第183回国会 本会議 第30号
平成二十五年六月四日(火曜日)
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 議事日程 第二十三号
  平成二十五年六月四日
    午後一時開議
 第一 生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 生活困窮者自立支援法案(内閣提出)
 第三 子どもの貧困対策の推進に関する法律案(厚生労働委員長提出)
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○本日の会議に付した案件
 人事官任命につき同意を求めるの件
 検査官任命につき同意を求めるの件
 預金保険機構理事任命につき同意を求めるの件
 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会公益委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 日程第一 生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 生活困窮者自立支援法案(内閣提出)
 日程第三 子どもの貧困対策の推進に関する法律案(厚生労働委員長提出)
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
○議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(伊吹文明君) まず、新たに議席に着かれました新議員を御紹介いたします。
 議席番号第一番、北海道選挙区選出議員、鈴木貴子君。
    〔鈴木貴子君起立、拍手〕
     ――――◇―――――
 人事官任命につき同意を求めるの件
 検査官任命につき同意を求めるの件
 預金保険機構理事任命につき同意を求めるの件
 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会公益委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
○議長(伊吹文明君) お諮りをいたします。
 内閣から、
 人事官
 検査官
 預金保険機構理事
 日本放送協会経営委員会委員
 労働保険審査会委員
 中央社会保険医療協議会公益委員
及び
 社会保険審査会委員に
次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 内閣からの申し出中、
 まず、
 人事官に一宮なほみ君を、
 検査官に柳麻理君を、
 預金保険機構理事に小幡浩之君を、
 日本放送協会経営委員会委員に浜田健一郎君、宮田亮平君、美馬のゆり君及び室伏きみ子君を、
 労働保険審査会委員に品田充儀君及び中嶋士元也君を、
 中央社会保険医療協議会公益委員に森田朗君及び野口晴子君を、
 社会保険審査会委員に西島幸夫君を
任命することについて、内閣の申し出のとおり同意を与えるに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決しました。
 次に、
 預金保険機構理事に井上美昭君を
任命することについて、内閣の申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。
 次に、
 日本放送協会経営委員会委員に上田良一君を
任命することについて、内閣の申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。
     ――――◇―――――
○議長(伊吹文明君) 次に、日程第一及び第二の両案とともに、日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、三案を一括して議題とするに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第一 生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 生活困窮者自立支援法案(内閣提出)
 日程第三 子どもの貧困対策の推進に関する法律案(厚生労働委員長提出)
○議長(伊吹文明君) まず、日程第一、生活保護法の一部を改正する法律案、日程第二、生活困窮者自立支援法案、日程第三、子どもの貧困対策の推進に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。厚生労働委員長松本純君。
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 生活保護法の一部を改正する法律案及び同報告書
 生活困窮者自立支援法案及び同報告書
 子どもの貧困対策の推進に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔松本純君登壇〕
○松本純君 ただいま議題となりました各案について申し上げます。
 まず、内閣提出の二法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 生活保護法の一部を改正する法律案は、保護の決定に際してのより実効ある不正の防止、医療扶助の実施の適正化等を図ることにより、国民の生活保護制度に対する信頼を高めるとともに、被保護者の就労による自立の助長を図るため、保護の決定に係る手続の整備、指定医療機関等の指定制度の整備、就労自立給付金の創設等の措置を講じようとするものであります。
 次に、生活困窮者自立支援法案は、生活困窮者について早期に支援を行い、自立の促進を図るため、就労の支援その他の自立に関する相談等を実施するとともに、居住する住宅を確保し、就職を容易にするための給付金を支給する等の措置を講じようとするものであります。
 両案は、去る五月二十三日本委員会に付託され、翌二十四日田村厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、二十九日から質疑に入りました。
 三十一日には、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及びみんなの党より、生活保護法の一部を改正する法律案に対し、保護の開始の申請に当たって、申請書を作成することができない特別の事情があるときは、申請書の提出を要しないこととするとともに、申請書に、必要な書類を添付することができない特別の事情があるときは、当該書類の添付を要しないこととする修正案が提出され、趣旨説明を聴取しました。
 次いで、両法律案及び修正案について、参考人から意見を聴取するなど審査を行い、同日質疑を終局いたしました。
 質疑終局後、討論、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、生活保護法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決し、生活困窮者自立支援法案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。
 次に、子どもの貧困対策の推進に関する法律案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 本案は、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子供が健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子供の貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子供の貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子供の貧困対策を総合的に推進しようとするものであります。
 本案は、去る五月三十一日の厚生労働委員会において、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。
 なお、本委員会において、子供の貧困対策の推進に関する決議が行われたことを申し添えます。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) それでは、採決を行います。
 まず、日程第一及び第二の両案を一括して採決をいたします。
 日程第一の委員長の報告は修正、日程第二の委員長の報告は可決であります。両案を委員長の報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり議決いたしました。
 次に、日程第三につき採決をいたします。
 本案を可決するに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決をいたしました。
     ――――◇―――――
○越智隆雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、参議院送付、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(伊吹文明君) 越智隆雄君の動議に御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加をされました。
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 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
○議長(伊吹文明君) 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。環境委員長吉野正芳君。
    ―――――――――――――
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔吉野正芳君登壇〕
○吉野正芳君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を推進するため、希少野生動植物種の個体等の譲り渡し等に関する罰則を強化するとともに、希少野生動植物種の個体等の販売または頒布をする目的での広告の禁止、国際希少野生動植物種の個体等の登録に関する変更登録等の手続の新設等、所要の措置を講じようとするものであります。
 次に、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、特定外来生物による生態系等に係る被害を防止する対策の強化を図るため、特定外来生物が交雑することにより生じた生物を規制の対象に追加するとともに、特定外来生物が付着し、または混入しているおそれがある輸入品等の検査等、所要の措置を講ずるものであります。
 両法律案は、参議院先議に係るもので、種の保存法改正案につきましては修正議決の上、本院に送付され、五月二十九日本委員会に付託されました。
 委員会におきましては、同月三十一日、石原環境大臣から両法律案の提案理由の説明を聴取し、また、参議院における種の保存法改正案の修正部分について修正案提出者から趣旨の説明を聴取し、本日、質疑を行い、質疑終局後、直ちに採決いたしましたところ、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、両法律案に対しそれぞれ附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 両法律案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決をいたしました。
     ――――◇―――――
 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(伊吹文明君) この際、内閣提出、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣森まさこ君。
    〔国務大臣森まさこ君登壇〕
○国務大臣(森まさこ君) ただいま議題となりました消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 消費者の市場に対する信頼を通じた消費の拡大は、経済の成長を促すものであり、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展を図るための施策を講じることが求められております。
 特に、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害については、消費者と事業者との間の情報の質、量並びに交渉力の格差により消費者がみずからその回復を図ることは困難を伴う場合があるため、その被害回復の実効性を確保することが積年の課題となっていたところです。
 こうした認識のもと、制度の濫用等によって経済活動に悪影響を与えないよう措置を講じつつ、消費者の財産的被害を集団的に回復するため、内閣総理大臣の認定を受けた特定適格消費者団体が訴えを提起して、事業者がこれらの消費者に対して金銭を支払う義務を負うべきことを確認した後に、これを前提として消費者の財産的被害の回復のために事業者に請求を行うことを可能とする民事の裁判手続の特例を定めるとともに、特定適格消費者団体の認定及び監督等について所要の規定を整備する必要があることから、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害について、事業者が、これらの消費者に対し、共通する事実上及び法律上の原因に基づき、金銭を支払う義務を負うべきことについて、特定適格消費者団体が共通義務確認の訴えを提起することができることとしております。
 第二に、当該特定適格消費者団体は、消費者に対し、共通義務確認訴訟の確定判決の内容等を通知、公告し、共通義務確認の訴えの結果を前提として、個々の消費者から授権を受けて具体的な請求を行い、相手方の認否等により、個々の債権の内容を確定することとしております。
 第三に、特定適格消費者団体は、相当多数の消費者の債権の実現を保全するため、仮差し押さえ命令の申し立てをすることができることとしております。
 第四に、内閣総理大臣は、消費者契約法上の適格消費者団体の中から一定の要件を満たした団体を、その申請に基づき、特定適格消費者団体として認定することができることとするとともに、その監督等について、所要の規定を設けることとしております。
 以上、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手、発言する者あり)
○議長(伊吹文明君) 審議中ですから、静粛に願います。議席に戻ってください。
     ――――◇―――――
 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(伊吹文明君) ただいまの趣旨の説明に対し質疑の通告があります。順次これを許します。生方幸夫君。
    〔生方幸夫君登壇〕
○生方幸夫君 民主党の生方幸夫です。
 ただいま議題となりました消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して質問いたします。(拍手)
 平成十八年、消費者契約法の一部を改正する法律案の附帯決議などで、消費者被害の救済を講じる制度の検討が国会の意思として示されています。
 民主党は、平成二十一年三月、政府に先駆けて、平成十八年の附帯決議で示した国会の意思を、消費者団体訴訟法案として提出をいたしました。
 その内容は、消費者が悪質な商法により被害に遭いながら泣き寝入りしている状況を解決するために、適格消費者団体による差しとめ請求権に加えて、事業者が違法に得た利益を事業者から剥奪し、消費者の被害を迅速に回復するため、消費者団体が消費者にかわって損害賠償請求を行う制度をつくるというものでした。
 成立には至りませんでしたが、消費者庁及び消費者委員会設置法の附則で今後の検討課題となり、民主党政権下においても、本法案を検討してまいりました。
 まず、本法案の目的についてお伺いをいたします。
 本法案は、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害について、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差により消費者がみずからその回復を図ることには困難を伴う場合があることに鑑み、その財産的被害を集団的に回復するため、特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を追行することができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的といたしております。
 国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することとは、具体的にどういうことか。特に、国民経済の健全な発展という規定をあえて入れた理由をお伺い申し上げます。
 消費者被害の現状についてお伺いいたします。
 悪質な事業者により消費者が被害に遭う事案はどのようなものが多いか、また、平均して一件当たりの被害額はどれぐらいか、政府として消費者被害による経済的な損失規模をどのぐらいと推定しているのか、お答えください。
 経済に与える影響について、経済産業大臣と消費者担当大臣それぞれにお伺いをいたします。
 悪徳な事業者が消費者に被害を与えることにより、健全な市場経済に対しても悪い影響を与えていると考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。
 また、本法案の施行により、消費者被害の予防的効果もあると考えますが、あわせて御見解をお伺いいたします。
 本法案の提出に当たって、経済界などから、濫訴の可能性や経済活動の阻害、企業活動を萎縮させる影響などの懸念の声があり、意見や要望、緊急提言などが出されております。
 民主党政権下でも、丁寧な検討を行い、パブリックコメントを二回行い、御理解いただくために、個別に説明する等の対応を行ってまいりました。
 本法案は、悪徳な事業者が違法に消費者から集めた利益を消費者に返すものであり、そのような違法な業者を市場から排除することで、消費者が安心して選択、判断、消費し、適正な市場となって、経済活動も活発になると考えますが、両大臣の御見解をお伺いいたします。
 対象となる請求についてお伺いいたします。
 消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害について請求を行う、少額多数の被害事案を対象とするもので、いわゆる拡大損害、逸失利益、人身損害、慰謝料を除いた損害に限定しており、個別性が高い事案は対象から外されております。したがって、対象となる事案は限定的だと考えられます。
 消費者安全法に基づく年次報告に見る消費者被害の実態と、本法案で対象となる消費者被害とを照らし合わせて、この法案では救済できない事案が多くあることをどうお考えでしょうか。また、本法案で対象から外された被害者をどのように救済するお考えでしょうか。お答えください。
 今後、消費者被害の動向を見て、対象となる範囲について、検証し、見直すなどの考えがあるかどうか、お伺いをいたします。
 適用時期についてお伺いいたします。
 本法案では、施行前に締結した消費者契約に関する請求には適用されないとし、適用時期が後退いたしましたが、遡及しないという判断をした理由を御説明ください。また、その影響についてどうお考えか、お答えください。
 遡及しないとしたことで、同一の事案が施行前後にわたり発生している事案においては、本制度の利用の可否について差異が生じます。同一同種の事案でありながら施行前であることから救済されない消費者被害についても、十分な手当てがなされ、救済されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 被害回復裁判手続を追行する主体となる特定適格消費者団体についてお伺いをいたします。
 現在、適格消費者団体は全国に十一団体あります。その中から新たに、厳しい要件を満たす特定適格消費者団体を認定することとなりますが、要件を満たす団体はどのくらいになると想定されていますか。また、新たな訴訟制度を導入し、運用する上で、必要と思われる団体数は何団体ぐらいだとお考えでしょうか。具体的にお答えください。
 特定適格消費者団体の負担についてお伺いをいたします。
 特定適格消費者団体が、二段階目の手続として、対象債権を有する消費者に対し、書面または電磁的方法で個別に通知し、インターネット等で公告する義務がかかり、その費用は特定適格消費者団体の負担となります。また、消費者被害の回復の強制執行を確保するために、対象債権の総額の範囲で仮差し押さえの申し立てができるようになっており、その際、担保を立てる必要が出てくると思われます。
 本制度の運用に際しては、特定適格消費者団体にかなりの負担をお願いすることとなります。施行する政府として、特定適格消費者団体を支援することが必要です。財政措置を含めた支援体制が本制度のためには欠かせないと考えますが、いかがでしょうか。
 現に消費者被害が起きている中、本法案の成立、施行を急ぐ必要があります。施行期日を、二年ではなく、三年とした理由をお答えください。また、見直し規定を五年とした理由もお答えください。
 最後に、消費者被害に遭いながら誰にも相談していない方は約四割に上っています。相談しなかった理由としては、半数以上の方が、相談しても仕方ないと思ったということを挙げております。被害が救済されず、泣き寝入りをしている状態です。
 家計消費は、経済全体の約六割を占めております。消費者自身が、必要な情報を集めて、みずから考え、被害に遭わない賢い消費者となることは重要です。
 本法案は、消費者の利益や財産を守るだけではなく、日本の経済活動の発展に寄与するものであり、ビジネスと消費者がウイン・ウインの関係を構築できるものであることをしっかりと審議の中で示し、早期成立を強く望み、私の代表質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣森まさこ君登壇〕
○国務大臣(森まさこ君) 本法案の目的規定についてお尋ねがありました。
 本法案の制度を活用することにより、消費者の財産的被害を適切に回復し、消費者の利益の擁護を図ることは、消費者と事業者の双方の関係を良好にして、消費の活性化、健全な事業者の発展や公正な競争をもたらすものであるとともに、被害回復を受けた消費者が新たな消費をすることにより、健全な事業者への需要を喚起し、ひいては経済の成長を促すものと考えており、これを踏まえ、国民生活の安定向上とともに国民経済の健全な発展に寄与することを、達成が期待される目的として掲げているものです。
 消費者被害の現状についてお尋ねがありました。
 全国の消費生活センターに寄せられる消費生活相談の件数は、二〇一二年で約八十五万件と、依然として高い水準で推移しております。
 このうち、インターネット取引、金融商品に係る投資における詐欺などの不適切な勧誘事案、高齢者が被害者となっている事案などに関する相談が多く寄せられています。
 被害額についての消費者庁の調査によれば、実際に被害に遭った方のうち、その額が十万円未満の方の割合が五割近くを占めています。
 また、全国の消費生活相談において、相談事案のうち、実際に支払った金額を単純合計すると、一年間で約二千二百億円となっております。
 悪質事業者による市場への悪影響及び本制度による予防的効果についてお尋ねがありました。
 悪質な事業者が消費者に被害を与え、その被害回復のための権利が消費者にあっても実際には行使できないことは、消費者による泣き寝入りが多い現状に乗じた悪質な事業活動を許してしまうほか、本来健全な事業者へ向かうべき資金がそこへ回っていかないこととなるため、健全な市場経済に対して悪い影響を与えていると考えられます。
 また、本制度によって、被害の回復が容易となることにより、事業者が法律に違反して得た不当な利益を返還させることは、事業者による不当な行為の抑止につながり、もって消費者被害の予防にもなるものと考えます。
 本制度が市場における経済活動に与える影響についてお尋ねがありました。
 本制度は、既存の訴訟制度では、消費者と事業者との間の情報の質、量並びに交渉力の格差により消費者がみずからその権利を行使して被害回復を図ることが困難を伴う場合があることに鑑み、その権利行使の実効性を確保する観点から創設されるものです。
 本制度の活用により、相当多数の消費者に生じた財産的被害を適切に回復し、消費者が安心して経済活動を行うことができる市場を整備することは、消費者の市場への信頼を高め、消費の拡大、ひいては経済の成長を促すものであると考えております。
 この法案で救済できない事案についてお尋ねがありました。
 本制度では、その特質に鑑み、訴えることのできる案件は、二段階目の手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であるとは言えない案件、一段階目の手続の審理において、被告事業者が、二段階目の手続で争われる消費者の被害額についておおよその見通しを把握できる案件である必要があるものとしています。
 そこで、いわゆる拡大損害、逸失利益、人身損害、慰謝料についての損害賠償請求を除くものとしたものです。
 本制度で対象とならない消費者被害については、個別に訴訟を起こすことや、裁判外紛争解決手続や消費生活センターを活用すること等によって救済を図ることとなります。
 消費者庁としては、国民生活センターの裁判外紛争解決手続や消費生活センターや相談窓口の整備などをして、消費者の被害回復を図ってまいります。
 対象となる範囲の見直しについてお尋ねがありました。
 本法律案附則第三条においては、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしています。
 本法施行前の事案について本制度を適用しないとしている理由と影響についてお尋ねがありました。
 本制度は、我が国の民事裁判手続において新たな仕組みを導入しようとするものであり、本法施行前の事案について本制度を適用するとした場合、事業者は、一時期に多数の消費者からまとまって金銭の支払いを求められることになります。
 このような場合、事業者においては、あらかじめ支払いの準備がなされていない可能性が高く、結果的に、事業者の消費者に対する金銭の支払いが困難となるなど、事業者の予測可能性を害する側面があります。
 そこで、施行前の事案については、本制度を適用しないことといたしました。
 同一の事案が施行前後にわたり発生している事案の救済についてお尋ねがありました。
 同一の事案である限り、施行前の事案であっても、事業者には同様に被害回復を図るべき義務はあり、そのことは、施行前の事案について本制度の適用を制限しても、変わりはありません。
 被害者は、個別の手続により、救済を求めることができます。
 同一の事案が施行前後にわたり発生している事案について、施行後の事案に関して一段階目の判決が出た場合、関係機関への周知を行い、その判決の事実上の効力を活用しつつ、国民生活センターのADRを活用するなどして、施行前の事案についても、消費者の被害回復を図ってまいります。
 本制度の担い手である特定適格消費者団体についてお尋ねがありました。
 現在認定されている十一の適格消費者団体のうち、特定認定の要件を満たす団体数や運用上必要な団体数について明確に申し上げることは困難ですが、まずは、適格消費者団体の数をふやすよう、適格消費者団体の認定を目指す団体の支援などに取り組んでまいります。
 本法施行後の特定適格消費者団体の数のいかんにかかわらず、各団体間の連携の促進や、特定適格消費者団体に対する国民生活センター等からの消費者被害に関する情報の提供などにより、どの特定適格消費者団体においても全国で発生する消費者被害に対応できるよう措置してまいりたいと考えています。
 通知、公告や仮差し押さえを行うため、特定適格消費者団体に対する支援についてお尋ねがありました。
 これまで、消費者庁としては、適格消費者団体に対する支援策として、消費者団体訴訟制度や団体の周知、普及などの施策を実施してきました。
 また、今回の訴訟制度を担う特定適格消費者団体については、消費者の利益擁護の見地から見て不当なものでない範囲で、費用、報酬の支払いを受けることが可能となるようにしております。
 今後も、幅広く関係者から御意見を伺いつつ、新たな訴訟制度における特定適格消費者団体に対する必要な支援について検討を行ってまいります。
 本法案の施行期日及び見直し規定についてお尋ねがありました。
 本法案は、民事訴訟法の大きな例外を設けるものであり、法の施行までには、訴訟手続に関する最高裁判所規則の制定、団体の認定要件に関する政令、内閣府令等の制定、消費者、事業者など関係者に対する本制度の趣旨や内容の十分な周知広報などが必要となり、相当期間の準備を要することから、これらを踏まえ、施行期日は、公布の日から三年を超えない日としております。
 また、見直しの時期を本法の施行後五年を経過した場合としたのは、規制改革推進のための三カ年計画において、原則五年経過後に新設の規制の見直しを行うこととされていることや、本制度による訴訟の追行の状況等を踏まえた検討が必要なことに基づいたものです。(拍手)
    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕
○国務大臣(茂木敏充君) 生方議員にお答えをいたします。
 まず、悪質な事業者による経済への影響と、本法案によります消費者被害の予防的効果についてでありますが、自由で公正な競争は、市場経済にとって極めて重要であります。
 一方で、市場のルールを逸脱する行為を行う悪質な事業者を放置することは、消費者の財産に被害を生じさせるだけでなく、健全な事業活動が阻害され、市場経済全体にとって、好ましいものではありません。
 本法案の施行は、こうした悪質な事業者による消費者被害を発生させる行為に対する抑止力ともなり、消費者被害の未然防止に効果を有するものと考えております。
 次に、本法案の施行によります経済活動に与える影響についてでありますが、本法案は、経済界にとっても関心が高く、濫訴防止の仕組みを初め、経済への影響の懸念にもしっかりと対応した内容となっております。
 一方、本法案が施行されることで、悪質な事業者による消費者被害を発生させる行為が抑制されることが期待をされます。
 その結果として、消費者が商品やサービスを安心して選択し、消費が活発になることで、健全な市場の形成を通じて、経済活動の拡大が期待されます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 次の質疑者、重徳和彦君。
    〔重徳和彦君登壇〕
○重徳和彦君 日本維新の会の重徳和彦です。
 日本維新の会を代表して、きょうも元気に、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案に関連し、政府のお考えを伺ってまいります。(拍手)
 近年、消費者トラブルに係る法律事務所の広告が目につくようになりました。完済してしまったから、蒸し返したくない。恨まれるんじゃないか。消費者トラブルに戸惑う個人の立場をしっかり代弁している広告もある一方で、こうしたトラブルに乗じ、困っている人の弱みにつけ込んで、決して社会正義の実現とは言えないビジネスチャンスを見出そうとする勢力もあるという声も、各方面から同僚議員のもとに届いております。
 政治の役割は、社会の各分野、各地域にわたる代表者が、議会の場に集い、それぞれの立場から考えを述べ合って、成案を得るプロセスだと考えます。
 今回の法案が、消費者トラブルに悩む多くの消費者の方々にとって、本当に朗報となるものなのかどうか、一体どちらを向いた制度設計になっているのかを検証し、責任ある立法府としての役割を果たしたいという立場から、質問に入らせていただきます。
 初めに、この法案がつくられるに至った経緯について、三点質問させていただきます。
 まず、平成十九年六月に制度運用の始まった、現行の消費者団体訴訟制度の不備についてです。
 現行制度においては、これまで、五年間で二十九件が提起され、判決や訴訟上の和解等に至った事案は二十四件ありますが、差しとめ請求権の行使にとどまり、損害賠償請求が認められていませんでした。
 従来の消費者団体訴訟制度における制度の不備、すなわち、被害の未然防止や拡大防止ができても、既に起きてしまった被害への損害賠償請求の仕組みがないことが原因で、これまでにどういった問題がどの程度生じてきたと思われるか、森消費者担当大臣にお尋ねをいたします。
 次に、消費生活相談の内容を少し分析してみます。
 PIO―NETによる平成二十三年度の消費生活相談によりますと、相談件数は全国で八十八万件、うち、取引に関する相談が七十万件超となっております。また、一件当たり契約・購入金額は百四十五万円で、このうち、支払い済み金額は六十九万円です。
 最近では、高齢者の相談が増加し、ファンド型投資商品などの出資などの怪しい商品、その二次被害に関する相談が目立っているようです。
 一方、消費生活に関する意識調査によりますと、これまでに被害経験があると回答した人のうち、契約をしてしまい、代金も支払ってしまった人が、五割以上を占めました。そのうち、被害に当たると思う金額を十万円未満とする人が、四五・六%と、最も多くなっています。
 また、被害経験があると回答した人のうち、実に三六・二%が、その被害について、誰にも相談していないと回答されています。その理由は、半数以上の人が、相談しても仕方がないという回答です。いわゆる泣き寝入りということでしょう。
 いかにも、訴訟や争い事を好まない日本人的な数字のような感じがいたしますが、国際的に見て、この数字をどう理解すべきか、森消費者担当大臣にお尋ねをいたします。
 そんな中、平成二十一年に成立をいたしました消費者庁及び消費者委員会設置法の附則や附帯決議において、適格消費者団体による損害賠償や団体訴訟制度を含めた幅広い検討を行うこととされ、これらを受けて、消費者委員会に設置された集団的消費者被害救済制度専門調査会で議論された結果が、今回法案となりました新たな仕組み、二段階型訴訟制度です。
 議論の過程では、米国のクラスアクションなど、先行事例であります欧米の団体訴訟制度も参考とされ、日本における訴訟風土や歴史的経緯に照らし、今回の仕組みに落ちついたことがうかがえますが、今回の法案の訴訟制度と、先行事例である米国等のクラスアクションとの共通点と相違点はどこにあるのか、お伺いをいたします。
 次に、法案の中身について、八点質問をさせていただきます。
 初めに、この手続を進める主体、いわゆる手続追行主体についてです。
 手続追行主体は、適格消費者団体のうち、内閣総理大臣が認定した特定適格消費者団体が、被害消費者にかわり、訴訟手続を追行することとなっておりますが、現時点では、適格消費者団体そのものが、全国に十一団体しかございません。
 特定適格消費者団体と認定されるためには、現行の適格消費者団体の要件に加えて、差しとめ請求関係業務を相当期間にわたり適正に行っていること、被害回復関係業務を適正に遂行できる体制が整備されていること、執行決定機関として理事会が設置されていること、理事のうち一人以上は弁護士とすることなど、かなり厳しい要件が求められております。
 ここで、森大臣にお伺いいたします。
 消費者の信頼できる、しっかりした確かな制度を目指すならば、こうした厳格な要件は十分理解できる一方で、この制度を大いに利用したいという立場からは、全国的な被害回復の機会を広げるため、必ずしも法律上の適格消費者団体でなくとも、同等に適切な訴訟追行が期待できることが担保されていれば、手続追行主体は適格消費者団体以外の者にも拡大すべきではないか、そういう別々の、両側の声があります。
 政府の方向性はどちらなのでしょうか。お伺いをいたします。
 二点目は、訴訟要件です。
 この法案に基づく訴えは、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害を対象としております。
 消費者庁からは、この相当多数の具体的人数について、数十人程度との説明がなされていますが、これも、多いのか、少ないのか、よくわかりません。
 消費者の信頼できる、しっかりした確かな制度を目指すならば、相当多数を、確実なものを多くとる必要があります。逆に、訴訟を起こす段階で、既に数十人の被害を把握してからとなると、実際には、把握できていない被害がかなり拡大してしまっている可能性があって不都合だという声もあり、この相当多数の要件を、もっと厳格にとるべきか、あるいは緩やかにとるべきなのか、これも両案あると思うんですが、この点、どのようにお考えでしょうか。森大臣にお伺いをいたします。
 三点目は、対象外となる損害についてでございます。
 この法案の第三条では、対象となる請求権は、事業者が被害者に対して負うべき金銭債務で、かつ消費者契約法に関するものなど、一定の制約をかけております。
 逆に、同条第二項において、次の損害については対象外とされています。
 一つ目は、いわゆる拡大損害。すなわち、消費者契約の目的となるもの以外の財産が滅失、損傷したことによる損害です。二つ目は、逸失利益。すなわち、消費者契約の目的物の提供があれば得るはずだった利益を喪失したことによる損害。三つ目は、人身損害。そして四つ目は、慰謝料です。
 これらについては、なぜ法案では対象外とされているのか。これは、損害を限定するという意図なのか、それとも、今後、順次拡大していくおつもりなのか、お伺いをいたします。
 四点目は、特別法上の損害賠償請求権についてであります。
 第三条一項五号では、訴えを起こすことができる不法行為に基づく損害賠償請求は、消費者契約関係にあるもので、かつ、民法の規定によるものに限るとされています。
 そのため、特別法である金融商品取引法上の有価証券報告書等の虚偽記載等の事案や、製造物責任法、いわゆるPL法上の製品の安全性を欠く事案などは、損害賠償請求は、この法案に基づいてはできないとされております。
 この点は、濫訴を防ぎ、事業者の負担を一定程度にとどめることによって、消費者にとって実効性の高い制度を目指そうという立場ともとれます。
 一方で、これらの事案は、多数の消費者が定型的に被害を受ける可能性が高く、泣き寝入りしている人も少なくない事案ですから、本来、本制度によって被害回復を図る必要性も高いのではないかという考え方もあります。
 消費者庁は、特別法上の損害賠償請求権について、一体、今後どのように取り扱おうとしておられるのか、お考えをお伺いします。
 五つ目は、被告適格についてです。
 本制度は、消費者と直接契約を締結した事業者を被告とすることとしているため、すなわち、製品のふぐあいに関する消費者トラブルの場合、被告は、小売業者、売り手だということとなるとされています。
 これは、小売店と消費者との契約トラブルが、製造業者にまで過度に波及しないための仕組みともとれます。
 一方で、製品のふぐあいの原因等は、明らかに小売店よりも製造業者の方が詳しいんだ、詳しい情報を持っているんだから、かつ、是正の余地もあるんだから、小売店にとっては、訴訟において、攻撃防御を尽くすことが困難であると予想されるといった理由から、被告については製造業者も含めるべきとの声もあったのではないかと考えますが、消費者庁としては、一体、どちらの立場から、どのようにお考えでしょうか。お伺いをいたします。
 六点目は、簡易確定手続、すなわち、この法案の最大の特徴であります、第二段階の訴訟参加の手続についてでございます。
 対象消費者への通知、公告という手続がありますが、どれほどの消費者が参加し、消費者の権利がどれだけ実現されるかという観点と、それから、事業者の応訴の負担の観点からも、大変重要なポイントだと考えております。
 そこで、申し出期間について、本法案では一カ月以上と規定されているようでありますが、これを、長いと見ておられるのか、短いと見ておられるのか、これも意見が分かれると思うんですが、いかがでしょうか。
 さらに、申し立て団体によるホームページ等を利用した公告についても、ホームページなんかでは、十分なのか、不十分なのか、これも、両方の意見があるのではないか。不十分との立場からは、被害者にとっては、特定適格消費者団体なるものが訴訟を起こしたという情報は必ずしも認識しないケースもあるんだから、事業者側から情報提供及び公告に協力させることが必要だ、こういう声もあると思います。
 一体、消費者庁としては、どのように、どの方向にお考えなのでしょうか。あわせてお伺いをいたします。
 七点目は、報酬、費用の基準の策定についてでございます。
 特定適格消費者団体は、第二段階の手続を追行することの契約等を行った対象消費者と、当該被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができることとされています。
 冒頭申し上げましたように、消費者は、トラブル解決に当たって、多くの不安を抱えています。この報酬、費用の額や算定方法等は、消費者の利益の擁護の見地から不当なものでないこととされていますが、具体的にどのような内容か、ガイドライン等により一定の基準を定める必要があると考えますが、現在想定されているその内容を含め、お伺いをいたします。
 八点目は、濫訴の可能性についてです。
 本法案では、追行主体を特定適格消費者団体に限定するなど、濫訴防止の措置をとっておられますが、事業者側からは、濫訴の懸念がいまだ根強く残っています。
 被害者救済に当たりましては、事業者の協力は必要不可欠なものであります。
 消費者庁は、消費者団体等の関係機関と連携して、全国の消費者、事業者の双方からの信頼が得られるように、この制度の趣旨及び必要性等について積極的な周知広報活動を行うとともに、個別の質問等に対してもわかりやすく対応するなど、森大臣がいつもおっしゃる、事業者と消費者のバランスをしっかりとった制度の円滑な運用が確保されるための体制整備を図る必要があるのではないかと考えますが、大臣のお考えをお伺いいたします。
 以上で質問を終わります。簡潔明瞭な御答弁を御期待申し上げます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣森まさこ君登壇〕
○国務大臣(森まさこ君) 現行の消費者団体訴訟制度の問題についてお尋ねがありました。
 適格消費者団体における被害回復の仕組みを有しない現行制度のもとでは、消費者と事業者との間の情報の質、量並びに交渉力の格差や、消費者が受けた被害額とみずから訴えてこれを回復するために要する費用や労力との兼ね合いから、消費者が被害回復を断念してしまうという泣き寝入りの問題が生じていると考えられます。
 消費者庁が行ったアンケート調査を見ても、消費者被害に遭った人のうち、誰にも相談しなかった人の割合が約四割に達しています。
 このような消費者被害に対し、消費者庁としては、消費者にとって最も身近であり、八一・七%と認知度も高い消費生活センター等の相談窓口の整備を支援し、その周知を図っているところです。
 消費者被害の意識をめぐる現状についてお尋ねがありました。
 消費者が、事業者との間の情報の質、量並びに交渉力の格差や、被害を回復するために要する費用や労力との兼ね合いから、みずから訴えて被害回復することが困難であることは、我が国のみならず、諸外国においても共通の問題と考えられます。
 このため、消費者が公正にアクセスし、簡単に利用できる効果的な紛争解決及び救済の仕組みを整備することは先進各国共通の課題でもあり、今般、新たな制度の創設を提案したところでございます。
 本制度と米国等のクラスアクションとの共通点と相違点についてお尋ねがありました。
 共通する点は、共通する多数の請求について、一つの手続でまとめて処理をする点です。
 しかしながら、米国等のクラスアクションにおいては、被害者の一人が他の全被害者のために原告となるものであるのに対し、本制度では、原告になる者を内閣総理大臣が認定した団体に限った上で、行政監督の対象とし、手続に加入した消費者にのみ判決の効果が及ぶとしている点が、大きく異なります。
 さらに、対象を消費者契約に関する一定の請求に限定し、請求できる損害の範囲も、いわゆる拡大損害、逸失利益、人身損害、慰謝料を除外して、一定のものに絞ることとしております。
 手続追行主体の拡大の検討についてお尋ねがありました。
 本制度の手続追行主体は、消費者被害に関する知識経験を有するとともに、事業者から独立した立場で活動ができる者として、適格消費者団体の中から新たに特定認定を受けた特定適格消費者団体としています。
 これ以外の者への拡大については、制度の濫用防止、制度の安定性や信頼性の確保などの観点から、その認定要件や認定手続のあり方について慎重に検討する必要があり、本制度の施行後の状況を踏まえた上で検討することが適当と考えております。
 なお、個々の消費者がみずから訴えを提起して権利を行使することは、もとより可能であり、それをさらに実効的なものとするのが本制度の目的です。消費者による訴訟提起やADR活用のための環境整備についても、引き続き留意をしてまいります。
 相当多数の要件についてお尋ねがありました。
 相当多数の要件については、訴訟要件として規定しておりますが、一定の数を具体的に規定することはしておらず、訴えが提起された個別の事案に即し、裁判所において適切に判断されることになります。
 いわゆる拡大損害等、すなわち消費者契約の目的以外の財産が滅失したことによる損害等が対象外とされたことについてお尋ねがありました。
 本制度では、その特質に鑑み、訴えることのできる案件は、二段階目の手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であるとは言えない案件、一段階目の手続の審理において、被告事業者が、二段階目の手続で争われる消費者の被害額についておおよその見通しを把握できる案件である必要があるものとしています。
 そこで、いわゆる拡大損害、逸失利益、人身損害、慰謝料についての損害賠償請求を除くものとしたものです。
 なお、本法律案附則第三条においては、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしております。
 特別法上の不法行為に基づく損害賠償請求についてお尋ねがありました。
 金融商品取引法などの特別法においては、不法行為について、過失の立証責任の転換や損害額の推定規定等の特則を置いている場合があります。これらは権利行使を容易にするためのものであり、これらの特則による損害賠償請求権を本制度の対象とすることにより、当事者間の利益バランスを崩さないか、慎重に検討する必要があります。
 そこで、消費者被害の回復という制度目的の達成に必要かつ十分な範囲で制度の対象を画することが必要であり、不法行為に基づく損害賠償責任について、民法上のものに限るとしております。
 被告について、契約関係にない製造業者も含めるべきではないかとのお尋ねがありました。
 本制度では、その目的に鑑み、消費者契約に関する一定の請求を対象とすることとしていることから、原則として、消費者契約の相手方を被告としています。
 これは、契約の相手方であれば、被告事業者が、二段階目の手続で争われる消費者の被害額についておおよその見通しを把握できること、消費者側としても、購入した商品等に何か問題があった場合には、当該商品の販売等をした事業者に対し苦情を伝えることが通常であるという実情に合わせたものです。
 このため、消費者と契約関係にある販売業者等を被告とし、契約関係にない製造業者については、被告としておりません。
 通知、公告が行われてから届け出をするまでの期間についてお尋ねがありました。
 消費者への通知、公告が行われてから届け出をするまでの期間は、消費者が手続に加入するための十分な期間を確保するとともに、被害回復の迅速性にも配慮する必要があります。
 このため、法案上、通知、公告は、届け出期間の末日の一月前までにしなければならないとしています。
 相手方事業者からの情報提供及び公告への協力についてお尋ねがありました。
 まず、本制度では、団体の求めがあるときは、相手方事業者は、消費者が手続に加入するために必要な情報を公表しなければならないこととしています。
 さらに、団体が消費者に対して通知をするために必要な情報を所持する場合であって、団体の求めがあるときは、相手方事業者は、原則として、その開示を拒むことができないこととしており、対象消費者への周知の実効性を高めることとしております。
 特定適格消費者団体が支払いを受ける報酬、費用の算定方法についてお尋ねがありました。
 消費者の利益の擁護の見地から不当でないことの具体的な内容については、消費者庁が策定するガイドラインにおいて認定、監督の指針として公表し、一定の上限等を示すこととしております。
 具体的には、特定適格消費者団体が報酬及び費用の積算の基礎とすることができる費目を定めるとともに、消費者の人数、損害額、事件の規模等を勘案し、最終的に確保されるべき消費者の取り戻し分を一定額以上とすることを定めることを考えております。
 本制度の円滑な運用のための消費者庁の体制整備についてお尋ねがありました。
 本制度が円滑かつ実効的に利用されるためには、消費者、事業者を含めた関係者に対して、本制度の趣旨や内容等を十分に周知広報することが重要です。
 また、特定適格消費者団体の業務の適正な運営を確保するため、消費者庁においては、団体の認定、監督や、団体に関する基本的情報の公表をしてまいります。
 このほか、本制度に関して受けた照会や、情報提供についての必要な対応を含め、消費者庁において、本制度の円滑な運用を確保するために必要な体制整備をしてまいります。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 以上をもって質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(伊吹文明君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       総務大臣    新藤 義孝君
       厚生労働大臣  田村 憲久君
       経済産業大臣  茂木 敏充君
       環境大臣    石原 伸晃君
       国務大臣    麻生 太郎君
       国務大臣    菅  義偉君
       国務大臣    森 まさこ君
 出席副大臣
       内閣府副大臣  伊達 忠一君