第166回国会 厚生労働委員会 第2号
平成十九年二月二十一日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 櫻田 義孝君
   理事 伊藤信太郎君 理事 鴨下 一郎君
   理事 谷畑  孝君 理事 宮澤 洋一君
   理事 吉野 正芳君 理事 三井 辨雄君
   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君
      安次富 修君    新井 悦二君
      井上 信治君    石崎  岳君
      加藤 勝信君    川条 志嘉君
      木原 誠二君    木村 義雄君
      岸田 文雄君    木挽  司君
      清水鴻一郎君    篠田 陽介君
      菅原 一秀君    杉村 太蔵君
      高鳥 修一君   戸井田とおる君
      冨岡  勉君    西川 京子君
      林   潤君    原田 令嗣君
      広津 素子君    福岡 資麿君
      松野 博一君    松本  純君
      松本 洋平君    御法川信英君
      盛山 正仁君    内山  晃君
      大島  敦君    菊田真紀子君
      郡  和子君    園田 康博君
      田島 一成君    田名部匡代君
      筒井 信隆君    寺田  学君
      細川 律夫君    柚木 道義君
      坂口  力君    古屋 範子君
      高橋千鶴子君    阿部 知子君
      辻元 清美君    糸川 正晃君
    …………………………………
   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君
   厚生労働副大臣      石田 祝稔君
   厚生労働副大臣      武見 敬三君
   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君
   厚生労働大臣政務官    松野 博一君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局参事官)            山崎 穰一君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           合田 隆史君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  外口  崇君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局長)            高橋  満君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       大谷 泰夫君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  阿曽沼慎司君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君
   政府参考人
   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君
   政府参考人
   (厚生労働省政策統括官) 薄井 康紀君
   政府参考人
   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局次長)          桝野 龍二君
   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十一日
 辞任         補欠選任
  加藤 勝信君     篠田 陽介君
  木原 誠二君     安次富 修君
  松本 洋平君     木挽  司君
  菊田真紀子君     寺田  学君
  柚木 道義君     田島 一成君
  阿部 知子君     辻元 清美君
同日
 辞任         補欠選任
  安次富 修君     盛山 正仁君
  木挽  司君     松本 洋平君
  篠田 陽介君     広津 素子君
  田島 一成君     柚木 道義君
  寺田  学君     菊田真紀子君
  辻元 清美君     阿部 知子君
同日
 辞任         補欠選任
  広津 素子君     加藤 勝信君
  盛山 正仁君     木原 誠二君
    ―――――――――――――
二月二十日
 患者負担増計画の中止と保険で安心してかかれる医療に関する請願(石井郁子君紹介)(第五号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第六号)
 療養病床の廃止・削減と患者負担増の中止等を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第七号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第八号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第九号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇号)
 同(中川正春君紹介)(第八三号)
 同(森本哲生君紹介)(第九四号)
 医療の充実を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二五号)
 国民医療を拡充し、建設国保組合の育成に関する請願(松木謙公君紹介)(第二六号)
 障害者自立支援法の抜本的見直しに関する請願(山崎拓君紹介)(第二七号)
 児童扶養手当の減額を最小限にすることに関する請願(福田昭夫君紹介)(第四四号)
 同(阿部知子君紹介)(第五三号)
 同(阿部知子君紹介)(第一一七号)
 同(阿部知子君紹介)(第一五二号)
 雇用保険の特例一時金の廃止・改悪に反対し、国の季節労働者対策の強化に関する請願(松木謙公君紹介)(第八二号)
 中国残留日本人孤児問題の全面解決に関する請願(重野安正君紹介)(第九三号)
 同(辻元清美君紹介)(第一一八号)
 同(野田佳彦君紹介)(第一一九号)
 雇用保険の特例一時金の削減に反対し、国の季節労働者対策の強化を求めることに関する請願(鳩山由紀夫君紹介)(第一〇一号)
 同(三井辨雄君紹介)(第一五三号)
 児童扶養手当の減額率を検討するに当たり配慮を求めることに関する請願(仙谷由人君紹介)(第一一二号)
 保育・学童保育・子育て支援施策の拡充等に関する請願(菊田真紀子君紹介)(第一一三号)
 同(辻元清美君紹介)(第一一四号)
 同(中川正春君紹介)(第一一五号)
 同(保坂展人君紹介)(第一一六号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第一二四号)
 同(石井郁子君紹介)(第一二五号)
 同(笠井亮君紹介)(第一二六号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一二七号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第一二八号)
 同(志位和夫君紹介)(第一二九号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第一三〇号)
 同(柴山昌彦君紹介)(第一三一号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三二号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一三三号)
 同(阿部知子君紹介)(第一五四号)
 同(小宮山泰子君紹介)(第一五五号)
 進行性骨化性線維異形成症の難病指定を求めることに関する請願(赤羽一嘉君紹介)(第一三九号)
 同(赤松正雄君紹介)(第一四〇号)
 同(井上喜一君紹介)(第一四一号)
 同(江田康幸君紹介)(第一四二号)
 同(大前繁雄君紹介)(第一四三号)
 同(木挽司君紹介)(第一四四号)
 同(関芳弘君紹介)(第一四五号)
 同(谷公一君紹介)(第一四六号)
 同(戸井田とおる君紹介)(第一四七号)
 同(渡海紀三朗君紹介)(第一四八号)
 同(西村康稔君紹介)(第一四九号)
 同(古屋範子君紹介)(第一五〇号)
 同(盛山正仁君紹介)(第一五一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、社会保険事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、第百六十四回国会承認第三号)
 厚生労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○櫻田委員長 これより会議を開きます。
 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、文部科学省大臣官房審議官合田隆史君、厚生労働省医政局長松谷有希雄君、健康局長外口崇君、労働基準局長青木豊君、職業安定局長高橋満君、雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君、社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君、老健局長阿曽沼慎司君、保険局長水田邦雄君、年金局長渡辺芳樹君、政策統括官薄井康紀君、社会保険庁運営部長青柳親房君、国土交通省自動車交通局次長桝野龍二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○櫻田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷畑孝君。
○谷畑委員 皆さんおはようございます。今回、与党の筆頭理事ということで、この厚生労働委員会で皆さんの温かい御支援をいただいて、しっかりと責任ある仕事をしてまいりたい、このように思っているわけでございます。
 また、柳澤大臣、本当にいろいろな意味で御苦労さまでございました。私は、柳澤大臣におかれましては、実直な大臣であろうと思いますし、また、見識のある、経験のある非常にすばらしい大臣である、政調会もお仕えさせていただいて、そのように感じているわけでございます。
 しかし、過日の不適切な失言、これはもう私ども、地元におきましても非常に大きくおしかりを受けたところでございます。どうぞ柳澤大臣におかれましては、この発言等を含めて、しっかりと批判を受けとめながら、今後とも、だれにも負けない、また誇りある厚生労働大臣として、いいお仕事をしていただくことを心より期待を申し上げ、また激励を申し上げたい、このように思うわけでございます。
 さて、少子化の問題でありますけれども、出生率がなかなか上がらないというのか、同時に、今の若い人たちも、やはり結婚したいというのが九割、そしてまた子供は二人以上欲しい、こういうような世論もあるわけでございまして、やはり家族といいましょうか、夫婦はかけがえのない子供を出生して、そしておじいちゃん、おばあちゃんに学んだこと、そういうものを綿々として命を引き継いでいく、こういうことはやはり私ども人間として、人類として非常に大事なことであろう、このように思います。
 つきましては、柳澤大臣におかれましては、この少子化についての基本的な認識というのか、決意をお伺いいたします。
○柳澤国務大臣 皆さんおはようございます。
 本日から通常国会における厚生労働委員会の御審議を、かなり長丁場になるかと思いますが、いろいろとお世話になって始めていただくわけでございます。特に、ただいま質疑のトップバッターにお立ちになられた谷畑委員におかれましては、今度は与党の筆頭理事さんということで、各法案の審議等につきましても格別のお世話になりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたい、このように思います。
 また、今、冒頭、私の過日の不適切発言につきまして御注意と御激励をいただきましたことを、おわびをしながら感謝を申し上げておきたい、このように思います。
 さて、御指摘の少子化対策でございますけれども、今委員御自身が言及されましたように、国民が希望する結婚や出産を実現できる環境を整備することが、私どもとして最も重要なことであると考えております。このため、何が希望と実態の乖離を招いているのか、それを解消していくためにはどんな方策が有効であるかということを考えなければなりませんので、先般来、有識者の先生方のお知恵もおかりしながら議論を進め、先日これを整理し公表させていただいたところでございます。
 これを取りまとめて申し上げますと、まず第一には、経済的基盤や雇用、キャリアの将来の見通しにつきまして安定性を必要とするということが一つでございます。それから第二番目は、子育てをしながら就業継続ができる見通し、いわば仕事と家庭の調和が確保されるということが大事だということでございます。それから第三番目が、夫婦間の家事、育児の分担ということでございまして、その背景には育児の不安があるだろう、こういうように考えられるわけでございます。
 これらの諸要素が結婚や出産に影響を及ぼしているものだとして整理されておりますけれども、先般発足いたしました子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議におきまして、これを具体的施策に結びつけ、国民の結婚や出産に対する希望が実現する社会の構築に向けて全力で取り組んでいこうということになりました。
 その際、まだ取りまとめ段階ではありませんけれども、各先生方から御発言がありました。かなり広範な、あるいは抜本的な施策というものを打ち出すべく、今までの道行きにとらわれない、もちろんその前提としてこれまでの子育ての数々の施策の効果というようなものをしっかり分析した上ではあるけれども、非常に想像力をたくましくして、広範な観点からこれは検討していかなければならないものだというような御意見が聞かれたところでございます。
 これから議論の推移はいろいろありましょうけれども、こういったかなり広い視野に立った議論、こういうことの中で、本当に有効、適切な施策を我々は生み出していかなければならない、このように考えているところでございます。
○谷畑委員 確かに大臣おっしゃるように、少子化というのは決め手がないというのか、考えられることを、いろいろなことをこつこつと施策をしながら、いわゆるしっかりとした少子化の効果を上げていかなきゃならない、このように思うわけであります。
 さて、私ごとで申しわけないんですが、私の配偶者は、公務員といいましょうか、大阪市役所で保育所の保母さんをずっとしてきまして、私も働いておりまして、二人で共働きでずっと暮らしてきました。子供は三人。上は三十二歳、下が三十歳、その下が相当離れて中学二年生で、この三人で暮らしているわけであります。
 そのときのことを振り返ってみましたら、私もいつも子供を自転車に乗せて保育所へ送り迎えしたり、あるいは保育所の運動会に参加をしたり、子育てというのはしんどい面もありますけれども、非常に楽しいというのか、いろいろなお母さん方とお話ができるし、そんなことを思い出します。
 そのときに、一番困ったことは、子供はよく熱を出します。お互いがスケジュールで動いていますので、突然熱を出したから子供を引き取ってほしい、このとき本当に困りました。そういうことで、やむにやまれず両親のところに帰りまして、おじいちゃん、おばあちゃん、そしておばさんを含めてみんなで協力をしていただいて三人の子供を大きくしたわけであります。
 しかし、私もそのときに思ったことですけれども、子供というのは、はいはいからこういうときに立ち上がってくる、そして、言葉がなくても子供との情が通ずるというのか、そういう楽しさを覚えましたし、また、一番下の子供ができまして、さらに家族が結束をするというのか、そういうことがあろうかと思います。
 だから、私は、いろいろ経験の中で、まずはやはり男女共同参画社会だということ、この認識が一番大事なことだと思います。お互いが働き合う、そしてその中でお互いがまた協力をし合って子供を育てていく、その中で一番大事なのは私はやはり保育所だと思います。この保育所は、長時間保育もあり、また時には病児の保育もあり、こういうものが非常に大事だと私は思っております。
 そういうことにつきまして、雇用均等・児童家庭局長、特にゼロ歳児の、幼い一歳、二歳の保育所は私どもは本当にいつも困ります。今でも陳情をたくさん受けて、あきがないというのか、そういうことがあろうかと思いますので、局長、そのあたり、どのようなことになっているか、またどういう努力をされるのか、お願い申し上げます。
○大谷政府参考人 お答え申し上げます。
 低年齢児も含めました保育所の待機児童の解消につきましては、平成十四年度から待機児童ゼロ作戦を進めまして、平成十八年四月の待機児童数は三年連続で減少しました。初めて二万人を下回ったというところまでまいっております。
 今御指摘のありました低年齢児、特にこれはゼロから二歳児までを申し上げますが、これは、地方自治体の取り組みによりまして、平成十四年四月から十八年四月までの四年間で、この対応で六万七千人の増加をしてきております。ゼロ歳児につきまして見ますと、七千三百人の増加ということでございます。
 このようにして、全体としては改善の傾向にありますけれども、依然としてゼロ歳児など低年齢児を中心に多数の待機児童が存在しておりますので、引き続き待機児童ゼロ作戦を推進しまして低年齢児の受け入れの拡大を図りたい、地方自治体の取り組みを支援してまいりたいと思います。
 それからもう一点の、いわゆる体調不良の児童あるいは病気の回復期にあるお子さんでありますが、いわゆる病児・病後児保育であります。
 これにつきましても、現在でも、地域の児童を対象にしまして、特定の医療機関や保育所で一時的にお預かりします乳幼児健康支援一時預かり事業、こういうものを全国約六百カ所で実施しているところでありますが、こうした事業のニーズが高いということでありまして、現在お願いしております平成十九年度の予算案におきましては、従来の事業に加えまして、現に保育所に通うお子さんが微熱を出すなど、体調不良だけれども保護者がすぐに引き取りには来られないとか、こういったような事態を想定して、保育所の医務室において看護師さんが緊急的な対応を図るといった病児・病後児保育事業、いわゆる自園型、みずからの園で行う自園型を創設しまして、全国千カ所で実施したいということで予算を計上しているところでありますが、こういったことで事業の大幅な拡充を図りたいと考えております。
○谷畑委員 少子化の問題はこれで最後にしたいと思うんですが、子供を育てていこうとすれば、一つはやはり地域社会の協力というのが非常に大事だと思うんですね。
 私の近所で、幼い子供二人だけを残してちょっとの期間買い物に行って、帰ってきたらそこが火事になって、子供が死んでしまうという痛ましい事件が起こりました。やはり、おじいちゃん、おばあちゃんがおられたり、親族が近くにおる場合はいいんだけれども、最近はその家族だけでマンションで暮らしているというのが非常に多くなってまいっています。
 だから、そういう意味では、地域でファミリーサポートという形で子育て支援をしたり、そういうことが非常にこれから私は大事だと思います。そういう意味では、保育所自身がそういう機能を、子供を育てていくための拠点というのか、相談所でもあったり、ファミリーサポートのところを紹介するとか、そういうことが非常に大事ではないか、こういうふうに思っております。
 時間が余りありませんので。
 最後に、同時にやはり職場も大事だと思うんですね。職場で例えば育児休業という制度があるけれども、とりづらいということがありますから、やはりその職場自身もみんなで子育てに協力していく、こういう風土が非常に大事だ、こう実は思っております。
 その点についてどのようにされておるか、お伺いいたします。時間がありませんので、短く。
○大谷政府参考人 育児休業など両立支援制度が整備されても、確かに、職場への迷惑がかかるとか、なかなか利用しにくいというまだ実態がありまして、一層の取り組みが必要と考えております。
 これまでも、次世代支援法に基づきまして企業に行動計画を策定してもらうであるとか、従業員が百人以下の中小企業で育児休業が初めて出たといった場合の助成措置などを講じておりましたけれども、さらに、十九年度の予算案におきましても、職場風土の改革、こういったことの成果を上げた事業主に助成金を支給する、こんな事業も展開しながら、仕事と家庭の両立の推進に一層取り組んでまいりたいと考えております。
○谷畑委員 どうもありがとうございました。
 次に、児童虐待防止対策の充実について雇用均等・児童家庭局長に質問をしたいと思います。
 私がかつて厚生労働の副大臣をしておりましたときに、大阪の岸和田というところで、一人の少年が児童虐待でもう餓死寸前まで追いやられて、そして、もう間もなく死ぬという寸前ですから、その中で救急車を呼んで、はっきり申し上げたら、その処理までも救急車にさせるという、このような残酷な児童虐待でありました。私も現場へ飛んでいきまして、この児童虐待の問題について本当にそれなりに勉強もさせていただきました。今でもそのことが頭から離れないわけであります。
 子供は親を選ぶことができないというのに、そして守るべき親が虐待で死に至らしめるというのは、これは非常に私は許すことができないし、私自身も、テレビのその映像を見てもいつも涙を流すぐらいに心を痛める一人であります。ぜひ、私どももしっかりと、やはり、児童虐待で子供を一人も亡くさない、こういう意思は、我々厚生労働行政としてもしっかりすることが私は非常に大事だ、こう思っております。
 そういう状況の中で、児童虐待に対する法律はいろいろ改正をされたり、例えばそこに働く児童相談所の皆さんも割と善意な方が多いから、親は子供を殺さないものだ、家族で育てられるのが当然だと、これはもう当たり前のことですけれども、どうしてもその意識が強い。だから、児童相談所に相談に来ておった人までも、ちゃんとその人を救出できずに児童虐待で殺してしまっている、こういう事実がたくさんあるわけなんですね。
 だから、私は、この児童虐待に対して行政側が、さらに、なくしていく形の中で制度としてどのようにでき上がっていくかということが非常に大事だと。だから、児童相談所の意識改革もしなきゃならぬし、同時に職員が足らぬという問題もあるし、そして、親権を切り離していくということで、特にひどいときには警察の介入も必要だ、私はこのように思っているわけであります。
 この点について、雇用均等・児童家庭局長、この制度の問題だとか、それから意識改革の問題だとか、そして親権の切り離し問題だとか、どのようにして児童相談所が、これはひょっとしたら今切り離さないとこの子供は殺されてしまう、こういうときに、さっと捜査権の中でいわゆる親と切り離して救出するという、こういうことができないかとか含めて、また、どういうようにされておるのか、ひとつ意見をお伺いいたします。
○大谷政府参考人 御指摘のように、児童虐待の悲惨な事例がまだ後を絶たない、その中には、児童相談所に御相談があったにもかかわらず、御指摘のような対応で結局その事態を防ぐことができなかった、こんなケースもあったところでございます。
 その体制の問題、それから実際の考え方や仕事の進め方でありますが、仕事の進め方につきましては、近時、ガイドライン等を改正して、研修でも全国の担当部局長会議でもこれらの徹底を図るというようなことをしておるところでありますが、あわせて、その体制でありますけれども、そちらの問題としましても、児童相談所や市町村が設置する要保護児童対策地域協議会、いわゆる子どもを守る地域ネットワークと言っておりますが、この体制強化を図ることが必要であります。
 そのために、児童相談所におきましては、平成十八年度の補正予算で、一つは、被虐待児を緊急に保護するための施設整備の措置を講じた、それから二つ目として、児童相談所の中核となります児童福祉司、この人的体制の強化でありますが、これは総務省の御理解も得まして、つい近日まとまったわけでありますが、平成十九年度の地方財政措置において、標準人口百七十万人当たり三名の増員を行う、二十五名基準を二十八名までふやすというようなことで、体制の強化を図っているところでございます。
 それから、市町村が設置しますいわゆるネットワークでありますが、これにつきましては、十八年度補正予算において協議会の設置促進を図り、また、十九年度の予算案におきましても、児童福祉の専門家を活用して市町村の体制強化を行う、こういったことも予算に盛り込ませていただいております。
 こうした体制強化並びに意識の徹底、方法の徹底を通じて、虐待によってお子さんが命を落とすということがないように目指して努めてまいりたいと考えております。
○谷畑委員 これは柳澤大臣、児童相談所がある、それから、そういう引き離した人々の子供たち、これは児童養護施設というのがあります。この養護施設が、本当にこれは十分なのかどうか。そして、最近は、児童養護施設というよりも、むしろ家庭に近い形でいこうということで、小グループの形でつくられています。そういうことと同時にまた、里親制度があります。
 私は、ぜひここにもう一度やはり光を当てて、しっかりと、家庭に近い形の中でどうその子供たちを育てていくか、そして、どのようにして、また将来、ちゃんと社会に参画して、働くことの、就労を含めてできて、ちゃんと社会人として生きていける、ここらをちゃんとしてあげることが非常に大事なことかな、こういうふうに思いますので、大臣、今後ともまた、問題意識として、インプットされたらありがたい、このように実は思っています。
○柳澤国務大臣 私は、地元に児童養護施設がございまして、そこを中心とする社会福祉法人の理事の末席を務めていたこともございまして、養護施設の問題、状況についてはそれなりに理解を持っております。
 厚生労働大臣に就任後は、今先生がおっしゃられた養護施設と同時に、そこから出張った形のグループホーム、ここも視察をさせていただきまして、輪番ですけれども、二人ほど勤めている職員の方にやはり小さいお子さんがとても懐いて、本当にお母さん同様に、おんぶしてもうほとんど離れないというような状況で、それから、借りている建物も全く普通の建物ですから、家庭の建物ですから非常に雰囲気も家庭に近い雰囲気を与えているという状況も見ております。
 そういうようなことがやはり子供の健全な発育にもよろしい、こういうことはすぐにも見てとれるということですので、こういったことの充実、さらには、一番、もっと里親というものが普及されていくような、そういう方向でこの問題の解決の一助になればということは十分念頭に置いて取り組ませていただきたい、このように思います。
○谷畑委員 だんだん時間がありませんので、あと二つの質問については、もう私の方で少し問題意識を語らせてもらって、一つぐらいは大臣に発言を求めるかもわかりませんけれども。
 一つは、最近、景気がイザナギ景気を超えてきて、大企業を含めて未曾有の利益を上げた、こういうことが一方報じられる。もう一方は、日本の雇用人口、約六千万あるわけでありますけれども、その間に、パートが一千百万だとか、あるいは派遣社員が百万少しだとか、あるいは請負が八十万少しだとか、このようにして非正規と言われるところが三割を超えてきた、こういうことなんですね。しかも、賃金は、正規に比較すると六割だ、こう言われていますね。六割というのはまだいいところで、もっと言えば、フリーター、ニート等を含めてなってきたら、もっと低賃金で働いている。それがプアワーカーだとか言われたり、そういう社会問題に実はなっていますね。それを格差社会と言われておるわけでありますけれども。
 私はやはり、この日本社会の中で、しかも製造力というものを中心にしてこの日本は世界で冠たる経済大国として成り立っている、そこに一番大事なのは、やはり何が大事かといえば、もちろんイノベーションを含めて技術力というのは大事ですけれども、同時に、やはり人だと思うんですね。人がいかにして、いろいろな人がそのあらゆる能力をいかに効率よく発揮して、キャリアを重ねて、私は、そういうことをしてこそ日本の社会が発展していくものだ、こう思うんですね。
 だから、そういう状況の中で、非正規が三分の一を超えていくというありさまが、これがいいのかどうか。もちろん、失われた十年ということで、国際競争化されてきた中で、企業がどうしても低賃金でいい商品をつくって国際競争したい、これもわからないわけではない。企業も存在しなければ働く人もいないわけですから。しかし、ここは、企業だって、逆に、ちゃんといい人々を採用して、その中で利潤を上げることが、グッドエンプロイヤーというのか、企業の社会的責任も大事な視点だと私は思うんですね。
 その点について一言、何かありましたら、ぜひそこが厚生労働大臣としては大事な視点だと思いますので、これから始まっていくパート法の問題も含めて絡んできますけれども、あるいは、成長底上げ戦略というものも、まとまったという話も官邸筋から聞きます。ここらの点について、所感で結構ですので、柳澤大臣の発言を求めます。
○柳澤国務大臣 いろいろな制度変更があったから非正規労働が多くなったのではないかというよりも、実は、以前から非正規労働の上昇傾向があったわけでございますが、いずれにせよ、今谷畑委員の御指摘のとおり、今、こうして景気の回復期を迎えたこの段階でどういう結果になったかといえば、三分の一に近い、そういう非正規労働が全労働の中に占める、こういうような雇用形態の多様化が見られるわけでございます。
 これがどこから来たかということについては、これはもう企業の側が構造変化に対応するということの中でそういうことがあったということももちろんですけれども、同時に、働く側にも、いろいろ働く形態を多様化していきたい、こういうようなニーズもあったようで、それらの合体したところが今日を招いているのではないか、このように思います。
 しかし、ここにはまたいろいろ弊害も起こるということは、今委員の御指摘のとおりでございまして、一つには、何といっても、そもそも経営の側にとっても、人的資本の蓄積だとか技能の承継というのは、そういうような形の労働形態を背景にしてしっかりうまくいくのかという問題があろうと思うわけでございます。
 それからまた、今度は働く側にしても、これは、今とりあえずこういう形態をとっているんだけれども、やはり自分の生涯のキャリアの形成とか雇用の安定ということを考えると、できれば正社員になりたい、こういうようなことがはっきり希望として把握されているわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、雇用の形態の多様化そのものを否定しようということはとるべきではない、しかし、その中にあって、やはり正規の雇用あるいは正社員化というようなものを希望する人たちの希望はできるだけかなえてやるような、そういう法制なり環境づくりというものをしていかなければならない、こういうことでないと、日本経済全体の体質を強くしていくということのためにもいい結果をもたらさないだろう、このように考えて、今後はそうした方向での努力をさらに一層進めてまいりたい、このように考えております。
○谷畑委員 時間が来ました。石田副大臣に障害者問題で、自立支援法、今度の特別対策についてお聞きしたかったんですけれども、非常に残念であります。
 一分でよければ。もう時間あらへんか。これで終わります。ありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、宮澤洋一君。
○宮澤委員 自民党の宮澤洋一でございます。久しぶりに厚生労働委員会で質問をさせていただきます。
 昨年、ちょうど年末、道路特定財源見直しの取りまとめをやっておりまして、ばたばたしておりまして、こうして初めて柳澤大臣に質問をさせていただきますが、柳澤大臣、まさに私は政治家になる前からいろいろ御指導を受けてきた身でございますので、きょうは忌憚ない御持論を展開していただきたいと思っております。
 ちょうど二年前でございますか、郵政改革なども一緒にやらせていただきましたけれども、大変すばらしい論理的な整理といいますか、目の当たりにいたしまして、大変すばらしい先輩に指導を受けているなという気持ちがしておりました。また、今回のいろいろな問題発言を伺っておりますと、論理的、科学的な整理をし過ぎた結果かなという気がしないでもありませんけれども、所信でお話がございましたように、働き方の改革や少子化対策など直面する課題に全力を挙げて取り組んでいく、こういう御決意のもとで、しっかり職務を全うしていただきたい、そう思っております。
 きょう私は、年金また医療に関して、かなり大まかといいますか総論的な質問をさせていただきまして、大臣の御持論を伺いたいと思っております。
 まず、年金問題でございますけれども、もう三年前になりますが、この場で大変な年金論争をいたしました。私もちょうど理事になりたてでございまして、民主党の提案者に随分質問を、山井先生なんかもいらっしゃいましたが、させていただきまして、私は大変実り多き議論だったと実は思っております。
 民主党の案、いろいろな意味で、いろいろ矛盾があるとかなかなか現実的でないというところもありましたけれども、長い目で見たときに、国民全員が一つの年金になるという理想型はあるんだろうなという気がいたしましたし、また、最低保障年金といった考え方も理解できないではないという思いでございました。さらに、大変立派だなと思いましたのは、その中で、責任ある政党として、財源論、年金目的消費税ということまで提案をされた。三%というその率自体で賄えるのかどうかという問題は別にしましても、そういう建設的な議論ができたというのはいいことだったんだろうと思っております。
 ただ一方で、先日、小沢党首の質問を承っておりまして、ちょっと違ってきたのかなと。国民全体の年金を一元化するとか、また最低保障的な年金を入れるというようなところは変わっていないわけでございますけれども、その財源について、消費税は上げない、こういうお話があった。その他こういうことで財源ができるというような極めてアバウトな話はございましたけれども、なかなか現実的なものとは私には受けとめられなかったわけでございます。
 そういう中で、税方式また保険方式という争点があって、これについては後ほど大臣に伺おうと思っておりますけれども、その前に少し計数の整理といいますか、十九年度の予算案では、年金関係、七兆円ぐらいが計上されておりますし、また一方で、十六年度で行った再計算によりますと、これは二十一年度ですか、七・四兆円程度の税金といいますか国費が必要である、こういうことであります。
 一方で、今後、いずれにしても年金の給付というものは格段に伸びていくということは確実でございまして、例えば二〇二五年とか二〇三〇年、これから二十年後、二十五年後といったように日本が厳しくなり始める、そういうときに、どの程度の年金給付が見込まれているか。また、そういう中で、これを全額税で賄うとした場合に国費がどの程度必要なのか。この辺を副大臣から御答弁いただけますでしょうか。
○石田副大臣 平成十六年の財政再計算では、平成二十一年は、名目ベースで、基礎年金の給付費は十九・四兆円。そして、現行の国庫負担割合は三五・八%でありますけれども、その基づく国庫負担額が約七・三兆円。そういたしますと、追加的に必要になる国庫負担額は十二兆一千億、こういうふうに見込んでおります。
 また、同様の計算で、名目ベースで平成三十七年、二〇二五年では追加的に必要となる国庫負担額は十六兆九千億円、そして平成四十二年、二〇三〇年では同様に十八兆八千億円、十八・八兆円ということでございます。
 なお、現在、平成十九年度以降の国庫負担割合につきましては、〇・七%引き上げて三六・五%とする、こういうことになっておりますけれども、とりあえず、平成十八年度の国庫負担の割合と、満額、全額を国庫負担で出したときの差につきましては、今申し上げたとおりでございます。
○宮澤委員 二〇三〇年ぐらいですと十七、八兆、今の制度よりは多い国費が必要だということになりますと、消費税というのは、簡単に言えば一%二兆五千億円という税収、これを国と地方で分けているわけでございますが、二・五兆円、そのままといたしましても、恐らく六%では足りない、消費税に換算すると七%前後の税収が必要になってくる、こういう状況だろうと思います。
 そういう中で、税方式、保険方式、我々は税方式というのは現実的でないといろいろな意味で思っておりますけれども、この税方式、保険方式についての厚生労働大臣の御意見といいますか、御忌憚ないままをお話しいただければありがたいと思います。
○柳澤国務大臣 年金というものに対して、国民の関心は非常に高くなりました。従前、私どもの若いころは、もう到底そういう状況ではなくて、年金について博士論文を書いた先輩を、何を時代錯誤のことをしているんだろうみたいな気持ちで眺めたり口をきいたりして、大変失礼をした思い出すら持っています。
 ところが、年金というのが我々の老後の生活の本当に中心的な資金、経済的な背景ということになってまいりまして、その重要性が非常に高くなっているわけですが、これをどういうふうに賄うか、特に基礎年金とされている部分について恐らく宮澤委員はお尋ねだろうと思うんですが、これを税方式で、すべて税で賄うのがよろしいのか、今のような、保険料を入れた税と保険料の組み合わせでもって賄うのがよろしいかという問題提起であろうと思います。
 私は思うのでございますが、税でやるということになりますと、まず第一に、ある年齢になりますと突然給付が行われるというようなこと、こういうようなことが、それぞれの自立的な国民のあり方として本当にふさわしいのだろうかということには、まず基本の問題があるのではないか。
 それからまた逆に、権利性というものが本当に希薄になってしまうものですから、どうしても福祉的なものになってしまって、本当の意味の年金制というようなものがまたこれは希薄になってしまうのではないか、こういうようなことが懸念されると思うわけでございます。
 それからまた、言うまでもないことですが、生活保護とどこがどう違うのというような議論も必ず惹起してくるだろう、このように思うわけでございます。
 そういうようなことから、やはり、自立自助の考え方に立つ社会保険方式というもののメリット、これは今後とも大事にしていくべきものであろう、このように考えておりまして、それに加えて、経過的に言いますと、では今まで保険料を納付してきた人と納付してこなかった人を一体どうやって調整するんだという問題、これは経過的な問題でしょうけれども、なかなか難しい問題もある、このように考えます。
 そういうようなことを総合して考えますと、私は、現在の保険料方式を加味した、そしてまた、必要な国庫負担、公費負担というものも入れて、それの組み合わせでもって運営していく、構築していく、これがやはりベストの選択なのではないだろうか、これはそのように考えております。
○宮澤委員 私も大臣と全く同じ考えでございます。財政、税制、そして社会保障政策に詳しい大臣に、ぜひこの辺も頑張っていただきたいなと思っております。
 次に、医療の関係で何点か質問をさせていただきたいと思っております。
 平成十四年でございますから、もう五年近く前になりますが、医療保険の改正があって、三割負担というものが導入されました。ちょうど私は一年生でしたけれども、本会議で質問をさせていただきまして、三割という負担は保険という制度からするともう上限であろう、これ以上の引き上げはしないということについて、当時の坂口大臣に確認を求めまして、その旨の御答弁もいただき、一方で、法律の附則にもその旨の規定をされているということでございます。三割の負担というのは、恐らく、保険といった意味ではもう上限に達している。
 一方で、医療の場合、全体の構成は医療費というものを三つの部分で賄っている。保険と自己負担、そして税金、こういうことになるわけでありますけれども、自己負担、患者負担についてはもう上限に来ている。一方で、これまで保険料率というものを徐々に上げてきておりますけれども、今、国民健康保険でいえば、来年、十九年度から上限が年五十六万ということになろうかと思いますが、これも、恐らくそんなにずっと上げていけるものではないんだろう。社会的な問題といったものもございます。
 一方で、例えばアメリカの医療保険、民間がやっておりますけれども、これらを見ましても、これはピンからキリの制度でありますが、それなりの一流の病院で外科の手術が受けられるといったような保険で、被用者負担も含めると、年間七、八千ドルの負担。七、八千ドルといいますと、今の為替でいけば九十万円、百万円というところでありますけれども、百円というようなことであれば七十万円、八十万円、こういうことでございます。
 五十六万まで来ていまして、一方でそういうアメリカのかなりいい保険というもののレベルを考えますと、それこそ、将来的にいいますと、金持ちの反乱といいますか、自分はもう民間の保険で十分なんだというふうなことになりかねないというような問題すら、実ははらんでくる話だろうというふうに思っております。
 そうしますと、保険料率といったものについても、少し余地があるという説もありますけれども、いずれにしても、そこに上限というものは見えてきている。そういう中で医療費をどうするのか、また一方で税の負担というものをどうするのか。これは恐らく、今後その変数ということになろうかと思いますけれども、我々、次の世代に、やはりいい日本の医療といったものを残していくということは大変大きな責務だろうと思っておりますけれども、この辺、大変大ざっぱな質問になりますけれども、大臣の御持論、御見解を伺いたいと思っております。
○柳澤国務大臣 私、持論というほどのものを持ち合わせておりませんけれども、かねてこの医療保険の問題を考えてきたときに念頭にありましたのは、やはり保険者機能ということをもっともっと発揮するいろいろな施策はできないだろうかということを正直考えておりました。
 もちろん、民間の保険会社がやって、これをここで言及するのがいいかどうか、本来支払うべき保険金を支払わないというようなことがどうもこのところ多発しているようでございますので、そんな形をも含めて保険者機能なのかと言われると、私の頭の中にあるのは決してそういうものじゃなくて、正常な意味の適正な保険者機能ということがあることは当然ですけれども、そういうことをやはり考えるわけでございます。
 しかし、それにしても、では、今かなりルースなことをやっているから、そこがいろいろ無駄が起こっているんだろうかというようなことかといえば、私は、かなりそこのところも、実は日本の場合はそれぞれがしっかりやっていただいているというふうに思います。
 そんなことから、では、医療費のこれから予想される増嵩に対してどういう手があるか、どういう手だてがあるのか。これが問題だということで、今、宮澤委員の方からはいろいろのお話をいただいたわけでございますが、私は、本当に現状追認のようなことを申して恐縮なんですが、やはり予防ということを徹底させることによって本当の病気になってしまうということをできるだけ少なくしていく、こういうことがやはり一つの回答なのではないか。
 そういうようなことを考えておりましたときに、健康プランとか新健康フロンティアプランとかというようなものが出てきまして、それがかなり大がかりに、国を挙げての一つのフレームワークとして実施される、これはされようとしておるわけでございますけれども、そういうようなことが現実の課題になってまいりました。
 私は、本当にこれが大事だと思っておりますので、本当にこれが実効を上げて、そして医療費というようなものにもいい影響を与えるように、地道に、着実に取り組んでいくということがやはりとるべき道なのではないか、このように思っているわけでございます。
○宮澤委員 今大臣がおっしゃった、予防といった意味では、大変大事なことということで今いろいろ施策を講じているわけでございますし、一方で、私も具体的に何だと言われたら困るわけでございますけれども、やはり無駄がある部分というものは間違いなくあるんだろうなという気がしております。そういった意味の無駄をどうやって排除していくのか。電子レセプトといったことは大変役に立つ手段だろうと思いますし、そうしたものにぜひとも力を入れていっていただきたいなというふうに思っております。
 一方で、税、国費といった意味でも、今、国保の場合は半分国費が入る。一方で、政管健保の場合は一二・五でございますか、入る。組合健保の場合は基本的に入っていない。こういう状況があって、一方で組合健保をもう解散して政管健保に行こう、こういう動きも一方ではある。
 そうなりますと、国の側からいいますと、ある意味では税負担がふえてくる、こういう状況もあるわけでございまして、そういう中で、組合健保というものをしっかりやっていただくためにどういうふうにしていくかというようなことについても、厚生労働省としてぜひとも力を入れていっていただきたいなというふうに思っております。
 次に、医療費の関係でありますけれども、私も議員になってもう七年近くなりますけれども、この厚生労働委員会で基本的にお世話になってきておりますが、どうもしっくりこないといいますか、何度聞いてもよく私の頭に入ってこない問題というのがございます。
 それは診療報酬に係る部分なわけですけれども、診療報酬というのは、国民皆保険といったものを維持するためには全国統一料金といいますか、こういうものがなければいけないわけでありまして、当然大変大事な制度だと思っております。
 ただ、一方でいろいろ、局面でぱっと頭に入ってこないというのは、例えば小児の診療が大事であるということになりますと、診療報酬でいうと小児医療に係る部分の診療報酬が上がるというようなことがある。これはちょっと無駄といいますか、少し抑えた方がいいなという診療になりますと、診療報酬を下げるというようなことになる。また、大病院にたくさん行かないようにということで、大病院の初診の診療報酬が下がるというようなことが常に行われる。
 要するに、必要な医療の場合は診療報酬が上がる、そして、必要でないとは言いませんけれども、優先度が低い場合には診療報酬を下げることによって、ある意味では政策的な意思が出てきているというのがこれまでの診療報酬でございます。
 一方で、医療提供側からすれば、そういうことである意味ではインセンティブが働く、ディスインセンティブになるということはわかるんですけれども、患者側、医療を受ける側からいたしますと、必要な医療と言われて、自分も必要だなと思っていると自己負担がふえるということ、一方で、必要ないという政策的な医療について自己負担が減っていきやすくなるというのが、どうも私の頭にはしっくりこないのであります。やはり、サプライサイドに余りにも立った制度なのかなと。
 もちろん、昔のように、患者の自己負担というものが大変小さかった時代はそういうことでよかったのかもしれませんけれども、現在のように三割自分が負担するというときに、大事な医療だと言われた途端に自分が払わなきゃいけないお金が高くなるというのはどうもなじまないという思いがございまして、この辺について、大臣、どういうふうに考えられているのか、診療報酬を。ぜひ教えていただきたいと思っているんです。
○柳澤国務大臣 私、宮澤委員の方から質問要旨を受けたとき、正直言って、目を通しただけで、何をおっしゃっているのかよくわからなかったというようなことが、正直告白しなければならないことでございます。今のお話で非常によくわかって、これは自己負担との関係でそういったことが生じてしまうのをどう考えるかということだと思います。
 診療報酬というのは非常に難しくて、客観的なコストとの関係で決まってくる分も、当然のことながら非常にあるわけでございます。しかしながら、同時に、政策的な要素が全くないかと言われれば、今御指摘のように、多分少しはあるだろう、こう思うわけでございます。
 しかし、現実に、この今の制度がどう評価されるべきかと言われれば、やはり受けたサービスの価値に応じて、価値というのは、今言ったようなコストが主として大きな部分になるわけですけれども、その一定割合を患者さんに御負担いただくという仕組みというのは、基本的に合理的なものである、また公平なものであろうか、このように考えているところでございます。
 その決め方について、何というか、最近の分類で言えば、サプライサイドに立たないで、むしろディマンドサイドから考えるべきではないかというのが御主張のポイントかと思いますけれども、その点については、私ども、診療報酬改定をする中医協の場におきましても、患者さんの立場を代表する委員にも参加をしていただいておりますので、患者さんの目、ディマンドサイドの目を、全く酌み取る仕組みになっていないのではないかと言われれば、それはそうではない、こういうことでございます。
 いろいろ診療報酬の問題については、では、名医と研修が終わったばかりのお医者さんが同じことをやると同じ値段だということをどう考えるか等々、非常に深遠な問題があるということは私も問題意識として持っておりますが、現行の制度には、かなり合理性が高くて公正性も高くて、国民の理解を、かなりの程度というか、得られているのではないかというふうに考えている次第でございます。
○宮澤委員 大変答えにくい質問をしたということはよくわかっておりまして、これまでの厚生行政の延長線からいうと今のお答えしかないんだろうと思いますが、一方で、私はいろいろ考えてみまして、私なりに、患者の自己負担、今三割ということでありますけれども、これをもうそろそろ政策のツールとせざるを得ないのかなという気がしております。
 診療報酬の多寡で決めるのではなくて、やはりどうしても大事な医療というものの患者の自己負担は、かなり低い、二割であり一割であり、もちろんゼロということだってあるのかもしれませんけれども、そういうことにしていかなければいけないし、一方で、政策的に優先度合いの低いものは、これまでであると保険の対象外に落としてしまうという、ゼロか一〇〇かという世界だったわけでありますけれども、そういうものについていえば、三割を超えるような割合ということだって実は考えられるんだろうというふうに思っております。
 そういうものを、やはり我々は、政策のツールとして国民に一番いいような形の医療を提供するために考え始めなければいけない、そういう時期に来ているのかなと思って、実はきょうこういう質問をさせていただきましたけれども、これについては、大臣、いかが思われますか。
○柳澤国務大臣 三割負担、自己負担については、もう一つ、高額医療にかかった場合の負担上限額の設定というものが行われております。そういうことで、社会政策的な面ではそこでもって手当てをするということが基本の制度になっているということでありまして、高額医療でないという分野については三割、それからまた、年齢に応じて二割、一割と、今先生も御案内のような所得を加味したところの制度にもなっておりまして、今のこうした制度の上に、さらにこの自己負担部分を、一つのパラメーターとして、政策的ファクターとして操作していくことは考えられないかという問題提起でございますが、今厚生労働大臣としてはそれは申し上げることはできませんが、私の個人的な課題としては、また先生などと一緒に勉強していかなければならない課題であるかとは思っております。
○宮澤委員 ぜひ、私的でも結構でございますので、勉強を始めていただければありがたいと思っております。
 あともう少ししか時間が残っておりませんので、一点だけ、細かい話を聞かせていただきたいと思っております。
 大臣が、先日の所信で「パートタイム労働者への社会保険適用拡大についても、実現に向け、鋭意取り組んでまいります。」と、こういうお話をされたわけでございます。パートタイム労働者への社会保険の適用というのはかねてからの課題でございますし、大変難しい問題をはらんでおります。
 年金について議論が先行しているわけでございますが、恐らく、社会保険とおっしゃっているからには医療保険についてもお考えなんだろうという気がいたしますが、医療保険というのは、私が申すまでもなく、日本の医療保険というのは大変すばらしい制度である一方で、あえて言えば、極めて原始的な共産主義といいますか、所得に応じて払い、必要に応じてもらう、こういう制度になっているわけであります。これで、国民の、特に稼ぎの多い方から反乱が起きないわけでございますから、大変いい状況であろうと私は思っておりますけれども、一方で、パートタイム労働者に医療保険を適用するということになりますと、かなり、今までの制度が抱えている矛盾が一番大きく出てくる部分があるのかなと。
 三号被保険者と言われているサラリーマンの奥さんの場合でありますと、これまでは夫の保険ですべてカバーされてきた。奥さんと子供二人いれば、四人分カバーされてきた。収入に応じてですから、決して家族が多いからといってたくさん払っているわけではない。この三号被保険者が、パートタイムに出て医療保険の適用となった途端に、この奥さん自身が医療保険に加入する、こういうことになるわけですが、給付と負担ということになりますと、基本的には給付は全く、障害者年金とか一部細かい話はあるにしても、医療といった意味では変わらない、一方で負担だけふえるという問題が生じてまいります。大変これは難しい問題だなと、私も頭の整理ができていませんけれども、大臣なりに何かお考えがあれば教えていただきたいなと思っております。
○石田副大臣 委員も御存じで御質問をいただいていると思いますけれども、現在は、パート労働者への健康保険の適用については、厚生年金と一体的に判断している、こういうところでございます。今後の適用基準のあり方については、現在、社会保障審議会の年金部会でいろいろと御検討をいただいております。
 この負担の問題につきましては、もちろんいろいろなバリエーションがありまして、負担のふえる方もいらっしゃれば、今までは国民健康保険だった方が政管健保に入る、そうすると現実には保険料が下がる方もいらっしゃるわけです。また、委員がおっしゃったように、今まで被扶養者としていらっしゃった方が独立して自分が健康保険に入らなきゃいけない、そうすると新たな負担が生じる、こういう場合もあるわけです。
 それぞれの健康保険、政管健保を含めて、いろいろと制度的にも傷病手当金だとか出産手当金だとか、いろいろな意味でのプラス要因というのももちろんあるわけですので、この問題については、しっかりとこれからまた考えていかなきゃいけないというふうに思っております。
○宮澤委員 ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。
○櫻田委員長 次に、御法川信英君。
○御法川委員 自由民主党の御法川でございます。
 大臣、副大臣、連日、予算委員会等、大変御苦労さまでございます。きょうは厚生労働委員会の方で三十分質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 最初に、障害者の雇用関係のことについて若干お伺いをさせていただきたいと思います。
 先般、ある新聞に、秋田県秋田市にある市立の中学校の教員の方が投稿をしております。この方は生まれつき脳性麻痺を持っている障害者の方なんでございますが、教員という職業を選んで、今まで奮闘していらっしゃる。その方が、自分の職場環境その他をかんがみて、大変いい寄稿をしていただいておるわけでございます。
 その中で、彼の問題意識も若干踏まえた上で私の方から質問をさせていただきたいと思いますけれども、今、国公立、私立、いろいろあると思いますけれども、いわゆる教員の方々の中に障害者の方々というのはどのぐらいいらっしゃるんでしょうか。
    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕
○合田政府参考人 お答えをいたします。
 私ども把握しておりますのは、教育委員会におきます障害者の雇用の状況でございますけれども、厚生労働省の方の昨年十二月の発表によりますと、都道府県教育委員会におきます障害者雇用率は、平成十八年六月一日現在で平均一・四一%、これは平成十七年度の一・三三%に比べますと、改善は図られておりますものの、依然として法定雇用率二・〇%を下回っている、こういう状況にございます。
○御法川委員 三戸さんという教員の方でございますが、やはり現実に現場におると、障害者の方で教員という職業を選ぶ方がそれほど多くはないんだろうということを言われております。
 これはいろいろな原因があると思います。障害の種類によっても、あるいはその方が住んでいる地域等によってもいろいろな、さまざまな条件はあると思いますが、やはり教師になる、教員になるための免許というものを取らなくてはいけないという大きな難関が一つあるわけでございまして、教育委員会の方では、どちらかというとそういう人たちは積極的に受け入れたいという意向を持っているところもあるやに聞いておりますが、実際、なかなか採用試験を受ける障害者の方が余り多くないんだよというようなことも述べております。
 そういう中で、法定雇用率を達成するということもあるわけでございますけれども、障害者の皆様、子供さんたちが、教員という職業を選択していただく、そういう土壌あるいは環境を整備していくというのは大事なことではないかなというふうに思いますけれども、その点、教育委員会における障害者の方々の雇用促進に向けての取り組みというのはどういうふうになっておりますでしょうか。
    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕
○合田政府参考人 お答えをいたします。
 私ども、御指摘のように、障害を持つ方々が学校教育に参加をしていただくということは、教育上の観点からも非常に有意義なこと、大変意義の大きなことと考えております。
 こういったような観点から、昨年九月に通知を発出いたしまして、各都道府県教育委員会におきまして、計画的な採用の改善に努めること、あるいは選考方法上の工夫など適切な配慮を行うこと、そして、そうした配慮を実施することや、あるいはその内容について広く教職を目指す方々に了知をしていただけるように広報、周知に努めることといったようなことについて改善を促したところでございます。
 さらに、その後、各県の担当者を個別に呼びまして、そういったようなことに加えまして、障害者の教員免許状取得を促進するために、障害を持つ生徒が障害があることによって教員になることをあきらめることのないように、障害を持つ生徒への高等学校段階での進路指導等について検討していただきたいということも含めまして、お願いをしたところでございます。
 今後とも、そういったような取り組みを強く促してまいりたいというふうに考えております。
○御法川委員 私がわかっている中では、今都道府県の教育委員会で法定雇用率を達成しているのは京都府だけだという話でございますので、ぜひ全国的にそういう取り組みをどんどん進めていただかなくてはならないだろうなというふうに思います。
 この方が実はこういう形で新聞に寄稿した理由の一つは、当然そういう障害者の方々が教員になるということの社会的な有用性ということを言ってくださっているわけでございますが、その中の一つとして、いじめ対策として非常にこれは有効なのではないかというような、自分の教育現場を語りながら、そういうお話もしていらっしゃるわけでございます。
 障害者である先生を助ける生徒、そういう形、あるいは逆のことももちろんあるでしょうし、そういう中で、人が助け合って生きていく姿を、障害者の生徒さん、そして教員の人たちを通して学んでいくことによって、いじめという問題に対するある程度の効果、いい影響を及ぼすのではないかというような視点も持ってこの先生はお話をされているわけでございますし、私も全くそのとおりではないかなというふうに思っております。
 法定雇用率を達成するのが目的ではありませんけれども、ぜひそういう方向で皆様にさらなる取り組みをお願いしたいなというふうに思います。
 次に、ちょっと私の地元に関係する話で恐縮なんでございますが、医療全体のお話、病院のお話でございます。
 秋田県の場合は、地域における中核医療施設というのが、厚生連、いわゆる農協がやっている厚生連、ここが現実には担っているという状況がございまして、現在、秋田県内に九つの厚生連の病院があるわけでございますが、その中の三つは、昨年度、がんの拠点病院としても実は指定をされているわけでございます。
 いろいろな意味におきまして、公立病院が、中心の秋田市以外には大きな病院がほとんどないという中で、この厚生連が経営している病院がその地域において大変大事な役割を担っているというのは御理解をいただけるのではないかなというふうに思います。しかしながら、やはり公立病院ではないという点において、若干、不利と言っては語弊がありますけれども、なかなか大変な状況も一方にはあるというのが現実なわけでございます。
 そこで、救急医療体制についての取り組みについて、こういう厚生連の病院等についても財政的な支援その他をしていただけないかということを実は前から言われているわけでございます。その辺について御見解をお聞かせ願えればと思います。
○松谷政府参考人 救急医療体制でございますけれども、救急医療体制につきましては、各都道府県におきまして、初期、二次、三次のそれぞれの役割分担に基づいて体系的な整備を進めているところでございます。
 先般の医療法の改正におきましては、都道府県が作成する医療計画に救急医療を重点的に位置づけまして、地域における連携体制の構築を図ったところでございます。
 この救急医療の連携の構築に当たりましては、先生御指摘の厚生連等の公的医療機関にも大きな役割を担っていただくことになるというふうに考えております。都道府県によりましては、厚生農業協同組合、厚生連の病院が非常に大きな割合を占めているところもございまして、秋田もそうでございますけれども、これは公的医療機関として大いに期待をされているということでございます。
 平成十九年度予算案におきましても、この面につきまして必要な予算を確保したところでございまして、今後とも、救急医療体制の充実に向けまして、都道府県の取り組みを支援していきたいと考えております。
○御法川委員 ありがとうございます。
 その厚生連病院なんでございますが、実は先々週、その中の一つの総合病院がございまして、そこの看護師長さんから、ぜひ夜勤の現状を見に来てくれないか、我々、今大変厳しい状況でやっているんだということでお話をいただきまして、土曜日の夜だったわけでございますけれども、夜の診察室に行ってまいりました。
 これは、階ごとにもちろん診療科が違ったり、いろいろな状況があるわけでございますけれども、今、七対一のいわゆる看護職員の配置の影響というのが現場で非常に大きな影響を及ぼしているというのを間近で見てまいった次第でございます。その前にあった十対一の、現実にはまだそこから余り進んでいないというのが現状なんでございますが、これを秋田の一つの病院の中で、七対一という話になるとこれはもう大変な状況になるぞということで、看護師の皆様からは、やはり増員ということを考えていただかないと、なかなかちゃんとした医療の提供ができないのではないかという危惧をるる聞かせていただいた次第でございます。
 政府の方針としての七対一は理解をするわけでございますが、そういう足りない場所についての増員等の計画について、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
○松谷政府参考人 看護職員の関係でございますが、看護職員の確保対策につきましては、従来から、養成力の確保、それから離職の防止、そして離職された方につきましての再就業などの総合的な支援を行ってきたところでございます。
 具体的には、各都道府県のナースセンターにおきますいわゆる潜在看護職員への就業あっせんや再就業を後押しするための講習、また、看護職員の確保が困難な医療機関への再就業を促すため、研修体制等が充実した病院の臨床現場において研修を行うモデル事業、さらには、院内保育所の運営に対する補助などを行っているところでございます。
 また、従来から実施しておりますこれらの事業に加えまして、看護職員が業務を継続あるいは復職しやすいように、そういう勤務環境を広めるため、来年度予算におきましては、多様な勤務形態で看護職員を雇用する医療機関の事例を収集、分析いたしまして、そのノウハウを普及することで、看護職員の出産や育児等の生活環境に応じた就業の支援をすることとしております。
 七対一看護、急性期の病院における導入があるわけでございますけれども、それを受けまして、さらにこれらの看護職員確保対策を推進していきたいと考えております。
○御法川委員 ありがとうございます。
 地域の医療ということで若干関連があるのかなとも思いますけれども、政府が今年度から本当に力を入れてやろうとしていらっしゃるがん対策について、若干お話をさせていただきたいというふうに思います。
 さまざまな施策をとるということで、政府の方からのさまざまな資料を読ませていただいておりますけれども、今後のがん対策のスキームの中で、私が考える、私の問題意識として一つ持っているのは、やはり、中央あるいは大都市圏におけるがんの治療のレベル、それと地方におけるがん治療のレベル、これをいかに均質化していくかというのが大変重要な課題の一つではないかなというふうに思います。
 例えば、私の地元の秋田の方でも、定期的ながん検診は地元で行わずに、仙台に行ったり札幌に行ったり、あるいは東京に来てやっている。こういう方々が実は多々いらっしゃる。その原因は、一つはハードでございまして、やはりそういうことができる設備が整っていないというのが正直言って現状なわけでございます。そうすると、例えば、PETCTを持っている病院があるところまで自分から行って検診を受けてくるというようなことがもう日常的に実は行われているわけでございまして、できるだけそういうものが地域においてもできるような体制を整えていくというのも一つ大事な点ではないかなと思います。
 加えて、実際、がんの患者さんたちの治療という話になったときには、時々新聞や雑誌等にがんの名医さんがどこにいるよなんということが出てくるわけでございますけれども、なかなかそういうのが地元にはないというのが現状でございまして、そういう治療のレベルの全国的な底上げというか、一番いいところまでどうやって引っ張っていくのかというのが国の施策の極めて大事な点ではないかなというふうに思っております。
 その中で、治療水準の格差ということもありますが、がんに対する情報量の格差、いわゆるソフトの部分でのがん対策についてどのように厚生労働省として取り組まれる意向であるのか。例えば、国立がんセンターを中心にしたさまざまな情報提供体制というようなこともありますけれども、そういうことも含めてどのような取り組みをなさるのか、お聞かせを願いたいというふうに思います。
○外口政府参考人 がんの治療水準や御指摘の情報の格差を是正するためには、全国どこでも標準的ながん医療が受けられる体制の整備や情報の収集提供体制の整備を図ることが重要であると思います。
 このため、厚生労働省においては、地域におけるがん診療の連携の拠点として、地域のがん医療や情報の収集、提供等を行うがん診療連携拠点病院について、今後ともその整備を進めていくこととしております。ちなみに、現在は二百八十六カ所が指定されておりますが、これは、昨年の八月は百七十九カ所でございました。
 また、国立がんセンター等におきまして、放射線治療や化学療法の専門医、看護師や放射線技師等の専門的な医療従事者に対する研修を行っていくこととしております。
 さらに、国立がんセンターのがん対策情報センターにおいて、がん患者やその家族等に対して治療法や医療機関の情報等を発信するとともに、がん診療連携拠点病院の相談支援センターにおいて、がんに関する相談を行うこととしております。
 平成十九年度予算案におきましては、こうしたがん医療水準均てん化の促進と情報収集体制整備の取り組みに関し、平成十八年度の三倍、約九十億円を計上しているところでございます。
○御法川委員 このがんに対する取り組み、これからでございますけれども、私は、日本というのは、決してがんに対する取り組みがおくれているとは思っておりませんけれども、昔アメリカに住んだ経験があって、そのときのがん患者に対する医療体制、やはり日本とは若干違う部分があったなと。それは、例えばそういう情報提供の面であったり、あるいは緩和ケアの面であったり、そういう部分が、やはりこれからまだまだ日本は努力をして整備していける部分だろうなというふうに思います。ぜひ、政府においては積極的な取り組みをお願いしたいというふうに思います。
 今度は、秋田から国際的な話をちょっとさせていただきたいなというふうに思うんですけれども、決して秋田が国際的じゃないというわけではございませんけれども。
 感染症の対策ということで、日本というのは国際的には非常に高い評価を受けていると私は認識をしております。おととしでございましたけれども、大地震と津波のあったインドネシアのアチェというところがございますが、その地震津波の一年後に行ってまいりました。インドネシアで実はポリオが再発をいたしまして、これは、日本の拠出金によって、それの根絶のための予防接種に関して非常に大きな貢献をしていただいていたということもあります。
 また、去年、これはアフリカのシエラレオネ、リベリアというようなところを回ってきたわけでございますけれども、最貧国と言われるような国ではございましたが、そういうところでも、疾病予防対策ということで、日本のお金と人が本当に効果的な形で生かされているなというのを間近で見てまいりました。
 ちなみに、インドネシアの方、これはアフリカもそうでございますが、例えばマラリア予防のための蚊帳なんかは、これは本当に世界的に、こんなに安くて効果のあるものがあるのかということで大変に重宝されているというようなこともあります。これは医療とは直接関係ないかもしれませんが、そういう日本のノウハウ等が国際的に高く評価されているというのは率直に認めていいのではないかなと思います。
 ただ、残念なのは、そういう現場に行けば、もうそれは間違いなく、日本人の医師の方がWHOにいらっしゃる、あるいはさまざまなほかの国連機関にいらっしゃって、第一線で活躍をしていただいているわけですから、現場の方はわかるんですが、国際的な、例えばWHOの発言力と日本の発言力という視点から見てみると、例えば、去年、WHOは事務局長の選挙があったわけでございまして、大変残念でございましたが、尾身さんが選ばれなかったというような状況もあるわけでございます。
 やはり、そういう国際機関において発言力があるということは、各国際機関が行うさまざまなプロジェクト、推進していく事業について、日本の意向がかなり入ってくるだろうということは考えられるわけでございます。
 厚生労働省の来年度の予算では、WHO、あるいはILOですか、合わせて二百五十億ぐらいの拠出を予算の方から出していただいておるわけでございますが、やはり、こういうものをもう少し効果的な形で運用していき、そういう現地あるいは本部における日本人のスタッフ等をもっと政府とうまく関連させて有効的に使うことで、最終的には、私はそれは日本の国益にかなうことではないかなというふうに思っております。
 例えば、そういう感染症などの面での国際協力等に対する厚生労働省としての取り組み方ということについて、御見解をお聞かせ願いたいというふうに思います。
○石田副大臣 お答えを申し上げたいと思います。
 現在、世界的な状況を見ますと、新型インフルエンザ、またエイズ、結核、マラリア、そういう感染症は世界規模の脅威となってきている、これはもう委員御案内のとおりだと思います。ですから、厚生労働省といたしましても、積極的に国際協力を進めていくことが大事だ、こういうことを思っております。
 現在といたしましても、一つは、WHO、また国連などへの人的貢献、財政支援、また、主として東南アジア諸国の行政官や医療従事者を対象にしたエイズワークショップの開催、アジア諸国の感染症対応能力強化のための専門家派遣、また我が国への研修員の受け入れ、そして日中韓の政府及び研究機関との連携の強化、こういうものを通しまして、アジア地域に重点を置きながら、国際的な感染症対策に積極的に参画をいたしております。
 また、新型インフルエンザを含む感染症については、国境を越えた世界規模での感染拡大が懸念されておりまして、厚生労働省としては、アジア諸国等との情報交換や国際協力は我が国の国民を守る上でも重要である、このように考えております。
 今後とも、新型インフルエンザを含め感染症対策について、WHOなどの国際機関等と連携し、アジア地域において主導的な役割を果たしながら、国際協力を積極的かつ効果的に推進してまいりたいと思います。
○御法川委員 ありがとうございます。
 国際協力の仕方、さまざまあると思います。二国間でやるもの、あるいは、そういう国際機関に対して拠出をしたり、人的貢献、人を出してやっていただいたり、さまざまなことがあると思います。鳥インフルエンザに関して言えば、二国間で、ベトナムの鳥インフルエンザの封じ込めというのは、本当に日本が人と金を出してやったということで、向こう側の政府から大変に高い評価を受けているということでございます。引き続き、こういう国際貢献の部分についての厚生労働省の御尽力もお願いしたいなというふうに思います。
 国内外、本当に課題は山積しておりますし、今回のこの通常国会においても、厚生労働省、大変多くの法案があるわけでございますけれども、大臣を初め皆様におかれましては、ぜひ、いい厚生労働行政の確立のために邁進をしていただきますことを御期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、川条志嘉君。
○川条委員 自由民主党の川条志嘉でございます。
 本日は、質問のお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。
 大臣にお答えいただく質問数が多くて非常に恐縮なんですが、この厚生労働委員会で、本来の厚生労働行政についてぜひ大臣の前向きな御見解、御意見をお伺いしたいと思っております。よろしくお願いします。
 また、本日、この質問をさせていただくに当たりまして、多くの医療従事者の先生方に御指導いただきました。和歌山県立医大の南條学長、あるいは上野卒後臨床研修センター長、星ケ丘厚生年金病院の中瀬整形外科部長を初め多くの先生方に、この場をおかりしてお礼申し上げたいと思います。
 まず最初、FOP、進行性骨化筋炎という病気がございます。幼少期に百万人に一人という割合で発病し、そして、筋肉が炎症を起こして、どんどん骨になっていくんです。進行性で、片っ端から筋肉が骨になって固まってしまうから、右側に体が傾いて固まってしまう人もいる。ひどい場合には、あご関節が骨になってしまって物が食べられなくなってしまったり、それから肺の周りの筋肉が固まって骨になってしまったら呼吸ができなくなったり、本当に大変な病気なんです。
 しかも、治療の方法がないんです。例えば、痛いからといって病院に行って痛みどめを打ったり、あるいは手術をしたり、それからマッサージやリハビリをしたり、そんなごく常識的だと思われる治療をしたら、かえってそれが引き金になって筋肉に炎症が起こって病状が悪化してしまうわけですね。一番の治療法は放置状態。これが、悔しいながら、この病気の現状です。
 こういうわけで、専門医が今非常に少ないんですが、専門医の育成と、それからこの病気の特性をみんなに知っていただくこと。そして、早期の診断ということが必要になってくるわけです。
 患者数は今、六十人から、あるいは百人とも二百人とも言われていますけれども、非常に少ないんです。この病気は、遺伝子が異常を起こして、それでたんぱく質の変異が起こって、本来は骨折のときなんかに骨をつくれという信号が出るんですけれども、その信号が筋肉の中で間違って出てしまうことで、どんどん筋肉が骨になっていくということまでわかっているんです。アメリカでは特効薬の開発が進んでいると言われていますけれども、日本ではまだまだ立ちおくれているというのが悲しい現状なんです。
 薬剤の開発には非常に長い時間がかかります。十年、二十年というスパンでかかっていくんです。患者さんの生活を考えると、特定疾患治療研究事業対象疾患の四十五疾患にぜひ追加で加えていただきたいというのが、私の、患者さんたちの、本当に切なる願いなんです。
 専門医が本当に少ないから、月一で病院に行くそのとき、一時間、二時間かけて病院まで車で行くんですね。例えばそのときの車代。それから月一回撮るレントゲンの自己負担分。それと、車いすだって普通の車いすが使えないんです。リクライニング式の車いすとか、その人の体勢に応じた特注の車いすが要るんです。そういった車いす代ですね。それで年間大体約百万円ぐらい。患者数六十人だったら、年間六千万円必要なんです。難病対策の今年度の予算が千百四十七億円ですから、今年度はその四十五疾患については凍結と言われていますけれども、この治療研究事業対象疾患の中に追加することもぜひ前向きに検討していただきたいと思うんです。
 今はこの費用は、患者の自己負担分と、それから障害の等級が大きくなったら地域の市町村が負担しているわけです。しかし、この病気は、希少性、それから原因の不明な点、効果的な治療法が未確立であるという点、生活面への長期にわたる支障という特定疾患の四要素と言われるものをすべて満たしていることから、ぜひ、少なくとも難治性疾患克服研究事業の百二十一疾患には追加していただきたいと思うわけです。
 今、患者会では、FOP患者のデータベース化を進めています。したがって、この難治性疾患克服研究事業の方にでも加えていただければ、飛躍的に研究が進み、また治療の薬剤の研究も進んでいくことが予想されるわけです。そうすれば、重症度にかかわらず、全くほうっておくというのがたった唯一の治療であるという現在の状態とは違って、患者さんの未来に、少なくとも少しの光が見えてくるのではないかと思うのです。
 どうか大臣、現在の取り組みの状況と、また御見解をお教えいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 川条委員にお答え申し上げます。
 非常に患者数の少ない、希少な、しかし重篤な御病気について、最近の事例ということで、FOPについて御質疑をいただいたわけでございます。
 厚生労働省の制度といたしましては、今先生も既に御言及になられましたけれども、治療研究の事業と、それから病気そのものの克服のための研究事業という二つの事業を用意しておりますけれども、この対象疾患については、今も仰せになりましたように、第一に原因が不明である、第二にまだ効果的な治療法が確立されていない、それから先ほどの、第三に希少性、患者数が少ない、第四に生活面で長期にわたる支障を来すという四条件をすべて満たして、全国規模で研究を行わなければ原因の究明や治療法の開発等が進まない、こういう状態の疾患から、専門家から成る特定疾患対策懇談会という場におきまして御検討の上で選定されているというのが現在の制度でございます。
 対象疾患となりますれば、車いすなど日常生活用具の給付事業の対象ともなりますが、御指摘のFOPについても、新たに対象疾患として選定するよう要望が寄せられているところでございます。
 昨年十二月にこの特定疾患対策懇談会が開かれましたけれども、そこでは、今年度中に特定疾患対策懇談会において、疾患の選定について議論を行うという意見も既に示されたところでございます。
 新たな難病指定につきましては、今年度中に特定疾患対策懇談会、今の懇談会におきまして検討を行う予定でございますので、そこでこのFOP、御指摘の疾患についても必ず検討をしていきたい、このように考えております。
○川条委員 大臣、ありがとうございました。これからも、このFOPという疾患について、特疾の中に加えるように、ぜひ前向きに御議論いただきたいと思います。
 それから、次の質問に移らせていただきます。
 お手元の資料をごらんください。医師の供給についてです。
 これまでは、新臨床研修制度ができるまでは、大学から、大学病院で研修し、医局に入って、地方病院やあるいは都会の大病院を医局人事のもとで回って、経験を積んでから開業するというのが一般的でした。しかしながら、新臨床研修制度の導入で、医局に入局せずに都会の大病院で研修を積んで就職するという傾向ができました。このため、地方の大学病院や公立病院は、新入局者がないから、ただでさえ過剰勤務なのに、その状況がさらに厳しいものになって、指導医クラスの人は、勤務医をやめて開業するという人までふえてきているんです。
 医局の人数が足りないから、当然地方の公立病院から派遣、応援の要請が来たって対応できません。地方の公立病院の閉鎖が起こる、またやめて開業する人がふえる、過剰勤務がふえる。こんな悪循環が起こって、どの医療従事者にお伺いしても、公立病院、特に地方ですね、危機的な状況だと言われています。
 地方だけではないんですね。一月の二十三日の毎日新聞の報道では、東京都や大阪府でさえ、公立忠岡病院の閉院初め、五十四の公立病院のうち、二十六病院の四十六の診療科で診療休止、縮小になっているんです。常勤医で定員を満たせない病院というのは、五十四の病院のうち四十五病院。不足する常勤医というのは二百八十五人にも上っています。
 そして、施設と設備は整っているので、医師不足の間だけ診療休止にすればいい、人数がそろえば再開すればいいという考えは、本当に甘いと言わざるを得ないんです。一たん診療休止にしてしまったら、症例研究や診断、治療の病院独自のノウハウなどを含めてチーム医療ですから、チームが崩壊してしまうことになって、再構築するために五年以上かかると言われています。
 次の資料をごらんいただきたいんですけれども、新臨床研修制度の前は、平成十五年は七割大学病院に残っていた医師が、今では、医学部の定員というのは八十人から百人ですから、七割以上残っている大学というのは、二十一位、北大の五十七人、それから和歌山県立医大が、定員六十人ですから、人数では二十四位でも、比率にすれば九割残っているわけです。
 全国百六大学のうちでこの二十二大学しかなく、しかも、二十七位から後はずっと五十人以下で、一人というところまでありますから、公立病院に医師派遣どころか、大学病院自体が医師不足なんです。しかも、当直の多い科とか重篤な患者を担当しなければいけない科というのは、入局者数が減少している。
 二十五歳から二十九歳の小児科医のうち約半数、あるいは産婦人科医のうち約三分の二が女性であることを考えると、女性が安心して働ける環境づくりを国としてサポートする必要があると思います。
 そういったわけで、私はやはり医学部の定員というものを見直していく必要があるんじゃないかと思うわけですね。特に、私は一時期、和歌山に御縁をいただいたことがあって、今でも和歌山が大好きなんです。今の私の選挙区は、大阪の阿倍野区、平野区、東住吉区で、和歌山への玄関口でもありますし、大阪は北が高く南が低いと言われていますが、河内あるいは和泉の玄関口なんですね、昔の。そういった意味で、大阪全体あるいは近畿南部の全体のボトムアップのためにも、和歌山の発展も不可欠だと思っています。
 それで、先ほど申し上げましたように、和歌山医大なんですけれども、伝統があって、大学挙げて、医療を核として本当に新しい取り組み、斬新的な取り組みを進めているにもかかわらず、九割も医局に残っているにもかかわらず、医師不足なんです。前述の忠岡病院からも、あるいは大阪南部それから和歌山郡部の閉鎖が検討されていると言われる幾つかの公立病院からも、今年度、来年度、医師を引き揚げざるを得ないというのが、悔しいながら、現在の状況です。
 ところで、イギリスでは、医療崩壊が起こってからブレア政権になって、二〇〇〇年から五年間で医療費を一・五倍にふやして、しかも医学部の定員を三千九百七十二人から六千三百二十六人にふやしました。そのひそみに倣って、和歌山県立医大の六十人という定数、特にこの和歌山県立医大、全国のほかの十大学なんかでは定員増を前倒しでやっておられると聞いていますけれども、ほかの医学部と同じレベルまで見直していただきたいと思うんですが、大臣、ぜひ御見解と御英断を承りたいと思います、恐縮ですが。
○柳澤国務大臣 現在のお医者さんの状態を申し上げますと、お医者さんの総数につきましては、毎年三千五百人から四千人程度増加をしている、そういう状況でございます。今後ともこれまでと同程度の増加が見込まれますことから、現状においては医学部定員を抜本的にふやすということが必要かといえば、必ずしもそうではないのではないか、このように考えているところでございます。
 しかし、厚生労働省におきまして昨年八月に関係省庁と取りまとめました新医師確保総合対策におきまして、医師の地域偏在により一部の地域において医師の不足が深刻になっている現状にかんがみ、中長期的な対策の一環として、医師の不足が著しい県における大学医学部や自治医科大学の定員増を推進する、このように決めさせていただきました。
 ただ、今委員の御指摘になられました和歌山県の状況はどうかといいますと、平成十六年末において、医師数は人口十万人当たり二百四十七・八人ということで、全国平均が二百十一・七人でございますので、全国トップテンとはいきませんが、全国十二位という状況で、相対的に多い状況にございます。したがいまして、不足が著しい県というこの制度の対象県とはなっておりません。
 もう一つは、地域医療に従事するお医者さんを確保するための医学部における地域枠の設定。これは、できるだけ地元の出身者のための入学枠をつくって、そこに定着していただくということをねらった制度でございますが、こうした取り組みによって、今、この医師確保のための対策として取り組んでいるところでございます。
 いずれにいたしましても、国としては、いま一度、それぞれの地域の実情をしっかりと把握し、都道府県と国とが協力し合いながら、地域ごとに具体的で実効性のある医師確保対策を講じていきたい、このように考えている次第です。
○川条委員 ありがとうございました。ちょっと前向きな御検討がいただけなかったので非常に残念ではありますが、時間もないので次の質問に移らせていただきます。
 勤務医の平均勤務時間というのは六十三・三時間で、八十時間勤務される医師も少なくないと聞きます。人事ネットワークの中枢として大学病院の役割を考えるとともに、大学病院以外にも、公立病院、設備が整った病院を閉鎖に追い込まないためにも、また、勤務医が激務に耐えかねて開業するという流れを食いとめるためにも、勤務医の勤務状況というのを改善していく必要があると思うわけです。
 それからまた、勤務医が不足しているというだけではなく、大学全体として勤務医を積極的に確保しようとしているところもあります。大学自体が地方から都会へという流れが顕著になる中で、未来に夢と希望を持てる魅力づくりをしようと大学ぐるみで取り組んでいる大学だってあるんです。前述の和歌山県立医大では、九割という研修医が大学病院に残りましたが、他分野との斬新的なコラボレーションを進めていて、本当に地域住民あるいは国民の健康保持に大きく貢献され、新たな分野を開こうとされています。
 こういった取り組みは、やはり勤務医のクオリティー・オブ・ライフ、QOLを上げるとともに、頑張る地方応援プログラムや医師確保対策の一環として国が支援する必要があると思うんですが、大臣の御見解を伺います。
○松谷政府参考人 局長で申しわけございませんけれども、前振りで答弁させていただきます。
 開業医さんに比べて病院の勤務医が大変過重な労働をしているという御指摘でございますが、いろいろな調査、あるいはいろいろ現場に行って見聞もさせて、勤務のお医者さんからの御意見も私ども伺っておりますけれども、それらによりますと、もちろん開業医の先生方も大変な方はたくさんいらっしゃるんですけれども、一般的に言って、開業医の方々に比べまして、病院勤務医の方々の勤務状況は大変厳しいものであるというふうに考えております。
 厚生労働省といたしましても、病院勤務医を取り巻くこのような厳しい勤務環境を改善していくということは喫緊の課題であるというふうに認識をしてございます。
 このため、お医者さんの集まる拠点病院づくりの推進、あるいは病院や診療所など医療機関相互のネットワークの構築、そして、例えば小児救急の場合でございますと、小児救急の電話相談事業の普及充実、あるいは開業医さんとの役割の明確化といったようなことで、できるだけ病院に勤務しているお医者さんを支援していくという体制をつくること。また、病院の中で、必ずしもお医者さんでなくてもできるような、書類づくり等の業務がございますが、これらについては積極的に他職種を活用するなど、医師と他職種との役割分担の見直しなど、さまざまな対策を講じることによりまして、病院勤務医の負担を少しでも軽減することができるように努めているところでございます。
 お医者さんは、トレーニング、勤務をするという点でも非常に病院への魅力も感じるところでございまして、今先生御指摘のいろいろな取り組みにつきましても、ぜひ支援してまいりたいと思っております。
○川条委員 時間もないので簡潔に答えていただければ幸せなんですが、やはり最後の、頑張っている病院を応援する、積極的に応援していただきたいんですね。頑張る地方応援プログラムなんかもありますけれども、やはり医師確保対策の一環として、頑張る病院応援プログラムのようなものをぜひ御検討いただきたいと思うんですが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 昔は、当初から委員が御指摘になられたように、大学の附属病院あるいは医局というようなものがそういう役目を果たしておられたわけです。つまり、そこの出身の医学部の学生がお医者さんの試験に受かったら、必ずそこに籍を置いて、そしてそこの主任の指導的な教授さんのいろいろな指示、こういったものに従って、それがうまいぐあいにお医者さんの配分に機能していた、こういうことがあったわけですが、最近、いろいろな事情からそのシステムが崩れた、こういうことであるわけです。
 その現実に立って、それではどうするかということでございますけれども、一つは、今先生が御指摘の、非常に魅力のある病院で、そこにお医者さんの研修などをやる先生方が集まってくる、これをマグネットホスピタルと言っているわけですが、磁石のように人材を引きつける、そういう魅力のある病院、こういうことが事実上中心になってきた。したがって、それと県の医療協議会とを、今後、相協力してもらって、昔の医局が果たしてきたのと同様の役割を果たしていただくということを考えるというのが現在我々の考えていることでございます。
 したがいまして、まずそのマグネットホスピタルをつくっていただくことも大いに助成していこう、それから、そのマグネットホスピタルから医師を派遣していただく、そういったことについても助成していこう、こういうシステムを今つくって、できるだけお医者さんの確保に資していこう、このように考えているということでございます。
○川条委員 ありがとうございます。ぜひ、その計画がどんどん進んでいくように、心からお願いいたします。
 あと二点、私は、要望と、それからそれに対して、もう時間もないので簡単に御見解をお伺いしたいと思うんです。
 一つは、公的病院の存続についてという件なんですが、官から民へという流れの中で、今後のあり方が検討されている病院、例えば労災病院とか厚生年金病院、船保病院などがあります。地域の中核病院として、今も毎日、非常に医療の中心を担っていて、しかも最先端の医療機器をそろえている。それぞれの病院ごとに、すばらしい医療チームと治療研究のためのノウハウを持っているんです。
 労災病院は、勤労者医療の中心として、アスベスト関連の疾病の研究やメンタルヘルス、あるいは女性外来、リハビリなどの研究で有名ですし、厚生年金病院は、整形外科関係の治療やリハビリの研究、特に、私の地元大阪の厚生年金病院では、小児救急、あるいは救急医療、それから産科のオープンシステムの導入など、喫緊の課題と言われる分野にも積極的に取り組んでおられます。また、船保病院は、航海中の船から送ってくる画像で診断できるシステムというすばらしいものを持っているんですね。経営母体がかわって病院のあり方が変わってしまったら、この特色が失われるのではないか、今それが、病院の医療従事者、あるいはその病院に通っておられる患者さんたちの非常に大きな不安なんです。
 社保庁改革なんかでは附帯決議がついているとも聞きますし、また、それに対しても、数多く存続のための署名というのも私の部屋にも寄せられております。私は、現在の機能というものを保ったままで、現在の公的病院の形で存続をさせることを強く要望したいと思うんですね。もし時間がございましたら、今後、これらの病院の展望についてお教えいただきたいというのが一点。
 あともう一点、御要望がございます。それは、リハビリの日数制限の問題なんです。
 医療制度改革では、リハビリというのは漫然とだらだら続けているものであってはならないという反省に立って、どの期間にリハビリを集中的にやったらいいかということで、急性期から回復期にかけて、リハビリテーションが一・五倍に拡充されたんです。その点は、私は大きく評価したいと思います。しかしながら、日数制限があるという点で不安だという声をよく聞くんですね。
 リハビリの日数制限の除外疾患として、高次脳機能障害と特定疾患の対象者というのが挙げられているんですが、ほとんどの疾患が日数制限の対象となっていて、また医療リハビリと介護リハビリの格差が大きかったり、それから身体機能の維持、生活機能の維持のためにこの医療リハビリが必要なんだという声、不安だという声を非常に多く聞きます。それで、高齢者にとって、身体機能の維持、生活機能の維持というのは、要介護度を低く抑えるためにも、生活の質を維持するためにも、それから寝たきり予防という観点からも、安心してずっと医療リハビリに取り組んでいただくことも必要じゃないかと思うわけです。
 医療費や介護費を抑制して、寝たきり予防を進めていくという観点から、やはりリハビリの日数制限についてはちょっと見直していただければと思うのですが、これについて、さきの公的病院の存続とあわせて、簡単に御見解をお伺いしたいと思います。
○青柳政府参考人 私の方から、まず厚生年金病院と船員保険病院についてお答えをさせていただきまして、しかる後に基準局長より労災病院についてお答えをさせていただきたいと存じます。
 厚生年金病院につきましては、他の年金福祉施設と同様、今後、施設整備費には保険料を投入しないということとされておりますので、現在の運営方式を続けることはできないということでございます。
 今後は、一昨年、平成十七年に独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法というのを御審議いただきました際に、本委員会における附帯決議でお決めいただいたわけですが、これが先ほど議員から御指摘のあった点と存じますが、地域の医療体制を損なうことがないようというくだりがございます。これらの病院が現に果たしている役割の維持ということを念頭に置いて、整理合理化を進めていくことが必要というふうに考えております。
 なお、船員保険病院につきましても、昨年の十二月に船員保険事業運営懇談会の報告書というのが取りまとめられまして、整理合理化を進めていくということになっておるわけでございますが、この報告書の中では、地域医療に果たす役割等にも留意しつつ、今後関係者の意見を十分配慮して、検討を進めるとされておりますので、そのように取り扱わせていただきたいと考えております。
○青木政府参考人 労災病院につきましては、今委員が御指摘になりましたように、働く方の健康確保という、労働政策推進上期待されている役割、あるいはまた、労働災害に遭った方の早期職場復帰、こういった役割が適切に果たされるように、機能の再編強化を図るために、現在、労災病院の再編計画を策定いたしまして、その計画に基づき再編を進めております。平成十九年度末までに、三十七の病院を三十病院に再編成する予定でございます。
 私どもとしては、これによりまして、勤労者医療に関する研究を集約的に行いつつ、勤労者医療の提供、あるいは地域支援機能の強化、そういったことや、あるいは研究成果の普及、労災病院群としてのネットワーク機能が強化されるというふうに考えております。
 この再編計画は、平成十九年度をもって終了するということでございます。その後のさらなる計画は持っておりません。労災病院は、引き続き、そのネットワーク機能によりまして、勤労者医療の中核的役割を適切に果たしていく必要があると考えております。
 同時にまた、労災病院は、独立行政法人が運営するという性格上、経営基盤が確立した上で、健全な経営を行っていくことも要請されておりますので、今後とも、労災病院のあるべき姿について適時適切に検討していきたいというふうに思っております。
○水田政府参考人 リハビリテーションについてお答え申し上げます。
 昨年の四月にこの見直しが行われたわけでございまして、そのねらいとしましては、先生も御指摘のとおり、発症後早期のリハビリテーションを重点的に利用できるようにするということが眼目でございます。その一方で、長期間にわたって漫然と実施されている、効果が明らかでないリハビリテーションにつきましては、疾病の標準的な治療期間、これを踏まえまして、介護保険との役割分担を踏まえながら、疾患ごとに算定日数の上限を設けたところでございます。
 ただ、この日数の上限の適用に当たりましては、高次脳機能障害等の一定の疾患を有しておられましてリハビリを継続することによって状態の改善が期待できると判断される方につきましては、適用を除外するということにしておりまして、必要かつ適切なリハビリテーションが確保できる体制としているところでございます。
 ただ、この適用除外疾患の運用等につきましては、現場で診療に当たられる医師の理解が不可欠でありますので、これまでも説明会等を行ってまいりましたけれども、昨年末に、算定日数上限に達したことをもって医療保険のリハビリ実施を機械的に打ち切ることは適切でないということ、それから、医療保険と介護保険のリハビリにおける連携を強化すること、この二点につきまして通知を発出したところでございます。
 この算定日数上限につきましては今後どうするかということでございますけれども、中医協に診療報酬改定結果検証部会がございまして、そこで改定後の状況等につきまして調査、検証を行っているところでございまして、その結果を踏まえて検討していきたいと考えてございます。
○川条委員 ありがとうございました。
 本日は、山積する厚生労働行政、その揚げ足取りではなく、本来の厚生労働行政の施策について大臣の御見解を伺えましたこと、お礼申し上げます。確かに中には厳しい御見解もあり、これからますます私も勉強し、またいろいろ御指導いただきたいこともございますが、本当に大臣の御意見をたくさん伺えたこと、ありがたく思います。
 最後になりましたが、現在の病院の状況というのはやはり危機的であって、過剰勤務に耐えかねた勤務医の離脱によって、設備はそろっていても医師が確保できない、診療不可という事態が地方に限らず起こっているんですね。大阪でも半数以上の病院が土日休診ということになって、そうなったら、働いている人は病院に行けないし、早期発見がおくれてしまうし、しかも救急代が加算されて医療費が上がってしまう、そういった問題が起きてきます。
 崩れ始めた医療体制というのは、イギリスの例を見ても、もとに戻すのは容易ではないので、現在の危機的状況というものを御賢察いただいた上で、これからの対応、今でもいろいろと対応してくださったことはきょうの質問の答弁でわかりましたが、これからもなお一層の素早い対応をお願い申し上げまして、時間も超過しましたことをおわび申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○櫻田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
○櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。福島豊君。
○福島委員 大臣、副大臣、大変御苦労さまでございます。
 冒頭、申し上げておきたいことが一点ございます。大臣におかれましては、先日の御発言に対してさまざまな御議論がありますが、大臣が極めて誠実で、また家庭を大事にされる方だというのはよく存じておりますし、何よりも少子化対策、子育て支援、どのようにして本格的な施策体系を構築していくのか、そのような時期に我が国は来ていると思いますし、その職責をしっかりと果たしていただくということが国民にこたえる一番真っすぐな道だと私は思っておりますので、ぜひとも頑張っていただきたいということをまず申し上げておきたいというふうに思っております。
 まず初めに、さまざまな形で近年高齢者の方々の負担がふえてきたということについてお尋ねをしたいと思います。
 少子高齢化が進行する中にありまして、将来にわたって安定して社会保障制度を運営していく、このことは政府に課せられた大変重要な課題でございます。そのためには、こうした変化に対応できるように、さまざまな改革を行っていかなければならないことは論をまちません。そしてまた、我が国の社会保障制度は、年金制度、医療保険制度、介護保険制度、いずれも社会保険を基本としており、現役世代の方々に多くの御負担をいただく制度となっているわけであります。世代間の公平、また現役世代の方々の負担能力の限界といったような観点から、高齢者の方々にも一定の負担を分かち合っていただかざるを得ないというのが、率直に言って、我が国の現状であるというふうに思います。
 この数年間、累次にわたりまして社会保障制度の改革を継続してきた中で、高齢者の方々の御負担がふえたことはまことに申しわけないという思いが一方でございます。しかしながら同時に、ぜひとも御理解いただきたいというのが率直な私の考えでございます。政府におきましても、なぜこのような改革が必要であったのか、国民、特に高齢者の方々の理解を求めるよう万全の対応をしていただきたい、そのように思っております。
 一方で、そうした改革の中にありましても、社会保障制度の改革とは別の制度改革が高齢者の方々の御負担に大きな影響を与えたことも事実であります。具体的には税制の改革であります。年金課税の見直し、老年者控除の廃止、高齢者の非課税限度額の段階的廃止、こうした三つの改革が実施をされました。
 一つ一つの改革は、税負担における世代間の公平性の確保、また年金給付における公費負担割合の引き上げの財源確保など、それぞれに必要な改革であったと認識しておりますけれども、税制と社会保障制度がリンクするところで大きな負担の変化が生じているということは指摘せざるを得ないというふうに思います。一連の社会保障制度改革に税制改革がリンクして、急激な、大幅な負担の増加を強いているような事例について、制度のあり方そのものを含め、見直しをすることが必要だと思っております。
 具体的に申し上げますと、介護保険制度におきましては、保険料の負担水準は六段階に今分かれております。前回の改革のときにこういたしました。第二段階は市町村民税世帯非課税、年金収入八十万円以下、これは五割軽減。第三段階が市町村民税世帯非課税、年金収入八十万円超、これは二割五分軽減。第四段階は市町村民税本人非課税、これは軽減がありません。第五段階が、市町村民税本人課税となりますと二割五分増し、さらに所得金額が二百万円を超えると五割増し、こういう構造になっているわけであります。
 こうした所得区分が、税制の見直しによりまして非課税から課税区分に移った場合に大きな変化をもたらす、その原因となっております。第二段階から第四段階、また第三段階から第五段階と、二段階上がるとかなり大きな変化があるわけであります。十八年と十九年度で激変緩和措置を講じることとなっておりますけれども、しかし、大きな変化であることは論をまちません。
 また、こうした保険料の変化は、国民健康保険料も課税所得と連動している場合には同様に変化を来しますけれども、この点については省略をいたします。
 そしてまた、先ほど申しましたように、高齢者の非課税限度額の話でありますが、これは、住民税均等割の非課税限度額については級地区分による加算というものが制度として仕組まれているわけであります。一級地では二十一万円、二級地では十八・九万円、三級地では十六・八万円。三級地では一級地よりも約五万円限度額が低くなっているということから、モデル年金世帯における計算においても、一級地、二級地、三級地では同じ年金受給額であったとしても、非課税から課税へとシフトすることによって保険料が大きく変わる、こういった不公平も生じているわけであります。
 このような負担の激変や地域による格差は、保険料負担を、課税、非課税を基準とした所得区分で行っている、このことによって生じているわけでありまして、より適切な制度に見直していくということが必要だと思います。というのは、今後さらに介護保険料はその水準が上昇するだろうというふうに踏まれているわけでありまして、今の時点でどういう制度であるべきかということについて検討をぜひしていただきたいと思いますし、また、級地によってこんな大きな格差があるということについてもさまざまな御意見があります。この点についても激変緩和措置をぜひ講ずるべきだ、このように考えますが、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
○柳澤国務大臣 今、福島委員御指摘のように、いろいろ社会保険料が税の仕組みと絡み合っておる、それから地方税と絡み合っている。地方税と絡み合いますと、それが勢い今度は生活保護の級地の段差によってまたいろいろと差等が生まれてくる。こういうように、非常に複雑な制度になっておるだけでなく、それらがお互いにリンクし合っている、こういう問題が実はございます。
 今回、今御指摘の介護保険料でございますけれども、これはもう先生、今つまびらかに御指摘いただきましたように、所得に応じて段階別に賦課されているものでありますけれども、この制度は、保険者である市町村の事務負担に配慮するという制約の中で、低所得者に配慮する、こういう政策目的を実現するために保険料設定の仕組みとして導入されたものでございます。
 しかし、今御指摘のように、高齢化の進展によりまして保険料水準の上昇が続いておるわけですけれども、これに伴いまして、段階ごとの保険料の差も実は拡大をしてしまっているわけでございます。こういうことについて、公平性の観点から一体どうなのかということでございます。
 段階別ということになりますと、私たびたび申し上げておりますように、いわば不連続に上がるわけで、隣で一円上がっても、すごいその差が出てしまうというような性質を持っておりまして、これらのことも踏まえると再検討の余地があるのではないか、これが御指摘かと思います。
 それからもう一つは、高齢者をめぐる家族構成が変化しているということがございます。例えば、今度の第四段階というのは平均的な保険料の負担者ということになっておりますが、その世帯は、実は介護の第一号被保険者の世帯に大体課税の人がいる、つまり、自分より若い御夫婦が一緒になっているというようなことが何か想定されているようにも思うんですね。ところが、現実にはそういうふうになっていない。奥様と、まさにその被保険者がいらっしゃるだけ、こういうようなことになっているのが基準だ、こういうふうになっているものですから、二階級飛び越えなきゃならないというような事象も生じてくるようでございます。そういうようなことで、こういう家族構成の変化というものを十分踏まえた制度になっているのかというような問題がございます。
 これらの論点が顕在化してきたことから、こうした制度のあり方については、税制改正に伴う激変緩和の措置の取り扱いも含めて、速やかに検討を開始すべきだと私も思っておりまして、事務当局にその旨を伝えているところでございます。
○福島委員 ぜひ早急に検討を進めていただきまして、御結論をいただきたいと思います。
 また、もう一つ難しいことは、こうした変化は保険料だけではありません。施設利用料、利用者負担についても反映しているわけであります。介護療養病床、多床室の利用者負担は、第二段階であれば三万七千円、第三段階、市町村民税非課税ですが、五万五千円、第四段階では八万一千円。第二段階、第三段階では軽減されておりますけれども、こうした負担についても反映をするというのが現実のところでございます。
 私も、大阪のある方から、妻が特養の多床室に入っておって、保険料は大幅に上がるし、そしてまた利用料も大幅に上がるし、その方の年金は二十数万であったかと思います、お支払いすると、ほとんど手元に残らないじゃないか、こういう話があって、ほとんどというのはなかなか難しいところでありますけれども、そうした大きな変化が大変しんどい、こういう御指摘が率直にございました。
 保険料についても見直しをすると同時に、これはなかなか大変難しい課題なんですけれども、施設の利用者負担をどうするか、それもちょっと動くだけで急にふえる、こういう話が起きているわけでありますから、ここのところも私はぜひ工夫をしていただきたいなというふうに切に思っております。大変難しい、仕組みとしてどうするかということが難しいということは理解しておりますので、厚生労働省の御見解を御確認させていただきます。
○阿曽沼政府参考人 利用料についてのお尋ねでございますけれども、この軽減制度でございますけれども、これも保険者の立場である市町村の事務処理に配慮するということと、それから低所得者の方々に配慮をしなきゃならぬということで、二つの目的で実現しておるわけでございますが、軽減措置を見直すというのは大変難しい面もございます。
 委員御承知のように、税金を投入しておりますし、それからまた、一号保険料、二号保険料にも波及をしている問題でもございますし、また、軽減措置全体を全国一律に考えるべきなのかどうなのか、地域ごとに考えるべきなのかどうなのか、そういう論点もございますし、また、在宅の方と施設の方の均衡をどう考えるかというふうな問題もございます。それから、御指摘ございましたように、医療保険制度あるいは障害者の自立支援制度等との均衡といいますか、公平性というものも考えなきゃならぬという多様な論点がございますので、私どもとしては多角的な検討が必要だろうと思っておりますので、今後とも慎重に検討していきたいと思っております。
○福島委員 前回の医療制度改革の折に、医療保険と介護保険にかかわる自己負担の合算制度を創設するということをお約束し、来年の四月からスタートする、こういうふうに伺っておりますが、大きな前進だと思っております。先ほど申しました介護保険における利用者負担の問題、これも所得区分がありますが、医療保険における自己負担限度額、これも所得区分があります。したがって、税制の見直しと連動して影響を受けるということも事実だと思います。
 ただ、問題は、こうした形で高齢者の方々にさまざまに御負担をお願いしなきゃいけない、これは非常にやむを得ない話だと私は思っておりますけれども、問題は、この医療保険制度、また介護保険制度、それぞれ制度が分かれていて、それぞれの中で低所得者対策は講じるんだけれども、税と絡んだらそれがまた変わってしまう。そしてまた、両方あわせて見るとまた変わってしまう。結果として、年金の額の中でかなりの部分がそうしたお支払いで占められてしまう、こういう事態が結果として生じてくるということが一番私は問題なんだろうというふうに思います。
 こうした低成長経済、そしてまた所得が必ずしも伸びない中で、国民の金融資産は千二百兆円から千四百兆円まで積み上がったということが指摘をされております。これは多くの方が、今後の変化の中で、やはり金融資産を持っておかないと安心できないというような思いがあるのではないかというふうに思っております。
 年金に関しても、マクロ経済スライドで今後その水準というものを調整していく、こういう話になるわけでありますけれども、こうした大きな変化の中にあって、非常に難しいとは思うんですけれども、ぜひ政府にお考えいただきたいことは、制度横断的に、高齢者の方々の負担のあり方がどうなっているのか、そしてまた、総合的に考えたときの負担には、私は、年金の水準と照らし合わせて、一定の限度が設けられてしかるべきであるというふうに思います。そうした範囲の中で御負担いただくということを明確にしない限り、それぞれまたこれから制度改革が行われていくんだろうという中で、国民の不安は残ると思います。
 二十年から新しい高齢者の医療制度もスタートいたします。介護保険の保険料に加えて、高齢者の医療制度における保険料も徴収されることになるわけであります。この高齢者の医療費もさらにまた伸びていくということを考えたときに、どこまでその負担をするのか。年金が右肩上がりに上がっていくわけではない、そういう中で、国民が本当に生活ができるのかどうか、安心できるのかどうか、こういった総合的な姿というものをぜひ国は示すべきであるというふうに私は思っております。
 こうした総合的な負担のあり方、社会保障番号なりを導入して、負担の名寄せといいますか、集約化が事務的に簡単にできるような仕組みというのも一つの考えではないかと私は個人的に思っておりますけれども、こうしたことについての政府の御見解をぜひお聞きできればと思います。
○薄井政府参考人 高齢化の進行に伴いまして社会保障に要する費用の増加が見込まれる中で、先生御指摘のように、年金、医療、介護等の制度につきまして、やはり総合的、横断的な視点に立ちまして、制度全体の合理化、効率化に努めますとともに、全体としての公平性なり整合性の確保を図っていく、これは極めて重要なことであると認識をいたしております。
 先ほど御指摘ございました先般の医療制度改革によります高額医療、高額介護の合算療養費の制度というのもそういうふうなことのあらわれであろうと考えておりますけれども、今後とも世代間の公平、あるいは年金給付を含みます負担能力に応じました負担、こういった点も踏まえながら、社会保障の給付と負担のあり方については、総合的見地に立って検討していく必要がある、かように考えているところでございます。
○福島委員 障害者自立支援法のことについても触れたいと思います。
 法案審議の段階から、また審議の段階、施行後も実にさまざまに御指摘をいただいてまいりました。そうした御指摘を一つ一つ受けとめ、制度の円滑運用のための取り組みを進めてまいりました。昨年末の特別対策はその集約的なものであるというふうに言うことができると思いますけれども、いまだ、現場に参りますと、さまざまな御指摘がございます。
 それは、特別対策はあくまで経過措置ではないんでしょうか、その後は一体どうなるんでしょうか、こういう御指摘があります。成長力底上げ戦略において工賃倍増五カ年計画を策定することと伺っておりますけれども、そうした戦略との整合性も踏まえて、三年後の見直しに適切に対応すべきと考えておりますけれども、今後の取り組みについてお考えをお聞きしたいと思います。
○石田副大臣 お答えを申し上げます。
 自立支援法の趣旨、目的についてはもう委員既に御案内のことだと思います。今回は、円滑に施行するという意味で、与党の提案をいただきまして、十八年度の補正予算、十九年、二十年と一千二百億円の特別対策を講じるようになりました。この中でもやはり、では三年後は一体どうなるんだ、こういう御心配もあろうかと思いますが、現場における実施状況をよく踏まえながら、よく私たちも真摯に耳を澄ませて、しっかりと検討を続けてまいりたいと思っております。
○福島委員 次に、少子化対策についてお聞きをしたいと思います。
 政府では、安倍総理のもと、少子化対策の再構築に向けて、子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議を設置し、六月の取りまとめに向けて検討を始めていると伺っております。厚生労働省としても、昨年末の新たな人口推計を踏まえ、より強力な施策体系を再構築して、そしてこの検討会議の取りまとめにもぜひ反映をさせるべきであるというふうに思っているところでございます。
 私どもも昨年、少子社会トータルプランを策定いたしました。その後の取り組みにおきまして、育児休業制度の充実でありますとか児童手当制度の拡充、また、働き方改革などにおきましても一定の施策が実現に向かって前進をしたと思っておりますけれども、しかし、まだまだ道は遠いなという思いが一方ではいたしております。今大切なことはスピード感を持って施策の充実を図るということではないかというふうに思っております。大臣にこの点についての御決意をお伺いしたいと思います。
○柳澤国務大臣 御指摘のとおりでございます。
 これまで政府におきましても、累次にわたりまして少子化対策に取り組んできたわけでございますけれども、そういう情勢の中で、一昨年から人口減少社会が現実のものとなり、また、昨年末には新しい将来人口推計も公表させていただいたところでございます。いずれにいたしましても、少子高齢化が予想を超えて進行している厳しい見通しが示されたところでございます。
 このような現状に照らしまして、多くの国民が、結婚したい、子供を生み育てたい、結婚しても子供を持っても働き続けたいと希望しているにもかかわらず、その希望がかなえられず、結果として少子化が進んでしまったというふうに考えられるわけでございます。
 私といたしましては、この国民が希望する結婚や出産を現実のものにすることができる環境を整備することが大事だ、こういうように考えているところでございまして、この子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議におきましても、有識な先生方の御知恵をかりながら議論を進めてまいりたい、そういうことでございます。
 その際、いろいろと我々の方の調査の結果も発表させていただきましたが、先ほども申したかもしれませんが、三つほど大きな点がある。経済的基盤や雇用、キャリアの将来の見通し、それとその安定性、それから、子育てをしながら就業継続できる見通し、仕事と家庭の調和、あるいは、夫婦間の家事、育児の分担などが、結婚や出産に影響を及ぼしているというふうに整理されておりますので、これらの点に焦点を当てて、私としては、先ほど触れました戦略検討会議において、効果的な対策の再構築とその実行を図るべく取り組んでまいりたい、このように考えております。
○福島委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 働き方改革、今大臣からも種々御指摘がございましたけれども、私ども、長時間労働の是正、また仕事と生活の調和、若者の安定した雇用の確保、こういったものを進めていかなければいけないというふうにトータルプランの中で提案をさせていただきました。
 この国会で労働法制の全般的な見直しを御提案いただき、早期の成立を図らなければいけない、そのように思っておりますけれども、一方で、法の改正だけでなく既存の法制度の中でもサービス残業をどういうふうにして減らすのか、この取り組みは、法改正ではなくて現場での取り組みというのが極めて大事だというふうに思っておりますし、そしてまた、若者の雇用の安定ということも、法改正にとどまらず、経済界がより積極的な姿勢を示していただくということが何よりも大切だと思っております。
 そういう意味では、国会での法案の審議のみにとどまらず、大臣にはさまざまな形でこうした働き方の是正をするための取り組みを進めていただきたい、そのように思うわけでありますけれども、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
○青木政府参考人 長時間労働を抑制するということは、またお触れになりました若者の安定した雇用の確保を図るということは、少子化対策の観点からも大変重要だというふうに思っております。
 今お触れになりましたように、今国会には、若者の雇用につきましては、若者の就業機会の拡大ということで、事業主に対しまして若者の能力を正当に評価するための募集方法の改善等を通じた若者の雇用機会の確保に努めていただくということで、雇用対策法改正法案を既に提出いたしておりますし、今お話の中でありましたように、やはり企業において新卒者以外にも門戸を開いていただくということも大事だということで、経済団体にも働きかけているところでございます。
 それから、長時間労働につきましては、三十歳代男性においては、週六十時間以上の長時間労働を行っている方、これは週四十時間労働が普通の所定労働でありますから、二十時間残業するということでありますから、日に四時間、一年を通じて残業しているという人たちが約四分の一いらっしゃるというような状況でございます。やはりそういう意味でも、この長時間労働の抑制というのはしていかなければいけないと思います。
 そういう意味では、私どもとしては、法定割り増し賃金率について、中小企業にも配慮しつつ、引き上げを行うための労働基準法改正法案を今国会に提出いたしたいというふうに思っておりますし、時間外労働の削減に取り組む中小企業に対する助成金の創設なども考えております。また、一定時間以上の時間外労働をできるだけ短くする努力の義務づけをするということでございます。
 現場での取り組みが非常に大事だというお話もございまして、全くそのとおりだと思います。やはり現場で労使の意識、取り組み、そういったものが必要だろうというふうに思います。行政としても、労働基準監督署などによる指導監督、とりわけサービス残業につきましては、これはあってはならない違法なものでございますので、監督署による監督というのもきっちりやっていきたいというふうに思っております。
○福島委員 現場での取り組みが大切だと申し上げましたのは、監督署もいろいろと工夫されているところもありまして、一たん会社の明かりが消えた後、また始まったりするところもありますから、時間をわざわざずらして取り締まったりとかというようなところもあるようでございまして、そういう意味では、ぜひとも現場が工夫して、そもそもそういうことはやはりやめなきゃいかぬのだ、こういう認識を持っていただくということが非常に大事だというふうに思って、質問させていただいた次第でございます。
 時間がありませんので、若干質問をはしょらせていただきまして、年金制度改革についてぜひ御見解をお聞きしたいと思っております。
 新たな人口推計が出されたことによりまして、平成十六年の改革についてもさまざまな指摘が改めて出されております。私自身は、人口推計のいかんにかかわらず重要な改革であって、将来にわたって安定して制度を維持していくための改革である、このように認識をいたしております。
 一方、人口推計について客観的にこれを受けとめる必要があると同時に思います。しかし、一方的に不安をあおるということではなくて、冷静に判断をし、必要な施策を講じるということが求められているわけであります。政府として、平成十六年改革の意義、そして新たな人口推計の与える影響とその評価、さらに今後の政策対応について積極的に国民に理解を求める必要があるというふうに考えております。御見解をお聞きしたいと思います。
○柳澤国務大臣 いろいろと年金につきましてはいきさつがあったわけですけれども、平成十六年の制度改正というのは、私は、大変大きな意義を持った改革であった、このように認識をいたしております。
 五年ごとに財政再計算というようなことで、そのとき、これから給付をどうするか、年金の保険料をどうするかというのを一々その都度考えてきたのに比べますと、この上限を固定した上での保険料の引き上げ、それからまた給付水準を自動的に調整する仕組みの導入、さらには基礎年金の国庫負担の引き上げ、積立金の活用、それからゴールはどういう姿にしておくかというようなことを、大枠を決めたわけでございまして、五年ごとも、では何もしないのかというと、そうではなくて、これは検証していくというような長期的な安定を強く志向した制度ができ上がって、我々の年金は将来にわたって持続可能なものになった、そういう展望を持つことができるようになった、これが前回制度改正の効果であった、このように思います。
 ところで、十八年十二月二十日に公表された新しい人口推計では、出生率が中位推計で、二〇五五年と五年間先になりましたけれども、一・二六というような低位となる見通しになりました。もとより年金財政は、人口だけではなくて経済の長期的な動向も、見通しを立てるには重要な要素でございまして、近年、景気が回復基調にあることもございまして、このような景気動向、経済動向も織り込んで暫定試算を行ったところでは、全体として年金財政はそう心配しなくてもいいというのが試算の値として出てまいりました。具体的には、最終的な所得代替率は五一・六というような数字も出されたところでございます。
 ただ、これは暫定的ないわば試算でございますので、本格的な厚生年金保険法等の規定に基づいた正式の検証としては、平成二十一年度までにこれを行うということでございますので、今回の先ほど触れた試算を参考としつつ、年金財政をしっかりと検証してまいりまして、この試算もそうですけれども、同時に、検証結果によって国民の安心をいただくべく、我々努力をしていきたい、このように考えております。
○福島委員 本日は、たくさんの参考人に御出席いただいたんですが、時間の関係で、後の質問は省略をさせていただきます。
 最後に一言だけ申し上げておきますと、改革をしたときの大変な苦労があったわけですね。時間とともに担当も変わるんですね。私、そのとき思いましたけれども、やはり年金制度というのが十分国民に理解されていないな、こういう思いがいたしました。
 人口推計が新しくなったりしますと、またそのときにいろいろと出るんですけれども、大切なことは、一つ一つの制度改正をやっているときには一生懸命になるんですが、その間にありましても、やはり国民にどういうふうにその年金制度を理解してもらうか、ねんきん定期便が出ますので大変結構なことだと思っておりますけれども、そういう不断の努力を重ねるということが、その上の改正をスムーズにさせる一番大事な要素だと私は思っておりますので、ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、三井辨雄君。
○三井委員 民主党の三井辨雄でございます。
 引き続き野党の筆頭理事を仰せつかりました。非力でありますが、しっかりと国民の安全と安心のためにいい制度をつくってまいりたい、こういうように決意したところでございます。よろしくお願いいたします。
 そこで、今ほど福島委員からも年金について御質問がございました。大臣からも御答弁いただきました。重複する部分があると思いますけれども、ただ、今大臣がお述べになった中で、これは、一・二六という下方修正になりましたけれども、実際に一・三九ということで試算されていたわけですから。まさに今、私たちは、格差の問題について、特に今いろいろな格差があるわけでございますけれども、その中で、晩婚とかあるいは晩産とか、さらに離婚の増加などが原因で、ひいては出生率の低下につながっているということは、これはまさに明らかであると私は思うわけでございます。
 実際に、この一・三九という数字は、年金制度の検証や、あるいは医療、介護制度の設計に使われるわけですから、社会全般に与える影響というのは極めて大きいと思っているわけでございます。誤った数値で政策展開をすれば、国民にとっては大変大悲劇でありますし、安倍内閣は、社会保障や労働政策においてきちっとした見直しが必要ではないかと思うわけでございます。
 そこで、まず年金制度についてお尋ねしたいと思います。
 厚生労働省年金局では、人口の変化等を踏まえた年金財政への影響ということで暫定試算をこのたび公表されましたけれども、厚生年金の将来の給付水準の見通しについて、新たな将来人口推計に基づいて試算されたわけでございます。内容は、先ほど大臣がお述べになりましたけれども、最近、大変景気動向がいい、それを踏まえて計算しますと、給付水準は現役世代の五割が維持できると。
 しかし、前回の〇四年の試算と同じ前提になりますと、下回るわけでございますね。当然下回ると伺っているわけでございますけれども、今後の人口の推移や、あるいは経済情勢が、もしそういうことで悪い情勢になるということ、あるいはよくなれば一番いいわけでございますけれども、そういう中において所得代替率の見通しを今度は六つのパターンでお示しになっているわけでございますけれども、経済が改善するか、あるいは停滞するかによって、この五割水準というのは維持できるのかというのは、今ほども申し上げさせていただきましたけれども、大変微妙に変わってくるわけですね。
 そこで、前回の出生率が一・三九ということでありますけれども、しかし、こういう制度設計を、一・三九で制度設計した場合に、これにおいて、政府は百年は安心という太鼓判を押していらっしゃいましたよね。そういう中で、一・二六に落ち込んだことがわかったわけでございまして、法案の影響というんでしょうか、法に与えた影響というのは、大変こそくなやり方だな、私自身は実はそういうぐあいに思っているわけでございます。
 背伸びしたこの人口推計で将来の年金額を取り繕うというやり方は、年金制度が長期にわたって持続可能だということは、疑われてもこれはしようがないんじゃないかなということでありますし、何といってもこれからの世代に大きな迷惑をかけることになるわけでございますから、年金制度は、国民一人一人がどのように生きるか、またどのように働いてきたか、そしてまた働き方をしたかによって決まる、いわば人生の対価というべきものだと私自身は思っております。
 そこで、暫定試算が出ましたけれども、今後さらなる検証をどのようにされるのか、本当に五割給付を保障してもらえるのかという点について、国民の関心が私は集まっていると思うわけでございます。給付水準五割のラインをどのように維持していくのか、大臣、お聞かせ願いたいと思います。
○柳澤国務大臣 もともとが、十六年度改正によりまして、次の財政試算をするというのは平成二十一年度までということに法律で決められているわけでございます。ただ、今回、昨年末に新しい人口推計が、その前年の国調を基礎といたしまして出ましたので、やはり国民の関心も非常に強い、そういうことを背景といたしまして、いわば正式な検証を行う前の暫定的な試算として作業をいたしたわけでございます。
 それによりますと、人口の新しい推計に加えて、直近の経済情勢を織り込んで試算をいたしたわけでございますが、人口面では厳しい状況となっているものの、近年の経済動向を織り込みますと、全体として年金財政がそう心配した状況でなくなっているということで、最終的な所得代替率も五〇%を維持、確保できる、こういう見通しが示されたところでございます。
 こうしたことから、将来にわたって所得代替率五〇%を確保することがまずまずできるのではないか、可能ではないか、このように考えているわけでございます。正式には、この新しい試算も参考にしながら社会保障審議会年金部会におきまして、金融や経済の専門家の参画もいただきながら検証を行う予定でございます。
○三井委員 大臣から御説明いただきました。
 これは、二〇〇七年二月十九日の朝日新聞の記事でございますけれども、「年金「現役の五割」大丈夫?」という、クエスチョンマークがついているわけでございますね。それで、今大臣がおっしゃったように、五割は大丈夫だと。しかし、今回出たこの暫定の表を見ますと、朝日にも出ていますけれども、ここには金額も入っていますけれども、全くこれはふらふらな状況でいくんじゃないかな、まさに、今試算されている、そういう状況でいくとはとても思えないと私は思うわけでございます。
 そこで、次に、労働政策への影響についてお尋ねしたいと思います。
 新たな人口推計が出たわけでございますけれども、さらに労働政策も当然見直しを迫られる状況だと思うわけでございます。当初想定を上回って進む労働力の人口の減少に向けて、女性や高齢者の雇用対策を急ぐ必要があると思うわけでございます。政府は、今国会に雇用対策法やパート労働法、あるいは地域雇用促進法の法案を提出いたしておりますけれども、法案の前提となります労働人口の推計も当然変わってくるわけでございますから、これは目前に迫った法案の審議に大きく影響すると私は思うわけでございます。
 そこで、早急に再試算を求めたいところでございますが、これにどのように対応されるのか、大臣にお答え願いたいと思います。
○柳澤国務大臣 労働力の人口の見通しでございますけれども、これは、二〇〇五年七月の雇用政策研究会の推計におきまして、もう既に一定の作業を経まして、その結果を明らかにしているところでございます。今回の新しい生産年齢人口の下方修正の結果を受け、二〇三〇年の労働力人口は、これまでの見通し、つまり、二〇〇五年七月の見通しである六千百九万人から約百万人程度の減少で、六千万人程度になるというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、厚生労働省としては、労働力人口の減少を抑え、経済社会の活力を維持増進していくためには、かねて申し上げておりますとおり、若者、女性、高齢者など働く意欲を持つすべての方々の就業参加を実現していくことが極めて重要であると考えておりまして、人口減少下における就業促進を目的とした雇対法の改正などによって、国民の就業参加のより多くの実現を図ってまいりたいというふうに考えておりまして、二〇〇五年七月の推計に加えて何か新しい労働力率を見直す必要があるかといえば、それはその必要性はないというふうに感じているところでございます。
○三井委員 御答弁いただきました。
 それで、百万人ぐらいの減ということを大臣はおっしゃっているわけでございますけれども、今の中小企業の従業員の割合を見ますと、中小企業では約三千万人、大企業では一千三百万人ぐらいの方がお勤めになっている、それで、全従業員が、合計しますと約四千二百六十五万人。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、パート労働法あるいは少子化を含めて、私は、従業員というのはこれからどんどん減っていくんじゃないかな、労働者が減っていくんじゃないかなということを懸念しているわけでございまして、百万人ぐらいで済むのかなと私は実は疑問に思っておりますけれども、今後の推移を見てまいりたいと思っております。
 次に、時間もございませんので、先ほどからの質問と重複するかもしれませんが、少子化対策についてお伺いしたいと思います。
 今回の推計値というのは、私は、政策上のつじつま合わせという批判もあるということも聞いておりますけれども、その実現性を問われますと、十分納得していただけるような説明をするのは本当に難しいという先ほどからのお話があるとおりだと私は思います。
 とりわけ、少子化対策の観点において、将来、安心して生み育てることのできる社会をつくることが大切なのに、年金制度のような人口統計に係る施策、いわば出産を、社会保障に象徴されるような財政との重ね合わせとか、年数と人数を勘案して政策を導き出すという手法に偏っていることが問題だとする有識者の御意見もあります。
 柳澤大臣は、今までさまざまな不適切な発言がございましたが、女性は産む機械、装置発言の反省も踏まえて、改めてこの少子化対策にはどう取り組むのか、お尋ねしたいと思っています。
○柳澤国務大臣 少子化対策、新しい政府、内閣における戦略検討会議というものもスタートいたしまして、私もその一翼を担わせていただく、そういうお立場をいただいているわけでございます。
 考え方としては、先ほど来たびたび申し上げましたとおり、結婚や出産はあくまで個人の選択にゆだねられているという前提に立ちまして、しかし、少子化対策としては、国民が希望する結婚や出産を実現できる環境整備をするんだ、こういう基本的な考え方で、これから、希望と現実との間の乖離をいかに効率的に的確に埋めていくか、これが課題であろう、こういうように考えているところでございます。
 その会議には識者の皆さんの御参加もありまして、非常に刺激的ないろいろな御議論もいただいているわけでございますけれども、同時に、我々、政策現場でこの課題に取り組んでいる者としても、ここにいろいろな意見を提示して、相互の検討を通じまして、一番いい効果的な意見の取りまとめ、政策の構築というものをしていかなければならない、このように考えているところでございます。
○三井委員 それでは次に、格差問題についてお伺いしたいと思います。
 今回の労働法制の見直しの課題についてもお伺いしたいわけでございますけれども、先ほど来、大企業は大変企業収益が上がっている、大変好調な経済状況だと。政府によりますと、戦後最長のイザナギ景気を超えたと言われているわけでございますけれども、イザナギ景気というのも、私はそのころまだ学生でございましたので実感はありませんが、ただ、三Cというのはよく耳にした言葉でございまして、これだけは忘れないなということを覚えているわけでございます。
 ただ、私は、学生だったと同時に、その一年後に、一九六五年から社会人になったわけでございますけれども、そのころ四年ですか、イザナギ景気が続いたといいますけれども、全く実感というのはないんですね。確かに、所得倍増とかいろいろ聞いたわけでございますけれども、私もまだサラリーマンの駆け出しでございましたので、そういう実感がない。まさに、今回のこのイザナギ景気についても、本当に今のサラリーマンの皆さんあるいは事業者の皆さんにとって、その実感があるのかということになりますと、私の地元で聞いても全く実感がないと。
 そこで、今回お手元に出させていただきました、二月九日に発表されました平成十八年賃金構造基本統計の都道府県別速報ということで見てまいりますと、五年前の二〇〇一年と比較していただきますと、まさにここで給与が上がっているのは、東京ですとかあるいは宮城ですとかあるいは群馬とか、九県のみで、あとはすべて下がっている。最も下がっているのは沖縄県でございまして、二万一千二百円も下がっているんですね。また、最も高い企業は東京都で月額三十七万五千円、最も低いのは青森県で二十二万一千七百円となっているわけでございまして、これを見ますと、幾ら東京が物価が高いとはいえ、十五万円の差というのは本当に大きいと大臣は思いませんでしょうか。
 月額十五万円の差、これは、特に青森、私も北海道でありますけれども、暖房費ですとか、あるいは、雪のないところから見れば、ガソリン代も何倍もかかるわけですね。そういうことを考えたときに、まさにここに大きな賃金格差が出てきているわけでございます。五年前とこれを比較してみますと、東京は第一位で変わりないんですが、五年前より五千百円上昇していますけれども、青森県では一万二千六百円も下がっているんですね。この表を見ますと、まさに労働分配率が全く上がらないということも言えるんじゃないかなと思います。
 そこで、賃金格差について、同じ働き方をする正社員とパート労働者の格差もこれから審議されるわけでございますけれども、これはもう大きくかけ離れていると私は思うんです。そこで、労働法制の見直し、働き方を幾ら変えても、国民の生活の意欲はそがれているばかりじゃないかな、こういうふうに思うわけです。
 今回の労働法制の見直しに当たっても、雇用格差の問題、これをどのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○柳澤国務大臣 最近の賃金の推移をごらんになられまして、都市と地方別にも概して厳しい状況になっているのではないか、また、男女の賃金格差等についても同様の傾向があることも思い起こされるというような御指摘であったかと思います。
 地域間の賃金格差の縮小につきましては、政府、地方自治体による地域経済振興策、あるいは、地方企業の自助努力の結果として実現されるものであって、ひとり雇用対策だけでこれが実現できるものではない、そのように我々は考えております。
 しかし、手をこまねいているかというと、そうではなくて、今度も当然、地開法の改正をお願いするわけでございますけれども、そういったことの中のプログラムを編成がえいたしまして、少しでも設備投資が行われるところで、それが雇用を伴うような場合にはこれを応援しよう等、我々の範囲でできることはさせていただこう、こういうようなことで、法律改正及びそれに伴うプログラムの編成がえをさせていただいて、重点的に雇用情勢が厳しい地域を応援させていただくということを考えているところでございます。
 その他、今お触れになられましたように、女性の割合が多いパート労働者の処遇につきましては、必ずしも働き、貢献に見合ったものになっていないという見地から、今国会においてパート労働法を改正させていただき、パート労働者の均衡待遇を確保すること、これが最も大事だというようなことで鋭意取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。
○三井委員 大臣、中小企業、まさに九九%、中小零細というのは本当に深刻なんですね。これは、私の地元だけでなくて日本全国、やはり以前から言われていますように、まさに地域格差、企業格差、そしてまた、今申し上げたように賃金の格差も出ているわけでございます。
 そこで、さまざまな格差があるわけでございますけれども、これをどう解消していくかというのが今後の大いなる課題だと思うんですね。五点セットと言われます年金、医療、介護、福祉、雇用、この問題はまさに格差の典型だと私は申し上げたいんですね。苦しい人がさらに苦しくなる、事態が深刻化していくと私は思うわけでございます。そこで、生活を守るという施策をここで手当てしなければ、まさに格差は広がるばかりだ。
 今まで格差というのはなかったわけじゃありませんけれども、なぜここまで格差が広がったのか。私なりに検証してみますと、やはり、小泉政権のもとで行われました急激な構造改革が、地域の格差とか働き方の格差とか教育の格差とか所得の格差だとか、医療の格差、介護の格差もあります、これをもたらしたんだと思うわけでございます。実にさまざまな格差が広がっていることを日々私も実感しております。
 ぜひ、これは、格差問題については我々民主党もしっかり取り組んでまいりますので、大臣におかれましても、しっかり取り組んでいただきたいと思っております。
 そこで、先週の十五日に、日本医療政策機構が発表されました日本の医療に関する二〇〇七年世論調査報告という調査結果を、新聞報道にありましたけれども、見てみますと、この十二カ月以内で、ぐあいが悪いところがあるのに医療機関に行かなかったことがある人の割合ということで出ておりました。
 高所得、高資産層の一六%が行かなかった、中間層では二五%、そしてまた低所得、低資産層では四〇%、これは我慢するというか、大変な医療格差だと私は思うんですね。
 また一方、将来、医療費を払えないことに不安を持つという人の割合は、高所得、高資産層では三六%、中間層では七四%、そしてまた低所得、低資産層では八四%もいらっしゃるわけですね。まさに将来の医療費について不安を持っていらっしゃるんですよ。
 先ほど五点セットと私は申し上げましたけれども、これは今後真剣に取り組んでいただきたい、こういうぐあいに思うわけでございます。
 そういう低所得層の人たちが四割、ぐあいが悪くても受診を控えた、そして、医療費の支払いに不安を持つ人が八割。私は、もはや経済力により大きな医療格差が存在することをこの調査が浮き彫りにしている、こういうぐあいに思うわけでございます。
 そこで、この日本医療政策機構は、格差を前提にした医療政策を論議するべきだということを提言していました。今後の格差についてはこれから議論してまいりますけれども、大臣、時間もございませんので簡単で結構でございます、この格差についてもう一度御答弁をお願いいたします。
○柳澤国務大臣 年金、皆年金、それから医療、介護、皆保険というようなことで、我が国の社会保障制度は、私は制度として非常にいいものができているという認識を持っているわけでございます。ただし、その間、自己負担というようなものについても、このごろ少し、それぞれの保険財政が持続可能なものになるようにという観点で是正が図られてきておることは、事実でございます。しかし、その中におきましても、やはり所得に応じた自己負担限度額の設定などをいたしまして、所得の状況に応じたきめ細かな措置を講じさせていただいているところでございます。
 その他いろいろ、高齢者に係る高額医療費の見直しについても、低所得者について自己負担を据え置かせていただくとか、あるいは、十九年四月よりですけれども、七十歳未満の人が入院して高額な医療費がかかったときの窓口での支払いは、いきなりもう自己負担限度額にとどめて、全額払わせて後で還付するというような厄介なことは避けさせていただくというようなこと、さらに、二十年四月からは、医療保険、介護保険の自己負担の合計額が高くなる場合には、負担を軽減する等の仕組みを設けさせていただく等、できる限りの措置を講じさせていただいておりまして、むしろ、我々としては、これらの制度の内容の周知に努めることが大事である、このように考えております。
 今後、高齢化の進展により医療費の増大が見込まれる中にありましても、国民皆保険制度を堅持して、引き続き無理のない負担で必要な医療が受けられるという国民の安心を傷つけることのないように努めてまいりたい、このように考えております。
○三井委員 ありがとうございます。
 それで大臣、私は、最後にどうしても申し上げなければならないことがございます。というのは、これまでの予算委員会の質問におきまして、冒頭に、きょうは谷畑筆頭がさまざまな大臣の不適切な発言という言葉がございましたが、担当、所管の大臣が、機械ですとか装置ですとか、こういうことが言葉として出るということは、私は、大変国民の皆さんも不安に思っていると思うんですね。
 そういう中で、私は、大臣に、やはりここでおやめいただかねばならないかな、こういうように思う次第でございますけれども、御答弁は結構でございますので、大臣、ひとつお考えいただきたいということを申し上げてまいりたいと思っております。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、細川律夫君。
○細川委員 民主党の細川律夫でございます。
 きょうは、大臣の所信表明に対する一般の質疑でございます。質問を用意してまいりましたけれども、その質問に入る前に、少し大臣にお聞きしたいことがございます。
 今、三井委員の方からもお話がございました。例の大臣の発言に対して国民の人たちがどう感じているかということについては、実は一番新しい、二月二十日付の世論調査というものがございます。これは朝日新聞の世論調査でございます。
 その世論調査で、質問は、女性は子供を産む機械と発言した問題で、安倍首相は柳澤厚労相をやめさせる必要があると思いますかと。それで答えが、やめさせる必要がある、その必要はない、この二つで、やめさせる必要があるは五三%、その必要はないが三九%ということになっております。
 それで、私が心配しますのは、今後この委員会で、会期が終了するまで、たくさんの法案あるいは厚生労働政策について議論がされていくと思いますが、その際、大臣がいろいろと大臣の思いや考えをお述べになる、それは職責を全うされるということで、それはそれで結構だと思いますが、しかし、国民の皆さんがどう考えているかということによっては、せっかく大臣が一生懸命そこでお考えを述べられても、その効果というものが国民の皆さんにしっかりと伝わっていかない、真意が伝わっていかないのではないか、そういうことを私は心配するわけでございます。こういう国民の今感じておられること、それから、今私が申し上げたようなことについて、大臣はどのようにお考えになっているか、まずそれをお聞きしたいと思います。
○柳澤国務大臣 私が一月末に松江で行いました発言が大変不適切なものであったということは、もう御指摘をいただいておるとおりと思っております。私としては、本当に心から反省をしておりますが、その反省の上に立って、この大事な厚生労働行政の諸課題の解決のために全力を尽くして取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございます。
○細川委員 それでは質問に入っていきたいと思います。
 先日、十八日、今週の日曜日、大阪の吹田市であずみ野観光バスの大型観光バスがコンクリートの柱に衝突をいたしまして、二十七人が死傷をいたしました。報道によりますと、運転手は連日長距離運転をしていたとのことで、考えられないような、むちゃくちゃな運行体制でございます。大阪府警は過労運転による事故として調べているということでございますし、また、バス会社のある長野県大町労働基準監督署も、労働基準法違反の疑いで立入検査をした、こういうことになっております。この種の事故があってはならないのは当然でありまして、そのために、労働面やバス事業者に対する安全のための規制は欠かせないものでございます。
 しかしながら、従来、バスやトラックなどの労働基準関係法令の法令違反というのは非常に多いわけでありまして、重大事故が起こってからやっとこの違反が摘発をされたり、あるいは処罰されるだけでございます。例えば、平成十七年の、バス事業に対する監督実施事業場の、そこでどういう違反があったか、どれぐらいあったか、その七二%の数の事業場で違反があった、こういう報告がございます。
 そこで厚労省にお聞きをしますけれども、この事故に対する、過重労働を防止するために、自動車運転手の労働時間などの管理に対して今後どのような対策をとっていくのか。もっと日ごろから厳しい対応をすべきではないかというふうに私は思いますけれども、この事故を調査した結果を含めて、考えを聞きたいと思います。
○青木政府参考人 今委員お触れになりました事故の件につきましては、お話ありましたように、現在、所轄の労働基準監督署において、労働時間管理の状況等に関しまして調査を行っているところであります。この個別の案件につきましては、調査結果を踏まえて適切な対応を図っていきたいというふうに思っております。
 自動車運転者を使用する事業場については、今ちょっと御指摘ありましたように、労働基準関係法令違反が七二%というお話もございました。自動車運転者につきましては、大体、平成十七年に関しましては四千二百三十四件の臨検監督、事業場への立入監督を実施いたしております。自動車運転者でありますので、トラックでありますとかバス、ハイヤー、タクシー、その他ございますけれども、その中でもバス業につきましては違反が七二%ということでございます。主に労働時間の違反というものが多うございます。
 そして、自動車運転者を使用する事業場については、非常に長時間にわたる運転時間でありましたり、お話ありましたように危険が非常にあるということでございますので、労働基準法の法律に基づく基準のほかに改善基準告示というものを定めておりまして、休息時間でありますとか拘束時間でありますとか連続運転でありますとか、そういったものもそれで規制をしているところでございます。これらについて、同じように、これに対する違反というのが六割近くあるというような状況でございます。私どもとしては、そういうことでありますので、臨検監督ということで、実際に問題があると考えられる事業場の把握に努めまして、監督指導を実施しております。
 また、こういった労働基準関係法令あるいは改善基準告示違反が認められた場合には、是正に向け必要な指導を行っているところでございます。また、国土交通省とも相互通報制度なども持っておりまして、その中でお互いに違反があった場合には相互通報をして、それぞれの所掌に応じた指導、処分ができるということで、対応しているところでございます。
○細川委員 事故が起こってからでは遅いので、事前にしっかりと監督指導をするように、ひとつよろしくお願いいたします。
 次に、国交省の方にお聞きをしますけれども、この会社というのは、設立してから一度も監査も受けていなかった、設立して六年くらいたつようですけれども、一度も監査も受けていない。これは国土交通省の方で貸し切りバスの規制緩和をしたときに、どういう約束をしたのか。事後チェックはきちんとやると約束をしたじゃないですか。何で事後チェックをやっていない、だからこういうことになるんだよ。国交省、どうですか。
○桝野政府参考人 お答えいたします。
 まず最初に、運輸業におきましては輸送の安全が一番大切でございまして、このような事故が起こることについては、まことに残念だと思っていることを最初に申し上げたいと思います。
 先生から今、規制緩和の中でそういう事後チェック等々、きちっとすべきじゃないかという御質問がございました。確かにこの会社につきましては、十四年設立以降、この二月五日に、事故の前でございますが、監査に入りまして、昨日二十日にも重ねて監査に入りました。今、この監査の結果につきまして精査をしているところでございます。
 若干お時間をいただいて御説明させていただきますが、規制緩和、十四年以降、事業者数も車両数もふえてきておりまして、これについて、私どもも事後監査の必要性については重要視いたしているところでございます。少し御説明させていただければ、十四年二月には運行管理者制度という安全を確保する制度を導入し、また、一回処分をした、例えば事故を起こしたり、問題が起こった事業者につきましては、その後がちゃんと直っているかどうかを確かめるフォローアップ監査なるものを実施したり、また、過労運転、酒気帯び運転等については行政処分を非常に厳しくする。また、昨年からは、会社全体の組織としての安全の確保のあり方について、運輸マネジメントという新しい方法を導入して、安全を確保する方向で努力をしてまいっております。
 しかしながら、これらの対策をとっておりますが、私ども、非常に膨大な数の事業者と、我々の組織の中の監査要員の問題等々ございまして、確かに、このあずみ野につきましては、開始後六年を経過して監査に入ったことは事実でございます。
 今後とも、私どもとしては、安全の確保は大切であるという認識のもとで、監査能力の強化や行政処分の厳格化などを通じまして、輸送の安全について万全を期してまいりたいと思っております。
○細川委員 しっかり安全性の問題についてチェックをしていただきたいと思いますが、今、都市間での輸送の問題でツアーバスというのは、乗り合いのバス、乗り合いの市場を貸し切りの方が浸食をしている、こういうような事実がございます。高速道路で貸し切りバス、今回のような事故が起こりますと、大惨事になるわけでございますから、国交省あるいは厚労省ともに、安全性のことについてはまず最大限の指導を発揮していただきたい。これはよろしくお願いをする次第でございます。
 次に、労働法関係についてお聞きをいたします。
 柳澤大臣は所信表明で、労働関係の冒頭に、労働市場改革に取り組むというようなことを言われました。この柳澤大臣の言われる労働市場改革とはどういうことなのか。
 実は、経済財政諮問会議の委員であります八代尚宏氏は、目指す労働市場改革とは何かというふうに問われて、こういうふうに答えております。派遣労働規制のさらなる緩和、それから解雇規制の緩和、そしてこの解雇については金銭的な解決を容認している、三つ目は労働時間規制の緩和、こういうことを挙げているところでございます。
 大臣も、それから八代氏も同じように労働市場改革という言葉を使っておりますが、大臣の言われる労働市場改革というのは同じような趣旨なのかどうか、お聞きをしたいと思います。
○柳澤国務大臣 労働市場の改革という言葉を使った意味合いは何かというお尋ねでございますが、私が使っておりますのは、就業形態の多様化であるとか、あるいは経済の進展のために必要な、労働市場でどういうことかと言われるとちょっとあれですけれども、いずれにしても、流動化だとか自由化というようなことが経済全体のために必要だとされるということがあった場合に、私は、経済財政諮問会議でもその主張をさせていただいているわけです。これはやはり、そこに働く労働者がどういう選択肢をとろうとも、常に安心、納得できる、そういうことが必ず担保されるようなものでなければ、それが伴うようなことでなければならない。
 そういう考え方のもとで、できるだけ労働者の側の選択肢も広げ、また経済の進展にも備える。ただし、今言ったように、労働については私どもしっかりした考え方を持って、それが担保されていく、先ほど申した安心、納得、こういったものが担保されるようなものでないと困る、こういう立場で進めていこうという改革でございます。
○細川委員 私は、働いている人たちが満足するというのは、真の改革の名に値するものだというふうに思います。働く人たちの権利を奪ったり、あるいは生活が危うくなるような制度変更ではいけない、そうあってはならない、むしろ必要な社会的な規制はこれを加えて、働く者の安心と安全を確保するということが必要だというふうに私は思っております。
 そこで、個別の問題についてお聞きをいたします。
 いわゆるホワイトカラーエグゼンプションについてお聞きをいたします。
 労政審の労働条件部会の最終報告によりますと、自由度の高い働き方にふさわしい制度、こういう名のもとに、日本版ホワイトカラーエグゼンプションの導入を提案いたしております。マスコミは、この労働基準法改正案を残業代ゼロ法案というように命名をいたしまして批判もしてきましたし、私たち民主党も、この制度が現在行われておりますサービス残業を合法化するだけでなくて、さらに長時間労働を生み、健康被害や、ひいては過労死を招くものとして反対を表明してきました。与党もこの国民の反対に押されて、この部分は労基法の改正には含まない、のせない、こういうことを決めたというふうに伝え聞いております。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、この日本版ホワイトカラーエグゼンプションについて、この国会に提案をしないというふうに決めた理由は何なのか、ぜひ大臣にお聞きをしたいと思います。
○柳澤国務大臣 いわゆるホワイトカラーエグゼンプション、私どもは、立案の過程におきまして、自己管理型労働制という名称で呼ばせていただきたい、こう思ってそのように呼ばせていただきましたけれども、これは、一定のホワイトカラーの方々を対象として、働く人がみずから労働時間を管理して仕事と生活の調和を図り得る、そういう弾力的、効率的な働き方が可能になる、これは労使双方にとってメリットがある制度で、ぜひその創設を目指したい、このように考えて検討したものでございます。
 しかし、今回は、残業代がなくなるとか、残業代ゼロ法案とかという名前を早々とつけられてしまいまして、本当は我々の本意は全然違ったわけでございますけれども、しかし、そういう言葉でもって、むしろ国民の理解が我々の真意とは、理解する方向とはおよそ違った方向に行ってしまいまして、結果において十分理解を得られなかった。安倍総理は、やはり労働法制というのは国民の理解があってこその法制だ、こういうことで、今回はもう見送るべきだ、こういう御指示もございまして、私ども、今国会への法案提出を見送るということにいたした次第でございます。
○細川委員 この制度が出てまいりまして、大臣はずっと、今国会に提案をしたい、こう主張されておりました。ところが、与党の自民党の中からも、そしてまた公明党の方からも、提案すべきではないという意見が出てまいりまして、大臣は最後まで頑張ったんだけれどもだめだった、こういうことであります。それでは、国民に真に理解をされていないというならば、大臣が考えておる国民が理解をしたというふうなところというのは、では、どういうことだったら理解をしたということになるんですか。ちょっとお答えいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 私は実は、ホワイトカラーの働き方につきましては、これは単に民間労働組合だけではなくて、みずからもそうだったんですけれども、公務員なんかにおきましても、もっともっと勉強しなきゃだめだという気持ちを非常に強く持ってまいりました。やはりどうしても、ホワイトカラーの皆さんというのは自己啓発の時間というのがほとんど与えられないで、何と申しましょうか、先輩の見よう見まねというか、これも非常に大事なんですけれども、どちらかというと、そういうようなことで自分のノウハウをインプットしていくというようなことでございました。
 しかし、私は、前の仕事で金融再生とか金融担当というものをやらせていただいたんですけれども、こういう世界最先端の業界というか、そういうことをやろうとする人たちを対象とした、そういう行政をやっておりますと、つくづく、やはりこちらの側も同じような最先端のノウハウを持っているということが必要なんだ、こういう気持ちがいたしたというのが率直なところでございます。
 ですから、私は、どうしたらそういうホワイトカラーの皆さんが、自己啓発をしたり、あるいはまた、ワークライフバランスではないんですが、家族と一緒に過ごすような時間があってそういうゆとりの中からいろいろなことを考えられる、そういう生活が可能になるだろうか、そういう考え方で、この自己管理型労働というものについて実際どうだろうかということを、その可能性というものを、それはもちろん、弊害もあるんだとしたらどんなことだろうかというようなことで、いろいろ思案をめぐらせたところでございます。
 いろいろな方にも御意見を聞いたわけですけれども、最終的には私は、かなりこれは推進すべきことではないか、こういうふうに考えるに至りまして、今細川先生がおっしゃっていただいたように、最後まで私は、何とかこれを実現したい、こう思ったわけですが、国民の理解が得られなくてあきらめたわけでございます。
 もちろん、国民の理解が得られなければこれは絶対に入れるべきではないことでございまして、私としては、これからのいろいろな事態の推移を見て、国民が理解するような時代というか時期もいずれ来るのではないかと思って、期待をいたしているところでございます。
○細川委員 大臣、私はそうは思わないんです。大臣は、国民にまだ理解を得られていないからというようなことですけれども、私は、今回これを出さなかったのは全然別の理由だと思いますね。全然別の理由だ。
 それは、これを今回提案いたしますと、必ず大きな争点となるわけですね。争点となりますと、これは出した方は逆に受け身に立たざるを得ない、防戦せざるを得ない。それは参議院選挙にとって不利だ、選挙にとって不利だから今回はあきらめた、そういうことだと私は理解せざるを得ないんですよ。どうでしょうか。そうじゃないですか。
○柳澤国務大臣 要は、国民の理解が得られなかったということに私は尽きるんだろうと思います。そして、では、すぐ選挙のことを今細川委員はおっしゃいましたけれども、選挙でも終わったらまた出してくるのか、すぐ出してくるのかなんというようなお考えを、あるいはひょっとしてお持ちかもしれませんが、私どもとしては、より深い理解をいただくようにするにはどうしたらいいかということも、同時に、一度新規まき直して考えたいというふうにも思っておりますので、そんな、何か棚に上げておいたものをほこりを払ってすぐ出していくなんというような気持ちは一切持っておりません。
○細川委員 ということは、では、参議院選挙の直後にはもう出さない、こういうことをお約束できますか。秋の臨時国会には出さないとお約束できますか。
○柳澤国務大臣 今申し上げたとおりでございます。今申し上げたとおり、そういう、何と申しますか、臨時国会というか、参議院の選挙をとりあえず避けたというような考え方でこの提案を見送ったわけではありません。
○細川委員 だから、理解ができていない、こういうことですね。だけれども、今回提案もしないんでしょう。別の形で別の法案が提案されるわけですね、この規制に関しては。そうしたら、議論をするところがないじゃないですか、理解をさせようとするところがないじゃないですか、この問題については。だったら、秋に出そうなんということはとてもできないでしょう、臨時国会には。これこそ、いわゆる参議院選挙でこれを争点にして国民の皆さんに判断をしてもらうというのが、これが正しいやり方じゃないんでしょうか。
○柳澤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、残業代ゼロ法案というふうにされてしまいまして、どう考えてもこれを、この厚い高い壁を乗り越えていくことはもうほとんど不可能という判断をして、私どもは、そういう提案をする考え方を放棄したわけでございます。今、細川先生、何か次にまたすぐ出してくるんじゃないかということをおっしゃられる前に、私はそういう考え方はないんだということをお答えしたとおりでございます。
○細川委員 では、最後にこの質問をして終わりたいと思いますが、二月の六日の、安倍総理、それから中川自民党、斉藤公明党の両政調会長、そして柳澤厚生労働大臣らが会談をして、最終的に今国会にはこれを出さない、こういうことを決めたその日、柳澤大臣は、参議院選挙後の秋の臨時国会への法案提出についてこういうふうに答えたというふうになっています。なかなか難しいのではないかという認識を示した。これは日経新聞ですけれども、今でもその認識に変わりないですか。
○柳澤国務大臣 もっと、何というか消極的な答えを、私としてはしたつもりでございます。
○細川委員 よくわかりました。もっと消極的だ、こういう回答でございましたので、そのとおり受け取りたいと思います。それでも、ちょっと私は、何となくあの選挙の終わった後は心配が残るということもつけ加えておきたいと思います。
 そこで、さらに次のことについてお聞きをいたします。それは、労働基準法改正の法定割り増し賃金の引き上げの提案でございます。
 民主党は、かねてから、国際水準である五〇%への引き上げを提言いたしておるところでございます。外国と比較をしますと、アメリカは四十時間の法定労働時間を超えたら五〇%増し、フランスは三十五時間を超えた八時間までは二五%、それを超えると五〇%、中国、韓国も週四十時間を超えますと五〇%増しでございまして、日本の現状というのは本当に完全に途上国並み、こういうことになります。
 ところが、今度政府の方が提案をしようとしている案について、これは聞いてびっくりでございます。月八十時間を超える場合に五〇%増し、こういうことで、四十五時間を超えた場合には単なる努力義務、こういうことになっております。努力義務というのは、もうこれはやらない企業があったとしても政府としては何もできないというようなことでございまして、大体、月八十時間を超えたら割り増し五〇%、八十時間というのは、メンタルヘルスをしなきゃいけないような物すごい長い時間なんですよ。
 そもそも、そういう八十時間を超えるような労働なんというのはさせちゃいけないんですよ。そんなことを提案しようと考えているなんて、私はとんでもないと思いますね。これは本当に提案をするんですか、こんなひどい法案、考えを。はっきり答えてください。
○青木政府参考人 まず、お答えしたいと思いますけれども、現行法、法律では、時間外労働に対する制限と時間数について、これ以上やってはいけないという時間数というのはございません。週四十時間労働、一日八時間という原則に立ちまして、時間外労働については、労使協定があればその範囲内でやれるということになっているわけでございます。
 そして、今回、労働政策審議会で諮問、答申をいただきました考え方はまさに委員お触れになったとおりでございますけれども、法定割り増し賃金率の引き上げは、長時間労働抑制対策の一環として、特に長い時間外労働を強力に抑制しようというものでございます。したがって適切な水準だと考えておりますけれども、さらにこれだけではなくて、今回の長時間労働の抑制対策としまして、この法定割り増し賃金率の引き上げというだけではなくて、限度基準告示におきまして、一定時間を超える時間外労働をできる限り短くするよう努めることを労使双方に求めるということでありますとか、あるいは時間外労働の削減に取り組む中小企業に対する助成金の創設、あるいは監督署による重点的な監督指導というようなこともあわせて行うことといたしております。
 こうした総合的な対策、取り組みを通じまして、その実効を上げていきたいというふうに思っているところでございます。
○細川委員 そういうように長時間労働を抑制するためだったら、もっと割り増し賃金をふやせばいいじゃないか、どんと、びっくりするぐらいの。八十時間以上だったら一〇〇%とか二〇〇%とか、それぐらいやれば長時間労働はやりませんよ。たかが五〇%じゃないですか。我々は、週四十時間をオーバーしたら五〇%と言っているんですよ。私たちは、私たちの提案が当たり前だと思っているんですよ、余りにもひどいじゃないですか、かけ離れたこの提案は。これは私はひどいと思いますよ。
 それで、四十五時間超は努力義務になっていますから、こんなのは全く意味がないですよ。これは再考してください、出すかどうかも。これはひどいと思いますよ。これを国民の皆さんが本当に知ったら、何だというふうに思うんじゃないですか。外国からも笑われると思いますよ、こんな法案を出したら。もういいです。答えはいいですから。
 次へ移りますが、労働契約法制について伺います。
 一昨年の九月十五日に、今後の労働契約法制の在り方に関する研究会というところから、七十四ページに及ぶ報告書が出ました。細かいところについては私どもは異論もありましたけれども、私は、この報告が出まして、やっと民法の特別法としてしっかりした労働契約法が生まれることになるのかな、こういうふうに思って安堵したものでございます。
 しかし、今回、労政審の労働条件分科会から出された報告書を見ますと、七十四ページからたった四ページ、極めて内容の乏しいものになったと私は言わざるを得ないというふうに思います。
 なぜこんなに変わったのか、理由をお聞きしたいと思います。
○青木政府参考人 今委員お触れになりました、今後の労働契約法制の在り方に関する研究会の報告でございますけれども、この研究会は、学識経験者、学者さんによって、労働契約に関するルールについて、できるだけ幅広く専門的に検討を行っていただくということでやっていただいたわけでございます。
 確かに、相当幅広く検討していただきまして報告をいただきましたけれども、その内容と比較すると、御指摘のように、労働政策審議会の報告では大変項目が減っております。これは、労働政策審議会は、御承知のように、公労使三者構成の審議会ということでございまして、労使の代表も参加しているということでございまして、その中で、労使が議論をして十分に納得してルールとして立法化していくのが適当ではないかというものをピックアップしたということだと思っております。
 個別労働関係紛争の実態でありますとか判例法理を踏まえつつ、労働契約の内容が労使の合意に基づいて自主的に決定されて、労働契約が円滑に継続するようにする、そういうためにはどういうルールが必要かという観点から議論を行っていただきましたので、そこで合意に至った内容が、今般労政審の報告、答申ということでその内容となっているということでございます。
○細川委員 せっかく、労働の成立から展開、そして終結まで、しっかりした紛争の解決規範、ルールとして、それをつくろうという本当にすばらしいいい構想のもとにやってきたことが、話がまとまらないからこんなちゃちなものになった、それだけでは僕は済まされないと思いますね。本当に大事な労働契約法ですから、もっとしっかりしたものをつくらなきゃいかぬと思いますよ。私たちはつくりますよ。私たちは出します、今度の国会に、しっかりしたものを。皆さん方が出してくる労働契約法、お互いの労働契約法でどっちがいいか、そこで私は比較をしてもらいたいと思いますね。
 国が出してくる労働契約法は、やはり国民の皆さんあるいは働いている皆さんみんなが、これはすごくいい、すばらしいと思えるようなものを出してきてくださいよ。そして、我々の考えた労働契約法と、お互いがどっちがいいかをこの委員会で議論しようじゃないですか。それが委員会を充実していく国会の役目だとも私は思いますから、ぜひひとつよろしくお願いをしたいと申し上げたいと思います。
 そこで、労働契約法のことについて、詳細についてはまた法案が出てきたときにいろいろ議論したいと思いますが、一つだけちょっと聞きたいと思いますが、就業規則の点でございます。これが最も重要な点になるのではないかというふうに思います。
 就業規則とは、労働基準法上は、使用者が労働者の意見を聞く義務はあっても、使用者が一方的に定めることができるものでございます。就業規則を労働契約とする際には、相当の条件がつけられなければならないというふうに考えております。つまり、労働契約が契約であるためにはそもそも合意が基本であるということは、労政審の報告書の「労働契約の原則」、こういうところに記載されているとおりでございます。
 ところが、この報告書の中には、「労働契約と就業規則との関係等」というところを見ますと、「合理的な労働条件を定めて労働者に周知させていた就業規則がある場合には、その就業規則に定める労働条件が、労働契約の内容となるものとすること。」こういうふうになっています。これは合意からは全く逸脱している、こういうことを言わざるを得ない内容となっております。たとえ労働者が、こんな労働条件の変更には同意できない、こういうふうに言っても、法的には合意になってしまう、そういう内容なんです。
 私はこういうふうに思うんですよ。そもそも契約というのは、申し込みがあって、それに対して承諾がある、これが契約なんですよ。これが基本なんですよ。それを、それがなくて労働契約になるのは、労働契約の概念に全く反するというふうに僕は思います。したがって、これは承諾できないんですけれども、大臣、この点についてはどのようにお考えですか。
    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕
○柳澤国務大臣 労政審に諮問した労働契約法案要綱におきましては、労働契約は労働者及び使用者の合意により成立し、変更されるものである旨の合意原則をまず明確に規定いたしております。
 その上で、就業規則による労働条件変更に関する最高裁判所の判例法理に沿って、まず原則として、使用者が労働者と合意することなく就業規則の変更により労働者の不利益に労働契約の内容を変更することはできない旨を規定し、さらにその上で、就業規則が労働者に周知されており、就業規則が合理的である場合に労働契約の内容である労働条件は変更後の就業規則に定めるところによるものとする旨を規定いたしております。
 このように、労働者及び使用者の合意を原則としつつ、現行の判例法理に沿ったルールとすることを検討いたしておるのでございまして、今細川委員の御指摘のような合意原則に反するとの批判は当たらないものと考えております。
○細川委員 細かいことについては今後の法案審議のところで議論をしてまいりたいというふうに思います。
 そこで、あとまた有期労働契約なんかについてもちょっとお聞きしたいと思ったんですが、時間がだんだん来ておりますから、最低賃金の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。
 大臣は所信表明の中で、最低賃金制度がすべての労働者にとっての安全網として十分に機能するよう、生活保護との整合性も考慮した地域別最低賃金制度の見直しなどを内容とする法案を提案するというふうに言っておられます。現在の最賃は地域によっては生活保護を下回っているということの問題が指摘をされているところでございます。私たち民主党は、現在の目安制度を改めて、全国一律の最低賃金を決めることができるように法改正をして、一時間当たり全国平均千円を目指そう、こういう提案をしようとしているところでございます。
 そこで大臣にお聞きをしたいと思うんですが、国民が今一番知りたいというか、知りたがっていることは、大臣が所信表明で述べられた最賃の制度を、生活保護との整合性があるように上げていく、こういうことを言われたんだけれども、では、実際に幾らに上がるのかということが最も関心があるだろう。最近は五年間で地域の賃金は四円から五円しか上がっていないわけでございますから、地域の最賃だからわからないというような、そういうようにお答えをしないように、どの地域だったらどういうふうに基準が変わるからこの程度上がるんだ、最賃はこの程度に上がるんだと具体的にちょっと示していただけませんか。そうでないとわからないんですよ。
○柳澤国務大臣 私が所信でも述べさせていただきましたように、最賃制度は賃金の低廉な労働者の労働条件の下支えとして重要なものであると認識しておりまして、就業形態の多様化等といった社会経済情勢の変化に対応する中でも、今後とも安全網として一層適切に機能することが求められている、このように考えております。
 このため、今国会に提出する改正法案においては、地域別最低賃金について、今先生御指摘のように生活保護との整合性も考慮することを明確にすること、それからまた、不払いに係る罰金額の上限を引き上げることとしておりまして、そうしたことによって、最低賃金制度が安全網としてより一層適切に機能することと考えております。
 最低賃金の具体的な水準につきましては、公労使三者構成の地方最低賃金審議会における地域の実情を踏まえた審議を経て決定されるものでありますが、今回の法案が成立した暁には、各都道府県の地方最低賃金審議会において、法改正の趣旨に沿った議論を行っていただき、現下の雇用、経済情勢を踏まえて適切な引き上げ等の措置を講じてもらえるものと期待をしているわけでございます。
○細川委員 今私は、多分そういうような御答弁になるんではないかということを予想して、その先回りで私の方は質問をしたわけですけれども、どうですか、具体的な金額とかそういうようなことは、ここではちょっと言えないんでしょうか。
○青木政府参考人 今大臣から御答弁がございましたように、これは具体的な金額については地方、各都道府県ごとに設置されております地方の最低賃金審議会、これもまた公労使の三者構成になっておりますが、いわば労使の話し合いをするということでございます。賃金の決定について、それぞれの地域の実情に応じて労使の十分な話し合いのもとでその決定をする、こういうシステムになっているところでございますので、具体的な金額については、そこでの決定を踏まえて改定がなされることだというふうに思っております。
○細川委員 だから、地方最賃審議会の中でこれまで一生懸命やってこられたと思うんですけれども、それが一円二円の世界で、それではだめだということでやるんじゃないんですか。だから、今までじゃないんだ、だったらどういうふうにやってどれぐらい上がるんですかと私は具体的に聞いているんですよ。それは答えられないんですか。
○青木政府参考人 今申し上げましたように、具体的な額の決定につきましては、これはアメリカを除いて多くの国でそうなんでありますけれども、審議会方式あるいは協約方式ということで、労使が参画をして決定をしているということでございますので、したがって、そういう中において日本のシステムもそういうことになっているわけでございます。
 法律としては、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、生活保護との整合性に配慮する、考慮をするという規定を法律上の要請としてきちんと明確にするということで、それを踏まえて地方の最低賃金審議会で具体的な額を決定していただくという仕組みになっております。
○細川委員 余り繰り返してもしようがありませんが、きょう私は、最後にお聞きをいたしますけれども、これは内閣府の方からの説明があったかと思いますが、成長力底上げ戦略というのが今度できて、戦略構想チームというのができて、それで底上げをしていくということの中で最賃の問題も出てきているんです。成長力底上げ戦略、これを実施していくことにおいては円卓会議をつくるというふうに言っているんですけれども、その円卓会議と先ほど言った地方最賃審議会、これとはどういう関係になるんですか。
○青木政府参考人 これは内閣府の方で御議論されているというふうに思っておりますけれども、この円卓会議については、これから具体的な中身、あり方を決めていくというふうに承知をいたしております。
 いずれにしても、先ほど申し上げましたように、これは賃金決定の話でございまして、やはり労使の理解、労使のコンセンサスが極めて大事だ、そういう認識のもとにそういったものが構想されているというふうに思っております。
○細川委員 もう時間が来ましたから最後になります。
 だけれども、成長力底上げ戦略チームの中には、厚生労働省の事務次官も入っておられますよ。どういう整合性があってそれをやっていくのかという僕の質問に対して、全然答えられないじゃないですか。もっとこういうことをきちっと、出してくるときには、それこそ整合性をつけてやらないと、説明を受けたってさっぱりわかりませんよ。
○青木政府参考人 円卓会議の方は、いわば、生産性の向上をして賃金の引き上げを行っていくというスケジュールを構想しているというふうに思っております。具体的に最低賃金を上げるということについては、地方の最低賃金審議会で具体的な額を決めていただく。その前提として、生産性の向上でありますとか賃金の引き上げでありますとか、そういうことについての労使の大きな合意、コンセンサスをつくっていこうというのが円卓会議だというふうに思っております。
○細川委員 これで終わりますが、円卓会議、地方にもつくるんですよ。ちゃんと書いてありますよ。それは円卓会議で最賃も決めていくというような書き方ですよ、この戦略チームは。全然違うじゃないですか。
 時間もありませんからこれで終わりますけれども、これからたくさんの法案がいろいろ出てくると思いますけれども、またそのときにいろいろと議論もさせていただきたいと思います。
 きょうは、ほかにも質問を用意いたしました、準備もしていただきましたけれども、時間の関係で質問できませんでした。その点についてはおわびを申し上げまして、私の質問は終わります。
 ありがとうございました。
○吉野委員長代理 次に、筒井信隆君。
○筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。
 大臣に、今細川委員が質問したうちの労働契約法について特にお聞きをいたします。
 労働者の労働条件、これはやはり労使の合意で決める、これが今までの我が国の法律の一貫した大原則。これを使用者側が一方的に決めることができる、こういうふうに変えるということは、今までの法理念を根本から変えることにつながる。それを今度の労働契約法はやろうとしている。これはやはり撤回してもらわなきゃいかぬ。こういう観点から質問をいたします。
 先ほど細川議員の質問に対して大臣も答えられましたが、労使合意の原則、これがいかに大前提であり重要なものであるか、どう認識されておられるか、お聞きをしたいんです。
 労働条件は、労働者が人たるに値する、人間たるに値する生活を営むに必要を満たすものでなければいけない。そのためには、使用者側が一方的に決めちゃったら、そうはならない。だから、労使が合意でもって決めなければいけない。この合意原則というのは、徹底して一貫させなければならない大原則。
 これを、もしそうじゃなくて使用者側が一方的にやってしまったならば、強制労働とか奴隷労働につながってくる。だから、今、過労死とか過労による死亡事故とか、いろいろな問題点が発生しているのは、やはり使用者側が一方的に決める分野が実態として多過ぎる、労働者の人間性をしっかり評価していない、これも大きな原因になっているわけでございます。
 この合意原則がいかに貴重なものであるか、どう認識されておられるか、大臣の答弁を求めます。
○柳澤国務大臣 労働契約において労使の合意が重要であるということは、私は十分認識しておりますが、同時に、今回の労政審に諮問をして、いただきました労働契約法案要綱におきましても、労働契約は、労働者及び使用者の合意により成立し、変更されるものである旨の合意原則と、今、筒井委員がお触れになった合意原則ということをまず明確に規定いたしております。
○筒井委員 余り質問の答えになっていないんですが。
 しかし、就業規則は使用者が一方的に決めるものですね。
○柳澤国務大臣 当然そうでございます。
 そこで、就業規則と労使の合意というものに関する関係について、これまで最高裁判所の判例法理が積み上がってまいりましたので、それに沿いまして、まず原則として、使用者が労働者と合意することなく、就業規則の変更によって、労働者の不利益に労働契約の内容を変更することはできませんといたしまして、ただ、就業規則が労働者に周知されており、就業規則が合理的であるという場合には、労働契約の内容である労働条件は、変更後の就業規則に定めるところによるものとする旨を規定して、いわば最高裁の判決法理、判例法理をなぞらう形で法文化しておるということで、御理解を賜りたいと思います。
○筒井委員 先ほども、そういう判例法理をなぞらうだけだ、変わらないんだというふうなことを言われましたが、裁判所の判決というのは、その個別事件についてだけ効力を発生する。しかし、法律で決めると、全部、一般的に効力を発生する。この本質的な違いはありますよね。今まで、就業規則で一方的に労働条件を変更することができるという法規定は一つもなかった。個別事件において、裁判所がそういうふうな、その中身はこの後また聞きますが、そういう判断はしたことはあるけれども、しかし、法規定としてそういう規定は全くなかった。それを今度決めることは、全然質が違うわけですよ。
 この点は、大臣、どう認識されていますか。
○柳澤国務大臣 それは、この法律に練達な筒井先生のおっしゃることが正しいんだろうと思います。しかし、最高裁の判例の、いわばそこに一貫して流れている考え方、原理、こういうものを取り入れて法文化するということは、ほかにも例があるんだろうと私は思っております。
○筒井委員 一般論としてはそうです。しかし、特に今回の場合に、質が全然違うんだ、判例で言っているからいいんだというわけにはいかないでしょう。判例でそういうふうな個別事件についてのそういうものが幾つかある。これは確かです。それを法律ではっきり規定することは、また質が違うものをやるわけですよ。
 その合理的な理由は何ですか。
○青木政府参考人 労働関係においては、労働契約、特に、とりわけ日本の場合におきましては、労働契約書を交わすというのは、なかなか実態的には少ないだろうと思います。現実的には、就業規則というものが現に世の中で一般的にありまして、その中で、そういったものを踏まえて、実際の労働現場ではそれに規律されて働いているというのが実態ではないかと思います。また、労働契約の変更、労働条件の変更という場面におきましても、就業規則の変更によってそういったことを実現するというのが七割ぐらいと言われておりますが、そういった実態を踏まえて、そしてそれがいわば社会のルールになっているわけであります。
 こういったことを踏まえて、判例においても大臣が申し上げたような原理としてそういうルールを定立しているわけでありますので、そういったものを立法化して、いわば事後的に、まさに委員がおっしゃったように、個々の事件になった後で判断をするのではなくて、事前にそういったものを法律上明確化して、ルールを明確化して使用者の行為規範になり得る、あるいはそういう意味では紛争の未然防止につながる、こういう観点から、やはり法律上きちんと明確化するということは大切だということで諮問、答申がなされているというふうに理解をしております。
○筒井委員 もっと使用者の行為規範になるんですよ。労働者に不利な形で行為規範になるんですよ。
 先ほど大臣は判例をなぞらえただけだと言われましたが、そうじゃないですよね。裁判所の判例は個別事件において厳しい基準をそれぞれの場合に挙げている。例えば、不利益に変更する場合に、不利益性についての代償措置があったかどうか、あるいは経過措置があったかどうかとか、あるいは、今度の法案の要綱しかまだ出ていませんが、そこでは単なる必要性とありますが、最高裁判所では高度な必要性とあるのをわざわざ高度なというのを削ったり、だから、なぞらえたんじゃなくて、裁判所の判例のもっと緩和した基準に変わっているでしょう、これは。
○青木政府参考人 まさに委員御指摘のように、まだ条文が具体的に出てきておりませんで、要綱のレベルではございますけれども、いわば判例法理に流れる原理、そういった考え方をきちんとルール化するということでございます。
 それで、お話に出ましたので、高度の必要性というところでございます。これはもちろん、今後の条文、立法化作業の中でどうなるかということでありますけれども、今現在考えておりますのは、確かに、判例によりましては、大曲市農協事件の最高裁判決などではそういうふうに触れています。特に、賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成、変更については、その不利益を労働者に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容である場合に効力が生ずるんだというふうになっているというふうに承知をいたしております。
 この要綱で、諮問、答申されましたものにつきましては、労働条件の内容が相当かどうかというものについては、「変更後の就業規則の内容の相当性」ということで触れておりますし、それから、どの程度の必要性が認められるのかは、「労働条件の変更の必要性」ということで書いてあるわけでございまして、それぞれそれで考慮されることと考えております。
 高度の必要性の判断についても、いわばこういった考え方に基づいて、個々の例について総合判断して処理をされたというふうに考えております。
○筒井委員 判例をなぞらえただけだとさも簡単に言いますが、私の質問は、判例の基準をさらに緩和しているんじゃないかという質問なんですよ。高度な必要性と単なる必要性と、必要性で、単なる必要性の方が緩和しているでしょう。
 それから不利益性、不利益な労働条件の変更については経過措置があるかどうかという最高裁判例もあるけれども、そういう基準も、それは一切この中に入っていないでしょう。そういうことが入っていて、しかし、あなたの頭の中では、労働基準局長の頭の中では、そういうものは入っているんだと思うかもしれないけれども、労働基準局長の頭の中がどうかは関係ないんですよね。条文がどうかなんですよ。それが使用者側の行為規範になるんですよ。緩和されたものが行為規範になってしまえば、今現在個別的な案件についてだけそういう判断をされていた判例で、それが今度は一般的な行為規範になって、しかも緩和された。まさに財界が求めた、財界の方の有利な形しか残らないじゃないですか。
 もう一回聞きますが、条件は緩和されているんでしょう。
○青木政府参考人 判例においては確かにそういう文言が使われている場合もあるというふうに承知をいたしておりますけれども、いずれにしても、高度の必要性か必要性かというのは、必要性の程度の話だというふうに理解をいたしております。したがって、今回の要綱の中では、「労働条件の変更の必要性」ということで代表しているということでございます。
 それで、判例におきましても、そういう言葉遣いが、高度の必要性という言葉遣いがされているものにありましても、何が高度で何が普通の必要性かということの基準までは定立化されておりません。総合的に判断する中でそういう言い方がされているものというふうに考えております。
 そういう意味では、この「変更の必要性」ということを判断要素、考慮要素として掲げるということで、この事項について総合判断をする際にそういった程度も判断がなされるというふうに考えております。
○筒井委員 必要性等、単なる一般的な必要性があればいいのと、高度の必要性があればいいのとでは、基準として違うでしょう。単なる必要性だったら緩和されているでしょう。
 それと、先ほどから何も答えないけれども、不利益に変更する場合に、その経過措置を設けたかどうかも最高裁判所の一つの判例で基準になっている。これに関しては全く今度の法案にはのっていないでしょう、代償措置とか経過措置とか。それも緩和しているでしょう。
○青木政府参考人 委員も御承知かと思いますけれども、判例については相当多くの判例があるわけでございまして、それらに流れる原理について立法化をしようということでございます。
 それで、今お話のありました点につきましては、「就業規則の内容の相当性」でありますとかそういったことで代表しているというふうに考えております。
 そういうことで、いわば判例に流れる原理を立法化するに当たって、物によっては集約したものもありますし、余計に書いたものもありますが、そういうことで書く、規定をするということでありまして、判例法理を緩和するあるいは後退するというようなことは全くないというふうに思っております。
○筒井委員 完全な後退だけれども、少なくとも、なぞったとは言えないでしょう。判例を自分たちなりに解釈して、そして総合判断をしてそれを条文化した。
 大臣、先ほど、ただなぞっただけだと言いましたが、それは訂正してください。
○青木政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、判例については一言一句どの判例も皆同じというわけでもございませんし、そこに流れる原理をきちんとそれにのっとって立法化する、条文化するということでございます。
 したがって、一言一句そのまますべての判例のものを持ってきたというわけではございませんが、原理原則につきましては、いわばそれに沿って、のっとって規定をしようというものでございます。
○筒井委員 私も、別に一語一語全部挙げているわけじゃないし、下級審の裁判例も挙げているわけじゃない。最高裁判所の判例だけを今例に挙げているので、しかもその中で基準として挙がった一般論、さっきの高度な必要性とか不利益性を緩和するための経過措置とか、まさに一般的なものだけを言っているので、一つ一つの言葉遣いを全部同じくせいと言っているんじゃないんです。
 こういうものぐらいは、もしなぞったと言うなら入れるべきだけれども、今基準局長は判例の原理原則と考えられるものを法案化すると。どこでだれが判例の原理原則だという判断をしたんですか。
○青木政府参考人 もちろんこれは、要綱を諮問、答申を労働政策審議会にしていただいたわけでありますので、諮問をした我々としても、こういうものが、いわば原理を、判例法理に沿ったものだということで御諮問申し上げて、公労使一致しておおむね妥当ということで答申を労働政策審議会としてもいただいておりますので、そういうところでもそうであるというふうに理解をされたというふうに承知をいたしております。
○筒井委員 それと、先ほど大臣は、自己管理型労働制というのをホワイトカラーエグゼンプションに関して言われました。
 今まさに、労働形態が多様化して、労働条件も個別の労働者ごとにいろいろ決まってくる、あるいは変更される、こういう方向になっていることは、これは大臣も認められますね。
○柳澤国務大臣 雇用形態が非常に多様化していることは、私も認識しているところでございます。
○筒井委員 もう一つ、その結果なんですが、労働者ごとに個別に労働条件が決定、変更される場合がふえてきた、これもその自己管理型労働の一つの流れとして言われているわけですが、大臣もそういう認識ですね。
○柳澤国務大臣 筒井委員から御指摘をいただきました。
 労働者と使用者との間で個別に労働条件を設定するという合意があった場合には、その合意が就業規則よりも優先されることを明確化するという規定がありますが、この労働契約の個別化が進むことに対応している規定でありますが、これと、私どもが構想して、今や提案しないことに決めた自己管理型労働法制との関係について、今ちょっと、大変恐縮ですが、明確な答弁をする用意がございません。
○筒井委員 私はホワイトカラーエグゼンプションとの関連で聞いているんじゃなくて、今の実態として、労働者ごとに個別に労働契約を決定、変更する、こういう事例がふえているという認識ですねということです。
○青木政府参考人 先ほど申し上げましたように、労働条件の変更については就業規則で画一的に決めるというのが日本の実態、多くでございまして、約七割ぐらいはそういったことで決められているということであります。
 ですから、大宗はそういうことであるとは思いますが、今委員がお触れになりましたように、就業形態とか就業意識の多様化が進んで、労働者ごとに個別に労働条件を決めていくということは、あるいはそれが変更されるということは、そういう場合がふえるというのはあるだろうと思いますし、個別労働関係紛争、これは全国の労働局で紛争処理をやっていますが、そういうものが増加しているということも、いわばそういったものの反映だというふうに思っております。こういったことについては、労働政策審議会におきましてもそういう認識だというふうに理解をいたしております。
    〔吉野委員長代理退席、谷畑委員長代理着席〕
○筒井委員 こんなことで時間がかかるとは思わなかった。
 今、労働政策審議会の報告の趣旨を私は述べて、それを確かめただけなので、労働政策審議会で今私が言ったことを言っているわけですよ。「近年、就業形態・就業意識の多様化等が進み、労働者ごとに個別に労働条件が決定・変更される場合が増えるとともに、個別労働関係紛争も増加傾向にある。」だから、これを、大臣にその認識を確認したんだけれども、大臣ももちろんその認識ですね。
○柳澤国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
○筒井委員 就業規則は、こういう方向とは逆の流れですよね。画一的、一方的に、原則として、一事業所全部について同じ労働条件を決める。判例も、裁判所も古いんですよ、考え方が。大体昔からの、コンベヤー労働とか、そういう意識のもとに、画一的、統一的な労働条件でなきゃいかぬと。だから、合理的なものである限り、個々の労働者がその労働条件を拒否すると混乱を起こすということから、この判例が形成されてきた。その古い考え方を、自分たちに都合のいいところだけとったんですよ。さっきの自主管理型労働制度からはホワイトカラーエグゼンプションという、自分たちに都合のいいところだけとった。だけれども、自主管理型労働形態からは全く逆のことから出てくる就業規則による労働条件の画一的、統一的な決定という、こっちから今度の労働契約法制を決めようとしている。
 就業規則が画一的、統一的に労働条件を決める、こういう性質を持っていることは、大臣、認められますね。
○柳澤国務大臣 それは当然であります。
○筒井委員 そうすると、そっちの方向の、画一的、統一的に労働条件を決める方向を強化するなんというのはまさに時代に逆行するので、個別労働、個別の労働者との意思をもっと尊重する、労使の合意を尊重する、そっちの方向を重視した労働契約法制にすべきではありませんか、大臣。
○柳澤国務大臣 筒井委員のおっしゃることもわかりますけれども、どちら側から攻撃されて批判をされているのかちょっとわからない面もあるんですね。
 つまり、私は、自己管理型労働制というものを実現したいと思っていろいろ考えてはまいりましたが、それはある意味で、かなり限られた人たちにしようということで私は構想をいたしておりました。それは、何となれば、やはり労働者の保護に欠くるところがあってはいけない、こういう配慮からそういうふうに考えてきたわけです。
 他方、先ほど来、基準局長が申し上げておりますとおり、就業規則は、現実には就業規則の変更の手続によったものが労働条件変更の全体のうちの七割という状況にあるという事実、そういうことから、これについて一つの規律をはっきりさせたらどうか、明確化したらどうか、こういう考え方でこの労働契約法制というものに取り組んでいるということでございます。
○筒井委員 私はどっちの側ということもないというか、自己管理型労働制度、そっちの方向に流れとして進んでいることは確かだと思いますよ。だけれども、今の現状の日本においてホワイトカラーエグゼンプションを導入することは、これはまさに一方的に労働者に不利で、財界、使用者側の方に有利になる。
 それはなぜかというと、日本の使用者は権限が物すごい強いですから、しかも、労働市場が確立しておりませんから、労働者の方として、そういう労働条件じゃおれはいやだといって簡単にやめることができない労働市場ですよ。そういう日本の現状のもとでホワイトカラーエグゼンプションを導入したら、これは一方的に使用者側の方が有利になる。
 一般論として、制度そのものが間違いとは私は言っていないんです、ホワイトカラーエグゼンプションも。日本のこの現状において導入したら、これはまさに残業代ゼロ法案になってしまう。この点を大臣もぜひ理解していただきたいと思うんです。ただ、きょうは、その質問は今度のときにというか、まあ出さないだろうと思いますが、出してきたらその点は聞くと思いますが。
 そして、今の労使の合意によって労働条件を決める、こっちの方向を強めていくべきなんですよ。それを、今度の労働契約法制は就業規則の効力を強める、古い、時代に逆行する方向ですよ。画一化、統一化する方向ですよ。だから、私は、これはもうやめるべきだと思う。
 要するに、労働者を、大臣はこの前、時間だけが売り物のというふうなことを言っておられたようですが、労働者は機械ではないんですよ。ちょっと話が横へずれますが、大臣は、産む機械という発言をされましたが、あれも、やはりそういう人たるに値する生活ということがどういうものかということをきちんと理解されていないんじゃないか。失礼でございますが、そう思うんですよ。
 だから、今度の労働契約法制に関してもそうですよ。使用者側が一方的に決めたら奴隷労働になっちゃって、働く機械になっちゃうんですよ、それを徹底していけば。今まさにその危険性がある、日本の場合には。過労死がこれだけふえて、過労による死亡事故がこれだけいっぱい、もうつい最近も起こっている。今心配なのは、そんな統一的、画一的に使用者側の決めたことが通るか通らないかという問題じゃないんですよ。まさに人たるに値する労働ができるかどうかというところが日本では問題になっているんだから、その意味では、まさに労働者は働く機械ではない、女性も産む機械ではない。
 この点を明確にやはり認識していただきたいし、ちょっと話が横へずれますが、これだけ知性あふれた大臣が、そういう問題でもってこれだけやめろ、やめろと言われたら、仕事もしにくいでしょう。もういっそのこと、ここでやめちゃったら、その方がすっぱりと評価も上がるんだと思うんですが、どうですか、それは。
○柳澤国務大臣 筒井委員とは非常に長いおつき合いでございまして、もう私の人柄も御認識いただいているかと思います。いいところ、悪いところ、私も本当に多い人間でございます。
 ただ、私の先般の発言というのは、もう不適切きわまりないものであるというふうに私、深く反省をいたしておりまして、その反省の上に立って、私どもの役所にゆだねられた厚生労働行政をしっかりやってまいりたい、このように考えている次第でございます。
○筒井委員 この就業規則変更によって労働条件が有効に変わっちゃうという規定、ただ、例外が二つほどあるようですが、就業規則の変更によっては変更されない労働条件なんだという特約を労使で合意すれば、それはたとえ就業規則が変わっても労働条件は変更されない、こういう条文も用意されているようですね。
 それは、労働契約でそういう特約を設定することもできるとありますが、労働契約でそういう特約を設定できるんだったら、当然協約によっても設定できますね。
○青木政府参考人 確かに、委員が今お触れになりましたように、就業規則の変更による労働条件の変更にかかわりなく労働契約で別段の労働条件の設定を行う旨の合意がなされているという場合には、それはそちらが優先されるということでありますが、お尋ねの、労働協約で労働条件は別に定める、あるいは変更するというような合意についても、この合意に含み得るものでございます。
 労働協約は就業規則よりも上位の法源でございますので、労働協約の適用を受ける労働者につきましては、労働条件は労働協約で定めるところによる旨の合意がなくても、労働協約の定めが就業規則に優先されることになるというふうに考えております。
○筒井委員 それはそうなんですが、労働契約あるいは労働協約で、たとえ就業規則が変更してもその変更された就業規則には従わないでいい、それは無効であるという特約を結べばそれが有効であるという趣旨ですね。それでいいですね。
○青木政府参考人 委員がおっしゃいましたように、労働協約でそういったことを結ぶというのは、もちろん、当然そちらが優先するということになります。
○筒井委員 それと同じことになるかもしれませんが、労働契約や労働協約で、話し合いによって変更する場合には変更する、協議をやるという特約を結んだ場合には、協議をしなければ変更できない、変更した就業規則は無効ですね。
○青木政府参考人 今お尋ねの点は、話し合いあるいは協議というのがどこまで実際に合意と言えるかということだと思います。通常の場合には言えるのではないかというふうに思いますけれども、そこは具体的な定め方によろうかというふうに思います。
○筒井委員 いやいや、具体的な定め方も何もないでしょう。労働条件を変更する場合には、必ずその労働者個人あるいはその労働組合と協議をして、事前協議をして行うという特約があった場合に、その事前協議がなくて就業規則で変更したって、その変更は無効でしょう。
○青木政府参考人 協議して調えば変更できる、そういうものがなければできないということであれば、それはもちろん、そういったものを抜いてやったとしても、それは労働契約の内容となり得ないというふうに思います。
○筒井委員 それから、もう一つの例外として、就業規則で労働条件を変更するなんて、これはさっきからもうやめろと言っているんだけれども、さらにもう一つの例外として、法令とか協約に違反する就業規則については、これはたとえ就業規則で労働条件を変更してもそれは無効であるという規定がありますね。
○谷畑委員長代理 時間が来ておりますので。お願いいたします。
○青木政府参考人 諮問、答申をいただきました要綱には、就業規則が法令または労働協約に反する場合には、これを、一(二)、二(三)というのは変更の有効性を言っているわけですが、それは適用しないという規定を置いてあります。
○筒井委員 最後に一つだけ確認ですが、そうすると、届け出のない就業規則、それから労働組合の意見聴取のない就業規則、それから従業員への周知がない就業規則、これはいずれも法律違反ですが、これは有効ではないということになりますね。
○谷畑委員長代理 これで終わりにしたいと思いますので、よろしく。
○青木政府参考人 今私が読み上げました就業規則は、法令または労働協約に反する場合ということについては、これは御指摘にありました届け出とか意見聴取とか周知という手続は、これ自身は、労働基準法によりましてこれをしなきゃいかぬということが求められておりますけれども、今回のこの規定におきましては、就業規則が内容面において法令または労働協約に反する場合について規定しているものでございまして、手続面については法令に違反することということには含まれないというふうに考えております。
○筒井委員 それは全くおかしいし、きのうのそちらの答弁とは全然違う。それは引き続いてまた質問します。
 きょうは済みません、延長しまして。終わります。
○谷畑委員長代理 山井和則君。
○山井委員 これから三十分質問をさせていただきます。
 まず最初に、今も筒井議員から厳しく指摘がありましたが、先般の柳澤大臣の問題発言、もう本当に失言というより暴言だと思います。
 ここで、あえて私は情けないのでその内容は申し上げませんが、やはりそういう意味では、これから日本の少子化対策の中心となっていく大臣としては、国民の信頼を失って、世論調査でも半数以上の方がやめるべきだと言っている、こういう状況においては、私たちとしても、厚生労働大臣としては不適格だと言わざるを得ません。そのことを冒頭に申し上げます。
 それで、本日は、格差国会ということで、パート労働法改正、そして請負、派遣という本当に苦しんでおられる非正規雇用の方々のことを質問したいと思いますが、冒頭に一問だけ障害者のことを質問させていただきます。
 といいますのが、お配りした資料の最後のページにあります精神障害者退院支援施設についてであります。
 これは、ここに資料もございますが、簡単に申し上げますが、四月一日からスタートの予定で、十年以内に精神障害者を、社会的入院を七万二千人、地域復帰をさせるということで、もうここ七、八年、厚生労働委員会でも議論をしてきました。
 そんな中で、重い重い約束として、日本は世界一精神病院に入っている社会的入院の精神障害者が多いという恥ずかしい状況を脱却するために、十年以内に退院をしてもらうということになったわけですね。このために、私もここ数年間、数回質問をしましたし、この厚生労働委員会でも数十回の審議がされたと記憶をしております。
 にもかかわらず、最後の土壇場になって厚生労働省はとんでもないプランを出してきました。皆さん聞いて驚かれると思いますが、何と、病院の敷地内の病棟の看板を、退院施設と看板をかけかえたら、それで退院したことにする、社会復帰したことにする、そういうふうな退院施設なわけであります。
 これをやることによって、標準期間は二、三年と言われていますが、それが二、三年で終わらない危険性は非常に高く、ついの住みかとなって敷地内に永遠に居続ける、そういうことになりかねない。しかし、統計上は病院からは退院したんです、もう社会的入院じゃないんです、福祉施設ですからと。こんなからくりをよく考えるなというふうに私も驚きました。
 そして、このために九十四億円もの病棟を施設に転換する改築費などを出している。そういうお金はもっと地域移行のために使うべきであります。
 名目だけの入院減らしになるのではないか。そして、看板のかけかえにすぎない。そして、これをやっていくと、ハンセン病と同じように、一生病院の敷地内に閉じ込めてしまうということになるのは確実であると私は考えます。
 これを十月からやる予定が関係団体の大反対に遭って四月一日に延期したわけですが、四月一日からの施行も、これは当然撤回すべきだと考えます。石田副大臣、いかがですか。
○石田副大臣 今回のこの問題につきましては、受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者の方々について地域生活への移行、こういうことは大変大事な課題であるということは御存じのとおりでございます。
 それと、退院支援施設について、長期に入院されている方々等が生活訓練を行って地域生活に円滑に移行していただくような必要がある。そういう意味で、選択肢の一つとして、こういう施設も必要である、このように考えております。
 そして、その利用者については、しっかりと地域への移行を推進するための地域移行推進協議会、これを設立する。そして、地元の市町村との連携を図りながら、地域生活に向けた個別の支援計画による支援を行っていく、こういうことで地域生活への移行の円滑な促進を図っていきたい、こういうことで考えているものでございます。
○山井委員 また改めてこれは審議をさせていただきますが、これはもう大変なことになりますよ。精神障害者を一生病院の敷地内に、ここに入ったら社会的入院ともカウントされないわけですから、こういうことはぜひ撤回していただきたいと思います。
 そこで本題ですが、格差是正国会、非正規雇用の方々の賃金、待遇をどう上げていくかということであります。これについてはまた法案審議でやりたいと思いますが、その中の最初に、パート労働法について質疑をさせていただきたいと思います。
 このパート労働法について、読売新聞に二月十三日付でどのように報道されたかというのを読み上げさせていただきます。
 差別的待遇禁止…パートタイム労働法改正案、決定
  政府は十三日の閣議で、労働時間や職務内容が正社員とほぼ同じパートタイム労働者について、賃金面などで差別的な待遇を禁止する短時間労働者雇用管理改善法(パートタイム労働法)改正案を決定した。
  柳沢厚生労働相は十三日の衆院予算委員会で、約千二百万人いるパートの「四、五%」が対象になるとの見通しを明らかにした。
というふうに、大きく読売新聞で報道をされております。
 その報道の内容は、この資料にもあります。「パート法改正の差別禁止 対象は「四〜五%」」と。そして、ほかの新聞でも大きく報道されております。
 おまけに、この週末の、例えば「報道二〇〇一」の朝の番組でもこの数字は大きく報道されておりますし、まず最初に整理しておきたいのは、この格差社会是正の一つの大きな柱であるのがパート労働法の改正。そのパート労働法改正の目玉が差別禁止。先日の大臣所信の中にも、差別禁止を含んだパート労働法の改正をここに出しますということを大臣所信でおっしゃいました。そして、その目玉である差別禁止、何が今問題になっているかというと、私の地元の団体の方々も、四、五%もいるかということなんですね。
 職務、責任が同一、まず第一条件。期間の定めのない無期、二番目。三番目、配転とかそういう人材活用などの仕組みも一緒。この三点セットなわけです。これをいわゆる正社員パートと呼ばれているんですね。正社員パートが四、五%もいるだろうか。私もこの週末、いろいろ聞いてみましたが、そんなにいるだろうかということが言われております。
 例えば、この資料の中で八ページ目をごらんください。日経新聞一月三十日号で、イオンの人事担当課長は、該当するパート社員はいないということを答えておられます。
 私は、ここで質問をしたいのは、この四、五%というのは多過ぎるのではないかということ。それと、そもそもその根拠は何なのかということであります。
 そこで、柳澤大臣にお伺いをしたいと思います。
 この四、五%の根拠は平成十三年の調査というふうに国会の答弁でも聞いております。そして、その調査は、きょう添付させていただきました調査結果、三ページ目、これですね、平成十三年、二十一世紀職業財団の調査結果であります。これは、この結果をして答弁をしたということを参議院の委員会でも答弁をされています。
 そこで、まず柳澤大臣、この平成十三年の調査では、雇用契約期間、いわゆる有期雇用か、期間の定めのある雇用か期間の定めのない無期雇用かということは調査をしていますか。
○柳澤国務大臣 私の発言は、今、山井委員の御指摘になられたとおり、平成十三年の二十一世紀職業財団が実施した多様な就業形態のあり方に関する調査による数字でございます。
 これによりますと、責任の重さが同じかパートの方が重いこと、あるいは残業、休日出勤が同じかパートの方が多いこと、三番目、配転、転勤等の取り扱いが同じであることも含めて同じ仕事をしているパートのいる割合は四、五%という数字を認識しておりまして、四、五%かなというふうに、私ももともと四、五と言っていることもございまして、四、五%かなと答えたというふうな記憶でございます。
○山井委員 それでちょっとお聞きしたいんですが、ですから、大臣が答弁の根拠とされたこの平成十三年の二十一世紀職業財団では、そのパートの方は雇用無期契約か、あるいは有期一年、二年とか、そういう期間の定めのある雇用か、そのことは調査はされていますか。
○柳澤国務大臣 私もその調査書そのものを全文読んだわけじゃありませんので、今この場でつまびらかにいたしておりませんけれども、契約期間の有無については承知をいたしておりません。
○山井委員 承知をしておりませんじゃなくて、ここで調べているんですかどうですかというのを聞いているんですよ。後ろで聞いてもらってもいいですから。これは非常に基本的な質問ですよ。
○柳澤国務大臣 契約期間の有無そのものは、調査をしていないということのようです。
○山井委員 わかりました。
 それで、大臣も御存じのように、今回のパート差別禁止は三条件なんですよ。この配付資料の二ページ目を見ていただけますか。業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度が同じ。職務の内容ですね。二ページ目のここに線を引いておきました。それで二番目、期間の定めのない労働契約を締結している、これが二番目の条件。三番目の条件は、職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一。これは三点セットなんですよ。
 ところが大臣、この平成十三年の調査では、契約期間はそもそも聞いていないんですよ。ということは、大臣が答弁されたこの四、五%の中には、契約期間の定めのある人が入っているということになるかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 そういう人たちも入っていないとは断言できないし、入っているかと思いますが、ただ、配転、転勤等の取り扱いが正社員と同じと回答したものであることから、いわゆる短期の契約者等差別的取扱禁止の対象とならないもののほとんどは、この配転、転勤等の取り扱いが正社員と同じということからは既に除外されているのではないか、このように考えます。
○山井委員 でも、今のは非常に重大な答弁ですよ。
 そうしたら、これは契約期間が有期か無期か聞かなくても、配転があるということでそれは無期だろうと推測できるということですか、今の答弁を聞いたら。大臣。
○柳澤国務大臣 要するに、調査のどんぴしゃりの結果はないものですから、それに類似しているものとして、配転、転勤等の取り扱いが正社員と同じということでもって相当のことが推測されるのではないか、こういう考え方のもとでこの数字を取り扱わせていただいた、こういうことでございます。
○山井委員 推測というのは、その四、五%のうち、有期の人がこれは含まれているわけです。
 例えば、きょうお配りした六ページの、平成十八年のパートタイム労働者実態調査報告書では、パートの方の契約期間は、期間の定めのない人が二一%なんですよね。五人に一人なんですよ。パート労働者の五人に一人しか期間の定めがないわけですよ。
 ですから、今回大臣が答弁された四、五%の中にも、かなりこれは、有期雇用の方、つまり、今回の差別禁止の対象になっていない方が含まれているおそれがあるわけですよね。四、五%でその有期の方が入っていない、ほとんど含まれていないという根拠は何ですか。
○柳澤国務大臣 私どもが今度差別的取り扱いの禁止の対象となるというふうに考えておりますパートの労働者というのは、期間の定めのない場合だけではなくて、期間の定めのある契約であっても、それが反復更新され、期間の定めのない契約と同視し得る場合も含むというふうに考えておりますので、契約期間の定めの有無だけで判断をするということはできないのではないか、このように考えます。
○山井委員 ですから、この四、五%の中で、期間の定めのない人と反復更新の人はどれぐらいのパーセンテージなんですかと聞いているんですよ、大臣。
○柳澤国務大臣 その点については、調査結果として私どもがつかんでいるものはないということでございます。
○山井委員 それは調査結果がないというのは、調査していない数字を答弁したということですか、そうしたら。どういうことですか、それは。大臣。
○柳澤国務大臣 どんぴしゃり調査した結果はないわけですけれども、そこからかなりの程度推測できるという調査がたまたまございましたので、その調査について、四、五%かなというふうに考えていますということを申し上げたということでございます。
○山井委員 かなりの程度とかという問題じゃないんですよ。これは、パート労働法の一番の重要なポイントですよ。
 そして、なぜ私がこんなことを言うのかというと、この要綱の中の二番目に、期間の定めのない労働契約というのが三点セットの重要な条件の一つに入っているんですよ。もし、かなり同一だったら、二番目の条件は要らないということになりますよ。法案、書きかえになりますよ、これ。そうでしょう。
 ですから、四、五%のうち、無期の人は、そして反復更新の人はどれぐらいなんですか。
○柳澤国務大臣 期間の定めのある契約であっても、それが反復更新され、期間の定めのない契約と同視し得る場合を含めることといたしております。
 それが幾らかということについては、私どもは、いわばそのうちの四、五%というか、それも立場によって違う回答が出ているわけですけれども、そのうちどれぐらいかということについては、これは答える資料はないということを申し上げているわけです。
○山井委員 そうしたら、平成十八年の資料だと、二割がパートだと言っているから、例えば〇・二掛けたら、五%じゃなくて一%じゃないですか。どれだけ有期が含まれているかわからなかったら、これは四、五%と言えないじゃないですか、そうしたら、資料がないんだったら。
 大臣は、差別禁止は全体の四、五%と明確に答弁されているんですよ。(柳澤国務大臣「かなと言っているんですよ」と呼ぶ)かなと言っていると。四、五%かなということを私どもは考えておりますと明確に答弁して、かなが入っているとかそういう次元の話ではなくて、新聞にも出ているじゃないですか、四、五%と。
 そして、毎日新聞の社説にも四、五%だと出ているわけですし、朝日新聞にも大きく表にまでなって、差別禁止は四、五%と。その数字が、今の資料がないというのでは、それは通りませんよ。ちゃんと明確な根拠を言ってくださいよ。この四、五%がすべて無期あるいは反復更新だという根拠を言ってください。
○柳澤国務大臣 どんぴしゃりの数字はなかったので、それに近いものとしてこういう数字がありますので、我々はその近傍の数字だというふうに考えていますということを申し上げたのです。
○山井委員 柳澤さん、そういう答弁にはなっていないのですよ。差別禁止は四、五%かなという答弁になっているのですよ。
 そうしたら、これ、答弁をもう一回ここで言いかえてくださいよ。差別禁止じゃなくて有期の人も含んだものが四、五%だという答弁にかえてくださいよ。
○柳澤国務大臣 先ほど来お答えいたしておりますとおり、期間の定めのある契約であっても、それが反復更新され、期間の定めのない契約と同視し得る場合も含めることになっております。
 他方、アンケート調査かと思いますけれども、配転、転勤等の取り扱いが正社員と同じと回答したものが数字として把握されているわけですから、そういうことから私どもはそれを、先ほど申し上げましたようにこの差別取り扱い禁止の対象となるパート労働者の近傍の数字というふうにとらえて議論をお願いしたいのです、こういうことを申し上げたのです。
○山井委員 何回言ったらわかるんですか。ですから、無期雇用と反復更新で通常の労働者と同視できる人はこの四、五%のうちどれだけですかと聞いているわけですよ。有期の反復更新のものも含まれているわけでしょう、どれだけなんですか。ちょっと、同じ答弁だったらやめてくださいよ。もう四回目ですから、これ。
○柳澤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、どんぴしゃりの数字はなかったわけです。そこで、それと近い数字で、これもまた先ほど申したように、配転、転勤等の取り扱いが正社員と同じというアンケート調査に対して答えていらっしゃる数字でございますので、それから、我々の法律上の定義もそうしたものを含むということに明確になっておりますので、これをとらえて、近傍の数字であろうという想定のもとで、私どもは内部のいろいろな議論も進めていた、こういうことでございます。
○山井委員 だめですよ。委員長、ちょっとこれ、質問できませんよ。通常の労働者と同視できる無期か反復更新というのはどれだけのパーセントですかと聞いているのに答えていないじゃないですか。ちょっと一回時計をとめてくださいよ。五回も同じ答弁を聞いてもしようがない。
○谷畑委員長代理 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○谷畑委員長代理 それでは、速記を起こしてください。
 今、山井委員の方からの申し出がありまして、少し理事同士の協議もいたしまして、次回にその数字を、考え方と含めて出していきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
○山井委員 これは非常に重要なことなので、その数字を聞いて、繰り返しになりますが、通常の労働者と同視できる人がこのパーセンテージの中に無期、反復更新で何パーセント含まれているのか、八割だったら〇・八掛けだし、二割だったら〇・二掛けでこのパーセンテージは全然変わるわけですから、これはすべての新聞記事、テレビ報道をかえないとだめになるわけですよ。
 ですから、その答弁を聞いてから、私、残された時間、次、質問しますので、これで終わらせていただきますが、ちょっと理事さん、それで協議してください。その答弁を聞いて質疑します。
○谷畑委員長代理 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○谷畑委員長代理 それでは、速記を起こしてください。
 今、理事との協議の中で、次回に、いわゆる考え方を含めて、しっかり出していただいて、そして、今、山井先生の残された五分の質問は、次回にそのことを譲るということで、もう一度していただくということでいきたいと思いますので、よろしく御了解のほどお願いを申し上げます。
 どうもありがとうございました。
 それでは、高橋千鶴子さん。
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 大臣、発言すればするほど何か穴を掘るような事態が起こっていると、しっかりと認識する必要があるのではないでしょうか。通常国会冒頭の大臣所信がおわびから始まったというのがかつてあったでしょうか。非常に重大な事態だと思います。
 改めて私は、産む機械発言については許すことができません。大臣は、テレビのインタビューに答えて、人口統計を説明しようとしてぱっと頭に浮かんだのが、物を製造する機械に例えた場合とおっしゃいました。まさしく、女性は産む機械であり、赤ちゃんは製品なのだと言っていることであります。私も一人しか子供を持てませんでした。大臣の言う人口統計でいえば、夫婦で一人しか子供を産めなければ、いずれ社会はしりすぼみになります。だから、一人頭頑張れということでしょうか。少子化は、産めない女性、シングルも含めて、産まない女性が悪いと責められているのか。女性たちはここに強い憤りを感じました。単に言葉が過ぎた、尊厳を傷つけたということではございません。不適切とはそういう意味だとお認めになりますか。
○柳澤国務大臣 私の一月末における松江の講演での不適切な発言、これが本当に女性の方を初めとして国民の皆様に大変御迷惑をかけ、また、その方々の心を傷つけたということで、本当に申しわけなく思っております。反省の上に立って、私の与えられた任務を果たしてまいりたい、このように考えております。
○高橋委員 答えになっていないのです。反省はもう何度も聞きました。大臣所信でも既に伺いました。そういうことではなくて、女性たちの怒っている意味がわかったのですかと。私が先ほど言ったことと同じだと受けとめてよろしいですか。
○柳澤国務大臣 女性の方々の尊厳を傷つけたということで、心からおわびを申し上げます。
    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
○高橋委員 ですから、私は、尊厳を傷つけたということでは、それだけではない、もちろんそういうことではあるけれども、それだけではないのだ、そこに含まれている意味が問題だと申し上げました。しかし、そのことを何度お話ししても認めないというのであれば、やはり、そこから出発する厚生労働行政を任せるわけにはいかない、このことを重ねて指摘させていただきたいと思います。
 本当はそう言ったらもう質問できなくなっちゃいますけれども、きょうは、やはり本当に大臣がその席にとどまる以上、本気で少子化対策で結果を出すつもりなのか、そのことを伺いたいと思っております。
 少子化対策にはたくさんのアプローチがあります。私は、そのかぎは、子供を産みたい、働きながら生み育てたいと思う女性たちがいる、それをどう応援し、それができないバリアをなくしていくかということだと思います。その点は御一致できると思うんですね。仕事と生活の調和、ワークライフバランス、それを直に具体化しているのが育児休業法であると思いますけれども、大臣に、この育児休業法の意義について伺いたいと思います。
○柳澤国務大臣 御指摘のとおり、働くお父さん、お母さんが安心して子供を生み育てる環境ができること、これはもう非常に重要な課題だと思っております。
 育児・介護休業法には、仕事と家庭の両立のための制度として、育児休業制度や短時間勤務制度などが定められておりまして、労働者が気兼ねなくこれらの制度が利用できる職場環境を整備していくことが安心して子供を生み育てることができる環境整備になる、このように考えております。
○高橋委員 中でも十九条、午後十時から午前五時まで深夜業は免除するという規定については、産休あるいは育児休暇から職場に復帰し、フルタイムで働きつつ、子育てと両立したいお母さんたちの願いに沿ったものだと思っております。しかしながら、それは職場の理解、協力が得られるか、本当に免除申請したことが生かされることが問題だと思うんです。
 育児休業法の十条、十六条にある不利益取り扱いの禁止条項、この中には、看護休暇など具体的な記述がある一方、深夜業の免除を申請したことに対する不利益取り扱いについては条文の中で触れておりません。これは該当にならないのでしょうか。
○大谷政府参考人 法律上の該当にはならないというふうになっております。
 ただし、指針において、別の、いわば追加的な考え方が示されておりまして、そういったことについて、取り扱いに当たる場合もあるからということが指針には定められております。
○高橋委員 法律上にはならないと言われたことが、私非常に問題だと思うんです。
 ただ、今お話しされたように、指針においては定められているということで、厚生労働省がつくっている育児・介護休業法のあらまし、両立支援キャラクター、両立するべえちゃんのカットがついているこの資料の中にポイント解説というのがございます。
 読ませていただきます。
 事業主には、深夜業を免除するかわりに同等の昼間勤務を確保することまでは義務づけられていませんが、労働者本人が昼間勤務での就業を希望しており、かつ、かわりに就業させることができる同職種の昼間勤務が十分あるにもかかわらず、深夜業の制限を請求した労働者を昼間勤務につけさせず、懲罰的に無給で休業させるといった取り扱いは、深夜業の制限の制度の利用をちゅうちょさせるものであり、不利益取り扱いに当たるおそれがあります。
 間違いありませんね。
○大谷政府参考人 御指摘の文書の中でそういった記述がございます。
○高橋委員 私は、この解説を読んで、まさにこの文章は、深夜業の免除を申請したために仕事をほとんど取り上げられてしまったJALの客室乗務員のことを言っている、そのままだと思いました。
 九九年四月からJALは深夜業免除制度を導入し、深夜帯を除くフライトが月二十日間免除申請者にも指示されておりました。ところが、二〇〇三年のJASとの合併を契機に、会社は免除者を七十五人に限定し、かつ、それも抽選という方針を発表しました。その後、東京労働局の指導もありました。
 重大なことは、資料の一を見てください。お配りをしております。ある免除申請者の一カ月のスケジュールであります。左側は〇三年七月までの免除者のスケジュール、Hとあるのが休日でございますけれども、それ以外はこのように飛んでおりました。それが、翌月には無給日ばかりであります。この月は、飛んだのは二十一日のたった一日であります。こういう形で、一日か二日しかフライトをさせず、残りの日を無給日、給料を与えない、そういう仕組みをつくりました。
 この方の給与が幾らか想像できるでしょうか。基本賃金は二十七万何がしでございます。しかし、実際には無給日扱いをされていますので、給料が引かれ、社会保険料などが引かれ、差し引きマイナス一万五千八十四円。赤字であります。
 赤字の給与明細書というのを皆さん見たことがあるでしょうか。これでどうやって子育てしながら働くことができるのでしょうか。前の月までは普通にフライトをしていたのに、翌月から無給日にされた。まさに仕事が取り上げられてしまった。これは、今読み上げた不利益取り扱いに当たらないでしょうか。
○大谷政府参考人 現在、これは裁判で係争中の案件でございまして、個別の判断について立ち入ることはなかなか難しいわけでありますが、経過を若干御説明申し上げますと、平成十五年の三月に、東京労働局において、深夜業の制限に係る措置が適切に実施されるようにということで、幾つかの指導、三項目の指導を行ったところでございます。
 この労働局の指導を受けまして、日本航空では当面の措置として、その選抜方法を改めるとともに、選抜から漏れた者に一定の配慮を行い、また、十五年の七月に、その後の長期的な措置として、関係する二つの労働組合に対しまして、一つは、深夜業の免除の申請者全員について深夜業を免除する、二つとして、日帰り勤務を申請者全員に極力均等に割り振り、日帰り勤務以外の日については就業を免除する、こういう提案が行われたところと聞いております。
 これについて、二つある組合のうち、一方の組合はこれに応じて労使協定を締結され、もう一方の組合は応じられなくて、十六年の六月に東京地裁に提訴されたということで現在に至っておるというふうに承知しております。
○高橋委員 今御紹介がありました、〇三年の三月に東京労働局が指導して云々ということでございますが、問題は、労働局が指導した内容については、局長、今お答えになりましたけれども、それがこの結果なんだということなのですね。今二つの組合の話をしましたけれども、それはまた後で言います。こういう結果になっている。
 同年の六月十一日の衆議院厚生労働委員会で、我が党の小沢議員が、この労働局の指導の趣旨について、この指導の趣旨は、非常に緊急的なものであるけれども、八月以降は少なくとも育児休業法の趣旨に合う会社側の提案を期待しているという意味ですねという質問に対して、おっしゃるとおりだというふうに認め、その後の問題についても、しっかり調査をし対応していきたいということをお答えになっていると思います。
 こうなったという事実を確認しただけではなくて、いわゆる期待どおりのものかどうかも含めて、必要な措置をやってきたのでしょうか。
○大谷政府参考人 一部繰り返しになりますが、そういったことで指導の後の日本航空の措置を見守ったわけでありますけれども、その提案について訴訟に至ったということで、それ以後はいわば労働局の手から離れて訴訟に、係争中の案件にかかったというふうに理解しております。
○高橋委員 訴訟中であれば何も答えられないということを今おっしゃっているのかもしれませんけれども、訴訟の原告は四人でございます。実際の免除申請者はもっとたくさんいらっしゃいます。そういう皆さんの状態が不利益にならないのかということを私は伺っているのであります。
 そういう皆さんの状態が不利益であれば、それは労働局としてきちんとした務めを果たすのは当然ですね。
○大谷政府参考人 当初の段階で十分に御相談して御指導し、その結果としての提案が出てきたわけでありまして、その後、訴訟に移ったということで、むしろ、司法手続の方に判断が移ったというふうに考えているところであります。
○高橋委員 結局、そうやって必要な責任を果たしていないと言わなければならないんです。
 先ほど労働契約法の議論がございましたけれども、この案件はまさに先取りじゃないか。もう労使間の問題になったんだからと、では労働局としては必要な手だてはとらないということになっていくわけですね。しかし、私が今言ったように、確かに原告の方が四人いらっしゃいます。でも、その方たちも含めて、今、免除申請者の方たちがたくさんいらっしゃる、そういう方たちの不利益を取り除いていただきたいというのが趣旨なんだ、そこをしっかり見ていただきたいと思うんです。
 先ほど紹介した指針の中には、例えば不利益取り扱いの中身というのは、正社員をパートなどの非正規社員とするような労働契約内容の変更は、労働者の表面上の同意を得ていたとしても、これが労働者の真意に基づくものでないと認められる場合には該当する、そういうことが書いてございます。先ほど局長が、一方の組合員が協定を締結しているとおっしゃいました。だからいいんだということかもしれませんけれども、その一方の組合、いわゆる一般的に言う第一組合に当たりますね、その方たちが圧倒的に深夜業免除を申請しているんです。九割を超えている。その方たちから声が上がっているというのを私は今、ぜひ聞いていただきたいと思うんです。
 免除申請者でない乗務員たちが年休を申請しても、昼間にフライトをしてくれと言われて困っている、免除申請の乗務員たちに飛んでもらえばいいのにと言っているんです。年休は消化し切れていません。年度末の三月三十一日までに、一日当たり二百三十人が年休をとらないと失効してしまうくらいの規模の年休未消化という実態でございます。
 きょうは時間がありませんが、資料をつけておいております。JALの私傷病と労災発生件数の推移というのがございますけれども、こうした労働強化の実態も起こっている。
 その中で望んでいることは何かということは、今おっしゃった、協定を結んだ側の組合の方たちがこんなことを言っています。無給日を認めない組合の人には月に一日から二日しか勤務日を与えず、無給日を協定している我々組合員には、およそ深夜免除とは言えない勤務、早朝三時台に起床し、帰宅は深夜十一時近くを与え、仕事と育児の両立が困難にされていますという訴えがございます。
 このような訴えを見るときに、やはりこれは多くの方たちに不利益を与えているのではないか、そういうことをしっかり見る必要がある、そのように思いますが、いかがですか。
○大谷政府参考人 両当事者間の事実認定の問題等ありまして、軽々に即断することは難しいわけでありますけれども、一般にそういう事態があったとするならば、この指針等の考え方に基づいて考えていく必要があろうというふうに考えております。
○高橋委員 一般にそういう実態があったとしたらというお答えがございましたので、しっかりとそこは調べていただきたいと思います。
 最後に大臣に聞いていただいて、質問を最後に一問させていただきます。
 四人の原告がJALを相手取り、提訴したのは二〇〇四年と二〇〇五年であります。彼女たちはいずれも勤続二十年以上のベテラン乗務員であります。そのうち一人は母子家庭で、退職を余儀なくされました。もう一人は、いずれ子育てが安定したら前のようにフルで働きたいという希望を断念し、月十日のみという部分就労を選択せざるを得ませんでした。赤字か月一万、二万という給料では住宅ローンも引き去りできなくなったということで、アルバイト、アルバイトといっても、いつフライトが入るかわからない状況では時間が決まったアルバイトをすることができず、チラシ配りをして生活費の足しにしています。月に一回か二回のフライトでは仕事の勘がなかなか戻らず、機種や設備にもなれていないため、毎回新人同然の扱いを受け、緊張を強いられます。人間としても、客室乗務員としてこれまで積み上げてきた誇りも傷つけられている状態であります。
 一人目は免除制度を使いながら育てた、原告はこう述べています。入社してからずっとこの仕事に誇りとやりがいを持っていました。ですから、できるだけ長くこの仕事を続けていきたいと考えていました。そうした働き続けるという人生プランの中で、深夜業免除措置があったからこそ、二人目の子供の妊娠、出産を考えることもできました。それぞれに、親の死亡や子供さんのぜんそくなど事情があります。そういう中でも、深夜業さえ免除してくれたら仕事と家庭生活は両立できたと主張しているのです。
 中には、収入のため泊まり勤務に復帰した方もいらっしゃいますが、子供を一人で寝かせるときもございます。十時までは働いているんです。せめて夜だけ一緒にいてあげたいということがわがままなことでしょうか。せっかくのこの深夜業免除制度が二人目を産む勇気をくれたと言っているのに、会社は働けない人は去れと言っているのと同じではないでしょうか。これでは法律の趣旨も生かされないし、大会社がこういうことをしているのであれば、社会全体の両立支援が進むはずがありません。
 こうした声をしっかりと受けとめて、必要な指導を約束していただけるでしょうか、大臣。
○柳澤国務大臣 係争中の具体の案件についてコメントは差し控えさせていただきますけれども、安心して子供を生み育てやすい職場環境の整備は重要だという認識は、全く委員と同じであります。
 厚生労働省としては、今後とも、各都道府県労働局におきまして、労働者からの相談への対応や事業主に対する助言指導などを行うことにより、育児・介護休業法に基づく労働者の権利がきちんと確保されるようにしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○高橋委員 終わります。よろしくお願いいたします。
○櫻田委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 本日、私は、柳澤厚生労働大臣の厚生労働行政を預かります基本的な姿勢、所信についての質疑をさせていただきますが、実はこの国会は、先ほど来皆さんが御質疑のように、柳澤大臣の、女は産む機械発言によって、産むという人間にとって最も根源的な営みが果たして現代社会において保障されているんだろうかということが問題になった国会であろうと思います。
 私は、これまで予算委員会の中で二回、柳澤大臣に、実はこの産むということをめぐって、現実に非常に大きな問題が生じている出産現場ということを取り上げ、さらに本日は、いわゆる産科領域における無過失補償制度のことを取り上げさせていただく予定でありますが、その審議に先立って、実は大臣にお願いを申し上げました。
 産むという作業、決して機械ではない、生ものの、生き物の、一人一人の人間が選び取るその作業の中で、不幸にして産む御本人が亡くなられるケース、母体の死亡と言いならわしますが、あるいはお子さんが亡くなられるケース、あるいは障害を持って生まれ、生きていくケースなど、さまざまなドラマがそこにはございます。
 実は、きょう私は、大臣に、この審議の後に六時から、そうした出産にかかわりますさまざまな困難を抱えて、現状でいろいろな取り組みをなさっておられる、特に陣痛促進剤の被害等々を負った御家族、あるいはお子さんを亡くされて裁判等々の経過を経て、現在は例えば医療事故の再発防止に取り組む皆さん、計十一家族、十二人の方にお会いいただくことになっております。
 実は、その十二人の中に、お一人の十歳の脳性麻痺の患者さんがおられます。大臣はお会いになればわかると思いますが、車いすを使用であります。また、口から食べることができませんので、胃に直接チューブを入れて、そこから栄養物を流し込むという作業が必要でございます。
 本日、養護学校が終わってから、夕刻来られますので、食事をする時間がありません。そこで、私の方から厚生労働省にお願いして、厚生労働省内の一室で食事をとらせていただけまいかとお願い申し上げました。ところが、これは大臣によくお聞きいただきたいのですが、お手洗いの障害者用のところでさせたらどうですか、こういうお返事でした。トイレと食事を一緒にしろと言うような厚生労働省であっていいかどうか。これは大臣の暴言や失言ではありません。でも、私は、厚生労働行政にかかわる方がそのような意識でいるということが情けなくもあり、本当に怒りで震えました。
 そして、何回かの交渉の後にやっと一室を確保していただきましたが、きょう、わざわざ私の質疑時間で大臣にこのことを申し上げるのは、やはり私は、大臣の発言もそうですが、厚生労働行政に変わってほしいんです。温かい血のぬくもりの、血の流れる人間の行う行政に変えていただかねば、今本当にあちらこちらで悲鳴が上がっています。
 実は同じような出来事が、もう四年前になりましょうか、支援費の法改革のときに、自立支援法以前の支援費のときにもございました。外で座り込んでいる障害者の方が、お手洗い、その場合は障害者用のお手洗いがないので、中に入れてお手洗いを使わせていただきたいとお願い申し上げましたところ、本当に無慈悲にお断りでありました。私は、その当時、木村義雄さんが副大臣でありましたので、副大臣室にお願い申し上げまして、たかがお手洗い、されどお手洗いでございます、やっと使わせていただきました。
 一々こうやって副大臣や大臣に、こんなことがありました、あんなことですよと申し上げなきゃいけないような、特に障害の問題は本当に冷たいの一言に尽きます。もちろん私は、そこはどこの部署のだれがというようなことは申しません。しかし、大臣がつかさどる省庁であります。
 まず、大臣がこのたびの御発言を非常に深く悔いておられるということでありますので、厚生労働省全体がどんな意識で事に臨んでいるのか、申しわけありませんが、その点についても大臣がきちんと御差配いただきますように、私は重ねてこの件は要求を申し上げます。
 そうしたことにのっとって、質疑を重ねさせていただきます。
 きょう、先ほどお話し申しましたが、十二名、そして十一家族のうち、実は四名は奥様が亡くなっておられます。御主人というか夫殿が来ておられます。また、四名は子供さんが亡くなった御遺族であります。あと四名は現在脳性麻痺のお子さんを抱えて闘病中というか養育中の方であります。
 それで、皆さんが大変に御心配されておるのは、今回の無過失補償制度と言われますものが、まず、そうしたいろいろなさまざまな問題を抱えた方々の御意見をほとんど伺うことなくつくられて非常に急速である、そしてなぜ脳性麻痺のケースだけなのかということであります。
 火急なことは、ある意味で、状況的にわかります。しかし、これまで、例えば陣痛促進剤の被害を受けられた方は、たしかせんだっても申しましたが、二百二十六ケースのうち半数近くはいわゆる医薬品の被害情報という形で厚生労働省にも情報を寄せております。産科の現場、出産の現場がどうであるかという声をお聞きになることなくこの制度が進められたら、私は、実は仏つくって魂入れずになると懸念しております。
 大臣に一問目。これまでの制度設計の仕組みの中で、患者さんたちの声をどのようにお聞きになったのか。そして、なぜ脳性麻痺をまず取り上げられているのか。まずというと変ですが、そのケースなのかについて、二点お願いします。
○柳澤国務大臣 医療事故に関します無過失補償の問題については、もとより、私どもの役所でもいろいろと、どのようにすべきかということについて検討をいたしておりましたが、十一月の末の段階になりまして、与党の検討会の話が進みまして、分娩により脳性麻痺となった場合を対象とする制度という枠組みが取りまとめられ、我々の方にもお伝えいただきました。
 これにつきまして、もとより、私どももこの考え方をもとに当然我が省としての態度も決めたわけでございますけれども、医療事故の中でも、分娩時の医療事故では過失の有無の判断が困難な場合が多くて、裁判で争われる傾向がある、このような紛争が多いことが産科医の先生方の不足の理由の一つでもあるという指摘を受けて行われたというふうに私どもは受けとめたわけでございます。
 なぜ脳性麻痺だけなのかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、脳性麻痺の方々について、そうした過失の有無の判断が困難な場合が多いというようなことだということで、まず緊急度からいって、ここから着手して、その余のことにつきましては、この制度の設立後にその運用状況を見ながら検討していくべき課題だ、このように考えたという次第でございます。
 厚生労働省といたしましても、この与党の検討の状況を踏まえて、安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として制度構築に取り組んでいきたい、このように考えている状況でございます。
○阿部(知)委員 緊急度とおっしゃいまして、そのことは、私も小児科医ですので、今の産科の中で、産科をつかさどる医療者側も大変に苦労をしておるということもある程度理解しているものであります。しかしながら、緊急度ということが、大臣がおっしゃるように、他の、先ほど私が取り上げました母体の死亡や、あるいは亡くなられた子供の問題、あるいは他の、特に産科に次いで医療被害の多い外科等々、医療事故と申しましょうか、等々に普及していける仕組みになっているかどうかという点と、何度も申しますが、実際にさまざまに、これまで産科医療で問題とされていたことに解決を与えるものであるのかという二点が私は重要になってくると思います。
 そこで、皆さんのお手元にお示ししてございます二枚目。一枚目には、各科別の医事関係訴訟事件の件数が書いてございますが、確かにこう見れば、産科が一番多く、次が外科になってございます。
 二枚目をあけていただきますと、そこには無過失補償制度、補償という字が間違っております、申しわけありません。無過失補償制度の流れということで、過失の有無を判断するところの運営組織として日本医療機能評価機構というところが想定されております。しかしながら、武見副大臣もおられますが、日本医療機能評価機構は、主に医師会を初めとする医師側の、医療側の出資による財団法人でありまして、先ほど来私が申し上げているように、医療というのは両方、医療提供サイドと受ける双方の営みでございますから、ここの運営組織で医療の無過失あるいは過失が判断されるということは、やはり私はちょっと問題があろうかと思いますのと、もう一つ問題がございます。
 無過失か過失かを判断すると同時に、実は患者さんたちの一番求めておりますのは、再発防止のシステムでございます。安心してお産をしたいのです。もちろん、脳性麻痺となった子供に二千万、三千万補償されるということは、親はうれしくないといえばやはり言葉が違うと思います。ただ、本当に求めているものは安心、安全なお産であり、金額だけ申しませば訴訟になれば八千万、一億といくようなところでの無過失か過失かの判断も、極めてグレーゾーンが多いと思います。
 大臣は、この仕組みの中で一体、再発防止あるいは医療現場への指導、いわゆる労働災害であれば、労災事故が起きたら現場を調査して指導勧告、是正勧告ができるわけです、一体この中に是正勧告の仕組みはどこに組み込まれておりましょうや。大臣にお願いします。
○松谷政府参考人 今回の与党によって示されました無過失補償の枠組みでは、無過失補償ということから、過失のないことを前提に審査をした上で補償をしよう、そういう仕組みになっているというふうに承知をしております。
 分娩時の医療事故というのは先生御指摘のとおりいろいろな場合が、過失によるものもありますし、無過失の場合もあるということでございます。先生御指摘の点は、まず過失、無過失をやはりきちんとはっきり審査すべきではないか、過失がある場合には、それが次のときに防げるような、再発防止に向けたことができるように、無過失の場合は、これはもうやむを得ない場合でございまして、先生もドクターでございますので御承知のとおり、医療は絶対安全というわけにはいきませんので、どうしても無過失で事故が起こる場合はございますので、今回の仕組みはそういう場合についての補償をしよう、そういう仕組みだというふうに理解しております。
 したがいまして、審査のところが一番大事ということでございまして、その仕組みについてはきちんとやっていきたいと思っております。その結果によって、もし過失がある場合はもちろん過失の方の補償になりますけれども、補償もそうですが、むしろそれの再発防止というところに結びつけるということは先生の御指摘のとおりだと思っております。
○阿部(知)委員 今、もごもごもごもごおっしゃっていましたが、無過失補償制度を理念どおり運用するためには、補償と切り離した独立の機構で事故の勧告、処罰の適用をきちんと点検しなさいということが、これは厚生労働省の研究、補助金を用いた研究の中でも指摘されているわけです。補償の問題と、こっちで実際に原因の調査、是正という両輪が回らなければこんなものは機能しないんです。
 それと、言わせていただければ、私は無過失でも是正されるべき状況はあると思います。それが過失か無過失かというのは本当に難しいところです。でも、体制としてさらに高めておけば安全性が高まる、患者さんはそのことを望みます。安全で安心なお産ということがいかに厚生労働省に届いていないかということですし、もう一点、大きな問題があります。
 実は、この運用に際しまして、いわゆる出産一時金、国保、国民健康保険ですと三十五万円、組合健保の場合は六十万円ぐらいある組合もあるかもしれません。そこからのお金の一部を医療機関がいただきまして、それを原資にして民間損保会社が運営するという形態をとっています。ある種の、国民健康保険や組合健保という、いわば公的保険からのお金を原資に民間保険が運営いたします。私は、この構図というのは、例えば労働災害保険であれば労災保険特別会計があって、保険料をいただいて、そして給付もきちんとした公的な組織が行います。これは非常に中途半端な、お金は公金で集め、運営は損保会社に丸投げという形をとっております。
 柳澤さんは金融大臣でありましたから、私が言わんとしていることは大変よく御理解と思いますが、大臣、もしもこの制度を他の医療事故等々に普及せしめていくためには、もっと本格的な事故調査や是正やそして支払いの方式、公的な支払いの方式、お金をプールし支払っていく、労働災害保険のように、そうした仕組みが必要とは思われませんか。
 そして、ちなみに、今医療者が、病院とか医師が自分で入っている医賠責という保険があります。これは現在、二〇〇三年末で百三十九億の赤字であります。民間保険会社、損保会社がやっているものでありますが、どんどんどんどん毎年のように、武見副大臣も御存じでしょう、保険料は、私たちが払うのは上がっていきます。それでも百三十九億の赤字、このたびまた上げましたからどうなっているかわかりません。私は、こういう保険が安定的にそして本質的により広く普及するために、やはりここは大臣の御英断で公的な支払いの仕組みを導入するべきと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 まず、民間の保険会社が保険事故と申しますか、補償金の支払いを行うきっかけになる判定というか、査定というものを行う際に、この場合は無過失の補償をうたっているわけでございますので、とにかくまず日本医療機能評価機構という運営組織、これは実際の組織運営に当たっては、この機構の運営とは別の機関をまた設けるようでございますが、いずれにせよ、そこで審査をするという方式にしておるということには、私は一定の合理性は当然あると思います。民間の保険会社がまたいろいろみずからのものを持つよりも、そういうところで公的な審査機関がしつらえられるということには、私は一定の合理性がある、こういうように思います。
 その場合に、一体、民間の保険会社に保険料として支払われるもの、資金というものはどういうものであるべきかということでございますけれども、これについては、今この図で申しますと、健保組合あるいは国保といったような、出産一時金の支払いというもの、支払いをする機関がその一部でもって保険料としてこれを納付するということも、健保組合、国保に妊産婦さんが加盟している限り、そういう前提で事が運ぶということ、そのことについては別段私は違和感を感じるものではございません。
 ただ、阿部委員がおっしゃるように、公的なものが、資金がある程度支援されるべきかどうかということが問題提起としてあったかと思いますけれども、これについてはまた別途のいろいろな側面の検討が必要なのではないか、私はそのように考える次第です。
○阿部(知)委員 いずれにしろ、この制度設計はこれから一億何がしかのお金をかけて準備されるということで、ぜひそこに患者さんサイドの声をもっとオープンに取り入れて、本当に安心と安全の体制にしていただきたいと思います。
 以上で終わります。
○櫻田委員長 次に、糸川正晃君。
○糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。
 私も厚生労働大臣に一言本当は申し上げたいところでございますが、もう予算委員会でさんざん言わせていただきました。この委員会ではあえて申し上げませんが、ぜひ、言葉には気をつけていただきたい、それで傷つく方がたくさんいらっしゃるんだということを肝に銘じていただいて、また取り組んでいただきたいと思います。
 私は、きょうは医療制度改革について、大臣の所信のところを絡めて質問させていただきたいと思います。
 昨年の医療制度改革で、老人医療費を中心とした、医療費の伸びを抑制するための改革が行われたわけでございます。その一環として、診療報酬改定においては、リハビリテーションの医療保険適用に関して算定日数の上限が設けられまして、最長でも百八十日で打ち切られる、こういうことになったわけでございます。
 これに対しては、リハビリを打ち切られた患者さん、それから、もっとリハビリを続けたい、こういうふうに希望されていらっしゃる患者さん、こういう方々を目の前にして途中で中止をしなければならない、医療関係者においても、大変な混乱が広がっているというふうに思います。
 また、東京大学の多田富雄名誉教授の呼びかけによっても、一カ月余りで約四十四万人のリハビリテーション打ち切り反対署名、こういうものが集まるということでございます。
 必要なリハビリを行う場を失って日常生活への不安を抱えることになった患者の方々に対して、そしてまた家族にとって、今回の改定というものは余りにも冷たい、そしてまた切実な問題となっておるわけでございます。
 そこで、また繰り返しになるかもしれませんが、今回の改定の目的と算定日数を設けることとした理由について、まずは大臣にお尋ねをしたいと思います。
○柳澤国務大臣 リハビリテーションに関しまして昨年四月に行われた見直しというのは、リハビリテーションの一種の体系と申しましょうか、そういうものの改善を図るという趣旨から出たものでございます。
 具体的に申しますと、リハビリテーションの体系を疾患別に再編成する中で、発症後早期のリハビリテーションを重点化し、従来の一・五倍ぐらいの量をそこで実施できるようにする一方で、長期にわたってその効果が明らかでないリハビリテーションが行われているものについては、疾患の標準的な治療期間を踏まえて、疾患ごとに算定日数の上限を設けたという、いわば体系の整備ということがその趣旨でございます。
 したがいまして、もちろん、そういう上限の中でありましても、一定の疾患、失語症とか高次脳機能障害等、リハビリテーションを継続することによって状態の改善が期待できると判断されたものについては、この上限の適用除外を行うことにいたしまして、必要かつ適切なリハビリテーションが確保される、そういう体系を打ち立てたというところでございます。
○糸川委員 ただ、大臣、これは先ほど申しましたが、多田富雄教授の呼びかけというのは、一カ月で約四十四万人余りの方のリハビリテーション打ち切り反対署名が集まる、このぐらい重要な問題なわけでございまして、お医者さんの判断によるものでリハビリを打ち切っていくというのはいかがなものなのかなというふうに言わざるを得ないわけでございます。
 また、厚生労働省では、急性期及び回復期のリハビリというものは医療保険で対応されております。維持期のリハビリは介護保険で対応する、こういうふうにしておりますが、患者さんにとってはその区別がはっきりしたものではないわけでございます。また、納得できないままリハビリが打ち切られる、こういうことになったわけです。
 また、介護保険との連携不足によって、多くの患者がリハビリを中断しているというふうにも聞いております。介護保険で対応するとしておりますこの維持期であっても、リハビリを中断したことで、また歩けなくなったりとか、寝たきりになってしまったりとか、そういう可能性の高い方もおられるわけでございます。このような結果を招くリハビリの打ち切り、これは、予防を重視する観点から行ってきた一連の介護それから医療の制度改革に逆行するんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
 また、リハビリを中断する患者がふえる、こういうことで、かえって医療費等を増大させてしまう、そういう可能性もあるのではないかというふうに思いますが、大臣、御見解をお聞かせいただけますか。
○柳澤国務大臣 算定日数の上限を超えたリハビリテーションにつきましては、日常生活を送る上で必要となる機能の維持及び向上を主たる目的として行われるものでございます。このようないわゆる維持期のリハビリテーションは介護保険などによって適切に対応されるというふうになっておりまして、御懸念のように予防を重視する医療制度改革に逆行するものだというふうには考えておりません。
 また、今回の見直しによりまして、発症早期からリハビリテーションを重点的に受けることができるようになりまして、従来よりも高い機能回復の効果が見込めるものでありまして、そういう意味では、また再び医療費の増嵩につながるというようなことはないものと考えております。
○糸川委員 もちろん大臣は医療費の増大を招くという言葉は絶対言えない、それはもちろんわかりますが、実際そういう懸念もあるということをぜひ認識していただきたいと思います。
 では、保険局長にお聞きいたしますが、今回のリハビリテーション料金の改定は大幅な見直しがされておるわけでございますが、どのような検討そして経緯を経て決定されているのか、お聞かせいただけますか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
 リハビリテーション料の改定の経緯についてでございますけれども、まず、平成十六年一月に取りまとめられました、専門家によります高齢者リハビリテーション研究会、これの報告書がございます。ここで、先ほど大臣が申されましたように、現状では急性期のリハビリテーションが不十分である、それから、その一方で、長期間にわたって効果の明らかでないリハビリテーション医療が行われている場合がある、こういう指摘がなされたわけでございまして、この指摘を踏まえて見直しを行ったものでございます。
 具体的な算定上限日数でありますとか、適用を除外いたします対象疾患等につきましては、平成十六年度に行われましたリハビリテーション・消炎鎮痛等処置に係る調査で得られましたデータを参考にいたしまして、専門家や関係学会等にも意見を聞いた上で作成したところでございます。
 さらに、具体的な改定案そのものにつきましては、中央社会保険医療協議会において議論を行いますとともに、パブリックコメントによりまして広く国民の意見を聴取した上で決めたものでございます。
○糸川委員 大臣、今回の診療報酬改定、これでは、医療保険におけるリハビリ、ここでは一人一人の状態に応じて個別に行うことが算定の要件、こういうふうになっております。
 ただ、算定日数が過ぎた後のリハビリの移行先とされている多くの介護施設、ここでは、医療保険のリハビリに比べて理学療法士等の人員配置、この人数が十分ではないのではないか。例えば、一対一でやっていたものが数人対一というような形になるわけでございます。集団で行うリハビリが中心になるわけですから、当然個々の疾患と回復状況に応じたリハビリのメニューというものは提供できないわけでございます。そこがまた身体の機能の低下というものを招くというふうに考えられるわけです。
 先ほど大臣は、まずは急激に治すからいいんだというふうにおっしゃるわけですけれども、リハビリというのはやはり継続してしていかなければならないわけです。そうしますと、今後、介護施設における患者さんのニーズに合ったリハビリの充実に向けて、何らかの取り組みをしていかなきゃいけないわけですが、大臣の所感というんでしょうか、決意というんでしょうか、それをお聞かせいただけますでしょうか。
○柳澤国務大臣 リハビリテーションにおける個別性あるいは集団性ということの問題提起かと思いますけれども、まず第一に、介護保険のリハビリテーションにおきましては、維持期のリハビリにつきましてはそれに適した方法や人員配置を定めているということでございます。
 それからまた、質の高いリハビリを提供する観点から、リハビリを担う多職種が共同して個別の計画の作成等の一連のプロセスを実施することへの評価をしておりまして、その意味では、計画というものをつくり出す段階で個別の患者さんというかリハビリの対象者に対して留意をしておるところでございます。
 それからまた、個別かつ短期集中的にリハビリテーションを行うことへの評価を創設しておりまして、個々の利用者の心身の状況等を勘案して個別リハビリテーションの実施を行うということをいわば推奨しておりまして、この点は昨年十二月に都道府県に対しその旨を改めて通知し、介護サービス事業者等に周知を図ったところでございます。
 また、介護保険におけるリハビリテーションを効果的に実施するための調査研究も行っておりまして、こうした取り組みを含めて介護保険におけるリハビリテーションの質の向上を図って、リハビリテーションを必要とされる方が適切なサービスを受けられるように、今後とも努力してまいりたいと考えておるところです。
○糸川委員 私も、この質問をする前にいろいろなリハビリテーション施設を見て回りました。そういう現場で一生懸命、自分がまた社会復帰していくんだというように取り組んでいらっしゃる方々の姿を見ていますと、とてもとても、打ち切る、そういうような言葉は言えないかなというふうに思うわけです。
 ですから、その辺はまた大臣、温かいところを見せていただきたいなと、機械だというような発言ではなくて、逆にしっかりとそういうところはまた温かい目で見直していただきたいなというふうに思うわけでございます。
 もう時間がほとんどございませんので、最後に大臣、一問よろしいでしょうか。
 算定日数の上限につきましては、疾病ごとに一律の日数というものを設定されておるわけでございますが、同じ疾病であっても症状というものは個々に当然異なるわけでございます。患者さんの状態ではなくて疾病別に一律の日数を設定することにした理由、それから算定日数の根拠について、そこもお尋ねしたいというふうに思うわけです。
 そしてまた、特定疾病につきましては算定日数の上限の適用外というふうにされておるわけですが、現在行っている実態調査の結果も踏まえながら、対象の疾病の範囲を拡大していく、こういうことも検討すべきではないかというふうに思いますが、最後に大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 日数上限は、十六年度に行われましたリハビリテーション・消炎鎮痛等処置に係る調査のデータを参考に、専門家や関係学会等の意見も聞いた上で慎重に行っているものでございます。
 それから、除外対象疾患につきましては、リハビリテーションを上限日数を超えても継続して受けることで治療効果が期待できるというものを幅広く取り上げたつもりでございます。
 いずれにせよ、改定後のリハビリテーションの実施状況については、現在調査、検証を行っているところでありますので、その結果を踏まえまして適切な対応を検討してまいりたい、このように考えます。
○糸川委員 ありがとうございました。終わります。
     ――――◇―――――
○櫻田委員長 次に、第百六十四回国会、内閣提出、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、社会保険事務所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本件につきましては、第百六十四回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、社会保険事務所の設置に関し承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○櫻田委員長 本件につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 第百六十四回国会、内閣提出、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、社会保険事務所の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○櫻田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○櫻田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時六分散会