第162回国会 厚生労働委員会 第15号
平成十七年四月十二日(火曜日)
    午前九時十分開議
 出席委員
   委員長 鴨下 一郎君
   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君
   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君
   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君
   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君
      青山  丘君    井上 信治君
      石崎  岳君    上川 陽子君
      木村 義雄君    小西  理君
      河野 太郎君    菅原 一秀君
      中山 泰秀君    原田 令嗣君
      福井  照君    三ッ林隆志君
      御法川信英君    宮腰 光寛君
      森岡 正宏君    山際大志郎君
      吉野 正芳君    石毛えい子君
      泉  健太君    泉  房穂君
      内山  晃君    大島  敦君
      岡本 充功君    小林千代美君
      城島 正光君    園田 康博君
      本多 平直君    水島 広子君
      横路 孝弘君    米澤  隆君
      石田 祝稔君    高木美智代君
      古屋 範子君    桝屋 敬悟君
      塩川 鉄也君    山口 富男君
      阿部 知子君
    …………………………………
   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君
   参考人
   (全国町村会長)     山本 文男君
   参考人
   (社団法人日本経済団体連合会専務理事)      矢野 弘典君
   参考人
   (社団法人日本医師会常任理事)          野中  博君
   参考人
   (日本労働組合総連合会生活福祉局長)       小島  茂君
   参考人
   (全国介護支援専門員連絡協議会会長)       木村 隆次君
   参考人
   (中央社会保障推進協議会事務局次長)       相野谷安孝君
   参考人
   (全国老人福祉施設協議会副会長)         中田  清君
   参考人
   (公立みつぎ総合病院病院事業管理者)       山口  昇君
   参考人
   (財団法人全国老人クラブ連合会副会長)      見坊 和雄君
   参考人
   (城西国際大学福祉総合学部福祉経営学科教授)   服部万里子君
   参考人
   (介護の社会化を進める一万人市民委員会政策委員) 池田 省三君
   参考人
   (労働者住民医療機関連絡会議介護保障担当幹事)  池尻 成二君
   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十二日
 辞任         補欠選任
  渡辺 具能君     山際大志郎君
  中根 康浩君     岡本 充功君
  橋本 清仁君     本多 平直君
  高木美智代君     石田 祝稔君
  山口 富男君     塩川 鉄也君
同日
 辞任         補欠選任
  山際大志郎君     渡辺 具能君
  岡本 充功君     中根 康浩君
  本多 平直君     橋本 清仁君
  石田 祝稔君     高木美智代君
  塩川 鉄也君     山口 富男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
     ――――◇―――――
○鴨下委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、介護保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、午前の参考人として、全国町村会長山本文男君、社団法人日本経済団体連合会専務理事矢野弘典君、社団法人日本医師会常任理事野中博君、日本労働組合総連合会生活福祉局長小島茂君、全国介護支援専門員連絡協議会会長木村隆次君、中央社会保障推進協議会事務局次長相野谷安孝君、以上六名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際は委員長の許可を受けることとなっております。また、参考人は委員に対して質疑することはできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず山本参考人にお願いをいたします。
○山本参考人 ただいま御指名をいただきました全国町村会長の山本でございます。
 私は、福岡県の添田の町の町長でございます。なおまた、介護保険に関しましては、福岡県で介護保険の広域連合を組織しております、その連合長を務めさせていただいております。
 広域連合で介護保険を運営しているのは、我が福岡県の広域連合が一番大きいと思います。しかし、最近は市町村合併が進行してまいりましたので、当初は七十二の市町村でこれを組織しておりましたけれども、だんだん合併が進行してまいりましてその数が少し少なくなってまいりましたが、それでもまだ百万人ぐらいの人口対象の広域連合で運営をさせていただいております。
 平素、委員の先生方には、私ども町村の行政に格別な御支援をいただいておりますことに対してお礼を申し上げ、なおまた、きょうのこの機会を与えていただきまして、本当にありがとうございました。お礼を申し上げてから、私の意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず最初でございますけれども、介護保険制度が導入されましてから五年が経過をいたしました。このことはもう御承知のとおりでございますが、私は、この介護保険制度をつくるときに反対しました。
 なぜ反対をしたかといいますと、ちょうど国民健康保険がだんだん運営上財政破綻が来つつある時期でございましたので、これ以上新たに国民に負担をかけるということになると、運営の面で大きな支障を来すに違いない。どうせこういう制度を設けるならば、市町村単位が保険者になるべきでなくて、広い範囲での保険者をつくるべきである。ですから、できれば県単位ぐらいで保険者にするならば、運営がうまくいくかもしれない。
 そういう点と、それから、この発足時は、二百五十万ぐらいの人たち、あるいは二百万をわずかに超えるぐらいの介護対象者だろう、こういうようなことも言われておりましたが、これは今の高齢化時代にだんだん入っていっておりましたので、恐らく将来は多くの高齢者になってくるだろうと。今はもう二千五百万人が高齢者になっておることは御承知のとおりです。
 ですから、それらを見越して、恐らく何年もたたないうちに保険料がアップされ、それから介護費用が大幅に増嵩するだろう、そういうように私たちは思いましたので、できれば、これはこういう制度でなくて、将来の持続性の高い制度をつくることが望ましいということで反対をしてまいりましたけれども、導入されましたので、導入された以上は、一生懸命に頑張ってこの法律の趣旨に沿うべきである、そういうふうに考えました。
 したがって、さっき申し上げましたように、単一の市町村で実施をすることは厳しい局面がすぐ来るだろう、こう思いまして、私は福岡県内をずっと回りまして、広域連合をつくることにいたしました。幸い、私どもの福岡県では九十七の市町村がございますが、七十二の市町村が賛同していただきまして、発足をさせていただきました。おかげさまで、広域連合でそれなりの高い成果を上げて、今日まで運営をしているところでございます。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、どんどん高齢化社会が拡大をしていきましたので、最初から他の市町村に比べて保険料が少し高いということで、全国平均が三千三百円のときに、私どものところは四千円近い保険料で実施をしてまいりました。しかし、それでもこの七十二の市町村の皆さんたちは不平も言わずに、これは広域でやるんだから、高いところもあれば安いところもある、しかしそれはみんなで扶助の精神で頑張ろうということで今日に至っているところでございますが、おかげさまで、成果を言うならば、私どもの広域連合はそれなりの成果を上げてきた、私はそういうふうに思っているところでございます。
 さて、私どもの広域連合でございますけれども、広域連合で取り組んでおります成果を上げてきている例を一つ二つ挙げますと、まず、調査権が私ども保険者にはありません。だから、施設に入って調査をしたり、それから本当に適正、的確に介護が行われているかという調査もできませんけれども、できるだけ要介護者の皆さんに対して文書で、あなたはこういう介護を受けましたかというようなことで、あるいはまた、こういう制度になっておりますが、あるいはこういうことで改正をしておりますからというような内容を詳しく書いて、皆さんたちにお知らせをしておりますと、必ず返ってくるんです。私はそういうふうに決まっているのを知りませんで、こういう結果になっておりますということが返ってきますので、そうしますと、そこで、なるほど、これは事業者の方が余り上手にやっていないなというのがわかります。
 最近でございますけれども、全く介護をしておらないで費用だけちゃんといただくような事業所がございまして、調査の結果それが判明いたしましたので、指定を取り消すことになりました。こういうふうにして、一つでも不正で受給しておりますと、一カ所で大体一億五千万から、多いところでは三億ぐらいの不正受給をしているのが表面に出てきます。ですから、広域連合でやっておりますと、それらを言うならば発見をしたり摘発をしたりすることが容易にできてまいりました。したがって、それなりの効果を上げて、公平公正な介護保険の運営をすることができる、そういうふうに思っておるところでございます。
 なおまた、私どもの広域連合は、先ほど申し上げましたように、七十二の市町村で発足いたしましたが、現在は少し数も減ってまいりましたけれども、保険料は、先ほど申し上げましたように少し全国平均に比べると高うございました、最初は四千円弱でございましたが、今現在は四千四百円平均でございます。そうしますと、北から南というように広範囲にわたって広域連合に加入しておりますので、非常に介護費用の少ないところと、それから介護費用の多いところがございまして、したがって、介護費用をたくさん使っているところも同じ保険料、それから少なくしか使っておらないところも同じ保険料、その格差が、安いところと高いところで何と二・六倍になりました。
 したがって、これではこれからも皆さんたちが満足して広域連合の運営に協力をしていただけないだろう、そういうふうに考えまして、保険料を三段階のブロック別に分けることにいたしました。平均で四千四百円になりますが、それでも皆さんたちは少しの不満がありましたけれども、この三段階に分けることによって、皆さんたちの納得をいただいて現在運営をしているという状況でございます。
 すなわち、広域連合というのは全部が平等でなければならないわけですけれども、簡単には平等にすることはできません。しかし、納得のいくやり方をすれば、皆さんたちは不平等であってもお互いに協力し合う、こういうふうにしてできるものだと思っているところでございます。
 さて、私どもが常日ごろからこういうふうにしてほしいということなどをお願いしてまいったんですけれども、今回の改正でできるだけ矛盾点については改正をしてほしいということでお願いをしておりました。
 例えば、申請はだれがしてもいい制度に今はなっておりますが、だから、知らないうちに要介護認定の申請をされたりしている、そういう実例がございます。そういうことをなくすためにも、申請については、代理申請はできるだけ厳密にやった方がいいということなどもお願い申し上げました。ですから、それらについても今回は改正をしていただくことになる。
 それから、一番大事なことは入り口でございまして、この入り口というのは調査です。調査員の皆さんたちが的確に、適正に、公平に調査をすることが必要でございます。この調査についても、公的な法人などをこしらえてそこへ委託をしていくというやり方をする方がいいだろうということでお願いをしておるところでございます。
 その次は、審査会で、審査で決定をされました介護度に対して、これをマネジメントするのはケアマネジャーがするんですが、ケアマネジャーが残念ながら今全部事業所に所属をしております。ですから、言葉が悪うございますけれども、平等な、公平なケアマネジメントができるかという心配がございます。
 できるならば、ケアマネジャーというのは、私どもが主張しているのは、調査員と同じように、公法人をつくって、そこでマネジメントをするための調査を行ってケアマネジャーが働いていくというやり方をすべきである、そういうこともお願いをしておりました。今回の改正の中に入れていただいていると思いますが、これはどんなことがあってもそういうふうにやっていただかないと、公平公正なマネジメントができない。それが同じ度数であっても高い費用のものと安い費用のものがございますから、したがって、高い費用で全部マネジメントされますと介護費用は高くなってくることは御承知のとおりであります。ですから、言うならば、公平公正なマネジメントをしていただくためには、事業所に所属をしない公正中立な立場からマネジメントをするようにケアマネジャーはあるべきである、そういうふうに思います。それらの改正もお願いをしていると思います。
 なおまた、現行法では私ども保険者は調査権がありません。それを、調査権を与えてほしいという要望を私どもはずっとしてまいりましたけれども、おかげさまで今回調査権ができるようになると私は思いますので、ぜひひとつ御判断をいただきたいと思います。さっき申し上げましたように、不正な業者がいた場合の摘発をするのは、県しかできません。県は直接いろいろなことをやっているわけじゃありません。市町村が保険者としてすべての介護保険の運営を行っております。県はどちらかというとその枠の外にいて見ているというような感じでございますので、できればこの調査権は市町村、保険者が持つべきである、そういうふうに思っているところでございます。これについても恐らく改正の要点として出していただいていると思います。
 さらに、その次は施設の許認可権でございますけれども、これは全部県が持っておりまして、市町村は持っておりません。
 特に、私は常々申し上げておるんですけれども、グループホームなんというのは非常にたくさんできました。必要だからできたとは思いますけれども、そのときに、いつこのグループホームができたかは私ども保険者である市町村は知りません。したがって、私どもの広域連合ももちろん知らないわけです。ところが、いつの間にやらグループホームができているんです。これも、県に認可権がございますので、県の方で認可をしてしまう。
 私のところで、実例ですが、ある人がグループホームをつくるということで申請をされたそうですけれども、私が適当でない、要らない、県にこういう意見を具申いたしましたところが、県の方から、それは取り消してほしい、こういうことでございましたけれども、取り消すことはしない、後の判断は県の方でやってほしい、こういうことで対立のまま、結局グループホームができました。
 費用は県が払うんじゃありません。そのグループホームがその市町村に所在すれば市町村が費用負担をすることになるわけですから、費用負担する者がそれらの許認可権がないというのもおかしい。したがって、グループホームやその他の施設の許認可についても、私は、保険者に与えるべきであるという主張をしてまいりました。
 今回は若干の改正をお願いしているようでございますけれども、言うならば、市町村の意見を重視した許認可を行使するようにしてほしいというふうに思っているところでございます。そういうことを今回の法改正の中に入れていただいていると思いますので、ぜひともひとつよろしく御判断をいただきまして、御承認をいただきますようお願い申し上げておきたいと思います。
 また、将来の介護保険のことを考えていきますと、したがって、こういうことが言えると思います。
 今のままの介護保険制度は、四十歳以上から六十五歳未満の人たちが二号保険として保険料を払っていただいております。だから、この二号保険の皆さんたちの中から、我々は保険料を納めるだけで何も返ってこないじゃないかという意見が多数あることは私どもも十分承知をしておりますし、あるいはまた、六十五歳以上の人たちでも健康な人は、何でこの高い保険料を払うのかというような意見もございます。しかし、最近では、だんだん高齢者の皆さんたちは介護保険に対して理解が高まってまいっておりますから、これはいつかは自分の身に来るんだということで、高齢者の方は介護保険制度の持続性を願っている、そういう感じが非常に高くなってまいりました。ところが、二号保険の方は、まだまだそういう徹底した理解までは至っていないというところがございます。
 したがって、介護保険制度を、今のままで一体いいのかということは当然だれもが考えることでございまして、できれば、おぎゃあと生まれた零歳から全部介護の対象にして、被保険者の人たち、いわゆる保険料を払う人たちは、二十歳からというとちょっと無理がございますので、二十五歳以上の人たちが全部保険料を払うようにすることによって、私は、言うなら抱えている不平、不満を解消することができるのではないかという主張をしておりますが、残念ながら、業界の方や市長会の方はまだまだそこまで達しておりません。
 私どもとしては、できれば介護対象者は零歳からやるべきであると思っておりますし、そうしますと、私どもの立場からいきますと、障害者であろうと介護を受ける要介護者であろうと、あるいはそのほか社会的な言うならば損失を受けている人たちに対しても、同じように平等に扱っていく、平等に援護をしていく、平等に支援をしていくということは私どもの仕事であると思います。そういう意味で、介護保険はこれ、あるいは障害者の金はこうだというような分類をするということそのものがおかしいではないかというふうに思いますのと、我々としては非常に使いにくいやり方であると思います。
 ですから、今申し上げましたように、介護に全部吸収してしまえ、要するに、零歳までの人たち、おぎゃあと生まれてから全部介護の対象者にすれば、そういった区別をすることなく援護をすることができるんじゃないか、そういうふうに思っておりますので、私はそういう提唱をしているところでございます。大変難しいとは思いますけれども、いつかはその日が必ず来ると思います。来ると思いますので、それらを含めてぜひひとつ御検討いただければと思っているところでございます。
 なおまた、現在の状況から考えていきますと、もう一つ大事なことは、介護の予防でございます。
 今、零度から五度までの分類をしておりますが、零度の人たちが車いすを借りて乗って、そしてそれを使っているということは、みずから自分の体をだんだん悪くすることになるんです。もちろん、足の悪い、どうしても歩けないという人は仕方がありませんが、零度や一度の人たちが介護を受けること自体がおかしい。これはもう予防の範囲内である。したがって、介護予防として筋トレ、筋肉トレーニングをやることによって、介護を受けなくても済む、言うならば社会で十分活動ができるようになる。だから、甘えた考えで、零度、一度を対象にして介護をやるというのは、私は、この際やめるべきである、そういうように主張しているところでございます。
 できれば、そういう人たち、あるいはそれに近い人たちをすべて集めて、それぞれの市町村が、介護予防のためにトレーニングを公に、市町村として実施をするということによって、私は、介護を受ける人たちが少なくなってくる、言うならば皆さんが自立をしていくことになる、そういうように思っておりますので、そういう点についても御配慮いただければと思っているところでございます。
 なおまた、これからの費用でございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在、二千五百万人、高齢者の人がおられますけれども、二〇一五年には三千三百万人になることはもうわかり切っております。したがって、今の一人当たりの単価は二十七万円でございますので、皆さんたちのこの二十七万円がずっと続いていくわけではありません。ずっと上がっていきます。言いかえると、今年度の介護費用は六兆八千億でございますけれども、これがどんどんまた増嵩していくことだけは間違いがない、こういうことでございますので、これの持続性を高めていくためには、こういうふうに増嵩していく費用に対してどう考えていくかということが必要ではないでしょうか。
 そういうことで、さっき申し上げたように、介護を受けないように皆さんがなることが一番大事です。そのためには、さっき申し上げたような介護予防を強力に進めていくことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
 ところが、一つ矛盾点がございまして、養護老人ホームや施設に入っている人は、食事も生活のいろいろな便利もそこで与えられますが、在宅で介護を受ける皆さんはそれがありません。言うならば、在宅で介護を受ける人と、同じ度数であって施設に入っている人とは、大きな差が、負担が違います。だから、これらを平等にするようなやり方をすることが必要だと思います。家におるときと同じような費用負担を施設に入っていてもすべきであるというふうに思いますので、それらの改正もやるべきではないかと思います。
 ただ、低所得者の皆さんたちに対しては、さきの一部改正で従来どおりの援護をすることになっておりますから、低所得者の皆さんたちについては五年区切りで支援をするようになっておりますので、恐らく前回の一部改正についても御審議をいただいたかと思いますが、そういうふうにやっていただければ、うちにおっても施設に入っていても同じであるというようなあり方が大変大事だというふうに思いますので、それらについても十分御検討をいただければと思っているところでございます。
 以上、もろもろ申し上げましたけれども、要するに、これからの我が国は、介護保険というのを頭の中に入れて考えますと、超高齢化社会が十年後には当然生まれてきます。だから、これを防止することはできませんが、したがって、二十年後を考えて、改めてこの介護保険制度について十分な考えをすることが必要だと思いますので、私どもがお願いを申し上げておりますもろもろの点について、ぜひともひとつよろしく御審議をいただきまして、保険者が喜んで運営ができるようないい制度に改正をしてくださることをお願い申し上げまして、少し長話になって恐縮でございましたけれども、私の意見を以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○鴨下委員長 ありがとうございました。
 次に、矢野参考人にお願いいたします。
○矢野参考人 おはようございます。御紹介いただきました日本経団連の矢野でございます。
 諸先生におかれましては、日ごろの日本経団連の活動に対しまして御理解、御支援をいただいておりますことを、この場をおかりしてお礼申し上げたいと思います。また、きょうはこうした機会をちょうだいいたしまして大変ありがたく思っております。
 本日は、介護保険法の改正法案に関しまして、企業、事業主の立場から発言をさせていただきたいと思っております。
 まず初めに申し上げたいことは、現役世代や企業の社会保障負担は限界に近づきつつあるということでございます。
 社会保障制度は、相互の支援によって国民の幸福の実現を目指すものでございまして、制度の持続可能性を確保することが最も重要な課題であります。したがいまして、社会保障の負担を抑制し国民の経済活力の向上という課題を両立させるためには、潜在的国民負担率が将来にわたり最高でも五〇%程度におさまるようにして、国民一人一人の自助努力を基礎とする社会が実現できるように社会保障制度の一体的改革の姿を描く必要があると考えております。税制、財政も含めた総合的な改革によりまして、国民の税、保険料負担の増加及び将来への負担転嫁に歯どめをかけなければならないと思います。
 このことは、日本経団連の従来からの主張でございまして、経済財政諮問会議や社会保障の在り方に関する懇談会でも繰り返し申し述べているところでございます。今般、議会におかれましても両院合同会議が設置されましたことを高く評価したいと思います。決議の中にもありますとおり、「国民の信頼と安心を確保するための改革を実現することが政治の責任である。」とございますが、ぜひ実りある論議を尽くしていただいて、国民的な議論を呼び起こすものとなってほしいというふうに期待いたしております。
 日本経団連では、昨年、介護保険制度改革について報告書を取りまとめ、公表いたしました。その中で、私どもは、五年前にできたこの制度が大変高く評価できるいい制度であったというふうに思っているわけでございます。幾つかその中身を繰り返しますと、一つは、認定制度やケアマネジメントなどの仕組みを導入することによりまして、運用の公平化、適正化が図れる設計になっていることでございます。二つ目は、在宅サービスの利用に当たりましては要介護度別に支給限度額が設定されておりまして、また、施設サービスの利用に当たっては要介護度別に定額給付されているなど、給付費の上限が設定されている点であります。三つ目は、高齢者も保険料を負担する、すなわち支え手側に立ったということでございます。
 こうした新しい内容を盛り込んだこの制度が今後とも長期的に維持されるためにはどうしたらいいのか、これが今日私どもが直面している課題ではないかと思っております。私どもは、加齢に伴う要介護状態の改善という制度創設の趣旨を堅持いたしまして、次のような考え方に基づいて進めるべきであると考えます。
 三点ございまして、一つは、真に必要な人へ適切な給付を重点化するということでございます。二つ目は、負担の公平、公正及び納得性を確保するということでございます。三つ目は、保険者、被保険者双方に効率化を促す制度になるということが視点として大事であると思います。
 こうした基本的な考え方に立って今回の改正法案を見てみますと、毎年一〇%で増大する介護給付費を適正化し、介護保険制度の持続可能性を高めることを目的にして、幾つかの点で新機軸が打ち出されているというふうに思います。
 一つは、新予防給付の創設など、給付内容を効率化、重点化する点であります。二つ目は、施設入所者における食費、居住費を自己負担化するという点であります。三つ目は、申請代行や認定調査の改善及びケアマネジャー資格の更新制など大幅な見直しが盛り込まれておる点であります。このように、評価できる点がこの法案の中にあると思っております。
 しかしながら、一方で、懸念される事項や残された検討課題もございますので、それについて幾つか意見を申し述べたいと思います。三点にまとめて申し上げます。
 第一点は、被保険者及び受給者の範囲についてでございます。
 制度創設以来の最大の論点でありました被保険者、受給者の範囲拡大につきましては、附則に検討規定が置かれまして、社会保障制度の一体的改革の中で検討を進め、その可否について結論を得るということになっております。日本経団連では、納得感のある負担方式にすることを基本に、第二号被保険者の年齢基準を引き下げることについては、若年者の理解が得られないなどの理由で、極めて慎重であるべきだという立場をとっております。基本形として、四十歳以上の子供の世代が六十五歳以上の親の世代を介護する、この形を崩してはならないというふうに思っております。
 社会保障負担の余力の少ない二十歳代や三十歳代の世代は、高齢者介護の問題に直面する状況が少ない、また、本人自身が給付サービスを受ける可能性が少ないということが理由でありまして、場合によりましては保険料の未納、滞納問題が生ずるなど、制度の公正さを損なうことになりかねないと思っております。
 また、事業主からいたしますと、年金負担が毎年増加していくことに加えて、毎年介護保険料負担も増加していくということになりますと、これが過度になりますと国際競争力をそぎ、雇用への悪影響が懸念されるわけでございます。
 社会保険の対象者を拡大するかどうかにつきましては、国民に対して公平性、納得性の観点から負担と給付との関係を明らかにして理解を得ることが不可欠であります。国民の理解、合意を得ずして強制加入という性格を有する社会保険の実施を検討するということについては同意できません。
 なお、社会保障制度の一体的改革の中で検討する際には、税、社会保険料負担全体のあり方、それから医療も含めた給付適正化の中期目標の設定、そして給付率の見直しなど、残された検討課題とともに議論すべきであると思います。
 二つ目は、介護予防についてでございます。
 新予防給付は、現行の要支援や要介護度一の軽度者につきまして状態の維持または改善可能性を追加審査して、対象者に該当すれば介護給付と異なる新たな予防給付を提供するものとして創設されております。
 厚生労働省の調査によりますと、軽度者が介護サービスを利用することで、必ずしも要支援状態、要介護状態が改善していない、むしろ重度化しているという結果が出ております。軽度者の場合、生活機能あるいは能力の回復や心身の状態の改善に役立つ介護サービスに重点化すべきであると考えていますので、介護予防制度の創設には賛成でございます。
 サービスメニューについて申し上げれば、専門家による検討結果を踏まえるということでございますけれども、例えば、筋力向上トレーニングや栄養改善指導など新たに組み込まれるサービスにつきましては、利用者の自発性や行動の継続性を促す配慮が必要であると思います。また、既存のサービスにつきましては、生活機能の維持向上の観点から、サービス内容や提供の仕方、期間などを見直す必要があると思います。調理、洗濯、掃除などの生活援助型の訪問介護、ホームヘルプサービスと言われているものでございますが、これについては制限をすべきであるというふうに思います。
 新予防給付につきましても、利用者の同意を得てケアプランに基づき提供されるわけでありますので、効果が上がらないなど必要な場合に見直すことになるのは当然であると思います。
 さらに、法律事項ではありませんが、新予防給付の創設趣旨を踏まえれば、支給限度額や報酬単価を見直すこと、あるいは財政効果を慎重に見ることなどが必要になると思います。
 次に、介護予防の両輪とされる地域支援事業につきましては、引き続き公費を財源とする市町村事業として実施すべきであり、安易に二号保険料を充てることについては賛成できません。また、予防効果及び財政効果を検証する仕組みが制度内に必要でありまして、仮に効果が上がらないことが検証された場合には事業の停止を講ずるべきであります。
 介護予防マネジメントを担う地域包括支援センターにつきましては、既存の在宅介護支援センターの改組など、地域の社会的資源を有効に活用することが求められます。
 最後の三つ目でございますが、これは第二号被保険者の保険料上限の設定についてでございます。
 現行の第二号被保険者の保険料は、毎年厚生労働大臣が告示する第二号被保険者一人当たり負担見込額、これをもとに各医療保険者が計算して決定しております。つまり、言いかえますと、介護給付費の増加によりまして自動的に保険料が引き上げられる仕組みになっておるわけでございます。負担の公平公正の観点から見直しが必要であるというふうに思います。
 見直しの一つは、第二号被保険者の保険料につきまして負担の上限を法定するという方法があると思います。具体的な数字は社会保障制度の一体的改革の中で決定すべきものと考えます。
 もう一つの考え方は、負担見込み額を決定するに当たっては組合健保、政管健保などの医療保険者が関与していない、こういう状況にありますので、これについては、少なくとも医療保険者が関与する仕組みを今回の制度改革の中で実現すべきであるというふうに思っております。
 以上をもちまして、意見の陳述を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕
○宮澤委員長代理 ありがとうございました。
 次に、野中参考人にお願いいたします。
○野中参考人 御紹介いただきました日本医師会の野中でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、こういう機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
 私は、昭和四十七年に医者になり、そして東京の浅草というところで昭和六十年から開業して、在宅医療あるいは特別養護老人ホームの配置医師などを現場で経験しておりまして、その中で現在医師会活動をして、その中での経験を交えて、きょう少し日本医師会としての考え方をお話ししたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 介護保険制度は、御承知のように、保健、医療、福祉の連携によって、人がやむなく疾病や障害を抱え介護や社会的支援を必要とするときに、その人の能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように、さらに、人間としての尊厳が尊重され、住みなれた地域で家族や地域の人々とともに暮らし続けることの実現を目的としております。この目的の実現のためには、多くの課題の中、特に徹底したケアマネジメント、そして適切な医療提供体制の構築、在宅生活に対する基盤整備が重要であることを日本医師会としては主張させていただきたいと思います。
 まず、徹底したケアマネジメントでございますが、厚生労働省あるいは高齢者リハビリテーション研究会の報告書におきましても、やはり高齢者においては脳血管疾患、あるいは後期高齢者では転倒骨折、あるいは、さまざまな予防あるいは早期リハビリテーションが必要だという重要性を報告しておりますのは御承知だと思います。
 また、私ども日本医師会の総合政策研究機構の調査からも、介護サービスの受給者の約四割以上を占める要支援、要介護一、二においては、特に起居動作や歩行機能の低下が見られること、さらに下肢機能の低下により介護度が重度化しやすいこと、またこれらの対象者に提供された介護サービスが訪問介護、通所介護、福祉用具貸与などが中心になることが報告してございますのは皆さん御承知だと思いますし、先日から委員会の中でも私どもの日本医師会の総合政策研究機構の報告が盛んに議論されていることは私たちも承知しております。
 さらに、現場におきましては、本来、介護サービス計画、いわゆるケアプランは介護支援専門員や医師を初めとするさまざまな職種がサービス担当者会議において検討し作成される規定にもかかわらず、現状ではこの行程が適切に実行されていない。これらが要介護度の改善に結びつかない大きな要因として私どもは判断しております。
 介護保険が従来から目的としている要介護度の進展予防には、これらの行程を十分理解した徹底したケアマネジメントが必要不可欠と私たちは認識しておりますし、これは実は介護支援専門員を責めているのではなくて、我々医療関係者あるいはすべての関係者がもう一回原点に戻ることが必要だということを訴えているわけでございます。
 また、私ども日本医師会としましては、昨年の十一月に高齢者医療と介護における地区医師会の取り組み指針を地区に提案しまして、その中では、徹底した介護予防あるいは徹底したケアマネジメントに取り組むように地区医師会に指針を提出したところでございますし、今後、日本医師会の地区医師会の取り組みに御期待をいただきたいと思います。
 今回提案されている介護予防、すなわち新予防給付においても、適切なケアマネジメントなくしてはその効果はないと思っております。今回の介護予防を提案する基礎となっています介護予防市町村モデル事業の報告におきましては、運動機能の改善のみで、対象者のどのようなニーズを実現したかを表現するケアマネジメントに関する報告は皆無でございまして、本来の介護予防に全く参考になるとは私どもは思っておりません。適切なケアマネジメントが提供されれば、例えば閉じこもりの予防あるいは地域参加、そして最終的には新たな町づくりを実現する視点等による施策が必要だと私たちは思っております。
 また、認知症高齢者、いわゆる痴呆高齢者に対する処遇におきましても、家族による認知症症状の早期発見並びにかかりつけ医への相談、そして専門医との連携体制の実現が重要であります。さらに、認知症高齢者の在宅や施設における生活あるいはグループホームの利用においても、前述の行程を理解した徹底したケアマネジメントに基づく介護サービス計画立案とその実行が重要であると私どもは考えております。ぜひその点を御理解いただきたいと思います。
 続きまして、私どもの最も大切な適切な医療提供体制の構築の話でございますが、要介護の状態になっても、在宅、施設のどちらにおいても、日ごろの健康管理と同様に病状の急変に対する適切な医療の提供体制構築は重要な課題であります。
 介護保険制度には、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設の三施設があります。おのおのの施設はそれぞれ異なった機能、役割が設定されているのは御承知だと思いますが、利用者の状態に応じ適切な施設への移動が前提の上にこの制度が構築されております。しかしながら、現状ではこの施設間の移動が困難でありまして、適切な医療の確保がかなわないという現状がございます。現場に携わる多くの医師からも、これら介護保険施設入院、入所における医療提供体制については、制度間の整合性を理由に必要な医療へのアクセスが阻害されるなどの苦情が多く聞かれております。
 今後は、従来のかかりつけ医との連携の仕組みや介護保険施設での診療行為を外部の医療機関とトータルで考え、利用者にとって最良の医療が提供可能となるような制度の検討と改善が強く望まれるところであります。
 さらに、これらの三施設が適切に機能、役割を果たすには、在宅生活に関する基盤整備も重要であることを重ねて強調したいと思っております。
 最後に、改正案の問題でございますが、社会保障制度は、人々が病気、高齢化、経済難などの何らかの事情で稼得の機会を喪失し、あるいは中断した場合に、個人の努力を超えて社会ないし国家がその個人の安心、安全を保障しようとする制度であります。社会保障制度は、人がどのような状況になろうとも必要不可欠であり、その実現には自助、共助、公助が適切に組み合わさった制度として構築される必要があります。
 適切な社会保障制度の実現には、政府は適切に公費負担をすべきであります。一方で、国民には共助としての保険料を支払う義務も生じます。しかし、何らかの疾病や障害を抱えた人は本来受難者であり、保険の恩恵を受けても決して受益者ではありません。受難者に対して過度な負担を課す制度は適切な社会保障制度ではなく、この点に対する認識を改めて強調したく思っております。
 今後、社会保障制度として医療保険制度そして介護保険制度にはさまざまな改革が予想されますが、これらの制度を利用される人々は好んで利用するのでなく、やむなく利用することを十分認識していただきたいと思います。さらに、現在の高齢者は、戦後六十年、少なからず我が国の復興や繁栄に努力された方々であり、これらの方々が医療を必要とするとき、また介護など生活支援を必要とするとき、適切に医療や介護が提供されることは、国民にとって我が国が住み続けるに値する社会であると認識されるのであり、そのためにも広く国民から支持される社会保障制度構築を望みたいと思います。
 今回、持続可能な介護保険制度の構築を図る目的で、介護保険三施設における居住費用と食費の利用者負担が提案されました。しかし、在宅と施設における利用者負担の不均衡是正として、また制度効率化の美名のもと、受難者に対して居住費並びに食費の負担を強いることは、社会保障制度の本来の姿としては不適切と考えております。
 御承知のように、介護老人福祉施設には、利用者は生活するために入居され、住所も変更されています。この施設における生活部分は大であり、医療部分は小であります。関連法は介護保険法と老人福祉法であります。介護老人保健施設には、利用者は在宅復帰のリハビリテーションを目的に入所されております。この施設における生活部分と医療部分は半々と考えられます。関連法は介護保険法でございます。そして最後に、介護療養型医療施設では、利用者は抱えた病気や障害などの医療依存度が高いために入院されております。この施設における医療部分は大であります。生活部分は小であります。関連法は介護保険法並びに医療法でございます。
 以上のごとく、介護保険三施設にはおのおのの役割があり、一様な施設ではございません。あえて居住費や食費を保険外とするのであれば、各施設の生活部分に応じて配慮することを切望いたします。
 先日、この委員会で三ッ林先生がこの居住費と食費について御質問していただきまして、本当にありがとうございます。厚生労働省からの答えとしては、施設は一様であるという答えでございましたけれども、私どもは、この中に生活部分、医療部分をぜひ配慮して、このものに関してあえて課すのであれば、この点に対しての配慮をもう一回切望する次第であります。
 国民が介護保険制度を適切な社会保障として実感するために、日本医師会は、徹底したケアマネジメント、そして適切な医療提供体制の構築、在宅生活に対する基盤整備、そして最後に受難者に対して思いやりの心あふれた制度構築をお願いして、私の陳述を終わりたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○宮澤委員長代理 ありがとうございました。
 次に、小島参考人にお願いいたします。
○小島参考人 連合の生活福祉局長の小島です。
 連合は、これまで介護保険制度の創設に向けて積極的な取り組みを行ってきております。また、連合の組合員の中には介護現場で働いている組合員も多くおります。そういう立場で、今回の介護保険法等の一部を改正する法律案に対する意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、連合の介護保険に対する基本的な考え方であります。
 連合は、組合員の老後生活や介護への不安を背景に、九四年に要介護者を抱える家族の実態調査を行いました。その中で、要介護者に対し憎しみを感じると答えた人が十人中三人ほどおります。さらに、虐待の経験を持つ人も十人中五人に上っております。まさにこういう衝撃的な結果がこの調査で明らかにされました。連合は、この調査を踏まえて、九五年の夏には、生涯にわたって人間として尊厳が確保される福祉社会を実現する、また高齢者がみずからの意思により質の高い自立した生活が送れるよう社会連帯で支援する、そういう基本理念のもとに、家族介護から介護の社会化を目指し、被保険者の範囲を二十歳以上とする公的介護保険制度の創設を提言しました。
 なお、この九四年の連合の調査は、介護の社会化を目指した介護保険制度創設に向けて一定の役割を果たしたものと考えております。
 次に、介護保険制度見直しについての評価です。
 今回の改正法案は、昨年七月にまとめられました介護保険部会報告書の内容を反映したものとなっています。すなわち、基本理念であります自立支援、在宅重視の実現と、二〇一五年以降の介護の新たな課題に対応するため、予防重視型システムへの転換、地域密着型サービス体系の創設など、現行制度を大きく変革する内容となっています。
 この基本的な考え方や具体的な内容の多くは連合が目指す改革の方向性に沿うものであり、おおむね評価できるものと考えております。なお、昨年十二月の介護保険部会報告書では、今回の見直しの最重要課題であります被保険者、受給者の範囲の拡大については合意がされておりません。これについては極めて残念だと思っております。しかし、今回の改正法案の附則の中には見直し規定が盛り込まれました。これについては一定評価できるものと考えております。しかし、その見直し規定についても、表現としてはまだあいまいであり、不十分であるというふうに思っております。
 次に、今回の改正法案の内容に対する連合の具体的な意見を述べたいと思います。
 第一は、見直しの最重要課題であります被保険者、受給者の範囲の拡大についてです。
 介護とは、高齢者特有のニーズではなく、疾病や交通事故などによる後遺症、障害者、難病、末期がんの方なども必要となるものです。本来は、年齢や理由を問うものではありません。今回の見直しに当たっては、介護ニーズを社会全体で支え、あらゆる人の地域生活と社会参加を保障するという社会連帯に基づいた改革でなければならないと思います。これはまた、高齢者に限定された今の介護保険制度を真の社会保険制度に変革することを目指すものであると思います。
 今回、法案の附則第二条に見直し規定が盛り込まれております。しかし、被保険者及び保険給付を受けられる者の範囲について検討を行うという表現だけでは、拡大するのかどうか不透明です。また、平成二十一年度を目途に所要の措置を講ずるとなっておりますけれども、所要の措置が具体的に何を指すのか、平成二十一年度に確実に実施するのかも不明確です。社会保障全般について一体的見直しが予定されております平成十八年度中に社会連帯に基づく普遍的な制度へ改革することを決定して、平成二十一年度からはそれを確実に実施するよう強く求めたいと思います。
 第二は、介護保険三施設におけるホテルコストについてです。
 施設入居者の居住費用や食費について、今回、保険給付の対象外とすることが提案されています。
 しかし、在宅と施設を比較して公平性を確保しようとするのであれば、施設は在宅と同様の居住環境が条件であるべきです。いまだ四人部屋が中心の施設において、入居者のプライバシーもなく、狭いスペース、あるいは室内でのポータブルトイレなどの使用など、いまだ劣悪な環境にある施設も多くあります。まずは、個室あるいはユニットケアを進めることを優先すべきであります。現状のまま、多床室入居者からも光熱水費を徴収すべきではありません。この部分についての修正を強く求めたいと思います。
 第三は、第二号被保険者の介護保険料率の法定上限の設定についてです。これは、先ほど矢野参考人からも指摘されたところでございます。
 介護保険法制定時、介護保険制度が実施されれば、社会的入院が減少して老人医療費の減少、そして老健拠出金も減少する、それによって医療保険料が下がるので、医療保険料と介護保険料を合わせても、健康保険法で言う保険料率の法定上限を超えることはない、そういうふうに政府は当初説明をしてまいりました。しかし、老人医療費の増加は大きく、介護保険制度スタート直前に、介護保険料を医療保険料と合わせた上限から切り離すことが決定しております。そして、介護保険料率の法定上限は、現在のところ規定されていないまま今日に至っております。第二号被保険者の保険料率の上昇の抑制と不断の制度見直し、検証をするためにも、法定上限の設定を求めます。
 第四は、制度運営への労使代表及び医療保険者の参加についてです。
 第二号被保険者は保険料を納めるだけで、保険料の設定に意見を言う場がありません。保険料を支払う労使の代表が制度運営に直接参加できるような仕組みをつくるべきだと思います。
 また、介護保険法第六条で、「医療保険者は、介護保険事業が健全かつ円滑に行われるよう協力しなければならない。」という義務規定があります。現行制度では、四十歳以上の被保険者から保険料を徴収し、納付するだけで、事業運営には全く関与することができません。介護保険事業あるいは介護保険事業支援計画の策定、変更時に医療保険者の意見が反映できるような仕組みをつくるべきだと強く求めたいと思います。
 続いて、法案事項ではありませんが、介護保険制度にかかわる重要な課題について検討されるよう要望したいと思います。
 まず、介護従事者の医療行為についてです。
 介護従事者が医療行為を行うことは、医師法等で違反とされております。しかし、現状では、多くの施設における介護職員あるいはホームヘルパーなどは、やむを得ずこの医療行為を行っております。連合は、この問題について改善を強く求めてきたところであります。現在、厚生労働省は、原則として医療行為ではないと考えられるものの明示ということについてパブリックコメントを求めているところであります。この中では、一定の条件をつけて血圧測定あるいはつめ切り等を医療行為から外すという内容になっています。これは一歩前進であるというふうに考えております。しかし、連合が昨年実施しました介護保険の三施設調査、きょう皆さんの方にお配りしてある冊子であります、この中では、今回厚生労働省が示している医療行為でないというもの以外について、褥瘡の処置、あるいは摘便、あるいは経管栄養など、そういう行為についても介護職が行っていることが明らかになっております。これらについてはどうするのか、ぜひ介護従事者が参加する検討の場を設けて早急に改善を図られるよう、強く要望したいと思います。
 第二は、施設における人員配置基準の見直しについてです。
 介護保険三施設の入居者は、いずれも年齢や要介護度が高く、重度者が多くなる傾向にあります。特に九割近くが認知症の高齢者であり、介護サービスの内容は、介護保険制度が成立したその前と比べれば高度化しております。連合の今回の調査でも、人員配置基準は充足しているにもかかわらず、人手不足が多く訴えられております。利用者の尊厳の確保と介護サービスの質の向上、介護職員の労働条件の向上に向けて、施設における人員配置基準の見直しが喫緊の課題であると思います。ぜひともその実態を把握し、改善策を講じるよう強く求めたいと思います。
 第三は、ホームヘルパーなど介護従事者の質の向上と雇用労働条件の改善についてです。
 ホームヘルパーが誇りを持って働き、その社会的地位を向上させるためには、介護労働者の質の向上と雇用の安定、労働条件の向上が不可欠です。昨年八月、厚生労働省の労働基準局が通知しました訪問介護労働者の法定労働条件の確保に関する通知の周知徹底と遵守をさせることを強く求めたいと思います。労働条件は労使で決めるべきものでありますが、労使交渉が成立しないような小規模の事業所が多くあります。在宅重視の基本理念を実現するためには、ホームヘルパーの役割はますます重要になります。私ども連合が取り組むのは当然でありますが、社会的規制も必要であるかと思います。
 その社会的規制のあり方として参考になるものとして、国あるいは地方公共団体が行う公共事業の入札を希望する建設業者に対して、一定の基準に基づいて審査をする経営事項審査制度というのがあります。この中に、社会性の項目ということで、雇用保険への加入、健康保険や厚生年金への加入などが上げられております。この制度を参考に、都道府県や市町村の事業者指定あるいは取り消しの要件に、労働関係法規の遵守、雇用保険や社会保険制度の適用を含めることを強く求めたいと思います。
 第四は、高齢者の権利擁護についてです。
 権利擁護に関する現行制度は、成年後見制度あるいは地域福祉権利擁護事業などがありますが、制度に対する認知度も低く、両制度とも利用料金などに問題があり、事実上利用できないといった問題が指摘をされております。これらの利用状況や利用者負担の実態を把握し、改善すべきだと思います。
 また、虐待については、特に認知症の高齢者が被害を受けることが多く、グループホームでの殺人事件といったそういう悲惨な例が報道されております。早急に高齢者虐待防止法などを制定すべきだというふうに考えております。
 さらに、連合の今回の調査では、施設の九割、施設職員の約六割が身体拘束を行っているということが明らかになっております。身体拘束の実態把握と要因分析を行い、身体拘束ゼロ作戦の強化、徹底とともに、人員配置基準を見直すなど、必要な改善措置を講ずるよう強く求めたいと思います。
 第五は、介護療養型医療施設の経過措置についてです。
 介護療養型医療施設については、制度創設時の二〇〇〇年の三月までに介護療養型への転換の届け出をすれば、談話室あるいは浴室、食堂のいずれかがなくても事業者指定が受けられております。しかし、その改善義務はないとされております。高齢者の尊厳の保持確保、療養環境の観点からは重大な問題だというふうに思っています。介護保険法施行時に導入されたこの設備基準に関する経過措置については、期限を設けて廃止すべきだというふうに思っております。
 第六に、介護予防システムへの転換について述べたいと思います。
 介護予防は、現行の介護保険法にも盛り込まれておりますが、筋力向上などはあくまでもその手段であって、介護予防でいかに高齢者が生き生きとした生活をする意欲あるいは目標を引き出すか、これが大きな課題だというふうに思っております。
 介護保険創設時、中心的なサービスはこの介護保険で担い、その他必要なサービスについては市町村の高齢者保健福祉施策を初め民生委員あるいはNPOなどの周辺サービスで支える、そのことが期待されておりました。しかし、介護保険制度の導入によってこの周辺サービスが低下すること、あるいは予防の体系が制度ごとに分立して一貫性がなかったため、予防の効果が十分に発揮されていないというふうに思っております。その意味で、要介護になる前から一貫した予防を行う今回の予防重視型システムへの転換は、評価できるものと考えております。
 また、ホームヘルパーを家政婦がわりに扱う家事代行的なホームヘルプサービスについては、自立支援という制度の理念に反することになり、見直しが必要だというふうに考えております。介護保険制度は公的な保険制度ですので、どこまでを保険給付とするのか、国民的な合意形成を図ることが必要であるというふうに思っております。
 しかし、多くの高齢者は、今回の見直しで従来の家事支援サービスが使えなくなる、そういう不安を持っております。新予防給付の内容とその意義などについては、丁寧な説明、そしてその実施後の検証を確実に行う、そういうことを要望したいと思います。
 最後に、介護保険制度は、多くの市民参加によってできた制度であります。団塊の世代が六十五歳を迎える二〇一五年に向けて、ますますその制度を充実発展させていくことが必要だというふうに思っております。介護は国民共通の課題であります。介護保険制度をよりよいものとするよう国会においても十分に審議していただきたいと思います。
 以上、これまで指摘した制度の見直しと、社会連帯に基づく普遍的な制度に転換することを重ねて要望いたしまして、私の意見といたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕
○鴨下委員長 ありがとうございました。
 次に、木村参考人にお願いをいたします。
○木村参考人 おはようございます。
 全国介護支援専門員連絡協議会の木村です。本日は、このような機会をいただきましてありがとうございました。
 まず、私ども全国介護支援専門員連絡協議会の内容を説明したいと思います。
 平成十五年八月三十一日に、全国の介護支援専門員の声を政府当局それから国会に届けたいということで、全国の都道府県の組織が会員となりまして立ち上げました会であります。現在四十二都道府県が会員になっておりますが、昨年来、全国の会議を開催する際は、四十七都道府県、全県が参加しまして意見を交換してまいりました。その声を届けるという意味で、本日意見を述べさせていただきます。
 まず、介護保険制度見直しに対する意見ということで、ケアマネジメントは、介護保険制度の基本理念である自立支援をサービスの現場で保障するシステムであり、介護支援専門員はケアマネジメントの中核を担う専門職種であります。
 ケアマネジメントとは本人の選択を専門家が支援するシステムであり、介護支援専門員は、常に利用者本人の立場に立ち、利用者にとって最適のサービス選択、サービス利用が実現されるよう、専門職として利用者を支援する責務がある。
 今回の介護保険制度見直しについては、介護保険制度を支える最も重要なシステムであるケアマネジメントが現場で十分に機能するよう、介護支援専門員がその専門性を最大限発揮してその責務を果たせるよう、改革を望むものであります。
 これからは、二つの論点で意見を述べさせていただきたいと思います。一つ目は、介護支援専門員の自立と自律、八項目あります。
 一つ、介護支援専門員の自立、公平中立の確保をお願いしたい。
 事業所の多くは赤字経営であり、経済的には本体法人に依存している状態であります。利用者本位のケアマネジメントを実施するには、居宅介護支援事業所の経済的な自立、社会的な自立が不可欠であります。それを可能にする介護報酬を求めたいと思います。
 二つ、ケアマネジメントのプロセスの評価、めり張りのある介護報酬を求めたいと思います。
 現在の報酬体系は、ケアプランの作成件数単位の一律報酬であります。一月一件八千五百円。このため、一連のマネジメントプロセスを実施しているにもかかわらず、介護保険サービスの実施に至らないと報酬に結びつかない実態があります。
 例えば、住宅改修のみのプラン、それから医療保険からの訪問看護のみのプラン、それから介護保険サービス以外のみのプランなどであります。
 同様に、相談援助の評価がなく、ケアプラン作成がないと対価として報酬に結びつかないという現状もあります。また、現在減算制度が入っておりまして、減算は適切なプロセス評価実施に必ずしも結びついておらず、かえって抜け道になっているという実態があります。多職種間、多事業者間の連携、調整、協働、長期継続マネジメントの評価など、プロセスに着目しためり張りのある評価が不可欠と考えております。
 三つ目として、ケアマネジメントプロセスにおけるサービス担当者会議を開催できる仕組みづくりであります。
 本人、家族、多職種の協働、連携をするためにサービス担当者会議は非常に重要であります。軽度者のプランで問題になっている単品プランや過剰サービスプランも、適切なアセスメントと担当者会議の開催でかなり是正できると考えております。しかしながら、担当者会議の開催は、介護支援専門員個人の努力に任せられており、これをサポートする仕組みがありません。背景には、担当件数の多さや多職種間の時間調整の難しさなど、特に担当者会議への医師の協力を可能にする仕組みづくりが必要と考えております。
 四つ目として、介護支援専門員は専任制ということを原則にしていただきたいと思います。
 適切なマネジメントを実施するには、現在の運営基準、特に標準担当人数の設定見直しが急務であります。現行は五十人でありますが、その人数を減らしていただきたいということであります。この標準担当件数を超えて担当している介護支援専門員が二五%もあります。これでは適切なマネジメントは実施できません。また、労働環境という観点からも、介護支援専門員は非常に多忙であり、残業、休日出勤が常態化している状況にあります。担当件数の見直し、介護報酬の引き上げをぜひ望みたいと思います。
 専門性の発揮、利用者本位のマネジメント実施という観点から、他業務との兼任は望ましくありませんが、居宅介護支援事業所がサービス事業所併設であること等から、兼任が容認されている状況にあります。これも理由であります。
 また、施設の介護支援専門員についても運営基準の見直しが必要と考えます。現在、一人で百人以上の施設ケアプランを策定するという現状にあります。この状況では、個々人の状態像を踏まえた適切なケアマネジメントを行うということは困難だと考えられます。
 五つ目として、もう一つのジリツでありますが、私ども介護支援専門員の自律、質の向上のための研修、教育システムの充実ということをお願いしたいと思います。
 介護支援専門員養成課程における研修は、実務研修は現在四十時間であります。専門性が高い介護支援専門員を養成する研修時間としては不十分、また実務研修後の現場での指導体制も不十分でありまして、個々人の自己研さんに頼っているというのが現状であります。これでは介護支援専門員の質の確保は保たれないと考えております。
 その意味で、今回の現任研修の義務化は重要であります。現任研修は専門性の向上と実践能力の強化を目指したプログラムとするべきであり、研修評価を通じた責任ある人材育成を可能にするシステムとするべきだと考えます。その意味では、全国にあります都道府県の介護支援専門員連絡協議会が果たす役割は大きいと考えます。現状では、この都道府県の介護支援専門員連絡協議会が実務実習の講師を務め、また現任研修を受託しているというところもありますが、全県そのようになることを望みます。
 また、六つ目として、これから策定されます第三期の事業計画の策定への参画であります。
 現場でケアマネジメントを実践している介護支援専門員の代表を都道府県の介護保険事業支援計画及び市町村の介護保険事業計画策定委員会へ参加させていただきまして、その地域のシステムづくりに参画させていただきたいと思います。
 七つ目として、利用者、保険者の教育ということも国を挙げてお願いしたいと思います。
 利用者側の制度の理解、保険者の制度活用理解にばらつきがあります。その結果、介護支援専門員の業務範囲が不明確になっております。例えば、自己決定、権利性への利用者の理解不足、それによって介護サービスへの過度の依存とか乱用ということが見られております。また、介護保険サービス以外のさまざまな課題への対応も求められるなど、非常に介護支援専門員の業務範囲が不明確になっています。
 また、利用者の自立支援の観点からは、介護保険以外の多様なサービスの利用が必要な場面があることは確かであります。利用者と向き合う介護支援専門員を支援する地域のシステムづくり、地域包括ケアマネジメント体制が不可欠だということも考えます。
 八つ目として、魅力ある仕事としての確立ということで、介護保険制度が創設されて介護支援専門員のこの五年の行動により今後の介護保険制度運用の問題点を浮き彫りにしてきました。さらに、介護支援専門員のあり方についても問題点が明らかになってきています。この多くの問題点を解決することにより、介護支援専門員という仕事が魅力あるものとなります。その結果、介護保険制度が社会保障制度として安定性を確保していくことを確信しております。
 きょうの大きな提案として、新予防給付についての考え方を述べさせていただきます。
 一つ目として、生活課題が混在する軽度の利用者のケアマネジメントは、非常に重要であります。生活課題の評価が明らかな中重度者に比べまして、多様な課題を抱え、介護保険サービス以外のさまざまな支援を視野に入れなければいけない軽度者のケアマネジメントはむしろ難しいというのが現任の介護支援専門員の多くの認識であります。
 二つ目として、軽度者こそ徹底したアセスメントと適切なケアマネジメントプロセスが重要であります。自己選択を尊重し、利用者の生活意欲を高めることが自立支援につながります。適切なケアマネジメントが行われないと安易な単品サービスのプランや固定化したプランになりがちで、利用者を交えた多職種によるサービス担当者会議を行うことが重要であります。
 見直し案では、新予防給付に係るマネジメントは地域包括支援センターが行うこととされておりますが、実際に利用者とかかわり、アセスメントやプラン原案作成を担うのは、引き続き現場の介護支援専門員であり、適切なプランが策定できるか否かは介護支援専門員の力量にかかると認識しております。
 三つ目として、自立支援とは、自分自身で生活設計ができるようになることを支援すること、部分的な機能向上だけを目指すのではなく、それを生活全般の自立、生活機能向上に結びつけていくことが介護支援専門員の責務と考えます。予防給付におけるケアプラン作成は、利用者自身が計画していける力をつくることであり、時間と手間が必要とされる中、そのお手伝いをさせていただく、またこれを実現させる介護支援専門員の果たす役割は大きいと考えております。
 四つ目として、適切なケアマネジメントを実施するためのツールづくり、また介護支援専門員の支援のための仕組みづくりが必要と考えます。個々の介護支援専門員の資質の向上は確かに重要でありますが、介護支援専門員が適切なケアマネジメントを実施できるための支援も不可欠であります。例えば、新予防給付に係るアセスメントツールを開発する、また介護予防ケアマネジメントプロセスの標準化などをするということが必要だと考えます。
 五つ目として、介護支援専門員をサポートする後方支援体制、相談支援体制の確立が必要と考えます。介護支援専門員を支援する機関として地域包括支援センターの位置づけは非常に重要と考えております。同時に、このセンターが地域支援事業、新予防給付、介護給付の一貫性、連続的ケアマネジメントのサポート機関としても重要と考えております。この機関が公正中立な運営をされ、きちんと機能するセンターであることを強く望みます。また、センターの運営協議会ができるということも聞いております。ここにも、地域のケアマネジメントをしている介護支援専門員の代表を参画させていただきたいと思います。
 以上、介護保険制度の見直しに当たりまして、介護保険制度を動かすかなめは介護支援専門員だと考えております。現場の介護支援専門員の声を十分お酌み取りいただきまして、この改革を進めていただきたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○鴨下委員長 ありがとうございました。
 次に、相野谷参考人にお願いいたします。
○相野谷参考人 中央社会保障推進協議会で事務局次長をしております相野谷と申します。
 本日は、貴重な審議の時間に意見陳述の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。また、日ごろから熱心な先生方の討議に心から敬意を表するものであります。
 私ども、社会保障推進協議会、略称社保協というふうに申しますが、社会保障の拡充、拡大を願いまして運動を進めている協議会でありまして、全労連、全建総連などの労働組合、それから全国商工団体連合会、全国保険医団体連合会などの四十団体が加盟をして組織をしている団体でございます。各県にも、四十七都道府県に県の組織をつくりまして、一九五八年から、四十七年間、運動を続けてまいりました。
 私たちが願う社会保障の充実とは、健康に安心して暮らし続けることのできる制度を拡充していただきたいということでありまして、この間、残念ながら、社会保障の費用の抑制ということが一番の目的で、諸制度が次々と後退をさせられている、そのことについては、たびたび危惧を表明し、反対の声を上げてきたところであります。
 こうした立場から、本日の介護保険制度についても、その創設から強い関心を持ってまいりました。現在御審議いただいています介護保険等の一部を改正する法律案ですが、この間の厚生労働省の説明やこの委員会での討議、審議を聞かせていただきましても、どうも改革の目的が、いかにサービスの費用の抑制を図るかというところに最大の重点、財政の論理が先行をしておりまして、本来、介護保険創設時に掲げられました介護の社会化という目標が何となく忘れられているんじゃないかというような気がしております。
 二〇〇〇年に介護保険が始まるときに、当時厚生省でしたが、厚生省介護保険制度施行準備室が監修したパンフレット「介護保険制度がはじまります」というのがありますが、そのパンフレットの中では、これはほぼ全戸配布的に配られたものだと思いますけれども、「介護保険制度は、介護を社会全体で支え、利用者の希望を尊重した総合的なサービスが安心して受けられる仕組みを創ろうとするもの」だという意気高い目標が紹介されていたと記憶をしております。
 しかし、残念ながら、今般の論議では、先ほどからの意見の中にもありましたが、まず、持続可能な介護保険制度の構築ということで、それが今回の改革の意義というふうになっていますけれども、制度実施からわずか五年で持続可能なということを問われなければならない、では、五年前にスタートしたときのそもそもの制度設計というのはどうだったんだろうかというところが問題になるんじゃないかというふうに思います。卑近な話で言えば、そんなもたないような制度をつくったんですかとも言いたくなってしまう疑問であります。
 そしてさらに、だれにとっての持続可能性かということが大問題で、そこで論議されているのはあくまで財政問題であって、この改革によってサービスを切られることになる実際に今サービスを受けている介護生活者が、どうも、このままの改革で行われますと、介護生活が持続可能でなくなってしまうという点で、そうした人たちへの配慮というところが十分ではないのではないかというふうに私は思っています。
 そういう意味で、今回の改革案ですが、ぜひ一たん白紙に戻していただいて、根本的な論議からやり直していただければありがたいというふうに思っております。
 お手元に資料として、私ども中央社保協で作成しましたパンフレットをお配りしております。私どもの考えについては、このパンフレットにほとんど網羅されておりますので、ぜひ中身を後でお読みいただければ幸いであります。それを前提にして何点かお話をさせていただきたいというふうに思います。
 介護保険制度は、実施から五年を経まして、利用者は倍に膨らみました。ただ一つ、ほぼ変わっていない数字がございます。それは、在宅での一人当たりの介護サービスの平均利用率が限度額に対して四〇%という到達点です。なぜ在宅で四〇%しかサービスが使われていないのか、ここをぜひ検証していただきたいというふうに思います。
 そして、介護保険制度をつくるときにも一つ重大な動機ともなったんですが、当時、老老介護による疲れから、老老介護の心中事件であるとか、あるいは片方が死に切れずに殺人事件になったとかという事件が多うございました。私は、この介護保険は、そうした事件がなくなる、そういう制度だろうと思っていたんですが、残念ながら、介護保険が始まってからもこの手の事件、私の感覚的な感じですけれども、どうもふえているような気がしてなりません。
 このパンフレットでも二ページのところに、去年の八月三十一日付の毎日新聞の記事を紹介しておきましたが、東京都の大田区の都営住宅で昨年の六月、死後一週間と見られるお年寄り夫婦の遺体が発見された、夫七十七歳は入所していた特別養護老人ホームから一時帰宅中だった、自宅で暮らす妻と夫婦離れ離れの生活を送っていた、室内には、便せんに、ずっと一緒にいたかったと書かれた夫婦連名の遺書が残されていた、介護保険制度が始まって五年、介護サービスが充実しているはずの大都会で悲劇は起きたという記事でありました。
 また、昨年十一月の末に、埼玉県のさいたま地裁で二つの老老介護についての殺人事件の裁判がありました。
 一件は、寝たきりの妻七十一歳を殺害したとして殺人の罪に問われた被告、夫七十六歳の事件ですが、この被告の夫の方は心臓病を患いながらも、約三年間にわたって、重度の介護が必要な妻をほぼ一人で介護していた、去年の八月二十四日の夕方に、自分が死んだら、だれが残された妻の介護をするんだろうかということで、そういう不安が込み上げて妻の首を絞めてしまったという事件です。判決では、持病を抱えながらほぼ独力で妻を懸命に介護していた、犯行に至る経過や動機は同情すべき面があり、懲役三年、執行猶予五年というのが言い渡されております。
 また、この日行われたもう一つの裁判、もう一件の方は、寝たきりの夫七十三歳を殺害したとされる妻に対する判決で、やはりこの判決も、苦痛や絶望から解放してやりたいという気持ちで殺害に至った経緯には同情を禁じ得ない、これも懲役三年、執行猶予五年という判決が下っています。これを掲載していた埼玉新聞によりますと、この事件を担当した弁護士さんは、夫を殺害するまでの心境を思うと涙が出た、夫婦は月八万円の年金で生活していて、制度のすき間で起きた事件のような気がすると語っていたというふうに報道をされていました。
 実は、皆さん、この介護保険の今回の法案の審議がこの委員会で始まった四月一日にも、やはり同じ埼玉県の狭山市で、六十七歳の妻を絞殺した七十三歳の夫が逮捕されています。この七十三歳の夫も、自分で睡眠薬を飲んで自殺を図ったんですが、死に切れず逮捕に至っております。妻の介護に疲れ首を絞めたというふうに供述をされているそうです。
 また、昨日の新聞には、これは群馬県で、足が不自由な妻を殺害したとして、殺人容疑で伊勢崎市の六十五歳の夫が逮捕されています。
 残念ながら、本当にこういう悲劇が後を絶っていないんです。こうした悲劇が起きないようにということで私たちは介護保険制度に大きな期待を寄せたんですが、残念ながら、これらの事件が起こっている経過を見てみますと、十分に介護保険が機能していない、そういうふうに思わざるを得ません。これらの悲劇には、まさに介護保険制度の矛盾があらわれているというふうに思いますし、先ほどの弁護士さんが言っていた、制度のすき間では片づけられない問題を含んでいるのではないでしょうか。ぜひこうした視点からの見直しをお願いしたいというふうに思っています。
 また、今度の改革案では、この間の法案審議で明らかにされたとおり、要支援者はすべて、それから要介護の一の方の七割から八割、合計でおよそ百五十万人から百六十万人が新予防給付ということになりますが、与えられました調査室の資料で、百二十一ページの図表に将来見通しがありますけれども、これで見ますと、こうした予防などの効果を入れて、およそ一割から二割将来的には介護保険の給付費の削減を行うんだということになっていますが、これで逆算して計算していきますと、途中省きますが、まず、今度のこの予防給付に移されると、従来のサービス費用からすると半分以下の金額にならざるを得ない。
 国会の審議の中では、適正なサービスは続けられるんだというような答弁もあったように思いますけれども、金額的に見れば、この新予防給付は、今まで受けていたサービスの半分以下、回数かあるいは費用かということになりますけれども、にならざるを得ないんじゃないかと思っています。そうしなければこの将来見通しの根拠が成り立たないというふうに思っていますし、新予防給付で本当にどうなるのかということをもっと明らかにしていただけたらと思っています。
 また、既に介護費用の適正化という名前で各地でサービスの抑制が進められていまして、これは最近長崎市で配られたチラシなんですけれども、「介護サービスを利用する前にちょっと見直してみませんか」ということで、例えば、「自力でできるのに、便利だからといって介護用品を使用していませんか?」等々の記述例があって、あたかもサービスをあなた方が使い過ぎだ、もっと自分でやれることはやるんだと。それは大事なんですけれども、でも、あくまでサービスを使っちゃいけないぞみたいな宣伝の方が先行していることの方が私は気になります。先ほど紹介した本来の創設の理念からは反するということになるんじゃないかというふうに思っています。
 また、それらの中では、例えばこんなのもあるんです。ディサービスで施設の方に行ったら、ちょうどお花見だから、なかなか外出しない利用者さんを外に連れ出そうということでお花見に連れていったら、事業所の敷地以外は給付外だというふうに言われて、抑制をされるなどというような事例も生まれています。余りこうした行き過ぎの給付削減にならないように、本当に安心できるサービスが受けられるようにしていただけたらというふうに思っています。
 もちろん、介護の予防ということは重要です。でも、これもいただいた調査室の資料集の百三十八ページに「新しい介護予防サービスの効果について」ということで、そこに東北大学の辻一郎先生の論文が二つ紹介をされています。そのうちの二番目のものは厚生労働省のホームページにも、丁寧に必要な部分に下線を引いて紹介されていまして、それから印刷したものですが、下線を引いた部分は、いかに筋肉トレーニングなどが効果があるかということで、私は、これも非常に納得をさせられた論文です。
 ただ、厚生労働省が多分引いたと思われます下線が引いていない部分にこういうくだりがありまして、
 例えば仙台市では、七十歳以上の方に「敬老パス」を発行しており、市のバスと地下鉄は無料で利用できる。そうすると、しょうゆ一本切らしても町に行く。そしていろいろな風景を見て触れ合って帰ってくる。それが閉じこもりの予防に大きな貢献をしている。また、バスに乗っていると最高のバランストレーニングになる。建物を建てて機械を使ってバランストレーニングをするよりも、バスに乗っているほうが楽しい。そうした幅を広げることも
大切だと書いてあって、私はぜひここに線を引いていただきたかったなと思うんですけれども、やはりこういう観点からの予防のあり方というのをぜひ論議していただけたらというふうに思っています。
 もうこれで最後にいたしますけれども、私は、今回の改革は、今サービスを受けている、特に要支援の方、要介護一の方から希望を奪う改革になってしまうんじゃないかと思います。今回の改革案を聞いたある要介護一の方が、私はだれにも迷惑をかけないよう六日間はいずり回って頑張っている、唯一、週一回温かい食事をつくってもらって、思いのすべてをヘルパーさんに聞いてもらうのがそんなにぜいたくなことなんですかというふうに切々と訴えておられました。
 私は、今度の改革が進められますと、先ほどの自殺や心中といったような悲劇が一層ふえるんじゃないかと。その意味では、どうか皆さん、国民が、そして要支援や要介護一の方々が希望が持てる改革を進めていただきたいというふうに思いますし、そうしたこれからの論議と審議に御期待をいたしまして、私の意見とさせていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○鴨下委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○鴨下委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。
○吉野委員 こんにちは。参考人の皆様方、きょうは本当にお忙しいところ、貴重な御意見を賜って、本当にありがとうございます。私は、自由民主党の吉野正芳と申します。
 まず最初に、介護保険とは何ぞやと。
 先ほど山本参考人からのお話にありましたように、私も同じ考え方なんです。この世に生まれて、人間として、介護を必要とする人が介護を受けられる制度、これをやはり我が日本国としてはつくっていくべきではないのか。例えば医療保険は、おぎゃあと生まれて、病気になったら、赤ちゃん自身は保険料を直接的には払っていなくても、家族が払っているわけなんですけれども、医療保険を受けられる。必要とする方はみんな受けられる、こんな制度を介護保険にも導入していきたいというのが私の思いであります。そういう意味で、今は高齢者のみの介護保険という形で制度設計されているわけですけれども、これからはやはり普遍的な、介護を必要とする方々は全員介護を受けられる、そんな制度をつくっていきたいと思います。
 そういう意味で、山本参考人、本当にいいお話を伺いましたけれども、矢野参考人は、これに対して少し、理想的な介護保険をつくる、そういう観点に立った場合に、やはり国民負担と給付とのあり方もありますが、高齢者介護保険だけを見ると、被保険者の範囲を拡大して、いわゆる企業にとって会社負担が多くなるというその観点からだけでこの普遍的な介護保険制度について異議があるような御意見だったんですけれども、その辺のところをもう少し詳しくお話を伺いたいと思います。
○矢野参考人 五年前に制度がつくられましたときに、今の御指摘の点も相当論議されたというふうに思っております。その結果、コンセンサスとして、要するに、納得性のある制度づくりという形で生まれたのが今の制度だと思います。
 私は、四十代以上の子供の世代が六十五歳以上の親の世代を介護する、つまり介護の社会化というものが最も納得性ある形で生まれたのが今の制度であるというふうに思っておりまして、五年たってそれを今変える状況にあるかということを考えますと、そうではないというふうに思っております。
 介護の普遍化ということがいろいろな場で議論されておりますが、介護を要する状態になる原因というのを考えてみますと、これは実にたくさんあるわけでございます。例えば交通事故もそうですし、あるいは会社の労災事故ですね、それによって介護を要する状態になるということがございます。
 私は、交通事故の場合は自賠責で賄うべきだと思っております。また、企業での災害の結果生まれた介護状態というものは、労災保険で賄えばいいというふうに思っております。これは既に確立した制度でありまして、余りに普遍化という言葉を広く解釈し過ぎますと、現在の制度全部の再編が必要になってくるわけでありますが、御承知のとおり、労災保険というのは、これは企業がすべて負担しているわけでありまして、今後ともそうすべきだと私は思います。介護保険の中にそれを取り入れて、負担を広くあまねくということにしなくていいと思っているんですね。
 そういうふうに考えてみますと、例えば、介護保険部会でも障害者の問題をどうするかということが相当議論されましたが、これは支援費制度ができて間もないので、そっちの方の制度の中身の再検討、改革をしてほしいというのがおおむね介護保険部会の中の意見であったと思うんですね。これも明快な結論がもちろん出たわけではありませんが、まだ十分議論が煮詰まっていないというのが現状だと思います。
 でありますから、負担と給付の関係については、やはり納得性のある制度づくりをするというのが現実論だと思うんですね。そのためにいろいろな形での議論をしていくことについては私も賛成ですし、それに参加していきたいと思っておりますが、生煮えの状態で制度を変えてしまうということはいいことではないというふうに思っております。
 もちろん、雇い主の方も応分の負担をするつもりです。決して負担をやめるということは一度も申し上げたことはないのでございまして、応分の負担をすると。それは、経済性とか経済活力とか、そういういろいろな要素ももちろん含めての上のことでございますので、そういう点を御勘案いただいて、中身について御検討を賜ればというふうに思います。
○吉野委員 山本参考人、今の矢野さんの御意見を聞いて、御意見を賜りたいと思います。
○山本参考人 それぞれやはり立場があるものですから、その立場に立って判断をするということになるわけです。
 ただ、私が申し上げておりますのは、介護というのはゼロ歳からやるべきである。特に、さっきもお話があっておりましたように、障害者をどうするかという議論がありました。ところが、それに対して、いろいろ皆さん方、立場立場からの意見がありましたのは、要するに、まだ介護保険そのものが定着していない、固定化していない。将来はもう絶対これで安全ですよというものがない。そういうものが一つ。
 それから、障害者の問題は、障害者そのものの対策がまだ不十分である、充実をしていない、こういうことです。
 それからもう一つは、さっき私が申し上げたように、被保険者、保険料を払っていただく若い人たちが、まだまだ介護保険そのものに対して十分な理解をしていない。言うならば、もうそれでいいんだ、やるべきだというところまで進んでいない。
 こういうような要素があって、今は時期尚早である、したがって、今から五年間検討を加えて、五年後には実施ができるようにお互い努力をしようじゃないかということに結論はなったと私は思います。
 ですから、事業主側としては、負担が出てまいりますから、当然いろいろな意見があると思います。しかし、全体の国民的な世論がそうあるべきだということになれば、事業者の方もこれは同意をしていただけると思いますから、少し時間不足が今日の結論になっていると私は思いますので、これは間を置かないで実現のための議論を続けていくことが必要じゃないか、そういうふうに思います。
○吉野委員 木村参考人も本当に現場を担っている方なんですけれども、普遍的な介護保険制度と、いわゆる高齢者介護保険制度だけでいいのか、その辺の考えをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○木村参考人 私どもも介護保険部会で述べさせていただいたんですけれども、私どもは条件をつけての賛成ということを言わさせていただいております。
 なぜかといいますと、障害者に対してのケアマネジメントをする際、就労ですね、仕事につくということ、それから教育の問題、それから住まいの問題という、特徴的に今の高齢者のケアマネジメントと少し違ったものがあります。ですので、先ほど来ここでお話しさせていただいていたとおりで、教育ということが非常に大事だと思います。
 ですから、障害者のケアマネジメントの教育ということをきちんとやっていただいて、また要介護認定のあり方に関してもきちんとやっていただいて、状況が整った状況でゼロ歳からの介護の普遍化ということに対しては賛成であります。ですので、その環境整備をした上で前に進めていただきたいということが私どもの考え方であります。
○吉野委員 次に、いわゆる介護マネジメントと介護サービスとの独立性の問題。
 山本参考人、まさに御意見の中でその点を触れていたと思うんです。今一番問われているのは、まず申請をして、これは本人もわからないうちに申請されて、そして調査をして、それから審査会できちんとした判定をしていくという流れで、要介護になるか、新しく要支援になるかという判断をしていくわけなんですけれども、今まで申請も調査も代行が認められていたんですね。いわゆる事業者による代行。やはりマネジメント、判定をするためには調査が一番大事なものですから、ここのところを事業者がやっていたということで、本当にきちんとした審査会での審査が担保されていたのかというと、やはり私は、独立性、中立性という観点からすると、きちんと切り離すべきだというふうに考えています。本当に山本参考人の御意見と同じなんですけれども。
 今回の改正で、特に認定調査の方は、新規の場合の認定は市町村がやる、事業者はやらないという本当にすばらしい改定になったと思います。また、施設に入っている方々は事業者もきちんとやれるという形で整理をしているんですけれども、これらの改定だけできちんとした独立性、中立性が担保されていくのかどうか、その辺の御意見を賜りたいと思います。山本参考人。
○山本参考人 介護保険は、一番大事なことは調査なんですね。調査員がそれなりの見識と知識を持っていなきゃならぬと思います。ただ、出発したばかりなものですから、調査員になる人はたくさん希望者はいたんですけれども、この人なら大丈夫だというその選択が非常に難しかったと私は思います。しかし、この人ならまずまず我々の希望に沿った調査をしてくれるだろう、こういうことでお願いをして五年たちました。
 その間、五年の間にいろいろな意見が出てまいりまして、調査員が非常に不親切であるとか、あるいはまた乱雑であるとかいうような意見もありまして、調査員そのものの資質を問われるようなことがたくさん出てきたんです。
 ですから、この際、この調査がきちんといかなければ、これをコンピューターに入れますから、そうするとコンピューターの方で大体何度だというのが出てくるわけですね。それをさらに、医師の意見書をつけて、そして審査会で審査をして決定することになっておりますけれども、この調査員の調査が一番大事なんですね。基礎になっているわけです。
 ですから、これについては、私的なもの、いわゆる事業所とかそういったものではなくて、公的な機関が調査をすることにすることが一番大事です。だったらよくなるかというわけではないけれども、しかし、私的でやるよりも公的でやった方がよくなっていく、そういうふうに私は思いますのと、もう一つ、調査員そのものの再教育、養成、こういったものに力点を置くことも大事だ、そういうふうに思いますので、調査員制度については慎重なる検討が必要ではないでしょうか、そういう意味でさっき申し上げさせていただきました。
○吉野委員 私も全く同意見でございます。
 木村参考人にお尋ねしたいんですけれども、今度、地域包括支援センターが新しくできますね。あと、従来の在宅介護支援センター、在介センターもございますね。この辺の役割分担、いわゆる地域包括支援センターは新予防給付の方に重点を置くんだ、在介支援センターの方は従来の介護のケアプランをつくる方に重点を置くんだという形で、今度の法律は仕切りをされているように思うんですけれども、その辺の役割をどう考えているのか、現場の声としてお聞かせ願いたいと思います。
○木村参考人 役割として、包括支援センター、大きく分けまして、中重度のケアマネジメントのサポート体制というのと、それから新予防給付のマネジメントを担うところと、もう一つ総合相談の窓口というものがあると思います。ですから、その総合相談の窓口の出先機関的な連携というか、そういう形に結果的になるのではないかなと私は思います。包括支援センターの委託の要件というものが今話しました三つということで伺っていますので、そうなりますと、今来の在宅介護支援センターは、市町村単独のところの相談総合窓口的なところの出先みたいな感じのイメージになるのではないかなと思います。
 ただ、そこの整合性というのはやはりこれから十分議論していかなければ、地域住民がどっちを向いたらいいかということで混乱するだけだと思います。ですので、市町村の中で、その窓口の整理、包括支援センターの位置づけと、それから在宅介護支援センターの位置づけというものをきちんと位置づけて、地域住民にわかりやすくしていただくように、これから検討していただければなと考えております。
    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕
○吉野委員 どうもありがとうございました。終わります。
○北川委員長代理 次に、古屋範子君。
○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
 本日は、お忙しい中、参考人の皆様におかれましては、わざわざおいでいただき、貴重な御意見を賜りまして大変にありがとうございます。御礼申し上げます。
 公明党は、介護保険の見直しに向けまして、介護予防を高齢社会の最重要課題と位置づけ、積極的に取り組んでまいりました。昨年四月には介護予防十カ年戦略を発表いたしまして、今後十年間で高齢者に占める要介護者の比率を、現在の一五・五%から一〇%へ三割減らすという目標を掲げまして、高齢者の生活機能の維持、改善を図るための地域予防拠点の整備を目指すなど、予防重視型システムへの転換を主張してまいりました。
 また、昨年の九月からは、各地域で貴重な御提案や御意見を伺う場といたしまして、全国主要都市におきまして列島縦断フォーラム、党幹部が先頭になりまして、そういった機会を設けました。私もあちこち行きまして、御意見を拝聴いたしました。たくさん介護保険制度改革に対する御意見もちょうだいいたしました。また、八月の末からは関係十四団体の方々よりこの制度に関する御意見を聴取するなど、まさに今回の改正に向け精力的に取り組んできたところでございます。
 今回の改正案、我が党が主張しております内容が数多く取り入れられ、健康寿命を延ばす、そういった内容に沿っており、評価できるものというふうに考えております。
 まず最初に、山本参考人、矢野参考人、野中参考人、お三方に、少し介護保険制度の範疇を超えまして、我が国の高齢社会というような観点からお伺いをしたいと思っております。
 二年前、世界高齢化会議がマドリードで行われましたが、その中で、高齢者は社会のために使われる社会資源だという宣言が出されました。私もそのとおりであると思っておりますが、今後、団塊の世代がリタイアをし、大量にこの高齢社会に突入をしてくる。こういった現状を考えたときに、これからの高齢者は、寝たきりにならない、また生活機能が自立しているなど、生活の質を保ちながら長生きするだけでなく、さらに社会貢献を含めて社会参加をすることが大事ではないかというふうに考えております。
 高齢者が参加できる社会貢献の場はたくさんあります。また、積極的に社会参加をすることが介護予防にもつながり、また働ける方はやはり働くということも大事な観点であるかと思っておりますけれども、明るく活力ある超高齢社会を構築するため、こうした高齢者がいかに社会参加、貢献をしていくか、こういう観点からどのようなお考えをお持ちか、伺ってまいりたいと思います。
○山本参考人 高齢者の社会はもう来ておりまして、団塊の人たちが高齢者になるのは間近でございます。今二千五百万人が三千三百万人になることはわかり切っております。ですから、高齢者の人たちが今ただ援護だけを求めているかというと、私は必ずしもそうじゃないと思います。できるだけ自立をしていこうということで皆さんが努力をしているのが今の現状じゃないでしょうか。
 ただ、その中で、ある意味では介護を受けざるを得ない、医療を受けざるを得ない人たちも出てくるのは、これはやむを得ないことであって、そういう人たちに対して支援をするのは当然のことだ、私はそういうふうに思っています。
 そこで、一つの私の例なんですけれども、私は、世界で初めての木炭、竹炭でもいいんですが、粉をこしらえます、風が吹いたら飛んでいきます粉、これを燃すストーブを今開発しております。今までやったことはありません。原型だけは、一応の試作品はできました。それで、竹と木のどっちでもいいんですが、竹炭、木炭をつくるために工場をつくって機械化をしようかなと最初は考えたんですけれども、いや、これはもう老人の人たちにやっていただこう、そのかわり、それだけの必要な費用だけは町が負担していこうということで考えました。そうしたら、皆さんたちが喜んで、それを自分らでやろうと。それができ上がって完成するまでには、ストーブの方も今改良しつつありますから、でき上がってくると思います。そうすると、皆さんたちがそのストーブを使うための燃料は自分でつくっているということになりますから。
 私のところは、もう一つは物産センターをつくっております。道の駅よりも少し大きなものですが、ここで七百人からの人たちが出品をしているのです。その中で半分以上が老人なんです。だから、今まで放置しておった農地などを自分たちが使うようになった。言いかえると、さっき先生がおっしゃったように、社会参加、社会的に自分たちの存在を高めていくんだ、そういう努力をしていると思います。
 ですから、そういうのを援護していくことによって、あるいはそういう人たちの健康を維持することによって、私は医療と介護の費用が少しでも抑制できるということが言えると思いますので、そういうようなことでこれから進めていけばいいんじゃないか。すなわち、そこに介護予防というのが生まれてくるんじゃないでしょうか。そういうふうに思っておるところです。
○矢野参考人 高齢化の状況というのは、少子化の状況と並行しまして、世界で一番速いスピードで進んでいると思います。これからの日本の経済とか社会を考える上で、その二つの要素を本当に問題解決をするということが非常に大事なことだというふうにまずは思っております。
 高齢化が論じられるときに、ともすれば働き手が減る、あるいは社会保障の支え手が減る、これは少子化でもあるんですが、あるいは給付がふえる、そういう、何というんでしょうか、どちらかというと大変だという部分が強調されているんじゃないかと思うんですが、一方で、やはり高齢者がふえることによって新しい消費需要が生まれる。御質問の中にもありましたけれども、成熟した大人としていろいろな分野に社会参画をしていただけるという意味では、あるいは日本の社会の安定要因になっていくということもあると思うんですね。そういう意味の経済的なあるいは社会的な前向きの意味合いというものをもっと大事にすべきではないかというふうに私は思っております。
 高齢者と一口に言いましても、これほど個人差の大きい世代というのもないと思うんですね。健康状態、リタイアした後での人生設計、意欲、それから財産の状態、本当に最も多様性のある世代だというふうに思っております。私たちは、企業もそうでありますが、やはり政府もそういう多様性を持った高齢者にいろいろな機会を与える環境づくりをするということがいいんじゃないかと思うんですね。
 企業の立場から申しますと、六十歳定年の後の再雇用を考える、これはもう現実に相当なスピードで進んでおります。それから、人によりましては、自分の持っている技術を途上国に行って伝えるということもあるでしょう。あるいは、地域のボランティア活動とかNPOで働こうという人もいると思いますが、例えば、小学校とか中学校の学校教育の場にそういう高齢者に行ってもらったらどうだろうか。子供たちの生活指導、マナー、そういったことを教えていただきますと、本当に、いろいろ起こっている子供の問題、非行とか非常に問題の大きい犯罪とかいうようなものを防ぐことができるんじゃないだろうか、もっと住みよい国になるんじゃないかというふうに思うんですね。
 もちろん、今は六十五歳というとまだ本当に元気な方々が多いんですが、七十、七十五となりますと、介護も必要になってきますし、いろいろな意味での社会保障というのが重要性を増してくると思いますが、ぜひ元気な高齢者をふやして、それで社会の役に立っていただくような環境づくりをするということが大事ではないかと思っております。
○野中参考人 私は、先ほどお話ししましたように、東京の浅草というところで診療所を開設しております。その中での経験を少しお話ししたいと思います。
 私にとって一番思い出のある浅草というところは、隣の家から、きょうはおすしをつくったからといって、おすしをおすそ分けということでいただいて、そのお返しにマッチ箱を差し上げる、豊かではなかったですけれども、戦後の時代にはそういう人々の交流があったと思います。
 現在、私どもの診療所に来られるお年寄りの方々と接していますと、一つにはやはり寂しさ、あるいは会話を求めていらっしゃる。元気で通院される方にも、会話を求めたり、どこに行って仲間とお会いしてお話ができるのか、そういうことを求められている方々が多くおられます。浅草というところもマンションが多くなりまして、マンションというところで隣近所のつき合いがなくなったということに尽きると思いますけれども、そういう面で、ある面では閉じこもりという部分が非常に多くなっています。また、閉じこもりということでなかなか外に出ていけない、特に、病気や障害を持たれた方々が御自分の姿を哀れんで、そしてこんな姿で表に出ていくのは嫌だというふうにおっしゃいます。
 私どもも、在宅診療でその患者さんのおうちにお邪魔をしまして、そしてさまざまなサービスを提供しますけれども、さまざまなサービスを提供することを受け入れていただくときには、やはり、昔地域でお友達と交流していた、そういうことを思い出されたときに、例えば訪問リハ、あるいはさまざまな福祉用具、さまざまな介護サービスを受けたい、そして再び地域に戻りたいというお気持ちを引き出したときに、初めてそのサービスが有効になると思います。
 そういう視点で、先ほども申しましたように、介護予防の視点も、新たな地域参加、そして新たな町づくりにつながるというような視点で構築されることが私は必要だと思っています。
 どうもありがとうございます。
○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 今の御意見の中にも答えが多少含まれておりますが、山本参考人にもう一度お伺いいたします。
 介護予防重視、軽度者に関しては予防重視も大切だと先ほど意見を述べていただきました。昨年我が党にいらしたときにも、重点化、適正化していったときに住民の方々の受けとめ方はどうなるとお思いになるかという質問を私がしましたら、しっかりと説明すれば納得いただけるのではないかという力強いお答えをちょうだいしたわけでありますけれども、地方におきましては、非常に高齢化し、また高齢者自体も自立できなくなった場合に、都会にいる子供たちに最後は引き取られてしまうというような現象もあるかと思います。さらに人口が減ってくる。
 また、ある学者は、トシヨリという言葉は、だんだん都市に寄ってくる、医者にしても買い物にしてもそばにある都市に、最後はもう一度寄ってきてしまうのではないかという見解もありまして、地方においてこの介護予防を実効あらしめるものにするためには、実際そういった方々に出てきていただく、そういった一つのコミュニティーといいますか、つながりというものの中でこの介護予防というものが実際に進められていくのではないかというふうに思いますが、コミュニティーの活性化というようなことに関しましてどのようにお考えになられますでしょうか。
○山本参考人 ごもっともなお話なんですが、私が思うに、自分の人生経験からいきますと、六十五歳はまだ元気なんですよ。私が六十五歳のときは、若者と一緒に走っていいぐらい元気でした。ところが、六十五歳からだんだん体力が落ちていくことは事実です。七十まではどうにかいきます。ところが、七十を過ぎますと一年ごとに変わってきます。七十五を過ぎると月ごとに体力が落ちていくのがわかります。年がわかってしまいますからそれ以上は申し上げませんが。
 したがって、六十五歳ぐらいでしたら、筋トレを大いにやれば七十五まではそれこそ元気でいけると私は思います。ですから、この介護予防だけはどんなことがあってもやるべきだと私は思います。持って生まれた体がもともと弱い人、これは別ですけれども、普通の体であれば、六十五歳からやれば、六十歳でもいいんですけれども、六十五歳以上の人が対象になっているわけですから、こういう人たちがトレーニングをやることによって健康を維持することが私はできると思います。
 そこで、先生のおっしゃるコミュニティーをどうするかということなんです。それは、私の町は添田町といいますが、添田町健康おどりというのを考えました。簡単な踊りなんですよ。音楽に合わせてこの健康おどりをやることによってみんなが元気になる、みんなやれと、ことしから全員参加するんだということを今呼びかけているところでございますから、そういうふうにしてコミュニティーがそこで生まれてくると私は思うんです。だから、そういう踊りをすることによってお互い同士のコミュニケーションが高まっていく。
 では、これだけでいいのではないよと。もう一つこれの上の健康のための努力をする必要があるよということでいけば、私は、皆さんが参加をしてくれる何かのきっかけを我々のような行政側がつくればいいんじゃないか、こういうふうに思いますので、そういうことで努力していきたいと思います。
○古屋(範)委員 以上で質問を終わりにさせていただきます。貴重な御意見、ありがとうございました。
○北川委員長代理 次に、横路孝弘君。
○横路委員 参考人の皆さんには、大変お忙しいところ、また遠くからおいでいただいた方もおられまして、心から感謝を申し上げたいと思います。
 時間が余り十分ございませんので、皆さんにお尋ねしていきたいと思いますが、最初に、山本参考人に。
 介護予防というのは本当に大事なことだと思います。従来も、市町村におきまして、老人保健事業でありますとか、介護予防・地域支え合い事業でありますとか、あるいは在宅介護支援センターといったようなことで、いろいろな事業をおやりになってきたと思うんですね。今度それが地域包括支援センターとか地域支援事業という形に変わっていくわけなんですけれども、従来の事業について、評価といいますか総括といいますか、どのように受けとめておられるのか。予算の面とかあるいは人材というような点から問題もあったようにいろいろと伺っております。問題があったから今度変えるということなんですが、その点は現場におられてどう受けとめておられるのか。
 それから、先ほど、広域連合の中で給付が高いところと低いところと二・六倍の差があったというのは、介護予防事業の市町村における、一生懸命やっているところが低くて、そうでもないところが高かったのか、そういう何か理由、原因というものはこれらの事業と関連があるのでしょうかないのでしょうか。どこにその差があったのか、お答えいただければと思います。
○山本参考人 お答え申し上げます。
 今までいろいろな予防のための行事をやりました。ところが、今はやっても同じ人しか参加しないんです。専門員みたいになってしまっておるわけですね。こういうことをやりますよと言ったら、来る人が決まってしまっているんですよ。これでは効果がありません。これは私どもの行政のやり方が悪いと言う以外はありません。したがって、皆さんが参加し得るような、また参加しなければならないような、喜んで参加してくださるような、そういう環境をつくることが必要だ、こういうふうに思います。
 そこで、私がさっき申し上げたように、介護予防については、トレーニングをやるためにみんな集まれという、それをどうしたらいいかということをいろいろ今検討中でございます。だから、過去のものについては、余り成功しなかった、高い評価は与えられない、私はそういうふうに思っているところでございます。その点は、先生もそのようにお思いになっているんじゃないかな、そういうふうに思います。
 ところが、もう一つの関係との関係ですけれども、やはりそこらあたりが考えていかないといけないなという点がたくさんありまして、ですから、どうしたら参加をしてくれるかということが一番大事なんですから、私どもは行政として、それをやらなければ効果がないよ、やらなければあなたそのものが損しますよというような、宣伝といいますか啓発というか、こういったものがやはり不足しているような感じがします。
 ですから、それらを考えていけば心配をなさっているような点は解除できるんじゃないか、そういうふうに思いますし、同時に、これからもそういうことをやれば介護予防というのがどんどん波及していくと私は思います。そういうふうに考えております。よろしゅうございましょうか。
○横路委員 それで、今度、改正で地域支援事業とか地域包括支援センターという形になるわけなんですけれども、今までは余り効果がなかったとおっしゃった、今度はそれが本当に有効になるようには、どこをどう変えればいいんでしょうか。実は今と実態が余り変わらないんですね、私どもの見ているところ。形は変わりましたけれども。例えば予算の面でいってもふえません。国の方は国費の負担が下がって、あと保険からの負担がふえるというだけの話で、総体的な予算は変わらないんですね。ですから、そういう点では、ここをこう変えればいいと、従来の事業の問題点というのは何かお感じになっている点ございましょうか。
○山本参考人 ごもっともなことでございまして、要するに、そういうものには余り金を使いたがらないと言った方がいいかもしれませんね。それよりも、もっとこちらの方が大事だからこちらの方に予算を回していこう、そういうやり方をするのが一つありますね。そして、目に見えて、きょうやったら即効性があるものじゃありませんから。したがって、予算の配分のときにどうしても後へ回されてしまう、そういう傾向があることは事実です。
 しかし、私は思うんですが、介護保険料をたくさん払っているんです。片一方の健康保険料だってたくさん払っているわけですね。これ以上あなた方負担するんですかという呼びかけをしていくことが一点目ですね。
 それから、一つのデータをつくっていく。きょうここで集まってこのトレーニングをやりました、これは一カ月後にはこういう成果が上がりましたというデータをつくっていって、皆さんにお知らせする。そうすることによって、自分たちがやっていることが見えてくるようになる。今までは見えてこないわけですから、やったって効果が上がっているのかいないのかわかりません。だけれども、これからはそういうデータを皆さんたちに知らせるようなことをやればいいんじゃないか、そういうふうに思っています。
 それからもう一つは、さっき申し上げたように、啓発をやることです。これは行政がどんなことがあっても努力をしていくことが必要じゃないか、そういうふうに思っておりますので、その三者が一つになって頑張っていけば予防が向上していくんじゃないでしょうか、そう思います。
○横路委員 ありがとうございました。
 次に、矢野参考人に、ちょっと総論的なところで恐縮なんですが、先ほど国民負担率のお話をされて、企業は今の現状の中では負担はもうとても限界に来ている、これ以上負担がふえると国際競争力をそぐというお話がございました。ただ、日本の場合の税や社会保障の負担というのは、先進国の中ではアメリカ並みに非常に低い国民負担になっております。
 そして、国際競争力はどうかと見ますと、国民負担率が日本よりはるかに大きい北欧諸国が、例えば昨年のダボスの世界経済フォーラムでは、国際競争力のトップがフィンランドで、三番目がスウェーデンで、五番と六番がノルウェーとデンマークということになっています。
 多分それはお金の使い方に非常に違いがあるんだろうと思うんですね。あれらの国は、経済は先進国はどこでもサービス経済化しています、人に対して非常にお金を使っていますから、負担はしてもそのお金が有効にちゃんと戻ってくる、動いていく、そういうお金になっているんだと思うんですね。その点について一点。
 今私どもが社会保障制度の持続性のある制度設計をしようというときに、最近の状況で非常に問題なのは、非常に貧困層が拡大してきている、所得の二極化が生まれてその格差が開いているということが非常に大きな問題なわけです。
 その要素の一つとして、雇用形態が変わってきて、パート労働が全体の二五%ぐらい、しかも、その人たちの半分は月収十万円以下という非常に低収入になっています。ですから、国民年金も未納者がふえてしまう、月の負担がなかなか耐えられないというようなところ、あるいは国民健康保険の保険料も払えない人たちが出てくる。介護も、要介護度というのは完全に収入によって違っていまして、貧困の人ほど要介護度が高いというような問題が今日本の社会の中に生まれてきているんですね。
 これの基本のところは、あさってから始まります年金の問題を中心とした各党の議論の中で議論したいと思いますが、経済団体として、将来の日本のことを考えた場合に、これらの点についてどのようにお考えでしょうか。お答えいただければと思います。
○矢野参考人 最初の国民負担率の問題でございますが、外国の状況については私どもも承知しております。その場合に、経営コストという観点からもし比較するといたしますと、やはり雇用コスト、これを一緒に考える必要があると思うんです。
 日本の企業は、人を大事にするといいますか、会社が左前になってどうしようもなくなりますと、希望退職を募集したり、あるいはしばらく採用を停止して自然に人が減るのを待つというような措置の中で人減らしをいたしますけれども、やはり概して、経営者は従業員を大事にして、そう簡単に人減らしはしないんだという考えを持っていると思います。そして、平均給与、賞与も含めまして報酬の高さというのは、これはもう世界のトップレベルだと私は思っております。
 そういう雇用コストを考えますと、一概に、おっしゃるような負担率、保険料の高さとか税の高さということだけで比較はできないだろうというふうに思っております。
 それから、北欧の場合には、そういうふうな負担方式というものを国民が皆容認しているということなんですね。日本はそういう状況にはならないだろうというふうに私は思っております。これはあくまでも個人的見解でございますけれども。
 それから、二つ目の雇用形態の問題に関連するテーマでございますけれども、私はこれからも雇用の多様化というのは進んでいくと思っております。それは、経済社会がソフト化し、サービス化し、情報化しているということの裏返しのことだと思いますし、また、もちろん企業サイドからしますと、競争力確保のためにどうしたらコストを今よりも少なくできるかという努力はしますが、同時に、働く側のニーズも変わってきまして、自分のライフステージに応じていろいろな働き方を求めるという状況もあって、今申し上げたような雇用の多様化が進んでいるんだと思うんですね。その一つのあらわれが、御指摘のとおり、パートタイマーが急増している、特にサービス産業の中で急増しているという現象だと私は思っております。
 それは一つの大きな流れといたしまして、ここでやはり大事なことは、処遇に差があるということがきちっと説明できるという状況が大事だと私は思っております。つまり、公正さというものを基準にして、個人差というのはもちろんあるわけですが、処遇のやり方、仕組みについての共通基盤をつくるということが大事なんであろうと思います。これを私どもは均衡処遇というふうに申しておるわけでございますけれども、そうした配慮はこれからも人事管理、労務管理の中で大事な要素になってくるだろうと思っております。
 それから、もう一つ申し上げたいことは、だんだん今成果主義の方向が進んでおりまして、かつての年功重視から成果主義重視という方向に動きつつあるわけでありまして、それに伴って、ある職種について社会的に横断性のある賃金水準というものが生まれてくるだろうと思うんです。日本の場合は、各社ごとにそれぞれ仕組みづくりをしておりますから横断性を持つまでに時間がかかると思うんですが、そうした社会的横断性を持った賃金というものが生まれてくれば、そこでまた労働の移動も容易になってくる。また、それが一層、ある意味での職種別の賃金のバンドを持った横断性というものが育っていくということになるのではないかと思います。
 そうしたことの積み重ねの中で、私は、結局長い目で見れば、ある公正な基準というものが働いて、そこに合理性のある、納得性のある処遇の違いというのが生まれてくるし、処遇が同じになるということも生まれてくるしということになるだろうと思っております。
○横路委員 パートの均等待遇はぜひ早くその方向に向かって御努力いただきたいと思いますが、基本は日本社会のこれからのあり方などに関することでもありますので、またいろいろと、しっかりとこの委員会の中でも議論していきたいと思います。
 次に、野中参考人にお尋ねしたいと思いますが、野中参考人は、たしか介護予防サービスの評価研究委員会のメンバーでございましたね。きょうの御意見の中に、今回の予防介護を提案する基礎となっている介護予防市町村モデル事業の報告について、運動機能の改善のみで対象者のどのようなニーズを実現したのかを表現するケアマネジメントに関する報告は皆無であって、本来の介護予防に全く参考にならないという御意見を言われました。
 この委員会でそこがいろいろ議論の焦点になっておりまして、今までの要介護度一を要支援二と要介護度一に分ける、そうすると、要支援一と二で大体百五十万人ぐらいがそこからカットされて予防給付の方に回る、予防給付は原則として家事介護はカットですよ、いろいろな御答弁ありましたけれども、どうもそういう方向性のようなんですね。
 しかし、実際受けている方は、ひとり暮らしの八十歳以上の、特に女性の方が多いというようなことの中で、ある程度いろいろ自立はできても、ただ、買い物に行くだとか浴槽の掃除を手伝うとか、そんなちょっとしたバックアップがあることによって、あるいは通所に行くことによってコミュニケーションができたり、それで元気を出してやっていくという方も非常に多いと思うんですけれども、この委員会の中の議論を含めて、このように御意見されたところの内容をちょっとお聞かせいただきたいというように思います。
 それから、時間が来ましたので小島さんに、ホームヘルパーの人たちの労働条件なんですけれども、本当にやめている人が多いんですね、事業所の方の話を聞きますと。一年間でもう三分の二ぐらいやめているような事業所もたくさんありまして、やはりその賃金というのは非常に低く、働いたサービスの時間だけの給料で、移動する時間だとか報告書を書く時間だとか、拘束されている時間は結構長いけれども、給料は、働いた、サービスをした時間だけということになっております。
 これは介護報酬のあり方などにも問題があると思うんですけれども、どのようにしたらいいというようにお考えか、小島参考人の意見もお伺いしたいというように思います。
○野中参考人 時間がないので手短にお答えしますけれども、私は、介護予防は大切な手段だろうと思っていますが、今回の評価委員会の中で提案されたときに、どうも手段ばかりが提案されている。大事なことは、今お話しになりましたけれども、やはり押しつけではなくて、その人方のニーズをどうやって引き出して、そして継続していただくということが大事だ。
 そういう中に本人のニーズというものを、例えば自己実現という部分をきちっと引き出して、そしてさまざまなサービスを受けていただく、そういう中に、さまざまな、いわゆる閉じこもりとかそういう部分が実現されるのであって、ただ単に筋トレとかそういうものを押しつけるような政策はだめだというふうな発言をさせていただいたところであります。
 ですから、今回の部分に関しましては、前回の委員会でもやりとりがありましたけれども、十メートル歩いて何秒がどうなったとか、そういうふうな評価だけでは私は決してそれを評価できるものではない、本人の自己実現というものをどうやって実現したかどうか、そういう部分の評価があって初めてそれは意味があることだということでございまして、そういうふうな発言をしておりますので、評価委員会の議事録を見ていただけたら幸いでございます。どうぞよろしくお願いします。
○小島参考人 先生御質問のヘルパーの労働条件あるいは賃金の問題、確かに御指摘されるように、今のヘルパーの労働条件なり賃金というのは極めて問題のある状況にあります。特に、ヘルパーの問題であれば、登録型ヘルパーの皆さんの賃金、継続的に必ずしもサービス提供が行われないというような中で一カ月当たりのあるいは一週間当たりの労働時間が極めて少ない、そういう事態があります。
 今具体的に御指摘ありましたような、移動時間とかあるいは事務整理といったものについては、実際にサービス提供をしていないという形で報酬に反映されていないという話ですけれども、本来は、移動時間であれ事務作業であれ、これは雇用主の指揮命令下にあるはずなので、それは本来は労働時間ということでありますので、やはり労働時間に対する正当な対価というものは払うというのが基本だと思います。
 そういう意味では、常用型のパートの皆さんについてはそういうことも勘案されて賃金というのは決定されていると思うんですけれども、登録型のヘルパーの皆さんの賃金の実態が、指摘されたような問題がありますので、ここはやはりきちっと改善しなければならないというふうに思います。これは、単に今の介護報酬を、単価当たりを上げたというだけの問題ではないと思います。雇用関係あるいは雇用上の賃金の支払いの問題、そこをやはりきちっと対応すべきであろうというふうに思っております。
 ということで、先ほど意見の中で申しましたような労働条件に対する社会的な審査項目といったようなものを十分反映した形での事業者指定ということがこれから必要じゃないかというふうに思っております。
○横路委員 これで終わりますが、木村参考人、相野谷参考人には申しわけございませんけれども、資料をいただいておりますので、これに基づいてこれから質疑をしていきたいというように思っています。ありがとうございました。
○北川委員長代理 次に、山口富男君。
○山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。きょうは貴重な御意見をどうもありがとうございました。
 意見を承っておりまして、今の介護保険法の改正をめぐる国会の審議とのかみ合わせのある参考人の皆さんの意見表明だと私は思いました。
 それで、まず野中参考人にお尋ねいたしますけれども、今度の自己負担、保険から外してしまう問題なんですが、先ほど介護保険三施設の問題で、それぞれの役割があるのに、政府側の答弁は、これを一様な施設でないのに一様だと言っていると。これは私は本当に大きな問題だと思うのですけれども、例えば、食費をとってみましても、施設の場合は肺炎にならないようなものがあったり、摂食の機能の訓練という側面もあるわけで、とてもではないけれども一様じゃないと思うんですね。
 なぜ、政府側は、こういう大事な問題を、平然といいますか、一様だという、どうしてそういうことになっちゃうんでしょうか。
○野中参考人 お答えします。
 それは、私がお答えはできませんけれども、私はやはりもともとから、いわゆる療養の部分それから生活の部分、その辺は分けていただきたいということは主張しております。やはりそれはそこから得るお金が非常に大きいからだというふうに思っておりますけれども、そこは私たちが判断したわけではございませんので、それは御容赦いただきたいと思います。やはり基本的には一様にかけることは不適切だというしかありませんので、よろしく御理解いただきたいと思います。
○山口(富)委員 もう一点、野中参考人にお尋ねしますが、今度の新予防給付の導入で一つの素材とされた研究は日医総研の研究だったんですね。しかし、きょうはその中身についてかなり詳しく紹介していただきましたけれども、政府側が我々に出す資料は、その部分なんです。私は、とても日医総研のあの分厚い研究の全体に基づく新予防給付の導入ということでないなというふうに感じていたんです。
 きょう改めて、モデル事業についても、これは本来の介護予防には全く参考にならないというところまで意見の表明があったわけですけれども、これだけの大きな制度改正ですから、当然実態の把握が必要なんですが、これは十分まだ行われていないという認識なんでしょうか。
○野中参考人 お答えします。
 一つは、あの日医総研の報告と本日の私の意見と共通して言わんとしていることは、改善がないのはケアマネジメントが欠けているんだ、もっと適切にケアマネジメントを研究し、そしてみんなで、多職種で協力しようよということが原点でございます。
 また、同じような視点で介護予防の視点を見ますと、どうもケアマネジメントという、先ほど主張しましたけれども、介護予防にも本来はケアマネジメントが必要でございまして、本人が何をしたいのか、何を目指しているのか、例えばお年寄り、高齢者になってもうそれがないのかではなくて、それをもう一回再認識していただく。そういう過程があって初めて介護予防をし、その中に、例えば栄養を改善する、口腔ケアをどうする、あるいは筋力トレーニングをどうするか、そういうことがあるわけでございますから、そのことが欠けているという部分で、その経過がないということで、私たちは、これに関しては本来のあり方ではないということでございます。
○山口(富)委員 どうもありがとうございます。
 続きまして、相野谷参考人にお尋ねいたします。
 きょうは冒頭で、介護保険制度を導入してから五年間変わっていない数値があるんだという紹介があって、それは在宅でのサービス利用率の問題で、四〇%レベルだというお話がありましたが、これについての詳しい裏づけのお話がありませんでしたから、どこに問題があるのか示していただきたいと思います。
○相野谷参考人 お答えいたします。
 ケアマネジャーさんの間でこういう話がありまして、ケアプランをつくろうとすると一万円の壁があるという話になります。ケアプランをつくって利用料を算定する、そうすると、一カ月の利用料の支払いは何とか一万円以内で抑えてくれないか。私は介護四ということで例えば三十万ぐらい月にサービスを受けられるんだけれども、それを受けようと思うと利用料の負担は三万円になる、そのために、とても三万円払えないから、一万円の範囲でプランをつくってくれないか。それが、ケアマネジャーさんの間でも言われている一万円の壁という言葉で、共通して出てきます。
 一万円の利用料負担というのが、在宅でのサービスの平均値でですが、ちょうど四〇%。つまり、自分が全部使えるあたりの四〇%しかサービスを使っていないというところで、私は、これの一番大きな原因は、この利用料の負担、これをもう一度やはり見直していただく必要があるんじゃないか、そうしないと、本当にその人が必要な介護のサービスを受けることができないんじゃないかというふうに思いまして、ぜひ、なぜ在宅で四〇%しか使われていないのかということをもっと追求していただきたい。
 それから同時に、調査室の資料集の九十六ページに図があるんですけれども、施設と比べて在宅では半分ぐらいだ、施設の方が在宅に比べると倍以上費用を使っている。だから、これが不公平だから施設の方に今度居住費、食費を認めるんだというんですが、私、これは考え方が逆で、在宅で四〇%程度しか使われていないから施設と比べると半分なわけですから、これは在宅で一〇〇%みんなが使ったら、施設と在宅、両方肩を並べることになると思うんですよ。そういう意味でも、ぜひこのあたりの中身の分析をしていただけたらというふうに思って、先ほど発言させていただきました。
    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕
○山口(富)委員 相野谷参考人にもう一点重ねてお尋ねしますけれども、今の問題ですが、利用料の一万円の壁という話がありました。
 先ほどのお話では、今度の提案については一度白紙に戻して、徹底した実態の調査と審議をし直すべきだというお話でしたけれども、相野谷参考人の方から、こういう点でのいわば改善の提案といいますか、見直しが要るんだということがあったら示していただきたいと思います。
○相野谷参考人 お答えします。
 先ほど配付させていただきましたパンフレットの十七ページから十八ページにかけて、この間私どもの加盟団体の中で討議をしてまいりました、本当にみんなが安心できる介護の保障のためにこういう改善をしていただけたらという提言と要求をそこにまとめてあります。
 時間もありませんので、かいつまんで御紹介だけさせていただきますと、やはり保険料が高くなってきています。今度の改革案でも、改革をしてもまた介護保険料は三年先、六年先に五千円、六千円に上がっていくということにもなっていまして、高齢者の年金の生活の中で、二千万人いらっしゃる高齢者のうち半数は国民年金、それも平均の月額受給額が四万九千円ですから、そこから千円、二千円を天引きされるという保険料負担になっています。その上にその他の費用が引かれるわけですので、やはり、安心して払える、本当に払ってよかったと思える保険料にするということが大事だと思います。そのためには、ぜひ法律の中に保険料の減免制度をきちっと位置づけていただけたらというふうに思っています。
 また、先ほど一万円の壁と申しましたが、利用料の負担が高いということも問題です。しかも、激変緩和措置で行われていた所得の低い方に対する利用料の三%というのも、二年前に六%にされ、この四月からは一〇%に戻されてしまいましたので、やはり低所得者に対する減免も含めた利用料負担のあり方ということももう一度見直していただけたらというふうに思っています。
 その他、そこに項目が書いてありますので、ぜひ参考にしていただけたら幸いであります。
 ありがとうございました。
○山口(富)委員 どうもありがとうございます。参考にさせていただきます。
 続きまして、木村参考人にお尋ねしますが、ケアマネジメント、非常に大事だと思うんですけれども、先ほどの意見の中で、新予防給付についての考え方のところで、地域包括支援センターの話がありました。
 それで、これは今回の審議の中でも明らかにしたんですけれども、政府は大体五千から六千カ所つくるというんですね。新しい新予防給付の対象が大体百五十万から百六十万と推定している。そうしますと、今の政府が示している基準でいきますと、センターに保健師さんか経験を積んだ看護師さんが一人いればいいと。そうすると、単純に言いまして、三百人から三百二十人ケアプランをつくらなきゃいけなくなっちゃうんです。それで、私が聞きましたら、いや、それは委託するからいいんだと言うんですが、法律上は、責任はあくまでセンターがとるのであって、委託はできるという規定になっております。
 これは、皆さん方の仕事の方から見たときに、ここは不安があるぞというのがありましたら示していただきたいと思います。
○木村参考人 不安というよりも、私どもは、地域包括支援センターの保健師だけがそれをやるというふうな認識はありません。主任介護支援専門員、社会福祉士、それから経験のある看護師まで広められるということでありますので、三職種、四職種がそれぞれ一人でそれをやるということでは認識しておりません。ですから、それは複数化することが当然必要だと思いますし、それから、委託するというところで、当然、先ほど私どもが述べましたとおり、現場のケアマネジャーがそれを受けるという形になっていくと思います。
 現実には、アセスメントからすべて私ども現場の介護支援専門員がやることになると思いますが、やはり、生活機能、特に新予防給付に関するアセスメントの視点とか、その辺のところをまだまだ私どもも勉強途上という形でありますので、私どもの考え方としては、しばらくの間は、見てもらうと言うとおかしいですけれども、一緒に視点を合わせて、新予防給付に対してというか、その利用者御本人の生活機能が本当に落ちているかどうかということの視点を当てるところ、そういうところを確認しながら一緒にやっていきたいという考え方を持っています。
 ですから、不安材料というよりも、まだ姿が見えてこないという状況にありますので、一緒にやっていきたい、そして、何しろ利用者御本人のモチベーション、意欲を上げていくような格好に、どなたかが言っている、強制的に何かをやれとか、そういうことではなくて、専門職として御本人にちゃんと提案して、御本人と家族、それから多くの職種のかかわる人たちが共通の目でもってやっていけるような体制で、包括支援センターがまさに機能として連携をとっていただければなということを考えております。
 以上です。
○山口(富)委員 今木村参考人がおっしゃったように、姿が示されていないんですね。実際に言いますと、先ほど三種、四種という話がありましたが、新予防給付の介護プランそのものをつくるという点でいったら、これは保健師さんとあるいは経験を積んだ看護師さんしか認められていないんです、厚労省側の説明は。私は、それさえ皆さん方ケアマネジャーの方に伝えられていないのかと思いまして、ちょっと驚きました。
 それから、小島参考人にお尋ねしますが、随分詳しい実態調査をいただきまして、ありがとうございます。
 それで、先ほど横路委員からも介護労働者の問題が取り上げられたんですが、昨年八月に基準局の通知が出まして、労働時間、介護労働者も労働者としてきちんと対応しなさいという通知が出ているわけですが、現状からいきますと、先ほども例が挙がりましたけれども、調査してみると、移動時間を労働時間としてカウントしないで払っていない事業所が三四%、それから待機、準備時間でいうと四二%払っていない、そのほとんどが民間の企業ということになっているんですけれども、これを改善するための提案が何かおありでしょうか。
○小島参考人 なかなか難しいところなんですが、本来は、ここはやはり労使関係できちっと対応すべきところだと思いますけれども、なかなかそこは、先ほど意見の中でも述べましたように、中小の事業所の中では、いわば正常な労使関係がなかなか成立しないというような状況の中で、今先生が御指摘になったような実態になっているというふうに思っております。
 ここはやはり、私たち労働組合連合の立場とすれば、よりパート、特に登録型のパートの皆さんも含めて、社会的ないわば賃金の相場形成といいますか、それをつくっていくという努力をしたいと思います。それにあわせて、この基準局が出しているような通達、これの徹底を図っていくということを進めていきたいというふうに思っております。
○山口(富)委員 時間が参りましたので、山本参考人と矢野参考人、意見表明を参考にさせていただきます。ありがとうございました。
○鴨下委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。本日は、参考人の皆様には大変御苦労さまです。
 まず冒頭、山本参考人にお伺いいたします。
 介護保険制度というのは、市町村を主体として、保険者として五年前に発足して、当初、反対であられたが、五年間一生懸命いろいろなお取り組みをしてこられた御経験をお話しいただきました。
 今回の改正の中で、サービス提供の一番主体になる保険者のいわゆる権限が多少は強められた。それは例えば、問題のある指定業者の県への通告とか立入調査権というところは確かに改正されましたが、山本参考人御指摘の、例えばその地域にどのような入所施設、あるいはどのようなサービスが必要かということで、県が許認可権を持っておりました場合に、市町村の声と県の声、県の立場、もっと言えば国も、例えば老人保健事業で、これまでは新ゴールドプラン等々ございましたので、その中での計画という大枠があり、県があり、市町村があったわけですが、今後さらに市町村の権能を高めていくためにどういう点が必要であるとお考えか。一点目、お願いいたします。
○山本参考人 最初のころのことをお話し申し上げましたので、言いかえますと、市町村というのは保険者という立場だけであって、ある意味では、やることがなかったんですね。ただ要介護にしてくださいという申請を受け付け、それをさっきのいわゆる調査員から、そして審査会に行って、ケアマネジャーがマネジメントされたものをそれぞれの施設が、事業体がサービスをするというのが今の流れでございます。保険者としては、その中には全然介入できなかった。しかも、さっき言ったグループホームとか、そういったものの建設についても市町村の意見は重要視されなかったんですね。
 だから、本来は、これはやはり入り口から出口までは保険者の責任なんですよ。その保険者の責任であるものを、途中、一番エキスになっているところだけは県へ持っていってしまったわけですね。だから、最初の仕組みが悪いと私は思うんですけれども、今回の改正でそれらが少し緩和されて、市町村の意見を重視するということになっておりますから、改善はされたと思います。
 もっと私が思うのは、保険者がすべてのところに、言うならば、いろいろな意見を出したり、調査をしたり、それらに対する決定権を持つとかいう、そういう権限をもう少し与えてもいいんじゃないか、そういうふうに思うんですね。しかし、一挙にいきますと県と市町村の対立になりますから、そこらあたりもよく考えて、県と市町村が協調しながらやっていけるということにした方が案外効果が高いかもしれません。
 そういう意味で、今回の改正では、そこまで、完全にはいかないけれども、まあ、いったんじゃないか、そういうふうに思っておりますので、御了解いただきたいと思います。
○阿部委員 次に、野中参考人にお伺いいたします。
 新予防給付についての評価については、私も参考人の御意見と思いを一にするものでございます。運動機能だけに過多に評価が偏っておりますし、コスト評価もございませんし、何よりも、本人の生きがい、生きる場にどう寄与したかがございませんので、これは、その点では今回の改正案は非常に問題が多いと思います。
 しかし、きょう、せっかくお越しいただいて、ぜひともお伺いしたい点といたしましては、介護保険が始まりましてからずっと医療と介護の連携という言葉が、言葉としては登場しておりますが、実際に、先ほど野中参考人のおっしゃった三施設、特養、老人保健施設、療養型病床群、いずれも医療と生活の、度合いは違え双方を必要としている中で、今度改正されるとすれば、医療ということも、やはり必要であってもなかなか手に届いていないという実態が多くの利用者から上げられておりまして、この点の改正について具体的にはどういうふうに踏み込んでいけばよろしいのか、そこを少しお話しください。
○野中参考人 お答えします。
 確かに、現場では、医療を必要とする患者さんに適切な医療が提供できないという部分が上げられておりますのは、おっしゃるとおりだと思います。
 実際には、ある面では、その患者さんの病状に応じて、私も先ほど主張しましたけれども、三施設は利用しながら、そしてまた一般病床とどういう関係を持つかどうかという部分が、本来は移動するということが前提でこの三施設の医療と介護というのはできているわけでございますけれども、実際に今、現実面では、その移動が容易ではない、あるいは高齢者に対する医療というものがやはり地域の病院においてはなかなか実行されていないという部分がございます。
 ですから、ある面では、施設、施設において必要な医療をどうやって提供できるかどうか、医療の体制も含めて考える。もう一つは、やはり現場のかかりつけ医、いわゆる地域のかかりつけ医とどういう関係を持つか、その辺と、それから地域の病院との連携をもう一回再構築することが大事だろうと思います。
 実は、患者さんが病気になって、そして施設の中で医療を受けるという視点と、もう一つは、患者さんが一般病床で病気を治して、そして退院されるときに、三施設とどうやって、三施設に行くのか、あるいは在宅に行くのか、在宅支援というか、その辺と在宅ケアとの連携が私ども日本医師会としては重要だと思っておりますし、今後ともその辺を地区医師会で、個々の患者さんにとっての医療のあり方をもう一回点検するように日本医師会としては指針として地区医師会に示したところでございますので、今後もその辺の部分が必要だろうと思います。明確にはお答えできませんけれども。
○阿部委員 利用者の皆さんに伺いますと、例えば次の施設をどこにするかを含めて家族が自分で探さなくちゃいけない、その部分はケアマネジメントでも支払われませんし、非常に負担も多く、路頭に迷うというと失礼ですが、手だてもなく悩んでおるという声をよく聞きますので、今後これが地域包括支援センターのお取り組みで可能になるのかどうかも、私はちょっとこの審議を通じては見えておりませんので、まだ宿題かなと思いまして、今ちょっと野中先生にお伺いをいたしました。
 あと、矢野参考人にお伺いいたしますが、お話の中で、いわゆる地域支援事業というものを今度新たに切り取って行う場合のコスト評価ということをおっしゃられたんだと思います。
 私もある意味で同じように、これまで老人保健事業やあるいは在宅介護支援センター事業あるいは介護予防事業という形でいろいろな事業があったものを今度地域支援事業にまとめるということで、しかしながら、財源は介護保険の財源をどどっと、どどっでもないです、どっくらいですか、持ってくるということであります。
 逆に言うと、この地域支援事業は、いっぱいやれば非常に給付も増大というかお金もかかりますし、いいかげんにやれば利用者にとっても意味がないという意味で、私は、今、地域の介護予防モデル事業の中でも実はコスト評価は全くやられていない、せいぜい筋トレで、言っちゃ悪いけれども、私は筋トレは評価していますが、でも、それで何メートル歩けたかということだけじゃなくて、生活の質、本人の意欲、そして、実際にやはりどのくらいの費用をかけ、どのくらいの評価があるかということだと思うのです。
 矢野さんがおっしゃった、地域支援事業を考える場合にはコスト問題も大切である、そのように承りましたが、もうちょっと内容をお話しいただければと思います。
○矢野参考人 介護予防全般に言えることなんですが、ある意味ではまだ試行錯誤の段階だと思うんですね。こういうサービスをやれば必ずよくなるというふうに、立証されているものもあるとは思うんですが、まだ十分それだけの実績を積んでいないと思います。
 ですから、まず基本的に、これからよかれと思うことをやっていくわけですが、効果があるということになったらそれをサービスとして追加するということも可能だと思いますし、それから、実際にやってみたけれども余り効果がない、いろいろ御指摘の事例もありました福祉用具の貸与とかあるいはホームヘルプサービスなんかについて、必ずしも効果がないということであれば、それは制限するなりやめていくというふうにして、中身をだんだんとよくしていくという努力が一方で私は必要だと思います。
 それと、それは質的にそのサービスがどうであるかということなんですが、御指摘のとおり、費用対効果ということは十分検証してみなくちゃいけないと思うんですね。限られた財源でどうしたら一番いい効果が生まれるかというのがこの事業の大事な視点だと私は思いますので、やはりその点の配慮がなくてはいけないだろうというふうに思っております。
 それから、従来行われておりました地域支援事業は、それぞれの市町村の住民サービスという形で行われていたわけですね。それにはいわゆる要支援とか介護度一とかいうような認定というのが行われずになされているというのがかなりあると思うんです。そうしたものを介護保険制度の中に取り入れるというのはちょっとおかしいんじゃないかと思っておりまして、これは制度そのもののあり方と費用の問題も含めまして、そこのところはやはりちゃんとけじめをつけなければいけないんじゃないだろうかというふうに思います。
 私は、市町村が要支援にもならないようにといろいろ配慮しながら事業をし住民サービスをするということは、それなりにそれぞれすばらしいことだと思うんですね。それはやっていただくにしても、それを安易に介護保険制度の中に取り入れるということは問題が大きいというふうに思っております。
 十分お答えになったかどうかわかりませんが、以上でございます。
○阿部委員 小島参考人にお伺いいたします。
 九四年、この制度発足当初に調査をなさって、御家族に対して憎しみの感情を抱く方が三割という、これは悲しい数字ですが、介護保険が始まって五年近くたって、今度は施設で働く職員が入所者に憎しみを抱くということが三割ないし四割近くなっていると。
 そうすると、この制度がやっと発足して、よちよち歩きか、まあ、もうちょっと歩いたかもしれませんが、そこでまた同じような問題にぶち当たるのであれば、やはり介護現場の、特に介護労働の問題が大きいと私も御指摘を聞きながら思いました。
 そこで、介護労働者の置かれた状況について他の委員からも御指摘がありましたのですが、私は特に、いわゆる医療に属していたような吸引とか摘便とか褥瘡処理とか、こういうことも多く現場では介護労働者が担っておる、これはどのように改善すべきであると考えるのか。そのあたりをもうちょっとお願いいたします。
○小島参考人 先生御指摘のように、先ほどの私が述べましたところの褥瘡の処置の問題ということで、実際、施設介護、このアンケートの中でも出ております。三割ぐらいがやはり褥瘡処置を介護職の皆さんが行っているという実態になっていますし、在宅でも多分そういう実態はあるのではないかというふうに思っております。
 ここは、私は、意見で述べましたように、そのあり方をやはりきちっと整理するということを早急にすべきじゃないか。これは本当に医療行為だからもう介護従事者がやらないというふうにきっちりけじめをつけるか、あるいは、一定の講習、研修をした場合には介護職の皆さんでもそこは医師等の指導のもとに処置ができるといったような整理をするか、そこのところをまさに早急に、現場のヘルパーの皆さん、介護職の皆さんを入れて、検討の場ではっきりすべきだというふうに思っております。
 ここは、私は、今のところこうだということはありませんので、やはり現場の声をよく聞いて詰めていただきたいというふうに思っております。
○阿部委員 残る参考人のお二人には、私の手順が悪く、お聞きすることができませんでした。申しわけありません。
 ありがとうございました。
○鴨下委員長 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
○鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き、本案審査のため、参考人として、全国老人福祉施設協議会副会長中田清君、公立みつぎ総合病院病院事業管理者山口昇君、財団法人全国老人クラブ連合会副会長見坊和雄君、城西国際大学福祉総合学部福祉経営学科教授服部万里子君、介護の社会化を進める一万人市民委員会政策委員池田省三君、労働者住民医療機関連絡会議介護保障担当幹事池尻成二君、以上六名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際は委員長の許可を受けることとなっております。また、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず中田参考人にお願いいたします。
○中田参考人 御紹介をいただきました、全国老施協の中田でございます。
 今回、介護保険法等の一部を改正する法律案について参考人として意見を述べさせていただく機会をいただきましたことを、まずもってお礼申し上げたいというふうに思います。
 私は、福祉現場を預かる一人として、今回の改正案の要点の中から二点ほど絞って意見を述べさせていただきたいと思います。一点は、新予防給付の創設についてでございます。もう一点は、施設給付の見直しについて、二点について意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
 改正案では、要支援、要介護一といういわゆる軽介護の皆様方に向けてのサービスが適切でない、その理由は、要介護度改善がなされていない、むしろ悪化しているということが一点と、それから一部事業者による過剰な掘り起こしが行われているということで、今回の改正の中身は、このいわゆる軽介護者を新予防給付の対象とするということになっているわけでございます。
 しかしながら、全国老施協の老施協総研で、私どもが昭和十五年の三月とそれから九月に、二万五千八百九十六人を対象とした、通所介護利用者、いわゆるデイサービスの利用者の要介護度変化状況について調べました。その結果は、要介護度が維持されているといった方が八〇%、改善されているのが四・九%、合わせて八四・九%の皆さん方が維持、改善されているという結果が出てございます。
 もちろん、この調査の中でも、介護度が悪化したという層も若干、若干というか一五%ほどいるわけでございますけれども、皆さんも御存じのとおり、この介護サービスを利用されている皆さんというのは、八三%がいわゆる後期高齢者、七十五歳以上の利用者である、平均大体八十代の方が利用しているという実態があるんですが、その辺を勘案しますと、この要介護度を維持されているということをどの程度評価するかということが非常に大きなポイントになるのではないかなというふうに私は思っているところでございます。
 要介護度改善について、今盛んに予防給付のメニューが、筋力トレーニングだとか、いろいろ言われてございますけれども、それらのメニューを入れることは、私は基本的には賛成します。しかし、今回の内容は、わざわざ予防給付対象を切り離して行うというところに、私は、福祉現場を代表して、非常に疑問に思わざるを得ないということをまずもって申し上げたいというふうに思っております。
 特に、私がここで問題にしたいのは、要介護一と認定された方の約七割から八割ぐらいが今回新しい予防給付へ移行するということになってございますけれども、私が示した資料をちょっとごらんいただきたいのですが、ここに、従来、今日まで行っている要介護認定審査会というのがございまして、これはコンピューターと二次判定で、ここに書いてあるように、要支援から要介護一から五までという認定をするわけです。
 ところが、その後、その同じ審査会で、要介護一の方を対象にスクリーニングをするというんですね。それで、介護予防が理解できないような認知症の方だとか、それから脳卒中後遺症でまだ心身が不安定な方については残すけれども、原則、それ以外の方はみんな要支援に持っていくということになっているんです。
 ここが非常に問題で、このことについては本人の意向を聞かないわけですよね。いわゆる行政処分として一方的に要支援二とされるわけでございまして、そして新しい予防給付の対象となる。僕は、このことは、利用者だとか国民の目線から見れば、極めて利用者不在、国民不在の制度改正と思わざるを得ないということを御指摘させていただきたいと思っております。
 そもそも現行の介護保険制度というのは、皆さんも御存じのとおり、要介護認定をもとにサービス水準が決められるような仕組みになっているわけです。例えば、要支援の方は月上限六万一千五百円までサービスを利用できますよ、要介護一となった場合は月上限十六万五千八百円まで使ってもいいですよというふうになっているわけですね。その要介護認定も、客観的なデータに基づいて構築されることが前提になってございます。そういう意味では、この要介護認定というのは、介護保険制度の根幹をなしているというふうに言っても過言でないと私は思っております。
 したがって、それに基づく要介護認定は、あくまでも要介護状態を客観的に評価したものでございまして、今回問題になっている要介護一が要介護度改善されないから、あるいは一部の事業者が過剰な掘り起こしをするからということを理由に介護サービスから切り離す、外すということは、私は、要介護認定自体が、その客観性だとかあるいは実効性が問われるのではないかというふうに思っているんです。
 そういう意味において、介護保険制度自体の根幹が崩れることになるわけですから、今日までせっかく国民との間に築いてきた介護保険制度に対する信頼が損なわれるんじゃないかということを私は大変危惧しているところでございます。今回の介護予防の創設に当たっては、そもそも、要支援という考え方だとかあり方というものを大幅に変えるわけですね。にもかかわらず、要介護認定ソフトをそのまま使うところにかなり無理があるのではないかと私は思っているところでございます。
 繰り返しになりますけれども、この新予防給付の創設という改正案を利用者だとか国民の視点から見れば、要介護一の方を新しい予防給付へ移行させるために、要支援二という区分を無理やりつくったというふうに映るわけでございます。
 利用者と国民にとって、私は、介護かあるいは予防かということは本当に大事なことだと思っております。それはなぜかというと、介護と予防ではサービス水準が全然違うわけですから、国民、利用者にとっては極めて大事なことであるわけです。しかも、介護になるか予防になるかによってサービスの種類も今度違う、水準も違うとなると、これは極めて大事なことだというふうに考えざるを得ないわけです。
 それにもかかわらず、要介護一と認定された方が要支援二に、本人の意向も聞かずに行政処分として見直されるというこの改革案が、本当に利用者や国民の理解と納得が得られるのか、私は非常に疑問に思っているところであります。
 ここに、ある福祉系の新聞の調査結果が出ています。全国各地で汗を流しているケアマネジャーさんを対象にアンケートをとった結果が出てございますけれども、それによりますと、予防の考え方だとか必要性というのは理解できるが制度の内容に疑問があるというふうに答えた方が何と七五%、それから、運用がややこしくなると答えた方が六七%、さらに、高齢者の立場に立った見直しでないというのが四二%あるんですね。現行の要介護区分が、認定制度がようやく認識されたばかりなのに、さらにわかりにくくなる、混乱は避けられないのではないかなというふうに私は思っております。
 今回の過激な制度変更に戸惑うという声が圧倒的に多いということをこの新聞も結んでございますけれども、このように、要介護度認定区分を現行の六段階から七段階にすることによる問題点が非常に多いということを、まずもって私は御指摘させていただきたいというふうに思っております。
 次に、私の資料に基づいて説明を申し上げますけれども、この改正案では、新予防給付というのは、新しくつくる、これは市町村がつくることになるようでございますけれども、地域包括支援センターの保健婦さん等が行うことになっている。それで、介護給付は、現在あります居宅介護支援事業所のケアマネジャーがこれをやることになっているわけですね。それぞれ別々に予防と介護でケアマネジメントをするということになっているんですが、このこともまた、利用者や国民の目から見ると、極めて利用者不在、国民不在の改正であるというふうに言わざるを得ないんじゃないかと私は思ってございます。
 軽介護者の場合、いわゆる後期高齢者の利用が非常に多いわけですから、疾病だとか転倒だとか、そういったことによって要介護度の変動はしょっちゅう起こり得るわけですね、起こると私は思っております。例えば、要支援二になって予防サービスを受けた、その後、しかし、残念ながら要介護一、二になることだってあり得ます。逆の場合もありますよね。一生懸命介護サービスを受けて、そして要支援になった、こういうこともあります。
 しかし、このときが問題ですね。行ったり来たりするときに、まず一つは、いわゆるマネジメント機関が違うわけですね。地域包括支援センターに行ったり、居宅介護支援事業所に行ったりというような、マネジメント機関が違う。それからもう一つは、いわゆるサービスプランの担当者が違うわけですね、保健婦さんであって、こっちはケアマネジャー。要介護度が変わるごとに行ったり来たりしなきゃならない。それから、当然サービスの内容も違うわけですね、予防給付と介護給付。
 こういうふうに、私は、こんな状況の中ではケアの継続性が果たして本当に確保されるのかどうか。いずれも、利用者にとって不便なことはきわまりないわけでございまして、こうした混乱は私は避けられないんじゃないかなというふうに心配しています。ぜひこの点は改善していただかなきゃならないんじゃないかなというふうに思っております。
 それから、あわせて、いわゆる介護予防マネジメントについてでございますけれども、法案では、地域包括支援センターを創設して、保健師等が予防マネジメントを行うというふうになってございます。また、非該当の方を対象に地域支援事業を行うというふうになってございますけれども、それも、現在、在宅介護支援センターというのが、御存じのとおり、全国に八千七カ所も整備されております。そこでは、今非該当の皆様方に対する予防マネジメントも行っております。そのほか、要支援者だとかあるいは要介護者に対する相談活動も実施してございますが、なぜこの在宅介護支援センターを積極的に活用しないのか、また、一カ所当たり運営費が二千万から二千五百万ぐらいかかると言われる新しい地域包括支援センターを五千カ所つくるというんですが、なぜつくらなきゃならないのか、私はちょっと理解に苦しむわけでございます。私の知っている市町村の担当者だとか、あるいは在宅介護支援センターの事業の管理者だとか職員からは、こういったことに対して非常に戸惑っているというような声も多く聞いているところでございます。
 それからもう一点は、資料の二ページ目でございますけれども、入所施設、いわゆる介護保険施設での食費及び居住費の利用者負担化について、私は従来、全国老施協もそうでございますけれども、支払いの可能な方については、これはやむを得ないんじゃないかということ、しかし、低所得者対応だけはきちっとした対応策を考えていただきたいということをお願いしてまいりました。
 ただ、それは非常にある意味では評価されるところがあるんですが、一つ大きな問題は、この部分だけがなぜか十八年四月じゃなくて半年前倒しになるということが、これは現場の声としては、特に介護保険施設の生活相談員さんだとかそういうところからは、これだけの費用負担をお願いするということはそれだけに利用者だとかあるいは家族に理解と説明責任があるんだ、この短期間にこんなことが本当にできるのかというような問題提起もされているわけでございます。ただ、低所得者対応については、私はかなり評価できるものもあるだろうなというふうに思っております。
 この資料の二枚目でございますけれども、介護保険料段階のいわゆる二段階を、それを二つに細分化して、八十万円以下の皆さん方については今回、ここに書いてありますように、月々大体三千円、年間にすると三万六千円ぐらいの負担減になるということで、大変ありがたいなというふうに思ってございますけれども、問題は、八十万を超える二百六十六万という幅の広い層なんです。二百六十六万の層に近い方はいいんですが、百万を超える部分、例えばこれは障害基礎年金一級の方は大体九十九万六千円ぐらいでございますけれども、その方だとか、あるいは、施設を利用している方は女性が圧倒的に多いわけですね、ということは、いわゆる国民年金とそれからだんなさんの遺族年金でやっている方も結構いるわけですね。その方が、大体この層に入る方も結構いるわけです。
 そうした方に対してどんな配慮をするかということで、私はここで皆さんにお願いしたいことは、少しでも百万円ぐらいの年収の人たちについては、いわゆる保険料段階の第二段階にするように要望しておきたいなというふうに思っております。
 と同時に、我々社会福祉法人もいわゆる減免制度というのがございまして、取り組んでございますけれども、この減免制度もぜひ改善していただきたい。現在四十二万円ぐらいが基準になっているわけでございますけれども、この基準も緩和して、こういう層に十分恩恵がこうむれるような制度改正をぜひお願いしたいなということでございます。
 それともう一点は、現在この社会福祉法人の減免制度を実施している市町村は、全体の六割なんです。市町村によってしていないところも結構あるんです。ですから、全市町村での実施を義務づけるような方策をぜひお願いしたいということでございます。
 ちょうど時間になりましたので、私からは以上述べさせていただきまして、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○鴨下委員長 ありがとうございました。
 次に、山口参考人にお願いをいたします。
○山口参考人 山口でございます。
 本日のこの委員会にお招きいただきまして意見を述べさせていただく機会を得ましたこと、非常にうれしく思っております。
 私は、広島県の東部の方にあります御調町、今度、尾道市と合併いたしました、そこで、この三十年来、寝たきりゼロ作戦あるいは地域包括ケアシステムの構築等々、いろいろなことをやってまいりました。高齢者ケアにはかなり古くからかかわってまいりました。そういうことを踏まえながら、今回の介護予防と私どもの寝たきりゼロ作戦とのかかわり、そういうものを中心に意見を述べさせていただきたいと思います。
 私どもの病院は、二百四十床、十六診療科で、診療圏域人口は約七万人の地域の、いわゆる昔の旧総合病院であります。その病院で、実は、今から三十数年前でありますが、高度医療で命を助ければ助けるほど寝たきりの方がふえていった、こういう苦い経験をいたしました。
 そういうことから、私たちのあの医療というのは何だったんだろう。徹夜で手術をして命を助ける、医療の根幹ですからそれはそれでいいんですが、その後、一カ月前後で退院をした後外来に来なさいと言っていた、それが二、三回外来に来られて、あと来なくなる。そして、一年後、二年後に、寝たきりになって大きな褥瘡をつくり、おむつを当てた失禁状態で、また頭の理解力も低下した状態で再入院してこられる。こういう無惨な姿を見ましたときに、私たち医療に携わる者として、あの一年前に手術で命を助けた、よかったなと喜んだ、あれは何だったのかということから、私たちの医療の転換を図りました。
 この寝たきりになられた方々、一年前には自力で歩いておられたわけですから、その方々がどうして寝たきりになられたのか、こういうところの原因の追求から始まりました。家に帰られても、三世代同居といいましても、若夫婦は共働き、孫は学校へ、昼間はお年寄りだけ、こういう家庭は特に農村部では少なくありません。そういうところで、介護力が足りない、見る人がいない、さらに住環境の不備、あるいは、すぐおむつを当ててしまう、こういうことによって起こるおむつ失禁、こういうふうな幾つかの要因から寝たきりがつくられているということがわかってまいりました。
 私たちは、ただ病院にいて患者さんがやってくるのを待っている医療、そういう医療を提供していたわけですから、やはり積極的に在宅の中まで、地域の中まで出ていこう、こういうふうな、出ていく医療を展開いたしました。これは今日でいう訪問看護であり、訪問リハビリなんですが、ちょうど昭和四十九年の後半、我々がこれを開始したときには、そういう言葉もなければ制度もありませんでした。私たちの病院は、ただ、こういうふうに不適切な対応によって寝たきりがつくられている状態を何とか防ごう、こういうことから我々の医療の、当時、私はこれを出前と呼びましたけれども、出前が始まったわけです。
 その大きなねらいは寝たきりをつくらないということでした。そして、最初の数年間は全く効果がありませんでした。やはり寝たきりはふえていきました。しかし、五、六年たったころから効果が見え始めてきまして、そしてさらに、十年たったときには三分の一にまで寝たきりが減るという効果を得ることができました。寝たきりが完全な形で、関節拘縮その他、廃用症候群すべて含めてそうなりますと、そう簡単には改善いたしません。そうなる前にこれを予防するという発想、我々医者にはそれが今まで欠けていたような、病気を治すことだけに専念していたような、そのような反省から、我々のこういう寝たきりゼロ作戦が始まりました。
 そしてさらに、在宅で療養していらっしゃる方の福祉のニーズが非常に強いということから、私たちは、保健、医療と福祉のドッキングを図りました。ちょうど昭和五十八年、病院の五回目の増改築のときに、行政部門である福祉と保健を病院の中へ持ってきてしまいました。そして、病院の医療とドッキングさせました。こういうことによって、措置という制度で行政に頼らざるを得なかった福祉サービスも同時に提供できるようになりました。これが今日の保健福祉センターであります。
 そういう病院と行政部門の保健福祉センターを核として、周りにいろいろな老健施設、特養、ケアハウス、グループホーム等々の保健福祉施設を総合的に併設、合築してまいりました。これが我々が呼んでいる地域包括ケアシステムでありまして、この意味するところは、保健、医療、福祉の連携システムであり、また、これらの施設と在宅ケアを連携させることであり、さらに、住民もこれに参加して、ボランティアででも参加をしてやるネットワークづくり、こういうふうなもろもろの意味を持たしております。
 きょうの私の資料の一ページには、その概要を書いております。寝たきりゼロ作戦というときに、まず病気にならないことが第一でありますので、健康づくり、我々は地域へ行って、夜、小さな集会所単位に、健康づくり座談会というのを今でもやっております。このような健康づくりに始まりまして、今言いましたつくられた寝たきりをつくらないようにすること、そして、地域リハビリテーション、口腔ケア、もろもろの住民も参加するこのような活動をしております。
 そしてさらに、今、国保いきいきセンターというのをつくっておりますが、これは三年前に動き出しました。これは、国保の方で非常に支援してくれまして、我々の寝たきりゼロ作戦によって医療費がかなり経営が健全化してきた。
 そういうことから、私の資料の二ページの下の方をごらんになっていただきたいと思いますが、「地域包括ケアシステム(介護予防)の成果」と書いてありますが、寝たきりが減ったこと。これは三ページの上の方に在宅寝たきりのグラフがあります。縦の棒グラフは老人のふえ方でありまして、今三〇%の高齢化率でありまして、非常に高齢者が多い。そして、線グラフは寝たきり老人の割合でありまして、昔非常に多かったのがこのように下がってきた。これは寝たきりをつくらなくしたわけでありまして、寝たきりが治ってしまったわけではありません。
 そしてさらに、二ページの下に戻りますと、医療費もダウンしました。これが三ページの下にあります棒グラフでありますが、年度ごとに、二、三年置きにずっと広島県平均の国保の老人医療費と御調町の老人医療費を比べてあります。昭和六十年にはこのように高かった、県平均より高かった。それが、六十三年以後は県平均よりも低くなっております。というのは、これは結果として、やはり医療費がダウンしてきたということが言えようかと思います。
 そのほか、経済効果も上がりました。小さな町で、うちの職員の五百人というのが、家族も含めるとやはり経済効果に大きな貢献をしております。
 さらに、町が活性化してきました。他の地区に比べますと、他県あるいは他市町村から御調町へ転入してくる方もいらっしゃいます。バリアフリーの家をつくって、そして寝たきりの方を抱えていらっしゃる方々が家族ともども転入してこられて、我々のサービスを受けていらっしゃる。こういうふうなケースも出てきまして、町の活性化といいますか、過疎化に歯どめもかかってまいりました。
 これらはすべて、老後安心して住める町づくりにつながっていった、こういうことを申し上げておきたいと思います。
 さらに、私たちのこのようなことから、予防というのがいかに大事かということを我々は知ることができました。この予防というものを考えるときに、私は、今回の介護予防の発想というのは、実は私どもが二十数年も前からやってきたことそのものでありまして、新予防給付と国はうたっていますけれども、余り新でもない、我々にとってみればごく当然のことが今度制度化される、このように考えております。
 今、我々は、さっき言いましたように、医療費が非常にダウンしてきましたので、その基金を使いましていきいきセンターというのをつくりました。運動コーナー、栄養コーナー、口腔ケアコーナー、特に口腔ケアに関しては、全国的にもまだ資料が少ない。我々の国保の病院、診療所でつくっております全国国保診療施設協議会には、これらのデータがかなりあります。我々のところを初め、こういう口腔ケアに熱心に取り組んでいるところは、我々だけでなくて、口腔ケアに限らずこういう介護予防、地域包括ケアに取り組んでいるところは、医療費もダウンしております。全国的にそういう市町村は少なくありません。
 いずれにしましても、今度国が考えていらっしゃる介護予防というものにつきまして、私はそれをマネジメントする機関が必要だろうと思います。実は、私どものところでは、さっき言いました保健福祉センター、これはちょうど二十年前にオープンしているんですが、この保健福祉センターがいろいろな機能を持っておりまして、行政部分でもあるわけです。そして、そこで予防に関してのマネジメントも従来行ってまいりました。
 地域包括支援センターというのは今度新たに国の方でお考えになった名称だと思いますが、私たちは地域包括ケアということを既に二十年弱、十八、九年前から言い続けてまいりました。その地域包括という発想で今回の介護予防が行われるということには、私はこれを高く評価をしております。そして、それは何ら新しいことでなく、珍しいことでなく、とっぴなことでなく、私たちが二十数年来やってきたことなんだということを申し上げておきたい。
 そして、この保健福祉センターでは、実はこの十数年来、毎週月曜日にはケアカンファレンスをやっております。これは介護保険制度が始まる前からでありまして、そこにはいろいろな職種、保健、医療、福祉の職種、リハビリスタッフも含めて、そういう職種の専門職が集まってケアカンファレンスをやるわけです。そこで、予防のためにどうすればいいか、寝たきりを防止するためにどうすればいいか、どんなサービスがこのケースには必要なのか、どんなケアプランを立てればいいのか、こういうことを検討して、それに基づいたサービス提供を行う、こういうことをやっております。これは、考えてみますと、今度の地域包括支援センターの発想を先取りしていたということが今となっては言えるのじゃないかなというふうにも考えます。
 さらに、私は、地域包括支援センターというのは市町村の責務であろうと思っております。市町村が直轄でおやりになる、これはこれでいいんですが、いろいろな法人へ委託もできるという道も開いておられます。それでも私は、介護保険事業計画の中で位置づけをし、市町村の責任でこれをきちっと統括してほしいなと、丸投げにならないようにということを申し上げておきたいと思います。
 そういう意味では、四ページの上に書いております元気高齢者、軽度の要介護認定者に対しまして、さっきも言いました国保いきいきセンターで運動、栄養、口腔ケア、三つのコーナーを設けておりますが、ここには割と元気な方々がいらっしゃいます。それは特別ホームヘルプサービスが必要でもありませんし、あるいは、マシンもありますけれども、全員がマシンを使われるわけでもありません。不必要な方はストレッチ体操だけで終わられる方もいらっしゃいます。また、栄養改善につきましても、これはセルフチェック、コンピューターで資料を入力すればちゃんとカロリーあるいは体脂肪その他が出てくるようになっておりまして、アドバイスもいたします。そういうセルフチェックができるコーナーだということも申し上げておきたい。
 これは、地域包括支援センターができて、そしてそれを提供するサービス事業者もできるだろうと思いますが、そういう場合に、私は、地域包括支援センターのあの三つの基本的な役割機能をもう一度根幹からきちっと踏まえた地域包括支援センターであってほしいなと思っております。
 最後になりますが、四ページの下、我々は健康みつぎ21というのを健康日本21を踏まえてつくりました。御承知のように、健康日本21は九つの領域から成っております。一から九までがそうでありますが、これに、十番目、介護予防、十一番目、感染症予防、二つを加えて十一の領域にしております。いかに介護予防が大事か、私たちは寝たきりゼロ作戦を通して二十数年間にわたる一つの実績を持っておりますが、そういう経験から、このような健康みつぎ21というものをつくらせていただきました。
 今、住民の皆さん方は、さっき言いましたように町外からも転入してこられる方もいらっしゃいますし、今住んでいらっしゃる方々もこれは当然だという形でサービスを受け、できるだけ病気にならないように、そしてなっても重度化しないように、こういう発想で今生活をしておられます。
 したがって、私は、今回の介護予防というのは、今までの制度で御調のようにやってきたところ、あるいは余りそれをなさらなかった市町村、いろいろだろうと思います。今度こういう制度化によって全国にこれが普及していくこと、それが私は今後の超高齢社会を迎える我が国にとっては非常に大事なことではないかなと。
 もう一回申し上げますと、健康日本21でうたわれているああいう健康づくり、生活習慣病予防にプラス介護予防、これが今後の健康フロンティア戦略といって打ち出されておりますが、ああいう発想がやはり必要だろうということを申し上げておきたいと思います。
 以上で終わります。(拍手)
    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
○大村委員長代理 ありがとうございました。
 次に、見坊参考人にお願いをいたします。
○見坊参考人 見坊和雄でございます。
 全国の老人クラブ、八百四十万人ほどの会員を持っておりますが、戦後早くからクラブづくりが始まりまして、現在では十三万一千のクラブになっておるわけであります。
 介護保険に大変関心を深くしておりますし、また実際に介護保険制度の活用をさせていただいているということでございまして、特に、制度発足以来五年たっておりますが、保険料の問題を初めといたしまして、要介護認定の問題あるいはサービスの問題、いろいろとみんな勉強しながら、よりよいものにしていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
 お手元に、資料「介護保険法の一部改正について」という意見の要旨を記載したものを差し上げてございます。全部を詳細に申し上げるわけにまいりません。短時間でございますが、ちょっとかいつまんで要点を申し上げたいと存じております。
 キーワードは非常に私ども大事にしております。しかし、実際に介護保険を論じますときに、このキーワードがよく見えないということがございます。そうした点で、私ども、介護保険の勉強をいたしますときは、このキーワードを繰り返しそしゃくするようにいたしております。
 現在、介護保険は、発足してようやく五年であります。そして、予想以上の膨張を続けております。年率一〇%というのは非常に高い比率であります。私ども、予想以上のこの膨張というものにつきまして、果たしてこれで制度がもてるのかという危惧の念を持っていることは事実であります。しかし、膨張を続けているということは、社会的なニーズがそれだけあった、それにこたえているということでもありますので、それは成果を証明しているというふうにも見ております。
 同時に、この反面、数のふえました事業主体、一気に非常に急速な膨張をしたのは事業主体であります。それだけの参入がありました。しかし、その中には、果たして理念があるのかどうなのか疑問に思われるものもございますし、あるいはサービス過剰というものもあります。あるいは、高齢者の中に、私ども実際仲間を見ておりまして、これは無自覚な利用ではないか、家族ももう少し理解を深めないと、乱用してしまうというようなことになったのではいけない、そういうふうに思われる面もありまして、そういう制度の未成熟の面もあるというふうに見ております。
 介護保険は始まったばかりでありますが、その運営の財源は被保険者が拠出いたしました貴重な共有の財源でありますので、限りもあるわけであります。制度初期の段階におきましてこの健全化の方向というものを明らかにしていく、そして計画性を持って堅実に進める必要がある。お願いしたいことはたくさんありますが、無計画な推進をいたしましたならば、制度の崩壊に及ぶというふうに心配をいたしております。
 お願いしたい第一点は、低所得者対策でありますが、低所得者という言い方には大変ひっかかっております。しかし、所得の低い方並びに生活上不利な条件を持っている多くの方がおられるわけであります。特に、私ども戦前戦後を生き抜いてきました高齢者の中には、年金制度も全くない時代からの女性も非常に多いわけであります。
 そういう方々が、生活不安を覚えましたり、自立心を見失ったり、誇りを傷つけられるというようなことがあってはならないと思っておりますので、そういう力の弱い人々に温かな介護保険制度であってほしいと思っております。私ども、ともに戦前戦後の日本を支えてきた仲間であるという意識は非常に強く持っておりますので、その仲間の中で泣く人が出るようなことだけは見過ごせない、かように思っておるわけであります。
 第二点としまして、予防重視の方向というものをとっております。
 先ほど山口参考人からのお話も伺っておりました。私ども、戦争の終わりましたときには、私は戦地から帰って二十五歳でございました。それ以来、何もない占領政策のもとにおきまして福祉の事業が始まったわけであります。すべてが国民の助け合い、社会連帯ということを強調いたしまして、それを地域においても実践して、そして年金制度、医療保険、そして今日では介護保険制度にまで行き着いた、こういうふうなことであります。
 その中におきまして、私どもは、この予防ということは全く我々高齢者自身としまして当然のこと、こう思っております。それを努力するだけの意欲がなくてはならないと思っております。介護保険法の第四条には、要介護状態となることの予防ということと、要介護状態となった場合の能力の維持向上、この二つが強調されておりまして、この二点をともに重視すべきだと思っております。
 私ども、全国の高齢者八百四十万人から推計いたしまして、これは一つの、何千人の調査の中で、あなたは要介護認定を申請したか、その結果はどうであったかという項目を入れまして調査しまして、その結果を推計いたしますと、私どもの仲間で認定申請しましたのは百七十万人おります。全会員の二〇%です。これは二ページに書いておきました。そこで要介護に該当した方は三十五万人。この三十五万人、私どもの会員として一緒にやっておるわけでありますが、要支援と要介護一だけで二十一万八千人、約二十二万人おります。そして、要介護二から五まで合わせますと十三万人。
 これをどう理解するかということは大変難しいわけでありますが、お互いに議論いたしておりまして、この要支援、要介護の認定を受けたという人たちの話を聞いたり、いろいろ見ておりまして、どうもここに問題がありそうだというふうに感じております。その点は、場合によりましては、要介護認定の仕方というものをきちんとしてもらいたい。これは、ただ機械でやるんじゃなくて、専門家がしっかりと観察をして、そして要介護の認定をするということが行われてもおりますが、そこをしっかりやってもらいたい。
 それによりまして、今回、法改正の中でも一つの方向づけになっておりますが、私どもは、専門性を明らかにして新しい予防給付というものがあっていいのではないか。つまり、今まで漠然と全体に提供しておったサービスを、もっと個別の一人一人に合ったような、そういう専門性をもって判断をし、そしてそういうプログラムを提供していく。このことを進めないと、やはりお互い乱用になってしまうんじゃないかということを話しております。
 それから第二としては、地域、在宅重視であってほしい。つまり、施設に呼び込む、施設にということではなくて、地域、家庭でできる介護予防事業というものを普及してもらいたいということであります。私は練馬区に住んでおるわけでありますが、練馬区の区報では、健康づくりの講座を呼びかけておりまして、家庭でできるストレッチ、家庭でできる筋力トレーニング、こういう講座を開くからということを呼びかけておりますが、そうであってほしいと思っております。
 第三点として、高齢者みずからが健康づくり活動、それから私どもは友愛活動と言っておりましたが、高齢者相互に支援する活動、これをしっかりと進めなくてはならない、それを奨励していただきたいし支援していただきたい、こう思っております。高齢者自身の自覚と学習と実践努力なしには、どんなにいいサービスを提供されましてもサービスの効果は上がるはずがない、これは医療の場合も同様でありますが、そう思っておるわけであります。
 次に第三点として、サービスの質の向上、これは非常に大事な問題でありますし、特に、キーパーソンであるケアマネジャー、これが一番の頼りどころであります。中立公正、独立性をもって、そして専門性を発揮してケアマネジャーとしての職務を果たしてもらいたいと思っておりますが、そういかない、そういう位置づけというものが非常に多いように見ております。
 もう一つは、中立公正で専門性のある相談・支援センター。在宅介護支援センターが基幹型、地域型と二つに分かれましてそれぞれ配置されておるのでありますが、どうも若干不十分じゃないかと思われる点もありますし、実際に相談に行きましてもなかなか機能しないということがあるように思っております。
 サービスの質の向上としては、サービスを提供される施設長、事業所長、サービスに従事する職員の方々の専門資格制度、この点をしっかりとひとつ確立する方向でお願いしたいものだ、かように考えております。
 それから、施設やグループホームが、特にグループホームは一挙に十倍、二十倍、三十倍というふうなふえ方をしておりますが、果たしてそれでいいのであろうかというふうに疑問に思っております。もっと、介護保険制度におきましては、こういう施設やグループホーム、こうしたことに計画性を持って、そしてまた地域的な点も考慮して配置する、そういう方向でお願いしたいと思っております。
 第四に、適正化対策でありますが、八割以上の大方の事業は大変まじめに一生懸命になって努力をしておられる。私も職員に接しましてもそのように感じておりますが、しかし、本当にごく一部でありましても、営利優先でありましたり、不適切なサービス提供があったりする。さらに、どうしても私ども胸の痛む思いがいたしますのは、不正事件でありますとか虐待、暴力、こうしたことが一番、私ども、ついの住みかとなってお願いしております施設でありましたり事業所において行われるということは、ごく一部でありましても、これは到底許されないことというふうに感じておるわけであります。
 規制の緩和というものが時代の流れでありますが、こうした貴重な財源をもって、公益性の高い、公共性の高い事業は、事前規制というものについて、もっとしっかりとお願いをしたい。どこに行っても安心してサービスが受けられる、そういうことであってほしい、こう思っております。そして、そうした対策については、施設、事業所サイドの自主的な管理体制もお願いしたいと思っております。
 最後に、被保険者、受給者の範囲拡大は、私ども高齢者の中では、身体障害者は身体障害者のサービスと介護保険制度、両方を活用いたしております。年齢で区切ることは私どもは問題だと思っております。この障害者の方々も保険料を払っております。そういう方向で、全国民がこの制度というものを十分活用できるようにお願いしたい。そのために本来の施策がおろそかになることがあってはならないということは言うまでもないところであります。
 以上、意見とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○大村委員長代理 ありがとうございました。
 次に、服部参考人にお願いをいたします。
○服部参考人 城西国際大学の服部でございます。
 私は、今、大学では二十ぐらいの学生に福祉を教えておりますけれども、東京の渋谷区で、渋谷区第一号のNPO法人をつくりまして、居宅介護支援単独事業をやっております。もう六年目に入りました。私もケアマネジャーの一人ということで、地域に出ている、在宅に出ているケアマネジャーの一人でございます。
 きょうは、お手元に資料をつくらせていただきました。短い時間ですので、資料を御紹介しながら発言させていただきます。
 まず、資料、データの一枚を見ていただきたいのですが、私は、今回の介護保険のポイントの一つが、給付ということにあるというふうに思っております。
 現在、介護保険制度の一つの欠陥が、重度を在宅で見られないというところに欠陥があるというふうに考えております。現在、資料を見ていただきますと、介護度五と認定された方は六割、四と認定された方は五割強、介護度三と認定された方も三分の一は施設に入所をしております。
 そして、なぜそうなるかということですけれども、在宅で介護をしている人の介護負担というものを見ていただきますと、介護度五の場合ですと、ほとんど丸一日介護に時間をとられているというのが約六割です。介護度四でも五一%の方が終日介護に時間をとられているというこのデータでございます。したがって、介護する者がいない、または介護する者が高齢である、病気である、または介護する者がお昼仕事についている、こういう状態と、在宅の介護が重度になったときには並立できないという実態がございます。
 その結果として、介護給付というものを見た場合に、データ一の真ん中の左側を見ていただきたいのですけれども、現在、施設と在宅の一人当たりの給付費を比較いたしますと、全国平均で一人当たり四・七倍の差がございます。これは、単位は千円という単位でデータをつくっておりますけれども、昨年の十一月段階の給付費の実態調査から見ますと、平均で、在宅は一人当たり七万五千五百円を使っております。それに対して、施設は三十五万五千六百円。同じように介護度別に見たデータがそこでございます。したがって、人数からしますと、要支援、要介護度一は全体の四七%、約半数弱ですけれども、介護費用に関しては要介護度四と五で約半数の四六%を給付として使っているという実態がございます。
 私は、施設に費用がかかるということを否定はいたしません。ただ、実態として在宅と施設に支払われる給付の差があるということで、施設に入ることをおくらせることによって介護給付費が大幅に削減できるということを申し上げたいと思います。
 大田区のデータを出しておりますけれども、介護者がいない、または介護者がいても高齢である、日中介護者がいない、昼間独居である、家族に迷惑をかけたくない、これが施設に入所した方の理由であります。より長く、一日でも長く在宅で生活ができるような介護保険制度をつくることによって、介護給付費が大幅に削減できるというふうに考えております。
 データの二枚目をお願いいたします。
 これは午前中も言われておりましたけれども、ケアマネジメントの独立確保。これも、今回の介護保険制度の、五年間見過ごされてきた一つの欠陥だというふうに私は思います。サービスと併設することがすべて悪いわけではありません。しかし、そこでケアマネジャーの独立性が阻害されているという実態がございます。
 これは東京都の介護保険課が平成十五年の秋に行ったデータでございます。ケアマネジャーの約六割が兼務をしております。そして、サービス事業所と併設をしているのが九五%。約五、六%しか独立をしていないという実態があります。それは、介護給付費が非常に低いというところから、私の事業所も、ケアマネジャーの給与といただける介護給付費がほぼとんとんです。したがって、事務所経費が一円も出ないというのが実態でございます。
 そういう中で、ケアマネジャーは、数を多くこなすことで自分の給料を稼げと言われております。または、併設サービスを導入することでトータルで事業所の収支を合わせろというふうに言われております。
 その結果でございますけれども、データ二の一番下の左側のデータを見ていただきたいんですが、これは、ケアマネジャーさんが現在の事業所の中でプランをつくるときに、所属事業所から何らかの指示、提示を受けるかというデータでございます。それに対して、ほとんどある七%、行われる場合もある二九%。三六%のケアマネジャーが、これは東京都がとったデータです、何らかの形で指示を受けるという、これを申しております。このような、非常に板挟みになっている、利用者さんと雇用されている事業所との板挟みになっている、そして数をたくさんこなさなければいけない、こういうケアマネジャーの実態がございます。
 その結果、その上のデータですけれども、現在のケアマネジメントの職場でケアマネを続ける自信があるかという問いに対して、続ける自信がある四三%、自信がない三七%、今やめたい二〇%ということで、五七%のケアマネジャーが今の事業所で継続をするということに対して自信を失っているという状態がございます。
 そして、右の一番下のデータですけれども、指定取り消しの中で一番多いのが訪問介護、そして二番目に多いのが居宅介護支援事業所でございます。
 これは、不正というのは、ケアマネジャーが意識的に協力するか、または見て見ぬふりをするか、そのような形で何らかの協力がなければ、私は不正というのは存在しないというふうに考えております。したがって、ケアマネジャーを独立させることによって、介護保険の不正というのを一〇〇%防ぐことができるというふうに私は思います。
 私もケアマネジャーの一人として、先週、給付管理をやりましたけれども、毎月毎月のサービスの、そのサービスを利用者さんごとにどのくらい受けたのかというデータを事業所からもらって、ケアマネジャーはそれをチェックして、それを国保連合会に送っております。したがって、発生時点で一〇〇%チェックをすることが可能です。やっていないのにつけるというようなこととか、またはもっと多くをつけてしまうということは、ミス以外には一〇〇%不正をチェックするということが、ケアマネジャーの独立を確保することによって可能であるというふうに私は考えております。そのお金を減らすだけ、またはそういうことに伴う不信感を減らすだけでも、介護保険制度に対して信頼を回復できるというふうに思います。
 そして、三点目、データの三番目を見ていただきます。
 今回の介護保険制度の改定のポイントになっているのが、要支援、要介護度一、介護保険の約半数の方を予防給付に変えるということであります。今までもお話をされておりましたけれども、予防給付は認定審査会が行って、介護保険証に既に、あなたは要支援一、要支援二というふうに記載をされて自分の手元に戻ります。したがって、そこには利用者さんの意向は全く反映されません。これは行政処分であります。そのような形で、今までサービスを利用していたものから大幅に制限されるということ、これ自身が、介護保険制度の二条にあります利用者の選択制ということに反しているのではないかというふうに私は考えております。
 まして、要支援、要介護度一でも八十歳以上がやはり六割というこの実態を考えたときに、本当に筋トレで生活が支えられるか、これに大きな疑問を持っております。
 現在、予防給付に関しては、筋トレと口腔ケアと栄養改善という、この指導というものが新しくメニューに加わりました。
 ところが、口腔ケアと栄養改善に関しては、平成十二年の段階から居宅療養管理指導という既存のプログラムの中に既に入っているものであります。新たに入ったのは筋トレだけでございます。これだけを入れるために大幅な改定をするということが本当に必要なのかどうか、もう一度ぜひ考えていただきたいというふうに思います。
 その予防プランを、今、保健師がつくるというふうになっております。現在働いている専門職の人数をそこに入れました。看護師が約百十万、医師が二十六万、介護福祉士が十七万六千人、保健師は全国で三万八千三百五十名であります。
 全国五千カ所の今回の地域包括支援センター、そこに予防給付約百六十万人、それと各市町村の六十五歳以上の五%の人口約百二十万人、合わせて二百二十万ぐらいの予防給付を保健師さんがやるというのは人数的に不可能であります。実質はケアマネジャーがそれを担当する。
 しかし、厚生労働省の書類によりますと、ケアマネジャーが予防プランをつくったとしても、予防プランの指示と決定と評価、これはケアマネジャーには委託をしない、保健師がやるんだということが明記をされております。ということは、実質、保健師がチェックをするということであります。
 保健師というのは地域包括支援センターに雇用され、それを雇用しているのは市町村であります。介護保険で多くの方が言われていたように、ケアマネジャーがサービスの事業所に雇用されているというところから中立性が保てないということを言われておりました。それでは、保険者に雇用された保健師であれば中立性が保てるというふうに言えるのでしょうか。むしろ、保険者の意向と在宅の実態の板挟みにまた保健師がなっていくという同じ過ちを繰り返すのではないか、このように私は危惧をしております。
 そして、トレーニングに関して、午前中も言われておりましたけれども、決してトレーニングは体力測定だけではかるものではございません。筋トレで例えば歩く時間が短くなったとしても、筋力がアップをしたとしても、やはりその人間の体力というものは精神的な要素と身体的な要素というのがございます。
 トレーニングの中で、これは大田先生という筑波の先生で、介護予防というのを平成十二年から推進している方のデータから抽出をいたしましたけれども、精神的なストレスに対する抵抗力、こういうものがその方の体力そして生活力に影響しているということを申されております。
 また、一番最後のデータですけれども、リハビリというのは人間復権というふうに言われております。それは、自立ができる可能性のある人だけを対象にしてしまうと自立が望めない人は除かれてしまう、これは妥当ではないということです。
 したがって、今回も、介護予防というのは必要なものです。それは要支援、要介護度一だけではありません、二も三も四も五も、その方がたとえ重度であったとしても口腔ケアも、介護予防というこの視点が必要であります。最後まで人間らしくその方が在宅で暮らし続けるように、排せつも、それから食事も含めて、その方の介護度を悪化させないという努力をすべきであるというふうに私は考えております。
 データの四番目に参ります。
 要支援、要介護度一でございますけれども、現在、要支援、要介護度一と認定された方が約半数弱ございます。その方々の今までの限度額に対するサービスの利用率を見たのがデータの右の一番上でございます。要支援は過去五年間利用率が変わっておりません。これは全国平均です。半分も使っていません。一番新しい昨年の十一月のデータを見ても四八%です。要介護度一は四割も使っておりません。したがって、要支援、要介護度一がサービスを多く使っている、過剰に使っている、それが給付を押し上げているというのは実態と違うデータでございます。この方たちは、御自身の生活の中で地域のサービスを利用しながら生活をしているという実態が、この給付の限度額に対する利用率の低さというところであらわれているというふうに思います。
 では、どうして要支援、要介護度一がふえているかといいますと、それは加齢によるものであります。左の真ん中のデータは、これは厚生労働省が介護保険を導入するときに出したデータでございます。年齢別の要介護発生率というのは年齢に従ってアップするものであるというデータを厚生労働省が出しております。平成十二年、介護保険が導入されたとき一七・三%の高齢化率、ことしは一九・九%の高齢化率であります。特に八十歳以上の超高齢の方が今人数がふえております。その結果として要支援、要介護度一の方がふえているという実態がございます。
 そして、要支援、要介護度一がサービスを利用されている実態を東京都の社会福祉協議会が調査したデータが、その後でございます。真ん中の右を見ていただきますと、独居が多いということです。要支援、要介護度一の四六%がひとり暮らしをしております。全国平均のひとり暮らしが一九・七%というデータから比べると、倍の独居率であります。したがって、家族がいれば買い物も洗濯も調理も、または掃除も家族がフォローしていただけます。ところが、超高齢になってそこからできないところが出てくる、重い荷物を持って買い物に行けない、その結果、そのサービスを支えにして在宅で生活をしているという実態でございます。
 そして、データの四の一番下の左側を見ていただきますと、その場合で、ホームヘルプサービスも一番多く利用されておりますけれども、真ん中の五番目以降のデータを見ていただきますと、食事、緊急通報サービス、近隣やボランティアの手助け、有償の自費による家事援助サービス、保険外の有償、お金を払った移送サービス、このような地域のサービスと自費のサービス、これを組み合わせながら最低限の生活を介護保険で支えているというのが実態であります。そしてその結果、自分でできたことがふえたという意見も出ているのが実態であります。
 したがって、今この要支援、要介護度一の方々の最後の支えである生活援助というものを外すことによって、私はやはり、歩いている人のつえをとってしまう、そういう役割を果たすのではないか。ぜひここを今回の介護保険の中では、一人一人の生活が違う、したがって一人一人の生活に合わせたプランをつくりながら、その実態に合わせてプランを組んでいく。一律に利用を抑制するという、今回の要支援、要介護度一を分けていくという考え方に関してはもう一度見直して、現在のサービスの中にトレーニングを組み込んでいく、こういうことが必要ではないかと思います。
 時間ですので終わらせていただきます。この介護保険または福祉という問題に関しては、どの地域で調査をとったとしても、すべて国民が一番関心を持っている内容でございます。ぜひとも、私はどの党派に関係なく、今の在宅の実態を知っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
○大村委員長代理 ありがとうございました。
 次に、池田参考人にお願いをいたします。
○池田参考人 池田でございます。
 お手元にカラーコピーの資料がお配りされていると思います。話の順序に沿ってスライドを並べておりますので、細かい数字などはこれを見ていただきたいと思います。
 介護保険が施行されてから五年がたちました。さまざまな問題が見えてきました。実はこれが介護保険のすばらしいところだと思います。問題が見えたということはその解決が迫られるということだからです。介護保険はかつてない情報公開制度と言っていい。こんなことは社会福祉の措置の時代にはありませんでした。
 では、問題は何でしょうか。何よりも、施設から在宅への転換が遅々として進まない、これが最大の問題と言えるでしょう。改正案では、ようやくホテルコストを徴収し、在宅との負担のバランス是正を行うとしていますが、これは当然のことでしょう。低所得者が施設に入れないという論議もありますけれども、御存じのとおり、基礎年金のみの方はこれまでよりも負担が下がっておりますし、それ以外に関しては、社会福祉法人の減免措置などの活用で問題は十分解決できると思うわけです。
 しかし、問題はどこにあるかというと、重度の要介護者が在宅で生活を続けるにはサービスのレベルが余りにも低過ぎて、このままでは施設志向に歯どめがかからないということであると思います。
 実は、先般、慄然とする事実に私は気がつきました。私は、介護サービスというのはニーズに応じて提供されていると思っていたのです。しかし、そうではなかった。
 参考資料の三ページを見ていただけるでしょうか。利用者一人一人の利用額というものがグラフであらわされている図がございます。利用者一人一人の利用額を見ますと、要支援から要介護五まで、どの介護度においても、ゼロ円から支給限度額まで利用額は同じような分布になっている。つまり、要介護度によって標準的なサービスプランというものが全くできていないということを意味しているわけです。重度の認定者でも少ししかサービスを利用していない人たちがかなり存在する。一割自己負担が原因で低所得者が使えないという論議もありますから、市町村ごとに高齢者の所得水準を調べ、利用額との相関関係も調べてみました。相関関係は全くありません。
 それでは、サービスの少ない人は家族が介護しているのでしょうか。介護保険の認定システムの基礎をつくったのは筒井孝子さんというすぐれた研究者ですが、筒井孝子さんの調査では、在宅の高齢者が受けるサービスは家族との関係によって任意に決まり、家族の介護時間が多いからサービス利用は少ないという相関関係はありません。これは四ページに簡単に抜き出しをしてあります。
 つまり、家族の恣意的な判断で要介護の高齢者のサービスが決定されるということです。これは慄然とすべきことです。その結果、貧弱なサービスのもとに置かれている人々は決して少なくない。この責任は、家族にもありますが、ケアマネジャーの罪です。ケアマネジャーが家族の意向を優先させ、本人に必要なケアプランを設計し、提供しないということを意味しているからです。
 一方、要支援、要介護一などの軽度認定者のサービス利用はどうでしょうか。これは地域によって大きな格差があります。資料の五ページを見ていただけるでしょうか。西日本が高く、東日本は低いという特徴があります。その格差は最大二・五倍となります。
 要支援、要介護一は、自宅内の生活は基本的にそれほど支障はございません。三世代同居だと、サービスを必要としないケースは幾らでもございます。しかし、家事代行のホームヘルプや、食事、入浴つきのデイサービスはありがたいものです。だから、グラフに示したように、軽度認定者は急速に増加しています。
 ところが、そこで何が起きているのでしょうか。積極的に心身を使わない結果、廃用症候群あるいは生活不活発病ともいいますが、それが一部で進行していることは否定できない事実です。それ以上の問題として、実は、保護と依存の関係というものが強まり、生きるモチベーションを失っていくという悪循環が生じている。
 コストの問題も見逃せません。ホームヘルパーのつくる食事は、介護報酬を考えれば二千円以上ということになります。あるいは、百人デイというものがあります。百人を一堂に集めるサービスです。多くは、事故を恐れて座らせきりの置物ケア。もっとも、軽度の認定者が中心ですから、一斉に体操をさせている。これはほとんど北朝鮮型マスゲームデイになります。グループに分けてそれぞれ何かやっているというのもありますが、これは学級崩壊デイ。リハビリの効果はほとんど望めません。しかし、要介護一の人が利用いたしますと、一日九千円を超えます。毎日やれば、一施設で年間三億円を超える収入となるわけであります。根拠は七ページに書いてあります。これは合理的でしょうか。市民合意が可能でしょうか。
 軽度の方にも家事代行やデイサービスが必要だという論議をよく耳にいたします。必要な人が存在することは間違いありません。しかし、すべてがそうであるわけではない。軽度認定者のサービス利用率が高い九州、四国の高齢者が幸せで、利用率の低い関東の高齢者が困窮に瀕しているということなどは聞いたこともありません。
 何が問題なんでしょうか。はっきり言いましょう。現在の介護サービスは、重度認定者あるいは認知症高齢者のかなりの人々に対して、ネグレクト、介護放棄とは言わないまでも、極めて貧弱なサービスしか提供していないということです。他方で、少なからぬ軽度認定者によるむだ遣いが行われているばかりか、その状態を悪化させているということなんです。
 介護保険創設をめぐる論議の中で、私たちはこう言いました。私たちは、親を介護する最後の世代であり、子供の介護を受けない最初の世代であると。だから、介護保険創設に私たちは全力を挙げたのです。この五年、介護する最後の世代は、それなりに介護保険に助けられました。では、介護される高齢者にとって役に立つサービスだったのでしょうか。到底そうは言えません。子供の介護を受けない最初の世代としては、将来に恐怖感を感じざるを得ない。
 軽度認定者のサービス利用と介護予防をめぐって、論議が混乱しているようであります。混乱の最大の原因は何でしょうか。それは、社会保険と社会福祉の区別がついていないところにあると思います。介護保険も、広い意味では福祉に属するでしょうが、医療や年金と同様、社会福祉制度ではありません。
 社会保険としての介護保険の今後の課題は、中重度認定者及び認知症高齢者への効果的、効率的サービスの開発を促し、地域生活、在宅生活を本当に保障していくことにあります。そのためには、介護保険創設当初に考えられたものとは似ても似つかないものになってしまったケアマネジメントの再構築、ケアマネジャーの制度改革は極めて重要な課題となります。
 軽度認定者で生活放棄に陥った方、高齢独居等で家事代行が必要な人は、当然、サービス提供が必要になります。しかし、それは基本的に社会福祉の問題です。軽度であるということだけで受給権を普遍的に認めたら、財政は破綻します。社会保険で対応すべきものではもともとなかったのです。つまり、社会保険と社会福祉の適切な役割分担を考えなければならないということにあります。地域の助け合いもまた、大きな社会的な課題だと思います。
 軽度認定者への給付は今でも年間一兆円を超えますが、団塊の世代が利用し始めたらどうなるでしょうか。権利意識は今の高齢者とは比較にならない。さらに、ほとんどが高齢者だけの世帯になるでしょう。そこに恐るべきモラルハザードが起きても不思議ではないのです。これを今から考えていく必要があります。介護保険は、保険料を負担する人とサービスを利用する人の納得ずくで運営される制度にしなければならないということです。
 わかっていながら問題を先送りし、その結果、のっぴきならない状態に陥った医療と年金のことを考えてください。介護保険を医療や年金の二の舞にしてはならないということなのです。
 介護保険が施行されてから、高齢者福祉行政は眠り込んでいます。虐待や困難事例を例に挙げるまでもなく、本来社会福祉が担うべき、そういったものすら介護保険に丸投げしているというのが実態です。社会福祉を再構築、再生していくためにも、この問題は避けて通れるものではありません。
 さて、介護予防の問題は、モラルハザードの規制とは区別して論じる必要があります。これは、介護状態にならないための、あるいは状態を改善するためのサービスを開発し、少しでも重度の要介護者を減らそうという試みです。
 実は、私も調べてみて愕然としたのですが、これまでの予防事業と呼ばれるものの多くは、エビデンスもなければ効果測定もない。漫然とした予算消化型事業を続けていたものがほとんどでありました。しかし、介護保険施行以降、次第にエビデンスのあるサービスが発見されつつあります。これを活用して問題が一定解決されれば、高齢者のモチベーションが高まり、生活の活気が出ていく。そうしたサービスを次々と開発し、より元気な高齢者層を広げていくということを目標にしていくということ、これは、二十一世紀の介護保険を考える上では極めて重要なことだというふうに私は考えております。
 もっとも、予防訪問介護あるいは予防通所介護、果ては予防訪問入浴介護もあるようでございますけれども、これについて私は極めて懐疑的でございます。それらは、エビデンスもなければ、モラルハザードを延命させるおそれもあるからです。できるだけ早く地域支援事業に移行させるべきだと考えております。
 介護予防の確立は、相当の時間がかかると思われます。市町村によってかなり格差というか濃淡ができることも必至でしょう。しかし、事後の効果測定がまじめに行われれば、着実に進むものと思います。成功すれば、中期的に見て、重度要介護高齢者の減少という、国際的に例を見ない、画期的な状況が生まれるかもしれません。そのとき、カイゴヨボウというのは国際語になるかもしれません。
 さて、今回の改正案で残された最大の課題は、被保険者、受給者の範囲拡大にあります。これは、負担を拒否する経済界、新たな負担への国民の反発を恐れる一部の政治の反対もあって、先送りにされてしまいました。
 私たちはこう考えます。何よりも、地域ケアシステムは高齢者だけのものであってはならないということです。高齢、障害、あるいは難病の人々と共生する地域をつくる、それは年齢の壁を取り去るところから始まります。そのために、四十歳未満の住民も企業も負担を引き受けるのは当然です。
 OECDのデータによれば、一九九五年の比較でありますが、日本の社会保険料負担はGDPの一〇・五%、社会保険中心の先進国では最も低い国に属します。介護保険に限って言えば、企業の事業主負担は給付総額の一二%にすぎません。住民も企業も、介護を必要とする人々に社会的責任を負い、負担を積極的に引き受ける姿勢を持つべきであります。
 必要なサービスが制限されるのではないかという重度障害者の不安は十分に理解できます。しかし、介護保険でカバーできない障害者サービスは別建ての制度で補完するのは当たり前のことです。
 十一ページを見ていただけるでしょうか。現行の支援費制度を見ても、障害者の九七%は介護保険の支給限度額の範囲内におさまっています。被保険者の拡大により、九七%の障害者はこれまで以上に自由なサービス選択が可能となるということなんです。では、六十五歳以上の障害者は、介護保険を利用した上で、カバーできない部分を支援費で相当額補完しているということが読み取れると思います。
 今、国会に、介護保険法改正案と並んで障害者自立支援法が提出されています。支援費制度の限界は今さら申し上げません。あれは厚生労働省の失政です。そもそも、上限なしのサービス選択を認めておきながら、予算主義で行おうというのは常軌を逸脱しております。客観的な判定基準がなければ、声の大きい者にサービスが偏在することは目に見えているわけです。大きな地域格差も放置されたままです。それを根本的に改革しようとする自立支援法は、おくればせながらとはいうものの、評価はできます。サービスをブロックごとに整理し、いつでも介護給付部分と地域生活支援事業は介護保険に組み込むことができるようになっているわけです。だから、平成二十一年の第四期介護保険事業計画の時点で施行することは可能であります。
 私たちは、障害者を差別することが認められないとともに、何か特別なものとして聖域化することも、住民から切り離してしまうこととして賛成できません。地域の、住民の普遍的な課題として、ともに生きるために被保険者拡大は避けて通れません。今国会での、平成二十一年度からの被保険者、受給者の範囲拡大を施行することを明確に打ち出すことを強く求めたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。(拍手)
    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕
○鴨下委員長 ありがとうございました。
 次に、池尻参考人にお願いいたします。
○池尻参考人 労働者住民医療機関連絡会議の幹事をしております池尻と申します。
 私の所属しております労住医連は、この二十年来、職域での産業保健と地域での住民医療を二つの柱として活動してきました、全国の医療機関のネットワークであります。私は、その中で介護保障問題を担当してまいりました。きょうは、この厚生労働委員会の貴重な審議の時間を割いて私の意見陳述の機会をちょうだいしまして、まず心からお礼を申し上げたいと思います。
 さて、私からは、介護保険法の改正案の中でも、特に施設給付の見直しに焦点を当てて意見を述べたいと思います。
 施設給付の見直しは、御承知のとおり、居住費と食費、いわゆるホテルコストを介護保険の給付から切り離し、保険外の自己負担とすることを基本的な内容としております。この見直しは、新たに生ずる負担の大きさからしても、また求められる負担の性格からしても、今後の介護保険の施設サービス、あるいは介護保険サービス全般のあり方に極めて大きな影響を及ぼすと私は思うわけでありますけれども、しかし、残念ながら、必ずしも十分に議論がされているとは思えない状況がございます。
 その一つの理由として、私思いますに、低所得者対策が講じられているという厚生労働省の説明が、一定受け入れられているという状況があるのではなかろうかというふうに考えます。果たして本当にそうだろうか、まずその点からお話をさせていただきたいと思います。
 お手元に資料をお配りしておりますので、あわせてごらんいただければ幸いです。
 一ページと二ページに、今回の施設給付の見直しによって負担がどう変わるのかという点について、厚生労働省の資料からとった数字を改めて紹介しております。二ページの方に簡単な総括をしておりますけれども、ごらんいただけますように、新第三段階以上、新しい介護保険料の区分での第三段階以上については大幅な負担増となっております。
 この新第三段階というのは、これも厚生労働省が示している数字では、月々の年金収入が大体六万円から七万円程度、それ以上の階層ということになります。月々の年金収入が七万円、八万円という場合であっても、低所得者対策を講じた上で、なおかつ多床室の場合であっても五万五千円、旧型の個室の場合には八万五千円等々の負担が求められるということは、果たしてこれが適正なものであろうかということについて、私は非常に強い疑問を感じております。
 また、一体どれほどの人が施設の利用者負担の増加を引き受けなければならないのかという点で、次のページをごらんください。これも厚生労働省が出している資料を引いたものでありますけれども、現在、介護保険施設に入所している方々が新しい保険料段階区分でどういうふうになるだろうかということを示したグラフです。これを見ますと、特別養護老人ホームでさえ、過半数が新第三段階以上になっております。老人保健施設、療養型の施設の場合に至っては、八割以上が新第三段階以上です。ということは、実際に施設を利用していらっしゃる方の非常に広範囲の部分が大幅な負担増に直面をするということが、今回の施設給付の見直しの本当の意味ではなかろうかというふうに私は考えます。
 こうした厚生労働省の資料を見るだけでも、制度見直し、特に負担の引き上げの影響がどれほど深く、かつ広範にあらわれてくるかということがうかがえると私は考えるわけですけれども、これだけでも決して容易なことではない、慎重の上にも慎重に検討していただきたいということをまずもって申し上げたいと思います。
 しかしながら、実は問題はここから始まるのでありまして、この厚生労働省の負担に関する説明の内容を超えて、実はさらに深刻な実態が広がろうとしております。というのは、こうした厚生労働省の資料では、負担増の本当の深刻さ、その実相というものが適切に、あるいは正確に説明されていないと私は考えております。
 四ページをごらんください。このページに書いておりますのは、つい最近、厚生労働省が、具体的なケースを取り上げて、制度改定によって負担がどういうふうに変わるかということを試算したものです。ここで取り上げられておりますケースというのは、夫婦で厚生年金モデル年金の受給者、夫が要介護度が五であって特別養護老人ホームの入所をする場合というふうになっているわけですけれども、左上の四角の中が厚生労働省が示している試算の数字です。
 これを見ますと、夫は、年収が年金二百万五千円で、新しい保険料段階でいくと第三段階に該当する、つまり本人非課税ということであります。それから、妻の方は七十九万四千円の年金収入で、こちらは本人非課税で保険料の新第二段階に該当する。それを前提にしまして、特別養護老人ホームに入所した場合の夫の負担として、多床室を利用した場合は、現行では四万円であるけれども制度改正後は五万五千円になる、個室の場合には、現行では七万円から八万円であるけれども制度改正後は九万五千円になる、こういう数字を厚生労働省は示しております。
 この数字自身は、なるほど、この間厚生労働省が示してきた数字のとおりではあるのですけれども、しかし、果たして本当にこのとおりになるかといいますと、実はそうではないのではないかというふうに私は考えております。といいますのも、つい先日、国会で地方税制の改正案が通りました。来年から住民税の人的非課税が廃止されます。これによって実は非課税、課税の境が大きく変わりまして、そのことが保険料の段階区分にも直接はね返ってくるわけです。
 実際にこの税制改正を前提にした場合に、どういうふうに負担が変わるかを私が試算したものが、右下の網がかかっている部分のケースであります。これを見ますと、夫、二百万五千円の年金収入は、現在は住民税非課税でありますけれども、人的非課税が廃止されればこれは課税となります。そうすると、本人課税ということで、新しい保険料段階では第五段階に属することになります。それから、妻七十九万四千円、これは、本人は非課税ですけれども、同居の夫が課税ということで世帯課税になりますので、保険料区分でいくと、新しい保険料区分で第四段階に該当する。
 もしこの新しい保険料区分を前提にすれば夫の負担がどう変わるかということを見ますと、多床室を利用している場合には、現在四万円であるのが八万七千円、旧型の個室を利用している場合は、これも現在四万円であるのが十二万四千円、新型の個室を利用している場合でも、現在七万円から八万円が十三万四千円と、非常に大幅な負担増になります。
 ここに上げられているケース、つまりモデル的な形で取り上げられておりますケースというのは、実はごくごく一般的な厚生年金受給者のケースであるというふうに言えると思います。そういう意味で、実際には、保険料の急増とあわせ、非常に大きな負担増をこうむるこういう階層が現実に存在をしている、あるいは生じてくるということについて、私はもっときちんと、あるいは慎重に、十分に検討していただきたい。低所得者対策ということが言われておりますけれども、実際には、もとのサラリーマン階層、厚生年金受給者の極めて大幅な負担増が生ずるおそれがあるということを私は指摘させていただきたいというふうに思います。
 実は、厚生労働省はこの間、介護保険法の改正について説明をする過程で、一貫して、介護保険の見直しと並行して進んでいる税制改正、とりわけ非課税限度額の大幅引き下げの影響というものを全くと言っていいほど無視してきたと私は受けとめております。
 介護保険の費用負担の仕組みというのは、しかしながら、保険料にしてもあるいは利用者負担にしても、当の被保険者、利用者が課税なのか非課税なのかを決定的なメルクマークとして設計されております。課税になるか非課税になるかによって、それだけで負担のあり方を劇的に変えるものになりかねません。
 そしてまた、この課税と非課税の境界線を大きく動かす税制改正が今まさに行われようとしているにもかかわらず、厚生労働省が、この税制改正についてほとんど触れることのないままに費用負担の説明を繰り返してきたということについては、私は大変遺憾に感じております。このあたりについては、ぜひ国会の場でも審議をしていただきたい、検討していただきたいということを希望しております。
 それから、さらにお話を進めますと、施設給付の見直しについては、それが負担増を伴うというだけではなく、そもそも施設サービスのあり方として、居住費、食費の自己負担化、保険給付から外すということが適正で合理的なのかという議論についても、私は非常に大きな疑問を感じております。
 居住費や食費を介護保険の給付から外すに当たって厚生労働省が盛んに強調してきましたのが、在宅との均衡、こういう視点です。しかし、実際に想定されている居住費の自己負担額は、在宅とのバランスとはおよそかけ離れた額になっております。
 資料の五ページをごらんいただければと思います。これは総務省の家計調査の中からとった資料ですけれども、実際には、高齢者世帯だけの資料がありませんでしたので、全世帯を対象に選んでおりますが、これを見ていただきますと、一人当たりの住居費というのは、持ち家世帯も含めた全世帯の平均では約八千円になっております。光熱水費を合わせても一万五千円です。民営借家の世帯だけを取り出しても、光熱水費込みで居住費は三万四千円弱にしかなりません。ところが、厚労省が実際に持ち出している居住費の数字は六万円という数字です。とても在宅とのバランスをとろうということで説明できる数字ではないと私は考えます。
 実は、この大きなギャップが生じたのは、居住費の中に施設の減価償却費という考え方が盛り込まれたからなわけです。厚生労働省は、施設給付の見直しに当たって、在宅とのバランスという理由を上げながら、他方で、居住費の設定については減価償却費を前提とした金額設定をやっております。
 しかし、私は、居住費の考え方の中に減価償却費を持ち込むことについては、二重に納得しがたいものであるというふうに思います。一つは、そもそも、今申し上げたように、在宅とのバランスという今回の制度見直しの本来の趣旨から大きく外れるものであるということ。そしてもう一点は、そもそも、減価償却費というわけですけれども、実際の、特に特別養護老人ホームの施設建設に当たっては非常に多くの公費が投入されているということが考慮されなければならないという点であります。
 六ページをごらんください。これは、私が住んでおります練馬区内の特別養護老人ホームの整備費の内訳をとったものですけれども、ごらんいただけますように、もちろん区立の施設については一〇〇%公費でつくられております。民設民営の十二の施設についても、ほぼ九割が公費です。ほとんど公費でつくられた施設の減価償却費を利用者に負担させるということが、一体、理屈としても、考え方としても、道義としても、正当なものだと言えるのでしょうか。
 実は、居住費については、二年ほど前から既にユニット型の個室については導入をされております。しかしながら、このユニット型の個室に居住費を導入する過程で、厚生労働省は当時、居住費の対象となるのは公費を除く部分に限定をしてきたと私は理解をしております。税金でつくった施設にまで減価償却費を取ろうとすることは、原理的にも説明のつかないものであるということを、厚労省自身も認識していたのではないかというふうに私は理解をしておりました。
 ユニット型の個室についてさらにつけ加えますと、この個室は実はこれまでの特別養護老人ホームとは別なものである、ユニット型になって初めて施設は居住に近づくのだ、施設ではなく居住に近づくのであり、だからこそ居住費の徴収も可能になるのだという説明が繰り返し行われてきました。だとすれば、少なくともユニット型でない特別養護老人ホームや他の二施設類型については、あくまで施設であって居住ではないという立場に立ち、私は、居住費の徴収については慎重の上に慎重に検討すべきであるというふうに考えます。
 減価償却費の考え方、それから居住と施設の整理も含めて、厚生労働省自身が御説明を変えておられるのではないかというふうに私は疑念を感じております。この点についても、ぜひ明確な説明を求めたいというふうに考えております。
 最後に、食費について簡単に触れさせていただきます。
 今回、食費を保険外の負担とする、介護保険の給付から外すということが提案をされております。しかしながら、現在の特別養護老人ホームにおきましては、八ページをごらんください、運営基準の中にこのように書いてあります。指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第十四条として、「指定介護老人福祉施設は、栄養並びに入所者の心身の状況及び嗜好を考慮した食事を、適切な時間に提供しなければならない。」
 これは特養だけでなく、老健あるいは療養型にも同じなわけですけれども、基本的には、介護保険施設においては食事の提供は義務とされてきました。介護報酬の中に食事の提供に関する費用が盛り込まれ、施設基準、人員基準に食事の提供にかかわるものが盛り込まれていることも、まさに、食事の提供をきちっと責任を持って行うということと裏腹の関係であったと私は理解をしております。
 今回、食事の提供に関する費用を介護保険の給付から外すということが、この食事の提供に対する施設の責任をあいまいにしていく、あるいは崩していくものではないかということを私は強く危惧しております。
 以上のような問題意識を踏まえまして、最後に私の幾つかの提案と要望を申し上げて、意見陳述を終わりたいと思います。最後のページをごらんください。五点ほど書かせていただきました。
 一つとして、施設と居住の違い、施設が食事の提供に責任を持つことの意義、施設建設における公費補助の大きさなどを考慮し、居住費、食費は引き続き保険給付内にとどめること。
 二として、施設における利用者負担については、所得の状況に配慮しつつ、標準負担の範囲、額や高額介護サービス費支給限度額の見直しなどを引き続き検討すること。
 三として、地方税制の改正による非課税限度額の引き下げから派生する保険料や利用者負担額の変化を踏まえ、介護保険財政の見通しを改めて精査し、明らかにすること。
 四として、社会保障全般にわたって、税制改正に伴って生ずる国民負担増の全体像を明らかにし、生活実態に見合わない過重な負担や、それによる給付制限を排すること。
 五として、医療保険と介護保険をあわせた自己負担限度額の設定など、個々人の税並びに社会保障負担の総合的な把握と多重負担の軽減を図ること。
 以上です。
 施設給付の見直しについては、さらに慎重に御議論いただきたく、重ねてお願い申し上げて、私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○鴨下委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○鴨下委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川知克君。
○北川委員 自由民主党の北川知克でございます。
 きょうは、参考人の皆様方には、当委員会に御出席をいただき貴重な御意見を賜り、そして、先ほど来からの御意見をちょうだいいたしておりますと、地域において、そしてまたさまざまな立場、観点からこの介護問題に取り組んでいただいておりますことに、まずもって敬意と感謝を申し上げる次第であります。
 そして、介護のお話をお聞きいたしておりますと、私の両親も父親が八十六、おふくろが八十一で、両親ともにまだ元気に過ごしていただいております。みずからの回りのことは自分で行っている、ひざの痛みを受けたら病院へ自分で行ってまた帰ってくる、こういう両親をいただいておりまして、また改めてこの両親に感謝をしなきゃいけないなと思っております。
 その中で、この介護保険制度の改正案が国会で審議をされておりますけれども、私は、先ほど池田参考人の方からお話がありました、社会保険と社会福祉とは違うんだという話もありましたけれども、社会保障制度そのものというものは、国民の皆さんと政府といいますか国を結ぶ、そして信頼関係を構築する大事な機能を果たしているものだと思っております。その社会保障制度が充実をすること、そしてきちっとした制度の中で運用され、国民の皆様方に理解と協力をしていただいてこそ、この制度というものは成り行くのではないかなという思いでおります。
 その中で、今回、介護保険制度についてさまざまな観点からの議論がなされております。予防介護を中心にした今回の改正であるということも言われております。その中におきまして、この介護保険制度がスタートいたしまして、制度の定着に伴って利用される方々が大変ふえてきているという観点であります。そして、とりわけ入り口の部分と言われる軽度の方々、こういうところに対するサービスをどのようにしていくのか見直しをしていく、要介護一、そして要支援一、二と分ける、こういう部分であります。介護予防を重視したシステムへの転換を図るという点が一つの重要なポイントであろうと思っております。
 具体的には、三点を申し上げれば、まず一つは、軽度の方に対するケアマネジメントを、市町村が設置をする地域包括支援センターを中心とした仕組みに変更する。そしてもう一点は、サービスの内容については、ホームヘルプサービスやデイサービス、福祉用具など、軽度の方々に対して現在提供されているサービスの内容などの見直し。そしてもう一点が、筋力トレーニングや栄養改善など、新たなメニューを加えることが提唱をされているわけであります。
 そこで、先ほど、この介護予防をまず地域で実践をしているんだというお話をしていただきました山口参考人にお聞きをしたいのでありますけれども、専門的な立場から見まして、現在の軽度の方に対するサービスのあり方について、先ほどもお話をしていただいたと思いますけれども、再度、この点についてどのように評価をされておられるのか。また、今回の見直しの方向性に対する評価及び、このような見直しを進めていく上において注意というか留意をしていかなければならない点はどのようなことが考えられるのか。
 そして、これまでの介護保険制度改正案の審議の中で、介護予防の効果が議論の対象となっております。特に、各委員の方からも、先日来の議論の中にありました介護の予防の筋力トレーニングの件に関しまして、この器具が果たして、その費用対効果等も含めまして、高齢者の方々にも筋力トレーニングが果たして適しているのかどうか、こういう点も話題になっております。
 私は、この点におきまして、新たに器具を、機器を導入する、そして新たに購入することというよりも、今まであるような公的な施設とか、そして、私は大阪ですので都市部にございまして、よく朝、駅で街頭に立っておりますと、ジムの方々、ティッシュ配りの方と話をするんですが、ああいうところも高齢者の方々に使い勝手がいいようになれば、もっと従来からの施設が使えるのではないか。環境問題でよく言われております、もったいないという言葉がありますけれども、従来からある施設を最大限に使う中でこういう機器も導入をしていく、そして地域の方々と一体となってこのような介護保険制度を今後も維持していくことが重要であろうと思っております。
 この点につきまして、ぜひ、山口参考人、今現場で実際に取り組んでおられると思います、地域で施設を最大限に使って活動をしていただいていると思いますので、御意見をちょうだいできればと思います。よろしくお願いいたします。
○山口参考人 今の北川委員の御質問にお答えいたします。
 まず第一点でありますが、今回の軽度の要介護認定者に対する新しいサービスといいますか新予防給付といいますか、こういうサービスのあり方についてどのように評価するのかということであります。
 この点につきましては、私は、先ほども申し上げましたけれども、私どもがこの二十数年来、あの広島県の御調町で取り組んできた発想と内容そのものだというふうに考えております。したがって、今これが制度化されるということについては、これを高く評価したいと思います。
 というのは、今までの制度のもとでは、我々の御調町のように積極的に取り組む市町村と、あるいはそうでない市町村と、そういう温度差といいますか格差がかなりございました。今度制度化されれば、私は、全国的に介護予防という、予防という発想が広がるだろうなと思っております。そういう意味で、私はこれを評価したいというふうに考えております。
 もう一つは、今までの介護保険、五年間たちまして、では、一〇〇%適切なサービスが提供されていたのか。必ずしもそうでもない。自立しているお年寄りに対して余り必要とも言えないサービスが提供される、あるいは必要なサービスが逆に提供されない、そのようなケースも見てきております。そういうことを考えますと、やはり予防という発想で今回こういうことが制度化されるというのは評価したい。
 ただ、一つの留意すべき点といいますか、先生おっしゃいました、どういう点を留意しなければいけないのか。やはり、さっき言いました、必要なサービスと不必要なサービスをきちっと区分けをして、そしてマネジメントを行うこと、これが第一点だろうと思います。
 そういう意味では、今度の地域包括支援センターというふうなものをつくって、あの三つの機能の中の一つ、介護予防のマネジメントの役割をあそこに持たせようというこの発想は、私はさっきも申し上げましたけれども、我々が保健福祉センターでやってきた中身そのものだ。我々が随分前からやってきたことでありますので、この点はやはり当然そうあるべきだろうな、こういうマネジメント機関が必要であろうと思っております。
 我々の保健福祉センターでは、いろいろな職種がこれに関係しております。保健師、あるいは医療スタッフ、看護師も、場合によっては医師も、あるいはリハビリスタッフも、栄養士等々の人、あるいは福祉のソーシャルワーカー等々、いろいろな専門職種がこれに関与してプランニングをやってまいりました。
 そういうふうな予防マネジメントをやる機関、これが今回は地域包括支援センターという名称になっておりますが、まずそういう適切なプランニングがなされて、そして適切なサービスが行われること、これはやはり留意すべき点だろうと思っております。
 第二点目でありますが、いわゆる筋力トレーニングと委員おっしゃいました。これにつきましては、非常に今、全国いろいろなところでこれが行われております。委員がおっしゃるとおりであります。
 ただ、これは、必ずしも機器といいますかマシンを使わなければいけない、最初にマシンありきではないと私は思っております。マシンが必要なケースもあるでしょうし、必要でないケースもありますし、逆に有害なケースもなきにしもあらずだと私は思っております。
 そういう意味では、私は、マシンを使う云々よりも、その前にストレッチ体操その他いろいろなものがある。運動という面では、要するに運動機能を向上させるのが目的ですから、運動機能を向上させるための手法というのはマシンだけではありません。マシンはそのうちの一分野であろうと思っておりますので、体操をやったり、あるいはウオーキングをやったり、いろいろな方法論があるだろうと思います。
 そういう、筋力も含めての運動機能向上、私はそのように理解をしておりますし、私たちが健康づくり座談会などでも、いろいろとこの二、三十年間やってきた内容もそういうことでありまして、うちのスタッフと地域の住民の方々一緒になってやる、このようなことをやっております。したがって、マシンだけではないということを申し上げておきたいと思います。
 それから、今現存する地域のいろいろな施設等々、そこにあるものも活用すべきじゃないか、私も全く同感であります。委員と同じでありまして、そういうものを使いながら、通所リハビリも通所介護の場でもいろいろな介護予防のサービスを展開すべきじゃないかなというふうに考えております。
 もちろん、これは個別のサービス提供、個別ケアでないといけない。もちろん、プランも個別プランであるべきでしょうし、サービス提供も個別に提供すべきであろう、このように考えております。
○北川委員 ありがとうございます。
 この点につきまして、器具を使うだけではなく、体操をしたり、そういう集いやすい場を提供するということも重要であろうと思いますので、従来からあるところへ、今年度から実施をされる地域介護・福祉空間等の整備交付金、こういうものを使って地域の集まりやすいところをバリアフリー化していくとか、そういう工夫もあってしかるべきだと思っております。
 こういう点につきまして、見坊参考人におきましても、高齢者の方々が従来からの施設をうまく使う中で、それぞれがこの制度を支える立場でもあるわけでありますから、こういう軽度の方々に対するサービスのあり方、そして今回の見直しの方向について、見坊参考人の方から御意見を、先ほどの意見も踏まえながらちょうだいできればと思います。よろしくお願いいたします。
○見坊参考人 先ほどお配りしております資料の二ページの方にある程度、私ども、いつでもどこでもできるような、そういう体力づくりをやろうというようなことから、「健康をすすめる運動」を進めておるわけであります。
 寝たきりゼロの十カ条にいたしましても、当然、私どもが専門家の指導も受けながら、また我々自身も勉強しながら、そうしてこの十カ条というものを実践しよう。大変簡単なことですが、まず自分のうちから外へ出るということ。うちの中へ閉じこもっている人が三割はいるわけであります。実際に動けるのに外に出ない。外に出ないのにはそれだけの理由もありましょう。しかし、このあたりに非常に問題があります。例えば、十カ条の一つにはそういうことがあるわけであります。
 そして、体操とかウオーキングとかシニアスポーツといっておりますが、私どもは、何も新しい器具を使ってということを考えておりません。我々自身が、自分のうちでもできる体操、体を動かす、ストレッチをやる、わずか五分間、十分間でもそれをやることが大事なんです。歩き方にいたしましても、歩き方の勉強もする。なぜつまずくのか、そのあたりから勉強しながら、そして、歩き方というものを実践していく。シニアスポーツにいたしましても、ゲートボールだけじゃありません。いろいろなことが行われております。それも、器具がなければできないというものでない方向に行きたい。
 そういうことで私どもやっておりますので、実は、筋力トレーニングということが非常にやかましく議論されるようなことが二年前にもあったわけであります。どうも、筋力トレーニングは、つまりパワーリハビリテーションという、ウエートトレーニングマシンを用いた高負荷の筋力増強トレーニングというものが非常に効果的なんだということが、ちょっと強く正面に打ち出されたように思っております。
 専門家によって、それを三カ月間のプログラムでやるんだ、こういうことであります。しかし、なかなか、実際に実践して成果の上がっておるものもあれば、実際にこれを活用できるという地域も少ないというようなことがありまして、専門家によってこのリハビリテーションの正しい理解、リハビリテーションの専門家によって行われるようなマシン使用のトレーニングであれば、それは私ども否定できません、成果が上がるだろうと思っておりますが、何か、マシンに頼らなければ筋力向上はできないというふうに誤解されたのでは、それは大変なことだと思っておるわけであります。
 私ども、体操一ついたしましても、それによって成果を十分に上げているというふうに地域では実証できる、こう見ておるわけであります。先ほど申し上げました、家庭でできるような筋力トレーニング、そういうふうなことを私ども言っておりますが、筋力というのは体力の一つでありまして、体全体の持久力や体力全体を向上させなければ、筋力だけがひとり歩きできるものではないわけでありますので、私どもは、何か筋力だけを強調することについては、若干意見をいろいろ発表してきたわけであります。
 問題は、我々の日常の生活習慣というものを正常なものにする、そして、体力全体を維持する。人によって非常に違いがあります。私は今八十六歳でありますが、八十六歳の現在と六十五歳時代のころの体力というのは全く違います。明らかに、六十歳代ならばトレーニングによって体力増強はできますが、今、私も八十歳過ぎましてから自覚しておりますのは、胃がんで胃袋も全部取ったわけでありますが、いかにしてこの能力を維持するか、このことに毎日毎日やはり気をつけておるわけであります。そのことの努力を放棄したならば、私はもう直ちにがたがたになるだろうと思っておりますので、少しぐらい苦しくてもやはり頑張る、そういうことをやっておりますし、それを広めておるわけであります。無理は絶対できない、そういうふうに考えておるわけであります。
 筋力トレーニングについてはそういうことでありますし、できれば、やはりそういった専門家のよい方向の指導と、場合によっては、マシンの必要な方にはそれを提供する、それも結構だと思います。そして同時に、長い間、早期診断、早期治療とかいって、予防というものを医療でも強調された。介護においてもそうでありますが、私どもは、どうも言葉だけであって、介護になったならば大変手厚いサービスを受けるが、そうでない者は自分でやりなさいという程度のことでいいのであろうか、そういうことを感じております。
 そうした点では、もっともっと行政も地域に出てきてほしい。特に、保健師さんは、かつて、二、三十年前までは地域によく見えておったんですが、最近は見えなくなった。みんな施設におられる。今回、地域包括支援センターで保健師というものが出てきまして、私どもは、保健師さんというのは非常に大事だと思っておりますし、地域のそういった生活指導にも役立ちますので、その方向につきましては私は大変賛成でありますし、また、保健師もふやしていただきたい。そして、地域全体が協力できるような、そういう方向でお願いしたい、かように思っております。
○北川委員 ありがとうございました。
 時間が参りましたので、先ほど単刀直入な意見を聞かせていただきました池田参考人を初め、皆さんにも同じ質問をしたかったのでありますけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○鴨下委員長 次に、福島豊君。
○福島委員 本日は、参考人の皆様には大変貴重な、そしてまた興味深い御指摘をいただきまして、感謝を申し上げたいと思っております。
 幾つかの論点が介護保険制度のこの見直しにあるわけであります。
 一つは、二十一世紀の介護保険制度という言葉が先ほど池田参考人からありましたけれども、介護保険制度の将来の持続可能性をどのように確保していくのか、これは大変大切な論点だと思います。保険料負担にはやはりおのずと限界があるというふうに私は思います。高齢者の年金の給付もこれから決してふえていくという時代ではありません。そうした限られた年金の中で、どの程度の御負担であれば高齢者の方にお願いができるのか、こういう視点を一方で決して忘れるわけにはいかないというふうに私は思っております。そういった意味から、資源配分のミスマッチの問題、サービスの給付の効率化、重点化が必要であるという池田参考人の御指摘は、非常にわかりやすいものであったというふうに思いました。
 要支援、要介護一の認定率が急増している、そしてまた給付が一兆円を超える、こういう事態をどうとらえるのかということは冷静に改めて私は考えるべきだと思いますし、そしてまた、生活を支える生活支援というのは社会保険としての介護保険の給付に位置づけるべきなのか、それともそうでないのか、こういう議論も根っこに立ち返って、介護保険制度がスタートしてそれほど時間がたっていないからこそ、これはやっておくべき話なのではないかというふうに私は思っております。
 その中で、池田参考人の資料で大変おもしろいなと私が思いましたのは、介護保険給付の月額、これの格差というのがどの程度各都道府県であるのか。この一枚目の、一番最初の資料でありますが、これは一番白いところですと、一人当たり給付月額は一万五千四百九十九円にならないということでありますね。一番高いところは、これは二万二千五百円を超える、こういうことであります。
 こういった格差というものが、医療でも現在問題になっているわけでありますけれども、どういったことに由来するのかということについて、池田参考人に簡単に御説明をいただきたいと思います。
○池田参考人 この給付の地域格差の原因は幾つもありますけれども、一番大きいのは、二ページを見ていただくとわかりますように、施設利用率、これが八割の相関関係を持って強いということで、給付の地域格差の第一の要因は施設の整備率ということによって決まります。
 二つ目は、当然のことながら、これは認定率によって決まります。実は、私、これ以外にもいろいろと調べてみたのですが、明らかに元気老人地域と寝たきり老人地域に分かれるといいますか、かなりはっきり濃淡が出ます。そういうことで、沖縄は、長生きし過ぎるというのは言い方がよくないですね、大変長命であるということで、九十を超えますと、これはほとんど要介護になりますので、これが押し上げているということがあります。
 三つ目の要因としては、これはその二つと比べればかなり相関関係は低いんですが、医療サービスの多いところということですね。福祉系サービスと医療系サービスというふうに分けますと、医療系サービス、いわば医療県と言われているところがほとんど赤色に近づいていると思いますが、それが影響している。そんなところが客観的に見たこのグラフの背景ということになろうかと思います。
○福島委員 これは、今後、二十一世紀、高齢化がさらに進んだときにどうなるかということを考えなければならないわけでありますので、こういった一人当たりの給付もやはり平準化していくということを当然考えなければいけないんだろう。それに当たっては施設整備をどう考えるのか、今御指摘の中で大変大切な論点である。
 もう一つは、医療の問題をどう考えるかということなのではないかというふうにも思います。単に介護だけの話ではなくて、そうした医療との関係も十分考え、元気老人地域をどれだけふやしていくのか、こういうことが非常に大切だということではないかと思います。
 介護予防については、先ほどは参考人からいろいろとありましたように、マシンのトレーニングのイメージが先行し過ぎたのがやはり誤解を招く話になったんだなというふうに私は思いますし、山口参考人がおっしゃられますように、決して新しくあることではなくて、昔から自分のところはやっていると。これは服部参考人も、決して今に始まったことではなくて、居宅療養管理で前からあった、それはそのとおりなんですね。前からあったんだけれども、どういうふうにやってきたかということが非常に大切なんだと思いますし、そしてまた、単に福祉の、介護の現場だけではなくて、医療とも含めて、保健とも含めてどういうふうに連携体制をつくってきたか、こういうことが改めて問われるべきなんだと私は思っています。
 介護保険制度がスタートしましてから、市町村の事務というのは、ややもすると、実際使った介護給付に対してのお支払いをどうするのかと保険財政の話ばかりになってしまって、実際に高齢者の方々の健康をどう守っていくのかとか、要介護状態にならないようにどうしたらいいかとか、そういう取り組みの方が逆に弱くなってしまったという指摘があるわけです。
 介護予防というのは、いろいろな御意見がこの委員会でも出ておりますけれども、将来、高齢化がさらに進んでいく、世界でも最高の高齢化率になるわけであります。その中で介護予防というものを国民の目標としてやっていかなければ日本は大変なことになるぞ、こういうことがやはり出発点にあるんだろうと思うんです。その動きの中で、どういうふうにエビデンスというものを積み重ねて効果的なものをやっていくのかということが逆に問われなければいけないんだ。まず目標があって、それに対しての手法を考えるということが非常に大切ではないかと私は思っております。
 ただ、非常に聞くべき意見も多くて、例えば、高齢者で引きこもりで、自分はそういう介護予防なんかしたくないというような思いの人もいるということも事実であります。そういった方に対してどういうふうにこれは取り組んでいくのか、モチベーションですね、これは非常に大事だと思います。そしてまた、保健師の数が足りないじゃないかと、先ほど服部参考人からありましたけれども、保健との連携も、実際、現場でしっかりつくらなければできませんね。こういうものにも地域によって格差があるでしょう。
 こういうことにもどう取り組んでいくのか、こういったあたりについて、先進的な取り組みをしてこられた山口参考人からお話をお聞きいたしたいと思います。
○山口参考人 今おっしゃった点はもっともだと思います。委員御指摘のように、私のところは、私がさっき申し上げましたように、以前からずっとやってきておりますし、そういうところは決して少なくないと思います。ただ、どうやってきたかが問題だと委員御指摘になりました。私もそう思います。どうやってきたか。
 これは二つあると思います。一つは、私のところでいえば、ただ寝たきりゼロばかり、寝たきり防止ばかりをやっても限界がございます。それだけでなくて、ふだんの健康づくり、いわゆる一次予防、日常生活を改めてという、それとこの介護予防をドッキングさせないと、私は効果は半減だと思っております。以前からそういうつもりで、私どもの御調町では、健康づくりと寝たきりゼロ作戦を、二つを並行して、そして同時進行させながらやってきました。その効果が出るまでが、時間が結構かかりました。効果が出るまでには本当に五、六年以上かかって、はっきりした数字が出だしたのも、本当に十年近くかかりました。
 しかし、議員御指摘のように、どんな方法でどうしてやってきたのか。一つの、私どもの健康づくり座談会というのは夜やります。これは、若い人といいますか、四十歳代、三十歳代も参加できるようにというので、夜、各地の集会所へ行って、うちの専門職も行って、しかも座談会方式でやります。いろいろディスカッションをやるわけです。そして、同時に寝たきり防止も含めて、リハのスタッフなんかも行って、こういう場合にはこうするんですよというようなことも一緒になってやります。また、住民の方々から質問も受けてそれに答える、こういうふうな一つのノウハウというか方法論、これは議員御指摘のとおりだと思います。
 ただ漫然と講演だけをして、講義方式だけではやはり限界があるのかな、長年やってきてみて私はつくづくそう思います。極端に言うと、講義方式よりワークショップ方式の方がいいのかな、こんなふうに考えております。
○福島委員 どうもありがとうございます。
 筋力トレーニングは大体評判が悪いんですけれども、私は老年内科なので、決してそんなことはない、筋力というのは大切だ。筋力トレーニングだけ言いますと、何か筋肉むきむきみたいな話になるんですけれども、そうじゃなくて、一番の目的は、私は転倒予防だと思うんです。転倒こそが介護の非常に主要な原因の一つにあるわけでありますから、転倒を減らすことができれば、要介護者というのは減るわけであります。筋肉のところだけ言っているから、その先に何があるのかということを言わぬものですからわかりにくいんだけれども、この転倒予防ということをするためには、本当にそれが可能になるようなことをやらなければいけない、私はそういうふうに思っているんです。
 ただ、非常に幅広い、そしてまた意識改革ということが必要なんだろうと私は思います。高齢者の方にも、便利だから介護サービスを使う、先ほど見坊参考人からお話がありましたけれども、確かにサービスがあれば便利だということでありますけれども、決してそれはそういうことでは済まない、負担ということと裏腹になっている、また若人の方にも負担していただいている、こういう自覚というのも非常に大切だと思うんですね。
 ただ、見坊参考人のお話をお聞きしていますと、参考人のように立派な意識を持っておられる方というのは、全部が全部そうだというわけでは決してないと私は思っておりまして、やはり日常生活の支援がないと一人で生活していけないんだよ、こういう高齢者も中にはおるわけでありますけれども、見坊参考人はどんなふうにその点はお考えでございましょうか。
○見坊参考人 お話しのとおりでございます。意識の高い者ばかりでありません。また、努力して、そして自分の日常生活に耐えられる、そういう人ばかりではありません。
 私ども、高齢者の仲間をずっと見ておりますと、そういう努力をして百歳まで生きて、かくしゃくとしている人もいる。それがたくさんいるわけです。九十歳以上は珍しくない。それだけの努力をしている姿を私ども見ておりますと、やはり一部でありましても、そういう方々がみんなにそういう姿勢を見せてくれる、そしてどういうふうにすると自分が自立できるのか、社会参加できるか、そういうことを実証している、そういう人が高齢者の中で一割もあれば、かなりな影響力を持つ。その人たちがまた、地域に広げるわけであります。
 問題は、私どもそういったことでやっておりますが、さて、そういったことで私どもの仲間にも入ってくるという人は全国で三割程度でありますが、あとの七割は、やはり面倒なことはやりたくない、そういう人も多いわけであります。
 問題は、そういう、介護予防といったことが私はやはりもう少し重視されていいと思いますのは、行政機関あるいは専門家、施設もその一つであります、そういう方々がそういう活動をぜひ応援していただきたい、そして実際にどういうふうにすればいいか、教えていただきたい。そういうことが非常におくれておると思います。
 大分県の九重町は、町を挙げまして、保健師さんを中心にして、地域の諸団体がみんな協力をして、それには医師も入り、看護師も入り、そして一体となって健康づくりの町づくりをやる、そういう雰囲気をつくっております。そういう中では、高齢者も生き生きとして、自分たちがやっていることは決してむだなことでないというふうに自信を持って参加しているのであります。励ましていただきたい、そういうことを実際にやっておるわけであります。
 そうしたことでありますので、私どもは、ただ、そういったことで全部の高齢者がみんなそれに参加できるかどうかというのは、全く難しいことであろうなと。しかし、今よりは広げることはできるし、また、その周りにいる家族なり、あるいは家庭の主婦の方々がまた協力する、そういうことが非常に起こっておるのであります。体操の指導講習にいたしましても、現在四十代の家庭の主婦が入れてほしいと。そして入ってきて、そして高齢者の世話をしながらリードしておる、そういうことが広がっております。
 そうしたことで、ぜひ地域全体でそういうことをひとつ盛り上げるようにしていただきたい。やれというようなことではなくて、やる気分を盛り上げる、そしてそれを支援する、そういうことであってほしいと思っております。
 いま一つは、高齢者同士で相互に支援できるということは非常に多いわけであります。そのことを私どもは友愛活動でやっておりますが、一つのクラブで一人の寝たきりの老人を支援することができれば、十三万人の寝たきりの老人を支援できる。だから、自分のところだけで、こんなことはむだだと思わないで、お互いネットワークをつくってやろうじゃないかということで進めておるわけであります。
 お答えになったかどうかわかりませんが、以上でございます。
    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
○福島委員 大変貴重な、また力強い御発言、ありがとうございました。
 介護予防が世界の言葉になる、そういう文化をつくり上げていくというところに、今回の改正の大変大きな目的があるのだろうと思います。
 本日はまことにありがとうございました。
○大村委員長代理 次に、山井和則君。
○山井委員 本日はお忙しい中、急なお願いにもかかわりませず、委員の方々、わざわざ衆議院までお越しいただきまして、本当にありがとうございました。また、貴重な御指導を賜りまして、本当にありがとうございます。
 それでは、限られた時間ですが、私から質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一点、服部万里子先生にお伺いしたいと思います。
 私、今回のこの法改正で一番不安なのが、服部先生も触れておられた、百六十万人の要支援、要介護一の新予防給付になる方々がどういうサービスを受けられるのかというのが、本日まで一週間余り審議をしたのですが、まだまだ見えてこないところがあります。その部分でこれから最も板挟みに遭うのが、ケアマネさんではないかと思うのです。
 例えば、今利用している生活援助がどれだけ制限されるのかもいま一つわからない。それで厚生労働省は、適切なサービスは今までどおり利用できますということをおっしゃっているのですが、どのようなサービスが適切なのか。今言っている「適切」と法改正後の「適切」はまた意味が違うのか。そして、今サービスを利用されている方々の大部分のサービスが変わるのか、ごく一部分の人が変わるのかがわからないわけなんですね。
 そこでお伺いをしたいと思いますが、この新予防給付の転換によって、どのような混乱が現場で起ころうとしているのか、また起こると予想されるのか。また、生活援助、先ほど、歩いている人のつえを外すことは問題があるのではないかという話がありましたが、家事援助の制限ということはどのような問題点を生むと考えておられるのか、服部先生、よろしくお願いいたします。
○服部参考人 服部です。
 今在宅の高齢者が一番不安に思っているのは、現在のサービスが使えなくなるのではないか、そういう不安です。
 実は私は認定審査員を六年ほどやっております。昨日も七時から認定審査会があったのですけれども、きのう、ちょっとびっくりしたことは、区分変更といって、今認定を受けている方が、自分はもっと重いはずだから変えてほしいという、これが非常に多かったということで、きのうの認定審査会がいつもよりも非常に長時間になりました。しかも、それが、従来でしたらば、重度になったということで区分変更が多かったのですけれども、どういうわけか、それほど重度でない方が、自分はもっと重いはずだということで認定更新の請求があったということで、本当に不安に思っているのだなということを感じました。このままだとどうなるのか、もっと自分がサービスを使えるようにしてほしいということがそこにもあらわれているのではないかと思います。
 確かに、今厚生労働省は、必要なサービスは使えますと言っていますけれども、では、要支援、要介護度一の方が予防給付になったときに何が使えるかということは、余りはっきりいたしておりません。今までの論議の中で、案として例えばということで出されたのを、私の資料の一番最後の二枚目につけております。これは、今回厚生労働省が、現在要介護度一の人が予防給付になった、または、これが厚生労働省が検討したときにどういう問題があって、今後変えるとしたらどういう改善案になるのかということを出しているのが二つあります。八十六歳の方の要介護度一で脳梗塞の後遺症の方と、九十歳のひとり暮らしの、骨折の手術後で、住宅を転居したばかりの方というのが資料の七と八につけてあります。
 これを見ていただきたいのですけれども、今一番その方の中で生活を支えている、例えば買い物に行くとか、食事を用意するとか、こういうものに関して、ヘルパーさんの援助をもらいながら、そしてそのヘルパーさんから、先ほど出ていましたように在宅の中で生活リハビリをやっていく、または在宅の中で運動をやりながら生活をしていくということに関しては、全く評価をされておりません。
 そして、今の生活援助に関しては、地域のサービスを導入しなさいということで、介護保険の制度の中身から外していくというふうになっております。これが、今あらわれている中の実態で、非常に不安になっているという実態だろうというふうに私は思います。
 それと、先ほどの中で、今度、施設の居住費というのが自己負担になるということで論議になっておりますけれども、実はこれは、施設と在宅の費用の差があるというふうに言われておりますが、ことしの十月から、在宅の中でのショートステイも実はこの居住費が導入をされます。
 ショートステイというのは、今在宅で重度介護の方を支えているものであります。家族がその間少しでも休みたい、夜眠りたい、そういうところからショートステイを利用されております。そして、痴呆の方だったり放尿があったりすると、個室でないと対応が難しいというのが実態であります。
 ところが、その個室が一日二千円の自己負担というのがこの十月から導入をされてまいります。そうすると、在宅の負担がふえるということと、使いづらくなる。特にショートステイの場合ですと、介護度四の方、五の方、今例えば、二月ですと二十八日だから何とかいけるけれども、三月は三十一日あるから、だからおふろを減らしていこうというような、そういう形で何とか介護保険の枠内で調整をしておられるぎりぎりの方、その方たちが、自己負担がふえることによって在宅生活の破綻につながりかねないというふうに思います。
 したがって、これは決して施設の負担と在宅の負担の差の問題ではなくて、在宅の重度介護をぎりぎりで支えている方に対しても大きな負担につながるということをぜひ知っていただきたいですし、そのことが、今在宅で重度を抱えている方に対して非常に不安な要素になっています。
 ぜひともこれは、在宅の実態はまだ調査をされておりません。ショートステイを利用されている方の経済状態、その方たちが実際ショートステイを使うことによって何を支えにしているのか、それが調査されていない中で、このまま黙って導入されることに対しては、大きな不安を与えるというふうに私は思います。せめてその実態を調査して対策をとるというときまで、実施は延期すべきではないかというふうに思います。
 今質問いただきました点に関しては、今の在宅のサービスの利用者が、今申し上げましたような点に対して非常に不安を持っているということで、お答えにかえさせていただきたいと思います。
○山井委員 ありがとうございます。
 どういうふうに制度が変わるのかということで、今の利用者の方々の最大の疑問は、今受けているサービスが受け続けられるのかどうかというようなことでもありました。
 次に、池田参考人にお伺いをしたいと思います。
 先ほどのお話の中で、この九ページ目で「介護保険は社会保険であり、社会福祉ではない」「すべてを抱え込めば、介護保険は財政的に破綻する」ということをおっしゃっておられます。確かにこれは、給付を抑制するという意味において、どこまでを保険で見ていくのかというのは国民的合意の議論であると思います。
 そこで、実は私、今回の法案で一つ腑に落ちませんのが、今まで税金でやっていた老人保健事業、介護予防・地域支え合い事業、そしてもう一つ、在宅介護支援センター運営事業を今回介護保険に取り込んで、大体介護保険の三%、二千億円ぐらいを取り込むということで、介護保険の給付を抑制するという話とはっきり言って正反対の方向性じゃないかなと思うんですけれども、この点についていかが思われるか。
 もう一点は、最後に池田先生が、予防訪問介護や介護予防、入浴介助とか、ああいうのに関しては懐疑的であるということをおっしゃいました。
 この二点について、また、ほかの点でも言い残されたことがあったら、御指導いただければと思います。
○池田参考人 まず第一に、九ページの図を見ていただきたいんですが、今後の介護保険の行く末、少なくとも私が六十五になるときまで介護保険はもってほしいんですよ。そうすると、すべてを介護保険に押しつけたら、介護保険は残念ながら崩壊します。
 そこで、九ページの下に「支援の順序としての補完性原理」という言葉があります。これはサブシディアリティー、地方分権でよく使われる言葉でありますが、社会保障でも使われます。まず本人が努力する。本人の努力にごく自然に家族や友人や近隣が手を差し伸べる。それでも自助、互助では問題が解決できないという大きな問題になったとき、いわばシステム化された自治組織の支援が行われる、これが共助。それでもカバーできないときに最後に行政の支援、すなわち公助。この組み合わせがいかにうまくできているかということが、実は社会保障制度の本質的な問題なんです。すべてを公助に求めるならば、今の税金は十倍以上にしないともたないでしょう。すべてを自助に求めたら、自助できない人が破滅していくというのはわかり切ったことなんです。
 これを介護保険に当てはめると、例えば、さっき食費の問題とかそれから家賃の問題が出ていましたよね。でも、衣食住というのはだれだって自助の世界なんです、これは。自助できない方については、では周りでみんなで助け合おうという互助があるわけですね。それでもだめな場合は最後に公助が発動される。だから、例えば家賃だとか食費というのを共助や公助ですべて持ったら、みんな自助努力しなくなりますから、財源が途方もなく膨らんでいくということなんです。それでいいんですかということなんですよ。
 だから、さっき見坊委員が言われたように、自分が頑張れるというところはどこまでなのか、周りが助け合うということは地域でどこまでできるのか。介護保険はみんなが出し合うお金を使うわけだから、その範囲内でどれだけ合理的にやるかということ。それでもカバーできない部分については公助で、これはある意味で選別的にならざるを得ません。この仕組みを考えてほしいということなんです。介護保険が社会保険だということ、これが忘れられているんじゃないかと思うんですね。
 それからもう一つ、制度を情緒で語ってはならないということです。必ず裏づけがなきゃだめだということなんです。
 そこで、では、先ほど山井委員の方から言われた地域支援事業。三%というのは、介護保険のいわば財源の三%を地域支援事業に持ってこれるわけであって、それ以外に公費をどれだけ突っ込んだっていいわけですよ。現実に、今例えば多くの自治体で、介護予防・地域支え合い事業の中で生きがい支援のデイをやっていますよね。あれは幾らぐらいかかっているかといったら、とんでもないお金がかかっているわけですよ。何の役にも立っていないわけです。あの金を地域支援事業に突っ込めばいろいろなことができる。それはすなわち基礎自治体、保険者がどこまで知恵を絞るかということ、そこが今一番問われていることだし、実はそこのところをもっと国会で議論をしていただきたいなという気が私はいたしております。
 いずれにしても、こういうことじゃないでしょうか。
 介護保険、社会保険というのは、一定の前提のもとに、一切の選別なく給付をするということなんです。だから、家族があろうがなかろうが、身体介護サービスは提供されるんです。金持ちであろうが低所得者であろうが、みんな特別養護老人ホームに入れるんです。これが介護保険でしょう。
 ならば、おかしいのは、家事援助は家族がいるのはやってはいけないというのは、これはもともとおかしいんです。こんなのは保険原理に合いません。それは、家族がいようがいまいが、家事援助は介護保険で認定されている人すべてに提供すべきなんですよ。しかし、そうなったらどうなるかということなんですよ。そうなったら、恐らくとんでもないモラルハザードを起こすのは間違いないわけです。
 ならば、考え方は二つしかありません。つまり、要介護二以上の重度については家事援助を保険給付とするという一つの整理の仕方があります。もう一つは、家事援助を全部介護保険から引っ張り出して、これは地域支援事業に置いて、軽度の方も重度の方も必要に応じて提供するというやり方もあるわけですよ。そこのところがごっちゃになっているものですから、言ってしまえば、いわば今度の介護保険の改正の中身が非常に混乱した議論になっているのではないかというような気がいたします。
 ちょっと御質問からそれたかもしれませんけれども、お許しください。
○山井委員 限られた時間になってしまいましたが、服部先生にもう一度御質問したいと思います。
 三つちょっと欲張って聞きたいんですが、一つは、先ほど服部先生も少しおっしゃったように、今回のメニューは新しく加わるのは筋力トレーニングぐらいではないか、そもそも新予防給付という大改革をする必要があるのかということをおっしゃったのですけれども、そのことについてが一点。今回の改革は今までの制度の延長線によりできないのかということですね。
 二番目は、厚労省は、この改革がうまくいけば悪化が防げて給付の伸びが減るということをおっしゃっているわけなんですけれども、家事援助の制限等を含めて、これで給付が減るのだろうか、ふえるのだろうかという点、二点目。
 三番目は、家事援助の問題点も指摘されておりますけれども、その中で、家事援助がお年寄りの能力を低下させたという批判もかなり強く出ているわけなんですけれども、その三点について、済みませんが、服部先生、よろしくお願いいたします。
○大村委員長代理 時間がなくなってきましたので、恐縮でございますが、簡潔にお願いいたします。
○服部参考人 まず、給付に関することですけれども、要支援、要介護度一の方は、人数は半分ですけれども給付は二割だけです。それを全部なくすわけではありませんし、筋トレに関してもそれなりにお金をつけていくというふうになりますので、今回、予防給付を入れたことによって介護給付が大幅に減るということはないというふうに私は計算をしております。
 むしろ、今回の介護保険の給付というのは、二五%の施設の方に給付の五二%が行っているという実態があります。したがって、重度の方を在宅で見ることができるシステムにするということ。例えば介護度六、介護度七、こういうものを設立することによって、これをやったとしても、在宅のサービスの利用率に関しては、今五〇%も利用していないという実態があります。先ほどの一人当たりの利用率を見ていただければ、このことで在宅に暮らし続けることができる。そうすると、施設をつくらなくてももともと家があります、ベッドを買わなくてもお布団があります、そういうような形で総体としての給付が減るというふうに私は考えております。
 また、今までの中で、家事援助ということに対して、これが悪化をさせたというふうに言っておりますけれども、厚生労働省も、生活支援が悪化をさせたという科学的データはないというふうに言っております。むしろ、要支援、要介護度一の方はサービスの利用率が非常に少ないという実態がございます。サービスをそれほどぜいたくに利用している実態はございません。
 それから、給付をケアマネジャーが非常に掘り起こしたから、その結果としてサービスの認定、給付の認定が多いというふうに言われておりますけれども、私がいる渋谷区というのは今一七・三%の高齢化率で、日本の一九・五%より非常に低い高齢化率です。そして、認定率というのは、一八・四%の認定率でございます。
 私のいる渋谷区は、一人たりとも居宅介護支援事業所に訪問調査を委託しておりません。では、この委託をしていないところの認定率が低いのかというと、そんなことはございません。一人も委託をしていない市町村というのはほかにもありますので、具体的なデータを比べていただいたらば、それは、その地域の高齢者の人数、またはサービスに対する在宅の介護の家族との関係性、または介護に対する考え方、そういう総体で私は認定率または利用率が変わってくるものだろうというふうに考えております。
 例えば渋谷区に関しては、グループホームが一個もありません。そういう各地域のサービスの違いというもの、だからこそ標準化ができないんです。生活というのは標準化できません。介護保険を利用されている方は、六十五歳と九十五歳の三十年の年齢の違いがあります。住んでいる地域が違います。その方の家族関係、住まい、全部違います。だから標準化できない。したがって、その人の生活をどうするかということで、一人一人に合ったケアプランというのが非常に大切だというふうに思います。その根幹が今回の介護保険で揺らぐことがあったとすれば、そこにこそ、介護保険制度に対して今保険料を払っている方からの信頼性が失われるのではないか、それを私はむしろ危惧しております。
 どうぞ、今の地域の実態、在宅介護の現状ということを知っていただいて、審議を続けていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
○山井委員 時間が来ましたので終わりますが、最後に一言おわびを申し上げたいんです。
 本当でしたら全員に質問をさせていただきたかったんですけれども、中田参考人さんのこの資料は、非常に説得力があって、私も心を打たれました。また、山口参考人さんは、私も十数年前から御調町のことは本でも読んでおりまして、まさに日本の介護予防のモデルが御調町だと思っております。また、見坊参考人さんからも介護予防のことももっとお伺いしたかったですし、池尻参考人さんからも自己負担のアップのことをお聞きしたかったんですけれども、ちょっと時間が足りませんで、申しわけございませんでした。
 どうもありがとうございました。
○大村委員長代理 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 参考人の皆様には、貴重な御意見をいただき、本当にありがとうございます。
 最初に、服部参考人にお伺いいたします。
 山井委員の質問と重なる部分もあるんですが、軽度者へのサービスの問題で、利用制限は生活に支障が出る、最後の支えの生活援助を外すことは歩いている人のつえをとるようなものだという話がありました。そういう点では、逆の意味では、効果が上がっているという問題についてお聞きしたいんですけれども、この軽度者のサービス利用の実態ですね、現状はどのように利用されており、例えば家事負担の軽減などがどのような効果を持っているのか、その重要性についてお聞かせください。
    〔大村委員長代理退席、北川委員長代理着席〕
○服部参考人 軽度の利用者、要支援、要介護度一のサービスの利用実態に関しては、先ほどのデータ四のところに、東京都の社会福祉協議会が調査をしたデータを載せておりますので、どういうサービスを利用されたのか、そしてその結果としての評価がどうなっているのか、これを再度見ていただきたいと思うんです。
 実際、私は九十八歳の要介護一の方に関してサービスを提供しておりました。その方は一種類のサービスしか使われておりません。でもその方は、地域の方がかわるがわるその方のおうちに行って、さまざまな差し入れをして、そしてその方の意欲もあって、実はもう亡くなられたんですけれども、最後まで在宅で暮らしておられました。最後の段階では主治医と連携で、往診をしていただきながら、在宅で最後まで生活を全うされました。サービスの利用は一品だけのプランです。
 ただ、そういうような方でも、地域の方との連携があって、主治医との連携があって、そしてサービスに対して御本人が、経済的に非常に負担が厳しい方でしたので、自分はこのサービスだけでも使えれば満足だということを言っておられて、最後まで在宅で暮らした方がおられるということを一つの事例として申し上げて、実際、在宅の中では、生活援助をすることによってその方がまともな食事が食べられる、そして、薬をきちんと飲むことができることによって糖尿病や高血圧の管理がしっかりできるようになる。または、ヘルパーさんに誘われることによって、もともと引きこもっておられた方が、それでは外に少し行きましょうかというところから、外に出ていくということの誘いを受けて一緒に出ていく、それをきっかけとして閉じこもりが解消されている、そういうような実態が在宅の中では多くあります。
 また、先ほど、デイサービスに関して座りきりというお話も出ていましたけれども、デイサービスの中では、必ず看護師がいて、血圧測定をして、その日の体調の管理をいたします。そうすると、そういうことによってその方の身体状態に関しても定期的な管理をされるということで、それこそ予防的な対応が十分できている。または、デイサービスに出かけることによって、座っているかもしれないけれども、手を動かし、頭を動かし、心が笑って、そうすることがその方の生活の機能というのを改善させているという実例がございます。在宅にいれば、ではその方が歩いているか、そういうわけではありませんので、私は、デイサービスの効果というのも含めて、生活支援の効果というのが在宅の介護度の維持、またはその方の生活機能に大きな役割を果たしているというふうに思っております。
○塩川委員 続いて、服部参考人と池尻参考人にお伺いしたいと思うんです。
 介護事業への従事者の方の不安というのも大変大きくなっているんじゃないかなと思うわけです。そういう点で、失業してしまうんじゃないかという不安というのも今回の議論の中で多くの方がお感じになっておられる。同時に、その従事者の皆さんというのは大変その仕事を誇りに思っておられるわけで、私たちの仕事は自立を支援する援助なんだ、手を引くことは責任放棄になるんじゃないか、こういうような思いでやっておられるわけです。
 そういった介護事業への従事者の方の今の現状と不安という点で、それぞれお感じのことについてお聞かせ願えないでしょうか。
○服部参考人 申し上げます。
 まず、もし要支援、要介護度一を全部というふうにした場合ですけれども、居宅介護支援事業所に関しては五四%の減額になります。そしてホームヘルプサービス事業所に関しては三七%、デイサービスに関しても同様の減額になります。
 ただ、それはあくまでも今のままでいった場合に、それが取り除かれた場合の支援事業所全体の減額ということです。それだけでないものというのが、働いている人たちの気持ちの中に、または具体的な生活の中にございます。
 まず、ケアマネジャーに関しては、ケアマネジャーになるというのは、五年の実務経験を持つ者、それが試験を受けて、そして研修を受けてケアマネジャーになってまいります。たとえ医師であろうと、保健師であろうと、看護師であろうと、社会福祉士であろうと、すべてがそういうふうな試験とその後の研修、実務と試験と研修というのを受けております。
 今回、保健師であれば市町村に採用されれば予防プランができるということは、今までのケアマネジメントに対して、合格率三〇%のケアマネジャーの試験を受けて、研修を受けて、医師であろうとそうでなければプランができなかったというこのケアマネジャーに対して、市町村が採用すれば、保健師であれば、または経験を積んだ看護婦であればそれができるのか、そのことに対しては、ケアマネジャーのモチベーションに対して非常な打撃を与えているというのも事実であります。
 それから、訪問介護の事業所に関しては、地域の中で本当に地域密着型で訪問介護をやっていた事業所は、今回はもしかしたら廃止に追い込まれるかもしれないという不安を持っております。さまざまなサービスを併設している巨大事業所であれば、一人の御利用者に対してトータルなサービス、さまざまな種類のサービスを提供することができます。でも、地域密着型で訪問介護だけ、または小さなデイサービスだけを事業としてやっているところに関しては、非常な経営的な打撃を受けていくということも実態であります。
 介護保険が入るときには、皆さん、賛成して、入ってくださいというふうに言いながら、五年たったらばはしごを外されるということに対しては、やはり事業所に対しても介護保険制度に対する信頼を失いかねないのではないか、そのように私は考えております。
○池尻参考人 私は、現場の職員の方、ケアマネジャーの方も含めて、特に予防給付のあり方等も含めてお話を聞いておりまして、やはり一番感じるのは、現場で実際に、高齢者の方の生活を支えながら幅広い視点から自立を促そう、そういう努力はやはり確実にあるんだと思うんですね。そういう努力を、ある意味で、頭ごなしというふうに言いますとちょっと言葉がきついんですけれども、制度の大枠と給付の仕切りの中で整理をしよう、そういう方向性が非常に強い今回の見直しだというふうに私は受けとめていまして、それは現場の意思や意欲や努力を本当に促していくという方向とは相入れない面があるのではなかろうかというふうに感じております。
 特に、もともと介護保険というのは、利用者の選択であり、あるいは利用者の意思をベースに置いて、それを支援するケアマネジャーであるとか現場のスタッフがトータルに、自主的で自立的な形で本当に介護を支え、要介護状態を軽減していくというベースの目的があったと思うんですけれども、その自主性や自立性がだんだん軽視されていっているのではないかという点では、私も同様に、現場のモラールの低下であるとか、本当に努力している現場のスタッフの問題意識が後退していく危惧を強く感じております。
○塩川委員 重ねて池尻参考人にお伺いいたします。
 今回の法改正の一つに、新たなサービス体系の確立ということで、地域密着型サービスの創設の問題があります。身近な地域で、地域の特性に応じた多様で柔軟なサービス提供が可能となるように、地域密着型サービスを創設するといううたい文句であるわけですけれども、小規模多機能の施設整備を行うというのですけれども、実際にこれがどのように進んでいくのかという点では、いろいろ心配や御懸念があるかと思うんです。そういう点で、現場でお感じになっていることがございましたらお聞かせください。
○池尻参考人 全体に、施設から在宅へのシフトという大きな方向性は繰り返し語られてきましたし、私もそれ自身は正しいと思っているんですけれども、そのことを、施設給付の機械的な制限ではなくて、本当に在宅で暮らしていける基盤をつくるという中で広げていくというのは、実は非常に難しいところがあるというふうに思っています。
 特に、都市部には都市部の大きな課題がありまして、例えば、用地一つ探すにも、物件一つ探すにも非常に大きな苦労がある。本当に二十四時間支えていくための基盤を整える、人的なことも含めてやっていくというのは、言うはやすくというところが私はすごくあると思います。
 地域密着型サービスは実はそういう課題をかなり背負わされているところがありまして、そういう点で、私は、やはり本当に自治体が主体的に、責任を持って地域密着型サービスを担っていける条件をどうこれからつくっていくのかについては、むしろこれからの課題の方が非常に大きいというふうに実感をしております。
○塩川委員 見坊参考人にお伺いいたします。
 冒頭の意見陳述の中でも、低所得者等への対策の充実ということがございました。今やはり高齢者の方の生活困難というのが広がっている、高齢者の中での格差も大きく拡大をするというのも現状にあると思っております。
 そういう中で、介護保険をどう利用しやすくするかという点では、保険料や利用料の減免制度の拡充も必要じゃないか、市町村で取り組みが始まっているようなこういう制度を国の制度にもしていくべきではないかという声も伺うわけです。
 こういうのも含めまして、こういう低所得者等への対策の充実という点でどのような改善を望まれるのかということを、お感じのところをお聞かせください。
○見坊参考人 私ども、介護保険制度が始まる段階での審議におきまして、実は、低所得者あるいは障害者、また孤独な独居の老人、そうした方々に対する配慮といったことにおきましては、減免制度もその一つであります、単に減免制度だけでない、そうした支援があるわけで、そうした点をぜひ重視していただきたいという議論をいたしましたときに、私はどうしても忘れられないんですが、この場は保険を論ずる場であって福祉を論ずる場ではないというふうに一喝されました。委員同士の話ですが。
 そういうことがありまして、さて、その場はどういう場であったかというと、老人保健福祉審議会であったわけです。老人保健福祉審議会ですから、私は保険と福祉の両方を論ずると。
 また、保険制度は、いかにも保険料だけで自由参加してやるなら別でございますが、半額は公費が入るわけでありますから、税金、つまり国民全体の税金が入る。こういうことがありますので、措置制度は一〇〇%公費であった、しかし、実際に介護保険になりましてもやはり五〇%の税金が入るわけでありますから、そうした点では、やはり福祉を目的とした介護保険制度、そうしたことが私は念頭にありましたので、特にそうした点で、むしろ、介護保険制度が始まると低所得者の人たちは切られてしまう、あなた方は生活保護でやればいいんだというふうなこと、これはまた人によっては大変屈辱的なことでありまして、切られてしまう、そのことに非常に危惧の念を持ったわけであります。
 強調いたしましたが、今日、介護保険制度、これはメリットは非常に大きい、これを逆戻りさせるわけにいかない、かように考えておりまして、問題は、私は当初から主張してまいりました。高齢者は経済的に、健康的に、家族の環境、住宅の環境、すべてに大きな格差、個人差がありますので、その点についての幅の広い減免制度、それにはやはり、場合によりましては市町村においてきめの細かい調査、または高齢者自身がそれを余り誇りを傷つけられないでお願いできる、そういうふうなシステムをつくってもらいたい、そういう相談、支援のセンターというものを配置してもらいたい、こういうふうに要望しているところであります。
 ちょっと先生の御期待にこたえられたかどうかわかりませんが、以上でございます。
○塩川委員 服部参考人と中田参考人にお伺いいたします。
 筋トレの問題なんですけれども、服部参考人のお話でも、八十歳以上の方が八割、利用になるかは疑問ということがありました。そういうのを含めまして、今回の改正の内容についての疑問ですとかあるいは効果などについて、それぞれお答えいただければと思っております。
○服部参考人 きょうの論議の中でも、筋トレが必ずしも効果があるものではないというのはもう何か周知の事実になったかと思うんですけれども、資料の三を見ていただきますと、筋トレのモデルになっていた川崎の地域の中で、同じデイサービスの中でトレーニングをやった方、八十歳代の方、トレーニングによって事故が起きているということ、機械を使ったトレーニングによって筋肉が伸びてしまうとか、または病状が悪化をするということ、けがにつながるということで、そこの医師の証言として、「筋トレはけがにつながる可能性が高いので、お年寄りの体の状態を細かく配慮する必要がある」ということで、非常に危惧が出されております。
 こういうことが一つですけれども、もう一つ私が気になっているのは、いわゆる筋トレバブルというのが今起こっております。既に、まだ決まっていないんですけれども、筋トレが介護保険になると保険料で払われるというところから、あるところは、自分のところの器械はこの器械でないと何とかトレーニングといわないんだということで、その特許をとってしまって、その特許料を取る。あるところは、自分のところで公費を使って研究した内容であったとしても、これは自分のところのトレーニングメニューであるから、このトレーニングをやるときには特許料を払えということが行われております。
 こういうような形で、新しいバブルのような形で筋力トレーニングが今言われております。
 果たしてそこに賛同する高齢者の方がどのくらいいるのかということに関して、まず高齢者の実態調査をしてもらいたいというふうに私は思っております。その実態も把握をしない中で本当にこの政策を進めていいのかどうか、これに関しては、非常な疑問を持っている。
 私も看護師ですし、ケアマネジャーですので、全く身体のことを知らないわけではありません。そして、五年間、在宅でさまざまな高齢者の方のケアプランをつくってまいりました。確かに、トレーニングが有効な方もいなくはありません。でも、それ以上に、その方の生活そのものを支える、そのことをどうするかということを抜きに、トレーニングだけが重視をされていくということに関しては、今もっと問題が大きいのではないか、このように考えております。
○中田参考人 お答えする前に、私、こういう場所は初めてだったものですから、先ほどの意見陳述の中で二点、ちょっと訂正をさせていただきます。
 全国老施協の老施協総研の通所介護利用者の要介護度の変化調査でございますけれども、私は昭和十五年三月と申し上げました。これは私の誕生年でございまして、正確には平成十五年三月でございますので、訂正させていただきます。
 それから、在宅介護支援センターの整備箇所数でございますけれども、正確には八千七百カ所でございます。そのことを訂正させていただきたいと思います。
 今御質問ありました筋力トレーニングの関係でございますけれども、今、筋力トレーニングという言葉がどんどん先走っておりまして、問題はその中身なんですよ。どういう内容なのか、何かうわさによると太極拳もいいんじゃないか、フィットネスクラブの体操でもいいんじゃないか、何でもいいんじゃないかというようなことが知れ渡っておりまして、その中身がどうなのか。
 それから、提供方法はどうなのか。移送なんかはどうするんですかと。例えば、八十歳以上の方ですよ、六時間も筋力トレーニングやるわけじゃないでしょう。せいぜい三十分かそこらじゃないかと私は思うんだけれども、そうしたら、その移送方法をどうするんですかとか、そういう問題。それから、費用をどうするのか、一件当たりの費用はどのぐらいになるのかとか、そういうことがとにかく混乱の原因になっているんです。
 私は、やるのであれば、早くきちっとした内容を示した上で議論してもらいたいというふうに思っております。
 それからもう一点。私は今回おかしいなと思うのは、なぜ予防給付対象だけを切り離してやらなきゃならないのか。だって、要介護二、三の人だって、口腔ケアだとか栄養改善指導も必要でしょう。それが、何で切り離さなきゃならないのか。僕はこれがわからない。そこだけ、ぜひひとつ議論していただきたいなというふうに思います。
 以上です。
○北川委員長代理 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 今の中田参考人に引き続いてお伺い申し上げます。
 御発言は初めてだそうですが、とてもわかりやすく御説明いただきまして、ありがとうございます。お話の中に、平成十五年三月のデータをお示しで、現状維持ないし改善の方も含めれば八四%と。後期高齢者が八〇%以上いるという現状を考えれば、老いの進むスピードと、できなくなっていく、あるいは維持されていることの意味の大きさということをお話しくださいまして、それもとても印象に残ります。
 私は、お話を伺いながら、実は私も老人保健施設をお預かりしていたことがございまして、今度のホテルコストの導入というのは、自分がお預かりしていた施設を思い浮かべると、特養よりは、ここに区分けしてございますいわゆる第三段階の方は少のうございますが、それでも、ああ、あの方たちは果たして負担できるんだろうか、特におばあちゃま方、おひとり暮らしで、年金で、女性たちをイメージすると、ほとんど、ハナコさんもだめ、モモエちゃんもだめ、だれもだめという世界でございます。
 そこで、御提案はすごくリアルで私はよかったと思うのですが、第三段階の方で年金八十万円から百万円余りまでの方、ここは本当におひとり暮らしの現在の御高齢の女性たちが多く当てはまると思うのでございます。こういう老人福祉施設協議会からの御提案を果たして厚生労働省側はどのように受けとめ、どのように踏み込もうとしているのか。前向きなのか、とどまっておるのか、全然なのか、そこを一点、お願いいたします。
○中田参考人 今議員のお話の中で、要するに、私ども社会福祉法人というのは、本来的な使命の中に、やはり低所得者対策といいましょうか、低所得者に対する配慮というのは当然あるわけでございまして、現在も社会福祉法人の利用者減免制度というのはございます。
 ただ、この現在の制度そのものが、いわゆる生活保護だとか老齢福祉年金だとか、極めて低所得者、低い所得の方たちに対する減免制度でございまして、今回、このホテルコスト、それから食費の導入ということに関連して、やはり今議員おっしゃったように、八十万から百万くらいの方というのが、私も施設で調べてみたんですが、それなりにいるわけですね。ですから、そういう方が利用できなくなるということは非常に不幸なことでございますから、それは私ども社会福祉法人としての使命として利用減免を積極的にやろうじゃないか。ついては、その基準を緩和して、もう少し金額を上げて、そうした方にも利用できるような制度にひとつしていただきたいという提案もしています。
 この見直しの中で、厚労省もこの社会福祉法人の利用者減免制度については見直すということを言ってございますので、中身はわかりませんけれども、私のこの提案に対してぜひひとつ耳を傾けていただきたいなということでございます。
○阿部委員 私自身は、このホテルコスト、食費も含めて本当に高いと思いますので、もともと導入反対の立場ですが、しかし、物事の成り行きの中でそのようになるのであれば、ぜひ今中田参考人がお話しのような形で、特に、本当に利用できなくなる実態を何としてでも起こらないようにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 あと、山口参考人にお願いいたしますが、私も以前からみつぎ病院の取り組みは物で読んだりして、非常に先進的だということを私も感じておりました。中でも私が思いますのは、やはり、そこに医療施設があって、それもかなり中核的なみつぎ病院という医療施設があって、そして保健婦さんの活動があってというこの歴史、継続、そのことが可能にしている点も多いと思うのです。
 現在、日本全国、特に地域中核病院の存在が非常に経営難に追い込まれたりして危うくなってございますが、先生からごらんになって、医療施設が中核としてあったことの意味ということをもう一度ちょっとお話しいただけますか。
○山口参考人 今議員がおっしゃるとおりでありまして、私どものところは、病院という、旧総合病院が核になってやったのは先ほども申し上げたとおりです。したがって、医療という面で、地域の支援事業にしろ、在宅ケアにしろ、いろいろな面をバックで支えることができる。
 しかも、そこにはいろいろな職種がいる。例えば、今議員おっしゃるように、保健師の問題にしましても、実は市町村の抱えている保健師のほかに病院保健師というのが十四、五人おります。この保健師の存在というのは大きいんです。それから、リハビリのスタッフが四十数名おりますから、これも大きい。したがって、うちはそういうスタッフが地域へどんどん出ていきます。ソーシャルワーカー、MSWも十名近くおります。
 そういう点は、確かにその職種だけで見れば不採算ということは言えるんだろう。ただ、トータルで見たときに、例えば、そういう職種がいるために、退院のときに、長期入院というものがかなり緩和されています。
 というのは、もう退院していいですよと主治医が申し上げますと、普通は我が家に帰るのは不安だから、家族の方が何とかもう少し置いてくださいとおっしゃるケースが多いんです。これは議員も御経験かもしれません。施設にしてもそうです。しかし、家に帰っても、いろいろな職種の人が後を追いかけて、ちゃんと訪問とかあるいは通所サービス、いろいろなサービスが受けられますよ、全く不安はありませんよ、こういうことを申し上げます。そうすると、実際におるわけで、実際に行くわけですから、そういう点は非常に納得して退院していただける。
 これが、実は病院経営にプラスになっているんです。今は、御承知のように、診療報酬の上で、長期入院は報酬がダウンする仕組みになっていますから、これが早い時期に回転しますと、経営上もプラスになる。だから、私どものところは、施設も在宅もそういう点でうまいぐあいに連携をとりながらやっている、こういうのが確かに、病院経営、健全経営を維持しておりますけれども、一つの要因だろう。
 それよりも何よりも大きなのは、最近も外来患者がふえつつありますけれども、地域住民、患者さんの、利用者の方々の信頼度がやはり増しつつあるのかなと。こういうのが患者さんの増につながっている、これもまた一方では病院経営にプラスになっております。こういうことから健全経営が可能になっておる。
 確かに地域の中核病院は赤字の病院が多うございますが、私は、病気の治療だけでなくて、私たちは地域包括ケアと呼んでおりますが、こういうふうな介護保険も含めて、そういうことをやること自体が住民の皆さん方のニーズにこたえることでもあり、そして病院経営にとってもプラスになる。私どもの病院は医療収益の四分の一を介護保険が占めております。こういう点は、やはり利用者、患者さん、住民のニーズにこたえることでもあり、健全経営にもつながっている、こういうことを申し上げておきたいと思います。
    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕
○阿部委員 次に、見坊参考人にお伺いいたします。
 きょういただきました資料を見ながら、日本における老人クラブ連合会がイギリスの取り組みに学んで、徒歩圏の中に老人クラブ連合会を置いていこうという取り組みであったということを、改めて興味深く拝見いたしました。
 私は、先ほど見坊参考人がおっしゃった、二十年前は保健師さんがいろいろなところに来てくれたというお話で、私も実は小児科医ですが、二十年から三十年前は保健婦さんがはかりを持っておうちに行って赤ちゃんをはかり、あるいは精神疾患の方の発掘というと変ですが、在宅でいろいろ引きこもっておられる方の発見もやっておられた。その意味で、地域保健というのは、実は子供から御高齢者まで一貫して本来は取り組まれるべきであったし、ここのところ、実は後退しておって、そのことが、今度地域包括支援センターができて、御高齢者については保健師さんが配置されるかもしれないけれども、できればやはり全体の、子供から御高齢者までが一望に見渡せるという地域であることが非常に重要だと考えておる、私の持論であります。
 そこで、見坊参考人へのお尋ねですが、今、そういう徒歩圏にある老人連合会が地域の小学校と連携をしてくださって、そこでの何らかの、子育て中のお母さんや、あるいは御高齢者でも徒歩圏の学校であれば行けるという方たちとの連携、ドッキングをした動きを、ぜひとも住民主導というか市民主導でこれは行っていただきたいし、もしかしてお取り上げであるかどうか、お教えくださいませ。
○見坊参考人 老人クラブは、昭和三十八年、老人福祉法から始まったように見られておるんですが、実はそうではなくて、戦後の終わった段階で、占領政策の中で行われました。
 社会保障制度はイギリスから学んだわけでありますが、その中で、老人ホームの先覚者がイギリス大使館から老人クラブのテキストを入手した。なぜかといいますと、養老院の施設長が、自身で、養老院の中で、これでいいのであろうかという疑問から、イギリスではどうなっているか、そういうことから始まったわけであります。
 今お話しの中で、それでは子供からということについては、実は私は、戦後、社会福祉の道へ入ったのは岩手県でございまして、岩手県におきまして、児童の問題、特に赤ちゃんの死亡率が高い、これは、農村の主婦の重労働と社会の無理解が影響しておりました。そのために、赤ちゃんをたくさん産んで、たくさん死なせている、そういう日本一のちょっと恥ずかしい実態がありまして、県内挙げまして、これはもう本当に、婦人団体、青年団体、医者、保健師、学校まで巻き込みまして、乳児死亡率ゼロ運動、これが岩手県の沢内村の原点になっております。
 乳児死亡率半減運動から始まってゼロ運動に入り、それと同時に、東北には脳血管障害が非常に多いということがありましたので、この乳児死亡率の問題についての取り組みと同時に、高齢者の減塩運動、血圧をいかにして低くするか、そういうことを並行してやったわけであります。つまり、全県運動としてやりました。その中で保健師さんは地域にどんどん出てやってきた、このことを私は十数年間経験したのであります。
 今日、時代は変わりました。少子高齢化の時代で、そして新しい考え方がまた始まっておりますが、今お話しの子育て問題は、老人にとりまして非常に重要関心事でありますし、特に文部科学省からも呼びかけもあり、また地域の中でも、子育て支援、次世代支援、このことにつきまして、母親と一緒になって、そして学校と一緒になりましてやる。そのことの事例は、今お手元に老人クラブの活動マップというのを差し上げてあります、その中にも一例が入っておるかと思いますが、非常に今広がっております。
 ただし、私どもだけではこれは成果が上がりません。私どもはその中で高齢者らしい役割を果たしたい、それにはやはり地域全体がそうした点で、特に市町村の行政関係の御理解が必要、そう思っておりまして、これからはますますその点については力を入れてやりたい、こう思っております。事例はかなりいろいろな点が挙がっておりますので、よろしくお願いいたします。
○阿部委員 よろしくお取り組みをお願い申し上げます。
 服部参考人にお願いいたします。
 お話の中で一番核心の点は、現在の介護保険制度では、在宅、特に介護度が重い在宅の方、四、五の方が在宅ができないというところにあって、私も介護保険の改正点はまずその点であると思います。
 これは、例えば介護保険の給付の上限を撤廃にするのか、おっしゃった介護保険六、七というのはもっと給付が使えるような形で、とにかくこの保険は、在宅で、自分の住まいたいところで老いをみとろうという保険であったはずですから、そこの充実に向けての御提案があればお願いいたします。
○服部参考人 御質問いただきましたように、今、年齢とともに、または疾患が悪化するとともに、どうしても亡くなります。厚生労働省が出している出雲のデータを見ていただいてもわかるように、介護度五の方は二年間で四一%亡くなっておられます。介護度四の方も二年間で三分の一は亡くなっておられます。ということは、介護保険というのは本当に、この国で最後老いて、そして人間らしく全うしていくというところ、そこを支えているのが介護保険であろうというふうに私は思っております。
 そのときに、重度になって高齢になって場を移していくということ、その環境を変えるということだけでも、その方の心身に与える影響というのは大きなものがあります。できる限り在宅で、本人も望んでおります、その地域であればできることというのがあります。施設に入って新しい環境の中で、私は施設も本当に重要だというふうに思いますけれども、まだまだ、もうちょっと在宅の手があれば、サービスがあれば在宅で暮らしていける人、それが、今まで何人かの方からもお話があったかと思いますけれども、サービスの量だけではなくて、介護する方との関係性、それから、その人が住んでいる住宅との関係性、そういうさまざまな視点から在宅が困難になった場合に、もうほかに施設以外には選択肢がないというのが実態であります。
 その意味で、今、介護度五の方も、一人当たりの利用率を見ますと、施設入所の方からすると半分にもなっておりません。その意味で、必要な方は認めるということをやることによって、最期のときを在宅で暮らしていくことができる、そのことが、本人だけではなくて、それを見ている周りの人に対しても安心感を与えます。
 その安心感があると、実は高齢者のお財布のひもが緩くなります。今は、不安で不安で仕方がないので、本当に小銭をためていてもこれが使われないんですね。まさかのためというふうにおっしゃいます。私は今がまさかですというふうにその方に言います。それでも、不安があるので、お金を使われないまま、本当に最期を、非常にサービスの面で貧困な状況の中から人生を最後に送っていく、または、意に染まない形ででも、残念ながら多くの施設の中で最期を全うしなければいけない。
 その方にとって施設は必要だとしても、もっと在宅で最期がみとれる方がたくさんおられます。その方に対するサービスの限度額をふやしていくということで、もっと組み合わせることによって、トータルの費用を削減しながら在宅が可能になる。時間をもうちょっと延ばしていく、それだけで、金銭的には非常に大きな変化が出ますので、それをやることによって、本人、家族、そして地域が安心をします。
 そういうような、これから本当に少子化ですし、高齢化が進んでまいります。日本の高齢化の中で、今のような形でサービスがそれほど使えないということは皆さん知っています。でも、信頼があるからこそ、地域の中で支え合おうという気持ちが出てまいります。
 その意味で、この介護保険制度というのが本当に信頼を失わないような形で、本人が希望すればできる限り在宅で暮らし続けることができる、こういう安心感を与えることができる、これが今回の制度改定の中でぜひとも検討していただきたい中身であります。
○阿部委員 池田参考人の貴重な統計的データと、池尻参考人の現場のデータは、これからの審議に活用させていただきます。ありがとうございました。
○鴨下委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十二分散会