第180回国会 法務委員会 第3号
平成二十四年三月十六日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 小林 興起君
   理事 熊谷 貞俊君 理事 黒岩 宇洋君
   理事 階   猛君 理事 辻   惠君
   理事 樋口 俊一君 理事 稲田 朋美君
   理事 棚橋 泰文君 理事 大口 善徳君
      相原 史乃君    井戸まさえ君
      稲富 修二君    稲見 哲男君
      今井 雅人君    大泉ひろこ君
      大谷  啓君    大西 健介君
      大西 孝典君    岡田 康裕君
      加藤  学君    勝又恒一郎君
      川口  浩君    京野 公子君
      桑原  功君    小室 寿明君
      瑞慶覧長敏君    滝   実君
      橘  秀徳君    玉城デニー君
      玉置 公良君    中野渡詔子君
      中屋 大介君    長尾  敬君
      仁木 博文君    平山 泰朗君
      福田衣里子君    皆吉 稲生君
      向山 好一君    山口 和之君
      山崎  誠君    湯原 俊二君
      河井 克行君    城内  実君
      北村 茂男君    柴山 昌彦君
      馳   浩君    平沢 勝栄君
      森  英介君    柳本 卓治君
      漆原 良夫君    中島 政希君
      横粂 勝仁君
    …………………………………
   法務大臣         小川 敏夫君
   法務副大臣        滝   実君
   法務大臣政務官      谷  博之君
   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君
   環境大臣政務官      高山 智司君
   最高裁判所事務総局人事局長            安浪 亮介君
   最高裁判所事務総局民事局長兼最高裁判所事務総局行政局長           永野 厚郎君
   最高裁判所事務総局刑事局長            植村  稔君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    原   優君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    稲田 伸夫君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    三浦  守君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 宮島 昭夫君
   法務委員会専門員     岡本  修君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十六日
 辞任         補欠選任
  井戸まさえ君     稲見 哲男君
  勝又恒一郎君     大西 健介君
  京野 公子君     中野渡詔子君
  橘  秀徳君     岡田 康裕君
  中屋 大介君     大泉ひろこ君
  皆吉 稲生君     山崎  誠君
  北村 茂男君     馳   浩君
同日
 辞任         補欠選任
  稲見 哲男君     福田衣里子君
  大泉ひろこ君     仁木 博文君
  大西 健介君     今井 雅人君
  岡田 康裕君     橘  秀徳君
  中野渡詔子君     相原 史乃君
  山崎  誠君     瑞慶覧長敏君
  馳   浩君     北村 茂男君
同日
 辞任         補欠選任
  相原 史乃君     玉城デニー君
  今井 雅人君     山口 和之君
  瑞慶覧長敏君     皆吉 稲生君
  仁木 博文君     稲富 修二君
  福田衣里子君     井戸まさえ君
同日
 辞任         補欠選任
  稲富 修二君     湯原 俊二君
  玉城デニー君     京野 公子君
  山口 和之君     長尾  敬君
同日
 辞任         補欠選任
  長尾  敬君     向山 好一君
  湯原 俊二君     中屋 大介君
同日
 辞任         補欠選任
  向山 好一君     勝又恒一郎君
    ―――――――――――――
三月七日
 国籍選択制度の廃止に関する請願(京野公子君紹介)(第二四二号)
 同(鳩山由紀夫君紹介)(第二五三号)
 同(山崎摩耶君紹介)(第二五四号)
 同(浅尾慶一郎君紹介)(第二六四号)
 同(相原史乃君紹介)(第二七五号)
 成人の重国籍容認に関する請願(京野公子君紹介)(第二四三号)
 同(鳩山由紀夫君紹介)(第二五五号)
 同(山崎摩耶君紹介)(第二五六号)
 同(相原史乃君紹介)(第二七六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十九回国会閣法第一二号)
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
 東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律案起草の件
     ――――◇―――――
○小林委員長 これより会議を開きます。
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきまして、黒岩宇洋君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。大口善徳君。
○大口委員 東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律案の起草案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の提案者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 昨年三月十一日の東日本大震災から一年が経過しました。しかし、その甚大な被害により、多くの被災者の方々はいまだ苦しい状況に置かれています。また、原子力損害賠償紛争解決センターが昨年九月に和解の仲介申し立ての受け付けを開始するなど、被災者の方々の法的サービスに対するニーズは高まっています。
 このような状況の中、日本司法支援センター、いわゆる法テラスは被災地に出張所を設置し、被災者の方々が必要な法的サービスを受けることができるように努めておりますが、民事法律扶助制度には資力要件が設けられていることなどにより、一部の被災者の方々には必要な支援を円滑に行えないといった状況が生じています。
 そこで、この起草案は、東日本大震災の被災者の方々が裁判その他の法による紛争の解決のための手続及び弁護士等のサービスを円滑に利用することができるよう、東日本大震災の被災者の方々に対する援助のための法テラスの業務の特例を定めるものであり、起草案の内容は、次のとおりであります。
 まず、支援の対象とする被災者については、東日本大震災に際し災害救助法が適用された東京都以外の市町村の区域に平成二十三年三月十一日において住所、居所、営業所または事務所を有していた国民または我が国に住所を有し適法に在留する者をいうものとしております。
 次に、東日本大震災法律援助事業として、被災者の方々の資力を問わず、民事裁判等手続のほか、裁判外紛争解決手続、行政不服申し立て手続であって、被災者を当事者とする東日本大震災に起因する紛争に係るものの準備及び追行を援助の対象とし、このために必要な費用の立てかえ、法律相談等を行うことができることとしております。
 また、東日本大震災法律援助事業として実施した立てかえ金の償還等については、その手続の準備及び追行がされている間は、猶予するものとしております。
 なお、この起草案は、公布の日から三カ月以内で政令で定める日から施行することとしております。施行の日から起算して三年の時限立法としておりますが、提案者としては、失効が予定されている時期における被災者の状況によっては、延長も当然検討されるべきものと考えているところです。
 以上が、本起草案の趣旨及び概要であります。
 何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
 東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○小林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しております起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小林委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
○小林委員長 引き続き、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁警備局長西村泰彦君、法務省民事局長原優君、法務省刑事局長稲田伸夫君、法務省矯正局長三浦守君、外務省大臣官房審議官宮島昭夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○小林委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局安浪人事局長、永野民事局長兼行政局長及び植村刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○小林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黒岩宇洋君。
○黒岩委員 おはようございます。民主党の黒岩宇洋でございます。
 法務大臣が小川大臣になりまして初めての所信に対しまして、私の方から質疑をさせていただきます。
 東日本大震災からちょうど一年がたちました。この三月十一日にも、一周年の追悼式ということで、私もこの追悼式典に出席をいたしました。天皇陛下のお言葉をいただきまして、そして被災者の代表の皆様のお言葉をお聞きしまして、本当に悲惨な大災害であったということを痛感いたしましたし、ただ、悲しみに暮れているばかりではなく、不幸ではありましたけれども、多くの経験、そして多くの教訓を今後の災害対策に生かしていかなければいけないと私も再認識をさせられた次第でございます。
 法務省にとっても、これはまさに未曽有の大災害ですから、当然、初めての問題点や初めての対策といったことに追われたということを、当時私も政務官をしておりましたので、記憶しております。きょうは大変短い時間ですけれども、そのときの対策、そしてその効果、さらには今後の課題について何点か大臣にお聞きをしたいと思っております。
 発災時、昨年三月十一日二時四十六分、私は東京駅に向かう車の中にいました。本当に車が故障したかと思う大きなうねりの中で、非常に大きな大災害が発生したなという実感がございました。すぐに法務省から、戻ってこいということで、急遽駆けつけまして、当時の江田大臣、そして当時の小川副大臣も直ちに法務省に入りまして、緊急に災害対策本部が設置されたと記憶をしております。その日には全省的な対策についていろいろな議論をし、講じたと記憶をしております。
 私が個別の仕事として初めて当たったのは、明けた翌十二日、朝になりまして入管局から、もうきょうじゅうにも外国からの援助隊が我が国に入ってきてくださると。うれしかったですね。韓国からその日の午後にも援助隊が入る、こういうお話でした。これはもう一分一秒を争う人命の救助ですから、何としても迅速に入管としても受け入れをしたい、そういう話だったんです。
 話を聞くと、例えばビザが必要な国には、これは不要にしましょうとか、そのほか指紋検査、バイオメトリクス、これは省略すると。こういう対応を入管としてもすぐにとってくれた。ただ、聞くと、パスポート審査はするというんですね。特に翌日、十三日になるとアメリカの約二百人と言われる部隊が入ってくる。これを三沢基地で引き受けるときに、機械審査でありますので、機械を二台持ち込んで、そして一人一人パスポート審査をするという。
 私は、これは一分一秒を争うんだし、ましてや相手国の政府が送ってきてくださる援助隊なわけですから、それはもう審査を省略してくれよと。こう言うと、さすがに入管局も前例がありませんというんです。ただ、私は、そんなことを言っている場合じゃない、どんな対策でもいいからパスポート審査を省略しろというと、すぐに持ち帰って機敏に対応してくれました。よく、かたいかたいと言われる入管行政ですけれども、非常に柔軟に対応して、仮上陸許可書を交付することによってこの審査を省略する、こういう対応をしてくれたんですね。
 そこで、お聞きしたいんですけれども、この対策を講じたことによってスムーズな受け入れができたのか、そして本当に時間がどれほど短縮できたのか、これについて大臣の方からお答えいただけますでしょうか。
○小川国務大臣 確かに、大震災が発災しまして、緊急を要する状態で外国の方から派遣してくれるという、大変にありがたいことでございます。そして、当然、緊急の事態ですから緊急に活動してもらう必要があるわけでございます。そうした観点から、当時政務官でありました黒岩委員も、入管に対して適切な指導をされたというふうに聞いております。
 具体的にどのくらい短縮されたかというのは、これは一つの想定でございますが、いわゆる通常の入国審査をすればどのくらいであったかということを想定しますと、おおよそ二時間ぐらい通常はかかるものが、ほとんど時間はかからずにできたのではないかというのが実際の実情でございました。
○黒岩委員 人命救助には七十二時間というのが一つの目安とされています。まさに一分一秒、一時間でも短縮できたということは、私は非常によかったと思っております。
 そのほか、本当に何十カ国からの受け入れをしたわけですけれども、このスムーズな対応によってどういった効果がもたらされたか、この点についてもお聞かせ願えますでしょうか。
○小川国務大臣 すぐに救助活動を行っていただくということと同時に、外国からのそうした温かな行為、これを我が国としても当然大歓迎して気持ちよく受け入れているということで、やはり、緊急時の国際連帯感あるいは国際関係というものの良好化に寄与したのではないかというふうに思っております。
○黒岩委員 各国も、震災直後も翌日とか翌々日に入ってきたときに、いきなり入国審査で一人一人パスポートを見せろと、そんなある意味緊張感のない対応をしていたら士気も上がりませんし、そういったことを防いだということも大きな効果であったと考えております。
 私も外務省なんかに聞きますと、各国でもさまざまな災害が起こるんですけれども、実はなかなか入国審査では特段の配慮があったとは聞いておりません。その点におきまして、今回の我が国の対応というものが、今後各国にも参考になればと私としても願っておるところでございます。
 さて、その後、私どもも法務省にいながら、いろいろな問題が各省庁からも寄せられてきたことを記憶しております。その一つが、災害廃棄物、瓦れきの処理ですね。これは環境省さんからも、法的な問題について知恵をかしてくれ、こういうお話がございました。すなわち、未曽有の津波の大災害でしたから、さまざまな、例えば、倒壊家屋だとか車だとか船がもともとあった場所から移動して散乱している、これは所有権の問題はどうなるのかとか、実際にこれは本当に処理できるのかということで、この速度感が鈍りそうだったわけですね。ただ、法的な措置を早くしてくれれば瓦れき処理が早く進むということで、そのアドバイスをしてくれ、こういったことが法務省に届けられたと記憶をしております。
 そこで、実際には、その議論をして、発災後からもう十日後には当時の小川副大臣を座長とする検討会が立ち上げられ、非常に速やかな指針が出されたということを私も認識しておりますが、これは指針について事細かくお聞きはしませんけれども、実際、主な指針はどういった問題点を解決する指針が出されたのか、この点についてお聞かせ願えますでしょうか。
○小川国務大臣 今回、地震、特に大津波によりまして、建物が損壊する、車等が流されて、地域一帯にそれがいっぱいに広がっているという状況でありました。こうした状況を直ちに復旧したいというのが、これは当然現地の要望でございました。
 その中で、具体的な問題としましては、例えば、家が流されても家の形をしているというような場合に、それを壊してしまっていいのかどうか、あるいは、まだ財産価値があるような、一見すると価値がありそうな自動車であるとか動産であるとか、そうしたものが、いわば移動しているわけですから、他人の土地の上に動かされてしまっているという状況の中で、しかし、それらを除去しないと片づけができないという状況でありました。
 法的な問題としましては、家にしても自動車にしても、どなたも捨てたわけじゃないので、いわば所有権は放棄されていないわけであります。津波で流されたものが、それこそ、しゃくし定規に言えば、家が材木になってしまったとしても、それは所有者が捨てたものではありませんから、もとの、本来の所有者の所有権があるわけでございます。
 本来的に、法的に分析しますと、そうした所有者が所有権を有しているというものを、しかし、誰が所有者かわからない部分があるんですが、それが他人の土地の上に乗っかっているというものを、所有者の承諾もなく、どんどん片づけてしまっていいのか、あるいは、家の形をしているものを解体してしまっていいのかというようなことがございました。
 それを現地の方で、それについて一定の対応の指針を示していただかないと、後で所有権の侵害ということになって紛争が起きても困りますので、それについての対応指針を示してほしいというのが現地の要望でございました。そうした点を受けて、法務省としてはその指針を示したわけでございます。
 結局、法的に言いますと、決して所有権を捨てたものではないけれども、所有者の意思を推測するならば、自分のものが他人の土地の上にあるものを、絶対に他人の土地の上にあるままの状態で動かすなという意思は皆さん持っていらっしゃらないだろう、所有者の意思としては、やはりそれは早く片づけて、人様の土地の所有権なり使用を防害する状態を少しでも早く片づけたい、だけれども現実にはそれができない、しかし、そういう意思だということが推測される、こういうふうに考えまして、そうであるなら、それは国がその所有者の真意に沿って、事務管理としてそれを処理しようということで、個々の所有者の承諾なしにそうしたものは片づけてよい、片づけても差し支えない、このような指針を出したわけでございます。
 ただ、そうして片づけていいといいましても、しかし、中には財産価値だけで考えられないようなものもございます。いわゆる思い出の写真とかアルバムとか、そうしたものについては、片づけるに当たって、それを廃棄するのではなくて、やはり丁寧に取り扱って、それを保存するなりして、いずれ所有者の方に戻せるような配慮をするのが望ましいのではないか、このような趣旨の指針を示して、そしてそれを環境省の方から各自治体の方に示して、その指針で処理が行われたものと承知をしております。
○黒岩委員 ありがとうございました。
 この話が最初、法務省に舞い込むと、法務省というのは何といっても法律の専門家集団ですから、遺失物法がどうだとか水難救護法がどうだとか道路交通法がどうだとか、法律的な解釈である意味かなり話が混迷したと記憶しているんですけれども、やはり小川副大臣は、政治家として、座長として、今おっしゃったように、ある意味、大なたを振るったと思います。
 住宅の一部であっても、どうせ自分の家から流れたものなんて経済的にはもう無価値だよ、だから、そんなものはどんどん処理してくださいという大なたを振るった一方、ただ、被災者の心にしっかりと密接して、位牌だとかアルバムだとか文集については、これは丁寧に取り除けるものは取り除きなさいよという、やはり気持ちを入れた対応をしたということが、私は今回の指針の大きな二点の重要なことだったと思っております。
 そこで、きょうは環境省の高山政務官においでいただいています、実際に瓦れき処理の運用は環境省でございますので。
 このように大なたを振るった指針である、人の気持ちを酌んだ指針であったんですけれども、では、本当に運用において問題はなかったのか、スムーズに行われたのか、この点についてお聞かせ願えますでしょうか。
○高山大臣政務官 黒岩委員にお答えいたします。
 このように迅速に、三月二十五日の段階でこの指針をつけていただきまして、これは実際、被災地から、本当にどういうふうに処分したらいいんだというような問い合わせが非常に多数来ておりましたので、まず、本当に助かりました。
 その結果として、実際住民が生活している場所の近くの災害廃棄物については、昨年の八月末までに仮置き場に全て搬入が終わりました、これは福島県を除くですけれども。また、現段階におきまして、岩手県、宮城県、福島県の三県の沿岸部における災害廃棄物の発生推定量のうち、今後家屋の解体等により生ずるものを除けば、九六%が仮置き場に撤去されているということです。
 最終処分に関しては、今まだ六%と滞っておりますが、これは、この指針とは関係なく、最終処分場の能力の問題で今おくれておりますけれども、実際に生活圏近傍の災害瓦れきを処理するに当たりましては、このように指針を早い段階でお示しいただいたということが、円滑な処理に非常に大きく寄与したというふうに思っております。
 また、先ほどからお話ありますように、災害瓦れきといいますけれども、被災者の方にとっては思い出の品や財物でございますので、これは法務省を初めといたしまして警察、消防、自衛隊などの、またボランティアの方の非常な御協力がありまして、こういった指針を中心にしたおかげで、円滑に、そして素早く処理ができたというふうに思っております。
○黒岩委員 ありがとうございます。
 私は、四月に入りまして、岩手県の現地連絡対策室に室長代行として二度ほど派遣されました。宮古だとか大船渡だとか、本当に大津波で防潮堤まで破壊されている、そんなまさに瓦れきの山に私も直面してきましたけれども、そのときに、防波堤の上に段ボール箱がたくさん並べられていました。そこにはアルバムや位牌が置かれて、アルバムには、泥だらけの写真なんだけれども、その中で笑う笑顔を見て、本当に胸が締めつけられた思いがしております。
 そういった丁寧な対応をしながらも、重機が入ってしっかりと瓦れきの処理をしていた姿を見て、やはり非常に早い指針が出たということがその後の瓦れき処理に大きく寄与したと。今後の我が国に、あってはならないですけれども、いざ災害が起こったときの一つの教訓になる、こう感じておるところですので、今の高山政務官の御答弁、本当にありがたく受けとめました。
 さて、私も、現地に入りますと、さまざまな光景を目の当たりにしました。特に、法務省管轄でいいますと、法務局の大船渡の出張所に行きました。ここは二階まで水につかりまして大変大きな被害を受けたんですけれども、そこで目の当たりにしたのは、登記簿が泥まみれになって散乱している。
 これは大変重要なデータでありますので、この登記データの被害状況、そしてバックアップシステムについてどういう対応がとられていたのか、この点についてお聞かせ願えますでしょうか。
○小川国務大臣 御指摘のように、紙による登記簿が一部流失したり汚損したりしたようなケースがございました。
 そうしたことを踏まえまして、今後は、登記情報、いわばデータは、現地ではなくて、東北地方ですと西日本の方にデータを保管する、そして、そのデータをさらに、東日本、西日本の方に一カ所ずつ、二カ所にバックアップとしてまたデータを保存するということにしました。災害地ではないところで、安全な場所でデータを保管する、さらに、それについて複数の場所においてデータを保管するということにいたしまして、今後災害が起きても全てのデータが失われるということがないような、そうした仕組みを構築しております。
○黒岩委員 ありがとうございます。
 私も、紙媒体の泥だらけの登記簿を見たときに、これは困ったことになったと思ったんですが、しかし、これは実際は無事だったんですね。
 要は、出張所、登記所なら登記所で、そのデータを打ち込んだものが、全国、私は四カ所と聞いておるんですけれども、やはり遠隔地、岩手県の被災地だったら、これは多分西日本のどこかの、一階層目のバックアップシステムにそのデータが登録されている。さらに、そのバックアップデータが、二階層目として、今度は関東と関西の二カ所に、これは二重ですね。ですから、二階層、三重のバックアップシステムがあることによって、登記データというのは今回全く被害を受けなかった。今後もかなり大規模な災害にも耐え得るということをお聞きいたしまして、このシステムについては、私は非常にたたえたいと思っております。
 さて、さらに私どもが肝を冷やしたのは戸籍ですね。
 これは私、当時、記憶しておりますけれども、宮城県、岩手県で四つの市と町、要するに役所が流されちゃったわけですから、この戸籍の正本がなくなった。そして、戸籍のバックアップシステムである副本が、これは法務局にあるということなんですが、あのときは気仙沼支局ですか、気仙沼支局が二階まで流されて、これは副本もなくなったんじゃないか、こんなことで肝を冷やして、当時は江田大臣が現地に赴いたと記憶をいたしております。
 この点の実際の被害の状況と、そして登記とは異なる戸籍のバックアップシステムがどうなっていたのか、これについてお答えいただけますでしょうか。
○小川国務大臣 戸籍は、各市町村に戸籍簿があると同時に、その市町村を管轄する法務局、法務支局の方にデータが寄せられて、そのデータを保存しているという状況でございました。ただ、その市町村を管轄する法務局あるいは支局でございますので、いわば同じ地域にあるわけでございます。
 そうした観点から、今回では四市町村で戸籍が流失しましたが、確かに委員御指摘のように、南三陸町の戸籍が流失して、そして、それをいわばバックアップしている気仙沼支局、ここがかなり危なかった。もう少しのところで支局の方もデータが流される寸前までのところであったというふうに聞いております。
 そうした反省点を踏まえまして、今後、データを同じ地域に置かないで、一つの災害で同時にということがないような、そうした体制をこれから構築していきたいと思っております。
○黒岩委員 ありがとうございます。
 若干質問が私、順番が違ったかもしれませんけれども、現実に再製というものは図られたんでしょうか。
○小川国務大臣 結果的には、法務局、法務支局のデータは全て無事でございましたので、そのデータがある範囲では完全に復元されました。
 ただ、市町村が戸籍の届けを受け付けて、支局にデータを送るというところで、時間的なずれがございました。すなわち、市町村が受け付けて、即時法務局の方にデータを送るのではなくて、大体一カ月ぐらいをまとめて法務局に送る。そうしますと、法務局にデータが送られてはいない、しかし、市町村では受け付けた戸籍情報というものが結局は法務局のデータにはないわけですから、データに入っていないから復元できていないという状況でございます。これにつきましては、やはり関係者にその点を周知して、聞き取りを行うなどして復元するしかないわけでございます。
 この点につきましては、今のところ、戸籍が完全に復元されていないということの問題は、起きていないのか、あるいは、起きているけれどもそれを訴える人、気がついている人がいないのかわかりませんが、現実的には、まだ、戸籍が完全には復元されていないという問題が顕在化はしておりません。
○黒岩委員 顕在的においては再製されたという認識でお聞きをいたしました。
 やはり今回の戸籍の問題点は、登記と違って、結局、戸籍の正本を持っている役所、そしてその管轄の副本を持っている、管理している法務局の支局が非常に近接地にあったものですから、いざ津波に流されると、役所も被害に遭うし、そして法務局も被害に遭う。これを今後、全国複数箇所の、これはまさに遠隔地にデータを管理するという、登記のバックアップシステムに近い形にする。
 先ほど、できるだけ速やかにと。もともと、この正本と副本のバックアップのタイムラグは一年ありました。一年ありましたし、紙媒体でのバックアップも一月おくれでありましたので、今度は、このデータ管理、電子管理におきまして、できれば、一日、日ごとの管理、こういったことを進めていっていただきたいと思っております。これは要望ということで受けとめてください。
 さて、一年たつと、当初は人命の救助だとか生活支援だとか、本当に目の前の直面したことに対応することに追われていましたけれども、徐々に徐々に、さまざまな法律の権利関係などが発生する、まさに法律の出番がやってくるわけでございます。
 そして、現地に行くと、津波にさらわれたり、そして山地の方では、土地が歪曲して、ゆがんだということによって、境界標はなくなるわ、土地との境界が目に見えなくなってくるというような、いわゆる境界の不明が発生してきた。これが整理されなければ、土地の売買だとか住宅の建設にも大変大きな支障を来すわけですので、この境界の復元と、そして備えつけ地図の整備、これについて、まさにどのような規模で被害をこうむったのか、お答えいただけますでしょうか。
○小川国務大臣 地域地域によって差が大分あるわけでございますが、そうした委員御指摘のようないわば被害が生じていると思われますが、その被害の実態につきましては、まだ調査が終わったわけでなくて、今、現に調査中ということもございますので、全体を把握して説明する状況にはまだ至っておりません。まさに今、調査、把握中で、調査中でございます。
○黒岩委員 事前に私の耳に届いていることですと、数十平方キロメートルの範囲で、特に土地がゆがんだりというようなことで、非常に境界が不明になっている地域があると聞いておるんですが、このような規模と理解してよろしいですか。
○小川国務大臣 相当広範囲に及んでいるとは思います。
○黒岩委員 当然、これらの被災民からすれば、備えつけ地図云々よりは、まずはとにかく自分の土地の境界がどこなんだ、これをはっきりしてもらわなければ今後の生活に本当に支障を来すわけですから、この境界の復元に対する今後のスケジュール、期間、そして予算、これについて今時点でどういう状況になっているのか、それをお答え願えますでしょうか。
○小川国務大臣 もちろん、これは本来復元しなくてはならないわけでございますが、ただ、一般論としまして、例えば、住宅地域そのものが集団移転するというようなことで、現地に住宅をあるいは町を再築しないとなりますと、もとの面積がどれだけあったのかということが重要でありまして、現実に境界がどのぐらいずれたかどうかということは、それほど重要ではないかと思うんですね。しかし、その町に、もとのところに家を建てる、利用するということになりますと、これは相当に重要な問題でございますので、やはり総力を挙げてきちんと対応しなければならない。
 ですから、土地の利用状況ということも踏まえて、しかし、そうした紛争等が起きない、今後の町の再建等に支障が起きない、そうした最大の努力はしていきたい、このように思っております。
○黒岩委員 平成二十三年度の補正予算、そして二十四年度の予算で十数億つきまして、でき得る限り、一年なのか一年半なのか、その期間で何とか復元をしていきたい、そういう方向性を事務方から聞いておりますので、ぜひ、これにつきまして速やかに対応していただくようお願い申し上げます。(発言する者あり)
○小林委員長 では、速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○小林委員長 速記を再開。
 では、続行してください。
○黒岩委員 きょうはもう時間がないもので、何点かについて法務省としての対応を聞かせていただきまして、本当に未曽有の災害に対して、初めての経験でありましたし、いろいろな問題点も抱えながらも、この一年、対策を講じてきたことについて、今後の教訓としてしっかり生かしていただきたい。そして、不幸であってはならない災害に対する法務省としての万全なこれからの対応を期待いたしまして、私からの所信に対する質疑を終わらせていただきます。
 きょうはどうもありがとうございました。
○小林委員長 次に、大口善徳君。
○大口委員 公明党の大口善徳でございます。
 きょうは、所信に対する質疑をさせていただきます。
 東日本大震災、三・一一から一年が経過し、一周年の追悼式に私も参加させていただきました。本当に、二万人近い方々が犠牲になったわけでございますけれども、この復興に向けて全力を挙げてまいりたいと決意を新たにした次第でございます。
 そういう点で、本日、東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律案がこの委員会で全会一致で可決し、緊急上程される。本来からいえば、昨年の臨時国会でやるべきことだったと私は思っておりまして、速やかな成立を期すために全力を挙げてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
 さて、政権が交代して、法務大臣は小川法務大臣で六人目でございまして、二年半で六人もかわっている。しかも、法務行政のトップ、治安また法秩序の一番かなめの重要な大臣、これが二年半で六人も交代している。これは本当に政権としての姿勢を問わなきゃならない、こう思うわけです。
 ですから、所信も六回目の所信なんですね。そして、いろいろな、きょうお伺いしますけれども、基本的な施策についても、これだけ頻繁に大臣がかわると、結局、政治主導ではなくて、まさしく官僚主導の法務行政になってしまっているんじゃないかなと非常に私どもは危惧しているところでございます。そこら辺も含めて、本日、大臣には、とにかく、将来の展望も踏まえた積極的な答弁をお願いしたい、こういうふうに思っておるところでございます。
 まず、取り調べの録音、録画の制度の導入に向けた件でございます。
 これも毎回質問をさせていただいているわけでありますが、小川法務大臣は、ことしの一月十三日の法務大臣就任後の官邸記者会見で、取り調べの録音、録画について、基本的に可視化は導入が必要だと思っているが、ただ、どういう形で導入するかということについて議論をしなければならないと思っている、法制審議会に諮問しているので、その答申を待って、または答申を待つまで何もやらないというわけではなくて、可視化のあり方をどうするかということにしっかり取り組んでいきたい、こう前向きな答弁をされているわけです。この問題は、副大臣時代から大臣が取り組んでおられて、極めて詳しい分野である、こう思っております。
 それでは、答申を待つまでもなくやるべきことがあるということでございまして、大臣がまたいつかわられるか私も心配しておりまして、そういう中で、今やるべきことをしっかりやらなきゃいけないという点で、その内容についてお伺いしたい。そして、法制化への道筋をどう考えているのかもあわせてお伺いしたいと思います。
○小川国務大臣 取り調べの可視化については非常に重要なことだと思っておりますが、今、法制審議会に諮問していますので、この答申を待たないで法制化しようというようなことではなくて、やはり諮問して、答申を受けて、法制化というのが基本の考え方だと思っております。ただ、諮問したから法務省は何もしないということではなくて、やはり法制審議会の審議に資するようなこと、あるいはさまざまな点について、法務省は法務省としてしっかり取り組むことは取り組んでいく、このような総論的なことを述べたわけでございます。
 現実問題としましては、昨年から一年間の予定で取り調べの可視化の試行をしておりまして、その一年が参りますのがちょうどこの四月ぐらいだと思いますが、そこでその試行結果をまとめて検証することとなっておりますが、この試行を一年で終えるということではなくて、さらにこれを充実した形で試行も進めていきたい。そして、検証を行って、その取りまとめを受けて、その検証の状況によりまして、さらに必要なことがあればそれについても積極的に取り組んでいきたい、このような考え方でございます。
○大口委員 今大臣から、今の試行についてさらに拡充するというお考えをお伺いしました。これは新しい発言といいますかね。
 例えば、被疑者の方が録音、録画をしてもらいたい、こういう要望があった場合。今は、特捜については特捜でやっておられるわけです、それから裁判員裁判の事件、これはやっている、あと、知的障害の方が被疑者である事件もやっておられる。そのほかに、裁判員裁判対象事件以外のものについても、例えば被疑者が要望したような場合、こういう場合にも拡充する、そういうふうなイメージでよろしいんでしょうか。
○小川国務大臣 率直に言いまして、ほぼ一年間の試行をしておりまして、その試行の状況が今どんどん集積しておるところでございまして、これも余り時間をかけずに、できる限り速やかに検証したいと思っております。そうした検証の中で、今委員が御指摘になられたさまざまな点が出てまいりますので、それを踏まえて、できることはどんどんやっていこう、このような気持ちでおります。
○大口委員 それで、今大臣からも、法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会において、法務大臣からの諮問ということで取り調べの可視化の問題などが審議されているわけであります。これはいつごろまでに答申を得たいと考えていらっしゃいますか。
 そしてまた、検察の在り方検討会議の最終報告書では、取り調べの可視化の問題については「特に速やかに議論・検討が進められることを期待したい。」こう書いてあるわけですね。そういう点で、取り調べの可視化についてだけ先行的に答申を受けるような、こういうことも想定されているのか、お伺いしたいと思います。
○小川国務大臣 基本的には法制審議会の、いわば自主的といいますか、審議会の中での御意見に委ねることとなっておるわけでございますが、諮問をした私どもとしましては、早ければ早いにこしたことはない、早い段階でいただければその答申を受けて具体的な作業に入れるわけでございます。
 しかし、あくまでもこれは法制審議会にいわば委ねている部分がございますし、法制審議会の自主的な審議ということを尊重しなければならないことでありますので、ちょっと私の口からいつまでというのを申し上げるのは差し控えさせていただきます。
○大口委員 早ければ早い方がいいということ。
 ただ、取り調べの可視化について先行的に答申をしていただくというような考えはどうなんでしょうか。
○小川国務大臣 それも審議会の中での議論だと思います。
 やはり具体的には、警察の方では、可視化の導入と新たな捜査手法、これが密接に関連しているというような御意見もございます。また、そうした意見が法制審議会の中でも取り上げられて議論しておるところでございましょうから、あくまでも法制審議会の方の議論した結果の答申を待ちたいと思っております。
○大口委員 そこで、本年の二月二十三日に国家公安委員長に対して、捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会の最終報告が出ました。ここで、公判における供述の任意性、信用性等の効果的、効率的な立証を可能とするという取り調べの録音、録画の効果については異論がなかったわけでありますが、結局、法制度としての取り調べの録音、録画のあり方については両論併記となって、結論が出なかったわけでございます。
 私も、三月五日の予算委員会の分科会で、松原国家公安委員長に対して質問させていただきました。その中で、捜査の可視化と高度化というのはやはり一つのセットとして議論されるべきではないかと思っています、こういうふうに、今大臣がおっしゃったように、松原国家公安委員長は新たな捜査手法と可視化とのセット論、これを答弁されたわけですね。
 しかし、これは歴代の法務大臣、私がその都度お伺いさせていただいたわけですが、千葉、柳田、江田、各歴代の法務大臣、それから、直近でいいますと、昨年十月二十五日の法務委員会で平岡法務大臣は、「新たな捜査手法の導入が必ずしも可視化実現の前提条件となるものではない」ということで、セット論を否定されているわけであります。
 そういう点で食い違いが生じておりまして、このことは、松原国家公安委員長も、法務省と国家公安委員会または警察庁、新たな捜査手法の導入と可視化の実現との関係について見解を異にしている、食い違っているということはお認めになったわけでございます。
 そういうことで、この松原国家公安委員長の答弁、それから歴代の法務大臣の答弁も踏まえて、取り調べの録音、録画の制度の導入と新たな捜査手法の導入の関係について、お伺いしたいと思います。
○小川国務大臣 やはり、可視化の導入そのものが別の捜査手法の導入とワンセット、別の捜査手法の導入がなければ可視化もないという関係にはないと思います。やはり、取り調べの可視化は可視化それ自体で取り組むべきことだなというふうには思っております。
 ただ、実際に取り調べする現場であります警察の方で、それでは捜査の高度化といいますか捜査の機能が十分に発揮できないという声もあるようでございます。そうした声を全く無視して、いわば取り調べの可視化と捜査手法の問題が全く別だからそれは切り離してどんどん話を進めていいのかというと、やはりそうでもないと思いますので、法制審議会の中でそうしたさまざまな議論を踏まえて議論していただいて、答申をいただきたいと思っております。
○大口委員 そういう点では、やはり法務大臣と国家公安委員長がしっかりと協議をしていかなければならないと思います。民主党もマニフェストにこの可視化については位置づけていて、法案も出されていたわけであります。そういう点からいきますと、非常に何か消極的な感じがいたします。
 そういう点で、二月二十七日に松原国家公安委員長と短時間、可視化あるいは冤罪がないようにということを協議されたようでありますが、今後どういうふうに協議をしていくのか。やはり、かなり私は溝があると思うんですよ。検察の取り調べと警察の取り調べは違うというようなことも言っておられますし、これは意見としてあるんですが、国家公安委員長がそういうようなことも言っておるわけです。こういう問題もある。
 それから、やはり、新たな捜査手法といいましても、これを制度化するというのはかなり大変なことだと思うんですね。国民の権利の関係がありますよね。それから、国民感情ということもあって、これを導入するというのは相当私は時間もかかる。だから、それに引きずられて、民主党さんも積極的に推進しようとマニフェストでもおっしゃっていた可視化の導入がおくれてしまうということになると、これは大臣の今の答弁と違うわけですから、そういう点で、これから国家公安委員長とどう協議していくのか、お伺いしたいと思います。
○小川国務大臣 国家公安委員長との協議は非常に有意義で、重要でございますので、これからも繰り返して緊密な形で進めていきたいと思っております。
 そして、二月二十七日にも公安委員長と協議をいたしました。また、その前提としまして、公安委員会の方で行った、あれは警察庁で行ったのかな、勉強会の結果もいただきました。
 それで、私としまして、率直な感想を申し上げますと、警察の方も可視化についてもう何が何でも反対ということではなくて、可視化の有用性というものは理解いただいて、可視化そのものについては導入する方向に向いてきたのかなというふうに思っております。
 ただ、そこについて、新たな捜査手法という点が指摘されてありますが、その中でも、例えばDNAの情報の有効活用など、特に可視化と関連しなくても、それ自体でかなり進んでいる部分があると同時に、国民の人権から見てそれほど難しくない分野もありましたし、あるいは一方で、司法取引とかおとり捜査とか、大きな議論をしなくてはいけない分野もありますので、警察の方で新たな捜査手法と言っている中で、列挙している中でも、比較的国民の理解を得やすいものと、やはり導入に当たっては深く議論しなければいけないものとがかなりあります。
 警察の方も、決して列挙したものが全て認められなければ可視化を導入しないということでもないようでありますので、これから、今後も引き続いて協議して、どこかできちんとした意見がまとまれば、捜査という面では検察も警察もやはり密接な協力関係にあるわけですから、望ましいのかなというふうに思っております。
○大口委員 では、通信傍受の拡大は、大臣、どう考えていますか。
○小川国務大臣 通信傍受そのもの、それ自体を捜査の効率化という面から見れば、捜査の面にとっては有用かもしれませんが、しかしやはり、通信をいわば通信者の同意なしに捜査側が聞き取るということになりますと、これは憲法上の通信の秘密、憲法上保障された権利を制約するものでありますので、大きな議論が必要かなと思っております。
 このまさに通信傍受法、法律の議論におきまして言えば、もう十年以上前ですか、大変に大きな議論がありまして、私の方はいわば大変に反対した立場であります。しかし、法案は成立しましても、やはり通信の秘密を制約するという憲法上の要請から、国会報告であるとか、さまざまな、国民の権利が侵害されないようないわば規定を設けておりまして、そうした中で、もう十数年、運用されておりますので、いわばその運用状況を見て、これから通信傍受のあり方を議論してもいい時期にあるのかなというふうに、私としてはそんな感想を持っておりますが。
 やはり基本的には、憲法上保障された通信の秘密、それから新たな問題としましては、音声による会話でなくて、いわばインターネット社会になっております。もう十年前とは相当状況が変わったインターネット社会である中で、やはりそれに対応できる通信傍受法のあり方というものも検討してもいいのかなと個人的には思っております。
○大口委員 それで、昨年四月八日の「検察の再生に向けての取組」と題する、当時の江田法務大臣から検事総長への指示ということで、「全過程の録音・録画を行った場合に何らかの弊害が生じることとなるのかといった問題点についての検討に資するよう、取調べの全過程の録音・録画を含めて試行の対象とする。」こういうことになったわけであります。
 それで、間もなく一年が経過しようとしているわけでございますけれども、東京、大阪、名古屋の三地検の特捜部、全国十地検の特別刑事部事件の実施状況について、その対象事件数、うち録音、録画の実施件数及びその割合、また、そのうちの全過程の録音、録画の実施件数及びその割合を明らかにしていただきたい。
 また、これまでの裁判員裁判対象事件の実施状況についても、その対象事件数、うち録音、録画の実施件数及びその割合、うち全過程の録音、録画の実施件数及びその割合について明らかにしていただきたいと思います。
○小川国務大臣 まず、特捜部、特別刑事部の独自捜査事件における試行状況でございますが、実施事件数が五十九件、不実施が一件でございます。実施割合は九八・三%。実施事件数五十九件のうち、全過程の録音、録画を実施したものが二十四件でございます。
 次に、裁判員裁判対象事件における試行状況でございますが、実施事件数としましては八百十九件、不実施事件数が三百六十四件でございます。実施割合としては六九・二%になっております。実施した事件の中で、全過程の録音、録画の実施をしたものは百一件でございます。
○大口委員 そこで、この取り調べの全過程の録音、録画のメリットについてお伺いしたいと思います。それからまた、全過程の録音、録画を実施したケースで、捜査に支障のあったケースというのはあるのかどうか。
 それから、検証結果は、三月五日、笠間検事総長は、その公表の時期を夏ごろということをおっしゃっていますけれども、具体的にいつごろになりますか。
○小川国務大臣 支障があったか、あるいは非常に有用であったかということを今まさに収集中でございますので、ちょっと、今この段階で私がそれを言うのは逆に予断を与えてしまうのかなと思いますので、今まさにその状況を収集中であるということで、具体的なそれ以上のことは御容赦いただきたいと思います。
 そして、その検証結果は、私としては、具体的にいつまでとは申し上げにくいんですが、やはりこれも早ければ早いほどいいということで、速やかに検証をまとめたいと思っております。
○大口委員 笠間検事総長は記者会見ではメリットについても話をされているわけでありますが、しっかり検証していただきたいというふうに思います。
 また、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者に対する録音、録画につきまして、この実績の数字を明らかにしていただきたいと思います。
 それから、長崎県はかなり新しい取り組みをされていると聞いております。
 昨年九月から、東京、大阪、名古屋、横浜の四地検では、知的障害がある被疑者の取り調べに福祉の専門家が立ち会うということをやっておられる、そしてそれが全国に広がっている、こういう状況でありますが、通常の場合は、立ち会う専門家は地検が選び、検事の質問の仕方や必要な配慮を助言しているわけであります。
 報道によりますと、知的障害がある被疑者の取り調べにおいて、長崎方式というものがこれから試行されるということでございます。これは検察改革の一環で最高検に設置された知的障がい専門委員会の参与で、長崎県の社会福祉法人の南高愛隣会の理事長さんでいらっしゃいます田島良昭氏の提案によって行われるようでございますが、長崎地検で、知的障害の疑いのある被疑者の取り調べにおいて、刑務所出所者の支援を行う長崎県地域生活定着支援センターの推薦をする福祉関係者に立ち会わせる試行を行う、こういうふうに聞いております。
 地検が直接専門家の立会人を選ぶのではなくて、長崎方式のように、地域生活定着支援センターが推薦した人を選ぶということによりまして、選任の公正性、透明性ということも図れますし、誤誘導や虚偽の自白を防止する上で非常に効果があると思われます。
 こういう長崎方式というか、長崎に限らず、全国で試行を行えるようにされるべきではないか。これもあわせてお伺いしたいと思います。
○小川国務大臣 まず、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等に関する取り調べの録音、録画の試行数でございますが、実施事件数は二百六十三件でございます。そのうち、全過程の録音、録画を実施したのは七十四件でございます。
 そして、委員御指摘の長崎地検の試行例でございますが、私は非常に有意義な試行であるというふうに思っております。この試行をもとに積極的に議論をしまして、こういう形で知的障害者に対する不適正な取り調べが行われるということが防止されることは大変有意義なことだと思っておりますので、この試行についていわば注目しておるところでございます。
○大口委員 これからということですが、しっかり成果を見られた上で、これはできるだけ全国に広げていただきたい、こういうふうに思っております。
 次に、少年事件の国選付添人制度の拡充についてお伺いしたいと思います。
 これにつきましても、今の現行の国選付添人制度というのは、もう御案内のとおり、対象事件が、殺人、傷害致死、強盗罪等の重大事件であり、かつ、その選任は家庭裁判所の裁量による。さらに、検察官が関与する事件、それから被害者が傍聴する事件。こういうことで、非常に対象が限定されて狭いと考えているわけです。
 それで、国選付添人の選任数が、二〇一〇年、三百四十二人、二〇一一年、三百七十八人。少年鑑別所収容少年の国選付添人の選任率が、二〇一〇年は三・二%、それから二〇一一年は三・七%というふうに報告を受けております。
 二〇〇九年五月の二十一日に、被疑者国選弁護の制度の方は、対象事件が必要的弁護事件に拡大したわけであります。ところが、国選付添人制度の対象は拡大されなかった。被疑者段階では国選弁護人制度により弁護士の援助を受けている少年の大多数が、家庭裁判所送致後、国選付添人制度による援助を受けられず、弁護士費用が負担できなくて弁護士付添人を選任できない事態になっているわけであります。
 成人の刑事事件の被告人はほぼ一〇〇%弁護士が選任されているのに比べまして、少年審判を受ける少年の弁護士付添人選任率は低いということでございますし、少年鑑別所に送致された少年については、弁護士付添人選任少年の割合は、二〇一〇年に六二%、二〇一一年は七二%という状況で、日弁連が、これは日弁連の負担で、少年保護事件付添援助の制度、少年当番弁護士制度でカバーをしている、こういう実情でございます。
 あるいは、少年を冤罪から守り、少年の意見を伝え、少年の立ち直りを助けるために、国選付添人制度の対象事件を少年鑑別所送致の観護措置決定により身柄拘束を受けた全ての少年に拡大することについて、平岡前法務大臣は、昨年十月二十五日の法務委員会において、私の質問に対して、「これから法務省の中でしっかりと取り組んでいくように、リーダーシップというほどのことではないかもしれませんけれども、私なりの姿勢を示していきたい」「できる限り前広にというか、私なりにスピード感を持ってできるように努力してまいりたい」と前向きな答弁をされて、答弁されたと思うと辞任された、おやめになったということでございます。
 本年一月四日の朝日新聞の朝刊では、法務省が国選付添人制度の対象を広げる方向で検討を始め、早ければ平成二十四年度中にも国会に少年法改正を提出すると報道も出ています。
 小川法務大臣も、平岡前法務大臣と同様、全面的国選付添人制度の実現のため、少年法改正に前向きに取り組む意思があるのか、またいつまでに少年法改正案を国会に提出するのか、お伺いしたいと思います。
○小川国務大臣 この問題も、今委員御指摘のように、日弁連の方が強く訴えておるわけでございますし、私も関心を持っておるわけでございますが、少年の場合には成人の刑事裁判と若干違いまして、審判そのものが、家庭裁判所の裁判官あるいは審判官ですか、あるいは調査官、こうした、かなり少年の立場に立って後見的な視点からも審判を行うという構造部分がございます。そうした点を踏まえて、その範囲、あるいは予算が伴うものですから、国民に理解を得られる範囲でそれを導入しなければならないのかなと思うと、いわばそこら辺の議論がもう少し必要かなというふうにも思っております。
 やらないという意味ではありませんが、ただ、新聞報道がなされたように、もう具体的にやると決まって動いているということでもございません。この点は、今申し上げた点を踏まえてしっかりと検討していきたいと思います。
○大口委員 ですから、法務大臣がころころかわると、この姿勢が変わるんですよ。あれだけ平岡大臣が前向きな答弁をしているんですよ。何ですか、今の答弁は。法務省の見解そのものじゃないですか。ですから、政治主導ではないというんですよ。だから、法務委員会でこうやって質疑をしていても、そういうふうに姿勢ががらっと変わるんです。おかしいと思いませんか。法務委員会の質疑を何だと思っているんですか、大臣。
○小川国務大臣 確かに、委員の御指摘を受けて、私もしっかり取り組んでいきたいと思います。
 ただ、やらないと言っているわけではもちろんなくて、私も強い関心を持っておりますので、そうした点、ただ、もう少し議論する点があるなということでございますので、議論をさらに詰めていきたいと思っております。
○大口委員 全然トーンが違うんです、私も現実に答弁を聞いておりますから。どうも後ろ向きなんですよ。
 では、いつまでにやられるんですか、十分検討した上で。どうぞ。いつまでに少年法改正案を出されるんですか。
○小川国務大臣 申しわけございません。いつまでというのは、今、いつまでという具体的な時期の予定は持っておりません。
○大口委員 これも平岡法務大臣の場合は、できるだけ早くというような答弁だったんですよ、その答弁のニュアンスからですよ。ところが、今のはちょっとそういう点でも大きな開きがあるんですよ。どうなんですか。そのスピード感についてお伺いします。
○小川国務大臣 今、ちょうどたまたま平岡大臣の答弁を持っているんですけれども、平岡大臣の答弁で、「実はこれは予算を伴う話でございますので、そして法律改正を伴う話でございますので、ちょっと時間的にはすぐというわけにはいきませんけれども、そういう問題意識を持ってこれから法務省の中でしっかりと取り組んでいくように、」こういうふうに述べておるようでございます。
 私も、先ほどお話ししましたように、予算が伴うことでもありますので、大変関心を持っておるけれどもしっかりと検討していきたいということでありますので、決して後ろ向きではない。ただ、予算措置とかそうした問題をクリアして、それをいわば国民の理解が得られるような方向で議論していきたいというふうに言っておるわけでございますので、そんなに平岡大臣の答弁と私の今考えていることとが異なるとはちょっと思わないんですが。
○大口委員 全然違いますね、私は答弁を実際に聞いていたわけですから。その議事録をしっかり本当に直接読んでいるのかどうかもわかりませんけれども……(発言する者あり)ちょっと、今、とめてください、もしあれされるのであれば。
○小林委員長 まず大口君、質問を続けてください。(発言する者あり)今、速記録と答えているんじゃなくて、大臣の答弁はこのようであったと。
○大口委員 ですから、会議録の一部を引用されていると思うんですが、私が受けている印象は、できるだけ早くやるということで、多分、辻先生も大きく首を振っておられるけれども、できるだけ早くやる、こういうトーンだったんですよ。だから、二十四年度中に、来年の通常国会には出すぐらいの、あるいは、その前の秋の臨時国会には出すぐらいの、そういう意欲を我々は感じたわけですよ。そこからかなりトーンが落ちているということで質問しているわけです。
○小川国務大臣 平岡国務大臣の、私は部分しか今ちょっと持っていないんですけれども、「できる限り前広にというか、私なりにスピード感を持ってできるように努力してまいりたいというふうに思います。」と平岡大臣は述べております。その前段階で「来年」、つまり、昨年のことで来年ですから、今の通常国会ですけれども、「通常国会は難しいなと思った」、これは法案提出のことだと思いますが、一つは予算を伴うものであるということと、それから、弁護士会の方である程度カバーできている、このような趣旨を述べておられました。
 私も、今の通常国会にそれを出せる状態ではない、出す予定も今、現実としてはないわけでございますが、しかし、先ほど申しましたような予算の面とか、そうした部分の議論を踏まえて、これをしっかり検討していきたいというふうに思っております。その検討は、それはなるべく早い方がいいわけでございますから、そうした面ではしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
○大口委員 大臣がころころかわると、本当に私どもが法務委員会で確認したことがだんだんそのニュアンスが変わってくるということで、これについては大変遺憾に思っております。大臣として、この点についてはしっかりスピード感を持って取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。
 さて、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律は、平成十五年の七月に公布され、平成十七年七月十五日から施行されているわけです。一昨年七月で施行から五年を経過しています。この法律の附則四条には、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について国会に報告するとともに、その状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その検討の結果に基づいて法制の整備その他の所要の措置を講ずるものとする。」と規定があるわけです。国会報告は、平成二十二年の十一月二十六日になされたということでございます。
 昨年七月以降、法務省において、関係者、実務者や関係団体からヒアリングを実施していると聞いておるわけでございますが、五年後の見直しについての現状がどうなっているのか。そして、これは厚労省との共管の法律でもありますし、いろいろ難しい点もあると思うんですが、五年後の見直しで何らかの法改正は検討されているのか、お伺いしたいと思います。
○小川国務大臣 今まさに法務省の担当部局と厚生労働省の担当部局で合同でヒアリングを行っておるところでございます。ヒアリングの実施中でございますので、結論的なことはまだ出ていないということで、その具体的、結論的なことについての答弁は、今の段階では御容赦ください。
○大口委員 では、法改正もあり得るんですか、あるいは運用の見直しの程度になるんですか。
○小川国務大臣 これは、今の段階で法改正も運用の見直しもないと言い切ることもなかなかできないわけですが、しかし、やるともまだ結論的に申し上げられない状況でございますので、また、一般論としてやるともやらないとも言うのも、ちょっと誤解を招いてもいけませんので、今はまさにヒアリング中で、そのヒアリングを受けてこれから検討するところだということでございます。
○大口委員 北海道新聞のことしの二月二十四日の朝刊に、傷害容疑で逮捕されたが、責任能力がないとして不起訴になり、医療観察法の申し立てがなされて、札幌地裁では同法四十二条一項一号により入院決定になったんですが、対象者がこれを抗告しまして、札幌高裁で、完全責任能力があるとして入院命令を取り消されたという事案が紹介されています。
 この対象者は二カ月間入院させられたようでありますが、その入院命令が取り消されても、医療観察法に基づく入院命令は刑事処分ではないことから刑事補償法の適用はなく、また、少年の保護事件に係る補償に関する法律のような補償法の特別規定がないわけであります。二カ月間の入院が取り消されても、何の補償も受けられないという状況であります。
 これは、私も、知人の弁護士から、こういう事例があるということで聞いたんですが、過去にも、福岡地裁で医療観察法に基づく入院命令が出て、名古屋の病院に入院していた対象者について、福岡高裁がその入院命令を取り消したために、名古屋の病院から福岡に帰る費用も出なかったので、この病院で任意入院を継続し、生活保護を受けて、そのお金をためて福岡に戻った、こういう事例があるわけであります。余りにも理不尽な事態だと思います。大臣として、どのように対処しようと考えておられますか。
○小川国務大臣 確かに、補償の規定がないので補償しないというのは事実でございます。
 被疑者の場合と比べてどうかという点でございますが、被疑者の場合でも、嫌疑なしという場合には被疑者の補償があるようでございますが、それ以外の場合には補償するわけではないという状況でございます。
 そして、医療観察法による場合には、心神の状態に関しましてはそうした判断が覆ったといたしましても、その前提であります他害行為といいますか、他人を害する行為そのものは存在したわけでございますので、そうしたいわば犯罪行為があったことによって医療観察法の措置が進むわけでございます。
 ですから、そうした面も考えますと、やはり、どうするかということは慎重な検討が必要なのかなというふうに思っております。
○大口委員 ただ、実際、この福岡の事例等を今紹介させていただいたんですが、どうお考えですか。
○小川国務大臣 結局、そうした他人を害する行為があった、しかし、心神、いわば責任能力がない状態だという判定で医療観察ということになったわけでございます。しかし、心神の喪失ではないという判定で覆って、その入院の期間中、いわば心神喪失等の、そうした理由がないのに拘束されたということは、確かにそういう状況でございます。
 それについて補償がないという点の指摘がございますが、先行する犯罪行為があったという状況の中で、それを補償するということについてやはり議論があるのではないか。被疑者の場合でも、嫌疑なしならともかくも、逮捕されるような嫌疑があれば必ずしも補償の対象となっていないという今の法制上のバランスとの問題もございます。
 これも、例えば、全く理由がなくて、すなわち、心神喪失の状態あるいはそうした精神状態というものについて疑わせしむるような状況が全くないのにいわば法が適用されて強制入院させられたというのではなくて、やはりある程度のそうした精神状態を疑わせしめる状況はあってのことだと思うわけでございます。
 そうすると、被疑者の逮捕、勾留の場合も、嫌疑なしの場合には補償があるけれども、いわば嫌疑が不十分で起訴には至らなかったという場合、しかし合理的な嫌疑があったのだからということで、補償はされておらないわけでございます。
 そうしたバランスを考えると、確かに委員の御意見も十分理解できるんですが、そうした被疑者の場合の扱いというのを、バランスを考えますと、今すぐ、補償しなければならないという結論が出るかどうかは、やはりちょっと議論してみなければならないなというふうに思っております。
○大口委員 この点については、さらに法務省の方で検討していただきたいと思います。
 次に、成人年齢の引き下げの問題でございます。
 民主党は、マニフェストで従来より、二〇〇三年、二〇〇四年、二〇〇五年、繰り返し、「成人年齢を十八歳に引き下げ、選挙権も十八歳以上とします。」と明言しています。ところが、二〇〇九年や二〇一〇年のマニフェストではこの記載がないわけで、インデックス二〇〇九に、政治改革の項目で、「選挙権を十八歳から付与する法律を国民投票法に合わせて施行します。」とし、また別の、法務のカテゴリーで、「民法の成年年齢、少年法の成人年齢を二十歳から十八歳に引き下げる」、こういうふうになっているわけであります。
 この選挙年齢、それから民法の成年年齢、少年法の成年年齢との関係は、民主党、与党としてはどう考えているのか、一点お伺いしたいと思います。
 二点目に、憲法審査会で二月二十三日、この件が議論されたわけでございます。法務省の原民事局長は、選挙権年齢と成年年齢は必ずしも一致する必要はない、選挙権年齢の引き下げを先行させ、その後で成年年齢の引き下げをすることが一つの有力な選択肢であると主張して、総務省と見解を異にしたわけであります。
 ところで、平成十二年十一月二十二日に、民主党・新緑風会は、施行の日からおおむね二年を目途として、民法の成年年齢、公職選挙法の選挙権年齢、少年法における少年の年齢をいずれも同時に十八歳に引き下げるという、成年年齢の引下げ等に関する法律案を国会に提出されておりまして、小川法務大臣も発議者になっておられる。三人のうちの一人だということですね。
 法務省の見解と小川大臣、それと民主党の政策との食い違いといいますかについても説明をしていただきたいと思いますし、政府・与党として、民法の成年年齢、少年法の少年の年齢を十八歳に引き下げることについて、どのように実現していくのか、お伺いしたいと思います。
○小川国務大臣 民主党あるいは参議院の民主党・新緑風会の中で、いわば民法の成年、成人年齢、十八歳という方向性は示しておるわけでございます。この方向性そのものが公職選挙法と必ず一体でなければならないのか、そこまでは言っていないんじゃないかと。ただ、公職選挙法も少年法も民法の成年年齢も、引き下げる方向というものを示したわけでございまして、この三つが特に公職選挙法との関係で一体でなければならないということまでは、私としても、言ってはいないと思うんですね。
 今の、公職選挙法、憲法審査会における議論の中では、私どもも、民法の十八歳にすること、これを否定しているわけではないわけでございまして、ただ、憲法審査会の、国民投票が実施できるためにはいわば選挙権も民法の成年も同時でなければならないという、その同時でなければならない、一緒でなければならないという議論について、いや、一緒でなければならないという議論ではないんじゃないかと言っておるわけでございます。
 そして、その趣旨としましては、民法の成年年齢を引き下げるという場合、今の状況の中で、十八歳といいますと高校生、卒業したばかりでありますけれども、契約自由の原則の中で、自分の判断で契約できるというような教育がそもそも十八歳までになされているのかどうか、そうした環境整備ができていないまま、いきなり十八歳を成人として認めて、そのことによって、十八歳の者が著しく不利益な取引によって損害をこうむるとか、悪徳商法にひっかかるとかいう場合の救済ができないことの弊害もあるということをしっかりと検討して、環境整備をつくる必要があるのではないかということでございます。
○大口委員 時間も参りましたが、これも、平成十二年は、二年間でこれをやると。だから、ほぼ同時というふうに法律を読めるんですよ。ですから、本当にかなり、今の大臣のスタンスと大きく違うなというような感じがいたします。それを指摘して、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○小林委員長 次に、平沢勝栄君。
○平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。
 最初に、質問に入る前に、この第十四委員室に小沢一郎先生の肖像画が掲額されたんですけれども、場所はどうなんでしょうかね。今いろいろな問題が議論されているときに、何で十四、法務委員会が開かれるこの場所で、しかも何となく、こっちをにらまれているような感じがしまして、ちょっと違和感を感じますけれども、大臣、これはどう思われますか。
○小川国務大臣 ちょっと、衆議院の中でのことでございますので、法務大臣が、いわば衆議院の中の事務的なことについて口を挟むのもいかがと思いますもので、答弁は差し控えさせてください。
○平沢委員 しかし、個人としてどう思われるか。やはり一般的に、こういう議論をされているところで、今いろいろと、いわば係争中のあれで、そういう場所に掲げることについてはどう思われるか。もう一度。
○小川国務大臣 私個人としては、ここにどなたの絵があろうとなかろうと、私自身の職務のあり方に関しては一切影響ございません。
○平沢委員 これについては、恐らく国民の皆さんも、報道にも随分出ていますけれども、かなり違和感を感じているんじゃないかなということを申し添えたいと思います。
 そこで、次に死刑の問題についてお聞きしたいと思うんです。
 まず、大臣の所見をお聞きする前に、きのう法務省に質問通告してありますけれども、死刑が確定して以降、収容されている人間が今何人いるか、それらの人間がどのくらいの期間収容されているか、ブレークダウンしたものを出してほしいということをきのう通告してありますけれども、これについて答えてください。
○稲田政府参考人 お答え申し上げます。
 昨日現在で、当局におきまして把握しております死刑確定者数でございますが、まず、総数が百三十三名でございます。
 このうち、判決が確定いたしましてからきのうまでの収容期間別の内訳で御説明を申し上げますと、まず、確定から半年未満の者が十二名でございます。それから、半年以上で一年未満の者が十一名でございます。ちょっとここから刻みが大きくなりますが、一年以上五年未満の者が四十八名、五年以上十年未満の者が三十三名、十年以上二十年未満の者が十五名、二十年以上三十年未満の者が十名、三十年以上が四名、こういう状況になっております。
○平沢委員 百三十三名のうち半年以内が十二名で、残りはもう半年を超えているということなんですけれども、刑訴法四百七十五条に、「判決確定の日から六箇月以内にこれをしなければならない。」とあります。「但し、」ということで、例えば、再審の請求が出ているとか、共犯者が今裁判をやっているとかというのは、その期間に算入しない、これは別だということを言っているんですけれども、そこで、刑事局長、今、刑訴法四百七十五条二項のただし書きに該当する者は何人くらいいるんでしょうか。
○稲田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、百三十三名、死刑判決が確定している者がございます。そのうち、半年未満の者が十二名でございますから、判決確定後六カ月を経過している者は百二十一名ということなります。
 この死刑確定者の中で、現在、再審請求を行っている者が七十名いるというようなことでございまして、そのほかにも、恩赦出願中の者でありますとか、そういうものがございますので、四百七十五条第二項ただし書きに該当しない者としては相当数いることは事実でございます。
○平沢委員 死刑確定囚というのはふえる一方なんですよね。
 それで、千葉大臣ですか、平成二十二年の七月二十八日に二人執行されました。それから大臣は、柳田大臣、仙谷大臣、江田大臣、平岡大臣、そして今の小川大臣ということで、大臣は、千葉大臣から六人目になるんですか、民主党政権で六人目になるんですけれども、千葉大臣の二名以降、一切執行されていなくて、昨年は、十九年ぶりに執行ゼロ。
 死刑確定判決を受けて収容されている人数というのはどんどんどんどんふえる一方で、つい去年ですか、私が聞いたときは、たしか百名ちょっとぐらいだった、百十名もいかなかったと思うんですけれども、それからどんどんどんどんふえている一方なんです。
 ということになると、四百七十五条というのは、これはあくまでも訓示規定とかなんとかと言っていますけれども、司法が苦しんで苦しんで苦しんで死刑判決を下しても、執行されないんだったら何の意味もない。まさに司法当局は、裁判所当局は、裁判員の方も含めて、苦しんで出しているわけですけれども、裁判官も含めて、何か茶番劇をやっていることになっちゃいますよ、全然執行されないということになれば。ですから、この今の現状、おかしくありませんか。
 そこで大臣、大臣は今の現状についてどう思われますか。
○小川国務大臣 死刑を執行することが法務大臣の職責かどうかということに関しては、職責であると思っております。
 そして、未執行の死刑囚が数がふえているということでございますが、これはいわば、特に民主党政権になって六人目の大臣でございますが、民主党政権になる以前から百名を超えておったわけでございます。やはりさまざまな状況が個々的にあって、そうしたことの積み重ねが今の状態に及んでいるんだと思います。
 また、感じとして、ここ数年、死刑判決、死刑が確定する人数も多いですね。ですから、最近そうした死刑の判決の確定者が多いので、いわば未執行の死刑囚がたまる数の勢いがまた多いのかなという、そんな感想は持っておりますが、ただ、いずれにしましても、私が法務大臣に就任しました一月十三日、就任の際に述べましたように、死刑の執行は法務大臣の職責であるということはしっかりと認識しております。
○平沢委員 法務大臣の職責であるならば、では大臣、四百七十五条の二項、いわゆる死刑執行命令ですね、「前項の命令は、判決確定の日から六箇月以内にこれをしなければならない」、この規定についてはどうお考えになりますか。
○小川国務大臣 なかなか難しいのは、私が就任する以前にもうその六カ月を過ぎている方が圧倒的に大半なわけでございますし、また、六カ月以内に執行しないという状態が、いわば戦後のある時期から相当長い期間続いておるわけでございます。再審請求とか恩赦とか、そうしたさまざまな状況があったわけでございますが、では、今すぐ、これを正常にするために六カ月たった者を全員執行というような、そんな大胆な考えは私は持っておりません。しかし、再三言いましたが、死刑の執行は法務大臣の職責であるということの認識はしっかりとしております。
○平沢委員 そうしましたら、法務大臣の職責である以上、法務大臣として、今、死刑確定して収容されている中で、これは当然執行されるべきだというものについて、法務大臣が検討して決裁することは当然あり得るんですよね。
○小川国務大臣 これも就任時に述べたように、つらい職務だという感じは持っておりますが、しかし、職責を果たすのが法務大臣の職責である、このように思っております。
○平沢委員 では、今後の大臣の対応を見守っていきたいなと思います。
 次に、きょう経済産業省とそれから警察庁に来てもらっていますけれども、経済産業省の角のところに、国有地にテントが三張り張られて、去年の九月十一日から無許可でそこに住みついて、そして寝泊まりし、それでぼや騒ぎまで起こしている。もう半年以上たっているわけですよね。どこでも同じですけれども、ましてや東京のど真ん中、外国の大使館関係者なんかもあれを見て、日本というのは何て国なんだということを私に言った方もおられます。
 いずれにしましても、要するに、場所が国有地である、許可をとっていない、勝手にそこに居座っている。そこで、経済産業省も恐らくいろいろと、早く出ていけということでやっているんです。
 主義主張はあるでしょう。だけれども、主義主張はこれは関係ない話なんです。こういう主義だから俺たちはこれを勝手に使っていいんだなんということをいったら、そんなことをいったら、右翼だって俺は使うよ、暴力団だって俺たちは使うよ、過激派だって俺たちは俺の主義主張があるんだから使うよと。誰だって使えるじゃないですか。だから、こんな前例を六カ月も放置しておくなんということは、法治国家ではあり得ないことなんです。
 経産省、まず事実関係を教えてください。
○北神大臣政務官 お答えしたいと思います。
 委員おっしゃるとおり、昨年の九月十一日日曜日に、経済産業省の庁舎を囲む形で行われた反原発のデモの最中に、九条改憲阻止の会という団体によって、おっしゃった敷地の一角にテントが設置をされたわけでございます。
 このテントは、委員おっしゃるとおり、国有地でありますし、無許可で設置されたものでありますから、許されるものではありません。現に、これまでも当省職員から速やかに撤去するように強く要請をしてきています。また、これも委員御指摘のとおり、テント内でこんろの使用が認められました。昨年末にはガソリン式の発電機を火元としてぼやが発生するなど、防火管理上も非常に危険な状態になっています。
 こういう危険な活動を放置するわけにはいかないということで、ことしの一月に、庁舎管理規程に基づくテントの撤去を文書で要請して、警告をしたところでございます。
 引き続き、速やかに撤去がなされるように、必要な措置をとってまいりたいというふうに思います。
○平沢委員 毎日のように撤去しろと言っているんでしょう。それで、枝野大臣名で出ていけという文書も渡しているんでしょう。だけれども、彼らは出ていかないんでしょう。確信犯でしょう。こんな確信犯をいつまでもほっておいていいんですか。法治国家ですよ。
 そもそも、国有地を勝手に占拠して、そして勝手に居座っている、これは法に触れませんか。法務省刑事局長、法に触れませんか。
○稲田政府参考人 お答え申し上げます。
 まことに恐縮でございますが、個別の事案におきます犯罪の成否につきましては、捜査機関において収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄であると考えておりますので、お答えすることは困難であると考えております。
 なお、一般論ということでございますが、刑法の不退去罪についてでございますが、これは人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船において、要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかったときに成立するものであるというふうにされているところでございます。
○平沢委員 では、国有地に勝手に入ってきて、勝手にそこに建造物みたいなものをつくって、勝手に居座っているわけですよ、これは犯罪に入るでしょう。もう一回あれしてください。一般論でいいです。国有地に勝手に入ってきて、勝手に寝泊まりするテントとか建造物みたいなものをつくって、そこで寝泊まりしている。それは犯罪に該当しないんですか。
○稲田政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、まず、一般論として申し上げれば、不退去罪は、人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船において、要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかったときに成立するということでございます。
○平沢委員 国有地は入らないんですかと聞いたの。経済産業省が管理する国有地なんですよ。だから、それは国有地は入らないんですか。
○稲田政府参考人 これは、最高裁判所の昭和五十一年の判例がございまして、「刑法百三十条にいう「人の看守する建造物」とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであつて、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、」これは建造物侵入罪ですが、「建造物侵入罪が成立する」というふうにした判例がございまして、これとの関係につきまして、個別の事実関係に当てはめていく必要があるというふうに考えております。
○平沢委員 だから、あれでしょう、歩道があってその奥ですから、一般の人が誰でも自由に入り込める、あるいは、そこで自由に建物なんかを建てて自由に勝手に使うことができるという土地じゃないでしょう。もしそんなことを言うんだったら、もしいいということになったら、では、あれに使ったらどうなんですか、ガレージか何かを置いて物置場に使ったり、パーキングに使ってもいいのですか。そんなの、できるはずないでしょう。
 そうでしょう、刑事局長。パーキングに使ったらどうするんですか。
○稲田政府参考人 申しわけございません。私の方から申し上げておりますのは、不退去罪の構成要件がこういうふうになっているということと、その不退去罪で言う人の看守する建造物等ということの最高裁の判例の意義はこういうことであるということを申し上げたまででございまして、個別の事案につきましての犯罪の成否につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
○平沢委員 犯罪が成立しないなんてばかなことがありますか。
 だって、勝手に国有地の中に入り込んで、もしこれがいいなんてことになったら、刑事局長、今度そこをパーキングに使ってもいいということになっちゃいますよ。それから、何かでっかいボックスを持ってきて物置場に使ってもいいということになっちゃいますよ。そんなの、できるはずないじゃないですか、国有地なんだから。しかも、そこを出ていけということを何回も経済産業省が言っているわけでしょう。それでも出ていかないんだよ。枝野大臣名の通知も出しているけれども、出ていかないんでしょう。これはおかしくないですか。
 では、警察、警察はどういう取り組みをしてきたんですか。
○西村政府参考人 委員御指摘のテントにつきましては、御指摘のとおり、設置されている場所が経済産業省の管理地であると承知しております。
 これに対する対応は、第一義的には、管理者がその管理権をどう行使するかの問題と認識しております。
 他方で、警察としましては、刑罰法規に触れる行為があれば法律に基づいて厳正に対処するものでありまして、管理者がその管理権を行使するに際して、違法行為が発生したり、あるいはそのおそれがある場合には、管理者と緊密に連携して適切に対処してまいります。
○平沢委員 警察庁、しっかりしてくださいよ。要するに、管理者が、自分たちの土地に勝手に入り込んできたということで、出ていけということを何度も言っているわけですよ。だから、出ていけということを管理権を行使して何度も言っているわけだから、出ていかないのは明らかに不退去罪です。
 警察、そうじゃないですか。もう一回答えてください。
○西村政府参考人 不退去罪ではないかというお尋ねでございますが、本件に関しましては、個別の案件でございまして、お答えは差し控えさせていただきます。
 いずれにいたしましても、第一義的には、やはり管理者たる経済産業省がその管理権を行使してどう対応するかが第一義的な対応だと考えております。
○平沢委員 では、経済産業省は、その管理権の行使というのはどういうふうにやっているんですか。経済産業省、管理権の行使はどういうふうにしているんですか。今警察が言っている管理権の行使。
○北神大臣政務官 管理権についても、委員おっしゃったように、それに基づいて速やかに撤去するようにずっと要請をしてきましたし、これは毎日やっていきます。一月に文書で撤去を求めている、これも当然管理権です。ですから、そういった意味で、ずっと管理権を行使して、出ていかないということが今の現状でございます。
○平沢委員 では、警察庁、警察と経済産業省は何度も話し合いをしたと思うんですけれども、話し合いをしてお互いにボールを投げ合っていて、経済産業省は何とか警察がやってくれ、警察は経済産業省がまず管理権だとお互いにボールを投げ合って、いつまでも居座られて、こんなものは協力して早くやったらどうですか。
 お互いに相手がどうのこうの、警察がどうのこうの、警察は今度は経済産業省がどうのなんて、こんなことを言っていないで、同じ役所なんだから協力して、こんなものは一日も早く、半年以上もこんなところに居座られて、主義主張は関係ない、既得権で最後までこのままずっと、最後というのは自分たちの主義主張が通るまでずっとここに居座るようなことを言っているわけですよ。こんなばかなことはないじゃないですか。
 だから、お互いに、警察がどうの経済産業省がどうのじゃなくて、協力して、早くこんなものは撤去させたらどうですか。もう一回答えてください。経済産業省と警察。
○北神大臣政務官 委員おっしゃるとおり、半年たっているわけでありますし、これは許されるべき状態ではないというふうに思っていますし、危険な状態でもございます。
 ですから、今の平沢委員の御指摘を踏まえて、警察庁とも連携をして、敷地の管理権に基づいてどういうことがさらにできるかということを検討していきたいというふうに思います。
 その措置がなされるときに、仮に違法行為が発生した場合あるいは発生するおそれがある場合には、さらに警察と連携をして措置していきたいと思います。
○西村政府参考人 警察庁といたしましても、経済産業省と連携し適切に対処してまいりたいと考えております。
○平沢委員 大臣にお聞きしたいと思いますけれども、日本は法治国家なんですか。だって、そうでしょう。国有地、そんなところに勝手に入り込んできて、勝手にテントを三張りも立てて、そこにいろいろな生活用具を持ち込んで寝泊まりして、しかも東京のど真ん中ですよ、みんなが見ているところで。そして、それに対して出ていけと言っても出ていかない。これについて警察も経済産業省も何もできない、半年たってまだこれから検討しますなんということを言っているんですよ。
 大臣、どうですか。日本は法治国家なんですか。おかしくないですか。それは、主義主張はいいですよ、主義主張をやるのは勝手だけれども、法を犯してやる主義主張なんてありますか。主義主張は勝手にやればいいんですよ、どんな主義主張でも。
 もう一回言いますよ。もしこんなことが自由にできるなら、暴力団があの場所であれをやったって自由ですよ、オウムがやったって自由ですよ、右翼がやったって自由ですよ、一般の私人がパーキングに使ったって自由になっちゃいますよ。こんな既成事実をつくられていいんですか。おかしくないですか。あそこを通る人は、おかしいおかしい、何でだ何でだとみんな思っているんです。
 ですから、今の話を聞いていて、やはり経済産業省も警察ももうちょっとしっかりしなきゃだめだ。大臣、どう思われますか。
○小川国務大臣 基本的には管理している管理者が対応を決めるものだというふうに思っております。
○平沢委員 いや、私が聞いているのは、こんな状態が法治国家で、東京のど真ん中で半年も続いていることについて大臣はどう思われますかと聞いている。半年も続いている、尋常な状態じゃないでしょう、これは。
○小川国務大臣 私自身、具体的に、どういう状況でどういうことなのか、どういう占有権原があるのかないのか、全く状況がわかりませんので、何とも言えません。ただ、やはり管理している管理者がそれに対する対応をすべきものだというふうに思っております。
○平沢委員 大臣、もうちょっとしっかり答えてくださいよ。これは誰が考えたっておかしいんですよ。国民誰が考えたっておかしいんですよ。だから、大臣も、しっかりこれはおかしいと言わなきゃおかしいでしょう。だってそうでしょう、国有地なんだから。国有地に勝手に入り込んできて、勝手に座り込んで、そこで生活しているんだから、おかしいでしょう。大臣、おかしいと言ってくださいよ。だから、早くこんなものは撤去させなきゃならない、そう言ってくださいよ。当たり前じゃないですか。だって、経済産業大臣名で出ているんですから。
○小川国務大臣 「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、」というのが構成要件でございますが、私自身は、具体的な事情を承知しておりませんので、やはり、管理者の方で適切な対応をしていただきたいと思っております。
○平沢委員 いや、同僚の枝野経済大臣名でもう文書を出しているんですよ、出ていけということを。それでも出ていかないんです。期限を切って出ていけと言っても、出ていかないんですよ。要するに、彼らは確信犯なんですよ。
 それに対して、警察も、管理者がどうのこうのと。管理者の方は、要するに、警察と相談しながら、何か知らないけれども、なかなか、もうちょっと毅然と対応をとればいいのに、何となく及び腰のような感じがする。お互いに何となく遠慮がちなんですよ。こんなばかなことはないでしょう。もっときちんと、毅然と対応しなかったらば、こんなのが既成事実としてつくられたら大変なことになりますよということを言っているんですから、もう一回、しっかり答えてください。
○小川国務大臣 仮に、一般論として、何らかの犯罪行為があったという場合にその処罰を求めるかどうかということも、やはりこれは、まず一義的には管理者の責任のことだ、管理者が判断すべきことだと思っております。
○平沢委員 これ以上聞いても時間の無駄だからやめますけれども、法務大臣はもうちょっとしっかりしないとだめですよ。こんなばかなことがありますか。
 もう一回言いますよ。国有地に勝手に入り込んできて、半年以上もそこに居座っているんですよ、東京のど真ん中で。そして、自分たちの主義主張が認められるまでここから出ないということを堂々と言っているんですよ。こんなのはおかしいじゃないですか。では、オウムがそこに居座ったときに、ずっとそれでもいいんですか。暴力団が居座ってもいいんですか。どう考えたって、これはおかしいじゃないですか。
 それに対して、経産省の対応は生ぬるい、警察の対応もおかしい、そして、法務大臣は法務大臣で、管理権がどうのこうのと言っている。半年もたっているんですよ。きのうきょうの話じゃないんですよ。だから、もうちょっとしっかり、こんなのはおかしいと何で言えないんですか。
 大臣だって、何回も現場を見られたでしょう、脇を通って。何度も見られたでしょう。おかしいと何で言えないんですか。もう一回。
○小川国務大臣 ですから、処罰を求めるかどうか、排除をどうするかということは、やはり、まず一義的には管理者の方で判断していただきたいということでございます。
○平沢委員 いずれにしましても、大臣、しっかりしてくださいよ。枝野大臣名で出しているわけで、経産省は毎日出ていけと言っているんですよ。出ていかないんだ、彼らは確信犯なんだから。連中に対してこんな生ぬるい対応をしているから、一言で言えば彼らになめられているんですよ。もうちょっとしっかりしなきゃだめですよ。警察もしっかりしないとだめだよ。こんなもの、早く追い出さなければだめです。
 ということで、経済産業省と警察庁はもうこれで結構ですから。
 次に、刑事局長にお聞きしたいんです。
 この前、内閣委員会で危険運転致死傷罪のことをちょっとお聞きさせていただいたんですけれども、その後、判決が出まして、十年の求刑で、それに対して判決は七年ということで、被害者の御家族、御両親、全く納得していないんです。それはなぜ納得していないかというと、その七年とかということじゃなくて、なぜ危険運転致死傷罪が適用にならなかったかということで納得されておられないんです。
 私は、危険運転致死傷罪、二〇〇一年にできたんですけれども、あのときに、今までの過失犯を故意犯にするということでできるだけ拡大しないようにということでたがをはめたということもありますし、当時の国会の議論を見てみますと、いろいろな、よく読んで、わけのわからないような議論がなされているんですよ。
 それで、質問者の佐々木知子議員なんかも、この法律が何を言っているかさっぱりわからないというようなことも言っているくらいわかりにくい法律で、だから、現場が適用に非常に困惑しているんじゃないかなと。だから危険運転致死傷罪ではなくて自動車運転過失致死傷を適用ということで現場はなっているんじゃないかなと。ですから、これは法律を改正しろという声もありますけれども、もうちょっとしっかりした基準を示したらいいんじゃないか。
 例えば、古田佑紀さん、当時政府参考人として述べた方ですけれども、古田参考人は何と言っているかというと、無免許運転の全てが危険ということにはならない、それはなぜかというと更新忘れの免許等もあるからだ、こういうことも言っているんです。
 その一方で何と言っているかというと、単に無免許ということではなくて、ハンドル、ブレーキ等の運転装置を操作する、どうやって操作するか、そういったことについて基本的な技能を持っていない、こういうものをいうんだと。要するに、何となく言っていることがちょっと違うなという感じがするんです。
 例えば、無免許ならば運転の技能は持っていないと、当たり前じゃないですか、運転免許がないんだから。そういうように、はっきりわかるように現場に指示されたらどうですか。そうすれば現場は適用できるわけで、無免許でもずっと運転していたら運転の技能がある、そうしたら、無免許で運転していた方が得ということになっちゃうんですよ。そんなばかな法律がありますか。ですから、ちょっとこれは適用を考え直したらどうですか、刑事局長。
○稲田政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生から御指摘がありましたように、せんだって衆議院の内閣委員会におきましても御答弁申し上げたところでございますが、繰り返しになりますけれども、危険運転致死傷罪というのは、その立法の際にどのような考え方でつくったかということにもう一度なりますが、故意に危険な自動車運転行為を行い、その結果、人を死傷させた者という枠組みを考えたわけでありまして、その際に、刑法にある傷害罪、傷害致死罪に比較しまして、結局、暴行により人を死傷させた者が傷害罪であり、傷害致死罪であるということのパラレルの形で立法したというのがもともとの立法の際の考え方でございました。
 したがいまして、被告人が認識をしている行為の内容といたしまして、故意に、みずからの行為が危険な行為であるということを認識して行うという必要がありますし、かつ、その行為自体が悪質、危険な行為である必要があるということが構成要件として要求されるということであります。
 またさらに、自動車の運転行為の類型はかなり広範にわたっている中で、重大な死傷事犯となる危険が類型的に極めて高いものを四類型挙げて構成要件としたということもございまして、そのような類型の中に限定されているというのが立法の経緯としてあるということをまず御理解いただきたいと思います。
 そこで、その際に、確かにいろいろな御議論があったところでございますが、先ほどの無免許の場合とか、そういうものにつきましても、確かに無免許運転行為が批判されるべきものであり、道徳的あるいは法律的に許されないものであることは当然でございますけれども、その行為が必ず類型的に危険かというところにつきましては、やはり行為の客観的側面に鑑みると、なかなかそう言い切れないところがあるというのも事実でありまして、それがまさに無免許が更新のし忘れというような場合に典型的にあらわれているというふうに御説明をしているところでございます。
 いろいろと構成要件としてわかりにくいという御批判もあろうかと思いますけれども、ただ、平成十三年の十二月に施行されて以来、既に三千件余りの事件が起訴され、かなりの数の判決が出てきておりまして、そういう意味では、裁判例あるいは個別の具体的な事案も検察当局としては相当集積して把握しているところでございまして、これらを踏まえながら、現在、危険運転致死傷罪の適用が可能な事案につきましては、積極的に同罪を適用すべく鋭意捜査を行っているものというふうに考えております。
○平沢委員 刑事局長、簡単に答えてもらいたいんですけれども、この前も言いましたけれども、論告の最後のところで何と言っているかというと、本件は危険運転致死傷罪にも比肩すべき前代未聞の悪質な自動車運転過失致死傷罪である、こういうことを言っているんです。前代未聞の悪質なと言いながら、危険運転致死傷罪が適用にならないんですよ。それは、こんな、今まさに刑事局長が言われたように、いろいろ細かいことを言うから、現場は適用に非常に慎重になって、結局、なかなかこれが適用されない。ですから、御家族の方は全く納得されないということで、結局、いろいろな、いわばこれはおかしいじゃないかという運動も起こっているわけです。
 せっかくつくった法律です、もちろん、こうやって処罰を拡大するわけですから、そんなにイージーにあれはできないと思いますけれども、例えば無免許運転だったら、それは運転の技能がないというのにあれしていいに決まっているじゃないですか。だって、免許がないんだから。無免許運転でもずっと運転していたら技能があるから該当しないなんて、こんなばかなことはないでしょう。
 もう一回答えてください。もうちょっと使い勝手をよくしたらどうですか。
○稲田政府参考人 まず、先ほど当該事件における論告の御指摘がございました。
 これは、当然のことでございますけれども、検察当局としては、そのほかの罪もあわせてでございますが、自動車運転過失致死罪により公判請求した上で、それを前提にして論告の中で今申し上げたような言及をしたということでございます。そういう意味では、この事件につきまして、検察当局は、やはり危険運転致死傷罪は成立しがたいという判断をしたものというふうに考えております。
 それで、無免許の際の危険運転致死傷罪の当てはめにつきまして御指摘がありました。
 確かに、無免許運転が許されないものであるということは全くそのとおりであると思いますけれども、先ほども申し上げましたけれども、この危険運転致死傷罪というのは、行為類型としてどういう行為、つまり危険な行為かというところに着目をしているということからいたしますと、なかなか、無免許運転であるからイコール危険な行為であるとまで客観的に言い切れるかというところについては、なおよく検討しなければいけない問題があるんだろうというふうに考えております。
○平沢委員 これをいつまでやってもしようがないんですけれども、今の刑事局長の言っていることは全く私は納得できないんですけれども、聞いておられて、大臣、どうですか。
○小川国務大臣 以前は、この法ができる前は過失犯の範疇であったものが、しかし余りにも悪質で故意犯に準ずるようなものについて、この危険運転致死傷罪ができたんだと思いますが、やはり、その中で構成要件というものを非常に限定的に制定しておるわけでございます。ですから、構成要件に当たらない場合には、いわば本当にどんなにひどい過失があったとしても、この危険運転致死傷罪の構成要件に当たらない以上、これはしようがないのかなと。
 ですから、今後、では構成要件をさらにどうするかという議論はあるのかもしれませんが、やはり、現在起きた事故、事件が構成要件に当たらない以上、これは法律の運用としてはやむを得ないのではないかと思います。
○平沢委員 これは構成要件に当たらないんじゃなくて、当たるのじゃないかということでいろいろと問題になっているわけで、しかも、当たるか当たらないかのあれが極めてファジーだから、現場が苦労しているからもうちょっとクリアにしたらどうかということを言っているわけですけれども、これは時間がありませんからまた別な機会に聞かせていただきます。
 最後に、時間がないから一つだけお聞きしたいと思うんですけれども、この前、警察庁が有識者研究会の最終報告書を出して、取り調べの可視化について、来ていますか、きょう、警察庁。いませんか。いなければ、ではいいんです、大臣でいいんです。
 大臣、取り調べの可視化、これはまた別途聞きますけれども、そのときにあわせて、捜査の高度化ということについても触れているんですけれども、その中に、例えば通信の傍受のことをもっと検討したらどうかというようなことに警察庁の最終報告書は触れているんです。
 そこでお聞きしたいんですけれども、今の通信傍受法は、対象犯罪が薬物、銃器、組織的な殺人、集団密航と、何でここに集団密航が入っているのか私はさっぱりわからないんだけれども、集団密航が入っていて、本来当然入っていてしかるべき、どこの国でも絶対入っているテロが入っていない。テロ犯罪が入っていない。それから、例えばオレオレ詐欺だとか、また暴力団だとか、こんなのは入ってもいいんじゃないかなと。ちなみに、福岡県知事とか北九州の市長とか何かの要請書の中には、通信傍受要件の緩和で暴力団等犯罪組織に対する有効な捜査手段の導入を進めてほしいということを要請書で出しているんです。
 ですから、今の通信傍受法というのは、これはちょっと、対象犯罪を四つに絞っていますけれども、おかしいと思いませんか。
○小川国務大臣 私も当時の審議の過程を思い出すと、その当時の状況として、何か携帯電話を使って集団密航する事件が相次いでいた、そうした状況の背景があったのではないでしょうか。
 やはり法律の適用というものは社会の状況を反映したものであると思いますので、社会の要請があるならば、それを踏まえた検討が必要かとも思います。
○平沢委員 いや、そうじゃなくて、テロとか、もっと重要な犯罪、テロは世界各国とも最重要課題として取り組んでいるんですよ。そういったものがこれに入っていない。だから、もっとほかに入るものがあるんじゃないですかということを言っているんですけれども、大臣、どうですか。これから検討されたらいかがですか。
○小川国務大臣 時代の要請に即した検討は常に必要かと思います。
○平沢委員 では、これはまた別途質問させていただきます。
 時間が来たから終わります。ありがとうございました。
○小林委員長 次に、城内実君。
○城内委員 城内実でございます。
 本日は、人権侵害救済機関、そして司法修習生の問題、そして、時間があれば個人通報制度について質問させていただきますが、まず、私は、二月二十二日の当委員会で、階委員が小沢一郎議員の強制起訴についてされた発言、それに対する大臣の御答弁について、いま一度質問させていただきたいと思うんです。
 階議員は、小沢一郎議員の強制起訴について、検察が引き返す勇気を発揮できないのであれば、それは制度の不備である、法制度を考えるべきだという趣旨の質問をしました。私はてっきり、大臣は、本件は司法手続中の問題ですから発言は差し控えますという答弁が返ってくると思いましたら、何と階議員の質問を受けて、いろいろな事例があるけれども、そうした事例を踏まえて、改正すべき点、検討すべき点があれば当然検討すべきものと思っていますという、まさに今司法手続にあって、当事者の方々に予断を与えるような極めて前向きな発言を、今大臣なんですよ、前法務大臣ならまだしも、今法務大臣をやっていらっしゃる方がこのような答弁をしたということは私は大変重く捉えておりますが、今からでも遅くありませんので、大臣、この発言を撤回されますか。してください。
○小川国務大臣 質問そのものが、個別の事件の処理についての質問ではなくて、個別の事件を引き合いに出して、法を改正する必要があるかという、その法改正についての考えを問われたものと思っております。それで私は、一般論としまして、検察審査会法改正後のさまざまな事例がありますので、そうしたさまざまな事例を踏まえて、検討する必要があれば検討するという一般論を述べたわけでございます。
○城内委員 いや、しかし、階議員は、まさに個別の事案、小沢一郎議員の強制起訴の問題、これがそうじゃなくて、一般論として、あえて触れずに一般論として改正すべき点があるんじゃないですかという質問であればいいですけれども、これはまさに小沢一郎議員の強制起訴という個別の事案についての階議員の質問に対する大臣の答弁ですから、私はこれは極めて不適切と思いますけれども、大臣、そう思われませんか。
○小川国務大臣 ですから、質問は、個別の事件の例を出して、そして法改正をどうかという、その法改正を問うている質問だというふうに思います。ですから、私は、その例について、その例があるから改正が必要であるかという個別なことではなくて、いわば一般論として、必要があるならばする、検討が必要だな、こういう一般論を述べたわけでございます。
○城内委員 であるならば、百歩譲って、個別の事案については答弁は差し控えますが、あえて一般論を言えばというところを、そこら辺が非常に曖昧ですから、私も、記録を何度読み返しても、個別の事案について大臣が前向きな答弁をしたというふうに受けとめたんですよ。
 ですから、そういう誤解を私も……(発言する者あり)いや、みんな受けているわけですから、大臣が発言を撤回されるのであれば、ほかの委員は別かもしれませんけれども、私自身はもうこれでこの問題については追及しませんので、大臣、発言を撤回してください。
○小川国務大臣 では、撤回するということではなくて重ねて念を押させていただきますが、そうした個別の事案について答弁したものではなくて、あくまでも法改正の一般論について述べたものでございます。
○城内委員 いや、大臣はそうおっしゃいますけれども、私は別に曲解したり歪曲しているわけじゃなくて、議事録をもう一度読み返してみても、これは非常に不用意な発言ですから、まさに、私は別に大臣をいじめるとかじゃなくて、誤解を与えているから、むしろすっぱりと発言を撤回していただいた方が、これは大臣、今後、私もこんな問題について追及してほかの大事な質問の時間を費消したくないので、大臣、お願いします、これはぜひ撤回してください。(発言する者あり)
○小川国務大臣 いやいや、ですから、委員が誤解されているということで、実際誤解されているようですので、私がそのことについて説明したわけでございます。
○城内委員 いや、私は誤解しているんじゃなくて、議事録を読んで、どう読んでもそういうふうに受けとめられるので、私だけじゃなくて他の委員もこれはそう受けとめているわけですから。そういう人が、一人だけならまだしも、たくさんいるわけですから。大臣、ですから、ぜひ撤回してくださいよ。
○小川国務大臣 一般論で、検討する必要があれば検討するというのは、まさにそのとおりでございますので、撤回する必要はないと思っております。
○城内委員 私がもし大臣の立場だったら、もうこういうのははっきりと撤回して、誤解を招いたことを、謝罪はしなくてもいいですけれども、もう一度、御自身の誤解を招かないような答弁を改めてしていただければそれで済む話ですから。私だったらそうしますが、もう余り時間が、この問題について、また機会があれば取り上げさせていただきたいと思います。
 もう一点、この関連で、先ほど平沢委員が質問しましたけれども、まさに委員長席の真裏に小沢一郎議員の、すなわち今、国民の関心が集中している重要な裁判の当事者の肖像画がかかっております。大臣、何か私は違和感を覚えるんじゃないかと思うんですけれども、先ほど、その質問に対しては、特に違和感を覚えるというような答弁はありませんでした。
 百歩譲って、現在裁判が進行中の方の肖像画が国会内に飾られることに、倫理的にはともかく、規則上問題ないとしましょう。しかし、どうして法務委員会が頻繁に開かれるこの第十四委員室なんですか。
 小沢一郎議員は立派な方ですし、功績もありますよ。そして、地元の建設業者、土建業者のために一生懸命汗をかいたんだから。だったら、国土交通委員会に、第十八委員室ですよ、国土交通委員会。今、行ってみたら、国土交通委員室は十一枚程度肖像画があって、まだ五分の四スペースがあいているわけですから。地元の建設業者のために一生懸命汗をかかれた小沢一郎議員の肖像画は、むしろ国土交通委員会とかほかの委員会に掲げて、今、裁判が行われているわけですよ、何でこの法務委員会の、しかも真ん中なんですか。これは確かに議運の話だとしても、大臣、私はこれはやはり違和感があると思いますよ。私はここに座っていて、何かちょっと、かなりの違和感があると思うんです。
 実際、産経新聞で、民主党議員の方が「法務・検察官僚に「分かっているだろうな」と言っているみたいだな…」と言ったと、そういう記事が載っています。これは非常に……(発言する者あり)いやいや、産経新聞は信じられないという今やじが飛びましたけれども、もしそうだとしたら、事実としたら、これは非常に不穏当きわまりない発言であって、これは大臣、やはり問題があると思いませんか。どうですか。
○小川国務大臣 一言で言いますと、私は、ここにどなたの絵や写真があろうとなかろうと、私の考え方、私の職責を果たそうという考えは全く影響を受けません。
○城内委員 影響を受けないといっても、いわゆるサブリミナル効果というのがありますし……(発言する者あり)いやいや、やはり何か目がそっちに行っちゃいますよね。目がそっちに行くということは、やはり心理的な、サブリミナルよりもっと強い効果がありますよ、逆に言うと。サブリミナル効果の一億倍、まさにここにばんとあるわけですから、心理的にすごく、サブリミナル効果というのは……(発言する者あり)そうですよ、しかもにらんでいるという、何か、ちょっと非常にやりにくいなというような……(発言する者あり)被害妄想というやじが今ありまして、私も今質問していて、余り厳しい質問をやると何か小沢一郎議員に申しわけないかなというような効果が非常に今あって、本当にこれは、この問題についてはもうこれで終わりにします。
 もう一点、参議院の予算委員会で世耕議員が、大臣が携帯電話の競馬サイトを見ておられたことについて謝罪を求めました。その後、謝罪というのはなされたんでしょうか。
○小川国務大臣 その件につきましては、委員会室の中で開会中は携帯機器を使用しないという申し合わせがありますが、開会中でないことについては特に禁止されていないということでございます。しかし、今回お騒がせしたことの反省も踏まえて、今後同じようなことを繰り返してお騒がせすることはないということの意味を含めまして、今後私は、委員会室では、禁止されている、されていないにかかわらず、携帯機器を使用しない、このように約束したわけでございます。
○城内委員 別に私は、大臣が謝罪したから大臣はやめろとか言っているわけじゃなくて、やはりこういうことでマスコミにも出て、これって一体どうなっているんだということで世間をお騒がせしたという意味で、日本人というのはそうじゃないですか、一回謝罪すれば水に流すというか、そういう民族性があるわけですから、もう携帯を使いませんという御答弁だと、何か本当に反省しているのかなと、大変失礼な言い方ですけれども、そういう感じをこれは私だけじゃなくて国民も受けるんですよ。ですから、私は、ぜひ謝罪していただきたいと思います。
 また、競馬の問題もありますけれども、これは確かに大臣兼職規定に抵触しない、趣味の範囲と言われればそうなのかもしれませんが、しかし、年によっては利益が一千万とか多額に及ぶわけですから。
 私からすると、これは百歩譲って大臣兼職規定に抵触しないにしても、法務大臣なんですよ。法務大臣は、法務省設置法第三条によると、「基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護、国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理並びに出入国の公正な管理を図ることを任務とする。」と。まさに法治国家の中心たる方なんですから、趣味というのか兼職というのかよくわかりませんけれども、このようなことを今おやりになって、しかも、委員会室、始まってはいないとはいえ、その競馬の馬の情報をやるというのは、ほかの大臣ならまだしも、私はちょっと不適切じゃないのかなと思いますが、大臣はそのように感じませんか。
○小川国務大臣 競走馬を所有しておるわけでございますが、これは趣味としてやっているわけですけれども、この趣味によりまして私が法務大臣の職責を果たせないとか、あるいは注意、集中力が趣味の方にとられて職責を果たすのに支障があるというようなことは全くなくて、私は、その趣味は趣味でありますけれども、法務省の職責というものは十分認識して、完全にその職務を遂行していこうという気構えでございますし、また、そのようにしてやってきたつもりでございます。
○城内委員 パチンコもそうですけれども、趣味でやっている範囲と、パチプロというのもいるわけですよ。例えば競馬だってそうじゃないですか。まさに月十万円の報酬を得るような職の兼職は禁止されているわけですから、十万掛ける十二で百二十万ですけれども、大臣の場合、一千万とか多額なわけですよ。ですから、これははっきりと事実上兼職規定に反すると私は思いますし、そうじゃないにしても、やはり倫理上どうかなというような問題がありますので、大臣、ぜひ襟を正していただきたいと思います。
 この馬の問題については、大臣は参議院予算委員会では大変熱弁を振るわれて、かなりの主張をされておりましたので、私は、ああ、大臣というのは結構具体的にいろいろ語る方なんだなと思いましたが、きょうの質問については何か木で鼻をくくったような答弁ばかりで、御自身の問題については非常に具体的な熱弁を振るうんですけれども、こういった重要な問題については、法務上の問題については何か非常に抽象的で違和感を感じますので、ぜひ、これから質問する人権侵害救済法案については、御自身の馬のように熱弁を振るっていただいて、思いのありのたけをぶつけていただきたいと思います。
 それで、私がこれから質問するのは人権救済機関についての質問ですけれども、大臣は先般の所信で、「政府からの独立性を有する新たな人権救済機関の設置については、これまでの政務三役が築いてきた検討の成果を踏まえ、国民の理解を得られるような制度の構築を目指し、今国会での法案提出に向け作業を進めてまいります。」と、これまでの歴代の法務大臣よりもさらに踏み込んで所信で述べられました。
 今後、どのようなスケジュールで法案を出されるんでしょうか。お答えいただけますか。
○小川国務大臣 まだ法案そのものができておりませんが、いわば、これまでの私以前の政務三役時代からの積み重ねも含めまして、骨子案はまとまったところでございます。それを法文化する作業を今進めておるわけでございますが、この法案の提出に当たりましては、やはり党内の手続、政府内の手続、あるいは国会の中の御理解も十分いただいた上で、提出できるものなら提出したい、このように考えております。
○城内委員 御理解が得られたらという条件を今付されましたけれども、実際、私が漏れ聞くところによりますと、与党民主党内では反対なさっている方が何か少なくないようですよ。
 大臣、そういった、民主党の中で反対意見が結構あるということは御存じですか。
○小川国務大臣 率直な感想を言いますと、平成十四年ですか、当時の政府から人権法案が提出されて、それを受けて民主党も対案を提出したわけでございますが、そのときの法案の内容と今私どもが考えていますこの法案は大分中身が違うのでありますが、しかし、どうも過去の人権法案と同じものではないかという印象を持たれて反対されている方も多いのかなと。
 ですから、そうした点については、さまざまな反対につきましては、それが解消されていることや、あるいは法案から除かれていること等をこれからしっかり説明して、各位の御理解をいただきたい、このように思っております。
○城内委員 これから質問しますけれども、今までの法案と本質的には全く変わっていないんです。
 ちなみに、これは他党のことですから余り口を出す話じゃありませんけれども、例えば自民党でいうと、総務会というところで意見が集約されて、そこで了承されると法律の改正とかいろいろな形で意思決定が決まるわけですけれども、ある民主党の議員の方がブログでこう言っているんですよ。
 我が党は、いつどこで誰によって何が議論されているのかが、私のような末端に行き届かない組織である。我が党のマニフェストの内容も同じです。えっ、これ何、聞いてないよという項目が実に多い。党内コンセンサスも得ず、一部の人間たちの偏狭的なイデオロギーをもとにした政策集が、さも政党全体の意思であるかのように位置づけられていることに憤りを禁じ得ない。
 これは民主党の、名前は言いませんけれども、ある比較的若手の議員の方がおっしゃっていることなんですけれども、要するに、民主党の今の意見集約というのがこういう状況であれば、何か非常に非民主的な手続で、ごく少数者の人が急にこれをやると言ったらやるみたいな、そういう環境にあるんですか。大臣、どうなんですか。
○小川国務大臣 決して非民主的な手続で物事が進む環境ではなくて、それぞれ分野分野ごとの部門会議などで議論して、そしてそれが政策調査会に上がってという、そうしたきちんとした民主的な手順を経て意見をまとめるような、そうした民主的な意見集約の方式に民主党はなっております。
○城内委員 その民主的な手順というのが何かよくわからないんですけれども。
 いずれにしても、もう一度繰り返しますけれども、民主党の中にも、この人権侵害救済機関の制度設計そして中身について問題だと、私と全く同じ立場の人たちがいらっしゃるんですよ。ですから、そういった方々の意見も集約していただいて、これは非常に賛否両論ある話ですから、拙速に物事を進めるのではなくて、国民の理解だって得られているとはとても言えないわけですから、ぜひ慎重に進めていただきたいと思います。
 次に、人権侵害の定義の問題について質問させていただきたいと思います。
 昨年の十二月十五日に法務省が公表した「人権委員会の設置等に関する検討中の法案の概要」、こういうペーパーがあるんですね。その中で、人権侵害の定義の記載があります。どうなっているかと申しますと、「不当な差別、虐待その他の人権侵害及び差別助長行為」とあります。もう一度繰り返します。「不当な差別、虐待その他の人権侵害及び差別助長行為」とあります。
 「その他」とは何でしょう。具体的に御説明いただきたいと思います。
○小川国務大臣 差別助長行為ということが一番、質問の御趣旨ではないかと……(城内委員「いや、「その他」ですけれども」と呼ぶ)その他の差別助長行為ということで、その差別助長行為について説明させていただきますと、差別的言動と差別助長行為とは意味するものがちょっと異なっておりまして、差別的言動とは、特定の者に対して、性別や障害等の属性を理由として、侮辱、嫌がらせ、脅迫等の差別的な言動をすることをいい、特定の者に対する人権侵害に当たる行為である。
 これに対して、差別助長行為、識別情報の摘示とも呼びますが、これは不特定多数の者に対する行為でありまして、それ自体は人権侵害には該当しないというような行為でありますが、そうした例示した中での一つの人権侵害行為ということでございます。
○城内委員 私は今、「その他」について質問したんです。
 差別助長行為についての大臣の御答弁は、実はこれについても納得できないんです。なぜかというと、要するに、不当な差別的取り扱いというのは一体具体的にどういうものかというのが全く明らかにされていなくて、何でも差別助長行為、これもあれも差別助長行為ということで、幾らでも差別助長行為ということで烙印を押せるわけですから、ここは非常に問題であるとは思いますが、「その他」について、私は、もうちょっと大臣に法務省の担当者と詰めて勉強していただきたいんですけれども、この「その他」というのが何でもありになる可能性がある。
 「不当な差別、虐待」、これですら非常に抽象的ですけれども、「その他の」なんて入っているわけですから、これは、いじめだとか、ありとあらゆるものが多分入ってくると思うんですけれども、ありとあらゆるものが入ってくるからこそ、何でもかんでも、これは人権侵害だ、差別助長行為だといって、例えば政治的に敵対する者に対してそういう烙印を押す。
 暴走する危険があるから、定義をしっかりともっともっと具体的にしてくださいということを私は何度も委員会で申し上げているんですけれども、その点について、その「その他」というのは何か、もう一度、具体的な御答弁をいただきたいと思います。
○小川国務大臣 つまり、人権侵害の態様というものが、いわば千差万別と言うとまた広がり過ぎるかもしれませんけれども、さまざまな態様があるわけでございまして、その一つ一つを列記し切れない。列記すれば、その列記したものだけが人権侵害で、列記していない態様の人権侵害が生じた場合にはそれに対応できないというようなこともありますので、いわば「不当な差別、虐待」を例示して、そのほかは例示しないで、「その他」というふうにしたものでございます。
 人権侵害の定義でございますが、一般的には、この点は、特定の者に対して、その有する人権を侵害する行為をいうものでございまして、憲法の人権規定に抵触する公権力等による侵害行為のほか、私人間においては、民法、刑法そのほかの人権にかかわる法令の規定に照らして違法とされる侵害行為が人権侵害となる。
 このように、人権委員会が取り扱う人権侵害は、司法手続においても違法と評価される行為に限定されているのでございまして、人権侵害の定義が曖昧ということはないと思います。
○城内委員 いや、今の定義だったら、まさに曖昧なんですよね。まさに人権侵害とは人権侵害であるみたいなことですよ。
 しかも、大臣は今、私人間においては、民法、刑法その他の人権にかかわる法令の規定に照らして違法とされる侵害行為と言いますけれども、公権力はまだしも、私人間において何が民法、刑法等に抵触する違反行為かというのは裁判所が判断すべき事柄であって、適当に国が選んだ人権委員の人が、これは人権侵害ですということを、さっき烙印と言いましたけれども、勝手に烙印を、しかも、なるべく早く物事を解決するということから推測されることは、拙速に、これは人権侵害、これはマル、これはバツ、これはマルとかやるわけですよね。
 だから、本来ならば、裁判所という中立公正な機関で、時間をかけて、相手の言い分も聞きながらやっていくような状況の中で、勝手にこの烙印を押されてしまう人が続出してしまう、そういう懸念というのはないんですか、大臣。
○小川国務大臣 やはり、裁判所の救済ですと、あくまでも法的紛争になります。したがいまして、一つの事実行為として、そういうことがないように指導するとかあっせんするとか、そうしたいわば事実行為で行う部分の救済が裁判所の司法的救済ではないわけでございます。
 ですから、司法手続においても違法と評価される行為でありますけれども、その司法的な救済よりも、さらに、事実行為としての改善の指導とかそうしたものの形で救済する必要がやはり多くあるのではないかということで、司法的救済のみならず、やはりこの人権委員会においての救済のこうしたあり方を設けるのも必要ではないかと考えております。
○城内委員 全く理解できません。何度も質問していますけれども、こういった機関を実際つくらなければ救済できない事案というのはどういう事案があるか。
 以前、いじめとかいう答弁が返ってきました。これは小川大臣だったか前の大臣かわかりませんけれども。一体、この人権侵害救済機関、しかも国家組織法上の第三条委員会、いわゆる三条委員会としての機関をつくらなければ救済できない人権侵害事案というのは何か、教えていただけますか。説得力ある御答弁をお願いします。
○小川国務大臣 司法があるから要らないという意味では、先ほど述べたように、司法は、事後的な法的判断で、損害賠償とかそうした事後的な救済が中心でありまして、また、当然、仮処分とかそういったものもございますが、やはりあくまでも法的な救済ということが必要でございます。
 しかし、例えばいじめという問題、これを事後的に損害賠償という形でしか救済できないのであれば、起きてから賠償すればいいんだという話になりますから、それの予防にはならないわけでありますので、そうしたいじめというものがあれば、いじめの当事者だけでなくて、その周辺の環境も含めて、そうしたことが起きないように、司法の判断ということではなくて、一つの事実行為として、そうしたいじめが起きないような指導を行う、環境整備を行うということが、やはりその事案に即した解決方法として私は必要ではないかというふうに思っております。
○城内委員 全く説得力がないですよ。だって、今大臣は、その予防をしなきゃならないとかそういう話をされましたけれども、現状、今まさに、各地域に人権擁護委員がいらっしゃいますし、人権擁護局だってあるわけですよね。そういった人たちが活動して、それなりに効果を上げているわけですよ。
 だから、何度も質問しますけれども、なぜこの巨大な組織をつくらないとそれが解決できない、そういう事例があるのかというふうに質問をしているんですけれども、大臣御自身で、答弁されていて、全然説得力がないなと思いませんか。
○小川国務大臣 今、人権擁護委員の方々の努力によって人権侵害事案あるいはその予防というものが効果を上げているというのは、そのとおりでございます。この人権擁護委員の活動を否定するものではありません。
 ただ、今、法務省の人権擁護局という、法務省の省内にある一つの、人権擁護局が行っているこの事務、また特別これを拡大して大きな組織にしようということではなくて、やはり、パリ原則に従って、政府から独立性を持った機関にしようということが主眼でございます。ですから、法務省の一部局ではなくて、法務省から独立性を持った委員会にその事務を移行しようということでございまして、今、人権擁護委員が非常に御努力いただいて活動していただいておる、この実態をそのまま人権委員会の方に、独立した委員会の方に移して仕事をしてもらうということでございます。
 ですから、今で足りているだろうということではなくて、今で足りている、今非常にお役に立っていただいている仕事そのものは引き続いてやっていただく。ただ、その元締めの組織が、人権擁護局ではなくて、独立性を持った人権委員会ということでこれからは行っていただくということでございます。
○城内委員 いや、全然私は納得できません。なぜ三条委員会なのか。三条委員会じゃなければ政府から独立した機関とは言えないということはないですよね。でも、何で三条委員会なのか、私はよくわからないんです。
 ちなみに三条委員会というのは、GHQの占領下に二十以上つくられたそうですが、これは非常に権限が強過ぎるということで廃止をして、今七つしか残っておりません。しかも、公正取引委員会とか公害等調整委員会といった七つのうちのそういった機関は、所掌事務は極めて限定的ですよ。
 ところが、この人権侵害救済機関、人権委員会ができて、これは我が国のそれこそ全ての、御皇族も含めて、外国人の方も一般の国民の方も含め、全てが対象になるんじゃないんですか、どうですか。イエスかノーで答えてください。
○小川国務大臣 まず、三条委員会にすることとどういう権限を持たせるかということは、これは常に一致するといいますか、三条委員会になったから強力な権限を持つかということが一致するわけではありません。ですから、三条委員会にしたからといって、例えば公正取引委員会が持っておるような強制権、調査権というものがあるかどうか、これはまた別に議論することでございます。すなわち、三条委員会にするということと、三条委員会にした後、その組織にどういう権限を持たせるかということは、これは別の議論でございます。
 今は、平成十四年のですか、当時出された人権法案のように、強制力を持ったそうした規定は今回の法案にはありません。基本的には、現行の職務のあり方のままこの委員会に移行していただくということでありまして、三条委員会に移行したから権限が強くなるというものではないのでございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
○城内委員 まず私の質問に答えていただきたいんですけれども、御皇族を含めて全ての日本に居住する人間、国民及び御皇族そして外国人が対象になりますか、ならないのかという御答弁。
 そして、今、権限を持っていないと言いますけれども、では、権限を持つ必要がないのであれば三条委員会である必要はないんですけれども、当然、かつて民主党内でも議論があったように、小さく産んで大きく育てる、今は特別な権限がないけれども、将来、特別調査という権限を持たせることによって、より強制力を強めることができるのであると。今は、私みたいな反対、慎重の立場の人がわあわあうるさいから、とりあえず権限は持たせないけれども、五年後の見直しですか、そのときに、しっかりと強制力を持った、特別調査もできる、公正取引委員会のような巨大な権限を持った機関になり得るんですよ。そういう意図がないのであれば、三条委員会である必要は全くなくて、あるいは八条委員会だっていいわけですよね。そういうことを考えていらっしゃらないんですか。
 まず最初に、全ての日本に居住する人たちが対象になるかならないか、イエスかノーかで答えてください。
○小川国務大臣 皇室については想定しておりませんけれども、それ以外の国民は……(発言する者あり)いや、皇室については答弁を差し控えさせていただきますが、全ての国内にいる者については対象となります。
○城内委員 これははっきりと答えていただかないと困ります。差し控えるんですか、それとも、対象になるのかならないのか。なるかならない、あるいは差し控える。私は、なるかならないか、どっちかで答えていただきたいんです。
○小川国務大臣 対象とは想定しておりません。
○城内委員 これは対象にならないと今答弁されましたけれども、なぜならないんですか。
○小川国務大臣 天皇、皇后陛下を中心とした皇室につきましては、これは全ての国民とは違った、憲法上その存在があるわけでございます。そうした存在の趣旨を踏まえれば、こうした適用が国民と同じに直ちに適用されるということは想定しておりません。
○城内委員 それについての何か根拠条文というのがあるんでしょうか。規定があるんでしょうか。
○小川国務大臣 天皇陛下には民事上の規定は及ばないということでございます。
○城内委員 では、その他の、いわゆる皇室の方々には、全てにそういうことでよろしいんでしょうか。
○小川国務大臣 ここは大変に重要な問題でございますので、今軽々に発言して、誤りがあっても大変問題でございますので、今は即答できませんので、改めまして回答させていただきます。
○城内委員 これは大事な質問ですよね。
 では、これはやはりしっかりと答えていただきたいんですが、例えば、前回も質問しましたけれども、国会議員とかはどうなんですか。国会議員は。
○小川国務大臣 国会議員は、特別な法、例えば憲法上、まさに委員が発言されているこの国会での正規な発言は免責されるという規定がございますから。ただ、そういった特別規定がある場合以外は、これは当然対象になります。
○城内委員 だとすれば、国会議員はよくて、一般の何の罪もない市民の方が国会議員と同じような発言をして、国会議員は人権委員会で人権侵害事案として扱われないのに、一般市民の方は全く同じ発言をしてその対象となるというのは、これはおかしくないですか。
○小川国務大臣 国会議員が免責されるのではなくて、国会議員の国会での発言が免責されるだけでございますから、国会議員が国会の場ではなくて別の場所で発言するのであれば、それは当然対象になるわけでございます。あくまでも、国会の中での正規な会議の場における議論でございます。
○城内委員 でも、おかしいですよね。人権侵害を受けたとされる者にとっては、その発言、あるいはまさに差別的言動としますよ、国会の発言だろうが国会外での発言だろうが、感じた人権侵害、差別的言動というのは、受けた者からすると同じはずじゃないですか。どうなんですか。
○小川国務大臣 国会議員の国会での発言が免責されているのは、まさに民主主義の根幹である自由な意見を発言することを保障するという意味で免責されておるわけでございますが、国会議員の責任は、やはりそれを選んだ国民に対する政治責任という形であるものだと思います。
 ただ、現実問題として、仮に国会議員が国会で、いわば免責される場においてした発言が、その発言自体が他人の名誉毀損を構成するものであっても、しかし、刑事責任、民事責任は問われないわけでございます。しかし、それが国会の場ではなくて町場で発言するのであれば、仮に名誉毀損に該当するのであれば、それは責任を問われる、いわば免責はされないということでございます。
○城内委員 いずれにしても、非常に制度設計が抽象的で曖昧なわけですよ。いろいろなケースで、こういうケースはどうだとか、ろくに議論もしないで非常に、何でもできるような機関をつくろうとしているわけです。
 ですから、こういった観点からも、私、実は用意している質問の五分の一もまだ質問していないので、これはまた改めて、じっくり時間をいただいて質問させていただきたいと思います。残念ながら、具体的な説得力のある答弁はきょうも得られませんでしたから、次回は、ああそうか、だったら人権侵害救済機関をつくってもいいかなと私が転向できるような、そういう答弁をぜひ御用意していただきたいと思います。
 最後に、時間がもうあと五分しかありませんけれども、これまで何度か質問させていただいた司法修習生への給費制の問題です。
 これは、昨年十一月、貸与制に移行しました。私は、やはり給費制の方が望ましいと思っております。法曹制度全体の改革が必要だということは全くそのとおりだと思いますが、何しろ法科大学院一つとっても、今、合格率は大変低く、当初三千人合格ということでぶち上げておきながら、二千人程度しかいない。また、司法修習終了後の一括登録時に弁護士登録をしなかった者が、平成二十二年、二百五十八人、これだけでも私は多いと思うんですが、昨年は四百六十四人と倍増しております。平成十九年が百二人ですから、四倍ですよ。
 公益のために働く優秀な弁護士を育てるべし、そのために法曹制度全体を改革すべきであると私は思いますが、何だか、国にお金がないから、とりあえず給費制をやめて貸与制にしよう、これはまさに何度も言うように財務省的な論理なんですよね。ない袖は振れないとか、そういう発想なんですよね。私は、順番が逆だと思います。やるなら、まず法曹全体の改革をやった上で検討すべきだ、それが筋だと思っております。
 さらに、現場の声を私も幾つか集めてみましたところ、ビギナーズ・ネットという方々がいらしております。明らかに経済的な理由から修習を辞退されている方がいらっしゃいます。お金がないから地方公務員になろうとか、最近では政策担当秘書になる方も多いというふうに伺っておりますけれども、司法研修所に進まなかった六十三名について、前回、調べていただけるというような答弁をいただきましたけれども、その後、経済的理由で諦めた方は六十三名中何名程度いるかというのはわかったんでしょうか。
○小川国務大臣 その点につきまして、今現在、法務省としては把握しておりません。
○城内委員 わかりました。
 では、視点を変えて、その六十三名の中に経済的理由で諦めた方がいると思いますか、思いませんか。いないと思いますか。
○小川国務大臣 事実じゃなくて私の感想ということで述べさせていただきますと、公務員になる方、学校の研究に残る方、さまざまな道があると思いますが、ロースクールを出て、司法試験に受かって、しかし司法修習に行かないというのは、ちょっと経済的理由だけでは考えがたいのかなというふうに私は感じとしては思いますが。
○城内委員 いるんですよ、実際に。少なからずいらっしゃるんですよ。ですから、いるという事実を踏まえて、そういった方々がまさに法曹への道を断念している、その事実を踏まえて、そうならないようにするのがまさに政治の力じゃないかと私は思うので、もう時間がないので、この問題についてもたくさん質問を用意してまいりましたけれども、次回に質問させていただきたいというふうに思います。
 もう時間が来ましたので、私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
○小林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。馳浩君。
○馳委員 自由民主党の馳浩です。
 きょうは、ハーグ条約に関して幾つか質問をさせていただきますが、最初に、私自身は、一刻も早くハーグ条約を締結すべきである、それに従って国内法の整備もすべきであると。同時に、国内における子供の連れ去り事案が多くございますので、この問題にも法的な対応が必要である。最終的には、私は共同親権の設置を求めております。こういう観点から、さはさりながら、いろいろな課題もあるようですので、きょうは質問をさせていただきます。
 では、まず最初に大臣に。
 三月九日にハーグ条約の承認案とその国内担保法案を閣議決定されたと伺っております。この国会で両案を成立させる大臣の意気込みを伺いたいと思います。
○小川国務大臣 まず、離婚後の子供の幸せをどうあるかということにつきまして、日ごろ委員が積極的に取り組んでおられますことに大変深く敬意を表させていただきます。
 また、ハーグ条約の国内担保法でございますが、これはもう法務大臣の私というよりも、政府の決意に基づく方針でございます。国際結婚の中で、離婚した後の子供の養育につきましては、子供の幸せということ、そして国際間のさまざまな問題の中での適正な解決というものを求めた、こうしたハーグ条約、そしてそれを施行する国内法というものは、やはり大変必要性があるのではないかというふうに認識しております。
 ハーグ条約の面におきましても、委員からは大変温かい御理解をいただきましたことを深く感謝申し上げますとともに、何としてもこの通常国会で議員各位の御理解をいただきまして成立させたい、このように考えております。
○馳委員 これまでにも数々の課題、それからいろいろな事案がありました。しかし、この国会でハーグ条約を締結する、多分これは外務委員会の問題だと思います。国内法の整備も入ると。
 当然ですが、遡及措置はされないというふうに考えてよいですね。
○小川国務大臣 そのような立法内容でございます。
○馳委員 そこで、ハーグ条約の内容や締結国の国内法の内容と比べて、今回、政府が閣議決定をされた案、日本の国内法案に見られる特徴はどういうところがあるのか、お伺いしたいと思います。
○原政府参考人 お答えいたします。
 ハーグ条約では、子の返還を拒否することができる場合が限定的に列挙されておりますが、諸外国の立法例を見てみますと、子供の返還拒否事由につきましては、条約の文言をそのまま国内法化している、そういう例がほとんどでございます。
 ハーグ条約で子の返還事由をどのように規定しているかを見てみますと、特に問題になりますのが条約の第十三条一項bの規定でございまして、この規定は、返還することによって子が心身に害悪を受け、または他の耐えがたい状態に置かれることとなる重大な危険があるときは、子の返還を拒否することができると規定しております。ただ、この規定自体は、非常に規定内容が抽象的でございまして、裁判所において具体的にどのような事情を考慮して判断すべきかが必ずしも明確でないわけでございます。
 そこで、裁判規範としての明確性を図るとともに、当事者の予測可能性を確保する観点から、この該当性を判断する際の考慮要素を規定した方がいいんじゃないか、そういうことを考慮いたしまして、ハーグ条約の実施法におきましては、二十八条の第一項四号に条約の第十三条第一項bに相当する規定を置きまして、その上で、第二項において、第四号に該当するか否かの判断をするための考慮要素を別途、具体的に規定する、こういうことをしておりまして、これは諸外国に余り例がない規定ではないかというふうに考えております。
○馳委員 諸外国にないような規定を我が国が設けようとしている、そして法案に落とし込んだ、その理由はどういうことでしょうか。
○原政府参考人 ただいま少し申し上げましたが、この条約の規定自体が非常に抽象的でございまして、諸外国の裁判例を見ましてもいろいろ判断がされておりまして、我が国が条約を締結した場合の実施において裁判所も非常に困るであろう、また、当事者も予測可能性が立ちませんので、裁判規範としての明確性を図るとともに当事者の予測可能性を確保するという観点から、諸外国の裁判例も考慮いたしまして具体的な規定を置くことにしたわけでございます。
○馳委員 そこで、返還拒否事由の一つである第二十八条一項四号「常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。」については、虐待やDV等の事情を一切考慮して総合判断するとしておりますが、例えば、暴力等により子供への害悪の危険が重大であるならば、これは単独で返還拒否事由にしてもよかったのではないでしょうか。なぜ一切の事情を考慮しての総合判断、こういう表現にしたのでしょうか。
○原政府参考人 ハーグ条約実施法案の第二十八条第二項では、同条の第一項第四号に規定されております子の返還拒否事由の有無を判断するための考慮要素としてただいま委員御指摘のような事情を列挙しておりますが、その趣旨は先ほど御答弁させていただいたとおりでございます。
 このような規定を置くかどうかにつきましては、法制審議会の調査審議の過程におきましても議論になりました。現在の法律案のような考慮要素を列挙するのではなくして、委員御指摘のような事情を別途返還拒否事由として規定するという案も、考慮、検討されました。
 しかしながら、このような規定を国内担保法に設けた場合には、ハーグ条約に規定されていない新たな子の返還拒否事由を我が国が独自に規定したのではないか、ひいては我が国の国内担保法がハーグ条約に抵触するのではないかといった誤解を生じかねず、適切ではないという結論に至ったわけでございます。
 また、先ほど、他の締約国の裁判例に少し触れましたけれども、他の締約国の裁判実務におきましては、このハーグ条約実施法案の第二十八条第二項に掲げる事由のいずれか一つだけ認定してハーグ条約第十三条第一項bの返還拒否事由に当たるという判断をしているのではなくして、ハーグ条約実施法案の第二十八条第二項に掲げる事由を総合考慮してハーグ条約第十三条第一項bに当たるか否かを判断しているものと承知しております。
 こういったことを考慮いたしまして、ハーグ条約実施法案におきましては、委員御指摘の事情はあくまで考慮要素として規定するにとどめまして、裁判所が一切の事情を総合考慮することによって、第二十八条第一項四号に規定する子の返還拒否事由の有無を判断することとしたわけでございます。
○馳委員 そこで、関連して第二十八条二項、子供への暴力、DV、子の監護を困難にする事情、この三つの事情のほかに、「その他の一切の事情」、こういうふうに規定をしておりますが、これは具体的にはどんな事情を想定しての表現でしょうか。
○原政府参考人 この「その他の一切の事情」に該当する場合としましては、例えば、子供が重大な疾病に罹患している場合や、子が返還されることになる常居所地国が内戦状態にあって子を返還すると子供が命の危険にさらされるような場合、そういった場合を考えております。
○馳委員 だったら、そういうことも規定に書けばよかったと思うのですが、いかがですか。
○原政府参考人 条約自体が非常に一般的な形で規定を置いておりますので、その場合にどういう事情が考慮要素になるかというのは、各国の裁判例を踏まえて検討したわけでございますが、先ほど申した「その他の一切の事情」というのは、いろいろな事情があるわけでございますので、いわば、典型的な考慮要素というものを掲げるのが相当であろうということで、この法案の第二十八条第二項におきましては、諸外国の裁判例で通常考慮されている典型的な事情を列挙したということでございます。
○馳委員 では、この二十八条二項、例示として列挙されている三事情と、今申し上げた「その他の一切の事情」とは、返還拒否を判断する上で同様な重み、同等の重みを持っているのかどうかを伺いたいと思います。
 例えば、三事情が皆無でも、「その他の一切の事情」ということに該当すれば返還拒否できる場合もあるという立法趣旨でしょうか。
○原政府参考人 ハーグ条約実施法案の第二十八条第二項各号に掲げている事情は、同条第一項四号に規定する子の返還拒否事由の有無を判断する際に考慮すべき典型的な事情を例示したものにすぎません。
 したがいまして、裁判所は、第二十八条第二項各号に掲げられていない事情を「その他の一切の事情」として総合考慮することによりまして、同条第一項四号に規定する子の返還拒否事由が存在するという判断をすることも可能でございます。
○馳委員 同様の、同等の重みを持つということで、例示をした三項以外の一切の事情も十分踏まえる、こういうふうな認識で今後、裁判所の方でも判断いただける、こういうことでよろしいですね。
 では、次の質問ですが、返還拒否事由について、家裁の裁量の範囲を大きくしていると、ハーグ条約の子供の最善の利益は常居所地国の裁判所が判断すべきだという根本精神を踏みにじると思うが、いかがでしょうか。その意味で、裁判所に大きな裁量を与えそうな規定は、立法の段階で立法趣旨を明確にして、裁判所の裁量の範囲を限定的にしておいた方がよいと私は思いますが、いかがでしょうか。
○原政府参考人 ハーグ条約実施法案の第二十八条第一項各号に規定しております子の返還拒否事由は、ハーグ条約が規定しております子の返還拒否事由と同一のものでございます。すなわち、本法案の返還拒否事由の規定それ自体は、ハーグ条約に反するような広い裁量を家庭裁判所に与えたものではございません。
 また、このハーグ条約実施法案第二十八条第二項は、同条第一項四号に規定する子の返還拒否事由の有無を判断する際に考慮すべき典型的な事情を具体的に明示するものでございまして、家庭裁判所が子の返還拒否事由の有無を判断するに当たり、その判断指針としての役割を果たすものであると考えております。したがいまして、同条第二項の規定は、ハーグ条約の精神に反するものではないと考えております。
○馳委員 私が心配しているのは、あらゆる事案というのは、家族の事情、夫婦の事情、またそれを取り巻く国情というのは、あらゆる事情があるので、今おっしゃったように、指針としてお示しをいただいておりますが、その指針を踏まえて裁判所が恐らく今後判例を積み重ねていく上においての妥当な指針となるように、今後ともやはり注視をしていかなければいけないと思いますし、ここの部分で国内のいろいろな団体や海外のいろいろな団体から突っ込まれることのないように、慎重な取り扱いをお願いしたいという趣旨で申し上げております。
 そこで、たとえ連れ去りに事前同意があったとしても、一切の事情を考慮して常居所地国に子供を返還することが子供の利益に資すると認めるときは、子供の返還を命ずるとする第二十八条一項本文ただし書きの規定、これは、ハーグ条約の根本精神に合致すると思います。しかし、ここで言う子の利益に資する一切の事情というのは何でしょうか。そして、その立法趣旨を明らかにしていただきたいと思います。
○原政府参考人 今委員から御指摘いただきましたように、ハーグ条約実施法案の第二十八条第一項ただし書きは、同項各号に規定する子の返還拒否事由が認められる場合であっても、なお、家庭裁判所の裁量によって、子を常居所地国に返還することを命ずることができると規定しております。
 ハーグ条約におきましても、本法律案の第二十八条第一項各号に規定する事由が子の返還拒否事由として規定されていることは先ほど申し上げましたが、他方で、これらの子の返還拒否事由が存在する場合であっても、なお、裁判所が子の返還を命ずることができるものとされているわけでございます。
 したがいまして、我が国のハーグ条約実施法案においても、この条約と同旨の規定を置いたという次第でございます。このため、家庭裁判所は、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認める場合には、なお、子の返還を命ずることになります。
 お尋ねの、一切の事情とはどういうことかということですが、例えば、一方の親が子の連れ去りに同意していた事案でありましても、子が我が国の環境に全くなじんでいないために、このまま我が国で生活を続けると子に著しい悪影響を及ぼすおそれがある場合など、そういった場合が考えられるのではないかと考えております。
○馳委員 いずれにしましても、この法案が法務委員会に付託されたときに、再度、返還拒否事由についてはしっかりと議論を積み重ねていきたい、こういうふうに考えておりますので、委員各位にも、委員長にもよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 続いて、このハーグ条約、執行の手続の問題について移りたいと思います。
 ハーグ条約の執行手続をテーマにして質問をするのには理由があります。実は、アメリカ国務省は、毎年、ハーグ条約不遵守国家のリストを公開していますが、そこにはかつてドイツがよく登場してまいりました。なぜドイツはそのリストに登場してきたのか、その理由を教えていただきたいと思いますし、どうもお伺いすると、現在、再度リスト入りしたと伺っております。その理由は一体何なんでしょうか。お願いいたします。
○宮島政府参考人 お答えいたします。
 アメリカの国務省は、連邦法に基づきまして、議会に対しまして、一九九九年以降、他の締約国のハーグ条約の遵守状況に関する年次報告を出しております。
 この報告でございますけれども、中央当局がちゃんと仕事ができるかどうか、裁判所がちゃんと仕事をしているかどうか、それから法執行機関がちゃんと仕事をしているかどうかというようなことを考慮要因にしながらカテゴリー分けをして、その遵守状況、不遵守であるということを確認して報告をしております。
 今御指摘のありましたドイツでございますけれども、二〇〇〇年版では、実は条約を完全には遵守していない国という位置づけになっておりまして、二〇〇一年から二〇〇三年の年次報告では、懸念がある国という位置づけでございました。ところが、二〇〇四年版になりますと、非常にいろいろな面で改善が見られたということで、懸念がある国のカテゴリーからは外れました。
 この報告書によりますと、その理由といたしましては、裁判所が統合されたこと、手続が簡素化されたこと、裁判官の研修が進んだこと、中央当局の対応が迅速化したこと、裁判所により条約の趣旨に沿った判断がなされるようになったこと、それから返還命令の効果的な執行が改善されたというようなことが挙げられておりました。
 その後、実は、アメリカの中で国務省の報告書の書き方が少し変わって、カテゴリーの名前に変更が生じましたが、二〇〇七年版と二〇〇八年版では、引き続き、実はドイツはまた条約を遵守していないパターンを示す国としてリストアップされるに至っております。
 これはやはり、特定のケースがございまして、多分それについてアメリカがそういうふうに反対したものだと思いますが、実は、二〇〇九年以降はまたそのカテゴリーから落ちているということで、ちょっとわかりにくいんですけれども、二〇一一年の一番新しい版でございますと、条約を遵守していないという二つのカテゴリーには入っていないんですが、その下のレベルの、程度が軽いと思いますけれども、懸念国の一つとしてはドイツが挙がっております。
 御参考までに、二〇〇九年、カテゴリーから落ちたときのことでございますけれども、この報告書を見ますと、二〇〇一年以降、ドイツは非常に条約の遵守を改善しましたということで、特に二〇〇五年には、国内法で国際家族手続法というのがドイツでできまして、そういう制度ができ、ドイツの裁判所でその法律の実施のためのトレーニングとかプログラムを実施された、そういうふうなことが書いてありまして、そういうふうな観点から不遵守のカテゴリーから落としたということでございまして、ドイツも、この条約に入りましてから、さまざまな努力をしながら遵守状態をよくするようにやってきているというふうなことがこの報告書の推移からわかるかと思います。
○馳委員 私もいろいろ調べてみましたら、大臣、ハーグ条約を締結し国内法を整備して終わりじゃなくて、そこからスタートという、ここがやはり問題で、別に私はアメリカの肩を持って言っているわけではありません。我が国も、国内法を整備した後にこういった子供の連れ去り事案が起きたときに、相互主義ですから、世界の各国と、まず条約に基づいて子の返還が本当になされているのかどうかということの確認をしていかなければいけないわけですよね。
 アメリカの議会などでは、我が国が何か子供の連れ去り大国というふうな表現で非常に汚名を着せられております。私はそうではないと思ってきましたが、まずこのハーグ条約を締結、批准し、国内法整備をするところからスタートしなければいけないという事態でありますから、国内法を整備する以上は、やはり手続になると、ここは外務省と、中央当局でありますが、法務省と連携をしてということになり、実体的な手続はどう考えても法務省が厳格に対応しなければいけない、こういうふうな認識を持っているので、こういう観点でまた質問を続けますので、御理解いただきたいと思います。
 ハーグ条約を批准して国内法を整備しても、現在のドイツのように、日本も強制執行の手段が不十分と評価されたらハーグ条約不遵守国家とレッテルを張られてしまう懸念があるということであります。
 そこで、まず、子の返還を命ずる決定がなされた後の執行手続、これは法案でどのようになっておりますか。
○原政府参考人 ハーグ条約実施法案は、第百三十四条第一項におきまして、子の返還の強制執行として、間接強制と、子の返還の代替執行を行うことができるものとしております。
 この間接強制といいますのは、子の返還義務を履行するまで債務者に一定額の金銭の支払いを命ずることによって、子の返還義務の履行を心理的に強制する執行方法でございます。他方、子の返還の代替執行といいますのは、債務者以外の者に債務者にかわって常居所地国に子を返還させる権限を与えて、これに基づいて債務者以外の者が子を返還する、こういう執行方法でございます。
 常居所地国への子の返還は、現在子を監護している者により自発的にされることが子の利益の観点から望ましいと考えられますので、ハーグ条約実施法案は、第百三十六条におきまして、子の返還の強制執行を行う場合には、まずは間接強制によって債務者に自発的な債務の履行を促し、それによってもなお履行されない場合に限り代替執行の申し立てをすることができる、こういうたてつけにしております。
○馳委員 法律に余りそんなに詳しくない私からすれば、債務者という一言が出てきたんですね。大臣、ここは弁護士として専門家でありますが、こういうときに債務者という呼び方をしてよいのかなと私は率直に感じました。債務者でよろしいんでしょうか。
○小川国務大臣 確かに、法律の面ですと、執行を申し立てる方が債権者で、それをされる方が債務者といって、いわば、何か執行の現場ではそれが当たり前の言葉として使ってきて、それがまた今回も、そのまま横滑りといいますかで表現されておると思うんですが、確かに、債務者というとちょっと違和感といいますか、債務者という言葉が普通に持つイメージとはちょっと違うなという気もするんです。しかし、法律用語としては債務者として使っておるわけでして、では、どういう言葉に置きかえればいいのか、ちょっと余りいい案が浮かばないんです。
 いずれにしろ、執行という場面の法律的な、かなり技術的な側面においてだけ使う言葉ですので、日常的な会話の意味する言葉とは少し違うけれども、手続の言葉だということで御理解いただければと思うんですが。
○馳委員 親権の定まっていない親、保護者という言い方をしたらいいのかな。あるいは、現に子供と同居している親という言い方をしていいんでしょうか。ちょっと債務者という言葉が我々素人にはひっかかるものですから、あえて専門家である小川大臣にお伺いしました。
 そこで、さらに質問を続けますが、子の返還の代替執行は、実は、民事執行法百七十一条に基づいて実施されるわけですが、ハーグ条約対象外の国内の事案では、子供を動産に準ずるものとして扱う民事執行法百六十九条の類推適用で強制執行が行われております。これは前回、分科会で私が大臣にいろいろ質問した直接強制の話ですね。
 どうしてこのような差が生まれるのか、教えていただきたいと思います。
○原政府参考人 現行法には、子の引き渡しの直接強制について定めた明文規定がございませんので、子の引き渡しの直接強制が法的に許容されるか否かは裁判所の解釈に委ねられております。
 家庭裁判所が、子の引き渡しが子の福祉にかなうと判断して子の返還を命令したにもかかわらず、それが実現することができないものとしますと、裁判の実効性あるいは子の利益の観点から問題があるのではないかという指摘がございまして、国内事案において、子の引き渡しの直接強制を許容した裁判例があるものと承知しております。この裁判例は、子の引き渡しを命ずる審判等によって債務者が負う義務を、債権者に直接子を引き渡す義務、いわゆる与える債務であると解しているものと考えられます。
 これに対しまして、ハーグ条約実施法案における常居所地国への子の返還義務は、申立人に直接子を引き渡す義務ではなく、債務者がみずから連れ帰るなどの方法によって子を常居所地国に返還する義務であると考えられております。この義務は、その性質上、債務者に強制的に履行させることはできないわけですが、他方で、第三者がかわって行うことが可能な債務、いわゆる代替的な作為債務に当たりますので、代替執行によることが可能である、こういうことになるわけでございます。
 このように、ハーグ条約実施法案に基づく子の返還義務と国内事案における子の引き渡し義務とは、その法的性質を異にしていると考えております。
○馳委員 法的性質を異にしているという説明はわかりましたが、国内の事案と、それから海外に返還、引き渡すということと、ちょっとわかりづらいなという点、これは、一般の方にもわかりやすく説明できるような説明書というのをやはり準備した方がいいと思いますよ、ガイドラインみたいなものを。
 そこで、この問題は適用される条文が違うということだけでは終わりません。ハーグ事案は十六歳未満の子供まで執行が可能ですが、国内の事案は、動産に準ずる形でしか強制執行できないため、乳幼児までしか執行対象とならないはずですが、いかがでしょうか。
○原政府参考人 国内における子の引き渡しの強制執行の方法として、直接強制が許容されるか否か、どのような場合に直接強制の方法によることができるかにつきましては、裁判所の解釈に委ねられているわけでございますが、動産に準ずる形で強制執行を行うとしましても、乳幼児だけに限って強制執行の対象としているわけではございませんで、個々の事案の特性に応じて、可能な限り子の福祉に配慮した執行が行われているものと承知しております。
 例えば、東京地裁の立川支部が平成二十一年四月二十八日に決定を下しておりますが、この決定は、執行当時七歳九カ月の児童を対象とした子の引き渡しに関するものでございます。
 この決定は、動産の引き渡しの強制執行について定めた民事執行法第百六十九条の類推適用により直接強制を行うことが許されるとしておりますが、執行の対象が人格の主体である児童である以上、児童の人格や情操面に最大限配慮した執行方法をとるべきであると判示しておりまして、執行の現場におきましても、子を動産と同様に扱って強制執行の対象としているわけではないものと承知しております。
○馳委員 七歳九カ月というこの事案は、微妙な年齢ですよね。ちなみに、私は養子なんですけれども、前の家から今の馳家に養子に来たときはちょうど八歳でありまして、非常に心にいろいろな葛藤を抱えたことが改めてよみがえってまいりました。
 この七歳九カ月よりさらに上の年齢でいわゆる直接強制が行われた事案というのは、国内にありますか。
○原政府参考人 済みませんが、今手元に資料を持っておりませんので。
○馳委員 私は、この年齢を伺って、非常に微妙な年齢だなと思いましたので、できればちょっと調べておいてください。今度また、法案審査のときにお伺いもしたいと思います。
 そこで、同じ離婚後の子供の引き渡し問題で、子供が小学校高学年以上だと、ハーグ事案なら強制執行は可能だけれども、国内事案ならば強制執行は申し立て自体が不能という差が生まれるように思いますが、もしこういうふうな事態になれば、これは不公平ではないでしょうか。
○原政府参考人 条約に基づく国際的な子の連れ去り事案を規律するハーグ条約事案と、専ら当事者間の関係を規律する国内事案との間におきまして、手続内容に差異があることは必ずしも否定されないものと考えますが、いずれにしましても、双方の事案における執行の現場におきましては、子の福祉を最大限考慮し、子の年齢のみにとらわれずに、個々の事案の特性を踏まえながら、慎重に強制執行の可否が判断されるものと考えておりまして、我が国がハーグ条約に加盟して本法律案が成立、施行された場合には、委員御懸念の点にも留意しながら、その運用を見守っていきたいと考えております。
○馳委員 ここで、前回の分科会の話とまた同様の問題意識を持つことになりますが、大体、乳幼児を動産に準じて取り扱うこと自体が問題であると私は思っています。さらに、今回のハーグ条約の国内法の成立で、不平等、不公平な取り扱いが行われる可能性があります。
 私は、改めて、民事執行法の改正か新法の整備を提案したいと思っています。でないと、国内の事案ですが、やはり子供に対する直接強制執行という事案が随分ふえていましたね。あの数字を見るたびに、当事者である子供の心に与えるストレスというものは相当なものがあるだろうなと類推されますが、これは大臣、いかがでしょうか。
○小川国務大臣 まず、ハーグ条約と国内の一般の引き渡しの場合、少し違うのは、国内の子供の引き渡しの場合には、監護権がどちらに行くかということで、いわば相手方に渡すわけですね、監護権が移れば移った人に渡すということになるわけですが、ハーグ条約の場合には、どちらが監護権を持つかはその後の常居所地国での解決に委ねるわけでして、命ぜられるのは、その常居所地国に戻しなさいということでございます。
 ただ、戻す方法として、自分が連れていってもいいわけでございますが、自分が行かなければ、引き取りに来た相手方に渡すしかないのかなということでございますので、ちょっと国内のケースと同じではないなというふうに思っております。
 ただ、国内の事案につきましての強制執行方法、確かに、手続的にないから動産の執行の規定をいわば類推適用するとか、あるいは、子供の意思能力がどの程度あるか、ゼロからいきなり一〇〇になるわけじゃなくて、だんだんという段階過程があるわけですから、そこで子供の意思をどのように確認するのかというようなさまざまな難しい問題もございます、その執行のあり方について。ですから、確かに委員が御懸念されるような点もまことであるとも思いますので、これはやはり執行のあり方について検討してしかるべきかなと思っております。
○馳委員 大臣の説明で私は理解しますが、これはハーグ条約の案件だ、これは国内で監護権を決めるためのまさしく強制的な直接執行だと、やはりなかなかわかりづらいですよ。したがって、ここは私は、うまく説明できるような指針、まさしくガイドラインと、やはり世の中に対する説明というのは必要だと思って、追及しているんですね。
 今大臣もちらっとおっしゃいましたけれども、これは有識者に諮問をするという形で、まず国内の事案についてもうちょっとやはり丁寧に対応することを法務省としても表明した方がいいんじゃないんですかね。先般も数字を申し上げたように、百二十件ありましたね。これは一件一件にさまざまなやはり葛藤を生み出していることと思いますので、私は、法務省として方針を示す、そのために有識者に検討してほしいと諮問するということをやった方がいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○小川国務大臣 有識者に諮問するかどうかは別にして、どのような検討方法にするかも含めて検討してみたいと思います。
○馳委員 先般、三月五日の予算委員会第三分科会で、子供の直接強制による引き渡し事件が二〇一〇年で百二十件もあり、執行不能だったのが四十三件、四割にも及んでいる、こういう答弁をいただいております。ハーグ条約の事案でも同様の問題が想起されますが、その認識はいかがでしょうか。
○原政府参考人 ハーグ条約の事案におきましてどの程度執行不能が出てくるかということにつきましては、現段階で具体的な見通しを立てることは困難でございますが、このハーグ条約実施法案では、子の利益保護の観点から、強制執行の場面におきましてもさまざまな配慮をしているところでございます。したがいまして、ハーグ条約事案においても、執行不能とせざるを得ない場合が生ずることは避けられないものと考えております。
○馳委員 そういう認識があるということは大事なんですよね。
 そこで、ハーグ条約の事案において、どういう工夫をして、人権問題も踏まえながら執行不能を防ごうとしているんでしょうか。お願いいたします。
○原政府参考人 ハーグ条約事案におきまして子の返還の代替執行をする場面におきましても、子の利益の観点からは、債務者が自主的に子の監護を解くことが望ましいものと考えております。
 そこで、ハーグ条約実施法案では、債務者による子の監護を解く際に、執行官が債務者に対して説得を行うことができるものとしております。また、債務者が説得に応じず抵抗する場合には、抵抗排除のために威力の行使をしたり、警察上の援助を求めることも認めておりますが、子に対しては威力の行使をすることはできないとしております。また、子以外の者に対しても、その威力の行使が子の心身に有害な影響を及ぼす場合には威力の行使を認めない、こういうことをしまして、子の利益を害することがないような配慮をしているわけでございます。
 このように、ハーグ条約実施法案におきましては、債務者による自主的な子の解放を目指しておりまして、執行の実施場面において、子の利益を害することがないように配慮しながらも、執行官にさまざまな手段の使用を認めて、執行官が事案に応じてこれを使い分けることによって実効的な執行の実施が可能となるように配慮しているわけでございます。
 また、子の返還の代替執行を行う際の運用上の工夫でございますが、例えば、執行官が現場に赴く前に、返還実施者や債務者の代理人弁護士等から、債務者や子の生活状況や周囲の環境等について十分な情報収集をすることによって、代替執行の手続が円滑に進むように準備をすることなどが考えられると思います。
○馳委員 これは恐らく法の百四十条の方にかかわってくる問題ですが、威力を執行する、子供にはだめだということでありますが、この百四十条第四項の「威力」というのは、具体的にどういう内容なのでしょうか。
○原政府参考人 ハーグ条約実施法案第百四十条第一項が規定しております威力の行使とは、有形力の行使のことを意味しております。
 例えば、執行官は威力の行使として、必要がある場合には、抵抗する者に対して直接有形力を行使してその抵抗を排除する措置をとることや、バリケードの設置等の物理的な妨害があった場合には、必要な限度でそれを撤去したり破壊することも許されるものと考えております。
○馳委員 百四十条を読むと、閉鎖した戸を開く必要な処分もする、こういうふうな表現もありますよね。当然、そこに子供がいるかどうかは、わかっているのかな、わかっていないのかな。わからない場合もありますよね。
 そこでなんですよ。強制執行は、百四十条第三項をチェックしますと、子供と親がともにいる場合に限っており、抵抗する親に威力を用いることが子供の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合は威力の行使はできない、こういうふうになっているんですね。これでは、執行官は事実上、威力の行使ができないということになると思います。
 いいですか。条文を読むと、「閉鎖した戸を開くため必要な処分をすること。」と。鍵をぶち壊して入る、恐らくこういったときに警察の援助を求めるんだろうなと私は思いますが、子供はいるかどうかわからない、そういうときでもやっていいんだろうかと不安に思って今聞くんですが、いかがでしょうか。
○原政府参考人 このハーグ条約の実施法案におきましては、債務者と子がともにいる場合に限って強制執行をやるということになっておりますので、閉鎖している戸を開く場合には、中に子がいるという情報を何らかの手段で得ている場合に行われるものと認識しております。
 債務者がいない場面で子の解放行為を実施した場合には、これは結局、その債務者自身の納得も得られませんので、再度の連れ去り等を誘発するおそれも否定することはできません。また、できる限り債務者の協力を得て円満に子の返還を実施することが子の利益にかなうと考えられますので、この法案におきましては、執行官による子の解放は、子が債務者とともにいる場合にすることができるものとしているわけでございます。
○馳委員 わかりました。その確認をしっかりとしながら行うということですね。
 そこで、次に第百三十七条、子供を常居所地国に返還する返還実施者とは、具体的に誰を想定しているのでしょうか。これには外国人の親も入るんでしょうか。この百三十七条の部分は、子の返還の代替執行の部分でありますが、返還実施者とは、ここで誰を想定すればいいんでしょうか。
○原政府参考人 ハーグ条約実施法案の第百三十七条は「債務者に代わって常居所地国に子を返還する者」、これを返還実施者と定義しております。
 この返還実施者は、子を監護し、場合によっては宿泊を伴いながら子と長時間行動をともにして、子を安全に常居所地国に返還することができる者である必要がございますので、子に与える心理的負担を考慮いたしますと、子がなれ親しんでいる者を返還実施者とするのが望ましいものと考えております。
 このような観点から考えますと、典型例といたしましては、子の返還に最も高い関心を有しており、監護権者でもある申立人自身を返還実施者とすることが想定されております。
 ただ、事案によりましては、子が常居所地国において同居していた子の親族、例えば祖父母等が返還実施者になることもあるのではないかと考えております。
○馳委員 わかりました。返還実施者がもう一方の親になることによって、また逆にトラブルが起きないかなと私もちょっと心配になってまいりましたので、慎重な取り扱いをお願いします。
 そこで、執行段階において外務大臣である中央当局の協力も制度化されておりますが、その意義は何でしょうか。
○原政府参考人 ハーグ条約実施法案は、第百四十二条におきまして、中央当局は子の返還の代替執行に関し、立ち会いその他の必要な協力をすることができるものとしております。これは、ハーグ条約におきまして、中央当局は子の安全な返還を確保するための全ての適当な措置をとることとされておりますので、このハーグ条約の趣旨を代替執行の場面においても具体化した規定でございます。
 代替執行を実施する場面における中央当局の協力といたしましては、中央当局が適切な者を派遣して子を解放する場面に立ち会わせたり、返還実施者が安全に子の返還をすることができるよう国内での移動に同行することなどが想定されているところでございます。
○馳委員 ここで外務省に聞かなきゃいけないんですね。この法第百四十二条に基づいて外務大臣の協力といっても、別に外務大臣がその現場に行くわけじゃありませんよね。この第百四十二条に基づいて、外務大臣の意を受けた、命を受けた職員の皆さんが、対応できますか、これ。「立会いその他の必要な協力をすることができる。」と。
 立ち会うだけなら、別にぼうっと突っ立っていればいいかもしれませんが、そういう意味ではないと思います。事案に立ち会いながら、適切な助言であったり、あるいは申し立てがあった国の担当者との調整であったり、報告であったり、多分そういうことになるんだろうと思いますが、そういう立ち会いや協議、連絡をすることのできる能力があるんですか、外務省には。お伺いしたいと思います。
○宮島政府参考人 お答えいたします。
 国内法の百四十二条に書いてあります、その場面においての中央当局の職員のことでございますが、まさに先生御指摘のとおりの、いろいろな専門性が必要であろうというふうなことは私どもも想定しておりまして、今後の検討課題でございますが、ソーシャルワーカーの方を外務省の方からお願いをして、その場に行っていただくこととかも考えておりますし、あと、連絡調整という意味では、例えば空港に同行するような場合は、外国によると、言葉の問題もありますので、外務省の職員が同行した方が適切な場合もあろうかと思いますので、そういうふうな形で適切に、検討して、対応していきたいと思っております。
○馳委員 私はハーグ条約を早く締結すべきだと冒頭に申し上げたんですが、この第百四十二条の規定を見ると、外務省の職員。また、あなたは今、ソーシャルワーカーにお願いするかもしれないとおっしゃいましたね。そうすると、厚生労働省との調整になるんでしょうか。そして、誰がどう考えたって、法務省と意を通じてしなきゃいけないので、それはやはり担当は外務省と法務省の職員と、ちょっと人事のたすきがけでもしながら、やはり練り上げられた、あらゆる事案に対応できる専門性を持った職員が必要だなと、私だって、これを読めばわかりますよ。
 法律が成立をすれば執行が始まりますから、そうすると、準備はできていますか。もし準備ができているとしたら、教えてください。
○宮島政府参考人 まさに今先生御指摘のような点も踏まえまして、法務省を初めとする関係省庁と実施できるような体制を整えていくべく協議を今、それをしようとしているところでございます。これから頑張っていきたいと思います。
○馳委員 私は去年、この問題で質問したときに、リエゾンジャッジというふうな話をしたと思うんですよね。いわゆる海外においては、当然、大使館、領事館の方々がこういった相談に現地で対応しておられるので、法的な問題に詳しい。特に、家族法、我が国の民法あるいは民事執行法等、こういったことに詳しい方々がやはり必要ですよね、そういう研修も必要ですよね、ハーグ条約を締結した以上は、窓口は大使館になっているはずですから、職員の皆さん、お願いしますね、こういうふうに申し上げたと思いますが、いよいよこの段階になりました。
 今後の職員に対する研修、専門性を高めるということについて、私は外務省の見解を伺いたいと思います。改めてお願いします。
○宮島政府参考人 まさに御指摘の点も踏まえまして、既に、さまざまな各国の制度を調べましたりとか、そういうふうなことも始めておりますし、あと、在外の、各地の領事がまた窓口をすることになりますので、研修ですとかマニュアルの整備ですとか、そういうふうな作業には着手しております。
 今後、最善を尽くしていきたいと思っております。
○馳委員 宮島さんとおっしゃいましたね。あなた、今まで海外の大使館に勤務したことがありますか。
○宮島政府参考人 御質問でございますので、私、中近東のオマーンとワシントンの大使館、あとソウルの大使館に勤務しておりました。
○馳委員 そうすると、私たち国会議員から見れば、どう考えても、宮島さんのようなキャリアがこういった一つ一つの事案を直接担当するのではないと思うんですが、そうですよね。
○宮島政府参考人 具体的なケースが、どれだけ複雑で、どういうものになっているのかとか、当該の外交当局からどういうふうな形が来ているかによって、誰が担当するかは変わってくると思いますが、多分、一義的には、まず窓口で、恐らく領事だと思いますが、話を受けることになるんだろうと思います。
○馳委員 領事レベルの方というのはまさしくキャリアでありますので、つまり、やはり海外に出ておられる、また国内においてもこういったキャリアの方々に、本件はどういう問題を背景にはらんでいるのかということをよくよく、まず最初に研修してほしいと思ったんです、私は今お話を伺っていて。
 いや、それはソーシャルワーカーに任せればいいとか、専門性がある職員を育てるべきという問題ではなく、ありとあらゆる、法務省とも人事交流をしながら、警察とも交流をしながら、もしかしたら厚生労働省とも交流をしながら、より専門性を高めていく。そうしないと、まさしく、何だ日本は、ハーグ条約を締結したけれども、全く対応している職員は素人じゃないかとなりかねないですよね。私、そのことが非常に心配で、ちょっとしつこく指摘しておりますが、いかがでしょうか。
○宮島政府参考人 大使館の幹部も含めて、外務省の本省の幹部も含めまして、そのような意識を徹底して、これからしっかり、専門性のある人たちを育てることも含めまして、努力したいと思います。
○馳委員 次の質問に移りますが、執行段階における子供の意思の尊重について質問します。
 まず、返還拒否事由の一つとして、二十八条第一項五号、子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合、その子供が返還を拒否したときは返還拒否できるとなっておりますが、ここで言う子供の年齢は大体何歳ぐらいを想定しておられますか。
○原政府参考人 ハーグ条約に基づきまして、子の返還の関係で子供の意見を考慮するのが相当であるのは、子が親の意見等に盲従することなく、自発的かつ明確な判断を行うことが可能な程度にまで成熟している場合であると考えられます。
 子供の発達の程度といいますのは、これは個人差がありますので、何歳の子であれば今言いましたような成熟度に達しているかを一般的に論じることは困難ではございますが、諸外国の裁判例等を見ますと、大体、十歳程度の子については、おおむねこういった判断能力を備えている場合が少なくないものと扱われているのではないかと考えております。
○馳委員 問題は、五歳から十歳くらいまでの子供の意思を執行段階でどう取り扱うかにあると思っています。
 国内事案の強制執行事例を見ていると、執行官はこのくらいの子供の説得も行っております。説得が失敗した場合は執行不能となっている事案もあると仄聞しておりますが、現実、裁判実務においてどうなっているでしょうか。
○永野最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 子の引き渡しの強制執行は、子の心身に与える影響を考慮しますと、債務者が任意に子を引き渡すことが望ましく、実際の運用においても、有形力の行使はできるだけ控える運用がなされているというふうに承知しております。
 お尋ねの五歳から十歳くらいの年齢の子についても、子が明確に拒絶の意思を表明しているときは、執行官は、債務者の対応や子の状況など、そういった一切の事情を考慮した上で、有形力の行使が子の心身に与える影響を勘案した上で、それ以上に有形力の行使をすることがなく、執行不能というふうにしている例もあるというふうに承知しております。
○馳委員 では、ハーグ条約の事案では、執行段階における五歳から十一歳くらいまでの子供の意思、特に拒否したとき、大体、小学生ですよね、どのように扱うのでしょうか。教えてください。
○原政府参考人 先ほど申しましたように、自発的かつ明確な判断を行うことが可能な程度にまで成熟している子につきましては、その意思を尊重して、ハーグ条約実施法案の第二十八条第一項五号に規定する返還拒否事由に該当するかどうかの判断をすることが可能でございますが、そのような成熟度に達していない子につきましても、他の返還拒否事由に当たるか否かの判断、例えば、子供が新たな環境に適応しているか否かの判断、あるいは、先ほど出てまいりましたが、一切の事情の考慮というものにおいて子の意思を把握することが必要になってまいります。
 そこで、ハーグ条約の実施法案では、第八十八条におきまして、子の返還申し立て事件の手続においては、家庭裁判所は、子の意思を把握するように努め、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならないものと規定しております。このようにして、子の意思も考慮した上で子の返還が命じられた以上は、執行裁判所が代替執行の決定等をするか否かを判断するに当たりましては、子の意思を考慮することは予定されておりません。
 もっとも、この法案では、子の利益の観点から、執行官は子に対して威力を用いることはできないものとしておりますので、実際の執行の場面で、子供が相手方にしがみつくなどの方法によって返還を拒む意思を表明した場合には、子の返還の代替執行を実施することは困難でありまして、その限度では子の意思が考慮されることになります。
○馳委員 では、最後の質問になります。
 今の答弁も拝聴しておりましたら、ハーグの事案においても、国内での直接強制の事案においても、強制執行という形になるとして、結局は執行官の説得次第、あるいはネゴシエート次第、私からいえば包容力次第、ここが随分と現場では求められるのではないかなというふうに思います。私の認識は間違っていますか、最高裁の方。
○永野最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 委員御指摘のように、子の引き渡しの強制執行においては、債務者に強制執行の趣旨を十分に説明をして理解してもらう、そういったことによって、できる限り平穏に子の引き渡しの実現を図っていくということが大変重要であろうというふうに認識しております。
○馳委員 大臣、きょうは、とりあえず入り口の議論だけさせていただきました。法律が提出されれば、また三時間でも五時間でも、指摘したいことはたくさんありますので、いろいろと気を配りながら対応していただきたいということもお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○小林委員長 次に、河井克行君。
○河井委員 自由民主党、河井克行です。
 小川敏夫法務大臣には初めて質問をいたします。
 政権交代から何人目の法務大臣でいらっしゃいますか。六人目だと思うんですが、早く実質な、中身のある質疑ができる法務大臣にめぐり会いたいものだなと思って、きょうはここに立たせていただいております。
 先日の法務大臣所信表明を中心にきょうは質問をいたしますが、その前に、きのう入ってきたニュースについて確認をいたします。
 中国人船長による尖閣諸島、我が国領海侵犯による衝突事件で、昨日、検察官役の指定弁護士は、那覇検察審査会の起訴議決を受けて、公務執行妨害、艦船破壊、外国人漁業規制法違反罪で強制起訴を行いました。
 これに合わせてかどうかはわからないんですが、産経新聞の配信によりますと、けさ六時ごろから、尖閣諸島沖合、日本の接続水域内に中国の公船が二隻侵入してきているという情報があります。
 小川大臣は御存じでしたでしょうか。
○小川国務大臣 前半の部分の検察官役の指定弁護士の起訴という点については情報に接しておりましたが、後半の部分の中国の公船ですか、この点についてはまだ私は情報に接しておりませんでした。
○河井委員 法務省、だめじゃないですか。
 幾ら国民の代表、市民の代表、もちろん最高裁には事務局は、検審はあるけれども、直接の国家権力ではないといっても、検察審査会は国の機関であることに間違いない。きのう、その関係で強制起訴が行われた。しかも、その事案が尖閣諸島に密接なかかわりを持つ事案であった。
 当時はたしか菅内閣だったと思いますけれども、この法と証拠に基づかない、当時の那覇地検を初めとする検察当局の不透明な形での起訴しない、当時、これがまさに内閣を揺さぶったわけですよ。そういうことがあって、これは十時四十一分の産経の配信。けさ六時、中国国家海洋局所属の海洋調査・監視船二隻が入ってきた。
 大臣、本当に御存じなかったんですか。
○小川国務大臣 はい。その情報はまだ得ておりませんでした。
○河井委員 内閣官房長官がきょうの午前、記者会見を行いましたが、その情報は、大臣、当然入っているんでしょう。どうぞお答えください。
○小川国務大臣 官房長官の記者会見の情報も、直接的には私の方には入っておりません。
○河井委員 そういう役所だったんですか、法務省という役所は。だって、きょうの午前の官房長官の記者会見で、尖閣の周辺に中国の公船が二隻航行していることについて、海保の巡視船が無線などで警告し、警戒監視を実施している、首相官邸に、危機管理センターに情報連絡室を設置、情報収集を強化していることを明らかにした。こういう話が、国の安全をつかさどる最も大切な役所の一つである法務省に入っていなかったということなんですね。重ねて確認します、大臣。
○小川国務大臣 法務省に入っていたかどうかは、申しわけございません……(河井委員「法務省の最高責任者なんだから」と呼ぶ)私は、まだその情報には接しておりませんでした。
○河井委員 感度が鈍過ぎますよ、大臣。そして、その後ろにいる事務方も含めて。きのう強制起訴したばかりでしょう。だから、それに関係があるかどうかはわからないと私は冒頭に前置きをした。ただ、いろいろな事柄が起こるだろうということは十分に察知していないといけないじゃないですか。
 国の安全、治安をつかさどる最も強力な役所の一つが法務省ですよ。その最高責任者が、法務大臣が、あなた、しかも閣僚の一員でしょうが。閣僚の一員であるあなたが、官房長官が午前の記者会見で、尖閣周辺に入ったということ自体知らない。私は、これはおかしいと思う。もっとさまざまな事柄に対してアンテナを張る、そんな役所にぜひなっていただきたいと思います。
 一つ聞きたいのは、法改正して、検審によるこの強制起訴、これ自体は五例目だと聞いておりますけれども、外国人相手は初めてなんでしょうか。最高裁ですか、これは。
○植村最高裁判所長官代理者 外国に居住する方は初めてと認識しております。
○河井委員 外国人相手の強制起訴が初めて。先ほどから言っているように、国益と主権を擁護するために法務省は存在していると私は信じております。外国人は初めてということも含めて、今回のこの強制起訴の結果いかんによっては、私は、検察審査会のあり方そのものが左右されるかもしれないというぐらい重大な事案である。
 今回の強制起訴を受けて、小川大臣の所感を聞かせてください。
○小川国務大臣 強制起訴そのものは、いわば指定弁護士の裁量ではなくて、まさに強制起訴でございますので、これは手続的に強制起訴がいずれかされるものと思っておりましたが、ただ、強制起訴になる検察審査会の決定でございますか、これはあくまでもやはり検察審査会の判断でございますので、それを法務大臣という立場の私がいろいろ論評することは差し控えさせていただきたいと思っております。
○河井委員 質問に答えていただいていない。
 検察審査会の判断のことを私は聞いているのでは毛頭ありません。それは当然です。そうではなくて、法務大臣として、今後、さまざまな予想される段取りも含めて、特に、さっきも最高裁が言ったでしょう、初めてなんですよ、外国人相手が。だから、今後、このことが事例になっていくんです、先例になっていくんです。それは間違いない。だから、きちんとこの国の国益と主権を諸外国にも知らしめるために、法務大臣として所感ないしは御決意をお聞かせいただきたいと言っているんです。
○小川国務大臣 決意といいましても、起訴になった後は、これはいわば裁判に係属する、起訴状が送達されるかどうかというこの事務も含めて広い意味では裁判になるわけでございますが、これはまさに裁判所、司法の問題でありますので、法務大臣という私の立場からはその論評は差し控えさせていただきたいと思っております。
○河井委員 大臣、今、重大な、間違った答弁をしましたよ。法務省は関係ないんですか、この件、ここから先。お答えください。司法だとおっしゃった。
○小川国務大臣 指定弁護士が公判請求して、起訴して、それを受けるのは裁判所でございますので、まさに裁判、司法の問題でございます。(河井委員「法務省は関係ないということですか」と呼ぶ)関係ないというか、具体的な裁判そのものには法務省は、むしろ法務大臣としては干渉しない、影響を及ぼさないというのが原則でございます。
○河井委員 最高裁、明確に答えてください。刑事局長ですか。
 これは、那覇で強制起訴になりました。今後、中国人の船長にこの起訴状が送達されるわけですね。その事務的な段取り、手続を明確にお答えいただきたい。
○植村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 起訴状のような刑事訴訟関係書類を外国へ送達することにつきましては、幾つかの方法がございますが、一つは、外国の管轄官庁に嘱託する方法、それから、外国に駐在する我が国の領事等に嘱託する方法がございます。
 那覇地裁は、この件につきましては、裁判長の判断で、外国の管轄官庁に嘱託する方法を選ぶことにしたと聞いております。
 したがいまして、今後どうなるかでございますが、日本と中国との間には日中刑事共助条約というのがございまして、共助の措置の一つとして、刑事手続に関する文書の送達というものが含まれております。したがいまして、委員御指摘の今回の事件につきましては、那覇地裁の裁判長は、この条約に基づいて起訴状謄本の送達を嘱託する準備を今しておると聞いております。
 その後でございますが、この条約に基づきますと、那覇地裁の裁判長のところから最高裁判所に、嘱託に必要な書類が送られてまいります。私どもは、その書類を法務省に提出して、法務省の方から中国の司法部に共助の請求を行うということになると思っております。
○河井委員 法務大臣の答弁と違いますよ、今、委員長。
 私は、二回ちゃんと優しく優しく解説したわけですよ。最初は、所感はどうか、次は、決意はどうかと。もう一回さらに、ここから先は法務省には関係ないんですか、那覇から先は関係ないんですかと聞いたにもかかわらず、法務省の仕事じゃない、司法の話だと言われた。
 ところが、今、最高裁の答弁では明確に、那覇から最高裁に行った後は法務省に来るんですよ。大臣、御存じなかったんですね。
○小川国務大臣 複数ある起訴状の送達方法の中でどのような送達方法を選ぶかは、これはまさに裁判所の専権事項でございます。
 そうした中で、裁判所から新たに法務省に協力要請、あるいは法務省の協力を要請するそうした手続が裁判所の判断でなされて、その要請が法務省にあれば、それは法務省としてお応えいたします。
○河井委員 今、そんなお答えを待っているんじゃないんですよ。あなた自身は、さっき私が聞いたときに、法務省はかかわりがないとおっしゃった、二回にわたって。
 確かに、複数選択肢があるということは先ほど最高裁も答弁した。でも、これだけの案件について、法務大臣が、これから先、我が役所はどういうかかわりを持つべきなのか、国の主権と国益を守るためにどのようなかかわりを持つべきかということについて、複数の選択肢も含めて、事務方にしっかりするようにと督励するのが当然じゃないですか、大臣。それが、最高裁から言われるまでは、聞かれるまで、私は知りませんでしたというのが今の答弁の趣旨なんですか。重ねてお伺いします。
○小川国務大臣 若干趣旨が食い違っておるようですけれども、私は、あくまでも、起訴が、公訴請求がなされた、その後は全て、やはりこれは裁判ですので、裁判官が専権事項として行うことであって、法務大臣が意見を述べる場ではないということでございます。
 ただ、裁判官の一つの訴訟行為の中で、起訴状の送達という事務的な分野において、どのような事務を選択するかも裁判所の判断でございますが、事務的な分野において刑事共助条約の履行ということで法務省の方に依頼があれば、それはそれで当然受けることでございます。
 私が初めに述べた関与しないというのは、あくまでも裁判に関して、これは司法の独立でございますので、そうした裁判に影響を与えるような言動は差し控えたい、あるいはそのような誤解を招く言動も差し控えたい、このような趣旨でございます。
○河井委員 大臣、だから私は裁判の中身だとか検審の結果について聞いているんじゃないと何度も言っているじゃないですか。私がそんなことを聞いていないことは、まともな理解能力がある人だったらわかりますよ。そうじゃなくて、今最高裁ははっきり言いましたよ、複数選択肢があるけれども、法務省にこれから、日中捜査共助条約に基づいて、あとは法務省さんよろしく頼みますと今はっきり言った。それを受けて、大臣、これはだから、外国人相手の強制起訴は初めてなんです。
 主管たる法務大臣として、今後この事案、どのように対処していくか、決意をお聞かせいただきたい。
○小川国務大臣 まず、今最高裁の答弁を聞くまで、裁判長が刑事共助条約によって法務省に送達を要請するということを決めたということは知りませんでしたが、もし、裁判所の方でそのような決定をして、法務省の方に刑事共助条約に基づく送達の手続をという要請があれば、これはもちろん、その手続は真摯に受けとめて、その事務を行います。
○河井委員 小川大臣は、今初めて聞いた、今初めて聞いたという御答弁が多い方ですね。私がもし法務大臣だったら、まあそんなことは、一生なれないでしょうけれども、私が法務大臣だったら、いろいろなことが気になって仕方ないですよ。こういうことを沖縄の那覇が決めた、そうしたら何か尖閣のあたりでいろいろなことが起こりやしないか、そういうことも気になるし、最高裁から、こんな国会の委員会で最高裁の答弁を聞いて初めて聞きましたなんてことは、大臣、私、恥ずかしいことだと思う。これこそまさに大臣が指導性を発揮して、きっちりと事前にさまざまなすり合わせをしておくべき事案だと私は思います。
 その上で、中国人の船長宛てにどうやって起訴状を送達するのかということについて、もう一度大臣からお答えをいただきたいと思います。
○小川国務大臣 刑事共助条約の事務手続としましては、法務省当局から当該国の法務省に該当する機関に起訴状の送達を依頼して、送るということでございます。
○河井委員 法務省当局とは、この場合、何局ですか。
○小川国務大臣 刑事局でございます。
○河井委員 仮定の話ですけれども、もし、中国人船長がこの送達を受け取らない、あるいは中国の政府が送達すること自体に協力しない、そういう返答をしてきた場合は、日本国法務省はどのような対応をするでしょうか、大臣。
○小川国務大臣 先ほどの委員の発言も踏まえまして少し答弁させていただきますと、強制起訴がなされた段階で法務省がどうするか。シミュレーションの中で、送達方法としては、外交ルートを通じるのか、刑事共助手続にのっとって法務省の方に要請してくるのかというシミュレーションはいたしました。しかし、そうしたシミュレーションをいたしましても、法務省の方から裁判所に、では下さいと言うべきことではございませんので、あくまでも裁判所の判断でございますので、黙っておったということでございます。
 ただいまの質問の中で、中国が断ってきた場合どうするかということでございますが、共助条約の中に、中国の判断で、国内法に違反しないというふうに中国が判断すれば必ずしも協力に応じなくていいというような条文もございます。ただ、それを使ってくるかは、これは中国がどういうふうにするかの問題でございますので、今私が、中国がこうしてくるからこうなったということは申し上げにくいところでございますし、そうした仮定の話でこれから外交関係が生じることを今言うことも差し控えたいと思いますが、共助条約の条文上そうした条文もあるというようなことを踏まえまして物事は進んでいくんだと思いますが、中国がどうするかということについて、私どもの方がそれを強制できるという筋合いのものではないということは御理解いただきたいと思います。
○河井委員 強制できない強制起訴だということぐらいわかっていますよ。
 その上で、もし断られてきたときに、法務大臣としてどういう対応をとっていくかということについてお答えくださいと言っているんです。
○小川国務大臣 これは、裁判所からの要請を受けて、刑事共助条約にのっとって送達の手続は当然行うわけでございますが、それが中国の方で協力できないということであれば、これは、いわば共助に伴う事務が遂行できないわけでございますので、できなかったということを裁判所に報告させていただきます。
○河井委員 先ほど大臣は答弁で、言わずもがなの御答弁があったんですよ。中国側がこういうふうな反応をしてくるんじゃないかという。私は、それは、今、日本国の法務大臣がこういう場で言う必要がないようなことを、あたかも中国側にこういうふうに言ってくださいと模範解答を日本の法務大臣が国会の場で言ったということなんですよ。私は、ちょっと今の御答弁を聞いていてびっくり仰天をいたしました。
 もし向こうが断ってきたらどうするか。それは断られてきましたと裁判所に言う。それだけで日本の法務大臣はいいんでしょうか。さらに中国政府に対して法務大臣として何か対応をとるべきじゃないかと私は考えるんですが、大臣の所感を伺います。
○小川国務大臣 決して中国側に対応を示唆したとかそういったことではなくて、そうした条項があるという刑事共助条約の条約の中身そのものを一部お話ししたわけでございます。
 それで、断られてきたらどうするか云々というのは、まだ送ってもいない段階で断るということをいわば前提にしたお話もしにくいところでございますので、今の段階では、その点をどうするかということについても答弁は差し控えさせていただきます。
○河井委員 この問題は、まだこれから先、那覇から最高裁を通じて法務本省に来て、また中国側にわたると思いますので、折に触れて、同僚も含めて質疑を続けていきたいと存じます。
 次に、大臣の所信表明の中で、冒頭に書かれておりましたのが広島刑務所逃走事件、一月十一日に発生した中国人受刑者の脱獄事件。私が広島出身ということもありますけれども、それだけじゃなくて、まさに近隣地域を初めとして、百十八万広島市民を恐怖のどん底に陥れた三日間でありました。あなたの表明でも冒頭に触れてある。当然だというふうに思っております。
 逃走中に刃物を所持し、報道では、この受刑囚は殺人未遂など合わせて十の罪を犯し、懲役二十三年、中国人窃盗団、組織的窃盗団の首謀者でもある。かつて警察官への発砲なども行った凶悪犯で、明確な逃走歴もある。広島市の市民、特に幼稚園、保育所、小中学校、その児童生徒、園児、あるいはその保護者、どれだけ恐ろしい三日間だったか。これはもう本当に現場にいないとわからなかったことだと思います。
 もし、この李国林受刑囚が広島で逃走中に一般市民に傷害を負わせていたら、どうなっていたか。もし、この李国林が民家に立てこもって人質をとっていたら、どうなっていたか。もし、最悪の場合、一般市民を殺傷するようなことが起こっていたら、一体どうなっていたか。もう身の毛がよだつほどです。恐らく、そうなっていれば、小川法務大臣は責任を持って辞任を余儀なくされていた、そう思いますし、今の内閣への国民の支持はさらに下がっていたのは間違いない。何も起こらなかったのは、大臣、たまたま、さまざまな運がよかっただけだと私は思っているんです。
 きょうは、ちょうどその李国林受刑囚の広島地裁における初公判の日でもあります。
 初めに、大臣にお尋ねをいたします。
 今回のこの逃走事件は、広島刑務所だから起きた固有の原因、背景があるのか否か、教えてください。
○小川国務大臣 まず、この逃走事件につきまして、委員が御指摘されるとおり、大変に近隣の住民の方に御迷惑を、御不安をおかけしましたことを大変深く申しわけなく思っておるところでございます。
 ただいまの質問でございますが、広島刑務所が塀の仮設工事中であったという固有の事情もございますが、それだけではなくて、刑務行政の中で、受刑者の心情把握とか、あるいは運動中の監視であるとか、そうした日常の面につきましてもやはり反省すべき点があったということでございます。いわば、両方が重なり合ったことによって起きた事故であると承知しております。
○河井委員 両方というお答えは、つまり、広島刑務所固有の背景もあったし、刑務行政全般の背景もあったということですね。お答えください。
○小川国務大臣 そういうことでございます。
○河井委員 二月二十九日付で、法務省矯正局は広島刑務所逃走事故検証結果報告を公表いたしました。今手元に持ってきております。そこに書かれているのが、刑務所職員の気の緩みであるとか、物的設備の不備、初動のおくれ、そして李国林の心情把握の不徹底などが検証されて、それぞれの結果に基づく再発防止策が書かれてあります。これですね。
 大臣は、この報告書をじっくりとごらんになったでしょうか。
○小川国務大臣 読んでおります。
○河井委員 ならば、お尋ねします。
 二十四ページをお開きください。近隣住民への通報の不備という部分です。「ア」というところに、上から五、六行目、広島刑務所が、実際に職員を地元自治会長らへ派遣し、手配書を配布するなどの対応を行ったのは、午後一時〇五分ごろから同三十八分ごろまでの間であった。つまり、近隣住民への具体的な情報提供は、逃走から二時間半から三時間後だったわけです。この報告書には、「遅きに失したものと認められる。」と「ア」の一番最後に書いていますね。
 大臣にお尋ねしますが、通報のおくれ以外に、近隣住民への通報について、情報提供について何か問題はほかになかったのか、お答えください。
○小川国務大臣 通報のおくれ以外に、例えば逃走した受刑者の特定のための写真の情報であるとか、そうしたものが必ずしも直近のものがなかったりというようなことで、不十分な面があったというふうに反省しております。
○河井委員 古い写真の情報が問題だったと。それ以外には問題なかったんですか。
○小川国務大臣 住民との関係の場においてでございますね。
 あとは、通報だけでなくて、通報した後の住民との協議、連絡、こうしたものも不十分であった、このように反省しております。
○河井委員 今の大臣の答弁で、問題だったことが何かということを把握していらっしゃらないということがよくわかりました。
 大臣、具体的に、刑務所がそのとき配布した、ここに手配書と書いているでしょう、広島刑務所が地元自治会長に職員を通じて配布した。どんな手配書だったか、実物をごらんになったことはありますか。
○小川国務大臣 今そんなに直接、自信はないんですが、似顔絵だったように思いますが。
○河井委員 似顔絵ではないんです、顔写真ですが。何かもし後ろから出てくるのなら。
 ちょっと速記とめてくださいよ、時間もったいないから。
○小川国務大臣 失礼しました。
 最初は、似顔絵ではなくて写真でございました。
○河井委員 いや、だから、今後ろから言っていることを含めて、もう一回整理して答弁してください。
 どういうものをこの段階で職員が地元自治会長に持っていったのか。
○小川国務大臣 この写真に、あと細かい、本人の氏名等身上関係でございます。
○河井委員 だから、身上関係をどうしたんですか。
○小川国務大臣 記載したビラを配ったということです。
○河井委員 今の大臣の答弁は誤りです。
 私が、当時、その時間帯に刑務所の職員が地元自治会長に配った手配書をここに持ってきております。これだけです、大臣。御存じなかったんですね。これだけですよ。ほかに何も、年齢も性別も、身長、体重すらも書かれていなかった。受け取った地元の町内会の皆さんは、こんなもの一枚、A4の紙をもらっても、戸惑うだけですよ。そうでしょう。(発言する者あり)いや、だから、これ。これを持ってきただけですよ。
 ちょっと、大臣、聞いてくださいよ。それで、職員とやりとりする中で初めて、身長百七十六センチ、六十六キログラムということを、この字は地元町内会の方が書き込んだ。そして、慌てて、これも緊急回覧という形で、どこの町内会かはちょっと今は言いませんけれども、刑務所のすぐ横の町内会の皆さんが、緊急回覧ということで、これを添えて一斉に配り始めた。
 つまり、情報提供の不備というのは、おくれたということだけではない。決定的に重要な、しかもこの写真、さっき大臣もお認めになったけれども、三年半前の、実際はこの写真よりも頬がこけているし、実物は年齢もいって少し老けている、そういうふうに言われている、こういうものをただ持ってきただけなんですよ。
 この対応は適切だったでしょうか、どうでしょうか。
○小川国務大臣 事故直近の写真ではなくて、およそ十年ぐらい前の写真を持っていったというようなことで、犯人の特定のための情報が非常に不十分であったということはしっかり認識しておりまして、反省すべきであるというふうに認識しております。
 ただ、委員が御指摘されたように、配ったものについての、ビラが具体的に詳細であったかどうか、具体的な詳細についてまではまだ、私、正確には記憶しておりませんでしたが、住民に提供した資料が非常に不十分であったということの認識は持っておりまして、それについては当然反省すべき点であるというふうに考え、反省しております。
○河井委員 この対応は適切ではなかったとお認めになりますね。
○小川国務大臣 失礼しました。私、十年前の写真と申し上げましたが、委員が述べられたとおり三年前の写真でございました。
 それで、やはり、住民等に対する情報提供は不十分であるということで、反省すべき点であると思っております。
○河井委員 矯正局長、きょうお見えだと思います。
 矯正局長は、この事実、つまり顔写真A4一枚だけしか配られなかったということを御存じですか。
○三浦政府参考人 住民の方々に対しまして実際に配られた紙がそのようなものであったということについては、正確に承知しておりませんでした。
○河井委員 この一つをもってしても、この報告書、二月二十九日付に最終報告と銘打っていますけれども、最終でも何でもないんですよ。私がちょっといろいろと現地で聞いただけでこれだけの話が入ってくる。私はまだまだ不十分なことが多いと思う。
 大臣、この報告書と同日に懲戒処分が発令されました。懲戒処分に記載された処分理由にこのことが載っていないんです。処分理由、「エ 近隣住民への情報提供が遅延したこと。」しか載っていない。遅延に加えて、内容が決定的に不足していたということが漏れている。いかがですか。
○小川国務大臣 確かに、この文書によりますと、「エ」として、「情報提供が遅延したこと。」ということで、遅延しか書いてありません。確かに、委員御指摘のとおり、遅延だけでなくて情報提供が不十分だったということが、御指摘のとおりでございます。
 ただ、少し弁解させていただきますと、この処分の時点で不十分であったということを全く認識していなかったということではなくて、十分不十分なものであったということを認識しておったわけでございますので、その不十分なことが、処分の状況から漏れたのではなくて、この記載自体が、つまり、「情報提供が遅延した」ということしか書いていないこの記載自体が必ずしも十分でなかった、このように考えております。
○河井委員 今大臣からこの記載が十分じゃなかったという御答弁がありましたので、もう一度この処分については発令をし直すわけですか。当然、その理由が異なっているわけですから、さらに重ねて、遅延に加えて、情報提供が十分じゃなかったといういわば処分の理由が加わったわけですから、今後具体的にどういう処置をしていかれるのか、報告書の見直しも含めた、処分の見直しも含めて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○小川国務大臣 この検証結果報告書、三十一ページでございますか、今後の取り組むべき点としまして、「地域住民に対する情報提供体制の整備」ということで、「逃走事故が発生した際に、施設から地域住民に配布する情報提供書面を新たに整備した。」というふうに記載しておりまして、委員が指摘した、情報の内容が不十分であったということの反省もしっかりと踏まえて、また、そうした事実もあることを認識した上で、検証結果を出しておるものでございます。
○河井委員 お答えになっていないんですけれども、つまり、この最終報告は、再調査をするつもりはないということですか。
○小川国務大臣 確かに、委員御指摘のとおり、処分のところでは、通報のおくれ、遅延ということしか記載がないのでございますが、この検証の結果の中で、近隣住民に対する通報の中身が不十分だったということも当然含んだ上での措置でございますので、今の段階では、さらにということは考えておりません。
○河井委員 大臣、今述べた、今回の事件の結果とられた処分についてお尋ねをします。
 この処分理由について、もう一度、大臣からこの場でお読みいただきたいと思います。
○小川国務大臣 「不十分な施設警備の状態を漫然と継続させたこと。」今のが「ア」でございます。「イ 不十分な保安設備の状態を漫然と継続させたこと。」「ウ 運動立会勤務をした際、受刑者の戒護に適正を欠いたこと。」「エ」として「近隣住民への情報提供が遅延したこと。」この四点でございます。
○河井委員 以上四点、特に私がこれから尋ねたいのは、「不十分な施設警備の状態を漫然と継続」及び「不十分な保安設備の状態を漫然と継続」という点についてであります。
 今回処分を受けた人たちの中で、これは名前が明らかになっていますから、実名を言います。嶋田博前所長、それから瀧本英之前処遇部長及び処遇部の首席矯正処遇官の、頭文字がFさんとなっています、統括矯正処遇官のGさん、主任矯正処遇官のHさん、この四名にそれぞれ共通する処分理由は何でしょうか。
○小川国務大臣 「ア」と「ウ」でございます。
○河井委員 いや、それなんですけれども、その横に括弧で「監督責任」と書いていますね。
○小川国務大臣 そうでございます。
○河井委員 つまり、監督責任が処分の理由であったということであります。
 実は、広島矯正管区長、泉俊幸さんとお読みするんでしょうか、地元紙、中国新聞の一月三十一日付の取材に答えて、いろいろなことをおっしゃっている。こういう見出しであります。「死角認識 指導不足認める」。
 この矯正管区長さんは、去年の四月の着任以来、事件発生までに二度現場に行っていることを認めた上で、このようにお答えになっている。「工事中のため仮塀が多くあり「迷路のようになっていて、死角が多いと認識した」」「しかし」「正直言って(脱走は)まずないだろうと考えた」。つまり、大臣、この管区長さんは、工事中で注意が必要であるという認識は抱いていた、にもかかわらず、その状態を放置していたということなんです。「死角認識 指導不足認める」、そういう新聞記事になっている。これはまさに、先ほど大臣にわざわざ朗読をしていただいた処分理由の「ア」と「イ」、つまり、不十分な施設警備及び保安設備の状態を漫然と継続させていたのは、刑務所長とか処遇部長だけではなくて、その上司である矯正管区長みずからが、二度現場に足を運んで、もう一回言いますよ、「迷路のようになっていて、死角が多いと認識した」「しかし」「正直言って(脱走は)まずないだろうと考えた」。
 今回のこの本省の矯正局がつくった最終報告書には、何度も、脱走などあり得ない、逃走事故が発生するはずはないないとの刑務所職員の気の緩みという、刑務所の職員に対して大変厳しい表現、そして実際に処分結果が明らかになっている。でも、現場の職員だけじゃなくて矯正管区長も同じじゃないんですか、大臣。
○小川国務大臣 確かに、一般的な意味では、監督責任というものは、監督者があり、その上の監督者と連なっていくわけでございますが、今回の逃走事故は、一番肝心な逃走防止壁である外壁が工事中であったという事情でございます。これが広島刑務所固有の事情でございますが、工事中という特有な事情でございますが、工事中でなくても、運動中の監視、あるいは運動場の中に内塀を越えられるような設備があったというような点もございました。これは、いわば工事中という一時的な要素ではない、反省すべき点だというふうに思っております。
 ただ、今回、こうした逃走事故で刑務所の外に出たということがやはり一番重要なことであります。もちろん、中で勝手に移動されてしまうこともこれは好ましくない、好ましくないというか、これは許されてはならないことでございますけれども、外塀を越えて近隣の方に御迷惑をかけたということがやはり結果としても一番重要なことであるわけでございますが、その一番重要な点の外塀を越えたという、その外塀に関しましては、工事中の状況によってそれが上がれるようになっていたということが、あるいは防犯線が一部解除されていたというような点が一番重要でございます。
 工事の状況は日々変化するものでございます。そうしますと、日々変化する状況をやはり把握するのは現地の所長が中心であって、矯正管区長は、日々刻々変化するところまで直接の監督責任をと考えると、所長の方に重大な責任があって、管区長の方には監督責任で処分をというほどの責任はないのではないか、このように考えて、指導にとめさせていただいたわけでございます。
○河井委員 なぜ、死角認識、二度も現場に行って、指導不足をメディアに対して認めている担当の矯正管区長の監督責任は問わないで、現場にのみ責任を押しつけようとしているのか。私にはそのようにしか受けとめられない。
 先ほど、大臣、あなたは冒頭に、この事件は全国どこでも起こり得る、つまり、広島固有の事情があり、もう一方は、刑務行政全般に見受けられるさまざまな問題があるというふうにはっきりとお答えになった。つまり、これは法務省全体の問題だというふうに私は思っているんですよ。仕事というのは、当たり前ですけれども、作為、不作為を問わず、起こした行為に対しては責任をきっちりとるということがあって初めて組織は成り立っていくと私は信じております。
 そういう面で、今大臣が、最後のとりでである仮塀……(小川国務大臣「外壁」と呼ぶ)外壁前の仮塀のことをお触れになりましたけれども……(小川国務大臣「足場ですね」と呼ぶ)足場、そして仮塀、では、この設計は役所のどこが行ったんですか。これでいいというふうに判断したのは一体どこの部署ですか。
○小川国務大臣 大臣官房施設課でございます。
○河井委員 本省の大臣官房施設課が、これでいいという判断のもとに仮塀の設計をしたということで間違いないですね。
○小川国務大臣 はい、そのとおりでございます。
○河井委員 もう一つ、運動場から李国林が用具倉庫の屋上に上りました。これが一番最初なんですよ。あといろいろなところ、エアコンの室外機に行ったりとか、雨水管を上ったりとか、蒸気配管に行ったりとか、工事用のパイプを足場で行ったりとか、さっき大臣がおっしゃった足場を利用したりとか、いろいろなことがあるけれども、一番最初は運動中に用具倉庫の屋上に上った。
 では、これは矯正局長でいいけれども、用具倉庫から東側のコンクリート壁二・六メートルを乗り越えたという説明でありますけれども、その間はどれぐらいの距離、誰か逃走を助けたような人間がいたのかいなかったのかも含めて、一人で乗り越えられるぐらいの距離に用具倉庫とコンクリート壁があったのかどうか、お聞かせください。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
 運動場南東の用具倉庫からその東側の内塀の間の距離は数十センチであったものと認識しております。
 それを乗り越える際に誰か手伝っている者があったかどうかということでございますが、私どもの調査した範囲では、そのような者がいたというふうには認識しておりません。
○河井委員 今矯正局長から数十センチしか離れていないという説明がありました。実際そのとおりだと思います。
 もちろん、刑務所という施設は、言うまでもなく、最後のとりでが一番外にある外塀、これは数メーターの高さ、施設によって違いますけれども、絶対乗り越えられないはずなんですけれども、今回乗り越えられちゃったけれども。それが最後のとりでではあるけれども、その前にさまざまなところで落ち度に落ち度が重なったから、この事件が発生したわけですよ。
 この用具倉庫をコンクリート壁からわずか数十センチの距離に建てることを、この設計をしたのは一体役所のどこの部署ですか。
 委員長、ちょっと速記をとめてください。(発言する者あり)
○小林委員長 大臣、すぐ答えてください。
○小川国務大臣 昭和、かなり古いことでございます、また小規模な施設ですので、申しわけございませんが、今ちょっとこの場ではわかりません。
○河井委員 一般論で結構ですけれども、大臣官房の施設課がかかわらない施設の整備あるいは建設ということはあり得るんでしょうか。矯正局長、お答えください。
○三浦政府参考人 今回のような大きな改築工事全体ということになりますと施設課の方で行っているというものが通常であろうと思いますが、今御指摘の用具倉庫、あるいはその東側の内壁が実際にどうであったかということにつきまして、あるいは、そのような場合に一般的にどうかということについては、必ずしも施設課がかかわらない場合もあるのではないかと思いますが、ちょっとそこは今の段階で確たることは申し上げられません。
○河井委員 いずれにしても、広島刑務所だけの問題ではなくて、先ほど言いました仮塀の設計とか、そういったことについては本省の施設課もかかわっている。結果として逃走を可能にするような設計をした責任は、それでも大臣、法務省本省あるいは広島矯正管区にはないんですか。
○小川国務大臣 もちろん、責任がないということはないと思います。ただ、処分するまでの責任かどうかというところの判断だと思います。
○河井委員 本当に繰り返しますけれども、もし李国林が民家に立てこもって市民に危害を与えるようなことが起こっていたら、それはもう本当に法務大臣は一瞬にして吹っ飛びますよ。内閣自体が屋台骨を揺さぶられるぐらいのとんでもない事案なんですよ。だから私は、この点をしっかりと大臣に認識を確認しなきゃいけない責務がある、そう思っています。
 組織の責任のとり方といえば、私は、前田恒彦主任検事が引き起こした二〇一〇年九月の大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件、これもまたとんでもない事件でした、これを思い出します。
 当時、彼の上司であった、大阪地検検事正としての監督責任を問われた三浦福岡高検検事長は、減給の後に依願退官。大阪高検次席検事として監督責任を問われた太田京都地検検事正は、戒告。そして、本部の伊藤鉄男次長検事は、大臣訓令に基づく検事総長の訓告。
 大臣も法曹のことはよく御存じですからお尋ねしますけれども、彼らはみんなあの前田検事と業務上の関与があったんですか、あったから処分を受けたんですか。
○小川国務大臣 監督責任と承知しております。
○河井委員 もちろん、起こったことはとんでもないことです。この前田恒彦当時の主任検事が引き起こしたことはとんでもないこと。ただ、私は、一方で、やはり、検察組織として責任のとり方というものは世間に示すことができた、そう考えているんです。
 一方で、今回のこの事案、どうも現場の話を聞いていると、現地にばかり責任を押しつけて、さっき大臣、冒頭おっしゃったじゃないですか、これは広島刑務所固有の背景だけではなくて、刑務行政全般にかかわっているさまざまな問題が背景にあるんだ。今回のことについて、誰も、固有の人を、特定の人をやり玉に上げたいとかそんなつもりで私は言っているんじゃない。ただ、組織というものは、作為、不作為を問わず、間違った行為をしでかしたときにはきっちりと責任をとるというのが組織の規律を保つ道だ。しかも、このような、毎日最前線で厳しい仕事をしている矯正関係の人たちの組織であればなおのことだと思うから、私は大臣に聞いているんです。
 それでも、広島矯正管区長あるいは本省の担当者に対する監督責任は感じられないと大臣はお考えなんですか。
○小川国務大臣 確かに、この事件、付近の方に与えた不安、恐怖は大変大きなものがあると思いますし、また、委員が御指摘されるように、逃走犯が市民に殺傷など新たな重大な犯罪を犯したらということを考えますと、本当に背筋が凍るような事件でございました。その分、本当に近隣の方に与えた不安、恐怖は大きいし、刑務所の反省すべき点が非常に重大であるというふうに認識しました。また、認識しましたから、私もすぐに、地域の方に謝罪しなければいけないということで、広島に赴いたわけでございます。
 また、矯正管区長以上の監督責任というもの、これは当然ございます。ただ、その責任が、個人の処分をするのがどうか、もう一つは、今後、再犯といいますか、同じような事故を決して起こさないということにウエートを置いて、その取り組みに期待するのかどうか、さまざまな点を考慮して、私から、厳重な指導、そして今後こうしたことを起こさないことの改善に取り組むようにということの措置をしたわけでございます。
○河井委員 少し前の話になりますが、大臣、ニューヨークの地下鉄の割れ窓理論という話をお聞きになったことはありますか。治安の悪化というのは、最初は小さなところから始まっていくんだ。地下鉄の車両に落書きされたりとか、あるいは窓をぱっと破られたりとか、そういうところからだんだんと治安は悪化していくんだと。まだ芽が小さいうちにしっかりとその芽は潰しておかなきゃいけない。それには、組織としてやはり、個人をどうこうではなくて、でも、最後は一人一人その役職についている人に対しての監督責任を追及する処分しか私はあり得ないと思う。
 先ほど、中国新聞の取材に答えた広島矯正管区長は、去年、二回、広島刑務所を視察した。一回目は、四月の着任直後だったのでしょう、新任の挨拶回りも含めてなんでしょう。二回目、九月に視察をしたときは、矯正管区長は何を目的として、同行した人は一体誰だったのか、矯正局長にお尋ねをします。
○三浦政府参考人 昨年の九月の視察の際には、私が実際にその広島刑務所を視察しておりまして、管区長が一緒に視察をしたというものでございます。
 一点だけ、先ほどの質問に関する訂正でございますが、先ほど、用具倉庫と内塀の距離について、数十センチと申し上げましたが、今情報を確認したところ、百十六センチほどあったということでございまして、本点は訂正させていただきます。
○河井委員 まさに、大臣、本省の矯正局長さんも去年の九月に現地を見に行っている。
 矯正局長、現場をずっと見て、何か感じるものはなかったでしょうか。
○三浦政府参考人 工事等の関係で申し上げますれば、確かに戒護区域内にもいろいろ工作物がございまして、見えづらい箇所があるということは私も見ております。当時の所長の説明でも、例えば朝の出役の際に見えづらい場所があるので、人を増配置して事故等が起きないように工夫をしているというような説明を受けたことを記憶してございます。
○河井委員 矯正局長、泉管区長が答えた「迷路のようになっていて、死角が多いと認識した」、でも、「正直言って(脱走は)まずないだろうと考えた」という彼の認識は、矯正局長がその現場を見たときの認識と近いものがありますか、それとも、管区長の言っている認識は大いに外れていると思いましたか。あなた自身、やはりここは危ないなという認識があったかどうかということです。
○三浦政府参考人 先ほど申し上げましたように、表現はやや異なりますが、戒護区域内でも見えづらい場所があるのも事実でありますし、所長自身、その点に気を使って、人を増配置するというような体制をとるということでございましたので、そのような十分な対応をとる必要がある状況であるというふうに私も感じておりました。
○小林委員長 では、時間が来ておりますので、短く。
○河井委員 質問を終わりますが、大臣、以上のいろいろな答弁でも明らかになりましたけれども、この矯正管区長も、そして本省の矯正局長も同じような認識を抱いていた。つまり、この広島刑務所の状況については、上の方も含めて問題があるということは認識したまま、漫然と継続をしていたという、先ほどの現場の職員に対する処分理由、感じていたわけですよ。
 私は、繰り返しますけれども、もう次、同じようなことは絶対起こさないんだと、本当に強い決意と、もし未遂でも逃走事件が起きるようなことがあれば、それこそそのときは大臣の職を賭してやるんだという決意と覚悟が、残念ながら小川大臣からは感じ取ることができない。まずは、監督責任を具体的な処分という形でお考えになることがその第一歩だし、その個人がどうのこうのじゃなくて、その役職についている人たちの緊張感がなさ過ぎる。
 以上で私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○小林委員長 次に、柴山昌彦君。
○柴山委員 自由民主党、影の法務大臣柴山昌彦です。
 今の河井委員からの広島刑務所についての質問に関連して続けさせていただきます。
 大臣は、所信表明の冒頭で、今の広島刑務所の受刑者逃走事件について、心よりおわび申し上げますと謝罪された上、原因の究明に努めるとともに、講じるべきと認められた再発防止策については既に講じてきたところですが、今後とも、このような事件の絶無を期すべく、取り組みを進めてまいる所存ですと高らかに宣言されました。三月二日、わずか二週間前です。しかし、一昨日、十四日午後、愛媛県松山市の少年院にて、十五歳の少年が逃走する事件が発生してしまいました。
 大臣、再発防止は、同じ矯正局の施設である少年院には及ばないんですか。
○小川国務大臣 いや、もちろんのこと、少年院についても逃走はあってはならないことでございますので、再発防止、少年院も含めて、徹底的に起こさないように指示したところでございます。
 この松山少年院につきましても、フェンスを今回乗り越えられてしまったわけでございますが、これまで、フェンスの網の目が粗くて、いわばその目を爪先の足がかりにして登れるようなものであったと。実際、そうしたものであったためにフェンスを登られてしまったわけでございますが、ちょうど、そうした観点から、フェンスの目を細かいものにして、足がかりとならない、すなわち、フェンスを乗り越えがたいものに順次かえていくさなかで起きてしまったことでございます。
 もちろん、そのような逃走を起こしたこと、これはまことにもって申しわけなく、深く反省しているところでございます。
○柴山委員 私の質問になるべく短く、端的に答えていただければ結構です。
 要は、広島刑務所の事案について、再発防止策のためにどのような対策をとり、そして、今、少年院も対象だというふうにおっしゃいましたけれども、どの範囲の施設にその再発防止策を周知したんですか。
○小川国務大臣 これは、法律に基づいて、いわば、さまざまな受刑者等あるいは少年等を収容する施設全部でございます。
○柴山委員 どのような対策をとったんですか。
○小川国務大臣 一つは施設面でありまして、脱走の手がかりとなるような施設をもう一度チェックして、それを改善するということ。もう一つは、受刑者あるいは収容中の者の心情把握等、行動観察等、これを徹底して、そのような逃走の意欲を起こさせない、逃走の気配があればそれをすぐに察知して対応する、この面でございます。
○柴山委員 そういった再発防止策について、先ほどの河井委員の質問に対しても、報告書を取りまとめたということで御説明はいただきましたけれども、そのような中で、今、私が冒頭申し上げたような少年院の脱走事件というものが発生してしまったわけなんです。フェンスの網の目がどうたらとか、そういうお話はありましたけれども、結局のところ、こういった形で、周知徹底がされてもやはりこういう事件が起きてしまった。本当に大丈夫なんだろうか。私も河井委員と同じ問題意識を持つものであります。
 しかも、今回事件が発生したその松山学園の、石原学園長はまだいいです。謝罪申し上げます、二度と起こさないようにいたしますとコメントされたのに対して、宇野次長は、初等少年院は刑務所と違い開放的だ、適正な人員配置をした上で逃走があっても仕方ないとコメントしているというんですよ。
 大臣、大臣の認識はどちらですか。
○小川国務大臣 逃走があってもしようがない、そういう認識は決して許されるものではないと思います。逃走があること自体、これは絶対にあってはならないことだと思います。
 ただ、一つの事情としまして、やはり少年院は、刑罰というよりも少年の更生というものを主眼に置いて、施設も開放処遇ということで、いわばなるべく社会に近い形の中で少年に更生してもらおうという努力をしておるところでございます。そうした意味で、その開放処遇、また、これは短期の収容でございますので、比較的非行の程度が軽い者ということでございます。そうした中で、いわば開放処遇ということと、厳重な施設、例えば窓に鉄格子を入れるとか、そうした面との兼ね合いがございまして、難しいところの折り合いどころでこうしたことが起きてしまったのかなと思います。
 ただ、開放処遇だから脱走があっていいということでは決してございませんので、深く反省いたしております。
○柴山委員 大臣、この少年は傷害や恐喝などで、しかも、収容されたのはそんな前じゃないですよ。先月下旬から当該少年院に入っていたということなんですよ。
 このようなことがあると、地域住民も非常に不安になるんじゃないんですか。いかがですか。
○小川国務大臣 御指摘のとおりでございます。
○柴山委員 さっき大臣は、少年院と刑務所の違いについていろいろとコメントされていましたけれども、これまで五年間で全国の刑務所及び少年院の逃走件数を教えてください。
○三浦政府参考人 本年発生いたしました広島刑務所、それから松山学園の逃走事故のほかで申しますと、平成十九年の一月から平成二十三年十二月末までの間の逃走件数は、刑事施設が一件、少年院が七件でございます。
○柴山委員 母数がかなり多いですけれども、一件と七件ということです。やはりこういったデータもしっかりと関係者の方には胸にとどめおいて、そして対策を立ててほしいというように思っています。
 あと、今回の少年院については、事案の経緯についても報道がまちまちなんですよ。あるものでは、授業を終えて移動中に突然窓をあけてフェンスを乗り越えたということになっていますし、別のものでは、一階の図書室で授業を受けていたが、窓をあけて網戸を外して建物の外に脱出して、約三メートルのフェンスをよじ登り、逃げたという話になっています。
 一体どうなっているんですか。そして、監督者に落ち度はなかったんですか。
○三浦政府参考人 今回の事故の詳細につきましては、現在調査中でございますので、その調査の結果を待って詳細が明らかになると考えておりますが、現段階におきましては、私ども承知しているところでは、当日の状況としては、教室棟の図書室におきまして授業が行われていて、それが終了し、移動のために少年らに出入り口の方に向かうよう指示していたところ、その少年が今いた図書室の窓をあけて網戸を壊して屋外に出たという状況であったと承知しております。
○柴山委員 私は、監督者に落ち度はなかったのかということを聞いたんですけれども。
○三浦政府参考人 失礼いたしました。
 監督者の落ち度を含めまして、問題点については現在調査中でありますので、その結果を待って判断をいたしたいと考えております。
○柴山委員 ほかの生徒たちが入り口に向かって歩いていったのに、一人だけ窓の方に行って窓を、今お話をさせていただいたとおり、網戸を外してということをやり出したら、それは、おい、おまえ、ちょっと待てと言うのが私は当然だと思うんですよね。だから、開放処遇だ何だ、鉄格子だ何だというようなお話がありましたけれども、私はやはり、監督している人の気持ちの持ち方とか、そういうことが今回大きく問われるんじゃないかなというように思っております。
 政府は、今回、少年院や少年鑑別所についての運営状況をチェックする第三者機関の設置ですとか、あるいは処遇に対する不服申し立て制度の整備を柱とする少年院法案、少年鑑別所法案を閣議決定したということなんですけれども、今後は、対象者のこうした事例に対して、別の意味で、要は規律を厳しくする方向で、改善策をとるというおつもりはありますか、大臣。
○小川国務大臣 特に従来に比べて厳しくするということではありませんが、ただ、規律の面に関しましても、個々具体的にそれをきちんと記載しまして、規律の面につきましても、それはしっかりと少年に守っていただくという観点からも取り組んでおります。
○柴山委員 要は結果なんですよ。結果としてやはり不祥事が起きてしまったら、それまでどのような取り組みがされていたかということは、努力はあったかもしれないけれども、そういうまずい結果が出てしまったということでしか評価はされないということを、くれぐれも御理解をいただきたいと思っております。
 次に、死刑の問題についてお伺いします。
 千葉景子元法務大臣によって法務省内に設置された死刑の在り方についての勉強会が、このたび報告書を取りまとめました。大臣はこれをお読みになって、どのような感想を持たれましたか。
○小川国務大臣 報告書の記載云々よりも全体的な感想でございますが、やはり、死刑の存廃に関しましては、死刑の制度を存続するという方の考えと、いや、死刑制度は反対するべきだという方の考えというものが、かなりそれぞれが強固な考え方に基づいて主張されているなと。そして、そうした主張される点を議論して一つの方向性に向けていくには、まだそういう時期ではないなと、そのような印象を持っております。
○柴山委員 ただ、二月二十一日の予算委員会で私が大臣に対して質問したときに、大臣は、死刑制度に関しての検討については、検討状況のまとめを見て判断するという考えでおりますというふうにお述べになったということを、お答えをいただきました。
 今、大臣がおっしゃったように、結局、両論併記ということになると、これで今後何らかの制度設計の変更というものは、結局、実現されないということでよろしいわけですね。
○小川国務大臣 私の認識では、勉強会そのものが何らかの制度設計を目指す、あるいは死刑制度に関して意見集約して何らかの制度の実現を目指すというものの勉強会ではなくて、存廃について勉強しよう、状況を知ろうという勉強会だったと認識しております。
○柴山委員 認識を深めていただくのは結構ですけれども、結局、これもさっき広島刑務所について私が質問したことと同じなんですけれども、ただ勉強しているだけで、それが何らかの形の果実あるいは成果というものに結びつかなければ、それは何のために一生懸命みんなで勉強していたんだという話にもなりかねないと私は思うんですよ。
 ですから、そういった勉強して詳細な報告書をまとめていただいたということは、もちろんいいことではあると思うんですけれども、では、それをどうするかということについて、しっかりと大臣として判断をしていただきたいなというように思うんです。
○小川国務大臣 刑罰のあり方、これはやはり国民が決めるものだと思っております。いわば刑罰権は国民にあるものと思っております。
 そうした意味で、法務省の方で今回勉強会をして、存続の考え方と反対するという立場の考えの方、さまざまな考え方というものを勉強した。そのさまざまな考え方を、いわば国民の皆さんに披露して、そして国民の間でいわば死刑制度のあり方について十分議論していただきたいなと、このような趣旨でございます。(発言する者あり)
○柴山委員 今、ちょっと理事席からも声があったんですけれども、国民での議論に委ねますといっても、結局、この問題は立法の問題なんですよ。国民投票にかけて決めるという話ではないんです。
 大臣は、私の予算委員会での、あのときの質問に対して、現在、死刑の未執行者が百三十名を超えているという状態は認識しております、つらい職務ではあるが職責を果たすというその考えは述べておりますとお答えになりました。
 今この時点で、職責を果たす上で、現在、制約となっているものはないことを改めて確認させてください。
○小川国務大臣 まず、ちょっと前の点ですが、今、現に刑法で死刑制度というものがあるわけでございます。ですから、国民の議論に委ねるといっても、全く新たに、新たなものをこれからつくろうということではなくて、今現在、死刑を定めた法がある、その法を変えていくという動きをするまでの国民の合意ができていないなということでございます。
 それから、今質問をいただきました点につきましては、職責を果たす、つらい職務であるけれども職責を果たすという考えは一貫して変わっておりません。
○柴山委員 何度かこの場でも申し上げていますし、予算委員会でも申し上げましたけれども、刑事訴訟法四百七十五条二項は、死刑判決確定から六カ月以内に、法務大臣は、一定の場合を除き、死刑執行を命じなければいけないと定めております。法律改正案を提出しないのであれば、死刑をお引き受けになった小川法務大臣の責務は明白であるということを改めて強調させていただきます。
 その上で、ちょっとお伺いしたいんですけれども、自民党政権時代、鳩山邦夫大臣が就任をされてから最初に死刑執行を命じられるまで、どのぐらいの時間がかかったんでしょうか。
○小川国務大臣 百三日でございます。
○柴山委員 小川大臣が就任されてから今まで、どれぐらいの期間がたったでしょうか。
○小川国務大臣 一月十三日ですので、二カ月と数日でございます。
○柴山委員 二カ月と数日。六十日ちょっとですね。今の質問のお答えも私は参考になるのかなというようにも思っております。
 次の質問に移らせていただきます。
 今問題となっているAIJ、これは投資顧問会社ではありますが、深刻な企業不祥事であると私は思っています。ただ、オリンパスや大王製紙など、株式会社の企業統治が問題となっている事案、これらも含めると、やはり私は非常に深刻な状況になっているのではないかというように思います。
 大臣が所信表明で話されたように、現在、会社法の改正に向けた作業が進んでいますけれども、今政府・与党ではどういう検討状況になっているんでしょうか。
○小川国務大臣 政府の方では、平成二十二年二月に法制審議会に対して諮問いたしました。そして、先月二十二日から法制審議会会社法制部会の審議が再開しております。今後、パブリックコメントの手続も踏まえて、さらに法制審議会の方で検討していただけるものと思っております。
○柴山委員 法制審、本格的に再開をされたということですから、拙速であってはいけないのかもしれませんけれども、先ほど申し上げたような深刻な状況の中で、しっかりと、ここでも強調しますが、結果を出すようにしていただきたいというように思っております。
 その上で、大臣の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
 以前、この会社法改正について、大口理事の方から、企業は誰のものかという大きな問題提起がありました。もちろんそれも非常に重要な視点だと思います。それに加えて、結局、こういったさまざまな不祥事、不祥事は一体誰が気がついて、どこでそれを是正するべきものなんでしょうか。
○小川国務大臣 なかなか、一般的で、ちょっと答えにくいところでありますけれども、本来、不祥事であれば、誰がどのように告発してもよろしいわけでございますが、例えば、商法上の点でございますと、監査役が会計監査人ですか、ちょっと済みません、正確を期しますので。(柴山委員「基本的な考え方を示していただければ結構です」と呼ぶ)基本的な考え方は、それは不祥事は誰でも告発できる、指摘できるというふうに考えております。
○柴山委員 そうなんです。不祥事は、気がついた者がそれを告発できるようにすることが大切なんです。
 ところが、企業の中にいる人は、当該不祥事の情報には接しやすいけれども、それをなかなか言い出せない。なぜならば、中にいる者が告発すれば潰されてしまうからなんです。一方、外にいる人は、潰されはしないけれども、中の情報がよくわからない。だから、これを組み合わせていくことによってしっかりとしたガバナンスを確立していくという視点が大切ではないかというように私は思っております。
 そういう意味では、社外取締役を設置して、そして外の目と中のさまざまな経営についての情報を両方持つ存在というものを義務化するというのは、私は一つの有力な方向であるというように思っておりますが、大臣、いかがですか。
○小川国務大臣 私も、方法論として非常に有意義な方法だと思っております。
 ただ、私にとって衝撃的だったのは、今回、オリンパスが巨額な不正をかなり長期間にわたって継続しておりました。このオリンパスには社外取締役がいたわけでございますので、そうすると、社外取締役が機能していなかったという点もございました。
 ですから、社外取締役を設ける、それから、その社外取締役の置き方あるいは仕事ぶり、こうしたことについてもやはり実効性があるものにするような検討が必要なのではないかと思っております。
○柴山委員 そのとおり、ただ置けばいいというものではありません。しかも、これを置けば解決するというものでもありません。しっかりと制度が機能するようにするほかのさまざまな制度設計も必要になってくるんです。
 そこで、大臣にお伺いします。
 今、民主党の中では、例えば、労働組合などから選ばれる従業員選任の監査役を設けるという制度が検討されているやにお伺いします。これは私は重大な問題点を含むというふうに思っておりますけれども、大臣の認識はいかがでしょう。
○小川国務大臣 今、党のワーキングチームの方で検討されているかどうか、ちょっと正確な情報はないのでありますけれども、やはり従業員が監査役あるいは取締役に入るということにつきましては、さまざまな観点から検討することも必要だと思っております。
○柴山委員 だから、具体的に何が問題かということをお聞きしているんです。
○小川国務大臣 従業員といいましても、従業員がくじ引きで入るわけでもないでしょうから、そうすると、従業員組合、労働組合かなということになりますと、労使のあるべき立場がどうなのかという根本的な問題も出てくると思います。
 あるいは、従業員であっても、それが、どこが選ぶのか、会社の意のままに選ばれる従業員であってはまた意味がないわけでございますから、従業員から取締役ということであっても、その中身によりましてやはりさまざまな意見があるものというふうに考えております。
○柴山委員 ちなみに、明文で、会社法の三百三十五条の二項は、監査するものとされるものの利益相反というものがあってはならないということが明定されております。そのことについてはしっかりと指摘をさせていただきたいと思います。
 この問題についての最後の質問なんですけれども、一般の会社と株式が高度に流通する上場会社とでは、やはり規律のあり方についても違うのではないかというように思われます。
 例えば、有価証券報告書が出されている、あるいは株式が上場されている、そういった会社により厳しいルールというものを適用するいわゆる公開会社法の制定、そういったものについて法務省で何か考えておられますか。
○小川国務大臣 やはり、大会社、市場に株式を上場している会社等、あるいは債権者が多いとか、さまざまな事情があれば、それはそれだけ関係者が多い。関係者が多いということは、私は、やはり企業の経理、あるいは経営の透明性、適格性がそれだけ強く要求されるものだというふうに思っております。そうした点を踏まえて、企業の不祥事を少しでも防止する、そして、あればすぐにわかるという透明性の確保、これはやはり基本的に取り組むべきことだと思っております。
○柴山委員 しっかりと制度設計をしていただきたいというように思います。
 ちなみに、自民党でも、法務部会、財務金融部会、経済産業部会、企業・資本市場法制プロジェクトチーム、企業会計小委員会合同で、企業統治に関する改正の提言を今検討しているところであります。ぜひ、我々の提言についても真摯にまたテーブルの上にのせていただきたいということをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
 三月十二日の参議院予算委員会での世耕議員に対する答弁についてお伺いします。
 大臣は、かつて、ホテルあたみ百万石を運営していたファーイースト・キャピタルマネジメントという会社が滞納家賃の支払いと建物の明け渡しを求められた訴訟で、この被告会社の代理人を務めていましたね。
○小川国務大臣 務めました。
○柴山委員 これがかかった東京地裁における第一審の着手金は幾らと定められ、幾ら支払われたんですか。
○小川国務大臣 受任当初は弁護士報酬規定どおりというふうに約束しました。そして、事件が終わった後の段階で、具体的には、それまでの既払いが千五百万円、未払い分が四千万円だったかな、三千七百万だったかな、ちょっと済みません、今、既払いが千五百万です。そして、未払い分がたしか、今ちょっと正確な数字はわかりませんが、大体そんな感じの金額です。
○柴山委員 総額もわからないし未払い分もわからないということで、そんなに昔の事件ではありませんよ。不自然だと思います。
 当該着手金についての契約書ないし見積書はないんですか。
○小川国務大臣 受任した時点では、委任契約書、その報酬を明示した委任契約書は作成しておりません。訴訟委任状を受けただけでございます。そして、事件が終わった後、これを確定する必要がありましたので、金額を確定する公正証書の債務弁済契約を締結いたしております。
○柴山委員 今お話をされたことがいかに重大な問題かということは、この後、指摘をさせていただきます。
 ちなみに、訴額が十八億円超と、被告のファーイースト・キャピタルマネジメント、以下ファーイースト社というふうに略させていただきますけれども、その被告の経営には極めて重大な影響を与える訴訟でありまして、大臣は今お答えになられませんでしたけれども、着手金の残金は三千三百万円だったんです。
 しかしながら、今大臣がお話しされたように、裁判が終わるまで、その金額、着手金ですよ、普通、着手金というのは事件に着手するときに決められるものなんです。決められていなかった、あるいは書面もなかった。これは一体どういうことなんですか。
○小川国務大臣 弁護士会の職務規定に、事件を受任する際には報酬を明示した契約書を作成するようにという事務規定がございますが、これは例外がございまして、合理的な理由があれば、別に金額を明示した契約書を作成しなくてよいということになっています。
 では、具体的に私の場合はどういうことかといいますと、事件が、非常に複雑な内容の事件でございました。そして、受任した段階では、その訴訟の成り行きがしっかりと見通せない。もっとわかりやすく言えば、私がどれだけの事務を行うのかということが確定できませんでした。事務の量が確定できないと、弁護士の着手金も確定できないわけでございますので、それで、依頼者との間では、これも依頼者もよく知っている依頼者なんですが、弁護士会の報酬規定どおりだよというこの原則を約束した上で、また、ファーイーストもそんなに資金繰りが豊富な、豊かな会社ではございませんでしたので、とりあえずということで一千万円をいただいたわけでございます、着手金の一部として。
○柴山委員 よく事件の進展がわからなかった、あるいは依頼者はよく知っていたという二点を挙げられましたけれども、では、この訴訟が、結局、ファーイースト社の全面敗訴に終わった。その後の控訴審、第二審の着手金については契約書がつくられたんですか。
○小川国務大臣 公正証書による債務弁済契約公正証書を作成しております。
○柴山委員 この公正証書による着手金の明示ということがいかに不自然かということは、この後、お話をさせていただきますけれども、少なくとも、控訴審段階で契約書はつくられておりませんでした。
 ところが、今大臣がお話しになられたように、第一審、未払い着手金は三千三百万円と定めたわけですね。それと、控訴審の着手金、これは四千万円と定められました。この合計額、七千三百万円について、何と、第一審で負けて、その後、依頼者である被告ファーイースト社との間に公正証書がつくられたわけなんです。
 つくられた日付を覚えていらっしゃいますか。
○小川国務大臣 日付は覚えておりませんが、一審判決が出て、その判決に基づいて仮執行宣言がありましたので、相手方がファーイーストの預金や売掛金を差し押さえしてきた、その直後だと思います。具体的な日にちまではわかりません。
○柴山委員 しっかりとお述べいただいたとおりです。
 第一審で、平成二十二年二月二十六日に原告家主が全面勝訴したという判決が出てしまった。その上で、仮執行宣言、つまり今大臣がお話しになったとおり、控訴されても強制執行が一応できるという裁判所のお墨つきを得て、原告家主が被告ファーイースト社が持つ預金債権や売り掛け債権を差し押さえるという裁判所の命令が出たのが同年三月十五日です。その三日後に公正証書が、大臣とファーイースト社との間の公正証書がつくられたことになるんです。私も弁護士ですけれども、このようなやり方をいまだかつて見たことはありません。
 しかも、大臣、参議院予算委員会で何とおっしゃっていますか。今大臣もお話しになったように、先に原告の差し押さえがあって、相手方、原告がひとり占めしようという状況の中で、お互いに債権額でこれを分け合いましょうという場合に、差し押さえの配当を得るためには私も差し押さえをしなくてはならない。すなわち、原告が正当な強制執行によって回収する取り分を減らすために、事後的に公正証書をつくって同じ預金などに差し押さえをかけたと御自分で認めておられるわけなんです。
 では、その着手金債権についてですが、大臣、その後の控訴審で、書面を幾つ提出し、何回裁判所に通いましたか。
○小川国務大臣 まず、私は債権があるわけですから、相手方が差し押さえをしてきたので、私もその配当に加入するために、当然の債権の行使として差し押さえを行ったわけでございます。
 控訴審については、もちろん、受任した後、控訴状を提出し、準備書面を提出しております。
○柴山委員 いや、だから、書面を幾つ提出して、何回裁判所に通ったかという質問です。
○小川国務大臣 結論からいいますと、準備書面は一回でございます。出廷は、私の記憶では二回だと思いますが、ちょっと確かな記憶はございません。
 事情は、お話ししますと、仮執行宣言が一審判決でついておりました。ですから、この仮執行を執行されてしまいますと、裁判に勝った負けたにかかわらず先に出されてしまうわけですから、裁判を追行する意味がなくなってしまうわけでございます。そうした事情から、仮執行宣言をとめる、その執行宣言の停止の手続をとらなくてはいけない。
 しかし、その手続をとるためには保証金を積まなくてはいけない。その保証金は、私の予想では三億円ぐらい、あるいはもっと、二億円ぐらいでできたかもしれません、これは実際に裁判所に申し立てしてみたらどうなるかの金額ですが。この資金繰りをファーイーストはやっておったわけですが、結果的にその資金繰りができなかったために、仮執行宣言に基づいて強制執行で出されてしまった。出されてしまった中で、結局裁判所も、もう強制執行が終わっちゃったんだったら、これ以上裁判しようがありませんねと。私の方も、いわば戦意喪失ですので、そのまま判決を迎えたということでございます。
○柴山委員 長々とおっしゃっていましたけれども、結局、控訴審にはほとんど経済的なあるいは実質的な意味はなかったんです。
 それだけじゃないんですよ。控訴審の係属されていた期間は、平成二十二年の六月七日から七月七日までの一カ月間だったんですね。大臣、あなたの前回の参議院選挙の投票日は、何年の何月何日だったんですか。
○小川国務大臣 たしかその年の七月だと思いますが、別にそのときに受任したんじゃなくて、この事件そのものは、その二年前に受任した事件が一連の中でずっと続いてきて、結果的に、もっと早く終わればいいものが、私の選挙のときまで続いてしまった。しかし、そこでおっぽり出すわけにいきませんので、そのまま続いておったということでございます。
○柴山委員 もう一度言います。控訴審の期間は平成二十二年六月七日から七月七日まで、そして、あなたはその期間、まさに厳しい選挙戦、民主党逆風の中での参議院選挙、東京選挙区では知名度の高い蓮舫さんとあなたの複数立候補で、本当に厳しいラストスパートの時期だったんです。ちなみに、投票日は七月の十一日です。なのに、さっき申し上げたように、ほとんど経済的には実効性のない控訴審の着手金が四千万円ですよ。明らかに不合理です。
 原告家主は、その後、同年八月に至って、ファーイースト社に対して公平な債権回収を図るために債権者申し立て破産を提起して、認められました。破産手続が進んだ翌年、平成二十三年六月二十四日の家主側、つまり原告側弁護士の破産管財人に対する意見書に、こう書いてあります。
 小川氏についてその主張する全額(ないし少なくとも一部)について、虚偽の債権届が出されたとみるべき可能性があります。
  仮にそうであれば、強制執行手続で虚偽の債権を主張して配当を得ようとする行為は強制執行妨害罪(刑法九十六条の二)に、破産手続で虚偽の債権を主張して、破産財団から配当を得ようとする行為は詐欺罪(刑法二百四十六条)に該当する可能性のある行為です。
  まして、小川氏は、「社会正義を実現することを使命とする」弁護士であって、さらに、二〇一〇年九月二十一日以来、法務副大臣の要職にあります。かかる行為が、弁護士法上の懲戒事由にあたり、さらに政権全体のスキャンダルにも繋がりかねない重大な不祥事であることは明らかです。
  破産者の破綻によって、多くの従業員が職を失い、地域の取引先が重大な損害を被っているのを横目に、弁護士と関係会社が共謀して、虚偽の債権を届け出て配当をだまし取ろうとしたのであれば、その悪質さは際立っています。
  破産管財人は、一部であってもこれを容認する結果をもたらすべきではありません。
 以上、引用を終わりますが、大臣、この意見から半年後、去年十二月十六日に破産管財人が債権者たちに配付した債権認否表で、あなたの弁護士報酬債権、合計七千三百万円は認められたんですか。
○小川国務大臣 いろいろな点を今お話しされました。
 まず、そういうふうに言っている者がいるということでいろいろお話しされましたが、全く具体的な根拠がない、ただ一方的な意見でございます。しかも、その意見そのものは私に断定している話ではなくて、そうであればこうなるというような一つの仮定の意見でしかすぎませんので、そうした意見を前提に答えられても、私としては、そのようなことを発言している人に対して非常に人間の不信を覚えるところでございます。
 そして、破産管財人の異議に関しましては、さまざまな異議があるかもしれませんが、法的に有効な異議というものは私は受け取っておりません。(発言する者あり)
○小林委員長 大臣、的確に答えてください。
○小川国務大臣 まず、破産管財人は、私の債権を否認するためには裁判を起こさなくてはいけません。これは、破産法に明確に規定されておるわけでございます。(柴山委員「債権認否表で認められたんですかと聞いているんです」と呼ぶ)債権認否表は私は見ておりません。
○柴山委員 ほかの債権者については、ちゃんと金額が書き込まれ、認められていますけれども、あなたの債権については認められていないんです。
 ちなみに、あなたは、二月十六日号の週刊文春の記事で、債権が否認されたら争うよ、正当だからとコメントしたと報じられていますが、間違いありませんね。
○小川国務大臣 ですから、破産管財人が私の債権に異議を述べるためには、破産法の規定によりまして、訴訟によらなければならないという規定があるわけでございます。ですから、私も、週刊文春の記事がありましたので、裁判所に確認しましたところ、破産管財人は訴訟を起こしていないし、裁判官がそのような許可を与えたこともないということでございます。ですから、破産法の有効な異議はなされていない。もし、そうした破産法の手続を経ていない何らかの異議が何らかの形で表現されているとすれば、それは単なる事実であって、異議の効力はないということでございます。
 また、週刊文春の記事に関しましては、何の不正もない、虚偽もない者に関しまして名誉毀損している事実無根の記事でございますので、私は、損害賠償請求訴訟を起こすつもりでございます。ただ、損害賠償請求は、不法行為でございますので、時効が三年ございます。私は今は法務大臣の職務を中心に行おうと思いますので、法務大臣の職を務め上げてから、時間の余裕ができてから、ゆっくりと、週刊文春に対しては損害賠償を請求しようと考えております。
○柴山委員 それはおかしいですね。
 小川法務大臣は、かつて結婚されていた女優さんとの離婚についての週刊誌の記事、この某週刊誌に対しては本人訴訟を起こしているんですよ、ちゃんと。今のお話は、私は全く納得することはできません。
 おかしなことはまだあるんです。
 ファーイースト社とともに、K2キャピタルという商号だった株式会社の傘下にあった蓮村不動産という会社があり、この蓮村不動産は、人事の面でも、かつての代表者をファーイースト社の代表取締役に送り込んだり、ファーイースト社の渉外担当としてホテルあたみ百万石の実質上の責任者をしていたYという人物が今、蓮村不動産の現代表であったり、ファーイースト社と非常に密接な関係にあります。さらに、ファーイースト社の前本店所在地である中央区日本橋二丁目所在のビルの所有者が蓮村不動産です。
 この蓮村不動産が、先ほど述べた訴訟原告家主によるファーイースト社の預金や売掛金に対する平成二十二年三月十五日付の差し押さえ命令の三日後、まさに小川大臣が弁護士としての着手金債権について公正証書をつくったその同じ日に、同じファーイースト社に対する七千万円の貸し付けの契約を結んで公正証書を作成しているんです。
 大臣、この蓮村不動産とファーイースト社との間の公正証書作成の場にもあなたは立ち会っていますね。
○小川国務大臣 ですから、参議院の予算委員会でも説明しましたとおり、初めに相手方が預金と売掛金を差し押さえしました。そのために、従業員の給料も払えなくなりました。熱海の業者に対する支払いもできなくなりました。そのために、急遽、関連会社の蓮村不動産がそうした資金手当てをするために七千万円を貸したわけでございます。その七千万円につきまして公正証書を作成しました。(柴山委員「だから、大臣はその場にいたんでしょうと言っているんです」と呼ぶ)ええ。私の弁護士の報酬債権の公正証書と一緒につくりました。
○柴山委員 そうなんです。この小川法務大臣の弁護士着手金債権と、今申し上げた蓮村不動産の七千万円のファーイースト社に対する貸付債権、連番の公正証書です。同じ機会につくられたんです。(発言する者あり)
 ちなみに、それが、信じられないと弁護士出身の大口委員もおっしゃっていますけれども、この貸付契約、金銭消費貸借というのは要物契約と申しまして、実際に蓮村不動産がこの貸し付ける七千万円をファーイースト社の手に渡して初めて成立する契約なんです。
 今、大臣はるる、金策のためというようなことをおっしゃいましたけれども、公正証書作成、三月十八日時点で、この七千万円は、現金でファーイースト社に渡されたんですか、それとも銀行に振り込まれたんですか、振り込みの場合はどこの口座に入金されたんですか。
○小川国務大臣 銀行に振り込みますと、また差し押さえされてしまいますといけませんので、現金で渡しました。公証人の面前で現金を渡しました。
○柴山委員 大臣、あなた自身が、この蓮村不動産の代理人として、当該公正証書に基づいて、この貸付契約、弁済期が三月の二十三日ですよ、たった五日後が弁済期ですよ、その契約に差し押さえをかけているんです。
 いずれにせよ、直前に敗訴したファーイースト社に対して七千万円もの貸し付けをキャッシュで行うということは極めて不自然だと思うんですけれども、何のための資金だったかということはさっき御説明になりました。
 もう一回確認させてください。差し押さえによって、要は、ファーイースト社が従業員の給料とか熱海のさまざまな業者に対する支払いができなくなった、だから、そのまま放置できないから、七千万円をこの会社に入れたということでよろしいわけですね。確認です。
○小川国務大臣 そのとおりです。
 ですから、先ほど委員は、何か差し押さえが従業員の給料を払わずに困らせたみたいなことを言っておりますが、従業員の給料はそうしたことで全て完済しております。
○柴山委員 ちなみに、私が言ったのは、あくまでも原告家主の意見書を申し上げただけですから、そこは誤解しないようにしてください。
 今申し上げたとおり、その蓮村不動産の貸し付けについては、弁済期限がたった五日後の三月二十三日なんですよ。ファーイースト社から蓮村不動産に対して七千万円返済される見込みはあったんですか。
○小川国務大臣 ですから、これは返済される見込みがあるとか蓮村不動産が利息を取って貸すとかいう通常の融資ではなくて、あくまでも、ファーイーストの方で、相手方がいわば従業員の給料に充てるお金なんかを差し押さえてしまって、従業員に給料を払えない、熱海の業者に対する支払いができないというまさにひどいことを相手方がやってきたわけです。そのまま倒産してしまえば、それは蓮村不動産は別にお金を払わなくて助かるかもしれませんけれども、そういうわけにはいかない。従業員に対する給料は払わなくちゃいけない、熱海の業者に対する支払いはしなくちゃいけない、しかし、支払いをするお金はファーイーストにはないわけですから、蓮村不動産が出すしかないから、蓮村不動産が七千万円を急遽貸したわけでございます。
○柴山委員 つまり、こういうことなんです。
 今、まさしく大臣がおっしゃったとおり、初めからその七千万円が返済されることなどあり得ないということをわかっていながら、当該公正証書をつくることによって、そしてその公正証書で競合する差し押さえをすることによって、家主からかかっている差し押さえに競合させて、正当な強制執行をかけている家主の取り分を減らそうとしたんですよ。これこそ典型的な執行妨害じゃないですか。しかも、あなたは堂々と、ファーイースト社の支払いをするために七千万円を入れたというようにおっしゃっていますけれども、これはへんぱ弁済以外の何物でもありません。
 十年前、私は弁護士として似た事例をたくさん見てきております。理事の階さん、いらっしゃいませんか、金融機関にお勤めのある弁護士ですから私の言いたいことはわかっていただけると思いますし、先ほど大口理事の方からもあり得ないというお話をいただきましたけれども、全くあり得ない事例なんです。
 現に、蓮村不動産は、当該公正証書に基づいて、三月二十四日、つまり返済期限のわずか一日後に、返済猶予の、お願いをすることもなく、競合する差し押さえをかけているんです。このときの蓮村不動産の代理人をした弁護士は誰ですか。
○小川国務大臣 まず、返済見込みがないのに貸すのはおかしいといいますけれども、返済見込みがなくても、これは関連会社として貸さなくてはいけないから貸したわけでございます。貸したお金は、当然債権があるわけですから、その債権についてしっかりとした強制執行の手続をとる、相手方が起こしている以上、とるのはこれは弁護士としてごく普通の職務だと思っております。
 それから、ファーイーストの代理人でございますね。(柴山委員「違う、蓮村不動産」と呼ぶ)蓮村不動産。これは、今言いましたように、この融資そのもの、これは、公正証書の債務弁済契約、これもワンセットでございますが、ファーイーストの従業員の給料を払うために行ったことであります。ですので、ファーイーストの依頼と承諾、これを受けて蓮村不動産の代理をやりました。
○柴山委員 もう一回、答弁してください。
 蓮村不動産の代理人弁護士は誰ですか。
○小川国務大臣 ファーイーストの承諾を受けて私がやりました。
○柴山委員 大口理事から、ええという声がありました。そのとおりなんです。
 弁護士職務規程二十七条三号は、受任している事件の相手方からの依頼による他の事件について、その職務を行ってはならない、利益相反から当たり前ですね、と規定していますが、今大臣がお述べになったとおり、あなたの依頼者であるファーイースト社が同意をしたから、大臣、あなた自身が、自分の弁護士報酬債権と蓮村不動産の七千万円の貸付債権、両方の弁護士として、ファーイースト社に対して正当な強制執行に競合した差し押さえを行っているんです。要は、あなたも含めて、みんなぐるということじゃありませんか。これは余りにもひどいということにはなりませんか。
 あなたの依頼者であるファーイースト社は、破産して保全管理命令を受けた後も口座から一千六百万円以上もの出金が認められると破産管財人の昨年十二月十六日付報告書で指摘をされており、管財人は、こうした預金の推移についても引き続き調査を行うとともに、ファーイースト社の元代表者に対して民事上及び刑事上の責任追及を検討する予定であると報告書で述べています。当たり前のことです。
 ところが、破産管財人がこうした刑事上の責任追及をするのに今、大きな壁があるんです。おわかりですか、大臣。
○小川国務大臣 まず、いや、委員がいろいろ、一遍に四つも五つものことを言われるので、最後のことだけ答えると、また聞いている方にもいろいろ誤解を招くものですから述べさせていただきますけれども、双方代理云々というのは、あくまでもそれまでの受任者の利益に反するようなことであってはいけないわけでございますが、再三申し上げているように、これは、ファーイーストの利益のために貸し出しをするわけでございます。その貸し出しとワンセットでございまして、ファーイーストの方がそれを承知しておるわけでございますから、何ら双方代理と言われる筋合いはございません。
 そして、七千万円を貸した債権、これは現に債権として全く正当に存在をする債権でございますし、私の報酬債権も正当な債権でございます。正当な債権でありますから、相手が強制執行してとってくればこちらも強制執行してお互いに債権額で分けるというのは、これは余りにも当然なことでございます。
 それから、何かファーイーストの関係者が破産の後にいわば預金を引き出したというような御指摘がありましたが、そういう事実はないと聞いております。
○柴山委員 破産管財人が刑事上の責任を追及するのに大きな壁、それは、利害関係人であるあなたが法務大臣として捜査当局のトップにいることなんです。
 ちなみに、今回原告となった家主はクレディセゾン系サービサーの系列会社なんですが、サービサー法の許可を所管するのも法務大臣、あなたがトップを務める法務省です。この件については、家主サイドも非常にナーバスになっていると私は聞いております。
 私は、さっき大臣は何の問題があるんだというように開き直られましたけれども、依頼者の債務者と結託して執行妨害をすることがおかしくないというようにもしお述べになっているとすれば、これは、今の刑法を無視した大変な暴言であり、コンプライアンスの観点から、あなたがその席に座っていることを容認することはできません。
 ところで、先ほど申し上げた蓮村不動産の代表者Yさん、このYさんの国籍はどこですか。
○小川国務大臣 まず、執行妨害を云々というのは全くの言いがかりでございまして、正当な債権の行使でございます。
 また、刑事事件に妨げがある云々かんぬんといいますけれども、刑事事件そのものが存在しないわけですから、全く、誰かが一方的な、無責任なことを言っているんだというふうに思います。
 最後、何でしたっけ。(発言する者あり)国籍は、それは私人のプライバシーにかかわることですから、お答えできません。
○柴山委員 プライバシーにかかわるというようにお話しでしたけれども、大臣は当然おわかりだと思いますが、報道によると、この蓮村不動産の代表者のYさんは在日の韓国人であられるということのようです。
 大臣、最後にお聞きします。
 外国人の地方参政権について、どのようにお考えだったでしょうか。
○小川国務大臣 私一人の政治家個人としましては、永住外国人の地方参政権については付与してもいいのではないかと考えております。
○柴山委員 今申し上げたような経緯、そして今の大臣の答弁、到底、法律に携わる者として容認することができないということを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○小林委員長 次に、稲田朋美君。
○稲田委員 自由民主党の稲田朋美です。
 きょうは朝から大臣のさまざまな答弁を聞いておりまして、私は、やはりもう大臣は法務大臣をおやめいただくしかない、このように確信をいたしました。さまざまな点について、幾つか問題な点、余りにも多過ぎて、きょうじゅうに聞けるかどうか不安ですけれども、順番に聞いてまいりたいと思います。
 まず、前回の法務委員会で、階委員から、小沢一郎先生に対する検察審査会による強制起訴について、検察が引き返す勇気を発揮するべきだという趣旨の質問をされました。それに対して、大臣は、そういう場合も、そうした事情を踏まえて「検討すべき点があれば、これは当然検討すべきものと思っております。」というふうにお答えになっております。
 これは、個別の、被告人小沢一郎さんに対する事件について言及をされたことであり、私は、法務大臣として不適切で、撤回をして謝罪をなさるべきだと思いますが、改めて御答弁を伺います。
○小川国務大臣 これは、この委員会でも何回も説明させていただきましたが、個別の事件について述べたものではなくて、そうした階委員の質問に対しまして、私は、あくまでも一般論として述べたわけでございます。
○稲田委員 しかし、階委員は検察が引き返す勇気を発揮すべきだという質問をされて、大臣は「そうした事例を踏まえて、」「検討すべき点があれば、これは当然検討すべきものと思っております。」というふうにお答えになっておりまして、この小沢さんの強制起訴に関する事例を踏まえて検討するとお答えになっているように読めるんです。これは大臣として不適切な発言だと思いますが、いかがですか。
○小川国務大臣 私は、検察審査会法を改正して強制起訴制度ができた後、幾つかの事例があった、そうした幾つかの事例、その中には小沢さんの事件も含むかもしれませんが、明石の事件も含む、これまで五つあったわけですね、そうした事件の例を踏まえて、結論として、検討すべき点があれば検討するということを述べたわけでございまして、小沢さんの事件について述べたものではございません。
○稲田委員 しかし、その直前の階さんの質問が、検察の取り調べがおかしかったということを裁判所も認定して、供述調書も却下されているわけだから、検察審査会が起訴したことについて検察が引き返す勇気を発揮しなければならないという趣旨の質問をされて、もちろん大臣は、今までの、強制起訴が何件か出ているということもお述べになった上ですけれども、「そうした事例を踏まえて、」と、この中に小沢さんの今の事例も含んで、その上で、検討すべき点があれば検討すべきものと思っておりますというふうにお答えになっているわけですから、私は、これは一般論に対するお答えではなくて、小沢さんの事例を踏まえてお答えになったとしか思えません。
 そして、一般論としても、私は、この大臣の答弁はおかしいと思うんです。なぜなら、検察は引き返す勇気を発揮するべきだというような趣旨に対して、一般的に検討すべき点があれば検討するというのは、そういうこともあり得るという大臣のお答えなんですけれども、検察が引き返す勇気を発揮するべき場合がこの検察審査会による強制起訴においてあるんですか。
○小川国務大臣 いや、引き返す勇気というのは、検察審査会は法務省の、法務大臣の指揮下にある組織ではございません、全く別の組織でありますので、あり得ないことであります。
 ただ、私は、そうした階委員の質問を契機として、いわば階委員の質問にダイレクトに答えたのではなくて、一般論として、検討することがあれば検討すると述べただけでございます。
 ですから、委員が個別のことについて私が述べたのではないかというふうにお考えのようでしたら、私の発言の趣旨はそういうことではなくて、あくまでも一般論について述べただけだということをここで補足して説明させていただきます。
○稲田委員 一般論としても、検察審査会が強制起訴を決めた事例というのは、まさしく検察は起訴しないと決めた、ですから、引き返すも引き返さないも、全く進んでいないんです。それを、国民目線でもってやはり起訴しなきゃいけないということで強制起訴するのがこの強制起訴の制度なんです。この強制起訴の制度に検察が引き返すべきだということを検討すること自体が、検察審査会の強制起訴制度の趣旨を滅失するものだと思いませんか。
○小川国務大臣 私は、引き返す勇気を、検察審査会法を改正して検討すべきだと言ったのではなくて、まさに、どこということの具体的なことは何も触れずに、一般論として、何か検討すべき課題があれば検討しますということを述べただけでございます。
 ですから、今委員が述べました引き返す勇気ということに関連して、それに伴う改正を検討するということで述べたものではございません。
○稲田委員 階委員の質問は、「検察審査会が起訴したことについては検察は引き返す勇気は発揮できないんだというのであれば、それは制度の不備だ」ということで質問されているんです、大臣への直前の質問が。ということは、まさしく、検察審査会の強制起訴手続について検察が引き返す勇気を持つ制度にすべきだという質問について、検討すべき点があれば検討するとお答えになっているわけですから、それはまさしく、検察審査会制度、そして強制起訴を認めたその制度、いわば制度の趣旨を滅失する不当な質問であり、そして大臣の答弁だと思いますが、いかがですか。
○小川国務大臣 何回も述べていますように、私は、検察審査会法改正の後の強制起訴事件について、ほかにも出ている、あるいはそうした複数の事件の経過を見まして、それで検討すべき点が出てくれば検討するという一般論を述べただけでございます。
○稲田委員 ですから、強制起訴制度というのは、検察官が不起訴にしたものを国民目線で起訴すべきだということで強制起訴制度を導入しているわけであります。したがって、検察は進まないことを決めているにもかかわらず、階委員の質問は、強制起訴手続において検察が引き返す勇気を発揮すべき場合を制度として入れなければ不備じゃないですかという質問なんです。
 私は、この質問自体が、強制起訴制度を全く理解しない、申しわけないですけれども不見識な質問であり、小沢さんの事件に対して思い入れから、全くこの検察審査会の強制起訴制度の趣旨に反した質問だと思いますが、それにお答えになって、大臣が、たとえ一般論としても、検討すべき点があれば検討するというのは、全く不適切な発言であり、撤回をしていただきたいと思います。
○小川国務大臣 ですから、重ねて説明して確認させていただきますが、私は、階委員が述べたとされる点について具体的に検討を考えるということを述べた趣旨では全くございません、あくまでも一般論として述べたものでございます。
○稲田委員 ですから、一般論としても、強制起訴手続において、検察が起訴しないと決めたことについて途中で検察が関与してその手続をとめられるようにしなければ不備だという質問に対して、検討すべき点があれば検討するというようなお答えは、法務大臣として、この検察審査会制度、そして強制起訴を導入した趣旨を全く理解されていない不適切な答弁であると思いますから、撤回を求めます。
○小川国務大臣 私の答弁はまさに会議録に記載してあるとおりでございまして、あくまでも一般論を述べたわけでございまして、述べた一般論の点におきましては特に間違いがございませんので、撤回するという考えは持っておりません。
○稲田委員 そのようにお考えになる大臣の感覚自体が法務大臣として不適切だと私は思います。
 また、先ほど、河井委員からの尖閣問題についての強制起訴手続について、大臣はまるで人ごとのような答弁をなさいましたけれども、この強制起訴手続について、送達を含め、どのような決意で臨まれるか、もう一度御答弁をお願いいたします。
○小川国務大臣 裁判所からそうした委嘱があれば、その送達事務は誠実に行います。ただ、この事務そのものが、決意を込めるとか、そうした趣旨のものではないと思います。裁判所の依頼に沿って、こちらはそうした事務を粛々と行います。
○稲田委員 それはおかしいと思うんです。そもそもこの尖閣の、不起訴処分にしたことも、結局は検察が、日中関係という本来検察が考慮してはならないようなことを考慮して、そして処分保留のまま釈放して、中国に船長は帰ってしまったわけです。そして、それが国民目線からして不当だということで強制起訴の手続をとって、今回強制起訴になったわけですから、私は、法務大臣としてこの強制起訴について何らかの決意をお語りになるべきだと思いますが、いかがですか。
○小川国務大臣 決意と言われましても、強制起訴はいわば検察審査会という法務、検察とは独立した別の機関が決定したことでありますので、決意を述べるというよりも、そうした別の機関が行ったことに対して、法務大臣としては、むしろ論評を差し控えたい、このような気持ちでおります。
○稲田委員 先ほどの小沢さんの強制起訴に関しては、強制起訴したものを検察が引き返す勇気を持ってそれをとめるようにしなければ制度の不備だという質問について、検討すべきところがあれば検討すると、まさしく全く制度の趣旨を理解されない、まるで検察が強制起訴手続に関与すべきだというようなお答えをしておきながら、この船長の強制起訴については、全く関係ない、これはまさしく本末転倒だと私は思いますが、いかがですか。
○小川国務大臣 いや、その前半部分の、引き返す勇気に関連して検察が関与すべきだという意味の答弁は私はしていないのでありまして、そういう具体的なことは抜きにして、いわば余り中身がない一般論として、検討すべき点があれば検討すると述べただけでございます。
 それから、今回の送達事務も、裁判所から依頼があればそれを粛々と行うということでございます。
○稲田委員 中国側は、この船長の強制起訴に対して、中国の外務省の報道官は十五日の会見で、両国関係に与えた損害は見たとおりだ、日本側が両国関係を守るという大局に立ち、そのためにより多くのことをするよう希望する、このように述べております。これに対して大臣の見解をお伺いいたします。
○小川国務大臣 その発言の趣旨がどうかということを今的確に私把握しておりませんし、また、それに対して述べるべき立場ではないと思っております。
 ただ、もっと根本的な問題として、尖閣諸島がどこの領土だということであれば、これは当然我が国の領土だと考えております。
○稲田委員 そんなことは当然のことなんです。
 そうじゃなくて、この尖閣問題について、私は、釈放したことも間違っていて、これは検察が判断したというより、むしろ当時の政府が判断し、超法規的に釈放したんだと思いますけれども、手続上は検察が釈放したことになり、それについて強制起訴手続が始まっているわけですから、法務大臣として、この強制起訴手続についてやはりそれなりの決意をお語りになるべきであり、中国のこのような物言いに対しては内政干渉であるということで強く抗議をなさるべきだと思いますが、いかがですか。
○小川国務大臣 この件に限らず、どの強制起訴に関する検察審査会の手続に関しましても、やはり、法務大臣として、それに対する論評は差し控えさせていただきたいと思います。
 また、中国の態度に対する対応は、基本的には外務省において行うものだとも承知しております。
○稲田委員 先ほどの御答弁では、中国がその起訴状を受け取らない理由としてこのような場合が考えられる、そして今は、まるで他人事のような、一体あなたはどこの法務大臣なんですかというふうにお伺いをしたくなるような答弁であります。
 また、河井委員の質問で、広島刑務所の脱走について、刑務行政中、監視体制について反省すべき点があった、そのように大臣はお述べになっておられますけれども、今、政府では、公務員の新規採用を七割削減する方針というふうに発言をしております。小川大臣は、この政府の公務員新規採用七割削減について賛成ですか。
○小川国務大臣 七割という数字が政府の方針かどうか、七割という数字は出ていないように思うんですが。
 ただ、新規採用の抑制をかなり大胆に行うというのが政府の方針であることは間違いありません。政府の方で今の公務員の人件費削減ということを取り組むというときには、基本的なこととしては、やはり法務省も政府の一組織であるということを十分踏まえて対応すべきだと思っております。
○稲田委員 三月十日の読売新聞によれば、岡田副総理が、二〇一三年度の国家公務員新規採用数の上限について、二〇〇九年度比で七割以上の削減を指示したというふうに報道されておりますが、七割以上の削減を指示したということは、それはないんですか。
○小川国務大臣 閣議あるいはそのほかの場所におきまして岡田副総理から指示を受けた中に、七割という数字は、私は受けていないと記憶しています。
○稲田委員 ということは、この七割削減という新聞報道は、これは間違いですね。
○小川国務大臣 大胆にということでありますので、七割が全然根拠がないでたらめだとは思いませんが、ただ、七割という客観的数字そのものは、申しわけありません、私自身はちょっと聞いた覚えがないなと思っております。
○稲田委員 では、大臣にお伺いをいたしますが、新規採用の削減幅を七割とすることについては大臣は反対なんですか。
○小川国務大臣 各公務員が全部一律に、同じ率でということではなくて、やはりそれぞれの業務の実態に合わせて削減幅あるいは削減数を決めるということでございます。
 ですから、政府として大幅な採用抑制をするということが、これは政府の方針でありますから、私も政府の一員としてはこれは当然賛成するわけでございますが、では具体的に法務省としてどこまでそれをするかということになれば、それはやはり業務の実態を踏まえて決めていただきたいと思っております。
○稲田委員 質問に答えていただきたいんですが、私は、新聞報道でされております、新規採用を七割削減するという、これはもうめちゃくちゃな、本当にでたらめな政策だと思いますが、七割も削減することについては大臣は反対ですかという質問です。
○小川国務大臣 七割という数字につきましては、まだ具体的にそれが出ているというふうに私は認識しておりませんので、今そこで賛成か反対かと言われても困ります。
 ただ、やはり業務の実情に照らして、それぞれの省庁につきまして、具体的な業務の実態に合わせた抑制を具体的にまとめるべきだと思っております。
○稲田委員 私は、業務の量が変わらないのに新規採用を一気に七割も減らすと、マンパワーは不足して、人員が高齢化して、業務に支障が生じかねないと思いますけれども、大臣も同じ認識ですか。
○小川国務大臣 ですから、やはり採用が抑制されてマンパワーが足らなくなると、業務にかなり、その正常な運営が厳しくなるという一面がありますけれども、しかしまた、もっと大きな、国家的な今の困難な状況の中での公務員の費用の抑制という大きな必要性もございますので、やはりその兼ね合いがどこに来るのかなということをこれからしっかりと議論していきたいと思います。
○稲田委員 大臣は、七割削減というのは新聞報道で書かれているけれども、七割という数字は出ていないとおっしゃっているんですけれども、私はこの報道を見て、七割も削減する、しかも新規採用を七割も削減するというのは、めちゃくちゃな、でたらめな政策だと思っておりますし、そんなことをしたら、先ほどの広島刑務所の脱走や少年院の脱走を見ても、私は日本の治安は守られないと思いますので、大臣も新規採用を七割削減することについては反対をしていただきたいから聞いているんです。
 賛成ですか、反対ですかという質問です。
○小林委員長 法務大臣として、法務省としては。
○小川国務大臣 副総理の説明ですと、一昨年が四割弱、昨年が三割弱であるから、それを大幅に上回るということでございますから、四割弱を基準にして大幅に上回った数字がどこかということでございますので、七割という数字は出ていないと思います。
 ただ、法務省と……(稲田委員「出てないんだったら反対でいいじゃないですか」と呼ぶ)ですから、私は、政府の一員としては、やはり採用抑制をして公務員の人件費を抑制する必要があると考えておりますが、法務省的には、実際にマンパワーが必要でございますので、やはり業務に支障がない範囲で抑制に協力したい。ですから、七割と言われても、これはなかなか困るような話でございます。
○稲田委員 私は、報道で七割と書いてあるので、でも大臣が、それは七割は出ていないとおっしゃったので、新規採用を七割削減することは、これは間違っていると思うんです。でたらめな、むちゃくちゃな政策だと思うんです、新規の公務員の採用を七割も削減するのは。ですから、七割も削減することについて大臣はどのようにお考えですかという質問なんです。
○小川国務大臣 ですから、七割と言われるから私は大変困るわけで、一昨年の四割弱、そして昨年は三割弱を大幅に上回る削減というのが政府の方針でございますので、私は政府の一員として、それには賛成いたします。
○稲田委員 ということは、政府が七割と言えば、それは賛成をするという趣旨ですか。
○小川国務大臣 政府が言えばということではなくて、各省庁、法務省もありますが、それぞれがその実情を踏まえた数字を挙げて、そして協議した結果、それが七割になれば、それは政府の方針ですから七割で従いますけれども、七割にならなかった数字であれば、でもそれがまとまれば、まとまったところで私はそれに従います。
○稲田委員 法務大臣として全く主体性がないんですね。私は、七割削減するということは間違っていると思います。ですから、大臣も反対をされるのかと思えば、そう決まれば七割でも合意をすると。
 では、お伺いをいたしますが、法務大臣として、法務省として、新規採用を七割も削減して、回っていくんですか。
○小川国務大臣 大変厳しい状況になると思いますが、この削減は、全ての省庁が一律、同じ率でということではありません。全ての省庁の業務の実態に合わせて具体的な数は省庁ごとに決めるということでございますので、今、法務省に関しましては、その数について協議中でございます。
○稲田委員 少なくとも法務省について、大臣所管の法務省について、新規採用を七割減らすということには同意できますか。
○小川国務大臣 七割も減らしたら、本当に、業務に相当支障が出るなというふうに思っておりますが、具体的な数は今協議中でございますので、協議中のさなかに具体的な数字をお示ししたり考えを示すということは、またこれもこれはこれで余り好ましくないことでございますので、私の述べた程度で御容赦ください。
○稲田委員 そういう態度では、私は日本の治安は守れないと思いますよ。今の広島の刑務所でも、その体制に問題があった。少年院からも少年が脱走している。そんな状況の中で新規採用を七割削減するということが政府の方針になれば、全く治安は守られませんから、私は、法務大臣としては、治安ということは日本の国民の国益に直結する問題ですから、たとえ政府がどのような方針をとろうとも、自分としては十分な人員を確保していく、そういう答弁をしていただきたいんです。いかがですか。
○小川国務大臣 法務省の行政、あるいは治安を守るということに関しまして、委員が深い御理解をいただいておりますことは大変感謝いたしておりますが、私としましても、法務省の実情を踏まえて、先ほども申し上げましたように、全ての省庁一律で、同じ率ということではございませんので、法務省の業務の実態を踏まえて、法務省の業務に支障が出ないようなところでおさめていただければというふうに思っております。
○稲田委員 曖昧な答弁ですけれども。
 岡田副総理は公務員も身を切る行政改革をしなきゃいけないとおっしゃっているようですが、新規採用を大幅に削減しても、私は公務員は身を切っていないと思うんです。切られるのは、公務員を目指している不特定多数の前途有為の若者なんですよ。今公務員の人は全く身を切っていないわけですから、私はこのような新規採用を大幅に削減するという政策は全く間違っていると思いますが、いかがですか。
○小川国務大臣 確かに、新規採用を抑制すれば新卒の人の公務員就職口が狭くなるわけでございますから、それはやはり影響が大きいことであるなという認識は持っております。
 ただ、この新規採用というものを、やはり続けていくことで、長期的に見れば、やはり公務員の人件費の削減というものが次第次第にしっかりと実を結んでいくのかなとも思っております。
○稲田委員 新規採用を七割削減した場合、例えば検察官は新規採用が約二十人になるんです。
 それで、裁判官の採用も同様に減らすんですか、裁判所。
○安浪最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 政府におきまして国家公務員の新規採用数の抑制を検討しておるということは承知しておるところでございます。
 裁判所におきましては、事件の申し立てなどがありますと、法令に定められた手続にのっとりましてこれを適正、迅速に解決しなければならない責務を負っております。裁判所の側で業務の量をコントロールするということが困難であるという特殊性がございます。したがいまして、行政府省とはかなり事情を異にしておると考えておるところでございます。
 裁判官についてお尋ねでございますけれども、適正、迅速な事件処理の必要から、今申し上げました特殊性を十分踏まえて検討すべき問題だろうと考えております。
○稲田委員 司法修習生を大幅に増員しながら、今裁判所の見解もありましたけれども、裁判官、検察官への採用を減らしたりすると、残りはみんな弁護士にならざるを得ないということになります。昨年ですら、修習が終わった時点で二割も弁護士登録できない修習生がいたのに、その状況がさらに悪化すると思いますが、いかがでしょうか、大臣。
○小川国務大臣 まさに業務の実態に合わせて抑制というものの実数を検討していただくということでございます。委員が御指摘のような事情もまさに検討すべき大きな要素だと思いますので、そうしたことを含めて、今まさに数についての交渉中でございます。
○稲田委員 何度も言いますけれども、新規採用を七割も削減するというのは、全く身を切る改革にもならないし、そして、できもしないというか、やってはいけない悪政だと私は思っております。法曹界でいえば、法曹界、検察官、裁判官を目指している前途有為な若者に絶望を与えることになるし、そして、治安という意味からは、本当に日本の治安を揺るがしかねないことですから、私は、その点を十分大臣には認識をいただいてこの問題に対処をいただきたいと思います。
 さて、きょうは朝から、この大臣の後ろにかかっている小沢さんの肖像画が問題になっておりますけれども、委員会に自分の、議員の自画像を掲載するには、議員を二十五年間務めて、そして自費でもって肖像画をかけるということですから、本当に委員会室というのは私は特別な存在だと思います。
 まして、第一委員室というのは、予算委員会を開き、そして党首討論をし、国会議員にとって本当に特別な場所でもありますし、国権の最高機関である国会の中心、まさしく言論の府の中心的なところが第一委員室だと思いますが、大臣にとって参議院第一委員室とはどのような存在ですか。
○小川国務大臣 それは、国会の委員会室、どこも同じように、委員会を行うという意味では、それは厳粛な場であると思っております。
○稲田委員 ところが、大臣は、その国会議員にとって本当に神聖な、しかも参議院の第一委員室で、携帯の競馬サイトをごらんになっていたわけです。それについてきょうも反省と謝罪を求められましたけれども、これからはいたしませんということで、御自分が参議院の第一委員会室で競馬サイトを見ていたことについて謝罪も反省もされませんでしたが、今も謝罪や反省をするつもりはありませんか。
○小川国務大臣 私としては、特に委員会開会中でない時期においては携帯の使用は禁止されていないのでありますけれども、私は、自主的に、今後そういうことはしないで、お騒がせしないということを約束したわけでございまして、これはまさに反省の気持ちから出ておる約束でございます。
○稲田委員 しかし、明確に反省も謝罪もなさらないわけですよね。
 世耕議員から、馬主をやめるべきではないかという質問にお答えになって、大臣は、大臣の政治的地位によって馬の成績に影響が出るのなら考えますけれども、私の政治的地位とは全く無関係に、私の期待に関しても、走らないときは走らないわけでございますので、政治的な意味では全く影響を及ぼさないとおっしゃって、馬主をやめることはないと答弁されたんです。そのお考えに今も変わりありませんか。
○小川国務大臣 馬主(ばぬし)というのは言葉の響きが悪いものですから、我々は馬主(うまぬし)と言っておるんですけれども、趣味でやっていることでございまして、今申し上げましたように、私のこの政治的地位に全く関係がない、いわば政治的地位を不当に利用するとか、そういう性質のものでは全くございませんので、私は、私の趣味として、これからもお許しいただいて、ある意味では許しも要らないのかもしれませんが、私としては、これからも私の趣味として継続する考えでおります。
○稲田委員 趣味、趣味とおっしゃいますけれども、馬の成績によって大臣の収入は上下をして、あるときは、歳費と通算をして一千万にまで収入が落ち込んでいる年もあると。まさしく御自分の歳費を馬につぎ込んでいるわけですから、趣味とは言えないんじゃないですか。
○小川国務大臣 別にお金がかかるから趣味じゃないということはないので、やはり趣味は趣味だというふうに思っております。私は、趣味じゃなければそれは仕事なのかといっても、仕事という認識は全く持っておりません。
○稲田委員 そういう感覚自体が、私は、大臣の法務大臣としての資質に問題があると思うんです。
 そして、先ほどの大臣の御答弁を聞きますと、馬の成績に影響が出るかどうかを基準に考えているんだと。本来、事業だろうが趣味だろうが、大臣としての職責に影響が出るかどうかを基準に考えると思うんですが、大臣は法務大臣としての職責よりも馬の成績の方が重要なわけなんですよね。
 そして、大臣規範では職務中に趣味をすることは禁止はされていません。それは、職務中に趣味をやってはいけないことが当たり前だからです。それとも、職務中に趣味をしてはいけませんなどと小学生みたいな規則をつくらなければ、それが悪いことだということがわからないんでしょうか。
 世耕議員は大臣に馬主をやめるべきだとおっしゃいましたが、大臣はそれを拒否されました。私も、そこまで思い入れがあるんだったら、馬主をやめていただく必要はないと思うんです。しかし、そういう趣味にかまけて法務大臣としての職責をおろそかにする、そしてそれについて謝罪も反省もしない小川大臣は、馬主を続けて大臣を即刻おやめになるべきだと思いますが、いかがですか。
○小川国務大臣 まず、委員の御指摘の中で、私が法務大臣の職責よりも趣味の馬の方を優先しているというような趣旨の御発言がございましたが、決してそういうことはございません。私は、法務大臣あるいは参議院議員としての職責は全力を尽くして果たす気持ちでおりますし、これまでも全力を尽くしてまいったと考えております。この競馬の趣味がそうした職責を果たすのにつきまして何の支障も出ていない、このように思っております。
○稲田委員 しかし、先ほどの大臣の予算委員会での御答弁は、馬の成績に影響があるんだったら考えますとしかとれないんですよ。そういう答弁を予算委員会でなさること自体が、私は大臣としての資質を疑わざるを得ないと思います。
 さて、先ほど柴山委員が質問をされていた大臣の弁護士活動の問題について、私からも重ねて質問をいたしたいと思います。
 大臣は、一審の着手金が四千八百万、そして控訴審の着手金が四千万、両者合わせて、合計八千八百万という、これはまさしく、私も二十年弁護士をやっておりましたけれども、このような法外な着手金を請求したことは一回もないんですけれども、この一審の四千八百万の着手金が決まった経緯と、その内金をどのようにおもらいになったかについてお伺いいたします。
○小川国務大臣 弁護士報酬というのは、争うものの価格に比例して金額を定めるわけでございます。一昔前はざっと一割というような話もありましたが、だんだんこれがきめ細かくなりまして、一千万円以上は幾ら、五千万円以上は何%と、このようにだんだんきめ細かくなったわけでございます。
 弁護士報酬規定、これが公正取引委員会の指摘で規定じゃなくなった最後の弁護士報酬規定におきましても、たしか高額な訴訟物についての訴訟費用は、高額部分については二%、低い部分については一〇%ぐらいの計算で計算することになっております。それで、この訴訟の訴訟物は十八億円でございますから、十八億円をそうした報酬規定に照らしますと、まさにそうした数字が出てくるわけでございます。
 ですから、決して法外な請求と言われるようなことは全くなくて、争うものの価格が高ければ、それに伴って弁護士報酬も高いというのが弁護士報酬のルールでございまして、今回の件は時価でいえば四十五億円、訴額でいえば十八億円という、この訴額を基準にそうした弁護士報酬基準を当てはめた結果、そうした数字になったものでございます。そしてまた、これは依頼者との合意の上のことでございます。
○稲田委員 大臣、先ほどの答弁と全く違うじゃないですか。
 先ほどの答弁では、この着手金は決めなくて、事務量とか自分の手間とか、いろいろなことを考えて、後から決めることにしたんだとおっしゃっていたのに、今は訴額でこの金額を決めたと言って、全然違うことを回答されているじゃないですか。
 一体どうやって決めたんですか、この法外な着手金を。
○小川国務大臣 いや、私は金額の算出根拠を示しただけでございます。事実の経過としまして……(稲田委員「どうやって決めたんですかと聞いているんです」と呼ぶ)だから、今の、直前の私の説明は、金額の根拠について説明しただけでございます。
 依頼者との約束の過程は、受任する際に、金額は決められないけれども、弁護士の報酬規定どおりでいこうということを決めました。そして、幾らになるかわからないけれども、最初に一千万円をいただきまして、残額はまたこれからということで行ったわけでございます。そして、最終的な精算は、訴訟が終わった段階で、仕事量が終わった段階で金額を確定して、それで、今言った算出根拠をもとに決めたわけでございます。
○稲田委員 今大臣の答弁の中でも矛盾があるんですよ。
 最初に弁護士報酬規定どおり決めようというのであれば、訴額からすぐに決まるんです。ところが、大臣はそれを決めなくて、結局、私の質問にお答えになっていないのは、この一審の着手金四千八百万というのは、いつ決めて、そして、その内金千五百万ですか、これはいつ、どのように支払ってもらったんですかという質問です。
○小川国務大臣 事務量が決まらないんです。起こされた裁判は、賃料を払わないから出ていけ、契約解除だから出ていけというだけですけれども。しかし、この事務量は、例えば私の方から反訴も起こしました。ですから、反訴も考えれば、私が算出した根拠の数字の倍はもらったっていいはずなんですけれども。とにかく、事務量がわからない大変複雑な事件ですから、初めの約束は、具体的な数字としては決めないで、報酬規定どおりにしようねと。それは、いずれまとまった段階で支払うということで。
○小林委員長 大臣、いつ決めたというその日だけを。着手したときなのか、何とか終わって、一審の前だとか後だとかなんとかとか、そういう日を聞いたので、それだけ答えてください。
○小川国務大臣 着手する段階では、報酬規定どおりと。そして、最終的に四千八百万円ということを確定したのは、第一審の訴訟が終了した段階です。
○稲田委員 第一審が終了した段階で四千八百万と決めたと。
 では、その千五百万はどのように支払ってもらったんですか。
○小川国務大臣 本当の最初の、その受任のときに、とりあえず一千万いただきました。そして、依頼者はホテル経営でありますので、いわば水商売です。ですので、資金繰りが順次できるに従って、順次払っていこうという約束でありました。
 ただ、それにつきまして、リーマン・ショックなどもございましたので、かなり営業が苦しくなったということでありますので、結局、結果的には、追加としては五百万円しかもらっていない段階で終わりました。(稲田委員「では、いつですか」と呼ぶ)五百万円をもらったのは一審の係属中でありますけれども、ちょっと日にちまでは今覚えていません。
○稲田委員 そうしますと、四千八百万が決まったのは一審が終わったとき、そしてその内金一千万は着手のとき、そして五百万は訴訟、一審の係属のときですね。
 では、その残りの三千三百万はいつ払ってもらう約束だったんですか。
○小川国務大臣 ですから、本来なら、初めに一千万もらって、それから時期時期に、大体その程度のお金を繰り返して、もらう予定であったんだけれども、結局、ファーイーストの方がなかなか資金繰りができない、リーマン・ショックもあって苦しいから、払ってもらうべきものが払ってもらえないまま、五百万円しか払ってもらえないまま、一審の裁判は終わったということでございます。
○稲田委員 質問に答えていないんです。
 一審が終わってから四千八百万を決めたんでしょう。先ほどそう答えたじゃないですか。(小川国務大臣「確定したのがね」と呼ぶ)はい、四千八百万決めたんじゃないですか。その四千八百万のうちの払ってもらっていない三千三百万の一審の着手金はいつ払ってもらう約束だったんですかという質問なんです。
○小川国務大臣 いや、それは本来は着手時に払っていただくものですけれども、だけれども、仕事の量がわからないから金額を確定できない。ですから、弁護士会の報酬規定どおりということだけれども、後はその都度その都度、仕事の量に応じて順次、大体一千万か二千万単位のお金で順次払っていただくというのが最初のもくろみでした。しかし、実際には金繰りが苦しくて、リーマン・ショックもあって、払ってもらえない状態になったので、五百万円しか払ってもらえなかったということでございます。
 ですから、最終的に四千八百万円という金額を確定したのは一審が終わった段階でありますけれども、支払い期がいつかといえば、支払い期はとっくに過ぎておるわけでございます。
○稲田委員 支払い期がとっくに過ぎているって、この三千三百万を、一審の着手金の残金をいつ支払ってもらったんですかという質問について、大臣はお答えになれないんですよ。いつ支払ってもらうかについて決まっていなかったんじゃないんですか。
○小川国務大臣 だから、訴訟をやりながら、その仕事の量に応じて順次、何カ月かで、一千万単位のお金を何回かに分けて順次、仕事量に応じてもらうというような約束でございました。しかし、それが実行されないまま、しかし裁判をやめるわけにいきませんから裁判は追行した、こういうことでございます。
○稲田委員 今の大臣のお答えは全くおかしくて、とても信用できないですよ。だって、一審の判決が出て、そしてその着手金を決めて、その三千三百万は支払われない、支払ってもらえなかった。支払ってもらえなかったにもかかわらず、一審の着手金を払わない人に対して、なぜ控訴の代理人になるんですか。おかしいじゃないですか。一審の着手金も払わない人の控訴の代理人になぜなるんですか。
 そもそも、三千三百万払うなんていう約束はなかったんじゃないんですか。
○小川国務大臣 いや、ですから、当然、仕事ですから、これは着手金を払っていただく、それは弁護士会の報酬の規定どおりと。初めのときは金額を確定できなかったわけでございます。
 ですから、何回もお話ししましたように、訴訟の進展と仕事の量が明らかになるにつれて、何回かに分けて、一千万をもらったその後に、同じような金額を何回か繰り返していただくというような了解で進んだんだけれども、実際には資金繰りが苦しくて、五百万円を一回もらっただけで終わってしまったということでございます。
○稲田委員 要するに、三千三百万の一審の着手金の残りは支払ってももらえなかったし、支払うめども立たない人なんですよ。その人に対して、控訴審の着手金として四千万の支払いを約束させたというんですけれども、それは私、とても信じられないんですが、この四千万の着手金の支払いはいつ合意して、三千三百万の一審の着手金を払ってもらえない人に、控訴審の四千万の着手金、いつ払ってもらう約束だったんですか。
○小川国務大臣 まず一審が終わって、引き続いて控訴を受任したわけであります。これは当然、事情をよく知っている私が受任して、依頼者の方も私にやってもらいたいから私に控訴を依頼したわけでございます。この控訴を断る理由は全くありません。
 それから、依頼者の方に支払い能力があるかないかは別としまして、やはり控訴を受けた以上、当然、報酬請求権は発生するわけでございます。この報酬請求権につきましては、当初の合意どおり、弁護士会報酬規定の規定どおりでいこうという基本の約束に従いまして、四千万円でいこうということを決めたわけでございます。それが実際に払われるかどうかということと、そういう約束をしたかどうかということは、また別の問題だと思います。
○稲田委員 全くおかしいですよ。
 大臣、弁護士会の弁護士職務基本規程では、弁護士が依頼者との間で金銭の貸し借りをすることを禁止しているんです。この貸し借りというのは、純粋な消費貸借だけでなくて、実質的に貸し借りに当たるような行為を禁止いたしております。
 三千三百万もの着手金を結局払ってもらえないで、受け取らないまま控訴審を受任して、そして四千万の着手金を約束したということなんですが、この三千三百万をツケの形で貸しているという意味で、弁護士会の規程違反になるのではありませんか。
○小川国務大臣 全くなりません。私の債権は貸し借りではありません。あくまでも、仕事を受任した着手金です。この仕事を受任した着手金、報酬は、弁護士会も当然もらうものと定めております。私は、当然もらうものを当然の債権として届け出をしただけでございます。
○稲田委員 大臣は、三千三百万の着手金を払ってもらえないのに控訴審を受任して、そしてそこでまた四千万という絶対に払われないような法外な金額を約束して、それをわざわざ、原告が勝訴判決でもって債権の差し押さえ、強制執行してきて、その債権の強制執行の命令書が債務者、大臣の依頼者ですね、依頼者に届いたその日に公証人役場に行って、払う当てもない七千三百万の弁護士報酬について公正証書に巻いて、そして強制執行に入っていくというのは、まさしく払う当てもない、払うつもりもない虚偽の債権でもって執行を妨害する、まさしくこれは強制執行妨害という犯罪に当たるんじゃありませんか。
○小川国務大臣 全く当たりません。
 私は、弁護士の業務を実際に行ったわけであります。弁護士の業務を実際に行ったのであるから、それに対して正当な報酬というものは当然請求できるわけでございます。そして、この報酬は、さっきも言いましたように、争い物の価格が高いから高い金額が算出されたわけでございます。
 また、一審が三千三百万円、着手金を払ってもらっていない段階で控訴審を受任するのはおかしいではないかと言うけれども、これはさっき言いましたように、私が事情を一番よく知っているし、依頼者も私にやってほしいから控訴審を受任したわけでございます。控訴審を受任した以上、これは報酬を請求できるのは当然であります。もし、三千三百万円、一審が未払いだから控訴審の着手金をもらうのはおかしいといったら、私は無報酬でやらなくてはいけないことになりますから、それはまた逆におかしいと思います。当然、弁護士の報酬は、審級ごとに報酬を計算することになっております。
 それから、着手金と事件が終わった後の成功報酬とは違います。私は成功報酬は請求しておりません。着手金は、その事務を依頼したときに、着手したときに、その時点で約束するものでございます。事件を受任して、控訴して、見込みがないだろうというのは結果論でお話しされておるわけでございまして、決して、結果論で初めから見通しがなかったという論法は通じないわけでございます。
○稲田委員 大臣、完全勝訴をした原告側の弁護士報酬は八百万なんです。大臣が完全に敗訴して、しかも家賃を支払わないで明け渡し裁判を起こされて、いわば見込みのない裁判で、まず一審で四千八百万ですね、そして三千三百万は払ってもらっていないんですよ。そして、一審で完全に負けて、控訴審に行って、これまた勝つ見込みのない裁判で着手金を四千万請求する。これ自体あり得ないことだし、それを公正証書に巻いて、原告側の強制執行の命令書が来た当日に公証人役場に行って、そしてその金額が多ければ多いほど自分の取り分はふえるという形になるわけですから、まさしく原告の強制執行を妨害するために、払いもできない法外な金額でもって公正証書を巻いたとしか考えられません。
 先ほど柴山委員の質問にお答えになって、もう一つの蓮村不動産の七千万だって、その五日後に支払うなんてあり得ない債権を利益相反行為ではないと言うことは、まさしくぐるなんですよ。ぐるになって、自分の法外な弁護士報酬と、そして返してもらうつもりも当てもない七千万の債権をまたでっち上げて、その二つの公正証書でもって、正当な勝訴判決でもって債権差し押さえに入ってきている原告の強制執行を妨害している、これはまさしく犯罪だと私は思います。そのようなことに大臣が手を染められて、今ここで強弁されること自体、私は大臣としての資質を疑います。
 この問題については、引き続き当委員会で質問させていただきたいと思います。
 終わります。
○小林委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後五時休憩
     ――――◇―――――
    午後五時十五分開議
○小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、一言申し上げます。
 今回の委員会手続につきましては、異例のことであります。今後、このようなことのないよう、委員長として一層円満なる委員会の運営に努めてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
     ――――◇―――――
○小林委員長 第百七十九回国会、内閣提出、裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案につきましては、第百七十九回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
 裁判所法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○小林委員長 この際、本案に対し、大口善徳君から、公明党提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大口善徳君。
    ―――――――――――――
 裁判所法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○大口委員 ただいま議題となりました裁判所法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 司法修習生に対する経済的支援のあり方については、一昨年の衆議院法務委員会における裁判所法の改正に関する件の決議を受けて法曹の養成に関するフォーラムにおいて検討が行われ、修習資金の貸与制を開始し、経済的理由による返済猶予を規定する政府案が提出されているところであります。
 しかしながら、法曹の養成に関する制度について、法科大学院の志望者の減少、司法試験の合格率の低迷を初めとするさまざまな問題点が指摘されている現状を踏まえれば、制度全体の見直しを早急に行う必要があります。貸与制についても、この全体の見直しの中で、法曹の養成における司法修習生の修習の位置づけを踏まえつつ検討が行われるべきであり、その間については、貸与制への移行を停止し、給費制を復活、維持すべきと考え、本修正案を取りまとめた次第です。
 本修正案の概要としては、第一に、裁判所法の一部を改正し、平成二十五年十月三十一日までの間、貸与制を停止し、暫定的に司法修習生に対し給与を支給することとしております。また、貸与制については、法曹の養成に関する制度についての検討において、法曹になろうとする者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう適切な財政支援を行う観点から、司法修習の位置づけを踏まえつつ、検討するものとしております。
 第二に、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の一部を改正し、政府は速やかに、法曹の養成に関する制度について、別に法律で定めるところにより合議制の機関を設置し、その意見を聞いて検討を加え、その結果に基づいて平成二十五年十月三十一日までに所要の措置を講ずるものとしております。
 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○小林委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○小林委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております本案及び修正案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る二十三日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十九分散会