第166回国会 内閣委員会 第19号
平成十九年五月十六日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 河本 三郎君
   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君
   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君
   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君
   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君
      赤澤 亮正君    遠藤 宣彦君
      岡下 信子君    嘉数 知賢君
      木原 誠二君    谷本 龍哉君
      寺田  稔君    土井  亨君
      中森ふくよ君    林田  彪君
      松浪 健太君    村上誠一郎君
      市村浩一郎君    小川 淳也君
      小宮山洋子君    佐々木隆博君
      横光 克彦君    渡辺  周君
      石井 啓一君    吉井 英勝君
    …………………………………
   議員           馬淵 澄夫君
   議員           泉  健太君
   議員           鷲尾英一郎君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 溝手 顕正君
   国務大臣
   (少子化・男女共同参画担当)           高市 早苗君
   国務大臣         渡辺 喜美君
   内閣府副大臣       林  芳正君
   内閣府大臣政務官     岡下 信子君
   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 松田 敏明君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   柴田 雅人君
   政府参考人
   (内閣府男女共同参画局長)            板東久美子君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 野村  守君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局アフリカ審議官)     目賀田周一郎君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           西阪  昇君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君
   政府参考人
   (社会保険庁運営部企画課長)           今別府敏雄君
   内閣委員会専門員     堤  貞雄君
    ―――――――――――――
五月十五日
 国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二七号)
 特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二八号)
 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第三〇号)
 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)
同月十六日
 憲法第九条を変えないことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九一二号)
 同(土肥隆一君紹介)(第九一三号)
 憲法九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九九五号)
 同(石井郁子君紹介)(第九九六号)
 同(笠井亮君紹介)(第九九七号)
 同(穀田恵二君紹介)(第九九八号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第九九九号)
 同(志位和夫君紹介)(第一〇〇〇号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇〇一号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇〇二号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一〇〇三号)
 風営法施行規則の附則の改正を求めることに関する請願(山田正彦君紹介)(第一〇二四号)
 憲法の改悪反対することに関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇三八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)
 国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二七号)
 特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二八号)
 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第三〇号)
 内閣の重要政策に関する件
 栄典及び公式制度に関する件
 男女共同参画社会の形成の促進に関する件
 国民生活の安定及び向上に関する件
 警察に関する件
     ――――◇―――――
○河本委員長 これより会議を開きます。
 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、内閣府大臣官房審議官松田敏明君、政策統括官柴田雅人君、男女共同参画局長板東久美子君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、警察庁長官官房審議官野村守君、生活安全局長片桐裕君、外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、中東アフリカ局アフリカ審議官目賀田周一郎君、文部科学省大臣官房審議官西阪昇君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君及び社会保険庁運営部企画課長今別府敏雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。市村浩一郎君。
○市村委員 おはようございます。
 きょうはトップバッターで議論させていただける、そういう機会をいただいたことに感謝を申し上げます。
 まず冒頭に、渡辺大臣、この数日の報道の中で大臣が極めて積極的に税制について御発言されているということ、しかもその内容が私からすれば極めて賛同の意を表したいというような話だということでありまして、きょうは、これについては議論というよりも渡辺大臣の新聞ではない生の声として、どういうお考えに基づいて御発言されているのかここでぜひとも御披露いただきたい、こういう思いでございます。よろしくお願いします。
○渡辺国務大臣 この間の経済財政諮問会議におきまして、独立行政法人のゼロベースでの見直しという御提案が民間議員の方から出されました。これは大変重い課題なのでございますが、私の方から申し上げましたことは、独法についての会計基準というのはもう既にできているんですね。ですから、これを連結ベースで一覧性のあるものにいたしますと、その下に連なる公益法人などとの関係が明らかになってくるわけでございます。ぜひとも、そういう統一的なお金の流れというものを見られるような体制をつくるべきであると。
 それと同時に、独法というのはイギリスのエージェンシーをモデルに導入された経緯がございます。したがって、行政という名がついている以上は糸切れだこのようなぐあいにはいきませんけれども、独立の法人格を持ってその仕事に当たるということが橋本行革のときに言われたことでございます。
 残念ながら、お金の面と人の面、両面からこの独法の体制がまだ非常に不十分な体制にあるのではないかという指摘をさせていただきました。しかし、人の面では、今回の国家公務員法の改正によってかなり厳格な天下り規制がかけられるわけでございますから、人の面から従属的な関連会社、子会社という位置づけは相当見直されていくであろうと考えております。
 一方、お金の面では、御案内のように、三兆五千億円ほど一般会計、特別会計から補助金や委託交付金などの名目で流されているわけであります。これも何とかしないといかぬな、そういう思いがございまして、例えば公益ドナー制というようなものをつくったらいかがでしょうかということを申し上げたのでございます。どこからどこまでというのは具体的には申し上げませんでしたけれども、今の寄附税制はかなり細かい体系にはなっております。あれだけ複雑な体系でも寄附をする方はいらっしゃるわけでございますから、これをもっとわかりやすい税額控除にしてしまったら、寄附はもっとふえるじゃありませんかという意味で申し上げたわけでございます。
 その後、まだ日がたっておりませんので大した検討は進んでおりませんけれども、例えばこの三兆五千億円を一年間で一割、五年間で五割削減するとしますね、仮定の話ですよ。そういたしますと、税額控除方式による独法ドナー制みたいなものがございますと、自前でお金を集められるというところが出てくるわけでございます。したがって、そういう観点から見直しの一助としてはどうか。これですべての問題が解決するわけではございませんけれども、国民サイドから見た相当有力な見直しのツールになるのではないかということで申し上げたところでございます。
○市村委員 ぜひ、この議論を改めてさせていただきたいと思います。税額控除ということは、また大変踏み切った御提案だと私は思います。大体、所得控除で話をされるこの世界について、税額控除だ、しかも全額だというふうなことについては、大変思い切った御提言だと私は思います。ぜひともこの件についてまたじっくりと議論させていただきたいと思いますので、きょうはちょっとこの辺でこの議論はやめさせていただきたいと思います。
 大臣、もうよろしいです。ありがとうございました。
 そしてまた、きょうはあと二つほど議論させていただきたいと思います。
 まず一つは、昨今、高野連の対応についてさまざまな意見が出ているということでございますが、私としましては、この特待生制度について、その責めを子供たちといいますか今の現役高校生に押しつけている、押しつけているというか、にも責任をとらせるということにつきましては、非常に遺憾の思いを持っております。
 特待生について、私が高校に在学中からも普通のようにみんな思っていたと思いますし、野球だけじゃなくてほかのスポーツ特待または勉学の特待もあるわけでありまして、なぜ今ごろになってこの話が出てくるのか。もちろん、いわゆるプロ球団との契約に当たってのいろいろな裏のお金、表に出ないお金があったというのは、これはいろいろプロ野球の問題ということで考えなければならないと思いますが、それがなぜ現役高校生にまでその責めが行ってしまったのか。非常に不可解でありますし、かつ、それで一時的にせよ現役の高校生たちが不安な思いに駆られてしまったということについては、やはり私たちがしっかりと考えておかなければならないことだと思います。
 高校生というのは、まだしかも学校生活の中にいるということでありまして、そういう判断が自分ではできないわけでありますね。やはり私たちがそういう判断をきちっとしていく、そして学校生活の中でスポーツを通じて、また勉学を通じて健全な肉体、健全な精神を養ってもらう、こういうことだと思います。
 官房長官、この高野連の対応について一言、御意見、御感想を賜りたいと思います。
○塩崎国務大臣 今先生おっしゃったように、勉強のみならずスポーツ、あるいは芸術でもいいのかもわかりませんが、やはりそれぞれ持ち味というのが人間にはあるわけでありますから、その持ち味を伸ばす、あるいは優秀な能力を持った人にはそれなりのサポートをしていくのは大変大事だと思いますし、もう既にそういう制度があるわけであります。
 今回の高野連の場合には、野球部員であるがゆえにやってはいけないことというか、金品の授受がだめだということを押しなべてだめにしていたということがあって、それに違反する事例がたくさん出てきた、こういうことでありますから、ここのところを整理して、先生がおっしゃるような、多様な価値観を認めて、奨励をして、そして能力を伸ばす、そういう観点から、生徒たちを応援するということ自体はやはり大事にしていかなきゃいけないんじゃないかなと私も思っております。
 今回の問題が表面化することによって、今後、高野連として、みずからどうしたらいいのかということを考えているというふうに聞いておりますけれども、考え方は、今先生がおっしゃったような考え方で、透明性を持って、そして哲学を持って、能力がある子供たち、それも幅広い能力を認めて伸ばすという考え方でやっていただくといいんじゃないかなと私は個人的に思っております。
○市村委員 この問題は、学校教育の中にある程度のセミプロ化したような世界が形成されてしまっているんじゃないかということは私、以前から指摘していることがあるんです、この野球だけじゃなくて。
 だから、例えばサッカーでクラブチームだったら、クラブチームというのは、そもそもスポンサー収入を得たり、またチケットを売ったその収入でクラブを維持していく。そのために、ある程度スター選手を育てる、ある程度のお金を払ってでもそういったスター性のある選手に来てもらう、こういうことはあり得るのかもしれません。しかし、事は学校教育の中で起こっていることだということは、やはり日本の場合、特異な例でありますし、いわゆる高校野球について、もし、そういう特待生制度とは別に、そういうセミプロ化したようなところで一定の、ある程度のお金を積んででもというような発想があったとしたら、これはやはり考えなくちゃならないことだと思います。
 ただ、今の現役の高校生にその責めの一端でも負わせるということは、私は、これはあってはならない。あくまでもそれは、そういう制度をつくってきた上の世代、我々大人の世代の問題だろうと思いますし、それがもし問題であったら、高校生にそれを、おまえたちも悪いんだよと言う前に、まず、自分たちがやってきたことをもう一度、来し方を振り返って、本当によかったのかということを反省しなければ。ある日突然に、いや、おれ、悪かったんだから、おまえたちも悪いんだというようなやり方だったら、やはり、学校教育の現場であるにもかかわらず、まさに教育方針として、何なんだ、この国はというかこの学校はと、高校生たちにも不信感、またその親御さんたちにも不信感をもたらしてしまう。これはやはりあり得べきことではない、こう思います。
 実は、きょうなぜこの問題を取り上げたかといいますと、私、この問題よりも実は前から、この二年半以上前から取り上げている問題がありまして、これは、バスケットボールの世界で、年齢詐称の問題を私は取り上げてまいりました。
 どういうことかといいますと、今まで具体名を挙げてこなかったので、きょうもどうしようかと思いましたけれども、きょうもあえて挙げません。もう二年半も待っていますが、もう少し待とうという思いでおりますので具体名は挙げませんが、ある高校が、国名は挙げます、セネガルという国から留学生に来ていただいて、プレーを教えていただいたということであります。
 バスケットの世界では、高校生は十九歳までというふうになっておるんですが、どうもその時点で、そのプレーされた方は二十三歳ではなかったか、四年の年齢を間違っていたんじゃないかということで、私は疑問を持って、これをこの委員会の場、また文部科学委員会の場でも取り上げてまいりました。
 文部科学委員会では、当時の馳副大臣が、前向きに、これは大変、もし事実だとすればゆゆしき問題だろうということで、調査をということでおっしゃっていただいたんですが、なかなか、文部科学省としても、本当にその年齢が違うということに確証を持てない限り動けないということでありました。
 私も調査したところ、結局、今ここまで来ているのは、その方のパスポートに書かれた年がまず一個あります。それは、セネガルの生まれたところの役場で出生証明をとって、パスポートをつくられた。その一つの生年月日がここにある。もう一つは、FIBA、つまり国際バスケット連盟ですかね、そこに届けられたその方と同姓同名の方の生年月日がこっちに一個あるわけですね。結局、その二つの生年月日が違っている。一方のパスポート上の生年月日は一九八六年の十月四日生まれになっている。ところが、FIBAアフリカ事務局に届け出た、二〇〇〇年の男子ジュニアアフリカ選手権のセネガルチームに登録されている選手という生年月日は一九八二年の一月四日ということなわけですね。
 これは同姓同名なんです。今外務省さんにお願いして調べていただいているのは、この方々、同姓同名のこの人たち、この二人と二つの名前、いや、一つの名前なんですが、これは同一人物かということを今照会しているというところまで来ています。
 ところが、外務省さんも努力していただいているんですが、これがなかなか出てこない。もしこれが同一人物であるとすると、ある一人の人物が二つの生年月日を持っている。一方だったらば十九歳ぎりぎり、しかし、一方だったら、二十二、三歳のときに十九歳と称してプレーをし、しかもその学校は全国優勝をしちゃった、こういう話なんです。
 この事実自体もゆゆしき問題ですが、私が心配しているのは、結局、これも学校教育の現場で起こっているわけです。教育現場なんです。これがクラブチームだったら、まだ。でも、これはクラブチームの方が実は厳しいんですね。つまり、年齢詐称というのは最もやっちゃいけないことの一つなんです。クラブチームでやると、もう多分これは対外試合に一生出られないとか、プロにはなれないとか、大変厳しい制裁が待っています。
 だから、これはそうなんですが、今、日本の場合は、日本の教育現場でこれが起こっているということで、大変またこれもゆゆしき問題であるし、やはり周りの高校生たちはそれをおかしいと思っているわけですね。おかしいということが改められない。改められないどころか、その学校が優勝していく。
 高校でこういうことが起こるとどうなるかというと、大学の推薦にもかかわってくるわけです。優勝校の選手だったということで推薦状を書かれるか、県大会に出られても敗退したチームの選手だったかとなると、結局、大学の方でどの生徒をとるかというときに、やはりそれは書類上は優勝校の生徒をとらざるを得ない。実力はどうもこっちがあっても、しかし優勝したチームの生徒だしなとなるわけですね。そうすると、フェアな考え方でいくと、優勝校の生徒をそれこそスポーツ特待としてはとらざるを得ないということになって、高校の問題が大学まで行くんですね。大学の方まで行く。これは大学の体育関係の先生からもそういう証言を得ています。結局、高校で起こった問題は大学まで引きずっていくんだとなるわけです。
 だから、そういうことを考えますと、結局、高野連の問題、もう本当に、子供たちに責任の一端を押しつけようとする話でもありますし、あと、今、事実関係を最後の最後のところで精査しているとは思いますが、結局、こういう問題も日本は、指摘しても、二年かかっても三年かかってもなかなか一つも解決できない。高校生の気持ちからすると、結局、この国というのはやった者勝ちということになりますよね。高校生が見たら、何だ、この国はと。この国は正義というのはどこにあるんだと。最もフェアな精神を教えないといけない学校の教育現場で、しかもスポーツの現場で、全くフェアじゃないことが行われて、そしてそれが改められない。指摘しても改められない、平気の平でいる。
 僕は、こういうことが非常に問題であり、教育基本法を変えるとか教育再生会議で議論するよりこういうことを解決した方が、高校生たち、また子供に対してよっぽどいい影響を与えていく。やはり悪いことをしたらとがめられる、罪を償わなくちゃいけない、こういうことを教えることの方がよっぽど大切ですよ。私はそう思います。
 ということで、きょう初めてお聞きになられたかもしれませんが、官房長官に御感想をお聞かせいただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 去年、教育基本法を議論しているときに、例の未履修問題というのが出ました。あれも、学校現場が虚偽の報告をしていて、これは目的は何かというと、受験でうまくいくように、進学率を上げようということなんだろうと思うんですね。
 今御指摘のことも、仮に、学校がみずから能動的に年齢詐称をするというか、バスケットボールのチームが強くなるようにということでルールを守らなかったとするならば、これは未履修のときと同じように、学校現場の規範意識の欠如というか、倫理観の欠如というか、ここは大変問題だというふうに思いますし、何よりもスポーツというのは、スポーツマンシップとよく言うように、フェアな精神でなければならないので、勝負があるにしても、負けたら負けたということを認めということでありますから、そういうスポーツ精神というものを教えなきゃいけない立場の人たちが、そうじゃないことをやってはいけないと知りながらやるとするならば、これは大問題だろうと思います。
 この事実関係は今外務省が調べているというお話で、先生に御努力をいただいているわけでありますが、やはり高校生に学校現場、教育現場で教えるべきことは、ずるしても名声を上げようということではなくて、できる限りのことをやるけれども、それは結果は別ということで、子供たちにそういうことを教えて、フェアな人間を育てていく、規範意識を持った人間を育てていくということが大事だろうというふうに思うわけであります。
 当然、教育再生会議も、安倍総理の、自由と規律、規範意識と学力の向上ということで、そのために何が必要かということはすごく幅広くあると思うので、そういうことを議論しているわけでありますから、そこのところは、今の先生の問題意識を含めて、教育再生会議や、もちろん文科省、中教審でもやってもらわなきゃいかぬというふうに思っておりますので、その問題意識は伝えてまいりたいというふうに思います。
○市村委員 ありがとうございます。
 本当に今の教育の問題はやはり私たち大人の問題だ、私たち大人が本当にちゃんと襟を正して、子供たちに対して面と向かって言える状況なのかということだと私は思っています。だから、私たちがもう一度みずからを省みるということ、そして姿勢を正して、本当に子供たちにきちっと教えられるような状況にしなくちゃいけないと思います。
 ただ、いつも申し上げているんですが、どうも最近の世は世知辛いと思います。もっとおおらかな風土がもともと日本はあったわけですから、そのおおらかさというのは、やはりこれは保っていかなくちゃいけない。余りにもがちがちに、こうだこうだというのも、これまた行き過ぎたことになります。襟を正すといっても、その辺の、もっと人としてのおおらかさというのは持って教えていかなくちゃいけない。
 ただ、今おっしゃっていただいたように、フェアというのはやはり一番大切だと思います。だから、そういう部分でこの問題というのは非常に私は大きな問題だと思っています。過ちがあっても、それはちゃんと正される、反省がされるということがあったならば、やはり子供たちも、それは人間は失敗もあるでしょう、みずからそう思わなくたってそのようなところに巻き込まれることだってあるわけです。しかし、そのときに、だれかのせいとかということじゃなくて、みずからをきちっと省みていくということで、子供たちがそう思えるようなことになってほしいなと。
 だから、この件についても、こういうことをやらなくても、その高校とその生徒さん自身が一番よく知っているわけですから、本当はみずから手を挙げて、だから、ただパスポートの年齢を信じたということで私は済むはずだったと思いますけれども、ここまで何にも対応されないというのは残念だなと思うわけであります。やはり指摘されたら、問題があったことは素直に認めていただきたいなという思いであります。そうすれば、それを見ている子供たちはなるほどなと思うと思います。この話はまた改めてやらせてください。
 そして最後に、あと時間が六分しかないんですが、お手元に資料があります。厚生年金老人ホームの入札状況とあります。
 なぜ私がこの資料を持っているかといいますと、もともと厚生年金で一つだけ、サンテール千葉という終身介護つきの老人ホームをつくっているんです。これが実は、平米単価が二百三十四万というとてつもない金額で建てた老人ホームがあるんですね。その問題をいろいろ調べている中で、実はそのサンテール千葉の問題は、まだ私は終わっていないと思いますから、また改めてこれもやらせてください。
 しかし、きょうの問題は、そのサンテール千葉のことを調べている過程で、結局、ほかにも老人ホームをつくられていた、厚生年金基金で。その入札率が、お手元の資料にあるように、一つだけ八〇%台がどこかにありましたけれども、八三%とありますが、ほとんど九七、九八、九九、一〇〇もあるということであります。
 まず、公取さん、この数字についてどうとらえたらいいか、一言お願いします。
○山田政府参考人 本件の個別事案についてはお答えを差し控えさせていただければと思いますけれども、一般論で申しますと、落札率が高いという事実のみをもってしては直ちに独禁法違反ということで問題にすることはできないわけですけれども、しかしながら、事業者が共同して入札に係る受注予定者を決定することは独占禁止法に違反する行為でございます。
 公取としては、そのような具体的事実に接した場合には、所要の調査を行って、厳正に対処していきたいと考えております。
 今後とも、各種のこういう情報を適切に収集して、独占禁止法違反行為に対して厳正に対処していきたいと考えております。
○市村委員 社会保険庁さん、この数字について御感想をいただきたいと思います。
○今別府政府参考人 何分古い数字でございますので、特にこの数字について今コメントをする材料を持ち合わせておりませんけれども、社会保険庁としましては、現在は、例えば随意契約ができる場合であっても、可能な限り競争入札にする、ないしは企画競争にする。あるいは、民間アドバイザーの方にも参加をしていただきまして社会保険庁の調達委員会というのをやっておりまして、ここで調達の適当性を厳格に審査をしております。
 それから、随意契約によらねばならない場合にも、随意契約に限った審査委員会において審査を行うというようなことで、入札の適正な執行に努めておりますが、これからもこういうことでやっていきたいというふうに考えております。
○市村委員 今おっしゃったように、確かに古い数字でもあります。ただ、今ちょうど社会保険庁改革について議論をされているという中で、私は、やはりこれからのことも考えたときに、こうした過去のことについてもきちっと認識をしていただきたい。これを、古いからもう仕方ないなということじゃなくて、過去にあった、やはりこれは、下世話なことを言えば、談合が行われていたという疑いが強いわけですね、これだけの数字が並ばれると。
 つまり、過去において談合の疑いがあったということについてしっかりと認識を持っていただいて、今おっしゃったように、今は、またこれからはこういうふうなことにはならないようにしていただきたい。特に、事は厚生年金、私たちの年金について、これを運用して、しかも、これがどこまで役に立っているかというのもよくわからないところなんですが、サンテール千葉の入居者の方は大変不安な状況もあったということもありますし、この数字についてしっかりと受けとめていただきたい、こういう思いなんです、私の思いは。
 官房長官、官房長官のこの数字を見ての御感想というか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 当然のことながら、会計法、それから厚生労働省の入札の基準というのがあって、それに従っていなければいけない、そういう筋合いにあるものだと思いますが、今この数字を見ると、一〇〇%に近い入札率ということで、何となく不自然な感じを持たざるを得ないということであります。
 社会保険庁の調達については、いろいろと問題点が指摘をされて、平成十六年度から、社会保険庁改革の一環として、契約の競争性、透明性の確保とか調達コストの縮減に向けていろいろな努力をしているということでありますけれども、やはり李下に冠を正さずという心で、国民からの不信感を抱かれないような公正な調達というものをやっていかなければならないということで、社会保険庁にも、今回改革をいたしますが、なお努力をしてもらいたいな、そんな気持ちでございます。
○市村委員 一時期いろいろ報道もされた橋梁談合につきましては、落札額が予定価格の大体九七%だったということが問題になって、そして公取さんも刑事告発で詰め寄った。もちろん、高いから刑事告発したということではないということは重々理解した上で、しかしながら、一般的に、こんな数字が並ぶのはおかしいということは、もう素直な心持ちで見ればそう思うわけです。特に道路公団の方も、指摘された後、それまで九六、九七、九六%だったのが、突然八四・二四とか八四・〇六に落ちるわけですね。ちゃんとやったら落ちるんです。
 そういうこともあるということで、これから社会保険庁改革の議論がされる中で、こういうこともあったということ、やはりこれをしっかりと反省していただいて、これからは本当にないようにお願いしたいと申し添えて、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○河本委員長 次に、戸井田とおる君。
○戸井田委員 自由民主党の戸井田とおるです。
 一般質問になると、理事の皆さんが私の方を見て質問しろということで、三十分いただきまして、前回足りなかった分をまた補足してやっていきたいと思っております。官房長官にも、また忙しいところをおいでいただきました。すぐ質問させていただいて、その後は御退席いただいたらいいと思うんです。
 一年数カ月前にこの内閣委員会で、私は遺棄化学兵器の質問をさせていただきました。そのときに、山形県にありますシベリア史料館、全国抑留者協議会ですか、そこの施設でありますシベリア史料館に大変貴重な資料があるからということで、一部資料をお渡しして、当時の安倍官房長官に、ぜひそこの資料を全部精査してほしい、そうしたら、この遺棄化学兵器に関する問題の資料はかなり決定的なものが出てくるんじゃないかということで、お願いしたんですね。そうしたら、当時の安倍官房長官が、非常に大切なことだ、ぜひやりましょうということを言っていただいたんです。
 その後、精査に行かれた話はちらっとは聞いたんですけれども、結果報告というのは余り聞いていないんですね。その辺の状況はどうなっているのか、官房長官、お聞かせいただけたらと思います。
○塩崎国務大臣 安倍官房長官の時代に、先生からこのシベリア史料館、山形県にございますが、これの資料についてお尋ねをいただき、また調査をするということでお約束をしたということでございます。
 このシベリア史料館に所蔵されております資料は、昨年の十月四日から六日にかけまして、外務省、内閣府、それから防衛研究所などの関係者が史料館を訪ねまして、旧日本軍の関係資料約三百冊、画像にして約七千枚の写真撮影を行ってまいりました。これを踏まえて、外務省より、旧日本軍の戦史及び化学兵器を含む武器弾薬等に関する知見を有する専門家に対しまして、これら資料の精査、そして分析をお願いしているところでございます。
 この結果、この調査で得られた兵器引き渡し目録には、化学兵器を中国等に引き渡した旨を示す記載はなかったことが確認をされたところでございます。
 この資料には兵器関係以外の資料も多数含まれておりまして、時間的な制約等もございまして、先般の調査ではすべての旧日本軍関係資料について調査を終えるというわけにはいかなかったということで、現在、残りの資料についての調査を早急にすべく史料館側と交渉を行っているところでございます。
 まだ全体の三分の一のみ見たということでございますので、残りについては、また引き続いて交渉の中で何とか資料を入手できるようにしていきたい、このように思っております。
○戸井田委員 まだ三分の一、私が向こうの人に聞いたら、まだ一割だということを言っておりましたけれども、どちらにしても、まだ全部精査していないということ、それをできるだけ早くきちっと精査していただきたいなと思います。
 それから、そうこうしているうちに遺棄化学兵器の処理の問題がどんどん進んでいっている。十九年度の予算も、たしか私が見たのでは二百九十七億という予算がついていたと思うんですね。現実に新聞等のニュースでも、そういう兵器が出てきたというような記事も見たことがありました。
 実際に今日まで、旧日本軍が遺棄したとされる兵器がどれくらい出てきたのか。今まで条約で規定されているような黄弾とか青とかそういったもの、それから、ほとんどが赤筒、緑筒だったと思うんですけれども、トータルで何本出てきて、それぞれの割り振りはどんな状況になっているのか。その辺のことを、わかっていたらお聞かせいただきたいんです。
○松田政府参考人 御説明申し上げます。
 平成十九年度の遺棄化学兵器廃棄処理事業の予算額は、概算要求額の二百九十七億六千二百万円に対しまして、二百十一億五千九百万円で決定したところでございます。これは、ハルバ嶺事業を実施するための日中間の協議に時間を要して、スケジュール調整その他で事業費の見直しを行いました結果、こういう減額となったものでございます。
 それからもう一つ、これまで発掘、回収いたしました遺棄化学兵器の内訳につきましてお答えいたしますと、これまで内閣府の発掘回収事業及び外務省調査で回収されました旧日本軍の遺棄化学兵器は、約三万八千発でございます。このうち、いわゆる黄剤が含まれているものは約二千二百発、青剤が含まれているものは三発でございます。また、赤剤が含まれているものは約一万一千百発、緑剤が含まれているものは約八百発でございます。なお、残る約二万四千発は、いわゆる判別不能といいますか、未分類の有毒発煙筒、それから不明弾等でございます。
 以上でございます。
○戸井田委員 当初、二百万発とか言われてスタートして、やはりきちっと詰めるところは詰めてやっていけば、三万八千発のうちの二万四千発が不明だということですよね。だから、そういうことを考えてみれば、きちっと精査していけば、本当に旧日本軍のものであったと確認できるものというのはわずかな数になってくるんだろうと思うんですね。
 そういう流れのことを考えてみると、この間、温家宝首相が日本に来て、遺棄化学兵器に関する文書の調印をしたということを聞いております。それで、そのときに、新聞等の情報によると、移動式処理施設に六十億というのがあるんですね。ハルバ嶺で処理をするというふうに聞いていたと思うんですけれども、それが移動式に変わったというのはどういうことなのか、それでハルバ嶺の施設はどうなっているのか、その辺のところをお聞かせいただけますでしょうか。
○松田政府参考人 今御質問ございましたハルバ嶺以外、いろいろな中国各地に、先ほど申し上げましたように三万八千発等々、中国各地に保管されております遺棄化学兵器の具体的な処理方法につきましては、安全面、環境等の観点から、ハルバ嶺にこれを直接輸送すべきなのか、あるいは、移動式処理設備を導入して、各地でそれぞれ無害化処理した上でハルバ嶺に輸送する、こういうことにつきまして、中国政府と協議しつつ、政府部内で検討してきていたところでございまして、これまで定まっておりませんでした。
 遺棄化学兵器は、今先生御指摘ございましたけれども、長期間、地中等に埋没されておりまして、変形、腐食等が見られる。だからこそ、未分類といいますか、判別不能になることも多々あるわけでございますが、逆に、そうした変形、腐食等の観点から、非常に不安定な状態でもありますことから、これを移す、輸送するということを検討いたしましたところ、化学物質の漏えいリスクが伴うことや、あるいは交通規制をやらなければいかぬ、あるいは周辺住民対策を、輸送ルートについて安全確保をいろいろやっていかなければいかぬ、そういうことが困難であるということが明らかになってまいりました。
 このため、ハルバ嶺から相当遠く離れた地域におきまして遺棄化学兵器の処理を加速するためには、移動式処理設備を導入することが望ましい、こういう判断に至りまして、こうした中、日中首脳会談で日本側として、廃棄プロセスを加速するため、移動式処理設備を導入して作業を進めていくことが表明されました。中国側はこれを歓迎したので、処理設備の早期導入に向けまして鋭意準備を進めているところでございます。
○戸井田委員 私は、武装解除をした時点でもって全部完了しているというふうに私自身は解釈しています。その後、そのままこういった質問もせずにほったらかしにしておいたら、どんどん中国のペースで行われていく。向こうは、できるだけ日本のお金でと思っているから、そういう行動に出てきて当然のことでしょう。だけれども、それに対しては厳しく精査をして、きちっと対応していく、そういう姿勢が必要だと私は思っております。
 これからも、決していいかげんな形でもって、まして外国のことであるから、我々なかなか目が届かない。そんなところであればあるほど、やはりその立場にある人は責任を持ってやっていただきたい、そのことをお願いしておきます。
 官房長官、ありがとうございました。
 それでは、次の問題に行きたいと思うんですけれども、さきの内閣委員会で、勤労女性の比率が高い国では出生率が高いということで、女性は外に出て仕事をすることで少子化を防げるような話をされていましたけれども、私自身は、世界各国、いろいろな国の事情があって、違うと思うんですね。
 いろいろな資料が内閣府からも出されるんですけれども、資料を見てもらう前に、最初に質問したいと思うんですけれども、一九六〇年代の後半から七五年ごろまでの約十年間ぐらい、日本の出生率というのは二%を超えていたと思うんです。そのときの勤労女性の比率はどのくらいだったのか、お答えいただけますか。
○高市国務大臣 一九六〇年には五六・八%、一九六五年には五三・六%でございます。
 あえて申し上げますけれども、前回の委員会で、女性が外に出て働けば少子化がとまるといったような答弁は私はいたしておりません。前回、小宮山委員の御質問にお答えしたんですが、出生率と女性の労働力率の関係は時系列的に変化しておりますけれども、二〇〇〇年の時点では、女性の労働力率が高い国の方が出生率が高いという傾向が見られました、そうお答えいたしております。
○戸井田委員 傾向というのは、私は、その一点の、その年だけを見て傾向なんという言葉はちょっと合わないんじゃないかなというふうに思うんですね。
 それと、資料のデータなんですけれども、まず資料一を見ていただきたいと思うんです。これは、OECD加盟二十四カ国の一覧表なんですけれども、この中から、まずロのアメリカを見ていただきたいと思うんです。男女共同参画局が好んで使用する国というのは、赤枠で囲っている国なんですね。オランダ、ノルウェー、アメリカ、そしてフィンランドが今まで説明した状況の中でもって男女共同参画局がよく使うグラフなんですけれども、しかし、その中で、ほかの二十カ国というのは全部日本と同じ流れというか、傾向を見せているわけですね、七〇年から二〇〇〇年までの流れは。大体、二十カ国は同じ傾向である。
 それで、ロのアメリカを見ていただくと、九〇年から出生率がふえていますけれども、資料二のイを見ていただくと、ヒスパニック系が八〇年代の後半からこのグラフの中に出てくるわけでありますけれども、そのヒスパニック系の出生率、それから黒人の出生率が高い。白人はやはり一番低いわけです。それがトータルで入ってくると、結局アメリカが二%を超えてくるという表になってくるわけです。
 だから、それぞれ国によってみんな状況が違う。それと日本とを簡単に引き比べていくことができるんだろうか。やはり自国のデータの中でどういう状況が出てくるのかということをきちっと調べていく必要があるんじゃないかなというふうに私は思うんですね。アメリカの中でも、アメリカということで一つにくくってしまうとそういう数字になってくる。だけれども、それはどういう状況になっているのかということを調べていくと、また別の見え方ができてくるんじゃないかな、そういうふうに思うんですけれども、高市大臣、どうでしょうか。
○高市国務大臣 まず申し上げますが、その時点だけを見て傾向をとらえるのはおかしいとおっしゃいますけれども、毎年毎年、その年の傾向、それも諸外国と比較した傾向ということを述べるのは別に問題ないと思いますし、前回の委員会でも、時系列によって変化をしているということをきちっと申し上げております。
 それから、御指摘のとおり、確かに一九七〇年から二〇〇〇年という三十年間の長期のタームで見ると、比較対象国二十四カ国のほとんどで、世界的な傾向としてやはり出生率は低下しております。そしてまた同時に、この三十年間で世界各地で女性の社会進出も進んだということは言えると思います。
 ただ、私が申し上げたのは、時点時点、二〇〇〇年時点ということでその年の傾向を見ると、女性の労働力率が高い国の方が出生率が高い、そういう結果が出たということを申し上げておりますし、女性の労働力率と出生率の関係というのが常に固定的なものではない、それは考えております。
 むしろ、どのみち世界的に女性の社会進出というのは進んできたわけですから、そしてまた、女性で働きたい人に働くなというのも変なことです。また、働かざるを得ない方もいらっしゃるわけですから、仕事を持ちながらそれでも子供も欲しいよという人が働きやすい環境を整えている国の方が、回復の傾向にあるということを申し上げております。
 アメリカの例もおっしゃいました。確かに、前回も私申し上げましたが、国によって違います。少子化対策の効果も違います。例えばアメリカでは、確かにヒスパニック系は非常に高いですね、二〇〇四年時点ですが二・八二。ただ、二〇〇四年時点では白人も一・八五ということで、当時の日本の一・二九に比べるとはるかに高いというようなことですが、これは、国際社会のいろいろな例を参考にしながら、よりよい対策を見つけ出していく。
 やはり、仕事もしたい、子供も産みたい、そういう思いは世界じゅうの女性が共通に持っていらっしゃる。一方で、やはり子供を自分の手で家庭で育てたい、そういう選択をして、一生懸命御家庭で育てていらっしゃる方もいる。それはそれで私は大いに尊重したいと思っております。
○戸井田委員 今、いみじくも大臣が言われたように、やはり出生率が下がってくる、そして女性の就労率が高い、そういう傾向がまさにこのグラフを見ていったら出ているのは、だれが見ても当たり前のことだと思うんですね。
 だから、その流れを考えてみると、確かに、そういう働く女性に対する支援というのも重要だろうと思います。しかし一方で、そういう資料を、あたかも、この二十四カ国の中でいったら異例なのがその三カ国、四カ国ですよね。それを対象にして、三カ国を対象にして日本が異例だというような書き方をするというのは、やはりちょっとおかしいんじゃないかな。そこらのところを指摘しておきたいと思います。
 それから、もう一つ説明していただきたいものがあるんですけれども、北欧のスウェーデンのことなんです。資料一のハのスウェーデンのところを見ていただきたいんですけれども、一九七〇年からずっと下がってきて、それから、一九九九年をピークにして、翌年の二〇〇〇年はどんと下がっているんですね。これはどういうことなのか。もし何か理由があるんだったらちょっと御説明いただけたらと思います。
○高市国務大臣 スウェーデンの出生率を見ますと、一九八〇年代から九〇年にかけて大きく上昇いたしております。一種の出産ブームとまで言われた時期なんですが、理由は、当時、バブル経済ということで非常に好景気であったということと、児童手当の引き上げですとか保育サービスなど、非常に社会的なサポートが進んだということが挙げられると思います。
 一九九〇年代初頭、日本も大変でございましたが、スウェーデンでも、バブル崩壊、金融危機という状況がございました。それぞれの御家庭で使える可処分所得というものも非常に厳しかった。恐らく、出産ブームの反動も来たんだろうと思います。
○戸井田委員 これを見ていると一%以上下がっているわけですから、僕は、それこそスウェーデンにもひのえうまみたいな年があったのかな、そんなふうに思いました。それぞれ、風習、文化、歴史、国のいろいろなものがあるんだろうと思うんですけれども。
 資料一のホのフランスを見ていただきたいと思うんです。
 フランスのこれを見ていると、それで、それ以外のいろいろな打たれている施策、そんなことを見ていくと、このフランスの出生率が回復して二%を上回っているのは、やはり政策、少子化対策の結果が見えているなというふうに、このグラフを見ていると思えるんですね。随分、税制面での対策等があるような話も聞いておりますけれども、その辺のところでわかっていることがあったらお知らせいただきたいと思います。
○高市国務大臣 フランスの政策についてということで申し上げますと、まず、保育ママが非常に使いやすい。保育ママをお願いした場合に、やはり税制上の配慮もある。それから、家族がふえるほど得になる税制ということもあるでしょうし、それからまた、お子さんを産んだ場合に、日本でも手当等ありますけれども、フランスの場合は約三十種類もの手当があるというような形で、家族に対する支援、特に財政支出といった面で非常に手厚いという傾向は見られるかなと思っております。
 先ほどちょっとおっしゃったことで誤解があると困るんですが、働く女性に対する支援ということだけで私ども政策を打っているのではありません。
 それは、例えばお仕事を持っていらっしゃらない女性の方が、今の日本のシステムですと、またかえって保育サービスというのは非常に使いにくい。しかし、自分自身が風邪を引いたり病気になっちゃったり、緊急のことで子供を預けなきゃいけないというときに、そういうサービスが使いにくいということで、それを改善しよう。そしてまた、女性であれ男性であれ、やはり働き過ぎだ、自分を高める時間も持てない、家庭のことに参加する時間も持てないといった声がありますので、そこで、ワーク・ライフ・バランスということで、今、子どもと家族を応援する日本重点戦略会議の方で、さらに踏み込んだ対策を考えようということで議論しているわけでございます。対象が働く女性だけではないということを御理解いただきたいと思います。
○戸井田委員 フランスは、いろいろなデータを引っ張り出してくると、やはりいろいろな施策があるんですね。その中でも特に現金給付につながっていくような手当がむちゃくちゃ多い。ほかと比較にならないぐらいあるわけですね。みんな、子育てしようと思ったら、集中してやらないとできない部分があるかなと。その中で、やはりお互い夫婦でもってサポートし合ってやっていくというのがどこの社会でも基本の形なんだろうというふうに思います。ですから、このフランスの施策を見ていて一番思ったのは、とにかくお金がさっと入ってきたら余裕を持って子育てができるというふうな一覧表だな、そんなふうに感じました。
 資料五を見ていただきたいんです。
 この下のところでもって、「出産前に仕事を辞める理由は、子育てと仕事の両立環境が整っていないこと」ということでグラフが出ております。出産前に仕事をやめた理由として五三・六%あるのが、自分の手で子育てをしたかったというのが半分以上あるわけですね。ところが、これはどういう理由でつけたのか知りませんけれども、子育てと仕事の両立の環境が整っていないということでもって、それ以下の、それに関するところが丸で囲われているんだろうというふうに思います。
 だけれども、この一番多い五三・六%の層に対してどういうふうな施策が打たれているのか。さっき保育所施策というようなことを言われていましたけれども、それ以外に、フランス並みに挙げられるものはありますか。
○高市国務大臣 例えば、今年度から乳幼児加算の創設などもいたしております。そしてまた、一時預かりなど、専業主婦の方がお子さんを預けたいというときに、できるだけ対応していただけるように措置をとり始めております。
 確かに、自分の手で子育てをしたかったというのが理由として一番多いというのは、私も心情的に大変理解できるんですけれども、一方で、一定期間お子さんをお手元で育てて、またもといた職場に戻りたいんだけれども戻れない、また、自分で育てたいという気持ちはあって、なおかつそのキャリアも捨ててしまいたくないんだけれども、産休、育休と丸ごととった場合に、なかなか、同僚に迷惑がかかるとか、社内で理解をされていないといった事情を抱える方もこの数字の中に入っているということも、御理解いただきたいと思います。
○戸井田委員 言われることはよくわかります。だけれども、やはりどんな家庭にもその与えられた状況があって、それをそれぞれが選択していった。その中で、自分たちの望むことをどう実現していくかということをやっていく。
 そうすると、それぞれ夫婦であっても、どっちかのエゴを出すわけにもいかない、お互いのことをカバーし合いながら生活をしていく。その中で子供も育てていく。そうすると、これまでは自分の嫁さんのことだけを考えていたらよかったものが、いつの間にか子供がふえて、子供のことにも配慮しなきゃならない。その子供が一人ふえ、二人ふえということになったら、男の立場でも非常に厳しい問題がある。どの立場に立っても、やはりそれぞれ、個人の立場もあれば相手の立場もある、その中で家族というものが形成されていって、その家族単位でもってどう協力していくか。その協力によって壁を乗り越えていく、そこに満足感というものが生まれてくるんじゃないかな、私はそういうふうに思っているんですね。
 自分自身の経験としても、三人の子供を育ててきて、家内から年じゅう言われていました、あんたは子育てしていないと。だけれども、今振り返ってみると、やはり自分なりに、仕事の合間とか、仕事をサボりながらというか、仕事をしているようなふりをしながら子供のことをいろいろしてみたり、そういうことも、自分なりに振り返ってみたらあるわけですよね。それがあったからこそ、逆に子供とのつながりというものがあるし、そのことを子供が覚えている。後で大人になって子供からそういう話を聞くと、自分自身にある意味の満足感がある。その満足感というのは、家族を形成していく中でもって非常に重要なことだなというふうに思うんですね。
 だから、いろいろな意味で理屈だけじゃ通らない部分がある。だけれども、そういうものを乗り越えていったところに、そしてその乗り越えたメンバーがどのメンバーだったかということを振り返ってみたときに、たった一人でそれを乗り越えていったのか、それとも、乗り越えようとして自分と一緒に乗り越えてくれているのかと思ったら後ろにいなかったとか、そういうことになると、多分その本人は後で大変な打撃を受けるんだろうと思うんですね。
 だから、そういうことにならないように、やはり家族という単位を非常に大切にしながら、私は、いろいろな意見があると思いますけれども、女性の場合には特に親子の人間関係、そのきずなというもの、家族のきずなの中心にはやはり母子間のきずながあると思うんですね。そこに男の、父親のきずなが入っていく、そういう形が本来の理想的な形だと私は個人的には思っております。
 いろいろな形でいろいろな議論がなされていくわけでありますけれども、いろいろなデータを使うときに、やはりそれを客観的に、冷静に判断していくということが大事なことであって、意図的に自分たちの思いに合ったようなデータだけを引っ張ってきてそれを喧伝するようなことはしない方がいいんじゃないかな。私は、今回のこの質問をするに当たっていろいろデータを調べれば調べるほど、実はそんなことを感じました。
 私の質問時間はもう終了したということですので、以上を申し上げて私の質問は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○河本委員長 次に、小川淳也君。
○小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。
 きょうは、直接の連関まではないかと思いますが、よく報道等で登場いたします、また政府としても注目をしておられると思います二つの死亡数統計、またその対策についてお伺いをしたいと思います。
 一つ目は、交通事故死亡者数統計、死亡者対策でございます。端的にお伺いいたしますが、交通事故死亡者数の推移、どんな状況でしょうか。
○野村政府参考人 お答えいたします。
 交通事故死者数の推移ということでございますが、簡単に戦後の我が国の状況を申し上げたいと思います。
 自動車交通が戦後急成長に入りました昭和三十年代から、事故死亡者は激増しております。四十五年には一万六千七百六十五人というふうにピークになっております。それ以降は一たん減少に転じまして、昭和五十四年にはほぼ半数の八千四百六十六人にまで減少いたしております。しかしながら、五十年代半ばから再び増加いたしまして、平成四年には一万一千四百五十一人を記録しております。平成五年以降、再び減少傾向に転じまして、昨年、平成十八年には六千三百五十二人ということで、昭和三十年以来五十一年ぶりの六千人台前半となったところでございます。この傾向は本年に入りましても続いておりまして、減少傾向が続いております。
○小川(淳)委員 大臣、お聞きのとおりでございまして、第一次交通戦争、第二次交通戦争と言われた当時からすれば、ほぼ三分の一まで激減しているわけでございます。
 大臣、これはなぜだと思われますか。
○野村政府参考人 お答えいたします。
 私どもは、戦後非常に努力をいたしておりまして、昭和三十年代から激増したというふうにただいま申し上げましたが、このような背景の中で、交通事故問題を行政各分野が協力して取り組むべき重要な政策課題というふうに位置づけまして、昭和四十五年に交通安全対策基本法が制定されました。その法律に基づきまして中央交通安全対策会議が設置されまして、同会議で策定いたしました交通安全基本計画に基づいた総合的な交通安全対策が講じられてきたところでございます。
 警察におきましても、道路交通法制の整備あるいは信号機等の交通安全施設の整備、体系的な交通安全教育の推進、さらには交通指導取り締まり等の街頭活動の強化、こういった各種対策を継続的に講じてきたところでございます。
 先生御指摘のように、死者が近年減少傾向にございますのは、このような関係行政機関、団体が継続して総合的な交通事故抑止対策を講じてきた効果があらわれているというふうに認識しております。
○小川(淳)委員 あわせて事実関係をお聞きします。
 交通事故件数そのものの推移はいかがですか。
○野村政府参考人 お答えいたします。
 交通事故件数については、若干、死者数の推移と異なっております。戦後まず、死者数と同様に、昭和三十年代から事故そのものも激増いたしました。それで、四十四年に七十二万件とピークを迎えましたが、それ以降、減少に転じております。それで、五十二年、四十六万件まで減少したわけでございますが、五十三年以降、ほぼ一貫して増加傾向を続けておりまして、平成十六年に約九十五万件という数字を記録いたしております。その後、十七年、十八年につきましては二年連続で減少しておりまして、昨年、平成十八年は九十万件を下回ったというふうな数字でございます。
○小川(淳)委員 大臣、ぜひお答えいただきたいんですが、交通事故件数そのものは減っていない、むしろ増加傾向、死亡者数は相当激減というこの状況をどう分析されますか。
○溝手国務大臣 いろいろな対策を打ったことによって、死亡について皆さん非常に注意をする、シートベルトなんというのはまさにその問題だろうと思います。それから、交通事故そのものの発生件数というのは別の要素があるんだろうと思います。
 高速道路の発展、延長によって、いわば高速道路を含めて高スピードの状況における死者というのはふえる傾向にあるんですが、町の中での交通というのはだんだん平穏化してきているというような感じで思っています。
○小川(淳)委員 端的に私の所感をぜひお聞きいただきたいと思うんですが、事故は減っていないのに死亡者は減っている、最近の、ここ近年の現象ですから、恐らく、ボディーの強化とかエアバッグとか停止制御装置とか、そういう自動車技術の革新によるところが大きいんだろうなという気がいたしております。この結果自体は大変望ましい結果だと思います。もちろん警察当局も、飲酒運転の取り締まり強化、処罰の強化、それからシートベルトの着用義務化等々の努力をしておられることはそのとおりでありますが、やはりこれは、むしろ自動車メーカー側の技術によって立つところが大きい結果ではないかというふうに率直に思うわけであります。
 これから先、飲酒運転の取り締まり強化に向けてはさらに、スウェーデン方式ですか、呼気を吹きかけることで飲酒のないことを確認してエンジンがスタートするとか、つまり、警察当局として、やはり相当、自動車メーカーの技術に対してある種の強制力を及ぼすような取り組み、これをあわせて進めていかれることを、この際、ぜひお願いを申し上げたいと思います。
 それから、もう一つお伺いいたします。これはわかる範囲で結構です。
 私自身が実はある県の市役所で勤務をしておりましたときに、この交通死亡事故統計について非常に疑問を感じたことがございました。つまり、交通事故死亡者数の統計を見ていくということは、この統計調査そのものの信憑性についていろいろとこれは問われるわけでありまして、私自身が経験したところでいきますと、例えば、事故発生から二十四時間をもって、一秒でも二秒でも生き長らえた方についてはカウントしないとか、あるいは、事故の態様によっては、これは自殺行為じゃないかという判断を警察当局が下す。あるいは、事故の直前に心臓、脳を含めて急死に至るような病があったんじゃないか、つまりこれは交通事故ではなくて病死じゃないか、こういうふうに、これは当然のそういう力学が働くんだと思います。
 交通事故死亡者数のカウントそのものを抑制していくという力学が警察当局としては働いて、そのこと自体は理解できます。しかし一方で、できるだけ正確に統計をとるという要請があるわけですから、その辺のバランスについて一言、御答弁をいただきたいと思います。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
 死者数につきましては、先生御指摘のように、私どもが今数字で申し上げましたのは二十四時間以内の死者数でございます。そのほかに、三十日以内の死者数、あるいは厚生統計というふうな三つの数字がございます。例えば二十四時間以内死者と三十日死者を比べますと、約一四%ほどふえます。
 ただ、私、先ほど傾向をずっと申し上げましたが、基本的にこの傾向というのは同じでございまして、二十四時間が減るときには三十日以内も減っております。したがいまして、一四%の差、これは大体キープしておりますので、基本的に二十四時間以内の死者でいろいろな統計を考えるというのを、基本的な対策の整理としてはいいのではないかというふうに考えております。
    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○小川(淳)委員 御指摘の傾向については、私も理解できます。
 ただ、申し上げたいのは、とにかく正確な統計をとるという一点に徹する形で全国の警察当局、これもできるだけ減らしたいのが警察署長さんの心情でありますから、私が現場で感じた感覚を今この場で初めて申し上げますが、そういう観点から、ぜひ全国の警察当局を御指導いただきたいと思います。指摘だけさせていただきます。
 それからもう一つの死亡者数統計で、やはり非常に重々しい数字でありますが、自殺者統計、自殺者対策ということがございます。国内の自殺者数の推移、まずは事実関係をお聞きしたいと思います。
○片桐政府参考人 お答え申し上げます。
 自殺者数でございますが、平成十七年中の自殺者の総数は三万二千五百五十二人でございまして、前年に比べて二百二十七人、〇・七%の増加となっております。
 そこで、推移というお尋ねでございますけれども、自殺者数は平成十年に三万人を超えまして、それ以来、八年続けて三万人を超えているという現状にございます。最近五年間の数字を申し上げますと、平成十三年が三万一千四十二人、平成十四年、三万二千百四十三人、平成十五年、三万四千四百二十七人、平成十六年、三万二千三百二十五人、そして十七年、今申し上げたように三万二千五百五十二人でございます。
○小川(淳)委員 今お答えいただいたとおり、九八年ごろから急増しているわけであります。九七年当時、九七年、八年というのは、まさに山一証券を初めとした金融危機も言われましたし、経済危機が論じられたころでありました。そのころから急激にふえたわけでありますが、九四年以降、景気は一貫して拡大していると言われています。こういう中で自殺者数が一向に減らない。
 この現状についてどういった感想を持たれるか、お伺いしたいと思います。
○高市国務大臣 まず、近年、三万人を超える方々が自殺で亡くなられているのは大変残念で痛ましいことだと思います。そして、これまでも、平成十二年以降、平成十二年三月に厚生労働省が策定した健康日本21でも目標が定められているんですけれども、結局かなり達成が難しい状況にある、これもまた事実だと思います。
 この状況の分析も非常に難しいんですが、一つは、やはり今御指摘のあったような経済危機の問題。それから、多重債務ですとか詐欺に遭ってどうしようもない状態に追い込まれている方が出てくる。そして、高齢化が進展して、介護疲れによる無理心中といった痛ましい状況も発生している。それから、ネット自殺というのも近年の傾向だと思います。ネット上で中傷されたというような事例もあるし、ネットの自殺サイトなどで見も知らぬ人とともに自殺をしてしまうというような事例も出てきた。それから、子供さんの自殺というのも社会問題となってきた。それから、うつ病に対する対策がなかなか効果的に打たれていないんじゃないか、こういった事情もあると思います。そしてまた、自殺事案が発生したときのマスコミの報道の仕方によっては連鎖的な反応も出ている、マスメディアの進展といったものも社会的な背景にはあると思います。
 過去の政府の目標値の達成が非常に難しくなっているし、新たな社会的な要因も出てきたということの反省と、そしてまた自覚に立って、いま一歩踏み込んだ自殺対策というものを進める必要がある、そういう時期にあると考えております。
○小川(淳)委員 大変丁寧な御答弁、ありがとうございました。
 まさにそういう中で、昨年十月ですか、自殺対策基本法、そして先月二十七日にこの大綱案を示されて、今月十日には、これに対する広く一般からの意見の募集を締め切られた、今まさにそういう状況でありますが、正直、この自殺問題というのを公の場でどこまで取り上げるかというのは、非常に悩ましいぐらいセンシティブな問題、また逆に、そこを突き破っていかないとなかなか真相にたどり着けない、そういうジレンマを抱えているテーマだと思います。
 あわせて、この自殺対策基本法、そして総合対策大綱、このセールスポイントといいますか、特筆すべき、ぜひPRすべき点がございましたら、ポイントだけお聞きをしたいと思います。
○柴田政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、自殺対策基本法の方でございますけれども、御承知のように、昨年の六月に成立しまして公布されました。そして昨年の十月から施行されています。
 そのセールスポイントとおっしゃいましたけれども、目的をまず申し上げますと、自殺対策を総合的に推進する、自殺の防止を図り、あわせて自殺者の親族等に対する支援の充実を図り、もって国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現に寄与するということです。
 基本理念の中でポイントがうたわれておりまして、自殺は個人的な問題としてのみとらえるべきではなくて、背景にさまざまな社会的な要因がある、今大臣からも御答弁申し上げましたけれども、そういう要因があることを踏まえて、社会的な取り組みをしていくんだというのが一つであります。それから、やはり対策をする限りにおいては実態に即してやらなければいけませんから、ちゃんと調査をして、実態に即して実施をするんだ。三番目は、事前の予防、危機への対応、それから、そういうことだけではなくて事後対応の各段階に応じた効果的な施策として実施するんだ。それから、自殺に至る悩みをいろいろ持っておられる方というのは、制度や施策からいいますといろいろな広範な分野に分かれるわけでありますけれども、一人の人を支えるわけですから、相互の密接な連携のもとに実施するんだ。
 大体、このようなことが自殺対策基本法の大きなポイントではないかというふうに考えています。それを政府で総合的に、関係各省が集まって、関係各大臣が集まって総合的に進めていくんだというのがポイントだと思います。
 それからもう一つ、大綱についての御質問がございました。
 今、先生からもお話がありましたように、自殺総合対策大綱につきましては、基本法に基づきまして、自殺総合対策会議で案をつくるということになっています。今まで案をつくるための作業をずっとやってきまして、今先生のお話にございましたように、四月の二十七日に自殺総合対策会議を開きまして、大綱の素案というのをパブリックコメントに付すことを決定したということであります。そして、その日からパブリックコメントを御紹介しまして、十日にはパブリックコメント募集の終了をしたということであります。
 その中身について申し上げますと、現状とか基本認識については先ほど来のお話がありますので省略いたしますが、基本認識を申し上げますと、一つは、自殺は追い込まれた末の死であるということで、個人の自由な意思とか選択の結果じゃない。それからもう一つは、自殺の直前にうつ病などの精神疾患に罹患していることが非常に多いんだ、そこをよく認識すべきじゃないかというのが一つです。
 それから二番目は、ですから、自殺は防ぐことができる。この防ぐのは、制度、慣行の見直しとか相談支援体制の整備というような社会的な取り組み、これは先ほどの法律にもありましたけれども社会的な取り組み、それから、うつ病などの精神疾患に対する適切な治療、こういうことをやることによって防ぐことができるんだ。
 それから、自殺を考えている方は何らかのサインを発している。なかなかその悩みを人には言わないものですけれども、近くの人がよく見ていると、いろいろなサインを発しているということで、それを早く気づいて対応につなげていくというのが大事なんだということが基本認識で触れられております。
 そういうもとに、どういう考え方で臨むかというと、一つは、さっき申し上げましたように、うつ病対策は当然やる。それだけではなくて、働き方の見直しとか再チャレンジ可能な社会の構築とか、あるいは失業とか多重債務の相談支援体制の整備、こういうような社会的要因も踏まえた総合的な取り組みを行うということであります。
 それからもう一つは、やはり国民一人一人が自殺予防の主役となるようにしなきゃいけないということも言っております。
 それからあとは、先ほど理念のところにもありましたので、ダブるから省略いたしますけれども、実態解明につきましても、これは当面これまでの知見に基づき政策を展開しますけれども、これからは本格的な実態解明を進めるとか、あるいは、なかなか特効薬がないわけですから、中長期的な視点に立って対応を考えていく、こんなようなことがうたわれているわけでございます。
 個別の政策については省略いたしますけれども、大きなところではそんなところでございます。
○小川(淳)委員 大変総花的な各方面にわたる対策、といってもスローガンにとどまらざるを得ない面が大きいのだとは思いますが、先進各国に比べると日本の対策というのは大分おくれていると言われていますから、これからということなんだと思います。
 一つ具体的にお尋ねしたいと思いますが、おわかりになればお答えください。
 二〇〇五年の十二月、総務省が、国と地方団体を対象に自殺予防に関する施策の調査を行った。その結果、十六都道府県が、特に対策は持っていない、実態把握もしていないというような調査結果が二〇〇五年の十二月、一年半前に出されたようでありますが、その後、追跡調査あるいは改善された点は見受けられますか。いかがですか。
○柴田政府参考人 済みません、ちょっと突然のお尋ねですので手元に資料がありませんけれども、実は、今度の自殺対策大綱を決めましたら、これは各都道府県に当然説明しようと思っております。そしてその中で、決めた後はやはりそれぞれの、例えば県の組織の状況、そういうものがどうなっているかとか、どういう取り組みをしているのかというのを丁寧にフォローしていこうというふうに考えております。
○小川(淳)委員 今お答えいただいたとおり、これは本当に幅広い要因が複雑に絡み合う問題でしょうから、そういうアプローチが必要なんだと思います。
 今指摘申し上げた都道府県の体制あるいは内閣府の体制そのものを、これは恐らく古くないと思うんですけれども、今、内閣府のホームページからデータをいただきました。ほとんどの都道府県が、やはり精神保健係、障害福祉課、つまり精神疾患としてまずは窓口を設けようという感じなんですよね。それから内閣についていえば、これは自殺対策室か支援室という組織ができたんじゃなかったでしたっけ。中央官庁を見ますと、内閣府がまだ企画調整課とか、それから、これは関係あるのかどうかわかりませんが、各省庁を見ても、およそ、何でも課がひとまず窓口を置いている。官房の企画課とか、こんな状態なんですよね。
 その辺、情報がアップデートされていないのであれば、これは直ちにお願いをしないといけませんし、まだ現にこういう認識であるとすれば、ぜひ全国に対しても働きかけを強めていただかなければならないと思いますが、いかがですか。
○柴田政府参考人 まず、自殺対策関係のデータにつきましては、ホームページ上でどんどんと更新をするということで私ども考えております。そのようにやっていきたいと思っています。
 それから、組織の関係につきましても、これはいろいろ、もともとが精神保健の関係から手をつけてきたこともあって、都道府県では精神保健中心にやっているところもあると思います。
 国は、総合調整あるいは総合的な企画をやる内閣府で、高市大臣のもとで各省、自殺総合対策会議というのをつくって、そして大綱をつくり、しかもその大綱をフォローアップしていく、おくれているところはもう少し頑張ってくださいというようなこともやっていくということでございますので、先生の御懸念の点につきましては、そういうことを適切に運用することによってきちっとやっていきたいというふうに思っております。
    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
○小川(淳)委員 高市大臣、率直にお尋ね申し上げたいんですが、いろいろな課題を抱えておられるわけでありまして、少子化の数字もそうでしょうし、それからこの自殺者の数字というのも大変重大な数字だと思います。
 私は、政治にかかわろうとするに当たって、この自殺者数というのは本当に重たい、いわば政府にとっての非常に大きな通信簿のような気がしています。安直にそういうことを申し上げるのは非常に不謹慎ととられるかもわかりませんが、やはり幾ら経済がよくなったって、幾ら景気がよくたって、年間何万人という方々がみずから命を絶たれる、この数字が多いままでは、非常に不幸な社会なんだという気がしてなりません。あらゆる社会の病理といいますか、病といいますか、それが最後そこへしわ寄せになって、一番弱いところへ、死に追い込むという形で結果としてあらわれる。
 ですから、政府としては、この十二年の目標値、三割減でしたよね、二万二千人に減らそうという三割減。今回の大綱が、二万五千人ですから二割減です。実際にその実現可能性というのをにらむのも必要なんでしょうが、ここは非常に大きなメッセージ性のある部分だと思いますし、自殺者数というこの数字そのものに、本当に厳重な通信簿を毎年もらっているというぐらいのお気持ちで、ぜひこの数字とは向き合っていただきたいという気がいたします。
 二万二千人目標から二万五千人目標に変更された、その点についての御認識を最後にお聞きしたいと思います。
○高市国務大臣 今後、六月に向けて、パブリックコメントの結果も受けて自殺対策大綱の取りまとめをしてまいります。その中で私たちが設定する目標の数字というものが最終的に決まるものでございます。過去の健康日本21で、目標を立てたものの、自殺者数というものが結局それほど減少できなかったというようなこともございますので、今回はまさにその反省に立って、さらに踏み込んでいこうということになります。
 ただし、数字というのは、今非常に新しい社会的な要因も発生する中で、高齢化も進行する、そして、先ほど申し上げましたような新しいネットですとか、そういった要因も出てくる中で、あらゆる対策を打てるだけ打って、その結果、全く達成不可能な数字を一時的な一般受けのために打ち出すというつもりはございません。あくまでも、緻密に一つ一つの対策を誠実に打って一人でも多くの方の命を救う。例えば、目標値が二〇%だったとしても二〇%にとどまらない、二〇%以上を目指す、人数で設定したとしても一人でも多くの方の命を救う、そういう思いを持って省庁を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
○小川(淳)委員 私、やはりこの法案が、これは社会問題だ、個人の問題じゃないというふうに位置づけられたところには大きな意味があると思います。しかしながら、大綱の中身が、どこかでまだ、個人の精神疾患、そこに相談をしなきゃいかぬ、手を差し伸べなきゃいかぬという部分を脱し切れていないような懸念がまだ残るような気がします。
 この社会構造の問題というところからいえば、やはり小泉政権以降、小さな政府とか筋肉質だとかなんとかおっしゃっています。もちろん必要な部分もあるんでしょう。高金利の問題、わずかながら改善されました。日本特有だと思いますが、分厚い個人保証の仕組みとか、それから無年金のお年寄り、高市大臣がおっしゃいましたが介護サービスは十分なのか、医療費の負担、リハビリの打ち切り、障害者自立支援法、減税の廃止に各種控除の廃止。やはりそこに目を向けることで自殺のすんでに追い込まれつつある方そのものを減らしていくことが、本当の意味での社会構造からのアプローチなんじゃないかという気がしてなりません。
 そこが、小泉政権以降、非常にいい仕事もされている反面、切り落としている部分。そこにやはり警鐘を鳴らしているのが、二〇〇四年以降、景気回復と言われながらもなかなか自殺者数が減らない、そこに結果としてあらわれているんじゃないかということを警鐘として申し上げて、質疑を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○河本委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
 きょうは、中国における遺棄化学兵器の処理事業について質問をさせていただきたいと思います。
 三年ほど前からずっとこの問題を私も時折取り上げさせていただいておりますが、いよいよ温家宝首相が日本を訪問されて、そのときにも、日中共同のプレス発表というものの中に、中国における日本の遺棄化学兵器の処理に関する日中連合機構の設立ということ、あるいは廃棄プロセスを加速するため移動式処理設備を導入していくということなどが明らかになりました。そういった意味で進展が今出てきているというふうに私は認識をしておりますが、そもそもこの事業、当初は全く幾らかかるのかが見えてこないということで、多くの憶測を呼んでいる事業だというふうに思っております。
 中国北東部にあるハルバ嶺、ここに数多くの化学弾が埋設をされているという状況でありますけれども、当初その数も七十万発というふうに言われていたものが、下方修正をされて、現在三、四十万発ということで日本は国際機関の方には申告をしているという状況であります。そういった状況から、事業規模、そのハルバ嶺のプラントだけで二千億円、あるいは全体、小規模事業も含めると一兆円事業になるんじゃないかということも言われている状況でありまして、そろそろこの透明化、情報公開を私たちは図っていかなければならない、そういう思いできょうは質問をさせていただきたいというふうに思います。
 実は、きょう官房長官と高市大臣にお越しいただいております。大臣所信をお伺いしたときには、てっきり高市大臣だけが担当かなというふうに私は思ったわけですが、いろいろと調べてみますと、内閣府には処理担当室がある、内閣官房には対策室というのがあるということで、政府の対策を一元化していくのは官房長官のお仕事でもあるということを政府からお伺いしましたので、きょうは御両名にお越しをいただきました。
 両方の、対策室、担当室ともに室長はたしか今までもずっと同じだったというふうに認識をしておるわけですけれども、現在もそういう認識でよろしいでしょうか。まず確認で。
○松田政府参考人 お答えします。
 内閣官房とそれから内閣府の担当室の室長は、同じ西という者が担当しております。
○泉委員 きょうは出張か何かでお越しいただけないということですが、そういう意味で、官房長官と高市大臣には、ぜひ御自身に責任があるんだという思いをまず持っていただきたいというふうに思います。
 そこで、具体的な質問に入らせていただきます。
 化学兵器の廃棄に関しては、化学兵器禁止条約、これに基づいて日中が合意をしているという状況であります。ただ、本来は二〇〇七年に化学兵器の処理を終えていなければならなかった、これがまず大前提であるということです。しかしながら、日中の合意に至らず、これは化学兵器禁止条約上、五年間の延長ができるということになっておりまして、二〇一二年までということで、昨年ですか、延長が日中合意のもとで決定をされました。
 この延長という事態について、官房長官、高市大臣、今どのような責任というか御認識をお持ちなのか、まずお伺いをしたいと思います。
○塩崎国務大臣 まず第一に、やはり戦争というのはやってはいけないんだなということをつくづく思うわけで、戦後六十年たった今日に至ってもこういった過去の負の遺産を背負っているということで、本当に重たい問題だと思っております。
 今回、温家宝総理の訪日の際に、今御指摘いただいたような共同プレス発表ができたことは前進だと思っておりますけれども、二〇〇七年の期限が五年間延長されたということについては、実はこれは、まずどこにどれだけあるのかということを探すこと、それから、それが日本のものであるかどうか等々、非常に作業が手間がかかることもこれあり、五年間延ばさなきゃいけないということになったのは大変残念であって、一日も早くこの事業が完了するように、政府としても精いっぱいの努力をしなきゃいかぬ、こう思っております。
○高市国務大臣 この事業なんですけれども、非常に長期間にわたって地中に埋設された本当に大量の古い化学兵器を処理する事業で、世界でも本当に例のない難易度の高い作業でありますし、また、中国国内で中国の法令に従って手続をしなきゃいけないこともたくさんございます。中国との協議、これにも大変な時間もかかりますし、安全や環境にも配慮しなきゃなりません。
 そんな中で、非常に時間もかかるし、推定の数も大変多いということでございますが、ただ、化学兵器禁止条約で、日本は中国における日本の遺棄化学兵器の廃棄のためのすべての必要な資金、技術、専門家、施設その他の資源を提供する、このようになっておりますので、誠実に、そして一日も早くということで責任を果たしていくべきことであろうと考えております。
○泉委員 これはどちらかにお答えいただければと思いますけれども、今後五年間延長されたというふうには言いますが、先ほど官房長官がおっしゃられたように、とはいえ非常に事業としては困難をきわめる事業であります。ただしかし、国際的に我が国が結んでいる化学兵器禁止条約というものも我が国は守るべき義務が当然あるわけですね。それは国際的な信頼にもつながるわけです。
 そう考えますと、この五年間で何とかして事業を終わらせなければならないというふうに思っております。それはもう御認識は一緒だというふうに思いますが、その計画が実はほとんど見えてきておりません。例えば施設の建設の完了の時期、そしてその施設の稼働開始時期、あるいはハルバ嶺において年間にどれぐらいの砲弾を処理する予定であるのか、そしてその人員がどうなっているのか、このことについて私はまだ存じていないわけですが、わかる範囲でお答えください。
○松田政府参考人 今先生御指摘ありましたハルバ嶺の事業の実施のために、安全や環境に十分配慮しつつ、日中間でこれまで、廃棄技術なり、あるいは廃棄施設の立地場所、それから施設の基本設計等につきまして鋭意協議を進めてきたところでございます。
 今、いろいろな時期、どうなっているんだというお話なんですけれども、発掘回収施設につきましては、中国国内におきます事業承認をこれから取得しました後、施設用地の伐採、造成作業を開始して、それから施設建設に着手する。あるいはまた、施設建設と並行いたしまして、発掘回収のための調達等準備作業をまた並行的にやっていく。それから、実際の実処理施設におきましては、これはまた、現在、設計につきまして協議中でございまして、今後、今申し上げましたような発掘回収プロセスと並行して、これまた段ずれになりますけれども、調達、施設建設等を行っていく。こういう幾層にも分かれたステージを想定しながら、今さまざまな協議を中国側とやっておるわけでございます。
 しかもまた、廃棄自身にかかる時間と申しますのは、実際の遺棄化学兵器が推定量からどう違っているのか、あるいは施設がどのようにうまく稼働するのか、円滑にいくのかといったような、今後の実際の運営のオペレーションの巧拙いかんといったことにもかかわっておりまして、さまざまな相手側との協議等に伴うものであるということを御理解いただきまして、具体的なそれぞれ時期がどういうふうに今決まっているのかと申し上げれば、はっきり言いまして決まっておりません。まさに、決まっていないからこそ鋭意協議をしておるということでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
○泉委員 残り五年間という年限があり、しかし、今聞かれたように、決まっていないというわけですね。
 では、もう一回審議官にお伺いをしますが、二〇一二年までにそもそもこの事業は計画を終了できそうなんですか。できるという前提で今計画を組まれているんですか。
○松田政府参考人 先生今おっしゃいましたような期限というものを、これは当然承知はしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、我が国といたしまして、この化学兵器禁止条約上の義務を誠実に履行していくという方針のもとで、中国とも協力いたしまして、この遺棄化学兵器処理事業の一日も早い完了に向けて最大限の努力を行うという所存でございます。
 精神論じゃないかとおっしゃられれば、そういう中で最大限努力、とにかくやっていくということに尽きるということで、これ以上申し上げようがないことを御理解いただきたいと思います。
○泉委員 官房長官、高市大臣、今お聞きいただいたように、いわゆる官僚答弁の中における一日も早く、最大限、そのお気持ちはよくわかりました。しかし、計画が決まっていないようです。このことをまずよく認識をしていただきたいと思います。
 きょうは外務省にもお越しをいただいておりますけれども、化学兵器禁止条約において、五年間の期限の延長が今回なされました。その後、もし日本が二〇一二年までに義務を履行できなかった場合、これは条約上どういった措置がとられるんでしょうか。
○佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。
 条約上、端的に申し上げますと、延長五年ということだけがまずそこに書いてございます。それでは、さらに五年を延長して、その結果どうなるんだということにつきましては、条約自体はそのことについては何も言っておりません。
 私どもとしては、今ここで、それでは五年たったときにどうなるんだというふうなことを申し上げるのは、正直申し上げまして、余り適当ではなかろうかなと思っております。というのは、私ども、今同僚の内閣府の者からも御答弁申し上げましたように、最大限まずやっていくんだということで、仕事を促進していくというのが最優先というふうに心得ておりますので、この時点で、さらにその五年後のことについて申し上げるということについては、先ほど申し上げましたけれども、適当ではないのではないかと考えておる次第でございます。
○泉委員 今外務省の審議官が、五年先のことを申し上げるのは適当ではないんじゃないかというふうにおっしゃられたんですが、実は担当室の方では、それを暗にもう申し上げているというか、表現しているんですね。
 平成十八年の四月に担当室がつくった、いわゆる化学兵器処理事業の報告書がございます。もちろん、ことしの四月にもつくった同様の文書というのがあるんですね。そこで追加された項目がございます。今までは、「我が国が本事業を行う背景等」というところで(3)までいろいろ記されていました。今回、(4)というのが記されまして、「条約上の期限を念頭におきつつ、一日も早い廃棄の完了を目指して事業を推進。」という表現が新たにこの報告書の中に加わったわけなんですね。
 これはもう既に、私はこの表現を見る限りにおいて、もう二〇一二年の期限を守れない状況が生まれてきているということではないかというふうに考えざるを得ません。でなければ、こんな表現を書く必要はないでしょうし、事実、実際に今から建設をする、これから協議をする、それで本当に間に合うことがあり得るのか、二〇一二年までに計画が完了するということがあり得るのか。これはやはりお答えいただかなきゃならないと思うんですね。
 一日も早く、努力する、最大限努力する、それはわかりました。それは結構です。ですから、その上で、二〇一二年までにすべての事業が終わる可能性があるのかないのか、これをもう一度お答えください。
○松田政府参考人 今先生おっしゃいました、二〇一二年を念頭に置きというフレーズが加わったというところをちょっと今確認できておりませんが、少なくとも、二〇〇七年の期限切れの直前におきまして間に合うのかということよりも、その後の、これから五年弱、これはいろいろあるわけでございますので、その期間をにらんで、念頭に置いて最大限頑張るんだ、そういう趣旨で加わっているものと御理解いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、この事業は、本当に相手のある話、中国側と協力しつつ、ありとあらゆる協議、調整を行った上で、さらにハルバ嶺以外の地点でも新たに遺棄化学兵器がまた発見される可能性もあるので、不確定要素もあるわけでございます。そういった意味で、現時点では事業の進捗に明確な時間づけをするのはなかなか難しいわけでございますが、ただ、いずれにしましても、私どもといたしまして、我が国といたしまして、一日も早い廃棄の完了を目指して最大限の努力を引き続き行っていく、こういうことになるわけでございます。
 今後とも、条約の廃棄期限を念頭に置きまして、中国側とも協力いたしまして、安全と環境に配慮しつつ、廃棄に係る作業をさらに推進してまいる所存でございます。
○泉委員 余り水かけ論になっても仕方がありませんので、こういった状況だということを大臣、よく御認識をいただきたいと思います。
 さらにちょっと詳しく審議官にお伺いしたいんですが、今事業、予算がどんどん執行されております。そういう中で、対中要請の事業の経費というものが、大体この数年ですと年間三十億円ずつぐらい消化をされております。これは中身は何なんでしょうか。
○松田政府参考人 いわゆる中国側に支払った対中要請事業経費というものでございます。
 これは、日本側が中国側に依頼したことによって生じる経費ということで、中国側に支払われるものでございまして、平成十七年度におきます……(泉委員「わかっています。それは当たり前じゃないですか。中身です」と呼ぶ)事業経費、精算額は、先生おっしゃいました三十五億強でございます。
 主な内訳は、各種の小規模発掘回収事業、敦化市蓮花泡あるいは広州市黄埔区、番禺区、それから黒竜江省……(泉委員「ゆっくり」と呼ぶ)はい。敦化市蓮花泡、それから広州市黄埔区……(泉委員「地名ですね」と呼ぶ)地名です。それから番禺区という地名、それから黒竜江省の伊春市、このために要しました経費、それからハルバ嶺の周辺の道路整備に要した経費等でございます。
 かかる経費の内訳等の開示につきまして、これ以上詳しくということでございますけれども、これを公にすることは、中国側との信頼関係が損なわれるおそれもあるということから、差し控えてきたところでございます。
 中国側に支払う経費の妥当性につきましては、今後とも、その内容につきまして十分精査を行って、御指摘のお考えも踏まえつつ、適切な執行に努めてまいる考えでございます。
○泉委員 いや、何か不透明なところがあるんでしょうか、よくわかりませんが。そんな、信頼関係が損なわれるような費用の使い方をされているわけじゃないと信じているわけですが。
 大臣、これは平成十七年でいうと三十五億四千万円、対中要請事業経費ということで、小規模事業ですとか道路整備に使われたということですが、その内訳を出せないというんですね。高市大臣、これは出せませんか。
○高市国務大臣 今答弁があったとおり、公にすることにより中国との信頼関係が損なわれるおそれがあるという状況でございます。
○泉委員 どうしてですか。
○松田政府参考人 今申し上げたことに尽きるわけでございます。
 金額等の内訳をこれ以上開示することにつきまして、公にすることにより信頼関係が損なわれるおそれがあり得るということで、差し控えてきたところでございます。
 日中間のこれまでの協議におきまして、中国側に対しまして、実際、政府といたしまして、経費の妥当性確保の重要性につきましていろいろ強調して、いろいろ資料請求をいたしまして、よく精査をして、私どもとして中国側に確認しつつ対応しておるところでございます。(発言する者あり)はい。そういうことで、私ども、内容の精査を行いつつ、適切に執行しておるところでございます。
 ただ、開示ということになりますと、中国側との信頼関係を損なうということで、これ以上、内容開示は行っていないところということを御理解いただきたいと存じます。
○泉委員 その秘密主義は何なんですか。そうしたら、国民との信頼関係はどうなるんですか。これは国民の税金でしょう。三十五億四千万円の内訳がわからない、教えてもらえない、これはどういうことですか。中国との信頼関係は、それは大事にしてください。国民との信頼関係はどうなるんですか。これはおかしいですよ。
 私は、資料の要求をさせていただきたいと思います。この三十五億四千万円、十七年度を初めとして、これまでに対中要請事業経費として使われたこの予算の中身、内訳について、資料の請求をお願いしたいと思います。理事会で協議をお願いしたいと思います。
○河本委員長 理事会で協議いたします。
○泉委員 さらに質問を続けていきたいと思いますけれども、ハルバ嶺の事業でございます。
 このハルバ嶺の事業については、当初、我が国では七百八十億円の予算の基本設計をしていたわけですが、それが、中国側で資格を持つ方が設計をしないと中国では建設できないとか、向こうの法律に合わせなきゃならないとか、いろいろな理由で、結局、九百七十三億円になりました。ですから、我が国で設計をしたものよりも約二百億円増額をしたということでございます。
 これは、改めて言いますと、ハルバ嶺における発掘回収施設の建設費用であります。これがなぜ二百億円もふえたのか。そこの何がふえたかという部分を教えていただきたいと思います。
○松田政府参考人 今御質問ございましたハルバ嶺におきまして、三、四十万と想定されます、埋設されていると推定をされております化学兵器を、安全と環境に十分配慮しつつ、中国の法律に従いまして迅速に発掘回収をし廃棄するために、いわゆる発掘回収施設、それから無害化処理施設を建設する予定でございまして、このうち、いわゆる発掘回収の施設に要する費用、これをいろいろ見積もりまして、九百四十億と見積もっておるところでございまして、さらに、これ以外に無害化処理施設につきまして別途あるわけでございまして、これは技術や設計につきまして作業を進めてきているところでございますが、具体的にどこまでどのような施設整備とするか、なお不確定な要素が多いことから、そこまではちょっと確たるところは申し上げられない状況でございまして、そうした状況に今、総経費の状況になってございます。
○泉委員 会話になっていませんよね。審議官、できたら会話をさせていただきたいんですけれども、議論を。
 要求したことにお答えいただきたいんですが、まず、我が国で行った、PCIという日本側のコンサルタント業務の会社で行ったものは七百八十億だったと思います。そして、それが中国側の、中国の建設基準に基づいて初歩設計をすると、たしか九百七十三億になったというふうに認識をしております。そのふえた分の二百億というのは、どんなものの二百億なんですか。簡単な質問じゃないですか。お願いします。
○松田政府参考人 御説明申し上げます。
 十八年度予算におきましては、発掘回収施設のうち、契約が見込まれる発掘施設それから発掘装置、回収装置、建設装置等の建設等に要する費用として、十八年度から二十二年度までの五年間で四百四十六億円の予算措置がなされ、その間、ハルバ嶺事業を実施するための日中間の協議に相当時間を要して、スケジュールを見直すこととなったことから、十九年度概算要求におきまして、十八年度予算で措置されたもののうち、十八年度内に契約が見込まれる発掘装置につきましては、年割額を変更、それ以外の発掘施設、回収装置、建設装置等につきまして、十九年度内に契約が見込まれることから、新たに要求することとしたものでございます。そういった今回の要求により、発掘回収施設全体に要する費用が九百六十億余ということになったものでございます。
○泉委員 九百四十億という数字が出てきたり、九百六十億という数字が出てきたり、もう何かさっぱり理解ができません。
 改めて、これも資料の要求をお願いしたいと思いますが、日本側の基本設計、そして中国側の初歩設計、その差額がございます。ここで具体的な数字が間違っているといけませんので、その差額について、どのような違いがあってこの差額が生まれたのか、それがわかる資料の提出をお願いしたいと思います。
○河本委員長 理事会で協議いたします。
○泉委員 続きまして、今回、ニュースで報道されました移動処理設備というものについてであります。
 移動処理設備、これはどのようなものを指すかというのは、新聞情報でしか私も存じ上げないんですが、何となく、トレーラーにプラントみたいなものを載っけて現地に行って、小規模化学兵器を現地で無害化する、それをどこか最終処分場みたいなところに搬送していくのかなというイメージを持っておりますが、これは今、どこまで具体的な中身がわかっているんでしょうか。例えば、予算、台数、あるいはいつから使うという、その辺をお答えいただければと思います。
○松田政府参考人 お答え申し上げます。
 長期間、地中等に埋設されました化学兵器は、変形、腐食等見られて、非常に不安定な状況にあるわけでございまして、これを輸送するということになりますと、やはり化学剤の漏えいリスク等々を伴う、あるいは交通規制、住民対策等が要るというようなことがわかってまいりました。そうであれば、ハルバ嶺に近いところはともかく、その他のところにつきまして、遺棄化学兵器の処理を加速するために移動式処理設備を導入することが望ましい、こういう判断で、導入するということで日中が合意したわけでございます。
 具体的に、この移動式処理設備は、遺棄化学兵器の処理に必要な各設備をコンテナに収納できる大きさにユニット化しまして、これをトレーラー等に搭載いたしまして、各地を巡回しながら化学砲弾等を処理するものでございます。移動式処理設備のこの具体的な運用方法等々につきましては、今後、中国側とも事業計画等につきまして調整しつつ、検討を進めていく所存でございまして、経費の点、御質問ございましたけれども、今まさに、二十年度概算要求の形にどのように盛り込めるのかといったことにつきまして、現在検討をしているところでございます。
○泉委員 これは大きな点の確認なんですが、日中の覚書のところでは、これまで見つかった日本の化学兵器、そして今後見つかる日本の化学兵器を処理するということですけれども、これは禁止条約にかかわらず例えば二〇一二年以降も、その移動処理設備、今後、中国のいろいろなところで開発が行われていくと思います。その都度、小規模にこういった日本の化学兵器が見つかるというケースは、都市を限らず、これからもずっと続いていくことも予想されると思うんですね。
 その意味では、今のところ、政府が予定している、今後予定されている発掘回収事業の小規模なものでいえば三カ所しかないわけでして、今後も見つかるということを見越して言っていくと、これは、今後もずっと、中国国内で見つかっていく化学兵器については、日本のものであれば、化学兵器禁止条約にかかわらず処理をし続けていく。ある意味、そのためのこの移動処理設備とも言えるんでしょうか。
○松田政府参考人 移動処理設備でございますが、申し上げましたとおり、これまで三万八千発の、いわゆる既に発見されまして回収された兵器が各地で臨時保管されておるわけでございまして、これをハルバ嶺に持ってきて処理する、こういうことでなくて、移動処理装置でもって処理をする、これが基本でございまして、さらに……(泉委員「今後もずっと」と呼ぶ)その先、期限切れの先まで見込んでおるのかということにつきましては、今まさに、基本的には期限内でやるということで今考えておりますが、その後どうするかということにつきましては、まだお答え申し上げられる状態にないということで、それも含めまして、来年度要求におきましてまたしかるべく、明らかにできるものは明らかになっていくというふうに考えております。
○泉委員 もうとてもとても、今まだ満足できる状態ではありません。ほとんど明らかになっておりません。両大臣、どうか御認識をいただきたいと思います。
 そして、なぜこの問題を扱うかといいますと、やはりまず第一に、我が国の国民の多額の公金が、税金が使われている事業である、それが、対中国ということで、大変国民の目が行き届きにくい状態であります。そういった意味で、予算が膨らんでいくということは私は看過できません。
 もう最後になりますけれども、例えば一つ例を申し上げますと、この遺棄化学兵器の処理を行うコンサル業務を行うPCIという会社がございますけれども、今、機構に対して一〇〇%の出資をしております。その機構から、さらにコンサルティング事業として、またPCIという会社が再委託を受ける形になっております。ややこしいので、一度パネルか何かで御説明をしたいと思いますけれども、これは随意契約でして、二、三十億円規模でこのコンサルティングの業務が随意契約で発注されているということであります。
 その意味では、実は、事業が長く続けば続くほど、そういった随意契約のコンサルティング料というのも長く発生するような仕組みにも今なっているという状況でありまして、これはやはり、いろいろと不透明なことが指摘をされてはいけない。日中友好のかけ橋になるべきこの処理事業だということも、以前、担当室の方からは聞いておりますので、ぜひやはりその趣旨で頑張っていただかなくてはならないと思っております。
 きょうは、両大臣に対して直接御質問する時間は少なかったですけれども、また改めて時間をとらせていただきますので、どうか、それまでに資料をよく精査して、よく研究をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
     ――――◇―――――
○河本委員長 次に、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに馬淵澄夫君外四名提出、国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案、特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
 これより各案について順次趣旨の説明を聴取いたします。渡辺国務大臣。
    ―――――――――――――
 国家公務員法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○渡辺国務大臣 国家公務員法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 これまで、公務員は、戦後レジームの中で、国家運営の担い手として、国民と国家の繁栄のために積極的な役割を果たしてまいりました。しかしながら、今日、本来優秀な人材が集まっているにもかかわらず、その能力が十分活用されているとは言えない状況にあります。経済社会の変化に対応し、政策企画能力を高めるため、民間の専門能力を取り入れる必要も指摘されており、一方で、予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんや相次ぐ官製談合に対しては、国民の強い批判があります。
 このため、国家公務員に係る制度の改革を進める観点から、人事評価制度の導入等により能力及び実績に基づく人事管理の徹底を図るとともに、離職後の就職に関する規制の導入、再就職等監視委員会の設置等により退職管理の適正化を図るほか、官民人材交流センターの設置により官民の人材交流の円滑な実施のため支援を行う等の所要の改正を行う本法律案を提出する次第であります。
 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 第一に、国家公務員の人事管理の原則として、職員の採用後の任用、給与その他の人事管理は、職員の採用年次及び合格した採用試験の種類にとらわれてはならず、人事評価に基づいて適切に行われなければならないこと、人事評価は公正に行うこととし、その基準及び方法等を定めることを明確にしております。
 第二に、能力本位の任用制度を確立させるため、内閣総理大臣が、職制上の段階の標準的な官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力として、標準職務遂行能力を定めるとともに、標準職務遂行能力及び適性を昇任または転任の判断基準とすることとしております。また、内閣総理大臣は、採用昇任等基本方針の案を作成して閣議の決定を求めることとしております。
 第三に、退職管理に関し、離職後の就職に関する規制として、各府省等職員が、職員または職員であった者について、営利企業等に対し離職後の就職のあっせんを行うことを禁止しております。また、職員が、みずからの職務と利害関係を有する一定の営利企業等に対し求職活動を行うことを規制しております。さらに、離職後に営利企業等の地位についた職員が、一定の国の機関の職員に対して、当該営利企業等が関係する契約または処分であって離職前に関係していた職務に属するもの等に関して働きかけを行うことを規制しております。
 第四に、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行うとともに、官民の人材交流の円滑な実施のための支援を行うため、内閣府に官民人材交流センターを置くこととしております。また、離職後の就職に関する規制の実効性を確保するため、厳格な監視を行う体制を整備する必要があることから、同規制の適用除外の承認、任命権者への勧告等を実施する再就職等監視委員会を内閣府に置くとともに、同委員会に再就職等監察官を設置し、離職後の就職に関する規制違反の調査等を実施することとしております。
 第五に、国家公務員である特定独立行政法人の役職員について、国家公務員法と同様の規定を適用することとしております。
 このほか、国家公務員の職階制に関する法律を廃止するとともに、罰則等についての所要の規定を設けることとしております。
 以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重な御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○河本委員長 次に、提出者馬淵澄夫君。
    ―――――――――――――
 国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案
 特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案
 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○馬淵議員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました民主党提出の国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案、特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の天下り根絶関連法案の提案の理由を説明いたします。
 民主党が行った予備的調査によれば、公益法人など四千五百七十六法人に二万七千八百八十二人もの国家公務員が天下り、公務員が天下った団体に対して平成十八年度の上半期だけで約五兆九千二百億円もの税金が流れています。
 また、防衛施設庁や道路公団の談合事件など、天下りに起因する悪質な事件も後を絶ちません。
 私たち民主党は、政官業の癒着や談合の温床となっている天下りを根絶して、税金の無駄遣いをなくすため、天下り根絶関連法案を提出いたしました。
 以下、その内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、国家公務員法改正案では、天下りを生み出す原因である、中央官庁の早期退職勧奨、すなわち、肩たたきと再就職のあっせんを禁止します。
 そして、抜け穴だらけの現行の天下り規制を大幅に強化します。すなわち、天下りを原則禁止とする期間を現行の二年間から五年間とするとともに、規制の対象となる天下り先も、特殊法人、独立行政法人、公益法人等に拡大します。
 また、中央省庁からの天下り規制に加えて、特殊法人等の役職員の天下りについても、国家公務員と基本的には同様の規制を課すこととします。
 さらに、営利企業や団体等に天下った元公務員が、現職の公務員に契約や許認可等について働きかけるといった行為を規制します。
 公務員制度改革の目的は、公務の公正を確保し、公務への国民の信頼を回復するとともに、公務員がやりがいを持って公務に従事する環境を整備することで、公共サービスの質を高め、国民の生活をよりよいものにすることにあります。
 そこで、国家公務員法改正案では、政府が平成二十年中に抜本的な公務員制度改革実行計画を策定するよう規定しています。
 実行計画の中では、公務員に労働基本権を回復するほか、能力及び実績に応じた処遇を可能とする人事管理制度を導入し、政治任用制度を大幅に取り入れ、現在のキャリア制度は廃止します。
 次に、独立行政法人通則法改正案について御説明します。
 独立行政法人は、国からの運営費交付金を使って非効率的な事業運営を行い、所管省庁から天下りを受け入れるなど、税金の無駄遣いの温床となっています。
 独立行政法人の体質を改めるため、独立行政法人の長の公募、各府省の独立行政法人評価委員会委員や各独立行政法人の監事の独立性向上等の改正を行います。
 最後に、肩たたきを温存し、天下りバンクで公然とあっせんを行う内容の政府案は羊頭狗肉の改革案であることを強く申し上げ、私ども民主党の天下りの根絶関連法案に御賛同を賜らんことをお願い申し上げ、趣旨説明を終わります。
○河本委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十二分散会