第180回国会 本会議 第2号
平成二十四年一月二十六日(木曜日)
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 議事日程 第二号
  平成二十四年一月二十六日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
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○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時二分開議
○議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。
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 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(横路孝弘君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。谷垣禎一君。
    〔谷垣禎一君登壇〕
○谷垣禎一君 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、一昨日の野田総理の施政方針演説につき質問いたします。(拍手)
 まずは、昨年の東日本大震災によって御家族、御親族、御友人を亡くされ、癒えない悲しみを抱えたまま年を越された方々、また、福島第一原子力発電所の事故で避難を余儀なくされ、遠きにありてふるさとを思いながら新年を迎えられた方々に、心よりお見舞い申し上げます。私ども自民党は、被災された全ての方々の心の中に希望の灯が再びともるその日まで、力を尽くして寄り添うことをお誓い申し上げます。
 さて、最近の野田総理の言動には、社会保障・税一体改革にはやる余り、就任当初に国民から期待された丁寧さ、誠実さを失いつつあると感じられてなりません。外交、安全保障、沖縄との関係において重責を担う防衛大臣の二代にわたっての資質への疑義など、内閣としての緊張感の欠如も多々見受けられます。
 総理は、最近、君子豹変すという言葉を好んで使われます。周易で言うこの言葉は、ただ単に急に態度を変えることではなく、徳を積んだ真の指導者は、過ちを潔く認め、ヒョウの毛皮が秋に色を変えるがごとく、正しい道に戻るということです。すなわち、国民にうそをついたことをわび、負担を正直に訴え、その意見を聞くことなのです。上から目線の決意だけでは、国民の理解は決して得られません。
 泥臭く国民のために汗をかくドジョウの政治をとことんやりたいと言って総理になったあなたの姿が、国民との約束もないまま、一体改革に協力しないのは歴史に対する反逆行為だなどと決めつけて一人空回りしていた菅前総理の姿と次第に重なっていくことを、あなたのために惜しむものであります。
 一体改革は確かに重要ですが、名実ともに国民とも一体の改革でなければなりません。あなたが消費税率引き上げを決めたことはマニフェスト違反ではないといかに強弁しても、その弁明を真に受ける有権者など皆無です。マニフェストを掲げて政権交代を果たしながら、次々と政策を翻していった民主党政権に対する国民の視線は厳しいものがあります。
 まずは、できないことはできないと正直に伝え、過ちは素直に認め、わびるべきは国民にわびる謙虚さが野田総理に求められています。一体改革のために捨て石になるとまで言われたあなたは本当に身を捨てる覚悟があるのか、そのことが今問われているのです。
 総理、私の目に映るのは、政権維持のために、一体改革を盾として、国民と真正面から向き合う覚悟に欠けるあなたの姿です。本日は、我が党の社会保障・税一体改革に対するスタンスを改めて明確に申し上げるとともに、質疑を通じて、総理に本当の意味での覚悟を迫ってまいります。
 野田総理は、さきの衆議院総選挙において、四年間の任期中に消費税の税率引き上げを決めることに賛成か反対かという新聞社の候補者アンケートに対し、反対と答えていますね。これはいまだにホームページにも掲載されており、こうした回答にもかかわらず、今は総理としてみずからの手で消費税率引き上げを決めようとされていますが、あなたの言を信じて一票を投じた千葉四区の有権者にどう説明されるのですか。
 これは、岡田副総理、安住財務大臣も同様の回答であり、当時の民主党代表に至っては二十年間は消費税を上げないとまでテレビで国民に明言していましたが、総理は、そのことに、一政治家として何の良心の呵責もお感じにならないのでしょうか。誰が政権をとっても避けて通れぬ課題と開き直るばかりでは、民主主義の原点であり、国民から主権を預かる選挙、衆議院総選挙にどのような意味を持たせるのでしょうか。お答えください。
 今般の消費税率引き上げとさきの総選挙との関係について、民主党内では、マニフェストに書かれていない以上マニフェスト違反にはならないとの奇妙な言いわけづくりが行われていると伺います。総理も、新年互礼会で、私を前に、マニフェストに書いてあることをやるのもけしからぬ、書いてないことをやるのもけしからぬと言われたら何もできないとおっしゃいました。
 しかし、総理は、当時、みずから繰り返し次のように街頭で演説されています。マニフェスト、イギリスで始まりました、ルールがあるんです、書いてあることは命がけで実行する、書いてないことはやらないんです、それがルールですと。さらに、当時与党であった我が党を批判して、書いてないことは平気でやる、それはマニフェストを語る資格がないとも述べておられます。
 こうした総理自身の言葉に照らせば、マニフェストに書いてないからマニフェスト違反ではないなどというのが詭弁にすぎず、特に、憲法上の財産権の保障という国民の権利に直結する税の問題だけに、なおさら、一体改革のマニフェスト違反は明らかであります。
 総理はこれをどのように弁明されるのでしょうか。当時の演説を撤回されるのか、マニフェスト違反を正直に認めるのか、どちらか明確にお答えください。
 過去の発言をあげつらうこと自体が私の本意ではありません。私が申し上げたいのは、総理、さらには民主党がこのまま消費増税に突き進むことは、主権者は国民であるとの議会制民主主義の根本を否定する行為であり、断じて容認できないということです。
 私たちは、議会制民主主義の歴史が租税とともに歩んできたことを忘れてはなりません。
 すなわち、今日の議会制民主主義の繁栄の淵源は、一二一五年、イギリスにおいて大憲章、マグナカルタに盛り込まれた、議会の同意なく、税金、戦争協力金などの名目で課税してはならないという条項にあります。
 自来、国家の課税に対する国民の意思こそが、人々の政治への参画、ひいては議会制民主主義の発展の原動力となったのであり、このことは、その後の権利請願及び権利章典を初めとするイギリス議会の歴史、代表なくして課税なしをスローガンとしたアメリカ独立戦争の歴史、主権在民を前提として納税の義務を明記したフランス人権宣言等々が示しております。
 私たちの議席は、こうした長い歴史の積み重ねと、先人たちの文字どおり血と汗の上に築き上げられたものであり、そのあかしが、今日の憲法が定める租税法律主義の規定であります。
 民主主義のもとでは、租税の分担ルールである税制が国民の合意のもとによって決定されることが国民の納税の義務を支える礎であり、であらばこそ、税制は、主権者である国民に正直に訴え、その訴えが受け入れられると、その意思を反映して、国民の代表で組織される国会で、法律により議決されるんです。
 このことからして、主権者を欺いて当選した民主党議員の投票で選ばれた民主党政権は、民主党マニフェストという偽りに満ちた国民との契約によって簒奪された多数の議席を利用して、マニフェスト違反の消費税率引き上げを行う権限を主権者からは与えられていないんです。それは、議会制民主主義の歴史への冒涜であり、国権の最高機関の成り立ちを否定するものです。
 税を扱うに当たっては、国民の合意、協力を得ることが求められます。
 現在の財政赤字に責任を感じるがゆえに、我が党は、累次の税制改正大綱はもとより、選挙公約においても、消費税を含む税制抜本改革を断行することを堂々と掲げ、国民と直接向き合ってまいりました。
 一方、一貫して消費増税を否定し、時の総理の呼びかけにも応じなかった民主党は、有権者へ顔向けできないせいか、その努力から逃げ回るばかりでした。
 国民の合意を得ることをなおざりにし、選挙をないがしろにしてしまえば、議会制民主主義を破綻のふちに追いやることとなります。
 二十一年度税制改正法附則第百四条を策定した我が党として、この規定に基づく政府の三月までの法案提出を妨げるつもりはありませんが、野田総理、本来、民主党政権に提出の権限は国民から与えられていないんです。野田政権のとるべき道は、有権者に謝罪した上で、解散・総選挙を行い、国民に信を問い直すしかありません。
 我が党は、議会制民主主義の大義を掲げて、野田政権に堂々と解散を求めてまいります。
 政府・民主党がマニフェストに違反する形で消費税率引き上げに突き進んでいることによって生じる民主党内のコップの中の嵐の弊害が、意思決定のおくれや内容面のゆがみとなって国民に多大な迷惑をかけていることも指摘しなければなりません。
 まずは、一昨年の参院選前に菅前総理が消費税率の一〇%への引き上げを軽々しく口走ってから今日の社会保障・税一体改革素案の取りまとめまで、実に一年半近い歳月を要しています。素案で盛り込まれた消費税率の引き上げ幅と引き上げ時期は、昨年六月の成案の段階で、民主党内の議論の紛糾で決め損なったものをようやく決めただけにすぎません。
 そして、消費税率の引き上げ幅と引き上げ時期の決定にエネルギーを費やす余り、素案には検討課題がただ羅列されるのみで、およそ税制の抜本的改革とはほど遠い、寂しい内容となりました。また、消費税率引き上げには欠かせない逆進性対策や各種個別間接税との負担調整の検討すら不十分であります。さらには、我が党は消費税収を国民に還元することを会計上も明確に区分すべきと主張してまいりましたが、政府・与党はどのように区分経理をするかの具体案も示しておりません。
 そこで、総理に伺います。
 単一税率を内容とする消費税率引き上げ法案を提出する以上、政府は、軽減税率にかわる低所得者対策である給付措置の具体案を当然示すべきです。
 この給付措置については、一昨年夏に、当時の菅総理が、対象となる低所得者の年収上限について、二百万円、三百万円、四百万円などと日がわりでさまざまな水準を述べて混乱が生じましたが、あれから一年半もたっています。この点も含め、消費税率引き上げ法案の提出までに、その具体的設計、費用及びその財源を政府・与党の案として示すことは法案提出者の義務だと考えますが、いかがですか。
 また、負担増を求められる国民の気持ちを考えれば、消費税収の区分経理などの具体的手法も同様に示すべきです。あわせてお答えください。
 より深刻な問題は、財政健全化との関係です。
 野田総理は、素案の取りまとめの最終段階で、消費税率の段階的引き上げの時期を、二〇一四年四月、二〇一五年十月と、それぞれ半年後ろ倒しされました。その理由として、総理は、第一段階目の引き上げについて、増税実施の決定を次の政権に委ねるとし、任期中には消費税率を上げないとしてきたこれまでの民主党の説明との整合性が図られないからとされました。
 そして、一昨日示された内閣府の試算では、国、地方を合わせた基礎的財政収支赤字の対GDP比を半減させる、さらには、国単独の基礎的財政収支の赤字の対GDP比も半減させるという政府の財政健全化目標が、二〇一五年度にはともに達成されないことが明らかにされております。このことは、マニフェスト違反を取り繕うつじつま合わせのためだけに総理がみずから我が国財政への信認をおとしめたことを意味し、まさに、民主党政権に消費税率引き上げを委ねることの弊害がここにきわまった感があります。
 一体改革をめぐる党内のごたごたをおさめるために、妥協に妥協を重ねて、財政健全化目標の達成という譲るべきでないものまで譲った野田総理の政治的責任は厳しく問われてしかるべきと考えますが、経緯も御説明いただいた上で、総理の見解を伺います。
 この点につき、野田総理は、歳出改革により必ず財政健全化目標を達成すると述べられています。しかし、政府は、二〇一四年度までの中期財政フレームは示していますが、肝心の二〇一五年度にどのような財政運営を講じるのか、全く示しておりません。
 さらに、仮に、さらなる歳出削減によって目標が達成可能であると主張するのであれば、二〇一五年度を含めたその歳出削減の内容を具体的に示し、その実行を国民に約束すべきです。それなくして、ただ達成できると強弁することは、マニフェストの歳出削減の空論にだまされた国民には到底理解されないでしょう。よもや、慎重な経済見通しではなく、より高い経済成長を前提に目標達成は可能だと論ずるのではないでしょうね。
 そこで、総理にお尋ねします。
 総理が必ず二〇一五年度に目標をクリアするとおっしゃる明確な根拠、すなわち、さらなる歳出削減計画を分野別に具体的計数でお示しください。
 かつて我が党が提出していた財政健全化責任法案においては、財政健全化中期計画として、五年間の計画の策定を求めていました。今回の消費税率引き上げが行われる二〇一五年度の歳出削減計画を示すことは最低限の要請です。具体的な回答をお願いいたします。
 いずれにしても、欧州債務問題が予断を許さない状況の中で、今般の改革の目標として財政健全化の同時達成を声高に掲げておきながら、この局面に至って、その達成を危うくする総理のちゃぶ台返し的手法には、あきれて物が言えません。鶴の一声であっさり財政運営の根幹を揺るがせるような国に、市場の信認が得られるわけはありません。
 このような事態を避けるためにこそ、我が党がかつて提案した財政健全化責任法案があったはずであります。あの法案どおり財政健全化目標を目標年次とともに法定化しておけば、財政健全化の中期計画を描くことなく、それをないがしろにするような今回の野田総理の振る舞いは直ちに法律違反として指弾され、あなたは、本来、この時点で即退陣なんです。
 それにしても理解に苦しむのは、うそと粉飾にまみれた二十四年度予算編成です。
 とりわけ、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げの財源として交付国債を発行するとの奇策に頼ってまで新規国債発行額の抑制という目標を守っておきながら、国際公約ともいうべき二〇一五年度までの財政健全化目標の達成の方は後ろ倒しでは、まさに、頭隠して尻隠さずを地でいく財政運営です。これでは、年金交付国債の発行の真意は専ら年金財政を消費税率引き上げのための人質にとるものであったと受けとめられても仕方ありません。
 しかも、第一段階の消費税率引き上げ時期を後ろ倒しにすることによって、年金交付国債の発行額、ひいては償還額が膨らみ、その償還のため、二〇一五年度における財政健全化目標の達成がさらに困難になるという悪循環をもたらしています。
 余りに一貫性が乏しく、不見識な財政運営と考えます。しかも、円高・デフレ対策も含めた経済成長への配意も不十分です。総理の御見解を伺います。
 私は、昨年十一月末の党首討論で、野田総理が、我が党が提出した財政健全化責任法案を引き合いに出して、素案を政府でまとめるから自民党も協議に応じるべきだと私に迫られたことを忘れてはおりません。
 総理は、今回、法案が求める財政健全化計画の中期計画を策定することもないまま、法案の命ともいうべき財政健全化目標をないがしろにするという、法案無視の愚かしい選択に及びました。今となっては、あのときの野田総理の物言いは、あの法案を葬り去った民主党の代表が、素案という法案との言葉の一致だけをよりどころに我が党に協議を迫り、我が党が責任野党として法案に込めた思いを言葉遊びで踏みにじったものとしか受けとめようがなく、怒りにたえません。
 まずは、党首討論における発言の謝罪及び撤回を求めます。
 さらには、政府は、これまで、今回の社会保障・税一体改革素案の表題は財政健全化責任法案の文言を引用したものとの説明をしていますが、そうであれば、即刻、その表題を撤回すべきです。我が党に余りにも礼を欠くのではないでしょうか。
 あわせて、野田総理、あなたには、もはやこの法案を盾に、我々に与野党協議を迫る資格はないことをここに明言しておきます。いわんや、欧州危機を口実に、我が党に協力を要請する資格もありません。
 表題からいわくつきと申し上げざるを得ない素案ですが、なお問題点の枚挙にはいとまがありません。
 素案では、民主党マニフェストに沿って、所得比例年金と最低保障年金の組み合わせから成る新たな年金制度を創設すること、さらには、そのための法案を来年提出することが明記されております。
 この新年金制度については、我々は、かねて、仮に六十五歳以上の方全員に月七万円の最低保障年金を配れば、さらに十四兆円、すなわち消費税率にして約六%の増税が必要になると指摘してまいりました。増税規模を圧縮するとすれば、所得制限の水準を低くせざるを得ず、給付が減り、負担がふえるのみの国民の数がふえることになります。
 この点に関し、昨春の民主党の調査会では、最低保障年金を導入すれば最大でも七%分の消費税のさらなる増税が必要になるとの試算結果が示されたものの、資料は回収され、お蔵入りになったと報道されております。その試算では、ほとんどのケースで、中堅所得者の給付が減る上に税負担もふえるダブルパンチにもなると報道されています。
 これは、保険料を納めなかった人も含む全ての人に月七万円をばらまくことがいかに大きな財政負担を伴うか、財政負担を抑えようとすれば中堅所得者程度までも負担増となるのみで、いかに保険料を納めた正直者がばかを見ることになるかを示す試算だと考えます。
 総理にお尋ねいたします。
 報道されたような非公式の試算は実在するんですか。するのであれば、隠蔽せず、公表すべきではないでしょうか。そして、なぜ素案に追加財源が必要なことを書かなかったのですか。お答えください。あわせて、そうした試算結果を妥当なものと考えるかもお答えください。
 民主党の輿石幹事長は、与野党協議の土俵づくりのため、年金制度改革の案を早くまとめる意向を繰り返し示しています。しかし、先ほどの試算の隠蔽疑惑があるほか、最近では、昨年六月の成案を取りまとめた民主党内閣の与謝野元大臣が、民主党の年金制度改革は、うそであり、使い物にならない、成案では一応看板だけ残しているが、あれは墓碑銘だとまで言い切っています。
 このように、死せる年金制度改革疑惑まである中にあっては、今度示されるものは、抽象的な考え方ではなく、よほど具体的なものでなければ意味がありません。これを欠いては、民主党の言う年金制度改革は、幽霊のような実体のないものであって、不都合な真実を隠して、できもしないものをできると言い募る、民主党マニフェストの典型的な手法の繰り返しとなります。増税だけ決めて、その使途たる社会保障制度の根幹について将来の姿が曖昧かついいかげんでは、国民の理解は得られません。
 そこで、総理には、考え方や選択肢といったものではなく、輿石幹事長の発言も踏まえ、新年金制度の所得制限の水準などの詳細設計、さらにはその費用と財源についての政府・与党案を、消費税率引き上げ法案を国会に提出するのであれば、その提出より前に明らかにしていただくことを求めます。その際には、報道された試算との関係や、我々が主張してきた、さらに必要となる消費税率の引き上げ幅との関係、中堅所得者の給付と負担に及ぼす影響についても具体的に説明していただく必要があります。負担を先々の話としてごまかすことは許されません。
 総理、このことを確約いただけますでしょうか。その期限も明確に示してください。
 なお、この浮かんでは消える年金制度改革を早くから提唱してきたのが、今回入閣された岡田副総理にほかなりません。かつての参議院選挙で、真っすぐに、ひたむきに年金制度改革を訴えた、当時の代表であった岡田副総理は、年金目的消費税三%というかつての主張と今回の一体改革の整合性を含め、国民にわかりやすく説明するべきであり、そのことこそが、一体改革担当大臣として、まず果たすべき職責ではないでしょうか。
 マニフェスト等では、消費税収は年金に充てるが、その分の増税は不要とされていたものを再び説明を変えるのであれば、そのけじめも必要です。総理の見解を伺うとともに、岡田副総理には、逃げないできちっと結論を出すという総理からの人物評価にふさわしい対応を期待いたしますが、その決意も伺います。
 次いで、公務員人件費の削減等についてお尋ねいたします。
 まず、素案では、身を切る改革として国家公務員給与の八%削減を内容とする給与臨時特例法案の早期成立を掲げていますが、この法案は主として復興財源の確保を目的としており、削減期間は二〇一四年三月末までとされています。すなわち、第一段階の消費税率引き上げが行われる二〇一四年四月には、消費税率が八%に上がると同時に、公務員給与は復元して八%上がる。こんなことでは、国民感情を逆なですることは必至です。
 この点についての総理の認識をお答えください。
 素案では、続けて国家公務員制度改革関連法案の早期成立に触れていますが、これも論外であります。消費税率引き上げと同時のタイミングで、身を切るどころか、身を切られないための交渉権を公務員に与えることは、国民の期待とは逆さまであります。
 連合が熱心に早期成立を訴えている事情はあるでしょうが、国民への負担増をお願いする傍らで、支持者向けのリップサービスを潜り込ませる民主党の無神経さ、図太さには、驚き、あきれます。しかも、政府は、地方公務員にもこの交渉権を与える法案を提出準備中とも聞きます。
 国民に負担を求めるに際して、先ほど述べた年金制度改革の具体的法案よりもこのようなものが優先されるとすれば、狂気の沙汰です。いかに弁舌を弄しようとも、野田政権の底が見えたという感じがいたします。
 総理、公務員制度改革関連法案の早期成立は、身を切ることとどのように関係するんでしょうか。無関係のこの部分は、一体改革の素案から削除、撤回の上、法案を棚上げすべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 なお、施政方針演説では、総理から、給与臨時特例法案について合意が得られるよう協力をお願いされましたが、我が党は、既に公明党と共同で対案を昨年末に提出しています。昨日までに実務者間では形式的な削減幅は一致しておりますが、対案を踏まえ、身を切る改革として、よりふさわしい内容にしてください。
 そのためにも、対案に盛り込んだ二点が重要です。
 一点目は、既得権益化している現給保障の廃止など、人事院勧告が指摘した給与構造のゆがみの是正を直ちに行った上で引き下げを実現させるべきという点であります。
 二点目として、我が党は、国家公務員給与の引き下げに準じた対応を地方団体にも要請し、地方公務員にも波及させるべきと主張しております。
 政府・民主党は地域主権改革を盾に反対していますが、政府の財政運営戦略で地方団体の財政健全化に対して政府が要請することを認めている一方で、地方公務員給与引き下げに限っては要請すらしないことは、理解不能であり、地方公務員給与を聖域化するものとしか受けとめられません。
 総理には毅然とした対応をお願いします。この点、お答えください。
 政府が増税について国民の納得を得るため聖域なき行政刷新を掲げるからには、かつて我が党が行政改革推進法で取り組んだように、国家公務員に限らず、地方公務員、国、地方の独立行政法人を含めた公的部門全体について、定数削減等も視野に入れた総人件費改革が不可欠ではないでしょうか。
 総理に加え、行政改革を担当する岡田副総理にも、前向きな決意を御披露いただきたいと存じます。
 我が党が申し上げていることは、いずれもシンプルかつ当然のことにすぎません。これにすっきり御賛成いただければ、身を切る改革についても直ちに具体的成果を上げられます。ボールは、御党、最終的には野田総理にお預けいたします。ぜひ我々の主張に御賛同ください。
 なお、鳥獣被害防止特措法など、我が党が提案している議員立法についても、地域の窮状等を踏まえ、速やかな成立を求めますが、総理の国民目線での前向きな回答をお願いいたします。
 既に明らかにしたように、社会保障・税一体改革に向けては、与野党が国会において議論することこそが議会制民主主義の本義にかなうことであり、租税法律主義にも則した対応であると考えております。我が党としては、総理であり与党代表であるあなたの、政府・与党における確固たる意見を取りまとめた上での法案提出を待ち、法案提出の正統性も含め、議論は、リングの上で、正々堂々国民の前で行おうと申し上げているところです。
 一方、今般、政府・与党が取りまとめた素案は、タイトル自体が我が党へのいわれなき挑発である上、検討課題やスケジュールの羅列ばかりの冗長な官僚的作文であり、このような一方的かつ空疎な前口上に野党がつき合わなければならない道理はありません。野党が先送りや絵そらごとの共犯を押しつけられる筋合いはなく、まして、与野党協議を、対立する党内をまとめる道具にしようというのは言語道断であります。絵そらごとは含まれないというなら、政府・与党は、せめて過不足ない年金制度改革の具体案を示して、身のあかしを立てるべきと考えます。
 なお、素案には、逆進性対策や、消費税収の区分経理のあり方に係る具体案など、幾つか重要な要素も欠落しています。これら国民の負担と直結する事柄については、税制改正の法案に準じて、法案提出より前に具体的設計を明らかにしてもらうことが法案提出者の責務です。消費税率を上げても財政健全化目標の達成が危ういというのであれば、達成に向けた具体策も示していただく必要があります。
 殊に公務員人件費の削減については、総理は朝令暮改のように態度を変えています。政府・与党が社会保障・税一体改革と一体の身を切る改革と位置づけながらも、しがらみにとらわれて切り込み不足であり、計量オーバーでリングにすら上がれないのではないかと懸念いたします。
 我々の提案を丸のみしていただき、地方の行政改革も含めて、真摯に取り組む姿勢を見せてください。抵抗勢力をあぶり出し、一人一人説得するなど、党内の面従腹背を許さないための強力な総理のリーダーシップが不可欠です。
 もっとも、観衆をだましたあなた方は、リングに上る資格があるのかも怪しいんです。国民からの厳粛な信託に裏打ちされた議会の権威を守るためには、民主党のマニフェスト違反は看過し得ません。あなた方に、リング上で勝利者としてのタイトルが与えられることはなく、観衆から祝福が与えられることもないでしょう。
 社会保障・税一体改革にかけるあなたの決意以上に、私は、民主主義の原点である主権者の尊重、その結果としての議会制民主主義を守るための揺るぎない決意を持って国会審議に臨みます。
 野田総理、あなたがなすべきは、この壇上から与野党協議を呼びかけることではなく、一候補者に戻って、さきの衆議院総選挙でうそをついたことを主権者に心の底からわび、信を問い直すことです。まさに、国民一人一人と真摯に向き合い、徹底的に協議することこそが求められているのではないでしょうか。
 そうした覚悟こそがあなたが真に捨て石になるということであり、その先になお改革をなし遂げようというのであれば、我々も、新しく正しく表現された民意を前提とする一体改革に民主主義の魂を吹き込むべく、ともに力を合わせ、努力したいと考えます。
 改革を前に進めるため、総理の大きな決断を促し、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 自由民主党の谷垣総裁の御質問に順次お答えをしてまいります。
 まず、選挙時の消費税に関する発言などについて御質問をいただきました。
 民主党が前回総選挙時に国民に対して約束したことは、衆議院の任期中には消費税の引き上げは行わない、引き上げを行う際には国民に信を問いますということでございました。この方針は今でも変わりません。御指摘のアンケートについても、この観点から反対と回答をいたしました。
 今回の一体改革において、政府・与党で取りまとめた素案では、第一弾の消費税の引き上げは二〇一四年の四月を予定しております。これは現在の衆議院議員の任期終了後でありまして、当然、引き上げの前には総選挙を行うことになります。(発言する者あり)
○議長(横路孝弘君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(野田佳彦君)(続) したがって、一体改革の実現が国民に対する裏切りとの御指摘は当たらないものと考えております。
 続いて、マニフェストについての御質問をいただきました。
 まず、先ほども申し上げましたが、現在の政権任期中において消費税率の引き上げは行いません。したがって、公約違反ではありません。
 また、行政改革、政治改革など、身を切る改革もあわせて包括的に実施してまいります。
 また、昨年の夏、民主党においてマニフェストの中間検証を実施いたしました。実現したものもある一方で、実現に至っていないものがあることを率直に認め、国民の皆様に反省とおわびを申し上げたと承知しています。
 マニフェストに記載していない政策については、政府としては、リーマン・ショック後の緊急景気経済対策の実施と新成長戦略の展開、地方交付税の増額、三十五人学級や学校耐震化の推進など、政権交代後の状況の変化に基づき、マニフェストには書いていないけれども、国民生活を考えたときにはやらなければいけないものもやってまいりました。大震災からの復旧復興、原発事故との戦い、さらに日本経済の再生にも取り組んでまいりました。
 したがって、私の選挙中の発言において行き過ぎや言葉足らずの点があったとするなら、素直に反省をし、国民の皆様におわびもいたしますけれども、政府の政策は、状況の変化の中で、国民の皆様の声をお伺いしながら、優先順位を適切に判断していくことも必要と考えております。
 社会保障・税一体改革も、前政権から引き継ぎ、避けては通れない、先送りすることはできない、与野党共通の課題として実現を目指しております。
 こうした政策判断の是非については、次の選挙において国民に御判断いただくべきものであり、やり抜くべきことをやり抜いた上で御判断を仰ぎたいと考えております。
 続いて、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策等についての御質問をいただきました。
 所得の低い方々に対する配慮については、低所得者への年金加算など、今般の一体改革に盛り込まれたきめ細かな施策を実施するとともに、二〇一五年度以降の番号制度の本格稼働、定着後の実施を念頭に、総合合算制度や給付つき税額控除の導入を検討いたします。
 また、そのような再分配に関する総合的な施策の実現までの間の暫定的、臨時的措置として簡素な給付措置を実施することとしており、今後、それらの具体化に向けて検討を進めてまいります。
 消費税収の使途の明確化については、国分については全額社会保障四経費に充てることを消費税法に規定するとともに、会計上も毎年度の予算等において使途を明確化することとしております。地方分についても使途を明確化することとし、現行の地方消費税を除く消費税収の全額が、官の肥大化に使われず、国民に還元されることが国民にわかりやすい形で示されるよう、検討を進めてまいります。
 素案取りまとめの経緯、財政健全化目標についての御質問をいただきました。
 消費税率の引き上げ幅、時期については、社会保障の安定財源確保や財政健全化目標の達成を目指しつつ、最初の引き上げ時期については、政権担当期間中は引き上げない、引き上げは行わないとのこれまでの方針を踏まえ、次の引き上げの時期については、最初の引き上げ後の経済への影響や事業者の実務面での対応を考慮し、十分な期間をとる必要があることを踏まえて決めたものでございます。
 先日公表された経済財政の中長期試算によれば、二〇一五年度の基礎的財政収支赤字については、慎重な経済前提のもとで、対GDP比半減目標の達成は現時点においては厳しいものとなっていますが、仮に、二〇一五年度について、消費税率の一〇%への引き上げ後の財政収支への影響を平年度化すれば、対GDP比半減目標を満たした数値となっております。
 このように、社会保障・税一体改革の実施により、二〇一五年度中に財政構造としては基礎的財政収支赤字の対GDP比半減目標の水準が達成される姿となることが見込まれますが、引き続き、二〇一五年度における財政健全化目標の達成に向けて、成長力の強化を初め、あらゆる政策努力に全力を挙げる方針でございます。
 続いて、歳出改革と財政健全化についてのお尋ねがございました。
 先ほど申し上げたとおり、二〇一五年度における財政健全化目標の達成に向けて、あらゆる政策努力に全力を挙げる方針であります。
 歳出面等においては、本年半ばごろに中期財政フレームを改定し、二〇一三年度から二〇一五年度までの予算編成の枠組みを定めることを予定しており、今後の歳入歳出の見通しや財政健全化の進捗状況をよく見きわめつつ、二〇一五年度における財政健全化目標の達成に向け、今後検討を進めてまいります。
 なお、分野別の具体的な計数を示した歳出削減計画については、一つのアイデア、手法ではあると考えますが、一方で、将来の社会経済情勢に対する柔軟性、弾力性を失わせるのではないかという懸念もあり、慎重に検討していく必要があると考えております。
 次に、二十四年度予算について、年金交付国債による対応の趣旨や財政健全化目標との関係、さらには経済成長への配意に関する御質問をいただきました。
 今回の年金交付国債による対応は、二十四年度基礎年金給付費の二分の一と三六・五%の差額を国庫の負担としつつ、年金財政への国庫金の繰り入れは消費税引き上げ後に消費税収を充てて行うことを明確にするために行うものであります。
 消費税引き上げのための人質と受けとめられても仕方がないとの御指摘がございますが、基礎年金国庫負担の二分の一の財源を消費税を含む税制抜本改革に求めることは、自公政権から引き継いだ年金法本来の考え方にかなうものであり、年金財政の安定確保に向けて、御党の御協力をお願いしたいと考えております。
 また、二〇一五年度における財政健全化目標との関係については、一体改革の実施により、年金交付国債の償還費用を確保した上で、先ほど申し上げたとおり、財政構造としては、二〇一五年度中に目標の水準が達成される姿となると見込んでいるところでございます。
 なお、二十四年度予算では日本再生のための数多くのプロジェクトを盛り込んでおり、経済再生に向けた次なる一歩として、四次補正予算とあわせて、早期の成立を図ってまいります。
 また、歴史的な円高と長引くデフレを克服するため、金融政策を行う日本銀行との一層の連携強化を図り、切れ目ない経済財政運営を行ってまいります。
 次に、自民党の財政健全化責任法と一体改革素案についての御質問をいただきました。
 今回の文書を素案と呼称したのは、御党が提出した財政健全化責任法の規定も参考にし、この文書をもって、各党から御意見を伺い、政党間協議を経た上で、法案提出の前提となる大綱を取りまとめたいと考えたからでございます。
 素案という名前だけとっただけではないかというお話でありますが、二〇二〇年までに、財政健全化に向けての道筋は、御党の考えている財政健全化責任法と我々の問題意識が共有するところ大であり、素案という名称だけをいただいたということは決してございません。
 人口構造の急速な高齢化、社会経済状況の変化、欧州の政府債務問題に見られるグローバルな市場の動向を踏まえれば、社会保障の充実、安定化とともに財政健全化を進めることは、どの政党が政権をとっても逃げることのできない課題であると考えております。
 この改革の方向性について御党との間で考え方に大きな違いはなく、ぜひ協議に応じていただきたいと改めてお願いをさせていただきます。
 次に、年金、民主党案に関する試算についてお尋ねがございました。
 昨年、一体改革に関して民主党内で議論を行っている際に年金制度に関してさまざまな検討が行われ、そして、民主党内においてさらに検討を深めることとされたと承知しています。民主党における議論、検討であり、党がどのように議論を深め整理するか判断した上で、今後の協議の中で取り扱うことになるかと承知をしています。
 なお、新しい年金制度は今後の議論の中で具体化されていくものであり、素案には追加財源については記載しておりませんが、現行制度から新しい制度への切りかえには相当長期の移行期間が必要であることから、二〇一五年の段階において、現行制度による場合と比較して、大きな追加財源が必要になるものではありません。
 次に、新しい年金制度の制度設計の詳細及びその費用等についての御質問をいただきました。
 一体改革素案においては、二〇一五年までに行う消費税引き上げを含めた税制抜本改革によって年金制度を持続可能なものとするため、基礎年金国庫負担二分の一に必要な安定財源の確保を図るとともに、最低保障機能の強化など、現行制度の改善を図ることとしております。
 一方、新しい年金制度については、国民的合意に向けた議論や環境整備を進めた上で平成二十五年に法案を提出するとしており、今後、民主党での議論を踏まえて、政府としても、御指摘の具体的な給付と負担など、必要な検討を進めていきたいと考えております。
 なお、先ほども申し上げたように、相当長期の移行期間を要する新年金制度については、二〇一五年の段階において、現行制度による場合と比較し、消費税率の引き上げ幅に影響を及ぼすほどの大きな追加財源が必要になるものではありません。
 このように、素案の中では、年金制度改革の検討についても時間軸を示した上で社会保障・税の一体改革の姿を描いており、ぜひ全体像を御理解いただいた上で協議に応じていただくよう、重ねてお願いを申し上げます。
 次に、岡田代表当時のマニフェストと一体改革の整合性についての御質問をいただきました。
 〇四年参議院選挙、〇五年総選挙において、当時の岡田代表のもとで、民主党は、年金制度の抜本改革に合わせて年金目的消費税の導入を主張いたしました。しかし、その後、定率減税の廃止や各種保険料の引き上げなどを含め、家計や経済状況等を勘案し、さきの総選挙においては、任期中に消費税率を引き上げることは困難と判断し、〇九年総選挙マニフェストでは年金目的消費税の導入については記載をいたしませんでした。
 〇三年から十年がたち、少子高齢社会のさらなる進展と基礎年金二分の一国庫負担を含む社会保障費の増大、制度のほころび、国、地方の財政状況のさらなる悪化など、今日においては社会保障・税一体改革は待ったなしの状況に至っており、もはや改革を先送りすることはできないと判断した次第であります。
 いずれにしても、年金制度の抜本改革の姿については、民主党においてさらに検討が深められることとなっており、党での議論を踏まえて政府においても検討していき、国民の皆様に丁寧な説明を行っていきたいと考えております。
 給与臨時特例法案の削減期間についての御質問をいただきました。
 給与臨時特例法案は、我が国の厳しい財政状況と東日本大震災という未曽有の国難に対処するため、平均約八%という厳しい給与減額支給措置を二〇一四年三月末まで講じようとするものでございます。
 二〇一四年四月以降の国家公務員の給与水準については、引き続き、国家公務員人件費二割削減という目標の達成に向けて、適切に対処をしてまいります。
 国家公務員制度改革関連法案と社会保障・税一体改革素案との関係についてのお尋ねがございました。
 一体改革を推進するに当たっては、国民の納得と信頼を得るため、人件費削減などの行政改革をあわせて行うことが重要であります。このため、給与臨時特例法案に基づき給与削減を図るとともに、国家公務員制度改革関連法案を早期に成立させ、新制度のもと、労使交渉を通じて人事給与制度の改革を進めていくことが重要と考えております。
 国家公務員制度改革関連法案は、自公政権下において成立をした国家公務員制度改革基本法を踏まえ国会に提出しているものであり、できるだけ早く成立させていただきたいと考えております。
 次に、公的部門の人件費改革及び給与臨時特例法案の取り扱いについての御質問をいただきました。
 人件費改革については、公的部門全体で取り組むことが重要と考えております。各地方公共団体では、これまでも独自に給与削減措置や定員純減に取り組んでいるものと承知をしております。引き続き、各地方公共団体においては、給与については地方公務員法の趣旨に沿って適切な措置を講じるとともに、行政の合理化、能率化を図り、適正な定員管理の推進に取り組まれることを期待しております。
 また、御指摘の給与臨時特例法案については、人事院勧告の取り扱い等に関する御党の提案も含め、昨年来、与野党間において協議が行われており、ぜひとも早期に成案を得て、国会で成立させていただきたいと考えております。
 鳥獣被害防止特措法など、議員立法についての御質問をいただきました。
 前の通常国会で、自民党から鳥獣被害防止特措法等の改正法案が提出されていると承知をしております。野生鳥獣による農林漁業被害は深刻化しており、現在の地域の窮状を打開できるよう、与野党間で議論されることを期待いたします。
 いずれにせよ、議員立法が提出され、与野党間で活発な議論が行われることは、国民の代表機関である国会がその機能を発揮するものとして期待されているものと考えております。
 国民と真摯に向き合い、協議すべきではないかとの御質問がございました。
 施政方針でも述べたとおり、持続可能な社会保障制度とそのための安定財源を確保するために、各党各会派の皆様に協議をお呼びかけする姿勢は変わりありません。
 同時に、国民の皆様の御理解と御協力をいただけるよう、私を初め内閣が一丸となって、今回の一体改革の意義や具体的な内容をわかりやすくお伝えしていく努力を尽くしてまいりたいと決意をしております。
 そして、先ほども申し上げましたが、消費税率引き上げの最終判断は具体的に税率引き上げを実施する半年前に行うことを想定しており、現在の衆議院議員の任期中に民意を問い、新しい政権が引き上げの最終判断を行うことになります。
 いずれにしても、私の内閣において、大震災の復興、原発事故との戦い、日本経済の再生、そして行政改革と政治改革の断行、この一体改革をやり抜く不退転の決意は不変でございます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣岡田克也君登壇〕
○国務大臣(岡田克也君) まず、谷垣総裁、御質問いただき、ありがとうございます。谷垣総裁の厳しい御指摘は真摯に受けとめさせていただきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
 二問、御質問いただきました。
 まず、年金民主党案と一体改革の関係についての御質問でございます。
 総理もお答えがありましたように、私が民主党代表を務めておりましたときに行われた二〇〇四年の参議院選挙、二〇〇五年の総選挙において、マニフェストに年金目的消費税の導入を記載しております。
 また、私自身、参議院選挙、総選挙において、将来三%の年金目的税の導入が必要であるということを訴えました。
 ただし、このときの主張は、年金制度の抜本改革を実現した将来の時点において引き上げを行う趣旨で述べたものであり、そのことは、私、代表として何度も説明したところでございます。直ちに消費税を引き上げるものではないという点においては、今回の一体改革における一〇%の引き上げに、抜本改革に伴う増税分が含まれていないことと同様であります。
 いずれにしても、新しい年金制度の創設は、現在の年金制度を抜本的に改めることになります。このため、一体改革素案では、いわゆる五%のフレームとは別に、引き続き実現に取り組むべき課題として、国民的な合意に向けた議論、環境整備を進めた上で、平成二十五年の国会に法案を提出することとしております。
 新しい年金制度創設に向けた検討を進める中で、財源の面についても検討を進めていくことになりますが、制度の切りかえには相当長期の移行期間が必要です。したがって、二〇一五年の段階において、現行制度による場合と比較して、大きな追加財源が必要となるものではありません。このことは、先ほど総理が述べられたとおりであります。
 公的部門の総人件費改革についての御質問がありました。
 社会保障と税の一体改革を進めるに当たっては、みずから身を切る改革を実現し、国民の納得と信頼を得ることが不可欠です。このような観点から、公的部門全体で総人件費の削減に係る取り組みを進めることは重要であると考えております。
 総人件費改革については、これまでも、国家公務員給与の引き下げに関する法案を国会に提出するなど、鋭意取り組んできているところです。
 今後、定数削減等も視野に入れた改革を、与党とも連携して、さらに強力に進めていくこととしております。その中で、地方も含めた公的部門全体の改革についても検討してまいりたいと考えております。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(横路孝弘君) 樽床伸二君。
    〔樽床伸二君登壇〕
○樽床伸二君 民主党を代表して、野田総理の施政方針演説に対し、質問いたします。(拍手)
 総理の施政方針演説の底流に、我が国日本が歴史の大きな転換期にあり、その中で歴史的使命を果たしていかなければならないとの決意を聞かせていただきました。私たちも、まさに同じ思いを共有するとともに、その数々の施策の実現に全力で邁進していくことをお約束いたします。
 また、国民の多くの皆様からも、その使命の実行に期待を寄せていただいております。しかし、いまだその実感を持てずにいるとの声が寄せられております。
 そのような中で平成二十四年の通常国会がスタートしました。今国会は、まさに野田政権の正念場であります。政府・与党一体となって、国民の皆様の御期待に応えることのできる国会にしてまいりたいと強く決意いたしております。
 さて、歴史の大きな流れは、内には成熟社会、長寿社会の到来であり、外にはアジア太平洋の時代が訪れているということであります。特に、本格的な高齢社会の到来による克服すべき課題は、かねてより認識されていたことではあります。
 しかし、我が国は、その時代の流れに対応することができず、巨額の財政赤字を抱え、社会に閉塞感が広がってしまいました。
 今解決しなければならない多くの課題は、過去の政権から引き継がれた未解決の問題ばかりであります。しかし、過去を振り返っても何も生まれてこないのであります。常に未来に向かって歩んでいかねばなりません。
 それゆえ、自公政権のもとで決定された方針を否定するのではなく、その方針に従って税制の抜本改革を提案されていることは、野田政権の責任感のあらわれであると考えております。その姿勢を議場の皆様にも御理解いただき、ともに国家の未来のために行動していただきますよう、政権与党の一人として、議場の全ての皆様にお願い申し上げます。
 以上の認識に基づき、総理の施政方針演説に対し、順次質問いたします。
 まず、東日本大震災からの復旧復興についてであります。
 千年に一度とも言われる東日本大震災からの復旧復興が政権の第一のテーマである、このことは誰にも異論がございません。まずは、これまで三度にわたって編成した補正予算、関連法案を着実に執行しつつ、復興事業を加速していく必要があります。
 今国会に提出されている二十三年度第四次補正予算は、災害対策など義務的経費等の追加、高齢者・子育て対策、農業・中小企業対策など、被災地も含めた日本全体の国民の皆様方の安心、安全確保を図るものであり、野党の皆様の御協力をいただき、早期に成立を図ってまいります。
 しかしながら、その被害の大きさと地理的広がりは、これまでの行政の枠では対応できないものであります。それゆえ、昨年決定され、本年二月に立ち上がる予定の復興庁、さらには、復興のための方策としての復興特区制度には、大きな期待が寄せられております。
 この復興庁によって、復興事業をさらに加速させていかねばなりません。復興特区制度とあわせて、さらに、平成二十四年度本予算に盛り込んだ復旧復興策も示しつつ、総理の、復興を通じた日本再生の思いをより具体的にお聞かせいただきたいと思います。
 次に、原発事故との戦いについてであります。
 この戦いは一朝一夕に終わるものではありません。廃炉まで考えると、長い長い道のりのスタート台に立ったばかりであります。ふるさとを離れ、避難されている多くの方々の境遇を考えると、心の痛む思いであります。
 福島の再生なくして日本の再生はないとの思いを私も共有いたしております。総理の思いはこれまでも幾度となくお聞きしてきたところではありますが、被災者の皆様への速やかな賠償、除染の推進、住民の皆様の健康管理などに万全を期すべきであり、改めて、福島の、被災地の、そして全国の皆様に、総理の強いメッセージを重ねてこの場で発信していただきたいと思います。
 次に、日本経済の再生についてであります。
 リーマン・ショックに端を発した世界経済と金融の問題は、我が国経済社会にも甚大な影響をもたらしております。そして、世界経済の先行きも不透明な状況にあります。
 総理が施政方針で述べられているとおり、長期にわたるデフレ、そして超円高を克服していくことは、国民の皆様一人一人の雇用や日々の生活にかかわる切実な問題であります。
 そのために、機動的な対応を行うとともに、二十四年度予算を年度内に成立させ、住宅建設、エコカー取得促進等に資する税制改正など、関連法案の早期成立を図り、国民生活のための政策を着実に実行していくことが必要であります。
 さらに、BRICSなどの新興国が台頭する中、我が国は、本格的な高齢社会を迎え、成長産業も移り変わってきております。
 それらを踏まえ、新成長戦略を強力に実行していくとともに、新たに策定する日本再生戦略によって、これからの時代を見据えた経済の基盤を築いていかなければなりません。地域を支える中小企業、農林水産業の再生にも全力を傾注すべきであります。
 改めて、日本経済の再生に向けた総理の決意をお聞かせください。
 次に、政治改革、行政改革、そして、社会保障と税の一体改革についてであります。
 私たち民主党は、最高裁判所から違憲状態と指摘されております一票の格差を是正する措置として、衆議院の小選挙区における〇増五減案を決定いたしました。さらに、衆議院議員の定数につきましては、比例定数を現行の百八十から百に削減することを決定いたしました。
 過去を振り返ると、高度経済成長を中心とした右肩上がりの時代には、おのずと税収が増加し、ふえる財源をどのように配分するかということが政治の大きな役割でありました。その結果として、あれもやります、これもやりますという利益配分の政治体質がつくられていったのであります。それが時代の要請でもあったのであります。
 しかし、冒頭に述べましたように、時代は成熟社会に突入し、あれもやります、これもやりますは、通用しなくなったのであります。現在も、そして将来においても、国民の皆様にある種の我慢をお願いしていかなければならなくなったのであります。
 そのときに政治に携わる者の心構えは、隗より始めよであります。いつの時代にも、どんな社会でも、リーダーが率先してみずから痛みを分かち合う姿勢を持たなければ、信用は生まれません。
 信なくば立たず、このことは、古今東西、人間社会の基本であります。それゆえ、これからのさまざまな改革を実行していくに当たり、その第一歩は、みずから率先して身を切る、つまり、議員定数の削減であると確信いたしております。
 それぞれの人がそれぞれの具体的な御意見をお持ちであろうとは思いますが、それぞれの立場を乗り越えて定数削減を実現していくことが、政治の信頼回復への第一歩であり、優先的に取り組むべき課題であると考えております。
 総理は民主党の代表でもあります。そのためにリーダーシップを発揮していかれる決意をお聞かせください。
 次に、行政改革についてであります。
 今述べました国会議員の定数削減と同時に、国家公務員の給与の引き下げ、さらには、国民の皆様の貴重な税金をいかに有効に使っていくかということであります。
 税金の無駄遣いを放置したままで国民の皆様に負担を強いることは、許されるものではありません。一方で、民間では対処することができないところに対しては、税金を使ってしっかりと対処していかなければなりません。
 しかし、時代の変遷に伴って、その税金の使い方の優先順位は常に変わっていくのであります。それゆえ、何が必要で、何が必要でないのかを常にチェックし、そして、必要でなくなったこと、また、必要性が大きく薄れたものについては、勇気を持ってやめていかなければなりません。
 確かに、全く必要がないということはあり得ないとは思います。しかし、限られた資源をどのように有効に使っていくか、それを決めることが、政治、行政が果たすべき役割であります。
 私たち民主党は、行政改革のさらなる提案を行い、それを、つまみ食い的にではなく、総合的に推進していくことを鋭意検討しております。近々、政府と一体となってその方策を決定し、今国会で法案として提出していく予定であります。あわせて、継続案件になっております国家公務員給与の法案についても、関連法案とあわせて、今国会で早期に結果を出していきたいと考えております。このことにつきましても、重ねて総理の決意をお聞かせください。
 次に、社会保障と税の一体改革についてであります。
 特に、政権与党として、強く政府に要望しておきたいと思っております。それは、この一体改革について、国民の皆様へ御理解をいただくための説明がまだまだ不十分だという声があります。政府としては努力はしておられるだろうとは思いますが、余りにもわかりづらいものとなっております。
 高齢社会になればそのコストが増大する、その一言で終わってはなりません。高齢社会のコストとは何か。国家財政の視点からいえば、年金、医療、介護の保険制度を維持していくための税金であります。
 この年金、医療、介護に、毎年二十兆円を超える税金が使われているのであります。その内訳は、年金に十兆円、医療保険には八兆六千億円、介護保険には二兆三千億円であります。ちなみに、公共事業費四兆六千億円の四倍以上であります。
 さらにつけ加えるならば、年金、医療、介護への給付額は、社会保障予算全体の七割を超えております。社会保障の予算とは、年金、医療、介護に対する予算であると言っても過言ではありません。
 つまり、年金、医療、介護は、国民の皆様に払っていただいている保険料だけでは全く維持できない状態にあるのであります。この実態を御存じの国民の皆様は非常に少ないと考えております。多くの方は、何となく、保険料だけでそれらが維持されているとイメージされているのであります。
 それはなぜかといえば、毎月毎月、国民の皆様が保険料をお支払いになっているという保険制度であるからであります。保険制度でありますので、税金ではなく、保険料がすぐ国民の皆様の念頭に浮かぶのも当然であります。
 特に年金については、民間の年金型保険と同じように積立方式で運営されていると、条件反射的にイメージされる方が多いのであります。ですから、年金給付が減額されたときには、自分たちの保険料が政府に召し上げられたように感じられてしまうのであります。マスコミ報道も同じようになってしまっております。
 基礎年金の国庫負担が二分の一という言葉を聞いて、私がもらっている基礎年金の半分は税金から給付されていると理解される方は、ごくごく少数派であります。なぜならば、多くの方が、先ほど申し上げましたように、みずから払った保険料の積み立ての中からのみ年金給付を受けている、このようにイメージされているからであります。実態を理解されているのは、専門家、もしくは政治、行政関係者ぐらいではないかと私は思っております。
 この実態を正しく国民の皆様に説明することによって税金と年金の関係の理解を深めること、それが、一体改革の実現にはどうしても必要だと考えております。
 さらに、この年金、医療、介護を維持するための費用が国家予算の中でどれだけ大きな割合を占めているのかということも広くは理解はされておりません。平成二十四年度予算を見ましても、歳出総額から国債費と地方交付税交付金を除いた予算のうち、四割近くが、年金、医療、介護の保険制度の維持のために使われております。
 ここにおられる皆様は当然御理解のことであります、重々御承知のこととは思いますが、年金、医療、介護を制度的に維持していくための費用を確保することができれば、国家財政の立て直しはおのずと進んでいくということであります。そのための費用を、消費税を目的税としてお願いするということであります。
 それゆえに、総理が述べられましたように、官の肥大化には使わない、全ては国民の皆様にお返しする、このことを明確に、明確に説明する必要があるのであります。そういった説明をしっかりと行うことが、強く政府に、そして私たち議員にも求められているのであります。そのような十分な説明を行うこと、そして、私たち国会議員の定数削減と行政改革が実行されることによって、一体改革がなし遂げられるのであります。
 少し話は長くなりましたが、この一体改革に強い決意を持っておられる総理の御見解をお伺いいたします。
 さらに、一体改革について、もう一点申し上げておきます。
 それは、社会保障制度の全体像を示していかなければならないということであります。特に年金制度についてであります。
 年金制度は、今後より一層費用が拡大する分野であり、なおかつ、頻繁に変えることができないものであります。政権交代のたびに年金制度が変わることになれば、ただただ混乱だけがもたらされることになってしまいます。
 坂口厚生労働大臣の時代に年金改革に大変努力をされたことは承知しておりますが、さらなる改革が必要であり、どの政党が政権を担当するにしても、百年安定の制度にしなければならないのであります。
 それゆえに、政府、そして野党、与党を問わず、一刻も早く協議の場をつくり、ともに責任を持ちながら内容を詰めていかなければなりません。年金制度を政争の具にすることは許されないのであります。年金制度を中心とする社会保障改革の協議を国会全体で進めることにより、その費用を賄うための税制の協議を行っていかなければならないのであります。(発言する者あり)
 野党の皆様からは、都合のいいことを言うなとの声が今も聞こえております。しかし、冒頭にも申し上げましたように、野田政権は、自公政権によって決められた平成二十一年度税制改正法附則第百四条のタイムスケジュール及び方針に従って一体改革を進めていくことを選択したのであります。
 与党の中には、自公政権で決めたことを守っていく必要はないとの意見も多くあることは御存じのとおりであります。しかし、それでも、政策の継続性を守るために、さまざまな意見がある中で進んでいるのであります。
 過去を振り返るのではなく、与党、野党を問わず、責任政党としての誇りを持って、ともに歩んでいただきたいと願っております。大きな方向性で一致するとするならば、多少の意見の違いはお互いの努力で乗り越えることができると信じております。
 なお、消費税を引き上げる場合には、社会保障制度の安定につながることをしっかりと説明し、消費意欲が減退することのないようにしなければなりません。また、弱い立場の事業者が負担をこうむることのないようにするための対策も必要であります。さらに、過去に見られた、駆け込み需要とその反動をならすための緩和策も求められるのであります。
 これらについて政府としてどのように取り組まれるおつもりか、総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、地域主権改革についてであります。
 総理の方針の中では、復興をよりよいものにするために、そして、行政改革をより強く推進するための地域主権改革との思いが述べられております。そのとおりではありますが、私は、国家のあらゆる施策をより時代に合ったものにするために、地域主権改革は改革の本丸であると考えております。
 発展途上段階にある時代におきましては、国全体の底上げが最優先されます。それゆえ、国家の持てる資源を中央政府に集中させることによって近代化への坂道を上っていくことは有効であると思っております。
 近代化をなし遂げた国家は、一部の例外はあるかもしれませんが、必ず、ある段階において、何らかの形で、例えば王制、例えば共産体制、例えば軍事体制、例えば官僚体制といった形で、この中央集権の道を通過すると思っております。
 我が国日本は、明治の近代化を歩み始めたときに、この中央集権体制を選択し、最も中央集権に成功した国となったのであります。
 しかし、その成功によって、日本は、発展途上段階を終え、成熟段階に入りました。
 成熟段階においては、全体の底上げもさることながら、個々のニーズに合った施策を実行しなければ、無駄、無理、むらが生じることになります。その結果、成果が上がらず、コストが拡大することになります。それが今の姿であると思っております。
 そして、地域主権改革は、国の形にかかわるテーマであります。その内容も多岐にわたりますが、あえて一点申し上げるならば、産業政策であります。
 日本全体を見渡すとき、地域地域によって産業構造には違いがあります。発展途上段階と異なり、成熟段階の現在では、それぞれの地域の産業構造に適した産業政策を、それぞれの地域が責任と権限を持って進めていくべきだと考えております。それによって、地域の活力が高まり、地域経済の発展がもたらされると思っております。
 これ以上は申し上げませんが、民主党結党以来の一丁目一番地の政策である地域主権改革に対して、総理の御見解をお伺いいたします。
 特に、全国各地において、地域主権改革は大きな流れとなりつつあります。その流れをこれまで粘り強く訴え続けてきた民主党といたしましては、また、二十年間、地域主権改革を訴え続けてまいりました私個人といたしましても、これからが本番だとの思いを強く抱いております。
 次に、郵政改革についてであります。
 地域主権改革とも関連いたしますが、日本は広く、都市と農山村など、さまざまな地域が存在いたします。そんな中で、特に地方において、郵政のネットワークは国の重要なインフラだと考えております。
 郵政事業全体も、時とともに、時代に合った形に変わっていかなければならないのは当然であります。しかし、そのネットワークは、どんなことがあっても維持していかなければならないものだと考えております。特に、役場に行くにも遠く、銀行もないといったような地域においては、都市部と同じ発想では社会が成り立ちません。ネットワークの果たす役割は、特に大きいものがあります。
 そのような視点に立って、郵政事業のよりよいあり方を求めていくことを目指すために、郵政に関する法案の今国会での早期の結果を出すべく、努力してまいります。このことにつきまして、総理の決意をお聞かせください。
 次に、外交についてお尋ねいたします。
 外交は、国家の大計であり、国の命運を握るテーマであります。施政方針の中でも、アジア太平洋の世紀へと述べられ、日本の再生は、豊かで安定したアジア太平洋地域なくしてあり得ませんと総理は断言されておられます。
 アメリカは、国家戦略として、アジア太平洋地域にその重心を移しつつあります。
 そのアメリカと同盟国である我が国日本は、両国間に横たわるさまざまな課題を、お互いが、知恵を出し合い、協力し合って乗り越えていかなければなりません。そして、同盟関係をより強固なものにしていかなければならないと考えております。
 また、隣国である中国とは、本年、国交正常化四十周年を迎えます。
 隣に位置するという宿命は、永遠に変わることのないものであります。戦略的互恵関係、平たく言えば、ともに協力して繁栄の道を歩んでいかなければならないのであります。そのためにも、両国間の課題を認識しながら、政府と一体となって日中外交に取り組んでまいります。
 そこで、アジア太平洋地域に存在する日米中の関係が世界に大きな影響を与えるとの観点から、総理の、対米・対中外交を核とする総合的な外交についての基本認識、基本戦略をお尋ねいたします。
 最後に、いわゆるねじれ国会について申し上げます。
 社会が成熟し、国民の価値観が多様化する中、二院制のもとで議院内閣制をとる我が国の政治は、ねじれの状態が常の状態となると思われます。
 小異をあげつらって大同を見失えば、日本の政治は機能不全に陥り、国益を損ない、国民生活に不利益をもたらし、我が国は没落の道をたどることになります。その危機感は、与野党を問わず共有していただけるものと確信いたしております。
 その意味でも、この国会は、野田政権にとってまさに正念場の国会となります。正直に申し上げれば、視界ゼロメートルと言っても過言ではありません。
 しかし、新しい地平を目指し、歴史的使命を果たそうとするならば、前途がエベレストより高いのは当然であります。それを覚悟して登り始めた以上、もう後戻りは許されないのであります。
 その覚悟があれば、必ず道は開けると信じております。その覚悟を共有していくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 民主党を代表して、樽床伸二幹事長代行から、十問の御質問をいただきました。順次お答えをしてまいりたいと思います。
 まずは、復興を通じた日本再生の思いについての御質問をいただきました。
 さきの国会で成立した三次補正予算と関連法によって、復興庁、復興交付金、復興特区制度などの道具立てがそろうことができたと思います。また、平成二十四年度予算にも、除染や瓦れき処理など、さらなる復興の推進に欠くことのできない経費が多数盛り込まれております。これらを用いまして、復興事業をこれまで以上にスピードアップしていきたいと考えております。
 また、私自身、ことしに入りまして、一月八日に福島を、一月十日に岩手と宮城を訪問いたしましたが、被災地では、何よりも働く場の確保が特に重要な課題となっておることを改めて実感いたしました。復興特区制度などを活用して、被災地の産業復興と雇用の確保を進めていきたいと考えております。
 大震災からの復興は、全ての日本人にとっての挑戦であります。総力を挙げて被災地の復興を進めるとともに、それを起爆剤として、停滞を続ける日本全体に活力を取り戻していきたいと考えている次第であります。
 次に、原発事故被災者支援に関するお尋ねがございました。
 昨年の十二月十六日に、いわゆる冷温停止、ステップ2の達成を宣言させていただきましたけれども、原発事故との戦いは、これからがまさに正念場だと認識をしています。特に、賠償、除染、健康管理の三つであり、今後、政府の総力を挙げて取り組んでまいりたいと決意しています。
 賠償については、政府としては、原子力損害の範囲等に関する指針を示すとともに、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介を実施しているほか、原子力損害賠償支援機構による支援を行ってきており、これらの枠組みを活用しながら、迅速、公正、適正な賠償が実現されるよう、引き続き、必要な取り組みを進めてまいります。
 除染については、本年一月一日に全面施行となった放射性物質汚染対処特措法に基づき、国が責任を持って迅速かつ着実に除染を進めていきます。
 平成二十四年度予算に盛り込んだ約四千五百億円を含め、今後とも十分な予算を確保していくとともに、除染を推進するための体制として、一月には福島県に福島環境再生事務所を開設し、四月には本省、関東地方環境事務所も含め四百人規模の体制を確立し、市町村ごとに丁寧に対応していきたいと考えております。
 健康管理については、福島県が主体となって、十八歳以下の全県民を対象とした甲状腺超音波検査など、県民健康管理調査が実施されているところでございますが、政府としては、この調査が長期にわたり安定的に実施できるよう、必要な財政的な支援や技術的な支援を行っているところであります。
 今後とも、住民の皆様に安心感を持っていただけるよう、万全を期していく決意でございます。
 日本経済の再生についての御質問をいただきました。
 日本経済の再生は、被災地の復興のために、また、将来に繁栄を引き継いでいくために不可欠であり、全力で取り組みます。
 特に、御指摘のあった中小企業を初めとする企業の競争力と雇用の創出を両立させるとともに、農業、エネルギー・環境、医療・介護といった分野でのイノベーションを推進し、新産業の芽を育てていくための環境整備をしてまいります。
 平成二十四年度予算は、経済再生に向けた大きな一歩となります。住宅取得に対する不動産取得税の特例措置の延長を初め、関連法案や四次補正予算とあわせて、早期の成立を図ります。
 また、歴史的な円高と長引くデフレを克服するため、金融政策を行う日本銀行との一層の連携強化を図り、切れ目ない経済財政運営を行ってまいります。
 また、力強い経済成長を実現するには、さまざまな主体による挑戦を促す明快なビジョンを描かなければなりません。このため、国家戦略会議において、新成長戦略の実行を加速するとともに、日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に実行してまいります。
 続いて、議員定数の削減についての御質問をいただきました。
 改革実施には、誰よりも、政治家自身が身を切り、範を示す姿勢が不可欠と考えます。
 既に、違憲状態とされている一票の格差、実は私の選挙区の千葉四区は一票が一番軽いという選挙区でございますが、したがって、一票の格差は本当に是正をしなければならないというふうに考えております。あわせて、衆議院議員の定数を削減する案を民主党として決めたと承知しております。
 私にもリーダーシップを発揮するようにという御指摘でございました。
 まさに、総力を挙げて実現をするために、私自身もリーダーシップを発揮してまいりたいと思いますが、各党にそれぞれの御意見がある中で、樽床議員御自身が座長を各党協議会において務められております。樽床議員におかれましても、多くの与野党議員から信望の厚いお人柄と懐の深さによって、そのリーダーシップによって、結論を得られるようにぜひリーダーシップを発揮していただくことも、私も強く御期待を申し上げているところでございます。
 続いて、行政改革と給与臨時特例法案への決意についてのお尋ねがございました。
 行政改革は、政治改革、経済再生とも一体で、社会保障と税の一体改革と、まさに包括的に進めていかなければならない大きな課題でございます。独立行政法人改革、特別会計改革を断行するなど、聖域なき行政刷新の取り組みを進めます。
 また、現在、民主党において行政改革に向けた法案について検討されていることは承知をしており、今後、政府、党が一体となって改革を強力に実行していくことが重要であると考えております。
 給与臨時特例法案については、昨年来、政党間の協議が行われてきたところであり、ぜひとも早期に成案を得て、国会で成立させていただきたいと考えております。
 私としても、これらの行政改革に不退転の覚悟で臨んでいく決意であります。
 一体改革に関する国民への説明と行政改革等の実行についてのお尋ねがございました。
 若い世代を含め、国民が将来に不安を持たないようにするため、社会保障の充実、安定化と財政健全化を同時に達成するための一体改革は、どの内閣であっても先送りできない課題でございます。
 この改革の実現に向けて、国民の御理解と御協力を得るために、少子高齢化が急速に進む中、子育てや若者就労への支援を強化するなど、全世代対応型に社会保障制度を転換することや、将来世代への負担のツケ回しを行うことなく社会保障のための安定財源を確保していくことなど、改革の意義や具体的な内容をわかりやすく伝えていく努力が欠かせないと考えております。
 私と関係閣僚が先頭に立って、国民の皆様への情報発信に全力を尽くしてまいります。
 また、先ほど申し上げた議員定数削減や公務員総人件費削減など、みずから身を切る改革と一体改革を包括的に進めることにより、国民の皆様の納得と信頼を得ることができるよう、全力で取り組んでまいります。
 次に、一体改革に関する与野党協議や消費税率引き上げの影響への対応についての御質問をいただきました。
 先ほど申し上げたとおり、社会保障の充実、安定化は、どの内閣であっても先送りのできない課題でございます。今こそ、立場を超えて、全ての国民のために、この国の未来のために、素案の協議に応じていただきたいと考えております。
 消費税の増税分は、全額を社会保障財源化し、全て国民の皆様に還元し、官の肥大化には決して使いません。また、社会保障の安定財源確保と財政健全化は、将来への不安を取り除き、人々が安心して消費や経済活動を行う基礎を築くものであります。
 先ほど申し上げたとおり、この点も含め、一体改革の意義や具体的な内容を、樽床議員御指摘のとおり、わかりやすく伝えてまいりたいと考えているところでございます。
 消費税の適正転嫁については、弱い立場の事業者が不利益をこうむることのないよう、事業者の実態を十分に把握し、関係府省が一丸となって対策を講じてまいります。
 また、駆け込み需要とその反動減の緩和については、特に影響が大きい住宅取得について、必要な措置を総合的に検討することとしております。
 地域主権改革についての御質問をいただきました。
 これも議員御指摘のとおり、地域主権改革は、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決められるようにするための改革であり、民主党政権にとって大変重要な課題であります。
 二十四年度予算では、一括交付金、今、二十三年度予算執行中ですが、五千百二十億円の一括交付金をつくりましたけれども、二十四年度予算では、質量とも拡充していく、額的には八千を超える規模とさせていただくということになっております。
 また、現在、国の出先機関の原則廃止に向けて、必要な法案を今国会に提出すべく準備を進めるなど、改革を着実に実施させてまいりたいと考えております。
 こうした改革は、地方公共団体が住民に身近な行政を自主的かつ総合的に広く担う環境を整えていくものであり、ひいては、御指摘のある地域の実情に適合した産業振興にも寄与するものと考えます。
 そして、東日本大震災の被災地では、地域主権の理念を踏まえながら、復興交付金や復興特区制度などを活用し、復興事業を加速化してまいります。
 今後とも、私が議長を務める地域主権戦略会議を中心に、党の御協力もいただきながら、改革を着実に推進してまいる決意でございます。
 郵政改革に関する法案に係る決意についての御質問をいただきました。
 現在、国会で継続審議中となっている郵政改革関連法案は、郵政民営化によって生じた諸問題を克服し、郵政事業サービスが地域の利用者の立場に立って郵便局で一体的に提供され、将来にわたり、あまねく公平に利用できることを確保するためのものでございます。
 郵政改革については、現在、与野党で精力的に協議を進めていただいているものと承知しており、合意を得るまであと一歩のところまで来ていると承知しています。一日も早く協議がまとまることを強く期待しております。内閣を挙げて、郵政改革の今国会での実現に全力を尽くしていく所存でございます。
 外交についての基本認識及び基本戦略について、最後、お尋ねがございました。
 日米同盟を基軸としつつ、また、中国の建設的な役割も得て、アジア太平洋地域の安定と繁栄を実現するため、我が国は主体的な役割を果たしていきます。
 具体的には、日米同盟が我が国の外交、安全保障の基軸であり、かつ、アジア太平洋地域、ひいては世界の安定、繁栄のための公共財であるとの考えのもと、これを二十一世紀にふさわしい同盟関係に深化、発展させてまいります。
 また、昨年末、中国を訪問し、胡錦濤、温家宝両首脳と会談させていただきましたけれども、本年は国交正常化四十周年でございます。その機を捉え、両国の戦略的互恵関係を、さまざまなレベルでの対話や交流を通じて、さらに深化させていきたいと考えております。
 さらに、国連平和維持活動、軍縮・不拡散、気候変動などの人類の安全な未来への貢献、ODAの戦略的活用を通じた人類の豊かな未来への貢献にも努めてまいる決意でございます。
 以上、答弁とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
○副議長(衛藤征士郎君) 細田博之君。
    〔細田博之君登壇〕
○細田博之君 自由民主党の細田博之であります。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、一昨日の野田総理の施政方針演説について、先ほどの谷垣総裁の質問、答弁を補足しつつ、政策の各論にわたる部分につきまして質問を行います。(拍手)
 我が地元安来市では、ドジョウすくいという踊りがございます。安来節によって踊るわけでございますが、田んぼからドジョウをすくい上げまして、ぬるぬるしたドジョウをかごの中に入れるという踊りでございまして、全国的に愛好されております。非常に、ドジョウ発言によって地元のドジョウがやや人気が出ておりますことを、まず御礼申し上げます。
 ドジョウはぬるぬるして捕らえがたい。実にこのドジョウ総理は捕らえがたいところがありますが、必ず捕まえてかごに入れてしまおうと思っておりますので、よろしく御支援のほどお願い申し上げます。
 谷垣総裁が言いましたけれども、マニフェスト、野田総理が二年半前に言われたこと。長くは繰り返しません。書いてあることは命がけで実行する、大事なことですね。書いてないことはやらないんです、これも大事ですね。それがルールです、書いてないことを平気でやる、これっておかしいと思いませんか云々と。これをまた引用させていただきますけれども。
 そのことに関連して、私は、まず、この本会議場で数多くおられる民主党の一回当選の方、二回当選の方に対して、非常にたくさんおられるわけでございますが、心からお見舞いを申し上げたいのでございます。
 なぜか。一将功成って万骨枯るというのは唐の曹松の句でありまして、指導者、代表者ばかりが功名を得て、そして万骨が枯れていくということでございます。二年半前の選挙で……(発言する者あり)ここは騒ぐところじゃないんです、しんみり聞いていただくところなんです。
 二年半前のマニフェストを信じて街頭演説を行った皆さん、無駄さえなくせば増税をしなくてもよろしい、各種手当や補助金を創設し、高速道路を無料化する、暫定税率廃止によって燃料価格の大幅な引き下げが実現する、これを思い出してください。今でもバイブルとして毎日見ている人、いますか、皆さん。ほとんどおられませんね。これは、書いてあることを私も恨みつらみもあるので毎日のように見ておりますが、これほどのうそはないんです。結果的うそですよ。そのことをまず申し上げたいと思います。
 そして、その背景は何かというと、無駄さえなければ増税をしなくていいと書いてあるんですね。いや、すばらしい中身でございます。そして、各種手当や補助金を創設し、高速道路を無料化する、暫定税率廃止によって燃料価格の大幅な値下げが実現する、国家公務員人件費は二〇%削減、コンクリートから人へ、天下りの禁止等々、容易にできると思った諸君が気の毒でなりません。
 当時の執行部である岡田幹事長は、私の相方でありました。もともと親しい間柄だと思っておりますが、ここにおられますが、民主党幹事長は岡田さん、自民党幹事長は私、もう毎週毎週テレビに出て討論をいたしたわけでございます。
 そこで、なぜこの誤りが始まったかという、そのスタートを申しましょう。
 それは、民主党が調査をいたしまして、そして、国が天下り関係機関に十二兆円を支出している、天下りした国家公務員は二万五千人いて、それに十二兆円の支出が行われている、そして、総予算二百数兆円の一割、二十兆円の節約が簡単にできる、こう豪語したわけでございますね。
 ところが、その十二兆円は、四兆円が財投の貸し付けなんですね。これは、中小企業の融資だとか、個人事業主向け、農業者向けの低利融資に充てられる、そういうお金も入っております。ただ、金融機関には天下りが確かにいるんです。元農林省だ、経産省だっていますよね。それを全部足し算した。そして、海外経済協力の関係、国立大学や私立大学の研究や教育、独立行政法人の研究費等が入っており、国民に還元される政策経費であって、ばっさりと削減することは困難であるということを我々は再三指摘したのであります。
 あるときには我々は手紙まで出しまして、そして、そのようなことはうそですよ、十二兆円が削減できるようなことを言うととんでもないことになりますよと指摘したんですが、それに対してお答えがありました。そこにおられる平野さんが出してきまして、これは常軌を逸したプロパガンダだといって驚いている、そういう返事があったわけでございます。そして、真面目に検討をしない。したがって、この十二兆円は無駄なんだから、ありとあらゆる支出は可能であるというふうに誤解をしてしまったわけです。
 ここには支出が先に書いてありますよ、十六・八兆円。これは、別に構いません、十六・八兆円と書いてあるのでございますが……(発言する者あり)静かにしてください、静かに。
○副議長(衛藤征士郎君) 諸君、諸君、静粛に願います。
○細田博之君(続) サッカーでもロスタイムというのがあります。これを後でロスタイムだといって請求したいぐらいでございます。
 それで、皆様方は、無駄はもう省けるんだからこれで支出はできる、支出の方ばかり決めたわけでございますね。本来は、正しく入るをはかりて、もって出るをなす、あるいは出るを制す。これは四書五経、五経の礼記というところに書かれておりまして、漢の時代に書かれておるんですよ。もう何千年も前、千数百年前からそう言われておるんです。ところが、支出の方を決めて、収入の方はわからない、しかし経費を削減すれば実現できるだろうということで、そういう公約を出してしまったわけでございます。
 そこで、最近は、先ほど野田総理が言われましたね、衆議院議員の任期四年の先には増税はないとは言っておらず、マニフェスト違反ではないと先ほども言われました。
 しかし、論理的に考えてみてください。これだけの無駄があるからこれだけの支出ができます、その支出もほとんど実現しなかったわけですが、それは引っ込めておいて、さらに増税が必要だというのは何たることなんですか。
 せめて、今まで無駄だと言ったことは、無駄じゃない額は何兆円ありました、しかし、我々は、増税などは主張せずに、さらに仕分け等で努力いたします、国民の皆さん、そういうふうに考えてくださいと、皆さんは一人一人選挙区で訴えるべきですよ。皆さんが選挙区で訴えたら、何てみんなに言われますか。このうそつき、何で増税しなきゃいけないんだ、そういうふうに言われていると思うんです。
 だから私は、最近、こちらには真民主の方が、やはり我慢できない、そういう気持ちで新しい党をつくられたようでございますが、これはもっともなんです。政治家として選挙民に対して約束をして、増税するとは言っていない、それを増税するというふうに転換してしまった。樽床さんの議論もあったように、勉強したら大変な社会保障制度があって、年金も大変、医療も大変、介護も大変だから、どうしても増税しなきゃならない、君子は豹変する、だから豹変を許してくれということを言われますが、我々は容易にはこれを許すわけにはいかない、こういうことでございます。
 ことしの一月六日に政府・与党社会保障改革本部で決定された、五十ページに及ぶ社会保障・税一体改革素案。これは国民の皆様方に宣伝をいたしますが、これは、五十ページ、あなた方がつくった、政府がつくった、民主党がつくった素案なんです。私は五十ページ読んでみました。皆さん、五十ページ読みましたか。
○副議長(衛藤征士郎君) 細田君に申し上げますが、資料の提出についてはあらかじめ議運の了承を得た上でやってください。
○細田博之君(続) わかりました。失礼をいたしました。
 それでは、資料については提示しないことにいたします。しかし、もう公知の事実でございますので、ちょっと参考にお見せしたんですが、なぜそんなに見たくないのか、わかりません。
 さて、ロスタイムということで……(発言する者あり)
○副議長(衛藤征士郎君) 諸君、諸君、静かに、静かにお願いいたします。
○細田博之君(続) それで、五十ページの素案を読んでみました。全て空疎な内容でございます。中身は増税をすることばかり書いてあって、その根拠となるものについては、年金、医療、社会保障のあらゆる分野について、先々検討を要する、着手をする、法案を提出する。空疎な文章ばかりで五十ページになっているのであります。
 これは、国民の皆さんもパソコンを通じて民主党のホームページ、私はわざわざ民主党の立派なホームページをあけて、一つ一つ資料を出して、五十ページのプリントをしました。しかし、率直に言って紙の無駄です、内容は。しかし、それは真面目につくったものではあろうと思います。
 そこで、皆さん方も、この素案をもとに早く具体案を出してもらうことが大切なことだと思います。
 ただ、申し上げたいことは、この二年半、何のために使ったのか。東日本大震災のためにおくれたというようなことは通じないと思うんですね。それはそれです。しかし、この社会保障改革は、二年半もたってようやく一月に素案が出て、これからいろいろなことをやります、誰が一体信用しますか。こんな内容では笑止千万、こう思うわけでございます。
 自民党政権時代も、不況、デフレ脱却のめどがつけば増税やむなしと、税法の附則百四条で決定しております。なおかつ、消費税は、年金、医療、介護及び少子化対策の社会保障目的に限定するということを一昨年の参議院選挙の公約で明記しております。
 今さら言うまでもありませんが、現在でも、予算の総則によって高齢者三経費に充てるということになっております。過去十年以上、そうしているんです。今さら総理大臣から、新しい使途についての制約をつけます、無駄遣いはしません、だからいいでしょうと言われても、ずっとそうなっているんですね。それをまず申し上げたいと思います。
 年金問題についてお伺いします。
 先ほど谷垣総裁が詳細かつ多岐にわたって質問をしましたので、多くは省略しますが、具体案なしの先送りとしか言えません。
 基礎年金の国庫負担割合三分の一から二分の一への引き上げ分につきましては、税制抜本改革を担保に交付国債を発行して穴埋めするようですが、その場しのぎの対応である。つまり、ほかの支出が多くて金がどうしても足りなくなってしまったから、仮に子分のようなものをつくって、ここで面倒を見る、こういう考え方でございます。
 今の三つの年金、国民年金、厚生年金、共済年金の統合をするという民主党マニフェストを先送りしている。なぜ三年金合体をすぐやらないんですか。厚生年金、共済年金の統合からやる。これは、つとに我が党が提案し民主党が反対してきた案でございますが、改めて両年金を統合するとの案になっております。
 どのような経緯と根拠でマニフェストを変更したのか、野田総理の答弁を求めます。
 さらに、民主党マニフェストに掲げられた最低保障年金七万円についても、素案においては、細かくは言いませんが、相当な期間が必要と記述されており、遠い将来の世界を述べているような錯覚にとらわれるのは私だけではないと思います。
 具体的な中身と導入のスケジュールを、国民の皆様にわかりやすく説明するよう求めます。
 先ほど谷垣総裁が質問したにもかかわらず、その答弁は不十分です。さらなる消費税引き上げの問題とか、中堅所得者については一定所得水準にある者からは減額しなきゃならないというようなことを検討して、それがお蔵入りしたという情報もあるわけでございますが、その細かいことを谷垣総裁が聞いたのに、答弁が漏れておるという感じを持っております。
 非常に不十分であるので、私からの質問として見解を求めます。
 介護保険についてお尋ねいたします。
 民主党は、マニフェストにおいて、全国どこでも介護の必要な高齢者の方々に良質な介護サービスを提供するために月額四万円引き上げることにし、所要額を年間八千億としております。
 いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴー原則にのっとり、八千億の財源捻出をどのように考えているのか。
 さらに、素案においても「処遇改善等を通じた介護人材の確保」と記されておりますが、現在、介護に係る費用、介護給付費国庫負担金は、今回の介護報酬改定によって一・二%引き上げられ、平成二十四年度では二兆三千億円余りとなっております。
 民主党マニフェストでうたっていた所要額八千億円をどのように確保するのか。消費税増税分なのか、保険料の引き上げで賄うのか、総理の答弁を求めます。
 医療については、総選挙時の民主党マニフェストにおいて後期高齢者医療制度の廃止を喧伝していたにもかかわらず、一昨年の参議院選挙公約で、あっさりと、廃止から、国民議論を行って結論を得るまでの間は存続させることとしております。
 その後、厚生労働省の高齢者医療制度改革会議が一昨年の十二月に報告書を取りまとめ、都道府県の安定化基金創設により保険料の伸びの抑制をするとしていました。それにもかかわらず、政府は、保険料を、政令改正によって年間上限額を五十万円から五十五万円に引き上げを決定し、市町村主体の高齢者医療制度への復帰はあっさりと放棄し、むしろ保険料の実質引き上げを実施することとしているようであります。
 そこで、今後、後期高齢者医療制度をどのようなプロセスで廃止し、マニフェストどおり実現していくのか、総理の答弁を求めます。
 また、素案では、関連法案を今通常国会に提出するとしておりますが、いつごろ閣議決定し提出する予定なのかも、あわせて答弁を求めます。
 次に、東日本大震災からの復興について申し上げます。ここからは、やや各論に入るわけでございます。
 震災から十カ月半が経過しましたが、余りにも復興のスピードが遅い。復興のつち音を力強く響かせたいなどと、野田総理の思いと被災地の現状は雲泥の差があります。もはや人災であると言っても過言ではありません。一日も早い具体的な前進を、改めて政府に督励したいと思います。
 特に、雇用の創出、仕事につくということは最大の課題であります。(発言する者あり)被災地の人に聞いて質問していますから、私。その強い思いを言っております。
 二重ローン問題も依然として解決への道筋がはっきりとしない中、一刻も早い被災者の不安の解消、生活再建に向け、我々も協力を惜しむものではない。
 そのため、ここでは詳しくは申し上げず、復興特別委員会初め各委員会で具体的な議論を進めることに譲りたいと思いますが、ただし、復興庁の創設についてのみ質問をいたします。
 我が党案のほとんどを踏まえて制定された基本法において復興庁の創設が規定され、来月の十日には発足する運びになりました。
 これは喜ばしいことですが、二十四条三項において、復興庁の役割を、施策の企画立案、総合調整、実施まで行うスーパー官庁だと位置づけておりますが、人員規模が二百五十人程度、出先である三県の各一復興局に三十人程度、支所、事務所に四から六人程度。万全な対応が可能なのでしょうか。私には疑問でなりません。現場で即断即決できる体制をとるべきです。(発言する者あり)ここはやじる場面じゃないんですよ。
 また、各省縦割りの懸念があります。そう報道されています。現存する地方整備局や農政局、経済産業局の関係はどうなるのか、なぜ本庁を被災地に置かなかったのか、政務官の現地駐在で本当に大丈夫なのか、総理の見解を求めます。
 続いて、経済政策について質問します。
 我が国の経済環境は非常に厳しい。時間の関係で細かくは、どうして厳しいかは省略をいたしますが、経営者の中には、もう日本では企業活動ができないんじゃないかというようなことを言う切迫した状態でございます。
 まず、野田総理、我が国の経済状況について、どう認識し、どう対処するつもりなのか。
 特に、需要創出効果の高い震災復興の需要増などにより、二十四年の経済成長率は、名目二%、実質二・二%と試算しております。たしか、昨年の夏では、二・八%名目、二・九%実質としていたわけでございますが、明らかにこれは、民主党政権による稚拙な経済財政運営のために経済の回復がおくれている証左であると思いますが、この点、総理の見解をお伺いいたします。
 さらに、海外に目を転じますと、金融情勢、世界的な不況、そういったことが起こる可能性もあるわけでございますが、この点について総理の見解を求めます。
 さて、我々は、現状を打破するには、確固たる経済財政の司令塔のもとに、的確な経済分析に基づく強い日本経済の再生に向けた具体的な方針が必要であると感じております。しかし、一昨日の野田総理の施政方針演説では、今後の経済政策の具体像が思い浮かびません。
 マニフェストの中にも日本経済の成長戦略が掲げられておりましたが、ほんの少しでございまして、子ども手当や高校無償化、高速道路無料化、暫定税率廃止などの政策により家計の可処分所得をふやし消費を拡大する、農業の戸別所得補償によって魅力と成長力を高め、大きな雇用を創出する産業に育てるなどと書いてあるわけでございます。
 しかし、果たして、こういった政策によって我が国の消費はどれだけ拡大したのか。戸別所得補償を実施したことで、農業に魅力を感じて参入した人たちはどれだけふえたのか。将来への展望もなく、ただただ国民の歓心を買おうとした政策は、かえって国民を不安にさせたのではないでしょうか。
 総理は、新産業の芽を育てていくと発言しておりますが、具体的にどのような新産業を育成するのか、答弁を求めます。
 来年度予算において一兆円の日本再生重点化措置を計上しておりますが、メニューは非常に総花的であり、既存予算のつけかえや、シーリング逃れのために計上されたと思われるものまで散見されるわけでございます。何をもって再生なのかの意図も不明確であり、これをどう生かして再生を図っていくのか。
 現時点での雇用の具体策、経済成長のための具体策につき、野田総理の答弁を求めます。
 一方、多くの産業界が反対を唱えている温室効果ガスの排出削減について、鳩山元総理が国際公約で二五%削減を約束しました。施政方針演説においてもいまだに撤回していないわけでございますが、総理の真意、明確な答弁を求めます。
 エネルギー問題については、電力が、昨年の大震災の影響、原発事故の影響により大きく供給力を欠いておりまして、今後の電力需給によっては産業活動の大きな足かせとなることは言うまでもありません。むしろ、マイナス成長も助長しかねない。
 原発事故の発生によって、我々は、原子力政策を初めエネルギー政策全般について再考を強いられております。政府はエネルギー計画の見直しの結論をこの夏に出すと言っておりますが、余りに遅いような気がいたします。
 基本計画の改定作業の状況と当面のエネルギー需給の見通し、特に、この夏を乗り切ることができるのか。火力発電の需要増と燃料確保対策のための燃料高騰対策も重要な問題と思いますが、総理の具体的な答弁を求めます。
 昨年、再生可能エネルギー導入促進法が成立しました。最大の論点は、再生可能エネルギーの導入目標と買い取り価格の適正化であり、どのようなプロセスでスタートさせるのか、あわせて答弁を求めます。
 教育、科学技術問題でございます。
 我々日本国民は、国際競争の中で生きているわけです。最近の五十年は、国際競争の勝者として、国民が豊かになってきました、確かに。当初は国民の勤勉さと為替レートの有利さ、積極的な投資によって、最近は物づくりについての高い技術力によって、これを維持してきました。しかし、近隣諸国が、教育の充実や技術力の向上、国際的な人材の育成などによって、日本の水準を上回ろうとしております。
 日本は、小学校から大学までの教育、産学官の連携、科学技術の進展に貢献する人材の育成において、国際的におくれをとっております。大学の秋入学だけでは解決しない、根本的な問題を抱えております。
 この点についての野田総理の基本的な見解を求めます。
 次に、農業について伺います。
 ドジョウすくいの町、我が安来市では、二百五十ヘクタール、百五十ヘクタール、五十ヘクタールなどの集落営農法人化が進んでおります。民主党政権下で土地改良予算は五〇%以上カットされ、農業の基盤整備に大きな打撃を与えました。つまり、集約ができないんです。
 最近になって、TPP論議に関連して、今年度の第四次補正予算案で土地改良予算を八百億円追加することとしているようでございます。まさにこれは朝令暮改でありますが、まだ足りません。
 迷惑するのは農家の方々であります。大規模化できない中山間地においては、お涙金を渡せば事足りると思っているんでしょうか。大都市選出の議員が多くて農業の実態を知らない民主党政権は、国を誤ります。多少は例外的な人もありますけれどもね。
 そして、多くの農産物は輸出競争力があるなどという誤解が流布されております。農業をよく知る鹿野農林水産大臣は党内で四面楚歌なんじゃないかなと危惧しております。あるいは、実態を御存じなのに黙っているんでしょうか。
 実態に即した丁寧な農政を行うべきです。農林水産大臣の見解を求めます。特に、土地改良予算についての考え方の変化の理由と、中山間地対策の柱は何かについて、答弁を求めます。
 TPP交渉については、米国は、これまでの種々の交渉と同様に、極めて厳しい要求を突きつけてくると思います。米、畜産、酪農製品、甘味資源等の輸入拡大、遺伝子組み換え作物の輸入拡大等です。
 今後の交渉方針につき、農林水産大臣の答弁を求めます。
 さらに言えば、先ほどのマニフェストでは、米のみならず、一般農業、林業、畜産、酪農、それから漁業などについても所得補償制度を導入すると書いてあるんですよ。そのために持ってきたんですがね。
 そういうことも含めまして、農林水産大臣の一次産業に対する考え方をぜひ伺いたいと思います。
 国土建設について申し上げます。
 東日本大震災によって、日本国民は、道路、港、防波堤など、命を守ることの重要性を学びました。八ツ場ダムも、何十年に一度の水害を想定すれば必要という結論のようですが、地方の生命線となる幹線道路の重要性も再認識すべきであります。
 コンクリートから人への標語に対する前田国土交通大臣の現在の認識を伺います。特に八ツ場ダムについて、前田大臣は河川の専門家でありますから、国民に対して、何ゆえに工事再開に至る考えの変化があったのか、実態においてどうであるのか、考え方についての具体的な説明を願います。
 生活を支える高速道路網の整備、特に未着工区間の早期着工問題についても、見解を求めます。高速道路網の中で、命をつなぐ道路もたくさんあるわけでございます。
 次に、離島振興について質問をいたします。
 海に囲まれた我が国には多くの離島が存在し、国境を初め、経済水域を守り、風土、文化を守るという重要な役割があることは言うまでもありません。しかし、離島の多くは、人口減少、高齢化、産業の衰退が深刻であり、国を守る観点からも、その保全は政治の重要な課題であります。
 そこで、我々は、新たな離島振興法を検討し、これまでのハード中心から、定住促進につながるソフト施策の充実を図り、産業振興や雇用確保を図ることを検討しているところですが、来年三月には離島振興法は期限切れとなります。
 離島は、過疎、高齢化、物価高で困っており、せめて本土並みの交通費、物価水準を実現するための拡充、延長が必要であると思います。国土交通大臣の見解を求めます。
 離島を思う心はどの党も変わらないと思います、これは民主党も含めまして。そういう同志がたくさんおると思います。
 次に、沖縄をめぐる問題について質問をいたします。
 沖縄については、民主党政権は、まことに沖縄県民の期待を大きく裏切る行為の連続であります。普天間基地移設問題がその最たるものであります。
 しかも、日米合意において、八千人の米国兵のグアム移転、家族を含めれば一万人以上の移転を行って沖縄の基地負担を軽減することにしていたにもかかわらず、米国議会が必要な予算措置をとらないなど、県民の期待を裏切ることになっています。
 グアム移転問題についての総理の見解を求めます。
 また、那覇空港は、現在発着枠が満杯状態になっており、いつ事故等で大きな沖縄観光や産業活動への打撃が発生するかわからない状況であります。
 那覇空港の早期完成に向けたスケジュールを明確にすべきであります。総理の答弁を求めます。
 一方、アジア経済圏に近接している沖縄は、今後、著しい発展が予想され、適切な沖縄の振興を図っていくことが最重要な政治課題であることは言うまでもありません。沖縄振興法が本年度末に期限を迎え、新たな振興法及び振興計画の策定を急ぐ必要があります。
 我々は、一昨年、中間報告を示し、その中で、新たな振興計画のあり方や基地跡地利用について明記しております。
 低下の一途をたどっている政治への信頼を取り戻す観点からも早期の策定が急がれますが、新たな沖縄振興策について、政府はどのような検討をしているのでしょうか。特に、自治体の財政基盤と自立した沖縄を実現するための一括交付金について、総理の見解を伺います。
 一方、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置法、軍転法も期限を迎えますが、我々には議員立法の用意があります。跡地の有効かつ適切な利用、国の主体的責任、返還を受けた所有者の生活の安定の理念を明確にしておりますが、政府では新たな軍転法についてどのような検討をしているのか、総理の答弁を求めます。
 基地問題をめぐる混乱をどう収拾するのか。特に、一連の防衛大臣の発言は、県民感情を悪化させております。野田総理の基地問題についての見解を伺います。
 最近になりまして、原子力災害対策本部の閣僚による会議の議事録が、昨年三月十一日の第一回を含め、二十一回分もの議論の中身を記した議事録が作成されなかったことが報道され、大変びっくりしております。
 事実の有無及び今後の公表について、総理の答弁を求めます。
 福島原子力発電所周辺においては、ホースによる冷却水の循環を行っておりますが、安全の確保、火災防止等の具体策がおろそかであると聞いております。
 また、区域を三つに分けて、居住制限、帰還困難、解除準備の区域を設けるとのことでありますが、指定のみでは解決になりません。地域再生策、生活支援策を提示すべきです。
 政府の対応について、細野大臣の答弁を求めます。
 建設後四十年超の炉の廃炉問題につき、政府・民主党内にも異論があり、まとまらないようであります。原子炉の安全性は技術的な問題であるので、政治的にではなく、技術的にしっかりとした判断をすべきであります。
 二十三日、政府は、原発立地自治体への説明会を開き、三十キロ圏の地域防災計画を義務づける方針を示しました。
 速やかに堤防や避難道路等の防災体制を整備しなければ、政府の考えているストレステストを経ての再稼働に支障があると思われますが、細野大臣の基本的考え方を伺います。
 除染について伺います。
 昨年の通常国会で成立した放射性物質環境汚染対処特措法が本年一月一日から全面施行されており、ようやく体制が整備されたと思っております。
 しかし、政府は、震災発生から十カ月余の間、一体何をやっていたのか、疑問を呈さざるを得ません。その間も、放射性物質は拡散し、原発から遠く離れた地域でホットスポットが発生するなど、政府の対応のおくれは取り返しのつかない状況を招いたのであります。
 そこで、ロードマップにおいて、仮置き場に三年程度保管し、その後、中間貯蔵施設に搬入するとし、さらに、中間貯蔵施設の建設場所を二十四年度中に選定するとありますが、一年程度で選定は可能なのか。どのようなプロセスで選定するのか。さらに、除染対象地域の面積と費用について、細野大臣の答弁を求めます。
 一方、現在でも九万人もの人がふるさとを追われ、家族とも散り散りになった方々が全国各地に避難をしておられます。その方々の生活の安定がいつ来るのか、政治が道を示していかなければなりません。
 特に、当面の生活再建に必要な賠償についても、我々が主導して成立した仮払い法がつなぎの役割を果たしており、現在、賠償支援機構の発足により賠償がスタートしておりますが、具体的な賠償の対象についてはいまだに決められておらず、賠償が滞り、生活に支障を来す懸念もあります。
 いつごろ確定するのでしょうか。また、避難者がふるさとに戻る状況はいつごろになるのか、総理の答弁を求めます。
 次に、領土問題について申し上げます。
 近隣諸国と領土をめぐり種々の問題が生じておりますが、外交上の弱さの影響であります。
 北方領土の早期返還、竹島問題、尖閣諸島を初め諸問題に適切に対応するため、領土の日を設け、北方対策本部を拡充して領土問題対策本部を設置し、担当大臣を置くべきであります。
 この点につき、総理の答弁を求めます。特に竹島については、日韓首脳会談等の場で明確な議論をすべきである。
 野田総理は、先般の十二月十八日の日韓首脳会談において、この問題を明確に提起したのか。また、竹島でのコンサートやファッションショーの開催、大規模埠頭、ヘリポート、宿泊施設の建設について、抗議、申し入れをしているのか。弱腰外交に終始しているのではないか。報道によれば、一昨日の外交演説に対し、韓国側が外務大臣に抗議したということであるが、事実はどうなのか。
 以上について、総理の答弁を求めます。
 次に、選挙制度について申し上げます。
 昨年三月の最高裁判決において、衆議院の選挙区別一票の格差について違憲判決が出されました。
 我が党は、昨年五月の党政治制度改革実行本部総会において、選挙区格差を二倍未満とする〇増五減案を各党に提示することとし、各党協議会に提示してきました。民主党も曲折を経て同じ案に到達したことは、大きな前進であります。他の各党の意見はまだ集約されておりません。
 過去五十年もの間、一度たりとも最大格差が二倍未満になったことはありません。一日も早く実現すべきであり、国会の責任であります。
 他方、比例定数について、我が党は、三十議席減としつつも、小選挙区制度が議席の多い二つの政党にとって有利であるとの認識のもと、二党以外の政党に不利にならないような案を提示しております。
 民主党は、単純に百八十の比例定数を百議席に減らすという、マニフェストどおりの案を決定しております。この案は、各党の比例当選議席を約半分、厳密には九分の五に減らしてしまうものであり、得票率の低い政党を不当に圧迫し、民主主義の原則に違反すると言わざるを得ません。(拍手)思いがけない党から賛同が出てきております。
 多くの政党は、今、選挙区の格差是正法を先行通過させれば、その後で比例減を強行されるのではないかとの不信を抱いてこれを拒んでおり、このままでは違憲状態を解消することはできません。各党協議を至急さらに進めることにより、民主主義の精神にのっとり、各党が合意し得るよう努力し、必ず早期に法改正を実現することが、国会の責務であります。
 このような柔軟な対応により定数の削減と格差是正を実現することについて、野田総理の答弁を求めます。
 結びにかえて申しますが、政権交代からはや二年半、民主党政権は、誤った前提に立ったマニフェストの実行不能状態に陥り、社会保障改革の具体的実施時期も明示できず、問題解決を逃げ水のごとく先送りしているわけであります。これは、日本国民の大きな不幸であります。
 早期増税のみを実現して、議場におられる多くの万骨を枯らせ、路頭に迷わせるのではなく、選挙というみそぎを行って、民主党が生み出した数々の新しい無駄を整理することが、政治の常道であります。
 種々の仕分けや無駄の削減をすれば四年間増税は不要であると公約した政権が、国民の信も問わずに増税を強行することは、多くの人々が許さないのは当然であります。消費税の増税につき、自民、民主両党が公約に掲げて選挙を行い、信を得た政党が政権について、国会での成立を図る、これが民主主義の基本であります。
 どうせ増税するのなら同じことだから、今やれというようなことを言う人がありますが、これは、二〇〇九年の野田演説を引用したように、書いていないことはやらない、書いていないことを平気でやるのはおかしい、それはマニフェストを語る資格がないということが民主主義の基本であり、今の民主党の増税案は民主主義の基本にもとるということを改めて申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 自民党細田議員の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。
 まず最初に、社会保障・税一体改革に関し、基礎年金の国庫負担及び被用者年金一元化についての御質問をいただきました。
 二十四年度の基礎年金国庫負担については、従来の国庫負担割合三六・五%分に交付国債の発行分を加えて、国庫負担割合二分の一を維持することとしております。
 今回の対応は、必要な財政上の措置を講じた上で国庫負担二分の一の財源を確保するという現行法の規定に従い、消費税増税により得られる収入を償還財源とする交付国債を活用することとしたものであり、その場しのぎの対応との御批判は当たらないものと認識をしております。
 また、今回の被用者年金一元化については、職種を問わず全ての人が同じ制度に加入するという民主党の新しい年金制度の方向性にも沿って、まずは、被用者年金制度全体の公平性、安定性の確保の観点から、一体改革素案にも盛り込まれたものでございます。今国会での法案提出に向けて、検討を進めてまいります。
 いずれにしても、年金制度を含めた社会保障制度の充実、安定化と財政健全化を同時に達成するためには一体改革の実現が不可欠であり、政府全体で全力を挙げてその実現に取り組んでまいりますので、素案の協議に応じていただきますよう、細田議員にも重ねて呼びかけたいというふうに思います。
 次に、民主党マニフェストの最低保障年金に関する御質問をいただきました。
 最低保障年金を含む民主党の新しい年金制度においては、制度改革時までに現行制度で納めた保険料に対しては現行制度に基づく年金額を支給することになるため、新年金制度への切りかえには相当長期の移行期間を要するものと考えております。
 新年金制度の具体的な姿については、移行までの期間を含め、民主党においてさらに検討が深められることとなっており、党での議論を踏まえて、政府においても、谷垣議員、細田議員が指摘された新しい年金制度の具体的な給付と負担などについて検討していきたいと考えております。
 次に、介護保険制度における介護職員の処遇改善についてのお尋ねがございました。
 介護職員の処遇改善については、一体改革素案において、機能充実として、サービス提供体制の重点化に伴うマンパワー増強が盛り込まれており、まず平成二十四年度においては、介護報酬改定の中で、現行の処遇改善交付金による処遇改善の取り組みを継続することとしております。
 さらに、一体改革における介護サービスの機能充実に向けては、制度の重点化、効率化と消費税率の引き上げを通じて必要な財源を確保することとし、この中で、介護職員の処遇改善に引き続き取り組んでまいります。
 次に、高齢者医療制度の見直しについての御質問をいただきました。
 高齢者医療制度については、厚生労働大臣主宰の高齢者医療制度改革会議で検討が進められ、一昨年の十二月に、現行の後期高齢者医療制度の廃止など、最終的な取りまとめが行われています。
 この取りまとめに対しては、地方自治体を初めとする関係者からさまざまな意見が出されていますが、一体改革素案にあるとおり、関係者の理解を得た上で今国会に法案を提出することとしており、関係者の御理解を得られるよう、さらなる検討、調整を行ってまいります。
 次に、復興庁についての御質問をいただきました。
 復興庁の規模については、復興事業に係る予算の一括要求など、強力な実施権限を担うこととされたことなどから、地方も含め、復興本部事務局の人員を大幅に上回る体制を確保します。これに加え、各府省の職員を併任発令し、必要な業務を行わせます。
 また、地方出先機関との関係については、各省の出先機関は復興に関する事務以外も所掌していることから、復興庁に各省の出先機関の事務全てを集約することは適当でないと考えますが、被災三県に置く復興局には本庁と同様の総合調整権限を付与し、担当する政務職が責任を持って国の出先機関の復興事業の調整を行うなど、被災自治体からの要望を決してたらい回しせず、現地でワンストップで対応します。
 復興庁の本庁については、各府省に対する総合調整や立法府への対応などの必要性から、東京に置くこととしたところでございます。
 我が国の経済状況の認識及び今後の対処方針についてお尋ねがございました。
 我が国の景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にある中で、緩やかに持ち直しています。他方、欧州政府債務危機の影響等により、海外景気がさらに下振れするリスクに十分留意が必要でございます。
 政府としては、景気下振れの回避に万全を期すとともに、日本銀行と一体となって、デフレ脱却に断固として取り組みます。
 同時に、新成長戦略の実行を加速するとともに、日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に実行するなど、日本経済の再生に全力で取り組み、中長期的に持続的な経済成長につなげてまいります。
 なお、政府経済見通しについては、昨年八月に公表した内閣府年央試算に比べて下方修正していますが、これは、欧州政府債務危機等を背景とした世界経済減速の影響を反映したものであり、他の諸外国も下方修正しているところでございます。稚拙な経済財政運営との御指摘は当たらないと考えます。
 新産業育成、日本再生重点化措置、雇用と経済成長について御質問をいただきました。
 農業、エネルギー・環境、医療・介護といった新たな需要を生み出す分野でのイノベーションを推進するとともに、日本のすぐれたコンテンツや地域資源を生かしながら、新たな産業の芽を育てていくための環境を整備してまいります。
 日本再生重点化措置については、我が国経済社会を再生し、国民一人一人が希望を持って前に進める社会を実現するために予算を重点配分する分野を特定しております。例えば、新たなフロンティア及び新成長戦略や教育、雇用などの人材育成として、科学技術、エネルギー、海洋、宇宙等の分野において、新たな成長につながるプロジェクトを中心に予算配分を行うことや、大卒者の厳しい就職状況を踏まえた就労促進の強化など、日本経済の成長と雇用の確保につながる施策を措置しています。
 こうした取り組みとともに、力強い経済成長と雇用創出を実現するため、国家戦略会議において、新成長戦略の実行を加速するとともに、日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に実行してまいります。
 温室効果ガス排出削減目標に関する御質問をいただきました。
 今後の地球温暖化対策については、エネルギー・環境会議の場においてエネルギー政策と表裏一体で検討しており、春ごろには選択肢を提示し、国民的議論を経て、夏ごろに決定することとしております。
 温室効果ガス削減の中期目標についても、こうした国民的な議論を経て決定されることとなります。
 エネルギー政策についての御質問を続いていただきました。
 エネルギー政策の再構築のためには、経済への影響、環境保護、安全保障などを複眼的に眺める視点が必要です。化石燃料が高騰する中で、足元の電力需給の逼迫を回避しながら、温室効果ガスの排出を削減し、中長期的に原子力への依存度を最大限に低減させていかなければなりません。
 現在、国民が安心できる中長期的エネルギー構成を目指して、ゼロベースでの見直し作業を進めているところでございます。昨年末には電源別のコストを算出したところであり、ことし春には選択肢を提示した上で、幅広く国民各層の御意見をお伺いしながら、ことしの夏をめどに、新しい戦略と計画を取りまとめます。
 また、当面のエネルギー需給の見通しについては、ことしの夏において、仮に、原子力発電所の再起動がなく、二〇一〇年夏並みのピーク需要となり、有効な対策を講じなかった場合には、約一割の電力需給ギャップが生じる見通しとなっております。
 このため、昨年十一月にエネルギー需給安定行動計画を決定いたしました。この計画に沿って、予算措置や規制・制度改革などあらゆる施策を総動員し、エネルギー需給の安定やコストの抑制に万全を期してまいります。
 御指摘の火力発電の需要増に伴う燃料の安定供給確保策や燃料の高騰対策についても、この計画に基づいて、早急な対策を講じているところでございます。
 再生可能エネルギーの具体的な導入目標については、今後、ことし夏をめどにエネルギー政策全体を議論する中で、さまざまな御意見をお伺いしながら検討してまいります。
 買い取り価格については、標準的なコストに適正な利潤等を勘案するとの法律の規定を踏まえ、調達価格等算定委員会において御議論いただき、その結果を尊重して適正な価格を決定いたします。
 教育や人材育成についての御質問をいただきました。
 希望と誇りある日本をつくるため、世界に雄飛する人材の育成を進めることが重要と考えております。
 このため、日本再生の基本戦略を踏まえ、みずから学び考える力を育む教育の充実を図り、産官学の英知を結集して、挑戦を担う人づくりへの投資を強化するなど、社会経済を支える人材の底上げや、科学技術分野も含めグローバルに通用する高度人材の育成に努めてまいります。
 在沖縄海兵隊のグアム移転についての御質問をいただきました。
 我が国政府は、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を速やかに軽減するための在日米軍再編の取り組みの一つとして、在沖縄海兵隊のグアム移転の着実な実施を重視して取り組んでいます。
 米国議会がグアム移転に係る予算を削減したことは承知しておりますが、日米両政府はグアム移転のコミットメントを累次の機会に確認しており、政府としては、引き続き、米国と協力して本件を進めていくよう全力を尽くしてまいります。
 那覇空港の拡張整備について御質問をいただきました。
 第二滑走路を増設するという那覇空港の拡張整備については、平成二十二年度より環境影響評価法に基づく手続を実施しており、引き続き、その手続を着実に進めてまいります。
 沖縄振興についてお尋ねがございました。
 来年度以降の新たな沖縄振興策については、沖縄県からの提案等を踏まえ、県が新たな沖縄振興計画の策定主体となることや、新たな一括交付金の創設、沖縄の優位性を生かした産業の振興など、県の主体性をより尊重するとともに、国の支援措置を拡充する内容の法案を準備しており、今国会に提出いたします。
 また、二十四年度予算においては、沖縄の潜在力を存分に引き出し、その経済の真の自立と持続可能な発展を実現するため、使い道を限定しない、自由度の高い一括交付金千五百七十五億円を含め、前年度を大幅に上回る総額二千九百三十七億円の沖縄振興予算を計上いたしました。
 沖縄振興は、私の内閣の最重要課題の一つであり、今後とも、政府を挙げてしっかりと取り組んでまいる所存でございます。
 返還特措法と沖縄の基地問題について御質問をいただきました。
 来年度以降の駐留軍用地の跡地利用については、沖縄県からの提案等を踏まえ、返還特措法及び沖縄振興特措法に規定している制度を一元化するとともに、給付金制度の拡充や原状回復措置の徹底等、跡地利用を促進し、円滑化する内容の法案を準備しており、今国会に提出いたします。
 現在、在日米軍専用施設・区域の七四%が沖縄に集中しており、その負担を軽減する必要性については、十分に認識しています。特に、普天間飛行場の移設問題については、日米合意を踏まえつつ、普天間飛行場の危険性の一刻も早い除去を目指し、沖縄の負担軽減を図ることが、この内閣の基本的な姿勢でございます。
 田中防衛大臣も、沖縄県民の理解を得ながら負担軽減を進めることの重要性をよく認識しており、引き続き、沖縄の皆様の御意見を十分お伺いしながら、負担軽減に取り組んでもらいたいと考えております。
 原子力災害対策本部の議事録について御質問をいただきました。
 政府としては、原子力災害対策本部の議事内容や決定事項は、基本的には記者会見や報道発表を通じて情報発信してきたところでありますが、原発事故発生後の緊急事態において、昨年三月十一日から二十三回にわたって開催をされた原子力災害対策本部の議事内容が文書で随時記録されていなかったことは事実であり、まことに遺憾であります。
 公文書管理法では、事後も含めて、行政組織の意思決定や実績について文書作成が求められているところであります。加えて、本件は、国民の関心、社会的影響が大きな事案であることから、可能な限り迅速な対応が必要であると認識をしています。
 このため、一月二十四日に、原子力災害対策本部副本部長である枝野経済産業大臣から、同本部の事務局長である原子力安全・保安院長に対して、関係省庁と協議しつつ、公文書管理法に基づき、意思決定の過程及び実績が把握できる資料の整備、公表を遅くとも二月中に行うよう指示したところでございます。
 続いて、避難者の生活再建に必要な賠償指針の策定時期や、避難者が帰郷できる時期についてお尋ねがございました。
 原子力損害の範囲については、これまで、原子力損害賠償紛争審査会において順次お示しをしてきたところでございます。
 昨年十二月末に原子力災害対策本部が決定した避難指示区域等の見直しに関する考え方を踏まえ、現在、原子力損害賠償紛争審査会において、損害賠償の取り扱いについて検討が行われておりますが、避難指示区域の見直しに先立ち、本年三月中には必要な指針を取りまとめていただきたいと考えております。
 本年三月末を一つのめどとしている避難指示区域の見直しの後、年間積算線量が二十ミリシーベルト以下となることが確実な地域については、インフラなどの復旧、また、除染の進捗を踏まえて、地元との十分な協議を行った上で避難指示を解除し、できるだけ早期に避難者が帰郷できる環境を整えてまいります。
 領土問題に関する体制整備及び竹島についてのお尋ねがございました。
 領土問題は、我が国の主権にかかわる極めて重要な問題であり、御指摘の体制整備の面を含め、我が国の立場を確保し主張していく上でより有効な方策について、政府として不断に検討していきたいと考えています。
 竹島問題については、昨年十二月十八日に行った日韓首脳会談で、私から、日韓間には困難な問題があることを伝え、こうした問題が日韓関係全体に悪影響を及ぼすことがないよう、李明博大統領とともに大局的な見地から努力したい旨述べました。
 また、首脳会談に先駆けて、玄葉外務大臣から、青瓦台外交安保首席秘書官に対し、竹島問題に関する我が国の基本的な立場に基づき、韓国国会議員の竹島訪問の中止等を申し入れしました。
 さらに、御指摘の韓国側の竹島における一連の措置については、ハイレベルを含むさまざまなレベルで、我が国政府として、受け入れられず、抗議する、一連の計画の中止を求める旨申し入れています。
 玄葉外務大臣の外交演説については、竹島への言及に対して韓国政府から抗議と撤回の要求がありましたが、我が方からは、撤回を受け入れることはできないことを明確にいたしました。
 いずれにせよ、政府としては、この問題の平和的解決を図るため、今後とも粘り強い外交努力を行っていく考えであります。
 最後に、一票の格差是正と議員定数削減についてお尋ねをいただきました。
 先ほど谷垣総裁にもお答えをいたしましたが、確かに、民主党は、違憲状態とされている一票の格差を是正するための措置に加えて、衆議院議員の定数を削減する案を民主党として決めたと承知しています。しかし、各党にそれぞれ御意見があることも承知をしており、一票の格差是正に関しても、自民党細田議員の御提案を、真剣に、真摯に受けとめ、これを受け入れております。
 各党協議会において、与野党で胸襟を開いて議論し、定数削減に関しても早急に結論を得ることを強く期待しておりますことを、重ねて申し上げたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣鹿野道彦君登壇〕
○国務大臣(鹿野道彦君) 細田議員の質問にお答えをいたします。
 農政、特に、土地改良、中山間地域対策についてのお尋ねでございます。
 我が国農林漁業は、所得の減少なり、あるいは担い手不足、高齢化といった問題に直面いたしておりまして、その再生は待ったなしの課題と認識をいたしております。
 このため、食と農林漁業の再生について、昨年十月に策定した我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画に基づき進めていくことといたしておりますが、基本方針に基づく農業の体質強化を進めていく上におきましても、農業農村整備事業により生産性の向上を図ることは重要なものだと認識いたしております。
 農業農村整備事業予算につきましては、厳しい財政事情のもとにありまして、平成二十二年度の予算編成におきましては減額となった経緯はございますが、その後、平成二十三年度予算、平成二十四年度予算におきまして、当初予算に関連予算及び補正予算を適切に組み合わせることによりまして、地域の要望と政策上の必要性に対応いたしておるところでございます。
 また、中山間地域対策につきましては、経営の複合化も念頭に置きつつ、地域の実情に十分配慮いたしまして、中山間地域の条件不利を補正するため、中山間地域等直接支払いの実施、六次産業化の推進、未利用資源を活用いたしました再生可能エネルギーの開発等によりまして、地域の特色を生かした施策を講じてまいります。
 次に、TPP交渉参加に向けた各国との協議方針についてのお尋ねでございます。
 昨年十二月に閣議決定いたしました日本再生の基本戦略に従い、各国が我が国に求めるものについて、さらなる情報収集に努め、十分な国民的議論を経た上で、国益の視点に立って、TPPについての結論を得るということにしているところでございます。
 御指摘の農林水産物の輸入拡大の要求につきましても、関係各国が我が国に何を求めるのか、協議を通じてしっかりと情報収集した上で、農林漁業者を含む国民各層に情報を提供してまいりたい、このように考えておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣前田武志君登壇〕
○国務大臣(前田武志君) 細田議員にお答え申し上げます。
 国土建設についてお尋ねがありました。
 昨年は、東日本大震災など自然災害が多発し、国民の安全、安心を守るという社会資本整備の最も重要な使命を再認識したところでございます。
 持続可能で活力ある国土、地域づくりを進めるため、人の命が第一、災害に上限はないとの社会資本整備審議会が出していただいた三・一一東日本震災の反省の考え方に立って、ハードとソフトの施策を組み合わせながら、真に必要な社会資本整備を着実に推進していくことが必要であると考えております。
 八ツ場ダムについてのお尋ねがありました。
 八ツ場ダムについては、検証のプロセスに沿って、四代の大臣のもとで、予断を持たずに検証を行ってまいりました。
 昨年十二月一日、検証の最終プロセスである有識者会議において、八ツ場ダム事業継続は妥当との確認を受けたことを前提にして、担当大臣として、熟慮を重ねた結果、事業の継続との判断をいたしました。
 大規模災害に関する各分野の専門家の知見や情報等も整理をさせていただき、参考にさせていただきました。
 一、二申し上げると、例えば、災害は忘れたころにやってくる、これは有名な寺田寅彦の言葉でございますが、災害は、三年たつと個人の記憶から薄れる、六十年たつと地域が忘れる、三百年たつと誰も言わなくなる、これは畑村洋太郎先生の言葉でございます。キャスリン台風で利根川が決壊して、六十年ちょっとになります。家康の利根川東遷、これは約三百年以上前でございますが、もう誰も言わなくなっております。
 防災は、国防と同じく、国家の一番重要な責任である、こういうふうに認識しておりまして、首都圏の治水安全度の確保は国家的な課題であると基本的に認識をしております。
 利根川の東遷、要するに、もともとは利根川は東京湾に流れておりました。荒川、利根川、渡良瀬川、この三つが乱流していたのを、家康入府以来、人が住めるように東へ東へとつけかえる先人たちの努力の結果、今の利根川があるということであります。人口、資産が高度に集積したこの利根川の流域が高い災害リスクを抱えているだけに、タイにおけるあのような結果には断じてしてはいけない、こう認識をしております。
 そこで、八ツ場ダムは、治水対策としての即効性を持っておりまして、あと、本体をつくれば七年ぐらいで大きな洪水調節効果を発揮することになります。これにかわるような代替手段というものを種々検討いたしましたが、見出せなかったということであります。事業継続を求める流域の一都五県の知事さん方の御意見もありました。こういったことを総合的に勘案して、責任を持つ大臣としての立場から、この選択をさせていただいた次第であります。
 高速道路ネットワークについては、東日本大震災において、住民の避難場所や救援救助活動、物資の輸送、防潮堤としての副次的効果など、災害下に果たす役割、いわゆる命の道として再認識されたところであります。
 今後は、脆弱な地域の耐災性を高め、国土を保全するネットワーク機能を早期に確保する観点からも、高速道路のミッシングリンクの解消等による道路ネットワークの強化に取り組んでまいります。
 離島振興についてお尋ねがありました。
 離島は、多様性に富む我が国土の構成要素であり、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用等に当たって重要な役割を担っていると認識しております。
 一方、本土から隔絶され、本土以上に人口減少や高齢化が進むとともに、基幹産業である農林水産業が低迷するなど、離島を取り巻く状況は厳しいものがあり、離島航路、航空路の運航等に対する支援や、離島の流通効率の改善など、定住の促進につながる施策に取り組んでまいります。
 平成二十四年度末に期限切れとなる現行の離島振興法は、現在、各党において議論が行われていると承知していますが、国土交通省としても、引き続き、離島振興に資する施策の推進に最大限努力をしてまいります。(拍手)
    〔国務大臣細野豪志君登壇〕
○国務大臣(細野豪志君) 細田議員から、三問の御質問をいただきました。
 まず、居住制限、帰還困難、避難指示解除準備区域の指定についてであります。
 原子力発電所事故からの再生に向けて、去る十二月二十六日の原子力災害対策本部において、「ステップ2の完了を受けた警戒区域及び避難指示区域の見直しに関する基本的考え方及び今後の検討課題について」を決定しました。
 この見直し方針においては、新たな三つの区域設定の考え方だけでなく、住民の安全、安心の確保、徹底した除染の実施と子供への配慮、インフラ復旧、雇用対策、損害賠償の扱いなどの課題についても国としてしっかりと対応していくことを明示いたしております。
 今後、政府として、区域の設定に合わせて、インフラの復旧など生活環境の整備や、長期避難者の支援に努めてまいります。
 次に、原子力防災体制の強化と再稼働について御質問をいただきました。
 原子力事故に対して迅速かつ的確に対応するには、地域の防災体制を強化することが必要であります。
 先般、一月二十三日に、関係地方自治体に対する今後の防災対策についての説明会を開催いたしました。引き続き、地方自治体に対して丁寧に説明を行い、御意見を伺いながら、地域防災計画の作成の支援をしていくことが重要と考えております。
 他方、これまで、代替電源の確保、ポンプ車などの配備など、緊急安全対策を適切に実施した発電所は、今回の事故と同程度の地震、津波、全交流電源などに対応できるものとなっております。
 緊急安全対策実施後の施設が現時点でどの程度の安全裕度を有するかについて、現在、ストレステストで確認しているところであります。
 なお、ストレステスト評価後に、定期検査で停止中の原子力発電所の運転を再開するかどうかについては、現時点では、地元の理解が得られるかどうかも含めて、政治レベルで判断を行うこととしております。
 最後に、除染についてお尋ねがございました。
 除染、中間貯蔵施設については、遅くとも平成二十四年度内に福島県内での立地場所を選定すると、昨年十月のロードマップでお示しいたしました。その後、関係者で検討を進め、双葉郡内での立地が適切であり、同地域にお願いせざるを得ないとの結論に至りました。
 苦境にある双葉郡の皆様にこうしたことをお願いするのは大変心苦しい限りではありますけれども、除染を実施する上で不可欠の施設でありますので、ぜひとも御理解を賜りたいと考えております。
 現在、福島県及び双葉郡八町村で御検討をお願いしている段階でございます。平成二十四年度内に立地場所を決定し、平成二十七年度より供用を開始できるよう、関係市町村及び地域住民の理解と協力を求めつつ、しっかりと取り組んでまいります。
 除染の対象地域に関しては、昨年十二月に、国、市町村それぞれが除染を実施する地域を市町村単位で指定いたしました。今後、国と市町村それぞれが除染実施区域を定める計画を策定する予定でありますが、実際の除染対象面積はその中で決まってくるものであり、現時点で明確にすることは困難であります。
 除染費用に関しては、除染や汚染廃棄物に係る費用として、復旧・復興予備費、第三次補正予算により、既に約四千六百四十億円を確保しております。これらに平成二十四年度予算要求とを合わせて、当面の費用として総額一兆一千億円超の財政措置を計上しておりますが、さらに必要があれば、予算の積み増しを考えなければならないとしているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
○副議長(衛藤征士郎君) 御案内のとおり、場内協議中であります。しばらくお待ちを願います。
     ――――◇―――――
○太田和美君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十七日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
○副議長(衛藤征士郎君) 太田和美君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(衛藤征士郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣   野田 佳彦君
       総務大臣     川端 達夫君
       法務大臣     小川 敏夫君
       外務大臣     玄葉光一郎君
       財務大臣     安住  淳君
       文部科学大臣   平野 博文君
       厚生労働大臣   小宮山洋子君
       農林水産大臣   鹿野 道彦君
       経済産業大臣   枝野 幸男君
       国土交通大臣   前田 武志君
       環境大臣
       国務大臣     細野 豪志君
       防衛大臣     田中 直紀君
       国務大臣     岡田 克也君
       国務大臣     自見庄三郎君
       国務大臣     平野 達男君
       国務大臣     藤村  修君
       国務大臣     古川 元久君
       国務大臣     松原  仁君
 出席内閣官房副長官
       内閣官房副長官  齋藤  勁君
 出席政府特別補佐人
       内閣法制局長官  山本 庸幸君