第177回国会 厚生労働委員会 第23号
平成二十三年七月二十七日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 牧  義夫君
   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君
   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君
   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君
   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君
      青木  愛君    井戸まさえ君
      石毛えい子君    石森 久嗣君
      磯谷香代子君    稲富 修二君
      大西 健介君    岡本 充功君
      川村秀三郎君    工藤 仁美君
      近藤 和也君    斉藤  進君
      田中美絵子君    竹田 光明君
      玉木 朝子君    玉城デニー君
      長尾  敬君    仁木 博文君
      初鹿 明博君    樋口 俊一君
      平山 泰朗君    福田衣里子君
      三宅 雪子君    宮崎 岳志君
      山口 和之君    山崎 摩耶君
      吉田 統彦君    あべ 俊子君
      鴨下 一郎君    菅原 一秀君
      棚橋 泰文君    松浪 健太君
      松本  純君    吉野 正芳君
      坂口  力君    高橋千鶴子君
      阿部 知子君    柿澤 未途君
    …………………………………
   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君
   参考人
   (独立行政法人放射線医学総合研究所理事)
   (薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会委員)       明石 真言君
   参考人
   (日本学術会議副会長)
   (東京大学名誉教授)   唐木 英明君
   参考人
   (長崎大学名誉教授)   長瀧 重信君
   参考人
   (名古屋大学名誉教授)  沢田 昭二君
   参考人
   (東京大学先端科学技術研究センター教授)
   (東京大学アイソトープ総合センター長)      児玉 龍彦君
   参考人
   (京都大学原子炉実験所助教)           今中 哲二君
   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月二十七日
 辞任         補欠選任
  石森 久嗣君     磯谷香代子君
  岡本 充功君     井戸まさえ君
  樋口 俊一君     川村秀三郎君
  あべ 俊子君     吉野 正芳君
  江田 憲司君     柿澤 未途君
同日
 辞任         補欠選任
  井戸まさえ君     近藤 和也君
  磯谷香代子君     玉城デニー君
  川村秀三郎君     樋口 俊一君
  吉野 正芳君     あべ 俊子君
同日
 辞任         補欠選任
  近藤 和也君     岡本 充功君
  玉城デニー君     石森 久嗣君
    ―――――――――――――
七月二十六日
 歯科口腔保健の推進に関する法律案(厚生労働委員長提出、参法第一三号)(予)
同月二十七日
 歯科口腔保健の推進に関する法律案(参議院提出、参法第一三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生労働関係の基本施策に関する件(放射線の健康への影響)
     ――――◇―――――
○牧委員長 これより会議を開きます。
 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に放射線の健康への影響について調査を進めます。
 本日は、本件調査のため、参考人として、独立行政法人放射線医学総合研究所理事、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会委員明石真言君、日本学術会議副会長・東京大学名誉教授唐木英明君、長崎大学名誉教授長瀧重信君、名古屋大学名誉教授沢田昭二君、東京大学先端科学技術研究センター教授・東京大学アイソトープ総合センター長児玉龍彦君、京都大学原子炉実験所助教今中哲二君、以上六名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず明石参考人にお願いいたします。
○明石参考人 おはようございます。放射線医学総合研究所の明石と申します。
 まず一番初めに、今回の東日本大震災により被災された多くの方々に心よりお見舞いを申し上げると同時に、今回は、地震、津波、それから原子力という非常に大きな災害が加わった複合災害という未曾有の出来事でございました。住民の方々には身体的また精神的、特に地域におかれましては社会的、経済的な大きな負担を強いられており、このような困難な状況からできるだけ早く脱却できる努力を我々もするべきでありますし、住民の方々も心からそのようなことを望んでいるというふうに私どもは思っております。
 まず、私どもの研究所について簡単に御紹介させていただきます。
 私どもの研究所、放射線医学総合研究所、我々は放医研という呼び方をしておりますが、放射線・原子力事故時の医療である緊急被曝医療という医療の中心的機関ということが定められております。一九九九年に茨城県の東海村で起きたジェー・シー・オー臨界事故の際には、三名の高線量被曝の患者の方々を受け入れて、線量評価、それから治療方針の決定と治療、また、そればかりではなく、住民の線量評価、それから、現在でも行われております住民の健康診断にも従事をさせていただいております。
 このほかにも、私どもの研究所は、国内で起きた事故について多くの対応した経験を持っておりますと同時に、国際原子力機関、IAEAに依頼されて外国の事故にも専門家を送るなど、多くの事故に対応した経験がございます。
 今回の福島における原子力発電所の事故は、幸いにしてこれまでに治療が必要な方、放射線被曝による治療、それから放射性物質による汚染による治療というものが必要な場合という方はまだ出ておりませんが、今回の事故はジェー・シー・オーの臨界事故に比べまして規模はかなり大きく、それから放射性物質による汚染の地域もかなり拡大をしたものというふうに私どもは考えております。
 今回の事故と違いまして東海村の事故の際は、汚染がなく、住民の健康影響についても、確定的影響、つまり閾値がある、これ以上の線量を超えると症状が出るというような閾値が考えられる確定的影響が出るレベルではございませんでしたし、確率的影響、がん等に閾値がないと考えております確率的影響も小さくて検出できない事故という程度でした。しかしながら、その当時も住民の不安というものは非常に大きく、健康影響に関する説明会等を何度も行ってまいりました。
 問題は、当時、放射線の影響に関する教育というものが義務教育でほとんど行われていなかった、それから大学医学部等でも、医師等に放射線の影響、放射線の障害ということに関する教育等も十分に行われていませんで、当時、放射線の教育というのは非常に重要だということが認識をされておりました。
 今回の福島の原子力発電所の事故におきましても、先ほど述べましたように住民の健康影響というのは非常に大きく、特にマスコミ、それから多くの専門家の先生から出される情報のために、住民は一体何を信じていいのかわからなくなっているというのが現状でございます。
 もっと言いますと、放射線について何が危なくて何が危なくないのかということをやはり住民に正しく理解をしていただく、そういう機会をふやすことというのは非常に重要でもありますし、我々専門機関としての役割というふうに考えております。
 最近、特に牛肉の汚染が問題になっておりますが、マスコミは、汚染が出たとか、一キログラム当たり何ベクレルぐらいのセシウムが入っているというような報道をされます。当然のことながら、汚染がある食べ物を売るとか食べるとかいうことは決していいことではありませんし、そんなことはするべきことではありません。しかしながら、もしマスコミがもう少しこの問題を一歩踏み込んで、この牛肉を二百五十グラム食べると何マイクロシーベルトぐらいになるんだとかいうようなことを同時に報道していただくと、危険の度合いというものが住民の方々にとってよりわかりやすくなるというふうに私どもは考えております。
 特に、放射性物質による体内被曝というのは考え方が多少複雑でありまして、住民の方々にも非常にわかりにくいというのが現状であります。体内被曝の線量を考える場合、私どもは、実効線量係数といいまして、つまり、一グラム、一キログラムに含まれている放射性物質の量から計算して、一ベクレルの放射性物質を食べると何マイクロシーベルト、何ミリシーベルトぐらいになるのかということを計算する数値というのを持っており、これを使って体内の線量評価をしているわけでございます。
 例えばセシウム137の場合は、十万ベクレルぐらいを食べますと約一・四ミリシーベルトぐらいになるとか、例えばこの半分であるとか、こういうような数字をやはりわかりやすく住民の方々に理解していただくということが、何が危なくて何が安全なのかというのを判断する材料になるのではないかというふうに思っております。我々専門機関も、こういうきめ細かな情報を出すことが求められていることは言うまでもございません。
 それから、もう一つ重要なことは、法令による規制値というものと健康影響が出るレベルというのはかなり違うということでございます。規制値を超えるということは決して許されることではございません。しかしながら、規制値は健康影響が出るレベルよりもかなり低いところに設定をしてございますので、こういうことをやはり住民の方々にもわかりやすく理解していただくということも非常に重要なことであるというふうに私どもは考えております。
 私どもの研究所は、非常に早い時期から職員を現地に派遣する、地震が起きてから十七時間後には医療チームを現地に派遣しております。それで、住民の線量評価の必要性、つまり、においも味もない、被曝したかどうかわからないという放射線被曝について、早く科学的な評価を行い、線量評価をする、それが住民にとって一番の安心になるということを提唱してまいりました。
 特に最近では、汚染レベルが高い地域での体内汚染、住民の方にどれぐらい体内汚染があるのかということを、体の外から放射性物質、放射線を検出するホール・ボディー・カウンターというのを用いまして、それと同時に、体内の、尿中に出てくる放射性物質のレベルを測定いたしました。
 御存じのように、このホール・ボディー・カウンターというのは、体の中に存在する放射性物質をはかるものでございますが、測定した当日に体の中にどれぐらい放射性物質があるのかということしか実は測定できません。そこからどれぐらいの線量になるのかということについては、例えば、吸入したのか、食べたのか、それから、それが三月の十二日なのか、それとも三月の末なのか、いわゆる吸入経路それから摂取時期について推定をいたしまして、それに基づいて計算をするという、多少複雑な過程を経ております。
 ホール・ボディー・カウンターでわかることは、先ほどもお話ししましたように、はかった当日体の中に残っている放射性物質ということであって、やはり限界もございます。ただ、言えることもございます。やはりそこを住民の方々に理解していただくような我々の努力も非常に重要だというふうに考えております。
 幸いにして、今回、私どもの研究所で行わせていただきました住民の体内被曝に関して今まで出た結果では、住民に健康影響が出るような線量にはなっていなかった。これは私ども、非常にいいことだ、うれしいことだというふうに考えております。
 ただ、一方では、体の中に入っている放射性物質というのはどんどん減っていきますので、より早い時期、もう少し事故から早い時期にこういう線量評価を行って、住民の方々にどれぐらいの被曝線量であるかということを正確にお伝えすることができたら、より住民の不安は小さくなったのではないかということを、私ども多少悔やんでおります。
 また、我々の体の中には、自然界からの放射性物質、例えばカリウム40というものが、日本人でいいますと、六十キロから七十キログラムの方ですと大体四千ベクレルぐらいのカリウム40という放射性物質がございます。また、これは我々が生きていく上でもう仕方がない自然界の放射性物質でありますが、こういうものも体の中にあって、これからも放射線を受けているという、ある程度比較の目安になるようなこともやはり住民に理解をしていただくというのも必要ではないかというふうに思っております。
 特に、先ほどもお話し申し上げましたように、目に見えない、それからにおいもない、味もない放射性物質についてというのは、やはり住民の方々が御自身で判断できる材料を早い時期に与えるということが私どもにとって重要であると思っておりますし、何が危なくて何が危なくないのかということを御自分で判断していただくというのが一番重要なことというふうに考えております。
 放射線につきましては、現代の社会で欠くことができません。もちろん、病院、工場、それから煙感知器等、いろいろなところで使われております。義務教育の段階から、正しい知識を持って、放射線を正しく怖がるとよく言われることですが、正しい知識で正しく怖がる、何が安全であるか何が安全でないかということをやはり身につける必要があるというふうに考えております。
 最後になりますが、改めて、今回の災害でお亡くなりになられた方々、被災された多くの方々に対してお悔やみ、お見舞いを申し上げます。私どもの研究所では、今後とも、被曝医療機関の中心として、被曝医療に努力をしてまいりますとともに、放射線の人々への影響、そしてさらに、今度は、人々が、住民が今までのおうちに帰ることができるような環境を回復させるような環境影響研究というものを重点的に行っていきたいというふうに考えております。これを私どもは最大限努力するということを述べさせていただいて、私の意見陳述とさせていただきたいと思います。
 本日は、このような機会をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。(拍手)
○牧委員長 ありがとうございました。
 次に、唐木参考人にお願いいたします。
○唐木参考人 日本学術会議の唐木でございます。
 きょうは、お手元にあると思いますが、「放射性セシウムと食品の安全」という資料を使って説明をさせていただきたいと思います。
 最初に、日本学術会議を多分御存じない方もいらっしゃると思いますが、日本には八十三万人の研究者がいると言われております。これは、人文社会学、生命科学、理工学、すべての分野で八十三万人ということですが、その中から二百十名の研究者が内閣総理大臣から会員として任命され、集まっているところが日本学術会議でございます。
 その役割は、政府に対して科学技術に対する政策を提言すること、それから科学技術に対するコミュニケーションを一般の方ととること、それから世界の科学者、日本の科学者のコミュニティーの連絡をとること、そのような役割を果たしております。
 本日は、私の専門が食品の安全でございますので、食品の安全と放射線の関係について説明をさせていただきたいと思います。
 まず、一ページ目の下の方の図ですが、横軸には放射性物質あるいは化学物質の量をとってあります。両方とも、量が多ければ健康への悪影響はどんどん大きくなるという関係があるということは一致しておりますが、一つ、ここで二種類にそれが分かれるのは、ほとんどの化学物質、それから放射線もそうですが、閾値という値があります。先ほど明石先生のお話にも出てきましたが、この閾値というのは、一応安全と危険の境目というふうに言ってもいいと思います。閾値以下だったら体には影響がない、閾値以上だったら影響があるということです。化学物質のほんの一部は、閾値がないというふうに考えられております。また、放射線も閾値がない作用があるというふうに考えられております。
 この二種類があるということで、次のページの上の方に行きますと、閾値がある化学物質について、我々は食品安全委員会で規制を行っています。これのやり方は比較的簡単です。閾値という値が、一応安全と危険の境目がありますので、それから百分の一あるいはそれ以上の安全係数をとりまして、そこから下のところに、一日摂取許容量という量を設定いたします。これは、一生の間、毎日食べ続けても体に影響がない量ということでございます。これを食品安全委員会が設定しますと、厚生労働省はこの値をもとにしまして、いろいろな食品を食べても、この一日摂取許容量に達しないように、それぞれの食品についての規制値を設定いたします。ということで、規制値というのは、安全と危険の境目よりもずっと厳しいところに決められているということです。すなわち、規制値は安全と危険の境ではない、行政が対策を始める目安であるというのが規制値です。
 ところが、ここのところが大変大きな誤解を呼んでおりまして、規制値が安全と危険の境目であって、規制値を超えたものはすぐ危険だというふうな誤解が非常に広く行き渡っております。ここのところが、今回のセシウム問題でも一つの大きな混乱の原因になっているのではないかというふうに思います。
 次は、その下の方の図ですが、それでは閾値がない場合にどういうふうにするのかということです。これは安全と危険の境目がはっきりしない。化学物質の場合は簡単です。こういう化学物質の使用はすべて禁止いたします。これは、農薬としても添加物としても禁止する。ですから、非常に簡単に規制ができるということです。
 ところが、放射線については、今回のような場合には、禁止するといっても、もう既に存在するわけです。存在するものについては、何かの規制をしなくてはいけない。それをどうやってやるのか、どこまでが安全なのか、ここが非常に大きな議論のところです。これの目安になるのが、広島、長崎の被爆者の経験、あるいはそのほかの放射線の障害の経験です。
 次のページにありますように、それを国立がん研究センター及び食品安全委員会がまとめたものがグラフになっておりますが、横軸にがんのリスクをとってあります。一というのは、我々はだれでも三〇%はがんで死にます。五〇%の人はがんになって、致死性じゃないがんも含めるとそのぐらいになると言われておりますが、それを一ととっております。
 そのがんのリスクがどれだけふえるのかを見てみますと、放射線が、一番下、二千ミリシーベルトになると二・五倍になる、これはかなり危険だということになります。その上にありますが、喫煙者ですね、たばこを吸うと一・六倍になる。あるいは、お酒を一週間にアルコール換算四百五十グラム以上飲むと一・六になる。それから、放射線千ミリシーベルトだと一・五、五百ミリシーベルトだと一・三。それから、やせたり太ったりすると、大体一・二から一・三ぐらい。運動不足が一・一五。塩辛いものを食べると一・一一。放射線二百ミリシーベルトだと一・一。その上に行きますと、野菜不足だと一・〇五。受動喫煙、だれかがそばでたばこを吸っている、それをたばこを吸わない女性が吸い込む、そういう状況があると一・〇二。こんなような値が出ております。
 そこから上、放射線百ミリシーベルト以下の量、これを低線量といいますが、これにつきましては、右の上に書いてあるように、百ミリシーベルト以下の放射線のリスクは、ゼロではないけれども極めて小さい。ではどのぐらい大きいんですかということがよくわからないということでございます。
 その下の方の図になりますと、こうなると、安全と危険の境目はどこなんだろう、規制値の決め方はどうするんだろうという最初の疑問に戻るわけですが、上の方の図からいいますと、百ミリシーベルト以下の放射線のリスクは、ゼロではないけれども極めて小さいということで、今回のような緊急時は、百ミリシーベルト以下の放射線であれば許容できるのではないかというのがICRPの勧告です。
 それから、昨日出ました食品安全委員会の報告でも、生涯かかって百ミリシーベルトまでの放射線であれば、これは極めて危険とは言えないというような結果が出ております。
 そういうことで、一応百ミリシーベルトというのが一つの境目になるのではないだろうかという考え方があるわけですが、また上の方の図に戻っていただきまして、それでは食品の基準はどうなっているのかというと、現在は、暫定基準、五ミリシーベルトです。五ミリシーベルトというのは、百ミリシーベルトからいうと二十分の一という非常に厳しいところになっております。
 その上にあるのが、自然放射線を我々は年間一・五ミリシーベルト、だれでも浴びている。それからその上が、平常時は、自然放射線ではない人工放射線を浴びる量は一ミリシーベルトにしましょうという規制が一応ある。それから、その最後の一番上に書いてあるのが牛肉のセシウム基準です。これは五百ベクレル・パー・キログラムということですが、これをミリシーベルトに換算いたしますと、〇・〇〇八ミリシーベルト・パー・キログラム、こういう値になります。
 なぜこんな厳しい値になったんだろうかということもよく聞かれます。これは、次のページをめくっていただきますと、セシウムの基準の決め方が書いてあります。基準は、ここの表にありますように、肉につきましては、一番下にありますように肉・卵・魚・その他の分類、五百ベクレル・パー・キログラムですが、これはどうやってできたのかというと、食品全体で年間五ミリシーベルトを超えないようにしましょうというのが厚労省の暫定基準です。
 そうすると、ここの表にありますような五種類の食品群に一ミリシーベルトずつ当てはめると、トータル五ミリシーベルトになるわけですが、そうすると、各群の食品の今度は内訳を決めるわけです。肉・魚・卵・その他で一ミリシーベルトを超えないようにするにはどうしたらいいのかということで、日本人がそれをどのぐらい食べているのか、そのほかを全部当てはめてみますと、牛肉の基準は五百ベクレル・パー・キログラム、〇・〇〇八ミリシーベルトというような厳しい基準になる、こういうやり方をやっているわけです。
 先ほども申し上げましたように、これは安全と危険の境目ではなくて、これを超えたら何かがおかしいから行政がその対策を始めましょう、こういういわゆるアラートの基準、こういうことになっております。
 その下にあります「「セシウム汚染牛肉」の安全性」というところに書きましたように、それでは、この基準を超えた肉を食べたらどうなるんだろうかということです。この基準がそもそも、食品基準五ミリシーベルトの六百二十五分の一に当たりますから、それが、今回見つかった牛肉は、基準を三倍から八倍超えたものが見つかっております。仮に基準を十倍超えた牛肉を一日二百グラムずつ、五日間食べたとしても〇・〇八ミリシーベルトで、健康への悪影響は心配しなくてもいいレベルということでございます。
 もし基準を十倍超えた牛肉を毎日一キロずつ、六十三日間食べ続けると、やっと食品基準の五ミリシーベルトに近づくけれども、これでさえ非常に安全な値ですから心配しなくてもいい、こういう値になっております。
 また、次のページに行きまして、セシウムは体内に三十年もとどまるからこれは大変だというお話もありますが、確かに、セシウムは、物理学的半減期というのは三十年ですけれども、もう一つ、生物学的半減期というのがありまして、セシウムはカリウムとかナトリウムと同じようにどんどん体から出ていくということで、一歳までのお子さんだったら九日で半分になってしまう。九歳までだったら三十八日。私の年になると、多分三カ月以上かかって半分になる。そんなことで、いずれにしろ、三十年よりずっと短い期間で半分になっていくという、そういう性格もございます。
 最後の十番目のスライドですが、それでは今の食品を守るシステムが働いていなかったんじゃないのか、そういうお話もございますが、そうではないということで、これは、食品の安全を守る仕組みというのは四段階あります。
 一段階目は、安全の目標を立てて、それに合うように厳しい規制を行うということです。ここで誤解があるのは、下に括弧して書いてありますように、安全の目標というのはリスクをゼロにすることではない、体に影響が出ないようなところまでリスクを下げる、これを絶対安全と実質安全の考え方といいますが、実質安全という現実論で目標を立てるということです。
 それから二番目は、厳しい規制は行っていますが、これは先ほどから何度も申し上げておりますように、規制というのは対策を始める目安であって、安全と危険の境ではないということです。
 食品の安全を守る仕組みの三番目は、検査と違反の発見です。この検査というのは、今、全頭検査をしろというお話がありますが、食品の検査の基本は抜き取り検査です。というのは、加工食品を検査する場合は、全部壊しちゃうわけですね。全品壊して検査したら食べるものがなくなってしまうということで、ロットの中から少数のものを取り出して検査をする。ロットというのは、大体中身は均質ですから、一ロットから一つ、二つ取れば残りはわかる、こういう考え方でやっております。これでもし違反を発見したら行政処分をするために、この基準というのは先ほどから言っているように非常に厳しいところに決めています。
 そうすると、それで四番目が行政処分と改善が行われるということで、いわゆるPDCAサイクルが回るわけですけれども、ここで今も問題になっているのは、検査をすり抜けた違反食品を食べちゃったら大変だ、だから検査をしろという話もございます。これは下の括弧の中にありますように、基準が非常に厳しいので、たとえ基準を十倍超えたものを食べても体に何の影響もない、こういう仕組みになっております。
 ということで、今回の問題は、この仕組みの中の二番目ですね、安全を守る努力と規制の遵守というところが残念ながら守られていなかったために汚染が起こったということでございますが、その結果、稲わらの検査というものが徹底され、再発が防止され、また、汚染したおそれのある牛肉はすべてとまっているということで、牛肉の安全性は守られている。あるいは、食べてしまった人についても、こういった仕組みで健康には影響が出るおそれはないということで、食品の安全を守るシステムとしては機能したということであろうというふうに考えております。
 以上です。どうもありがとうございました。(拍手)
○牧委員長 ありがとうございました。
 次に、長瀧参考人にお願いいたします。
○長瀧参考人 長瀧でございます。
 最初に自己紹介になりますが、私、原爆の被爆者に関しましては、長崎大学に一九八〇年に赴任しましたときから、原爆放射線の影響を科学的に調査して、国際的に発信する、そして被爆者の援護に尽くすということを目的として行動してまいりました。それから、退官後は、放射線影響研究所におきまして、被爆者の調査並びに治療に理事長として責任を持って行動いたしました。
 チェルノブイリの原発事故に関しましては、一九九〇年にソ連が外国に門戸を開放したときから、長崎大学の教授として、教室員とともに調査に参加いたしました。原爆の場合と同じく、チェルノブイリ事故の放射線の影響を科学的に調査して、国際的に発信するということ、そして被曝者の救済に人道的に尽くすということを目的としてまいりました。
 初期の十年間は特に頻繁に現地を訪問いたしましたし、チェルノブイリ事故の国際機関による十年目のコンファレンス、あるいは二十年目のまとめのコンファレンス、これはWHOなど八つの国際機関と被害を受けた三つの共和国の共催でありましたが、そこにも積極的に参加いたしました。
 また、ジェー・シー・オーのときには、周辺住民の健康管理検討委員会の主査として報告書を作成いたしました。
 今申し上げましたような基礎から、私自身としましては、原子力災害におきまして、内科の医者として放射線の健康への影響を科学的に調査し、科学的な結果を発表するということ、もう一つは、原爆被爆者、チェルノブイリの被曝者などに科学的に正しい、確実な放射線の情報を伝えて、被害者の援護、救援に努力をするということが、私の基本的な態度であり、立場であります。また、そういう立場でお話しさせていただきます。
 次のページは、原爆被爆者の調査結果をまとめてお話しいたします。
 急性の方は今回省略いたしますが、晩発影響というのがございまして、これは急性影響の後にあらわれる影響で、被爆後六十年以上過ぎた現在も認められるものであります。
 特徴は、一人の患者さんを幾ら調べても、例えば肺がんの患者さんを幾ら調べても、それが放射線の影響かどうかはわからないということであります。これは、現在のどんな医学のレベルを持ってきても現在はわからない。
 したがって、晩発影響を調べるには、疫学的、統計学的な手法によらざるを得ない。すなわち、被曝線量の推定されている母集団、放影研としては現在十二万人ございますけれども、それを一九五〇年から追跡調査しまして、死亡の原因あるいは罹患した病気と被曝線量の関係を調べるわけであります。
 その結果を非常に省略してまとめて模式図にあらわしましたのがその下の図でありますが、一言で言いますと、被曝線量と発がんリスクは直線関係であるということであります。そしてもう一つは、疫学的には百ミリシーベルト以上について有意な関係が得られたということでございます。
 直線関係でありますので、千ミリシーベルト浴びますと、原爆ではがんが一・五倍、ICRPの報告によりましては急性の被曝ではがんが一〇%。ですから、その十分の一の百ミリシーベルトでは、がんのリスクが一%増加するというのがその結果であります。
 その次のページに、ごく一例として、いかに調査が確実に行われているかということだけをお示しします。上の表の左側は線量でありますが、被曝線量も細かく分けている、そして対象者も何十何人、また、それぞれのグループの何人ががんで死亡したかということも、戸籍を使いまして、非常に正確に四十年、五十年調査をしているわけであります。これに基づいた疫学的な結果というのは、これは世界のどこにもないということで、御紹介したいと思います。
 原爆の結果は今でも世界のスタンダードになっておりますけれども、ここではUNSCEARという、原子放射線に関する国連科学委員会のことを御紹介したいと思います。
 このUNSCEARといいますのは、一九五〇年代に世界じゅうで核実験が行われ、放射性降下物による被曝の懸念から、核実験によって放出される放射性物質による環境への影響と人への健康影響についての情報を収集、評価することを目的とした委員会を設置するということが第十回の国連総会で提案されまして、一九五五年に満場一致で可決されたというものでございます。
 この委員会は二十カ国以上の国連参加国の代表で成りまして、委員長は非核保有国の代表がなる。そして、純粋に科学的所見から調査報告書をまとめるということを意図してつくられたものでございます。その独立性と科学的客観性から、国際組織の中ではUNSCEARの報告というのは非常に評価が高いということでありまして、現在でも、科学的な放射線のまとめの代表的な組織であります。
 昨年でありますけれども、その報告書の中で書いてありますのは、固形がんすべてを総合した日本の原爆被爆者のデータはこの関係を最も明確にしているということでありまして、赤で書きましたように、そして統計学的に有意なリスクの増加は百から二百ミリグレイ、あるいはそれ以上で認められる、疫学的な方法ではこの線量以下のリスクの増加を認めることはできないということになっております。
 その次の表は、百ミリシーベルト以下の放射線の影響は先ほど認められないと申し上げましたけれども、これは先ほどの唐木先生と同じでありますが、がんセンターのホームページで見ますと、百ミリシーベルトの影響は、野菜不足、受動喫煙と同じで、百ミリシーベルト以下は、ほかのがんのリスクのために、放射線の影響だけを観察することは難しいということで、疫学的な方法としては、これ以下の影響は科学的に証明されていないということは申し上げてよろしいかと思います。
 次に、チェルノブイリの経験について申し上げますが、時間の関係で、これは二〇〇六年のIAEA、WHOなど八国際機関、三共和国の発表と、それから二〇一一年、ことしの二月でありますけれども、先ほど申し上げましたUNSCEARの報告書をここに御紹介いたします。
 急性影響としましては、原発の中で働いた人が主でありますけれども、百三十四名に急性放射線症が認められた。その中の二十八名は高線量被曝によって三週間以内に亡くなっております。その後十九名が亡くなったけれども、これは被曝との関係は明らかではないということ。
 それから、原発の周辺で二十四万人が汚染除去作業で百ミリシーベルト被曝した。しかし、その健康影響は認められなかった。白血病の増加も有意ではない。
 それから、あとは、一番の問題の住民でありますが、十一万四千人が避難した。これが平均して三十三ミリシーベルト。二十七万人は高線量の地域にそのまま住んでおりまして、これは大事でありますけれども、そして五十ミリシーベルトの被曝。五百万人は低線量で十から二十ということが一応まとめとして書いてございますが、この中で、放射線に起因する健康影響のエビデンスは認められなかったという報告書でございます。
 ただ、例外として、汚染されたミルクを飲んだ子供の甲状腺がんがございまして、それは六千人ぐらい。だけれども、二〇〇六年までの死亡者は十五人であるという発表でございます。
 その次のページに我々自身が現地で測定した結果をちょっと簡単にお示ししますが、チェルノブイリ事故による汚染地と子供の体内セシウム、今体内セシウムが話題になっておりますので、簡単に御紹介いたします。
 上の図は汚染地域でありまして、これらの地域に住む子供のホール・ボディー・カウンターによる体内セシウム137をはかったのが下の表であります。体内ベクレルというのが、途中、右の方に書いてございますが、これは五十ベクレル・パー・キログラムから五百ベクレル・パー・キログラムまでいろいろな量の方がいらっしゃいます。これは、我々が測定すると、五百ベクレル・パー・キログラムというのは、計器を見ておりますと非常に被曝しているという印象があるんですけれども、これも計算いたしますと年間一・二五ミリシーベルトということでありまして、そして、チェルノブイリの先ほどの影響が認められなかったというのも、一ミリシーベルト・年間ぐらいの被曝では臨床的な影響は出なかったんだろうということは理解できるわけであります。
 最後に、ICRP、しょっちゅう出てまいりますが、ちょっと御紹介させていただきますけれども、ICRPの前身というのは国際エックス線ラジウム防護委員会、一九二八年に設立されたものでありまして、一九五〇年に現在の名前に改組された非営利組織の団体であります。
 現在は、放射線防護という立場で、放射線の影響は、先ほど申し上げました百ミリシーベルト以下は認められないというUNSCEARの結論を理解した上で、百ミリシーベルト以下でも影響はあると仮定して始まっているということでありまして、その下の文章は直接ICRPの文章からとったものであります。簡単に言いますと、先ほどお示ししました原爆の図の百ミリシーベルト以下も同じような線を引けるという仮定でいろいろと放射線防護を考えようということであります。
 そして、その次のページに書きましたように、ICRPの理念というのは、ALARAと申しまして、アズ・ロー・アズ・リーズナブリー・アチーバブルということであります。これは英語を日本語に訳しただけでありますけれども、少しずつ変わっておりまして、一九五九年には、実際的に可能な限り低く維持する、一九六六年には、容易に達成可能な限り低く維持する、それから一九七三年には、経済的及び社会的な考慮を行った上で、合理的に達成できる限り低く維持するというものでありまして、決して基準値を守れということではない。このALARAの精神からいいますと、緊急時には、当然、影響が認められている百ミリシーベルトまでは許容範囲に入るわけであります。
 それで、これをもとにしまして福島の原発を考えましたときに、放射線の影響と防護の影響の両方を考慮しなければいけない。これは、先ほど言いました合理的に達成できる範囲で可能な限り放射線量を低くという立場からいいますと、放射線による具体的な被害、これは単に想像ではなくて現実に国際的に認められた放射線の影響と、それから防護のための具体的な被害がございます。
 これは、生活の変化、例えば住居、財産、近所づき合い、あるいは職業など、非常に大きな変化がございます。それから、子供の場合も、避難したり、転校、運動制限、野菜不足、何よりも精神的な影響というのが大きい。このバランスを考えて対策を決めるということがICRPの根本であります。したがって、先ほど申し上げましたように、緊急の場合にそれぞれの参考レベルがあるわけであります。
 まとめますと、未曾有の緊急事態で、事故はまだ収束していないということであります。緊急事態の各段階に応じてきめ細かく、周辺住民の被害を最小にすることを最大の目的として、冷静に住民とのきめ細かい対話を繰り返して対策を決めるということがALARAの精神でありまして、決して線量だけが問題ではないということ、全体として住民のことを考えるということをぜひ政治家の先生方にお願いしたい。
 チェルノブイリの原発の教訓としましては、健康被害、身体的影響は今お話ししたとおりでありますけれども、御承知のように、ソ連邦は解体いたしましたし、経済的な破綻によって住民は塗炭の苦しみ、しかも、精神的影響から立ち直れない数百万人の人がいる。これは精神的な影響のために自立できないという人がいまして、すべて政府に頼って生活しているという方が数百万人。
 報告書は、むしろ健康影響よりは、こういう人たちをつくったということ、こういう人たちをどうするかということが大きな問題であるということでありまして、これは我が国の場合も十分に教訓として参考にすべきだろう。
 そして、最後でありますけれども、福島原子力発電所の事故はレベル7、いまだに収束していない前代未聞の出来事であります。
 原爆被爆者を持つ日本として、原子力災害に関しても、日本のすべてを総合して、厚生労働省も政府の一員として総合的な視野で関与し、世界に向けて、日本として理想的な対策を発信できるということ、ICRPを変えるだけの発信をするということを期待しております。よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○牧委員長 ありがとうございました。
 次に、沢田参考人にお願いいたします。
○沢田参考人 沢田です。
 私は、広島の原爆の被爆者の一人なんですけれども、十三歳のときに爆心地から千四百メートルのところで被爆をしました。私はつぶれた家の中からうまくはい出すことができましたけれども、同じ部屋にいた母親は柱か何かに足を挟まれて動けないということで、とうとう火事になるまで助け出すことができませんでした。そういう体験を持っているんですけれども、被曝の方は、千四百メートルですから、初期放射線もそれなりに、それから放射性降下物の影響もそれなりに受けていると思うんですけれども、これは両親に感謝しなきゃいけないんですが、放射線に対する抵抗力が強かったのか、急性症状も晩発性症状も今のところ起こしていないということなんです。
 今回の福島原発の事故を考えますと、再び放射能で侵されるようなことがないようにしてほしいなということを思っています。その意味では、政治家の皆さんが、今、福島でいろいろな放射線の影響を受けていらっしゃる方の被曝影響をできるだけ最小限に抑えるということに政治的な力を発揮していただきたいということをお願いしたいと思います。
 私が放射線の影響の研究を始めるようになったのは一九九〇年代の終わりごろなんですけれども、当時、後で報告してくださる今中さんたちの広島、長崎の原爆の放射線をはかる、そういう測定グループに入れていただいて、そして初期放射線の線量評価、当時は一九八六年放射線線量評価という、DS86と言われていますけれども、それの遠距離が過小評価になっているということを見つけて、そして原爆症認定の裁判で私が研究した結果を報告しました。
 それがきっかけなんですが、そのとき感じたことは、初期放射線の遠距離の過小評価を実測値に合わせて修正したとしても、そのときの原告であった人たち、あるいは証言に立たれた人たちの脱毛が起こったというような事実を説明することはできないわけですね。そのことを説明するためには、どうしても放射性降下物の影響を考えなきゃいけないということに気づきました。それで、いろいろな調査結果を調べてみたんですけれども、そういう放射性降下物の影響、被曝線量について研究している研究結果というのはほとんどないということに気がつきました。
 私は専門が素粒子物理学なんですけれども、そういうことで、原爆症認定の訴訟にかかわるためにはそういう放射性降下物の影響をちゃんと調べなきゃいけないということに気づいて、研究を始めました。
 そこに図がありますが、左側の上の図は、これは原爆傷害調査委員会、ABCCというふうに当時言われていますけれども、一九五〇年前後に、被爆者の髪の毛が抜ける脱毛、これは特に重度脱毛について調査した結果です。縦軸のところ、ちょっと名前が消えていますけれども、一番左側のところに発症率と書いていただきたいんです。発症率はパーセントです。
 それで、当時の調査結果をまとめたものを一九九〇年代になってプレストンたちが発表したわけです。LSSというのは、寿命調査集団、ライフ・スパン・スタディーという放射線影響研究所の、先ほど長瀧先生がお話しになりましたけれども、約十二万人の調査の結果ですけれども、左側の図の赤い四角がありますね、これが調査した広島の脱毛の発症率です。
 放射線影響研究所というのが一九七五年にABCCを引き継いで始めたわけですけれども、ABCCのときから放射線影響研究所のときも引き続いて、初期放射線の影響を明らかにするというのが研究所の基本方針です。
 ということで、一九八九年に放射線影響研究所のストラムと水野さんたちが、この赤い四角のデータから初期放射線の影響だけを引き出すという研究をされました。その得られた結果が今度は上の右側の図の黒い丸、これを導かれました。
 でも、この図を見ますと、すごく低線量のところも急激に立ち上がっていますし、それから、高線量の四グレイ、これはグレイでもシーベルトでもいいんですけれども、四グレイというのは約半数の人が死亡する線量ですね。それを超えたところでは、逆に発症率が横ばいになっている。これも縦軸は発症率のパーセントなんですけれども、そういうことになっています。
 私は、ちょっと疑問を持ちまして、この調査結果から逆算して、左側の図のところに彼らの得た初期放射線の影響というのをひし形の形で示しました。そうしますと、この四角とひし形のずれというのが放射性降下物の影響であるということになります。
 それをもとにして、右側の図の赤い曲線というのが、これは正規分布であるというふうに仮定したわけですけれども、その曲線を使ってこの四角を分析しますと、その下側の図のようになりました。細い点線、これが初期放射線による被曝です。初期放射線は、主に外からぴかっとした瞬間に体外から浴びる外部被曝ですね。そして、それを全体の被曝線量から差っ引きますと赤い曲線になります。これが放射性降下物による被曝です。主にこれは内部被曝です。
 これまで日本政府や放射線影響研究所が調べてきたのは、放射性の雨が降って、それが地面の中にしみ込んで、それが台風やいろいろなことで流されないで残ったものから推定した放射性降下物の影響ということで、この図の下の方に、放射性降雨による推定、最大被曝値というので己斐・高須地域というのがありますけれども、それによると、もうほとんどゼロに近いところの被曝線量になっています。ですから、この雨から調べたことと、それから実際に被爆者の中で発症した急性症状である脱毛から調べた違いというのが、実際に被爆者が受けた大きな違いになるわけですね。
 次のページにありますが、これは於保源作さんという方が、広島の被爆者を、爆心地から距離ごとに、三種類の被曝急性症状を調べました。四角が脱毛です。それから、丸印が、紫色の斑点が出る皮下出血ですね。それから、三角が下痢です。これもやはり縦軸は発症率のパーセントです。この図を見ていただきますと、脱毛と紫斑というのはほぼ同じように距離とともに変化していますね。ところが、下痢の方は近距離で発症率が逆に小さくなっています。遠距離の方は、逆に今度は下痢の方が発症率が高くなっています。
 この違いは何かというと、近距離では初期放射線が大量に到達します。その初期放射線を体外被曝する場合の影響が、主にガンマ線が腸の内壁まで到達するわけですけれども、ガンマ線は透過力がすごく強いわけですね。透過力が強いということは、放射線の影響というのは電離作用によって起こるわけですけれども、まばらに電離作用していくというのが透過力が強いということにつながるわけです。まばらに電離作用しますからなかなかエネルギーを失いませんので、ずっと透過力が強くなるわけですね。ということで、腸壁に到達しても、薄い腸の粘膜、表面の表皮にまばらな電離作用では余りダメージを与えることにならないんですね。ですから、ガンマ線はかなり大量の線量でないと下痢は発症しないということになります。
 ところが、遠距離の方は、放射性降下物の物質を呼吸とか飲食を通じて体内に取り込みます。そうすると、透過力の弱いベータ線が大きな力を発揮するわけです。ベータ線はすごく密度の高い電離作用を起こしまして、そしてエネルギーを急速に失います。体内に入ると、一センチも走らないうちにとまってしまうぐらいの密度の高い電離作用を起こすわけですね。そういう放射性物質が腸壁のすぐそばまでやってきますと、腸壁にすごく大きなダメージを与えるので、下痢が発症するわけです。というわけで、遠距離の放射性降下物による下痢の発症というのが脱毛や紫斑に比べてはるかに高い発症率を示しています。
 そういうことを考慮しますと、右側にあるんですけれども、赤い線が脱毛やそれから紫色の斑点がある紫斑の被曝線量と発症率の関係ですけれども、遠距離の内部被曝の方はもっと左寄りの方に関係がある、それから外部被曝の方はもっと右の方に関係がある、そういう正規分布にして先ほどの図を解析しますと、下にありますように、初期放射線と放射性降下物をほぼ同じ被曝線量で説明することができるということを見出しました。
 同じことは長崎にもありまして、三ページの図に、上の方は、これは長崎県と長崎市が十二キロまで調査をしたわけですけれども、その脱毛、紫斑、下痢の調査です。やはりここでも、下痢は近距離では発症率が低くなっていますね。近距離の方は、ほとんどの被爆者が死亡しています。ということでデータの誤差が大きいわけですけれども、これを解析した結果が、やはり下の方の図になります。初期放射線は急速に減少して、二キロあたりでもうほとんどゼロに近づいています。しかし、放射性降下物による内部被曝の影響は、調査が行われた十二キロまでほとんど変わらないということを示しているわけですね。
 広島に比べて長崎の方が遠距離まで千二百ミリシーベルトあるいは千三百ミリシーベルトというすごく大きな被曝をしているというのは、長崎原爆の方が爆発力が強かったということを示しているわけです。
 西山地域というところが、放射性の雨が降ったことによる残留放射線の測定から得られたことですけれども、これからおわかりいただけるように、被曝実態から大きくかけ離れているということがおわかりいただけると思います。
 こういう影響を無視して研究した放射線影響研究所の研究は、結局、近距離の初期放射線の影響は明らかにすることができたと思いますが、遠距離のこういう内部被曝についての研究は余り貢献をしていないということになるわけですね。私は、ぜひ、放射線影響研究所も、そういうことを踏まえた研究に方向転換していただきたいなと思います。
 次のページは、放射線の影響なんですけれども、先ほど言いましたように、ガンマ線は透過力が強いので、ぽつんぽつんとDNAなどの二重らせんを切断しますけれども、ベータ線の方は接近して切断します。接近して切断すると、修復する機能が生物の生体分子にはあるわけですけれども、誤って修復する可能性が強くなるわけですね。電離作用は物すごくたくさんの箇所を被曝させますけれども、数百カ所電離作用を起こしてもほとんどが正常に修復するわけですけれども、接近して切断されるということが起こりますと、誤って修復する可能性がすごく高くなるわけですね。そういう意味でも、内部被曝の影響はすごく深刻になります。
 放射線影響研究所の方は、そういうことで、現在起こっている福島原発の事故というのは、内部被曝が主要な影響ですから、それには余り役に立たないということになってしまいます。でも、放射線影響研究所の研究をもとにして、残留放射線の影響も考慮して解析すれば、同じ結果が出ます。
 下の方は、広島大学の原医研の早川さんたちが調べた結果をもとにして、横は、被曝線量は、放射性降下物の影響も含めて計算しました。その結果、広島県民が、非被爆者ですけれども、発症率が〇・一八六%、これは年間の悪性新生物による死亡率です。一キロ以内はほとんどの被爆者が死亡していますのでデータの誤差が大きいということと、それから抵抗力の大きい人たちしか残っていないということなわけで、これを除いて直線でフィットしますと、そこのカーブのようになりまして、死亡率が〇・一三八%掛け被曝線量プラス〇・一八六%という結果が得られました。これをもとにすれば、内部被曝の効果も考慮に入れた被爆のいろいろな影響が明らかにできると思います。
 最後の五ページの図は、今お話ししたことの全体像をまとめたわけですけれども、私が研究した結果を、二〇〇九年にギリシャのレスボス島で開かれたヨーロッパ放射線リスク委員会で報告しました。そこには、著名な科学者たちがたくさん参加していましたし、チェルノブイリの研究をやっている人たちも参加しました。その人たちが私の報告を聞いて口々におっしゃることは、これで広島や長崎の被爆者の影響と私たちの研究がかなりつながってきたという評価をいただきました。
 そういうことも踏まえて、このレスボス島の会議では、レスボス宣言というのを発表しました。それは、添付した資料にありますように、内部被曝の影響を軽視した国際放射線防護委員会の基準というのをきちんと見直さなきゃいけないということを要求しているのがこの宣言です。
 この宣言のどこかに私はミスプリントをちょっとしているので、それは後で直していただきたいと思いますけれども、以上で私の報告を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○牧委員長 ありがとうございました。
 次に、児玉参考人にお願いいたします。
○児玉参考人 私は東京大学アイソトープ総合センター長の児玉ですが、三月十五日に大変に驚愕いたしました。
 私ども東京大学には二十七カ所のアイソトープセンターがあり、放射線の防護とその除染などの責任を負っております。私自身は内科の医者でして、東大病院の放射線施設の除染などにずっと数十年かかわっております。
 それで、三月十五日に、ここの図にちょっとかいてあるんですが、我々、最初にまず、午前九時ごろ、東海村で五マイクロシーベルトという線量を経験しまして、それを第十条通報という、文科省に直ちに通報いたしました。その後、東京で〇・五マイクロシーベルトを超える線量が検出されました。これは一過性に下がりまして、次に、三月二十一日に東京で雨が降り、〇・二マイクロシーベルト等の線量が降下し、これが今日に至るまで高い線量の原因になっていると思っています。
 それで、このときに枝野官房長官が差し当たり健康に余り問題はないということをおっしゃいましたが、私はそのときに、実際にこれは大変なことになると思いました。なぜかというと、現行の放射線の障害防止法というのは、高い線量の放射性物質が少しあるものを処理することを前提にしています。このときは総量は余り問題ではなくて、個々の濃度が問題になります。ところが、今回の福島原発の事故というのは、百キロメートル圏で五マイクロシーベルト、二百キロメートル圏で〇・五マイクロシーベルト、さらにそれを超えて足柄から静岡のお茶まで及んでいることは、今日皆さんすべてが御存じのとおりであります。
 我々が放射線障害を見るときには総量を見ます。それでは一体、今回の福島原発の総量がどれくらいであるか、東京電力と政府は、はっきりした報告は全くされておりません。
 そこで、私どもは、アイソトープセンターのいろいろな知識をもとに計算してみますと、まず、熱量からの計算では、広島原爆の二十九・六個分に相当するものが漏出しております。ウラン換算では二十個分のものが漏出していると換算されます。さらに恐るべきことには、これまでの知見で、原爆による放射線の残存量と原発から放出されたものの放射線の残存量は、一年たって原爆が千分の一程度に低下するのに対して、原発からの放射性汚染物は十分の一程度にしかならない。つまり、今回の福島原発の問題は、チェルノブイリと同様、原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりもずっと多量の残存物を放出したということがまず考える前提になります。
 そうしますと、我々、システム生物学というシステム論的に物を見るやり方でやっているんですが、現行の、総量が少ない場合には、ある人に係る濃度だけを見ればいいです。しかしながら、総量が非常に膨大になりますと、これは粒子です。粒子の拡散というのは非線形という科学になりまして、我々の流体力学の計算でも最も難しいことになりますが、核燃料というのは、要するに、砂粒みたいなものが合成樹脂みたいなものの中に埋め込まれております。これがメルトダウンして放出するとなると、細かい粒子がたくさん放出されるようになります。
 そうしたものが出てまいりますとどういうことが起こるかというのが、今回の稲わらの問題です。
 例えば、岩手の藤原町では、稲わら、五万七千ベクレル・プロキログラム、宮城県の大崎一万七千ベクレル・プロキログラム、南相馬市十万六千ベクレル・プロキログラム、白河市九万七千ベクレル・プロキログラム、茨城六万四千ベクレル・プロキログラムということで、この数値というのは決して同心円状にも行かない、どこでどういうふうに落ちているかは、そのときの天候、それから、その物質が例えば水を吸い上げたかどうか。
 それで、今回の場合も、私、南相馬へ毎週末、七百キロメーター行って、東大のアイソトープセンターは現在まで七回の除染をやっておりますが、南相馬に最初に行ったときには、一台のNaIカウンターしかありません。農林省が通達を出したという三月十九日には、食料も水もガソリンも尽きようとして、南相馬市長が痛切な訴えをウエブに流したのは広く知られているところであります。そのような事態の中で通達一枚出しても、だれも見ることができないし、だれも知ることができません。稲わらがそのような危険な状態にあるということは、全く農家は認識されていない。農家は飼料を外国から買って何十万という負担を負って、さらに、牛にやる水は実際に自分たちと同じ地下水を与えるように、その日から変えています。
 そうすると、我々が見るのは、何をやらなければいけないかというと、まず、汚染地で徹底した測定ができるようにするということを保証しなくてはいけません。我々が五月下旬に行ったときに、先ほど申し上げたように、一台しか南相馬になかったというけれども、実際には米軍から二十台の個人線量計が来ていました。しかし、その英文の解説書を市役所の教育委員会ではわからなくて、我々が行って教えてあげて、実際に使い出して、初めて二十個の測定報告というのができるようになっている。これが現地の状況です。
 そして、先ほどから食品検査と言われていますが、ゲルマニウムカウンターというのでなしに、今日では、もっとイメージングベースの測定器というのがはるかにたくさん半導体で開発されています。なぜ政府は、それを全面的に応用してやろうとして全国につくるためにお金を使わないのか。三カ月たってそのようなことが全く行われていないことに、私は満身の怒りを表明します。
 第二番目です。私の専門は、小渕総理のときから内閣府の抗体医薬品の責任者でして、今日では、最先端研究支援というので三十億円をかけて、抗体医薬品にアイソトープをつけてがんの治療にやる、すなわち、人間の体の中にアイソトープを打ち込むという仕事が私の仕事ですから、内部被曝問題に関して一番必死に研究しております。
 そこで、内部被曝がどのように起きるかという問題を説明させていただきます。
 内部被曝というものの一番大きい問題は、がんです。がんがなぜ起こるかというと、DNAの切断を行います。ただし、御存じのとおり、DNAというのは二重らせんですから、二重らせんのときには非常に安定的です。これが、細胞分裂をするときは、二重らせんが一本になって、二倍になり、四本になります。この過程のところが物すごく危険です。そのために、妊婦の胎児、それから幼い子供、成長期の増殖の盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険を持ちます。さらに、大人においても、増殖の盛んな細胞、例えば、放射性物質を与えると、髪の毛、それから貧血、それから腸管上皮、これらはいずれも増殖、分裂の盛んな細胞でして、そういうところが放射線障害のイロハになります。
 それで、私どもが、内部に与えた場合に具体的に起こるもので知っている事例を挙げます。これは、実際には、一つの遺伝子の変異ではがんは起こりません。最初の放射線のヒットの起こった後に、もう一個の別の要因でがんの変異が起こるということ、これはドライバーミューテーションとかパッセンジャーミューテーションとか、細かいことになりますが、参考の文献は後ろにつけてありますので、それは後で、チェルノブイリの場合やセシウムの場合を挙げてありますので、それを見ていただきます。
 まず、一番有名なのはアルファ線です。プルトニウムを飲んでも大丈夫と言う東大教授がいるというのを聞いて、私はびっくりしましたが、アルファ線は最も危険な物質であります。それは、トロトラスト肝障害という格好で、私ども肝臓医はすごくよく知っております。要するに、内部被曝というのは、先ほどから一般的に何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうものは全く意味がありません。I131は甲状腺に集まります。トロトラストは肝臓に集まります。セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。これらの体内の集積点を見なければ、全身を幾らホール・ボディー・スキャンをやっても全く意味がありません。
 トロトラストの場合の、このちょっと小さい数字なので、大きい方は後で見てほしいんですが、これは、実際にトロトラストというのは造影剤でして、一八九〇年からドイツで用いられ、一九三〇年ごろから日本でも用いられましたが、その後、二十から三十年たつと、肝臓がんが二五%から三〇%に起こるということがわかってまいりました。
 最初のものが出てくるまで二十年というのはなぜかというと、最初に、このトロトラスト、アルファ線核種なんですが、アルファ線は近隣の細胞を傷害します。そのときに、一番やられるのはp53という遺伝子です。
 我々は今、ゲノム科学というもので人の遺伝子を全部配列を知っていますが、一人の人間と別の人間は大体三百万カ所違います。ですから、人間を同じとしてやるような処理は、今日では全く意味がありません。いわゆるパーソナライズドメディスンと言われるやり方で、放射線の内部障害を見るときにも、どの遺伝子がやられてどういうふうな変化が起こっているかということを見ることが、原則的な考え方として大事です。
 トロトラストの場合は、第一段階ではp53遺伝子がやられて、それに続く第二、第三の変異が起こるのが二十から三十年かかり、そこで肝臓がんや白血病が起こってくるということが証明されております。
 次に、沃素131、これは、沃素は御存じのとおり甲状腺に集まりますが、甲状腺への集積は成長期の甲状腺形成期が最も特徴的であり、小児に起こります。しかしながら、一九九一年に、最初、ウクライナの学者が甲状腺がんが多発しているというときに、日本やアメリカの研究者は、ネイチャーに、これは因果関係がわからないということを投稿しております。なぜそう言ったかというと、一九八六年以前のデータがないから統計学的に有意だということを言えないということです。
 しかし、統計学的に有意ということがわかったのは、先ほども長瀧先生からお話がありましたが、二十年後です。二十年後に何がわかったかというと、八六年から起こったピークが消えたために、これは過去のデータがなくても因果関係があるということがエビデンスになった。ですから、いわゆる疫学的な証明というのは非常に難しくて、全部の事例が終わるまで大体証明できないです。ですから、今我々に求められている子供を守るという観点からは、全く違った方法が求められます。
 そこで、今行われているのは、ここには、国立のバイオアッセイ研究センターという、化学物質の効果を見る福島昭治先生という方が、ずっとチェルノブイリの尿路系に集まるものを検討されています。
 福島先生たちがウクライナの医師と集めて、五百例以上の、前立腺肥大のときに手術をしますと、膀胱もとれてきます。これを見まして検討したところ、高濃度汚染地区、尿中に六ベクレル・パー・リッターという、微量ですが、その地域ではp53の変異が非常にふえていて、しかも、増殖性の前がん状態、我々から見ますとp38というMAPキナーゼとそれからNFkBというシグナルが活性化されているんですが、それによる増殖性の膀胱炎というのが必発でありまして、かなりの率に上皮内のがんができているということが報告されております。
 それで、この量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から、二から十三ベクレル、七名で検出されているということが既に報告されていることであります。
 次のページをお願いします。
 我々アイソトープ総合センターでは、現在まで毎週、七百キロメーター、大体一回四人ずつの所員を派遣しまして、南相馬市の除染に協力しております。南相馬でも起こっていることは全くそうでして、二十キロ―三十キロという分け方が全然意味がなくて、幼稚園ごとに細かくはかっていかないと全然だめです。
 それで、現在、二十キロから三十キロ圏にバスを立てて千七百人の子供が行っていますが、実際には、南相馬で中心地区は海側で、学校の七割は比較的線量が低いです。ところが、三十キロ以遠の飯舘村へ近い方の学校にスクールバスで毎日百万円かけて子供が強制的に移動させられています。このような事態は一刻も早くやめさせてください。今、その一番の障害になっているのは、強制避難でないと補償しない、参議院のこの前の委員会で、当時の東電の清水社長と海江田経済産業大臣がそういう答弁を行っておりますが、これは分けてください。補償問題と、線引きの問題と、子供の問題は直ちに分けてください。子供を守るために全力を尽くすことをぜひお願いします。
 それからもう一つは、現地でやっていますと、除染というものの緊急避難的除染と恒久的除染をはっきり分けて考えていただきたい。緊急避難的除染を我々もかなりやっております。例えば、ここの図表に出ております滑り台の下、滑り台の下はちっちゃい子が手をつくところですが、この滑り台に雨水がざあっと流れてきますと毎回濃縮します。右側と左側とずれがあって、片側に集まっていますと、平均線量一マイクロのところだと十マイクロ以上の線量が出てきます。それで、こういうところの除染は緊急にどんどんやらなくてはいけません。
 それから、こういうさまざまなコケが生えているような雨どいの下、これも実際に子供が手をついたりしているところなんですが、そういうところは、例えば高圧洗浄機を持っていってコケを払うと、二マイクロシーベルトが〇・五マイクロシーベルトまでなります。だけれども、〇・五マイクロシーベルト以下にするのは非常に難しいです。それは、建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていますと、空間線量として、一カ所だけを洗っても全体をやることは非常に難しいです。
 ですから、除染を本当にやるというときに、一体どれくらいの問題があり、どれくらいのコストがかかるかということを、イタイイタイ病の一例を挙げますと、カドミウム汚染地域、大体三千ヘクタールなんですが、そのうち千五百ヘクタールまで、現在、除染の国費が八千億円投入されています。もしこの千倍ということになれば、一体どれほどの国費の投入が必要になるのか。
 ですから、私は四つのことを緊急に提案したいと思います。
 第一番目に、国策として食品、土壌、水を、日本が持っている最新鋭のイメージングや何かを用いた機器を用いて、半導体のイメージ化は簡単です、イメージ化して、流れ作業にして、シャットしていってやるということでの最新鋭の機器を投入して、抜本的に改善してください。これは今の日本の科学技術力で全く可能です。
 二番目。緊急に、子供の被曝を減少させるために新しい法律を制定してください。
 私の現在やっているのは、すべて法律違反です。現在の障害防止法では、各施設で扱える放射線量、核種などは決められています。東大の二十七のいろいろなセンターを動員して、現在南相馬の支援を行っていますが、多くの施設はセシウムの使用権限や何かは得ておりません。車で運搬するのも違反です。しかしながら、お母さんや先生たちに高線量のものを渡してくるわけにはいきませんから、今の東大の除染では、すべてのものをドラム缶に詰めて東京へ持って帰ってきております。受け入れも法律違反、すべて法律違反です。
 このような状態を放置しているのは国会の責任であります。全国には、例えば国立大学のアイソトープセンターというのは、ゲルマニウムを初め最新鋭の機器を持っているところはたくさんあります。そういうところが手足を縛られたままで、どうやって国民の総力を挙げて子供が守れるでしょうか。これは国会の完全なる怠慢であります。
 第三番目。国策として、土壌汚染を除染する技術を、民間の力を結集してください。
 これは、例えば、東レだとかクリタだとかさまざまな化学メーカー、千代田テクノルだとかアトックスというような放射線除去メーカー、それから竹中工務店や何かさまざまなところは、放射線の除染などに対してさまざまなノウハウを持っています。こういうものを結集して現地に直ちに除染研究センターをつくって、実際に何十兆円という国費がかかるのを、今だと利権絡みの公共事業になりかねない危惧を私はすごく持っております。国の財政事情を考えたら、そんな余裕は一瞬もありません。
 どうやって除染を本当にやるか。七万人の人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は一体何をやっているのですか。
 以上です。(拍手)
○牧委員長 ありがとうございました。
 次に、今中参考人にお願いいたします。
○今中参考人 今中と申します。児玉先生の熱弁の後で、ちょっとたじたじとしております。
 私自身は、京都大学の原子炉実験所というところで原子力工学をやっておる者です。それで、私自身、原子力、原発というものは基本的に危ないものだというふうに三十何年前から思っていますので、原発で事故が起きたらどういうことになるのかというのをずっと研究しておりました。具体的には、原発で事故が起きたときの災害評価とか、チェルノブイリの事故が一体どんな事故だったのか、また、広島、長崎の原爆線量の話とかセミパラチンスクの放射能汚染の話なども調べてまいりました。
 それで、今回の福島事故についてなんですけれども、ある意味で私は非常に驚きました。ただ、私自身は、三月十五日に二号炉の格納容器が破壊された段階で、ああ、チェルノブイリになっちゃったというふうに確信を持ちました。というのは、放射能を閉じ込めておくべき最後の壁が破壊されたということで、中の放射能がツーツー行け行けで外に出ていくという状態が三月十五日に発生しました。それで、今、児玉先生がおっしゃったように、東京の方にも飯舘の方にも濃い放射能が飛んできたということになったんだと思います。
 私自身は、今現在、福島の周り三十キロから、また飯舘は四十キロになりますけれども、住民が避難したということでは、もうチェルノブイリと同じ事態が福島で起きている、起きちゃったというふうに思っております。
 私自身、チェルノブイリに行ってよく聞いた言葉は、彼らにとって時代がそこで変わった、チェルノブイリ前とチェルノブイリ後ということで時代が変わったというふうによく聞かされました。私が思うに、やはり日本も福島事故で、ある意味で、福島前、福島後ということで時代が変わってきたのではないかというふうに実感しております。
 それで、私自身、時々皆さんから呼ばれて話をすることがあるんですけれども、そのとき何を言っているかというと、日本も放射能汚染と向き合う時代になったんですということを言います。チェルノブイリの人たちもそう言っていました。それで、その後、一番困るのは、今中さん、そう言うけれども、私ら、放射能のことも被曝のことも全然わからへんということで、ううんと考えていまして、結局、私自身は、きょうお集まりの議員さんも含めて、一般の人たちも含めて、ベクレルとは何ぞや、シーベルトとは何ぞやということになじんでいただいて、理解していただいて、そして自分で考えていただくということが一番大事なんだろうと思います。
 きょう、余り時間がないんですけれども、お手元の方に資料があるかと思いますので、それに沿ってざっと駆け足で行きたいと思います。
 まず、一枚目の下の、私自身、原子炉実験所という原子炉があるところで働いていますので、もう四十年間やっていますので、被曝に対する感覚というのはあります。
 そこに書いてありますように、一マイクロシーベルトという被曝、これは一回の作業でする分にはほとんど気になりません。というのは、皆さん今ここにいらっしゃいますけれども、ここでも自然放射線というのがあります。大体一時間当たり〇・〇五マイクロシーベルトと思われて結構だと思います。となると、丸一日じっとしていても一マイクロシーベルトの被曝は外部から受けるということで、これくらいの被曝でしたら、まあ気にしなくていいやと。僕たちはあくまで職業でそれをやっていますから、一般の人はまた別ですよ。
 次に、一回の作業で十マイクロシーベルトとなると、これはもう計器に出ますし、ああ、ちょっと浴びちゃったなという感じです。ちなみに、胸部レントゲンで受ける被曝線量が大体五十マイクロシーベルトというふうに言われています。それで、まあちょっと浴びたなと。
 次に、百マイクロシーベルトになったら、これはかなり浴びます。これは、我々、放射線測定器ではかる分に、すぐわかります、音でわかります。大体、一マイクロシーベルトを超えたら、ビーという感じで鳴りますから。百マイクロシーベルトを浴びる仕事、これはめったにしません。時間も限りますし、遮へいも考えます。ちなみに、飛行機に乗ってヨーロッパまで行って帰ると、大体五十マイクロシーベルトから百マイクロシーベルトと言われています。ですから、私は、飛行機に乗って向こうへ行って帰るたびに、ああ、被曝しちゃったなと思いながら乗っています。
 その次に、その十倍、千マイクロシーベルト、一ミリシーベルト、これは私からしたら大変な被曝です。私は放射線作業従事者ですけれども、一回で一ミリシーベルト浴びちゃいますと、うちにある放射線障害予防規程で一ミリシーベルト以下にしろと書いてありますので、これは私、始末書物になると思います。
 その千倍の一シーベルト、千ミリシーベルトが一シーベルトになりますけれども、これはもう大変です。一シーベルトの被曝があったら大変だ。これはもう病院に行って検査してもらう、急性障害が心配される量だということになります。
 次のページのその三ですけれども、放射線に被曝すると、一度にぎょうさん被曝すると、細胞が死んじゃって急性障害が出るよと。それで、福島の周りの住民の方々、この人たちには、よくテレビで言われましたけれども、すぐには健康には影響はありません。ただ、後々になってがんとかいった心配がありますよという線量だと思います。これが晩発的影響、また確率的影響とも言われますけれども、では、何でそんな確率的影響みたいな、晩発的影響みたいなものが出てくるかというと、その下にあります。いわゆる放射線を浴びますと、我々の体を構成している分子、原子に影響がある、破壊される。
 すなわち、我々、日常的に生活している分に、細胞の中でやりとりしているエネルギー単位は、我々の言葉で一電子ボルトとか二電子ボルトとかそれくらいの量ですけれども、放射線というのは十万電子ボルトとか百万電子ボルトとかいったエネルギーを持ったものが体の中に入ってきますから、場合によってはDNA等が破壊されるということです。
 では、それが一体どれくらい生物に影響を与えるかということですけれども、三ページの上の方です。これはムラサキツユクサの雄しべの毛の突然変異というのをはかって観察されたデータです。これは随分古いデータです。もう三十年以上も前のデータですけれども、このデータでしたら、いわゆるエックス線を照射しますと、大体二・五ミリシーベルトに相当するぐらいのところから雄しべの毛の突然変異というものがふえることが観察されるという、これは非常に敏感な生物です。
 ただ、私が言いたいのは、我々生物は、発生してから非常に放射線の強い環境で生きてきたというふうに私は思っています。皆さん、自然放射線といったら非常に弱いものかと思われますが、私ども環境放射能をはかっている人間にとっては結構強いものです。そういう中で、我々、日常的にDNAなりそういうものが傷害を受けながら、なおかつ修復、常に傷害を受けて常に修復して生きてきたんだろうと思います。
 それで、四ページの七番、「ガンができる仕組み」ということで、児玉先生の方からもありましたけれども、いろいろな傷害が積み重なっていずれがんになるということです。
 次に、その下の八番ですけれども、我々、日常的に、一年間で一ミリシーベルトの被曝を受けています。そして、五枚目の九ですけれども、その自然放射線によっても我々はある程度がんになっているのではないかということが言われています。
 では、自然放射線によってがんになる影響を観察できるかどうかということで、その下のスライドの十ですけれども、日本国において、自然放射線は場所によってかなり違います。そこの図にあるとおりです。そして、その次のページの十一番ですけれども、では日本国のがんの発生率がどうなっているかというのを国立がんセンターから持ってきたのが十一番です。
 これはがん死率の分布です。先ほどのが自然放射線の分布です。その関係をプロットしてみたというのが、その下の「ガンマ線量率とガン死率の関係」。これを見ていただいたら、横軸が自然放射線で、縦ががん死率ですね。結局これは、がん死率に対して自然放射線の影響は認められません。つまり、自然放射線の影響は、がんというものはいろいろな原因でなりますから、その変動の中に隠れて見えないというふうに私は考えています。ないのではないと私は思っています。
 では、我々が現在使っている放射線のリスクはどういうふうにして求められているかというと、七ページの上の十三にあります。これは長瀧先生も説明があったかと思いますけれども、広島、長崎の追跡データですけれども、一応、これを眺めて、私は、五十ミリシーベルト以下では話をするのは難しいだろうなというふうに思っています。
 それで、こういうデータをもとに、もっと下の方、一ミリシーベルト、二ミリシーベルトを考えるときに、その下のスライド十四のようないろいろなモデルが考えられている。ではどのモデルがいいのかというのは、いろいろなデータを参考にしながら、なおかつ理論、生物実験等を眺めながら考えてまいります。
 それで、有名なデータですけれども、ナンバー十五、八ページですけれども、これは「オックスフォード小児ガン研究」といいまして、一九五〇年代に、子供、胎児ですね、妊婦のおなかにエックス線を浴びて、その後小児がんがふえたというデータであります。
 その次ですけれども、十六番。これは非常に興味深いデータですけれども、私の友人であるスウェーデンのトンデルという疫学をやっている人ですけれども、スウェーデンの汚染地帯の汚染レベル別にがん発生を見ると、どうも汚染がふえるとがんもふえているぞというデータを出しています。これは統計的には有意です。では、これは果たして因果関係かどうなのかというので、彼自身と私はいまだにディスカッションをしています。それで、きょう児玉先生からお話を聞いたような、内部被曝によって体の中でセシウムの分布が異なるといったことでこれも説明できないかなという仮説を今考え始めているところです。
 そういったデータの一つとして非常に興味深いのは、九ページですけれども、日本国の原子力産業労働者約二十万人を、大体平成の初めぐらいから今現在、二十年近く追跡調査されていますけれども、これはフィルムバッジ等で記録された被曝線量とそのがん死率を見ますと、どうも被曝線量がふえるとふえる傾向にあるぞというのが出ています。
 それで、一応、これをやっている放射線影響協会の結論としては、明らかな証拠は見られなかったというふうに結論されておりますけれども、私自身は、スライド十八番にあるように、これはサジェスティブ、影響を示唆しているデータではないかと考えています。
 次に、十九番、十ページですけれども、これはチェルノブイリの子供の甲状腺がん並びに広島、長崎のデータの年齢別の感受性ですけれども、やはり子供に対する影響は大人に比べて大きいんだというのは、如実に示していると思います。
 最後、結論ですけれども、結局、放射線被曝の晩発的影響については、直線モデルが最も合理的で、批判に耐えられるタフな仮説であろうと私は思っています。ということは、被曝量が少なくてもそれなりに影響があるという考え方では、被曝の基準値というのはあくまで我慢量だというふうに解釈すべきだろうと思っています。どこまで我慢するのかということについては、社会的、個人的判断で決まる問題ですから、一般的な答えはないというふうに私は思っています。
 ただ、参考としては、通常時の一般公衆の被曝基準値、これは年間一ミリシーベルトです。ICRPによれば、この数値というのは、一般公衆が被曝に対して気にせずに、神経質にならずに普通に生活できる量ということで決められています。そして、放射線作業従事者は、年間二十ミリシーベルトということになっています。この数字は、我々は放射線作業従事者ですけれども、放射線作業従事者が被曝によってこうむるマイナス面が、普通の産業の労働災害と同じレベルになるであろうというふうに、大ざっぱながら見積もってきた数字で、それなりに根拠のある数字だと思っています。
 そして、今回の場合は、子供の感受性が大きく、そして子供は、大人に比べて将来、非常に長い人生を生きるということで、子供の被曝はなるべく少なくすべきであるということです。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○牧委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○牧委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口和之君。
○山口(和)委員 民主党の山口和之と申します。福島県出身です。
 たくさんのお話、ありがとうございました。いろいろな方がいろいろなことを言うので、実際、どこが正しく、どこが安全で、どこが大丈夫で、何が大丈夫かと、全く国民と同じ目線になっている自分がいます。
 まず、少しずつお聞きしたいんですけれども、一つとして、今回は出ませんでしたけれども、ホルミシス効果という話が出たりします。例えば、一万人のデータをとって、ある程度の線量の放射線を浴びた場合、逆に健康であるという話があるんです。
 まず、これを肯定されるか否定されるかというのをお聞きしたいんですけれども、まずは明石先生と児玉先生にお聞きしたい。よろしくお願いします。
○明石参考人 私どもは、動物の実験ではホルミシスというのは確かに認められるのではないかというふうに認識しておりますが、人間のような高等動物について確かな科学的なエビデンスはないというふうに認識をしております。
○児玉参考人 私どもから見ますと、先ほども申し上げましたように、放射線や何かを当てると、例えばp38というMAPキナーゼだとかNFkBというシグナル系の分子が動きます。それで、これは短期的にはさまざまな効果をもたらしまして、それを健康にいいとか悪いとかいう議論はさまざまあります。
 しかし、こういう状態を長期的に続けますと、我々が慢性炎症と呼んでいる状態になりまして、慢性炎症は、例えばがんの前提の条件になったり、さまざまな病気の原因になるということがよく知られています。
○山口(和)委員 ありがとうございます。
 もしよろしければ今中先生にもお聞きしたいんですけれども、データ上、今までそういう話がありましたでしょうか。
○今中参考人 ホルミシスについては、私自身も勉強をしたつもりですけれども、よくわかりません。ただ、非常に興味深いのは、自然放射線バックのレベル、それをちょっと超えるレベルで我々生物が何らかの応答をしているということがあるんだろうと思います。
 それで、例えば、最初、ホルミシス等の話が言われましたのは、随分前のデータですけれども、ゾウリムシの増殖について、自然放射線をカットすると増殖が減る。ですから、鉛を入れて、トンネルか何かに入れたら増殖が減るんですよね。それで、自然放射線を当てたらふえる。すなわち、自然放射線がいい効果をしているのではないかというようなことですけれども、では、それが刺激になることが果たしてゾウリムシにとっていいのか悪いのかというのは私自身もわかりませんし、非常に興味深いのは、そういう低線量レベルで我々の細胞が、単なるDNA折損というのではなくて生理的に何らかのレスポンスをしているという意味で、私は興味深いデータだと思っています。
○山口(和)委員 どうもありがとうございます。
 大概は、放射線による害の方があるだろうというふうに、皆さんの意見はそう思いましたけれども、そうしますと、線量の問題が先ほど来出ておりました。あとは内部被曝という話が出ておりましたけれども、まずは線量のところでお聞きしたいんです。
 明石先生それから唐木先生等は、大丈夫だ、安心できますよという話だったんですけれども、児玉先生の方からはああいうお話がありました。唐木先生と明石先生の話はデータに基づいて出ていまして、ある程度低いところでは埋もれてわからないところが出るんでしょうけれども、それ以降については有意な差があって出ているということがありました。それに対する何か御意見みたいなのを児玉先生がお持ちだったらお聞きしたいんですけれども。
○児玉参考人 放射線が人間の遺伝子を傷害します。そのときに、人間には二万五千の遺伝子がありますが、一定の数のDNA修復に関係する遺伝子、DNAの保護にかかわる遺伝子というのがあります。それで、普通は、これがやられないと低線量のものは大体問題なく修復されるということがわかっています。だけれども、先ほどは、例えばアルファ線でやられているp53だとか、それから、我々、最近、がんゲノムシークエンスというので、肝臓がんやさまざまなものを、遺伝子配列全体を決定して、いわゆるドライバーミューテーションという、最初にがんをつくっていく方向に起こってしまう変異が何で起こるかというのを研究しておりますと、例えばp53のような、最初の、DNAを守っていったり、そういうところにかかわる遺伝子を壊すとがんになるということがわかっています。
 そうしますと、実際には、二万五千の遺伝子の中でどこがやられるかということは、極めて確率論的になってきます。ですから、一般にわかるのは、統計学的に、非常にたくさんの人を集めて、例えば、チェルノブイリのときの甲状腺のように、最初は、多分長瀧先生の方が御存じだと思いますが、笹川財団で調べたときに、五万人ぐらいまで調べたときに、有意な差がないと言われたんです。ところが、それが今になっては、コンセンサスとして、六千人の甲状腺がんと十五人の死亡例が生まれているというふうに変わってきています。
 私、もともとこういう問題に興味を持ちましたのは、自分はコレステロールの方が専門でして、コレステロールの薬をつくるときにもたくさんの論争がありました。それで、私は医学者として今一番感じておりますのは、このどこの線量が安全かという議論と国の政治的なかかわり方を分けていただいて、国は、要するにコレステロール論争のときに一番大事だったのは、コレステロールを下げる薬をやって心筋梗塞が減るかどうかという問題でした。
 それで、きょうの厚生委員会でも考えていただきたいのは、学問論争に対して厚生委員会で結論を出したり考える必要は、私はないと思っています。
 国民の健康を守るためにどういうことができるかというときに、まず、セシウム137というのは、自然界には一九四五年以前に存在していないものです。原発と原爆で生まれて、それが一九六〇年代の初めに水爆実験によってピークになったものであります。そのときに、猿橋勝子さんという女性研究者が、海水のセシウム濃度が百倍になっているということを微量線量計で確認して、これでアメリカへ行って、公開実験というのをフォルサム博士とやって、これが大気圏内の核実験禁止の大きな学問的根拠になりました。その後、セシウムはずっと減ってきていたのが、またそれをはるかに倍する量に今上がろうとしているときであります。
 そうしますと、その線量議論の問題を言うよりも、元来自然界にないセシウム137というのが膨大にまかれて、ガンマカウンターで簡単にわかるような量に散らばっている。しかも、それが広島原爆の二十倍の量まかれているという事態に対して、国土を守る立場から、ぜひ積極的な対応をお願いしたいというのが基本的なお願いです。
○山口(和)委員 どうもありがとうございました。
 結論づけるつもりはないですし、県民、国民はどうしていたかというと、一番不安な、一番危険なところを聞いて動いているというのが今実態じゃないでしょうか。だから、安全だと思っている方もいらっしゃいますし、中には、線量が少ないところであっても、子供を連れて県外に避難されている方もたくさんいらっしゃると思うんです。やはり不安でしようがないと思うんです。
 避難区域の住民が戻れる条件、今、避難区域になっていますけれども、先生方で、こういう条件にしたら避難区域に戻れるだろう、今でも十分戻れるよという場合もあるでしょうし、先生方によって違うでしょうが、避難区域に戻れる条件を少し教えていただきたいんですが、ちょっと時間がなくて、聞きたいことがたくさんあるので、簡潔にいただければと思うんですけれども。どなたでも結構です。
○児玉参考人 私が一番申し上げたいのは、住民が戻る気になるのは、行政なりなんなりが一生懸命測定して除染している地域です。ですから、測定も除染もなければ、安全だ、不安だと言われても、信頼できるところがありません。ですから、この数値が安全、この数値がどうということではなしに、行政の仕組みが、一生懸命測定をして、その測定に最新鋭の機械を投じて、除染に最新鋭の技術を持って、そのために全力でやっている自治体が一番戻るのに安心だと思います。
○山口(和)委員 そのほか、ございますでしょうか。
○今中参考人 戻るか戻らないかは、最後は行政なり個人なりいろいろな価値観、判断が入るんですけれども、やらなきゃいけないことは、今、児玉先生もおっしゃったように、徹底的に測定して、一軒一軒、その村なりの汚染のマップをつくって、そして、そこに住むことによってどれくらい被曝するのであるかということは客観的な評価としてできますので、それは最低限の作業だろうというふうに思います。
○山口(和)委員 よければ唐木先生からもお聞きしたいのですが。
○唐木参考人 私の資料の中で、百ミリシーベルト以下の放射線のリスクがどのぐらいなのかということをお示ししました。これは、ないわけではないけれども極めて小さいということです。そのリスクを避けるために避難をする、その避難によって起こるリスクがどのぐらい大きいのかを考慮すべきだという話を、ICRPの話の中で長瀧先生がされました。
 私も、一番大事なことは、リスクを比較する、放射線の量だけで判断をしない、それを避けるために、出ていることでどれだけのリスクがあるのか、戻ることによってどれだけのリスクがふえるのか、その辺を冷静に判断するような材料を住民の方に十分差し上げて、考えていただくことが大事だと思っております。
○山口(和)委員 済みません。もう一度なんですけれども、そのリスクは右肩上がりに上がっていくわけですから、どのラインでというふうに考えておられるでしょうか。
○唐木参考人 ICRPの考え方は、百ミリシーベルトに向かってがんの確率は少しずつふえていきます。しかし、どこかで避難をというふうに設定したら、そこの方は全部避難しなくてはいけない。避難によって起こるリスクがあります。そうすると、がんを下げるために基準をきつくする、そこのメリットと、それから、避難をしなくてはいけない、それによって起こるデメリット、そこのバランスをとってくれということですので、これはケース・バイ・ケースで考えなくてはいけない、また個人の考え方もあるだろうと思います。
○山口(和)委員 ありがとうございます。
 もう一つ、牛についてなんですけれども、今問題になっていますけれども、先ほど、五十歳を超えていると大体九十日ぐらいでなくなるということでした。チェルノブイリでは、何か三カ月、安全なえさを食べ続けていたら三カ月でセシウムがなくなったという話があるんですけれども、その辺につきまして、どなたかお願いできますでしょうか。
○唐木参考人 人間の場合は、我々の年だと三カ月ぐらいで半分になる、また次の三カ月で半分になるというふうなデータがありますが、牛の場合は、精密なデータはありませんが、チェルノブイリの経験からいうと、現在、汚染されたえさをとめて、汚染されていないえさを食べさせれば、何カ月後かには汚染はなくなるということだろうと思います。
○山口(和)委員 人間の年齢と牛の年齢を比べると、牛の年齢は随分若いわけですけれども、そうしたらば、場合によっては、セシウムが早くなくなれば普通に出荷できるんじゃないかなと思ってしまうんですけれども、その辺はどうでしょうか。
○唐木参考人 現在汚染された地帯に牛がたくさんおりまして、獣医師の仲間がその牛を使ってそういった研究を今やっておりますので、その結果は何カ月後かには出てくるだろうと思います。
○山口(和)委員 どうもありがとうございました。
 牛の基準であったり、お米はこれから作物をつくっていかなきゃいけないし、果物の基準とかもありますけれども、今は厚生労働省で基準をつくって、これぐらい食べても五ミリシーベルトを超えなければ大丈夫ですよという先ほどのお話があったかもしれませんけれども、一つ、農家で米をつくるとか果物をつくるとかという、何かそういったところの、つくる段階での基準みたいなものというのはございますでしょうか。どなたか、お願いできますでしょうか。
○唐木参考人 私の知る限りでは、基準は先ほどの食品の基準だけであって、つくる方の基準ということは、土壌の基準あるいは肥料の基準、そういったものでしょうか。でしたら、それは私はないだろうと思います。
○児玉参考人 入り口の方で基準を決めるというのは非常に厳しいと思っています。生物学的濃縮というのは、さまざまな元素が体に入ると、トランスポーターとか結合たんぱくというので極めて特殊な集積の仕方をしますので、ですから、やはり出てきた農産物をきちんと見るという仕組みを徹底的につくっていかなくてはならないと思います。
 そうすると、やはりラインのような格好で、どんどんイメージとして農産物の汚染量がチェックできるような仕組みというのが実際にはあるんですが、まだほとんどこういうものの測定に使われていませんので、そういうものを全国の産地に緊急に整備していかないと、今回の稲わらのように、想定外の場所での濃縮というのは自然界においては山ほど起こります。ですから、やはり出口の、食物の出ていくところでのチェックというのを緊急に物すごくよくするということが大事になると思います。
○山口(和)委員 ありがとうございます。
 沢田先生にお聞きしたいんですけれども、福島県では健康調査を三十年間やるということを言っているんですけれども、果たして本当に三十年間の調査でよろしいのか。子供の問題もあるでしょうし、先生はどうお考えでしょうか。
○沢田参考人 健康調査をするということなんですけれども、私は、特に子供たちに対する影響が大きいということになりますと、三十年は短過ぎて、実は、私が報告した図の中にありますけれども、広島、長崎の被爆者の場合は原爆手帳というのを持っています。それによって、毎年、健康診断をやっています。その結果、爆心地から一キロメートル以内の被爆者を除きますと、その他の被爆者は日本人の平均よりも死亡率が低いわけです。ということは、がんなんかを発症する率は非常に高いわけですけれども、健康診断をやって早期にがんを発見するということによって死亡率が低くなるということ、これは広島大学の原医研の研究でも明らかになっているわけですけれども、ぜひ、健康管理をきちんとやるシステムをやっていただきたい。
 そのためには三十年ではなくて一生、特に子供たちは、四十年、五十年でも、先になってがんになるということが大きく考えられますので、そういう意味では期限を設けないでやっていただきたいということと、今調査が行われているのは、健康がどうなってきたかという調査じゃなくて、どのような行動をとったかというだけの調査が今行われているんですけれども、そうじゃなくて、やはり健康がどういうふうに変化したかということも含めてきちんとした調査をやっていただいて、将来、そういう医学は進歩しますから、医学が進歩した成果を、放射線によって被害を受けた人たちのそういうダメージをできるだけ少なくするようにやっていただきたいと思います。
○山口(和)委員 ありがとうございます。
 ぜひ、三十年とは言わず、しっかりとデータを集めて、これは世界へ発信すべきことだと思うんですね、日本だけのことではないので。そう考えれば、しっかりとしたデータを集めて、健康を守っていくということが大事なんだと思います。
 明石先生にちょっとお聞きしたいんですけれども、十五日から十六日、SPEEDIで、大量に出たときの測定を加算しなきゃいけないのではないか、積算しなきゃいけないのではないかというふうに感じますが、先生の方はどうお考えなんでしょうか。
○明石参考人 線量評価を正しくするためには、ブランクがあるということは正しい線量評価につながりませんので、私は、そこをきちんと埋めて、行動調査に基づいて線量評価をするべきだろうと思っております。
○山口(和)委員 ありがとうございます。
 長瀧先生にお聞きしたいんですけれども、先ほど、原爆被爆者を持つ日本として、原子力災害に対して、日本のすべてを総合して、政府も一員となって総合的にやるべきだと。全くそのとおり、そう思いますし、英知を結集するべきだと思います。
 これは、日本だけではなくて世界じゅうの科学者の方々がいらっしゃるということで、例えばチェルノブイリで沢田先生の話が評価されたとか、これは世界じゅうの科学者の方が集まって議論しながら安全な方向へというのがないと、経済的なもの、いろいろなもののファクターを持ちながら、それで判断してくださいと言われても県民や国民は判断できないから、一番安全な方法として逃げるということをするわけなんですね。もちろん除染もしっかりやるということなんでしょうけれども。
 そういったときに、やはり国際的に、WHOも何もすべてのところが結集してやるべきだと思うんですけれども、そういった体制というのはなかなかできないものなんでしょうか。先生は、やった方がいいのか、それとも、まあ日本の科学者で何とかなるとかいうことなんでしょうか。ちょっと教えていただければ。
○長瀧参考人 私はいつも気になっておりまして、現在の混乱といいますか、これはもう専門家が勝手なことを社会に対して直接話している。したがって、もう一ミリシーベルトでも移動しなければならないという話から、百ミリシーベルト以下は大丈夫だ、それがそのまま社会に発信されているということが一番の混乱の原因だろうと思いますし、これは専門家の側の責任でもあると思います。
 やはり、社会に対しては、専門家あるいは学者、科学者、科学の世界から社会に対して出すメッセージ、提言というのは一本になっていないと社会は混乱する。現在は、それぞれの専門家がそれぞれに意見を直接社会に出しているということが非常によくない。
 ですから、おっしゃったとおり、チェルノブイリの場合も、いろいろ議論をした上で、結局、国際的な科学者のコンセンサスというものができてきて、それをもとにということで事態が随分改善されたということがございます。私が最初に行きましたときには、もう本当にパニックの状況で、それぞれ外から来た報道の方も含めて、NGOの方も含めて、危険だというお話がいっぱいございました。
 ですから、今回も、日本でまず大事なことは、専門家が一つになってコンセンサスをつくって、それを社会に出すというのができれば、それが一番よろしいというふうに思います。
○山口(和)委員 ありがとうございました。多分そうすることが一番安心できることで、国内で落ちついてくることなんだと思います。もはや、もう国内の科学者の先生方だけでは安心できないと思っている方もたくさんいらっしゃると思いますので、ぜひともそういう方向に持っていきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○牧委員長 次に、吉野正芳君。
○吉野委員 自民党の吉野正芳と申します。
 参考人の皆様方、本当にお忙しい中ありがとうございます。
 私の選挙区は福島第一、第二、そしていわき市です。双葉郡といわき市が私の選挙区でありまして、本当に皆様方に大変御心配をいただいていること、この場をかりて感謝申し上げたいと思います。
 私も、原子力を推進してきた一人でございます。私の立場は、正しく理解して正しく放射線を怖がろう、こうしないといつか今日のような事故が起きてしまうのかな、こんな思いで原子力を推進してきた者の一人でありまして、今度の大事故を引き起こしてしまったということは、推進してきた者として本当に大いに反省をし、皆様方に謝罪を申し上げたいと思います。
 さて、いろいろ選挙区を歩いてみますと、不安でいっぱいなんです、特にお子さんを持っているお母さん方。きょうの先生方の話を我々、ここで聞きました。私も六十を過ぎていますから、先生方のお話を若いお母さん方が聞けば安心するのかなと思うんですけれども、きょうのお話を聞いても不安はとれないと思うんです。
 放射線のお母さんに対する影響、子供に対する影響よりも、不安で不安で仕方がない。うちの方の言葉で気をもむというんですけれども、気をもんで精神的に参ってしまうお母さん方、それを見ている子供の方が健康には悪いのかなと思うくらいなんですけれども、幾ら説明してもお母さん方は理解をしてくれないんですね。
 この辺のところをどうすれば、お母さん方、特に若いお母さん方の不安を取り除くためにはどうすればいいのか、明石先生、お願いしたいと思います。
○明石参考人 私自身も福島県のいろいろな場所で住民の方とお話をさせていただいて、お母さん、子供さんが非常に不安になっているという点、どう解決したらいいのかというのは、実は、私たちの中でも最大の問題になっております。
 一つの私どもの考え方としては、やはり科学的なことを与えるということだけで納得はできない。それをどう理解していただくか、どう受けとめていただくかということが一番重要である。そのためには、やはり御自身にも基礎的な放射線に対する理解をしていただくチャンスを与えると同時に、やはり信頼できる方の口からお話をしていただくというのも一つの考え方ではないか。
 つまり、信頼できるというのは、地域でも学校の先生であるとか、先生方もやはり怖がっているということになると、特に子供さんたちは非常に不安がってしまいます。ですから、地域で、やはりオピニオンリーダーであるとか理解のできる人にきちんとした理解をしていただいて、説明をしていただくというのは、一つの方法ではないかというふうに私は思っております。
○吉野委員 現地でも、各小学校単位ごとにそれぞれの専門家の先生方をお招きして、放射線の勉強会、本当に参加の数は何百人、小学校単位ですから何百人という方が来るんですけれども、何回やっても同じなんですね。ですから、これは本当にどうすれば不安を取り除くことができるのかなと。
 例えば、科学的なことを幾ら説明しても、自分の頭で理解しても体がついていかないという、こういう状況下に置かれていますので、もうその方は、避難できる方は避難してください、そして、それに対する支援をしていく、避難できない方は、きちんと家庭での防護策といいますか、それを我々政治の方はやるべきだなというふうに私自身は思っているんですけれども、その辺はいかがでしょうか、熱い児玉先生。
○児玉参考人 要するに、信頼感というのは、言葉で説明を聞いて生まれるのではないと思います。
 私も毎週南相馬へ行っていますが、例えば、南相馬の方たちが本当に汚染している学校やなんかを案内してくれるのは、やはり一回目じゃないんですよね。だから、支援に来ている人がただ一回だけ来て帰っていってしまうみたいなのは、かえってすごく問題をひどくするだけで、やはり本当に持続的にやっていこうとすると、一緒にはかって、一緒に考えて除染していく、避難されたい方は避難を応援する、そういうのがすごく大事ではないかと思っています。
 それで、南相馬へ行って私どもが最初に言われたのは、やはりさっき言った、線量の低いところから高いところへスクールバスで子供が千人移動させられているということで、それで、実際に地域を見ても、一つの学校を見ても、さっきから私、何ミリシーベルトだったら安全ですかという議論は現実味がないと思うのは、例えば二マイクロシーベルトの学校をはかっていても、一カ所に行くと三十三マイクロシーベルトなんです。
 ですから、そのときに一体何ミリシーベルトをその土地とするかという問題が出てきてしまいますから、やはり、高いところがあったら必ず刈り取っていきますよ、はかって一緒にやっていきますよ、不安があったら相談に乗りますよ、農産物があったら最新鋭の科学機器を集めて、最高の検査メーカーが来てやりますよというような態勢がない限り安心できないというのが当たり前ではないか。
 ですから、今求められているのは、最高の施策が福島県民に与えられるように、国会でぜひ考えていただきたいということであります。
○吉野委員 全くそのとおりだと思います。
 今度の二次補正でも、福島県の子ども健康基金という形で九百六十二億、成立しました。この基金を使って、例えばベラルーシの場合、学校単位に、きょう飲むミルクをはかったり、きょう食べる食べ物をはかる、そういう検査機器があるというふうに私はテレビで見たのですけれども、こんな機械も福島県の小学校単位に全部そろえて、本当に自分ではかって自分で安心して納得して食べていく、こんなシステムをこの基金を使ってやっていきたいと思いますけれども、チェルノブイリに詳しい先生方はどなたでしたか。では長瀧先生、お願いします。
○長瀧参考人 お答えいたします。
 チェルノブイリに私どもが最初に参りましたとき、やはり、汚染地の産院に参りました。そうすると、新生児がいっぱいいるわけですけれども、そのお母様方の心配というのは、もう本当に今の福島と同じ状況であります。やはり社会全体として混乱しておりまして、非常に危険だ、すぐにあなたの子供は亡くなってしまうとかあるいは白血病になるとかというのを横で言っている人もいますし、我々が行っている間に、報道の方ですけれども、線量計を持ってきてその病院の草の放射能をはかって、ここも汚染されているから早く逃げた方がいいというふうな方もいる。産院で、もうそこに新生児がいるような状況の人に向かってそういうことを言う人もいる。
 そのときに我々が感じましたのは、やはりチェルノブイリの支援も、その時代は、不安に対してどう対応するかということを一番考えました。そのときにありましたのは、少なくとも、子供が心配なんだから、我々ができることは、お子さんをできるだけたくさん診察して、あなたのお子さんは今病気はありませんということをもう直接お伝えする。周りで何を言おうが、お母様と一対一で、あなたのお子さんは大丈夫だということを言っていくことがこのパニックを防ぐことかと思いました。
 時間がありませんので、一番最後に、チェルノブイリの最後に我々は集まりまして、国際機関としての勧告がございました。それは、住民、国民に信頼されるということが一番大事なんですけれども、国民に信頼されるリーダーがすべての情報を公開する。そして、その公開した情報を専門家が十分な説明をして住民に説明する。それで、それに対してどうするかということは、住民を交えて、住民との対話の上で、行政になりますか、それが決めて対策を練る。その場合に、情報をすべて開示する。そして、その解釈を専門家として一本の形にして住民に説明する。そして、住民の希望を、対話を続けながら対策を決めていくというのがチェルノブイリに関しての我々国際グループとしての勧告でございまして、それは、今の日本にでも非常に大切なことではないかなと思っております。
○吉野委員 全く先生のおっしゃるとおりなんです。信頼できるリーダーがきちんと情報を発信する、全国民がそのリーダーの意見は全部信頼できるということが理想なんですけれども、現実は、もう総理大臣から始まってだれも信用できないというのが今の日本の、特に政府の発表、これはもう逆なんです。政府がこう言うのでは危ないなという、そこまで国民は今思っていますので、この状況を本当に信頼できるような形にするのは、我々政治家、また皆様方、地道に、やはり自分で納得できるような形で、先ほどベラルーシの例も言いましたけれども、そういう整備を我々政治がしていくことが大事なのかなと思います。
 さて、福島県は二百二万県民です。私も県民ですから、今聞き取り調査、アンケート調査をします。三月十一日から三月二十五日まで、一時間ごとに、どこにいたか。もう四カ月前です。私も、手帳を見ながらこれから書くんですけれども、もう完全に記憶を忘れているんですね。新聞にも、四カ月前の記憶で本当に被曝線量を皆様方が判断できるのかと書いてあるんですけれども、四カ月前、これは、きちんとした汚染マップというか積算線量がホットスポットも含めてきちんとわかっていないと、そこにいたと書いたって、ホットスポットがわからなければ、モニタリングポスト、いわき市はでっかいんですけれども、たった一個なんですね。その線量で計算されちゃうんです。
 本当に、アバウトスクリーニングなんでしょうけれども、ある程度の線引きなんでしょうけれども、アンケート調査ですから。本当にある程度の被曝量がわかるんですか。
 これはだれ先生に聞いたらいいのかな。では明石先生、お願いします。
○明石参考人 私ども、私自身は福島県の線量評価をするための健康管理検討委員会のメンバーでございます。
 御指摘のとおり、四カ月前の記憶というのをたどっていくのはかなり難しいし、かなりブランク、つまり、どこにいたかわからないというところがかなり出てくるだろうということは想像しております。当然、このような時期に、こんなに遅くなってしまったということについては、私ども専門的機関も反省しなければいけないと思っておりますが、今行える方法としては、例えばそのアンケートの用紙の中に、どこにどんなほかのイベントがあったのかというカレンダーみたいなものを入れて、できるだけ記憶を鮮明にしていただけるということと、それから線量マップでございますが、できるだけ細かく、現在は二キロごとのメッシュを考えております。
 もちろん、それだけで十分なのかという御指摘もございますが、できる限りその二キロの中で住民の方々に御理解をいただく、それから、もし不十分な部分については、こちらの方からお尋ねをして埋めていただけるような努力、それしか今のところすることはできないのではないかと思っております。ただ、できるだけ線量については、とにかく細かく、二キロの四角でくくれるだけの線量率は出したいというふうに考えております。
○吉野委員 アンケート調査で、ある程度の被曝量が出ます。そして、それから詳細調査という形で今度は診察をしていくんですけれども、どの辺のレベルでその線引きをするんですか。詳細調査に行く方々というのは、どの程度の被曝量なんですか。
○明石参考人 現在では、線量によって、これ以上の健康調査、健康診断をしないとかいう線引きをすることは考えていないと思います。ですから、県民の方々には基本的には同じ健康診断、調査をするというのが基本的姿勢だと考えております。
○吉野委員 そうすると、詳細調査と全県民相手のアンケート調査は全く関係ない、こう理解していいんですか。
○明石参考人 済みません。誤解を招くような発言をしていました。
 先行調査は、本調査が本当にうまくいくのか、つまり、どのくらい問題点が出てくるのかというのを調査することで、いきなり詳細調査をやるといろいろ不備な点が出てくる、そこを一番最初にカバーしてしまおうというのが先行調査の主な目的だというふうに私は理解しております。
○吉野委員 はい、理解をしました。
 では、唐木先生にお尋ねしますけれども、唐木先生は、ちょっと前に唐木先生の書いた文章を読んだんですけれども、基準と閾値、いわゆる基準と安心、安全の境は違うんだ、基準はそれよりも物すごく低いレベルなんだということをおっしゃいました。そして、ヨーロッパの例も出して、基準を超えた食べ物であっても、きちんと放射線の評価をして大丈夫であればまた市場に出すんだ、そういう文章を読んだんです。
 日本人、日本で、基準イコール安全の壁と一〇〇%私も理解しているんですけれども、例えば袋に入ったパン、たった一日有効期限が切れても、もう廃棄ですね。特に若いお母さん方は、全部廃棄です。私が子供のころは、もったいない、御飯だってにおいをかいで、においで判断したんです、自分で。ああ、食べられる、食べられない。このくらい私は子供のころおなかがすいていたものですから。でも、今は違います。有効期限をたった一日過ぎても、もうこれは廃棄処分なんです。
 こういう日本人に対して、先生のおっしゃるような形でどうすれば理解ができるのか、何かうまい方法はありますか。
○唐木参考人 今先生おっしゃったのは、化学物質について私が書いたものではないかと思いますが、今、日本はカロリーベースで四割の食料を輸入しているにもかかわらず、そのほとんどぐらいを捨てているという現状があります。その捨てている現状の中のかなりの大きな部分が、基準をちょっと超えただけで大量回収、大量廃棄になっている。この問題は大変大きな問題だと思っております。
 なぜそうなっているかというと、これは食品衛生法に、基準を超えたものは流通させてはいけない、回収しなさい、そういう規定があるからでして、それを何とか変えないといけないだろうと思っております。
 先ほどお話ししましたように、化学物質については全く毒性がない量がありまして、その百分の一以下を一日摂取許容量としまして、その量に達しないように、各食品はもっともっと厳しい規制値をつくっております。ヨーロッパなんかでは規制値を超えたら行政が動き出すけれども、その食品は回収しなくてもいい、なぜならば、一日摂取許容量を超えなければ何の影響もないから、こういう取り扱いをしております。
 私は、できれば日本もそういう法律の取り扱いをすることによって、多くの人が規制値が安全と危険の境目だという誤解が解消できるのではないかというふうに考えております。
○吉野委員 長瀧先生にちょっとお尋ねしますけれども、ICRPのALARAの理念、日本から発信してICRPを変えるという発言がございました。具体的にちょっと、日本がICRPの基準を変える、こう理解してよろしいんでしょうか。
○長瀧参考人 これは、ICRPの規約にしてもすべて今までの経験で書いてございますので、今の福島の事件というのは、少なくともまだ収束していないという世界で初めての状況である。これは教科書にないわけであります、参考書はあるかもしれないけれども。ですから、我々がどう対処するかということを決めていくんだというだけの非常な責任とそれから意欲を持って対処していかなければいけない。
 そのためには、私は自分の立場からいいますと、一番大事なのは、現在汚染地に住んでいらっしゃる方をどう措置するかですね。その方々の希望と十分に対話を尽くしていく中で、今の基準値のようなものも決めていく。むしろ、基準値があって住民をどうするというのではなくて、住民の方々との対話から基準値を変えていくんだ、いわく基準値を変えるといいますのは、科学的にわかっている事実はこうである、じゃ、それに従って住民の希望をどこまで取り入れるかということを考えるということが私はICRPを変えるという意味で申し上げました。
○吉野委員 貴重な御意見、ありがとうございました。これから双葉郡の方々が本当に戻れるように、皆様方と私たち政治が一生懸命努力したいと思います。
 本当にきょうはありがとうございました。
○牧委員長 次に、坂口力君。
○坂口(力)委員 先生方にはきょうは大変お忙しい中をお時間をちょうだいいたしまして、こうして貴重な御意見を聞かせていただきましたことに心からお礼を申し上げたいと思います。
 それぞれ貴重な御意見をお伺いさせていただいたんですから全員の先生方にお聞きをしたいわけでございますが、二十分間という制限された時間でございますのでお聞きすることができない先生もいられるかもわかりませんけれども、そこはお許しをいただきたいと存じます。
 まず明石参考人からお聞きをしたいと思うんですが、先ほども、住民は何を目安にしたらいいかなかなかわからずにいる、判断に今苦しんでいるというお話がありました。実はそれは私たちも同じでありまして、どう説明したらいいのか判断に苦しんでいるわけであります。きょう先生方のお話を聞いたらかなりすっきりするかなと思ってここへ来たんですけれども、かえって何か難しくなったような気もするわけでありまして、なかなかこれはそうもいかないなと。我々政治家の方が、こうしなさい、ああしなさいと言うと、政治家に対する評価というのは低いものですから、政治家が言ってもそれは言ったとおりにしちゃだめだというようなことになってしまう。やはり、ここは専門家の先生方にこうだというふうに言っていただくのが一番なんだろうというふうに私は思っております。
 それで、明石参考人にお聞きをしたいのは、そうした中でありますが、家を遠く離れて生活をしている方がたくさんお見えになります。この皆さん方にできるだけ早く帰っていただかなければならない。帰っていただきますのに、これまた難しい基準ですが、大体このぐらいになったら帰っていただけるという一つの基準と申しますか、判断基準があるんだろうと思うんです。
 先生が、ここを先に片づければ、ここのところを国が優先して解決すれば早くお帰りいただけるようになるのではないかというふうにお考えになっているところがございましたら、ひとつこの際に御発言をいただきたいと思います。
○明石参考人 数字でお示しするというのは、先ほどのいろいろな先生方の御意見もございますとおり、やはり学校で、とある数字で区切ってしまうと学校に行けない、それから学校に行っても外、校庭で遊べないというような、かなり不利益も生じてきてしまうと思います。これは逃げて数字を出さないということではなくて、やはり納得ができる、つまり、学校で遊べるんだ、子供さんたち、お母さん方に公園に行って砂遊びしても大丈夫だという確信というか、そういう安心感を得ていただける状況をつくり出す。
 それは、数字だけではなくて、私自身は例えば一ミリシーベルト、二ミリシーベルトが体に影響が出るというようなことは全く思っておりません。ただ、そこも住民の方々に納得していただけないということであれば別のことを考えなければいけない。ですから、数字であらわすのではなくて、その住民の方々の安心、それから理解、納得でてんびんにかけて、学校で遊べるような状況、それを周り、環境でつくってあげるということが重要ではないかと思います。
 ですから、数字だけで縛るというのはやはりちょっと難しいのではないかというのが私の意見でございます。
○坂口(力)委員 同様なことを唐木参考人からもお聞きをしたいと思うんですが、先ほどこの論文集をちょうだいいたしまして、先生もここで、規制値というのは安全と危険の境ではないと書いていただいてありまして、規制値というのは行政が対策を始める目安であると。
 ただし、先ほども御質問がございましたが、行政が動き始めますと、ここ以上のところはこうだと動き始めますと、もうそれが基準になってしまうと申しますか、国民の側はそれを基準にして、それ以上は危険なんだということになりがちになると私は思うんですね。
 行政が行います方の対策というのは、普通の、危険性からいきますと少し数値の低いところから始めるということになりますから、その低いところがだんだん基準になっていくということになりますが、ここは、行政がやります基準というのも、規制値にできるだけ近いところでやるように指導していただくと申しますか、先生方から言っていただくということも大事じゃないかというような気が私はするんですが、先生の御意見をもう少しお伺いしたいと思います。
○唐木参考人 ありがとうございます。
 まず、規制値をもう少し緩い方に持っていくとというお話がありましたが、先ほどお話ししましたように、規制値というのはなるべく厳しくしておいた方が、食品全体、何か、どこかがおかしいぞということを見つけるためには非常に有効なので、これを動かすのはなかなか難しいだろうというふうに思います。
 それではどうしたらいいのかというのは、私は、教育が一つあるだろうと思います。それは、私の近くにスーパーマーケットがありますが、大体、主婦の方は奥に手を突っ込んで、奥の方から牛乳をとっている。なぜですかと言ったら、奥の方に賞味期限、消費期限の長いものが置いてあって、手前は賞味期限、消費期限が近いものが置いてある。それは、ヨーロッパでも日本でも同じだそうです。ですから、主婦の方は奥からとるということですが、ヨーロッパの方に聞いたら、ヨーロッパの方は手前からとるんだそうです。それは、牛乳は、きょう、あした、あさってぐらいで飲む、だから手前からとってもいいと。ただ、ずっと長い間置いておく人は、奥からとる人もいると。これはなぜなのか。それは教育なんだそうです。日本はそういった教育が一切行われていない。ただ賞味期限が長ければいいだろうというふうに皆思い込んでいるところがあります。
 したがって、同じように規制値についても、量と作用の関係というものも、これは非常に単純な理科の教育で済むものですから、これは小学校、中学校のときからきちんとやることによって状況は随分変わるのではないかと私は考えております。
○坂口(力)委員 ありがとうございました。
 唐木参考人に、もう一問だけお聞きをしたいと思います。
 国内の安全対策が大事だということを御指摘になりまして、その安全対策をやっていきますのに、先生の食品のところに限っていただいても結構でございますが、ここを徹底的にやっていきますためには、現在の日本の中の対策のための施設なりあるいはまた人なり、そうしたものはまだ足りない、もっとここは増強しなきゃいけないということなんでしょうか。他の分野から急に連れてきてできるものでもないと思いますけれども、できるものならそうした方法もあると思いますが、お聞きしたいと思います。
○唐木参考人 私の資料の最後のところに食品の安全を守る仕組みという四段階の図がございますが、目標の設定と規制というのは、厚労省、食品安全委員会が行います。
 それから、二番目の、安全を守る努力と規制の遵守、これは、農場から食卓までと言われる食品の生産から流通加工、それから消費までかかわるすべての方が努力をしないといけない。ここのところが、だれが失敗しても食品は危険になってしまう。ここで一番大事なのは、教育訓練だろうと思います。ここが一つ足りないことがあると思います。
 三番目の、検査と違反の発見、これをやるのは保健所で働いている食品衛生監視員そのほかの関係の方々です。ここの数が決定的に足りないということもあります。これがユッケの事件なんかの裏側にもある問題だろうと思います。
 したがって、日本の食品の問題というのは、添加物や農薬あるいは今回のセシウムではなくて、決定的に微生物による食中毒ということは御存じのとおりで、公式の統計だけで年間三万人、そこに隠れている数からいうと、それの百倍、二百倍の食中毒患者が毎年出ていると言われておりますので、そこを何とかするためにも、やはり食品衛生の強化というのは絶対必要だろうと私は思っております。
○坂口(力)委員 ありがとうございました。
 それでは、長瀧参考人に一つお伺いをしたいと思います。
 先生は、チェルノブイリの方にも随分御活躍をいただきまして、そのことにつきましては書物等で拝見をさせていただいております。
 先生のきょうのお話の中で、晩発影響と申しますか、ずっと後になってきましてから影響が出てくるというお話を聞かせていただいて、これはなかなか手ごわいことだなと。今回、福島で起こりました原発の事故におきましても、当面の問題につきましては皆一生懸命やっているわけですけれども、二十年先、三十年先にどんなことが起こってくるかというところまでまだ思いが至っていないという気もするわけですね。そこを、このチェルノブイリのところから先生がごらんになりまして、もう少し警告をしていただくことがあれば、教えていただく。
 そして、そうした晩発的な影響が出るというのは、継続的な放射能に対する暴露があったときに起こるのか。それとも、継続的ではないですけれども、一時的だけれども大量に暴露されたところに起こるのか。その辺のところもあわせてお聞かせいただければありがたいと思います。
○長瀧参考人 本当に、非常に大きな、大事な御質問でございます。
 晩発影響にしても、私自身は、確実に、科学的な結果がどこまでわかっているかということをはっきりさせることがやはり大事だろう。そうすると、放射線の晩発影響について世界で一番たくさんの人をフォローしたというのは原爆でございますので、原爆の影響から何年後に何が起こるかということを推察するということが現在わかっていることでございます。チェルノブイリに関しても、もう二十五年たちまして、それなりの結果がわかっておりますので、それも科学的にわかった。
 そういう科学的にわかった事実と、それから、いろいろな生物学的な研究によって推測できるといいますか、がんの発生のメカニズムであるとかそれに関するいろいろな研究がありまして、賛成、反対をまぜますと、本当に賛成も反対もいろいろある。現実に、低線量の晩発影響に関しまして、アメリカの科学アカデミーとフランスの医学アカデミーが全く違う見解を出しているという状況でございます。
 それは、科学的にと言うときに、どこまでデータがわかっているかというのをはっきりする。それと、その科学的なデータをもとにして、これはポリシーでありますけれども、ポリシーとしてどこまで基準を決めるか。ですから、今我々が議論している一ミリシーベルトや五ミリシーベルトというのはポリシーに基づいたものでありまして、科学的な技術というと、先ほど申し上げましたUNSCEARも言った、疫学的には百ミリシーベルトまでしかわからないし、そのレベルはこれぐらいだと。
 ですから、基本は、その違いをやはりわかっていただくということ。ですから、先ほどございました、今から一番の問題は、今から帰れるのかという人たちにとっては、帰りたい、帰りたいけれどもどれぐらいの危険があるのかという、物すごい葛藤に悩まされると思うんですね。そのときに、専門家が何も考えないでいきなり、五ミリシーベルトならいいだろうとか、一ミリシーベルトならいいだろうかということが一体専門家は言えるんだろうか、それだけのデータがあるんだろうかということをやはり謙虚に科学者、専門家は考えなきゃいけない。
 ですから、幾つかの国際的な会合で、我々は、百ミリシーベルトまでは世界じゅうで、みんな影響があるということはわかっている、それは一瞬の被曝である原爆が主になっておりますけれども。それ以下に関しては、むしろ科学者はわからない分野である、不確実な分野だということで、積極的にそれを出して、その範囲は、住民の意思なり政治的な意思なり、その場の人間の社会で決めていくということも科学者、専門家としての一つの方法ではないかというふうに思っております。
○坂口(力)委員 ありがとうございました。
 いろいろな角度から考えていかなきゃならないという、示唆に富んだお言葉だったというふうに思います。
 次に、沢田参考人に一つお聞きをさせていただきたいと思います。
 先ほど、ガンマ線、ベータ線のお話をしていただきまして、そして作用が異なることもお話しいただきました。これは広島の原爆のときにもそうなんですけれども、今回の福島の場合でも、いわゆる中心地から何メートルというのが一番問題にされておりまして、そして、風向きだとか雨の降った量だとかというようなことよりも、何メートルかというのが一番優先されているわけなんですね。
 先生の先ほどのお話を聞いておりますと、例えば原発なら、原発の中心地から何メートルのところということよりも、それ以外のこともかなり考えていかないといけない、必ずしも距離だけの話ではないんだなということを感じたわけですが、今回の原発の場合にも、何メートルという、ぐるっとコンパスで円をかいてというようなことが行われておりますが、その辺のところをきめ細かくもう少しやっていかなきゃならないんだったら、こうだというお話をちょうだいできればと思います。
○沢田参考人 先ほど広島原爆の話をしたわけですけれども、広島原爆の場合は、火の玉ができまして、それが上空に急速に上がっていって、一万六千メートルぐらいまで上がっていったところが、雨が降ってくる。ですけれども、途中、一万メートルぐらいのところで圏界面に沿って横に広がったところがあります。ここは雨粒が小さくて、途中で蒸発して放射性微粒子になるわけです。それはほとんど測定されなかったわけです。そして、それは風で流されてきましたので、後で知ろうと思えば被爆者の中でどういうことが起こったかということから逆算しなきゃいけないんですけれども、そうやって逆算してみますと、かなり遠距離まで影響があったということがわかったわけです。
 今度の福島の場合は、そんなに上空まで上がらないで風で流されていきましたので、気象による影響というのが極めて大きいわけです。その点で大きな違いがあるんですけれども、しかし、放射性微粒子の降下の影響と、それから福島原発のいろいろな放射性物質の影響とは共通性があります。
 ただ、広島や長崎の場合は、そういうことで、距離とともにかなり精密に影響がはっきりわかってきているということですから、そちらの研究をちゃんとやっていくということがすごく大事になってくると思います。つまり、被爆者が受けたいろいろな影響というのは、かなり精密にたくさんいろいろな調査結果がありますから、そういう貴重なデータをきちんと科学的に解析して、とりわけ遠距離の放射性降下物による被曝ということを科学的に明らかにして、それは主に内部被曝ですから、今回の福島原発の事故の影響を評価することにつながっていくと思います。
 ですから、いろいろなことで意見がどうなっているか、科学者の意見もいろいろ分かれているということなんですけれども、その一番大きな理由は、そういう放射性降下物の影響、内部被曝の影響をきちんとこれまで十分研究してこなかったということで、これは科学者としても責任を持たなきゃいけないと思いますけれども、そこのところを科学者が協力して明らかにして、そして、福島原発の事故に対してもきちんと対応できるような、そういうデータを提供するという責任があるんじゃないかというふうに思っています。
○坂口(力)委員 ありがとうございました。
 時間が来てしまいまして、児玉参考人や今中参考人は熱弁を振るっていただきましたので、ぜひお聞きをしたいと思っていたんですけれども、時間がもう来てしまったものですから、また次回に譲らせていただいて、また個人的な御指導を受けたいというふうに思っております。
 これで失礼させていただきます。ありがとうございました。
○牧委員長 次に、高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、六人の参考人の皆さん、本当にお忙しい中おいでをいただきまして、また貴重な御意見を賜りましたことを心からお礼を申し上げます。全員に質問したいと思っているんですが、先ほど来そうであるように、時間の関係でなかなかたどり着かないかもしれませんが、その点は御容赦いただきたいと思います。
 きょう、まず最初に伺いたいのは、食品安全委員会の問題ですけれども、昨日、ワーキングチームが、通常の一般生活で受ける放射線量を除き、生涯の累積線量百ミリシーベルト以上で影響が見出されるという評価書を了承したということが報道をされました。
 私は、この食品安全委員会の食品安全基準の問題については、六月一日の本委員会で質問しております。これはあくまでも事故直後の、本当に緊急を要するということで暫定基準という形で食品の安全基準が示されたわけで、データも非常に不足していたことや、食品安全委員会の議論の中でも、例えば発がん性の問題、胎児への影響の問題、子供の内部被曝ですとか、あるいはウラン、プルトニウムなどの評価がないじゃないかということも議論があって、ワーキングチームが継続して検討されていた。ですから、非常に注目をしていたわけですけれども、正直、拍子抜けというような気がします。
 要するに、では生涯というのをどう受けとめたらいいか。それを一年に割ると結構厳しいじゃないかというふうな記事もあるんですけれども、人生半分過ぎた人がそれをどう見ればいいのかということですとか、実際に知りたいのは、個々の人たちが本当に普通の食生活をしていく中でどういう影響を見ればいいのかということが知りたいわけであって、食品安全委員会の今の到達、これをどう評価し生かすべきかということで、明石先生と唐木先生に伺いたいと思います。
○明石参考人 昨日の百ミリシーベルトでございますが、私ども、実際現場で住民の方とお話をさせていただくチャンスが多いんですが、多分、意味を一〇〇%理解していただける状況ではないと私は思います。
 といいますのは、先ほども少し私のお話でも申し上げたんですが、内部被曝の線量について、どういう計算の仕方、どういう考え方をしているのかということをまず御理解していただく、それで外部被曝とミリシーベルトで比較した場合、リスクは同じだけれども、考え方が違う、計算の仕方も違うということをぜひ理解していただいて、その上で住民の方がいろいろな方々の御意見を伺うということをまずすることが私は一番重要で、そうでないと、また数字のために規制されたというような理解を住民にされてしまう。これは、数字のひとり歩きということで、一番怖いことになってしまうと思います。
 ぜひいろいろな機会を設けて、この数字の意味、それから体内被曝、体内汚染、食べ物からの被曝線量の数え方ということを十分理解していただくチャンスをまずつくる、そこから議論が始まるのではないかというふうに私は思っております。
○唐木参考人 御質問がありましたように、昨日の、生涯の線量が百ミリシーベルトという食品安全委員会の答えにつきましては、戸惑っている方々がたくさんいらっしゃるだろうと思います。
 私は直接その審査には加わっておりませんが、食品安全委員会のお手伝いをしている一員としまして考えていることを申し上げますと、食品安全委員会の委員は、この短い期間に、放射線の健康影響に関する膨大な文献を調べました。我々が、食品安全委員会が知りたいことは、食品を介して摂取する放射線についての情報、これが食品安全委員会の使命です。しかし、調べてみると、食品を介した健康影響に関する文献はほとんどなかったということです。食品安全委員会というのは科学だけを根拠にして結論を出すところですので、データがないことを言うわけにはいかないということで、残念ながら、今回はそのような形になったということでございます。
 しかし、疫学調査そのほか、今までいろいろなお話がありましたように、百ミリシーベルト以下のリスクというのはあるけれども、それは極めて小さい、百ミリシーベルトでたばこの受動喫煙程度ということを考えると、それより小さいリスクであるということから、現在の五ミリシーベルトというのは極めて安全な値であるというのを前回出しております。同様に、前回の議論の中で、十ミリシーベルトでも安全であるということは出しております。
 今回はそういった議論はもう前回やりましたので出ておりませんが、これから先は、厚生労働省がその生涯の百ミリシーベルトの内訳をどういうふうに食品に割り振っていくのか、そういう作業が始まるだろうというふうに思っております。
○高橋(千)委員 なかなか難しい、答えが見つからない問題かなと思います。これを、しかし厚労省が基準に落とさなければならない。そして、その基準が目安になって出荷制限云々ということになるわけですから、それを行政が、我々がどう受けとめていくべきかということで、非常に難しいなと、ちょっと今お二人の御意見を伺っても、ではその次がどうなるかということで、非常に悩ましいところでございます。
 もし、ほかの先生方で、追加で御意見があれば伺いたいと思います。
○唐木参考人 一言追加をさせていただきますと、福島の事故の直後に、暫定基準で五ミリシーベルトという基準をつくりました。その後、食品安全委員会で、五を十に変えてもいいのではないかというような議論が随分行われました。そのときに、それを非難するメールが山ほど参りました。やはり、けんかを始めてからルールを変えるというのはなかなか世間には理解されないだろう、そういう現実もあるだろうと思いますが、これは食品安全委員会の立場ではなくて、厚生労働省のお立場を私が推測してお話ししたことでございます。
○沢田参考人 きのうの議論の結果、特に、子供たちにどういう影響があるかということについて触れていないということに対する不満がたくさんありました。そういう資料がないということでお答えになっていたようですけれども、私が承知していますのは、広島大学の原医研で、かなり丹念に、年齢別にいろいろな種類の晩発性障害についての死亡率を研究されています。早川さんたちが中心になってやったんですけれども、現在は、多分、そこにいらっしゃる方で、そのデータをもとにして、ちゃんと明らかにすれば、子供たちに対してどういう影響があるかということが年齢ごとにわかっていくような、そういうデータがそろっていると思いますので、それをぜひ委員会などでも検討していただければいいんじゃないかというふうに思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 逆に言えば、今回の事故が起きてから基準値を初めて検討しなければならなかったと。でも、本当であれば、今沢田先生もお話しされたように、この間の、原爆以来のいろいろな経験を通して、データをとってきた方たち、研究してきた方たちはたくさんいたわけですから、そうした英知を結集して、もっと早い時期にそうした基準についても検討しておくべきであったのではないかということは一つ言えるのかな、このように思っております。
 そこで、この食品安全委員会も、あるいは随分世間をお騒がせした校庭の二十ミリシーベルトの問題なども、やはり土台にはICRPの基準があり、そしてさらにその土台には、やはり広島、長崎の原爆のデータということがあったのかなと思っております。
 どの先生方も、やはり、百ミリシーベルトを超えた場合ははっきりと関連性がわかるけれども、それ以下ではなかなかわからないと。しかし、ないわけではないということははっきりしていると思うんです。そのことと、もちろん少ない方がよいということもはっきりしているのではないかということで、やはり、きょうのお話を聞いて、もっともっと原爆の被爆の経験を詳細に学ぶべきではないかということを改めてお話をしたいなと思っています。
 それで、六十五年以上たった今日でも原爆症の申請はございます。また昨年は、一年間で五千人がこの認定が却下された、こういうこともございます。ですから、まだまだ、何年たってもやはり問題が起きてくるというこの放射線の障害という特異な性格ということをまず受けとめて、その上でのさまざまな議論が必要なんではないか、このように思います。
 直接この問題に取り組んでこられた沢田参考人と、被爆者と接して研究をされてきた長瀧先生にもぜひ伺いたいと思います。
○長瀧参考人 私、昨日のことに関しましては、きょうの配付した資料の一番最後に書きましたけれども、やはり日本全体として総合的に考えなければいけない。例えば、食品についての規制値を出してしまいますと、先ほど御質問のありました、では一たん移転した方がまた戻るかどうかというときの規制値にまで響いてくるようなものでありますので、国として、食品だけでいきなり規制値を出してしまってということが必ずしもいいのかどうかということ。規制値を決めるためには、現地の人たちのこともやはり一番先に考えて、そして、むしろ日本の社会における条件のすべてを考えた上で基準値が出てくるというぐらいの方向でもいいのではないかなと。それほど自信を持ってこれぐらいだということを先に言えるだけの科学的な確実なデータはない、不確実である、その線で、やはり社会的なデータを、これはALARAの精神のとおりであります。
○沢田参考人 私が先ほど報告の中で示したのは、実効的な被曝線量という意味で理解していただきたいんですね。主に放射性降下物の影響というのは内部被曝だと申し上げたんですけれども、外部被曝の方は測定ができるわけです。しかし、内部被曝の方はなかなか測定というのは難しくて、外部被曝と同じ影響を与える内部被曝線量という表現しか現在のところできないと思っています。
 例えばホール・ボディー・カウンターで内部被曝がわかるんだということで、今、セシウム137の出している放射線をはかっています。でも、実際にはかっているのは、セシウム137が崩壊するのはバリウム137の励起状態にベータ崩壊をするわけです。そうすると、最初のセシウム137による被曝はベータ線による内部被曝なわけですね。そして、そのバリウム137の励起状態がバリウム137の基底状態に落ちるときにガンマ線を放出するわけです。そのガンマ線をホール・ボディー・カウンターで測定しているわけですね。それで、そのガンマ線によって内部被曝の線量がわかるというふうに言われているんですけれども、最初の方のベータ崩壊によるすごく密度の高い内部被曝の影響というのははかられていないんですよね。
 ということを考えますと、ベータ崩壊の方ではすごく高い被曝影響を与えているはずなわけですけれども、残念ながら、国際放射線防護委員会なんかの採用している、ベータ線もガンマ線も、グレイという吸収線量に掛ける線質係数というのは両方とも一にしてあるわけですね。ガンマ線とベータ線が全く同じ被曝影響しか与えないという仮定をしているわけですけれども、これは、外部被曝によってガンマ線が体の中に入ってくる、それからベータ線が体の中に入ってきますけれども、ベータ線は余り体の中に入ってきませんから、悪性腫瘍とかいろいろなことを引き起こさないという影響がその中に入っているので、結局両方とも一になっているわけですけれども、内部被曝の場合はこれは全く違ってくるわけですね。だから、これを同じように適用するというのは科学的ではないということが私の先ほどの説明でもおわかりいただけたと思います。
 ということで、内部被曝についての評価を外部被曝と全く対等に考えていくというやり方は正しくないと思います。そういう研究をきちんとやっていこうとすると、これから福島で起こることと広島、長崎で起こったことをきちんと比べながら評価していくことがこれからますます大事になってくる。ということで、内部被曝については、かなり慎重に科学的に検討していかなきゃいけない、そういうことが今問われているんだというふうに思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 原爆症の認定訴訟の中でもこの内部被曝の問題がなかなか評価をされなかったこと、後からの入市被爆の問題ですとか、そうしたことをずっと議論する中で、先生がきょう紹介された貴重なデータを、本当に遠距離であっても放射性降下物による影響があったんだということがきょう御紹介されたと思いますし、また、そのことと今回の福島の第一原発の被曝との関係を、やはり共通性を見出しながら生かしていくべきだ、そういうお話だったかと思います。
 そこで、先ほど、時間の関係で、途中、一言で終わったと思うんですけれども、レスボス宣言の意義についてもう少し補足していただければと思います。
○沢田参考人 レスボス宣言は、ヨーロッパ放射線リスク委員会というのが一九九八年だったと思いますけれどもスタートして、そして一貫して、国際放射線防護委員会のいろいろな放射線防護の基準というのが内部被曝の影響を十分考慮していないという批判を続けてきました。
 先ほど、私の資料の中に、医学的な疫学調査をやる場合には比較対照群をどこに設定するかというのが極めて重要なんですけれども、放射線影響研究所は、初期放射線を浴びていない遠距離被爆者や入市被爆者を比較対照群にずっと選んできたわけですね。それはおかしいのではないかということを疑問にされて、日本人平均と比較されました。すると、いろいろな、特に放射線の影響が強いと思われるがんの発症率や死亡率が高い、とりわけ発症率が高いということが示されました。しかし、被爆者の死亡率は日本人平均よりも低いということも明らかにされたわけですね。
 ということで、被爆者にそういうがんの発症率が高い、比較対照群にした遠距離被爆者や入市被爆者が日本人に比べてかなり高いということを先ほどの図で示したわけですけれども、そういうことをちゃんと研究しなかった放射線影響研究所の研究では、そういう一番大事な内部被曝の影響というのが抜け落ちてしまっているという問題があるわけですね。
 だから、私が注目して、先ほどから何度も評価しているのは、広島大学の原医研の研究は、広島県民の中の被爆者と広島県民全体を比較するということで研究されています。その中ですごくいろいろな情報がわかってきていますので、それを大いに参考にしていただいて、とりわけ遠距離の被爆者の場合は内部被曝の影響であるということがその中に含まれていますので、そういうことをきちんとして、内部被曝の影響を引き出すという努力を科学者が一致して一生懸命やっていかなきゃいけない、そういうときに今来ているんじゃないかというふうに思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 最後に、児玉参考人に伺いたいと思うんですけれども、まさしく、きょう内部被曝の問題が随分話題になりました。また、遠距離被爆ということも、今、沢田先生が大分指摘をされましたので、そういう観点でずっと除染作業もやっていらっしゃる先生から一言伺いたいと思います。
○児玉参考人 私、放射線取扱者に一九七七年になりまして、一九九五年から放射線取扱主任として除染と規制にかかわっております。
 それで、今まで、科学技術庁告示、平成十二年から我々がやらされていたことを一つだけ御報告しておきます。
 それは、例えば、妊娠可能の女子については、第五条四号で、内部被曝を一ミリシーベルト以下にする、それから第六条第三号、妊娠中である女子の腹部表面については前条第四号に規定する期間につき二ミリシーベルト、これを規制されて、その規制を守るべく三十年やってまいりました。
 ところが、福島原発の事故で、広島原爆の二十個分の放射線がまき散らされた途端に、このような基準がすべてほごにされている。
 先ほど、福島県の議員から、どのようにしたら安心かという御質問がありました。私は、安全に関しては、基準を決めたら、危機になったらそれを変えていく格好ではだめだと思います。今、ことしできないかもしれないけれども、来年までにその基準に持っていく、再来年までにはこうするということがなければ、住民が安心できるわけがないではありませんか。
 そのためには、最初から申し上げているとおり、広島原爆二十個分の、天然にないセシウム137をまき散らした東電と政府の施策を反省し、これを減らすために全力を挙げる以外に、安心できる解決などあり得ないのです。そのことを抜きにして、どこが安全だという議論を幾らやっても、国民は絶対信用しません。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 時間の関係で、今中先生にも聞きたかったんですけれども、申しわけありませんでした。
 しっかりと皆さんの発言を受けとめて、頑張っていきたいと思います。
 きょうは本当にありがとうございました。
○牧委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 ただいまの日本は、第二次大戦の敗北以来の大きな危機にある。震災、津波、そして原子力発電所の事故という中で、国会の役割の重要性、各委員からも多々御指摘いただきました。
 きょう私は、皆さんのお話が大変充実したものであったゆえに、手短ですが、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、明石先生と今中先生に伺います。
 明石先生は、今回の事故以降、非常に早期から、特に原子炉の事態収拾のために働く現場の皆さんの健康管理にも当たっておられる。私ども委員会で来週視察にも参りますが、今最も大切なことは何であるのか。
 私は、実は先々週、Jヴィレッジにも行ってきたんですけれども、一月に三千人くらいの働く労働者が来ておられて、その方たちが果たしてきちんと被曝管理されているのかどうか、正直なところ、私にはちょっと不安がございました。
 そこで、でも事故は収束させねばなりませんし、安全ということとこの収束ということに向けて、今例えば国会は何をなすべきか。今中先生にも、同じような被曝労働者のデータがございますので、御意見を伺いたいと思います。
○明石参考人 まず、現在、原子力発電所の中で働いている人たちの一番重要なことは、当然のことながら、生命と、それから危険から回避できることと、放射線の防護です。
 まず、放射線の防護という観点からお話をしますと、外部被曝については、必ず個人線量計、それから現場での線量管理、空間線量率も含めた管理を徹底するということで、計画的な被曝線量で抑えるということは必要条件であります。
 一方、内部被曝に関しましては、防護、つまり、マスクそれからその他の防護衣を使うことで体内被曝はゼロに近づけるというか、もっと言ってしまえば、ゼロにしなければいけない。そういう管理をできる環境をつくる。つまり、暑くてマスクをつけていられない、それから防護衣を着ていては熱中症を起こすような、そういう環境をできるだけ回避する。
 つまり、労働条件や労働環境を改善する、その二つが、放射線の被曝をできるだけ下げるということの第一歩であるということ。
 それから、間接的には、先ほどお話ししました、もし体の調子が悪くなるような環境が続けば、たとえそんなに高い線量率のところでなくても、そこで倒れてしまえば被曝線量が高くなってしまう。ですから、働ける環境、それから快適に働ける環境をつくる。その二つを徹底することが不可欠であるし、そうでないと、今の事故の収束に向かうためには余計な時間がかかってしまうのではないかというふうに認識をしております。
○今中参考人 今福島の現場で働いている皆さんのことですが、彼らの被曝というのは、今、きょう議論してきました一般住民の方々と違って、彼らの被曝線量は、いわば急性障害が問題になっている線量です。
 ですから、一つの閾値といいますか、大体、我々の常識では、二百五十ミリシーベルトを一度に浴びるということは、ある意味で、血液像なりなんなりに影響が出てくるだろうというレベルの被曝をしているわけですから、私自身思うのは、今あそこで働いている人たちのレジストリーをきっちりとして、何人か、まだよくつかめていないという方もいらっしゃるようなので、特別のレジストリーをつくって彼らの健康状態をきちっと定期的にフォローしていくというのが多分我々の責任だろうと思います。
○阿部委員 ありがとうございます。
 引き続いて、牛のセシウム汚染を初めとして、けさでしたか、腐葉土にもやはりかなり高濃度のセシウムがあるということで、単に牛だけでなく、及ぼす影響は全食品にかかわってきていると思います。また、海への汚染もありますので、今後、魚への汚染ということも避けて通れないと思います。
 その中で、先ほど唐木参考人のお示しいただきました参考資料の中に、例えば牛についてですけれども、全量、全体、全個体検査や抜き取り検査はかなり困難というか不適切であるというような表現でありましたが、これも二週間ほど前、NHKスペシャルでやっておりましたベラルーシでの取り組みは、チェルノブイリ事故、二十五年たっても、各学校で子供たちのミルクや野菜の放射線レベルを点検するということでございました。
 やはり私は、ここまで食品汚染が広がってきた場合には、なるべく口に入る身近なところで検査するという体制、それがどこまで身近にやれるかはまたあると思いますが、そうした考え方に立つことが重要ではないかと思いますが、この点について唐木参考人と、あと、児玉参考人は先ほど、ラインの測定でずっとフォローしていくような技術も我が国の現状においては可能ではないかというふうなお話でしたので、もう少し御披瀝をいただきたい。おのおのお願いいたします。
○唐木参考人 全頭検査ですが、簡単に、簡便に、短時間でできるのであれば、これはやった方がいいと思います。しかし、現実に、検査機器が、私が知っている限りでは、福島では六台しかない、一頭の肉をはかるのに一時間かかるというような状況で全部の検査を始めたら、今やっている野菜そのほかの検査ができなくなってしまう。そういったことも考えて、現実的にはなかなか難しいだろうというのが、現場の人たち、あるいは専門家の意見です。
 これをどうするのかというのは、消費者、あるいは政治が考えていただくことではないかというふうに思っております。
○児玉参考人 今、恐らくやられているのは、かなり旧式なやり方なんですが、ゲルマニウム半導体というので、周囲を六センチぐらいの鉛で遮へいした中に物を置いてやるのがやられています。
 それで、今日は、半導体の検知器というのはかなり多数の種類が改良されておりまして、私が最先端研究支援でやっておりますのはPETという機械でやるのをやっているんですが、PETで検出するときには、内視鏡の先でも検出できるぐらいの感度の高いものを開発しております。
 そういうものを集めていって、今やられているのは、むしろイメージングに欠いている。ですから、ゲルマニウムの半導体というのは、スペクトラムを出して、長いスペクトラムを全部見るんですが、例えばセシウムに絞ってこの線量を見るのであれば、半導体検知器の検出感度が今ずっとよくなっていますから、画像型にすることが簡単にできています。
 例えばその画像型の一つのイメージみたいなのは、米軍から供与されてヘリコプターに乗って地上の汚染をやるのに、今はいろいろなところで、きょうあたりは茨城県をやっていると思いますが、検知器で地上を映すようなものがずっとやられております。
 それで、農産物をたくさんやろうとする場合には、ライン化したところで多数のものをできる仕組みをやらなくてはなりませんから、イメージングの技術を基礎にして半導体を集めたようなもののセンターをたくさんつくって、流れ作業的にたくさんやれるようにして、その中ではねるものをどんどんイメージで、画像上で、これが高いと出たらはねていくような仕組みを、これは既存の技術ですぐできますものですから、そういうものを全力を挙げてやっていただきたいと思っております。これを生産地にかなりのところでつくる必要があると思っています。
○阿部委員 生産地に伺えば、果樹農園などでも同じような要望が出されますので、唐木参考人にもぜひ、学術会議はいろいろな意味で日本の知の集積点、クラスターですから、御尽力をいただきまして、私も、やはりここまで来たら、はかって安心するということを除いては、幾ら基準値をどうこう言っても、本当の意味で日本が元気になれないと思いますので、唐木参考人の果たしておられる役割も大きいと思いますから、また学術会議内でぜひ今のような御提案も御検討いただいて、また政府にも御助言をいただければありがたいと思います。
 引き続いて、いわゆる内部被曝、それも低線量内部被曝についてお伺いいたします。
 ICRPと、それから先ほど沢田先生がおっしゃいましたヨーロッパでのECRRとの主な違いは、この低線量持続被曝をどう考えるかということにあるのではないかと私なりに勉強して思っております。
 実は、これは科学者間の意見の差ではなくてそうした差を埋めていく作業が今必要で、ICRPは、確かに広島とかあるいはネバダ州での核実験の後に急激に広がったある放射線の被害が主で、それが晩発であろうと、そのとき広がったものが後々どうなるかということも含めて調べており、沢田先生がおっしゃったのはそうでなくて、降下物がたくさん広がったチェルノブイリ型ですね。すなわち福島型の場合に、内部被曝、晩発するであろうものをどう考えていくのかという御指摘です。
 私は、これは科学界としては何も国民に投げないで、ちゃんと論議をして、ここまでわかった、ここはこれからというふうにしないと、何だか、お母さんたちに任されて、いや、私は百ミリでいいわ、私は二十ミリよとやるような世界の話ではないと正直言って思うのであります。
 そこで、長瀧先生は、ずっと広島、長崎の問題からチェルノブイリも経て、やはり我が国でこの世界の第一人者であると思います。ICRPの経験を今度どう低線量持続被曝に結びつけていくか、ここについてのお考えと、沢田先生には、本当に御自身の研究にのっとって、特に消化管障害、すなわち下痢などの分布について、ベータ線の障害をきちんと描き出していただいて、本当に貴重な御研究と思います。これを、今度逆に世界に発信していくときに、ある種の知見として、対立を超えて、本当に共有できるために何をすればよいかということで、おのおのお伺いいたします。
○長瀧参考人 最初に、医者の立場と、それから放影研の理事長だったという立場で御報告します。
 内部被曝の知識がないということが何度かここで話題になりましたけれども、我々が核医学として働く分野では、常に内部被曝を患者さんに投与しているわけですね。それも、しかもわかり切った、ちゃんと素性のわかった放射性物質を患者さんに決まった量を投与して何が起こるかということは十分経験がございますので、内部被曝の知識がないというのはちょっと、医者の立場からいうと十分にわかっている。
 例えば131にしましても、私は一九五〇年代から患者さんに投与しておりますし、今のチェルノブイリの子供たちも、がんになった場合に、転移のために何億ベクレル、がんの治療ですから何億ベクレルの沃素131を一度に投与いたします。それでがんの治療にはなりますけれども、それ以外の臨床症状、影響はないということを、やはり一つの知識として、十分我々は内部被曝の知識があるということを申し上げます。
 それから、国際的なといいますのは、原爆の場合はこれしかありませんので、比較的、国際機関としてアクセプトされやすいということもございますけれども、逆に、そういう意味からいうと、いろいろな国際機関からの批判もございまして、今までの五十年間、そういう批判に耐えながらやってきた。また、内部被曝あるいは初期のフォールアウトに関してのデータも、私自身は放影研として、そのときのデータを確実に解釈していると思いますし、またそれを発表して、先ほど申しました国際機関、UNSCEAR等で認められているというふうに思います。
 ですから、さっき国際的にと言うときに、やはり科学的な確実な証拠、だれもが認める、科学者が認める証拠をつくって国際的に発表して、それを国際機関が認めて、国際機関の合意の中に入れるというのが科学者がやるべき仕事、任務であって、いきなり、まだそこまでいかないものを社会に直接、個人のレベルで発表するのは、社会に混乱をもたらすということで心配ではないかなと。これは私自身の意見というよりは、今のこの状況で、社会に対して科学者は非常な責任を持たなければいけない、そういう意味で申し上げます。
○沢田参考人 先ほど内部被曝の問題についてお話ししたんですけれども、内部被曝というのは極めて複雑なものなんですね。原爆だけではなくて今度の場合もそうですけれども、放射性の微粒子が五ミクロンよりも小さければ、鼻毛にひっかからないで肺の肺胞というところまで入ってきます。そして、一ミクロンよりも小さければ、その微粒子は肺胞の壁から血液の中に入ってくるわけです。そのときに、その微粒子がどういう性格の微粒子であるかによって振る舞いが変わってきます。
 その微粒子が水に溶けたり油に溶ける、そういう性質のものですと、分子や原子のレベルまで全部溶解して、血液の循環とともに体の中、全身を回っていくわけですね。特に、沃素なんかですと甲状腺に集まりやすいとか、ストロンチウムなんかだったら骨なんかに集まりやすい、それからセシウムですと筋肉に集まりやすいとか、それぞれの集まりやすい場所に移動していくわけです。そこで集積されます。沃素なんかですと、甲状腺に三〇%はそういう形で集積されるということがわかっているわけです。
 しかし、水に溶けない、そういう性質のものですと、その微粒子の中で多少壊れたりして小さくなる可能性もありますけれども、そういう小さな微粒子でも、一ミクロンでも、その中に何百万個という放射性の原子核が含まれています。それが循環している間に体の中にどこかに沈着しますと、その沈着した周辺の細胞に猛烈な放射線をずっと被曝させ続けて、その周辺の細胞が死ぬるということにつながっていくわけですね。
 これはホットスポット理論とかそういうことで言われているわけですけれども、国際放射線防護委員会は、こういうホットスポットの議論については否定的な見解をずっと持ち続けています。しかし、実際に例えば劣化ウランの、酸化ウランの微粒子が体の中に入ってくると、ウランはすごく半減期が長いですからそれほど影響はないはずですけれども、しかし、かなりその中に大量のウランの原子核が含まれているといろいろな影響を与えるということがだんだん最近になってわかってきています。
 だから、そういうふうに、内部被曝の問題というのはすごく複雑ですから、それを科学的にちゃんと議論していくということを放射線影響の研究者のレベルでやっていかなきゃいけないのが現在の状況ではないかと思うんですけれども、例えば私がそういう論文を書いて投稿しましても、これを認めると学会の中で大混乱が起こるからという政治的な理由で却下されるという状況が続いています。それはだから、これまでの放射線の影響の研究者たちが長い間考えてきた放射性降下物の影響は少ない、内部被曝の影響は少ない、外部被曝とそんなに違わないんだという思い込みはずっとありまして、そこから離れられないという状況が続いているのが現状だと思います。
 ですから、科学者の中で、私が育ってきた分野は素粒子論研究のグループで、湯川秀樹先生とか朝永先生とか坂田先生、そういう方々はすごく民主的で、一介の大学院生でもきちんとした議論をしていればそれに耳を傾けるという姿勢がありました。私は、学会の民主化というのは極めて重要だと思います。
 そういう意味で、この機会に、放射線の影響の研究者たちの学会が民主的にちゃんとそういうものを踏まえて、事実は何かということを国民の前に明らかにしていく、世界人類のために明らかにしていく、そういうことをやっていかなきゃいけない段階に今到達しているんじゃないかなというふうに思います。
○阿部委員 私も、今先生が言っていただいたように、科学は謙虚にあらねばならないと思います。そして、先ほど児玉先生のお話で、チェルノブイリ膀胱炎と呼ばれるものが二十数年たって初めて疫学的にも有意に出てくるということを見ると、やはり、実は甲状腺がんも、子供の場合もそうでしたが、最初は否定されておりましたから、科学はいつも可能性を否定せずにきちんと向き合うと。
 最後に児玉先生に一つお願いしたいと思いますが、アイソトープセンター、これは全国にございますが、今回の除染に活躍させるために何が必要か。お願いします。
○児玉参考人 五月に全国のアイソトープ総合センター会議というのがありまして、そこでいろいろ議論をしていたときに、文科省の放射線規制室の方がおっしゃっていたのは、福島原発由来のRIはRIではないと。我々は国民の健康に責任を持つという仕事をやっているのではなくて、法律に決められた放射線取扱者を規制することが仕事だというふうにおっしゃっていました。
 ある面では私は非常に違和感を感じたんですが、もう一方では、例えば文科省の規制室の方は、従来の法律の規制に従ってやらざるを得ない。それで、高い線量のものが少量あるということに対応した法律体系はありますが、低い線量のものが膨大にあるという、それをどう除染していくかということに関する法律がほとんどなくて、今も汚泥問題その他、すべて問題になっているのはここであります。
 しかしながら、現在の全国のアイソトープ総合センターや何かは旧来の法的規制のままで、例えば先ほどゲルマニウムの機械が足りないというお話がありましたが、そんなものは全国にたくさんあります。ところが、そこへの持ち込み、持ち込んだ廃棄物の引き取り、こういうのが法律的に全くない。だから、今も東大のアイソトープセンターでやっているのは全部違法行為だと申し上げました。この場合には、センター長である私と専任教官と事務主任の上で審査委員会を設けて、内部でチェックして、超法規行為を勝手にやっているというのが現状であります。
 それで、そういう法律を一刻も早く変えて、測定と除染というのにぜひ立ち上がっていただきたい。それなくして親の安心もないし、しかも、先ほどから長瀧先生たちがおっしゃっている原爆型の放射能の常識というのは、これは原発型の常識の場合には全く違います。
 それから、先ほど長瀧先生のおっしゃった一過性に核医学で治療をやるというのも、これも形式が違います。我々、例えば抗体にイットリウムをくっつけて打つと、ゼバリンという医薬がありますが、あれは一過性にもかなりの障害を起こしますが、それでもがん細胞をやっつけるためにいいからやっているということであって、正常者にこれをやることはとても許されない、無理なものであります。
 ですから、私が申し上げたいのは、放射線総量の全体量をいかに減らすか。これは、要するに数十兆円かかるものであり、世界最新鋭の測定技術と最新鋭の除染技術を直ちに始めないと、国の政策として全くおかしなことになるんです。
 今我々がやっている、例えば幼稚園で除染します。除染して高圧洗浄機でやりますと側溝に入ります。側溝をきれいにしています。しかし、その側溝の水はどこへ行くかというと、下流の農業用水になっています。それで、イタイイタイ病のときの経験は、カドミウムの除染を下手にやりますと二次被害を引き起こします。ですから、国の政策として国民の健康を守るためには、総量の問題をまず考えてください。
 緊急避難、一つ、総量の問題、二つ、これをぜひ議論をよろしくお願いします。
○阿部委員 貴重な御意見、ありがとうございます。終わらせていただきます。
○牧委員長 次に、柿澤未途君。
○柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。
 きょうは、六人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 早速質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、長瀧先生にお伺いをいたしたいというふうに思います。また、同じことについて沢田先生と今中先生にもお伺いをすると思いますので、お聞きをいただければと思います。
 長瀧先生は、三月十一日の原発事故の発生以来、官邸直属の原子力災害専門家グループの一員に任命をされていらっしゃいます。四月の十五日に、「チェルノブイリ事故との比較」というペーパーを佐々木放医研の前理事長と連名でお出しになられております。
 きょう長瀧参考人が提出をいただいたペーパーにもそのサマリーのようなものが書いてあるんですけれども、チェルノブイリ事故においては、原発外の周辺住民について、二十七万人は高線量汚染地居住で五十ミリシーベルト被曝、五百万人が低線量汚染地居住で十から二十ミリシーベルト被曝、いずれも放射線に起因する健康影響のエビデンスはない、こういうふうに書いてあって、例外は、汚染されたミルクを飲んだ子供たちだ、こういうことが書いてあるわけです。
 この「チェルノブイリ事故との比較」という四月十五日のペーパーでは、福島の周辺住民の被曝線量は二十ミリシーベルト以下になっているので放射線の影響は起こらない、具体的検証をしてみると福島とチェルノブイリの差異は明らかである、こういうふうに書いておられます。
 要するに、現状の福島の周辺住民の置かれている状況では、チェルノブイリですら健康影響はエビデンスベースドでいえばないのだから、福島もないであろう、こういうことを四月十五日の時点で発表されているわけですが、長瀧先生は、この見解については現時点でも変わっていないということでよろしいでしょうか。
○長瀧参考人 お答えいたします。
 官邸の一言のときには、短かったものですから十分に意を尽くしていなかったということもあるかもしれませんが、後で足しましたように、あれは私が言っているということではなくて、先ほど出しました、二十年目に、八つの国際機関ということを言いましたけれども、WHO、IAEA、UNSCEAR、とにかくあらゆる国際機関と三共和国が一緒になって、そして一冊の本をつくって、それについてみんなが同意して、これが現在の結論であるということについて本を出しました。それについての質疑もございましたし、それから、原発の二十年目のときに、ウクライナの議会でもそれが承認されたということがございます。
 そして、ことしの二月にまたUNSCEARが独立して報告を出しまして、そのときにもまたコンクルージョンが出ておりますので、あの文章はそのコンクルージョンをそのまま日本語に訳したというものでございまして、私自身の意見というよりは、そういう国際的な合意を紹介したということでございます。
○柿澤委員 御答弁ありがとうございました。
 しかし、私が実は問題にしたいと思っているのは、むしろこのペーパーの末尾にあるコメントの部分であります。もう一度申し上げますが、福島の周辺住民の被曝線量は二十ミリシーベルト以下になっているので放射線の影響は起こらない、具体的に検証してみると福島とチェルノブイリとの差異は明らかである、ここの部分については、長瀧先生、佐々木先生両名のコメントであるわけであります。
 特にこのコメントについてなんですけれども、沢田先生、今までさまざまな形で御研究をされてこられた。今回の福島の事例も、いろいろとその専門的見地からごらんになっておられると思います。四月十五日に官邸の直属のチームとしてこういうペーパーを出す、このことについて、果たしていかがなのかなというふうにも私自身は思うんですけれども、沢田先生、今中先生、どうぞ、もし何かお感じになられることがあったらお願いしたいと思います。
○沢田参考人 私は、広島原爆の遠距離の放射性降下物の影響というのは急性症状を発症させるレベルということで、広島ですと約六キロという一番遠いところでも八百ミリシーベルト、長崎では千二百から千三百ミリシーベルトという被曝をしている。ということは、発症率は低いんですけれども、急性症状を発症しているわけですね。
 その線量から考えますと、福島の原発の場合、先ほど、原発の事故を収束させるために働いている労働者の場合は、二百五十ミリシーベルトを超えて五百ミリシーベルトとかそういう被曝をされていますので、私は、急性症状を発症されるかどうかというぎりぎりのところになっているので、すごく心配をしています。
 しかし、水素爆発でずっと広がっていった広い範囲の住民の人たちはそういう急性症状を発症するほどの被曝はしていないと思いますけれども、問題は、これから長い時間たった後に起こってくる晩発性の障害だと思います。
 先ほどからずっと説明がありましたように、晩発性障害は、百ミリシーベルト以下では具体的にエビデンスをはっきりさせるということは難しいわけですけれども、発症のメカニズムからしましても、ほぼ被曝線量に比例して起こる可能性があるということはわかっていますので、その意味では、影響がないというふうに言い切るのは科学的ではないと思っています。
 ですから、晩発性の障害をきちんと考えて、長期的な影響をちゃんとフォローできるような、そういう体制をぜひ早く確立していただきたいなというふうに思っています。
○今中参考人 私自身、チェルノブイリにつきましては、かなり独自の立場で、何十遍も向こうへ行っていろいろ調べてまいりました。
 はっきり申し上げて、チェルノブイリ事故の場合、事故が起きてから二週間の間に何が起きたか、はっきりしたことはいまだにわかりません。これについてはかなり自信を持っております。
 それで、実は、翌日に原発労働者の町のプリピャチというところから五万人避難したんですけれども、三十キロ圏の住民の方は、大体一週間ほったらかして、四月二十六日に事故が起きて、五月二日の段階で避難するという決定が出されています。それから農民の方が牛や豚と一緒に大体一週間ぐらいかけて避難されたわけですから、その間にかなりの被曝を受けておられると思います。
 それで、長瀧先生がチェルノブイリ・フォーラムの報告で、国際的合意で、この人たちの被曝線量は三十三ミリシーベルトと言われていますけれども、私はちょっと、ふうん、そうかな、かなり、もっとでかかったんじゃないかなということを思っています。
 そして、チェルノブイリの周りでいろいろな影響が認められていないということですが、実は、チェルノブイリのそういった避難者については、きちんとした追跡調査がありません。ですから、この事故直後に避難された十二万人の方、これのレジスターをつくって、ちゃんとして、この二十五年間フォローアップしてきましたというものはないわけですから、ないところには影響も見えないということだと思います。あと、ベラルーシ、ウクライナにおいては、汚染地域住民の数の登録はありますけれども、それぞれの線量とか、メディカルのフォローアップとそれを連結させたような評価はほとんどありません。
 私の知り合いなんかは、そういった非常に限られたデータの中から、一応影響はあるよ、汚染の強いゴメリ州では肺がんがふえているよというデータは、私は知っています。だけれども、それが国際的基準に照らしてアクセプトされるようなレベルの研究になっているかというと、いまだ、残念ながらありません。それできょうは、千二百キロ離れたスウェーデンの汚染の疫学調査、百万人規模の十年間の追跡調査で、これはかなり、疫学としては非常にすぐれたものだと思っています。ただ、これが因果関係があるかどうかについては、私たちは、本人ともいまだに議論をしている段階です。
 ですから、きちんとした調査のないところには影響は観察されないんだというふうに私は申し上げておきたいと思います。
○柿澤委員 児玉参考人から挙手をいただいておりますが、ちょっと時間の関係もありますので。
 では、児玉参考人、もしよかったら。
○児玉参考人 今の御質問を聞いていて、私、思いましたのは、二十ミリシーベルトを超える被曝が既に起こっている方がたくさんいるということを確認したかったのかと思ったのですが。(柿澤委員「いや、そうではないです」と呼ぶ)そうではなくて。済みません。
○柿澤委員 大変失礼いたしました。
 次の質問に移ります。
 きょうは、今中参考人、私が御推薦を申し上げて、参考人としてお見えをいただきました。その心は、今中先生の論文で、チェルノブイリ事故を受けてウクライナやベラルーシがとったさまざまな措置について詳細な論文を書かれている。私は、やはりこのチェルノブイリのケーススタディーが今回の福島においても十分生かされるべきであるというふうに思いますし、その点について、十分生かされているというふうに思えない部分もある、そういうふうに感じているからであります。
 先ほど以来、食品の暫定規制値についての言及がありましたが、今中先生の論文にも言及をされておられますけれども、九七年にウクライナの保健省が、食品と飲用品の中のセシウム137の許容濃度というものを、内部被曝の数値を考慮して決め直しています。これは食べ物によって非常に詳細に決められていて、例えばセシウム137ですけれども、パンだったらキログラム当たり二十ベクレル、野菜だと四十、果物七十、肉二百、魚百五十、ミルク百、卵六、幼児用の食品は四十、こういう形で非常に事細かに、食品の摂取量等に応じてでしょうけれども、許容濃度というものが決められている。一方で、日本の今の暫定規制値は、飲用品、乳製品は二百、野菜、肉、魚、卵、食べるものは何でも五百、こういう数字になっているわけです。
 この数字については、国際的な政府間機関のコーデックス委員会がやっているセシウムの一千ベクレル・パー・キログラムというのと比べれば厳し過ぎる、こういうふうにおっしゃる方もいる。一方で、このウクライナの基準からすれば、余りに大ざっぱで余りに甘過ぎるんじゃないか、こういうふうに言う方もいるわけです。厳し過ぎると言う人と甘過ぎると言う人がいて、どう評価したらいいかわからないというのは、一般国民からすれば当然のことだというふうに思いますが、本来、日本はどれに準拠するのが妥当であると考えるのか、今中参考人、そして、この問題については先ほども御答弁をいろいろお聞きしていましたので、唐木先生にもあわせてお伺いをしたいと思います。
○今中参考人 ちょっとその前に、私の前のコメントにつきましては、「チェルノブイリ事故の「死者の数」と想像力」ということでお手元の方には補足の資料をつけていますので、また時間があったら拝見してください。
 今、チェルノブイリの、ウクライナの食品基準についての御質問だと思いますけれども、チェルノブイリ事故が起きたのは八六年です。そして、その周辺に大規模な汚染があるぞというのが明るみに出たのが八九年のことです。それから規制値をどうするかというので、いろいろな議論が行われました。それで、九一年の終わりにソビエトがつぶれて、それぞれ、各共和国が責任を持つということになったんですけれども、結局、ウクライナが今採用している値、ベラルーシもそうですけれども、いわゆる年間一ミリシーベルトという被曝が基本になって出てきているものだと思います。
 何せ、汚染地帯というのはすべての食品が汚染されているものだという立場に立って、それぞれの食品に割り振っていく。その食生活を考えながら、どれくらいの濃度にしたかということだと思います。
 一方、食品暫定基準というのは、唐木先生の方からお話がありましたけれども、一応、年五ミリシーベルトということで食品に割り振っているということで、ですから、日本国の方が大体それに応じて大きくなっているんだろうと思います。
 あと、コーデックスについてはよく承知をしていませんが、これは食品の輸入取引に関する基準と関係しているのではないかと思いますけれども、そういった場合には、食品全体ではありませんから、輸入食品というのは我々の食生活の中のごく一部を食べるわけですから、大分考え方が違っているんだろうと思います。
 ですから、私の基本的な考え方は、基準というわけではなくて、目安の被曝としては、私は、この間、原子力なり放射線医学なり、ずっと五十年六十年、積み重ねた中で、一般公衆の年間被曝として一ミリシーベルトという値が出てきているわけですから、そこを一つの目安として考えていくべきだろうというふうに思います。
○唐木参考人 平常時一ミリシーベルト、これは守るべきだろうと思います。しかし、今は緊急時です。先ほどから申し上げておりますように、緊急時に一ミリシーベルトを守ろうと思ったら、福島県だけではなくて、もっと広い地域の人を全員避難させることにもなりかねない。そこで、どちらのリスクが大きいのか、これをきちんと評価をして、基準値を決める。これは緊急時です。それで、速やかに平常時に戻すように努力をする。これがICRPの考え方であり、食品の五ミリシーベルトというのも、平常時で五ミリシーベルト、これは考えられない数字ですが、今の緊急時であるから五ミリシーベルトということです。
 しかも、その中の五百ベクレルあるいは何十ベクレルというのは、安全と危険の境目ではないというのは何度も申し上げました。これは、行政が何かの対策を講ずる、その目安であるということです。ですから、それ自体が上か下かでどちらが厳しいという、こういう議論にはならないだろうというふうに思っております。
 以上です。
○柿澤委員 ありがとうございました。
 周辺住民の内部被曝を含めた健康調査についてですが、先日初めて、浪江町における百二十二人の調査の結果が明石先生によって公表されて、尿検査によって放射性セシウムが検出された方もいたけれども、影響としては、非常に、影響が出るレベルよりもずっと低い数値だったというお話がありました。
 しかし、これを受けてNHKが報道していましたが、実際に検査を受けた方のコメントが、やはりこれを聞いても安心できない、こういう話があったと思います。やはり、三カ月以上経過をして調査をしても、結局は、本当のところ、わからないんじゃないのか、もっとうがった見方をすると、そういう意味で、ある程度体外に排出をされるというところが済んでからこの健康調査が始められたということについて、うがった見方すらされてしまっているような状況があるわけです。
 明石先生にお伺いをしたいんですけれども、こういうふうに相当量の内部被曝をしてしまった場合、これを事後的にリスク低減する方法があるのかないのか、ないとすれば、やはり実態を速やかにつかんでおくべきだったのではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。お伺いします。
○明石参考人 御指摘のとおり、検査を受けた方々が一〇〇%納得、安心をされていないという点は事実でございます。その一つの理由は、今先生御指摘のように、時期が遅かった、それでもう体の中の半減期を超えてしまって検出できないのではないかというふうに思われた方がいたことは事実であります。それも先ほどお話しさせていただきましたように、確かに遅かったという点は事実で、より早くもしこれが行われていれば、今回の検査の結果でより納得、安心させることができただろうというふうに、今は多少悔やまれるところもあります。
 それからもう一点でございますが、セシウムが体の中に入ってしまったときに、実は、行う治療があります。プルシアンブルーといって、色素をベースにした飲み薬でありますが、セシウムは一たん体の中に入るとカリウムと同じで非常に吸収が早く、吸収されると全身に分布する。その後に、再分泌といって、もう一回消化管の中に出てまいります。それをまた吸収するというある種のサイクルをつくります。その際に、プルシアンブルーという、現在日本では医薬品として認可をされておりますが、そのカプセルを飲んでおくと、消化管に再分泌されたときにそのプルシアンブルーがセシウムを吸着して再吸収を抑えるという薬がございます。
 現在、私どもが知っている限りにおいては、治療をするようなレベルの汚染がないという認識で、治療をする対象はないと思っておりますが、万が一、非常に高い線量になる、明らかに体内にセシウムが多くなる、健康影響が出るというレベルに判断した場合には、投与することを考えております。
○柿澤委員 最後に、一点だけ児玉参考人にお伺いをしたいと思います。
 細野原発担当大臣が、もう既に、避難区域の解除と帰宅ということを就任早々おっしゃられて、今度無人ヘリを飛ばして現地の調査を行って、場合によっては早期に解除して住民に帰ってもらおう、こういう話が出てきています。
 しかし、チェルノブイリの強制移住レベルを上回るような高濃度の汚染地域が東京二十三区全体を上回る八百平方キロに広がっている中で、今の状況でこの避難区域を解除するということが正当化され得るのかということを児玉参考人に御見解としてお伺いをして、終わりたいと思います。
○児玉参考人 まず、二十キロ―三十キロの地域というのは非常にまだら状になっています。それで、私が一番よく存じております南相馬の場合ですと、南北ではなくて東西に線量が違います。飯舘村に近い方は二十ミリシーベルト以上で、現在避難が開始されている地域。こちらの方は、海側の方は、それよりもずっと線量が低いところがあります。それで、こうした場合には自治体が判断した方が、今は二十キロ―三十キロ圏は、病院は休診、学校は休校ということが一応指示となっております。それを、学校を開いて、一番低い線量のところで子供が授業ができるようにするとか、そういう判断はやはり自治体の判断でできるようにした方がいいと思います。
 ですから、今の線引きの問題という話よりも、実際にいかに子供の被曝を減らしたり地域を復興していくかという問題がまず一個あります。
 ただ、そこでもう一つの問題は、地元で聞きますと、商工会や何かから、今は強制避難ですから補償が出ています。だけれども、避難区域が解除されたら補償がなくなってしまうということで、実際に私が南相馬へ行っている間も、住民の中で非常に大きな意見の違いが生まれていて、見ていてとてもいたたまれない思いがいたしました。
 それで、ぜひ避難の問題とそれから補償の問題を分けて、先ほどおっしゃった避難の解除というのは、要するに、どういう問題があるかというと、高い線量のところは除染しないと非常に危険です。それで、今そういう問題になっているのは主に年二十ミリシーベルト以上の被曝を受けてしまう地域であると思いますから、そこに関しては引き続き強制的な避難が必要であると思っていますし、ここの地域をどう除染していくかということは、東電なり、我々科学者なり、日本政府がとてつもない十字架を背負っていると思います。
 そのことを住民の判断だけに押しつけるのはとても難しい問題があると思っておりまして、二十ミリシーベルト以上の地域に関しては、やはりぜひとも国で、ここの避難している人たちの生活の保障と、それから、除染の努力をどのように進めるかという見通しを本当に必死に考えないといけないと思っています。
 それで、二十キロから三十キロという現状の同心円がそれを正確に示しているかというと、今はそうではなくて、むしろ地域復興の妨げになっている面がありますから、地元自治体との相談の上で、そこの地域のさまざまな行政、生活上の問題に関しては、子供やお母さんが一番安心できるようなものにするということを一刻も早くやっていただきたい。
 細野大臣は、ある面ではそういう意見を反映している面があると思います。もう一方では、それを補償問題とどういうふうに結びつけるかという議論がないと、やはりこれはもう一方で非常に大変な問題が生まれてしまいますので、今は、強制避難でないと補償しないとか、住民が被害を立証できないと補償しないという格好はもうまずいのではないかというふうに私は思っております。
○柿澤委員 終わります。ありがとうございました。
○牧委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 次回は、来る二十九日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十一分散会