第177回国会 法務委員会 第4号
平成二十三年三月三十日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 奥田  建君
   理事 滝   実君 理事 辻   惠君
   理事 橋本 清仁君 理事 樋口 俊一君
   理事 牧野 聖修君 理事 稲田 朋美君
   理事 平沢 勝栄君 理事 大口 善徳君
      相原 史乃君    井戸まさえ君
      石田 三示君    大泉ひろこ君
      川越 孝洋君    京野 公子君
      黒岩 宇洋君    黒田  雄君
      桑原  功君    階   猛君
      高松 和夫君    橘  秀徳君
      豊田潤多郎君    中島 政希君
      三輪 信昭君    水野 智彦君
      森岡洋一郎君    山崎 摩耶君
      横粂 勝仁君    赤澤 亮正君
      伊東 良孝君    北村 茂男君
      柴山 昌彦君    松浪 健太君
      森  英介君    漆原 良夫君
      園田 博之君    城内  実君
    …………………………………
   法務大臣         江田 五月君
   法務副大臣        小川 敏夫君
   農林水産副大臣      筒井 信隆君
   法務大臣政務官      黒岩 宇洋君
   環境大臣政務官      樋高  剛君
   防衛大臣政務官      松本 大輔君
   最高裁判所事務総局総務局長            戸倉 三郎君
   最高裁判所事務総局人事局長            安浪 亮介君
   最高裁判所事務総局民事局長兼最高裁判所事務総局行政局長           永野 厚郎君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  樋口 建史君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    金高 雅仁君
   政府参考人
   (警察庁交通局長)    石井 隆之君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局参事官)            遠藤 俊英君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    原   優君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    西川 克行君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    青沼 隆之君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           加藤 善一君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 中沖  剛君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君
   政府参考人
   (中小企業庁事業環境部長)            伊藤  仁君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房技術審議官)         松谷 春敏君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君
   法務委員会専門員     生駒  守君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月三十日
 辞任         補欠選任
  熊谷 貞俊君     高松 和夫君
  野木  実君     森岡洋一郎君
  水野 智彦君     石田 三示君
  河井 克行君     松浪 健太君
  棚橋 泰文君     赤澤 亮正君
  柳本 卓治君     伊東 良孝君
同日
 辞任         補欠選任
  石田 三示君     水野 智彦君
  高松 和夫君     豊田潤多郎君
  森岡洋一郎君     野木  実君
  赤澤 亮正君     棚橋 泰文君
  伊東 良孝君     柳本 卓治君
  松浪 健太君     河井 克行君
同日
 辞任         補欠選任
  豊田潤多郎君     熊谷 貞俊君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
     ――――◇―――――
○奥田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長樋口建史君、警察庁刑事局長金高雅仁君、警察庁交通局長石井隆之君、金融庁総務企画局参事官遠藤俊英君、法務省民事局長原優君、法務省刑事局長西川克行君、法務省保護局長青沼隆之君、文部科学省大臣官房審議官加藤善一君、厚生労働省労働基準局長金子順一君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長中沖剛君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、中小企業庁事業環境部長伊藤仁君、国土交通省大臣官房技術審議官松谷春敏君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○奥田委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局戸倉総務局長、安浪人事局長及び永野民事局長兼行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○奥田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻惠君。
○辻委員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。
 まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に関連して質疑をいたしたいと思います。
 四十五名の裁判官の員数の増員を求めるという内容でありますが、その理由としては、民事訴訟事件の審理の充実だというふうに記載をされておりますけれども、こういうことでよろしいんでしょうか。
○戸倉最高裁判所長官代理者 今回、判事四十五名の増員をお願いいたしておりますのは、民事訴訟事件の充実ということでございます。
 その具体的な状況といたしましては、委員御承知のように、近年、地方裁判所を中心に民事訴訟事件が急増してございます。それに加えまして、最近の価値観の多様化あるいは権利意識の高揚等によって訴訟事件の内容が非常に複雑困難化しておるという状況にございます。
 そういった中で、裁判所が本来の機能を十全に果たすためには、こういった判事、特に経験を積んだ裁判官の強化が必要であるということで、今回の増員をお願いしているわけでございます。
○辻委員 同じ定員法で、昨年も私、この法務委員会、三月十二日に質疑をいたしております。そのときに伺いましたけれども、裁判官、検察官、弁護士、この十年間の増員を見ますと、裁判官は約六百人、検察官は約二百人、弁護士は約九千七百人。この増員分をパーセントで見ますと、裁判官は六%、検察官二%、弁護士が九二%ということであります。この六百人というのは、内訳は、司法改革で四十五人を十年間、裁判員裁判で三十人を五年間、これで六百人、そういう目的で六百人が増員された。
 一方で、二十年間の事件数を見ますと、これは、一九八九年においては約十二万件だったのが、二〇〇九年では約二十四万件だというようなことであります。
 成年後見事件の大幅増とか労働審判制度が非常に活用されていることとか、あと、専門部として、東京地裁を見れば、労働部、知財、医療、行政、交通、破産、保全、執行等々、そういう専門性に即して必要な人材もあるということだと思いますけれども、事件数が非常に大幅にふえているのと比べて、二十年前に比べて二倍に事件数はふえているのに、裁判官の数は六百人しかふえていないということは、このふやした人数というのはどういうところに配転する予定でふやしているのか、この点はいかがですか。
○戸倉最高裁判所長官代理者 今委員御指摘のとおり、この十年間を見ましても、事件数は非常に増加してございます。その中で、裁判所といたしましても、計画性を持って着実な増員を図ってきたわけでございます。その中で、今後のことも考えますと、やはり、今一番裁判所で強化が必要であろうと思われますのは、現在の東京地方裁判所等を中心といたします繁忙庁の民事部の繁忙部門ということでございます。
 したがいまして、今回増員いただきました場合には、これら東京地裁等の繁忙庁を中心に人員を配置していくことになろうかというふうに考えております。
○辻委員 これは前回の質疑でもお答えいただいたことなんですけれども、この十年間で証人尋問、証拠調べの実施率というのは大幅に減っております。鑑定とか検証が行われる場面も非常に少なくなっていて、検証についてはわずか〇・三%、事件としてですね。そして、高裁の期日の回数を見ると、平均が約一・四回。だから、一回で結審するというのが非常に多くなっているということがあるわけであります。
 審理期間を見ましても、これは、今回配付されている資料を見ましても、これは二十六ページでありますけれども、九九年と二〇〇九年を比べておりますが、高裁が、審理期間が九・〇月であったのが六・〇月になっている。地裁は、九・二月であったのが六・五月になっている。
 つまり、冒頭お伺いしましたけれども、民事訴訟事件の審理の充実だということをうたいながら、しかし、現実を見れば、審理期間は大幅に短縮になっている。九カ月が六カ月になっているわけであります。実際に、証拠調べが行われる比率も極めて低くなっている。これは審理の充実という実態と逆行していると思いますが、この点はいかがでしょう。
○戸倉最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、近年、審理期間は非常に短縮しております。また、証人尋問をいたす事件も割合は減少しているというのは事実でございますが、これは最終的には個々の裁判体の訴訟指揮の問題になるわけでございますけれども、やはり、新しい民事訴訟法が施行されまして、争点を絞り込んだ重点的な審理による審理の効率化、合理化ということが浸透してまいりまして、本来必ずしも必要性について十分な吟味がされないまま証拠調べ等が行われていた事件については、これまでの実務の実践によって相当合理化されたという面がございます。
 それに対しまして、やはり必要な十分な争点整理が行われまして、これが争点である、不可欠な証拠調べであるというふうに判断されたものについては、必要にして十分な審理が行われているものと承知しております。
 いずれにいたしましても、個々の裁判におきましては、各裁判官とも、争点を十分当事者と意見交換をしながら共通認識を形成した上で、必要な証拠調べはするといった姿勢をとっているものというふうに私どもは承知しておる次第でございます。
○辻委員 裁判の現場に関与している方の意見を聞きますと、今の御回答は極めて現実を見ていないなというふうに思わざるを得ません。必要にして十分な審理が行われているというのは、これはアンケートをとれば、裁判官はそういうふうに思っておられるかもしれないけれども、弁護士はほとんどそういうような意見に賛同する人はいないというふうに思いますね。
 ですから、私は、前回もそうですし、きょうも問題点を指摘しているわけですから、その分析について、いや、そんなことは違うんだ、必要にして十分な審理はできているんだというふうに、けんもほろろな対応をするんではなくて、確かにそういう現実はあるかもしれない、個々の例でこういうこともある、しかし、これを改善するために、だから審理を充実するためにこれが必要なんだというような回答がなければ、実際的な議論が煮詰まっていかない、制度の改善につながらないじゃないですか。
 だから、そういう意味で、きょうは時間の関係がありますからこれ以上質問を重ねるということはしませんけれども、一回きちっと時間をとっていただいて、これは本当に、例えば民事において高裁が従前は続審的な構造があったというのは、これは最高裁の通達か何かで事後審に切りかえているじゃないですか。三審制といっても実質は一審制になってしまっているというふうに言って等しいような現状があると思います。
 だから、そういう問題点を、これは納得のいく裁判というのは憲法三十二条で保障されているわけでありますから、それに沿うように司法が機能していかなければいけないというふうに思うわけであります。その点について、当局の皆さんはもっと真剣に現実を見ていただきたいなというふうに思います。
 ちょっと質問通告しておりませんけれども、江田大臣、大きな司法、司法改革ということで、やはりこれは審理の充実ということが大きな課題だったと思いますけれども、現状を見てどのようにお考えでしょうか。
○江田国務大臣 私も弁護士の登録はしておるんでございますが、裁判所をやめてからほんのいっとき、ノーバッジのときにやったことがあるだけで、実務をやっておりませんので、実務に携わっている皆さんがどういうふうに感じているかというのを肌で知っているわけじゃございません。
 ただ、いろいろ伺いますと、やはり弁護士の皆さん方が、最近、裁判所が随分、証人尋問を申し出ても陳述書でかえるとか、あるいは、確かに、こういうところが弁護士としては争点だと思うんだけれども、それを十分審理してくれないとか、そういうようなことを言われることはございまして、裁判所の目から見ると必要で十分なことをやっていると言うかもしれませんが、やはり国民的には、もっと裁判官をふやして、もっと国民の思いにちゃんとこたえるような審理をしてほしいという気持ちがあるのは、よく理解できることでございます。
 そういう意味でも、今回、判事を四十五人ふやすという、これを本当に最高裁判所においてはしっかりと活用していただきたい、そのために法務省としても必要な協力をしていきたいと思っております。
○辻委員 数の問題も重要ですが、それ以上に質の問題が重要だということを指摘させていただいて、この法案についての質疑は以上としたいと思います。
 三月十一日の東北関東大震災ということで、これは政府・与党の側では復旧復興の特別立法チームというのをつくって、阪神大震災の教訓を踏まえて、具体的に、本当に復旧に資するような措置を講じよう、立法を考えようということで検討を重ねているところであります。そういう観点から、法務の問題において、幾つかの問題点について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、被災により町が壊滅的な被害を受けているという状況の中で、新しいまちづくりを一から考えた方がいいのではないかというような地域もあると思うんです。しかし一方で、そこにお住まいになっておられた方、土地の所有者からすれば、今避難されていても、戻って早急に建物を建て直して住まおうというふうに思われる方もいらっしゃるわけです。そうすると、建築をどんどんどんどん始めて、まあまだなかなかそういう余裕のある状況にはなりませんけれども、そういうことが進んでいくことと、中期的な未来を見通してまちづくりを考えるということが対立的な状況になるようにも思います。
 建築基準法によれば、建築について制限を加えることが、一カ月、さらに一カ月、二カ月間はできるということになっておりますけれども、二カ月以上経過したような場合に、今申し上げたまちづくりとの関係で、建築についての制限というのは、制約というのはどういうような法規定になっているんでしょうか。
○松谷政府参考人 今委員御指摘のように、建築制限をかける制度、一つは建築基準法でございまして、八十四条に基づきまして、最大二カ月までの間の建築を制限もしくは禁止することができます。
 もう一つの制度がございまして、阪神・淡路大震災の際に制定されました被災市街地復興特別措置法という法律がございます。この法律は、まず大枠の都市計画を定めて、その後、今お話しのように、被災者の方それから地権者の方が自治体の皆さんと合意形成を図りながら詳細な内容を追って定めるという二段階のプロセスを前提といたしまして、まず市町村が被災市街地復興推進地域というものを都市計画で定めることができます。
 これを定めた場合には、出口として、土地区画整理事業とか地区計画、開発行為といったような市街地整備の手法が講じられるまでの間、災害発生日から最大二カ年間、建築行為の制限を行うことができるという規定になっております。
○辻委員 被災市街地復興推進地域ということの指定をして、その場合に、土地区画整理事業とか市街地再開発事業とか、それぞれ開始をすることができるというふうになっております。
 これは、本件震災のような場合には、この第二条の一号、二号、三号でそれぞれ事業が定められておりますけれども、通常はどういう事業で進めることになるのか、また、この違いというのはどういうところにあるのか、お答えいただけますか。
○松谷政府参考人 今回の震災と阪神・淡路大震災、規模の大きさはかなり似たところがございますけれども、やはり被災の状況はかなり異なっているかなというふうに思います。
 阪神・淡路大震災の際は、その土地の安全性そのものが否定されたわけではなくて、町の安全と建物の脆弱性ということに問題がありましたので、このような制度を適用して復興事業を進めました。
 今回の場合は、かなり大規模な津波被災ということですので、これから、被災された方々の生活再建のお気持ち、それから地権者の御意向、それから自治体がどうされていくかということで復興の姿形は決まってくると思いますので、そういう意味では、この制度をそのまま使うことが適当かどうかということは、またこれからの検討かなというふうに現段階では認識しております。
○辻委員 被災市街地復興特別措置法というのは、大震災の一月十七日の直後の九五年の二月二十六日に制定されたものでありますけれども、その第四条によれば、国及び地方公共団体は、地域における創意工夫を尊重して、地域経済の活性化に配慮するとともに、地域住民、民間事業者等の理解と協力を得るよう努めるというふうになっております。ですから、地域の住民の意向なりを考慮しながら、どういう事業を進めるのか、復興のまちづくりをするのかということになると思います。
 そうしますと、例えば大槌町ですか、町長さんが津波にさらわれて亡くなられて、基礎自治体としての機能が今本当に停止せざるを得ないような状況になっているときに、例えば区画整理事業を進めるにしても、事業主体として、原則は、民間でやる場合は民間だろうし、公共でやる場合は基礎自治体である市町村だと思うんですけれども、その市町村が機能していないような場合についてはどうなのかという点、この点はどうでしょう。
○松谷政府参考人 お尋ねのような場合、土地区画整理法に基づきますと、国それから都道府県も区画整理事業の施行者になり得るというふうになっておりますので、市町村が区画整理事業が必要だという判断をされて、施行の要請があった場合に、市町村にかわって国、県などが施行者となって事業を実施するということは可能な制度だというふうに認識をしています。
○辻委員 阪神大震災の例を見ると、土地区画整理事業で対処している市町村がたしか十三あって、市街地再開発事業ということで三つの地方自治体がそれを採用している。ただ、今回の場合には、そういう基礎自治体の機能が本当に大幅に機能低下になっているような状況がありますから、市町村が事業主体になるよりも、国なり県なりがもっと大きな役割を果たすべき場合がふえてくるというふうに思いますので、そういう場合に、より地域の住民の意向が反映できるような運用システムでやっていただきたいなというふうに思います。
 そういう事業が進められるような場合に、それぞれの個別の土地の所有者の権利はどうなるのかということなんですけれども、特別措置法で、二年間は都道府県知事の許可を得なければ建築できない、不許可になった場合は買い取りを求めることができる、時価による買い取りだというふうに規定されておりますけれども、では、このときの時価というのは何をもって決めるのか。
 つまり、震災後の土地を時価で評価すればゼロに近いようなものになって、そうすると、買い取ってもらっても、別のところに移って新たに住まいを設けるということには引き合わない関係になりますから、時価ということについてはやはり相当な価額でないとおかしいというふうに思うんですが、この点はどういうことでしょうか。
○松谷政府参考人 御指摘のように、被災市街地復興推進地域で、知事が許可をしなかった場合に土地を買い取る申し出が制度的に開かれております。
 阪神・淡路大震災のときにこの規定を使っておりませんので、そういう意味では、今御指摘のような、どのような形でその価値を見るのかということについては、まだ具体的な詳細の制度設計はできておりません。御指摘のようなことを踏まえて、これから検討していきたいと思っております。
○辻委員 では、次の問題に移ります。
 今は土地の所有権がどのように扱われるのかということについて伺いましたけれども、借地権、借家権がどのような扱いになるのかということについて伺います。
 罹災都市借地借家臨時処理法というものが、戦後間もなく、一九四六年八月二十七日付で制定されていて、これは、震災等によって滅失した建物がある場合だということになっております。かなり古い法律で、現実にどれだけの万全の対応ができる法律になっているのかということの検討が必要だと思いますけれども、政府としては、今回、この法律を適用する予定があるんでしょうか。いかがでしょう。
○江田国務大臣 これは、罹災都市借地借家臨時処理法、政令で地域を指定するということになっていまして、その準備を今進めているところです。
 したがって、予定があると考えております。
○辻委員 その場合、借地権者の保護、借家権の行方ということに分けてお尋ねしたいと思います。時間が余りないので、はしょりますが。
 まず、借地権の保護については、この臨時処理法の十条では、借地権登記とか建物登記がなくても五年間対抗できる、また、十一条では、借地権の残存期間が十年未満であっても十年にするんだということで一定の保護を図るということになっております。
 問題を感じるのは借家権についてでありますけれども、借家権については、第二条で、借地権がない場合に、土地所有者に対し、二年以内に建物所有目的で賃借の申し出をするということで優先的に土地の借地権を取得できるという規定があります。つまり、借家権が借地権に権利変換する非常に特異な規定だというふうに思います。
 神戸大震災のときは、この規定をめぐって二百三十九件訴訟が起こったということでありますけれども、この規定の妥当性というか、その辺については政府としてはどうお考えでしょう。
○江田国務大臣 確かに、おっしゃるように、阪神・淡路大震災のときに、この規定をめぐって事件が起きているというのは事実でございますが、これは、借家人が家が滅失して住むところがない、その土地の所有者が家を建ててくれればいいけれどもそうでないという場合に優先借地権を認めるということで、借家人の保護でございまして、阪神・淡路大震災ですと、借家権が借地権になるので、これは価値とすれば膨大な価値になってしまうということで争いが起きて、今回の被災地の土地ももちろんそれぞれに重要な土地でありますが、阪神・淡路とはやはりそこが違うんだろうと思っております。
 借地権になる場合に、地主との間でいろいろ紛争が起きる場合には裁判所が権利を調整することになっておりまして、地主は、自分が家をつくるんだとか正当な事由があれば拒絶できて、あるいは、拒絶しない場合には権利関係の調整をするわけでありまして、そこのところがバランスよく解決されることが期待できると思っております。
○辻委員 具体的な運用の中で相当程度調整的な処理が可能なのかもしれませんけれども、場合によっては、規定自体の見直しの検討も含めてお願いした方がいいかもしれないなというふうに思っております。
 もう一点。十四条で優先借家権、今、二条は優先借地権に変わるということでありますが、優先借家権が規定されておりまして、滅失建物の土地上に築造された建物については、他の者に優先して相当な条件で賃借できる。だから、滅失後新たに建てた場合に、前の借家人が相当条件で同じところに入ることができるという規定なわけでありますけれども、資本を投下した、旧来とは違う立派な建物を建てたときに、同じ賃料でまた借りる、貸すというわけにもいかなくて、この相当な条件をめぐってはやはり利害が相当対立することが予想されると思います。これは、折り合いがつかなかったような場合にはどういうふうな処理になるんでしょう。
○江田国務大臣 先ほどの優先借地権と同様、優先借家権の場合にも、裁判所が、従前の借家条件を含めた一切の事情を考慮して適切な借家条件を定めるということになっておりまして、家賃の場合もありますし権利金といったこともあるでしょうし、いろいろなそういうことを勘案しながら適切にやっていくということが期待できると思っております。
○辻委員 この臨時処理法に関しては、もう一点。建物が滅失した場合の借地権者の地位に関連して、建物を再建しないと借地権の譲渡ができない。借地権者が建物を建てて借地権に保護されて住んでいたのに、今回の津波のようなものでそれが消失をしてしまって、この地域が借地権の価額がどれだけ神戸と比べて価値が高いものかどうかはあると思いますけれども、しかし、相当程度の価値がある借地権者が、着のみ着のままになって、建物を建て直すことはできない、無資力になってしまった。そうなると、建てた上で借地権つきで建物を譲渡することはできるけれども、建てる資力がない場合には、借地権者は借地権を具体的に行使できないまま途方に暮れざるを得ない。
 建物を再建しないと借地権譲渡できないというのは筋としてはわかりますけれども、この点についての何らかの解決がやはり必要ではないかと思いますが、この点、いかがでしょう。
○江田国務大臣 これはやはり、借地借家法で建物があることが要件になっておりまして、この借地借家法の適用がないというのはもう御指摘のとおりと言わざるを得ません。これは、借地借家法が民法の特例を認めた趣旨とちょっと、今回の、今おっしゃるケースでは当てはまらないので、民法の原則によって賃借権の譲渡について賃貸人の承諾を得るということがどうしても必要になってくるわけでございまして、ここをもし変えるとなると、これはかなりの検討が要るものだと思っております。
○辻委員 まだまだ検討しなければならない項目点、多々あると思います。この臨時処理法の見直しも含めて、政府・与党の側で復旧復興の特別立法チームの方でいろいろまた御提言をさせていただきたいと思いますので、政府の方もよろしくお受け入れいただきたいというふうなことを申し上げて、質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○奥田委員長 以上で辻君の質疑は終了いたしました。
 次に、階猛君。
○階委員 民主党の階猛でございます。
 今回、質問の機会を与えていただきましたことに、委員長を初め、各委員の皆様に感謝を申し上げます。
 また、私は、被災地岩手県の選出の議員であります。本当に未曾有の震害に見舞われましたけれども、ここまで、政府また与野党を超えた議員の皆様にも多大なる御支援を賜っておりますことに、まずは感謝の意を表したいと思います。ぜひ、この被害の実情、もう皆様、メディアなどを通じて御存じかと思いますけれども、いま一度、岩手県の状況なども含めて少し触れさせていただきたいと思います。
 お手元に資料をお配りさせていただいておりますけれども、まず一枚めくっていただいて、岩手、宮城、福島三県沿岸部の被災状況ということでございます。ごらんになっていただければわかりますとおり、青森も被害があるわけでございますけれども、岩手から南、宮城、福島と、各自治体が甚大な被害を受けております。
 そして今回、特に山田町というところを取り上げてみたいんですが、山田町というのは、右の真ん中あたりに箱で囲っておりますけれども、今回、死亡者が四百二十九名、行方不明者の数はいまだにわかりません。行方不明者が不明という状況です。また避難者の数が四千三百九十人ということで、人口が一万五、六千人のところでこれだけの方が被害に遭われているということをまず御説明させていただいて、次のページに実態を示す写真などをつけさせていただいております。
 二枚目が震災後の写真でございますが、三枚目の震災前の写真と比べていただくとよくわかるかと思います。震災前、これだけの家が湾を囲むようにあったわけであります。また、海にせり出すような形で防波堤が幾重にもあり、陸に上がったところには防潮堤ということで堤防があったわけでございます。前のページに戻っていただきますと、点線で防波堤のあった位置、防潮堤のあった位置を示しておりますが、これが今回ことごとく壊されまして、破壊され尽くされまして、その結果、市街地はほぼ全滅に近い状況になっております。
 この震災後の写真の中で、例えば、湾の左の上の方に何かよくわからない灰色の部分がありますけれども、これは全部瓦れきでございます。これだけのものが瓦れきとして湾の中にとどまっているということであります。
 そういうことで、その後四枚目以降は、瓦れきと化した、破壊された防潮堤の写真でありますとか、跡形もなく廃墟となった市街地の写真などもつけさせていただいております。
 私も、一昨日またその前の日と二日間かけて、今回、県内で、沿岸で被害に遭った各自治体をずっと回ってきました。この山田町の事例は、別にここが特異なわけではありません。こういった光景が沿岸各自治体至るところであるわけです。車で移動していますと、たまに普通の家があるところを見ると、逆にそれが特別に見えるような、そういう異様な状況でありました。
 まさに人知を超えた、常識を超えた今回の災害であり、そういった状況に対しては、我々政治に携わる者としては、今までの法制度あるいは既存の法令には縛られない、まさに常識を超えた対応を求められているのではないかということを、まず冒頭申し上げたいと思います。
 その上で、質問に入りたいんですけれども、まず、被災者支援ということで、今回、本当に日本全体でもって支援をしていかなくてはならないのではないか、それほどの被害ではないかと思っておりますけれども、そういった中で、司法はどういう役割を果たせばいいのだろうかということをちょっと考えてみたいんです。
 岩手を初め、今回の震災の影響で裁判期日が延期になっていたところがかなりあるかと思います。そういった地域の裁判所の裁判官や裁判所の職員は何人いらっしゃるか、まず、これの事実を教えてください。
○戸倉最高裁判所長官代理者 今回の震災におきまして、被災した地域の裁判所といたしましては、岩手県、宮城県、福島県の全域及び茨城県の一部の裁判所でございまして、これらの地域で当面すべての裁判期日を延期したところでございます。
 これらの地域の裁判所職員は、裁判官が合計で約百六十人、その他の職員が約千百九十人でございます。
○階委員 合計で千三百人を超える方がいらっしゃって、期日が延期になってもやることはあるのかもしれませんけれども、最高裁として、期日延期になっている間、何か被災地域の支援のために指示などを出されたのかどうか、ここを確認させてください。
○戸倉最高裁判所長官代理者 今回の震災によりまして、仙台高等裁判所の管内の裁判所を中心に、実は職員自身も自宅が損壊するなどの被害に遭った者等がございまして、必ずしも全員が出勤できる状況にはございませんでした。ただ、その中で出勤できた者も、庁舎の片づけ、あるいは点検等の業務、あるいは個別事件の当事者からの照会等の業務をやる傍ら、できる限りその被災地における自治体等の要請その他の支援の関係で協力できるものはするようにというようなことは指示しております。
 具体的には、まず政府の緊急災害対策本部及び財務省からの依頼におきまして、被災者の受け入れ可能な裁判所施設あるいは宿舎等の情報提供、あるいは仙台高裁に対しましては、被災者が裁判所の庁舎を避難場所として利用されたいというようなことがある場合には可能な限り受け入れるようにという指示をいたしまして、実際にも、釜石の簡易裁判所でございますが、ここは最近まで被災者の避難場所としてなっておりまして、その関係で裁判所の職員が庁舎に宿泊するなどいたしまして、被災者の支援等に当たったところでございます。
○階委員 ありがとうございます。
 それと、今回の法案に絡んでなんですけれども、今回定員を増員するということですから、国としてそこで新たな支出が生じるということでございます。平常時であればそれもあるのかなと思うんですが、今緊急な事態で、でき得るならばそういう平時の支出は最小限に抑えて、そしてなるべくこの被害の復旧復興というものに回すのが私はいいのではないかなと思っております。
 済みません、三点目の質問は飛ばさせていただきます。
 そこで、事実確認なんですけれども、まず、仮に、今回判事を四十五名ふやす、それで判事補は従来の定員どおりということなんですが、ここを、判事をふやすのではなくて、判事補をふやすなりして判事への昇進はとめていただく、現在判事補の方々は判事への昇進をとめて、そして判事の増員はしない、そしてその結果、昇進、とどまった人は特例判事補として判事と同じような業務に当たっていただく、こういうことをした場合に、人件費はどの程度削減になるのかということをちょっと事実として確認させてください。
○安浪最高裁判所長官代理者 まず御質問の内容のとおりに計算いたしました結果をお答えいたしますと、平成二十三年十月に判事補から判事へ任官する者が、判事に任官せず判事補として業務に当たった場合、判事として受ける給与と判事補として受ける給与の差を人件費の削減額として試算いたしますと、平成二十三年十月から平成二十四年三月までの半年間で約四千万円程度の削減ということになります。
 ただ、判事補として十年間実務に従事して研さんを積み、法律上判事としての任命資格を有する者でございますので、これまでからも判事として任命してきているところを考えますと、判事補としての待遇にとどめ置くというのはいろいろ問題があるのではないかと考えておるところでございます。
○階委員 もう一つ事実を確認したいんですが、今回の法案では裁判所職員の定員には変更がありません。しかしながら、職種別で見ますと、速記官や技能労務職員という方たちは減員となっております。しかし、それと見合う数だけ書記官が増員されておりまして、ネットをしますとプラス・マイナス・ゼロということでございます。
 ここで、仮に書記官を増員しない、すなわち速記官、技能労務職員の減員だけというふうにしますと、人件費はどの程度削減できるか、これを教えてください。
○安浪最高裁判所長官代理者 仮に書記官の増員を行わないということにいたしますと、約一億円の削減ということになります。
○階委員 今最高裁の方から事実関係を教えていただいたんですが、確かに、裁判官の方々、書記官の方々も大変な業務だと思います。十年裁判官をやってきて、昇進したいというのもよくわかりますし、書記官の人たちも、多忙な業務を少しでも緩和するために増員したいというのもわかりますけれども、未曾有の震災ということで、みんな少しずつ我慢しなくてはいけないのではないか。
 司法の独立ということはありますけれども、司法も、行政はもちろんですが、我々立法も、それぞれ少しずつ我慢しなくてはいけないのではないかということを思うわけでありますが、最高裁として、このあたり、復旧復興に対する司法府の取り組みについてどのようにお考えになっているか、お答えいただけますか。
○戸倉最高裁判所長官代理者 先ほど申しましたように、裁判所といたしましても、各被災地における被災者の方々に対する支援につきましては可能な限り努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
 これは非常に微力、微々たるものではございましたけれども、先ほど申し上げました釜石の裁判所の被災地の方々につきましては、震災直後の、物資が非常に届かないという状況もございましたので、裁判所といたしましても、独自に食料等の物資を調達して釜石の裁判所にもお届けしたところでございまして、こういった点の努力もしてまいりたいと考えております。
 そういった点で、最終的に、今後の復興について、いろいろな面で裁判所も、政府と国会で検討される中で、私どもとしても、できる限りの協力、努力をしてまいりたいと考えている次第でございますが、やはり私ども裁判所としまして、復興に御協力というのは、今後、今議論をされましたようないろいろな法的問題、そういったものが裁判所に提起された際には、できる限りそういった方々の需要におこたえするような解決を迅速に提供するということが極めて重要であろうかというふうに考えております。
 そういった点で、今回の裁判官の増員ということも、そういった面からも司法機能を強化したいというふうな趣旨でございますので、その点は何とぞ御理解をいただければというふうに考えております。
○階委員 今の最高裁の議論を踏まえて、今回の法律を所管されております法務大臣として何かコメントなどあればお聞かせいただけますか。
○江田国務大臣 裁判所は司法権でございまして、その独立を最大限尊重していかなきゃならぬということは言うまでもないところでございます。
 しかし、裁判所も裁判所関係者も被災をしておる、あるいは事件関係者も被災をしている。司法機能が麻痺している場面もあるということで、まずはその機能をしっかり回復させていただくことが一番今裁判所に求められていることだと思っております。
 その上でさらに、裁判所も国民の税金で成り立っておる、まあ手数料収入は若干ありますが、そのことはよく考えていただいて、やはり国の機関として、こういう未曾有の震災に対して一定の努力をしていただけるものだと思っておりますし、その際には法務省としてもしっかり支えていきたいと思っております。
○階委員 どうもありがとうございます。
 そのようにぜひ国一丸となって、司法府も含めて今回の災害に対応していただければと思っております。
 次のテーマに移らせていただきたいんですが、被災地域の復旧復興に関する法的な問題について少しお尋ねしたいと思います。
 先週でしたか、法務省と環境省が共同のような形で、瓦れきの処理について指針というものを公表されております。この公表、私、中身をちらっと見させていただいて、きょうのお手元の資料では先ほどの写真の後に二枚紙でつけさせていただいております。
 これをざっと見た限り、この指針というのは、私人に適用があるのかどうかというのがどうも明確じゃなくて、例えば、流出した自分の財産を捜し当てるために他人の土地や建物に入りたいという方はいらっしゃると思うんですが、こういったことは、平時であれば、住居侵入罪の成否が問題であるわけですけれども、この指針に関し、そういう今言ったような、私人が他人の土地や建物に立ち入ることは住居侵入罪には当たらないという立場に立たれているのかどうか、こちらを確認させてください。
○江田国務大臣 この指針自体は、市町村等が損壊家屋等の撤去を行う場面などでの指針でございまして、民間人の方に適用されるという頭で書いたわけではございませんが、しかし、おっしゃるように、それは皆、自分の思い出のこもったものを捜したいと。その場合に、津波ですから、そうしたものが他人の土地に移ってしまっておるということは当然容易に想像されることでございまして、そういう思いを持って行動される方々は、やはりそれは、住居侵入等の刑法百三十条、正当な理由がないのに人の住居または看守する邸宅等に侵入したということには当たらない、これはもう前提としておると私は理解しております。
○階委員 ありがとうございます。
 さらに、瓦れきの処理の問題について、きょうお越しいただいている環境省の樋高政務官に二点ほどお尋ねしたいと思います。
 今回、実際にごらんになってよく御案内のとおり、瓦れきが存在する地域が極めて広いんですね、陸地も海も含めてですけれども。これらすべてを行政の力で早期に撤去するというのは不可能ではないかというふうに思えるわけです。私有地については、土地の所有者であるとか権原ある占有者が、業者を使うなどして極力御自身で瓦れき等を撤去するようなインセンティブを持たせる必要があるのではないか。
 そのために、まず一点目として、行政が撤去作業を行うべき区域と、土地の所有者なり権原ある占有者が撤去作業を行うべき区域の仕分けをきっちりとなるべく早くしていただく必要があるのではないかなと思っておりますが、そのあたり、御見解をお示しいただければと思います。
○樋高大臣政務官 階先生におかれましては、今回の震災につきまして大変御熱心にお取り組みをいただいておりますこと、心から敬意と感謝を申し上げさせていただきたいと思います。
 私も、先生の地元であります岩手県に家族ぐるみで住んだこともございまして、自分のこととして取り組ませていただきました。今の段階では、被災地に四回ほど足を運ばせていただきまして、昨日、盛岡から戻ってきたばかりでございます。
 先生から大変大切な御指摘をいただいたと考えているところでございます。今回、環境省の災害廃棄物対策特別本部長を私が仰せつかっているものですから、まず現場を見るというところからスタートをし、今回の膨大な災害廃棄物をどのように円滑かつ迅速に、スムーズに、そしてスピーディーに処理して地域の皆様方の生活をいかに取り戻すかということを行っているところでございます。
 今先生おっしゃいましたとおり、他者の土地に流されて散乱をしているなど深刻な状況にある。今回は、地震のみならず津波という、大変、阪神・淡路大震災のときとまた違った要素、状況もあるということもかんがみながら考えていかなくてはいけないと思っております。
 私有地といってもいろいろありますけれども、例えば民間事業者の所有する土地でありましても、市町村が撤去及び処理を行うケースが多くなるというふうに思っているところでございます。一方で、国は、金銭面でございますけれども、市町村が行う災害廃棄物の処理を補助している。通常の災害においては、一般家庭から排出される災害廃棄物を対象としておりますけれども、阪神・淡路におきましては、一般家庭などからの廃棄物だけではなくて、中小企業さんなどの廃棄物についても国庫補助の対象とさせていただいたところであります。
 先生が今おっしゃいました、早急にその仕分けを明示するということでありますけれども、昨日、松本環境大臣より、財政措置につきまして、地方の大変甚大な被災地の状況をかんがみまして、事実上、地元の、そこの災害廃棄物処理に関しましては、実質、負担はゼロで、国が全面的にバックアップするんだということを表明させていただいた次第でありますけれども、今回の震災においても、今の財政的な部分も含めて、どこまでの範囲でやるかということを、阪神・淡路における措置を参考としながら、先生おっしゃいますとおり、早急に検討させていただきたいと思っております。
○階委員 ありがとうございます。
 もう一点、御質問なんですが、私人が御自身で瓦れき等を撤去した場合、津波被害の特徴として自分の土地に他人のいろいろなものが入ってきています、平時であれば、妨害排除請求ということで、所有権者であるとか権原ある占有者にはそういう物権的な権利があるわけでございますけれども、そういったことを考えますと、私人が自分の土地にあるものを動かした場合の費用についても国が面倒を見てもいいのではないかと思うんですが、そのあたりについてはどうお考えになりますか。
○樋高大臣政務官 先生から重ねて大切な御指摘をいただいたと思っております。
 今回の震災におきましては、津波により家屋等が他者の土地に流されたものが多いわけでありますけれども、その場合、土地の所有者も、流された家屋等の所有者も、いずれも被災者であることをまず考慮しなくてはいけないと考えているわけであります。
 妨害排除請求権、民法百九十八条でございますけれども、今回の震災においては、他者の土地に流されて散乱している災害廃棄物の処理を、その土地の所有者や廃棄物となったものの元来の所有者などが処理するのではなく、市町村が行うケースが多くなるという側面もあるというふうに予測をしているところでありますが、先生の御指摘も踏まえさせていただきまして、廃棄物の処理をとにかく円滑に迅速に進められるように、市町村が行う事業の補助対象範囲についても早急に結論を出してまいりたいと思っております。
 昨日の岩手県におきましては、第一回目の、知事が座長になりまして、実を上げていく、実際にそういった、それぞれのケース、さまざまあると思いますけれども、やはり国の方でも一定のアドバイスはしてまいりますが、やはり地域の実情は地域が一番知っているわけでございまして、県や市町村あるいは各種団体、国の出先機関、岩手県におきましては、災害廃棄物処理対策協議会、地域の皆さんがそれぞれの実情に応じて、いかに処理の実を上げていくかということを全面的にサポートしてまいりたい、先生の御指摘をしっかりと受けとめさせていただきたいと思います。
○階委員 ありがとうございました。
 樋高政務官、終わりでございますので、どうぞ御退席ください。
 済みません。筒井副大臣、お待たせいたしました。一点だけ、お忙しいところ恐縮ですが、御質問させてください。
 漁業が、被災地域、岩手、宮城それから福島、共通だと思うんですけれども、漁業がそれぞれの集落なり市街地で主要な産業であり、また、単に経済的な比重が大きいかどうかということだけではなくて、その地域のアイデンティティーを体現しているものではないかということで、私は、まず漁業を早期に復旧復興させるというところからこの地域の復興は始まるのではないかなというふうに、被災地をずっと見て回りまして思ったところでございます。
 そこで、漁業の復旧についてなんですが、山田町の沼崎さんという町長さんとお会いしたときに、漁船が流失してしまって海に出られないんだ、また、漁船が残ったとしても、漁具が流失して漁ができないんだ、また養殖業も盛んでありますけれども、養殖業者は養殖施設が壊滅して生業回復のめどが立たないんだと。そこで、漁船や漁具、養殖施設の購入や調達に対して、何とか支援をお願いできないか、こういうことを私どもにおっしゃっていただきました。
 そういうことを踏まえてですけれども、今まで、漁船、漁具などを失った漁業を営む人たちに対して公費でそれらを支給することは私有財産制度にそぐわないのではないかという、主に財務省の方からの意見があったわけでございますけれども、今回のような人知を超えた、常識を大きく超えた災害にあって、被災地の復旧復興のための措置として、公費でもって漁業を再度営めるような支援をしていただくということを、農水省として前向きに取り組んでいただけませんでしょうか。
○筒井副大臣 先生がおっしゃるように、岩手、宮城、そして福島を中心とした地域は以前から漁業が盛んになされてきたところでございましたが、またその三県を中心にして甚大な被害をこうむった。漁船、漁場、漁港、漁業施設、それらが壊滅的な状況に陥ってしまったことは先生のおっしゃるとおりでございまして、その三県だけに限定しても漁船の損壊が二万隻を超えるという状況でございますから、これの再建、復興というのは極めて大きな課題であると同時に、やはり緊急に取り組んでいかなければいけない課題だというふうに考えております。
 そして、今までの制度としては、現在もある制度としては、激甚災害法に基づく共同利用漁船建造費補助制度、これはもう先生御存じのとおりだと思いますが、それが一つあるわけでございまして、それに漁船保険、それから漁業施設共済、漁業施設の中には漁網等の漁具が入るわけでございますが、それらも対象になっている。これらを最大限活用していくと同時に、先生がおっしゃるように、それだけでは不十分であることもまたはっきりしているわけでございまして、今、新たな仕組みをつくらなければいけない。その際に、特別立法が必要なのか、あるいは予算措置だけでできるのか、大至急検討中でございます。
 先ほどから話題になっております災害廃棄物の処理の問題等に関しましても、これもやはり農水省の部門でいいますと、漁場、漁港における災害廃棄物の撤去も漁業の再開のためにどうしても必要なわけでございますから、それらを漁業者の皆さんにやっていただいて、それらの仕事について、国あるいは自治体が雇用するという形でもって、報酬を支払う形でもってやっていく。例えば一つはそういうことでございますが、それらの特別立法を阪神・淡路の際にはやったようでございますし、あるいは予算措置でできるという考えもありますし、それらのことを早急にやっていかなければいけない。今先生のおっしゃる方向で検討中でございます。
○階委員 ありがとうございました。
 時間が参りましたので、ここで質問を終わらせていただきますけれども、被災地の議員として、きょうは橋本理事も宮城でいらっしゃっています、また福島の議員の方々もいらっしゃいます。被災地の議員はもちろん頑張るんですけれども、微力でございます。多くの議員の皆様、また政府のお力もおかりしながら、この復旧復興に取り組んでいかなくてはならないと思っております。
 被災地の一つに釜石という、新日鉄釜石のラグビー部というのが、昔、非常に強い、日本選手権七連覇したチームが地元の誇りとしてあります。そのラグビーでは、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンという言葉があります。被災地は日本のために、日本は被災地のために、これをみんなでぜひともなし遂げていきたいなと思っております。そのことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○奥田委員長 次に、山崎摩耶君。
○山崎(摩)委員 民主党の山崎摩耶でございます。
 本日は、法務委員会で質問の機会をくださいましたこと、まずは委員長初め委員の皆様にお礼を申し上げたいというふうに思います。
 法案の質疑に入ります前に、やはり私も、三月十一日、東北、関東を襲いました大地震、大津波、そしてまだ福島原発は大事故が進行中でございますが、このことにつきまして少し御質問をさせていただきたいと思います。
 本日の新聞によりますと、この未曾有の被害で亡くなられた方は既にもう一万一千人を超えていらっしゃる。いまだ二万人近い方が安否が不明でございますし、十七万人を超える方たちが避難をしていらっしゃる。その意味では、本当に、この震災で亡くなられた方、御遺族の方に衷心からお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げたいというふうに思います。
 私も、実は岩手県で教鞭をとっておったことがございまして、この震災で陸前高田市に赴任しておりました保健師の教え子が亡くなったりというようなことで、人ごとではございませんで、本当に私自身もこの復旧復興に微力ながら尽くしてまいりたいと思いますが、こういう未曾有の震災に遭いますと、本当に法は弱者のためにあるということを私は実感させられたようなことでございます。その意味では、この法務行政、しっかり復旧復興のためにも大臣初め頑張っていっていただきたいと思いますし、私どももしっかり頑張ってまいりたいなというふうに思っております。
 そういう意味で、震災に関しての法務省の初動の体制というのはいかがなされたのか、まずお伺いをしたいと思います。
○江田国務大臣 法務省としては、まず、地震発生直後に法務省災害情報連絡室というものをつくりまして、ここを窓口にして情報収集やあるいは情報発信をしました。と同時に、その日ですが、つまり三月十一日、私を本部長とする法務省災害対策本部を立ち上げまして、政務三役及び各局部課の幹部職員の間で情報を共有し、また意思統一を図りながら各種の取り組みを推進してまいりました。
 ちなみに、法務省災害対策本部というのは、従来は、実際につくったことはないんですが、事務次官が本部長になっておりましたが、今回は法務大臣が本部長になるということで、強い決意を持って事に当たり始めたわけでございます。
○山崎(摩)委員 ありがとうございます。
 大臣の強いリーダーシップで体制をつくられたということでございますが、初期のお取り組みというのはどのようなことを具体になさっていらっしゃいましたでしょうか。
○江田国務大臣 さまざまございますが、まず、出入国管理の関係では、海外の緊急援助隊の皆さんが来られますが、可能な限り迅速な入国手続を行いました。これは入る方。次に、出る方、出国の急増というものがございましたが、これも特別な事務処理を行って、申請当日、再入国許可が出せるように対処してまいりました。
 さらに、出入国関係の相談のための専用ダイヤルの設置であるとか、あるいは外国人の安否確認というものがございまして、それぞれ外国人登録をしている自治体の機能が麻痺しているようなところもたくさんございましたので、入国管理局にある外国人のデータを提供するということをやりました。大使館にも提供しております。それから、いわゆる指紋などを持っておりますので、これは安否の確認に必要な場合には照会に応じておるということでございます。
 矯正関係、ここでは、矯正施設から毛布、マスク、簡易トイレ等の物資を被災地に運搬して提供したり、また、東京、大阪両管区から宮城刑務所に派遣した職員四十名、これが石巻市の住民支援に当たりました。さらに、矯正施設に勤務する医師二人を被災者の治療等に当たらせました。
 地方自治体に対する職員派遣もございまして、政府に対する岩手県からの要請にこたえまして、きょう出発をしたところでございますが、明日から法務省の職員四名が宮古市に派遣ということになって、寝袋を持って出ていったと聞いております。
 さらに、法令の関係もございまして、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律に関する政令を定めて破産などの手続を決め、さらに今、罹災都市借地借家臨時処理法あるいは被災マンションの特別措置法、これを適用するための政令の検討をしているところでございます。
 また、倒壊建物とか損壊自動車などの私有財産の処分のあり方、あるいは不動産権利関係の整理のあり方についても検討を進めているというところでございます。
○山崎(摩)委員 ありがとうございます。
 今回の被災地にも刑務所がございましたよね。その警備それから救援に当該刑務所にも人をお出しになったというふうには伺っておりますが、幸い刑務所には今回被害はなかったようでございますけれども、服役中の受刑者の方の安全の確保ですとか避難ということについて、法務省としては日ごろからそのスキームというのをお持ちなのかどうか、ちょっとお尋ねをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○江田国務大臣 受刑者の関係については、今回は被害がございませんでしたが、幸いなことだと思っておりますが、日ごろは、関係法令に基づいて、被災していない安全な地域にある刑事施設に護送するという、これは刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第八十三条というのがございまして、そうしたこともありますし、また、もうそういうことができないという事態の場合には、一定の手続を経て解放するということもございます。
 もちろん、解放して、はい、さようならというわけにはいかないので、それは帰ってこなきゃいけないということにはなりまして、出頭命令が出れば出頭していただく、しない場合には逃走罪に当たる、そういうようなことになっております。
○山崎(摩)委員 ありがとうございます。
 福島におかれまして、きょうの報道によりますと、福島県内の留置の支所からは五十人ぐらいが県外にお移りになっているというようなこともあるようでございますので、このことも、ある種受刑者または関係の方の人権というのも我々は守っていかなくちゃいけないということで、大事かなということでお伺いいたしました。
 次に、戸籍簿等の流失の問題なのでございますが、特に津波で市町村役場が機能せず、戸籍原簿が失われた市町村があるということを聞いております。この戸籍簿は、正本は当該市町村役場にあり、副本が地方法務局にあるということは承知しておりますけれども、その地方法務局も、大船渡などは当初、その副本もなくなっているのではないかというふうに報道されたりしておりますが、現状はどうであったか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
○小川(敏)副大臣 現状としましては、法務局にある副本は、消滅したものはございません。すべて残っております。
○山崎(摩)委員 法務省として、今回はそういうことで副本は残っていたということですが、この大震災を教訓として、戸籍情報の保護、バックアップ等についてより万全を期すという意味では、何か御検討していらっしゃいますでしょうか。
○小川(敏)副大臣 今回、役場の戸籍の正本がなくなった、その地域を管轄する法務局も二階まで浸水したという事案がありました。ただ、副本は三階以上にあったので無事だということですが、やはりそうした危険が現に生じたわけでございますから、そうした事実を踏まえて検討してまいりたいと思っております。
○山崎(摩)委員 このICTの時代でございますので、二重三重のバックアップというのは容易にできようかというふうに思いますので、ぜひその辺もよろしく進めていってほしいなというふうに思います。
 それで、戸籍簿に関しましては、実は昨年の夏、例の、消えた高齢者といいますか、所在不明高齢者と言われるような事件がありましたですね。そのときに、死亡の届け出がないと永遠に戸籍に残っているという事実を改めて国民の皆様も認識をしたのではないかなというふうに思います。
 そのときに民事局が調査をなさいまして、その際に、百歳以上の高齢者であって死亡の事実を確認することができないものに係る戸籍の消除の取り扱いということで通知をお出しになっていますが、そういう場合は市町村長が職権により消除できるという旨、取り扱いについての対策がとられておりますね。
 今回は全くあれが違いますけれども、地震、津波が同時に襲ったということで、一家全員が亡くなられたり、また安否の不明、安否がわかりますまで非常にやはり今後も長時間かかるだろうということが予測できる。それからまた、数が非常に今回は、先ほど申し上げたように、膨大になっている。ということで、このような大災害は私ども体験をしたことはないわけでございますが、これらの場合の戸籍の取り扱いというのはどんなふうになるのか、ちょっとお教えいただきたいと思います。
○小川(敏)副大臣 戸籍の記載はあくまでも届け出が前提でございますので、親族等関係者が死亡の届け出をして初めて死亡という記載がなされるわけでございます。ただ、死亡しているのにその届け出がない場合どうするかという点がございます。また、委員が御指摘されたように、行方不明となって死亡の事実が確定できない場合にどうするのかという点もございます。
 行方不明者の場合には、利害関係人が裁判所に失踪宣告ということで法的に死亡したという扱いの手続をとって、それで死亡ということになるんでしょうけれども、いずれにしても、関係者がそうした手続をとらない場合、やはり役所の方では死亡ということが戸籍上記載されないという事実が残るケースは、今の制度ではあり得るわけでございます。
 ただ、なかなか難しいのは、例えば失踪宣告を利害関係人がとらない場合に職権でそれをとるといいましても、一般的には、行方不明になられた方について、役所が本当に、どういう事情で行方不明なのかどうか、危難というものを職権で断定してしまっていいのかどうかという点もございますので、やはり利害関係人のそうした手続を待つ今の制度でやむを得ないのではないかと思っております。
 その結果、事実上は死亡している、しかし戸籍上には死亡が記載されないというケースが生じ得るということになりますが、一方で、死亡している人が戸籍上死亡の記載がされないことによって、実際の社会上に具体的な弊害が起こるということは余りないのではないか。
 そうした場合に、やはり、失踪宣告とかそうした手続をとってまで死亡を確定するというぐあいに職権でとることについて、万が一、死亡されていない方が、ただ単に行方がわからなかっただけで実際には死亡されていない方を職権で死亡としてしまうというようなことが、これはあってはならないわけでございますので、そうした場合の比較考量しますと、今の制度の中で、死亡したことがあっても死亡ということが戸籍上に記載されないというケースがあり得るということもやむを得ないのではないかというような考えでおります。
○山崎(摩)委員 次回、またこの御議論をさせていただきたいと思いますけれども、戸籍法による認定死亡の場合は、一年待たずしても即刻手続ができることですとか、復旧復興で相続の問題等いろいろ生じてこようかということで、これはまた御議論をさせていただきたいというふうに思います。
 次の質問に移りますけれども、先ほど階委員の方からも御質問ありましたが、今回の、財産侵害、津波関係で、その指針をお出しになられていますね、損壊家屋等の撤去等に関する指針。これはいち早くお出しになられたところで、一定の整理ができているのかなというふうに思いますけれども、しかし、瓦れき撤去の指針に困惑をしているということですとか、解釈と運用をもっと自治体に示してほしいというようなことも自治体からはあるやに聞いておりまして、仮置き場に大きな船とか自動車を何百台というのも非常に困難があったりするということで、地元は大変混乱していらっしゃる。
 追加の指針などを今後出される予定があるのかどうなのか、それをちょっと伺いたいと思います。
○小川(敏)副大臣 今回の家屋等の解体物の撤去の指針でございますが、まずその背景を申し上げます。
 我々は議論の中で一般的に廃棄、廃棄と言っておりますが、廃棄というのは、所有者が捨てたから廃棄であります。その場合には、所有者が捨てたから所有権はもうないわけでございますが、今回の場合、ですから廃棄という言葉は余り適切ではなくて、所有者は捨てた意思はない、廃棄した意思はないんだけれども、所有者の意思に反して流れてしまったわけでありますので、場所がどこか移転してしまっても、所有者は所有権を放棄していないから所有権が及んでいるということになるわけでございます。そうしますと、瓦れきは、流れ出たものを中心に見れば、他人の土地にだれかの所有物が乗っかっている、ある、このような観念的な問題がございます。
 これで、行政が震災の復興のために瓦れきを除去しようとするときに、土地の所有者は自分の土地の上をきれいにしてもらうのはいいかもしれませんが、その上に乗っかっているものが観念的に所有権があるんだということになりますと、では、人の所有物を勝手に撤去、移動したり捨てたりしていいのか。やはりこれは、そうすると、観念的に所有権が及んでいる物件であれば、所有者を捜して所有者の許可を得なくてはならないのか、このような問題が生じました。
 しかし、そうしたことをやっていたのでは瓦れきの撤去が進まない、そういう実情の中で、そうした他人の土地に流れ出た漂流物をどのようにしたらいいのかということについての法的な見解を求められました。そうした背景で指針を示したわけでございます。そして、基本的には、所有者の個々の承諾、あるいは所有者を捜すことはしないでも、現行法の枠の中でそれを撤去することは差し支えない、このような指針を示したわけでございます。
 また、一つの例として、仮置き場の規定が、例えば船を仮置き場に運ぶということが実情に合わないのではないかというような報道もいただきました。
 ただ、指針そのものは、仮置き場を必ず設けて、そしてそこに必ず運べというものではなくて、仮置き場等に移動することができるという、「仮置場等」というのがございます。ですから、仮置き場を設けることができなければ、適宜、船等を移動してそこに置いておくことも可能である、そうした広い意味で仮置き場等に移動することができるという趣旨で私どもは指針をつくったんですが、報道では「等」が抜けていまして、仮置き場に必ず移動しなければならないかのような前提で報じた記事があったことは承知しておりますが、指針の趣旨としては、報道されたような趣旨ではないということでございます。
○山崎(摩)委員 ありがとうございました。
 また、家屋ですとか構造物の除去作業に当たりましては、土地の境界標識ですとか境界付近の地物の保存が図られるような措置も必要だと思いますが、これはどのようになっていますでしょうか。
○小川(敏)副大臣 これも、瓦れきを除去した後、あるいは復興のために、民有地の境界が不明となっては困りますので、除去作業を行う省庁に対して、そうした境界の表象物は努めて残置するようにというような要請をしております。
○山崎(摩)委員 また、土地の確定というものも、今回のように地殻変動があったりしますと、なかなか難しいことも出てくるのかなということで、各筆の土地境界の移動ですとか不明の状況を現地で調査しなければいけない。それからまた、既存の登記所備えつけの地図ですとか測量図との照合ですとか、そういったことを調査しながら、適切に対処をしていかなくてはいけない。これについても、非常に時間がかかるし、膨大な作業になるかというふうに思います。
 これらについて、日本土地家屋調査士会連合会の皆さんなどからはいろいろな御提案ですとか御要望をいただいていたりしておりますけれども、まさに官民一体となってこのことに取り組んで、いち早く復興していかなくてはいけないというふうに思いますが、そのあたり、いかがでございますか。
○小川(敏)副大臣 まさに委員の御指摘のとおりでございまして、登記所という官の側だけではなくて、やはりその土地に関係する方々、そして専門の土地家屋調査士の方も、本当に総力を挙げて、間違いがないような、そうした対応をしたいと思っております。
○山崎(摩)委員 どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日の議題の法律についてちょっとお尋ねをしてまいりたいと思います。
 今回、定員法の一部を改正する法律ということで、その趣旨は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るために、特に民事訴訟事件の適正かつ迅速な処理ということで、判事の員数を四十五人増加しようとするものであるということで、基本的には私は増員はよろしいのではないかなという立場で申しておりますけれども、国民がどこに住んでいても適正に迅速に法的な解決ができるというこの基本的な権利、これを私たちはきちんと担保していかなくてはいけませんが、一方で、裁判官のいない、司法の過疎地域と言われるような地域に暮らす国民の裁判を受ける権利が侵害されていないか、こういうことも同時に考えていかなくてはいけないのではないかなというふうに思っております。
 近年、いろいろな司法改革が進められてくる中で、選択と集中というのでしょうか、裁判所の数を減らしたり、甲号、乙号の区別も廃止をされたりしてきておりますけれども、現在の地家裁支部の判事の配置というのはどのような基準または考え方で行われているのか、お伺いしたいと思います。
○戸倉最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、裁判所は、全国津々浦々におきまして適切な司法サービスを提供するという観点で、まず全国に五十の地裁及び家裁の本庁と、あと二百三の支部を設置しております。
 裁判所の使命は、適正、迅速に事件を審理、解決することでございますので、そういった観点で申しますと、裁判所の体制におきましても、どの地域におきましても滞りなく審理が行われるように、全国的に適切な司法サービスを実現するための体制を整えるという考え方でやってきております。
 そういった点で、まず私どもの裁判官の配置の基本的な指標となりますのは、やはり各裁判所におきます業務の重さということでございます。これは、一つは事件の数ということによって左右されるわけでございますが、あとは、裁判所におきまして事件の困難の度合いというか、事件はさまざまでございますので、その裁判所の事件の動向に応じた、質の問題ということも考慮して配置をしてきておるところでございます。
 先ほど申し上げましたような事件の数ということになりますと、これは、大庁とかなり規模の小さい庁では大きな差がございまして、庁によりましては、必ずしも裁判官一人分の事件数まではないというような庁もございます。
 そういった点につきましては、裁判官をできるだけ効率的に配置するという観点から、その庁に本務として在籍することではなくて、近隣の庁から裁判官が出張して処理をするという庁もございますが、そういった点におきましても、やはり結果として具体的な事件の審理あるいは司法サービスの提供に、本庁あるいは裁判官が常駐している支部との間に格差があってはならないという点で、我々注意深く見ておりまして、そういった点で、もし事件の増減等がございましたら出張の回数をふやすとか、あるいは緊急事件につきましては、必ずしも出張する予定のない日であっても臨時に出張をして、事件をきちんと審理、判断するという体制を整えてきておるところでございます。
 その結果、審理期間、我々は平均的な審理期間等を見ておりますけれども、その関係でも、それらの必ずしも裁判官が常時いないという支部におきましても、ほかの庁に比べまして特に遜色のない事件の審理、判断がされているものと承知しております。
○山崎(摩)委員 局長のお立場からはそういう御答弁になるのかなというふうに思いますが、地元でいろいろ伺っておりますと、あながちそうでもないという感じもちょっと私はしております。
 今回、四十五名増員ということですが、そうしますと、具体的にどういうふうな配置になるかということはいかがでございますか。
○戸倉最高裁判所長官代理者 今回増員いただきました場合には、やはり、最近の事件数は大規模庁を中心に極めて増加しておりまして、そのあたりの裁判官の負担というものが非常に重くなっておる状況にございます。
 こういう裁判官の負担が重くなりますと、やはり、裁判官は実は多くの事件を同時に進行しながら審理しておりますので、結果といたしまして、審理の迅速さに影響が出るというような問題もございますので、最終的な判断は今後の事件動向も見ながら検討してまいりますけれども、今回の増員分につきましても、事件が増加している繁忙庁を中心に増配置することになろうかというふうに考えております。
○山崎(摩)委員 突然でございますが、大臣は、裁判官ゼロマップというものがあるのを御承知でいらっしゃいますか。
○江田国務大臣 ゼロマップというのは聞いたことがあるような気がいたしますが、聞いたことがあるというんじゃなくて、いろいろな支部に裁判官がいない支部があるということは存じております。
○山崎(摩)委員 突然の質問で失礼いたしました。
 全国には、地裁、家裁の本庁が五十で、支部が二百三、そのうち四十六支部には常駐の裁判官がいないわけですね。その四十六支部のうち、実は、十カ所、二一・七%が北海道でございます。北海道は大変広大な大地でございますので、裁判官がいないところ、例えば、支部にとか本庁にといってもこれはまた百キロ、二百キロ、三百キロ、こういう距離感でございますことをちょっと頭に置いていただきたいなというふうに私は思います。ですから、特に裁判官がいない支部というのは道北、道東のところに集中をしているということで、住民にとっては大きな課題になっているということでございます。
 実態を申し上げますと、常駐していない支部では、一カ月に一回か二回程度の間隔で裁判官が本庁からてん補していくということで裁判が行われ、通常は書記官事務が行われているということです。
 このことについては地方議会からも意見表明がなされておりまして、北海道議会が三月九日、今月でございますが、「北海道内すべての裁判所に裁判官の常駐を求める意見書」というのを全会派一致で採択をして、衆参両議長、それから総理大臣、法務大臣あてにも提出をしているところでございます。これに続き、当該地域の道北、道東の八カ所の市町村議会でも同様の意見表明が行われている。
 意見書の中身をちょっと見ますと、例えばDV事件などの保護命令申し立てや被告人の保釈申請など、緊急性を要する事件であっても、裁判官が派遣される日を待つか、百キロ、二百キロの遠方にある本庁まで出向かなくてはいけない、このため、非常駐支部管内の住民が保護命令の申し立てをあきらめざるを得ないという場合や釈放されるまでに長時間を要する事態も生じている。他の地域の住民に比べ、裁判を受ける権利を制約されている、あるいは保障の程度が低くなっていると言わざるを得ないのではないかというのが意見書の内容でございます。
 このような、いわば司法の過疎地ともいうような住民の権利保障についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか。いかがでございますか、局長。
○戸倉最高裁判所長官代理者 今委員御指摘のとおり、北海道の支部の中には裁判官が本務として常駐していない支部が集中しておるというのは事実でございます。
 これらの庁におきましては、先ほど申し上げた事件数という観点で極めて少ないということもございまして常駐しておらないということでございますし、また、これは非常に、例えば旭川で申しますと、実際に支部に出張するまでの距離という問題等もございまして、確かに、一月に一度、三、四日というような形で出張するような体制であることは御指摘のとおりでございます。
 ただ、先ほどの道議会の議決の内容は、私ども、拝見して承知しておるわけでございますが、緊急事件の処理、特にDV事件等について、緊急事件の処理体制につきましては、これは受け付けをいたしますとすぐ本庁の方に連絡をいたしまして、その担当裁判官が必要な指示をいたします。事情を伺う手続などが必要になった段階でこれは臨時に出張するという体制をとっているところでございますので、私どもといたしましては、そういった事件について、その周辺の利用者、裁判所を利用される方に御不便をおかけすることはあってはならないというふうに考えておるところでございます。
 これは、確かに私ども、方針は方針としてこうしておりますが、実際の運用がどうなっておるかというのは、やはり実際の利用者の声であるとかそういったことを十分お聞きしながら、また運用の改善には努めてまいりたいというふうに考えております。
○山崎(摩)委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、四十五名増員を大規模庁に配置をするということでございますけれども、こういう非常駐支部をなくしていくような前向きのお取り組みを大臣にぜひ、法務省としても、違うとおっしゃるかもしれませんが、またお力添えいただきたい。それから局長にも、そういうことを強くやはり推進をしていただきたいということをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
 本日はありがとうございました。
○奥田委員長 以上で山崎摩耶君の質疑を終了いたします。
 次に、平沢勝栄君。
○平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。
 初めに、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、一、二問お聞きしたいと思います。
 平成十四年から十年間で裁判官を五百人ふやすという意見書に基づきまして、判事と判事補五百六十二人、もう既にふやしてきたわけでございまして、今回、そういう中で判事を四十五人ふやすわけでございますけれども、問題は裁判官ですね。法律的な素養、これは当然のことですけれども、いわば人間性といいますか、社会常識、教養、これもしっかり持っていただかなければならないわけでございます。
 数年前でしたが、私、弾劾裁判所の裁判官というのをやりまして、裁判官で事件を起こす人がいましたでしょう、その人の給与は、憲法に書いてあるから、憲法に裁判官だけ書いてあるんです、だから、裁判官だけ問題を起こしても給与を下げることはできない。もともと、あの憲法の規定というのは、恐らく、政府が裁判官にいろいろ介入したらだめだということで置かれたんだと思います。そして、当然のことながら、裁判官で刑事事件を起こすようなとんでもないやつはいないだろうという前提で、あの憲法の規定は置かれているんだろうと思うんです。ところが、現実にはそういう問題を起こす裁判官も出てくる。しかしながら、憲法の規定で給与を、捕まろうが何しようが一切下げることはできない。これはおかしいじゃないかという議論があったことを覚えております。
 ふやすことは、もう当然だれも反対しないと思いますけれども、裁判官の資質とかそういった面では問題ないのかどうか、そこをちょっとお聞きします。
○安浪最高裁判所長官代理者 裁判官に求められる資質ということでございますけれども、多様で豊かな知識経験を身につけ、それから視野の広いということが裁判官として必要だろうと思っております。この間の増員によりましても、裁判官として求められる資質の点について低下は見られないものと承知しております。
○平沢委員 そういうことで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 今回で千七百八十二人から千八百二十七人になるんですか。これは今後の増員計画というのはどうなっているのか、ちょっと教えてくれますか。
○戸倉最高裁判所長官代理者 これまで、今議員御指摘のような裁判官の増員を図ってまいったわけでございます。その後におきましても、近年、社会経済情勢の変化あるいは権利意識の高揚等を背景に、専門的知見を要する事件や先例のない事件がふえておりまして、裁判所に持ち込まれる事件も複雑困難化しておるところでございます。また、民事訴訟を中心に依然として事件数が増加し、高い水準にあるという状況にございます。
 こういった状況は、これまでの、増員をいたしてきました司法制度改革の検討当時に想定していたところを大きく上回っておりまして、今後の法曹人口の増加等についても考慮いたしますと、この増加傾向というのは一層強まるのではないかというふうに私どもとしては認識している次第でございます。
 こういったことから、今後の増員の人数につきましては、各種事件数の動向や事件の質の変化、法曹人口の動向等、あるいはさらに適正、迅速な裁判のために望ましい審理形態のあり方等を総合考慮しながら検討する必要があるところではございますが、この点につきましては、裁判所に与えられた機能を十分に果たして国民の期待にこたえることができるよう、中長期的に必要な人的体制の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
○平沢委員 わかりました。
 そこで、三月十一日の大震災についてお聞きしたいと思うんです。
 私も先週末、石巻それから女川町に行ってきまして各所を見てきたところです。私も、阪神・淡路大震災のとき防衛庁の審議官で、現地に行きました。そして、内閣府副大臣のときに能登半島沖の地震とか、いろいろ災害現場を見てきましたけれども、今までのとはもう比較にならない、まさに町全体が廃墟と化しているわけでございまして、これは相当しっかりした取り組みをしないと復興は難しいんじゃないかなという感じがしたわけでございます。
 いろいろな声を現地で聞いてきました。これはまた別の機会にいろいろ御質問をさせていただきたいと思いますけれども、大臣、副大臣、政務官、現地を見られましたか。
○江田国務大臣 私は現地に行きたいと思っていろいろ調整をしてみたことはあるんですが、まだ行けておりません。
○小川(敏)副大臣 現時点ではまだ行っておりません。近々行こうかと思っています。
○黒岩大臣政務官 現時点ではまだ被災地には参っておりません。
○平沢委員 やはり百聞は一見にしかずなんです。
 大臣、防災服を皆さん着ておられますけれども、防災服を現地に行かれて着られるならわかりますけれども、東京で着ておられて、現地を全然見ておられないで、それであれするのは、もちろんこれは全体の問題なんですけれども。
 例えば、総理、官房長官は毎日防災服でテレビに出ます。外国にこれが伝わります。外国は、日本全体が大変な状態になっているということで、九州の方の外国からの観光客も、北海道への外国の観光客もどんどん今キャンセルになっているんです。北海道は安全だ、九州は安全だなんて外国は思いませんよ。やはり今度の原発で、今度の地震で、津波でもう日本全体がだめだということになってしまっているので、そういう中で総理、官房長官が、それから保安院の方も毎日防災服で出てくるんですけれども、これは大臣、内閣の一員ですから、ぜひその辺御検討いただきたいなと思います。
 そこで、これは今は余り言うときではありませんけれども、今回の三月十一日の大震災が起こってからの内閣の取り組み、総理の取り組みについては大臣はどうお考えですか。一生懸命やっておられると思いますか、それとも問題があると思われますか。
○江田国務大臣 未曾有の大災害でございまして、それに原発の事故まで加わっているわけで、これはだれがやっても百点満点はなかなか難しいことだと思っております。しかし、菅総理大臣、不眠不休といいますか、私もやはり時には休まにゃいかぬということも言ったのですが、本当に一生懸命頑張っておって、とにかく今は総理大臣を激励することが一番大切だと思っております。
○平沢委員 私もいろいろなこういった災害等の危機管理をやってきましたけれども、最高リーダーに必要なことは、不眠不休と言われましたけれども、やはり決断、判断を下さなきゃならないんですから、休みはとってもらわなきゃならないんですよ。逆に、疲れた中で判断されたらたまったものじゃないんです。ですから、私はそこはちょっと、不眠不休というのはおかしいと思いますよ。それで、官房長官も疲れておられるんじゃないですか。ですから、しっかり休みをとって、判断するときは判断する、あと、ほかのことはしっかり任せる人に任せる。リーダーですから、機動隊の小隊長じゃないんですから、飛び回っていてはだめなんです。
 それで、国会の答弁では、何か勉強のために福島原発にすぐ翌日行かれたと言われたことが出ていますけれども、勉強のために最高責任者が、現場が大混乱しているときに行かれてはたまったものじゃない。
 そして、人事も次から次に小出しに出てきますけれども、この人事も私はどうかなという感じがしているんです。
 私、別に滝さんのことをあれするわけじゃないけれども、私が防衛庁審議官のときに阪神・淡路大震災があったんです。私はそのとき防衛庁審議官、滝さんは消防庁長官になったんです、直後に。そして、私は滝さんの仕事ぶりというのを見ていましたけれども、まあすばらしい、陣頭指揮に立って、いろいろなことをやられたんです。その滝さんが防災服を着られないでこちらにおられて、皆初めての経験の方ばかりが防災服を着ている。何かちぐはぐというか、何だかおかしいなという感じがしないでもないんですけれども、大臣、どう思われますか。
○江田国務大臣 いろいろな御批判、御指摘もあろうかと思います。ぜひ、野党の皆さん方もそれぞれひとつ知恵をかしていただければと思っております。
○平沢委員 今回、福島の原発で避難区域が徐々に拡大していったわけですね。二十キロから三十キロについては、今までは屋内退避だったのが、今自主避難。ちょっと自主避難という意味がよくわかりませんけれども。現地の方にお聞きしますと、戸惑いというか怒りもあるんです、これは本当にどうしたらいいのかということで。
 危機管理の鉄則は、最悪の事態を想定して初めからそういった対応をとることで、逐次投入みたいな形は絶対やってはいけないんですけれども、何かそんなことが行われているんじゃないかなという感じがするんです。
 そういう中で、例えば、東京にある外国の大使館などには、機能を一部東京から大阪の方とかに移したところもありますし、東京にある企業に、できるだけ本国に帰れというような指示を出しているところもありますし、いろいろないわば混乱が生じているんですけれども、きちんとした、正確なメッセージを出していないからこういったことが起こってくるわけでございます。
 大臣は内閣の一員でございますので、そして総理の側近中の側近でもございますから、ぜひ総理に、こういったことについて国民が、今保安院は不安院と言われているんです。ですから、こういったことにならないように、私は、大臣には総理をしっかりとサポートして、そして問題がこれ以上、混乱が生じないように、拡大しないようにやってもらいたいと思いますけれども、もう一度大臣の御所見をお聞かせください。
○江田国務大臣 御指摘いただいたとおりに、しっかりとサポートしていきたいし、さらに、緊急災害対策本部それから原子力災害対策本部、二つの対策本部を立ち上げて、これはどちらも総理大臣が本部長でございますし、閣僚全部入っておりますので、そこでしっかり対応していきたいと思います。
○平沢委員 今度の大震災での法務省の関係は先ほど質問がいろいろ出ましたから、ダブるところはできるだけ省略させていただきたいと思いますけれども、先ほど、刑務所等の施設で問題が起こったときの対応についての質問が出ましたけれども、その中で、収容者について、万が一の場合は解放するという話がありました。
 解放というのは、本人たちに自由にさせて、それで、もし戻ってこなかったらこれは逃亡罪というんですけれども、これは、例えば刑はどの程度の、例えば私の地元の拘置所には死刑囚が、死刑が確定している者が五十人ほどいるんです、この解放というのはどういう犯罪の人たちが解放になるんですか、それで、私のところにいる五十人の死刑囚なんかはどうなるんですか。
○江田国務大臣 解放というのは、その罪種によって決めていることはないと思います。
 刑事収容施設法の第八十三条でございますが、第一項で、「刑事施設の長は、地震、火災その他の災害に際し、刑事施設内において避難の方法がないときは、被収容者を適当な場所に護送しなければならない。」そして第二項が、「前項の場合において、被収容者を護送することができないときは、刑事施設の長は、その者を刑事施設から解放することができる。地震、火災その他の災害に際し、刑事施設の外にある被収容者を避難させるため適当な場所に護送することができない場合も、同様とする。」ということですから、罪種とかあるいは刑の長さとか種類とか、そういうことによって解放するかどうかの区別をするということではございません。その被収容者が置かれている危難の状況、これによって収容施設の長が適切に判断するものだと思っております。
○平沢委員 ということは、凶悪犯であれ死刑確定囚であれ、被害の程度によっては、場合によっては解放するということはあり得る、こういうことでよろしいんでしょうか。
○江田国務大臣 私も、もちろんそういう経験をしたことはございませんが、それは起きたその危難の程度によるわけですから、人ですから、やはり解放しなきゃならぬということは、万々一ということではあろうと思いますが、あり得ると思います。
○平沢委員 私の地元には東京拘置所がありまして、やはり皆さん方、万が一の場合に逃亡とか何かという不安というのは抱いているわけですよ。
 今は逃亡じゃなくて、これは解放なんですよね。今、大臣は万々が一ということを言われましたけれども、今回の地震、津波、一千年に一回と言われているんです。これは万々が一。だから、何度となく、今回、人知を超えたとか想定外という言葉が何度も言われているんです。想定外のことが起こったんです。だから、想定外のことが起こらないとは限らないのが今の時代なんです。
 ですから、やはりぜひこういったことについての対応もしっかり考えて、地域住民が不安にならないようによろしくお願いしたいと思いますけれども、大臣、もう一回お願いします。
○江田国務大臣 しっかり対応していきたいと思います。
○平沢委員 それで、今回の大震災での法務関係の法令については、既に今までの法律がありまして、その法律の対応で、あとはその法律に基づいた政令を制定すれば何とかなる、新規立法は今回の場合特に必要がないということで考えてよろしいんでしょうか。
○江田国務大臣 震災に対処するための民事法については、基本的には、阪神・淡路大震災のときに、当時の政府と与党の皆さんが大変に御苦労なさって、もちろん野党も協力したと思いますが、その経験を通じて必要な立法の手当てがなされているものと考えておりますが、今回はその阪神・淡路をさらに大変に上回る未曾有の災害でございまして、現時点では、この事態の進展をしっかり把握しながら、必要に応じて、今まである法律を適切に適用して対処してまいりたいと思っております。
 ただ、今、与党の方でもいろいろな新規立法も考えているということではございまして、私どももその検討に協力していくつもりは当然ございます。
○平沢委員 今までの災害、阪神・淡路大震災と今回の災害とは規模とかあらゆる面で全く違うようなところもありまして、あれは地震だったんですけれども、今回は津波なんですね。ですから、そういったこともありまして、既存の法律、それに基づく政令で対応できるのかどうか、これはしっかり検討していただきたいなと思います。
 瓦れきの処理については、先ほど来質問が出ているんですけれども、一つだけ確認させてください。
 私人が瓦れきを処理することについては、先ほど質問が出ていましたけれども、私、今回現地に行きまして、ボランティアの方がもう随分入っておられるんです。もう本当に、例えば街頭でボランティアの方が物を配る。そしてアメリカからもボランティアが入ってきて、石巻の町の真ん中で灯油を配っているんです。それで長蛇の列ができているわけですけれども、このボランティアの方が瓦れきの処理をされた場合にはどうなるんですか。まさにこれはもう一面焼け野原と同じですから、そういった場合にはどうなるんでしょうか。
○小川(敏)副大臣 ケース・バイ・ケースということもありましょうけれども、先ほども申し上げましたように、漂流物であっても観念的には所有権が及んでいる。そうしますと、その所有物を勝手に処分していいのかという問題も出てきましょうし、あるいは私人の土地の上に入っていいのかという問題がありましょう。それは、私どもの指針としては行政がそれを撤去する場合にということで示したわけでございますが、基本的には民間人でも同じであるというふうに思われます。
 その根拠としましては、一つは、所有権であっても、民法二百六条でしたか、憲法の保障する財産権の許す範囲でこれを制限することができるという規定もございます。あるいは、民法には事務管理という規定がございまして、本人の承諾がなくてもその本人のためになる事務を行うことができる。
 今回の場合、土地の所有者から見れば、所有地の上にある瓦れきを撤去することは恐らくその所有者の意思に合致しているでしょうし、また漂流物を撤去するについても、その漂流物の所有者が仮にあったとしても、人の土地の上にある漂流物を撤去することは、この所有者についてもその意思に合致しているのではないか。そういうことであれば、他人であっても、その本人の意思に沿うような処分は依頼がなくても行うことができる、こういう趣旨からしますと、私は、基本的にはこれは違法ではない、このように判断できるのではないかと思っております。
○平沢委員 民法とか遺失物法だけで対応できるのかどうか。いずれにしましても、また別の機会に聞かせていただきたいと思います。
 きょうは警察が来ていますので、ちょっと警察にお聞きしたいんですけれども、今、大震災の被害者、きょうの新聞で死者が一万一千百六十八人、行方不明が一万六千四百七人と出ています。この死者の中で、身元が確認された方、されていない方、どういう割合でしょうか。
○金高政府参考人 本日午前六時現在、岩手、宮城、福島の三県で一万一千百七十四体の御遺体が収容されておりまして、そのうち七八・七%に当たる八千七百九十九体の身元が判明しておりますけれども、残る二千三百七十五体については、現時点では身元の確認ができていないところでございます。
○平沢委員 私もこの前、遺体が安置されているところに行ってきましたけれども、本当に涙なくしてそこでおれなかったわけでございます。
 この死者の方、行方不明の方、日を追ってどんどん数がふえると思うんですけれども、死者の方と行方不明の方は、身元不明の方がまだ死者でも多いわけですから、ダブっている数もあると見ていいんですよね。
○金高政府参考人 身元不明の御遺体の中には、行方不明届が提出されている方が含まれている可能性もあると承知しております。
○平沢委員 今、死者と行方不明の方、合わせて三万人弱ですけれども、これは、行方不明の方は、当然のことながら、警察に捜索願というか、そういった届け出が出た方をリストアップしているわけですから、御家族全員で流されて、出ていない方もおられるわけですから、今後、行方不明の方はどのくらいになるんでしょうか。宮城県の本部長は早い段階で、宮城県だけで死者、犠牲者の方は一万人を超えるんじゃないかということを言われていましたけれども、警察は今の段階ではどのくらいになると見ているんでしょうか。
○金高政府参考人 宮城県警本部長が、死者数の見通しとして一万五千人に達するという趣旨の発言をしたことは承知しております。
 警察庁といたしましても、これまでに発見、収容された御遺体は、地表で視認される、見られるものが中心でありましたけれども、いまだ瓦れきや沼地状の土地の中に埋もれて、あるいは海上にある御遺体が相当な数に上るのではないかというふうに見ております。
 具体的な数字を申し上げるだけの根拠は持ち合わせておりませんけれども、今後多数の御遺体の発見があり得るものと想定いたしまして、可能な限り多くの部隊を投入して、身元確認を行ってまいりたいというふうに考えております。
○平沢委員 身元不明で御遺体が多く出ているわけですけれども、そういった方々も当然埋葬等の手続にどんどん入っていますけれども、将来的にこうした方々の身元が判明できるように、例えば指紋をとるとか、DNA鑑定に備えた対応とか、そういったことができるようにきちんとなされているんでしょうか。
○金高政府参考人 身元が直ちに確認できない御遺体につきましても、全身や顔の写真撮影を行っているほか、指紋、掌紋、DNA型鑑定試料、歯形記録など、事後の身元確認に必要な試料を採取いたしまして、御遺体の所持品等とあわせて保管しております。
 御遺体を自治体に引き渡し、火葬、埋葬された後であっても、御遺族から申し出があった場合には、御遺族から提供された試料と照合を行うことができるよう努めているところでございます。
○平沢委員 今回、私も現地へ行きまして、警察の検視官、全国から動員されて、大勢、一生懸命頑張っておられましたけれども、ぜひ引き続き、大変でしょうけれども頑張っていただきたいなと思います。
 そこで、行方不明の方ですね。当然のことながら、先ほど副大臣、戸籍はそのままになる、関係者からの申し出がないですからそのままになると。ただ、その中で、ちょっと副大臣の答弁でひっかかったのは、副大臣は、そのままにしていても特に弊害が起こるとは考えないということを言われました。
 そうですかね。弊害あるんじゃないですか。だって、一番大きな弊害は、日本の統計が信頼されなくなりますよ。そうでしょう。外国から見たら、日本は平均寿命はこれだ、長寿の方はこれだけおられる、だけれども、届け出がずっとないわけですから、百歳の方がどんどんどんどん出てくる。日本は百歳の方がこれだけおるって、外国からしたら、何だと。日本は亡くなっている方だってみんな戸籍、去年だかおととしありましたでしょう、消えた高齢者の問題が。だから、戸籍だけはどんどん残っていて、亡くなっても戸籍が残っているから長寿だなんという、平均寿命の計算だって何もできなくなっちゃいますよ。ですから、いろいろな行政のいわば基礎となる統計ができなくなるんじゃないですか。
 ですから、もちろん今回の件は非常に難しいですけれども、弊害がないというのはどうですか。これはおかしくないですか。
○小川(敏)副大臣 まず、統計の方は、戸籍の数をもとにした統計ではなくて、国勢調査をもとに、現実に存在している方の統計だというふうに承知しております。
 それから、弊害が私は全くないというふうには考えておりませんが、ただ、職権で死亡の記載をした場合に、間違いがあるということもあり得るわけでございますので、そうした場合の比較考量した場合には、やはり消さない方の弊害を少ないと見る方が妥当ではないか、このような趣旨でございます。
○平沢委員 非常に残念なことですけれども、私は、今回のケースで、行方不明がずっと続いた場合は、やはりどこかで判断しなきゃならないときも、残念ながらこれはあるんじゃないかな、いつまでも戸籍だけがずっと続くというわけにもいかない、そういったケースも起こり得るんじゃないかなという気がします。今副大臣が言われているのは、要するに、関係者から申し出がない限り、ずっと戸籍は続くということなんですけれども、どこかでは判断しなきゃならないという気がしますけれども、何かありますか。
○小川(敏)副大臣 現時点では、百二十歳を超えて生存する人はいないだろうということで、百二十歳の段階でこれを死亡扱いにするというふうな手続をとっております。
○平沢委員 これはまたいずれ聞かせていただきたいと思います。
 最後に警察庁、今回現地に行きまして、外国の報道では、日本は非常に治安がいいというか、これだけの大災害にもかかわらず、日本人は規律正しく礼儀正しく非常に整然としているということが称賛されているようですけれども、現地に行きますと、しかし、やや治安が悪くなりつつあるというような話も聞いているところですけれども、現地の治安情勢はどうなっているんでしょうか。
○樋口政府参考人 被災地の犯罪の状況でございますが、統計的に見ますと、入力されていない部分もかなりあるわけでございますけれども、平常時と比べて件数的には増加をしているような状況ではないと考えています。
 ただ、被災地ならではの形態の犯罪、窃盗が多いんですけれども、ガソリンの抜き取りでありますとか、足がないものですから自転車盗、それから、被災した、あるいは福島の場合でありますと避難した後の無人の民家、店舗に忍び込んでの侵入窃盗が相当数発生をしておる状況にあります。こういう状況でございますので、届け出のないものも相当あるものと考えております。
 一つだけ、あれでございますけれども、治安は、実際の犯罪の件数プラス、どう安心と感じていただけるか、いわば体感治安のところがございまして、ここが非常に問題があると考えております。避難住民の方々、非常にストレスも大きくて、不安感が非常にベースで大きいところにもってきまして、このところ、悪質、巧妙なデマ、流言飛語が相当多発をいたしております。この対策が大変重要であると考えておるところでございます。
○平沢委員 もう時間が来ましたから、最後にもう一問だけ、樋口局長。
 私、現地で聞いたら、要するに、若干の軽い犯罪、窃盗とか盗難とか何かは、こんな大変なときに警察に届けるわけにいかないと言っておられるんですよ。だから、恐らく警察が今認知している件数、それは実態とは違う可能性がありますから。
 それで、地域の方は、警察がぜひパトロールしてほしいということも強く望んでいました。恐らく石巻警察署とかそういったところはもう手いっぱいですよ。亡くなった方の身元確認だけで手いっぱいですよ。ですから、そういう中で、今全国からパトロールの応援、百何十人か出したと聞きましたけれども、これは全体ででしょう。岩手県も福島県も宮城県も、全体で百八十何人かの応援でしょう。これでは少ない。もうちょっと出したらどうですか。そして、制服の方がパトロールするのを見たら、地域の方は、被災に遭われた方は安心するんですよ。もっと出されたらどうですか。もう一回、では樋口局長。
○樋口政府参考人 御指摘いただきましたように、やはり制服警察官の姿、パトカーの姿を見たいという声が非常に多うございまして、御指摘のように、今、百八十八名、八十一台、パトカーと制服警察官をセットにして三県に投入しておりますけれども、現地の治安状況を十分見定めながら、この態勢の増強についても柔軟に対応してまいりたいと考えております。
○平沢委員 では、よろしくお願いします。
 時間が来たから終わります。ありがとうございました。
○奥田委員長 以上で平沢勝栄君の質疑を終わります。
 次に、柴山昌彦君。
○柴山委員 自由民主党の柴山昌彦です。
 法案については後でお伺いします。
 まず、きのうの報道によりますと、福島地検において、いわき支部が、逮捕、送検されていた容疑者を、東日本大震災の発生後、十数人釈放していたということであります。また、けさの報道ですと、十一日から十六日に、この福島地検、郡山、いわきの二支部を含めて、容疑者計三十一人が処分保留で釈放されていた。また、仙台地検でも、十二日から十六日にかけて、勾留中の容疑者二十七人を処分保留や起訴猶予で釈放したというように発表されているんですけれども、大臣、これは事実ですか。
○江田国務大臣 お尋ねのとおり、福島地検いわき支部において、震災から三月十五日までの間に、起訴前の勾留中の被疑者十二名について釈放し、さらに、いわき支部以外にも、私のここにある報告ですと、仙台地検管内三十名、福島地検管内三十一名、釈放の手続を行ったと承知しております。
○柴山委員 これはどういう根拠で釈放されたんでしょうか。超法規的な措置なんでしょうか、それとも、先ほどちょっとお話があったような刑事施設法上の処分なんでしょうか。あるいは、刑訴法八十七条一項に定めてある、勾留の必要性がなくなったということなんでしょうか。
○江田国務大臣 これは、それぞれの事件ごとに担当している検察官が判断したものでございまして、超法規的なものではございません。そうではなくて、それから刑事施設法によるものでももちろんございません。これは、刑事訴訟法六十条の、勾留の必要性がなくなった、こういう状況で勾留を継続することが適切でない、そういう判断をしたものだと承知しております。
○柴山委員 ちょっと待ってください。六十条は、勾留取り消しについて書かれた八十七条一項と違って、勾留理由についてたしか書かれていたと思いますので、例えば住所不定ですとか逃亡のおそれですとか、あと罪証隠滅のおそれですとか、そういうようなことがたしか定められていたんじゃないかなと思うんですけれども、本当にそれでいいんですかね。この後質問しますけれども、現に住所不定者もこの中には入っていたということですから、六十条というのはちょっとおかしいんじゃないでしょうか。もう一度御答弁ください。
○江田国務大臣 私が今申し上げたのは、刑事訴訟法六十条に勾留の理由と勾留の必要性というものを規定しておりまして、釈放についての規定というものはないんですが、全体に検察官が持っている刑事司法についての権限を行使して釈放したものだということでございます。
○柴山委員 いかなる罪名の容疑者を何人釈放したんですか。
○江田国務大臣 福島地検管内で釈放した被疑者の罪名ごとの内容は、窃盗などが十三名、傷害等が五名、覚せい剤取締法違反等が四名、道交法違反が三名、詐欺、業務上横領が二名、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反が二名、建造物侵入等が一名、強制わいせつ一名となっております。
 そして、仙台地検管内は、窃盗が十一名、詐欺、業務上横領が七名、傷害等が四名、建造物侵入等三名、覚せい剤取締法違反等二名、児童買春等の法律違反が二名、道交法違反一名となっておりまして、今委員ちょっと触れられた強盗とか殺人とか、そういう裁判員裁判の対象事件になるような重大犯罪は含まれておりません。
○柴山委員 昨日の報道によると、福島地検の小池隆次席検事は、市民に不安を与えたくないということで罪名や人数を明らかにされていなかったというように報じられております。しかし、これは、公益上の必要性がどの程度認められるのかですとか、あるいは治安上問題があるのかどうかということを検証するために必要な情報じゃないかなというように私は思います。現に今法務大臣の方からも情報を明らかにしていただいたわけですから、明らかにしなかったということは極めて妥当性を欠くことではないかなというように私は思うんですが、いかがでしょうか。
○江田国務大臣 今お触れになりました福島地検次席検事の発言がどういう発言であったか、報道されていることは存じておりますが、そのとおりの発言があったかどうかということは承知していないので、そこのお答えは控えますが、しかし、これは、不安を与えたくないといって罪名を述べないというのは適切ではないと思っておりまして、私としては、治安上の影響、それは全くないとは言いませんが、こういう種類のものだから釈放したんだということは申し上げた方がいいと判断しまして、先ほど答弁いたしました。
○柴山委員 警察は、これらの釈放及び報道されなかったことをどのように考えておられるんでしょうか。
○金高政府参考人 一般論として申し上げれば、勾留の必要のある被疑者を釈放するとすれば捜査上の問題も生じる場合もあり得るというふうに思いますけれども、個々の検察官の処分について警察庁の立場でコメントすることは控えたいと存じます。
○柴山委員 これも報道なんですけれども、警察関係者は、中には、今大臣の方からお話があったように強制わいせつ事件の容疑者が含まれていたり、あるいは私が申し上げたように住所不定者も中にいるということで、治安上問題があるというような指摘がされているというやに伺っています。
 誤解しないでいただきたいのは、私は釈放が絶対いけないということを申し上げているわけではありません。ただ、合理的な理由があるのか、また、こういった釈放について今後の見通しが立っているのかということを確認したいだけでございます。
 ちなみに、これらの釈放した方々については、いろいろと困難はあったかと思うんですけれども、移監ということを検討されたのかということを確認させてください。
○江田国務大臣 これは、移監という、他の留置場等に移送することができないわけではございませんが、本件の場合には、裁判官の同意を得て別の刑事施設に移送するところまでの余裕はなかったということで、移監ではなく釈放したということだと思っております。釈放する必要がある理由は十分あったと思っております。
○柴山委員 起訴後の被告人についてはどうだったんですか。
○江田国務大臣 勾留中の者のうち、釈放せずに起訴した者が一名あると承知をしておりまして、これは当然、刑事訴訟法の規定により、被告人勾留に移行するということでございます。
○柴山委員 ありがとうございます。
 また、先ほどお話しになられているように、裁判員裁判の対象となっている方についても釈放された方はいないということですから、今後、やはり情報の開示のあり方についていろいろと検察庁への批判が強まっている御時世ですので、きちんと説明ができるような処理をしていただきたいというように思っております。
 最後に、釈放された容疑者の方々の現状についてはきちんと把握ができているんでしょうか。
○江田国務大臣 誤解があってはいけませんが、身柄をとっている被疑者については時間が限られているわけですね。原則は勾留十日、延長してもあと十日ということで、その間に関係者も調べたりいろいろなことをやらなきゃいけないので、そこで、情状関係などすべて見て、今回の場合には余震もずっと相次いでいるというような事態なので、これは釈放をしてさらに捜査を続けようということで、一時、大部分が処分保留のまま釈放しているわけで、決して、何か、冒頭申し上げましたが、超法規的に釈放したものではない。釈放した者については、もちろん今後の捜査の継続はできる体制をとっているものと思いますが、若干の困難はあるかもわかりません。
 ちなみに、先ほど強制わいせつというのが御指摘ありましたが、これは具体的な事件について触れるわけにはいきませんが、情状等は、比較的そう重くない情状のものであったというように聞いております。
○柴山委員 若干の困難というお話はありましたけれども、ちょっと余り建前でおっしゃってほしくないなと思ったのは、例の中国人の船長を中国に帰した案件もあるわけですから、やはりこれは公益上の理由から、ある程度そういった今後の終局処分に差し支えがある場合でも、比較考量の上、やむを得ずそういうことをやった、中にはきちんとトレースできない方々もいるということを、むしろきちんとおっしゃった方が私は司法に対する信頼というものは守られるんじゃないかなという意見を申し上げさせていただきまして、続きまして震災関連の法律問題についての質問に移らせていただきたいと思います。
 先ほど来お話が出ております損壊家屋等の撤去等に関する指針についてであります。
 お手元に資料として配付をさせていただいておりますけれども、確かに、津波で家屋、船舶、車両などの財産や瓦れきが広範に散乱をしてしまっていて、これを撤去しなければ再築などの復興ができない状況にあるということは十分理解をしております。ただ、そもそも、こういった大災害が外国で発生した場合には、こういった指針というものは出されているものなんでしょうか。
○原政府参考人 法務省といたしましては、外国で今回のような指針が示されているか否かにつきましては承知しておりません。
○柴山委員 それで、なぜこの指針は環境省の方から提出をされたんでしょうか。
○小川(敏)副大臣 これは環境省といいますか、政府という位置づけで出されたものというふうに考えております。被災者生活支援特別対策本部という、政府のその本部名から出された。私、法務副大臣は、その政府の命によって、法的な見解を検討しろということでそのチームの座長を務めたという、そのような経過でございます。
○柴山委員 防災担当が松本大臣ですし、環境大臣が松本大臣ですから、そういうことで、中には若干、自動車リサイクル法ですとか産業廃棄物にかかわる部分もありますけれども、ちょっと違和感を感じたところでもあります。
 では、この指針に従った形での処理をすれば、撤去にまつわる責任というものは免責をされるんでしょうか。
○小川(敏)副大臣 基本的には個々のケースで考えるわけでございますが、仮にこの作業の過程の中で、私は基本的には、これは撤去できる、あるいは移動することができる、そうした面があると思っておるわけでございますが、個々のケースとして、例えばまだ他人の所有権が明らかにあるものを、間違って、その方の承諾も得ない、あるいは法の手続も経ないで撤去、廃棄したようなことがあれば、それはやはり何らかの賠償問題、あるいはそうしたものが生じるケースもあるのかもしれませんが、私は、基本的にはこの撤去に関しましては、これにのっとっておれば違法性はない、したがって責任の問題は生じないのが一般である、このような考えに立っております。
○柴山委員 生じないのが一般であるという御答弁でありまして、そのとおりだと思います。これはあくまでもガイドラインでありまして、これに従えば絶対に法的な責任がなくなるというものでは恐らくないのであろうというように思います。
 中身についてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、倒壊家屋等の撤去について、原形をとどめている場合には所有者等の意向を確認するのが基本だけれども、所有者等に連絡がとれない場合や倒壊等の危険がある場合には、土地家屋調査士等の専門家に判断を求めて、価値がないと認められたものについては解体撤去して差し支えないというような文章がありますけれども、手近におられる土地家屋調査士の先生方は、当然のことながら限られているかと思います。
 国としてどのようにこうした有資格の方々を確保するのか、また、こういった専門家の方々がいらっしゃらない場合には一体どういうふうになるのかということを検討しておられるのか、お伺いしたいと思います。
○原政府参考人 今回の指針におきまして、土地家屋調査士等の専門家の御判断を求めるということを記載しましたのは、やはりそれぞれの家屋等が損壊しているのかどうかについての判断が難しい場合があろうかということで、こういう指針が示されたわけでございます。
 当然、東北地方にお住まいの専門家の方々はそれほど多くはないと思いますけれども、全国の専門家の皆さんが全面的に協力をしていただけるものと考えておりますので、そういったことを踏まえながら、具体的な運用につきましては今後議論がされていくんだろうというふうに考えております。
○柴山委員 積極的なサポートですとか、今申し上げたように専門家の方がいらっしゃらなかった場合について一体どうするかということは、これは法的な効力がないというお話だったんですけれども、もうちょっと明確にしていただいた方がよいのではないかなというように私は思います。
 次の質問なんですけれども、瓦れきですとか効用をなさない自動車ですとか、価値のないものであればいいんですけれども、そうでない場合には、市町村の職員ですとか自衛隊の方々ですとか民間の方々の責任というのはどのようになるんでしょうか。
○原政府参考人 今回の瓦れき等の撤去に当たりまして、過って客観的に価値のあるものを壊してしまったという場合には、法律上は国家賠償法あるいは民法の不法行為責任の問題が出てこようかと思います。
 自衛隊なりあるいは自治体の皆さんがやっているということであれば、国家賠償法は個人が責任を負う場合は限定されておりますので、そういう面での配慮がされていくということだろうと思います。
○柴山委員 例えば民法の七百二十条は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためにその物を損傷した場合には、緊急避難として違法性は解消できるというようにされていますし、先ほどもちょっと質問に出ていたようですけれども、土地の所有者が土地利用を妨げているものの所有者に対して、所有権に基づく妨害排除請求ができるはずですから、みずから費用負担する、あるいは、みずから負担できない場合に自治体や消防の方々、自衛隊の方々が撤去を負担して行うということであれば、それと妨害物の毀損による損害というものは、ある程度相殺というか解決済みということはあり得るのかなというようにも思うんですけれども、ただ、恐らくこれは非常に難しい判断なのではないかなというように思います。
 刑法上は、今言ったような有価物、価値のあるものを壊した場合、あるいは領得をしてしまった場合、一体どのようになるんでしょうか。
○西川政府参考人 お答え申し上げます。
 これはもうあくまで一般論でございますけれども、もちろん、考えられる罪名としては窃盗罪であるとかそれから遺失物横領罪であるとか、あるいは壊した場合は器物損壊罪というのが考えられまして、それぞれの構成要件に該当するかどうかというのは、証拠に基づいたケース・バイ・ケースの判断ということになろうと思います。
 ただ、通常の撤去作業、これを考えますと、他人のものを例えば移動させたということについては、通常は不法領得の意思は欠けるということで、窃盗罪や遺失物横領罪は成立しないというふうに考えられますし、また、倒壊して瓦れき状態になったものを通常の撤去作業に伴って損壊するということについても、器物損壊の犯意を欠くということで、器物損壊罪はそこで成立しないというふうに考えております。
○柴山委員 また、この指針の自動車のところで、効用がある自動車で、所有者が返還を求めない場合、所有者がわからない場合、そういった場合の取り扱いについては「追って指針を示す。」ということになっているんですけれども、これはいつ結論が出るんでしょうか。
○小川(敏)副大臣 現状ですと、その自動車は所有者、管理者の管理を離れておるわけですから、遺失物というような扱いになるのかと思います。
 そうすると、遺失物ですと、遺失物法によって、公告をした後、提出者の所有になるというようなことになるんでしょうけれども、実際に数がどれだけあるのか、遺失物法の処理をした場合に、遺失物ですと警察が行うわけですが、保管場所の確保とか事務の量によって処理し切れないというようなケースもあるのではないかということもありますので、状況をもう少しよく把握して、遺失物法で処理できるのならそれでいいでしょうし、仮にとても遺失物法では処理できない、でき切れないという状況があるなら、しかし、人の所有物を勝手に廃棄するわけにはいきませんから、何らかの立法が必要なのかどうか、そういったことも踏まえて検討しておるところでございます。
 速やかにという姿勢で臨んでおりますが、そうした状況を見てからということも考慮しております。
○柴山委員 ありがとうございます。
 それと、自動車の場合、リース物件が結構あると思います。リース物件がこういった震災で滅失した場合の所有権ですとかあるいは危険の負担はどのように考えるんでしょうか。
 一般法理からすれば、ユーザーに利用させる義務を負うリース業者がこういった危険というものをかぶるはずだと思うんですけれども、特約でユーザーの側が損害を負担するとなっている場合が多々見られるところであります。これは有効な規定なんでしょうか。
○原政府参考人 自動車のリース契約における所有者と使用者との間の法律関係は、契約の性質等に応じてさまざまであろうと思いますので、一概にお答えすることは困難であろうかと思います。
 ただ、一般論でお答えいたしますと、いわゆるファイナンスリース契約に基づいてユーザーが自動車を使用している場合には、ファイナンスリース契約の実態はユーザーに金融上の便宜を供与するものでありまして、リース物件の使用とリース料の支払いとは対価関係に立つものではございません。したがいまして、リース物件が滅しても、ユーザーはその後のリース料の支払い義務を免れるものではないというふうに判例上解釈されております。
 したがいまして、いわゆるファイナンスリース契約におきましては、ユーザーが自動車滅失後のリース料を支払わなければならないとの条項がありましても、その有効性が否定されることにはならないものと考えられます。
 ただ、リース契約にはさまざまなものがございますので、その契約類型ごとに自動車の所有者と使用者との間の法律関係もさまざまでありますので、その効力については、個々の事案ごとに、公序良俗に反するのかどうか、そういった観点から判断されることになるだろうと考えております。
○柴山委員 ユーザーは、車を失った上、リース料は引き続き負担をしなければいけない。震災に遭っている上、大変な苦労に見舞われることが予想されるわけですね。ましてや、この損害というのは通常の保険ではカバーされないですよね。地震に関する保険に入っているということはないでしょうし、ましてや、津波が襲ってきたときの損害という形での保険というものはないのではないかというように思いますので、これは、やはり適切な形での処理というものがなされるようにぜひお願いしたいというように思っております。
 まだまだほかにも、先ほど御質問が辻議員の方からあった借地借家の関係の問題ですとか、あるいは山崎議員の方からお話があった境界の確定の問題ですとか、聞きたいことがたくさんあるんですけれども、時間がありませんので次の質問に移らせていただきたいと思います。
 震災によって会社が休業を余儀なくされた場合に、使用者の賃金支払い義務というものは一体どうなるのか。
 具体的には、工場設備が地震で壊れてラインが停止した場合、また、原発事故による放射能汚染で食品の生産ができなくなったような場合、また、今建設資材が大変不足をしておりますけれども、部品の入手が困難になってしまった場合、こういった場合で休業をした事業者の賃金支払い義務というものは一体どうなるんでしょうか。
○金子政府参考人 お答え申し上げます。
 労務の提供が行われないときは賃金も支払わない、ノーワーク・ノーペイというのが原則でございますが、労働基準法第二十六条では、使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合には休業手当を働く方にお支払いいただく必要がある、こういうふうに規定されているところでございます。
 今議員からお話のございました、例えば、事業場が倒壊したようなケースでございますが、こうした事業場の施設設備が直接的な被害を受けた場合、これは、その結果として休業せざるを得ない。こうした場合につきましては、原則として、今申し上げました使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しないものと考えられます。したがいまして、労働基準法二十六条の休業手当の支払い義務はないものと考えます。
 他方、食品原材料の放射性物質による汚染が疑われることや建設資材の調達難、こういったことで休業するようなケースも考えられますけれども、このような場合には、事業場の施設設備が直接的な被害を受けていない場合でございますので、原則としては、使用者の責めに帰すべき事由による休業に該当し、休業手当の支払いが必要になるというふうに考えられます。
 しかしながら、このような場合におきましても、他のルートで原材料が入手できないとか資材が入手できない、あるいは、使用者の方として休業回避のために具体的な努力がなされたというような場合には、こうしたことも総合的に勘案して判断すべきものと考えておりまして、中には、使用者の責めに帰すべき事由による休業に該当しないと判断されるケース、すなわち、休業手当の支払いが不要になるケースもあるものと考えております。
○柴山委員 結論からすると、直接的な倒壊のような場合には休業手当を従業員に対して支払わなくても大丈夫だけれども、そこまで至らないような場合はケース・バイ・ケースで、休業手当を支払うべき場合と、それすら免れる場合というものがあるというようなお話だったかと思います。
 では、これらについて国がそういった損害をどのようにカバーしていくのか。休業手当を払った場合には事業者が損害をこうむるわけですし、休業手当がもらえない場合は、今度は従業員が経済的な損害をこうむるわけですから、それぞれについて国がどういう支援策をとっているのかということをぜひ御説明いただきたいと思います。
○中沖政府参考人 御指摘の点でございますが、工場が倒壊した場合あるいは原発周辺地域にあるような場合、いわば震災による直接的な被害から事業主がやむを得ず事業を休止したことによりまして賃金を受け取ることができない状態にある労働者につきましては、実際離職していなくても失業したものとみなしまして雇用保険の給付ができる特例措置を今実施しているところでございます。
 また、流通網の遮断等で、例えば物品調達ができない、あるいは従業員の通勤ができないといった、震災や原発に起因する経済的な理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るため休業等を行いましてその手当を払うというような場合につきましては、その一定割合を助成する雇用調整助成金の対象になるわけでございますので、私どもとしては、こうした雇用保険の特例措置あるいは助成金を使いまして、労働者の生活あるいは雇用の安定に努めてまいりたいと考えております。
○柴山委員 ただ、では計画停電によって損害が出た場合はどうなるのかですとか、あるいは風評被害によって生じた損害はどうなるのかですとか、さまざまな形で今言った雇用関係の損害というものは、無限とはいかないまでも、膨大に広がっていくことが予想されると思うんですね。やはりこの境目というものをある程度しっかりと考えていかなければいけないというように私は思いますが、もし何かございましたら。
○中沖政府参考人 雇用調整助成金でございますが、実は、地震が今回発生しました後、直ちに活用事例あるいはQアンドAを出しておりますが、この活用事例の中に、例えば、計画停電の実施を受けて事業活動が縮小した場合はこれは対象になり得るというのを明示しておりますし、また、先生御指摘ございましたが、風評被害により例えば観光客が減少した、あるいは農産物の売り上げが減少した、こうしたものも雇調金の対象になるということを明示しているところでございますので、できるだけ幅広く弾力的に解釈をして、我々としては雇用の安定に努めたいというふうに考えております。
○柴山委員 それともう一つ。今私が質問させていただいたのは、事業活動自体がストップしたりあるいは縮小したりした場合の国の助成というか保護について質問したんです。これとは違って、事業自体はやっています、ただ、計画停電で従業員が定時にその事業所に行けなかった、それによって例えば就労時間が限られてしまったですとか、そういう場合は一体どうなるんですか。
○金子政府参考人 議員から今御指摘がございましたけれども、計画停電によって所定の時間に通勤できなかったとか、その間労働ができないというようなケースが考えられるわけでございますが、こうした場合につきましては、それぞれの事業場で労働協約とか就業規則とかあるいは労使慣行がある場合には、まずそれに基づいて、必要な賃金の支払いを使用者の方に行っていただく必要があると考えております。
 仮に、このような定めがない場合には、これは最終的には民事上の問題としてしかるべき判断がなされるべきものとなると思いますけれども、一般的なことで申し上げますと、計画停電によって出勤できないことを使用者の責めに帰すべき事由による労務の提供不能であると解すことは難しいと思いますので、したがって、民法五百三十六条等の規定に照らせば、使用者に賃金等の支払い義務はないと考えられると思います。
 ただ、このような事態が長期にわたりますと、大変働く方に不利益が生ずるという問題も生ずるわけでございまして、こうした点での賃金の取り扱いにつきましては、私どもとしては、労使で十分にお話をいただいて、適切な対応をいただく必要があるというふうに考えております。
○柴山委員 ありがとうございました。
 次の質問に移らせていただきます。
 先ほど、部品の入手が困難になった場合の事業主の休業ということについて質問させていただいたんですけれども、これは対従業員だけではなくて、その製品を売る相手取引先への債務不履行責任という観点からも問題となり得るかと思います。この取引債務の不履行は、震災によって免責をされるんでしょうか。
○原政府参考人 民法の四百十九条三項によりますと、金銭債務の不履行については、債務者が不可抗力を抗弁とすることはできないと規定しておりますので、一般論としましては、金銭債務以外の債務につきましては、不可抗力によって債務不履行責任を免れることができると解釈されます。
 それで、お尋ねのような事案につきまして考えますと、売り主が債務不履行責任を免れるかどうかというのは、震災がどの程度その事業に影響を及ぼしたのか、その個々の具体的な事情によって判断されることになるものと考えております。
○柴山委員 わかりました。不可抗力と言えるかどうかはケース・バイ・ケースということであろうかと思います。
 逆に、買い主側、まさしく今御指摘のあったように、代金を期限までに支払えなかったですとか、あるいは手形が決済できないですとか、そういう場合はどうなるのか。金銭債務は不可抗力ということで免責をされない絶対的な債務だというように言われておりますけれども、金融庁や経産省はいかなる対策を講じているんでしょうか。被災地振り出しの手形が落ちないというような場合について、ぜひお伺いしたいと思います。
○遠藤政府参考人 お答えいたします。
 今般の地震の発生を受けまして、三月十一日に、金融担当大臣、日銀総裁から関係金融機関に対して要請文を発出しております。その要請文の中で、災害時における手形の不渡り処分について配慮することを要請しております。
 この要請に基づきまして、手形交換所を運営している各地の銀行協会はこれを踏まえまして特別措置適用を決定しております。災害のために不渡りになった手形に係る不渡り処分については、それを猶予するといった措置を講じているところでございます。
○柴山委員 一見よさそうなんですけれども、ただ、それでは十分じゃないと思うんですね。
 というのは、不渡り処分を免れるための措置を受けるためには事前にきちんと相談をしていなくちゃいけないということが言われております。また、これはあくまでも被災地の債務者が振り出した手形ですから、二次的な被害ですね、結局、その手形については落ちないことは落ちないわけです。不渡り処分にはならなくても、落ちないことは落ちない。では、その決済を当てにしていた被災地外の事業者がさらに支払いができなくなってしまうような場合については、この処理の範囲外ということになってしまいます。
 こういったさまざまな不都合については一体どのように考えればいいんでしょうか。
○遠藤政府参考人 まず、柴山先生の最初の御質問でございますけれども、事前相談が必要なのかということだと思います。
 今回の手形交換所による特別措置は、支払い銀行がその原因が災害によるものと認めた場合に不渡り処分を猶予するものということでございますので、できるだけ手形債務者がその振り出し銀行に、支払い銀行に対して事前に相談することが望ましいと思います。ただ、いろいろな事情がございますので、仮に手形債務者から事前相談がない場合であったとしても、残高不足がもし認められる場合には、支払い期日当日に銀行側から手形債務者の方に連絡いたしますので、その連絡の中で資金不足の原因の確認が行われれば処分を猶予することは可能でございます。
 また、仮に連絡がつかない場合であったとしても実務上どういう判断をしているかということについて、銀行側にいろいろとヒアリングをしております。それによりますと、手形債務者に連絡がとれない場合、それで資金不足の原因が確認できなかった場合においても、被災状況を確認して不渡り処分を猶予しているといった実務上の取り扱いが行われているというふうに聞いております。
 それから、被災地以外の者に対していろいろと影響を与えるではないかという先生の御指摘でございました。これに関しては、今回の手形の不渡りの特定猶予という話とともに、つなぎ融資等がどのような形で行われるかということでございます。これについても、私どもは金融上の措置を三回にわたって各金融機関に要請しております。特に、手形決済が増加する年度末の資金需要期を迎える中で、三度目の要請、三月二十三日に要請しておりますけれども、ここにおいては、今般の災害の影響を直接、間接に受けている顧客から、返済猶予等の貸し付け条件の変更、あるいはつなぎ資金の供与等の申し込みがあった場合には、中小企業金融円滑化法の趣旨を踏まえて、できる限りこれに応じるように努めるということを要請しているところでございます。
 こうした要請を踏まえまして、金融機関は、災害の影響を直接、間接に受けている被災地、その他の地域の中小企業者に対する金融の円滑化に全力を挙げて取り組んでいるものと承知しております。
○柴山委員 経産省の方では、こうした中小企業の、特に間接被害を受けた方々への支援ということは、どういう対策を考えておられるんでしょうか。
○伊藤(仁)政府参考人 お答えいたします。
 三月十四日に、政策金融機関でございます日本公庫や商工中金より、直接に被害を受けた中小企業のみならず、その取引先であります中小企業を含めて対象としました長期、低利の融資制度、災害復旧貸し付けと申しますけれども、それを開始しております。特に、貸し付け後三年間、借入金の一千万円を限度として、〇・九%の金利引き下げ措置を実施しているところでございます。
 また、これらの公的金融機関に対しましては、既往債務の返済猶予など、条件変更にも柔軟に対応するよう要請をあわせて行っているところでございます。
 さらに、被災中小企業に限らない資金繰り支援策として、日本公庫によりますセーフティーネット貸し付け、売り上げが急に落ちた場合についての低利、長期の融資でございますけれども、それを実施しておりますし、加えて、各都道府県の信用保証協会が行う信用保証制度におきましても、二十三年度の上半期から四十八業種を対象として実施する予定でありましたセーフティーネット保証について、今回の震災の発生を踏まえまして、業種判断というものを据え置きまして、原則全業種、八十二業種を対象とすることとしたところでございます。
 なお、今後とも、間接被害も含めまして、支援策についてしっかりと検討してまいりたいと思います。
○柴山委員 金融庁、経産省と伺ってきましたけれども、法務省については、この債務不履行への対策ということをどのように考えておられるんでしょうか。
○原政府参考人 今回の震災に対しましては、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律に基づきまして、三月十三日に政令が公布されております。
 この政令の中で、債務超過に陥った法人の破産手続の開始の特例の措置をしております。具体的には、この特別措置法で認められております最長の期間でございます平成二十五年三月十日までの間、今回の震災に伴う被害によって債務超過に陥った法人については、破産手続開始の決定をすることができないという、こういう措置をしております。
○柴山委員 法人に対するということを言われましたけれども、個人が債務者である場合もあると思うんですね。個人に対する債権者破産ということは引き続き申し立てられてしまうということで本当にいいのかということをお伺いしたいのと、あと、民事調停の申し立て手数料についても特例が出されるということですけれども、これもその対象地区や適用期間ということがやはり重要になってくると思いますので、その検討状況、あわせてお伺いしたいと思います。
○原政府参考人 まず、個人の問題でございますが、個人につきましては、破産法上、破産原因が支払い不能のみとされております。支払い不能の状態に陥った場合にはもはや清算の段階に入るべきものと考えますので、特例措置の対象には法律上されていないわけでございます。ところが、法人の場合には債務超過も破産原因になっておりますので、それについての手当てがされているということでございます。
 それから、民事調停の手続費用の問題でございます。これも、この特定非常災害に関する特別措置法において措置ができることになっておりますので、どのような地域にするかについて検討をしているところでございます。
○柴山委員 ぜひ迅速な検討をお願いしたいと思います。
 続きまして、時間がそろそろなくなってきたんですが、ちょっと行政上の関係についてもお伺いしたいと思います。
 震災によって行政上の手続が妨げられたり、あるいは期間が十分でないというような事態が生じる場合があると思うんですね。例えば、外国人の在留期間が終わりの方に震災が起きてしまったような場合ですとか、あるいは運転免許ですね。被災地で免許を持っておられる方々が更新をしようと思っていたところ震災が起きてしまった、そういうような事態に一体どういう対応がされるんでしょうか。
○黒岩大臣政務官 お答えいたします。
 今甚大な被害を受けている東北四県及び茨城県の被災地域には約七万五千人の外国人住民がおられる。そのうちの相当数の方々が被災されまして、在留期間が切れそうになっても、入国管理官署に出頭して手続をとる余裕などもない方が多分多くいらっしゃるだろうと思っております。
 そこで、法務省といたしましては、三月十六日に、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特措法に基づきまして告示を行いました。今回の震災のときに東北四県及び茨城県に住んでおられた方など、これは震災当日にそこにいた方または外国人登録をしている方なんですけれども、この方たちを対象に、在留資格に伴う在留期間を一律平成二十三年、本年の八月末日まで、三十一日まで延長いたしました。
 このことによりまして、被災した外国人の方々は、仮に在留期間が到来したとしても、何ら手続をとらなくても本年八月末日までの在留期間が延長されることになる、このような対応をとらせていただいております。
○石井政府参考人 運転免許の有効期間につきましては、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律に基づく国家公安委員会告示によりまして、被災地に住所がある方で運転免許証の有効期間の満了日が平成二十三年三月十一日以降である場合は、当該満了日が一律に平成二十三年八月三十一日まで延長されることとなっております。
○柴山委員 延長されるということを聞いて、それはそれでよいのかなというように思います。
 ただ、免許証とかの場合ですと、震災によって流されてしまったり所在がわからなくなってしまうというようなことがそもそも起きてくるんだと思うんですね。そういった場合の運転免許証の不携帯ということについてはどのように扱われるのかということをお伺いしたいと思います。
○石井政府参考人 道路交通法によりますと、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る運転免許を携帯しなければならないとされているところでございます。
 しかしながら、今回の災害により運転免許証を紛失するなどして、やむを得ず運転免許証を携帯せずに運転しなければならない状況もあることから、このような被災者の方につきましては、事実関係を確認し、免許証不携帯として検挙しないように都道府県警察に既に指示したところでございます。
○柴山委員 当たり前の措置だとは思いますけれども、その場合の再交付、これは義務づけられないんでしょうか。いつまでの特例なんでしょうか。
○石井政府参考人 先ほども申しましたように、運転免許がなければ基本的に運転ができないことでもあり、また運転免許証が本人確認の書類として有用であることから、被災者の利便を考えまして、できる限り速やかに運転免許証を再交付できるように努めているところでございます。
 被災地を管轄する警察におきましては、運転免許センターの施設等に大きな被害を受けましたが、再交付の業務を最優先で行うべく鋭意復旧作業を進めてきたところでございまして、本日現在、被害が著しかった宮城県警察を除き、すべての県警察で再交付業務が行われております。宮城県警察におきましても、できるだけ早い時期に業務が再開できるよう、引き続き作業を続けているところでございます。
○柴山委員 よろしくお願いいたします。
 もう本当に残り時間がわずかになったんですが、法案について短くお伺いしたいと思います。
 こうした震災に伴って、さまざまな法律事件の増加が見込まれると思うんですけれども、そういうことへの対応ということもやはりこの司法インフラの充実に含めて考えていかなければいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○戸倉最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、今回の震災の結果、さまざまな法的紛争が発生することが当然予想されているところでございます。過去の阪神・淡路大震災の際には、神戸地方裁判所の管内で調停事件、特に宅地建物関係の調停事件が前年度の三・五倍というふうに顕著に増加したという状況がございました。そういった点で、当時は、神戸に事件を集中的に処理する体制をとったところでございますが、今回は、神戸の場合と比べましても被災地域が非常に広範である上、被災の状況も神戸とはかなり実情が違うということでございます。
 そういった点で、私ども、一応神戸の状況も参考にしつつ、今後どういう事件が起きてくるかということをいろいろな観点から予測をしながら体制を整えていくわけでございます。例えば調停事件が増加するということになりますと、これは調停委員を確保する必要もございますが、神戸の場合と異なりまして、調停委員もかなり被災されておるような地域の実情もございますので、この点もまた今後十分検討してまいらなければならないというふうに考えております。
 そういった点で、まだ確たる予測ができない状況ではございますけれども、私どもといたしましても、このような事件が増加するかということは、いろいろな情報で早期に判断、予測をいたしまして、それに対応できる体制を物的あるいは人的両面で検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○柴山委員 これは必ず来ますからね。必ず来ますし、来たときに対応しても絶対間に合いませんから、今のうちからしっかりと適切な準備をしてほしいと思います。
 また、裁判所の定員ももちろん増加しなければいけないということになると思いますけれども、やはり法曹人口トータルのやり方についてもこれを機にもう一度見直しをしてほしいと思うんです。
 やはり、裁判官とのバランスの問題ですとか、あるいはその質の問題ですとか、あるいは今言ったように今後のニーズについていま一度検証ということを行っていただきたいと思いますし、またロースクールのあり方についても、本当に今のままの体制でよいのか、今後引き続きしっかりとやっていける体制になっているのかということも見てほしいですし、また修習生の給費制の問題、こういうことについても検討をしてほしいというように思っているんです。特に給費制、あと一年間しか延長されませんので、もろもろの司法改革の抜本的な見直しということをどの程度今やっているのかということをお伺いしたいと思います。
○江田国務大臣 法曹養成については、委員が今御指摘のようなさまざまな問題状況が出てきていることは確かでございます。法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度、これが、法科大学院の志願者の大幅な減少等が起きてまいりました。
 そこで、法務省と文科省が共催をした法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム、これが、法曹養成制度の問題点、論点を検証して、改善方策の選択肢等を整理して取りまとめを昨年の七月でしたか、いたしました。さらにその後、昨年十一月二十四日の当委員会の決議がございまして、そこで政府に対して、法曹養成に関する制度のあり方全体について速やかに検討を加えよ、その結果に基づいて順次必要な措置を講ぜよ、こういうことを言われておりますので、現在、文科省を初めとする関係機関とともに、法曹養成に関する制度のあり方全体の検討を開始するためのフォーラムを立ち上げようとしているところでございまして、既に関係者の集まる期日など決めたところへこの震災ということになりまして、ちょっとおくれておりますが、余りおくらすことはできないと思っているところでございます。
○柴山委員 もちろん、震災復興第一で考えていただきたいと思いますけれども、こちらのインフラも、司法インフラもまた非常に重要で、急な検討を要する課題であるかと思いますので、ぜひ関係の皆様には御尽力を賜りたいと思います。
 最後に一点だけ、通告をしておりませんが、お伺いしたいのは、先ほど階議員の方から、判事補から判事への昇進を例えばおくらせるということを今回検討できないかという御質問があったんですけれども、これを検討するに当たって、特段、何か法的な障害がある、例えば報酬を減らせないという、憲法八十条の二項でしたか、規定があったかと思いますけれども、そういった障害はないですよね。それについて最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○戸倉最高裁判所長官代理者 突然の御質問でございますので、ちょっと確たることを申し上げるのは難しゅうございますけれども、判事補あるいは判事というものについては、それぞれ法律上任命資格が定められております。そういう意味で、判事補を任命する、判事を任命するというのは、それぞれ資格があれば任命できるわけでございますので、例えば、仮定の話でございますけれども、判事補を十年やられた方がまた判事補を任命希望された場合に、それが法律上問題かというと、それは多分障害はないんだというふうに考えている次第でございますが、先ほどこの点は人事局長も答弁いたしましたとおり、裁判官の任命手続は、まず、その裁判官に任命希望というか任命したいという意思が表示されて、それを受けて、一定の手続を経て、それに任命するかどうかを判断するわけでございまして、その関係で、例えば判事に今任命を希望しておられる方について判事補で任命するということについては、やはりこれは御本人の意思等の関係で問題があるんではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
○柴山委員 質問を終わります。以上でございます。
○奥田委員長 以上で柴山昌彦君の質疑を終了します。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
○奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。稲田朋美君。
○稲田委員 自由民主党の稲田朋美です。
 今回の巨大地震、そして大津波でお亡くなりになった多くの方々の御冥福をお祈りいたします。また、行方不明の方々もたくさんおられます。家族を失い、家を失い、仕事を失い、ふるさとを失い、いまだ避難所で余儀なくされている方々の生活がもとどおり戻るように、政府に迅速な対応をお願いいたしたいとともに、現在進行中の原子力の事故について、早急に収束に向けて対応をお願いしたいと思います。また、私たち国会にいる者も、復旧復興に向けて全力を挙げてできる責務を果たす、その覚悟であることを申し上げ、本日の質問に入りたいと思います。
 冒頭、一点、先ほど平沢委員の質問に対して副大臣が、行方不明の人の戸籍について、置いておいても構わないのではないか、百二十歳ぐらいまで置いておくということもあるかというような御答弁だったかと思うんですけれども、私は、やはり大変影響もあるし、例えば、生きていることとして年金の問題やら、さまざまな問題がございます。
 例えば、こういった地震のような災害の場合の失踪宣告の申し立てを地方公共団体や国がする、そして一年という、こういう場合には期間も短くなっておりますけれども、そういう方法があるのではないかなと思いながら午前中の質疑を聞いていたんですけれども、その点について、副大臣の御見解をお伺いいたします。
○小川(敏)副大臣 構わないという趣旨ではなくて、行政が失踪宣告の申し立てをするという場合に、しかし、それを認めた場合に、間違って生存者に失踪宣告をして、死亡扱いしてしまうということもあり得るのではないか。そうすると、死亡した方を除籍しないまま残っていることも好ましくない形ではありますが、構わないという趣旨ではなくて、しかし一方で、行政が失踪宣告の申し立てをして、誤った死亡宣告がなされた場合の弊害も大変大きいし、どちらの弊害を比べたら、やはり間違った失踪宣告がされる弊害の方が大きいから、それを避けるためにはやむを得ないのではないか、このような考えを述べたわけでございます。
○稲田委員 ただ、このような事態ですので、そういった方法も含めてぜひ検討をいただきたいと思います。
 それでは、大臣に、法案に関連をしてお伺いをいたします。
 私は、大臣の震災後の記者会見も拝見をいたしまして、大臣が、例えば瓦れきの処理の問題等につきましても、今の法整備の中でやれることはいっぱいあるんだ、そういう趣旨のことをお話しになって、私もまさしくそうだなと思います。現在の法整備の中でやれることは結構いっぱいあるのに、ところが、勇気がなくてとか、そういったことで決断ができないがためにやっていないということもございますので、現在ある法整備の中で、できる限りの対応をまずやっていただきたいなと。そういう意味からも、大臣の発言には非常に共感を覚えたわけです。
 今回の法案に関連して、法曹人口の問題と法曹養成の問題についてお伺いをしたいのですけれども、先ほど柴山委員からの質問に対して、法曹人口の問題についての法務省としての検討状況ですとか、そういったことについてはもう承知をいたしておりますので、ぜひ、大臣の率直な意見というか、大臣の本質を見る目でもってお考えをお伺いいたしたいと思います。
 法曹人口については、法曹の養成、需要が非常に多いからという理由で、増加が喫緊の課題だということになって始まったかと思うんですけれども、実際に見てみますと、結局は、修習を終了して弁護士になっても勤め先がない、そして弁護士事務所の実務を身につけないで弁護士になってしまうという人もふえている。一方では新規業務の開拓を要請したりもしておりますけれども、実はそれほど多くの法曹人口というのは需要がないんじゃないか。だとすれば、それほどの法曹を、特に法曹人口の問題は弁護士の数にもかかわるわけですけれども、それほど多くの需要があるのかないのか、その点も含めて大臣の御見解をお伺いいたします。
○江田国務大臣 法務省における、あるいは政府における法曹養成の見直しが今進んでいて、フォーラムをつくろうとしている、これはもう委員御承知のとおりでございまして、そのことを繰り返すことはないと思います。
 率直なところを言いますと、私は、司法制度改革審議会が審議を始める前からずっとかかわってまいりました。司法制度をどうするかというので、日弁連が、あれはいつでしたか、よみうりホールでシンポジウムをやったんですよ。そうすると、有楽町からよみうりホールの入り口まで人がつながる、そのくらい人がたくさん集まって議論したんですね。私は、法律事務所、弁護士さん方は人の動員力があるなと思ったら、そうじゃなくて、本当に市民がずっと集まって、裁判官にも、あるいは検察官にも、そして当の弁護士にも随分市民の不満が多いんですよ。
 ですから、私は、これはやはり、司法制度をみんな何とかもっと使いやすいものにしてほしい、社会の隅々まで法的サービスがちゃんと行き渡って、そして、例えば地域の有力者であるとか、あるいは暴力団であるとか、そういう人によって紛争が解決されるのではなくて、やはり法曹が法的紛争を解決する、そういう社会にしてほしいという市民の願いがあると思うんです。そのためにはやはり法曹人口は絶対的に足りないので、したがって、大きな司法というものを目指しているのが私の考えでもあったし、司法制度改革審議会の結論もそういうことになっていったんですね。
 現実に今ある弁護士に対する需要というのが仮にそうなくても、そのもとに、弁護士サービスによって解決できていない紛争の解決の方法というのは世の中にいっぱい埋もれているので、それを掘り起こしていかなきゃいけない。それが法曹の役目なんだ、そういう思いで法曹人口をふやすというのが、私の別に全くだれにも隠さない信念でございます。
 ただしかし、司法制度改革審議会が答申を出して、そのイメージに従って制度を設計したけれども、その制度設計が必ずしもうまくいっていなくて、いろいろなゆがみが出てきている。ロースクールの志願者が減ってきたりしているのは事実ですから、そこはやはり検討して、改めるべきは改めていかなきゃいけないと思っております。
 なお、今委員言われた、弁護士になっても就職先がない、あるいは、こういうことも聞いたんです。就職先がないものだから、弁護士資格まで取っているのに、あえて弁護士登録をせずに一年待つような、そういう人がいるというようなことも聞いたのです。
 私に言わせたら、これは大変申しわけない、ちょっと暴論かもしれませんけれども、弁護士になろうとする者が何でそんな就職先がないなんて言うんだ。それは田舎の方へ行ったら、いっぱいまだまだ求められているところはあるんだ。例えば今度の大震災でも、これはちょっとたったらいっぱい弁護士の需要は出てくる。そういうところを自分で探していくのが弁護士じゃないか。あるいは企業に入っていったり、あるいは地方議員になっていったり、いっぱいあるじゃないかという、現実にはなかなか大変だということはよくわかります、わかりますけれども、そのくらいの気持ちを持って弁護士になってほしいというのが私の偽らざる感想でございます。
○稲田委員 ただ、なかなか現実は厳しいと思います。
 それと、他国に比べて日本の弁護士が少ないということもあったかと思うんですけれども、やはり、訴訟社会と、日本のように和をもってとうとしとするというような社会とは、よって立つ文化とか訴訟の歴史もまた違うんじゃないかな、そういった点もぜひ配慮いただきたいと思います。
 また、先ほど大臣も指摘をなさったように、法曹養成についても、司法修習生のいわゆる二回試験の不合格者もふえておりますし、実務家に聞きますと、肌感覚として弁護士の質的な低下が非常に心配だと言われております。また、法科大学院を卒業しても、合格者がそんなにふえていない。また、法曹の質を維持しつつ法曹養成課程を機能させるということは非常に重要なんですけれども、結局は、多様なところからの法曹ということが現実には実現できていない。むしろ、旧試験のときの方が、主婦をしながら挑戦をして合格した人だとか、脱サラをして合格した人だとか、医師の仕事をしながら合格した人だとか、法科大学院に入らなくてもいいがゆえに多様な人材も集まったという側面もあるんじゃないかなと思っております。
 そして、この法科大学院ですけれども、むしろ、法科大学院に入るときに、もう既に法的な知識を身につけた人というので法科大学院に入学をしていただいて、そして司法修習生の二割増しぐらいまでの定員にして、修習生になったら実習というか本当の実務修習に入るというような、そういう抜本的な法科大学院制度や法曹養成の取り組み、抜本的な改革ということの必要性について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○江田国務大臣 これは私はよくわからない点ではあるんですけれども、新しい制度になって生まれてくる法曹の質が前より悪くなっているという皮膚感覚がある、それは耳にします。
 耳にしますが、私は、そこはよく検証してみなきゃわからないことで、つまり、我々のときには一発試験ですから、それは試験の解答は上手に書けても、やはり例えばカウンセリング能力とか、相手の人が言いたいことを本当に真剣にその人の立場になって聞くとか、そういうような能力がどれだけあっただろうかなということを自問自答したりするんですね。
 今、法曹になっていくのは、そういうプロセスをずっと経て法曹になっていますから、したがって、我々のときになかった能力を持っている者が出てきているのかもしれない。それを、古いと言うと申しわけないけれども、以前の物差しではかると低く見えるけれども、新しい物差しではかるとそうでもないよということがあるかもしれないと思うので、そこは私は余り簡単に結論を出すべきところじゃないと思っております。
 さはさりながら、今のロースクールを出て司法試験を通る者の数が、本来司法制度改革審議会が予想していたようなイメージと全然違ったことになっていることは、これは問題でございます。
 それから、委員、給源の多様化、本当にいろいろなことをやりながら、何回も何回も何回も努力して挑戦して弁護士になった。いるんです、確かに。しかし、その裏に、何回も何回も挑戦して、最後は結局弁護士になれずに、あたら人生を試験勉強で振っちゃったというのも、たくさんこれもいるわけでございまして、やはり私は、この司法制度改革審議会のときに、プロセスとして養成していこう、そういう意見をみんながまとめたというのは、まだそう捨て去る時期ではないと思っております。
○稲田委員 ぜひ不断にいろいろなところに目を配っていただいて、見直しも検討いただきたいと思います。
 それでは、今回の地震のことについて大臣にお伺いをいたしますけれども、大臣は今回の震災についてどのように考えておられるかというか、例えば災害対策基本法の百五条で、内閣総理大臣は、非常災害が発生し、かつ、当該災害が我が国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ぼす異常かつ激甚なものである場合において、当該災害に係る災害応急対策を推進するために特別の必要がある場合には、災害緊急事態の布告ができるとされているんですけれども、今回、その布告はされておりません。
 内閣府にお聞きしたところ、国会開会中なので、これを布告したとしてもそんなに意味がないというようなお話だったんですけれども、でも、私は、このような事態のときにこの布告をせずして、一体いつやるのかなという思いもございます。
 また、原子力発電のあの事態が、改善するどころか、収束に一体どれぐらいかかるかというような不安な思いもございますので、そういうことも含めまして、大臣の感想ないし思いをお聞かせください。
○江田国務大臣 今回の東日本大震災は、本当に胸がつぶれる思いでございます。亡くなられた方、あるいは行方不明の方、あるいは避難をされている方、本当に彼らのところへ私たちの心を寄せていかなきゃいけないと思っております。そして、この災害は、あの地域だけでなくて、日本じゅう、オール・ジャパンに影響を与えているし、オール・ジャパンで、さっきもお話ございましたが、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン、そういう気持ちでみんなで乗り越えていかなきゃならぬものだと思っております。
 したがって、いろいろな制度のせいで手が差し伸べられないところがあるならば、それはもう、超法規的というのはよくないかもしれませんが、あえてその制度については政治判断でこういう方法でいくんだという、それを見出すのが政治家の今の役目だと思っております。
 災害廃棄物、廃棄物というのは本当は適切な言葉ではないんですが、要するに瓦れきですよね、これの撤去のときにも、私どもは、これは思いを持ちながら、一つ一つのものに一つ一つ思い出があるだろう、その思い出を大切にしたいという被害者の皆さんの気持ちに思いを寄せながら、しかし大胆に瓦れきを撤去していかなきゃいけないということで、このかなり使える指針を出したつもりでございまして、そういう政府全体の姿勢で今これに取り組もうとしているところでございます。
 その上で、災害対策基本法の百五条の適用でございますが、これは今、内閣府の方がこう言っているということをおっしゃいましたが、こういう布告を出すと、国会閉会中であっても政令で法律事項までやれる、そういうことですから、国会閉会中であってもということは、国会開会中は国会でやりなさいという趣旨だというのが内閣府の解釈だと思いますが、この布告を出せば国民に対して一定の強いメッセージになるということもあるので、これは法務省でというよりも政府全体で考えること、今のところは、これを出すのじゃなく、関係法令すべてを最大限活用してこの危機を乗り切ろうとしております。
 なお、原子力については、これは原子力災害特別措置法によって、内閣総理大臣が、原子力発電に事態が生じたときには原子力緊急事態宣言を発することができるというので、その宣言を発して、これによっていろいろな権限が内閣総理大臣に集中する仕組みになっておりますので、これはこの宣言を当日発して、原子力災害対策本部、これを立ち上げて今やっているところでございます。
○稲田委員 今大臣がおっしゃったように、瓦れきの処理もそうですけれども、思い切って、今の法制度の中でやれることは政治主導でやっていくということでないと解決しない。
 午前中の話を聞いていて、私人の土地の中に入ってきたものが価値があるものであるなら、それをどうするかとか、いろいろな議論をなされておりますけれども、やはり最終的には、正当な国民の利益はきちんと国が保護するんだ、だから心配せずに復興や救援にとって必要なものはどんとやってくれというような、そういうメッセージも必要なんじゃないかなと私は思います。
 その意味から、今の災害緊急事態の布告についても、大臣がおっしゃったように、確かに国会開会中は意味がないにしても、そういうメッセージ性として、こんな事態に布告を出さないでいつ出すのかという点も含めて、ぜひ検討いただきたいと思います。
 次に、先ほど、午前中も平沢委員から質問がありました、被災地の犯罪が多発しているという問題についてでございます。
 結局、お答えでは、多発しているんじゃなくて、平時とそう変わらないのだというようなお答えだったわけですが、例えば原発の避難命令が出ている二十キロ圏内で空き巣が頻発しているというような報道もありましたし、また一方で、例えば外国人の犯罪集団が乗り込んでいるというような根拠の薄い風評のようなものがあり、国民の不安をあおっているという状況もあります。
 実際のところ、どういう状況であり、特に原発の二十キロ、三十キロ圏内の治安についてどのように警備をされているか。先ほど局長もお答えになったように、国民の不安というものを取り除くためのメッセージということも必要だと思いますので、お答えをください。
○樋口政府参考人 被災地と、中でも福島の原発の三十キロ圏内の状況は異なりますので、分けて申し上げたいと思うんですが、被災地におきまして、今、既に御指摘されましたけれども、外国人の窃盗団が云々、それから刃物で武装しているといったようなことがネットや口コミで広がっております。
 そういった事実があるか、これは一つ一つ申し上げるのが本当は正確なのでございますけれども、多くのものについて、事実があるとは認識しておりません。しかし、そういったことが口の端に上るほど、ただならぬ環境の中で生活する現地の人々には不安感が大きいものと考えておりまして、そのことを重く受けとめております。
 実際の犯罪の発生状況については、先ほども申し上げたとおりでございます。これは、発生していないのではなくて、相当数発生もいたしております。ただ、常日ごろの平時における発生件数との比較においては、大きく上回るというような状況にはないということでございます。
 手短に申し上げますと、被災住民の方々の不安心理につけ込んで、あおり立てるかのような非常に巧妙で悪質な内容でございますが、デマ情報、流言飛語が多発いたしております。このこと自体、非常に大きな問題でございまして、これまで広く行政、報道機関にも協力をお願い申し上げまして、惑わされないように注意喚起の広報等の対策を進めております。
 それから、原発周辺は特殊、特異な状況がございまして、警察の警戒、警ら活動もこのエリアのための態勢をとりまして、警戒、警ら、パトロール活動、十キロ圏内、それから十から三十キロまで、三十キロの外周における出入りをチェックする常時検問等の態勢をとり、警戒、警ら活動を実施しておるところでございます。
○稲田委員 ぜひよろしくお願いをしたいのと、平時と違いまして、国民の不安という意味からは、パトロールをぜひ多くしていただきたいと思います。
 次に、原子力発電の事故のことについてお伺いをいたします。
 私の地元福井は、原子力発電所が十五基あり、関西圏の半分を我が県の若狭湾の原子力発電所で賄っております。ですから、今回の原発事故については決して人ごとではございません。
 そして、政府の答弁では、想定外の事故だった、想定外が連なってということをおっしゃるわけですけれども、でも、国会の委員会で共産党の先生が、今回の事故と全く同じような、すべての電源が使えないというような場合はどうするのかという質問を数回にわたってやっておられたということも事実でございます。こういったものを想定外と言えるのか。そのときの政府の御答弁は、理論上はあり得ても、通常は起こり得ない事態だというような御回答だったわけですけれども、それで済まされるものなのかなということを思っております。
 この事故が起きましても、今現在の福井県を含む原子力立地県では原子力が稼働をしております。点検中のものもあります。この事故の後に、福井県から要請をいたしまして、事業者では消防車や電源車の配備などをやっておりますけれども、早急に安全に関する措置をやっていただきたいと思うんですけれども、現在どのような対策を講じておられるのか、経産省にお伺いをいたします。
○中西政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の事故につきましては、その後のいろいろな事情を勘案しましても、まだ十分に収束しているとは言えない状況だと思います。
 そういった意味では、今後のいろいろな事態の収束をとにかくまず第一義的に進めるとともに、今後、各般の、津波の発生メカニズムとか事故全体の分析、そういったことを通じまして、抜本的な対策は講じなくちゃいけないと思っております。
 他方で、先生御指摘のように、現在稼働中あるいは今後起動を予定しております原子力発電所といったものがございます。そういったところにつきましては、現在判明している今回の福島原子力発電所の事故に伴います知見をできるだけ反映するという形の緊急的な対策をとらなくちゃいけないというふうに我々も認識してございます。
 具体的にはということでございますけれども、今般、福島の事故で反省として現段階である程度わかっていることにつきまして、例えば、緊急時の電源が確保できなかったというふうな話とか、使用済み燃料プールへ冷却水を機動的に供給することができなかったというような反省ももう既に明確になってございます。そういったことを可及的速やかに、緊急的な安全対策というふうな形で近々取りまとめて公表するというようになってございます。
 そういったことを通じまして、現在稼働中あるいは今後起動しようとしている原子力発電所についての安全性を緊急に高めるというような措置は鋭意指導していく予定でございます。
○稲田委員 現在稼働中の原子力発電所の安全性について、その対策について、ガイドラインがきのうきょう出るというような話も伺っております。ぜひ早急にまとめていただきたいなということを思っております。
 それから、今回の原子力の事故については、民法の特別法である原子力損害賠償法が適用になると思うんですけれども、文科省にお伺いをいたしますが、この法律の中で、政府がすべて責任を負う社会的動乱、異常に巨大な天災地変に該当するのか。この点、政府の答弁では、一義的には東電が賠償責任を負うというふうに言っておりますけれども、例外規定である異常に巨大な天災地変、政府が責任を負う、これに当たるのではないかと思いますが、その点について、検討状況をお願いいたします。
○加藤政府参考人 御説明いたします。
 御指摘の原子力損害の賠償に関する法律第三条第一項にただし書きがございまして、そこには異常に巨大な天災地変に関する規定がございます。
 これにつきましては、昭和三十六年の法案提出時の国会審議がございまして、その中で、超不可抗力であり、全く想像を絶するような事態であるというような説明がされてございまして、これは、原子力損害につきましては一義的には原子力事業者が責任を負うべきであるという趣旨であるというふうに考えてございます。
 したがいまして、こういう考え方でございまして、賠償に関しましては確定的なことを申し上げる段階ではございませんけれども、いずれにしましても、法律の趣旨、目的に沿いまして、被害者の方々の保護に全力、万全を尽くしてまいりたいと考えてございます。
○稲田委員 では、例外規定には当たらないという判断ですか。そこだけちょっとお伺いいたします。
○加藤政府参考人 現在、詳細につきましては関係部局と検討してございますけれども、原子力損害につきましては、一義的には原子力事業者が責任を負うべきものであるというふうに考えてございます。
○稲田委員 ということは、例外規定には当たらないというお答えだと思います。
 最後に、もう時間がなくなりましたので、大臣にちょっとお伺いをいたしたいんですけれども、この問題はもちろん文科省の所管なんですけれども、その損害の範囲、これが絶対に問題になります。相当因果関係にある損害は何なのかというところで、例えば、今回のこの原発の事故を原因に出荷停止が決まったキャベツ農家が自殺をされたり、また、計画停電が理由で交通事故に遭い、また運ばれた病院が停電で十分な検査が受けられずに重体になったりとか、相当因果関係の範囲がどこまでかということが問題になります。
 そうした場合に、やはり法律の専門家の集団である法務省でこの問題についても検討をされているのかどうか、そして、されるつもりがあるのかどうか、最後にお伺いをいたします。
○江田国務大臣 相当因果関係の判断というのは、これは個別事案ごとにいろいろなことがあるだろうと思うんですね。最終的には司法判断によって決まることでありますが、法務省においても考えてみたいと思います。
○稲田委員 ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○奥田委員長 次に、大口善徳君。
○大口委員 公明党の大口でございます。
 法案の方は後ほどお伺いさせていただきたいと思いますが、まず初めに、東北地方太平洋沖地震についてお伺いをさせていただきます。
 その前に、まず冒頭、このたび本当に多くのとうとい人命が失われました。そして多くの遺族の方が悲しんでおられます。心から哀悼の意を表したいと思います。そしてまた、行方不明の方々、そしてその御親族の方々、被災地の方、そして避難所の方、あるいは原発で避難をされ、また本当に不安にさいなまれている方々に対して、心からお見舞いを申し上げたいと思う次第でございます。
 私も、この二十六日、二十七日、現地へ行ってまいりました。宮城県の、それこそ仙台市、そして塩竈市やあるいは多賀城市、そして七ケ浜町等々見てまいりまして、本当にこの津波の被害というものがいかに大きなものか。もう根こそぎさらっていく。そして生活の場、また漁業の場、農業の場、また工業地帯も甚大な被害をこうむっている。そういう点で、本当にこの問題につきましては、もうそれこそ国を挙げて、また国会を挙げてこれは対応していかなきゃならないと痛感をした次第でございます。
 そういう点で、平沢議員の質問にありましたが、大臣、副大臣、政務官、いずれも現地に行かれていない。それはいろいろ現地に御迷惑をかけてはいけませんけれども、ただ、やはりこの法務省におきましても、この現場に、政務官がフットワークがいいわけでございますから、どうですか、もう喫緊に現地に行かれるということで、いかがでございましょうか。大臣、ではお願いします。
○江田国務大臣 おっしゃることは本当に痛いほど胸に突き刺さるのでございますが、諸般の事情で、私があるいは副大臣が行くわけにいかないというところで、そこはぜひ御理解をいただきたいんですが、内閣としては、これはやはり若い行動力のある者が現地へ行って陣頭指揮に当たるということで、黒岩政務官が間もなく行くことになっておるので、ちょっと本人からの決意を聞いてやっていただきたいと思います。
○黒岩大臣政務官 内閣の方から近々に現地に飛べということで今指示が下っておりますので、本当に、大口委員のおっしゃるように、つぶさにその現地をしっかりと把握して、また法務省の方にも届けたいと思っております。
○大口委員 私も、名取市というところの避難所にお伺いしましたが、御主人を亡くされた方が相続の問題でいろいろ相談されたいというお話がございました。それから、それこそ会社あるいは工場が全く流されて、もう働きに行く場所もない、こういう場合についてどうなのか。さまざまな法律の問題を皆さん抱えておられまして、そういう将来に対する不安を解消するためのこういうことに対してもやはりタイムリーにおこたえをしていかなければならない、こう思うわけでございます。
 そういう点で、法テラスがやはり今回、その存在意義をかけて、全力でこのニーズにこたえていかなければならない、こういうふうに思うわけでございます。
 法テラスコールセンターは、東京都の中野から、ちょうど被災地である仙台市に移転することになっている。平成二十二年度に仙台で一部の運用が開始され、二十三年四月一日から本格稼働が予定されている。今回の震災によってこの仙台のコールセンターが被災したために、移転準備中の東京ですべての情報提供の業務を行うことが余儀なくされている。その結果、つながる割合が五〇%ぐらいということも聞いていて、十分な情報提供業務が行えない、こういう状況にあるとも聞いております。四月一日からの仙台コールセンターの本格稼働については、被災地ということもあり、懸念がございます。そういう点で、東京での業務継続を含めた暫定的な措置が必要ではないか、こう思うわけでございます。
 災害発生時には特有の法律問題、今お話し申し上げましたけれども、司法アクセスの確保はより重要性を増しております。政府として、法テラスの情報提供業務の円滑な実施に向けた支援措置を講ずる必要性がある、こう思いますが、御所見を大臣からお伺いしたいと思います。
○江田国務大臣 委員おっしゃるとおり、法律問題、法律相談、これから非常にたくさん出てくると思います。まさに法テラスが今ここでその力を発揮しなきゃいけないときだと思っております。
 そんな中で、仙台のコールセンターが一時業務を停止したというのは、これは事実でございます。ちょうど東京から仙台へ移るその途中で、両方稼働していたので、仙台を応援する形で、東京は四月以降も仙台コールセンターの補完の形で情報提供を継続する予定にしておりまして、支障なくやっていけるものと思います。
 なお、法テラス、仙台のコールセンターは、比較的施設設備の損傷は軽微でございました。しかし、百二十人ほどおりましたオペレーターの多くが被災をして、その確保に支障を来しているところでございまして、今申し上げたように、東京でしっかり応援をしていきたいと思っております。
○大口委員 また、震災に伴う法律相談でございますので、例えば被災者生活再建支援法とか、本当に震災に伴ういろいろな法律相談、こういうものがございますし、また、相続のことでありますとか登記のこととかいろいろあるわけであります。
 そういう点では、私は、法テラスが行っている情報提供業務を拡大して、そして震災対応を専門とするコールセンター、こういうものを設けるべきではないか、そしてちゃんと専門家がその対応をする、こういうことを提案したいと思いますし、また、フリーダイヤルなど、被災者に経済的な負担をかけないようなそういう方法を実施すべきと考えますが、大臣、いかがでございますか。
○江田国務大臣 委員の御指摘も重要な御指摘だと思いますが、しかし、現在のところ、私どもが言うのもちょっと口幅ったいかもしれませんが、既存のコールセンターの番号、〇五七〇―〇七八三七四(おなやみなし)、この番号は結構周知済みでございまして、FAQ、よくある質問と答え、これを充実させたり、また、オペレーターに震災対応に特化した研修をするなどして、この番号で震災の相談も一括して、しかしオペレーターにはちゃんと研修させて適切な答えができるように、そういうようなことを法テラスの方で検討されるものと思っておりまして、法務省としても、法テラスのそうした取り組みをしっかり支援をしていきたいと思っております。
○大口委員 いずれにしましても、ちゃんと必要な情報が提供できますようにお願いしたいと思います。
 そして、今、日弁連と東京三会が法テラスと協力して、三月二十三日から無料の法律相談を実施していますね。そして、仙台弁護士会、岩手弁護士会でも無料の法律相談を開始する、こういうことであるわけでございます。やはり、今後、被災地での面談による無料法律相談の実施が必要である、こういうふうに思うわけでございます。
 この点で、私は、やはり弁護士会、あるいは司法書士会連合会、土地家屋調査士会、あるいは高齢者、障害者の支援団体等とも連携をして、相談支援体制の情報を収集し、避難所での巡回無料法律相談、登記相談、被災地に出向いての出張の無料法律相談、登記相談、それから、今、被災地から被災地外の避難所に来られている方々に対する法律相談、これをしっかり法テラスがかんでやっていただきたい。それに対しては、国としても予算の措置も含めたしっかりとした支援をしていただきたい、こういうふうに考えますが、いかがでございますか。
○江田国務大臣 法テラスとしても、今委員御指摘の、弁護士会、司法書士会、土地家屋調査士会等々、こういう専門家の皆さんとしっかりと連携して法テラスサービスというものを展開していかなきゃいけないし、そうやっていただけるものだと思っております。
 なお、法テラスにおいては、日弁連と連携しながら、例えば弁護士の出張相談とか巡回相談とか、このような方法で需要に対応されるものと期待をしておりますし、法務省としても応援をしていきたいと思います。
○大口委員 総合法律支援法のもとで法テラスが民事法律扶助業務を行っているわけでありますけれども、それを利用するためにはさまざまな書類を用意する必要があります。ただ、被災者、避難者はこれらの書類を準備できない方々がほとんどだ、こう思います。そして、大きな被害に遭われています。本当に、家を失う、また工場を失う、あるいは船を失う、こういうことでございますので、それまでの収入からすれば資力基準を満たさない場合であっても利用できるような柔軟な対応を行うべきだ、こういうふうに思うわけでございます。
 これは阪神・淡路大震災の場合に、代理援助について、当時の法律扶助事業を担っていた法律扶助協会において特例措置をとった、こういうふうに聞いているわけでございます。今回につきましても、提出書類や資力基準の柔軟な対応が必要である、こういうふうに考えますが、いかがでございましょうか。
○江田国務大臣 阪神・淡路大震災のころにはまだ法テラスができていなかったわけですが、しかし、弁護士会等あるいは財団法人法律扶助協会などの活動に対して資力要件緩和あるいは審査の合理化などを行ったと承知しておりまして、現在の法テラスも、そういう資力要件緩和など、あるいは審査の合理化など、これは今、民事法律扶助の予算面での大幅な拡充が実現をしており、当時よりも相当要件が緩くなっておりますので、それをさらにというのは、どの程度できるかは慎重に検討する必要がありますが、提出書類について、今の状況に即した対応が必要だということはおっしゃるとおりでございまして、法テラスの運用上の工夫を行うものと思っております。
○大口委員 また、法律扶助制度を利用している被災者も多くおられます。民事法律扶助、立てかえ、あれは償還制でありますが、被災者の方々に対する償還をどのように考えているか。
 これは、阪神・淡路においてもそうでございましたように、業務方法書改正を行って、やはり償還猶予あるいは免除ということが必要である、こういうふうに考えますが、いかがでございましょうか。
○江田国務大臣 これも、阪神・淡路大震災のときに償還猶予とかあるいは免除制度を弾力的に運用したというように承知をしておりまして、現在、立てかえ金償還の猶予または免除については、生活保護法による保護を受けているとき、またはそれに準ずる程度に生計が困難であるときに認められるということになっておりますが、この震災の状況を考えれば、これはもうそういう基準というものを十分弾力的に運用していかなきゃならぬということは当たり前でございまして、今後の状況をしっかり注視していきたいと思います。
○大口委員 今回、津波の被害の大きいところというのは沿岸部ですね、沿岸部には弁護士が少ない地域が多いわけでございます。そういう点で、やはり、特に津波被害の大きい、そして弁護士が少ない沿岸部における対応をしっかりやるべきではないかな、こういうふうに思います。法律相談等あるいは民事法律扶助等を手厚くやっていくべきであると思いますが、この点、いかがでございましょうか。
○江田国務大臣 御質問の通告をいただいて、ちょっと調べてみましたら、仙台弁護士会においても岩手弁護士会においても福島弁護士会においても、いずれにせよ、沿岸部に弁護士さんが多くないというのは事実でございます。
 したがって、この地域の弁護士さん方だけではなかなか十分なサービスが提供できないのは容易に想像されるところで、日弁連とも法テラスが十分相談をして、先ほど申し上げました出張相談、巡回相談などをやっていくものと思っておりますし、法務省としてもそのように後押しをしたいと思います。
○大口委員 次に、被災した建物の職権による滅失登記についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 今回、未曾有の被害で、本当に建物が滅失という状況が、もう大変な数に上っているわけでございます。そこで、これも阪神・淡路大震災の際に、本来、所有者が建物の滅失登記の申請を行うことが原則でありますが、所有者の申請を待つまでもなく、当時の不動産登記法二十五条ノ二の規定に基づき、登記官が職権で滅失登記を実行し震災の復興に寄与した、こういうふうに聞いております。このような方策を講ずることが被災地の支援にもなると考えられます。
 今回の震災においても、現行の不動産登記法第二十八条に基づいて職権で滅失登記を実施する、そのような方策を講ずる予定があるか、お伺いしたいと思います。
○江田国務大臣 これは委員おっしゃるとおり、これだけ多数の建物が倒壊して、しかも建物の所有者が被災をしているので、申請によるというのが事実上不可能、現実的でないことはもう明らかでございます。
 したがって、被災者の負担をできる限り軽減する、さらにまた被災地域の復興促進のためにも、迅速、適正に滅失登記をする必要があり、その方策を検討中でございますが、委員おっしゃる職権による滅失登記もその一つだと思っております。
○大口委員 また、今回津波によって根こそぎやられているわけであります。そういう点で、今、倒壊した建物の撤去作業、これは瓦れきの撤去というのは最大の課題でございまして、それを一生懸命やっておられる。むしろ、遺体を捜索するために瓦れきの撤去をしている、こういう状況でございます。
 そういう中で、被災地の土地の境界が判別できない状況になっているわけでございます。復興のために、土地の境界について復元することが不可欠でございまして、この境界の復元に当たって、精度の高い、不動産登記法第十四条の規定に基づく登記所に備えつけられた地図を活用することで、被災地における土地の境界復元が可能となると思います。この十四条地図がないところの場合は境界の復元が困難な可能性もございます。
 そこで、この十四条地図がどの程度被災地において備えつけられているのか、そしてまた、備えつけられていないところの場合、特に境界標識がない場合、どのように境界を復元するのか、お伺いしたいと思います。
○江田国務大臣 土地の移動というのが、土地全体がざっと動いている、そういうことも言われておりまして、まず今の形状というものがどういうものであるかというのを確定しなきゃなりませんが、それを前提として、移動しても、自分の所有地がそのまま移動しているわけですから、それが変わるわけではないので、境界標識あるいはその他の土地の境界を示すものを可能な限り捜し出して、特定をして、登記に反映をさせていかなければいけないと思っております。
 この地域は、幸いなことに、今の十四条地図が八割ぐらい整備をされているというので、全国平均からいうと相当高いところでございますので、これを十分使うことができますが、精度の高い地図がない地域では、今申し上げたような境界標とかそうしたもので精いっぱいやっていきたいと思います。さらに、その後の中長期的な対応については、これは関係省庁とよく協議をしていかなければなりません。
○大口委員 これは、国交省や厚労省、総務省に対して、境界標識、コンクリートくいですとかあるいは金属びょうでありますとか、こういうことの保存について通知をしているとお伺いしております。ホームページでやっておられるようでありますが、やはり、国交省、厚労省、総務省だけじゃなくて、復旧復興に関連する官だけではなくて民の業者にもこの保存をお願いする、きめ細かな周知を徹底する必要がある、こういうふうに思います。
 それと、どうでしょうか、今、現地の境界標識はどの程度保存されているのか、これもお伺いできればと思います。
○江田国務大臣 現地はもう、私は行ってはおりませんが、容易に想像される大変な事態でございまして、境界標識があるかないかというところまで確認できないのが事実じゃないかと想像いたします。
 ちょっと今、後ろからメモが回ってまいりましたが、印象ですが、かなり残っているという印象であるというふうに聞いております。(大口委員「あと、きめ細かな通知も」と呼ぶ)そのようにやってまいります。
○大口委員 次に、瓦れきの処理についてでございます。
 名取の市長さんからお話をお伺いしました。佐々木市長さんでございます。
 その中で、瓦れきの処理については、一つは財源の問題ですね。瓦れきの処理だけでなく、個人の住宅の建物の解体費用についても国庫補助事業とされたい、あわせて、津波の影響が広範囲に及んでおり、瓦れき処理の費用、これも全額国庫負担でお願いしたい、こういう要望もいただきました。そういう方向で政府も今考えて検討されておられるというふうに聞いております。
 そしてまた、被災車両の取り扱いについても、今回の災害について、津波災害が甚大であったという性質上、多くの自動車が災害に巻き込まれ、被災地に放置されている状況である。自動車について撤去や処分に多額の経費を要する、所有者の私有財産という性質が強いこともあり、行政としても安易に処分することはできないなど、取り扱いに係る課題が多い。国において被災車両の取り扱い方針について統一的な見解を示すほか、自治体が処分せざるを得ない場合、全額国庫負担とされたい、こういうことですね。
 指針だけ出されても困る、やはり財政的にきちっとやっていただきたい、こういう要望でございました。
 閣内にいらっしゃる大臣からも、これについて前向きの答弁をいただきたいと思います。
○江田国務大臣 ぜひそのように努力をしたいと思います。
○大口委員 倒壊家屋についてでございますけれども、今回の指針の中で、敷地内にある建物については、一定の原形をとどめている場合には、撤去をすることについて所有者等の意向を確認することを基本としつつも、所有者等に連絡がとれない場合や倒壊等の危険がある場合には、土地家屋調査士等の専門家に判断を求めた上で解体撤去することとされている。ここでこの判断を求める専門家というのは「土地家屋調査士等」となっております。
 やはり専門家をしっかり現地で確保していくということのためにも、この「等」ということも明確にしていただきたい、こう思いますし、先ほども答弁でございましたけれども、全国の土地家屋調査士会連合会にしっかりそのお願いをする、こういうことでございますけれども、本当にどれぐらいの調査士の方あるいは専門家の方が必要であって、それに対して十分確保できるのか。費用等の問題もございます。こういう点について、小川副大臣にお伺いしたいと思います。
○小川(敏)副大臣 土地家屋調査士さん等の専門家に判定いただくのは、建物が敷地の外に流出してしまったものではなくて、敷地の中にとどまっているものでございます。
 敷地の外に流出してしまっているものは、他人の土地の上に乗っかっているわけですから妨害排除請求の対象でありましょうし、また、そこまで流出してしまっていますと、引き家にしてもとに戻すというのは不可能であって、一見家の形をしているとしても、もう家としての機能がないから解体殻と同じではないか。このような考えに立って、廃棄処分していいというふうに指針を示したわけでございます。
 敷地の上に乗っかっておりますということは、他人の土地の上に乗っかっているわけでないわけですから、妨害排除請求の対象ではなくて、まさに建物の所有者が、自分の敷地の上にあるわけですから、やはり所有者の考えというものは最優先しなければならない。ですから、所有者が残すといえば、その所有者の判断で残して何らかの手当てをするんでしょうが、しかし、連絡がとれないというような場合に、やはりそれが放置されていれば倒壊して危険が及ぶとかいうような事情がございますので、ここは、少なくとも家屋としての価値がないものに関しては、行政の判断で撤去してもやむを得ないのではないかということで、いわば思い切った指針を示したわけでございます。
 そうはいっても、行政の判断で解体撤去してしまうというときに、家として使えるというものであれば、それはやはり行政の判断だけではできないのではないか。そうしたときに、家としてまだ使えるのか使えないのかということをどうしても専門家の判断をいただいて、それから、後々のために写真等にもその状況を残しておいて、解体撤去した後に所有者等から苦情の申し出があった場合にはきちんと対応しよう、このような趣旨で専門家等の判断をいただくということにしたわけでございます。
○大口委員 それで、その専門家の確保、これについてはどうですか、どういう見通しを立てておられますか。
○小川(敏)副大臣 的確な数字を今具体的に申し上げられないんですが、どうも、現場の状況は、敷地の外にまさに流出してしまった家屋が大変多いようで、敷地の中にとどまっているというのは余り多くないのではないか。それから、敷地の中にあれば、恐らく所有者の方が自分で判断されるケースも多いのではないか。
 そうしますと、具体的に行政が撤去するということを判断しなければならない、あるいは撤去するに至る数は案外多くないんじゃないかというような予想もしますが、ただ、これは申しわけございません、これから作業を進めていく中でどのくらいの数が出てくるか、率直に申し上げまして数の予測ができないものですから。しかし、多ければ多いなりに、やはりきちんとした専門家の協力をいただくという体制は整えなければならないというふうに思っています。
 具体的に、的確な数字的なことについては今言える状況ではないので、御容赦ください。
○大口委員 今は救援救助、復旧、これが最大値ではありますが、そういう観点からいっても、政務三役が現場に行かれることは大事でございますし、それから、ある程度、今は航空写真といいますか、上から見れば大体の状況はわかるわけですから、そういう点ではスムーズに、敷地内にとどまっている建物について、応急危険度判定士というのもあるんですが、なかなか今現場は大変な状況でございます。それで、どれぐらいの戸数があるかというふうなことは試算がもうできるはずです。そういうことも早急にやっていただきたい、こういうふうに思います。
 また、自動車、船舶については、これは専門家は関与をしない。外形から判断して、その効用をなさない状態にあると認められるものは撤去し、仮置き場等に移動させて差し支えない、こういうことでございますが、船舶でもとても大きなものもあります。普通の家の何十倍も、そういうものもあるわけでございます。こういうものについて専門家の関与を必要としないということについては、これは相当自治体がその分リスクを負うことになるというふうに思いますが、このあたりについてはどうお考えでしょうか。
○小川(敏)副大臣 確かに委員御指摘のとおり、船は小さいものから大きなものまでありまして、扱いにつきましても、あるいはこの指針を示す上につきましても大変苦労したところでございますが、ただ、船は基本的には海にあるものですから、それが陸地にあるということは他人の土地の上にあるのかなということで、妨害排除の対象であるというふうに考えております。
 そして、損壊の程度ですが、やはりある程度外見から見てわかりやすいのかなと。船が割れていれば、これは船として難しいでしょうし。ただ、水につかったといっても、船はもともと海に浮かぶものですから、水につかっただけでは船の効用が廃したとはなかなか言えないというところで、その判定では非常に難しいところがあります、率直に申し上げまして。
 ただ、指針としましては、やはりそういう基準を設けて、あとは、現場におきまして、船として使えるのかどうか、まさに現場の人の判断にゆだねるしかないのかな、このように考えております。
○大口委員 ただ、現場の自治体も大変な負担の中で、自治体自体がすべて流されてしまって、県が対応するというような状況もあるわけでありますので、やはりそこら辺のサポート体制といいますか、それも指針を出すだけではだめであって、そういうことも、大変困難な場合についてはどうするのかということもやはりマニュアル等で出していただかなきゃいけないと私は思います。
 今回、やはり瓦れきの処理というのを一日も早くということで、特別立法にしないでこういう指針という形にしたわけであります。しかし、やはり自治体としては賠償のリスクもあるわけです。ですから、そこら辺は、指針を出しっ放しではなくて、できるだけ丁寧に対応していくべきではないかな、こういうふうに思うわけでございます。そういう点で、今回の、こういう形をとったことについて大臣にお伺いをしたいと思います。
 また、やはり自治体が判断に迷うこともあると思います。特に、船舶とか難しい事例があると思います。これに対してきめ細かく相談に乗る、あるいは、そういう困難事例についてはマニュアルを出してあげる、こういうことをお考えいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○江田国務大臣 これは、小川副大臣を座長として指針を出して、そして、それを具体化していくのは、小川副大臣の法的措置についての検討会議ですが、もう一つ、円滑化についての検討会議というのがございまして、そこで鋭意進めているところでございます。
 あわせ、立法措置については、これはやはり今委員おっしゃったとおり、立法で一律にというと、やはり現場で逆に混乱するので、現場の判断を最大限やりやすいようにしていこうと。
 私は常々、この場でも言いましたが、思いを現場にはせながら、あるいは、それぞれの残っているものについて、その所有者が持っている思いを大切にしながら、しかし、極力この作業が前へ進むように、現場で判断すれば、それは、自分の土地の上に妨害物があってこれをどけてほしいと思う土地の所有者も、あるいは、人の土地の上に自分の物件が乗っかっている、したがってこれをどけなきゃならぬことになる所有者も、そして、全国民が皆、やはり早くこれをどけて、そして復興の道へと歩み出したいという気持ちを持っていますから、その思いで決断していけば、これは後から、自分の自動車は動いたのになんといって損害賠償なんかを起こしてくるような人は、そうはおられないんじゃないかなと思っております。
○大口委員 私がお願いしたいことは、指針を出すだけじゃなく、政府として全面的に自治体のバックアップをしていただきたい、それを申し上げたかっただけでございます。
 それから、阪神・淡路のときもそうでございましたが、震災で被害を受けた、滅失した建物、滅失登記、これが行われているわけでありますけれども、住宅、工場、事務所等の建物が被害を受けた場合の、建物を新築した場合など、関連する登記、例えば所有権保存登記、移転登記、抵当権設定登記、こういうものの登録免許税が免税になる措置が講ぜられたわけであります。あるいは、不動産の登記事項の証明書の交付等の請求があった場合に、この登記手数料を徴収しない、こういう扱いもしたわけでありますが、この点は今回どうでありましょうか。
○江田国務大臣 これは、阪神・淡路大震災でそういう経験がございますから、それを踏まえて、関係省庁としっかり調整をしていきたいと思います。
○大口委員 次に、被災地における更生保護行政についてお伺いいたします。
 三月二十八日現在、残念なことに、保護司さんが二名が死亡されたと確認がされたということでございます。そのほか、行方不明の方もいらっしゃるわけでございます。
 この被災地において、保護司さんが何名いらっしゃって、担当地域の保護観察対象者が何人いるのか、これが一点。そして、その保護司さんとその保護観察対象者の安否確認、これがどうなっているのかが第二点目。そして、被災地の保護司さんがこのような状況で更生保護に関する職務を行うのはほとんど不可能に近いのではないか。そういう点で、この当該地域における更生保護を続けていかなきゃならないわけでありますから、現状を適切に把握するとともに、保護観察所が保護司さんを強力にバックアップしていかなきゃならない、こういうふうに思います。
 法務省はどのような対策を講じていくのか、特に、保護司さんが活動できない場合には保護観察官がそのかわりの業務を行う、こういうことで、マンパワーの不足も考えられますので、これについてどうカバーしていくのか、お伺いしたいと思います。
○青沼政府参考人 安否確認の状況について、数字的なことだけ御説明申し上げます。
 岩手、宮城、福島各県の中で、被害が甚大な地域にお住まいの保護司の方の合計数は七百四十七名でございます。このうち、現時点で、委員御指摘のように二名の方の死亡が確認されておりまして、そのほかに、安否の確認がとれない方が相当数まだおられるという状況でございます。また、同じ地域における保護観察対象者の方ですが、この合計数は四百九十六名でございます。このうち死亡が確認された者が一名おりまして、そのほかに安否未確認の者も相当数いるという状況でございます。
 現在、避難所に直接赴くなどして鋭意安否確認をやっているという状況でございます。
○江田国務大臣 そのような状況でございまして、なかなか現状の把握自体がまだまだ難しいという中ではありますが、当然、保護観察という仕事が非常に困難になっていくということはもう容易に想像できることでございまして、今後、現地の保護観察等をできるだけ早く軌道に乗せるとともに、保護司の負担を少しでも軽減していかなきゃいけないので、安否確認を急ぐとともに、こうした事件について保護観察官に直接担当させるとか、あるいは、盛岡と仙台の保護観察所に近隣の保護観察所から既に各一名、保護観察官を派遣済みでございますが、負担の状況をしっかり把握をして、四月当初からさらに職員を応援派遣するつもりでございます。
 復興の状況を確認しながら、今後とも、必要に応じ適切にバックアップの態勢を組んでまいりたいと思います。
○大口委員 それでは、最後に法案について御質問させていただきたいと思います。
 裁判所職員定員法改正案、我が党も賛成をさせていただきたいと思います。
 これは、平成十四年度から十年程度の期間を想定して、訴訟の迅速化、専門化への対応のため、約四百五十人の裁判官の増員が計画的に行われてきた。本法律案による二十三年度の増員でちょうど十年目を迎えるということでございます。
 しかし、依然として、家事事件や労働審判などの事件数の増加、訴訟の専門化が進んでおります。また、今回の震災によりまして相当また事件数がふえるのではないか、こういうふうにも考えます。また、常駐裁判官がゼロである支部や出張所が依然として多数存在している。一人の裁判官が民事、刑事、家事の各事件の担当を兼ねていたり、多数の担当事件を抱えているゆえに期日がなかなか決まらない、判決の言い渡しが先延ばしになっている。こういう状況をかんがみますと、今までの計画的な増員で十分であったのか、これはしっかり見ていかなきゃいけないと思います。
 また、特例判事補の指名状況を見ると、五年以上の職務経験を有する判事補のほぼ全員が指名されていて、特例判事補が単独訴訟事件を担当する時期についても、判事補任官後七年目から八年目とする目標が掲げられていますけれども、昨年三月、同じような質問をして、その三月十二日の答弁では、東京、大阪、名古屋という都市部の地裁本庁でほぼ達成されたが、地方の地裁本庁や支部などは、任官六年目、七年目の者を含む特例判事補によって単独訴訟事件の処理を支えているのが実情だ、こういうことでございます。
 平成二十四年度以降の増員の必要性、そして必要な増員の規模についてどのように考えているのか。そして、やはり、どの企業体でもそうですが、きちんと目標を立てて計画的に増員していくということでございますが、そのあたりについての最高裁の御見解をお伺いしたいと思います。
○戸倉最高裁判所長官代理者 今委員が御指摘されたような事情がございまして、裁判所といたしましても、今後とも司法機能の強化のためには裁判官の増員が必要な状況にあるということを認識しておる次第でございます。
 具体的な増員数ということになりますと、やはり事件の数あるいは質がどのように変わっていくかということを中長期的に見きわめる必要があるわけでございますが、この点につきましては、社会経済状況の予測を加味するほか、近年事件数が増加していた過払い金返還請求事件等の動向が、また若干減少に転じたといったような事情もございます。さらに、新たに複雑困難な類型の事件が増加するといったいろいろな可能性が否定できないものでございまして、率直に申し上げまして、見きわめるということが非常に困難な状況でございます。したがいまして、現時点において、今具体的な、何人ぐらいというのを、計画をお示しすることは非常に難しいということを御理解いただきたいというふうに存じます。
 ただ、いずれにいたしましても、今後とも裁判所に与えられた機能を十分に果たし、国民の期待にこたえることができるような、中長期的な、計画性を持った人的体制の充実というものには努めてまいりたいというふうに考えております。
○大口委員 時間が来ましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○奥田委員長 次に、城内実君。
○城内委員 国益と国民の生活を守る会の城内実でございます。
 まず、このたびの震災におきます被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。また、被災地の救援と復興及び原発の復旧に向けて命がけで頑張っていらっしゃっておられる自衛官、警察官、消防士、消防団員、水防団員そして原発作業員の方々に心から敬意を表しますとともに、厚く御礼申し上げます。またあわせて、地域、地元の地方自治体の職員の皆さん、そしてお医者さん、歯科医師の方々、看護師、そしてボランティアの皆様も不眠不休で活動に当たっておりますこともあわせて申し上げ、敬意を表する次第でございます。
 本日は、この災害におけます法律上の問題について二、三質問させていただきますが、本題に入る前に、実は昨日、西川善文元日本郵政社長が不起訴ということになりましたが、大臣にお聞きしたいのは、どのような理由でだれがこの西川元日本郵政社長を刑事告発したかということでございますが、お答えいただけますでしょうか。
○江田国務大臣 これは、御指摘の事件は、国会議員の皆さんが、かんぽの宿の関係について会社法違反等の事件で告発をされたものだと承知をしております。
○城内委員 国会議員の方々と今おっしゃいましたけれども、これは当時野党の民主党、社民党、国民新党の三党が特別背任未遂の疑いがあるとして東京地検に刑事告発したものであります。したがいまして、これは、ただ国会議員というのではなくて、今まさに与党、社民党を除く与党の民主党と国民新党であります。
 これはかんぽの宿ということでございますけれども、現在、震災で家をなくした方々が大勢いらっしゃいます。そしてまた、体の不自由な方々、高齢者の方々が避難生活を強いられておりますが、こういった方々が全国二十七カ所のかんぽの宿にこれから順次入られるというような話がございます。実際に、具体的には、かんぽの宿の独自プランの災害時特別プランというものがございまして、四千六百九十一人の被災者を受け入れる方向で準備されております。現に、千葉県のかんぽの宿鴨川では、福島県いわき市の介護老人保健施設から避難されている方々百九十人を丸ごと受け入れているわけでございます。
 他方、先ほど申しましたように、昨日、日本郵政の元社長さんが不起訴となりましたが、もし仮に、かんぽの宿が、これは国民の共有の財産と言われていますが、当時、何と、固定資産税評価額八百五十七億円と言われているものが、ですから市場価格では大体一千億ですが、オリックス不動産へ売却価格百九億円で売られてしまって、また転売されていたら、被災者の方々はこのかんぽの宿に避難することはできたんでしょうか。それについてお答えいただきたいと思います。
○江田国務大臣 ちょっと私どもの所管ではないので何ともお答えしにくいですが、民間の旅館などでも今、ぜひ来てくださいというようなところも多いので、もし民間に売られていたらそういうことはできなかった、そう断定するのもちょっと早いかなという思いがいたします。
○城内委員 今大臣、御自身の所管じゃないとおっしゃいましたけれども、検察がこれを不起訴にしたこと自体、私はおかしいと思うんですね。
 かんぽの宿は国民の共有の財産であると申し上げましたけれども、まさにこのたびの震災における避難者を特別プランの災害プランということで受け入れているわけです。そういう公共性を持っているんです。それをたたき売ろうとした人物、皆さん方が告発されたんですよ、皆さん方が。今の野党の人たちじゃなくて当時の野党の、今の与党の皆さんが告発しておいて、それが不起訴になる。大臣は常に弱者の立場に立っていらっしゃるようですけれども、このたびの不当な不起訴処分については、私は今後大きな反発が出ると思います。
 ですから、仮定の話ですけれども、検察審査会が開かれて、不起訴不当ということが、そうなる話もあるわけですね。ですから、その場合は、大臣、どうされるんですか。もし不起訴不当という結論が検察審査会で出た場合、どうされますか。
○江田国務大臣 今私が所管じゃないと言ったのは、検察官の昨日の処分によって、この場所を退避、避難場所に使うことができるのかできないのかというようなこととはそれは関係ない話でして、きのうの検察の処分自体は、それは法務省の所管の検察がやったことですから関係はございますが、そういう意味で言ったのではないということは御理解ください。
 これは検察審査会に行くものであるかどうかというのはまだ全く存じ上げてもいないし、何の報告も受けておりませんが、もし検察審査会で審査をされてということになれば、それは法律に従った手続が進むということでございます。
○城内委員 大臣、この問題は非常に大きな問題ですから、引き続きちゃんとフォローしていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 福島第一原発におきまして、二十四日、東京電力の協力会社の、これは下請ですね、三人の作業員の方が被曝されました。しかも、二十六日に東電は、しっかりと注意喚起していたら今回の被曝は防げたと事実上認めて謝罪したわけですが、しかし、これは謝れば済むという話じゃないんですよね。
 大臣も日ごろやはり人権侵害の問題にも関心を持っていらっしゃいますけれども、これはまさに現代版の「蟹工船」ですよ。東京電力の社員じゃなくて下請の、物も言えない人たちが、こういう一番末端で危険な仕事をしているわけですよ。
 これは江田大臣としても到底看過できない問題だと私は理解しておりますけれども、これは民法上の賠償責任が問われるということも当然でしょうけれども、さらにこれは刑法が適用されるべき問題だと思いますよ。
 ちなみに、平成十七年、JR西日本の福知山線で起きた列車脱線事故におきましては、安全担当役員が業務上過失致死罪で起訴されております。ですから、東京電力としては、作業の現場に高い放射線が出ていることを認識していながらそれを知らせなかったわけですから、これはいわゆる未必の故意に当たる問題ではないかと。傷害罪での立件も考慮されるべきと考えておりますけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○江田国務大臣 これもまことに申しわけないことでございますが、委員の御指摘のお気持ちはよくわかりますが、法務大臣として、具体的な事件でございますので、これは捜査機関がそれこそ法と証拠で判断することであって、それ以上のことは申し上げることができないと思います。
 ただ、福知山の事故よりも、恐らく、例の東海村のウラン加工会社のジェー・シー・オーの事件の方があるいは先例としては適切かと思いますが、あの場合には人が亡くなっていまして、今回は本当に、今後の展開を見なきゃわかりませんが、今のところ、放射線医学総合研究所の方でこれはもう大丈夫ということで無事退院をされているので、そこは大きな違いがあるかなということは思います。
 いずれにしても、具体的な事件ですので、御勘弁ください。
○城内委員 確かに退院されておりますけれども、しかし、被曝されているということは、将来何か起きるんじゃないかという恐怖感と闘うわけですから、やはりこれは私は人権問題だと思います。
 また、これは仮定の話ですけれども、政府中枢でもし情報の隠ぺいが行われていたことが後になって判明しました、そして、仮にその情報隠ぺいによって、もっと早くに避難することができた人が避難をせずにぐずぐずしてしまったために被害が拡大したということが認められた場合は、当然国の責任が問われることになると思いますが、この場合は、法務大臣としてはどのように受けとめられ、どのように対応されるんでしょうか。
○江田国務大臣 政府中枢で情報の隠ぺいをしているようなことは全くありませんし、その仮定の質問はちょっとお答えしかねるところでございます。
○城内委員 その大臣のお言葉を本当に私としても信じたいと思います。
 次の質問に移りますけれども、被災地におきまして、無人の金融機関から四千万円の現金を盗んだ事件、あるいは窃盗団がそこに行っているとか、きょうもそういう質問がありましたけれども、空き巣、さらには募金詐欺、募金箱強奪など、まさに火事場泥棒の悪名にふさわしい、卑劣きわまりない言語道断な犯罪が横行しております。私は本当にこれは許せないと思っています。
 しかし、刑法の規定では、これは窃盗罪になるんでしょうか。刑法第二百三十五条では「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」とありますけれども、例えば特別立法によってもっと重い刑罰を科すとすれば、私は抑止的な効果になると思うんですけれども、その点についての大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○江田国務大臣 おっしゃるような、言語道断、まことに許しがたい火事場泥棒的犯罪が起きているという、それほど数は多くないという警察の方の報告もございますから、ちょっとほっとしておりますけれども、しかし、そういうものがある。あるいはまた義援金名義の詐欺とか、いろいろなことがあって、本当に何をやっているんだと言いたいところでございます。
 しかし、特別法で抑止ができるかといいますと、御承知のとおり、刑罰については罪刑法定主義で遡及できないとか、それから、現在の刑法の窃盗罪、詐欺罪、強盗罪等の法定刑というのも、窃盗でも十年以下の懲役ですから、これは十年以下の懲役を覚悟して行くのではなくて、やはり見つからないと思うから行っているので、もし見つかれば、十分重い法定刑にはなっていると確信をしております。
○城内委員 大臣、そうおっしゃいますけれども、実際、例えば盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律では、通常の窃盗罪であっても、いわゆる累犯、何度も繰り返してする常習犯については十年以下の懲役ではなくて二十年以下の懲役ということにしておりますが、私はやはり特別立法ということは理論上可能じゃないかと思うんです。
 時間がないので、次の質問に移ります。
 被災地では、警察官の方々も多く被災されて、亡くなられた方もいらっしゃいます。現地での人員不足についてはきょうの委員会でも御指摘があったところでございますが、しからば、警察官以外の方、例えば被災地の現場で活動していらっしゃる自衛官の方々に警察官の持つ一部の職権を与えることができないか。これは犯罪抑止の観点から私は有効だと思います。
 この点、自衛隊法第九十四条一項、災害派遣時の権限の項目では、警察官がその場にいない場合、警察官職務執行法の第四条、避難時の措置、避難命令並びに第六条一項の立ち入りのところですが、これが準用されるということであります。
 これに加えて、第五条、犯罪の予防及び制止というところもありますが、これも自衛官に準用されるようにして職務質問ができるようになりましたら、私はこれは犯罪の抑止効果は大なりと思うんですが、これについての防衛省の御見解をお伺いしたいと思います。
○松本大臣政務官 お答えいたします。
 今回の東北地方太平洋沖地震に係る災害派遣におきましては、警察機関が犯罪の予防のための活動を行っておりまして、自衛官に警察官職務執行法第五条の権限を行使させる必要があるとのニーズがあるとは承知をしておりませんが、さまざまな形で起こり得る災害に対して適切に対処し得るよう、法的側面を含む災害派遣体制の充実強化については不断に検討してまいりたいと考えております。
○城内委員 であれば、もしそのニーズが生じた場合は検討の余地があるという理解でよろしいでしょうか。
○松本大臣政務官 現場で何か見つけたときには自衛官が通報することもできますし、現状の法体系では、治安維持機関は一義的に警察、そこが担えない場合には治安出動ということになるわけですけれども、これには、現状の法体系では、例えば国会の承認が要るとか、あるいは都道府県が要請をして、都道府県議会に報告するというようなハードルが課せられております。
 実力組織が私権の制約を含む警察機能を担うことについてはさまざまな議論もあろうかと思いますので、そこは、どうしても治安維持について現行の警察機関では担い切れないというような具体的なニーズがあれば、それはまた別途検討させていただくことになろうかと思います。
○城内委員 時間がないのでこれでおしまいにしますが、今まさに非常事態なわけですから、当然、警察官の方と自衛官の方の役割分担というのはあると思いますけれども、やはり現場の状況に応じて柔軟に対応する、ただし、柔軟に対応するにしても、やはりしっかりと法律を整備して、特別な立法あるいは時限的なものをつくって対応するということを踏まえて、私は適切かつ迅速に対応していただきたいと思います。
 以上、私の質問をこれで終わります。きょうは、ありがとうございました。
○奥田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○奥田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○奥田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○奥田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時三十五分散会