第177回国会 東日本大震災復興特別委員会 第14号
平成二十三年七月二十日(水曜日)
    午後五時一分開議
 出席委員
   委員長 黄川田 徹君
   理事 柿沼 正明君 理事 後藤  斎君
   理事 橋本 清仁君 理事 藤村  修君
   理事 三日月大造君 理事 谷  公一君
   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君
      井戸まさえ君    石津 政雄君
      石原洋三郎君    石山 敬貴君
      磯谷香代子君    太田 和美君
      梶原 康弘君    川口  博君
      菊池長右ェ門君    京野 公子君
      熊谷 貞俊君    郡  和子君
      斉藤  進君   斎藤やすのり君
      階   猛君    高井 美穂君
      高邑  勉君    富岡 芳忠君
      中野渡詔子君    長尾  敬君
      畑  浩治君    村越 祐民君
      谷田川 元君    若井 康彦君
      鷲尾英一郎君    秋葉 賢也君
      井上 信治君    伊東 良孝君
      小里 泰弘君    小野寺五典君
      加藤 勝信君    梶山 弘志君
      吉野 正芳君    斉藤 鉄夫君
      高橋千鶴子君    吉井 英勝君
      服部 良一君    吉泉 秀男君
      柿澤 未途君    下地 幹郎君
      園田 博之君
    …………………………………
   参議院議員        佐藤 正久君
   参議院議員        礒崎 陽輔君
   参議院議員        小熊 慎司君
   参議院議員        荒井 広幸君
   総務大臣         片山 善博君
   文部科学大臣       高木 義明君
   厚生労働大臣       細川 律夫君
   農林水産大臣       鹿野 道彦君
   経済産業大臣
   国務大臣
   (原子力経済被害担当)  海江田万里君
   国土交通大臣       大畠 章宏君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     枝野 幸男君
   外務副大臣        伴野  豊君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 武藤 義哉君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 細野 哲弘君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君
   参考人
   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君
   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月二十日
 辞任         補欠選任
  川口  博君     京野 公子君
  近藤 洋介君     磯谷香代子君
  階   猛君     熊谷 貞俊君
  長島 忠美君     伊東 良孝君
  高橋千鶴子君     吉井 英勝君
  吉泉 秀男君     服部 良一君
同日
 辞任         補欠選任
  磯谷香代子君     近藤 洋介君
  京野 公子君     川口  博君
  熊谷 貞俊君     井戸まさえ君
  伊東 良孝君     長島 忠美君
  吉井 英勝君     高橋千鶴子君
  服部 良一君     吉泉 秀男君
同日
 辞任         補欠選任
  井戸まさえ君     階   猛君
    ―――――――――――――
七月十九日
 平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案(参議院提出、参法第九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案(参議院提出、参法第九号)
 原子力損害賠償支援機構法案(内閣提出第八四号)
     ――――◇―――――
○黄川田委員長 これより会議を開きます。
 参議院提出、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案を議題といたします。
 発議者から趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員佐藤正久君。
    ―――――――――――――
 平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○佐藤(正)参議院議員 ただいま議題となりました平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案につきまして、発議者を代表して、その提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電施設の事故は、発生から三カ月以上過ぎた現在も、いまだ終息の兆しは見えておりません。原発から放出された膨大な量の放射性物質により、原発周辺の市町村の方々は、理不尽にも故郷を追われ、放射能による健康被害の危険性におびえながら、長期間にわたる避難生活を余儀なくされております。
 また、広範囲にまき散らされた放射性物質により汚染された農作物や水産物の出荷制限、あるいは避難指示等による企業活動の停止など、その影響は福島県のみならず周辺各県も含めた広い範囲に及んでおります。
 これらの方々に対しましては、東京電力株式会社より仮払い補償金の支払いが進められているところでありますが、対象が限定されていること、金額についても被害者等が置かれた苦しい立場を反映したものとなっていないこと等の理由から、現在行われている仮払い補償金の支払いは、被害者の迅速かつ適正な救済という視点が不十分と言わざるを得ません。
 このような現状にかんがみ、当該被害に係る対策に関し国が果たすべき役割を踏まえ、国が被害者に仮払金を支払うとともに、応急対策に関する事業に要する経費を支弁するため、地方公共団体が設ける基金について国が補助する本法律案を、思いを同じくする同僚議員とともに提出した次第であります。
 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、平成二十三年原子力事故による損害であって原子力事業者が原子力損害の賠償に関する法律の規定により賠償の責めに任ずべきものを特定原子力損害としております。
 第二に、国は、この法律の定めるところにより、特定原子力損害であって政令で定めるものを受けた者に対し、当該特定原子力損害をてん補するためのものとして、仮払金を支払うものとしております。
 第三に、仮払金の支払い手続について定めております。
 仮払金の支払いを受けようとする者は、文部科学大臣にこれを請求しなければならないものとしておりますが、仮払金の支払いに関する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができるものとし、さらに、支払いの決定を除く仮払金の支払いに関する事務の一部は、その事務を行うのにふさわしい者として政令で定める者に委託することができるものとしております。
 なお、都道府県知事が当該事務を処理し、またはその委託を行う場合には、国が必要な支援等を行うものとしております。
 第四に、損害賠償との調整及び代位について定めております。
 特定原子力損害を受けた者が当該特定原子力損害の賠償等を受けたときは、その価額の限度において、仮払金を支払わないものとしております。また、国は、仮払金を支払ったときは、その額の限度において、当該仮払金の支払いを受けた者が有する特定原子力損害の賠償請求権を取得するものとし、その場合に、国は、速やかに当該損害賠償請求権を行使するものとしております。
 第五に、仮払金の返還、不正利得の徴収、仮払金の支払いを受ける権利の保護等、仮払金に関する諸規定を整備しております。
 第六に、原子力被害応急対策基金について定めております。
 地方公共団体が、平成二十三年原子力事故による被害について原子力災害対策特別措置法等の規定に基づいて行う応急の対策に関する事業及び特別会計に関する法律に定める財政上の措置の対象となり得る経済社会または住民の生活への平成二十三年原子力事故による影響の防止または緩和等を図るために行う応急の対策に関する事業に要する経費の全部または一部を支弁するため、原子力被害応急対策基金を設ける場合には、国は、予算の範囲内において、その財源に充てるために必要な資金の全部または一部を当該地方公共団体に対して補助することができるものとしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行することとするほか、財源の確保に資するため国の資産の活用等に努めるものとすること及び原子力損害の賠償に関する制度について速やかな検討が行われるものとすること等について規定しております。
 以上が、この法律案の提案の趣旨及び内容の概要であります。
 委員各位におかれましては、御審議の上、速やかに御賛同いただき、一日も早く、今回の事故により被害に苦しんでおられる皆様方の生活を安定させるための手助けとなりますよう、御協力をお願い申し上げます。(拍手)
○黄川田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
○黄川田委員長 次に、内閣提出、原子力損害賠償支援機構法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として外務省大臣官房審議官武藤義哉君、資源エネルギー庁長官細野哲弘君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○黄川田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。
○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。よろしくお願いいたします。
 実は、昨日午前中、東京の食肉市場に行きまして、ちょうど福島、宮城それから三重等の牛が上場されるので、その枝肉をずっと見ておりました。
 実は、冒頭上場されましたのが福島の枝肉であります。これは、セシウムの検査をして、これは大丈夫だというお墨つきが出た牛の上場だったんですが、Aの5等級、一番いい等級です。通常、恐らく一キロ当たり二千七、八百円から三千円ぐらいするような非常にいい牛なんですが、その福島の牛で、検査をしたにもかかわらず、Aの5が二頭ありまして、一頭は五百円、もう一頭は四百円。
 なぜ切りのいい値段かというと、だれも値段をつけない。当初、千二百円でだれも入札しない。それから、千円にしてもしない。九百円にしてもしない。八百円にしてもしない。ずっと下がっていって、一番最後、四百円で、じいっと、だれもしない中で、恐らくかわいそうだと思ったんでしょう、入札をぽんと入れるということです。
 この一頭は約五百キロぐらいでしたから、計算しますと、四百円の五百キロ、二十万です。素牛、牛のもともとの原価が三十五、六万ということになりますから、恐らくこれでは全く採算が合わない、そういうところがどんどん続いております。実は、この福島だけではなくて、宮城も千円の値段がなかなかつかない。東日本全体に同じような状況、あるいは新潟も同じような状況でありました。
 本当に市場にいてつらくなるような、そういう場に立ち会った中で、なぜこんなことが起きているんだろう、なぜ、津波の被害で苦しんでいるこの東北の地域の、そして、地震だけで何とか被災を免れた内陸部の畜産農家が、今度は原子力の被害でさらに苦しむことになるんだろう、この憤りを大変強くいたしました。
 きょうは、初めにこのことについて少しお伺いをしたいと思います。
 今回のこの状況が出た最大の原因は、実は春上げの稲わらということが後でわかってまいりました。
 まず、農林大臣にお伺いしますが、この稲わらについて、政府としては、牧草と同じようなセシウムを含めた放射能の検査ということを指示されたでしょうか。
○鹿野国務大臣 三月の十九日でございますけれども、三月十一日の大震災発生以後、適正な家畜の飼養管理を行うように、また技術指導通知を発出いたしました。そして、関係団体に対しましても情報を提供させていただいたということでございます。
○小野寺委員 きょう、皆さんのお手元に「畜産農家の皆様へ」という資料一枚紙をお配りしました。これは、政府が三月二十一日にホームページで載せて、一部、各役所に配付したという資料であります。
 この原本が三月十九日の通達ということになりますが、これを読んでいただいて、例えば、「飼料」「家畜に放射性物質がかかった牧草、乾草、サイレージなどの飼料を与えることがないように、」というふうに書いてあります。私、これを何度見ても何度見ても、この中に稲わらという文章は実は一行も入っておりません。
 そして、もう一つ感じますのは、もし政府が稲わらということを想定したのであれば、当然、牧草ではセシウム検査を行って、例えば、宮城のこの地区の牧草には出ているから牧草は気をつけてくださいねと、実は、検査した後、その都度いろいろな指示も出しております。ですが、最終的に、稲わらの検査というのは、実は農水省は行いませんでした。結果として、ここにも稲わらという言葉は書いていない、そしてまた、今回、稲わらについては検査も行っていなかった。
 私は、当初からこの稲わら、特に春上げの稲わらというのがえさに使われていることを農水省は想定していなかったんじゃないか、そう思うんですが、いかがでしょうか。
○鹿野国務大臣 今委員から御指摘のとおりに、稲わらの生産というのは大体秋口で、このようなことでございまして、春においてというふうなことに、生産されるということは考えていなかったというふうなこともあるものと思っております。
○小野寺委員 私も若干同情するところがあります。というのは、実は、同じ東北でも、太平洋側と日本海側では気候が違います。日本海側では、春に稲わらを上げるということは、当然、冬の時期のさまざまな湿潤の気候もありますから、余り想定をされていない。太平洋沿岸では、きょう委員長もいらっしゃいますが、年によっては、実は、春の稲わら、乾燥した稲わらを春上げて使うことがかなり多くなっております。
 そういう意味で、今回、この春上げる稲わらがえさになるということを想定していなかった。これはやはり、さまざまな事情があるにしても、私は政府の落ち度だというふうに思っております。
 ですから、今回、この一連の状況を見てまず政府に感じていただきたいのは、決して農家が悪いわけではないんです。これを給餌した、あるいはこれを流通させた農家が悪いんではなくて、農家自身が実はこういうことが想定できていなかった。そして、その大もとは、やはり稲わらについてもしっかり検査をしていなかった政府の責任があるんではないか、私はそう思っております。
 さて、これは三月二十一日に出た資料なんですが、三月二十一日は、この東北三県では一体何が起きていたか。きょうは同僚の地元議員もいらっしゃいますが、このときには、まだ被災が起きて間もない時期であります。ですから、私どももそうですが、もちろん電気も水道も、ガスもそうです、役所の機能も全く機能していない。そういう中で、例えば、さまざまな通知を国が県庁に出したとしても、県庁から出先機関に行っても、出先機関がもうない状況になっています。また、ホームページにアップされても、私のところでも、恐らく東北の各地域でもそうですが、電気が通じるなんというのは相当後のことで、ホームページを見られるなんというのは夢のまた夢のような状況になります。
 ですから、さまざまなこういう通達が実は被災地にはとても届かなかったということも現実でありますので、今回のさまざまな問題、特に、この汚染わらを使ったセシウム被害の牛肉については国が全面的に前に出て対応するということをぜひお願いしたいと思っております。
 きょうは、総理のかわりに官房長官においでいただいておりますので、ぜひ政府一丸となってこの問題に対して対応するということをお伺いしたいと思います。
○枝野国務大臣 委員御指摘のとおり、今回の件は、畜産農家の皆さんであるとか、あるいは稲わらの生産者の皆さんの落ち度ではなくて、原発事故とそれから政府としての周知が結果的に十分でなかったということに起因をしているというふうに思っておりますので、政府を挙げて、畜産農家の皆さんを初めとして、関係者の皆さんの損害が早急に補てんをされるように、そしてまた東北地方の牛肉が安心できるものだけがしっかりと市場に流通するように、農林水産大臣中心に全力を挙げて取り組んでまいります。
○小野寺委員 特にもう一つ懸念されるのは、今、福島の牛については出荷制限ということで出荷ができないということになりますが、その他の地域については出荷自粛、自主規制ということになっています。ですが、現実に、市場に行っても、例えば宮城もそうですが、稲わらがたまたま流通した県の牛に関しては、これはもう上場しても値段がつかないような状況になっている。ですから、結果的に、自主規制という名前になっていますが、出荷制限と同じような状況になっています。
 この原因は、もちろん今回の東京電力、福島の原発の問題にありますが、最終的にこの補償というのを、これが東電の対応になるのか、あるいは政府が対応するのか。やはり農家の方々は、一体どこがこの補償を最後は受けてくれるのか。そしてまた、今回自主規制という形になっています、あるいは、今後さらに、今は牛肉の値段が下落しておりますので、本来汚染の牛ということの対象にならないところでもさまざまな風評被害が起きてくると思いますが、この補償の受け皿はどこになるか。
 きょうは経産大臣と文科大臣に来ていただいていますので、どちらでもよろしいので、どこが最終的な補償の対象になるか、教えていただければと思います。
○海江田国務大臣 小野寺委員にお答えいたします。私、経産大臣という肩書と同時に、経済被害の特命の国務大臣でございますので、その立場でお答えをしたいと思います。
 今委員御指摘のように、出荷制限を受けたものは当然でありますが損害賠償、それ以外にも、風評被害その他の損害ということで、これは具体的には文科省の所掌でございます審査会で、特に今月中に中間報告が行われるということでございますので、そこではっきりとした方針が出るかと思いますが、私は、今、小野寺委員からの御説明を聞いておりまして、それから官房長官のお話もございまして、これは当然のことながら、やはり得べかりし利益からの損失と申しますか、これが損害賠償の対象になろうかと思いますから、今の法律のたてつけでは東京電力がまずその損害金に対して支給をするということでございますが、これが早目に行われるよう、私どもからも督促をしていきたいと思っております。
○高木国務大臣 小野寺委員にお答えをいたします。
 今、海江田大臣が申されたとおりでございます。いわゆる賠償紛争審査会については、とにかく可能な限り被害者の救済を求めて、今できるものから、そういう指針の策定をしてきたところでございまして、今回御指摘の点については、まず、七月十九日までに、政府による福島県産の肉牛の出荷制限指示、また、福島県や宮城県などによる稲わらの給与の自粛要請、あるいは、福島県や宮城県等による当該稲わらを給与した牛の出荷自粛要請、こういうことがなされたと承知をいたしております。
 こういうものでありますので、これまでは、いわゆる政府による出荷制限指示等の対象となった肉牛等に係る損害、あるいはまた、出荷制限指示等以前に出荷されたものの買い控え等による肉牛価格の下落があったときのいわゆる風評被害が賠償の対象と認められております。これまでの指針で対象になっていない被害についても、国会の御議論も踏まえながら、賠償紛争審査会において早急に検討が進められるものと思っております。
 できるだけ早く損害の範囲の全体像を示していただきたい、このように考えております。
○小野寺委員 今、仮払いのお話、この委員会の方に上程されましたが、実際、畜産農家の方は、もともと経営が決して潤沢ではない、零細な方が多い、そういう農家です。そして、牛は一日一日えさを食べることになります。そしてまた、ここで出荷ができないということになると、全く収入がない、そして、えさは食べさせなければいけない、今まで農協等に支払いを猶予していただいたものの返済もどんどん迫ってくる、そういう中で、実は農家は、一日一日本当にやせ細っていく、そういう思いで今この対応を待っております。
 ですから、例えば東電にいろいろな請求をするとか、そういうことをとても待っていられない。そこで最終的な被害の額が決まるまでに、実は私どもの地元では、きしゃまってしまうと言うんですが、農家がもう倒れてしまう、そういう状況になります。
 東電の請求以前に、ぜひ国として、まずこの福島、そして今回の稲わらを含めたさまざまな汚染牛の問題で被害を受けている地域、出荷できない地域、こういうところに、まず資金面ですぐ対応する、手当てをするということをお願いしたいんですが、そのような手当てはありますでしょうか。
○鹿野国務大臣 当面の一つといたしまして、償還の猶予とか、あるいは支払いの猶予とか、あるいは、えさメーカーに対して、えさ代の猶予をしてもらうように、こういうふうな要請をまずしたところでございますが、今、小野寺委員から言われた、この賠償が行われるまでの間ということになってまいりますと、肥育経営の支援事業、いわゆるマル緊事業というふうなものがあるわけでございますけれども、これは過去におきましてもいろいろなところで活用されたということもございます。
 そういう中で、今後、このようなことも含めて、過去の例等々も参考にしながら、具体的な策につきまして詰めてまいりたいと思っておるところでございます。
○小野寺委員 例えば、いろいろな支払いがとまったとしても、農家は牛を売って、そして生活の糧にしています。ですから、売れないということは、生活が成り立たない、生活の糧が成り立たない。子供の教育費も払うことができないし、じいちゃん、ばあちゃんにお金を渡すこともできない、食費にも困る、こういう状況が現実にこれからどんどん起きてまいります。仮に農協から借金の取り立てがないとしても、日々の生活ができない。私は、こういうときに、速やかな、さまざまな制度を総動員して対応していただきたい。
 特に、今農林大臣の方からお話があったのはマル緊事業というお話でした。マル緊事業は、実は、全国の平均の牛の値段、これが下がったときに発動します。今回悩ましいのは、実は、西日本とか北海道とか、こういうしっかり生産されているところの牛の値段はちゃんと高値を維持しております。下がっているのは、東日本、特に福島やその隣県でたまたま稲わらが流通した場所、ここだけががくっと下がっている。ですから、全国平均で見たら、平均値は余り下がっているわけじゃない。特定の地域が下がっている。そして、この下がった理由は農家の問題ではないんです。ひとえに原発の問題。
 ですから、今までのマル緊制度ではなくて、それを乗り越えた、例えば、以前、BSEのときに同じような問題が起きました。そして、全国平均の基準ではなくて、個々の農家の、どれだけ生産費がかかって、そして幾らで売れたのか、その差額について、しかも、翌月払いでマル緊事業を行いました。このような対応を今回とれるかどうか、改めてお伺いしたいと思います。
○鹿野国務大臣 きのうも小野寺委員から、直接、市場の動きというものをお知らせいただきました。非常に深刻な事態にあるということを受けて、今、農林水産省といたしましても、具体的な施策ということはどうあるべきかというふうなことを詰めておるところでございます。
 今お話しになりました通称マル緊事業、肥育牛の経営の支援事業ということでございますけれども、これは全国平均というふうなことで八割、こういうことでありますから、やはり価格が一方的に下がっておる福島というふうなものになってきますと、福島県の畜産農家の具体的な施策につながらないというようなこともございまして、そういうことから、私、先ほど申し上げますとおりに、過去の例というふうなもの、過去にどういう施策がとられたかということも参考にしながら詰めさせていただきたいと思っているところでございます。
○小野寺委員 それから、マル緊事業といいますと農水省の事業になりますが、本来は、東京電力に由来するということであれば、東電が仮払いという形でも、とにかく農家の方に、とりあえずまずこのぐらいのお金を使っていただいて支えていくということが本筋だと思っています。精神的なダメージも大変大きい、そして、今出荷制限されているということは、日々育っていく牛、あるいは、この牛が本当に流通するんだろうか、そういう思いで今おります。
 ぜひ、この請求についても、今、住宅再建でさまざまな仮払いを東電はしています、一時金というのを出しています、そういう検討を東電にもしていただくように、ぜひ海江田大臣の方から、検討いただくようにお願いできないでしょうか。
○海江田国務大臣 その点は、私から、なるべく早く東電が仮払いを行うようにということで、東電にしっかりとお話をしたいと思います。
 それから、先ほどの答弁で、得べかりし利益との差額というようなお話をしましたけれども、これは、どこの金額がその損失につながるかということは、やはりこれは審査会などの判断を待ちたいと思っておりますが、ただ、先ほど来答弁がありますように、本当にこれは大変深刻な事態ですので、なるべく早くということは私から伝えたいと思います。
○小野寺委員 例えば、ある農家の牛の評価というのは、出荷した市場がずっと過去のデータをとっています。ですから、過去三年、四年の、例えば○○さんという方の牛で、出荷したときにAの5等級だったのか、Aの4等級だったのか、過去のその方個人個人のデータというのが実は市場の落札価格であります。それを一つの基準にするということも私は有効だと思っています。
 また、今回悩ましいのは、生産者も困っているんですが、流通業者の方も大変困っています。と申しますのは、例えば、今回、市場で落札をして肉にしました、そしてその一部を流通して、既に一部流通ルートに乗っています、在庫も抱えています。ですが、今回のこの汚染牛の問題が出て、全くこの牛が外に出なくなった、あるいは、逆に返品がどんどん来ている。今これを抱えている、この負の在庫を抱えているのは流通業者の方々です。
 BSEの対策のときには、この流通業者が抱えている、当時はBSEの感染牛の疑いがあるもの、今回は汚染牛の可能性があるもの、このものを全頭国が買い上げて処理をしたということがございます。
 私は、この流通業者の人が抱えている牛、これをやはり何とかしなければ、最終的には市場の回復、市況の回復にはならない、そう思っています。この流通業者の抱えている汚染牛の在庫について、どのような対応をお考えでしょうか。
○鹿野国務大臣 かつて、今お話しのとおりに、BSEの対策として国が買い上げたというような事例等々、過去にどういうような方策がとられたか、これまた参考にさせていただきながら、具体的な形でどういう方法があるか、そして具体的にどういう政策を行うことができるか、こういうことで詰めさせていただきたいと思っております。
○小野寺委員 さて、先ほど来、汚染わらのお話をしておりますが、実は今、当然、この汚染わらについては一つ一つさまざまなチェックをしております。
 そして、今回、わらからセシウムが出た、放射能が出たというのは、事前にどなたかが調査して見つけたのではなくて、冒頭、福島産の牛肉、肉の方からセシウムが出て、その原因は何かなと調べていったら、実はわらに多く含まれていた。そして、わらに多く含まれているということを報道で知った宮城の農家の方が自主的に、うちのわらは大丈夫なんだろうか、そう県に持ちかけて、そして、それが、調べてみたら高い濃度が出たということで、決してこれは県とか国が調査して出た話じゃなくて、農家からむしろ自主的に出た話だったんです。
 ですから、例えば、宮城県でも県北の三カ所から当初出ました。ということは、実は宮城県全県下で調査しているわけではないんです。通常考えると、福島から一番遠い県北で出たのであれば、当然、その途中にある、県の中央とか県南、福島に近い方はもっと出るのではないか。あるいは、県北というのは岩手との県境にもなります。もしかしたら、これはもうちょっと範囲が広いのではないか。さまざまなことが実は懸念をされる。
 今後、やはり消費者の安全、安心を考える上で、この稲わらについてかなり広範囲に、むしろ国が責任を持って検査をするということが大切だと思うんですが、この検査体制はどうなっていらっしゃるでしょうか。
○鹿野国務大臣 御指摘のとおりに、検査をしっかりとやっていくというふうなことは非常に重要なことだと思っております。とにかく、安全な牛肉しか出回らないという体制をいかにつくっていくかということでございまして、そういう意味では、この周辺県等々におきましても、飼養管理というふうなものの確認を徹底的にやり、そしてモニタリングの調査というふうなものを強化していく必要があるのではないか、こういうふうな認識に立っておるところでございます。
○小野寺委員 今回、稲わらということで、たまたま自主的に申し出た農家の方の稲わらを調べたら高かったということでこれだけの状況になっていますので、ぜひむしろ、積極的に、この際、やはり県、国が調査をしていくべきなんじゃないかと思いますが。
○鹿野国務大臣 そのような認識から、全国の県におきましてもぜひ調査をしていただきたいという要請をさせていただいているところでございます。そういう意味で、しっかりとこの調査をすることによって具体的な措置につながるもの、こういう考え方に立たせていただいているところでございます。
○小野寺委員 こういう形で汚染をされた牛肉がもう出てしまったことは仕方がないと思います。これからは、消費者の方々に安全、安心と認識してもらうための検査、これがまず第一義的だと思います。全頭検査という、さまざまな声が地元から上がっています。
 実は、今回流通している牛、ほかの農産物と違って、牛肉というのはかなり特定の流通経路が決まっております。というのは、市場で当然解体をされ、取引をされるということになります。
 今回、現地を回って感じましたのは、実は、東日本の、東北それから北関東の畜産農家の牛というのは、ほぼ中央卸売市場の五つで屠畜をされ、流通しているということがわかりました。一つは仙台、一つは埼玉、一つは東京、一つは横浜、一つは大阪、そして小規模ではありますが福島、これはもう地元であります。例えば、この六つの食肉市場において、ここで今回屠畜された牛肉について全頭のセシウム検査を行えば、ここが一つの箱根の関所になって、ここに出荷をし、ここで屠畜されたもの、検査をしたもの、そして、それがセシウムが低ければ、あるいは検出されなければ、証明書をつけて、そして流通をしていくということになれば、初めて安心、安全な形になっていくと思います。
 そして、食肉市場での衛生検査を担当するのは厚生労働省ということになります。厚生労働大臣にお伺いしますが、これら主要の五つの市場、これは食肉の関係の方から、ここで水際対策をしっかりすれば、証明書が出れば、ここから先、東日本、そして北関東までの牛肉についての安全性が担保される。そして、これはずっとではないわけです。汚染の稲わらがだんだん、半減するのは約百日と伺っております。ですから、一定期間これを行って、もう出ないということになれば、それは解除できるということになりますので、ぜひこれらの主要市場に関して、国が責任を持ってセシウムの検査器と人員を配置していただいて、まずはこれらの地域の牛の全頭検査、この体制を至急急ぐということをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○細川国務大臣 福島の牛につきましては、特に緊急時避難準備区域等の牛については全頭検査、そしてその他については全戸検査、こういうことになっております。
 そこで、今、小野寺委員が言われました、その他の県についても全頭検査、こういう御提案でございますけれども、今、検査するには一頭当たり大体二時間ぐらいかかるというようなこともございまして、なかなかそういうことにこたえられるかどうか、これは検討しなければならない課題だというふうに思っておりまして、今の委員の御提起につきましては、これは大変重要な御提起だというふうに認識をいたしております。
○小野寺委員 例えば全頭検査につきまして、今お話ありました現在の検査状況、市場に行って見ていればわかると思うんですが、購買者の方、いわゆる仲卸、卸売、買参人の方は必ず、自分たちが次に売る、例えばスーパーであったり肉屋さんであったり、あるいはすき焼き屋さんだったり、そこに卸すときには、証明書をつけてくれ、この牛が大丈夫かどうかの証明書をつけてくれ、そう言われるそうなんです。この牛の肉ははかりましたという証明書があればいいと思うんですが、この家の牛は大丈夫でした、この牛じゃなくて、この家の証明書ですと言っても多分受け付けない。消費者はもっと厳しい、厳密な状況になっていると思うんです。
 ですから、これは流通させている方が、自分たちがちゃんと従前のように流通させるためには、やはり一定期間全頭検査をして、ちゃんと、この牛からはセシウムが検出されません、そういうお墨つきをつけないととても扱えない、これが今現地で言われているお話です。
 そして、ぜひ大臣に調べていただきたいのは、現在、セシウムというのは、ゲルマニウム中心の半導体検出器、これが一台二千万とかするということでなかなか手に入らない、そういう状況で今検査体制が難しいということになっていますが、実は民主党の石山敬貴議員から御提案をいただいたんですが、シンチレーション検出器という、もっと安価な、二百万程度、現在既に五、六十台は会社で在庫があるような、こういう簡易型の検査器があって、これでも実はどのぐらいのレベルかというところまでは把握できるんだというお話をいただいております。
 そして、このシンチレーション検出器というのは、厚生労働省で出している、食品安全部長から出ているマニュアルに、実は、この機械によってセシウムをはかるんだということがちゃんと記入されておりますので、恐らく、さまざまな専門家の意見を聞けば、もうちょっと安価に、しかも至急そろえられるような検査器があるんではないか。あるいは、逆に言えば、東日本では今さまざまなこういう放射能検査の機械が不足しておりますが、西日本、日本全体を見れば、もしかしたら、こちらの方に貸していただいて、人も配置していただいて、そして検査できるような、そういう仕組みができるんではないか。
 いずれにしても、これは、各県に配置するんではなくて、五つの市場、ここで水際対策ができれば、ほぼ全頭、ここから証明書を発行できることだというふうに聞いております。
 現在のゲルマニウムでは一頭に約一時間の検査時間がかかると伺っておりますが、簡易型であれば二、三十分で済むという報告も聞いております。さまざまな検討をぜひ専門家の方でしていただいて、この検査体制を至急とっていただくようにお願いしたいと思うんです。
○細川国務大臣 委員御提案のように、全頭検査はできればやった方がいいというふうに私も思います。
 そこで、機器がなかなか十分でない、あるいはまた時間もかかるというような、そういう制約もあるということを先ほど申し上げましたけれども、今委員が御提案いただきましたように、いろいろな機器につきましても、それらについて私どもの方で早急に調査させまして、全頭検査ができるような体制を組めるかどうか検討したいと思います。
○小野寺委員 今回のこの事件というのは東電の原発の事故によるものだということでありますが、その後のさまざまな対応、春上げのわらというのがそれほど全国的にあるわけではないのである面では見過ごしてきたかもしれませんが、いずれにしても、これをちゃんと検査し、通知、通達でこれをえさとして使わないようにするということの徹底ができなかったということは、やはり政府がこの責任を負わなければいけない、そうだと思っております。
 そして、今、この現実、日々、春上げのわらはもう使えない、秋のわらはもう既に使ってしまった、えさがない。えさがない農家が、一体あしたの我が家の牛のえさをどうしようか、そのことに頭を悩ませている現実もあります。
 今国がすべきことは、まず、えさの確保。緊急に、今全国的に、放射能汚染がされていない秋に上げた稲わらがどこにあるのか、あるいは稲わらにかわるような代用の牧草なり、あるいは輸入する、例えば代用品があるのかどうか、そういうことを至急検討していただいて、その現物を今回被害に遭っている農家の方にまず支給をしていただく。手に入らない農家の方がたくさんおります。
 そういうえさの対策も必要だと思いますが、農林大臣にお伺いいたします。
○鹿野国務大臣 飼料につきましては、具体的に福島県に関しましては現物支給ということで二百トンを超すところもやってまいりましたが、このような事態ということになりますならば、当然、困っておられる畜産農家の方に対するえさ対策というふうなものを具体的にこれから詰めさせていただかなきゃならないと思っておるところでございます。
○小野寺委員 まずお願いしたいことは、今回の出荷制限、あるいは、出荷したけれども大変な市場の暴落に遭って被害を受けている農家の方の救済、これに関してはぜひマル緊のさまざまな活用、BSEのような対策で対応していただきたい。そして、東電にもしっかり、いち早く請求していただきたいと思っています。
 それから、今、流通業者の方も大変苦しんでいる。流通業者の抱えている在庫についても速やかに対応していただかないと、流通業者が倒れてしまったのでは、せっかくいい牛をつくってもそれを買ってくれる人がいなくなる、こういうことになります。
 また、今回は、恐らく、肉の値段がここまで下がると、肥育の農家、肉を大きくする農家は経済的に苦しい。そうすると、素牛といいますが、子牛を買う力がないということで、子牛の値段が下がる。実は子牛だけを育てている農家もいらっしゃいます。こういう農家の子牛価格に対しても同じく支援、対応をしなければいけない。
 恐らく、今回はさまざまなところに目配りが必要だと思いますので、ぜひ国を挙げて、再度これをお願いしたいと思っております。そして、えさの対策あるいは水際対策、一体となってやっていただきたい。
 今回の本部長は菅総理だと伺っております。官房長官、きょうは総理がいらっしゃいませんので、改めて、今回の汚染牛対策、国を挙げて全力で対応するということをお伺いしたいと思います。
○枝野国務大臣 小野寺委員御指摘のとおり、畜産で牛を出荷している農家の皆さんにとどまらず、今回の件の影響は、流通を初め広範にわたっております。そうした皆さんの受けた損害についてしっかりと補てんをされると同時に、その間のつなぎも含めて、しっかりと政府として、全力を挙げて、責任を持って取り組みたいと思いますし、また、多くの消費者の皆さんが安全でおいしい日本の牛を食べたいと思っておられると思いますので、消費者の皆さんが安心して日本の牛肉を食べていただけるような状況を一刻も早く回復させるべく、各省横断的に全力で取り組んでまいります。(発言する者あり)
○小野寺委員 ぜひしっかりと対応して、今同僚議員のお話がありましたが、いつまでという工程表をしっかり出していただいて。
 牛は生き物です。そして、それを飼っている農家の方も日々の生活者です。一日一日、この方々が、本当に不安で不安で仕方がない、そういう生活を送っております。一日も早い対応をお願いしたい。
 ぜひ、こういう予算については、今回二次補正が、きょう衆議院を通過いたしました、この予備費がたくさんございます。この予備費の中で対応できるものだと思いますので、その予備費での対応も含めた、しっかり予算措置をするということを改めてお伺いしたいと思います。
○枝野国務大臣 例えば、先ほどの検査のための機器を初めとして、これに対する対応については、国民の皆様の税金ですから、金に糸目をつけずという言葉の表現は正確ではないかもしれませんが、まさにお金で安全、安心が一刻も早く確保できるもの、あるいは関係業者の皆さんの生活を支えるために不可欠なもの、これについては予備費をしっかりと使わせていただいて、日本の牛の畜産をしっかりと守っていきたいというふうに思っております。
○小野寺委員 いずれにしても、まず予備費も、さまざまな予算を活用して、すぐにこれらの皆さんにお金を出していただきたい。
 そして、後で恐らく東電のさまざまな賠償の問題があります。そのときに回収すればいいんだと私は思います。まず政府が肩がわりをして出していただきたい、そのことを強くお願いしたいと思います。
 さて、次の話題に入りたいと思いますが、今の政府の原子力政策と原子力協定について少し触れたいと思います。
 我が国は、国際的な信頼と透明度の確保ということで、核不拡散あるいは核セキュリティー、こういう問題を基本として二国間及び多国間の原子力協定を今まで推進してまいりました。そういう中、例えば菅内閣では、海外における原子力発電の受注を成長戦略ととらえまして、そして、今国会の冒頭でも、菅総理みずから、「私みずからベトナムの首相に働きかけた結果、原子力発電施設の海外進出が初めて実現しました。」という、海外売り込みへのアピールを非常にされていたことがございます。
 そして、我が国は、現在でも八つの国・機関との原子力協定を締結して、しかも、今国会、私ども外務委員会に所属する委員にとっては、今政府から毎日毎日、ヨルダン、ロシア、韓国、ベトナムとの原子力協定を承認してくれ、国会で審議してくれ、こういうことを求められております。
 ただ、私どもが今非常に困っておりますのは、今回の福島原発の事故を受けまして、菅総理、これはさまざまな発言がございますが、特に国の原子力政策の根幹にかかわるような発言をされておりますし、従前と違った考え方を示しております。こういう政府の考え方あるいは総理の考え方が、今、従前と違う、福島以降違ってしまったという中で、相変わらず、実は、この原子力協定については、政府から、早く結んで日本の原子力の言ってみれば平和利用の中での輸出振興ということをしてほしい、そういうことを求められております。
 政府に確認したいのは、今回、このような国の原子力政策の変更に基づきまして、政府が現在提出している四件の原子力協定、それから今さまざまな交渉を行っています原子力協定、この協定を結ぶ方向に変わりがないのか、そのことを改めて確認したいと思っております。
○枝野国務大臣 福島の事故を受けまして、我が国の原子力に対する依存を段階的に引き下げていく、ただし、そのためにも、より安全性を高めて活用していくということについては、政府として方針がはっきりとしていると思っております。そうした中で、その先に原子力に依存をしなくても済む社会を目指していくということを総理がおっしゃられました。
 しかしながら、そのことは、まさに、そういった社会を我が国としてつくっていけるかどうか、さまざまな検討をこれから進めていかなければならないということが前提になっておりますし、また、その場合であっても、例えば、もう既に原子力発電によって使われた燃料等の安全な管理等というようなことを含めて、少なくともこれから二十年、三十年、そしてさらに、その使われた燃料等の管理等を含めれば、将来にわたって、我が国の原子力技術というものはしっかりと、しかもより高い安全性を持って確保していかなければならないものであるというふうに思っております。
 そうしたことを踏まえて、さまざまな諸外国がそれぞれの各国の御判断のもとで、原子力発電所の安全性を確保するための基準等を、国際的な基準も踏まえつつ、各国の責任のもとで判断をされていくわけでありますが、そうしたことの中で、今回の福島の事故がありましたけれども、しかし、我が国の持っているさまざまな技術、あるいは、これから特に福島の事故を踏まえて安全性に対してより厳しく我が国が対応していくであろうというようなことに対する期待も含めて、世界的な原子力に対するそれぞれの国の判断を前提としつつ、我が国のここまで蓄積している、そして、あるいはこれからさらに高めていく安全に対する技術というものを相手国の皆さんが御評価いただけるのであれば、これは、我が国のある意味での責任も含めてしっかりと対応していくべきだというふうに考えております。
 そうしたことを前提として、これまで進めてきている各国との原子力協定について、我が国としては従来の方針で、相手国がぜひ従来どおり進めてほしいということであるならば、ぜひ我が国としてはそういった対応をさせていただきたいというふうに思っております。
○小野寺委員 よくわからないんですが、海江田大臣にお伺いいたします。
 今回のヨルダン、そしてまた、実はベトナムとの協定もありますが、既にベトナムは日本が落札をしている、ヨルダンは今フランスとともに入札を行っている、こういうところと、この協定がやはり原発輸出に非常に役立つということで、今結んでいる状況にあると思いますが、今後とも、原子力発電所の技術については輸出を行い、そのためにはこういう協定をやはりこれからも各国と結んでいくという方向で変わりないと考えてよろしいんでしょうか。
○海江田国務大臣 せんだって、私のもとにトルコの新しい大使がお見えになりまして、トルコもその意味では日本の原子力の技術に大変期待をしているという表明がございました。
 私は、そもそも、今御指摘のあったような国々も、これは基本的に非核保有国で、しかし、エネルギーとしての原子力発電の大切さ、その意味では、日本が非核保有国でありながらそうした原子力の技術を持っているわけでございますから、やはりそういうところに期待をするというところもあると思いますので、私は、これからもさらに安全性を高めなければいけないということはもう言うまでもないことでありますが、さらに安全性を高めて、そうした国々の信頼をかち得た上でそうした協定をしっかりと結んでいきたい、さように考えております。
○小野寺委員 私どもは、原子力発電所との向き合い方、そして、今後ともこのエネルギーの問題に向き合うことが大切だと思いますし、私どもが外務委員会で困らないように、政府としては一貫した姿勢をぜひ示していただきたい、そう思っております。
 時間になりましたが、最後に一問だけお伺いさせていただきます。
 厚労大臣に以前もお伺いしたんですが、被災者を雇い入れた方、この方々に助成金が出るという制度があります。大変ありがたい制度なんですが、実は、過去三年間その会社に勤めた方に対しては助成金が出ないという制限があります。
 何度もお話をしておりますが、私どもの地元で、工場の冷蔵庫が流れてしまった、そして何も働く場がないので、泣きの涙で従業員に、申しわけない、やめてくれ、その際に、復活するときにはまずあなたから声をかけるから、こう言ってやめていただいた経営者なんです。そして、ようやく復活できると思ったときに、この制度を使おうと思ったら、いや、この方は過去三年間働いているから対象になりません、こういう冷たい対応がございます。
 私は、この被災者の状況、被災して何もなくなった事業所に関しては、むしろ、一回このときに解雇した人をもう一度雇い入れたときに何らかのインセンティブを与えていただきたいと思いますが、制度はその後何か進展しましたでしょうか。最後の質問として、答弁をお願いいたします。
○細川国務大臣 被災者雇用開発助成金は、制度の趣旨そのものが、被災者で職を失った方、その人たちに職を何とか御用意しなきゃいかぬという制度のもとにつくったもので、せんだっても申し上げましたけれども、雇用したその後でこの制度ということは、制度の趣旨に一応反するというようなことでなかなか難しいということをこの間も申し上げました。
 ただ、しかし、被災されて、事業を再開されるということ、そのために従業員を雇う、再雇用するということについてはやはりお金もいろいろとかかるだろう、こういうことで、私どもも何とかそれにこたえるような制度を今検討中で、本当に喫緊のところで、その政策といいますか、それを出したいというふうに思っております。それは、雇った方でいろいろと、訓練とかいうようなことも加味しながら、何とか、満足していただけるというか、期待にこたえるようなものをつくりたいというふうに思って、近々それを発表したいというふうに思っております。
○小野寺委員 ぜひよろしくお願いします。
 時間を超過して失礼いたしました。終わります。
○黄川田委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。
 時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。
 私は、きょうは法案の中身について重点的にお伺いをいたしますが、やはり総理の脱原発の発言、これは個人の発言だ、何かいろいろ、政府の方針なのか総理個人の願望か思いか、よくわかりませんけれども、非常に混乱をしていることは間違いないだろうと思います。
 おいおいそのことはお聞きをいたしますが、まず、この支援機構法案の第一条の目的、なぜこの法律をつくるか。これは当然法律をつくる目的があるわけですけれども、ここに、一つは原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施、電気の安定供給、そして、その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図る、こういうことが目的で書かれておりますが、大臣、損害の賠償の迅速かつ適切な実施または電気の安定供給はいいんですが、ここのところの、原子炉の運転等に係る事業の円滑化というのは、どうも最近の総理の発言とはちょっとベクトルが違っているんじゃないか、私はこういうふうに思います。
 この点、大臣として、まず第一条の目的のところはちょっとベクトルが違っていると私は思いますが、総理の発言、これについて大臣がどうおっしゃられるかちょっとわかりませんが、この目的のところの、円滑な原子炉の運転について大臣はどうお考えですか。
○海江田国務大臣 私どもは、この第一条の目的でございますが、今委員御指摘のとおり、損害賠償をできるだけ迅速にということと、もう一つは電力の安定供給、それからもう一つの目的はやはり原発事故の収束を適切に行うことを確保する、こういう形で読み込んでおります。
 総理の発言もございましたけれども、電力事業形態のあり方でありますとか、あるいはエネルギー政策のあり方ですとか、こういうものは今後議論をしていくことになろうかと思いますが、そのことと、それから今回の支援の枠組みというのは、その意味では、今回の支援の枠組みが今後のそうしたエネルギー政策の議論に何か妨げを与えるというものではないという認識を持っております。
○石田(祝)委員 これは大臣、日本語として素直に読めば、私がさっき申し上げたこの目的が三つあると思うんですね。損害の賠償の迅速かつ適切な実施、これはいいでしょう。また、電気の安定供給、これも当然だと思いますが、その他の原子炉の運転等となったら、当然これは原子力発電所が存続の前提で、その運転等について円滑にやろうよと。だれが読んだってこういうことですよ、日本語的に。
 だから、それと今の菅内閣、菅総理の御発言というのは、余りにも向かう方向、ベクトルが違っているんじゃないか。法案をつくったとき、提出したとき、閣議決定したときと、総理の考えが変わっているんじゃないのか。ですから、これは、この法案を出す前提として、そのまま法案の審議をしていていいのか、まず目的が異なってきているんじゃないのかと。
 これは根本的なところじゃないですか。法案というのは目的があってつくるわけでしょう。何もないのに法案だけつくりましょうというわけじゃなくて、当然、法律をつくる目的、それが明確に書かれているわけですから、若干これはベクトルが違うのではないかと。
 もう一度御答弁をお願いします。
○海江田国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたけれども、原子炉の事故がありましたので、この原子炉の事故の収束に向けて適切に行うということだろうと私は思っております。
○石田(祝)委員 大臣の表情を見ているとこれ以上ちょっと言いにくい感じがいたしますので、これ以上は申し上げませんが、やはり閣議決定したときとは若干違ってきているのではないか、このことを申し上げたいと思います。
 もう一点、私が申し上げたいのは、総理の脱原発の表明についていろいろな意見がありますね。閣内で全然議論がなかったということで、結局これは個人の願望だ、こういうことをおっしゃる方もおりますが、まず、この脱原発ということについて海江田大臣はどういう御評価をなさっていますか。
○海江田国務大臣 これは総理もお話をしていることでありますが、昨年の六月に決めたエネルギー基本計画、五三%という、これはもう実現は不可能だろうということでは全く同じ考え方でございます。
 ただ、脱原発という、きょうも実は予算委員会で随分議論がございましたけれども、私がやはり一番気になっておりますのは、先ほどの小野寺委員に対してもお答えの中で少しお話をしたわけでございますが、日本が非核保有国でありながら原子力の技術を持ってきたということでありまして、この原子力の技術、特に先進的な技術を持っておりますのはほとんど核保有国でありますから、非核保有国である日本が持ってきた技術というもの、これを本当にゼロにしてしまっていいのかということについてはまだ議論が足りないのではないだろうか、そういう認識を持っております。
○石田(祝)委員 総理の御発言について、いろいろと閣内で一致してという感じには私は受け取れません。
 それで、今回のこの法案の趣旨で、目的は先ほど申し上げましたが、機構に要するに電力会社がお金を出す、こういう形になっているわけですね。そのお金で賠償をしよう、足らざるは国が交付国債を出して、こういうことだろうと思います。
 脱原発と言いながら、要するに実用の原子炉を持っている会社にお金を出させるということと、どういうふうにこれは整合性があるんですか。片一方でやめようじゃないかと言っていて、実用の原子炉を持っているところにお金を出してくださいよと。そして、それを原資にして、お互いの助け合いという前提になっていますけれども、これはだれが見たって、当面の債務超過にしない、そのためにお金を出してくださいと。いわゆる奉加帳ですよ、これは。これもちょっと方向が違っているんじゃないかと思いますが、どうですか。
○海江田国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、この法案が通りまして、そしてできる機構の仕組みというのは、その意味ではエネルギー政策についての議論を妨げるものではありませんという認識をまず持っていただいて、その上で、しかし、エネルギー政策などが大きく変わったような場合、そして必要があれば、この法律についても所要の措置を講じるものである、そういう認識でございます。
○石田(祝)委員 この点は、最初に申し上げた目的のところもそうだし、脱原発と言いながら、原子炉を持っているところに金を出してくださいと。こういう非常に矛盾をした方向になっているんじゃないのか。一致した方向で政策を進めよう、こういう感じにはどうも私には受け取れません。これはこれから、当然、修正ということも出てくるでしょうから、その辺もしっかりと整合性を持たせないと、東電以外の原子力発電所を持っている電力会社は、お金をいざ出し始めると株主からどんなことが起きるかわからない、私はこの点だけ申し上げたいと思います。
 それで、また総理は、ことしの夏また冬、電力供給は大丈夫だ、節電すればいける、こういうお話のようでありますけれども、その中で、大丈夫だと聞いている、こういう発言になっているんですね。これは総理が御自身でいろいろと研究してじゃなくて、大丈夫だと聞いていると。
 では、だれから聞いたんですか。これはだれが考えたって、海江田大臣以外に言う人はいないと思いますけれども、大臣、節電すれば大丈夫だということを総理に申し上げたんですか。
○海江田国務大臣 総理に私から御報告を申し上げました。
 ただ、この報告というのは中間的な報告でございまして、実はきょう、この委員会が始まる前に、政府としては、第一回の電力需給に関する検討会合というのを開きました。これは、前の需給対策本部というものがこの検討会合にかわったわけでございますが、その中間報告で、これは総理に直接私から報告をしまして、先ほどの検討会合は総理の御出席はございませんでしたので、官房長官が出席をされましたので、官房長官からの報告が、今上がっているかどうかまだわかりませんが、総理にも届くだろうというふうに思っております。
 私がこの中間的な報告を行いましたのは、電力会社各社の供給対策、それから、ことしの夏の各電力会社管内の供給予備率というものについてお話をいたしました。
 ただ、その後、特に、きょうのこの検討会合で私からこれまた報告をいたしましたけれども、新聞などで御案内だろうと思いますけれども、大飯の原子力発電所の一号機が十六日にトラブルでストップになった、それから中国電力の三隅火力発電所が十八日にトラブルで停止をしたということでございまして、総理に中間報告をしたときと比べて、その意味では需給は逼迫をしているという状況の変化がございます。
○石田(祝)委員 今大臣がおっしゃったように、きのうの新聞でも、「関電供給力六%不足」、こういうことが出ているわけですね。
 総理がおっしゃったのはたしか十三日だったと思いますが、そうすると、そのときは海江田大臣が総理に大丈夫だろうとおっしゃった。では、今はどうなんですか。大丈夫なんですか、大丈夫じゃないんですか。
○海江田国務大臣 大丈夫だという言葉を使ってお話をしたかどうか、これはちょっと私も定かではありませんが、具体的に、いわゆる予備率と申しますが、予備率があるというお話はいたしました。
 その上で、今の、その後の十六日、十八日の状況がございましたから、これは西日本ということで六十ヘルツのエリアでございますが、六十ヘルツのエリアで予備率がマイナスのゼロということが言えようかと思います。関西電力の場合は、今般の三隅火力の停止に伴い中国電力からの融通が見込まれない場合でございますが、予備率はマイナスの六・二%になるということでございますので、これから関西電力の管内に対しては一〇%以上の節電をお願いしようということでございます。
○石田(祝)委員 大臣、結局、発電所は突然とまることがあるわけですね。しかし、突然動き出すことはないわけですよね。いろいろと機械がふぐあいがあった、突然とまる。しかし、突然とまったものが、あしたから動きますということはあり得ないわけです。ですから、供給電力については、ある意味でいえば今の水準より上がることはない、ある一定の期間は。これは何かがあったらマイナスにならざるを得ない。
 そういう中で、結局、原子力発電所も、十三カ月動かした後の定期点検、それから再稼働、これも全然見通しが立たない。こういうことですから、今夏またこの冬、大丈夫だという根拠は私はないのではないのかと。ですから、総理が大臣から、大丈夫だという言葉はそれはわかりませんが、そういうサジェスチョンを受けて御発言になったときとはまた状況がさらに厳しくなってきている、こういうことだろうというふうに私は思います。
 ですから、この問題について総理が何をおっしゃろうと勝手でありますけれども、日本のエネルギー政策に責任を持つ立場としては、総理の発言というのはもっと慎重にすべきだと私は思いますし、この点については大臣も御苦労されていると思いますが、これは逆に大臣が戒めてもらわなきゃいけない、私はそのように思います。
 それで、若干角度を変えますが、総務大臣に来ていただいておりますので、この法律の中でちょっとわからない点も含めて私はお伺いをいたしたいんです。
 第六十六条で「法人税の特例」というところがございまして、今回の負担金、特別負担金、一般負担金とありますけれども、これはこういうふうに私は理解しているんです。この負担金については、いわゆる損金の額に算入する、こういう形に整理をされております。そうすると、損金ということになりますと、どうなりますか。それは、法人税だとか法人住民税、そこのもとになる金額が少なくなるわけですね。これについて地方に影響があるのかどうか、まずそのことをお聞きします。
○片山国務大臣 電力会社等のいわゆる法人関係税で地方への影響ということでありますけれども、地方税として電力会社等が納付しております法人関係税というのは二つありまして、一つは都道府県への法人事業税であります。
 この法人事業税は、一般的には、法人の所得に対して、所得を課税標準として課税しますけれども、たまたまと言っていいかどうかわかりませんが、電力会社九社それから日本原子力発電株式会社、この十社については収入金課税という特例がありまして、所得ではなくて収入金に課税しておりますので、今回のこの損金算入の特例措置は、少なくとも十社については都道府県の法人事業税には影響はありません、減収になることはありません。
 それからもう一つは、法人住民税の法人税割というのは、これは都道府県と市町村に納めておりますけれども、課税標準を法人税額にしておりますので、法人税の所得の計算上、損金に算入するということになりますと、当然、他の条件が等しければ法人税額がその分落ちますから、したがって、自動的に、比例的に法人税割も減収になるということになります。
○石田(祝)委員 そうすると、今回のこの法律で損金に入れますよということで、法人税、地方に影響が出る。この影響が出た分はどうやってカバーするんですか。
○片山国務大臣 これは地方税と地方財政の一般ルールにのっとりますので、税が減れば、交付税の基準財政収入額が減ります。したがって、不交付団体を除けば、交付団体であれば、その分が地方交付税として補てんをされるということになります。
○石田(祝)委員 今答弁があったように、損金算入ということでその地域に影響が出てくる。
 それで、私もちょっと調べさせてもらったんですが、交付税をもらっていない団体があるわけですね。交付税をもらっているところだったら交付税でカバーするということもあるんですが、北海道、宮城、福島、茨城、新潟、静岡、佐賀と、いわゆる原子力発電所所在市町村で平成二十二年度の不交付団体があるわけです。ここは不交付団体ですから、これから計算をしたら今回のこの損金算入ということによって交付団体になるかもしれませんが、不交付団体のままでいくと収入が減るのではないか、これは地方交付税でもカバーできない。これは大臣、どういうふうになりますか。
○片山国務大臣 これは今回に限りませず、国で税制改正を行いまして、例えば、法人税割が減るとか、それから個人の住民税の減税をやったとか、固定資産税の特例を設けたとか、そのことによって地方団体の税収が減った場合、不交付団体の場合にはそれは補てんはありません。交付団体の場合には一定の財政水準を保つために交付税が交付されますけれども、不交付団体の場合には一般的にそういう補てんの制度はありません。
○石田(祝)委員 今回のこの法律にこういうふうに六十六条で書かれている、そうすると、これの救済措置はないということですか。
○片山国務大臣 これは、特段の救済措置といいますか、補てん措置はありません。ありませんが、今回の場合に特にそういうものがないというわけではなくて、先ほど言いましたように、国の税制改正によって一定の減収になったときに、不交付団体に対してはそういう補てん措置はないということの、一般的なルールに従うものであります。
○石田(祝)委員 ですから、税制全体の話としてはまさしくそのとおりでしょう。しかし、新しく法律をつくる、特に私が申し上げたように、一般負担金を課される電力会社はそこの負担金を払うことによってそれは損金に算入されて、結果的に、回り回って当該立地の市町村に税金上の影響が出る、収入が減る、こういうことでありますが、そのことについて、この法律の中でそういう団体についての対応措置が全然なされていない、こういうことですね。
 海江田大臣、ここのところは大臣はもう御存じであって、これは不交付団体なんだから今回の損金算入ということによって収入が減っても仕方がない、特に救済措置はないんだ、こういうことを御認識であって、この法案、閣議決定のときにサインされたんですか。
○海江田国務大臣 お答えいたします。
 今、片山大臣からお話がありましたけれども、やはり一般的な話の中で、これはまさに、不交付団体については特別な手当てがないということは了解をしておりました。
○石田(祝)委員 当然御存じだったということでしょうけれども、ということは、そういう立地市町村にとっては一種の不利益な法律ですね、ある意味でいえば。
 例えば、東京電力管内じゃない、佐賀という名前を出してはあれかもしれませんが、そこの立地しているところには何のプラスもないわけじゃないですか。これをわかっていて海江田大臣は、特に救済措置も設けずに、そういう不交付団体のところはもうしようがないね、こういうことで終わるわけですか。
○海江田国務大臣 交付団体、不交付団体もまさに税収によって異動があるわけでございますから、まずそこで一つのスクリーニングと申しますか、問題があって、そして、引き続き不交付団体であるというような場合には、これは特段の救済策を講じていない、こういうことでございます。
○石田(祝)委員 多分、原子力発電所の立地市町村の方は知らないと思いますよ、この話は。ですから、こういうことをちゃんと話をなさっているのか、そういう上で各電力会社に一般の負担金を出してもらいたいということを言っているのか、ちょっと私は疑問ですね。多分、その話はなさっていないんじゃないでしょうか。
 税というのは政治そのものだというふうにおっしゃった方がどなたかいらっしゃいます。しかし、こういうことを考えると、今回のこの法律案、私は、賛否はこれからでありますけれども、大変大事な法案だと思いますが、そういういろいろな不安を抱えている原発の立地の市町村に対して、これは余りにも配慮がないのではないか。
 みすみす収入が下がるということはわかっているけれども、不交付団体だから、財政需要額より収入額が多いんだから、その財政需要額を収入額が割ったときは交付税で補てんするけれども、まあ上に顔を出しているんだったらしようがないね、こういうことでは理解が得られないのではないか。これはもう少し考えるべきではないのか。税制ではどうしようもないということかもしれませんが、これについては善後策を講じた方がいいのではないか。
 これが、例えばことしだけで終わるとかいう話じゃないでしょう。ある意味でいえば、それぞれの立地の市町村に原子力発電所を置いている電力会社がずっと払い続けるわけですから。ということは、ずっと法人住民税が来ないわけでしょう、その分だけ。お金を一般負担金に出して損金になった分については、その反映としてのお金が来ないわけですから。これはもうずっと来ませんよという話ですからね。これは、この法案で今回間に合うかどうかは別にして、ちょっとお考えになった方がいいんじゃないか、私はこういうふうに思います。
 片山大臣、特に何か救済策はありますか。
○片山国務大臣 特に救済策はないんですけれども、多少誤解があるかもしれないなと思って伺っていたんですけれども、住民税の法人税割というのは、原発、発電所の所在市町村だけに行くわけではありませんで、例えば、多分一番納付の多いのは本店のある県庁所在都市だろうと思います、従業員で案分いたしますので。
 したがって、原発のある所在の市町村の税収もこれによって幾ばくか減ることは確かでありますけれども、その他のところ、例えば私が縁の深かった中国電力でありますと、広島市などが減収をある程度受ける、こういうことになります。逆に言いますと、原発のある所在市町村の減収は、ならされて、そんなにダメージが大きいものではないということが一般的には言えるのではないかと思います。
○石田(祝)委員 本店を置いているところと、今回の事故を受けて、原子力発電所そのものを置いている市町村、これは私はちょっと違うと思いますね。ですから、影響が大きいのは本店の従業員の数だとかいうのがあるかもしれませんけれども、現実的に、そういう立地の市町村の方がいろいろな意味で今苦しい思いをしているんじゃないか。そういうところに対して、そのまま損金でこうなりますよということは、いささか情が足りないんじゃないかな、こういうふうに私は率直に思います。
 もう一点、これと反して、これから特別資金援助をもらうとこれは益金の額になる、こういうことになっておりますが、ということになりますと、特別資金援助を受けたところは、この特別資金援助のお金というものに税金がかかるということになりますか。
○海江田国務大臣 確かに、委員御指摘のように、この特別資金援助というのは原子力事業者の益金になります。
 ですから、当然のことながら、この益金と、それから片方で損金もあるかと思いますので、益金と損金を通算しまして、そしてなおかつ最終的に益金が出る場合は、これは課税の扱いになるということでございます。
○石田(祝)委員 最後になりますけれども、埋蔵電力についてお伺いしたいんです。
 これはいろいろと、埋蔵金という言葉も一時期ありまして、無尽蔵に金が出てくるような誤解を受けた方もいると思います。埋蔵電力というと、埋蔵電力を掘り起こしたら原子力発電所の分はカバーできるんじゃないか、こういう誤解をする人もおると思いますが、もう時間が来ておりますので、埋蔵電力で新たに使えるものというのは一体どのくらいあるんでしょうか。
○海江田国務大臣 これはまさに今精査中でございます。
 先ほどお答えをした、せんだって総理に報告をしましたときも、総理から、やはり電力をつぶさに調べて報告をしてくれというお話がございましたので、特に、自家発電の部分の売却可能な電気の量というものが埋蔵電力というものではないだろうかと思っておりますが、今、およそ三千二百のそうした自家発電の設備を持っているところがございますので、ここにアンケート調査しまして、事細かに、どのくらい実際出せるのかということを調べています。
 ただ、実際に売れるといいましても、では、本当にそういう系統に結びつけるような線があるのかというようなことも含めて考えなければいけませんから、これはなかなか容易なことではないということでございます。
○石田(祝)委員 済みません、もうちょっとはっきり言っていただきたかったんですが。
 私の聞いているところ、百六十万キロワットぐらいではないのか、こういうことも言われておりますが、これが十倍になるとか二十倍になるということはあり得ませんよね。多くても原子力発電所の一基分、大きな発電所の一基分ぐらいじゃないでしょうか。もう一度、その点、お答えできる範囲でお願いします。
○黄川田委員長 簡潔に。
○海江田国務大臣 まさに今私もその数字を持っておりませんが、その百六十万キロワットというのが、そんなに、倍になるとかいうような話ではございませんと思っております。
○石田(祝)委員 ありがとうございました。
○黄川田委員長 次に、斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。
 早速質問をさせていただきます。
 初めに、大畠国土交通大臣に、被災をされて他の地方自治体の公営住宅に避難されている方の、その公営住宅の問題について質問をさせていただきます。
 私は広島に住んでおりますが、その避難されている方から御相談をいただいたんですけれども、先日、先日といいましても六月十五日ですから一カ月以上たっておりますが、広島市から「東日本大震災に係る避難者で市営住宅に入居されている皆様へ」ということで紙が配られました。
 「市営住宅の一時使用期間の延長等について」ということで、一年間は一般の公営住宅の条件とは違う有利な条件で入っていただけますと。その「一時使用期間(一年間)の経過後について」というところに、「なお、平成七年に発生した阪神淡路大震災の時には、同年に入居者資格要件を緩和する特別の法律」、同年にこういう特別の法律、「(被災市街地復興特別措置法)が制定されております。今後、同様な法律の制定などの動き、国の方針等が明らかになりましたら、適時、お知らせさせていただきます。」と。
 つまり、一年間は有利な条件で住んでいただけますよ、その一年が経過したときには、もし国の方針等が法律の制定等で明らかになったら、同じ条件で住んでいただくこともできるかもしれませんが、これは国の方針によります、こういうことが書いてあるわけですけれども、この点については、国土交通省として、また国として、明確な方針を定められたんでしょうか。
○大畠国務大臣 斉藤鉄夫議員からの御質問にお答えを申し上げます。
 ただいまの、通常の公営住宅への入居条件というのがあるんですが、この入居条件と、今回、被災者の方々が入っているこの条件等々で、被災市街地復興特別措置法というものが適用されるのかどうかという御質問をいただきました。
 通常の公営住宅へは三つの条件がありまして、収入が一定水準以下であること、二番目には同居する親族がいること、三番目には住宅に困っていること、これが入居要件となっております。
 しかしながら、今御質問をいただきましたけれども、阪神・淡路大震災のときに被災市街地復興特別措置法が適用されまして、三年を経過するまでの間は収入等にかかわらず公営住宅に入居することが可能と。今御質問をいただいたとおりであります。
 今回の東日本大震災の地域、四十九市町村が大規模災害の区域に該当しており、同法に定める公営住宅の入居に係る特別措置が適用されます。したがいまして、条件の中の一番と二番、収入が一定水準以下であること、あるいは同居する親族がいることという条件は外れまして、住宅に困っているという三番目の条件のみで入居が可能、こういうふうに国土交通省としては判断しております。
○斉藤(鉄)委員 ありがとうございます。
 この被災市街地復興特別措置法が現在も生きており、この基本的考え方が今回の、例えば広島市に住んでいらっしゃる方にも適用されるということが明確になりました。
 そこで、これは質問ではなくて、今後、国土交通大臣にぜひ考えていただきたいということなんですけれども、この法律を読みますと、家が滅失した場合、家がなくなっちゃったという方に対しての法律です。
 今回、津波等で滅失された方、当然これは対象になるわけでございますが、例えば、原発のいわゆる避難命令が出された地域については、家そのものはまだ残っているかもしれない、しかし、現実には避難命令が出ているわけですから、滅失した状態と同じでございます。しかし、近い将来必ずお帰りになる。そのときには、滅失した状態からもとに戻って家がある状態になるのかもしれませんけれども、そういう方に対しても先ほど大臣がおっしゃったその精神が適用されるように、ぜひ国土交通大臣として御配慮、御努力をいただきたい。これは要望としてお伝えしておきますが、何か、大臣としてございますでしょうか。
○大畠国務大臣 ただいまの、原子力発電所の事故による避難をされている方々に対してこの法律が適用されるかどうかということでありますが、実態としては私は同じなんだろうと思いますので、このことについては国土交通省内では検討しておりませんでしたので、ぜひ検討して、そしてお答えをお知らせ申し上げたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。
 国土交通大臣、お忙しいでしょうから、もう結構でございます。
 次に、海江田大臣にストレステストについて、先日もここで質問させていただきましたけれども、ちょっと質問し足りなかったところがありますので質問させていただきます。
 法律に定めた安全基準がある、その安全基準をクリアすれば運転が認められる、これは法律に定められた明快な基準でございます。
 今回のストレステストは、その安全基準に対して、実際の機器、実際の工作物がどれだけの安全余裕があるか、その裕度を見るということでございますけれども、それを原子力安全委員会が判断する、また、四人の大臣の方が判断するということでございますが、そうしますと、どれだけの余裕度があればオーケーになるという新たな基準をつくることになるのではないか。そういう基準はあるんでしょうか。
○海江田国務大臣 斉藤委員にお答えをいたします。
 原子力安全委員会が新たな安全基準をつくろうというお話は、これは委員も御承知だろうと思います。ただ、それには、安全基準そのものが大変な分量、大変な細かい作業でございますので、恐らくそう急にはできないだろうということでございますので、その意味では、安全基準は安全基準としてこれからもそうした作業はしていくということでございます。
 ストレステスト一次、二次、これはステップワン、ステップツーということではありませんで、独自に独立をしたものと承知しておりますが、そのそれぞれの独立をした一次のテスト、そして独立をした二次のテスト、その報告が出てまいります。それを私ども保安院でも見まして、それから安全委員会の意見も聞いて、そしてそれらの保安院や安全委員会の意見を聞いたところで、総理を初めとした四大臣で最終的に判断をしようということでございますから、その意味では、このストレステストと安全基準、とりわけ安全委員会が言っていた安全基準をつくろうということは、同時並行して作業が進むというふうに私は考えております。
○斉藤(鉄)委員 今の大臣の御答弁は、そうしますと、四大臣が最終的に判断するわけですが、そのときの判断の基準になるような客観的基準を原子力安全委員会がつくってくれる、こういう解釈でよろしいんでしょうか。
○海江田国務大臣 これは、原子力安全委員会がこうした、今、第一次のストレステストというのは、定期検査が終わって、そしてまだ再稼働していない原子炉でありますので、それについてそうしたストレステストの結果を見て、これならば人々の、これは安全ということと、もちろん安全が大前提でございますが、やはり多くの方々の安心も得なければいけないというふうに思っておりますので、より一層の安心感を得ていただくために、安全委員会も、こういう裕度があれば人々に安心感を持っていただけるだろうというところで判断をしてくれるものと思っております。
○斉藤(鉄)委員 いま一つよくわからないんですが、ちょっとしつこくて申しわけないんですけれども、総理も含めて四人の大臣が判断される、この機械、ここの部分は例えば基準に対して一・五倍の余裕があった、それはどういうふうに判断されるんですか。例えば一・二なら一・二という基準があって、一・二をすべての工作物やすべての要素が満たしていればオーケーですよというような客観的な基準というのがないと、四人で判断するといっても判断できないですよね。そこがどうなっているかということです。
○海江田国務大臣 当然のことながら、おっしゃるような一つの評価の基準と申しますか、これはそういう形で出てくるものだと思っております。
○斉藤(鉄)委員 では、新たな評価の基準をおつくりになると。それは、安全余裕度が一・二なら一・二というような基準なんでしょうか。
○黄川田委員長 再度答弁を求めますか。
○斉藤(鉄)委員 はい。今、私の質問をお聞きになっていなかったみたいなので。
 例えば、安全余裕度が一・二以上だったらオーケーというような新たな基準をおつくりになるんですかという意味です。
○海江田国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたけれども、そうした評価のルールと申しますか、それを最終的には安全委員会がお示しいただけるものと思っているということでございます。
○斉藤(鉄)委員 それは、原子力安全委員会がそういう基準、ルールをつくるということでしょうか。それとも四人の大臣でつくられるのでしょうか。
○海江田国務大臣 まず、それぞれの原子力事業者がそういうテストをやって、そして保安院に上がってまいりますから、保安院でまず一回そうした今の評価のルールと申しますか、まさにおっしゃったような一・二なのか一・五なのかということで判断をいたしますので、その判断が妥当かどうかということを今度は安全委員会が行って、そしてそれが四大臣のもとに来ますので、特に四大臣で、今言った保安院そして安全委員会、そういう一つの結論を覆すというようなことにはならないだろうと思います。
○斉藤(鉄)委員 いま少し、このストレステストについて我々でもよくわかるような位置づけをしていただければと思います。
 結果として、より多くの国民の安心を得て再稼働するということについて、これまでの安全基準とは別の角度からのそういうチェックをするということ自体、私は否定するものではありません。ですから、それが安全基準とどういう関係にあって、どういう判断基準でオーケーなのかオーケーでないのか。四人の大臣で最終的に判断されるというと、非常にそこに技術的な要素以外に政治的な要素も入り込んでくるのではないかという心配もありますので、そこは明確にしていただきたいと要望しておきます。
 それでは、次の質問に入ります。
 まず、今回の支援機構法の法律の大もとになります、いわゆる原賠法、原賠法と我々呼んでおります原子力損害の賠償に関する法律、昭和三十六年法律第百四十七号、ここからちょっといろいろと質問をさせていただきたいと思います。
 原賠法の第一条に目的が書いてございまして、二行にわたる簡単な項目です。この法律の目的は、「被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする。」と、二つが書いてございます。
 先ほど石田委員から同趣旨の質問がありましたが、あれは今回の支援機構法の目的、これは原賠法の目的でございます。原子力事業の健全な発達に資する、このことが二つの目的の一つに併記されているということの意味をまず聞かせていただきます。
○高木国務大臣 斉藤委員も既に御承知と思っております。昭和三十七年にこの原賠法が施行されました。
 前々年の昭和三十五年の国会議事録をずっと読んでみますと、当時の国務大臣は中曽根国務大臣、科学技術庁長官でございました。この法律の第一条のまさに目的について、法案提出時にこのようなことが述べられております。「万々一放射能等、原子力による被害を第三者に与えました場合、その損害の賠償に関する基本的制度を定めて、被害者の保護に遺憾なきを期することにより住民の不安を除去し、同時に、」中略ですけれども、「原子力事業経営の基盤を安定化し、原子力事業の健全な発達に寄与しようとするもの」などと説明をされております。
 すなわち、我が国の原子力損害賠償制度は、原子力事業者と被害者の両方の視点から第一条の目的に併記をされておるもの、このように承知をしております。
○斉藤(鉄)委員 先ほど石田委員が海江田大臣に聞いたと同じ趣旨で高木大臣に、原子力事業の健全な発達に資するという、先ほど大臣が意味を御答弁いただいたその趣旨と菅総理の脱原発方針との関連性といいましょうか、どのように大臣は理解されているか、及び、高木大臣御本人の、総理のいわゆる脱原発宣言についてのお考え、その二つをお伺いします。
○高木国務大臣 私もこれまで、我が国のエネルギー政策の中で原子力発電の位置づけというものについては、例えば、これまでの我が国の乏しい資源エネルギーの状況、そして将来に向けた安定供給、まさにこれは、国民が豊かな生活を享受でき、そして国の活力としての産業経済、これを支える上で原子力も一つの有力なエネルギーとして、私もそのような推進の立場をとってきた者でございます。
 今回、菅総理が脱原発ということについて触れました。もちろん、私たちは、今回の福島第一原子力発電所の事故ということについては、ある意味では、あってはならないことだと。しかし、それが現実問題になってきた。したがって、私どもとしましては、東京電力の原子力発電所の事故の原因、そしてこの検証が今進められておりますけれども、これをしっかりとまずしなきゃなりませんし、我が国をめぐるエネルギーの状況、そして言われております再生可能エネルギー、いわゆる自然エネルギー、こういった普及の可能性について、あるいは、私たちとしては、立地しておる地元とのこれまでの理解、協力関係、こういったものも十分に踏まえなきゃなりません。
 いずれにいたしましても、原子力政策につきましては、今後のあり方については、私はしっかり議論をしていかなきゃならぬと思っております。その意味で、政府においても、短期、中期、長期にわたって国の戦略として、エネルギー・環境会議というものを持ちまして、今議論を進めておるところでございます。私としてはそのように思っております。
○斉藤(鉄)委員 ちょっと質問通告していないんですけれども、いわゆる再処理、核燃料サイクルは文部科学大臣の所掌でございます。さる大新聞が、脱原発、原発ゼロ社会を目指そうという中で、当然、ゼロ社会を目指すわけですから、再処理や核燃料サイクルからの撤退ということもその新聞には提言されておりました。
 高木大臣は、高速増殖炉「もんじゅ」を含む核燃料サイクル、そして再処理、これについて今後も続けるべきとお考えか。総理が脱原発とおっしゃったので、ここについて、さる大新聞が言うように撤退すべきとお考えになっているのか。この点についてお伺いします。
○高木国務大臣 核燃料サイクルについては、これは我が国のエネルギーの長期安定の中で、ウラン燃料をより効率的に活用する、こういうことから研究開発が行われてまいりました。既に昭和五十五年からずっと、多額の経費をかけながら、これまでのエネルギーの状況も十分踏まえて、今現実に「もんじゅ」として存在しておるわけであります。
 しかし、私たちとしては、やはり今回の福島の第一原子力発電所の事故というのは相当な、これは予想していない事態でございましたし、この問題についての検証あるいは原因の究明、こういったものを当然しっかりやらなきゃなりません。そういった中で、私どもとしては、今後、この核燃料サイクル、「もんじゅ」のあり方についてしっかり重厚な議論をしなきゃならぬ、私はこのように思っております。
○斉藤(鉄)委員 海江田大臣、質問通告をしていなくて申しわけないんですが、同じ趣旨の質問をしたいんです。
 先ほども議論に出ておりましたが、世界の中で、非核保有国でNPT体制のもとで核燃料サイクル、再処理が認められている国は日本だけでございます。これまでの原子力の平和利用についての日本の真摯な姿勢が世界的に認められている一つのあかしかと思います。そういうことも含めて、海江田大臣はどのようにお考えになるのか、お伺いします。
○海江田国務大臣 私、先ほどお話をしたとおり、本当にこれは、まさに先ほど斉藤委員から昭和三十五年、三十六年のころからのお話がございましたけれども、資源の少ない日本の国で、しかも、やはりエネルギーの安全保障というものも考えなければいけないと思います。
 その中で、本当に営々としてこれまで蓄積をしてきた原子力の技術。ただ、これが全く無反省でいいということではありませんで、私もいろいろな方から今回の事故をきっかけに意見を聞きましたら、やはり、八〇年代の中ごろまでは日本のその安全技術というのはかなり世界に誇れたんじゃないだろうか、しかし、それがいつの間にか、特に安全神話というものの上にあぐらをかいて、そして、失われた十何年、あるいは二十年近くの時期を無為に、いたずらに過ごしてしまったのではないだろうか、ここのところは反省をしなければいけないと。
 だけれども、そういう反省の上に立ったところで、現在の、今の世界の情勢をかんがみたとき、やはりエネルギー不足、たくさんございます。しかも、そうした国が、核を持たなきゃだめなんだ、核兵器と一緒でなければ原子力に対して平和利用というものができないんだというような形にいかないために、日本がまさに非核保有国でありながら頑張っていたということは、そういう社会に対して一定のメッセージになったんじゃないだろうかというふうに私は思いますので、そういうものを全くゼロにしてしまっていいのか。
 もちろん、長い目で見れば、過渡的な存在でありますから、まさに、そうしたエネルギーの安全保障などということを考えなくてもいい時代が来る可能性もございます。だから、そういう条件が整ったときには、それは私は、そうした技術が過去の技術として歴史の博物館の中に保存をされるということでいいかもしれませんが、そこに至るまでは、やはりこれは歯を食いしばってできるだけ安全性を高めていく努力をしなければいけない。「もんじゅ」の話もそういう中に位置づけられるものと考えております。
○斉藤(鉄)委員 条文に戻ります。
 原賠法の第十六条に、「政府は、」「この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。」こういう条文がございますが、今回提出されました支援機構法案というのは、この原賠法の第十六条のこの文章に根拠がある、こういう理解でよろしいでしょうか。
○海江田国務大臣 そう御理解いただいて結構でございます。
○斉藤(鉄)委員 それでは、もう時間があと二分しかありませんので、支援機構法案の方に入りたいと思いますが、今回の支援機構法案がなぜ必要なのか。
 この原賠法が適用されたのは過去一回、こういうふうに理解しておりまして、十二年前のジェー・シー・オー事故でございます。ジェー・シー・オー事故は、新たな法律をつくることなく、この原賠法の中で処理をした。つい先日、すべての案件が終わったというふうに聞いておりますけれども、十年以上かかったわけですが、原賠法の中ですべて処理をされた。
 今回、この原賠法だけでは処理できない、新しい法律をつくる必要がある、これはなぜだったんでしょうか。
○海江田国務大臣 今、斉藤委員からお話がありましたジェー・シー・オーの事故、損害賠償がしっかり行われるまで確かに長い時間がかかりました。ただ、そのときの最終的な金額がたしか百五十億程度というふうに承知をしておりますが、やはり今回のこの事故は、今幾らということは申し上げるわけにはいきませんが、百五十億ということと比べますと、もっともっと多額の賠償額になろうかと思います。そうした多額の賠償額を一つの事業者だけで賄えるものではないだろうということが一つございます。
 あと幾つか、実際まだ事故は収束をしておりませんから、その意味では、そうした事故の収束に携わっております東京電力の関係の企業と申しますか、いろいろなゼネコンなども入っております、そういうところにやはりしっかりと支払いが行われるようにということもございます。
○斉藤(鉄)委員 時間が参りましたので、この続きはまた質問をさせていただきます。
 ありがとうございました。
○黄川田委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 まず、今回の原発被害について、東京電力には、第一義的に責任集中と無限責任があります。これは、東電には、被害者に全面賠償をすることに誠意を持って取り組んで、そして、被害者の人生をもとに戻すことに責任を持つ、そういう大事な意味があると思います。
 ところで、海江田大臣、前社長の清水正孝氏から、五月十日付で、原子力損害賠償法十六条によって、損害賠償の責めに任ずべき額は賠償額を超える、このままでは早晩資金ショートをするとして国に必要な援助を求めてきておりますが、私は、まず東電は、債務超過が見込まれて実質的に破綻している企業ではないかということがやはり事実の問題として、全面賠償となるとそうなるわけですから、そのことをきちんとまずつかんでかかる必要があると思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。
○海江田国務大臣 吉井委員にお答えをいたします。
 全面賠償ということについて、恐らく、後ほどもう少し詳しい定義があろうかと思いますが、私どもは、原賠法に基づきまして、相当因果関係のある損害に対してはしっかりと、しかも確実に、そして迅速にその賠償金の支払いを行わなければいけない、こういう理解をしているということをまずお伝え申し上げます。
 そして、実質的な債務超過というお話でございますが、これも、実質的なということがどういう意味内容を持つのかということも後ほど議論をしなければいけないと思いますが、私どもは、やはり損害を受けた方々に対して第一義的な責任を有する東京電力がしっかりと損害賠償金の支払いをできるように、機構をつくって、そしてそれを支援していこう、これがこの法律を提案した理由でございます。
○吉井委員 まじめに、被害者の人生をもとに戻そう、そういう全面賠償という立場に立って考えれば、東電というのは、債務超過となって、破綻企業の状態にあるわけですね。マスコミでも、社説などで「今回の賠償案は東電の存続を前提にしている。株式の一〇〇%減資も取引金融機関の債権削減もない」と指摘しているぐらいです。
 東電は実質的に破綻している企業なんですから、当然、全面賠償責任をとらせるには、まず経営責任、株主責任、金融機関の債権放棄などを明確にさせること、それから、公的管理のもとで、内部留保の活用とか、原発関係の再処理積立金などバックエンド費用十八兆八千億円を活用するなどして全面賠償の道筋をつけるということができると思うんですが、そういうことは考えないんですか。
○海江田国務大臣 今、株主責任という話、それから、これは貸し手責任という言葉が妥当かどうかわかりませんが、金融機関など、東京電力に対して資金の融資を行っているところに対する責任、これも全面的にと申しますか、そういうお話がございましたが、もちろん、私どもは、そうした株主の責任でありますとか、あるいはそういう資金を融資しております、これはあらゆる債権者ということでございますから、電力債などを買っている方もそうなろうかと思いますが、そういうあらゆるステークホルダー、さらにもう少し、もちろん経営責任などもございますが、そうしたあらゆるステークホルダーに対してそれぞれ責任をとっていただくと申しますか、負担をしていただくということ、これは私どものこの法律の前提になっております。
 そして、それぞれが負担をしていただいたら、それがどういう内容の負担であるかということはしっかりと報告をしていただく、こういうたてつけになっております。
○吉井委員 たてつけのお話はあったんですけれども、しかし、五月十日の文書で、東電は資金面で立ち行かなくなるとしているわけですね。
 ところで、銀行協会の永易参考人は、東電からは債権放棄を求められていない、債権放棄は対極にある、債権放棄はしないとせんだってもこの復興特で言っているわけですよ。
 だから、普通なら、海江田大臣から、資金面で立ち行かないなら賠償に誠意を尽くすために東電は株主にも金融機関にも相応の負担を求めなさいと、やはり強力にそのことを求めるのが筋だと思うんですが、たてつけの話はあったんですけれども、東電に責任ある対応を求めているのか、そのことはさっぱりわからないんですね。どうですか。
○海江田国務大臣 今、手元にその資料は持っておりませんが、おっしゃられたように、東京電力からそういった形で私どもに要請が参りましたので、その要請に対して、先ほどお話をしたように、それぞれのあらゆるステークホルダーがそれぞれの応分の負担をするようにということは私どもの方から申しておりますので、その意味では、全く、東京電力からの要請に対して、すぐ、はい、わかりましたということではございませんで、そういう条件づけをしております。
○吉井委員 それは確認事項の話を言っておられるんだと思うんです。しかし、現実には、この委員会に出てきた銀行協会の永易さんは、彼が言っているのは、東電からは債権放棄を求められていない、債権放棄は対極にある、債権放棄しないと言っているんですよ。
 ですから、大臣が幾らステークホルダーにも協力を求めなさいと言っても全然そうなっていないという、この現実を踏まえて物を考えなきゃいけないんじゃないですか。
○海江田国務大臣 これは、実際にこの機構法が通って、機構に対して、交付国債でありますとか、その他の方法もございますが、資金が流れていったところで具体的な報告が参りますから、その報告に、どういうステークホルダーに対してそれぞれの負担を求めて、そして、その結果どういうふうになったのかということについてはしっかりと、まさに資料が上がってまいりますので、そこで当然また議論にもなろうかと思いますし、全くそうした負担を求めないということであれば、これはしかるべき措置などもまたとれようかと思いますので、私どもは、とにかくあらゆるステークホルダーに負担を求めてくださいということはもう何度も東京電力に対して伝えてございますし、東京電力もそのことはわかっていると思っております。
○吉井委員 もともと、全面賠償しようと思ったら、東電というのは債務超過となるんです。破綻企業なんですよ。その企業に対して、たてつけとかしっかり報告とか、いろいろ言葉はあるんですけれども、実際には、東電には債権放棄を求めよときちんと言ったのかといったら、やっていないわけでしょう。だから、銀行協会の会長にしたって、求められていないと言っているんですよ。
 株主責任も金融機関の果たすべき責任も求めないで、この法律、幾らでも何度でも支援するという仕組みだけつくる。これはもう東電と大銀行救済スキームということになってくるんじゃないんですか。
○海江田国務大臣 例えば、金融機関に対して応分の負担と申しますか、それぞれの負担ということには、やはりいろいろな段階と申しますか、いろいろな形があろうかと思います。そうしたいろいろな形の負担というものは、やはりこれから求めることになろうかと思います。私どもが、それこそ、この東京電力の問題について、債権放棄というようなことについて、今の段階でそうした方向でというようなことを言うということは、それはあり得ないことであります。
○吉井委員 原発被害の被害者の実態をもっと考えなきゃいかぬと思うんですよ。被害者の立場に立って大臣が物を言うのか、それとも東電や大銀行の立場に立って物を考えるのか、全然違ってくるんですよ。
 今のあなたのお話を聞いておったら、求めないというんだけれども、結局、法律の、あなたの言葉で言えばたてつけは、幾らでも何度でも支援するという仕組みなんですよ。だけれども、実際には、東電に対して債権放棄を求めるとか、既に破綻した企業であるのに、その企業に対して、破綻企業に対する処理としてなすべきことを求めていないんですから、これは結局、東電、大銀行救済スキームだということを言わざるを得ないと思います。
 次に、外務省の方に来てもらっていますから伺っておきますが、一九八八年の改定日米原子力協定の問題を、先日、経産委員会で伺いました。あの協定には免責条項は入っていないと先日答弁がありました。
 改めて確認しますが、免責はないのですから、東電は、GEなどに製造物責任を問うことで社会的責任を果たさせることはできるんですね。確認しておきます。
○武藤政府参考人 お答え申し上げます。
 現行の日米原子力協定上、この協定の適用を受ける設備から生ずる損害に関する補償についての規定はございません。すなわち、現行の日米原子力協定上、御質問の、賠償請求を行う、あるいは行わない、そういったことについて、特に根拠ということもございませんけれども、逆に、これを制限しているということもございません。
○吉井委員 要するに、免責条項は入っていないんだから、この間の答弁では、請求しようと思ったらできるわけですね。
 それで、マーク1というのは欠陥原発であったことが明らかになっています。東電とGEや東芝などとの間では、メーカーの製造物責任と事故時の責任と補償についてどのような契約になっていたのか、今進めている事故処理ビジネスについてもどのような契約になっているのか、伺っておきます。
○海江田国務大臣 今お話のありました、東京電力とそれからGEなどとの、原子炉のメーカーとの間の契約がどうなっているのかということは、これは民間同士の話でありますので、現在までのところ、私どもはそれを承知していないということでございます。
○吉井委員 私、それはないと思うんですよ。免責が協定上なければ請求するのは当たり前で、民民間の問題だから知らないという話にはならないと思うんですよ。
 欠陥製品については、かつては、旧原子力協定では免責条項はあったんですよ、絶対これを入れよと。つまり、日本に原発や核燃料が入った瞬間からアメリカ側は免責される、これは旧協定なんですよ。しかし、今はその免責条項がなくなっているんだったら、これは請求するのが当たり前だと思うんですが。今やっている事故処理ビジネスについても、その過程でトラブルがたびたび起こっていますね。
 製品トラブルの費用負担というのは、結局、今のような大臣の考えでは、全部東京電力の負担ということになってくるんじゃないですか。それを総括原価で修繕費とか原発解体費の中に入れると、それは営業費総括表の中に入って、結局、電気料金値上げで国民が事故処理費用を負担するということになってきます。
 事故処理費負担も、将来の事業収益からとされている賠償資金の返済の原資も、今の総括原価方式のもとでは、電気料金の値上げ以外に生み出すことができないということになるんじゃないですか。
○海江田国務大臣 私どもは、国民の負担をできるだけ最小化しようということはもうずっと考えてきているところでありまして、そして、もちろん、一般負担金の場合と特別負担金の場合、これは種類が分かれて、特に特別負担金の方は、それを電気料金に転嫁をしない、そして、基本的に東京電力の平たく言えばリストラでこれを捻出するということでございますから、その意味では、東京電力が、今言ったその損害賠償について、まさに東京電力の判断としてやっていただければ、それはその分、東京電力のリストラの一環ということで、しっかりとした損害賠償のための資金が出てこようかと思っております。
 それから、なお、このリストラの具体的な中身については、現在の段階でまだこの法案は成立をしておりませんけれども、プレデューデリということで、法律でありますとか会計でありますとか、そういう専門家の方々がもう既に何度か東京電力に対して聞き取りをやっているということでございまして、この法律ができて本格的に国の資金の融通ということが決まっていけば、本格的なデューデリジェンスをやっていくということでございます。
○吉井委員 今やっている事故処理ビジネスについてもたびたびトラブっているんですよ。それで、その分がどんどんどんどん上積みされるわけですね。これについての契約がちゃんとはっきりしていないならば、そうすると、幾らでも事故処理ビジネスに支払う金がふえていく。これが修繕費になるのか原発解体費の中に入れるのかはともかくとして、それは総括原価で全部電気料金にはね返ってくる分なんですよ。
 それから、何か将来の事業収益で特別負担金を出すみたいなお話ですが、そもそも、内部留保を全部取り崩したときに事業収益というのはどこから出てくるんですか。これは原価掛ける三%の適正利潤率ですね。適正利潤がこの利益を生み出す。そこから出てくるわけですから、結局電気料金じゃないですか。
 私は、電力や原発メーカー、ゼネコンや鉄鋼など素材供給メーカー、メガバンクなどの原発利益共同体にやはり全面賠償に当たって社会的責任を果たさせる、その立場にきちんと政府は立ち切ることが最も大事なことだと思うんです。そのことをあいまいにして安易に税金とか電気料金の値上げで面倒を見ていくというのはとんでもない話だということを重ねて申し上げたいと思います。
 これまで政府は、原発の話になりますと、原発は発電単価が安い、一キロワット時当たり五円三十銭、最も安いということを言ってきました。これは、これまで、原発開発や将来の原発としている高速増殖原型炉「もんじゅ」の開発などの費用をほとんど国費で見てきて、それから、使用済み核燃料の再処理や放射性廃棄物の処理費、さらに、原発立地自治体にばらまいてきた電源立地交付金などの原資となる電源開発促進税などを電気料金に潜り込ませてきたからなんですよ。これを全部原発コストに入れると、七月十四日の本会議答弁からすると、一キロワット時当たり合計七円十銭ということになりますが、国家財政投入分を実態に合わせて、隠されたコストと事故収束及び全面賠償のコストを入れると、原発の発電コストというのははるかに高いものになると思うんです。
 私は、この機会にきちんとこれらを明らかにする必要があると思いますし、そもそも、原発導入以降、国家財政投入は総額幾らになるのか、この二つのことを明らかにしていただきたいと思います。
○海江田国務大臣 まず、この原子力発電のコストでありますが、これは御承知のように、平成十六年の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会コスト等検討小委員会において算出されたものでありまして、この試算方法については、OECD諸国が統一的に行っている方式に基づいたものでございます。ただ、議員御指摘のような電源立地交付金などの予算は含まれていないということは事実でございます。それから、平成十六年から大分年月もたっております。それから、何よりも、やはり今回の大変大きな事故があったわけでございますから、今後このコストの計算については見直しをするということは、私どももそう考えております。(吉井委員「国家財政投入は幾らですか」と呼ぶ)
○黄川田委員長 国家財政の投入の金額については、事務方から答弁ありますか。
○細野政府参考人 お答えを申し上げます。
 大臣の方から申し上げました平成十六年の一月のコスト等の計算の検討委員会における試算におきましては……(吉井委員「いや、総額。コストはもう大臣から答弁あったから、総額」と呼ぶ)総額ですね、おっしゃっているのは。
 当時の発電原価を算出しますときに、分母と分子、分母にはその発電の電力量をとり、分子にはその費用をとっております。資本費、燃料費、それから……(吉井委員「国家財政投入総額は幾らかと聞いているんです」と呼ぶ)そこは、済みません、ちょっと今手元に持ち合わせておりませんが、一兆九百億円のいわゆる資本費等に加えて、これは、先ほど申し上げましたOECDのルールにのっとった直接的な経費でございます。これに、今申し上げましたように、国の費用等が入っていないというのはそのとおりでございます。
○吉井委員 資料をごらんいただきたいと思うんですが、表一に、原子力のコストについて、これは大島先生という方が「原子力依存のエネルギー政策の転換を」という論文で紹介しておられるのをちょっと使わせていただいておりますが、本来の発電に要するコスト、バックエンドコスト、国家からの資金投入、今回の事故処理やら被害補償コストというのがこれに乗っかかってくるわけです。
 表二の方に、先ほどおっしゃったような調査会の方で試算した原子燃料のバックエンドのコストの方は書きましたが、これが十八兆八千億円ですね。
 三枚目に、原子力関係経費、これは実はあなたのところから回してもらったんですが、これまで総額十四兆四千百六十一億円国費を投入しているんですよ。
 だから、原発のコストというのは本当は物すごく高くなるんですね。こういうコストをみんなネグってしまって、何か安い安いという宣伝をしてきたということが問題で、大島先生の論文で紹介されているのでは、表四に書きましたように、原発の本来のコストは十円六十八銭。
 ただし、さらに問題になってくるのが、今度の場合、東電のコストで見れば、当然これに全面賠償に要する数兆円から十兆円台の補償コストがかかります。それから、さらに事故処理コストがかかってくるわけですね。そうなりますと、東電の原発コストに関して見るならば、一キロワット時につき百円前後の高い発電コストになってくるのではないかと思うんです。
 仮に、総理が言っているような、原発を国営という発想とは逆に、今度は、原発を通常の電力から切り離す、あるいは、公的管理にした場合ですと、公的管理から外して原発だけ民間会社にした場合、これまでの国家資金による支援も電気料金に潜り込ませてきたコストも除いて、送電部門が火力や水力並みの価格で買い取るとすると、そもそも原発株式会社というのは経営が成り立たなくなって倒産するのではないかと思うのですが、大臣はこうした問題についてはどのように見られますか。
○海江田国務大臣 従来、原子力発電のメリットと申しますか、その中で、コストの安い電源だというお話はございました。私は、やはりこれは今となってはもう間違いではないだろうかと。むしろ、コストの安さを強調する余り、それこそ、安全対策などに十全な手だてが打たれなかったのではないだろうかということもやはり考えております。
 ですから、これからは、そうした安いコストの電源であるというようなことは私どもも言わないつもりでございます。ただ、その金額が幾らかということは、今、雑誌の「経済」の論文だろうと思いますが、金額をお示しいただきましたが、私どもは私どもなりにこれからしっかりと、多くの皆さん方からの批判に耐え得るような金額を出したい、こう思っております。
○吉井委員 だから、要するに、原発安い安いと言ってきたけれども、きちんとした根拠を持っていなかったということが今はっきりしました。
 今回の支援機構法案というのは、東電と金融機関を救済するとともに、いわば原発株式会社、原発会社を倒産させない原発利益共同体支援機構だというふうに言うのが最もふさわしい法案のネーミングじゃないかと思います。
 次に、六月二十六日に佐賀市内で開かれた玄海原発の安全性について県民と経産省との説明番組で、視聴者からの意見投稿、メールは九州電力とその下請会社との組織的なやらせであることが明らかになりました。
 九電の社長の辞任表明はありました。私は、大きな責任は経済産業省にもあると思うのです。六月二十七日に提出した私の質問書への答弁書で、説明番組を請け負ったのは財団法人日本生産性本部で、下請として地元広告代理店である佐賀広告センターに再委託したことが明らかになりました。
 この説明番組の目的は何であったのか、何のために開かれたのか。玄海原発の再稼働を前提として行ったのではないとしてきたと思うのですが、これを確認しておきたいと思います。
○海江田国務大臣 これは、やはりこの事故が起きましてから、本当に多くの方々から、原子力発電所、とりわけ原子力の立地の地域あるいは立地の県の方々から、自分のところの原子力発電所は安全なのかどうなのかということについて、いろいろな声が寄せられております。
 ですから、ここでは、主に東京電力福島第一発電所のこれまでとってまいりました事故の収束に向けた努力などについて、あるいは、その後の、保安院が発しました三月三十日の安全対策などについて……(吉井委員「再稼働を目指したものじゃないですね」と呼ぶ)はい。説明をいたしました。
○吉井委員 答弁書でも、再稼働を前提などという言葉はどこにもないんです。
 二枚目の資料をごらんいただきたいんですが、質問書と答弁書ですが、確かに、答弁書の中では、今おっしゃった緊急安全対策ということで、再稼働を前提なんというようなことはどこにもないんです。
 ところが、説明番組では、日本生産性本部が二十三年度原子力施設立地推進調整事業という事業名の資源エネルギー庁の委託事業を実施したのは、これは資源エネルギー庁の委託事業の一部なんですが、佐賀での番組を実施するために、受託事業者である日本生産性本部は、発注者であるエネ庁に対して、六月十七日に計画変更承認申請書を出しています。それがこの資料の真ん中より上の方の部分ですね、六月十七日付、生産性本部から資源エネルギー庁へ。
 この右側の四番目のところを見ていただきたいんですが、棒線を引っ張っておきましたけれども、この計画変更申請書では、計画変更の内容と理由については、玄海原発二号、三号の定期点検後の再起動に係る地元了解が必要であり、佐賀県民に対して原子力発電の安全性及び必要性を訴求力のあるケーブルテレビにより放映するため、資源エネルギー庁との調整の上、判断したと、きちんとこの文書に書かれているんですね。
 運転休止中の玄海原発の再稼働を前提として原発の安全性を県民に知らしめることが目的であったということは明らかではありませんか。
○海江田国務大臣 私は、このテレビ番組、テレビを通じての説明ということについて、これは終わってからでありますけれども、どういう契約、契約というか、どこがやっている、私はてっきり、たった六人か七人が集まった話なんですから、もう国が直轄でやっておるものだとばかり思っておりました。そうしましたら、生産性本部が絡んでいるということで、私は、そんなものを絡める必要はないと。
 金は幾らかかっているんだということも全部知りまして、そして、かなりいろいろな、ガードマンの費用とか、そんなのは、殴られたっていいわけですよ、それは。ガードマンの費用なんかやっていますから、私は、そんなのは払っちゃいかぬということを言いました。しかも、こんなのがあるとは私は思っておりませんけれども、本当だったら国が自分のところでやって、そして、デモ隊が来たら、それはそれでほっとけばいいわけですよ。場合によっては……(発言する者あり)いや、本当に殴られたっていいんですよ。こんなことをやるのはおかしいんですよ。幾つもこういうのを絡めて。
 ですから、これは後でちゃんと調べます。
○吉井委員 生産性本部は経産省、資源エネルギー庁に出したんですよ。その大臣はあなたなんです。あなたの方が生産性本部理事長に対して、この変更申請で結構です、認めましょうとやっているんですよ。おっしゃったように、当初契約金額の約二倍、千二百万円。二倍に膨らんでいるんですよね。
 そうしたら、日本生産性本部というのは一体どういう団体かということが問われてくると思うんですが、ここは、戦後一貫して労使協調路線を推し進めてきた財界系のシンクタンクなんですね。政策として原発推進を掲げてきたところで、国からの委託事業を第三者的、中立的立場でやるようなところじゃないんです。非常に多くの原発安全神話をこれまでから振りまいてきた、そういう事業をやってきた実績もあるんです。
 日本生産性本部の幹部には、電力や原発関係者が多数入っているんじゃないですか。
○海江田国務大臣 原子力政策については国が推し進めてきたということもあろうかと思いますから、それは国がしっかりと責任をとらなければいけない点でありますが、ただ、私は、先ほどもお話をしましたけれども、こういうところでも、間にそうした団体を入れて、そこにかなり高額なお金、私にしてみれば、私も見ました、そういう要らないようなものに対しては、これはしっかりと判断をして、そういうものに対してはお金を払わない。
 私は、本当にそういう余分なお金があれば、それは現地の人たち、まさに被害に遭っている人たちにやはり回すべきだと思いますから、本当にそのことは、この資料を持ってきたときに、一体どこにこんな金がかかっているんだということで言いましたら、ガードマンが何人だとか、しかも前の晩からですよ、そんな、前の晩からなんかいる必要はありませんよ。だから、そういうものについてはもう払わないようにさせます。(吉井委員「電力の関係者はたくさんいるんですね」と呼ぶ)いや、それはわかりません。
○吉井委員 それはわからぬというお話なんですが、例えば、理事には元通産事務次官や電力総連の会長とか、評議員には勝俣東電会長、日立の相談役や元事務次官の福川さんとか、幹事会幹事には東電関係者もおれば、中国電力の社長とか、北電、日本原燃、電源開発、東北電力、中国電力、北陸電力、日立製作所とか、要するに、原発利益共同体のメンバーが全部入っているんですよ。そこが段取りをして、そして、経産大臣が管轄しているところでですよ、この玄海原発の再起動のためにという変更申請書を認め、契約金も二倍に膨らませて、ガードマンの何だかんだという話じゃないんですよ。
 説明目的は、表向きは玄海原発の再稼働とはなっていないというのは、閣議決定された答弁書の中でもちゃんとはっきりしているんです。
 しかし、実際には、日本生産性本部は、玄海原発の再稼働に係る地元了解が必要で、県民に原発の安全性と必要性を訴えることが必要だとして、資源エネルギー庁に計画変更を申請し、エネ庁は、生産性本部と相談して決裁文書で計画変更を了解しているんです。だから、裏ではエネ庁と生産性本部の間で再稼働が画策されたことはもう極めて重大であって、まず初めに再稼働ありきの筋書きがあって、それに基づいて進んできたということは明白だと思うんです。
 だから、メール問題で社長が責任をとるのは、これは辞任は当然としても、それは一電力会社の問題じゃなしに、国家として、これを所管する経産大臣、経産省や資源エネルギー庁の責任が非常に重いんだということをやはり考えてもらわないと、何かガードマンの責任に矮小化されたらとんでもない話だと思うんです。
 ここで委員長にお願いしておきたいんですが、この説明番組自体が、経産省、エネ庁の委託費で日本生産性本部という原発利益共同体が九電を含めて仕組んだものだと私は思いますが、委員長として、経産省自身の関与をきちんと調査して、この委員会に報告をしていただきたい。
 このことをお願いいたしまして、時間が参りましたので終わりたいと思うんですが、その点だけどうですか、委員長。
○黄川田委員長 その前に答弁させます。
○海江田国務大臣 そのガードマンがという話はわかりやすい話で申し上げたまでで、私は、国がやるのなら国が直接、もちろんできないものもありますけれども、国が直接やるべきでありまして、そういう意味での冗費というのは、もう今度、一切使っちゃいかぬということは言ってございます。
○黄川田委員長 御指摘の件については、後刻理事会で協議いたします。
○吉井委員 では、よろしく。
 終わります。
○黄川田委員長 次に、服部良一君。
○服部委員 社会民主党の服部良一です。
 きょうは、原子力損害賠償支援機構法案について、枝野官房長官とちょっと議論をさせていただきたいというふうに思います。
 今回の賠償スキームは、東電の無条件存続、電力事業の地域独占体制の維持にしかならず、増税あるいは電気料金への転嫁等の国民負担をもたらすのではないかという懸念を持っております。
 東電は電気事業以外の資産の整理を強調していますけれども、事業や経営のあり方に踏み込むべきです。東電の事業収益を賠償原資とするということは国民負担に直結するものでありますから、賠償原資は資産を原則とすべきであり、経営責任の追及を含め、東電が徹底的に身を削るということが必要だというふうに考えます。
 徹底した補償と責任の明確化という意味で、約五兆円の送配電資産を一時国有化し、対価として国が賠償債務の一部を引き受けるということを提案いたしたいと思います。あるいは、東電は賠償会社の役割に限定して、そして電気事業は一時国有化する、その上で発送電部門を分離する。処理の過程で株主、貸し手責任や負担の帰属も明確になるのではないかというふうに考えているわけですけれども、枝野官房長官、私が今申し上げたような案はいかがですか。
○枝野国務大臣 御承知のとおり、今回の法案でも、賠償責任を有する原子力事業者による迅速かつ適切な賠償支払いのための資金確保に必要な場合には、原子力事業者の保有する資産の買い取りを機構が実施することができることとなっております。この場合の買い取り対象資産には、送配電施設であったり、あるいは発電施設であったりという、あらゆる資産が対象となり得るという制度になっております。
 ただ、いわゆる発送電分離を前提とした一部資産の売却については、エネルギー政策全体のあり方の中で検討した上で結論を出すべきものというふうに考えておりますので、まずは被害者の皆さんに対するしっかりとした賠償を進めるということで、可能性は否定しておりませんが、今申しましたとおり、全体のエネルギー政策のあり方の中で御指摘いただいたことについては検討すべきだと思っております。
○服部委員 確認ですけれども、法案の第五十二条、「当該原子力事業者の保有する資産の買取りを行うことができる。」こうなっているわけですけれども、この中には、理論上は送配電の買い取りということもありますという答弁でよろしいわけですね。
○枝野国務大臣 制度としてはそういうことになっておりまして、ただ、実際それを行うかどうかということについては、エネルギー政策全体の議論の中で判断すべきことと思っております。
○服部委員 それでは、送配電部門だけではなくて、例えば、将来的に東京電力が経営的に成り立たないというような局面があったときに、東京電力を買い取る、国有化するということもありますか。
○枝野国務大臣 政策判断の話と、この法律で何が可能であるかということの議論とは分けて受けとめていただきたいと思うんですが、仕組みといたしましては、先ほどのお話のとおり、資産を機構が買い取る、機構は事実上の国有という意味では国有かもしれません。それから、別途、株式を保有するということもこのスキームにございます。
 こういった形での実質的国有ということも制度としてはあり得るということでございますが、まさにエネルギー政策全体の議論の中で判断すべきことが多々ありますので、まずは被害者の皆さんに対する賠償に万全を期すという観点で法律は運用されるというふうに思っております。
○服部委員 私、冒頭で、今回の賠償スキームは東電の無条件存続にしかならずというようなことを言ったんですけれども、何も無条件存続を前提としているわけではないよ、いろいろな選択肢があると。ですから、東電が立ち行かない場合、国有化ということも理論上はあるということでいいわけですね。
 ということは、要するに、今回の賠償スキームは、何も東電の無条件存続を前提としたものではないというふうに受けとめていいわけですか。
○枝野国務大臣 これは、この法律の前段階における、最終的には関係閣僚の合意だったかと思いますが、そのところでも、このスキームで今後のエネルギー政策全体の議論に何らかの制約を加えるものではないという趣旨の文章も入れているものであります。
○服部委員 そうですか。それでは、もう一点だけ。
 附則の第六条に、原子力損害に係る政府の援助のあり方等について将来的に検討を加えるという文言があるんですけれども、これはどういうことを想定されているんでしょうか。ちょっと通告していなかったので申しわけないんですけれども。
○枝野国務大臣 まさに今申しましたとおり、まず急がなければならないのは、被害者の皆さんに対する賠償に万全を期すということであります。ただ、エネルギー政策全般の議論をしっかりと進めていく、そのことに対してあらかじめ予断を与えるようなことになってはいけない。
 したがって、そういった議論を今後どう展開していくかによって見直すこともあり得るでしょうし、また、率直に申し上げれば、ただ賠償額の全体がどれぐらいになるのか、まだすべてを見通せない状況でございますので、そうしたさまざまな今後の状況を踏まえて、状況に応じた見直しが必要であるという趣旨でこうした規定を置いたものでございます。
○服部委員 わかりました。
 何でこんなにくどく言っているかといいますと、政府の今回の補償に当たる腹がどの辺に据わっているかということをお聞きしたいなと思ったんですね。
 東電の事業収益の中で、将来的には電気料金もちらちら上げながらやっていくような、言い方は悪いですけれども、ちょっと小手先のといいますか、そういったものなのか。あるいは、何かよくわかりませんけれども、七月三日の毎日新聞には「東電解体極秘プラン」というのがあるんだというふうに載っているんですけれども、この記事はごらんになりましたか。こんなプランは本当にあるんですか。
○枝野国務大臣 記事は拝見をいたしましたが、そういったプランについては私は全く承知をしておりません。
○服部委員 いずれにしましても、この賠償金額が一体幾らになるのか、さっぱりわからない。事故がスムーズに計画どおりに収束されればいいわけですけれども、今から何が起きるかわからない。
 そして今回、また牛肉の汚染の問題もあり、放射能の汚染が一体どこまで広がっているのか、今、本当にみんな不安に思っていますよ。百キロも離れたところの米のわらから出てくるということは、そのほかのものは大丈夫かと。これはだれしも思いますよね。
 それがどんどんどんどん被害が拡大するということになれば、しかも、この前エネ庁に聞きましたら、一体何兆円ぐらい想定しているんだと言うたら、三兆から四兆、多くて五兆と。ところが、人によっては十兆だとか、いろいろなことをおっしゃるわけですね。それは確かにわからないと思いますけれども。
 そういった巨額な補償、あるいは今からの事故の収束、廃炉、何十年かかるかわからないというこの後始末に向けて、一体どれだけの資金が要るのか。その中で本当に東電がもつのか。債務超過というか、事実上破綻しているんじゃないのかという疑念も多くの国民は持たれているんじゃないかなと思います。そういう意味で、ぜひ、いろいろな選択肢を排除せずに、国としてしっかり面倒を見ていただくというか、きちっとやっていただきたいなというふうに思います。
 そういう意味で、きょうの法案の中に、発送電の分離だとか、そういう選択肢も排除していないということははっきりわかりました。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 EPZ、防災対策重点地域の件なんですけれども、きょうは班目原子力安全委員長にお越しいただいております。
 原子力安全委員会の、原子力施設等の防災対策というのがあります。この中に、EPZ、いわゆる防災対策の重点地域に対する考え方が示されているわけですけれども、この中には、「十分に安全対策が講じられている原子力施設を対象に、あえて技術的に起こり得ないような事態までを仮定して、さらに、十分な余裕を持って示しているもの」であるというふうに解説されているわけですけれども、このような想定をしたということに対して、委員長として何かコメントといいますか、反省の弁はございませんか。
○班目参考人 御指摘の点につきましては、原子力安全委員会としては真摯に反省いたしておりまして、その辺の記述についても、今後見直しをさせていただきたいと思っている次第でございます。
○服部委員 見直すということなんですけれども、いつまでに見直されるんでしょうか。
○班目参考人 防災指針、例えば、今お話のありましたEPZの範囲をどうするかということまで含めまして、あと、非常にたくさん見直し点がございます。そこで、原子力安全委員会としては、既に先月、防災専門部会に対して全面的な改定をするように指示してございまして、先週、七月十四日だったと思いますが、そこでもうワーキンググループをつくりまして、具体的な検討に入っております。
 いつまでにということなんですが、優先度をつけて議論をしていって、必要に応じて結果は表に出していきたいとは思いますけれども、少なくとも年度内には一定の結論、そこまでに出た結論というのをまとめていただきたいというふうに考えている次第でございます。
○服部委員 年度内というのは、年末じゃなくて来年の三月という意味ですか。
○班目参考人 一定の結論というか、まとめみたいなものは年度内になりますけれども、その前にも、必要に応じて考え方みたいなものは示していきたいというふうに考えている次第です。
○服部委員 今、原子力発電所の近くの自治体は大変心配しているわけですね。この前、京都府の綾部市というところに呼ばれまして、行ってきて話をしたんですけれども、地元の町内会長さんとかいろいろお見えになっているわけですけれども、綾部市は市の全域が三十キロに入るらしいんですよ。それで、福島の事故を見ているものだから、うちも当事者だ、防災協定を結ばぬといかぬと皆さんおっしゃっているわけですね。
 ですから、今、再稼働の問題が絡んでいますから、いつまでもおくらすというわけにはいかないというふうに私は思っているわけですが、まずその見直しなんですけれども、今八キロから十キロということになっているわけですけれども、この八キロから十キロというのはまさに拡大せざるを得ない、これは間違いないですね。
○班目参考人 これは、国際的な考え方のUPZというのがもっと広くとられていることもありますので、そういうものも参考にして議論させていただきたいというふうに考えている次第です。
○服部委員 参考にして。では、例えば福島第一原子力発電所の事故で、避難地域が二十キロ、それから計画的避難地域は五十キロ、こうなっているわけですけれども、福島で起きた現実の事象ですけれども、これは具体的には参考にされるんですか。
○班目参考人 防災指針の見直しというのは、原子力安全委員会として決めるわけではなくて、やはり防災専門部会でしっかりと議論していただかなきゃいけないものですから、私の方からこうしろというふうな指示は出せないんですが、専門部会の委員の方々はこの福島のことは当然踏まえて決定されると思いますので、当然、委員おっしゃるようなことは反映されるだろうというふうに思っている次第でございます。
○服部委員 専門の検討チームの中では反映されるであろうというふうに班目委員長は御認識ということなんですけれども、安全委員会の責任者として、班目委員長としてはその点はどうなんでしょうか。
○班目参考人 私の個人的な考え方になりますけれども、当然、八キロから十キロというのは不適切であった、広げるべきであるというふうにはっきり思っております。
○服部委員 官房長官にお聞きしますけれども、今住民が、例えばこの前も佐賀で再稼働だという話が出たときに、長崎の方が、ちょっと待て、佐賀だけで決めるなというような話がありましたでしょう。ですから、今回の再稼働に絡んで、こういったEPZ、何キロまでを防災対策の重点地域とするか、先に見直しした方がいいというふうに思うんですけれども、どうですか。
○枝野国務大臣 EPZ、防災指針については、まさに専門家の、独立性を持った委員会である原子力安全委員会、なおかつ、そのもとに専門家の皆さんに集まっていただいたところで、まさに専門的に御議論をいただいて適切な御判断をいただこうというふうに思っておりますので、その議論そのものを政治の方でああしろこうしろと言うのでは、独立委員会としての趣旨と異なってしまいます。
 また、専門家の皆さんが専門的に御議論されるわけですので、政府の立場としては、できるだけ早く議論を進めていただきたいというふうにお願いをさせていただいておりますが、まさにこれも、専門的な議論、分析にどの程度かかるのかということを、政治の方で勝手に、いつまでに、おしりを切ってというわけにいかない性格のものでございます。
 できるだけ早く結論を出していただいて、それを踏まえて、より安心感を周辺の住民の皆さんに持っていただけるような新たな防災指針をつくってまいりたいと思っております。
○服部委員 私は手続のことを言っているんじゃなくて、例えば滋賀県、若狭湾から、若狭の原発から十数キロで琵琶湖があるわけですね。ですから、もし同じような事故が起きたら琵琶湖の二千万人の水がめが一体どうなるんだと、本当に地域の住民は心配しているんですよ。
 そういったこともあるから、再稼働をちょっと待てよ、本当に安全なのかという議論になるわけであって、そういう住民の生活とか、不安を払拭するというのは、これはまさに政治の責任じゃないですか。そうでしょう。ですから、やはりそういった、EPZの範囲をこうするんだ、そして住民に、例えば福井県だけじゃなくて滋賀県の人にも、間違いないという安心感を与えて再稼働する。これが一つの政治の決断じゃないんですか、官房長官。
○枝野国務大臣 周辺住民の皆さんにできるだけ安心感を持っていただくということについて努力をしなければいけないというふうに思っております。それは御指摘のとおりでございます。
 そのためにも、事故が起こってしまったときにどうするかという以上に、事故が起こらないという安全性について、いかに安心をしていただくかということで、いろいろな御批判もございますけれども、ストレステストを参考にした新たな手続、ルールに基づく安全評価を実施して、事故を起こさないという部分のところでの安全性の確認と、安心をしていただくための手続を決めさせていただいたところでございます。
○服部委員 また改めてやらせてもらいます。
 もう時間もないので、海江田経産大臣にお聞きしますけれども、原発立地点の近隣自治体と電力会社との間の原子力安全協定について、前に、応援したいということをおっしゃっているんですね。応援したいとは一体どういうことなのか、それが一つ。
 それと、この前、SPEEDIをもっと使いたいと。SPEEDIの予測を今回のEPZに反映されるとか、そういったお考えはありませんか。
○黄川田委員長 服部委員の持ち時間が過ぎておりますので、簡潔に。
○海江田国務大臣 安全協定はその地域と事業者が結ぶものですから、直接、国の関与の法的な義務などはありません。ただ、やはりそこは、本当に地域の方々が安心できるように、国としてできることがあれば力添えしますよという意味でございます。
 それから、EPZの場合は、やはりどういう形で避難をするかということ。さっきありましたけれども、五十キロが全部同心円的なものじゃありませんから、そういうときには、いろいろな条件を置いて、SPEEDIなどで、きょうはこういう形でやったらどういう逃げ方をすればいいのかとか、やはりそういうものに役立てた方がいいという思いからお話をしました。
○服部委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○黄川田委員長 次に、柿澤未途君。
○柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。
 菅総理の脱原発依存の方針についてお伺いをしたいと思います。
 菅総理は、十三日の夕方、官邸で記者会見をし、こうお話しになりました。「これからの日本の原子力政策として、原発に依存しない社会を目指すべきと考えるに至りました。」「計画的、段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現していく。これがこれから我が国が目指すべき方向だ」、こういうふうに話したわけであります。
 我が党の江田幹事長も午前中の予算委員会でお話ししましたが、脱原発依存、この方針については、私たちも基本的に同じであります。しかし、この肝心の脱原発依存の方針について、菅総理は翌日、閣議後の閣僚懇談会で閣僚から説明を求められて、前日の発言を、あれは個人的な見解だと釈明し、いきなり腰砕けになってしまったわけであります。一国の総理がわざわざ官邸で記者会見までやって発表した考えを個人的な見解と言うのはおかしいではないかと批判が上がったのは、至極当然のことだというふうに思います。
 結果、脱原発、脱原発依存ということについては、今のところ、総理が口でそう言ったという以上の具体的な担保は何もない、総理がかわればどうなるかわからないというものになってしまっております。いや、そうではない、一国の総理の言葉は重いんだ、こう言うかもしれませんけれども、しかし、菅総理みずからがさまざまな案件でその一国の総理の言葉というのをころころころころ覆してきているわけですから、一国の総理の言葉は重いと言ったって全然説得力がないというふうに思うんです。
 これを政府の方針とするには、法案上そのことを明記するなりして、拘束性のある国会での議決案件にしていかなければいけない、こういうふうに思います。
 例えば、消費税の問題。麻生内閣のときに、所得税法附則百四条で、「平成二十三年度までに必要な法制上の措置」、こういうふうに書いた。こう書いたからこそ、麻生内閣が退陣し民主党政権になっても、国会で議決した附則百四条がいわば生き返ってきて、平成二十三年度、税と社会保障の一体改革として、今、民主党を二分するような議論を行っているわけではありませんか。
 エネルギー行政の根幹にかかわるこれだけの重要案件ですから、本来であれば、脱原発依存に向けたプログラム法でもつくって国会に提出するのが私は最も望ましいというふうに考えておりますが、しかし、そうでなくとも、例えば、既に国会に提出をされている再生可能エネルギー特措法の第一条の目的を書きかえる、もしくは今回の原子力損害賠償支援機構法案に、脱原発依存の電力供給の実現に向けた具体的な方策についていついつまでに所要の法制度を整備する、こういう附則をつける等、いろいろ方法があるというふうに思うんです。
 両法案とも海江田大臣の御所管でありますので、菅総理がおっしゃられたこの脱原発依存の方針をこうした形で法案上に明記する、こうしたおつもりがないかということをお伺いしたいと思います。
○海江田国務大臣 柿澤委員にお答えをいたします。
 せんだっての記者会見の発言は、総理みずからがこれは個人的な見解だということでございますので、ただ、やはり議論はしなければいけないと思いますから、これから本当に内閣全体で、あるいは内閣だけではありませんで、党も含めて全党的な議論をスタートさせるということで私はよろしいかと思います。
○柿澤委員 今のお話を聞くと、菅総理の脱原発依存、会見での御発言については、御本人がおっしゃっているとおり個人的見解なのでということで、今後議論はしていかなければいけないけれども、しかし、菅総理のあの会見でおっしゃられた言葉、いわば思いというのは全面的に共有しているわけではない、こういうふうにも受けとめられるような御答弁だと思います。
 それで、お伺いをしたいと思うんですけれども、午前中の予算委員会での菅総理と江田幹事長とのやりとりで、何度か詰めの質問を行った上で、菅総理は将来的には原発への依存度をゼロにすることを目指しているということがはっきりしたと思います。この目標を海江田大臣は内閣の閣僚の一人として共有しているのかどうか、改めてお伺いをしたいと思います。
○海江田国務大臣 総理が総理としての発言であれば、これは当然、共有しているかしていないかということは大変大事な問題になってまいりますが、総理が個人的な発言だとおっしゃるわけでございますから、それは共有しているかしていないかということは鴻毛よりも軽いと思います。
○柿澤委員 総理が総理として発言をするなら、これは共有しているかしていないかは問題になるけれども、総理が個人として発言したと言うんだから、これは鴻毛より軽い、こういう御答弁であります。
 まるで靖国神社の参拝の問題で、公人として発言したのか私人として発言したのか、こんなふうにも何か連想するような言葉ですけれども、もう一度お伺いをしたいと思います。
 海江田大臣は、これは会見の本文のとおりに申し上げますけれども、「計画的、段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現していく。」こういう菅総理の考えに賛同しているのかしていないのか、お伺いをしたいと思います。
○海江田国務大臣 将来はというのがいつぐらいなのかということもやはり私は総理から話を伺ってみたいと思います。それがどのくらいの、人間というのはそれぞれ人の人生の中で時間軸のとり方というのは違いますから、私なんかはそんなにもう長くないと思っておりますから、私の生きているうちにそういうことが達成されるのか、それとももう少し先になるのかということも伺ってみなければいけないなと思っております。
○柿澤委員 総理が個人として御発言をした限りにおいては共有していなくても構わないということだとすると、これはいろいろな解釈が成り立つ御発言ではありますけれども、私が聞いている限りは、海江田大臣は、菅総理の脱原発依存というか、原発に依存しなくてもいい社会を目指していくということについては一〇〇%共有はしていない、こういうふうに感じられます。私はやはり、個人的発言といえども、これは一種の閣内不一致なのではないかというふうに思います。
 今回の機構法案第一条の目的には、「原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図り、」こうあって、これはどう読んでも原発の運転を今後とも維持していくための法案であるようにしか読めません。この点は、先日、浅尾政調会長も取り上げて、本日は石田委員も質問で取り上げておられました。
 結局、この法案が通って、総理の言葉は個人的な見解であるとすれば、将来にわたって政府を拘束する法的根拠のある文言は、この第一条の「原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図り、」こっちの方になるわけです。総理の個人的な言葉が言いっ放しで雲散霧消すれば、いよいよ、「原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図り、」この文言を残したことが生きてくる、こういうことにもなるのではないかというふうに思います。
 私は、海江田大臣が、総理の発言は個人的な発言だ、一方でこの条文はこの条文として残すんだ、意図的にこれをやっているのだということを幾らか邪推してしまうんですけれども、そうしたことはないでしょうか。
○海江田国務大臣 私が総理の発言は個人的な発言だと申し上げたわけではないんです。さっき鴻毛より軽いということだけを言いましたけれども、本当に総理が総理としての発言であれば、これは泰山より重い、そういう認識がございますので、その意味で、くれぐれも誤解をしていただいては困りますけれども、私が総理の発言は個人的な発言だと言ったわけではありませんから、そこのところだけは御理解をください。
○柿澤委員 総理の個人的な見解であるかどうかにかかわってこれが鴻毛より軽くなったり泰山より重くなったりする、これが海江田大臣の現時点での御見解だということであります。
 枝野官房長官にもお見えをいただいておりますので、お伺いをしたいと思います。
 先ほど来私がこだわっているとおり、脱原発依存を総理の個人的な見解として言いっ放しに終わらせないためにも、仮に百歩譲って法案化するということが将来の問題になるにしても、最低限、原発に依存しなくてもやっていける、そのような社会を目指していくという方針を、本来であれば閣議決定しないといけないというふうに思います。どんな法案も政策も構想も、閣議決定が行われて初めて政府の法案となる。
 一国の総理の言葉が重いということであるならば、菅総理の、原発に依存しなくてもやっていける社会を目指していくという、この記者会見での発言を内閣官房長官として閣議決定としていくことを目指すべきではないかというふうに思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
○枝野国務大臣 総理の十三日の記者会見の御発言は、全体をよく聞いて読んでいただければ御理解をいただけると思うんですが、決して翌日以降何か変わったわけでもございませんし、記者会見そのもので総理御自身がその趣旨を明確におっしゃっておられます。それは、政府としての今後のエネルギー政策の方向性として、原子力発電については、より高い安全性のもとで活用しながら、計画的、段階的に依存度を引き下げていく、これは政府としての考え方、方針であります。
 このことについて、加えて二つの意味で総理はおっしゃいました。一つは、総理御自身の認識としては、将来的に原発がなくてもやっていける社会になることが望ましいという総理のお考えの流れの中で、政府としてはこういった考え方を今とっていると。そしてもう一つは、原発がなくてもやっていける社会になっていけるのかどうかということについては、国民的な議論をこれから展開していく、そのスタートとして話されたもの。これは総理御自身の会見の中でも、まさにこれについては国民的な議論をしなければならないんだという趣旨のことをおっしゃっておられます。
 したがいまして、政府としての考え方ということも明確におっしゃられ、そのことに加えて、行政権の長としてというよりも、政治のリーダーとしての、自分としての考え方とその中における位置づけ、そして、これから国民的な議論が必要なんだという趣旨のことをおっしゃったものでございまして、その後の総理御自身の御説明や、あるいは私が翌日記者会見でこういう趣旨のことを申し上げましたが、当初の総理の発言から全部一貫をしております。
 したがいまして、将来は原発がなくてもやっていける社会になることが望ましいということについては、まさにこれから国民的な議論をスタートさせたいということでございますので、閣議決定等には適するものではございません。
○柿澤委員 今のお話は、菅総理の記者会見での発言を、部分的にはこうで部分的にはこうで、そういうふうに切り取りをして、こちらの方は行政の長として政府の方針を話したものだ、一方で、こちらは個人の発言として政治のリーダーとして話したものだ、こういうふうに切り分けるかのような御答弁だったと思います。
 そして、国民的な議論の第一歩として、菅総理は、原発への依存度を計画的、段階的に減らしていく、こういうことを提起されて、原発に依存しない社会を目指していきたいんだということを議論の第一歩としてお話をされたんだということであります。それは、政府として今後、海江田大臣もおっしゃられたように、議論をしていくんだということです。
 しかし、菅総理は、少なくとも、内閣総理大臣という肩書を持ちながら、個人の思いとして、原発に依存しない社会を目指していくべきなんだ、こういうことをおっしゃられている、一定の方向づけを政治的リーダーとしてされているわけです。
 この上で、では、枝野官房長官も海江田大臣も、どういう方向性でこのエネルギー政策を議論していこうとしているのか、あえてもう一度お伺いをしたいと思います。
○海江田国務大臣 お答えいたします。
 大変ややこしい話だなというふうに先ほどから話を聞いていまして思いますが、ただ、議論をしましょうということ、これは政府の考え方でございますし、それからあと、これは総理自身言っていますが、私も大賛成でありますが、昨年のエネルギー基本計画で定めた五三%、これはもう無理だね、そこから段階的に少なくしていきましょうという、そこは一致をしております。
 議論をしていく中から、自分は自分の考え方がありますが、ただ、それは、いこじにいつまでもそれを守るということではありませんので、そこはいろいろな意見を聞いて、ああ、なるほどそうなのか、それが真意なのかということで議論をしていって、そしてその中で内閣全体としての意見がまとまればそれが一番いいことでありまして、今の段階で、あなたの個人的な意見をどうするこうするというようなことは、聞かれましてもすぐにお答えはできません。私は、やはりどちらかというと柔軟な人間でございますので、相手の意見をよく聞いて、そして理があれば、それを全くそのとおりだと得心をするわけでございます。
○枝野国務大臣 まず前提として、私は、例えば閣内においても、これから方針を決めていこうということに当たって、それぞれの閣僚がそれぞれの御意見を開陳されて、一時的には閣内が意見が分かれているように見える段階があっても、最終的に例えば内閣なら内閣として意思決定がきちっとできれば、そのことは決して悪いことではないと一般論として思っております。
 ただ、私は今、内閣官房長官という、内閣の閣僚の中でもいわば総理のスタッフ職的な立場についております。内閣官房長官という全体の取りまとめ、調整の役割に今ついておりますので、私の個人的な見解は、内閣官房長官の職を離れたら申し上げます。
○柿澤委員 この間、海江田大臣は、エネルギー政策の全体としての方向性については予断を持たずに議論をしていくんだ、こういうことを何度もおっしゃられていたかと思います。
 予断を持たずに議論、予断を持たずに議論と何度か聞いていて、どうもいつか聞いた言葉だな、こういうふうに思って、国会の議事録の検索のシステムでキーワード検索をしてみたんです。そうしたら、次々に議事録がひっかかってきた。これは、前原さんが国土交通大臣の時代に八ツ場ダム中止の問題で多用してきた言葉なんですよ、予断を持たずに議論し、予断を持たずに検証する。
 それで、結局、八ツ場ダムの問題、どうなりましたか。予断を持たずに議論というのは、結局、方向性を決めないままふらふらと前に進んでいく、こういうことを結果的に正当化する、実はこういう言葉でしかないのではないですか。どっちにも行けるような言葉を答弁しておいて、基本的な方向性を決めないままふらふらと進んでいく。
 菅総理のおっしゃっていることと海江田大臣のおっしゃっていることが十分整合していないかのように見えるけれども、しかし、お互いが予断を持たずに議論し、検証しているんだということであれば、これは、当面それが正当化されてしまう。結果として、閣内不統一も整理しないまま、問題の先送りを、予断を持たずに議論、こういう霞が関文学で言いかえているにすぎないのではありませんか。これでは、政策の推進力など、内閣として持ち得ないのではないかというふうにも思います。
 何か御答弁をいただければと思いますが。
○海江田国務大臣 キーワードで検索するのもよろしゅうございますが、やはりその前に、どういう質問に対してその答えを使ったかということをぜひ調べていただきたいんですね。
 私は、ここでひとり言を言っているわけじゃありませんから、皆様方の質問にできるだけ正確にお答えをしようと、なかなか難しいというか、大変苦労しておりますけれども、できるだけ質問に合った答えをしようと思ってはおりますが、やはり質問によって、同じ予断を持たずにということでも大分意味内容が違ってまいりますので、それはぜひ御理解をいただきたい。
 私が特にこの機構法について使っております予断を持たずにということは、やはり将来的には、皆様方が主張しております発送電の分離でありますとか、それから価格を、今のような状況では電気の料金がほっておくと高くなりますから、国際競争力の面から、それから家庭の負担からいっても電気の料金を私はできるだけ安くしたいと思っています。その安くするところで競争を導入するというのは、これは安くするためには何の値段でもとってきた一つの道筋でありますから、そういうことについては私は少しもとらわれるものではありませんから、そういうことも含めて予断を持たずにと言っているわけでございます。
 ただ、そのタイミングなどについてはよくはからなければいけないというふうに考えておりますので、同じ予断を持たずにという言葉でも、その時々、一つ一つの答えによって違うということはぜひ御理解をいただきたいと思います。
○黄川田委員長 柿澤委員の時間が来ておりますので、取りまとめてください。
○柿澤委員 海江田大臣の予断を持たずにという今の意味解説は、将来的な、我が党が主張する発送電の分離を初めとして、こういうことも含めて検討の対象になるという意味での御解説でありましたので、これは大変ポジティブに受けとめたいというふうにも思いますが、しかし、こうしたことも予断を持たずに検証していくということで、いかようにでも進んでいくことができる、こういうことがいつまで許容されるのかということは、おのずと期限があり、限界があることだというふうにも思います。
 そして、今まさに、原発事故の対応で、この東京電力という企業をどうしていくか、そして電力事業全体をどうしていくか、ひいてはエネルギー政策全体をどう見直していくか、こういう議論がいわば待ったなしの状況で行われなければいけない中でもありますので、そういう中で、予断を持たずにということで、八ツ場ダムのようなそうした長期間の経過をするということでは私は望ましくない、このことを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○黄川田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時十七分散会