第166回国会 外務委員会 第15号
平成十九年五月二十五日(金曜日)
    午前九時二十一分開議
 出席委員
   委員長 山口 泰明君
   理事 小野寺五典君 理事 嘉数 知賢君
   理事 三原 朝彦君 理事 やまぎわ大志郎君
   理事 山中 あき子君 理事 長島 昭久君
   理事 山口  壯君 理事 丸谷 佳織君
      愛知 和男君    伊藤 公介君
      猪口 邦子君    宇野  治君
      小野 次郎君    河野 太郎君
      高村 正彦君    篠田 陽介君
      新藤 義孝君    鈴木 馨祐君
      松島みどり君    三ッ矢憲生君
      山内 康一君    笹木 竜三君
      長妻  昭君    前原 誠司君
      松原  仁君    笠  浩史君
      東  順治君    笠井  亮君
      照屋 寛徳君
    …………………………………
   外務大臣         麻生 太郎君
   外務副大臣        岩屋  毅君
   外務大臣政務官      松島みどり君
   国土交通大臣政務官    藤野 公孝君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 木寺 昌人君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 伊原 純一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 片上 慶一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 大江  博君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    西宮 伸一君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君
   政府参考人
   (外務省国際法局長)   小松 一郎君
   政府参考人
   (海上保安庁警備救難部長)            石橋 幹夫君
   政府参考人
   (環境省大臣官房審議官) 谷津龍太郎君
   政府参考人
   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君
   政府参考人
   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君
   政府参考人
   (防衛施設庁建設部長)  千田  彰君
   外務委員会専門員     前田 光政君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十五日
 辞任         補欠選任
  笠  浩史君     松原  仁君
同日
 辞任         補欠選任
  松原  仁君     笠  浩史君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)(参議院送付)
 社会保障に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一三号)(参議院送付)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○山口委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官木寺昌人君、大臣官房審議官佐渡島志郎君、大臣官房審議官草賀純男君、大臣官房参事官伊原純一君、大臣官房参事官片上慶一君、大臣官房参事官大江博君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、北米局長西宮伸一君、中東アフリカ局長奥田紀宏君、国際法局長小松一郎君、海上保安庁警備救難部長石橋幹夫君、環境省大臣官房審議官谷津龍太郎君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛施設庁長官北原巖男君、施設部長渡部厚君、建設部長千田彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口壯君。
○山口(壯)委員 民主党の山口壯です。
 きょうも私は、大臣だけでいいです、それぞれ役所の方は仕事が大変だろうから、もういいですと言ったんですけれども、きょう、たくさん来ていただいて恐縮です。昔、中根さんに、私、前の日に答弁をつくっては、君、本当にできの悪い答弁だねなんて言われて怒られたことを思い出すけれども、顔を見たので中根さんから聞かせていただきます。
 クラスター弾というのが世の中にあります。このクラスター弾の条約というのを今リマの方で議論されている。クラスター弾というのは、ちなみに、中根さんの直接の所掌でもないかもしらぬけれども、日本はどういう保有状況なんでしたっけ。
    〔委員長退席、やまぎわ委員長代理着席〕
○中根政府参考人 お答え申し上げます。
 本来、防衛省の担当でございますのであれですけれども、私ども承知している限り、空自と陸自がそれぞれ保有していると承知しております。
 空自につきましては、昭和六十二年度から平成十四年度までに百四十億円分調達をしていると聞いております。それから陸自の方は、百五十五ミリの多目的弾、七十ミリのロケット弾、それからいわゆるMLRSと呼ばれていますロケット弾、そういうものを保有していると承知しております。
○山口(壯)委員 日本は保有しているわけですね。
 そして今、このクラスター弾というのが、人道的にも、ばんとはじけて、無用の高過ぎる殺傷能力があるんじゃないかということで禁止案が議論されている。これについて、この間、オスロで合意が採択されたようですけれども、日本としては、このオスロ宣言というものにどういう態度で今いるんでしょうか。
○中根政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の、ことし二月のオスロ会議におきましては、いわゆるオスロ宣言というものが発出されておりますけれども、実は、これを正式に会議として採択するとか、あるいはこれを支持する国については署名を求める、そういったことではございませんで、これは会議の流れの中でこうした宣言を発出するということで、これについては、明示的に宣言を支持すると言った国もあれば、全く何も言わなかった国もいるということでございますけれども、日本については、当時のオスロ宣言というのは、かなり急な形で出てきたということもあって、その場で支持をするということは留保した経緯がございます。
 いずれにしましても、日本としては、従来から申し上げていますように、いわゆる既存の特定通常兵器禁止制限条約の枠内でこの問題について取り扱っていくのが適切だと考えておりますけれども、他方で、こうしたいわゆるオスロ・プロセスという流れの中で行われている議論についても、これは積極的に議論に参加をしていくということが重要でございますので、今リマで開かれております会議にも、外務省それから防衛省、それぞれ責任者が出席しております。
○山口(壯)委員 支持を留保したというのがありました。この会議には、日本から代表団は出ていなかったんでしょうか。
○中根政府参考人 外務省と防衛省からそれぞれ担当者が出席をして、オスロ宣言については支持を見送ったということでございます。
○山口(壯)委員 会議をやる際には本省から訓令が出ますから、その訓令を出すに当たっては大臣名で出すわけですね。したがって、この訓令の中で、今回の宣言が出ても支持を見送るべし、こういう訓令が出たんでしょうか、大臣。
○麻生国務大臣 このオスロ宣言の中身というのを読まれた上での御質問だと存じますが、この結論が出てくるに当たっての経緯等々を見たときに、オスロ宣言の中身というものは、少なくともクラスター爆弾を生産する国の意見、それを保有している国の意見等々の意見は全然聴取されないまま、一方的にこの宣言が出されるということに関しては、日本としては、いわゆる参加国の意見等々が十分に配慮されないまま、一方的な宣言には我々としては意見を留保するというのがその背景だったと記憶します。
○山口(壯)委員 生産国あるいは保有国の意見を聴取しなかった。他方、例えば地雷禁止の話について小渕さんが当時、大分前向きにされた。大臣、このことについては、基本的に前向きのお考えをお持ちですね。
○麻生国務大臣 このことというのは、どのことだかというのは……(山口(壯)委員「クラスター弾の」と呼ぶ)弾の話ですか。基本的にはそうですよ。
○山口(壯)委員 そうすれば、例えば訓令の中で、生産国、保有国の意見も十分聴取の上、この宣言についても積極的に対応すべしという訓令が出たはずなんじゃないんですか。
○中根政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたとおり、オスロ会議を開く前に、このオスロ宣言の中身というのがわかっていたわけではなくて、もともとオスロ会議というのは、クラスター爆弾の与える人道的な被害に焦点を当てて議論をするということが言われていたわけですけれども、その会議の流れの中で、急にそのオスロ宣言というものをまとめて出そうということがあったわけでございます。
 当然のことながら、会議では、会議が始まる以前にはそこまで想定をされていませんものでしたから、いわゆる日本の基本的な立場ということで訓令は発出されておりまして、その中には、先ほど大臣が答弁したとおり、基本的には主要な生産・保有国を含む特定通常兵器禁止制限条約の場で本来議論していくのが一番適切であるというような基本的な考え方は盛り込まれておりまして、そうした基本的なラインに従って、代表団は現地で対処したということでございます。
○山口(壯)委員 その代表団というのは、担当者の方と言われたんですけれども、どういうレベルの方が行かれたんでしょうか。
○中根政府参考人 外務省におきましては、課長クラスでございますけれども、通常兵器担当室長が出席しております。
○山口(壯)委員 会議が行われるに当たって、その前にもう一つ聞きましょうか。
 大体何カ国ぐらいがこの会議に集まったんでしょうか。
○中根政府参考人 最終的な参加国は四十九カ国と聞いております。
○山口(壯)委員 その中には例えばアメリカもいたわけでしょうか。
○中根政府参考人 オスロ会議には、いわゆるクラスター爆弾の主要な生産国と言われていますアメリカ、ロシア、中国といった国は参加しておりません。
○山口(壯)委員 四十九カ国参加していて一番機微な米中ロが参加していない、そういう中で日本の外交をどういうふうにかじ取りするかというのはちょっと工夫が要る場面ですね。こういう場面には、必ずかなりきっちり防衛省ともすり合わせをしてやる話ですね。
 昔、中根さんに木鼻の答弁というのはこう書くんだよと教えてもらったことがありますけれども、最初、木鼻の答弁というのは何のことかなと思ったら、木で鼻をくくったような答弁のことを木鼻の答弁というと。当時の、三十年前が思い出されますけれども。このクラスター弾の条約については、日本として会議がどうなるかわからなかったから余りきちっとした対処方針が出なかったというのは、やはりそれは中根さん、昔の木鼻の答弁に近いんじゃないかと思うんです。
 現実に、日本としてこのクラスター弾条約にどうかかわるかという話。その担当の課長が出た以上は、日本としてどういうふうにかかわるかということも十分詰められて行かれたはずですから、そういう意味では、今大臣から私は前向きな答弁があったように解していますけれども、今ペルーへ代表団がさらに行っているわけですね、それについてはもう少し前向きな対応があり得るのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
○岩屋副大臣 大臣からも局長からも申し上げましたように、私ども、基本的にはCCW、生産国も入っている枠組みを重要視しているわけでございます。ただ、CCWの枠外の会議も非常に重要な会議なので、今度のリマにも参加をするわけでございます。
 ペルーが提案している条約案、先生も御存じだと思いますが、実質的に直ちにすべてのクラスター弾を禁止するという内容でございますので、そういう内容のままでは多くの国が参加できて実効性のある国際約束にはならないのではないかと考えておりますけれども、その会議に出てしっかりと状況を把握してくる必要がある、こう考えているわけでございます。
○山口(壯)委員 今、そのリマには今度はどういうレベルの方が行っておられるんでしょうか。
○中根政府参考人 お答え申し上げます。
 外務省からは軍縮不拡散・科学部の審議官が出席しておりますし、防衛省からは担当課長が出席しております。
○山口(壯)委員 私もちょっと新聞記事を見たところ、その軍縮・科学部の審議官というのは新保さんということですか。例の、防衛庁から出向されてきた新保さんということですね。なるほど。
 そういう中で思うのは、今、岩屋副大臣から、今のままの内容では実効性が確保されるのが難しいだろうからという話もありました。そうすると、今回のリマのような会議で、日本として、生産国、あるいは日本も保有国ですけれども、その間をうまく取り結ぶような外交努力というのは、十分日本としての役割を果たす場面だと思いますけれども、どういうふうにそういうかじ取りをされようとしていますか。
○岩屋副大臣 先生おっしゃるとおりでございまして、先ほど申し上げたのが私どもの基本的な考え方です。大臣がおっしゃったように、人道面にも十分配慮しなくちゃいかぬ、一方、我が国も保有国でありますが、安全保障のこともしっかり考えなくちゃいかぬ、そして、こういう国際約束は最後に実効性のあるものでなくてはいかぬということでございますから、ただ会議を傍観するということではなくて、リマの会議で日本の考え方をしっかりと関係各国に説明し、理解を得る努力はしていきたい、こう思っております。
○山口(壯)委員 前回のオスロ会議で四十九カ国が参加という話がありました。結局、不支持に回ったのは何カ国ですか。
○中根政府参考人 先ほど申し上げましたように、オスロ宣言について、これを明確に支持をする国、支持をしない国ということで署名を求めたりということをしたわけではございませんので、はっきりとどの国が支持をし、どの国が支持を留保したかということについては、確定的な数字というのはわからないわけでございますけれども、オスロ会議が終わった段階でノルウェーの担当者が記者会見をやっておりまして、その中で記者から聞かれて、このオスロ宣言を支持しなかった国はどこですかという質問に対して、日本を含めて三カ国という回答をしております。
○山口(壯)委員 ポーランド、ルーマニア、日本が不支持に回ったということがどうも正しそうですね。
 四十九カ国のうち三カ国だけ不支持に回って、その中にしっかり日本が入っている。もうちょっと別の対応があり得たんじゃないかという気がするんですけれども、不支持と言わずに、例えばちょっと留保させてくれと。不支持というのは積極的な意思表示です。留保させてくれ、いろいろ調整させてくれ、日本がしっかり調整役に回るから前向きに進めよう、こういう訓令も出し得たんじゃないかと私なんかは思いますけれども、中根さん、どうして結局不支持という本省からの指示になったんでしょうか。
○中根政府参考人 お答え申し上げます。
 日本としても、不支持ということを明示的に言ったわけではなくて、支持を見送ったというのが恐らく正しい表現だと思います。
 先ほど申し上げましたように、オスロ会議については、これは何分にも、クラスター爆弾について議論をするいわゆる既存の枠組み以外で行われる初めての国際会議ということで、議論をすることに焦点を置くということで、会議の後に何らかの成果文書を発出するということは、当初は我々は少なくとも聞いておりませんでしたので、そうしたものをあらかじめ想定しておくというのはなかなか難しかったという事情がございます。
○山口(壯)委員 中根さんは本省におられるから、情報をとる現場にもおられなかったろうし、そういう意味では、この程度の情報は外務省としてやはり持っておくべきだったですね。四十九カ国が集まる、その主催者がただ単に集まって議論しましょうということではないはずですね。そこに日本の情報収集過程というのが若干欠けているんじゃないかという気がします。
 だけれども、今中根さんがお触れになられた、既存の枠組み以外でこの話があったしというのもありました。では、既存の枠組みでクラスター弾について抑制的に考えようという議論はありますか。
○中根政府参考人 お答え申し上げます。
 特定通常兵器制限禁止条約というのがございまして、これは特に人道的な目的で、過大な被害を与える武器についてはこれを制限ないしは禁止していくということで、幾つかこの枠組み条約のもとに議定書がつくられてございます。クラスター爆弾についても、この特定通常兵器禁止制限条約という枠組みの中でこれまでも議論が行われてきておりますし、今後も、ことしの六月にはクラスター爆弾についての政府専門家会合が開かれますし、十一月にはこの条約の締約国会議というのが開かれる予定になっておりますし、そこでは当然クラスター爆弾についての問題が中心的な議題になるかと思っております。
○山口(壯)委員 米中ロが参加しなかった、その中で既存の枠組みとは別のこういう会議が開かれている。
 ところで、会議が終わってから、米中ロと外交ルートを通じてのどういう調整がなされましたか。
○中根政府参考人 お答え申し上げます。
 アメリカにつきましては、我が国の同盟国ということで、この問題についてもいろいろな機会、特にオスロ会議以後にも何回か意見交換を行っております。
 ロシア、中国については、特段そうした形でのバイの協議というのは持っていませんけれども、ジュネーブの軍縮会議に、それぞれ公館を持っておりますので、そういうところを通じての意見交換というのは行ってきております。
○山口(壯)委員 猪口さんもそこにおられたし、いろいろ雰囲気はわかっておられると思うんですけれども、例えば、米との間で議論もされたというお答えでしたけれども、この話についてはアメリカは今どういう意向でいますか。
○中根政府参考人 お答え申し上げます。
 アメリカとの間で安全保障の面を含めていろいろな議論をしているわけでございますけれども、基本的にはアメリカは、クラスター爆弾というのは、特に面を制圧する上で非常に有効な兵器であるということ、それから同盟国との関係でも非常に重要な兵器であるということで、これを直ちに禁止するというのは、アメリカとしては応じることは難しいというのが基本的な立場だというふうに聞いております。
○山口(壯)委員 アメリカは、直ちに禁止というのは反対だとしても、いずれ抑制的に考えようという意向は持っていますか。
○中根政府参考人 お答え申し上げます。
 アメリカとしても、こうした形で人道的な側面について国際論の焦点が当たっているという現状を踏まえれば、いろいろな意味で、このクラスター爆弾についても、技術的な問題を含めて考えていく必要があるという見解を持っていると承知しております。
○山口(壯)委員 現実に、クラスター爆弾というのは、ぼんと破裂したら一面全部ぱっとやってしまうわけですから、どこで使うのかな、日本は自分の国内でこういうのを使えるかな、日本としてはこれはなくてもいい爆弾の種類だと私なんかは思います。
 もっとナイーブに、こういうことについて、やめようぜと、すぐにではなくてもやめようぜというのは、もっとナイーブに日本はこういうところへ言ってもいいんじゃないかと思うんです。
 ちなみに、日本のクラスター爆弾はどこ製ですか。
○中根政府参考人 基本的には防衛省の所管の話でございますけれども、私どもが聞いている範囲では、一部国産のものがございますけれども、基本的にはアメリカ製のものが多いと。
○山口(壯)委員 こういうのは、いわゆる軍産複合体ということで、爆弾をつくっている会社があって、その向こうには我々にとっては非常に意見の言いにくい人たちがしっかり控えているわけですね。そういう意味では、ナイーブな対応というのが案外こういうときはいいんだと思うんです。わかっておらぬななんて思われながら、やめようぜというのが非常に有効だと思うんです。
 そういう意味では、我々は今は野党です、我々はこういうふうに言っていて、国内でも大変だから、ちょっと日本としてはやらざるを得ないんだと。いろいろなやり方があるでしょう。大臣のおじいさんの吉田茂さんも、野党がこの日米安保条約については同等の形を整えないと同盟自身がもたない、だから、ユニファイドコマンド、NATOのようなアイゼンハワーさんが全軍を指揮するという格好は日本ではとれない、ユニファイドコマンドについては最後まで見送った。そのときに、ユニファイドコマンドを日本が認めないのだったら、では、安保条約も、もちろんそのもとになっている平和条約、講和条約も、全部上院の批准はもうおれやめるぞと、ダレスにそこまでおどかされても、なおかつ突っ張ったのが吉田茂さんです。ある意味で、野党がこういうふうに言っているからということを物すごくうまく利用されている。
 このクラスター弾についても、アメリカの意向というのはもうはっきり、軍産複合体、向こうに爆弾をつくっている会社が控えているわけですから、よう言わないわけです。特に、今のブッシュさん、今はアメリカ全体がそうですけれども、イスラエルの意向というのを物すごく気にする。そういう意味では、イスラエルが怖がっているイラクには戦争し、イスラエルが怖がっているイランも非常に気になってしようがない。北朝鮮については、全部制裁を解除してでもイラクとイランに集中せざるを得ないなという発想さえ持っているわけでしょう。
 だから、そういう意味では、このクラスター爆弾をつくっている会社が非常に後ろ向きなことを言っても、日本はそこら辺はナイーブに、いや、こういうのはもうやめようぜということを言うべきだと思いますが、このリマの会議でそういうことを言う訓令は出ていますか。
○岩屋副大臣 クラスター爆弾の兵器としての特性については、本当は防衛省から答えてもらった方がいいんだと思いますが、先生も御承知のとおり、地雷の場合は抑止にはなるけれども制圧をするという兵器ではないわけでございまして、多分防衛省は、着上陸侵攻に備えて、面的に制圧するための兵器としてクラスター爆弾を保有しているんだと思います。
 したがって、そういう安全保障上の観点と、先ほどから御議論がある人道上の観点のバランスをどうとるかということが非常に大事だと私たちは思っておりまして、リマの会議では、どっちかというと、つくってもないし持ってもないという国が多いわけですけれども、あえてそういうところにも出ていって、日本の考え方を説明し、また国際社会の意見も十分に拝聴して、今後の対応をしっかり政府として考えていきたいということでございます。
○山口(壯)委員 今の岩屋さんの答弁は、これから、このリマの会議の結果を踏まえながら、あるいは、そこでも前向きな発言をしながら、生産国ともいろいろ日本が橋渡し的な役割も果たそうじゃないか、こういう答弁ですか。
○岩屋副大臣 基本的にはおっしゃるとおりです。
○山口(壯)委員 では、ぜひそういうふうにお願いします。
 きょう、このクラスター弾ばかり話していても、次に進まなきゃいけないので、大臣にはもう少し大きな話でいろいろ議論させてもらいたいんです。
 アジアの共同体構想というのを、最近いろいろな人が日本に来て議論しています。大臣として、アジアのコミュニティーづくりというか共同体づくりというか、どういうビジョンをお持ちですか。
    〔やまぎわ委員長代理退席、委員長着席〕
○麻生国務大臣 これは一昨年の十一月だったか十二月だったかの記憶だと思いますが、EASという、地域統合を進める上でということで、あのときは中国等々はインド等々が介入するのに反対でしたかな、たしかそんな記憶があります。それが、最終的にこのEASというのに参加を、インド、オーストラリア、ニュージーランドを含めたところでこれを立ち上げるということになったというのがあのときの経緯だったと思いますが、そのときで、目標としては、自由、民主主義、基本的人権、市場経済、法の支配といった普遍的な価値を基礎にということをもとにして、将来にわたって地域の安定と持続的な発展ということを可能にしていくというのを目的とするということで、基本としては、今ありますASEAN等々と連帯をしていくということがそのとき話として出たと記憶をしております。
 しかし、問題としては、このASEANの中には、いわゆる開発の点からいったら格差がありますので、いわゆるCLV、今はMが入りましたCLMVかもしれませんが、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム等々の地域格差というところを埋めるということをちょっと重点的にやっていかないかぬということで、そこらのところをやる。
 それからまた、フィリピンの、今議長国なんですが、昨日もフィリピンのロムロ外務大臣等々と話をしておりますが、ことしの一月にセブでやりました会議のときにも、このEASと言われるところの中において、問題点のもう一つはエネルギーだと思っておりますので、エネルギーの問題についてはいろいろ、ここらのところの安全保障やら考えないかぬという点と、やはり未来を担う青少年の交流というのを考えないかぬのではないかということで、まずはそういった基本的なところからスタートして、長期的なものを考えてやっていくというのが基本だと思っております。
○山口(壯)委員 それは大臣、例えばビジョンとして、フィリピンとの間では、この間、看護師さんをどうするか、介護福祉士さんをどうするかということでいろいろもめましたね。もめて、我々はここで賛成ということで送り出しました。向こうでまだ批准がされていないようですけれども。結局、こういう二国間のネットワークをいろいろ張りめぐらしていこう、こういうお考えですか。
○麻生国務大臣 今回の予算が過日承認をされておりますけれども、あの予算書の中を見ていただいても、五年間で三百五十億円の青少年交流というのは、別に二国間に限っているわけではありません。
○山口(壯)委員 共同体構想は、その青少年の話だけで進むものじゃないですね。それはそれとして大事な話です。だけれども、現実にどういうふうに進めるかという方策について、FTAとかあるいはEPAとか、ある意味で二国間的なものの積み重ねで考えられようとしているんでしょうかという質問です。
○麻生国務大臣 EPA、FTAというのは、WTOの補完的なものだと思っています。したがって、それだけに特化するつもりもありませんし、そういったものを補完できるということで、やはり基本は、WTO的なものが基本だと思っております。したがって、EPA、FTA等々をASEANとまとめてやる、いろいろな考え方はあろうとは思います。
○山口(壯)委員 WTOを中心というのは、我々民主党もそれはそれで考えを同じくするところですけれども、例えば中国がいろいろな国と二国間のリンクをずっと張りながら、そして彼らの意向というものを共有できるような仕組みをつくっているわけですけれども、日本として、最終的にどういう仕組みをお考えでしょうか。
○麻生国務大臣 EUも、スタートした三十年前に、今日のEUを予想した人は一人もいなかったと思いますね。
 そういった意味では、なかなか将来のことまで予測できませんので、どこが希望かと言われても、少なくともこの地域においてEUみたいな形になっていけるのが、ある程度の目に見える理想としてはああいうものかと存じますが、そこまで行くのにどれぐらいかかるのか。背景が全然違いますし、シャルルマーニュ大帝みたいな大きな組織が、いわゆるコミュニティーがあったというような背景を我々は持ちませんし、宗教も、いわゆる旧約聖書をもとにしたというような宗教団体とも違いますし、宗教関係とも違いますし、いろいろな意味で我々は背景が違いますので、そんな簡単にいけるというようなことを申し上げるつもりはありませんが、少なくとも、域内の中においてEPAみたいな、お互いの関係がいろいろ、人的交流を含めましてスムーズ、かつ地域間格差がある程度、それは全くゼロになるなんということはあり得ないと思いますけれども、少なくとも格差が極端にあり過ぎるというような状況が、お互い助け合ってレベルが上がってくるというようなことが普通に行われる、また、それを補足する意味でエネルギー等々が、いろいろな形で支援、またそれに関する環境技術がある程度付与される等々、いろいろなことをお互いに助け合えるというのが、地域間において友好な関係をなすもとになり得ると思います。
○山口(壯)委員 EUの場合は、最初だれも、フランスとドイツがいずれ戦争しなくなるなんということは確かに夢想だにしなかった。しかし、あのとき、あのフランスの酒屋さんとドイツの外務大臣が物すごくしっかりしたビジョンを持って、どうしてもこれはやるんだ、そういうビジョンを持ってやったからあそこまで来たんでしょうね。
 そういう意味では、アジアでもっと難しいのであれば、もっともっと我々が、別に外務大臣がと言いません、我々が絶対にこのアジアで共同体的なところまで持っていってやるぞという気持ちを持っていないと、いろいろなことの積み重ねでいろいろ難しいからどうなるかわからぬなという答弁では、正直、本当はこの共同体というのはできないと思います。
 現実に、ダレスおじさんが、台湾につけ、北京は忘れろと、七十歳の吉田茂に五十歳のダレスが言ったときに、それは吉田茂の腹の中は相当煮えくり返ったと思いますよ。だけれども、そのときに、吉田茂は中国で外交官をやっていた経験もある、ダレスが、赤くなったんだから中国はもう忘れろ、北京は忘れろ、台北につけと言ったときに、吉田茂さんの言葉がすごくさえていますよね。赤くなっても黒くなっても中国は中国だと。そういう意味では、彼も信念を持って、どうにかしてアジアのことをやりたいというものがあったわけですから、ぜひDNAを思い起こしていただいて、いろいろな難しいところはあっても、確固たる信念で進めていただきたいと思います。
 ちなみに、大臣の頭の中には、アメリカをどういうふうにしようとされていますか。
○麻生国務大臣 EPAの中にアメリカが入っていたという記憶はないんですけれども、入っていましたかね。
○山口(壯)委員 このアジアの共同体をつくる、そのビジョンの中で、大臣はアメリカをどう位置づけておられますか。
○麻生国務大臣 少なくとも、こういったようなものをつくるときには、閉ざされた共同体というのを考える人は、今の時代には余り合わないと思いますね。開かれた共同体が基本だと存じます。
○山口(壯)委員 ということは、アメリカも含んだいろいろな議論をしよう、そういう話ですか。
○麻生国務大臣 今の東アジア共同体、イースト・エーシア・サミットの中にはアメリカが加盟していないというのは、もう御存じのとおりだと存じます。しかし、現実問題として、経済というものを考えていったときには、それらの国々がアメリカとどれだけの貿易をやっているか、経済関係がどういったことをやっているかということを考えないでそういったことをやるというのは、非現実的な考え方だと存じます。
○山口(壯)委員 アメリカも考慮に入れながらやるというお答えですね。具体的にどういう方途をお考えですか。ビジョンのことを言っていますから、別に役人的な答弁じゃなくて、大臣の丸いお答えで結構です。
○麻生国務大臣 この地域は、御存じのように、ASEANのほかにAPECとかいろいろありますので、APECの中にアメリカが入っているのは御存じのとおりです。したがいまして、これらの地域においてアメリカというものの力、存在力というものは、利用すべきときは大いに利用すべきものだということは当然のことだと存じます。
○山口(壯)委員 ヨーロッパのことを思い起こしても、例えば信頼醸成措置とか安保の話、あるいはいろいろなことがずっとかみ合って、最終的には一つの形ができている。何十カ国が参加しているとか、こういう形ですね。最終的には、やはり日本としてもそこら辺までずっと思い描きながらしないと、中国だの日本だの、どっちが強いんだみたいな話になってしまうと思うんです。
 現実に、具体的な話をせざるを得ない。ヨーロッパの話は、結局物づくりから始まりましたね。ドイツとフランスがけんかしないようにするためには、とりあえず物づくりから始めようか、石炭、鉄鋼一緒にやろうか、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体ですね。そういう意味では、何か一緒にやろうかというのが外務省あたりから出てきてもいいのではないか。その辺についてはいかがですか。
○麻生国務大臣 EECの始まったときに比べて、今の世界の経済状況というのは、水平分業、垂直分業、いろいろな形での分業体制というのは既にアジアででき上がりつつあるんだと思いますので、EECがスタートしたころよりははるかにその中の、枠内における流通、物の流れ等々は進んでいると思いますけれども。
○山口(壯)委員 ヨーロッパの通貨が共通のものがあるのであれば、例えばアジアにおいてもそういうものがあってもいいじゃないか、こういう具体的な提案があってもいいんじゃないかと思うんです、これはアメリカから全部反対されていますけれども。だけれども、そういうことを日本がリーダーシップを持って言うところに、実は日本の果たすべき役割というのがあると思うんです。
 ちなみに、例えば、このアメリカをどうするかという議論のほかに、インドと中国の関係をどうするかという議論も隠れていますね。インドとただ単にバランス・オブ・パワーの感覚だけでつき合うのか、あるいは全部取り込んで、日本がいろいろ仕組みを考えようじゃないか、こういう話もあると思うんです。
 大臣には細かい話を聞いていません。例えば、このインドと中国との関係をどういうふうに見ながらアジアの一つの大きなネットワークをつくろうとされているのか、その辺は大臣はどう考えられますか。
○麻生国務大臣 中国とインドの関係というのは、それはなかなか、国境は接していますし、両方とも原爆を持っていて、十億の民を抱えて、国境線問題をカシミールで抱えていますし、そんな簡単にはいきませんよ。それが当たり前だと思いますけれどもね。
 だから、そういったものを踏まえた上でどうするかという話を我々は考えていかないかぬのだと思いますけれども、少なくとも、日米豪印等々いろいろな話が今進んでいるんだと思いますけれども、そういった意味で、こういった国々との戦略的関係というのに十分に配慮していかないかぬというのは、全くそうだと思います。
○山口(壯)委員 大臣は価値の外交ということを言われるので、私はそれについては大きな反対はしません。しかし、実は価値の外交というのは、使い方を間違えるとネオコンと同じようなことになってしまう。考え方の同じやつは友達になってやるけれども、考え方の違うやつはおれはいいぜということになりかねない。だから、日本としては、ともに生きていくという感覚で、違いを受け入れるというところが非常に大事なことだと思うんです。
 そういう意味では、インドとのつき合い方を、バランス・オブ・パワー的に、中国とのバランスをするためにとる、そういう考え方というのはむしろ余り日本としては前に出さない方が本当はいいんじゃないかと思うんです。そういうことを申し上げているわけです。大臣、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 一つの考え方だとは思います。
○山口(壯)委員 アジアのつながりがずっとふえている中で、中国も、アメリカとのつき合い方というのは物すごくうまいですね。ヘッジファンドのブラックストーンという会社に、中国が多額の金ですね。いやあ、これはうまいなと思う。
 結局、通貨を、日本にいながらにしてニューヨークの市場、シカゴの市場あるいはシンガポールの市場、上海の市場、コンピューターでばんばんトレーディングできるわけですよ。そんな中で、中国がアメリカとの関係をぐっと引きつけるために、ブラックストーンというところに。会長の名前を見たら、シュワルツマンというから、きっとドイツ系ユダヤの血筋の方でしょう。これ、うまいことやるな。
 言ってみれば、外貨準備高をそういうふうに使うことがいいか悪いかは別にして、外交の一つのツールとして、大きなツールとして、中国というのは本当に頭がいいな、ある意味で、何とか賢いなという気もするけれども、大臣、こういうことについて、どういうふうに思われたですか。中国が多額のお金を、このブラックストーンというヘッジファンドに運用を任せた。
○岩屋副大臣 先生も御承知のように、中国は今世界一の外貨準備高でございまして、一兆二千二十億ドル、日本円にして約百四十二兆円、前年同期比で三七・四%増、こういうふうに承知をしております。
 今先生がおっしゃったブラックストーン・グループへの出資でございますが、これは三月に行われた中国の全人代閉幕後の記者会見で温家宝総理が記者の質問に答えて、この一兆ドルを超えた外貨準備をいかに使うかが問題になっていて、資産内容の多元化を実行するということを述べておられますが、多分その一環で行われたことだというふうに承知をしております。
 ただ、中国政府が自国の外貨準備をどう運用するかについて決定したことでございますから、これについて、我が方としてその評価をすることについては差し控えたいと思っております。
○山口(壯)委員 このブラックストーンという会社は、MアンドAとかで会社を買い取ったりするところですね。中国が三十億ドル、約三千億円超の大金をほうり込んでいる。十分に中国の意向というのが、どの会社を買収するか、日本のどの会社を買ってくれと、十分あり得るんですね。アメリカのところから買い付けに来たのかと思ったら、実は向こうに中国がいた、十分あり得ることですね。
 だから、そういう意味では、こういうところまで外務省が押さえるというのは大変だと思います。経済局の体制で本当にここまでできるのか、ヘッジファンドのほとんどの専門的な知識、コールだのプットだの、それをもう全部知っていてわかっていないとこの動きはわからない。だけれども、外交の問題としては、中国がやったことがいいかどうかという評価はおいておいても、このことが持つ、例えば企業経営とかあるいは市場のコントロールとかということに対して、中国が物すごい力を持ってしまいかねないというところは見抜いていってもらわなきゃいけないと思うんです。
 現実に、きょうは草賀さんも来ておられるし、経済局としてここまで追い求めるというのはもう本当に大変だと私は思うけれども、外務省として、この手の話に今どう、いわゆるビジョンを持っているというか、対応しようとされているのか。財務省に任せっきりになるのか、あるいは外務省としても、その辺もちょっと見ておかなきゃいかぬなということでお考えなのか、その辺はいかがでしょうか。
○岩屋副大臣 今回の出資は、ブラックストーン・グループが運営している投資ファンドへの出資ではなくて、ブラックストーン・グループ全体、運営会社の株式の取得だと報道されております。ただし、取得した株式、全体の一〇%未満ですが、これは議決権のないもので、今後四年間は売却しないこととされていると承知をしております。
 ただ、先生が今おっしゃったことも、私ども、よく意味はわかりますので、関心を持って注目をしていきたい、こう思っています。
○山口(壯)委員 外務省の体制の中で、経済局の体制の中で、ここまでやれというのは本当に大変でしょう。夜中もほとんど寝ずに仕事した上に、こんなヘッジファンドのことまでやれといったら、私も、それは正直、音を上げますよね。
 だけれども、中国の意向というのは少しかいま見えるものだから、議決権がなくても、大きなお金がぼんと行ったら、お客さんの言うことというのは聞かなきゃいけないわけですよ。だから、そういう意味では、本当に頭がいいと思う。日本としても、十分そこら辺をわかった上で対応していただきたいと思う。
 ちなみに、こういうヘッジファンドまで投資する、例えば外貨準備をそういうふうに使っている国というのは、中国のほかにもあるんじゃないんでしょうか。これは事前通告も何にもしていないから、もしもわかったらで結構です。中国だけじゃなくて、ほかの国も案外やっているんじゃないのかという気がしますけれども、いかがですか。
○麻生国務大臣 ないかあるかと言われて、あるとも言えぬし、ないとも言えぬというのが正直なところだと思います。
 ただ、山口先生、これは私たちも気をつけておかないかぬのは、今、円キャリーレートの話がありますから、日本は全部裏でやっているんじゃないかと言われたら、困りませんかね。なかなか返事のしようがないですよ。円キャリーレートは、裏が全部政府でやっているんじゃないかと言われると、我々も、えっということになりますけれども。
 情況証拠としては、強烈に金利を下げておいて、その金利をほかの国が借りて、その国が運用している。円キャリーレートの例だとしてよく引かれますけれども、それ、全部裏は日本じゃないか、裏が日本で全部やっているんじゃないのと言われると、いや、それほど知恵があるやつは日本にはいませんよという返事になるんですけれども、現実問題として、今これだけ金利が安いと、その安い金利の円を借りて、他国にどんどん物を買ったりなんかして、そのもうけた金でまたこっちは返してもらって、こっちは金利が安いから借りられる。
 したがって、他国のいわゆる財政に関して多大な影響を与えているのは日本の円安、結果として円が安いだけのことであって、金利が安いのをやっているからじゃないかと言われたことは、もうこのところ何年か前からかあるのは御存じのとおりだと思いますので、そういったものを含めて、これは疑っていくと幾らでも出てくることになろうと思いますので、我々としては、そういった問題も抱えているということは知っておかないかぬなと思っております。
○山口(壯)委員 現実に、報道とかをずっとフォローしていると、中東、あり得るなと。中東、シンガポール、韓国、そういうところがやっていることになっている。確かにこれは見えにくいんです。
 今、大臣が言われたことはすごく、つまり氷山の一角のことを言われたけれども、こういうことでしょう。
 例えば、イラクの戦争をやっている、アメリカが軍資金を調達したい、何をやっているか。例えば日本がドルを買う、日本が例えばアメリカの国債を買って円安に持っていく、円安に持っていったらトヨタがもうかる、トヨタがもうかればトヨタのおじさんが自民党に献金をした、それで結局、アメリカの国債を買って、そのお金がイラクに流れた。
 これは見えないわけですよ。見えないけれども、そういう流れも例えば指摘する人もいるだろう。意図的じゃないにしろ、政官財、本当にしっかり三位一体になってしまっている、しかもお金はずうっとイラクへ流れている、こういう仕組みを結果的につくってしまうのが、アメリカの向こうにいるニューヨーク資本と言われているようなそういう人たちですから、それは見えないことは承知の上で、しかし、そういう仕組みがあり得るという、そのことについても我々が議論しなきゃいけないという話があるわけでしょう。財務大臣会議、外務省が入ろうと思ってもなかなか入れない財務大臣会議で、このヘッジファンドをどういうふうにしようか、規制をどういうふうにしようかというのは、まさにそういうところに議論が行っているからじゃないでしょうか。
 最後に、大臣、このヘッジファンドについては、そういう意味で、つかみどころはないけれども、そのことが今、世界、要するに戦争のお金の調達ルートにも結局はなってしまっているかもしれないというところまで踏まえると、外務省として、今まで全く入っていけない専門的な分野ですけれども、このことについて、大臣としても、しっかりやらせますという答弁を最後にいただいて、質問を終わります。
○麻生国務大臣 ヘッジファンドというのはいわゆる新しい金融技術の一つなんだと思いますけれども、金融システムの効率化というものに関してはある程度貢献しているという一方、インターナショナル、グローバルに巨額の資金の移動をもたらす潜在的なリスクというのは一九九七年の例が一つの例だと思いますが、あれに始まって初めて注視されるようになったと思っております。
 いずれにいたしましても、財務大臣会議の声明にも出ておりましたけれども、この種のものに関しては、まだ、取引の金融機関のリスク管理等々というものをきちんとやらせておかないと、結果として国の財務省がその後のけつをふかないかぬということになりかねぬというのが、各財務大臣会議で大きな問題とされているところでもあろうと思いますので、ヘッジファンドの実態把握というのに取り組むことが重要だと。けつをふくなどという表現は、何となく、ちょっと山口さんの顔を見ていたからそういうことを言ったんじゃなくて、後始末はきちんとせないかぬ、そういうことです。
○山口(壯)委員 では、終わります。これからもよろしくお願いします。
○山口委員長 午前十時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十時九分休憩
     ――――◇―――――
    午前十時五十一分開議
○山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。松原仁君。
○松原委員 民主党の松原仁であります。
 幾つか質問をしたいと思っておりますが、まず最初に、北方領土問題に関しての質問を申し上げます。
 これはもう終戦後長い間、日本にとっての懸案事項でありました。まず事務方にお伺いいたしますが、中国とロシアの間でもこういった国境画定問題が従来存在をしていたというふうに思っておりますが、それが今どうなっているか、ちょっとここの場でおっしゃっていただきたいと思います。
○岩屋副大臣 松原先生御指摘の中ロ間の国境問題でございます。
 これは、御承知のように一九六〇年代に中ソ間で武力衝突にまで発展した問題でございましたが、一九八〇年代後半から、河川の主要水路を国境とし島の帰属を決めるとの立場で交渉が再開をされております。その後、十五年ほどの交渉期間を経まして、二〇〇四年十月のプーチン大統領の訪中の際に中ロ間の国境の最終的な画定について合意に至っております。
 具体的な国境画定については、いろいろな報道がありますが、詳細には公表されておりません。
 以上でございます。
○松原委員 この際、方法論として、係争地の面積を等分にする等による解決策というのは具体的にどれぐらいあったのか、お示しいただきたい。
○岩屋副大臣 このプーチン大統領の訪中のときですけれども、中ロ東部国境に関する補足協定が署名されておりまして、未解決となっていた二地区の国境が画定をして、これによって国境画定問題は最終的に解決をしたというふうに承知しております。
 さっきも申し上げましたように、具体的にどのような国境画定が行われたかにつきましては詳細が明らかにされておりませんが、いろいろな報道を総合しますと、おおむね半分に分割されたのではないかと言われているということでございます。
○松原委員 北方領土問題というのは極めて重要な課題であります。今麻生大臣がここにおられるわけでありますが、私が仄聞したところでは、面積等分による解決の可能性、中ソ間の国境画定で大変にそういったことがあったというふうにも仄聞しているわけで、今、具体的な中身はわからないという岩屋副大臣のお話でありましたが、こういったことに関して、麻生大臣は面積等分による解決の可能性というものをお考えかどうか、そんなことに言及したことがあるのかどうかを含めて、お伺いいたします。
○麻生国務大臣 長い長い、これは六十年余にわたる両国間における懸案事項であります。その中にあって、これまでいろいろな文書が両国間の首脳の間で行われて、今日に至るまで合意ができず、結果として平和条約の締結にも至っていない、国境線の画定もなかなかというのが現状であります。したがいまして、これまでの間、いろいろなことを、ありとあらゆることを言ってここまでうまくいってこなかったのが事実。
 そういったときに、たしか御党の前原先生の御質問だったと思うんですね。そのときに、ちょっとこの方の御意見は、外務大臣、おまえは無知だろうが、四島のうち二島、二島になったときは面積比でどれぐらいになっておるかわかっておるのかという、いかにも教えてあげるというまことにありがたい御説だったものですから、私はそれに答えて、面積比で割りますと、三島プラス択捉島の二四%ぐらいでちょうど面積比でいくと半々になりますというようにお答えをさせていただいたら、いきなりあちこちで麻生は三島返還という話でわあっとおもしろおかしく載せられましたので、本日の答弁も、きょうは前原先生が証人でおられますので、聞いていただいた方がよろしいかと思いますが、そのように答えたというのがこれの経緯です。
○松原委員 五月の二十四日の産経新聞では、政府は、ロシアが極東・東シベリア地域で計画している原子力発電所建設、IT事業への協力を強化するということを決めたという報道もなされておりますが、こういう経済における一体化というものを一方でやろうというのは、これは国の戦略としても理解できないわけではありません。しかし、こういう議論は、北方領土問題が進展がない中でどんどん進めていっていいのかというのに関しては、私は一人の日本国民としても疑問を感じるわけでありまして、これを強化するというのを決めたということは、何か見通しがついたのか、このことに対して大臣はどういうふうな所見を抱いているのかをお伺いしたい。
○麻生国務大臣 もう松原先生御存じのように、一九九一年までは、少なくとも領土問題は両国間に存在しないというのが、ロシア側というか当時のソ連側の対応でありました。したがいまして、この北方領土問題に関しましても、政府としては、政治が動かない限りはこれは全然経済も動かさない、いわゆる政経不可分というのが、私どもとしてずっととり続けていたのがこれまでのところであります。
 ところが、これ以後、エリツィンのときだと思いますが、意見がいわゆる存在をするという前提になりましたので、これを日ロ関係の全体として発展させるべきだということで、もはや不可分という考え方をとっていないのはそれ以降のことであります。
 したがいまして、今ありますように、極東のシベリア地域につきましても、今月三日に行いました日ロ外相会談、それからその前のイワノフ等々いろいろな来日が相次ぎましたけれども、そういった会談におきまして、この地域の安定的な発展というもの、またアジア太平洋地域への統合等々いろいろ進めていかれないと、向こうも孤立することになりますので、そういった意味では、両国間では一応話し合いをしていこうではないかということで合意をいたしております。
 同時に、私どもとしては、それをするに当たっては、領土問題の解決というのがついてこないと本当の意味での解決にはなりませんよということもそのときにあわせて申し上げております。
 いずれにいたしましても、日ロ行動計画というのが一応できておりますので、これを基礎としてやはり双方の交渉を進めていくということになろうと思いますので、四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するというのが本来の方針でありまして、これは強い意思を持ってやっていきますけれども、これがなければすべてだめというようなのは、一九九一年以前と以後とでは、今御指摘のあったように、我々としてはその対応を変えてきたというのは事実であります。
○松原委員 踏み込んだ経済の協力等を考える場合、私は、北方領土の問題がそれなりの見通しがあるというのは大前提だろうというふうに思っております。
 プーチン在任期間中にこれを解決するというふうな御発言が、これは総理からあったのかな、外務大臣かな、というふうなこともあるようでありますが、それは、政治家が発言する以上、軽々なものではなくて、きちっと結果を出してもらいたいというふうに思います。
 次に、日中関係の問題を幾つか議論していきたいと思うわけでありますが、先般、中華人民共和国の国務総理、温家宝さんが日本に訪日をなさったわけであります。このときに、有識者、学者の方々から「温家宝国務総理閣下への公開質問状」というものが提出をされたわけであります。ちょうどこの訪問の前にこれが提出をされたわけであります。
 事実関係を若干申し上げるならば、実は、これに先立ちまして、与党、野党の国会議員がおよそ三十名ぐらい三回の勉強会を行いました。きょうこの場に参加している方はちょっとわかりませんけれども、その三回の三十人の方が参加をした勉強会において何を勉強したかというと、南京の大虐殺と中国側が言われる事実が、これが事実と違う、実際それはなかったということを、私たちは、さまざまな観点、さまざまな文書また写真、そういったものを中心にしてこのことを解明したわけであります。
 できるならば、私は、これは温家宝さんが訪日をするある程度前の段階に、きちっとこういったものに対して、もちろん訪日はそれはそれでめでたいことだし、日中の友好関係は友好関係でそれは尊重しなければいけない。しかし、中国がその一方において、北京オリンピックを前にして、今、例えば抗日記念館を拡充したり、南京のこの記述、南京大虐殺、我々からいえば事実はそうではなかったわけでありますが、そういった教科書のページ数もふやしているということに対しては、きちっと、日本国内においても問題視する議論がある、与野党の国会議員が三十名集まって勉強会もしているということも、これを踏まえて何らかの行動を起こしたいという思いもありましたが、実際は時間的な制約もあって、なかなかそこまでいかなかったわけであります。
 そうした中で、国会議員の我々はそこに参加をしないということで、とりあえず、学者の方々だけで「温家宝国務総理閣下への公開質問状」というのを出したというのがこの文書の経緯でありまして、内容的なものに関して、この文書を三十人の国会議員がみんな精査して合意したということではありません。しかし、これをつくるに至った経緯の三回の勉強会には、三十人の国会議員がまじめに、かなり熱心な議論をしてきたのは事実であります。そうした背景を持って、こういった公開質問状が出されました。
 外務省としては、こういった公開質問状が出されたということを認識しておられますか。
○佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども、少なくとも、四月の十日付のそういう質問状をお出しになっておられるということは承知をしております。
○松原委員 こういったものが出されたということを麻生大臣は報告は受けておられますか。
○麻生国務大臣 三十名の中の何人かの方はよく知っておりますので。
○松原委員 よく知っているということは、こういったものが出された経緯も知っているということでよろしゅうございますね。
 それでは、六つの項目がこの公開質問状の中に書かれているわけでありますが、このことに対して、これは温家宝さんに対しての質問ですから、麻生大臣に質問しても、これは質問先が違うのはよくわかっております。わかっている中で私はこの場で発言をするわけでありますが、一つは、この中で書いてある、毛沢東が南京戦に触れているのは、南京戦の半年後の延安で講義された「持久戦論」にまとめられた、その中で、日本軍は包囲は多いがせん滅が少ないと。これは、前後の文脈を、私は中国語を読めませんが、話を聞きますと、何で日本はせん滅をしないんだ、我々だったらせん滅するのにというニュアンスで、日本軍は包囲戦はするがせん滅はしないと。せん滅をしないということは、いわゆる虐殺等をしないというのが日本軍で、恐らく私は、当時の毛沢東さんが延安でこれを言ったときの状況を考えると、彼らは国民党軍とドンパチやっている最中でありますから、日本軍が国民党軍をそのように完膚なきまでにせん滅をするならば、それはメリットがあるというニュアンスもあったのかもしれない。これは憶測ですからわかりません。
 このことについてどうお考えになりますかというのは、これは温家宝さんに対しての質問状で、藤岡さんその他の学者の方々が出している。温家宝さんではないんですが、麻生大臣はどう思われるか、これをまず一つお伺いしたい。
○岩屋副大臣 今先生おっしゃった毛沢東の「持久戦論」でございますが、一九三八年五月、その中で、当時の日本軍が犯してきた過ちの一つとして、包囲は多いがせん滅は少ないということを挙げているということを承知しております。しかし、毛沢東氏がいかなる情勢認識のもとで包囲は多いがせん滅は少ないというふうに言ったのかについては、必ずしも定かではございません。
 これは南京事件に関係することだと思いますが、いずれにしても、南京事件については、事実関係をめぐってさまざまな議論が存在しているわけでございまして、政府として一概にコメントすることは適当でないと思っております。
○松原委員 これは、毛沢東がこの南京の実態をどこまで知っていたのかということもあるかもしれませんが、仮に何十万もの虐殺があれば、それは必ず触れるだろうと私は思っております。
 二つ目の、これが一番の肝の一つになるわけでありますが、一九三七年十一月に、国共合作下の国民党は中央宣伝部に国際宣伝処を設置した。国際宣伝処の極秘文書「中央宣伝部国際宣伝処工作概要」によると、ここには、この後でも書いてありますが、ティンパーリが「戦争とは何か」という書物を出して、これが南京大虐殺と言われるものの一番先端になった事件であります。この「戦争とは何か」というのを南京の近くで出さないで、アメリカで出したというあたりが極めて意図的でありまして、簡単に言うと、現場で出せば、それはうそだよとみんなわかってしまう、うそであることが確認できないような海を渡った向こうで出せばうそだとわからないというのは、これは情報戦の当然のやり方だと思うので、ティンパーリはそうしたんだろうと私は思いますが、これも憶測であります。
 私が申し上げたいのは、少なくとも、この南京戦を挟む一九三七年の十二月一日から三八年、翌年の十月二十四日、三百回、毎日のように記者会見をやった。参加した外国人記者、外国公館職員は平均三十五名。何を言ったかというと、日本軍はけしからぬと。これは毛沢東とは違う、国民党の立場ですから、けしからぬ、こんなことをやった、あんなことをやったと針小棒大に、けしからぬ、けしからぬと国際社会に対してのアピールを、だから、例えば外国人記者ですよ、外国人の皆さん、日本軍はこんなひどいことをやっているんだ、だから国際世論で日本はけしからぬと言ってください、外国公館の職員に対して、こんなことをやっているから言ってくれと、南京は十二月ですから、ちょうどその前後から翌年の十月二十四日まで三百回、細かいことまで彼らは言っている。
 にもかかわらず、そこで一回も南京で虐殺があったと言っていない。極めて不思議であります。簡単に言えば、なかったから言わなかったのであります。また、そこで言ってしまうと、南京近郊での記者会見でありますから、うそだというのが一瞬にしてばれてしまう。ニューヨークか何かで記者会見をやっていればそれは言えるだろうけれども、しかし、うそだというのがばれてしまうから言わなかったんだろうと考えるのが普通なんであります。
 そのことで、この公開質問状では、この中で、南京の市民虐殺があった、もしくは捕虜の不法殺害があったというのは一切述べていない、本当に虐殺が行われたなら、これは極めて不可解であろうと思うが、温家宝さん、どう思いますか、こういう質問であります。
 さっき岩屋さんが答えたから、こっちは麻生さんが答えてください。大臣、お願いします。極めて大事なところです。
○麻生国務大臣 松原先生より私の方が年を食っていますので、それらの話というのは、やはりいろいろな長い事件に、宣伝戦というのは戦争を遂行する中に当たって大きな要素を占めるのは事実です。そのとき一緒につくられた言葉がプア・チャイナという言葉です。かわいそうな中国というのが、ルーズベルトからトルーマンにかけて圧倒的にアメリカで広まったのは、日本人はだめ、中国人はかわいそう、プア・チャイナという言葉がうわっと広まる、これはPR部隊の大成功の一つだったと思います。
 そういった意味では、宣伝戦が行われたことはもう間違いない。しかし、それは当然なのであって、しない方がおかしいぐらい、そういったものだとまず基本的に認識をされておかないかぬと思っております。
 次に、今南京の話が出ましたけれども、これは、南京開城をやったときには、少なくとも無血開城ということになりましたが、早い話が、武器を取り上げないで、そのまま武器を手渡して開城していますから、結果として、そこに、便衣隊というんですが、便衣隊というのは今通じる言葉じゃありませんな、今はゲリラですか、ゲリラというのが大量に残った。したがって、それは着ている服装が一般人と全く見分けがつかないということになりますので、それらの人が、ある日、鉄砲で撃たれることに、軍服を着ているわけじゃありませんから、そこでそういったことが起き得る、しかし、その中には民間人もいたかもしらぬということになり得る、それはもう事実としてあったろうと存じます。私もその現場にいたわけではありませんから、想像の域を出ない。
 ただ、現実問題として、三十万人という数字は、大きさでいえば、当時の南京というのは今の世田谷区ぐらいの話ですから、世田谷区で三十万人の人が死ねば、それは大概そこにいた人は死なないはずはないと思いますが、そういったことは少々おかしいのではないかという事実というものは、いろいろ言われておるのは、もう私どもも、この六十年間にわたっての話題ですから、決して知らないわけではありません。
 ただ、そういった松原先生初めいろいろな方々の御努力等々もありまして、少なくとも今年に入って、私、外務大臣になってこの一年ぐらいの間で、北京側から三十という数字が正式に出たということはなくなったというのが最近の傾向じゃないかなと思っておりますけれども、いずれにしても、こういったものはきちんと間違いは間違いとして反論していくという行為は非常に大事なことで、こういった継続は大きな力になり得る、私もそう思います。
○松原委員 この質問の趣旨は、三百回のまさに宣伝戦、プア・チャイナ、貧しい中国ということを彼らは成功した。その宣伝戦をやっている、そのときに、南京において多少でも、私に言わせると、多少でも虐殺があれば触れないはずがないんですよ。針小棒大に触れるに決まっているんですよ。一行も南京で市民虐殺があったということを言っていない。三十万とかというロットじゃありません。三百回の外国人記者、外国公館職員の記者会見で一回も言っていない。南京大虐殺があったそのときも含めて。五人殺された、十人の市民虐殺があったと言っていないんですよ、そういうロットまで。三十万なんという話じゃないんですよ。
 私は、これはどういうことかと。やはり、それは言えない、いや、事実がなかった、三十万なんという話じゃないし、三万という話でもないし、三千という話でもない。なかったんですよ。そういうふうに解釈するのが当たり前だということであります。
 大臣にこれをもう一回聞いたところで、そういうふうな質問があったんですかぐらいで終わってしまうと思うんですが、しかし私は、このことをきちっと、三十万と言わなくなったからいいという議論じゃない。大虐殺があったなら、何でこのとき言わなかったんだと。言えなかった、なかったから。そして、大虐殺を触れたのは、ニューヨークか何か海外の出版で、英語の本で触れ始める。これはもう極めて戦略的な話であります。ということは極めて不自然であるということは御認識をいただけると思うんですが、不自然だという御認識をおっしゃっていただければ結構です。それだけで結構です。
○麻生国務大臣 それも、その三百回の現場の状況を、伝聞情報というのは基本的には余り当てにならぬものだと。人が後々、あのときこうだった、ああだったと言って、いわゆる伝聞情報というのは余り当てにならぬので、そのとき報道されていた事実、その当時、一九三八年、三七年にどういうものが報道されていたかという資料の方がよほど説得力のあるものだと思いますが、今おっしゃられたそれらのことごとは情報として極めて重大なものだと理解しております。
○松原委員 不自然であるということを理解していただきたい。
 これは、おっしゃるけれども、それは外国人記者と専門家が相手ですから、そのときの記録が全部あれば、なかったということは、これは一般の人が聞くのと違います。
 三つ目。南京安全区。御案内のとおり、安全区を設定しました。これは、当時の宣教師なんかが頑張ってやった。私、何回も外務委員会で質問しております。この問題に関して、「ドキュメンツ・オブ・ザ・ナンキン・セーフティー・ゾーン」として、国民政府国際問題研究所によって、一九三九年、戦前に上海から出版されている。このデータだと、南京の人口は日本軍占領直前二十万、その後も二十万、占領一カ月後は二十五万、こういうふうなデータが、一九三九年の「ドキュメンツ・オブ・ザ・ナンキン・セーフティー・ゾーン」、国民政府国際問題研究所のデータであるということであります。
 これを見ると、日本軍の占領直前に二十万。直前です。占領の前が二十万、その後二十万、占領一カ月後二十五万。大虐殺があったらこういうことはあり得ないし、小さな虐殺があっても厳しいんじゃないかな、私はこう思うんでありますが、このデータに関して御所見はいかがでしょうか。
    〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕
○岩屋副大臣 今先生がおっしゃった「ドキュメンツ・オブ・ザ・ナンキン・セーフティー・ゾーン」に関する分析なども含めて、この事実関係についてはさまざまな議論が存在しているというふうに私どもは承知をしております。
 ただ、先ほど大臣がお答えになられましたように、当時の状況下で何かしらの殺りく、略奪があったということは否定できないのではないかというふうに考えているところでございます。
○松原委員 副大臣のそういう答弁というのは極めて危ないと思うんですね。それは、そういうのはあったということで、こちらがあったと認めようとしている。
 実際は、今言ったように、三百回の記者会見でもなかったし、逆に人数が減ったというのは、これは後づけの資料ではなくて一九三九年の資料ですから、こういった明示的なもので、逆に人数が十万人になっていましたとかいうふうなデータが本当にあるのかと。ないんですよ。これしかないんですよ。それは、これが専門の行政だったから。南京の方の、専門のそういう機関だったから。
 ほかに減ったというデータがなくて、減っていないというデータしかないということは、これはやはりきちっと押さえるべきであって、私は、こういったことを考えると、三十万人という数値を中国が言ってこないなんというのは当たり前であって、一万人も千人も百人も含めて、つまり、極端なことを言えば、南京市民の虐殺が五人でもあったら宣伝をしたと私は思う。それすら言われていないという状況は、極めて、こういった中国が喧伝するところの南京における虐殺と違った状況があったということは当然であって、これはそのことを、国益を考えるならば、きちっと主張していかなければいけないと私は思います。
 これは大臣にお伺いする、副大臣にお伺いするでもいいんですが、佐渡島さん、そこにいますから、事務方でずっとやってきて、こういうことは中国側にきちっと主張しているかどうか、お伺いしたい。事務レベルで。
○佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。
 今、数の御議論につきましては、私、つまびらかではございませんけれども、私どもも、例えば南京の記念館、ただいま改装中ということで、修理中、何か閉鎖になっておるやに聞き及んでおりますけれども、常々どういうものがあるかというふうなことは注目をしておりまして、その中で我々としておかしいと思うものにつきましては、折に触れて議論をしてきております。
○松原委員 例えば、具体的に、この国民政府国際問題研究所の数値で、占領前二十万、その後ずっと二十万、占領後二十五万、こういったことは指摘しましたか。
○佐渡島政府参考人 大変申しわけございませんが、手元の資料で、それをやった、あるいはしなかった、そのいずれについても、私、今手元で確認することはできません。
○松原委員 この温家宝さんに対する公開質問状というのは、極めて事実関係だけを質問している内容であります。特に、一項目から四項目。特に私は、一から三までである程度いいと思いますが。
 これに関して、温家宝さんに質問するんじゃきついということであるなら、これをどう考えるかということは、日本もこのことは今、麻生さんが言ったように、三十人の国会議員が三回参加しているんですから、勉強会で。このことを、こういう疑念を我々が持っている、つまり、三十万というロットではなくて、大虐殺そのものがなかったと極めて客観的に考えている国会議員もいるということを含めて、私はやはり、どういう形かわからないけれども、公開質問状の内容を向こうに問いただす必要があると思うんだけれども、事務方としてどう思うか。
○佐渡島政府参考人 今、私どもの事務方としての考え方でございますが、歴史の問題をめぐる議論につきましては、双方で専門家の方々にきちんと集まっていただいて、客観的な事実をもとに議論をしていただくという取り組みを進めております。したがって、御議論の方は、まずはそちらの方でやっていただくというのが適当かと思います。
 政府の認識、全体としての認識というのは委員御高承のとおりでございまして、私どもとして、ただいま申し上げられる日本政府の立場はどういうことかということになりますれば、その認識の方に返っていくということだと思います。
○松原委員 場合によれば、我々議員がどういう形でこういったものに対して中国政府に対して問いただせるか、そういったものも検討しなければいけないかもしれないと思っております。
 次に、たくさんあるわけでありますが、慰安婦問題も大分今言われている。慰安婦問題、前にも私、この外務委員会で申し上げましたが、作曲家のすぎやまさんという方がアメリカの新聞二社に、ワシントン・ポストとそれからニューヨーク・タイムズにある広告を出そうとして、これは失敗というか、それは受け取ってもらえなかった。
 その内容は何かというと、この南京の三十万が、今言ったようにいかに誤謬性があるかというふうなことも含めて主張し、また、アイリス・チャンの「レイプ・オブ・南京」の中で使われている写真がインチキであるということが明らかであります。そういったことを、この資料は今皆さんお持ちでないのかもしれない、これを明らかにしようとしたわけであります。
 有名な話でありますが、五十万部を超えるベストセラーとなったアイリス・チャンの「ザ・レイプ・オブ・南京」、一九九七年十二月アメリカで出版の表紙となり、日本でも毎日新聞が一九八三年八月十六日付で、南京大虐殺は事実だ、証拠写真を元日本兵が撮影したと掲載したものがある。これは、従軍兵士だった村瀬守保さんが撮影した。
 ところが、掲載された写真はいずれもトリミング、一部カットされていた。これをもとに、中国と戦闘した南京戦従軍将校の高橋義彦氏は云々と書いてある。
 さらに、「レイプ・オブ・南京」で慰安婦強制連行の写真、これをすぎやまさんは新聞に掲載しようとしたわけであります。あの有名な写真であります。だらだら橋を渡っていくような写真。大体見たことは何回か皆さんあると思いますが。この写真に関して「レイプ・オブ・南京」の英文キャプションは、日本軍は何千という女たちを家畜のように追い立て、彼女たちの多くは集団強姦され、軍用売春を強制されたと「レイプ・オブ・南京」のキャプションになっている。いいですか、何千人という女たちを日本軍は家畜のように追い立て、彼女たちの多くは集団強姦されるか軍用売春を強制された。
 ところが、この写真は、麻生大臣も釈迦に説法で何回もこの話を聞いている、知っていると思いますが、南京事件の起きる前に撮られた写真なんですね。しかも、日本で発行されていた週刊誌アサヒグラフ、一九三七年十一月十日のアサヒグラフに載った写真なんです。何て載っていたか。これは「我が兵士に守られて野良仕事より部落へかえる日の丸部落の女子供の群」。写真はみんな女性は笑っているんですよ。そのままこれを使ってはあんばいが悪いから、アイリス・チャンはそこを黒く塗ったんです、歯のところを。同じ写真なんです。
 それが、聞くところによると、最近撤去された。さすがにやばいと思ったんでしょう。南京大虐殺記念館から撤去されたというけれども、正面にそれがでかでかと飾ってあったというふうな話であります。
 こういうことを、麻生大臣、御認識しておられましたか。
○麻生国務大臣 かなり詳しく知っていました。
○松原委員 詳しく知っていたと。まさに抗議をせんという強い鉄のような意思はありましたでしょうか。
○麻生国務大臣 これは基本的には、事実関係というものを、先ほど申し上げましたように、伝聞情報によって当時の情況証拠をつくり出すのには基本的には無理がある。したがって、当時書かれた事実のみだけで話をしないと、その当時の話を聞いた人の話をまた聞いてなんというのでは、我々はその現場にいたこともなければその世代の感覚もない。したがって、後年の人の言う場合は、その当時出た新聞、その当時出た紀要、その当時出た記録等々のものをもとにしてやらないと、この種の話は、議論としては極めて感情的にあおられるだけのものになり得る。
 これはずっと私、二十五年ぐらい同じことしか言っていないんですが、そういうことを言ってきておりますので、その資料の収集の方にもっと力を注いだ方がいいのではないか、伝聞情報ではなくて、ということを思っております。
○松原委員 伝聞情報ではなくて、これは実際その写真が日本のアサヒグラフでそう使われていた、それをアイリス・チャンが五十万部のベストセラーで、あれで南京大虐殺は世界じゅうに定着をした。その書物の一番のでかい写真として、その写真を使っている。実態は違う。日本のアサヒグラフが一九三七年にこれから強姦される女どもと使うはずがないし、そう使っていないんですよ。日の丸挺身隊どうのこうので一緒に野良仕事、後ろには綿を山のように積んだ荷車が写っているんですよ、アサヒグラフには。そこをカットしているんですよ、アイリス・チャンは。
 そして、笑っているんですよ、女性はみんな。笑っているところを黒く塗って、これから強姦される写真だと。こんなわかりやすいインチキ写真。本当はアサヒグラフが訴えなきゃいけないんだけれども、わかっていても訴えないというのはどういうことかよくわからないけれども。これは大問題だ。
 ただ、時間があと十分しかないので次に移りますが、だから、向こうの、中国の情報戦は、極めてしかも稚拙な情報戦であります。余り高度でもない。しかし、その高度でもないものに日本は反論しないという、より稚拙な外交上の戦略があるんじゃないかと大変に遺憾であります。
 私は、今回も、今言った文化人の皆さん、例えば屋山太郎さんとか櫻井よしこさんとか、すぎやまこういちさんとか、こういった方々を中心にして、実はこれには我が民主党の国会議員も十三人ぐらい、また自民党の国会議員は三十人ぐらい集まって、前にニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストに出そうとしたときは、個人のすぎやまさんが出してだめだった。一千万円を出します、意見広告です、事実だけです、この写真は一九三七年のアサヒグラフ、ここをアイリス・チャンが使った、インチキで使っている写真だと明らかにするということでやったにもかかわらず、ニューヨーク・タイムズは、我が社の論調と違います、では論調は何なんだという話なんですよ、事実なんだから。といって却下された。
 今度は、しからば議員も一緒になって出そうじゃないかということで今計画をしているわけであります。櫻井さんや屋山さんや今言ったすぎやまさん、その他文化人の皆さんと国会議員、もちろん私も喜んで名前を出しておるわけでありますが、それでやろう、こういう話をしている。慰安婦問題がアメリカでもカナダでも大変に盛んになってきている中で、私たちはやろうと。
 ここで申し上げたいことは、そのものは具体的な内容も極めて興味深いわけでありますが、例えば、いわゆるこの慰安婦に関して、日本軍及び日本政府が極めてそういうふうな悪徳をやってはいけないということを書いてある記事がある。当時、朝鮮半島は日本の領土でありました。そうはいいながら、これはもちろん朝鮮における新聞の記事であります。
 この記事はどういうことかというと、悪徳業者がばっこしている。「悪徳紹介業者」まで日本語でも読めます。「跋扈」も読める。農村婦女子を誘拐、誘惑をする。そして、被害女性が百名を突破している。釜山の刑事が奉天にそのことを究明するために急行した。こういう記事が出ている。
 つまり、この記事は何かというと、要するに本人の意思に反して強制的に、後のデータを見るとそのほとんどは日本人ではなくて朝鮮人による婦女子狩りの女衒であったということであります。時間がないので、その数字は今は言いませんけれども。それを日本の警察が取り締まる、韓国の警察というか、警察が取り締まるという指示を出してやっている、こういうことであります。
 そんな、家を家畜のように追い立ててなんということがあるはずがないことの当然これは証拠になるというか、当たり前であります。あろうはずがないわけであります。
 それからもう一つは、こういったペーパーがある。これは、国立公文書館のアジア歴史資料センターにある。何かというと、書いてあるのは、慰安婦募集をするのは、これは当時は公娼制度でしたから、慰安婦はマルなんです。しかし、それに際しては国際法を遵守すること。また、婦女子売買や誘拐などは絶対やってはいかぬ。しかも、二十一歳以上かつその職業についている女性を対象にするように、さらに親族の承認も必要だということを、当時の日本の警察が文書で徹底しているのがここにある。
 つまり、セックススレーブの慰安婦狩りなんということはあり得ないんですよ、これは、考えてみて。そういうのをやっているやつは捕まえようといって、刑事が奉天に急行したというんだから。
 私は、こういう事実に関して、佐渡島さん、ちゃんと外務省は認識し、こういったことを時々言っているかどうか、それだけ確認したい。時間がないから、簡単に。
○佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。
 今の慰安婦の部分につきましては、御指摘の報道というのは必ずしも明らかではございませんので、具体的にお答え申し上げるのは難しゅうございますけれども、先ほどのいろいろな事実関係で、明らかに違っているような部分について、どういうやりとりをしているかというのは、委員会でもこれまでに若干のやりとりがあったやに私記憶をいたしておりますけれども、局長レベルを含めて、私どもは先方に問題提起をして議論をしているということはやっておりますので、そのたぐいのことは、今後ともきちんと情報収集を怠りなくやりながら、言うべきことはきちんと継続して議論をしていきたいというふうに考えております。
○松原委員 私、言いたいことは、伝聞情報というのがある。日本側、今私が言ったのは当時の資料に基づいています。南京の人口の問題も一九三九年の南京政府の資料です。三百回の記者会見をやって一回も言っていないというのも資料であります。全部資料であります、これは。もちろん、アイリス・チャンのインチキ写真なんか、資料というかもうひどい話であります。
 中国側は、佐渡島さん、例えば中国や韓国側でもいいですよ、慰安婦と称される女性の証言はあるけれども、こういう文書の資料、裁判になれば文書の資料、物があるというのは、これは物証というのは大きいんだ。わかりますか。それは、中国や朝鮮から出てきたものというのはありますか。
○佐渡島政府参考人 申しわけございませんが、今のものにつきましては、少なくとも私が承知しております限りにおきましては記憶にございません。
○松原委員 私は、これは大事なところだと思うんだよね。我々は、少なくとも国がその慰安婦、二十一歳以上でなきゃだめだ、既に売春婦として仕事をやっている者じゃなきゃだめだ、それをきちっと書いた資料があるんですよ、戦前の。全部資料がある。彼らが言っている慰安婦問題にしても南京問題にしても、資料がない。こっちは資料がある。伝聞だってたくさんある。向こうは物的な資料がない。私は、きちっと議論するべきだと思いますよ。とんでもない話であります。
 資料がないのに、我々が人がよくて、日本人というのは昔からなんですよ、いや私が至らないためにと。これは日本の美学だけれども、至らないためにと言ったら国際社会でぼこぼこにされちゃうんだから。とんでもない話だと思っております。
 そこで、例えば、余り時間がないので簡単に言いますが、元慰安婦で、ビルマで貯金返還金の請求をした文玉珠さんの話は御存じですか。簡単に言ってください、時間がないので。
○佐渡島政府参考人 インターネット等でそういう名前が流れているということは私は承知しておりません。
○松原委員 時間がないから私が言いましょう。彼女は四年間で二万六千円か何か稼いだんですよ。その彼女が四年間で、売春をして、公的な売春ですからそれは責められない、それによって稼いだお金というのは、陸軍大将の二倍の給料だったというふうに言われている。
 それは彼女はかわいそうだったかもしれない。私たちはそこはきちっと考えなきゃいかぬ。しかし、少なくとも米側で言うようなセックススレーブではなくて、逆に言えば陸軍大将よりも高給を取っていた、結果として。その返還訴訟をしているんです。これは裁判記録に残っています。こういった事実はきちっと認識をするべきだと思う。
 その上に立って、もう時間がぎりぎりだから言いますが、この慰安婦問題、南京問題、事実究明を我々がやると、中国はああだこうだ言う、韓国もああだこうだ言う。だったらば、アメリカの例えばランド研究所とかそういうきちっとした研究機関がある、彼ら研究機関がやれば、私はアメリカというのはフェアな国だと思う、今回の慰安婦決議を出したマイク・ホンダというのは私はわからないけれども、フェアな国ですから、ランド研究所なりが、慰安婦問題について日本政府から委託をされて、真実をきちっと研究してくれと。ほかにもそういった研究所はたくさんあります、それなりのものじゃなきゃだめです、いいかげんなところじゃ。そこに、真実を研究してくれと委託費を出してやれば、絶対にこれはぬれぎぬだということが明らかになる。
 まず物証はこっちにあって、中国側の物証はないことからも含めて、すべて、慰安婦問題やそして南京大虐殺については真実が明らかになる。日本の手ではなくて、日本が金を出してアメリカの研究機関に委託することによって、これはアメリカの世論も一発で変わる。安倍さんがあっちへ行って広義の強制性があったとかなかったとか言うんじゃなくて、まさに一発でアメリカの世論は変わる。
 私は、ぜひとも、これは少なくとも今やってほしいと思いますが、大臣の所見と決意を聞きたい。
○麻生国務大臣 一つの方法として、アメリカというのは極めてフェアな国であるという判断、私も、それはいろいろフェアじゃないようなことがたまにはあるでしょうけれども、総じてこの国に関して、フェアな判断をし得る可能性の極めて高い国、アメリカというのはそういう国だと思っています。
 今の御意見の点につきまして、今、日中歴史共同研究というのが始まっていますので、ちょっとここらのところでよく双方でやってみるところ、今ちょうどスタートしたばかりなところですが、今言われましたように、やはり記録、資料に基づかない話というのは説得力がないんですよ。その意味では、我々にはその資料はきちんとしたものがあるというのは、これは日中共同研究のこちら側の資料として極めて大事なものだというところからぐらいがまず第一歩かなという感じはいたします。
○松原委員 アメリカの研究機関にというのをぜひ検討していただきたいんですが、もう一回答弁いただけますか。それは前向きに検討してくださいよ。
○麻生国務大臣 今の話は、一つの御提案として受けとめさせていただきます。
○松原委員 結論は、南京大虐殺もああいった形のもの、ああいった形というか、大虐殺、虐殺はなかった、間違いなく。慰安婦も、彼らが言うような慰安婦はなくて、今世界じゅうにある公娼制度のようなものはそれはあったでしょう、こういうことです。
 このことは、例えば文献で、中国との二国間の研究でも物証はあるのかと、ないんですよ。物証を今にわかにつくるしかないんですよ、彼らは。物証がこっちはある。議論がもう全然違いますよ、レベルが。実際なかったんだから、そんなものは。
 そして同時に、アメリカのそういう研究所に委託研究すれば、彼らはフェアにジャッジするでしょう、日本側の言っているのは物証があるじゃないかと。こっちは傍証、いわゆる証言しかない。証言は、同じような証言がこっちもある。
 これは私は、きちっとそうやって国際的な判断を仰ぎながら、日本の誇り、名誉というものを回復することをぜひとも、麻生大臣以下、佐渡島さんも、これはもう男佐渡島の本当に大変な、最後の有終の美か何かわかりませんが、大きな勝負になりますから、これはきちっとやってもらわないと、これをやらないで終わったら日本国民から恨まれますよ。そういうようなことを含めて強く申し上げながら、質問時間が参りましたので、私の質問を終わります。
 以上です。ありがとうございました。
○小野寺委員長代理 これにて松原仁君の質疑の時間は終わりました。
 次に、やまぎわ大志郎君。
○やまぎわ委員 自民党のやまぎわ大志郎でございます。質問を始めさせていただきたいと思います。
 今の御質問の中で、アメリカがフェアな国だと。基本的には私も、アメリカはフェアな国であってほしいと願う一人でもありますけれども、残念ながらそうとも言えないという部分もございまして、その中の一つをきょうは問題にしまして、御質問をさせていただきたいと思います。
 それは鯨の問題なんです。捕鯨に関しては、私も学生時代からずっと鯨に携わってきた人間ですから、少なくてもこの問題に関しては、アメリカを初めとする西欧諸国は全くフェアではありません。そういう状況にあって、我が国は、ほとんど孤軍奮闘に近いような形から、近年、私たちの唱えている科学的な理念というものに賛同してくれる国をふやし、まだ勝てるところまでは来ていませんけれども、何とか打ち返しができるところまで来た、そういう状況にあるんだろうと思います。
 折しも、今月の二十七日から国際捕鯨委員会が始まります。私もそちらに赴こうと思っておりますが、昨年、セントキッツネービス宣言という、商業捕鯨の一時停止、モラトリアムと呼ばれておりますが、これがもはや必要ないんだ、そして商業捕鯨に向けてきちんと進むべきなんだといった宣言が採択をされました。これを受けて、ことしは非常に厳しい状況に、西欧諸国が巻き返しにかかっているという状況もありまして、そのことも後ほど政府の見解としてお聞きしたいと思います。
 まず最初に、喫緊の非常に大きな問題として、この国際捕鯨取締条約あるいは国際捕鯨委員会のルールのもとにおいて行われている我が国の国際調査、調査捕鯨と俗に言われておりますけれども、これが長きにわたって妨害行動を受けているという事実がございます。この妨害行動は、一九八七年から我が国が調査捕鯨という形でずっと二十年来続けているわけですけれども、ずっとこれは行われているわけですけれども、昨シーズンと一昨年のシーズン、ですから、ここ二年間にわたっては妨害活動というのが極めてエスカレートしてきているという状況がございます。
 特に、実名を挙げさせていただきますが、グリーンピースという団体、シーシェパードという団体、両者は、国際環境団体としてNGOというものを標榜しておりますが、その標榜しているものとは全く違った行動を南極海では示しているということであります。
 この国際環境保護団体と標榜している二つの団体が過激な妨害活動を行っているということを、まずは政府がきちんとこの実態を把握しているかということをお伺いいたします。
○岩屋副大臣 まず、やまぎわ先生、獣医さんでいらっしゃいますし、鯨の問題に長く取り組んでいただいておりますこと、心から敬意を表したいと思います。
 今先生お尋ねの、このグリーンピース、シーシェパードといった国際環境保護団体が日本の調査捕鯨船に対して過激な妨害活動を行っているということにつきましては、水産庁を通じて逐次状況の報告を受けておりまして、状況を把握しております。
 今、近隣国など関係国から外交ルートを通じて情報の収集を行っているところでございます。
○やまぎわ委員 その上でお伺いをいたしますが、この過激な妨害行動というのは、ビデオ等々でもきちんと我が国は調査船の上から撮っている、それもごらんになっていただいたと思いますが、どこからどう見ても、我々だけではなくて多分世界じゅうの人が、見ればこれはひどいじゃないかと言うような内容のものだと思います。
 この証拠と言うのも変でしょうけれども、この行動を国際法上に照らして考えたときに、どのような扱いとしてこれは扱えるのかということを、政府としてはどう考えているか、教えていただきたいと思います。
○岩屋副大臣 先生今おっしゃったように、ビデオがあったり、かなりひどい内容だということは我々も承知をしております。
 ただ、全容についてまだ把握をしているわけではございませんので、国際法上の位置づけについて、先生おっしゃるこの過激な妨害行為が国際法上どういうことになるかということについて、この段階で回答することはちょっと控えたいと思うんですけれども、その上で、一般論として申し上げれば、我が国が公海上で行う調査捕鯨活動に対するNGOの妨害行為については、その態様によりましては、国際慣習法及び国連海洋法条約上の海賊行為に当たるか、ないしは、船舶の海洋航行の安全に対する不法な行為について規定する海洋航行不法行為防止条約、ややこしいんですが、SUA条約上の犯罪が関連し得るというふうに考えています。
○やまぎわ委員 副大臣、確かにこれは全容はまだ把握できていないということでありますし、起こったのは過去の話ですからね。去年といいましょうか、ことしの二月にやられている。さらに一昨年のシーズンでもやられているわけですから、それは全容を把握しようと思えば、それこそシーシェパードならシーシェパードの船をずっと追いかけでもしない限り、なかなかそういう意味での全容を把握するのは難しかろうと思います。
 しかし、問題は、我が国が国の調査としてこれは行っているわけですね、捕獲調査という形で。その我が国が行っている調査に対してあからさまな妨害行動をする、しかも、その調査に携わっている人員に対して生命の危険を伴うような妨害行動をとる、これは私は、言葉を選ばなきゃいけないかもしれませんけれども、あえて申し上げるなら、日本国に対するテロ行為だと思います。そういう認識を私自身は持っているんですが、もう一度、この点について副大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
○岩屋副大臣 先生おっしゃるように、我が国の船に近づいて、何か薬の入った瓶を投げつけたり、それからロープで船体を縛ろうとしたり、実際にスクリューに巻きつけてみたり、体当たりをしてみたり、これはまさに人命の危険を伴う極めて悪質な行為、是認すべきでないというふうに政府としても考えておるところでございます。
 このNGOの船舶がオーストラリアに今行っているとかいろいろ聞いておりますが、そういう情報を全部集めて、政府としてとり得べき行為、対処をしっかりやっていきたい、こう思っております。
○やまぎわ委員 そこで、事実関係としますと、この二月に随分と妨害行動をされて、そのときにシーシェパードと名乗る団体の船がやってきたわけですね。これは、我が国の外交努力というものもあったんでしょうけれども、旗国主義と言われる、旗を立てている国から国籍を剥奪されているわけですね。ですから、シーシェパードの船というのは二隻ありますが、両者ともに無国籍船になっているわけです。無国籍船になっていて、なおかつ、ビデオを見ていただいたのならおわかりだと思いますが、その船のへさきにどくろマークをつけて、それで近づいてくるような状況で、なおかつ、こちらが制止をしているにもかかわらず体当たりをしてくる。これは、どう考えたって海賊行為以外の何物でもない。あるいはテロと言ったっていいと思うんですね。
 これは、国際法上どうかということを判断するに当たっては、確かに非常に慎重にいろいろなことを判断しなくてはいけないかもしれないけれども、一義的には我が国の判断において事は行うというのでないと、国際社会に対して何も問題を提起しないということになるんだろうと思うんです。ですから、ここの点については、ぜひまた強く私たち働きかけをしてまいりますから、前向きに検討をするということをやっていただきたいなという気がいたします。
 そこで、このシーシェパードの船なんですが、無国籍船になりましたので、帰る港がないんですよ。帰る港がなくて、いろいろなところに寄ろうとしたけれども、どこからも断られて、今、最終的にはオーストラリアに入っている、これはわかっているんです。
 それで、先ほど副大臣からお話をいただいたとおり、海上航行不法行為防止条約なるものに違反する犯罪行為じゃないかというような形からも、今捜査が進んでいるというふうには聞いております。しかし、二月、三月に起きたものに対して、もう六月になろうかという話ですね。余りにこれは、時間としてはゆっくり過ぎるんじゃないのかなという気がいたします。ですから、それもねじを巻いて、本気になって我が国の警察も動いてもらいたいなという気がするんです。
 今まで起こってしまったものに関しては、運よく乗組員の二人が軽傷を負うというところで終わっております。しかし、これから先どうするんだと。ここから抑止力が何もなかったら、ことしも調査船は南氷洋に行くんですよ、そのときに、日本政府が何も動かないという話になれば、当然調子に乗って、もう一回やっちゃるべえという話になるわけですね。これはいかぬだろうと思うわけです。ですから、何としてもこれはとめなきゃいかぬ。
 そこで、そのとめる手だてとして、条約に違反をしている、犯罪行為をしているんじゃないかというようなことで犯人という形にして、逮捕して、拘束してということができれば、それは最高です。それをまずはやっていただきたいと思いますが、その次の策として、今オーストラリアの港に船が入っているんだとするならば、そこから南氷洋に出さないようにする、そういうことはできないのか。これは、外交のルートを通じてさまざまな働きかけができないか。この点についてはいかがですか。
○岩屋副大臣 今、船がオーストラリアに行っているということでございます。日本とオーストラリアは、昨年六月に開催された国際捕鯨委員会、IWC年次会合において、NGOによる今回のような妨害活動の抑止を促す決議案を、同じ趣旨に賛同する米国やニュージーランド等とともに共同で提案をした国でございますから、オーストラリアに対しては、寄港国としても適切な対応をとるように、外交ルートを通じて私どもは働きかけております。今後もぜひ誠意ある対応を求めていきたいというふうに思っているところでございます。
 また、先生、また出席をしていただけるということでございますが、来る総会においてもこのことをしっかり私ども取り上げて、二度とかかる行為がないようにぜひ訴えていきたいと思っております。
○やまぎわ委員 昨年のIWC、私も出席しておりましたから、このNGOによる妨害活動というのはフェアではないし、やってはいけないことだという決議を私も見ている前で通してもらったということなので、結局、全く効果がなかったということなわけですよね。決議はしたんですよ、去年。だけれども、妨害行動はさらにエスカレートされて行われたということですから、同じことをやっていても彼らはとまりませんよ。味をしめていますからね。言っちゃ悪いんですけれども、鯨の問題で私たちは環境を守っていますというふうにプロパガンダすることが、彼ら自身が活動していく上での資金を集めるのに最も効果があるんだそうですから、それは金づるをつかもうと思えば何でもやるという世界だと思いますので、これは私たちが実際に動かない限りは決してこの妨害行動というものがやむということは私はないと思います。
 だからこそ、今回の国際捕鯨委員会の総会において我が国がどのような決意を持って臨むかということは非常に重要でありまして、私は常々提案しておりますけれども、もちろん、その妨害行動がどういう形で行われたかという実際のビデオを皆さんに見てもらう、なおかつ、かかる行為を行った場合には、我が国としてはこれを海賊行為としてみなすときちんと明言をした上で、さらに海賊行為を行った者に関しては、我が国のしかるべき立場にある船なりなんなりが拿捕する、臨検をする、逮捕をする、こういうことをやるぞと、しっかりと国際社会に対してこのIWCの総会の場においてこれは示していかなくてはいけないんじゃないかと思うんですね。この点について、どこまで踏み込んでやれるかというのを、もし御所見があったらお伝えいただきたいと思います。
○岩屋副大臣 総会において断固たる姿勢で臨めという先生の御指摘はごもっともだと思っております。実際に、軽傷ではあっても乗組員がけがをしておりますし、さらにエスカレートすれば生命も危険にさらされるおそれがあるということでございますから、先生の御指摘を踏まえて、総会ではしっかり私ども臨みたいというふうに思っております。
 それから、妨害行為を受けた我が国の調査捕鯨船がみずから当該妨害行為を排除することができるかどうかということでございますが、これは、国際法上、御指摘の行為は禁止されているわけではなくて、また、公海上の船舶が旗国の排他的管轄権に服するとされていることを踏まえれば、我が国国籍を有する調査捕鯨船舶が、我が国国内法が許容する範囲内でみずから当該妨害行為を排除するための行為を行うことは国際法上認められるものというふうに解しておりますが、まずは、この船が立ち寄っているオーストラリア政府にしっかりとした対処を外交ルートを通じてお願いする。総会において断固たる姿勢で臨む。さらに、さらにこの妨害行為が引き続いて発生する場合にはどう対処すべきかということについても、しっかり詰めておかなければいけないというふうに思っております。
○やまぎわ委員 そこで、南氷洋というのは非常に過酷な状況にありまして、私も二回ほど行っておりましたから嫌というほどわかっているんですけれども、結局、この妨害行動を本気になってとめようとしたら、恐らく、あの調査船に乗っかっている乗組員の皆さんでとめようったって、これは無理ですよ。ですから、公の力が必要だと思います。
 では、その公の力として、日本政府の力としてもしこれをやろうと思った場合には、これはお話をいろいろ伺うと、海上保安庁にお願いをするということになるんだという話なわけですね。そこで、いろいろ話を聞くと、海上保安庁の今持っている設備というのはなかなか厳しい状況にあるんだという話なんですね。しかし、人命がかかっている話でもありますから、どんなふうに厳しいのか、南氷洋まで行って帰ってくるという船があるのかないのかということも含めてお聞きをしたいと思います。
    〔小野寺委員長代理退席、委員長着席〕
○石橋政府参考人 海上保安庁では、遠隔かつ流氷域である南氷洋において数カ月にわたり業務を実施することが可能な巡視船は、現段階では保有しておりません。ということで、現状においては、巡視船を派遣することは困難であります。
 また、海上保安庁では、昭和五十年代に整備された巡視船艇、航空機の老朽・旧式化によりまして、犯罪の取り締まりや海難救助活動に支障を生じており、こうした状態を少しでも早く解消する必要がある。こうした状況から、日本全国の沿岸に配備しております巡視船艇三百五十六隻、航空機七十三機のうち、老朽・旧式化の進んだ一部について代替整備等を緊急かつ計画的に進めることにし、十八年度予算よりようやく本格的な代替整備に着手したところです。十九年度予算におきましても、大規模災害対策や沿岸警備あるいは監視体制の構築等のために、巡視船艇二十七隻、航空機十二機の代替整備等の経費として約三百九十五億円が計上されたところでございます。
○やまぎわ委員 さてと思うわけですね。これが我が国の現状ですよ。南氷洋に行ける船が一隻もございませんというお答えですよ。なおかつ、この日本の周りを守ってくれていると私たちが信じているその海上保安庁の船が、昭和五十年代につくった船がもう老朽化でぼろぼろになっていると。しかも、それを直すといって、今、十九年度に三百五十六隻ある中の二十七隻を直すと。これはやはり、余りといえば余りだと思いますね。この状況を私たちは看過できないと思いますね。この問題に関しては、南氷洋の問題だけじゃないですけれども、余りにここにお金をかけなさ過ぎているんじゃないのかなという気がいたします。
 その問題意識とともに、本当に私たちの国の調査として、南極の周りの海に人を送っているわけですから、その人命を、もしかしたら、どかんとぶつけられた瞬間に人が海の中にほうり出されるかもしれないんですよ。南極海は、先ほども申し上げましたけれども、海がマイナス二度なんですよ。凍る寸前の海です。そんなところに人間が生身でぼそんとやられたら、一瞬で死にますよ、ショックで。本当に、板子一枚下は地獄という言葉があるとおりに、そういう過酷な状況で、なおかつ、湖じゃないんですから、波だって自分の船の高さよりも高いぐらいのうねりがいつもいつも来るような、そういう状況の中にいて、これをこのままもし何もしないで、あるいは、した結果としても、今シーズンもまた妨害行動にやってくるなんということがあったときに、それをとめられなかったなんという話になったら、これは国家のこけんにかかわると思いますよ。
 ですから、海上保安庁も、これは気合いを入れて、本当に、新船をつくる、そして、そこまで護衛をする、それぐらいの覚悟でやっていただけないものでしょうか。
○藤野大臣政務官 御答弁申し上げます。
 先ほど来、やまぎわ先生の、本当に心の、熱意のこもったいろいろな御指摘、逐一うなずくことばかりでございます。
 それから、岩屋外務副大臣の方から、これからのいろいろな政府としての、外務省、外交ルートを通じた対応、こういうものにも我々これから緊密に連携をとりたいと思っております。
 その中で、今おっしゃいました船舶の現状で、現実問題として、数週間にわたりそこの南氷洋で監視できるものが、ちゃんと警護活動ができる船がないというのは、これは厳然たる事実でありまして、そのことに対して本当に内心じくじたるものがございますが、私も一政治家といたしまして、こういうものを放置していいということでは全くございません。危険きわまりない行為をされているわけでありまして、外務省ともよく連携をとりながら、関係国のいろいろな協力も今後どうなっていくのかということを見ながら、今の巡視艇の一日も早い整備ということを、やはり海上保安庁として前向きにこれに取り組んでいくという姿勢をとらなきゃいかぬ、今こんな決意でおります。
○やまぎわ委員 決意だけではなくて、ぜひこれは本当にやっていただきたいと思います。
 それで、この問題の最後ですけれども、副大臣にもう一度、最後に、これはそれこそ決意をお聞かせいただきたいと思うんです。
 安倍総理は、主張する外交というのを言っているわけですね。私は、これはすばらしいことだと思います。外務委員会でさまざまな委員の皆さんから御意見を伺っていて、少なくても、この外務委員会においては、野党も与党もなく、皆さん、日本の外交というものに対して真摯に、もっと主張していかなきゃいけないという思いを持って取り組んでいらっしゃるということは、もう本当によくわかります。また、麻生外務大臣も、それにおこたえするように、主張する外交というものをきちんとやっていくという姿勢が私は見てとれると思うんですね。
 この一件に関しても、主張する外交をまさに具現化していただきたいと思うんです。きちんと抑止をする、二度と南氷洋にそういう連中は来させないように何としても外交の力を使ってやるんだ、そういう強い決意を表明していただきたいと思います。
○岩屋副大臣 先ほども申し上げましたように、今般の妨害行為はまさに危険きわまりない行為でございまして、これは断固非難されなければいけない行為だというふうに思っております。
 したがって、今回のIWCの総会においてもそうでございますけれども、あらゆる国際場裏の舞台を通じて、こういうことをきちんと取り上げていかなきゃいけない、こういうふうに思っているところでございます。
 非科学的な根拠で捕鯨反対を主張する国に対して、なかなか我が方の主張をすぐに理解させるということは非常に困難だとは思うんですけれども、このIWCの加盟国でも、先生御承知のとおり、賛成、反対、大体拮抗している、反対の方がちょっと多いというような格好で、こういう状況でございますので、一国でも我が国の主張を理解していただけるように、先般も、アフリカのある小さな国が加盟をしたいというお話でございましたので、ぜひ我が方の立場を理解していただくようにお願いをさせていただいたところですが、そういう努力を粘り強く続けていきたい、こう思っております。
○やまぎわ委員 今、副大臣に少しお答えいただきましたが、我が国として、この捕鯨問題に対してどう取り組んでいくのか、我々が何を目指していくのかという基本的なスタンスは、この機会ですから、一度伺っておきたいなと思うんです。というのは、私もこの鯨の問題にずっと取り組んできて、本当に、にっちもさっちもいかない膠着状態にあるんですね。賛成も反対も大体同じぐらいの数で、わあわあ言うだけなんですよ。
 それで、商業捕鯨を再開させるのには、加盟国の四分の三の賛成が必要だと。今、七十一カ国だと思います、この国際捕鯨委員会に参加している国が。四分の三をとるというのは容易なことじゃないですね。ですから、商業捕鯨を再開させるということを目標にして進んだとしても、国際捕鯨委員会というこのくくりというか場において、これを実現させるというのは現実問題としてかなり難しい話なんじゃないかなという気がするんです。
 そんなこともあって、国際捕鯨委員会は国際捕鯨禁止委員会みたいな状況になっておりますから、この国際捕鯨委員会そのものを、そもそもは、世界にある鯨の資源を絶滅させないように国際的に管理をする、そういう委員会だったはずのものなんです。そういうものにもう一回戻していく、正常化させるということを我が国は昨年提案をして、そして、ことし、この国際捕鯨委員会を正常化させるための会合というものを開いたんですね。もう御案内のとおりでございます。そのところには、七十一カ国全部に、我が国は、正常化させるための会合だから参加してくれというふうに働きかけをして、結局来たのは、日本に対して賛同する意見を持っている国しか来ない。要するに、国際捕鯨委員会そのものは、もはや正常化するということすら放棄している、私はそう言ってもいいんだと思います。
 そういう状況にあって、これから私たちはどう進んでいくべきなのか。これは、ぜひ政府の見解を伺っておきたいと思います。
○岩屋副大臣 先生御指摘のように、商業捕鯨の再開への道のりというか道筋は、非常に国際環境としては厳しいものがあるわけでございます。我々としては、水産庁とも連携協力して、今度開催されるIWC年次会合の場で、沿岸小型捕鯨枠の確保などに向けて最大限の努力をしたいというふうに思っておりますが、商業捕鯨の再開に向けて、では妙案があるかというと、妙案があるわけではないんですけれども、ただ、今先生が御指摘になったように、長期的には、世界的に食料が不足するということもございますし、それから、もともと持続可能な形でこういう資源を利用していくということで始まったはずだというのはおっしゃるとおりだと思いますので、食文化を含む文化的多様性を尊重する必要などをしっかり国際社会に訴えていきたいと思います。
 私は、先般、アフリカへ行ったときに、サバンナを歩く象さんの姿は優雅ですねとお話ししたら、懇談会の場でしたが、余り大きな声で言えない話ですが、いや、象がふえてもう大変なことになっているんだ、あれはもう一日で自分の体重の半分ぐらい飯を食うんだ、象がふえるということは砂漠化につながって環境破壊につながるんだという声も聞きました。
 鯨についても、やはり科学的根拠に基づいて、持続可能な資源として活用していくということを日本としてはこれからもしっかり訴えていきたい、こう思っております。
○やまぎわ委員 最後にしますけれども、私は、この国際捕鯨委員会からは脱退してもいいと思っているんです。それで、日本が本当に正しいと思うことをきちんと世界に対して主張をして、そして私たちの意見に賛同してくれる国々を集めて、新しく鯨の資源を管理していくものをつくって、その枠組みの中で、しっかりと鯨とも共存共栄をしていくということをすればいいんじゃないかなと思います。
 今、アフリカゾウの話をしていただきましたけれども、鯨も、南氷洋にはミンククジラという、今調査捕鯨の対象にしている鯨が七十六万頭もいるんです。それで、絶滅の危機に瀕していると言われているシロナガスクジラは数百頭しかいないというんですね。シロナガスクジラもミンククジラも同じえさを食っているんですよ。
 ですから、一遍、生態系のバランスというものを人間が崩してしまったならば、もう一度もとに戻すために人間が汗を流すというのは、科学的に見ても私は正しいことだと思います。そういった見解を持ちながら、これからも粘り強く私もこの捕鯨問題に取り組んでいきたいと思っております。
 きょうは本当にありがとうございました。
○山口委員長 次に、笠井亮君。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
 きょうは、日本とNATOとの協力の問題について質問いたします。
 五月九日の当委員会の質問で、去る五月一日の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2の共同発表の中で初めて日本とNATOとの協力について言及したというふうに答弁がありました。西宮北米局長は、日米間の合意文書を大分調べたけれども、これまでに言及したものはないというふうに答えましたけれども、この日本とNATOへの言及というのは、2プラス2において、日米のどちらから提起されて盛り込まれたものなんでしょうか。
○西宮政府参考人 相当長い過程で準備をいたしてきたものですから、どちらから申し上げたというのは、今、私の手元に資料がございません。申しわけございません。
○笠井委員 この間、米側からは、日本とNATOとの関係緊密化を歓迎するという動きが、いろいろな意味で発言もあったり伝えられてきております。
 それでは、今回の2プラス2の中で、日本とNATOとの協力問題について、米側は、だれがどういうふうなことを言ったんでしょうか。
○西宮政府参考人 2プラス2におきましてそれぞれの閣僚が何を言ったかということは差し控えたいと思いますけれども、ことしの2プラス2の後の記者会見におきまして、ゲーツ国防長官から、NATOとの協力について、記者団から質問がございまして、これに答える形でアフガニスタンの例を挙げまして、これは日本が日本の政策と一貫性のある形でNATOと協力を行うよい例であるといった発言をされております。
○笠井委員 NATOの側も、この間、振り返ってみますと、韓国、豪州、日本、ニュージーランドということで、そういう名前もいろいろな形で挙がりながら、非加盟国との協力拡大ということについて、例えば去年四月のソフィアでの非公式の外相会議でも取り上げられて、そして事務総長自身もそういう機会に発言をしている、そして十一月のリガ・サミットでもこういう問題が取り上げられたというふうに承知をしております。
 今回の2プラス2の後に、久間防衛大臣がNATO本部を訪問しました。昨年もちょうど、振り返ってみますと、麻生大臣が、2プラス2が終わって、五月一日、同じ日の後に、外相として初めてNATO本部を訪問されました。そして、そのときの演説の中で、私もテキストを改めて拝見しましたが、大臣は、「NATOの主たる役割が、集団防衛である」、「日本の自衛隊は、憲法に基づく制約のため、いかなる形であれ集団防衛の取決めへの参加は出来ません。」こうはっきり言われております。同時に、その後いろいろとお話をなさった中で、最後に、「今後、日本とNATOとが相互理解を継続的に深めていけば、最後には、政策協調のみならず、オペレーショナルな面においてもどのような協力が可能かを見つけるであろう」と確信していると結んだわけであります。
 そこで大臣に伺いたいんですが、このオペレーショナルな面での協力というのは、どういう意味でおっしゃったんでしょうか。
○麻生国務大臣 NATOとの協力というのは、今、現実問題として動いているのは、インド洋の洋上におきます給油が多分一緒だと思っております。それで、御存じのように、我々日本側、NATO側といきますと、NATO側は、いわゆるNATOの域外に出てNATO軍として参加したのは多分アフガニスタンなんだと思いますし、我々日本の方も、テロとの闘いという戦場において、洋上において給油もしくは給水等々のことをやった、多分、現実問題として、一緒に共同作業というのであればこれが最初かな、そのような感じがいたします。それ以後も、今、NATOの方から、陸上における話やら何やらはいろいろな国から個別に来たり、また、PRT等々の話がいろいろ来ておりますのは事実であります。
 我々といたしましては、こういったようなものは、今、御存じのように、憲法上の枠組みの話がありますので、どの程度のものが現実的にできるか、かつ、これは格好だけつけてもだめで、現実的にやはり治安とか平和とか繁栄とかにつながっていくものでないと余り意味がないと思っておりますので、そういったものは具体的にどんなことが現実的に、ある程度は動く範囲が決められている中で、動ける許容範囲が決められている、いろいろな表現がありますけれども、我々、できる範囲がある程度決められておりますので、その上に立って、アフガニスタンの復興支援にどんなものが役立つかなというのは、一緒にやる、いわゆる世界じゅうが一緒、世界じゅうというかNATO軍がやっておりますので、一緒にやるというのは、一つの方法として、例えば日本はいわゆるNGOなり何であって、向こうはとか、いろいろな組み合わせも含めて、幅広く柔軟に考えて効果を上げるのが一番かなと。
 ちょっとまだ検討中でありますので、今、仮定を申し上げておるだけであります。
○笠井委員 先日の外務委員会の中でも、大臣は私の質問に対して、アフガニスタンでのNATOによるPRTへの参加については、主として資金援助が大きいんだ、治安の話と関連するので、自衛隊を出せるかというと難しいんだという形で、直ちに自衛隊を派遣して治安活動というふうな話ではないんだということも言われたりしました。
 今のお話を伺っていて、結局、いろいろな検討をしながらも、いずれはオペレーショナルな面での協力、軍事作戦上の協力に拡大していく、あるいは、それがどうすれば可能になるとかというふうなことも念頭に置きながら今後を考えていらっしゃるということなんでしょうかね。
○麻生国務大臣 笠井先生、とりたてて今、このオペレーションにこう参加したいためということを考えているわけでは全くありません。
 私どもとして何ができるかというのは、ちょっと正直、初めてのことでもありますので、海上でならともかく、陸上でということになりますと、いろいろな地域の情勢等々、外務省から入ってくる情勢、いろいろ違います。
 例えば、地雷除去という話は、今カンボジアなんかでNGOで日本はやっておりますけれども、あの山の中におけるあれとジャングルの中と砂漠の中でやりますのと、同じ地雷とはいえ大分やり方が違うんだそうで、かなり状況が違う等々よく聞かされるところでもありますので、現実問題、何が本当に役に立つかというのは、資金援助以上どんなことができるのかということを、ちょっと正直、考えているという以上のものでもございません。
○笠井委員 安倍総理は、ことし一月、NATO本部へ行かれて、そして演説をする中で、自衛隊が海外での活動を行うことをためらいませんとNATOの本部の場で言われるということで明言をして、アフガニスタン支援のコミットメントとして四点を挙げました。第一に、ロンドン会合のコミットメントを達成するために約三億ドルのさらなる支援の実施、第二に、治安分野での支援強化、第三に、NATOのPRTの活動との協力強化、そして第四に、麻薬、テロとの闘いでの役割。
 さきの2プラス2後の共同記者会見で、先ほどありましたが、ゲーツ国防長官が日本とNATOとの協力についてアフガニスタン支援を挙げて、その直後に久間大臣がNATOの本部に行って事務総長と会談をして、自衛隊が民間人や資材の輸送などもできるかどうか検討したいと、これは共同の会見の中でも言われている。
 そうすると、事態は、去年、外務大臣が五月に行って演説をされたときよりもさらに進んでいるという印象を私は受けるんですね。総理の演説、そして、ことしの2プラス2を受けての久間大臣のNATOでのやりとりということになりますと、オペレーショナルな面での協力というのはさらに踏み出しているというふうに私は受けとめているんですが、大臣、大臣のおっしゃっていることと、ことしに入っての一連のそういう総理や防衛大臣のなさっている、あるいは言動についての関係というのは、どういうふうにとらえたらいいんでしょうか。
○麻生国務大臣 昨年の五月のときは間違いなく、NATOの理事会において日本から少なくとも閣僚が出て発言をした最初の例と、九カ月たちました安倍総理のときと、一年たちました久間大臣のときと、これは時間がたっておりますので、ある程度、最初に申し上げたときとは、現実問題として、事務レベルというようなところでいろいろ話が進んでいる、いろいろ検討が進んでいる、それはもう十分にあり得るというのはお察しのとおりであります。
 少なくとも、インド洋の洋上におきまして、いろいろな給油、給水活動等々は、これは極めてNATOの評価は高いのはもう御存じのとおりでありますので、練度、士気等々極めて高い状況が続いておりますので、こういったものに対する期待は極めて大きいというのは事実です。
 しかし、その話とできる範囲というのは明確にしておかないと、御懸念のような話になって、話がどんどんエスカレートするかもしれぬのじゃないかということになり得るというのは、これは十分に注意をしておかないかぬところだ、私どももそう思っております。
○笠井委員 インド洋については私は違う立場を持っていますが、それは別としまして、今の話は、大臣の認識は伺いました。
 それで、もう一つ問題ですが、NATOのエルドマン事務次長が、昨年十二月十二日にブリュッセルで、日本の記者団との会見の中で、NATOと日本の当局者との間でミサイル防衛について協議したということを述べて、そして、ことし三月訪日をする。これは実際に、三月の日本とNATOとの高級事務レベル協議のことだと思うんですけれども、その問題も改めて取り上げる考えを述べたということであります。
 これは外務省か防衛省どちらでも結構ですけれども、日本とNATOの間で、そういうミサイル防衛についても実際に協議を行ってきているのか。いつ、どういうレベルで、だれが、どんな話し合いに今なっているのかについて説明してください。
○片上政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど委員の方から御指摘のありました、七日行われたエルドマンNATO事務総長補と薮中外務審議官との高級事務レベル協議で、幅広い分野について意見交換が行われたわけですけれども、ミサイル防衛に関しては、その協議の場において、ミサイル防衛に関する現状について、具体的には我が方より、弾道ミサイル防衛に関する我が国の取り組みの現状について説明し、NATO側からは、NATOのミサイル防衛については今後NATO内部で議論を行っていくという旨の説明があった、そういうやりとりでございます。
○笠井委員 NATOは去年十一月の首脳会議で、リガ宣言というのを採択しております。私もそのテキストをここに持ってまいりましたけれども、この第十二項というところで、これは非NATO諸国と作戦上の連携を増大させていくという言及があります。これは、この間のNATOの議論でいえば、明らかにアジア太平洋の非加盟国等も念頭に置きながら、連携強化の方針を打ち出したということであります。
 ブッシュ大統領はこの首脳会議の前日にラトビア大学で演説をして、そしてこれもテキストがここにありますが、NATOの価値を共有し、平和の大義において、我が同盟とともに活動する日本やオーストラリアのような国々と共同訓練や合同演習、共通防衛計画づくりを進めるということで、そういう形で表明をしているということであります。
 大臣、日本としても、こうしたブッシュ大統領が言うような方向で、あるいはリガ宣言で言っているような方向でやはり目指しているというふうなことなんでしょうか。いかがですか。
○麻生国務大臣 今直ちに日米同盟以外の同盟関係をつくって訓練をというような話をしているわけではありません。ただ、共同訓練というんでしたら、海賊対策等々、日米ロでやったんでしたか、いろいろな形で共同の訓練等々をやっております。古くはリムパックにスタートしておりますけれども、環太平洋のあれがリムパックと昔言いましたけれども、そういったのを初め、いろいろやってきておると思いますので、そういった実績はあろうと思いますけれども、今直ちにこれを幅を広げて新たな同盟関係をというような関係では全くございません。
○笠井委員 いわゆる集団的自衛を基本とするのがNATOでありますから、そうしたNATOとの協力を進めていくと、これは当然、いや応もなしに、集団自衛権の行使の問題、そして先ほどのMDの問題でも、結局、武器輸出三原則ともかかわってくる問題があり得る。そして、憲法改正の問題に直面することは明らかであります。そもそも日本防衛ということで安保があり、自衛隊があったことが、今NATOと協力関係という話まで来ているということ自体がもう相当変質していると私は思うんです。
 しかし、そういう点で、昨年四月のNATOの中の議論でも、外相会議の中では、日本などとの連携強化ということについて言うと、オーケーだというだけじゃなくて、例えばドイツの外相なんかも、我々はいかなる新たな機構も望むものではないということも言っているという点でいきますと、やはり世界が軍事同盟から平和の共同体の方向に大きく前進しているときに、日本とEUというならこれはわかります。しかし、日本とNATOという形でやっていくということになりますと、せっかくの日本国憲法に基づく外交の力が世界から期待されている日本が、軍事同盟の世界的拡大を目指すNATOと軍事連携強化ということになりますと、そして、アメリカの戦略の中でともに分担し合うということになると、これは大変なことになる。
 そうした道は断じてとるべきじゃないということを強調しまして、質問を終わりたいと思います。
○山口委員長 次に、照屋寛徳君。
○照屋委員 一昨日の当委員会で、環境省、海上保安庁にもお越しいただきましたが、時間の関係で質問ができず、済みませんでした。そこで、改めてお尋ねしたいと思います。
 周囲を海に囲まれた沖縄の自然環境や景観を保全する上で、外国からの漂流・漂着ごみ問題は深刻です。環境省は沖縄の漂着ごみの発生源対策を検討するため、二〇〇七年度から二年かけて、石垣島や西表島などで漂流・漂着ごみ国内削減モデル調査を実施する方針とのことでありますが、その事業内容をお尋ねします。
○谷津政府参考人 お答え申し上げます。
 漂流・漂着ごみに係る国内削減方策モデル調査費、これの概要でございます。
 この調査は、平成十九年度の新規予算で、漂流・漂着ごみの著しい一定範囲のモデル海岸を定めまして、対策のあり方を検討するということを目的にしてございます。
 具体的には、モデル地域におきまして、漂着ごみの状況、地域特性などについて概況調査をまず行います。続きまして、これに基づいて、環境保全上の価値が高い海岸を選びまして、クリーンアップ作業を定期的に実施して、漂着したごみの分類、漂着経路の推定、重機の利用等も含めた効果的、効率的な清掃運搬処理の方法を検討する。さらに、地方公共団体との密接な連携のもとで、この問題に取り組むボランティアなどとの意見交換を定期的に行いまして、関係者間の連携のあり方を検討するということでございます。
 本調査につきましては、全国七地域で実施するということを想定しておりまして、沖縄県においては石垣島、西表島をモデル地域に選定しているということでございます。
○照屋委員 外国からの漂流・漂着ごみ問題を国際的な枠組みの中で積極的に取り上げることが重要だと思われます。漂着ごみ問題に取り組む北西太平洋地域行動計画では、日本海は対象ですが、沖縄本島や八重山地域に面する東シナ海は国際的な枠組みに含まれていないようですが、環境省あるいは外務省の見解と方針を尋ねます。
○大江政府参考人 ただいま先生から御指摘がありました北西太平洋地域海行動計画、いわゆるNOWPAPと呼ばれているものですけれども、九四年に日中韓ロの四カ国で採択されたものですので、その四カ国で議論をして、どういう地域をその海域の対象とするかということを決めたわけでございますけれども、基本的な考え方としては、ごみのたまりやすいいわゆる閉鎖海と言われているものを中心にその海域を設定したということでございまして、そういうことで、日本海及び黄海を主たる対象として合意されたという経緯でございます。
 したがって、その閉鎖海ではない東シナ海や沖縄等については、当初から、このような海洋汚染が特に問題となる海域だと当時認識されておりませんでしたので、対象とされなかったというふうに承知しております。
○照屋委員 海上保安庁の資料によりますと、海洋汚染の海域別発生において、沖縄を含む南西海域の海洋汚染は航行中のタンカーなどから投棄される廃油ボールが原因となっております。南西海域における廃油ボール汚染の実態と海上保安庁の監視体制や近隣諸国との連携方策についてお尋ねします。
○石橋政府参考人 まずは漂着廃油ボールの状況ですけれども、海上保安庁での調査によりますと、日本沿岸周辺では、南西諸島に漂着している廃油ボールというのはやはり非常に多うございます。
 海上保安庁としましては、海洋汚染の防止の観点から、巡視船艇、航空機により、我が国周辺のタンカーの航行ルート等において、油排出事案の監視、取り締まりを実施する一方、一定の海域及び沿岸部において漂流・漂着廃油ボールの調査を行っているところであります。
 また、漂流・漂着廃油ボールに関する情報があった場合には、その状況把握や廃油ボールの成分分析等を行いまして対処しております。
 さらに、従来から、韓国、中国、ロシアなどを初め近隣諸国との連携協力を行ってきており、海洋汚染の防止に関しましても、その一環として協力体制の構築を図っております。
 海上保安庁としては、今後とも、廃油ボールの調査等や巡視船艇及び航空機によるタンカーの航行ルート等における油排出の監視、取り締まりを実施するとともに、今後発生する廃油ボールの増減の状況等を踏まえ、必要に応じ、近隣諸国との協力体制を通じて対処していくように努めてまいりたいと思います。
○照屋委員 最後に北原長官に、一昨日の当委員会における私の質問に対する長官の答弁に関連して尋ねます。
 その前に、私は、当委員会で再三再四、辺野古海域における環境事前調査に海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を出動させる、海上自衛隊の潜水士を投入する法的な根拠はあいまいである、もちろんその行為も私は断じて許せないということを言いましたが、きのうの衆議院安保委員会で久間大臣は、自衛隊法上の明確な根拠がないということを認めております。
 きょうは、それはさておくとしましょう。私が長官に尋ねたいのは、辺野古海域における事前調査において、どのような調査機器を、いかなる調査目的で、合計何カ所に設置をしたのか、簡潔明瞭にお答えください。
○北原政府参考人 照屋寛徳先生に御答弁申し上げます。
 今回の現況調査につきまして私どもがキャンプ・シュワブ沖周辺の海域に設置をいたします機材は、サンゴ類の産卵状況、ジュゴンの生息状況、それから海象状況などを把握することを目的といたしまして、そのための機器といたしましては、サンゴの着床具、それからパッシブソナー、水中ビデオカメラ、海象機器などとなっております。
 それから、先生、何カ所設置したのかという御質問でございますけれども、私ども、現在実施しておりますこの現況調査につきまして、その方法ですとかあるいは状況につきましては、前回のボーリング調査のときの妨害行為等にかんがみまして、対外的に明らかにすることにつきましては慎重に考えているところでございます。
 そして、この十八日から行いました調査、今回の調査につきましても現実に妨害行為があったところでございまして、船の上につきましてはテレビ等でも報道されておりますが、海の中、見えないところでございますが、見えないところでも、潜水具をつけた方が作業場所に入ってきて作業を妨害されたり、あるいは調査機器を置くための架台にしがみついて作業を妨害するといったこともあったんです。それからさらに、御承知のように、潜水士の方というのは一般に、一般といいますか圧縮空気を詰めた酸素ボンベを背中に背負って、そのボンベからホースでつないだ自動空気調節器、これをいわゆるレギュレーターと呼んでおりますが、それを口にくわえて……(照屋委員「何カ所設置したか答えて」と呼ぶ)それで、ちょっと、おわかりいただきたいんです。そういうものをくわえて酸素を吸ってやっているんですけれども、今回もそういったレギュレーターを外されるといった報告も受けているわけでございまして、そういうことを考えますと、その機材の設置数といったことにつきましては、今後の作業の円滑な実施を図る上で支障を生ずるおそれがあるということで、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○照屋委員 ちっとも簡潔明瞭じゃない。いまだに何カ所調査機器を設置したかも明らかにしない、そういう秘密主義ではいけません。
 最後に、きのうの地元二紙は社説において、サンゴの産卵状況の調査でサンゴを破壊した今回の調査を厳しく批判しております。北原長官は当委員会で、サンゴを大幅に破壊したとか、あるいは損傷したとは考えておりませんけれども云々と答弁しておりますが、何を根拠に破壊、損傷がなかったと言うのか。また、機材を設置した場所の現状につきましては確認をすることといたしておりますとも答弁しております。
 現状確認とは調査をすることか、確認後いかなる対応措置をとるのか、お答えください。
○山口委員長 北原長官、質疑時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○北原政府参考人 私が申し上げましたことにつきましては、この機具を設置するに当たりまして、我々として、環境に配慮する等々、現場確認をしたりして慎重にやったところでございます。したがいまして、できるだけ、サンゴ着床具を設置することによる影響を低減するように努めたといったことを申し上げたわけでございます。
 いずれにいたしましても、調査機材を設置した後の状況につきましては、今後確認をすることといたしております。
○照屋委員 終わります。
     ――――◇―――――
○山口委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣麻生太郎君。
    ―――――――――――――
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 社会保障に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○麻生国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、平成八年に締結されたフランス共和国との間の現行の租税条約を改正する議定書を締結するため、昨年一月以来交渉を行いました。その結果、本年一月十一日にパリにおいて、我が方飯村在仏大使と先方コペ予算・国家改革担当大臣との間で、この議定書に署名を行った次第であります。
 この議定書による改正の内容は、配当等に対する限度税率を引き下げること、就労者が自国の社会保障制度に対して支払う社会保険料について、所得控除を相互に認めること等であります。この議定書の締結により、我が国とフランスとの間での課税権の調整がさらに図られ、両国間の経済的、人的交流等が一層促進されることが期待されます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、昭和五十五年に締結されたフィリピン共和国との間の現行の租税条約を改正する議定書を締結するため、昨年五月以来交渉を行いました。その結果、昨年十二月九日にマニラにおいて、我が方山崎在フィリピン大使と先方テベス財務長官との間で、この議定書に署名を行った次第であります。
 この議定書による改正の内容は、配当等に対する限度税率を引き下げること、みなし外国税額控除の適用範囲を拡大しつつ、十年間の適用期限を設けて将来的に廃止することであります。この議定書の締結により、我が国とフィリピンとの間での課税権の調整がさらに図られ、両国間の経済的、人的交流等が一層促進されることが期待されます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、社会保障に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 従来からオーストラリアとの間には、人的交流に伴って生ずる年金制度への二重加入等の問題があり、政府は、この問題を解決するため、オーストラリア側と、平成十七年六月以来、協定の締結交渉を行ってまいりました。
 その結果、本年二月二十七日にキャンベラにおいて、我が方上田在オーストラリア大使と先方ブラフ家族・地域サービス・原住民問題大臣との間で、この協定の署名が行われた次第であります。
 この協定は、日豪間で年金制度の適用の調整を行うことを目的とします。具体的には、年金制度への加入に関し、就労が行われている国の法令のみを適用することを原則としつつ、一時的に相手国に派遣される被用者の場合には、原則として五年までは自国の法令のみを適用すること、及び保険期間の通算による年金の受給権を確立すること等を定めるものであります。
 この協定の締結により、年金制度への二重加入等の問題の解決が図られ、保険料負担が軽減されること等により、両国間の人的、経済的交流が一層緊密化されることが期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようよろしくお願いを申し上げます。
○山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十五分散会