第164回国会 外務委員会 第14号
平成十八年五月十二日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 原田 義昭君
   理事 小野寺五典君 理事 土屋 品子君
   理事 松野 博一君 理事 水野 賢一君
   理事 渡辺 博道君 理事 武正 公一君
   理事 山口  壯君 理事 谷口 和史君
      安次富 修君    愛知 和男君
      伊藤 公介君    伊藤信太郎君
      宇野  治君    高村 正彦君
      篠田 陽介君    新藤 義孝君
      鈴木 馨祐君    中山 泰秀君
      三ッ矢憲生君    山中あき子君
      篠原  孝君    田中眞紀子君
      津村 啓介君    松原  仁君
      西  博義君    笠井  亮君
      照屋 寛徳君
    …………………………………
   外務大臣         麻生 太郎君
   外務副大臣        塩崎 恭久君
   法務大臣政務官      三ッ林隆志君
   外務大臣政務官      伊藤信太郎君
   外務大臣政務官      山中あき子君
   経済産業大臣政務官    片山さつき君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長)    高松  明君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 和田 智明君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君
   政府参考人
   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君
   政府参考人
   (防衛施設庁業務部長)  長岡 憲宗君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 八木  毅君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    河相 周夫君
   政府参考人
   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君
   政府参考人
   (外務省国際法局長)   小松 一郎君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   鈴木 正規君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        近藤 賢二君
   外務委員会専門員     前田 光政君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十二日
 辞任         補欠選任
  松野 博一君     谷本 龍哉君
  山内 康一君     安次富 修君
  丸谷 佳織君     西  博義君
同日
 辞任         補欠選任
  安次富 修君     山内 康一君
  西  博義君     丸谷 佳織君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○原田委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官遠藤善久君、大臣官房審議官佐渡島志郎君、大臣官房審議官八木毅君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、北米局長河相周夫君、経済協力局長佐藤重和君、国際法局長小松一郎君、内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長高松明君、大臣官房審議官和田智明君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛施設庁施設部長渡部厚君、業務部長長岡憲宗君、財務省主計局次長鈴木正規君、資源エネルギー庁資源・燃料部長近藤賢二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○原田委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。津村啓介君。
○津村委員 おはようございます。民主党の津村啓介と申します。
 きょうは一般質疑ということでございますので、まず最初に国連改革の議論、それから、時間の許す限り、ブラジル、EU、そしてペルーとの二国間関係について順次御質問させていただきたいと思います。
 まず最初の御質問ですが、私の手元に、これは二日前ですね、平成十八年五月十日、外務省人権人道課さんから速報として出されております人権理事会理事国選挙の投票結果という資料がございます。現地時間九日のニューヨークの国連総会において、人権委員会にかえて設立された人権理事会の初の理事国選挙が実施され、我が国がアジアグループにおいて百五十八票を獲得し、当選を果たしたというものでございます。
 この理事国選挙で我が国が理事国に選出され、今後果たしていく役割と、そして今後予想される金銭的、人的負担についての大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○塩崎副大臣 この火曜日に投票が行われたわけでございますけれども、たまたま私も国連総会に行っておりまして、私自身が投票してまいりました。
 今のお尋ねでございますけれども、この人権理事会で我が国が今後果たしていくべき役割でありますけれども、これは六月の十九日に第一回の会合が開催されるということになっておりまして、まさに今後の活動の取り進めの具体的な協議がこのときから始まるということだと思っております。我が国は、当然のことながら、この人権理事会の活動に積極的に、これまで同様、人権問題については参加をし、引き続き世界の人権の保護、促進に建設的な役割を果たそうということでございます。
 今、金銭的なお話もありましたか。(津村委員「はい、お願いします」と呼ぶ)今申し上げたように、六月十九日から本格的に始まるわけでございますが、一つはっきりしておかなきゃいけないのは、国連分担金の負担に変更は特にないということがまず第一点であります。
 その他の人的、財政的な負担の必要性の有無については、まさに今後の人権理事会での議論の結果を踏まえて決まっていくものだと思っておりますので、その動向を注視していく、こういうことでございます。
○津村委員 人的な負担についてもお伺いしたので、御答弁をお願いします。
○塩崎副大臣 人的な負担というか貢献についても、今後どういう形で出せという話になるのかは、まさに六月十九日からの協議にかかっているということでございます。
○津村委員 続きまして、いわゆる安保理改革に関する今後の日本外務省の取り組み方針につきましてお伺いしたいと思います。
 昨年、一連の動きがありまして、日本としては、G4というグループを形成して枠組み決議ということを目指しましたが、残念な結果に終わったということでございます。その後の報道によれば、我が国は、ことしに入って、安保理のメンバーを十五から二十一に拡大するという独自の案を検討して、本年九月までにその決議案採択を目指してきたという報道が、年初だったと思いますが、ございました。
 しかしながら、これまで共同歩調をとってきたブラジル、インド、ドイツといったG4、この諸国との連携がいま一つ進まなかったことや、あるいは中国、そして期待されていた米国の支持も得られない中で、報道によれば、三月末までに、日本独自の案の提出を断念したということでございますが、これは事実でしょうか。経緯を御説明ください。
○麻生国務大臣 事実と違うと思います。
 今御指摘のありましたドイツ、インド、それからブラジルと、昨年、いわゆるG4というのを結成させていただいて、それで、全加盟国を巻き込んで、安保理改革というのをこれだけ大きな話に盛り上げたところまでは評価としてできるところだと思いますが、残念ながら、採択という具体的な結果までには結びつかなかったというのが昨年のところだと思います。
 したがって、この経験を踏まえて、ドイツ、インド、ブラジルとの連携というのは大事にしていきますけれども、より多くの加盟国の案を得られないとこれは全く同じことになりますので、それで、私どもとしては、これは引き続き加盟国との間で話し合いを、加盟国というのは、ドイツ、インド、ブラジル等々は、外務大臣を全部日本に呼んで個別に話をさせてもらったのが、ことしに入り、全部やっております。インドの場合、外務大臣がいませんから、あそこの次官というのを呼んで話をして、私どもの案、こういう案をという話をしておりますので、今まだ粘り強く交渉しておるという最中であります。
 もちろん、アメリカとも三回この話をしておりますし、日本案として自分たちの考えている案は、これならそちらもいいんじゃないかという案も、原案もいろいろ向こうに示しておる最中でありますので、断念をしたというような状況にはございません。
○津村委員 一方で、四月入り後の報道によりますと、ブラジル、インド、ドイツの三カ国は、独自にこれまた修正決議案というのを提出する意向を持って、新常任理事国として、日本も含めた四カ国の名前を明記しまして、これは去年はされていなかったわけですが、四カ国の名前を明記して、さらには、残るアフリカの二枠を無記名とする、場合によったら輪番制ということもあるようですけれども、こうした提案をする意向だと。
 しかし、それに対して、我が国は賛同を拒否する構えである。その結果、昨年、共同歩調をとってきたG4の足並みが乱れているといった報道も見られるわけですが、こちらは事実としていかがでしょうか。
○麻生国務大臣 今、ドイツ、インド、ブラジルが総会に正式に提出しております案文というものは、昨年のものと全く同じもの。昨年拒否されたものとまた同じ案を出すというので、今回は拒否されないという理由が全然私どもには理解ができませんので、そういった意味では、今出されておりますものは全く昨年と同じものが出されている、まずこれを御理解いただきたいところです。
 そこで、日本の立場としては、去年はもう採決、いわゆる表決にすら至らなかったんだから、そういったものを再提出しても採択をされる可能性はないということであるので、共同提案国になるというのは、それは昨年と同じですから、共同提案国になることは見合わせますと。
 他方、日本としては、先ほど申し上げたようなことをやりながら協議を行っている最中なので、より多くの支持を得られるようにしないとだめなので、どういうところが受けないところかというのが、修正案というものを、私どもとして案を目下模索しておりまして、先ほど申し上げましたように、アメリカに対しても、これならどうですという案を提出しておりますので、ちょっと内容を一々全部申し上げるわけにいきませんけれども、今、そういったようなところが経過であります。
○津村委員 内容を一々というお話でしたけれども、そうすると、現在、日本としてはどういう案がベストというふうにお考えになっているんでしょうか。といいますのも、九月までの時間というのはそう長くないものですから、現在、日本政府がどういう案をベストとして考えているかということは、ぜひお聞かせいただきたいところです。
○麻生国務大臣 これは、日本として、日本が入るのがベストです。ただ、日本だけが入ってほかが全部落ちるというわけにもいきませんでしょうし、ほかの案を入れると、これはまたそれぞれの国で皆反対があったりしますので、そうすると、どの案がベストかと言われれば、日本が入るのがベストという以外にほかに答えようがないんです。
 ブラジルはブラジルなりに、自分が入るのがベストと考えておられますけれども、アルゼンチン初め、いろいろ多々問題あり、ドイツも、ヨーロッパはイタリアも反対とか、いろいろ皆それぞれおありになりますので、日本として独自の案がどれかと言われれば、とにかく常任理事国が急激にふえるのはいかがなものかとか、理事国がこれ以上、二十五にも三十にもなるのはいかがなものかとか、いろいろな案がありますので、それぞれの案を縮小して出すというところで私どもは考えているというところが今申し上げられる範囲だと存じます。
○津村委員 先ほど大臣から、現在アメリカに対して日本の考え方を示しているところだというお話が少しありましたけれども、それはどういった案なんでしょうか。
○麻生国務大臣 これこそ協議中の最中でありますので、まだ外務大臣レベルでしか話をしていないというところでございますので、内容を申し上げられる状況にはございません。
○津村委員 そうした中、昨年について申し上げれば、国連改革が大きく日本の望む形で進展しなかった理由としては、米国、中国あるいはアフリカ諸国と同じ歩調をとることができなかった、あるいは、ストレートに申し上げれば、支持を得られなかったということが背景とも言われるわけですけれども、ことし、それらの各国がどのようなスタンスを現在とっているのか。
 例えば、大臣は事実じゃないとおっしゃいますけれども、二月、三月ごろの報道では、日本が独自の案として、常任理事国のメンバー自体は余り多くはふやさずに、しかしながら、大臣の言葉をかりれば日本はちゃっかりと常任理事国に入れるような、そうした日本独自の案を提出しているけれども、ボルトン国連大使のインタビューも含めて、アメリカ側は難色を示しているというのが既に報道をかなりされているわけです。この辺のアメリカのスタンス、あるいはそれに対する日本の立場というものをもう一度整理していただければと思います。
○塩崎副大臣 私も今回、国連に行ってさまざまな人と会ってまいりましたけれども、安保理改革の問題については、一つは、作業部会が正式なものがあって、総会議長が議長を務めていますが、あと二人、副議長もいるところがありまして、絶えずそこは議論しているわけですね。そのほかに、スイスやシンガポールなどがS5という決議案をもう既に出しているんですけれども、これは、安保理の改革の中身の中で、取り運び方についての改革とか、そういうことをやっているんです。
 したがって、G4とAUとアメリカと日本だけがこの議論をやっているわけではなくて、かなり広範な議論が行われているということをまず申し添えておいた方がいいのかなというふうに思いました。
 アメリカそれから中国、AUの動向についてお尋ねだったと思いますけれども、去年の経緯につきましては大臣が答弁申し上げたとおりであります。
 アメリカは今どうなっているかというと、基本的には、従来から我が国が常任理事国入りすることについては支持をしっかりとしていただいているわけでありますが、同時に、安保理改革というのは、何も常任理事国の数と非常任理事国の数をどうするかというだけではなくて、マネジメント改革とかいろいろなものがあって、国連全体の包括的な改革が必要であるということで、この安保理改革にも臨んでいるというふうに我々は思っています。
 我が国としては、現在、多くの加盟国から支持を得られる案を模索するために、先ほど大臣からも答弁申し上げたように、日米外相会談が先般、連休中に行われましたけれども、そのときにもいろいろな議論をしたということでございます。
 中国については、安保理改革の必要性自体についてはもちろん認識を共有しているわけでありますが、いかなる決議案も国際社会の幅広い支持、コンセンサスが必要だ、こういうスタンスで、人工的な時間的期限を設定して投票するということを、言ってみれば強要するには反対。我が国の常任理事国入りについてのG4決議案には去年反対をしたわけでありますが、この改革の実現に向けて、中国と日本の間は、例えば総政局長レベルとか、次官レベルもそうですけれども、さまざまなレベルで今やっておるところでありますので、双方の立場を今議論し合っているということであります。
 AUについては、引き続き共通の立場を維持しておりまして、一部のAU諸国が前国連総会に提出された決議案とこれまた同じ内容の決議案を提出しております。今般、小泉総理がアフリカ訪問いたしましたけれども、改革実現に向けたアフリカとの協議を、エチオピアとAU、それからガーナに行っているわけでありますが、その点についてはきっちり小泉総理の方から申し上げて、我が国としては、引き続きアフリカ諸国との対話を続けて安保理改革を実現していきたい、このように考えているところであります。
○津村委員 関連いたしまして、国連分担金の負担比率引き下げについて、これはぜひ大臣にお伺いをしたいと思います。
 国連分担金の負担比率については、日本の国連に対する貢献のあり方として、安保理改革同様に大変よく議論になるテーマでございますけれども、本年の三月八日、参議院のたしか予算委員会だと思いますが、自民党の浅野議員への大臣の御答弁の中で、常任理事国の負担の下限として何らかの条項を設けるという考え方をお示しになられたと思います。三%条項あるいは五%条項、そういった言葉も出ておりますが、現在、二〇〇六年の時点で日本の分担比率は一九・五%と、二二%の米国に次ぐ二番目の水準ですが、一方で、中国が二・一%、ロシアが一・一%というように、常任理事国でありながら極めて低い負担比率の国も存在をするという中で、この三%条項あるいは五%条項というものを仮に採用した場合、その他の経済条件、経済統計を、現在のもの、所与のものを前提とすれば、我が国の分担金比率は何%程度に下げることができるというふうにお考えでしょうか。試算をお示しください。
○麻生国務大臣 御存じのように、国連の分担金比率というのは、各国のいわゆるGNI、国民総所得のデータというものに基づいて、その交渉する年の六月までに集計したものに基づく必要があります。日本がまず独自に収集したデータという前提になりますので、これは世界じゅうが認めたデータではありません。日本が独自に収集したデータに基づけば、日本の暫定予想分担比率というものは、下限を三%にした場合は一九・五%が一五・七%、下限を五%にした場合には一四・八%になるというように予想しております。
 分担金の金額につきましては、これは御存じのように、まだ国連予算額が二〇〇七年は確定的なものになっておりませんので、その意味から、負担額の試算というものの正確な計算は、ちょっと今の段階ではできないということであります。
○津村委員 比率だけで結構です。ありがとうございました。
 そうした中、この見直し交渉というものがことしやはり九月までに行われるものと思いますけれども、三%、五%ということを今両方試算を示していただいたわけですが、日本としては具体的にどのような提案を、いつごろの時期までにするお考えなんでしょうか、交渉の時期もかなり押し迫っていると思いますが。
○麻生国務大臣 分担率の算定方式見直しに当たって、正式に政府としては、国連分担率がいわゆる加盟国の経済実勢に即して衡平公正なものになるべきなんだと考えているので、三月の十日に日本の案を、国連総会第五委員会、いわゆる行財政担当にもう既に提出をいたしております。
 本年末までの交渉をにらんで、日本の案を堅持しつつ分担率交渉に臨む所存なんですが、日本の主要なポイントは、安全保障理事会常任理事国について、その特別な地位と権限というものがあるんだから、その権限にかんがみて三とか五とかいう下限を導入しろ、おれたちのを引き下げろじゃない、三%とか五%できちんとしろという話を申し上げているのであって、計算方法がいろいろあるでしょうから、基礎期間というものを三年間に短くして、その平均率でこれだというような話をしてみたらどうかとか、また、年次に再計算を導入するとか、いろいろなものを提案しておりますけれども、的確にかつ忠実に反映するためには、五年間というのは結構長い時間ですので、三年間というぐらいのところでどうだという話もあわせて提出をいたしております。
○津村委員 日本も含めてですが、経済情勢が非常に変動する中で、直近の三年間というそのお考えは大変いいのではないかと思うんですが、私が御質問させていただいた、三%ですか五%ですかという御質問については、下限を設けることは提案しているけれども、具体的に何%という提案はしていないということなんでしょうか。
○麻生国務大臣 三%と五%につきましては、既に例示として提出をしております。三%と五%の案を二つ例示として提出しております。
○津村委員 不勉強でした。申しわけありませんでした。
 続きまして、このG4の話と関連をさせていただくんですけれども、日本とブラジルの関係について個別に伺っていきたいと思います。
 と申しますのも、日本とブラジルといいますと、古くは移民の受け入れも含めて歴史的に大変長い友好関係を有しているわけですし、そうした中で、昨今においては、先ほども申し上げたような国連安保理改革において、G4という同一のグループで協力関係を築いてきたという直近の動きもございます。中国やインドに次ぐ、いわば潜在的な経済大国であるブラジルが、こうした形で、経済、外交、さまざまな面で我が国と共有の利害を持っている。
 そうした中で、今後、国際社会において、去年、ことしというだけでなくて、これから中長期的にも日本とブラジルの関係というのは国際社会において非常に大きな意味を持つと考えるわけですが、今後のこの両国関係について外務省がどのような将来ビジョンの中で目標設定をされているのか、所見を伺いたいと思います。
○麻生国務大臣 今、津村先生御指摘がありましたように、ブラジルというところは、中南米において最大の人口、そして天然資源は、物にもよりますけれども、極めて豊富な大国なんだと思っておりますし、BRICsとかいろいろな表現がありますけれども、今、国連などの国際社会においても、間違いなく発言力等々増してきていると思いますので、重要なパートナーだと思っております。加えて、今御指摘のありました中に一部触れておられましたけれども、日本との関係は、ブラジル日系移民等々極めて大きな関係もありますので、協力というものをきちんとやっていくべきだと思っております。
 日本との関係において、一昨年の小泉総理のブラジル訪問、それから、昨年のルーラ大統領の訪日がありましたし、ことしに入ってからも、外務大臣、アモリンでしたか、日本に来ておりますし、経済関係の再活性化とか在日ブラジル人への取り組み等々、国際協議の場でいろいろ幅広い分野で今協力が進められているんだと思います。
 今後とも、ブラジルへ移民されていかれた方々の孫、ひ孫が逆に日本に働きに来ておられる等々というのが今の現状でもありますので、双方向、いろいろな意味で昔とは違った形で友好関係を深める、きずなというものが深まってきていると私どもは思っておりますので、この関係強化というものは今後とも努めていくべきものだと思っております。
○津村委員 多少大きくといいますか、抽象的にお答えいただいたような感じがするんですが、少し具体的な課題について触れていきたいと思います。
 二〇〇四年の九月、小泉総理がブラジルを公式訪問した際に、日本と中南米の新パートナーシップ構想というものを打ち出したということでございます。合意の目的は、両国の経済関係を再活性化させるということではないかと報道もありましたが、その背景には、バブル崩壊以降、我が国が欧米に比べて対ブラジル投資の面で立ちおくれている、あるいは、後ほど経済産業省の片山政務官にもお伺いしたいと思いますが、対ブラジルの貿易シェアが、これは、シェアという意味では大幅に低下しているという現実もあるようでございます。
 ちなみに、ブラジル向けの直接投資で見ますと、九五年末までは三位から四位というところが、二〇〇〇年末には十位まで転落し、近年やや回復したものの、二〇〇四年末で八位というようなことでございますが、この新パートナーシップ構想に基づくその後の具体的な取り組みと、それから、具体的に見られている成果についてお尋ねしたいと思います。
○麻生国務大臣 では、私の方から先にお答えをさせていただきますが、日本・中南米ニューパートナーシップ構想というのは、協力と交流というのを二つの柱にして、中南米との経済関係の再活性化、国際社会の諸課題への共同対処、相互理解と人物交流の促進を目指すということをうたってスタートしております。
 先ほども一部述べましたけれども、ルーラ・ブラジル大統領の訪日、それからウリベ・コロンビア大統領の訪日、ドゥアルテ・パラグアイ大統領の訪日、首脳等々で言わせていただくと、日・中米首脳会談の開催等々、中南米諸国との間でかなり活発な首脳レベルの政治対話というのを行っておりますので、そういった中から、このパートナーシップ構想の実現に努めてきたところでもあります。
 経済関係の再活性化につきましては、幾つかありますが、昨年四月に、日本・メキシコEPA、経済連携協定が発効して日本、メキシコ間の貿易・投資の拡大に寄与しておりますほか、チリとの間でも今EPAの協定交渉が始まっておりますし、日本とブラジルのバイオマス、いわゆるエタノール等々いろいろありますけれども、バイオマスのワーキンググループの開催等々が行われておりまして、中米諸国を対象とした物産展の開催がいろいろなところで取り組まれておるところでもあります。
 また、国際社会の諸課題への取り組みにつきましては、ブラジルとの間で安保理改革の話が先ほどあっておりましたとおりですけれども、貿易、環境、軍縮、それから核の不拡散等々について、中南米各国との連絡というのはかなり密になってきていると思っております。
 また、交流年の分野では、二〇〇五年に日・中米交流年が実施されて、いわゆる文化、芸術、スポーツ等々の交流が行われましたけれども、二〇〇八年を日本ブラジル交流年と位置づけて、両国関係のさらなる発展のため重要な契機とすることなどが決まっておりまして、これが決められて以来、いろいろなところでいろいろな企画が出されて、かなりそれが実現されつつあるというのが今の途中経過だと存じます。
○片山大臣政務官 私の方からは貿易、経済面についてお答えしますが、鉄鉱石、ボーキサイト等の大変な資源国でございますので、その資源の確保のパートナーとしても非常に重要な国と考えております。
 輸出額、輸入額は、委員御指摘のようにシェアは確かにいろいろあるんですが、額の方は、落ち込みの年もありましたが、ある程度着実にはふえてきておりますし、特に、日本からブラジルへ、ブラジルから日本へと比べますと、ブラジルから日本への輸入の方が、二〇〇四年から二〇〇五年には、例の鳥インフルエンザのアジアの反動と、それから鉄鉱石等の資源高もございまして、相当急激にはふえております。
 ただ、我が国の貿易相手国というと、御承知のようにアメリカと東アジアが大宗を占めますし、ブラジルの場合はやはりメルコスールとアメリカというのがある。それから最近、BRICsの中で中国との関係が深まっているということで、シェアでは確かに伸び方が若干足りないということを反省もしまして、昨年十二月には三十四社連れてジェトロがミッションを派遣しておりますし、そのほかにも、今大臣から御指摘のありましたようなエタノールに係るワーキンググループ、それからフルラン開発商工大臣と二階経産大臣の間でスタディーグループもつくっておりますし、デジタルテレビなんかも、今導入の方向にブラジルがある中で、我が国としては積極的に売り込んでおります。
 投資も、中南米の中では、累積で見ますとブラジル向けは六割になっておりまして、もう既にある程度成熟したところには行ってはいるんですが、さらにふやす上では、両国間で話さなければいけないのは、いわゆるブラジルリスクでございますね、遅延ですとか、そういった問題をやっていくということで話し合いは常に続けておりますし、重要なパートナーとして通商相手国の中で考えてまいりたいと考えております。
○津村委員 関連して、経済産業省、片山さんにあと二つほどお伺いしたいと思います。
 本年の三月、ブラジルの、今バイオエタノールの話が出たわけですけれども、ブラジルの国営石油公社ペトロブラスというところが、三井物産との、合弁会社である日本ブラジル・エタノールというものを設立して、バイオエタノールの日本向け輸出販売に本格的に乗り出した。こうした中で、四月の十日だったと思いますが、二階経済産業大臣が、今お名前が出ましたフルラン開発商工大臣との会合において、バイオエタノール導入にゴーサインを出したということでございます。
 現在、経済産業省が輸出国ブラジルの安定供給能力あるいは品質の調査を進めているということだと思いますが、このバイオエタノールの輸送用燃料への導入の趣旨、目的、さらには、想定している規模とその時期につきまして、経済産業省としての御認識を伺いたいと思います。
○片山大臣政務官 バイオエタノールの場合は、ブラジルの場合は特に、品種改良された巨大なサトウキビ等が主原料になっておりますが、これは石油代替という意味でも、それから温暖化対策、京都議定書上、これはカーボンフリーカウントになっております。つくる時点でCO2を吸収しているので、燃やして出てもカウントしないという非常にシンプルなルールでございますが、その点で有効であるということで、その導入促進、それから実務的な確保の輸入可能性などもずっと経済産業省の中では調査研究を行ってきたわけでございますが、とりあえず京都議定書の目達計画におきましては、バイオエタノールを含む輸送用のバイオマス由来燃料を二〇一〇年度までに原油換算で五十万キロリットル導入するということを考えております。
 今現在時点ではそこまでの時点で、各年に何万キロリットルずつというところまでは行っておりませんが、当面、我が国石油業界等との話し合いによって、今は、ETBE、イソブテンを入れて、油化して比較的保存しやすくするというんですか、油化するような方向で入れることを考えておりますが、そういった方向で、原油換算全体で二〇一〇年度までに五十万キロリットルというのが当面確定しております目標でございます。
○津村委員 バイオエタノールに関しましては、最近、かなりの報道といいますか、非常に注目を浴びている新しい燃料ということだと思いますが、現行法上、安全性の観点から三%程度しかガソリンにまぜることができないということかと思います。導入コストとガソリン節約コストをバランスさせますと採算性も大変気になるところなんですが、バイオエタノールの輸送用燃料への導入が日本経済あるいは産業界全体に与えるインパクトというものをどのように御認識されているのか。特に、マイナスのダメージを受ける業界というものもあると思います。そうした業界の今後のあり方も含めまして、経済産業省として現在どのようにごらんになっているか、お聞かせください。
○片山大臣政務官 委員御指摘のように、バイオエタノールというのは、今までの従来の典型的なガソリンとは種類、化学物質の違う燃料でございますから、当然、貯蔵ですとか、タンクですとか違うものが必要で、タンクにおいては二重タンクの造成が必要と言われておりますから、当然、石油流通業者等には一定の影響が出るということもあり得ます。
 昨年末現在ぐらいの石油価格ですと、まだバイオエタノールの方が輸入してこちらにCIFで持ってくるとかなり高いということになりそうではあるんですが、いずれにしても、E3ということですと三%しかまぜませんので、価格に与える上昇影響はさほど大きくないのと、このところ足元で非常に石油が上がっていますから、それはその時点でどうなるかを見ないと当然わからないということがあります。
 いずれにしても、今、二〇一〇年度でバイオで五十万キロリットルというところしか決まっておりませんので、いつからどの国のものをどのぐらい買うが確定しないと確実な影響というのははかれないですが、当然一定の影響はあるということがございます。
 これに加えまして、国産のバイオエタノールのコスト低減に向けた技術開発の実施をいろいろなところでやっておりますし、特にブラジルが中心ですが、海外から比較的安価にバイオエタノールを輸入するにはどうしたらいいかというのも検討しておりますわけで、これに関係業界への影響等も合わせまして、関係業界や関係府省の協力も得つつ、円滑に導入できるように、支援策の検討も含めまして取り組んでまいる所存でございます。
○津村委員 ありがとうございます。片山政務官への御質問は以上でございます。
 多少関連しまして外務省にお伺いしたいと思いますが、日本とブラジル間の経済連携協定締結に向けた準備状況をお伺いしたいと思います。
 民間レベルでは、二〇〇四年の五月にブラジル日本商工会議所が日本経団連と協力して交渉開始を求める提言書を提出した、また同年七月にはブラジル工業連盟も同様の提言書を提出ということですけれども、残念ながら政府レベルでの動きが余り見えないというふうに感じております。準備状況をお聞かせください。
○塩崎副大臣 今我が国は、EPAをさまざまな国と議論をしているわけであります。ブラジルとの経済関係強化を考える上でも、当然、選択肢としては、EPAをやるというのも重要なファクターになってくるんだろうとは思います。
 一方で、我が国は、今後の経済連携協定の推進についての基本方針というのがありますけれども、これに基づいて進めておって、当面は現在交渉中の国あるいは地域との協定締結に全力を傾注するという、かなり時間との戦いであり、また人的投入も物すごく多いものですから、そういう形になっているわけであります。
 ブラジルが属する関税同盟であるメルコスールとのEPAについては、この基本方針に基づいて、さまざまな要素を勘案しながら総合的に考えていかざるを得ないだろうというふうに考えており、本件については、日本とブラジルの民間企業関係者が検討を行っているという段階であるというふうに承知をしているところでございますので、その成果を見守っていきたいと思っております。
○津村委員 今のに、ちょっと済みません、更問いをするんですが、今はどういうところと交渉されているんでしょうか、その中にブラジルは入っていないということでしょうか。もし今わかればお答えください。
○塩崎副大臣 正確なものはあれですけれども、一つは、この間マレーシアとできましたが、タイがまだサインまで行っていない、フィリピンも行っていないけれども、いずれもかなりのところまで来ているということでありますし、それから韓国、ASEANトータル、それからインドネシア、チリとの間で交渉を今現実にやっているところであります。それから、GCCとの間でやるということを決めました。それから、ベトナム、ブルネイとは交渉立ち上げに向けた準備協議をことしの二月から始めているといったところが、大体、今交渉している、ないしはしようと思っているところというところでございます。
○津村委員 ありがとうございます。
 それでは、少し質問を変えますけれども、やはり小泉総理とルーラ大統領の間で設立が合意をされました日本ブラジル二十一世紀協議会というのがあるそうですけれども、二〇〇六年八月、すなわち本年八月までに中長期的観点からの両国交流のあり方について提言を行うということだと思います。
 現在もう既に五月になるわけですけれども、現在までの進捗状況をお尋ねします。
○塩崎副大臣 今御指摘の日伯二十一世紀協議会というのは、二〇〇四年の九月に首脳間で合意に基づいて設置をされ、正式には二〇〇五年の五月、去年の五月に、ルーラ・ブラジル大統領が日本に来られたときに首脳同士でメンバーを発表してスタートしたということで、日本側は衆議院議員の河村建夫先生で、向こう側は元鉱山動力大臣のバチスタという方であります。
 今お話がありましたように、ことしの八月までにという話でございますけれども、これは協議会そのものは二〇〇八年の日伯交流年、そしてそれ以降の日伯関係の深まりを進めるために提言をするということになっているのでございまして、去年の十一月に第一回の会合が行われて、日伯交流年を含む各種交流の促進、経済関係の強化、在日ブラジル人問題等についての意見交換が行われて、第二回目はこの七月に東京で行われることになっています。その機会に両国首脳に対する提言をまとめるというふうに聞いておりますので、二回目の東京での七月の話し合いによって大体提言がまとまってくるのではないかというふうに考えております。
○津村委員 ありがとうございました。
 少し趣向の違う御質問になるんですけれども、昨年の五月にルーラ・ブラジル大統領が来日をされました。その際、インタビュー記事を見たんですけれども、在日ブラジル人問題について関心を示されて、名古屋を訪れるとか、あるいは直接会っていろいろな要望を聞くというようなことが書かれておりました。
 外務省の認識として、在日ブラジル人社会が現在抱えている問題、あるいはその解決策と言うとちょっと穏やかじゃありませんけれども、今後のあり方についてどのような認識をお持ちでしょうか、お尋ねいたします。
○麻生国務大臣 今、日本に大体在日ブラジル人が二十八万人ぐらい、正式に届け出が出ている、もしくは政府が捕捉している、わかっているだけで二十八万人ぐらいということになろうと思っておりますが、日系三世、四世という方のいわゆる滞在の長期化ということに伴って、いろいろな意味で、日本の文化とか習慣とかいろいろなものとの間でフリクションが起きている。
 例えば、そこに住んでいると、ごみの区分収集等々に対応できないとか、いろいろこれは各地で、行っていただくとわかると思いますが、特定の市に、特にそこに工場がある関係でそこの市に集中して多いとかいうのは、これは関東近県でも幾つかありますけれども、問題が表面化していることも確かだと思っております。
 ルーラ大統領が訪日されたときにも、これは取り組むべき課題として、在日ブラジル人のコミュニティーに関する共同プログラムというのをやっておく必要があるんじゃないかという話をいたしております。
 それに基づいて、社会保障に関する作業部会とか教育部会とか、いろいろ両国間の取り組みを進めている最中でありまして、これは、ポルトガル語というかブラジル語の放送がNHKにはないとか、そういったようなところで子供にブラジル語を話すとか聞かせるという機会がない等々、いろいろ細目を挙げると幾つも出てくるんですけれども、こういった問題というのがあることは事実でもありますので、そういった意味では、二十八万という数字を考えましたときに、いろいろな意味で、今のうちから日本語教育を初め、きちんとやっておくというのが必要であろうと考えております。
○津村委員 今ずっとブラジルとの二国間というくくりでこの話まで来たわけですけれども、いろいろ考えますと、これから少子高齢化、人口減少という中で、またあるいはグローバリゼーションという中で、さまざまな国の方を受け入れていく日本の社会の強さといいますか、足腰といいますか、システムといいますか、そういったものが、ことし、来年ということではないかもしれませんが、徐々に社会の持続可能な発展という観点からも必要になってくる、あるいは求められてくるという中で、日本とブラジルはかなり長い歴史がこれまであるということもありますので、言うなれば先行的な事例として非常に注目すべき事例なのかなという気がいたします。そういう意味で、今お取り組みをいろいろ伺えたのは大変よかったかなと思うわけです。
 今度は、少しマイナスといいますか、余り触れたくないテーマでありますけれども、その裏返しといたしまして、四月の二十五日、外国人在住者を多く抱える全国の自治体が参加する外国人集住都市会議というものが三重県の四日市市で行われまして、ちょっと穏やかじゃありませんけれども、犯罪人引き渡し条約が結ばれていないブラジルと同条約を締結するよう政府へ求めることで全会一致したということがございます。余りこういうことが適用にならない方がもちろんいいわけですけれども、一方で、受け入れる側の日本国民が気持ちよく受け入れていくということも重要かと思います。
 現在、こうした要望が提出されたと書いてあるわけですが、外務省さん、それから、きょうは三ッ林さん、来ていただいていますが、法務省の方も関係があるということですので、現在のお取り組みについてお聞かせください。これを最後の質問とします。
○塩崎副大臣 今御指摘のブラジルとの間の逃亡犯罪人の問題というのは、政府としてもしかるべく取り組むべき重要な課題だというふうに考えておって、先般、麻生大臣からも、アモリン・ブラジル外務大臣に対して、この問題解決のために両国が一致して取り組んでいくということを申し入れたわけでございまして、これは四月でございました。
 ブラジルとの間の犯罪人引き渡し条約の締結に関しては、当然のことながら、相手国の法制がどうなっているのかというのが非常に重要で、それを勘案しながら各省庁と協議をして検討していく必要があるだろう。
 ただし、これはどこかでまた答えましたけれども、ブラジルでは、憲法上、麻薬取引の場合等を除いて、自国民のいかなる引き渡しも行わないということになっているわけであって、したがって、条約を締結したとしても、我が国から逃亡したブラジル人犯罪人の引き渡しが可能となる見込みは極めて低いということで、この点を十分踏まえた上で条約を締結する意義について検討する必要があるだろうと思っています。
 それから、このような問題への対応としては、まずは個別具体的な必要性に応じて、相手国の関係機関との間で実務的な協力を積み重ねることも重要なので、相手国との間でいかなる対話が可能かということを引き続き話し合っていくということで臨んでいるところでございます。
○三ッ林大臣政務官 ただいまの塩崎外務副大臣からの答弁にありましたように、条約の締約国の拡大につきましては、その具体的な必要性、また相手国の法制等を十分勘案しつつ、関係省庁とも協議の上、検討していく必要があると法務省として考えております。
○津村委員 時間が参りましたので、終わります。
○原田委員長 次に、鈴木馨祐君。
○鈴木(馨)委員 ありがとうございます。自由民主党の鈴木馨祐でございます。
 きょうは大臣がもう間もなく出られてしまうということで、もし可能であれば、最初に、冒頭、一問だけ、一般的な話でありますけれども、質問させていただきたいと思います。
 来週、日中協議、東シナ海をめぐるものが開始され得るというような話もある中で、一つだけ、ある意味非常に下世話な話になってしまうかもしれませんけれども、交渉という意味で伺いたいことがございます。
 これは仮定の話で申しわけないんですけれども、麻生先生、非常に血筋もよろしく、すばらしい家系に生まれていらっしゃるわけでありますけれども、例えばこれは戦国時代の話を仮定として置いてみるといたします。いつも非常に理不尽で信義則も何もないような隣の戦国武将が、例えば自分の婚約者に横恋慕をして、それをかどわかしてしまった、そういう状況があるといたします。それで、たまたまなぜか自分の家にはそのおやじの娘がいたというような状況を想定していただければと思います。
 そういった中で、無事にその婚約者というものを取り戻すためにはどういった手段があるかというようなことを一般的に伺いたいと思うんですが、恐らく考えられるのは、一つが、誠意を見せるために、無条件で、何もせずに釈放する、二つ目にあり得るのかなというのが、とりあえず拘束をして、何か手出しをしたらただじゃおかないぞ、そういうような、これ以上の対抗措置をとるというところを明示して、先方にそれを明らかに伝えてみる、三番目として、もうけしからぬから殺してしまえというふうな強硬措置をとる、そういった大まかに分ければそんな感じの選択肢があるのかなと思いますけれども、そういった中で、一般的に考えれば、かどわかされてしまった自分の婚約者というものを取り戻すためにどういった措置というのが望ましいとお考えか、一般的な話で恐縮ですが、御回答いただければと思います。
○麻生国務大臣 今の話は、外交に当てはめてそれを考えるというと、なかなかこれは、今の時代と、戦国時代という例を引かれましたけれども、一般的に見て、警察という第三者機関があるという前提のところと全然前提がないのと、話が全く違うと思うんですね。したがいまして、今の国際社会の中において、いわゆる警察というような第三者機関が存在していると思うか思わないかによって全く違ってくると思っております。
 二つ目は、いわゆる取り返すというようになった場合においては、話をして通じる相手か通じる相手じゃないかというのは、これは意見の分かれるところだと思いますね。したがって、話が通じないということになるんであれば、それはしかるべき手段に訴えないと取り返せない。誠意というのは相手によって通じる場合もありますし、通じない場合もありますので。状況の前提としては特定のあれでないと、なかなか一般的にはお答えのしにくいところなんだと思います。
 いずれにしても、こういう話をするときに、なかなか例えが難しいところなんだとは思いますけれども、国際社会の中において、誠意をきちんと示せば通じるというように考えるのは、なかなかそういったわけにはいかないというのが国際社会とかそういうところだと、あらかじめ覚悟しておかねばいかぬということだけは確かだと存じます。
    〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕
○鈴木(馨)委員 どうも含蓄に富むお答えを本当にありがとうございます。
 次に、質疑に移らせていただきたいというふうに思いますが、私かねがね、外交というものは何かなと思いますときに、最終的には日本という国の国益というものをいかに確保していくか、その追求にあると思いますし、ただ、さはさりながら、日本は単独で存在しているわけではありませんので、そのために、各国との関係というのを、摩擦を最低限和らげることによって長期的な国益というものをさらに確保していくように環境整備をしていくことにあるのではないか、そういったまさにたくみのわざなのではないかというふうに思っております。
 そういった中で、言えること、言えないことというのも当然あるとは思いますけれども、ただ、さはさりながら、大原則としてどういうものがあるのかなといいますと、やはり外交というのは、まず最初に状況分析、リスク分析というものが恐らくあるべきでありまして、その後で、そういったリスク分析、状況分析というものをしっかり踏まえた上でプライオリティーづけだとかタイミングづけ、そういった戦略的な優先順位、これは地域によるのかもしれませんし、政策、トピックによるのかもしれませんけれども、そういったものを限られたアセットの中でしっかりやっていく、それが恐らく外交なのだというふうに思っております。
 日本の周りというと、中国、韓国、そういった国が非常に目立ってしまうわけでございまして、やはり我々政治家というのも自戒せねばいけないとは、私、最初でございますので、特に自戒しなきゃいけないと思っているんですけれども、例えばマスメディアにしても、どうしてもそういったところに焦点を当てがちであるというところがあるんだと思います。しかし、そうはいっても、国際政治というのは非常に生き物でございまして、あちらこちらでいろいろな対立というものが起こっていて、それがどういった形で日本に長期的な影響を与えるかわからない、そういった状況にあるのも否定できない事実かと思います。
 そこで、きょうは割とあちこち総花的に散ってしまうかとは思いますけれども、ロシアと中東、また中国、そういったところについてざっと話をさせていただければというふうに思います。
 ちょっと通告の順番とは変わりますけれども、昨日、新聞報道でございましたが、プーチン大統領の施政演説といいますか、おとといですかね、そういった時期に行われたというふうに存じております。報道等によりますと、ある意味非常に自信を回復したアグレッシブな外交というか対外政策を今後行っていく、そういったふうにもとれる状況にあるわけであります。
 過去数年前には、対外債務、旧ソ連債務で非常に苦労していた国が、石油価格、原油価格の高騰という中でここまで回復したということは非常に喜ぶべきことではありますし、BRICsと言われるような、そういった非常に強い経済として、また強いロシアが帰ってくるというのはいいことがある反面、ただ、一方ではやはり問題もリスクもないとは言えないのかなというふうに思っております。
 日本とロシアとの関係ということでありますと、北方領土問題というのは当然ございますけれども、それに加えて、最近はエネルギー問題等々いろいろとつながりがあるところでありますけれども、まず最初に、大統領の年次教書演説につきまして、その内容の事実関係とそういったものに対する所感というところを伺えればというふうに思います。
○塩崎副大臣 私もプーチン大統領の年次教書演説というのをテレビで見ましたが、特にロシアの内政上の諸問題についての部分が大変多かったということであります。これが特徴だと思うんですが、一時間ぐらいあった中の四十分ぐらいは内政上の問題を語っていたということであります。
 ロシアが直面する緊急の課題は、市民の権利と自由、それから民主主義及び市民社会の発展等なくして解決は不可能だというふうに言う一方で、現実の国際社会は人権や民主主義よりも各国の利益優先ではないかとの疑念を呈しているというようなことで、さらに、近代的な長距離航空機、潜水艦、それから戦略ミサイル発射システムの導入による戦略的核戦力の増強、テロ等への即応体制の構築等により軍事力を増強する方針を示しているということもありまして、アジア太平洋地域を含むパワーバランス全体に影響があり得るというふうなことで、注目をすべきではないかなというふうに思っております。
 我が国としては、重要な隣国でありますこのロシアが、国際社会で自由、民主主義、それから法の支配といった共通の価値観を共有する真のパートナーとなることが重要だと考えているわけで、そういったところから、本年七月のG8サミットがロシアで開催されるわけでありますけれども、こういった機会を通じてロシアを含む他のG8諸国と協力していくとともに、日ロ二国間においても、日ロ行動計画というのがありますけれども、幅広い分野で協力を進めていきたい、このように思っております。
○鈴木(馨)委員 ありがとうございます。
 ロシアとの関係で、やはり忘れてはならないのは、日本とのかかわりという意味ではエネルギー供給地という性質も非常に強いというところで、ここ数年間、東シベリアの原油の開発ですとか、そこからパイプライン、中国も含めたトライアングルでの駆け引きというものもなかなか実際には展開されてきているのかなというふうに思っているところであります。
 さはさりながら、ことしの冬でございましたか、ロシアがヨーロッパ方面に対して原油、ガスの供給において与えた衝撃というものを忘れてはいけないのかなというふうにも思っております。これは対ウクライナというのがメーンだったとは思うんですけれども、実際、国際的にはなかなか起こり得ないような、そういったパイプラインの中の圧力の調整というような強制的な手段によって非常に大きな影響を、ロシアへの依存を高めていた西欧諸国への影響というのが非常に大きかったというふうに記憶しております。
 そういった意味で、ロシア、確かに原油の供給地ではあるんですけれども、安定的なエネルギー供給源というふうに言えるのかなというようなリスク分析というのも一方では必要だと思いますし、また同時に、東シベリアというのは、湾岸諸国と違いましてツンドラ地帯でございます。本当に地層的な形状の違い等もございまして、非常に開発にある意味コストがかかるんじゃないか、そういったような声も聞こえてくるわけでありまして、実際、現在のところまでに既に開発が終わっている原油の量というのは、恐らく中国、日本に供給できるのに十分足りる量ではないというような話も一方であるわけでございます。
 そういったことを踏まえまして、この東シベリアにおけるパイプラインの建設及びガス田、原油、油田の開発というものが、経済的、政治的にどういったリスクが実際にあるのか、日本としてどういったリスクを考えるべきなのか、そういったところについて伺えればと思います。
○塩崎副大臣 最初に、東欧等に対するエネルギー供給についての御指摘がありましたけれども、今回の演説でもプーチン大統領が、ロシアのエネルギー分野における技術刷新とか、精製輸送能力の向上とか、それから新規市場の開拓、エネルギー効率の向上等を通じて、伝統的なパートナーである欧州諸国へのエネルギー供給を確保して、統一的な欧州エネルギー戦略において肯定的な役割を果たそうということを示してはいるわけでありますが、一方で、今御指摘のような点は、さまざま国際社会の中から指摘を受けているようなところであるわけであって、今回のサミットでもみずからエネルギー安全保障をテーマにしているというところで、今後これをどういうふうにロシアが、言ってみれば問題を国際社会に投げてくるのかというのに我々としても注目をし、協力をできるところではしっかり協力をしていきたい、このように思っているわけであります。
 それから、東シベリア・太平洋パイプラインの経済的な妥当性の話がございました。
 これは、パイプラインの建設につきましては、第一段階としてタイシェットというところからスコボロジノというところまでの区間のパイプラインを二〇〇八年の後半までに建設をして、第二段階にスコボロジノから太平洋岸の石油積み出し港までパイプラインをつくっていくということを決めているわけでありますが、ロシア政府が東シベリアの油田の探鉱開発を進めて、パイプラインの十分な通油量、つまり油が中を通らないといけないので、それが確保されて、採算がとれることがパイプライン建設を進める前提、こうなっているわけであります。
 東シベリアの原油開発パイプライン建設の経済性、妥当性という御指摘でございますけれども、これは、最終的には、パイプラインの建設主体はトランスネフチという会社であったり、それから石油会社が判断するところであって、経済性を確保しながら早期に第二段階が建設されるように日本としてはロシアと協力をしていきたい、こう考えているわけであります。
 それから、このプロジェクトが実現すると、我が国を含むアジア太平洋地域のエネルギー供給源を、言ってみればダイバーシファイ、多様化していくわけでありまして、我が国にとっては戦略的な意義を有する大事なプロジェクトであろうと思っておりますので、こういった観点からロシア側との協議を進めていくという方針でございます。
○鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。
 その背後に控える油田の開発も含めて、今後恐らく、もしかしたら何らかの戦略的な融資というようなことも政府の方で考えられるのかもしれないと思いますけれども、その際にもやはり、これは日本の圏域内のエネルギー開発とは全く違って、エネルギー安全保障というのは恐らくリスクを分散させるというところに意味合いがあるわけでございまして、ロシアというところで余りこだわり過ぎずに、しっかりと経済的、戦略的な妥当性というところも判断いただいて進めていただくようお願いいたしたいと思います。
 次に、また話は若干変わりますけれども、中国の問題でございます。中国といいましても、人権の状況等についての話でございます。
 ゴールデンウイーク前になりますでしょうか、米中の間でのサミットというものがホワイトハウスで開かれたように記憶しておりますけれども、その中で触れられた日本との非常に印象的なところでは、北朝鮮からの脱北者の問題というものがあったやに聞いております。
 これは、その後の記者会見で出たのか内容ということで聞いたのか、ちょっと失念してしまって申しわけないんですけれども、そこでアメリカが中国の強制送還という状況に対して非常に懸念を示したというような話を聞いております。もちろんそれは、中国の北朝鮮に隣接する地域には非常に多くの脱北者がいて、それが中国としては問題というのはわからないではないんですけれども、やはり国際的な人道的な観点から問題ではないか、そういったような声があるのも事実でございます。
 このアメリカ側から示された懸念というのが実際どういうものであるのかということと同時に、今、日本政府としてこの中国の脱北者の強制送還というところについてどういった御認識でいらっしゃるのか、見解を伺いたいと思います。
○塩崎副大臣 胡錦濤主席がアメリカに行った際、これは先月の二十日でございますが、米中首脳会談が行われたということで、大統領は中国の胡錦濤国家主席に対して、中国政府が脱北者を北朝鮮に送還した問題を取り上げたというふうに私どもも承知をしておるところでございます。
 米国政府は先般、北朝鮮人権法成立後初めて数名の脱北者を受け入れたというふうに承知をしておりますが、米国政府は本件の詳細は実はまだ明らかにしておりません。したがって、いかなる意図でやったのかといった点については、ちょっとまだコメントするのは適切でないと思います。
 では、我が国としてどう考えるんだという今の御指摘でありますけれども、脱北者への対応に当たっては、みずからが迫害を受けるおそれのある国とか地域に送還されてはならないという、いわゆるノンルフルマンの原則というのがあるわけでありますけれども、これが守られることが何よりも大事で、送られたけれども結局また迫害を受けるようなところに送り返されるようなことではいけないということだと思います。この点については、中国に対しても日本政府としてもこれまで何度も指摘をしてきておりまして、中国政府としてもこの原則の趣旨に基づいて脱北者に対しては対処してもらわなければいけない、このように思っております。
○鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。
 これは中国人民ということではないのかもしれませんけれども、多少そういった人道的な懸念も残している国である中国が、実は、先ほど津村先生も触れられたかと思うんですけれども、人権委員会の理事国選挙におきましてその理事国に選ばれたというような状況があるわけであります。
 この人権委員会の理念、目的等からかんがみて、日本政府としてこの中国の理事国入りというものに対してどういった御感想をお持ちかというところを伺いたいと思います。
○塩崎副大臣 先ほどちょっと津村委員の質問のときにも申し上げましたけれども、私はその現場に、投票のときにいて、実際に投票いたしました。
 今中国のことが指摘されましたけれども、その他、会場からどよめきが沸くような当選した国も若干あるわけでありまして、いろいろな議論があることは私もよくわかっているわけでありますけれども、政府として選挙の結果選ばれた国について個別にコメントするのはいかがなものかなということで、差し控えたいと思っております。
 しかし、いずれにしても、この人権理事会というものは人権委員会にかわってつくるということを去年の九月に決めているわけでありますから、せっかく人権理事会としてつくられたこの場を、議論の進め方とかあるいは各国の人権レビューの方法等が具体的に協議されることになっておるわけでありますので、そういった協議を通じてこれまでの人権に対する国際的な取り組みがさらに強化されるように機能するということが大事なわけでありますので、我が国としては、中心的な役割をこの人権理事会の場でも担っていこうと思っておりますし、また世界の人権の保護、促進に建設的な役割を果たしていこうと思っております。
○鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。
 では次、日中協議の関係の質問に移らせていただきたいというふうに思っております。
 まず最初に事実関係の確認でございますけれども、東シナ海のガス田問題等に係る日中協議というものが来週十五日の週に、恐らく日本の東京というふうに報道では言っておりますけれども、開催されるように伺っております。この点について事実関係をお教えいただければと思います。
○塩崎副大臣 先般、谷内事務次官が中国に参りまして日中総合政策対話を七日から九日まで行ったところでありまして、その場で、五月の中旬で、十五日の週と今御指摘ありましたが、第五回の東シナ海等に関する日中協議を開催しようということに決まっておるところでございます。
○鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。
 協議が少なくとも早々にはあるということでございますので、ひとつここで実際に中国というのはどういった国かといった現状分析を兼ねまして、幾つか質疑を行いたいというふうに思っております。
 まず最初、一点目、これは日本にもかかわることですし、日本がこれまで進めてきた、先ほどの質疑でもございましたけれども、今なお進めたいと考えている常任理事国入りの話に関してでございます。
 これは結構旧聞に属してしまうんですけれども、昨月四月の半ばぐらいに、これは報道でしか出ていなくて、実際のやりとりというのはちょっと不透明な部分もあるんですけれども、駐インドの中国大使が、あちらの、政府系だったかどうかわかりませんけれども、シンクタンクの、公のオープンの場の講演で中国大使が大使として発言したというふうに理解しておりますが、インドが日本の常任理事国入りというものを支持しないのであれば、インドの常任理事国入りというのを中国としては積極的に支持していきたいというような発言をしているように聞いております。
 このことについて、事実関係及びそのことに対するもし何らかの所感、これはインド、中国の間のことだけとも言えず、やはり日本とのかかわりというのもあることですので、恐らく第三国同士のことということは言えないのではないかと思いますので、日本政府としてのお考えを聞きたいと思います。
○塩崎副大臣 今御指摘の駐インド中国大使の発言の件でありますけれども、四月の十四日にデリーで開催された中印関係に関するセミナーでの講演の中で今の御指摘の点が触れられたというふうに聞いております。
 報道ぶりで見ると、例えば、中国がG4に反対したのは日本がG4の一員だからである、日本は歴史問題に正しい態度をとっていないため、中国は日本の常任理事国入りに反対しているというようなことを初め、幾つかの発言をしているというふうに聞いているところでございます。
 従来から、中国は、安保理における途上国の代表性拡大をうたう等、安保理改革の必要性自体については、さっきも申し上げましたけれども、認めているところであるわけでありますけれども、一方でコンセンサスが必要だということで、いかなる決議案も、人工的な期限を設けていつまでにというようなことで投票で強要するのはいかがなものかという考えを一貫して持っていたわけでありますが、中国は、結果として、今のようなことでG4決議案には反対したというふうに聞いております。
 それから、我が国と中国は、安保理改革の具体的な取り進め方については意見を若干異にするわけでありまして、しかしながら、安保理を含む国連改革については、さっきも申し上げたように、総政局長とカウンターパートと議論をしたり、次官レベルでの総合政策対話の中でも議論をしているわけでありますので、過去は過去として、これからについては、中国ともこの問題について対話をさらに進めて、お互いの立場を理解し合うような努力を続けていくべきだというふうに思っております。
○鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。
 本当に今まさにおっしゃったとおり、過去は過去として、今後、未来志向の関係というのをしっかり築いていきたいというふうには思っているところでありますが、歴史というものは、恐らくその国の行動パターンとかそういったものを判断する一つの宝庫であるのかなという思いもやはり一方ではあるわけであります。
 そこで、来週の日中協議、一番の問題というのは東シナ海の海域もしくはガス田ということでございますけれども、そこで真っ先に思い出しますのが、やはり、過去、一九六〇年代以降、盛んに中国との間でそういった衝突を繰り返してきたベトナムと中国との関係でございます。その舞台というのは、東シナ海ではもちろんなくて、南シナ海のスプラトリー諸島であったというところは記憶に新しいところでございます。
 そこで、来週協議ということで、事実関係を若干お教えいただきたいと思うんですけれども、ちょっとこれは外務省さんの方に資料要求とかしても、なかなか適した、外務省でつくられたペーパーでないのかもしれませんが、事実関係というところで幾つか伺いたいと思いますので、もしできましたら可能な限りでお答えいただければと思います。
 手元の紙でありますと、ちょっと直近の一九九〇年以降のところだけ触れさせていただきますと、一九九〇年八月のことでありますけれども、シンガポールを訪問した李鵬中国総理が、ベトナムとの関係の正常化とともに、南沙諸島での主権問題の棚上げをして共同開発するというような方針を打ち出した、それについてベトナムが合意したというのが一九九〇年の八月。その後、これは棚上げということで、それを受けてかわかりませんが、同じその年の十二月、八月の四カ月後に、中国が、スプラトリー諸島、南沙諸島でのみずからの主権を確認して、ベトナム軍の撤退というものを一方的に要求した。その二年後になりますけれども、一九九二年に領海法を制定して、そこの、主権棚上げと言っていたところをみずからの主権だ、領海だ、領土だというふうに一方的にみずからの法律で定めてしまったというところを聞いております。
 その後の経緯を若干言いますと、一九九二年の五月、これは主権問題を棚上げして共同開発というふうに言った二年弱後になると思うんですけれども、アメリカの資本と提携してそこの地域の海域調査を行った。その後、九二年、同じ年になりますけれども、スプラトリー諸島にみずからの領土だというような記念碑というか碑を建てて、実際に物理的な形式もそこに置くに至ったというようなことを聞いておりますが、これについての事実関係を伺えればと思います。
○佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。
 今議員御指摘のとおり、中国とベトナムの間でございますけれども、二つの軸がございまして、一つの軸は共同開発をしましょうという軸と、それからもう一つは、お互いに領有権の、個々の具体的な島をめぐって、これは自分の領土であるという対立、この両方の軸の中で揺れてきております。
 九〇年代の頭からの流れというのは、今委員御指摘のあったような流れでございます。そもそも、あるいは御記憶かと思いますけれども、七四年あるいは八八年に両方は海軍同士がかなり激しく衝突をしておりまして、お互いに発砲したりそれから漁民等に死傷者が出ておるとか、そういう事態が起こっております。それが一方の、私が今申し上げました対立の方の軸でございますが、共同開発の方の軸では、今御指摘のありましたように、九〇年代初頭から、領有権の問題を棚上げにして共同開発をしましょうという提案も行われております。
 その両方の中で振り子のように振れてきたということですが、今世紀に入りましても、実は、二〇〇二年の六月に中国軍が南シナ海に実弾演習実施のための排他的区域を設定いたしまして、これにベトナム側が強く反発をして、即時撤廃という要求をする声明を出しております。したがいまして、両方の軸の間で依然としてまだぶれがあるようでございます。
 二〇〇二年の十一月でございますけれども、中国がASEANの首脳会議におきまして、南シナ海における関係国の行動に関する宣言というのを出しております。中国とそれからASEAN各国首脳によって署名をされて、問題の平和的な処理に向けた動きがございます。今委員御指摘ございましたけれども、スプラトリー、南沙群島でございますが、これは中国とベトナムのみならず、フィリピン、マレーシア、ブルネイそれから台湾が、群島のすべてあるいは一部について領有権を主張しておりまして、かなり複雑に込み入っておりますが、この宣言のもとで……
○小野寺委員長代理 規定の時間が来ておりますので、手短にお願いします。
○佐渡島政府参考人 済みません。
 中国、ベトナムそれからフィリピンの国営会社が資源合同調査事業を開始するというような動きが始まって今日に至っております。
 済みません、長くかかりまして申しわけございません。
○鈴木(馨)委員 時間が参りましたので、一言だけ申し述べさせていただいて終わりたいと思います。
 今の事象をいろいろ客観的に見ますと、やはり実際に実効支配をしていたのはベトナムという領域がかなり広くあるわけであります。そこに対して、中国が主権を棚上げして共同開発というふうに言っておきながら、結果的にはベトナム軍の撤退を要求して、さらに領海法を設定してしまった、そういった歴史的な経験というのもあるわけでございますので、来週以降の日中協議におきましては、しっかりとそういった経験も踏まえて、最大限日本の国益というものを守っていただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
○小野寺委員長代理 これにて鈴木馨祐君の質疑は終了いたしました。
 次に、安次富修君。
○安次富委員 おはようございます。私は、沖縄から出させていただきました新人の安次富修でございます。
 本日の外務委員会で質問させていただくことを大変光栄に思っており、委員長、渡辺筆頭理事を初めとする理事の皆様に、御配慮に感謝を申し上げます。また、本委員会を通じて、与野党を問わず、多くの先生方が日米基地再編問題、在沖米軍の問題を取り上げて真剣に御議論していただいておりますことに、沖縄県民の一人として心から感謝を申し上げます。
 さて、私は、それこそ宜野湾市の普天間に生まれ、普天間幼稚園、普天間小学校、普天間中学校、普天間高校ということで、ずっと普天間基地のそばで今日まで生活をしてまいりました。一昨年、普天間基地所属のヘリが沖国大に墜落したときにも、我が家の隣の隣までその破片が飛んでまいりまして、四十何世帯という被害を受けた家を一軒一軒被害を調べ、自治会長さんや那覇防衛施設局の皆さんと一緒になって被害の事後処理、補償等々のお手伝いをしてまいりました。二度と絶対にあのような事故を起こしてはいけない、起こってはならない、そして、八万七千市民が密集する宜野湾市のまさにど真ん中に存在する普天間基地を早急に移設しなければならないという強い思いで、衆議院議員にならせていただいた次第でございます。
 ですから、私のキャッチフレーズは「「普天間」から日本を変える」ということであり、普天間問題は、まさに、沖縄の問題でなくして国家の安全保障にかかわる問題であり、アジア全体の平和と安定の根幹にかかわる重要問題であると認識をしております。
 戦後六十一年間、普天間基地のゲートの前でどんなに基地撤去、基地反対を叫んでも、一歩も、一メートルも動かなかった。それが、今回の2プラス2において、日米の安全保障責任者の間で、普天間基地の移設を含む大規模な基地移転、返還が合意されました。まさに、戦後沖縄県民の悲願であり、そのことに対しまして、麻生外務大臣、額賀防衛庁長官を初めとする関係各位に心から御礼を申し上げますし、その御努力に敬意を表しますが、あとは実行あるのみであります。必ず普天間を動かしてもらいたい。
 そこで、質問をいたします。
 まず、日米地位協定の改定についてでございますが、日米地位協定の改定は、渉外知事会等でも抜本的な見直しを求めているということを承知いたしております。憲法の改正問題とか教育基本法の改正問題等々、その時代時代で改正論議が盛んでありますけれども、同じくこの日米地位協定も、締結後四十六年間も見直しが行われていないということでありますので、私は真剣に見直すべき時期に来ていると思っております。
 アメリカの傘の下で一国平和主義を標榜していた自衛隊も、国際平和構築のために、積極的にカンボジア、ゴラン高原、中東など、まさに国際社会の中で責任ある地位の一角を担っている現在、四十六年前の日米関係を前提とした日米地位協定の改定というのはごく自然なことだと思っておりますし、きのう、稲嶺沖縄県知事と小泉総理との会談においても、稲嶺知事から、日米地位協定の見直しを要求していることを踏まえ、一層の運用の改善等、対応を抜本的に検討するということを確認しているところでありますが、この件に関しまして、外務省の御見解をお聞かせください。
○塩崎副大臣 普天間で生まれ、普天間で育った安次富先生の、県民の思いを込めた御質問だというふうに受けとめました。
 今お話がありました、額賀防衛庁長官と稲嶺沖縄県知事との間で、昨日、基本確認書というのが交わされて、今御指摘の条文が入っているわけでございます。
 非常に重たい県民の声を今お伝えいただいたと思っておりますけれども、この地位協定については、繰り返し委員会等で述べているように、政府としては、その時々の問題について運用の改善で機敏に対応していくということが合理的ではないのかという考え方で、今日まで運用の改善を図り、その方針のもとで、刑事裁判手続とか、あるいは環境に関するスタンダードの適用の仕方であるとか、そういうことを初め、実際に種々の分野で改善例を積み上げてきたということでございます。
 政府としては、今回の大きな再編の中で、こういった確認書もあるわけでありますから、今後とも、地元の御意見や要望も踏まえながら、運用の改善に一層の努力をしていくということが大事だというふうに思っておりますし、今回、このために日米間でも協力を進めていく重要性については、2プラス2の閣僚級の会議でも確認をされたというところでございます。
○安次富委員 ぜひ、額賀長官と稲嶺知事の確認事項もあるわけですから、所管する外務省としても、やはりその思いというものをしっかり受けとめて、日米地位協定の改定に向けてしっかりアメリカとも協議していただきたいということを念願いたします。
 引き続きまして、在日、在韓、そして在沖米軍の再編問題について、特に東アジアにおける安全保障についてお聞きをいたします。
 日本のみならず韓国においても駐留米軍の再編が大きく動いているところであり、東アジア全体に及ぶ米軍の今回の再編計画を外務省としてはどのように評価されておりますでしょうか。
 私も、五月一日から三日の日程で、塩崎副大臣も韓国へ行かれたということでございますけれども、訪韓団の一員として韓国を訪問し、潘基文外交通商部長官、それから柳在乾国防委員長らと会談してまいりました。内容は、日韓問題全般、そして竹島問題、靖国問題等、多岐にわたりましたけれども、特に、私の関心は常に米軍基地でありますので、在韓米軍の今後の状況についていろいろと意見交換をしてまいりました。
 韓国においては、三十八度線に展開している米軍をソウル以南の二カ所の地域に統合し、二〇一一年までに主要基地を四十一カ所から十七カ所に削減し、兵員数も三万人から一万二千五百名を削減、そして、一万七千五百名を編成し直すという計画が実行中でございます。
 日本においても、沖縄の海兵隊の八千人の削減、グアム移転という形で、沖縄から撤退していくことになるわけでありますが、このような米軍の再編に関して、東アジアにおける軍事バランスの問題、中国の軍拡、そして北朝鮮の動向など、東アジア地域における不安定要因を考えるに、安全保障の空白が生じはせぬかというような危惧もあるわけでございます。また、そのことが中国や北朝鮮に誤ったメッセージを送ることになるのではないかということも若干危惧しておりますが、この点に関しましてどのような御見解をお持ちか、お聞かせください。
○塩崎副大臣 今、在韓米軍の再編のお話が、日本の中にある米軍の再編の問題と絡めて御質問がありました。
 日本の中における米軍の再編につきましては、繰り返し申し上げてきたのは、この目的の一つは、抑止力の維持を図り、同時に地元負担の軽減を図る、こういうことを同時並行で達成しようということであるわけでありますから、当然、今回の再編も、今おっしゃったように、対外的に中国やその他に対して誤ったメッセージを与えてはいけないということで、抑止力は何ら変わらず維持をされるということは、安全保障上しっかり伝えていかなければいけないことだというふうに思っております。
 在韓米軍の削減についても、今数字が幾つか指摘をされましたけれども、私どもの認識では、やはり米国は、兵力の規模は縮小されるけれども、技術的な能力アップ等々で、近代化によって実質的な戦闘能力がより強化されて、防衛体制は一層強固になるというふうに理解をしておりまして、そういう意味では、抑止力はふえこそすれ減ることはないというふうに考えているところでございます。
 いずれにしても、アジア太平洋地域はまだまだ不安定要素がたくさんございますので、今般の米軍の軍事態勢の見直しによって、新たな安全保障環境に一層適合した形で米軍の軍事態勢が見直されて、国際社会の平和と安定、特にこの地域の平和と安定に一層資するものとなるということが大事なことであって、我が国の安全保障の基本もここに置いて考えていかなければいけない、こう思っております。
○安次富委員 在沖海兵隊の八千人の削減、家族も含めてグアムへの移転、そのグアムへの移転費の問題がかなり国民の関心事になっているわけであります。
 韓国におきましても、米軍の移転に伴って、移転費用の問題、費用負担の問題がどうなっているのかということでございまして、私が聞いたところによると韓国が全額負担するということを聞いておりますが、一部報道によると、米側が五十五億ドル、韓国が四十五億ドルとか、そういうような情報も一部にございますが、韓国における米軍の移転費用について、情報がございましたらお聞かせいただきたいなと思っています。
○塩崎副大臣 先ほど委員御指摘のように、私も韓国に行っておりましたが、同じときに安次富委員もソウルにおられたということでございます。山崎拓議員等々と一緒に、この件についても今御指摘の点はお話を聞いてきたというふうに聞いておりますけれども、費用負担の件でございます。
 私ども政府として現段階で承知していることは、次のようなことかなというふうに思っております。一つは、在韓米軍の司令部が置かれているソウル市内の龍山基地、これについては移転に伴う経費を基本的に韓国側が負担をするということになっているわけでありますが、在韓米軍の第二師団という師団の移転に伴う費用については、韓国と米国と、両国政府の合意に基づいてそれぞれの政府が費用負担をするということになっておりますけれども、全体として、再配置に要する具体的な経費の総額とか負担の割合とか、そういうものについては現在協議中だというふうに聞いておりまして、まだ最終的に確定をしているわけではない。今申し上げたような点は承知をしているけれども、全体としてはまだ協議中だというふうに聞いております。
○安次富委員 グアムへの海兵隊の移転に伴う費用負担の問題も、できるだけ情報を開示して、そして各国の例も見ながら国民にわかりやすく説明をしていただきたいということを念願いたします。
 引き続きまして、さらに日米再編協議についてお聞きをいたします。
 抑止力の維持そして沖縄の負担軽減という大きなテーマのもとに、今回、麻生外務大臣、額賀防衛庁長官の御苦労によりまして2プラス2がまとまったわけでありますけれども、今回のような嘉手納以南の大幅な基地返還は、沖縄の地理的、経済的構造に大改変といいますか大改革をもたらすことになるわけであります。
 戦後六十一年間基地とともに暮らすことを強いられてきた沖縄県にとってはもちろん歓迎すべきことでありますけれども、いわゆる現在の状況を勘案すると、経済的な損失、ショックということもあるわけでございまして、そういうことからすると、従来の沖縄振興計画や軍転特措法では限界があると思われます。
 沖縄の負担軽減と言いますが、この基地再編が沖縄の振興、発展につながらないと真の意味での負担軽減とは言えないと思いますし、また沖縄県民が本当に基地が返還されてよかったという実感が伴わなければ、私は本当の意味での負担軽減にはならないと思っております。
 小泉総理もきのう誠意を持って対応すると述べておりますが、特に跡地利用の問題については、普天間飛行場跡地を想定した大規模跡地の指定がありますけれども、それ以外に今度はキャンプ桑江、それからキャンプ瑞慶覧、それからキャンプ・キンザー等々といった基地が返還されてくるわけですが、大規模駐留軍用地跡地開発、普天間飛行場だけじゃなくてその他の基地もそういう大規模指定をすべきだと思いますが、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
 それから、地権者の補償も、これはもう待ったなしでございまして、現在の軍転特措法によりますと通常三年間の給付金が盛り込まれておりますけれども、多くの地主が望んでいることは、返還された土地が造成されて、基本的にその土地から利潤が生まれるというときまでは補償すべきではないかというような地主の切なる思いがあるわけでございまして、その点についても、地権者の補償問題についてお聞かせいただきたいと思っております。
 それから、きのうも小泉総理が言っておりますけれども、基地従業員の雇用の確保。基地の移設、返還に伴って多くの方々が職を失うといいますか、そういうことになりかねないわけでありますけれども、今回の普天間移設、そして嘉手納以南の基地の整理縮小によって、基地従業員の何名が整理対象になるのか、そしてその再雇用に関して振興策の中にぜひ盛り込んで対応すべきではないかと思いますが、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、質問だけ続けさせていただきますが、従来のSACO案と違うのは、従来は軍民共用空港を念頭に置かれていたわけですけれども、今度のキャンプ・シュワブ沿岸案というのは軍専用でありますから、では民の部分をどうするかということが必ず課題になってくると私は思います。
 私は、私案でありますけれども、那覇空港を拡張していく、そして北部の皆様もそこにアクセスできるように、道路の整備、それから鉄軌道のない沖縄においてはモノレールの北部までの延伸等々はもう必要不可欠であるというふうに考えておりますが、その点について、沖縄西海岸道路の今後のこともあわせて、外務省、防衛庁、内閣府にそれぞれお聞きをいたしたいと思います。
    〔小野寺委員長代理退席、委員長着席〕
○塩崎副大臣 個別のことにつきましては事務方の方から答弁があろうかと思いますけれども、今御指摘のように、今回のかなり大がかりな再編に伴いまして、跡地を利用するということが発生をし、また地権者の経済的な補償がどうなるのか、あるいは雇用者の対策、そしてまた軍民共用の空港が想定されていたけれどもそうならないかもわからないというようなことについて、言ってみれば、これまで沖縄の皆さんに非常に重荷を与えていた基地の存在というものが変わる中で、沖縄の経済、産業、あるいは沖縄県民の皆様方の生活の構造そのものが変わってくるということが十分予想されるわけであります。
 外務省も、直接の所管じゃないといえども、やはりそこは再編に係る地元の皆さんの御理解を得、そしてまた全体として再編計画が地元に悪影響が最小限となるように配慮するために各省庁と連携をしていくというのが外務省にとっても非常に重要な役割だというふうに考えておりますので、他の省庁との議論をする中で協力をしていきたい、こういうふうに思っております。
○和田政府参考人 何点か御質問がございましたので、内閣府に関係する部分について御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、跡地利用の問題でございますけれども、跡地利用の促進、今回返還される基地の跡地につきまして促進を図っていくことは極めて重要な課題であるというふうに認識しております。
 御指摘の大規模跡地の指定要件につきましては、現在、沖振法第九十八条それから同法の施行令におきまして、市街地の計画的な開発整備が必要であること、それから、原状回復及び開発整備に長期間を要すること、三百ヘクタール以上の一団の土地であることなどの要件が規定をされております。
 今回の米軍再編で合意されましたいわゆるロードマップにおきましては、沖縄における施設・区域の統合に伴う土地の返還が検討されることになってございますけれども、その具体的な内容については、今後、統合のための詳細計画を作成していくことになっております。
 内閣府といたしまして、まずはこの計画の策定状況を見きわめまして、地元の要望をよくお伺いしながら、地域の実情も踏まえて対応してまいりたいというふうに考えております。
 続きまして、那覇空港の話もお尋ねが出ました。那覇空港は、沖縄の拠点空港として最も重要な役割を果たすべきものと認識をしております。年間の旅客数は増加を続けておりまして、このままの状況が続けば、将来的に需給が逼迫する可能性がございます。
 内閣府といたしましては、現在、国土交通省それから沖縄県と、那覇空港の将来像について平成十五年度から総合的な調査を実施しておりまして、調査の最終段階、恐らく十九年度以降になると予定されておりますけれども、二本目の滑走路の必要性も検討を行う予定でございます。この滑走路の増設につきましては、将来の需要予測、それから既存施設の有効活用方策の検討結果を踏まえまして、環境、経済性などを含め、多角的に検討をすることになります。
 続きまして、モノレールの延伸につきましてでございますが、これは、ゆいレールでございますけれども、平成十五年八月の開業以来二年九カ月がたちまして、一日の平均乗客数も、十七年度の需要予測三万三千人を大きく上回って三万五千人から三万七千人というふうな形で、都市交通の手段として浸透してきております。今後、観光客の利用のさらなる増進、それから、通勤通学等における自家用車またはバスからのモノレールへの転換を促進することによりまして、交通渋滞の緩和と沿線地域を中心とした地域の発展に寄与していくと考えております。
 モノレールの延長につきましては、収支の見通し、それから、将来にわたって地域の発展や交通渋滞緩和の整備効果が発揮されることが重要であるというふうに考えておりまして、現在、沖縄県におきまして、まず、首里駅から沖縄自動車道までの延長について今後検討されるというふうに認識をしておりまして、国としては、その検討を待って判断をしていきたいというふうに考えてございます。
 最後の点で、沖縄の西海岸道路についてのお尋ねがございましたけれども、現在、沖縄の地域間の連携交流の促進ということの中で経済産業の活性化を図ることには、幹線道路ネットワークの整備が重要であるということは、もうこれは言うまでもないことでございまして、沖縄の西海岸道路につきましては、読谷村から糸満市に至る全長約五十キロの地域高規格道路でありまして、那覇西道路、豊見城道路等の事業を実施しておるところでございますけれども、御指摘の嘉手納それから宜野湾市伊佐間におきましても、現状のままでは将来的にボトルネックになることが懸念をされております。このことから、当該区間の整備の必要性を認識しておりまして、地元の関係機関とも連携しながら、引き続き調査を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○渡部政府参考人 防衛庁の方から、跡地の問題についてお答えさせていただきます。
 沖縄県におきます米軍施設・区域の整理、統合、縮小を着実に推進する上では、駐留軍用地跡地の利用の推進、円滑化を図ることは大変重要な問題ということを防衛庁の方でも認識しているところでございます。それで、米軍の施設・区域が返還された場合には、まず、原状回復等を適切に補償を行うことになっております。
 それとともに、跡地の所有者等が引き続き当該土地を使用せず、かつ、収益していないときは、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の規定に基づきまして、借料相当額の返還給付金が返還日の翌日から三年間を限度として支給されることとなっております。
 また、当該土地が、沖縄振興特別措置法の規定に基づきまして、今先生御指摘のありました大規模跡地あるいは特定跡地に指定される場合には、当該所有者等が引き続き当該土地を使用せず、かつ、収益していないときは、同法の規定に基づきまして、当該所有者等に対し借料相当額の大規模跡地給付金等が、返還日の翌日から三年を経過した日以降、政令で定める期間を限度といたしまして支給されることとなっております。
 今般の在日米軍再編が実施されますと、嘉手納以南の相当規模の土地が返還されるということになるわけでございますけれども、この返還に伴う跡地対策等につきましては重要な問題であるというふうに認識しておりますので、関係省庁間で緊密に調整していきたいというふうに考えております。
○安次富委員 これはこれから具体化していくと思いますので、どうしてもやはり現行法では限界がある。また新たな振興策づくりにぜひ英知を結集していただきたいと思います。
 時間がありませんので、太平洋・島サミットについてお聞きをいたします。
 沖縄県の万国津梁館で行われます第四回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議、通称島サミットがいよいよ五月の二十六、二十七日に迫っております。この太平洋・島サミットの意義、そしてまた、どういった国の方々が来沖されるのか、その規模等について御説明をいただきたいと思います。
 また、私は常に思うのでございますけれども、沖縄は、さきの大戦においては唯一の地上戦を経験し、平和を希求する強い気持ちを県民一同持っております。そのような沖縄で開催されるということでありますから、日本政府としてもこれをよい機会ととらえて、いわゆる平和サミットとしての位置づけということで、沖縄で開かれる意義というのは私はまさにそこにあるのではないかと思われますので、このことも踏まえて御答弁をいただきたいと思いますし、もう時間がございませんので、最後に、議員各位におかれましても、ぜひその島サミットにおいでいただきたい。めんそーれ沖縄ですので、ぜひ県民挙げて島サミットを盛り上げ、そして県民挙げて皆様を大歓迎いたしますので、そのことを踏まえて御答弁をいただき、私の質問を終わります。
○塩崎副大臣 この島サミット、第四回目を迎えるわけでありますが、一回目は東京、二回目宮崎、三回目沖縄、そしてまた今回も沖縄ということでございまして、太平洋の島の国々は非常に親日的な国々であります。そういった面で、私ども日本として、日本の外交の中で大事にしていかなければならないと思っている国々を、沖縄に来てもらって、そして今、平和サミットとおっしゃいましたが、太平洋・島サミットの中でこの地域の平和と安定について首脳間の対話を行う、こういうことで今予定をされているわけであります。
 具体的な人数等は事務方の方から答えさせますが、特に、前回のサミットの地域開発戦略文書というのがあって、沖縄イニシアチブと言われていますが、これをさらに発展させて、より強く、そして、繁栄した太平洋地域の実現に向けて何ができるのかということを議論するということでございます。
 今、めんそーれということでございますが、沖縄県及び県民の皆さんの温かい歓迎を受けて、参加各国の首脳は、これまでも、前回も感銘を受けたと思いますけれども、今回でも沖縄の皆さんに大変御協力を今得ているわけでありまして、準備中でありますが、サミットが近づいてまいりましたので、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っています。
○佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。
 招待先は、PIF、太平洋諸島フォーラムの島嶼国十二カ国プラス二地域、それから豪州、ニュージーランド等にお声がけをしております。最終的に参加人数がどうなるかについては、今この時点で掌握をしておりませんので、数が確定した時点で御報告をさせていただきたいと思います。
○安次富委員 どうもありがとうございました。
○原田委員長 次に、谷口和史君。
○谷口(和)委員 おはようございます。公明党の谷口和史でございます。
 きょうは、まず最初に、イラクの自衛隊の派遣についてまずお伺いをしたいと思います。
 麻生外務大臣は、連休中に米国、ベルギー、リトアニアを訪問されて、アメリカでは五月三日にライス長官と日米外相会談を行われているわけであります。その中で、イラクの政治プロセスが一定の進展を示している、また、国際社会が一体となってイラクに対して引き続き支援をしていく必要があるということで意見が一致をしたというふうになっておりますけれども、陸上自衛隊の撤退時期については、新首相による組閣作業など新政権発足の成否をしっかりと見きわめながら今後検討を進めていくというふうになっているかと思います。
 一方、航空自衛隊につきましては、先日の日経新聞のブリュッセル発のインタビューの中で、麻生大臣がこういうふうに述べられております。イラク復興支援でクウェートを拠点に活動中の航空自衛隊について、バグダッドへの物資や隊員の輸送などに国連の要望が強い場合、それにこたえても問題はないと述べて、バグダッド国際空港への輸送を検討する考えを示したというふうに述べられて、今後、航空自衛隊の活動範囲が拡大する可能性もあるということを示唆されているかと思います。また、ことし後半にも、今はっきりしたことはわからないんですけれども、陸自のイラク撤収を検討していることと、それから空自の航路拡大との関連については、全然関係ない、バグダッドへの輸送が大丈夫となったら、別に陸自撤収前でもおかしくない、こういうふうに述べられております。
 そこでお伺いをしたいんですけれども、まず一つは、陸上自衛隊の撤収とは関係なく、航空自衛隊は今後も活動を継続することは既に政府の決定事項であるのかということがまず一点。それから、バグダッド付近は治安が不安定ということで、これまでその周辺での活動は見送ってきたわけでありますけれども、この地域の現在の治安状況、これをどういうふうに見ていらっしゃるのか。この二点についてお伺いをしたいと思います。
○塩崎副大臣 今、新聞の記事を引用されて麻生大臣の発言を紹介していただきましたけれども、現時点で、航空自衛隊の活動範囲を拡大するというような方針を決めたという事実はございません。これがまず第一で、当然、自衛隊の活動というのは、もう何度も言っておりますけれども、政治プロセス、現地の治安状況、それから多国籍軍の活動、あるいは現地の復興状況を見ながら総合的に判断するということでございまして、今御指摘のようなことを方針として決めたことはないというまず第一点。
 第二点は、治安情勢でありますけれども、引き続き、イラクの治安情勢、地域によっていろいろ濃淡がございますけれども、決して予断を許せるような状態ではないという状況だと思っております。
○谷口(和)委員 ありがとうございます。
 続きまして、竹島問題についてお伺いをしたいと思います。
 塩崎副大臣、五月一日に訪韓をされて、そして外交通商相と会談をされておるわけでありますけれども、今、竹島問題というか海洋調査問題をめぐって、この問題で一層日韓関係が悪化をしているわけであります。
 この竹島周辺の水域の海洋調査をめぐる問題については、私も前回もちょっと質問させていただきました。その後、四月二十二日の日韓の外務次官級対話で一応決着を見たというふうに理解しておったわけでありますけれども、その後、韓国の大統領が対日特別談話というのを発表しました。その中で、竹島の問題、竹島とは言っていないですけれども、単純な領有権の問題ではなく、日本との誤った歴史の清算と韓国の完全な主権確立を象徴する問題である、政府はこの問題の対応方針を全面的に再検討する、また、日本政府が誤りを正すまで、国家的力量と外交資源をすべて動員して持続的に努力していく、どんな費用と犠牲を払っても決して放棄や妥協できない問題である、こういうふうにかなり強硬な方針を示されていると思います。
 これを受けて、韓国の方では、外交通商部内に特別対策チームを発足させたほか、今後、約四十一億円を投入して、竹島周辺での水産・鉱物資源の利用とか、生態系、自然環境の保全などを推進していく、こういった基本計画を発表しております。
 これら一連の行動を見ますと、今後の排他的経済水域の交渉でも韓国側はかなり強硬な姿勢をとり続けて、例えば、これは懸念の段階ではありますけれども、六月の海底地形の名称に関する小委員会においても、今のところ、次官級対話の中では韓国側は名称の提案を行わないというふうにしているわけで、日本側はそういうふうに理解しているわけですけれども、もしかしたら提案をしてくるかもしれない、こういう懸念もあるわけであります。
 そこでお伺いしたいんですけれども、政府はこれまでの韓国の動向をどういうふうに分析されているのか。また、副大臣が訪韓されたそのときの内容も含めてお伺いをできればと思います。
○塩崎副大臣 日韓関係は、先人の皆さんの努力によって、昨今、比較的スムーズに来ていたわけでありますけれども、今回の海洋調査の問題などで少し波が高いというところに至っていることは、今先生御指摘のとおりであります。
 一日に外交通商部の潘基文長官とお話をしましたが、そのときに一番最初に確認をさせていただいたのは、この間の次官級の会談でできた合意については粛々と進めていくということについてまず確認をし、それについては、お互いこれはやるということで確認ができたところでございます。これは、ですから韓国側も確認事項に従ってやっていくということでございますので、そこはお互いの信頼関係で、先ほど御指摘のような六月の会合の問題についても、私どもの理解どおりにいってくれるものと考えております。
 一方で、大事なことは、今後、海洋の科学的調査をめぐる活動に伴って先般のような事態が再発しないようにしなければいけない。この話し合いを、境界画定の交渉の場が、今度、五月中と言われておりましたが、結果としてどうなるかは別として、スタートするわけでありますから、その中でやはり再発防止の手だてについても一緒に議論をするということだろうと思うんです。
 一方で、先ほどお話がありましたように、資源利用や環境保護に四十一億円を投入するというような話については、日本政府としては正式に、せっかくこういう話し合いが持たれることに合意をした直後にこういうことになるについては抗議をしているわけでありますが、こういう非常に難しい中でも、お互い知恵を出して、日韓の友好関係が損なわれないように仕組みをきちっとつくっていくという議論を、粘り強く、知恵を出しながらやっていかなければいけない、このように思っております。
○谷口(和)委員 今お話もありましたとおり、非常に難しいかじ取りにはなるかと思いますけれども、これ以上日韓関係が悪化しないように、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 また、今、日韓の首脳間のシャトル外交も中断をしております。でも、そういう中で、副大臣が訪韓された折に、五月下旬にカタールで行われるアジア協力対話の際に外相会談を行うように提案をされて、韓国側も前向きに調整するとの回答を得たというふうに承知をしているわけであります。今後、この外相会談というのは非常に重要になってくると思いますけれども、この会談の実現の見通しについて、まずはお伺いしたい。
 それからもう一つは、ちょっと大まかな話になりますけれども、日韓関係の改善をどう図っていく御方針なのか、この二点について見解をお伺いしたいと思います。
○塩崎副大臣 先般、私が訪韓したときに、潘基文長官と、外相会談については、やはり日韓関係のように極めて重要な関係であるだけに、一つの問題で会談も持てないようなことではいけないということで、特に日韓の場合には、基本的な価値観、民主主義とか市場原理とか法の支配とかこういうものを共有しているわけでありますから、基本的にはしっかり対応すべきだということで、ACDにつきましては、まだ麻生大臣が行くかどうかというのは正式に決まっているわけではございませんが、話し合いを日韓の外相間でやろうということについては潘基文長官も同意をして、そういう方向で詰めていこうということになっているというのが現状であるわけでございます。
 したがって、これから具体的に事務方が詰めて、その会談ができるだけ早く実現をということでありますので、どういう機会になるのかは別として、ACDももちろん視野に入れながら、鋭意この実現に向けて努力していきたい、こういうふうに思っております。
○谷口(和)委員 ぜひこの外相会談が実現するように、私も祈るような気持ちでおりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと先ほど質問した日韓関係の改善についての部分、改めてお伺いしたいと思います。
○塩崎副大臣 先ほど申し上げたように、今回、EEZの境界画定の交渉というのが始まるわけでありますけれども、そこからいろいろな問題が派生して議論に多分なってくるんだろうと思うんですね。
 ですから、再発というのは表面的な事象であって、やはりその根っこに日韓関係のうまくいくための条件というものがあって、したがって、これから境界画定といいながら、さっき申し上げたように、再発防止というのは、単に海洋調査だけの問題ではなくて、あらゆる問題、島の領有権の問題を含めて、やはり当然議論の対象にはなってくるかと思いますので、ひとつ幅広く、そして奥行き深く議論をしながら、日韓関係、基本的に価値観を共有する二カ国が協力をしながら、この地域の安定のためや世界平和のために貢献できるように、この関係をよくしていく努力をお互いにしていくというふうになるべきだと思っております。
○谷口(和)委員 続きまして、日米同盟それからアジア外交についてお伺いをしたいと思います。
 麻生大臣、戻ってこられましたけれども、麻生大臣は、五月三日、ワシントンでの戦略国際問題研究所で演説をされて、「東アジアの将来の安定と繁栄を共に目指して」、こういう題名で演説をされたわけでありますけれども、その中で、「東アジアの将来像と我々の戦略についてお話したいと思います。我々のこの地域における目標ははっきりしており、「安定しかつ繁栄した東アジア」を築くことです。それは、この地域の未来に利害を有する全ての関係国が協力することによってのみ達成され得るものであり、その中で、日米同盟は引き続き他には代替し得ない役割を果たしていきます。」こういうふうに述べられております。
 確かに、戦後の東アジアの平和、それから繁栄の基礎になってきたのは米軍による強い抑止力であるというふうに思いますし、また、それを維持するために日米同盟というのは重要な役割を担ってきた、こういうふうに思うわけであります。しかしながら、他方で、日韓、日中で首脳の相互交流がないなど、政治関係がちょっとぎくしゃくをしている。ということは、我が国が、日本が、強い対米依存と対米配慮に偏重する一方で、アジア外交を軽視している結果だ、こういう指摘もあるところであります。
 こういう指摘を踏まえた上で、改めて、日米同盟それからアジア外交、この関係について御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○麻生国務大臣 日本とアメリカの間に、一九五一年以来、日米安全保障条約というのが締結されてこの方、五十数年がたつんですけれども、少なくとも、この同盟のあったおかげで、日本という国は安定して経済というものを発展し得たことは、もう疑いのない事実だと思っております。
 防衛にかかるであろう金を、かなりの部分、地域の振興に充ててみたり、経済復興に充てたりすることもできた。いろいろな意味で大きかったんだと思います。そういった意味では、日本が経済的に発展し、大きな力を持ち、その力によって、これまで、通貨危機を含め、ありとあらゆるそういったアジアの危機にも対応できるだけの経済力を擁したことは、その背景も大きかったろうと思います。
 いずれにしても、日米同盟というものは、アジア太平洋地域を含みます日本の外交にとりましても、これは重要な基軸なんだと思っております。こういった基盤というものを大事にしつつも、アジアの近隣諸国というのは、かなり発展の度合いが各国によっていろいろ差がついてきていると思っておりますので、そういった意味では、きちんとそういったところ、このアジア地域、いろいろ国がありますけれども、いわゆる脱落者が出ないように、発展している国というのがうまく皆連携を持ちつつ、さらに発展をさせていくという意味でも、私どもは、安定して、かつ繁栄した東アジアの構築というものが必要なんだということを申し上げているのであって、その中でも日米同盟というものは、地域の安定を支えていく上で、日本にとりましても、ひいてはアジアにとりましても重要な基軸、バックボーンになっているものだというように考えております。
○谷口(和)委員 もう一つ、この演説に関連して、対中ODAについてお伺いをしておきたいと思うんです。
 大臣は、同じこの演説の中で、日中双方が利益を得られるような、日中共益の分野での中国との協力の深化を追求するというふうに述べられて、例えば具体的な方策として、環境とかエネルギーといった中国の将来的な発展にとって潜在的にボトルネックとなるような、そういう分野について、お互いに、お互いというか、中国との互恵的な協力によって支援し続けることが大切であるというふうに述べられております。
 一方で、五月八日に、ODAの戦略を話し合う経済協力会議の初会合が行われたわけでありますが、私もちょっと四月十二日にこの委員会で質問させていただきましたけれども、対中ODAがこの初会合の中でも依然として先送りをされたままであるということで、私としては非常に遺憾な思いをしているわけであります。
 会合後に安倍官房長官も、環境やエネルギーという観点に留意しながら、それぞれの地域への援助を考えるというふうに述べているわけで、そうであるならば、環境、エネルギーを重視した中国へのODAというのは、環境問題というのは、中国の環境悪化というのがこちらにも、この前の黄砂の話、また海岸にいろいろな漂流物が来るというようなことも含めて、環境的な面で支援をしていくというのは我が国の国益にもかなうものであって、早急に実施していくべきであるというふうに私は考えるんですけれども、この対中ODAに関する現在の検討状況についてお伺いをしておきたいと思います。
○塩崎副大臣 大臣の講演の中で、日中共益の分野での中国との協力を深めていくべきではないのかということをワシントンでおっしゃったわけでありますし、まさにその考え方で私たちもやってきているつもりであります。
 さきの円借款の問題につきましては、さまざまなことを考えながら総合的にああいう形になっているわけであって、基本的には、政府部内での調整を鋭意進めていっているところでございます。
 その共益分野の中に、環境、今御指摘ありましたが、これも典型的な例であって、実は今、中国向けの円借款の案件を見てみますと、九割以上は環境に特化しているということでございます。日本にとってももちろんプラスになるけれども、中国のためになるというものを環境の面でもやっていこうということで進めていくわけでございますので、円借款についても、再開ということになったときには、中身もやはりそういうことになっているということを見ていただけるのではないかと思っております。
○谷口(和)委員 ぜひとも早急に決定がされますように、改めてお願いをしておきたいと思います。
 続きまして、NATOとの連携についてお伺いをしたいと思います。
 麻生大臣が五月四日に日本の閣僚としては初めてNATOの本部を訪問されて、演説をされた。演説の内容は、今後のテロ対策など日本とNATOが協力を深めていくべきだということを強調されたわけでありますが、NATOは今、地域紛争とか民族対立とか新たな脅威への対応で、欧州域外への活動を積極的に推進をしております。アフガンについても、二〇〇三年の八月から出ていっているということで、日本もアフガンの治安回復のためにDDRを積極的に推進しており、お互いに連携を深めることは大変有意義であるというふうに考えております。
 そこで、お伺いをしたいんですけれども、今後、日本とNATOとの間で新たな脅威に対応するために具体的にどのような連携が可能なのか。例えば、新聞記事の中には、「防衛協力などできるところから始め、政策のみならず作戦面でも協力を検討すべきだ」というふうに述べられておる。それから、これは政府高官の話ですけれども、「将来、自衛官をNATOの幹部養成機関に留学させるなどの人的交流も考えている」、こういう記事も出ているわけですけれども、具体的にどういった連携策を考えていらっしゃるのか。また、今回のNATO訪問の成果も含めてお伺いをしておきたいと思います。
○麻生国務大臣 御指摘のありましたように、五月の初旬にNATOの本部を訪問して、いわゆるNACと言われるNATOの理事会で、日本の外務大臣としては初めてここで演説をさせていただいております。
 NATOと日本との関係については、これまで余り縁のないところでもありましたし、またNATOの方も、対ソ連というものを考えて北大西洋条約機構というものをつくったというのがそもそもの経緯であります。それが、御存じのように、一九九〇年をもっていわゆる対象者がなくなったわけです。
 したがいまして、NATOというものはそれ以後かなり変貌をしたんだと思いますが、冷戦が終結した後、いわゆる国際的な平和とか安定のためにNATOというものの組織自体を、別の目的にというか、平和とか安定とかいうもののために組織をということで、今つくりかえている真っ最中のように思いますので、結果として域外の国との関係というのも出てきて、取り組んでおります。
 日本といたしましても、これは明らかに、自由とか民主主義とか法の支配とか人権とかいうような価値観を共有している部分のかなり強いところでもありますので、こういう基本的価値を共有している国と一緒にやっていくというところが一番大事なところだと思っております。したがって、取り組みの方向としては、間違いなく同じ方向を向いているような感じがいたします。
 私の考え方を言わせていただければ、今既にインド洋で給油をやっていることといい、アフガニスタンに、またこの前はパキスタンの地震のときもたしか一緒になりましたし、今イラク等々、オランダと一緒にやっているのは御存じのとおりなので、今いろいろ部分部分で、何の上の方の接触なく、現場へ行って何となく話ができ上がっているような形になっております。
 今、こういった北大西洋条約と言われるものの中の理事会との直接の対話というのは今回が初めてですので、そういった意味では、交流というものをお互いに、常時そういった会合に日本も出て行くとか、また向こうもこっちに来るとか、いろいろな話をしていかないと、意思の疎通はほとんどゼロですから、そういった意味できちんとしていく意味では、自衛官の交流もありますでしょうし、外交官の交流もありますでしょうし、いろいろな形をこことやっていく必要があろうかというような感じがします。まず、私どもの発言に対して向こうがどう受けとめてくるかというのは、これから向こうの反応待ちもあろうと思いますが、双方にメリットがある、利益があると思っております。
 今具体的に、これをどうする、いつからやるというようなところが決まったわけではない。初めての接触で、私どもの方としては、協力していろいろお互いにやっていく、目的が同じだったらいろいろ協力し合えるところもあるのではないかという話を、こちらが正式に向こうに申し込んだという段階というように御理解いただければと存じます。
○谷口(和)委員 もう一つ、欧州の外遊についてお伺いしたいんですけれども、今回、ベルギーとリトアニア、EUの加盟国を回られたということで、私も去年まで経済記者をしておったんですけれども、欧州統合については、アジアのこれからの共同体の将来を見ていく上で、非常に注目をしてずっと見詰めてまいりました。
 EUは、言葉も違うし、習慣も文化も違う、そういった違いをお互いに尊重し合いながら、通貨統合をし、いろいろな面で統合を進めてきておるわけであります。今回、ベルギー、リトアニアを訪問されて、ある意味でEUというのは地域統合の先駆者であるというように思うわけでありますけれども、また我々にとっても学ぶべきところは多いというように考えるわけです。
 今回、欧州の訪問を通じて大臣が認識を新たにしたこと、またEUから学ぶべきこと、こういったことについてどういうふうにお考えになったか、お伺いをしたいと思います。
○麻生国務大臣 リトアニアという国は、バルト三国にある国で、エストニア、ラトビア、リトアニアとつながっているあそこで、いわゆるバルト海に面しております国なんです。
 私は、前に、ソ連のときを含めてこの地域には行ったことがありませんでしたので、そういった意味では、どんな国かは全く当てもなく、想像があったわけではないんですが、非常に大事な国になりつつあることだけははっきりしておりますので、五月の四日から七日まで、いわゆるベルギー、リトアニアに、たまたまここは十五周年になりますので行かせてもらいました、日本との修好十五年。そのまた前はもっと歴史があるんですけれども、ソ連から独立して十五年ということになろうと思います。
 いろいろ話をさせていただいたんだと思いますけれども、ソ連との関係から離れて独立を果たしたという意味においては、EUよりNATOに入れた方が何となく安心感があるという感じを持っているんだなというのも、直接しゃべってみてよくわかったところでもあります。今、またさらに新たにルーマニアを加え、さらには何年か先にトルコとか、いろいろな話が出ていることは事実です。
 ただ、初めてスタートをしたときに、ドイツとフランスが手を組むなどということを想像した人はあの段階ではゼロです。できると思った人はほとんどいませんから、みんなお手並み拝見というようなもので見ていたのが、我々を含めて皆そうだったと思いますが、結果としてそれが、まあ、そのころ東ドイツと西ドイツが一緒になるということを考えた人もいなかった時代ですし、一九七九年、ソ連のアフガニスタン侵攻が起きたときに、十年後にベルリンの壁がなくなるということを想像した人もゼロですから、それはなかなか先のことはわからぬとは思います。
 ただ、ドイツとフランスが、じいっと時間をかけて、かなりの長い時間をかけて、結果的にECをつくり、そして今通貨の統合まで来たというのは、これはかなり、皆譲るところは譲ったし、妥協もしただろうし、いろいろ交渉はあったんだと思いますけれども、少なくとも十五が二十五にふえ、今さらにまたふえていこうとしているというのは、EAS、東アジア共同体というものをやろうとしている我々にとりましては、条件は向こうの方がまだ、昔のシャルルマーニュ大帝のときと一緒ではないかとか、キリスト教文明じゃないかとか、いろいろな表現はあろうと思います。しかし、我々の方は、その点はかなり、宗教はほとんど違いますし、言語も違うし、人種も違うし、いろいろ違っていると思いますので、そういった意味では、条件としてはきついかなと思わないでもありません。ただ、向こうに比べて、時代は変わって、いわゆる情報通信機器の発達等々はすさまじいものがありますし、いろいろな意味で、統合ははなから無理だと言えるものでもないのではないか。
 少なくとも、こういったものがこの地域ででき上がり、東アジア共同体、サミットというものをやろうとしていますけれども、こういったものが今後アジアの地域にでき上がるということは、間違いなく、この地域に属しておる人たちにとりましてはメリットがありましょうし、少なくともパスポートなしでどんどん行けるとか、いろいろな意味で便利な部分というのはいっぱいあろうと思います。
 そういったものができ上がるように、彼らが追ってきた道とほとんど同じ道、同じ道と同じじゃない道もありますけれども、同じ道につきましては、どうやって妥協し、どうやってここは譲ってきたのか等々は、いろいろ各国皆違うようで、きのうもEUの二十五大使と一緒に飯を食う機会をつくりましたけれども、その反応等々は、いずれも皆、今一緒でも、いろいろ意見は違うところがありますので、なかなか勉強になるというか、参考にさせていただきながら進めてまいりたいと思っております。
○谷口(和)委員 時間が参りましたので、ちょっと一問残しましたけれども、終わります。
 最後に、今回、小泉総理もアフリカを中心にスウェーデンに行かれた、麻生大臣もアメリカ、ヨーロッパということで、ちょっとアジアがなかったわけですけれども、ぜひ閉会後はアジアも回っていただいて、アジアの連携のために、また、アジアとの友好関係を強化していっていただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○原田委員長 次に、松原仁君。
○松原委員 これは私がとっている時局コメンタリーという、これは情報なんですが、この中に、竹島発言で盧武鉉大統領の支持率が三五%から五〇%にはね上がった、こういう記述が書かれておりましたので、一応、内政を外交で補うわけではないけれども、結果として、この数値が事実だとすればそういうことになっているということも御報告をしておきたいと思います。
 さて、質問に入ります。
 きょうは一般ということでありまして、幾つかお伺いしたいわけでありますが、国益ということは極めて重要な概念であると私は思っております。国益という中では、当然経済的なものもこれ国益、しかしながら精神的なものもこれ国益。一つの国が成り立つときに、過去のさまざまな、イギリスから民主主義が始まったという議論もありますが、彼らがその文書の中で言っているのは、その政体、民主主義を支える一人一人が誇りを持ち、活力を持つということも民主主義の条件の一つである、それは精神的な一つの高みであるというようなこともしばしば触れられているわけでありますが、私は、国益というのは経済的な側面のみではなくて、今言った国民のマインド、これを高めるというのも国益であると思っております。大臣の御所見をお伺いしたい。
○麻生国務大臣 当然だと存じます。
○松原委員 当然ということで、極めてこれは当たり前のことだと思うんですね。
 そうした文脈の中でお伺いしたいわけでありますが、過日、経済同友会が総理の靖国神社参拝を批判したわけであります。経済同友会というのは、当然、物をつくるとか、経済の分野における国益というのは、国益というか、彼らの基本的な利益というものも尊重しながら考えるわけでありますが、私は、彼らのこの靖国参拝の批判においてやはり欠けているのは、マインドの部分の国益についての認識が欠けているんではないか、こういうふうに思っているわけでありますが、この経済同友会、総理の靖国参拝批判に関しての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 五月の十日に経済同友会が発表されました「今後の日中関係への提言」の中で、小泉総理の靖国神社参拝に関し、不戦の誓いをする場として靖国神社が適切か否か、日本の国民の間においてコンセンサスが得られておらず、再考を促す旨述べられているということなんだそうです。ちょっと、私、この同友会の会長さんの発言を聞いておりませんので、これを読んだ範囲でありますので、これが本当かどうかは知りません。今書かれてあるのを本当としてという前提になりますけれども。
 私どもは、よく前から何回も申し上げますように、国のために命を投げ出した人たちに対して、少なくとも、国家が最高の栄誉をもって祭るということを禁じている国などというものはありません。そういった意味では、靖国神社というのに祭られる約束で皆亡くなっておられる方たちのことを考えますと、少なくともそういった方々に対して敬意を表するというのは当然と思います。また、小泉総理も不戦の誓いを込めて心からの哀悼の意で靖国神社に参拝されているんだと認識しておりますので、政府としては、こういった総理の真意というものが内外にきちんと伝わっていくように今後とも説明をしていかねばならぬとは思っておりますけれども、そういった意味が理解されていないというところが甚だ残念なところだと存じます。
○松原委員 私は、今言ったように、国益というのは物質的な経済だけではない、精神的なものもあるということを申し上げて、そんなのは当たり前じゃないか、こういう麻生大臣の御叱正をいただいたわけでありますが、そのとおりだろうと。
 特にまた、こういった国民が持つ名誉の気持ちというのは、極めて重要な、一つの国民が持つ自然権みたいなものだと私は思っております。自然権というのはさまざまなものがある。生きていくのも自然権だ。さまざまな議論がある。しかし私は、一つの国民という集団における自然権が名誉の感情だろうと思っております。
 そうした中で、他国が参拝するなと言って参拝しないというのでは、これは話にならない。仮に、千歩譲って参拝しないとしても、それは他国から言われてやることでは全くないわけであって、逆に言えば、あれだけ近隣諸国がやめろやめろと言われている限り、やめるわけにはいかないというのは当たり前の話でありますので、このことは外務大臣も肝に銘じていただきたい。これは私の考え方であります。
 次に、二つ目の議論でありますが、アメリカはチェイニー米副大統領が、ロシア周辺の国に行って発言をしたわけであります。そこで言った発言、これは、一九四六年のチャーチル・イギリス首相の米ミズーリ州での鉄のカーテン演説と対比させ、第二の冷戦が事実上始まった、ロシアはサミットを前に米国の敵か味方かを態度で示せと。要するに、その一連の演説で、民主化後退、エネルギー問題で近隣国を脅迫、こういうふうに、こういった理由があるがゆえにロシアは鉄のカーテンを引こうとしているんだ、こういう話をしているわけであります。
 また、これに関してライス国務長官は、ライスさんとは大臣も今回会っていらっしゃっているわけでありますが、ロシアには報道の自由も司法の独立性も感じられないと述べ、最大の問題はクレムリンに権力が集中していることだとプーチン政権を批判した、こういう発言が出ている。要するに、アメリカ側は、かなり人権ということ、民主化ということをてこにしているかどうかわかりませんが、少なくとも、第二の鉄のカーテンが始まったという表現は、これはかなり刺激的な発言であって、我々は日米基軸ということでアメリカの同盟国でありますが、このことについて事前に何かの連絡があったのか、このことについてどういう御所見か、麻生大臣にお伺いしたい。
○麻生国務大臣 しゃべられたチェイニーさんとその発言をされる三日前に会っていますし、チェイニーさんの泊まっていたホテル、同じ部屋、同じベッドで次の日は寝ましたので、ベッドのばねが別に飛んでいたわけじゃありませんけれども、それこそリトアニアというところのホテルでたまたま部屋も一緒に、次の日になったんですが、今のことに関して、三日前に、チェイニー副大統領の方からこういったことをコメントする等の話が事前にあったわけではありません。ただ、ロシアの状況に関しては、これはNATOはもちろんのこと、アメリカにおいてもいろいろ最近のロシアについて意見があることは確かです。
 ウクライナに対する石油、ガスの供給をとめた件というのが多分直接的にはよく出てきたところだと思いますが、今言われましたように、自由とか民主主義とか人権、法の支配、そういった価値観を共有するパートナーとして、ちょっと違うんじゃないかという御意見というのは、これはいろいろあるところでもあります。
 また、ロシアの持っております未開発の東シベリアの油田、ガス田を含めまして、今後重要なエネルギーの主要な供給国として、ヨーロッパを含めて需要側のそういった立場というものに対していろいろ配慮をしなきゃだめよということは、これは当然出てくる話であって、今度のG8サミットなんかにおいてもエネルギーの問題を、G8サミットをロシアが主催するのは初めてなんです。今まで主催したことはありません、参加したことはあっても。そういった意味で、今度、G8のサミットにおいても初めてエネルギーの問題を出すという話をロシア側が言っているそうです。
 そういった意味では、これは日ロ間においてはもちろんのこと、G8サミットにおいても、このロシアの考え方等々につきましては、行動を含めましていろいろ、今、プーチンになって以後、何となく、このところむしろ強権発動になってきているのではないかという国際世論の批判があるというのが本人の耳に届いているかどうかが一番問題なんだと思いますので、そういった意味では、そういった国際世論というものがこういったG8を開くことによって直接入ってくるということになろうと思いますので、そこらのところは、今後、私どもとして討議していかねばならぬ大事な観点だと存じます。
○松原委員 この強烈な表現ですね、鉄のカーテン第二幕みたいな話ですね。こういうことで、チェイニーさんの発言が、ロシアはサミット前に米国の敵か味方かを態度で示せと、強烈であります。場合によったらそのG8を、ロシアで開かれるサミットに、ボイコットはしないと思うけれども、それはアメリカですから、それぐらいの迫力を持ってさまざまな威嚇をする可能性があるわけですから、当然その場合も日本は日米の基軸の中で、そちらのスタンスで発言をしたりする、こういう認識でよろしいわけですね。
○麻生国務大臣 先ほど申し上げましたように、自由とか民主主義とか法の支配とか人権とか、そういった点に関しましては、これは、多分残りの、アメリカ以外の他の国もとっている立場は基本的には同じだと存じますし、日本としては、その点は基本的な観念として譲ることのできない大事なところだと思っております。
○松原委員 ぜひ、こういった国際政治の中で、基軸であるということであればきちっと連携をとって、この発言のちょうど三日前に同じホテルにおられた、こういうことであれば、一言、二言あってもよかったのかなと思うわけでありますが……(麻生国務大臣「同じホテルって、向こうが出た後だよ」と呼ぶ)ああ、そう。ということでありますが。
 次の質問に参りますが、先日、米国を訪問した中国の胡錦濤さんに対し、米国が国賓対応をとらず、共同声明も発表されなかったと聞いておりますが、かつて米国を訪問した中国の共産党主席、大変にリーダーであります、こういったものに対してそのような処遇を米国がしたことは過去あったのか。これは事務方で結構であります、お答えいただきたい。
○佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。
 中華人民共和国の国家元首による米国訪問でございますが、過去四例ございまして、八五年の李先念国家主席、それから九七年と二〇〇二年の江沢民国家主席、それから今回の胡錦濤国家主席の訪米、四回でございますが、米国政府の発表に基づきますと、国賓待遇をされたのは二例でございます。逆に申し上げると、二〇〇二年の江沢民国家主席の訪米、それから今回の訪米も、国賓扱いということではありません。
 それから、共同声明が出されなかった例はあるのか、こういうことでございますが、この四例のうち、共同声明が出た方は九七年の江沢民国家主席の訪米以外にはございません。
○松原委員 中国は、これだけ世界の経済でシェアを拡大している中で、中国の思惑としては、当然国賓の扱いであり、同時に共同声明というものが出る、それぐらいの重きをなしている、世界の最大パワーのアメリカが当然そういうふうな認識に来るだろうという認識を持っておられたと思うんですが、残念ながらそうではなかった。
 ある日本の報道は、こういった状況の中で、小泉さんが訪米する場合には国賓ということを考える、中国が盛んに最近日本たたきを加速させていることに対して、アメリカが多少日本に対して日本びいきというか、中国の対日政策の軟化を意図しようという思いがあるのかもしれない、極めて手前勝手な見方でありますが、そういう報道もなされておりますが、大臣、この辺はどんなふうにお考えかお伺いします。
○麻生国務大臣 こちらに都合よく考えればいろいろ考えられるんでしょうけれども。
 今、まず訪米については、国会の日程もきちんとした上でないと決定というようなわけにはなかなかいかないんですけれども、米国がいわゆる外国の訪問者に対してどのような形で対応するかということについて、第三国の我々としてはちょっとコメントする立場にないんです。したがって、胡錦濤主席の訪米と小泉訪米とを比較するということはなかなかできませんね。
 ただ、いずれにいたしましても、日中関係にしても日米関係にしても、これは大事な関係の一つでありまして、日本としては未来志向ということをずっと言ってきていますけれども、日中関係につきましても未来関係で発展させていくという基本方針は変わりありません。ただ、日米関係というのも、先ほどどなたかの御質問にもお答えしましたけれども、日米関係は基軸、これが私どもとして、きちんとした立場を今後とも維持してまいりたいと思っております。
○松原委員 最近の米国ブッシュ大統領が、今言ったような要素、さらにチェイニーさんの発言、こういったものを見て、特にゴールデンウイーク前に、拉致被害者家族会横田さん、そしてさらにハンミちゃん一家、瀋陽の日本領事館に逃げ込んで引きずり出されたあのちっちゃなお子さんも随分大きくなったなと思ってテレビの画面を見ておりましたが、ハンミちゃん一家も出てきて、あと金聖民さんという、脱北者で、北朝鮮を解放するためのラジオを、もう韓国でも何か襲われたりして大変な目に遭った方でありますが、こういった方々をブッシュさんがホワイトハウスに呼んで、会った。私は大変に重いシグナルだと思うんです。もちろん、拉致の問題を扱ってきた我々の立場からいくと、拉致問題に対しての大変な圧力をやってくれたという思いでありますが。
 同時に、ハンミちゃん一家を呼んだ。ハンミちゃん一家に対して、日本大使館に入っている彼らをウィーン条約に抵触しながら引きずり出して身柄を拘束したのは中国当局であります。その中国当局に対して、ハンミちゃん一家と米大統領がホワイトハウスで会う。それは、中国の人権外交、脱北者を経済難民と称して送り返す、送り返された脱北者が経済難民だったら政治収容所に入るはずないのに政治収容所に入って死んでしまう人がたくさんいる、こういった中国の人権対策に対する批判。
 また同時に、この金聖民脱北者が北朝鮮に対して報道をしている。しかし、彼らがホワイトハウスに来るに関して、韓国のアメリカ大使館というのはほとんど何も動かなかった。しかしながら、大統領は会った。
 つまり、韓国、中国の人権に対するこの扱いに対してのブッシュさんのこれはけしからぬという意思表示であり、そして北朝鮮は言わずもがなのけしからぬという意思表示であり、言ってみれば、人権を最近こういって余り重んじない三つの国に対して、アメリカが一つの流れ、もちろんその前のロシアに対してもそうなんです、ロシアに対しても人権やっていないじゃないかと。つまり、ブッシュさんがこの段階で新しい人権外交という一つの外交におけるカードを切った。私は、そこの一つの転換点が、その一番シンボリックな事件が実は横田早紀江さんとホワイトハウスで会ったというふうなことだと文脈でとらえるべきだと思うんですよ。
 私は、そういった意味において、そういうアメリカの転換点というのは、我が日本からすれば拉致問題もあるし、また、やはり日本が人権について熱心であるという点では、例えば、経済難民というところの彼ら、脱北者は実は政治難民なんだと。それをなかなか日本の法務省、きょうは呼んでいませんから答弁者もいないわけでありますが、法務省あたりはそれに対して非常にかたくなでありますが、私は、その辺は思い切った、我々もブッシュの人権カードとともに、さっき言った、アメリカとともに共有すると大臣はおっしゃいました、そういったものを我々はやるんだということをぜひともこの際認識として持っていただきたいと思うわけであります。
 大臣、御所見があったらお伺いしたい。
○麻生国務大臣 基本的に、今言われたところに関して言わせていただければ、日本としては、人権等々権利の問題につきましては、やはりこの六十年間の日本の民主主義というものがかなり成熟した結果、人権というものに関しては昔に比べてかなり意識が高くなってきていると思っております。
 したがって、この人権の話、拉致なんという話は話のほかなんであって、他国に入ってきてその国の人間を拉致して自国に連れ帰るのを一国の国家元首が認めているなんという話は話のほかだと思いますけれども、少なくとも、こういった形の状況をこれは断固許さぬということになって、極めてこれが明確になってきたのが小泉訪朝以来なんですけれども、いずれにしても、とんでもないという話があれを境に非常にはっきりしてきたというのは大きな事件だった、私はそう思っております。
 いろいろな意味で人権というものを考えていくときには、今言われましたように、この種の、非常に小さな話ではあろうかと思いますけれども、これが物すごく大事なんであって、そういったところを今後ともきちんと対応していくというのが政治として大事な点だと思っております。
○松原委員 今、中国、韓国、北朝鮮は、歴史問題というのを言ってきているんですよ、竹島のこともですね。領土問題と歴史問題は違うという大臣の答弁は、私は非常に大事な肝だと思うんですね。しかしながら、彼らは歴史問題を言っている。
 しかし、あなた方、歴史問題といっても歴史問題の事実認識が大分間違っているという議論を私も随分今まで言ってきましたが、それ以上に、今の人権問題はどうなっているんだ。これは当然日本は、それが今の問題なんだから、今の問題を解決するべきじゃないかということを強く主張していただきたいと思っております。
 そうしたことで、次に移ってまいりたいと思います。
 きょう私はここに、これは「世界大戦原因の研究」という、法学博士鹿島守之助、私、神田の古本屋を大学浪人中に歩いて千円で買ってきた本。この本が、古色蒼然たる本でありますが、この本自体は昭和九年に第一版が出ている、第一次世界大戦の研究です。世界大戦というのは、昭和九年はまだ第一次しかなかったんです。それが、昭和三十四年、第四版が出て、鹿島さんというのは、国会議員もやったような方で大変に外交通であります。その方が、この本の中で幾つか重要なことを指摘しておられる。
 それは何かというと、「世界大戦原因の研究」というのは第一次世界大戦の原因の研究であります。しかし彼は、第二次世界大戦が終わった後の昭和三十四年、「第四版の序」において、非常に怒りとそして義憤を持って訴えている部分がたくさんある。それは、もうもちろん東京裁判が事後法ということによって裁かれたという点で、これは法律的にも全くおかしいし、罪刑法定主義、法定罪刑主義にかなっていないという点でもおかしいと。これはもう従来から指摘されているところであります。そんなおかしなものを認めていていいのかという議論は、私は当然、鹿島さんは政治家であり学者ですから、こんなおかしなものを認めているということを国のもとにしたら、この国はおかしくなるぞと学者として冷静に言っているわけであります。
 つまり、泥棒をしていないのを泥棒をしたと言うのと同じぐらいにおかしな法律の体系の中でできたものを我々が唯々諾々として認めれば、我々のプライドも何もなくなってしまう、これが彼の怒りの決定的な部分でありますが、この「第四版の序」の中で幾つか書いてあるわけであります。
 質問をしながら指摘したいわけでありますが、一般論として、この極東国際軍事裁判、俗に言う東京裁判、この同裁判が違法であると主張した判事はいたかどうか、お伺いしたい。
○小松政府参考人 お答え申し上げます。
 極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判でございますが、この判事の中で、インド出身のパール判事が、この裁判の法的根拠について疑問を呈し、被告人全員無罪を主張する反対意見書を提出されたということはよく知られている事実であると存じます。
○松原委員 これは通告していませんが、当然の常識で答えられますが、極東国際軍事裁判の判事というのは、戦勝国以外の判事はいましたか。
○小松政府参考人 いなかったと承知しております。
○松原委員 戦勝国の判事によって裁かれた。
 そして、国際軍事裁判の判事の中で、その本国で法律家としての資格、判事としての資格を有していなかった判事というのは存在したんでしょうか。
○小松政府参考人 外務省といたしまして、極東軍事裁判所の判事の経歴、資格について有権的に確定的なことを申し上げることは困難でございますが、外務省として承知している限り、この判事の方々の多くが自国における裁判官や弁護士等法律家としての経歴を有していたと承知しております。
○松原委員 ある書物によると、この極東軍事裁判における梅汝敖判事は自国において裁判官ではなかったという報道もなされている。これは後でちょっと調べていただきたいと思います。
○小松政府参考人 先ほど申し上げましたように、この梅汝敖判事も含めまして、その経歴について有権的に申し上げることは困難でございますが、外務省としては、同判事は、梅汝敖判事でございます、中華民国でございますが、南海大学、武漢大学の大学教授という経歴を有していたと承知しております。
○松原委員 大学教授、またそれは、大学教授は全部日本で判事かというと、そういうものじゃないですから。大学教授がみんな判事だったら、それは私の兄貴だって判事ですよ、大学教授をやっている。うちの兄貴は判事じゃないですよ。まあいいです、次へ行きましょう。
 そうした中で、そういうふうな、極めてこの裁判の形が、それはさすが鹿島守之助先生、おっしゃるとおりに、やはりかなりいびつであったということは明らかであります。
 この書物の「第四版の序」の中に、五ページでありますが、「東京裁判では判事間の対立がひどかつたために、法廷は多数派と少数派に分れ、また意見の相違が甚しかつたので、フランス、オランダ及びインドの三人の少数派の判事は、長いそして詳細な少数意見によつて自己の見解を述べている。」戦勝国でありますが、「多数派の判決文よりも三人の少数派の意見の方が遥に長文であつた。しかも、アメリカの弁護団は少数意見に非常な感動を受けたので、協力してマッカーサー元帥にあてて裁判の不公平を痛烈に批判した書簡を送つた。」
 このことについて、外務省は認識をしておられるでしょうか。
○小松政府参考人 フランス及びオランダの判事が少数意見書を提出されたということは承知しております。
 それから、米国弁護団がマッカーサー元帥あてに批判をした書簡を送ったという件でございますが、御指摘のような記述のある著作があることは承知しております。
○松原委員 やはり歴史は検証していかなければいけない。政治的にどうだという議論をする前に、事実関係の検証はしていく必要があると私は思うんですよ。
 例えばオランダに関しては、ある書物によると、オランダのレーリング判事は、我々は戦争法規を擁護するために裁判をしていたはずなのに、連合国が戦争法規を徹底的に踏みにじったことを毎日見せつけられていたのだから、それはひどいものだった。東京裁判は勝者による復讐劇だと言ったのは、まさに正しかった。連合国側の犯罪行為について一切取り上げられなかった。こういうふうな記述も、これはオランダのレーリング判事がしているわけであります。これは、アメリカにおいてもそういったことは、良識ある人たちはみんな証言をしている。
 当時のこのことに関して、昭和三十四年の段階でありますが、鹿島守之助法学博士は、「当時、タイムズは「東京における不公正」といつたような社説を掲げ、」この裁判についてですよ、「またワシントンポスト紙は一九四九年一月十一日の社説において「アメリカの名声はいわずもがな、正義の名声まで東京裁判によつて傷つけられたことが、いよいよ明白である」と論じた。」
 この点について外務省は認識をしておられますでしょうか。
○小松政府参考人 当時、戦勝国の報道におきましても種々の見解があったということは承知をしております。
 今お述べになりましたタイムズの社説については原典を把握しておりませんが、ワシントン・ポスト、これは四九年一月十一日ということでございますが、かなり前のものでございますけれども、ここに原典を持ってまいりました。
 一言で申しますと、これは、広田弘毅被告が文民で唯一死刑判決を受けたわけでございますけれども、基本的に責任というのは軍人にあったのであって、広田被告に対する判決は不当であるということ。それから、これは死刑ではございませんが、重光葵元外務大臣の禁錮七年でございますけれども、重光外務大臣は真に平和を求めて活動していたのであって、この判決は不当である、一言で言うとそういう内容の社説でございます。
○松原委員 米弁護団から書簡を受け取ったマッカーサーさんでありますが、よく麻生大臣が引用なさるわけでありますが、彼が、一九五一年、アメリカの上院軍事外交合同委員会で証言したせりふがある。その中身に関しては通告をしていなかったので、今わかりますか。では、麻生大臣、お願いします。
○麻生国務大臣 英語でしかわかりませんから、お断りしておきます。
 ゼア・パーパス・ゼアフォー・イン・ゴーイング・ツー・ウオー・イズ・ラージリー・ディクテーテッド・バイ・セキュリティー、それがマッカーサーが上院外交軍事小委員会で証言した話でありまして、基本的には、要約すれば、彼らの戦争に入っていったパーパス、目的は、自衛のための部分が大きかったという表現になろうかと存じます。
○松原委員 非常に正しい御記憶でありますが、「イズ」が「ワズ」だったという部分だけでありますが、どちらにしてもそういうことであります。大部分が安全保障の必要性に迫られて行ったと。それを初めからそう言ってくれればいいものを、五一年で確定してから、彼も政治家ですから言っているわけです。
 しかし、大事なことは、日本軍を追い出し、日本を占領したマッカーサーさんが言っていることは、日本は繊維業以外には固有の天然資源はほとんど何もない、そして、それらすべて一切がアジアの海域に存在していた。もしこれらの原材料を断たれたら、日本国内で一千万人から一千二百万人の失業者が出ていたでしょう。日本人はこれを恐れました。したがって、日本が戦争に突き進んでいった動機は、大部分が安全保障の必要性に迫られてのことであります。こういうふうなのが、マッカーサー元帥が一九五一年にアメリカの上院で発言した内容であります。私は、こういう一つ一つをやはり検証するべきだというふうに思っているわけであります。
 かつて、第一次世界大戦のときにはベルサイユ条約というのがありました。ベルサイユ条約においては、すべての責任はドイツにあるんだということで、まさに断罪条項というのがつくられ、そして責任条項というのが設定され、全部ドイツが悪い、ほかの国は悪くない、ドイツだけが悪いんだと。これをドイツの不名誉と感じた人たちは、命がけで何とかそれを、世界で最も民主的だったと言われるワイマール憲法の時代に、ヒトラーがやったんじゃないんです、ワイマール憲法の中で、これに対して戦うということを全員が旗幟鮮明に言ってきたというのは、私たちは歴史的な事実として認識をしていく必要があろうかと思っております。
 さらに、いわゆる東京裁判を含むこの戦後の裁判の中で、ロシアの責任というのはほとんど断罪をされなかったわけであります。ロシアが、例えば一九四〇年六月にバルト諸国を占領し、八月にこれを合併等々のロシアの動きというものは、これは戦後どこかで断罪されたことがあるかどうか。ちょっと通告していなかったんですが、お伺いしたい。わからなければわからないで結構です。
○小松政府参考人 突然の御質問でございまして、ただいま手元に資料を持っておりませんので、調べましてまた御報告をいたします。
○松原委員 当然それは、通告も大事ですが、この程度のことは常識で頭の中に入れておいてほしい、こう思うわけであります。
 私が申し上げたいのは、ロシアのこの態度、ところが、この極東軍事裁判の中で日本は、ソビエト連邦に対する侵略戦争は、本裁判所が審理している全期間を通じて企画され、計画された、極東軍事裁判でこう述べられている。日本は、日独伊三国同盟条約の中で、明らかにソ連を適用区域から除外する第五条の規定があって、しかも、いろいろな外交官だった人が、鹿島先生が言っているわけでありますが、ドイツから再三の要請があったにもかかわらず、ソ連を攻撃することを頑強に拒絶してきた。
 これもちょっと事実関係をいろいろと調べなきゃいけませんが、少なくともそういうふうなものに関して、ロシアがバルト三国を占領したりしたことを糾弾するところがなくて、これでこの間ちょっと、バルトか何かでもめたわけですよね。にもかかわらず、この裁判では、ソビエトに対して侵略をするその意図が企画され、計画されたと。逆に、まさに不可侵条約を破って入ってきたのはどっちなんだ、そこの議論は全くなされていない。これ一つとってみても、この裁判が極めて公平を欠く裁判だったということは明らかであります。
 ここで私が申し上げたいのは、そういう中において、これは全部この鹿島さんの本の中のことで、私は非常に感銘しながら今申し上げているんですが、「一九四六年、アメリカ議会は査問委員会を設けて最終的審査を行つた。この審査により日本のパール・ハーバー襲撃よりも早く、アメリカ大統領のほうがさきに戦争を計画したこと、アメリカ議会にも国民にも、この秘密計画が知らされていなかつたことが明るみに出された」と書いてあるんですが、このことについて外務省は何か認識をしていますか。考えたことがあるかどうか、お伺いしたい。
○塩崎副大臣 今御指摘でありますけれども、一般論として、戦争の原因などについてはさまざまな見方や議論があるわけでありまして、政府としては、今のような議論をよく参考にしながら歴史の教訓を学ばなきゃいけない、そして、それを外交に生かしていかなきゃいけないということでありますが、今の点については、いろいろな意見や見方があるんだろうということだろうと思います。
○松原委員 塩崎副大臣は否定しなかったということで理解しておきます。
 つい何年か前に、スティネッツという人が書いた「真珠湾の真実」という本が出されて、やはりこの辺のくだりがかなり詳細に、アメリカの機密文書が出てきたので書かれている。
 これは、日米基軸は日米基軸でいいんですよ。基軸でいいからといって、事実関係を明らかにするという作業を怠ったら、それは本当の友情も出てこないですよ。臭いものにふたをしてはいけないんですよ。こういうふうに、少なくとも鹿島さんという日本の国会議員をやった方が、しかも法学博士ですよ、国際法学博士ですよ、それが言っているこういう内容、アメリカの査問委員会で最終的審査が行われていた、こうやって書いてあるんだから、もう時代は随分昔のことですけれども、これは理事者の方にお願いしたい、ちょっと調べていただきたい。どうぞ。
○小松政府参考人 御指摘を受けて、調査をさせていただきたいと思います。
○松原委員 そういう中で、一九五七年、イギリスのウッドン・カービー陸軍少将が「日本との戦争」という本を書いたんだそうです。ハル・ノートを批判した中で、英独仏云々かんぬんとあって、個人の仕事ではできないと。そういった国の汚名というか、こういうことですね。「日本政府はよろしく責任を取つて、日本歴史のため、政府の仕事としてこれを果しておくべきではあるまいか」、実態を明らかにするべきではないかと外国の人が言っているんですよ。パール判事も言ったりして、みんな言っているんですよ。でも、日本は国を挙げてこれをやらなかった。今日まで、恐らく今の答弁なんかを聞いていれば、やっていないと思うんですよ。
 ここで、瀧川先生という、やはり有名な国際法学者でありますが、「「われわれは侵略戦争を行つた世界の罪人である」という考えを頭の中に強くたたき込まれている間は、日本の国家は興り得ない……われわれは、東京裁判によつて受けた精神的な痛手と、原子爆弾投下によつて受けた人的物的な惨禍とを、あまねく世界人類に告げしめることによつて、正義を欲する世界の人々の反省を促し、以て世界の恒久平和に貢献する」ようにしなければいけないと。これは私は正論だと思っております。
 私は、少なくともこういう要素で、個人ではできないんです。今まで私はこの委員会で南京の問題も扱いました。いろいろな文書、エール大学の神学図書館の文書のことも言いました。これは調べてあるはずです。今度聞きますよ。そういったものに対して、個人の仕事じゃないんです、やはりそれは国として取り組むべき問題だと思うんですが、麻生大臣の御所見をお伺いしたい。
○麻生国務大臣 五十年たって、いわゆる秘密文書が公にされるアメリカのルールの一つですけれども、それによってマッカーサーの証言というのが二〇〇一年にされたんだと記憶します。
 そういう状況の中にあって、やはり証言を大事にして、事実をきちんと歴史として掘り起こして説明する、きちんと調べておくというのは、これは時代とともに、歴史というものは、経験から歴史に変わっていった段階において、少なくともその段階できちんと検索、調査されてしかるべき、全くそう思います。
 ただ、松原先生、難しいところは、日本は極東軍事裁判を受け入れて、一九五一年の講和条約を結び、世界に復帰していった。大前提がその裁判を認めた上で復帰していますので、その点が意外としんどいところなんですよ、日本としては。ここだけはちょっと、世代が少し違うかもしらぬけれども、私どもとしてはそういう認識があります。
○松原委員 これは答弁なしで、麻生さんのお立場を考えると、御答弁をあえて求めないで申し上げたい。
 もちろん、おじいさんですか、吉田茂さんという大変偉大な政治家もおられたわけでありますが、私は、この受諾した中身は、いろいろな議論があります、アクセプトの場所とか。やはりそれはトライアルではない、判決を受諾したんだ。そこを、それは読み方なんです、それは知恵を出さなきゃいけない。そうすることによってのみ、我々は日本のプライドというものをよみがえらせることができる。だから、東京裁判の、裁判の判決を、トライアルではなくてジャッジメンツを受諾したんだ、私はそういう認識でこれからも主張していきたいと思っております。これは私の認識であります。
 それともう一つ、これは当たり前のことでありますが、道路で車と車がぶつかって、十、ゼロでおまえが悪いという議論はないわけであります。この鹿島さんの本の中にも、悪いのはどこどこ、世界の国々は大きい小さい関係なく、大小かかわりなくそれぞれにこの戦争の原因になっているんだと。極めて真っ当な話だと思うんですよ。何か事件があって、交通事故が一番いい事例です、本当に。十、ゼロというのはないんですよ、歩行者をはねたらこれはわからないけれども。大体六、四か、いって七、三ですよ。保険会社の交渉を見たって八、二なんかないですよ、よっぽどのことがないと。六、四か七、三ですよ。
 そういった意味では、その観点からも、こんなものを、少なくとも、我々が反省をしないということじゃないんだ、我々がこういったものから脱却しない限り、それはここにあるとおり、誇りある国益というのが、そういったものがあるので誇りあるそういったものはつくれないと私は思うわけであります。
 時間がなくなってきたので、最後に遺棄化学兵器のことをお伺いしたいと思います。
 山形県全国抑留者補償協議会のシベリア史料館に、六百冊に及ぶ膨大な量の旧日本軍兵器引き継ぎ書があるが、外務省はこの存在を承知しているかどうか。
○塩崎副大臣 この指摘の文書に係る報道については承知をしておりまして、本件史料の所在等について調査をしているところでございます。
○松原委員 つまり、承知していて、内容を検証するということを当然これからやる、こういう理解でよろしいですか。
○塩崎副大臣 そうです。
○松原委員 もし、その検証の結果、新しい事実で、従来の枠組みと違う事実が出てくれば、それは日本政府として変えると、別の答弁でそういう答弁ができていますが、これはそういうことでよろしいですね。
○塩崎副大臣 遺棄化学兵器の問題かと思いますが、一九二五年一月一日以降に、ある国が他の国の領域において当該他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器とされているわけであります。
 したがって、まずは、かかる観点から本件史料を精査することが必要だというふうに思っております。
○松原委員 遺棄化学兵器に関しては、ハルバ峠に日本の国会議員の方々が行かれた、こういうことでありますが、報道によると、現地で言い争いがあった、口げんかがあったと。さっきトイレで高松さんと会ったら、いや、そんなことは、そこまでなかったと言うけれども、そういうことじゃなく、本当のことを言ってほしいんだ。どういうふうな口げんかがあったのか言ってほしい。
○高松政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、ハルバ嶺におきましてどういう形で施設を建設するか、あるいはこれを運営していくかということについて日中間で協議をしているわけでございますが、一つは、私ども内閣府が平成十六年に調達いたしました遺棄化学兵器処理機構、この組織をどういう形で現地で活用するかということが問題としてございます。
 中国側にしてみれば、これは民間企業だということでございますが、私どもとしては、これはあくまで日本政府が責任を持つ組織であって、ぜひこれを現地で活用したいということで、今、日中間で交渉しているところでございます。
○松原委員 これ、広いのを全部やるんだ、いや、そうじゃないんだ、こういう議論はなかったんですか。面積の問題とかそういうことの議論とか、価格の問題とかあったんじゃないですか。なかったですか。
○高松政府参考人 委員御指摘の点は、これから施設を建設するための伐採の話かというふうに思いますが、現在、先方の責任者からは百七十ヘクタールの伐採を予定しているという説明がございまして、私は、その伐採の全容につきまして、面積も含めまして、これから交渉していくところだという指摘をしております。
○松原委員 時間ですので終わりますが、このことで二〇一二年までというふうに延びたんだけれども、二〇一二年で私は終わらないと思うんだね、今のペースだと。終わるかどうかの自信も聞きたいけれども、そうしたときに、中国政府が、あとは中国でやるから、お金だけ、これだけ経費計上しているからお金をよこしなさいと。万が一それで、お金だけ渡してこのことは終わりですよという話には絶対ならないでしょうね。
 二〇一二年までに終わるかどうかの自信と、今言った、お金を渡して終わりですよみたいな、そういうことはあり得ない、これを言ってほしい。
○高松政府参考人 私どもとしては、まだ二〇一二年ということが確定されたわけではございませんが、いずれにしても、できるだけ早く中国に旧軍が遺棄いたしました化学兵器を処理すべく、今、日中間でいろいろな協議をしているところでございます。したがいまして、これについては、とにかく早く協議を終えて施設建設に参りたいと思っております。
 また、中国側にお金だけを渡すといったことは、これは全く想定しておりません。といいますのは、私ども、今まですべて日本側が基本的に主導権をとって、処理の技術あるいは処理の態様につきまして中国といろいろな協議をしておりまして、委員御指摘のような形態になるということは全く想定しがたいという状況でございます。
○松原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○原田委員長 次に、笠井亮君。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
 在日米軍再編に係る日米安全保障協議委員会の結果をめぐる問題について幾つか質問したいと思います。
 昨日の本会議で小泉総理は、今回の共同発表にある「同盟関係における協力は新たな段階に入る」ということの意味について、再編案を着実に実施することにより同盟の能力が向上していくということだというふうに答えて、麻生大臣も同趣旨を答弁されたと思います。
 そこで確認をしたいんですけれども、これまでと比べて同盟のどういう能力がどれだけ向上するということなのか、従来と違ってどんなことができるようになるということなのか、お答えをいただきたいと思います。
○麻生国務大臣 日米同盟の能力向上という点についての御質問なんだと思いますが、五月一日の2プラス2で共同発表というのがなされて文書に示されていると思います。時代というか、社会の変化、世界の変化というようなものが各地で起きておりますが、世界の安全保障というものの環境におきまして、日本とアメリカの両国が、国際社会というような場においてさまざまな課題に効果的に対応していくという能力を向上させるという意味であって、共同発表に示してあるとおりでありまして、日米間の認識はその点で一致しているというように御理解いただければと存じます。
○笠井委員 ラムズフェルド国防長官が、2プラス2の際の共同記者会見の場でこういうふうに述べております。太平洋における安定した持続可能な前方展開の上に築かれる同盟の能力を確保しようとするものだ、そしてさらに、日本の、これは自衛隊における再編を組み入れてきた、それは米軍再編を補完するものであり、従来のものよりも大きな運用調整ができるようなものになるだろう、こういうふうに記者会見で言われているわけですけれども、こういうふうに発言したことは間違いないですね。
○河相政府参考人 お答え申し上げます。
 今ここに、手元に細かい記者会見の発言の記録を持参しておりませんけれども、基本的にそういう考え方を述べられたと理解しております。
○笠井委員 まさにそういう点では、先ほど大臣は、日米は一致しているという話もありましたが、この共同発表文そしてラムズフェルド発言もあるということですが、私は、座間それから横田を、横須賀とあわせて、陸海空のすべてで米軍と自衛隊の司令部が一体化をして、全国の自衛隊基地を米軍も使用できるようにする、そして、あらゆるレベルで日常的に日米共同訓練を行うなど、自衛隊を米軍の補完部隊として組み込んで、一体となって、いわば先制攻撃戦略のもとで、文字どおり地球規模で世界のあらゆる地域に乗り出していくということだというふうに、この一連の文書を読みながら、そして発言を見ながら受けとめたところであります。
 そして、加えて、新たな段階として、私、重大なのはグアムだと思うんです。五月十日のNHKテレビで、NHKの取材を受けたローレス国防副次官が、グアムは日米同盟の中核だ、ともに訓練し、我々と一緒にいていただきたいと述べたことが紹介をされました。これは、報道というよりも生の声で、テロップも出て流された。これは、米軍再編の外務、防衛の審議官級協議をやってきた米側の責任者の発言でありますけれども、外務省も、グアムは日米同盟の中核というような認識なのかどうか、この協議の中でそういう認識を共通して持っているのかどうか、いかがでしょうか。局長、いかがですか。
○河相政府参考人 グアムについてのお尋ねでございます。
 NHKのその報道自身、私、この場で確認をする立場には残念ながらございませんけれども、グアムの位置づけ、特に今回、御承知のように八千人の海兵隊員、その家族含めると一万七千人の関係者がグアムに移駐をしていく、そして、それによって沖縄の負担を軽減する、しかし同時に、その中で抑止力を維持していくという考えで今回の再編の協議の結論が出てきているわけでございます。そのもとで、沖縄からグアムに移駐していく海兵隊司令部の機能というものが、いざというときに、やはり日本の防衛との関連で非常に重要な役割を果たすべきものであるということは、そのとおりだと認識しております。
○笠井委員 負担軽減の話はもうさんざん議論していますからここでは繰り返しませんが、いざというとき、日本の防衛、これに役立つという話がありました。これは重大な発言だと私は思うんですが、ラムズフェルド国防長官自身が、これは大臣も一緒に並んでおられた共同記者会見で、我々はグアムをこの同盟と太平洋の安全保障構造のキーパート、中核の一つにする再編計画をともにつくり上げてきたと明確に述べてきているわけであります。大臣自身がその場に一緒におられたので承知されていると思うんです。
 そこで、日本の場合、いざというときの防衛につながるという話なんですけれども、このグアムの位置づけをどうやって条約上説明できるのかということなんです。これは念のために確認をしておきたいんですが、局長、グアムそのものは、日米安保条約の言うところの地理的範囲には当然入っていませんよね。
○河相政府参考人 グアムの位置づけでございますけれども、まず一つ、日米安保条約及びそのもとでの地位協定、この地位協定というのは日本の領域にある米軍でございますので、グアムにいる米軍なりがその地位協定の対象とならないという意味においてはそういうことだと考えておりますし、また、いわゆる安保条約六条の範囲というので、極東の範囲というのは従来国会で御説明をしてきているわけでございますけれども、グアムがいわゆるその極東の範囲に入っているものではないというふうに認識しております。
○笠井委員 日米安保では説明できない、こういうものがいろいろあるというのが今度のロードマップの中身だと思うんです。日米安保の大変質だと。だからこそ額賀長官は、九七年のガイドラインにかわる日米安保の新しい目的、理念を考えていく段階にあり、日米同盟関係のあり方について新たな枠組みについて議論が必要と提起したと。私、流れは明確だと思うんです。この問題でそういう位置づけを持っているグアムに費用負担をする、海兵隊がそこに移転するという話も今ありまして、いざというとき日本防衛という話ですが、これは全く許されない話になってくるというふうに私は思います。
 さて、今回の米軍再編実施のための日米のロードマップの問題ですが、そこでは、「これらの案の実施における施設整備に要する建設費その他の費用は、明示されない限り日本国政府が負担する」、こう書いてあります。
 そこで防衛庁に伺いますが、この合意の中で、日本側の費用負担となる事案というのは、双方が負担するものを含めて幾つ、何件あるのか。一方、米側が全額負担する事案は何件で、日本、アメリカ双方が負担するというふうになっているのは幾つあるのか。事案の数で結構ですが、答えてください。
○大古政府参考人 委員御指摘のとおり、今回の2プラス2でロードマップが合意をされておりますけれども、この措置を実施していくに当たり、具体的にどのような施設整備が日米双方とも幾つあるかということについては、今後、日米間で調整いたしまして、早急に現地調査も行った上で決定いたします。そういう意味で、現時点におきましては、その施設の件数を含めて、施設整備の具体的な内容についてはお答えできる段階にないということで御理解を賜りたいと思います。
○笠井委員 とんでもない話ですよ。ロードマップにやると書いてあるところで、幾つあるかと。文書に書いてあるんですから、そこに書いてあることは何件か言ってください。
○大古政府参考人 繰り返しになりますけれども、具体的な施設の整備の数につきましては、今後、日米間で調整して決定していくことになります。そういう意味で、現時点で施設整備の件数については、具体的な内容についてはお答えできる段階にございません。
○笠井委員 こういうことも説明できないで、丁寧な説明になんてならないんですよ、だって、ロードマップに書いてあるんだから。私、挙げただけだって、あそこを拾うだけで、日本側の負担ということで十六件ですよ。書いてあるんですから。件数ですよ。
 普天間それからグアムの問題、横田、座間、岩国、それから訓練される自衛隊施設の問題、移転される問題、インフラの整備、共同訓練の費用、項目に書いてあるじゃないですか。それも認められないんですか、数は。
○大古政府参考人 今後、施設整備が必要な基地につきましては、ロードマップに書いてございますけれども……(笠井委員「だから、その数を言ってくださいと言っているんです。そこに書いてあるものは何件かということ、何項目かということ」と呼ぶ)その項目については、ちょっとここで数は持ち合わせておりませんけれども、お尋ねの施設件数については、今後、日米間で協議して決定していくことになるということでございます。
○笠井委員 今後の協議じゃないんですよ、合意してここに書いてあるんだから。そうでしょう。何でそれを答えられないんですか。日本側で十六件、アメリカ側が三件ですよ、ここに書いてある限り。細かく言えば幾つの事由かわからないけれども。アメリカ側と日本でやるものが二つ、二件です。そうでしょう。
○大古政府参考人 先生御指摘のとおり、ロードマップにおきまして、特に記載がない限り、日本側の負担ということでは記載されておるところでございます。ただ、施設数だけということで……(笠井委員「事案数、件数、書いてあるのは何件ですか」と呼ぶ)事案数の中におきましても……(笠井委員「いや、細かいものはいいですから。ここに書いてあるのが幾つですかと言っているんです」と呼ぶ)そこはちょっと、そういう視点から数をあれしていませんので、この場では数字を持ち合わせておりません。
○笠井委員 書いてある数ぐらい言ったらいいじゃないですか。本当にとんでもない話ですよ。私、この一覧を見ただけで、一応抜き出しただけでも、これだけでも途方もない数字、それからかなりの額になるのは一目瞭然だと思うんですよ。書いてある数も言えないんですから、一体どういうことかと。
 費用負担の検討の協議の状況について、昨日の本会議では、関係閣僚から答弁がありました。財務省に伺いますが、財務大臣も、これまで、関係省庁間において、閣僚を含むさまざまなレベルで適宜意見交換等が行われてきた、厳しい財政事情のもと、我が国が負担すべき経費であるか否かをきちんと精査する必要があることについて認識を共有した上で、日米間で協議を行い、最終的な取りまとめを行った、こう答えられました。
 関係省庁というのはどこなのか、幾つなのか、さまざまなレベルで何回の意見交換を行ったのか、うち閣僚レベルでの意見交換は、どなたと、どの大臣と何回行われてきたのか、それをお答えいただきたいと思います。
○鈴木政府参考人 昨日の衆議院の本会議におきまして、財務大臣から、今お話がありましたように、在日米軍の再編に伴う措置につきまして、これまで、関係省庁間において、閣僚を含むさまざまなレベルで適宜意見交換等が行われてきたということを申し上げたと承知しております。
 ただ、意見交換等につきましては、さまざまな態様、また形で行われているというふうに承知しておりまして、まさに適時適切に行われたということだと承知しております。そういう意味で、今の御質問についてお答えするのはなかなか難しいということを御理解いただきたいと思います。
○笠井委員 これも数が言えないという話ですね。だから、丁寧な説明以前の話だと思うんですよ。
 ただ、今、適時適切にと言われました。数が言えないぐらい頻繁にやってきたということだと思うんです。それだけ重大問題だったからだと思うんです。閣僚を含むさまざまなレベルで関係省庁が意見交換してとありましたけれども、現下の厳しい財政状況だからきちんと精査しなきゃいけない、協議を繰り返して、そして米側と協議して最終的にまとめたんだと。
 私は、決して抽象的な話じゃなくて、おおよそ費用規模の負担の試算があったからこそ、こういう議論になって、言えないぐらいたくさんの適時適切な協議をさまざまなレベルでやってきた、大臣もかかわってきた、こういうことになってきたということだと思うんです。
 とりわけ、財務省にとっては数字が一番気になると思うんです。そういう意見交換の中で、防衛庁なりからおおよその数字規模が示されたことはないのかあるのか、あるとすればどれぐらいの規模のことがあったのか、お答えください。
○鈴木政府参考人 米軍再編に伴う経費につきましては、これまでも国会でもそれぞれの閣僚の方々から御答弁を申し上げていますように、これから精査をいたしまして額を積み上げていくというふうに承知しております。
○笠井委員 麻生大臣自身も、関係閣僚ですから、そうした意見交換に、幾度となくか何回かは承知しませんが、加わっておられると思うんですが、その中で、おおよその負担額、規模について数字が一回も出なかったんでしょうか、大臣。
○麻生国務大臣 どれくらい回数を参加したかの記憶も余り正確じゃありませんし、朝もありましたし、夜もありましたし、いろいろありましたが、総額の話が出たという記憶はないと思います。
○笠井委員 丁寧な説明と言いながら、どのような形でこれだけの問題を検討してきたかを財務省も言えない、大臣も余り覚えていないという話です。国会にも国民にも途方もない額をひた隠しにして、詳細な積算が固まってから、実はやってみたら三兆円に近かったとか、超えましたとか、だけれども、これはもう日米で合意していますからやらせてくださいと。これでは問答無用の押しつけそのものだと思うんですよ。およそ、私は、規模ぐらい明らかにして当然だと。きのうの本会議でもそういう意見がいっぱいありました。質疑がありました。
 これだけ財政状況が深刻な中で、財政面についてどれぐらいの規模になるかも十分に検討せずに、ただ日米同盟ということで合意したとしたら、それこそ私は問題だと思います。行革推進のためということで国民サービスを切り捨てる、公務員を何人減らす、こんなことをぎりぎりやる。医療費の抑制ということでどれだけ新たな負担、これを高齢者や国民にかぶせるか、ぎりぎりやっている。そうやっておきながら、米国には、グアム移転も含めて大盤振る舞い。こんなことでは、国民は、幾ら丁寧に説明したって納得しませんよ。このことを申し上げて、終わります。
○原田委員長 次に、照屋寛徳君。
○照屋委員 いわゆる米軍再編最終報告を受けて、昨日、稲嶺沖縄県知事と額賀防衛庁長官が確認書を交わしました。この確認書は、稲嶺知事の重大な公約違反、シュワブ沿岸案容認、V字形滑走路容認であります。同時に、県民世論に対する重大な背信であり、ポスト稲嶺の秋の県知事選挙で県民の厳しい審判が下されることは間違いないと私は思います。
 さて、最終報告、ロードマップによると、約八千名の第三海兵機動展開部隊の要員をグアムに移転することになっております。在沖米海兵隊員は現在何名沖縄に駐留していると外務大臣は認識しているんでしょうか。また、その根拠を明確にお示しください。
○麻生国務大臣 沖縄に駐留しておる海兵隊員の人数につきましては、今回の協議の過程の中におきまして、アメリカ側から約一万八千人と聞いております。
○照屋委員 アメリカ側が一万八千人と言ったようでありますが、そうすると、現在イラクへ出兵をしている海兵隊員は何名で、その隊員はどの部隊に所属をしているんでしょうか。
○河相政府参考人 お答え申し上げます。
 米側の説明に即して御答弁申し上げますけれども、在沖米軍からイラクへ派遣された主要部隊、これは二つございます。一つが第四海兵連隊の三個歩兵大隊約三千名、これが平成十六年二月以降派遣をされています。もう一つが第三一海兵機動展開部隊約二千二百名、これが平成十六年八月からイラクに派遣をされております。このうち、今申し上げました後者の二千二百名につきましては、平成十七年四月に沖縄に戻ってきているという理解でございます。
○照屋委員 この海兵隊の駐留している兵員の数についてはいろいろな見方があって、先ほど外務大臣がおっしゃったように約一万八千人という数字もありますが、一方で、沖縄のマスコミが、いろいろな資料を総合すると、約一万二千名が駐留をしているのではないか、こういう言い方もあります。
 そうすると、一万八千名の海兵隊のうち八千人グアムへ移るから、これは沖縄の負担軽減になるとか、あるいは兵力削減になるとか、そういうことは単純には私は言えないんだろうと思うんですね。ある面で、この日米交渉の中で数字のマジックではなかろうか。そして、一方では、海兵隊の沖縄駐留の根拠として抑止力の維持向上を言う。
 そうすると、この削減される八千名の中に、イラクへ行っている兵隊の数とか、あるいはフィリピン等へ訓練で移動している海兵隊員とか、そういうのも含んでいるんでしょうか。
○河相政府参考人 お答え申し上げます。
 沖縄からグアムに移駐をする海兵隊員、これは司令部要員でございます。例えばイラクに派遣された、先ほど申し上げた二つの部隊がございますけれども、これらの部隊は二つとも、そういう意味では実戦部隊でございます、実動部隊でございます。今回沖縄からグアムに移駐する八千名の海兵隊員、これは司令部要員でございまして、その意味で、実動部隊はその中には含まれないというふうに私どもは理解しておるところでございます。
○照屋委員 ロードマップでは、海兵隊の家族約九千名がグアムへ移転することになっておりますが、在沖海兵隊の家族は何名沖縄におると防衛庁、外務省は認識をしているのか。また、その根拠はどういうことでしょうか。
○大古政府参考人 現在沖縄にいます米国の海兵隊の家族の人数、総数につきましては、詳しくは承知しておりませんけれども、在日米軍のホームページに、これは去年の数字でございますが、昨年の六月末の数字では一万四百八十名というふうに公表されているところでございます。
○照屋委員 これは詳しく承知をしていないということ自体、私は政府の怠慢だと思いますよ。
 「沖縄の米軍基地」という沖縄県が発行した平成十五年三月の資料によると、平成十四年の海兵隊の家族数は八千六百九十名しかいない。それから平成十六年では八千百名しかいないということも言われている。もちろん年度によって多少の増減はあるけれども、平成十年には七千九百四十五名しか家族はいないことになっている。そうしたら、九千名グアムに移るといったら、海兵隊の家族は全部いないことになりますよ。
 政府は家族数の根拠も不明のまま、そうすると、アメリカのホームページの数を、資料を唯一の根拠にして日米交渉をしたんですか。
○大古政府参考人 お答えします。
 先ほど私が在日米軍のホームページと述べました一万四百八十名につきましては、在日米軍全体の海兵隊の家族数でございます。確認させていただきます。
 あと、今回沖縄の海兵隊八千名を削減してグアムに移転するわけですけれども、この八千名については、米軍としての定数、アサインされた数としてということで聞いております。
 それから、家族数の九千名については、再編協議の過程で米側が示されたものですけれども、これは一般的な米軍人の独身の方、それから家族を持っておられる方、それの家族構成について計算したものでありまして、個別に、現実の今の沖縄の海兵隊の家族を積み上げたということではないと聞いております。
○照屋委員 こんな重大な、兵員数や家族数の実態を政府が正確に掌握しないで、兵員八千名、家族九千名、合計一万七千人減るから沖縄のために負担軽減になるんだとか、そうだから約三兆円というとてつもない金を日本側が負担するとか、その一方で、日米の同盟関係の強化、協力拡大、能力の進化が強調されて、そして、基地の自衛隊と米軍による共同使用、共同訓練の拡大がうたわれる。こういう最終報告の内容で県民が納得するはずはありませんよ。
 もちろん、ロードマップにはたくさんの問題点を含んでいますよ。今、問題の指摘をしたように、削減される兵員数や家族数、特に、家族数は九千人と明記されておるけれども、そんなにいない。そのロードマップのとおりだと、まるで海兵隊の家族は沖縄から全部いなくなるという前提でしょう。だからおかしいんだ。そんな重大な誤りがこのロードマップにあるということを防衛庁はしっかり押さえるべきだと私は思うんですが、どうでしょうか。
○大古政府参考人 先ほど言いましたように、海兵隊八千名の削減につきましては、あくまでも、今現在一万八千人がアサインされておりまして、このうち八千名を削減する、こういう話でございます。
 現実の沖縄の海兵隊のグアムへの移転につきましては、二〇一四年までということでございますので、現在沖縄に赴任されている海兵隊の人それから海兵隊の家族がグアムに行くということではありませんので、あくまでも協議の過程では、八千人を削減すれば、通常の家族構成として九千名の家族も移転することになるという説明を米側から受けているわけでございます。
○照屋委員 平成九年で八千五十七人しかいない、平成十年で七千九百四十五名しかいない、平成十一年で八千四百九名しかいない、なのに九千人削減する、こんなばかな話はないでしょう。もっと資料もしっかりして、根拠もしっかりして日米交渉をしないとだめじゃありませんか。そのことを強く申し上げておきたいと思います。
     ――――◇―――――
○原田委員長 次に、社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣麻生太郎君。
    ―――――――――――――
 社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○麻生国務大臣 ただいま議題となりました社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、従来からカナダとの間で、人的交流に伴って生ずる年金制度への二重加入などの問題に関する協議を行ってまいりました。この問題の解決を図ることを目的とする協定を締結することでカナダ側と一致し、平成十六年十月以来、両政府間で協定の締結交渉を行ってまいりました。その結果、本年二月十五日に東京において、先方キャロン駐日大使との間でこの協定に署名を行った次第であります。
 この協定は、日本、カナダ間で年金制度の適用の調整を行い、具体的には、年金制度への加入に関し、就労が行われている国の法令のみを適用することを原則としつつ、一時的に相手の国に派遣される被用者等の場合には、原則として五年までは自国の法令のみを適用するなどの調整を行うこと及び保険期間の通算による年金の受給権を確立することなどを定めるものであります。
 この協定の締結により、年金制度への二重加入などの問題の解決が図られ、保険料負担が軽減されることなどにより、両国間の人的交流が円滑化され、ひいては経済交流を含む両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いを申し上げます。
○原田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十五分散会