第166回国会 本会議 第21号
平成十九年四月十二日(木曜日)
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 議事日程 第十六号
  平成十九年四月十二日
    午後一時開議
 第一 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案(内閣提出)
 第四 地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案(内閣提出)
 第七 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案(内閣提出)
 第八 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案(内閣提出)
 第九 漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 日程第一 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案(内閣提出)
 日程第四 地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案(内閣提出)
 日程第七 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案(内閣提出)
 日程第八 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案(内閣提出)
 日程第九 漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに雇用基本法案(大島敦君外二名提出)、労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案(加藤公一君外二名提出)及び若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案(山井和則君外二名提出)の趣旨説明及び質疑
 更生保護法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時七分開議
○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。
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○議長(河野洋平君) 御報告することがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員石野久男君は、去る三月十九日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 石野久男君に対する弔詞は、議長において昨十一日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに逓信委員長 科学技術振興対策特別委員長の要職にあたられた正四位勲一等石野久男君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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 日程第一 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案(内閣提出)
 日程第四 地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(河野洋平君) 日程第一、国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第二、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第三、国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案、日程第四、地方公務員法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長佐藤勉君。
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 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案及び同報告書
 地方公務員法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔佐藤勉君登壇〕
○佐藤勉君 ただいま議題となりました四法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、各案の要旨について申し上げます。
 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案は、昨年八月八日の人事院からの意見の申し出を踏まえ、一般職の国家公務員について、その小学校就学の始期に達するまでの子を養育するため、育児短時間勤務の制度の新設を行うとともに、部分休業の対象となる子の上限を小学校就学の始期に達する子までに引き上げ、部分休業の名称を育児時間とするものであります。
 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案は、地方公務員について、国家公務員と同様、育児短時間勤務の制度の新設を行うとともに、部分休業の対象となる子の上限を小学校就学の始期に達する子までに引き上げるものであります。
 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案は、昨年八月八日の人事院からの意見の申し出を踏まえ、一般職の国家公務員について、職員の自発的な大学等における修学または国際貢献活動のための休業制度の新設を行うものであります。
 地方公務員法の一部を改正する法律案は、地方公務員について、国家公務員と同様、自発的な大学等における課程の履修または国際貢献活動のための休業制度の新設を行うものであります。
 以上の四案は、去る三月二十八日本委員会に付託され、翌二十九日菅総務大臣から提案理由の説明を聴取し、四月十日質疑を行い、これを終局いたしました。次いで、採決いたしましたところ、四案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、四案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 四案を一括して採決いたします。
 四案の委員長の報告はいずれも可決であります。四案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、四案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案(内閣提出)
 日程第七 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案(内閣提出)
○議長(河野洋平君) 日程第五、産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案、日程第六、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案、日程第七、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。経済産業委員長上田勇君。
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 産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案及び同報告書
 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔上田勇君登壇〕
○上田勇君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案につきましては、人口減少社会の到来、国際競争の激化等、経済成長の制約要因を克服し、我が国の産業活力の再生を図るため、事業者が行う経営資源の外部からの導入や異分野の経営資源の融合による事業革新、サービス産業に属する事業者の生産性向上のための取り組みを支援する措置、地域の中小企業等の事業再生の円滑化のため、つなぎ融資に対する債務保証制度や裁判外紛争解決手続の活用等の措置、事業活動の安定に資するため、包括的ライセンス契約による特許権等の通常実施権を登録する制度の創設等の措置を講ずるとともに、イノベーションを支える産業技術力の強化のため、技術経営力の強化に寄与する人材の養成等に関連する業務を独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構等の業務に追加する等の措置を講ずるものであります。
 次に、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案につきましては、企業規模や地域により業況に格差が見られる中、我が国経済の活力源である地域、中小企業の活性化を図ることが喫緊の課題であることにかんがみ、産地の技術、地域の特色ある農林水産品、観光資源など、地域の強みである地域資源を活用した中小企業の商品、サービスの開発、市場化に対し、資金面、ノウハウ面等での支援措置を講ずるものであります。
 次に、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案につきましては、産業集積が地域経済の活性化に果たす役割の重要性にかんがみ、地域における産業集積の形成及び活性化を図るため、地方公共団体による基本計画の策定及び企業立地計画の承認等について定めるとともに、工場立地の円滑化のための工場立地法の特例の創設、独立行政法人中小企業基盤整備機構の企業立地等促進業務の追加、中小企業信用保険法の特例の創設等の措置を講ずるものであります。
 三法律案は、去る三月十六日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託されました。
 本委員会においては、同月二十日甘利経済産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、四月十日には参考人からの意見を聴取するなど慎重な審査を重ね、昨日質疑を終了いたしました。質疑終局後、産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案及び企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案につきましては、討論の後、それぞれ採決を行った結果、賛成多数をもって、また、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案につきましては、採決の結果、全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、三法律案に対しそれぞれ附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) これより採決に入ります。
 まず、日程第五及び第七の両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第六につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第八 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案(内閣提出)
○議長(河野洋平君) 日程第八、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長塩谷立君。
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 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔塩谷立君登壇〕
○塩谷立君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、地域公共交通の活性化及び再生を総合的、一体的かつ効率的に推進するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、
 第一に、主務大臣は、地域公共交通の活性化及び再生を総合的、一体的かつ効率的に推進するため、地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針を定めること、
 第二に、市町村は、基本方針に基づき、単独でまたは共同して、当該市町村の区域内について、地域公共交通の活性化及び再生を総合的かつ一体的に推進するための地域公共交通総合連携計画を作成することができること、
 第三に、地域公共交通総合連携計画を作成しようとする市町村は、地域公共交通総合連携計画の作成に関する協議及び地域公共交通総合連携計画の実施に係る連絡調整を行うため、当該市町村、関係する公共交通事業者等、道路管理者、地域公共交通の利用者等で構成される協議会を組織することができること、
 第四に、地域公共交通総合連携計画に定められた軌道運送高度化事業、道路運送高度化事業、海上運送高度化事業、乗り継ぎ円滑化事業及び鉄道再生事業の実施計画について、国土交通大臣の認定制度等及び軌道法等の関係法律に基づく特許、許可、認可等の特例措置等を創設すること、
 第五に、複数の旅客運送事業に該当し、同一の車両または船舶を用いて一貫した運送サービスを提供する新地域旅客運送事業の事業計画について、国土交通大臣の認定制度及び鉄道事業法等の関係法律に基づく事業許可等の特例措置を創設すること
などであります。
 本案は、去る三月二十八日本委員会に付託され、四月三日冬柴国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、十日参考人から意見聴取を行い、十一日質疑を終了いたしました。質疑終了後、採決いたしました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第九 漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(河野洋平君) 日程第九、漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長西川公也君。
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 漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔西川公也君登壇〕
○西川公也君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、水産資源の状況の悪化、漁業生産構造の脆弱化等、水産業をめぐる情勢の変化に対応し、漁業生産力の向上等に資するため、漁船漁業の構造改革を推進するとともに、漁業取り締まりを強化する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、四月十日松岡農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、昨十一日質疑を行いました。質疑終局後、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに雇用基本法案(大島敦君外二名提出)、労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案(加藤公一君外二名提出)及び若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案(山井和則君外二名提出)の趣旨説明
○議長(河野洋平君) この際、内閣提出、雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案並びに大島敦君外二名提出、雇用基本法案、加藤公一君外二名提出、労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案及び山井和則君外二名提出、若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案について、順次趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣柳澤伯夫君。
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
○国務大臣(柳澤伯夫君) 雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 現下の雇用失業情勢は全般的には改善が進んでいるものの、フリーター数が依然として多い等の若者の雇用問題や、地域における雇用情勢の改善のおくれ等の課題があります。また、人口減少等が見込まれる中で、今後とも我が国の経済社会の安定等を図る観点から、これらに的確に対応した雇用政策を講ずる必要があります。
 このため、働く希望を持つすべての人の就業の実現を図ることを明確化するとともに、青少年の応募機会の拡大、雇用情勢が特に厳しい地域への支援の重点化等のために必要な措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、雇用対策法の一部改正であります。
 人口減少等の経済社会情勢の変化に対応した就業の促進を図ることをこの法律の目的として追加するとともに、国の実施すべき施策として、青少年、女性、高齢者、障害者等の就業促進対策を追加することとしております。
 また、青少年の能力を正当に評価するための募集、採用方法の改善等により、その雇用機会の確保等を図ることを事業主の努力義務とするとともに、年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けて、労働者の募集、採用に係る年齢制限の禁止について義務化することとしております。
 さらに、外国人の適正な雇用管理等を図るため、事業主による外国人の雇用状況の報告を義務化するとともに、外国人の雇用管理の改善等を事業主の努力義務とすることとしております。
 第二に、地域雇用開発促進法の一部改正であります。
 地域雇用開発のための措置を講ずる地域について、現行の四類型を、雇用情勢の特に厳しい地域である雇用開発促進地域と雇用創造に向けた意欲の高い地域である自発雇用創造地域の二類型に再編し、支援を重点化することとしております。
 最後に、この法律の施行期日については、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日としておりますが、青少年の雇用機会の確保に係る事業主の努力義務の部分等については、平成十九年十月一日施行としております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(河野洋平君) 提出者園田康博君。
    〔園田康博君登壇〕
○園田康博君 私は、ただいま議題となりました雇用基本法案につきまして、提出者を代表し、趣旨説明を行います。
 我が国では、経済産業の構造改革を経て、終身雇用、年功序列、内部労働市場での雇用調整、企業による職業訓練といった日本型雇用モデルが崩れていきました。また、長引いた不景気を背景に、企業が労働コストを削減する中で、パートやアルバイト、派遣、有期雇用といった非正規雇用の割合がふえてきました。雇用が不安定になり、だれもがいつ何どきリストラされるかもしれない、労働条件が切り下げられるかもしれないといった不安を抱えるようになりました。こうした中で、結婚し、家庭を持ち、定年まで勤め上げるといった将来への展望を持ちたくても持てない人がふえているのでございます。
 旧来のモデルが崩壊し、雇用が不安定になってしまった今、国を挙げて新たな雇用モデルを構築することが求められています。民主党は、長期安定雇用を基本とし、すべての労働者が生涯にわたって生きがいを持って働き、豊かで安心して暮らすことのできる社会を目指しています。それを実現するためには、その時々の雇用情勢に対応する形で、対策を継ぎはぎした雇用対策法ではなく、我が国の雇用政策に関する基本方針と基本理念、基本的施策を定める雇用基本法を新たに制定する必要があると考えます。
 以下、法案の概要を説明いたします。
 第一に、雇用に関する施策の基本理念を定めます。
 すべての労働者が、公正な労働条件のもと、人としての尊厳を重んじられ、安心して働くことができる環境を整備すること、適切な職業能力の開発等の機会を与えられ、その有する能力を有効に発揮し、充実した職業生活を送ることができるようにすることをうたっています。
 そして、雇用に関する施策は、長期の安定した雇用を基本とし、労働者が安心して働き、その有する能力を有効に発揮することができるようにするとともに、労働者が人生の各段階において、その働き方を多様な就労形態の中から主体的に選択することができるようにすることを旨として講ぜられなければならないこと、雇用に関する施策を講ずるに当たっては、労働者の職業選択の自由を尊重しなければならず、また、事業主の雇用の管理についての自主性を尊重するよう配慮しなければならないものとすることを定めています。
 第二に、国、地方公共団体について、基本理念にのっとって雇用に関する施策を策定し、実施する責務を定めています。
 また、事業主は、労働者が安心して働き、その有する能力を有効に発揮することができるよう、国または地方公共団体が実施する雇用に関する施策に協力するとともに、必要な雇用環境の整備に努めるものとしております。
 第三に、政府は、雇用に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、雇用基本計画を策定し、これを閣議決定し、公表することとしております。
 第四に、国は、十二の分野について基本的施策を講ずることとしております。
 国は、若年者への就業支援、女性への就業支援、高年齢者等への就業支援、障害者への就労支援、被生活保護者等への就業支援、地域雇用開発の促進、職業能力開発の促進、外国人の労働に関する環境の整備、公正な働き方の確保、安全と健康の確保、ワークライフバランスの確保、求人の開拓や雇用情報の収集、提供等を含めた雇用機会の確保について、必要な措置を講ずることを定めています。
 このように、我が国が目指す雇用のあり方について明確な方針と施策を講ずる責任を法律で定めることにより、しっかりとまじめに働けば普通の生活が送れる、そうした雇用状況をつくり出せると考えております。
 本法案の趣旨を御理解いただき、御賛同いただけますようお願いを申し上げ、私の趣旨説明を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 提出者山井和則君。
    〔山井和則君登壇〕
○山井和則君 私は、ただいま議題となりました労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案について、提出者を代表して、趣旨説明を行います。
 バブル崩壊後の長期にわたる不景気の時代は就職氷河期と言われておりました。その当時に学校を卒業した皆さんは、本人の努力にもかかわらず就職ができない、あるいは常用雇用、いわゆる正社員を希望してもパートやアルバイトの仕事にしかつけなかった人が多かったのであります。そのいわゆるロストジェネレーションと言われる世代では、今もなお、雇用が不安定な状況が続いています。
 景気が回復し新卒者の採用がふえても、社会に出てから十数年たった方々の雇用情勢は依然として厳しい状況が続いています。また、出産、育児や復学などのために一たん離職し、再び就職しようとする方にとって、募集、採用における年齢要件は就労への妨げとなってしまいます。さらに、高齢化が進む中で、高齢であっても働く意欲のある方が働ける場をふやすことが今求められています。
 こうした状況の改善のためには、年齢にかかわりなく均等な機会を確保し、働く人がその有する能力を有効に発揮することの妨げとなっている雇用慣行の是正を図る法律が何としても必要です。
 内閣提出の雇用対策法等改正案では、募集、採用の年齢差別の禁止に関し、現行法の努力義務を義務規定にする改正が盛り込まれています。しかし、差別禁止の適用範囲が省令で定められることになっており、対象が狭く、実際には骨抜きになっています。そして、何よりも、民主党案では、当然、公務員も年齢差別禁止の法案対象になっているにもかかわらず、政府案では、今までの再三の民主党からの批判にもかかわらず、この期に及んでも対象から公務員を除外しています。
 民間企業に対して、募集、採用の年齢差別禁止を義務化するという厳しい法改正を行っておきながら、いつまでたっても公務員だけは募集、採用の年齢差別禁止の対象から除外する。これを言行不一致、骨抜き法案と言わずして何と言うでしょうか。
 与党議員に申し上げたい。こんな法律一つに、公務員を対象とできずに除外規定を設けて、何が公務員制度改革ですか。民主党は、当然、公務員も対象とするとともに、募集、採用における年齢差別の禁止の実効性を上げるために、以下の点を法案に盛り込みました。
 まず第一に、厚生労働大臣は、労働者の募集及び採用においてその年齢にかかわりなく均等な機会を確保するための施策の基本となるべき方針を定めるものとします。
 第二に、事業主は、労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないこととします。
 ただし、労働基準法等によって特定の年齢層に属する者の就業が禁止されたり、制限されたりしている場合などは、この限りではありません。
 第三に、都道府県労働局長は、募集、採用における年齢差別について労使で紛争が生じ、当事者の双方または一方からその解決について援助を求められた場合には、紛争当事者に対し、必要な助言、指導または勧告をすることができるとします。
 民主党は、募集、採用における年齢差別を禁止する法案を二〇〇三年と二〇〇四年の二度にわたって提出してきました。しかし、いずれも与党の反対によって審議未了で廃案になっております。
 そもそも、政府・与党がこれまでの民主党の法案について真剣に対応しておれば、今回の内閣提出案を待つまでもなく、既に多くの若者の雇用が改善されていたわけであります。残念でなりません。
 また、政府は、今回、ようやくこの問題の重要さに気づき、政府案が提出されましたが、その内容は全く不十分であります。
 本法案のみではありません。今国会に提出された、格差是正の目玉と言われている内閣によるパート労働法改正法案でも、民主党が過去に提出した改正案の後追いである上に、肝心の正社員との差別禁止対象のパート労働者の要件、三要件が極めて厳しく、委員会審議においても、本当に差別禁止対象のパート労働者は存在するのか、どこに存在するのかが一向に明らかにならず、法案の目玉である差別禁止の対象者がいまだに存在するかどうかもわからない、実効性が低い骨抜き法案であることが明らかになっております。
 政府の提出法案には、このように、格差是正のそれらしいメニューは民主党案の後追いで入っています。しかし、中身は全くの骨抜きであり、実効性が乏しいと言わざるを得ません。これでは、格差是正どころか、格差は拡大するばかりであります。
 結びに当たり、多くの議員にこの民主党の年齢差別禁止法案の重要性を御理解いただき、あわせて、年齢を含めてありとあらゆる差別のない社会をつくり、一人一人が持って生まれた能力を最大限発揮できる環境を整える一歩とするため、本法案にぜひとも御賛同いただくことを願って、私の趣旨説明を終わります。
 以上。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 提出者太田和美君。
    〔太田和美君登壇〕
○太田和美君 民主党の太田和美です。
 私は、ただいま議題となりました若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案について、提出者を代表して、趣旨説明を行います。
 バブル崩壊後の不景気は我が国の雇用情勢に深いつめ跡を残しました。若い世代についても、学校を出ても就職先がない、正社員の職につけないといった厳しい雇用状況が続きました。そうした就職氷河期に社会に出た方にとって、景気が回復しつつある現在も、正規雇用への転換は狭き門であり、職業能力開発の機会は乏しく、正規雇用との格差が広がっています。いつまでたっても雇用が不安定であれば、将来を展望することもままならず、結婚したくてもできない、子供を持ちたくても持てないというような状況に陥り、少子化の一因となっています。
 また、さまざまな理由から、就労するのでもなく、就学するのでもなく、社会から隔絶してしまう引きこもりが社会的な問題になっております。
 こうした方々を放置しておくのではなく、安定した職業につけるよう集中的に支援していくことが必要です。若年者の雇用問題に精通した若年者等職業カウンセラーが、若年者からの相談を広く受けつけ、個々の状況をよく把握した上で、必要な場合は個別就業支援計画を策定し、その計画に基づいて職業指導、実習職業訓練の促進など幾つかのステップを踏んで、きめ細やかな支援を実施していきます。こうした施策を特別の措置として、およそ五年間にわたって実施することを定める法案を策定しました。
 以下、本法案の概要を説明いたします。
 第一に、この法律で定める施策の対象は、十五歳以上四十歳未満の者であって、そのうち、契約の期間を定めないで雇用される者、自営業者、学校教育法で定める高等学校の生徒や大学の学生である者等を除くこととします。いわゆる就職氷河期に社会に出た世代で職業の安定を図る必要がある方への支援を行うために、対象者をこのように定めました。
 第二に、若年者等職業カウンセラーは、対象若年者等の相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、安定した職業につくことが困難な者と認めるときは、本人の希望、適性、職業経験その他の事情を踏まえた上で、個別就業支援計画を作成することとします。
 第三に、若年者等職業カウンセラーは、対象若年者等の個別就業支援計画に基づき、適切かつ効果的に職業指導を行うこととします。こうした指導を円滑に実施するために、職業指導を受ける対象若年者等に対して手当を支給できることとします。
 第四に、対象若年者等が職業指導のほかに、実践的な職業能力の開発及び向上を図るために効果的であると認められるときは、事業主による実習職業訓練を実施することとします。事業主は、実習職業訓練の実施計画を策定し、認定を受け、若年者等職業カウンセラーの紹介により対象若年者等を雇い入れ、実習職業訓練を実施することができるものとします。政府は、実習職業訓練を行う事業主に対して、必要な助成及び援助を行うものとします。
 政府は、今までも日本版デュアルシステム、トライアル雇用、ジョブカフェ、さらにはジョブパスポートなど、さまざまな若年者向け支援策を実施してきましたが、安定した雇用につくのが最も困難な方たちには支援が不十分です。
 私たちは、若年者の職業の安定を目指した法律を制定することにより、おのおのの置かれた状況に応じた支援を的確に実施できるようになると考えます。
 何とぞ御賛同のほどよろしくお願いいたします。(拍手)
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 雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに雇用基本法案(大島敦君外二名提出)、労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案(加藤公一君外二名提出)及び若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案(山井和則君外二名提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。石崎岳君。
    〔石崎岳君登壇〕
○石崎岳君 自由民主党の石崎岳でございます。
 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました内閣提出の雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案について、質問をさせていただきます。(拍手)
 人口減少社会の到来や団塊世代の大量退職など、雇用をめぐる環境は大きく変化し、今日ほど雇用のあり方が盛んに議論されている時代はかつてなかったと思います。活力ある経済社会の維持向上のために、特に女性や若者、高齢者や障害者など、働く意欲がありながらも就労の機会を得られていない多くの方々が意欲を持って働ける社会をつくること、また雇用情勢の地域差の是正が極めて大切であります。そうした意味で、今回の法改正は大きな意味を持つものと認識をしております。
 雇用対策につきましては、基本的な方向性のみならず、それをいかに実現していくか、実効性の確保が極めて重要であります。政府案では、国が行うべき雇用施策として、雇用対策法の中で、若者、女性、高齢者、障害者等の方々の就業促進ということが盛り込まれており、具体的には、障害者雇用促進法などの個別の法律や、若者についての今般の改正などに基づいて具体的な施策が実施されていくものと考えておりますが、実効性の確保ということについて、厚生労働大臣の御見解を伺います。
 また、民主党提出の雇用基本法案におきましては、施策の方向性は規定しておりますが、それを具体化する考え方や方策が明らかではなく、実効性に甚だ疑問があると思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
 次に、若者の応募機会の拡大について伺います。
 若者の雇用につきましては、失業率が依然として約八%と高水準にあり、また、フリーターとして働いている方も二百万人近くおり、若者が今後の社会の担い手であることを考えますと、深刻な問題であると認識をしております。
 政府は、これまで、フリーター二十五万人常用雇用化プラン等の取り組みを行ってきておりますが、さらに、今般の改正によって、若者の応募機会の拡大について事業主の努力義務とするとのことでありますが、努力義務で十分なのかどうか、また、その趣旨、考え方について、厚生労働大臣にお尋ねをいたします。
 また、事業主が適切に対応するための必要な指針を大臣告示として出すとのことでありますが、例えば人物本位の採用ですとか、応募資格の既卒者への開放などを事業主に徹底できるのかどうかをお伺いいたします。
 次に、労働者の募集及び採用における年齢制限の禁止の義務化についてお伺いをいたします。
 これについては、現行の雇用対策法でも努力義務とされておりますが、与党内での議論により、努力義務では不十分だとして、与党から政府に対して、年齢制限禁止を義務化するよう申し入れたところでございます。今回の改正は、それを踏まえたものと思っておりますが、政府として、今回の義務化の意義をどのように考えておられるか、また、努力義務から義務化となることでどのような具体的効果が期待されるかを厚生労働大臣にお伺いいたします。
 この募集、採用の年齢制限の禁止につきましては、一方で、年齢制限をすることに合理的な理由がある場合もございます。
 例えば、我が国の人事労務管理においては、若い人を雇い、企業において長期雇用をしつつ人材を育てていくシステムは大きなメリットがあると思いますし、年齢制限を全面的に禁止してしまうことになれば、各企業で大きな混乱が生じると考えられます。また、卒業時に正社員として就職できなかったフリーターを企業に積極的に採用していただく必要もあります。
 民主党案では、年齢制限禁止の例外事由を法律上四項目に限定しており、硬直的ではないかと考えます。政府案においては、例外事由を厚生労働省令で定めることとし、機動的に見直すことができるようになっております。例外事由を定めるに当たっては、若年者の積極的な雇用という点や、企業の雇用管理の実態も踏まえて例外事由を定めるべきだと思いますが、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、外国人労働者問題についてお伺いいたします。
 我が国の外国人労働者数は年々増加し、地域によっては日系人等の定住外国人が増加することによってさまざまな問題が生じており、安定的な雇用の確保や適正な就労の確保が課題となっております。今般の雇用対策法の改正において盛り込まれた外国人雇用状況報告の義務化は、そういった問題の改善のための施策を行う上で重要であると思いますが、今回の義務化の趣旨、理由について、改めて厚生労働大臣にお伺いをいたします。
 最後に、地域雇用の問題についてお尋ねいたします。
 雇用保険法の改正案において、季節労働者に対する特例一時金の給付日数の削減が盛り込まれておりますが、季節労働者の問題も含めて、私の地元の北海道では雇用情勢は依然として大変厳しい状況にあります。北海道に限らず、同じように雇用情勢が厳しい地域がある中で、これらの地域における雇用対策についてどのように取り組まれていくのか。また、今回の改正では、雇用情勢が特に厳しい地域を雇用開発促進地域に指定する予定でありますが、こうした地域では雇用政策と産業政策の連携が極めて重要だと認識をしておりますが、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
 冒頭にも申し上げましたが、雇用政策は実効性がかぎであります。人口減少期においても労働力を確保し、国力を維持するために、今回の法改正によって雇用政策が効果的に推進されることを期待し、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
○国務大臣(柳澤伯夫君) 石崎議員にお答え申し上げます。
 まず、雇用対策の実効性の確保という点につきましてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、雇用対策を行う場合、雇用対策の基本的方向のみならず、それを実現するための具体的措置を明確にすることが重要だと考えております。
 したがいまして、今般の改正におきましては、雇用対策の方向性に加えて、具体的な施策として、青少年の応募機会の拡大、あるいは外国人の適正な雇用管理等を盛り込んでいるところであります。また、その他の施策につきましては既存の個別法等を通じて推進してまいりますが、経済社会の変化等に対応し、必要な場合には、これら個別法令の改正などによりまして施策の推進を図っていきたいと考えております。
 なお、民主党提出の雇用基本法案は、基本的理念や施策の方向性が規定されている法律案でありまして、その実効性等につきましては、これからの国会における御議論によって明らかにされていくのではないかと考えております。
 次に、若者の応募機会の拡大の努力義務についてのお尋ねがございました。
 この努力義務の履行に関しましては、事業主が適切に対処するための必要な指針の策定、事業主に対する必要な助言、指導によりまして、若者の雇用機会の確保を実効あるものとしていく所存でございます。
 なお、平成十三年の法改正におきまして、募集、採用時の年齢制限緩和に関する事業主の努力義務を定め、そのもとでの指針に沿って、ハローワークにおいて積極的に指導助言を行ってまいりましたが、これらによりまして、年齢不問求人が大幅に増加いたしました。この経験からも、今回の改正には相当の効果が期待できるものと考えております。
 募集、採用における年齢制限禁止の義務化の意義についてお尋ねがございました。
 募集、採用に係る年齢制限の禁止につきましては、これまでのハローワークにおける指導の結果、年齢不問求人の割合が約五〇%まで上昇し、義務化を導入し得るいわゆる基盤ができましたところでございまして、与党からの御提案も今回いただき、義務化することといたしたものでございます。この改正によりまして、政府の目指す、意欲と能力のある限り年齢にかかわりなく働くことができる社会の実現に大きく資するものと考えております。
 次に、募集、採用の年齢制限禁止に係る例外事由についてお尋ねがありました。
 今回の改正により年齢制限の禁止が義務化されますが、合理的な理由があって例外的に年齢制限が認められる場合を厚生労働省令で規定することといたしております。
 現行法に基づく年齢指針では除外事由として十項目を定めておりますが、新たに定めます省令におきましては、企業の雇用管理の実態も踏まえまして、必要最小限の場合に限定する方向で検討していきたいと考えております。
 次に、外国人雇用状況報告についてお尋ねがありました。
 近年、我が国で就労する外国人の数は増加しており、その就労状況を見ますと、雇用が不安定なこと、社会保険への未加入が多いこと等の問題があります。また、労働市場に悪影響を及ぼす不法就労者も依然として多い状況にございます。
 このため、今般、外国人雇用状況報告を義務化し、外国人労働者について就労状況を把握した上で、雇用管理の改善や不法就労の防止等に的確に対処することといたしたところであります。
 地域における雇用対策についてお尋ねがありました。
 地域雇用開発促進法では、従来、やや広範に法の適用対象地域を定めておりましたが、今回、支援対象地域をより重点化する等のため本法案を提出したところであります。
 具体的には、雇用情勢が特に厳しい地域は引き続き支援対象とし、事業所の設置、整備に伴う雇い入れ等について助成を手厚くするとともに、雇用情勢が厳しい中で雇用創造に向けた意欲が高い地域におきましては、地域の協議会が提案する雇用創造のための事業を選抜し、その事業を地域に委託する形での支援を実施するなどの施策を行うことを盛り込んでいるところであります。
 最後に、雇用政策と産業政策の連携についてお尋ねがありました。
 地域における雇用の確保と産業振興は密接な関係にありまして、相互に連携協力していくことが不可欠であることは御指摘のとおりでございます。
 このため、今回の改正案におきましても、地域雇用対策と産業集積の形成、活性化を促進するための措置とを総合的かつ効果的に講ずるよう努めることといたしておりまして、これに基づきまして、地域の活性化のための関係施策の連携等を実効ある形で進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 三井辨雄君。
    〔三井辨雄君登壇〕
○三井辨雄君 民主党の三井辨雄です。
 ただいま議題となりました政府提案の雇用対策法及び地域雇用開発促進法改正案、民主党提案の雇用基本法案及び労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案、若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案につきまして、厚生労働大臣並びに民主党提出者に質問いたします。(拍手)
 我が国は、景気が回復し、企業の売り上げに対する利益率が過去最高と言われておりますが、働く人々はその恩恵を受けるどころか、労働分配率は低く抑えられ、賃金も消費も伸びておりません。
 今や、働く人の三分の一を占めるパート、有期、派遣、請負などが非正規雇用であり、正社員との格差拡大も社会問題となっております。また、こうした実態は、少子化問題の一因と指摘されているだけでなく、賃金が最低賃金に張りついた状態で働いていることから、生活保護水準以下の暮らししかできないワーキングプアの問題も生じております。
 日本企業の国際競争力の強化という視点からすれば、大企業は確かに潤ったかもしれません。しかし、絶好調の企業業績と庶民の感覚とは大きくかけ離れており、景気回復の恩恵を受けているのは大企業や一部の人だけであります。働く人々が公正なルールのもと、安心して健康に働ける社会と呼ぶにはほど遠いのであります。
 国民、勤労者が、小泉前政権のもとで痛みに必死に耐えてきたのに、安倍政権においても、苦境が克服されるどころか、雇用の格差、医療の格差、地域の格差、教育の格差など、一層の格差が社会全体に広がっているのが現実であります。もはや、格差拡大は抜き差しならぬところまで来ております。
 今こそ、まやかしの再チャレンジ論、焼き直しの成長力底上げ戦略ではなく、働く人すべてが健康に安心して意欲を持って働くことのできる日本社会のあり方が問われております。厚生労働大臣の格差社会の現状に対する御認識について、冒頭、お伺いしたいと思います。
 また、今日の若年労働者を中心とする非正規雇用の増加に象徴される不安定雇用の増大、個人消費の冷え込み、格差拡大という悪循環を断ち切り、我が国のさまざまな変化に的確に対応する雇用労働政策を展開するためにも、現行の雇用対策法の手直し程度ではもはや十分ではありません。
 今回、政府が民主党のように国の雇用政策の基本を定めるべき雇用基本法案を策定できなかったのはなぜなのか、厚生労働大臣にお尋ねいたします。また、民主党提出者には、今回の雇用基本法案提出に至ったその精神をお伺いいたします。
 次に、格差拡大状況における経営者のあり方と雇用政策の関係についてお尋ねいたします。
 財界の総理大臣とも呼ぶべき日本経団連の御手洗会長は、格差問題についてこう述べられております。「個人の努力だけでは乗り越えられないような格差は、できる限り解消すべきだ。若年層の雇用問題は、一九九〇年代後半に経済がデフレに陥ったことに起因する。雇用問題の解決のためにも、経済を安定的に成長させていくことが必要だ。」と。
 私も、現在の日本でこれ以上、働く人たちや下請中小企業が景気回復を実感することなく、個人の努力や自己責任だけで乗り越えられない格差が拡大することは、日本経済の将来を危うくするものであると考えております。
 特に、派遣労働などの非正規社員の増加は、偽装請負の横行などに象徴されるように、企業の雇用責任のみならず、社会的責任を極めてあいまいなものにし、雇用不安を増大させております。若者を中心に所得が伸びない、消費が伸びない、結婚できない、少子化がさらに加速するという経済社会の悪循環に拍車をかけるものであります。個人の努力だけでは乗り越えられない格差を固定化する原因となっているのであります。
 さきの小泉政権の規制緩和路線で派遣労働契約の期間制限を緩和したことや、残業代不払いを合法化するホワイトカラーエグゼンプションを導入しようという、格差を拡大し、かつ正当化する考えは論外であります。
 こうした点につきまして、厚生労働大臣の認識と御見解をお尋ねいたします。
 次に、外国人労働者を取り巻く労働環境についてお伺いいたします。
 今回の雇用対策法改正案では、現行の報告制度と異なり、すべての事業主等に対して、特別永住者を除くすべての外国人の就職、離職の都度、その氏名、在留資格の有無及び在留資格があるときはその名称及び在留期限、国籍等を厚生労働大臣に報告するよう義務づけるとともに、この義務に違反したときは罰則を科すとなっております。
 また、改正案の第二十九条によれば、本報告制度によって厚生労働省が取得した情報は法務省に提供することなのでしょうか。また、厚生労働大臣には、改正案が予定する報告制度がなぜ必要なのか、外国人の雇用管理の改善及び再就職の促進といかなる関係にあるのか、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の対象であるか否か、御見解を伺いたいと思います。
 次に、募集、採用における年齢差別禁止の問題についてお伺いいたします。
 年齢を問わない求人がふえれば、就職氷河期に希望の職につけなかった若年層のみならず、子育てを終えた女性や働く意欲のある高齢者など、多くの人が就職できる機会が広がることが期待されるわけです。実際、厚生労働省の調べでも、ハローワークの求人のうち年齢制限をしない求人の割合がことし二月には五〇%になったとのことであります。二〇〇四年三月には年齢不問の求人が全体の二〇%だったことを考えれば、私ども民主党が募集・採用における年齢差別禁止法案を提出したかいがあったというものであります。
 さて、政府・与党は、今回、民主党案を追いかける形で、募集、採用時の年齢制限禁止を努力義務から義務化する雇用対策法の改正案を提出されましたが、その適用される範囲は省令で定める形になっており、どのような場合に法的義務がかかるのか、全く明確ではありません。十個も並べてある現行指針、募集、採用における年齢差別禁止とは名ばかりの内容を単に省令に格上げするだけで、これが安倍内閣の最大のメーンテーマ、再チャレンジだということなのでしょうか。
 加えて、政府案はなぜ公務員を適用除外としているのでしょうか。公務員の募集、採用こそ、年齢で差別せず、能力で判断するべきと考えますが、再チャレンジを標榜する政府の基本的な考えを厚生労働大臣にお伺いいたします。また、民主党の提出者には、公務員にも適用する趣旨についてお答え願いたいと思います。
 次に、若年者雇用についてお伺いいたします。
 働く喜びや誇りを感じて仕事ができるか、未来に希望を感じられる働き方ができるのか、これこそ若年者雇用に求められる政治的課題であると思います。
 若年層の非正規雇用がふえて何が問題か、その理由については大きく二つあると考えます。一つは、安定した職業につけないことにより格差が固定化することであり、もう一つは、人件費削減のため、労働力の請負、派遣化が進んできた結果、技術や技能の継承も危うくなっていることであります。地場中小企業を中心に、幾ら募集をかけても求職者、特に若手が集まらない状況も生まれてまいります。
 究極的には、民主党が提案しているように、正社員とパートなど非正規社員との均等待遇の実現、期間の定めのある雇用契約は期間の定めに合理性があるものに限定する、そして、たとえ失敗しても、誇りを失わない生活を維持できる最低賃金を確保し、さらに、ミスマッチを解消すべく、若年層の職業能力訓練に国を挙げて取り組む以外に問題解決の道はないのであります。
 若年層の就職支援策にパンチがないようでは、政府の改正案の意義が問われます。安倍総理は所信表明演説で、格差を感じる人に光をと力説されました。ところが、全国二十カ所で展開されてきた若年者就労支援のためのジョブカフェ事業は、モデル事業終了に伴い予算が大幅に削減され、これからは各都道府県が事業費を捻出しなければならないという状況になっております。
 かけ声の割には中身が大変乏しいというのが、安倍内閣の若年者雇用政策の実態ではありませんでしょうか。厚生労働大臣の見解をお聞かせください。民主党提案者には、若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案と政府のジョブカフェ事業の相違についてお答えください。
 こうした政府の財政上の制約は、雇用における地域間の格差拡大にもつながっており、雇用の受け皿となる主要産業のない地域、特に公共事業に依存してきた地域の経済・雇用状況は一層厳しくなっており、雇用の地域間格差は今後さらに拡大していく傾向にあると考えます。
 これを裏づけるように、内閣府が先般発表いたしました二〇〇四年度の県民所得の都道府県別のトップは東京都で四百五十五万九千円、二位は愛知県などとなっておりますが、最下位は沖縄県の百九十八万七千円と、二百五十七万円の格差が生じております。
 雇用対策について国と地方公共団体が連携を深めるというのは、ぜひやらなければならないということでありますが、地方の雇用対策において国が担う役割とは何なのか、厚生労働大臣及び民主党の提出者の御見解をお伺いいたします。
 雇用状況が厳しい状況であればあるほど、格差是正も、雇用だけでは吸収できないというのが実態であります。日本の格差社会という現状を救うために、喫緊に必要な働き方とは何か、厚生労働大臣及び民主党提出者のお考えをお伺いいたします。
 働くことを通じて人間の尊厳を実現するには、少子高齢化や団塊の世代の大量退職により人手不足になるといった便宜的な話だけでは総合的な雇用対策とはなりません。働く人たちが健康で、しかも、自分自身の創造性を主体的に展開し、かつ、生き生きと個性を発揮しながら、一人一人が社会の主役になることができる働き方を原則とするのが真の雇用対策ではないでしょうか。
 その意味においても、政府改正案は、国の雇用政策の基本を示す雇用対策法と呼ぶには大変不十分であり、格差是正や雇用不安、社会不安の解消にはほど遠いものと言わざるを得ません。日本の働き方、ひいては日本の将来について、私ども民主党は、国民生活を担う政治の責任において、じっくり議論を深めていくことをお誓い申し上げます。
 また、自民党、与党さんからの批判がありました民主党案について、民主党の答弁者はぜひお答えくださいと申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
○国務大臣(柳澤伯夫君) 三井議員からは、まず第一に、社会の現状に対する認識についてのお尋ねをいただきました。
 我が国社会における所得格差の動向につきましては、主として高齢化の進展や世帯の細分化などによって説明することができる面が多いと考えております。また、雇用情勢につきましては、有効求人倍率などに地域差があることは認識をいたしております。しかし、雇用情勢との関係で見ますと、全体として改善が進んでいる中で、地域差や正規、非正規雇用の問題、さらには若者の雇用問題といった課題が残されているということを認識いたしております。
 このため、厚生労働省といたしましては、こうしたさまざまな課題の解決に向けて、本法案を初めとした働く人たちのための一連の労働法制の整備に取り組むことによりまして、だれもが安心、納得して働くことができる環境づくりに努めているところでございます。
 次に、国の雇用政策の基本を定める法律の制定についてのお尋ねがございました。
 雇用対策法においては、従来から、名前に基本という文字はございませんけれども、雇用対策の基本的方向が定められておりまして、今回の改正におきましても、雇用政策を人口減少等に対応して行うべきことを法目的として追加いたしますとともに、国の実施すべき施策として、青少年、女性、高齢者、障害者等の就業促進対策、外国人雇用対策、地域雇用対策等を明記するなど、規定の内容の充実を図っているところでございます。
 社会の格差の観点から、労働市場の規制緩和に対する認識についてのお尋ねがございました。
 経済の活性化等の観点から規制改革は重要でございますけれども、その一方で、労働分野の規制は、そのほとんどが労働者の労働条件や雇用の安定性と密接にかかわるものであることに留意する必要があると考えております。
 このため、規制改革を進めるに当たりましては、改革の結果、労働者の保護に欠けることにならないか、生活の不安感を引き起こさないか等の観点から、労使を初めとする関係者の意見を踏まえながら十分検討した上で対応する必要があると認識をいたしております。
 外国人雇用状況報告の義務化の必要性等についてお尋ねがありました。
 近年、我が国で就労する外国人の数は増加しておりまして、その就労状況を見ますと、雇用が不安定なこと、社会保険への未加入が多いこと等の問題があります。また、労働市場に悪影響を及ぼす不法就労者も依然として多い状況にあると認識しております。
 このため、外国人労働者につきましては、雇用管理の改善等の推進、不法就労の防止の必要性がありまして、今般、外国人雇用状況報告を義務化し、きめ細かい事業主指導等により、これらの問題に的確に対処してまいることといたしている次第であります。
 なお、本報告制度により得た情報は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の対象となるものと考えております。
 募集、採用の年齢制限禁止の義務化に係る適用範囲についてお尋ねがありました。
 募集、採用時の年齢制限禁止の義務化に当たっては、合理的な理由があって例外的に年齢制限が認められる場合について、社会経済情勢の変化に応じて必要な見直しを行うことができるよう、法律で限定するのではなく、厚生労働省令で規定することとした次第です。
 現行法に基づく年齢指針では除外事由として十項目を定めておりますが、新たに定めます省令につきましては、企業の雇用管理の実態を踏まえながら、必要最小限の場合に限定する方向で検討をしてまいる所存であります。
 募集、採用時の年齢制限禁止に関し、公務員を適用除外としていることについてお尋ねがありました。
 国家公務員、地方公務員につきましては、国家公務員法、地方公務員法におきまして平等取り扱いの原則が定められておりまして、職員の採用に当たっても、合理的な理由のない差別は禁止されているものと承知をいたしております。このように、国家公務員、地方公務員については、別途、法的枠組みが既に整備されていることから、本法案においては適用除外としているところであります。
 若年者雇用対策についてお尋ねがありました。
 御指摘のジョブカフェにつきましては、厚生労働省と経済産業省との連携によりまして実施したところでありますが、経済産業省の大部分の事業は平成十八年度をもって終了したところであると承知をいたしております。
 厚生労働省といたしましては、年長フリーターの常用雇用化の支援に重点を置いたフリーター二十五万人常用雇用化プランの推進、若者に対する地域の支援拠点である地域若者サポートステーションの大幅な拡充、雇用対策法改正による若者の応募機会の拡大などに取り組むことといたしておりまして、我が国の将来を担う若者の雇用機会の確保に努めてまいります。
 地域雇用対策における国の役割についてお尋ねがありました。
 依然として雇用情勢に地域差が見られる中で、国としては、雇用情勢が特に厳しい地域への支援に加え、地域の特性を最もよく把握している地方公共団体が行う、地域における魅力的な雇用の場の創出のための自発的な取り組みを支援することが重要であると考えております。そのため、本改正法案を提出したところでありまして、雇用情勢が厳しい地域を重点に、従来以上に地方公共団体との連携を図りながら、地域における雇用機会の創出を支援してまいりたいと考えております。
 最後に、格差を是正するために必要な働き方という難しい問題についてお尋ねがありました。
 この点につきましては、雇用情勢が厳しい地域におきましても、私どもはまず雇用機会の確保を図ることが基本と考えておりまして、そのために、地域雇用開発促進法の改正によりこの課題に取り組むことといたしているところであります。
 これに加えまして、今回の労働法制の改正におきまして、最低賃金法の改正による最低賃金の引き上げや、パートタイム労働法の改正による均衡処遇の実現あるいは正規雇用への転換促進等を提案いたしておりまして、これらにより確保された雇用ができる限り良質なものになり、ひいては格差の固定化を防ぐことに資することを期しているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔大島敦君登壇〕
○大島敦君 民主党の大島敦です。
 雇用基本法案提出に至ったその精神についてのお尋ねがございました。
 パート労働者、契約社員、派遣社員といった非正規雇用は、正規雇用との賃金や労働条件の格差が大きく、不安定な働き方だと考えています。働けど働けど豊かになれない、結婚もできない、いわゆるワーキングプアの状況から抜け出せないことも大きな問題と考えております。
 そこで、民主党は、雇用に関する基本方針を打ち出し、その考え方に基づいて、国を挙げて課題として取り組む必要があると考え、新たに雇用基本法を制定することを提案いたしました。
 我が国は、従来の日本型雇用慣行が変わっていく中で、産業競争力を維持するための人材育成をいかに図っていくか、そして公的年金制度を維持するため賃金総額をいかに確保していくかという、日本の将来を左右する課題に直面しています。
 本法案では、長期安定雇用を基本とし、非正規雇用と正規雇用の均等待遇、職業能力開発の拡充、若年者、高齢者、女性、障害者等、それぞれの雇用状況を改善するために行う施策、仕事と生活の調和、いわゆるワークライフバランスを実現するための施策等を盛り込みました。法律で基本理念と基本的施策を明確に定め、それに従って国、地方自治体、事業主が雇用施策を実施することで、しっかりとまじめに働けば普通の生活が送れる、そのような雇用の状況をつくっていかれる、そのように考えております。
 また、民主党の募集・採用における年齢差別禁止法案について、公務員にも適用するその趣旨についての質問がございました。
 民主党の募集・採用における年齢差別禁止法案は、公務員の募集、採用について適用除外を設けておりません。
 日本では、雇用慣行の影響もあり、年齢や性別など、個人の力ではどうしようもないことで就業のチャンスを奪われている方がいらっしゃいます。能力のある若者、高齢者や女性が労働市場に参入できないことは、日本の経済社会の発展にとって損失と考えます。そうした差別を解消することは、多くの人々に就業のチャンスを保障するという意味で、大変意義深いことです。
 年齢差別の禁止は、日本の将来像とも深くかかわる重要な問題です。労働者の募集、採用において、形式的な年齢ではなく、実質的なその人の能力を十分に吟味し、採用の可否を決定していただくことは、公正な社会の実現に資するものであります。
 今回の政府案は、民間の事業主に、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を設けなければならないとしております。二〇〇三年、二〇〇四年に二回提出した民主党法案におくれて、ようやく義務規定が課せられることになったところではありますが、厚生労働省令の内容によっては実効力を伴わないおそれも否定できません。
 しかも、この政府案は、公務員の募集、採用について適用除外となっています。実際、国家公務員の採用は、競争試験による場合、一定の年齢制限を設けております。ある年齢を過ぎれば、面接はおろか、筆記試験すら受験できません。
 私どもは、公務員の募集、採用は年齢差別が残ったままで、民間の事業主に義務を課すだけでは、法の実効性が問われると思います。本気で年齢差別の撤廃に向けて踏み出すのであれば、政府みずから、つまり、公務員の募集、採用こそ年齢で差別せず、能力で判断するよう率先すべきだと考え、民主党は、公務員についても募集・採用における年齢差別禁止法案の対象といたしております。
 続きまして、日本の格差社会という窮状を救うために喫緊に必要な働き方とは何かというお尋ねがございました。
 先ほど申し述べたとおり、日本における所得格差をつくり出している大きな要因の一つは、正規雇用と非正規雇用の賃金格差であります。ワークライフバランス、すなわち仕事と生活の調和を実現するために、短時間労働を選択したとしても、公正な賃金が得られなければなりません。
 安定した雇用の確保を通じた格差社会の是正は、将来の公的年金の制度設計においても重要であります。現在、人件費削減のため、労働力の請負、派遣化が進んでおり、労働者の賃金は抑えられておりますが、賃金総額が少なくなれば、雇用の安定だけではなく、年金制度が危うくなることは余り注目されておりません。
 民主党は、短時間労働者と正社員との均等待遇を確保するために、すべてのパート労働者を対象に、短時間労働者であることを理由とした差別的取り扱いを禁止するパート労働者均等待遇推進法案を提出し、御審議していただいているところです。この法案には、希望するパート労働者について、正社員への転換を促進する措置も盛り込まれています。
 労働者派遣については、製造業への派遣が解禁となりましたが、雇用が不安定であることが問題となっています。雇用の安定と使用者責任を明確にするために、常用型派遣に特化する方向で制度を見直すべきであると考えます。
 また、雇用形態が多様化する中で、労使が対等な立場で合意することを原則として労働契約が締結、変更、終了できることを保障するために、労働契約法の制定が必要です。民主党は、均等待遇原則、派遣社員など有期契約労働者の保護を規定し、就業規則による労働条件の一方的な変更を認めないことを提案しております。
 さらに、現在の最低賃金は生活保護費を下回っている地域もあり、まじめに働いた人が生計を維持できる水準まで引き上げる必要があります。民主党は、全国最低賃金及び地域最低賃金について、労働者とその家族の生計費を基本とすることを提案しております。これにより、中小企業に負担をかけない政策をあわせて行うことで、最低賃金の全国平均を千円程度にしていくことを目指しております。
 なお、本日趣旨説明を行った雇用基本法案、募集・採用における年齢差別禁止法案、若年者職業安定特別措置法案は、既に御説明しておりますように、いずれも雇用における格差の是正に資する法案であります。
 最後に、石崎議員から我が党案についてのコメントがあり、三井議員から、それについて述べるところがあれば述べよということがございましたので、御説明をさせていただきます。
 今回、実効性に乏しいということでした。今回は雇用基本法をつくり、今、パート労働法我が党案を出しております。きょうは、それに引き続き、年齢に係る均等な機会にかかわる法律案を出し、そして若年者の職業の安定を図る法案を出し、今後、最低賃金法の改正案等を出していくわけでして、具体については個別法案で中身を確定していきたいと考えております。
 特に、今回の政府案の中で私が問題だと思っているのは、パートに関しての法律、これは政府案として出していただいております。しかしながら、今問題なのは、派遣社員の方そして契約社員の方、この二十代、三十代の派遣社員、契約社員の方の給与が低く抑えられていることによって、結婚もできない、あるいは社会保険料を納められないということが問題だと思っております。
 この点について、我が党案は、しっかりと派遣社員の問題そして契約社員の問題についても問題を提起させていただいていることを最後につけ加えさせていただきまして、答弁とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
    〔山井和則君登壇〕
○山井和則君 若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案と政府のジョブカフェ事業の相違について、三井議員から質問いただきましたのでお答えをしたいと思いますが、まずその前に、今も大島議員からお話がありましたが、与党議員から、なぜか、民主党案に対する質問が政府の厚生労働大臣に対して行きました。民主党案に対して疑問や批判があるならば、どうして目の前にいる民主党の提出者に対して聞かないのでしょうか。こういうのを、闘う政治家ではなく逃げる政治家というのではないでしょうか。質問をしたら、反論されて民主党案の方が正しいことが明らかになるから、反論させずに批判だけをする、このようなこそくなことをこの言論の府である本会議場ですべきではないと強く申し上げて、私の答弁に入らせていただきます。
 いわゆる就職氷河期に社会に出られた方々、すなわち、現在三十代後半までの方々は、今もなお、多くの方が正規雇用として採用されない等、厳しい状況が続いており、集中的に支援を行う必要があります。民主党は、イギリスの若年者雇用政策、いわゆるニューディール政策を参考にしながら、二〇〇五年のマニフェストに若年者に対するマンツーマンの就労支援を掲げましたが、今回はそうした法律を定めることにしました。
 民主党案では、十五歳から三十九歳の対象若年者等に対して、若年者等職業カウンセラーが、対象若年者等の適性や希望をよく把握した上で、個別就業支援計画を策定し、段階を踏みながら必要に応じて職業指導を行うこととしました。さらに、実習職業訓練の制度を設け、実際の職場での訓練を行うなど、安定した職につけるよう、きめ細かな支援を行います。
 一方、政府は、若年者の就労を支援するヤングジョブスポットを全国で十四カ所運営してきましたが、今それを大幅に削減しようとしています。また、政府は、ジョブカフェ事業を展開してきましたが、これについても、そもそも都道府県に重い事業負担を求めた上、国の予算もこのたび削減したため、十分な予算が確保できず、十分な若年者への就業支援事業を行えない自治体がふえています。結局、政府は、若年者雇用支援から手を引き、自治体任せにしています。これでは若年者の雇用不安を放置しているだけであります。
 これに対して民主党は、若年者の雇用不安の現状を危機的と厳しく認識し、五年を目安とする期間において、国が財政的に集中して支援を投入し、若年者向けの就業支援を行います。
 長引く不景気の直撃を受けたのが若者であり、若者を非正規雇用、不安定雇用という安上がりの労働力として利用してきたのがこの間の政府の労働政策ではなかったでしょうか。しかし、そのような不景気の被害者であるロストジェネレーションと呼ばれる世代は、年を重ねるにつれ、年々ますます正規雇用、安定雇用の門が狭まっているのが現状です。
 若年労働者を安上がりの労働者として使い捨てにするような国家が繁栄するはずがありません。国を挙げて日本の未来を担う若年労働者を支援すべきである、民主党はそのような強い危機感と使命感を持って、この若年者職業安定法案を提出いたしました。
 以上で答弁を終わります。(拍手)
○議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。
    〔議長退席、副議長着席〕
     ――――◇―――――
 更生保護法案(内閣提出)の趣旨説明
○副議長(横路孝弘君) この際、内閣提出、更生保護法案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣長勢甚遠君。
    〔国務大臣長勢甚遠君登壇〕
○国務大臣(長勢甚遠君) 更生保護法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 更生保護は、犯罪をした者及び非行のある少年を実社会の中で適切に処遇することにより、その再犯を防ぎ、非行をなくし、これらの者が自立し改善更生することを助け、もって社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進することを目的とするものですが、近時、社会及び犯罪の情勢が変化する中で、更生保護はその目的を十分に果たせていないとの指摘がされております。また、更生保護に係る法体系について、国民にわかりやすい制度となるよう関係法律の整備、統合に努めるべきとの指摘がされております。
 そこで、この法律案は、更生保護の基本的な事項に関し、関係法律の統合及び所要の法整備を行い、更生保護の機能を充実強化しようとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、犯罪者予防更生法及び執行猶予者保護観察法の整理統合であります。
 更生保護に関する基本的な法律は、昭和二十四年に制定された犯罪者予防更生法及び昭和二十九年に制定された執行猶予者保護観察法に分かれていますが、両法律の内容を整理統合して新たな法律とするとともに、更生保護の目的を明確化します。
 第二は、保護観察における遵守事項の整理及び充実であります。
 遵守事項は、現行法と同じく、これに違反したときに仮釈放の取り消し等の措置をとることのできる規範であって、保護観察対象者に対する指導監督の中核となるものとして位置づけます。
 そのうち、すべての保護観察対象者が遵守すべき一般遵守事項については、保護観察官または保護司の指導監督を誠実に受けること等の保護観察対象者が当然守るべき事項でありながら現行法では明記されていないものを加える一方、現行法に規定されている事項のうち、必ずしもすべての保護観察対象者に義務づける必要のないものを除いております。
 また、保護観察対象者ごとに定める特別遵守事項については、特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇プログラムを受けること等の一定の事項について、特に必要と認められる範囲内で具体的に定めることとするとともに、保護観察を一層弾力的なものとするため、必要に応じて変更することができるものとし、また、必要がなくなったときは取り消すものとしております。
 第三は、社会復帰のための環境調整の充実であります。
 受刑者等の円滑な社会復帰を図るため、その者の住居、就業先その他の生活環境の調整をより能動的かつ積極的に行うものとしております。
 第四は、犯罪被害者等に関する制度の導入であります。
 仮釈放または仮退院の審理において犯罪被害者等から意見等を聴取する制度及び犯罪被害者等の心情等を保護観察対象者に伝える制度を導入することとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 更生保護法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(横路孝弘君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。石関貴史君。
    〔石関貴史君登壇〕
○石関貴史君 民主党の石関貴史です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいまの更生保護法案の趣旨説明に対して質問いたします。(拍手)
 近年、保護観察対象者による重大再犯事件が相次いだことから、更生保護制度全般についての抜本的な再検討、見直しが法務省内の有識者会議においてなされ、その報告も踏まえて、今般の更生保護法案提出に至ったと承知しております。昨年六月に出された更生保護のあり方を考える有識者会議報告書を拝見いたしますと、これまでの我が国の更生保護制度のあり方に対する厳しい批判、相当思い切った提言などが盛り込まれているように思います。
 法案は、この提言も踏まえて、更生保護の機能を充実強化するために、現行の二法を整理統合した上で各種措置の整備充実を図るものであるといいます。その提出理由については、私たちとしても大いに賛成であります。しかし、実際に報告書と法案とを読んでみると腑に落ちない点も幾つかあります。以下、長勢法務大臣にお尋ねをいたします。
 まず、更生保護の主体は一体だれなのかという点です。
 仮釈放中の保護観察等の社会内処遇によって、適切な指導、監督、援護のもとで定職や定住先を得てしっかりと更生を果たしていくことは、満期出所して突然社会にほうり出される場合に比べて、確かに本人のその後の人生にとっても、また社会にとっての再犯のリスクを減らす上でも、大いに意義のあることだと思います。また、そのために、報告書が触れているように、再犯のおそれのあることをある程度受容しながら、犯罪や非行をした人と共生をし、社会生活を営むという社会内処遇の意義とリスクを国民の皆様が広く理解することが重要であると思います。
 我が国の更生保護制度の特色は、日常的な保護観察処遇や犯罪予防活動など、その活動の大部分を保護司を初めとする民間ボランティアが担っているという点にあり、世界的にも例のないものです。しかし、報告書も指摘しているとおり、国民の安全、安心を守るのは国の責任であり、更生保護制度は国の責任において充実強化すべきものです。現状は、制度の歴史的沿革や国の財政事情等に規定された部分もあるとはいえ、保護観察所が保護司に余りにも依存し過ぎており、官と民の役割分担をあいまいにし、法が官に期待している役割が十分に果たされているとは言いがたい状況にあると言わなくてはなりません。
 このことから、報告書は、改革の方向性として、官の役割を明確化し、更生保護官署の人的、物的体制を整備することにより実効性の高い官民協働を実現することを提言しています。長勢法務大臣は、この指摘と改革の方向をどのように受けとめていらっしゃるでしょうか、御質問いたします。
 ところが、法案を見ると、冒頭から首をかしげざるを得ないことが書かれています。すなわち、法案は第一条で、法律の目的として、犯罪をした者や非行のある少年に対する社会内処遇による再犯防止等を掲げた後、第二条で、国、地方公共団体、国民それぞれの役割を示していますが、その一項では、国の責務は、「前条の目的の実現に資する活動であって民間の団体又は個人により自発的に行われるものを促進し、これらの者と連携協力するとともに、更生保護に対する国民の理解を深め、かつ、その協力を得るように努めなければならない。」と書かれています。二項では、地方公共団体は、民間の自発的活動に必要な協力ができると書かれています。そして三項では、国民は、目的を達成するために、その地位と能力に応じた寄与をするように努めよと書かれています。つまり、更生保護制度は国の責任において充実強化すべきもの、こういった提言とは正反対に、主役は民間で、国の役割はその後押しと広報活動をするだけということなのでしょうか、御説明をお願いいたします。
 もちろん、犯罪をして罪を償った人々に対して、国民の皆様が地位や能力に応じて更生保護のために寄与すべきだということはそのとおりであります。特に、就労支援のためには、企業などの協力が不可欠です。
 そこでお尋ねをいたしますが、就労支援のために、現在、法務省は厚生労働省などとどのような連携を行い、また、大企業や経済団体などに対してどのような働きかけを行っているのでしょうか。約六千事業者にとどまっているという協力雇用主や、実際に雇い入れられた者の企業規模別の人数内訳はどうなっているのでしょうか。国の機関は年間どれくらいの人数を受け入れているのでしょうか、お尋ねをいたします。
 実際に熱心に協力してくれているのは、飲食店や町工場など中小零細の庶民的経営者ばかりで、ステータスの高い大企業や国の機関ほど受け入れに冷淡ということがないことを切に願っております。
 一方、更生保護における官の役割の強化という観点からは、特に圧倒的に不足していると言われる保護観察官の大幅な増員が不可欠です。報告書は、「現場の第一線において保護観察事件を担当する保護観察官の数(約六百五十名)を少なくとも倍増させる必要があり、その実現を国に強く求める」としています。この点については、直接法案に盛り込む事柄ではないとは思いますが、長勢法務大臣として、これを具体的にどのように取り組んでいくのか、それとも予算や定員の制約を理由にほおかむりをするつもりなのでしょうか、お聞かせをください。
 次に、この更生保護制度の実施のかなめとしての役割を担うべき地方更生保護委員会についてお尋ねをいたします。
 この法律に基づいて置かれる地方更生保護委員会は、仮釈放の許可や取り消しを行ったり、保護観察所の事務を監督するなどの職務を行う機関です。一九四九年の現行法制定当初、同委員会の前身である地方成人保護委員会、地方少年保護委員会が置かれた際には、いわゆるアメリカ型の行政委員会として民間からの登用を想定した委員任用規定が設けられていましたが、その後、委員の任命に関する規定は削除され、専ら更生保護官署職員等の公務員がいわば早期退職者の再就職あっせんのような形で委員についてきました。このような事実認識で間違いないかどうか、法務大臣の認識をお尋ねいたします。
 この点、報告書でも「関係者が、内輪で、国民の目に触れない形で判断していると言われても反論が難しい実情にあり、犯罪被害者等はもとより、一般国民の理解を得られる運用になっていない。」と厳しく批判をされていますが、法務大臣としてどのように受けとめておられるのでしょうか。
 昨年、この委員会委員の定員の上限を二名引き上げる法案が提出された際、民主党はこの問題を指摘し、「委員に民間人、女性及び専門的知見を有する者を積極的に登用すること」とする附帯決議を法務委員会でつけました。そのためもあってか、昨年初めて二人の民間人が委員に就任しました。法律上の定員増分は全部民間人にしたと誇らしげに説明していましたが、よくよく聞いてみると、昨年一年間で退任した委員の補充や任期到来で新任、再任された委員は十五人、そのうちたった二人を民間人に割り当てただけでした。公務員出身者の既得権分は死守したということなのでしょうか。
 地域社会に社会的処遇による再犯のリスクを受容せよ、更生保護に寄与せよというからには、地方更生保護委員会は、その道のプロばかりではなく、民間の声も反映できるような委員構成とすべきではないでしょうか。長勢法務大臣は、報告書や昨年の附帯決議に沿ってさらに思い切って民間人を登用する考えはないのか。例えば、三年以内に半数以上を民間人にするというような目標を表明するお気持ちはないのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
 次に、仮釈放審理に当たっての被害者等からの意見聴取制度についてお尋ねをいたします。
 法案では、地方委員会が仮釈放の審理を行うに当たり、被害者等から審理対象者の仮釈放等に関する意見及び被害に関する心情を述べたい旨の申し出があったときは、当該被害に係る事件の性質等の事情を考慮して相当でないと認めるときを除いて、当該意見等を聴取するものとしています。これによって聴取した意見は、地方委員会の審理にどのように反映をされるのでしょうか、お尋ねいたします。
 例えば、ストーカー被害や性犯罪に遭われたような被害者は、刑期満了まで仮釈放を認めてほしくない、こういった意見を述べることも予想されます。また、仮釈放するにしても、決して自分の目の前に姿をあらわさないでもらいたい、同じ町に住まわせないでほしい、こういうことも考えられます。これらの意見は、一般遵守事項や特別遵守事項によって担保することは可能なのでしょうか、お尋ねをいたします。
 一方、仮出所者に目を転じれば、もともと被害者の近くの実家に住んでおり、実家の家業を継ぐ以外に適当な就労先がない、こういった場合も考えられます。このような場合に、被害者等の意見と更生保護の要請とを具体的にどのように調整をしていくのか、大変難しい問題を含んでいるように思いますが、いかがでしょうか。
 報告書は、「犯罪被害者等が反対する限り一切仮釈放を認めないという運用に向かうことは、公平性も含め刑事政策的に望ましくないと考えられ、聴取した犯罪被害者等の意見をどのように審理に反映させるのか等については、慎重に検討する必要がある。」このようにしています。長勢法務大臣としては、この点についてどのように慎重に検討され、具体的にどのような運用を行っていくつもりか、お聞かせをください。
 以上、時間の制約もあり、多岐にわたる論点のすべてに言及することはできませんが、今後の更生保護の充実強化に向けてともに建設的な議論を闘わせていくための切り口として幾つか指摘をさせていただきました。実りある議論となるような御答弁をいただければ幸いです。(拍手)
    〔国務大臣長勢甚遠君登壇〕
○国務大臣(長勢甚遠君) 石関議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、有識者会議の報告書の受けとめ方についてお尋ねがありました。
 我が国の更生保護制度は、昭和二十四年の犯罪者予防更生法施行以来、官民協働体制のもと、相応の成果を上げてまいりましたが、御承知のとおり、平成十六年から十七年にかけて、保護観察中の者や以前に保護観察を受けたことのある者による痛ましい重大再犯事件が続発したことを契機として、有識者会議等から、更生保護が十分に機能していないのではないかとの厳しい御指摘をいただきました。また、保護観察所が保護司などの民間の力に依存し過ぎているとの御指摘もいただいているところであります。
 これらの御指摘のとおり、現在の更生保護は、近年の社会情勢や犯罪情勢の変化に十分に対応できておらず、国民の期待に十分こたえられていない面や、民間の方々に頼り過ぎている面があると思っております。
 法務省といたしましては、こうした御指摘を厳粛に受けとめ、更生保護制度の機能を強化し、国民の期待にこたえ得るものとするため、今回の法案において、更生保護の基本的な事項について定める二つの法律を整理統合して新たな一本の法律にするとともに、保護観察における遵守事項の整理充実など更生保護の強化を図ることとしており、その運用、組織体制など、すべての面にわたって改革を行ってまいりたいと考えております。
 次に、更生保護における国の役割についてお尋ねがありました。
 本法案においては、国の役割を明確にし、より実効性の高い官民協働を実現するため、保護観察官と保護司の役割分担に関する規定を整備しております。すなわち、保護観察官が担うのが適切と認められる事案はみずからこれを行い、保護司に無用の負担をかけないこととする趣旨を明らかにしているほか、国が更生保護の目的の実現に資する民間の自発的な活動を促進するよう努めなければならない旨の規定を整備すること等により、官側がみずからの責任をより適切に果たすとともに、民間の活動とより一層効果的に連携するようにしてまいりたいと考えております。
 次に、就労支援の状況についてお尋ねがありました。
 法務省では、平成十八年四月から、厚生労働省と連携し、保護観察対象者を試行的に雇用した事業所に対して試行雇用奨励金を支給することや、事業所での職場体験講習等を開催するなどの総合的就労支援対策を実施してきております。また、日本経済団体連合会や全国中小企業団体中央会などに対し、傘下団体に対する協力雇用主制度等の周知をお願いしておるところであります。
 お尋ねの協力雇用主は、十八年四月では五千七百三十四人ということになっております。また、昨年四月からことしの二月にかけて雇用された人数は、千四百七十人となっております。ただ、これらの企業規模については、把握をいたしておりません。しかし、規模としては、御指摘のように、小さい企業が大半を占めておるものと思っております。なお、国の機関による受け入れ人数については、現在把握をいたしておりません。
 次に、保護観察官の増員についてお尋ねがありました。
 更生保護の機能を充実強化するためには、法制度の整備及びその適切な運用を図るとともに、執務体制等の整備が必要であると考えております。そのため、法務省においては、増員に努めてきております。平成十九年においては、四十三人の増員を確保したところでございます。また、第一線の保護観察官の層を厚くするため、専門官制の導入など組織改編や、保護観察官の専門性を高めるための研修体系の充実強化を行うなど、国民の期待にこたえる更生保護を担うことのできる体制づくりにできる限りの努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、地方更生保護委員会委員についてお尋ねがありました。
 地方更生保護委員会委員は、その職務上、刑事司法や犯罪者の社会内処遇に関する知識経験や事務処理能力が大変重要であるため、保護行政の経験者が多く選任されているというのが実情であります。ただ、これは、早期退職者の再就職あっせんという意味合いのものではないと考えます。
 ただ、多様な意見を委員会の審理に反映させる観点から、他の行政分野の経験者のほか、平成十八年度からは民間から委員を任命するようにしたところであります。今後とも、民間人の積極的な登用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地方更生保護委員会の運用についてお尋ねがありました。
 御指摘のような御批判がありましたが、地方更生保護委員会におきましては、委員の知識及び経験に基づき適正に判断するよう努めているものと考えております。しかし、より一層国民の理解を得られるよう、更生保護法案におきまして、地方委員会が行う審理と調査の規定を整理し、一層適正に職務が遂行されるよう整備をしておるところでございます。
 次に、民間人の登用についてのお尋ねがありました。
 先ほど申し上げましたとおり、国会での附帯決議あるいは報告書などを踏まえ、民間人の積極的な登用に努めてまいりたいと考えております。十八年には二名、十九年には二名の民間有識者を採用したところでございます。
 数値目標を定めたらどうかという御提案ではございますが、犯罪者や非行少年の仮釈放審理を適切に行うには相当の経験や専門知識が必要となるため、適任者を得るにはなかなか難しい面がございますので、数値目標を定めるということは困難だと思いますが、今後とも積極的な登用に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、仮釈放審理に当たっての被害者等からの意見聴取制度についてお尋ねがありました。
 聴取した意見を審理にどのように反映させていくかは、具体的な事案に即して判断されるべきことでございますが、遵守事項によって、一定程度意見を担保することは可能になるものと考えております。また、被害者の側の気持ちや事情と仮釈放者の事情等を把握することにより、より適切に調整していくことが期待されるものと思っております。
 さらに、仮釈放を許すか否かは、被害者の方々からお聞きした御意見等のみによって決まるものではなく、本人の受刑態度、反省の程度等のさまざまな事情を踏まえ、地方更生保護委員会において、保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるか否かを総合的に判断して決めるものであります。
 したがって、被害者の方々から御意見等をお聞きしたからといって、必然的に仮釈放が許可されにくくなるというものではないと思います。個々の仮釈放の審理が、必要十分な資料に基づいた一層適切なものとなるよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
○副議長(横路孝弘君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       総務大臣  菅  義偉君
       法務大臣  長勢 甚遠君
       厚生労働大臣  柳澤 伯夫君
       農林水産大臣臨時代理
       国務大臣    若林 正俊君
       経済産業大臣  甘利  明君
       国土交通大臣  冬柴 鐵三君
 出席副大臣
       法務副大臣   水野 賢一君
       厚生労働副大臣 武見 敬三君