第165回国会 予算委員会 第2号
平成十八年十月五日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 金子 一義君
   理事 斉藤斗志二君 理事 実川 幸夫君
   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君
   理事 萩山 教嚴君 理事 森  英介君
   理事 枝野 幸男君 理事 中川 正春君
   理事 赤松 正雄君
      井上 喜一君    石原 伸晃君
      臼井日出男君    遠藤 武彦君
      小野寺五典君    大島 理森君
      大野 功統君    河井 克行君
      河村 建夫君    北村 茂男君
      倉田 雅年君    佐藤 剛男君
      笹川  堯君    薗浦健太郎君
      中馬 弘毅君    中川 昭一君
      中野  清君    中山 成彬君
      西村 康稔君    西本 勝子君
      野田  毅君    深谷 隆司君
      福田 康夫君    細田 博之君
      三ッ林隆志君    三ッ矢憲生君
      三原 朝彦君    山本 公一君
      与謝野 馨君    岩國 哲人君
      小川 淳也君    大串 博志君
      岡田 克也君    菅  直人君
      菊田真紀子君    田島 一成君
      高井 美穂君    中井  洽君
      原口 一博君    古本伸一郎君
      馬淵 澄夫君    前原 誠司君
      松木 謙公君    松本 大輔君
      赤羽 一嘉君    北側 一雄君
      斉藤 鉄夫君    東  順治君
      丸谷 佳織君    佐々木憲昭君
      阿部 知子君    糸川 正晃君
      徳田  毅君
    …………………………………
   内閣総理大臣       安倍 晋三君
   総務大臣         菅  義偉君
   法務大臣         長勢 甚遠君
   外務大臣         麻生 太郎君
   財務大臣         尾身 幸次君
   文部科学大臣       伊吹 文明君
   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君
   農林水産大臣       松岡 利勝君
   経済産業大臣       甘利  明君
   国土交通大臣       冬柴 鐵三君
   環境大臣         若林 正俊君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長)
   (防災担当)       溝手 顕正君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      久間 章生君
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当)
   (科学技術政策担当)
   (イノベーション担当)
   (少子化・男女共同参画担当)
   (食品安全担当)     高市 早苗君
   国務大臣
   (金融担当)       山本 有二君
   国務大臣
   (経済財政政策担当)   大田 弘子君
   国務大臣
   (規制改革担当)     佐田玄一郎君
   内閣官房副長官      下村 博文君
   内閣府副大臣       渡辺 喜美君
   防衛庁副長官       木村 隆秀君
   総務副大臣        大野 松茂君
   法務副大臣        水野 賢一君
   外務副大臣        岩屋  毅君
   財務副大臣        田中 和徳君
   財務副大臣        富田 茂之君
   厚生労働副大臣      石田 祝稔君
   厚生労働副大臣      武見 敬三君
   農林水産副大臣      山本  拓君
   経済産業副大臣      渡辺 博道君
   環境副大臣        土屋 品子君
   内閣府大臣政務官     岡下 信子君
   防衛庁長官政務官     大前 繁雄君
   総務大臣政務官      谷口 和史君
   総務大臣政務官      河合 常則君
   法務大臣政務官      奥野 信亮君
   文部科学大臣政務官    小渕 優子君
   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君
   厚生労働大臣政務官    松野 博一君
   農林水産大臣政務官    福井  照君
   経済産業大臣政務官    高木美智代君
   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君
   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君
   政府参考人
   (内閣府規制改革・民間開放推進室長)       田中 孝文君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    石川 裕己君
   予算委員会専門員     清土 恒雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月五日
 辞任         補欠選任
  臼井日出男君     西本 勝子君
  小野寺五典君     中川 昭一君
  中馬 弘毅君     薗浦健太郎君
  福田 康夫君     北村 茂男君
  三ッ矢憲生君     石原 伸晃君
  大串 博志君     菅  直人君
  川内 博史君     田島 一成君
  中井  洽君     古本伸一郎君
  前原 誠司君     松本 大輔君
  松木 謙公君     菊田真紀子君
  赤羽 一嘉君     丸谷 佳織君
  東  順治君     北側 一雄君
同日
 辞任         補欠選任
  石原 伸晃君     三ッ矢憲生君
  北村 茂男君     馳   浩君
  薗浦健太郎君     中馬 弘毅君
  中川 昭一君     小野寺五典君
  西本 勝子君     臼井日出男君
  菅  直人君     大串 博志君
  菊田真紀子君     松木 謙公君
  田島 一成君     高井 美穂君
  古本伸一郎君     中井  洽君
  松本 大輔君     前原 誠司君
  北側 一雄君     東  順治君
  丸谷 佳織君     斉藤 鉄夫君
同日
 辞任         補欠選任
  高井 美穂君     川内 博史君
  斉藤 鉄夫君     赤羽 一嘉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 予算の実施状況に関する件
     ――――◇―――――
○金子委員長 これより会議を開きます。
 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府規制改革・民間開放推進室長田中孝文君、海上保安庁長官石川裕己君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○金子委員長 基本的質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川昭一君。
○中川(昭)委員 おはようございます。自由民主党の中川昭一でございます。
 まず、安倍内閣総理大臣には、就任早々、国会での所信表明、そしてまた代表質問、そしてまた本日から予算委員会ということで、大変連日お忙しいといいましょうか、大事なお仕事に精励をされておりますが、若さと理念、洞察力、そしてリーダーシップで大いに日本のために、また世界のために、そしてまた将来のために頑張っていただきますことを、私そして自由民主党、公明党、与党ともども心から御期待を申し上げる次第でございます。
 それでは、まず冒頭、ここ二、三日中の大きな話題でございます総理の中国訪問それから韓国訪問、それからまた、北朝鮮がまた例によって全く国際社会に逆行するようなああいう発表をいたしました。総理は真っ先に、就任早々、大事な国であります隣国の中国と韓国を訪問される。
 中国は、言うまでもなく、お隣の大事な国であり、大きな国であり、発展をしている国でありますから、政治体制が違うとはいえ、ぜひ、経済だけではなくて多方面にわたってお互いにウイン・ウインの関係で発展をしていくことが、両国のみならずアジアあるいは世界にとっても大変プラスになることだろうというふうに私も思っている次第でございます。
 個別的には、発展に伴う例えば環境の問題とか、あるいはまたエネルギーをもう少し効率的に使ったらいいのではないかとかいった、日本にもあるいは世界にも影響のあるような問題もあるわけでございますけれども、しかし、中国が安定的に発展をしていき、日本と中長期的に平和的な関係を構築していくということは非常に大事なことだと思っております。
 また、お隣の韓国も、長い間本当に文化伝来とかそういう時代から隣国として非常に関係の深い国であり、また自由と民主主義を共有する国として共通点も多いわけでございますので、韓国を訪問されることはこれまた大変意義深いことだというふうに思っております。
 そういう中で、北朝鮮が、食料不足とかあるいはまた災害による被害が大変だというような情報もある中で、何を考えているのか、核実験を準備しているということは、一九九八年のミサイル発射あるいはことしの六月の複数のミサイル発射、その一部は日本の本土を越えて、九八年の場合には三陸沖に飛んでいったわけでありますから、これは大変日本にとって脅威なわけでございまして、こういうことを依然としてやっているということ、そしてまた、今度は核実験もやるぞということでございます。
 これは、日本のみならず、アジアあるいは世界にとって文字どおりテロ国家であるというふうに私は考えておりますし、日本自身の努力あるいはまた国際社会の努力で平和的にこういう国がなっていって、そして日本を初め諸外国と友好的な関係を持つ。その前提としては、後ほど申し上げます拉致の問題の解決ということもあるわけでございますが、こういった直近の大きなニュースも含めまして、まず、総理の訪中あるいはまた韓国訪問についての御決意あるいはまたお考え方について御答弁をお願い申し上げます。
○安倍内閣総理大臣 私は、八日に中国、そして九日に韓国を訪問することを決定いたしました。
 中国につきましても、また韓国につきましても、大切な、大事な隣国でございます。総裁選を通じまして、私は、日本はアジアの国であり、当然アジアの外交を重視していかなければならない、日本がアジアの平和と繁栄のために何ができるかを常に考え、そしてそのこともしっかりと主張していくことが大切ではないか、こう述べてきたわけでありまして、できれば最初にアジアの国を訪問する国として考えたいということも述べてまいりました。
 日中関係は、まさに現在、一日一万人以上が交流をする、そしてまた、経済においても切っても切れない関係になっている、こう考えています。
 日本は中国への輸出あるいは投資によって大きな利益を得ております。中国もまた、日本からの投資によって一千万人以上の雇用を創出し、また、日本にしかできない半製品を輸入し、そしてそれを加工して海外へ輸出することによって外貨を得ている。このような切っても切れない関係にあることをお互いがよく認識することも大切であり、そしてさらに、政治的な関係を深めていくことによって、地域の平和、また世界の平和にもこの両国関係をてこに大きな貢献ができるのではないか、そういう可能性も十分にまだまだ秘めている、このように認識をしております。
 ぜひ、日中間の首脳同士がお互いに胸襟を開いて、率直に両国の未来について話し合える関係を築いてまいりたいと思います。
 また、韓国につきましては、ただいま中川委員が御指摘になられましたように、お互いに両国は、自由、民主主義、そして基本的な人権を守り、さらには法律の支配、この共通の価値を持っている国同士であります。この共通の価値がしっかりとしているということは、やはり私は極めて大切ではないか。その上で、中国同様、一日一万人以上が交流をし、経済においてもこれは本当にお互いの国を必要とする関係になっているわけでございまして、日韓がいろいろな困難を乗り越えて、やはりこれは、首脳同士がしっかりと地域の平和や安定のためにも語り合える、そういう信頼関係を構築していくようにこの首脳会談を開くことを決意いたした次第でございます。
 ただいま北朝鮮の核実験についてお話がございました。実際に北朝鮮が本当に準備をしているのか、いつやるのかということ等につきましては、現在、情報を収集、分析しているところでございますが、いずれにしても、北朝鮮は国際社会の懸念に今までこたえてきていないのでありまして、日本にとっては、拉致の問題、そしてミサイルの問題、そして核の問題があるわけでありまして、六者会合にも復帰をしていない。その中でさらに核実験をするということは、断じて許されないことであるわけであります。
 北朝鮮がこうした行為を続けていけば今よりもさらに厳しい状況になっていくということを北朝鮮に理解させるためにも、国連の場においてしっかりとした議論がなされなければならない。また、日本もその中で役割を果たしていく考えであります。
○中川(昭)委員 ぜひ、中国訪問、韓国訪問に当たりましては、大事な国であるという認識を日本は持っている、総理もお持ちになっていらっしゃる、そしてまた先方も、日本が大事な国である。つまり、お互い独立国家としてお互いを認め合う、一〇〇%同じ考えということはないということを前提にして、しかし、共有できるものはできるだけ共有をしていくということが大事ではないかというふうに考えております。
 北朝鮮の核実験の発表につきましては、今総理がお答えになったように、ああいう国ですから、いつ、どういうふうにやるのか、やらないのか、よくわかりません。しかし、実際にミサイルを過去何回も撃ってきた。実験とはいえ、日本の周辺に向かって撃ってきた。そして、今度は核だということであります。
 これはもう絶対に日本にとっては受け入れることのできないことでございますし、日本といたしましては、毅然として、そしてまた冷静に対応していくことが大事ではないか。あたふたとすれば、多分、先方の思うつぼということにもなりかねませんので、ぜひ冷静かつ毅然として、総理としてはもう既にそういう対応をとられておりますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。
 そしてまた、国際社会との連携、とりわけアメリカとの日米同盟というものを基軸にしながらやっていくことが大事ではないかというふうに考えております。
 さて、拉致の問題でございますけれども、拉致につきましては、御承知のように、普通に暮らしていた、何の政治活動もしていない、北朝鮮に対して何の批判的な行動もしていない普通の国民が、ある日突然、国家の意思によって拉致をされていった。しかも、二十年も三十年もその事態が続いているわけでございます。
 総理は早くからこの問題に取り組んでいらっしゃり、そしてまた、とりわけ議連の活動、そしてまた政府に入られましてからは副長官として、あるいはまた党に戻って、そしてまた官房長官としても引き続きこの問題に大変熱心に取り組んでいらっしゃるわけでございます。
 二〇〇二年に五人の方が戻られ、そのときも総理の決断によって五人の皆様が日本で暮らすことになり、そしてその御家族も戻ってまいりました。少し解決に向かって前進いたしましたが、残りは、十三人の中の五人ではなくて、支援関係者の皆様のお話を聞くと、何百人もいる可能性がある。しかも日本だけではない。韓国、レバノン、タイ、マカオでも拉致された人たちの家族の皆さんが救出を求めているという状況でございます。
 そういう中で総理は、去年の十月ですか、官房長官として特命チームというものを全省庁の局長級を糾合いたしまして、この問題に取り組まれたわけでございます。そして、総理就任のすぐ後に、総理は対策本部というものを総理を本部長としておつくりになって、そして拉致家族の代表の皆様方ともお会いをなさった。これは、関係者、家族の皆さんには大変心強いことだったというふうに思います。
 まずお聞きしたいのは、既にある特命チームと今回おつくりになった本部、両方とも安倍官房長官、安倍内閣総理大臣ということでございますが、組織上はこれはどういうことになるのか、御答弁をお願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 拉致問題に対する特命チームは、これはもともと私が官房副長官当時ございました拉致問題の専門幹事会、これは官房副長官が議長を務めている専門幹事会がございました。この専門幹事会を、私が官房長官になりまして、そして鈴木副長官のもとに、専門幹事会という組織は同じなんですが、名前を特命チームという通称の名前をつけることによりまして、しっかりと拉致問題にむしろ積極的に対応していくという性格づけをしたのであります。その下に情報収集会議と法執行班をつくりまして、さらに強化をしていくことができたと思います。
 そして、このたび拉致対策本部をつくりまして、私が本部長となり、全閣僚に入っていただきます。つまり、総理大臣のもとですべての省庁がこの問題に対して向き合っていくという体制を今度はつくったのでございます。そして、担当大臣としては、官房長官が副本部長として担当大臣となります。そして、事務局を置きまして、事務局長を担当の補佐官であります中山恭子補佐官に、これは事務局として事務をすべて総攬していただくことになります。そして、このもとに、先ほど申し上げました特命チームにあった組織についてはこの中に吸収されていくということになるわけであります。
 いずれにいたしましても、今度は総理が先頭に立ってこの問題を解決していくという体制をつくった、こういうことでございます。
○中川(昭)委員 ぜひ、総理みずから本部長となって、全閣僚が本部員となってこの問題に取り組んでいただくということは、拉致被害者の皆様方だけではなくて国民の大いなる期待があると私は思いますので、頑張っていただきたいと思います。
 自由民主党におきましても、既に幹事長のもとに組織がございますが、各省にまたがる政策マターにつきましては、私の政調会のもとに特命チームというものを設けまして、政府の行う行政的な部分、つまり政策的な部分につきまして、党としても議論をし、そして政府とともにこの問題に取り組んでいきたい。私がその特命委員会の委員長になる予定でございますので、党としても全力を挙げて政府の活動を支援させていただきたいと思っております。
 さて、総理は、所信表明演説の中で、すべての拉致被害者の生還を目指してというふうにおっしゃいました。これは、まことに心強いというか、ある意味では当たり前のことなんでありますけれども、すべての、一体どのぐらいいるのか、何百人いるのかわからない。また、そのお子さんがいらっしゃり、ひょっとしたらお孫さんもいるかもしれないという拉致被害者の皆さんを戻す。戻して、失われた何十年という間を取り返すことは難しいかもしれませんけれども、日本でまた普通の生活に戻っていただきたいということで、総理は力強く表明をされているわけでございます。
 具体的に私が考えるに、私も特命委員会をこれからスタートさせますけれども、なかなかこれは難しい。対話と圧力という基本原則があるわけでありますけれども、今、金融制裁、あるいはまた国連の北朝鮮を含む人権決議というものも去年出ているわけであります。しかし、ああいう国でありますから、幾ら国連が、あるいは国際社会の世論が強くなりましても、あるいは北朝鮮の国民がどんなに苦しんでいても、それとこれとは別だということを今までやってきたわけであります。
 例えば、北朝鮮から日本に対して今約百四十億円ほどの輸入がございます。日本が輸入しております。その中で、六十億円ほどが水産物なんですね。アサリとかウニとか、それからマツタケ、これは農産物、林産物でありますけれども、最近、もうマツタケのシーズンになりまして、私も時々マツタケを食べる機会がありますが、どこ産ですかと言うと、中国産。でも、本当にこれ中国産なのかなと。ひょっとしたら迂回して日本に入ってきている可能性もないではない。これはなかなか、とれる場所まで行って日本が確認するということは難しい。
 したがいまして、農林水産省としては既に、アサリにつきましては、東海岸でとれるアサリのDNAというのは日本のアサリのDNAと違うということで、DNA鑑定ができるんですね。私は、農林水産大臣をつい最近までやっておりましたが、何とか、マツタケとかウニとか、あるいは西海岸におけるアサリについてもDNA鑑定をやって、これは北朝鮮産であるということをきちっと科学的に解明した上で、そして、そのほかいろいろとあります。すべて北朝鮮にとっては大切な外貨獲得の手段でもありますので、金融制裁と同時に、これからは、向こうの輸入もあるでしょう、輸入の多くはたばこであったりウイスキーであったり、ひょっとしたら将軍様の召し上がるごちそうであったり、いろいろなものがあるんでしょう。それをストップすることも意味があると思いますけれども、貴重な外貨獲得手段であります日本に対する百四十億円、とりわけ農産物、水産物のウエートが高いわけでございますので、そういうものについての輸入禁止、あるいはまた、その次の段階としてのすべての輸出入の禁止というようなことも考えられるわけでございます。
 総理は、すべての拉致被害者の生還のために努力をするということを表明されておりますけれども、具体的にどういうことをお考えになっていらっしゃるのか、そして、この問題に対しての、解決のための総理の改めての御決意をお伺いいたしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 中川先生も議連の大変苦しいときに会長として大変な御尽力をいただき、また農林水産大臣としても御協力をいただいてまいりました。ですから、もうよく御承知のとおりであろうと思いますが、私が、すべての拉致被害者の生還、こう申し上げておりますのは、いわゆる日本が既に認定をしております拉致被害者以外にもやはり拉致被害者が存在する可能性というのも十分にあるわけでありまして、事実、二〇〇二年に小泉総理、私も一緒に訪朝した際には、そのとき、その時点では認定をしていなかった曽我ひとみさん親子も拉致をされたということが新たにわかったわけでございます。
 しかし、国として認定する場合には、これはもう間違いがないという、かなり確証を得なければなかなか認定をするわけにはいかないというのもこれは事実でございまして、もしこちらの方が間違った認定をしますと、これは北朝鮮側から、そもそも日本が言っていることはおかしいではないかという論拠になってしまうということがございまして、そこは慎重な判断をしているわけでございます。しかし、もうそれぞれ二十年以上もたっているわけでありまして、なかなか確たる証拠をすべて集めるのは難しいというのも現実の中で、実際は拉致をされた方々もたくさんいるかもしれない、全貌を知っているのは拉致を実行してきた北朝鮮である、このように考えます。
 その意味では、この問題はすべてを解決しなければ、やはり真実は強いわけでありまして、いずれは必ずわかる、その中ですべての解決、つまり、すべての生存者の生還を図っていくということを国としてのこの問題の解決ということにしているわけでございます。
 そこで、この問題を解決していくために、対話と圧力の姿勢で対応してまいりました。先般のミサイル発射を契機として、日本は万景峰号の入港禁止を初め制裁措置をとったところでございます。そしてその際、私は官房長官として、この制裁措置はミサイル発射だけではなくて、北朝鮮が拉致問題についても誠意ある対応をとってこなかったことも、その観点からもこの制裁を行ったということを述べているわけでありまして、今後、北朝鮮の対応次第によってはもちろん制裁が解除されていくということもありますし、また、圧力自体は決して目的ではないわけでありまして、問題を解決することが目的ではありますが、北朝鮮が誠意ある対応をとらないのであれば、我々はいろいろとさらに考えていかざるを得ない、このように考えているところでございます。
○中川(昭)委員 さて、安倍内閣発足と同時に、官邸機能の強化ということに総理は大変御苦労といいましょうか熟慮されたわけでございますが、私は、総理がリーダーシップをとって、内閣、行政の最高責任者ですから、どういう形にするのが自分の仕事にとっていいのかということは、全く総理の御判断であろうというふうに思います。
 そういう意味で、何か、船頭がいっぱいいるとか二重行政になるんじゃないかとかいろいろと御指摘もありますけれども、私は、これは総理の責任とリーダーシップにおいて、やりたいようにと言ったらちょっと乱暴な言い方ですけれども、やりやすいようにおやりになるのが、総理の専管事項だというふうに思っております。
 今回は、首相補佐官、五人ですか。それから、官邸特命室にもスタッフがいる。しかも、首相補佐官の五人の方は、いずれもその道の大変専門的な国会議員、政治家であるわけでございます。そういう意味で、非常に強力な、官邸機能が強化されたというふうに私は思います。
 そこで、我々がちょっと気になるのは、議院内閣制という大前提があるわけでございまして、その中で、ともすれば、私なんかもよくマスコミに聞かれるのは、官邸機能を強化するということは与党のことを無視するんじゃないんですかと。関係なく、どんどん官邸でやっていくんじゃないんですかというようなことを聞かれますから、私は、あくまでも、議院内閣制のことは総理御自身が一番よくわかっているわけでありまして、与党が、いろいろ法案をつくるに当たって議論をしたり、あるいはまた国会での審議をしたり、そして最後は与党の賛成がなければ成立をしていかない、あるいは政策が実行できないわけでありますから、そうではないんだということを私なりに理解をしているわけでございますけれども、改めて官邸機能の強化と与党との関係につきまして総理のお考えをお伺いいたしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 私は、当然、日本は議院内閣制でございますから、与党の議員によって内閣が構成される、そして、与党の代表として総理大臣が官邸において指揮を振るっていくということでございます。当然、与党との意思の交流、そして同じ方向に向かって政策を進めていく、また、与党の協力をいただきながら法案を通し、政策を実施していくということ、これは当然であろうと思うわけであります。
 私が官邸機能を強化するということは、何も与党と対立をするためにこの機能を強化するわけではございません。あくまでも、例えば、官邸の広報機能、また海外への発信機能、そしてまた危機管理等における情報収集機能等々をさらに強化させていきたいと考えております。
 また、各省からスタッフが官邸に集まってくるのでありますが、色彩としては、各省庁から出向、これは当然出向と今でもならざるを得ないのでありますが、どうしても自分の出身の省庁を見る、その出身省庁との連絡役的色彩も濃いという側面があるわけでありますが、やはり官邸のスタッフの一員としての意識をしっかりと持ってもらう。意識の上では、官邸において内閣が遂行している仕事をしっかりと前に進めていく、自分が所属をしているかつての省庁のセクショナリズムには全く陥ることがない、そういう決意を持ってもらわなければいけないという観点から、むしろ、橋を焼き落としてくるという意思で公募制度をつくり、これは大変たくさんの方々に応募をしていただき、優秀な人材を確保することもできたのではないかと思います。
 そして、あくまでも基本的には、選挙によって国民から選ばれた政治家がリーダーシップを発揮していくという基本に戻ることが大切であろう、こう考えたのでございまして、その結果、官邸で仕事をする政治家の数もふやしたということにもなるわけであります。
 繰り返しになるわけでありますが、これは与党と対立をするのではなくて、むしろ、政治のリーダーシップを確立させるためにも官邸を強化させた、このように御理解をいただきたいと思います。
○中川(昭)委員 橋を焼き落としてきたという覚悟でもって総理を補佐し、日本全体のために貢献するであろう官邸の新しいスタッフの皆さんに大いに期待をしたいと思いますし、そういう意味では、我々としても、チェックをさせていただくことも場合によっては必要なのかなというふうに思っております。
 そこで、一つ具体的なことをお伺いします。
 大田大臣、経済財政諮問会議でございますが、私も経済産業大臣のときに、経済財政諮問会議、これは大変長時間にわたって熱心に議論をし、小泉総理のために大変大きな役割を果たしたわけでございますけれども、当時は、ともすれば経済財政諮問会議と与党との間が没交渉といいましょうか、余り連絡がうまくとれていない。
 もちろん、内閣の中の組織ですから、それは担当大臣なり官房副長官なり長官なりが連絡役ということになるんだろうと思いますけれども、一般論として、非常に重要な政策課題をこれから議論する上での重要なお立場になる、そしてまた、以前は政策統括官として会議等にも参加をされていて、今回担当大臣におなりになったわけであります。経済財政諮問会議は総理のもとで行われるわけでありますが、あえて、与党との関係あるいは政治との関係、議会との関係については、どういうポジション取りでこれから諮問会議を進行されていくのか、お考えをお伺いしたいと思います。
○大田国務大臣 経済財政諮問会議は、内閣総理大臣のリーダーシップのもとで、経済財政政策のエンジンとしての役割を担うものです。これまでも、政府・与党連携のもとでさまざまな重要な政策課題に取り組んでまいりました。
 これからも、民間議員の豊かな見識を活用し、国民にわかりやすく透明な政策決定過程を実現すべく、与党と連携をとって改革の加速、深化に努めてまいります。
○中川(昭)委員 次に、日本経済全般についてお伺いします。
 これも大田大臣にお伺いをいたしますが、日本も、失われた十年とかバブル崩壊とか、いろいろ言われてきましたけれども、ここのところ、マクロとしては順調に景気回復というか、景気が拡大をしている。地域によっては拡大をしている、緩やかな拡大、言い方にまだまだばらつきがあるわけでございますが、最近の日銀短観、DIなんかを見ますと、業況としては非常にいい。それから、雇用情勢については大変な不足状態になっているということであります。
 しかし、経済というのは日本国民すべてにかかわることであり、事業体も四百万も五百万もあるわけでございますから、そして全国に散らばっているわけでありますから、個々をとればいろいろあるわけであります。大企業と中小企業、あるいはサービス業と製造業、あるいは大都市と地方、過疎地帯、いろいろあるわけでございますけれども、そういうデータ的にはよくなっている。
 そしてまた、アメリカの方も、原油が急落といいましょうか、二十ドルぐらい一挙に下がってきたという状況もあったり、ドライビングシーズンが終わって需要が減ってきたとか、いろいろなアメリカの状況。しかし、アメリカも完全に堅調ではないというような話も聞くわけでありますけれども、今の日本の経済状況、あるいは、ここ短期的に、年末ぐらいに向かってどういう状況になっていくというふうに御認識になっているのか。
 それから、私自身は素人でございますけれども、常に名目成長率と実質成長率が逆転している状況、大ざっぱに言うとデフレの状況、これがまだ続いている。最近大分縮んできたといいますけれども、あのデータも少し入れかえておりますので、前のデータで計算をすると逆転幅が新しいデータよりも大きく出るはずであるとか、いろいろなことがあるわけでありますけれども、現在の経済状況、それからデフレという、本来の正常な形に戻ることに対しての御認識というものをお伺いいたしたいと思います。
○大田国務大臣 景気は今、五十六カ月に及ぶ息の長い回復を続けております。この背景にありますのは、企業部門の好調さが続いていること、その中で、雇用情勢の改善に広がりが見られるなど、家計部門に改善が及んでいることがございます。
 先行きにつきましては、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見ておりますが、一方で、原油価格の影響が経済に与える影響など、十分に留意して見てまいりたいと思っております。
 それから、デフレ脱却の見通しについて御質問がございました。
 物価の動向を総合的に見ますと、デフレからの脱却が視野に入ってはおります。しかし、今後デフレに後戻りする可能性がないかどうか、慎重に見てまいりたいと思っております。政府と日銀一体となって、いわゆる骨太方針二〇〇六に基づいて構造改革を加速、深化してまいります。
 日本銀行に対しましては、引き続き金融面から確実に経済を支えてくださることを期待しております。
○中川(昭)委員 今、大田大臣がおっしゃいましたように、全体としては、五十六カ月ですか、拡大をしているということでありますが、石油の状況が非常に、はっきり言って不安定であると。つまり、地政学的なリスクであるとか、あるいはまた投機的な資金。今回下がっている要因は、ドライビングシーズンが終わった、実需が減っているということもあるわけでありますけれども、聞くところによると、アメリカのマネーが石油の方から国債の方に回っている、そういうふうに言っているエコノミストもいるわけであります。
 それから、地価ですね。地価についても、全体としては順調だといいますけれども、例えば私の地元の北海道の帯広の駅前なんというのは、これは全然地価が上がっているという実感がないんですね。多分、多くの地域、点で見ると、私は地価というのは、もちろん東京のど真ん中とか名古屋のど真ん中とか大阪のど真ん中は確かにそれは景気もいいですから、足腰も強いですからそういうことになるんでしょうけれども、そうじゃない地域もいっぱいあるんだと。
 だから、それを一くくりに、地価も上がっていますね、上昇していますね、あるいはまた個人消費の方にもだんだん波及してきていますね、設備投資も順調ですね、だから利上げですね、そう単純にいくものじゃないんだろうと私は思っているわけでございまして、これは日銀の専管事項でありますから、私が言うのはいいかもしれませんけれども、大田大臣や政府の皆さんにお答えを求めるつもりはございません。しかし、日本というのは、北海道・稚内から石垣島まで我々の仲間、国民が住んでいて、一生懸命生活をしているわけでありますので、その辺をよく見ていただいて、実感としての経済、数字上の経済というのももちろんベースになるんでしょうけれども、実感としての経済というものを、ぜひ、大田大臣あるいは総理初め内閣の皆さん方には折に触れてそういう面からの経済判断というものをしていただきたいというふうに思います。
 これに関しまして、経済財政について総理にお伺いいたします。
 イノベーションにつきましては後でお伺いいたしますとしまして、総理、これから少子高齢社会が、もう既に入ってきているわけでありまして、六十五歳以上の人口が二〇%を超える、七十五歳以上の人口が一〇%を超えるという中で、しかし、子供の数は一・二五という世界でも大変低い水準にあって、これは後でお話しします年金とか社会保障の問題にも関係してまいりますけれども、現役世代、つまり活力を持って社会を支えている世代が相対的に少なくなっていくという中で、この社会保障の問題もそうですし、総理がおっしゃっている、力強い地方をつくるんだ、あるいはまたいろいろな面でイノベートするんだ、あるいは科学技術とか、必要な経費というものが当然求められていくわけでありますけれども、この少子高齢社会の中で当然にふえていく部分と政策として重点化していかなければいけない部分とあって、そこで歳入歳出一体改革という議論が出てくるわけであります。
 まず、総理のキーワードの一つに筋肉質という言葉がありますが、私はこの言葉は大変好きでありまして、つまりぜい肉を落とす、無駄な肉を落とす、そしてスリムにして、スリムになれば体力がつきますから敏捷になりますね。そして健康になりますね。そのために、つまり、まず歳出を徹底的にカットする。その上でどうしても歳入を確保しなければならないときには、歳入については次に考えますというのが例の政府・与党が一連議論をしてきた一つの方向性であり、総理もその方針でいかれていると理解をしているわけでありますけれども、このような歳出改革、まず歳出ありきが順番である。
 まず歳出を徹底的に削減してスリムにしなければ、仮に国民に負担増を求めるときでも、国は全然、依然としてぜい肉がいっぱいついているじゃないか、動きがのろいじゃないか、何も努力していないじゃないかということでは国民の理解も得られないわけでありますから、まず徹底的な歳出の削減、そして中長期的といいましょうか、来年以降の歳入の抜本的な見直し、二〇一一年のプライマリーバランスの黒字化というタイムスケジュールがあるわけであります。当面の最大の目標であります歳出削減については、何でも切ればいいというものではないわけでありますけれども、やはりぜい肉、脂肪その他は徹底的に見直しをして、男であればベルトの穴が一つか二つウエストが細くなるというぐらいの目に見える形で、しかし、外からは見えなくても中に脂肪があってもだめなわけですから、中も含めて、外からも中からも不要なものを取るということについての御決意をお伺いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 私が筋肉質の政府と申し上げましたのは、まさに中川委員が御指摘のとおりでありまして、しっかりとぜい肉をなくしていくということでございまして、体が小さくなったけれども力が弱くなってサービスができない体になってはならないと思います。なくすべき、落とすべきぜい肉は落としながらも、やるべき国民へのサービスは提供できる、その力を持つための筋肉はちゃんと持っている、そういう政府にしていくべきであろう、このように考えます。
 少子高齢化が進む中において、社会保障費は膨らんでまいります。また、年金制度、特に今、国民年金の安定性を高めるために、二〇〇九年には基礎年金の国庫負担分を三分の一から二分の一に引き上げていくことも決まっております。
 来年の秋以降におきまして、今後、税の体系をどのような体系にしていくのか。地方の税収を安定させていくという観点もあるでしょうし、また、ふえていく社会保障費にどう対応していくかという観点もあるでしょうし、またあるいは、国際競争力をやはりしっかりと確保しなければならないという観点もある。そうした観点から抜本的な改革をもちろん行っていくわけでありますが、と同時にまた、二〇一一年にはプライマリーバランスを黒字化するという大きな目標がございます。
 そして、その中で、国民の皆様に御負担をお願いする前に、ここまでしっかりとやりましたよという、我々は、歳出を見直ししていく、無駄遣いを徹底してなくしていくという努力をしなければならない。これは本当に大変な努力でありますが、今までもう既に小泉改革で五年間行ってきた後だからこそ、さらに難しいものが残っている。それをさらにやらなければならないという困難な仕事でありますが、それをやっていくことが我々政治家の責任であると考えています。
 と同時にまた、経済成長戦略については、我々、成長を目指していくという中において自然増収も図っていく、これも当然ではないか。その中で、とにかく国民から、まだまだ無駄遣いが残っている、こういう指摘が一切なくなるように全力を挙げて歳出の改革に取り組んでまいります。
○中川(昭)委員 ぜひ、心身ともに、そして中身も外見も筋肉質で、そして体力をつけて頑張っていくということを前提にして、中長期的な日本社会に必要な歳出確保のための歳入というものを行っていくことを、我々としても、そういう対応を与党として議論をし、支援をしていきたいと思います。
 さて、総理は、所信表明を私は何回も拝見して、ここで所信表明についての感想をちょっと述べさせていただきたいんですが、キーワードが幾つかあって、例えば、「美しい国」という言葉が三回使われております。それから、「再チャレンジ」という単語は五回使われております。「拉致」という言葉は五回使われております。また、「家庭」、「家族」、「地域」といった言葉。それから、「成長なくして財政再建なし」、「筋肉質」。消費税は「逃げず、逃げ込まず」という非常に力強い言葉があるわけでありますが、その中でイノベーションについてちょっと総理のお考えをお伺いしたいのであります。
 イノベーションというと、一九三〇年代、アメリカが大不況になったときの、ハーバード大学のシュンペーター教授が提唱されたというか、シュンペーター教授が言われたことで非常に世界的に有名になったわけであります。
 シュンペーター教授は、もともとはオーストリアの大蔵大臣をやられていて、つまり、第一次世界大戦前後の大蔵大臣ですから、オーストリア・ハンガリー帝国が崩壊するときの財務大臣、大蔵大臣であったわけでありまして、そこからアメリカに行って、ハーバード大学の教授になって、いろいろと大変な論文等をお出しになっていて、私自身は、このイノベーションがシュンペーター教授だぐらいのことしかわからないんですけれども。
 改めてこのシュンペーター教授のイノベーションというのを見ますと、単なる技術革新を言っているんじゃないんですね。つまり、技術革新が経済を活性化させる、逆に言うと、イノベーションが行き詰まって経済が落ちつくとこれを不況と言うんだということであって、イノベーションというものは技術革新だけじゃなくて、新しい生産方式であるとか、あるいはまた販売先の開拓であるとか、仕入れ先の獲得であるとか、新しい組織をつくることもこれはイノベーションだと。トータルとして経済を活性化する、不安定状態にするとすら言っていますね。安定というのは停滞であって、不況なんだと。
 これは言うまでもなく、あの当時はアメリカは大不況でありましたから、シュンペーターのその理論がいいのか、フィッシャーという経済学者の財政を中心にした議論がいいのかという大論争がありました。経済財政諮問会議のときにも、私がちょっと発言をいたしました。あのときはデフレ真っ最中、不況真っ最中のときでしたからそういう議論をあえて申し上げたんですけれども、今は上り坂のときですから、上り坂においての技術革新というものを、私は、まさにシュンペーターという人の理論というものを、ある意味では、技術革新というよりも広い意味でイノベーション、日本語で言ったら何と言ったらいいのかちょっと思いつかないんですけれども、まあ、革新ですね。経済的な諸要素における革新と言った方がいいんでしょうか、そのイノベーションという言葉を総理は何回もお使いになっております。
 このシュンペーターという人が、学生時代私も授業で習って、うろ覚えでありますけれども、コンドラチェフの波という、長期の経済波動というものをシュンペーターが理論づけをしたわけでありまして、経済というのは五十年タームで景気の山と谷がある。それはまさにイノベーションと一体であるということで、シュンペーターは大体十八世紀の終わりぐらいから亡くなる二十世紀の半ばぐらいを分析しているわけでありますが、第一期がナポレオン戦争時代から十九世紀の半ばぐらい、このときは繊維産業と蒸気を中心にして産業革命が起こった、これが谷から山になり、また谷になるのに大体四、五十年というタームで、第一の波だというふうにシュンペーターは言っております。
 次の第二の波は十九世紀の半ばから十九世紀の終わりぐらいですけれども、やはりこれは蒸気機関というエネルギーで、鉄鋼というものを生産し、それが鉄道になっていった。
 鉄道になっていって最大の恩恵をこうむったといいましょうか、最大の利益を享受したのはアメリカですね。アメリカは、鉄道によってまさに物流というものが飛躍的に、大量に、迅速に行われて、あの広大な、しかも未開の西部を開拓する。あるいはまた、人口がどんどんふえていくという中で、大量に人や物を運ぶという鉄道によって、ある意味では、そのとき以降今日までのアメリカのヘゲモニーのきっかけは、私は、蒸気機関、鉄道がスタートであった。もう一つは石油だったかもしれません。アメリカでスタンダード・オイルが、北東部で石油がとれたということで、例のロックフェラーさんのもあったかもしれませんが、これが第二の波だというふうにシュンペーターは言っております。
 第三の波は、これは二十世紀の初めから多分二十世紀の半ばぐらいまでということで、電力、自動車、化学といった大量生産、これによって産業が引っ張っていく。これは要するに、何か新しいものができたというよりも、巨大な産業ができて、そして、産業構造だけではなくて一般の人々の生活まで変えていくということになる。車がだれでも手に入るようになる。あるいはまた、電気を使って家の照明から電気製品、テレビなんかも入るんだと思いますけれども、コンセントに差し込んでスイッチを入れればいろいろな電気製品が使える。これが大体二十世紀の半ばぐらいで終わる。
 ここから先は私の推測なんですけれども、その理論が、シュンペーターによる、技術革新による世の中、産業、生活の劇的な変化のコンドラチェフの波が続いているとするならば、では、その次の第四の波は何だったんだろうか。つまり、五十年ということになると二十一世紀になるかならないかという時期だろうというふうに思いますけれども、これを振り返ってみますと、例えばITであるとか、それから、いろいろな、携帯電話なんというのは非常に貢献しているんだろうと思います。これはもう本当に、産業構造だけではなくて、皆さん方が一人一台、二台持っている携帯電話によって、電話もできればテレビ等の動画も見られれば双方向の情報交換もできる。これが第四の波だったんですけれども、ITバブルの崩壊と関係するのかどうかわかりませんけれども、それも大体一巡してきた。
 そうすると、ちょうど二〇〇一年の今ごろの時代から第五の波が今度始まるのではないか、これはあくまでも、何回も申し上げますが、シュンペーターの理論によるコンドラチェフの波をあえて前提にしての推測になるわけでありますが。そうすると、これから始まるであろう第五の巨大かつ抜本的な産業構造、生活様式の変革に寄与するというか、なっていくだろう分野は何であろうかというと、例えばナノテクノロジーでありますとか、あるいはまた遺伝子工学でありますとか、あるいはまた次世代エネルギー、既に一部始まっておりますけれども、非化石燃料でありますとか、あるいはバイオ関係のエネルギーであるとか、あるいは究極のエネルギーと言われております水素エネルギーであるとか、こういったもの。それから、新しい形の脱工業化、サービス化といったものも多分ITと連動してより生活等に大きく変化を与えていく、つまり便利になっていくということになるのかなというふうに思っております。
 そういう意味で、総理は、技術革新、革新的な技術を中心にして日本がある意味では世界の競争の中で勝ち抜いていこう、いい社会をつくって次の世代に渡していこうというのはわかるんですけれども、これは世界経済史的に見ると、もっともっと大きな流れの中の第五番目の波であるということ、そういう認識に立って、先ほど申し上げたように、単に技術の問題じゃないんだ、製品化するんだ、その製品化というのは、さっきも言ったように、販売であったり仕入れ先であったりあるいは組織の改編である。広い分野、あえて言えば、ハードだけじゃなくてソフト、あるいは人間関係も含めて抜本的な変革になっていくんだということだろうというふうに、このシュンペーター、コンドラチェフ理論でいくと、そういう第五の波の先頭に日本が立とう、また立たなければならないということであります。
 そこで、アメリカは、一九八〇年代に日本が非常によくてアメリカが非常に悪くなった時代にヤング・レポートというのが出まして、これはもう皆様御承知だと思いますけれども、アメリカの戦略産業十業種の中で今アメリカが競争力を持っている分野は農業と航空機産業しかない、あとの重要八分野は全部日本やヨーロッパ等に負けている、これじゃいかぬということで、ヤング・レポートというものを出したわけであります。これは随分、私が農林大臣をやっておりました小渕内閣のときに政府としても勉強をした記憶があるわけでありますけれども、これによってレーガンはある程度の競争力の回復をしたわけでございます。
 二〇〇四年になりますと、今度はパルミザーノ報告という、IBMのCEOの方が中心になって、競争力評議会がイノベート・アメリカというレポートを出したわけであります。つい二年ほど前のことであります。
 これもやはり、国際的競争力を確保していくためにはアメリカが頑張らなければいけない部分がいっぱいある。例えば、国家的なイノベーションというものを共通目標を持って教育を行っていくとか、あるいはまた次世代のイノベーターというものを育成していくとか、あるいはグローバルな競争の中でのアメリカの労働者の皆さんをどうやって支援していくか、あるいはまた、先進的な分野に対するあるいは起業家に対する投資、それからリスクを恐れない長期的な投資、こういったものに積極的に支援をしていこうというのがパルミザーノ・レポートの要旨だというふうに理解をしております。
 つまり、要は技術を、国際的な競争に勝つためにはいいものを売らなければいけない、価格も含めていいものを売らなければいけない、いいものというのは技術だ、技術というものを開発するのは人だ、販売も含めて人だ、組織だという観点から、イノベーション・ジャパンとあえて言いますけれども、総理が提唱されている、イノベーションということを大変強調されているのは、将来にわたっての、まさに第五の波が仮に始まっているとするならば、日本はその中で勝ち抜いていくために、先端技術をつくりましただけではなくて、それが実用化しましただけではなくて、それが世界を席巻する。
 一時の日本のIT、あるいはまたテレビ、そして自動車、細かいものはいっぱいあるんでしょうけれども、世界へ行っても日本の自動車、最近テレビはどうも韓国、中国のテレビが大変元気になってきておりますし、自動車だっていつまでも大丈夫だということではないので、さっき言ったように、次世代エネルギーであるとかナノテクノロジーであるとか遺伝子工学、遺伝子工学は総理が医療の最大のポイントにしております予防医学、これにも関係してくるわけであります。
 そういう意味で、単なる技術革新としてのイノベーションではなくて、社会を変える、生活を変える、産業構造を変えるような、そういったものを、過去においてやってきているというアナロジーにおいて、今まさに第五の波が始まろうとしているという前提に立った上で、総理としてのイノベーションというものに対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 私は、総裁選の際に、日本が人口減少局面に入ったとしても十分に力強く成長していく可能性がある、その要素として人材の育成、そしてイノベーションと社会、国を開いていくオープンではないか、こう申し上げてまいりました。そして、そのイノベーションとは、ただいま中川委員が御指摘になったように、単に技術の革新、新しい技術の開発だけではなくて、新しい例えばビジネスアイデア、新しい取り組み、全般にわたる革新である、このように申し上げました。
 ですから、製造業だけではなくてサービス業においても、日本が弱いと言われているサービス業においてもイノベーションによって十分に世界で競争力を高めていくことは可能ではないか、こう申し上げてきたわけでありまして、労働力人口が減っていく中において、イノベーションにおいて画期的に生産性を高めていくことができるのではないか。
 特に、日本はどうしても得意分野が製造業になりますのでそこに偏りがちにはなるんですが、金型の分野において、ある金型メーカーがIT技術を駆使することによって、四十五日間かかっていた電話の金型の工程を四十五時間に短縮することに成功し、そして世界のトップのメーカーになりました。つまり、これはもう物すごい生産性の向上が起こった、このように思います。
 これは、IT分野だけではないんですが、しかし、やはりまだIT分野、まだまだ日本は投資が不十分ですし、この分野の活用も不十分なんだろう。ITも蒸気機関と同じで、ITそのものでは富を生み出さないわけでありますが、ITを活用することによって富を生み出していくのでありまして、今、日本は、幸い、森政権からスタートした、IT、世界最高水準の国家になる、この目標を達成して、廉価で最速の高速インターネット網を張りめぐらすことに成功したのでありますが、まだまだ戦略的に活用し切れているとは言えない。これからさらにこの分野に投資を促し、活用していく。そして、この分野で今起こっている世界的な技術革新の波に乗りおくれてはならないと思います。
 しかし、もちろん、このIT以外にも、委員が御指摘になったナノテクノロジーあるいはバイオ等々、さまざまな新しい技術がございます。そこで、所信表明でお話をいたしましたように、私の内閣におきまして、イノベーション25、つまり、二〇二五年にはどういう技術が開発をされていて、それは私たちの生活にどういう影響を与えているか、そして産業をどのように変えているかということを予測し、それに備えた政策を今から打っていくということでございます。そこには、英知を結集していかなければいけないわけでありまして、最先端の技術をよく知っている見識のある科学者にも入っていただく必要もあるでしょうし、産業界、あるいは生活も地域も変わっていくかもしれないという見地からも検討を加えていかなければならないと思います。
 今からしっかりとそのときの技術の進歩の状況等を予測しながらそれに備えていく、そして、しっかりと世界のこの技術革新の波に乗りおくれない国にしていかなければならない、このように思います。
 「母をたずねて三千里」というお話がありますが、あれはイタリアからアルゼンチンに出稼ぎをしたお母さんを尋ねて旅していくお話でございまして、当時は、二十世紀の初頭においては、アルゼンチンがまさに産業活力に満ちた国であって、西洋から出稼ぎに行くという状況であったわけでありますが、その後、工業化の中で、それぞれ立場が変わってきたということでありまして、今やるべき政策をしっかりと実行していくことが大切であり、将来を予測していくことも極めて重要である、こう認識をしております。
○中川(昭)委員 ぜひ、イノベート25・イコール・イノベート・ジャパンということでやっていただきたいと思います。
 日本が競争の中で勝てるのは、技術力といいましょうか商品力といいましょうか、それしかない、あとは人間力ということになりますので、ぜひお願いします。
 そこで、地方経済、それから地方のとりわけ中小企業と雇用についてお伺いをいたしますが、先ほども申し上げましたように、やはり地域によってまだばらつきがある。有効求人倍率、直近の数字で一・〇八ですか、その中には東京や愛知等のように、あるいは福井なんかのように一・五を超えて一・六、一・七というところもありますし、北海道〇・六二とか、あるいは青森はもっと低いとか、そういったところもあるわけでありまして、均衡ある国土の発展、あるいは均衡ある地域生活というものは、やはり私はシビルミニマムだろうというふうに思っているわけであります。
 そういう中で、総理は頑張っているところにはきちっと交付税も対処しますよということをおっしゃっておりますが、三位一体、これは私も前、内閣にいてやりましたけれども、三位一体をやって、補助金をちょっと見直しをして、そして交付税を思い切り切って税源だけ移譲しますよといっても、過疎はとられるものはとられて来るものは来ないんですね。税源は移譲されて、そしてまた、もともと交付税をもらっていない東京とか、こういったところが、ある意味では焼け太りをしてしまう、東京の方に怒られるような発言だと思いますが。逆に、私のところとか東北とか四国とか南九州といったところは、何か、来ていたものがなくなって、そして目録だけ来て、目録の中身はないという、これは全く、はっきり言って何だったんだと。こういう場ですから言葉は気をつけて言わなければいけないんですけれども、本当に怒っていますよ、だまされたんじゃないかなと。
 そういう意味で、総理は、頑張っているところに交付税をという言葉は、私は大変関係者の皆さんには期待をしているところだろうと思います。
 地域は頑張っています。一生懸命頑張っています。だからこそ、去年、小泉総理と私でものづくり日本大賞というのをやりまして、これは二年に一遍、もちろん大企業もありましたけれども、地方の頑張っている中小企業、沖縄の義足を一生懸命つくっている会社、あるいはまた、すしロボット、冷凍技術をつくっている北海道の食品メーカーといったところもあるわけであります。
 そこで問題なのは、よく言われるのは、公共事業は景気浮揚策があるという、しかし、その景気浮揚策、景気乗数効果はもうそんなに意味がないんだ、それから、不要なもの、もちろん、不要な公共事業はこれはどんどん切っていかないと国民の税金の期待にこたえられないわけでありますから、しかし、必要なものは今後もやっていく、これは総理も同じお考えだろうと思います。
 公共事業を減らすというときには、雇用の問題とセットにしてもらわないと、これは、公共事業は減りました、地元の建設関係の皆さんは仕事がなくなりました、地元の皆さんが仕事がなくなって会社が厳しいというよりも、自分たちの社員の雇用がないんだ、地方ですとほかのところに行くことができないですから。ですから、ぜひ、公共事業を減らすというのはぎりぎりのところではやむを得ないんですけれども、そのときには雇用対策とセットにしてもらいたい。
 つまり、人材をよりレベルアップして、仮に、建設関係だけの仕事しかできなかった方が経理を勉強したりコンピューターを勉強したりということで、雇用対策をぜひセットでやらないと、そういう歳出削減、とりわけ公共事業という非常に人的な範囲の広い分野でありますので。欧米、特にフランスなんかはそういうことをやっているんですね。
 公共事業は景気刺激策というよりも、公共事業と雇用政策との密接な関連というものをこれからセットでやっていただきたい。地域再生本部の方で準備されているというお話もありますけれども、総理の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 地域の活性化は私の内閣では極めて重要な課題であると認識をしております。そこで、佐田大臣を担当の大臣に任命をしたところでございまして、今後、地域の再生につきましては、既に行ってまいりました構造改革特区あるいはまた都市再生、中心市街地活性化や観光立国等々の諸施策を総合的に活用していくことも必要でありますし、また、先ほど中川先生が御指摘になられました、いわゆる公共事業を減らすことによって、その公共事業しかなかなかないという地域があるのも事実でありまして、私の地元、山口県も山陰地域はなかなか厳しいというのが現状でございます。
 公共事業を減らすことは、即いわゆるその公共事業で仕事をしていた人たちが仕事を失っていくということになるわけでありまして、その会社、その業界ということではなくて、そこで働いている人たちにやはり着目をしていくのは当然のことだろうと思います。そういう方々が果たしてこれからの産業にどう対応できるか、それをどう応援をしていくかという観点から、研修の仕組み、あるいはまた、チャレンジをしたいという方々が何か技術を身につけたり、資格を取るということを応援することもこの再チャレンジの中で考えてまいりたいと思います。
 八月に愛媛県に参りましたときに、道路舗装を主に中心的な事業にしていた会社が、だんだん公共事業が減っていく中で、やはり地域を大切にしたい、また雇用を何とか守りたいという観点から農業に進出をしまして、大変な利益を上げるというまでにはいっていないわけでありますが、それなりの産業として確立させつつあるわけでありまして、また、将来のバイオエタノールにも着目をしてそのための作物づくりにも励んでいる。
 その社長さんからお話を聞いたら、何とかこういう中で、今までのような状況の中で公共事業がふえていくということはないだろう、恐らくこれは減っていくだろう、しかし自分は雇用を守る、そのために何かできることがないかと考えたら、そのときに、やはり自分たちは農業をやるべきだというところに思い至ったということでありまして、大変な創意工夫の中で成功しておられる経験をしておられる。そういう経験を全国で共有していくことも大切ではないか。
 いずれにいたしましても、地域がどんどん衰退をしていく日本というのは、これは将来日本としての姿を私は失っていくのではないか、その観点から、しっかりと地域の再生、活性化に取り組んでまいります。
○中川(昭)委員 佐田大臣には、今総理が概略話しましたので。
 地域が頑張っている、頑張っているところに支援をする、あるいはまた再チャレンジのために支援をするということが非常に大事だ、そういう基本的な視点でぜひ、地域はそれでなくても疲弊をしている、公共事業が少ない、そして中心市街地、商店街が非常に困っているといったような面について、雇用的な面での総合的な対策をぜひとっていただきたいと思います。
 頑張っているところは頑張っているんですね。でも、頑張れば成功できるかというとそうでもないわけでありまして、そこを、セーフティーネット、そしてまた再チャレンジ。私は、セーフティーネットだけじゃだめだと思うんですね。セーフティーネットというのは、何かどこかからおっこったら、けがしないようにぎりぎりのところで助けてあげますよだけじゃだめなので、そこからまたもう一度頑張ろうよというところまで支援をするというところで、民主党はセーフティーネット、セーフティーネットと言っていますけれども、我々は、セーフティーネットは当たり前なんだ、セーフティーネットをつくった上で再チャレンジを支援するんだ、次のところまでいっていますから。おっこったところでおしまいじゃなくて、おっこって上がるところまで我々は考えているということをぜひ我々としては強調したいと思います。
 さて、そういう意味で、地域団体商標、地域ブランドというものをことしからスタートしております。これは、今の商標法だと大変時間がかかる。有名な夕張メロンなんというのは今商標をとっていますけれども、三十年かかりました。これではさすがに、三十年たっているともう新しい品種、おいしい品種ができて、とったときには何かもう古くなっているということになりますので、迅速にやろうということでことしからスタートして、もう何百件と全国から出ております。
 そういう意味で、これは一次産業、農林水産物だけではありませんけれども、私の地元の長芋とか豆とか、いろいろ出ております。ほかのところも、全国、皆さんのところから出ておりますので、こういったものもブランド化するということが非常に大事だというふうに思っておりますので、これについても、これは経済産業大臣の方で積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 農業、食料産業、総理は食料、農業は戦略産業であると。さっき、アメリカがヤング・レポートのときに農業が数少ない強い戦略産業だというお話をいたしました。戦略産業、つまり、食べるということはだれでも食べますから、これを、自給率を、金額ベースで七〇%、カロリーベースで四〇%、世界で、先進国でも一番低い部類に入っておりますが、消費者は、安全でおいしくて顔の見える、そしてできれば価格の安いものを求めているわけでありますが、我々としては、単に生産サイドがつくっただけではなくて、消費者が好まれるものをつくってお互いにハッピーになりましょうよという政策を、私、そして後任の大臣が今一生懸命やっているわけであります。
 それだけではなくて、単におなかいっぱいになってエネルギーを確保するだけではなくて、やはり、食というのはそれぞれの国、地域、長い間の文化であり、誇りでもあるわけであります。したがって、我々は食育という、これは本当は政府があるいは政治が熱心にやるべきことなのかなと思っていた時期もありますけれども、余りにも今の日本の食生活、とりわけ若い人たちの食生活が大変心配な状況にある。朝御飯を食べない二十代の男性が三〇%もいるとか、女性でも二〇%いるとか、ひとり暮らしの二十代の男性は三分の二が朝御飯を食べない。
 総理は、きょう朝御飯、何を召し上がってまいりましたか。
○安倍内閣総理大臣 私は、最近はたまに青汁とかニンジン、リンゴジュースで終わる場合も多いのですが、きょうは中川先生からそういう質問が出るかもしれないと思いまして、朝は御飯とシジミのおみそ汁とネギをたっぷり入れた納豆、もしかしたらこれは北海道産かもしれませんが、ネギを入れた納豆を御飯と一緒に食べてまいりました。
○中川(昭)委員 久しぶりとおっしゃいましたけれども、ぜひ毎日、奥様の手尽くしのおいしいものを、何を食べろと私は強制しませんけれども、毎朝できるだけ種類を多くとって、同じものばかり食べてもだめですし、青汁一杯というのは多分失格ですね、これは。ですから、できるだけ朝は少量多品種、いっぱい食べていただきたいと思います。
 食料政策、農業政策については、実はどの国もこれは戦略です。だから、WTOでも大変な議論が行われているわけであります。自由民主党そして政府は、ことし、経営所得安定対策あるいは農地・水・環境対策ということで、消費者ニーズにこたえられるような農業環境そして農業生産について我々としては御支援を申し上げましょう。やる気と能力のある、そしてきちっとした目標のある人、これは面積要件だけではない、あるいはまた品目要件だけではない、そういう該当する人は、ぜひ、個人でもあるいはまた集団でもいいですから参加をすればそういう対象になるわけであります。
 翻って民主党の案を見ますと、すべての農業者に対して市場価格と生産費の間を全部補てんしますという案でありまして、委員会の審議におきましても、一兆円ぐらいお金がかかります、場合によっては二兆、三兆でも出しますというようなことをおっしゃっておられました。
 しかし、所信表明に対する代表質問で、民主党の方から、農業の公共事業と米の生産調整費四千億円と、先ほど申し上げた農業の一兆二千億円の一部からやりますということでありますが、まず、農業の公共予算は今七千二百億であります。米の生産調整の予算というものは、現在そういう予算をきちっと計上しているものはないわけでありまして、そういうものに似たような目的のものはあるわけでありますけれども、いずれにしても、農業予算七千二百億、公共事業。それから、そのほか数千億を足して、そこから一兆か二兆か三兆か知りませんが持っていくと。では、農業のほかの部分の、災害だとかあるいはほかの部分について一体どうなってしまうんだろうか。これは税金ですから、すべての農家に所得と市場価格の差を全部補てんします、食料自給率一〇〇%にします、完全農産物自由化します、私はこれは全然理解できないのであります。しかし、これだけを知った農業関係者の人は、ああ、おれもちゃんともらえるんだな、何もしなくても農業をやっているというだけでもらえるんだなということになると大変なこれは国民に対する誤解であって、私はきちっとこのことは今後も言い続けていかなければならないと思っております。
 さて、輸出でありますけれども、私のときに、去年から三千億であったものを五年で倍にしましょう、六千億にしましょうということになりましたけれども、総理は二十五年までの間に一兆円にしましょうというさらに加速した計画を出されております。
 確かに、去年は一二%ふえて三千三百億まで来ておりますので、そして人気があります。よく小泉総理がおっしゃっておりましたが、一個二千円のリンゴとか飛ぶように売れている。私のところの長芋も、十億円以上が東南アジア、中国で売れているわけでありまして、いいものをつくれば売れる。でも、それだけではだめなので、私が総理に提案申し上げたいのは、世界じゅうで日本食がいっぱいあります、なぜか、この前中東に行ったら、中東では日本の牛肉は禁止なのに和牛というものが出てきて食べたことがある。何で和牛なんだと言ったら、これはオーストラリア産の和牛だということで、これはちょっと地理的表示上問題があるんじゃないかと私は思っているわけであります。
 世界じゅうにおける、日本の文化、つまり、食べ物とかあるいは芸術とかあるいは本とか、茶道とか踊りとかお相撲でも何でもいいんです、あるいはコンテンツ、漫画でもいいんでしょうけれども、やはり一番の発信基地は私は大使館だというふうに思いますので、ぜひ世界じゅうの大使館で日本の食材を使った本物の日本食を、大使館のコックさんは大半が日本人でございますので、日本の食材を使って日本食を現地の人たちにアピールする。もちろん、現地で頑張っている人たちの営業を妨害するという意味じゃなくて、それを一つのコアにして、発火点にして日本食を世界じゅうに広めたい、本物を広げたいというふうに思っておるんですけれども、その辺についての総理のお考えはいかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 私は、日本のよさをもっともっと世界に発信をしていくべきだと思っています。日本は何となく寡黙にしていることをよしとする、そういう傾向が見られるわけでありますが、そうすると、結果によって何となく誤解をされている面もある。しっかりと日本のすばらしい文化や伝統を発信していく、日本というのはこういう理想を持っているし、こんな理念も持っている、また、日本にはこんなすばらしいものもあるということをどんどん発信していく。その中で各国の大使館をその発信基地にしていくのはやはり当然であり、そういう任務を果たしてもらいたいと思っています。よく各国の大使館で海外の人を夕食会、昼食会に呼ぶと、もう大抵みんな日本食に大変感激をして帰る。それは、おいしさだけではなくて、姿形の美しさにもみんな感銘を受けて帰っていくということだそうであります。
 そういう中で、第一弾として、今月の十日に在フィンランド大使館において、デザイン界や教育界の著名人を招いたレセプションを予定しておりまして、お米やナシ、メロン、ブドウといった今がしゅんのおいしい食材を提供していって、そういういわばオピニオンリーダーの方たちに日本の文化や食材のすばらしさに触れていただいて、それを宣伝していただくことによって日本のブランド力を高めていく、こういう発信力をさらに高め、実行していきたいと思います。
○中川(昭)委員 それに関係しまして、ちょっときょうは教育の本論のところに行く時間がなくなりましたけれども、例えば、アメリカとかフランスとかドイツ、ドイツでいうとゲーテ・インスティトゥートとか、最近は中国が孔子学院というのを世界じゅうでやっているようでありますけれども、アメリカなんかも大変この問題に熱心であります。
 日本も一部の地域でやっているわけでありますけれども、私は海外へ行くと必ず日本人学校へ行くんですけれども、そこに現地の人たちがぜひ参加をしたい、一緒に勉強したいと、幼稚園で、小学校で。言葉の問題がありますけれども、子供ですから大体半年ぐらいで覚える。日本語というのは読み書きは非常に難しいんですけれども、これはアメリカの研究成果として、日本語というのは母音は五つしかありませんから、話す聞くは、特に聞くは、日本語は難しいと言いながら比較的易しい言語だそうでありまして、特に子供たちですから、遊んでいるうちにすぐ言葉をお互い覚え合うということで、ぜひ世界じゅうの日本人学校に、向こうの希望があればどんどん入れてもいいのではないか。
 先日行きましたアブダビでは何年か前から、アブダビの日本人学校だけじゃないんです、ドイツもフランスも中国もすぐ対応したんです。日本はおくれたんです。たった三人だけ、ことしの九月から入れました。
 そこにはいろいろな制約があります。もちろん、法律的な制約、財政的な制約、地元の企業等の皆さん方の御意見もありますけれども、ぜひ、これは海外で日本の文化や言葉を理解してもらうと同時に、日本人学校に入りたいと思っている現地の子供たちを積極的に受け入れることは、私は、子供のころからの文化交流、日本人も学ぶでしょう、彼らも日本の教育がすばらしいと言って来るわけです。
 その国では、数学は公文式が大変人気がありました。今、それから数独というのは世界じゅうではやっておりますね。それから、私は知らないんです、きのう聞いたんですけれども、百けた計算とかいうのが今何か大変はやっているということでありまして、特に理数系というか数学は今まだ世界の中でもトップクラスにあるというふうに思っておりますので、子供だけではありませんけれども、今総理もおっしゃった、若干、日本人はおとなしいというか引っ込み思案なところがあるということでありますが、そこは総理、先頭になって、なりふり構わずトップセールスマンになって、世界じゅうに日本のおいしいもの、日本の言葉、あるいは教育、あるいはまた文化等をぜひ広めていただきたいと思います。
 時間がなくなりましたので、最後に、総理がおっしゃっているキーワードということでありますけれども、私は最近読んだ本でオシム監督の言葉という本がありまして、サッカーの日本代表の監督、オシム。ライオンに追っかけられたウサギは肉離れを起こすか、そんなもの起こすはずがないじゃないか、ふだんからきちんと準備しているんだとか、休みたかったら引退してからでいいんだ、それまではとにかく走って走って走りまくれとか、あるいはまた、君はサッカーはできるけれども選手にはなれないとか、非常におもしろい言葉。
 あるいは、あの人は数学者になりたかったんですけれども、非常に貧しくて、サッカーがうまいということで家計を助けるということでサッカーの名選手になった。ところが、ユーゴでの内乱があって、彼はボスニア出身ですから、彼がほかの地域で監督をやっているときは、二年半、家族の生死もわからなかった。これも非常にオシム監督にとって大きなショックの出来事だったんだろうと思いますけれども、そういう、言葉として非常におもしろい、サッカー選手から見れば非常に厳しいけれども、しかし、監督としての実績は大変ある。
 そして、オシム監督を私は一〇〇%もちろん肯定はしませんけれども、あの人の言葉で一番いいのは、そうはいいながら日本人のサッカーを目指したいんだと言っているんですね。オシム流、ユーゴ流、あるいはまたヨーロッパ流でもなければ、ブラジル流でもなければ、日本人のサッカーを目指したいんだということ、これが、オシム語録が一番私にとって大事なところで、和魂洋才じゃありませんけれども、必要なものは、いいものはどんどん外国からやってくる、しかし、日本人として、やはり日本式がいいんだとかいうものについては、コアの部分、これについては守り、発信をしていくということが大事だろうと思います。
 そういう意味で、最後に、美しい国ということでありますが、日本が汚いか美しいかというと、二つ言えるんだろうと思います。美しいという面、例えば、富士山、あるいは北海道、あるいはどこへ行ってもきれいなところはいっぱいあります。下関の関門海峡も大変すばらしい。いっぱい、日本じゅうどこへ行ってもすばらしい。しかし他方、日本には、御承知のとおり、年間五千数百万トンの一般のごみ、四億トンの産業廃棄物が出てまいります。百二十六億トンの排水が出てまいります。富士山のてっぺんはごみだらけ、エベレストのごみはほとんど日本チームだとある人が言っておられました。
 そうすると、本当に物理的、景観的に美しいのか美しくないのか。それは、やはり我々自身、恥ずかしさを誇りにかえるためにきれいにしなければいけないと思います。
 しかし、総理がおっしゃっているのは、美しいというのは、そういう風景だけではなくて、心の問題として、美しい。つまり、中からにじみ出るような美しさというものを総理は求められているのではないかということを、私は所信を見ながら、何回も読み直しながら考えたわけでございます。
 この文化、伝統、自然、そして歴史を大切にする、世界に向かって信頼されるように頑張るとか、幾つか、四点おっしゃっておられます。全くそのとおりだと思います。やはり、内なるものをきれいにしていく、誇りを持つ、それによって、家庭、社会、国家、そして世界に通じていくわけであります。
 総理が尊敬する吉田松陰の辞世の句、私も大好きであります。
  かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂
これがたしか吉田松陰の辞世の句だったというふうに私は記憶をしております。
 そういう美しい国、誇りを持って世界に評価できるような国にするためには、やはりそういう誇りを持つための野心、アンビションが必要である、野心が必要だ。それから、さっきから何回も出ているように、ブランドというものが必要です。人間づくり、これは生涯教育、幼児教育から高等教育、社会教育、道徳教育を含めて教育が必要であります。アンビション、ブランド、エデュケーション、続けてこれをABEと読みます。このABEというものをこれから大いに進めていくことが中身の伴った美しい国になるということで、私は総理に大いにこれから頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○金子委員長 この際、斉藤斗志二君から関連質疑の申し出があります。中川昭一君の持ち時間の範囲内でこれを許します。斉藤斗志二君。
○斉藤(斗)委員 自由民主党の斉藤斗志二でございます。
 中川先生の関連で質問させていただきますけれども、私は十時半から予定しておりましたが、どういう展開になるのかなと心配しておりましたけれども、最後、アンビシャス、ブランド、エデュケーションでABEと言われて、いや、参った参った、これか、そういうような感でこの場に立ったわけでございます。
 きょうは、時間の関係もございました、また、中川先生の質問と多少重複もあるのかなというようなことも感じたものですから、質問要旨、既にお渡しさせていただいておりますが、多少前後するかもしれません。その点、あらかじめ御了解いただきたいというふうに思います。
 最初に、安倍総理の決意、所信表明に対しての考え等々をお聞きしたいというふうに思っております。
 総裁選に出られました。見事な勝利で二十一代目自由民主党総裁に就任をされました。私は安倍さんの魅力を高く評価した一人でございます。若さがあって、そして帝王学を身につけた指導者としての資質をお持ちでございます。また、政策も非常にはっきりしてわかりやすい。こういった魅力に引かれまして、安倍応援隊の役員、幹部の一人にもさせていただいたところでもございます。
 しかしながら、一方、未知数なところもあるな、そういう感もいたしておりました。経験不足、当選五回。それから、大変謙虚な方でございますので、おやじさん、晋太郎さんはサーティーイヤーズ、三十年、そこで総裁選の候補になった、私はわずかサーティーンだ、十三年だ、果たしておれは頑張れるのかどうか、そんな謙虚さ、私は好きでございます。
 そして一方、エリートのもろさ等々さまざまな不安がこもごもする中で、その未知数というのは無限の可能性を秘めているな、今私はそんな確信を持っているところでございます。
 所信表明演説のあの力強さ、数値目標を明確に出されていますね。そして明確な方針を示された。さらに、代表質問された各党の代表の方々に対してしっかりと答弁をされていらっしゃいます。私は、日本の未来を託す確固たるものを感じたところでございます。
 ぜひとも、この日本、おれに任せろ、自由民主党に任せろ、そして、安倍総理に引っ張ってもらうことが日本の未来につながっていく、つくっていけるんだ。私は、その大いなる期待を、国民が高い支持率で、今、頑張れと声援、応援をしているんだというふうに思います。
 ぜひ、その声援にこたえるんだという決意をまず総理にお聞きしたいというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 ただいま大変お褒めの言葉をいただき、恐縮をいたしております。
 私は初の戦後生まれの総理ということになったのでありますが、戦後六十年たちました。この六十年の歩みは、日本を、民主主義、そして自由の基盤の上に基本的な人権を守る、そして法律の支配、そういう、世界と同じ普遍的な価値観を行き渡らせることのできる、世界の平和に貢献する国にしてきた。このことに自負を感じながらも、さらに、新しい国づくりに向けて、二十一世紀にふさわしい日本の国づくりをスタートしていかなければならないと考えています。
 そのためには、これはだめなんだ、これはしてはいけないという先入観をまず打破していくことが大切ではないか。何が必要なのかということを真剣に考えながら、必要なことにはしっかりと私は勇気を持ってチャレンジしてまいりたい、このように思っています。
 まずは、小泉政権以来続けてまいりました構造改革は着実に今後も前進をさせていく必要があるでしょう。そして、人口減少局面に至っても力強く成長していく日本でなければならないと考えています。
 その上で、日本のすばらしい自然を守り、歴史や文化や伝統に誇りを感じながら、将来、私たちの子供たちが日本に生まれたことに誇りと自信を持てる、そういう日本をつくっていくために、皆様と一緒に全力を尽くしてまいる決意でございます。
○斉藤(斗)委員 大変力強い御答弁をいただきました。
 時間の関係もございますが、一言お願いを申し上げたいと思います。
 それは、総理のおじいさんに当たられる元総理大臣岸信介氏の別邸といいますか別荘が、実は私の選挙区、静岡県御殿場市にございました。それを岸家から市の方に御寄贈いただきまして、今、記念公園になっておるわけでございまして、市が管理しておりますが、一度早い機会に、御殿場のおじいさんの、元総理大臣の別邸にもお越しいただきたいというふうにお願いを申し上げておきます。
 ロシア外交を先に質問させていただきたいと思います。また、先般拿捕事件も起きました。それにも関連をしたいというふうに思います。
 私は初当選以来二十年目になりましたが、当時、中選挙区時代、先ほど申し上げました御殿場も選挙区でした。一方、伊豆半島の下田、戸田、こういったところも含まれた広い選挙区の中で戦ってまいりました。
 そこで、下田条約、日露間で締結されたその条約の存在を学び、そしてその条約の二条に、得撫島と択捉島との間で国境線を引く、これが画定をしたということでございます。北方四島は百五十年前から日本の固有の領土であったというのが私の選挙区でございます。
 私は、そのときから、北方四島の解決、領土問題の解決が私のライフワークと定めてきたところでもございました。昨年は、下田条約、すなわちこれは日露修好条約と申しますが、百五十周年記念として、ロシアのサンクトペテルブルクに参りました。その郊外の軍港、これはクロンシュタットというんですけれども、そのクロンシュタットに、幅二メートル、高さ三メートルの大きな記念石碑を寄贈してまいりまして、現地の要人とも一緒になって除幕もしてきたところでございます。そこには、海上自衛隊の練習艦「かしま」も参加をしていただきました。
 私は、新たな友好関係を樹立すべきだ、不幸なソ連時代を乗り越えて新しい友好関係を樹立したいと考えていたやさきに、先般、第三十一吉進丸事件が発生をしたわけでございます。つい数日前に船長さんがお帰りになられました。しかし、船長さんの記者会見とロシア側が発表している内容とでは大きな差がある、食い違いがある。これは国民が非常に疑問に思っていると思いますよ。
 そこで、直接の担当所管である海上保安庁、きょう、長官、来ていますね。その操業位置、これは非常に大事なものですから、時間の関係で最初にそこからお聞きしたいと思います。答えてください。
○石川政府参考人 ロシア側の発表によります操業位置というのは、北海道海面漁業調整規則に基づく操業規制ラインを越えた水域ということでございますが、他方、坂下船長が記者会見において、第三十一吉進丸の操業位置はその規制ラインの上であるというふうに述べているところでございまして、それぞれ位置が異なっているところでございます。
○斉藤(斗)委員 位置が食い違っている、これは重大な点なんですよ。私は、この重大な点が解明されない限り、丸腰の盛田さんを撃ち殺したロシア側は許さない、そういう気持ちでおります。盛田さんの御冥福を心からお祈り申し上げながら、ぜひともこの問題を解決していくという決意で臨みたいというふうに思いますが、これは外交ですよね。
 麻生外務大臣、この銃撃、拿捕をめぐる状況についての説明は、今ありましたように大きく食い違っているわけですが、政府として、外務省として、ロシア側から一刻も早く船体を引き渡してほしいということを重ねて申し入れていますね。返事はどうなっているんですか。さもなければ事実関係が解明できないじゃないですか。大臣、お答えください。
○麻生国務大臣 船長と船員を別々にということで、まずは船員を先に帰してもらうのを、これまでの慣例から見ればかなり早い時期に船長以外の船員二名を帰してもらうということになりました。
 坂下船長が一昨日帰ってきておりますが、船体については我々としては船長と一緒に返してもらうようにということで、重ねて、一昨日、坂下船長が帰ってきたのに合わせてラブロフ外務大臣に電話して、船体についても同様に返してもらいたいという話を申し込んでおります。
 向こうは今のところは返してきていないのは事実でありまして、事実を認めて本人は罰金刑も払っておりますので、もう既に本人は認めているではないかというのが向こうの立場でありまして、そこのところは、ラブロフ外務大臣と日本との間においては意見の食い違いが出ております。
 おっしゃるとおりなので、引き続きこの問題は、今後こういった問題がたびたび起こるというのは、人が死んだのは五十年ぶりなんですが、そういった意味で、こういったようなことが起きないための手だてというのを今後やるために、早々にこの問題についての協議を再開いたしたいと思っております。
○斉藤(斗)委員 私は、船体の引き渡しはマストだと思いますね。なぜかというと、漁民にとっては飯の種なんですよ。漁船がなきゃ食べていけないじゃないですか。
 百五十年前のロシアの人たちは心が温かかった。おまえら食っていけない状況にするぞ、そういうような人たちではなかった。ただ、ソ連時代の不幸な時代が入ったために新しい日ロ関係がつくれない、そういう状況にあるんだというふうに思います。
 私は、まだ坂下船長、体調が不十分だということを聞いておりますので、体調が整った段階でぜひ国会にもお越しいただきまして参考人としてもお話を聞きたいと思いますので、委員長、お取り計らいのほど、よろしくお願い申し上げます。
○金子委員長 理事会で協議いたします。
○斉藤(斗)委員 そこで、この拿捕の問題、これは二度と繰り返しちゃいけないんですよ。この再発防止について、所管の海上保安庁、しっかりと答えてください。
○石川政府参考人 再発防止策でございますけれども、一つが、拿捕防止の観点から、現在、根室海峡周辺海域での巡視船艇の哨戒を強化しております。さらに、水産庁及び北海道と、漁業取り締まり船とともに監視取り締まりを行っております。あわせまして、水産庁との連名によりまして、北海道あるいは北海道漁業協同組合連合会に対しまして、改めて各漁船に対する被拿捕防止の徹底、漁業関係規則の遵守の要請というのも行ってございます。
 さらに私ども、ロシアの連邦保安庁国境警備局との協力関係の強化ということも考えまして、北太平洋海上保安機関の長官級会合というのも近々行われます。このような場も活用いたしまして、ロシア連邦保安庁国境警備局との協議ということを行ってまいりたいと考えております。
○斉藤(斗)委員 石川長官には重ねてお願いをしておきます。
 というのは、これは在日ロシア大使を務めたパノフさんが、今まではどしゃ降りだったんだ、雨が上がってきて曇りになって晴れ間ものぞけるような状況になってきた。いい環境になってきたやさきのこの拿捕事件なんですね。
 そのいい環境の中の一環で、石川さん、この間、日ロ共同訓練がウラジオストクで実施をされ、ロシア側の国境警備局の人たちとも非常に交流を深めていらっしゃいますよね。そういったルートを活用して、二度と起こらないように、そしてまた船体の引き渡し、さらに、私はあれは非常な犠牲者になられたというふうに思っていますので、十分その意をロシア側は表してくれ、そういったことをしっかりやっていただきたい、それをお願いいたしておきます。
 時間の関係で、次へ行きたいと思います。
 お手元の資料も配付させていただきました。私は、百五十年の歴史の中で、なぜこんなふうに、日ロ間といいますか日ソ間が不幸な状況になったかということで、きょう、パネルを用意させていただきました。
 ソ連における北方四島占拠の経緯ということで御説明をするわけでありますが、左側に占拠に至る流れ、また右側に、領土不拡大原則というのが世界にあったんですよ。
 一九四一年四月、日ソ中立条約が結ばれました。相互に領土の保全及び不可侵を尊重、これは大事なんですね。二番目に、第三国からの軍事行動に対して中立を維持、そして有効期間が五年ということが決まったんです。もちろん延長もあり得るということでありますが、五年は有効だったんですね。これは、ですから、一九四六年四月までは有効な条約でございます。
 ところが、一九四五年四月、日ソ中立条約の破棄通告を一方的にソ連側がしてまいります。しかしながら、一九四六年四月以降延長しない旨の宣言でございましたから、逆に言うと、四六年四月までは有効だったんですよ。にもかかわらず、四五年八月にソ連は対日参戦をしてまいりました。八日に宣戦、九日に参戦。当時有効であったこの中立宣言を無視して入ってきたわけです。むちゃくちゃですよ。ソ連側の理不尽の中でこの不幸が始まってまいります。
 そして、八月―九月、北方四島の占拠があって、四六年二月、翌年ですが、ソ連による北方四島の一方的編入がなされたというのが経緯なんです。この四六年二月は、まだ日ソ中立条約、これは不可侵条約ともいうんですけれども、生きているときですよ。
 一方、領土不拡大原則というのが世界にございまして、四一年八月、大西洋憲章というのが英米間で結ばれ、領土不拡大が誓われた。それにソ連が参加したのが実は四一年九月なんですよ。そして、四三年十一月、カイロ宣言があって、これでも領土拡張の念を有しないということが確認されて、それをポツダム宣言がカイロ宣言の履行という格好で、米、英、ソ連、華、これは蒋介石の華の時代ですけれども、それもソ連が参加しているんですよ。
 そういう中で、日本がポツダム宣言を受諾し、そして不幸な六十数年が今も続いている。北方でのあの不幸な、再発するかもしれない、また、死ななくてもいい善良なる漁民が亡くなっていく。これは大変残念なことだと思うんです。
 麻生外務大臣、最初に、御担当ですからお聞きし、そしてその後、総理にもその決意をお伺いしたいというふうに思いますが、麻生外務大臣、こういう経緯の中で、あなたの役割は非常に大きいと思いますので、この方針につきまして取り組みをお聞きしたいと思います。
○麻生国務大臣 今言われるまでもなく、これは長い経緯があります。北方四島に、日本が終戦後、侵略が開始されたという経緯、侵攻が開始されたという経緯がいろいろありまして、今の四一年の協定はもとよりのこと、これは日本の八月十五日以降の話でもありますので、そういった意味でこれらが経緯があります。
 ただ、それから長い時間、かれこれ六十年の時間がたっております。その間引き続き交渉をずっと継続しておりますので、これは粘り強くやっていかねばならぬところだと思っております。少なくとも、こういう問題について国際裁判というものも何度となく試みております。しかし、裁判をする以上、相手も合意して乗ってこない限りは裁判は成り立ちませんので、そういった意味では国際司法裁判所でこれが取り上げられないというような状態は御存じのとおりであります。
 したがって、こういった話は風化しないようにきちんとした形で、これをずっと私どもとしては粘り強くやり続けていくというのが形でして、この五年間、プーチン・小泉会談というのは六回行われていましたか、そういった中でこの問題はたびたび提案をされ、向こうもいろいろな意味でこの問題が解決しない限りは日ロ間の友好条約等々、その他のいろいろな条約はきちんとしたものに行かないし、何となくのどにひっかかったとげのような感じというものは否めないということで、この問題につきましては、時間がたつにつれ何となく経緯が忘れられますので、そういったようなこともきちんとして、何となく日本だけが不満を言っているような話ではないんであって、これは事実はかくかくしかじかということを言い続ける粘り強さというのが重ねて必要なんだと思って、それを腹に据えてたびたびのいろいろな会談のときに話しかけ、継続しながら、日ロ外相会談、日ロ首脳会談、いずれもこの四島問題というのはずっと継続して論議の的になっております。
○斉藤(斗)委員 安倍総理の父上、安倍晋太郎氏は外務大臣を務められた。その際、ソ連との関係改善に全力を挙げられたという歴史がございます。その御子息の晋三さんは、総理として、その遺志を継いで、領土問題に全力を挙げて解決していただきたいというふうに思います。
 プーチン大統領も去る九月九日のバルダイ会議という場で、この問題解決へ強い意欲を示されているんですね。ぜひ総理の強い取り組みの意思をお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 日ロ関係におきましては、ただいま斉藤先生が御指摘になられたように北方領土の問題があります。北方領土の問題については、まさに、現在、不法占拠されているという状況が続いております。
 この北方領土の問題につきましては、五六年宣言、当時の日ソ間において、不法に連れ去られた日本人の収容されている方々を帰国させるという観点から五六年宣言がなされ、そして日ソの国交が回復をしたのでありますが、しかしその後、一時期、両国間には全く領土問題は存在しないという時代すら続いてまいったわけでございます。
 ただいま御紹介いただきましたように、私の父も、晩年、当時のソビエトの、最終段階でありましたが、ゴルバチョフ大統領と会って、そこで英知ある解決をしていきたいという言質をとることができたのでございますが、残念ながら、その後この領土問題が解決には至っていないのであります。
 小泉政権時代に日ロの行動計画というものを定めまして、経済、文化あるいは人の交流、また政治面においてお互いが交流を厚くすることによって信頼感をお互いに構築していく、その中で領土問題を解決し、そして平和条約を結んでいくという大きな、これは基本的な設計図のもとにこの行動計画を両国が了承したということだと思います。残念ながら、まだ領土問題を解決するには至っていないわけでありまして、我々はしっかりと粘り強く交渉してまいりたい。
 この問題が解決をすれば、日本だけではなくてロシアにとっても極めて有意義である。日ロ関係が改善をすれば、恐らく新しい可能性は、特に経済面においてはたくさん見えてくるのでありまして、そのことも十分にロシア側に理解させるよう努力をしていきたいと思います。
○斉藤(斗)委員 次に、時間の関係もございますので、教育の問題に入りたいというふうに思います。伊吹文部科学大臣にお尋ねしたいと思います。
 現状、学力の低下、体力の低下、社会規範の低下、日本の教育は危機的状況。ですから、教育改革は緊急を要すると私ども考えておりまして、政府側からも教育基本法の改正、そういったもろもろの改革が今提出もされているところでございます。
 どこで狂っちゃったのかな、どこを直せばいいのかなという中で、ゆとり教育が緩み教育に転じてしまった。自主性尊重、これが教育の責任放棄につながってしまった。さらに、個性尊重、これが放任主義に立ち至ってしまった。さまざまな問題があるわけです。
 今、急いで教育改革に取り組まなきゃならない、具体的に取り組まなきゃならない。その点、文部科学大臣の決意をお伺いしたいというふうに思います。
○伊吹国務大臣 今、斉藤先生がおっしゃったように、国民から見ると、教育に対するもろもろの不信、不安が生じております。
 御指摘以外にもいろいろな現象面のことがあります。大きく言えば、将来のこの日本を活力ある経済と活気のある社会、そして、規範意識を持って、日本社会の一員として、時には優しく共生して生きていく訓練ができている国民が果たしてこれでできるんだろうかという危機感が国民全般にあると思います。
 そして、今、私どもがお預かりしている文部科学省の予算は約五兆円ですけれども、地方自治体の使っている教育関係のお金は、多分合計すると二十兆近くになると思います。二十数兆の負担をしておられる国民のお気持ちを考えると、果たして今のままでいいのか。
 いろいろな改革の提案がなされています。これはやはり不満があるからなんですね。いろいろな原因があると思います。今先生がおっしゃった当面のゆとり教育のやり方の問題、いろいろあると思いますが、大きな流れとしては、やはり戦後六十年の教育の理念法であった教育基本法の理念が、時代の流れ、あるいは生活様式の変化、その中で果たしてうまく機能できる理念法になっているんだろうかという反省。これは政府が提案しておりますけれども、民主党さんも同じお考えのもとに対案をお出しになっているわけですね。これを、まず理念法を通していただいて、その上で、御承知のように学校教育法その他の諸法がこの理念法の下についているわけですね。この理念法の下についている学校教育法のいろいろな措置、政令、通達、具体的に言うと学習指導要領その他、こういうものを見直して、総理が所信表明の中で申し上げたような立派な日本人をつくっていくということをやらねばなりませんので、今までのやり方を十分反省しながら、新しい取り組みに積極的に邁進していきたいと思っております。
○斉藤(斗)委員 今大臣から御説明がございましたように、政府も法案を出されている、民主党も、さきの国会から継続審議ですが、法案を出されている。この国会の場で議論を重ねまして、そして早く結論を導いていくということが大事だなというふうに思います。
 そこで各論に入るんですけれども、学校教育法の範疇に入るんですけれども、私はかねてより、義務教育の六・三制は欠陥制度だということを指摘しているんですよ。特に中学三年は短過ぎる。
 物事には起承転結という役割がありまして、その四段階を踏んで初めて一つのものが形成されていく。中学校三年間だと起承転で終わっちゃうんだよ。起承転だから、子供たちが転落するのは当たり前だ。最低四年必要なんですよ、起承転結をするには。
 大臣、私はこういったことにもしっかりとメスを入れて、子供たちが信頼に足る学校制度なんだというのをつくっていってもらいたいし、また、教員の免許更新制も出されていますね。私は、これは賛成が多いということを聞く。また、現場で先生方とよく話します。ぜひこれはやってほしいという声が多いですよ。やってほしいと思いますね。
 そういった学校制度の改革、さらに教員の免許更新制、これをぜひ実施してほしいと思うんですが、大臣、いかがですか。
○伊吹国務大臣 まず、最初の六・三の問題でありますが、これは、義務教育九年をどういう年限の配分にしたらいいのか。子供の成長段階、知的な発達段階、いろいろな意見があると思います。
 そこで、一応、今のところ六・三制というものをずっとやってまいりまして、これで先生がおっしゃっているような転落しちゃったら困るわけですから、これがいいのかどうなのかは、いろいろなアンケートも教育現場にとっておりますし、構造特区の中で、先生がおっしゃったような方向の実験もやっております。その成果を見まして、将来立派な国民になるためにはどういう九年間の時間の割り振り、くくりがいいのかということをいずれお諮りするときが来ると思いますが、現在のところは、やはり教育の根幹を変えることになりますので、いろいろな調査、実験の結果を少し見守らせていただきたい。
 それから、免許の問題は、これはもう中教審の方からも、御承知のように十年。十年がいいかどうかはこれから議論しなければなりません。時代が刻々と変わってまいりますので、変わってきた周囲の状況に応じて知識が更新され、子供を教育できる能力が常に新しく追いついているかどうかということは見きわめて、それに追いついていない先生については追いつけるような研修だとかいろいろなことをやっていかねばなりません。
 これはいずれ、教育基本法をまず御審議願わねばなりませんので、来春には立法府にまた御議論をいただくようお願いしなければならないと思っております。
○斉藤(斗)委員 時間の関係もございますので、次に少子化の問題について、柳澤大臣、担当ですからお伺いしたいというふうに思います。
 日本の合計特殊出生率がずっと低下してきた。一方、この数十年で上がった国がある。それはフランスなんですね。フランス革命とも多産革命とも言われるんですが、かつて一・六六まで下がった出生率が一・九四まで上昇しています。それには、税制と手当、多様な保育システム、さらに保育時間の長さと労働時間の適正化。この適正化という意味は、出産、育児のときは労働時間を短縮してあげるような制度をフランスは導入しているわけです。
 特に現代になりまして、若者の自己達成欲求というのが高まってまいりましたし、多段階で多様化してきているんですね。これを社会システムの中で取り入れていくということが大事だというふうに思っておりまして、例えば、結婚もしたい、出産もしたい、子育ても楽しみたい、そして社会貢献、ボランティアもしたい、さらに仕事もしたい、その仕事もキャリアアップを目指してより高い重要な仕事をして社会に貢献したい。上昇志向でもあるわけです。
 大臣、奥様もお仕事をお持ちでいらっしゃいますね。大臣の奥様は芸術家でもございます。現在、東京の銀座で個展も開かれているんですよ。私、行ってまいりました。今そこでお話ししたら、田中眞紀子さんも行ったというんだな。
 要するに、女性のキャリアアップ、いわゆる自己達成意欲というのが高まっているこの時代に合った新しい社会システムが必要なんだというふうに思いますね。仕事、家庭、育児、こういうのが一緒になってできる、三位一体といいますか、そのような社会づくりをこれからさらにしなきゃいけないんだというふうに思います。
 今までいろいろなことをされてきました。保育園の数もたくさんふえて、待機児童もなくなってきた。それはよく理解しているんですが、まだまだ足りないんじゃないか。職住近接、職保一体、家族一緒、こういう新しい社会システム、私は柳澤大臣に期待を申し上げておるわけでございますが、ぜひ御答弁いただきたいというふうに思います。
○柳澤国務大臣 少子化対策そのものについては、安倍内閣におきましては専任担当の大臣が置かれておりますので、むしろその大臣から御答弁があった方がよろしいのではないか、このように思いますが、いかがでございましょうか。
 私、税制調査会長をついこの前までやっておりまして、その間でもこの問題は大変大きな問題で、大議論があったところです。
 フランスは、有名なN分N乗方式という、税において家族の大きさというのがそのまま税率の低さに反映するような制度をとっておりまして、これが大きく影響しているのではないかという議論もありますし、また、これが導入されたときに、それほど効果があったとは見られない、そういう知見を述べる者もおりました。
 それから、これは尾身大臣の専売特許でございますけれども、歳出面でも日本の子育て支援というのは大変見劣りがする、もっともっと本格的な、本腰を入れた歳出の充実というものが必要だということも言われております。
 それからまた、今、斉藤先生御指摘の働き方のあり方と申しますか労働というもののあり方、これについてもいろいろな問題があるんじゃないか。このごろは、クオリティー・オブ・ライフだとかあるいはワーク・ライフ・バランスとか、そういうようなことが言われていることは先生御指摘のとおりでございまして、これもまた非常に大きな影響を及ぼす点だ、このように言われております。
 それからまた、意識改革、つまり、子供を持って育てることの喜びを知らないんじゃないか、あるいは、そういうことに目を向けようとしないんじゃないか、こういうことも言われておりまして、これらについて総合的な取り組みが必要だというのが現状の我が国の立っている立場だと思います。
○高市国務大臣 先ほどフランスの例を挙げてくださいました。確かにフランスは、今、出生率が非常に高くて、一・九四とヨーロッパ最高でございますが、フランスの少子化対策の特徴は二つあると思うんですね。
 一つは、乳幼児期も含めて家族に対する手当が非常に手厚い。約三十種類あると聞いております。それからもう一つは、仕事との両立がしやすい形でございます。これもいろいろな制度がございます。
 これらを参考にして、恐らく、前大臣の猪口先生がつくってくださったのが新しい少子化対策だと思います。両方の視点が入っております。特に乳幼児期に手厚い対策と、それから働き方という点が入っておりますので、これを十分に参考にされていると思います。
 ただ、日本と事情が違いますのは、フランスの場合、消費税率がまず一九・六%でございます。非常に高い負担を皆さんが受け入れられる。それから、手当も三十種類と非常に多いです。乳幼児の迎え入れ手当ですとか、当然に出産手当も家族手当もございますけれども、この手当などの費用の負担も、企業が従業員一人頭の給与の五%を負担して拠出されているというようなことでございますので、財源も含めて、まずは日本でできるバランスのいいところを盛り込んでいただいたと思いますので、これをまずしっかりと実行していくことから始めたいと思っております。
○斉藤(斗)委員 時間も来たんですけれども、次にもう一つ、実は私は選挙区から、商工会議所から、エネルギーの問題で原油の高騰対策を講じてほしいという要望をいただいているんです。時間の関係があるので、一つだけ甘利大臣にお聞きしたいというふうに思います。
 それは、わかりやすく言いますと、使用量がふえる、そうすると、自動車が最も多いカテゴリーなんですね、その自動車のエンジン燃費を倍に上げる、または消費量を半分にするということが可能かどうかという中で、日本自動車工業会から資料をちょうだいいたしました。
 現在、世界の自動車の燃料消費量が十五億トンになっているんですね。それをハイブリッド車となった場合、車種でわかりやすく言うと、世界の自動車がすべてプリウス並みに燃費改善をすると仮定した場合、六・八億トンで済むという試算があるんですよ。
 そうしますと、原油高騰、エネルギー対策、かなり強力なものになると思うんですが、こういったことを甘利産業大臣が世界のエネルギーを変えて、そして高騰を抑えた、そういうような話につながっていくわけで、ぜひともそのような力強いお取り組み、また、その考え方をお聞きしたいというふうに思います。
○甘利国務大臣 エネルギー資源小国であります日本の中で、強みは省エネ技術であります。この省エネ技術を日本だけのものにするのではなくて、世界が共有できるものにしていく。これがエネルギー危機を克服していく一つでもあろうと思いますし、その点に関して、担当大臣として全力を投入していきたいと思っております。
○斉藤(斗)委員 ありがとうございました。終わります。
○金子委員長 この際、森英介君から関連質疑の申し出があります。中川昭一君の持ち時間の範囲内でこれを許します。森英介君。
○森(英)委員 自由民主党の森英介でございます。
 安倍内閣が発足し、最初の予算委員会の基本的質疑に当たりまして質問の機会をいただきまして、大変光栄に存じます。
 まずは、安倍内閣総理大臣、御就任おめでとうございます。存分に指導力を発揮されまして、私どもが愛する祖国日本の将来を切り開いていただきますように、心から御期待を申し上げます。
 さて、当面する内政、外政の諸問題につきましては中川政調会長から全般的な御質疑がございましたが、私からは中長期的な課題について、安倍総理並びに関係閣僚の皆様方の御所見を伺いたいと存じます。
 国家百年の計と申しますが、今やそれだけでなく、地球百年の計が必要になってきたと考えます。私たちは、それぞれの国家だけでは解決できない課題、すなわち地球規模の幾つかの大きな課題に直面しております。そして、かかる地球規模の問題の多くは、世界の人口の推移と密接に関係があると考えるものであります。世界の人口は現在およそ六十五億。それが毎日二十万人、一年で八千万人ふえていると言われておりまして、二〇五〇年には九十三億人になるという推定があるようであります。
 まず総理に、この数字はおおむね妥当とお考えになるかどうか。そして、あわせまして、このような開発途上国を中心とする人口の爆発的増加はどのような問題を惹起する可能性があるか、御所見を伺いたいと存じます。
○安倍内閣総理大臣 六十億の人口が将来九十億になる、その推計につきましては、私はアカデミックな数値を把握しておりませんから、正直申し上げましてわからないというところでありますが、問題は、そのように人口がふえていく中で、その人口を養うだけの食料を確保できるかどうか、そしてまた、一人当たりが、その中で、エネルギーを消費していく中で世界の環境が十分に維持されていくかどうかということだろう、このように思います。日本の人口は減少していくわけでありますが、世界の人口がふえていくのは事実でございます。その中で、食料の確保ということについては、これは産業面だけではなくて、やはり世界の人類が共生していくという観点からも考えていく必要もあるのではないか、このように思います。
 また、食料を供給するためには水が大切でありまして、現在、世界の水フォーラムが開催をされ、日本も大きな役割を担っている、このように思うわけでありますし、また、世界のこの環境を維持していくためにも、京都議定書の目標値をそれぞれの国が、少なくとも日本はしっかりと達成していかなければならないと考えています。
 と同時にまた、先ほど甘利大臣が答弁をしたように、日本が持っている省エネの技術、環境を守る技術を世界と共有していく、また、日本がどんどん技術を提供していくことも大切ではないだろうか。
 要は、ふえた人口がみんな幸せに豊かに暮らすことができる、そういう地球にしていく、そのための努力を今から始めなければならないと考えております。
○森(英)委員 ただいま総理から、人口の急増に伴って、エネルギーの問題あるいは食料の問題、それに派生した水の問題、さらには環境の問題が起こり得るということが御指摘ありました。
 私も全く認識を同じゅうするものでございまして、まず、環境の問題について申し上げますと、グリーンランドでは、毎年、琵琶湖六杯分の氷が解け出していると言います。この地球温暖化の問題については、総理の所信表明演説でも触れられておりますし、また先ほど言及がございましたけれども、平成九年に京都で開かれた気候変動枠組み条約第三回締約国会議、すなわちCOP3で採択されました京都議定書に基づいて、各国で温室効果ガス排出量削減に向けての努力が始められております。と申しましても、アメリカのように京都議定書に同意しないで排出量をふやし続けている国もありますけれども、世界で協調してこういった問題解決に向けて努力しようじゃないかという機運が生まれたということは、極めて大きな前進ではないかというふうに考えます。
 なお、このような地球規模の問題というのは、いずれも西欧機械文明の所産と言っても過言ではないと考えます。ワットが蒸気機関を発明しましたのは十八世紀の後半、一七六九年のことでございますけれども、炭酸ガスの排出が有意になってくるのは十九世紀に入ってからでございまして、以後、文明の進展と人口の増加とが相まって、排出量は幾何級数的に増加をし続けております。西欧機械文明のおかげで私たちの生活は画期的に便利に、そして快適に、また健康になりましたけれども、一方で、地球上にさまざまなひずみを生じているということは論をまちません。
 ここで、若林環境大臣に、温室効果ガスの増加に伴う諸問題についての御認識、また排出量削減に向けての今後の具体的な取り組みについて御所見を伺いたいと存じます。
○若林国務大臣 お答えいたします。
 御指摘のとおり、地球環境、とりわけ地球温暖化の進展は人類共通の大変危機的な状況でございまして、先ほどもお話がございました、人口のさらなる増加に伴います食料の確保あるいはエネルギーの確保、そして人口の増加に伴う環境の悪化といったようなことを考えますと、どのようにしてこの地球環境を保全するかというのは、人類共通の共同した作業でなければならないと思います。
 しかし、この環境の悪化、とりわけ温室効果ガスの問題は、経済成長、経済発展とのかかわりが非常に緊密でございまして、先進工業諸国、欧米あるいは日本の経済の成長、発展に伴ってこのような環境汚染が進んでいくという事情がございます。したがって、国際的にこれを規制しようとしましても、先進国の方が自律的にしっかりとした約束を決めて、その約束を守るということをしないと、後発の諸国を引っ張っていくことはできない。
 そういう意味で、お話ございましたように、京都議定書を定め、そして日本は率先してこのリーダーシップをとって、国際約束を広げながらこれを守っていこうという努力をしているわけでございます。
 御指摘がございましたように、アメリカ、さらにインド、中国といった炭酸ガスの排出の多い国々がいまだ参加していないのは大変残念でございますが、あらゆる機会を通じてこの国際的な取り組みの中に一緒に共同して入ってもらえるような努力をしていかなきゃいけませんし、また、そのような話し合いに応ずるような気配も出てきているというふうに思いますので、我が国が先進経済発展国としてその責任において指導力を発揮しなきゃならない、こういう認識に立っております。
○森(英)委員 ありがとうございました。
 ぜひとも、総理また環境大臣を先頭に、各国で協調してこの困難な問題の解決に当たれる体制づくりに邁進をしていただきたいと思います。
 釈迦に説法でございますけれども、そもそも太古の地球は炭酸ガスで覆われておりました。それが、いつのころからか地上に植物が発生し、その光合成作用によって炭酸ガスが吸収、固着されて、そして次第に動物が生息できる環境条件が現出したわけでございます。このような炭素を含有成分とする植物の遺骸が長年にわたって地殻の中に封じ込められて、千万年、億年単位で変質したものが石油、石炭、天然ガスでございまして、これを人類はこの百年、二百年でもってエネルギーとしてぼうぼうと燃やして炭酸ガスを大気中にもとに戻して、要するに、太古の時代に今急速に戻りつつあるわけでございます。
 かつての東北大学の総長だった、今首都大学東京の総長であられます西澤潤一先生の著書によれば、終末というのは意外に早くて、八十年もするとかなり厳しい状態になるんじゃないかという予測もされております。
 とにかく、そういった問題意識というか、危機感を持って臨むことが極めて重要ではないかと考えております。
 続きまして、先ほど総理も挙げられましたもう一つの問題は、エネルギーの確保が果たしてできるかどうかという問題があります。
 エネルギー需要の急増が見込まれる中国などは、いち早くアフリカの新興産油国などにも食指を動かしていることは御承知のとおりでございまして、そういった状況の中で、近年原油価格が高騰して、先ほど斉藤委員からも最後に御指摘ありましたけれども、御質問がありましたけれども、最近若干値が下がったようでございますが、やはりかつてのような水準になることはなかなかもう望めないんじゃないかという認識を私は持っております。
 こういった原油価格の今後の動向について、これはある程度国の戦略の部分に属することもあると思いますので、差し支えのない範囲で甘利経済産業大臣から今後の見通しをお伺いいたしたいと思います。
○甘利国務大臣 原油価格は、ピークでバレル七十七ドルあたりまで行きまして、今六十ドル前後で、当時から比べれば若干落ちついています。アメリカの需要が少し落ちついたということと、産油国の情勢、しばし安定というような見方を市場がしているということがあろうかと思います。
 しかし、産油国の供給余力というのは、そうありません。新興国の原油需要はどんどん、物すごい勢いでふえているわけでありますから、いずれにしてもタイトな状況になりますから、恐らく高値にかなりの部分張りついていく。産油国はだぶつきぎみになれば減産をしくというような話もありますし、化石燃料の需給に関しては、かなり厳しく見ていかなければならないというふうに思っております。
○森(英)委員 先ほど申し上げましたように、地球全体では今後エネルギー需要の急増が見込まれる中で、温室効果ガスの排出を抑制するという、いわば二律背反的な命題に私たちは取り組まなければなりません。そのためには、どうあれ、代替エネルギー源としては原子力エネルギーの活用を図るしかないと私は考えるものでございまして、もとより水素エネルギー、燃料電池、風力、あるいは太陽光など、拾えるエネルギーはみんな拾って、そしてそれを活用することも重要なことでございますけれども、しょせん補完的な意味合いにすぎないということを知るべきであると思います。
 こういった認識を持っておりますけれども、経済産業大臣から、政府としての今この時点での原子力あるいは資源エネルギーについての御所見を伺いたいと思います。
○甘利国務大臣 原子力は、従来、我が国でいえば電力供給のベースロードとしての意味づけが高かったのでありますけれども、近年は環境という視点からも評価されるようになってきたというふうに思います。
 グリーンピースの理論的な後ろ盾になっていましたラブロック博士、このラブロック博士がCO2、地球温暖化という視点で、これを防止するためには原子力に頼るしかない、たとえ変節と言われても自分は原子力を認知するというお話をされて、世の中の原子力に対する見方が随分変わってきたわけでございます。
 もとより我が国は、森先生も大変な原子力に対する御見識を持っていらっしゃいますけれども、原子力政策をいわば風雪に耐えて推進をしてまいりました。これから二〇三〇年代の、この現在の炉の更新期に向けて、新型の軽水炉の開発の問題、あるいはプルサーマルの推進、そして高速増殖炉、この計画も若干前倒しで進めるということになっております。原子力政策を従来のエネルギーの安定供給という視点に加えて、CO2を排出しないという環境の視点からもしっかりと進めていく必要があろうかと思います。
○森(英)委員 私と全く同じ御認識で、力強い御答弁をいただきまして、大変敬意を表したいと思います。
 我が国における原子力開発のこれまでの歩みを振り返ってみますと、いわば受難の時期とも言うべき時期がありました。受難というと、よそから与えられたもので、若干開発側にももちろん問題点があったわけでございますけれども、まず、平成七年に高速原型炉「もんじゅ」で二次系のナトリウム漏えい事故が勃発いたしました。
 実は、私ごとでありますけれども、私は、政治の世界に入ります前に、産業界で技術者として、この高速増殖炉の材料開発だとか、あるいは製造技術の開発に携わっていた者でございまして、この漏えい事故が起こったときは、まさに我が子が交通事故に遭ったような、大変痛ましい思いがしたわけでございますけれども、これでもってどれだけ日本の原子力開発の時計の針の進み方がおくれたかということは、はかり知れないものがあると思いますが、さらにこれに追い打ちをかけましたのが、平成十一年の東海村のジェー・シー・オーの臨界事故でございました。
 これも、これは必ずしも原子力のプラントの事故とかそういうものではなくて、全く品質管理のいわばらち外にあった部分でのまことに人為的な、人災ともいうべき事故であったわけでございますけれども、日本で初めて臨界事故を起こしてしまったという意味では非常につらい事故でありまして、そういう安全性とか信頼性というのを本当に上流から下流まですき間なくカバーしていないと、やはりこういう盲点があるんだなということを改めて認識したわけでございます。
 こういった状況の中で、平成十五年に名古屋高裁の金沢支部で、「もんじゅ」原子炉設置許可の無効判決というのが下りまして、国側が敗訴したわけでございます。これはまことに奇異な判決ではあったけれども、やはりこの時点では受け入れざるを得ないことであったわけでございます。
 しかしながら、そういったことで実は私を含めて、実際の当事者も、やはりこうしたことがずっと続いたものですから、まことに意気消沈しているというか、なかなか自信の持てない時期が続いたわけでございますけれども、昨年後半から、これはどうやら長い長い低迷の時期を脱却できるかなと、明るい話題が幾つか続いたわけであります。
 一つは、昨年の六月に、高裁で敗訴いたしました訴訟は最高裁で国側が勝訴したわけでございまして、「もんじゅ」の開発を継続できることになったわけであります。その後、昨年の十月に、原子力委員会が取りまとめました大変前向きな原子力政策大綱が閣議決定をされました。また、ことしになりましてから、六ケ所村の再処理工場で順調にウラン試験が行われ、それが終了したといった出来事もありまして、ようやく長い間の足踏みの時期を脱却して、前向きに一歩踏み出したのが最近であろうというふうに受けとめております。
 かかる状況を踏まえまして、先ほどもいささか経済産業大臣から言及がありましたけれども、これからの原子力開発の課題、そしてタイムスケジュールというものをこの時点で改めてお互いしっかり認識する必要があるんじゃないかというふうに考えます。
 私は、基本的な流れとしては、今商業用原子炉として使われております軽水炉、これはある時期まで活用せざるを得ないと思います。しかしながら、ウラン鉱石というのも限られた天然資源でありますので、やはり高速増殖炉をなるべく早期に実用化できるような状態にしなきゃいけないというふうに考えますし、また将来的には核融合炉も絶対に必要になるだろうというふうに考えますが、ただ、そこに至るまでにはやはりいろいろなハードルがあります。
 また、軽水型の原子炉についても、非常に順調に稼働しているものですから、これは設計寿命は三十年なんですけれども、まだまだ使えそうだと。しかも、折々中をリフォームして更新しておりますから、まだ当分使えそうだということで、これは六十年ぐらいまでは使えるんじゃないかということが定説になってきておりますが、しかしながら、いろいろ地域住民の方の気持ちやら何やら、また私自身も元技術者として、本当に六十年の高経年化というのが大丈夫なんだろうかということについて、やはりこれは丁寧にというか科学的に説明することが必要なんじゃないかと考えます。
 質問要旨で具体的にここまで触れておりませんでしたけれども、もしこの点について経済産業大臣の御答弁がいただけるならば、お願いをいたしたいと思います。
○甘利国務大臣 原子力の先生に生徒が答弁するような気分になってきましたが、まず、高経年化の問題であります。
 もちろん、御指摘のとおり、最新の技術を用いて丁寧に検証していって対応していくということは当然のことでございます。
 それから、プルサーマルと高速増殖炉のことでありますが、我が党の中でも、ワンススルー論というのがありました。核燃料を再処理して再利用するのは邪道である、そのために大きなお金を投ずるのは無駄な投資だという話がありました。
 当時は、ウラン燃料が比較的安くて、しかも、核武装の、核の燃料を薄めて原子力発電に利用するということもあって、わざわざ高いお金をかけてプルサーマル、プルサーマルだと二割ぐらい燃料が有効に使えるのでありますが、それをする必要はないと言われましたけれども、今はウラン燃料の値段は当時から七倍になっております。これからも上がるかもしれません。
 再利用というのは、価格の点でも非常に有利になってきているわけでありますし、高速増殖炉になりますとウラン燃料を恐らく百倍近くに使えるわけでありますから、その分だけ備蓄を持っているのと同じ計算になるわけであります。
 ですから、これはそういう視点からもしっかり進めていかなければなりませんし、また、最終廃棄物といいますか高レベル放射性廃棄物の管理も、ワンススルーだとこれは相当な年数管理しなければならない。十万年から三十万年とも言われています。それが、プルサーマルであれば、恐らく一けた違うのであろう。高速増殖炉になれば、三百年から四百年でいわゆるウラン鉱山のレベル以下になると。
 これは、自然環境といいますか、環境政策からも大事なんだということが指摘されているわけでありますし、先ほどもちょっと触れましたけれども、現在の原型炉の「もんじゅ」を実証炉にまず二〇二五年あたりまでに持っていく、それから商業炉は二〇五〇年よりも前に実現をするということを考えているわけでございます。
 それから、トイレのないマンションとかよく言われましたけれども、最終高レベル放射性廃棄物の処理について、今、NUMOが中心に募集をして、これにこたえていくということも進めているわけであります。
 原子力は、こういう資源全体がタイトになってきている中で、準国産エネルギーとも言えるものでありますから、しっかりと進めていきたいというふうに思っております。
○森(英)委員 ありがとうございました。
 今の高速増殖炉のタイムスケジュールにつきましても、もっと前倒しできないのかと言われる方もありますけれども、私は、そのスケジュールどおりきちんとできれば、これは立派なものだというふうに思いますので、ぜひとも気合いを入れて取り組んでいただきたいと思います。
 あと、製造側からいいますと、高経年化してなんというと、要するに、ある時期プラントをつくらない時期が随分長いことできちゃうんですよ。そうすると、産業界の技術を一体どうやって継承するかということが非常に大きな問題になってまいります。私は、そういう意味において、これは技術の論理が先走っちゃってあれかもしれませんけれども、外国への原子力プラントの輸出ということを真剣に考えるべきではないかというふうに思っております。
 例えば、中国なんかもいっぱいつくらなきゃいけないと思いますけれども、これはいち早くフランスがかなり席巻をしておりまして、なかなか競合が厳しいですけれども、いろいろな国でこれから原子力プラントをつくっていくわけでありますので、ぜひともその中で日本の技術を生かすということを考えていただきたいと思います。
 では、もし何か御答弁いただけるなら、甘利大臣、お願いします。
○甘利国務大臣 GNEPという構想の中で、つまり、原子力の平和利用についての国際間の枠組みでありますけれども、この枠組みの中で、日本だけ核兵器非保有国でフルサイクルが認められているわけであります。これは、IAEAの査察を完璧に受けて、そのいわばお墨つきをいただいているからであります。この日本のフルサイクルにかかわる技術をもって、アジアのエネルギー需要、ここに化石燃料がどっと流れ込んだらこれは地球環境はもたないと言われていますから、原子力の平和利用をしっかりと移転をしていくということを通じて、国際的にも貢献をし、地球環境にも貢献をしていきたいというふうに思っております。
○森(英)委員 ありがとうございました。
 それでは次に、総理がもう一つ挙げられました食料の問題に移りたいと思います。
 文明の進展と人口の急増というのは、やはりこれがもたらす災厄の一つに食料危機というのがあると考えます。
 ちょっと最近私が耳にしたお話ですけれども、西江雅之先生という文化人類学者がおられます。もう半世紀近くにわたってアフリカを中心とするフィールドワークにずっと携わってこられた方でありますけれども、アフリカの奥地で、ほとんどその部族以外に接したことのない部族がまだいるということなんですけれども、その部族にもだんだん衛生観念だとかそれから医療だとかが宣教師などの尽力を通じて普及してきて、非常に乳幼児の死亡率が下がってきたというんですね。そうすると、それまでずっと限られたローカルなところでそれなりに自給自足で存続してきたその部族が、西江先生の見通しでは、非常にこれから飢えに直面するんじゃないかということを心配されておりました。
 もちろん、乳幼児の死亡率が下がり平均寿命が上がってきたというのは大変結構なことなんですけれども、裏腹にそういう問題が起こってきたということでございますが、そういったことで、それはローカルな話ですけれども、地球全体で見ましても、やはりそういった開発途上国の人口急増の問題に伴いまして食料需給が逼迫してくるであろうということは当然予測されるわけでございます。
 現に、中国なんかも、日本に怒濤のごとく農産物を輸出していた国でありますけれども、最近、随分輸入国に転じつつあることは御承知のとおりでございまして、特に、私の千葉県なんかは農業粗生産高が北海道に次いで二位という大変な農業県なんですけれども、やはり中国からの輸入で大変農家は圧迫をされているわけでございます。考えてみますと、先ほど総理もおっしゃられましたように、農業とか畜産業というのは膨大な水を消費する産業でありまして、中国なんかは農業用水に水をとられるためにどんどん砂漠化が進展していまして、新疆ウイグル地区なんかでは、毎年、神奈川県より大きな面積が砂漠化しているというふうに聞きます。
 その国から水の塊と言ってもいい農産物、畜産物を日本に輸入するというのは、見方によっては、水のない中国から水を日本が収奪しているということも言えないわけではないのでございまして、私は、単に日本の農業を保護するだけではなくて、そういった地球上全体の水エコロジーの観点からいっても、やはりそういった水のない国からの輸入というのはほどほどにすべきじゃないかというふうに思うわけであります。
 そうした状況につきまして、まさにその専門であり、また、特に、攻めの農業ということで農産物の輸出につとに取り組んでおられます松岡農水大臣から、この辺についての御所見を承りたいと存じます。
○松岡国務大臣 大変重要な御指摘をいただきました。
 まず、食料需給ですが、簡単に、将来どういうことが言われておるのかと申しますと、先ほど総理も御答弁があり、また森先生からも御指摘があったわけでありますが、幾つかさまざま、いろいろなことが指摘をされております。予測も含めまして、見通しも含めまして。
 まず、要因としては、先ほどお話ございましたように、約三十億ぐらい二〇五〇年には人口が増加するだろう、これが第一点ですね。
 それから、環境変化。先ほど先生がおっしゃいました温暖化の問題。これは、作物生態学の研究の世界では、温度が一度C上がりますと、特に成長期間の適正温度が一度C上がりますと穀物の生産が一〇%減る、こういったことが最近は一つの定説になりつつあります。そういう問題。
 それからまた一つには、今先生おっしゃいました水の問題でございますが、これが大変深刻な問題になっておる。例えば、アメリカ中部、こういったところでは地下水が三十メートルぐらい最近はもう下がってしまっておる。要は水がれ状態。華北平野もインド平野も全部そんな状況であって、水が将来なかなか大変だ、こういったことがあります。
 もう一つには、経済的といいますか人口的な要因と絡めまして、中国の動向がやはり大きいと思っております。というのは、今中国は、穀物それから肉類でも、これは総量と総量ですが、アメリカを超えました。そして、このままいけば、年率八%の経済成長でいけば、二〇三一年には中国はアメリカ並みの個人所得になる。そうなりますと、食生活が一段とこれは高度化しますし、肉に行きますから。そういったような意味で、これはもう中国、十四億とか十五億とか言われておりますが、そのことを考えれば、二〇三一年には今の穀物の世界の総生産の三分の二ぐらいを中国だけで消化してしまうんではないか、こういったさまざまなことが言われております。
 したがいまして、将来的には、一言で言えば大変な食料の需給の逼迫が考えられる、見通される。それに対してどう対処していくか、こういうことでありますが、これは、一つ一つ積み重ねて自給率を高めながら、あらゆる食料の安全保障のための対策をやっていくことが必要だと思っています。
 それから、先生、水のことを指摘されましたが、この水の問題につきましては本当に深刻で、内々先生から御指摘がありましたが、アラル海ですかね、あのあたりはもうこの三十年で、海面で二分の一、貯水量で四分の一、このように減少してしまっている。したがって、今後はますますそういったことが加速化していく。
 そういう中で、人類、人口、それから食料問題、環境問題、極めて重要な問題だ。そういう中に、農業や森林、こういった役割が果たす意味は大きいな、そういう認識で取り組んでまいりたいと思っております。
○森(英)委員 今、自給率の向上に取り組むというお話がありましたけれども、カロリーベースでフランス一三〇%、アメリカが一二〇%、ドイツが九〇%、こういった中で日本の四〇%というのはいかにも低いわけでございまして、やはりもっと高いところを目指すことがこれからのそういう食料危機の時代に向けての備えになると考えます。
 そういう中で、民主党の基本政策で、先ほど中川政調会長も触れられましたけれども、完全自給と。これはそうできればそれにこしたことはないわけでございますけれども、そういうことがうたわれておりますし、また、それと関連して、やはり民主党の基本政策で、我が国の生産農家の生産費と市場価格との差額を各農家に支払う所得補償政策についてということも掲げられているわけでございます。
 こういったことについて農林水産大臣からお考えをいただきたいと思います。
○松岡国務大臣 お答えいたします。
 まず、農政最大の目標、使命は何かと思いますと、私は、国民の食料の確保、食の安全、これはもう大前提でございますが、その上に立ちまして、やはり農家や農村の農業者の皆様方が夢を持って、特に若い農業者の方々が意欲と希望を持って取り組んでいくことができる、そういう道筋を示すことが一番大事だと思っております。
 そのような意味で、前国会で私どもは、農政改革三法、戦後農政一大改革、ある意味では農地解放以来の大改革だ、こういう表現もされておりますが、そういう改革の体系を整えました。
 そこで、何を目指すかといいますと、私どもは、農家がみんな、全員参加の担い手づくり。認定農家がありますし、それからまた法人もございます。ところが今までは、一反歩しか、二反歩しか、三反歩しかない、こういう小規模な方々が、一人一人ではとても担い手になれないわけでございまして、こういった方々も、一人でだめなら二人、二人でだめなら三人、それでもだめなら集落ぐるみ、地域ぐるみ、こういった形で、大きくまとまり固まることによって大きな力になれる。そして、そういうまとまった農地を担い手が、だれかがしっかり作業を背負っていく。
 こういう形で、私どもは、この担い手に集中する仕組みというものをつくったわけでありまして、担い手をそういうことでしっかりと育てていただいて、そして、それによって大きな生産性のアップを目指していただく。
 それからもう一つは、先ほど総理からも何度もお話しございましたが、世界で日本食というのは、もう今や本当に一番すばらしいものとして広まっております。こういった背景を大きく生かして、チャンスととらえまして、世界で最もすぐれた農産物、これを武器に、しっかりと価値を獲得していきたい、こういうふうに思っています。
 それから、その考え方の中で、今までは守りだったんですが、なぜかというと、やはり日本の農業は小さい、外国は大きい、したがって、どうしても弱い。そしてまた価格も、外国のは安いからこちらは高い、どうしても競争力がない。そういうことで守りが中心だったんですが、どうもそうじゃない。物のよさにおいては、これはどこにも負けない。したがって、そのどこにも負けない面を生かして、これから大きくかち取っていこうと。
 もちろん、いろいろな課題がございます。輸出の条件をどう整えていくか、いろいろな課題がございますが、そういう方向を大きな方向にしていく。まさに自分たちの持っている力で将来をかち取っていく、こういう意欲と希望を持てるような方向を今指し示しております。
 もう一点でありますが、バイオマスであります。これは、温暖化に対処しましても、エネルギーの供給源の多角化という面でも、私は大きな意義があると思っておりますが、このバイオマス、これによって大きな役割を担っていく。
 そういたしますと、二十一世紀の農業は、食料生産とエネルギー生産を担う、二つの分野を大きく支える、まさに人類や国民生活に不可欠な食料、エネルギーを供給できる一大産業になることができる。これが、私は、総理のおっしゃっておる、二十一世紀の農業はまさに戦略産業である、一大成長産業が期待できる。ひとつ全国の農家の皆様方にもそういう夢を、意欲を、希望を持っていただいて、私ども自民党、そして政府の農政とともに取り組んでいただければ、こう思っている次第であります。
○森(英)委員 まことに同感でございますので、その意気込みで取り組んでください。
 最後に、こうした地球規模の諸課題を解決、克服するためには科学技術の役割が極めて重要であると考えますし、また一方、我が国は西欧の機械文明といささか異質な文明に起源しておりますし、そういった日本の役割というのも重要であろうと思います。そういった意味におきまして、日本において優秀な科学者、技術者を大勢育成するために、これからどのような方策を講じていただくのでしょうか。高市科学技術担当大臣に御答弁をお願いします。
○高市国務大臣 失礼いたします。
 きのうも、おとといも、さきおとといも、夕方六時になりますと、私は大臣室に座ってノーベル賞の受賞の報を待っておりました。日本人が受賞されるかどうか、そんなことを楽しみに待っていたわけでございます。
 そういった日本国の名誉や今後のイノベーションといった大きな大きな仕事に向けても、それから、当然、先ほど来先生がおっしゃっている地球規模の課題の解決、日本の国際競争力、そして何よりも国民の生活が安心で安全でより豊かなものになるためにも、科学技術を担う人材の育成は非常に重要だと思っております。
 ことし三月に第三期の科学技術基本計画が閣議決定されていまして、その中でも、人材の育成ということを最重要の課題に位置づけております。主に文部科学省の方では、理数科、特に小学校ぐらいからこの理数科教育をしっかりやっていこうというようなことで取り組んでいただいておりますし、大学の研究課程におきましても、まず女性研究者が働きやすい環境、それから外国から頭脳を集めるためにも、これは法務省にも御協力をいただくことですけれども、外国人研究者のよりよい研究環境、こういったことも含めて非常に多くの政策が展開されているところでございます。
○森(英)委員 ありがとうございました。終わります。
○金子委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 この際、石原伸晃君から関連質疑の申し出があります。中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石原伸晃君。
○石原(伸)委員 本日は、中川政調会長の持ち時間の中で、安倍総理を初め閣僚の皆様方に御質問をさせていただきたいと思います。
 特に安倍新総理におかれましては、政治家安倍晋三総理としての政治哲学、行動指針、こういうようなものを、テレビを通じまして国民の多くの方々にわかっていただくような質問を中心にさせていただき、また閣僚の皆様には、重要課題で時間の許される限りで御質問をさせていただきたいと思います。
 午前中の中川政調会長との御議論の中で、安倍総理の拉致問題に対する熱い思いというものは、多くの国民の方々がテレビを通じてわかられたのではないかと思っております。
 そこで、もう一つ気になるニュースがずっと入ってきているわけでございますが、午前中の質疑の中で総理は、北朝鮮のいわゆる核実験声明について、北朝鮮が仮に核実験を行えば国際社会の対応はさらに厳しくなるという御認識を示され、また、北朝鮮がこうした行為を続ければ今よりもさらに厳しい状況になることを北朝鮮に理解させるために国連での十分な議論が必要だし、日本もその中で役割を果たしていくという強い決意を示されました。
 このような事態の中、この週末には、八日、九日の両日、中国、韓国両国を訪問し、首脳会談を行うことになるわけであります。中国に日本の総理大臣が行くのは、APECを除きますと四年ぶりぐらいになりますし、首脳会談も一年近く途絶えていた。そのような状態の中で、こうした無謀な行為を思いとどまらせるために、我が国だけではなく、アジア諸国が一体となった取り組みをすることは不可欠であるということは言うまでもないと思います。
 両国首脳との会談に当たりまして、総理は当然そのような連帯の強化を図るつもりと考えますが、首脳会談を前に、どのような姿勢で臨まれるのか、決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今週末から来週の月曜日にかけまして中国と韓国を訪問する予定でございますが、ただいま石原委員が御指摘になられましたように、北東アジアの情勢、特に北朝鮮をめぐる情勢につきましては、日本も韓国も中国も同じ懸念を持っております。
 その中において、この北朝鮮の核実験また核保持を阻止するために何をすべきか、また、今どういう現状にあるのかということについて胸襟を開いて意見交換をしていきたい。その中で、国際社会に向けてまずこの隣国同士がしっかりと共通の認識を持ち、世界各国と連携をさらに広げながら、何とかこの地域の平和を回復するべく、脅威を取り除くべく、信頼関係を築き、その方向に向かって進んでいけるように努力をしていきたいと思います。
○石原(伸)委員 私が申すまでもなく、総理の熱意というものは、日中、日韓両国間の関係、連携を図り、このようなさまざまな問題に対処していくと受け取らせていただきました。
 ここからは少し肩の力を抜いていただきまして、総理の御著書、私も拝読させていただきました。「美しい国へ」、この中で、政治家はみずからの目標を達成させるために淡泊であってはならないと、御尊父であります晋太郎先生に言われたと述べられております。また、確たる自信を持ち、たじろがず、批判を覚悟で臨むとも述べられております。
 質問を始めるに当たりまして、この強い総理の意思の向かう方向をぜひ国民の皆さん方にお示しいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今回の所信表明演説におきまして、美しい国をつくっていきたいということを申し上げたわけであります。私が目指す美しい国とは、活力とそしてチャンス、また優しさに満ちあふれた、自律の精神を大切にする、世界に開かれた国であります。
 どういう国か、もう少し申し上げますと、まずは、日本のこのすばらしい、美しい自然、長い歴史や文化、伝統を大切にする国であります。その中から培われてきた家族の価値あるいは地域の交流というもの、きずなというものもこれは再生していかなければならないと思います。
 そしてまた、それと同時に、自由な社会を基盤として、自律を知る、凜とした国でなければならないと思います。自由な活動の中から創意工夫の中でエネルギーを生み出していくことが大切でありますが、また、経済活動においてはしっかりとした規範意識を持たなければならないわけでありますし、また、当然権利も、個人の権利、基本的な人権が尊重されるわけでありますが、と同時に、責任も伴っているということも認識をしていなければならない、そのための教育も当然大切になってくるだろう、このように思います。
 さらには、成長し続けるエネルギーを持ち続ける国でなければならないと思います。人口が減少していく局面の中にあっても、しっかりと成長していくんだという強い意思を持っていく、そしてそのためにやるべきことをちゃんとやっていく、人材を育成し、そしてイノベーションに力を入れ、オープンな姿勢で日本を活力ある国として維持をし続けていくことが大切だろう、このように思います。
 そしてまた、世界から尊敬され、そしてまた愛される、リーダーシップのある国でありたい、このように思います。日本の国益を外交の場において主張することは当然でありますが、それと同時に、地域をこうやってよくしていくんだ、世界の平和と繁栄のために日本はこういう考えと理想を持って、また、こういう方法を我々は試みていきたいんだということを主張していく国でありたい、時にはリーダーシップを発揮していく国でありたい、こう考えております。
○石原(伸)委員 ただいま総理が御指摘されました美しい国の四つの柱、私も、総理のイメージしている美しい国を私なりに書いてまいりました。
 今の総理のことを所信表明に合わせて整理をさせていただくならば、文化、伝統、自然、歴史を大切にする国、さらに、自由な社会を基本とし、規律を知る、ここがまあ総理のキーワードだと思うんですが、凜とした国、そして、未来へ向かって成長するエネルギーを持ち続ける、地域も、また地方も、すべてのところがエネルギーを持って、チャレンジという言葉を使われましたが、だれでもがチャレンジできる、そういうものに根差して国が成長していくということをおっしゃられたのだと思います。
 また、冒頭の質問でお話をさせていただき、総理が、日中、さらに世界の国々との信頼関係の構築という話をされましたが、それには、世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのある国、まさに安倍新総理には、このリーダーシップというものを国民の皆様方が求めていると私は考えるわけであります。
 そこで、よく思うんでございますが、私どもは自由民主党、保守政党であります。そうしますとこの保守という言葉は、時として改革に後ろ向きだ、こんなことをも連想させますが、私は、この政党で育てていただき、そういう考えは全く持っておりません。小泉総理の改革というものを間近で、また、さまざまな改革を行わせていただいたときに、これはある意味では自負でもありますけれども、保守政党だからこそ、ある意味での痛みに耐える改革というものを行うことができたのではないか、そんな気がいたします。
 そんな真の保守政治のもと、総理が目指されるこの美しい国、そんなときに、友党であります公明党の皆さん方、そして、きょうおいでの、また、多くの国民の方々が支持をしてくださっている私ども自由民主党という政党、この政党との連携強化、信頼関係の構築、こういうものも実は新総理に求められている重要なポイントではないか、まさに政党政治の根幹ではないかと考えますが、総理の御所見を賜れればと存じます。
○安倍内閣総理大臣 自由民主党は保守政党というふうに私も認識をしておりますが、日本の大切な文化や伝統、守るべきものはしっかりと守っていくという誇りと矜持は持たなければなりませんが、そのためには変えていく勇気も大切であろう、このように思います。
 自由民主党も昨年、立党五十年を迎えたわけでありますが、五十年前の自民党と同じであってはこの二十一世紀の政党としてふさわしくないわけでありまして、二十一世紀の政党にふさわしい政党に生まれ変わるためにも、私も党の改革に努力をしてまいりました。石原幹事長代理も、党改革本部長として、ぜひともさらに改革を前に進めていただきたい、このように考えます。当然、私の内閣、また政府も、自由民主党と議院内閣制の中で一体となって改革を推し進めてまいりたいと思います。
○石原(伸)委員 自由民主党、そして友党であります公明党と一体となって改革を進めていくという総理のお言葉に、国民の多くの皆様方も満足されているのではないかと思います。
 さて、各論に入らせていただきたいと思うんですが、実は総理とは、平成十一年、一九九九年でございますが、春に年金改革をめぐりまして政策勉強会をつくり、提言をつくりましたし、その年の年末には、たしか総理が党の方の社会部会長に御就任をされまして、私は介護問題の議員連盟の代表世話人として議論をさせていただいたことを覚えております。翌平成十二年、二〇〇〇年の介護保険スタートを控えて、まさに国民的な注目を浴びる中、毎晩のように、遅いときは午前二時を回るようなこともあったと思いますが、真摯な議論を闘わせたことを覚えております。総理は、そのときから社会保障制度のプロフェッショナルとしての経験を醸成されてきたのではないかと思います。
 当時は三党連立政権で、今は民主党の党首であります小沢党首率いる自由党の方がこの介護保険をめぐって税方式を主張されて、これが連立離脱の政局カードになる、社会保障の問題が政局にも使われるというような事態でもあったかと思います。
 実は、ちょっと古いものを出してきました。これはその当時の月刊誌なんですけれども、ここに、議員グループが年金改革解説のマニュアルを発表、自由民主党の安倍晋三議員、石原伸晃議員らのグループが年金改革の意義を解説するマニュアルを取りまとめた、負担と給付など老後の生活保障としての公的年金を明確に説き明かすと、頼んだわけじゃないのに月刊誌が取り上げた。
 そのときのポイントを今読んでみまして、タイトルは、年金なんか怖くない、政治家ならこう説明する。公的年金とは何か、社会的連帯の理念により老後の安心保障。年金改革は何をするのか、改革のポイント一、給付の伸びを抑制しても、将来安心して暮らせる額を保証する、改革のポイント二、負担は無理なく払える負担に、ポイント三、手取り収入はふえる、ポイント四、年金は老後生活の安心保障、ポイント五、公と私の役割分担、ポイント六、保険料緩和のための幾つかの方策、そしてポイント七、基礎年金の国庫負担率の引き上げ。
 今は、きっと当時の詳細なものは持ち合わせないので読んでおりませんが、ポイントだけを見ても、今まさに問われていることに対しての政治家としての処方せんを総理が中心になって書かれたと思います。
 そのとき、小渕総理だったと思いますけれども、小渕総理に、私も総理も、また官房長官である塩崎先生も、そして補佐官であります根本補佐官も官邸に呼ばれまして、当時の総理から、君たちのような若い世代がこの年金問題について意見を発し、国民の皆さん方の理解を得るように努力してもらいたいと、昼食でともにカレーライスを食べたことを実は思い出すわけであります。
 それ以来、年金改革というものはさまざまな改革が図られてきたと思います。民主党の皆様方も独自の提案をされていらっしゃることは存じております。
 しかし、私ちょっとよく理解できないことがあるんですけれども、内容が変わるのは、政策を錬磨していって、ブラッシュアップしたところでもっといいものがあれば政策を変えていくということはいいんですけれども、余りころころ変わりますと、一体何を求めていらっしゃるのかな、その意図がなかなかはかり得ない。一言で言いますと、民主党の皆さん方がおっしゃられていることは、間違っていたら言っていただきたいんですが、自営業者も含めて全国民の年金制度を一元化して、合わせてすべてが税による基礎年金を導入すべきというようなことが基本のような気がするわけであります。
 そこで、専門家であります厚生労働大臣にお聞きしたいわけでございますが、三つの年金があるわけですけれども、負担と給付の関係で、水準が違う、また保険料も違う、これを一朝夜に一元化すると、普通の人が考えれば、国民の皆様方も同じだと思うんですけれども、国民年金の方々の負担は高くなる、厚生年金の方々の給付は低くなる、このオプションが繰り広げられる、こういうことだと私は思うんです。
 国民の皆様方に、ぜひ厚労大臣、我々が目指すものと民主党の方々がおっしゃっていることはどう違うのか、そして本当にできるのかできないのか、しっかりと御説明をいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 午前中、森さんの質問に対して甘利通産大臣が、専門家に対して生徒が答えるような局面だということをおっしゃいましたが、ややそういう嫌いもあるんですが、私も一生懸命にお答えいたしたい、このように思います。
 すべての年金を一元化してしまう、このことも正直言ってなかなか難しいことであるというふうに思います。雇用主あるいは事業主という言葉を使いますが、事業主負担がある雇用者の年金制度と、事業主負担がない一般の自営業者あるいは職のない方、そういうような方の年金を一元化してしまうというようなことで、かなり今の年金制度を維持するために大きな力になっている事業主負担というものをどのように位置づけていくか、そこのところの説明が我々まだ十分いただいていません。そういうことが一つ指摘できるかと思います。
 それから、基礎年金をすべて税でもって補ってしまうということをおっしゃられるわけですけれども、ここはやや哲学的な、あるいは社会観の問題かもしれません。しかし、年金がそもそも始まったドイツにおけるビスマルクの昔から、やはり年金には、自助の努力、自分による貯蓄の要素というものがきちっと位置づけられておったというふうに思います。
 しかし、みんな人間は平均寿命でばたっと同時にあの世に行けるわけでないので、そこで、非常に長く生きる人と、残念ながら短く生涯を終える人との間の調整を基本的にとっていこうという発想が、私が学んだところでは年金にあった。基本は、自立自助、これが基本だったと思います。
 それに対して、年金の原資をすべて税金で賄ってしまうということをした場合にどのようなことが起こるのか。自分が六十五歳だか七十歳だか年金の受給年齢になった途端、天から何か贈り物が降ってくるというようなことになってしまいまして、これが、先ほど来「美しい国へ」の議論もあったわけですが、自立してきちっとして生きようというような、そういう個人でもって構成された国民あるいは国家というものにふさわしいかどうか、私は極めて問題がある。もっと技術的なことをいえばいろいろ言えるわけですけれども、そういう基本において私どもは、今の民主党案には極めて大きな違和感を感じています。
○石原(伸)委員 ただいまの柳澤大臣の説明で、民主党の皆様方の問題点、二つあったと思いますが、雇用主の負担があるもの、ないものとの整合性の問題、あるいは、基礎年金を全部税で賄うことの、自由党の方々がという話を介護保険のときにお話を冒頭させていただきましたように、自助努力あるいは保障との関係みたいな問題、こういうものについての差というものがテレビを見ていらっしゃる皆様方に御理解を得たのではないかと思っております。
 そこで、現在政府は、まず厚生年金と共済年金の一元化を進めることによって年金格差の解消を図ろうとしております。国民すべての将来にかかわる問題でありますからこそ、すぐにもできはしない一元化ではなく、まずできるところから一歩一歩進んでいこうということが私は現実的な改革の方向性ではないかと考えます。先ほども申しましたけれども、こういうものを政局に使うということは、まさに論外であります。
 実は、私も民主党の方々と大変親しい方も大勢いて、いろいろな議論をするんですが、一番実は頭にきているのは、個人的で恐縮なんですが、道路公団の民営化に当たりまして、高速道路は無料化すると皆さんおっしゃっていた。今、そういうことをおっしゃる方はいないんですね。私が大臣のときに、まあこれは名誉のために申しませんが、私のところの道路をつくってください、民主党の方々も、私が凍結したところを解除してくれと来るんですよ。
 これは申しませんけれども、やはり、こういう無料化と言う方々も少なくなってきたわけでございますので、総理にはぜひ、私たちは保守政党でありますので、できることから一歩一歩改革をこれからも着実に進めていただきたいというのが私の願いでございます。
 さて、町に出ますと、多くの若い方々から将来の不安に対する声というものを聞くことも、またその一方で事実だと思います。年金改革の実態が国民の皆さん方に十分に浸透していないということもその一因ではないかと思いますし、その不安を払拭し、しっかりとした改革を進めていくためにはどうしたらいいのか。この場で、総理の生の声で社会保障のプロフェッショナルとしての御意見、決意、こういうものをぜひお示しいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 年金制度というのは、まさに国民の信頼によって成り立つものであると思います。持続可能なものである、こういう年金制度であるという信頼をいただいて初めて年金制度は成り立っていくわけでありますが、信頼をいただいている限り、国が責任を持つこの公的年金制度が崩壊をするということはない、このように思います。
 ですから、平成十六年の年金制度の改正によりまして、給付と負担のバランスをとって、将来にわたって、労働力人口が減っていく場合あるいは平均寿命が変化していく場合において、給付、負担のバランスを調整していくマクロ経済スライドを導入したということでございます。これによって、いわばある程度給付を抑制していくという仕組みができたことによって年金財政は基本的には安定をしている、このように考えています。
 しかし、まだまだ、国民の中にもちょっとわかりにくいではないかという意見があるのも事実であります。ですから、一体どれぐらいの期間どれぐらいお金を払っているのか、そして、将来このまま払い続ければ幾らぐらいもらえるかを通知する仕組みを私は一日も早く構築をするべきだ、そして実施をするべきだと考えています。
 そしてまた、先ほど石原委員が御指摘になられたように、いわゆる被用者の年金は、公務員であれ、あるいは民間のサラリーマンであれ、同一の報酬を受けているのであれば同一の保険料であり、そして同一の年金額をということにならなければこれは公平とは言えない。そういう意味において、一日も早くこれは早急にこの被用者保険制度の一元化を進めていかなければならないと思います。
 こうした国民の要望にしっかりこたえていくことによって信頼を取り戻していかなければならないと思います。
○石原(伸)委員 ただいま総理がおっしゃられた点で重要な点は、やはり、国民の皆さん方との信頼があれば年金制度は破綻しないということですね。ここのところで若い方々は非常に心配に思っていらっしゃる。自分たちは社会のため、先輩たちのために積み立てることはやぶさかじゃないが、破綻するんじゃないか、持続的可能性があるのかないのか、そのことを非常に危惧されているんだと思います。
 そこで、厚労大臣にちょっとぜひ国民の皆様方に教えていただきたいと思うんですが、我が党の中にも、総裁選挙の中で、賦課方式をやめて、要するに自分の払ったものだけがもらえるものに制度を変えていきたい、こういう考えもありますし、私が話をする若い方々の中には、いわゆる貯蓄に似ているような、自分たちの積み立てたものが自分たちに返ってくる仕組みに二十年、三十年かかっても変えてもらいたい、こういう意見も実はあるわけでございます。この点について大臣の御所見を賜れればと存じます。
○柳澤国務大臣 国民の信頼あるいは年金の被保険者の信頼というものを、賦課方式の方が得られるのか、あるいは積立方式の方が得られるのかといいますと、これはごくごく素朴な感情からいうと、積立方式の方が得られやすい。ちょっと国の作用、機能というようなものに信頼を置いていただくならば、賦課方式で何らそれに遜色はないということだろうと思うんですけれども、一般的に言えばそういうことであろうと思います。
 しかし、それがどこの国でもできていない。これはなぜかといいますと、年金のスタートのときに、やはり年金保険料というものを十分納められなかった方、これにもそれ以上の実は保険金、年金をお支払いしたということがあるわけでございます。したがって、スタートの段階でも、かなり大きないわば穴をあけた形で我々の年金というものはスタートせざるを得なかった。
 しかし、そこでもなお問題があるのかというと、それはない。国家が永続し、国民が営々としてこの国をつくっていく限りにおいては、賦課方式で、つまり、そのときに年金をいただく方の原資というのは、基本的にそのときに働いている人たちの納められる保険料でもって賄う、こういういわば方式がいいではないかという賦課方式について、どこの国もそういう方式を採用するに至っているわけであります。
 もちろん我が国においては、この積み立てられたものを既にどこかへ全部使ってしまった、あるいは受給者に全部もう分け与えてしまったというものではなくて、かなり一定部分積立金というものが残っておりますが、ゆえに、我々の方式あるいは制度というものは、修正積立方式と場合によって呼ばれることがあることは御承知のとおりでございます。
 それでは、この賦課方式、修正積立方式でどのように国民の信頼をいただくことができるかといえば、今度、平成十六年にやったこの我々の年金制度の改革というものをきちっと説明できれば、これは本当になるほどということに納得し、また信頼をいただくことが私は可能であると思います。
 そういうことで、ここでその演説を始めるわけにはまいりませんけれども、基本的に、平成十六年度の年金改正というものは、永続的な、それから信頼に足る制度をつくり上げるものであったということは明言できます。
○石原(伸)委員 ただいまの柳澤大臣のお話を国民の皆様方も聞いていただきまして、やはり最後のサステーナブルであるというところが一つのポイントで、ですから、若い方々も今の方式で十分な年金を受けることができるんだ、またそれは、先ほど総理がおっしゃいましたように、個人個人違うわけですから、幾ら納めて幾ら入ってくるんだということを個人個人が情報として知り得るシステムを一日も早く確立していただくことを御要望申し上げたいと思います。
 次は、ちょっと総理にとりましても柳澤大臣にとりましても頭が痛いというか、こんな質問するなと言われるかもしれませんが、大きな問題がございます。いわゆる社会保険庁の問題であります。
 総理は、党総裁選挙を戦うに当たりましても、社会保険庁の解体的出直しという言葉を使われておりますし、今回の所信表明でもこのようなお言葉を使われております。我々も、総裁の公約を実現するために、自民党としても全力でこの問題に当たりたいということは言うまでもございません。社会保険庁にかかわるさまざまな問題を解決することが、先ほど来総理がおっしゃっておりますように、国民の皆様方の年金に対する信頼をかち得る上で、また、不安を払拭する上で不可欠だと考えるからであります。
 先ごろ明らかになりました、四十万件にもなろうかという組織的な国民年金保険料の不正免除問題は、実は私も新聞でいつも知って、おお、またあった、これはまたすごいなと、想像しない、予想さえしない問題であり、今なおこのような問題が噴出しているということを現実として踏まえれば、総理がおっしゃるような社会保険庁の解体的出直しが必要なことは、実は国民の皆様方の方がはっきりしているのではないかと思っています。余談でございますが、私の選挙区の杉並区で一番新しい、きれいなビルは社会保険庁であります。
 効率的な徴収をするためにどのような体制を構築するのか、また、本当にすべての仕事が公務員の身分でないとできないのか、根本に立ち返っていただいて、総理の公約でございます解体的出直しを実現するために、何をなすべきかをぜひ柳澤大臣は早急に御検討いただき、我が党の方も、また友党であります公明党の方も御検討いただき、結論を得ることが私は与党の責任であると考えております。
 この点につきまして、自由民主党総裁、総理大臣といたしまして、先ほど来、年金のプロフェッショナルらしくかなり専門的なお話を総理はされておりましたが、信頼回復の一点に限って、なすべきこと、先ほど通知を得る仕組みというお話もされましたが、改めて御決意を賜れれば、また大臣にも御所見をいただければと存じます。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、年金制度というのは、国民の信頼なくしてこれは成り立たないわけでございます。国民の信頼があれば、国が責任を持つこの公的年金制度はずっと続いていく。その中で、この年金の仕組み自体の設計も持続可能な仕組みでなければならない。それは、給付と負担のバランスがこれはすべてだろう、このように思います。どれぐらいの給付、みんなが納得できる給付、それが納得できる負担の上に成り立っていれば、これは当然続いていくということになります。
 しかし、それを運用する組織が国民から信頼を失うことによって年金に対するこれは信頼が当然毀損されてくる。よって徴収率も落ちてくる。その社会保険庁が、やはり国民に対して親切なこれは組織でなければならない。わかりやすく給付についても説明をしながら、そして徴収をするという組織でなければ徴収率は上がらないわけでありますが、続いた不祥事もございます。
 そういう中において、さきの国会で政府として法案を提出させていただいたのでありますが、この法案が果たして解体的出直しにふさわしいものであるかどうか、あるいは、本当にこれは国がやらなければならない仕事かどうかということを議論を深めていただきまして、私どもといたしましては、真にこの年金制度を守る組織を私たちはしっかりとつくってまいる所存でございます。
○柳澤国務大臣 もう総理が御答弁になったとおりでございます。
 ただ、私は、加えまして、税の方を少しばかりやった人間として考えますときに、例えば、最後に石原委員が触れられた免除の問題等々につきまして、賦課方式ですから賦課と言わせていただきますが、賦課をしますと、それがもう債権になるわけですね。あるいは公的債権というか、通常、税だったら国税債権になります。そういうものはしっかり管理しなきゃなりません。そして、現実に取りに行くという事務もあるでしょう。それで、いろいろと仮に事情があって免除する、あるいは少しディスカウント、割り引くというようなことがあってこの賦課を修正するというプロセスを、この一番先の、実際に徴収に行ったような人たちの裁量でやったのでは、これはもう国の債権はしっかりと確保できない、保全ができないわけです。
 ですから、そういう場合には、しっかりとこの賦課の部門に戻ってきて、それで一定の手続をしっかり踏んでその減額が行われるというようなことが、いわば、若いころ税務署の署長なぞでいろいろ見聞きしたことからすると、当然そうでなきゃならない。そういう仕組みに一体この組織はなっているのかというようなことについても私は今問いを発しているわけでございます。
 いずれそういったことをいろいろ、従来の各大臣もいろいろなお知恵を出していただきました、私も私でいろいろな角度から検討させていただきますけれども、いずれにせよ、イニシアチブはぜひ石原さんたち与党の側でとっていただければ大変ありがたい、このように考えております。
○石原(伸)委員 総理も組織論について、親切な組織、また柳澤大臣の方からは、もちろん、冒頭申しましたように、党の方としても十分にこの討論を受け、議論を深めてまいりたいと考えております。
 社会保障の問題に関連して、次は尾身大臣にお話を聞かせていただきたいと思うんですが、歳入歳出のいわゆる一体改革であります。
 社会保障というものは、歳出の中の大変大きなボリュームを占めるものであることは言うまでもございません。さきの本会議で総理は、財政改革につきまして、十九年度予算の歳出削減の状況、十八年度の決算状況、社会保障給付の実績などを見きわめる必要があり、税制改革の本格的、具体的な議論を行うのは来年秋以降になるだろう。私も柳澤税調会長のもとで副会長をやらせていただいておりましたので、まさにこの議論というものは来年の秋以降になるというのは、自明の理であると思っております。
 野党の皆さん方はそれに対して、議論を先延ばししている、逃げているのではないか、どのタイミングで消費税の税率アップの問題を明らかにするのか、そうじゃなければ無責任だ、こんなような批判が聞かれることはあると思います。
 しかし、きょうの午前中の我が党の中川政調会長との議論でも明らかになったとおり、初めから増税ありきの議論は意味を持たないわけであります。幾ら税収が入るのか。最近は自然増収四兆円、これは事実かどうかは存じませんけれども、徹底的な歳出削減や行革の結果として行政がどのぐらいスリム化したのか、改革によって日本経済の体質がどのぐらい強化されたのか、言ってみるならば法人税等々の税収動向でございますけれども、こういうものを見きわめずに何%いつからというのは、幾ら議論しても、机の上で議論をしているだけだと私は思います。
 少子高齢化がますます進みまして、社会保障給付や少子化対策にかかるお金が増加することは、今テレビを見ていただいている国民の方々はだれもが御認識をされていることだと思います。総理が所信表明でおっしゃっておりました健全で安心できる社会を実現するためには、社会保障や少子化対策などに伴う負担増に対しまして、やはり我々は与党でございますので、きちんとした財源を確保して、国民が安心できる社会保障制度をつくる必要があると私は考えるわけでございます。そのためには、税制改正が必要なことは私も認識しております。
 しかし、そうした負担増を国民にお願いするに当たっては、まずは、国や地方の歳出を徹底的に切り詰める、スリムで無駄のない行政にするのが先決だということは、総理も尾身大臣も会見等々でおっしゃられております。それも、実は、きょうこうやってテレビをごらんになっていらっしゃる国民の皆様方の偽らざる私は大多数の声だと信じております。総理はそうした改革の道筋をもう既に示していられるのであって、これこそが国民の期待にこたえる、責任ある態度だと私は思っております。
 野党の皆さん方はこれも、秋から本格的、具体的な税制改革の論議が、消費税隠し、こんな批判をしておりますが、まずは国民の負担を最小にすべく、佐田大臣、よろしくお願い申し上げますが、行財政改革に全力で取り組んだ上で、それでもどうしても国民のために必要なコストは税制改正によって歳入を確保する、そういう考え方、道筋を明確に示すことが私は真の責任ある態度であると思いますが、財務大臣の御所見、財務大臣からは、日本の財政の現状等々もわかりやすくぜひ国民の皆様方にお示しいただきたいと思いますし、総理からは、確固たる決意がございましたら、申し述べていただきたいと思います。
○尾身国務大臣 財務大臣に就任をさせていただきまして、我が国の最大の課題である財政再建に取り組むということになりました。責任の重さを痛感しながら、全力で頑張ってまいりたいと考えている次第でございます。
 就任をして日本の財政状況を見ますと、国と地方の両方合わせた長期債務残高、つまり借金の残高が七百七十五兆円ということで、GDP対比で一五〇%という数字になっております。つまり、年間のGDPの一・五倍の借金の残高があるということであります。これは、ほかの国の状況を見ますと、日本に次いで高いのがイタリーの一二〇%でございまして、その他のヨーロッパとかアメリカなどは大体GDPの五〇%から七〇%ぐらいの借金残高の水準になっている、こういうことでございまして、客観的に見まして日本という国は、世界一の借金残高が多い国であるということが言えると思います。
 他方、国民負担率という概念がございまして、それは、国民の一人一人が納めている税金、それから年金や医療保険の掛金、そういうものを全部合わせた掛金というか税金の合計が、国民が負担している率がどのくらいかといいますと、所得に対して国民負担率三八%という数字になっております。この三八%という数字をほかの国と比べますと、実は世界一低いという水準になっておりまして、ほかの国の例でいいますと、福祉の国スウェーデンは七一%、ヨーロッパの国々が大体五〇%から六〇%であります。
 日本より見かけは低いアメリカは三二%ということになっておりますが、アメリカは実は国民皆保険制度でございませんで、病気になったときに医療費をどうするかという問題で、個人保険を掛けています。そういう点で、日本との国民負担率の差で計算をいたしますと八%ぐらいあるなという計算になっておりまして、それを考えると、日本流に直すと、日本の三八%に対してアメリカは四〇%の負担をしている、こういうことでございます。
 例えばスウェーデンでいいますと、一人当たり所得でありますが、計算しやすいように一千万円の所得というふうに考えますと、一千万円の所得があると、スウェーデンの方々は七百十万円を国にいろいろな意味で税金として納めているわけであります。日本は、今は四百三十七万円ですが、計算しやすいように言いますと、一千万円の所得とすると、三百八十万円納めている。スウェーデンの方は、病院もただ、学校もただ、医療もただということになっておりますが、しかし七一%の負担をしているという状況でございます。
 そういう中で、日本の財政、客観的に見て借金の残高は世界一である、そして、一人当たりのいわゆる国に納めている負担の大きさというのは世界一低い、先進国一低いというのが日本の現状であります。
 さはさりながら、私どもは、この財政再建を行うに当たりまして、無駄や非効率な歳出を放置したまま国民に負担を求めるというわけにまいりません。したがいまして、国民負担の最小化を第一の目標といたしまして、歳出の削減につきましては、ゼロベースで見直して合理化、歳出縮減を図ってまいりたい、そう考えている次第でございます。
 そういう歳出削減を徹底的に実施した上におきまして、さらにそれでも対応できない社会保障の負担や、午前中にも話がありました少子化対策等の負担増が予想されますので、そのための安定的な財源を確保するという意味におきまして、抜本的、一体的な税制改革を推進して将来世代への負担の先送りを避けたい、こういうふうに考えているわけでございます。
 総理からも御答弁がございましたが、現在の諸情勢を考えますと、十九年度の予算の削減がどのくらいできるかという状況、それから、十八年度の決算が来年の夏にはわかりますので、その結果、さらに、医療制度改革等を踏まえました社会保障給付の実績等を見た上で、来年の秋以降にこの本格的、具体的な検討を行うことになろうというふうに考えている次第でございます。
 いずれにいたしましても、財政再建の重要性にかんがみまして、来年度予算につきましては、従来の改革努力を継続いたしまして徹底的な歳出削減を図ってまいりたいと考えております。
○安倍内閣総理大臣 小泉総理のもとで構造改革を進めてまいりました。歳出改革にも取り組んできているわけでありますが、まだ財政再建は大きな課題として残っております。
 その中で我々は、二〇一一年にプライマリーバランスを黒字化するという目標を立てております。そしてまた、それと同時に、少子高齢化が進む中において社会保障費はふえ続けていくわけでありますが、やはり、国民の安心であるこのセーフティーネットはしっかりと守っていかなければならないと考えております。
 その中で、この社会保障の給付の質を落とさないように適正化していく、合理化をしていく、効率化をしていく努力は当然していかなければならない。そしてまたさらに、無駄遣いはないかということをよく見ながら歳出の削減に当たっていかなければならない。これは相当の決意が必要でありますが、まずはこの歳出の削減にしっかりと取り組んでいく。それはやはり、最初に申し上げましたように、大切な社会保障制度を守るためでもある意味ではあるんだろう。持続可能なものにしていくためにもしっかりと効率化は図っていきたい。そのためにリーダーシップを発揮してまいる覚悟でございます。
○石原(伸)委員 総理並びに尾身大臣の現状認識と決意を伺わせていただきましたが、やはり、冒頭の議論の中でありましたように、経済成長なくして財政再建はあり得ない、そのこととこの財政再建ということの両立、大変難しいかじ取りにはなると思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 そしてもう一点、御要望でありますが、二〇一一年のプライマリーバランスの黒字化で財政再建がなされたということではございません。いかに健全な体制をこれから次世代に引き継いでいくのかということにつきましても、尾身大臣におかれましては、英知を結集していただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
 こういう話をしますと、何だ、また来年も支出をゼロベースで見直して、うちの方の地方はちっともよくならないな、私は東京出身なんですが、そういう声をよく聞きます。これは、総理も所信表明の中で、地域間格差は是正していかなければならない、やる気のある地方にはしっかりとした政府としての施しも必要だ、こんな話も、同僚の斉藤議員でございましたか、きょうの午前中の質疑であったかのように聞いております。
 総理は、美しい国づくりの第一歩は、先ほどフリップで示させていただきましたように、文化、伝統、自然、歴史がある国ですが、これはそのまま言葉をかえますと、地方の方が当てはまるんですね。日本じゅうがミニ東京やミニ大阪やミニ名古屋になるのではなくて、地域独自のすばらしい文化、伝統、自然、歴史を生かした地域の活性化が重要だと私は考えるわけでございます。
 官から民へ、国から地方へという小泉総理の基本スタンスは継承しつつ、やはり、今回総理がお目配りされていただいております、頑張る地域や頑張る地方の人たちの応援をしていくことは大切なんだということを、ぜひ内閣の閣僚の皆様方はお示しいただきたいと思っております。地域分権だからといいまして、地域政策は地方だけの役割ですよと決めつけるような短絡的なものは私はよしとはいたしません。
 EUというのは、国ではなくて主権国家の集合体ですけれども、経済的、社会的統合の観点から、国家間、地域間の格差を埋めるためのさまざまな施策を展開しております。この夏に法務委員会の視察でポルトガル、スペインを見てまいりましたけれども、これは、EU間の地域格差の解消による資金の流入というものが空前絶後の好況を生み出しているということを目の当たりにしたところでもございます。
 我が党の中川政調会長が先ほど午前中の質疑で地元の北海道の話をされておりましたけれども、我が国のように長い歴史と伝統を持ちまして一体性が強い単一国家ではなおのこと、地域政策というものは政治の責任であり国家の責務であると私は考えております。もちろん、尾身大臣の御指摘のとおり、国、地方合わせた借金がGDPの一・五倍ですか、次がイタリアということで、大変財政事情が悪い。地域活性化の名のもとのばらまきは許されないと思いますし、地域の個性を失わせるような施策、どれもこれも押しつけのような中央からの施策も適当だとは思いません。
 民間企業、自治体、国が一体となった、頑張る地域、頑張る地方の方々を支える新たな枠組みづくりのために、冬柴国土交通大臣におかれましてはどのような取り組みをこれからされていくのか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
○冬柴国務大臣 この安倍内閣が標榜いたします「美しい国、日本」、この国土形成のためには、今委員がおっしゃいましたように、東京だけが日本ではありません。地方には、すばらしい歴史、伝統、そして自然があります、四季があります。そしてまた固有の産物があり、またすばらしい食文化、そしてまた温泉等の恵みもあります。そういう頑張る地域、元気な地域、これを応援していくということは、「美しい国、日本」をつくるための必須の要件であります。
 今、そのようなことから新しい国土形成計画では、委員がおっしゃいましたように、その地域が自主的、自律的に我が地域はこのようにして発展をしたいという計画をつくっていただければ、国土交通省としては、全面的にこれを応援していきたいと思いますし、また、全体計画としてバランスのとれた開発もしていかなければならないと思います。
 ただ、その中で、日本の国というのは、一億二千七百七十万人という大きな人口を抱えますが、国土は狭隘であります。多くが山林に覆われております。そう考えますと、四面環海の国でもあります。隣には、しかしながら、大きな中国、韓国、そしてまた、今発展している、中国の一部でありますけれども、台湾があります。そういうところの交流を地域が直接にやっていただくための我々は国際空港あるいは国際港湾というものをつくり、また、そこからその地域へのネットワークというものをつくらないと、日本の国全体が浮上しないと思います。
 おもしろいことに、この地域が、特産物でありますものをダイレクトにこの近隣諸国に輸出をしているということが多く見られます。例えば、青森のリンゴでございます「ふじ」というリンゴは、日本では高くて百四十円程度らしいんですけれども、台湾では二百五十円から三百二十円で同じものが売れています。これは、非常に色が赤くて美しいということで大変好まれていまして、もっと驚くべきことには、そこに春節の字を書き込みますと一個千五百円で売れているという事例もあります。ちなみに、米国産では、「ふじ」というのはあるんですが、平均九十九円、売れているのが。安いんですね。
 私は、頑張る青森県のこのリンゴ、これがどんどん伸びていってほしいと思いますし、先ほど中川政調会長が北海道のことを言われましたけれども、長芋が台湾の薬膳料理として非常に売れている。また、スケトウダラが韓国のチゲなべに活躍している。これは釧路です。そういう、挙げだしたら切りがないほど、地域がその特産物を直接売っているという事例があります。
 私どもは、こういうものを応援するために、先ほど言いましたような、総理からも、観光ということも力を入れて、そしてビジット・ジャパン、二〇一〇年までに日本へ来られる方を一千万人にしてほしいという特命を受けています。地方が頑張っていただいて、地方との間の交流によってこの一千万人は決して夢ではない、そのように考えておりますので、国土交通省としては、国土形成とそれから観光開発という面で地方の自信と活性化を支援してまいりたいと思っております。
○石原(伸)委員 今、冬柴大臣から、「ふじ」が日本の倍で売れる、スケソウダラも韓国のキムチに入っている、農産物がブランド化されると国際競争力を持つ、そういうものはきっと、大臣おっしゃられたようにたくさんあるんだと思うんですね。こういうものがアジアの国々に輸出されるときに、実は、リンゴの話を聞きまして私もちょっとその話を聞いて調べたら、何か港は神戸から出すんだそうですね。冒頭おっしゃられたように、国際港湾の構築ということで、例えば秋田港とか八戸から出せれば輸送コストはかなり低いものになりますので、そういうことによりまして地方産品のブランド化に国土交通省としても御尽力をいただきたいと思います。
 また、さて、総理の目指す経済成長を達成するためにも、今言われたようなことを活用した経済社会を構築することは、必要なことは言うまでもないと思います。地域の活性化が不可欠であるということは、多くの方々の認識を一にするところだと思います。そのためには各地方が、私は東京出身でありますけれども、東京にばかり目を向けるのではなくて、東京を経由しないで、冬柴大臣がおっしゃられましたように、直接に外国と連携して、その活力を地域経済に取り込みまして国全体の活力を高めていくことが私は不可欠ではないかと考えております。
 我が国の経済力、人口規模を考えますと、地域ブロックでの国際競争力、成長力強化の取り組みというものは十分に実効を上げるものと確信をするわけであります。
 例えば、総理御出身の山口を含めた中国地方五県を合わせますと、その実力はスウェーデン、オーストリアに匹敵する経済力、人口を有する巨大な経済ブロックでございますし、先ほど冬柴大臣が指摘されましたような、港湾の整備によりまして日本海物流が増加してそこの拠点ができていきますと、独自の物流拠点を磨けば、いろいろな地域が自立をする、自立する経済発展をやることが可能になってくると思います。
 それがまさに総理がおっしゃられております、地域間格差を是正し、文化、伝統、自然、歴史を大切にする美しい国をつくるということにつながると思いますので、総理の御決意、そして、余談ではございますが、東京の富を地方にだけ持っていくようなことのないように、東京には、東京が首都であることの社会資本整備の必要性ということも付言させていただきます。
○安倍内閣総理大臣 地方の活力なくして国の活力はない、こう考えています。
 先ほど冬柴大臣から、国土形成計画を進めながら地域を活性化させていくというお話がございました。また、ただいま委員が御指摘になられたように、地域のブロック、私の地元のある中国地方は、スウェーデンとか、あるいはまたベルギーと大体GNPや人口規模が一緒、また、九州はオランダというふうに言われておりますが、しかし、そういう国々と比べるとまだインフラの整備は十分ではないかもしれないということを言う人もいるわけでありまして、そういうブロック化の中で、どのようにそのブロックの力を発揮させていくためには何が必要かということも考えなければならないんだろうと思います。
 そのブロックの中で蓄積された経済やいろいろな文化等があるわけでありますから、それを生かしていくという中において、東京とは違うそれぞれの地域のよさを生かしながら、もっと、ある程度ブロック化したメリットを生かしていくことも考えていきたい。その中でまた新たな活力も生むことができるのではないか。そして、ブロックごとにそこから世界に発信をしていく、また世界と直接つながっていくことも私は大切だろう、このように思います。
 地域産品と同時にブロックの産品もさらに生まれてくるし、そういうことを念頭に入れながら地域の活性化を図ってまいりたいと思います。
○石原(伸)委員 ぜひ、ばらまきではなく、地域の自律性、自助努力というものを吸い上げるようなことを政府一丸となって取り上げていただきますことを重ねてお願い申し上げます。
 次に、冒頭、総理に北朝鮮の核実験予告に絡んでのお話をお聞きしましたが、麻生外務大臣に一点ぜひお聞きしたいということがございます。
 総理が官房長官のときにお話を聞きまして、麻生大臣が、北朝鮮による七月のミサイル発射という緊急事態を受けて、我が国の国益を守るため、まさに総理の主張する外交の第一歩を踏み出され、麻生外務大臣が主導した日本外交というものが、国連の安全保障理事会に北朝鮮に対する制裁決議案を提案いたしまして全会一致での採決に至るという、戦後の国連史上、日本国がイニシアチブをとった、大きな成果を上げられたという話を実は聞いたことがございます。これは実は、これからの歴史家がひもといたときに、日本外交の大きな転換点、ターニングポイントになるような出来事であったと私は思います。
 なぜこのようなことが可能であったのか、そして、このような、総理がおっしゃられるところの主張する外交を外務大臣としてどのように展開されていくのか、外務大臣の御所見を賜れればと存じます。
○麻生国務大臣 これは石原先生、基本的には、被害を最大にこうむる確率が一番高いのは日本、したがってその日本が主張する以外に、ほかの国は地理的にはかなり遠いところにありますので、ヨーロッパの国々はむしろイランの核の方に興味がある。しかし、この北朝鮮の核、ミサイル等々の話につきましては、距離的、地理的な関係があって、一番近くにいる日本が最大の関心を持って当たり前。その日本が主張しなければ、ほかの国で主張する国はありません。したがって、日本が最初に主張を開始する、当然だったと思います。
 また、これが直ちに安保理でできて、九三年のノドン、九八年のテポドンの1、それで今回、三回目ですけれども、一回目はいわゆる何もなし、九八年はたしか議長声明で終わったと思いますので、こういった決議案というのにまとまったのは今回が初めて。しかも、十日でできておりますが、この十日間でできた最大の理由は、日本とアメリカとの関係が極めて密。これは、この五年五カ月の間の小泉・ブッシュという人間関係を含めて、両国の信頼関係は極めて厚かった。したがって、安全保障条約というのは一条約にすぎませんけれども、この同盟条約がきちんと作動をするかしないかというのは、ふだんからのいわゆる信頼関係がいかに醸成されているかというのにかかっていたと存じます。
 したがって、今回は、その信頼関係に基づいて、日本の要請に基づいて直ちに対応ができたということだと思いますので、こういうような話でいつも日本が主張するというのはちょっと正直申し上げて余りありがたくないのであって、こういうこと以外のことで主張させていただくことの方がありがたいんですけれども、またぞろ、何かとぼけたような話でまた二、三日前から始まっていますので、もう一回、また近々そういった決議案をやらないかぬことになるのかなと思っています。
 いずれにいたしましても、国益というものを考えて、私どもというか、日本という国家として地域の平和、安定、いろいろなことを考えておきませんと、この地域においては、朝鮮半島、台湾海峡、いずれもきな臭いものがまだ残っておりますので、そういうものはいずれも日本の自由航行を阻害し得る要因になりかねません。したがって、きちんとした対応を常に日本としての立場を主張するというのは、安倍内閣、引き続きましてそういった点はきちんと対応してまいりたいと思っております。
○石原(伸)委員 麻生大臣、ありがとうございました。
 大臣が最後に御指摘された北朝鮮の問題あるいは台湾海峡の問題を考えますと、冷戦が終了した後も、実は北東アジアの安全保障バランスというものは欧米のように決してよくなっていない。こういうことをやはり客観的に事実としてしっかりと認め、主張すべきことは主張していっていただきたいですし、大臣が言われたこれ以外の主張もどしどしやっていきたい。ここが実はこれからの麻生外交に係る重要なポイントだと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 大変お待たせをいたしました、伊吹文科大臣、教育改革についてまた御見解をいただきたいと思っております。
 今国会におきましては、総理の所信表明演説の中でも教育改革が一つの重要なテーマとなっております。総理も教育再生を最重要課題の一つとして掲げられ、民主党におきましても小沢一郎代表が、「私の基本政策」において、格差解消の名のもと、高等学校までの無償教育化、就学年齢を五歳に引き下げて就学前教育を無償化などの考えを掲げられ、与野党ともに重点課題にしております。
 これも今度教えていただきたいんですが、野党の皆さんにもお聞かせ願いたいんですが、国が義務教育についてどのように責任を負うのかということは、まだ小沢代表も明らかにされておりません。財源の拡大ということも明らかになっていない。そういうことも、ぜひこれからの論戦を通じて明らかにしていただきたいと思っております。
 これに対しまして総理はどうおっしゃっているかといいますと、公教育の再生というものが重要である、教育の質の向上に向けて教員免許の更新制度、あるいは高い教育をできるよう学校の外部評価制度の導入等々、具体的なプランというものを出されております。
 こうした具体的なプランを実際にお進めになるのは文科大臣が当たられると思いますが、文科大臣の日本の教育の現状の御認識と、どのようにこれから取り組まれていくのかということについて御所見をいただきたいと思います。
○伊吹国務大臣 教育というのは、もう申し上げるまでもなく大変息の長いもので、先ほど来お話があった社会保障や財政の再建以上に大変息の長いものだと思います。
 現行の教育は、御承知のように、現憲法ができる前に既に現行の教育基本法というものはできております。ところどころ修正その他がその間にあったわけですが、それを受けて学校教育法というものがあって、そして指導要領やあるいは教科書検定があって、そして現場で先生方の努力もあり、あるいは地域の教育力、それから家庭のしつけ力、しかし、地域の力、家庭の力というのは大きく社会の変遷とともに変わってきている。これも石原先生御承知のとおりだと思います。
 そこで、この教育のもとで大きくなった方は、一番年上の人が今はもう多分七十、ほとんどの日本国民がそうだと思います。そして今、子供が被害者になったり、あるいは子供が加害者になったり、社会の大変つらい事件が多々起こっておりますし、OECDの調査などを見ますと、かつて日本の教育力というのは非常に高かったわけですが、理科、数学はまあまだベストテンに入っております。しかし一番困るのは、読解力、国語の表現力、これは各国のランクで見ると、残念ながら二けたになってきたということなんですよね。
 それで、先ほど石原委員が国民の皆さんに示していただいたこの安倍内閣としての国の形、この国というものはどういうものかということですよ。領土があり、そこに住んでいる国民があり、そして、その国民の日々の営みの中からつくり出される一種の生きざま、文化のようなもの、これが今の国民の皆さんが満足をしておられるかどうかということ、そしてさらに、今の教育、過去の教育を支えるために税金からお金を入れておりますが、その納税者が将来の日本のこの国の形として期待している国民、これができているかどうかということなんですね。
 ですから私たちは、時代の流れと少し合わなくなってきている教育基本法を改正したい。同じ問題意識を持って民主党の方も対案を出しておられます。だから、必ずこれは、国民の負託を受けた国会の場で与野党を超えて早急に議論を始めなければならない。そして、始めることによって、安倍内閣が提唱している国の形、特に、自由な社会を基本として、規律を知る、凜とした、しかし、先ほど総理も言葉を少し補足しておられましたけれども、凜とした、優しく、温かく、共生できる国、この国をつくり上げるために、各論はいろいろあると思います。だから、まずその理念法を改正して、教育再生会議で広く政治主導で国民の意見を聞き、そしてそれを、学校教育の部分、社会教育の部分は我が文科省で、石原委員がおっしゃったような免許制の更新とか地域との連帯の問題とかいろいろなことをこれからやって、我々がこの世からいなくなったときに、石原さん、伊吹、よくやってくれたなと言われる日本にしたいと思います。
○石原(伸)委員 一時間十五分にわたりまして安倍総理また各閣僚と議論を積み重ねてまいりました。総理も、「美しい国へ」の本の末尾で、教育の再生こそが再チャレンジ可能な社会への第一歩だと述べられておりますし、ベンジャミン・ディズレーリですか、その方の言葉を引用され、若者の教育の重要性をも説かれております。そして、本の結びに当たりましては、この本は若い人たちに読んでもらいたいと思って書いたと。私も実はきょう、財政改革あるいは年金問題、そして、最後に伊吹大臣が息の長いものであるとお話しをされたこの教育の話、若い方々にぜひ聞いていただきたい。と申しますのも、若い人たちにいかにして高い高いモチベーションを持たせ続けるのかということがこの国の発展に続くと考えるからであります。
 総理には、最後、限られた時間ではありますが、日本国の最高指導者として、次代を担う若者たちへのメッセージをいただき、質問を終わらせていただきたいと思います。
○金子委員長 質疑時間が終了しておりますので、簡単にお願いします。
○安倍内閣総理大臣 日本の未来を形づくっていく、また、日本の未来を担うのは今の若い人たちであり、また子供たちだろう、このように思います。そのためにも、しっかりと我々、教育の再生に取り組んでまいります。また若い方々には、ぜひ、日本の未来を信じ、何ができるかを考え、そして実行に移していただきたい、このように思います。
○石原(伸)委員 終わります。
○金子委員長 これにて中川君、斉藤君、森君、石原君の質疑は終了いたしました。
 次に、北側一雄君。
○北側委員 公明党の北側一雄でございます。
 まず安倍総理、総理就任、まことにおめでとうございます。大変な大任でございまして、重圧も大変な重圧があろうかというふうにお察しをいたします。私どもも、安倍総理をしっかりお支えし、また協力関係をしっかりと構築していきたいというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
 公明党も、先般、安倍総理にも御出席を賜りまして、党大会を開催させていただきました。これまで神崎さんが長らく我が党の代表を務めてまいりましたが、新しく太田代表が就任をいたしまして、また不肖私が党の幹事長に就任をさせていただいて、公明党として新しいスタートを切らせていただきました。どうか今後とも御指導、御鞭撻を賜りますように、心からお願いを申し上げる次第でございます。
 公明党と自民党との連立政権、発足をいたしましたのは平成十一年の十月の四日でございます。きょうが十月の五日でございますので、丸七年、この連立政権が続いているわけでございます。
 連立政権発足当初は、特に経済情勢が大変厳しい状況でございました。金融機関の破綻がある、また金融不安が広がる、日本の経済が本当に大変な状況でございました。ある人からは、日本発の世界恐慌なんということが言われるような時代でございました。そういうころに、私ども、自民党の皆様と連立を組ませていただいて、自公の連立政権がスタートをしたわけでございます。
 それから七年、構造改革が推進をなされ、またさまざまな政策、もう詳しくは述べませんが、さまざまな政策の実現もさせていただきまして、この七年間がたちました。
 まず冒頭、総理から、この連立七年間の評価について御答弁をお願いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 我が党におきましては、小泉総裁から私にたいまつが引き継がれたわけでありますが、公明党におかれましては、神崎代表そして冬柴幹事長体制から、太田代表そして北側幹事長体制に引き継がれたわけであります。今後ともしっかりと私どもは協力をして、この連立体制のもとに政局を安定させ、政策を遂行していきたい、このように思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 ただいま北側先生がおっしゃったように、七年前、一九九九年、日本は未曾有の金融危機の中にあったわけでありまして、このままいくと、もしかすると日本発の金融恐慌が起こるかもしれない、そんな不安の中にいたわけであります。何とかこの中で日本を救おう、その一点で自民党、公明党の連立政権が誕生いたしました。恐らく公明党にとっては大変困難な決断だった、このように推測をするわけでありますが、その公明党の決断があったからこそあの金融危機を乗り越えることができた、私はこのように思います。
 そして、この七年間、多くの実績を上げてまいりました。公明党が基本的に重視をしている社会福祉、社会保障の分野においては、連立政権ができてすぐに介護保険制度がスタートいたしました。その後は、年金制度の改革、医療制度の改革、あるいは障害者の自立支援法、そしてまたがん対策と、さまざまな社会保障分野における政策の実現を見たわけでありますし、また、中小企業、零細企業に対するさまざまな施策においても、公明党のリーダーシップの中できめ細かな政策が遂行された、このように思います。
 そして、この五年有余にわたる小泉改革におきましては、小泉さんはまさに大なたを振るう、そしてどんどんブルドーザーで古いものを打ち壊していくという中にあって、やはり弱者に光を当てていくという公明党とのハーモニーの中で私はこの改革は大変成功裏に進んできた、このように思います。
 今後とも、この連立政権、党が違うわけでありますから、時には互いに主張すべきことは主張しながら、信頼関係の上に、しっかりとこの連立の信頼を守りながら成果を上げてまいる覚悟でございますので、どうぞまたよろしくお願いを申し上げます。
○北側委員 いわばこれまでの七年間は、九〇年代のよく言われます失われた十年間、この負の遺産を克服していく、そのために安定した政権が必要ということであったというふうに思います。
 私は、これからの日本、今、日本という国は本当に大きな転換期に来ているというふうに思っております。例えば人口構造。昨年から人口減少時代に突入しました。これからも末永くこの人口減少は続いてまいります。また、本格的な高齢社会はこれからやってまいります。団塊世代が六十歳定年退職を迎えるのは来年からでございまして、本格的な高齢社会を迎えるのもこれから。そして、経済はますますグローバル化していく。
 こういう中にあって、これからの日本をどうしていくのかということが今問われているわけでございまして、人口が減少し、高齢化が進んでも、日本の経済がしっかりと維持をし、発展をしていく、財政をいかに健全化していくか、高齢化が進んでも安心の社会保障をどうつくっていくか、非常に大きな曲がり角にあるこの五年間であり十年間、これからの五年間、十年間だというふうに私は思っておりまして、やはり今ここは、日本の政治は、安定した中で政治を遂行していかないと思い切った改革はなかなかできないというふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、これからも自民党の皆さんと、先ほど総理がおっしゃったように、主張すべきは主張し合って、言うべきことは言い合って、しかしながら信頼関係をさらにしっかりと構築をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
 先般、九月の二十五日に、自由民主党と公明党の連立政権合意を新たに交わさせていただきました。これまでの何度かにわたる連立政権合意、これも踏まえた上で、新たに九項目の政権合意をさせていただいたわけでございます。
 きょうは、私、そしてこの後に斉藤政調会長、さらに赤松さん、予算委員会理事が質問をさせていただきますが、この連立政権合意に書かれている論点、課題についてぜひ質問をさせていただきたい、総理の率直な御答弁をお願いしたいと思うわけでございます。
 この連立政権合意、九項目あるわけでございますが、これをしっかりと、これは自公の基本合意でございますので、この合意を実現できるようにともに努力をし合いたいというふうに思うわけでございますが、この点、総理の方から御答弁をお願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 この連立合意は、総裁に就任をした私と幹事長の中川幹事長、そして御党の代表と幹事長、当時の幹事長代理も含めて署名をした重要な文書でございます。当然、この連立合意に従って政策を遂行していく、この中に書かれた目標について、しっかりと達成を目指して努力を重ねてまいります。
○北側委員 そこで、この連立政権合意の中に、第九項目めのところですが、「平和外交の推進」という項目がございます。その中に、我が国外交の基軸である日米同盟、国連を中心とする国際協調を両輪としつつ、平和外交を積極的に推進する、さらに、中国、韓国を初めとする近隣諸国との一層の関係強化に力を注ぐ等々書いてあるわけでございます。
 きょう、私この後、懸案になっております日中関係、日韓関係を今後どう改善していくのか、進めていくのか、ここのところについて、ぜひ総理と忌憚のない意見交換をさせていただきたいと思っているわけでございます。
 まず、日中首脳会談また日韓首脳会談、この週末に連続して開催をされるというふうに聞いております。私どもは、これはもう高く評価をさせていただきたいと思っております。何よりもまず、トップ同士が会うことが大切でございまして、そういう意味で、安倍総理が就任早々真っ先にこの日中首脳会談、日韓首脳会談を開催される、実行されるということを大いに評価させていただきたいと思います。
 日韓関係、日中関係、ともに極めて重要な関係でございますし、トップ同士が、やはり大局に立って、胸襟を開いて話し合うということが非常に大事と思うわけでございまして、会うことそのものに私は大きな意義があると思っております。大いに評価をさせていただきたいと思いますが、この首脳会談に臨む総理の基本姿勢といいますか、基本的な考え方といいますか、まずお聞かせ願いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 人間同士の信頼関係というのは、やはり会ってまず話をすることから始まっていくんだろう、このように思います。会わないと、時にはお互いに疑心暗鬼になる場合もありますし、お互いを誤解し、その誤解がさらに誤解を生んでいくということにもなります。また、全く会っていないと、いわゆる食わず嫌いという言葉がありますが、全然知らないのに、あいつは嫌なやつだな、どうもこういう評判があるけれどもこういう人とは信頼関係を構築できないなと思って、実は会ってみると違ったということもございます。
 ですから、そういう意味においては、今、日中関係、日韓関係、人の交流は大変盛んだと思いますが、首脳同士が会って、胸襟を開いて、お互いに自分の考え、目標、理想を話をする、これがまず第一歩だろうと思います。
 そういう意味で、私も総理に就任をし、そしてある意味、日本の首脳として、中国、韓国の首脳とお目にかかって、両国の未来について、お互いに胸襟を開いて話をしたい、そして未来のためには何をすべきか。とにかくお互いが、もし問題があったとしても、違いがあったとしても、会って話すことはこれからも大切にしていこうということは合意をしていきたい、こう考えております。
○北側委員 この日中関係、日韓関係の重要性について、これはもう総理はよくよく御承知のところでございますが、私の方から、いかに日中関係、日韓関係が今重要になっているかという一端の例をお話をさせていただきたいと思うわけでございます。
 歴史的にも文化的にも、日本と中国、日本と韓国というのは、隣接の関係にありますから、深いつながりがあるのは当然でございますが、しかし、歴史的に見ても、かつてこれほどまでに経済関係が深化したことはありませんし、また、民間レベルや国民レベルでの交流も、これほどまでにすそ野を広げて交流がなされている時代はかつてなかったと私は思っております。
 ちなみに、例えば日本と中国、例をとりますと、日本と中国の定期便、定期の航空路線、航空定期便の旅客便数、これは週何便あるかといいますと、現時点で五百二十五便あるんです。五百二十五往復ですよ。現時点で五百二十五往復、日本の都市と中国の都市とを往復しているんです、一週間。一日平均にしますと、七十五往復です。一日平均七十五往復というのは、東京―大阪ののぞみの便より多いんですよ。これは日本と中国の定期便だけですから、これ以外にチャーター便があり、貨物便があるわけですね。それを入れたら、もっとすごい便数なんですけれども、それぐらいふえている。これでも足らないんです。これでも足らなくて、これは七月でしたが、まだ私が国土交通大臣の際に日中航空交渉をようやっと妥結しまして、この秋から春にかけてずっと増便します。恐らく来年の春ごろには、今、週五百二十五便ですが、これが百便以上またふえます。というぐらいに航空便がふえている、またふえざるを得ない、こういう状況にあるわけでございます。
 この表は、この十年間の推移を示していますが、航空定期旅客便数の推移ですが、中国は十年前に比べて三四九%増、韓国も七三%増ということでどんどんふえています。それだけの需要があるということなんです。
 また、この間、私、上海にやはり七月に行ったときにびっくりしたんですが、上海にある日本人学校。地元の企業の方から、上海の日本人学校にぜひ寄ってくださいと言われまして、私、寄ったんです。そうしたら、生徒さんたちがいらっしゃったんです、小学生、中学生の。日本人学校です、上海の。生徒数、何人だと思いますか、皆さん。何と二千五百人。小学校、中学校の子供ですよ、日本人学校の生徒数が二千五百人。大変な、世界一の日本人学校ですが、文部科学大臣、ぜひ上海に行っていただいて、この日本人学校に激励に行っていただきたいと思います。
 また、これはきょうはもう質問しませんが、日本人学校の支援、位置づけ、これは本当に議論する必要があると思います。今、人件費しか出していないんですから。校舎だって、地元の日本人商工会議所の人たちがお金を出し合って校舎をつくっているわけですよ。これではやはりこの国際化の時代にまずいです。これはやはり見直していかないといけない、もっと支援を強化していく必要があると思います。この質問はまた改めてさせていただきたいと思いますけれども、それぐらい交流が深まっているという一例で今申し上げさせていただきました。
 さらに、直接、貿易額の推移を見ますと、これはもう言うまでもございませんが、日中関係、日韓関係ともに、貿易総額に占める割合というのは大きくなっています。御承知のとおり、二〇〇四年、一昨年から二年連続して、日中貿易の方が日米貿易よりも額は大きくなっているんですね。その差がどんどん今広がっております。今や日本の最大の貿易相手国は中国です。また、韓国との関係も、十年前に比べましたらやはり合計額が二倍以上になっているわけでございまして、経済関係、貿易関係をとっても急速に大きくなっている。
 さらに、これも言うまでもございませんけれども、今や、一つの製品ができるまでに、最初に素材がある、部品ができる、そして組み立てがなされる、そして完成製品ができる、完成製品が流通して消費者に届く、この最初の段階から最終消費者に届くまでに、いろいろな国のものが移動して一つの製品ができ上がっているんですね。今や、日本と中国を中心とするこの東アジアとの間は、まさしく経済的には準国内化、物流の面でも準国内化してきているというのが今の経済実態なわけです。それぐらい経済関係が深まってきている。
 これは中国との関係ですが、現地法人数も大幅にふえています。現地法人の経常利益も十年前に比べたら大幅にふえております。このような相互依存関係、また水平分業というものがどんどん強化されていっているというのが今の状況でございます。
 もう一点だけ、ちょっと例示を示させていただきますが、これは人の交流の面です。人の交流の面で、これは去年の訪日外国人旅行者の割合ですが、去年六百七十三万人、今までで最高でした。去年最高の六百七十三万人のうち、一番は韓国でして、台湾、中国と続くんですが、これも、東アジアの国々からの訪日の外国人旅行者というのが全体の約七割を占めているんです。七割が東アジアの国々から来ています。韓国からは、ことしはすごくまた伸びていまして、ことしはもう二百万人を超えます。台湾もふえています。中国もまた非常にふえていまして、ことしはこの六百七十三万人が、恐らく七百二十万とか三十万とか、七百万を超えるようなことになろうかと思います。これぐらいまた交流も拡大をしているわけでございまして、今幾つか例を申し上げましたが、経済関係の相互依存というのは、極めて日中関係、日韓関係というのは深化、深くなっておりまして、人的な交流関係も飛躍的に増大をしてきました。
 こういう中にあって、私が申し上げたいのは、さっきちょっと申し上げましたけれども、我が国はこれから大きな転換期を迎えます、人口減少、少子高齢化をする中で、いかに我が国の経済を維持し着実に発展をさせていくのか。人口減少とともに我が国経済が縮小してしまうようなことになっては絶対ならないわけでございまして、そうなってしまったら安心の社会保障だって構築できないわけですね。安心の社会保障をつくっていくためにも、日本経済というものをやはり維持発展させなければいけない。
 そのためのキーワードの一つは、キーワードの一つですよ、私は交流と連携だと思うんです。交流と連携を深めていく、特に東アジアの国々との交流と連携を深めていく。今、もちろん二国間のFTAやまたEPA等が進められようとしているわけですが、こういう交流、連携を深めていくということが我が国にとっても極めて私は大事なことであろうと思っております。
 その他、安全保障問題、また北朝鮮問題、さらには東アジア全体の平和と安定ということを考えても、この日中関係、日韓関係というのは大変重要な二国間関係でございまして、今幾つか、るる申し上げましたが、こうした日中関係、日韓関係の重要性について改めて総理がどう御認識されているか、お答え願いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 ただいま日中関係、日韓関係がいかに切っても切れない関係になっているかということをわかりやすく示していただいたと思います。日本の経済も日韓、日中の関係なくしては成り立たない、逆に、また中国の経済も韓国の経済もこの日中関係、日韓関係があって成長していく、こういうことだろう、このように思います。
 また、日本は観光立国も目指しておりまして、北側大臣時代にもビジット・ジャパン、大変進んでまいりました。二〇一〇年までに一千万人、日本への観光客をふやそう。その中でも、やはり韓国から、あるいは中国から、台湾から、このアジア地域からのお客さんをふやしていくためにどう努力をしていくかということだろうと思います。
 その中で、やはりお互いがいい雰囲気を持っていることが大切であり、そしてまた人との交流がふえていく中において、首脳同士の交流もそうなんですが、やはり日本というのはいい国だな、日本というのは自由だし、民主主義だし、いい国だ、みんな親切だし、こう思ってもらえることがさらに私は交流を高めていくのではないだろうか、このように考えます。
 日本が人口減少局面に入ったとしても、成長していくためには、まさに北側先生が御指摘のように、アジアの成長を日本に取り込んでいくことが大切だと思います。中国の人口は増加をしていくわけでございます。また、もちろんインドもそうなんですが、このアジアの成長をしっかりと日本に取り込んでいく。
 また、あるいは安全保障面において、北東アジアの問題、北朝鮮の問題については日中韓が同じ認識を持つことが大切であります。また、日米韓でこの北朝鮮の問題について話し合う仕組みを持っておりますが、さらにこの信頼関係を高めていくことが大切であろう。
 そういう意味において、今後この日中関係、日韓関係を信頼の関係にするべく、そして、その上で、さらに両国が経済の面においても、さまざまな面において発展していくように努力をしてまいります。
○北側委員 ありがとうございます。
 今総理がおっしゃったように、この相互依存の関係の深まりというのは、もうこれは時代の流れでして、ある意味で不可逆的な大きな時代の流れであると私は思います。だから、総理がおっしゃったように、一方が勝って一方が負ける、そういう話ではなくて、双方の良好な関係を構築して、それを維持することが双方にとってプラス、双方の平和と安定にとってプラスという関係になっているんだと私は思うわけでございます。
 隣国関係というのは、これは、世界じゅうどこでも課題があるのはある意味では当然なんだと思うんですね。隣国関係だからこそ課題も多いし、問題も根深いんだと思うんです。また、感情的な対立もそれはあるでしょう。しかし、そうした隣国関係だからこそ政治のリーダーシップというのが大変重要なのではないかと私は思っておりまして、私は、総理の、今後の首脳会談に、先ほど冒頭定期的に開きたいとおっしゃいましたけれども、今後のトップ同士の会談に期待を申し上げたいと思います。
 私は幾つか提案申し上げたいんですが、一つはEPA、FTAなどの経済連携、これはASEANも含めてのことだと思いますが、これを積極的にまず推進していく姿勢を我が国はさらに進めていくべきだと思います。
 二点目に交流の拡大、特に私は青少年交流が大事だと思うんですね。若い人たちが実際にこの目で他国の、日本を、韓国を、中国を見る。実際にこの目で見る、この肌で感じるということが非常に大事だと思いまして、青少年交流の拡大、また文化交流、スポーツ交流、観光交流を促進していく必要がある。特に観光は相互理解の促進にとって、異文化に触れて違う文化を理解する相互理解の促進にとっては非常に重要です。
 また、三つ目に、共通の課題があります。環境問題、エネルギー問題、それから防災の問題、こうした共通の課題について、一緒になって、日中で、日韓で仕事をともにしていく、そうした関係をさらに強化をしていくことが大事だと思っておるところでございます。
 今後とも、これはこれから我が国を大きく左右する課題であると思いますので、ぜひ総理の御奮闘を心から期待を申し上げたいと思います。
 先ほど総理の方から観光立国のお話がございましたが、ビジット・ジャパン・キャンペーン、これは小泉総理がまだ五百万人ぐらいしかないときに、二〇一〇年、倍にしようということでこういう提言をされまして、私も担当大臣として二年間頑張らせていただいたわけでございますが、この観光立国、ビジット・ジャパン・キャンペーンというのは、安倍内閣においても内閣挙げて、官民挙げて取り組む課題であると認識してよろしいでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 北側先生が大臣時代に大変御苦労されたこのビジット・ジャパンは、国の政策の柱として私は位置づけていきたいと思います。まさにこれは日本のよさを世界に発信していくことにつながります。
 私は、日本が発展をしていくためには国や社会を開いていくことが大切だということを申し上げました。多くの方々に日本を訪れていただきまして日本のよさを知っていただく。日本の文化や歴史や伝統に触れていただくことによって、日本というのはいいな、そしてまた、日本の理想にも触れていただく。あるいは、若い方々にももっともっと日本を訪れていただくためにも、例えば中国からことし千二百人の高校生を招聘しておりますが、こうしたことも行いながら、やはり世界じゅうから日本を訪れていただく。日本が訪れたい国ということは、すなわち魅力ある国だと思います。そういう魅力ある国になるためにも我々も努力をしていきたいし、また、何というか、日本人というのはどうもある種謙虚過ぎるところがあって、日本のよさをなかなか発信をしない。しかし、やはり発信をすることによって世界の人たちにこの日本のよさを知っていただくことは、むしろこれは日本だけではなくて地域の発展にもつながっていく、その思いでビジット・ジャパンを、今後とも観光立国を重要な柱として位置づけてまいります。
○北側委員 最後に一問。
 私、先ほど青少年交流が大事じゃないかというふうに申し上げましたが、今、文部科学省と国土交通省、一緒になっていただきまして、連携をとっていただきながら、教育旅行、修学旅行等々、若い間の交流をしっかりやろうということで取り組みをしていただいております。たしか数値目標もつくっていただいたかと思いますが、これはしっかり取り組んでいただきたいと思いますが、それでは、冬柴大臣、ちょっと答弁を。
○冬柴国務大臣 九月二十六日に安倍内閣総理大臣からお呼びいただきまして国土交通大臣の任命を受けましたが、そのときに、同じように観光立国担当国務大臣を命ずるということで、特に、今お話がありましたように、二〇一〇年には日本へ来ていただくお客様が一千万人になるように頑張ってもらわなければいけない、このような特別の指示をいただいたところでございます。
 御指摘のように、そのようなものを実行する意味におきまして、柔軟な感性を持ち、未来を担う青少年という方にたくさん来ていただくということは非常に重要であります。そしてまた、そういう人たちはリピーターとして、若いときに訪れた日本の思い出をもう一度呼び起こして、中年、老年になっても我が国へ来ていただける、そういう期待もあります。
 そういう意味で、先ほどお話がありましたように、伊吹文部大臣からお話があるべきでしょうけれども、フレンドシップ・ジャパン・プランというものを、文部科学省、非常に力を入れていただきまして、現在四万人ですが、それを倍の八万人にしようという目標を立てていただいています。この内容というのは、日本の学校へ中国の学生さんを、勉強じゃなしに見に来ていただく、学校へ招致する、そういうことでございまして、それを入れるためには、海外の教育関係者を対象としたセミナーの開催、あるいは海外の教育関係者に我が国の学校を視察していただくという招請事業、こういうものが行われております。そういうことから、我が国への教育旅行の誘致ということに力を入れていきたいと思います。
 また、北側大臣時代に訪日教育旅行促進全国協議会というものを設立されました。そしてまた、地域にも同じような協議会をつくっていただきまして、この事業を進めていこうということで、我が国における教育旅行の受け入れ促進を図っているところであります。
 もう一つ、やはり北側大臣がことしの七月に北海道で開催されました日中韓観光大臣会合というところで、日中韓観光ビッグバン、爆発するぐらいのものをと銘打って、三国域内の観光交流拡大のための計画がつくられましたが、その中に、青少年交流などにより観光交流の促進に取り組むことが大事だということが盛り込まれております。中国、韓国との青少年交流につきましても一層の交流拡大に努めてまいりたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。
○北側委員 ありがとうございました。
○金子委員長 この際、斉藤鉄夫君から関連質疑の申し出があります。北側君の持ち時間の範囲内でこれを許します。斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。
 連立二期、公明党太田新体制になりました。この連立二期の連立関係、一期の間に培った信頼関係をベースに、それを基礎に、言うべきことを言い、そして合意を図っていくという、より成熟した信頼関係をつくっていかなくてはならない。
 太田代表から、私、政調会長の任を受けたわけですが、各政策課題で言うべきことを言う、けんかするのが斉藤君の役目だよ、このような任を受けたわけでございまして、その姿勢で、もちろん信頼関係をベースにした上で頑張ってまいりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 先ほど北側幹事長、連立合意の一つ一つについて確認する質問をしていく、このように申し上げましたが、私は、まず、その連立合意の大きな柱の一つでございます教育改革の推進について質問をさせていただきます。
 まず最初に、教育の党公明党としてちょっとPRをさせていただきたいと思うんです。
 公明党が連立政権に参加いたしましたのが平成十一年度から。教育の分野でも、私たちは、より現場からの声を大切にという声を大切にいたしまして、奨学金の事業の拡大に努めてまいりました。連立から、奨学金につきましては、当時二千六百億円余だったのが現在八千億円近くになっておりまして、この事業費は三倍になっております。次に貸与人員でございますけれども、五十万人から百九万人に、これは倍以上ふえております。このように、奨学金の拡充はかなりドラスチックになされた。
 それから、もう一つ現場の大きな声が不登校等の問題でございます。連立に入りましたのが十一年。それ以来、全中学校にスクールカウンセラーを配置いたしました。そして、不登校の数も少し減少してきたという状況でございます。
 このように、あくまでも現場の声を大切にしながら頑張ってきたということをまず最初にお話をさせていただきました。
 そして、教育につきまして、前国会から国会に提出されております教育基本法につきまして、私どもは、現行の教育基本法、これは大変すぐれたものである、しかしながら、戦後六十年たって、この六十年間、私たち日本国民が得た新たな価値観がございます、そういうものをつけ加えていく。
 例えば、幼児教育、家庭教育、大学教育、生涯教育、こういうものは現行の教育基本法にございません。そういうものをきちっと書き込まなければいけないだろう。生涯学習の理念もございます。また、生命の尊厳、自然、環境の大切さということも理念として新たに加えた。
 そして、よく話題になります愛国心につきましても、郷土と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度、いわゆる偏狭なナショナリズムではない自然な愛国心ということで、すばらしい案ができた、このように思っております。
 このような教育基本法をぜひ、自民党との三年間七十回にわたる一つ一つ細かい議論の上にできた教育基本法でございますので、ぜひ今国会で成立させたいというのが基本的な考え方であるということをまず最初に申し述べさせていただきます。
 その上で、総理、今回、教育再生会議を官邸におつくりになるということでございます。その教育再生会議が何を目指しているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
○安倍内閣総理大臣 私も、ただいま斉藤先生が御指摘になられましたように、教育基本法の改正案をぜひともこの国会で成立させるべく全力を尽くしてまいりたい、こう考えております。
 そこで、私は総裁選を通じまして、教育の再生、特に公教育を再生するべきである、このように申し上げてまいりました。豊かな人間性とそしてまた創造力を持ち、規律ある人間を育てるための教育をしっかりと充実させていく必要があると思います。
 公教育、特に、今のままでいい、こう考えている方はほとんどいないのだろう、このように思います。だれでもが通うことができる公教育を再生しなければ、新たな格差が生じてくる、こういうことになるのではないか。まさに教育の再生は急務である、このように思います。
 その中で、英知を結集し、教育の新たな改革に取り組んでいきたい。そのために、内閣に教育再生会議を早急に発足させていく考えであります。
 その際、学校、家庭、地域社会といった教育現場の視点に立つことが私は重要であると思います。その上で、保護者や地域住民が学校運営に参画する学校運営協議会の設置や促進、そしてまた、やる気と能力のある教員が教育に専念できる環境の整備など、教育現場の創意工夫が十分に生かされる環境を整えることが私は重要であると考えております。
 そうした中において、しっかりとこの再生会議の中において、新しい施策、新しい取り組みについて積極的な御議論をいただきたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 現場からの意見を取り上げて改革に結びつけていくんだ、そのための教育再生会議なんだ。私は、まさに我が党の考え方と合致する、このように考えております。
 教育というのは非常に理念が大切なものであると同時に、一つ一つの教育の営みというのは、一人の子供と、また、一人の人間と一人の人間とのぶつかり合いという非常に個別的なものでもございます。したがって、現場でどういう問題があるのか、そして現場でどのような悩みがあるのかということを聞いて、それを改革に結びつけていくということが最も大切だ。
 我々公明党は、社会、国家のための教育ではなくて、教育そのものが目的であるような社会、教育のための社会こそ本来あるべき姿だ、このように主張しておりますけれども、今回の再生会議は、まさにその視点からの改革を提言される会議であるということが今明確になりました。大変安心をいたしました。
 我々も、例えばこれは滋賀県の例なんですが、不登校の子供たちに大学生や大学院生を派遣する。これはまさに実費だけのボランティアベースでございますが、そのことによって不登校が七割、八割減ったというふうな例もございます。
 そういう例を現場で聞いて、これをぜひ全国的に展開したらどうだろうかということで、今回、来年度の文科省の概算要求の中にもメンタルフレンドという形で提案しておりますけれども、このような現場の声を聞くということをぜひこれからの教育改革の一つの基本的な姿勢、考え方にすべきだと思います。
 それから、もう一つ大きなテーマにあります教育行政についてお伺いをいたします。
 先日、規制改革会議でも、教育委員会を廃止したらどうかというふうな意見も出ました。また、今回、民主党さんが出されております教育基本法の対案も、基本的に教育委員会をなくして首長さんに任せるという案を出されております。
 私は、教育というものは、その独立性、中立性ということは非常に大切である。その時々の首長さんやもしくは政府の意思によって教育というものがその都度変わるというようなことがあってはならない。政治から本当に離れて中立であるべきだ。今の教育委員会、たくさん問題を抱えて、決していいとは言いませんけれども、しかし、その教育委員会を活性化させて、地方の声を聞きながら進めていくということがこれからの教育改革の基本的な考え方でなくてはならない、このように思っておりますが、総理はこの点についてはいかがでございましょうか。
○安倍内閣総理大臣 教育委員会の必置義務について特区での御議論がありましたときに、まさに今、斉藤委員が御指摘になった点が大きな重要なポイントでございました。政治的な中立性という観点から、いわば選挙で選ばれた首長さんにいろいろなことをすべて任せていいのかどうか。しかし他方、そうであっても、やったことについて次の選挙で問われるのは首長ではないか。いろいろな議論がございました。
 その中で、教育委員会は、教育の政治的中立性や継続性、安定性を確保するとともに、多様な民意を反映するための組織であり、地方における教育の担い手である、基本的にはこういう認識になったわけでございます。
 その中で、経済財政運営と構造改革に関する方針二〇〇六において、首長への権限移譲など、特区における実験的な取り組みは行っていこう。その中で、やはり、これは幾ら何でも、首長さんにお任せをしていいというものはありますねということに関しては、これは特区において行うということにいたしました。と同時に、教育委員会が教育委員会としてもっと活性化してもらいたい、教育委員会の役割を果たしてもらいたいという意見が出てくる地域もないわけではありませんから、そういう観点から抜本的な改革を行うということになったわけでございます。
 今後とも、この方針にのっとりまして、政治的中立性を確保しながら、教育委員会制度の活性化に資するように教育委員会制度改革を進めていきたい、このように思います。
○斉藤(鉄)委員 公明党の基本的な考え方、これはまだ政策やマニフェストという形にはなっておりませんけれども、教育権の独立、四権分立という考え方まで根底にあるぐらいでございますので、政治的中立性を担保した上での教育改革の論議ということをぜひお願いしたいと思います。
 次に、先ほど不規則発言で教育費の格差はどうなっているんだという声もありましたけれども、その教育費の問題について質問させていただきたいと思います。
 教育費の負担、これがいわゆる格差の固定化や格差の拡大再生産の手段になってはいけない、このように思います。同じスタートラインに立つ、このことからいえば、義務教育は基本的に無償でございますけれども、その前の幼児教育、また高等学校や大学での教育費の問題、これはやはり政治が注意していかなくてはいけない問題だと思います。
 幼児教育の無償化、これは幼稚園の授業料、保育園の保育料の無償化というようなことを目指すと私たちも主張しているわけでございますが、この問題。
 それから、高等教育につきましては、先ほど申し上げました奨学金。基本的に、もうアメリカと同じように、十五歳以上になったら自分が奨学金を借りて、将来自立したら自分で返していく。そのためには、借りやすく返しやすい奨学金制度をつくらなくてはいけないわけですけれども、奨学金の拡充。また、返すときに、その返還について所得控除になるとか税額控除になるとか、そういうことも考えるべきなのではないか、このように思いますが、いわゆる格差拡大再生産を阻止するための教育費の無償化という方向性について総理はどのようにお考えでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 私も、家庭の経済状況によって子供たちの教育を受ける機会が奪われてはならない、このように考えております。
 教育の機会均等を図っていくことは、これはもう基本的な方針である、このように申し上げたいと思いますが、このため、政府としては、幼稚園、保育所の教育機能を強化するとともに、幼児教育の将来の無償化について、歳入改革とあわせて財源、制度等の問題を総合的に検討しながら、ただいま御指摘のあった奨学金については、健全性を確保した奨学金制度の充実等を推進して、厳しい財政状況ではありますが、教育費負担の軽減に向けて努力をしてまいります。
○斉藤(鉄)委員 ぜひお願いをしたいと思います。
 もう一つ、放課後、土曜日の活用ということをお話しさせていただきたいと思うんです。
 私、広島に住んでおりますけれども、全国どうなのかわかりませんが、私の住んでいる地域では、公立は土曜日休み、しかし、私立の中学校や高校は土曜日やっているんですね。ということで、公立と私立の一つの差がそこで出ている。ですから、お母さん方はもうとにかく子供たちを私立に行かせたいということで中学受験が過熱しているというようなことが地方では起きております、東京の現状はちょっとよくわかりませんけれども。
 私は、そういう意味で、土曜日の活用、例えば、地域の能力のあるお父さん、お母さん、ボランティアベースでいいから子供たちを教えたいという人もたくさんいらっしゃいます。そういう方が学校に行って補習をする、もちろん、勉強したいと希望する子供たちだけですけれども、教えてあげる。ある意味で、塾に行けない子供もそういうところには来られる。これは、地域と学校の連携、学校を地域が支えるという意味でも大変有意義ではないかと思うんですけれども、こういう放課後や土曜日を地域の人たちが協力して補習授業をしていくというふうなことについては、公立教育の再生という意味では、総理、いかがでしょうか。
    〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
○安倍内閣総理大臣 詳しくは伊吹大臣の方から答弁いたしますが、公教育の再生がなぜ大切かといえば、だれでも行けるのが公教育の場であろうと思います。つまり、公教育が不十分であれば私立あるいはまた塾ということになってくるわけでありますが、当然財政負担が伴ってくるわけでありまして、公教育が充実をしていれば、そういうところに行く必要がなくなってくるのでございます。
 そこで、補習等々について公教育の場でどう考えていくかということも含めて、私立に行く子供たちとの格差が生じないような仕組みをつくっていくためにも総合的に検討していく。とにかく、公教育を再生していくことが私は急務であると思います。
○伊吹国務大臣 ただいま総理からお答えいたしましたように、公教育の性格からして、できるだけバランスがとれてやっていかねばなりませんが、同時に、先生の御提案のことは、もう一つ非常に大きな意味を持っているんです。
 それは、社会が変わってまいりましたから、核家族化が進んでおりますね。それから、共働きが進んでおります。そういたしますと、幼児の場合は夜間保育その他の受け皿があるんですが、小学校は、放課後、今御指摘の土曜日、夏休み、冬休み、春休み、御両親とも勤めに出ておられる場合は、学校が終わった後の行き場がないんですよ。これがかぎっ子になるんですね。
 児童の安心、今おっしゃった学習のレベル、それから、何よりも子供としての人格形成に非常に大切なときですから、地域と協力しておっしゃったようなことを推進していく。このために、文部科学省としては百三十八億の今概算要求をいたしております。同時に、保育という立場から厚生労働省も同じような試みの予算要求を約二百億ほどしていらっしゃるんじゃないかと思いますので、先生の御提案の趣旨も含めまして、安心して働きに出られるようなこと、そして、それがまた少子化対策にも関係してくるということですから、大変いい御提案だと受けとめております。
○斉藤(鉄)委員 ぜひ推進方よろしくお願いいたします。
 文化芸術政策について質問させていただきます。
 これもちょっとPRになりますけれども、平成十一年に公明党が連立政権に参加しました。小泉内閣ができまして、文化芸術振興基本法をつくろうということで、超党派で文化芸術振興基本法をつくり、それ以来、文化予算はふえてまいりました。その中でも特にふえているのが子供の文化芸術体験活動に関する予算でございまして、この基本法ができて大幅に、感受性が高い子供の時期に本物の芸術に触れさせる、これは大変大きなことだそうでございます、このような予算がふえてきております。
 「美しい国、日本」、私は、その美しさの根本はやはり日本文化であり、それを国民が理解し、それに対して誇りを持つということだと思います。そういう意味で、文化芸術政策というのは本当に大切だ、このように思います。フランスは国家予算の一%、お隣の韓国でも〇・六%。ですから、韓国は世界にその文化を発信しております。日本は、今見ていただきましたが、ふえたといっても〇・一三%。
 この文化芸術政策についての総理のお考えをお伺いします。
○安倍内閣総理大臣 よく海外旅行をいたしまして美術館とかに参りますと、本当に子供たちがたくさん先生に連れられて見に来ているんですね。あれに大変驚くわけでありますが、日本は果たしてどうかと思いますと、私自身の経験では、動物園に行くことはあるんですが、なかなか美術館に行ったことはなかったのかなと思います。それが私の人格形成にもしかしたら影響を与えているかもしれません。
 しかし、そういうときに本物の美術、芸術、文化に触れることは、人間性を豊かにするという面においては大変私は重要であろうと思います。その中から、自分も芸術を志そうという人も出てくるかもしれませんし、美意識というものを植えつけていくんだろうと思います。特にフランスにおいては、本当に子供たちの数がそれぞれの美術館で多いので、大変驚いたことがございます。日本でもそういう光景が見られるようにしていくべきなんだろうと思います。
 その中で、今先生からも御指摘があったように、平成十三年に先生が提案者となられました議員立法である文化芸術振興基本法の理念もしっかりと踏まえながら、我が国の自然や歴史に培われた伝統、文化の継承、発展、すぐれた芸術、文化の振興や子供の文化芸術体験活動の推進などに取り組んでまいりたい。これは、ただ単に伝統的な芸術だけではなくて、近代、現代の芸術も含めて日本の芸術を子供たちに知ってもらう、触れてもらうことによって豊かな人間性の創造につながっていく。しっかりと取り組んでまいります。
○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。
 それでは次に、連立政権合意の中にございます「中小企業対策の強化」ということをお話しさせていただきます。
 この経済成長戦略大綱、歳入歳出一体改革と並ぶ車の両輪でございまして、その経済成長戦略大綱の中で非常に大きな比重を占めておりますのが地域中小企業の活性化でございます。まさに全国の地域が活性化するということが、本当に日本が生き残っていく上で大変重要だと思います。
 公明党は列島縦断フォーラムを行いまして、全国の中小企業の皆さんから声を聞きました。その聞いた数ほどの意見があるんですが、その中で生の声を少し、たくさんありますけれども御紹介しますと、景気回復といっても、大企業のリストラという努力で回復したと言われるが、下請や孫請の苦痛と悲鳴で成立したんだという声。信用保証協会が融資の際に高額の保証料を徴収しながら保証人を必要とするのはおかしい、万が一の場合、保証人が返済を肩がわりするのであり、何のための保証料なのか納得がいかない。もうそのとおりだと思いますね。それから、子供に事業を継がせるときの相続税などは、必死になって働いて築いた財産を引き継ごうにも、事業用の資産さえ大きく減少させる、息子はサラリーマンをやめてまで事業を引き継ごうとはせず、このまま自分一代で終わってしまう。あと、会社の安定経営のためにと蓄積した留保金に対する課税は結果的に二重の負担となり、中小零細企業にとっては非常に厳しい。このような数々の声をお聞きしました。
 そういう中で、私たち、地域企業応援戦略というのを公明党としてつくりまして、まさに経済成長戦略の中心は中小企業、零細企業の活性化であるということを、これまでも提案してきましたけれども、これからも提案をしていきたいと思っておりますが、その観点から二、三質問させていただきます。
 まず、政府の政策の大転換、パラダイムシフトといいましょうか、例えば、農林水産大臣には大変申しわけないんですけれども、中小企業予算は農林水産関係予算の十七分の一しかございません。しかし、地域の活性化ということを考えれば、この中小企業に対してのいろいろな支援ということも、これは民間企業ですから直接支援というわけにはいきませんけれども、その環境を整えるという意味での支援ということが必要です。
 日本経済の強みは中小零細企業が元気だからだということが言われておりますので、例えば、これは経済産業大臣に大変申しわけないんですが、中小零細企業担当大臣の設置とか中小企業庁長官を政治任用するとか、それほど中小企業、零細企業にこれから力を入れていくんだという姿勢が大事ではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 私も、活力ある日本をつくっていくためには、四百三十万の中小零細企業が元気であることが大切だろう、このように思います。
 確かに予算面においては、他の予算と比べてまだまだこれは少ないではないかという御批判もあることは事実である、このように思いますが、十八年度の中小企業対策予算については、厳しい中にあって、物づくり中小企業への総合的な支援や中小企業金融対策や地域の中小企業活性化対策など、めり張りをつけながら内容を充実させてまいったわけであります。
 今後とも、やはり中小零細企業というのは日本の経済のまさに毛細血管であり、これが土台であるという認識のもとに取り組んでまいりたい、このように思います。
○斉藤(鉄)委員 先ほどの声にもありました事業承継税制ですけれども、これは本当に根強い声としてございます。
 我が党の太田代表の代表質問の中で安倍総理は御答弁いただきまして、中小企業の事業継承を円滑化することは重要な課題だ、税制改革の議論の中で、実態を把握し、課税の公平性にも留意しながら検討していきたいということで拡充を表明されました。本当にありがとうございました。
 このことについて、予算委員会ですので、より一歩踏み込んだ御答弁をお願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 中小企業、零細企業につきましては、先ほど申し上げましたことに加えまして、技術力を強化することによって、さらに中小企業の体質強化につながっていくと思います。
 なかなか、技術力を強化する、それぞれの企業にそのコストを負担できないという企業があるでしょうから、その支援もしていきたいし、またあるいは、知的財産を保護する、大企業であればそれはそういう部門もあってできるんでしょうけれども、そういう面でもやはり支援をしていく必要があると思います。
 そこで、事業の承継税制でございますが、事業承継については自由民主党においてもこれはぜひという声が集まっているのも事実でございます。その中で、実態をしっかりと把握しながら、また公平性の点にも留意しながら、やはり継承というのは極めて重要な点だということを念頭に置きながら検討していきたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 次に、経産大臣にお伺いしますが、国の小規模企業に対する支援であります小規模事業経営支援事業費補助金、ちょっと長い名前ですけれども、いわゆる町や村の商工会また商工会議所等が、地域の中小零細企業の活性化のための事業でございます。
 これは三位一体改革で地方に移譲されましたけれども、現実問題として何が起こっているかというと、その予算が大幅に減った、実際に使われなくなった、ほかに回されるようになったということで、神奈川県を除いて、ほかはすべて減っているそうでございます。
 このことにつきまして、本来これは国の法律で定められている事業でございますので、きちっとそのために使うようにという指導を国はできないんでしょうか。
○甘利国務大臣 神奈川県を除いてほかは減っているという御指摘でございます。神奈川にはきっと立派な政治家がいるんだなと思いましたが。
 これは本来、お話のとおり、商工会等が経営指導事業に関する予算でありますし、三位一体に伴って税源移譲して移管した際には、ちゃんと今度は都道府県がやってくださいという意思を込めてお願いしているわけであります。それがそのとおりいっていないということはゆゆしき事態でありますし、これに関しましては、前任大臣が、昨年、知事会長に、ちゃんとこの趣旨を踏まえるように指導してほしいという要請をしております。加えて、私も同様に、重ねて、本来の趣旨に沿って使われるように要請をしていきたいというふうに思っております。
○斉藤(鉄)委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 地域の活性化といいますと、やはり農村の活性化ということでございますけれども、農林水産大臣、地域の活性化、中小企業の活性化、ともに農村、漁村の活性化、民主党さんも案を出されているようでございますけれども、このことについて活性化をどう図っていくか、簡潔にお願いいたします。
○松岡国務大臣 今、民主党さんの案も、こう先生御指摘でございましたが、まだ正式、正確に御提示いただいておりませんので、中身を見た上でないと正確なことは言えないのですが、質問等によります、販売価格とコストの差を補てんする、これは、今、WTOが中断しております最大の原因はアメリカの国内支持でございまして、アメリカは国内支持を五三%カットする、そう言ったんですが、他の国は、それではまだ不十分で、もっと大きくカットしろと。それで、アメリカもそれ以上は無理だということで決裂、中断、こういう状態になっております。
 したがって、この分野で今の予算以上にふやすということは、このWTOという国際法律からしてこれはできないことを提案されておられる。
 そして、もう一点の問題は、今おっしゃられました農村の活性化、まさにあの農村農業基盤整備予算、もう随分減って、今七千六百億でありますが、この中には、生活環境の集落排水とか、防災的な、災害的な対策の保全予算とかその基盤整備、いわゆる生産性向上、いろいろ入っておるわけでありますが、生活環境の集落排水、こういったものは緑の、実は一番認められている予算であります。これをやめて、やめなきゃならない、少なくしなきゃならない方の黄色の予算に行くというのは、これはちょっと、全く世界の流れにも大逆行ということで、私どもはきちんと緑の政策の中でしっかりと予算措置を図って、そして活性化を図っていきたい、こう思っております。
○斉藤(鉄)委員 農村、漁村の活性化というのは、まさに先ほど申し上げました中小企業の活性化と同じように、それ以上に大事でございますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、連立政権合意の中の「少子化対策の充実と再挑戦可能な社会の実現」ということについて質問をさせていただきます。
 いわゆる格差問題でございますが、構造改革を進めたから格差が拡大したのではないかという指摘がございます。これに対して我が党は、小泉構造改革は日本経済の再生や人口減少社会に向けてのシステムづくりのためにどうしても推し進めなくてはいけなかった改革である、このように認識をしております。
 しかしながら、世論調査などでは、しかし格差が広がっているということを実際認識していらっしゃる方がたくさんいるということも事実でございます。そのことは我々謙虚に受けとめなくてはならないと思うわけでございますが、安倍総理に、これまで我々が進めてきた構造改革とこの格差の問題について、基本的な認識、どのようにお考えかをお伺いいたします。
○安倍内閣総理大臣 私どもが進めてまいりました構造改革によって、そしてまた国民の皆様の不断の努力によって、長い停滞のトンネルを脱し、まさにデフレ脱却も視野に入ってきた、このように思います。この構造改革を始める前には経済もマイナス成長であったわけでありますが、昨年はプラス三・二%までやってきた。自律的な力強い成長の軌道に乗ったのも事実であります。
 しかし、そういう成長局面においては格差が常に課題になるわけでございまして、地域間の格差や、あるいはまた格差を感じている人たちがいるとすれば、そういう人たちに光を当てていくことも政治の使命である、このように私は認識をしています。
 その中で、勝ち組、負け組が固定化しないように再チャレンジ推進策を実行してまいりたいと思いますし、また、頑張る地方を応援していくプログラムもぜひ実施してまいりたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 ぜひ一緒に、強力に進めていきたいと思います。
 その中で、私も団塊の世代のちょっと下ぐらいでございますが、我々の子供たち、いわゆる団塊ジュニアと言われている人たちがちょうど就職に当たる時期、一九九四、五年からつい最近まで十数年間、いわゆる就職氷河期でございました。この期間、本当は正規雇用、正規社員として働きたいんだけれども、やむを得ずそうならなかった。それが長期にわたって、なかなか今正規雇用の仕事につけない、こういう方々がたくさんございます。
 私は、これはもう個人の努力の限界を超えている、このように思うわけでございまして、このような方々に対して特別な配慮が必要なのではないかと思います。
 例えば、総理が先頭に立って、これは大企業、中小企業を問わず、経済団体等に、こういう方々に対しての職業訓練、またいろいろな情報提供、そして正規雇用への道を開くということをされてはいかがか、このように思いますが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 いわゆる就職氷河期のときに新卒で就職の機会を得た方々が、そこで就職の機会を逸して、その後なかなか就職することができずに、いわば年長のフリーターとして一つの固まりになっているのも事実でございます。
 では、なぜ、その後景気が回復してもなかなか就職できなかったかといえば、基本的にほとんどの企業は新卒者を採用するという仕組みでございまして、なかなか中途採用が認められていないというのが大きな障壁になっていたのも事実であります。再チャレンジ推進の中で、中途採用もどんどん広げてもらわなければいけない、中途採用の道をつくっていくことが極めて重要であると考えています。
 先般、経団連等経済団体の方々とお話をいたしまして、ぜひとも中途採用の機会をふやしてもらいたい、つまり、人生の多様な段階で多様な機会がある、さまざまな局面で機会のある、そういう人生に変えていくためにも、企業側にも協力してもらうよう要請をいたしました。企業側の方も、経団連側も、これはむしろ経済の活力にもつながっていく、つまり、眠っている人材が生かされていく中において、活力、活性化になっていくのではないかというふうに理解をいただいた、このように思います。
 公務員においても、まず私ども、隗より始めよということで、公務員においてまず中途採用の枠を設けたところでございます。
○斉藤(鉄)委員 いろいろな労働法制や雇用形態を変えることについて、我が党の坂口厚労大臣がこのようなことをおっしゃっておりました。そういうことを決めようとする審議会は、使用者側、労働者側そして学識経験者、三分の一ずつで、意見が対立して何も決まらない、一歩も進まない。
 こういうところをまず改善しないと何もできないのではないか。また、省庁をわっと集めても、縦割りで、なかなか総合的な政策にならない。まさに政治がリーダーシップを持ってこの政策を進めていかなくてはならない、このように思うわけでございます。
 最後に、私たち公明党は、生活と仕事の調和推進基本法という法律をつくろうではないか、与党として自民党にも呼びかけさせていただいております。先ほどの、フリーター、その裏返しとして正規社員が徹底的に長時間労働させられている、そういうメンタルヘルスの問題等々、非常に大きな社会問題になってきております。ある意味では、ワークシェアリングとかライフ・ワーク・バランスというものを進めなくてはいけない。そのためには、同一労働同一賃金というようなものを社会的なインフラとして整えなくてはいけない。政治のやることはいっぱいございます。
 そういうことを進めていくための基本法をつくろうではないか。そのことが格差問題の解消にもなりますし、また、一番大きな少子化対策になるのではないかとも言われております。この点についての総理の御見解をお伺いします。
○安倍内閣総理大臣 人生において仕事がすべてではないわけでありまして、家族と過ごしたり子供と一緒に食事をする、これが子供の成長にとっても大切ですし、人生の喜びではないだろうか、こう思います。
 しかし、わかってはいるけれども、毎晩毎晩遅くなるということが多いのではないか。特に政治家の人たちは、ほとんどワーク・ライフ・バランスが崩れている方が多いのではないか、このように思いますが、つまり、そういう毎日であれば、とても、子供をつくろうという気持ちも、なかなか機会もないということではないか。
 ですから、その中で、やはりそれぞれ国民みんなが人生に充実感を得ることができるような社会を実現していくためにも、御提案をいただいている仕事と生活の調和の推進に関する立法の御提案、この趣旨を重く受けとめまして、今後こうした改革をさらに進めて、ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方の実現に努めてまいります。
○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。
○金子委員長 この際、赤松正雄君から関連質疑の申し出があります。北側君の持ち時間の範囲内でこれを許します。赤松正雄君。
○赤松(正)委員 現在、国民体育大会が開かれている兵庫の、公明党の赤松正雄でございます。
 その兵庫、総理大臣は過去に一人も出ておりませんが、安倍新総理、山口県は九十代のうち八人、約一割、大変総理おめでとうございます。
 安倍総理は小泉総理とえとが一回り違われる。うまからうまへ、ひつじからみ年の間の世代が飛ばされてしまっているわけですが、私、太田新代表とともに、二十年、とり年生まれでございますので、飛ばされた世代にならないように我々の世代もしっかり頑張りたい、そういうふうな思いを持っているところでございます。
 きょうは私、いただいた時間、がん対策について、ほぼそれに絞って、時間があれば違う問題にも行きたいと思いますが、がん対策に絞ってお話をさせていただきたいと思います。
 実はきょう、私の母親の弟の息子が亡くなりまして、また、現時点でも、私たちの身の回りにがんと闘っている人は随分おります。また、我々の仲間でも先輩でも、先般、自由民主党から亀井善之先生、また西田猛先生、二人亡くなられた。この十日告示、二十二日投票で補欠選挙があるわけですけれども、お二方とも、膵臓がんとそして胃がん、がんで亡くなられた。こういう現実が我々の身の回りにあります。また、きょうのこの放送を聞いておられる皆さんの中にも、がんとの闘いの中で聞いておられる方もたくさんいらっしゃると思います。
 ことしの通常国会で、がん対策基本法が与野党一致した形で成立した。大変に私はすばらしいことであったと思いますけれども、これは、もうまさに端緒についた、スタートについたということだけであって、すべてはこれからということだろうと思います。
 公明党は、今日までこのがん対策につきましては、幾つかありますけれども、一つは、緩和ケアの充実強化、要するに、今までどちらかといえば、そういう痛みを和らげるという側面が少し遠ざけられていたという側面がある。こういった点での緩和ケアの側面。そしてもう一つは、がんといえば圧倒的に日本の場合は外科手術がその主流を占めていた、放射線治療あるいは抗がん剤、そういったものに比べて圧倒的に外科手術が大きなウエートを占めていたという現実があります。そういう中で、ぜひとも放射線治療というものにしっかりと焦点を当てていこう、こういうふうな観点から、この二つの充実ということを、ほかにもいっぱいありますけれども、とりわけ強く掲げてやってまいりました。
 今回、このがん対策基本法に基づいて、来年の施行に当たってつくられるがん対策推進基本計画というものの中にこうした緩和ケアあるいはまた放射線治療、こういったものをしっかり盛り込んでいく、めり張りをつけてしっかりそれを盛り込んでいくということが極めて大事な第一歩だろうと思うんです。
 この点につきまして、柳澤厚労大臣の方から基本的な考え方、取り組みをぜひ聞かせていただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 先般、今お触れになられたようにがん対策基本法ができまして、がんに対する取り組みというものがさらにまた一段と真剣味を帯びてきたというふうに受けとめております。
 私は、先般本会議で申しましたように、昭和五十九年、最初に中曽根内閣でがん対策総合戦略というものが制定されまして、ほとんど同時に、アメリカでもレーガン政権のもとでそういう取り組みが始まった。そういうたまたまの偶然の事実もあるんですが、その後の両国のこれへの取り組み方はどうだったか、こういったことを考えるときに、いろいろな感慨なきにしもあらずというのが率直なところでございます。
 しかし、善を行うのに遅いということはないのであって、この取り組みが真剣なものになってきたということに心から敬意を表したい、このように思います。
 さて、今お触れになられました緩和ケアの問題につきましては、私どもも同じような考え方を持っておりまして、従来、精神的な不安あるいは肉体的な痛みといったようなものに対するケアにつきましては、これは終末期にこそ行われる、あるいは終末期にのみ行われるべきものである、こういった考え方がございましたけれども、それはやはりそうではなくて、がんの治療と同時並行的に行われるものである、こういう考え方が最近打ち出されてまいりました。
 我が国におきましても、このような考え方のもとに、これから、特に先生方の研修を充実させまして、こういうような取り組みを早く普及させてまいりたい、このように考えております。
 それから、外科手術ということが本流で、放射線というようなものについてとかくチームワーク的に取り組むべきということが欠けているのではないか、こういう話もございますけれども、拠点病院をまず手始めといたしまして、私どもも、そうしたいろいろな分野の専門家が集まって最善の治療の方策を選択していく、こういうことを推進しつつあるところでございます。
○赤松(正)委員 今、柳澤厚生労働大臣がおっしゃいました放射線治療の件ですが、実は私、ことしの七月に、厚生労働副大臣といたしまして、アメリカ・テキサス州ヒューストンにありますM・D・アンダーソンのがんセンター、キャンサーセンターに行ってまいりました。そこで、今大臣もおっしゃいましたけれども、チーム医療の現実というものをつぶさに見る機会がありました。J・D・コックスという先生、その奥さんの小牧律子さん、広島県出身の方ですか、こういった方々、日本人のお医者さんが大変大活躍をしておられましたけれども、このチーム医療の現場を見まして感じたことは、一点、要するに、日米の放射線医療の比較という観点でいえば、もちろん量的に圧倒的にアメリカが多くて、現時点でがん患者の人のうち六五%が放射線治療を受けた、日本の場合は約二〇%、こういうふうな彼我の差があるわけですけれども、その放射線治療の中身の違いというのは、一にかかってチーム医療の差だろうと思いました。
 これは、極めてイメージ的に言いますと、日米チーム医療の比較というのは、私は行って思ったのは、日本のチーム医療もあるんですけれども、現実というのは、図式イメージでいえば三角形だな、しかも鋭角の。そして、アメリカのチーム医療は円。つまり、アメリカのチーム医療は、患者さんを中心に置いて、外科医だとか放射線治療医だとか、あるいはそのスタッフだとか看護師さんだとかあるいは薬剤師さん等々さまざまなこの分野の皆さんが、患者を中心に、もちろん主治医が中心になってですけれども、円を取り囲む格好で診ている。残念ながら、こう言うとそうじゃないという向きもあるかもしれませんが、私のイメージとしては、日本のチーム医療というのは、患者さんが三角形の外にいる。主治医が厳然と上に乗っかっていて、それは、主治医が責任を持つという意味では大事なんですけれども、それ以外の皆さんは下にいる、そういう三角形の形かなというイメージを持ちました。
 つまり、ここで私が強く感じていることは、あくまで患者というものの意向、意思というものを大事にしなくちゃいけないという側面がある。もちろんそればかりじゃありませんけれども、ある。
 それで、今の日本のがんに関する状況というのは、いろいろなお話を皆さんもそれぞれ聞いておられると思いますけれども、なかなか、患者が自分のかかっているお医者さんに自分の現状を言って、選択肢がない。先ほども言いましたような、そういう、外科手術だよと言われたら、もう放射線治療はできないんでしょうか、してもらえないんでしょうかというようなことをなかなか言いづらい雰囲気がある。今度、セカンドオピニオンの導入ということもありますけれども、現実はなかなか難しくて、患者さんの選択肢が閉ざされている。そういう状況があるという指摘がなされているわけですけれども、そういった部分でも、私たちも含めて日本国全体が、そうしたがんに対する多様な選択肢、がん治療に対する選択肢、そして今申し上げたような、そういう治療としての緩和ケアあるいは放射線治療の大事さ、こういうものをしっかりと現場のお医者さんにも徹底していかなくちゃいけませんし、それは、この間、厚労大臣の方が本会議の浜四津質問でしたかに答えていただいている。
 伊吹大臣には答えていただく場面がなかったので、学校教育、大学教育、医学部教育におけるそのあたり、日本がおくれている放射線治療、緩和ケアについての、つまり、大学における放射線治療の講座が東京大学においてすらないという現実があって、非常に貧弱な状況があるわけですけれども、そういった部分についてぜひ劇的な仕組みを導入するという必要があると思いますが、伊吹大臣、いかがでしょう。
○伊吹国務大臣 今や日本人の死亡原因の最大のものはがんになったわけでございますし、がんはやはり大変苦痛の伴う疾病でございますから、患者が一番受けやすい治療を考えていかねばならない、これはもう先生御指摘のとおりだと思います。
 日本の場合は、御指摘のように、やはり切るという治療が本流でありましたから、医学部の学生が修得するコアなカリキュラムが、どちらかというとやはりそちらの方に重点が置かれていた。だからこれは、学科を立てるという前に、コアのプログラムとして、医学部を卒業する、特に外科の先生方が何をマスターするかという内容に一つはかかってくると思うんですね。ですから、放射線治療のある程度の説明ができる、それをマスターしている、それと同時に、痛みのケア、この辺のことについてマスターしている、さらにそれが進んで、将来一つの教室、学科を立てるということが出てきても私は結構だと思います。ですから、そういう新しい治療法に対応できるコアカリキュラムみたいなものをぜひ充実させるようにしたいと思います。
 それからもう一つは、おっしゃっているように、コメディカルである看護師とかレントゲン技師の協力なくしてチーム医療というのはできませんので、この方々についても、今先生がおっしゃっていたことがフォローできる体制をつくっておかねばなりませんから、私どもでできる範囲のことは、今の御指摘を受けて、劇的と言われると非常につらいんですが、できるだけ頑張ってみたいと思います。
○赤松(正)委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 もっとも私は、アメリカに行ったからといってアメリカのがん治療をすべて礼賛しているわけではありませんでして、アメリカの現実というのは、やはり、お金がなきゃなかなか診てもらえないという現実がありましたね。ですから、私が会った能勢之彦という人工心臓の権威が、赤松さん、そんな、アメリカのことを見てアメリカがすごいと言ったけれども、日本の医療もすごいんだよ、医療はしょせん武士道だ、こう言っていましたけれども、そういう側面もあって、必ずしもチーム医療礼賛というわけではありません。予算がいろいろと伴うという側面もあるということもあわせて言っておきたいと思います。
 総理大臣、あと、この問題を含めて総括的にお話を聞きたいわけですけれども、今、厚生労働省のキャッチフレーズ、「一に運動 二に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ」、これ、いわゆる中高年の生活習慣病に対するキャッチフレーズでありますけれども、現実は、一に病院、二に薬、しっかり飲んで何とかというこういう感じに、飲むというのはお酒を飲むという話ですが、そういう現実が私たちの周りでは普通だろうと思うんです。この「しっかり禁煙」の部分も、アメリカでは、国を挙げて禁煙に取り組んだということががんに対する対応として非常に大きな効果を上げた、こういう側面もあります。
 そういった意味で、国家戦略としてがんに対する取り組みを強めていかなきゃいけないというのは、安倍総理もしっかりそういう意識を持っておられると思いますけれども、また、がん登録も、私、実際、がん登録士の仕事の現場というのは見てまいりましたけれども、非常にやはりアメリカの場合はそういう側面は進んでおります。日本がうまくいかない部分はよく承知しておりますけれども、やはり、近い将来、全面的にがん登録というものもオープンな形にやっていくということが、その患者さんにとって、しっかりとそういう過去の前例というものを自分の身に体するということから生み出す効果というものは非常に大きいと思います。
 そのあたり、取り組みの基本的な意気込みを聞かせていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 このがん対策につきましては、私は、自民党の社会部会長の時代にメディカルフロンティア計画というのを立てまして、がんの五年生存率を二〇%改善する、そういう目標を立てたわけでありますが、今は健康フロンティア計画ということになりまして、与党としても、また内閣としても、重要な課題になっております。がんの治癒率を改善していくために、また罹患率を下げていくためにもやはり検診というのは極めて重要である、このように思います。女性の乳がんの罹患率を減らすために、いわゆるマンモグラフィーの導入を促しまして、女性の検診をなるべくしやすい環境をつくっているわけであります。
 そういう中で、御党が主張をしておられますがん登録についてでありますが、がん登録によってがんの罹患率やあるいはがんの分布の状況等々を把握し、そして治癒率を上げていくということについては資するものである、このように思うわけでありますが、先般成立をいたしましたがん対策基本法を十分に踏まえながら、また、個人情報保護の問題等に配慮をしながら、なかなか、がん登録するのに抵抗を感じるという人がいるのも事実でありますが、先ほども申し上げましたように、がんを撲滅するという意味においては、こうしたバックデータをそろえるということは極めて重要であるというふうに認識をしておりますが、そういう点に配慮しながら、がん登録の全国的な導入が図られるように努力をしてまいりたい、このように考えております。
○赤松(正)委員 ぜひその姿勢でよろしくお願いいたします。
 あと、血液のがんである白血病について、私、先般、臍帯血のいわゆる搬送をする人々、ボランティアの皆さんと一緒に、産婦人科からそして臍帯血バンク、兵庫医大にあるところまで約一時間半一緒につき合いました。そういう流れの中で実に久方ぶりに産婦人科に行ったわけですけれども、その場で七人の赤ちゃんの姿を見まして、本当に感動しました。たまには赤ん坊の姿をしっかり見るものだなという思いを持ちました。この赤ちゃんたちは、生まれたと同時にその臍帯血で人に貢献をするという、人の命を助けるという、言ってみればそういう作業をした赤ちゃんたち、本当にすばらしい気持ちになりました。
 そういうことを経験した私として、先般、秋篠宮御夫妻が悠仁親王の出産に当たられまして臍帯血を提供されたというのは、すばらしいことだろうと思います。
 この問題につきましても、これもうちの浜四津代表代行が、先般、総理大臣に本会議で四つの角度から質問いたしました。うち一つ、答えていただかなかった部分があるので、それについて補足的にお伺いしたいんです。
 そこでは、要するに、臍帯血あるいは骨髄液の法的な位置づけがなされていない。それから、いわゆる骨髄移植、臍帯血移植そのものに対するいわゆる保険適用がなされていない。それから、臍帯血、骨髄液、こういったものの普及、世の中にそういう普及をもっと意識啓発していただきたいという側面。最後に、骨髄とか臍帯血の移植をする大規模な病院、これは、今はそれぞれの地域の病院で、個々ばらばらでそういうことをする病院に任せられているわけですけれども、骨髄あるいは臍帯血移植を集約的にやる大きな病院、センター、そういうものをつくるという方向性をぜひ目指すべきだ、これは急には難しいかもしれませんが、そういうものを目指すべきだということについての質問があったわけです。
 先ほどの四つのうち三つは総理大臣から答えていただいたんですが、そのセンターについての物の考え方についてはお答えがなかったんですが、それを厚労大臣の方からお答えしていただきましょう。
○柳澤国務大臣 骨髄移植、臍帯血移植をいつでも容易に受けることができるようにするために、移植医療を専門とする大規模移植センターを集約的に整備すべきではないかという御議論があることは承知をいたしております。
 しかしまた他方、移植については長期間の入院を要することなどを考えれば、やはり患者さんの負担をできるだけ軽くするため、居住地の身近な地域において移植を受けることができるようにすべきではないか、こういう御意見もまたあるわけでございます。
 こうした観点から、骨髄、臍帯血の移植医療を大規模移植センターに集約することが適当かどうかというこの問題については、患者が速やかに移植を受けることができる体制づくりが重要であるという観点で、今後、必要な調整を行ってまいりたい、このように考えております。
○赤松(正)委員 ぜひ、一つの方向性として、その大規模センターというものについても考えを進めていっていただきたいと思います。
 最後に、このがん対策以外のテーマで、憲法の問題について総理のお考えを確認しておきたいと思います。
 先般、私どもの太田代表が本会議で質問しました。ほぼ全部のテーマについて、極めて総理は丁寧にしっかりとお答えいただいたんですが、唯一一点私どもと考えが合わないのは、憲法に対する考え方でございました。あのとき、私どもの代表は、私どもの加憲という考え方を申し上げた。それに対して総理は、要するに今の時代状況に今の憲法は合わなくなっているということ、そして全面的な改正、そういうお言葉を使われたかどうかは定かではありませんが、まさしく全面的に改正する、そういう方向性を強くにじませる答弁をされました。
 自由民主党はそういう観点で今おられるということはよく承知いたしておりますけれども、私、今ここで総理にぜひ強調したいことは、去年の四月で終わった五年間の衆議院、参議院の憲法調査会でやったことというのは、あれは憲法改正のための議論ではないわけであります。憲法はどのように今施行されているかという状況をありとあらゆる角度から点検した。その結果、変えた方がいいかなという考えを持つ人も大勢いました。ただ、それが圧倒的にすべて変えなくちゃいけないという意見があったわけではありません。
 問題は、今、憲法改正のための手続法をこれから議論しようといたしておりますけれども、どこをどう変えるか、どこをどう変えなくていいか、法律で済むのか、あるいは現行の憲法運用で済むのか、変えなくちゃいけないのか、こういったことについてつぶさに議論をする場というものが何かということであります。
 私は、今、これから出されて議論をされようとしております憲法改正の手続のための法案の中にある審査会、この場においてじっくりと、要するに、どこをどう変えるか、変えなくていいのか、法律で済むのか、憲法を変えなくても済むのかということをじっくりとあらゆる角度から検討する、その場が審査会だ、そういうふうに考えます。それについて総理は、そういう認識を恐らくしておられると思うんですけれども、その点。
 私は、やはりその憲法審査会において少なくとも三年とか五年はかけてじっくりと議論をしていかなくちゃいけない、こんなふうに思っておりますが、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 私が三年前に自由民主党の幹事長に就任をいたしましたときに、一年後に自由民主党の立党五十年を控えまして、この立党五十年を機に、二十一世紀にふさわしい憲法を私たち自身の手で書き上げていくべきだと。この二十一世紀の日本の国づくりを行っていく上において、国の形や理想をあらわすのは憲法であり、そして、その憲法は、現行憲法というのは日本がまだ占領されていた時代に制定されたのは事実であります。この二十一世紀にふさわしい憲法を自分たちの手で書き上げていく、この精神こそ大切ではないかということを申し上げまして、憲法の草案を自由民主党でつくり、そして、立党五十年を機に発表したわけでございます。その中で、私も、この憲法改正をいよいよ政治スケジュールにのせるべく、リーダーシップを総裁としても発揮していくということを申し上げました。
 しかし、この憲法というのは、先生が御指摘されたように、三分の二のこれは賛成があって発議できるものであって、我が党だけでできるものでは当然ない、このように思います。
 今までこの五年間、議論を積み重ねてこられたことには本当に私も敬意を表する次第でありますが、今後、与野党において憲法についてさらに議論が深められまして、方向性が出てくることを私は期待をしたい、このように考えております。
○赤松(正)委員 終わります。
○金子委員長 これにて北側君、斉藤君、赤松君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅直人君。
○菅(直)委員 民主党の菅直人でございます。
 安倍総理、総理就任、おめでとうございます。
 安倍総理が初当選をされた中選挙区時代の山口一区には私の生まれた宇部市が含まれておりまして、私は十七歳までその宇部市で育ちました。そういう意味では、我が生まれ故郷から出た初の戦後生まれの総理ということで、故郷の皆さんの期待も含めて、ぜひ頑張っていただきたい、このことを冒頭にお願い申し上げておきます。
 時代が戦後六十年を迎えておりまして、今の時代をどうとらえるかということを私なりにも考えてみました。私は、やや危うい時代に入ってきたのではないか、最近のいろいろな、子供が親を殺し、親が子供を殺すといった本当に私たちには理解を超えたような事件などを見ておりますと、何か社会に不安や不満が高まっているのではないかな、こんな感じを受けております。
 もうちょっと長い目で見てみますと、明治維新が一八六八年ですか、約四十年後の日露戦争が終わるまで、司馬遼太郎さんの言葉をかりれば坂の上の雲、つまりは、明治の先達の皆さんが日本社会を近代化していく、そういうある意味で前へ進んだ時代でありました。しかし、それから同じく四十年後には、一九四五年、いわゆる敗戦を迎える。あれだけダイナミックな明治の先輩たちがなぜ昭和になってああした無謀な戦争に突入していったのか、これを改めて考えさせられるところであります。そして、一九四五年からの約四十年は、まさに敗戦の中、何もない中から奇跡的な復興を遂げ、高度成長を遂げ、まさにジャパン・アズ・ナンバーワンとさえ言われた、そういう時代が約四十年続きました。
 しかし、その後バブルの崩壊から約二十年が経過いたしましたが、今申し上げましたように、この二十年間いろいろな試行錯誤があることは当然でありますが、社会全体が何か不安な、あるいは不満の多い危ない時代に入ってきたのかな、こんなふうに思っております。そういう中では、何か、悪いやつを見つけてというか、つくり出してというか、それをやっつけるんだ、そういう見方が内外において大変強くなっているのかな。国家主義とでもいうんでしょうか、あるいは国粋主義的な主張が大変耳に入りやすくなった。最近、月刊誌などを見てもそういう主張が載せられた月刊誌ばかりがたくさんありまして、かなりさま変わりをいたしております。
 そういった意味で、私は安倍総理に、戦後生まれの、しかも戦後といっても、私たち直後に生まれた世代よりさらに若い世代の総理として、この危ない時代をこれ以上危ない方向に進めないように、ぜひそのことをまずもってお願いをしておきたい、このように思います。
 そこで、多くの皆さんは安倍総理に対して、この間の国会質疑などを通してある程度の総理の考え方は伝わったかもしれませんが、私も感じるんですが、総理になられる前の発言と所信表明以来のこの国会における発言とが、やや微妙に変化をしているのか、それとも変わっていないのか。そこで、具体的に幾つかのことを例を挙げて総理の考えを聞きたいと思います。
 一昨日の国会の議論の中で、従軍慰安婦についての質問に対して、平成五年の河野官房長官談話を受け継いでいるというふうに答弁されております。この河野官房長官談話というのは、どういう中身で、どういう趣旨で受け継がれたんですか。
○安倍内閣総理大臣 河野官房長官談話におきまして、いわゆる従軍慰安婦問題について述べられた談話でございます。この談話におきまして、いわゆる従軍慰安婦の募集等々に国の関与等についての言及があるわけでございます。この河野官房長官談話は政府として出されたわけでありまして、現在の政府におきましてもこれは受け継がれているということでございます。
○菅(直)委員 現在の政府として受け継いでいるという言い方ですが、現在の政府の最高責任者はどなたですか。そして、最高責任者である総理自身が受け継いだということですか。そこをはっきりしてください。
○安倍内閣総理大臣 当然、私は内閣総理大臣でございますから、私を含めまして政府として受け継いでいる、こういうことでございます。
○菅(直)委員 そうしますと、安倍総理が、平成九年ですか、五月二十七日の国会の質疑の中で、この官房長官談話はその前提が崩れているから、そういうものは変えるべきだ、こういうふうに主張されていたのは、考え方を変えられたということですね。
○安倍内閣総理大臣 私がその際、これはしばらく前のことでありますが、それまでの議論の中で、いわば官房長官談話が出るに際して、いわゆる従軍慰安婦と言われた方々から事情を聞いたときの状況、あるいはまた、当時の石原官房副長官のお話を伺った結果、当初報道されていた中身とは違うのではないか、こういう疑問を持ったわけでございます。
 しかし他方、政府としてこの官房長官談話を発出し、内外に対して政府としての姿勢を示した、これについては、私の内閣で変更するものではない、こういうことでございます。
○菅(直)委員 国民の皆さん、聞いておられてわかるんでしょうか。
 安倍総理大臣としてどういうふうに言われているか。この質疑の中で、「河野官房長官の談話の前提がかなり崩れてきているという大きな問題点があると思うんですね。ですから、」云々と書いてあります。つまりは、官房長官談話は少なくとも正確ではない、間違っていたという趣旨のことがここで述べられております。
 今の説明ですと、それはそのとおりだけれども、その考えは変わっていないけれども、自分が責任者である現在の内閣、政府では、しかしこの考え方をそのまま踏襲する、そういう意味なんですか。
○安倍内閣総理大臣 今、菅議員が御指摘をされているのは、そのときの官房長官談話が発出をされたときの意味、意義なんだろう、このように思うわけでございまして、韓国においていわゆる従軍慰安婦として心に傷を負った方々に対して、政府としての認識を示したものであるわけでありますが、そのときに、この問題に関しましていろいろな議論があったのは事実であります。
 いわゆる狭義の上での強制性という問題がありました。それは狭義の強制性ではなくて、広義の意味での強制性について述べているという議論もあったわけでございますが、私が当時述べていたことについては、具体的に狭義の強制性が果たしてあったかどうかという確証については、いろいろな疑問点があるのではないかということを申し上げたわけでございます。
 しかし、強制性という中にはいろいろな強制があるのではないか、直接の強制ではなくても、これは広義の意味でそういう状況に実は追い込まれていたのではないかという議論もあったのは確かであります。しかし、最初は狭義の強制性であったわけでありますが、それはその後、いわば広義の強制性ということに議論が変わっていったのも事実ではないかと思います。
○菅(直)委員 少し次の問題と関連させてお聞きしたいと思います。
 戦後五十年の終戦記念日に当たって、当時の村山総理が談話を出されました。私も、当時は自社さ政権のさきがけの政調会長として若干のかかわりを持っておりました。これに対しても安倍総理は、最近の議論の中では、これを踏襲する、認めるという趣旨のことを言われていますが、それでいいんですか。
○安倍内閣総理大臣 もう既に本会議で答弁を行ったとおりでございます。
○菅(直)委員 では、内容について、この考え方は安倍総理の考え方である、こう考えていいんですね。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、この談話は閣議決定されたものでございまして、戦後五十年を機にその閣議決定がされ、内外に対して政府としての考え方を述べたものである。この談話について、新たな談話をつくってそれを刷新するという考えを私は今持っていないわけでありまして、閣議決定したこの文書は、当然私の内閣においても生きているということでございます。
○菅(直)委員 分けないでいただいた方がいいんじゃないでしょうか。私の内閣では、ではなくて、私はという主語で答えてください。私はどう思っているんですか、私は。
○安倍内閣総理大臣 当然、私も総理大臣であり、政府のいわば総理大臣でありますから、当然であります。
○菅(直)委員 総理大臣になったら当然なんですか。総理大臣になったら前の考え方を変えることもあるんじゃないですか、前の総理とは人格が違うんですから。
 この村山談話では、「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」このように明記をされております。国策を誤ったということも明記をされております。
 このように安倍晋三総理大臣個人としても考えておられる、そういう認識でいいんですか。
○安倍内閣総理大臣 私は官房長官のときにもお答えをしているように、さきの大戦によって、多くの日本人は塗炭の苦しみの中にありました。そして、アジアの国々に対して、大変な被害を与え、傷を与えたことは厳然たる事実であります。その反省の上に立って、日本は自由で民主的な、そして平和に貢献する日本をつくってきたわけでありまして、そのことを誇りに思っているわけでございます。
 その村山談話の中で述べているように、恐らくこれは、韓国の方々あるいは中国の方々を初め、侵略をされた、あるいは植民地支配に遭ったと、それはまさに我が国がそのときの閣議決定した談話として国として示したとおりである、私はこのように考えているわけであります。
○菅(直)委員 大分前に進んだようにも思います。では、植民地支配と侵略というこの歴史認識を認めたと。つまりは、中国の場合は、主に一九三一年の満州事変から始まって多くの出来事がありました。ということは、この満州事変から日中戦争に至るそういったことの中で、植民地支配と侵略があったと安倍総理御自身もみずから考えておられるということをもう一度確認しておきます。イエス、ノーで結構ですから。
○安倍内閣総理大臣 もう何回も申し上げておりますように、閣議決定されたものであり、私は内閣総理大臣として、また私の政府においてそれは引き継がれている、こういうことでございます。
○菅(直)委員 これは大変重要なことなんですね。これから申し上げることにもつながってきますので、少し念を入れて聞かせていただきました。
 安倍さんの総理になる前の発言の中では、従軍慰安婦については、少なくとも官房長官談話に対しては否定的であったし、また村山談話に対しても、個人の意見としては認められなかった、単に、新たな談話を出すつもりはないという極めて消極的なことしか言われていなかった、こう思いますから、それは少し変えられたのかな、そういうふうにお聞きをいたしました。
 そこで、まさに安倍総理が総裁選に当たって出されたこの「美しい国へ」の中で、安倍総理は、祖父に当たられる岸元総理についていろいろと述べられております。その中でも、やはり六〇年安保の改定に当たっての岸元総理の態度は、今考えてみても正しかったし、また誇らしいものだ、こういうふうに言われております。私は、それは一つの見方であり、見識だと思います。
 そこで、もう一つお聞きをいたします。
 岸元総理は、日米開戦に当たって、その詔書に当時の東条内閣の商工大臣として署名をされております。この事実についてはどのように評価をされますか。
○安倍内閣総理大臣 それはそのときの私の祖父の判断だったんだろう、このように思うわけであります。しかし、当然祖父も開戦の結果起こったことについて大きな責任を感じていた、このように思います。
 その責任を果たす道はいろいろとあったんだろうと思います。人によってはみずからの命を絶った人もいると思います。私の祖父は日本の再建に対して命がけで取り組むという判断を行った、このように思います。
○菅(直)委員 私がお聞きしているのは、岸元総理がどうお考えになったかということをお聞きしているんじゃないんです。我々も、もちろん肉親であるかないかは別として、安倍総理の場合だと祖父に当たられますが、岸元総理がかつてやられた六〇年安保についての評価をされた、現代の認識の中であれは正しかったと、それはそれとして一つの認識だと思います。
 ですから、今度は、その東条内閣の商工大臣として日米開戦に署名されたことは正しかったと安倍さんが思われるのか、それともあれは間違っていたと思われるのか。岸元総理が考えたのではなくて、御本人がどう思われているか、安倍さん自身がどう思われているか。(発言する者あり)いろいろやじが飛んでいますけれども、これは、自分のいいところだけ岸元総理のことを出して、ここは正しかった、ここは正しかったと。いいところだけ出したのでは、我々は理解できません。
 岸元総理というのは、私たちもよく知っております。戦前戦後を通して、まさに連なった形で政治にかかわった。まあ人によっては昭和の妖怪と呼ばれている方もありますが、すさまじい力を持った方ですから、あえてこれはお聞きする意味があると思ってお聞きしているんです。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、つまり開戦の結果日本は敗戦をし、多くの日本人は命を失い、そして多くの日本人は家族を失ったわけであります。また、結果としてアジアの人たちに大きなつめ跡を残した。これは、特にそのときに指導者の立場にあった人たちは、また私の祖父も含め、大きな責任があった、このように思います。それは私は、この機会だけではなくて、別の場面でもそのことについてはお話をしております。
○菅(直)委員 ということは、開戦の詔書に署名をしたのは、今考えてみるとそれは間違っていたのではないか、そういうような認識だと理解していいですか。
○安倍内閣総理大臣 それは、ただいま申し上げましたように、しかし、当時はいろいろな状況にはあったわけでありますが、そのとき、結果として、政治は結果責任でありますから、当然それは、そのときの判断は間違っていた、こういうことではないかと思います。
 その責任のとり方にはいろいろあった。だからこそ命をかけて安保条約の改定に取り組んだんだろう、私はこのように思います。
○菅(直)委員 かなりはっきりしてきました。つまりは、開戦の詔書に署名したことは今考えてみると間違っていたということを今安倍総理がはっきり言われたので、それはそれではっきりしたと思います。
 満州国については、安倍さんはどのようにお考えですか。
○安倍内閣総理大臣 私は、今まで何回か申し上げているわけでありますが、歴史の認識とか分析について、政治家が一々それを神のごとく判断するのは間違っていると思います。
 歴史というものに対しては、これは一知半解な意見を言うべきではないし、政治家の吐いた言葉、行った議論というのは政治的な意味を持ってくるわけでありますし、外交的な問題を生ずる場合がある。当然、そのことを頭に入れながら発言しなければならないのであれば、これは歴史の分析にならないわけでありますし、歴史の分析をある意味曲げてくるという可能性もあるわけであります。
 歴史はあくまでも歴史家に任せるべきではないか、政治家は謙虚であるのが当然だろう、私はこのように思います。
○菅(直)委員 どうも矛盾しているんですね。先ほどは村山談話であの戦争は植民地支配と侵略だったということを認められて、一般的にはこれは満州事変から始まると言われているわけです。また、祖父に当たられる岸元総理は、この満州国の経営に非常に高い位置で当たられた時期があった方であります。
 つまりは、一方では侵略であるというのを認めながら、そしてまた、岸元総理について戦後のある部分については高い評価をされながら、もう我々は大人なんですから。つまりは、その同じ人物がその前の時代にやったことについても、今、開戦の詔書の署名は間違っていたと言われました。満州国について、そういった満州国をつくった、全部岸元総理がつくられたわけじゃありませんが、つくることになったこと、こういうことに関して、やはりあれは侵略で間違っていたと言われるのが、もしこの村山談話を認められたというんであれば自然じゃないですか。それを、急に何か学者みたいな言い方でされるのは、ちょっとおかしいんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 例えば、盧溝橋事件の際に、日本の軍隊は盧溝橋にいたわけであります。そもそもそのときに中国に日本の軍隊がいるのが悪いではないか、恐らくそれは中国の方々はそう感じるだろう、このように思うわけでありますが、では、あのときなぜ日本の軍隊がいたかといえば、これは、いわゆる義和団事変、北清事変の結果、辛丑条約、北清事変議定書によって八カ国ともどもの軍隊があそこにいることが認められたわけでありますが、では、その条約そのものがどうであったかという分析もしなければならないわけでありまして、歴史は連続性の中でやはり緻密な議論をするべきではないか、このように思います。
○菅(直)委員 では、少し角度を変えてみましょう。
 ことし私が大変注目をして見ていたのは、読売新聞社が行った戦争責任の検証であります。私はこれが始まったときに渡辺主筆にお会いをいたしまして、本当にやられるんですかと聞きましたら、本来はあの戦争に対する責任の問題は政治家が、あるいは国会がきちんとすべきものだけれども、それをやっていないので我が社で自分の責任でやることにした、こういうふうに言われておりました。
 私は、先ほど少し危ない時代に入ってきたと言いましたけれども、例えば、渡辺恒雄主筆あるいは中曽根元総理のように、戦争というものを十代あるいは二十代まで含めて大人として体験した世代、そして戦争が終わる前後に生まれた、まだあの戦争の悲惨さがいろいろなところに残っていて、直接は知らないまでもそれをそのまま受け継いだ昭和二十年代前後の世代、そして、総理やさらに総理より若い世代のように、もう日本の貧しさということも余り意識をしない世代、私は、戦争に対する見方がかなり違うと思うんですね。
 ですから、私は、一般的には渡辺恒雄主筆は比較的保守的な立場で論評を張っておられたと思いますが、この問題だけはしっかりやらなければということでやられたんだと思います。まさに戦争責任の検証なんですね。
 総理は、こういうことについてどうお考えですか。今も、歴史観を述べることは、それには謙虚でありたいとか言われていますけれども、たしか総理は、歴史教科書について、自虐史観ということをかなり強く言われてきたんじゃないですか。つまり、それは歴史認識そのものじゃないですか。一方では歴史認識を語りながら、自分が総理になったら歴史認識を語らない。
 ここに、あなたの本の中にこういう一文がありますね。ちょっと眼鏡をかけさせていただきますね。「「闘う政治家」とは、ここ一番、国家のため、国民のためとあれば、批判を恐れず行動する政治家のことである。「闘わない政治家」とは、「あなたのいうことは正しい」と同調はするものの、けっして批判の矢面に立とうとしない政治家だ。」
 今あなたがやっていることは、みずからが以前主張したことをある意味では変えたのかあるいは隠しているのか、つまりは、批判を恐れてみずからの持論を押し殺しているんじゃないですか。そうでないのなら、これまで言ってきたこと、歴史教科書は自虐史観でおかしいと言ってきたことと、歴史認識について語るべきでないということと、全く矛盾すると思いますけれども、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 私は、いわば義務教育段階の教科書のあり方について議論をしてきたわけであります。まだ事実として認定するにおいていろいろな議論があるものを載せるのはどうか、このように申し上げてきたわけでありまして、また、子供の発達段階においてこういう記述をするのはどうかということを申し上げてきたわけでありまして、私が申し上げてきたことは、これは別に間違ってはいなかったという考えであります。
○菅(直)委員 少し話を矮小化していませんか。つまり、安倍総理は、歴史についていろいろ言われてきたんじゃないですか。それは教科書の中でということに限定なんですか。先ほどは、従軍慰安婦の問題についても、国会でいろいろ質疑をされております。私はそれが悪いと言っているんじゃないんですよ。大いにやるべきだ。歴代総理も、いろいろな時代に自分の歴史観を述べられています。
 どちらかといえば、歴史観を述べることと、これからの日本、これからの世界をどうしようということは連なった問題でありますから、それを、歴史観を述べないでこれからの日本をどうしようと言われても、過去について、それも二百年前、三百年前の過去じゃありません、現在につながっている過去についてそれを述べない、それはおかしいんじゃないですか。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 もう私は今まで十分に述べてきている、このように思います。政府の立場として、今まで政府が出してきた談話等において、どういう考え方を持っているか述べてまいりました。
 菅さんは、何か一つ一つの歴史的事実について、それはどうだったか、あるいは、例えば私の祖父がどれぐらい責任があったかを述べろ、こういうことであったんだろうと思います。
 ですから、私としては、政治家が、だれがだれより悪かったか、あるいはこの歴史的な認識について私が今どうだったかということを判断する、これは前から申し上げておりますように、それについては、やはり本来、政治家というのは謙虚であるべきというのは、これは当然のことではないか、このように思います。
○菅(直)委員 先ほど来聞いていただいている皆さんにはよくおわかりだと思いますけれども、安倍総理は、総理になる前は割と歯切れがよかったんですよ。まさに闘う政治家だったのかもしれませんが、今や逃げる政治家になられたのかなというのが私の感想です。
 そこで、次の問題についてお聞きします。
 総理は、この四月に靖国神社を参拝されたと報道されておりますが、それは事実ですか。
○安倍内閣総理大臣 靖国神社につきましては、私は、今まで何回か申し上げてまいりましたように、国のために戦い倒れた方々のために手を合わせ、御冥福をお祈りし、そして尊崇の念を表する、この気持ちは持ち続けていきたいと考えております。
 しかし、行ったか行かなかったか、あるいは行く行かないということについては、これは、それが外交問題化するのであれば、あえて私はそれを言うべきではない、このように判断したわけであります。
○菅(直)委員 しかし、四月は官房長官でありましたし、これからは総理大臣です。もちろん、個人で、例えば家族できのう何を食べたかまで発表される必要はありません。しかし、少なくとも、靖国神社という今大変議論のある場所に行かれたか行かれなかったかということを言わないというのは、これは政治家として何か、私は民主主義の国の政治家としては考えられないことだし、今後総理として、それでは、行った場合も何も言われないつもりなんですか。
○安倍内閣総理大臣 私は、行ったか行かなかったかは言わないということを国民の皆様の前でお話をしております。そのことも含めて、私は、国民の皆様の判断を受ける立場にあるわけであります。
○菅(直)委員 非常に不透明ですね。これまで何回も行かれて、そのときはもちろんテレビにも映っていましたし、わざわざ隠されたことはなかったと思いますね。それが、ことしの四月のことから、いや、言わないんだと。言わないんだというのが果たして国民の皆さんに理解されるんでしょうか。
 自信があるならば、行くべきだということで自信があるならば行きますと言えばいいし、いや、いろいろな判断で行くべきでないというなら、行くべきでないと思うから、例えば総理の間は行かないというのなら行かないと言われればいいし、それを、言わないという形でそれが済むのか。世論調査によっても、それは行くべきだというのもあるし、行くべきでないという意見もありますが、黙ってやっていいという意見は私は聞いたことありません。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 それはそうでもないと思いますよ。それは一つの判断だという方々も私はたくさん知っております。それぞれ私は見識のある方々だ、このように思っております。
○菅(直)委員 安倍総理は、ある段階では、まだ総理になられる前ですが、次の総理も当然行かれるべきだとはっきり言われたときもありました。それがいつの間にか、行く行かないは言うべきでないというふうに変わられました。つまり変わっているんですよ。どんどんどんどんぶれているんですね。
 そういうふうに言われた時代があったでしょう。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 ですから、私が申し上げておりますように、それが外交問題化し、そして政治問題化している中にあっては、私は今、行くか行かないか、あるいは行ったか行かなかったかは言うべきではないということを判断し、申し上げているわけであります。
○菅(直)委員 国民の皆さんがこれほどみずからの行動までも明らかにできない総理をどう思われるかというのは、国民の皆さんの判断に任せたいと思っております。
 そこで、靖国神社のことが出た関係で、そこにある遊就館の中で、「ルーズベルトの世界戦略」という項目があります。私、先日行って、遊就館の方にも見学をしてまいりました。そこには、「ルーズベルトに残された道は、資源に乏しい日本を、禁輸で追い詰めて開戦を強要することであった。そして、参戦によってアメリカ経済は完全に復興した。」こういう一文が展示をされております。
 つまりは、アメリカが経済的に行き詰まっている中で、また、ドイツとの参戦になかなか国民的な世論がまとまらない中で、日本を追い詰めて参戦をさせるように、開戦を強要することにあった、こういう認識です。
 安倍総理は、この認識についてどのようにお考えですか。
○安倍内閣総理大臣 それは遊就館の認識を示したものだろうと思いますが、それに対して一々、政府は、政府としてコメントする立場にはないと思います。
○菅(直)委員 立場にあるかないかは別ですよ。それは、一つ一つの神社や一つ一つの施設が言っていることに対して、一般的にコメントをしなきゃいけないという義務はありませんよ。しかし、まさにあの戦争に対する見方の一つの代表的なものがここに書かれている。つまり、自存自衛の戦いで追い詰められたんだということが書かれているので、中身について御意見をお聞きしたんです。別に遊就館だからお聞きしたんじゃないんです。それでも答えられませんか。
○安倍内閣総理大臣 歴史に対する説はいろいろあるわけでありまして、それに対して、私が一々、また政府として答えるのは適当ではないと思います。
○菅(直)委員 先日、私は小沢代表とともに硫黄島に出かけてまいりました。小泉前総理も硫黄島にたしか行かれたと思います。安倍総理は硫黄島についても御存じだと思いますけれども、大変多くの国民が、多くの日本の将兵が亡くなられております。
 実は、二万一千人余りの方が亡くなられて、まだ遺骨収集は八千五百余りしか進んでおりません。私は、実際にその島に行って、なぜそんなに遺骨収集が進まないのか、あの地下ごうに幾つか入って、その現場を見てまいりました。まだまだ地下ごうの中にも残っている、あるいはまだ見つかっていない地下ごうがあるということの可能性もあります。
 しかし、もう一つ大きな資料をその後見つけることができました。
 これは、二〇〇一年にアメリカで出された「硫黄島一九四五」という本でありますが、この中に写真が出ておりまして、まだ戦争が、つまり硫黄島を米軍が奪った直後に、日本人の将兵がいわゆるセレモニーもなく穴に埋められたという事実がここの中に述べられております。
 これは厚生大臣に特にお願いしておきたいんですが、これまで私も厚生省にいろいろ聞いたら、いや、どこかにあるのかもしれないけれども、わからないんだと。私は、こういうところまで書かれている以上は、私も日本で調べてみましたが、残念ながらこれ以上の資料は見つかりませんでしたが、米軍の海兵隊の記録などで、あるいは表に出されていないもので、あるのではないか。あの島は決して大きな島ではありません。このあたりで埋めたんだと言えば、場合によっては、滑走路の下だとすぐは簡単ではありませんが、北部地域であればかなりまだあいているところがあるわけでありますので、ぜひ、これはアメリカ当局にもお聞きになって、半分以上の遺骨が眠っている、その遺骨収集に私は全力を挙げていただきたい、こう思いますが、いかがですか。
○柳澤国務大臣 硫黄島におきます遺骨収集につきましては、昭和二十七年度以降、本年三月までに六十一回にわたって実施してきておりまして、硫黄島の戦没者約二万一千九百人のうち八千五百十一柱の遺骨を収集してきたところでございます。
 硫黄島につきましては、玉砕の島であり、当時を知る戦友等の情報が限定され、遺骨の埋葬地点等の情報が少ないこと、また、島全体のジャングル化等により島の地形が当時とは変化していること等から、遺骨収集がなかなか進んでいない状況にある。
 私自身も実は四十年前に硫黄島を訪ねておりまして、大体の土地カンみたいなものは私なりに頭の中に持っておりますが、今先生が御指摘されたような資料の収集というものが必要だということはよく理解できますので、米国側等の資料につきまして、改めて照会をして把握に努めたい、このように思います。
○菅(直)委員 コピーをお渡ししておきますので、もし必要ならこの本も国会図書館で目を通していただきたいと思います。
 私が硫黄島のことを申し上げたのは、栗林中将も靖国神社に合祀をされております。まさに、栗林中将の話をいろいろ私も最近読みましたら、日本への本土爆撃をとめるためには硫黄島を死守するんだということで、大変な、ある意味ではアメリカ軍に大きな打撃を与える、アメリカの海兵隊からも、敵ながらあっぱれとでもいうんでしょうか、そういう評価を得られている方です。
 しかし、そのことを含めても、あの援軍も来ることのない、補給もない中で、最後生き残った皆さんがその地下ごうにかなりの数残っておられたけれども、戦陣訓の、生きて虜囚の辱めを受けるなという、当時の東条英機陸軍大臣でしたか、つまりは生きて捕虜になるなというその命令に縛られていたために、もう戦闘能力が完全になくなってからも投降しないで、多くの人がごうの中で亡くなっていった。やはり私は、この悲惨さというものを私たち自身もしっかり受けとめておく必要があると。
 私も団塊世代ではありますが、総理の世代、さらに若い世代にもぜひ私は機会があれば現場を見てもらいたいし、これは厚生省あるいは防衛庁にもお願いしておきたいんですが、私は、もっと積極的に若い人が行けるように、今民間の飛行機も飛んでいません。私たちが行ったのは、自衛隊のいわゆる定期便と言われる輸送機に乗せてもらいましたが、もっと大勢の人が行けるようにすることで本当の戦争のありさまというものを若い世代にも受け継いでいく必要があるんじゃないか、このことは要望として申し上げておきます。
 そこで、少し外交の方に話を移したいと思います。
 安倍総理は、八日に北京で、九日にソウルで、それぞれ日中首脳会談、日韓首脳会談を行われると発表されたようであります。私は、大変喜ばしいことだ、このように思っております。日中関係、日韓関係が大変この間こじれた中で、ぜひ両国関係をトップ同士の会談の中で良好なものにしていただきたい、まずそのことを期待を申し上げておきたいと思います。
 そこで、少し中身に入りますが、安倍総理は、この本の中で、日中関係については政経分離の原則をつくる必要がある、こういうふうに言われていますね。また、韓国と中国について若干表現を変えられています。つまり、韓国とかインド、オーストラリアは同じ価値観を持つ国と書かれておりますが、中国については、書かれていないということは、同じ価値観ではない国という認識なんだと思います。
 つまり、中国との間で政経分離の原則をつくる必要があるということについて、どういう理由でこう考えられたのか。あるいは、一般的に言うと政治主導の国ですから、政経分離の原則というのはかなり難しいというのが、これは私だけでなくて一般常識だと思いますが、可能だとお考えなんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 私は、政経分離というふうに申し上げましたのは、それを中国に対して、そのように日本は主張すべきだという意味において申し上げたわけであります。日本と中国は、経済上は切っても切れない関係になっているわけでありまして、日本は、中国に投資をし、また輸出をし、多くの利益を上げているのは事実であります。そしてまた他方、中国も、日本からの投資によって一千万人以上の雇用を創出し、また日本にしかできない半製品を輸入し、加工して輸出をすることによって大きな利益も得ていますし、日本の技術を生かした製品もつくっているわけであります。
 お互いに切っても切れない関係の中で、経済に活力を与え、経済を成長させているわけでありまして、その中で、お互いに政治目的を達成するために経済に影響力を行使するのはなるべくやめましょうというのは、当然のことではないかと思います。
 つまり、中国もWTOの中に入っている国でありますから、当然、経済は経済のルールの中で透明性を持った経済でなければ、中国にとっても、それは将来、外国からの懸念を招くことになるという意味において、私は、中国の方々とお目にかかった際にそう申し上げているわけでありまして、私は、むしろ菅さんにお伺いをしたいのですが、それは政経一致でいいのかどうか。
 つまり、常に政治から影響を与えられる経済において、安心して日本の経済人も中国といろいろな仕事ができるかどうかといえば、そうではないわけでありまして、そのことを中国側にこちら側から申し上げるのは当然ではないか。
 しかし、現実問題としては、もちろん、体制が違うという現実はあるわけでありますが、それは中国にとっても、そうすることが世界からの中国経済に対する信頼性を増していくことになるのではないか、私はこう考えております。もちろん、今後、日中関係においては、政治、経済が両輪となって将来の発展のためにお互いに協力関係を構築していくことは当然私は重要である、このように考えております。
○菅(直)委員 政経分離という言葉を使われたのは、安倍総理御自身がこの本の中で使われているんですね。私は、政治という表現の中にはいろいろなことがあると思います。確かに、中国は日本と同じような民主主義国ではもちろんありません。選挙もありません。しかし、ある意味では、経済においてはかなり自由経済になっております。
 ですから、かつて日本とソ連、かつて日本と他のいろいろな国々、独裁国、そういう国々があった場合に、必ずしも二国間関係が、そのことだけで全部が政経分離でなければならないということではなくて、それなりのつき合い方は体制が違ってもやれる国はあるわけでありますから、やはり政治と経済が関連していることは間違いないわけでありまして、そういう意味で、わざわざこちらから政経分離でいこうという言い方をするのか。
 できるだけ政治においても、つまりは友好関係、トップ同士の、まさに今度八日に行われるのは首脳同士の会談ですから、これは政治会談ですから、まさか経済の何か会談をされるわけじゃないでしょうから、そういう関係も相互理解を深めて、その政治においても友好関係を深めることが経済においてもいい影響を及ぼすと私は思いますし、初めから何か、政治は冷たくていいんだ、経済だけ温かければいいんだという考え方は、考え方としてもおかしいし、あるいはその可能性としてもおかしいのではないか。
 わざわざ政経分離ということを言われているのは、ほかの国については言われていませんから、どういう意味なのか、わかりやすくお答えください。
○安倍内閣総理大臣 私の本をよく読んでいただきたいと思います。まず、経済はよくて政治は冷たくていいとは一言も書いていない。それをまるでそう書いてあったかのごとく言うのは、それはまるでデマゴーグと言われてもしようがないと思いますよ。それはおかしいですよ。私は一言も言っていないじゃないですか。
 また、私が今ここで申し上げたことは何と言ったか、私が申し上げたことをよく聞いていただければ、よくわかっていただけると思いますよ。いいですか。私が言っていないことを言ったというふうに言っていただきたくない。言っていないことを私が言ったとは、言っていただきたくない。
 ですから、私は、政経分離と申し上げましたのは、先ほど申し上げましたように、つまり、経済の関係は切っても切れない関係になっている、この基盤を大切にしなければならないということを今申し上げておりますし、本にもそう書いてあります。そのためにはどうすればいいか。隣国であれば、いろいろと政治上の問題があってもそれを経済に波及させないという努力をしていくことが大切だということを私は申し上げております。それを私は政経分離というふうに申し上げているのであって、私が定義する政経分離は、そのことを本に書いてあるとおりであります。
 つまり、政治的な問題が起こってもそういう根底の関係をお互いに毀損しないという考え方を持ちましょうということであります。そうすれば、経済以外の問題、例えば政治の問題、国境を接していればいろいろな問題が起こりますが、そうした問題を冷静にコントロールし、最小化していくことができるのではないかということを私は申し上げているのであって、政治的な問題が発生したから、では経済の方の関係は切ってしまいましょう、あるいはそちらの方に、政治の問題を解決しなければこれはとめますよということをやめましょうということを申し上げているのであって、そしてその中で、当然、経済と政治、これは車の両輪であって、この両輪をしっかりと前に前進させていきたい、そういう考え方のもとに、今度、日中の首脳会談を持つに至ったわけであります。
○菅(直)委員 今の中でまだお答えいただいていない問題は、韓国とかインドとかオーストラリアは価値観を共有していると。ということは、中国とは共有していないという意味なんですか。(発言する者あり)
○金子委員長 お静かに願います。
○安倍内閣総理大臣 それは、自由と民主主義という基盤においては、これは選挙によって成立をしている政府かどうかという違いがある。しかし、価値観が違うからといってつき合わないということを私は一言も言っていないわけであって、それは、事実を私は述べているにすぎないわけであります。
○菅(直)委員 ですから、そこで先ほどお聞きしたのは、中国とは価値観が異なる国だから、だから政経分離でいくべき、そういう意味なんですか。それを聞いたんです。
○安倍内閣総理大臣 それは、もう一度また私の本をよく読んでいただきたいと思いますが、私は、価値観と政経分離を全くリンクさせたことはございません。むしろ、経済においてしっかりとした基盤もできているし、人の交流も、今本当に、今までの日中関係において最も盛んであろう、このように思います。この基盤はお互いに壊さないように努力をするためには、政治で何か問題が起こったとしてもそちらに波及させないように努力をしていこうというのが私が申し上げている政経分離であって、これは価値観と直接結びつけて議論をしているわけではございません。
○菅(直)委員 価値観と直接結びつけていないということがはっきりしただけでも、それは結構です。
 というのは、これは一般的に言われていることですが、安倍総理が総理になる前かもしれませんが、インドとかオーストラリアとか韓国と言われたときに、中国をそういう価値観を共有する国で包囲する、そういう構想がベースにあるのかな、そういう見方も一部にあることは事実でありまして、そういう意味で言われているのかなと思ったんですが、それとは違うということでありますので、それはそれで結構であります。
 そこで次の問題、もう余り時間がありませんが、総理は、記者会見の中では、日米同盟の問題について、双務性を高めていく必要がある、こういう表現をされております。一般的に双務性といえば集団的自衛権を指しているのかなと我々は感じるわけですが、一方、所信表明等では、必ずしも双務性という言葉はなくなっております。
 安倍総理が考える双務性を高めていく必要というのは具体的にはどういうことなのか、国民の皆さんに説明をしていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 同盟関係は、お互いにイコールパートナーになることによってだんだん安定性も信頼関係も増していくのではないか、このように思います。
 日米安保の歴史というのは、当初、旧安保条約ができた当時は全く片務的な条約であったわけでございます。この片務的な条約を双務性を高める条約にしたのが六〇年安保の改定であったわけでありまして、五条において、日本がもし攻められたときには、米軍が来援し、そして共同対処する、しかし一方、六条において、極東の平和と安定のために日本が基地を提供する、こういう双務性がある関係になったのであります。と同時に、地位協定等々が結ばれ、旧安保条約よりもこれは条約としてまさにイコールパートナーに近くなったと言ってもいいんだろう、このように思うわけであります。
 つまり、同盟というのは、お互いがお互いを必要としているときにどれぐらい助け合うことができるかということがやはり信頼関係につながっていくわけでありまして、信頼関係のない条約というのは、これは紙切れになってしまうのでありまして、そのために、お互いに努力をしていくことが極めて大切ではないか、私はこのように思います。そこで、双務性を高めていく努力をしなければいけない。これは、何も私は集団的自衛権を直ちに行使できるようにしようということではなくて、条約の中で双務性を高めて、また実際の運用の面において高める努力は常にしていく必要があるだろう、こう申し上げているわけであります。
○菅(直)委員 今、大変重要なことを言われましたね。双務性を高めるということについて、集団的自衛権を行使できるようにするということは、直ちにそうではないというようなことを今答えられました。一般的に、双務性というのを安倍さんが言われる場合は、集団的自衛権を念頭に置いて言われているのかなと思ったら、それは別のことだということを言われたようであります。
 私は、今の日米安保条約は、ある意味では双務性を帯びた条約だと認識をしております。つまり、アメリカにこれだけ基地を提供している国はほかにはありません。アメリカの基地は、もちろん結果において日本の防衛にも役立っておりますけれども、しかし、ある意味でアメリカの世界戦略の大変重要な位置づけがあるわけでありまして、そういう点では、アメリカにとって、日本の防衛を超えて大変意味のある基地であり、意味のある同盟だということは、これは言うまでもありません。
 そういった意味で、極東に限らず、ある意味で地球の半分を、太平洋からインド洋からスエズ運河に至るまでのところを日本の米軍基地が米軍としてはカバーしているわけでありますから、そういう意味では、私は、相当の双務性を帯びた条約だ、そういう認識を持っていることを最後に申し上げて、時間ですので、あとはあすに譲りたいと思います。
○金子委員長 次回は、明六日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時散会