第183回国会 本会議 第16号
平成二十五年四月十二日(金曜日)
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 議事日程 第十二号
  平成二十五年四月十二日
    午後一時開議
 第一 外国政府に対して有する米穀の売渡しに係る債権の免除に関する特別措置法案(内閣提出)
 第二 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 公職選挙法の一部を改正する法律案(田嶋要君外五名提出)
 第四 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外五名提出)
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○本日の会議に付した案件
 日程第一 外国政府に対して有する米穀の売渡しに係る債権の免除に関する特別措置法案(内閣提出)
 日程第二 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 公職選挙法の一部を改正する法律案(田嶋要君外五名提出)
 日程第四 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外五名提出)
 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
○議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。
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 日程第一 外国政府に対して有する米穀の売渡しに係る債権の免除に関する特別措置法案(内閣提出)
○議長(伊吹文明君) まず、日程第一、外国政府に対して有する米穀の売渡しに係る債権の免除に関する特別措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長森山裕君。
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 外国政府に対して有する米穀の売渡しに係る債権の免除に関する特別措置法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔森山裕君登壇〕
○森山裕君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、国際的協調のもとで対外債務の負担の軽減を図ることとされている国について、その負担の軽減を図るため、これらの国の政府に対して我が国が有する米穀の売り渡しに係る債権であって当該政府が弁済することができる見込みがないと認められるものについての特別の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る四月三日本委員会に付託され、翌四日林農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、十日質疑を行いました。質疑終局後、討論を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 採決をいたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊吹文明君) 次に、日程第二、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長石田真敏君。
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 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔石田真敏君登壇〕
○石田真敏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、刑事被告事件の手続への参加に伴う被害者参加人の経済的負担を軽減するため、公判期日等に出席した被害者参加人に対し国が旅費等を支給する制度を創設するとともに、これに関する事務を日本司法支援センターに行わせることとするほか、裁判所に対する被害者参加弁護士の選定の請求に係る資力要件の緩和を行おうとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。
 まず第一に、公判期日等に出席した被害者参加人は、裁判所を経由して請求書等を日本司法支援センターに提出し、日本司法支援センターから、旅費、日当及び宿泊料の支払いを受けられることとしております。
 第二に、国選被害者参加弁護士の選定請求に係る被害者参加人の資力基準について、その算定の基礎となる必要生計費等を勘案すべき期間を三月間から六月間に伸長することとしております。
 本案は、去る四月二日本委員会に付託され、三日谷垣法務大臣から提案理由の説明を聴取しました。
 十日、質疑を行い、質疑を終局したところ、本案に対し、民主党・無所属クラブから、犯罪被害者等に対する弁護士による無料法律相談を実施すること等を日本司法支援センターの業務に追加することを内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取した後、内閣の意見を聴取しました。
 次いで、採決した結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊吹文明君) 採決をいたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 公職選挙法の一部を改正する法律案(田嶋要君外五名提出)
 日程第四 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外五名提出)
○議長(伊吹文明君) 日程第三、田嶋要君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案と、日程第四、逢沢一郎君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長保岡興治君。
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 公職選挙法の一部を改正する法律案(田嶋要君外五名提出)及び同報告書
 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外五名提出)及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔保岡興治君登壇〕
○保岡興治君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 両案は、いずれも、近年におけるインターネット等の普及に鑑み、選挙運動期間における候補者に関する情報の充実、有権者の政治参加の促進等を図るため、インターネット等を利用する方法による選挙運動を解禁しようとするものであります。
 まず、逢沢一郎君外五名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案について、その主な内容を申し上げます。
 本案は、ウエブサイト等、電子メールを利用した選挙運動を解禁するものでありますが、電子メールにつきましては、送信主体を候補者、政党等に限定することとしております。また、政党等は、選挙運動期間中、当該政党等の選挙運動用ウエブサイト等に直接リンクする有料広告をすることができるものとするほか、誹謗中傷、成り済まし対策として、ウエブサイト等により選挙運動用または落選運動用の文書図画を頒布する者に対し、電子メールアドレス等の表示を義務づけること等の措置を講ずることとしております。
 次に、田嶋要君外五名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案について、主な内容を申し上げます。
 本案は、何人も、ウエブサイト等、電子メールを利用する方法による選挙運動を行うことができることとしております。また、政党等と候補者は、選挙運動期間中、政党等は当該政党等の、候補者は当該候補者の選挙運動用ウエブサイト等に直接リンクする有料広告をすることができるものとするほか、誹謗中傷、成り済まし対策を講じることとしております。
 両案は、去る三月二十一日に本委員会に付託され、二十二日提出者逢沢一郎君及び田嶋要君からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、四月二日から質疑に入り、参考人から意見を聴取する等審査を行い、十一日に質疑を終局いたしました。
 次いで、逢沢一郎君外五名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本維新の会及び公明党から、衆議院比例代表選出議員の選挙において、重複立候補者を除く衆議院比例名簿登載者の選挙運動用電子メールの送信は、当該衆議院名簿登載者に係る衆議院名簿届け出政党等が行うものとみなすこと等を内容とする修正案が、また、日本共産党から、インターネット等を利用する方法による選挙運動を行うことができる者を、公職の候補者及び政党等並びに年齢満二十年以上の者とすること等を内容とする修正案が、それぞれ提出されました。
 次いで、両修正案について趣旨の説明を聴取した後、討論を行い、順次採決いたしました結果、まず、田嶋要君外五名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案は賛成少数をもって否決すべきものと決しました。次に、逢沢一郎君外五名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、日本共産党の提案に係る修正案は否決され、自由民主党、日本維新の会及び公明党の提案に係る修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。
 なお、逢沢一郎君外五名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊吹文明君) ただいま報告のありました両案のうち、日程第三につき討論の通告があります。これを許します。寺島義幸君。
    〔寺島義幸君登壇〕
○寺島義幸君 私は、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につき、民主党・無所属クラブを代表して、民主党、みんなの党案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 今回の公職選挙法改正によって、私たちの生活に欠かせない社会基盤の一つであるインターネットを、ようやく、民主主義の根幹である選挙で活用できることとなります。
 インターネット上に存在するさまざまなコミュニケーションツールを通じた、一般有権者、候補者、政党の双方のやりとりの中で、新しい政治文化が醸成されるはずであります。
 このような選挙運動のあり方が、これまで文書図画の頒布規制違反とされていたこと自体が残念なことであり、今回、全政党が参加して協議が行われ、あるべき選挙の姿を具現化できることは、大きな前進と考えております。
 私たち民主党とみんなの党は、今回の議論を通じて、解禁の対象を、主体の面では、候補者や政党に限らず、主権者である一般国民を含んだものとしました。また、手段の面でも、主権者である国民の自由な政治参加を最大限確保したものとして実現すべきであると主張してきました。
 そういった考え方に基づき起草されました本改正案では、電子メールを用いた選挙運動を、一般有権者を含む全ての人が行えるようにすることといたしました。
 なぜならば、有権者が、議員になってほしいと思う人物を、みずからの意思で、知人など、つながりのある他の有権者に推薦するという、選挙において当たり前の、そして欠かすことのできない重要な行為を、現代社会に広く行き渡った電子メールというコミュニケーションツールを用いて行うことは、至極当然なことであると考えるからであります。
 電子メールによる選挙運動の解禁について、対案の提案者は、まず政党と候補者だけについて行い、一般有権者については、その後考えればよいと主張します。
 しかし、選挙というものが、主権者である国民が代議員を選ぶための制度であることからすれば、選ぶ側の自由が、選ばれる側の自由より優先されるべきであると考えます。
 以上のような観点から、国民の自由な政治参加を最大限保障するため、私たちは、一般有権者にも電子メールによる選挙運動の自由が認められた形での、ネット選挙運動全面解禁を実現すべきであると考えています。
 一方で、私たちは、一刻も早くインターネット選挙運動を解禁したいと切実に願い、早期実現に向け、各党協議会を通じて、また、自民党、日本維新の会、公明党の三党共同による法案が提示された後も、法案の一本化に向けた説得と交渉を進めてまいりましたが、残念ながら合意に至らず、今日を迎えました。
 現在の衆議院の構成に鑑み、我々の法案が皆様に受け入れられなかった場合には、次善の策として、次々回の国政選挙からの一般有権者の電子メールを利用した選挙運動の解禁について適切な措置がとられる旨を加える修正が行われる自民党、日本維新の会、公明党共同提案の修正案に賛成することも検討の余地があることを付言させていただきます。
 以上、一般有権者こそ選挙の主役となり、みんなで熟議する新しい政治文化が醸成されることを強く期待し、民主党、みんなの党案に対する賛成の討論といたします。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 以上をもって討論は終局をいたしました。
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○議長(伊吹文明君) これより採決を行います。
 まず、日程第三、田嶋要君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案につき採決をいたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立少数。よって、本案は否決をされました。
 次に、日程第四、逢沢一郎君外五名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案につき採決をいたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 全会一致、異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
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 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(伊吹文明君) 次に、内閣提出、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣稲田朋美君。
    〔国務大臣稲田朋美君登壇〕
○国務大臣(稲田朋美君) ただいま議題となりました消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案の趣旨を御説明申し上げます。
 昨年八月に成立した社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律などによる今次の消費税率の引き上げは、二段階にわたるものであることもあり、中小零細事業者を中心に、消費税の価格への転嫁について懸念が示されています。
 このため、今次の消費税率の引き上げに際しては、これらの中小零細事業者等が消費税を価格へ転嫁しやすい環境を整備していくことが極めて重要な課題となっております。
 そこで、消費税率の引き上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、消費税の転嫁を阻害する行為の是正、価格の表示並びに消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別の措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案について、その主な内容を御説明申し上げます。
 第一に、今次の消費税率の引き上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、特定の事業者による消費税の転嫁の拒否等の行為を迅速かつ効果的に是正するための制度を創設することにしております。
 第二に、消費税の転嫁を阻害する表示を迅速かつ効果的に是正するための制度を創設することとしております。
 第三に、事業者が、今次の消費税率の引き上げに際し必要があるときは、一定の誤認防止措置を講じているときに限り、消費税法の総額表示義務を解除することとしております。
 第四に、事業者または事業者団体が、公正取引委員会に届け出をして行う、一定の要件を満たす消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為について、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用を除外することとしております。
 このほか、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律案は、平成二十九年三月三十一日限り、その効力を失うこととしております。
 以上、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(伊吹文明君) ただいまの趣旨の説明に対し質疑の通告があります。順次これを許します。宮下一郎君。
    〔宮下一郎君登壇〕
○宮下一郎君 自由民主党の宮下一郎です。
 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法について質問いたします。(拍手)
 我が国経済は、安倍内閣発足以来、着実に復活に向けて動き始めております。アベノミクスに対する市場の期待がもたらした円安や株価の上昇は、実体経済にもよい影響を与えつつありますが、今後とも、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資促進による成長戦略の三つの矢によって、デフレを脱却し、経済を活性化していくことが重要だと考えます。
 来年四月には消費税の八%への引き上げ、さらに、再来年の十月には一〇%への引き上げが予定されていますが、景気回復が実現しないと消費税率の引き上げ分を売り値に転嫁できないのではないかという事業者の方々の声も聞こえてまいります。
 そこで、デフレ脱却と経済の活性化に対する総理の意気込みを改めて伺います。
 経済の活性化は極めて重要でありますが、その一方で、働きたいと思っても働くことができない、お年寄りの方や病気の方々もいらっしゃいます。そこで、年金や医療、福祉などの社会保障制度を安定させ、少子高齢化が進む中でも、誰もが安心して暮らせる社会をつくっていくことが必要であります。そのためには、社会保障と税の一体改革についても、着実に実施していくことが重要であると考えます。
 昨年、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から、消費税率の引き上げを含む税制抜本改革法が成立いたしましたが、改めて、社会保障と税の一体改革の考え方と、なぜ消費税率の引き上げを行うのか、その意義について、総理にお尋ねをいたします。
 今般予定されている消費税率の引き上げに際して、事業者の方々は、取引先との価格交渉を通じて消費税の転嫁を行っていくことが必要となります。しかしながら、特に立場の弱い中小企業が、より力の強い事業者に商品やサービスを供給する場合に、消費税引き上げ分をきちんと価格に転嫁できるだろうかといった懸念が示されています。
 また、小売業者の皆様は、消費税率引き上げ分について、消費者の皆様に御理解をいただき、御負担いただけるだろうかと心配をされています。
 そもそも、消費税は、価格への転嫁を通じて、最終的に消費者である国民の皆様に広く負担をしていただくという税であり、中小事業者の方々を初め消費税の納税を担う事業者の方々が安心して円滑に転嫁を行うことができるような環境を整備することは、消費税制度に対する国民の信頼を確保する上でも、さらには、財源を確保して社会保障制度の安定を図るという一体改革の趣旨を全うしていく観点からも、極めて重要な課題であります。
 このため、本年一月に自由民主党及び公明党で取りまとめた与党税制改正大綱におきましては、今回の消費税率の引き上げに当たっては、より踏み込んだ転嫁対策を強力に推進していく必要があるとしたところであります。
 まさに、政府・与党一体となって、これまでにない強力な転嫁対策を実施していく必要があると考えますが、総理の御決意を伺います。
 次に、今般の転嫁対策特別措置法案についてお聞きいたします。
 昨年の税制抜本改革法の審議の中で、自由民主党及び公明党は、消費税の転嫁対策の重要性を踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するための独占禁止法及び下請法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずるべきと主張し、税制抜本改革法にその旨の規定を追加したところであります。
 その後、自由民主党においても、消費税引上げに伴う転嫁対策に関するプロジェクトチームを設けて、転嫁対策についてさまざまな業種の団体から意見を伺うとともに、議員間で精力的に議論を行ってまいりました。本法案は、我が党におけるこうした議論を踏まえた実効性のある法案になったと思っておりますが、ここで改めて、本法案の狙いを、担当大臣である稲田大臣にお尋ねいたします。
 消費税の引き上げに当たって、立場の強い買い手側の企業が、立場の弱い売り手側の企業に対して、消費税分を買いたたくことによって消費税の転嫁を拒否する、また、消費税の転嫁に応じることと引きかえに、別の商品の購入をさせたり、従業員を派遣させるなどの行為は、立場の弱い企業に経済的負担を強いることになり、許されるものではありません。これらの行為に対しては、公正取引委員会や中小企業庁だけでなく、政府一丸となって対処するべきと考えますが、総理の強い御決意をお伺いします。
 立場の弱い企業にとっては、消費税の転嫁を拒否された場合であっても、そういった被害を行政側に報告して、万が一、自分が報告したことが取引先に知られることになった場合、取引を打ち切られるかもしれないといった不安から、なかなか報告を行うことが難しいといった実情があります。このような声なき声を拾い上げ、違反した事業者に対して厳正に対処する必要があると考えますが、その具体的な方策について、稲田大臣にお伺いします。
 次に、消費税の総額表示義務の特例についてお尋ねいたします。
 消費税の総額表示は、税抜き価格で表示されていた場合、レジで代金を支払うまで最終的に幾ら支払えばよいのかがわかりにくいといった消費者の方々の御意見を踏まえて、平成十六年に導入されたものであります。
 一方で、今回の消費税率の引き上げは、総額表示が義務づけられてから初めてのものであり、また、二段階にわたり実施されるものであることから、総額表示義務を厳格に適用すれば、例えば、毎日営業しているスーパーマーケットの場合、深夜に閉店した後、次の日の朝の営業開始までに全ての商品の値札を張りかえる必要があるなど、事業者にとって非常に重い事務負担が発生し、また、これが間に合わない場合には、取引の現場を混乱させ、円滑かつ適正な転嫁の確保にも支障を来しかねません。
 自由民主党の転嫁対策に関するプロジェクトチームが行った業界ヒアリングにおいても、価格表示のあり方については、値札の張りかえ等のコストや転嫁のしやすさの観点から、外税での表示が望ましいという意見や、より公平な競争環境の確保や消費者の利便性といった観点から、現行の総額表示を維持すべきといった意見など、さまざまな意見があったところです。
 今回の法案では、円滑な転嫁と消費者の利便性の双方に配慮し、時限的に総額表示義務を弾力化する措置を盛り込みましたが、その具体的内容と趣旨について、財務大臣にお伺いをいたします。
 消費税の納税義務者は事業者ですが、価格への転嫁を通じて、最終的には消費者が負担することが予定されているものであります。
 前回の消費税率の引き上げの際には、大手の小売事業者によって、消費税還元セールといった広告、宣伝が大々的に行われました。しかし、このような表示は、周辺の商店街の方々による消費税の円滑な転嫁の妨げとなるおそれがあるなど、適切な表示とは言えません。
 そこで、具体的にどのような表示が規制の対象となるのか、また、このような消費税の転嫁を阻害する表示を規制することの意義について、森消費者担当大臣にお尋ねをいたします。
 逆に、今回の法案では、消費税率引き上げ分の価格を引き上げるための表示カルテルや転嫁カルテルを、独占禁止法の適用除外としております。このことについて広く周知を図り、その活用により、消費税転嫁の円滑化のための環境を整えることが重要であると考えます。
 ついては、消費税転嫁のためのカルテルを適用除外した意義について、稲田大臣にお伺いをしたいと思います。
 また、今回の法案における転嫁拒否行為や価格表示などについての具体的な例を示すことが重要と考えますが、その点についても、稲田大臣からお伺いをしたいと存じます。
 最後に、来春の消費税率引き上げを見越して、納入価格引き下げなどの交渉が前倒しで行われる可能性もあることから、チェック体制をできるだけ早く整備することが重要であり、そのためにも、今国会での本法案の速やかな成立を図ることがぜひとも必要であるということを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 宮下一郎議員にお答えをいたします。
 デフレ脱却と経済活性化に対する意気込みについてお尋ねがありました。
 長引くデフレを脱却し、日本経済を再生させることが、私の内閣の最重要課題です。
 このため、これまでとは次元の異なる政策パッケージとして、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を一体的に進めます。こうした三本の矢により、企業の収益機会をふやし、雇用や所得の拡大を実現することで、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしてまいります。
 社会保障・税一体改革の考え方と消費税率の引き上げの意義についてのお尋ねがありました。
 少子高齢化が進展する中で、厳しい財政状況にある我が国において、社会保障・税一体改革は、御指摘のとおり、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から取り組む改革です。
 消費税率引き上げについては、その増収分を全額社会保障の充実、安定化に向けることとしており、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認維持に向け、重要な意義を有すると考えています。
 消費税の価格転嫁対策についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、消費税率の引き上げに際して、事業者が転嫁しやすい環境の整備は重要な課題です。
 このため、今般提出した法案は、与党における御議論も十分に踏まえ、より迅速に転嫁拒否行為を取り締まる仕組みなど、これまでにない、さまざまな措置を盛り込んだところであります。政府一丸となって、実効性のある強力な転嫁対策を実施してまいります。
 転嫁拒否への対処についてお尋ねがありました。
 消費税の転嫁拒否等の行為に対しては、厳正に対処する必要があると考えております。
 このため、本法案では、これらの行為に対して、公正取引委員会や中小企業庁だけではなく、事業を所管する大臣にも調査や指導を行う権限を付与したところであり、政府一丸となって、この問題にしっかりと対処してまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣稲田朋美君登壇〕
○国務大臣(稲田朋美君) 本法案の狙いについてお尋ねがありました。
 今般の消費税率の引き上げに際し、中小事業者を中心に、消費税の価格への転嫁に懸念が示されております。
 このため、政府では、消費税の円滑かつ適正な転嫁を阻害する行為の是正などの特別措置を講じることによって、これらの中小事業者の方々が消費税を価格に転嫁しやすい環境を整備していくために、本法案を提出することとしたものです。
 違反事業者に対処するための具体的な方策についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、消費税率の引き上げに当たって、立場の弱い企業の方々が、消費税の転嫁を拒否されるなどによって被害を受けたとしても、みずからその事実を申し出ていただくことが期待しにくいという実態があります。
 このため、政府としては、情報提供を受け身的に待つだけでなく、書面調査を実施するなど、積極的な情報収集に努めるとともに、政府に申し出たことを理由に取引を中止するなどの行為についても、これを転嫁拒否等の行為として取り締まっていくこととしております。
 消費税転嫁のためのカルテルを独占禁止法の適用除外とした意義についてお尋ねがありました。
 今般の消費税率の引き上げが、二段階にわたり実施されるものであるため、特に価格交渉力が弱い中小事業者の方々から、消費税の価格への転嫁について懸念が示されております。
 このため、本法案では、平成元年の消費税導入時と同様に、消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置を講ずることによって、これらの中小事業者の方々が消費税を価格に転嫁しやすい環境を整備していくこととしております。
 今回の法案における転嫁拒否行為や価格表示などについての具体的な例を示すことについてのお尋ねがありました。
 本法案による規制を実効性があるものにするためには、違反行為を未然に防止することが極めて重要です。
 このため、政府としては、ガイドラインを作成、公表し、問題のある転嫁拒否行為や価格表示等について具体的な例を挙げるなどして、事業者の方にわかりやすく示していくこととしております。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 消費税の価格表示についてお尋ねがあっております。
 今般の法案においては、与党における御議論も踏まえ、円滑な転嫁の確保や、値札の張りかえなどの事務負担への配慮の観点から、表示価格が税込み価格であると誤認されないための対策を講じていれば、税込み価格を表示しなくてもよいとするとともに、消費者に配慮する観点から、できるだけ速やかに税込み価格を表示するよう努めなければならないとしたところであります。
 この特例は、業者の方々が値札の張りかえなどに十分な時間的余裕を持って対応していただけますように、消費税の一〇%への引き上げ予定時期から一年半後に当たる平成二十九年三月まで認めることというようにいたしております。(拍手)
    〔国務大臣森まさこ君登壇〕
○国務大臣(森まさこ君) 本法案において、具体的に規制の対象となる表示及び消費税の転嫁を阻害する表示を規制することの意義についてお尋ねがありました。
 まず、本法案第八条の規制対象となる具体的な表示としては、消費税は転嫁しませんなどの、取引の相手に消費税を転嫁していない旨の表示、消費税相当分を値引きしますなどの、取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部または一部を対価の額から減ずる旨の表示、及び、消費税相当分の商品券を提供しますなどの、消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示があります。
 次に、このような消費税の転嫁を阻害する表示を規制する意義についてお答えします。
 消費税の負担等についての不適切な表示は、消費者に消費税が転嫁されていないかのような誤認を生じさせるおそれがあります。
 また、大手の小売事業者が消費税の負担等について不適切な表示をすることによって、周辺の商店街の方々が追従を余儀なくされ、消費税相当額分を値引きせざるを得なくなるおそれがあります。
 さらに、小売事業者が、そのような表示を伴う販売行為を行うために、納入事業者に対して、みずからへの納入価格を減額するよう依頼するなど、いわゆる買いたたき等の転嫁拒否行為を誘発するおそれがあります。
 これらの点を踏まえ、消費税の負担等についての不適切な表示を禁止することは、消費者の誤認を防ぐとともに、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保にも資することから、本条の表示規制を導入したものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 次の質疑者、近藤洋介君。
    〔近藤洋介君登壇〕
○近藤洋介君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案について質問をいたします。(拍手)
 税は政治、政治は税です。税制は、国家運営の基本であり、社会の姿を決めるからであります。古今東西、税制改革は、最大の政治課題であり、時の政権の命運を決めてまいりました。
 先日亡くなられた英国のサッチャー元首相、鉄の女と呼ばれたサッチャー首相は、政権の総仕上げとして、人頭税の導入に挑みました。たとえ生まれ変わって再び首相になっても人頭税は導入するとの決意を示しながら、結果は撤廃、退陣に追い込まれました。
 戦後、我が国においても、税制改革の歴史の多くは、挫折の歴史であります。一般消費税で大平内閣が潰れ、売上税で中曽根内閣、消費税で竹下内閣、国民福祉税で細川内閣が倒れました。税率引き上げをめぐり、橋本内閣も倒れました。
 民主党政権は、この二十年余り自民党政権が先送りをしてきた、税と社会保障の一体改革に挑みました。この過程で、多くの仲間を失いました。しかし、全ては次の世代のためにとの旗印のもと、法案をまとめ切りました。野田首相、当時の自民党の谷垣総裁、公明党の山口代表は、共通の認識に立って、三党合意を実現、一体改革法の成立にこぎつけたのであります。
 昨年の総選挙で、私たちは政権を失いました。改革は道半ばであります。しかし、次の世代のために、逃げずに実行する民主党の精神は、野党になっても変わりはありません。改革政党としての使命感を胸に、質問に入ります。
 まず最初に、現在の安倍政権が、消費税の引き上げを前提にした本法案を執行するに値する政権かどうか、信頼される政府かどうか、伺います。
 税制改革の実現を左右するのは、最終的には、課税する側、すなわち、政府・与党の姿勢です。いかに、増税を納税者の皆様に説明し、理解してもらい、納得を得られるかが、税の基本だからであります。
 私の地元山形県は米沢の名君、上杉鷹山公が示したように、効率的な政府の実現、みずから身を切る行政改革の断行は、国民に負担をお願いする大前提であります。
 だからこそ、民主党政権のもとで閣議決定した社会保障・税一体改革大綱には、みずから身を切る改革を実施した上で税制抜本改革による消費税引上げを実施すべきと明記、この方針に沿って、行政改革実行法案を初めとする改革法案を国会に提出したのです。
 ところが、安倍政権になってから、行政改革は、凍結どころか、後退しております。
 さきに政府が発表した行政事業レビューの方針では、見直しの対象事業を十分の一に削減、政務三役は審査に加わらず、お役所に丸投げする方針が示されました。役人の、役人による、役人のための事業温存、お手盛りレビューに方針を転換したのであります。
 安倍総理、民主党政権下で閣議決定された大綱は、自民党政権では白紙から見直し、変更されたのですか。増税の前提としての行革は必要ないとの認識ですか。お答えください。
 民主党政権では、行政改革実行法、特別会計改革法、独法改革法、公務員制度改革法の四本セットを提出いたしました。民主党は、再び、これらの法案を提出いたします。
 総理は、この法案を政府・与党として受け入れる用意はありますか。受け入れないなら、その理由を伺います。
 行政改革担当の稲田大臣に伺います。
 もし、民主党政権の方針を安倍政権も引き継いでいるのなら、この百日間、あなたは、一体何をしてこられたのですか。百日あれば、百日あれば、当然、民主党提出法案にかわる具体案ができ上がっているはずです。百日あれば、具体的な計画を示せたはずです。
 政府として、今国会で改革に向けた法案を提出する予定はあるのかないのか、秋の国会ではあるのか、明確にお答えください。
 次に、一体改革の柱、社会保障の改革の進捗状況について伺います。
 消費税の税率引き上げの目的は、持続可能な社会保障制度の実現です。子育て、医療、介護、年金といった社会保障制度の改革について、残念ながら、今のところ、安倍政権では全く進展が見られません。
 総理、八月二十一日の国民会議の設置期限までに、社会保障制度の新たな案を取りまとめる気があるのですか。
 政権政党ならば、少なくとも七月の参議院選挙までに、公約として社会保障の改革の具体像を示し、国民の信を問うべきであります。
 今、安倍政権が選挙公約の目玉として考えているのは、一見勇ましい憲法改正と伝えられています。谷垣総裁の自民党とはさま変わりであります。
 安倍総理、政権政党の総裁として、公約として、社会保障制度の改革案を示す考えはありますか。それとも、社会保障改革から逃げて、憲法改正を優先させた公約をつくるのですか。お答えください。
 次に、国民との約束、消費税の増税に伴う逆進性対策について伺います。
 民主党政権では、来年四月の税率八%の段階では、所得の低い方々に対する簡素な給付措置での対応が現実的との結論に達しました。
 安倍政権では、現時点で、何の具体策も示されておりません。国民への周知、自治体への協議を考えれば、一日も早く示すべきと考えますが、いかがですか。総理、お答えください。
 住宅についても対策が必要です。
 住宅購入にかかる消費税の負担は非常に重く、国民生活に大きな影響を与えます。また、住宅産業は裾野が広く、消費税引き上げ前の駆け込み需要とその反動減が起きれば、経済全体も不安定になります。中低所得者には、住宅ローン減税の拡充の恩恵も限定的です。
 購入を支援するための給付措置について、早急な制度設計が必要と考えますが、財務大臣の御見解を伺います。
 小規模・中小企業対策も重要です。
 日銀の量的緩和を柱とする、いわゆるアベノミクス政策もあり、株式市場は上昇、円安傾向も続いています。しかし、一方で、原油などの輸入原材料の価格が急上昇しています。電気料金の引き上げも続いています。
 期待先行の相場に浮かれた安倍政権の春は、多くの中小企業にとって、資産家ではない普通の国民にとって、コスト増の春、負担増の春、苦しみの春であります。消費税の引き上げは、アベノミクスで苦しむ中小企業に追い打ちをかけかねません。
 本法案には、中小企業、立場の弱い企業が消費税の引き上げ分を価格に転嫁しやすくするための措置が盛り込まれております。民主党政権で検討してきた内容も踏襲されております。
 しかし、取引の現場では、消費税増税を見込んで、既に今の時点で、取引先の大企業による中小企業に対する不当な値引き交渉も進んでいるとの声が私たちには寄せられています。
 安倍総理、実体経済の現実を受けとめていただきたい。内需型の中小企業に対して、緊急対策が必要です。何の対応も見られない現状は、余りに無神経です。
 経済産業大臣、アベノミクスが与える負の側面を、中小企業を所管する大臣として、どのように認識されていますか。お答えください。
 安倍総理、総理主導の政策によるマイナス効果で塗炭の苦しみを味わっている中小企業に対して、緊急総合対策を打ち出す必要があると考えますが、いかがですか。お答えください。
 中小企業では、増税後の、いわゆる消費税倒産を懸念する声も広がっています。商品を適正な価格で売るために、増税分を価格に転嫁するための売り方、商品開発、ビジネスモデルの変更も必要です。小規模、中小企業の経営を強化、改善するための政策の拡充について、経済産業大臣の見解を伺います。
 価格表示について伺います。
 政府は、平成十六年四月から、税込み価格で表示する総額表示制度、いわゆる内税方式を導入しています。
 一方、本法案では、税抜き価格の表示も認めています。一部の自民党議員は、この点をもって、外税に変わったと宣伝されているとの話も伺っています。
 本措置は、あくまでも三年間の期間限定措置であり、外税に切りかえるものではない、経過措置後は総額表示方式に収束すると受けとめていますが、財務大臣、いかがですか。
 また、さまざまな価格表示が生まれることで、内税になれている消費者の方々の混乱も懸念されます。混乱回避のためにどのような運用上の対策が必要か、財務大臣、お答えください。
 適正な価格転嫁の実現には、取引を監視する公正取引委員会の役割が重要です。立場の弱い中小企業が、相手企業からの報復を恐れて、情報提供に及び腰になる懸念もあります。泣き寝入りを防ぐ体制を急がなければなりません。
 総理、政府として、公正取引委員会の体制強化の必要性、また、関係各省の連携についてどのようにお考えか、お答えください。
 民主党政権では、公正取引委員会から審判部門を分離し、公正取引委員会を本来の市場監視業務に特化させる独占禁止法改正案を提出いたしました。公取の体制強化にもつながる改正案であり、今国会でも議員立法として提出をいたします。
 残念ながら、安倍政権では、現時点では、改正案を準備されておりません。総理、私たちの審判制度の分離に御賛同いただけますか。お答えください。
 最後に、消費増税の時期について伺います。
 本法案では、第一条で、「平成二十六年四月一日及び平成二十七年十月一日における消費税率の引上げに際し」と、消費税率引き上げ時期を明示しています。同時に、税制抜本改革法には、経済状況の好転が条件とも明記しています。本法案が成立した場合、引き上げ時期が裏書きされ、経済状況の条件は消滅するのですか。引き上げ時期は、来年四月と、それとも既成事実化されるのか、総理、お答えください。
 負担をお願いする増税は、最も不人気な政策です。しかし、将来に真面目に向き合うのであれば、消費増税を実行できなかった場合のマイナスの影響、日本経済や社会に与えるリスクについて、政権は国民に正直にお伝えする責任があります。
 仮に、来年四月に消費税を引き上げることができなかった場合、二十七年に一〇%にできなかった場合、どれだけ国債残高がふえるのか。国民生活にどのような影響が出るのか。世界の金融市場は、増税引き上げ見送りをどのように受けとめるのか。金利がどのように変化するのか。
 国土強靱化なる怪しげな風呂敷のもとで公共投資計画をぶち上げ、行革から逃げに逃げまくる自民党安倍政権には、上杉鷹山公のような歳出削減による財政再建を期待することはできません。
 こうした状況の中で、仮に、消費増税を見送った場合、日本経済にどのような悪影響が生じるとお考えですか。この見送りリスクについて、総理の認識、所見を伺います。
 全ては次の世代のために、全ては子供たちのために。逃げずに、ぶれずに、実行する。民主党が掲げてきた、税と社会保障改革の原点であります。
 古い自民党、復古調の自民党を取り戻しつつある安倍政権、そして自民党議員の皆さん、我々民主党は、これからも正々堂々と論戦を挑み、建設的な提案を続けることを誓って、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 近藤洋介議員にお答えをいたします。
 社会保障・税一体改革大綱や行政改革についてのお尋ねがありました。
 社会保障・税一体改革については、昨年二月に閣議決定した社会保障・税一体改革大綱を踏まえつつ、自民、公明、民主の三党合意に基づき、推進することとしています。
 また、行政改革は、行政機能や政策効果を最大限向上させるとともに、政府に対する国民の信頼を得るために極めて重要な取り組みであり、安倍内閣として、全力で改革を断行してまいります。
 御党で検討中の法案についてはお答えしかねますが、独立行政法人改革や特別会計改革については、これまでの取り組みを総括、点検し、必要な改革案を取りまとめていくこととしており、また、公務員制度改革については、真の改革を目指し、広範な改革事項について、総合的な総括、検証を行っているところであります。
 なお、行政事業レビューについては、今年度より、外部有識者によるチェック体制の重点化や、新たに基金の使途を毎年公表するなど、効果的な取り組みを政府一丸となって実施することとしており、御指摘は当たりません。
 社会保障改革についてのお尋ねがありました。
 社会保障・税一体改革は、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から取り組む改革であり、自民、公明、民主の三党合意に基づき、改革を推進してまいります。
 社会保障のあるべき姿については、参議院選挙の前後にかかわりなく、しっかりと議論していくことが重要であると考えています。今後、社会保障制度改革推進法に基づき、八月二十一日の設置期限に向けて、国民会議で引き続き精力的に御議論をいただき、改革を具体化してまいります。
 参議院選挙の自民党公約についてお尋ねがありました。
 来るべき参院選における自民党の公約は、今後、党内で議論が行われるものであり、現時点で中身は決まっておりません。
 政権運営に当たり、国民の政治への求めに応じて、優先順位をつけて対応していくべきは当然であります。危機的な状況にある暮らしの不安を払拭し、誰もが安心できる持続可能な社会保障制度の構築は、待ったなしの課題であります。
 他方で、国の形、理想を物語る憲法も、日本の将来にかかわる重要な課題です。どうか、民主党の皆さん、ともに国民的な議論を深めていこうではありませんか。
 簡素な給付措置についてお尋ねがありました。
 簡素な給付措置については、昨年六月の三党合意において、真に配慮が必要な低所得者を対象にしっかりとした措置が行われるよう、今後、予算編成過程において、立法措置を含めた具体化を検討することとされています。
 その後、本年二月の三党合意において、低所得者対策については、引き続き協議を行うとされたところであり、簡素な給付措置の具体的内容についても、与党間及び三党間での議論を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
 中小企業の状況の変化や対応策の必要性についてのお尋ねがありました。
 中小企業、小規模事業者の業況については、経済対策、金融政策の効果等を背景に、私が政権についた昨年十二月から本年三月時点の調査にかけて、四ポイント以上改善しました。その結果、二〇〇六年以来の水準まで回復をしています。また、来期の見通しは、一九九六年以来、過去二十年弱で最高の水準になることが見込まれております。
 また、原材料等の上昇による負担が中小企業、小規模事業者に一方的にしわ寄せされることがないよう、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律や下請代金支払遅延等防止法に違反する行為が認められた場合には、迅速かつ的確に対応してまいります。
 さらに、原材料等の上昇により影響を受ける中小企業、小規模事業者が一時的に収益を圧迫される場合には、公的金融機関によるセーフティーネット貸し付けにより、しっかりと支援をしてまいります。
 いずれにせよ、政府としては、三本の矢により、企業の収益機会をふやし、雇用や所得の拡大を実現することで、中小企業、小規模事業者や国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていきます。
 公正取引委員会の体制強化、報復措置に対する対応等の転嫁対策についてお尋ねがありました。
 消費税の転嫁拒否等の行為に対する取り締まり等のため、公正取引委員会及び中小企業庁において人員を臨時的に増員し、体制を強化いたします。
 また、転嫁拒否等の行為を受けた事業者にとって、みずからその事実を申し出にくい場合があると考えられます。このため、政府の側から書面調査を実施することなどにより、積極的な情報収集に努めてまいります。
 さらに、今般の法案では、消費税の転嫁拒否等の行為に対して、公正取引委員会や中小企業庁だけでなく、事業を所管する省庁においても調査や指導を行う権限を付与することとしており、政府一丸となって、転嫁対策に万全を期してまいります。
 独禁法改正の必要性についてのお尋ねがありました。
 審判制度の廃止等を内容とする独禁法改正法案については、民主党政権下の平成二十二年三月に国会に提出され、平成二十四年十一月に、審査未了により廃案となったものと承知しております。
 政府としては、こうした内容の独禁法の改正について、引き続き、与党における議論も踏まえながら、検討を進めてまいります。
 消費税率の引き上げと転嫁法案との関係についてお尋ねがありました。
 税制抜本改革法で来年四月に消費税率を引き上げることが決まっていますが、附則第十八条にのっとって、本年秋に、名目及び実質の経済成長率等、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案して判断してまいります。
 転嫁法案第一条の規定は、この枠組みを変えるものではありません。
 いずれにせよ、三本の矢で、長引くデフレから脱却をし、日本経済を全力を挙げて再生してまいります。
 消費税率の引き上げを行わなかった場合の経済への影響についてお尋ねがありました。
 今回の一体改革による消費税率引き上げは、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国債を含む国の信認維持のために行うものであり、国民の暮らしの安心を取り戻すことにつながると考えております。消費税率の引き上げを行わない場合、こうした目的が達せられないおそれがあります。
 また、このような場合の国債の残高の増加額については、消費税以外の税目も含む税収や歳出などにも影響されるため、一概に申し上げられませんが、一般論としては、財政収支の改善がおくれることで、新規の国債の発行額の増加を招くおそれがあります。
 他方で、消費税率を引き上げても、逆に減収になるようでは意味がなく、一体改革の目的に沿って税収を確保できることが重要です。
 三本の矢で、長引くデフレから脱却をし、日本経済を全力を挙げて再生してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 近藤先生から三問頂戴をしております。
 住宅取得に対する給付についてのお尋ねがありました。
 住宅取得に対する給付につきましては、与党税制改正大綱におきまして、所得税に加え住民税による住宅ローン減税の拡充策を講じてもなお効果が限定的な所得層に対して、別途、良質な住宅ストックの形成を促す住宅政策の観点から、適切な給付を講ずるとされたところであります。
 これを踏まえ、政府におきましては、住宅ローン減税による負担軽減を考慮しつつ、住宅政策の観点から、その具体的な内容について検討を進めているところですが、一定の周知期間が必要であることを踏まえて、できるだけ早期に、遅くともこの夏にはその姿を示せるようにいたしたいと考えております。
 次に、総額表示の特例の期限についてのお尋ねがあっております。
 今般の法案に盛り込まれました総額表示の特例は、業者の方々が値札の張りかえなどに十分な時間的余裕を持って対応していただけるように、消費税率の一〇%への引き上げから一年半後の、期間を限定して認めることといたしておるところであります。
 最後に、総額表示の特例に関する混乱防止策に対してのお尋ねもあっております。
 政府といたしましては、今般の法案に盛り込まれた総額表示の特例に伴います消費者の混乱をできるだけ防止するため、事業者など関係者の意見を聴取した上で、消費者に誤解を生じさせにくい値札表記の具体例などを、今後作成をいたしますガイドラインなどで明らかにし、事業者への周知を徹底するための広報活動に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕
○国務大臣(茂木敏充君) 近藤議員から、中小企業の経営環境と対策について御質問をいただきました。
 中小企業、小規模事業者の中には、原材料価格等の上昇により、一時的に収益が悪化するなど、経営状況に影響を受ける事業者が存在すると認識をいたしております。
 しかし、全体としては、緊急経済対策や大胆な金融政策の効果等を背景に、消費者マインドの動きにも支えられ、中小企業、小規模事業者の業況は、さまざまな業種で持ち直しの動きが見られます。
 対策についてでありますが、経済産業省としては、中小企業、小規模事業者の経営を強化するため、平成二十四年度補正予算では、経済産業省関係の予算一兆二千億円のうち、中小企業・小規模事業者対策予算として、半分近い、約五千四百億円を措置しております。
 例えば、小さな町工場に埋もれているすぐれた技術を使って新製品をつくろうとするときに、それに必要な試作品開発や設備投資等を支援するため、ものづくり補助金として一千七億円を措置し、全国一万社のものづくり中小企業、小規模事業者を支援していきます。
 また、セーフティーネット貸し付け等によります十兆円超の資金繰り支援、認定支援機関を活用した経営改善計画策定支援事業を実施しております。
 こうした支援策を通じて、地域経済を下支えする中小企業、小規模事業者の経営力強化を図るべく、しっかりと取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣稲田朋美君登壇〕
○国務大臣(稲田朋美君) 行政改革及び公務員制度改革の取り組みについてお尋ねがありました。
 行政改革については、本年一月に全閣僚から成る行政改革推進本部を設置して、積極的な改革の推進体制を整えるとともに、そのもとに、内閣総理大臣を議長とする行政改革推進会議を立ち上げ、既に、行政事業レビューや調達改善の具体策を決定したところです。
 今後は、独立行政法人改革や特別会計改革について、これまでの取り組みを総括、検証し、現政権としての改革案を取りまとめてまいります。
 公務員制度改革については、国家公務員制度改革基本法の広範な改革事項とこれまでの経緯について、専門家を交えた総合的な総括、検証を行っているところであり、本年三月には、年金支給開始年齢の引き上げに伴う国家公務員の雇用と年金の接続の具体案を策定したところです。
 これまでの改革の引き継ぐべきものは引き継ぎ、見直すべきものは見直した上で、真に国家国民のために機能する行政と公務員制度の実現に向けた改革を着実に実行していくこととしており、必要な法案も早期に取りまとめてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 次の質疑者、丸山穂高君。
    〔丸山穂高君登壇〕
○丸山穂高君 日本維新の会の丸山穂高です。
 維新の会を代表して、ただいま議題となりました消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案に関連して質問させていただきます。(拍手)
 日本維新の会は、その公約において、従来より、消費税の地方税化を主張しております。
 この点に関しましては、これまでの本会議での総理の所信表明に対する質疑や予算委員会などでの委員会質疑において議論が進められておりますので、引き続きそこでの議論を進めていただくといたしまして、本質問では、消費税増税時の価格転嫁にまつわる諸問題と、そして、私自身、二十九歳という若い世代の議員でございますので、消費税増税に関連した世代間の格差の問題についてお伺いしたいと思います。
 さて、本特別措置法案におきまして、大企業が優越的な地位を濫用し、中小零細企業の価格転嫁を拒むケースも多い現在の民間取引事情を鑑みますと、取引の公正を図るとともに、消費税増税の影響で、中小企業の収益が予想以上に悪化し、景気を下押しするような事態は避けなければならない、こういった観点から、本法案を提出された大枠の趣旨については、おおむね理解できるところでございます。
 しかしながら、今後の国会審議を進めるに当たり、細部も含めて、幾つか懸念される点、安倍内閣の方向性との関係で疑問に感じる点がありますことから、それらに関しまして、安倍総理及び担当大臣の見解をお伺いいたします。
 まず、いわゆる消費税還元セールの禁止についてであります。
 本法案では、平成二十六年四月に消費税が八%へと引き上げられるのに合わせて、商品の納入業者に値下げを求めさせないために、以前の税率変更時にも実施されなかった、小売事業者による消費税に関連するような形での安売り宣伝や広告、いわゆる消費税還元セールなどを実施することを禁じるとされています。
 しかしながら、これに関連して、増税分の価格転嫁しづらい中小企業を後押しするだけなら取引の監視強化で十分ではないか、小売業が自己負担で値下げする余地もなくなってしまうようなセール広告禁止は行き過ぎではないかという声も聞かれます。
 商取引において、立場の弱い中小企業などの納入業者を守る必要性は理解できる一方で、企業の自由な価格決定や販売戦略も尊重しなければなりません。
 政府は、今後、禁止事項を定めた内閣府令や指針を出す予定とのことでございますけれども、民間の創意工夫を阻害する硬直的な運用を危惧するところです。
 納入元の中小企業へのしわ寄せ防止のために、小売業が自己負担で値下げする行為や、企業努力、消費者の購買意欲を高めるアイデア自体まで禁止することは、そもそも、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保という法目的と本禁止措置との直接の因果関係、目的と手段の関係が明確ではない上に、健全な競争や企業努力を損なうことになりかねない、行き過ぎた規制ではないでしょうか。
 何より、規制改革を進めるはずの安倍内閣の方針と真逆の方向性ではありませんか。安倍総理の見解を伺います。
 次に、消費税増税後の消費者心理の冷え込みに対する対策について伺います。
 先ほど申し上げたような小売業の自己負担での還元セールは、消費税増税前の駆け込み需要の反動で増税後の消費者の購買意欲が低下する現象を和らげる手段としても、有効と考えられます。
 前回、平成九年の三%から五%への増税時も、景気や消費者心理への影響が指摘されておりましたが、そもそも、政府においては、今回の消費税増税によって、どの程度の消費の冷え込みや景気への影響を予想されているのでしょうか。政府内において、過去の事例などに基づいた調査や研究を行っておられますでしょうか。もし行っているのであれば、どの程度の規模の影響と試算されているのでしょうか。
 消費者心理の冷え込みによって物が売れなければ、小売業者だけでなく、結局、本法案で守ろうとしている納入元の中小企業の経営も危うくすることになりかねません。
 消費が冷え込めば何らかの販促を打たないわけにはいかないのが民間企業であって、このような企業努力も含めて政府が禁止する方針だというのであれば、政府は、消費税増税後の消費者心理の冷え込みへの具体的な対策、景気対策については、検討されているのでしょうか、あるいは、今後検討される予定はあるのでしょうか。経済の再生が安倍政権の政策の一丁目一番地であるとおっしゃっている総理の見解を伺います。
 また、物の価格は市場で決まるということが原則の市場主義経済において、そもそも、製品の価格交渉は、増税と関係なく生じます。仕入れ価格に増税分が転嫁されたかどうかの算定は非常に難しいことであるというのが、専門家においても、また現場の声としても、共通して聞かれるところではないでしょうか。
 幾ら値引き手法の一部を縛っても、需要が喚起されない限り、価格の下落圧力が弱まることはありません。
 先ほど来の話のように、小売業者が自己負担して価格を維持することまで縛る点を考えると、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することという本法案の法目的を超えて、むしろ、国全体での物価上昇を実現したいという思惑が感じられます。
 本法案は、デフレ対策、物価の下落を防ぐという目的もあるのでしょうか。今国会でもデフレ脱却への決意を繰り返し述べられている安倍総理の見解を伺います。
 また、今回の特措法案では、内閣官房に消費税価格転嫁等対策推進室を設置し、各省庁にも担当の調査官を配置するということですが、違反を監視する公正取引委員会や官庁の人員には限りがあります。
 また、国内の企業約十六万社に対しての書面調査も行う方針とのことですが、全ての中小企業を保護するといっても、日本の企業数の九九・七%、雇用の七割も占める全国約四百二十万社の中小企業に目が行き届くのかどうかという点について、まだまだ不安は拭い去れません。
 予算や人員のさらなる確保を含めた一層の対策が必要かと思われますが、安倍総理の見解をお伺いします。
 次に、平成元年の消費税導入時及び平成九年の消費税増税時における対策からの反省点や、そこからの、今回の法案に反映された改善点についてお伺いします。
 平成元年の消費税導入の際にも、政府は、価格転嫁を円滑に進めるために複数の企業が互いに申し合わせて増税分を一斉に価格に上乗せするいわゆる転嫁カルテルを、独占禁止法で禁止されているカルテルの例外として認めましたが、前回の平成九年の増税時には、消費税は定着したとの判断から、転嫁カルテルを認めませんでした。一方で、今回また、この転嫁カルテルを例外として認めるとのことですが、この二度の方針転換は、いかなる理由によるものでしょうか。
 さらには、平成九年の増税時のときにも、消費税率の引き上げに向けての便乗値上げや価格カルテルへの注意喚起のため、公正取引委員会による監視強化やガイドラインの作成を行っておりますが、前回の対策において効果のあった点、問題があった点を踏まえた上での改善を、今回の監視強化にどのように反映されているのでしょうか。
 前回の反省点及び今回の法案や付随する政策の改善点について、先ほどの転嫁カルテルの例外化の件も含めて、担当大臣の見解をお伺いします。
 さらに、前回消費税増税時は、例えばタクシーなどでは、消費税が免税であった年間売上高三千万円以下の事業者の値上げを認めなかったために、初乗り運賃に事業者間で差が出るなど、同業者でも異なる状況が見られました。
 また、今回は、平成二十六年四月と平成二十七年十月の二段階での増税となり、企業ごとや増税時期で対応が異なれば、消費者が困惑することも十分に考えられます。
 本法案では、小売段階での総額表示の特例措置も認めるとのことですが、これも、企業や時期によって対応が違えば、消費者の混乱のもととなりかねません。こうした混乱が生じないための措置や周知策についてどうされるおつもりか、担当大臣の見解をお伺いします。
 最後に、消費税増税下における若者に対する支援策について伺います。
 政府が出した経済財政白書によれば、六十代以上は、生涯で約四千九百万円もの税や年金における受益超過でございますが、我々二十代は約一千七百万円もの負担超過となっています。そして、さらに、その白書によると、将来世代は約四千六百万円もの負担超過になるとのこと。
 安倍総理は、赤ちゃんが生まれながらにして四千六百万円もの借金を背負うこの国の現状をいかにお考えでしょうか。
 このように大きな世代間格差が発生する国は、世界でも類を見ないのではないでしょうか。これは、自民党、民主党ともに、これまでの歴代政権が、支持基盤である高齢者の既得権を過度に過度に尊重してきた結果ではないでしょうか。
 もちろん、今の日本があるのは年配の方々のおかげであることを忘れてはならないし、高齢者層への受益が高いことが一概に全て悪いとは思いませんが、将来のことを見据えると、教育にしても子育てにしても、もっと若い世代にも目を向けて投資していくべきではないでしょうか。
 所得税を払うことがない年金生活者の方が激増する高齢化社会では、幅広い層に負担を求める消費税が、世代間の不公平是正のために重要であり、年金の財源に充当して年金財政を安定させるためにも必要と考えます。そして、さらに、若者の負担を軽減することは、日本経済が活力を取り戻すためにも不可欠です。
 安倍総理にお伺いします。
 消費税増税による税収は、年金、医療、介護、少子化対策の社会保障四経費に充てられるとのことですが、これらにおける世代間格差の是正や若い世代、将来世代への支援に充てられると考える額、割合は、いかほどになる予定でしょうか。中でも、少子化対策の金額はどの程度になり、この財源を使ってどのような具体策をとられるお考えですか。重ねて、世代間格差の是正や若い世代、将来世代への支援に対する安倍総理の決意をお願いいたします。
 さて、これまでさまざまな意見や質問を述べさせていただきましたが、我々日本維新の会の国会対応の方針、法案への賛否は、是々非々でございます。国にとって必要な政策を進める内容の法案であれば、政府に対し協力は惜しみませんが、一方で、問題点が多ければ、修正を求めたり、反対の姿勢を示すこともあります。
 まずは、国民の代表として、国会の場で国民にわかりやすい審議に努め、必要な改革については、スピード感を持って政治の決断を進めることが何より重要だと考えています。
 税の決定とその配分は政治そのものであり、よりよい国会審議、国民にわかりやすい国会運営のためにも、先ほど来申し上げた疑問点について、御答弁者の方々には、役所が作成した紋切り型の答弁ではない、政治家としての明確な御答弁をお願いするとともに、日本の活力を取り戻すためにも、先ほど申し上げたような、より一層の、若い世代、そしてこれから生まれ行く次世代のための支援政策や少子化政策、さらには、民間企業の創意工夫を阻害しない施策の実行を心よりお願いいたしまして、私、丸山穂高の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 丸山穂高議員の質問にお答えをいたします。
 消費税の転嫁を妨げる表示を規制する意義についてのお尋ねがありました。
 本規定は、納入業者に対する買いたたきや周辺の小売業者の転嫁が困難になることを防止する観点から、事業者が消費税に関連するような形で安売りの宣伝等を行うことを禁止するものであります。そのため、事業者の企業努力による価格設定自体を制限するものではありません。
 消費税率の引き上げによる景気への影響と景気対策の検討についてお尋ねがありました。
 今回の消費税率の引き上げは、過去の経験に照らし、駆け込み需要やその反動減など、経済に一定の影響があると予想されますが、今回の税制改正で、住宅取得の影響を平準化、緩和する観点からの、住宅ローン減税の抜本的な拡充などの措置を講じることとしています。
 また、三本の矢で、長引くデフレから脱却して、雇用や所得の拡大を実現することで、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るように、しっかり取り組んでまいります。
 なお、景気対策については、時々の経済情勢を踏まえて判断するものであり、現時点で予断を持ってお答えすることは困難であります。
 本法案の目的についてお尋ねがありました。
 本法案は、消費税率の引き上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的として、消費税の転嫁を阻害する行為の是正などの各種の特別措置を講じるものであり、御指摘のような目的を有するものではありません。
 転嫁対策の体制整備についてお尋ねがありました。
 政府としては、転嫁対策にしっかり取り組むため、公正取引委員会や中小企業庁の人員を臨時的に増員します。
 また、各省庁のみならず、地方自治体の相談窓口に寄せられた情報の活用や、これまでを大幅に上回る規模の書面調査の実施等により、転嫁拒否等に対する是正、監視、取り締まりを徹底してまいります。
 財政や社会保障を通じた受益と負担に関する世代間格差の現状や、その是正などについてお尋ねがありました。
 我が国の財政や社会保障を通じた受益と負担に関する世代間格差については、さまざまな指摘があるものと承知しておりますが、各国の制度等の違いもあり、その国際比較による評価を一概に行うことはなかなか難しいと考えております。
 社会保障・税一体改革においては、負担面では、世代を通じて幅広い国民が負担する消費税の税率を引き上げることにより、社会保障の安定財源を確保し、将来世代に負担を先送りしている現状を一定程度改善する一方、給付面では、その財源から〇・七兆円程度を保育の量的拡大による待機児童の解消等に充てるなど、若い世代への支援を充実することとしております。こうした改革を通じて、御指摘の世代間格差等の是正が進むものと考えております。
 政府としては、引き続き、受益と負担の均衡がとれた、持続可能な制度の構築を目指してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣稲田朋美君登壇〕
○国務大臣(稲田朋美君) 転嫁カルテルについてのお尋ねがありました。
 消費税を導入した平成元年においては、消費税は我が国にとって極めてなじみが薄く、事業者には、税額分の転嫁が円滑に行えないのではないかとの不安があり、また、消費者には、消費税額分以上の価格値上げが行われるのではないかとの不安がありましたので、事業者や消費者が消費税制度になれるまでの暫定的措置として、転嫁カルテル及び表示カルテルについて、独占禁止法の適用除外といたしました。
 消費税率を引き上げた平成九年の段階では、国民が消費税になれたことなどを踏まえ、同様の立法措置は講じておりません。
 今般の消費税率の引き上げは、二段階にわたり実施されるものであるため、特に、価格交渉力が弱い中小事業者の方々から消費税の価格への転嫁について懸念が示されておりますので、平成元年の消費税導入時と同様に、転嫁カルテル及び表示カルテルに関する特別措置を講じることによって、これらの中小事業者の方々が消費税を価格に転嫁しやすい環境を整備していくことといたしております。
 前回の転嫁対策を踏まえ、今回の転嫁対策がどのように改善されているのかについてのお尋ねがありました。
 今回の転嫁対策では、より実効性のあるものとするため、ガイドラインの作成などに加えて、転嫁を拒否する行為や転嫁を阻害する表示に対する取り締まりに政府全体で取り組むといった、これまでにない、さまざまな措置を講じることといたしております。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 総額表示の特例に関する混乱防止対策についてお尋ねがあっております。
 政府としては、今般の法案に盛り込まれた総額表示の特例に伴います消費者の混乱をできるだけ防止するため、事業者など関係者の御意見を聴取した上、消費者に誤解を生じさせにくい値札表記の具体例などを、今後作成するガイドラインで明らかにし、事業者への周知を徹底するための広報活動に、全力で取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 江田康幸君。
    〔江田康幸君登壇〕
○江田康幸君 公明党の江田康幸でございます。
 私は、公明党を代表して、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案に関し、安倍総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)
 安倍内閣による、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の、いわゆる三本の矢の経済政策の着実な実行により、我が国の経済の風向きは確実に変わりつつあります。長引くデフレや円高不況を克服するためにも、引き続き、政府・与党が一体となって、我が国経済が持続的に成長していくために、断固たる決意で取り組んでいかなければなりません。
 また、我が国が持続的に成長していくためには、これらの経済対策に加えて、お年寄りも、子育てをしている方々も、全ての人が安心して暮らすことができるように、安心の社会保障制度を構築していかなければなりません。そのためにも、今般の社会保障・税一体改革を着実に実施することが重要であると考えます。
 総理、社会保障・税一体改革の着実な実施に向けてどのように取り組んでいかれるのか、総理の決意を伺います。
 今般の社会保障・税一体改革は、消費税引き上げによる増収分を社会保障の財源とし、国民に還元するものです。そして、その消費税は、価格転嫁を通じて、最終的に消費者に負担をいただくものでございます。
 しかし、実際の納税者である事業者、特に、大規模小売業者に納入する事業者や中小零細企業においては、平成二十六年四月に予定される消費税率引き上げを前に、消費税額を十分に転嫁できないのではないかという不安が根強くございます。
 公明党は、そのような事業者の声を吸い上げ、消費税転嫁対策を強力に推進すべく、本年三月に、経済産業部会や税制調査会を初めとする合同会議を開催し、十五の業界団体から生の声をお聞きしてまいりました。
 そして、これらの業界団体ヒアリングで得られた事業者の要望を具体化するために、消費税転嫁対策の強力な実施に向けた提言を取りまとめ、政府に対し、本法案に盛り込むべき事項について申し入れをしたところでございます。
 具体的には、法律による保護対象を資本金三億円以下の全事業者に拡大することや、大規模小売店への納入業者に関しては、転嫁拒否のおそれが一段と高いことから、資本金規模によらず一律に保護対象にすることを求めました。また、転嫁の円滑化や事務負担軽減の観点から、総額表示義務の特例を設けることや、円滑な転嫁を阻害する広告の取り締まり等も求めました。
 本法案は、このような公明党の提言が十分に盛り込まれたものであり、高く評価をいたします。
 まず、本法案を早期に成立させ、消費税の円滑かつ適正な転嫁に向け政府一丸となって取り組んでいくことに対する、総理の決意を伺います。
 さて、ここからは、転嫁拒否行為を取り締まり、是正するための措置に関して伺います。
 ヒアリングの場では、立場の弱い中小企業、納入事業者を初めとして、消費税額分を転嫁できないのではないかといった不安の声や、転嫁拒否行為を強力に取り締まるための実効性の高い措置を求める声が多く寄せられました。このような声をしっかりと受けとめ、政策に反映させていくことこそが政治の責任であると考えます。
 本法案によってどのような行為を転嫁拒否行為として取り締まることが可能なのか、公正取引委員会担当大臣の見解を伺います。
 また、転嫁拒否行為は、あらゆる業種、取引関係で起こるものであり、公正取引委員会の力だけでは、強力な取り締まりを行うことは不可能であります。事業を所管する各省庁も主体となり、政府一体となって転嫁拒否行為の取り締まりに取り組まなければなりません。
 特に、転嫁拒否行為の被害を最も受けやすいのは、立場の弱い中小企業であります。中小企業を転嫁拒否行為から守るため、政府としてどのように取り組んでいくのか、総理に答弁を求めます。
 一方で、本法案によって強力な取り締まりが可能になったとしても、それが抜かずの宝刀になってしまっては意味がありません。公明党の提言にもありますとおり、事業者からの申告を待つのみならず、専門の調査官による継続的な調査や大規模な書面調査などによって、政府の方から積極的に転嫁拒否行為の端緒を発見することが重要です。
 事業者の声なき声をいかに吸い上げ、取り締まりにつなげていくのか、公正取引委員会担当大臣の所見を伺います。
 また、立場の弱い零細中小企業は、転嫁拒否行為等を受けたとしても、相手からの報復を恐れるため、政府に申告することをちゅうちょしてしまうのではないでしょうか。転嫁拒否行為は是正されたけれども、取引から外され、会社を畳む羽目になってしまった。そのような本末転倒な事態は、何としても避けなければなりません。
 申告者をどのように保護し、報復を防止するのか、公正取引委員会担当大臣に伺います。
 次に、消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置に関してお伺いをいたします。
 本法案において、いわゆる消費税還元セール等の、消費税の円滑な転嫁を阻害する広告等を禁止する措置が盛り込まれています。
 このような広告は、価格転嫁を通じて消費者が負担するという消費税の趣旨にそぐわない上に、その背後に、買いたたき等の行為が生ずるおそれがあります。
 また、過去の消費税率引き上げ局面では、大規模小売店が消費税還元セールを実施し、その結果、地域の中小商店が値下げをせざるを得なくなったという経緯がございます。
 そのような観点を踏まえ、公明党の提言にも、消費税引き上げに関連した広告を取り締まることを盛り込んでおり、歓迎すべき措置であると考えます。
 他方で、禁止される表示の内容については、小売店の創意工夫による自由な宣伝行為を過度に阻害しないよう、ガイドライン等において、明確かつ具体的に示されるべきであると考えます。消費者担当大臣、いかがでしょうか。
 次に、店頭での価格表示に関する特別措置についてお伺いします。
 今回の法案では、店頭での価格表示について、必要があるときは総額表示義務を緩和する特別措置が盛り込まれております。
 消費税の総額表示義務の緩和については、公明党が実施したヒアリングにおいても、値札張りかえの事務負担軽減等の観点から、多くの要望が寄せられたところです。今回の法案に盛り込まれたことを高く評価いたします。
 また、ヒアリングでは、このような消費者向けの総額表示義務の緩和に加え、事業者間での外税での価格交渉を推進することが転嫁の円滑化に資するとの声がありました。このため、公明党の申し入れを受け、大手小売等の強い立場の事業者が、弱い立場の事業者から外税での価格交渉を求められた際には、これを拒むことができないように法案で措置されております。
 今回の措置により、具体的にどのような表示方法が可能となるのでしょうか。また、事業者の方々がどのようなメリットを受けるのでしょうか。財務大臣にお伺いをいたします。
 次に、消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置、いわゆる転嫁カルテル、表示カルテルに関してお伺いいたします。
 消費税導入時と同様、転嫁カルテル、表示カルテルに対する独禁法の適用除外措置を講ずることは、円滑な転嫁を行うための環境整備に資するものであると考えます。
 ただし、事業者や事業者団体に転嫁カルテル、表示カルテルを広く御活用いただくためには、届け出が複雑で使い勝手の悪いものであっては意味がありません。例えば届け出マニュアルの整備、添付書類の簡素化を行い、事業者の事務負担に配慮することが必要ではないでしょうか。公正取引委員会担当大臣の見解をお伺いします。
 最後に、消費税の転嫁対策に関する広報、相談体制の整備について伺います。
 冒頭で申し上げましたとおり、消費税は、価格転嫁を通じて、最終的に消費者に御負担いただくものであります。円滑な転嫁を実現するためには、事業者と国民の皆様に、そのような趣旨をしっかりと御理解いただくべく、政府一丸となった広報を実施していくことが必要不可欠であります。
 また、本法案の措置について事業者の皆様にしっかりと周知すれば、多くの転嫁拒否行為を未然に防ぐことができるのではないでしょうか。
 総理、本法案を含む消費税の転嫁対策について、政府としてどのように広報を行っていくのですか。
 また、政府から広報を行うだけでは不十分であります。事業者や国民の皆様からの相談を幅広く受け付け、消費税の転嫁に関する疑問を解消いただくと同時に、転嫁拒否行為等に関する情報をつかんでいくことが重要です。
 その際には、各省がばらばらに相談を受け付けるのではなく、政府共通の相談センターを設置し、あらゆる相談にワンストップで対応するための体制を構築するべきではないでしょうか。総理の御見解を伺います。
 以上、さまざまな点について質問をいたしました。
 今般の社会保障・税一体改革は、消費税率引き上げによる増収分を社会保障の財源として、国民の皆様に還元するものであります。それを着実に実現するためには、消費税率引き上げに対する国民の理解を得ていくとともに、本法案を中核として、政府一丸となった、過去に見られない、強力な転嫁対策を行っていくことが必要不可欠であります。
 消費税の転嫁拒否行為は、来年四月を待って一斉に発生するのではありません。既に、税率引き上げを見据え、事業者の価格交渉は始まっています。ぜひ、本法案を早期に成立させ、一刻も早く消費税転嫁対策に強力に取り組んでいこうではありませんか。
 以上でございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 江田康幸議員にお答えをいたします。
 社会保障・税一体改革についてのお尋ねがありました。
 少子高齢化が進展する中で、安定財源を確保しながら、持続可能な社会保障制度を構築し、暮らしの安心を取り戻すため、自民、公明、民主の三党合意に基づき、社会保障・税一体改革を推進してまいります。
 三党間での協議の進展も踏まえ、社会保障制度改革推進法に基づき、国民会議において御議論いただき、改革を具体化してまいります。
 消費税の転嫁対策についてお尋ねがありました。
 今般提出した法案では、御党における御議論も十分に踏まえ、より迅速に転嫁拒否行為を取り締まる仕組みなど、これまでにないさまざまな措置を盛り込んだところであり、早期の成立をお願いいたします。
 消費税率の引き上げに際して、事業者が転嫁しやすい環境を整備することは大変重要であると考えており、本法案の内容も含め、政府一丸となって、実効性のある強力な転嫁対策を実施してまいります。
 中小企業を転嫁拒否行為から守るための取り組みについてお尋ねがありました。
 立場の弱い中小事業者はみずから違反行為を申し出にくいという現実にも十分配慮し、大規模な書面調査を行うなど、政府の側から積極的に情報収集を行ってまいります。
 また、本法案では、消費税の転嫁拒否等の行為に対して、公正取引委員会や中小企業庁だけでなく、事業を所管する大臣も調査や指導を行う権限を付与しており、政府一丸となって、中小企業を守るべく、取り組んでまいります。
 転嫁対策の広報、相談体制に関するお尋ねがありました。
 御指摘のように、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するためには、消費者や事業者に転嫁に関する理解を深めていただく必要があり、本法案を含む転嫁対策の取り組み等について、徹底した広報を行ってまいります。
 また、各省庁等が設ける相談窓口に加え、今回初めて、政府共通の相談窓口として、内閣府に消費税の価格転嫁に関する総合相談センターを設け、転嫁に関する幅広い相談に対応することとしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣稲田朋美君登壇〕
○国務大臣(稲田朋美君) どのような行為を転嫁拒否行為として取り締まることが可能となるかについてお尋ねがありました。
 本法案では、消費税の転嫁拒否等の行為として、減額や買いたたきによって消費税の転嫁を拒否する行為、消費税の転嫁に応じることと引きかえに行う、商品の購入強制、役務の利用強制、不当な利益提供の強制、価格交渉において消費税抜き価格を用いる旨の申し出を拒む行為、公正取引委員会などに対し転嫁拒否等の行為に該当する事実を知らせたことを理由として取引を停止するなどの報復行為を禁止しており、これらの行為を取り締まっていくことにしております。
 転嫁拒否行為の端緒の発見に関する具体的な方策についてお尋ねがありました。
 消費税率の引き上げに当たって、立場の弱い企業の方々が消費税の転嫁を拒否されるなどによって被害を受けたとしても、みずからその事実を申し出ていただくことが期待しにくいという実態があります。
 このため、政府としては、情報提供を受け身的に待つだけでなく、書面調査を実施するなど、積極的な情報収集に努めることにより、転嫁拒否等の行為を取り締まっていくことといたしております。
 申告者をどのように保護し、報復を防止するかについてのお尋ねがありました。
 本法案においては、申告者の保護に関し、万全の措置を講ずることとしており、実際に調査を行う際には、申告者が特定されないように注意して調査を行うほか、情報管理を徹底するなどして、申告者の保護に万全を尽くしてまいります。
 また、本法案では、被害を受けた事業者がその事実を政府に申し出たことを理由として取引を停止するなどの報復行為を禁止しており、万が一報復行為が行われた場合には、厳正に対処することといたしております。
 適用除外カルテルに関する事業者の事務負担に対する配慮についてお尋ねがありました。
 公正取引委員会において、適用除外カルテルに関する届け出マニュアル等を整備するとともに、届け出書の記載や添付書類についても、事業者の事務負担に配慮して、過大なものとならないようにしていくことが必要だと考えております。(拍手)
    〔国務大臣森まさこ君登壇〕
○国務大臣(森まさこ君) 特措法において禁止される表示の内容について、小売店の創意工夫による自由な宣伝行為を過度に阻害しないよう、ガイドライン等において明確かつ具体的に示すべきとのお尋ねがありました。
 具体的にどのような表示を禁止するかということについては、消費税の転嫁を阻害する表示を禁止するとの観点から、今後、事業者にヒアリング等を行い、ガイドライン等において明らかにしてまいります。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 消費税の価格表示等についてのお尋ねがあっております。
 今般の法案に盛り込まれた総額表示の特例により、事業者は、例えば、税率の引き上げに際して、税込み価格であると誤認させないための対策を講じていれば、税抜き価格での表示が可能といたしております。
 このため、事業者にとっては、値札の張りかえなどの事務負担が軽減され、また、円滑な転嫁を図りやすくなるものと考えております。
 具体的には、どのような表示が可能となるかにつきましては、今後作成されるガイドラインにおいて明らかにしてまいりたいと考えております。
 また、納入業者が、力の強い取引先に対して、価格交渉を税抜き価格で行いたいと申し出た場合、取引先がこの申し出を拒否できないようにすることによって、立場の弱い納入業者に対する買いたたきなどを防止する効果が期待できるものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 井坂信彦君。
    〔井坂信彦君登壇〕
○井坂信彦君 みんなの党の井坂信彦です。
 みんなの党は、増税の前にやるべきことがあるをスローガンに、過去数回の選挙を戦ってまいりました。
 まずは議員と官僚が身を切るべきだ、また、税と社会保険料の取りっぱぐれや逃げ得をなくすべきだということで、議員定数の大幅削減、議員歳費、公務員人件費の削減、そして税と社会保険料を一括して集める歳入庁など、数々の改革を提案してきたところです。
 これらが実行されないままに消費税増税を前提とした本法案の議論が始まることは納得できませんが、本日は、時間も限られていますので、法案の中身について、数点質問をいたします。(拍手)
 まず、小売業者は値上げをするべきなのか伺います。
 スーパーのチラシでよく用いられている九十八円や百九十八円、九百八十円などの価格設定は、消費者に実際よりも安く感じ取っていただくために工夫された価格設定です。仮に消費税率が上がっても簡単に税込み価格を上げることはできない、価格弾力性ゼロの商習慣とも言えます。
 過去の消費税増税の際にも、小売業界は、税込み価格を九十八円のまま据え置く努力をしてきました。もちろん、大規模小売店が税込み九十八円を守るために実質値下げ負担を全て中小零細の供給事業者に一方的に押しつけることは、あってはならないことです。しかし、この法案のように、税込み九十八円を守るための実質値下げ負担を全て小売店側が負うことを強制するのも、極端過ぎるのではないかと考えます。
 総理は、消費税率が上がれば、税込み小売価格も必ず値上げすべきとお考えでしょうか。また、五%消費税込み九十八円の商品は、消費税が仮に一〇%になれば、百二円とチラシに書いて売るのが望ましいとお考えでしょうか。お伺いいたします。
 次に、宣伝文句を規制すべきなのかについて伺います。
 小売店の価格設定は自由であり、この法案が小売店の値上げ強制法でないとするならば、税込み価格を九十八円で据え置く小売業者が数多く出ると予想されます。供給事業者との交渉も規制される中で、実質値下げ負担は全て小売店が負う形になるわけでありますが、せめてそのことを消費者にアピールして集客をするのは、商売として当然の流れです。
 これは、消費税増税分は当店が負担しています、あるいは、消費税増税分を当店が商品価格から値引きしていますとしか言いようがないのではないでしょうか。それとも、当店は消費税増税とは一切関係なく税込み価格九十八円のまま販売を続けますと宣伝すれば、合法なのでしょうか。
 宣伝文句の細かい表現にまで政府が口出しすることの是非とあわせて、総理にお伺いをいたします。
 次に、ポイント還元についてです。
 消費税分はポイントとして還元し、次回の買い物で使えるようにするというポイント還元は、今回の消費税増税とは関係なく、日本で長年にわたり定着してきた商習慣です。
 民間が長年の工夫でつくり上げてきた商習慣、消費者にとっても利益のある商習慣を、総理はいきなり禁止されるおつもりでしょうか。お伺いをいたします。
 次に、この法案の実効性について伺います。
 公正取引委員会が消費税増税分の価格転嫁拒否への対応を監視する体制は、そもそも、その人数が足りるのかという問題はあります。
 また、中小零細の供給業者が、大手小売店による買いたたきあるいは転嫁拒否を告発し、あるいは調査に応じたとして、その結果、大手小売店が公取委から企業名を公表された場合、もちろん直後の報復行為はこの法案で禁止されているわけですが、事実上は、中長期的に、別の理由で、告発した供給業者が大手小売店に取引を縮小、停止されるおそれが拭い切れません。
 監視人数は足りるのか、告発は事実上難しいのではないか、この法案の実効性に疑問があるわけですが、総理にお伺いをいたします。
 次に、外税方式について伺います。
 先ほど、九十八円か百二円かという極端な議論をあえていたしました。実は、税込み九十八円ではなく、税抜き九十八円という外税方式にすれば、消費税率が仮に上がっても、チラシに掲載する価格は九十八円のままで済み、また、供給事業者と小売店との間も、買いたたきなしの、税抜き価格交渉が可能となります。今回の法案でも、一時的には税抜き価格の外税表示ができるような仕組みとなっていますが、まさに、外税方式にメリットがあることを認めているようなものではないでしょうか。
 日本の消費税は、最初は外税、途中から内税、また一時的に外税を認めるというふうに、二転三転しています。今こそ、将来にわたって問題が起こらないように、しっかり議論をし直す必要があると考えます。
 中小零細の供給事業者が大手小売店に消費税を転嫁できずに泣き寝入りすることを防ぐという本法案の立法趣旨には賛成でありますが、その手段としては、このようないびつな値づけや宣伝文句の規制ではなく、外税方式がふさわしいと考えます。総理の御見解を伺います。
 最後に、インボイスの導入についてですが、三月十九日の財務金融委員会で、財務大臣が、軽減税率はインボイスがなければできぬというのは全くおっしゃるとおりと発言されました。今後どれだけ消費税率を上げても、将来にわたって軽減税率を一切導入しないというなら構いませんが、軽減税率を導入する可能性があるのであれば、今この機会にインボイスを導入すべきではないでしょうか。
 軽減税率を未来永劫導入するおつもりがないのか、インボイス方式もいつかは導入しなければいけないとお考えかどうか、現時点での総理の御見解を伺います。
 大手小売店に対する中小零細企業の泣き寝入りを防ぎ、商売の自由を守るのは、このような社会主義的なやり方ではなく、外税方式とインボイス導入だということを申し上げて、私の質問を終わりにいたします。
 どうもありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井坂信彦議員にお答えをいたします。
 消費税率の引き上げに伴う小売価格の設定についてのお尋ねがありました。
 消費税は、消費に広く負担を求めるという性格を有する税であることから、事業者は、取引全体として消費税を円滑かつ適正に価格へ転嫁していくことが予定されているものです。
 他方、小売業者が個々の商品等にどのような小売価格を設定するかはその自主性に委ねられるところですが、みずからの小売価格を維持するために消費税の転嫁拒否等の行為を行った場合には、厳正に対処する必要があると考えています。
 小売店の宣伝文句についてのお尋ねがありました。
 本規定は、納入業者に対する買いたたきや周辺の小売業者の転嫁が困難になることを防止する観点から、事業者が消費税に関連する形で安売りの宣伝等を行うことを禁止するものであります。
 禁止される具体的な表示については、消費税の転嫁を阻害する表示を禁止するとの観点から、今後、事業者からのヒアリング等も踏まえ、ガイドライン等において明らかにしてまいります。
 次回購入時に利用できるポイントを付与するサービスについてのお尋ねがありました。
 本規定は、事業者が消費税に関連する形で取引の相手方にポイント等の経済上の利益を提供する旨の表示を禁止するものであります。あくまで、このような消費税の転嫁を阻害する宣伝等を行うことを禁止したものであり、ポイント制度そのものを禁止する趣旨ではございません。
 本法案の実効性についてお尋ねがありました。
 転嫁拒否等の行為を受けた事業者にとって、みずからその事案を申し出にくい場合もあると考えられます。こうした中、本法案の実効性を確保するためには、転嫁拒否等の行為の監視、取り締まりをしっかりと行う必要があります。
 このため、政府としては、迅速かつ効果的な取り締まりを行うため、公正取引委員会や中小企業庁の人員を臨時的に増員するとともに、政府の側から書面調査を実施するなど積極的な情報収集に努め、転嫁対策に万全を期してまいります。
 価格表示についてお尋ねがありました。
 消費税の価格表示のあり方については、事業者からの視点に加えて、消費者からの視点も含めた検討が必要と考えております。
 このため、今般の法案においては、円滑な転嫁の確保や、値札の張りかえなどの事業者の事務負担への配慮の観点から、消費税率引き上げ前後の期間においては、消費者に誤認されないための対策を講じていれば税込み価格を表示しなくてもよいとするとともに、消費者にも配慮する観点から、できるだけ速やかに税込み価格を表示するよう努めなければならないとしたところであります。
 軽減税率及びインボイス制度についてのお尋ねがありました。
 軽減税率については、インボイス制度を含め、その導入に当たってのさまざまな課題について、現在、与党の調査委員会において議論が行われており、その議論の状況を踏まえて、関係者の意見に十分に耳を傾けて、検討を行っていく必要があると考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 塩川鉄也君。
    〔塩川鉄也君登壇〕
○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、消費税転嫁法案について質問をいたします。(拍手)
 まず、法案の前提となる消費増税が国民の暮らしと経済に与える影響です。
 例えば、二〇〇〇年以降だけを見ても、勤労者の賃金は下がり、所得税、住民税の増税と社会保険料の負担の押しつけによって、可処分所得は大きく減り、消費支出は、実に五十七万九千円も減少しています。
 総理、相次ぐ賃下げと国民負担増により内需が縮小させられてきたとの認識はお持ちですか。
 そして、今、いわゆるアベノミクスのもと、円安の進行により、ガソリンや灯油、電気、ガス、小麦など輸入食品や生活必需品の値上がりが連続し、国民生活に深刻な影響が出始めています。その現状認識と対策について答弁を求めます。
 この上さらに消費税率を一〇%に増税すれば、年十三・五兆円、戦後の税制史上最大規模の増税が国民の暮らしを直撃することになります。税と社会保障の負担増により、平均的なサラリーマン世帯で、一世帯当たり何と三十一万円も負担がふえます。
 一方、日銀は、大胆な金融緩和によって、消費者物価を二年以内に二%上げるとしています。そうなれば、三年後には、単純計算で、消費者物価は九%も上がることになります。
 総理、賃上げがこれに追いつかなければ、勤労者の可処分所得と消費支出を一層減らし、デフレ不況からの脱却に逆行することになるのではありませんか。
 そもそも、消費税は、低所得者層ほど負担が重い逆進性があり、まさに、弱い者いじめの税金です。増税を強行すれば、低所得世帯の生活は一層厳しくなり、貧困と格差を拡大することになります。
 さらには、東日本大震災の被災者の住宅再建、生活再建の足かせにもなるのではありませんか。答弁を求めます。
 次に、法案では、中小零細業者が消費税の価格転嫁に懸念を持っていることに対処するとしていますが、そもそも、この認識が間違っています。懸念ではなく、転嫁できていないというのが現実です。
 転嫁できない苦しみが、消費税導入以来、四半世紀続いてきた、これが中小零細業者の悲痛な叫びです。多くの業者は、身銭を切って納税し、身銭すら切れずに滞納を余儀なくされ、毎年約六十万件もの消費税新規滞納が発生しています。ついには、廃業、倒産に追い込まれているのです。総理は、この現状を知っていますか。
 大企業は消費税をほぼ一〇〇%転嫁できているのに、なぜ中小業者は転嫁できないのか。その根本原因は、製造業や建設業に典型的な、重層的下請構造にあります。大企業と下請中小企業との間に、圧倒的な力の差を背景とした支配関係があるからです。
 小売業でも、同様に、大手流通企業が市場を支配し、納入業者や取引業者は弱い立場に立たされています。欧米にはない我が国特有のこの下請いじめの構造に根本的なメスを入れられずに、どうして実効ある対策ができるでしょうか。
 法案は、消費税転嫁拒否行為を是正するとしていますが、その内容は、現行法と実質的に変わりがありません。現行の独禁法や下請法が大企業の優越的地位の濫用行為に対してほとんど有効な役割を果たせてこなかったことを、どう反省し、どんな改善策をとるというのですか。
 また、法案は、消費税還元セールなどの広告、宣伝を禁止するとしていますが、背後にある下請いじめの構造にメスを入れず、宣伝文句や表示を取り締まるというのは、全く筋違いであり、消費者の利益にもなりません。答弁を求めます。
 最後に、多くの業者は、消費税を営業破壊税と呼んでいます。消費増税を強行すれば、雇用の七割を支える中小零細業者の営業を破壊します。消費支出を抑え、内需を冷え込ませて、国民の暮らしも日本経済も、底なしの泥沼に突き落とすことになるのであります。
 消費税の大増税はきっぱり中止することを求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 塩川鉄也議員にお答えをいたします。
 消費税率の引き上げが経済に与える影響等についてお尋ねがありました。
 今般の一体改革による消費税率引き上げは、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認維持のために行うものであり、給付と負担のバランスのとれた社会保障制度を維持強化していくため、御理解をいただきたいと考えております。
 また、消費税率引き上げ分は、全額社会保障財源化され、国民に還元される点も考慮する必要があり、負担増のみに着目することはいかがかと思います。
 なお、二〇〇〇年以降の消費の伸び悩みについては、長年にわたりデフレを維持してきたことが背景にあると考えております。
 私の内閣では、デフレから脱却をし、雇用や所得の拡大を実現することで、国民生活、経済成長の恩恵が幅広く行き渡るよう、三本の矢を一体的に進めてまいります。
 ガソリンや輸入食品等の価格の値上がりによる影響の現状認識と対策についてお尋ねがありました。
 ガソリンや輸入食品等の価格は、為替相場の動向に加え、地政学的リスクの増大などによる原油価格の動向や国際穀物相場など、さまざまな要因で変動するものと承知しています。
 最近の為替相場の動向は、全体としては景気にプラスの影響をもたらすと考えていますが、ガソリン等一部の価格の上昇による家計や企業への影響については、引き続き注視していきます。
 いずれにせよ、政府としては、三本の矢により、企業の収益機会をふやし、雇用や所得の拡大を実現することで、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしてまいります。
 消費税率引き上げに伴う負担増と物価についてお尋ねがありました。
 今般の一体改革による消費税率引き上げは、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認維持のために行うものであります。引き上げられる消費税率の税収は全て社会保障の財源に充てられることとしており、その負担増のみに着目することはいかがかと考えております。
 また、物価のみが上昇するのではなく、企業の収益力向上の成果が適切に勤労者にも分配されることが重要です。
 引き続き、三本の矢により、企業の収益機会をふやし、雇用や所得の拡大を実現することで、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしてまいります。
 なお、消費税率の引き上げは一回限りの物価上昇につながりますが、住宅、家賃等の非課税取引があることから、単純に、引き上げ分が全てそのまま物価上昇につながるわけではありません。
 消費税率引き上げに際しての低所得者への配慮と東日本大震災からの復興についてのお尋ねがありました。
 消費税率引き上げに当たっては、低所得者への配慮として、税制抜本改革法において、給付つき税額控除と複数税率がともに検討課題とされ、消費税率八%段階から、いずれかの施策の実現までの間の暫定的、臨時的な措置として、簡素な給付措置を実施することとされています。
 また、東日本大震災の被災者の方々に対しては、住宅ローン減税の拡充や、住宅の再取得等に係る消費税の負担増加に対応し得る給付措置を講じるとともに、現場主義により、被災地における住宅再建等の課題にしっかりと取り組んでまいります。
 消費税の滞納及び下請取引に対する対応についてのお尋ねがありました。
 消費税が滞納となる原因については、個々の納税者の営業や資金繰りの状況など、さまざまな事情によるため、一概に価格転嫁の問題のみが原因とは言えないのではないかと考えております。
 また、滞納となった消費税額のほとんどは翌年度末までに納付されており、消費税の滞納が直ちに廃業や倒産の原因となっているわけではないと考えております。
 下請法違反行為に対しては、公正取引委員会及び中小企業庁が緊密に連携し、迅速かつ的確に対処しているところであり、引き続き、下請事業者に与える不利益が大きい事案については、勧告を積極的に行うなど、適切に対処してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣稲田朋美君登壇〕
○国務大臣(稲田朋美君) 消費税の転嫁を拒否する行為を是正するためにどのような改善策をとるかについてのお尋ねがありました。
 今回の転嫁対策法案では、法律上の要件を簡潔なものとしたほか、公正取引委員会だけでなく、業所管大臣等も法の運用の主体とするなど、転嫁拒否等の行為に対して迅速かつ効果的な対応を可能とする制度としております。
 この転嫁対策法案による特別措置を設けることにより、現行の独占禁止法や下請法による措置に加えて、さらに万全の措置を講ずることといたしております。
 表示の規制をするよりも、下請いじめの構造にメスを入れるべきではないかというお尋ねがありました。
 本法案では、消費税率の引き上げ時に中小事業者等に対する消費税の転嫁拒否の問題が集中的に発生することが懸念されるため、これに対応するために、法律上の要件を簡潔なものとしたほか、公正取引委員会だけでなく、業所管大臣等も法運用の主体とするなど、転嫁拒否等の行為を迅速かつ効果的に是正することが可能となる制度といたしております。(拍手)
    〔国務大臣森まさこ君登壇〕
○国務大臣(森まさこ君) 広告、宣伝の禁止はむしろ消費者の利益に反するのではないかとのお尋ねがありました。
 消費税は、最終的に消費者が負担するという仕組みをとっている税であり、一般消費者が消費税の負担者ではない旨を示す表示は、それ自体が事実と異なる表示です。
 かかる表示が蔓延することは、適正な表示を前提に商品選択を行おうとする消費者の期待に反することとなり、ひいては、消費者の利益に反するものと考えています。
 また、本法案は、あくまで消費税の転嫁を阻害する広告、宣伝を禁止するものであり、事業者の企業努力による価格設定自体を制限するものではありません。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 小宮山泰子さん。
    〔小宮山泰子君登壇〕
○小宮山泰子君 私は、生活の党を代表し、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案に対し、質問いたします。(拍手)
 昨年六月、衆議院本会議において消費税増税法案の採決が行われました。
 長引くデフレ不況下にある中で大増税を行うことは、家計を直撃するとともに、経済をさらに冷え込ませ、歳入全体として税収減となりかねないことは、否定できないところです。
 過去の消費税導入時や、また、五%への税率変更時の経験、また、諸外国での税率変更の例からも容易に考えられるばかりでなく、経済学に照らしても、やるべきではありません。
 私たちは、国民の生活が第一の強い信念に基づいて、消費税の増税法案に反対票を投じました。新党の立ち上げ、解散・総選挙を通じて今日に至りますが、急激な円安、物価の上昇など、今もって、消費税増税の廃止、凍結を実現しなければならないとの思いは変わりません。
 ただいま議題となりました消費税の転嫁に関する特別措置法は、その第一条「目的」として、「平成二十六年四月一日及び平成二十七年十月一日における消費税率の引上げに際し、消費税の転嫁を阻害する行為の是正、価格の表示並びに消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別の措置を講ずることにより、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的とする。」と示されています。
 また、附則第二条に、この法律は、平成二十九年三月三十一日限り、その効力を失うと記された時限立法となっていることからも明らかなように、消費税増税が実行される場合を前提としたたてつけとなっております。
 消費税増税法案の審議の際、社会保障と税の一体改革であると説明をしながら、社会保障改革の中身や税金の使い道の検討は後回しにしたまま、単に増税のための準備だけは進めていこうとするという法案の提出には、大いに疑問を呈させていただかなければなりません。
 消費税増税を実行した場合の税金の使い道が明確に定まらないまま、社会保障改革の具体的内容が定まらないままに、増税を前提とした法案の提出と審議が進められようとしている。消費税増税を決めた三党合意のもとでの協議も終了しないまま、増税に関してのみ先行することが適当な対応と言えるのか、総理の御見解をお伺いいたします。
 消費税率三%が導入された際には、三年間の時限立法により、転嫁カルテル、表示カルテルなどについての独占禁止法の適応除外が行われました。しかし、五%に引き上げられた際には、特に法的措置は講じられておりません。
 本法案では、八%引き上げから起算して三年の時限を設けることとされているが、どのような考えのもとで定められているのか、その理由と根拠をお聞かせください。
 また、消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置の中で示される遵守事項である、減額・買いたたき、購入強制・役務の利用強制、不当な利益提供の強制、税抜き価格での交渉の拒否、報復行為や、消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置の中で示される遵守事項である、取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示や、取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部または一部を対価の額から減ずる旨の表示、消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示を行わないことについては、消費税が増税される時期に限ったことではなく、現在でも問題になる点だと考えております。
 前後五年間、恒久にしなかったこと、三年間の時限立法に盛り込まれる理由は何か、御答弁いただきたい。
 さらに、これら遵守事項が守られない場合の措置が、指導、勧告、公表などにとどまり、罰則の規定は設けられていません。実行する気があるのか、現実の取引の中からでも、この点は疑問を挙げられております。その理由をお聞かせいただきますようお願いいたします。
 消費税増税法の附則第十八条に示される、名目の経済成長で三%程度かつ実質の経済成長率で二%程度の成長が実現されるかをもとに増税実施するかどうかが判断される時期は、本年九月、十月と想定されています。
 大増税廃止、凍結に向けて、まだ時間もあります。国民の生活が第一の政治実現のため、今後も問題を提起させていただき、さらに議論を重ねていくことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小宮山泰子議員にお答えをいたします。
 本法案をこの時期に提出し、審議することについてお尋ねがありました。
 民間事業者においては、既に、消費税率の引き上げに向けたさまざまな交渉や準備活動が始まりつつある中、中小事業者等が買いたたきなどの被害に遭うおそれもあることから、しっかりと監視、取り締まりを行っていく観点からも必要な法案であると考えており、ぜひとも早期の御審議をお願い申し上げます。
 社会保障改革については、三党間での協議も踏まえ、社会保障制度改革推進法に基づき、国民会議において御議論いただき、改革を具体化してまいります。
 本法案が時限措置であることについてお尋ねがありました。
 消費税の転嫁拒否の問題や、転嫁を阻害する表示の問題などは、消費税率引き上げ時に集中的に発生することが懸念されます。本法案は、今般の消費税率引き上げに際して円滑かつ適正な転嫁が行われるための環境を整備するものであることから、二段階の税率引き上げ前後の時期に対応した措置とすることとしております。
 買いたたき等の是正措置等を時限の措置とした理由及びこれらの措置に関して罰則を設けていない理由についてお尋ねがありました。
 先ほど申し上げたとおり、本法案は、今般の消費税率の引き上げに際して、転嫁拒否の問題等が集中的に発生する懸念に対応するため、二段階の税率引き上げ前後の時期に対応した措置としております。
 また、これらの措置については、迅速に行うことが肝要であるとの観点から、厳格な手続を必要とする罰則ではなく、指導、勧告、公表という手法を用いることとしたものであります。
 以上であります。(拍手)
○副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣     麻生 太郎君
       総務大臣     新藤 義孝君
       法務大臣     谷垣 禎一君
       農林水産大臣   林  芳正君
       経済産業大臣   茂木 敏充君
       国務大臣     稲田 朋美君
       国務大臣     森 まさこ君
 出席内閣官房副長官及び副大臣
       内閣官房副長官  加藤 勝信君
       内閣府副大臣   寺田  稔君