第165回国会 本会議 第11号
平成十八年十月二十七日(金曜日)
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 議事日程 第七号
  平成十八年十月二十七日
    午後一時開議
 一 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)の趣旨説明
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○本日の会議に付した案件
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。
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 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)の趣旨説明
○議長(河野洋平君) この際、第百六十四回国会、内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣久間章生君。
    〔国務大臣久間章生君登壇〕
○国務大臣(久間章生君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つという任務の重要性にかんがみ、防衛庁を防衛省とするため、所要の規定を整備するほか、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動等を自衛隊の任務として位置づけるとともに、安全保障会議の諮問事項を追加する必要があります。
 以上が、この法律案の提案理由であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 この法律案は、防衛庁設置法、自衛隊法及び安全保障会議設置法の一部改正並びに関係法律の規定の整備を内容としております。
 まず、防衛庁設置法の一部改正につきましては、防衛庁を防衛省とするとともに、その長を防衛大臣とする等所要の改正を行うものであります。防衛省の任務、所掌事務、組織等は、現行の防衛庁設置法に規定されているものと同様のものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 第一に、防衛庁を防衛省とすることに伴い、自衛隊の最高の指揮監督権、防衛出動の命令、治安出動の命令、海上における警備行動の承認その他の内閣の首長としての内閣総理大臣の権限については変更せず、内閣府の長としての内閣総理大臣については、これを防衛大臣と改める等所要の改正を行うものであります。
 第二に、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動並びに国際連合を中心とした国際平和のための取り組みへの寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動について、別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされているものを行うこと等を新たに自衛隊法第三条に規定する自衛隊の任務として位置づけるための所要の改正を行うものであります。
 最後に、安全保障会議設置法の一部改正でございます。
 これは、安全保障会議の諮問事項に、内閣総理大臣が必要と認める周辺事態への対処に関する重要事項及び内閣総理大臣が必要と認める自衛隊法第三条第二項第二号の自衛隊の活動に関する重要事項を追加するものであります。
 そのほか、関係法律の規定の整備等を行うものであります。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
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 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。中谷元君。
    〔中谷元君登壇〕
○中谷元君 自由民主党を代表し、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)
 国の形を考えたとき、国家の防衛、安全保障は国の根幹であり、どの国も、国防部門は省、すなわちミニストリーもしくはデパートメントと呼ばれる独立した官庁が置かれております。我が国においては、昭和二十九年、防衛庁が設置され、ことしで創立五十二年になりますが、依然として内閣府の一部の業務を行う外局として庁に位置づけられたままであり、国の防衛に対する組織としてはしっかりしたものになっておりません。しかし、国としての背骨はしっかり伸ばしておくべきであり、今回独立した省を置くということは、我が国が国を守るその気概と役割を内外に明確に示すことであり、国民に安心感を与え、地域の安定にも世界平和にも貢献し、寄与し得るものになると考えます。(拍手)
 三年前、イラクにイラク人道復興支援のため自衛隊員が派遣され、現在まで一人の犠牲者を出すこともなく、与えられた任務を立派に果たしておりますが、この自衛隊員とともに外務省、防衛庁の職員も派遣されていました。そのとき、防衛庁の職員が、他国の国防担当者に初めて面会し、名刺を差し出したところ、その所属官庁の肩書がジャパン・ディフェンス・エージェンシーとなっているため、相手から、ここは一体何をする官庁ですかと質問を受け、その説明に窮したそうです。
 エージェンシーとは、事業を実施する官庁の呼称であり、ほかで決定したことを代行し、請け負う組織、代理人、媒介者という意味であります。防衛庁は、国の安全保障に責任を持ち、その政策を決定しなければならない重要官庁でありますが、その呼び名がエージェンシーでは、諸外国から誤解を招くことになり、外国と交渉する際、対等の立場で意見を述べ、折衝し、連絡調整、情報収集を行うことに支障となっております。
 今後、防衛省に移行されれば、我が国の国際社会の平和の実現に取り組む姿勢が、より明確に国際社会に伝えることができるのではないかと考えますが、防衛庁長官から、防衛庁が外国の防衛当局に対応する際、どのような立場で話をされているのか、その地位と立場を伺います。
 現在、我が国の脅威として考えられることは、北朝鮮の核開発やミサイル攻撃、我が国周辺の領有権をめぐる問題、地下鉄サリン事件などのような生物化学兵器を使った不測事態、侵入した工作員のテロ、ゲリラ活動などがありますが、このような多様な緊急事態の発生に際し、防衛庁は、直ちに内閣に判断を求め、国全体の対応を図らなければなりません。しかし、防衛庁は、直接内閣に閣議請求をすることができず、組織上、内閣府に閣議請求を要望し、内閣府の長である内閣総理大臣が内閣の長である内閣総理大臣に閣議を請求することになっております。国の防衛に関する重要案件や法律の制定、高級幹部人事、予算要求や執行を財務大臣に求めることも同様の手続が必要であり、防衛庁は、独立した省でないがゆえに、事務的にも時間的にもロスを生じております。
 内閣官房長官は、今回の防衛省への移行における危機管理上の意義と目的をどう認識しておられるのか。また、今回、官邸内に、政治任用により、安全保障担当の補佐官を置くこととしましたが、従来の総理秘書官や危機管理監、安全保障担当の内閣官房副長官補及び担当官庁である外務省と新設される防衛省との間でどのような権限を有し、どう関与させようとしているのか、その考え方を伺います。
 次に、国際平和協力活動の本来任務化について伺います。
 これまで、国際平和協力活動は、自衛隊の本来任務ではなく、自衛隊法第八章雑則、百条における付随的な任務と位置づけられ、国体やオリンピックの支援、民生土木工事の協力、南極観測支援など、本来の任務に支障のない範囲で行うこととされております。しかし、国際貢献の任務は国家にとって大変重要なものであり、派遣される隊員にとっても、法律の雑則や附則で行うものではありません。
 ペルシャ湾の掃海艇に始まり、カンボジア、モザンビーク、ルワンダ、ゴラン高原、東ティモールのPKO活動は、地域に平和と安定をもたらすことに成功し、関係国からは感謝され、国際的にも評価の高い重要な活動でありました。また、テロ特措法、イラク特措法によって派遣された自衛隊員は、インド洋でもイラク、中東でも、日本を代表し、命がけで世界の平和の維持と人道支援に貢献し、我が国の信頼を高めるという大変重要な仕事を果たしております。
 国を守るということは抑止と対処だと言えますが、抑止とは外国の侵略を起こさせないようにすることであり、単に国内の防衛力を強化するということだけではなく、我が国が、世界の中で尊敬され、信頼される国家であることが国の抑止力になると考えます。すなわち、国の防衛とは、単に国の領海、領域を守ることではなく、国民の主権と自由、経済、そして脈々と続いてきたすばらしい歴史と伝統、文化、生活を守ることであり、一番大切なことは、世界の中で孤立しない国になること、そのためには、外交努力と国力に応じた世界平和に貢献できる活動を着実に実施することであり、この精神は憲法の前文にもうたわれております。
 冷戦後の国際社会、九・一一以降の世界の安全保障において、目に見える国際協力や支援活動を我が国が行うことは、我が国の信頼や評価、防衛力を高める活動となっており、自衛隊の国際貢献は法律によって本来任務と位置づけるべきだと思いますが、改めて官房長官に、その意義を伺います。
 最後に、外務大臣に伺います。
 国の安全保障政策は、外交政策と防衛政策の双方から成ります。外交政策と防衛政策を連携させ、車の両輪として、一体として推進していくことで、初めて実効性ある安全保障政策を実行することが可能となります。両者がばらばらで政策を進めれば、国益を損なうことになり、外交と防衛でバランスのとれた決定を行っていくことは日本の安全保障政策にとって極めて重要であると考えますが、外務大臣は、防衛省への移行をどう認識し、日米安保、アジア外交など、我が国の安全保障政策の基本方針をどのように決定していくのか、これからの両省の連携や政策決定のあり方と役割分担等について、御見解をお聞かせ願います。
 以上、政府の見解を伺いますとともに、国民と議員各位の理解と支持を得て今国会で本法案を成立させることが、我が国の安全保障体制を安定させ、国の生存と繁栄を図る上で真の国益であることを改めて訴え、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣久間章生君登壇〕
○国務大臣(久間章生君) 中谷議員にお答えいたします。
 まず、省に移行した後の、外国当局に対応する際の立場についてお尋ねがありました。
 防衛庁としては、諸外国との防衛協議や国際的対話などの場において、我が国の防衛政策を担当する立場で臨んでいるところですが、防衛庁が省に移行することで、諸外国の国防を担当する行政機関と対等となり、誤解を招くこともなくなるとともに、国際社会の平和の実現に取り組む我が国の姿勢がより明確になるものと考えております。(拍手)
    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 中谷議員にお答えいたします。
 まず、防衛庁の省移行の危機管理上の意義及び目的についてお尋ねがございました。
 ゲリラや特殊部隊による攻撃、武装工作船、北朝鮮の弾道ミサイルや核実験など、近年、防衛庁・自衛隊の迅速な対応が期待される事態は多様化をしております。このような中、防衛庁を省と位置づけ、専属の主任の大臣を置くことは、政府として各種の事態に迅速に対応していく上で大きな意義があると考えているところでございます。
 次に、国家安全保障問題担当総理補佐官と秘書官や内閣危機管理監、安全保障・危機管理担当副長官補、外務省、防衛省との関係についてのお尋ねがありました。
 国家安全保障問題担当総理補佐官の役割は、我が国の国家安全保障問題について総理に直接進言や意見具申を行うことです。私としては、我が国の安全保障の確保に万全を期すためにも、補佐官と危機管理監や副長官補、各省等を効果的に機能させ、総理を支える体制の強化に努める所存でございます。
 次に、国際平和活動を自衛隊の本来任務化する意義についてお尋ねがございました。
 新たな安全保障環境では、国際社会の平和と安定が我が国の平和と安全に密接に結びついているとの認識のもと、自衛隊が国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組むための体制整備を進める必要があります。こうした体制整備は、国際平和協力活動を本来任務とした上で行うことが適切だと考えたところでございます。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 防衛庁が省に昇格することにつきましてのお尋ねがあっております。
 日本は、防衛力の整備に努め、日米安保体制を堅持し、アジアを含む国際環境の安定を確保するための外交努力を行うことをもって安全保障政策の基本としております。
 その遂行に当たって、外交当局と防衛当局が緊密に連携協力することが最も重要であります。近年の国際情勢の変化を受け、防衛庁・自衛隊の役割が高まっている中、防衛庁が省に昇格した場合にも、外務省といたしましては引き続き緊密に連携協力関係を維持してまいります。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 津村啓介君。
    〔津村啓介君登壇〕
○津村啓介君 民主党の津村啓介です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました内閣提出のいわゆる防衛庁省昇格法案について質問をいたします。(拍手)
 先日私は、岡山青年会議所の一員として、県北奈義町にある陸上自衛隊日本原駐屯地において、一日入隊を体験いたしました。規律訓練、百五十五ミリりゅう弾砲の模擬的な装てんなど多岐にわたる訓練は、それ自体貴重な経験でありましたが、私の心に強く印象に残ったのは、隊員の皆さんはもとより、地域の住民にとって自衛隊の存在がかけがえのない生活の一部となっている事実の重みでした。
 地元からの隊員採用、病院、学校その他、地域の各施設との連携、地元自治体や町内会との結びつき、今週末には海上自衛隊の観艦式も挙行されますが、国内各地ではこのところ毎週のように秋の各種展示が開催されております。
 戦後六十年余り、自衛隊創設から五十二年の時を経て、自衛隊は国民に愛され、親しまれる存在となり、その努力は今も日々続いているのであります。(拍手)
 近年、自衛隊の海外での活動が注目を集めていますが、日本国内における堅実で確かな歩みこそが国民の信頼を培ってきたことを忘れてはなりません。戦争の深い反省を乗り越え、新しい時代を切り開くためには、長年かけて丁寧に積み上げられてきた、この国民の信頼が前提になるのです。
 私は、かねてより、防衛庁は早期に省に昇格させるべきであり、そのために、私たち国会議員は各方面の環境整備に努めなければならないと考えてきました。環境整備の最たるものは、国民に信頼される組織づくりと国会での丁寧で十分な審議であります。
 以下、長官にお伺いします。
 国を守る重要な任に当たる官庁は、元来、省であることが自然であるようにも思われますが、現在は庁とされている経緯、これまで省昇格が実現できなかった理由をお聞かせください。
 本年年初、私は、地元岡山で行われた自衛隊関連行事におきまして、一人の政治家の新年の決意として、防衛庁の省昇格に取り組みたい旨述べました。今もその思いは変わりません。しかし、その直後に、大変残念な出来事が起きたのであります。防衛施設庁の談合問題、そして、それに続く一連の不祥事の発覚であります。これまで長年かけて積み上げられてきた国民の信頼を揺るがす大変残念な出来事でありました。
 今回が初めてではありません。我が民主党は、かつてこの問題が議論の俎上に上った際、政策論としては考慮に値すると、この問題を積極的に取り上げました。しかし、当時、防衛庁の調達をめぐって不祥事が取りざたされ、防衛庁長官が引責辞任をするという事態に至る中で、国民の理解を得ることは困難になりました。それから時がたち、ようやく機が熟したかに見えたそのとき、再びこのような不祥事が起きたのであります。大変残念であります。
 一連の不祥事に関する報告書は、国会閉会を待っていたかのように六月の中旬に発表をされました。我が党が求めた閉会中審査は見送られております。政府は、本当に国民の理解を得て省昇格を実現しようと考えているのですか。進んで説明責任を全うし、国民の理解と信頼の上に立って、よりよい防衛省をつくろうという気概はないのでしょうか。
 防衛庁長官にお尋ねいたします。
 相次ぐ不祥事によって生じた国民の疑念や不安を払拭し、信頼を回復していくためには、具体的で目に見える方策が必要と考えますが、省昇格後の新しい防衛組織に期待される規律保持のあり方について、当法案成立の暁には初代の防衛大臣になられるであろう久間長官の御見識を伺います。
 また、具体的に、防衛施設庁の談合問題及びウィニーを通じた情報漏えいの問題に関しては、それぞれどのような処分をし、再発防止策を講じたのか、具体的に御説明ください。
 政策論に入ります。
 まず、省昇格の実際のメリットについてです。
 政府は、庁のままでは重要案件について閣議を求めることができない、あるいは予算の要求や執行を財務大臣に求めることができないと説明していますが、抽象的でわかりにくい説明です。一体、庁のままでこれまでどういう支障があったのか、過去の事例に沿って具体的に説明をしていただきたいと思います。
 自衛隊の本来任務拡大についてもお尋ねいたします。
 本案は、国際平和協力活動等を自衛隊法第三条に基づく本来任務に位置づけています。これは単なる条項の位置の変更でしょうか、それとも実質的な面でも変わるところがあるのでしょうか。明確にしてください。
 もし仮に実質的な変更を伴うのであれば、北朝鮮の核実験問題など、従来からの本来任務である国土防衛のリスクファクターが増している状況のもとで、本来任務の拡大により我が国の国土防衛が相対的に手薄になり、国民の安全、安心が多少なりとも脅かされる懸念はないのでしょうか。艦船や飛行機の運用も含め、防衛庁長官からわかりやすい御答弁をいただきたいと思います。(拍手)
 なお、これに関連し、北朝鮮の核実験実施宣言の際に防衛庁長官への連絡がおくれた経緯についても、責任の所在を明らかにしていただきたいと思います。
 省庁再編問題との関係でお尋ねいたします。
 尊敬する、郷土と母校の先輩の一人であります橋本元首相の力強いリーダーシップで積極的に進められた省庁再編に当たり、防衛庁の省昇格は見送られました。当時の議論は多岐にわたったと記憶しておりますが、内閣府の総合調整機能を強化し、災害対策等の省庁横断的テーマにおける縦割り行政の弊害除去が眼目の一つであったと考えます。今回の二重構造是正には確かにメリットがありますが、内閣府からの独立が、従来機能していた総合調整機能を低下させ、縦割り行政の弊害につながるおそれはないか、デメリットを生じる懸念はないか、長官の御説明をいただきたいと思います。
 シビリアンコントロールの問題については、明確な態度をお示しください。
 政府は今回の法改正で、シビリアンコントロールなど、我が国の防衛政策の基本が変わることはありませんとの消極的な説明を繰り返していますが、二重構造の解消により、責任が明確化され、シビリアンコントロールは一層強化されると説明をすべきではありませんか。長官の所見を確認したいと思います。
 宇宙政策についても伺いたいと思います。
 報道によれば、米国は宇宙開発の基本指針を約十年ぶりに見直し、安全保障を重視する立場から、今後、人工衛星等を通じた情報収集活動を強化するとのことであります。防衛庁も、戦略企画室を新設し、宇宙政策と防衛のあり方を検討するとのことでございますが、具体的には、今後我が国の宇宙政策にどのようなビジョンをお持ちになっているのか、長官の御所見を伺います。
 最後に、一言申し上げます。
 私の本会議登壇は、三年前の初当選以来、本日で四回目となりますが、過去三回同じことを繰り返し申し上げてきました。私は、本日三十五歳を迎えた団塊ジュニア世代の一員であります。戦後の高度成長の果実を受け継ぎつつ、新たな国難である人口構造の激変に対応して、我が国を将来世代によりよい形で継承していく重大な責務があります。
 地球は二十四時間かけて自転をしています。時差の存在、また人間の体力の限界から、世界には少なくとも三つの中心地、センターが必要であります。日本は、米国、欧州と肩を並べる第三極、アジアのリーダーとして、外交、安全保障、そして経済など、主要政策分野においてビジョンを示し、行動する責任と力があります。
 私は、日本銀行時代の経験から着想を得、日本の円を国際通貨として育て、東京マーケットをアジアの、そして世界の金融センターとして戦略的に育成していくべきことを繰り返し提案してきました。東京をシティーやウォールストリートに負けない国際都市にしていきたい、これが私の政治家としての夢であります。
 外交、安全保障についても、私たち日本の政治家は、もっと夢を持ち、もっと強く、もっと明確なリーダーシップを持ってビジョンを示すべきです。今がそのときであり、また防衛庁の省昇格がその一つの象徴的なテーマであるとするならば、まずは、国民の不信を招いた組織の問題をきっちりと解決し、政府は説明をし、議論の環境を整えるべきであります。政府の説明責任をうやむやにするような強行的な委員会運営では、国民の理解は得られません。(拍手)
 与党の間では、二日から三日の質疑時間でこの法案を上げてしまえといった乱暴な話がなされていると巷間伝えられていますが、まさかこのような歴史的に重要な法案をいいかげんな審議時間で上げようということはありませんね。大臣、いかがでしょうか。そんな乱暴な手続には安易にくみすることができません。
 私は、防衛庁の省昇格が国民の十分な理解と確かな信頼のもとに議論されるよう、この法案の審議が十分な時間をかけて徹底的に行われることを望みます。なぜなら、本院及び参議院における十分な国会審議こそが最大のシビリアンコントロールであり、国民の信頼の礎であると信じるからであります。
 私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣久間章生君登壇〕
○国務大臣(久間章生君) 津村議員にお答えをいたします。
 まず、防衛庁が庁とされている経緯等についてのお尋ねがありました。
 かつての防衛庁は、防衛力整備や人事といった管理的な業務が主たるものであったことが庁とされていた主な理由と考えます。しかし、近年の自衛隊の任務の拡大により、防衛庁・自衛隊の役割は国政の中で重要性を増しています。こうしたことから、防衛庁は既に、政策の企画立案等、あるいはその実施を行う省と位置づけることに、よりそれにふさわしい組織へと変化していると考えております。
 次に、新しい防衛組織に期待される規律保持のあり方についてお尋ねがありました。
 国民の信頼を基盤として存在している防衛庁・自衛隊において、不祥事が生じたことで国民の信頼を大きく損ねたことはまことに遺憾であり、全庁挙げて再発防止に取り組んでいるところであります。職員一人一人が今般の不祥事を真摯に受けとめ、新しい防衛組織への移行に向けて、誓いを新たに、職員一丸となって厳正な規律の保持に努めるところであり、今後もその徹底を図っていく所存であります。
 次に、防衛施設庁の談合問題に関する処分及び再発防止策に関するお尋ねがありました。
 本件については、本年六月十五日までに八十四名の関係者に免職、降任等の懲戒処分等を行い、また、本年六月十六日に再発防止の抜本的対策に関する検討会が取りまとめ、公表した、建設工事の入札手続、再就職、人事管理、組織、公益法人等に関する各種の再発防止策を着実に実施しております。
 次に、ウィニーを通じた情報漏えいの問題についてお尋ねがありました。
 本件については、本年六月二十日までに、海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」等の事案について、五十二名の関係者に停職等の懲戒処分等を実施したところであります。また、本年四月十二日に情報セキュリティー、秘密保全及び懲戒処分の観点からの対策を取りまとめ、同種事案の再発防止策を着実に実施しております。
 次に、庁であることによる支障についてお尋ねがありました。
 防衛庁のままでは、防衛に関する法令制定の閣議請議や財務大臣への予算要求を直接できません。また、庁であることにより、国の防衛の任に当たる組織としての位置づけが極めてわかりにくい状況にあります。省に移行することで、閣議請議などを直接行うことができるとともに、諸外国と同様に省となり、位置づけも明確になると考えております。
 次に、国際平和協力活動等の位置づけについてお尋ねがありました。
 新たな安全保障環境では、国際社会の平和と安定が我が国の平和と安全に密接に結びついているとの認識のもと、自衛隊が国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組み得る体制整備の一環として、国際平和協力活動等の位置づけを本来任務とすることが適当と考えております。
 他方、本法案により、国際平和協力活動等に関する活動の内容が変更されるものではありません。
 次に、本来任務の拡大による、我が国の国土防衛についてお尋ねがありました。
 本法案におきましては、自衛隊の任務における国際平和協力活動等の位置づけを見直し、本来任務として位置づける一方、主たる任務である防衛との関係では、主たる任務の遂行に支障を生じない限度において実施することとしていることから、本来任務化によって我が国防衛に支障が生じることはありません。
 次に、先般の北朝鮮の核実験実施発表の際の連絡についてのお尋ねがありました。
 防衛庁へは当日の十一時二十分に連絡があり、私は航空便で移動中であったため、大阪空港到着後の十二時三十分ごろに連絡を受けました。
 防衛庁としては、事案への対応要領をあらかじめ定め、また、私が移動中も関連情報の収集に当たるなど、整々と対応しており、危機管理上特段の問題があったとは認識していません。
 次に、防衛庁の省移行と内閣府の総合調整機能についてのお尋ねがありました。
 内閣府設置法上、内閣府の所掌事務のうち防衛庁の所掌事務は、内閣府の長たる内閣総理大臣を主任の大臣とする分担管理事務の一つと整理されており、内閣府の総合調整の対象となる事務とはされておりません。したがって、防衛庁の省移行により内閣府の総合調整機能を低下させる等のことはありません。
 次に、防衛庁の省移行とシビリアンコントロールについてのお尋ねがありました。
 防衛庁の省移行に当たっては、シビリアンコントロールの基本的な枠組みは変更せず、これが引き続き厳格に確保されております。その上で、本法案では、新たに国際平和協力活動等を安全保障会議の諮問事項として追加することとしています。
 また、国の防衛に専任する主任の大臣を置くことは、自衛隊の管理の責任と権限がより明確化され、シビリアンコントロールの一層の徹底に資すると考えられます。
 最後に、宇宙政策についてお尋ねがありました。
 防衛庁・自衛隊としては、昭和四十四年の宇宙の開発利用に関する国会決議に沿って、これまで情報収集、情報通信などの分野での宇宙利用を行ってまいりましたが、将来の安全保障環境を見据えた政策についても、今後取り組んでまいりたいと考えているところであります。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 佐藤茂樹君。
    〔佐藤茂樹君登壇〕
○佐藤茂樹君 公明党の佐藤茂樹でございます。
 公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案につきまして、賛成する立場から質問をいたします。(拍手)
 冷戦期に発足した自衛隊は、存在する自衛隊として、他国からの武力侵略を思いとどまらせる抑止効果が期待され、実際に行動することが余り想定されていませんでした。
 しかし、冷戦後の安全保障問題はさま変わりし、また、近年、自衛隊の活動も大きく広がってきました。実際、国際平和協力活動は約二十回で約三万人、災害派遣は、一九九五年の阪神・淡路大震災以降、約九千回、約二百七十三万人もの自衛隊員が従事してきました。また、昨今の北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験宣言、不審船事案などが発生しており、我が国は新たな脅威にさらされていると国民が不安を感じています。
 一方、国際的には、湾岸戦争、カンボジア和平、米国同時多発テロ、イラクの復興などの問題に直面し、存在に意味があった時代は終わり、事実上、運用の時代に入りました。このように自衛隊の役割がふえたことで、これからの防衛政策も多様化いたします。
 防衛は、外交、財政と並ぶ国の重要な基本政策ですが、防衛庁は内閣府の外局に位置づけられてきました。今回、各省と横並びの防衛省に移行させることにより、防衛政策を専属的に担う責任ある行政組織となり、国の危機管理や国際平和の実現に関する課題に的確に対応できるものと判断し、賛同するものであります。
 しかしながら、防衛庁の省移行に関して、国民の一部では、防衛省になると、なし崩し的に専守防衛などのこれまでの堅持してきた基本的な防衛政策が変容し、軍事大国化の道を開くのではないか、シビリアンコントロールがきかなくなるのではとの懸念の声があることもまた事実であります。このような、かつて来た道を再び逆戻りするようなことは決してあってはならないと考えますが、防衛省移行に伴い、我が国の防衛政策の基本が変わるか否かについて、防衛庁長官の明快なる回答を求めるものであります。
 そして、公明党として、確認の意味で具体的に三点お尋ねいたします。
 まず一点目に、防衛省に移行することで、やがて憲法九条を逸脱する自衛隊の活動を認める道を開くのではないかとの国民の不安がありますが、あくまで憲法の枠内の活動にとどまることは当然であり、今後も堅持すべきです。官房長官の御見解を伺います。
 二点目に、防衛省へ移行することで、次の段階として、集団的自衛権の行使を認めるのではないかという懸念です。
 集団的自衛権を行使することは、我が国を防衛するための必要最小限度の範囲を超えるものであって、憲法上許されないとの政府統一解釈があります。省へ移行しようとも、この政府統一解釈はいささかも変わらないことを確認したいと思いますが、官房長官の明快な答弁を求めます。
 三点目は、防衛省へ移行することで、防衛省の予算が拡大していくのではないかとの疑念であります。
 政府の責任として、明年の中期防の見直しを初め、省の徹底したスリム化によって歯どめをかけるべく最大限の努力を図っていくべきだと考えますが、防衛庁長官の御所見をお伺いします。
 一方、今回、自衛隊法を改正し、自衛隊が行っている国際平和協力活動、周辺事態に対応する活動を自衛隊の本来任務に位置づけるということがあります。
 公明党が主張し、道を開いてPKO協力法を成立させ、一国平和主義からの脱却へと進めることができ、ゴラン高原などの数々の国連平和維持活動、スマトラ沖大津波やジャワ島地震での国際緊急援助活動、インド洋での補給活動、イラクでの人道復興支援活動など、その活動と自衛隊員の行動、姿勢については国内外から高い評価を得ているところでもあり、本来任務化は歓迎すべきことでありますが、改めて、自衛隊法上の位置づけとして雑則に規定されていた国際平和協力活動等を本来任務化することにより、今後、何が変わるのか、そして、何が変わらないのか、防衛庁長官にお尋ねいたします。
 また、今回の改正案では、公明党の主張を受け入れて、官製談合事件に揺れた防衛施設庁を解体して防衛省に統合するとともに、防衛省のスリム化を図ることを附則に明記されたことは評価いたします。
 そこで、防衛施設庁の官製談合事件の反省の上に立って、防衛施設庁の解体と再発防止策に具体的にどのような取り組みをされるのか、防衛庁長官にお尋ねいたします。
 省移行に関する公明党内の論議において、省移行後の隊員教育に、民主主義、多様な文化の尊重に関する教育を組み込むべきとの意見があり、与党内で検討した結果、与党欧州憲法・安全保障事情調査団が結成され、私もその一員として、去る七月、ドイツ、イギリスを訪問いたしました。
 第二次世界大戦後、ドイツ連邦軍では、かつてのナチズムと明確に決別するため、人間の尊厳を重視する、ドイツ基本法の理念に沿った軍隊をつくるため、兵士に対して民主主義的な価値の重要性を教育し、兵士は制服を着た市民という考え方を目指す内面指導という指導哲学が導入されてきました。そして、その内面指導を行っていることが、ドイツに対する周辺国の懸念を払拭することにつながっています。
 今回の防衛庁の省移行に関して、アジア近隣諸国の中には懸念の声を上げる国もあるかもしれません。こうした懸念を払拭する意味から、省移行後に、民主主義、平和主義、国際協調の理念や基本的人権の尊重、多様な文化及び価値観の尊重等の識見を習得させるための隊員教育を充実強化してはどうかと政府に提案申し上げておきたいと存じますが、防衛庁長官の見解を求めます。
 最後に、国際社会の懸念を払拭するために、お尋ねいたします。
 去る十月九日、北朝鮮が核実験を実施したと発表いたしました。我が国にとって重大な脅威であり、断じて容認できないことであります。
 ただ、このことで、一部、日本も核兵器を持つべきかどうかの議論を始めてはどうかとの声があります。しかし、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずの非核三原則が我が国の国是であります。日本は世界で唯一の被爆国であり、あらゆる国の核実験に反対の姿勢をとってまいりました。北朝鮮核実験問題に対して、国連を初め関係国が連携し対処に当たっている今、核拡散の懸念が国際社会に語られている今こそ、我が国は、国内外に対して、非核三原則の態度をしっかりとしたメッセージとして発信すべきであると思います。官房長官の見解を求めます。
 以上、政府の明快なる見解を求めるとともに、防衛省となっても、我が国の基本的な防衛政策である専守防衛や民主主義の原則であるシビリアンコントロールはいささかも変わらないのだということを、我が国国民と周辺諸国に対して誠実に地道に説明していくことをお願い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 佐藤議員にお答えいたします。
 まず、防衛庁の省移行と憲法についてのお尋ねがありました。
 防衛庁を省に移行させることにより、主任の大臣が置かれ、直接閣議請議することが可能となるなど、行政組織の位置づけや事務手続は変化しますが、自衛隊の活動が憲法の枠内の活動であることを堅持することは、もとより当然のことと考えています。
 次に、防衛庁の省移行と集団的自衛権についてのお尋ねがありました。
 防衛庁の省への移行は、集団的自衛権の行使を認めることを目指すものではありません。政府としては、これまでの憲法解釈や国会における議論の積み重ねを十分尊重しつつ、大量破壊兵器やミサイルの拡散、テロとの闘いといった国際情勢の変化や武器技術の進歩、我が国の国際貢献に対する期待の高まりなどを踏まえ、日米同盟がより効果的に機能し、平和が維持されるようにするため、いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な例に即し、よく研究してまいります。
 次に、非核三原則についてのお尋ねがありました。
 我が国が、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずとの非核三原則を堅持することについては、これまで歴代の内閣により累次にわたり明確に表明されています。
 政府としては、今後ともこれを堅持していく立場に変わりはありません。また、法律上も、原子力基本法により、我が国の原子力活動は平和目的に限定されています。さらに、我が国は、核兵器不拡散条約上の非核兵器国として核兵器の製造や取得等は行わない義務を負っており、我が国が核兵器を保有することはありません。(拍手)
    〔国務大臣久間章生君登壇〕
○国務大臣(久間章生君) 佐藤議員にお答えいたします。
 まず、省移行と我が国の防衛政策の基本についてお尋ねがありました。
 防衛庁の省への移行は、行政組織としての位置づけを変更することを通じて、我が国の危機管理や国際平和協力活動に取り組む体制を整えるものです。省移行に当たって、専守防衛、軍事大国とならないこと、非核三原則、文民統制の確保といった我が国の防衛政策の基本を変更することはありません。
 次に、省移行と防衛予算についてお尋ねがありました。
 予算の拡大の歯どめという点につきましては、防衛力の一層の効率化、合理化を図りつつ、多機能で弾力的な実効性のある防衛力を整備することといたしております現在の中期防衛力整備計画を初め、今までの閣議決定を引き続き維持してまいります。
 なお、中期防衛力整備計画を今後見直す場合にも、このような効率性等の面にも配慮してまいります。
 次に、国際平和協力活動の本来任務化についてお尋ねがありました。
 自衛隊が国際平和協力活動等に主体的かつ積極的に取り組むためには、各種体制整備を進める必要があり、国際平和協力活動を本来任務とした上で行うことが適切と考えます。
 さらに、国際平和協力活動等を自衛隊の本来任務と位置づけることにより、自衛隊による取り組みの方向性を国内外に示すとともに、任務を遂行する隊員自身が一層の自覚と誇りを持って職務に専念し得ると考えております。
 他方、PKO参加五原則や武器使用権限などは変更しておりません。
 次に、防衛施設庁の解体と再発防止への取り組みについてお尋ねがありました。
 防衛庁としては、再発防止に真摯かつ抜本的に取り組むとの観点から、防衛施設庁を廃止して本省に統合することとし、本法案の附則第九条に明記したところであります。また、入札手続の改善、再就職、査察組織の新設など、本年六月に取りまとめた抜本的対策を着実に実施していき、国民からの信頼回復に向け、全力で取り組む所存であります。
 最後に、隊員教育についてお尋ねがありました。
 自衛隊においては、これまでも、御指摘の民主主義の重要性等についての教育も含め、隊員の育成に努めているところであります。今後とも、御指摘も踏まえ、民主主義等についての教育も含め、隊員教育の充実に努めてまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(河野洋平君) 赤嶺政賢君。
    〔赤嶺政賢君登壇〕
○赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法、自衛隊法改正案について質問します。(拍手)
 本法案は、防衛庁・自衛隊の発足以来初めて、自衛隊の任務を変更し、防衛庁を省に昇格させるものであり、防衛二法の根幹中の根幹を変更する極めて重大な法案であります。
 政府は、九〇年代以降、海外での軍事貢献を求めるアメリカの要求につき従い、憲法九条を真っ向から踏みにじり、PKO法、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法と次々と海外派兵立法を強行し、自衛隊の権限を拡大してきました。
 こうして広げに広げた違憲の海外活動を、今度は自衛隊法三条の任務規定そのものに位置づけるというのであります。断じて許されません。
 そもそも、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を規定した憲法九条のもとで、自衛隊は自衛のための必要最小限度の実力組織だから違憲ではないというのが歴代政府の憲法見解であります。だからこそ、政府は、専守防衛を建前とし、自衛隊の任務を日本防衛に限定してきたのであります。これを根底から覆し、海外活動を自衛隊の任務の中心に据える本法案が、憲法上許容される余地がどこにあるのですか。明確な答弁を求めます。
 政府は、自衛隊の海外活動を国際平和協力活動等と言いますが、その具体的内容は、インド洋での海上自衛隊による給油活動、イラクでの航空自衛隊による輸送活動、周辺事態での後方支援活動など、まさに米軍協力、米軍戦争支援活動ではありませんか。
 日米両政府は今、世界の中の日米同盟を標榜し、米軍と自衛隊の再編計画を進め、いついかなる事態でも米軍と自衛隊が一体となって世界に乗り出す体制をつくろうとしています。既に、自衛隊の装備、組織、作戦、訓練、すべての面において、海外活動へのシフトが進行しているのであります。
 こうした海外での米軍戦争支援を本格的に進めるために、海外活動を自衛隊の本来任務に位置づけようということではありませんか。さらに、海外派兵恒久法や海外での武器使用基準の緩和を進めようというのではありませんか。答弁を求めます。
 防衛庁の省昇格は、こうした新たな日米安保体制を支える軍事行政機構づくりであり、予算配分から基地行政まで、迅速な意思決定のもとに強力に進めるものではありませんか。
 防衛庁をめぐっては、装備品をめぐる背任事件、燃料談合、施設庁の基地建設談合事件と、五兆円もの予算を食い物にしてきた軍需産業との癒着、腐敗と隠ぺいの体質にこそメスを入れるべきであります。
 沖縄では、県内たらい回しはもうやめよという県民の総意を裏切って、辺野古への巨大な新基地建設を強行する、そうした住民無視の姿勢こそが問われているのであります。
 憲法じゅうりん、住民無視、腐敗まみれの防衛庁の権限を拡大するなど、もってのほかであります。
 今国民は、安倍内閣が憲法改正を公然と掲げ、集団的自衛権の行使、周辺事態法の発動、ついには核保有まで議論される事態に、はかり知れない危うさを感じています。
 麻生外務大臣、核保有を議論することはいいなどと言いますが、あなた自身は、核兵器を保有すべきだというのですか。明確な答弁を求めます。
 安倍内閣は、歴代内閣が国是として堅持してきた非核三原則を初め、憲法と自衛隊にかかわる基本方針をどう見直そうとしているのですか。安倍内閣の統一見解を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣久間章生君登壇〕
○国務大臣(久間章生君) 赤嶺議員にお答えいたします。
 まず、本来任務化と憲法との関係についてお尋ねがありました。
 本法案は、憲法上既に認められている国際平和協力活動等の自衛隊法上の任務の位置づけを変更するものであり、憲法との関係で全く問題となるものではありません。また、専守防衛に徹するとの立場を変えるものでもありません。
 次に、自衛隊の海外活動と米軍との関係についてお尋ねがありました。
 国際平和協力活動とは、防衛計画の大綱にも記されておりますように、国際的な安全保障環境を改善するために国際社会が協力して行う活動であります。国際平和協力活動や周辺事態法に基づく活動は、それぞれの根拠となる法律の目的のために行うものであります。
 次に、本来任務化の目的についてお尋ねがありました。
 本法案は、国際社会の平和と安定が我が国の平和と安全に密接に結びついているとの認識のもと、国際社会が協力して行う活動である国際平和協力活動等に対し、自衛隊が主体的かつ積極的に取り組むためのものであり、御指摘は当たりません。
 次に、本来任務化と恒久法や武器使用基準との関係についてお尋ねがありました。
 本法案は、国際平和協力活動の任務の位置づけを変更するものであり、いわゆる一般法の制定や武器使用基準の緩和を行うものではなく、御指摘は当たりません。
 次に、防衛庁を省とすることは新たな日米安保体制を支える軍事行政機構づくりであるとの御指摘ですが、防衛庁の省移行は、さまざまな緊急事態に、より迅速的確に対応するなどの体制を強化するとともに、諸外国の国防を担当する行政組織と対等な位置づけとなって、国際社会の平和の実現に取り組む我が国の姿勢をより明確にする目的で行うものであり、御指摘は当たらないものと考えます。
 最後に、防衛庁の権限の拡大についての御指摘がありましたが、近年、国内外での自衛隊の活動の増加、米軍再編、北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験問題への対応など、防衛庁・自衛隊の役割は重要性を増しており、このような中、諸外国と同様に、防衛庁を省と位置づけ、専任の主任の大臣を置き、各種の事態に的確に対応していくことが必要であると考えます。(拍手)
    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 赤嶺議員にお答えいたします。
 まず、国際平和協力活動等の本来任務化についてお尋ねがございました。
 新たな安全保障環境では、自衛隊が国際平和協力活動等に主体的かつ積極的に取り組んでいくことは重要であり、国際平和協力活動等を自衛隊法第三条の本来任務と位置づけることが適切と考えております。
 なお、御指摘の個別の法律は、いずれも国会の御審議の上成立しており、また、それらの活動は憲法違反ではありません。
 次に、憲法と自衛隊にかかわる政府の基本見解についてお尋ねがございました。
 政府は、従来から、我が国が自衛のための必要最小限度の実力を保持することは憲法第九条の禁止するところではなく、自衛隊は憲法に違反するものではないと考えています。このような基本的な見解を変更することは考えていません。
 非核三原則については、今後ともこれを堅持してまいります。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 非核三原則についてのお尋ねがあっております。
 一般論として、たびたび委員会で申し上げましたが、国の安全保障のあり方につきましては、それぞれの時代状況、また国際情勢を踏まえ、さまざまな国民的議論があり得るものと考えております。
 ただ、日本が、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずという非核三原則は堅持することにつきましては、これまで歴代内閣が累次にわたって表明をされてきておりますのは御存じのとおりです。政府といたしましては、今後ともこれを堅持していく立場に変わりはございません。
 また、法律上も、原子力基本法によって、我が国の原子力活動は平和目的に限定されておりますのも御存じのとおりです。さらに、我が国は、核兵器不拡散条約、通称NPT上の非核兵器保有国として、核兵器の製造や取得等は行わない義務を負っておりますというのも御存じのとおりで、このような点から見ましても、日本が直ちに核兵器を保有するようなことはありません。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(河野洋平君) 菅野哲雄君。
    〔菅野哲雄君登壇〕
○菅野哲雄君 社会民主党・市民連合を代表して、政府提案の防衛庁設置法等一部改正案について質問いたします。(拍手)
 第一に、なぜ今、防衛庁を省に昇格させる必要があるのかということです。
 省になっても、防衛庁の任務、所掌事務、組織等に変更はないとのことです。であるならば、なぜ今、組織変更を行う必要があるのか、理解できません。北朝鮮が核実験を行い、瀬戸際外交を続けています。一方、日本は、改憲の議論が進み、外務大臣や与党幹部から、日本が核武装を検討するかのようにもとれる発言が続きました。このような状況のもとで、防衛庁を省に昇格することは、日本の外交防衛政策について誤ったメッセージを世界に送り、地域の緊張を高めることにつながるのではないでしょうか。
 省昇格が他国にどのように受けとめられると考えるのか、また、現状のままで何が具体的な不都合が生ずるのか、それぞれ、外務大臣と防衛庁長官にお尋ねいたします。
 第二に、不祥事の問題です。
 防衛庁の調達背任事件や施設庁の談合事件、自衛隊内のいじめ自殺問題等の不祥事が相次いでいます。今必要なことは、防衛庁の組織を省に変えて立場を強化することではなく、不祥事を起こさないための組織改革です。省昇格よりも、不祥事への対応と信頼回復こそが優先する課題だと考えますが、防衛庁長官のお考えを伺います。
 三番目に、自衛隊法改正の問題です。
 自衛隊の海外任務を本来任務と位置づけることは、政府が国土防衛のための必要最小限の実力としてきた自衛隊を、米軍とともに世界で戦う軍隊へ転換することにほかなりません。海外活動が本来任務とされることによって、部隊編成や装備も海外展開を前提としたものに変わることが予想されます。海外任務の本務化が自衛隊の予算、装備、部隊編成にどのように影響するのか、防衛庁長官にお尋ねいたします。
 九・一一同時テロ事件以降、米国のブッシュ政権がテロとの闘いを名目に武力を振りかざした結果、テロと武力行使の連鎖が世界を覆っています。戦争と戦力を放棄した日本こそが、安易に軍事力に依存する流れを断ち切る、その先頭に立つべきだということを強く訴えて、私からの質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣久間章生君登壇〕
○国務大臣(久間章生君) 菅野議員にお答えをいたします。
 まず、省移行と他国との関係についてお尋ねがありました。
 現在は、庁であることにより、国際的に見れば、国の防衛の任に当たる組織としての位置づけが極めてわかりにくい状況にあります。一方、諸外国の国の防衛の任に当たる組織は、すべて省であります。諸外国と同様に省に位置づけ、国の防衛と国際社会の平和に取り組む我が国の姿勢を明確にすることは、決して他国に誤ったメッセージを送るものではなく、その理解も得られるのではないかと考えております。
 次に、省移行と不祥事への対策等についてお尋ねがありました。
 防衛施設庁入札談合事案を初めとする一連の不祥事により国民の信頼を損ねたことはまことに遺憾であり、信頼回復に努めるため、全庁挙げて再発防止に取り組んでおります。組織面においても、査察組織の新設など、不祥事防止のための抜本的な組織改革を行うべく、十九年度概算要求をしております。その上で、防衛庁・自衛隊の役割は重要性を増しており、早急に省と位置づける必要があることを御理解いただきたいと思います。
 最後に、国際平和協力活動の本来任務化についてお尋ねがありました。
 新たな安全保障環境では、国際社会の平和と安定が我が国の平和と安全に密接に結びついているとの認識のもと、輸送能力の向上や部隊編成等も含め、自衛隊が国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組み得る体制整備を進めており、国際平和協力活動の本来任務化を踏まえ、引き続きこれを推進してまいりたいと考えております。
 なお、政府としては、そうした体制整備に当たり、国会での予算審議等の場においてしかるべく説明責任を果たすことは当然であると認識しております。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 防衛庁の省移行についての他国の受けとめ方に関するお尋ねがあっておりました。
 今回の法案は、御存じのように、基本的には、防衛庁の所掌事務、組織等の変更や、また、我が国の防衛力の量や質の増大、専守防衛、防衛の基本政策の基本の変更というものを伴うものではないということは承知をいたしておるところであります。
 防衛庁が省に移行することになった場合には、近隣諸国を初めとする諸外国の正確な理解を得るべく、外務省としても説明を行ってまいります。
 なお、現時点で、防衛庁の省移行に関して懸念を表明している国があるとは承知をいたしておりません。(拍手)
○議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十三分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       外務大臣  麻生 太郎君
       国務大臣  久間 章生君
       国務大臣  塩崎 恭久君
 出席副大臣
       防衛庁副長官  木村 隆秀君