第171回国会 本会議 第22号
平成二十一年四月九日(木曜日)
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 議事日程 第十三号
  平成二十一年四月九日
    午後一時開議
 第一 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)
 第二 外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案(内閣提出)
 第三 高齢者の居住の安定確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 裁判官訴追委員の選挙
 日程第一 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)
 日程第二 外国等に対する我が国の民事裁に関する法律案(内閣提出)
 日程第三 高齢者の居住の安定確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。
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 裁判官訴追委員の選挙
○議長(河野洋平君) 裁判官訴追委員の選挙を行います。
○谷公一君 裁判官訴追委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
○議長(河野洋平君) 谷公一君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 議長は、裁判官訴追委員に安住淳君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○議長(河野洋平君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。
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 日程第一 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)
○議長(河野洋平君) 日程第一、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。農林水産委員長遠藤利明君。
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 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔遠藤利明君登壇〕
○遠藤利明君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 本案は、最近の飲食料品の原産地等についての悪質な偽装表示事件が多数発生している状況にかんがみ、原料原産地等について虚偽の表示をした飲食料品を販売した者に対する罰則規定の新設等を行おうとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。
 第一に、目的規定を改正し、法律の目的として、農林物資の生産及び流通の円滑化、消費者の需要に即した農業生産等の振興並びに消費者の利益の保護を明示すること。
 第二に、製造業者等が品質表示基準に従い、農林物資の品質表示をしなければならない旨の規定を設けること。
 第三に、品質表示基準違反に係る指示または命令を行うときは、これとあわせて公表する旨の規定を設けること。
 第四に、原料原産地等について虚偽の表示をした飲食料品を販売した者は、二年以下の懲役または二百万円以下の罰金に処する規定を設けることとしております。
 本案は、去る七日の農林水産委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案(内閣提出)
○議長(河野洋平君) 日程第二、外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長山本幸三君。
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 外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔山本幸三君登壇〕
○山本幸三君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約を踏まえて、外国等を当事者とする民事裁判手続並びに外国等の財産に対する保全処分及び民事執行に関する我が国の裁判権の範囲について定めるとともに、外国等に係る民事の裁判手続についての特例を定めようとするものであります。
 本案は、去る四月二日本委員会に付託され、翌三日森法務大臣から提案理由の説明を聴取し、七日質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 高齢者の居住の安定確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(河野洋平君) 日程第三、高齢者の居住の安定確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長望月義夫君。
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 高齢者の居住の安定確保に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔望月義夫君登壇〕
○望月義夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、住宅に係る高齢者対策が十分ではない現状にかんがみ、福祉施策とも連携しつつ、高齢者が安心して暮らし続けることができる住まいを確保するための措置を講じようとするもので、その主な内容は、
 第一に、これまで国土交通大臣が単独で策定していた基本方針につきまして、厚生労働大臣と共同で策定することとした上で、記載事項を追加すること、
 第二に、都道府県は、基本方針に基づき、高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標等を記載した高齢者居住安定確保計画を策定することができること、
 第三に、高齢者居宅生活支援施設と一体となった高齢者向け優良賃貸住宅について、認知症高齢者グループホームの事業を行う社会福祉法人等に賃貸することができること
などであります。
 本案は、去る四月二日本委員会に付託され、翌三日金子国土交通大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。七日質疑に入り、翌八日質疑を終了し、採決いたしました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
○谷公一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、電波法及び放送法の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(河野洋平君) 谷公一君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
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 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(河野洋平君) 電波法及び放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長赤松正雄君。
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 電波法及び放送法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔赤松正雄君登壇〕
○赤松正雄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、電波の有効利用を推進する観点から、地上デジタルテレビジョン放送への円滑な移行を推進するため電波利用料の使途の範囲を当分の間拡大するとともに、当該移行によってあくこととなる周波数帯を利用した移動受信用地上放送の早期実現を図ろうとするものであります。
 本案は、去る四月六日本委員会に付託され、翌七日鳩山総務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。本日質疑を行い、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(河野洋平君) この際、内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣河村建夫君。
    〔国務大臣河村建夫君登壇〕
○国務大臣(河村建夫君) ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、いわゆる独占禁止法については、平成十七年の一部改正法の附則第十三条において、「施行後二年以内に、新法の施行の状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、課徴金に係る制度の在り方、違反行為を排除するために必要な措置を命ずるための手続の在り方、審判手続の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」とされております。
 施行後二年以内の見直しの結果、公正かつ自由な経済社会を実現するために競争政策の積極的展開を図ることが必要であることにかんがみ、排除型私的独占、一定の不公正な取引方法等に対する課徴金制度の導入、企業結合に係る届け出制度の見直し等の所要の改正を行うため、政府といたしましては、独占禁止法等の一部を改正する法律案を第百六十九回国会に提出いたしましたが、継続審査となった後、第百七十回国会において廃案となり、成立を見るに至りませんでした。しかしながら、一刻も早くその実現を図るために、所要の修正を加えた上で、ここにこの法律案を提案し、御審議願うこととした次第であります。
 次に、この法律案について、その主な内容を御説明申し上げます。
 第一に、課徴金の適用対象について、排除型私的独占及び優越的地位の濫用など一定の不公正な取引方法を新たに課徴金の対象とすることとしております。
 第二に、不当な取引制限において、主導的役割を果たした事業者に対する課徴金を割り増す制度を導入することとしております。
 第三に、課徴金減免制度について、減額対象事業者数の拡大、企業グループ内の事業者の共同申請制度を導入することとしております。
 第四に、課徴金の納付を命ずる手続について、会社分割等により事業を承継した会社に対して納付を命ずる制度の導入等をすることとしております。
 第五に、企業結合に係る届け出制度等について、会社の株式取得に係る事前届け出制度の導入、株式取得会社の届け出基準の変更、合併、分割及び事業等の譲り受けの届け出に係る規定の見直し等をすることとしております。
 第六に、不公正な取引方法による侵害の停止または予防に関する訴訟上の救済を円滑化するため、文書提出命令の特則を導入することとしております。
 第七に、不当な取引制限の罪等に対する懲役刑を引き上げることとしております。
 なお、これらの改正は、一部を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 御審議のほどよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
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 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。田村謙治君。
    〔田村謙治君登壇〕
○田村謙治君 民主党の田村謙治でございます。
 民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。(拍手)
 今回の改正は、平成十七年の大改正時の宿題に答えるものであり、公正取引委員会がどのような解答を出されるのか期待をしておりました。
 最大の眼目でありました中小企業等に不当な不利益を与える不当廉売、優越的地位の濫用等の不公正な取引が課徴金の対象とされたことなどは評価できますけれども、今回の改正におきましても、重要な宿題が棚上げ、先送りにされてしまっていることは残念でなりません。
 二月二十七日に内閣が提出をした本法案は、昨年三月十一日に提出され審議されないまま廃案となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律及び不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案を一部修正して、改めて提出したものであります。
 しかしながら、ここで気づきますのは、不当景品類及び不当表示防止法が今回の改正案から外されていることでございます。つまり、不当表示が行われた商品の売上高の三%の課徴金を課すことができるとした改正が取り消されてしまっているわけであります。
 現在、消費者問題に関する特別委員会で審議されている消費者庁設置法案に、消費者庁が不当景品類及び不当表示防止法を所掌するという旨が記載をされておりますため、公正取引委員会が遠慮したということが原因かと推察いたしますけれども、本当の理由をお答えください。
 消費者行政の縦割りを廃して一元化するために設置するはずの消費者庁構想が、逆に縦割りを露呈してしまっているわけであります。消費者庁にごく一部の法律を移管するという制度設計自体に無理があります。民主党の消費者権利院法案のように、法律の移管などを伴わずに、行政の外に置いた組織から消費者の立場に立って権限を行使した方がはるかに機能的であります。
 そもそも、法律の所管が公正取引委員会から消費者庁に移ろうと、法案を提出するのは公正取引委員会ではなくて内閣なのですから、わざわざ景表法を外す必要はないはずです。
 不当表示に対する課徴金制度の導入をこのまま見送ってしまうのでしょうか。それとも、内閣提出の消費者庁設置法案と民主党・無所属クラブ提出の消費者権利院法案の審議が終わり、新たに発足する消費者行政の姿が確定したら、直ちに景表法改正案を提出するつもりなんでしょうか。今後の見通しをお話しください。
 課徴金の適用範囲の拡大に並ぶ、あるいはそれ以上に大きな論点として、審判制度のあり方についての問題があります。
 昨年提出された法案には、審判手続に係る規定について、「平成二十年度中に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」というふうに書かれておりますけれども、本法案では、単に、平成二十年度というのを「平成二十一年度中に」と改められているにすぎません。
 昨年の法案が成立していたならば、既に結論が出ていなくてはならない時期です。それにもかかわらず、本法案には昨年から何らの進展も見られず、そのまま一年先送りされているのはなぜでしょうか。政府は、この間、何も検討していないのでしょうか。検討していないとしたら、なぜでしょうか。お答えください。
 民主党は、これまでも、公平、透明な審判手続を求めてまいりました。今般の改正で抜本的な見直しが図られることを大いに期待しておりましたけれども、先送りをされていることは、まことに残念でございます。
 審判手続において、審判官と審査官が人事的にも厳格に分離されておらず、かねてより経済界からは、公正取引委員会みずからが処分の内容の是非を判断する審判制度はそもそもおかしい、検察官が裁判官を兼ねるようなものだという理由で、廃止を求める声が強くあります。
 実際に審判で処分が見直されたケースは、ここ十年間でわずか一件とも聞いております。
 先進主要国の状況を見ましても、競争当局の審判制度に類するものは、アメリカの連邦取引委員会における審判など、ごく限られた例しかございません。その上、それらにおいては審判部門の組織や人事に高い独立性が確保されていて、日本とは全く状況が異なっております。
 民主党は、昨年参議院に提出をいたしました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の中で、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定によります審判の制度を廃止して、当該審判に相当する機能を裁判所に担わせることというふうにしております。
 裁判所に公正取引にかかわる専門部署を創設し、人材の育成など環境を整備した上で、審判制度を廃止して司法に一本化すべきと考えますが、裁判所として対応が可能なのかどうか、法務大臣にお伺いをいたします。
 自民党の独禁法調査会でさえも、制度存続は公正取引委員会の組織防衛という批判が上がったという報道も聞いております。廃止に踏み切れない理由や今後の見通し、御意見を官房長官にお伺いいたします。
 審査につきましても、調査の密室性や、事前通知から排除措置命令が出されるまでの期間が短いなど、手続のあり方に疑問を呈する声は多くあります。公正、透明な手続を担保するため、審査手続の可視化の導入や、供述調書の写しの提供、供述や任意の事情聴取など調査を受ける際の弁護士立ち会いなどを認めることも必要ではないかと思います。
 刑事手続や他の行政処分において導入をされていないということを理由に我が国では認められないという意見もありますけれども、独占禁止法では、課徴金減免制度、いわゆるリーニエンシーという実質的な司法取引を刑事手続に先駆けて導入し、大きな成果を上げているわけであります。アメリカ、EUなどとの国際的な整合性をとるためにも、可視化や調書の写しの提供、弁護士立ち会い権を速やかに認めるべきと考えますが、どのような見解をお持ちでしょうか。お答えください。
 民主党は、従前より、いわゆる不公正な取引についても課徴金の対象にすべきというふうに主張してまいりました。それに対しまして、公正取引委員会は、これまで、不公正な取引は構成要件を明確にすることが難しい、公正な競争を阻害するおそれがあるにすぎない行為に課徴金を課すのは問題があるなどとしまして、不公正な取引に課徴金を導入することには反対をしてまいりました。
 しかし、今回、従来の、不当な取引制限、支配型私的独占に加えて、排除型私的独占、共同の取引拒絶、差別対価、不当廉売、再販売価格の拘束、優越的地位の濫用を対象にしたのは、考え方をお変えになったのでしょうか。課徴金の対象拡大に踏み切った理由を明らかにしてください。
 課徴金の額については、欧米と比較して低い水準に抑えられているという批判があります。
 昨年十一月、欧州委員会は、自動車用ガラスの市場分割や商業的機密情報を交換したとして、日欧の四社に過去最高額となる計約十三億八千三百八十九万六千ユーロ、約千六百五十億円を課したのは記憶に新しいことであります。EC条約では、制裁金の上限額が、直近事業年度における当該事業者の全世界売上高の一〇%以下となっております。
 一方、本改正案においては、例えば不当廉売や差別対価等については、売り上げに対して、製造業では三%、小売業二%、卸売業一%、優越的地位の濫用については業種にかかわらず取引額の一%などと一律に決まってしまっています。これでは余りに硬直的で、不当利得の剥奪とはとても言えないと思いますが、なぜ一律にしたのでしょうか。
 本来であれば、課徴金からさらに進んで、個別の事案について不当利得を算定し、一定額を上乗せした制裁金を課すべきかと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
 本改正案では、公正取引委員会は、外国競争当局に対し、その職務の遂行に資すると認める情報の提供を行うことができるものとすることとありますが、情報交換のみならず、連携した調査が必要です。
 海外競争当局と協力して調査をして法的措置をとった事件について公正取引委員会に問い合わせをしたところ、二件ありました。平成十五年の塩化ビニール樹脂向けモディファイヤーの製造販売業者による価格カルテル事件、そして昨年のマリンホースの製造販売業者による国際カルテル事件です。マリンホースの事件は外国企業を対象に排除措置命令を出した初めてのケースと聞いておりますけれども、課徴金が課されたのは日本の一社だけでした。
 日本に拠点を有しない外国企業には課徴金を課すことはできないのでしょうか。または、市場分割等で日本で直接売り上げが立たない場合は課すことができないのでしょうか。もしできないようであれば、欧州委員会の制度と大きく乖離があります。
 二〇〇七年のガス絶縁開閉装置国際カルテル事件で、実際には偽造入札や価格操作には参加をしていなかった日本企業五社に対しても、日本企業は欧州での入札を手控え、欧州企業は日本市場に参入しないという合意があったと判断され、巨額の制裁金が課されました。EUと歩調を合わせた修正が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 今回、課徴金の適用対象となる行為類型のうち、特に不当廉売については、競争上の安売りとの区別がはっきりしない、価格競争を萎縮させかねないといった指摘がされています。消費者にとってはよい商品をより安く購入できるにこしたことはなく、中小零細の小売店を守るために健全な価格競争までも制限するのは、必ずしも好ましくはないという場合も想定されます。
 具体的な事例を挙げて、どのような行為が不当廉売に当たるのか、どのような場合に課徴金が適用されるのか、基準を明らかにしてください。あわせて、海外諸国では、不当廉売をどう定義づけ、どのように対処しているのか、お示しください。
 世界的景気後退の影響は、弱い立場にある下請の中小企業にも確実に及んでいます。仕事の受注量が激減をしたため、需給のバランスが大きく崩れ、もともと安い納入価格がさらに下落して、赤字でも引き受けざるを得ないといった話も耳にしております。
 民主党は、不当廉売や優越的地位の濫用による下請いじめを防止するため、大企業者による中小企業者に対する取引上の地位を不当に利用する行為の防止に関する法律案、いわゆる中小企業いじめ防止法案を参議院に提出しております。
 その内容は、大企業による不当な値引きや押しつけ販売、サービスの強要など不公正な取引を禁止することで中小企業の利益を保護するものです。銀行等の金融機関による信用供与など、下請法ではカバーできない取引についても対象としております。
 今回、優越的地位の濫用が課徴金対象となったことで、一定の抑止効果が期待できると考えますが、経済情勢の悪化などの要因も重なって、下請企業の厳しい環境はなかなか改善しないものと思われます。大企業と中小企業間のすべての取引を対象とする中小企業いじめ防止法案の制定や、下請法の見直しも検討されるべきではないでしょうか。
 この件に関する公正取引員会の見解と、中小企業庁による中小企業下請いじめ対策について、それぞれお伺いいたします。あわせて、公正取引委員会と中小企業庁との連携の現状や協力スキームについても説明してください。
 加えて、独禁法では課徴金対象となる優越的地位の濫用が、下請法では依然、勧告のままです。平仄を合わせる必要はないのでしょうか。下請法見直しについての検討状況を教えてください。
 以上、経済の発展に資する健全で公正な競争が行われる社会をつくり出すために、これからも真摯で活発な議論が進められますことを望みまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣河村建夫君登壇〕
○国務大臣(河村建夫君) 田村議員から十二の質問をいただきました。順次お答えをさせていただきます。
 まず、本法案に景品表示法上の不当表示に対する課徴金制度の導入が含まれていない理由についてのお尋ねがございました。
 政府といたしましては、景品表示法上の不当表示に対する課徴金制度の導入については、消費者庁への移管に当たって、現段階において導入を進めるよりも、移管後、被害者救済制度の総合的な検討を実施する際にあわせて違反行為の抑止力強化策を検討することが適切であると考えたものであります。これを受けて、本法案では、不当表示に対する課徴金制度の導入を含めないものとしたものでございます。
 次に、不当表示に対する課徴金制度の導入についてお尋ねがございました。
 政府としては、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案では、消費者庁を今年度設立する上で必要不可欠な法律を整備することとしており、昨年の通常国会で提出された独占禁止法等の改正法案に盛り込まれた不当表示に関する課徴金制度については、その導入を見送ることといたしましたが、今後、被害者救済制度を総合的に検討することとしており、その際、あわせて検討していくこととなります。
 次に、審判制度に関する検討状況及びその見直しに係る今後の見通しなどのお尋ねがございました。
 政府といたしましては、審判制度の見直しを含む改正法案を提出すべく検討してまいりましたが、公正取引委員会の専門性をどのように発揮させるかなど、なお多くの論点があり、さらに検討を深める必要があると判断したものであります。
 今後の見通しについては、審判制度に関するさまざまな意見、論点がありますので、さらに関係各方面の意見をお聞きしながら、平成二十一年度に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものといたしております。
 次に、審査手続における手続の可視化や供述調書の写しの提供、弁護士立ち会い権の導入についてのお尋ねがありました。
 審査手続における手続の可視化については、供述人が真実を供述することに消極的になる、あるいは特に優越的地位の濫用事件などでは、違反事業者の報復を恐れ、被害を受けた中小企業からの協力が得られなくなるなど、真相解明の妨げとなる可能性があるため、適当でないと考えております。
 また、供述調書の写しの提供や事情聴取の際の弁護士立ち会いについては、我が国の刑事手続や他の行政調査においても認められていないこと、次に、供述調書の写しの提供や事情聴取の際の弁護士立ち会いを認めることによって真相解明の妨げとなる可能性があること、我が国と欧米においては司法制度のあり方全体が異なっていることなど、このような点から、これらを認めていない現行の制度運用で問題はないと判断したものでございます。
 次に、課徴金の対象範囲の拡大の理由についてのお尋ねがございました。
 不公正な取引方法などを課徴金の対象とするかどうかにつきましては、平成十七年に成立した独占禁止法改正法案に対する附帯決議を受けまして、独占禁止法基本問題懇談会の報告書や関係方面からの御意見等を踏まえて検討を行い、政府としては、中小企業等に不当な不利益を与える不当廉売等の行為について、その要件を法律で明定した上で課徴金の対象とすることが適当であると判断したものであります。
 次に、課徴金の算定についてお尋ねがありました。
 個別の事案ごとに不当利得相当額を算出することは実際上困難であり、また課徴金は、違反行為を抑止するための金銭的不利益処分であり、現実の不当利得そのものの剥奪を目的とするものではありません。
 そのために、課徴金については、違反行為を抑止するとの観点から行為類型ごとに適切な算定率を定めているものであります。
 次に、外国企業に対する課徴金についてのお尋ねがありました。
 日本に拠点を有しない外国企業に対しても、課徴金納付命令を行うことが可能であると承知しております。
 これに対し、日本の地において直接売り上げが立たない場合には、御指摘のように、基本的には課徴金納付命令を行うことができないと承知しております。この点については、制度の基本にかかわる問題であり、慎重に検討すべき課題であると考えております。
 次に、どのような不当廉売に課徴金が課されるのか、また、海外諸国における不当廉売の規制についてのお尋ねがありました。
 不当廉売については、公正取引委員会において、従来からガイドラインを公表しており、その中で、本改正法案で課徴金の対象となるような典型的な不当廉売行為についても、例えば小売業では、仕入れ価格を下回るかどうかを一つの基準として、競争への影響を見て判断することを明らかにしておるところであります。
 海外諸国の競争法におきましては、コストを下回る廉売行為は、おおむね市場支配的事業者などによる略奪的行為の一種として定義をされ、規制されている状況にあります。
 次に、中小企業いじめ防止法案や下請法の見直しについてのお尋ねがございました。
 民主党御提出の中小企業いじめ防止法案については、国会における議論にゆだねられておるものと考えております。
 政府といたしましては、現下の厳しい経済情勢のもとでは、下請企業に不当なしわ寄せが生じやすくなっていると考えております。かかる状況のもとで、独占禁止法及び下請法を厳正に執行し、下請取引等の適正化に努めており、下請法については、その施行状況を勘案して、今後、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
 次に、公正取引委員会と中小企業庁の連携についてのお尋ねがありました。
 公正取引委員会と中小企業庁は、従来から、親事業者向けの下請法の講習会を共同して開催するなど、連携して下請法の周知や執行に取り組んでおるところであります。
 また、公正取引委員会は、中小企業に不当な不利益を与える不公正な取引方法に適切に対応するため、不公正な取引方法に係る経済産業省との協力スキームを構築し、連携して違反被疑行為の情報収集等について協力を行っております。
 最後に、下請法の見直しについてのお尋ねがございました。
 下請法は、迅速かつ効果的に下請事業者を保護する観点から、下請事業者の利益の回復が円滑に行われるよう、独占禁止法とは別の手続を定めるものとして制定されたものであります。
 政府としては、下請法のかかる立法趣旨を踏まえて、下請法の施行状況を勘案して、今後、必要な対応を検討してまいります。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣森英介君登壇〕
○国務大臣(森英介君) 審判制度を全廃した場合、裁判所は対応できるかという点についてお尋ねがありました。
 審判制度を全廃し、公正取引委員会のすべての処分を取り消し訴訟によって争うものとするかどうかは、立法政策の問題でありますので、裁判所においてその対応の可否につき意見を述べられることはないものと承知いたしております。
 仮に、そうした制度とする場合には、これまで公正取引委員会が高度の専門的知見を活用して行っていた不服審査を経ずして訴えが提起されることになるため、迅速かつ適正に事件処理を行うという観点から、所要の制度的な手当てや人的体制の確保等について検討する必要が生じるものと承知いたしております。(拍手)
    〔国務大臣二階俊博君登壇〕
○国務大臣(二階俊博君) 下請中小企業対策について、田村謙治議員からお尋ねがありました。
 経済産業省では、常に公正取引委員会とも連携して、不当な減額分を下請事業者に返還させるなど、下請代金支払遅延防止法の厳格な運用に努めております。
 また、下請代金法の講習会の開催や、業種ごとの下請ガイドラインの普及、下請かけこみ寺における相談体制の充実にも取り組んでおります。
 さらに、問題のある取引慣行の洗い出しと改善策の検討を進めるなど、今後とも下請中小企業の対策に万全を期してまいります。(拍手)
○議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。
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○議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十五分散会
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 出席国務大臣
       総務大臣  鳩山 邦夫君
       法務大臣  森  英介君
       農林水産大臣  石破  茂君
       経済産業大臣  二階 俊博君
       国土交通大臣  金子 一義君
       国務大臣  河村 建夫君
 出席政府特別補佐人
       公正取引委員会委員長 竹島 一彦君