第166回国会 厚生労働委員会 第22号
平成十九年五月二十二日(火曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 櫻田 義孝君
   理事 伊藤信太郎君 理事 鴨下 一郎君
   理事 谷畑  孝君 理事 宮澤 洋一君
   理事 吉野 正芳君 理事 三井 辨雄君
   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君
      新井 悦二君    井上 信治君
      石崎  岳君    加藤 勝信君
      川条 志嘉君    木原 誠二君
      木村 義雄君    岸田 文雄君
      清水鴻一郎君    菅原 一秀君
      杉村 太蔵君    高鳥 修一君
      戸井田とおる君    冨岡  勉君
      長崎幸太郎君    西川 京子君
      林   潤君    原田 令嗣君
      福岡 資麿君    松野 博一君
      松本  純君    松本 洋平君
      大島  敦君    菊田真紀子君
      郡  和子君    園田 康博君
      田名部匡代君    筒井 信隆君
      長妻  昭君    細川 律夫君
      坂口  力君    古屋 範子君
      高橋千鶴子君    阿部 知子君
      糸川 正晃君
    …………………………………
   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君
   厚生労働大臣政務官    松野 博一君
   参考人
   (早稲田大学法学学術院教授)
   (法学博士)       佐藤 英善君
   参考人
   (社団法人日本経済団体連合会専務理事)      紀陸  孝君
   参考人
   (社会保険労務士)
   (ファイナンシャルプランナー)          井戸 美枝君
   参考人
   (弁護士)        谷澤 忠彦君
   参考人
   (年金実務センター代表) 公文 昭夫君
   参考人
   (前ISSA(社会保障担当官庁国際研究機構)ジュネーブ本部客員研究員)
   (立正大学大学院教授)  渡部 記安君
   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十二日
 辞任         補欠選任
  柚木 道義君     長妻  昭君
同日
 辞任         補欠選任
  長妻  昭君     柚木 道義君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本年金機構法案(内閣提出第七八号)
 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)
 歳入庁設置法案(山井和則君外五名提出、衆法第二三号)
 国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二四号)
 公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二五号)
     ――――◇―――――
○櫻田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本年金機構法案及び国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案並びに山井和則君外五名提出、歳入庁設置法案、国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 本日は、各案審査のため、参考人として、早稲田大学法学学術院教授佐藤英善君、社団法人日本経済団体連合会専務理事紀陸孝君、社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー井戸美枝君、弁護士谷澤忠彦君、年金実務センター代表公文昭夫君、前ISSA(社会保障担当官庁国際研究機構)ジュネーブ本部客員研究員・立正大学大学院教授渡部記安君、以上六名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず佐藤参考人にお願いいたします。
○佐藤参考人 おはようございます。
 ただいま御紹介いただきました佐藤英善と申します。早稲田大学の法学学術院で行政法の教授をいたしております。
 このたびは、こういう機会をお与えいただいて、意見を述べさせていただくことに厚く感謝を申し上げます。
 私は、平成十七年の七月に厚生労働大臣のもとに設けられました社会保険新組織の実現に向けた有識者会議の座長をしておりましたものですから、社会保険庁の改革にこれまで意見をいろいろ述べさせていただいてまいりました。本日は、行政法を専攻している研究者としての立場に加えまして、この有識者会議の座長としての立場からも述べさせていただきたい、こう思っております。
 まず、新組織実現会議の議論を多少御紹介させてください。
 この有識者会議は、平成十七年の七月以降、業務改革プログラム、新人事評価制度、七カ年の人員削減計画などについて議論をしてまいりました。業務改革につきましては百二十項目、その後、加えまして百六十項目にわたる国民サービスの向上等を含めた提言等をしてきたところです。組織改革につきましては、私どもの有識者会議の前に、内閣官房長官主宰のもとに先行した有識者会議がございまして、平成十七年の五月に、年金新組織を国の政府組織として設ける旨の結論を出しておられます。それを具体化するのが私どもの有識者会議の仕事でございました。
 その際のポイントは、次の四点にあります。
 第一に、年金の管理運営は国の責任で行うこと。第二に、組織のつくり方としましては、意思決定機能、執行機能、監査機能という三つの機能を強化する、役割分担を明確にする。三つ目は、地方事務官の制度などを見直して廃止して、広域的な柔軟な人事管理ができるような仕組みをつくっていく。四つ目には、民間的な人事管理、例えば、人事評価、能力本位の人事、降任降格等の適正な運用を進める、こういうことでございました。
 その後、昨年の夏に、実は不適正事務処理の問題が出てまいりまして、与党の皆さんにおかれましては、その際、新たな方針をお出しになられたわけです。今回の非公務員型の公法人とする法案となったわけです。今回の法案につきましては、新組織実現有識者会議におきましても検討しておりまして、その内容について申し上げさせていただきます。
 まず、昨年の法案と今回の法案を比べますと、今回の法案では、新組織を非公務員型の公法人とすることが大きな変更点でございます。しかし、公的年金にかかわる財政責任、管理責任は引き続き国が負う、そうしておりまして、公的年金制度をきちっと堅持し、公的年金については国の責任のもとに安定的な運営を図るという大前提は引き続き維持される、こういうことでございました。
 前回の法案の重要なポイントは、一つは、意思決定機能、業務執行機能、監査機能の権限、責任をきちっと分担して明確に対応していく。二つ目は、保険料を拠出する被保険者あるいは事業主等の意見を業務運営に反映していただく。こういう点は新しい今回の法案にも反映されているところでございます。
 有識者会議の取りまとめといたしましては、今回の日本年金機構法案、これにつきまして、次の四つの意見を付させていただいております。
 第一は、意思決定機能についてでありますが、日本年金機構法案では、新法人は理事会を設けて、理事長一名、副理事長一名、常勤の理事七名以内、そのほかに非常勤理事四名以内を置くということになっております。民間の株式会社でも、社外取締役制度などを取り入れまして、外部の目から取締役会をチェックしていく、これがかなり一般的になっておりますが、日本年金機構でも、この非常勤理事などの制度を使っていただいて、適切な外部専門家の参画を得ることにより、意思決定機能の強化をきちっとやっていただきたいと思っております。
 また、新法人には運営評議会を設け、保険料負担者や年金受給者の意見を業務運営に反映をする、こうなっておりますが、社会保険庁でも、平成十六年夏から実は社会保険事業運営評議会を設けまして、日本年金機構でも同様な取り扱いを今後していただく、これを強く望んでいるところでありますが、その対応は法案の中に入っております。
 第二に、監査機能についてでありますが、他の独立行政法人などでも、監事による業務監査あるいは会計監査、外部の会計監査人あるいは監査法人、そういうものによる監査が行われますが、この点も今回の法案に盛り込まれている、こういうことです。さらに厚生労働大臣の新法人に対する監督体制も整備されておりますので、この点をさらに意を用いていただきたい、こう思っているところです。
 第三に、業務執行についてでありますが、適正かつ効率的な業務執行をきちっと確保していくためには、結局のところ、その多くを人に頼るわけでございますので、その人のあり方にかかわる制度、いわゆる職員制度でありますけれども、これを能力主義あるいは実績主義に立った人事、研修等による人材育成、制度の企画立案や事業の管理運営責任を負う厚生労働省との人事交流、あるいは民間の企業運営のノウハウ等を受け入れて民間企業との人事交流をやるなどして、業務執行機能を強化していかなければならない、こういうことだと思います。
 以上の点をきちっと新法案でも盛り込んでいただくことをお願いしたところでございます。
 個々の点について申し上げますが、まず、法人化、非公務員化の問題であります。
 今度の社会保険庁改革では、法人化、非公務員化をするということにしておりますが、非公務員化のメリットが多々あるというのが私の考えでございます。
 最近の公務員制度の改革では、公務員について能力と実績に応じた人事管理を進める、こういう方向で制度改正が進んでおりますが、公務員の場合ですと、やはり労働基本権が制約され、そのかわりに身分が保障されており、人事院が行う一律の公務員試験で採用され、人事院勧告に基づいて俸給等が決められる、かなり安定した制度になっております。これは、政策立案をするなどそれぞれの政府の本省の、あるいは一般行政部門の組織のあり方に対応するにはよろしいかもしれませんが、社会保険庁のように、法律で定められた業務を、つまり事業的な性質を持つ仕事をやるには必ずしも向いておりません。
 具体的には、第一に職員の給与についてでありますが、公務員の場合は、先ほども申し上げたような労働基本権等の制約がございますので、法律で給与が定められる、俸給が定められる、さらには昇給の幅、あるいは号俸の格付の枠など、いろいろ制約がございます。
 一方、年金機構では、非公務員化することにより独自の給与体系がつくれる。例えば、勤続年数に応じた部分、あるいは能力、実績に応じた部分、役職の重さに応じた部分等を新法人の業務や組織の特性に応じて最適に組み合わせて編成できる、能力と実績に基づくめり張りのきいた民間的な給与体系のいい面を取り入れていける、こう存じます。また、適正な昇任昇格あるいは降任降格等、これもきちっと運営していただかなければいけません。
 また、職員の採用でありますが、公務員の場合ですと、人事院が行う公務員採用試験の合格者から採用する。ところが、新法人は、非公務員でありますから、このような制約がない採用ができ、また、能力に応じた人材を外部から採用する、あるいは中途で必要な業務が出てきた場合に外部から採用していく、こういう対応ができるかと思います。
 一番大きいのは、やはり、非公務員化になることで、職員の皆さんの意識改革も進むと思います。
 公務員の組織については、効率が悪いとか能率が悪いとかサービスが悪いとかというイメージが国民の中にかなり定着していると思います。この点、非公務員化することそのものが、職員の皆さんに対する、一方では大きな意識改革になり、国民の目から見ても、なるほど大きく変えたんだな、そういう目で見ていただけるのではないかと思っております。
 それから、公的サービスを提供する組織のあり方についてであります。
 国の業務を行う組織のあり方としましては、大量な実施業務を行う組織というのは、まず社会保険庁のような外部の組織をつくってやってきたんですね。それからさらに、最近では独立行政法人や特殊法人などをつくってやってまいりました。それだけ人事あるいは業務運営等の柔軟な対応、これができるようにということであります。
 法律で定められた業務を独立行政法人やあるいは特殊法人は行うのですが、営利事業ではありませんので、民間との競争関係には必ずしもありません。だからこそ、民間的な人事管理とか業務運営をいかに参考にしていくか、これが重要になってくるかと思います。業務成績が悪ければあるいは職員の成績が悪ければ、法改正によって、先生方もお考えになっておられますように廃止さえあり得る、そういう形で頑張っていただく、こういうことだと思うんですね。
 それから、理事長等は大臣から任命されるのでありますから、したがって、業績が悪ければ更迭もあり得る、こういう厳しい組織にするというお考えなんですね。これについては、日本年金機構を、そういう緊張感を持った、規律の高い効率的な組織にするということでお考えだということでありますから、基本的にはよろしいと思っている次第です。
 最後になりますが、年金問題は国民の老後の生活の生命線なんですね。今回、国民の皆様が、我々の老後は大丈夫か、一体、国や社会保険庁は何をやっているのかと、厳しい批判の目を向けているかと思うのですね。したがって、まず、できるだけ早期に業務改革その他で問題点を改善していきながら、きちっとした安定的な体制を組んでいただきたい。
 これが今回の日本年金機構法案ということでありますから、早くこれを先生方の御尽力で実現していただいて、国民をまず安心できるようにしていただきたい。あわせて、業務運営を行うのは社会保険庁の職員の皆さんでありますから、この皆さんも、仕事が今どうなるのか、私の立場はどうなるのかと、非常に不安を当然持っているわけで、そういう点もきちっと、対応できることを早く示す。それによって、職員の皆さんも気持ちを新たにして、新組織に向けて、できるだけ高いレベルでの新組織への業務のバトンタッチができるようにしていただく御努力を、先生方にはお願いできればと考えている次第でございます。
 そういうことで、ぜひ、先生方におかれましては、格段の御配慮をいただいて法案が成立しますように、私としては願ってやみません。
 本日は、どうもありがとうございました。(拍手)
○櫻田委員長 ありがとうございました。
 次に、紀陸参考人にお願いいたします。
○紀陸参考人 おはようございます。
 ただいま御紹介いただきました日本経団連の紀陸と申します。
 日ごろより、先生方には、私どもの活動につきまして深甚な御支援を賜りまして、改めて御礼を申し上げます。また、こういう場において私どもの考え方を申し述べさせていただく機会を賜りまして、感謝を申し上げます。
 ただいまからの陳述は、いわば事業主、保険者負担、そういう立場から発言をさせていただきたいというふうに存じます。
 今回の政府提案の社会保険庁改革関連法案、この中には、既に社会保険庁でいろいろ取り組まれております改革をさらに前進させる、そういうような内容が含まれているというふうに考えておりまして、基本的に賛成をいたしたいというふうに存じます。
 この理由、主な点は、これから申し述べます四点に要約されるのではないかというふうに思っております。一つは、これまで以上にいわば顧客志向、関係者の立場に立った改革になるだろうと期待されるという点が一つであります。二つ目が、組織としての内部規律が強化されるであろうということ。三つ目が、業務運営とか業務の遂行に関する透明性、この透明性がこれまで以上に高まるであろうという点であります。四つ目が、業務の効率化、コストの適正化、これが一層進むのではないかと考える点であります。
 個別に補足させていただきますと、一つ目の顧客志向という点でありますけれども、今回の法案によりますと、法案の二十八条でございますが、国民、被保険者及び事業主などの関係者の意見を業務に反映させるための措置を設ける、こういうふうに規定をされております。
 社会保険庁は、言うまでもなく、被保険者や事業主等の関係者、いわゆる顧客に対するサービスを実施する機関でありますけれども、現状では、社会保険事業運営評議会などの場が設けられておりまして、そこで関係者の意見を申し述べる機会があるわけでありますけれども、今回は法律でもってきちんと、外部人材を理事に活用する、あるいは被保険者等の意見を聞く場を設ける、こういうことが必須的に法律に盛り込まれることになりますと、いわばあるべき姿に近づくものになるかというふうに考えております。
 顧客志向を徹底するために、厚生労働大臣あるいは機構の理事長などリーダーになる方々に、この点の意識をきちんと持って運営されるようお願いをいたしたいというふうに存じます。
 二つ目の内部規律の強化という点でございますけれども、これまでの社会保険庁の改革で、幾つか不祥事が非常に大きく起こっておりますので、この点について、非常に世の中の関心が高い点ではないかというふうに思っております。よく指摘されますが、社会保険庁は内向きで閉鎖的な組織体質で、組織管理も適切に行われてきたとは言いがたい、そういうふうに認識しているわけでありますけれども、今回の法案の中には、年金個人情報の保護に関する規定、これが詳細に盛り込まれておりますし、さらに、会計監査人による外部監査、これが義務づけられている点は前進であろうかというふうに存じます。
 年金機構の日常の業務監査、これを行うのは法案によれば監事になるかというふうに存じますが、被保険者あるいは事業主にすれば、監事がきちんと日常の職責を果たしていただくように、特にその独立性をいかに保持するか、この点に意を用いて運営をしていただきたいというふうに存じます。
 三つ目の透明性の確保という点でございますけれども、国民の信頼を回復させるための重要なポイントではないかと存じます。透明性の確保という問題は、機構の法的形態がどのような形になろうとも徹底していかなければならない課題でございますけれども、法案には、監査報告書あるいは業務実績の評価について公表する、そういうような事柄が盛り込まれております。実際の運営に当たって、特に国民にわかりやすく親しみやすい形での情報の開示、周知、これをお願いしたいというふうに存じます。
 四つ目の業務の効率化、コストの適正化、この点につきましては、年金機構の発足に際して新たに改めて職員の採用が行われることになるわけでございますけれども、それまでの間に、業務の合理化、再編成、それを踏まえたIT化の徹底、こういうことによって間接部門のスリム化、これが要請されております。今回、こうした手順を踏まえて年金運営組織を再出発させる、そういうような法案の内容だというふうに私どもは認識しております。
 再出発に当たりまして、新組織では、社会保険庁の職員を自動的に引き継ぐことはしない、そういうような方針で臨むというふうに聞いております。新たな組織にふさわしい意欲と能力を備えた人材を、これは民間の方も含めてでございますけれども、募集、採用するということであります。特に人事給与体系、これも職員個人の能力とか業績評価に応じてきちんとした運営を行う方針が示されておりますので、こうした仕掛けによりまして、逐次、業務の効率化とコストの合理化が進む。また、さらに、いわゆる業務の外部委託。これはこれからどういう内容で、どういう基準でというのは決まってまいるかというふうに存じますが、こういうことによりましても、特にコストの合理化が進むのではないかというふうに考えます。何よりも、職員の方々の意識の改革、これが非常に重要かというふうに存じますので、この点を強く期待したいというふうに存じます。
 また、国民年金事業改善法案についてでありますけれども、これは年金保険料の納付率の向上、これを目的とするものでありまして、おおむね賛同いたしたいというふうに存じます。納付率の向上につきまして、保険料を納める側からいたしますと、これは世代内の不均衡の是正のため、さらには、広く国民の年金制度に対する信頼性を回復させるため、非常に重要な問題ではないかというふうに思っております。
 民間の事業者であれば、料金などの支払い、通常は口座支払いを原則とする等の工夫を行っておりますけれども、今回は、さらにクレジットカードによる納付を認める。口座振替と同様な自動支払いとなりますので、納付率の向上が強く期待できるのではないかというふうに思っております。
 いずれにせよ、社会保険庁の改革は非常に大きな課題がございます。特に、たくさんの年金受給の方々がおられるわけでありまして、これの改革に国民は大きな期待を持っております。先生方の御尽力によりまして一刻も早くこの法案の改正、改革の実現が行われるように強く期待いたしまして、お願いを申し上げまして、簡単ではございますが、私の陳述を終えさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○櫻田委員長 ありがとうございました。
 次に、井戸参考人にお願いいたします。
○井戸参考人 ただいま御紹介賜りました、社会保険労務士とファイナンシャルプランナーをいたしております井戸と申します。
 本日は、参考人として陳述させていただく機会を賜りまして、厚くお礼申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、平成二年に社会保険労務士となりましたが、将来の高齢化に向けて少しでも社会のお役に立てることはないかと、年金や社会保険の専門家になろうと思い、資格を取得、事務所を開設いたしました。そして、実際に年金相談などを行い、相談者からの生の声を聞くと、年金や社会保険だけでは解決につながらない、適切なアドバイスができないというケースが数多く、人生設計と家計というような生活経済という面の対応が必要であるということがわかりまして、ファイナンシャルプランナーという資格をあわせて持つようになりました。生活経済における社会保険という視点から、社会保険庁の社会保険事業運営評議会に参加させていただいているものと思っております。
 年金を受給する世帯、また年金保険料を負担していただく国民の皆様の生活経済という面から、主に意見を述べさせていただきたいと思います。
 なお、政府案に関しましては、佐藤参考人から非常に詳しくポイントを整理していただいていることですから、重複する部分については避けたいと思います。
 まず、私の経験からですが、年金相談を始めたのは平成二年か三年ぐらいだと思うんですが、十六、七年前のことでございますので、年金受給者の方も現在と比べると非常に少ないということ、当時はまだ終身雇用といいますか、定年まで会社を勤め上げ、退職後も嘱託という形で同じ会社に残るというようなことから、年金そのものが直接話題になることは比較的少なかった時代とも言えるのではないでしょうか。現在では、講演会などでは年金だけのお話で二時間真剣に聞いていただけるというような時代が参っているというふうに思います。
 年金相談といっても、どのくらいの金額が、年金がいつからもらえるのかというような基本的なことが今までは中心でした。しかし、情報を集めようと思いまして社会保険事務所とか市区町村役場に行きますと、年金はやはり公的なものであり、支給してあげているというような、典型的な役所仕事という状態でした。相談者である高齢者と一緒に行くこともあったんですけれども、こちらがかえって憤るようなケースが数多くあったというのが当時の状況でした。
 しかし、十六、七年前の状況と現在を比較してみますと、隔世の感をぬぐえないものがありまして、まさに改革に近いものを感じております。そして、この改善された状況を一層進めることが必要だということを強く感じております。
 基本的には、社会保険も行政サービスの一つです。サービスは、利用者、つまり被保険者にとって最良なサービスが提供され、サービスを受けた者がいいものだというふうに思って初めて満足のいくものになると思われます。そのため、サービスの向上から触れさせていただきたいと思います。まずは、心地よく保険料を払ってもらえる土壌づくりからスタートすべきじゃないかというふうに思います。
 年金相談に関しましては、私の専門でございます。常々、年金情報の共有化が図れないかどうかということをずっと考えておりました。共通の情報基盤があれば、双方向のやりとりも可能になるわけです。そのため、被保険者と保険者は基本的に同じ情報を持っているべきです。しかし、これまでは、年金に関する個人向け情報のあり方というのは非常に限定的なものだったと思います。
 しかし、ここ数年、大きく改善されてきたものと思います。例えば年金相談では、窓口がふえまして時間が延長されたりとか、あるいは休日の相談も実施されるようになってまいりました。全国統一番号によるねんきんダイヤルのサービスも実施されております。もちろん、すべての人が相談窓口に来る必要もないでしょうから、タイムリーな情報提供も重要になってまいります。十六年三月から既に実施されています五十八歳通知と、裁定請求書の事前送付サービスというのも、非常に役に立つというふうに思います。
 実際には改善される余地はまだまだあるとは思いますけれども、今度、平成二十年四月から本格実施されるねんきん定期便というものがございます。被保険者と保険者の情報の共有化の第一歩だというふうに考えられます。通知内容といたしましては、御承知のとおり、全年齢共通事項といたしまして、基礎年金の加入月数、納付済み月数、厚生年金の加入月数、これまでの加入実績に応じた年金の見込み額、それから、被保険者分ですけれども、保険料の納付額というふうになっております。
 これだけの基本情報が毎年お誕生日の月に送付されるということになれば、被保険者側としては、ねんきん定期便を毎年手元にきっちり残しておけばいいわけです。また、年齢に応じて、例えば三十五歳、四十五歳、五十八歳の時点で加入履歴も手にすることができるわけですから、それぞれの時点での加入実績と情報の照合ができるわけです。双方向のやりとりが可能になるわけです。
 実際のやりとりではないかもしれませんけれども、個人からすると、ようやく自分のもとへサービスの提供がなされて、初めてサービスが行き届いたなというような印象を持ちます。これが毎年定期的に実施されると、毎年の効果として積み上がっていきます。年月がたてば、安心感を生み出してくれるものではないでしょうか。
 例えば、年金見込み額は、毎年定期的に送られてくれば、ほとんどの人は送付文書を大切にしまっておき、年一回は昨年と比較したりしてみることもあるかと思います。実際には、加入年数が短い場合はまだ年金額は低いのですけれども、年金受給できるころにはこれぐらいの年金額になるという到達目標というものも、あわせて情報提供できればというふうにも思っております。ライフプランという面から見れば、年金だけで老後生活を賄うというのはもう難しくなってきております。どのような対策を考えていかないといけないかということもあわせて、情報提供できるということが非常に大事になってくると思います。
 ポイントは、情報の共有化と双方向のやりとりです。そして、年金情報の蓄積です。現在はいい方向に進んでいるものと思われます。例えば双方向のやりとりですけれども、国民年金は一号、二号、三号という種別がございますけれども、その種別が変わった場合、種別確認をインターネットなどで社会保険庁に確認するなど、被保険者からの参加型というのもいいのではないかというふうに思います。
 次に、保険料の収納に関することです。
 収納対策以前の課題としまして、年金を理解していただき、気持ちよく保険料を払っていただくということがまず大前提になるのではないでしょうか。既に述べたように、サービスの向上が被保険者に実感してもらえないとなかなか前に進まないのですが、ねんきん定期便の導入を中心に、その準備は整いつつあると思われます。
 本格的な改革が実施され、その成果が出てくるのは二年後、三年後であって、どうしても世間的に注目を集めている時期とその成果があらわれてくる時期というのはギャップが生じてしまうかと思います。実際には確実によくなっていると思われるのですけれども、このギャップだけはいたし方ないものですので、国民の皆様に年金に関心を持ち続けてもらうということしかないのではないでしょうか。
 もちろん、年金制度に関する理解をしていただくための方策とともに、納付しやすい環境づくりも重要なものです。納付しやすい環境としては、口座振替の推進とともに、口座振替割引の導入、コンビニ納付の導入、インターネット納付の導入、そして今年度からはクレジットカード納付の導入と、納付できる環境としては整備された状況にあるのではないでしょうか。いわば、仕組みはでき上がったというような状況です。
 一方、給与から天引きできる被保険者に関しましては、事業主との連携を強めること、また市町村の国民健康保険との連携、保険医療機関、介護サービス事業者等関係団体からの納付推奨など、実施予定も含めて、連携の強化が図られる必要があるわけです。
 また、納付状況がよくないという要因を明らかにすべきですが、現在のところ、若年者の納付率が他年齢層に比べて低いことは明らかです。長期的には、広報、年金教育などに力を入れることが重要だと思われます。特に、中高生、大学生などには、自分の親やおじいちゃん、おばあちゃんなどの生活の基本となる年金の役割を理解していただくということが非常に必要だというふうに言えます。
 最後に、どうしても納付しない、したくないという層が発生するものです。これら未納を確信しているような層に対しましては、強制徴収の実施に当たるというのは当然のことです。
 強制徴収の実施に当たりましては、まずは日本年金機構に権限を与えて努力を尽くしていただく、そしてその上で、徴収が難しい特に悪質なケースは、経験とノウハウを持つ国税庁に委託するという政府案は、公平性の確保につながるとともに、役割分担による効率化を図ることが可能になるというふうにも思っております。
 保険料と税金の違いでございますが、社会保険である年金や医療保険は、サービスの内容が明確でわかりやすいものです。そして、その費用として保険料があるわけですから、サービスの内容と質が納得できるものであれば、一部を除き、ほとんどの被保険者は保険料の支払いを納得すると思われます。
 重要なのは、費用負担とサービスの内容が納得できるような形で感じ取れるかどうかということです。サービスによる便益と費用負担の一致を行うことによって、サービスの効率化と質の確保がこれほど明確にできる事業体系はないというふうに思います。公平かつ効率的な、被保険者に満足してもらえるサービスの提供には、保険料の徴収とサービスの提供という一体的な運用は不可欠なものというふうに思われます。保険料の徴収とサービスの提供主体が分離することによって、総合的なサービス提供にはつながらないというふうに思われます。
 次に、非公務員による新組織の運営に関してでございます。
 これまでの改革は公務員である社会保険庁の手によって進められてきたわけですが、今回の政府案によれば、最終的な責任は保険者として政府が責任を持つが、公法人として非公務員が職務に当たる案ということになっております。
 年金に関するサービスに関して、仕組みとしては一定方向にでき上がりつつあるというふうに思われるのですが、実際に現場の対応はどうかということは、これからも改善の余地はあるかと思われます。
 新組織の職員が被保険者に常に目を向け続けるためには、民間組織で、非公務員で当たるということが重要なことだと思われます。そのため、組織を一新することは有効なものだと思います。そして、被保険者にとって、サービス満足の向上につなげることのできる民間のノウハウを導入することができるというふうに思います。
 ただ、年金制度は長期にわたる非常に重要なものであることから、安定性という側面ももちろん重視していただきたいと思います。そのためにも、年金実務に詳しい現社会保険庁のやる気のある職員が当たるべきであろうかとも思います。
 私としては、大切なことは、被保険者との間に情報の共有化を図り、双方向のやりとりができることだと思います。平成二十年度から始まるねんきん定期便が、その中心になるのではないかというふうに思われます。
 以上をもちまして、私の意見の陳述を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○櫻田委員長 ありがとうございました。
 次に、谷澤参考人にお願いいたします。
○谷澤参考人 皆様、おはようございます。
 私は、約四十年間弁護士をやってきまして、現在は国民年金にかかわる相談を約三百五十件以上承っております。その方々は、みんな現在の社保庁のあり方に怒っています、泣いています。こんな不正義なことが行われていいのかと思って泣いています。
 きょう、社保庁の方が来られているかどうか知りません。知りませんが、来られていたとしたら、少々私がきついことを言ってもお許しください。
 日本では古来、恥の文化というのがあります。他人様に恥をかくような行動をするな、恥をかくような言動をするな、これはもう先生方も御存じのように、日本古来の恥の文化であります。
 ところが、私の見るところ、社保庁の長官以下幹部諸氏は、この恥の文化を心得ていないようであります。現在、社保庁のやっていること、恥ずかしい限りではありませんか。少々言葉がきついのはお許しください。恥ずかしいではありませんか。あなた方は、こんなことをして、国民を痛めつけて、それで正しいことをしているとお考えなんですか。
 その具体例を幾つか述べます。
 まず第一、恥のその一。年金に関して、現在、宙に浮いている情報が五千万件あると言われております。五千万件ですよ。加入者は何人ですか。その宙に浮いている情報は、だれの情報なんですか、どんな内容の情報なんですか。社会保険庁は一切回答しないじゃありませんか。新聞報道によれば、調査すら拒否しているじゃありませんか。これが正しいことですか。社会保険庁の人がおったら、本当に反省してください。恥ずかしいことではないんですか。
 現在、年金を受給している人は約三千万人と言います。宙に浮いた情報五千万件と年金を受給している三千万人はダブりますか、ダブりませんか、それすら明らかにしない。年金が支給されなくて困っているという人は二万人だと言われています。その内容も明らかにしない。明らかにすると社保庁が困るからでしょうか。
 なお、私が大阪の社保庁の職員に聞いたところでは、実際に支給されない数字はこの二十倍ぐらい、少なくとも四十万件はあるだろうと社保庁の職員そのものが言っているんですよ。なぜこれを明らかにしないんですか。これが私の考える恥ずべきことの第一であります。
 恥ずべきことの第二。先生方、国民年金法案を見てください。皆さん方から掛金を集めて、それをある一定年齢に達したら支給して、楽しい老後を送ってもらうときれいごとを書いているはずです。そのとおりなっていないじゃないですか。それでいいんですか。そして、社保庁の方は、口を開けば、相談に来たらいいと。相談に来たら、領収書を出せと言うんです。領収書がなければだめだと言うんです。これでいいんですか。
 皆さん、銀行の場合を考えてください。預金通帳にお金の出し入れが全部書いてある。預金通帳がなくなっても再発行可能なんです。社保庁はどうしてそれほどきっちりした組織ができないんですか。これが私の言う社保庁の恥の第二弾であります。
 第三弾。いや、谷澤君、社保庁はそんなことはない、社保庁のデータはしっかりしていると言う人のために、これほどずさんなことをやっているという内容を明らかにします。
 本日、お手元に行っていると思いますが、私の提出した資料の八の一、Aさんの欄を見てください。
 このAさんというのは、現在も年金を受給しておりますが、昭和二十四年から二十五年にかけて厚生年金を払っていないと言われたんです。本人は払ったと言ったけれども、社保庁は絶対に認めない。ところが、Aさんは引っ越しの際に、勤めていた会社の給与明細表が出てきました。それによると、昭和二十四年から二十五年、この人は運送会社で給料をもらって、厚生年金を天引きされているという資料が出てきたんです。ところが、社保庁はこれも認めない。
 それで、Aさんは明石から大阪まで、十三だったと記憶していますが、事業所を全部一人で、悪い体のもとで走り回ったんです。そうしたら、西宮で、Aさんと同姓同名の人で厚生年金を払うているという人が出てきたんです。その厚生年金を払うている人は本当にいるかいないかというたら、いなかったんです。だから、これはAさんやろうということになったんです。ここまでいけば、何ぼいいかげんな社保庁でも認めると思いますでしょう。先生方、それが浅はかです、社保庁はなおかつ認めないんです。
 それで、Aさんはやむなく再審査請求を起こしました。再審査請求を起こして、認められたんです。社保庁が自分のところの再審査請求で認めて、これで年金を払うてくれると思うでしょう。この人ら、まだ払うてくれへんのです。何やというたら、おまえの年金受給権は時効にかかった、五年の時効にかかった。
 先生、お笑いになっていますけれども、こんなひどいことをやっているんですよ。私が怒るのも無理ないでしょう。こんなことをしていて、社保庁、本当にいいんですか。自分たちが間違っていたら、間違えました、済みませんでした、あなたの分を払わせてくださいというのが人間ですよ。これをしないのは恥のその三であります。
 恥の四。余り言いたくありませんが、自分のことについて述べます。
 これは、資料で、前の方で資料七まででつけている分でありますが、私は、大学卒業と同時に、昭和三十九年三月一日、国民年金に加入して、ずうっと金を払うてきました。
 ところが、昨年、調べに行ったら、昭和三十九年から昭和五十年四月まで十一年間、年金未払いだと言われたんです。そんなことはないと言っても、領収書を持ってこいの一点張りです。私の領収書は、全部小豆島にあるおやじの家の倉庫に入れていたんです。その家が公共事業で買収になって、家をつぶしたんです。そのときに散逸したんです。何ぼ言ってもだめですわ。年金払うたんやったら領収書持ってこいと。私に言わせたら、領収書持ってこいと言う前に、おまえらの方で受け取ったか受け取らへんか資料を出せというのが先ですわ。彼らにはその心もない。
 ところが、私は腹を立てて、私も審査請求をすることに決めて、そうしたら、一つ資料が出てきたんです。それは、私が未納だと言われている昭和四十九年一月一日から昭和五十年の三月末日までの分の、納付しろという請求書が出てきたんです。しかも、その請求書は奈良市役所から来ているんです。私はその当時奈良に住んでいないんです。住んでいないところから何で年金請求書が来るの。私はお金を払っていますから、おかしい、これ調べてくれといって文句を言いに行きましたら、調べた結果、ああ、谷澤さん、払うてました、間違うてました、それはもう納めなくていいと言われたんです。
 私はそれで決着ついていると思っていたんです。それが、今になったら、五十年まで払うてへん、こうですよ。二枚舌もいいかげんにしなさいなといって、私は自分のことでも怒っています。現在、再審査請求をして、きょうの午後、私の意見陳述があります。それがきかなかったら、私は裁判を起こします。
 事ほどさように、現在の社会保険庁のあり方はでたらめであります。これ以外に皆さん方が私に証拠を出せというなら、たくさんあります。きょうも持ってきています。私、このファイルに八十何件、その全部の皆さんの経過も資料関係もそろえています。そんな時間がないから遠慮しますが、事ほどさように、社会保険庁のあり方はずさんなんです。恥知らずなんです。それを僕は先生方にわかってほしい。私に相談をした三百五十人余りの国民年金加入者の怒りをわかってほしい。それを踏まえた上で、どうするか、先生方の英知を集めていただきたいと願っております。
 それで、私の解決策を申し上げます。それは、立証責任の転換であります。
 年金加入者に三十年も四十年も前の領収書を出せというのが酷です。加入者から事情を聞いて、どういう事情でお金を払うたんや、どういう事情で領収書がないんやという事情を聞いて、一応納得すれば、それで加入者の疎明、証明と言いません、簡単な、証明よりも格段に程度の低いもので加入者の意見を認めましょう。そして、この加入者はお金を払うてへんというのは、社会保険庁、あなたが証明しなさい。おまえは破産かかっていて金払うてへんやろ、夜逃げしてかかっていて金払うてないやろ、民事再生かかって金払うてないやろ、そういうことは社会保険庁が証明してください。証明できない限りは年金加入者の利益と判断をします。これが立証責任の転換であります。
 そうすると、先生方の中から、谷澤君、おまえは奇想天外なことを言うなという意見があるかもしれませんが、そんなことはありません。この立証責任の転換というのは、法律上、裁判所で既に認められているんです。
 医療事件、皆さん考えてください。密室の中で行われます、患者さんは麻酔を打たれています、医者がどんな間違いをしたかなんということは言えるわけがないんです。それで、現在の判例では、どうもお医者さんがやっていたことがおかしいな、腑に落ちぬなということまで患者が言えば、それで十分であると。あとは、医者の側で、私のやったことは完全である、ミスがないと言わない限り医者の責任を認めるというのが立証責任の転換であります。これをしてもらったら、現在問題になっている人の八割、九割は助かります。助けてあげてください。
 困っている人は、審査請求するのに私はお金を取りません、無報酬なんです。だけれども、社会保険労務士の方に済まぬが一万円払うてくれよと言ったら、その一万円がないんです。皆さん、そんな生活わかりますか。再審査請求で社保庁は簡単に呼び出します。私はきょう自分のお金で出てきました。だけれども、東京まで出てくるお金がないんです。そんな困っている人らを助けなくして何が国会ですか。これが私の意見であります。
 それで、最後に、先ほど来他の参考人からの意見が出てきましたが、私としては余りになま過ぎると思っています。
 まず、改革というのは、先生方が相談して、英知を絞っての改革はよろしい。だけれども、改革というのは、今やっている何がおかしいかということを完全にわかった上での改革じゃないんですか。わからずして何を改革するんですか。先ほどもいろいろ言っていました。今度新しい三法になって、いろいろええことばかり書いてある。だから、先生方に言うんです、今の国民年金法案読んでください、ええこと書いていますよ、ええこと書いているのに何でできないの。何でできていないんですか、こんな問題起きて。それは何かといったら、今起こっている問題を完全に把握しなければいけない。どうなっているのか、どうしてこんなにたくさんの人が困っているのか、そういうことを明らかにしなければ改革なんてあり得ないですよ。
 だから、私は、改革されるのも結構ですが、本日の委員長並びに先生方には、今困っている人を助けてください、この人らを何とかしてください、この人らをほったらかしにして改革なんてしてもらったら困りますということを申し上げて、私の意見陳述といたします。
 少々激しいことを述べましたが、お許しいただきますように。ありがとうございました。(拍手)
○櫻田委員長 ありがとうございました。
 次に、公文参考人にお願いいたします。
○公文参考人 公文でございます。
 本日提案されている日本年金機構法案及び国民年金法等の一部改正案を中心にしながら、若干御意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 言うまでもないことですけれども、既に日本の年金は、皆さんも御承知のとおり、形としては国民皆年金の体裁を整えております。したがって、年金制度の整備、改善についての法改正は、常に、年金を受けている人たち、年金に加入している人、いわばすべての国民の今そして将来の生活そのものがよくなるか悪くなるかということを判断の基準にすべきだと考えています。
 そこで、私は、いささか年金問題を研究してきた者の一人という立場と、この十数年間私自身が年金生活を送ってきているという生活の現実から、この法律案に対する意見を述べてみたいと思います。時間もありませんので、主として政府・与党の皆さん方が提案をしている日本年金機構法案及び国民年金法等の一部改正案への意見が中心になることをお断り申し上げておきます。
 そこで、まず全体像といいますか総論的な意見を申し上げてみたいと思います。
 与党提案の二つの法律と、本日の案件とはなっていませんけれども同じように今国会に別途提案をされている厚生年金と共済年金の一元化法案、この法案も含めまして言えることですけれども、いずれも今国民が最も強く望んでいる本格的かつ緊急の年金改革が置き去りにされているということに対して、少し不安を感じます。
 いろいろな世論調査でも明らかにされているように、年金制度に対する多くの国民の不安や不満、そこから生まれてくる公的年金への不信感は、負担はふえる一方なのに年金額はさっぱり上がらない、これでは、老後や残された遺族、障害を持った人たちの生活はとてもじゃないがやっていけないということに尽きると思います。特に、これはもう皆さん方御承知のとおりですが、二〇〇四年の年金改正がその不安や不信を加速させていると私は思っております。ここから、常々言われている制度空洞化という深刻な事態が社会問題化してきていると思います。
 今回の二法案に添付された参考資料の中でも、そうした深刻な現実が読み取れます。私、ここに資料をいただいているわけなんですが、この参考資料の百十六ページに公的年金制度全体の納付状況という一覧表があります。一号被保険者の保険料未納者、滞納者という表現もとられていますけれども、これが三百七十四万人、未加入者が二十七万人、合わせて四百一万と記載されています。未加入者二十七万人も、実際は、届け出漏れなど制度上の不備がもたらしている非加入者という数としてここには明示されていますが、九十万人です、百二十八ページに載っています。
 なぜ加入しないのかという理由については、資料の百三十ページに記載されています。数からいっても、事の重要性からいっても、未納の理由の調査が大切だと思うのですけれども、どういうわけかここには示されていません。私が知る範囲では、九九年度の国民年金被保険者実態調査で、未納の理由、滞納の理由の六二・四%の方々が、経済的に支払いが困難と答えており、信用できないからとにかく金を払わないんだという方が一二・二%、これは公的年金に対する不信感だと思いますけれども、そういう大変深刻な実態が報告されていました。現時点での未納の理由、滞納の理由について現実を把握する意味でも、ぜひ委員の皆さんからも御指導いただいて、発表していただけるようにしていただけると大変ありがたいなと思っています。
 今回の資料の未加入の理由でも、加入したくないという方が約半数の四九・八%。しかも、全体の二三%の人が、保険料が高くて経済的に困難だから加入しないんだというふうに答えていらっしゃいます。さらにまた、保険料に比べてもらえる年金が少ない、資格期間が二十五年を満たしそうもない、そういった制度の不備の問題に対する不満も加えますと、未加入者の三人に一人が制度の不備を訴えているということがわかります。
 未納者の三百七十四万人も、注にありますように、実際には二年間全く保険料が支払われなかった人の数であって、今の納入率、御承知のとおり六七%ですが、これを単年度分として計算をしてみますと六百万人になります。つまり、滞納せざるを得ない、未納の状態になっている方々が六百万人。
 こうした保険料の高さに対して、年金額はどうなのか。資料では、国民年金の平均的年金額を五・八万円と明示しておりますけれども、実際には、老齢基礎年金だけの受給者が約九百万人いらっしゃいますが、その方々の平均年金額で見ると四・六万円にすぎません。未納、未加入以外の免除者が、学生の猶予者まで含めると三百二十八万人。全部合わせた、保険料の払えない、払わないという人たちの総数は、この政府が出している資料でも、単年度で一千万人を超えるという推計が成り立ちます。表現はよくないんですけれども、まさに年金難民の滞留が極めて深刻な形で進行しているとしか私は考えられないわけです。
 問題はそれだけにとどまらない。働く人たちの雇用不安、それから、低い賃金、収入額からワーキングプアと呼ばれている人たちがふえて、若い人たちを中心に非正規短時間労働者が既に一千五百万人を超えるという現実があります。この中の相当数の皆さん方が厚生年金にも健康保険にも加入していないということで、制度空洞化はすべての分野に広がっているとしか言いようがありません。この制度空洞化に今すぐ歯どめをかけて解決することこそ年金改革の緊急課題だと私は考えます。
 そのために、数年前から、民主党の皆さん方を初め共産党、社民党さんなど野党のすべての方々が、普遍的公平、平等の最低を保障する部分については、全額税金、国庫負担で賄う最低保障年金制度のようなものをつくるべきだという主張をなさっています。私も全く賛成です。そういう正当な政策提言を、一日も早く制度の立法化をするように急いでほしいと願っております。
 部分的な制度いじりは二の次、三の次だというのが私の総論的意見です。したがって、今出されている政府提案二法につきましては、今国会での成立はぜひ見送っていただいて、再検討をお願いしたいと思います。
 さて、具体的な中身について幾つか御意見を申し上げてみたいと思います。
 まず、日本年金機構法案ですけれども、この具体的な中身は大体三つの点で要約できるのかなというふうに感じました。
 すなわち、一つは、社会保険庁を廃止して非公務員型の公法人を設置する、そして年金事業をそこで行う。二つ目が、可能な限り年金業務を民間企業に委託する。それから三番目が、悪質な年金保険料の滞納者に対する滞納処分は国税庁に委任するという大きな三つの柱で組み立てられているように思います。特に二番目と三番目に重点が置かれているというふうにうかがうことができます。
 言うまでもないことなんですが、全国民の老後、遺族、障害に対する国家的保障の制度として公的年金制度があることは言うまでもありません。それを保障し義務づける理念として憲法二十五条の規定があることも明白です。
 釈迦に説法ですけれども、日本の社会保障に関する法律の中で、前文または基本的な部分で、日本国憲法二十五条の規定に基づいて運営をしていく、あるいは中身を組み立てていくということを明言している法律は二つしかありません。もうちょっとあるかもしれませんが、私が知る限りでは生活保護法と国民年金保険法だけです。
 したがって、憲法二十五条が意味する、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利と、それから、それを保障し発展させる義務が国や地方自治体にある。このことがやはり年金でも基本に据えられるべきだろうと思います。それを事実上、表現も余り適切でないかもしれませんが、分割・民営化するという法案の建前自体、本来あるべき国の責任と義務を投げ捨てるものであって、二十五条の理念に反するものとして、到底納得できるものではありません。
 新たに設立される年金新法人は、適用、徴収、給付、記録管理などを複数の民間企業に委託するとしています。言うまでもないことですが、今の年金制度は他の社会保険と違って、中長期的計画性と記録管理の継続性、信頼性が極めて重視されなければ運営できないような仕組みになっています。だから、内容、信憑性はともかくとして、与党自身も百年の安心などという表現をお使いになっているんだろうと思うんです。
 ところが、今回の民間委託では、契約期間は長くて三年から五年、そして経営者の交代、あるいは民間企業ですから倒産、破産といった事態も当然起きてくるでしょう。そういう実態の中から制度への理解や習熟度の安定的継続は保てないということになるんじゃないでしょうか。その結果として、給付漏れ、保険料の記載漏れなど、常々言われている重大な事故が発生しかねないという懸念があります。
 私たち国民にとって最も関心が強いのは、民間委託になったら、先ほど谷澤先生も言っておられましたけれども、サービスの向上や、負担や給付の安全が保障されるのか、よりよい制度になるだろうかということだと思います。
 五月十七日の朝日新聞では、「民間委託、コスト優先に課題も」という見出しで、二〇〇五年秋から東京、大阪など五都府県で行われた保険料未納督促の民間委託の実態が報じられております。それによると、委託を受けた民間会社は、遠隔地や長期滞納者などコストのかかる人たちへの督促はしない、手間のかかる戸別訪問などは全然やらない、せいぜい電話や文書を出すだけで、全く成果が上がっていないと報じています。この点について、民間会社の側は、コストをかけてもやらねばならない部分は公の役割だろうというふうに言っております。
 また、最近の民間大企業の不祥事も、民間委託による私たちの不安をかき立てます。最近、国会でも、生保協会、損保協会の会長さんがお出になって、不払いに対する問題について頭を下げていますけれども、頭を下げれば済むという問題じゃないと思います。とにかく経営コスト主義あるいは競争原理、そして利潤追求を経営理念とせざるを得ない民間大企業に国家的社会保障の業務をゆだねること自体、無理があるというふうに言わざるを得ません。
 次に、よく御承知のとおり、この数年間でさえ民間企業の不祥事は後を絶たないという実態、今申し上げたとおりですが、現社会保険庁長官の村瀬清司氏の出身会社である損保ジャパンも、不払いなど不祥事が指摘されています。その手法をそのまま社会保険庁に持ち込んだ結果、納付率向上のためのごまかしが明るみに出ている、これは皆さん御承知のとおりです。
 公務員、社会保険庁職員の不祥事というだけでは片づかない、根深い官僚的体質、政治主導の構造的不祥事こそ徹底的に究明をして、真剣な再発防止策の確立を優先すべきではないかと思っております。
 この不祥事の問題につきましても、先鞭を切ったのは、皆さん御承知のとおり、大型保養基地グリーンピア事件や、自主運用規制緩和で年金福祉事業団が株で大赤字を出した、そういった構造的な不祥事があります。
 それと、最近は、私ども率直に申し上げて、長年にわたる官僚支配のもとで生まれた一部の職員の倫理観の欠如や不祥事などを十把一からげで論じて、だから民営化だという世論誘導は余りにも短絡的であるというふうに考えざるを得ません。しかも、これらの不祥事を盾にとって公務員労働者一万人の首を切るなどということは、絶対に許されていいことではないと思います。まさに国家権力をかさに着た恫喝的な公務員減らし、これは年金制度の一層の不安定を助長するものであり、到底許されません。
 さらに、民間委託による個人情報の管理の不安定化にも大きな心配があります。法律では、委託を受けた企業には秘密保持義務を課すなどと言っておりますけれども、本当にそんなことが可能なのか。憲法または公務員法で厳しい規制のある官庁の中でさえ、機密漏えい問題が最近あからさまになってきています。防衛省問題などもそのたぐいだろうと思います。個人情報の流出、新たな利益誘導の温床が生まれるなどの懸念がこの法案では深まるばかりだと言わざるを得ません。
 さらに、この分割・民営化とあわせて、国民年金法等の一部改正案では、国民年金の保険料滞納者に、全く別個の法律であり目的も異なる医療保険へペナルティーを科すということが決められようとしております。すなわち、年金保険料を滞納したら国民健康保険の保険証を取り上げる、短期被保険者証を出すということになるわけなんですけれども、きのうもテレビ朝日のTVタックルというところでこの問題が取り上げられておりましたけれども、大変深刻な問題が提起されております。
 周知のように、資格証明書は、病気になりましたら、治療を受けるときにまず医療費の全額を窓口で払うということになっています。こういう制裁措置そのものが問題なんですけれども、生活が苦しくて保険料の払えない人がどうして医療費の全額が窓口で払えるのか、こういう矛盾した制度なんですが、今度は、国民健康保険料を払っていても年金保険料を滞納したら短期被保険者証を発行するという制裁を行うというのですから、お話になりません。そうした被害を受ける人が二百万人にも達するという推計もなされております。
 あわせて、こうした制裁措置を社会保険労務士にも科すというのも大きな問題だと思っております。この社会保険労務士に対する制裁措置は、滞納した場合に登録を取り消すだとか、事実上の社会保険労務士の資格取り上げという大変恫喝的な制裁措置の提起をしている。
 なぜこの社会保険労務士だけが殊さら取り上げられているのかということも、何となくうさん臭い感じがいたします。社会保険労務士の皆さん方も、実態としては、ほとんどの方が生活の苦しい中で保険料を払っていらっしゃるという実態が明らかになっているのに、わざわざこの社会保険労務士に対してペナルティーを科す、召使のように思っているんじゃないかなとさえ感じます。
 とにかく、この制裁措置については、医療保険といい、社会保険労務士に対する制裁措置の提起といい、隣の芝生が気になるからというので塀のすき間から除草剤を勝手に散布するようなことであって、到底認めるわけにはいきません。
 最後に、一時的、便宜的に行ってきた事務費を保険料から流用する制度を恒久化するということは、大問題です。国家的年金制度の事務費は当然全額国の負担にして、保険料は給付のみに使用するという常識を復活させることを考えるのが当然ではないかというふうに思います。
 大変大ざっぱですが、私の意見といたします。(拍手)
○櫻田委員長 ありがとうございました。
 次に、渡部参考人にお願いいたします。
○渡部参考人 御紹介いただきました渡部記安でございます。本日は、よき機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 社会保険庁改革関連法案を具体的に審議されている当委員会の先生方に対して、社会保障政策、特に公私年金政策の国際比較研究を専攻する学者として、関連する世界動向に関して若干の参考意見を申し上げます。若干言葉が過ぎる場合には、我が国の現行体制の世界的な異常性に起因するものとして、よろしく御了承くださいませ。
 私は、三月までのこの一年間、非欧米人第一号の客員研究員として、ILOと密接な関連がありますISSA、社会保障担当官庁国際研究機構ジュネーブ本部で、ISSAやILOの諸先生と、保険料徴収問題を含む世界の公私年金政策を具体的に研究してまいりました。
 一、本質的課題。
 当委員会における今般の本質的問題は、超高齢、超少子の二十一世紀社会を迎えた日本国においてどのような社会保障制度を構築すべきであろうかという課題であります。
 我が国は、国連に対して米国に次ぐ拠出金を負担する国家として、その関連機関であるILOやISSAの関連する研究成果や最新動向を十分有効活用すれば、世界的にも強く批判される不祥事の続発する社会保険庁改革に関しても、我が国が採用すべき具体的改善策がおのずから明確になります。
 しかしながら、残念ながら、提出されている諸法案はこのような世界的動向に反しており、社会保険庁をめぐる我が国の実態をさらに悪化させる可能性が非常に強いと危惧しております。
 そこで、私は、最新の世界動向を紹介しながら、我が国が採用すべき主要な具体的対策を提言したいと思います。
 二、公的年金制度ガバナンス確立の重要性。
 ILOが二十世紀に出版しました画期的な二十一世紀公私年金政策に関する大著、「ソーシャル・セキュリティー・ペンションズ ディベロップメント・アンド・リフォーム」において、コラン・ギリオン社会保障局長は、公的年金制度の運営管理問題の改革はアクチュアリー的年金数理的改革よりも重要であると明確に喝破しています。要するに、年金制度ガバナンスの確立、すなわち公的年金制度の運営管理における公平性、効率性、透明性の確立こそが年金数理的改革よりも重要であると明言しております。
 私はコラン・ギリオン長官を二回東京にお呼びし、国際年金セミナーも開催しております。そして、私は唯一の日本人として日本の論文をここに書かせていただきましたが、その一本は保険料未納問題であります。
 超高齢、超少子の我が国政府の社会保障政策は、高騰する経費節減の観点からも年金制度ガバナンスの確立が急務であるにもかかわらず、この年金制度ガバナンス確立を非常に軽視ないし無視してきたのが実態であり、現在国民から強い批判を受けている保険料徴収率の低下や種々の不祥事は、このような背景から必然的に発生した一事例にすぎません。
 公的年金制度ガバナンスは、A、保険料徴収問題と、B、記録保存、給付支給、責任準備金管理などの徴収以外の運営管理問題に分類され、世界の社会保障制度史を概観すれば、保険料徴収問題が最大のガバナンス課題となっております。
 三、保険料徴収問題。
 強制加入である公的年金制度の主要目的は、ILOも明確に指摘しておりますように、保険料負担を回避または削減しようとする労使双方の非常に強い近視眼的かつ不合理な欲求を抜本的に是正し、国民である加入者に社会的連帯性と所得再分配に基づく予測可能性高き妥当な給付を皆年金的かつ安定的に提供することであります。この保険料拠出義務問題は、皆年金制度の不可欠な財政的基盤を構築すると同時に、年金制度そのものの公平性、効率性、透明性に対する国民的信頼の鋭敏な尺度でもあります。
 しかし、他の先進諸国はこの基本的課題をほとんど克服しており、ISSAが世界で初めて実施した一九九三年の社会保障制度ガバナンス実態調査においても、保険料徴収問題は実質的に発展途上諸国の課題であり、先進諸国ではギリシャと日本だけが問題としておるにすぎません。要するに、我が国のガバナンス実態は国際的にも非常に見劣りする状況にあります。
 四、徴収体制の世界的実態。
 社会保険料の徴収体制は、配付いたしました資料末尾の統計にありますように、世界的に、A、一元化制度、B、準一元化制度、C、分散化制度に三分類されます。
 社会保障制度発展の歴史を展望すれば、社会保障創設の初期においては、国税当局の関連情報量や徴収能力も不十分であり、かつ、税金と保険料の相違が過度に強調され過ぎたため、まず個々の社会保障制度の担当官庁が個別的にばらばらに徴収する分散化制度が発生しました。
 しかし、この分散化制度は、現時点では最も非効率なおくれた制度と世界的に評価されており、採用する国は急速に減少して、ドイツ、フランス、日本程度であります。ただし、ドイツとフランスは、医療保険制度担当機構が年金保険料も医療保険料などと一括徴収する体制を採用しているため非常に効率的となっております。このため、現時点では、この非効率な分散化制度を継続して採用している国は日本とルーマニアだけである世界的実態にあります。
 次に、社会保障制度の運営管理における公平性、効率性、透明性が非常に重視される時代になるに伴い、年金のみならず医療や労災などを含むすべての社会保障制度の運営管理を統括して一元的に運営管理する社会保障庁が創設され、その社会保障庁がすべての社会保険料も一括徴収する準一元化制度が登場してきました。
 現在、アフリカなどの発展途上諸国がこれを採用しており、かなり効率的ではありますが、次に述べる一元化制度には当然劣ります。また、中東欧の共産主義からの経済移行諸国においては、共産主義時代に国税庁が国民の権利を違法に侵害したことに対する国民の国税庁に対する反感が非常に強いため、やはり準一元化採用国が多い実態にあります。
 最後に登場したのが、国税当局による税金と社会保険料の一元的徴収体制の一元化制度であり、米国を中心に世界ほとんどの先進諸国が採用する非常に効率的な制度となっております。
 その理論的根拠は、社会的連帯性と所得再分配の観点から国家が国民の意思のいかんを問わず強制的に徴収し必要不可欠な国家制度の財源に充当する点では、税金も社会保険料も実質的差異がない点にあります。実務的には、国税当局の収益活動、納税実態の監視能力、豊富な関連情報の保有能力、効率的な徴収体制などが非常に充実してきたため、その効率的有効活用が期待されるためであります。
 このため、スウェーデンは一九八五年に、英国は一九九八年に準一元化制度から一元化制度に転換し、現在ではほとんどの先進国が採用する最も効率的な徴収体制となっております。政府・与党法案が採用する公法人かつ非公務員型組織に非常に類似した制度を採用してきた韓国も、二〇〇九年から世界的大勢であるこの一元化制度に移行予定であります。
 なお、政府・与党が非常に注目している保険料徴収体制の民営化は、本質的に大変非効率な制度として世界的にも評価が定着しており、実質的にも年金制度自体を民営化した国以外で徴収体制を民営化している国は皆無であり、社会保障制度においては民営化は決して万能ではない実態を特に指摘したいと思います。
 要するに、我が国は、世界的潮流である国税庁による税金と保険料の一元的徴収体制をまず導入すべきであります。もちろん、加入者や受給権者と直接に接触する社会保険事務所の相談機能や情報提供機能などは、各国とも民営化を積極的に導入して高い成果を得ているため、我が国での効率的民営化も大いに期待可能であります。
 我が国の社会保険事務所のように、幾ら相談のために国民が来ておっても昼休みになったら事務をやめるような組織は、私、世界をかなり調査しておりますが、日本だけであります。
 五、社会保険庁の解体細分化。
 従来の社会保障政策は、年金制度や医療保険制度ごとに当該制度の運営管理機構が創設時ベースでばらばらに分担してきました。
 しかし、その後は、社会保障制度の公平化、効率化、透明化を求めて、年金も医療も介護も労災も、すべての社会保障制度に関して保険料徴収以外の運営管理を統括的、一元的に運営管理する社会保障庁を創設して対処しているのが、米国を初めとする世界的潮流であります。
 このため、社会保険庁を解体し年金や医療制度ごとに運営管理を細分化する法案は、世界的潮流に完全に背反する非常に非効率的な政策であり、決して導入すべきではありません。
 そのかわりに、保険料徴収以外の運営管理を行う少数精鋭の公法人かつ公務員型の社会保障庁を創設し、保険料徴収以外の管理運営を統括的、一元的に担当し、米国やスウェーデンのように、ますます複雑化する社会保障制度の公平化、効率化、透明化を推進すべきであります。もちろん、核心的部分以外の民営化は可能であります。
 なお、民主党案のように、保険料徴収以外の運営管理までも国税当局に一元化することは、ますます複雑化する社会保障制度の実態を無視するものであり、逆に非常に非効率化する可能性が強く、導入すべきではなく、米国もスウェーデンもそのような政策は導入しておりません。
 次に、社会保障庁創設による社会保障制度の公平化、効率化、透明化推進のためには、従来の官僚主導の体制では非常に不備であった実態を政府は謙虚に反省すべきであります。虚偽の納付率策定のために手段を選ばぬ緩み切った執務態度などは、世界の専門家も驚きあきれており、このような業務執行の非効率と執務規律の乱れの強さには、社会保険庁幹部のみならず労働組合幹部の責任も追及されなければならず、不誠実、非効率な職員の解雇や降格などは、世界的に見てもやむを得ない状況と判断されます。
 なお、ISSAやILOも強調するように、新設する社会保障庁の経営会議には、官僚以外に、加入者代表として労組、消費者団体、高齢者団体の幹部と、保険料負担者代表として経営者団体の幹部の三者構成を導入すべきであります。さらに、長官以下の経営幹部には有能な民間企業経営幹部を積極的に投入するとともに、有能でかつ強い権限を有する内部監査体制と外部監査体制を導入すべきであります。
 六、ポリティカルリスクの排除。
 歴史を展望すれば明白なように、社会保障制度、特に公的年金責任準備金を官僚などが乱用し流用、消費するポリティカルリスクは密接不可分の関係にあり、ILOやその他の先進諸国はその廃絶に早くから大変努力してきました。
 このため、米国初め他の先進諸国は、保険料を含む責任準備金は年金給付支給のみに使用すべしとの強い法規範を制定し、賦課主義の徹底と、余裕が生じた場合にも行政事務費への流用や金融市場への投資は厳禁してきたのが世界的実態であります。アメリカでも、アメリカ連邦債以外への投資は厳禁しております。
 この意味では、我が国の責任準備金をめぐる現状は発展途上国でも余り類を見ない嘆かわしい実態にあり、ポリティカルリスク排除のために、賦課主義の徹底、行政事務費への流用厳禁、金融市場での運用厳禁を厳格に法制化すべきであります。
 なお、ISSAが一九九六年に実施した第二次社会保障制度ガバナンス実態調査に対しては、主要先進国の中で唯一我が国は回答していないにもかかわらず、近々開催されるISSAの年金資産運用会議には、金融機関への天下り、元年金官僚までも含み多数の代表を派遣するのは何事でありましょうか。だれのための社会保障政策、年金政策でありましょうか。年金官僚の天下りが放任されている実態を即刻厳禁すべきであります。
 単にこれは理論だけではなくて、私は、大学卒業時点で国家公務員上級試験法律職甲も通りまして、以前の文部省にも内定したわけですが、金融機関に進み、勤続三十年で早期退職し大学の教員になっているものであります。このため私は、日本の金融機関のよさもよく知っておりますが、また悪い点もよく知っております。とにかく、責任準備金に絡む利権は根絶すべきであります。
 我が国政府の政策能力の不十分さのために、我が国の国民は不必要な苦痛を要求されています。情報化時代の現在、年金受給も、申請主義を廃絶し、政府からの受給開始連絡主義に抜本改革すべきであります。アメリカもスウェーデンもそのような制度を採用しております。
 七、年金一元化。
 保険料拠出回避問題は、富める者も貧しい者も同一負担、同一給付という公的年金制度における社会的連帯性と所得再分配の機能を無視した現行の国民年金制度、基礎年金制度の不十分な制度内容にも起因しております。現実に、国民年金未納者の多数は金融機関と個人年金契約を締結しているのが実態であります。
 このため、社会的連帯性と所得再分配の機能を重視して、国民年金制度を税金財源の貧困防止的な最低保障年金制度に改正するとともに、同時に、自営業者も含む所得比例年金制度の一元的創設が急務であります。その場合には、当然ながら、責任準備金を含む運営管理全般を、共済組織も含め、一元化すべきであります。
 八、最後に。
 二十一世紀日本社会の基盤を構築する年金政策を含む充実した社会保障政策策定のためには、政策策定能力を大幅に行政官僚に依存する我が国立法機関の体制を抜本改革すべきであります。米国連邦議会や米国連邦議会附属図書館、調査局、CRSの組織などを参考に、我が国の国会と国会図書館の調査能力、政策策定能力の抜本的充実が急務であります。
 さらに、人口問題のような中立的、客観的であるべき研究調査機関は、ポリティカルリスク排除のために、所管を行政機関から国会に移管の上、組織を抜本的に改革すべきであります。現実に、英国はそのようにしておるではありませんか。
 以上で、私の発表を終わります。(拍手)
○櫻田委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○櫻田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡資麿君。
○福岡委員 自由民主党の福岡資麿と申します。
 きょうは、質問の機会を与えていただきましたこと、まず心から感謝を申し上げます。
 御承知のとおり、厚生労働委員会では、これまでも、この社会保険庁の改革関連法案について議論を進めてまいりましたけれども、きょう、参考人の方々から、いろいろな意味で幅広い、そして示唆に富んだ議論をいただいたものと、心からまず感謝を申し上げたいというふうに思っております。
 これまでの社会保険庁、いろいろな不祥事等あったわけですけれども、その社会保険庁を解体して、そして無駄のない、効率のいい組織体制にしていくこと、そして、信頼を回復して多くの方々に保険料を納めていただけるような形にしていくということは、共通の認識だというふうに思っております。そこに至る考え方が違うというふうに思っておりますが、そこに、皆様方のお考えを、またきょうこの後御質問させていただきながら、御開陳をいただきたいというふうに思っております。
 まず、佐藤参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。
 佐藤参考人は行政法が御専門ということでございますし、また、これまで、公務員制度調査会等で公務員制度等についてもいろいろな御意見を御披瀝されてきたことだというふうに思っておりますけれども、今回の一番の特徴ということで、先ほども、今回は非公務員型の公法人に組織が変わるということが一番大きなポイントだというふうにおっしゃいました。今まで、一連のいろいろな社会保険庁に絡む不祥事等で、国民の社会保険庁に対する信頼というのがなくなってきたというのは紛れもない事実でございますけれども、その中で、やはりそういった公務員という身分の中での組織の安住であったり、そういったことが背景にあるんではないかというふうなことも言われておったわけです。
 佐藤参考人は、そういった公務員制度等にも通じている者として、今までの一連の不祥事と公務員という立場、そういったものの関連性であったり、そういったことについてどのようにお考えになられているのかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。
○佐藤参考人 それでは、お答えさせていただきます。
 簡単に一言で申しますと、大きい組織ですね。それから、多様な仕事をやりますね。その中で、一人一人の頑張っている仕事を組織に反映するというのは非常に難しい。それから、個々人それから組織の責任、そういうものが割と長い間に不明確になってきている。こういうことが一つあるんではないでしょうか。
 ほかにも多々ありますけれども、差し当たりそういうことを申し上げておきたいと思います。
○福岡委員 続きまして、同様な質問を紀陸参考人の方にもさせていただきたいというふうに思っております。
 経団連さんは、これまで、簡素な効率的な行政運営ということをずっと提唱されてきておるわけでございます。今回、非公務員型の公法人となることで、直接新しい公法人が競争相手がいるわけでもございませんけれども、そこからいろいろな民間業者等に徴収を委託することによって、民間のノウハウが導入されるというようなことが言われていますけれども、経済団体にいらっしゃる方として、そういう民間の力を入れることによって、具体的にどのような効果があるというふうにお考えになられているのか、そういった点についての御意見をお聞かせいただければというふうに思います。
○紀陸参考人 福岡先生から御質問いただきまして、御礼申し上げます。
 今御指摘のように、今回の法案の一番基本のところはここの部分だというふうに存じます。事業運営を行う場合に、公務員の身分で行うのか、あるいはそれから離れた非公務員の立場で行うのか、これは根本的に違うんだというふうに思うんですね。特に、制度改革の場合に、これはこの問題だけではなくて、すべての問題に共通することなんですけれども、制度を変えても意識を変えないと本当の改革にはならない、こういう例がたくさんございます。
 この社会保険の問題は、行っている仕事が、今佐藤先生からも御指摘ございました、非常に膨大で、かつ業務の内容が複雑であります。その場合に、完全に身分を変えて、しかもその業務の中で、これはこれからなんでしょうけれども、どういう分野を外部委託するか、それによって全体の効率が上げられないといけないわけですね。上げられた結果、それは結局は自分たちの処遇の面にも返ってくる。そういうつながりになるんだというふうに思います。仮に、仕事のやり方の分担がうまくいかないで、全体の業績がおっこちてきた、そうすると、それこそ自分たちの給与にもはね返ってくるわけでございますね。広い意味での処遇にはね返ってくるわけであります。
 そうすると、ここは、いわゆる民に切り出す部分をどういう形でやるか、あるいは自分たちが請け負う部分をどういうふうにやるか、その全体効率を考えた上できちんとやっていかないと、まさに組織全体もそうですし、自分たちの処遇すら危うくなる。そういうような非常に厳しい内容を含んでいる改革だと存じまして、ここの部分の制度と意識の切りかえ、これがこういうような身分の変更によって実現できるのではないかというふうに考えております。
○福岡委員 ありがとうございました。
 続きまして、井戸参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 今、社会保険労務士としても、いろいろな方と接する機会があられるというふうに思っておりますけれども、そういった中で、徴収率のアップという問題につきまして、先ほども御意見を御披瀝いただいたと思っております。
 そういった中で、今回、クレジットカードによる保険料の納付であったり、また国民健康保険の窓口を活用した納付の促進策、そういったものが盛り込まれているんですけれども、そういったものがどれぐらい今後、徴収率のアップに結びつくというふうにお考えになられているのか。また、先ほど、ねんきん定期便の定着にはもう少し時間がかかるかもしれないとか、また、もっと若い方々に対する教育といった面も力を上げていかなければいけないというようなことをおっしゃっていましたけれども、総合的に見て、今後、徴収率を上げていくために端的にどういったことが必要だとお考えになられているのかについて、お伺いをさせていただきたいと思います。
○井戸参考人 ただいまいただいた御質問なんですけれども、クレジットカードなど、手近な、いつも使っているようなものでするということは、若年層にとってはすごくメリットが大きいと思います。
 ねんきん定期便も、今までは、保険料は払っているんだけれども、要するに受給権者になるまで何らアクションがなかったわけです。ですから、毎年そういうふうに来ることによって、若い方でも年金に対する興味、意識というものを持っていただけるでしょうし、正しい知識を持っていただくためにも、やはり年金の教育というのは結びつく、とても大事なことだと思います。それによって、少し時間はかかるかもしれませんけれども、じわじわと年金の理解も深めて、それが納付率につながることじゃないかというふうに思います。
○福岡委員 ありがとうございました。
 続きまして、谷澤参考人の方にお伺いをさせていただきます。
 先ほど御意見をお聞きしながら、私どもの方にもお怒りがひしひしと伝わってくるような感じをしながら聞いておりました。そういったお怒りの心情は十分わかるわけでございますし、そういった中で、これまで社会保険庁の対応に対しまして大変御不満を持たれてきたことというのは事実だと思います。
 そういった中で、一つ例として先ほどもおっしゃったのが、例えば銀行の窓口であればこんなことは起こらなかったはずだというような御指摘もあったわけでして、今回、政府案につきましては、そういった公務員という体質の中で、民間だったらあり得ないような温床があったのではないかというようなことが言われているわけです。
 実際にそういった窓口でいろいろな交渉をされてきた方々として、社会保険庁を解体していくために、どういった組織であればいいのかということについての御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。
○谷澤参考人 まず、私は、年金を集める係、徴収と運営する係は別のものにしなければならないと思っています。そこに温床が生じます。
 それで、徴収に関しては、失礼を省みずに私の意見を言わせてもらうならば、税務署が集めたらいいと思っています。税務署は徴収のノウハウがあります。それから、各事業所から納税をさせております。国民年金の加入者の中にも、税金を払っている人、私もその一人でありますが、三百五十万人ぐらいいます。そのノウハウもあります。そういうものを利用して年金を徴収するというのが妥当な考え方だと私は思っています。
 ただし、運営に関しては、私は、民間あるいは官ということで、これは先生方の英知を結集してもらったらいいと思いますが、ただ一つ申し上げたいのは、社会保険庁だからおかしいことがまかり通ってきたと言われることについては多少異議がございます。そうしたら、社会保険庁の長官あるいは幹部諸氏は、おかしな公務をやっている官僚に対してどういう措置をとってきたんですか。少なくとも、私の知る限り、あるいは見聞きする限り、おかしな公務を行った社会保険庁の職員を分限処分にしたり懲戒処分をかけたりした例は聞いたことがありません。
 社会保険庁の長官やあるいは幹部諸氏は、人様の金を預かっているからといっていいかげんなことをなさってきたのではないでしょうか。私は、福岡先生の言われることもわかりますが、その前に、社会保険庁のあり方について、もっと社会保険庁の長官や官僚諸氏がきちんと管理運営すべきであります。それでだめなら、さらに改革ということになるんでしょう。
 それができないというのなら、悪いけれども、福岡先生、お願いします、社会保険庁の長官や幹部諸氏を首にしてください。それが国民のためであります。
 以上です。
○福岡委員 大変示唆に富んだお話、ありがとうございました。
 続きまして、公文参考人の方にお伺いいたします。
 先ほど、組織についてお話をいただく際に、民間に委託しても、これまで民間でもいろいろな不祥事があったじゃないかというようなお話があったわけです。しかしながら、今までの社会保険庁という体質の中でもさまざまな不祥事があってきたわけでございまして、そういった中で、やはり国民に信頼していただく組織、そういった国民を裏切ることがない信頼される組織となるためにはどのような形が一番望ましいとお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
○公文参考人 先ほども私は申し上げたんですけれども、結論的に申し上げれば、今現在、社会保険庁を解体して、そして分割・民営をしなければならないという理由や根拠あるいはその緊急性はないというのが私の結論でございます。
 なぜかと申し上げますと、御意見の開陳の中でも申し上げましたけれども、さまざまな社会保険庁の不祥事というのが一貫して明らかにされてきています。特に最近は、村瀬新長官のもとで、新しい民間的手法を入れて、それがまたさまざまな不祥事を招いているということが明らかになっているんですけれども、もともと、社会保険庁を中心にした不祥事の発端になったといいますか、あるいはきっかけになった、先ほども言いましたグリーンピア問題とか、それからいわゆる規制緩和で株を買って大損したとか、数兆円という赤字を出したとか、そういった、まさに構造的といいますか、政策的、あるいは政治主導の不祥事と、最近起きてきている不祥事を十把一からげにして議論するというのもおかしいと私は思っています。
 やはりきちっとそういった実態を究明して、そして社会保険庁の中で、これはもう国が責任を当然負うべき組織なんですから、国の指導で、あるいは国会議員の皆さん方の適切な御指導の中で、そういった不祥事の徹底解明をやって、そして二度とこういった不正を起こさないということをまずやるべきであって、それをまた不十分なままにしておいて、組織だけ変えればいいや、色を変えるだけでいいんだということでは私は何の解決にもならないというふうに思います。
○福岡委員 それでは、渡部参考人の方にお伺いをさせていただきます。
 先ほどの御提案の中にも、今政府案で言われている、徴収を一部民間に委託するというようなことについては、年金制度を民営化しているようなところは民間でやっているけれども、それ以外の制度をとっているところについては民間委託というのが非常に非効率なんだというようなお話をされていたというふうに思いますけれども、具体的に、民間にするとどこがどういうふうに非効率になるのかということについて御説明をいただきたいと思います。
○渡部参考人 渡部記安でございます。お答え申し上げます。
 お手元に配っております表、資料の末尾の「社会保障制度保険料の世界的徴収体制」というのをごらんください。これは、ILOやISSAの資料から私が調べるとともに、百五十ぐらいの関係諸国にEメールを送って、その回答を得て作成したものであります。
 とにかく、A、中央一元化制度、B、準中央一元化制度、C、分散化制度とありますが、Cの分散化制度、これが民営化にも絡むわけですが、国が年金制度などを民営化した国以外で、徴収だけを民営化している国は全くありません。その理由は簡単明白であります。それは、国税庁なり社会保険庁の情報量と徴収能力でありまして、しかし、社会保険庁、社会保障庁の能力が不十分だからこそ、アメリカを初め、世界先進諸国のみならず、発展途上国のほとんども中央一元化制度、すなわち国税庁に保険料の徴収だけは一元的にお願いしておるということであります。
 以上です。
○福岡委員 それでは、また佐藤参考人の方にお伺いをさせていただきます。
 今の渡部参考人のお話等も受けまして、人事体制とかにつきましては、やはり非公務員の方が当然人事体制については柔軟な対応ができるわけですし、またそこから、徴収についても、政府案においては民間に開放していこうというようなことが柱となっているわけですけれども、先ほどの渡部参考人の御意見も聞きながら、佐藤参考人の御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○佐藤参考人 お答えさせていただきます。
 一つは、やはり国が年金問題に対して責任を負うという、これが基本でございますね。その上で、仮にその業務を民間に委託するとしまして、税金と大分違うんですよ。少額で、多数者がいて、これを何十年も管理するんですね。こういうノウハウは、残念ながら国税庁にはありません。それから、対象が、二千二百万と、申告納税者が三百五十万、全然違うんですよ。それを一緒にしたらどういうことが起こるか、それも検討した上でないと、一概に言えないんですね。
 だから、責任は公法人としてきちっと、それから徴収その他については民間ノウハウを使う、サービス、顧客の目でつくる、それは民間のノウハウを使わせていただく、こういうことだと思うんですね。
 あと、それを担う人の問題ですね。先ほど既に申し上げましたが、例えば、今まで公務員でやっていたものを民間にするという意味は、いろいろな問題があってもつぶれない、問題があっても首が飛ばない、これが世の中に通用しない、国民の皆さんの目から見れば許されないと思うんですね。こういうものの対応をきちっとしていく。他方、もちろん、既に雇用をされている人たちの雇用の配慮その他は別の形できちっと当然やるわけですから、そういう対応をしていく。
 そういう意味で、責任のところを問題にするということと、業務を民間委託するということ、これをはっきり分けまして、それから、今度、国税庁で徴収するかどうかという一元化の問題については、業務の内容をきちっと比較、精査した上でやらないといけない、こういう考え方なんですね。その結果、ちょっと一元化は今の段階では無理なのではと存じます。
 以上でございます。
○福岡委員 限られた時間でございまして、まだまだ参考人の方々にお聞きしたいことが多々ございますけれども、時間でございますので、後の質疑者にゆだねることとして、私はこれで終了させていただきます。
 ありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、古屋範子君。
○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
 参考人の皆様におかれましては、お忙しいところ国会においでいただきまして、貴重な御意見をいただきましたこと、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 まず初めに、佐藤参考人にお伺いをいたします。
 先ほどの意見陳述の中でもおっしゃっていました。初め、政府有識者会議の一員として、このたびの社会保険庁改革に大変御尽力をされてきたということでございます。当初は国の組織としてという方向性だったものが、与党の提案によりまして、このたびの日本年金機構という組織、非公務員型という法案を今回提出したところでございます。
 そのメリットにつきましては、先ほどお述べいただきました。民間のよい面を採用していく、また、能力に応じた人材を採用していく、意識改革、サービスの向上、人事管理等々さまざまなメリットがある、このようにお述べいただきました。こうした民間的な人事評価、また給与体系を取り入れ、民間との人事交流の推進などで、これまでの社会保険庁のいわばぬるま湯的な体質を一掃して、緊張感を持って業務に当たることができ、組織の活性化につながると私自身も考えております。
 繰り返しになりますけれども、非公務員型の組織では、職員の採用、人事評価、処分などに関する裁量の幅が広がり、能力が低く勤務成績の悪い者は長期にわたって抱えておく必要がなくなる、このように考えます。公務員としての手厚い身分保障が、なれ合い的なものになり、不祥事を繰り返す原因になったということも考えますと、非公務員型のメリットは私も非常に大きいと考えております。
 実際に、この法案を私たちは早期に成立させていきたいと考えておりますが、看板のかけかえにならないよう、実効性、現実の上で国民の利便向上、安心、信頼につながるものでなければならないと思いますが、この点に関して御意見ございましたら、お願いいたします。
    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
○佐藤参考人 お答えいたします。
 一言だけ申し上げますと、今回の法案による改革は、内と外と両方あると思うんですね。内という話は、これまでの組織、行政組織でございますね、これはほとんど内向けなんですね、先ほども御意見ありましたように。顧客不在なんですよ。お客さんを扱ったことがないんですから、残念ながら公務員の皆さんは。そこで、これを開かれたスタイルにしよう、これが一つなんですね。外から見た場合。今回は、繰り返し問題が生じたものですから、抜本的に、国民の皆さんの目から見ても、本当に、本気で変えるんだな、そういう両面を国民の皆さんにお見せしないと。そういう意味で、看板のかけかえにはならないようにしたい、そういう改革だと存じます。
 以上でございます。
○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 次に、紀陸参考人にお伺いをいたします。経団連を代表しておいでいただいておりますので、少し年金制度全体についてお伺いをいたしたいと思います。
 このたびの社会保険庁職員の不祥事、また年金保険料の無駄遣い、また加入者情報ののぞき見等々、社会保険庁におきましては、運営上さまざまな問題が明らかとなりまして、国民から厳しい批判を受けております。こうした批判に対しまして、当時、坂口厚生労働大臣、平成十六年の夏から社会保険庁改革に着手をして、改革を主導してまいりました。今回は、与党がリーダーシップをとって取りまとめた法案であるというふうに考えております。不祥事を繰り返し、さまざま批判にさらされてきた社会保険庁、いよいよ解体をされて、新組織として生まれ変わるということでございます。
 一方で、少子高齢化が急速に進行する中で、老後の生活を支える公的年金に、まさに今、国民の関心は非常に高いということが言えると思います。私は、公的年金制度に対する国民の安心、信頼を確保していくために、制度自体が将来にわたって、少子高齢社会であっても、持続可能なものでなくてはならない、その制度を運営する組織が国民から信頼されることが大切であるというふうに考えております。
 公的年金制度、三年前になります。平成十六年度、給付と負担の両面から改革を行い、百年安心の制度に改革を行ったところでございます。私は、将来に向かって国民の信頼にこたえ得る持続可能な制度を構築したというふうに考えております。この年金制度改革について御意見ございましたら、お述べいただきたいと思います。
○紀陸参考人 古屋先生の御質問にお答えさせていただきたいと存じます。
 先生御指摘のとおり、年金の大きな道筋の方向性は、先般の改革によって、さまざまな立場の人たちにとっても見えてきているのではないか、そういうふうに思っております。
 基本的に、持続可能性ということが極めて大事なものでありまして、特に少子高齢化になってくると、支える人がどんどん減ってくる、まさに今まで経験したことのない状況にこれから入っていくわけでありまして、その中で、長期にわたる年金をどうやって維持できるようにしていくか、極めて難しい問題を、先般の改革の中では、その道筋を示した。この難しい問題を、まさに国民に向けてサービスを実現するのが社会保険庁ですから、この社会保険庁がどうやって大きな道筋の遺漏のないところを支えて運用していくか、極めて大事なことだというふうに思っております。
 先ほどのお話のように、坂口元大臣がいろいろと御苦労いただきまして、その後に村瀬長官が民からお見えになられた。相当に意識改革の面では手をつけられて、これからまさに、本当の意味の大改革を詰めるという段階でございまして、意識改革も相当に生じてきてはおりますけれども、さらにいろいろな御議論の中で、身分を変えてというようなことによって、いわば本当の意味の再出発をこれから果たしていこう、そういうような段階、状況にあるのではないかというふうに理解いたしております。
    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
○古屋(範)委員 私も、このたびの社会保険庁改革が、さらに国民の安心にこたえる年金制度を確立するためのものでなければならない、このように考えております。
 次に、井戸参考人にお伺いをいたします。
 社会保険労務士という立場で、国民の側に立ち、また国民の心情に沿った貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。その中で、すばらしい表現というふうにお伺いしたんですが、心地よく保険料を納めてもらう土壌づくりという御意見がございました。また、年金情報の共有化が何よりも大事であるというお話でございました。
 我が党も提案をし、また主張してまいりましたねんきん定期便なんですが、いよいよ実現の運びとなってまいります。このねんきん定期便、お一人お一人に、納付記録ですとかまた見込み額など、誕生日にお知らせが行くということで、井戸参考人がおっしゃいました年金情報の双方の共有化というものにこのねんきん定期便というものがどのような効果があるか。また、それがこのねんきん定期便でかなり達成できるのではないかというふうに考えますが、この点いかがでございましょうか。
○井戸参考人 ねんきん定期便の効果でございますけれども、先ほどお話しさせていただきましたように、すぐにはやはり難しいと思うんです。多分、来られると、私が払った保険料と、今幾ら受け取れるのかという比較をまずされると思うんです。年金は、もう先生方御存じのように賦課方式というものをベースに持っておりますので、本当は考え方がやはり違うんですけれども、損得だけじゃなくて、将来、自分たちが高齢になったときに、自分たちの子供とか孫に今度は支えてもらうんだという、みんなで支え合う社会というので百年安心プランというのも考えられたと思うんですけれども、そういうような効果が、やはり毎年毎年来ることによって、そして数字で実際に見ることによってじわじわと効果が上がってくるものだと思います。
○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 ねんきん定期便は、私も、その効果、もし時間が多少かかるにしても大変期待をしたいというふうに考えております。
 また、若年層の納付率が非常に低いということで、先ほども年金教育の大切さというお話がございました。実は、私も二十になる息子がおりまして、二十の誕生日には、ともかく年金というものをしっかりと意識させようというふうに私自身もしたところでございますけれども、実際、中学、高校、大学といいましても、こうしたものに触れる機会というものがそれほどないような気がいたしております。
 実際にどのような場で年金教育をしていったらよいか、もしよいアイデアがありましたらお教えいただきたいと思います。
○井戸参考人 中学、高校、大学の方だと、やはり言われている意味というのもはっきりわかられると思いますので、できれば、やはり学校がベースになると思うんですけれども、学校の、そういう教育の場の一環でまずはしていただくということですとか、あるいは、地域で自治会館みたいなものがあると思うんですけれども、そういうところで、私たち社会保険労務士などが行きまして、年金の大切さとか、実際に生活の場で勉強というか理解していただくという場を持っていただくことが非常に大切だと思います。
 これも非常に時間がかかることだと思いますけれども、学校だけでというよりも、地域で、あらゆるところでされたらいいんじゃないかというふうに思います。
○古屋(範)委員 大変参考になる御意見を聞かせていただきましてありがとうございました。
 済みません、続いて井戸参考人にお伺いしたいんですが、老後の生活は年金だけではやはり成り立たないというお話でございまして、それぞれの人生設計に応じた老後のプランというものが必要ではないかというようなことを先ほど言及されていました。私もそのように考えておりまして、国民年金基金というものがございまして、これはなかなかその存在自体も知っている方はまだまだ少なく、また、これを利用している方もまだ少ないという現状でございます。この活用をぜひ進めるべきというふうに考えますが、この点に関してはいかがでございましょうか。
○井戸参考人 今お話がございました国民年金基金ですけれども、国民年金にしか入れない第一号被保険者の上乗せの年金になるんですけれども、やはりまだちょっとPRが行き届いていないのかもしれませんけれども、実際のところ、自営業者等にとりましては、税金のメリットとかもございますし、御自身が決められた老後の設計を、プランをいろいろ練っていける、非常にすぐれたものでございます。そういうものをしっかりやはり理解していただいて、今後自分たちが年金をベースにどうやって生活していきたいのかというシミュレーションを組んでみるというのが非常に大事だと思います。
 こちらの方も、やはりPRに尽きるのではないかというふうに考えております。
○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 済みません、また佐藤参考人にお伺いをしてまいります。
 このたび、民主党からは、歳入庁法案というものが提出をされております。これも、社会保険庁と国税庁を統合して歳入庁を設置するという、この民主党案につきまして、単に組織が大きくなる、先ほども、その業務内容が非常に違うというようなお話もございましたけれども、かえってガバナンスがきかなくなるのではないか、このように考えております。
 国民年金は、第一号被保険者約二千二百万人のうち、所得税を申告納税している人は推計で約三百五十万人。国民年金と国税では徴収の対象が大きく異なります。また、国民年金は、未納額が最高でも二年分三十万円強という少額多数であり、国税の高額、また脱税、大口また悪質な滞納案件とは非常に質が異なるということが言えると思います。
 この歳入庁案は、社会保険庁職員を公務員のまま残すということにもなっているわけでございます。
 この民主党案につきましては、どのようにお考えになりますでしょうか。
○佐藤参考人 まず、私ども、ちょうど坂口厚生労働大臣が大臣でおありであったときに始まったんですが、それは、例えば、今回の民主党法案のお考えとか、そういういろいろなものを当然頭に置いておりますね、その中から、今の、既にある組織でございますから、白地にかくわけでもないものですから。それから、先ほど既に申し上げたように、少額で多数の債権、しかも長期にわたる管理、保存、これを分けないでということですね、今の状況では。それで一元化した場合、今度は、逆に今のような仕事の内容の実情にちょっと合わない。
 それから、今度は、逆に国税庁の方から見ますと、今、国際化その他で、課税問題も国を越えていろいろ対応しなければいけないもので、多様な専門的課題を抱えておられるんですよ。むしろそれに混乱を起こすかもしれない。それから、給付も入る、こういうことになりますと、なかなか実現が非常に難しいんですね、私どもの頭の中で考えてみましても。
 そういう点から、なかなか今直ちに賛成しかねるということでございます。
○古屋(範)委員 渡部参考人、同じ質問でございます。民主党の歳入庁法案についての御意見を伺いたいと思います。
○渡部参考人 渡部でございます。お答え申し上げます。
 まず、お手元に配りました資料の、先ほどの世界的な徴収体制でございますが、要するに、単なる空理空論じゃなくて、ほとんどの先進諸国はきちんと中央一元化制度を採用して、年金制度民営化国以外は徴収体制の民営化はないという点をよく御理解ください。
 ですから、今の御発言、確かに一理あるんですね。今の参考人も言われましたように、支給まで持っていく、それは、世界にもないことですし、やはり無理があると思います。しかし、徴収体制、これは、これだけ世界の先進諸国すべて、ほとんどの発展途上国も中央一元化しておるという世界の英知を認識する必要があると思うんですね。所得範囲が違うとか、人数が違う、そんなことはすべての国において発生しておることですよ。しかし、ほとんどの先進国はそれをきちんとやっておるということ。
 だから、いかに、根拠として言われた人数が違うとか対象が違う、それは実に無味乾燥でございまして、やはりこの表にある世界の英知をごらんください。もし民営化なんかしたら、さらに天下りのチャンスもふえますよ。
 以上です。
○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 紀陸参考人にお伺いいたします。
 この日本年金機構では、能力と実績に基づく職員人事の徹底とともに、民間企業へのアウトソーシングの推進などでサービス向上等に努めるということになっております。一年間にわたって行われました市場化テストでも、民間業者が官よりも安いコストで徴収実績を上げたというようなことが実績としては残されております。
 国民サービスの向上につながると思われるアウトソーシングについてのお考えをお伺いしたいと思います。
○紀陸参考人 ただいまの御質問に対してお答えをいたします。
 市場化テストにつきましては、まだ始まったばかりで、実施している場所的な範囲もまだ乏しいということで、これからいろいろな分野でこれをさらに実現していかなければ、チャレンジをしていかなければいけない問題だと思っております。
 基本的に、これからどういう領域で、どういう範囲で、いわゆる外部に向けてのアウトソースをするか、論議を詰めなければいけないことだというふうに思うのでございますが、基本のねらいは、やはり全体で効率をいかに上げられるか。
 どんどんどんどん外に出して、それによって負担が軽くなるかというと、そういう問題でもございませんし、これは民間でも同じですけれども、アウトソースをしたことによって、逆に発注元の方のノウハウがどんどん消えていってしまうというようなことも現実に起こっておりますので、ここの切り分けをどういうふうにするか。それは、どういう仕事をどういう人たちに、あるいはどういうコストでという問題も常に絡んでまいります。
 これは、繰り返しになりますけれども、全体の効率をいかに、お金の面と人の面、それから中におけるいろいろなノウハウの蓄積、そういうものを見ながら取り組んでいかなければならない問題だというふうに思っております。
 でも、そういう仕掛けがないと、やはり運営が沈殿してしまうことになりかねない、そういう危惧が片っ方にはあるというふうに考えております。
○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 時間でございますので、以上で終わります。
 皆様の御意見を参考に、さらに国会審議を進めてまいりたいと思います。ありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、長妻昭君。
○長妻委員 民主党の長妻昭と申します。
 本日は、遠方からの方もいらっしゃいますけれども、本当に参考人として貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございます。私の方からも、若干の質問をさせていただきたいと思います。
 今回、この厚生労働委員会には、ちょうど五つの法案が提出をされております。政府からは二つ、民主党からは三本ということでございますけれども、この民主党の法案と申しますのは、年金信頼回復三法案と申しまして、国税庁に社会保険庁を吸収合併するという案と、年金の保険料は年金の支給以外にはもう絶対使わない、それを禁止する流用禁止法、そして三本目が、消えた年金の納付記録被害者救済法ということで出させていただいております。
 ただ、きょうお伺いをして、消えた納付記録、年金記録の問題については、特に谷澤先生が中心に御意見を言っていただいたと思っております。
 我々は、どの法案も重要な法案だというふうに考えておりますけれども、特に、先週もこの厚生労働委員会が開かれまして、その際に、消えた年金記録、消えた年金の問題といいますのは、現に今三千万人の受給者がいらっしゃって、その方々の支給漏れ、つまり、本来もらえるよりも低い金額をもらっている方、こういう被害者がおられる。あるいは、二十五年ルールというのが日本にはございまして、二十五年の資格に満たないということで年金受給ができない、しかし、ひょっとすると、消えた納付記録を統合すれば、その方は受給資格が出る、そして受給できる、こういう被害者の方もいる可能性があるということで、現時点では非常に緊急な課題だというふうに我々は認識をしております。
 その意味では、谷澤先生を中心に、その問題を、御意見をお伺いしていこうと思っております。
 先ほど、いろいろ消えた年金の問題を言われましたけれども、先ほどは十五分間でございましたが、その中で言い残されたことがもしあれば、お教え願えればと思います。
○谷澤参考人 お答えします。
 先ほどから参考人も先生方も、この社会保険庁の年金問題については、信頼を回復する、国民が安心をする年金制度にするということでは目的は一緒だと思います。思いますが、現在のまま組織を変えるだけで、本当に信頼に値するものになりますか。私はならないと思っています。
 先ほど、私は時間がないので余り言いませんでしたが、静岡のある女性は、年金をまとめて払ったときに領収書を要求したら、社会保険庁の職員から断られたんです。領収書は要らない、年金手帳さえあれば年金が受けられると言われたんです。これがうそです。今となれば領収書を持ってこいと言われて、本人は怒りまくっているんです。この人らが何人もいますよ。社会保険庁の職員は、同じようなことを言って国民をだましてきたんです。これで信頼ができますか。
 先ほど私が言ったように、名古屋の人は、年金未払いだと言っているのに領収書が出てきた、裁判までやった、どうも社会保険庁が負けそうになってきたら、個人情報の保護の請求をしたらあなたの分はうまくいきますよといって、和解みたいなことを提案してきたそうです。担当している弁護士さんから私に報告がありました。
 社会保険庁というのは、裁判所で裁判が負けるようにならなければやらないんですか。私たち国民は何のために年金を掛けているんですか。国から言われて、幸せな老後をするために、毎年毎年、年金を掛けろと言われてきたんでしょう。それで掛けてきたんです。私も昭和三十九年から掛けてきたんです。それを今になって、領収書がないからとか、領収書があれば、裁判は時効だと言ってみたり、そんなむちゃくちゃなことをして、どうして信頼ができるんですか。
 きょうは参考人もいろいろ言われましたが、私の意見は違います。何ぼ制度を改革しても、甘口言葉で勧誘しても、年金に関する信頼は回復しません。するのは、現在年金を受給している人、あるいは近い将来に受給するであろう人に対して社会保険庁が真摯に対応することです、自分の誤りを認めることです。そうではありませんか。それをしてくれたら初めて国民は、ああ、社会保険庁も変わってきよった、先生方の努力で変わってきよった、これなら金を払うたろかということになるんじゃないですか。自分らで改革せぬと、国民だけ甘い言葉で、きれいな言葉で、美辞麗句で、何ぼ法律をつくったってだめです。私、先ほど言ったでしょう。国民年金法を見てください、ひっくり返して。私はきょう持ってきていますよ。どれほど甘い言葉をかけてあるか。それでうまいこといっていないじゃないですか。
 だから、私はちょっと腹を立てているから、きょうはもう皆さん方が怒られているような気になるかもしれませんが、御勘弁ください。でも、本気で思っているんです。まず、法案の改正より前に、先生方と社会保険庁が変わってください。今困っている人を助けてやってください。そうでなかったら、国民の年金に対する信頼なんてあり得ません。
 正直に私の意見を言えと言われたら、十一年間も私の年金が消えたままで、私だったら年金をもうこれ以上払いたくないですよ。聞かれたら、払うなと言いますよ。その分、お金をためておいた方がましですわ。こんな気持ちにさせたのはだれですか。社会保険庁じゃないですか。その連中が出てきて謝ったことがありますか。社会保険庁は、今、五千万件の宙に浮いた情報について、全部調べて報告すべきです。先生方の手元に行っているかどうか知りません。私の手元には、何にも報告がありません。そんなことで、どうして改革が成るんですか。
 私は、本当に、真の意味で改革をする、そのためには、社会保険庁は、すべての情報を開示して、間違っているところは間違っていると謝って、それで、今まで済んだことです、私は許します、だけれども、本当に困っている人を助けてください。これが私の意見であります。
○長妻委員 この厚生労働委員会で、私どもも、柳澤厚生労働大臣にいろいろな調査を求めますが、柳澤厚生労働大臣の言葉は丁寧ではありますけれども、結局、政府の結論、答弁というのは、文句があれば社会保険庁の窓口に言ってこい、そうしたら調べてやらないことはない、こういう態度に終始をしているわけでありまして、谷澤先生は多くの年金記録問題の相談者が来ておられるというふうに言われておりましたので、ぜひ、そういう例を頭に思い浮かべていただきながら、お教えいただきたいと思うんです。
 そういう意味では、年金記録が消えるという問題は、手書き台帳というのがございまして、国民年金では納付記録を手書きで書いた台帳がある。それをコンピューターに入力したわけですが、ほとんどの手書き台帳は、とんでもないことに捨ててしまっております。しかし、特殊台帳と言われる一部の台帳は、手書き台帳が残っている。あるいは、市区町村には被保険者名簿という手書きの台帳がある。そして、厚生年金は、原票というものと名簿というもので、厚生年金の納付記録の手書きの書類もマイクロフィルム化されております。
 そこで、私どもは、それらの手書きの台帳の納付記録とコンピューターの中、これを照合、本当はイコールになっていないといけないんですけれども、これの入力漏れがあるという事実が、民主党の調査で、社会保険庁も認めたわけでございますので、全部の手書き台帳の納付記録とコンピューターの中を照合して、入力漏れがあれば、コンピューターのデータを訂正する。これは最低限私はやるべきだというふうに思っているんですが、谷澤先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○谷澤参考人 長妻先生の御意見、私はもっともだと思っています。
 すべてを明らかにしてください。私も、マイクロフィルムに入れられた手書きの台帳があることは存じております。しかし、その手書きの台帳がコンピューター化されるときに、生年月日や住所や名前が間違っているんです。勤め先が間違っているんです。この例がたくさんあります。だから、全部洗い直してもらわなわかりませんよ。それがまず一つ。
 それからもう一つは、社会保険庁の方では、手書きの台帳がないということを、責任を免れるための逃げ口上としている節があります。これは、私の件でいいますと、きょう、昼からやります。やりますが、私は社会保険庁の職員をつるし上げるつもりでおりますが、私の場合には、年金を払った記録がないと言われたんです。社会保険庁は公文書で、ないと出していますよ。ところが、各市区町村の返事によると、記録は廃棄したと書いてある。廃棄したものが、ないと書かれてある。社会保険庁はうそを書いているんですか。
 だから、私は気に入らぬと思っているんですよ。こんなことをして、こんな子供だましのような手を使って、記録がないとか資料がないとかいって、ないないというのはおかしいんじゃありませんか。私は、長妻先生の言われたように、全部明らかにすべきだと思います。その結果、間違って、国が少々お金を払ってもいいじゃないですか。国民を助けましょうよ。
 私が思うのは、今の社会保険庁のあり方は、年金を受給できる人が、私らが死ぬのを待っているとしか私は思えません。
 以上であります。
○長妻委員 そして、先ほどの、冒頭の御意見の開陳のところでも、谷澤先生からお話がございました。
 五千万件の持ち主不明の納付記録ということでございますけれども、これは、今現在、三千万人の受給者がおられます。そういう方々の中に受給漏れの被害者がいるかいないかということを柳澤大臣にただしたところ、いる可能性もあるということで、被害者の可能性を政府としては認めている。しかし、被害者がいる可能性を政府は認めているにもかかわらず、文句があるのなら窓口に言ってこいという立場をとっております。
 しかし、政府もやるべきことはたくさんある。つまり、三千万人の受給者の名前と生年月日と性別はわかっております。そして、五千万件の宙に浮いた記録の中には、ほとんどは、名前と性別と生年月日、その三つの情報、これも入っておりますので、それを照合して、どなたの受給者と同じ記録が宙に浮いているのか、それを抽出して、取り出して、その記録を受給者一人一人に、あなた様は、昭和何年何年からこういう会社に勤めて、保険料を払った御記憶がありますか、あなた様は、昭和何年から何年まで国民年金に入って、保険料を払っておられた記憶がありますかと、個人個人に五千万件の取り出した記録をお示しして確認をいただく、こういうことはやれば十分できるわけだと思うんですが、これについては、先生の御意見はいかがでございますか。
○谷澤参考人 私は、長妻先生の言われるように、当然すべきであると思っています。
 ただし、先生に申し上げておきますが、コンピューター化するときに、極めていいかげんなデータの入力をして、間違っております。男でありながら、女のような名前の読み方をした。極端な人は、西宮におった人が大分県に移転したことになっている。それは全く別人なんですよ。そんな間違いも犯しているんです。あるいは、先ほど言いましたね、運送会社に勤務している人があられ屋さんに勤務になっていて、あんたと違うと言っているんです。こんな間違い、私はたくさんあると思います。それを全部出してください。社会保険庁は出してください。国民の皆さんと一緒に、それをチェックしましょう。私に物事を頼んできている人であれば、その人らの委任状を持って、私が調べに行ってもいいです。ともかく、全部資料を出すこと。
 社会保険庁も国の機関であり、先生方も国民を指導する議員である以上、言っておきます、うそ偽りはいけません。真実をあからさまにしてください。その結果、社会保険庁が間違っていたら、間違ったと謝ればいいじゃないですか。それで許しましょう。私は、ともかく、全部明らかにしてもらわなければ納得ができない。少なくとも、私の依頼者に関しては怒りまくっているということをお伝えしたいと申し上げます。
 以上であります。
○長妻委員 そして、もう一つ、この問題で大きなポイントといいますのは、潜在的被害者ということでございまして、つまり、年金を既にもらっておられる方々の中で、この金額は正しい金額だということで、まさか自分の納付記録が抜けていて、少ない金額をもらっているとはつゆ思わずに過ごしておられる方、これはたくさんいらっしゃると思います。
 あるいは、二十五年ルールがあって、二十五年の資格に満たないということで受給が全くなされないけれども、消えた記録あるいは統合漏れの記録を合わせれば二十五年を超えて、実は年金が受給される、こういうようなケースで、御本人がそれに気づかない、こういう方もたくさんおられると思うんですけれども、そういう潜在的、御自身もその記録に疑問を持っていない、しかし被害者である、こういう方々に対しては、どのような救済策が必要だというふうにお考えでございますか。
○谷澤参考人 先生、救済策と言われても、頭に思い浮かびません。
 先生のおっしゃるように、自分の年金記録が抜けていたという人はたくさんいると思います。それだけじゃなしに、わかっていても、小さな金額だからもう裁判をしない、費用をかけないと言って泣き寝入りしている人がたくさんいるんです。だから私は、非常に口が悪いですが、社会保険庁はそれをねらっているのではないか。お金がなくなったから、国民があきらめて請求してこないのを願っているのではないかとすら私は疑っています。
 だけれども、それを救うとしたら、先ほど私が申し上げたように、立証責任の転換で大幅に加入者を助けてやる以外には道はないのかなと。でも、それが本当に確実な道になるかどうかは、先生、私もよくわかりません。
 頼りない返事でありますが、以上です。
○長妻委員 そういう意味で、まず被害者救済の第一歩として先ほど申し上げたようなことを、我々も、調査、救済策というのは、第一歩として社保庁はやるべきことがあるのではないかということを申し上げ、それを法案の形にいたしましたのが民主党の消えた年金記録被害者救済法、今この委員会で審議をされている法案でございます。
 最後に、谷澤先生から、本当にこういう法案や調査の考え方、今、残念ながら自民党も公明党も、こういう調査はしないでいい、こういう立場をとっておりますが、それに対してぜひ、与党に先生から御意見があれば言っていただきたいと思うんです。
○谷澤参考人 自民党と公明党の先生方には、ただひたすらお願いします。本当に国民の多くが困って泣き寝入りしているんです。それを助けてやってください。あなた方は、年金の不払いがどういう状況になっているのかということを本当に御存じですか。調べてください。こんなひどいことを社会保険庁がやっているということを、御自身で事実を把握してください。その上で助けてやってください。
 大きな声で申しわけないんですが、心からお願いします。
○長妻委員 本当に、先ほども自民党と公明党の議員の方もここで質疑をされましたけれども、一切この消えた年金の問題には触れない。あるいは、きょうも参考人の方が六人来られておられますけれども、残念ながら、この消えた年金問題、なかなかまだ触れられておられない。しかし、この問題というのは本当に広がりのある、多くの被害者がおられる重大な問題であるということを申し添えまして、私の質疑を終わります。
 どうもありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 本日は、六人の参考人の皆さん、貴重なお時間を割いて本委員会に出席をいただき、また非常に貴重な御意見を聞かせていただきました。まずは感謝を申し上げます。
 また、とりわけ、先ほど来、谷澤参考人の御意見、たくさんの相談者の方の怒りを代弁されて、もっともっと言いたいことがあるんだ、怒りを抑え切れないという思いでお話をされていらっしゃるんだと思って本当に伺っておりました。
 私は、やはり、これまで多くの方が一生懸命納めてきたのに年金記録がない、あるいは正しくない、このようなことは到底許されないことであると思いますし、また、この間の政府の答弁が極めて不誠実だと思っております。本日の御意見を参考に、特に先生は立証責任の転換ということもおっしゃいました。まさに加入者の利益を守るという立場に立った解決がどうしても求められていると思います。その点では、私からも政府に対して強く求めていきたいし、与党の皆さんにも、やはり知恵を出し合って解決策をやっていこうじゃないかということをぜひお呼びかけをさせていただきたい、このように思っております。
 最初に、質問は佐藤参考人にさせていただきます。
 有識者会議の座長として、政府案のポイントや、またそこに至る経緯についても詳しく説明をしていただきました。同時に、佐藤参考人は中央労働委員会の公益委員でもありますし、また、公務員制度改革についても発言されていることを私は拝見してまいりました。その中で強調されていることで、私は、公務員の憲法十五条に基づく全体の奉仕者性という問題、このことを、公務員制度改革についても逆に薄まっているのではないかという指摘を先生がされていることに非常に注目をさせていただいております。
 今回の年金機構問題については、分限処分の問題、いわゆる社会保険庁の数々の不祥事に関与した職員を漫然と新組織に移行させるべきではないということがまず前面に出ていることと、民間手法を取り入れた人事評価や効率性といった説明に力点が置かれております。
 しかし、同時に、公的年金制度を安定的に運営する新組織において、この憲法十五条に基づく全体の奉仕者性という点があいまいにされてよいのだろうか、問われなくてよいのだろうか。このことについて先生の見解を伺います。
○佐藤参考人 お答えさせていただきます。
 まず、公務に従事する公務員の皆さんが全体の奉仕者として公務を遂行する、これは憲法上の原則でございますから、それを前提にしまして、次に、現に扱っている職務の中で、例えば今回の年金の問題であれば、先ほど出ましたように、将来の国民の老後にかかわる問題で、広い意味で当然憲法二十五条ともかかわる、こういう構図をとっておりますね。これを担うときに、すぐ公務員の問題というふうに考える前に、どこが責任を持つかが私の注目点なんですね。これはまず国が責任を持つ、これがまず揺るがせない原則だ、これは一貫しているわけですね。今回の法案でもそれが維持されておりますので、この基本線はゆるがせにしたくない、こういうことです。
 その次、例えば、そこで働いている人のお立場の問題が一つあります。今度新しい機構に身分が移る、採用されるかどうかという問題もございますので。もう一つ、国民のために年金をやっているんですね。国民の皆さんのお金をお預かりして管理しているんですね。これがきちっと今までできていればいいんですよ。それがきちっとできなかったものですから、これをできるようにという国民の皆様の観点、それからそこで働いている皆さんの問題、両方をにらみながら、そこにバランスをとっていくといいますか、揺るがせない一線をきちっと押さえていく、こういう設定の仕方なんですね。
 そうしたところ、やはり従来の、言葉は悪いんですけれども、安住した組織の中でこれはお任せできないというのが国民の皆さんのかなり強いお考えだと思うんですね。だから、基本を維持した上で、国が責任等はきちっと持った上で、運用の仕方については少し創意工夫を凝らせるものをつくっていきたい、そういうことであればそういう制度改正には賛成できる、こういうことでございます。
○高橋委員 基本を維持した上でというお言葉でありましたけれども、この間の質疑を通じて、そのことが、本当に国民のための年金ということできちっとできる組織になるんだということは、そうではないなということを私は率直に感じているということを申し上げさせていただきたいと思います。
 次に、紀陸参考人に伺いたいと思うんです。
 年金受給者の実態調査などにおいても、今や、第一号被保険者のうち、自営業者よりも、パートやアルバイト、派遣労働者など雇用保険からも漏れている労働者の割合の方が多くなっているという実態がございます。
 こうした年金の空洞化対策は避けて通れないと思っておりますが、経団連としてどのように取り組んでいくのか、ぜひ伺いたいと思います。
○紀陸参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたします。
 今現在、短時間労働者の方々の厚生年金適用の問題、今法案が準備をされているかというふうに思っておりますけれども、この問題は非常に複雑な背景があるかというふうに存じます。パートの方々、一号の方もあるいは三号の方もおられますけれども、その個々人の方々の厚生年金の適用に対するニーズがさまざま違うだろう。もう一つは、一号の方でなくても、事業主の立場、いわば雇用者の方々、事業者の方々のコスト負担への問題というのも考えていかなければいけない。今回の、今考えられておりますパートの法案では、この両方のお立場を、いわば激変緩和の措置を入れて、一つの改革に取り組もうとしている。
 これからまたいろいろ論議が行われるかと思いますし、この問題は、今当面ということだけではなくて、先行きのことも考えて検討していかなければならない問題だと思っておりますけれども、今現在は、今申し上げたようなさまざまな状況を勘案して、今一歩ステップを踏み出そうとしている、そういうような現状にあるのではないかというふうに理解をいたしております。
○高橋委員 ありがとうございました。
 今の問いに関連して、公文参考人にも伺いたいと思います。国民の年金への関心は最も高く、安心できる制度の構築や信頼の回復が求められておりますけれども、雇用の流動化、不安定化による空洞化というのが一層進むのではないかという懸念がございますが、どのようにお考えでしょうか。
○公文参考人 委員御指摘のとおり、結論から申し上げますと、今の雇用、賃金の実態を考えると、先ほど来お話が出ている年金制度の空洞化問題はますます加速するのではないかというふうに思わざるを得ません。
 先ほど報告の中でも申し上げましたけれども、ワーキングプアと言われている人たちがもう既に九百八十万人という数字まで出されておりまして、これはもう皆さん御承知のとおり、年収二百万円以下の収入しかないという生活実態の人たちになっているわけです。この人たちは厚生年金に入っている方も一部あるかと思いますが、厚生年金に入れないという、非正規労働者全体の中でも相当数を占めると思いますが、その方々は当然国民年金に移らざるを得ない。
 ただ、国民年金ということになりますと、当然、先ほど来私も報告を申し上げました未納者、つまり滞納せざるを得ないという状況の方々がどんどんふえているという現実がありますから、滞納者ということになるんじゃないかなというふうに思うんです。これは制度の空洞化で、年金を滞納される方々の財源を、結局現役の労働者の厚生年金加入者あるいは共済の加入者、そして国民年金に加入して保険料を実際に払っている皆さん方で将来にわたっても負担していかなければいけないという財源構成の問題もあります。
 それだけではなくて、私はやはり一番深刻に考えなきゃいけないと思っているのは、二百万円前後の収入しかないというワーキングプアの皆さん方にとっては、将来にわたって年金額が極めて低率な年金額にしかならないという問題が起きてくる。
 これも委員の皆さん方は御承知のとおり、日本の年金制度というのは何で年金額が決まるかといえば、厚生年金の場合も公務員の共済年金の場合も、加入した期間と、それからその間にもらっていた賃金が幾らかによって年金額が決定されるわけですから、まず大前提としては、安定した雇用と、それからまともに生活ができる賃金、これは最賃制の確立も含めてきちっとしたものとしてセットされないと、日本の年金制度というのは単に制度いじりをやっているだけではよくならない。特にそういう意味では、財界の皆さん方にはその点をきちっと押さえていただいて、積極的な雇用、賃金の安定についても御努力を願う必要があるのではないかというふうに思います。
○高橋委員 ありがとうございました。
 次に、渡部参考人に伺いたいと思うんですが、個々の社会保障担当官庁が個別徴収する日本の制度が諸外国から見て大変おくれており、非効率であるという指摘をされているかと思います。また、各国の詳しいデータを比較されながら、社会保障庁の提案をされているということ、大変興味深く伺いました。
 私、多分その前提には、国民が強制加入であるということに納得し、また、拠出責任を果たしていく上での基盤整備というのがまだ我が国は非常におくれているのではないかというふうに考えているのであります。そのために、まず国が果たすべき役割は何か、あるいは担うべき負担はどこまでと考えたらよろしいのか、伺いたいと思います。
○渡部参考人 渡部記安でございます。お答えいたします。
 やはり、先ほどもお話ししましたように、このような分散化制度を採用しておるのは今や日本とルーマニアだけでございまして、いかに我が国の社会保障政策が世界の非合理か、日本の常識は世界の非常識でございまして、非常に嘆かわしい状態である。とにかくほとんどすべての先進国が徴収に関しては中央一元化、国税庁方式をやっておる。ただし、運営管理自体は社会保障庁ですべての社会保障政策を一元的に統括しておる。この英知の結集をなぜ日本は導入しないのかということを痛切に感じます。
 そして、財源の問題ですが、これは年金論だったら幾らでもお話しいたしますが、これは国民年金を中心に言われるんだと思いますが、私もお話ししましたように、要するに、社会保障制度の原理原則であります、ILOなんかも指摘します社会的連帯性と所得再分配機能、これを原則にかんがみますと、我が国の国民年金制度なんというのは世界のどこにもない非常識であります。豊かな人も貧しい人も同じ負担をして同じ給付をもらう、世界の非常識であります。だからこそ、未納者が多いんですよ。だから、単に、もちろん社会保険庁の職員の非効率性もありますが、国民年金というそのもの自体の非効率性にかんがみて、これを抜本的な税金財源の最低保障年金と自営業者も含む所得比例年金制度の一元化に制度を改革すべきであります。
 そして、もちろん、その場合も、私も社会保険庁の非効率性を無視するわけではありません。報告では一々指摘はしておりませんが、世界的に見ても非常に非効率とか、幾つかの発言の中で、例えば、世界的潮流に完全に背反する非効率な政策とか、非効率と執務規律の乱れというのは、記帳漏れとかそういうものを当然含んでおりまして、しかし、個々の現象に対する批判ではなくて、では組織をどのように改革すべきかということが大事でありまして、単に長官を民間に変えるというような瑣末なことでは抜本改革はできないんですよ。経営陣と執行体制を分ける。経営会議にも経営者代表と働く者の代表を入れる。そうしたら、経営者の代表だって、当然、きちんと徴収記録を保持するなんということは重要ですからチェックが入ります。そして、権限を与えた内部監査、外部監査体制をきちんとしますと、これでまたチェック・アンド・バランスがきくわけです。
 ただ、日本で私はずっと感じておることが一つありまして、外国では政府を批判する学者というのが非常に尊敬もされるわけですが、日本ではえてして行政の隠れみの的な学者がいろいろな顧問とか審議会の委員をされて、結局国民の声を抹消してしまっておるということが多いのではないでしょうか。だから、内部監査とか外部監査には、私も学者としてじくじたる点もございまして、そういうものには学者は入れない方がいいと思います。
 以上です。
○高橋委員 ありがとうございました。大変共感できる発言だったと思います。
 あわせてもう一問だけ伺いたいと思うんですけれども、行政事務費への流用化厳禁ということも提起されていると思うんですけれども、最近の政府答弁は、特例措置を恒久化することにおいて、受益と負担の明確化だということや、外国でもよくあることだというふうに答えておりますが、その点についてぜひ。
○渡部参考人 渡部記安でございます。お答えします。
 世界で責任準備金を行政事務費に浪費している先進諸国があれば、ぜひ政府の方にその国を指摘いただきたいと思います。全くありません。
 アメリカ初めスウェーデン、どこでも、責任準備金は年金給付支給以外には使用してはならない。そして、もちろん高齢化を予測しまして、若干、余裕資金を持つ国はございます。アメリカの法律を読んでください。その場合も、株式や債券、金融市場に投資してはならない、連邦債にのみ投資せよ、それに違反すれば塀の向こうに入るという体制になっております。そのように非常に厳しい規律をきちんと制定し、それを遵守しておるのが他の諸国。発展途上国の政府幹部なんかも、実に情熱を持って、社会保障政策の確立、発展に情熱を燃やしておるのですが、日本だけが、責任準備金を浪費するとか非常に緩み切った社会保険庁の執務規律。
 こういうのは世界の恥で、本当に、例えばISSAのような国際会議で、正式に特定の国を批判するようなことはない国際会議におきましても、あるドイツの学者は、日本は五年分以上の責任準備金を保有して、それを非効率に金融市場に投下しておるというようなことを公然と批判するわけですね。いかに恥ずかしい状況であるかということを私は申し述べたいと思います。
 以上です。
○高橋委員 ありがとうございました。
 最後に、公文参考人に伺いたいと思います。
 今の渡部参考人の発言とも関連すると思いますが、日本の年金給付水準は諸外国と比較して遜色ないといまだに言われているようでありますが、どのように考えるでしょうか。例えば、基礎年金国庫負担二分の一の早期実現など国会が公約したことを一刻も早く実現するなど、国が果たす責任はまだあると思いますが、いかがでしょうか。また、企業負担についても、お考えがあればお聞かせください。
○公文参考人 日本の年金は世界の年金に比べて全く遜色がないということを聞いて、本当に久しい年月が流れておりますが、相も変わらず同じようなことを言っているということで、まさに噴飯物だと思うんですが、年金水準ということで、年金の金額が幾らかという表面的なことだけで比較をしても、正しい国際比較にはならないだろうというふうに思います。
 例えばの話なんですけれども、今、世界各国の国際比較というのはいろいろな文書で出ていますが、例えば、働いている人たちの賃金に対する比率として年金は幾らかというと、イギリスの場合で三六・一%、それからスウェーデンが五七・九%、日本は四一・七%ということで、ほとんど差はないわけですから、遜色がないといえばそういうことになるんですけれども、ところが、イギリス、スウェーデンの場合というのは、御承知のとおり全受給者の平均である。日本の場合は、それに対して、厚生年金の水準を国際比較として出しているわけですから、金額的には遜色がないということになるだろうと思います。
 ただ、問題は年金の全体像だと、先ほど谷澤先生あるいは渡部先生あたりからもお話が出ていましたように、例えば年金の場合の受給資格期間は、先生も御承知のとおり、イギリス、スウェーデンなんかでは居住三年以上ということになっているが、日本では二十五年以上、とにかく世界最長で、それを払うというのが大変ということがあるとか、あるいは、既に世界二十五カ国以上で全額国庫負担の最低保障年金、つまり税方式での最低保障制度というのが確立されていますけれども、ここはもう保険料を全く取らないわけですから、そういうさまざまな諸制度の中身を比較することによって、遜色があるかないかということを当然考えるべきだろう。
 それから、最後に一言、今企業の負担の問題が出ていましたが、フランス、イタリアは、今でもそうですけれども、保険料の負担割合というのが、常に強い立場の経営者側が労働者の三倍から四倍の保険料を負担しているというのが常識でして、こういったことも、国といわゆる日本の経済を動かしている大企業を中心にした財界の皆さんの社会的責任をもっと強く持っていただくことが、日本の社会保障のよしあしを決める一つのバロメーターになるかなというふうに思います。
○高橋委員 ありがとうございました。
 時間の関係ですべての皆さんにお伺いできませんで、済みませんでした。ありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 本日は、六人の参考人の方、いずれも大変に内容のある意見を伺わせていただきました。そして、私は、そうした御意見を伺いながら、今、先ほどの公文参考人の御指摘にもあるように、そもそも年金の制度設計というところの根幹に手をつけないと、枝葉末節をいじっても、本当のところ、国民にとって安心できる年金の運営組織すら浮かんでこないんだということを改めて意識した次第であります。そして、そうした観点から参考人に順次お話をお伺いいたしたいと思います。
 まず佐藤参考人にお願いしたいと思いますが、今回の新たな組織を非公務員型の公法人にするということでありまして、特に保険料の拠出問題では、国民年金の徴収等々のサービスの向上というか、納付率の向上ということが言下にイメージされていると思うんです。でも、私は、本日の審議でも思いましたが、今我が国の年金制度で骨格的に重要な部分、もちろん基礎年金たる国民年金はそうですが、厚生年金に当たる部分が実は非常に危機的になっているんだと思います。
 どういうことかと申しませば、先ほど来参考人の御意見にもありました、非正規雇用の増大で、厚生年金の担い手の数もさして、勤労者がふえる割にはふえておりませんし、また、意図して加入を逃れる事業所も数多いわけであります。すなわち、年金の拠出の確実性を問うのであれば、厚生年金に未納あるいは未加入であるところの事業所の問題、これに手をつけられないと、やはり公平性、公正性というところが浮かんでまいりません。しかしながら、もし公法人で民間的手法と言われましても、加入していない事業者に民間的手法をもって加入を達成するというのは非常に難しいと思います。
 例えば国税であれば、事業所が届け出を出したときに、同時に、そこの事業実態ということも把握するわけであります。その意味で、私はむしろ、国民年金もさはさりながら、厚生年金は屋台骨、年金もここから我が国も始まったわけです。このことを考えた場合に、本当に民間的手法とは何なんだろう、有効なんだろうか。
 それからもう一つ、民間的手法の大問題が、この審議の中で指摘されたのは、今度の新たな年金機構法の例えば理事長なる人は、国会に呼ばれて、公務員であれば来なければなりません、しかし、これは来る義務はない方となります。国民への説明責任、透明性において百歩後退すると思います。
 この二点、いかが検討されていらしたかについて、お願いいたします。
    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
○佐藤参考人 有識者会議でももちろん、拠出、厚生年金部分ですね、ですから事業主との関係、ここはかなり対応が従来もできている部分だと思うんです。ただ、おっしゃるとおり、把握できていない部分があるんじゃないかとか、そういうことなど絡んでいると思うんですね。ですから、これは、別の情報を政府が握っている部分がありますから、横のリンケージをどうとるかという話だと思うんですね。それで対応していく。ほかの場合もそうでしたけれども、例えば、市町村の協力を得て少しずつ改善されていく部分もございますので、それはこれからの業務改善あるいは方法論の問題になると思います、業務執行の。そういうことでございますので、御指摘の点はおっしゃるとおりですので、並行して業務改革等でやれるようにしていただく、これはおっしゃるとおりだと思うんです。
 それから二つ目の、公法人で、理事長以下、これは非公務員ですから、直接こちらに例えば参考人等でおいでいただくことはできないわけですけれども、しかし、監督が厚生労働大臣なんですね。まずそこできちっとやっていただいた上で、必要があれば当然理事長も委員会にお呼びいただく。そのかわり、委員会にお呼びいただく手続は事前に皆さんの理事会でお決めになるんでしょう、そこできちっとお決めになって、それで承認をとればお呼びできるんじゃないでしょうか。だから、まず厚生労働大臣のところで監督をきちっとしていただいて、それを御報告いただいて、なお足りなければとか。ですから、全く不可能ではございません。
○阿部(知)委員 もちろん不可能ではないのですが、先ほど来、各参考人の御意見にもあったように、これから、社会保険庁の現在やっているような社会保障に関する業務というのは、非常に国民的関心事なんですね。多岐にわたりますし、そして細やかなサービスも必要だし、国民と呼応しながらやる。その呼応の場はどこかというと、その大きな窓口の一つが国会という場なんだと思います。そういうところに、場合によってはという、義務を負わない立場というのは、極めて政治的力関係の中で隠れたりいたしますから、私は、その意味でも透明性の担保にならないと、強い疑いと申しますか懸念を持っております。
 次に、紀陸参考人にお伺いいたしますが、私が冒頭申しましたように、国民年金の基礎年金部分もさはさりながら、恐らく、今企業経営者にとっても厚生年金問題というのは、実は、世に言う、社会的責任を果たしてくれという強い要望はありますね。みんな非正規雇用になって働いているのに、国民年金、簡単に言えばおかしいじゃないかと。
 これは国民の強い意識で、ワーキングプアなどという言葉も聞かれる昨今ですから、経営陣の皆さんも無関心ではいられないところと思いますが、もっと身近に、関心事として、この間、厚生年金の保険料収入は、一九九七年をピークとしまして、二〇〇三年あたりは二十兆を割るくらい減ってきております。今横ばいですが、先ほど申しましたように、働いている者の数はふえているわけです。厚生年金の保険料はふえない。
 一方で、国民年金特会に出さなきゃならないところの負担金は今十兆円。大体半分は国民年金の保持のために回していかなきゃいけない。本来であれば、厚生年金そのものがもっとしっかり屋台骨を堅持していかなければ、この国の社会の安定がない。企業活動だって、しょせん社会が安定していなければ、いい人材もいいものも、いい企業活動はできないと私は思うんですね。
 そうした厚生年金のあり方についての危機感はどのように持っておられるか。また、その中で当然、私は、この間問題になっている非正規雇用の皆さんの年金の保障の問題、もう少し、本当にこの時代、数値を見れば経営陣だってもっと深刻になっていいんじゃないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○紀陸参考人 貴重な御示唆をいただきましてありがとうございます。
 私どもも、一階の部分も二階の部分も持続的に安定的に制度が維持されることが一番大事な問題だと考えておりますが、特に、先生御指摘の厚生年金の部分につきましては、基本の問題を考えれば、雇用の関係、先ほどもちょっと御指摘ございましたけれども、正規の方と非正規の方の組み合わせをどうするか。逆に言いかえますと、厚生年金が国民年金を支えているというような構造が今現在ございます。先行き、根っこのところの雇用の関係をどういうふうに見通していくのか、その関係によって、当然ながら厚生年金の保険料収入に影響が出てまいります。
 これと別に、短時間雇用の方々の扱いという問題も出ましたけれども、私どもこの問題は、個別企業がどうできるかということよりも、別途に、いわゆる日本の労働市場の中でどういうような雇用形態の組み合わせをしていったらば、働く人も企業も両方にいい関係がつくれるか、そういうことが結局厚生年金にはね返ってくる問題ではないかというふうに思うんですね。それで、今現在でも既に生じておりますけれども、先行き労働力供給が確実に減ってくる、そのために、我が社の雇用の構成を早目に組みかえていかなければいけないということでもって、非正規の方を正規の方に入れていく、もうそういう動きが出てきております。
 これは、一社がやれば全部右へ倣えかというとそうでもないわけなんですけれども、やれるところは、ようやく景気も回復してまいりましたし、企業の財務体質も改善してきましたので、いわゆる広い意味で雇用の関係の改善に力を入れざるを得ないというような状況が出てきておりまして、それに企業が対応している、経営者の方々もそういう考え方に変えてきているということでありまして、私どもとしては、先行き必ず労働市場の形が変わってまいりますので、その変化に応じて厚生年金の部分の形も徐々に、ストレートではないにしても、いろいろな影響を受けてきて、今の先生の御指摘の問題についてもある程度の解が出てくるのではないかというふうに予測をいたしております。
○阿部(知)委員 年金制度というのは、だれしもいつかは年をとり、あるいは働けなくなるもので、本当に社会の安心の根幹ですから、企業側にも加速する努力を私はお願いしたい。拠出回避というのは、国民年金の保険料を払っていないだけじゃなくて、結果的に、事業主が雇っている方の保険料の拠出をしていないということも含めての拠出回避で、これが社会的には大きな問題なんだろうと思います。
 時間の関係で、先に谷澤参考人にお伺いさせていただきますが、きょうの切実な、国民の声と思ってもいいようなお話は胸を打つものがございました。そして、その中で、立証責任の転換という言葉を使われましたが、要は、領収書を持ってこい、本当におまえは納めたのかと、これは本末転倒、逆さ、逆転、とんでもないことが現実に起こっています。
 私は、この件について柳澤厚労大臣にも質問したのですが、そもそも、谷澤さんもよく御存じの国民年金法の中では、例えば、記録等の保持はきちんと社会保険庁自身が義務として持っているもので、その正しい記録保持がない。原簿を備え、基礎年金番号やその他いろいろは、事項を記録しなければならないと義務が課せられているのは、社会保険庁の方なんだと思うんですね。にもかかわらず、立証責任のところでまた、わざわざ、本当に谷澤さんがおっしゃるように、転換せいと言わなきゃいけないほどどこかで逆転してしまっています。
 私も立証責任の転換は大賛成ですけれども、何でこんなに逆さになっているのか、おかしい、ここをもう一度谷澤参考人の声でお願いしたいと思います。
○谷澤参考人 阿部先生の言われるとおり、全くそのとおりであります。
 私は、友人関係では性善説でありたいと思っています。しかし、この年金の問題に関して、社会保険庁の長官あるいは幹部諸氏に関しては性悪説であります。この人らはほっといたら何をするかわからない。国会の先生方と政府ががんじがらめに監督しなければならないと思っています。
 例えば、グリーンピアの問題で、三千七百億円という赤字を出していますが、これはだれが出したんですか。だれも責任をとった人がいないじゃないですか。私が悪うございました、間違いましたと言う人はいないじゃないですか。これがいいことですか。私に言わせたら、とんでもないことです。国民の年金資金を無駄遣いしている。
 それで、先生方、思い出してくださいよ。年金資金の運用に関しては、社会保険庁の問題があるということで、国会決議がなされています。適正にしろという国会決議が六回なされているんです。六回なされてこのざまですよ。先生方もだまされているんです。私は口が悪い。これだけ大きな声でどなりまくって、悪いと思います。だけれども、本当にどうしようもない立場の国民の人のことを考えてください。
 国会の先生方が、社会保険庁の運用資金が問題だと言うて六回も国会決議して、きちっと適正にしなさい。当時の社会保険庁の長官も幹部諸氏も、きちっとしますと言うたはずですよ。それがこのざまです。
 三千七百五十億の赤字ですよ。それをほっておいて何を言うんですか。私に言わせたら、三千七百五十億、自分らで赤字せたろうて責任も負わへんやつが、国民の年金の領収書にごちゃごちゃ言うなというのが私の意見であります。当然のことでしょう。国民の困っている人を助けなさいよ。それが社会保険庁の諸君のする仕事じゃないですか。
 以上であります。
    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
○阿部(知)委員 本当に真っ当な御指摘でありますので、ゆめゆめ、例えば参考人のお話を伺ったらすぐ採決しましょうなどとおっしゃる皆さんもおいでなのですが、この問題にきっちり決着、方向性をつけずして、そんな国民不在のことはないだろうと思いますので、私もまた野党の一員として頑張っていきたいと思っています。
 最後に、渡部記安参考人にお伺いいたしますが、今の谷澤参考人のお話にもありましたように、日本は、保険料を積み立てた積立金を、例えば勝手な投資で失ってしまったり、それから、あるいは流用して、三千七百五十億をすって、なくなってしまったりする。
 それもやったんですけれども、また、けしからぬことに、例えば年金のいろいろなシステムをコンピューター化するときにも、事務費と称しまして保険料から全部持っていくわけです。平成十三年から十四年に、市町村からの委託業務であったものを社会保険庁が引き取った、それで何をしたかというと、入力業務を全部外注化したんですね。外注化するお金に保険料を使ったんですね。
 私は、例えば年金の五十八歳通知、スウェーデンで言うところのオレンジレターなどはいいと思うんですが、サービスが向上したら、全部、保険料が減っていく。何かタコが足を食べるような構造をこれから恒久的にやろうという、もうひっくり返るような今度の法律案なんですね。
 年金の事務費に保険料を使わないということは世界の常識であるとおっしゃった点について、もちろんほかの、株式投資のいいかげんさとか先ほどのグリーンピアはあるんですけれども、それ以外にも、これからますます続くこの事務費流用問題に、もう一度、再度御意見を賜りたいと思います。
○渡部参考人 渡部記安でございます。お答えいたします。
 何もアメリカやスウェーデンやドイツが我々と比べて特に優秀ではないんです。しかし、彼らが、年金保険料、責任準備金は年金給付以外に使用してはならない、そういう大原則を確立したのは、過去の彼らみずからの苦い苦い経験からだったんですね。
 ちょっと申しわけございませんが、外国では、国会議員の先生方や官僚がその責任準備金を悪用してきたわけですよ、流用してきたわけです。その痛い痛い痛みを他の先進諸国はきちんと法律化しまして、保険料、年金責任準備金は年金給付支給以外に使用してはならない、事務費はきちんと一般歳入から出すという原則を確立したわけです。
 きょう、このように御熱心に審議いただいている先生方にぜひお願いしたいのは、年金責任準備金は年金給付支給以外には使用しない、それに違反した者は塀の向こうにほうり込むという明確な法律を制定していただきたいと思います。それが世界の常識であり、現在は残念ながら日本の非常識であります。
 先ほど言いましたドイツの年金学者が日本を批判して言ったのは、五年分以上の保険料を保有しながら株式投資して失敗しておると。私は忘れもしません、テキストブックフェイリュアと言いましたよ、教科書的、初歩的失敗。世界第二の経済大国と言われながら、そういう基盤のところで大きな脆弱な欠点がある。これを阿部先生御指摘のように抜本的に改革して、法律化して、行政罰のみならず刑罰法規も制定しなくてはならないと思います。ぜひその御努力をよろしくお願い申し上げます。
○阿部(知)委員 井戸参考人と公文参考人には、申しわけございません、御質問ができませんでした。伺ったことを生かして、国会審議を進めてまいります。
 ありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、糸川正晃君。
○糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。
 本日は、参考人の皆様方におかれましては、大変御多忙の中、当委員会に参加いただきまして、また、大変貴重な御意見、ありがとうございました。私が最後の質疑者でございます。皆様に質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まずは、これはすべての参考人の皆様方に質問させていただきます。
 今回の社会保険庁の改革の政府案におきましては、厚生労働大臣が公的年金にかかわる財政責任そして管理運営責任、これを担いつつ、非公務員型の公法人である日本年金機構が年金運営業務の実務を行っていくということにされております。
 年金事務所などの国民が直接接触する組織というのが国の機関でなくなってしまうと、国の責任の所在が見えにくくなってしまって、国民の公的年金制度に対する信頼をかえって失ってしまうのではないかな、こういうような懸念もございます。
 今五人いらっしゃいますね、五人だけにいたします。まずは、そもそも論として、公的年金制度における国の責任のあり方、そして国の役割について、参考人の皆様方がどのような認識をお持ちかお聞かせいただけますでしょうか。
○佐藤参考人 お答えをさせていただきます。既にお答えした分もありますが、それは箇条書き的に申し上げます。
 第一は、先ほど、年金そのものの責任の問題は国が持つというお話を既に申し上げました。
 それから二番目なんですね、窓口が国民から見てどういう状態が一番いいか、こういうことだと思うんです。
 それで、一つの考え方としては、市町村が一番身近なんですね。ですから、そこへ行けばある程度処理ができる、これが一つの理想なんでしょうが、国の事務へ持ってまいりましたものですから、国の地方支分部局を、出先機関を使わざるを得なくなっている。ところが、これは、従来からの窓口が、距離は遠い、とにかく県内でブロック単位になっていますから、あるいは数少のうございますから。
 だから、これをもうちょっと効率化して、民間的手法だともう少し地域の編成その他も、支所とかあるいは事務所とか、つくり方はもっと自由にできるんじゃないですかね。行政組織ですとかたいんですね、法定支出でいきますから。ここも柔軟にできますので、その点などを考慮して、あと、働く人たちが民間的な発想でやっていけば、両方兼ね合わせてお考えいただいたらどうか、そう思っております。
○紀陸参考人 お答えをさせていただきます。
 一号、二号、三号を含めて、非常にたくさんの、七千万を超える人たちがこの制度に加入しているわけでございますね。かつ、受給をされる方々も三千万人おられる。国民の非常にたくさんの方々がこの制度の対象になっているわけでありまして、それだけに責任が重い。これはやはり、国がお金を集め、きちんと給付し、その運用の責任も負う、そういう行動であるべきであろう。
 今回の法案が、それを基本に組み立てられているというふうに思っておりまして、かつ、その効率をいかに上げるかという工夫が相当に盛り込まれているというふうに考えておりまして、そういう観点から、今回の法案をできるだけ早く実現、実施に移していただきたいというふうに考えております。
○井戸参考人 私は、社会保険庁が大体仕組みを今までつくってきたわけですけれども、それはある程度はできていて、それは公務員がしていてよかった時期だったと思うんです。それがだんだん、ねんきん定期便を始めまして、運用ということになりますと、公務員よりも、やはりサービスを提供していくわけですから、非公務員で民間のノウハウをどんどん活用していけた方が一番いいのではないかと思います。
 ですから、国がしっかり責任をとっていただいて、地域に密着したもので、より国民にきめ細やかなサービスが受けられるようになればいいというふうに思っております。
○谷澤参考人 今度はなるべく大きな声を出さないように気をつけます。
 私は、先ほど申し上げましたが、社会保険庁諸君のやっていることは非常識だと思っていますから、国が責任を持っていただきたい。非公務員型の組織のあり方というのはよろしくないと私は考えております。
 それで、その場合でも国民が迷惑をこうむるということがありますが、ちょっと先生の質問と立場が異なってきましたが、私は、きょう委員会の先生方には、国民が直接官僚に対して裁判を起こせる道を開いてください。現在では、地方公務員に対しては裁判ができます、国家公務員に対しては裁判できないんです。だから、それを隠れみのに社会保険庁の官僚諸君がむちゃくちゃやっているんです。だから、社会保険庁に対して直接裁判できるような法制度をつくってください。外国には幾らでもあります。アメリカの州によったら、納税者訴訟といって裁判ができる制度があります。ドイツやフランスやそこらでもやります。日本でもそういうものをつくってください。
 そうしたら、私が相談を受けたものは社会保険庁の官僚諸君に対してばんばん裁判を起こします。その中で改革の端緒になればいいと私は思っています。それぐらいのことをしなければ、この年金問題は解決しないものであるということを最後にもう一遍念を押させてもらって、私の発言を終わります。
 ありがとうございます。
○渡部参考人 渡部でございます。お答えいたします。
 年金給付の支給というのは、人類史上に類を見ない超高齢、超少子の日本社会二十一世紀におきまして、国家の最低限度の義務である、最大の義務であると同時に最低限度の義務であると思います。そして、まずそのために何をすべきか。一番大事なことは一つでございます。
 先ほど阿部知子先生からの御質問もありましたように、単なる枝葉末節的な技術的年金論ではなくて、責任準備金は年金支給のみに消費する、年金準備金は年金支給のみに消費する、この大原則に刑事罰もつけていち早く法文化することが急務であると思います。
 以上です。
○糸川委員 ありがとうございます。
 次に、またこれを言ってしまうと谷澤参考人は熱くなってしまうかもしれませんが、ぜひ熱くなっていただいて結構だと思うんですが、今、社会保険庁が管理します年金の保険料納付記録のうち、払い主の不明だという件数が約五千万件あるということでございますが、これは、重なる部分、先ほどの意見陳述の中にもございましたけれども、この五千万件あるものをどのようにしていったら解決できるというふうにお考えか。これをちょっと再度、熱くても構いませんので、お答えいただけますでしょうか。
○谷澤参考人 谷澤でございます。
 私は、五千万件の中で、現在年金を受けている人、支給を受けている人約三千万件とダブっている可能性が随分多いと思っています。ですから、まずダブっているかどうかをチェックすることが一番でしょう。こんなもの、社会保険庁が、この人らが悪いことをしたんだから、夜も寝ぬとやれば三カ月たったら解決できます。それを明らかにしてください。それ以後、もしあとの二千万件が残ったとするならば、それは今度、まだ支給をこれから受ける人の分がおかしいので、その分は全部各自に通知をして直していくことしかないと思っています。
 ただ、そのときに、私が何度も申し上げましたが、年金の未納問題は加入者の利益になるように考えてやってください。それで少々国の年金資金が傷んだっていいじゃないですか。それほど私は、加入者を助けてやっていただきたいというのがお願いであります。
 以上です。
○糸川委員 では、井戸参考人にお尋ねさせていただきますが、井戸参考人はファイナンシャルプランナーということでございますので、非常に国民の皆様方と接する機会が多いのかなというふうに感じております。
 そういう中で、社会保険庁を今回解体する目的というのが、公的年金制度に対する国民の信頼、これを回復することにあるというふうに思っております。ただ、しかし、社会保険庁を解体するだけで国民の信頼というのを回復できるというふうには思っておりませんで、年金制度自体、これの改革が必要であるというふうにも思っております。
 公的年金に対します信頼回復に向けて一番重要なことというのは何なのか。そしてまた、今、実務、社会保険労務士として、またファイナンシャルプランナーとして活動されている中で、国民の皆様が恐らく井戸先生に、こういう不安があるとか、不満があるとかということを伝えているんではないかなと思いますので、差し支えない範囲で現場の声というのもお聞かせいただけますでしょうか。
○井戸参考人 社会保険庁が解体することで、確かに、信頼を回復するというのは難しいと思います。ですけれども、先ほど来、いろいろなサービスがなされるということがありますので、それは国民の皆様が直に感じられることなので、年金の教育を受けたりとか、そういうことによって、時間はかかるかもしれませんけれども、徐々に信頼は回復できるものだと思います。
 年金の相談のところなんですけれども、年金は、やはり制度を決めてから成熟するまでに二十年もかけて移行していっているわけです。非常に複雑になっております。複雑になっているんですけれども、反対に言えば、きめ細やかだという言い方も裏返せばできると思うんですね。生年月日によってなるべく不公平がないように、徐々に徐々に改正していっているわけです。ですから、国民の皆様が年金のそういう特例法とかを知られるのは非常に難しいと思いますので、なるべく身近で御自身のことに対して年金の相談ができるというようなことが一番大事なことだと思います。
 それから、今御相談のところなんですけれども、確かに、老後の年金が、マクロ経済スライドなどが施行された場合幾らになるのかという数字がはっきりわからない、生活のレベルでどれだけ年金が役に立つのかわからない、そこのところがすごく不安に思われていることが多いと思います。ですけれども、基本的な生活費の基盤というのは絶対に公的年金ですから、個別の案件については、組織を挙げて一つ一つ丁寧に誠実に解決していただきたいことを望むというのは全く同じでございます。
 ですから、ちょっと繰り返しになりますけれども、きちっと御自身でどのぐらい働かれてという記憶をひもといていただきまして、ぜひ御相談されて御自身の年金を確認していただくということがまず初めの第一歩ではないかというふうに思います。
○糸川委員 ありがとうございます。
 では、佐藤参考人にお聞きいたします。
 今回の社会保険庁の解体後、新組織の形態については、廃案となった法案では、これは国の機関であったわけでございます。今回の日本年金機構法案、これは公法人とすることになっておるわけでございまして、社会保険庁改革では、ガバナンスの強化というのも重要な目的でございますが、公法人という形態だからこそガバナンスというものの強化ができる面があるのか、また、業務が外部に委託された場合、受託事業者のガバナンスの問題というのも検討する必要があるというふうに思いますが、この二点について、参考人、御意見があれば御見解をお伺いしたいと思います。
○佐藤参考人 まず、前の法案では、行政組織の中で、それで最も柔軟性のある特別の機関というのを設定する、そういう方式である程度柔軟性を持たせる。ガバナンスも、いわゆる行政組織の中のガバナンスというのがあるわけですね。それからもう一つは、民間型のガバナンスがあるんですね。どちらかというと、分野によると思うんですが、行政内部のガバナンスは、残念ながら、事業的部分については、これまでは余りうまくいってこなかったというのが私なんかの考え方なんですね。ある事務事業、社会保険庁の場合も、この場合のガバナンスが十分きいてこなかったと思います。
 それを、前の法案で特別の機関をつくって、ガバナンスもそこへ盛り込んでということを考えていたわけですけれども、今度はそれを支える人の意識の問題がある。どうしても頭の中を変えていくというのは大変なんですね。だものですから、責任だけは国に、それから、それを執行するのは、純粋に民間ではなくて、公法的性質を、処分とかあるいは強制徴収権限を与えますので、純粋に民間に持っていけないですね。そこへ持っていって、業務を委託する、こういう構造をとったわけですね。
 そして、ここへ従来の行政の経験を入れるのはもちろんいいですけれども、民間的な新しいガバナンス手法を盛り込んでいくという、その一つが外部監査、あるいは内部監査、それから非常勤理事などの、民間でいうところの外部からの取締役などを取り入れるのと同じ方法ですけれども、そういう手法を入れていくことで変えていく、こういう考え方になると思うんですね。
○糸川委員 ありがとうございました。
 では、もう時間もございません。最後に渡部参考人にお伺いいたします。
 公的年金制度に対する国民の信頼回復というのが課題なわけでございますが、特に若年者の納付意欲も喚起しなければならないわけで、そのためには、二十五年という受給資格期間、これは廃止もしくは短縮して、長さにかかわらず、保険料を納めた期間に応じて、例えば年金給付が少額であっても給付できるというわかりやすい制度、こういうことも検討する必要があるんじゃないかというふうに私もこの委員会で申し上げてきたわけでございます。
 そこで、諸外国と比較していただいて、こうした考え方に対する渡部参考人の御見解というものをお伺いしたいというふうに思います。
○渡部参考人 渡部記安でございます。お答えします。
 非常に重要な御質問でございます。やはり、現在日本は、とかくお金、お金、お金ということの、マスコミとか漫画とか、そういうものが多うございまして、二十一世紀の日本社会というのは人類に類を見ない超高齢、超少子の社会である、だからこそ、社会的連帯性と所得再分配機能が重要だということを、もう中学校ぐらいからきちんと教育するということが必要であります。
 そして、若い人が払わないというのは、やはり我々成人の言動を見ておるから社会保障制度に対する信頼が生まれないわけでありまして、先ほどから出ておりますように、納付記録の問題とか、そしてグリーンピアの問題とか、そういう初歩的な、よその国が見たら本当に驚くぐらい初歩的な原理原則を日本が放棄してしまっておる。だから、ILOやISSAが重視する基本原則、所得再分配機能、そして社会的連帯性、それに基づく安定的な持続可能な引退後所得保障の必要性ということを、教育を含め、強調していくということになると思います。
 再言しますと、年金制度というのは、二十一世紀日本における最低限かつ最大の課題でありまして、それを運営管理を民営化するなどということは、国家の最低限かつ最大の義務を放棄するものだと確信しております。
 以上です。
○糸川委員 ありがとうございました。
 公文参考人、ちょっと退席中だったものですから、失礼いたしました。
 きょうは大変貴重な御意見をありがとうございました。
 これで私の質問を終わります。
○櫻田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 次回は、明二十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十五分散会