第183回国会 本会議 第27号
平成二十五年五月二十三日(木曜日)
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 議事日程 第二十号
  平成二十五年五月二十三日
    午後一時開議
 第一 大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案(内閣提出)
 第二 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 電波法の一部を改正する法律案(原口一博君外三名提出)
 第五 通信・放送委員会設置法案(原口一博君外三名提出)
 第六 不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第七 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 日程第一 大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案(内閣提出)
 日程第二 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 電波法の一部を改正する法律案(原口一博君外三名提出)
 日程第五 通信・放送委員会設置法案(原口一博君外三名提出)
 日程第六 不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
○議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。
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 日程第一 大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案(内閣提出)
 日程第二 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊吹文明君) まず、日程第一、大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案、日程第二、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長石田真敏君。
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 大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案及び同報告書
 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔石田真敏君登壇〕
○石田真敏君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案は、大規模な災害の被災地において、当該災害により借地上の建物が滅失した場合における借地権者の保護等を図るため、政令で定める災害の被災地において、借地上の建物が滅失した場合に借地権者による借地契約の解約を容易にする制度や、存続期間を五年以下とするとともに、更新を認めない短期の借地権の設定を可能とする制度を創設することとしております。
 次に、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案は、大規模な災害により区分所有建物の全部または一部が滅失した場合に、区分所有建物及びその敷地について、必要な処分を多数決により行うことを可能とする措置を定めようとするもので、政令で定める災害により滅失した区分所有建物の敷地について、五分の四以上の多数により、これを売却する旨の決議をすることを可能とする制度や、政令で定める災害により重大な被害を受けた区分所有建物について、五分の四以上の多数により、取り壊す旨の決議や、その敷地とともに売却する旨の決議等を可能とする制度を創設することとしております。
 両案は、去る五月八日本委員会に付託され、十日谷垣法務大臣から提案理由の説明を聴取し、十七日質疑を行い、同日質疑を終局し、二十一日採決した結果、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、両案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊吹文明君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決をいたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 電波法の一部を改正する法律案(原口一博君外三名提出)
 日程第五 通信・放送委員会設置法案(原口一博君外三名提出)
○議長(伊吹文明君) 日程第三、内閣提出、電波法の一部を改正する法律案、日程第四、原口一博君外三名提出、電波法の一部を改正する法律案、日程第五、原口一博君外三名提出、通信・放送委員会設置法案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長北側一雄君。
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 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び同報告書
 電波法の一部を改正する法律案(原口一博君外三名提出)及び同報告書
 通信・放送委員会設置法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔北側一雄君登壇〕
○北側一雄君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、内閣提出の電波法の一部を改正する法律案は、電波の有効利用を推進するため、電波利用料の使途として、電波の能率的な利用に資する技術を用いた人命または財産の保護の用に供する無線設備の整備のための補助金の交付を追加しようとするものであります。
 次に、民主党・無所属クラブ及びみんなの党提案に係る原口一博君外三名提出の電波法の一部を改正する法律案は、無線局の免許手続としてオークション制を導入するとともに、現行の電波利用料制度を電波の経済的価値を反映した制度に見直す等の措置を講じようとするものであります。
 また、通信・放送委員会設置法案は、通信及び放送の分野における規律に関する事務を公正かつ中立に行わせるため、内閣府の外局として、通信・放送委員会を設置しようとするものであります。
 以上の三案は、去る五月十五日に本委員会に付託され、翌十六日新藤総務大臣及び提出者武正公一君からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、二十一日質疑を行い、同日これを終局いたしました。
 次いで、通信・放送委員会設置法案について内閣の意見を聴取した後、採決に入りました。
 まず、内閣提出の電波法の一部を改正する法律案について採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 次いで、原口一博君外三名提出の二法律案について順次採決いたしましたところ、両案はいずれも賛成少数をもって否決すべきものと決しました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
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○議長(伊吹文明君) 採決を行います。
 まず、日程第三、内閣提出、電波法の一部を改正する法律案につき採決をいたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。
 次に、日程第四、原口一博君外三名提出、電波法の一部を改正する法律案につき採決をいたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決をいたします。
 起立採決を行いますから、議席に着いてください。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
 次に、日程第五、原口一博君外三名提出、通信・放送委員会設置法案につき採決をいたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
     ――――◇―――――
 日程第六 不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊吹文明君) 日程第六、不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長金子恭之君。
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 不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔金子恭之君登壇〕
○金子恭之君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、不動産特定共同事業の活用の一層の推進を図るために必要な措置を講じようとするもので、その主な内容は、
 第一に、不動産特定共同事業を専ら行うことを目的とするなど、一定の要件を満たす法人が届け出により特定の不動産特定共同事業を営むことを可能とするとともに、届け出をした法人を特例事業者と定め、所要の監督規定を設けること、
 第二に、特例事業者から業務の委託を受ける不動産特定共同事業者について、主務大臣の許可を受けなければならないこととし、業務に関する必要な規制を行うこと
などであります。
 本案は、去る五月十五日本委員会に付託され、十七日太田国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十二日、質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊吹文明君) 採決をいたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。
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 日程第七 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊吹文明君) 日程第七、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長松本純君。
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 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔松本純君登壇〕
○松本純君 ただいま議題となりました公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保を図るため、所要の措置を講じようとするものであり、その主な内容は、
 第一に、厚生年金基金について、今後は新設を認めないこととし、その自主的な解散を促進するため、五年間の時限措置として、解散時に政府に返還する資産の分割納付の期限を十五年から三十年に延長するとともに、事業所間の連帯債務とならない措置を講ずること、
 第二に、施行日から五年後以降に存続する厚生年金基金について、その積み立て状況が一定の基準に該当しなくなった場合、厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聞いて解散を命ずることができるものとすること、
 第三に、国民年金の第三号被保険者に関する記録の不整合期間の保険料を追納できるようにすること
等であります。
 本案は、去る五月十日の本会議において趣旨説明が行われ、同日本委員会に付託されました。
 本委員会におきましては、十五日、田村厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取した後、民主党・無所属クラブより修正案が提出され、趣旨説明を聴取し、十七日から原案及び修正案を一括して質疑に入り、昨二十二日質疑を終局いたしました。
 次いで、民主党・無所属クラブ提出の修正案について撤回を許可した後、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党より、政府は、施行日から十年を経過する日までに、存続厚生年金基金の解散等について検討し、速やかに必要な法制上の措置を講ずるものとする修正案が提出され、趣旨説明を聴取しました。
 次いで、討論、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊吹文明君) 討論の通告があります。順次これを行います。高橋千鶴子君。
    〔高橋千鶴子君登壇〕
○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。(拍手)
 厚生年金基金は、厚生年金の一部を基金が代行して運用する制度として、一九六六年に創設され、国の指導監督のもとに維持されてきた制度であります。
 景気が右肩上がりのときは、企業はスケールメリットの恩恵を受けられますが、運用利回りが予定利率を下回り、利差損が生じた場合には、代行割れを起こし、公的年金である厚生年金本体の財政を毀損するおそれがあります。
 バブル崩壊後の超低金利政策のもと、資産に余力のある大企業を中心とした事業所は、事業主負担の少ない確定給付年金や確定拠出年金をつくって、代行部分を次々に返上して、基金制度から抜け出していきました。
 現在は、中小零細企業が集まってつくられた基金が大部分になっているため、五百六十二基金のうち約百二十基金が代行割れとなり、その額は、四千二百億円程度と見込まれるとしています。倒産した事業所の負債まで、残された事業所が負わされるなど、基金を解散したくてもできないという声が次々と上がっていました。
 AIJ投資顧問問題で明らかになったように、この間、資産の運用規制の緩和が行われ、また、基金が市場の実態と乖離した予定利率を設定しているのを政府が放置してきたことなどが、事態をより深刻にしました。
 本法案において、連帯債務を外して解散をしやすくする条件を整えた点は、遅きに失したとはいえ、当然の措置です。
 しかし、これから解散に向かう基金の事業所は、多くの負債を返済していかなければならず、それは事業本体の経営にも影響を与えることになります。これまでの経過から見て、こうした国の対応の失敗のツケを、残された中小の事業者に負わせるという姿勢には、反対です。
 年金の上乗せ給付は、退職金の一部でもあり、賃金の後払いの性格を持つものです。いわゆる健全とされる存続厚生年金基金のみならず、厳しい経済状況の中で基金運営を行ってきた中小零細企業に、ツケ回しをすべきではありません。企業年金連合会の支払い保証機能を強化するなど、受給権の保護が確実に図られるべきです。
 次に、第三号被保険者の記録不整合問題について述べます。
 この問題が発覚した二〇〇九年当時、年金保険料の十年追納を可能とする年金確保法案が国会では審議されており、早期に是正する機会はあったのです。それにもかかわらず、政府は、当初、この問題を一片の課長通知で取り繕い、それが批判されるや通知を廃止し、本法案による解決まで、実に二年以上が経過しました。政府の責任は重大であります。
 煩雑な制度の周知不足や、既に受給されている方の権利をできるだけ守るための法改正であるというなら、委員会審議でも明らかにしたように、この問題以外にも以前から指摘されていた課題があります。無年金障害者の救済、あるいは、年金と他の手当との併給制限の問題など、国会の決議などで解決を求められながら放置されてきた課題の解決もあわせて行うべきことを強く主張します。
 いずれの問題も、公的年金制度による老後の生活保障が十分に果たせていないことの反映であり、改めて、国際公約である最低保障年金など、暮らせる年金制度への抜本改正を目指すべきです。
 終わりに、アベノミクスで物価が仮に二%増となったとしても、一気に特例水準の解消が行われ、マクロ経済スライドが初めて発動となります。年金は一円もふえず、実質減となります。
 消費税の増税を行いながら、特例水準の解消やマクロ経済スライドによる給付削減は行うべきではないことを強く主張し、反対討論といたします。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 次に、柚木道義君。
    〔柚木道義君登壇〕
○柚木道義君 民主党の柚木道義でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表し、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、修正案に賛成、修正案を除く政府原案について賛成の立場で討論を行います。(拍手)
 厚生年金基金制度については、経済金融情勢の大きな変化、運用実績の低迷等により、代行割れとなる基金が増加するなど、厚生年金本体の財政を著しく悪化させるリスク、加入者に多大な損害を与えるリスクがあります。
 そのため、民主党は、こうしたリスクを、将来に残すことなく、完全に排除する必要があることから、この法律の施行日から起算して十年を経過する日までに、存続厚生年金基金が解散しまたは他の企業年金制度等に移行し、及び存続連合会が解散するよう、速やかに必要な法制上の措置を講ずる旨の修正案を提出しました。
 厚生労働委員会での審議を通じ、そうしたリスクを回避すべきだとの共通認識が醸成され、法施行後十年が経過するまでに、全ての厚生年金基金が解散するか他の企業年金制度等に移行し、及び存続連合会が解散することを規定する修正案について、五党で合意できたことは大変に意義があり、賛成いたします。
 また、本法案に盛り込まれている第三号被保険者の年金記録不整合問題への対応策については、民主党政権が提出した主婦年金追納法案とほぼ同様のものであり、速やかに実施すべきだと考えます。
 ただ、審議を通じて、アベノミクスによる物価上昇で実質的な年金が減ってしまうという事実が認められました。
 海江田代表と安倍総理との党首討論で、海江田代表の、今のような急激な物価上昇は考えておりませんでしたから、物価が上がったときに年金生活者はどうすればいいのかとの質問に、安倍総理から、物価が上がっていけば、物価スライドで年金は上がっていくとの答弁がありました。
 しかし、名目上の年金は上がっても、年金生活者にとって名目以上に重要な実質的な年金はアベノミクスによる急激な物価上昇で減ってしまうという事実について、安倍総理の答弁は、あたかも、物価が上がれば実質的な年金も上がると、国民の皆様に大いなる誤解を与えるものでした。
 審議の中で、次のような試算が明らかになりました。
 例えば、来年二〇一四年時点で、物価上昇率、賃金上昇率ともにプラス・マイナス・ゼロ%であった場合と、物価上昇率が一%、賃金上昇率が〇・五%であった場合とを比較すると、仮に物価が一%上昇した場合でも、二〇一四年四月時点の名目の年金はマイナス〇・五%の減、さらに、実質の年金はマイナス一・五%の減。二〇一四年四月に、皆さん、アベノミクスが目指している物価上昇率が二%、そして、賃金上昇率も二%になった場合と比較しても、名目の年金はプラス〇・三%になりますが、実質の年金はマイナス一・七%の減になってしまいます。
 この場合、二〇一五年四月時点では、二年分合計で、名目の年金もマイナス〇・二%の減で、さらに、実質の年金に至ってはマイナス三・二%の減になってしまいます。また、二〇一五年四月で、物価上昇率二%、賃金上昇率一%と、仮に賃金上昇率が物価上昇率を下回ってしまった場合には、二〇一六年四月で、マクロ経済スライド発動による実質の年金減とは別に、物価上昇先行による年金の実質減が、基礎年金月額でマイナス六百三十九円、厚生年金月額でマイナス二千二百五十円となり、物価、賃金とも上昇率ゼロパーだった場合と二年間合計で比較すると、基礎年金年額で約一万六千円の実質減、厚生年金年額で約五万七千円の実質減となってしまいます。
 十年間合計なら、物価上昇先行による実質の年金減が、基礎年金約七万円減額、厚生年金約二十六万円減額となり、この物価上昇先行による実質の年金減の影響は、マクロ経済スライドによる減額とは別で、なおかつ減額幅も大きくなります。
 経済の専門家からも、このような実質年金削減こそが、二%インフレの実現を期待するもう一つの隠れた目的であるという指摘も出ております。
 アベノミクスの隠れた狙いが年金の実質減ということであるならば、消えた年金問題ならぬ、アベノミクスで消える年金問題になってしまいます。
 このように、アベノミクスでまさか実質的な年金が切り下げられるとは、全国三千万人の年金受給者は知らされておりません。ただでさえ、マクロ経済スライドで実質年金が切り下げられることが、〇四年、自民党政権下で強行採決で決まっております。アベノミクスで、それがさらに下がる。
 アベノミクスには、株高、円安の一方で、長期国債金利の上昇や年金の実質減少などの不都合な真実があることも国民の皆様に明らかにしない安倍政権の姿勢は、不誠実と言わざるを得ません。
 認められた、マクロ経済スライドとは別に発生する、アベノミクスの物価上昇先行による実質年金の切り下げについて、安倍総理に直接お聞きしたかったのですが、この重要広範審議に安倍総理に出席いただくことができませんでした。
 安倍総理は年金問題から逃げているとしか思えません。
 安倍総理は、ちなみに、きょう、この議場にいらっしゃるんでしょうか。私は、こういった重要広範の審議、そしてまたこの採決の日にも、総理が、お席を見る限り、おいでになられないように思いますが、このような姿勢こそが、国民の皆さんにとって、この年金問題を後回しにしているというふうに映ってしまうのではないかと懸念をしております。
 アベノミクスの物価上昇による実質年金切り下げが進めば、今の若い世代が高齢者になるころには、年間所得百万円未満の高齢者貧困率が二五%にも達するおそれがあります。
 アベノミクスによる年金格差拡大を是正することなくして、真に安心できる年金制度の構築はあり得ません。その上で、修正部分を除く政府原案についても賛成を表明し、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(伊吹文明君) これにて討論は終結をいたしました。
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○議長(伊吹文明君) 採決をいたします。(発言する者あり)静粛にしてください。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
     ――――◇―――――
 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(伊吹文明君) この際、内閣提出、自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。防衛大臣小野寺五典君。
    〔国務大臣小野寺五典君登壇〕
○国務大臣(小野寺五典君) 自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 外国における緊急事態に際して防衛大臣が行う在外邦人等の輸送について、当該輸送に際して同乗させることができる者の範囲を拡大し、及び当該輸送の手段として車両を加えるとともに、外国の領域において当該輸送の職務に従事する自衛官が、その職務を行うに伴い自己の管理のもとに入った者の生命等の防護のためやむを得ない場合に武器を使用することができることとする等の必要があります。
 以上が、この法律案の提案理由であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 第一に、在外邦人等の輸送の実施に際して防衛大臣が、外務大臣と協議し、確認する事項を規定するとともに、防衛大臣は、当該輸送の職務に従事する自衛官に同行させる必要があると認められる者等を同乗させることができることとしております。
 第二に、在外邦人等の輸送は、航空機または船舶のほか、特に必要があると認められるときは、当該輸送に適する車両により行うことができることとしております。
 第三に、在外邦人等の輸送の職務に従事する自衛官は、当該輸送に用いる車両の所在する場所、当該車両による輸送の実施に必要な業務が行われる場所等においてその職務を行うに際し、その職務を行うに伴いその管理のもとに入った者の生命または身体の防護のための必要最小限の武器の使用ができることとしております。
 そのほか、関係法律の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(伊吹文明君) 自衛隊法の一部を改正する法律案の趣旨の説明に対し質疑の通告があります。順次これを許します。まず、長島昭久君。
    〔長島昭久君登壇〕
○長島昭久君 民主党の長島昭久です。
 私は、ただいま議題となりました自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、外務大臣及び防衛大臣に対し、民主党・無所属クラブを代表して質問いたします。(拍手)
 この議場に、自衛隊法の改正案を上程してあるにもかかわらず、自衛隊の最高指揮官である総理大臣がおられない。甚だ残念であります。
 今回の自衛隊法改正案によって、自衛隊の海外任務がまた一つふえることになります。在外邦人を救出するに当たって、これまでの海と空の輸送に加え、自衛隊による陸上輸送を可能にするというものです。
 ただし、武器使用基準は、相変わらず厳しい制約が課されたままになっております。
 この陸上輸送は、PKOに派遣された自衛官によるいわゆる駆けつけ警護と基本的な構造は同じです。
 昨年、野田総理の補佐官を務めていた際に、私は、PKOに派遣された自衛官が、同じ地域で活動しているNGO、国連職員あるいは企業の方々が生命の危機に瀕した際に、その場に赴いて保護することができる法制度を構築するべく努力いたしました。しかし、内閣法制局の憲法解釈の壁に阻まれ、自衛隊に十分な権限を与えることができず、最終的には断念せざるを得ませんでした。
 今回の陸上輸送は、基本構造が同じ駆けつけ警護に比べても、はるかに難易度が高いものであります。
 すなわち、PKOの駆けつけ警護は、自衛官が状況をほぼ知り尽くしたエリア内で移動して他人を保護するというものであります。しかし、今回の陸上輸送は、突発的な緊急事態に際し、ほぼ未知の環境に入り込んで実施するものであります。港湾や空港からの離脱作戦と比較しても、難易度は格段に高いものであると考えます。
 そこで、防衛大臣、今申し上げたような陸上輸送にかかわる状況の困難性について、自衛隊のオペレーションを統括する立場としてどのように認識しているか、まず伺います。
 その上で、陸上輸送の任に当たる自衛隊の武器使用権限が十分なものかどうかという、今回の自衛隊法改正案をめぐる議論の核心について、以下、質問してまいります。
 確かに、陸上輸送の難易度は高いものの、部隊が一たび邦人を保護下に置き、輸送を開始した後は、邦人の命を守るための武器使用も柔軟に認められております。
 しかし、輸送の出発点では、そうはいきません。
 例えば、救出を求める邦人の皆さんが、大使館の敷地内で集合して待機しているとします。そこに陸上自衛隊の輸送部隊が車列を組んで近づいていく。しかし、大使館が目前に迫ったその瞬間に、正体不明の武装集団が邦人たちに襲撃を加えたとします。自衛隊がいまだ邦人を保護下に置いていないこの状況では、加害者、邦人、自衛隊がそれぞれ三角形の頂点をなす位置関係にあります。この位置関係がポイントです。
 このいわば三角構造の場合において、自衛隊部隊は、邦人が襲われている姿を目の前にしながら、残念ながら、手をこまねいて傍観せざるを得ません。自衛隊には、襲撃を抑止するために、警告射撃を含め、必要最小限の武器使用を行うことすら認められていないからです。これが、現行の内閣法制局の憲法解釈であります。
 理由は、この邦人を襲撃から守るための必要最小限の武器使用が、何と、憲法が禁じている武力行使に当たるおそれがあるからだというのであります。全く、一般常識では考えられない見解であります。
 したがって、私は、四月十六日の予算委員会で、この三角構造における自衛隊の武器使用基準は重大な立法上の不備ではないかと、内閣の立場をただしました。私の質問に対し、安倍総理は、課題は確かに残っている、自衛隊の最高指揮官としてじくじたる思いだと、何度も言っておられました。
 しかし、そもそも、課題を残しながら新たな行動を自衛隊に付加することは、最高指揮官として余りにも無責任ではないでしょうか。
 それでは、解決すべき課題とは何でしょうか。この点について理解を深めるため、少々迂遠に聞こえるかもしれませんが、日本という国家の統治権能の行使のあり方について取り上げてみたいと思います。
 ところで、私自身もかつてはそのように考えておりましたが、同僚議員の皆様の中にも、日本の統治権能は、日本の領域内あるいは日本国籍の船舶の中においてのみ行使されると思われている方がいらっしゃるかもしれません。
 私は、五月十七日の外務委員会でこの点を取り上げ、外務省の政府参考人から、大要、次のような答弁を得ました。
 日本の領域を超えた公海上を航行している外国船舶があるとして、この船舶で生じた事柄については、船舶の国籍国、すなわち旗国が排他的に統治権を行使する、これが大原則です。一方、その旗国の同意を得れば、我が国もその統治権能の一部である執行管轄権を行使することができ、日本の公務員による公権力行使は当該外国船舶の船内にある者に対しても有効に及ぶ。これが答弁でありました。
 この点こそ、解決すべき課題を理解する上で重要な論点でありますので、この場で改めて、外務大臣からわかりやすく説明をしていただきたいと思います。
 要するに、本来統治権を行使すべき立場にある国の同意を得た上であれば、我が国は、その領域外で生じた事案についても統治権能を及ぼすことができるということであります。
 したがって、私は、公海上の外国船舶に対する公権力の行使と同様の議論が、他国の領域内においても行うことができると考えます。
 そこで、もう一点伺います。
 外国の領域で生じた事柄について、領域国の同意を得た上で、我が国の統治権を及ぼし、統治権能の一部である執行管轄権を行使すること、すなわち公権力を行使することに、一般国際法上の問題はありますか。そして、その外国に所在する人々が日本の執行管轄権の行使を免れる国際法上の根拠はありますか。外務大臣の説明を求めます。
 国際法上の説明は外務大臣の答弁に委ねたいと思いますが、日本の国内法上の答えは既に明らかです。
 平成十年三月十八日の外務委員会において、警察庁は次のとおり答弁しております。すなわち、警察による職権行使につきましては、国の公権力の行使に該当する行為でございますから、当然ながら、外国においては相手国の主権を侵すことのないよう、相手国の同意が得られた場合に限り、我が国の国内法の範囲でこれを行使することができるということでありますと。
 つまり、ここで明らかになったことは、日本の公務員が、外国の領域内で、その国の同意の範囲内で、統治権を及ぼし、執行管轄権を行使することには何ら問題はなく、その領域内に所在する者に対しても有効に機能するということであります。
 しかも、刑法第三条の二は、この法律は、日本国外において日本国民に対して次に掲げる犯罪を犯した日本国民以外の者に適用するとして、殺人罪などを列挙しております。すなわち、外国の領域における日本人に対する殺人行為は、日本の刑法違反であります。
 以上を踏まえ、陸上輸送の出発点で生じる、先ほど申し上げた、加害者、邦人、自衛隊が三角形の頂点をなす三角構造における武器使用の法的性格について、政府の見解をただしたいと思います。
 まず、外務大臣に伺います。
 この三角構造において、陸上自衛隊部隊が、邦人の命を守るべく、合理的に必要な範囲で武器を使用しながら加害行為を抑止すること、その法的性格はいかなるものと考えますか。
 領域国の同意の範囲内で、日本の統治権能の一部である執行管轄権、具体的には行政警察権を行使し、日本の刑法違反の殺人行為から日本人の命を守るための行為については、武器使用を含め、加害者としてもこれに服するべきものではないでしょうか。あるいは、少なくとも、そのような行為と性格づけることは可能だと思いますが、外務大臣の見解を伺います。
 三角構造における邦人保護のための措置を日本の統治権行使と位置づけることが可能であるとすれば、四月十六日の予算委員会で法制局長官が行った答弁、この場合の武器使用について、自己保存のための自然権的権利によるものとは言えず、国または国に準ずる組織に対して行った場合には、憲法九条の禁ずる武力の行使に当たるおそれがあるとの主張は、明らかに矛盾したものと言わなければなりません。
 このような矛盾した議論を続けていて、目の前で日本人が襲撃を受けているのにこれに有効に対処できない仕組みを維持しようとするのは、邦人保護に関し、政府として責任ある姿勢とは言えないと思います。
 せっかく法改正を行うのに、現実の要請に応えられない、ましてや現場の自衛官に過重な負担をかけ続ける、これは余りにも無責任ではないかと思いますが、防衛大臣の見解を求めます。
 これも四月十六日の予算委員会の質疑で明らかになりましたが、海上保安官の場合、我が国の領域の外にあっても、日本人が襲撃を受けた場合には、襲撃されたという外形的事象に基づいて、我が国の統治権能の一部である警察権を行使して、その日本人の防護のために武器を使用することができます。加害者が国に準ずる組織であるかどうか、その国籍、職業、主義主張などを武器使用に先立って調べ上げることは求められていません。もとより、そんな悠長なことをやっているいとまはありません。
 同僚議員の皆さん、自衛官も、海上保安官と同じ公務員であります。同じ憲法九条に服します。それなのに、統治権の範囲内で日本人を保護するために必要な武器使用を行うことが自衛官だけ認められないという内閣法制局の主張を放置したままでいいんでしょうか。法のもとの平等の観点からいっても、そうした欠陥を残したまま法案を通過させることは、国会の怠慢ではないですか。
 防衛大臣、三角構造において、何者かの襲撃を受けている邦人を保護することは、国際法上も、憲法九条との関係でも、何ら問題のない、日本の統治権の行使なのではないですか。にもかかわらず、目の前で日本人が攻撃を受けているのにその命を保護できない制度にとどめておくことは、日本という国家が正当な統治権行使を放棄することになりませんか。この点について、防衛大臣の見解を求めます。
 改めて、安倍総理及び同僚議員の皆様に問いかけたいと思います。
 今回の自衛隊法改正に当たり、解決すべき課題とは何でしょうか。
 冒頭申し上げましたとおり、私は、総理補佐官時代に、PKO活動における駆けつけ警護の制度を構築すべく、内閣法制局と議論しました。その際、法制局は、駆けつけ警護が警察活動であるとするには、相手方が統治権に服するものでなければならないという主張を繰り返しました。実は、そこに課題解決のヒントがあったわけです。
 すなわち、これまでるる述べてまいりましたとおり、たとえ他国の領域内であったとしても、その領域国の同意があれば、我が国の統治権の一部である行政警察権を及ぼすことができるわけですから、三角構造において、日本人を保護下に置くために必要な武器使用を認めることは、国家として正当な統治権行使であり、憲法解釈の変更ではありません。
 PKOにおいても、今回の陸上輸送においても、あらかじめ領域国の同意を取りつけて自衛隊部隊を派遣することは改めて申し上げるまでもありません。
 総理、課題が残っていると総理は言われましたが、今回の自衛隊法改正において残された課題とは、憲法解釈の変更ではなく、総理のもとにおける内閣の決断であります。
 安倍総理は、施政方針演説の冒頭で、福沢翁の言葉、一身独立して一国独立すを引用し、この壇上から、国民に向かって、独立自尊の精神を喚起しました。
 海外で頑張っている日本人の身体生命を、他の国や国際機関に依存することなく、我が国独力で守り抜くことこそ、総理が訴えた独立自尊ではないでしょうか。
 集団的自衛権の行使も、憲法の改正も、大事な課題でありますが、そのようなことの前に、この現行憲法の解釈の範囲内におさまる行為の合憲性を確実なものにすることが、内閣総理大臣として、あるべき姿勢ではないでしょうか。
 最後に、真に実効性のある邦人保護を実現するため、改めて、総理そして副総理の決断を強く求め、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕
○国務大臣(岸田文雄君) 長島議員にお答え申し上げます。
 まず、外国における公権力の行使についてお尋ねがありました。
 一般国際法上、外国の領域において公権力の行使を行うことは、当該領域国の同意があれば、認められています。その際、当該領域国に所在する人々に対する公権力の行使は、一般には、その同意の範囲で認められております。
 また、在外邦人を保護するための自衛隊による武器使用の法的性格についてお尋ねがありました。
 お尋ねのような場合に、領域国の同意があれば、国際法上、かかる武器使用は認められ得ると考えますが、いわゆる駆けつけ警護のように、海外に派遣される自衛官に自己保存型を超える武器使用権限を付与することについては、憲法との関係等から慎重な検討を要するというのが、従来の政府の見解であります。
 五月十七日の外務委員会において答弁申し上げましたとおり、任務遂行型の武器の使用については、課題が残っていると認識をしております。お尋ねの点も含めて、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会で改めて検討いただいておるところであり、その結果も踏まえて、何が必要かにつき検討してまいりたいと存じます。
 そして、在外邦人等の輸送に関し、邦人を保護下に置くために必要な武器使用を認めることは、憲法解釈の変更ではなく、内閣の決断で可能ではないかというお尋ねがございました。
 いわゆる駆けつけ警護のように、海外に派遣される自衛官に自己保存型を超える武器使用権限を付与することについては、憲法との関係等から慎重な検討を要するというのが、従来の政府の見解であります。今回の自衛隊法改正案についても、この考え方のもとで取りまとめられたところであります。
 先ほど答弁で申し上げましたとおり、任務遂行型の武器の使用については、課題が残っていると認識をしています。お尋ねの点も含めて、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会で改めて検討いただいているところであり、その結果も踏まえて、何が必要なのかについて検討してまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣小野寺五典君登壇〕
○国務大臣(小野寺五典君) 長島議員にお答えいたします。
 改正案に基づく陸上輸送の困難性への認識についてお尋ねがありました。
 今般の改正により可能となる陸上輸送の場合、航空機や船舶による輸送と比べると、現地の陸上における活動の地理的範囲が広がります。
 このため、現地当局の治安能力も踏まえつつ、在外公館等を通じて現地からの情報を得ることや、現地当局による警備の強化に係る申し入れ、調整や、自衛隊車両の移動の経路、手段等の選択などの方策をとることが一層重要になると考えられます。
 邦人保護に関し、法改正を行うのに、現実の要請に応えられず、現場の自衛官に過重な負担をかけ続けることは無責任ではないかとのお尋ねがありました。
 今回の自衛隊法改正案は、在アルジェリア邦人に対するテロ事件の検証を踏まえ明らかになった課題に速やかに対応するものです。
 本改正案により可能となる陸上輸送の実施に際し想定されるさまざまなケースへの対応を検討し、不測の事態への対処方法の徹底を図るなど、現場で隊員が対応に苦慮することがないように十分配慮してまいる所存です。
 一方、必要な制度の見直しについては、今後とも不断の検討を行っていく必要があると考えております。
 目の前で日本人が攻撃を受けているのに生命保護できない制度にとどめておくことは統治権行使の放棄ではないかとのお尋ねがありました。
 一般論として申し上げれば、外国において拘束された邦人の救出、奪還といった任務を自衛隊に付与することについては、国際法や憲法の関係など、各種の課題があると考えております。
 いずれにせよ、在外邦人の安全確保は政府の重要な任務であり、今後とも、必要な制度の見直しについて不断の検討を行っていく必要があると考えております。
 今回の自衛隊法改正案において残された課題についてのお尋ねがありました。
 在外邦人の安全確保は政府の重要な責務であり、今後とも、必要な制度の見直しについては、不断の検討を行っていく必要があると考えております。
 御指摘の、邦人の救出といった新たな任務を自衛隊に付与することについては、憲法との関係のほか、広く国民の理解を得られるか、派遣された隊員が現場で困ることがないかなどの各種の観点から検討を行うことが重要と考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 次に、阪口直人君。
    〔阪口直人君登壇〕
○阪口直人君 日本維新の会の阪口直人です。
 自衛隊法の一部を改正する法律案について質問するとともに、関連して、海外における自衛隊の活動を、国際社会の平和に貢献することで安全保障につなげるにはどうすればいいかという視点で質問させていただきたいと思います。(拍手)
 アルジェリアにおけるテロ事件の発生を受けて、事件への対応を検証し、在外邦人の輸送に関して速やかに現行法の不備を是正するべく対応していること、評価をしたいと思います。
 テロ事件を受けて検討委員会を立ち上げたプロセスを御説明いただき、また、今回浮き彫りになった課題は何だったのか、まずは防衛大臣にお聞かせいただきたいと思います。
 今回新たに規定される自衛隊による車両での輸送については、従来の航空機や船舶による輸送と比べると、危険に直面する可能性が高まると想定されることから、その実施に当たっては、外務大臣、防衛大臣が、輸送の安全が確保されているか否かを判断することとされています。
 では、どのような基準によって判断を行うのでしょうか。
 アルジェリアのような国において、判断の根拠になる情報を収集するすべを持っているのでしょうか。今回明らかになったように、アルジェリアでは、情報収集を行う十分なパイプがありませんでした。
 研究者やNGOのネットワークを使ったり、政府同士では十分でない部分を議員外交で補うなど、あらゆる人的資源を総動員して情報を得る体制を構築した上で、近い将来は、情報収集のための専門機関の設立も必要だと思いますが、外務大臣及び防衛大臣の見解を伺いたいと思います。
 さて、車両による輸送を行う際には、武装勢力などから襲撃や妨害を受けるなど、不測の事態が発生する可能性があります。一方で、武器使用にかかわる規定は、現行の憲法解釈で許されている範囲内で対応することになっています。
 例えば、自衛隊が、保護対象者の輸送活動中に、偶然、邦人が襲撃を受けている状況に遭遇した際には、どうするのでしょうか。
 私自身、カンボジアでの平和構築活動中に武装勢力から銃撃を受けた経験があり、当事者としての意識を持っています。
 必要と判断すれば、駆けつけて、武器を使用して救出することはできるのでしょうか。このような状況で自衛隊が素通りをするしかないならば、人道上も、国家としての尊厳を考えても、大きな問題だと思います。防衛大臣の見解を伺います。
 今回の法案改正に向けた対応は迅速であったと思いますが、これまでの自衛隊の海外活動の検証は、十分に行われているとは思えません。
 私は、紛争後の平和構築という分野に現場で長くかかわってまいりました。一九九二年から三年にかけて、自衛隊を初めて海外に派遣したカンボジアでも、国連の平和維持活動に参加していました。一九九三年五月に実施された憲法制定議会選挙を自由公正に実施するため、ベトナム国境に近い山岳少数民族の村を拠点に選挙指導員として活動していました。
 カンボジアへの自衛隊派遣は、まさに国論を二分する議論の末に決まりました。
 日本政府は、当時のカンボジアでは比較的安全と言われたタケオ州に施設大隊を派遣して、道路の補修を行っていました。隊員の方々は本当に真摯な姿勢で任務に取り組んでいること、日本人として誇りを覚えました。任務は、各国部隊がPKOの任務を支障なく果たすために必要な簡易舗装を行うということでしたが、もっと日本の技術を生かして本格的な道路をつくりたいんだよ、こんなふうにおっしゃる隊員の方々もたくさんいらっしゃいました。
 自衛隊の活動地域にも、地雷や不発弾が埋設されているリスクがありました。最初のPKOでもあり、今後の国際貢献の方向性を決める上でも、全員が無事任務を遂行して帰還することが大きな責任だったと思います。
 隊員の方々は高い意識で活動に取り組んでいましたが、当時の任務は、自衛隊が持つ能力、士気の高さを十二分に生かすものであったのかどうか、派遣した政府、そして政治の側には、真摯に検証する義務があると思います。
 この点について、どのように実際に検証、評価され、その後の自衛隊の海外活動に生かされたのか、官房長官にお答えをいただきたいと思います。
 さて、カンボジアにPKOを派遣したときのコストは、防衛省の負担分が百四億八千万円、また、内閣府の負担が十四・七億円で、合計百十九・五億円と報告をされています。イラクにおける自衛隊の活動は、予算執行ベースでは、陸上自衛隊七百三十七億円、海上自衛隊五億円、航空自衛隊二百二十六億円、合計九百七十億円とのことです。
 しかし、政府の報告書には、その内訳は詳細には示されておらず、対費用効果についても記されていません。この点については検証されたのかどうか、財務大臣、お答えください。
 今後の自衛隊の海外派遣、さらに日本政府の平和への取り組みを進化させる上で、今からでも、過去の自衛隊の海外派遣について、第三者を含めたさまざまな角度から検証し、評価、課題を明確にすることが必要だと私は思います。この点について、官房長官及び防衛大臣の見解を求めたいと思います。
 カンボジアにおいては、日本政府が簡易舗装した国道二号線、三号線などは、自衛隊が撤退し、最初の雨季が終わった後にはもう多くの穴があいており、通行に支障を来していました。現地では、日本の自衛隊は撤退したときに道路まで持って帰ってしまったと言われていました。どうして、日本は世界最高レベルの技術を持っているのに、こうなってしまったんでしょうか。現地の方々からは、何度も尋ねられました。
 出発前の任務を途中で変えることは極めて難しいとは思いますが、状況の変化、ニーズの変化に対応すべく、途中で方針を変更する、調整することはできないのか、今後のためにも検討していただきたいと思います。外務大臣、いかがでしょうか。
 さて、検証といえば、イラク戦争への関与に関して、例えば、イギリスにおいては大変大きな議論になりました。イギリスの独立調査委員会は、イラク戦争の開戦時に政策決定にかかわったブレア元首相、そして当時財務相であったブラウン前首相などを証人喚問して、徹底的に追及を行っています。
 イラク戦争は、開戦の根拠であった大量破壊兵器は見つからず、また、十万人を超えるイラク人の死者が出ました。アルカイダとの関係も見つかりませんでした。米国のオバマ大統領がみずから、誤った戦争であったと言っております。
 私は、当時の日本政府においてイラク戦争に関与した最高責任者であった小泉元首相にも国会に来ていただいて、何を根拠にイラク戦争への参加と自衛隊の派遣を決めたのか、その結果責任をどのように考えているのか、ぜひ証言をいただきたいと思っています。この点について、官房長官の考えを伺いたいと思います。
 災害時において自己完結で対処できる自衛隊の能力の高さは、東日本大震災でも実証されました。
 現代社会では、大規模災害が発生したとき、最初に救援活動に駆けつけることを各国が競い合っています。紛争後のPKOにおいても、同様です。各国部隊は、その活躍ぶりを国際社会、現地社会にアピールし、PKOが終わった後の復興支援において少しでも有利なポジションを獲得すべく競い合っています。
 例えば、カナダは、ファースト・イン、ファースト・アウトが、PKO展開における国の方針になっています。最も必要とされる場所に最初に入り、最も重要な任務を行うことを目指しているんです。独自の情報収集、分析を行う力、日ごろの準備が試される局面であり、これは日本にとっての大きな課題だと思います。
 本法案にかかわる在外邦人の輸送が安全に実施できるかどうかを判断する上で必要であり、自衛隊による安全保障、災害救援、平和貢献、さらに、経済戦略や外交交渉などの方向性を決め、正しい判断を行うために死活的に重要な情報収集・分析機能の強化、すなわち、インテリジェンス機能の強化などをどのように考えているのか、官房長官に伺います。
 地震災害などが起きたときの対応は、自衛隊だけではなく、NGOなど、市民社会による支援も大きな力を発揮します。その場合、最も効果的と思われる対応を行うための枠組みが存在しない場合があります。
 例えば、今、紛争が続いているシリアの難民を支援する目的で、トルコなど周辺国に医師を派遣する場合、アラビア語を理解する近隣の国の医者を緊急医療活動のために日本の費用で派遣する方が、素早く、かつ効果的な活動を行える可能性があります。
 例えば、トルコにおいては、トルコで医師免許を取った者でなくては医療活動を行えない法律があるようですが、紛争や大規模災害発生時には、目の前の命を救う貢献ができるように、あらかじめ取り決めをしておく必要があると思います。
 法律やスキームの壁があるから、救える命を救えないということがないように、災害や紛争が想定される地域での活動の可能性をシミュレーションした上で、最も効果的な活動ができるように準備しておくことが必要だと思いますが、柔軟なスキームの構築に向けた政治の意思があるのか、外務大臣に伺います。
 私は、最も大きな価値のある外交の一つは、武力紛争解決の仲介役、平和の推進役を果たすことだと考えています。
 平和国家である日本は、アジアの紛争解決に大きな成果を生み出す可能性があると思っています。政府と市民社会の人的資源を総動員して、紛争の仲介という役割を積極的に果たすべきではないか。外務大臣の見解を伺います。
 日本が武力紛争を仲介し、平和への道筋をつくった国で、自衛隊が平和の定着に貢献し、市民社会が貧困の解決や制度づくり、人づくりに貢献する、このような活動を一体的に行うことができれば、国際社会における日本の価値が高まり、地位の向上につながるのではないでしょうか。
 カンボジアでのPKO活動に参加していたとき、任務の遂行中に銃撃されて亡くなった中田厚仁さんという青年は、プノンペンでの研修中、私のルームメートでありました。お互いに、安定した生活を捨てて、なぜ危険なカンボジアに来たのか、よく話し合いました。
 彼は言いました。平和をつくることに関して、誰かがやらねばならないことがあるとすれば、僕はその誰かになりたい。
 国際社会においても、どこかの国がやらねばならないことがあるとすれば、それは日本がやる、そんな気概を持つ国家にならなければいけないと思うんです。
 相手につけ入るすきを与えない防衛力を高めることと同時に、自衛隊の活用も含めて、国際社会の問題解決に積極的に寄与する姿勢を見せる、また、国際社会の問題解決のため、日本だからこそ提供できる能力を磨き上げ、尊敬される日本になることが、安全保障にもつながってくると思います。
 その意味でも、自衛隊の海外派遣を含むこれまでの外交方針を検証し、日本としての正しい方向性を探ることを改めてお願いし、質問を終えます。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣小野寺五典君登壇〕
○国務大臣(小野寺五典君) 阪口議員にお答えいたします。
 在アルジェリア邦人に対するテロ事件を受けた検証委員会のプロセスと、浮き彫りになった課題についてのお尋ねがありました。
 検証委員会は、同事件に際しての政府の対応の検証を行うとともに、緊急事態に際し、在留邦人及び在外日本企業の保護のあり方等に関する基本方針をまとめるため、立ち上げられたものであります。本年一月二十九日から二月二十八日まで、計三回の会議を開催し、検証報告を取りまとめました。
 同委員会の報告書では、在外邦人等の輸送に関して、現場と最寄りの空港との間に距離がある場合の輸送手段や、現行法の輸送対象者の範囲等が課題として認識されました。
 今回新たに規定される、車両による輸送の安全の判断基準についてお尋ねがありました。
 今般の改正により可能となる陸上輸送については、航空機や船舶による輸送と比べれば、現地の陸上における活動の地理的範囲が広がります。
 このため、現地当局による警備の強化に係る申し入れ、調整や、自衛隊車両の移動の経路、手段等の選択などの方策をとることで、予測される危険を回避することができるかとの観点から、総合的に判断することとなります。
 自衛隊による陸上輸送に係る情報収集体制や、将来の情報収集のための専門機関の設立についてのお尋ねがありました。
 自衛隊による陸上輸送に際しては、在外公館等を通じ、派遣先国の治安、交通情報等を収集することになりますが、今後、邦人が活躍する国については、御指摘のように、さまざまなネットワークを通じた情報収集能力を高めることが重要と考えます。
 防衛省としても、政府全体の中で、情報収集体制の強化拡充に取り組んでまいります。
 邦人が襲撃を受けている状況に遭遇した際の対応についてお尋ねがありました。
 一般論として申し上げれば、御指摘のような状況において、輸送の職務に従事する自衛官は、現地当局との連携を図りつつ、その時々において最善の手段を講じて対処することとなりますが、その内容については、個別具体的な状況に応じて異なるため、一概に申し上げることは困難だと思います。
 また、今回の自衛隊法改正案により、いわゆる駆けつけ警護が可能となるものではありません。
 自衛隊の海外派遣の検証についてのお尋ねがありました。
 過去の自衛隊の海外派遣については、活動終了後に、これをしっかりと検証、評価しているところであります。こうした検証を通じ、例えば、国際社会の要請に迅速に対応できるよう、陸自の中央即応集団の隷下に中央即応連隊を新編し、国際平和協力活動への派遣が決定された場合に、速やかに先遣隊を派遣できる体制を整えたり、教育訓練や装備品の充実を図ったりしております。
 今後とも、国際平和への取り組みを一層効果的なものとすべく、自衛隊の海外派遣についての検証、評価を不断に行ってまいる所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕
○国務大臣(岸田文雄君) 阪口議員にお答えを申し上げます。
 自衛隊による邦人輸送の際の輸送の安全の判断基準と、そのための情報収集の手段についてお尋ねがありました。
 自衛隊による邦人輸送の安全の判断に当たっては、当該輸送において予想される危険と、これを回避する方策について、防衛大臣が外務大臣と協議することとされております。
 陸上輸送の場合、航空機や船舶による輸送と比べると、現地の陸上における活動の地理的範囲が広がるため、輸送の安全の判断に当たっては、まず一つは、現地の輸送拠点や輸送経路において妨害行為を受ける可能性など、より広い範囲において、現地当局の治安能力も踏まえつつ、予想される危険を把握すること、さらには、こうした危険を回避する観点から、現地当局による警備の強化に係る申し入れ、調整や、自衛隊車両の移動の経路、手段等の選択など、いかなる方策をとることが可能か検討することが一層重要になると考えられます。
 そのため、情報収集としては、在外公館による直接の現場確認や現地治安当局等からの情報により現地の治安状況や交通情報を得るほか、他国も同様の輸送を行う場合は、それらの国から、その実施状況に関する情報も収集いたします。また、在外公館職員が輸送経路等に赴くことが困難な場合には、その近傍に所在する在留邦人や進出企業からの情報も重要になります。
 いずれにしましても、平素より、あらゆる資源を総動員して情報をとることが重要であることは御指摘のとおりであり、アルジェリアにおけるテロ事件の検証報告書及び有識者懇談会の報告書の結論等を踏まえつつ、効果的な情報収集、分析が行えるよう、政府全体の情報の体制等も含め、さらに検討してまいりたいと存じます。
 そして、国連PKOにおける状況の変化及びニーズの変化への対応についてお尋ねがありました。
 国連PKOへは、国連が求めるニーズや能力を備えたと判断される各国の部隊が派遣され、その任務は、国連からの指示に基づき行われます。
 カンボジアへの派遣については、その実施の結果報告にもありますとおり、我が国として最大限の努力をした一方で、手探りの部分があったとしており、今後、さらなる改善に向けて検討を進めていくとしています。
 今日の国連PKOへの貢献では、過去二十年の経験をもとに、例えば我が国ODAと連携した活動や現地の能力強化を行うなど、オール・ジャパンとして総合的に取り組んでいます。
 また、紛争や大規模災害に備えた我が国の取り組みについてお尋ねがありました。
 紛争や大規模災害が発生し、人道支援を行う場合、国際社会、特に近隣諸国が協力することにより、効果的な救援活動を行うことが可能となるので、さまざまな可能性を事前にシミュレーションすることが必要であると認識をしております。
 グローバルな取り組みとして、国連人道問題調整事務所が中心となり、災害対応に関する国際的なガイドラインの策定や、被災国での支援の受け入れ調整のための体制を整えており、我が国も、このような作業に積極的に参加しております。
 地域的な取り組みとしましては、例えば、ASEAN地域フォーラムでの災害救援実動演習や日中韓三カ国机上演習への参加を通じて、関係国と災害発生国の対応能力の向上に向けた取り組みを行っています。
 引き続き、紛争や大規模災害に向けた事前準備に積極的に参加してまいります。
 そして最後に、アジアの紛争解決に対する日本の役割についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していく中、この地域における平和と安定が維持されることは極めて重要であります。
 我が国は、これまでもアジアにおいて、国連ミッションへの要員派遣や選挙監視要員を派遣するなど、地域の平和と安定のために人的貢献を行ってまいりました。
 例えば、我が国は、フィリピンのミンダナオ和平について、国際監視団への開発専門家の派遣や、和平交渉における国際コンタクトグループへの参加等を通じ、和平プロセスを全面的に支援しており、昨日行われましたフィリピンとの外相会談におきましても、このような支援の姿勢は不変である旨伝えたところであります。
 今後とも、アジアの平和と安定に資する観点から、国連等を通じて、必要な貢献を積極的に行ってまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) カンボジア及びイラクでの自衛隊の活動に関する予算執行の内訳、費用対効果についてのお尋ねがあっております。
 カンボジアにおけるPKO及びイラクにおける自衛隊の活動にかかわる予算執行の実績は、御承知のとおり、それぞれ、百十九億五千万円及び九百七十億円となっております。
 過日、政府が国会に提出をしておりますこれらの活動にかかわる報告書においては、御承知のとおり、こうした費用の詳しい内訳や費用対効果までは記載されていないものと承知をいたしております。
 ただし、こうした外交、安全保障にかかわる経費の開示の検証に当たりましては、経費の特殊な性格もあって、保秘や国益の観点に照らし、どのような方法で、どのような内容の開示を行うことが適切なのか、また一方、活動の費用対効果の検証を定量的に行うということは、これは極めて難しく、どのような手法なら有効な検証が可能なのかといった難しい課題もあろうかと存じております。
 いずれにいたしましても、外交、安全保障上の重要施策の意義を国民に理解していただけるよう、担当府省がしっかりと説明責任を果たすことは、これは大変重要であります。今後とも、できる限り丁寧な説明に努めていくべきものと考えております。(拍手)
    〔国務大臣菅義偉君登壇〕
○国務大臣(菅義偉君) カンボジアPKOへの要員派遣の評価、検証及びその後の自衛隊の海外派遣への活用についてのお尋ねがありました。
 我が国は、カンボジアPKOに対し、自衛隊から施設部隊及び停戦監視要員を派遣し、自衛隊の持つ高い施設整備能力と、厳しい自然環境下で業務遂行能力を発揮しつつ、カンボジアの平和と国家再建の基礎づくりに大きく貢献をし、国内外の高い評価を得ておるところであります。
 他方、我が国の文民警察要員及び国連ボランティア要員が死傷するという事件が発生したことは、まことに痛ましく、残念であり、要員の安全確保が極めて重要であることを改めて認識いたしました。
 政府としては、これらの評価と課題を含む実施の結果をPKO法に基づき国会に報告しましたが、これに加えて、防衛省においては、この派遣の教訓、反省事項について、さらに詳細に検証を行っております。
 また、その後、自衛隊派遣に際しては、カンボジアでの経験を踏まえ、現地情勢把握のための情報収集や要員の安全確保等に最大限努めているとともに、自衛隊の体制整備を行ってきているところであります。
 過去の自衛隊の海外派遣の検証についてお尋ねがありました。
 政府としては、過去の自衛隊の海外派遣について、活動終了後、これをしっかり検証、評価し、関係法令に基づき、国会に活動内容、意義、成果等を報告してきているところであります。
 こうした検証を通じて、例えば、国際社会の要請に迅速に対応できるように、自衛隊の先遣隊を速やかに派遣できる体制を整えるなどの改善を図ってきておるところであります。
 今後も、国際平和への政府の取り組みを一層効果的なものとすべく、今後の海外派遣についての検証、評価、国会への報告を可能な限り充実させることに努めてまいる考えであります。
 イラク戦争への参加と自衛隊の派遣についてのお尋ねがありました。
 我が国は、イラクの復興と民生の安定を図り、イラクが平和で民主的な国家として再建されることは、中東地域を含む国際社会の平和と安定にとって極めて重要であり、我が国の国益にかなうものであったと考えます。
 このような考えのもとに、我が国は、イラクの国家再建を支援するために、イラク人道復興支援特措法に基づいて、イラクに自衛隊を派遣しました。
 自衛隊による対応措置は、イラクによる国家再建に向けた取り組みに貢献をし、イラクを含む各国や国際社会から高い評価を得たところであり、イラクの再建と国際社会の平和と安全の確保に寄与したと考えております。
 なお、二〇〇三年のイラク戦争に関する我が国の対応についての検証は既に行われており、昨年十二月に外務省が検証の主なポイントを発表しており、政府としては、さらなる検証を行うことは考えておりません。
 小泉元総理の件については、国会で判断いただくべきことと考えます。
 災害救援や紛争、テロ等への対処に当たっての情報収集・分析機能の強化及び人的資源の活用についてのお尋ねがありました。
 国際社会における災害救援、人道支援や紛争、テロへの対処といった多様な課題に対し、我が国が自衛隊等により貢献していくことは、国際社会の平和と安定に資するとともに、我が国の国益にもかなうものと考えます。
 現地情勢が流動的な中で、こうした活動を的確に、そして安全に実施していく上で、我が国としての情報収集・集約・分析能力を一段と強化していく必要があると考えます。そのため、在外公館を通じ、情報収集に加え、各国とのインテリジェンスの協力、地域専門家の育成、官民での連携強化などに一層取り組んでまいります。
 以上です。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 以上をもって質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(伊吹文明君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十九分散会
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 出席国務大臣
       財務大臣    麻生 太郎君
       総務大臣    新藤 義孝君
       法務大臣    谷垣 禎一君
       外務大臣    岸田 文雄君
       厚生労働大臣  田村 憲久君
       国土交通大臣  太田 昭宏君
       防衛大臣    小野寺五典君
       国務大臣    菅  義偉君
 出席副大臣
       防衛副大臣   江渡 聡徳君