第183回国会 本会議 第35号
平成二十五年六月二十四日(月曜日)
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 議事日程 第二十八号
  平成二十五年六月二十四日
    午後一時開議
 第一 北太平洋における公海の漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 第二 食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 内閣提出、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、四月二十三日に参議院に送付の後、六十日を経過したが同院はいまだ議決に至らず、よって、本院においては、憲法第五十九条第四項により、参議院がこれを否決したものとみなすべしとの動議(鴨下一郎君外百四十九名提出)
 憲法第五十九条第二項に基づき、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の本院議決案を議題とし、直ちに再議決すべしとの動議(鴨下一郎君外百四十八名提出)
 衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、本院議決案
 日程第一 北太平洋における公海の漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 日程第二 食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 安倍内閣総理大臣のG8ロック・アーン・サミット出席等に関する報告及び質疑
    午後一時二分開議
○議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。
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 内閣提出、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、四月二十三日に参議院に送付の後、六十日を経過したが同院はいまだ議決に至らず、よって、本院においては、憲法第五十九条第四項により、参議院がこれを否決したものとみなすべしとの動議(鴨下一郎君外百四十九名提出)
○議長(伊吹文明君) 鴨下一郎君外百四十九名から、内閣提出、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、四月二十三日に参議院に送付の後、六十日を経過したが同院はいまだ議決に至らず、よって、本院においては、憲法第五十九条第四項により、参議院がこれを否決したものとみなすべしとの動議が提出されております。本動議を議題といたします。
 採決をいたします。
 鴨下一郎君外百四十九名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。よって、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は参議院が否決したものとみなすことに決まりました。
     ――――◇―――――
○議長(伊吹文明君) この際、暫時休憩いたします。
    午後一時四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三分開議
○議長(伊吹文明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(伊吹文明君) 先ほど、参議院から、国会法第八十三条の三第三項により、本院送付の衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の返付を受けました。
     ――――◇―――――
 憲法第五十九条第二項に基づき、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の本院議決案を議題とし、直ちに再議決すべしとの動議(鴨下一郎君外百四十八名提出)
○議長(伊吹文明君) 鴨下一郎君外百四十八名から、憲法第五十九条第二項に基づき、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の本院議決案を議題とし、直ちに再議決すべしとの動議が提出されております。本動議を議題といたします。
 討論の通告があります。順次これを許します。まず、泉健太君。
    〔泉健太君登壇〕
○泉健太君 民主党の泉健太です。
 ただいま議題となりました衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の本院議決案を議題とし、直ちに再議決すべしとの動議に対し、反対の立場で討論いたします。(拍手)
 この動議は、〇増五減案、一票の格差の緊急是正法案の参議院での採決のないままに衆議院で再議決を進めようとするものであります。(発言する者あり)
○議長(伊吹文明君) 静粛にしてください。
○泉健太君(続) 民主主義の土台である選挙の定数に関する法案がこのような強硬な手法で採決されようとしていることに強い危機感を持ち、冒頭抗議をいたしたいと思います。
 この法案は、昨年の秋、一旦は三党で合意されたものであります。
 しかし、以前から懸念されていた一連の違憲訴訟において、ことしに入り、非常に重たい見解が示されました。札幌高裁、平成二十三年大法廷判決の説示に沿った改正とは質的に異なる、福岡高裁、十分なものとは言えないことは明らか、広島高裁岡山支部、投票価値の格差是正のための立法措置を行ったとは言いがたい。
 つまるところ、本法律案が成立したとしても、なお違憲と判断される可能性が高いことが判明したのです。
 今回の〇増五減案、緊急是正法では、一人別枠方式を廃止したとしながらも、事実上その定数配分を維持したまま、それを基礎として、選挙区間が二倍未満になるよう、必要最小限の改定にとどめています。結果、国勢調査では二倍未満をクリアしているものの、住民基本台帳では、この区割りと〇増五減では既に二倍を超えているという状態なのは、議場の皆様もおわかりのことかと思います。
 だからこそ、我々民主党は、この司法の見解を無視した違憲状態継続法案のみを採決させる行為は、立法府がみずから違憲法案を立法しかねない、立法府の権威を大きくおとしめてしまいかねないと主張してきたのであります。そして、民主、自民、公明の昨年十一月の三党合意に従って、格差是正を含めた大幅な定数削減を進めるべき、それを主導する責任は、政権交代以降は、特に自民、公明にあると主張してきたのであります。
 衆議院議員の定数削減については、選挙制度の抜本的な見直しについて検討を行い、次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行うものとする、これが、昨年十一月の民自公の三党合意文です。
 なぜこの合意があるのか。これは、来るべき少子高齢社会に対応するための社会保障財源として消費税率を引き上げる、そのことに取り組んだ政党が、国民に痛みをお願いする以上、政治の側も身を切るという姿勢を示すと、与野党を超えて合意したからであります。
 私たち民主党は、今は少数野党です。しかし、たとえ政権交代があっても、公党間の合意は合意。与党あるいは野党が逆転をしても、約束した定数削減を実現するのが筋ではないでしょうか。私は、自民党が約束をほごにする政党だとは思いたくはありません。
 私は、三党合意を信じ、自民党の良識を信じ、今国会に挑みました。衆議院倫理選挙特別委員会の野党筆頭理事として、ネット選挙法、成年被後見者選挙権回復法など、審議には積極的に応じ、定数削減の……(発言する者あり)うそではありません、定数削減の充実審議を望んでまいりました。与党の平沢勝栄筆頭理事も、〇増五減は緊急課題、その後は定数削減、私も賛成だ、これは絶対にやらなきゃいけない、民主党案も各党案もぜひ提出して委員会の場で議論しましょうと、何度もおっしゃられておりました。
 しかし、我が党細野幹事長や政治改革推進本部岡田本部長からの定数削減の要求はのれんに腕押し、委員会の場でも、〇増五減法案が強行採決された後は、ナシのつぶてになってしまいました。
 そればかりか、定数削減に関する与党案すら、本日に至るまで提出されていないじゃないですか。民主党が提出した、小選挙区三十、比例区五十、計八十の定数削減案も、そして維新が提出した法案も、我々が再三再四審議入りを要求したにもかかわらず、議論する場すら与えられることなく、会期末を迎えようとしています。
 まさに、信じられない、与党による〇増五減法案の食い逃げとなってしまいました。定数削減の約束のほごであります。情けなく、とても情けなく、自民党はやはり公党間の約束は守る政党であってほしい、三党合意を守る政党であってほしい、国民との約束の定数削減は実施する政党であってほしい、おごることなく、ぜひ、言ったことを守る政党であってほしいと願うものであります。
 本法律案は、衆議院においても強行採決、参議院においても、とうとう正常な状態で審議されませんでした。
 与党は、本院で三分の二以上の多数を持つことをいいことに、初めから再議決ありきで、委員会付託から採決まで一方的かつ独善的な姿勢をとり続けました。野党が多数を握る参議院においても、みんなの党提出の法案の委員会付託に強硬に反対をされ、与党でありながら理事会をボイコットするなど、無責任な対応に終始しました。参議院が本法案を議決できなかった原因は、こうした与党の無責任な、残念な態度にあります。
 自民党に言いたい。たった〇増五減の、たった〇増五減の法案にきゅうきゅうとし、本来行うべき定数削減と選挙制度改革に対して、なぜ主導権を発揮しないのでしょうか。(発言する者あり)
○議長(伊吹文明君) 静粛にしてください。
○泉健太君(続) 内心は定数削減に反対されているのでしょうか。あるいは、選挙区調整が大変で折り合いがつかない、そのことを懸念されているのでしょうか。
 議場の皆様、以上、民主党の反対討論として主張を述べさせていただきましたが、私たちは、立法府に所属する者として、この現状を直視し、真摯に反省をしなくてはいけません。
 私たちは、数年前から、何度となく、この選挙制度の各党協議会を開催してまいりました。しかし、一向に結論は出ず、一票の格差是正、定数削減、選挙制度改革が複雑に絡み合い、各党の主張が平行線のまま会議が続いております。百九十九年前の一八一四年、ウィーン会議の、会議は踊る、されど進まず、まさに今、この状態があるんじゃないでしょうか。
 あのウィーン会議は、フランス革命とナポレオン戦争後の欧州の枠組みを決めようとしながら、ナポレオンのエルバ島脱出によって初めて妥協が成立するという、外的要因に振り回された会議でもありました。
 我が国の衆議院が、責任の押しつけ合いで、そのような主体性のない衆議院であってよいのか。これは、今まさに、少なくとも定数削減に合意した政党に所属する全ての国会議員が、主体的に定数削減を実現することが求められていると思います。
 国民との約束としての定数削減、そして機能する立法府としての定数論があるはずです。ぜひとも、各党各会派の利害の衝突が繰り返される状態を脱し、定数削減の議論を完結させようではありませんか。議場の皆様に、これは全ての皆様にお伝えしたいことでもあります。
 東京都議選、私たち民主党は、第二党の得票をいただきながら、多くの議席を失い、第四党となり、期待に応える結果を出すことができませんでした。御支援をいただいた皆様に感謝を申し上げつつ、このイバラの道を逃げることなく進み、党を立て直していかなければいけません。
 日本の政党が、政権交代という緊張感の中で、それぞれに切磋琢磨をし、自己改革をし、成長することができるよう、我が党もまた、国民の暮らしを守る力となるべく、社会保障の充実、中小企業や地域経済の活性化に積極的に取り組んでまいります。
 〇増五減の違憲可能性、そして定数削減の今国会での実現、その一義的責任はやはり与党にある、このことを改めて訴えて、私の反対討論とさせていただきます。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 次に、平沢勝栄君。
    〔平沢勝栄君登壇〕
○平沢勝栄君 自由民主党の平沢勝栄でございます。
 私は、自由民主党を代表しまして、ただいま議題となりました、憲法第五十九条第二項に基づき、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の本院議決案を議題とし、直ちに再議決すべしとの動議につきまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 一票の格差が二・三〇倍あった四年前の衆議院総選挙につきまして、平成二十三年、最高裁は、違憲状態との判断を下しました。昨年十一月十六日、解散の日にようやく緊急是正措置としての〇増五減法が成立しましたが、新たな区割りが間に合わず、さきの総選挙では、格差が二・四三倍にまで拡大したところであります。
 この昨年末の総選挙をめぐり、全国の高裁で審理されてきた、個人訴訟を含む十七件の格差訴訟においては、腰の重い国会に対して、選挙無効までをも含む厳しい判断が繰り返され、早急な見直しを求められているところであります。最終的には最高裁の判断が示されることになりますが、今、まさに、国会は崖っ縁に立っていると言わざるを得ません。
 定数削減や選挙制度改革はもちろん重要ですが、各党間の協議が難航する課題まで含めて議論していては、今違憲状態にある格差の是正が遅々として進みません。緊急避難の策として、まずは一票の格差是正のための〇増五減を優先し、速やかに実現すべきであります。
 今回の法律案は、民主党やみんなの党や維新も賛成して成立した〇増五減を軸とする緊急是正法をもとに、それに政治的な意思を加えないで事務的に区割りを見直す内容であります。
 我々は、喫緊の課題として早期の成立を主張し、事態の深刻さを懸念する伊吹議長もあっせんに乗り出して、国会の責任を指摘し、立法府のみならず、国家の統治機構の正当性に対しても憂慮の念を示されましたが、残念ながら、民主党の理解が得られませんでした。
 我々は、与党の責任として委員会審査と本会議上程を行い、法案の賛否にかかわらず欠席を潔しとしない野党の協力を得て、委員会においてはみんなの党と共産党の出席を、そして本会議においては維新の会を除く党の出席をいただき、粛々と議事を進めたところであります。
 ところが、四月二十三日に衆議院を通過した後、この法案は、長期間にわたって放置されてきました。参議院において、みんなの党が提出した、いわゆる十八増二十三減の法案を付託して、あわせて審議すべきであるとの主張が野党からなされ、審議入りが大幅におくれたからであります。
 我々は、衆議院の選挙制度に関して、参議院で、しかも一党が単独で提出した法案を衆議院を差しおいて審議すべきではないとの立場から、十八増二十三減案をあわせて審議することに反対してきました。
 もとより、〇増五減と十八増二十三減は、どちらかを選ぶ択一的な問題ではありません。〇増五減は昨年の緊急是正措置に基づくものですが、十八増二十三減は、区割り審が行ってきた作業と勧告、それに基づいた法案が既に衆議院を通過しているといった状況を無視して、時計の針を戻そうとするものであります。
 両案については、六月十日に参議院の議長あっせんがなされ、法案の付託がなされましたが、参議院の倫選特委員長の公正さを欠く運営によりまして、審議入りが果たされないまま、まことに残念ながら、参議院の意思が示されることなく、六十日が過ぎ去ってしまったのであります。
 皆さん、よく考えてください。日本国憲法が前文で掲げる「正当に選挙された国会における代表者」とは何でしょうか。一連の司法の判断を通して、今、その根源的な問いが我々に突きつけられているわけです。民意が正しく反映された選挙なくして、どうして国会が国権の最高機関たり得るでしょうか。
 事態は、違憲か合憲かの段階を通り越して、有効か無効かにまで迫りつつあります。
 伊吹議長は、あっせんの際に提示した「現状認識」におきまして、仮に選挙結果が無効との判決になれば、当該選挙区議員の失職か全議員の失職かは議論がありますが、新しい区割りが確定していない限り、再選挙を行う選挙制度そのものが存在しないことになる、そしてこのことは、衆議院の機能停止だけでなく、当該国会の指名に基づき任命される内閣総理大臣、そのもとで構成され行政権を行使する内閣、その内閣の指名に基づき任命される最高裁判所長官のおのおのの正当性を揺るがすことになり、日本国の統治の根幹にかかわる事態を招来するおそれがあると憂慮されておられます。まさに指摘のとおりであり、これ以上、立法府が怠慢を続けるわけにはいきません。
 日本国憲法は、国会が二院制であるがゆえに、衆議院と参議院で議決が異なる事態が生じることを予定しており、それぞれの議決が異なった場合の衆議院の優越規定を設け、弊害を回避することにしております。
 法律案については、憲法第五十九条において、「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる」、そして「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる」と明確に規定されているのであります。
 民主党政権は、抜き差しならない違憲状態を放置してきました。我々は違います。政権与党の責任は、違憲状態を含むさまざまな弊害を解消し、政治を前に動かすことにあるからであります。
 たとえねじれ国会にあっても、我々に求められているのは、国民の生活、我が国の将来、国会が果たすべき役割に思いをいたし、的確に、遅滞なく、国会議員としての判断を下すことであります。決められない政治を引きずり、いたずらに国会の意思決定に時間をかけるのであれば、最大の被害者は国民であります。
 動かない政治を動かすため、そして何よりも、一刻も早く違憲状態を解消して立法府の健全な姿を取り戻すためにも、我々は、憲法に定められた規定に従い、この権限を粛々と行使すべきであります。
 本院議決案を直ちに再議決すべしとの動議に対し、良識ある議員諸君から圧倒的多数の御賛同をいただきますよう強くお願いして、私の賛成討論といたします。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 次に、柏倉祐司君。
    〔柏倉祐司君登壇〕
○柏倉祐司君 みんなの党の柏倉祐司です。
 私は、みんなの党を代表して、ただいま議題となりました衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正する公職選挙法、いわゆる〇増五減法案及び衆議院選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律案、いわゆる具体の区割り案、その再議決について、反対の立場から討論をいたします。(拍手)
 昨年、総選挙を控えて成立いたしました〇増五減緊急是正法から半年が経過し、一票の格差をめぐる社会情勢は大きく変化をしております。本年三月から四月にかけて、全国の高裁で、衆議院選挙及び〇増五減に対する厳しい司法判断が下されました。
 広島高裁では選挙無効とされ、札幌高裁、福岡高裁などでは、〇増五減はあくまでも緊急避難的なびほう策にしかすぎないことを指摘されました。東京高裁や大阪高裁では選挙有効の判決が出ましたが、緊急是正法のもとで格差が二倍未満に是正されることを前提として出された判決でした。
 裁判所の判決で言う格差は、選挙当日の有権者数に基づく格差であり、十年に一度の国勢調査に基づくものではありませんでした。
 しかるに、〇増五減に基づく新たな区割りでは、現時点でも既に二倍以上の格差のある選挙区が十近く発生していることを考えれば、今回の区割り改定法案も、次の総選挙後に選挙無効の司法判断を招きかねない、極めて不十分なものと言わざるを得ません。
 最高裁判決が控えているとはいえ、国会は直近の高裁判決を真摯に受けとめ、また、〇増五減緊急是正法の不備を認め、一票の格差是正に向けた十分な議論を再開させる必要があります。
 一方で、我々も、選挙制度の議論は各党間で考えに隔たりが大きく、議論がなかなか収束しないことは承知をしております。
 我々みんなの党が主張する、一票の格差ゼロの全国集計・一人一票比例代表制は、司法関係者から高い評価を受けておりますが、与野党間の十分な議論を尽くした上の、文字どおり抜本的な改革と位置づけて、その制度成立を今国会で求めるものではありません。
 まずは違憲状態の解消が急務であり、定数五減を維持しつつ都道府県ごとの人口に基づき比例配分して議席を決定する、我が党が参議院に提出した十八増二十三減が、司法とのそごが生まれない、そして本国会で議論し得る最も現実的な選挙制度と考えます。
 二〇一一年の最高裁判決で問題とされた一人別枠方式を排して、一票の格差を一・六四一まで縮めることができるこの十八増二十三減は、対象都道府県が三十三になりますが、民主主義の根幹にかかわる一票の格差をなくすためには避けられない緊急手術であります。
 バンドエイドを張って終わりにする〇増五減では根治的な治療とは言えず、一票の格差という傷口が塞がらず、近い将来に選挙無効、やり直しという事態を招くでしょう。十八増二十三減は、抜本的な改革を仕上げるまでの過渡的制度ですが、選挙やり直しの国会の大失態を予防する観点からは、十分合理的なものであると確信しております。
 最後になりますが、民主主義の根幹にかかわる、一票の格差を最小限からゼロにするという国会の責務を、我々は放棄してはいけません。今、大切な一歩を踏み出す上で、一票の格差を最小限にする具体案に耳を傾けるべきです。ほころびが多い〇増五減法案を再議決し、拙速に結論を得る愚を犯すべきではありません。
 今は、党利党略によらない真摯な議論をするときであると改めて主張し、私の反対討論を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 続いて、浦野靖人君。
    〔浦野靖人君登壇〕
○浦野靖人君 日本維新の会の浦野靖人です。
 日本維新の会を代表して、いわゆる〇増五減法案について、憲法第五十九条第二項に基づき、本院議決案を議題とし、直ちに再議決すべしとの動議につきまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 賛成の立場からとは申しますものの、衆議院議員の定数削減や選挙制度の抜本改革などが、参議院選挙後、速やかに実現されることを条件としての賛成です。
 以下、その理由を申し述べます。
 この法案は、昨年十一月に成立した、衆議院の一票の格差を緊急に是正するため小選挙区を〇増五減する、いわゆる緊急是正法に基づき、衆議院議員選挙区画定審議会が行った衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を受け、選挙区の改定を行う等のものであります。
 平成二十三年三月二十三日、最高裁は、現行の衆議院の選挙制度は違憲状態であると判断するとともに、できるだけ速やかに一人別枠方式を廃止し、区割り規定を改正するなどの立法的措置を講ずる必要があるとして、国会に対応を求めました。
 そして、昨年十一月、ようやく、一票の格差を緊急に是正するため、衆議院の小選挙区を〇増五減する緊急是正法が成立しました。そして、その成立を促したのが、昨年十一月十四日の党首討論における当時の野田総理の発言であり、その後に民主党と当時野党であった自民、公明の三党間でなされた三党合意の存在です。
 その党首討論において、当時の野田総理は、一票の格差の問題は違憲状態であり、最優先で解決しなければならないと述べ、定数削減は来年の通常国会で必ずやり遂げる旨の発言をし、自民、公明両党に協力を求め、両党が決断をすれば、十一月十六日に解散をしてもいいと述べました。
 自民、公明の両党は、野田総理のこの提案を受け入れ、民主と自民、公明の三党の間で、衆議院議員の定数については、選挙制度の抜本的な見直しについて検討を行い、次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行うものとする旨の合意がなされました。
 そして、その三党合意がなされたのと同日、衆議院は解散されました。すなわち、三党合意があったからこそ、衆議院は解散されたのであります。そして、自民党、公明党は政権に復帰したのであります。
 にもかかわらず、選挙制度の抜本的見直しについて自民党は結論を出さないまま、今通常国会を閉じようとしています。自民党は、昨年十一月の三党合意をお忘れになったのでしょうか。
 確かに、本年四月以降、選挙制度に関する与野党実務者協議において、定数削減や選挙制度の抜本改革について協議が行われてきました。そして、自民党、公明党の与党は、比例定数を三十削減するという提案をしておりますが、その一方で、自民党の石破幹事長は、定数削減について消極的姿勢をとり続けています。
 六月二日のNHKの番組では、議員定数の大幅な削減について、権力を監視する国民の代表は少なければ少ないほどいいのか、定数だけ削ればいいという競争は一種のポピュリズムだと批判し、三党合意そのものをほごにするかのような発言を行い、野党に対して、自民党は定数削減をするつもりはないのではないかという不信感を与えました。
 区割り法案がここまでもつれた責任の一端は自民党にあると断じざるを得ません。
 もともと、我々日本維新の会は、定数削減や選挙制度の抜本改革などを自民、公明両党が約束することを前提として、本法律案について賛成する方針を決めておりました。
 なぜなら、違憲状態というゆゆしき事態を解消するため、本法律案を成立させ、一票の格差の是正を図るべきであると考えるからです。本法律案が成立しない限り、衆議院の一票の格差を是正し、違憲状態を解消することができないからです。
 また、昨年十二月の衆議院総選挙に係る一票の格差訴訟において、全国の高裁で選挙無効判決が出るなど厳しい判断が続いているという状況に鑑みましても、まずは、衆議院の一票の格差を是正し、違憲状態を解消することが、我々国会議員の責務であると考えるからです。
 しかし、定数削減や選挙制度の抜本改革などについて何ら確約しないまま、自民、公明の与党側が強引に本法律案の審議を始めたため、与党側のこのような横暴に抗議し、やむを得ず、採決の欠席という苦渋の決断をいたしました。
 日本維新の会は、議員定数削減について具体的な抜本改革案を作成し、衆議院議員の定数を三割削減し三百三十六人とし、そのうち、小選挙区選出議員の定数を二百四十、比例代表選出議員の定数を九十六人とする法律案を五月十六日に提出しております。
 とはいえ、今通常国会の会期も、残すところ、本日を含めあと三日に迫った今、衆議院議員の定数削減への結論を今通常国会中に得ることが困難であろうことも事実であります。
 日本維新の会は、与野党間の合意を生み出すため積極的に動いた結果、六月二十日に開催された与野党選挙制度実務者協議において、定数のあり方や選挙制度の抜本改革などについて、参議院選挙後に議論して結論を得ることで大筋の合意を見ました。
 そこで、六月二十日の与野党選挙制度実務者協議を踏まえ、次回以降の国会で速やかに定数削減が実現されることを与党に求めるとともに、日本維新の会としても、定数削減の実現に全力を尽くすことを国民の皆さんにお誓いし、本動議に賛成するものであります。
 以上で私の討論を終わります。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 次に、穀田恵二君。
    〔穀田恵二君登壇〕
○穀田恵二君 私は、日本共産党を代表して、自民、公明両党が、衆議院小選挙区を〇増五減で区割り改定をする公選法改定案について、参議院で否決されたものとみなす動議を提出し、衆議院での三分の二以上の多数をもって再議決し、成立させようとしていることに、断固反対の討論を行います。(拍手)
 憲法五十九条一項は、法律は、衆参両院で可決したときに成立することを原則としています。それは、衆参二つの院で審議を深め、その問題点を国民に明らかにすることを保障するとともに、選出方法の異なる両院で審議することによって、国民の意思を多元的に反映させる精神に立つものであります。
 衆議院で可決してから六十日を経過したとして、軽々に否決とみなし、再議決していいものではありません。
 しかも、法案は、選挙制度という民主主義の根幹にかかわるものであります。
 選挙制度は、国民の多様な民意をいかに正確に議席に反映するかを原則に、全ての政党、会派が参加して慎重に検討されなければなりません。
 ところが、今回の〇増五減をめぐっては、その出発の段階から自民党と民主党の政局的思惑で扱われてきたことを厳しく指摘しなければなりません。
 振り返ると、二〇一一年十月から、衆議院選挙制度をめぐって、十六回の各党協議が行われました。この協議は、最高裁が小選挙区間の格差を違憲状態と指摘したことを契機としたものでした。重要なことは、現行の小選挙区比例代表並立制が、民意を著しくゆがめており、民意を反映する抜本改革が必要だということが、民主党以外の多くの政党の共通認識になったことでありました。
 ところが、当時、民主党は、こうした議論を無視しただけでなく、消費税を国民に押しつけるため、国会議員が身を切る改革が必要だと称して、比例定数八十削減に固執した上、各党協議を一方的に打ち切りました。
 そのあげくに、昨年の臨時国会で、当時の野田総理と安倍自民党総裁の党首討論の場で、解散の条件として選挙制度を持ち出し、それに基づき、〇増五減案が、自民、公明と民主などの賛成多数で成立させられたのであります。
 日本共産党は、当初から〇増五減に反対してきました。〇増五減は、最高裁が違憲状態とした一人別枠方式による配分を実質的に残して、格差が二倍を超える選挙区をとりあえずなくすという、まさにこそくなびほう策であり、小選挙区制を維持、固定するものでしかありません。
 今、改めて、二十年前の政治改革が何をもたらしたのか、検証すべきであります。
 当時、我が党は、小選挙区制は、選挙制度の基本である民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第一党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだとして反対しました。同時に、小選挙区の区割りが、発足時から二倍を超える格差を容認していることは、投票価値の平等を踏みにじる違憲立法だと批判しました。
 出発点から問題のあるこの制度を二十年も維持し続けてきた各党の責任が厳しく問われているのであります。
 現行制度のもとでの六回の総選挙結果から、根本的欠陥は明らかであります。
 小選挙区で第一党の得票率は四割台にもかかわらず、七、八割もの議席を占めています。得票率と獲得議席に著しい乖離を生み出し、議席に反映しない投票、死に票が過半数に上ります。
 この四月から、仕切り直しをして、各党の実務者協議が八回行われてきましたが、ここで、小選挙区による過度な民意の集約が問題となり、民主党もようやくこれを認めたのであります。
 今やるべきは、民意をゆがめる小選挙区制を人為的に緩和するのではなく、小選挙区制を廃止し、民意の反映する制度に抜本的に改革することであります。
 もう一つ言っておきたいのは、国会議員の定数問題です。
 そもそも、我が国の議員定数は、国際的に見ても、歴史的に見ても少ないものであり、国会による政府の監視機能の低下を招くことは明白であります。定数削減に合理的な根拠は全く存在しません。
 最後に、選挙制度の抜本的改革の議論を呼びかけ、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 玉城デニー君。
    〔玉城デニー君登壇〕
○玉城デニー君 生活の党の玉城デニーです。
 私は、生活の党を代表して、本動議に対して反対の立場から討論を行います。(拍手)
 衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に関する件につきましては、本年四月、政治倫理の確立及び公職選挙法に関する特別委員会において、十分に審議を尽くすべきであるとの意向で、私ども生活の党を含めた野党会派から、保岡委員長に対して、たび重なる慎重審議の取り扱いを求めてまいりましたが、四月十九日、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、生活の党の各所属委員が出席していない中で審議を強行再開し、各党各会派からの慎重審議に対して意見の一致を見ないまま、採決に至りました。
 特別委員会における混乱した状況から始まったのが本件の扱い方であり、その不正常な委員会運営についての疑義を、そもそもまず問わなければなりません。
 昨年十一月、衆議院の解散に合わせて成立した緊急是正法の後に、広島高裁並びに広島高裁岡山支部など、選挙無効判決が示されました。その判決内容を見ると、今般の〇増五減については、あくまでも一人別枠方式を基礎としたものであり、格差是正措置とは到底言いがたいと断じていることは、極めて重たいものです。
 もちろん、その判決以外にも、違憲状態であると言われた各高裁での判決の内容から鑑みても、やはり〇増五減のみの改正先行については単なるびほう策であるという認識にしか立てないのは、国民から見ても至極当然のことではないでしょうか。
 参議院へ送付されて以降も、衆議院の各党各会派による選挙制度改革についての協議が真剣かつ丹念に行われてまいりました。しかし、いまだ各党各会派の意見は集約できておらず、今通常国会で一定の結論を得るとしていた、自民党、公明党、民主党によるいわゆる三党間合意すら瓦解してしまった状況と思わざるを得ません。
 これでは、幾ら政党間で合意形成をなしたとしても、またそれをほごにすることを繰り返すのではないかと、今後の議論形成についても危惧の念を抱かれてしまうことは目に見えています。
 今さら当然のことではありますが、我々が法案の採決に臨むときは、その賛成、反対の意思を表明する前に、十分に審議を尽くすということが大前提であります。その審議を尽くす中でさまざまなことが表出され、それによって、種々の修正が加えられたり、あるいは附帯決議が添えられるなどの手続を踏まえ、法案の議決以降も国会においてその責任を引き続いて全うせねばならないということを国民へ明確に示す約束をするのです。
 その必要かつ不可欠な審議が参議院で進んでいないことを理由として、このような重要法案をあえてみなし決議するという手続で進めようということは、まさに参議院の形骸化を与党が目指しているかのようであり、不正常なままでも動議によってみなし議決すればよいとなれば、今後の国会に対する国民の目はますます厳しいものになるのではないでしょうか。
 国民が求めている政治の主要な抜本改革である一票の格差の是正や議員定数の根本的な解決など、国会審議において進めることにも司法からさらに重い判断を受けることになるのではないかと懸念いたします。
 よって、私は、本動議に対して強く反対の意を述べさせていただき、生活の党として、五年ごとの国勢調査による選挙区の是正、比例区における定数の削減など、より国民の意思を尊重できる議論の府における審議の構築を実現するべきであることを申し添えて、反対討論といたします。
 ニフェーデービタン。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 以上をもって討論は終結をいたしました。
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 採決をいたします。
 議席に戻ってください、起立採決ですから。
 鴨下一郎君外百四十八名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。よって、本動議は可決されました。
    ―――――――――――――
 衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、本院議決案
○議長(伊吹文明君) 衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の本院議決案を議題といたします。
 直ちに採決を行います。
 この採決は記名投票をもって行います。
 本案は、憲法第五十九条第二項に基づき、さきに本院において議決のとおり再び可決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されたいと思います。議場を閉鎖いたします。
 氏名の点呼を行います。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(伊吹文明君) 投票漏れはありませんか。投票漏れなしと認めます。投票箱を閉鎖いたします。開票をいたします。議場を開鎖いたします。
 投票を計算させます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(伊吹文明君) それでは、投票総数は四百七十五です。本投票の三分の二は三百十七であります。
 投票の結果を事務総長から報告をいたします。
    〔事務総長報告〕
  可とする者(白票)      三百八十四
  否とする者(青票)        九十一
○議長(伊吹文明君) 右の結果、本案は、憲法第五十九条第二項に基づき、出席議員の三分の二以上の多数をもって、さきの本院の議決のとおり再び可決をいたしました。
    ―――――――――――――
衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、本院議決案を可とする議員の氏名
あかま 二郎君   あべ  俊子君   安倍  晋三君   逢沢  一郎君
青山  周平君   赤枝  恒雄君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君
秋元   司君   秋本  真利君   麻生  太郎君   穴見  陽一君
甘利   明君   安藤   裕君   井野  俊郎君   井林  辰憲君
井上  信治君   井上  貴博君   伊東  良孝君   伊藤 信太郎君
伊藤  忠彦君   伊藤  達也君   池田  道孝君   池田  佳隆君
石川  昭政君   石崎   徹君   石田  真敏君   石破   茂君
石原  伸晃君   石原  宏高君   泉原  保二君   稲田  朋美君
今枝 宗一郎君   今津   寛君   今村  雅弘君   岩田  和親君
岩屋   毅君   うえの賢一郎君   上杉  光弘君   江崎  鐵磨君
江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君   遠藤  利明君
小倉  將信君   小此木 八郎君   小里  泰弘君   小田原  潔君
小野寺 五典君   小渕  優子君   越智  隆雄君   大岡  敏孝君
大久保 三代君   大串  正樹君   大島  理森君   大塚  高司君
大塚   拓君   大西  英男君   大野 敬太郎君   大見   正君
奥野  信亮君   鬼木   誠君   加藤  勝信君   加藤  寛治君
梶山  弘志君   勝沼  栄明君   勝俣  孝明君   門   博文君
門山  宏哲君   金子  一義君   金子  恵美君   金子  恭之君
金田  勝年君   上川  陽子君   神山  佐市君   亀岡  偉民君
鴨下  一郎君   川崎  二郎君   川田   隆君   河井  克行君
河村  建夫君   神田  憲次君   菅家  一郎君   菅野 さちこ君
木内   均君   木原  誠二君   木原   稔君   木村  太郎君
城内   実君   黄川田 仁志君   岸   信夫君   岸田  文雄君
北川  知克君   北村  茂男君   北村  誠吾君   工藤  彰三君
熊田  裕通君   小池 百合子君   小泉 進次郎君   小島  敏文君
小林  茂樹君   小林  鷹之君   小林  史明君   小松   裕君
古賀   篤君   後藤  茂之君   後藤田 正純君   河野  太郎君
高村  正彦君   國場 幸之助君   今野  智博君   左藤   章君
佐々木  紀君   佐田 玄一郎君   佐藤   勉君   齋藤   健君
斎藤  洋明君   坂井   学君   坂本  剛二君   坂本  哲志君
桜井   宏君   櫻田  義孝君   笹川  博義君   清水  誠一君
塩崎  恭久君   塩谷   立君   柴山  昌彦君   島田  佳和君
下村  博文君   白石   徹君   白須賀 貴樹君   新開  裕司君
新谷  正義君   新藤  義孝君   末吉  光徳君   菅   義偉君
菅原  一秀君   助田  重義君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君
鈴木  淳司君   鈴木  憲和君   瀬戸  隆一君   関   芳弘君
薗浦 健太郎君   田所  嘉徳君   田中  和徳君   田中  英之君
田中  良生君   田野瀬 太道君   田畑   毅君   田畑  裕明君
田村  憲久君   平   将明君   高市  早苗君   高木   毅君
高木  宏壽君   高鳥  修一君   高橋 ひなこ君   竹下   亘君
竹本  直一君   武井  俊輔君   武田  良太君   武部   新君
武村  展英君   橘  慶一郎君   棚橋  泰文君   谷   公一君
谷垣  禎一君   谷川  弥一君   津島   淳君   辻   清人君
土屋  品子君   土屋  正忠君   寺田   稔君   とかしきなおみ君
土井   亨君   冨樫  博之君   渡海 紀三朗君   東郷  哲也君
徳田   毅君   冨岡   勉君   豊田 真由子君   中川  俊直君
中川  郁子君   中谷   元君   中谷  真一君   中根  一幸君
中村  裕之君   中山  展宏君   中山  泰秀君   永岡  桂子君
永山  文雄君   長坂  康正君   長島  忠美君   二階  俊博君
丹羽  秀樹君   丹羽  雄哉君   西川  京子君   西川  公也君
西村  明宏君   西村  康稔君   西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君
根本   匠君   根本  幸典君   野田  聖子君   野田   毅君
野中   厚君   葉梨  康弘君   萩生田 光一君   橋本   岳君
橋本  英教君   馳    浩君   鳩山  邦夫君   浜田  靖一君
林   幹雄君   林田   彪君   原田  憲治君   原田  義昭君
比嘉 奈津美君   平井 たくや君   平口   洋君   平沢  勝栄君
ふくだ 峰之君   福井   照君   福田  達夫君   福山   守君
藤井 比早之君   藤丸   敏君   藤原   崇君   船田   元君
船橋  利実君   古川  禎久君   古屋  圭司君   保利  耕輔君
星野  剛士君   細田  健一君   細田  博之君   堀井   学君
堀内  詔子君   前田  一男君   牧島 かれん君   牧原  秀樹君
町村  信孝君   松島 みどり君   松野  博一君   松本   純君
松本  文明君   松本  洋平君   三ッ林 裕巳君   三ッ矢 憲生君
三原  朝彦君   御法川 信英君   宮内  秀樹君   宮川  典子君
宮腰  光寛君   宮崎  謙介君   宮崎  政久君   宮澤  博行君
宮路  和明君   宮下  一郎君   武藤  貴也君   武藤  容治君
務台  俊介君   村井  英樹君   村上 誠一郎君   望月  義夫君
茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君   森山   裕君
八木  哲也君   保岡  興治君   簗   和生君   山際 大志郎君
山口  俊一君   山口  泰明君   山下  貴司君   山田  賢司君
山田  美樹君   山本  公一君   山本  幸三君   山本   拓君
山本ともひろ君   山本  有二君   湯川  一行君   吉川  貴盛君
吉川   赳君   吉野  正芳君   義家  弘介君   若宮  健嗣君
渡辺  孝一君   渡辺  博道君   足立  康史君   井上  英孝君
伊東  信久君   石関  貴史君   石原 慎太郎君   今井  雅人君
今村  洋史君   岩永  裕貴君   上西 小百合君   上野 ひろし君
浦野  靖人君   遠藤   敬君   小熊  慎司君   小沢  鋭仁君
河野  正美君   木下  智彦君   坂元  大輔君   坂本 祐之輔君
阪口  直人君   桜内  文城君   椎木   保君   重徳  和彦君
新原  秀人君   杉田  水脈君   鈴木   望君   鈴木  義弘君
園田  博之君   田沼  隆志君   高橋  みほ君   谷畑   孝君
中田   宏君   中丸   啓君   中山  成彬君   西岡   新君
西田   譲君   西根  由佳君   西野  弘一君   馬場  伸幸君
東国原 英夫君   平沼  赳夫君   藤井  孝男君   松田   学君
松浪  健太君   松野  頼久君   丸山  穂高君   三木  圭恵君
三宅   博君   宮沢  隆仁君   村岡  敏英君   村上  政俊君
百瀬  智之君   山田   宏君   山之内  毅君   赤羽  一嘉君
井上  義久君   伊佐  進一君   伊藤   渉君   石井  啓一君
石田  祝稔君   稲津   久君   上田   勇君   浮島  智子君
漆原  良夫君   江田  康幸君   大口  善徳君   太田  昭宏君
岡本  三成君   北側  一雄君   國重   徹君   輿水  恵一君
佐藤  茂樹君   佐藤  英道君   斉藤  鉄夫君   高木 美智代君
高木  陽介君   竹内   譲君   遠山  清彦君   富田  茂之君
中野  洋昌君   浜地  雅一君   濱村   進君   樋口  尚也君
古屋  範子君   桝屋  敬悟君   阿部  寿一君   小泉  龍司君
鈴木  貴子君   長崎 幸太郎君   西村  眞悟君   野間   健君
否とする議員の氏名
安住   淳君   荒井   聰君   泉   健太君   生方  幸夫君
枝野  幸男君   小川  淳也君   大串  博志君   大島   敦君
大西  健介君   大畠  章宏君   岡田  克也君   奥野 総一郎君
海江田 万里君   菅   直人君   黄川田  徹君   菊田 真紀子君
岸本  周平君   玄葉 光一郎君   後藤   斎君   後藤  祐一君
郡   和子君   近藤  昭一君   近藤  洋介君   階    猛君
篠原   孝君   田嶋   要君   高木  義明君   武正  公一君
玉木 雄一郎君   津村  啓介君   辻元  清美君   寺島  義幸君
中川  正春君   中根  康浩君   長島  昭久君   長妻   昭君
野田  佳彦君   原口  一博君   福田  昭夫君   古川  元久君
古本 伸一郎君   細野  豪志君   馬淵  澄夫君   前原  誠司君
松原   仁君   松本  剛明君   三日月 大造君   山口   壯君
山井  和則君   柚木  道義君   横路  孝弘君   吉田   泉君
笠   浩史君   若井  康彦君   鷲尾 英一郎君   渡辺   周君
青柳 陽一郎君   浅尾 慶一郎君   井坂  信彦君   井出  庸生君
江田  憲司君   大熊  利昭君   柿沢  未途君   柏倉  祐司君
小池  政就君   椎名   毅君   杉本 かずみ君   中島  克仁君
畠中  光成君   林   宙紀君   三谷  英弘君   山内  康一君
渡辺  喜美君   赤嶺  政賢君   笠井   亮君   穀田  恵二君
佐々木 憲昭君   志位  和夫君   塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君
宮本  岳志君   青木   愛君   小宮山 泰子君   鈴木  克昌君
玉城 デニー君   畑   浩治君   村上  史好君   照屋  寛徳君
吉川   元君   阿部  知子君   赤松  広隆君
     ――――◇―――――
 日程第一 北太平洋における公海の漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 日程第二 食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
○議長(伊吹文明君) 日程第一、北太平洋における公海の漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件、日程第二、食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長河井克行君。
    ―――――――――――――
 北太平洋における公海の漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
 食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔河井克行君登壇〕
○河井克行君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、北太平洋における公海の漁業資源の保存及び管理に関する条約は、平成二十四年二月二十四日、東京において採択されたもので、北太平洋の公海における漁業資源の長期的な保存及び持続可能な利用の確保を目的として、北太平洋漁業委員会を設立するとともに、締約国が同委員会で定める保存管理措置をとること等について定めるものであります。
 次に、食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約は、平成十三年十一月にローマで開催された第三十一回国際連合食糧農業機関総会において採択されたもので、食料及び農業のための植物遺伝資源に関し、その保全及び持続可能な利用のために締約国がとるべき措置を定めるとともに、その取得を容易にし、及びその利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分するための多数国間の制度の設立等について定めるものであります。
 両件は、参議院先議に係るもので、去る六月十九日外務委員会に付託され、同日岸田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十一日、質疑を行い、質疑終局後、採決を行った結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) それでは、両件を一括して採決をいたします。
 両件は委員長報告のとおり承認するに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 全会一致。御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(G8ロック・アーン・サミット出席等に関する報告)
○議長(伊吹文明君) 次に、内閣総理大臣から、G8ロック・アーン・サミット出席等に関する報告について発言を求められておりますので、これを許します。内閣総理大臣安倍晋三君。
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、六月十七日及び十八日に英国ロック・アーンにおいて開催されたG8サミットに出席しました。また、これに先立ち、十五日及び十六日にポーランドを訪問し、G8サミット終了後の十九日にはアイルランドを訪問するとともに、英国ロンドンにおいて、我が国の経済政策につき講演を行いました。
 その成果について御報告いたします。
 今回のG8サミットは、私にとって、二〇〇七年のハイリゲンダム・サミット以来の出席でありましたが、G8各国の首脳と、世界経済や地域情勢、英国が主要な課題とした貿易、税、透明性の問題など幅広い課題につき、率直な意見交換を行うことができました。
 中でも、G8サミットの大きなテーマとなった世界経済については、議長であるキャメロン首相の指名により、私から、三本の矢を初めとする我が国の経済政策、特に、先般策定した成長戦略について、G8の首脳に直接説明し、各国首脳から高い評価と強い期待が示されました。
 地域情勢については、緊迫するシリア情勢、サヘル地域のテロ対策、北朝鮮等について、突っ込んだ議論を行いました。
 特に、北朝鮮については、私が議論をリードし、北朝鮮の核保有は決して認めない、北朝鮮は挑発行為を行わず、安保理決議を誠実かつ完全に実施すべきとのメッセージを送るべきと主張するとともに、拉致問題の解決の重要性について各国の理解と支持を得て、その趣旨がコミュニケにも反映されました。
 また、G8サミット出席の機会に、英国キャメロン首相、カナダのハーパー首相、ドイツのメルケル首相、EUのファンロンパイ欧州理事会議長及びバローゾ欧州委員会委員長、イタリアのレッタ首相、ロシアのプーチン大統領と個別に会談したほか、米国のオバマ大統領やフランスのオランド大統領とも、会議の合間を利用して意見交換を行いました。
 G8サミットに先立ち訪問したポーランドでは、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアのV4諸国と日本との初めての首脳会議に出席をしました。
 V4諸国は、共産主義の圧制から自由と独立をかち取った苦難の歴史があり、また、多くの日本企業が進出をしています。
 会議の結果、共同声明を発表し、価値を共有するV4諸国とともに、東欧諸国や西バルカン諸国の民主化、市場経済化に向けて連携していくことや、経済分野での協力を促進し、双方の経済成長につなげていくことを確認し合いました。
 G8サミット終了後には、日本の現職総理大臣として初めてアイルランドを訪問し、ケニー首相と会談しました。
 経済の再生を最優先とする我が国と同様、アイルランドも、欧州債務危機からの回復に全力で取り組んでいます。ケニー首相よりは、成長戦略のキーワードであるチャレンジ、オープン、イノベーションは、アイルランドにも共通するDNAであるとの発言があり、我が国の進める経済政策についての高い評価と強い期待が示されました。
 アイルランド訪問後、ロンドンに立ち寄り、英国の経済、金融界の主要関係者約四百名の前で、我が国の進める経済政策、とりわけ成長戦略に関する講演を行い、不退転の決意を持って改革を実施していく所存であるとして、開かれた日本への海外からの投資をアピールいたしました。
 今回の訪問全体を通じ、各国がいかに日本の再生に強い期待を抱いているか、強く印象づけられました。今後も、日本をデフレから脱却させ、強い経済を取り戻して世界経済の成長に貢献するよう、全力で取り組んでまいります。(拍手)
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(G8ロック・アーン・サミット出席等に関する報告)に対する質疑
○議長(伊吹文明君) ただいまの内閣総理大臣の発言に対して質疑の通告がありますので、順次これを許します。まず、石破茂君。
    〔石破茂君登壇〕
○石破茂君 自由民主党を代表して、安倍総理に質問いたします。(拍手)
 今週、内閣発足からちょうど半年を迎えます。この間、安倍総理が、国際社会における日本の輝きを取り戻すため、精力的、戦略的に首脳外交を展開されていることに、心から敬意を表します。
 国際社会における日本の位置づけを見るという意味において、G8の場で我が国がどれほどの存在感を持つかということは、一つの重要な目安であります。
 一部には、中国を初めとする新興大国が参加していないことなどを捉え、G8の地位低下を指摘する向きもあります。しかし、複雑化する国際社会において、首脳外交の重要性はますます高まっているのであり、中でも、政治、経済両面にわたる諸問題を主要国の首脳同士が率直に議論するG8サミットは、日本外交にとって引き続き重要なものであることに疑いの余地はありません。
 六年の時を経て、今回再びサミットに出席された総理として、今回、二〇〇七年のハイリゲンダム・サミット以来二回目のサミット出席となりましたが、前回と比較して、G8における日本の位置づけについて、いかなる変化を感じられたか、また、G8の重要性及び日本がG8に参加することの意義ついてどのようにお考えか、所見を承ります。
 総理は、一月二十八日、第百八十三回国会における所信表明演説の中で、世界全体を俯瞰して、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値に立脚し、戦略的な外交をしていくことが基本であるとの決意を示されました。総理がこのたび、ポーランド、ハンガリーなど、いわゆるV4との初の首脳会議に出席されたことや、日本の総理として初めてアイルランドを訪問されたことは、この観点からも意義深いものでありました。
 ヨーロッパには、日本と基本的な価値観や考え方を共有する国家が多く存在するにもかかわらず、地理的な遠さもあり、日本の総理や閣僚は、頻度においても、内容においても、ヨーロッパとの関係を深める訪問が十分実現できていないのが現状であります。
 今回のポーランド及びアイルランド訪問の成果を踏まえ、今後、日本外交の中にヨーロッパとの関係をどう位置づけていくのか、総理の認識を承ります。
 経済政策についてお尋ねをいたします。
 安倍内閣の最優先課題は、日本経済の再生であります。この点から見ますと、このたびの外国訪問出発直前の六月十四日に発表された日本再興戦略は、待たれていた三本目の矢が具体的な形を伴ってきたという大変重要な意味を持つものであります。
 この日本再興戦略では、産業競争力強化の鍵を握るのはあくまでも民間であると明確に述べ、民間の力を最大限に引き出すことを、成長の道筋の冒頭に掲げています。
 今待たれているのは、民間活力を最大限に引き出すための環境を整備することであります。具体的には、過少な投資を是正し、過剰な規制を改革し、過当な競争を解消することであります。
 これらは、かつて我々が政権を担当していた時代になし遂げなくてはならなかったものであり、さればこそ、我々は、強い決意のもとに、いかなる困難があってもこれを断行せねばならないものと信ずるものであります。
 少子高齢化が進行し、新興国が台頭する中にあって、我が国に残された時間は短く、政策選択の幅は狭いのであります。総理はこれらを実現するために具体的に何をしていかれるのか、御見解を承ります。
 日本経済の再生は、世界経済にとって待ち望まれていることでもあります。今回の発表を受けて、総理みずから欧州各国で説明されたことは、大変に時宜を得たものでありました。G8サミットの場で総理が経済政策について説明をされた際、多くの首脳からは高い関心が示されたと承知しております。
 グローバル化した世界において、日本の経済政策が世界経済全体の動向にも大きく影響することは言うまでもありません。したがって、新しい経済政策を着実に実行していく上では、引き続き国際社会の理解を得ることが不可欠であると考えますが、この点について総理はどのように取り組んでいかれるのか、ロンドン・シティーにおける講演に対する反応とあわせ、御所見を承ります。
 このサミットにおいては、財政健全化についての懸念も指摘されました。
 我が国の持続的な成長のためには、安定した財源による社会保障制度の再構築が避けては通れません。経済動向を注視することは当然のこととして、消費税の持つ安定性、公平性と、一種の累進的な性格にも思いをいたし、社会保障の持つ保険的機能を強化することも、また重要であると考えます。所見を承ります。
 日本経済の再生のためには、アジア太平洋地域等の成長を日本に取り込むことが重要であります。
 経済連携の推進は、我が国の成長戦略の柱として位置づけられるものであり、総理は、国家百年の計としてTPP交渉参加を決断し、七月に開催される次回の交渉会合から参加できる見通しとなりました。政府・与党が一体となって交渉に当たるため、強力な体制を構築し、これに臨んでいかねばなりません。与党としても、全面的に交渉を補佐してまいります。
 交渉にはさまざまな困難が予想されますが、我々は、公約どおり、守るべきものは守るとの断固たる決意を持って交渉を進め、大きな成果をかち取らなくてはなりません。
 TPP交渉を、有利な交渉を行うためにも、農業再生に向けた対策を初めとする国内での施策を進めることこそが極めて重要であると考えます。
 外国産品の過剰な輸入を抑え、国内の価格を適切に維持すること自体には、それなりの必要性も当然ありますが、それだけで農業、農村が発展するものではありません。規制改革や農業の構造改革をどのように進めていくお考えか、所見を承ります。
 日本再興戦略において、総理は日本企業の海外展開をトップセールスで後押しすることを確認されており、各国からも、日本の高い技術を活用して自国のインフラの整備を進めたいとの期待が表明されております。こうした声に応えることは、国際社会の責任ある国家としての日本の責務であり、また、日本自身の成長にとっても重要です。
 中でも、特に各国の関心が高いエネルギー分野において、ポーランドから、クリーンな石炭技術を初めとする協力について期待が示されました。
 日本のすぐれたエネルギー技術について、今後どのように国際展開を図るのか、認識を承ります。
 日本企業の海外展開を支援していく上で、海外の駐在員の方々の安全確保も重要な課題です。多くのとうとい命が失われたアルジェリアの事件は、記憶に新しいところであります。
 この点に関して、総理は、TICAD5や今般のG8において、テロ対策について積極的に議論され、中東やアフリカに広範なネットワークを持つ英国やフランスとの間で、企業関係者を初めとする在外邦人の安全を確保するための情報交換を強化することを確認されました。
 このような取り組みを踏まえ、今後、海外において活動する邦人の安全を確保するため、国際的な協力も含め、我が国としてどのような施策を進めるのか、お考えを承ります。
 今回のサミットでは、地域情勢の中でも、シリア問題に最も焦点が当てられました。情勢悪化により、十七年活動を続けてきた我が国自衛隊もゴラン高原からの撤収を余儀なくされ、私自身も深く懸念をしております。
 シリア問題は、我が日本にとっても死活的に重要な中東地域の平和と安定に大きな影響を及ぼすものであります。今回の議論も踏まえ、シリアに平和と安定を取り戻すため、日本としてより積極的に貢献していくべきと考えますが、日本としてなすべきことについて、御見解を承ります。
 サミットでは、総理から北朝鮮問題についても提起され、成果文書にも日本の考え方が反映されました。
 総理は、みずからの政権において拉致問題を解決される決意であると承知をしておりますが、拉致問題を初めとする北朝鮮問題解決のため、今後、諸外国とどのように協力していくか、基本認識を承ります。
 この関連で、北朝鮮問題を含め、我が国の安全保障環境が厳しさを増す中、現在、防衛計画の大綱の見直しが進められており、我が党としても、先般、見解を取りまとめたところであります。
 各国の力のバランスが変化する中にあって、我が国として、防衛力の本質はあくまで抑止力にあるとの観点に立ち、これまでの法制、装備、運用、同盟のあり方につき、抜本的に見直すことは急務であります。従来のハブ・アンド・スポーク型の同盟からネットワーク型の同盟への変容も踏まえ、これまでの首脳外交の成果をもとに、我が国の抑止力をどのように強化していく方針であるのか、特に、防衛計画の大綱の見直しの方向性について承ります。
 昨日の東京都議会議員選挙において、我が自由民主党は、多くの都民の皆様方の御支持をいただき、同じく全員当選を果たした公明党とあわせ、都議会の過半数を大きく上回る議席を得るに至りました。
 昨年の今ごろを思えば、株価はどん底、円は七十円台、まさしく日本全体が不安の真っただ中にあったのであります。ようやく明るさの見えてきた日本、この流れを絶対にとめてはなりません。
 我々は、決して昨日の結果に慢心することなく、さらに国家国民に対する最大限の使命感と責任感を持ち、政府とともに国政に当たってまいることを申し述べ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 石破茂議員にお答えをいたします。
 G8における我が国の立場の変化、枠組みとしてのG8、及び我が国がこれに参加することの意義についてお尋ねがありました。
 今回のサミットでは、我が国の経済政策にG8首脳から高い評価と強い期待が寄せられました。我が国の経済政策がこれほど注目されたのは近年なかったと感じています。
 G8という枠組みは、国際社会が直面するさまざまな課題に、価値を共有する主要国の首脳が親密な雰囲気の中で率直に議論を行い、行動をとることができるという意味で、極めて有意義な枠組みであると考えます。
 また、我が国はアジアで唯一G8に参加している国であり、日本がG8に積極的に貢献していくことには大きな意義があります。
 日本外交の中の欧州との関係の位置づけについてのお尋ねがありました。
 今回、日本の総理として初めて、V4諸国との首脳会合及びアイルランド訪問を行いました。
 欧州は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する重要な地域であり、今後、欧州との関係を一層緊密にしていくことが重要と考えます。
 また、日本経済再生のためにも、欧州各国と経済面での協力を進め、日・EU・EPA交渉の推進を通じて、欧州との経済連携を強化していきます。
 さらに、日本と欧州は、サイバーセキュリティーを含め安全保障面で密接に関係しており、世界の平和と安定に利益と責任を共有しているとの観点から、今後、欧州諸国との政策対話、政策協調を一層強化していきます。
 民間活力を引き起こすための具体的方策、社会保障制度の再構築、ロンドン講演の手応え等についてお尋ねがありました。
 第三の矢である日本再興戦略では、民間の力を最大限に引き出すため、規制・制度改革と官業の開放、投資や事業再編を促す税制改革を断行していきます。首脳会議など国際社会の舞台で、私みずからが日本経済の再生に向けた取り組みを積極的に伝え、国際社会の理解を高めてまいります。
 ロンドンにおいては、英国の各界を代表する四百名もの聴衆を前に、日本経済再生に向けた具体的な取り組みについて、私自身の言葉で語りかけました。その結果、日本は力強く復活していくというメッセージをしっかりと届けられたと確信しております。
 英国のファイナンシャル・タイムズ紙においても、日本の総理は、国家の繁栄を取り戻すために、彼が本当にしようとしていることについて力強く説明したなど、前向きに評価されました。
 社会保障・税一体改革では、改革推進法の規定も踏まえ、消費税引き上げによる増収分により、社会保障の充実と安定化を図ることとしております。
 また、年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本として改革を進めるなど、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を構築してまいります。
 TPP交渉についてのお尋ねがありました。
 TPPについては、まさにこれから交渉に入っていくことになります。我が国としては、強い交渉力を持って、主張するべきことははっきりと主張して、国益を最大限に実現するよう、全力を尽くす考えであります。
 農業の構造改革や規制改革についてのお尋ねがありました。
 TPP交渉いかんにかかわらず、国内農業の強化を図っていくことは、待ったなしの課題です。私の内閣においては、農業を成長分野として位置づけ、農業の構造改革の加速化、農林水産物、食品の輸出拡大を推進していきます。これにより、農業を、多くの若者が働きたいと思えるような、魅力ある産業にしてまいりたいと考えております。
 このため、官邸に農林水産業・地域の活力創造本部を設置し、私が先頭に立って対応してまいります。
 安倍内閣の規制改革には終わりがないと認識しております。さらに議論を掘り下げ、経済再生に資する思い切った規制改革に取り組んでまいります。
 エネルギー技術の国際展開についてのお尋ねがありました。
 我が国に強みのある環境・エネルギー技術の国際展開は、世界のエネルギーに関する課題や地球温暖化問題の解決等の国際貢献の観点に加え、我が国産業の成長の観点からも重要です。
 このため、高効率火力発電、省エネ・再エネ技術、原子力などの我が国のすぐれた環境・エネルギー技術について、日本再興戦略やインフラシステム輸出戦略に基づき、公的資金の戦略的活用や二国間オフセット・クレジット・メカニズムの積極的な活用等を通じて、積極的に海外展開を進めてまいります。
 日本企業の安全確保のための国際協力を含む我が国の施策についてのお尋ねがありました。
 先般のTICAD5では、サヘル地域の安定化にも焦点を当てて議論を行い、私からは、一千億円の支援や、北アフリカを含むテロ対策、治安維持の担い手として二千人の人材育成等を表明しました。
 G8サミットでは、私より、アルジェリアの事案やTICADでの議論にも言及の上、首脳間で意見交換を行い、投資受け入れ国の治安能力の強化等について国際的連携を強めることで一致をいたしました。
 こうした取り組みは、テロに対する能力の向上、地域の貧困削減や安定化につながり、日本企業の安全確保にも資するものであります。
 また、政府としては、アルジェリアの事案への対応の検証結果等も踏まえ、在留邦人向けの安全・危険情報の発信強化や、国際テロリズム緊急展開班の派遣体制の強化及び省庁横断的な海外緊急展開チームの編成による即応態勢の強化など、取り組みを進めているところです。
 今後とも、国際社会とも連携しつつ、日本企業の安全確保のための具体的な取り組みを着実に進めていく考えです。
 シリア情勢への我が国の対応についてお尋ねがありました。
 深刻化するシリア情勢については、私からも、先般のG8サミットにおいて、シリアにおける暴力をとめるため、立場の相違点でなく共通点に立って対応すべきであること、また、そのような観点から政治対話実現の動きを支持しており、ジュネーブ2会議を早期に開催するべきであることを主張いたしました。
 その上で、シリア難民、避難民に対する一千万ドルの新たな緊急無償資金協力、周辺国の負担軽減としてヨルダン政府に対する約一・二億ドルの円借款、反体制派掌握地域における保健分野等の支援など、シリアの人道危機に対する我が国の今後の支援策を表明しました。
 我が国としても、シリア情勢が中東地域全体に影響を及ぼしつつある状況を強く懸念しています。今後とも、こうした人道危機に対する取り組みや政治対話の実現に向けた働きかけなどを通じて、G8を初めとする主要国と協調しながら、シリア情勢への対応に積極的に貢献していく考えです。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 北朝鮮問題については、今般のG8サミットで、私が議論をリードし、一、北朝鮮の核保有は決して認めない、二、北朝鮮は挑発行為を行わず、安保理決議を誠実かつ完全に実施すべきとのメッセージを送るべきと主張するとともに、拉致問題の解決の重要性について各国の理解と支持を得て、その趣旨がコミュニケにも反映されました。
 我が国は、今後とも、対話と圧力の基本方針のもとで、日朝平壌宣言にのっとって、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて取り組んでいきます。引き続き、米国や韓国、中国やロシアといった関係国と連携しながら、北朝鮮が、非核化を含めて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた真摯な姿勢を示すことを強く求めてまいります。
 我が国の抑止力について、防衛大綱の方向性を含めてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増しており、我が国自身の防衛力の強化及び日米同盟のさらなる強化とともに、首脳レベルを初めとするさまざまな外交努力により、国際環境の安定に向けて取り組むことが、抑止力の強化を初めとする我が国の安全保障にとって極めて重要です。
 また、防衛大綱については、日米同盟のさらなる強化、現下の状況に即応した我が国の防衛体制の強化という観点から見直しを行ってまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 次に、野田佳彦君。
    〔野田佳彦君登壇〕
○野田佳彦君 民主党・無所属クラブを代表して、先ほどの安倍総理のサミット帰朝報告などについて質問させていただきたいと思います。(拍手)
 安倍総理、お久しぶりでございます。
 昨年の十二月二十六日にお話をして以来だと思います。その日は、まさに総理交代の日です。皇居における親任式の直前に、結構時間がありましたので、控室でいろいろとお話をさせていただいた記憶があります。
 また、こうして国会の中で相まみえるのは、昨年の十一月の党首討論以来になります。
 約半年間にわたりまして、遠くからでありますけれども、安倍総理の動静を注意深く見守ってまいりました。驚いていることがあります。相当ハードなスケジュールを連日こなされているなと、率直に思います。御精勤ぶりについては、敬意を表したいと思います。
 ただし、こうして壇上に上がった以上、私は、きょう、今の日本の現状、心配をしていること、将来不安に思っていることを、先ほどの御報告を踏まえましてお聞きをしたいと思いますので、ぜひ、明快な御答弁をお願いしたいと思います。
 答弁が不十分な場合には、再質問をさせていただきたいと思います。
 私は、日米同盟は、日本の外交、安全保障の基軸であると、ずっと思ってまいりました。特に、東日本大震災の際のあの米軍のトモダチ作戦を見て、揺るぎない確信に変わりました。日米同盟は、常に深化させていかなければなりません。
 反省をしなければいけないのは、二十世紀初頭の外交です。
 二十世紀初頭、日英同盟を構築し、そのことによって日露戦争を乗り越えることができたと私は思っています。その日英同盟をほどなく解消したことが、日本外交の漂流につながり、さきの大戦の一つの要因になったと私は思っています。
 そうならないように、二十一世紀の初頭、日米同盟は、着実に深化をさせていかなければなりません。
 特に、オバマ政権においては、アジア太平洋地域へのコミットメントを深めようという政権です。
 アジア太平洋地域には、大いなるチャンスがあります。日米が連携をしながらチャンスを開く。一方で、リスクもあります。そのリスクを回避し、ピンチをしのぐ。その意味でも、日米の同盟は大事です。
 一九四一年に、ウィンストン・チャーチルとフランクリン・ルーズベルトの間に大西洋憲章が確認をされました。戦後秩序の確認です。その原則を踏まえて、その後、ソ連のスターリンも加わり、国連ができました。
 今は、大西洋の時代ではありません。太平洋の時代です。私は、願わくば、日米がイニシアチブを持って、言葉の言い方は注意しなければなりませんが、太平洋憲章的なものを構築していくべきだと思うんです。そのためにも、日米連携は、チャンスがあれば常にコミュニケーションをとるということが必要です。
 ところが、今回、このサミットにおいては、この最も重要な二国間関係である日米間の首脳会談は開催されませんでした。なぜ開かれなかったのか、ぜひお尋ねをしたいと思うんです。
 恐らく、お答えとしては、まだお会いをしていなかった首脳との会談を優先したとか、いや、会議の合間にはオバマ大統領ともお話をしたんだというお話が出るかもしれません。
 それでは満足できません。なぜならば、ついこの間、米中の長時間にわたる首脳会談が行われたばかりではありませんか。八時間の会談だったですね。
 そういう会談も踏まえて、日米の首脳同士が、尖閣や北朝鮮や米軍再編などについて、時間をとって議論すべきだったと私は思います。総理の明快な御答弁をいただきたいと思います。
 さて、先ほど、アベノミクスについて、各国首脳から高い評価と強い期待が示されたという御報告がございました。
 私は、一概に礼賛の声ばかりではなかったと思うんです。当然のことながら、懸念の声も示されたと思うんです。
 例えば、アベノミクスの第一の矢、大胆な金融緩和については、出口戦略はどうするんですかという声があったと私は承知をしています。その出口戦略について、私は、安倍総理の明快な御答弁をいただきたいと思うんです。
 私は、金融政策は大事だと思います。一定の金融緩和、大事です。でも、異次元の金融緩和までになると、当然のことながら、リスクが出てまいります。副作用が出てまいります。
 これは、わかりやすい例えで言いますと、今世界じゅうがこの日本のマーケットに注目しているのは、異次元の緩和だからです。前人未到の荒わざに挑戦をしているからです。体操競技でいうならば、ウルトラCを超えて、E難度、F難度のわざに挑戦しようとしている。だから注目が集まります。
 大事なのは、着地ができるかどうかなんです。出口戦略なんです。(発言する者あり)
○議長(伊吹文明君) 静粛にして。
○野田佳彦君(続) あの内村航平選手が、ロンドン・オリンピックで金メダルをとりました。彼は着地の名人なんですね。
 私は、安倍総理が、あるいは黒田総裁が、着地をよく考えているかどうか、疑問なんです。着地ができなくて転ぶのは、安倍総理ではありません。黒田総裁でもありません。転ぶのは、痛い思いをするのは国民なんです。
 ぜひ、出口戦略について明快な御答弁をいただきたいというふうに思います。
 財政規律に厳しいドイツのメルケル首相からは、日本の財政健全化の考え方について、事細かに、さまざまな御質問があったと承知をしています。そうしたメルケル首相に対して、安倍総理はどのようにお答えになったのでありましょうか。
 また、サミットの首脳宣言には、日本は、信頼できる中期的な財政計画を定めるという課題に応える必要があると、特出しで盛り込まれておりますが、私は、早急に、国際社会の安心を確保するためにも、中期財政計画をまとめるべきではないかと思います。その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 その際には、四十四兆円の国債発行枠を堅持するのかどうか、プライマリーバランスの黒字化はいつまでに達成をするのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
 このような心配は、国際社会だけではありません。国内でも、多くの方が懸念を持っています。特に、財政規律が緩い国というメッセージが外に出たら、長期金利が本当に心配だと私は思っているんです。
 その中で、第二の矢である機動的財政出動については、私は強い懸念があります。
 それは、国土強靱化という美名のもとに、また公共事業をばらまこうということではないんでしょうか。だとするならば、それは、私は、的外れだと思います。
 一九九〇年から二〇〇九年までの二十年間に、我が国は二百兆円の公共投資をばらまきました。その二十年間に、四百三十兆円もの新しい借金をつくりました。二十年間に四百三十兆円の借金をつくり、二百兆円の公共投資を行って、この日本はよくなりましたか。ならなかったじゃありませんか。この時代を、我々は失われた二十年と呼んでいるではありませんか。同じ轍を踏んではならないと私は思います。
 私は、株の売買によってもうかる人が出てくることは、いいことだと思います。資本主義社会ですから、それは否定はしません。
 でも、それで終わってはいけないんです。株を買うことができないような、生活の資金を確保するので目いっぱいのような、そういう御家庭にも成長の恩恵が及ぶようにすることが、狙うべき成長の的だと私は思っています。
 国民の豊かさとは、どういうことか。働きたいと思えば働ける、そして、働いて頑張れば所得が上がる、それが、まさに狙うべき的であります。分厚い中間層の復活こそが成長の的でなくてはならないと私は思います。(発言する者あり)
○議長(伊吹文明君) 野田君、ちょっと待ってください。
 やじを飛ばしている諸君、一国の総理を務めた人ですから、少し謙虚にお話を聞いてください。
○野田佳彦君(続) 伊吹議長、格別な御配慮、ありがとうございます。
 続けさせていただきたいと思います。
 という中で、私が今心配していますのは、国内においては、給料も年金も上がらないのに、生活必需品やあるいは原材料、燃料の値段が高騰し、価格転嫁ができないような中小企業や零細企業の経営を圧迫しているということであります。
 あしたの暮らしを心配する声が日増しに高まっているように私には感じるんでありますが、安倍総理はどのように御認識をされているんでしょうか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
 かつて、小泉総理のときに、竹中平蔵さんが経済政策を主導されておりました。そのときに盛んに喧伝されたのが、イザナギ景気を超えた戦後最長の景気という言葉でございました。
 でも、多くの人が実感を持つことができませんでした。確かに、大きな企業の収益は右肩上がりだったと思います。株主への配当は潤沢だったと思います。でも、中小零細企業には薄日も差しませんでした。特に、働いている人たちの平均給与は毎年下がり続けて、右肩下がりだったんです。
 だから、我々は、その格差是正に懸命に努めました。
 一番影響が出たのは子供たちであって、経済的理由によっていわゆる高等学校の中途退学者がふえたのは、そのイザナギ景気を超えた戦後最長の景気と言われているときでありました。だから、高校の授業料の無償化も実現をしました。
 私は、あの時代に戻ってはいけないと思っているんです。必ず、これは同じ轍を踏んではいけないんです。だとすると、雇用形態については、相当に注意しなければなりません。
 あの、イザナギ景気を超えた戦後最長の景気と言われているときに、非正規の、不安定な、荒れた雇用がふえて、ワーキングプアという言葉が生まれたのは、あのときだったんです。
 今、安倍政権が行おうとしている、解雇の金銭解決制度の導入、あるいは限定社員の名をかりた正社員づくりなど、雇用崩壊を加速させるような政策を進めようとしているように私はお見受けをしていますが、私は、こうした方針を見直ししなければならないと思います。総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
 さて、最後に、もう一つだけ質問させていただきたいと思うんです。
 昨年の十一月の十四日に、私と当時の安倍総裁との間で、党首討論を行わさせていただきまして、約束を交わしたはずであります。それは、一票の格差是正と、議員定数の削減なんです。
 一票の格差是正だけではないんです。その議員定数削減についても、当時の言葉では、来年の通常国会が終わるまでと、期限を決めたはずでありました。
 近いうちという私の言葉は定性的な表現ですが、今回の約束は、期限が決まっていたんです。その期限が決まっていたにもかかわらず、なぜ議員定数削減ができなかったのか。
 もちろん、言い分はあると思います。野党のいろいろな考え方があった、民主党がどうだこうだ。でも、私は、言いわけは聞きたくありません。与党の第一党のトップの責任が一番大きいことは、当たり前じゃありませんか。
 しかも、私は、与党が、自民党が本当に本気でやろうとしたのか、疑問なんです。
 先ほども御指摘がありましたけれども、定数削減はポピュリズムみたいな発言をされたじゃありませんか。ポピュリズムで私と安倍総理は約束をしたんですか。ポピュリズムで民主党と自民党と公明党は、三党で合意をしたんですか。
 ポピュリズムじゃありません。国民の皆様に御負担をお願いする以上、まず身を切る覚悟をこの国会で示そうという、その強い決意で約束をしたはずじゃありませんか。
 私は、歌の文句じゃありませんけれども、だました人が悪いのか、だまされた私が悪いのか、そんなことは言いたくありません。でも、皆さん、第一党のトップの責任が一番大きいのは間違いありません。
 細かいことは言いません。経緯や言いわけは要りません。責任をどう感じているのか、ぜひ率直にお答えをいただきたいと思うんです。
 最後にであります。
 事ここに及んで、この国会では結論を出せません。
○議長(伊吹文明君) 野田君に申し上げます。
 申し合わせの時間が過ぎておりますので、再質問の時間がありませんから、簡単に願います。
○野田佳彦君(続) 次の臨時国会においては成案を得て必要な法制上の措置を講ずる、せめてこういう決意をお示しいただくようにお願いを申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 野田佳彦議員にお答えをいたします。
 G8サミットにおける日米首脳間のやりとりについてのお尋ねがありました。
 オバマ大統領との間では、日米首脳会談の結果を踏まえて、G8サミットに先立ち、約三十分間の電話会談を行い、アジア太平洋地域情勢などの問題も含め、十分な意見交換を行うことができました。
 これを踏まえ、G8サミットでは、各国から、安倍政権の経済政策につき意見交換を行いたいとの強い希望が数多く寄せられたことから、それまで首脳会談を行っていない国々との会談を優先させることといたしました。
 オバマ大統領と私は、強い信頼のきずなで結ばれており、会談の長さや形式にかかわらず、十分な意思疎通ができる関係となっております。実際、サミットの期間中も、さまざまな機会に二人で意見交換を行い、引き続き日米で協力して諸課題に対応していくことを確認いたしました。野田議員、どうか、心配には及びません。
 大胆な金融緩和についてお尋ねがありました。
 金融政策については、まずは、長引くデフレから脱却することが重要であります。
 何といっても、十五年間、デフレからは脱却できませんでした。日本銀行が先般導入した量的・質的金融緩和を着実に推進し、できるだけ早期に二%の物価安定目標を達成することを期待しております。
 先般のG8サミットにおいては、一般論として、金融緩和の持つ課題についての話は出ましたが、我が国の政策について、特段の懸念が示されたということはなく、各国からは、私の経済政策について、強い期待と高い評価をいただいたところであります。
 財政健全化についてのお尋ねがありました。
 日独首脳会談では、先日閣議決定した骨太方針で示した、我が国の財政健全化に向けた方針をしっかりと説明したところであります。
 骨太方針では、国、地方のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字対GDP比の半減、二〇二〇年度までに黒字化、その後の債務残高の対GDP比の安定的な引き下げを目指すとの目標を明確に掲げました。
 また、その実現に向け、義務的経費を含めた踏み込んだ歳出の見直し等の歳出の重点化、効率化や、消費税率の引き上げを含む社会保障・税一体改革の着実な推進など、歳出歳入両面での取り組み方針を示したところであります。
 いわゆる四十四兆円枠にこだわるものではありませんが、中期財政計画については、骨太方針等を踏まえ、財政健全化目標を実現するための今後の取り組み内容を具体化し、早期に策定してまいります。
 なお、御党が議員立法として提出された法案の取り扱いについて政府として申し上げる立場にはありませんが、いずれにせよ、政府としては、財政健全化の実効性をどのように確保していくか、引き続き検討してまいります。
 生活必需品や原材料・燃料価格の高騰の影響についてのお尋ねがありました。
 燃料等の価格は、為替相場の動向に加え、国際的な商品市況の変動など、さまざまな要因で動くものと承知をしております。
 これまでの為替相場の動向は、全体としては景気にプラスの影響をもたらすと考えていますが、輸入価格の上昇による家計や企業への影響については、引き続き注視してまいります。
 原材料等の価格上昇による負担が中小企業、小規模事業者に一方的にしわ寄せされることがないよう、下請代金支払遅延等防止法に違反する行為が認められた場合には、迅速かつ的確に対応してまいります。
 また、燃油価格高騰の影響を受けやすい漁業などについては、燃油価格の高騰時に補填する事業を実施しており、適切に対応してまいります。
 実体経済については、その足取りはしっかりとしており、景気は着実に持ち直しております。
 昨年の七月、八月、九月、GDPはマイナスの三・六%でありましたが、ことしの一月、二月、三月、プラス四・一%に、大きく変わったわけであります。
 有効求人倍率についても、リーマン・ショックの以前に戻ったところであります。
 民主党の皆様が三年間かけてできなかったことを、我が政権は約四カ月で達成したわけであります。
 引き続き、三本の矢により、雇用や所得の増加を伴う景気回復を進め、中小企業、小規模事業者や国民一人一人に経済再生への変化を一層実感してもらえるよう、内閣を挙げて取り組んでまいります。
 雇用制度改革についてのお尋ねがありました。
 安倍内閣の基本方針は、失業なき労働移動の実現であり、金銭を払えば解雇できるような制度の導入を行う考えはありません。
 また、職務等が限定された多様な正社員は、非正規社員の処遇改善と、正社員のワーク・ライフ・バランスの確保のために導入しようとしているものであります。
 今後とも、我が国勤労者の意欲や能力を経済成長につなげる雇用政策を展開してまいります。
 選挙制度改革についてお尋ねがありました。
 衆議院における一票の格差については、違憲とされる状態を一刻も早く是正することが求められており、最優先で取り組んでまいりました。
 御党の協力が得られず、参議院で採決していただけなかったことはまことに残念ですが、与党の責任において、区割り改定法を先ほど成立させました。これにより、違憲とされる状態が解消されたものと考えております。
 次に、衆議院における定数削減については、党首討論でも申し上げたとおり、民主主義の土俵づくりという大変重要な問題であり、少数政党も含めた合意形成が必要と考えております。
 このため、与党においては、小選挙区の行き過ぎた民意の集約機能を是正して、より民意を反映した比例制度とする抜本改革案を取りまとめた上で、国会への提出に先立って、各党各会派と丁寧に話し合いを進めてまいりました。しかし、残念ながら、今日に至るまで、各党間の合意は得られておりません。
 しかしながら、いずれにせよ、この問題については、各党各会派が、責任を持って、真摯に、かつ建設的な議論を進め、早期に結論を得る努力を続けていくことが大切だと考えております。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 松田学君。
    〔松田学君登壇〕
○松田学君 日本維新の会の松田学です。
 私は、日本維新の会を代表して、今回のG8サミット出席等の報告に関して、総理に質問をいたします。(拍手)
 今回のサミットの成果として、総理は、アベノミクスが評価されたことを高らかに掲げておられます。恐らく、それは、一連の危機を脱した後の世界経済が、成長の主役が不在なままであり、消去法的に、日本に機関車の役割を果たしてもらおうという期待が集まったからではないかと思います。
 かつて、七〇年代後半から八〇年代にかけてのサミットでは、西ドイツと日本を念頭に置いた機関車論がしばしば主張されました。
 ドイツについては、近年においても、法人税率の引き下げ、社会保障給付の削減、雇用ルールの変更などの、痛みを伴う構造改革を断行して競争力を強化し、債務危機の欧州経済を支えてきたという実績があります。
 ただ、このドイツのような役割を、世界経済に対して、今回、日本が実際に果たせるかどうかは、未知数であります。
 アベノミクスの第三の矢の成長戦略も、参院選で票を失いたくないからでしょうか、真に持続可能な成長につながる、痛みの伴う改革は、先送りされています。
 そして、そのドイツのメルケル首相からアベノミクスに対する懸念を何点か指摘されたのが、今回のサミットでもありました。それは、金融政策の出口戦略や、日本の財政に対する懸念などでした。この真摯な問いに明確な答えを示せるかどうかが、アベノミクスへの国際社会での真の評価の決め手になるのではないでしょうか。
 総理はメルケル首相に対してどのようにお答えになったのか、先ほど十分な御答弁がなかったので、私からも質問させていただきます。
 総理は、サミットの場で、日本経済のパフォーマンスを誇らしげに語ったとされています。
 確かに、円安や株高で人々のマインドは好転しましたが、日本の実体経済が顕著に改善してこれが大型の相場につながるかどうかは、別問題でした。現に、その後、相場はもとに戻り、本命の第三の矢の発表も、市場では、売りという結果になりました。
 私たちは、十五年にわたって続くデフレを克服しようとするアベノミクスの方向自体は正しいと考え、さきの衆院選後、一貫して支持してまいりました。
 問題は、アベノミクスは、デフレ克服への必要条件の一部にすぎないということです。それだけでは不十分です。リスクも大きくなります。
 今のところ、アベノミクスの成果は、お金を積んだことだけです。日銀のバランスシートの資産に国債というお金を積み、政府の予算を拡大して、公共事業にお金を積んでいるにすぎません。
 大事なことは、成長戦略によってお金を回していくことであります。
 アベノミクスのうち、まず、金融政策ですが、日本は、金利が下限に張りついていて、マネーをふやしても金利が下がらない、流動性のわなに近い状態にあります。そのもとでは、人々の期待を変え、予想インフレ率が上がることで実質金利が下がる、そういうルートでなければ金融政策の効果は出ません。
 その前提は、金利が上がらないことですが、黒田日銀総裁は、先週の財務金融委員会での答弁でも、長期金利はコントロールできないとしています。
 また、先般、FRBのバーナンキ議長の発言で世界の市場が混乱したように、政策の規模が大きければ大きいほど、それが市場では標準化してしまい、バランスシートのわずかな調整だけでも、市場に対して莫大なインパクトを与えるリスクが生じます。
 日本の市場のボラティリティーが世界経済を混乱させることなく、日銀が決めた画期的な異次元緩和を生かしていくためには、金融と実体経済がどのようにかみ合って、日本経済の成長経路がどのように描かれることになるのか、全体的な道筋を明確に示す必要があります。
 総理はそうした説明責任を今回のサミットでもきちんと果たしたのか、質問いたします。
 次に、メルケル首相も心配した、日本の財政についてであります。
 財政審の先般の報告書では、日本が奇妙な安定状態にあると指摘しました。これは、企業の設備投資の伸び悩みが民間部門に余剰資金を滞留させ、これが銀行を通じて国債に運用されて低金利状態となっていることで財政が回っているという姿であります。
 デフレ克服とは、この奇妙な安定というものを崩すことにほかなりません。
 いずれ、経済成長率が上がれば、長期金利は上昇し、これによる国債利払い費の増大に経済成長による税収増が追いつかず、財政を悪化させることにもなりかねません。
 政府は、実質で二%、名目で三%の経済成長を想定していますが、長期金利が名目成長率を上回っている限り、政府債務残高の対GDP比は発散的拡大を続けます。政府が目標にしているプライマリーバランスを達成しても、名目成長率が長期金利を上回らない限り、同じです。そのようなケースは、日本では、名目成長率がおおむね四%以上の、バブルのときしかありませんでした。
 つまり、政府が理想とする名目三%の経済成長を達成しても、財政は、それだけで持続可能にはなりません。
 今回のG8コミュニケで、日本は信頼できる中期的な財政計画を定めるべきだとされました。経済成長とつじつまの合う中期財政計画は、果たして描かれ得るのでしょうか。それなしでは、アベノミクスが本当にサミットで評価されたことにはならないと思います。
 政府のプライマリーバランス目標も、今の仕組みのままでは、社会保障費に大きく切り込むか、消費税率を一〇%からさらに引き上げなければ、達成できません。このような痛みの伴う改革こそが、信頼できる計画の中身であります。
 こうした計画策定を参院選後に先送りしたままでは、国際社会に対しても、有権者に対しても、まやかしをしていることになります。総理の御答弁を求めます。
 日本の政治は、長年、選挙で票を失うことを恐れ、財政の不都合な真実から国民の目を背けさせてきました。有権者の耳に痛いことであっても、真実を語り、国民とともに課題の解決を考えていくスタイルの、新しい政治が今求められていると思います。
 さて、日本の経済運営で大事なのは、来年春に向けてどうするかです。
 今般の公共投資の拡大が臨時異例の措置であるなら、来年度は、公共投資を平常レベルに戻すことが経済成長率にはマイナスに寄与することになります。これに来年四月からの消費増税が加わりますので、このままでは、財政が、二重の意味で、成長の足を引っ張る要因に転化します。
 コミュニケでは、財政政策は、経済状況に応じて短期的には機動的となるべきだとされました。日本政府として、何らかの財政追加を想定しているのか、来年度に向けたポリシーミックス戦略はあるのかどうか、質問いたします。
 政府に頼らなくても、日本には、本来、成長への潜在パワーが十分にあるはずです。それなのに、なぜ、失われた二十年の経済停滞が続いてきたのか。千五百兆円もの個人金融資産と、三百兆円近い世界断トツ一位の対外純資産を有する国でありながら、豊かさを実感できないのはなぜなのか。
 それは、戦後続いてきた、統制的で既得権益を保護するさまざまな制度や仕組みが行き詰まっているのに、これを根本から変える、本物の改革が行われてこなかったからであります。
 改革こそが、本当の意味での成長戦略です。
 普通の国民にお金が回るようにするためには、日本人が積み上げてきた資産を、日本人の豊かさのために、社会保障や相互扶助のために活用できるよう、賢い経済運営、賢い社会システムが必要です。そのためには、業界団体や既得権益に選挙の票を依存せず、一般の国民や消費者の立場に立って、ネクスト・ジャパン、新しい日本を組み立てる政治が必要です。
 総理は、日本を取り戻す、ジャパン・イズ・バックという言葉を使っておられます。
 しかし、大事なのは、かつての日本に戻ることではありません。時代の変化にふさわしい、新しいストーリーを歩む日本の姿を描くことだと思います。
 総理が強調するような、世界経済を牽引する役割を日本が本当に果たすためには、日本の未来に対する国際社会の信頼を醸成しなければなりません。総理は今回のサミットでそれをどのように示すことができたのか、質問いたします。
 さて、アベノミクスの成長戦略もそうでありましたように、今回のG8のコミュニケも、大々的に課題を並べただけのように見えます。
 以下、日本として具体的に何をすべきかが明らかではない項目について質問いたします。
 まず、コミュニケにありますFTAの推進ですが、総理も、TPPなどの推進で成長力を高めると表明しておられます。
 そのためには、例えば、農業については、高関税などの水際規制方式から、先進国にふさわしい手法である直接支払いの財政方式へと、農業保護政策の抜本的な転換を決断し、これを米の関税の段階的削減と整合的に組み合わせながら実現していくロードマップをきちんと描く必要があるのではないでしょうか。
 農業に限りません。真の改革を進めるなら、改革の先にある、日本の将来像を示す必要があります。選挙で不利になることを恐れてレトリックに逃げているようでは、成長戦略にはなりません。総理の御認識を伺います。
 また、TPPや、アメリカとEUとの間のFTAなど、世界は、新たな経済秩序やルールづくりに向けて、大きく動き出しています。ここでイニシアチブをとれるよう、日本が目指す国際経済秩序のビジョンを総理はG8で提起することができたのでしょうか。
 次に、今回のG8で英国から提起された三つのT、貿易、税、透明性のうち、税について御質問いたします。
 グローバル経済の進展とともに、各国間での税制の調和がますます必要になっています。総理も税逃れ対策の重要性を提起したようですが、これは、法人税引き下げ競争を避けることを意図したものなのでしょうか。法人税の実効税率が著しく高い日本の場合、税制の調和のために求められているのは、むしろ、日本の実効税率の引き下げではないでしょうか。総理の御認識を伺います。
 また、コミュニケには、脱税との闘いとして、各国間の自動的な情報交換のためのモデルの策定などがうたわれています。その具体的な内容はどのようなものになるのか、御説明をお願いします。
 日本の場合、こうした情報交換に必要なデータが他国と比べて未整備だという指摘もあります。脱税やマネロンなどへの対策への国際的な要請に応えていく上で、日本は、税や資産などの捕捉に必要な基本的なインフラ整備を急ぐ必要があります。今国会でマイナンバー法案が成立しましたが、今後、これを預金や資産などにも拡張することを早急に検討すべきと考えます。
 私たち日本維新の会は、社会保障における、世代の自立を提唱しています。現役世代にいたずらに負担を求めることなく、高齢世代の中において世代内相互扶助を推進していくためにも、資産がきちんと捕捉できるインフラ整備は不可欠だと考えます。
 最後に、今回のサミットの成果として、総理は、北朝鮮の核問題と拉致問題について、我が国の国益を踏まえた明確な立場を主張できたことを強調しています。この点については、私たちも評価いたします。
 他方で、重要なのは、近年経済パワーが低下してきた日本が、これから、何を売り物にして国際社会での存在を築いていくかであります。
 超高齢化社会と成熟経済へと移行する中で、これからの日本に必要なのは、安全保障でも、さまざまな分野での課題解決の上でも、日本は一体世界のために何をしようとしている国なのかという問いに答えられる国になることだと思います。この点について、今回のサミットに出席されて何を感じられたのか、総理の所見を伺います。
 日本が、真に自立した国家として、世界の中で新しい存在と新しい経済成長を築いていくためには、個人や地方の自立と挑戦を妨げているさまざまな制度や仕組みを再設計する必要があると考えます。そのためにこそ、国の統治機構の組みかえという第四の矢が必要であります。
 私たちは、憲法改正や道州制のみならず、今国会でも財政責任法案を初め数々の議員立法を提案させていただきましたが、それが審議されないまま国会が閉会を迎えようとしているのは、まことに残念であります。次の国会での実りある審議を期待して、私の質問を終了いたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 松田学議員にお答えいたします。
 金融政策や、日本財政に関する国際社会への説明についてお尋ねがありました。
 金融政策については、まずは、デフレから脱却することが重要です。日本銀行が大胆な金融緩和を着実に推進し、できるだけ早期に二%の物価安定目標を達成することを期待しております。
 また、先日閣議決定した骨太方針においてお示しした財政健全化の基本的方向を踏まえ、財政健全化目標を達成するための中期財政計画を早期に策定することとしており、経済再生と財政健全化の両立を目指してまいります。
 先般のG8サミットや、メルケル首相を初め各国首相との二国間会談においては、私から、こうした考え方についてしっかり説明しました。各国からは、私の経済政策について、強い期待と高い評価をいただいたところであります。
 日本の成長路線についてお尋ねがありました。
 安倍内閣発足直後から、長引くデフレからの脱却に向けて、第一の矢、大胆な金融政策、第二の矢、機動的な財政政策を実行に移しています。そして、今般、第三の矢である成長戦略として、日本再興戦略を取りまとめたところであります。
 相互に補完し合う関係にある三本の矢を一体として進め、企業収益の改善が国内投資の拡大や賃金の上昇、雇用、消費の拡大につながっていくという、好循環を実現していきます。
 先日閣議決定した骨太方針においては、これら取り組みを初め、経済再生と財政健全化を両立させ、再生の十年を実現するための基本戦略について、政府として明確にお示ししました。
 G8サミットにおいても、安倍内閣の経済政策や財政健全化に向けた取り組みについて、私から説明を行い、各国からは、その努力を歓迎する旨の発言をいただいたところであります。
 財政健全化に向けた信頼できる計画についてのお尋ねがありました。
 政府としては、先般閣議決定した骨太方針において、中長期の財政健全化に向け、国、地方のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字対GDP比の半減、二〇二〇年度までに黒字化、その後の債務残高の対GDP比の安定的な引き下げを目指すとの目標を明確に掲げました。
 また、その実現に向け、社会保障を含めた歳出の重点化、効率化や、消費税率の引き上げを含む社会保障・税一体改革の着実な推進など、歳出歳入両面での取り組み方針を示したところであります。
 先ほど申し上げたとおり、中期財政計画について、参議院選挙の前か後かということではなく、早期に作成するとともに、中長期の経済財政の展望を示すことにより、経済再生と財政健全化の双方を実現する具体的な道筋を明確にしてまいります。
 これにより、国際社会、市場からの信認を確かなものとし、国民への責任を果たしてまいります。
 来年度に向けた経済運営についてのお尋ねがありました。
 強い経済の再生を目指し、まずはデフレからの早期脱却を図るため、大胆な金融政策に加え、緊急経済対策及び大規模な補正予算を執行しておりますが、いつまでも財政出動を続けるのではなく、成長戦略を矢継ぎ早に実行し、民需主導の持続的な経済成長を実現してまいります。
 来年度においては、消費税率の引き上げによる駆け込み需要の反動減など、経済への一定の影響が想定されますが、これに対しては、住宅ローン減税の拡充などの措置を講ずることとしております。
 また、景気の底割れを回避するため、機動的な財政政策として平成二十四年度補正予算を編成しましたが、引き続き、経済情勢を注視しつつ、適切に判断してまいります。
 経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与するという好循環を目指し、民需主導の持続的成長と財政健全化の、双方の実現に取り組んでまいります。
 我が国が目指すべき経済社会の姿と、未来に向けた可能性をサミットでどのように示すことができたかについてお尋ねがありました。
 我々が日本経済再生の先に目指すべき姿は、高齢化と人口減少が進展する中にあっても、グローバル化に対応しつつ、強い日本、強い経済を実現することを通じて、全ての日本人が生まれたことに喜びと誇りを持てる国をつくることであります。
 中長期的な産業の振興を通じて全体経済を成長させ、その果実を頑張った人たちで広く分かち合うような経済社会のあり方を目指してまいります。
 今回のサミットで、私からは、三本の矢を成功させ、我が国のデフレ脱却と経済再生を実現することによって世界経済の成長にも貢献していく決意を説明し、G8各国首脳から、高い評価と強い期待が表明されました。日本の未来に向けた可能性を明確に示すことができたと考えております。
 経済連携を進める際の農業改革等の進め方についてお尋ねがありました。
 一般論として申し上げれば、関税を撤廃して直接支払いに切りかえた場合、輸入農産物の価格が安くなる一方、国内農業を支援する財政負担はふえる側面があり、政策転換の適否は、国民的議論を行いながら慎重に検討する必要があると考えております。
 他方、経済連携の交渉いかんにかかわらず、国内の農業の活性化を図っていくことは待ったなしの課題であり、我が国の農業の潜在力を引き出し、農業を多くの若者が働きたいと思えるような魅力ある産業とするため、今後とも全力で取り組んでまいります。
 なお、日本再興戦略では、待機児童解消等、多くの懸案について大胆な判断を下しました。また、国のあるべき将来像を想定し、重要政策分野ごとに定めた成果目標につき、達成状況を厳しく検討し、柔軟に施策を見直し、常に進化する成長戦略としてまいります。
 日本が目指す国際経済秩序のビジョンについてのお尋ねがありました。
 今回のG8サミットでは、私から、貿易が成長の原動力であることを指摘した上で、TPPなどの地域貿易協定を推進するとともに、世界経済の発展のためにはWTOによる普遍的な貿易自由化も不可欠であること、あわせて、貿易主義的措置の抑止が重要である旨主張したところであり、日本の目指す国際経済秩序のビジョンを示すことができたと考えています。
 法人実効税率の引き下げについてお尋ねがありました。
 G8の場で私が申し上げたことは、税源獲得を目指した各国による税負担の軽減競争によって国際的租税回避が助長される事態は避けるべきということであります。
 法人課税については、平成二十三年度税制改正において法人実効税率五%の引き下げを行ったところであり、復興特別法人税の課税が終わる平成二十七年度以降にこれを実現します。
 さらに、日本再興戦略においては、生産設備や事業の新陳代謝を促す枠組みを構築し、これに応じて積極姿勢に転じた企業を、思い切った投資減税で法人負担を軽減することなどによって、大胆に支援していくこととしたところであります。
 各国税務当局間の自動的情報交換についてのお尋ねがありました。
 各国税務当局間の自動的情報交換は、適正な課税確保のため有効なものであり、これまでも、我が国は、既に締結した租税条約に基づき、各国との間で積極的に実施してきました。
 現在、G8等における議論を踏まえて、OECDにおいて、自動的情報交換に関する新しい国際基準の議論が始まっており、租税や租税回避に対するさらに効果的な防止策につながることが期待されます。
 我が国としては、この議論に積極的に参加しつつ、適正な課税の確保に努めてまいります。
 資産把握の観点からの個人番号の利用範囲の拡大についてのお尋ねがありました。
 政府が国民の所得や資産などをどこまで把握するのかは、必要性や国民の負担等も勘案し、社会保障制度や税制といったそれぞれの制度の中で検討を進めていく必要があります。
 個人番号の利用範囲の拡大については、こうした検討の状況も踏まえ、国民の理解を得ながら、検討を進めてまいります。
 日本の国際社会への貢献のあり方についてのお尋ねがありました。
 今回のG8サミットでは、北朝鮮、シリア情勢、サヘル地域のテロ対策等について、我が国の立場について十分に主張いたしました。
 中でも、G8サミットの大きなテーマとなった世界経済については、私から、三本の矢を初め、我が国の経済政策、特に、先般策定した成長戦略について、G8首脳に直接説明をいたしました。
 その中で、医療産業の活性化など、世界共通の課題解決に向けて、日本の強みを発揮していくこと等を述べました。
 これに対し、G8各国首脳から、我が国の経済政策に対し、高い評価と強い関心が示されました。今回のG8サミット出席を通じ、各国がいかに日本の再生に強い期待を抱いているか、強く印象づけられました。
 今後も、日本をデフレから脱却させ、強い経済を取り戻し、世界経済の成長に貢献するよう、全力で取り組んでまいります。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 井上義久君。
    〔井上義久君登壇〕
○井上義久君 私は、公明党を代表し、ただいま報告のありましたG8サミットについて、安倍総理に質問します。(拍手)
 総理、このたびのサミットへの御出席、大変に御苦労さまでした。
 首脳会議において、総理は、経済政策について積極的な発言を行い、拉致を含む北朝鮮問題の議論を主導するなど、主要国の一員として大きな役割を果たせたものと評価をします。
 以下、その成果と今後の取り組みについて、具体的に伺います。
 世界経済については、各国の政策努力によって下振れリスクは減少するものの、その成長見通しは依然として弱く、主要国が結束して持続可能な成長と雇用の回復に取り組むことが確認をされました。
 中でも、アベノミクスに注目が集まり、世界経済に関する首脳宣言にも、短期的な財政刺激策、大胆な金融緩和、成長戦略が日本の成長を支えていると明記されたことは、我が国の政策努力が一定の評価を受けたものと歓迎するものです。
 一方で、巨額の財政赤字を抱える我が国に対し、同宣言では、信頼できる中期的な財政計画を定めるという課題に応える必要性が改めて指摘をされました。
 世界経済の成長に貢献する日本の役割に期待が高まる中、その役割を果たすためには、経済成長と財政再建の両立に向けた具体的な道筋を明らかにすることが求められます。今後の取り組み方針について、総理の見解を伺います。
 関連して、リーマン・ショック以降世界経済を牽引してきた新興国の景気減速が目立つ中、成長のエンジン役として貿易の役割が再確認をされ、中でも、アフリカ貿易の重要性について言及がありました。
 今月、横浜で開催されたTICAD5に対する日本の貢献が歓迎されましたが、引き続き、インフラ整備や人材育成など、G8各国が支援を強化していくことが必要です。
 また、アフリカ支援については、公明党が推進してきた、人間の安全保障の視点が重要だと考えます。
 我が国は、経済的貧困や飢餓、感染症、環境破壊、自然災害などから生命、生活を守る、人間の安全保障を積極的に推進し、国際社会の平和と安定に貢献をしていくべきです。
 アフリカの自律的な成長、そして人間の安全保障に資する我が国の具体的な貢献策について、TICAD5の成果とあわせ、総理の見解を伺います。
 貿易や投資の拡大については、保護主義を抑制し、野心的な貿易協定を締結することにより、国内外の貿易障壁を取り除くことが確認をされました。EPAやFTAを含め、世界の経済成長の原動力として、貿易のルールづくりに我が国が積極的にかかわっていくことは重要です。
 一方で、来月にも交渉参加が予定されておりますTPPに代表されるように、国益の確保や国民生活への影響も懸念をされます。
 今後の戦略的、多角的な貿易交渉と、国益を最大化するルールづくりに我が国としてどのように取り組んでいくのか、総理の見解を伺います。
 地域・政治情勢については、内戦が泥沼化するシリア問題が焦点となりました。
 紛争開始から二年が経過し、死者は十万人に迫り、周辺国に避難した難民は百六十万人に達するなど、極めて深刻な状況です。
 化学兵器使用への懸念と国連による早期調査の実施や、政治的な解決を図るための国際会議の開催などが合意されましたが、G8内での意見の相違もあり、その実現は不透明です。
 我が国として、さらなる人道支援や国際的な協調の枠組みにどのように貢献していくのか、総理の見解を伺います。
 核開発や弾道ミサイル計画など、挑発的な言動を繰り返してきた北朝鮮については、総理の積極的な働きかけもあり、安保理決議に基づく国連制裁の完全な履行に加え、拉致問題を含む人権侵害への取り組みが確認されたことは、大きな成果と考えます。
 特に、人権侵害の問題については、本年三月の国連人権理事会の決議を踏まえ、新たに北朝鮮の人権状況に関する調査委員会が設置されるなど、その取り組みを進展させる必要があります。
 対話と圧力という従来の方針を堅持しつつ、核、ミサイル、拉致を含む人権侵害等の問題解決に我が国としてどのように取り組むのか、六カ国協議の再開を含めた具体的な取り組みを総理に伺います。
 アルジェリアの事件において、我が国は十名のとうとい犠牲を余儀なくされました。改めて、犠牲になられた方々に、衷心より哀悼の意を表します。
 事件を踏まえ、北アフリカ、サヘル地域を中心にテロ対策について国際協調の重要性が確認されたことや、総理が、テロの温床となっている貧困等の根本原因への対処に言及されたことは、大きな意義があると考えます。
 特に貧困支援については、ODAの活用を含めた人間の安全保障分野での貢献、国連ミレニアム開発目標における国際公約の着実な実行など、取り組みを強化、加速させることが重要です。また、各国における治安能力の強化や必要な情報共有など、関係国の緊密な連携や国連の主導的な役割を含めた、グローバルな体制づくりも必要です。
 テロ対策について、我が国の具体的な取り組みを総理に伺います。
 最後に、総理に一言申し上げたいと思います。
 冒頭にも触れたとおり、今般の首脳会議では、アベノミクスについて一定の評価と期待が寄せられました。また、国民の期待も高まっていますが、構造改革を含めた持続的な成長につながる成長戦略の実行や財政再建への具体的な取り組みは、これからが本番であり、正念場です。
 そして、何よりも、経済成長の実感と恩恵が、広く中小企業や家計に行き渡るとともに、若年層や長期失業者を含めた幅広い雇用の改善や女性の活躍機会の増大などに結びつかなければ、その期待は、一気に失望と落胆に変わってしまいます。
 国民一人一人の評価につながるさらなる不断の取り組みが最終的なアベノミクスの成否を決するということをいま一度確認し、総理の決意を改めてお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上義久議員にお答えをいたします。
 経済成長と財政再建の両立に向けた取り組み方針についてお尋ねがありました。
 今般、骨太方針において、経済再生と財政健全化を両立させ、再生の十年を実現するための基本戦略を決定しました。
 この夏までに、骨太方針等を踏まえた今後の取り組み内容を具体化した中期財政計画を策定するとともに、中長期の経済財政の展望を示し、経済再生と財政健全化の双方を実現する具体的な道筋を明確にしてまいります。
 経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与するという好循環を目指し、三本の矢を一体化させ、これまでにない推進力で成長戦略を実行するとともに、持続可能な財政構造の構築に向けた取り組みを進めていくことで、各国の期待にもしっかりと応えてまいります。
 TICAD5の成果とあわせ、アフリカへの貢献策についてお尋ねがありました。
 TICAD5では、アフリカの成長の質を高めるには、民間セクターが成長の原動力となるべきであり、そのために、インフラ整備や人材育成等を進めていく必要があるとの結論に至りました。人間の安全保障は、アフリカ開発のあらゆる側面で重視すべき指針と位置づけられました。
 このために、私から、今後五年間でODA約一・四兆円を含む最大約三・二兆円の官民の取り組みでアフリカの成長を支援することを表明しました。特に、官民連携を通じた投資を促進するための、インフラ整備や人材育成を中心に、サヘル地域の平和と安定や保健、農業、教育等、幅広い分野における具体的施策を発表しました。
 我が国としては、TICAD5で表明した貢献策を着実に実行し、G8を初めとする国際社会とともに、アフリカの、質の高い成長の実現に貢献してまいります。
 戦略的、多角的な貿易交渉と、国益を最大化するルールづくりについてお尋ねがありました。
 自由貿易の推進は、我が国の対外通商政策の柱です。力強い経済成長を達成するためには、自由貿易体制を強化し、諸外国の活力を我が国の成長に取り込む必要があります。そのためにも、我が国が積極的に国際的なルールづくりに参加をしていくことが重要であります。
 我が国は、WTOを中心とする多角的貿易体制のもとでの貿易自由化交渉を主要な柱としてきましたが、WTOドーハ・ラウンド交渉の膠着により、多数国間の貿易交渉は大きな困難に直面しています。これを補完するために、各国とも、二国間や広域の自由貿易協定、経済連携協定をこれまで以上に強化しています。
 こうした中、我が国としては、ドーハ・ラウンド交渉の推進に引き続き粘り強く取り組むと同時に、アジア太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの経済連携を戦略的に推進していきます。
 これらの貿易交渉においては、強い交渉力を持って、主張するべきことはきっちりと主張して、国益を最大限に実現するよう全力を尽くしてまいります。
 シリア情勢への我が国の対応についてお尋ねがありました。
 深刻化するシリア情勢については、私からも、先般のG8サミットにおいて、シリアにおける暴力をとめるため、立場の相違点でなく共通点に立って対応すべきであること、また、そのような観点から政治対話実現の動きを支持しており、ジュネーブ2会議を早期に開催すべきであること等を主張してまいりました。
 その上で、シリア難民、避難民に対する一千万ドルの新たな緊急無償資金協力、周辺国の負担軽減としてヨルダン政府に対する約一・二億ドルの円借款、反体制派掌握地域における保健分野等の支援など、シリアの人道危機に対する我が国の今後の支援策を表明しました。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、G8を初めとする主要国と協調しながら、シリア情勢への対応に積極的に貢献していく考えであります。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 北朝鮮問題については、今般のG8サミットで、私が議論をリードし、北朝鮮の核保有は決して認めない、北朝鮮は挑発行為を行わず、安保理決議を誠実かつ完全に実施すべきとのメッセージを送るべきと主張するとともに、拉致問題の解決の重要性について各国の理解と支持を得て、その趣旨がコミュニケにも反映されました。
 我が国は、今後とも、対話と圧力の基本方針のもと、日朝平壌宣言にのっとって、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて取り組んでまいります。
 しかし、六者会合などの北朝鮮との対話が、対話のための対話になってはならず、北朝鮮が、非核化を含め、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた真摯な姿勢を示すことが何よりも重要です。
 我が国としては、米国や韓国、中国やロシアといった関係国と連携しながら、引き続き、しっかりと対応してまいります。
 テロ対策に係る我が国の具体的な取り組みについてお尋ねがありました。
 政府としては、アルジェリア事件を受けて、諸外国とテロに関する情報収集、共有等の協力を進めるとともに、テロ対処能力が脆弱な国に対しては、二国間、国連、G8といった枠組みを通じ、支援を強化していく方針です。
 これを踏まえつつ、先般のTICAD5では、貧困対策を含め、サヘル地域の開発と安定化のための一千億円の支援に加え、テロ対策、治安維持の担い手二千人の人材育成を表明したところです。
 G8サミットにおいても、サヘル地域を中心としたテロ対策の重要性につき、首脳間で意見交換を行ったところです。
 また、アルジェリアの事案への対応の検証結果等を踏まえ、在留邦人向けの安全・危険情報の発信強化や、国際テロリズム緊急展開班の派遣体制の強化及び省庁横断的な海外緊急展開チームの編成による即応態勢の強化など、取り組みを進めているところであります。
 政府としては、今後とも、国際社会と連携しつつ、具体的な取り組みをさらに進めていく考えです。
 いわゆるアベノミクスを不断に推進する決意についてお尋ねがありました。
 先ほど私から御報告したとおり、今回のG8サミットでは、安倍内閣の経済財政政策の取り組みを説明し、各国首脳から、我が国の経済政策について、強い期待と高い評価が寄せられたところです。
 また、最近の経済動向を見ると、実質GDP成長率は、二〇一三年一―三月期に前期比年率四・一%と高い成長となり、雇用や消費の指標も改善するなど、私の経済政策の効果があらわれ始めているものと考えています。
 今後は、第一の矢、第二の矢に続いて、第三の矢として、女性や若者の活動促進などを柱とする成長戦略を実行する段階に来ており、これまでにない、次元の違うスピード感を持って、政策を実施に移してまいります。
 こうした取り組みにより、雇用や所得の増加を伴う景気回復を進め、中小企業、小規模事業者や国民一人一人に経済再生への変化を一層実感してもらえるよう、内閣を挙げて取り組んでまいります。
 また、経済再生と財政健全化の両立にもしっかりと取り組んでまいります。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 畠中光成君。
    〔畠中光成君登壇〕
○畠中光成君 みんなの党の畠中光成です。(拍手)
 安倍総理、G8ロック・アーン・サミット、お疲れさまでした。
 ここのところ、総理に質問させていただけませんでしたので、この機会にしっかりとお伺いしておきたいと思います。安全運転も結構ですが、逃げずに、ぶれずに、明快な回答をお願いいたします。
 総理は、今回のサミットで、いわゆるアベノミクスの成果を強調されました。
 アベノミクス三本の矢の一本目、大胆な金融緩和は、みんなの党が従来から訴えてきた政策です。これを大胆にぱくっていただきました。
 株式市場も、この政策を評価し、株価は、五月には一万六千円に迫ろうという回復を見せました。しかし、その後、株価は、乱高下から下落の様相を呈しています。
 米国のQE3終了への道筋が示されたことなど、海外の要因もあるでしょうが、アベノミクスへの期待感が揺らぎ始めているということです。
 それは、大胆な金融緩和以外の二本の矢が的外れだったからではないでしょうか。二本目も三本目もみんなの党の政策をぱくっていただいたならば的を外さずに済むのにと、残念でなりません。
 アベノミクスの二本目の矢は、国土強靱化という名のもとに、無駄な公共事業に費やされています。復興という仮面をかぶり、予算の管理もきちんとできないような大規模な公共事業を日本全国で行う必要が果たしてあるのでしょうか。
 みんなの党ならば、二本目の矢は、何よりも消費増税凍結で、的をしっかりと射とめます。
 今回のサミットでは、各国首脳から、我が国の財政健全化の必要性を指摘されたとのことです。それもあってか、サミット終了後に開催された英国ロンドンでの講演では、伸びる社会保障費への対応と国の信認を確保することが非常に大事だと述べられ、総理が消費税率引き上げに意欲を示したという報道につながりました。
 ばらまきでお金がないから増税するというのでは、古い政治への逆戻りだと言わざるを得ません。
 一方、総理は、消費税増税は四―六の経済指標を見て決めるとおっしゃっています。総理、ことしの一四半期の経済指標で、本当に来年の経済が判断できるとお考えでしょうか。
 また、自民党の公約にも掲げられた名目成長率三%という目標は、消費増税を優先するために、わざと低く抑えたものではないでしょうか。
 総理の本心は、ロンドンの講演のように、消費税増税を既定路線としたものではないでしょうか。お考えをお伺いします。
 さて、アベノミクス三本目の矢の、成長戦略についてです。
 G8でおっしゃられた、チャレンジ、オープン、イノベーション、英語で聞くと、まるでユアパーティー、みんなの党の政策のようですが、目新しい政策は見当たらず、中途半端な内容と言わざるを得ません。
 私が申し上げずとも、市場はよくわかっているようで、政府が成長戦略の素案を発表するごとに株価が下落するというありさまです。その原因は、戦略の内容が、官僚主導によってつくられた、前の自民党政権の焼き直しと、民主党政権からの引き継ぎでしかないからです。
 総理、弓道に、正射必中という教えがあります。よこしまを捨て、姿勢を正せば、矢は真っすぐに飛ぶという意味です。アベノミクスは、官僚や族議員、業界団体にとらわれたりすると、的から外れることになります。(発言する者あり)
○副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。
○畠中光成君(続) みんなの党の考える成長戦略は、まさに正射必中、既得権益に切り込んだ大胆な規制改革です。とりわけ、電力、農業、医療の三分野で、闘う改革を進めます。
 電力については、徹底した電力自由化、発送電分離で、世界で二番目に高い電気料金を引き下げます。消費者の電力会社選択を可能とし、業界の競争を促進すれば、安くもなく安全でもない原発は市場から淘汰され、脱原発にもつながります。(発言する者あり)
○副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。
○畠中光成君(続) 福島第一原発事故の後、いまだにふるさとに帰れない人が大勢いらっしゃる中で、原発再稼働を実施する。加えて、その原発を海外に輸出しようとする。
 先日、自民党の高市早苗政調会長は、福島の原発事故で死亡者は出ていないと発言し、その後撤回されましたが、まさにこれは、自民党政権の原発に対する意識のあらわれではないでしょうか。国会対応は安全運転の総理ですが、原発については、決して安全運転ではないようにも思えます。
 総理、我が国の電力改革、原発の将来についてどのようにお考えか、お聞かせください。
 みんなの党は、農水省と農協によって過保護なまでに守られた農業を改め、株式会社やNPOの参入で、新たな担い手をふやします。減反政策は段階的に廃止し、おいしくて安全な米を中国を初め海外にも輸出できる、自立した立派な成長産業へと農業を変えるべきです。
 TPPの交渉参加が目前に迫っているにもかかわらず、総理は、サミットの全体会合で、TPPに関して触れられませんでした。これは、総理が日本の農業改革に自信を持っていないということではないでしょうか。お考えをお伺いします。
 また、医療分野では、混合診療の解禁や株式会社の参入を実現すべきです。患者さんの利益や医療技術の向上にもつながる、まさに成長産業となり得ます。
 これらの、規制でがんじがらめになった分野にこそ、日本の成長の余地があります。
 しかし、安倍総理には、なぜそれができないのでしょう。それぞれ、電事連、農協、医師会という既得権三兄弟がいるからではないでしょうか。総理がこうしたしがらみに配慮した結果、アベノミクスの成長戦略は失望されていると考えますが、御見解をお伺いします。
 みんなの党は、規制改革、公務員制度改革、選挙制度・政党改革を改革三銃士として位置づけ、闘う改革を貫くことをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 畠中光成議員にお答えをいたします。
 消費税率の引き上げの判断についてお尋ねがありました。
 今般の一体改革による消費税率引き上げは、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認維持のために行うものであります。
 民間企業の契約の実態など、国民生活等への影響を考えて、引き上げの半年前に、附則第十八条にのっとって、特定の経済指標だけではなく、名目及び実質の成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案して、判断してまいります。
 今回のG8やロンドンでの講演においても、こうした考えを説明したところです。
 また、今後十年間に、平均で、名目成長率三%程度、実質成長率二%程度の成長を実現するという目標は、決して、御指摘のように、わざと低く抑えたものではありません。
 いずれにせよ、この目標達成を目指し、三本の矢で、長引くデフレから脱却し、日本経済の再生に全力を挙げてまいります。
 我が国の電力改革、原発の今後についてのお尋ねがありました。
 政府、そして自由民主党としては、常に、被災地の方々に心を寄せて、被災地の復興に全力を挙げております。今後の原子力政策についても、あの過酷事故によって不自由な避難生活を強いられている被災者の方々のお気持ちを忘れることなく、進めてまいる所存であります。
 原発については、安全第一が原則です。その安全性については、原子力規制委員会の専門的判断に委ね、新規制基準を満たさない限りは、再稼働はありません。
 電力システム改革は、東日本大震災とこれに伴う原子力事故を踏まえた、エネルギー制約克服のための、待ったなしの取り組みです。電力システムの抜本的な改革を盛り込んだ電気事業法改正法案を国会に提出しており、ぜひ、今国会での成立をお願いいたします。
 我が国の農業改革についてお尋ねがありました。
 米の生産調整については、国内の米の消費量の減少傾向を踏まえれば、一定の需給調整は必要と考えておりますが、農産物の輸出拡大を初め、我が国の農業の潜在力を引き出し、農業を、多くの若者が働きたいと思えるような、魅力ある産業としていかなければなりません。
 このため、官邸に農林水産業・地域の活力創造本部を設置したところであり、今後、政策の実現に全力を尽くしていく考えです。
 なお、G8サミットの場においては、米国、カナダとTPPについて意見交換を行うとともに、G8全体会合の中でも、WTO、経済連携の推進について議論を行いました。
 いずれにしても、私は、改革を成功させ、我が国の農業を必ずや魅力ある成長産業とすべく、取り組んでまいります。
 しがらみに配慮した結果、成長戦略が失望されているのではないかという点についてお尋ねがありました。
 日本再興戦略では、電力システム改革、TPP交渉への参加決断、保険外併用療養の対象となる先進医療の大幅拡大など、大胆な判断を下しました。
 今後は、施策ごとに策定した工程表に基づき、速やかに所要の措置を講じてまいります。
 また、改革に終わりはなく、さらなる高みを目指して、残った課題について、秋以降も、引き続き取り組んでまいります。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 佐々木憲昭君。
    〔佐々木憲昭君登壇〕
○佐々木憲昭君 日本共産党を代表して、安倍総理のサミット報告に対し質問します。(拍手)
 総理は、日本の経済政策に対し各国から高い評価と強い期待が示されたと述べていますが、国民の実感とはほど遠いものがあります。
 以下、具体的にお聞きします。
 第一は、株価と円安についてであります。
 安倍内閣の成果だと誇っていた株価は、五月に急落し、その後も乱高下を繰り返しております。外国人投資家が、昨年秋以来、大量に買い越して株価をつり上げ、利食い売りで多額のもうけを上げ、株価を暴落させたのであります。
 結局、ヘッジファンドなどの、外国投資家の餌食になっただけではありませんか。つられて株に投資した国民は、株の暴落で大きな損害を受けました。
 株価の水準を決めるのは、最終的には、企業の収益予想であります。需要が低迷し、実体経済の改善もないのに、幾ら金融緩和で雰囲気をあおっても、銀行から先に資金は流れません。この際、家計を中心とした内需拡大に軸足を移し、実体経済を活性化させる方向にかじを切るべきではありませんか。
 円安による原材料高騰と生活用品の値上がりは、国民の生活と営業を直撃しております。とりわけ被害の大きな業種に対する損害補填をどうするのか、具体的に明らかにしていただきたい。
 第二は、税制についてです。
 総理は、各国が、税源獲得を目指した税負担の軽減競争を避け、協調して各国の税制の調和を図ることが不可欠であるとG8各国に呼びかけました。
 しかし、自民党の参院選挙公約では、「思い切った投資減税を行い、法人税の大胆な引き下げを実行します」と書き込みました。これでは、みずから否定した法人税引き下げ競争の先頭に立つようなものではありませんか。
 企業が設備投資を決める要因は何か。内閣府が行った企業行動に関するアンケート調査によりますと、一番多いのが、内外の需要動向であり、税金が軽くなったら投資をするなどという回答はありません。減税しても、設備投資は盛り上がらず、麻生大臣が薄気味悪いぐらいと表現した二百六十六兆円もの巨額の内部留保がさらに積み上がるだけではありませんか。
 大企業や高額所得者には減税するが、庶民には消費税の大増税を押しつける、これが安倍内閣の税制政策であります。この際、消費を低迷させる消費税増税は中止すべきではありませんか。
 消費税増税だけではありません。
 今後二年間で六兆円を超える社会保障の負担増が待ち構えており、消費税増税と合わせ、二十兆円もの負担増になるのであります。しかも、成長戦略には、人減らしが可能な多様な正社員の導入、残業代ゼロの裁量労働、派遣労働の拡大などが盛り込まれているのであります。これでは、内需を冷やすばかりではありませんか。
 社会保障の拡充、中小企業対策の拡充と最低賃金の引き上げ、ベースアップの実現、非正規雇用の待遇改善と正社員化、この方向に政策を抜本転換すべきであります。答弁を求めます。
 第三は、原発問題です。
 総理が原発輸出に奔走しているのは、余りにも異常であります。五月の連休に、百以上の企業を引き連れてトップセールスを行いましたが、いまだ原発事故が収束しておらず、原因も究明されていないのに、どうして、安全な原発を提供できるなどと言えるのでしょうか。しかも、成長戦略の中に再稼働を位置づけるなど論外であります。
 この間、原発事故で死亡者は出ていないという与党政策責任者の発言が問題になりましたが、原発事故とは、大量の放射能をまき散らすことによって何万、何十万という人々を長期にわたって苦しめる、深刻で特異な広域災害であります。今なお、十五万人の人々が、先の見えない避難を強いられ、苦しめられているのであります。
 政府は、そうした原発事故被害の全容を明らかにし、被災者支援に全面的に責任を持つ姿勢が問われているのであります。
 第四は、TPPについてです。
 G8コミュニケでは、TPPの合意に向けた大きな進展を期待するとしています。TPPの新規参加に当たっては、既に参加している国々の合意を受け入れ、再協議は行わないという念書の受け入れを義務づけられることになっていますが、政府は、現時点で受け取っているかどうか、明らかにされたい。
 米国政府が今月十日に締め切った、日本のTPP交渉参加に対するパブリックコメントには、強い立場にある米国多国籍企業の要求が並んでおります。総理は、これらの要求に応じるつもりなのでしょうか。
 米保険協会などの業界団体は、日米間の非関税措置の懸案事項を話し合う日米並行交渉を期待していると述べています。どのような交渉を行っているのか、明らかにしていただきたい。
 TPPは、アメリカと多国籍企業のために、日本の農業のみならず、医療、金融、環境、労働、食品安全など、あらゆる面で生活と経済を破壊するものであり、我が党は、TPP参加に断固反対であります。
 昨年末の総選挙で、自民党議員の多くは、TPP絶対反対、ぶれない党などと言って当選しているのであります。安倍内閣のTPP交渉参加は、国民への約束を踏みにじるものではありませんか。
 以上、明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 佐々木憲昭議員にお答えをいたします。
 金融資本市場の動向と、輸入物価の上昇への対応を含めた今後の経済運営についてお尋ねがありました。
 金融資本市場の動向についてコメントすることは、総理大臣としては差し控えさせていただきます。
 我が国経済については、安倍内閣発足後の二〇一三年一―三月期の実質GDP成長率が前期比年率四・一%となるなど、実体経済の足取りはしっかりしてきており、景気は着実に持ち直しています。
 また、先ほど私から御報告したとおり、G8サミットにおいても、各国首脳から、我が国の経済政策について、強い期待と高い評価が寄せられたところです。
 政府としては、引き続き、三本の矢により、企業の収益機会をふやし、雇用や所得の拡大を実現することで、民需主導の持続的な経済成長を目指していきます。
 また、これまでの為替相場の動向については、全体としては景気にプラスの影響をもたらすと考えていますが、輸入価格の上昇による家計や企業への影響については、引き続き注視してまいります。
 このうち、燃油価格高騰の影響を受けやすい漁業などについては、燃料価格の高騰時に補填する事業を実施しており、適切に対応してまいります。
 法人税の引き下げ等についてお尋ねがありました。
 G8の場で私が申し上げたことは、税源獲得を目指した各国による税負担の軽減競争によって国際的租税回避が助長される事態は避けるべきということです。
 日本経済の再興を図るためには、企業の内部留保として眠る膨大な資金を、将来の価値を生み出す投資へと向かわせる必要があります。
 このため、日本再興戦略においては、生産設備や事業の新陳代謝を促す枠組みを構築し、これに応じて積極姿勢に転じた企業を、思い切った投資減税等によって、大胆に支援していくこととしたところであります。
 消費税率の引き上げについてのお尋ねがありました。
 今般の一体改革による消費税率引き上げは、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認性のために行うものです。
 民間企業の契約の実態など国民生活等への影響を考えて、引き上げの半年前に、附則第十八条にのっとって、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案して判断してまいります。
 いずれにせよ、三本の矢で、長引くデフレから脱却し、日本経済の再生に全力を挙げてまいります。
 社会保障の充実、中小企業への対策の拡充などについてお尋ねがありました。
 社会保障・税一体改革では、消費税率引き上げによる増収分により、社会保障の充実と安定化を図ることとしています。
 中小企業、小規模事業者対策については、平成二十四年度補正予算及び二十五年度予算により、大規模かつ切れ目ない対策を講じており、例えば、一万社の物づくり企業の試作開発等を支援しています。
 また、日本再興戦略に沿って、最低賃金を引き上げていく環境整備のためにも、企業の収益を向上させ、それが雇用の拡大や賃金の上昇をもたらすような好循環を目指していきます。
 さらに、企業内での希望に応じた正社員化や人材育成といったキャリアアップの支援など、非正規雇用の方々の雇用の安定や処遇の改善のための施策に取り組んでいきます。
 原発の再稼働と、原発輸出についてお尋ねがありました。
 原発については、安全第一が原則です。その安全性は、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、事故の教訓を踏まえた、世界でも最も厳しい新規制基準を満たさない限り、再稼働はありません。
 原発輸出については、東京電力福島第一原発事故の経験と教訓を世界に共有することにより、世界の原子力安全の向上に貢献していくことが我が国の責務であると考えています。
 今般の中東や東欧への訪問においても、各国から我が国の原子力技術への高い期待が示されたところであり、原発輸出については、こうした相手国の意向や事情を踏まえつつ、我が国の技術を提供していく考えです。
 福島第一原発の廃炉や除染、賠償等の、福島の復興についてお尋ねがありました。
 福島の復興を加速化するためにも、廃炉、除染、賠償などの取り組みを安全、確実に進めることが大前提です。こうした認識のもと、国内外の英知を結集し、国が前面に出て廃炉や除染を進めてまいります。
 その上で、住民の健康管理に万全を期し、生活再建等を図るために必要な取り組みについて責任を持って行うとともに、賠償や復興政策等の一体的な取り組みを進めてまいります。
 我が国のTPP交渉参加についてお尋ねがありました。
 我が国同様に後から参加したメキシコ、カナダを含め、いずれの交渉参加国も、御指摘の念書については立場を明らかにしていません。
 そうした中、報道されているような書簡のようなものがあるかどうかを含め、外交上の個別のやりとりの詳細を明らかにすることは、現TPP交渉参加国との信頼関係に照らし、また、今後の情報収集や交渉に支障を来すおそれがあることから、差し控えます。
 また、御指摘の米国政府官報告示による意見募集については、提出された意見は米国政府に対するものであり、個々の意見に対し、我が国として具体的にコメントする立場にはありません。
 いずれにせよ、TPP交渉及び並行して行われる日米交渉においては、我が国としては、強い交渉力を持って、主張するべきことははっきりと主張して、国益を最大限に実現するよう全力を尽くす考えであります。
 TPPと公約についてのお尋ねがありました。
 我々は、さきの衆議院選挙で、聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対するという公約を掲げ、また、それ以外にも、J―ファイルに五つの判断基準を示し、政権に復帰しました。我々が選挙でお約束をしたことは、たがえてはならないと考えています。
 二月のオバマ大統領との首脳会談を踏まえ、私は、TPPでは、聖域なき関税撤廃が前提とされるものではないとの認識に至りました。それ以外のJ―ファイルで掲げた五項目については、交渉参加の条件ではなく、交渉の中で必ず守らなければならないものとして念頭に入れておくべきものであり、交渉の中において実現をしなければなりません。
 TPPについては、我が国としては、強い交渉力を持って、主張するべきことははっきりと主張して、国益を最大限に実現するよう全力を尽くす考えであります。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 鈴木克昌君。
    〔鈴木克昌君登壇〕
○鈴木克昌君 生活の党の鈴木克昌であります。
 私は、生活の党を代表して、ただいまの安倍総理大臣のG8サミット報告につきまして質問をいたします。(拍手)
 安倍総理は、G8において、アベノミクスについて説明をし、評価を得たとしていますが、一方で、懸念や注文も出たとされております。とりわけ財政規律を重視するメルケル・ドイツ首相からは、日本は大変な財政赤字を抱えている、どう取り組むのかとの懸念を示されたと報じられております。
 これに対し、総理はどのように答えられたのでしょうか。他党の質問もありますけれども、我が党の立場として、ぜひお聞きをしたいと思います。
 そして、首脳宣言においても、日本は名指しで財政悪化に歯どめをかけるよう求められましたが、どのように対応するおつもりでありましょうか。お伺いをいたします。
 先般閣議決定された、いわゆる骨太の方針では、従来の財政健全化目標を堅持することとされました。この目標は、二〇一〇年六月にG20トロント・サミットで日本が表明し、事実上の国際公約となっているため、極めて重要なものであります。
 この目標の達成の見通しについて、内閣府によれば、緊急経済対策等の影響で国、地方のプライマリーバランスはさらに悪化するとされ、本年度の赤字額は三十四兆円にも上り、予定どおり消費税率の引き上げを実施したとしても、目標達成は困難な状況であります。
 あと二年余りでどのように半減目標を達成するおつもりなのか、達成できなかった場合には、どのように責任をおとりになるつもりなのか、お伺いをいたします。
 一方で、自民党では、参議院選挙をにらみ、国土強靱化をうたう公共事業や、円安による経費高騰に苦しむ漁業者や畜産農家への対策など、歳出増に向け、ばらまき圧力が高まっていると報道されております。
 もし国土強靱化の公共事業に今後十年間で二百兆円を投じることにでもなれば、救いようのない財政危機に陥ることになるのではないでしょうか。総理の見解を伺います。
 そして、問題なのは、目標達成のための道筋を示すという中期財政計画であります。
 当初、いわゆる骨太の方針に盛り込まれる方向だったにもかかわらず、結局、参議院選挙後に先送りされてしまいました。平成二十六年度以降の予算編成、ひいては国民生活に大きく影響する財政再建の工程表については、国民の審判を受ける前に明らかにするべきではないでしょうか。
 どのように目標を達成するのか、痛みを伴う具体策を示さないのでは、骨なしと言われても仕方がないでしょう。いつ具体的な道筋を示すのか、どのような内容を盛り込むつもりなのか、明らかにしていただきたい。
 次に、G8と国内の税制の関係についてお伺いいたします。
 安倍総理は、さきのG8において、各国が税負担軽減競争を避けるべきだと訴えたとされています。
 一方、国内の税制においては、平成二十五年度税制改正において、各種企業向け減税措置を講ずるとともに、今月十四日に公表された日本再興戦略では、企業の生産設備更新などを促す投資減税等を実施する方針を表明されました。
 さらに、先般公表された自民党の参議院選挙の公約では、「世界最高レベルの制度を整備」として、「思い切った投資減税を行い、法人税の大胆な引き下げを実行します」としていますが、規模や時期は、明確ではありません。
 成長戦略などを担当する西村内閣府副大臣が、法人税の実効税率について、まずは二〇%台を目指すと述べたとの報道もありますが、政府として、法人実効税率の引き下げ水準や時期をどのようにお考えなのか、具体的に御答弁願います。
 また、そのお考えは、総理がG8において各国に協力を訴えた税負担軽減競争の回避と矛盾しないかについても、御答弁願います。
 次に、アベノミクスの出口戦略についてお伺いいたします。
 総理は、G8サミットにおいて、私の経済政策が各国首脳から強い期待と高い評価が寄せられたとおっしゃってみえました。
 しかし、最近の株価、為替の目まぐるしい動きや長期金利の上昇は、まさに、私どもが懸念しておりました、アベノミクスの副作用であるとも言えましょう。
 銀行は、早速、企業への貸し出しや住宅ローンの金利を引き上げ始めております。まさに、景気回復の実感がないうちに国民の負担だけが増すという、悪い金利上昇が現実のものとなっているのです。
 アメリカ、FRBのバーナンキ議長は、FRBの金融緩和政策の出口戦略をめぐる思惑が世界の市場を大きく動揺させていることを憂え、十九日の記者会見において、出口戦略のシナリオを、その時期や判断材料に至るまで、実に明快に示し、市場の混乱を静めようとしました。
 入り口があれば、出口は必ず考えなくてはなりません。
 総理も、アベノミクスの最高責任者として、いつごろ、どのような方法でアベノミクスを終わらせるのか、きちっとした考えを示し、市場を落ちつかせる責任があるのではないでしょうか。明快に御答弁をいただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 鈴木克昌議員にお答えいたします。
 我が国の財政健全化に関してお尋ねがありました。
 G8サミットにおいては、各国の財政政策に関してもさまざまな意見交換があり、また、日独首脳会談においては、メルケル首相から、日本の財政健全化について大きな関心が示されたところであります。
 私からは、これらの場において、我が国の財政健全化に向けた方針をしっかりと説明したところであります。
 今後とも、G8首脳宣言にも示された各国の期待に応えるべく、国際公約でもある財政健全化に向け、中期財政計画を早期に策定するなど、経済成長と財政健全化の両立を目指してまいります。
 財政健全化目標の達成についてのお尋ねがありました。
 経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与するという好循環を目指すことが重要であります。
 まずは、三本の矢により、強い経済を実現し、経済成長を通じて、税収を増加させてまいります。
 同時に、二〇一五年度のプライマリーバランス赤字の半減目標の実現に向け、義務的経費を含めた踏み込んだ歳出の見直しなど、予算の重点化、効率化等の取り組みを進めるとともに、消費税率の引き上げを含む社会保障・税一体改革を着実に推進してまいります。
 今後、骨太方針等を踏まえ、中期財政計画を早期に策定するとともに、中長期の経済財政の展望を示すことで、財政健全化目標への具体的な道筋を明確にし、目標実現に向けて取り組みを実行していくことで、国民への責任をしっかりと果たしてまいります。
 国土強靱化の公共事業の増加による財政危機についてお尋ねがありました。
 国土強靱化については、我が国が直面するリスクに対する脆弱性の評価を行い、重点化、優先順位づけを行った上で、ハード事業のみならずソフト施策や民間資金も積極的に活用して、必要な取り組みを計画的に進めてまいりますが、今後十年間で二百兆円の国費の投入を決定した事実はありません。
 いずれにせよ、こうした国土強靱化の取り組みを含め、必要な施策の実施に当たっては、財政の持続可能性への信頼が損なわれることのないよう、財政健全化の取り組みとの両立のもとで進めていくことが重要であると考えております。
 財政健全化に向けた具体的な道筋についてお尋ねがありました。
 政府としては、先般閣議決定した骨太方針において、中長期の財政健全化に向け、国、地方のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字対GDP比の半減、二〇二〇年度までに黒字化、その後の債務残高の対GDP比の安定的な引き下げを目指すとの目標を明確に掲げました。
 また、その実現に向け、先ほど申し上げたような、歳出歳入両面での取り組み方針を示したところであります。
 今後、さらに、中期財政計画について、参議院選挙の前か後かということではなく、早期に策定するとともに、中長期の経済財政の展望を示すことにより、経済再生と財政健全化の双方を実現する具体的な道筋を明確にしてまいります。
 法人実効税率の引き下げについてお尋ねがありました。
 G8の場で私が申し上げたことは、税源獲得を目指した各国による税負担の軽減競争によって国際的租税回避が助長されることは避けるべきということです。
 法人課税については、平成二十三年度税制改正において、法人実効税率五%の引き下げを行ったところであり、復興特別法人税の課税が終わる平成二十七年度以降にこれが実現します。
 さらに、日本再興戦略においては、生産設備や事業の新陳代謝を促す枠組みを構築し、これに応じて積極姿勢に転じた企業を、思い切った投資減税で法人負担を軽減すること等によって、大胆に支援していくこととしたところであります。
 いわゆるアベノミクスをいつ終わらせるかについて示すべきとのお尋ねがありました。
 安倍内閣発足後の二〇一三年一―三月期の実質GDP成長率が前期比年率で四・一%となるなど、実体経済の足取りはしっかりしてきておりますが、政府としては、こうした動きを、より確固たるものとしていくことが重要と考えております。
 このため、引き続き、デフレからの早期脱却と日本経済の再生を目指し、三本の矢を全力で進めてまいります。
 なお、長期金利の変動については、日本銀行が市場との対話を通じて適切に対応されることを期待しております。
 以上であります。(拍手)
○副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十七分散会
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 出席国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       総務大臣     新藤 義孝君
       外務大臣     岸田 文雄君
 出席内閣官房副長官
       内閣官房副長官  加藤 勝信君