第159回国会 文部科学委員会 第23号
平成十六年五月二十八日(金曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 池坊 保子君
   理事 青山  丘君 理事 伊藤信太郎君
   理事 遠藤 利明君 理事 渡海紀三朗君
   理事 川内 博史君 理事 平野 博文君
   理事 牧  義夫君 理事 斉藤 鉄夫君
      今津  寛君    宇野  治君
      江崎 鐵磨君    小渕 優子君
      奥野 信亮君    加藤 紘一君
      上川 陽子君    城内  実君
      岸田 文雄君    近藤 基彦君
      鈴木 恒夫君    田村 憲久君
      西村 明宏君    古川 禎久君
      山際大志郎君    加藤 尚彦君
      城井  崇君    小林千代美君
      古賀 一成君    須藤  浩君
      高井 美穂君    土肥 隆一君
      鳩山由紀夫君    肥田美代子君
      牧野 聖修君    松本 大輔君
      笠  浩史君    石井 郁子君
      横光 克彦君
    …………………………………
   文部科学大臣       河村 建夫君
   文部科学副大臣      稲葉 大和君
   文部科学大臣政務官    田村 憲久君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   山木 康孝君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育局長)   近藤 信司君
   政府参考人
   (文化庁次長)      素川 富司君
   文部科学委員会専門員   崎谷 康文君
    ―――――――――――――
五月二十八日
 教育基本法の改正反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二六三八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第九一号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
○池坊委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、文部科学省初等中等教育局長近藤信司君及び文化庁次長素川富司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○池坊委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文雄君。
○岸田委員 おはようございます。自由民主党の岸田文雄でございます。
 議題となっております著作権法の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきたいと存じます。
 昨今、日本の映画ですとか音楽CD、あるいはアニメーション、ゲームソフト、こうした著作権関連産業と言われる分野、政府の公式の文書でもコンテンツ産業という言葉が最近使われるようになりましたが、この分野は、国際的にも今大変高い評価を得ています。
 人に言わせると、今は世界の歴史の中でも第三次ジャポニズムの時代だと言う人がいます。第一次が十九世紀の終わり、そして、第二次が一九五〇年代、日本の小津映画とか黒澤映画がもてはやされた時代、あれが第二次で、そして今、第三次のジャポニズムの時代を迎えているというような高い評価さえあるわけであります。
 そして、国際的にもクール・ジャパン、格好いい日本という言葉が盛んに使われてみたり、また、映画においても、例えば「千と千尋の神隠し」がアカデミー賞を受賞したり、アニメーション、それから、ゲームソフトのキャラクターであります、ポケモンというキャラクターがありますが、ポケモンに関しましては、このゲームソフトは全世界で一億二千万本売れたんだそうであります。そして、カードに至っては、全世界で百三十億枚売れたんだそうであります。これだけで、経済波及効果は二兆三千億ということが言われております。
 このコンテンツ産業、著作権関連産業でありますけれども、こうした文化という面のみならず、産業という面においても、我が国において、今、十一兆円産業というふうに言われています。これは、今、日本の産業を見た場合に、自動車産業が約二十兆円、そして鉄鋼産業、基幹産業と言われていた鉄鋼産業が五兆円産業でありますが、その中での十一兆円というもの、この数字の大きさにも改めて驚く思いがいたします。
 こうしたさまざまなこの著作権関連産業の高い評価、活躍が盛んに指摘をされるところであります。ただ、こうした成功例、高い評価があるわけでありますけれども、この分野は、決して大きな資本とか大きな組織が動くことによってこうした大きな成果を上げているというわけではないわけであります。
 この分野は、物すごい数の中小零細業者がさまざまなかかわりを持っていたり、また、先ほど申し上げました一部の成功例にしましても、それぞれが独自に努力をしている。決して連携や大きな力で動いているのではなくして、個々の関係者が独自に努力を積み重ねた結果だというふうに言われるところであります。このコンテンツ産業、著作権関連産業という産業はこうした特色があるというふうに思います。
 そして、さらに著作権ということを考えますときに、我が国では、デジカメですとか携帯電話ですとか、パソコン、さらにはインターネット、こうした情報通信技術の進歩によりまして、今や一億総クリエーター時代、あるいは一億総ユーザー時代というような言葉さえ言われるわけであります。要は、国民一人一人がいつでもこの著作物の創作者になり得る、だれもがみんなそれを利用する時代が来ているというようなことであります。ますます著作権の分野、このすそ野が大きくなっていくわけであります。
 こうした著作権をめぐるさまざまな環境の変化、強く指摘をされるところでありますが、こうした大きく変化をし、高い評価を得ている分野でありながら、まだまだ法整備を初めとするさまざまな環境整備が不十分だという指摘もされています。こうした法整備や、このルールづくり、環境整備が不十分であるがために、そうした零細業者とか多くの国民が不安定な状況に置かれているということが指摘をされているわけであります。
 ここのところ、国会におきましても、毎年のように著作権法の改正というのが議論になるわけでありますけれども、まだまだ、それでもこうした時代の変化に追いついていかない、こんなことが指摘をされています。
 政府の知的財産推進計画の中においても、関係者の協議の結果を受けて必要な制度改正を行うとされている事項、随分たくさん指摘をされています。
 今回の著作権法の改正の中に盛り込まれております音楽CDの還流防止措置ですとか、あるいは書籍、雑誌の貸与権の付与の問題、これはもちろんでありますが、それ以外にも、例えば私的なデジタル録音について実態を踏まえた、私的録音録画補償金制度、この制度を見直す必要があるのではないかとか、あるいは書籍等のコピーについて報酬を請求できる権利、版面権という言葉が使われていますが、こうした権利の創設についてどうだろうかというような議論ですとか、あるいは中古品の販売について著作者の権利を創設する必要がないか、消尽しない譲渡権の創出という言葉が使われていますが、こういった議論も行われています。さらには、過去の法改正における延長時に既に保護期間を経過していた写真の保護の復活、こういった議論はどうだろうかとか、さらには、過去に放送された放送番組の二次利用について考える必要があるのではないかとか、重立った課題だけ挙げても次々と出てくる状況であります。
 こうした著作権をめぐる制度づくり、法律の改正、こういった分野についても、本当にこれからまだまだ乗り越えていかなければいけない課題がたくさんあるなということを改めて思います。
 そして、こうした著作権にかかわる諸問題の特徴としまして、これはどの問題をとっても、さまざまな関係者がかかわってきます。著作者、著作権者、流通業者、消費者、あるいはユーザー等々、それぞれの立場によって利害が異なるわけであります。その中で一定のルールをつくろうとすると、立場によって必ず不満や不安が出てくるという特徴をこの著作権をめぐる問題はすべて抱えているわけであります。
 我々自由民主党においても、先ほど申し上げましたさまざまな諸課題について、一つ一つ、賛成される方、反対される方、賛成される組織、団体、反対される組織、団体、それぞれ同時にお招きして、それぞれの話を昨年の夏ぐらいからずっとヒアリングをさせていただきまして、それぞれの問題について意見交換、質疑を続けてきたところであります。
 その中にあって、今回のこの音楽CDの還流防止措置、そして書籍、雑誌の貸与権の付与の問題、先ほど申しました、これから乗り越えていかなければいけないさまざまな課題、関係者の意見調整を要するこの課題の中で、現実問題、調整の可能性がある問題として前向きに取り組むべきではないかという認識を持っているわけであります。
 例えば、音楽CDの還流防止措置につきましても、日本の音楽CDというもの、今、国際的にも高い評価を得ているわけであります。そして、海外において大変もてはやされています。その中で、最近よく話題になる事柄としまして、こうした人気のある邦楽のCD盤、海賊版という形で大量に出回っているということが盛んに話題になります。中国あたりでは、流通しているCDの九割が海賊版だというふうに言われています。
 しかし、そこで思うんですが、海賊版というのは法律の外、違法な部分であります。そして、今我々が議論をしているのは法律の中、法律の中で秩序をつくろう、ルールづくりをしようという議論をしているわけであります。例えば、中国においてCDの九割が海賊版、一割が正規のライセンス販売だとした場合、そうした権利者は、九割の違法な部分において多額の損失をこうむっている、なおかつ、法律の中においてもしっかりとしたルールをつくっておかなければ、法律の中においても正当の利益を得ることができない、こういった二重の意味で大変な被害をこうむることになるわけであります。
 これでは、権利者は一体どこで利益を得たらいいんだろうかということにもなりかねないわけでありまして、やはり邦楽の音楽CDの還流防止措置については我々真剣に取り組まなければいけないと考えておりますし、今回の法改正は大変意味があるというふうに考えております。
 また、今回の著作権法の改正の議論の中でもう一つ大きな柱は、書籍、雑誌に対する貸与権の付与の問題であります。
 日本の社会には、貸し本業という長い歴史のある、そして社会に定着した業種があるわけであります。そういった貸し本業に配慮して、従来、経過措置ということで貸与権の付与というものは行われてこなかったわけでありますけれども、昨今、人気のあるコミック、ベストセラーを大量に品ぞろえする、レンタルビジネスを大規模に展開するレンタルブック店、これは全国にどんどんと広がっているようであります。こうした状況変化によって、著作権者への経済的な影響というのは大変大きくなっています。
 こうした変化の中で、さっき、例えばコンテンツ産業、日本の著作権関連産業というのは高い評価を国際的に得ているということを申し上げましたが、聞きますと、我が国のコンテンツ産業の七割は漫画、アニメーションにオリジナリティーを求めているのだそうであります。ですから、この分野の創作者がいなくなってしまうと、評価されているコンテンツ産業の七割もこれは消滅してしまうということになりかねないわけであります。
 さまざまな関係者がいろいろな利害のもとにいろいろな意見を表明するわけでありますが、音楽、漫画といった文化そのものがなくなってしまっては、それを楽しむことも利用することもできない。やはり創作活動をいかに守っていくか、そして、その上で全体のルールづくりをどうしていくのか、さまざまな利害をどう調整していくのか、これが考え方として大切なところではないか、原点ではないかというふうに思っています。こうした思いで今回の法改正、前向きに取り組むべきだというふうに考えています。
 しかし、先ほど言いましたように、著作権にかかわる諸問題というのは多くの関係者がかかわっています。そして、それぞれみんな立場が違うということから、利害が対立をするわけであります。その中で一定のルールをつくろうということになりますと、立場によって不安とか不満、こういったものが必ず出てくるわけであります。こうした不安とか不満にも丁寧に耳を傾けてこたえていかなければいけない、これも大切な点ではないかなというふうに思っています。ですから、今回の著作権法の改正の議論の中でも今申し上げましたような点が指摘をされています。ぜひ、きょうはせっかくの機会ですから、大臣を初め関係者の皆様方に、今、この著作権法の改正をめぐりまして多くの関係者の中から出ている不満とか不安について、しっかりぜひお答えをいただきたいなというふうに思っています。
 まず、音楽CDの還流防止措置の方の話でありますけれども、この分野において、まず、今大変大きな不安の声あるいは不満の声が出ておりますのは、この措置は洋楽の並行輸入盤にも及ぶことに結果なってしまうのではないか、そんなことになっては大変だというような声、これが最も大きな声ではないかなというふうに思っています。
 まずもって、ちょっと確認をしたいんですが、著作権法の改正を今審議しているところでありますが、この法律の立法の趣旨は、先ほど言いました、邦楽の還流を防止する措置であるということ、これが趣旨であるということを確認させていただきたいと思うと同時に、これは立法上、条文においては、洋楽盤と邦楽盤、これを区別するという形になっておりません。この理由も含めて、この立法趣旨についていま一度確認をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いします。
○田村大臣政務官 先生御指摘の点でありますけれども、基本的に先生おっしゃられましたとおりでございまして、非常に日本の音楽文化というものがアジアを中心に注目を浴びておる、韓国の日本語の歌の解禁等々もありまして、非常にこれから産業としても有力でありますし、日本の文化というものがアジアの国々に理解されるという意味でも大変大きな役割を果たしていただける、そんなふうに思っております。
 ですから、例えば国内で販売されておるレコード、CD、海外で販売されるということになりますと、特にアジアの諸国は物価等々が安うございますから、当然日本の価格ではなかなか売れないということがある。ライセンス生産、合法的に向こうでライセンスを与えて、そしてつくっていただくものが還流をしてきた場合に、権利者の権利といいますか、それが不当に害される場合があってはならないということでございまして、その還流を防止しなきゃならない、そのためにはどうすべきか、こういう趣旨にのっとって法整備の方をさせていっていただいておるわけであります。
 各般、いろいろな方々からいろいろな御議論をいただきながら進めてまいったわけでありますけれども、最終的には、やはり今回の著作権法等々の改正においてこれに対処する以外はないという話の中で今回法整備をさせていただくわけであります。
 ただ、著作権の保護ということになりますと、御承知のとおり、WTO協定でありますとかまたベルヌ条約、このような著作権に関する国際条約がございまして、この中には加盟国は内国民待遇でありますから、当然のごとく内外の差別をしてはならないということになってまいります。そうなりますと、当然、日本人の権利者を保護するということと同時に、やはり外国の権利者も保護していかなければならないということになってくるわけであります。
 著作権の保護である以上は、日本人の権利者によります音楽レコード、音楽CDのみならず、やはり外国人の権利者、外国人の音楽レコードというか音楽CD、これに関しても同じように適用されてくるということでございまして、先生のおっしゃられておるところというのがこのような理由の中において入ってくるということであります。
○岸田委員 今の答弁の中で、要は、法技術上あるいは国際条約上の理由からこういった法律の形にはなっているけれども、立法趣旨としましては、邦楽の還流を防止するというのが立法趣旨であるというお答えをいただいたというふうに思います。ただ、こうした立法趣旨が、本当に現実問題そういった趣旨にのっとって成果を上げるかどうか、これをやはりしっかりと確認しなければならないわけであります。
 以後、質問の中で今の立法趣旨、この法律の趣旨をちょっと肉づけさせていただきたいというふうに思いますが、まず一つは、権利者の意思という部分であります。
 昨年十二月に全米レコード協会が提出した意見書の内容とその取り扱いについて、問題があると指摘をする声があります。その意見書の趣旨について、ことし五月に再確認をしたというふうに聞いております。この内容につきましてひとつ御説明をいただきたいと思います。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の意見書は、昨年十二月、文化審議会の著作権分科会の報告書、当時案の段階でございますけれども、それについて行いました意見募集に対して、全米レコード協会と国際レコード産業連盟の連名で提出されたものでございます。
 なお、この意見を含めまして、意見募集に対して寄せられた意見というのは、分科会の委員全員に配付申し上げ、求めに応じて閲覧できるように文化庁に備えておったわけでございます。
 いずれにいたしましても、この全米レコード協会と国際レコード産業連盟の意見書は、いわゆる並行輸入の問題点というものを指摘し、還流防止措置については、内外無差別の原則により権利を付与するということを求めるものであったわけでございます。
 この点につきまして、アメリカの権利者側には、アメリカからのいわゆる直輸入というのをとめようという意思があるのではないかという指摘が行われているところでございます。この意見書の意味するところにつきましては、日本レコード協会より全米レコード協会に対して改めて問い合わせまして、五月十四日付で回答を得たところでございます。
 それを少し紹介させていただきますと、全米レコード協会の会員レコード会社が、例えば中国で提供した安価な製品が日本や米国の市場に還流することを懸念することなく、中国の市場で価格づけを可能とするような法制度の導入というものを支持するということ。また、全米レコード協会の会員レコード会社は、今回の輸入をコントロールする権利によって米国やEUからの正規品の輸入に影響を及ぼすことを何ら意図していないと理解していること。また、輸入をコントロールする権利の導入によりまして、現在日本で行われているアメリカやEUからのレコード輸入が阻害されることは全くないだろうというふうにその回答の中で述べられているところでございます。
○岸田委員 今、権利者の意思ということで一つ確認をさせていただきましたが、次に、そもそも法制度上どうなのか、要するに、権利者の意思にかかわらず、そもそもこの法律の制度上どうなのかということについてちょっと確認をさせていただきたいと思うんです。今回の措置の適用を受けるには、そもそもどのような要件に該当する必要があるのか、それをちょっと整理していただきたいと思います。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の措置は、いわゆる還流を防止するというために設けるものでありまして、すべての音楽レコードというものを対象とするわけではなく、今お話のございました一定の要件を満たす音楽レコードを輸入する行為について、著作権または著作隣接権を侵害する行為とみなすということによりまして、民事的には差しとめまたは損害賠償を求めることができるようにする。また、営利目的で行われた場合につきましては刑事罰の対象とする、こういうようなことでございます。
 今回の措置の対象となるためには、具体的には、例えば、日本販売禁止の音楽レコードであって、かつ輸入者がその旨を知っていることでございますとか、国内で既に同一の音楽レコードが販売されているということ、さらに、日本におきまして頒布する目的での輸入であるということ、さらに、日本で最初に発売されてから政令で定める期間を経過していないということ、それから、還流によりまして権利者の利益、これはライセンス料の収入ということを意味するわけでございますが、これが不当に害されるということ、このようなことを要件としているところでございます。
○岸田委員 今の要件の中で、利益を不当に害する場合というのがありました。この権利者の利益を不当に害する場合というのはどういうことなのか、ちょっと確認をしたいんです。
 要は、今さまざまなところで不安の声が出ております。洋楽盤の並行輸入、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、この四カ国で恐らく九五%を超えると思いますけれども、こうした国々からの輸入盤について、権利者の利益の実態はこの要件に該当しないというふうに認識しておられるのか、この辺についてちょっと確認をさせていただきます。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 権利者の利益を不当に害されることになる場合というのは、先ほど要件の一つだと申し上げました。これは、権利者に与える経済的影響というものを考慮して判断されることになるわけでございますけれども、具体的には、国外で販売される国外頒布目的商業用レコード、これは法律の定義にございますが、これから得られる利益と、国内で販売される国内頒布目的商業用レコード、これも法律上の定義でございますが、これから得られる利益の比較というものが基準となると考えております。
 どの程度をもって不当にというふうに判断されるかということは、最終的には裁判所の判断ということにはなろうかと思いますけれども、一般的に申し上げますと、物価の安い国からの還流を防止するという今回の措置の趣旨からいたしますと、日本と物価水準に大きな差がない先進諸国からの輸入のように、国外における販売によって得られる利益、国外レコードでございますが、国内における販売によって得られる利益と比べまして著しい差がないという場合には、不当にというふうには判断されず、今回の措置の対象にはならないというふうに考えているところでございます。
 例えば、今先生おっしゃいました、いわゆるファイブメジャーの我が国における関連会社が直接輸入している海外の音楽レコードにつきまして、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの四カ国のいずれかを原盤国とするものにつきましては九五%以上を占めているわけでございますけれども、これらの国におきます一般的な卸売の価格や使用料の率などを勘案いたしますと、日本とその国との間の差はそれほど大きなものではないと理解しているところでございます。
 したがいまして、これらの国の音楽レコードにつきましては、音楽レコードから権利者が得る利益につきまして原盤国のものと我が国のものとでは大きな差がないということから、現に行われているいわゆる直輸入によって権利者の利益が不当に害されるということはなく、輸入が差しとめられるということにはならないものと考えているところでございます。
○岸田委員 今次長の御説明を聞いておりまして、要は法律上、法律の解釈としまして、洋楽の並行輸入盤は該当しないという認識をお示しいただいたわけでありますが、これは要は、では法律はそういう趣旨だとしても、これをどう解釈するか、あるいはどう運用するか、このあたりが大変重要になってくるわけであります。
 これは今回、その洋楽の並行輸入盤がとまるのではないかという心配の中に、例えば、かつてレンタルCDの問題が大きく問題になったときに、法律ができた途端に権利者に権利を行使されてしまった、これは法律ができてしまうと何が起こるかわからないぞという指摘があります。
 ただ、今回の還流防止措置は、そのケースと違う点としまして、要は、権利者が権利を主張しただけでは、これは物はとまらないわけであります。日本国の税関がどういった実務をするのか、あるいは政府がどんな対応をするのか、実務においてどういった対応が行われるか、これによってその音楽CDは日本に入ってくるかこないか、これが決まってくるわけであります。ですから、法律の解釈、そして実務のありようというものが大変重要なポイントだというふうに思っています。
 ぜひこれは河村大臣御自身に決意をお伺いしたいんですが、今問題になっております米国、英国、そしてドイツ、フランス、こういった国々からのいわゆる洋楽の並行輸入盤についてはとめないということを、行動をはっきり申していただけませんでしょうか。
○河村国務大臣 今、岸田先生御指摘のあった点が非常に大事なポイントだと思って、これまでの議論も踏まえても、その点が問題になっていることを承知いたしております。いわゆる洋盤レコード、これの直輸入の影響を心配されておるわけでありますから、今回のこの措置がこれらの音楽レコードに影響がないということを明確に説明しなきゃならぬ、そのように思っております。
 今回、その還流防止措置の実務におきましては、まず税関当局に対しては、今回の還流防止措置の趣旨とその内容というものは、きちっとこれは説明する、十分説明することが一点。それから、運用に当たっても、基本的な考え方、共通理解、これを図っていかなければなりません。日本と物価水準に大きな差のない国、これは例をきちっと挙げていくわけでありますが、この国々に対して輸入に影響を及ぼすことはないということは、これは税関との連携ももちろんそうでありますし、このことはきちっと説明のつくことであると考えております。
○岸田委員 ありがとうございました。
 しかし、そうはいっても、権利者が権利を主張してしまうとトラブルになるのではないか、こういった声もあるわけであります。さらに、その実務として、今大臣は決意をお述べいただいたわけでありますが、もし権利者の権利の主張等によってさまざまな動きが生じた場合、こうした法律が施行された後、必要に応じて還流実態その他の事情をしっかり調査した上で、やはり適切な措置を講ずる、こういったことは当然のことながらあり得るということ、そして、その際にはしっかりと適切な措置を講ずるということ、これを大臣、ぜひ明言していただければと思います。
○河村国務大臣 御指摘いただきましたように、商業用レコードの還流の実態の変化等があって消費者の利益を不当に害する、このような事態が万が一生ずるということになれば、これは状況を調査、検証しなきゃなりませんが、その上、その結果を得て、これは必要な措置は講ずる、このことは明言しておきます。
○岸田委員 ありがとうございました。
 この法律の立法趣旨はあくまでも邦楽の音楽CDの還流防止措置であるということ、そして、実務として、運用として、今関係者の中で懸念されている洋楽の並行輸入盤はとめないということを明言していただき、なおかつ、それでも何か事態が生じたならば適切に対応するということを大臣に明言いただいたわけであります。ぜひ大臣、そういったことを日本国の国会の議事録に発言として残された重み、これを感じていただきまして、この法律、もし成立したならば、多くの関係者の思いや期待にたがわぬように、しっかりとした運用をお願いしたいというふうに思っております。
 そして、まだちょっと時間がありますので、あと二つ、ちょっと関係者の中で疑念に思われている点について確認をしておきたいと思います。
 先ほど、素川次長の御説明の中で、この措置の適用の要件について御説明をいただきました。その中で、「情を知つて、」という要件がありました。この「情を知つて、」というのは具体的にどういうことなのかという疑念が関係者の中にあります。要は、この部分、具体的にはっきりしてもらわないと、たまたまその商品を取り扱ったら、情を知っていたと指摘をされて、この法律に抵触するということになってはかなわないという不安の声があるわけであります。
 この「情を知つて、」というのは具体的にどういうことを想定しているのか、これをちょっと御説明いただきたいと思います。
○素川政府参考人 今回、改正案を提案させていただいております百十三条の第五項というのがございますけれども、これが適用され著作権侵害とみなされるのは、専ら国外において頒布する目的で発行される商業用レコードを、情を知って輸入する行為というふうに法律上要件とされているわけです。
 この「情を知つて、」とは、日本における販売を禁止されるレコードであるということを知っていたという意味でありますから、実質的には、これは日本における販売を禁止している旨の表示がその商業用レコード、音楽レコードにあった、あるもの、それを輸入する行為というものが該当するものというふうに考えております。
○岸田委員 ありがとうございました。
 もう一つ、この法律のもう一つのポイントであります書籍、雑誌の貸与権の付与の問題でありますけれども、貸与権の付与に関しましては、例えば権利を与えた場合に、これは音楽CDの場合と違って、書籍、雑誌の場合は権利者の数が物すごく多くなってしまうのではないか、権利許諾が円滑に行われるのだろうかという不安の声があります。
 この問題につきましては、その貸与権の問題、今法律として国会で議論をしているわけでありますが、関係者の中で具体的なシステムづくり、権利許諾の円滑化の問題ですとか、使用料の問題ですとか、その関係者の中でうまく共存していくシステムづくりが進んでいるというふうに聞いています。その上で、この法律の権利付与というものも考えなければいけないと思うんです。
 現在、関係者の中で議論されているこのシステム、先ほど言いました権利許諾についても不都合がないだろうかとか、使用料についてどんな話が行われているのか、そのあたりにつきまして御説明をいただけませんでしょうか。
○素川政府参考人 今御指摘ございました権利許諾が円滑に行われるためのシステム、これは非常に重要なものだと考えております。コミック作家、文芸作家などの作者の団体と出版社の団体で構成いたします貸与権連絡協議会、これは、法律が成立しました場合には、その後、引き続き貸し本業者がコミックや小説等の貸与を行えるように、権利者の了解を容易に得ることができるような集中管理体制、こういうものを整備することにより対応するということにしているものでございます。
 具体的に申し上げますと、著作者団体などは、貸与権を集中管理する団体といたしまして、仮称でございますけれども、出版物貸与権管理センターというものを設立いたしまして、その団体へコミック作家、文芸作家など約四千八百名が権利行使の委託をする予定と聞いております。
 現在、管理業務の方法などにつきまして、これは使用料でございますとか一定の禁止期間の長さ、こういうようなことにつきまして、貸し本業者の代表であります日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合とも協議しながら、内容の詳細について検討しているというところであると承知しております。
 文部科学省におきましても、この適切な集中管理体制の整備に向けまして、関係者の協議が円滑に調いますように、必要に応じまして指導助言をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○岸田委員 ありがとうございました。法律をつくってしまって、つくりっ放しというのではなくして、ぜひしっかりとしたルールづくりにつきましても関心を払っていただきたいというふうに思います。
 さて、本日、先ほど来八問ばかり、今回の法改正につきまして関係者の中で出ている疑念につきまして、重立ったものだけではありますが、質問をさせていただきました。
 先ほど申しましたように、著作権を改正するということになりますと、さまざまな著作権の課題、さまざまな利害が対立をするわけであります。立場によってさまざまな意見が生じる。これがこの著作権をめぐる諸問題の特徴だというふうに思っています。
 ですから、一つのルールはつくって、一つ安定を図らなければいけないわけでありますが、ルールをつくる際には必ずこうした不安や不満が関係者から出てくる、これはもう宿命であります。こういったあたりにもぜひ丁寧にこたえていただきながら、この法改正、制度づくり、ルールづくりを進めていただきたいというふうに思っています。
 この著作権に関する分野は、冒頭に申し上げましたように、目覚ましい成果、評価を今得ているわけであります。そしてさらには、こうした情報通信技術の進歩によりまして、どんどんとすそ野が広がっています。
 同じ知的財産権の分野においても、特許の分野はまだ一部のプロが中心になって議論をするという傾向があるわけでありますが、それとの比較において、著作権の方は、だれもが著作権のつくり手にもなり得ますし、だれもが著作権の使い手にもなるわけであります。著作権というのは、もう一部のプロの問題ではなくして、今、国民全体の幅広い問題に変化しようとしています。
 さらには、国際的な変化もどんどんと進んでいるわけであります。今回の法改正につきましても、海外からの音楽CDの還流防止措置については、ことしの一月から韓国におきまして日本盤の音楽CDが解禁になったわけであります。こういった動きにも影響をされている部分があるのではないかなというふうに考えます。
 また、貸与権の付与につきましても、先ほど申しましたレンタルブック店の登場というもの、こういったものが影響しているのではないかなというふうに思います。
 こうしたさまざまな変化をしっかりと受けとめていかなければいけないわけであります。この変化や動きの速さに追いついていかなければいけないということになりますと、要は、もう走りながら考えるぐらいの覚悟がこの分野では必要なのではないかなと思います。柔軟な、そしてフットワークのよい対応、ルールづくりがこれからも要求されるわけであります。
 この辺の実態を御理解いただけない方には、国会を開きますと毎年のように著作権法の改正が出てくるではないか、何で著作権の改正は小出しにするんだ、まとめてやれという大変な暴論まで出てきているような次第でありますが、実態のわかっている方々は、こうした世の中の変化に柔軟に対応しなければいけない、だから毎年のように著作権を改正していかなければいけない、こういったことの意味合いを御理解いただけるというふうに思いますが、時代に対応し得る著作権法のありよう、またルールづくりをぜひ模索していきたいものだと思います。
 関係者の御理解とそして御協力を改めてお願い申し上げまして、残り十五分は同僚の城内議員に譲らせていただきたいと存じます。
 ありがとうございました。
○池坊委員長 城内実君。
○城内委員 自由民主党の城内実でございます。
 河村大臣、副大臣、政務官には日ごろ大変お世話になっております。この場をおかりいたしまして、御礼申し上げます。また、岸田文雄先生におかれましては、貴重なお時間を分けていただきまして、感謝申し上げます。
 ただいま岸田先生からも、この著作権法の一部を改正する法律案、特に音楽CD還流防止措置についていろいろとやりとりがあったわけでございますけれども、私自身、この音楽CDあるいはレコード還流防止措置につきましては、今アジア諸国で、外国のライセンスを得たレコード会社が日本の楽曲のレコードを安価に生産しまして、それはもちろん海賊版ではなくて正規版ではあるんですけれども、やはり何といっても外国では安くつくれるわけですから、それがそのまま日本に入ってきたら、日本のレコード会社、これはもう本当にアーティストに高いお金も払っておりますし、また人件費も大変高いという中でつくっておりますから、本当に太刀打ちできない。そういう観点から、当然、消費者の権利、これはできるだけ安いものを買いたい、こういう消費者の権利はもちろんあるんですけれども、著作権者、権利者の権利もやはり守らなきゃいけない。この点について、私はそれは当然の動きだと思います。
 当初、経団連などは、自由貿易推進の立場からこういう動きには反対だったようですけれども、最後は納得したというふうに伺っております。ただ、私は、ここでこの問題について議論するというつもりはございません。それと全く違った切り口で、著作権及び著作隣接権についてお話をしたいと思います。
 というのは、ちょっと私、ここでこんなものを見せてもいいのかわかりませんが、理事会に諮らなきゃいけないのかわかりませんが、これは古いレコードなんですね。これはちょうど昭和十六年ごろのSPレコードというレコードなんでありますが、七十八回転の大変古いレコードでございます。
 こういうレコードというのは、レコードが生まれてからもう百年たつんですけれども、文化的な価値があるものとないものがあるんですけれども、いわゆる当時の大衆あるいは時代の空気というものが大変よく反映されている。要するに、大衆文化、流行歌あるいは落語、浪曲、そういったものがレコードとして発売されており、また、当時は確かにやや高価だったんですけれども、庶民の楽しみのものとなっていたということなのであります。
 それで、最近のアーティストの作品については、先ほど申しましたように、当然、著作権の保護をすべきであると私は考えるわけでありますけれども、この古い、それこそもう六十年、七十年前の日本のレコードについて、残念ながらまだまだ権利者の保護、権利の保護が強過ぎて、例えば仮にこの半世紀以上前の流行歌のレコードを民間の一人の個人がCDをつくってみようというケースがあったとしますと、当然、著作権及び著作隣接権が足かせとなる。著作権者というのは当然日本のレコード会社でありますから、そして著作隣接権は歌手、作詞、作曲家、これはもう没後五十年たたないとその権利は消滅しないということでありますので、日本のこういう名曲であってもなかなか発行できない。
 当然、許諾、いわゆるライセンスを取ればつくれるわけですけれども、じゃ実態がどうなっているかというと、私が承知している限り、レコード会社が、それはただじゃ出しませんよ、もっと金を出してくださいと。そしてまた、JASRACという日本音楽著作権協会があるんですけれども、それにお金を払う。お金を払えばいいじゃないかということですけれども、お金を払って、じゃそれが著作隣接権者に渡っているかというと、どうもそういう実態ではないというように私は認識しております。
 そこで、私の質問でありますけれども、著作権及び著作隣接権が足かせとなって、なかなかこういう古い日本の楽曲を市場に出せないという実態があるようですけれども、これについて御答弁いただきたいと思います。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のレコードの復刻に関しまして日本レコード協会を通じまして加盟の各社に照会いたしましたところ、戦前のレコードの復刻についての一般の方からの問い合わせというのは年間一社当たり数件程度あるというふうに聞いているところでございます。
 実際にレコードを復刻する場合には、先生御指摘ありましたように、作詞、作曲家やレコード製作者や実演家の著作権や著作隣接権などが関係してくるわけでございまして、これらの権利の保護期間内であれば当然利用許諾を得なければならないということになるわけでございます。
 それで、権利が保護期間内であるものの復刻に際しましては、そのお申し出の内容によりまして許諾の条件というのがさまざまであろうかと思いますが、戦前のレコードについて、では実際に復刻されているケースがあるかというと、少ないけれどもあるということは聞いておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、戦前のレコードを復刻させることにつきましては非常に意義があるものと思うわけでございますけれども、レコード製作者自身が、例えば復刻の計画を有しているという場合もあるということも考えられますし、いずれにいたしましても、当事者間の協議というもので解決していただくほかはないのではないかというふうに考えているところでございます。
 なお、実演家とか作詞、作曲家の権利の使用料につきましては、日本音楽著作権協会やレコード協会に権利を管理委託しているという場合が多いわけでございますので、復刻盤を復刻するということについて許諾の条件が整えば、レコード製作者のみならず、その作詞、作曲家や実演家の方にも使用料が分配されるということになっているところでございます。
○城内委員 今次長おっしゃったように、当事者間の協議ということがまさに実態として行われているんですけれども、当然そのレコード会社は、出し渋るし、なかなか許諾しない、条件をつり上げるという実態があるということを認識していただきたいと思います。そしてまた、一社当たり数件程度の問い合わせがある、その程度なんですね、はっきり言うと。だからこそ、こういうものは本当に、はっきり言って開放すべきじゃないかというのが私の考えなんです。
 戦前というと本当はどういう時代だったかと、歴史教科書の問題がありますけれども、当然光と影があるわけですね。そういう時代の雰囲気をつかむためにも、私は、この古い時代の大衆文化、これは文化的価値はないかもしれませんけれども、流行歌あるいは映画、こういったものについては、外国のものならまだしも、ミッキーマウスについてはアメリカがうるさいですからこれはもうしようがないとしても、日本のものについて言えば、これはだれでも気軽にアクセスするようにすべきである。
 戦前の歴史をより客観的に評価するためにも、私は、どこで線を引くか、昭和二十年八月十五日以前なのか、あるいは昭和二十五年にするとか、そこは議論の余地があると思いますけれども、古いものについては、私は、これは著作権及び著作隣接権の対象外にすべきであるというふうに考えております。
 皆さん、「蒲田行進曲」という映画を御記憶の方がいらっしゃると思うんです。たしか七〇年代か八〇年代にはやった映画でありますけれども、そのテーマソングは昭和初期の「蒲田行進曲」という、これはまた当時そんなに売れなかった曲でありますけれども、こういうものが何十年、半世紀後に復活したりするんですね。そういうように、埋もれてしまうような曲がいっぱいあるんですけれども、せっかく当時の人が汗水垂らして、そしてその時代の空気を吸ってつくった作品を、私自身は、著作権の保護というよりも、もうこれは消費者に一般に開放すべきじゃないかというふうに考えております。
 そしてもう一点、こういうことで、むしろこれは国がやるべきじゃないかというふうに私は考えております。一年に一社数件程度の問い合わせですから、それほど商業的価値のある戦前の流行歌というのはないんですね。映画もそうです。ただ、私は歴史的資料価値が大変高いと思っております。実際に今、フィルムセンターというところに日本の映画が保存されております。そしてまた、これは厚生労働省の所管だと思いますけれども、昭和館というのが九段にありまして、そこにあるコレクターの方が、二万枚ぐらいだと思いますけれども、私が先ほどお示ししたSPレコードを貸与して、それは一般国民がアクセスできるようにされております。
 それはそれで大変いい動きなのでありますが、私は、今まさにインターネットの時代でありますから、国の施策として、散逸しがちな貴重な音源あるいは放送の録音、映画、これをインターネットで国が配信するようにしたらいいのではないかと思います。
 例えば昭和十六年、もう今まさに戦争が始まろうとしている。どういう映画を日本人は見ていたのか、どういう曲を聞いていたのだと。軍国調なものは当然あると思いますけれども。では、どうだったのかというのをそれこそボタン操作一本で、わざわざ東京に行かなくても、北海道の人も、九州の人も、あるいは沖縄の人も、アクセスできるようにしないといけないと思って、ちょっとこれは変わった意見じゃないかと思いますけれども、私は、この点についてはこれからいろいろな機会をいただきながら質問させていただきたいと思います。最後に、この二点について河村大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思っております。
○河村国務大臣 城内委員から二点の御提言をいただきました。結論から先に言ってしまいますとあれですが、検討に値する課題だと思いますが、これに対して私の方から御答弁申し上げたいと思います。
 きのうですか、きょうの新聞、見たんですが、百年前のお酒を同じようにつくって飲んでみたというのがニュースになっておりました。これは著作権とは関係ないことでありますが、そうした昔の時代のレコードとか映画とか、歴史的なものを客観的に判断したり、いろいろなそういうものをまた楽しんでいく、国民が大いに評価する。あるいは教育の上でも、過去を知るというふうなこと、こういうものが当時非常にもてはやされたんだとかそういうことを知る。私は、当時の大衆文化を知る、そういう意味ではそういうことがうんと広まるということは大事なことだ、こう思います。
 ただ、六十年以上前、これはもう著作物等についても対象から外して広く、こうおっしゃるわけですが、これは著作権法では、著作物の公正な利用に配慮しなきゃいかぬ、だから一定期間、著作権者等に権利を認める一方で、終われば権利は消滅してだれもが自由に使えるようになる。これはもちろん城内委員も承知の上でおっしゃっておることだと思いますが、具体的に、レコードが現在、作詞、作曲家の死後五十年となっています。それから、レコード製作者が発行後五十年、映画が公表後七十年、こうなったわけです。
 この保護期間の問題については、これは国際条約とか各国の法制との整合性がございます。こういうこともあって、これまでずっと改正をしてきたことでございますが、したがいまして、国内外の権利者団体の意見も踏まえて決められたことでありまして、今御指摘をいただきました映画、レコード、こうしたものをもう保護の対象外にしてしまってはどうだ、こういう御意見でありますが、こういう前提があるものでありますから、これは慎重に検討しなきゃいけない課題だ、このように思うわけであります。
 また、もう一点指摘されました、そういうものが、ほっておくと散逸してしまう心配もあるし、現在、レコードは国立国会図書館とか、映画は東京国立近代美術館のフィルムセンターにある。収集、保存がされていまして、またその公開もされておるわけでございますけれども、そういうものをできるだけオープンにしようということで、上映活動とか巡回上映、こういうことはやっておって、積極的な情報発信には努めておるわけであります。今御指摘をいただきましたように、そういうものをもう無料通信といいますか、国がどんどんインターネット通信、配信したらどうだ、こういうこと、これも国民が容易に、身近に触れることができますから、これは情報発信ということを考えますと、極めて有力な手段であるというふうに思います。
 しかし、確かにそうですけれども、やはりさっきの御答弁と同じようになるのでありますが、戦前といえども、まだ著作権等が生きていて保護対象になっている作品もある、あるいは、寄託を受けて国が保存している中にも映画フィルム等の所有者の了解が必要なものもある。こういう権利関係が残っておりまして、映画等のコンテンツのインターネット配信、これは国と民間との考えをどのように考えていくか、環境をどういうふうにするかということも踏まえて検討課題であろう、このように思っておるわけであります。
○城内委員 大臣、御答弁ありがとうございます。
 私、著作権、著作隣接権の六十年以上前のもの、あるいは戦前のものについては本当に保護の対象外にすべきだとは申しておるんですけれども、ただ、当然、戦前のものであっても売れ筋のものはあります、あるいは「蒲田行進曲」のようにまた復活して売れ出すものもある。そういうものについては、例えばセーフガード措置を導入するとして、売れ始めたら審議会か何かにかけて、レコード会社が、ちょっと待った、これについては対象外ではない、対象にするということで対応できるんじゃないかと思うんです。
 ほとんどの本当に九割九分九厘のそういう作品は、商業的価値ははっきり言って、ないですね。したがって、それをいつまでも守るとなかなかアクセスできないということでありまして、また、没後五十年、著作隣接権、作詞、作曲者あるいは歌手が、五十年といっても、これは本当にとんでもない長い期間だと思いますし、五十年たったら、そういう埋もれた名曲というのは本当になくなってしまうんじゃないかなと私は考えている次第であります。また、ペンネームを使ったり、マイナーなレーベルだと、本当にだれに断って許諾を得るかという難しい手続もありますので、そういう実態を踏まえて、より国民に、こういう過去の古い音源がアクセスできるような施策をぜひとっていただきたいと思います。
 これで私の質問を終わります。
○池坊委員長 城井崇君。
○城井委員 民主党の城井崇です。
 著作権法の一部を改正する法律案、とりわけ、本日は、CDの逆輸入規制が洋楽も対象となる可能性があるという件について質問させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 さて、まず一番初めに、大臣に、非常に簡単な質問なんですが、お伺いしたいことがあります。大臣、インターネットをお使いかと思うんですが、ブログというのを御存じですか。正式な名前はウエブログというんですけれども、御存じですか。
○河村国務大臣 私、存じません。
○城井委員 ありがとうございます。
 ブログ、正式にはウエブログというんですが、これは、いわゆるネット上での簡単な日記なんです。形が決まっていまして、自分で入力をして日記を書いていくという方式なんですが、ただ、そのブログという新しいタイプの日記はちょっと変わっておりまして、そこに書いている単語とかあるいはキーワードというのを、そのほかの日記とかブログで書いている方のキーワードと結ぶことができるんです。つまり、ある方のブログを入り口にして、ほかの方が書いている意見とかあるいは情報とかといったものに触れることができるというのが、いわゆるブログが持っている特徴なんです。
 そのブログを扱っているネット上の皆さんの中で、今回の著作権法の改正の話が大きく取り上げられています。
 特に、今回のはらんでいる問題の分析ですとかあるいは検証といったものが、ある意味でリアルタイムに行われているといった部分がございます。その中には、もちろん、ネット上の情報ですから、先入観とか誤解とかいろいろなものがあるわけなんですが、ただ、それを一つ一つ丹念にたどっていきますと、ある意味で、今回の著作権法の改正がはらんでいる問題点というのが、その場で、いろいろな方の知恵が集まっていますので、ある意味で丸裸にされているという感じを私は受けております。
 その中で、先ほどの質問にもございましたが、やはりぬぐえない懸念が幾つもある。先ほどの洋楽のCDの件で申しますと、一つは、今後、いわゆる日本のCDの競争が、国際的な競争にさらされないということで、競争がなくなっていくことで価格が高どまりしてしまうのではないか、あるいは洋楽盤CDの輸入がとまってしまうという可能性があるのではないか、そういったことが今の中で音楽文化の衰退につながっていくかもしれないという懸念、心配という声が非常に強いというふうに思っています。
 ただ、その懸念、心配というものを受ける中で、私は、今回のこの法律案の改正で最も大事に考えなければならないと思っておることは、著作権を守るということと、自由な流通によって文化を発展させていくということ、このバランスをとることは非常に大事だと思っています。
 しかし、その上で、知的財産に伴う産業というものについては、そのよい点だとか、あるいは発展させていくために必要な規制もあるだろう。しかし、それらを論じると同時に、国民に対して、例えば消費者が自分の不利益を我慢してでもその産業のためにそういった政策を支えていくという気持ちを持つかどうかというのはすごく大事だというふうに私は思っているんです。ここが、今回の法律改正に至るまでのプロセスと、そして今出されているこの状況といったところに全く足りないという思いがしております。
 そういった意味で、今回の改正案というものは、正直言って、羊頭狗肉と言われてもしようがないのではないかと思っています。御説明にある見かけの部分と、実際にはらんでいる中身というのが天地ほど異なる。薬に例えて言うならば、ペニシリンとかバイアグラとか、ああいったものとは逆で、ある意味で、あしき副作用の影響が非常に大きい薬のようだというふうに感じています。
 実際にこの法律の内容をじっくりと読ませていただきました。非常に規制があいまいだということがわかります。輸入禁止の対象範囲が明確ではありません。欧米からの並行輸入盤を含む輸入盤のすべてが禁止対象になり得るという部分があります。この副作用に対する懸念、心配というものが、単に一部の洋楽ファンにとどまるのではなく、消費者の方々、一部の著作権者の方々あるいは輸入にかかわる小売の業者の方々の、本当にたくさんの方々の間にあります。そして、反発が強まっています。
 音楽家の坂本龍一さんという方がおられます。この方を含めて五百名もの音楽関係の方々が賛同された輸入CD規制に反対するという声明も発表されています。洋楽の常時愛好者というのはこれぐらいだろうと言われている数字、五万人を超えようとするような署名が非常に短期間で集まっているという状況もあります。
 こういった副作用に対する懸念、心配というものが厳然とあるという点について、まず大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○河村国務大臣 今の御指摘の点は、今回の還流防止措置をつくる、とる、こういった場合に、洋盤レコードの影響など消費者の利益に十分配慮しなきゃいかぬ、こういう御指摘は、文化審議会の著作権分科会の報告書を初めとして、この法案の立案以前から指摘をいただいた点でございます。
 法案をつくる我々文部科学省側といたしましても、こういう指摘はちゃんと踏まえていかなきゃならぬということで、制度設計に当たってさまざまな要件をセットするということ、また、必要なら後ほど要件を述べさせていただきますが、そうした消費者の利益といいますか、そういうものに十分に配慮して法案を立法した、こう考えております。
 特に、御懸念の洋盤レコードの直輸入についても、内外無差別の原則という国際条約上の制約のために、外国の権利者を保護の対象から除外することはできないわけでありますけれども、これら要件をつけたことによって、日本と物価水準等大きな差がない先進国からの輸入については、これは影響がないということをきちっと明確にしておるわけでありますから、これは、先ほど岸田先生のときにも御答弁申し上げました、もちろんこの説明責任というのはきちっとあるわけでありますから、このこともきちっと果たしながら、御理解をいただきたいということで今回の法案を提出させていただいておるわけであります。
○城井委員 大臣、十分に説明責任を果たしていただきたいと思います。
 今のお話を伺っておりまして、一言で申しますと、いわゆる要件をそろえるということによってという部分が条件でつくんでしょうが、今私が申し上げましたようないわゆる副作用に対する覚悟、要するに、それをのみ込んだ上で今回の法律を施行していくんだという覚悟を持っての改正であるという認識でよろしいですか。大臣、お願いします。
○河村国務大臣 御指摘の点、その点を踏まえてやっておるというふうに考えております。
○城井委員 聞いたことに答えてください。今回の、私が指摘申し上げた副作用をのみ込んだ上での、のみ込む覚悟を持った上での改正ですかというふうに伺ったわけです。もう一度お願いします。
○河村国務大臣 副作用といいますか、輸入がストップされるのではないかとか、こういう御指摘、これは十分踏まえた上で、そしてこの法律をつくる場合に、著作権のあり方というもの、これはやはり私権でもございます。もちろん法務省、法制局、御承知の法制局でありますが、法案審議に当たっては十分審議をしながら法案を提出させていただいておるわけであります。
○城井委員 踏まえておるということで、その可能性を十分に含めたものだというふうに受け取らせていただきます。
 それでよろしいですか。今の私の認識でよろしいか、もう一回確認をお願いします。
○河村国務大臣 これはあらゆる角度から、その可能性の極めて低いこと、十分いろいろな議論を踏まえ、いろいろな御意見を伺いながら、また、これは対外的な問題でありますから、アメリカのファイブメジャーと言われるそういう方々の意見、そういうものもすべて勘案してやったわけでありますから、この法律でこの問題についてはきちっと適用できる、そういうことで確信を持って出させていただいております。
○城井委員 大臣、済みません、可能性がある、ないの二択だったらどっちですか。
○河村国務大臣 これは参議院においても、その点いろいろ御議論させていただいた。そして、まさに大きな変化、商業用レコードの還流の実態について特異な現象が出たとか、そういうケースによって万が一消費者に不利益が起きるというようなケースについては、これは状況を調査し検証して、そしてその処置が必要であればそれは講じなきゃいかぬ、そのことは申し上げてきているところであります。(発言する者あり)
○池坊委員長 不規則発言は控えていただきたいと思います。委員が質問なさることに対して……(発言する者あり)委員会は委員と答弁者との質疑だと思いますので。
○城井委員 可能性はあるという認識でよろしいですか。
○河村国務大臣 参議院でも参考人質疑があったと思います。現時点では可能性はないということで、しかし、情勢の変化というのはあり得る、こう聞いておりますから、そのときにはそのときの対応をしましょう、こう申し上げております。
○城井委員 情勢の変化によっては可能性はあるということでよろしいんですね。
○河村国務大臣 何事も情勢が変化するということはありますから、それはそういうことはあると思います。著作権を絶えず変えていかなきゃいけない、この現状を先ほど岸田先生も御指摘ありました。そういうことであるというふうに思います。
○城井委員 可能性はあるということで受け取らせていただきながら、次に進めさせていただきたいと思います。また、その点疑念が出てまいりましたら、その都度伺わせていただきます。
 さて、次に伺わせていただきますが、今回の法律に書かれている実際の内容の部分の確認を若干させていただきながら進めさせていただきます。
 まず、そもそもこの問題なんでございますが、たしか最初はレコード輸入権として取り扱われていたはずなんですけれども、その名前が途中から還流防止措置にすりかわってきているというふうに私読んでおります。
 先ほどの答弁にもありましたが、いわゆる内外無差別原則を含む輸入権の創設というのが今回のねらいであろうというふうに考えるわけですが、還流防止措置という名前をつけてしまった場合に、この法律が目指しているところ、あるいは実態というものを正確にあらわしていないのではないかというふうに考えますが、この点について、文化庁の方、見解をお聞かせください。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の措置につきまして、先生御指摘のように、当初、知財計画等におきましてはレコード輸入権という表記で整理していたということは事実でございます。
 現在、音楽レコード還流防止措置というふうに説明しているわけでございますけれども、この輸入権という言葉は、著作権にはたくさん支分権がございますけれども、その支分権の一つとしての輸入権をつくる、これは外国の場合にもそういった支分権としての輸入権をつくるというケースがあるわけでございますけれども、その場合には、著作物のいかんを問わず輸入をコントロールする権利を権利者に与えるという広範囲な権利になるわけでございますけれども、そういうふうなものと受け取られるおそれがあるといいますか、そういうのが自然なものでございます。
 そういうことで、今回の措置というのは、国内に同一の音楽レコードが売られているということを前提といたしまして、これを要件といたしまして、海外からのレコードの還流防止措置ということとして説明する方がより適切に制度の趣旨を説明することになるということで、このように現在説明させていただいているところでございます。
○城井委員 この名前が変わるきっかけとなった出来事はございますか。文化庁の方、お願いします。
○素川政府参考人 これだけがきっかけだということはないかと存じておりますけれども、やはり、このレコード輸入権といいますか現在の音楽レコード還流防止措置というものを検討していく中で、より適切に、誤解の少ない表現をする方がいいということでこのような表現にさせていただいたところでございます。
○城井委員 私は、先ほど申し上げましたように、逆に実態を隠してしまっているというのがこの名称の実態だというふうに思っております。
 続いて質問をさせていただきたいと思います。
 文化庁の方、再びお願いしたいんですが、文言上は、アジア盤に限らず、洋楽盤の国内盤を出している日本のレコード会社が欧米などを初めとした安い海外盤の輸入を禁じるよう求めることもこの法律によって可能になるかどうかということで、可能になるという理解でよろしいでしょうか。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど来御説明申し上げておりますように、著作権の保護につきましては、著作権に関する国際条約によりまして、内国民待遇というものを制度上与えるべきであるということで、音楽レコードの還流防止措置におきましても、法制度上は日本の権利者と同様外国の権利者も保護するということになっているわけでございます。
 そういう意味におきまして、法制度上は海外のレコードの輸入というものは形式的にその対象になるということでございますが、今お話しの日本のレコード会社というのは著作権法上の権利者ではございませんので、今回の還流防止措置の権利を行使する当事者ということではございません。
○城井委員 では、この場合はどうでしょうか。今のお話のように、著作権法は海外のレコード会社にも適用されるんですけれども、海外のレコード会社の日本法人が輸入している海外盤も規制の対象になり得るという理解でよろしいでしょうか。
○素川政府参考人 音楽レコードといたしましては、先ほどの説明と同様でございます。権利者は、海外でレコード制作しているレコードの関係の権利者、著作者及び著作隣接権者ということになろうかと存じます。
○城井委員 もう一つ伺いたいんですが、今の話を踏まえていただいて結構なんですが、そうすると、いわゆるファイブメジャーだけではなく、海外の原盤のライセンサーを含む海外のすべての著作権者並びに著作隣接権者が、その方々がかかわる、例えば欧米などを初めとした安い海外盤の輸入を禁じるよう求めることも可能になる、すなわち権利を行使することができるという理解でよろしいですか。
○素川政府参考人 海外の音楽レコードに係ります権利者、これにつきましても、法制度上は、やはり先ほどから申し上げているような御説明と同じわけでございます。
 ただし、この還流防止措置が適用されるかどうかということにつきましては、今回改正する法律に書いておりますような多くの要件、これをすべてクリアする必要があるわけでございます。そういう意味におきまして、法制度上保護の対象になっている、形式上なっているということと、実際に物価水準に差のない欧米の先進諸国の音楽レコードにおいて今回の措置で設けられました要件を満たすかどうかということとは、また一つ別に検討する、考えられるものではないかというふうに考えております。
○城井委員 そうすると、今のお話を総合しますと、済みません、非常に細かいことを聞いているというのはわかっておるんですが、大事なところなので。法制度上は可能だと。しかし今回の法案が通過した後ということでいうと、要件を満たした場合に、先ほど申した海外のすべての著作権者並びに著作隣接権者の方々が法制度上権利を行使することが可能だという理解でよろしいですか。
○素川政府参考人 形式的に還流防止措置の対象になっているということは否定しないわけでございますけれども、この要件は該当するかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、物価水準に著しい差のない欧米の先進諸国との間におきましては、通常、その現状に変化がないものというふうに考えておるところでございます。
 言いかえますと、このような日本との物価水準に大きな差がない先進諸国等の輸入については、影響が起きないような運用の仕方をするということがこの立法趣旨に沿うものではないかというふうに存じているところでございます。
○城井委員 私、要件を満たせばというふうに伺っておりますので、要件を満たした場合には権利行使が可能だ、それは先ほどの形式的とはいえこの法律案に含まれているという理解、要件を満たせば権利行使は可能だということで理解はよろしいんですかと聞いたので、その点についてもう一度、御確認で質問させてください。
○素川政府参考人 現実に適用になるかどうかということは別にいたしまして、理屈上、理論上の御質問であれば、そういうことかと存じます。
○城井委員 ありがとうございます。
 続いて聞かせていただきます。先ほどの、要件を満たせばというところにかかわってくるかと思うんですが、ライセンス料の件について聞かせてください。
 現在、作詞作曲などに係る著作権者、あるいは演奏家、レコード会社などの著作隣接権者は、CD売り上げの一部をライセンス料として受け取っていると思います。今回の法改正の対象になっている現地でライセンス生産される正規版についても同じかと存じますが、各国、各地域におけるライセンス料の格差というものがあろうかと思います。先ほどの御説明でも、アジアのといった、具体的な地域の名前も出てまいりました。
 この実際の格差については、原案では明記はされていませんが、どの程度まで容認をするのか、その基準というものをお持ちなのかという点、この点についてお聞かせください。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 どの程度の著しい差がある場合に不当に害されるかということでございますけれども、著しい差というのは、一定の数値をもって基準とするというよりも、今回の還流防止措置の立法趣旨というものに照らして判断するのが適切ではないかというふうに存じているわけでございます。
 いずれにいたしましても、現在、先ほどから申し上げましたように、日本と物価水準に大きな差がない先進諸国からの輸入のように、国外における販売によって得られる利益が国内における販売によって得られる利益と比べまして著しい差がない場合には、不当にとは判断されず、今回の措置の対象にはならないものと理解しておるところでございます。
○城井委員 とすると、先ほどの著しいといった判断は、数値はないということでございました。立法趣旨による判断ということでございましたけれども、そうすると、担当者の個々の判断によって変わり得るという理解でよろしいんですか。
○素川政府参考人 担当者ということではございません。各国の状況を前提にいたしまして、客観的な状況を前提にいたしまして、この法律の趣旨からいたしまして不当な侵害に当たる場合ということはどのようなものかということをきちんと整理させていただき、税関当局と連携をとって運用に努めてまいりたいと存じておるところでございます。
○城井委員 よくわからないんですが、判断の責任者はどなたですか。税関当局と連携をとってといっても、その責任者が今の御答弁では全くわからないわけですが、判断の責任者はどなたになるわけですか。
○素川政府参考人 責任者といいますか、この法律を政府において所管している担当部局が責任を持つということでございます。
○城井委員 監督局はどちらですか。
○素川政府参考人 具体的に著作権法を所管しているのは文部科学省であり、文部科学省の中におきましては文化庁でございます。
○城井委員 そうすると、文化庁という理解でよろしいですか。
○素川政府参考人 文化庁という理解でよろしゅうございます。
○城井委員 そうすると文化庁が、先ほどの、数値を持たずに著しい差の判断をするわけですね。この理解でよろしいですか。
○素川政府参考人 数値を持たずに判断するというふうには申し上げておらないところでございます。
○城井委員 立法趣旨の中に数値は含まれていないんですよね。判断基準は何ですか。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の法律の趣旨は、今回の還流防止措置の趣旨は、アジア諸国等の物価の安い国からのいわゆる還流を防止するということにありまして、不当に利益を害することとなる場合に限るという要件は、そのような趣旨に照らし運用することが必要であるというふうに考えているところでございます。
○城井委員 わかりません。
 委員長、ちゃんと答えていただきたいんですが、判断基準は何ですかといって、数値ではないというところまではわかりました。では何ですかといったときに、立法趣旨の説明に戻られても全くわかりません。
 立法趣旨に照らした場合に、その立法趣旨のどの部分が具体的に判断基準となるのかというのを教えていただきたいと申し上げておるわけです。もう一回お願いします。
○素川政府参考人 立法趣旨は、先ほどから申し上げておりますように還流防止措置の立法趣旨は、安い国からの輸入を防止する、それによって我が国の音楽関係の権利者が海外展開する活動ということができるその環境を整備するということに立法趣旨があるわけでございます。
○城井委員 もう一回言いますよ。よく聞いてください。文化庁が著しいを判断するときに、数値ではなくて何を基準にしているんですかと聞いているんです。もう一回答えてください。
○素川政府参考人 著しいかどうかという判断をするときに、今回の措置に照らしますと、アジア等の物価の安い国からの輸入は防止するということが必要であろうけれども、日本と物価水準に大きな差がない先進国からの輸入、例えばアメリカ、イギリスでございますとかフランスとかドイツ、そういった国、そして、これらにつきましては、現在、並行輸入といいますか直輸入ということでビジネスが行われているわけでございますけれども、こういった国の輸入に影響を与えるということは本来の趣旨ではございませんので、その辺のところを基準として判断するということでございます。
○城井委員 物価水準に差がある、ないというお話が出てまいりましたが、物価水準は何ではかるんですか。
○素川政府参考人 物価水準につきましては、それぞれの国の所管の当局のデータというのを踏まえて検討するものと考えておるところでございます。
○城井委員 それは数値じゃないんですか。文化庁の方、よく聞いてください。数値じゃないと先ほど言ったじゃないですか。物価水準を基準に文化庁が著しいかどうかを判断するんですということなわけでしょう、要は。そこを最初に聞いているわけですから、そこを数値じゃないと言って逃げているのはどういうことなんですか。いいですか、物価水準が数値かどうかなんて、言わなくてもわかると思いますけれども、その点を一応確認しますが、お答えください。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 一定の数値をもって基準とするものではないと申し上げましたけれども、その基準を検討するに当たっては、そのベースとなるデータというもの、それは数値も含むと思いますけれども、それは当然必要になるわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
○城井委員 では、その物価水準、特にベースとなるデータに基づいてということですが、それぞれの国別にお持ちということになるわけですか。それぞれのその国別に示してください。
○素川政府参考人 物価水準ということを申し上げたわけでございますけれども、その物価水準というのは何に反映されるかといいますと、先ほどから申し上げておりますように、レコードに係るライセンス料というものの相関関係があるわけでございます。これはきちっと正比例ということではございませんけれども、物価水準に応じた価格設定というものが各国のレコードにおいてされるわけでございますけれども、それは権利者が受け取るライセンス料のベースになるというものでございます。
 それで、現在、日本の国内盤とそれからアメリカ盤、イギリス盤、そういった重立った主要国とのライセンス料の比較ということ、これが不当な侵害かどうかということのベースといいますか、その判断する一つのベースとしては資料があるわけでございますけれども、その数値が基準ではないということで言っているわけで、基準の判断のベースにはその数値というものがあるということでございますので、ここは、そういうことは御理解いただきたいと存じます。
○城井委員 そうすると、物価水準に差があるかないかというお話と、今出てきた話で言うと、ライセンス料も踏まえたになるんですかね。そうすると、数値以外にも基準があるわけですね。数値も勘案しながらということになるんでしょうが。ちょっとよくわからないんですが、そのあたり、もう一回整理してください。
○素川政府参考人 不当に害されるという場合には、この判断基準といいますか基準といたしましては、それは、先ほどから申し上げておりますように、著作権者、隣接権者が受け取るライセンス料ということになるわけでございますけれども、物価水準に差があるというのは、そのライセンス料と物価水準、したがって、それは各国の売り出しのレコードというものが相関関係にあるということで物価水準に差があるというような説明を申し上げているわけでございますけれども、基準といたしましては、厳密な意味では、ライセンス料の差が著しいかどうかということでございます。
○城井委員 全然わからないんですが。
 先ほど国別にそれぞれ挙げてくださいというふうに申し上げた部分がまだお答えいただいていないので、まずそこの部分をお願いします。
○素川政府参考人 具体的に水際措置をするのは税関当局でございますので、そちらとの連携というものが十分必要であろうかと思いますけれども、私どもが今現在理解しているところでは、アメリカとの間、これは平均いたしましても、大体二割程度ぐらいのライセンスの格差が平均的なものではないかと思っております。イギリスやフランス、ドイツにつきましては、同等かもしくはそれ以上のライセンス料というものがその国々に対してあるというようなことではないかというふうに思っています。
 いずれにいたしましても、これにつきましては、具体的に、法律の施行段階までにより精緻なデータを集めまして、税関当局と連携をとりまして適切な運営が図られるものと考えております。
○城井委員 今の御答弁だと、やはりわからないのは、では、そのライセンス料の差が開いてきたと、どこでその判断が変わってくるのか。
 要するに、基準を持たずに今のいわゆる判断を現場の税関の方とされるんでしょう。その後に、恐らく、こんなふうに法律を施行していきますというのをつくるんでしょう。ですけれども、そこで基準がなくつくっていくことができるんでしょうか。その根拠のある資料をちゃんとお持ちなんですか。まずそれを出してください。
○素川政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、その判断の基準自体は数値ではございませんけれども、その基準というものを考えるに当たっては、一定の数値をベースにして判断しなければいけないということでございます。そして、その判断をする際には、やはり今回の還流防止措置の立法趣旨というものを踏まえなければいけないというふうに考えております。
 物価の安い国からの還流を防止するということによって日本の音楽関係の権利者の利益を守る、そして、安んじて海外展開することができるような環境を整備するということは非常に重要なわけでございますけれども、それと、物価水準に大きな差がない、したがってライセンス料に大きな差がない先進諸国、アメリカ等の輸入がとまるというようなことになるということについては、それは本意ではございません。
 そういうことで、そのようなことが、輸入が影響を受けないような要件の運用をするということがその立法趣旨に沿うものと考えているところでございます。
○池坊委員長 城井崇君。城井崇君。(城井委員「質問に答えていない。答弁をちゃんとしてもらってから質問は」と呼び、その他発言する者あり)私、委員長一人に言っていただいても困りますので、それは筆頭と協議なさってお決めいただきたいと思います。
 質問者の質問に対し、答弁者の答弁が納得いくものでなかったとしても、きちんと答弁しておりますので、この委員会を続けたいと思います。(発言する者あり)
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○池坊委員長 速記を起こしてください。
 城井崇君。
○城井委員 先ほど来私が申し上げておる点、もう一度確認をして、お願いをしたいことがあります。
 先ほどの御答弁の中で、ライセンス料を判断のベースにしているという御答弁がございました。このライセンス料を判断ベースとするならば、その算定根拠となる数字がないとどうしようもありません。この算定根拠となるライセンス料の各国の比較できるような数字をこの委員会に提出してください。
 でなければ、先ほど来申し上げておりますように、消費者の方々を含めて非常に不安の声がある。不当だと言われても、その基準があいまいなままで、結局、後から決められていく、その基準がわからないままに決められていくということをそのままにしておくわけにはいかないというふうに考えます。この資料の提出について、ここでお願いを申し上げます。
○池坊委員長 理事会で協議いたしまして、お答えいたします。
○城井委員 その資料はございますか。
○素川政府参考人 資料はございます。
○城井委員 その資料を提出していただくように理事会にお願いを申し上げます。
○池坊委員長 理事会で協議いたしましょう。
○城井委員 この問題は資料が出てきてからまた改めて質問させていただくといたしまして、次に進ませていただきます。
 本日の岸田委員の質問の中にもございましたけれども、本法案の参議院での法案審議の際、大臣の方あるいは政府参考人の方の答弁、あるいは先ほどの岸田委員の質問に対する大臣の御答弁といったものでも、今回の海外からの、特に欧米からのレコードの輸入というものに関しては心配ないということの御趣旨のお話が何度も触れられているというふうに思いますけれども、これらの答弁で言及された内容、触れられた内容というものには、いわゆる国内における法律の運用に何らかの措置ができるとしても、海外の著作権者及び著作隣接権者による今回与えられた権利の行使、つまり、輸入権あるいは政府の言う還流防止措置ということになるんでしょうが、そういった権利の行使をそれらの答弁で言及された内容ということをもってとめることができるのか、この答弁にそういう効力があるのかないのか、この点、文化庁の方、お願いします。
○素川政府参考人 国会での答弁自体は、権利行使をとめるそのものの効力があるかという御質問に対しましては、そのようなものではないというふうに承知いたしております。それは、政府の見解、心構えであるということでございます。
○城井委員 ということは、答弁内容が担保されたというお話が幾つもあるわけですが、答弁内容が担保をされたとしても、権利行使をとめるということはできない、あくまで心構えでしかないということでよろしいんですね。
○素川政府参考人 法律の運用というものは、各担当の官庁で法律の権限を受けまして行うものでございますけれども、そのようなレベルにおきましては、法の運用におきまして、各省、各部局が行う場合には答弁の内容に沿った運用をするということでございます。その点は御理解いただきたいと存じます。
○城井委員 その点は理解をしたんですが、聞いたことに答えていただいていないのでもう一回だけ確認をしますが、そういう答弁の内容によって、海外の著作権者及び著作隣接権者による権利行使をとめることができない、あくまで答弁は心構えでしかないという理解でよろしいですねと聞いているんです。この点について、イエスかノーかで結構ですので、お答えください。
○素川政府参考人 答弁自体で海外の権利者の権利行使をとめる効力自体というものがあるということはございません。
○城井委員 今の点は、非常に大事だと思っています。というのは、大臣の答弁が担保されることによって大丈夫ですよというふうに、今消費者の方々を含めて説明している政治家、関係者が本当にたくさんいます。それがうそだったということが、ここで明らかになるわけであります。非常に大きな点だと思っています。
 この点にかかわると思うので、もう一つ質問させていただきます。
 同じように、本法案に関して、先月、参議院で全会一致で可決されたわけですが、その中で、洋楽レコードに還流防止措置などが行使され、消費者の利益が侵害された場合に法律の見直しなどを検討するという附帯決議が添えられたとあります。
 この附帯決議は、海外の著作権者及び著作隣接権者による、今回の法律で付与される権利の行使をとめることができるのか、その効力があるのかないのか、これもイエス、ノーで結構でございます、お答えください。
○素川政府参考人 附帯決議自体は、これは基本的には政府に対するものでございます。政府は、その趣旨を体して、その実施に努めるというものでございます。
 附帯決議自体は法律そのものではないということは、もう委員御案内のところだと思いますけれども、政府におきましては、附帯決議は尊重しながらその実施に努めてまいるというのが基本であるということは御理解いただきたいと思います。
○城井委員 ということは、法律そのものではないということでございますので、先ほどから申し上げている海外の著作権者及び著作隣接権者による権利の行使をとめることはできない、そういう効力はないという理解でよろしいですか。
○素川政府参考人 附帯決議というものが法律かどうかというような説明ではないということは言えるかと思います。
○城井委員 聞いたことに答えてください。
 もう一回言います。海外の著作権者及び著作隣接権者の権利行使をとめることがこの附帯決議でできるのかできないのか、そういう効力はあるのかないのか。イエス、ノーで結構です、もう一回答えてください。
○素川政府参考人 イエスかノーかということだけを言えということであればノーでございましょうけれども、附帯決議を踏まえて、政府がそれを尊重した運用をするということでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
○城井委員 ということは、今のお話を総合しますと、附帯決議で権利行使がとまることはない、あくまでそれは政府の取り組みなんだ、しかし政府も、答弁内容としては心構えでしかなく、権利をとめることはできないということが、先ほどの答弁とあわせて言えば理解をするわけですが、そういうことでよろしいんですね。
○素川政府参考人 国会での答弁というものは、そのものが法的拘束力があるというものではないということは御存じのことだと思います。
 それを政府におきまして、政府提案の法律の考え方というものを国会答弁の中で明らかにしていくというものがその趣旨ではないかと存じております。
○城井委員 ここまでの御答弁でとんでもないことが明らかになっていると私も思うわけですが、この附帯決議で権利行使をとめることができる、あるいは答弁の内容でとめることができるというふうにさんざん喧伝をしてきた政治家、関係者がたくさんいるということをここで改めて申し上げなければなりません。
 なぜここにこだわっているかというと、一度文化庁の方々、大臣答弁やあるいは附帯決議で担保できなかったがために痛い目に遭った覚えがあるんじゃないんですか。
 具体的に指摘を申し上げます。
 十年前に議論されたレコードレンタル権の問題のときに、米国は権利を行使しないという大臣答弁やあるいは附帯決議があった上でその権利を設定したという経緯がございました。にもかかわらず、結果的には、米国の権利者は権利を行使したという苦い苦い経験が過去の我が日本にはあるわけです。だからこそ、そのときの経験からすれば、大臣答弁や附帯決議は、何ら現場に拘束力を持たないということが明らかなわけです。
 この点の苦い経験を踏まえての今回の取り組みなのかという点でいったときに、今回もまた同じように、大臣答弁あるいは附帯決議といったものは効果がないということがここで明らかになっているわけです。この過去の経験を踏まえての今回の取り組みなんですか。お答えください。
○素川政府参考人 今先生御指摘の過去の例というのは、平成三年のレコード貸与権のことかと存じます。そのような理解でよろしゅうございましょうか。
 平成三年に、外国のレコード製作者に貸与権を認めた際に、外国のレコード製作者が、発売後一年間の許諾権を行使するのではないかというような懸念があったわけでございます。外国のレコード製作者と日本のレコード製作者との間で、国内当事者間のルールに準じたルールを協議中であったということから、当時の文化庁といたしましても、この協議が調い、懸念された問題は起きないということを期待していたわけでございます。しかし、結局、この協議というものは調わなかったということで、今先生の御指摘のようなことがあるのだろうというふうに存じております。
 ただし、今回は、還流防止の適用のためには複数の要件が定められているということ等から、レコード貸与権と同様の結果にはなるものではない、状況は違うものというふうに理解しているところでございます。
○城井委員 今、状況は違うという御答弁でしたけれども、どこがどう違うのか、具体的に御説明ください。
○素川政府参考人 外国のレコード製作者に貸与権を認めた場合にどのような行使の仕方をするかということ、具体的に申し上げますと、法律で、一年以内の間において禁止、許諾権というものを行使することができるわけでございますけれども、それをどの期間行使するかということにつきましては、その権利者の意思に任されているわけでございます。
 ということで、そういう状況と比べますと、今回のいわゆる還流防止措置が適用されることになるかということにつきましては、法律に定めました複数の要件、これがすべて満たされなければならないということがございますので、これは権利者の意思、一存の問題ではないということで、状況が違うということを申し上げているわけでございます。
○城井委員 次長、私の質問をきちんと聞いていただいているんでしょうか。お手元にもペーパーでお渡ししていると思うんですが、今比較していただきたいと申し上げたのは、米国は権利を行使しないという大臣答弁や附帯決議があった上でこの権利をつくったにもかかわらず、結果的に米国の権利者が権利を行使したという経験の部分について申し上げているんです。
 この点について同じなのか違うのかといったときに、私はここから学ぶべきだということを申し上げているわけです。この点についてもう一回お願いします。
○素川政府参考人 過去の事例というものにつきましては何事も学ぶべきものであると考えておるところでございます。
○城井委員 今回の法律案をつくるに当たって、では、どこを学んでいるんですか。実際、同じことを今繰り返しているだけじゃないんですか。学んだ点を教えてください。
○素川政府参考人 過去の事例に学ぶということは必要だと申し上げたのは、このケースが平成三年のケースと同一であるということを申し上げたわけではございません。
 先ほどから御説明しておりますように、外国の権利者に権利を与えるという意味におきましてはその部分は共通する部分がありますけれども、レコード貸与権につきましては、支分権としての貸与権というものを完全に法律上付与した後、それがどのような権利の行使をするかということにつきましては、これは全くその権利者の意思にゆだねられているわけでございます。
 そういう状況と、今回のいわゆる還流防止措置につきまして外国の権利者が権利行使をすることができるかどうかということは、これは法律に定められた要件、多くの要件をすべてクリアしなければ行使できないという意味におきまして、権利者の一存で権利を行使できるという支分権を完全に与えたというような形態とは状況を異にしているということを申し上げたところでございます。
○城井委員 ここで私が学んでいただきたいと思っていることは、今お答えいただいたところではありません。一言で申しましたら、附帯決議やあるいは大臣の答弁というものが、この権利行使をとめるということに関して担保にはならないという点をまた繰り返してしまうのかという点から学ぶべきだということを申し上げているわけです。
 確認します。附帯決議と大臣答弁はこの権利行使に関してとめるということについて担保にはならないということでよろしいですね。
○素川政府参考人 附帯決議や法案審議における答弁というものは、先生から先ほど御質問ありましたような法的拘束力を持つかという意味においては、それ自体が法的拘束力を持たないということは自明のことであると存じます。
 ただ、附帯決議、法案における審議ということにつきましては、これは政府として、その法律の解釈、運用に当たってそれを踏まえて行うという意味におきまして、非常に大きな意味を持っているものと存じております。
○城井委員 お答えいただいていないと思うので、もう一回だけ聞きます。
 附帯決議そして大臣答弁というものは、先ほどから申し上げております、海外の著作権者及び著作隣接権者による権利の行使をそれをもってとめることはできないという理解でよろしいですか。イエスかノーかでお願いします。
○素川政府参考人 それ自体が法的拘束力を、法律と同様の法的拘束力を持っていないという意味においては、答えはノーということでございますが、それ以外のことにつきましては、先ほどお答えしたとおりでございます。
○城井委員 ということは、海外の著作権者の方々そして著作隣接権者の方々は、附帯決議と大臣答弁に法的にとらわれないで権利を行使することができるということでよろしいですか。
○素川政府参考人 法律の解釈、運用に当たりましては、関係各政府当局の担当にその執行する責任があるといいますか、その役割を持たされているところでございます。その法律の解釈、運用に当たりましては、この附帯決議を踏まえて行うこと、そして法案審議の答弁というものを踏まえて行うということは当然のことでございますので、そういう意味におきましては、法律の具体的な運用におきまして非常に大きな意義を持つものであると考えております。
○城井委員 時間が参りましたので質問を終えたいと思いますが、最後に一言申し上げます。
 今の点、やはり答えていただいていないと思っています。そして、私のこの質疑の中での答弁で明らかになったことは、非常に大きなことがたくさんあると思っています。これまで権利行使は心配ないということで説明がされていたにもかかわらず、その理由となっていた部分、例えばその判断をする基準、著しいかどうかという判断をする基準が全くもって明らかになっていない、資料すら本日出されていない、事前に通告していたにもかかわらずです。そして、それに加えて、これまで大丈夫だという理由にしてきた附帯決議も、そして大臣答弁も何ら役に立たないということも明らかになったということで、非常に大きな点だと思います。
 このほかの点にも問題はたくさんあると思います。残りは仲間の皆さんから質問していただくということにさせていただいて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○池坊委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三分開議
○池坊委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。肥田美代子君。
○肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。著作権法改正案に関連して質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、改正案提出の理由についてお尋ねします。
 日本はこれまで、自由貿易の立場から、輸入権の設定は行わずに今日に至ってまいりました。二〇〇〇年に著作権が改正され、譲渡権が新設されたときも、国際消尽というシステムを採用いたしました。これは、これまでの日本の立場をよく示しているのではないかと思います。
 今回の還流防止策は、限定されたものとはいえ、国際取引の枠組みを変更することになります。ですから、外国製レコードの還流防止の導入にはそれ相当の理由があったと思いますが、現時点で法改正を急がなければならない理由はどこにあったんでしょうか。
○河村国務大臣 肥田先生言われるように、本来、貿易自由ですから、まさに一切法律なしで自由にやりとりするというのが本来だろうと私も思っております。
 今回の場合は、日本の音楽といいますか、特に日本人歌手のレコード、大変人気があって、そしてアジアの諸国でも、ぜひそれを聞きたい、欲しいという声がだんだん高まってきましたから、これによって、その権利者のライセンスを受けて向こうで発売をするということが起きて、数字的にも、二〇〇二年だけでも四百六十五万枚もある。
 ところが、売れ残ったといいますか、逆にそれが今度は日本へ入ってきて、日本で安く買えるようになってしまった。こういうことになりますと、先ほど来議論があります、どのぐらい安くなったらどうなんだという問題はありますが、例えば半分とかそれ以下になるなんということになると、こっちにおられる日本の歌手にしてもそうでありますし、また作曲家もそうでありましょう、日本で売れていたら当然得るべき権利が半額以下になってしまうようなケースが起きるということが現実にあったものでありますから、これはいろいろな角度から考えてやはりとめざるを得ない。
 既に諸外国はそういうことをきちっとやっておられるということも踏まえて、今回還流を阻止しようということで、いわゆる輸入権ということではなくて、あくまでもこれは還流を防止するんだという視点に立って作詞家、作曲家、歌手、レコード製作者の権利を守っていこう、そして同時に日本の音楽文化の海外普及も促進していこう、こういうねらいが、今回この法改正を行わなければならなくなった、また法改正のねらいであるわけであります。
○肥田委員 日本レコード協会の調べでは、日本の音楽家のレコードは日本国内で年間一億七千万枚が売られ、還流CDは六十八万枚、他方、並行輸入で日本国内に入ってくる洋楽のレコード、CDは六千万枚と言われております。
 この法案は、アジア各国でつくられた日本の音楽家のレコードが安価で日本の音楽市場に還流してくるのを防ぐためのものとされておりますが、外国製レコードの還流を放置した場合、日本の音楽産業に与える影響はどのようなものと認識しておられますか。今、少しお答えいただきましたが、もう一度お願いいたします。
○稲葉副大臣 大臣からもお話しいただきますが、今、アジアの国と我が国の物価の格差、これを原因としまして我が国に還流されるレコードは、今先生御指摘のようにおよそ六十八万枚、こう推定されているわけであります。このレコードが、通常の、正規の価格によって国内に頒布されるのであれば憂えることはないのでありますが、その価格が不当に安価に設定されている、そういうことから本来国内で売れるべきレコードの枚数が極端に減少している、こういう現状がございます。この減少によって、レコードの製作者あるいは作詞者、作曲家、また現に歌い手さん、あるいは演奏家といった方々の経済的な利益が大変害されている現象があります。
 このような還流の悪影響によりまして、今急激に要望が上がってきております、アジアの諸国においての日本の演奏家の要望が強いにもかかわらず、我が国の音楽関係者、音楽家の方々が海外で活動する気持ちをちゅうちょさせている、こういう影響が大なものですから、今回、還流防止措置をとらせていただこう、こういうことになるわけであります。
○肥田委員 ただいまの答弁に関連いたしますけれども、日本に還流してきたレコードが安価に販売されると権利者の経済的利益に大きな影響を与えることは一定の理解ができます。ただ、還流防止措置をとらなかった場合、消費者はどんな影響を受けますか。
○素川政府参考人 我が国のレコードが海外、東南アジアの国におきましてライセンス生産されたということについて、特に我が国に法律上の還流防止措置がなかった場合には、それは、そのレコードがそのまま国内に入ってきて、それが国内で頒布される。それは日本の国内盤よりも、一般的には、アジアの諸国でライセンス生産されたものでございますから価格は低いわけでございますから、そういうものを消費者が購入するという状況が生まれてこようと思います。
○肥田委員 国民の間には、規制が、還流に限らず、世界各国から輸入される音楽家のレコードも対象にされるという疑問を払拭できないでおられます。音楽文化の衰退を招くという懸念の声もございます。
 そもそも著作権法を改正しなければ外国製レコードの還流防止はできないものかどうか、改めてお伺いいたします。
○稲葉副大臣 先生の御質問でありますが、現状におきまして、通常、権利者は、国外において音楽レコードの販売のライセンスを与える場合には、当該ライセンスを受けた人たち、あるいは権利者の地域の中で販売する、こういった条件を付して契約を結ぶのが通例であります。しかしながら、御存じのように、この契約というのは当事者間のみを拘束するものでありまして、そのライセンスを受けた受権者からさらに販売を受けたり、あるいは音楽レコード等を譲り受けた者、転々としていく、渡り歩いていく、そういった先々の者に対しましては、この条件が効力が及ばない、こういうような実態になっております。
 したがって、先へ行けば行くほど、これらの人たちは日本に向けて販売することが、その可能性が強くなってくるわけでありまして、ここでは、その当事者、契約者のみならず第三者がこういった音楽レコード等を販売することを禁止するために、還流を防止するためには、やはり今回の法改正をもって、そこで第三者に対する規制をかけさせていただかなければならなくなってくるわけであります。
○肥田委員 それでは、国際的な動向について伺いたいと思います。
 文化庁の説明によりますと、同様の制度を導入している国の数は六十五カ国、そのうち先進国が二十五カ国、そのようにおっしゃっていらっしゃいます。ただ、以前は、たしか先進国で十カ国以下という説明を私は文化庁から聞いております。
 これについて、急に先進諸国が法改正を行ったのかと思ってちょっと調べてみました。そうしますと、文化庁が最近になって使い出した二十五の先進国という数字は、EU加盟国がカウントされているようでございます。
 EUの場合は、今回の法案のような各国それぞれへの還流が対象ではなくて、EU域内への還流が対象であるはずでございます。伺うところによりますと、これは制度の導入に当たりまして、EU加盟国内で強く反対する国が少なくなく、結果として、各国それぞれへの還流はとめないがEU域内全体への還流はとめる、そういう妥協案が採択されたものだと聞いております。
 つまり、このEUの制度であれば、例えばポルトガルやギリシャなどEU域内の物価の安い国から物価の高い国への流れはとまらない、すなわち、消費者はEU域内であれば安い商品を選べるという制度でございます。
 これを同様の制度と呼ぶのであれば、日本の場合は、例えば東アジア地域への還流の防止、そういう制度になるはずでございます。中国や韓国からの還流はとめないということになるはずでございます。これは、どう考えても、同様の制度を導入している国が多いですよということを強調するための数字の操作であるように思えてならないんです。
 そこで、まずお尋ねしたいと思います。国際的な事実関係を正しく把握するために伺いたいと思います。今回の法案と同様に、EUとか東アジアとかの複数の国にまたがる地域ではなく、国ごとの還流防止を法定している先進国は実際には幾つあるでしょうか。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 EUにつきましては、先ほど国の数がふえたということもあるわけでございます。
 まず、北アメリカでは、アメリカとカナダというのがございます。それから、二十五カ国というふうに申し上げていた中では、スロバキア、チェコ、トルコ、ハンガリー、ポーランドという国が具体的な国として挙がってまいりました。
 ポーランドにつきましては、EUへの加盟というのを前提としていたと思いますので、ポーランドについては、従前から域内への輸入というものをコントロールしていたというふうに整理しているところでございます。
○肥田委員 だから、二十五の先進国という数字はそれで正しいのか、それと、今私が質問させていただきました国ごとの還流防止を法定している先進国は何カ国あるかということにはっきりお答えいただきたいと思います。
○素川政府参考人 EUが拡大します前までは六カ国でございました。EUが拡大した後の制度改正というものはどのようになっているかということは、ちょっと今手元にございませんけれども、EUが十五カ国であった数カ月前までにつきましては、今手元のデータでは六カ国ということでございます。
○肥田委員 では、今のお答えは六カ国ということでいいですね。私はきのう質問を通達いたしておりますので。六カ国でいいですね。
 他国の事例は確かに参考にはなりますけれども、日本の法制は日本の国会がつくるわけでございますから、数字の多寡に影響されることはないと思うんですよ。ですから、数字の粉飾と誤解されるような、文化庁にとっても不本意なことはやはりなさらないで、国会に正しいデータを提供してくださるように、ぜひお願い申し上げたいと思います。
 ところで、著作権につきまとう悩ましさ、専門家の人たちがよく言われますように、できるだけ権利を弱くしたい、自由に使いたいという利用者側と、できるだけ権利を強くしたいという権利者側の間に常に対立関係が存在します。このため文化庁は、審議会の議論、検討や法案作成に先立ち、関係者間の協議を重視してこられました。昨年の、拡大教科書、そして児童生徒によるコピー、遠隔授業での教材の送信、インターネット試験における問題送信、映画の保護期間の延長という五項目の法改正に当たりましても、文化庁があらかじめ法改正の内容を決めたのではなく、関係者間の協議を先行させ、その協議を受けて法案が作成されたことを私は承知いたしております。
 そうした協議の促進によって、対立する権利者、利用者間の感情的なこだわり、わだかまりが軽減されます。また、誤解が解消されます。双方の事情や立場に対する理解がお互いに深まって、法改正しなくても契約での対応をしようという合意形成がされるなど、建設的な話し合いが大きくこれまでも進展してまいりました。法改正につきましても、こうした協議の促進によって大きな効果が上がり、幾つもの法改正が混乱なく進められてきたと私は理解をいたしております。
 民主的な手続に、確かに時間はかかりますけれども、しかし、それが民主主義社会の理想的な姿だと思います。文化庁は、著作権法改正に当たって、今後とも、審議会での検討や法案作成の前に、すべての関係団体間の協議の促進と合意形成に努めるという基本方針は変えない、大臣、この理解でいいですね。
○河村国務大臣 まさに大事な視点でございます。特に著作権となりますと、これは、公的権利ではなくて私権でございます、個人についている権利。したがって、著作権の保護を強化しようとすれば、逆に、著作物を利用する方々から見れば、これは権利を制限しようとしたってだめだという反対意見が出る。どちらからも反対意見があり得る、そういう権利であります。そういう特徴をこの著作権は持っておるわけでございます。
 そのために、文化庁では、ただいま御指摘いただきましたように、著作権制度の改正を検討するに当たりましては、まさに関係する権利を業として取り扱う関係者、そのうち制度改正に賛成する者と反対する者、これは十分協議を行っていただいた上で、原則としてそれが調ったものから文化審議会において具体的な検討をいただく、こういう手順をとってきたところでございます。
○肥田委員 繰り返しになりますけれども、審議会での検討や法案作成の前にすべての関係団体間の協議の促進と合意形成に努める、そういうことでよろしいですね、大臣。確認させていただきます。
○河村国務大臣 そういうことでございます。
○肥田委員 私は、今回のレコードの還流防止措置に対する法改正の必要性について理解はいたしております。ただ、法案作成のプロセスには少々疑問を持っております。
 消費者団体の意見は、審議会の場やヒアリングでお聞きになったそうでございます。これは聞いております。これは当然なことであります。しかし、文化審議会著作権分科会は、法改正を要望する団体と法改正に反対する団体との合意形成がなされた事項のみ検討事項として取り上げることにしておりますから、今回、協議先としての消費団体が含まれなかったことに私は大変不思議な思いを持っております。
 消費者団体の間には、合意内容もさることながら、協議プロセス、合意形成過程に強い不満があるようでございましたが、こうした不満をどう解決されるおつもりでいらっしゃいますか。
○稲葉副大臣 肥田先生御指摘の点は、ごもっともなことも多く含んでおると私も承知いたします。
 ただ、この法案を作成するに当たりまして、さまざまな関係団体との協議の上でこの法案が作成されたもの、この経緯については先生が今お話しくださったとおりだと思っております。
 ですから、日本音楽著作権協会あるいは芸能実演家団体協議会、日本レコード協会、いわば著作権を持っている方々、権利者と、その対抗関係にあると申し上げてもよろしいでしょう、日本経済団体連合会との協議が行われた上でこの法案の骨子、下地をこしらえてきたところでありまして、その段階において、文化審議会あるいは著作権分科会が開催され、その経過の中で、消費者団体、消費者の方々のお声というものから、形も反映させていただいたものと私たちは受けとめております。
 あるいは、先生からおっしゃられればまだ不十分な点が多々あるんだ、こういう御指摘でありましょうが、私どもとしましては、精いっぱい、できる限り、消費者のニーズ、お声をこの法案に反映してきたもの、こう確信しております。
○肥田委員 もちろん、一億人以上のすべての国民を対象として協議を行いましたり合意形成を法案作成の前提とすることは、確かに不可能でございます。また、不適切だとも思っております。
 昨年そして一昨年の文化庁の説明では、そうした協議の主体となる団体は限定しない、またすべての関係団体の間で合意形成が達成されなければ法案改正はしない、こういうことを基本方針としてもうずっと伺っております。この方針が変更されたとは私は決して思いません。
 本来は、消費者団体も含めたすべての関係団体間の合意形成を時間をかけてじっくりと行うべきだったと思います。一部では、文化庁が言う関係者には消費者団体は含まれないとか、協議を行う団体は当初に協議を開始した団体に限るなどとも言われているようでございますけれども、これは昨年、一昨年に文化庁から伺った説明とは明らかに異なっております。
 例えば、いわゆる版面権、これについて平成二年には既に審議会で方向性が出されているわけでございますが、その後になって、経団連など他の関係団体が反対を表明したということで、さらに関係団体間の協議が続いております。
 先ほど大臣に御答弁いただきました、著作権の問題についてはこうした従来からの考え方を維持、踏襲、基本的には審議会での審議や法案作成の前にすべての関係団体による協議や合意形成に最大努力をしていくということでございますから、私としては、今回のやり方はあくまでも例外的であり、緊急避難的なものであると思っております。
 そこで、大臣にお尋ねしたいと思いますが、今後は、これまでの基本方針どおり、消費者団体も含め、広く多くの関係団体による協議と合意形成の達成を法案作成の前提となさるということで理解させていただきます。大臣、それには異存ございませんね。
○河村国務大臣 これまでもそういう方針でやってきたつもりでございますし、審議会においては、消費者利益の観点も必要でございます、消費者団体選出委員に御協力いただく。そういう点で、消費者利益の観点からも十分御審議をいただきながら、この著作権に関する限りは著作権分科会あるいは法制問題小委員会報告書、こういうところで審議をいただいてまいりまして、御指摘の点を踏まえて、これからもきちっと、それぞれの団体、賛成の団体、反対の団体、両方から意見を聞いてまとまったものを法案にして出していく、こういう方針に変わりはございません。
○肥田委員 大臣、もう一度確かめさせていただきます。
 確かに、審議会で話を聞くのは当たり前なんですよ。ところが、その法案作成の前に、審議会での審議とか法案作成の前にすべての関係団体による協議を行うというのがこれまでの文化庁のよき習慣でございました。それが今回は守られていなかったということを私は申し上げているんです。
 ですから、もう一度原点に戻って、そういうことで、消費者団体も加える、多くの関係団体による協議を合意形成前にやるということをもう一度お答えいただきたいと思います。お役人はいろいろおっしゃると思いますけれども、これは大臣、とても大事なことなんです。お願いします。
○河村国務大臣 先ほど来御答弁申し上げましたように、御意見を伺い、また、利益相反、両者の調整といいますか、意見がまとまった点について法案化していくという方向でこれからもやってまいりたいと思います。
○肥田委員 では、法案作成前にあらゆる関係団体と話し合ってくださるということでよろしゅうございますね。――はい。ありがとうございます。
 政府は、この間、音楽レコードの還流防止措置の対象に洋盤が含まれる旨の答弁を行っております。これは洋盤の輸入規制を行うということでございますが、音楽評論家や音楽ファンの間には、洋盤輸入規制で音楽文化は衰退し、音楽ファンに不利益をもたらすという厳しい指摘がありますし、当委員会でもいろいろ厳しい質問が出ておりますけれども、この法案の中でこうした音楽ファンの利益はどう担保されていくんでしょうか。
○稲葉副大臣 今さら先生に、洋盤レコードもこの中から外していくんだということが原則論からしまして難しいということは御説明申し上げるまでもないかと思います。それを踏まえて先生の御質問だと思いますので、お答えさせていただきます。
 この法案につきましては、条件をかなり厳しく設定させていただいたと思っております。その中の項目として、午前中、議論を大分熱心に行っていただきましたが、不当に権利侵害がなされないようにという項目があるわけで、この項目から、そこから敷衍しますと、我が国の物価水準、言葉が出ましたが、それと外国の物価水準との、そのレベルがさほどに違いのない国、特に洋盤レコードを出しておられるアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、こういった主要国からしますと、国内に入ってくる洋盤レコードの約九五%がこの国の作品だ、こういうことでありまして、こういうことからしますと、その物価水準にさほどの違いがない、この実態からしますと、この制限に五つの項目を設けておりますが、その項目から、この洋盤レコードが輸入規制にかかってしまうんじゃないか、こういう心配はほとんどない、九五%でありますから。こういうことを私たちは実態として把握しております。
 また、現実に実務の面におきましても、恐らく、水際で税関で調べて、その実物についてはそこでストップをかける、こういうことになるのでありましょうから、我が文科省としましても、税関当局あるいは関係の部局とよく御相談を申し上げ、あるいは御説明を申し上げ、運用についても十分最大の注意を払いながら、今まで洋盤レコードが自由に日本に輸入された、これと同じような結果をもたらしていきたい、こう考えております。
○肥田委員 今御答弁いただきましたけれども、ここのところがこの法律で消費者が一番心配しているところでございます。
 あと二日間、まだこの審議の時間がございますので、我が同僚議員からいろいろとこの点につきましては厳しく詰めさせていただくことになろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 改正案第百十三条第五項で、著作権または著作隣接権を侵害する行為として、利益が不当に害される場合に限ると記述しておりますが、具体的にはどのような場合に利益を害されることになるのか、その指針、基準をお伺いしておきたいと思います。
○素川政府参考人 権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることと申しますのは、権利者に与える経済的影響を考慮して判断するということになるわけでございますけれども、具体的には、専ら国外において頒布することを目的とするレコードが国外で販売されることにより得られる利益というものと、国内において頒布することを目的とするレコードが国内で販売されることにより得られる利益、この差を基準にして判断されるものと考えております。
 いわゆる還流問題につきましては、物価の安い国からの還流レコードが国内で販売されることにより、国内販売されているレコードの売り上げが減少し、権利者に利益が還元されなくなってしまうという問題であります。したがって、基本的に、その利益の差が著しい場合に限り、この利益が不当に害されることとなるというふうに整理させていただいておるところでございます。
○肥田委員 先ほどの私の質問にも関連いたしますけれども、改正案に対する参議院の附帯決議、これは、洋楽の商業用レコードについて、還流防止措置が行使されることなどにより、著しく消費者の利益が侵害される事態が発生したときは、本法の見直しを含め、再検討することとなっております。
 本法案には還流防止措置の見直しについて明記されていませんが、参議院決議の尊重という意味からも、法改正が広範に影響を与えることが想定されますことから、将来見直しを行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。見直しを行うとすれば、いつごろが想定されますか。
○河村国務大臣 本件、この法案が成立をいたしまして施行される、その後において洋盤の音楽レコードの還流実態、これは大きな変化がある、こういうような場合で、消費者の利益が非常に損なわれるという現実があれば、これは、この状況は調査したり検証したり、またその結果を見て必要な措置を講じる、これは参議院の附帯決議、合意されたことでもございます。また、政府もそれにきちっと対応していかなきゃいかぬ、こう思っております。
○肥田委員 ただいまの答弁の中で、見直しという点は、本来は法案の附則などの中に明記されるべきものと考えますが、提出されている法案の中には明記されていないため、この場で再確認しておきたいと思います。
 政府として、この制度はとりあえず暫定的に行うものであって、数年後に見直すということで、繰り返しになりますが、大臣、これでよろしいですね。
○河村国務大臣 今、数年後だとおっしゃいましたけれども、この現状、法案成立後に、それは変則の事態がそのときにすぐ起これば、検討に入らなきゃいけないでしょう。
 しかし、これまでの参考人の方々の意見、あるいはアメリカの状況、そういうものをずっと考えてきたときに、この法案によって皆さんの御懸念は払拭される、こう思って法案をお出ししておるわけでありまして、ではこれからいつ見直すかとか、そういうことは想定をしていないわけであります。
○肥田委員 では、いつ見直すかということはお答えくださらなくても結構でございますが、これが暫定措置であって、しっかりと見直して、見直しを実施していきたい、そのことについては、大臣、これでいいですね。
○河村国務大臣 これはもう参議院の附帯決議にもきちっとうたっていただいておりますし、私も答弁でそういうことを申し上げてきておるわけでありますから、おっしゃるとおり、問題が現実に起きたということであれば対応していくということは明言しているところでございます。
○肥田委員 恐縮です、言葉にこだわるようでございますけれども、暫定の措置という理解でよろしゅうございますね。
○河村国務大臣 暫定といいますと、そういうことがいずれ起きるが、とりあえずこれでいこうというふうにとられる可能性がある。暫定というよりも、この還流をとめる、その手だて、これがまず最優先するんだということでいったわけであります。その後の不測の事態については、きちっと対応しましょう、また対応すべきである、こういう御意見でありますから、それに対してはきちっと対応してまいります、こういうことでございます。
○肥田委員 私が先ほど、いつごろに見直しをなさいますかと伺ったときに、その期間は申し上げられませんと大臣がおっしゃったものですから、それならば暫定という言葉で私が理解させていただくほかないからお尋ねしているんですが、それでいいですか。
○河村国務大臣 肥田先生の暫定というのが、将来、輸入の実態が大きな変化が起きて消費者の利益が損なわれるということが万が一あれば、それを暫定とおっしゃるんなら、そういう意味ならば、そういうときには我々はきちっと見直しをしなきゃならぬ、また参議院においてもきちっと見直すという附帯決議をいただいておりますから、それに対してはきちっと見直し、対応措置はとります、こういうことでございます。
 この暫定という、肥田先生のおっしゃる暫定という意味が私にとって、とりあえずこれでスタートを、もちろん還流という大きな目的がございますから、そういうとられ方をするかもしれませんが、これは一つの法律として完結したものとしてお出しをしているわけでありまして、しかし、将来の、皆さんいろいろ御指摘をいただいた点、これはいろいろな法案にも附帯決議がつくものでございます。それはきちっと政府として対応していかなきゃいかぬ、こういう考え方でございます。
○肥田委員 では、暫定とはあれですけれども、要するに、見直しすることはやぶさかでないというふうに伺っていいですね。――はい、わかりました。
 次に、書籍、雑誌の貸与権についてお尋ねします。
 私は、活字文化を担うものとして、書籍、雑誌に貸与権を認めることについては肯定的な受けとめ方をしております。しかし、昭和五十九年に貸しレコードには貸与権が設定された、そのときに書籍、雑誌については、貸し本屋の歴史が長いことや大きな経済的利益を上げていないことから、経過措置がとられてきた経過がございます。その趣旨は伝統的な貸し本屋の営業を維持するということに尽きると思いますが、今回の法案で貸与が禁止されることになりますと、伝統的な貸し本業は大きな影響を受けることになると思います。
 貸し本屋は出版文化の底辺を支えてまいりました。本を買うほどの経済的ゆとりのないあのころの国民にとって、活字文化と出会う場所として日常生活の中へ溶け込んできた、伝統文化だとさえ私は思っております。小規模な経営ですから、その消長は出版事情や読者の生活の変化に大きく左右されますけれども、読者の底辺を広げたことは確かでございます。
 しかし、貸与権が確立されますと、小規模自営業者は大きな打撃を受けることになります。ですから、大手のレンタル屋と自営の貸し本業とは区別して考えるべきだと思っております。法案提案者の文化庁は、零細な伝統的な貸し本屋の役割をどう位置づけておられるか、また貸与権は零細貸し本にも対象とされますのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○河村国務大臣 御指摘の点でございますが、貸し本屋は書籍等の貸与を営利、有料で行うということでありまして、これは江戸時代から長い歴史を持っている、御指摘のとおりでございます。昭和三十年代以降になりまして、主に貸し本漫画によって漫画文化の普及に一定の役割を果たしてきた、このことが評価されております。
 このように、昔ながらの貸し本業者も、現在でも全国に百余りある、こういうふうに調査がされておりますが、この古い、昔からやっておられる、しかし零細的な企業、そういうことと今の大規模で始まったというこの公平性の観点、こういうことを考えますと、法制上からいうと、営業規模の小さい、御指摘のような伝統的な貸し本屋、しかし規模が小さい、最近人気の出てきたコミックなんかを扱った、大量に品ぞろえをして貸与を行う新しい大型の貸し本業者といいますか、その取り扱いを法制的に区別するのはなかなかできない。貸与権というのは、営業規模の小さい、旧来の貸し本屋にも及ぶという点がございます。
 しかし、権利者であります漫画家の方あるいは作家を含めて、約四千八百名の方々が貸与権連絡協議会というのをお持ちでございます。そこで、平成十二年一月一日以前に貸し本屋として営業を開始し、転廃業などせずに営業を継続している店舗、それから二点目として、店舗の貸し出し対象書籍が一万冊以下である小さい店舗であることを満たす貸し本業者については、著作者に与える経済的影響が少ないことから、新たに購入する書籍等について無償で許諾をするなど、これまでどおり貸し本業を営むことができるようなものをきちっと表明されております。そういうことで、小規模の貸し本屋さんがそれによって営業廃止に持ち込まれることのないような観点、これは協議がきちっとされておるということを受けて、今回、本案を提出させていただいた、こういうことであります。
○肥田委員 貸与権の問題は日本の活字文化のありようとも深くかかわっていると思いますが、今大臣がおっしゃいましたように、関係団体の合意は極めて重要な意味を持ってくると思います。
 例えば、貸与権連絡協議会、それから全国貸本連合会、あるいはコミックレンタル有志の会は、それぞれ利害を持つわけでございますが、関係者の協議が調わなければ法案提出の正当性が疑われることになりますけれども、どのような合意が行われておりますか。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 書籍、雑誌の貸与権につきましては、権利者である漫画家、作家等により構成されます貸与権連絡協議会と関係の資し本業者の団体との間で協議が行われたわけでございます。
 具体的には、旧来の貸し本業者であります全国貸本組合連合会及び東京都図書商業組合から、貸与権連絡協議会が行っている著作権法の附則第四条の二、書籍等の貸与についての経過措置の廃止を求める運動の趣旨を理解し、これに反対する運動は行わない旨の同意が行われたものと承知しているところでございます。
 なお、別途、大手のレンタル業者との協議を行い、書籍、雑誌等の暫定措置の廃止についての法改正を行うことについて理解を得ているものと聞いているところでございます。
○肥田委員 レンタルに限らず、本にかかわる著作権の課題としましては、図書館から貸し出す公共貸出権の導入、それから中古書籍の流通、漫画喫茶の展示権などが問題になってまいりますが、これらの課題には一般の図書館利用者や一般の消費者が深くかかわってまいります。それぞれどのような検討状況になっているか、お尋ねしたいと思います。
○素川政府参考人 今三点につきまして、検討状況について御質問があったと存じております。
 まず、図書館からの貸し出しにつきまして、著作者が補償金を受けることができる権利、いわゆる公共貸与権、これを書籍等に拡大するという点につきましては、平成十四年度の文化審議会の著作権分科会におきまして検討が行われ、何らかの補償金制度ということを導入することについては反対の意見がなく、理解が示されたというところでございます。
 ただし、このことにつきましては、権利者、図書館側双方に具体的な補償金制度のあり方について検討したいという意向があるということでございまして、分科会におきましてもその検討を見守るということといたしまして、その結論が得られた段階で改めて必要な具体的な検討を行うことが必要であるというふうにされているところでございます。
 次に、中古書籍の流通につきましては、著作権に係る国際条約でございますとか、諸外国の著作権法におきましては、一般的に、一度合法的に販売されたものについては譲渡権は消滅するという考え方がとられているところでございます。そういうことで、中古品の著作物の流通につきましては、諸外国におきましても著作権法によって規制した例はなく、著作権自体の問題として整理することは難しいというのが国際的に広く共有された考え方でありますが、権利の付与を求める権利者団体とそれに反対しておられます利用者の団体におきまして、現在協議が行われつつあるところと聞いているところでございます。
 さらに、第三点目の、漫画喫茶で漫画を自由に閲覧させるということにつきましては、これは漫画の販売に大きな影響を与えるということで、その展示権というものの拡大を求める御要望があるということにつきましては承知いたしております。
 しかしながら、この展示権の拡大につきましては、例えば漫画喫茶以外に置かれている雑誌等、その対象とすべき範囲でございますとか、その著作物を使用する行為について権利を及ぼすことによります影響など、検討すべき課題は非常に多うございます。
 そのようなことから、この問題については、関係者の間におきまして、利益の一部を還元する方法などにつきまして協議が進められていると承知しているところでございます。
○肥田委員 私も童話作家の端くれでございますから、自分の書いた童話が信じられないような価格で貸し出されると少し寂しいなという気が実際するわけでございますけれども。
 コミック単行本の新刊書を数万冊単位で購入して、わずか十円とか五十円で数日間貸し出すという大手レンタルブック店が全国で拡大する、その傾向にもございます。
 こうした傾向が広がりますと、出版社はやはり多種多様な書籍、雑誌の発行が困難になりますし、文学的、学術的に価値の高い本や専門書の発行が難しくなることも考えられます。それが結果的には出版文化の衰退を招くということのおそれはございます。もちろん、本法案は貸し本屋を廃業させるのが目的ではございませんから、作家や書店、出版社と貸し本業者との共存共栄を図ることが最も肝心なことだと思っております。ですから、適正な許諾料、新刊本の扱いなど、適正なルールをきちんと定めることが必要だと思いますが、立法者の文化庁としては、この点、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
○河村国務大臣 まさに日本の出版文化を支えておる作家の皆さん方、もちろんそれを読む読者、そういうものがうまくかみ合わなきゃならぬわけでございますが、まさにそうした適正なルールの必要性について、コミック作家とか文芸作家などの著作者団体と出版社団体で構成いたします貸与権連絡協議会、これは、法改正後も引き続き貸し本業者がコミック、小説等の貸与を行えるように、権利者の了解を容易に得ることができる集中管理体制、これを整備することによって対応する、こういう方向を示されております。
 具体的には、著作者団体などは、貸与権を集中管理する団体として、これは仮称でございますが、出版物貸与権管理センター、これを設立して、その団体へ、コミック作家、文芸作家など約四千八百名おられる方々が権利行使の委託をする予定だと聞いております。
 現在、管理業務の方法等については、貸し本業者の代表でございます日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合とも協議をしながら内容の詳細について検討しておるところだ、こういう状況にあるわけでございます。
 御指摘いただきましたように、許諾等の適正なルールづくり、これは非常に私も重要な点であると思っております。関係いたします文化庁、文部科学省といたしましても、関係者間の協議が円滑に進みますように、必要に応じて積極的に指導助言、これは当然していかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
○肥田委員 ところで、アメリカには貸与権という権利が存在いたしません。レコードとコンピュータープログラムについては、頒布権の消尽の例外扱いとして規定されております。日本政府は、アメリカの著作権に貸与権の規定がないため、外交ルートを通じて送信可能化権の明記や実演家の著作隣接権、放送事業者の著作隣接権の保護、人格権の保護拡大、貸与権の明記など改善要求を提出されておりますけれども、アメリカ側の反応はいかがなものでしょうか。
○河村国務大臣 著作権の関連条約では貸与権の付与が規定をされておりますが、その貸与権の対象が、コンピュータープログラム、映画、レコード、これに収録された著作物に限定をされておるわけでございまして、したがいまして、書籍の貸与権の付与は条約上義務づけられていないということでございます。
 日本といたしましても、特段米国に対して書籍の貸与権の付与を要求していない、このように承知をいたしております。
○肥田委員 著作権は、国際的に保護されなければその価値が失われると思いますけれども、国際的に見て、各国の保護水準について、途上国のおくれが話題になっておりますが、実はアメリカのおくれが大きな問題となっているわけでございます。したがって、アメリカに対して引き続き改善要求を積極的に行う必要があると考えますが、いかがですか。
○河村国務大臣 アメリカでなぜこういうことがきちっとしていないんだろうと思うのでありますが、どうも書籍のレンタルがまだビジネスとして成立していないという現状があるようでございます。このために、書籍の貸与権の付与については、著作権関連条約上まだ義務づけられていないという点で、今のところ、アメリカにこの要求をすぐしなきゃいけないと思っていないのであります。
 こういうことは現実にまだ起きていない、しかし今後アメリカにおいてもこれがビジネスとして行われる可能性もある、そうなりますと、日本のコミック等の書籍の販売に影響を及ぼすというこれまた実態がそういうふうに出てくれば、書籍の貸与権の付与については要請しなきゃいかぬ、これは検討しなきゃいかぬ、こういう問題になっていくであろうと思っておりますが、現時点では、そういう事態が発生していないという点で、要求していない、こういう状況下にあるわけでございます。
○肥田委員 文化庁は常々、一億総クリエーターとか一億総ユーザーというふうにおっしゃっていらっしゃいます。そういう時代が来たというわけですね。このことは、著作権教育や契約システム構築など、従来のような一部業界、一部プロだけではなく、すべての人々が著作権にかかわることになったという意味であると理解しておりますが、この観点からすれば、強力な法務部や顧問弁護士を持つ企業だけではなくて、全くの素人の市民が著作権侵害の犠牲になり得るわけでございますから、すべての人々が司法制度の救済を受けられるようにしなければならないと思っております。
 こうした新しい状況に対する、文化庁は、どのような方策をお考えでいらっしゃいますか。
○河村国務大臣 すべての人々が著作権にかかわれるように司法制度の救済を考えていく。私は、大事なことでございまして、裁判手続はだれも分け隔てなく利用できるものになっておるわけでございますが、著作権制度においては、著作権法によって独自のあっせん制度が設けられておりまして、文化庁長官が、当事者の申請によってあっせん委員によるあっせんに付すことによって、紛争の実情に即した簡易迅速な解決を図ることができる、こうなっておるわけでございます。いわゆるADR、裁判外の紛争解決手段でございますが、厳格な裁判手続と異なりまして、簡易迅速かつ安く、廉価で実情に合った解決を図ることができますので、この問題につきましては、司法制度改革推進本部におきましても、もっとこれが活性化して、もっと周知して、この措置を国民にもっと使いやすくするためにということで検討されております。
 文部科学省といたしましても、政府全体のこの動きに積極的に参加をさせていただきまして、司法制度改革本部での検討状況を踏まえながら、今御指摘の点についての対応を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○肥田委員 ちょっと質問が変わるわけでございますが、三月十七日の委員会で、視覚障害児、弱視の子供たちに拡大教科書をぜひ手渡してくださいとお願いをいたしましたが、そのときに、納期について柔軟に対応するということと、申請漏れがなかったかどうかを調査しますとおっしゃっていただきましたが、そのことについての調査はしてくださったかどうか、伺いたいと思います。
○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 拡大教科書の納期につきましては、学校での授業に支障が生じないよう、少なくとも年度当初の授業から使用される分の分冊につきましては四月の授業開始時までに納入することとしておりますが、その後に使用される予定の分冊につきましては、四月以降の納入にも柔軟に対応できるようにしており、学校での授業に支障が生じない範囲での弾力的な取り扱いとすることとしたところでございます。
 また、先生から三月十七日に本院で御質問をいただきました。その御指摘も踏まえまして、各都道府県教育委員会に再度の需要冊数の調査を行いまして、新たな追加分、二百四十一冊ということでございますが、これもまた無償給与の対象とするとともに、平成十七年度用の拡大教科書につきましても、文部科学省への申請期限後に生じた追加分は無償給与の対象とする、こういうふうにしておるわけでございまして、こういった拡大教科書の納期でありますとか申請期限の弾力的な取り扱いにつきましては、この四月に各都道府県教育委員会の担当者を対象とした会議を開催し周知徹底を図ったところでございまして、今後とも、この拡大教科書の無償措置が円滑に実施されるように努力してまいりたいと考えております。
○肥田委員 盲学校に通う児童生徒の状態は文科省は把握されていると思いますけれども、普通学校に在籍する視覚障害の子供たちの数を把握していないというふうに、きのうお尋ねしたらおっしゃったんですね。ぜひこれは調査していただきたいと思います。
 と申しますのは、今からはお願いがございますが、普通学校に通う視覚障害の度の高い子供たち、目が見えない子供たち、その子たちが、実は教科書がないんです。点字教科書がないんです。ですから、時代はインクルーシブ教育が進んでおりますのに、普通学校に通うその視覚障害の子供たち、これは、教科書がないということでは済まされないと思うんですね。
 ですから、全国の小中学校、高校まで調べましても、今のところ四十人ぐらいという数が出ておりますが、恐らくもう少し多くなると思いますが、この子供たちに国による点字教科書の無償給付が受けられないかと、子供たちからの申し入れがございました。保護者が個人的にボランティアに点訳を依頼したり、保護者自身が点訳しておりますけれども、経済面、労力の面で限界に来ております。
 拡大教科書に、先ほど、大変大きな御努力をちょうだいいたしましたので、ぜひ、この子供たちにも点字教科書を無償配付することを考慮していただきたい、その価格は原価補償できるのかどうか、あわせてお尋ねしたいと思います。
○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 平成十六年度から、通常の学級に在籍可能な視覚に障害がある児童生徒に対しましても、検定済み教科書を拡大した、いわゆる拡大教科書を無償給与できる取り扱いにしたところでございまして、御質問のこの点字版の教科書につきましても、拡大教科書と同様に取り扱うことができると考えております。また、無償給与を行う際には、国は各発行者が定める価格で購入しており、各発行者においては、必要な作成原価は確保できる、原価補償が可能である、こう考えておるところでございます。
 普通学級に今在籍するそういった子供たちで、点字教科書を必要とする子供たちの数でございますが、今申し上げましたような無償給与、こういう支給の取り組みの中で把握をしてまいりたいと考えております。
○肥田委員 大変うれしい御答弁でございます。ところが、残念なことに、子供たちがこのことをまだ知らないんですね。ですから、子供たちが手にするためには、どういう手順をとったら、新しい制度が輝くことになるか、もう少し具体的にお願いいたします。
○近藤政府参考人 点字版の教科書を使用しなければならない程度の視覚障害のある児童生徒が通常の学級に在籍をするというのは例外的な場合なんだろうとは思っておりますが、私ども、本院でのこういった御審議も踏まえまして、都道府県の教育委員会にこういった制度の趣旨について御説明を申し上げてまいりたいと思います。
○肥田委員 委員長、最後に大臣にお尋ねしたいと思います。
 こういうまだ教科書をもらっていないという子供たちが、数は少ないですけれどもあったわけですね。ですから、弱視の子供もそうですし、視覚障害の子供たちが普通学校に通っているのはもうこれから当たり前になってくるかもしれませんけれども、その中で、私たちが国会におりながら見落としてきたその子供たちに、これからやはりもうちょっと丁寧な思いをささげていかなければいけないと思います。
 大臣、最後に御決意を伺いたいと思います。
○河村国務大臣 今、肥田先生から、かねてから、そういう弱者にも十分な配慮をしながら、また障害のあるなしにかかわらず、教育の機会均等、また学ぶ権利、そういうものをきちっと認めていくことの必要性を強調されて、その成果を上げていただいておりますが、御指摘をいただきました点も踏まえながら、これからも、やはり特に義務教育段階においては、憲法の精神にのっとりながら、児童生徒すべてに、国が最終的な責任を持って、そして適切な教育を受けられるように、教育環境の整備、きちっと努めてやりたい、このように考えております。
○肥田委員 ありがとうございます。終わります。
○池坊委員長 松本大輔君。
○松本(大)委員 民主党の松本大輔です。
 私は、野党議員ではありますが、野犬ではありませんので、毎週キャンキャンと大臣にかみつく、わけもなくかみつくというつもりはないのでありますけれども、やはり義憤に駆られたときは、これは、代弁者としてお選びいただいた以上、行政をチェックしてまいるというのが国会における野党の役割かなというふうに思いますので、まず、ちょっと午前中の審議について触れさせていただきたいと思うのであります。
 私が非常に気になったのは、心構え発言であります。大臣の答弁も、これは心構えとしか受け取られていない、あるいは附帯決議に法的拘束力はない、海外の権利者が権利行使する上で、附帯決議についても大臣の御答弁についても担保にはならない、権利行使をとめる上での担保にはならないというようなお話がありました。
 では、一体何のために我々はこの委員会で審議をしているのかと、ちょっとむなしくなったわけであります。法律に明文上規定していないことについて、では、このケースで具体的にはどうなるんだと、大臣に対して政治的判断をお求めする場合に、後になって、あれは心構えにすぎません、大臣かわりましたので拘束力もありませんということになってしまうと、これはいかがなものなのかなと。
 意を決して文部科学行政に当たる、これをなすとまで所信でおっしゃられた大臣の気概、私は感動したんですけれども、その気概に対する冒涜ではないか、非常に問題ある発言ではないかな、私はそのように思うわけであります。
 私は元サラリーマンでありますけれども、銀行で働いていたわけです。例えば、支店を代表してお客様のところにお伺いして、例えば支店長を連れていったとします。支店長がお客さんから、この融資、大丈夫でしょうかというお話を聞いて、支店長が大丈夫ですというふうにお答えして、何日かたって私が行って、あの、前に支店長に大丈夫ですと言われた件、どうなりましたかねと聞かれて、私が、いえ、支店長の大丈夫ですというのは心構えにすぎませんからと、もし言ってしまったら、これは確かに契約上は、判こをついていなければ違法性は問われないかもしれませんけれども、組織としての信頼というものは、もう根底から傷つけられてしまうのではないかなというふうに考えます。
 もしも、ある省庁のトップの、国会の場で、しかもあんなふうに記録まで残されているような御答弁に対して、それは心構えであるというようなことが通用するのであれば、これはゆゆしき事態だなと私は思うわけでありますし、文部科学行政そのものの信頼は地に落ちてしまうのではないかというふうに思うんですが、まずは大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○河村国務大臣 言葉にとらわれるつもりはございませんが、しかし言葉が大事であるということも事実であろうと思います。
 今回のこの附帯決議、あるいは私がこれまで答弁してまいったこと、副大臣もしかりであります、これは心構えというのをどういうふうにとるかだろうと思いますが、今回のこの私が答弁してきたこと、指摘を受けていることは、これは政府として、そういう問題が起きたときはきちっとした対応をしなきゃいかぬという、どうしても、心構えといいますか強い心構えで、心得ておきましょうというようなものではないということは明確に私もしておかなきゃいかぬ、こう思います。
 それはやはり、国民の利益の問題、この我々の政治というのは国民にとって利益をどういうふうにもたらすのか、利益相反の問題もありますから、その調整をやらなきゃいけないこともたくさんありますけれども、やはり国民の利益を求めてという観点から対応していくんだということでありますから、今回御答弁申し上げておりますことは、そうした私権に関する法的な縛りは、残念ながら法制上は今回できておりませんけれども、それに対する対応については政府が責任を持ってやらなきゃいけない課題だ、こういうふうに考えて答弁を申し上げているわけであります。
○松本(大)委員 ありがとうございます。責任を持って取り組まなければならないということを非常に重く受けとめさせていただきました。
 さはさりながら、その午前中の質疑の中で、附帯決議にも大臣答弁にも、海外の権利者の権利行使をとめる上での担保にならないというような話がありましたので、だとすれば、今回の法案で言うところの百十三条の五、みなし侵害規定のところなんですけれども、この不当な侵害というものが一体どういうことを指すのかということについて、やはり明確にされる必要があるのではないかなというふうに考える次第であります。
 先ほど肥田委員の御質問の中でも、国外で販売される際に権利者が得る利益と、それから国内で販売される場合の利益と、ここについて著しい差が生じる場合というような御趣旨の発言があったんですが、午前中にたしか、理事会で協議するとおっしゃられていた、明確な表というか数値というものがあるんだというお話でしたので、ぜひそれを具体的に示していただいて、そのスコアテーブルをどう使って不当な侵害が行われたのかどうかを判断するのかという御説明をいただきたいと思います。
○素川政府参考人 今回の還流防止措置に係ります要件の一つであります、利益が侵害される場合ということにつきましては、午前中よりその考え方というものを申し上げさせていただいているところでございます。
 今、先生から、データの一端を示せというお話でございます。
 手元にある資料を少し御紹介させていただきたいと存じますけれども、例えば日本を一〇〇といたしました場合に、ちょっと三つほどの具体的なレコードにつきまして御紹介させていただきますと、これはライセンス料ということでございますけれども、アメリカでは九四・二、イギリスでは一〇五・〇、ドイツでは一二三・五、フランスでは一四四・二というような具体的なレコードがございます。
 また、もう一つのレコードにつきましては、例えば日本を一〇〇といたしますと、アメリカが八八・七、イギリスは一四八・五、ドイツが一〇八・八、フランスが一三〇・八というようなレコードがございます。
 また、もう一つのレコードについて御紹介させていただきますと、アメリカが九七・九、イギリスが一六六・五、ドイツが一二六・二、フランスが一四八・一という、これが一つのライセンス料の比較でございますけれども、この委員会へどのような形で資料をお出しするかにつきましては、御相談させていただきたいと存じております。
○松本(大)委員 数字そのものについては、あるレコードについて幾つという話はわかったのですけれども、では、どれぐらいの差が生じたらということについては、今のは触れられていないんじゃないかなという気がいたします。
 そのスコアテーブルを使ってどう運用していくのかということが明示されなければ、行政の恣意性にゆだねられることになってしまう。それは、法治国家の根幹を揺るがしかねないとんでもない話ではないかなと私は考えます。行政のブラックボックスに判断がゆだねられるのではなくて、ちゃんとした透明な判断基準が明示されて、しかも、それは答弁にも附帯決議にも付されない、しかも法的拘束力がないのであれば、法律上の中できっちり明示しなければ、これは業者さんとしてはたまったものではないということではないかと思うのですが、この点については、いつまでにどういう形で提示をされて、どのように運用されていくおつもりなんでしょうか。
○素川政府参考人 午前中にも申し上げましたように、この利益が侵害される場合の利益の差の著しい場合に限定して、その不当に害される場合になるというふうな定性的な御説明を申し上げましたわけでございますけれども、著しい差というものを一定の数値をもって基準とするのかどうかということにつきましては、やはり立法趣旨というものを踏まえて判断するということが適当ではないかと考えております。
 すなわち、消費者利益というものを考えますと、今現在、アメリカ等の先進国から直輸入盤が入ってきている、こういうものにつきましては、アジア諸国等の物価の安い国からの還流を防止といういわゆる還流防止措置の趣旨からいたしますと、このアメリカ等の先進国からの輸入につきましては影響を受けないように運用するということがこの立法趣旨にかなうものであると承知いたしているところでございます。
○松本(大)委員 影響を受けないように運用するというのは、明確な基準がある一方で、行政の裁量でそうは判定しないとおっしゃっているに等しいと思うのですけれども、そんな恣意的な運用がなされていいんでしょうか。(発言する者あり)
○素川政府参考人 これは、まず、不当な利益に該当するかどうかにつきましては、実際の運用といたしましては、税関当局で、水際で、その具体的な適用というものが判断されるわけでございますけれども、これは、文部科学省、文化庁と税関当局との間で連携をとりまして、法律の趣旨にのっとった適切な運用、すなわち、利益の差が著しい場合に限って不当に害されることとなるということでございまして、この不当に害される場合というのがまず政府の運用でございますけれども、それは、最終的には、今お話しでございましたような、裁判所での判断、司法での判断というものが最終的にはあるとは思いますけれども、まずは税関当局におきまして政府としてその水際措置の対応をするというものが、きちんとした法律の趣旨にのっとった運用をするということが重要かと存じております。
○松本(大)委員 何度お伺いしても余りよくわからないのですけれども、例えば、アメリカのレコード会社が日本の現地法人に命じて、国内盤の原価率を低く抑えて、価格設定、値づけをしましたと。一方で、直輸入盤は普通の原価設定をして、それに対して並行輸入がされている場合に、並行輸入が入ることによって利益率が下がった、不当に利益が侵害されたというふうに申し立ててきた場合というのは、いかがなんでしょうか。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 この今回の還流防止措置と申しますのは、国内において得られる利益の方が一般的に高いという場合に、海外で頒布されているレコードが、一般的にといいますか、得られる利益が少ないという状況において、一つの要件というものが充足されるというふうに理解しているところでございます。
○松本(大)委員 今のお話を聞くと、さっきの質問では該当するのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○素川政府参考人 典型的な例を申し上げますと、例えば、中国、中国ではなくても、台湾とかという地域でもよろしいのでございますけれども、そのあたりでのレコードの一般的な格差というのは、日本と比べますと、半分前後といいますか、中国の場合にはもっと少のうございます。そうしますと、相対的に、それから得られます権利者のライセンス料というものも、ほぼ比例して少なくなるわけでございます。そういう意味におきまして、安い地域で、その地域の物価水準に合わせて価格設定したレコード、したがいまして、それから得られるライセンス料、権利者のライセンス料というのは相対的に少ないわけでございますけれども、そういうものが国内に還流することによりまして、そのレコードのみが買われるといいますか、そういうことによって権利者の得られる利益というものが侵害されるということが、この還流防止措置の趣旨でございます。
 ちなみに、六十五カ国で、アメリカも含めまして、輸入をコントロールする権利、これは輸入権という支分権でありましたり、または頒布権、譲渡権の消尽という形で適用するという場合もございますけれども、そういう具体的な支分権の付与等によって輸入をコントロールするという例が、例がといいますか、日本以外は基本的にはそういうようなことで対応しているわけでございます。
 そのような場合、例えばアメリカを例にとってみますと、アメリカが海外において、安い東南アジアの国においてライセンス生産したレコード、これはその地域の物価水準に応じて価格設定をするわけでございますけれども、それがアメリカの国内に入ってくるということを権利者が防止することができる、そういう権利をアメリカの権利者に与えているわけでございます。
 EUの場合におきましては、もともとは、幾つかの国で国別に輸入権もしくはそれに準ずる権利を与えていたわけでございますけれども、EU全体でEUディレクティブというものを設定いたしまして、個別の国ということでなくて、最近は、EU域内を一つの地域ととりまして、EU域外でライセンス生産されたものがEU域内に入ってくるということを防止する、コントロールするという権利を与えるようにしたということでございます。
 基本的には、そういう意味におきましては、還流防止といいますか、輸入をコントロールする権利が具体的に発効される場合は、その本国というものがより高いケースが一般的なわけでございます。
○松本(大)委員 御質問の仕方を変えます。
 アメリカ国内のレコード会社が日本に現地法人を持っていて、並行輸入もやるし、並行輸出もやるし、それから日本国内でもプレスして、現地法人がプレスして売るという場合においては、利益率の設定も価格の設定も同じ会社でできるわけですから、現法も本体も同じですから、利益率の設定も価格の設定も本体でできるわけですから、価格差が著しいとか利益率が著しいとかということは意味がないんじゃないかということを申し上げているんです。
○素川政府参考人 理論的には、外国のレコード会社が本国でレコードを売る、その価格設定、それから、別の国におきましてライセンスを与えて生産する、そのときにどういう価格で設定するかということについては、権利者が判断するといいますか、権利者がそのような地位に立つということは先生御指摘のとおりだと思います。
 ただ、現在におきましても、日本におきまして、例えばアメリカからは、ライセンス生産されたレコードと、それから並行輸入といいますか直輸入されましたレコード、二つのレコードがありまして、それはそれなりに、それぞれ、多様な消費者の要望にこたえる形で二種類のものが、基本的には同じレコードでございますけれども、パッケージとかいろいろその附属のものとかというのが違ってくるわけでございますけれども、そういうことで、より多様な多くの消費者のニーズに合うという形で、ライセンス生産されたものも並行輸入盤も両方売るということによってそのアメリカのレコード会社が利益を、利益といいますか、そういうビジネスを展開しているということでございますので、通常、合理的な経営的な判断からいいますと、より多くのレコードを買っていただくという意味においては、必ずしもどちらかをとめなければいけないというインセンティブが働くものではないというふうに理解しているところでございます。
○松本(大)委員 それはあくまで希望的な観測であって、お情けというか、権利行使しないでくれと頼んでいるだけにすぎないような気がします。価格設定を変えちゃえば不当な侵害だと訴えることができる、すなわち、並行輸入盤をいつでもとめる権利が生じてしまうということです。
 この質問はこれでやめますけれども、スコアテーブルというか、その判断基準の材料、それをどうやって使うのかということを資料として示してください。委員会にぜひ出してくださいよ。具体的にどうなんだというのを我々に示してほしいと思います。資料を出してください。
 次の質問に移りたいと思います。
 先ほど、六十五カ国というような表現がありました。これは肥田委員の御質問にも関連するわけですけれども、参議院の文教科学委員会での審議の中でも、河村文部科学大臣も次のように答弁されています。「一方、既に外国を見てもほとんどの先進国、イギリス、フランス、ドイツ、あるいはアメリカ側ではアメリカ、カナダ、六十五か国がこうした問題に対して還流防止措置を取っておるわけでございます。」ということなんですけれども。
 それで、文化審議会著作権分科会という、恐らくは今回の立法の参考にもなったと思われる資料にも、やはり六十五カ国という数字が挙げられております。「社団法人日本レコード協会が、国際レコード産業連盟に聴取したところによると、」と書いてありまして、午後、肥田委員の御質問の中でも、この六十五カ国という数字は六カ国が正しいんじゃないかというようなお話がありました。ひどい話だなというふうに思うわけですけれども。
 本当に、レコード協会さんが国際レコード産業連盟に聴取したところによるとというこの六十五カ国について、法案提出までの間に政府として検証というか精査はされなかったんでしょうか。外交ルートを通じて直接その国に御確認されることはなかったんでしょうか。私、国立国会図書館にも照会しているんですけれども、違った回答を得ております。一体本当に、特定の業界におもねらないような中立な立場でちゃんとこの六十五カ国という申請ベースの数字を精査されたのかどうか、お聞かせください。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、私ども、六十五カ国というのを紹介いたします際には、社団法人日本レコード協会がIFPI、国際レコード産業連盟に聴取したところによると、ということでございます。
 IFPIは、世界のレコード関係の情報につきましては豊富なデータ、情報を持っているところでございますので、そのような数字というものを御紹介させていただいたところでございます。
○松本(大)委員 これは根本的な疑問というか質問なんですけれども、規制をしてほしい、規制をかけてほしいという業界の主導で行われた調査を、何の精査もしないで、みずから情報をとることもしないでうのみにされたんですかということをお聞き申し上げているわけです。
○素川政府参考人 国際的な組織であるIFPI、このデータにつきましては、その検討の十分な参考になるものということで我々は扱わせていただいたところでございます。
○松本(大)委員 行政官庁というか監督官庁というか、そんなことで果たして中立性が保たれるのかどうか、私は非常に疑問に思わざるを得ません。
 私は国立国会図書館に調査を依頼いたしました。調査結果をちょっと引用させていただきたいと思います。
 域内消尽を採用するEU・EEA諸国では、加盟国内での並行輸入を禁止できないため、例えば物価の安いギリシャやポルトガルで発行された音楽CDをイギリスやフランスに輸入することは禁止できない。これは先ほど肥田委員の御指摘のとおりであります。このため、二〇〇四年一月十四日に公表された文化審議会著作権分科会報告書が、還流を防止することが可能な国として掲げている六十五カ国、先ほどの六十五カ国という数字ですね、この中にEU・EEA諸国十八カ国を含めていることについて、妥当性を疑う見解も出ている。では、この十八カ国を除くとどうなのかということなんですけれども、仮にこの十八カ国を除外すると、欧米主要国のうち平成十六年報告書が還流防止措置を導入しているとする国は、アメリカ合衆国及びカナダの二カ国となる、このように書いてあるわけです。
 審議会の報告書によれば、先ほどのEU十八カ国とカナダとアメリカを除いた国は何があるか、東欧、東ヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカの国々が列挙されておりまして、この調査官のお話によれば、こういった国々では自国の音楽産業が盛んであるとは言えないことから、そもそも日本のような問題が生じないものと考えられるため、これらの国を数える意味はほとんどないものと思われると。
 すなわち、今回の立法に当たった調査の妥当性がそもそも疑われるべきではないかな、私はそのように思うわけです。実質上はアメリカ合衆国とカナダの二カ国のみじゃないかというお話を国立国会図書館も認めているわけです。
 今回は、文化庁は、規制をかけてほしいという業界から出された調査書をそのままうのみして精査しなかった。これは監督官庁、所管の官庁として一体どうなのかという気がするんですけれども、憲法十五条第二項には、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」というふうに書いてあるわけですけれども、大臣、このような調査のあり方でいいんでしょうか。
○河村国務大臣 これは、あらゆる角度からこの問題については検討しなきゃなりませんから、ヨーロッパの情勢、アメリカの情勢、それも当然調査の視野の中に入れなきゃいけません。ただ、それをどの程度、一国一国、直接外交ルートを通じて調べたかと言われれば、今回のケースは調べてなくて、IFPIの調査を参考にさせていただいたということであります。
 著作権の問題、いろいろな、どういうふうに守っていくかという問題、それから国民の利益の問題、そういうものを総合的に勘案し、いわゆる審議会の意向、また事業者間の調整の問題、関係者の調整の問題、そういうのを踏まえて総合的に判断をしておるわけでありまして、今回そのことだけ言われてやっていないと言われれば、それはもっとそこまでやればよかったということは言えるかもわかりませんが、私は、全体的なそういうものも参考にしなきゃならぬ一つの過程として、IFPIの国、そしてそれから出てきた数字を参考にするというのは、これは適正ではないか、こういうふうに思っています。
    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
○松本(大)委員 先ほども御紹介したとおり、参議院の委員会審議の中でも、大臣が六十五カ国という数字を述べていらっしゃる。つまり、似たような制度を導入している国が世界にこんなに多いんですよ、だからとりたてて変な制度じゃないんですよという理由として挙げられたその数字にそもそも根拠がなかったということになるのではないんですかというお話をしているわけであります。
 次に移りたいと思いますけれども、データの妥当性、要するに、法案提出に至るまでの妥当性というところの検証が非常におろそかではないかということをこれから検証していきたいと思うわけです。
 先ほど御答弁の中で、還流防止措置の必要性について触れた部分、肥田委員の御質問だったと思うんですが、還流量六十八万枚ということだったんですけれども、その調査を行ったのは、だれがどのような機関に依頼をされたんでしょうか。
○素川政府参考人 六十八万枚でございますが、これは文化科学研究所が調査をしたということでございます。
    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
○松本(大)委員 文化科学研究所ということなんですけれども、思わず、それだけを聞くと文部科学研究所かなと、何となく政府機関かなという名前を想起させるわけなんですけれども、実はこの会社は、前身は株式会社ぴあ総合研究所ということでありまして、イベント情報で有名な「ぴあ」であります。しかも、その調査を依頼したのは日本レコード協会であります。
 つまり、先ほども申し上げたように、今回の法改正を希望されている業界が、民間会社、前身はぴあ総合研究所だったわけですけれども、そこに委託された調査をもって六十八万枚という数字を出しているわけです。先ほども申し上げたように、規制をかけてほしいとおっしゃっている業界の情報をやはりここでも使われている、精査をされているのかどうかちょっと聞いてみたいものですけれども。
 ちなみに、これは、調査員というのはどういう方でしょうか。(発言する者あり)
○池坊委員長 御静粛に。
○素川政府参考人 調査員がどのような方かというところまでは承知しているものではございません。
○松本(大)委員 そんな御答弁が許されていいんでしょうか。これは法案を提出する際の重要な根拠ですよ、六十八万枚。それは行政責任の放棄ではないかな、当事者能力の欠如を指しているのではないかなと思わざるを得ません。
 この調査員がどういう人かといいますと、株式会社文化科学研究所の人ではなくて、何と、日本レコード協会の全国調査室の室長というふうにあるわけであります。
 先ほどから申し上げておりますとおり、六十五カ国という数字も実は間違っていました。そして、それはなぜ間違ったかといえば、今回の法改正をしてください、規制をかけてくださいとお願いをされた業界から出されてきた調査書をうのみにされた結果であった。ヒアリングをうのみにされた結果であった。
 先ほどの六十八万枚についても、やはり同じように、調査を依頼されたのは日本レコード協会さんの側でした。調査をされているのも日本レコード協会の全国調査室の室長さん。これはお手盛り調査員と言ってもいいんじゃないかなという気がするんですけれども、こんなずぶずぶなことでいいんですか。
 こんな調査をされていて、しかも答弁内容まで変わってしまっているわけですね。答弁と食い違っちゃっているわけですよ。先ほどの参議院の委員会審議の中で、本法案の提出における妥当性の根拠、大きな根拠だ、ほかにも採用している国がたくさんあるというところまでもう崩れ去っているわけですよ。調査もレコード協会の全国調査室の室長さんがやっていた。こんな調査結果を引用されて文部科学省が答弁をされるというのは、これは果たして公正さの面からどうなんでしょうか。特定の業界におもねらないという観点から見て、その妥当性について反省すべき点はないのかどうか、御答弁をお願いします。
○河村国務大臣 この調査結果、その数字の妥当性、これをどう判断するかという問題だろうと思います。
 法案をつくるに当たってはいろいろなお話を聞かなきゃなりませんから、一方的にレコード協会だけの意見を聞いてこの問題をまとめていったわけじゃないので、これまでの過程を踏んでいることは先ほど来から申し上げておるわけでございます。これは日本だけの問題じゃなくて、こういうことというのは世界の中でも一つの大きな問題になっている、海賊版の問題もありますけれども、これも一つの大きな課題だということで、いろいろな形で取り上げられてきた。それを今回、還流防止という形でとっていこう。しかし、世界の国々もこのことを問題にしていないわけではないわけでありますから、当然、日本としてもこの防止措置をとる、これは私は、日本として考えていかなきゃいけない課題だ、このように判断をしてこの法案を出したものであります。
 今おっしゃったように、どこまでこの妥当性として見るかという数字、これは、ほかにも何かこういう数字がいろいろあって、どれをとるかという問題とちょっと違うものでありますから、この妥当性について私の方から、おっしゃるように、ほかにもっとやる方法があったんじゃないかと言われればそうかもしれませんが、実際に数字をはじく場合に、一番近いところにおられる方々がどういうふうにこの問題について把握されているか、まずこれを聞いていく、これは当然だと私は思うのでありますが。
○松本(大)委員 一方的にその意見を酌み取ったわけではないということだったんですけれども、では精査されたかといえば、先ほどのお話では特に精査はしていないと。六十五カ国については少なくともそうだったわけです。調査員についても、だれがやったかまでは知りませんでしたというのは、まさに一方的にその意見をうのみにして、精査という作業を怠ったという紛れもない証拠ではないかと私は思うわけであります。
 六十八万枚の先ほどの算出根拠、数式でも結構です、教えていただけますでしょうか。
○素川政府参考人 これは株式会社文化科学研究所が行った調査でございますけれども、ディスカウント及びホームセンターの二つの業種の店舗におけるCDとカセットテープの販売量というもので推計したということを聞いているところでございます。
○松本(大)委員 聞いているのではなくて、正式に答えていただきたいんですけれども、どういうふうに求められたんでしょうか。
○素川政府参考人 この推計の方法でございますけれども、総店舗数に、その取り扱い率、それから一店の平均の陳列量に在庫の回転数というものをそれぞれ乗じまして、総販売量を推定したということでございます。
○松本(大)委員 先ほどの数式については、さっきも触れました株式会社文化科学研究所の調査結果にも触れてあるんですけれども、最後の在庫回転率という三・五という数字なんですけれども、この数字を例えば半分の一・七五にすれば、六十八万枚は一気に三十四万枚に減ってしまうわけです。
 年金制度改革をめぐる議論の中で、いや、絶対大丈夫です、出生率は一・三二から一・三九までなぜか回復します、四%で回しますと、鉛筆なめて都合のいい数字を出す。あるいは、道路交通量予測も、絶対達成しそうもないものを設定して着工してしまうということは大いにある話なんですけれども、この三・五という数字の根拠は何なんでしょうか。
○素川政府参考人 この在庫回転率の三・五の根拠については承知しておりません。それは、調査の結果、調査の中で示されているものでございます。
○松本(大)委員 いや、これは大事なことですよ。大事なことですよ。法案の提出の根拠が六十八万枚というのははっきり述べているわけですから、その数字が根拠がない、知りませんなんということが許されるんですか、答弁として。知りませんなんてあるんですか。知りませんなんて言われたら、審議を続けられないじゃないですか。いいんですか、大臣、あんな答弁を認めて。(発言する者あり)
○池坊委員長 松本大輔君。はい、どうぞ。
○松本(大)委員 もう一度、同じことを申し述べさせていただきたいと思います。
 六十八万枚という根拠になっている大事な数字です。三・五というものの数字の出どころは何なんですか。
○素川政府参考人 突然のお尋ねでございますので、この数字につきましては、これは、いずれにいたしましても、文化科学研究所の調査の中で設定されている数字でございますということをお答えさせていただきたいと存じます。
○松本(大)委員 六十五カ国の数字といい、調査をだれが行ったかも知らない、三・五という数字の在庫回転率の出どころも知らない。そんな中で、今法案の大きな根拠である還流CD枚数が六十八万枚というのが出されているわけなんですけれども、こんなことが本当に許されていいのかと、私はこの委員会を通じてかなりあきれ返っているわけです。
 調査結果によれば、これは「CD販売店の平均的な数値を用いた。」というふうにあります。先ほどは、ディスカウントストアやホームセンターに陳列してあるであろう並行輸入盤というか還流CDの枚数を調べるというのが目的であるのに対して、なぜか在庫回転率はCD販売店のもの、平均的な数値が用いられている。
 私、当選直後に、高輪の宿舎に寝具がなかったものですから、ディスカウントストアで寝袋を買ったんですけれども、ディスカウントストアでCDだけを買いに行くという人は非常に少数派なんではないかなと。つまり、三・五という在庫回転率がCD販売店の平均的な数字であるのであれば、それよりも低いという可能性だって十分考えられるんじゃないか、随分乱暴な数字の使い方ではないかなというふうに思うわけです。しかも、その点については精査されていない、検証されていない、わかりませんということで、本当に還流枚数が六十八万枚もあるのかどうかという、その議論の出発点から疑ってかからなきゃいけないと思うんですけれども、これについては、では、還流枚数がどんなふうにふえるのかということについてもちょっと触れたいと思います。
 四月二十日、参議院文教科学委員会で、大臣と政務官、報告書を引用する形で、将来の逆輸入量について次のように答弁されております。
  同時に、このままほっておきますと、文化科学研究所が数字を出しておりまして、二〇〇七年にはもう二百四十四万枚になるだろうと、さらに五年後、二〇一二年になると一千二百六十五万枚ということが、それだけのレコードが入ってくるだろうと、こういうことになっておりまして、これはもう早急に対応しなきゃいかぬということで今回の改正に及んだものであります。
とあります。
 三年後に二百四十四万枚、五年後に千二百六十五万枚の逆輸入CDが押し寄せるということなんですが、この算出根拠についても教えていただけますでしょうか。
○河村国務大臣 先ほど来から、調査をした会社等に対して、その数値の問題、いろいろ言われます。
 これは、どういう数字を使っておやりになるか、それは専門的立場から統計をされるわけでありまして、それを我々の方からとやかく言う立場に私はない。それをどういうふうに使うかというのが我々の立場でありまして、身近なところで実際にこの利益を守る方々が真剣な思いで言ってこられたことだ。これはやはり、これも国民の立場、我々は受けて立たなきゃならぬわけであります。
 今の、これからの見通しについては、これは三菱総合研究所が出したものでありますから、これも精度が高いものだというふうな報告をいただいておりますから、これを皆疑ってかかりますと、何を出されたって、我々が一つずつやらなきゃいけなくなる。
 しかし、やはり将来の輸出の動向、中国の人口の動態、そういうことを考えたときに、そういう数字というのは出てくる。経済成長率、そういうようなものも全部かかわってきているんだろうと思います。
 そういうものを見て、これは今もうやるべきときに来た、そういうふうに判断をしてこの法案をお願いしている、こういう状況であります。
○松本(大)委員 だろうということではなくて、やはりみずから検証しなきゃいけないんじゃないか。
 それは、今回は法案提出というものの根拠になっているからですよ。売り上げたいとか、目標です、じゃんじゃん進出したいというのは、それは企業の目標として結構なことだと思いますけれども、法案提出の根拠とされる以上は、それについて検証されないというのは、私非常に驚きであります。
 これがどうやって計算されているかといいますと、先ほどの六十八万枚、三・五という数字の信憑性すら疑われるその数字を分子として、同じ年のアジアへの供給実績四百六十五万枚というのを分母にして、一五%が還流しているだろうという算数をまずはじき出しているわけですね。それで、需要がこれだけ伸びるだろうから、同じように一五%掛けたものが還流CDとなってくるだろうというのが、今回のこの算出根拠だそうであります。
 つまり、最初の出発点である六十八万枚の三・五という在庫回転率に根拠がない、わからない、自分たちは精査していないという数字を用いて将来の還流CDの量を千二百万枚まで推測しているのはちょっとやり過ぎなんじゃないかなということなんですが、いかがですか。
○素川政府参考人 将来の推計をするという意味におきまして、幾つかの基礎的なデータ、こういうものから推計するということで、今回の推計、確かに、先ほどの三・五という数字は、今手元には、還流CDの回転率を我が国の店舗販売の平均値である三・五とすると資料に載せておりますけれども、そういうものをベースにしてつくったにせよ、今、三菱総合研究所の報告書を踏まえて、将来、五年後、十年後の推計としてはこのような数値というものを用いて推計するということがその参考資料としては適切であるというふうに理解し、そのように対応したものでございます。
○松本(大)委員 三・五という在庫回転率についても、とんでもない、検証すらされていないんです。
 では、それと掛け合わせる需要の伸びなんですけれども、要するに、総ライセンス量というか総需要の伸びが、四百六十五万枚から千六百二十二万枚、七千九十万枚というふうに、二〇〇七年、二〇一二年と伸びる予測をこの三菱総合研究所さんはされているんです。これでいくと、二〇〇七年に現在の三・五倍、二〇一二年には十五倍以上になるということなんですけれども、本当にこんなに売れるんですかね。
 文化審議会著作権分科会の文化審議会著作権分科会報告書、平成十六年一月に、十一ページ、「原盤ライセンスの数量(CD+カセット)」「アジア地域にライセンスされた音楽レコードの供給実績」というものが載っていまして、二〇〇〇年五百七十一万枚、二〇〇一年五百四十一万枚、二〇〇二年四百六十五万枚となっているんです。
 つまり、漸減傾向にあるという数字が出ているにもかかわらず、なぜ三菱総合研究所の将来予測においては、その三・五も問題ありなんですが、三・五という在庫回転率と掛け合わせるライセンス量、原盤ライセンスの数量までも漸減傾向にある中で、再び、にわかに増加に転じて、二〇〇七年には千六百二十二万枚になるし、二〇一二年には七千九十万枚と、三・五倍、十五倍以上になっていくと。
 これは、本当にそうなるんですか。少しは検証をされましたか。どうでしょうか。
○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 三菱総合研究所の報告書の中には、今後需要を増加させる要因としては、アジアにおけるGDPの成長に伴う音楽市場の拡大などが掲げられているところでございます。そういうことをもとに推計をしたというふうに理解しております。
○松本(大)委員 納得できる答弁を、先ほどから、質問の当初から全くいただけてないんですけれども、今回の法案の提出の根拠となる数字というのが全くもって精査されていないというのは、これはもう法案審議の以前の段階じゃないかなというふうに思わざるを得ません。
 実際に、その漸減傾向にある数字というのは、要はアジアにおける日本の音楽需要そのものが実は減ってきているんじゃないかなというふうにも、ひょっとしたら思えるわけです。
 では、例えば、これに対して、いや、そうじゃないんだ、海賊版の影響を受けて漸減傾向にあるんだという反論を百歩譲って認めるとしたら、では実際に、先ほどの大臣の御答弁でも、海賊版対策も重要になってくるというお話がありましたけれども、海賊版が正規のライセンス版を現地でどれだけ食っているのかということについては、需要は伸びているんだけれども海賊版で食われて漸減傾向にある、だから、海賊版の取り締まりをしていけば、先ほどの十五倍とか輝かしい未来が待っていて、三・五倍の在庫回転率を掛ければ還流CDはふえるんですということになるのか。
 海賊版がどれだけ食っているというデータがあれば、それについて御説明をいただきたいと思います。
○素川政府参考人 例えば、アジアにおきますレコードやCDの侵害状況ということにつきましては、中国におきましては一般的に九一%、台湾においては四八%、韓国においては二五%、香港においては流通している五〇%が海賊版であるというようなデータがございます。
○松本(大)委員 それは日本盤に限らない、日本の音楽に限らない話だと思うんですけれども、もう一度申し上げます。先ほどの総ライセンス量はふえるという予測があるためには、実際に今の足元のデータが漸減傾向を示す中で、ふえているんだけれども海賊版によって食われているという仮定が成り立つのであれば、そういう事実があるのであれば、まあわからなくもないなということを申し上げているんですよ。
 だから、需要はふえているんだけれども、これだけ海賊版に日本のCDが食われている、そのデータを示してくださいと申し上げているんです。
○素川政府参考人 例えば、今申し上げました数字の中で、各国別のデータにつきましては承知しておらないところでございますけれども、各国の流通量というものがやはり相対的に反映しているものというふうに理解しているところでございます。
○松本(大)委員 今のようなちょっと頼りない御答弁ですと、やはり還流CDの今後の伸び、六十八万枚が二百四十四万枚になって千二百六十五万枚になるから、だから今の段階で還流防止措置が必要になってくる、今法案の提出が必要になってくるという話にはどうしても僕は思えないんですよ。
 それは、先ほどから申し上げているように、六十五カ国という数字も間違っていたし、調査自体が、規制をかけてほしいという業界の調査をうのみにしているわけですし、調査員はレコード協会の全国室長の方ですよ。しかも、算出根拠である在庫回転率も本人は承知していない、知らない、わかりませんと。さらには、今後のアジアにおける総ライセンス料の伸びというものについても何ら根拠はない、事実として漸減傾向を示しているのに、反転攻勢というか、いきなり増加基調に転じるその理由も確たる理由をお持ちになっていらっしゃらない。海賊版が食っているから事実はそうなんだという証拠もお手元にない。一切の客観的証拠がない中で今回の法案を出されて、数字を並べ立てられていらっしゃるわけですけれども、それらの数字すべてに根拠がないと論じざるを得ないんですけれども、大臣、どうですか。
○河村国務大臣 この数字のとらえ方をもっと検証すべきだという御指摘、これは私も聞く耳を持たないわけではありませんが、先ほど六十五カ国の数字のとり方にしても、それは確かに域内であったという点について説明が不十分であったでしょうけれども、実質的にそうしたレコードの還流をとめる措置を持っていることは事実でありますから、その国が六十五カ国あるということ、これはもう厳然たる事実ですからね。だからこの数字を活用させていただいたし、そういうふうに私も答弁した責任がありますから申し上げておくわけで、そういうものも根底からなかったんだということでお話をいただいたんじゃ、ちょっと誤解を招くことになりかねない。
 私の方は、皆さんがいろいろ心配されている点はきちっと対応しなきゃいかぬ、そういう指摘もあったということを踏まえてこれまで検討してきたことでありますし、数字のとり方、いろいろなときにいろいろなとり方をいたします。これは総合的にとっていかなきゃならぬ数字だと思います。
 確かに、どのぐらい還流化するかというのはかなり大きな問題だとはそれは思います。しかし、現実に中国等の状況を見たときに、今、海賊版率が九割ということですから、これを五割にとめただけでも大変な数字になってくる。そういうことを考えますと、この傾向はこれから、私は、下がるというよりもむしろどんどん伸びていくと考えるのが当然だ、こう思っております。
 あの数字をうのみにしたわけでは決してありませんけれども、総合的に考えてみて、業界の皆さんの御意向、もちろん経団連等々からのこういう点は大丈夫かというような指摘もあった、そういうことを踏まえて、今回、その対応についてはきちっと政府で考えておりますということも表明しながら、今日御審議をいただいて、そのことで参議院においては全会一致をいただいた、このように考えておるわけであります。
○松本(大)委員 海賊版対策については、きのうの知財戦略本部の会議で、知的財産推進計画二〇〇四に模倣品、海賊版の被害を防ぐための条約を提唱するという内容が盛り込まれたそうですので、ぜひ、来月のサミットでも政府としてきっちり申し入れを行っていただきたいなというふうに思います。私は、決して知財戦略の推進という大臣の所信にも述べられたことを否定しているわけではなくて、むしろ賛成の立場におります。
 東西の冷戦構造が崩壊して、グローバリゼーションとかメガコンペティションが進展していく中で、長い目で見れば価格ではなく価値で勝負していかなければいけない、だからこそ知財の推進が必要である。それから、安全保障上のメリットを見ても、例えば世界が新しいパラダイムを模索している、混沌としている中で、やはり日本に対して好意を持ってくれる国というものをふやしていかなきゃいけない。
 そういう意味では、ジョセフ・ナイの言うところのソフトパワーの最たるものである文化力というものを大いに発信してほしいというその立場には立っているんですけれども、さて、今回の法案がそういった知財戦略の推進に資するものなのかどうか、十分な検証が行われているのかどうかという点について疑問を持つわけです。時代の後追いにもなっているんじゃないか。
 アップルのアイポッドが売れまくってアイチューンズというのが一曲九十九セントで売っている。ソニーもコネクトというサービスを使ってそれに追撃をかけようとしている。デジタルコンテンツというものには全く目を向けていないような今のやり方でその場しのぎにすぎないのではないか、こういった点をちょっと指摘させていただきたいなと思いますが、いずれにしましても、先ほども申し上げたように、最後にお伺いしたいのは、法案提出の前段階の調査が不十分であった、調査自体をやり直すというおつもりはありませんでしょうか。
○池坊委員長 質疑者の質疑時間は既に終了しておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
○河村国務大臣 調査をやり直す予定はございません。
○松本(大)委員 失礼します。
○池坊委員長 川内博史君。
○川内委員 川内でございます。
 私は、河村文部科学大臣をこよなく尊敬をし、お慕いを申し上げております。好きで好きで大好きでという歌がありましたけれども、本当に、大臣の誠実なお人柄、あるいは文部科学行政に取り組む真摯な姿勢というものに深く感銘をしております。
 しかし、今回のこの著作権法の改正案というのは、河村大臣やあるいは稲葉副大臣、そしてまた田村政務官の誠実なお人柄、あるいは純粋なお人柄を文化庁が利用して、全く真実を明かさずに大変なだましに次ぐだましを行いながら、この法律を何とかして成立をさせたい、まあ文化庁のお役人が一生懸命なのはわかりますよ。しかし、余りにも、これまでの質疑でもあったように、根拠があいまい、そして説明責任についても不十分なのではないかという思いを持っています。
 数々の論点が出ておりますし、また、今回の著作権法の改正案については大分審議に時間を必要とすると思いますが、きょうは、まず、文化審議会の著作権分科会での議論のあり方、あるいは法制問題小委員会における議論のあり方というところについて大臣にお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
 今回のこの著作権法の改正案というのは、文化審議会著作権分科会の報告書に基づいたものでしょうか。
○河村国務大臣 もちろんこの分科会の報告書をもとにして、これを出発点にして、それからいろいろな意見を聞いていった、こういうことであります。
○川内委員 それでは、特に本委員会で議論になっております、音楽レコードの還流防止措置と文化庁さんは呼んでいらっしゃいますが、平たく言えばみなし侵害規定を設けることによるレコード輸入権みたいなものを創設する権利、この還流防止措置を設ける、あるいはそういう措置をとることが適当であるという結論は、この著作権分科会の報告書の中のどの部分に書いてありますか。
○河村国務大臣 御指摘の点でございますが、文化審議会著作権分科会報告書がございます。
 ここにいろいろな意見がございまして、一方では、「海外にライセンスされた日本の音楽レコードの流通については、契約により一定のコントロールが可能であり、法的措置により対応すべきものではない。」という御意見もある。しかし、一方では、「消費者利益の還元のための最もよい手段は」、これは再販制度の問題まで及んでいる話でありますが、日本の音楽レコードの国際競争力をいかなる方法で形成すべきかという極めて高度な専門的な判断を要する問題であるというような指摘等々、いろいろな指摘の中で、最終的に、この審議会に対して、こういう現況が今起きている、そしてこの還流の問題が著作権者を初め皆さんにとって大きな問題になっている、これを考えてもらいたいということで諮問をした形になっておるわけでありますから、そういう観点で、結論として「日本の音楽レコードの還流防止のため、何らかの措置が必要であるという意見が多数であった。」ということを踏まえて、この措置を、法案化になっていった、こういうことであります。
○川内委員 いや、大臣、大変苦しい御答弁のようでありますが、私がお聞きしたのは、著作権分科会の最終報告書の中に、還流防止措置を設けることが適当である、あるいは還流防止措置を設けるべきである、あるいは還流防止措置を設けることとする、表現はどうでもいいです、とにかく、還流防止措置を設けるとこの著作権分科会が結論づけた部分はどこですかということをお聞きしています。
○河村国務大臣 日本の音楽レコードの還流防止のために何らかの措置が必要である、いろいろな意見の中でそれが多数を占めたということで、この措置として今回の法案を提出している、こういうことであります。
○川内委員 いやいや、大臣の見解を私はお聞きしているわけではなくて、この分科会の報告書に今回の著作権法の改正案は沿ったものだというふうに冒頭に大臣がお答えになられたので、それではお聞きしますが、分科会の報告書の中のどこに、還流防止措置を設けることが適当だ、あるいは設けるべきだというような記述がありますかということをお聞きしています。だから、何ページのどこ、ここだということをお答えください。
○河村国務大臣 これは、一々読み上げても大変ですが、十三ページから以下に、積極的に導入すべきという意見、そして、その点については御懸念がある、心配をする点も御指摘がある。しかし、その両方の意見を踏まえたときに、日本のレコード還流、やはり防止をしなきゃいかぬ、何らかの措置が必要である、これが多数であったということを踏まえてやったということであります。
 これはどこにあるかと、それを全部読んでもいいんですけれども、時間がなくなるでしょうから読みませんが、十三ページ以下、積極的に導入すべき意見、それからそれに対する懸念の意見、さっき申し上げた法的措置により対応すべきものではないんじゃないかという指摘、そういうものを踏まえたとき、総合的に見たときに、これはやはり全体として何らかの措置が必要であろうという意見が多数であった。したがって、これを導入するについては、御懸念がありますから、いろいろな要件もつけて出させていただいている、そういうことになるわけであります。
○川内委員 今大臣がお答えになられた部分というのは、文化審議会の著作権分科会報告書、十五ページですね。「以上のように様々な意見は見られたが、日本の音楽レコードの還流防止のため、何らかの措置が必要であるという意見が多数であった。」この多数であったというのは、これはそういう状態のことを指しますよね、意見が多数であったという状態。
 その以下の記述。「他方、具体的方法論については、欧米諸国等の音楽レコードに対する影響や他の著作物等への対象の拡大を懸念するなど慎重な意見も出されており、これらの慎重意見を踏まえた検討が必要である。」と書かれておりまして、ここは法制問題小委員会の結論部分ですが、還流防止措置を設ける、あるいは設けることが適当であるということはどこにも書かれていないですね。
○河村国務大臣 全員賛同したと書いてありませんから、そういう意見もあった、懸念の意見もあった、これはここに御指摘のとおりであります。
○川内委員 いや、私が聞いているのは、ここは法制問題小委員会の結論部分なんですね、いいですよ、法制問題小委員会の結論部分でいいんですが、還流防止措置を設けることが適当である、あるいは設ける、設けるべきであるということはどこにも書かれていないですねということをお聞きしています。
○河村国務大臣 おっしゃるとおり、設けるべきであるという表現は見られませんが、「何らかの措置が必要であるという意見が多数であった。」ということ、これは今おっしゃるとおり書いてあるわけであります。
○川内委員 そうすると、最初の大臣のお話と若干矛盾する部分が出てまいりますね。
 今回の法改正は文化審議会の著作権分科会の報告書に沿ったものであると、沿ったものですかというふうに私がお尋ねをしたらば、沿ったものであるというふうに大臣は答弁をされました。それに対して、私が、それではこの報告書の中のどの部分に還流防止措置を設けることが適当であるという書きぶりがございますかとお聞きしたらば、書いてはいないがそう判断したというふうにおっしゃる。おかしいんじゃないですか。
○河村国務大臣 この文化審議会の今の報告書に沿ったというのは、意見をいろいろ言っていただいた、そしてこれをやるべきだという意見が多数であったということを踏まえてやったということでありまして、これは全会一致が本来望ましいことかもしれない、しかし、これは利害相反するものでありますから、そういう関係者との調整も必要なことだ。さっきから申し上げているように、こういう著作権のような問題は私権でありますから、当然そういう問題が起きる。だから、その相反するところを調整をいただきながら、最終的に、やるべきか、やらないべきか、これは所管官庁であります文部科学省として結論を出さなきゃいけない。
 その結論を、そういうことを踏まえて、さらに、多数であったということを踏まえて、審議会におけるこうした慎重審議あった、そのために、還流防止はやるべきだと考えたけれども、しかし、その条件はつけなきゃいかぬ、そういう意味で、そういう条件をつけて適切な制度設計をやった、こういうことであります。
○川内委員 いや、大臣、私がお聞きしているのは、大臣、そういう懸念があるからいろいろなことをちゃんとやったんだという御答弁までいただきましたが、私が聞いているのは、文化審議会の著作権分科会の報告書に沿ったものだ、これは参議院の質疑でも何人もの方がおっしゃっていらっしゃる、この報告書に沿ったものだと。ですから、私も冒頭、沿ったものですねとお聞きをした。そうすると、沿ったものだというふうに御答弁をされた。では、しからば、この中のどの部分に、音楽レコードの還流防止措置を設けることが適当だ、設けるべきであると書いてありますかと聞くと、書いてはいないが、文部科学大臣として意見を聞いて判断をしたというふうにおっしゃいました。いいですか、今、私のまとめでいいですか。
○河村国務大臣 そこで、今、確かに、おっしゃるように、「何らかの措置が必要であるという意見が多数であった。」しかし一方、「具体的方法論については、欧米諸国等の音楽レコードに対する影響や他の著作物等への対象の拡大を懸念するなど慎重な意見も出されており、これらの慎重意見を踏まえた検討が必要である。」こういうことでありますから、このとおりに沿ってやったわけであります。
○川内委員 「慎重意見を踏まえた検討が必要である。」ということが、今回の還流防止措置の法案を、著作権法の改正案を提出するという意味だということですか、今のは。
○河村国務大臣 そこまでとっていただきますと、何か審議会の中身まで立ち入ったことになりますが、その慎重な審議をされた、それを踏まえて、これにはやはり条件をつける必要がある。この還流防止については、かなり限定的な意味を持たせなきゃいかぬ、還流防止ですから、輸入権を全部とめるような権限じゃない。そういうことで条件をつけてやったということですね。これは審議会の意見に沿った、そういう意味にとっていただきたいのであります。
○川内委員 大臣、そういうものが審議会の意見だったというふうにとっていただきたいんですと言われても、私は、大臣の言うことを聞きたいですよ、わかりました、大臣がそこまでおっしゃるんなら、そうですねと申し上げたいが、しかし、そういうわけにはいかないですよ。
 この著作権分科会の最終報告書、これは最終の報告書ですから、これが最終なんですね。その最終の報告書には、還流防止措置について、「何らかの措置が必要であるという意見が多数であった。」と。これは、権利者団体の代表者が数多く、というか過半数以上参加をしているわけですから、当然、権利者団体の皆さんは、何らかの措置が必要であるということは言うでしょう。しかし、学識経験者あるいは図書館長、図書館の関係者の方、いわゆる権利者団体の長でない方々は皆さん、この還流防止措置には反対をしていた。
 したがって、「他方、具体的方法論については、」と、具体的にどうするかということについては、「欧米諸国等の音楽レコードに対する影響や」云々とあって、「慎重意見を踏まえた検討が必要である。」ということで、法律にする、法を改正するということはどこにも書いてないですね。
 では、貸与権についてどうだったのか。貸与権の結論部分を読んでください。
○河村国務大臣 貸与権の検討結果で、
  新たなレンタルブック店の出現により、「書籍・雑誌の貸与」に係る暫定措置が設けられた昭和五十九年当時とは大きく環境が変化し、書籍等の貸与による著作権者への経済的影響は大きくなってきている。また、昭和五十九年当時に書籍・雑誌の貸与権の創設に反対を表明していた旧来の貸本業者の団体である「全国貸本組合連合会」と作家等の著作権者との協議が整った状況に鑑みれば、暫定措置は廃止することが適当である。
これにもまたただし書きがございますが、こう言っています。
○川内委員 そのように、新たな権利を、あるいは新たな法改正を伴う場合には、必ず文化審議会の著作権分科会、昔は著作権審議会とおっしゃったそうですけれども、すべて、こういう措置を講ずることが適当であるという書きぶりをしています。それを受けて法改正というものが役所の中で行われ、そして国会に提出をされるというのが今までの普通の流れであったはずであります。
 しかし、今回のこのレコードの還流防止措置については、結論が出ていない。慎重に検討が必要だと。実際に、今、河村大臣あるいは稲葉副大臣、田村政務官の後ろにいらっしゃる著作権課長さんは、この法改正において、あるところで講演をされて、法制問題小委員会の結論は出ていないということを明確におっしゃっていらっしゃいます。この著作権分科会の法制問題小委員会あるいは分科会全体の事務局の取りまとめをされる役目の事務方の方が、結論は出ていないということをおっしゃっていらっしゃるんですよ。だからといって、私はそれをどうこう言う気はないです。
 だから、結論はこの中には書いてないということを文部科学省としてしっかりと認めていただきたいということです。結論はない、結論はどこにも書いてないということです。
○河村国務大臣 あの最終報告書が出ましたのはことしに入ってからでありますね。多分、結論が出ていない段階というのは、昨年の段階ではまだ最終報告はありませんでしたから、そういう段階でまだ結論が出ていない、こう言ったのではないかと、私は、これは別にかばうつもりはありませんが、推測いたします。
 結論が出ていないというのは、さっきの貸し本業と同じようにすべきであるが、一致した結論は出ていない。しかし、多数の意見は、何らかの措置をとるべきだ、しかし、やはり慎重を要する問題ですよという指摘、これが結論ですよ、結論。それに対して、私の方でその判断を、これは所管、内閣法でありますから、私の責任において判断をしなきゃいけない課題、そういうことであります。
○川内委員 大臣、文化審議会の著作権分科会の議論を精査されましたか、大臣は。
○河村国務大臣 精査と言われると、さっきのように、数字をどうやってはじくかという話まで行くのかどうかは別として、これは大事な報告書ですから、目を通させていただいて、結論はここにあるということ。
 もちろん、この問題にどう取り組むか。かねてから、これについては私は、副大臣、大臣になる前から、この問題は党においてもいろいろ議論があったところでありますから、そのことを踏まえて、しかし、審議会の過半数の皆さん方が、何らかの措置をとるべきだ、こうおっしゃっておる。
 数字がそれは問題だというさっき御指摘もありましたけれども、このまま放置しておいていいのかどうか、そういうことも総合的に考えて判断したのでありまして、精査と言われると、私も一字一句やったわけではありませんから。
○川内委員 だから、私が冒頭申し上げましたよね。誠実な、真摯な姿勢で文部科学行政に取り組む大臣を利用して、事務方は、レコード協会の出先として、今回のこの還流防止措置を何としても法案化したい、そのために奔走をしているわけですよ。その奔走の結果がいろいろなところに出ている、大変恥ずかしい結果が出ていますよということを申し上げているわけです。そのまず一つが、今の著作権分科会の報告書の法制問題小委員会における報告書の部分ですね、報告の部分。
 それでは、私が冒頭に聞いた文化審議会の著作権分科会の報告書、この報告書全体で、還流防止措置を設けるということがどこに書いてありますか。
○河村国務大臣 それは、川内先生、全部見て、書いてないことを承知してお問いになっているんだと思います。私も、さっき申し上げた結論のところ、何らかの措置をとらなきゃいけないというところですね。それが結論ですから、ほかのところに設けるべきであると書いてない、それは当然だというふうに思います。
○川内委員 文化審議会の著作権分科会の報告書の中には、レコードの還流防止措置を設けることが適当であるという文言はどこにもない、結論づけていないということをお認めになられたということでよろしいですか。
○河村国務大臣 書いてないことを認めたというよりも、過半数、大多数の、意見が多数であった、しかし、慎重を期してやらなきゃいけないということを私は認めたわけであります。
○川内委員 いや、私が聞いているのは、慎重を期してやるという大臣がおっしゃっている慎重の意味と、ここに書いてある慎重の意味は違いますから。それはまたこの後、三時間でも四時間でも議論をさせていただきたいと思います。
 私が今議論をしているのは、文化審議会著作権分科会報告書の中には、音楽レコードの還流防止措置を設けるという文言はどこにもありません、そのことをお認めになられますねということをお聞きしています。
○河村国務大臣 「日本の音楽レコードの還流防止のため、何らかの措置が必要であるという意見が多数であった。」ということを認めておるわけであります。
 したがって、それ以外のことは書いてないということは事実だと思います。
○川内委員 いや、ですから大臣、私は別に大臣を責めているわけではないんですよ。全然責めていない。大好きな大臣を何で責めなきゃいけないんですか、私が。
 私が申し上げているのは、レコードの還流防止措置を設けるべきである、あるいは設けるための法改正をするという報告書があるのであれば、それは文化審議会の報告書に沿った法改正であるというふうに言えると思いますよ。しかし、文化審議会の報告書にのっとった法改正であると言うからには、どこかにその書きぶりがないといけないです。しかし、「多数であった。」というのは状態を示しているのであって、結論を示している文言ではないですよね。ですから、結論としてという前置きを私はつけているじゃないですか。
 結論として還流防止措置を設けることが適当である、設けるべきであるという記述はどこにもないことをお認めになられますね。
○河村国務大臣 おっしゃることは私もわかりますし、さっきの貸し本業のようにきちっと明記していないということは事実でありますから、そのとおりだと私思います。
 しかし、これは――まあそこまでにしておきますかね。
○川内委員 大臣、賢明なる御態度だと思います。余りいろいろなことを言うとかえって余計なことに発展していきますから、私が聞いたことにのみお答えになられる方が審議がスムーズに進むかというふうに思います。
 文化審議会の著作権分科会の報告書の中には、音楽レコードの還流防止措置を設けるという結論は出ていない、書いてない、結論づけていないということをお認めになられました。
 したがって、さまざまな議論はあった、文化審議会の報告書にもそのさまざまな議論の経過、さまざまな意見を載せているが、結論は出なかった、しかし文化庁として、レコードの還流防止措置を設けることが適当である、法改正をするという判断をしたというのが、今回の法改正の正しい理解の仕方ですね。
○河村国務大臣 まさに総合的な判断といいますか、そういう御指摘を踏まえ、しかもそこに、何らかの形でこの措置をすべきである、しかし、しかしというところでただし書き的に、他方こういう意見もありますよということ、眼光紙背に徹するといいますか、この審議会が言わんとしていること、これを我々は受けとめていった、こういうことであります。
○川内委員 いや、そうおっしゃられると、ちょっとまた議論がもとに戻るんですよ。他方というのをただし書き的にと今おっしゃった。「他方、具体的方法論については、」というのは、他方以下が結論なんですよ、他方以下が。「意見が多数であった。」というのが前置きなんですよ。どっちかというとただし書きなんですよ。他方、具体的方法論どうするかということについては慎重な検討が必要だということを書いているんですよ、最終報告が。
 だから、文化審議会の著作権分科会の報告書の中には還流防止措置を設けるという結論は結論づけていないということをお認めになられ……(発言する者あり)認めても認めていないようなことを言うからじゃないですか。認めたわけですよね。(発言する者あり)認めていないの。今、後ろで男の子が首を振っていますよ。認めたんですか。
○河村国務大臣 この中の事実関係を問われたから、私は、明確に貸し本業のような形では書いてないということを認めました。
 しかし、さっきからおっしゃるけれども、これはちょっと国語学者でも呼んでこないといけない話ですね。
 「日本の音楽レコードの還流防止のため、何らかの措置が必要であるという意見が多数であった。」ということ、これがただし書きだと言われると、これはちょっと私も首をかしげざるを得ないので。私は、これが結論であって、一方、具体的に慎重にやれと書いてあるから、それで条件がついていった、こういう流れでしょう。
○川内委員 それでは、法制問題小委員会の中山主査がこの委員会の委員としてどのような意見をおっしゃられたか、この文部科学委員会の先生方にお披瀝をいただきたいというふうに思います。
○河村国務大臣 ちょっと資料を出すのに時間がかかりました。
 あの委員会での議事録といいますか、報告書的なものがございますから。これは、
 知的財産の一学者として、本小委員会の一委員として意見を述べる。まず、アジアに進出するため、海外展開するために還流防止措置が必要という状況については理解しているが、必要があるだけでは法律にはならない、条文に書けるものでないといけない。法律上は、「みなし侵害」であろうが、国際消尽の特例であろうが、内外人平等で外国を差別することはできない。洋盤を止めることはできる条文にせざるを得ない。仮に運用で行うにしても、WTOの精神に反することを運用で行うことは非常に難しい。しかし、日本の現在のコンセンサスが洋盤まで止めることについてあるのか否か、ないのなら条文としても書きようがない。
というふうな、あとは再販制度のことが書いてありますから。
○川内委員 河村大臣にしてはむにゃむにゃという読み方で、もうちょっとはっきり読んでください。みんなにきちんとわかるようにはっきり読んでください。
 中山主査ですよ。法制問題小委員会、この還流防止措置に、一義的にその議論の取りまとめに当たった大変に著作権の大家と言われる学者が、その小委員会の中で委員として意見を述べている貴重な意見であります。
 ぜひ、みんなにわかるようにはっきりと読んでいただきたいと思います。
○河村国務大臣 いつも法案提出するときに読み上げたと同じ調子でありますが。
 丸、点まで言いますか。(川内委員「点、丸はいいです」と呼ぶ)いいですか。
 知的財産の一学者として、本小委員会の一委員として意見を述べる。まず、アジアに進出するため、海外展開するために還流防止措置が必要という状況については理解しているが、必要があるだけでは法律にはならない、条文に書けるものでないといけない。法律上は、「みなし侵害」であろうが、国際消尽の特例であろうが、内外人平等で外国を差別することはできない。洋盤を止めることはできる条文にせざるを得ない。仮に運用で行うにしても、WTOの精神に反することを運用で行うことは非常に難しい。しかし、日本の現在のコンセンサスが洋盤まで止めることについてあるのか否か、ないのなら条文としても書きようがない。
こう書いてあるんです。
○川内委員 主査の、著作権の大家としての御意見がまさしくこの法制問題小委員会の結論じゃないですか。何らかの措置が必要だということは自分も思うと。(発言する者あり)それでは、一人一人の委員の意見まで全部精査しますか。何らかの措置が必要であると。しかし、これは、何らかの措置には法改正とは書いてないんですよ。他方、具体的方法論については、慎重意見を踏まえて検討が必要だと。
 結局、なかなかこの問題は難しいということなんですよ。簡単に言えば、難しい問題だということを結論に書いている。
 これを文化庁は法律にしたわけですね。それで国会に提出をしてきた。そして、音楽ファンは、今この委員会の審議は、実は何十万という人が聞いています。大臣の御答弁やあるいは私の質問、もちろん午前中からの質疑をずっと通じてすべての質疑を音楽ファンが、何十万あるいは百万に近いかもしれない、一体この著作権法の改正案はどうなるんだということを注目しているんですよ。
 それで、はっきりしたことは、結局、この法律の枠組みの中では洋楽に対する、並行輸入盤に対する懸念を消し去ることはできないということがいろいろな質問の中ではっきりしてきたし、そしてまた、今回のこの法改正に至る文化審議会の著作権分科会の報告書あるいは法制問題小委員会の報告、すべてにちょっとずつちょっとずつ矛盾点あるいはずれ、あるいはごまかしというものが散見されるわけであります。ごまかしじゃないとそこの後ろで言っていらっしゃる課長さんがいますが、これはごまかし以外の何物でもないですよ。
 では、一つそのごまかしの例を挙げさせて、大臣は多分きょう初めてお聞きになると思います。文化審議会著作権分科会の報告書、これはお持ちになっていますか。一番最後の、委員のメンバーが書かれている名簿の一枚前に「おわりに」というところがあるんです。役所も、さっき私が結論はどこに書いてあるんですかと聞いて、さすがに恥ずかしくて大臣にここを提出はできなかったんですね。この「おわりに」というところが結論の部分なんですよ。
 何て書いてあるか、委員長もよく聞いてください、私が読みますから。「このように、五つの小委員会における検討の結果、書籍・雑誌の貸与に係る暫定措置の廃止等に関しては、速やかに著作権法を改正すること等が適当であるとの結論を得たところである。」文化審議会の著作権分科会の中でこの報告書が議論をされたときに、大臣、いいですか、「書籍・雑誌の貸与に係る暫定措置の廃止等に関しては、」の「廃止等」の「等」の中に音楽レコードの還流防止措置も入る。「等」の中に入るんだということを著作権課は言っているんですよ。
 そんなことを認めていいんですか、大臣。
○河村国務大臣 この報告書を受けて、あと法制問題小委員会でさらに議論をされておりますから、この法案をつくるに当たっては、それを踏まえて総合的に判断をしていかなきゃならぬ、そのように判断をしていったということであると思います。
 ここには「等」という書き方になっていることは、これは事実そうでありますけれども、私の方は、先ほど御答弁申し上げた、その直接的な意見の中を踏まえて私の方の受けとめにさせていただいたということであります。
○川内委員 大臣、文部科学行政の最高の責任者として事務方をお守りになろうとするそのお気持ちには私も大変頭が下がります。一軍の将としてどんな部下であっても守らなきゃいかぬというお気持ちは、もう痛いほどわかりますが、しかし、大臣、著作権分科会の審議録、議事録を精査すれば、この「暫定措置の廃止等に関しては、」の「廃止等」の「等」の中にレコードの還流防止措置も含まれるということで、誤解しないでくださいねとわざわざ文化庁の著作権課が委員の皆さんに言って、それでまた意見が紛糾をして、そんなことはあり得ない、「等」の中にそんなことまで入るなんというのはあり得ないというような意見が出されていたりするわけですよ。
 では、違う聞き方をします。
 大臣は、この文化審議会の著作権分科会報告書のこの「廃止等」の「等」の中にレコードの還流防止措置が含まれるということを聞いて知っていらっしゃいましたか。――知っていたかどうかを後ろで教えないでくださいよ、変だよ。
○河村国務大臣 いや、知っているか知っていないか、私のことですから、何と言われようと。
 私は、これは入っているものだ、こう思っていましたから……(川内委員「「等」の中にですか」と呼ぶ)「等」の中に、これは罰則もあるよね、この法律はあります。そういうものも含まれておるので、当然、慎重論はあるにしても、これは入っていると思っておりましたが、今御指摘いただければ、抜けておったということ、これは知りません。だから、「等」の中に入っているとは思いたくないですね。
○川内委員 大臣、本当に、「等」の中に入っているとは思いたくないとおっしゃっていただきました。実にそのとおりでございまして、この著作権分科会の報告書ですら、先ほどのいろいろなデータとなった数字と同じように、いろいろなところにちょっとずつちょっとずつ、まあ著作権課にしてみれば工夫を凝らしたんでしょう。しかし、我々音楽ファンから言わせれば、それは工夫ではなくて、ある種のだましだということを指摘せざるを得ないわけであります。
 もう一点、先ほど肥田議員の方からもお尋ねをさせていただいた論点でありますが、知財計画、昨年の七月に策定をされて、きのう改定をされて、このレコードの還流防止措置については、ある一定の時期に必要な措置を講ずるというような見直しをするんだということも御決定をいただいたようでありますが、この知財計画について、去年の七月の知財計画についてお尋ねをさせていただきますが、関係者の合意を得て、消費者利益の観点等を総合的に判断してというくだりがございます。この関係者の合意を得てという部分の関係者というのは、具体的な団体あるいは組織というものを想定していらっしゃいましたか。
○河村国務大臣 平成十五年七月に策定された分ですね。このレコード輸入権に関する記述は著作権分科会の審議経過報告を踏まえたものである。そこで、ここで言う関係者とは、社団法人日本レコード協会、社団法人日本経済団体連合会及び著作者団体、このように理解をしております。
○川内委員 それであれば、もうその時点で特定をされていたのであれば、なぜ、その日本経済団体連合会なりあるいはレコード協会なりという組織あるいは団体を特定してお書きにならなかったのか、その理由をお聞かせください。
○河村国務大臣 なぜと言われてもあれですが、これは、関係団体は当然あるわけでございまして、ここで知財計画において考えた場合に、いわゆる社団法人日本レコード協会、社団法人日本経済団体連合会、さらに、広く、実演家や作家、著作者全体を含めたこれで網羅されているというふうに考えたわけであります。
○川内委員 いや、私がお尋ねしたのは、関係者について特定をされていたのであれば、そのように書かれた方が誤解がなかったのにということを申し上げているんですね。
 先ほど肥田議員の質問にもございましたけれども、実は、この関係者というのは、著作権に関するいろいろな関係者間協議というのは従前から行われてきていて、その関係者というのは、希望をすれば、その権利に対して意見のある組織、団体はだれでもが自由に入れたはずである。しかし、このレコード輸入権あるいはレコードの還流によるみなし侵害規定においては、どうしても関係者を特定して話を進めなければならない事情があったからルールを変更したわけですよ。
 前の著作権課長である某氏は、もう前の著作権課長と言っちゃいましたから、岡本さんという方が著作権に関する御本を出されていますが、自分が著作権課長のときはだれでもこの関係者に入れたということをいろいろなところで、これは講演でお話をされて講演録もございます。だれでもが入れたんだ、それがルールなんだと。
 しかし、今回の還流防止措置については、なぜか意見を述べたい人が意見がありますと言っても聞いてもらえなかった、関係者に入れてもらえなかった。それはなぜか。関係者間協議のルールがこのレコードの還流防止措置については変わったんですか。
○河村国務大臣 これは、その方向がこのことだけ特定してやったということではないと承知しておりまして、関係者間で合意形成が進められている事項の中には、いろいろな課題に対してどういう団体が主体としてかかわったかということは、これは公表されておるはずでありまして、多数の団体がこれに関与してこられたと思っています。
○川内委員 まさしく大臣がおっしゃるとおりで、多数の団体がいろいろな論点について関係者間協議を積み重ねてきているわけですよ。
 今までのルールは、希望をすればだれでもが、だれでもがというか、どのような組織あるいは団体であろうが、希望をすればその関係者間協議に参加して意見を述べることができるというのがルールであったというふうに、昨年の著作権法の改正まではそういうルールで行われていた。そこで協議が調ったものが国会に法案として提出をされるというふうにルールづくられていた。非常に民主的です。一億総クリエーター、一億総ユーザーの時代の中にあって、大臣も御答弁の中でおっしゃっていらっしゃいます、いろいろな権利関係が、いろいろな利害がふくそうするこの著作権の世界の中で、意見を言いたい人はだれでもが参加をして、そしてみんなが納得をしたものだけが法律になる。
 しかし、今回のレコードの還流防止措置については意見を言いたいという人がなぜか外された、排除されたという事実があったということを、大臣、それではお認めになられますか。
○河村国務大臣 私は、そういう話は聞いておりませんで、多くの団体がこの法案に至るまでにいろいろな形でかかわってこられた。それこそ、貸し本の場合には漫画家の皆さんも随分来られたし、いろいろな方々が関係して来られたので、もし意見がどうしても聞いてもらえなかったという団体が、どういう団体があるかわかりませんが、重立った団体はこの中で御意見を言い、協議に参加された、私はそのように理解をしております。
○川内委員 それでは、大臣、私もこれ以上質問が続けられなくなります。
 関係者というのは、すべて意見を言いたい方が参加をできて、そして、関係者間協議で合意が調ったものが審議会にかけられ、国会にかけられ、法改正が成立をするというのが去年までの著作権法改正のルールです。それが、今回の還流防止措置については、関係者間協議に入れてくれ、意見を言いたいという団体があるいは組織が排除をされたという事実があります。そのことを認めないとおっしゃるのであれば、それは事実を認めないということであれば、そういう事実があったわけですから、それを認めないというのであれば、これ以上質問は続けられないです。
○河村国務大臣 いや、その事実があった、なかったと言われても、私は、認めるも認めないも、認めるものがないんですから、今私の口からそれを認める認めないということを言える立場に、立場というか、言えないわけでして、川内さん、どういう団体がどういうふうに言ってそれが拒否されたのか、今まではちゃんとやっていたのに急に除外された、こういうお話ですが、私はそういうことは承知しておりませんから、認めるも認めないも、これは言いようがないじゃないですか。
○川内委員 こういうことは後ろの人に聞いてもらえばすぐわかるんじゃないんですか、これは事実なんですから。
○河村国務大臣 いや、具体的にそういうことがあれば私の耳にも何らかの形でルートを通ってくるはずですが、そういうことを私は全然聞いていませんし、今聞く限りにおいては、ここに、これをお持ちかどうかわかりませんが、各団体名がずらっと書いてあります。かなり広範な団体が入っていますが、その中に落ちている団体があった、こういうことでしょうか。
○川内委員 もう質問できないです。
○池坊委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○池坊委員長 速記を起こしてください。
 続行いたします。川内博史君の質問に対し、河村大臣、お答えいただきたいと思います。
○河村国務大臣 川内先生、何も出さなくてこれを認めろと言って、空気を認めるような話をされても困るので、どの段階でどういうことがあったのかおっしゃっていただかないと、答えようがないじゃないですか。
○川内委員 具体的には、消費者団体あるいは日本生協連、要するに、消費者の利益あるいは音楽ファンの利益を代表する方たちが、このレコード輸入権の、還流防止措置の権利の創設については問題があるんじゃないですかということで、関係者間協議に加えてくれという要望があったはずであります。そのことを文化庁は拒絶をされた事実があったはずであります。そのことをお認めになられますねということを聞いているんです。
○河村国務大臣 私が今聞いた範囲では、これは審議会が始まった後でいろいろな意見があったということは聞いておりますが、聞いておりますというか、そういうことだろうと思います。
 このことをやらなきゃいけない、それで審議会をスタートした、そして意見が始まったという段階で各団体はずっと加わっていただいておりますし、消費者団体につきましても、たしか意見聴取等もしたはずでありますが、もう一つ、その事実があったと言われますが、どの段階でどういう形で申し込んで、どういう形で拒否したのか、これをちょっと明確にしていただきませんと、私としても答えようがないんですが。
○川内委員 明確にするのは、文化庁さんの側で、あるいは文部科学省さんの側で明確にされるべきことで、いついつこういうふうに申し出があったが拒絶したということを明確に御答弁されればいいんじゃないですか。余りにも、ちょっと事務局は、大臣に余り恥ずかしい答弁をさせちゃだめですよ。
 関係者間の合意が調ったのは十一月、こういう権利創設についてどう思うかと消費者団体に聞いたのは七月、四カ月も関係者間の合意が調うまで時間があるじゃないですか。その間に、関係者に入れてくれと何回も言われたはずです。それを理由もなく拒絶をしたのはどうしてなんですか、拒絶をした事実があるでしょうということを聞いているんです。
○河村国務大臣 ちょっとこれも断片的な答弁になって申しわけないんですが、十一月の段階で審議会でそういう意見が述べられたというのが、今私が仕入れた答えなんですけれどもね。
○川内委員 内々に話を聞いて、関係者間の協議に入れてくれと言っても入れてくれないから、文化審議会あるいは法制問題小委員会でせめて意見を述べたというのが真実でありまして、関係者間協議に入れてくれと何回も頼んだ、しかし拒絶をされたと。
 この問題についてはまたこれから、来週、何日でもかけてやらせていただきたいというふうに思います。
 とにかく、今回のこの還流防止措置は、大臣、再販価格の維持制度で国内的に保護されて、そしてまた、今回この還流防止措置を設けることによって国際的に保護される、二重の保護を受ける国なんというのは日本しかないわけですから、こんな法律をつくってしまえば。音楽CDについて全く価格競争が働かない、そういう国になってしまうということを意味するわけです。
 しかも、競争が働かなくても、いい音楽が安く聞けるのならまだしも、日本の音楽CDは世界一高いわけです。それがさらに高くなってしまうかもしれないし、そして好きな洋楽が聞けなくなってしまうかもしれない、その懸念は、きょう一日の質疑で全く払拭されていない、どこにも担保もないという状況でありますから、この法律については、私どもも、音楽ファンの期待を裏切ることのないようにしっかりと審議をしなければならないと思いますし、お互いに責任を持たなければならないということを申し上げて、また来週に譲らせていただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
○池坊委員長 次回は、来る六月一日火曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時八分散会