第166回国会 外務委員会 第12号
平成十九年五月十六日(水曜日)
    午前九時五分開議
 出席委員
   委員長 山口 泰明君
   理事 小野寺五典君 理事 嘉数 知賢君
   理事 三原 朝彦君 理事 やまぎわ大志郎君
   理事 山中あき子君 理事 長島 昭久君
   理事 山口  壯君 理事 丸谷 佳織君
      愛知 和男君    伊藤 公介君
      猪口 邦子君    宇野  治君
      小野 次郎君    河野 太郎君
      高村 正彦君    篠田 陽介君
      鈴木 馨祐君    田中 良生君
      松島みどり君    三ッ矢憲生君
      安井潤一郎君    山内 康一君
      笹木 竜三君    中川 正春君
      長妻  昭君    前原 誠司君
      笠  浩史君    東  順治君
      笠井  亮君    照屋 寛徳君
    …………………………………
   外務大臣         麻生 太郎君
   内閣府副大臣       林  芳正君
   外務副大臣        岩屋  毅君
   厚生労働副大臣      武見 敬三君
   防衛副大臣        木村 隆秀君
   外務大臣政務官      松島みどり君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  坂井 孝行君
   政府参考人
   (内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長)
   (内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長)    河内  隆君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制部長)          菊池 洋一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 田辺 靖雄君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 菅沼 健一君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局次長)           鳥生  隆君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        岩井 良行君
   政府参考人
   (防衛省防衛参事官)   辻   優君
   政府参考人
   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君
   政府参考人
   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君
   外務委員会専門員     前田 光政君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十六日
 辞任         補欠選任
  小野 次郎君     安井潤一郎君
  新藤 義孝君     田中 良生君
  田中眞紀子君     中川 正春君
同日
 辞任         補欠選任
  田中 良生君     新藤 義孝君
  安井潤一郎君     小野 次郎君
  中川 正春君     田中眞紀子君
    ―――――――――――――
五月十五日
 核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)
 千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の締結について承認を求めるの件(条約第九号)
 職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約(第百八十七号)の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)
同月十六日
 ILOパートタイム労働条約に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九四六号)
 同(石井郁子君紹介)(第九四七号)
 同(笠井亮君紹介)(第九四八号)
 同(穀田恵二君紹介)(第九四九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一七号)
 戦略的な経済上の連携に関する日本国とチリ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一八号)
 経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一九号)
 核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)
 千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の締結について承認を求めるの件(条約第九号)
 職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約(第百八十七号)の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○山口委員長 これより会議を開きます。
 新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、戦略的な経済上の連携に関する日本国とチリ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 各件に対する質疑は、去る十一日に終局いたしております。
 これより各件に対する討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。笠井亮君。
○笠井委員 私は、日本共産党を代表して、日本・シンガポール経済連携協定、EPA改定議定書に賛成、日本・タイ、日本・チリの両EPAには反対の討論を行います。
 今日、我が国とASEAN及び他の諸国との間の多面的な友好協力関係を基礎とした相互の繁栄を築いていくことが重要であることは、言うまでもありません。
 ところが、今回のタイ、チリとのEPAにおいて、政府は、国内の産業分野の痛み分けと称して、国の本格的な対策がないままに、農林水産物や畜産品、食品加工品、軽工業品等の関税撤廃措置をとっています。今回の関税撤廃または軽減措置を実行すれば、地域農業はもとより、関連する中小零細企業等、ひいては地方経済にも与える影響が危惧されるのであります。
 また、介護福祉士受け入れ等の人の移動についても、国民への具体的説明もなく、しかも、労働者としての権利保障も不完全なまま、次々と決められていくことが懸念されます。さらに、タイとチリ両国の附属表に盛り込まれている有害廃棄物の無税輸入措置の問題もあります。
 以上をもって、討論といたします。
○山口委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○山口委員長 これより採決に入ります。
 まず、新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、戦略的な経済上の連携に関する日本国とチリ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○山口委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官長嶺安政君、大臣官房審議官佐渡島志郎君、大臣官房審議官田辺靖雄君、大臣官房参事官菅沼健一君、内閣官房内閣参事官坂井孝行君、内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長兼内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室長河内隆君、法務省大臣官房司法法制部長菊池洋一君、厚生労働省職業安定局次長鳥生隆君、資源エネルギー庁資源・燃料部長岩井良行君、防衛省防衛参事官辻優君、防衛政策局長大古和雄君、運用企画局長山崎信之郎君、防衛施設庁長官北原巖男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三原朝彦君。
○三原委員 私は、この前の連休のときにちょっと北アメリカへ行ってきまして、それで、そのときに、自分でちょっと計画を立ててみて、カナダのアルバータ州のエドモントンの北にアサバスカというところがあるんですが、そこのオイルサンドの現場を見に行ったわけであります。それはもちろん、皆さん御承知のように、今オイルが高値で六十ドルのところにひっかかっていますよね。それで、これから先、我が国の原油のもとである、九割を輸入している中東オイル以外のところで多極化することの可能性みたいなものを、たとえそれが千分の一、万分の一の可能性であっても、百聞は一見にしかずで、ちょっと見てみたいなと思って行ってきたわけであります。
 その連休のときに、麻生大臣も、アメリカと、あとはロシアですか、それとシャルムエルシェイクに行ってこられているんですけれども、それは帰朝報告をこの前お聞きしましたが、エネルギーと直接関係しておるものはなかったけれども、しかし、シャルムエルシェイクあたりの会合というのは、これは間接的には中東の和平、パレスチナ、イスラエル問題含めての和平、やはりそれが、世界の原油のもとになっておる、輸出のもとになっておる中東の安定、安全に大いに寄与するものでもあると思います。
 オイルがメーンできょうは質問したいと思っているんですけれども、今中国あたりはコスト意識も関係なくいろいろなところで手を出して一生懸命やっていますけれども、大臣御自身の資源外交観といいますか、資源外交の基本理念といいますか、それについて御示唆をいただければと思います。
○麻生国務大臣 今、日本の場合は、化石燃料、主に石油のほぼ九〇%を中東諸国から輸入という形になっております。加えて、このところ石油の値段は約六十ドル、一バレル当たり二十ドルぐらいだったものが六十ドル前後に張りついているわけです。
 今言われましたタールサンド、オイルサンド、いろいろありますけれども、こういったものが採算ベースに乗っかるためには、多分四十ドルぐらいを切るか切らないかになりますと、石炭の液化、それからタールサンド、オイルシェール、いろいろありますけれども、そういったものが採算ベースに乗ると言われております。
 したがって、石油といえども国際商品ですから、そういうものが値段的に四十ドルぐらいのところで損益分岐点に乗るということになるのであれば、石油の値段も必然的にそこまで下げられる可能性がありますので、そういった意味では、この種の新しい化石燃料の可能性というのは、他のものに与える影響は極めて大きいと思っております。
 したがって、今LNG等々のものを含めまして新しいものが出てきておりますので、石油に限らず、LNGの比率として、日本は、例えばカタールのLNG、四百万キュービックトンぐらいのうち、その全量を多分中部電力が輸入していると思いますが、こういったようなものの輸入によって、カタール一国の全生産量ということになろうと思いますが、そういったものが輸入されているように、いろいろ八方手を尽くしているところだと思います。
 こういったものは、一つの資源に偏ることなく、いろいろな資源になるべく分散、加えて輸入されるもとがなるべく分散されていた方が、安全保障上、日本にとってはいいということになろうと思いますので、それとコストとのバランスがどうなるか、一極に集中すればその分だけ安くなりますけれども危険も上がるということになろうと思いますので、そこらのバランス感覚が最も難しいところかなというのが基本的な認識でありまして、その上で、それらの国々との関係で、石油以外の関係もあるから日本にはという形になっていくというのが望ましい方向だと考えております。
○三原委員 確かに、今おっしゃったように、エネルギー資源、原料の多極化、いま一つは地域の多極化、こういうことが大切だということは、それは我々も重々理解するところでありますし、もちろんそれに加えて、経済的な面、コスト・ベネフィットで、コストばかりかかったのではどうにもならないわけですから、その面でもやはり大いに問題があると思うんです。
 実は、カナダに行ったのは、今まさにおっしゃったように六十ドルぐらいにオイルが高どまりになっているものですから、それですごくカナダのオイルサンドが元気がいいということで、現場を見に行ったわけであります。
 二〇〇六年の五月に経産省が出した新・国家エネルギー戦略という中にも、三つの柱があって、世界最先端のエネルギー需給構造を実現した中で、資源外交、エネルギー環境協力を強化して、緊急時対応の充実をするというようなことをうたっているんですけれども、その中でも、もちろん理屈の上では、ここに書いてありますように、「海外での探鉱開発活動の強化や供給源の多様化、調達力の強化、産油国・産ガス国等資源国との多面的な関係強化」というようなことも書いてあって、問題点は大いに押さえてあるわけでありますが、それのより具体化ということになりますと、やはり行き着くところは、経済性があるものですから、資源といえども国際価格なものですから、それに左右されていろいろ変化もするわけであります。
 カナダの期待度といいますか、それに関して、今言いました新・国家エネルギー戦略をずっと初めから読んでみたら、カナダに対してどういう考えがあるかなと思ったら、わずかに一言だけ、「供給源多様化の取組は、最近では、ロシア、カスピ海周辺地域などでの取組に成果をあげてきている。これらの地域に加え、今後、リビア、ナイジェリアをはじめとするアフリカ諸国、南米諸国、カナダなどでの取組を積極的に展開する。」カナダとここで一言出てくるだけで、あとはほとんど余り重要視されていなかったんですよね。
 ところが、行ってみたら、皆さんも御承知だったですか、オイルの埋蔵量からいいますと、形は別にして、タールサンドやオイルサンドや液体のままで下にあるもの、全部違いますけれども、埋蔵量からいうとカナダのオイルサンドというのはサウジアラビアに次いで世界で二番目にあるということなんですよね。それほどまでのオイルサンドの存在というものを政府はもちろん認識をしていたからでしょう、七九年ぐらいから、細々とではあっても投資をして、開発のために横並びになってよその企業と一緒になってやってきたり、そういうものの援助もしたんですけれども、どれほどの期待度をカナダのオイルサンドに対して持っておるのかというのを、ちょっと尋ねてみたいと思います。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生から御指摘をいただきましたように、カナダは、オイルサンドも含めますと、原油確認埋蔵量は千七百八十億バレルということで、サウジアラビアの二千六百四十億バレルに次ぐ世界第二位の埋蔵量を持ってございます。また、先ほど外務大臣から御答弁もございましたように、原油輸入の九割を中東に依存しておるというような観点から、供給源の多様化にも資する、あるいは、太平洋を挟んで我が国の隣国であり、かつ政情も大変安定をしておるというようなところから、非常に重要な非在来型資源ということで認識をしておるところでございます。
 ただ、先ほどまた外務大臣から御答弁がありましたように、経済性というような観点から、これまでは、油価の関係で必ずしもこのような形で我が国に輸入しているということではなかったわけでございますけれども、御指摘のようなエネルギーセキュリティーの確保の観点等も踏まえますと、大変重要な資源であるというふうに考えております。
 御指摘いただいたように、我が国企業の投資にも助力をしてまいりましたけれども、将来は、カナダがアジア諸国向けにオイルサンド由来の原油を出荷できるというような可能性、またこのためのパイプラインの整備といったものにも注目をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○三原委員 まさにそのことなのでありまして、私は、現地まで行っていろいろ教えてもらってきたんですけれども、そこの日本カナダオイルサンド株式会社というのが資源開発株式会社の下に、日本にあるそれの親会社みたいなのは日本の商社とかオイルに関係ある製油会社あたりが少しだけお金を出していますけれども、その下にあるJACOS、日本カナダオイルサンド株式会社というのは、一〇〇%日本の国産の会社なんですけれども、そこに行っていろいろ聞いてきました。
 今のところはバレル当たり三十ドル以下ぐらいでオイルをつくることができるんだそうです。とったオイルは物すごく固化しやすいものですから、近接して露天掘りでやっている大きな会社があるんです。これはアメリカのオイル系の会社がメーンでやっているんですが、そこにとったものは売って、日本にカナダのオイルが来ているわけじゃないんですけれども、やっと採算ベースに乗ってもうかるようになっていますと言っているんですね。働いている人はまだ百二十人ぐらいだったかな、小さな会社ですけれども、大いに元気よくやっておられて、そこの社長さんなんかも、私は十年間カルガリーに住んでやっているんですと言われていました。
 フォートマクマレーというところなんですけれども、何か一種の、例のゴールドラッシュじゃないけれども、あっという間に町ができて、元気になって、東の方の第一次産業に従事していたようなカナダの人たちがどんどん移住してきて生活を始めているというような感じで、本当にゴールドラッシュの時期ってこんな感じだったんだな、現代のゴールドラッシュだなという感じで私は見てきたわけです。
 もちろん、日本の関係しているJACOSという会社のとれるオイルというのは、日に一万バレルもあるかないかですから、日本の輸入が日に四百万バレル以上でしょう。それから考えると、まだまだ本当に微々たるものだけれども、我が国政府がやるところの、何とかして国策で、国産化率といいますか、日本が直接タッチをして、オイルを、生み出すものをふやしていこう、こう言っているわけです。今は一割五分ぐらいあるのかな、日本の入れているいろいろなエネルギー全体だと。オイルなんかだと、ほとんどそうじゃありませんからね。
 その面では、これから大いに、バレル当たり六十ドルに世界の指標が張りつくとすれば、私は、これから先、政府あたりも開発のための援助をと思いましたけれども、ところが、石油公団問題があって、解体されて以来、日本でそういうことを援助するときには民間主導でやると。
 それで、私はちょっと誤解していたんですけれども、石油開発のためのリスクマネーの供給機能はあるけれども、出資はしますけれども、民間企業にもお金を貸しますから大いに頑張ってくださいよというのは、一度石油公団で、なかなかコスト・ベネフィット意識が明確じゃなかったというので、それをつぶしちゃってからは、独立行政法人のJOGMECになってからは、日本の政府の方針が変わったんですね。そこは、今になってみたら、いや、やはりこれだけオイルが高くなったのなら、本当は政府がやれるときに融資をしてでもやった方がよかったんじゃないかという、げすの後知恵みたいといいますか、そんな感じもしなくもないけれども、しかし、方向転換した以上は、民間に大いにチャレンジしてもらうということになると思うんですね。
 そういう意味では、日本も、これから先、もうちょっと民間が頑張ってもらうということになると思うんですが、まだ政府が資本をいっぱい持っているJAPEXというのがありますね、石油資源開発株式会社。これも、将来は、石油公団からJAPEXの方に株なんかを落としていって、それをいずれは上場して売っちゃいます、こういう形になっているんですけれども、しかし、それだけで、本当の意味での安定した、日本国が関与して取り出すところから消費者のところまで持ってくるオイルの安定供給というのができるだろうかと。今になってみたら、どっちがよかったんだろうかなという気もしなくもないんですけれども。しかし、来た道を戻るわけにいかないから、我々は、民間をサポートしながらやっていこうと。
 アメリカあたりでは、もちろん企業が大きいですからね、世界の、今三つあるんですか、モービル系とBP系とダッチ・シェル系ですか。こういうところは、自分の資本でばんばん開発していく。しかし、それに比べれば、我が国の民間石油企業というのは本当に小さなものですから、巨人と子供みたいな感じになりますから、そこのところの差みたいなものを考えたときには、何かアイデアが、ただリスクマネーは初めの開発のための供給機能にだけというような感じじゃなくて、もっと前向きな方向性みたいなのが、今考えてみると、もう一度再考できるような場面がないのかなと。私は、オイルサンドの広大な開発現場を見て、ここでもっとどっしりやればという感じがしたんですけれども、そういう前向きな考えはどうでしょう。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘をいただきましたように、石油公団時代におきましては、出資、債務保証ということに加えまして、いわゆる成功払い融資というような融資制度も持っておりました。
 石油公団を廃止いたします際に、責任関係が必ずしも明分ではないという御批判のありました融資は廃止をすることといたしまして、新たに設立いたしました独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、私どもJOGMECと呼んでおりますけれども、これによる支援措置は、上限を五〇%とする出資及び債務保証にするという新しい方針を打ち出したわけでございます。
 他方で、その後の変化といたしまして、先ほど来御答弁をさせていただいておりますような石油、天然ガス価格の上昇というようなものを背景に、石油、天然ガス開発に伴うリスクが上昇しているということが起きてございます。
 例えば、今日、世界各地における石油、天然ガスの開発をめぐります環境について見ますと、油ガス田が大深水化、かなり深い海の底の資源に取り組んでいかなければいけないというようなことが起きておりまして、探鉱開発の実施が技術的に困難であるということに加えて、探鉱コストが非常に上昇しているというようなことが現に起きておりますし、また、数少ない優良案件に多数の企業が応募をするというようなことから、サインボーナスと言われております探鉱の参加費というものが高騰をしているというような現象が起きておりまして、プロジェクトそのものの巨大化、かかる資金の増加というものが、現にここ一、二年急速に進んでおるというのが実態でございます。
 また、それに取り組んでいく我が国の開発企業も、先生御指摘のようなメジャーと言われる欧米企業に比べますと、財務基盤が極めて脆弱であるということもございます。さらに、世界的に自国資源の国家管理を強化する流れがございまして、油ガス田の権益を産油国側の国営石油会社が支配するという例が非常に強くなっておりますので、国としてのコミットメントを強めていかないとこういった流れに対応できないのではなかろうかというようなことも最近の大きな要因として私ども理解をしてございます。
 こういった厳しい環境の中で、どうやって我が国の開発企業が、御指摘がありましたオイルサンドも含めてでございますけれども、メジャーに伍して上流の開発ができるかということからいたしますと、民間企業へのリスクマネーの供給の必要性というのはここ数年で極めて高まっているという認識でございます。
 したがいまして、今年度から、今申し上げましたJOGMECによる出資及び債務保証の割合を、五〇%というところから七五%まで引き上げるという形で支援を強化させていただくことといたしました。また、資源権益の確保のためには一定の資金が必要でございますので、こうした資金を供給することを支援するという観点から、新たな貿易保険を創設いたしまして、開発に必要な資金の調達に便宜を図るといいましょうか、支援をさせていただくという制度も今年度から始めさせていただくこととしております。
 したがいまして、今御指摘がありましたようなことを私どももよく踏まえまして、今のような支援制度の拡充をしておりますけれども、先ほど来御答弁があります資源外交と一体となってこうした問題に取り組んでいきたいというのが現在の私どもの考えでございます。
○三原委員 資源外交をするときには、この国が安定していなきゃいけない、なおかつ、その国が国際市場でもルールをちゃんと守る状況じゃなきゃいけない。カナダの場合にはそれを両方ちゃんと満たしているわけですよね。
 私は、事業もしてこられた麻生大臣にお聞きしたいんですけれども、今言ったように、カントリーリスクみたいなのはもう心配しなくていい。ただ問題は、私が思うに、それはオイルの値段が六十ドルであればいい。さっきおっしゃったように四十ドル以下だと、コストがペイするかせぬかというようなことだ。二十ドルまだ今だともうかるんですね。それは逆になることだってあるかわからない。これでまたオイルの値段が昔みたいに二十ドルから三十ドルで張りついたら、今度は赤字になっちゃうんです。
 そこのところを何とか考慮して、それはずっとマイナスになれば民間企業はやっていけないから当然のことなんだけれども、開発だけにお金をつぎ込むんじゃなくて、通常のものでももうけ損というのがあったときには、国がそのときだけぐらいは何かするような感じでシステムができたとしたら、麻生大臣が事業家なら、そうか、それならちょっとやってみるかという形になりませんかね。
 今言ったように、中東と違って、いつドンパチがあってというようなこともないわけでしょう。サウジアラビアの次に、もう本当にあるんですよ。掘ったらあるし、それで今、掘らなくてやるシステムは日本も一生懸命研究して、二百六十度ぐらい高圧のお湯を入れ込んで溶かしてそれをとったって、それで三十ドルぐらいで今とれるというんですよ。その高圧にする、水を熱い湯にするためにはどうするかといったら、そこを掘ればガスが出るから、今ガスの値段がどんどん上がってきて、それがコスト高につながっているけれども、それ以外のところでは、今の技術でどんどんやれるんですと現場の人が言っているんですね。
 そういう状況になったとしたら、一面では国の内閣の一員として、片一方では事業家として、さあ、解決策どうしますか。
○麻生国務大臣 これは三原先生、経営者というのはもうからなきゃやらないんですよ。極めて簡単です。黒か赤か、それだけですから。もう答えは紙一枚。それが赤になるか黒になるかしか興味がありませんから。そういった意味では、今のあれがコストが合うか合わないかというところがすべてになるんだと思いますね。
 私ども、昔、石炭をやっているときには、石炭の液化というのが随分と話題になったんです。技術的にはできなかったんですが、神戸製鋼や何かは今三十五ドルぐらいになっているんじゃないか。三十五ドルまで下げてきているんですよ。これは物すごい技術でして、これができ上がりますと、多分、どうでしょう、今インドネシアのセレベス・マカッサル、スマトラ、ボルネオ、あの辺あたりには筑豊炭田の七倍とかいうところが、アッシュ三%以下の石炭というのが何も手つかずで残っている地域がありますので、あれを開発するなんということになって、今液化がもしそれで成功することになったら、石油とはまた違ったものになります。
 ただ、三原先生、考えておかないかぬのは、これによって出てくる、今地球温暖化に関係しますCO2等々の、二酸化炭素というものの、いわゆる地球に与える環境というようなものを今後どう評価していくかということによって、それは今原子力によってかなりの部分が置きかえられようとしておりますけれども、そういったときになってくると、その石油の値段は、逆に、これも国際商品ですから、一挙に暴落しやしないかなと考えるのも経営者だと思いますので、そこのところはなかなか、よほどのあれがないと、保証があるとかなんとかということがないと、なかなか踏み出さないでしょうし、逆にもっとやっていった場合は、それはコストはもっと下げられることになるかもしれません。今で三十五ドルとすれば、大量にいけば二十ドルになるかもしれぬという、そこはちょっと経営者としての判断だと思いますけれども。
○三原委員 確かに、この新エネルギーの、経産省が出したものの中でも、今大臣がおっしゃったように、環境に対する配慮というのは常にこれは書いてあることは書いてあるんですね。それはちょっと考えてみただけで、今我が国は一億二千万の人口で四輪車というのが七千万台弱ぐらいありますよね。もし、日本と同じような希望があって、中国の人みんなが、それだけのパーセンテージで車を持ちたいと思ったら、十倍の人口だったら七億台の車、こういうことになって、信じられないほどのCO2、今、日本でも、企業あたり、重厚長大産業あたりは一生懸命CO2を抑えています。民生が一番CO2を出すのが多いと言われていますからね。それから考えると、今御指摘あったように、化石燃料で車を動かすことを中心に考えると、それは確かに大変なことになるであろうと。
 しかし、理屈を言うようですけれども、今度はオイルがとれれば、それはCとHでできていますから、CとHをいろいろな技術ではがして、Cの方は今言われたように液状化して地球の中に埋めていくとかそういうこと、そしてHは電気燃料で使う、こういう話もあるわけでありまして、それもまた、技術がどれだけ進むかということなんでしょうけれども、それによって、このオイルの価値あたりも変化するでしょうが。
 時間になりましたので、終わりにしますけれども、私はやはり現場を見てみて、何といったって安定供給できるというので、ロイヤリティーだって数%アルバータ州に払えば、あとはもう努力次第で企業ももうけることができる。そういうことがあるから、そうなれば、私はもっと、そこのところは、値段が高くなったり安くなったりしたところに、赤字になったときには何らかの形で、高くなれば、もうけたものの半分ぐらいは国がもらうじゃないけれども、そういうたぐいの何か新たな政策といいますか制度みたいなものを考えて、もっと真剣に、私が見てきた例のアルバータ州の、世界で二番目の埋蔵量のあるオイルに対する興味を国が持つべきだと私は強く思ったような次第であります。
 最後に、それに対して、今、岩井さんは、融資とかそういうのも考えてみる、出資も高く持っていくようなことも説明されましたけれども、五割を七割五分にするとか言われたけれども、いま一遍、安定供給という面からの国の決意といいますか、ポジティブな話を聞かせてもらって終わりにしたいと思います。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども御答弁申し上げましたように、我が国にとってエネルギー資源を安定的にいかに確保していくのかということは極めて重要でございますし、なかんずく中東依存度の高い石油というものを頭に置きながら、どのような供給源の多角化、あるいは自主開発も含めまして、安定的な供給の確保ということが極めて重要でございます。
 そのような中で、オイルサンドというような非在来型資源の重要性を十分頭に置きながら、また、そうした長期にあるいは多額の資金を要する事業でございます。このオイルサンドの話も、商業生産まで二十年かかっております。そういった資源開発の特性を十分頭に置きながら、私どもは我が国のエネルギーの安定的な確保並びに環境との調和ということを頭に置いて、民間企業の活動を十分に支援させていただきながら、国として全力を挙げてこの問題に取り組んでいこうと考えている次第でございます。
○三原委員 ありがとうございました。
 終わります。
○山口委員長 次に、中川正春君。
○中川(正)委員 おはようございます。
 きょうは、対立法案もありませんので、改めてゆっくりと一度、外務大臣のさまざまな所見をお聞きしたいという謙虚な気持ちで来ました。
 いろいろ課題がある中で、やはり、ちょっと北朝鮮を一遍ゆっくり議論してみたいなというふうに思っておりまして、それを中心にきょうは質問をしていきたいと思っています。
 六カ国協議が、一つの単位になっておったのが四月の十四日、それからもう一月以上になってくるわけでありますが、このバンコ・デルタ・アジアの問題が、ヒルさんによれば、もうすぐだ、もうすぐだと言いながら、恐らく今はアメリカの銀行経由でというふうなことの交渉をやっているんだというのは新聞紙上でも読んでいるんですが、日本に対しては、今このバンコ・デルタの問題はどこに問題があって、具体的にはアメリカとしては解決期限というのをいつに置いているかということ、これを通報してきているかということと、それから、それに対して日本は、この問題に対して基本的にはどのように対応をしていこうとしているのか。ただ待つだけなのかということですね。そこのところを、まず入り口として答えていただきたいと思います。
○麻生国務大臣 御存じのように、これは中川先生、バンコ・デルタ・アジアの話につきましては、日本という国は当事者ではありませんので、アメリカとバンコ・デルタ・アジア、中国、それと北朝鮮ということになろうと存じます。
 その意味で、最初はバンコ・デルタ・アジアに預金されております約二千五百万ドル相当の金の凍結を解除というのがそもそもの話だったんですが、解除はしたけれども解決にならなかった。
 次は送金だという話になって、それは話が違うんじゃないのか、送金まで何でおれたちがしてやらなくちゃいかぬのだという話になって、この送金の手続、おまけに送金もそっちで持ってきてよ、運べみたいな話になってくると、それはちょっと、何を考えているんだ、そんなところまで、もともと不正の金を凍結解除してやっただけでもというところに、何で送金までするんだ、これは当然いろいろな意見が出てくるところでありまして、今そこのところが話としてごちゃごちゃしておるというところだろう、私どもの得ている情報ではそういうことになります。
 したがって、ではこれが、だんだん条件が幾つも幾つも出てきますので、次は、お金を送金したら、今度はそのあれが新券じゃなきゃだめだとか、いや、二十ドル札にしろとか、何とかかんとかわけのわからないことを言い出し始めまして、これは単なる引き延ばしなんじゃないのという話が当然出てくることなんであって、そういう話になってきますと、今までの話とは大分違ってくるのではないか。
 したがって、国務省、財務省、国内にもいろいろ御意見もありますし、同じ役所の中でまたいろいろ意見があるというところが私どもとして見ているところですが、残念ながら我々は当事者じゃありませんので、何ともそこのところは、これ以上なかなか申し上げるわけにはいきません。
 ただ、過日のブッシュ・安倍会談の中におきまして、少なくともこの問題をいつまでもこのまま放置しておくというのにも我慢の限界もあるのではないかとブッシュも言い、向こう、こちら、双方とも意見が、そこらのところは、あめとむちの話で言えば、圧力をもう一回高めなければならぬのではないかという話が双方で出て、その段階でもう一回その話を詰めないかぬということに今なりつつあるという段階であろうと思います。
○中川(正)委員 恐らく、金額としては三十億ですからね、日本の単位に直して。これだけを今のようなこだわり方をするというのは異常だと思うんです。
 その意味では、バンコ・デルタそのものが海外への窓口であった、いわゆる資金の窓口であったというふうな見方を我々もした上で、その資金ルート、私は新聞紙上での情報しかないんですが、バンコ・デルタがアメリカの金融当局に北朝鮮からそういう取引をしたいと言ってきているんだけれどもアメリカとしてはいいか、こういう問い合わせをしたときに、アメリカとしては、バンコ・デルタがやってくださいよ、こんな話もあったんだというふうな新聞紙上での報道もありましたけれども、それを考えていくと、送金ルートにこだわるというのは、やはり窓口としてこのバンコ・デルタをこれからも使っていきたい、あるいは、そうした送金ルートを確保していきたい、そういう北朝鮮の意図なんだろうと思います。
 それに対して日本としても、そういうルートをつくらせていくのか、それとも形の上だけ、いわゆる三十億に限定した形で解除をして、送金ルートというものに対しては途絶えていく、そこで締めていく、北朝鮮に対しての金融制裁的な意味合いで締め続けていくんだ、そういうところを考えていくのか。これは日本の方針としても基本的に持っていなきゃいけないところだというふうに思うんですよ。そこについてはどのような見解をお持ちなんですか。
○麻生国務大臣 これは、中川先生、初期段階の措置に対する対応というのが例の二月の十三日で決まりまして以後、約六十日ということになっておりますので、その意味で、これまでのところ、BDAをネタに、単なる引き延ばしと思われるような感じのところがないわけではありません。
 したがいまして、今の段階でこれをやるとかあれをやるとかいうわけではありませんけれども、少なくともその初期段階の対応というものが全くないまま送金ルートに関して緩和するというような気持ちはございません。
○中川(正)委員 単なる引き延ばしではないんだと私は思うんです。本気になって彼らは送金ルートを確保していく、これは国としてののど元を絞められている話ですから、これを何とか解除しようというのが彼らの意図だと思うんですよ。そこのところをこちらの戦略としてもはっきりと規定する。そこを解除していいのか、送金ルートを確保させていいのか、それともそれはまだ締め続けていくのかということをやはりはっきりとした形で政策としてこちらも持つ、あるいはアメリカに対してもその辺の腹の決め方をはっきりさせるということが必要なんだろうと思っております。
 そういう点で、さっきの話でいくと、そうした意味での情報もなかなかしっかり伝わっていないような、そんな印象を得たということなんですけれども、もしそれ以上に、アメリカとの間でさっきの基本的な戦略的なところで考え方が一致しているところがあるんだとすれば、答えてください。
○麻生国務大臣 アメリカはやる気なんかありませんよ、基本的には、財務省としては。したがって、そういったものを、偏った情報をもとに公の話をされるとえらい話が込み入りますので、中川先生、きちんと整理していかないといかぬと思いますが、財務省と国務省とはいろいろ意見が違うとは想像はします、私らも双方から聞きますから。ただ、それが本当かどうかは、他国の話ですから。したがって、そういった話の内容を、御党の中でもいろいろ意見が分かれているのと同じように、他国の中の、しかも他国の省の中の話を我々が全部どうのこうのと言う立場にはありません。
 したがいまして、今の段階で、アメリカとしてどうのこうのやろうということにしていることに関して、我々、財務省レベル、外務省レベル、いろいろなルートがありますので、それを知らないわけではありませんけれども、そこのところを今どちらの方でいこうかといえば、我々としては、初期段階の対応が全然なされないまま今の状況を緩めて送金ルートを確保するなどというつもりはありません。
○中川(正)委員 そうすると、さっきのお話を逆に解釈すると、まず初期段階の、いわゆる寧辺の核の廃棄とIAEAの査察、この辺がしっかり入るということ、これが実現できれば、逆に、北朝鮮が送金ルートを確保していくということに対して日米も許容していく、こういう方針だというふうにさっき私は受け取ったんですが、そういうことだ、そのようにさっきの答弁を理解しますが、それでいいんですね。
○麻生国務大臣 IAEAの話、寧辺の話とこの送金ルートの話が直接リンクしているわけではありません。寧辺、IAEAの話は、あれは六者協議の話ですから。六者協議で決めた話ですから。BDAの話というのはアメリカと北朝鮮との直接交渉の話なんであって、こちらと直接関係しているわけではありませんよ。ここのところはよく混線されますけれども。
 ただ、こちら側の方はそういう六者協議とは関係ないということをずっと申し上げておりますが、北朝鮮は、これがなければ、BDAの話が解決しない限りは六者協議に応じないという話になってきたので、そこでアメリカと北朝鮮の直接交渉をやってもらう以外に、おれたちはそれは全然関係ありませんからという話を申し上げたというのがこれまでの背景であります。
○中川(正)委員 いや、話が混乱していると思うんです。さっき最初の答弁で言われたのは、初期段階の条件が整わない限りはアメリカも日本も送金ルートの確保を許すなんというようなことはしませんよ、こういう答弁だったんですよ。それが、さっきの話がまた逆に戻っちゃったんですが、それだけ、恐らくこの話が整理ができていない。
 ということは、送金ルートを確保させるかどうかというところまでしっかりとした洞察といいますか話し合いができていないままに、表面的なというか、とりあえずこの三十億を北朝鮮が言うように送金するというルートを確保していこうということに一生懸命なっているというところで終わっているような気がしまして、そこのところは指摘をしておきたいんですが、恐らく、ずっと詰めていったってさっきのように行ったり来たりの話になると思うので、どうも大臣の答弁を聞いていると。そこのところは基本的に日米の間で詰めておかなきゃいけない話だというふうに思います。それを指摘しておきたいと思います。
 その上で、実はもう一つ詰めておかなきゃいけない話があります。
 というのは、これは新聞での報道なんですけれども、駐ソウル、韓国のアメリカ大使、バーシュボウさんが現地で韓国の国会議員に対して、平和協定が九月までにこの調子でいくと実現するんじゃないか、九月というのはAPECの前に米朝の平和協定、さらに言えば、南と北の間の今の交戦状態というのが、それが休戦になっているわけですが、それが正常化して、戦争状態でなくなるというふうなところまではいけるんじゃないかというふうなコメントをしたりしながら、大分前向きに六カ国協議の中の米朝というものについては進めていこうという意向が国務省の方にはあるんだろうというふうなことがうかがえますよね。
 それはそれでアメリカの意向ですから、その辺をしっかり踏まえた上で、今度は日本の問題としてもう少し詰めていかなきゃいけない問題がある。それは、こういう調子でいくと、日朝の作業部会というのは、一つ拉致の問題がある。今のところ、拉致の問題が進展をするという状況がない限りは、日本は例の五万トンあるいはそれに続く九十五万トン、これについての支援には加わっていかない、さらに、さらなる制裁措置といいますか、そういうものも考えていくというふうな方向性で今交渉を進めているんだというふうに私は理解をしております。
 それでいいんですか。
○麻生国務大臣 過日の六者協議の中において、日本としては、少なくとも、この初期段階の対応というところに至るまでの間で五万トンプラス九十五万トン、合計百万トンの石油というものを初期段階の対応に応じれば出すという話になったというのは今御指摘のあったとおりです。
 しかし、日本としては、うちは拉致、核、ミサイルといって核とミサイルプラス拉致の問題を抱えているので、この問題の進展が見られない限りは、九十五万トン等々の分担、今でいきますと、ドルで計算して、どうでしょう、三億五千、約三百五十億円ぐらいになろうかと思いますが、こういったものに関して応じるつもりはありませんということは、他の四カ国も納得の上でこの話をいたしております。
 したがいまして、日本としてはこの拉致の問題に関しては別問題ということで、五つ作業部会がありましたので、その作業部会の中で日本としては全然別建てでこれをやるということでやって、私どもとしては、そのほか、ハノイでしたかどこだかでもう一回やりましたけれども、なかなかその場合の進展は得られず、向こうから誠意ある対応は得られなかったというのが現状。したがって、日本は九十五万トンのものに対して応じるつもりはないということをこれだけ申し上げて、他の四カ国もそれは十分納得をした上での話になってきております。
 したがいまして、このいわゆる五つの作業部会のうち、拉致以外のほかのところも全く進展していないという形になっておりますので、今、アメリカの駐韓大使の話がありましたけれども、国務省も、ヒル次官補を初めいろいろ希望的観測は、数日で終わる等々の話がこれまでもありましたけれども、そのような結果は出ていないというのがこれまでの経緯でありますので、観測としては伺っておきますということが我々の立場であって、これは、外交をやります者にとりましては、結果が出た上でないと何とも申し上げられるところではない。希望的観測で何らかのお話はこれまでも何度となくありましたけれども、結果はいずれもそうではありませんでしたというのがこれまでの結果だと存じます。
○中川(正)委員 韓国は、大臣級の話し合い、あるいはこれまでの関係を相当緩和しながらやり始めているし、この間、私韓国へ行きましたら、この五万トンの重油についても、バンコ・デルタの状況を見ながらということなんですが、ちゃんと積み荷を用意して港に向いて置いているんだ、こんなようなことを言っておりました。
 そんな中で、このままいくと日本が孤立していくんじゃないかという議論があり、これを一生懸命、いや、そうじゃないんだ、さっきのお話のように、周りの国が理解した上で、九十五万トンについても、拉致問題が進まない限りは、我々も断固これについては応じられないという姿勢でいくんだ、こういうことだと思うんですね。
 そこで、もう一つはっきりさせておかなきゃいけないと思うのは、拉致問題に進展がなければということなんですが、一つは、例えば韓国が今やっているように、向こうが応じなければ何もならないんですが、バンコ・デルタの問題があっても、韓国と北朝鮮の間の話し合いというのは進めているわけです、いわゆる作業部会的に。日本も、拉致問題を中心にした、向こうは国交正常化までという話なんですが、この部会というのは進めていくこともできると思うんですが、なぜ進めないんですか。あるいは進めようという働きかけというのはこれまでしたことはあるんですか。
○麻生国務大臣 それは中川先生、何度となくあります。応じてこないのは向こうですから。したがって、私ども、今孤立のお話がありましたけれども、孤立しているのは向こうであって、こちらだと思ったことはございません。
○中川(正)委員 同時に、日本がそういう立場であるとすればそれは尊重しようじゃないか、こう言ってくれているアメリカや中国、あるいは韓国についても、私、ずっと回ってきた中でいくと、何とか拉致問題も知恵を出して解決していくというような方向を持ちながら、日本も、核の問題を中心にして初期段階のプロセスに入っていくという前提の中で参加をしてくる、いわゆる支援に対しても参加をしてくる、あるいは同じ歩調の中で、特にアメリカとの歩調、あるいは韓国との歩調を合わせていくという弾力的な政策をとってほしいというのは、政策担当者から本音の話としてさまざまに出てくる、これも事実だと思うんですよ。それだけに、日本として、今の段階でやはり拉致問題に進展がなければという、拉致問題に進展という中身について具体的に何を意味するのかということ、これはさまざまなレベルがあるんだと思うんです、進展の中の。
 日本はどの段階の話をまず第一段階として進展と考えているのかということ、これはやはりもう少しはっきりさせておく方が、これからの連携を特に大切にしていかなければならないということは、北朝鮮はいつもその連携を切り刻んでくるわけですから、お互い反発し合いながら六カ国協議の歩調を乱させる、そういう戦略にくるわけですから、それに対してもある程度のメッセージは発しておく必要があるんだろうと思うんです。これは国内向けにもやはりそういうことだというふうに思うんですが、そこのところはどういうことですか。
○麻生国務大臣 これは中川先生、進展の話につきましては、いろいろな委員会の答弁でも何度となくお答えをしているところでもありますが、今、御存じのように、先方側の方は、拉致問題は解決済みというのが向こうの答えですから、したがって、拉致問題はないというのが向こうの立場であります。私どもは拉致問題はあると言っておるのであって、もう全く話が違っておりますので、拉致問題というものがまずあるかないかですから、あるという前提に立って、少なくとも調査の協力はしてもらわないかぬ。それでもう、少なくとも、ないからあるに変わるだけでも進展ということになろうと存じます。基本的なところですよ。
 解決の話というのは、また全然別の違う話なのであって、少なくとも、生存者の引き渡し、問題の真相解明、そして犯人の引き渡し、これをもって解決ということを申し上げているのであって、少なくとも、向こう側にその種の話に誠意ある対応というのが最低限出てこない限りは、進展とはなかなか言いがたい。一番基本的なところだと存じます。
○中川(正)委員 ということは、日朝の作業部会が開かれて、そのテーブルで、北朝鮮も拉致問題をテーマとして話し合っていこうということでテーブルに着いたら、その時点で日本はこの九十五万トンの支援ということについても、その中へ向いて入っていこう、さっきの答弁でいくとこういうふうに受け取れるわけです。
 もう一つ言えば、これはさっき大臣が言われたとおり、四段階ぐらいあると思うんですよ。一つは、さっきの話で、日朝の作業部会が開かれて拉致問題そのものが交渉の対象になったとき。それから二番目は、真相解明について話し合いが進んでいく中で、何があったのか、それから、拉致被害者というのは、向こうの調査を始めた中でどういう実態になっていたのか、そういう真相解明についてのテーマとそのロードマップみたいなもの、こんな形で真実というのをお互いが共通認識していきましょうというそんなものの合意ができたとき、これが二番目の段階だと思うんです。三番目の段階でいくと、具体的に拉致被害者の新たな消息というのが一でも判明をして、日本もそのことについてしっかり認識ができたとき。それから四番目は、その人たちが帰ってくるとき。こういう形で四段階ぐらいに分かれるのかなと私も思っておるんです。
 そういう意味で、さっきの大臣の答弁は、一段階目で、まずは六カ国協議の共通テーブルに帰ろう、共通交渉の流れに戻ろうというふうな意思表明だというふうに私は理解したんですよね。最終目標は四段階まで行かなきゃいけない、こういうことでしょう、大臣が言われたのは。
    〔委員長退席、山中委員長代理着席〕
○麻生国務大臣 進展の定義のお話なんだと思いますが、進展というものに関して言わせていただければ、基本的には、拉致問題は既に解決済みという話から、拉致問題があるという前提に立つというのがまず大前提だと思います。
 それで、それを認めたから、はい五万トン、はい九十五万トン、そんな話ではないのであって、少なくとも、具体的に認めて、その上でどう協力してくれるんですかといったときには、勝手に入って調べてみてください、ではこちらに捜査権をくれるんですか、そんなことはないわけですから。
 そうすると、そういった意味では、私どもとしては、拉致問題は未解決であるということを認めた上で、どのような具体的行動が向こうによって示されるかによって判断するということになろうと存じます。
○中川(正)委員 示されるかによって判断するという言葉は、それが示されれば、我々は支援というアクションというか、次の我々の判断にも入っていく、そういう意味なんですね。
○麻生国務大臣 支援をどのような形でするか、どうするかにつきましては、向こうのいわゆる進展の度合い、具体的な行動次第によるということだと存じます。
○中川(正)委員 ということは、具体的には、さっきの私のレベルからいくと、第二レベルですね。その中身について、真相解明について向こうが調べたものがどれだけ誠意があったか、それが本当に真実であるのか、あるいはいつまでに何を調べてくるかということをはっきりさせるか、そういうことが出てきた時点で、そのレベルで判断をする、こういうことですね。
○麻生国務大臣 極めて漠然としておりますので、ちょっと今の段階でそれが何を意味するかがよくわからないのでうかつなことは申し上げられませんけれども、少なくとも、それは一つの、今の全く解決済みとは態度が違った形になってきたということだと存じますので。
 その上、それをもって、それがどれくらいになってきたというのは、具体的な話にならないとちょっと何とも言えませんけれども、少なくとも、今の解決済みという態度から二段階までという言葉を使われましたが、その二段階ということになるのであれば、それは明らかに今の状況とはかなり違ってきたというように我々も判断し得る材料がいただければと存じます。
○中川(正)委員 少なくともそこでわかったのは、具体的に拉致被害者、新しい被害者というのが出てきて、その人たちが帰ってくる、日本が最終的に求めている、そういうことですが、そこまで行くということではなくて、その中間段階で、交渉過程の中で判断をしていくということ、これを答えて、日本の方針としてはっきりさせたということだと思いますので、そのように理解をしたいというふうに思います。
 次に、では、北朝鮮の状況というのがどんなふうに今なっているのかということですね。
 これは、日本やアメリカは、特にアメリカなんかも、これまで人道支援をやっていたものに対してとめたということでもありますし、日本も、これは私自身が法案の準備をして提出をした経緯があるんですが、船舶の出入りを全部とめて、実質的に貿易はできませんよ、あと金融制裁等々も含めた形で将来考えていきますよ、そういう状況になっているんですけれども、そういうものが現実どれだけきいてきて、北朝鮮の状況というのはどうなっているんだというふうに理解をされていますか。
○麻生国務大臣 北朝鮮というところは、多分、世界じゅうで最もよく報道管制がしかれている国の一つだと存じますので、ここが一番なかなか外から見えにくいといえば、この国が一番見えにくいのではないかと思っております。
 その上で、私どもとして、いろいろな情報等々をもとにして申し上げさせていただければ、少なくとも、すべての重要決定には金正日という人が絡んできている。この人が絡まないと答えは出せない。したがって、末端の話という話はなかなか上に上がっていっているという保証がないというような感じがいたしております、交渉の過程を見ながら。
 そして、体制としては、いわゆる先軍政治というものをずっととっておりますので、その先軍政治に立ちますと、軍部の力が極めて大きいということもはっきりしておるんだと思っております。
 また、社会情勢等は、先ほど申し上げましたように、よく見えてきているわけではありませんけれども、どう考えても、写っている写真等々を見ている限りにおいては、明らかに栄養状態は余りよろしい状況にあるとは考えられぬと思って、兵隊の体形等々から逆算して、間違いなく昔に比べて兵隊の体形が小さくなってきている等々がよく言われるところでもあります。そういった意味では、状況というものは、社会情勢、経済情勢ともに厳しいと存じます。
 ちなみに、北朝鮮のGDPというのが、表に出ている数字で調べてみますと、少なくとも和歌山県よりは小さい、日本でいきますと。そうすると、和歌山県というのは日本の何番目ぐらいですかね、下から数えた方が早いと思いますけれども、ちょっと和歌山県選出の国会議員はここにはいませんね、いらっしゃらないと思いますが、かなり小さな県で、貧しいと思いますよ、計算からして。二千何百万の人口がありながら和歌山県のGDPといいましたら、かなりちょっとしんどいんじゃないでしょうかね。
 そういったようなことが想像できますので、私どもとしては、日本と比較してみますと、和歌山県ですから、多分二百三十分の一とか二百四十分の一ぐらいの経済ですから、それは情勢としては厳しいということが私どもの言えるところだと思います。
○中川(正)委員 非常に漠とした話で、それだけ日本の中に実際の北朝鮮の情報が入っていない、あるいは恐らく日本政府もそういう努力をしていないんじゃないか。これは、私自身がいろいろな活動をしていく中で感じているところなんで、しっかりつかんでいく必要があるんだろうと思います。
 これは簡単な資料ですが、私、手元に配付をさせていただいたものがあります。
 これは、出どころはこの本なんですよ。これはつい最近出た本で、ハガードというのとノーランドという経済学者ですが、アメリカの議会の中でもしょっちゅう証言をしながら今の北朝鮮の状況というのを説明をしている人なんですけれども、その中に象徴的なデータが出ていましたので、ちょっととってきました。
 まず一ページ目は、日本の貿易額です。これはIMFだとかKIEPのデータからとってきているものなんですが、黒い濃い方が北朝鮮から日本への輸入、薄い方が輸出という形なんですが、二〇〇五年までにこんな形で下がってきました。今はもっと下がっているんだろうと思います。
 それから、二ページ目なんですが、これは逆に、韓国から北朝鮮への関係なんですけれども、韓国の場合は、北朝鮮からの輸入というのが二〇〇五年にかけて非常に伸びてきています。これはさらに伸びるんだというふうに思うんですね。開城の工業団地や何かを含めて、下請で、韓国の企業から北朝鮮で物をつくらせて、韓国に戻している、こういうことがあるんだろうと思うんです。
 このノーランドが指摘していたのは、次の中国と比べると、三番目が中国なんですが、中国の場合は、単位が違うんですね。日本円ですると一千三百億、どんどんまだ伸びていると思うんですが、そういう単位で貿易が伸びています。中国の場合は民間貿易で額が伸びているということなんですが、韓国の場合は民間貿易よりも政府による支援活動、援助という形で伸びている、ここに違いがあるんですけれども、中国にしたって韓国にしたって、非常に関係が強いものになってきている、特に経済分野での関係が強いものになってきているということです。
 それに比べて、四番目、ナンバー四はロシアなんですが、ロシアの場合は、一九九二年を境にして、もうほとんど何もないという状況まで下がってきているということであります。
 ちょっと時間が足りなくなってきたので。
 そんな状況を考えていったときに、韓国だとか中国が考えていること、これはやはり、体制崩壊に対して非常に危機感を持っている。そんな中で、経済分野でできるところはやっていこうということを注意深く考えていきながら、その対応を既に始めているというふうに理解していかなければならないんだろうというふうに私は思うんです。そういうことを指摘しておきたい。
 これに対していろいろ聞きたかったんですけれども、一番大事なところがもう一つあるものですから、時間がなくなったので、この問題についてはまた後にします。
 しかし、これだけ指摘をしておきたいというふうに思うんです。その感覚を、中国や韓国の現実を頭に置いておかないと、日本の制裁措置も空回りといいますか空振りになってしまう。これはもうあちこちで指摘をされているところであります。それだけに、ちょっと違った形で日本の北朝鮮に対する戦略もつくり上げていかなきゃいけないんじゃないかな。ただ、拉致問題を解決するための知恵、これをもうちょっと出さなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんです。
 その上で、一つ、これは私のテーマでもあるんですが、やっていかなきゃいけないと思うのは、この拉致問題を、日本だけが特化したような形で交渉するんじゃなくて、ということは、二国間協議の交渉じゃなくて、これは前の質問の中で、いや、日本も努力していますよ、国連にも拉致という言葉が認知されましたよ、アメリカでも取り上げられるようになりましたよということなんですが、実際は、これは取り上げられるということではなくて、作業部会の中に韓国も入ってこなきゃいけないんですよ、拉致があるんだから。
 韓国も拉致がある。あと十二カ国あるんですよ。韓国が入ってこようと思ったら、拉致だけの問題じゃなくて、これは脱北者の問題。韓国は今、社会現象としてこの脱北者の問題を抱えているわけですから、そういう問題も含める、あるいは北朝鮮の中の強制収容所の問題も含めるということ。こんなことも包含しながら、拉致ということをとらえていかなきゃいけないということ。それで、作業部会の中に多国間の交渉テーブルとして引き込むという、そんな戦略というのが必要じゃないかということ。これをずっとかねがね主張してきました。
 その上で、実は北朝鮮の人権法というのがありまして、そういう思いで、日本にも、もう今百三十人を超えてきていると思うんですが、脱北者の人たちが来ております。この人たちの受け入れについても、同じ人権という範疇の中で、韓国あるいはアメリカの問題意識とも連携していくために、この人権法の中に拉致と同時に入れていこうということで、自民党の皆さんにも理解をしていただいてこれを入れ込んだという経緯がありました。
 そんな中で、改めて聞きたいんですけれども、入ってきた人たちのケア、これが問題でして、脱北者だけじゃなくて日本人妻もそうなんですが、戦略的に北朝鮮はこの人たちに電話をかけてきまして、あなたが逃げたために家族がすっかり迷惑をしているんだ、このままだととんでもないからといって、金をくれ、物をくれという話になってきて、あげくの果てには帰ってこいということになって、この間、平島筆子さんというのが北朝鮮に戻っていってしまって、そのときのキャンペーンで、日本にだまされた、こういう形で発表しながら戻っていくという、そんなことにもなってきています。
 だから、この戻ってきた人たちを孤立させてはだめだ。その中で、特に一番最初の、頭のところで支援をしなければだめだということで、この項目の中にも、第六条で、国際関係との連携だとか、あるいは支援措置、六条の二ですね、政府は脱北者の保護及び支援に関し施策を講ずるように努めるということと、それから三ですね、政府は第一項に定める民間団体に対し、必要に応じ、情報の提供、財政上の配慮その他の支援を行う必要があるということをこの中に書き込んだというのは、そういう意図があるんです。
 これに対して、今、この施策がどこまで進んでいるか、どういう体制でこれがなされているかということを、これは内閣の方かな。まず、本当に窓口も決まっていないんです、このことに関してずっと調べていったら。だから、そのことも林さんはしっかり理解をしてもらいたいと思うし、そういう背景があるんだということをわかってもらうために、実は、きょう来ていただいて一遍答弁をいただけないかというお願いをしたんです。
 そのことについて、恐らく事務方からはいろいろ聞いてもらっていると思うんですが、ここまでの話にはなっていない、今見ていると。やっと各省庁の連携ができたという程度の話なんですが、これは戦略的に取り組むということが必要なのではないかと思うんですが、答弁してみてください。
○林副大臣 お答えいたします。
 拉致問題担当の大臣が塩崎官房長官でございます。私はその補佐する副大臣ということでございますが、中川先生は、いろいろな会議でも御一緒しておりますし、今私がなぜここに担当外でありながら呼ばれたかという御趣旨も御説明をいただいたところでございますので、現況を説明した上でお答えしたいと思います。
 北朝鮮人権法にありますように、脱北者の保護、支援に関しては、従来から、この人権法の成立前から、特に我が国の在外公館に対する支援の要請があった場合、人道上の配慮や関係者の安全、脱北者が所在する国との関係等を総合的に勘案して対応してきた。
 この人権法に、今委員が御指摘になったようにこの規定ぶりがございますので、この趣旨を踏まえて、さらにどのような施策を講ずるべきかについて、まさに御指摘があったように、関係省庁間、厚労省とか法務省とか外務省ということになろうかと思いますが、検討を行ってきておりまして、特に、今まさに先生の御指摘のあった、もう既に本邦に受け入れた脱北者に関しては、緊密な連携のもとに、より円滑かつ迅速に定着支援ということでございますから、定着するということを目玉にいたしまして施策を推進していこうということは、既に関係省庁間で確認をしておるということでございます。
 具体的に、在外公館における健康診査、医療供与、それから本邦帰国または入国後の生活保護受給等の各種支援に向けた手配、また各種相談への対応などの支援を行う、こういうことをやっているということでございます。
○中川(正)委員 もう時間が来ましたので、あとお願いと指摘だけしておきたいんですが、私も、これに携わったのは、あのハンミちゃん事件で、瀋陽で脱北者が逃げ込んだとき以来なんですけれども、韓国の国会議員が、特にこれも野党のハンナラの方が思いが強いんですが、非常に熱心にやっていまして、それで連携しながら国際議員連盟のような形態をつくり上げてきています。
 そんな中で一つ感じたのは、やはり脱北者の中に情報が相当入っているんですよ。さっきの本の中にも書かれてあるように、この情報というのを生かしながらこちらの戦略をつくっているということ。それに比べると、私ども韓国で大分、特に高官ですね、高いレベルから逃げてきた人たちのインタビューをやったんですが、日本の方からは聞かれたことがないと。アメリカはうるさいほど、話せ、話せ、こう言ってくるけれども、日本からはそんな話は聞かれたことがない、こんなことを言っているということを一つ指摘しておきたいと思います。
 それからもう一つは、さっき申し上げたように、韓国でも、大臣言われたとおり、色合い、議論が分かれているんです。アメリカでもいろいろな色合いが分かれている。そんな中で、この脱北者や、それから拉致の問題を中心に、日本と連携をしていってもいいよという集団がやはり韓国の中にもあるんです。
 であって、今回、この八月に議員連盟の総会をやる。アメリカからも来る、ヨーロッパからも来るんですが、そのときに、我々が言っているのは、拉致があったという十二カ国の議員も、そこから代表してこの会議に入って、一緒にアピールしながら北朝鮮に対して対峙をしていこうというふうな機運もつくり上げられてきている。
 そんなこともぜひ念頭に置きながら、いろいろなチャネル、いろいろな角度でこの問題を解決していくという努力、これが必要だと思います。そのことを指摘しながら、質問を終わりたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○山中委員長代理 次に、長妻昭君。
○長妻委員 民主党の長妻昭でございます。端的に御答弁をいただければ幸いでございます。
 今、日本の安全保障に関しては、いまだ数多くの課題が残っていると私は考えておりまして、その課題を一つ一つ解決していくことが何よりも重要でございます。しかし、その際に、課題だけを見てそれを解決するためにどんどん前に進むということだけでは日本は済まされない。
 といいますのも、日本は、かつて、政府の公式見解でもございますけれども、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、」ということで、そういう経験を持った国でございますので、なぜ国策を誤って、どういう部分が誤りだったのかというような総括が全く日本ではされていない。政府の公式答弁でも、さきの昭和の一連の戦争に関する公式資料というのは政府としてはない、こういうことでございまして、これでは前になかなか進めない。
 敗戦国であるドイツ、イタリアは、政府の公式見解の事実認識の資料あるいはそれの解釈を、きちっと政府として出している資料等も公表して、総括をしてから前に進んでいるわけでございまして、前回に続きまして、昭和の一連の戦争に対する政府の公式見解なり公式資料なりがないと、やはり日本は前になかなか進めない、これが今いろいろな議論を呼び起こしている最大の原因である。これにきちっと取り組んで、そして、未来志向という言葉もありますけれども、それに取り組まないで未来志向、未来志向ということで過去の一時期のことにふたをして進んでいく、この姿勢に日本は問題があるというふうに私は考えております。
 今の日本の官僚機構や統治機構の中に国策を誤った原因がいまだ隠れているのではないか。その原因さえ政府は特定をしていないわけでございますから、そういう問題意識で、さきの一連の昭和の戦争についての質問を申し上げます。
 前回質問させていただきまして、厚生労働省が持っておられる復員兵の方々の聞き取り調査の書類、これは一切公表されておりませんでしたので、貴重な資料だから公表すべきである。公表どころか、引っ越しの際にどんどん捨てている、こういう信じられない答弁もございました。
 そして、それでは百件だけ公表をしてくださいというふうに申し上げましたら、百件が、原票が出てまいりまして、いただきましたので、委員長におかれましても、ぜひその資料を外務委員会の皆様にお配りしていただきたいということもお願いするわけでございます。
 お配りした配付資料の中にはその要旨が書いてございますけれども、百件の内訳としては、旧陸軍関係が二十三件、これは死亡現認証明書、死亡現認書、死亡確認書などがある。旧海軍関係が四十九件、これは死亡者、生死不明者調査表、海軍未帰還者消息把握調書、死没者調書などがある。そして、未帰還者調査関係、これは二十八件分。これは死亡推定とする根拠資料、死亡現認・確認証明書、通信照会用の調査票、おぼえがき資料通報、あるいは復員者等の返信、手紙などということで、非常に貴重な資料がありまして、二ページ以降に厚生労働省に一覧表をつくっていただきましたけれども、厚労省、この百件を分析して、どんなような感想をお持ちでしたか。
○武見副大臣 御指摘の資料について、私も一部読ませていただきました。これらの内容は、まさに、戦争の中で、死という極限状態、これについて今日においても理解をしようとするときの手がかりとなる極めて貴重な歴史的な資料であると認識をいたしました。
○長妻委員 これが今まで全く整理もされずに引っ越しのたびに捨てられていた、信じられないわけでございまして、ぜひ整理して公表していただきたいと思うんです。
 その中で、ここの資料にも三人のお亡くなりになった方の資料を添付しておりますけれども、死亡当時の状況というのを三例、概要を御紹介いただければと思います。
○武見副大臣 御指摘の資料、海外から引き揚げてきた帰還者に死亡者や消息不明者についての聞き取り調査を行った結果が記載されている各種の書類でございます。
 具体的に申し上げると、まず第一に、昭和十九年六月、中国で部隊と離れ生死不明となった者について、戦友が、疲労と衰弱のため部隊から離れ、敗残兵または住民に襲撃されたのではないかと証言した事例。
 二つ目、昭和二十年十二月、インドネシアで独立戦争に参加し死亡した者について、戦友が、戦闘により死亡し、葬儀は現地イスラムの方式により原住民指導者により埋葬されたことを証言した事例。
 三つ目、昭和二十年八月に、ビルマで部隊に復帰途中行方不明となった者について、戦友が、ゲリラ隊の攻撃を受けた際、丸太を利用して川を渡ろうとした際に、川に流され、急流のため死亡したと証言した事例でございます。
○長妻委員 今概要をおっしゃっていただきましたけれども、詳細を読むと本当に情景が浮かんでくるような、本当に戦場というのは激しいものでございますけれども、こういう貴重な聞き取りの資料が、今厚生労働省の中にいろいろなところに散らばっていると思うんですが、こういう資料は大体何件ぐらいあるんですか。
○武見副大臣 実は、これらの資料については、帰還者からの聞き取り調査の結果が記載されている資料なんですけれども、当時、軍人等の死亡処理の事務等に必要なものとして作成されたものでございます。
 これは、戦争直後の場合には、陸軍、海軍両省のを引き継いだ形で復員省がその業務に当たっておりました。そして、弔慰金の支給等の手続に使った資料でございます。昭和二十七年からは、戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づいてこうした業務が継続されてきた、こういう経緯がございますが、いずれもそうした目的のために収集されたということで、一定期間後にこれが処分されていたというのが実情です。
 したがって、今日、一部のそうした資料というものがさまざまな書類つづりの中に散在しているというのが実は現状でございまして、これらの書類をやはり整理していく必要性があるというふうに認識をしております。
○長妻委員 この資料の重要性ということでいえば、日本は、軍人軍属二百三十万人の方がお亡くなりになった、民間人も入れると三百十万人の方がお亡くなりになったという概算の数字はあるのでございますけれども、それでは、その軍人の方々がどういう原因で亡くなられたのか、何人が御病気で現地で亡くなられて、何人が栄養失調等で亡くなられ、何人が戦闘で亡くなられたのか、こういう詳細な分析、ほかの国はすべて持っておりますが、日本だけは一切ございません。
 配付した資料の二ページ目には死因も書いてございまして、例えば、栄養失調に因するかっけでフィリピンでお亡くなりになった、あるいは、アラカン州イポというところでは切り込み隊にて戦死された、あるいは、バギオというところでは米機の、アメリカの飛行機の機銃掃射でお亡くなりになられたとか、詳細に死因が書いてある資料もございまして、こういうところを分析すると、いかに日本の国策を誤った部分が起こったのか、その原因は何だったのかということも詳細にわかるわけであります。
 しかも、それが政府の公式見解の公式資料だということが非常に重要なわけでございまして、民間が出す資料でありますと、いろいろ政府部内からも、あれは本当なのかどうなのかという議論が起こって、収拾がつかなくなるということもございますので、きちっと一度、やはり政府としてそういう公式資料を、政府公認の資料をまとめるということが何よりも重要だというふうに思うからこういう質問をしているわけでございます。
 そうしましたら、これはわかる範囲で、今厚生労働省の中にある資料で、こういう形で亡くなった方が何人確認できた、あるいは病気でお亡くなりになった方は何人確認できた、こういう死因別の積み上げ人数というのをぜひ調査していただきたいんですが、いかがでございますか。
○武見副大臣 御指摘の点でありますけれども、まず、これらの資料を収集したその当初の根拠というのが、まさに当時、軍人等の死亡処理の事務等に必要なものとして作成されていたわけであります。現在の厚生労働省が所管しております援護年金それから弔慰金等の裁定事務といったものには、こうした聞き取り調査の資料を集めるということが、実は残念ながら必ずしもその所掌の中に入っているというわけではございません。
 しかし、実際にこれらの資料の歴史的な重要性というものにかんがみた場合、厚生労働省として、その所掌事務の中でどこまでこうしたことに関与し得るのか、これらについて改めて検討してみる必要性があると思います。その中で、こうした資料についての収集、整理、そして調査、こういったことが行われ、最終的にそれがどのような条件のもとで公開されるべきものか、そのあり方についての検討というものが必要になると思います。
 しかし、その過程では、やはり政府全体の中で、こうした資料についての収集、整理、調査及びその公開のあり方についての考え方を取りまとめ、関係各位との連携というものが私は必要になってくるだろうというふうに考えます。
○長妻委員 今、政府全体というお話でございましたけれども、麻生大臣、主要閣僚でございますから、一度こういう資料を、厚生労働省内のみならず、未公開のものを一カ所に集めて、精査して、公表できるものは公表する、こういう政府としてのお取り組みをしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○麻生国務大臣 これは今、厚生労働省という立場から話があっておりましたけれども、各省が保管しております資料というものにつきましては、それをどのように扱うかということにつきましては、かかって各省庁の判断によるところが大きいと思っておりますが、私ども外務省におきましては、外交史料館等々において一般の閲覧に供しているところです。
 いずれにいたしましても、こういったものに関しましては、いわゆる外交史料館の活動及び外交記録等々含めまして、こういったものを史実に即して歴史家の研究に資するような形にしておくというのが必要なことかと存じます。
○長妻委員 私が質問している趣旨は、歴史家の研究の資料として提供する、これも重要だと思いますけれども、非常に重要なのは、日本国政府として、こういう資料の中にも、これは原票ですから記述の間違い等はあるかもしれませんから、政府としてこれは正しいというような、政府としての公認の資料を発表するということが非常に重要で、日本は一切それがないわけでございますので、今外務省だけのお話を麻生大臣はされましたけれども、私は政府全体の閣僚としての御見解をお伺いしたわけでございます。
 そうしましたら、ぜひ、まずはこの復員兵等から聞いた厚生労働省の資料を一カ所に集めて公表するということを、きのうもちょっと官僚の方とその作業量を打ち合わせしましたので、六カ月で、六カ月後に、すべての厚生労働省の中にあるこの引揚者からのヒアリングの資料を集めて、まあ個人情報はこういうふうに塗っていただいてもやむを得ないと思いますけれども、公表するということをお約束できますか。
○武見副大臣 委員の御指摘でありますけれども、六カ月という期間を限定するというのは、ちょっと現状ですぐにお答えすることはできないと思います。
 ただし、こうした散在した資料を改めてきちんと収集し、整理し、そして公開するためのあり方というものについては、やはりしっかりと検討をして、それについて関係各省との連携ということをもきちんとした上で、その中で、体制を整えて、こうした業務をどういう形で実施していくか、これらをやはりまず基本をきちんと固めなければなりません。その上で、実際にそれに必要な業務量というものが確認できて、そして、実際に必要な期間というものが推定されることになりますので、今現時点において六カ月というふうに指摘していただいたとしても、そのとおりやりますということは、大変申しわけないんですが、今すぐにはお答えできないのが現状です。
○長妻委員 私としては、そして精査をして、政府公式資料として出版をぜひしていただきたいと思うんですね。政府の公式に認めた資料というのが一切ありません。
 この中にも、昭和二十三年の二月に何人もの方が亡くなっておられるのは、インドネシアの独立戦争に参加されて戦死をされた方々というのも、生々しい記述がございます。本当に、そういう方々というのは、例えば恩給はどうなっているんだろうかとか、あるいは、インドネシア独立戦争に参加して現地に帰化した方の中には、日本の書類に敵前逃亡と書かれてしまったというふうに怒っておられる方がいらっしゃるということも聞いたこともございますし、いろいろまた新たな事実が判明をしてくるというふうに考えておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思うんです。
 そして、このシベリア抑留問題、これは民主党も補償の問題に取り組んでおりますけれども、聞くところによりますと、抑留者が引き揚げして舞鶴にお戻りになるときに、米国の関係機関が丹念に一人一人に聞き取り調査をして、その資料は、日本が講和条約発効後、GHQから日本の法務省関係にすべてヒアリング資料を渡されたということを聞きましたけれども、これは今、日本に保管されておられるんですか。
○菊池政府参考人 いわゆる戦争犯罪裁判など、当時の資料は、平成十二年に国立公文書館にすべて移管して引き渡したところでございます。現在は、法務省では一切保管しておりませんで、今委員御指摘のシベリアからお帰りになった方々からの聞き取り調査の資料が国立公文書館に引き渡したものの中に含まれているのかどうかも、申しわけございませんが、現時点では確認することができないという状況でございます。
○長妻委員 それはちょっと心もとないですね。これは講和条約発効後ですから、今よりは、戦後のどさくさなのかもしれませんけれども、これはGHQから舞鶴に戻った人全員が、詳細に、生々しく、かなり長時間にわたって一人一人ヒアリングされているという資料が、あるかないか、後でも結構ですから確認いただけますか。そして、保管、公表いただけますか。
○菊池政府参考人 今申し上げましたとおり、現在では、法務省では当時の資料を一切保管しておりませんで、国立公文書館に移管をしております。国立公文書館では、個人のプライバシーなどを考慮しながら公開の有無、是非を判断されているというふうにお聞きをしております。
 したがいまして、今委員お尋ねの点、法務省では確認するすべがないということで、まことに申しわけございませんが、御理解を賜りたいと存じます。
○長妻委員 そして、九ページ目以降には、今現在防衛省が保管をしている戦死者、戦没者の記録の冊子、海軍、陸軍ございますその冊子の名前と、あるいは陸軍関係の史料ということで防衛省は五万六千冊持っておられます。そして、海軍関係の史料ということで三万六千冊持っておられますけれども、防衛省にお伺いしたいんですが、この今配付をした資料というのは、これはすべて基本的には公表されているんですか。
○大古政府参考人 防衛省からお答えさせていただきます。
 今委員御指摘のとおり、防衛省としては、防衛研究所でございますけれども、そこにおきまして、明治期以降の旧陸軍、海軍の公文書等の戦史資料を九万二千冊程度保管しております。このうち、整理されたものにつきましては、プライバシーに配慮した上で、原則として防研の図書館に来れば閲覧できるということになっております。またさらに、防研が所蔵する公文書等につきましては、国立公文書館によって運営されているアジア歴史資料センターというのがございますけれども、そのホームページ上で逐次公開しているところでございます。
○長妻委員 これは、防衛省に限らず外務省も厚生労働省も未公開、あるいは法務省もまだ公文書館等に移管されていない資料もたくさんある、法務省が持っている資料があるというふうにも聞いておりますので、そういう資料を一カ所にきちっと集めて、それぞれ省庁ごとの公開判断や文書保存判断で捨ててしまったり、丸ごと公表しないというのが厚生省の今回の例でしたけれども、そういうことがあってはならないので、一カ所に集めて、政府として横断的な基準をつくって保管そして公表する、こういう取り組みをしていただきたいと思うんですが、麻生大臣が……(発言する者あり)トイレに。ちょっととめてください。
○山中委員長代理 では、速記をちょっととめてください。
    〔速記中止〕
○山中委員長代理 速記を起こしてください。
 長妻昭君。
○長妻委員 ちょっと秘書官の方、今の質問を。
○麻生国務大臣 失礼しました。
 私の方から、先般、あれは先週のときだったと思いますが、各省庁で保管している資料につきましての御質問だと思いますけれども、これは政府としてしかるべき形で整理する必要があるのではないか。当時の資料ですから、それは私らの子供のときの話ですけれども、引揚者の状況というのは、その人の事情を聞くよりはその人の行き先を決める方が大変な時代でしたので、私どもの炭鉱にも随分そういった方々をお引き受けした記憶があります。
 そういったところで、ばらばらになっているものだと思いますが、大事な資料であるという先ほどの点は、厚労省の副大臣の方からも御答弁があっておりましたので、私どもとしては、これを整理する必要があるのではという趣旨を申し上げたと思っております。
 いずれにしても、外務省としては、外交史料館等々、関連資料の整理、保管などについては努めているところなんですが、今後とも、政府全体の施策として必要な協力をしていく必要があるのではないか、私もそのように考えます。
○長妻委員 前向きな御答弁がありましたが、もうちょっと踏み込んでお伺いすると、政府の各省庁に散らばっている未公開のそういう資料を一カ所に集めて、そしてそれを公表基準を一本につくって公表できるものはする、それで整理をする。一カ所に集めて、それを公表基準を一つつくって公表するものはする、こういうことでよろしいですか。
    〔山中委員長代理退席、委員長着席〕
○麻生国務大臣 長妻先生、これは私一人で決められる話ではありませんので、しかるべく内閣府かどこかで整理をされないかぬということになるんだと存じますけれども、いずれにしても、そういった価値はあるのではないかと私自身も思っております。
 それから、先ほどの御質問だったんですが、インドネシアの話が出ておりましたけれども、あのときのあれが敵前逃亡扱いになったらどうというお話が一例あっておりましたけれども、御存じのように、インドネシアの戦線にそのまま残られて、敗戦直後、そのまま現地に残って、インドネシアの独立、スカルノ等々にいろいろ力をかした人というのは、もう御存じのようにいっぱいおられます。その後、また独立が終わった後、日本の商社が昭和二十七、八年ごろから出ていくようになった後、今度、その商社に入ってこられて偉くなられた方等々、お近くにいらっしゃるのかもしれませんけれども、私どももそういった方々を、もう亡くなられた方を含めて何人か知っておりますが、そういった方々の恩給の話というのは、福祉友の会というのができまして、その友の会において、九一年から九三年にかけて、わかったところから一部の軍人恩給というものが支給されるということになったと承知いたしております。
 また、外務省といたしましては、元日本兵の方々は、少なくとも独立いたしましたインドネシアとの友好関係に寄与したことは間違いないのではないかということを申し上げて、河野外務大臣のときだったと思いますが、たしか独立五十周年に当たったときに表彰ということをさせていただいたと思っております。また、その後、インドネシア大使より元日本兵の生存者六十九名に対して表彰を行ったというのが、私の知っておる記憶であります。
○長妻委員 そして、最後の質問でございますけれども、お配りした資料の最終ページに、政府の公式見解である村山総理大臣のときの談話がございます。これは、戦後五十周年の終戦記念日に当たって政府が発せられたものの抜粋でございますけれども、私が本当にこだわっておりますのは、こういう記述があります。「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、」ということが書いてございまして、非常に重要なのは、「国策を誤り、」の中身、そして理由、これを一切政府は語っていないんですね。やはりこれをきちっと語らないと、日本は将来になかなか踏み出せない。つまり、私は、今の官僚組織の中に、かつて国策を誤った遺伝子、DNAが今も流れているのではないのか、政府が公式に、こういう原因だ、それはもう断ち切るということを言わない限り、それが脈々と受け継がれるという懸念を持っているわけでございます。
 具体的にお伺いしますけれども、例えば、十六ページにございますが、これは法務省にお伺いしますが、かつて言論弾圧等々で戦争中あるいは戦前に起訴された方というのは、いろいろ、今で考えると、そんな罪というのはあり得ないわけでございますけれども、一連の戦争遂行のための法律によって起訴された方というのは、それぞれ大体どのぐらいの数おられますか。
○菊池政府参考人 昭和十二年から昭和二十年までの間の、例えば治安維持法で起訴された各年別の人数といいますか件数を、現在残っている統計に基づいてお答え申し上げます。
 治安維持法関係でございますが、昭和十二年が二百五件、十三年が二百三十四件、十四年が二百三十七件、十五年が二百十六件、十六年が二百二十件、十七年が三百三十九件、十八年が二百十五件、十九年が三十九件でございます。なお、昭和二十年は、戦災の関係で資料が残っておりませんので、現在把握することが……(長妻委員「国家総動員法は」と呼ぶ)国家総動員法は昭和十三年に制定された法律でございますが、昭和十四年が三百四十七件、十五年が三万二千四百十二件、十六年、十七年は、申しわけございませんが不明でございます。十八年が五万八千七百十三件、十九年が三万四千四百五十件でございます。なお、昭和二十年は不明でございます。
○長妻委員 私も国家総動員法の起訴の数を聞きまして、いや、すごい数だなと。例えば昭和十八年、五万八千七百十三件。当然一人でダブっておられる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、人数が、仮に一人一件だとすると、五万八千人近くの方が起訴されている可能性もあるということで、非常に多くの方が動員をかけられておられるわけであります。
 麻生大臣にお伺いしますけれども、例えば、今のような、ここには新聞紙法とか出版法で起訴された方もいらっしゃる。不穏文書臨時取締法というもので起訴された方もいらっしゃる。こういう言論弾圧あるいは国家総動員的な体制というのも「国策を誤り、」という中に含まれていると大臣はお考えでございますか。
○麻生国務大臣 どのことをもって国策を誤ったかというと、これは実にもろもろのことがあろうと存じます。国家総動員法というのは、御存じかと思いますが、例えば石炭や電力や銀行や、これは全部合併ですから。当時反対したうちの社員なんかは大量に持っていかれていますから。だから、そういった意味では、国家総動員法というので国策をばあんと戦争に集中していくというので、地方にありました銀行は福岡銀行に全部集結させていったというのがあの時代の歴史で、銀行を持っておりました人たちは、それを出さないと全部持っていかれたというのがあの時代であろうと存じます。
 したがって、それによって、国を強烈な勢いで中央統制下にすることによって国家総動員で戦争をやるという、戦争目的だけを見れば、私どもとしては、そのこと自体を見て、それは間違っておったかと言われると、なかなか判断の難しいところだと存じますが、もとはといえば、では何でその戦争になっていったのかといえば、ずっとさかのぼっていけば、第一次欧州大戦にイギリスの要請に基づいて参戦しなかったがゆえにという話までさかのぼります。
 全部ということになりますと、これは、どれをもってということはなかなか言いにくいのではないかということが率直なところであります。
○長妻委員 非常に日本は奇妙なんですね。「国策を誤り、」というふうに公式文書を出しているけれども、その中身は、総理大臣も含めて、何も語らない。
 例えば、では新聞紙法等による言論弾圧ですね、自由な言論ができない言論弾圧というのは国策を誤りに入っているんですか。
○麻生国務大臣 言論弾圧が国策を誤りというのも、正確な批評、批判というのができない状況等をつくり上げたという点においては、全体としての誤りの一つだと存じます。
○長妻委員 一歩前進だと思います。当時の言論弾圧というのが国策を誤りの一つだということで今お話しになられました。
 政府として、今の時代、そういうことが少しでもあってはならないという教訓をぜひ持っていただきたいと思うんですが、十七ページ目に、これは国会図書館につくっていただいた資料でございます。
 当時は本当に、組閣そのものが、陸軍とか海軍の同意がないとできない、こういうことがございまして、軍部大臣現役武官制ということでございますけれども、一九一三年から一九三六年までの間は、陸軍大臣や海軍大臣には軍人がならなきゃいけないということだったんですが、現役の範囲を予備役とかにまで拡大して、かなり広い範囲で登用できたんですが、一九三六年以降、本当の現役の軍人しか陸軍大臣あるいは海軍大臣になれない。つまり、陸軍、海軍から大臣を出さなかったり、あるいは引き揚げてしまったときには内閣は崩壊してしまう、こういうことがあったわけです。
 ここにも事例が出ております。一九四〇年七月には、米内光政総理大臣のときに、畑陸軍大臣が辞任をしたことで総辞職した。これは、翼賛体制につながる新体制運動に善処すべきというような陸軍大臣の意見が出されたんですが、総理大臣がそれを拒んだということで陸軍大臣が辞任したことで、内閣が崩壊して総辞職になった、こういうこともございます。あるいは、広田内閣が陸軍の議会解散要求に応じず総辞職した事例、これは直接ではありませんけれども、軍部大臣現役武官制が間接的に内閣に及ぼした影響ではないかということで、こういうような内閣の体制というのもこの国策を誤りという中に入っていたと思われますか。
○麻生国務大臣 個別のことを含めていけば、先ほども一番最初に答弁申し上げましたように、これもこれもといったら全部ということになろうと思います。これは、いろいろ歴史があろうと存じます。
 少なくとも、広田内閣のときに吉田茂がたしか外務大臣、陸軍はこれに反対、したがって、吉田茂は広田とたしか外務省、同期の入省だったと思いますが、それで、結論、成立せずということのおかげで吉田茂は戦犯を免れた結果になったというのが吉田茂の運のいいところだといえば運のいいところなんだと思いますが、陸軍の刑務所の中に入れられていますから状況は違うと思いますが、いろいろその人によって時代があったと思います。
 この点で言わせていただければ、こういったものに対して政治家が予算を拒否するということをし切らなかった見識が一番問題だったんじゃないかな、私自身はそう思いますけれども、しかし、これも一部の判断であって、全体として言えば、あれもこれもといって、これもこれもこれまたあれもといってずっと今後質問されるおつもりでしたら、私どもとしてはどれをもってということはなかなか言いにくいというのが最初のお答えであります。
○長妻委員 それは、政府として非常に無責任な答弁だと私は思うんですね。
 つまり、政府は、公式見解で、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、」と、これは単なるちょっとした国策じゃなくて大変な国策だったわけで、それを誤ったというものの、それは百項目挙げろとか言っていませんよ、具体的にどういう大きな問題があって、その原因は何なのか。こういうことを一切語らずに、例えばこういう今申し上げた軍部大臣現役武官制、これも、何もかも悪いわけではない、この中にも、言わんとしているのは、いいこともあるし悪いこともあるような御答弁でしたけれども、そういうあいまいな態度というか、そうであれば、では、どこが国策を誤りの日本の統治機構の誤りだったのかということを政府がある程度お示しいただかないと、今後、日本の安全保障を考える上でも、その歯どめというか日本の統治機構の改善という点でも非常に前に進まないと思うんです。
 それでは、個別には今の質問は終えて、では、国策を誤りというのは、例えば一つどういうことですか、多少具体的に言うと。
○麻生国務大臣 国策を誤ったというのであれば、多分、当時戦争をしたというところ、戦争をして、かつ負けたということになろうと存じます、一つ言えというのであれば。
 そういった形になりますので、私どもとしては、これは平成七年でしたかね、したがって、十七年ですから、かれこれ十年間にわたって歴代内閣総理大臣を初めとする方々がずっと一貫して表明をしてきておられるとおりだとしかお答えのしようがないんですが、少なくとも、今言われた中で、私どもとしては、軍部の台頭というものを政治家が抑えられなかったというのは国策の誤りとしては最も大きかったんじゃないかな、私自身はそう思いますけれども。
○長妻委員 今軍部の台頭を政治家が抑えられなかったというお話がございまして、きょうは時間が参りましたので、その原因は何だったのか、今官僚制度の中にその似た要素が私はまだ生き残っているのではないかと思いますので、そこら辺の議論をやはり国会がきちっとするべきだと思いますので、引き続きまた申し上げていきたいと思います。
 ありがとうございました。
○山口委員長 次に、笠井亮君。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
 今、若者の雇用問題は、我が国はもちろん世界的にも非常に重要な課題となっております。国際社会において、この問題を、貧困の根絶と持続的発展、そして平和の前提条件として速やかに解決することを求める動きが強まっております。
 そこで、きょうは、伺いたいのは、このもとで、ILO、国際労働機関は、二〇〇五年六月の第九十三回総会において、若者雇用に関する決議というのを採択しております。
 まず、外務省と厚生労働省に伺いますが、本決議の概要と日本政府の態度、この決議をどう受けとめて、その意義をどうとらえているか。また、政府は、この決議を国内法及び国内政策にどう生かしているのか。端的にお答えいただきたいと思います。
○菅沼政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の若年雇用に関する決議でございますが、これは二〇〇五年のILO総会で採択されました。この中には、若者についての雇用の創出や職場の安全、賃金、労働時間政策などとともに、職業能力開発の重要性などが盛り込まれております。政府としては、この決議は、政労使の総意で採択されたということから、尊重すべきものと考えております。
○鳥生政府参考人 国内政策という点でお答え申し上げます。
 フリーター等若者をめぐる雇用問題につきましては、一つは、本人にとっては、若年期に必要な技能、知識の蓄積がなされず、その結果、将来の生活が不安定となるおそれがあるとともに、我が国を支える人材の育成が図られないことによる中長期的な競争力、生産性の低下といった問題や、少子化の一層の進行や社会保障制度における負担の増加等、深刻な問題を引き起こしかねないものと認識しております。
 このため、厚生労働省といたしましては、平成十五年六月に取りまとめられました若者自立・挑戦プラン等に基づき、関係府省と密接に連携しながら、若年者雇用対策に積極的に取り組んできたところでございます。
 本決議がなされました平成十七年六月以降も、若年者雇用対策の充実強化に努めてきたところでございまして、平成十九年度においては、新卒採用が特に厳しい時期、いわゆる就職氷河期に正社員となれずフリーターにとどまっている若者、年長フリーターと言われておりますが、こうした方々の正規雇用化の支援に重点を置いて、ジョブクラブ方式による集団就職支援の実施、あるいは、就職が困難な年長フリーターをトライアル雇用後に正社員として雇用する事業主に助成する若年者雇用促進特別奨励金制度の創設、職業能力を判断させるために企業実習を先行して行う職業訓練システムの創設、こういった新規施策を実施することとしているところでございます。
○笠井委員 そこで、大臣、私も調べてみましたが、ILOというのは、一九一九年に結成されてから、若者の雇用に関する条約とか決議に一貫して重視して取り組んできている。そういう流れの中で、この今の二〇〇五年の決議でありますけれども、この立脚している考え方が非常に私は大事だというふうに思います。その考え方というのは、要約しますと、若い人たちは可能性とエネルギー、そして技術、向上心を持っている。その若者がなぜ貧困になっているのか。それは、若者にディーセントワーク、つまり人間らしい仕事、労働が保障されていないからだというものであります。
 さらに、私も青年雇用に関してILOの諸文書をいろいろ見てみましたが、若い人たちはあすの社会にとっての財産である、いかなる国もその財産である若者を使い捨てにしてはならない、若い人たちへの投資というのは、その国の未来への投資となるということを一貫して強調しております。
 ここに見られるように、ILOは若者の能力と可能性を認めて、そこに信頼を寄せている。その能力と可能性を発揮するためにも、人間らしい労働、仕事を実現することの重要性を強調しているわけであります。まさに今回のILOの決議もそこに立脚している。
 大臣は、この決議が立脚しているディーセントワークという考え方について、どのようにお考えでしょうか。いかがですか。
○麻生国務大臣 新しい概念だと思いますが、ディーセントの定義は、これは笠井先生、物すごく幅広いと思うんですね。今はディーセントじゃないけれども、昔はディーセントだったということもありますので、先生、これは物すごくいい、いいというか、かなり定義の幅が幾らでも広げられる、考えようによったら狭められる、いろいろな言葉に使える言葉だなと。私も読んだとき、ディーセントというのはよくふだんの生活でも使う、あいつはディーセントなやつだとか、これはディーセントなサービスだとかいうことはよく使いますので、そういう意味では、この言葉のあれは、なかなかちょっと難しいなと思ったんです。
 基本的な権利が保障されていてというような、一見ずらっと書いてありましたので、十分な収入を生み出し、適切な社会的保護を伴い、社会対話のある生産的な仕事を指し、すべての者が収入を得る機会を得るという意味でディーセントだということを意味するんだというので、私もこれは重要性というのは十分にわかりますけれども、この達成というのは、個人によって、これはディーセントだと思う人もいれば、ディーセントじゃないと思う人もいらっしゃるところを、第三者から見て、それは、おまえ、ディーセントじゃないかという強制もなかなかしにくいしと思いながらも、ただ、個人の満足という点からいきますと、なかなか、個別、差があるから難しい定義かなと思いながら読んだというのが正直な実感です。
○笠井委員 言葉の意味というのはいろいろあるでしょうが、ILOの決議に込められた意味というのは、全体として目指していく方向という点で、やはり政策努力を含めて大事な点だということは、大臣もそういう認識の上に立って言われたというふうに、私、理解しました。
 この若者雇用に関する決議は、若者雇用に直接かかわる条約と勧告がこの決議には明記されていて、それらが規定する労働基準を実現することを求めております。
 そこで外務省に伺いますが、この決議、ここにありますが、この中に明記されている、末尾にアペンディックスがありますけれども、若者雇用に直接かかわるILOの条約については、数えると全体で三十三本あるというふうに思うんですが、うち、我が国が締結した条約というのは何本でしょうか。数をお願いします。
○菅沼政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、本決議、これは本文には二本の条約が明記されておりますが、アペンディックスには三十一本ということで、合計三十三本の条約が書かれております。そのうち、本文に書かれている条約二本については締結しております。しかし、三十三本全部ということになりますと、締結済みの条約は十四本ということになります。
○笠井委員 三十三分の十四ということでいいますと、まだ半分近くが残っているということで、やはり今回の決議に賛成するという立場で、尊重するということも言われましたが、そういうことであれば、速やかに批准ということで向かうべきだと私は申し上げたいと思います。
 そこで、最近、我が国では景気の回復ということがしきりに言われますが、失業率は、一部の地域を除いて、全国的には高どまり状態になっております。青年の失業率は、とりわけ、かつての氷河期ほどではありませんが、それにしても、大きな改善はなくて、ほかの年代よりも高どまりになっている。最近も、テレビで、ネットカフェをねぐらにしてというか、そこで生活している青年労働者たちの姿が放映をされました。
 青年の雇用と生活が深刻な状況にあるもとで、このところマスコミでもよく紹介されておりますが、首都圏青年ユニオンを初めとして、全労連の青年部、民青同盟など、各地の労働組合や青年団体などが、青年の置かれた状況をつぶさに調査して、改善する運動に取り組んで前進をしているという状況です。
 これらの調査や運動の中で浮かび上がってきた青年の雇用の実態には、私は二つの共通した特徴があると思います。
 低賃金の上に、一つは、サービス残業を含む、いわばめちゃくちゃな長時間労働が押しつけられていること。そしてもう一つは、雇用契約が二カ月とか三カ月とかいう短期雇用契約というふうになっていることであります。安定した長期の常用雇用を希望してもほとんどなくて、二、三カ月の短い期間雇用がほとんどという状況になっている。
 そこで厚生労働省に質問しますが、ILOの若者雇用に関する決議が目指すディーセントワークというのは、やはり安定した雇用契約で、人間らしい生活ができることを目指しているということだと思うんです。そういう中で、二、三カ月単位の短い契約で、いつ契約期間の満了を口実に解雇されるかわからないというような状況に日本の青年が置かれているということについて言えば、到底このディーセントワークとは相入れないというふうに見るべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○鳥生政府参考人 御指摘のとおり、若者の雇用情勢につきましては、雇用全体としては改善傾向にございますが、ただ、新卒採用が特に厳しい時期、いわゆる就職氷河期に正社員となれなかった方々が、短期雇用契約を繰り返すといったことで、フリーターにとどまっている若者が依然として多い状況にございまして、これにつきましては、ディーセントワーク、安定雇用という面から見ても、あるいは技能形成といった点から見ても、問題があるというふうに認識しております。
 厚生労働省といたしましては、こうした状況の中で、フリーター二十五万人常用化プランを推進しておりまして、ジョブカフェやハローワーク等においてきめ細かな就職支援を行う。あるいは、短期間の試行雇用を通じて、早期の常用雇用の実現を図る若年者トライアル雇用を行う。あるいは、企業実習と座学とを連結させた教育訓練を行う日本版デュアルシステムを行う。こういったことによりまして、フリーターの常用雇用化を支援し、若者のディーセントワークの達成に向けて努力していきたいというふうに考えているところでございます。
○笠井委員 支援するということは大事だと思うんですが、しても、そもそもそういう常用雇用がないということになると、ここが大きな問題になってくるわけで、これらの短期雇用契約を余儀なくされている青年労働者というのは実際どのようなところで働いているかといいますと、大部分は、さまざまな企業の中で、その会社の仕事の重要な部分といいますか、基幹的な業務、しかも、その会社の企業活動にとってずっと必要な、恒常的な業務に従事していることがほとんどであります。仕事は基幹的で恒常的なものなのに、そこに従事する労働者は二、三カ月の細切れ契約を繰り返しているというのがかなり実態になっている。
 そうすると、厚生労働省に一言伺いたいんですが、これはやはりおかしいと思うんですね。全く合理性がない契約だと思うんです。裁判所の判例でも厚労省の見解でも、短期の雇用契約を繰り返しているという場合には、これは期間の定めのない雇用契約とみなすというふうになっております。私は、このような雇用契約というのは、企業の労働者に対する、社会的に有利な立場を悪用した不公正な契約ではないかというふうに思うんですが、端的にどうかということについて答弁願いたいんですが、いかがですか。
○鳥生政府参考人 個々の契約形態について、それを反復継続した場合の解釈については、個々の実態に即して判断されるということだと思いますが、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、そうした短期の雇用を余儀なくされ、フリーターなどの若者が増加するということは、将来の格差の固定化、あるいは人的資本の脆弱化といったことにつながるおそれもあるということでございまして、企業における正規雇用、採用の取り組みということも重要であるというふうに認識しておりまして、若者の能力を正当に評価するための募集方法の改善等を通じた若者の雇用機会の確保等について、事業主に対して努力義務を課すことを盛り込んでおります雇用対策法の改正案を今国会に提出しているところでございます。
 これらの取り組みによりまして、我が国の将来を担う若者が安定した職業につくことができるように支援していきたいというふうに考えております。
○笠井委員 最後に、大臣、今やりとりも聞いていただいていたと思うんですけれども、我が国は、やはりILOという国際舞台では、決議を尊重するということで賛成をされているんですが、国内政策でいきますと、ディーセントワークの方向を目指しているとは、なかなか実際、政策面ではうまくいっていない部分がある。ILOの若者雇用決議が示す方向に進もうというふうに考えるならば、まさに今、そういう不公正というべき短期雇用契約のあり方についてもメスを入れるべきだというふうに思うんです。
 この決議を行ったILOの九十三回総会の議事録を見ますと、やはり各国の政府代表も、若年失業者をいかに削減するかということで、積極的に発言もし、経済社会政策の中心に若者雇用問題を位置づける重要性を指摘するとともに、その政策の策定と実行に若者自身と青年組織も参画させることなどを提案しております。
 私も、欧州を初めとして、各国の努力ということで見る機会がありまして、かつて、ドイツ労働省やシンクタンクに行って、いろいろ話も聞きました。ドイツ政府が、青年雇用政策に力も入れながら成果を上げているということも聞いてきたわけです。
 そこで、このILOの決議に示される国際的な努力の方向、また企業の社会的責任という点から見ても、我が国における若者雇用をめぐる、いわば社会的な合理性のないような形での短期雇用契約のような実態については、それはそれで改めさせる必要があるというふうに思うんですが、その辺の認識ということを、どのようにお考えか、伺いたいと思います。
○麻生国務大臣 これはちょっと、笠井先生、全然所管じゃないので、感想しか述べられませんけれども。
 今、やはりこれは需要と供給の関係がございまして、少なくとも若者の人口比率の絶対量が減ってきますので、企業として、先行きを考えている企業だったら、少なくとも有能な若者を自分の社に持っておくためには、正規雇用じゃないと採用ができにくくなってくるということに多分なりますよ。そうすると、嫌でもこれは企業はとらなきゃやっていけない。いつでも来て、いつでも切れるなんというようなことじゃなくなりつつあるんじゃないのかな。経営者を離れて三十年もたちますので、ちょっと少々感性が狂っていると思いますけれども、そんな感じがします。それが一点。
 もう一点は、大体中高年でパソコンを使えないなんという社員よりは、今の若者、漢字は書けなくてもパソコンは文字転換ができるというのは多いわけですから、そちらの方で賄っている方がよほど会社としては使い前が多いから、そちらの方に入れかえていこうとすると思いますけれども。
 したがって、そこのところの、景気が少し上向いてきているというのが状況だと思いますので、人件費をとにかく極端に抑えたい、この十年間痛い目に遭ったからというので、少なくとも企業として、配当圧力もかかって大変なところもあるんだと思いますが、そこらのところで、やはり企業の長期的な安定、発展を考えるんだったら、有能な若者を長期で安定してとって伸ばした方が企業としてはいいというように考える人の方がふえてこやせぬかなという感じしか申し上げられません。
○笠井委員 時間になりましたので終わりますが、私、やはりディーセントワーク、若者雇用を重視するというのは、若者自身にとっても大事だし、今大臣、大事なことを言われたと思うんですけれども、企業のこれからにとっても、そこをきちっとやらないと大きな意味で発展がないし、日本経済も前に進んでいかないという点で、私、この決議に込められたディーセントワークという意味を、やはり日本の政府もきちっととらえながら、政府の役割ということで大いに発揮してもらいたいというふうに思っております。
 終わります。
○山口委員長 次に、照屋寛徳君。
○照屋委員 麻生大臣、沖縄は、昨日の五月十五日、本土復帰三十五周年を迎えました。思い起こすと、一九四五年から一九七二年五月十五日までのアメリカの軍事支配下の二十七年よりも、七二年復帰後の長い歴史を刻んだことになります。
 復帰三十五周年に当たり、地元沖縄タイムス社が実施した県民世論調査では、復帰してよかったと評価する者が八九・三%に上っております。琉球新報の調査でも、八二・三%の人が復帰を評価する回答を寄せており、県民の多くが復帰を肯定的に評価しているものと思われます。一方で、沖縄タイムスの調査では、沖縄と本土との格差を感じている者が八七・一%、琉球新報の調査では、復帰によって自然破壊が進んだ、失業者がふえたとする者が多数に上っております。
 復帰三十五周年を迎えて、県民の評価は複雑であり、復帰を肯定的に評価する反面、自然破壊、本土との経済的な格差、高い失業率、伝統文化の衰退など、沖縄社会の崩壊を憂慮する者が多いと思われます。
 米軍基地の問題については、復帰後も基地負担の軽減は図られることなく、逆に基地機能の強化が進む現状に、県民の強い怒りの表明があります。琉球新報の調査で、普天間飛行場の辺野古移設を積極的に容認する者は一六・九%にとどまり、海外、国外移設、県外移設、無条件撤去を望む声は合計七五・九%に上っております。沖縄タイムスの調査でも、基地の縮小や全面撤去を求める者が八五%に達しております。
 このように、県民は、復帰を肯定的に評価するものの、基地問題については、なぜ沖縄に膨大な米軍基地を配備するのか、戦後六十二年を経て、いまだに沖縄が我が国の安全保障の負担や犠牲を強いられていることに苦悩し、怒っている実態が世論調査にもあらわれていると思われます。
 麻生外務大臣及び北原長官は、復帰三十五周年を迎えた沖縄の現実をどのように評価しておられるのでしょうか。
○麻生国務大臣 復帰三十五年、昨日、参議院でしたか、委員会でも、その当日でもありましたので、御同様の質問をちょうだいいたしました。
 沖縄復帰前にも沖縄に何回となく行ったことがありますので、違いは私自身も感じるところでもあります。間違いなく、いろいろな形で、見えるところ、随分生活水準としてよくなってきたという評価はいただいているんだと存じますけれども、他方、今雇用の問題、格差の問題等々を言っておられましたけれども、これは確かにその面も、有効求人倍率〇・四八ぐらいですかな、今、そういったような形になっておりますので、愛知県の一・四とか五に比べて三分の一以下ということにもなろうと思います。似たようなことには、長崎県、青森県、皆同じような〇・四台でありますので、それは沖縄に限った話ではありませんけれども、地域格差という問題は今でも現実として残っておるという点につきましては、私どもとしても十分に認識をいたしておるところであります。
 今、基地のお話がありましたけれども、今沖縄に基地が集中をしておるという点に関しましては、これは前々から沖縄の方々からいろいろな形で陳情があり、これまでの間、この数年に限らず出てきておりますが、それに対して対応をしていくに当たりまして、私どもとして、今置かれております国際情勢等々を考えて、いろいろな意味で沖縄にいろいろな点でお願いをせないかぬというところだと存じております。
 少なくとも今回、沖縄の県民の負担の軽減ということで、訓練の一部、私ども、福岡県の築城に移ってこられましたし、また、いろいろな形で他の県で少しずつではありますけれども分散して引き受けていただくというような手法も講じております。また、普天間は、御存じのように、あの周りに行きますと人口が物すごい集中しておりますので、そういった意味では、この地にあるよりもう少し別のところにということで、辺野古等々キャンプ・シュワブの話が今出されておりますが、それが沖縄以外の地ということになりますと、なかなかしかるべきところが出てこないというので、この間のいわゆる2プラス2やらいろいろな形で、沖縄の方々との話し合いが今進んでいるというぐあいに理解をいたしております。
 いずれにいたしましても、我々、そういったお気持ちはわからないわけではありません、知らないわけでもありません。ただ、置かれております状況にかんがみて、今申し上げているような政策というのを実行に移そうとしているということだと御理解いただければ幸いに存じます。
○北原政府参考人 照屋寛徳先生に御答弁申し上げます。
 ただいま麻生外務大臣が御答弁されたとおりでございます。
 先生御指摘のように、沖縄の米軍基地問題は大変長い歴史がございます。しかも、沖縄の米軍基地は、沖縄のみならず我が国全体の安全保障にとって大変重要な役割を果たしているわけでございまして、今日まで、政府といたしましても、その過重な負担軽減といったものに、SACO最終報告の着実な実施等を通じまして努力をしてまいりましたが、今回、先ほど外務大臣がおっしゃいました再編といった中で、我々、全力で実施に取り組んでまいりたいと思っております。
 その際、施設行政を担当する防衛施設庁、三千百名おりますけれども、久間大臣のもとで、先ほど沖縄の県民の世論調査のお話もございました、県民の皆さんの過重な負担に対するそういったものを少しでも皮膚感覚で感じながら努力してまいりたい、そのように考えております。
○照屋委員 復帰三十五周年を迎えた沖縄にとっていまだに大きな問題は、日米地位協定の問題です。私は、日米地位協定は余りにも不平等、不公平で、米軍人軍属に特権・免除を与え過ぎていると思います。私は、我が国の主権と国民の基本的人権、そして環境の視点で、地位協定を抜本的、全面的に改正を図るべきだと当委員会でも再三再四申し上げてまいりました。
 琉球新報の世論調査で、日米地位協定の根本的改定を求める者が三四%、安保条約とともに破棄すべきだとする者が二一%を占めております。一方で、政府方針である運用改善すべきだとする者は二四・四%にすぎません。県民世論の五五・三%が日米地位協定の改定、破棄を求めております。麻生外務大臣は、日米地位協定問題をどのようにお考えでしょうか。
○麻生国務大臣 今御指摘のありました琉球新報の方の数字だと存じますけれども、世論調査に関する報道につきましては私どもも承知をいたしております。ただ、日米地位協定につきましては、これまでたびたび答弁を申し上げてきたとおりでありますけれども、これは運用の改善ということでやる方が合理的であるということで、刑事裁判手続や環境に関します分野を含めまして、これまでも運用改善ということでいろいろ積み重ねてやってきております。
 ちなみに、本年四月でありますけれども、災害時対応のため地方自治体が米軍の施設・区域に立ち入るための枠組み等につきましても日米間で合意をしておりますし、さきの2プラス2におきましても、運用改善に努めることを再確認させていただいたりいたしております。
 いずれにいたしましても、今後とも、目に見えるような形でこの種の形の運用改善、できるところから成果を上げていかねばならぬと思って、これはかなり、これまでも努力をさせてきていただきましたけれども、もっと意識を持って、一歩一歩改善に努めてまいりたいと考えております。
○照屋委員 私は、去る五月十一日の当委員会において、防衛副大臣並びに北原長官に、辺野古海域での現況調査と海上自衛隊の出動についてただしました。既に、事前調査に、海上自衛隊の補給艦「おうみ」、掃海母艦「ぶんご」が出動したようです。地元辺野古を初め多くの県民が、海上自衛隊の出動に強い憤りを表明しております。私も、海上自衛隊を動員すべきでないと強く申し上げておきたいと思います。六十二年前の沖縄戦で日本軍によってさんざんな目に遭った県民にとって、自衛隊を投入してまでアメリカの新基地建設を強行することにむしろ反対の闘いが高まることは間違いないでしょう。
 北原長官に、補給艦「おうみ」と掃海母艦「ぶんご」の出動目的、自衛隊法上の根拠を尋ねます。反対運動を排除するのは、長官、それらの任務は警察や海上保安庁が負うべきであって、海上自衛隊ではないはずであります。明確に、目的、法律上の根拠をお示しください。
○山口委員長 防衛省山崎運用企画局長、時間が過ぎておりますので、端的にお願いします。
○山崎政府参考人 「おうみ」、「ぶんご」につきましては、自衛隊の個別の艦艇の動向でございますので、自衛隊の運用にかかわることで、運用上の支障が生じますのでお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
 それから、仮にそういうことが行われるということを、どういう根拠だということでございますが、一種の官庁間協力だというふうに理解をしております。
 以上でございます。
     ――――◇―――――
○山口委員長 次に、核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の締結について承認を求めるの件及び職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約(第百八十七号)の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣麻生太郎君。
    ―――――――――――――
 核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
 千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の締結について承認を求めるの件
 職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約(第百八十七号)の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○麻生国務大臣 ただいま議題となりました核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明させていただきます。
 この条約は、平成十七年四月にニューヨークで開催された国際連合の総会において採択されたものであります。
 この条約は、死または身体の重大な傷害を引き起こす意図等をもって行われる放射性物質の所持または使用、核爆発装置等の製造、所持または使用、原子力施設の使用または損壊等の行為を犯罪として定め、その犯罪についての裁判権の設定等につき規定するものであります。
 我が国がこの条約を締結することは、核による国際的なテロリズムの防止に資するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、千九百七十二年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の千九百九十六年の議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、平成八年十一月にロンドンで開催された、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締約国特別会議において、採択されたものであります。
 この議定書は、廃棄物等の投棄による海洋汚染の防止を一層強化するため、船舶等からの投棄を原則として禁止し、例外的に投棄が認められる場合においても、厳格な条件のもとで許可すること等について定めるものであります。
 我が国がこの議定書を締結することは、我が国周辺海域の海洋汚染を防止し、世界の海洋環境を保全するための国際協力を増進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約(第百八十七号)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、平成十八年六月にジュネーブで開催された、国際労働機関の総会において、採択されたものであります。
 この条約は、各国の安全及び健康に関する危害防止を促進し、また、国内政策、国内制度、国内計画を定めることにより、職業上の安全及び健康を不断に改善することを促進することについて、定めたものであります。
 我が国がこの条約を締結することは、職業上の負傷、疾患及び死亡を予防し、職業上の安全及び健康を促進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようよろしくお願いを申し上げます。
○山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る十八日金曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十二分散会