惑で為替が動いていく、オーバーシューティングとか、こういうようなものに対処をするわけでございまして、これだけ大きくなってくると、弊害があるではないか、リスクがあるではないかという御懸念をお持ちで御質問だと思いますが、それは先ほど平岡委員の御質問にもお答えいたしましたけれども、今の外為特会がそのために特段危機的な状況になってきているというわけではないというふうに考えております。
○中津川委員 このドルがどこに行ったかというと、これが大変おもしろいので、為替介入したドル資金は、これは米国債買っていますね。これは、アメリカの財務省からすれば、もう日本政府様々ですよ、最も安定的な投資家ということで。今、ちょうどイラク戦争がある。何十兆円という戦費調達ができたわけでありますから。
 ここのところで、なぜ急に財務省はかつてない巨額の資金を為替市場に投入しているのか、これを米国債に振り向けているのか。これは結果として、アメリカ大喜び、大助かり、もう日本様々ですよね。だから、結局、我が国はアメリカに戦費を提供したというんじゃないかと私は思っておるんですが、いかがですかね、これ。
○谷垣国務大臣 為替介入が米国の戦費調達に協力するためだという御意見は初めて伺いまして、びっくりしているわけでありますが、外為特会が保有している外貨資産の内訳は、これは、金融や金融市場、為替市場に不測の影響を与えますので、公表はいたしておりません。ただ、介入により取得した外貨は米ドルであるということが多うございますので、米ドル建ての資産が相当なウエートを占めている、なかんずく米国債の割合が大きくなっているということは、これは事実でございます。
 しかし、これは、外為特会が持っている外貨資産というのは、円買い介入のための原資であります。ですから、流動性とか安全性とかいうものに配慮をしながら運用を行った結果こうなっていったということで、今委員がおっしゃったようなことを目的としてこういう形になっているわけではございません。
○中津川委員 ここにいる皆さんたちはもう、この為替介入の巨額な資金が、一体だれがどういう基準に基づいてやっているか、調達しているかというのはおわかりかと思うんですが、私は少し勉強して理解してみたんですが、私なりに整理してお話しします。
 これは一種の国債で、償還期限は三カ月、政府短期証券、為券というものを発行、これは国債ですよね。それで、銀行が引き受けて金融市場から調達している。これは、予算上は外為特会ということで、一般会計とは別であるけれども、七十九兆円もある。すごいお金だなと思うわけでありますね。
 さっき財務省国際局が二兆円ぐらいの運用益を出していると言っていますが、しかし、これをよく調べてみると、実はこの為替変動、今回、円高に伴う含み損がかなり、運用益のもう何倍も出ているはずだと思うんですよね。しかし、それは決算上表面に出ないんですよ、これ。運用益だけを計上させる仕組みですよね。含み損は民間企業のように期間損益には影響しないで、為券は、償還期限が来れば一応償還するけれども、次々と借りかえてもうエンドレスに発行するため、永久に含み損が表面化しないというトリックがあるということがわかったんですよね。だから、為券の発行額を落とさないで償還した分を新規発行で借りかえているという、円高が進んでいっても為替差損は隠れたまんまだという仕組み、何かこれは手品のようなもので、三月末の為替特会というのは、これは六兆円ですか、まあこれは後で確認したいと思うんですが。
 そこで、今年度予算は、これは七十九兆円ですよね。ですから、財務省は、ここで今審議しています補正予算で枠を二十一兆円引き上げるというんですが、さらに来年度予算では四十兆円ふやす、発行総額を百四十兆円に引き上げる。すごいと思うんですよ、これ。為替差損が表面に出ないことをいいことに、この為券発行額を現在のもう倍近く、一般会計の倍近くまでふやすことは、これ、私は異常だと思うんです、常識的に考えて。大臣、いかがですか、これ。
○谷垣国務大臣 今、含み損が表に出てこない、手品のような形だということをおっしゃいましたけれども、大体ずっとこのところ、大きな傾向で見ますと円高の流れになってきておりますから、先ほどのように、ドルで持っておりますと、それは長い傾向としては差損になってくるわけであります。
 しかし、先ほど申しましたように、外貨準備というのは外貨準備として持っていることに意味があるわけですから、それは、場合によっては、円安を阻止するために使うというようなことがあれば、その為替差損は表面化するわけでありますけれども、今までの流れでは、そういうようなことは余り起きてまいりませんでした。
 それから、先ほど六兆近いとおっしゃいました。これは、数字は……(中津川委員「違いますよ」と呼ぶ)いえ、これは平成十四年末で五兆六千六百七十七億円、そして平成十五年末で七兆七千九百二十八億円の為替評価損が生じている、これは事実でございます。それで、これはちゃんと予算のときに公表をいたしております。
 ただ、先ほど申しましたように、そういう差損がございますが、これはドル買いをするようなときでないとなかなか表面化してこないわけであるのは事実でございます。
 他方、運用益というものは、過去の累計によりまして、運用益はたしか二十八兆ございますが、このうち十七兆は既に過去に一般会計に繰り入れておりまして、いわば国民に還元したという形になると思いますが、現在、外為特会で運用益として持っているものは十一兆、今までのあれがございます。
 以上でございます。
○中津川委員 今、この発行枠の拡大には、予算の承認、我々の承認が必要でありますが、運用は財務省の国際局の一部の官僚が、これは国会にもちろん諮ることもなくやっているわけですよね。やはり差額が出たら、損が出たらこれは国民の税金負担になる。これは恐ろしいことだなと私は個人的に思っております。
 時間も余りないようで、総理がお越しになったので、前からひとつお話をしたいと思っていたことがあるんですが、総理は、やる気と能力のある経営者には積極的に国が支援していく、それから再挑戦ができる社会、これもよく言いますよね。ところが、今の日本はそうなっていないんですよ。日本はずっと担保至上主義、ビジネスプランとか人物のやる気とかそういうことではなくて、土地があるかどうか、あるいは定期預金があるかどうか、それが銀行がお金を貸すかどうかのこれは判断だったんですね。
 今、地価が下がっています。地価が下がっているのは、これは経営者の責任じゃないんですよ。しかし、どんどんどんどんまた追加担保を要求するということですね。自殺者は三万人ですよ。
 それから、もう一つは保証人制度。これはもう私、前回国会に来たときからおかしいなと思って、民主党なんかはこれは大変熱心で、私たちが保証人、これを廃止するワーキングチームをつくって今やってきているところでありますが、少しずつ国の方も動いてきています。
 今、日本は、とにかく一回失敗した、挫折した、倒産したら起き上がれないんですよ。家、財産まで持っていかれちゃう。だから、夜逃げ、すごいですよ。競売、自殺、もう大変なものでありまして、今日本は、総理が言っているそういうあれじゃ、アメリカなんかはこういう制度が、こんなにきついのはないですから、倒産すること、これが一つのキャリアになって、かえって信用を受けるんですよね、今度は大丈夫だろうと。ですから、日本も本当に、何度失敗しても、家、財産まで持っていっちゃいけない。
 そういういろいろ、金融の面でも新規事業の、よくベンチャー支援する、これは結構なことですよ。結構なことなんだけれども、今まで頑張ってきた経営者はみんな背負っちゃっているわけですよ、不良債権を。小泉さんが不良債権早く処理しろ処理しろと言って、デフレのときにやっていますから、ですから、これはそういう背負っている人たち、その人たちは、信用保証協会というものを通して借りている人がほとんどでありますが、死ぬまでそこから離れられない。もうずっと離れられない。その人たちが新規事業をしようといったって、できないわけです。新しい人たちが何かやる、背負っていない人はできるんですよ。いかがですか、総理。
○小泉内閣総理大臣 今の御意見を伺っていまして、なかなか現在の日本の経済も極めて難しい道を行っているなということを感じております。
 不良債権を早く処理しろ処理しろと、多くの声に耳を傾けて、不良債権を処理しないと日本の金融も健全化しない、経済も発展しないと。進み始めますと、これは急ぎ過ぎるなという声も起こってまいります。アメリカの言うことばかり見習ってもしようがないぞというと、今御意見を聞くと、アメリカの言っていること、いいじゃないかと、倒産というのはキャリアになる、日本も再挑戦できる社会にしろという話も聞いておりますし、なかなかいろいろな御意見がある中で政策を選択してやるのは難しいけれども、やはり改革を進めていかなきゃならないなという意を強くしておりますが、御意見もよく伺いまして、不動産担保に偏らない、そういう中小企業を支援する対策についても検討しなきゃいかぬ。その点については、今、経済産業大臣が鋭意中小企業にも資金が円滑に行き渡るような対策を展開しております。また、個人保証に頼らない、そういう対策も今進めております。
 難しい時局、経済ではございますが、各方面からの意見を聞きながら改革を進めていかなきゃならない、改めてそのような認識を強くしております。
○中津川委員 総理はいつも構造改革なくして成長なしと言いますけれども、私、これは最初聞いたときは、総理はパフォーマンスと何か説得力があるからそうかなと思ったんですが、しばらくして、これは違うんじゃないかと。
 構造改革というのは、人間の体でいうと、これは大手術ですよ。ですから、全部体を検査して、これは大丈夫だということで、切開手術をしたりしていますね。構造改革の不良債権処理もそうなんです。構造改革をするには経済の下支えが必要なんですよ。成長なくして構造改革なしじゃないですか。
 今の小泉内閣の経済政策というのは、とにかく大手術をしよう、これは間違っていないんですよ。やり方が、主語と述語が反対なんだ。成長なくして本当の構造改革はできないんだ、私はそう思っているんですが、これは、私、最初それを言ったころは余り言っている人がいなかったんだけれども、この間、日本商工会議所の会頭さんもそんなことを本に書いちゃって、ああ同じふうに思っているんだなと。自民党の人たちも、一緒に勉強会でそう思っている人いますよ。総理、いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 構造改革なくして成長なし、成長なくして改革なし。しかし、改革なくして成長したら改革意欲なくなっちゃうんですよ、改革する必要ないじゃないかと。
 やはり改革なくして成長なしなんだと私は思っています。
○中津川委員 言葉の遊びをしているわけじゃないので。とにかく今、きょうもやってきました、不良債権の問題。どんどんどんどんこういうものを進めていったら、今どんどん、やはり地方も、それから東京も、下町も、みんな苦しんでいるんですよ。経済をよくしなきゃしようがないんですよ。
 総理のは、緊縮財政じゃないと言うんですよ、いつも。だけれども、緊縮財政だから税収が減っているんじゃないですか。四十一兆円でしょう、三十六兆円でしょう、補正予算でしょう。それでも足らないから、たばこの税金を上げたり、ワインの税金を上げたり、それから医療保険を二割から三割に上げたり、生活保護の手当を下げたり、細かいところから取っている。
 だから、総理、今回のイラクだって大変なお金が要っているわけですよ。一千六百億ぐらいですか、これは年間の中小企業の予算なんですよ。日本を元気にしないと、協力したくたってできないじゃないですか、違いますか。いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 元気にするために改革をしなきゃいかぬと思っているんです。
 恐らく、中津川さんも民主党でありますから、もっと国債を増発しろという意見はとっていないと思いますよ。まあ民主党にもいろいろ意見はあると思いますから、それはいいんですが、ここが難しいところなんです。もっと国債を増発しろという意見はあることは承知しております。果たしてそれで景気が回復するかどうか、やはり財政の規律も考えなきゃいけない。両面考えていかなきゃならない難しい問題だと思っております。
○中川国務大臣 改革によって血ばかり流しているんじゃないかというような御趣旨がありましたが、小泉内閣におきましては、今先生御指摘のように、中小企業あるいは地方の経済が非常に厳しい現状にあるわけでありまして、それに対しては、御承知のように、借りかえ保証であるとか、あるいはまた都道府県に相談窓口を設けるでありますとか、あるいはセーフティーネット保証、セーフティーネット貸し付けをやっていることは、もう先生も御承知のとおりだと思いますし、さらに、十六年度に向かいまして、今国会におきまして、御指摘のあった担保、不動産を中心とした担保からの脱却であるとか、あるいは貸付債権の証券化でありますとか、あるいはベンチャー支援をさらに強化していくでありますとか、そういう対策もとりながらやっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
○中津川委員 もう時間が来ましたので、そろそろ終わりにはしたいと思っているんですが、とにかく総理、今のように地価がどんどんどんどん下がっていったら、これは個人が努力しないから下がるわけじゃないですから、もうバブル前の八三年、四年より下がっているわけですよ。これは何とかしなきゃだめですよ。
 前、資産デフレはだれがやってもこれは今は難しいということを、総理の発言を聞いたことがありますが、手を打てる方法は幾らでもあるんですよ。民主党、我々は議論しているんですよ。土地基本法だってあるんですよ、いろいろなやり方があるんですよ。
 政策を出してくださいよ。倒れていっているのを見ているだけじゃしようがないでしょう。我々は政策出したって今与党じゃないからできないんですから。資産デフレを是非解決してください、それを最後に申し上げます。一言答えてください。
○小泉内閣総理大臣 もろもろの改革の中でも、税制改革等はもうバブル以前の、土地税制も戻しています。それぞれ改革、一つだけじゃありません、今言った不良債権処理も金融改革の一環であります。金融改革、税制改革、また規制改革、さらには厳しい財政の中でも歳出構造を見直すという歳出改革、そういう組み合わせによって、私は、今の経済状況をさらに活性化していくということが必要だと思っております。
○中津川委員 終わります。どうもありがとうございました。
○笹川委員長 これにて中津川君の質疑は終了いたしました。
 これをもちまして一般的質疑は終了いたしました。
 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十四分開議
○笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより締めくくり質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。生方幸夫君。
○生方委員 民主党の生方でございます。
 私は、ことしの正月、大変穏やかな正月だったですけれども、非常に気が重く過ごしました。それは、一つにはイラクへの自衛隊の派遣ということがございまして、自衛隊の皆さん方があの寒い旭川のもとで訓練をしているのを見たり、あの寒い地から一気に暑いイラクに向かう、命がけの仕事をしなければいけない、これから日本の外交、防衛はどうなっていくんだろうかというようなことに思いをはせまして、なかなか心安らかに正月を過ごすことができませんでした。
 今回のイラクへの自衛隊の派遣というのは、ただ単に自衛隊を派遣するということだけじゃなくて、やはり日本の防衛外交政策の根本を変えるような重要な事柄だというふうに私は思っております。
 各種世論調査を見て総理も御存じでございましょうが、最初は、イラクへの自衛隊の派遣について、国民の皆さん方は反対の意見が大変多かった。それが、最近になって五分五分あるいは、客観的に申しますが、若干賛成の方が多いというように世論が変わってきたのは事実でございます。
 しかしながら、一点変わらないのは、総理の国民に対する説明が十分であるか不十分であるか、こういう質問に対しては、押しなべて国民の七割から八割が不十分であるというふうに答えております。
 実際に自衛隊の皆さんが出ていくわけでございますから、それについて反対ということを正面から言いづらいことは事実でございますが、私たちは、外交、安保の根本を変えるのであるということを総理がきちんと国民に説明する、その上で、それが正しいのかどうか、それでいいのかどうかという、国民が判断をしなければいけないような、この問題は重要な問題だというふうに思っております。一言で言えば、国民の信を問わなければいけないような重要な問題だというふうに私は考えております。
 戦後、日本がつくり上げてまいりました平和外交の原則、それから専守防衛に徹するという防衛の原則、それから武器輸出をしないという原則、こうした原則を総理がこれから先変えていこうというのであれば、本当にはっきりと、変えていくんだということを説明し、これこれこういう理由だから変えなければいけないんだ、国民の皆さん、納得してほしいということをしっかりと言うべきだと思うんですね。
 きのうの論議、きょうの論議を聞いていても、総理からそうした言葉は聞かれません。本当に総理が外交、防衛の方針を転換するのか、転換しないまま微調整でこのままいくのか。だから国民の皆さんは、これから先、日本がどこへ向かっていくのかわからないので不安を持っているんですね。総理は、総理大臣としてこれだけの重要な決断をするんですから、もっと国民にしっかりと、外交防衛政策を転換するのかしないのかということをはっきりとさせなければいけないというふうに私は考えております。
 日本の平和外交というのは、憲法の前文、総理も引用されましたが、憲法の前文や九条に明記されているように、国際紛争を解決する手段として武力をもってしないということを明記いたしております。これは、第二次大戦の悲惨な経験を通して、我が国は、武力で国際貢献をするのではなくて平和的な手段によって国際貢献をしようという決意のもとに、平和外交をこの戦後五十数年間続けてきたわけでございます。
 そのかわりと言ってはなんですが、日本はきちんと経済的な援助はいたすということで、一兆円近い、最近は減っておりますが、一兆円近いODAを世界の国々に供与してきたわけでございます。私も世界にいろいろ旅をいたしますが、このODAについては非常に高く評価されていることは、総理も御承知のとおりでございます。
 一方、自衛隊は、専守防衛に徹しておりまして、海外に自衛隊を派遣しない、国権の発動たる武力行使はしないという原則のもとに、自衛隊は一人も殺さない、一人も殺されないということを続けてまいりました。九二年からは国連の枠組みのもとにPKO活動を行ってまいりましたが、これは国連のもとであって、国権の発動たる武力行使にはもちろん当たりません。こうした日本の専守防衛に徹するという専守防衛の防衛方針も、各国から高く評価をされてまいりました。
 しかるに、今回のイラクへの派遣は、こうして築き上げてまいりました日本の外交、平和の根本とも言える原則を簡単に踏みにじろうとしていると言わざるを得ません。
 戦闘地域であるイラクへ自衛隊を派遣すれば、戦闘行為が行われる危険性は極めて高い。戦闘地域、非戦闘地域というそもそもできない区分をして、戦闘行為は行わないと言っても、現実に戦闘行為に巻き込まれる危険性はかなり高いと言わざるを得ません。外国の地で戦闘行為を行えば、専守防衛という原則を大きく踏みにじることになります。
 米国は、国際紛争を解決する手段として、残念ながら、イラクに対して武力攻撃をいたしました。それを支持するということは、日本の平和外交の基本である、武力で国際紛争を解決しないという原則にも大きく反することになるのではないですか。
 また、国連の安保理事会の決定を経ていない今回の行為は国際法に準拠していないということであって、米国の行動をただただ支持するということはこれまで日本が行ってきた国連中心の外交という原則をも踏みにじることになると私は考えております。
 国民は、総理が日本をどこへ持っていこうとしているのか、外交、防衛の基本を変えてしまって本当に日本の平和、世界の平和は守られるのか、大きな懸念を持っております。
 イラクへの派遣はこれほど重い問題です。実際に外交、安保の基本を変えるのですから、それでいいのかどうか。私は、選挙、昨年やったばかりでございますが、この問題でもやはり国民の皆さん方に信を問うべきだ、それほど重要な問題だと考えますが、総理の御所見はいかがでございましょうか。
○小泉内閣総理大臣 戦後の日本の一貫した外交、安全保障、基本政策は変わっておりませんし、これからも堅持していく決意であります。
 いわゆる日米同盟と国際協調を両立させていくということと専守防衛、これにのっとって今回のイラク復興支援活動もなされているわけでございます。
 今、日本の平和と安全、これは日本一国だけで確保することはできません。日米安保条約、日米同盟、日米間の信頼性を高めて日本の安全を確保していく、同時に、日本の防衛は専守防衛だ、そういう中での防衛政策を今までも堅持しておりますし、今回のイラクの復興支援も、戦争に行くのではございません。国際社会、いわゆる国連で、すべての加盟国に対してイラク復興支援を要請しております。そのイラクの安定のために、平和のために日本が何をなし得るか、何ができるかということを真剣に考えるべきときだと私は思っております。
 そういう考えの中のもとに、日本として、イラクの安定というのは人ごとではない。イラクに安定した民主的な政権ができるということは、イラク人にとって一番望ましいことであると同時に、イラク周辺国、そして世界各国、日本国民、日本国家にとっても極めて重要であります。
 そういう際に、日本として、武力行使はしない、専守防衛という基本方針を堅持しながら、憲法の枠内で何ができるかということを考え、国際社会の中で責任を果たしていこう、そういうことで、いろいろな復興支援、人道支援活動を考えているわけでありまして、自衛隊の派遣もその一環であります。
 日本としては、今後も、国際社会と協力しながら、また、日米関係の重要性をよく認識しながら、日米とも協力していく、国連とも協力していく、国際社会とも協力していく、そういう中で、イラクが安定した国になって繁栄できること、イラク人が希望を持ってイラク人自身がみずからの国の再建に努力しようと、その支援のお手伝いができればなと思って、各分野における復興支援活動、日本として何ができるかということを今後も総合的に考えながら実際の支援活動を実施していきたいと思っております。
○生方委員 何か声に元気がないようですけれども、風邪でも引かれたんですか、大丈夫ですか。
 今のお話でございますが、私は、外交、安保の基本を変えるのであれば、変えるということを国民にきちんと説明しろというふうに質問したわけで、総理のお言葉では、変えるのではないということですね。
 外交、安保の基本を変えるのではないということであれば、去年八月にイラクの特措法が成立したときと比べて、現在、状況が明らかに変わっているわけですね。あのままイラクが大きな武力衝突もなく、占領されて、統治されて暫定統治機構ができるというのであれば、そこに自衛隊を派遣するということが仮にあったとしても、総理がおっしゃるように、武力紛争に巻き込まれる可能性はかなり低かったというふうに考えてもいいと思いますが、現在、あの占領以降もう一年近くたちますが、いまだにイラクでは武力紛争があちこちで起こっているわけですね。
 アメリカの司令官自体が、イラクは戦闘地域だというふうに言っているわけです。そう言っているにもかかわらず、非戦闘地域があるんだと言ってそこに自衛隊を派遣するんだということを強行するから、国民は、まず自衛隊を派遣するということがあって、イラクへの復興支援は二の次なのかなというふうに疑問に思うわけですよ。それが、日本の外交方針を総理は変える気なのかというふうに思っているわけですよ。
 専守防衛に徹して、自衛隊が海外でできるのはPKOだけだと。そのPKOのときも、携帯する武器についてどういう武器を持っていったらいいのか悪いのかという論議をさんざんしてきたのは、武力行使を海外で行ってはいけない、日本の専守防衛という原則をきちっと守っていくべきだという国民的な合意があるからなんですよね。
 だから、今、国民の皆さん方は、イラクへの自衛隊の派遣は、まあ何となくもう行っちゃったんだからしようがないとは頭の中で半分思いながらも、しかし、総理の説明には、不十分だ、何かまやかしがあるんじゃないかというふうに指摘をしているわけですよ。
 その不安を総理はやはりきちんと取らなければいけない。そのためには、私は、今、戦闘行為、非戦闘行為、この論議もさんざん行われてきましたが、現実は分けられないんですよ。分けられないのであれば、どちらをとるかといえば、戦闘地域であるというふうにとって、今、自衛隊の本隊を派遣するのは中止をする、延期をするというのが専守防衛の精神からいえば当然の措置だと考えますが、いかがでございますか。
○小泉内閣総理大臣 自衛隊派遣に反対の立場からの議論であるということなら、理解はできます。我々は、自衛隊を派遣して人的貢献をなすべきだという考えでありますので、意見の違いは違いとして、反対論の立場もよくわかります。しかし、イラク特措法に基づく非戦闘地域があると認識しているから、非戦闘地域に自衛隊を派遣して復興支援、人道支援という活動をしようということ。
 いろいろな対応に対して意見の分かれるところは、過去の歴史を見てもあります。日米安保条約を締結すると戦争に巻き込まれるという反対論も、過去、たくさんありました。しかし、現在、日米安保条約を締結して、日本は戦争に巻き込まれることもなく、平和を確保しながら日本は発展してまいりました。
 PKOを派遣するときにも、賛否両論ありました。いかなる平和維持活動においても海外に自衛隊を派遣することは派兵だ、これは戦争に巻き込まれる、戦闘行為に巻き込まれるおそれがある、そういう賛否両論がありましたけれども、現在は、反対されている方にもPKO活動はよかったなと評価されている面が多々あるんじゃないでしょうか。現在でも、ゴラン高原やら東ティモールにおいてもPKO活動に自衛隊の諸君が活動しておりまして、各国から高い評価をいただいております。
 今回も、自衛隊が行くからこれは派兵だという反対論があります。しかしながら、非戦闘地域において自衛隊が活動できる分野がある、自衛隊の諸君であったらば一般国民ができ得ない能力も持っている、そして訓練もしている、そういう困難な任務も、普通の国民ではできないけれども、自衛隊の諸君ならばやってくれるだろう、またその能力があるだろうということで、自衛隊の諸君に行っていただく。
 私は、そういうことによって、戦争に行くのではない、人的貢献の一環として自衛隊の諸君に汗を流していただこうということで、これからも国民に理解と協力を求めていきたいと思っております。
○生方委員 PKOの発動とは違うんですよ。この間のニュースを見ても、自衛隊の派遣、あれだけの儀式を行って、あれだけのことを行うというのがニュースで毎日流れているから、本当に自衛隊は変質してしまうんじゃないか、専守防衛の原則が崩れてしまうんじゃないかという、国民は大きな不安を抱いているんですよ、総理。
 だから、現実に、PKOの場合は、武力行使をするといっても、そこの、紛争地域の当事国の要請があって行くわけですから、それほど危険はない。現実に、今までもそうした戦闘行為に巻き込まれたことはなかったわけですよ。
 ところが、今度の場合は、明らかに状況は違うんですよ。イラクに今、政府がない。無政府の状態のところに自衛隊の皆さんが行くわけですよ。行って、現実にテロ、あるいはそのテロが全部、後ほど論議をいたしますが、全部がテロというふうに認定できないような占領行政に対する反抗等も含めて、占領に対するイラク国民の反感というのがある中へ自衛隊の皆さんが行く。
 ただ単に行くんじゃなくて、それは占領軍の一環として行くんだというふうに、今はサマワの人たちは、仕事をくれるんじゃないかということで自衛隊の皆さんを歓迎するというニュースがたくさん流されておりますけれども、いや、本当は仕事をしに来たんじゃないんですよ、占領軍の一部として日本が来たんですよということが明らかになれば、必ずしも自衛隊が安全だということが言えないんですよ。
 PKOを発動したときと全然状況が違うんだということを国民の皆さんは敏感に感じているから反対もし、懸念もしているわけですよ。それを総理がきちんと説得できるようなことを言っているのかといったら、言っていないんですよ。非戦闘地域があると思うから行くんだと。
 では、お伺いしますが、自衛隊の皆さんがあそこへ行って、先遣隊が調査をしてまいりました。たった一・五日しか滞在しないで、非戦闘地域であるということが何でわかるんですか。いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 十一月にも政府の調査団をイラクに派遣しております。自衛隊の先遣隊が行く前からそれぞれ日本としては情報を収集しており、イラクに駐在する各国とも意見交換、情報交換をしながら、自衛隊諸君が活動できる地域があるかどうか、調査を続けてまいりました。
 今回も、一日、二日の調査だけで判断したわけでありません。今までの、過去のいろいろの調査を含めて、そして自衛隊の先遣隊の諸君の調査報告も含めて判断したものでありまして、たった一日や二日の調査だけで決めたものではございません。
○生方委員 それならば、何も、今回、一・五日だけ派遣しなければいいじゃないですか、前からわかっていると言うのなら。行くのであれば、ちゃんと三日とか四日とか一週間とか行って、きちんと調査をしてくるのが当たり前じゃないですか。
 きのうもちょっと質問が出ましたけれども、サマワの評議会そのものは今機能しているというふうにきのういただいた自衛隊の報告では来ているんですけれども、報道によれば、そうは機能していない、巡礼に一部行っちゃっているじゃないかというような報道もなされております。それで本当にきちんとした調査がなされているというふうに総理はお思いになるんですか。
○小泉内閣総理大臣 各種の調査を総合的に判断して決定したことであります。(発言する者あり)
○生方委員 いいですか、ちょっと外野うるさいですから黙っていてください。
 それでは、もう一つの観点から聞きたいと思います。
 今度のイラクへの攻撃を総理が支持したのはイラクに大量破壊兵器があるからだということも、重ねて総理は表明をしてまいりました。これは、きのうからきょうにかけての論議でも、実際に査察を行った米国の調査団の団長が、大量破壊兵器はなかったのではないか、そういう指摘をいたしております。これは、イギリスにおいてもアメリカにおいても、大量破壊兵器の存在を捏造したという疑惑が多く持たれております。
 こうした大量破壊兵器がなかったにもかかわらずそれを支持したというふうに我々が質問をいたしますと、総理は、ではフセイン政権が今でも続いていていいのかという切り返しをなさった答弁もしております。
 総理に再度お伺いしますが、では、仮に大量破壊兵器がないときに、フセイン政権を倒すために武力行使をしてもいいというふうに総理はお考えですか。
○小泉内閣総理大臣 これはもう前から何度も答弁しておりますが、国連決議に沿って、国連憲章にのっとって、私ども、我が国政府は米英の対応を支持いたしました。
 過去、フセイン政権は大量破壊兵器を使用した事実、そして、国連決議に対して誠実に対応しようとしなかった、また、大量破壊兵器がないということを立証しなきゃならなかったにもかかわらず立証していない、そういうことから支持したものでありまして、私は、フセイン政権が今続いて国連の決議を愚弄したようなものになった場合の脅威というものをどう考えるかということもやはり考えていかなきゃならないと思っておりますし、あの判断は正しかったと今でも思っております。
○生方委員 もうこれは何度も議論していて、総理から何度も同じ答えしか返ってこないので、する方もむなしいんですけれども、総理、アメリカは、一四四一の決議の後、一四四一では不十分だと考えて、再度、国連の安保理の決議を得ようとしたことは事実ですよね。それはお認めになりますね。
○小泉内閣総理大臣 アメリカも、でき得れば全会一致の努力をしてきたと思います。
○生方委員 しかし、結果として、一四四一に次ぐ安保理の決議というのは得られなかったんですよね。これは、フランスも反対したし、ロシアも反対したし、ほかの国もたくさん反対いたしました。すなわち、そこで国際的な合意というのはなされなかったんです。これは、アナン事務総長も、国連決議、安保理の新たな国連決議がなくてアメリカが行動すればそれは国連憲章違反だということを言っているんですよ。そうじゃないんですか。
○小泉内閣総理大臣 何度も答弁しておりますように、国連憲章にのっとったものであると私は判断しております。
○生方委員 国連事務総長がそうでないと言っていて、何で総理がそこでそうなんだとなるんですか。事務総長はそうじゃないと言っているんですよ。だから、結果として、現在、イラクに派遣している国だって四十国に満たないじゃないですか。四十国に満たないんですよ。世界にはもっと多くの国があるんですよ。フランスもドイツも派遣していないんですよ、ロシアも中国も。
 それはなぜかといえば、アナン事務総長が言うように、今度のアメリカの攻撃は国連憲章に違反している攻撃だからなんですよ。幾らフセインが悪いといったって、残念ながら、フセイン的な独裁体質を持った国というのは世界にたくさんあるんですよ。大量破壊兵器もないのにフセインのような政権を武力で打倒していいというような前例をつくっちゃったら、世界はごちゃごちゃになっちゃうじゃないですか。それを我々は危惧しているんですよ。いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 いろいろな事案に対して、意見の違いはそれぞれあります。国際社会の中でも違いがあります。国内でも、与野党、違いがあります。あって不思議なことでもないと思います。
○生方委員 国連のアナン事務総長ですよ。事務総長が、新たな決議がなくて武力行使をすれば国連憲章違反だと言っているんですよ。見解の違いじゃないじゃないですか、これは。アナン事務総長が言っているんですよ。
 では、総理はアナン事務総長を認めないんですか。
○川口国務大臣 総理が今までずっとお話をしていらっしゃいますとおり、新しい決議、これは必要ではなかったということでございます。新しい決議がなくても、それの正当性、これについては全く問題がないということです。
 アナン事務総長が言われたこととして今引用なさっていらっしゃることについて、具体的にそのようなことをおっしゃったかどうか、これは、いろいろ微妙な言い方をなさっていらっしゃいますので、必ずしも、今おっしゃった、引用したとおりのことを言われたということではないと私は記憶をいたしております。
○生方委員 英語を日本語に訳すんですから、いろいろな言い方になるということはわかりますけれども、趣旨はそういうことですよ。趣旨は間違えていないですよ。
 では、間違えたと言うんですか。アナンさんは、一四四一の決議のほかにもう一個決議がなくて、安保理の決議がなくしてアメリカが攻撃をしてもいいと言ったと言うんですか。
○川口国務大臣 重要なことは、アナン事務総長の御発言のいかんにかかわらず、今までのその決議で十分であったということであるわけです。
 それから、そのアナン事務総長について言えば、もちろん、アナン事務総長の役割というのは非常に重要でありますけれども、これの決議を有権的に解釈するというのはそれぞれのメンバーの国であるということであります。アナン事務総長がおっしゃったことは、私の記憶では、あってもよかったかもしれないけれども、なければ問題があるというふうにまでははっきりおっしゃらなかったというふうに記憶をしております。
○生方委員 川口外務大臣に余りこれ以上論議してもしようがないので、総理と論議したいと思うんですけれども。
 アナン事務総長がそう言ったことは、それは事実なんですよ。外務大臣、何言っているかよくわからないことを言っていましたけれども、これはちゃんと報道もされておりますし、きちんとニュースでも流れました。だから、それに対して、総理はアナン事務総長と見解が違うというのであれば、では、これから先、我々は国連のもとでどういう論議ができるんですか。事務総長が言っていることは信用できない、違うんだということであれば、国連の活動とどういうふうに我々はタッチしていけばいいんですか。
○小泉内閣総理大臣 いろいろな事案に対して国連で意見が分かれる場合は多々あると思います。アナン事務総長も、あるいはフランスにおいても、もう一つ決議があればいいというようなことをあの会議でも言っていたと記憶しておりますが、アメリカもできれば多くの国と一致するような決議ができればいいと思っておりましたけれども、意見の相違があってそういうことができなかったわけでありますが、日本としては、あの決議にのっとって十分正当性があると思っております。
○生方委員 総理のここでの発言を何度も聞いていますけれども、あのときの一番大きな趣旨は、大量破壊兵器があるんだ、大量破壊兵器をこれから開発するおそれがあるんだ、だから一日も早くイラクに対して査察を実施して、それがあるのかどうかを確認しなければいけないと。
 それで、少なくとも、あの最後の過程において、イラクはもうどうにもなくせっぱ詰まって、査察団を受け入れて宮廷内まで見せたじゃないですか。全部見せたんですよ。だから、もうちょっと時間をかければ、大量破壊兵器がなかったということはあのとき証明されたかもしれないんですよ。それをアメリカが、大量破壊兵器がなかったということが証明されてしまえばフセイン政権を倒すことができないからというので、次の国連決議を経ずして武力行使を急いじゃったわけでしょう。だから、これだけ国際世論が割れちゃったんじゃないですか。
 だから、だれもが今アメリカの行動を支持しているわけじゃないんですよ。大きく疑問を持っているんですよ。国連の権威があれによって大きく揺らいだんですよ。日本は国連中心主義という外交の方針と日米同盟といういわば両輪がうまくいっていればいいですけれども、今、これが大きく反しているんですよ。そのとき、総理が、日米同盟、日米同盟というふうに偏っちゃうと、それこそ二十一世紀の日本を過つんじゃないか、そういう観点から私は質問しているんですよ。いかがでございますか。
○笹川委員長 川口外務大臣。
○小泉内閣総理大臣 それは全く同意できません。
 現在、国連はすべての加盟国に対してイラクに対する復興支援を要請しております。時には日米同盟を重視して、時には国際協調を重視してということではありません。常に日米同盟と国際協調を重視していくのが日本の立場であります。その際に、完全に国連がすべて全会一致ということはない場合もあり得ます。その場合には、諸情勢を判断して、日本の国家利益としてどういう対応をすればいいかということを考えていきます。
 可能性を考えれば、私は、国連安保理、すべての安保理事国が一緒に決議をすれば、フセイン政権も全部受け入れて、査察を受け入れて、開戦する必要はなかったという可能性も論理上は考えられます。一致しなかったから、フセイン政権は、大丈夫だろう、国際意見が分かれているからアメリカは攻撃しないだろうという可能性もあったかもしれません。
 それは推測ですから何とも言えません。仮定の議論を言えば、いろいろな議論は言えます。そうすることによって戦争を回避できたのではないかと言う人もいるわけでありますので、国連としての役割というものを今後どう重視していくか、国連の機能をどう健全に維持していくか、これはお互い各国がこれからも考えていかなきゃならないことだと思っております。
○笹川委員長 総理に申し上げます。
 答弁したい気持ちはわかりますが、委員長が指名したのは、今、外務大臣でありますので。
 川口外務大臣。
○川口国務大臣 今委員がおっしゃった幾つかのことで、例えば、宮殿の中をサダム・フセインは全部見せたとかということですが、それはそういうことではなかったわけですし、国際社会が分かれていたかといえば、これは決議一四四一は安保理の満場一致で採択されたものでして、そこで何を決めていたかといいますと、イラクが関連決議の重大な違反を犯したということから始まって、決議に従わなかった場合には深刻な結果に直面するということを、安保理、一致したわけですね。そこで、その結果として、累次の国連の決議に従って武力行使が正当化されるということでありまして、我が国はその考え方に基づいて支持をしているということでして、一四四一は満場一致でございます。
○生方委員 一四四一が満場一致だったということも、内容も知っております。だけれども、一四四一で武力行使するのは不十分だというふうに考えたから、アメリカは、次の決議を一生懸命とろうとしたわけでしょう。
 実際問題、さっき総理おっしゃいましたですけれども、可能性としてはなかったかもしれないと言ったけれども、あれからあと二カ月や三カ月やれば、実際に大量破壊兵器はなかったんですよ。なかった可能性の方が、今でいえば、八割以上ないと言えるんじゃないですか。
 もう占領してから一年もたつんですよ。あれだけの国ですよ。幾ら何だって、調べて出ないなんということはあり得ないじゃないですか。もうちょっと待っていれば、出なかった、なかったという確率がかなり高いんですよ。そうであれば、別の方法でフセイン政権から普通の政権に移す方法というのはまだあったはずなんですよ。
 あれだけの犠牲を強いて、イラクの国民は今、何人犠牲者が本当に出たかは明らかになっていませんけれども、一万とか何とか言われている数値はあるわけですよ。それだけの犠牲を出すからこそ、我々は、武力によって国際紛争は解決できないんだと。これはパレスチナとイスラエルの問題を見たって、私もおととし行ってまいりましたけれども、結局、武力による解決というのはできないから、長いこと、これだけかかっているわけですよ。
 イラクだって、このままの状態がいけば、このまま、どういう政府ができるかわかりませんけれども、仮にアメリカ主導型の暫定政権ができれば、長いこと混乱になる可能性があるんですよ。それは、フセインのもとで、圧制のもとで苦しんでいたということも気の毒ですけれども、こうした混乱のもとで苦しむのだってやはり気の毒なんですよ。
 武力では国際紛争を解決しようとしても解決できないというのは、我々が第二次大戦から学んだ貴重な教訓であり、それを我々は体現してきたわけですからね。国連でそれに基づいた主張をするのが日本の平和外交の長たる総理の責任だと私は思うんです。
 日米同盟と国際協調があって、どちらをとるのかという問題にはならないといっても、現実問題、今、どちらをとるかになっているじゃないですか。それで、日米同盟の方に総理は大きく傾いているじゃないですか。ブッシュ大統領が再選されたらそれはいいかもしれないですけれども、ブッシュ大統領じゃない大統領が選ばれる可能性もあるわけですよ。余りブッシュさんに肩入れしちゃったら、日本の国益をかえって損なうことにもなるんじゃないんですか。総理。
○小泉内閣総理大臣 ブッシュ大統領は、アメリカの政治手続によって正当に選ばれた政権であります。日米同盟の重要性、これは何度も指摘しているとおりでありますし、私は、ブッシュ政権が選ばれなかったらどうするかと。現在、相手しているのはブッシュ政権ですよ。そんな、選ばれなかったらどうするかという、今どうして私が答えるんですか。答える責任あるんですか。
 私は、いかなる政権だろうとも、日米同盟の重要性はよく認識しながら対応をしていきます。それは、ブッシュ政権だろうとどの政権だろうと、日本とアメリカとの同盟関係は日本の安全と平和を確保する上において極めて重要であると認識しているからであります。
○生方委員 私が指摘したのは、アメリカの国内も世論が割れているということですよ。今度のイラクへの攻撃に対して一枚岩ではないんですよ。現に、民主党の大統領候補は、あの攻撃は間違いだったと言っているんですから。
 だから、私は、余りにブッシュ大統領に肩入れしちゃうことが本当に日本の将来にとっていいんですかという質問をしたんですよ。いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 日米協力するというのが何で肩入れなんですか。アメリカは民主主義国であります。与野党があります。常に全部の意見が一致することなんて、私は、アメリカでもないと思います。日本も民主主義国であります。これだけ意見が違うんですから、日本も民主主義で。
 アメリカだって、民主党でもブッシュ大統領を支持している議員はいますよ、反対している人もいますけれども。ところが、イラク戦争を支持している民主党議員もたくさんいますよ。今回、イラクに反対している民主党候補もいるのは知っております。その候補が民主党の大統領候補に選ばれるかどうか、これから先わかりません。
 アメリカは民主的な政権ですから、常にいろいろな問題に対して、政府の意見に対して反対の議員があります。だから、反対だからアメリカ国民は反対だというのも、これは余りにも早計ではないでしょうか。
○生方委員 私が指摘しているのは、ブッシュ政権の力の政策、これに日本が無条件に従っていいのかどうかということを指摘しているんですよ。力によってすべてが解決できるというふうに思ったら、これは大間違いなんですね。
 だから、確かにフセイン政権がいいという人はさすがにだれもいないでしょう。だけれども、フセイン政権が悪いからといって、それを武力によってたたきつぶしていいのかどうかということには議論があるんですよ。
 こんなことを認めてしまえば、フセイン的な政権というのは世界じゅうにたくさんあるんですよ。第二、第三のフセインを見つけてアメリカが攻撃をした場合、それもまた日本は支持しちゃうんですか。そうなったら、もう世界じゅうむちゃくちゃになっちゃうじゃないですか。国連の決議も経ずしてそんなことをやられたらたまらないというのが国民の大きな心配なんですよ。それを聞いているんですよ、総理に。
○小泉内閣総理大臣 それは、アメリカもそんなに単純な政権じゃありませんよ。イラクに対応する、武力を行使する場合もある。あるいは、リビアのように、武力対応する前に自分から全部核兵器を廃棄しますという政権もある。北朝鮮に対しては、アメリカも平和的、外交的解決を目指すと言っている。イラクがあのような事態になったからほかもイラクと同じような対応をすると思うのはいかがなものでしょうか。
 アメリカはいろいろな対応をしている。一国主義ではないし、武力だけではない。外交的努力、それぞれ積み重ねてアメリカという政府は成り立っているわけでありますので、一方的にアメリカは一国主義だの武力がすべてだと考えているとは、私は思っておりません。
○生方委員 私が言っているのは、今度のイラクの問題に関してアメリカが行ったこと、必ずしも国際的な同意を得ようと努力をしなかった。時間は十分にあったはずなんですよ。何もあそこで急がなければいけない喫緊の要素というのはなかったんですよ。フセイン政権が大量破壊兵器を今にもどこかへ撃ち込もうという準備をしているとか、核を開発してすぐ撃ち込もうとしているとかという、そんな緊急の事態じゃなかったんですよ。もうちょっと待って国際的な同意を得る努力をすれば、こんなことにはならなかったはずなんですよ。そのことを私は指摘しているんですよ。
 過去に一回あったわけですからこれから先もずっとあると、私だって思いません、そんなことがあったら困りますから。だけれども、過去に一回あったことについて日本がきちんとした意見を表明しておかなければ、同じようにアメリカに、アメリカの国益と日本の国益は違うんですから、いつも同じというわけじゃないんですから、そのときにアメリカについていってしまうことが日本の国益を大きく損ねることもあるんじゃないんですかという指摘をしているんですよ。
○小泉内閣総理大臣 日本は日本の国益を考えて行動しているわけです。アメリカについていってしまう、それはアメリカに協力するというと追随とか肩入れとか言いますけれども、それは認識が違う。
 民主党の立場、日米同盟と強調していながら、それじゃ、テロの起こったアフガニスタンのテロ対策、これも反対。(発言する者あり)いや、アフガニスタンのテロ特措法にも反対しましたよ、民主党は。今回のイラク支援法も反対。今回も反対。そういう言葉だけでなくて、では、日米同盟を重視していながらどうやって強化していくかお聞きしたいと言うとまた、質問しているから聞くなと言われるのはわかっていますけれども。
 私は、日本の判断は日本の国家利益、日本の平和と繁栄にいかに資するかという観点から考えているわけであります。
○生方委員 日本の外交の基本というのは、国連というのと日米同盟というのと、もちろんアジアもございますね。その中で、総理は日米同盟が一番大事だというような位置づけだというのもよくわかります。しかし、私たちは、やはり国連を中心にやるべきだ、日米同盟も大事だ、だけれども、それはあくまでも国連というのと両輪じゃなきゃいかぬというふうに考えているわけですよ。
 今度の場合は、アメリカが行ったことが国連が望んでいたことと違う結論になってしまったからどうしようかという問題になっているんですよ。それに一方的に日米同盟の方に対して日本が加わって自衛隊を派遣するということが間違えた方針ではないかということを我々は主張しているわけですよ。いかがでございますか。
○小泉内閣総理大臣 これはもう意見が違うから、何度やってもしようがないんですけれどもね。
 日米同盟を重視する、国連を重視する、両方重視していく。しかし、日本の安全を確保するのに、国連とどうやって同盟関係を結ぶんでしょうか。国連軍が今あるんでしょうか。日本一国で日本の平和と安全、独立を確保することはできるんでしょうか。国連と同盟を結ぶということは、国連の安保理事国全部が同意しないと、日本の安全、日本が危機に及んだときに支援の手を差し伸べないんです。その点をどう考えるんでしょうか。
○生方委員 今のは、何かちょっと今まで言っていたことと違うんじゃないですか。国連というのは国際紛争を解決する場としてあるわけですよ。国連軍がないといったって、多国籍軍というのが国連決議のもとにできることがあるわけじゃないですか。
 では、国連は日本の平和と安全にとって全く関係ないと総理はおっしゃるんですか。
○小泉内閣総理大臣 そんなことは言っておりません。
 では、国連多国籍軍が出たら、日本はそれに参加していいんですか。どうなんですか。
○生方委員 今私が聞いたのは、総理がおっしゃったのは、国連と同盟を結ぶことができないでしょう、アメリカとは同盟を結ぶことができる、アメリカは日本を守ってくれるけれども国連は日本を守ってくれないという趣旨ですよ、それだったら。守ってくれないということなんですね。
○小泉内閣総理大臣 それは、現実的に日本に危機が起こったときに、国連は国連軍を投じて日本とともに戦ってくれる、日本への侵略を防いでくれるということはないと思いますよ。
○生方委員 国連が行うことは、そういう武力紛争を未然に防止しようということで国連安保理事会も国連もあるんじゃないですか。それなら、総理は、国連がなくてもいいというお考えなんですね。
○小泉内閣総理大臣 日本は国連の安保理理事国でもないんです。日本の平和と安全を確保するということは、日本独自で考えなきゃならないことであります。そして、日本は一国では日本の平和と安全を確保できない。どうやって日本の平和と安全を確保するかということで、アメリカと協力していこう、同盟を結ぼうということで日米安保条約を締結している。
 では、国連に強力な国連政府ができて国連軍が創設された場合、今されていません、ありません、そのときはどう考えるか。そのときにはまたそのときの時点でいろいろな対応があり得ると思っております。
○生方委員 安保理にもなっていないというふうにおっしゃいましたけれども、日本は国連の分担金を世界で二番目に出していますね。アメリカはほとんど出していなかったから、一時はほとんど日本が出していたということがあるわけですよ。
 今総理が言っていることは、これまでの国連重視という日本の外交の方針と全く反することなんですよ。国連は日本の安全を守ってくれないと。それじゃ、国連に何で日本が参加しているんですか。事前に紛争を防止しようという能力が国連にあるわけでしょう。だから、それは間接的に日本を守るということじゃないですか。国際紛争を起こさない、起こさせないという力は国連にあるでしょう。だから日本はあれだけの分担金を負担しているんじゃないですか。そうじゃないんですか。
○小泉内閣総理大臣 国連に国際紛争すべてを未然に解決する能力は、いまだにありません。アメリカにもありません。だから、世界が協力して真剣に考えて、国際社会、国連を通じて今真剣に考えているんです。国連というものについて、国連がすべて世界政府で国際紛争を未然に防止してくれるというような組織になり、そのような対応ができれば、そのときにまた考えなきゃならない問題だと私は思います。
○生方委員 私は、極めて重要な発言だったと思いますよ。日本の外交の中心というのは、国連中心にやってきたわけですよ。今総理がおっしゃったのは、国連は何も役に立たないということを言ったに等しいんですよ。日本の平和と安全にとっては何にも役に立たないじゃないか、国連が守ってくれますかと。
 日米安保条約も重要ですけれども、国連の安保理事会というのにアメリカも入っているわけですよ。重要な問題については安保理で決議をするんですよ。今度の問題について、イラクの問題に戻れば、安保理の決議はなかったんですよ。総理がおっしゃった今の言葉は、本当に、国連を中心にやってきて、国連に私たちは多大な貢献をしてきたわけですよ。PKOだって協力をしている。そういう努力を全部否定しちゃうことじゃないですか。国連は日本を救ってくれない、国連は役に立っていないということを言っているに等しいじゃないですか。
○小泉内閣総理大臣 勝手に断定しないでくださいよ。国連と協調していくということを言っているんです。国連も、将来、より国際社会の紛争を防止するような組織にしなければならないと私も思っております。
 しかし、現在において、その力は必ずしもありません。どの国もありません。世界は広い。だからこそ、国連に協力していくということを各国が努力している。日本もそれ相応の努力をしているわけであります。
 国連の役割というものを重視していこう、そして日米同盟も重視していこう、両方を重視していこうというのが日本の外交の基本であります。それは、生方議員と意見は違いますが、余り一方的に解釈はしないでいただきたい。
○生方委員 それでは速記を、ちょっと今違ったことを言ったというので速記でちょっと確認させてください。(発言する者あり)
○笹川委員長 今、生方君の質問時間ですから。――生方幸夫君、質問を続けてください。
○生方委員 では、後ほど速記をきちんと起こして確認をすることといたしまして、総理に、私が総理のお答えとして聞いたことで確認をすることを確認しておきます。
 国連は日本の平和と安全にとって役に立たない、国連は日本を守ってくれない、アメリカは日本を守ってくれる、この発言をしたのは事実ですね。
○小泉内閣総理大臣 極端な話ではなくて、日本の安全保障に関して、日本とアメリカと同盟を結んでおりますが、国連と同盟を結ぶことはできないと言ったんです。
 今、日本の安全を図るために、日本がいざ侵略された場合に、国連が日本を守ってくれるかというと、そうでもない。しかし、安全保障の問題については限られている。その他の分野では国連の役割はいろいろあります。戦争だけの紛争ではありません。病気の問題、貧困の問題、教育の問題、いろいろあります。しかし、日本の安全保障を考えると、まず自国が侵略されないような日本の努力は必要だということは当然であります。同時に、日本一国だけでは日本の平和と安全を確保できませんから日米安保条約を締結している。その日米安保条約にかわるために国連と同盟を結ぶことは現在の状況では無理ではないかということを言っているわけであります。
○生方委員 世界の歴史は二国間では平和を確保することができない、だから多国間できちんと平和を確保しようじゃないかというのが国連ができたそもそもでしょう。そもそも、他国から侵略をされないようにするために国連がきちんと機能しなければいけない、そのために日本も国連の活動に協力してきたんじゃないですか。総理が言ったことは、そうした国連の国際紛争を未然に防ぐという能力を全然否定しているということになるんですよ。まあ、後ほどきちんと議事録を精査して、私の方で追加して質問をしたいというふうに思っておりますので、これは後で議事録を精査してからもう一度、再度質問させていただきます。
 それでは、次に移りまして、石破防衛庁長官は、MDの開発に関連して、日本の武器輸出禁止三原則を見直す方がいい、見直すべきだと言ったんですか。発言をしたというふうに新聞に報道されておりますが、どういう趣旨でその発言をなさったのか、お伺いしたいと思います。
○石破国務大臣 それは、委員、これは記者懇談を私がオランダで行ったものですが、記者懇談の全文をお読みになっておっしゃっておられるのか、あるいは新聞の報道をお読みになっていらっしゃるのか、もし記者懇談の全文をお読みだとするならば、その中で私が政府として見直すということを一回も言っていないことはお気づきだと思います。
 そしてまた、これは国会において、政治の場において御議論いただくべきものだ。その前に申し上げましたのは、参議院で、御党の議員からだと思いますけれども、武器輸出三原則について、いろいろな御提言も含めた御質問がございました。また、自由民主党の中におきましても、私、大臣になる前に籍を置いておりましたが、国防部会において考え方を提示いたしております。しかし、これは、三木三原則になりますときに、憲法を引いてまいりまして、憲法の精神にも由来するものだ、そのような文章もございます。それほど重いものであるからして、国会の場における、政治の場における御議論が重要です、そのように申し上げていることを委員ごらんになったと思います。政府として見直すということをその中で一度も言っていないことも御確認の上だと思います。
 私は、そのような御議論が国会で行われ、与野党の場で行われ、それが憲法にも由来するものであるから、政治の場における御議論が必要だ、政府としてそのときに、インフォメーションという言葉を使っておるのも御存じだと思いますけれども、情報の提供をするということは、それは政府としてすべきことだということをその懇談の中で申し上げておるものでございます。
○生方委員 再度確認をいたしますが、石破長官は、現時点では武器輸出禁止三原則を見直す必要はないというふうにお考えですというふうに解釈していいんですか。
○石破国務大臣 それほど重要なことであるから、政治の場における御議論が必要だという認識を申し上げました。
 政府といたしまして、現時点において、武器輸出三原則を見直すというような方針はございません。
○生方委員 総理もそれで、武器輸出禁止三原則を見直すつもりはないということで、総理も同じ考えでよろしいんですね。
○小泉内閣総理大臣 石破長官の答弁のとおりでございます。
○生方委員 私は、すべての国際紛争、まあ中東紛争が特にそうなんですけれども、その大きな原因はやはり大国が武器を輸出しているからだ、それが一つの大きな原因だと思うんですね。
 フセイン政権があれだけ大きくなったのも、もとをただせば、やはりイラ・イラ戦争で、イランにホメイニ革命が起こって、それに対抗する勢力をイラクに育てなければいけないというので、アメリカがフセイン政権に大量に武器を送ったことですよね。そもそもアルカイダも、北からソ連が、旧ソ連ですね、旧ソ連が攻めてきたことに対して、その対抗勢力を育てようというので、アルカイダに対してCIAを含めてたくさん武器を輸出したということがテロの最終的な温床になったわけですよ。だから、私は、中東の紛争に関して言うと、いつもあそこで紛争を起こしていて、武器を売って、その代金として石油をとるという大国の戦略がある。
 したがって、国際紛争を大きくしないためには、日本が武器輸出禁止三原則というのをきちんと守って、日本は武器を輸出する能力はあるし、これだけ厳しい経済情勢ですから武器をつくって売りたいというふうに考えている企業もあるかもしれませんけれども、それをきちんと、やらないできた。そうした日本だからこそ、私は、きちんと武器の輸出というのを原則禁止すれば大きな国際紛争は起こらないと思うんですよ。そういうことを私は日本が進んで提言するべきだというふうに考えておるんですけれども、総理、いかがでございましょうか。
○小泉内閣総理大臣 仮に日本の武器輸出三原則をすべての国が守った場合に、日本は独自で全部武器をつくらなきゃならないんですよね。これは大変なコストがかかりますよ。今、そういう点もこれはどう考えるのか。
 日本はこういう原則を持っています。しかし、他国は他国の考え方があるでしょう。そこまで日本が、現時点においてすべての国が武器の輸出に関して日本と同じようになった場合に、それじゃ日本はどうするのかという問題も考えなくてはならないと思っています。
○生方委員 何か本当に夢のない答弁ですよね。
 武器輸出をしなければ、大国が武器輸出をしなければ、自国で武器を開発する能力がある国というのは幾つもないんですよ。日本はそのうちの一つでしょうね。一つです。大変なお金がかかるかもしれない。だけれども、武器輸出が禁止されれば、自国でそれほどの大量の武器をつくる必要もなくなるんじゃないですか。そのための努力をするために、武器輸出の禁止、日本がきちんとやってきたことをほかのアメリカや中国やフランスやソ連にも求めていって、大国から大量破壊兵器が出ていかない、武器が出ていかなければ国際紛争そのものを小さくすることができるんだということを私は言うべきじゃないかと言ったら、総理が、かかるのは幾らかかるんですかというのは、本当に夢のない答弁ですよね。
 何もそういうようなことを、せっかく日本の平和外交をこれだけ守ってきて武器も輸出してこなかったという、この過去の外交の蓄積を生かした発言というのをせめて私はしてほしいと思ったんですけれども、本当に残念ですが、全くその気はないわけですね。
○川口国務大臣 今委員がおっしゃられた趣旨について、我が国も、極力、国際社会において武器の不要な取引から生ずるような犠牲あるいは問題が少なくなるように努力をいたしております。
 一つを例に挙げますと、例えば小型武器、これの非合法的な取引、これを規制すべきであるということで、昨年の夏は、日本が議長となってこの会議を、国際会議、国連の場でいたしました。もう一つ例に挙げれば、国連軍備登録制度の創設、これもやっております。
 こういった分野で我が国は主導的な役割を果たしてまいっておりますし、今後とも、そういう取り組みをしていきたいというふうに考えています。
○生方委員 時間が限られておりますので、あと、イラクに関して一、二点だけ質問をしたいというふうに考えております。
 総理が、イラクに対する債権の放棄について言及をされております。日本がイラクに持っている債権は七十億ドルあるというふうに言われておりますが、そのうちの、国際的な協力のもとに、どのぐらいの部分かという部分を明らかにしておりませんが、かなりの額の債権を放棄する用意があるというふうに総理はおっしゃっておりますが、これは具体的にどんな債権があるのかということについて、総理、具体的に聞くわけじゃないですけれども、どういう形で放棄をしようというふうにお考えですか。
○小泉内閣総理大臣 後ほど、より詳しいことは担当大臣から答弁させますが、イラクの復興に向けて、債務、どのようにイラクが返却するか、日本にとっては債権でありますが、この点については、イラクの復興に支障が起こってはならないということで各国と協力していかなきゃならない。
 パリ・クラブというのがあります。債権国の会議ですね。こういうパリ・クラブにおいてそういう削減の用意があるんだったらば、日本もそれ相応の削減をいたしましょう、協力いたしましょうという話であります。
○谷垣国務大臣 三点お答えします。
 一つは、まず、今の日本の対イラク公的債権はどれだけかというお話、これは、昨年の一月一日時点の元本及び利息の合計が四千九百四億円です。これに遅延損害金を含めますと、合計で八千三百八十九億円持っている、こういうことであります。
 それから、この対イラク債権に対する日本の基本方針ですが、それは、今総理がおっしゃったとおりで、二〇〇四年中にパリ・クラブにおいて相当の債務削減を行うということに日本としてコミットするというのが一つ。それから、もしほかのパリ・クラブ債権国がパリ・クラブの合意に沿って同様に対応する用意があるのであれば、我が国もかなりの債権放棄を行う用意がある。これが我が国の基本方針でございます。
 三番目、具体的にどうするかということになりますと、これは、今後、パリ・クラブの場で、イラクの復興状況とかあるいは債務の持続可能性といったことを考慮しながら議論するわけでございまして、現段階で申し上げられるのは、まだそこまででございます。
○生方委員 もう一点、確認をしたいんですが、きのうも質問の中で出ましたが、これは参議院の代表質問でも出ておるんですけれども、奥大使と井ノ上書記官の御遺体の検視結果でございますね。
 もうかなり時間がたっているわけで、これはきのうも疑義が出ましたけれども、だれによって攻撃されたのかということをきちんと特定するということは、これから自衛隊の皆さんがイラクの地で活動するに際しても、どういう勢力からねらわれているのかということをきちっと把握する意味でも極めて重要だと思うんですよね。
 この結果が随分出ないんですが、何でいつまでも出ないのか、その理由をちょっと教えていただきたいんですが、どこへ聞けばいいのか。
○川口国務大臣 これにつきましては、事実関係を究明し、真相を明らかにするということが重要でございますので、わかったことがあればそれはできるだけ早くお知らせをするようにということで私はずっと言ってきておりますけれども、今の委員の御質問について言えば、これは現地の関係当局、それから日本の警察で検視、司法解剖等やってきているわけでして、それの現状あるいは進捗状況については外務省の立場から申し上げることは難しいわけですけれども、引き続き警察当局と真相解明のために連携をしていきたいというふうに考えておりますし、重要な進展があった場合には、これは警察と御相談の上、可能な範囲でお知らせをしたいと思っています。
 これは、ずっと今まで出てきていますように、左側に弾痕が集中しているということで、テロの可能性が非常に高いというふうに考えております。
○生方委員 いや、私が聞いているのは、どうしてこんなに時間がかかるのかということなんですね。
 御遺体がまだイラクにあるというのならともかく、もう日本に戻ってきて検視を行っているわけですよ。検視を行って、きのうも首藤同僚議員が質問いたしましたが、弾がどういう弾であるのかというのは、これはどのぐらいのダメージがあるのかというのはわかりませんけれども、少なくとも直径が何ミリであるのかぐらいはわかるでしょうし、弾が入った角度というのも、入った角度と出る角度というのですか、それを見ればどのぐらいの角度から撃たれたのかということも、それぐらいのことはすぐにわかると私は思うんですよ。
 それが一切わからないというのか、わからないのか知らせないのかわかりませんが、何でこんなに時間がかかるのかというのがちょっと理解できないんですよ。何で時間がかかっているのか。
 では、今、何をしているのか。もう何度も何度も国会で質問しているわけですから、当然それについて、ここまで今進んでいるんだけれどもこれがわからないんだというのであればまだ納得ができるんですけれども、どうしてもこれは隠しているんじゃないのかということを疑わざるを得ないので、それで聞いたんですけれども。
○小野国務大臣 お答えをさせていただきます。
 御指摘の鑑定結果につきましては、御遺体については鑑定すべき事項が大変多くございますし、わけても、御遺体から摘出されました弾丸らしき金属片、これが相当程度破損しているわけでございます。ですから、それを集めながら弾の形にするということも大変な作業がございますし、それから、弾自身が大変変形をしております。
 そういうふうな具体的な点からいたしまして、鑑定に大変時間がかかっているということは、これは現実。時間がかかってどうかということに対しての、まず大変な作業であるという、これを一点御理解いただきたいと思います。
 また、捜査中の事件にかかわります情報の公開につきましては、捜査への支障あるいは関係機関や関係者の御意向も配慮する必要がございますけれども、本件につきましては、昨日も申し上げましたけれども、事案の重大性にかんがみまして、鑑定結果が出ましてから改めてきちんと公表させていただくということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○生方委員 我々の方に具体的に、何かおくれている理由がこれこれこうじゃないかというのがあるわけじゃないので、今おっしゃったことを信じるしかないんですが。
 実際に自衛隊の皆さんが展開をするわけですから、どこの勢力がどうなのか、あるいは万が一米軍の誤射というようなことがあるのであればどうなのかというようなことも含めて、きちんと早く原因を調査する。本来であれば、私は、調査団をきちんと派遣して、危険なのはよくわかっておりますが、危険を回避しながら調査団をきちんと派遣して、一体どういう原因でどうなったのかということをきちんと調べるべきだというふうに思いますが、残念ながら、調査団を派遣するというような予定はないようでございますので、とりあえず、今わかっている時点のことをしっかりと発表していただきたいということを申し上げておきます。
 それから、最後になりますが、もう一点、イラクから離れた問題で質問をさせていただきたいというふうに思います。
 これは千葉県の県会議員の事件なんですけれども、事件と言っていいかどうかわかりませんが、ニュースでも報道をされておりますので、御存じの方もあるかと思います。これはどういう問題かというと、ことしになって、千葉県会議員を務めている方の三千万円の滞納税を親戚の千葉市の納税管理課長が不正に処分停止にしたということが内部告発によって明らかになったんですね。
 小泉総理、この事実は御存じですか。
○小泉内閣総理大臣 そういうことがあったということは承知しております。
○生方委員 これは私が千葉県だからということじゃなくて、大変たくさんの批判の意見が寄せられているんですね。
 県会議員である、そういう立場にある方が、幾ら親戚とはいえ、その親戚の方の助言によって処分を停止されて三千万円を免除してもらったというのが事実なんですね。これは、三千万円ずっともし払っていないとして延滞金が幾らかかるかというふうになりますと、一億円以上がいまだに未払いになっているということのようなんです。千葉市は調査をしたんですけれども、課長は懲戒免職にしたんですけれども、その県会議員については事情すら聞いていないんですね。
 税の使い道をチェックするというのは県会議員にとって非常に重要な職務であるはずでございますが、そうした方が自分だけ、いわば脱税と言ったらいいのか、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、税をいわばごまかすようなことをして調査すら受けないというのは私は本当におかしいと思うんですけれども、これは市税ですから、直接財務大臣には関係はないのかと思いますが、徴税をする立場からして、こういうようなことがあって調査もされないということが許されるというふうにお思いになりますか。
○谷垣国務大臣 地方税のことでございますから麻生大臣の御担当と思いますが、私も詳細な事実関係は把握しておりませんのでコメントは差し控えたいと思いますが、ただ、徴税意識、こういう納税意識という点から見ますと、国税当局としては、今後ともきちっと公正そして正確な、そういう徴税をしていかなければならない、そういう観点から関心を持っております。
○麻生国務大臣 千葉県のこの話は個別案件ということになろうと思いますので、総務省は直接どうしろこうしろと言う立場にないというのは御存じのとおりですが、少なくとも、滞納、延期をかなり長いことしていると思いますが、滞納になったままずっとという状況が続いたので親戚のが来た途端にそれチャラにしてやるというのは、これは地方税法の違反であることははっきりしておりますので、その意味では、この種のことが、あってはならぬことが起きたというように理解をいたしております。
○生方委員 親戚や親戚の県議に特別扱いしたというだけでもこれはもちろん問題なんですけれども、実は、その県会議員の方は県会議長もお務めになっているんですよ。それから、千葉県には予算委員会というのはなかったんですけれども、ことし初めて予算委員会ができて、その予算委員会の委員長にもなっているんですね。そうした大物の方なんですよ。千葉市が調べたんですけれども、その千葉市長の最初の選挙のときの選対本部長にこの方がなっているんですよ。
 だから、千葉県内では、そうした圧力を背景にして自分の税金をごまかしたんじゃないかということが多く指摘をされていて、それでいながら、残念ながら、県でも調べない、市でも調べない、結局どこも調べないで、その県会議員の方はいまだにまだそのまま、予算委員長の席は返したそうでございますが、県会議員は県会議員としてそのまま残っているということなんですね。
 これは自民党の議員の方でございまして、自民党の県議団の会長も務めているんですね。そうした重要な立場にある方がこんなことをしたんじゃ示しが全くつかないと思うんですよ。
 総務省として調べる権限がないということであれば、総理にお伺いしたいんですが、総理は自民党の総裁でもあるわけでございますから、自民党の千葉県議団の会長でもある方がこういうことを行って今のところ何の調査もなされていないということについて、自民党として調査をするおつもりがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 個別の案件でありますが、議員として信頼回復のために御本人がしっかりした対応をしていただきたいし、千葉県にあっても市にあっても、どのように信頼を回復していくか、きちんとした対応をとられることを期待しております。
○生方委員 いや、それは、自分で対応をとってくれれば私もここでこんな質問をする必要がないわけで、今のところ、千葉県民だけじゃないんですよ、やはり税金を必死の思いで払っている方がたくさんいるわけで、処分を停止できる条件というのは幾つもないわけですよ。これは、処分停止できる条件というのは、滞納者に全く財産がない場合、それから、生活困窮のおそれがある場合、三番目として、所在不明などの場合に限られているんですね。
 この県議の方は、〇二年の資産報告を見ると、資産は貸し付けなども含めて六億八千万円もあるんですよ。収入も議員報酬や不動産収入などで五千万円もあるんですね。担保に入っていない資産もあるんですよ。普通でいえば、もう即、滞納したら国税庁が来て差し押さえするわけですね。それを全然やらないで、結果として、既にもう四千四百六十万円が時効になっちゃっているんですよ。
 こんな事実を明らかにされちゃうと、税金を納めようという気になりませんね。県会の議員で六期も務めた方で、議長もおやりになっていて、本当に見本とならなきゃいけない方がこんなことをやっていたというんじゃ、本当に私は示しがつかないと思うんですよ。
 だから、これ、総務省も財務省も権限がないというのはわかりますが、何とかやっぱりできないものなんですか、大臣。
○麻生国務大臣 地方税法十五条の七というのを適用されるというお話をしておられる、多分そうだと思います。先ほどの三つはいずれも十五条の七の一からずっと入っておりますので、その件のを言っておられるんだと思います。
 聞いていて、知っていて聞いておられるんだと思いますが、これは個別案件でありますので、これは、総務省が千葉県議会に、もとは千葉市に対して、ああしろこうしろと言う立場にない。特にこの十五条の話に関しましては、そういうことになります。
 しっかりせにゃいかぬのは千葉市議会と千葉県議会ということになるんだと思いますけれども、そういったところは、あってはならないことが起きていることはもう間違いない、遺憾にすべきことだと存じます。
○生方委員 そういうことなんでしょうけれども、私は、このまま放置をされれば本当にゆゆしき問題だというふうに思いますので、第一義的には、おっしゃるように千葉市と千葉県なんでしょうけれども、千葉市と千葉県ができなかった場合はやはりそれなりの措置を何とかお考えをいただきますようにお願い申し上げます。
 では、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○笹川委員長 これにて生方君の質疑は終了いたしました。
 次に、達増拓也君。
○達増委員 先ほどの総理の、国連と同盟を結べないでしょうという答弁には、本当に驚いてしまいました。
 質問に入る前に総論的なお話をさせていただきますけれども、アメリカのウォルフォビッツ国防副長官が今の仕事につく前は、ジョンズ・ホプキンス大学の国際関係論の大学院の学長をしていたんですけれども、今その学長はジェシカ・アインホーンさんという女性の学長さんが後任になっていますが、そのジェシカ・アインホーン学長が最近書いた文章の中で非常に興味深い指摘をしています。
 それは、ブッシュ政権というものが驚くほど直観的な対外政策をやっているということです。日本の外交もそういう問題を抱えているなと思ったわけでありますが、アメリカの外交は伝統的には法律家的な外交をやり過ぎる、理性とか交渉とか客観的事実、そういったものにこだわり過ぎて、現実のどろどろした外交に対応し切れていないんじゃないかという批判が伝統的にアメリカの外交にはありまして、これは一九五六年にキッシンジャー博士が書いた「アメリカ外交の回顧」という有名な論文でも指摘されているところなんですが、その論文を引用しながら、このジェシカ・アインホーン学長は、今のブッシュ政権というものは、従来の政権と違って、法律家が対外政策形成に重要な役割を果たしていない。確かに、歴代政権では、大統領本人が弁護士だったりとか、法律家が政権の枢要な地位についているんですね。
 それで、キッシンジャー博士は余りそういう法律家的な外交はいかがなものかと言っているけれども、戦後アメリカ外交を振り返り、キューバ侵攻ですとか、これはキューバ危機じゃないですよ、キューバに反共の人たちを侵攻させようとして失敗したキューバ侵攻とか、ベトナム戦争とか、アメリカが外交で失敗しているときというのは、直観に頼って筋を通した外交をしないでしまったときに失敗しているということを指摘しています。
 これは本当に今の日本外交も全くそうで、国連と同盟を結べないでしょうという直観は、これはすごい直観だなと思うんですけれども。
 外交政策に限らず、国債三十兆円枠でありますとか、三位一体でありますとか、民営化でありますとか、首相公選というのもありました。靖国参拝、元旦ならいいだろうとか、あるいは、今回、憲法改正をしようとか、非常に直観的な公約とか直観的な政策が主張されている。年金問題についても、お金がないから負担をふやして給付を下げるしかないという、仕組みは変えずにとにかくその場を取り繕うという非常に直観的な政策が展開されている。
 私は、きょうの質問を通じて、そういう直観に頼るような対外政策はよくない、もっと筋道を通して外交をしていかなきゃならないということを訴えたいと思います。
 そういう観点から、まず、最も腑に落ちない問題は、イラクにおける大量破壊兵器の問題であります。
 これは、デビッド・ケイCIA特別顧問も、いわば本人としては捜すのをあきらめて、やはり最初からないんじゃないかというようなことを言っているわけでありますけれども、そもそもイラク戦争というものは、イラクの大量破壊兵器がテロリストに渡るとこれはとんでもないことになってしまう。九・一一テロという前代未聞のテロが行われた。あれで、核兵器とか生物兵器とか化学兵器があの飛行機に搭載されていたらもっととんでもないことになる。したがって、大量破壊兵器がテロリストに渡らないようにという、いわゆるテロとの闘いの文脈の中で、さあ大変だということでイラク戦争に至るわけであります。
 それで、外務大臣に伺うんですけれども、大量破壊兵器をテロリストに渡さないために、査察だ何だとやっていたわけです。そして、フセイン政権がその責任にこたえられなかったから今のようなことになっているとも言えるんですが、フセイン政権が崩壊した後は、米英等の当局がイラクの統治を任せられている。イラク統治の責任は米英等の当局にあるわけですから、そこにイラクにあるであろう大量破壊兵器がテロリストに渡らないようにする責任があるはず。
 だから、わからない状態にしておくというのは、その責任を果たしていないことになるんですね。一日も早く差し押さえてテロリストに渡らないようにしないと、テロリストはどんどん流入しているそうですから、知らないうちにテロリストの手に渡ってしまうかもしれない。ということで、一日も早く、当局はイラクの中の大量破壊兵器を差し押さえなきゃならないはずなんですが、差し押さえられているんですか。
○川口国務大臣 きょうの時点でまだそういう状況になっていませんで、引き続きイラク監視グループが捜索をしている、そういうことでございます。
○達増委員 まだ差し押さえられていないということなんですが、これは一日も早く差し押さえないと、そもそも戦争を始めた目的が達せられないことになりますが、さすがに大体どの辺にあるかの見当はついて、そこを捜しているんだと思うんですけれども、これも外務大臣に伺いますが、大量破壊兵器はどこにあると考えられているんでしょうか。
○川口国務大臣 そのあたりの情報については、我が国としては把握をいたしておりません。
○達増委員 すなわち、大量破壊兵器をテロリストに渡さないという、そのための目的が達成されていないんじゃないのか。大量破壊兵器をきちんと国際管理のもとに置く、そういう目的がいまだに達成されていない。これは、もし大量破壊兵器が本当にイラクにあったとすれば、そういう重大な責任違反、国際的な責任を果たさないということを米英当局等が犯しているということになるんですが、そこで、やはり実は最初からなかったんじゃないかという議論になるわけでありまして、デビッド・ケイCIA特別顧問が、自分はなかったんじゃないかと思っていると。
 これは、やはり総理に聞いておかなければなりません。フセイン大統領が見つかっていない、しかしフセイン大統領がいないとは限らないだろうと。同じ理屈で、大量破壊兵器、見つかっていないけれども、ないとは限らないだろうとおっしゃった。これは今でもその考えは変わらないんですか。
○小泉内閣総理大臣 今でも、なかったと断定できる状況にはないと思っております。
○達増委員 そうなると、やはりあるかもしれない大量破壊兵器を国際管理のもとに速やかに置くことができないでいる米英占領当局は何をやっているのかということになってしまいます。大量破壊兵器に関する確たる情報もなしに戦争を始めてしまったということになるわけでありますけれども、これは、米国等と表現いたしますけれども、やはり米国等の過ちだったのではないか、それを支持した日本政府も過ちを犯したんではないか、このことはお認めになりませんか。
○小泉内閣総理大臣 再三答弁しておりますように、認めておりません。
○達増委員 総理が先ほどから答弁する中で、国連決議に基づいてアメリカはイラクを攻撃したということを言っているんですけれども、あの国連決議はイラクに対する武力行使を容認していたということを何か総理はおっしゃりたいようなんですけれども、安保理決議ですから、それは安保理メンバーがイラクに対して武力行使をしていいと合意した、総理はそう考えていらっしゃるんですか。
○小泉内閣総理大臣 合意には至らなかったんですが、その前の国連決議は全会一致です。イラクに真剣な対応を求める、最後の機会を与えるという、これは全会一致であります。
○達増委員 安保理メンバーが武力行使に合意していたわけではない、そういう答弁をされました。これは非常に大事なことだと思います。安保理メンバーが合意していたわけではない戦争の開始に日本は、直観的にでしょうか、合意したということになります。
 もう一つ大事な質問があるんですけれども、目的は、大量破壊兵器がテロリストに渡らないということだったはずであります。であれば、まあ実際には安保理加盟国は武力行使には合意していなかったと今総理がおっしゃっていたとおり、合意していないわけでありますが、別に決議をつくろうとしたわけで、そこで武力行使の合意が仮になされるとすれば、それは、大量破壊兵器を差し押さえるための最低限の武力行使ということになったと思います。つまり、この辺に大量破壊兵器があるであろうというところを占領し、イラク軍が邪魔をしないように保障占領しながら、そこにある大量破壊兵器を掘り出すとかビルの中から出すとかして、国際的な管理下に置く。
 ところが、アメリカがやったことは、どのようにイラク戦争が始まったかを思い出していただければ、サダム・フセインがいるであろう、サダム・フセインとその側近、つまりイラク政権の首脳がいるであろうところにミサイルを撃ち込むところから戦争が始まっているわけですね。これはおかしいんじゃないのか。テロリストに大量破壊兵器が渡らないための武力行使というのを、これは明らかに逸脱していると思います。
 これは、そういう戦争の専門、防衛庁長官に伺いますけれども、大量破壊兵器を差し押さえるためにあのフセイン政権を崩壊させるという作戦、これは、実は、防衛庁編集協力のセキュリタリアンという雑誌の最新号に、軍事評論家の江畑謙介さんがディキャピテーションというおもしろい言葉を使って紹介しているんですね。ディキャピテーションというのは首をとるという意味です。
 そういう作戦をアメリカがやって、見事に成功したみたいな記事が書かれているんですけれども、そもそも、その首というのは国家最高指導部という意味なんですが、開戦いきなり国家最高指導部をなきものにするというような戦争のあり方というのは、実は世界の戦争史の中では異常な戦争の始め方だと思うんですけれども、大量破壊兵器がテロリストに渡らないようにするためにあの作戦は必要だったんでしょうか。
○石破国務大臣 私の方からお答えするのが適当かどうかは存じませんが、先ほどの国連決議については、ではみんなが一致していなかったのかと言われれば、そうではない。六七八、六八七、一四四一ということにおいては、それは一致が見られておったことだというふうに私は思っております。
 その前提で申し上げますけれども、やはりあの作戦というものは必要だったのだというふうに考えております。それは、大量破壊兵器云々かんぬんということだけではなくて、六七八、六八七、一四四一というものにこの攻撃が基づくというふうな文脈で理解をする場合、中心部をピンポイントで破壊する、それは、裏返して申し上げれば、一般の市民の犠牲を極小にするということでもございますけれども、そういうことが必要だったんだ。
 それから、委員はよく御案内のことだと思いますが、突然ああいうことができたわけではなくて、ずっとレーダー照射に対して空爆をするということをやってまいりました。そのことはずっと問題にならなかったわけでございます。このことをどのように評価するか。こういうものを全体の流れの中で議論をし、理解をすることが必要なのではないかと考えております。
○川口国務大臣 二点ほど申し上げたいんですが、先ほど来先生がおっしゃっていらっしゃることが、この戦争の目的は大量破壊兵器を差し押さえることであるというふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、これはその目的の一部であって、本来国連の決議が言っていることは、イラクが大量破壊兵器を全部ディスマントルする、要するに武装解除をするということが目的であるわけです。テロリストの手に渡らないというのは、それができなかったらばその先にある話でして、これについて国連は、イラク、したがいまして、大量破壊兵器自体が見つからないとしても、それを破壊した跡がある、あるいは破壊をした証拠がある、それを査察団は探していたということであって、大量破壊兵器そのものが見つかるかどうか、それは全体の絵の一部であるということを申し上げたいと思います。
 それから、一四四一が武力行使を容認していないということですけれども、これは当然、前々から申し上げているように、これだけでは自動的にそういうことではないということで、これは前から申し上げているとおりです。
 一四四一というのは幾つかのことを言っていまして、まず、イラクがずっと重大なる違反をしてきた。それから、イラクに対して最後の機会を与えた。そして、完全な協力を、査察について協力を与えなければさらなる重大な違反を構成するということを満場一致で決定をしている。そして、引き続き満場一致で、継続的な義務違反の結果、深刻な結果に直面するということを警告しているわけです。
 それで、六八七というのは停戦決議ですけれども、それに重大な違反をしてきているわけですから、停戦の決議の根拠が崩れて、そして六七八という武力行使容認決議ですけれども、それに戻ったということであって、我が国としてはそれを支持したということは総理がずっとおっしゃっているとおりで、一四四一だけの問題ではないということ、二点を申し上げたいと思います。
○達増委員 何か合わせわざのようなことを言っていますけれども、冒頭紹介したジェシカ・アインホーン女史は、さっき紹介した最近書いた文章の中で、外交の本質、外交の真髄というのは多国主義にあるのであって、一国主義、単独主義というのは、これはもう軍事の論理。最近アメリカでは軍事の論理が突出して外交の論理というのがないがしろにされているから、やはりそういう多国主義、交渉や外交で物を決めていくことを大事にしようと言っていて、私も全くそのとおりだと思うんですよ。
 今、世界が直面している対立軸は、単独主義か多国主義かということです。単独主義を貫くのか、多国主義を最大限尊重するのか。
 日米関係か国際協調かというのは、それは両方大事だというのに決まっているんですよ。ただ、アメリカの中にも多国主義がいいという人はたくさんいるし、政権の中にもいるし、また政権も時々多国主義的な振る舞いをする。一方、国連の決議をめぐっても、そこに一国主義的なものを容認、追認するようなのが入ってしまったり、しかし、やはり多国主義的なことをできるだけ尊重しようというのが入ってきたり。
 そういう中で、日米関係であれ、国連の場であれ、日本としては、一国主義的なものを容認するような形ではなく、多国主義的なものをできるだけ広げるような形にした方が、それがひいては日本の国益のためにもなると思って質問しているんですね。
 それで、わかりやすく聞けば、アメリカがイラクを攻撃したその武力行使について、安保理メンバーは皆それに合意をしていたのか。つまり、多国主義的なそういう合意の中で行われたのかと聞いて、小泉総理はそうでないとおっしゃった。防衛庁長官と外務大臣は決議には合致しているみたいな答弁をしていましたが、しかし、その文言上そう解釈はされるということを言っていただけであって、イラク戦争が始まった時点で、安保理メンバーがその武力行使に合意していたわけではないという総理の答弁を覆すものではないと理解していいでしょうか。
 では、これは防衛庁長官から。
○石破国務大臣 委員の御指摘は事実として、それはそのとおりの論理展開になっているだろうと思います。
 ただ、私が申し上げたいのは、それでは、米英が行った今度のイラクに対する武力攻撃が全く国連の決議を無視した先制攻撃、私どもこれを先制攻撃だとも判断をしておりませんけれども、であったのかといえば、それは違うだろうと。それは六七八、六八七、一四四一というものに基づくことになるのだろう。外務大臣から答弁があったとおりでございます。したがって、これは国連決議も何にも基づかない無法な先制攻撃であるという評価には当たらない。
 しかしながら、新しい決議をとろうとしたときに、フランスなりが、それでは拒否権を使うぞというようなことを明示的に言っていたということは、それは事実としてございます。それをどう評価するかということはまた御議論のあるところでございましょう。
 全く国連決議に根拠を置かない攻撃だとは判断をしていないという趣旨を申し述べたものでございます。
○川口国務大臣 今、防衛庁長官がおっしゃったことにさほど多くつけ加えることはありませんけれども、一つだけ。
 この安保理決議の解釈、これはそれぞれの加盟国ができるということであって、アメリカのように解釈をした国もあったし、そのように、直ちに、その時点で、解釈そのものはともかくとして、その解釈に基づいた行動をとる時期ではないと考えたという国もあった、それは事実であろうと思います。
 ただ、防衛庁長官もおっしゃったように、これの妥当性、正当性というのが、国連解釈、国連の安保理決議に基づいてなされているのだということを強調しておきたいと思います。
○達増委員 今の答弁からも、総理がおっしゃった安保理メンバーが武力行使に合意していたわけではなかったということは、それは否定されていなかったので、確認されたと思います。
 もう一つ、武力行使自体も疑義があったわけですけれども、ただ、アメリカはやっていいと思ってやったし、日本政府も明確に支持を出したんですが、フセイン政権崩壊、フセイン体制の転覆ということまでイラク戦争開始時に諸国が合意していたのかどうかということを伺いたいと思います。
 多分、これは、安保理メンバーであれほかの国々であれ、フセイン体制を転覆していいという意思表示はなかったと思うし、合意していなかったと思うんですね。それが証拠に、アメリカの攻撃が始まる直前まで、イラク政府から国連に行っている大使はイラクの正統な代表として扱われているし、諸外国はイラク政府と正式な外交関係を持っていたと思います。
 そういう外交関係の断絶もなく、普通の政府間関係、国家間関係が続いていて、いきなりアメリカはフセイン体制というものをディキャピテーションしたわけでありますけれども、この点、フセイン体制の転覆というものは、これは、安保理メンバーを含め、諸外国が認めていたわけではなかったと言っていいと思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか。
○川口国務大臣 諸国が認めていたかどうかというのは非常に漠然とした御質問かと思いますので、安保理の決議があったかどうかというふうにしてお答えをいたしますと、これは、先ほど申しましたように、累次の安保理の決議というのはイラクの武装解除をするということが目的であって、したがって、フセイン政権を倒すということは、目的として書かれていたということではないということです。
○達増委員 伝統的な戦争、例えば日本とアメリカの戦争では、ポツダム宣言というものがあって、日本は、日本国民を代表する政府がポツダム宣言を受諾して、それで、あの中に書いています、軍国主義的な人たちはもう政権に入らないとか、武装解除をするとか、そして連合軍が占領するのを認めるとか。したがって、普通、何か国際法上、ある国がやりたくないと言っていることを無理にやらせる場合には、武力行使があったとしても、いきなり相手国政府をなくしてしまうということは普通しないんですよね。
 なぜこのことにこだわるかというと、今我々がイラクで直面している問題、これは、国際社会がイラクに関して直面している問題の本質は、イラクにおける無政府状態ということなわけですよ。何で治安が悪いのか、何でテロリストがはびこるのか、なぜ奥さんや井ノ上君が亡くなってしまったかというと、それは無政府状態になっちゃったからなんですよ。
 それについては、多分、じゃ、サダム・フセイン政権が続いていてよかったのかとおっしゃるのかもしれませんけれども、しかし、奥さんや井ノ上君が死ななければならないような状態と引きかえにしてまで、サダム・フセイン政権を直接軍事力で、ミサイル攻撃でなきものにしようとした選択については、決して正しいとは言えないと思います。ポツダム宣言を受諾した日本を相手にしたときの交渉のように、交渉によってイラクの政権をかえることもできたのかもしれない。どちらもやってみなければわからないことだったかもしれませんけれども、今我々が直面している問題というのは余りに冒険主義的なことではないか。
 特に、アフガニスタンとか、あとはカンボジアもそうですが、国連のもとで新しい国家づくりというものが今行われているところや、既にやられたところがあるんですけれども、大体、内戦の主体たり得る、内戦を戦えるくらいの強い政治体制がいて、それが集まって話し合って新しい国づくりを決めるわけでありまして、今のイラクにはそういう強い政治体制というのは全くない。したがって、今我々は、イラクにおける無政府状態というものに直面しているんですね。
 国連決議で、イラク戦後の国連決議一四八三以降がイラクの現状に基づいて諸外国に復興支援を求めているんだ、それに安保理も全会一致で賛成したんだと言っていますけれども、あれは別にアメリカの戦争を正当化するものではなく、それを不問に付して、棚上げして、今目の前にある無政府状態にどう取り組んでいくかということを、単独主義と多国主義のはざまで苦しみながらみんなで相談して決めているということなんですが、その無政府状態のイラクについて質問をしていきます。
 政府があれば、その政府がその国にいる外国人の安全、特に在外公館員を保護する責任を負い、もし安全をうまく守れなかった場合にはその政府が責任を追及される場合があるわけですけれども、今のイラクでのそういう責任はだれにあるんでしょう、外務大臣。
○川口国務大臣 米英当局が今実効的な施政を行っているわけでして、この米英当局がイラクの秩序を維持し、そして回復する義務を持っているということであると思います。
○達増委員 中国の瀋陽総領事館に中国の官憲が入ったとき大騒ぎになりました。それは、大使館、領事館、在外公館というものが、もうそれはその国そのものを象徴するものであって、それが侵されることがあってはならないという、そういう国際法上の基本があるからでありますけれども、外務省職員が殺害されるということは、もうその国が直接攻撃を受けたのに匹敵する国際法上重い事件なわけでありますが、そういうことを引き起こしてしまうイラクにおける治安の悪さ、この問題について、日本政府は米英当局に対してその責任を追及したんでしょうか。これは総理大臣に伺いたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 法的な問題については外務大臣に譲りますが、イラクの復興支援活動中に奥参事官、井ノ上書記官が亡くなられたということに対する責任追及、これはアメリカにあるのではなく、それに実際犯行にかかわった人にあるんだと私は思っております。
 この法的な地位とかいう問題については、今イラクに正統的に認められた政府がないわけですから、これはなかなか私は難しい問題だと思いますが、今後とも真相解明については努力を続けていきたいと思っております。
○川口国務大臣 今、総理がおっしゃられたとおりなんですけれども、若干説明をつけ加えさせていただきますと、先ほど申しましたように、米英当局が治安を維持し回復する義務があるということを申し上げたわけですけれども、したがいまして、在外公館の人たちを含む外国人の安全を含めて、一般的な責務を持っているということであると思います。
 それで、一般的なその責任ということでありますけれども、この特定の事件、このことについての責任を米英当局が持っているということはない、そういった責任があるという事実は我々は持っていないということであります。
 非常に遺憾な事件でございましたけれども、これは米英当局は極めて困難な状況の中でイラク内のその秩序の維持回復に懸命の努力をしているというふうに考えてきておりまして、その責任を果たしているというふうに考えております。
○達増委員 米英当局がイラクの秩序を維持していかなければならないということは、これは国連決議にも定めがあることでありまして、決議千四百八十三の第四段落ですね。これは安保理決議ですけれども、安保理は「当局に対し、」主なところだけ拾って読みますけれども、「安全で安定した状態の回復及びイラク国民が自らの政治的将来を自由に決定できる状態の創出に向けて努力することを含む、領土の実効的な統治を通じてイラク国民の福祉を増進することを要請する。」米英当局というものが、イラクの統治そしてイラク国民の福祉について責任がある。当然、安全、安定についても責任があるわけで、治安についても責任がある。
 大規模な戦闘が終わったと言われたのが五月の初めでありますけれども、それからもう半年以上たって、一年近くたとうとしている中で、イラクの現状は今のとおりであります。テロリストがしょうけつをきわめ、米英軍の被害も減らず、そして民間人の被害もふえている。これは、この決議で定められている米英等の責任というものが果たされていないんじゃないかという疑問を抱かざるを得ません。
 決議千五百十一の十三段落は、安保理関係諸国のいら立ちを示すように、次のような表現になっています。安全と安定を提供することが、政治プロセスを成功裏に完了させること並びに国連が効果的に貢献できるようにするために不可欠であることを決定し、統合された司令部の下の多国籍軍に対し、あらゆる必要な措置をとる権限を与える。これは言わずもがなのことなんですが、とにかく何をやってもいいから早く安全と安定を実現せよ、治安を実現せよという趣旨のことが決議に盛り込まれている。
 したがって、今回のイラク特措法に基づく自衛隊派遣については、こうした一連の決議が加盟国に復興支援への協力を求めているから派遣するのだということを言っているんですが、同じ決議に基づくイラクの治安維持ということが機能しなくなってきている。そういうところに自衛隊を出していくというのは、現状判断として余りにこれは慎重さを欠くのではないかと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。これは総理に伺いたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 復興支援、人道支援に大事な前提というのは、確かに治安確保、これが非常に大事で、前提だと思います。しかし、日本は、アメリカ、イギリスと違って治安確保活動まではいたしません。側面といいますか、復興支援、人道支援、そういうものに協力していこうという範囲内での自衛隊の派遣であります。
 しかし、国連決議にあるように、イラクに安全を確保しよう、治安を確保しようということで米英軍初め各国が取り組んでいる。そういう点に対しても、日本も、直接そういう活動はできませんが、側面から支援する活動はあると思って、そのような支援活動をこれからもしていかなきゃならないと思っております。
○達増委員 確認したいんですが、今おっしゃったのは、米英が治安維持してイラクの治安を守ることの側面的支援のために自衛隊を派遣するとおっしゃったわけですか。
○小泉内閣総理大臣 日本としては、アメリカやイギリスと同じように安全対策、治安活動、テロリストに対する掃討作戦はいたしません。しかし、復興支援活動としてほかの面でできることがあるということを申し上げているわけであります。
○達増委員 今のイラクにおける情勢、そしてイラクを取り巻く国際関係を分析しますと、まず、本来、米英等イラク戦争を始めた連合軍に対し、そこに参加しなかったフランスですとかロシア、ドイツ等から見れば、それは、自分でまいた種は自分で刈り取ってくれということだと思うんですね。
 どういう攻撃をするのか、それはもうアメリカ、イギリス等が勝手に始めて、しかも戦争の仕方も勝手に組み立てて、いきなりディキャピテーション、政府首脳をなきものにするというところから始めるというのも、何の相談にもあずかっていないし、何の了承も与えた覚えがないので、それに伴うさまざまな混乱、しかもイラクのどこを壊すかという攻撃場所を選ぶことだって、それは英米等の責任においてなされているわけですから、それを直す、治安を回復して、イラク民政の復興、その辺までも基本的には米英等の責任であろう。
 これは、安保理決議の一四八三や一五一一でそういう英米等の当局が統治を任されている、治安を任されているということの一方では、もう占領しちゃったんだから、そのことについて異議は唱えませんという現状追認であると同時に、でも占領しているんだから始末はきちっとつけろ、そういう両面を持った決議なわけですよね。ただ、それがうまくいかなくなってきているという現実が今あるわけです。長期に及ぶ占領行政がさっぱりうまくいかなくて、治安も民政もさっぱりうまくいかない。
 ここで考えられるのは、アメリカ、イギリスが覚悟を決めて、あるアメリカの軍人が言っているように、軍関係者が言っているように、三十万規模の軍隊にして、それでびしっと、もうテロも封じて混乱もないようにするか。ただ、そういう米英主導のやり方が機能していないというのが今の現状なんでしょうから、オーソリティーを変えることですね。米英主導のオーソリティー、当局ではなくて、多国的なアプローチ。そこにフランス、ドイツ、ロシアでもいいかもしれませんし、あるいは日本が主体的に参加する。あるいはもっとカナダですとか中立的な国、アラブ諸国が入ることもいいかもしれません。そういう多国主義的な新しい暫定統治体制をつくって、そこに統治をシフトさせるか。今、選択肢としてはその二つだと思うんですね。あくまで米英主導の暫定統治体制で突っ走るのか、それとも多国主義的な新しい暫定統治体制にスイッチするのか。
 アメリカは、実に中途半端なことをやっていて、兵力増強ということはやらない。むしろ、選挙が近くて国内に厭戦ムードが漂っているから、兵力は逆に減らそうとしているわけですよ、十五万から十万規模に減らす。その分、諸外国に求めて、治安、警備とか、ドンパチに参加するだけじゃなくてもいい、復興でも何でもいいから参加してくれということを諸外国に呼びかけて、それで治安から民政に至るところ、米英が引いて、そこをほかの国で補う。それは一見多国主義的アプローチにも見えるから世間体もいい。ただ、オーソリティーを変更するわけじゃないですからね。当局はあくまで米英主導。つまり、抜本的な仕組みを変えない、構造改革をしないということです。構造改革をしないで小手先の数合わせのようなことをやろうとしているという、どこかの国の内政の問題と本質的な共通する問題があるわけですけれども。
 ですから、そこに自衛隊が人道支援だといって南部のある地方に行って水をきれいにするんだという活動をするということは、これは本当に的外れ、余りに問題の本質にこたえていないことだと思います。
 それで、私が主張したいのは、日本の第三者的立場を利用して、ある意味、フランスとかドイツ、ロシアというのはイラクにいろいろな権益を持ち過ぎていて、そういったところが主導権をとってオーソリティー、当局の体制を変更しようというのはなかなか言えないんだと思います。日本ぐらいしか言い出せる国はない。そういう日本の外交的なこの上ない有利な立場を利用して、国連主導の多国主義的な暫定統治体制というものを構築すべきでないかと思うんですが、いかがでしょう。
○小泉内閣総理大臣 現在、アメリカ、イギリスのみならず、国連も含めて、各国が協力してイラクの復興支援に取り組むことができるよう日本としても働きかけております。そういう中での日本の、フランスやドイツやあるいはアラブ諸国、国連に対する働きかけでありまして、今後とも、米英のみならず、各国ができるだけ協力してイラクに安定した政府をつくることが必要だ、そういう一環としての日本の支援であるということを御理解いただければありがたいと思っております。
    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕
○達増委員 日本の外交的立場の有利性に関連して外務大臣に伺いますけれども、二〇〇〇年の十二月、これは九・一一テロが起きる前の年の終わりごろですけれども、二〇〇〇年の十二月に、国際管理されていたイラクの石油、その対外輸出の決済がドル建てからユーロ建てに変更された。私は、これはフランスが画策して、フランスの中央銀行が国連管理口座の窓口になるようにしてしまったというふうに聞いているんですけれども、こういう事実はありますでしょうか。
○川口国務大臣 二〇〇〇年の十二月に、オイル・フォー・フードの計画のもとで、国連監視のもとで石油輸出が許可をされていたわけですが、二〇〇〇年十二月から石油輸出代金はユーロ建てになったということは承知をいたしております。
○達増委員 これでアメリカで、ドルの覇権をユーロに対抗して確立していこうという人たちがかんかんになったということは十分想像できるんですね。
 イラク戦争が主要な戦闘が終結して、今、イラク開発基金というものが国連安保理決議に基づいてできていまして、一四八三決議によれば、イラクからの石油等の、天然ガスとか含め、石油等の輸出代金の入金は全部このイラク開発基金に入ってくるようになっているんですが、このイラク開発基金の国際決済はユーロ建てですか、それともドル建てですか。
○川口国務大臣 イラク中央銀行はイラク開発基金をニューヨーク連銀の口座にドル建てで保有しているというふうに承知をしております。
○達増委員 こういうこともありますので、フランスとかあるいはユーロに近いドイツとかロシアに、アメリカに対してもう少し歩み寄れとか、なかなか言えないわけであります。
 ことしに入ってオニール財務長官が、まさにドルの番人だったオニール財務長官が、実はブッシュ政権は九・一一テロの前からイラク・フセイン政権を倒そうとしていたという発言をしている。二〇〇〇年に選挙があって、二〇〇一年からブッシュ政権ができているわけですから、それはまさに、イラクの国際管理されていた石油がドル建てからユーロ建てになった直後にブッシュ政権が発足しているわけですけれども、そこで、これはやはりフセイン体制を倒すしかないですよという議論があった、そうオニール財務長官は指摘しているわけです。
 やはり、そういう中で、安易にどちらか一方につき従うというのではなくて、あえてそういう中に割って入って、日米関係、日米安全保障体制が日本にとって死活的に大事だというのは、それは日本の防衛と極東の安定のために日米安保条約というのはあるのであって、中東外交については必ずしも日米安保条約はカバーしていないし、日米同盟の論理で中東外交を日本が展開していいのかというのは、私は大いに疑問だと思います。まさに多国主義的アプローチを日本が率先していかなきゃならないんじゃないかというのは、そういうドルとユーロの国際通貨覇権をめぐる争いという文脈からも重要なポイントだと思うわけであります。
 さて、サマワで活動する自衛隊のあり方について質問をするんですけれども、無政府状態のイラクであります。そこで自衛隊がまず浄水作業をするということなんですが、その警備をどういうふうにするのか。
 多分これは、浄水作業をする人たちがそれぞれポケットにピストルを差したり、ライフルを担いだりしながら浄水活動をするわけではなく、浄水作業をする人は浄水作業をして、警備は警備で、銃を構えるとか装甲車の上に乗っているとかあるいは無反動砲のそばにいるとか、何かそういう、警備は警備で別に活動すると思うんですね。
 そうしますと、その人たちは、怪しい者がふらふら近づいてきたりすれば、何者だと、誰何というやつですね、だれかと聞く。あるいは、酔っぱらいみたいなのがふらふら自衛隊の敷地内、作業しているところに入ってこようとしたら、それを捕まえたりするのか。酔っぱらって何が何だかわからない場合、一日拘留しておいたりするのか。ただの酔っぱらいじゃなくて、何か意図があって近づいてきたかもしれないときに取り調べをしたりするのか。
 そういうことまでするとすれば、既にそれは、治安警察活動、オーソリティーの米英当局がやるべきことを日本、自衛隊がやることになってしまうと思うんですが、その辺どうなっているんでしょうか。
○石破国務大臣 多分、イラクは酒が飲めないのだろうと思いますから、酔っぱらってふらふらという設定があるかどうか、ちょっと私にはよく判断いたしかねるところでございますが、大体、イメージとしては委員御指摘のとおりなのだろうと思っています。つまり、本隊の場合には、警護、警備というものを任務といたしますそういう部隊が当然編成の中に含まれておるわけでございます。したがいまして、それぞれ浄水あるいは給水をやっている者が警備もやるのだということではなくて、彼らは、もちろん詳細は申し上げることは控えますが、浄水、給水の任務というものを主に行うために警備する部隊というものは別にある。ですから、状況はそういうことです。
 そこへ、よくわからないが、ふらふらと近づいてきた、誰何をしても何者であるかということが判明しない、怪しいやつということになる。それをどのように取り扱うかということは、その場の判断ではございますが、私ども自衛隊といたしまして、治安活動を行うということが任務として与えられているわけではない。そういう立場も与えられていなければ、法律にそのようなことも書いていない。
 そうしますと、一時的に拘留をする、物理的に。法律用語の拘留ということを申し上げているわけではありません。その場にとめ置くということがあったとしても、現地の警察あるいは治安を担当しているオランダ、それに引き渡すということになるわけでございます。
 我々の自衛隊が警察的活動を現地において行うということは予定もしておりませんし、法の定むるところでもございません。
    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕
○達増委員 そのサマワの地方行政の問題なんですけれども、きのう、我が党首藤委員から指摘があったように、報道によりますと、サマワの市評議会、十二人いるうち九人がCPAに通告しないまま巡礼に出発してしまった。そして、そのサマワに水を提供するルメイサという、サマワへの主要な上水道供給元とありますが、そのルメイサ市の評議会は、CPAとの対立から、二十一日に評議員全員が辞任しているという。外務大臣、これは事実でしょうか。
○川口国務大臣 サマワとルメイサの両市についてですけれども、より民主的な手段で市評議会のメンバーを選出するということで調整をしてきたわけですけれども、その選挙方法について公表をする際の手続に問題があったということで、二十一日にルメイサの市の評議会のメンバーが辞任をし、そして二十四日にサマワの評議会も解散をした、そして評議会メンバーは総辞職をしたということを承知いたしております。
○達増委員 これは非常に大きい問題だと思いますよ。自衛隊の派遣先のその土地での評議会がそういう問題を抱えていて、今機能しない状態になっている。
 ところが、きのう、予算委員会が終わった後、自分の部屋に戻ったら、「陸自派遣に伴う最新の現地治安情勢等について」という防衛庁のペーパーが置いてありまして、これは先遣隊が調べてきたことをまとめたペーパー、その先遣隊の報告のペーパーが、私はきのう入手したのでありますけれども、「サマーワ市周辺の情勢」というところにこう書いてあります。「サマーワ市評議会は住民の意向を反映した構成のため、実質的に機能している。また、存在する宗教勢力は穏健なもの。」とあるんですが、これは全く事実と違う、虚偽ではないんですか。
○石破国務大臣 どの点を指して虚偽というふうに御指摘になっているのかということをお教えいただきたいです。
 要するに、私どもが先生のところにもお届けをいたしましたその報告書と申しますのは、評議会、市評議会というふうに申しましょうか、それは穏健な人々によって構成をされているものであり、そしてまた、市評議会あるいは部族長、宗教指導者、県知事さん、そういう方々と先遣隊が会合を持ったということも事実でございます。
 他方、ルメイサ市及びサマワ市の市評議会員が、選挙制度導入にかかるCPAとの対立もあり、一月二十一日及び一月二十四日に辞職をしたということは承知をいたしておるところでございます。
 ですから、私どもの先遣隊は、CPAを訪問し、今の方々と会談をし、さらに、その際にサマワの評議会の議長さんとも会談をしたということでございまして、私どもの申し上げていることが虚偽に基づくことだという御指摘は、私は当たらないというふうに思っておるところでございます。
○達増委員 これは、さすがに認めるわけにはいきませんね。だって、CPAとうまくいかなくなって総辞職してしまっている市評議会、それが、住民の意向を反映した構成のために、実質的に機能している、「サマーワ市評議会は住民の意向を反映した構成のため、実質的に機能している。」これは明らかに事実に反するじゃないですか。防衛庁長官、もう一度説明してください。
○石破国務大臣 市評議会の方々が辞任をされた、それは、巡礼に行く、いろいろな御事情があったものと思います。あるいは、直接選挙を導入するかどうかという点をめぐって対立があった、そういうこともございましょう。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、評議会議長というふうに私は申し上げました、評議会議長と会談をした、それは、宗教指導者、部族長あるいは県知事、そういう方と会合を持ちました際に会談を持ったものでございます。そこにおいて、評議会というものが、それぞれの部族、あるいは、これはみんなシーア派でございますから宗教ということはないのかもしれませんが、そこの構成というものを、いかに住民の意向を代弁した形、つまり偏ることなく選出をされているかという点が担保されているかどうかという点が重要でありまして、その点は担保されているという報告を受けております。
 そして、辞職をしたということは承知をいたしておりますが、その会合の際に評議会の議長という方がその席にいたということも報告を受けておりまして、先生のお手元にあります報告、私も同じものを見ておりますが、虚偽であるというふうな評価は私はしていないところでございます。
○達増委員 これはむちゃくちゃなことを答弁されているわけですけれども、多分、先遣隊の見聞きしたことはこのとおりだというようなことを言いたいんでしょうけれども、現実はそうじゃないんだから、これはもうおよそ先遣隊というものの意味もないし、また、政府の情報収集という活動の意味もないし、そして国民に対する情報の提供というものも全く機能していないということですよ。
 さらに、これが議会軽視、議会との関係でも問題になるのは、恐ろしいことに、さっきの本会議で総理は、答弁の中でこの部分をそのまま引用して答弁してしまっているんですよ。我が党の原口議員の質問に答える形で、総理もまさにこのまま、この文書、「サマーワ市評議会は住民の意向を反映した構成のため、実質的に機能している。」と国会の場で答弁でしゃべってしまった。これはもう、日本国民全員に虚偽の報告をしてしまったことになる。違いますか、総理。
○石破国務大臣 繰り返して申し上げますが、陸上自衛隊の本隊派遣に当たりましては、先遣隊の活動に基づく報告だけではない、政府の調査により我が国独自に収集した情報、諸外国から得た情報、そのようなものを総合的に分析をしたものであります。そういうようなものを総合的に分析した結果といたしまして、このような判断をいたしたわけでございまして、先生の御指摘の点、すなわち、評議会の議員が辞職をしたということのみをもってこれは虚偽であるということは当たらないということでございます。
 評議会というものがどうやって構成をされたのか、今までどういう形でそれが機能していたのかということについては、私も、どういうような人選が行われているかということについて、事前にも、そしてまた現地に赴いた隊員にも、どういうような形で選ばれたのか。
 そして、その会談のときに、これは委員も映像でごらんになったと思います。知事がいて、宗教指導者がいて、部族長がいてという絵をごらんになったと思います。あの際に、それは……(発言する者あり)いや、私は、絵はつくれる、そういうような作為的なことを私どもは行っておらないということを申し上げているんです。その人間がだれであり、それは、知事はにせものだとか、あるいは宗教指導者はにせものだとか、そのようなことを言い始めてしまったら、これは議論にならない。ひげを生やしたらみんな一緒だなんということを言ったら、もう議論にも何にもならないわけです。
 それは、その人間がどういう人間であるか、そして、そこにおいて、その会談をセットします際に、今までオランダ軍というものが現地といろいろな調整を行ってきたわけです。その現地の治安に責任を持っているのはオランダであります。そのオランダがこの人たちはどのような人であるのかということもきちんきちんと確認をしながらやっているわけであって、虚偽ということはございませんというのは、そういう理由に基づくものでございます。
○笹川委員長 達増君に申し上げます。
 最初にだれに答弁を求めると言っていただけると非常にスムーズに行くと思うので、よろしくひとつお願いします。
○達増委員 防衛庁長官に伺いますけれども、今、サマワの市評議会というものは、空白、空席、構成員がだれもいない状態だから、そこはもう構成も何もないはずです。住民の意向を反映するも何も、構成員がいないのに構成というものは存在し得ない。構成員がいないのに、実質的に機能するはずもない。
 報道によると、六週間以内に選挙を実施して、そこでまた決めようということになっているそうですが、したがって、何か今どんどん先遣隊も行って本隊も行くとかいう、今後六週間以内に、その住民自治の基本であるはずのサマワ市評議会というのはないままの状態だということを、何でその正反対のことを、読めば認識してしまうであろうこういう文章を全国民に言うんですか、防衛庁長官。
○石破国務大臣 評議会の委員というものがいつ辞任をしたのか、それぞれ、ルメイサにおいては一月二十一日、サマワにおいては一月二十四日というふうに承知をいたしておるわけでございます。
 しかしながら、それまでにございました、ございましたというのか、評議会というのはそれぞれ住民の意向を代表する形で公正に選ばれていた、そしてまた県知事の選び方なり、そしてまた部族長の選び方なりというものも、強権的に選ばれたものではなく、住民の意向を反映するものであった。
 そして、現地の意向というのは、これはもう多くの方から御指摘をいただくことですが、評議会、そして行政当局、そして部族長、宗教指導者、そういうものから見ていかねばならないということであって、虚偽ということにはならないということを申し上げておるわけでございます。
○達増委員 全く答弁になっていない。弁解、弁解できないことですからね。
 こんな状態では、もうこれは本隊も先遣隊もないですよ。これは、こんな状態のまま自衛隊を外国に派遣する、日本のそういう実力装置、そういう国家の最高の実力機関を外国に出すなんということは、こんなずさんなやり方では、小泉内閣には全然任せておけません。
 特に、きょう一月二十七日の時点で、総理大臣は、「サマーワ市評議会は住民の意向を反映した構成のため、実質的に機能している。」と、きょう一月二十七日の時点でそうなんだと国会で答弁してしまいました。本会議で答弁してしまいました。
 総理に質問しますけれども、総理は、この答弁を本会議で撤回、修正しますね。
○小泉内閣総理大臣 これは、自衛隊が派遣される地域におきましては治安が比較的他の地域に比べて安定しているという中での答弁であります。今、評議会のメンバーが辞任したからといって、治安が不安定だということには必ずしもつながらないのではないかと思っております。
○達増委員 とんでもない認識が語られました。
 評議会というのは、これは、イラク全体の統治評議会というものが、主権ですよ、主権、イラク主権を代表すると国連決議に書かれているんですよ、イラク全体の統治評議会は。そして、当然、地方の評議会というものはその住民の住民自治を代表する組織であって、イラク国民による国づくりという観点からすれば、絶対これはないがしろにできないはずのものなんです。それについて虚偽の情報を国民に流す。
 しかも、この問題、非常に問題なのは、これは共同通信の配信なんですね。きのう首藤議員が紹介したように共同通信の配信で、他の主要全国紙とか、しかもテレビでは全然こんな大事な話が報道されていない。それは、政府がなるべく自衛隊のいるそばには行くなとマスコミに対して報道自粛という形で報道規制をかけて、そうやって政府のマスコミ規制、取材規制の一方で、そういう限られた情報に明らかに反する情報を今度は政府が流している。これはもう、そういう情報の観点から考えても、今の小泉内閣はめちゃくちゃなことをしていると言わざるを得ません。
 防衛庁長官、何か納得できる説明ができますか。
○石破国務大臣 先ほど来お答え申し上げておるとおり、私どもは現地の治安の情勢についていろいろな角度から総合的に判断をしておるものでございます。それは、多くの、先遣隊だけではなく、過去の情報の蓄積、そして各国からの情報の蓄積、そして先遣隊の見てきた知見、そういうものを総合的に判断したものでございまして、この治安の情報に対します判断というものが虚偽、誤りだとは私は思っておらないところでございます。
○達増委員 私の質問に対して、関連することについていろいろ答弁はしているんですけれども、この文言自体の明らかな誤りを認める答弁をしていません。これは明らかに私の質問に対して正面から答弁をしていないということなので、その答弁を待ちたいと思います。
○笹川委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○笹川委員長 速記を起こしてください。
 石破防衛庁長官。
○石破国務大臣 自衛隊の先遣隊が、部族長、そして評議会の議長、そして知事、宗教指導者、その時点で、二十日のことでございますけれども、彼らと会談をし、それまで有効に機能していた市評議会の意向を受けて、その時点で判明したこと、その時点で判明したことを御報告している。
 では、その……(発言する者あり)
○笹川委員長 ちょっと静粛に。答弁中ですから静粛に。
○石破国務大臣 その時点で把握をしたことと治安の状況というものがどうなのか、その二十日の時点で掌握をした治安の状況というものが、議会というものがそういう状況に本日なったということによって、治安の状況が変わったというふうに認識をするかしないかという問題でございます。
 それは、民主主義の国において、民主主義の国においてはそういうものでありまして、今民主主義というふうに委員も御指摘になりましたけれども、その根幹として重要なことだという御指摘もございましたが、それが二日、三日の間にいなくなったから治安の状況についての判断が変わるかといえば、それはそうではない。どこの議会においてもそれはそういうものであって、イラクにおいてのみそれが違うということの方が、私は議論としてはおかしいと思っています。
○笹川委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
○笹川委員長 速記を起こして。
 石破防衛庁長官。
○石破国務大臣 サマワにおいて、二十四日に辞職をなさった後にどういう状況になったかということにつきましては、調べて御報告は申し上げます。
 先遣隊が私に対して報告をしたこと、そのことはサマワの評議会の事情というものを反映したものでございます。その後それを変更しなければいけないという判断もいたしておりません。
 その後、二十四日以降にどうなったかということにつきましては、私どもとして情報を把握いたしまして、またお知らせをいたしたいと存じます。
○小泉内閣総理大臣 私の答弁に対する質問もありましたので、答弁いたしますが、衆議院の本会議で、サマワの治安について質問がありました。私の答弁はこういうことであります。
 サマワについては、住民の意向を反映した市評議会、穏健な宗教勢力等の存在により、治安は安定し、また、現地の治安維持を担当するオランダ軍も警戒態勢をとっていることから、これまで大きな事件もなく、住民は不審者を通報するなど、治安当局に非常に協力的であると承知しております、ただし、治安状況については、今後とも十分注意を払っていく考えでありますということであります。
○笹川委員長 達増拓也君、今内閣総理大臣が答弁しましたが、それに対して何か言うことはありませんか。(発言する者あり)
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○笹川委員長 速記を起こして。
 五時まで休憩いたします。その後、再開いたします。
    午後四時四十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時十分開議
○笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十一分散会