第183回国会 法務委員会 第6号
平成二十五年四月三日(水曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 石田 真敏君
   理事 江崎 鐵磨君 理事 土屋 正忠君
   理事 ふくだ峰之君 理事 田嶋  要君
   理事 西田  譲君 理事 遠山 清彦君
      安藤  裕君    池田 道孝君
      大野敬太郎君    大見  正君
      勝沼 栄明君    門  博文君
      神山 佐市君    菅野さちこ君
      木内  均君    黄川田仁志君
      小島 敏文君    古賀  篤君
      今野 智博君    末吉 光徳君
      鈴木 憲和君    鳩山 邦夫君
      林田  彪君    三ッ林裕巳君
      武藤 貴也君    盛山 正仁君
      山田 賢司君    枝野 幸男君
      郡  和子君    階   猛君
      田沼 隆志君    高橋 みほ君
      西根 由佳君    大口 善徳君
      椎名  毅君
    …………………………………
   法務大臣         谷垣 禎一君
   法務副大臣        後藤 茂之君
   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君
   法務大臣政務官      盛山 正仁君
   最高裁判所事務総局経理局長            垣内  正君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  石井喜三郎君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制部長)          小川 秀樹君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    深山 卓也君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    稲田 伸夫君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    西田  博君
   政府参考人
   (公安調査庁長官)    尾崎 道明君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           常盤  豊君
   法務委員会専門員     岡本  修君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月三日
 辞任         補欠選任
  小田原 潔君     鈴木 憲和君
  門  博文君     勝沼 栄明君
  菅家 一郎君     菅野さちこ君
  宮澤 博行君     武藤 貴也君
  辻元 清美君     郡  和子君
  今井 雅人君     田沼 隆志君
  西村 眞悟君     高橋 みほ君
同日
 辞任         補欠選任
  勝沼 栄明君     木内  均君
  菅野さちこ君     菅家 一郎君
  鈴木 憲和君     大野敬太郎君
  武藤 貴也君     宮澤 博行君
  郡  和子君     辻元 清美君
  田沼 隆志君     今井 雅人君
  高橋 みほ君     西村 眞悟君
同日
 辞任         補欠選任
  大野敬太郎君     山田 賢司君
  木内  均君     門  博文君
同日
 辞任         補欠選任
  山田 賢司君     小田原 潔君
    ―――――――――――――
四月二日
 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
三月二十九日
 国籍選択制度の廃止に関する請願(辻元清美君紹介)(第一六七号)
 もともと日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(辻元清美君紹介)(第一六八号)
 外国人住民基本法の制定に関する請願(阿部知子君紹介)(第二一五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
     ――――◇―――――
○石田委員長 これより会議を開きます。
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官石井喜三郎君、法務省大臣官房司法法制部長小川秀樹君、法務省民事局長深山卓也君、法務省刑事局長稲田伸夫君、法務省矯正局長西田博君、公安調査庁長官尾崎道明君及び文部科学省大臣官房審議官常盤豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○石田委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局垣内経理局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大見正君。
○大見委員 おはようございます。愛知十三区の自由民主党の新人、大見正と申します。
 私は、かつて中選挙区の時代に、衆議院議員の浦野烋興先生の地元の秘書として働いておりました。当時谷垣大臣とは同じ派閥ということもあり、かねてよりいろいろとお人柄を伺っておりました。今回初めて質問をさせていただけるということで、大変光栄に思っております。
 もとより、地方議員出身ということでございますので、法律には明るくありませんけれども、国民目線で、再犯防止対策、東日本の法律面からの復興支援並びに司法制度改革について、順次質問をさせていただきます。
 また、後藤副大臣、盛山政務官にもよろしくお願いを申し上げるとともに、石田委員長さんにもよろしくお取り計らいの方、お願いを申し上げます。
 初めに、犯罪者の再犯防止対策について伺います。
 犯罪を犯した者が刑期を終え、更生して社会に復帰することが本来の姿でありますけれども、昨今は、犯罪者が再び犯罪を繰り返すことで社会に大きな不安を与える事犯がふえてきていると認識をしております。
 平成十九年版犯罪白書によりますと、昭和二十三年以降五十八年間の犯罪者百万人を対象とした調査の結果、人員構成比では、初犯者が七一・一%を占め、再犯者は二八・九%にとどまるのに対し、件数構成比では、初犯者による事件件数が四二・三%、再犯者は五七・五%を占めており、このことは、約三割の再犯者によって約六割の犯罪が行われているという事実を示していることになります。
 また、一般刑法犯全体に占める再犯者率は近年増加傾向にあり、平成二十四年版の犯罪白書によりますと、一般刑法犯検挙人員中の再犯者率は四三・八%を示しており、安心、安全な社会づくりのための政府全体における再犯者対策が急務となっております。
 こうした中、谷垣大臣が自民党総裁のときにおまとめになりました自民党の政策集、J―ファイルには、世界一安全な国をつくるために治安対策の強化がうたわれており、安倍総理も、二月に行われました所信表明演説の中で、世界一安全な国日本を目指すと述べられており、国民の安心、安全な暮らしを守るという精神は、東日本大震災の発生により、防災面とともに一層強くなったと感じております。
 そこで、世界一安全な国日本を取り戻すため、法務省としてどのように取り組んでいかれるのか、まず大臣の御所見を伺います。
○谷垣国務大臣 大見委員が浦野先生のところで修行をされて、そして今日こうして国会においでになった。私も、浦野さんは当選がほとんど同期でいろいろ親しくさせていただきましたので、大見さんがこうやってこの委員会で立っておられる姿を浦野先生も喜んでおられるだろう、こう思っております。
 そこで、今、世界一安全な国日本をつくっていくにはどうしたらいいかというお問いかけでございました。
 今のお話のように、約三割の再犯者が全体の六割近い犯罪を起こしている。やはり、国民が安心に、体感治安というものがいいなと思いながら、安心して日々の仕事に励む、安心して日々の生活をしていくことができるためには、この再犯を防いでいくということが一番大事なのではないか、このように思います。
 したがいまして、刑務所出所者等の改善更生、それから社会復帰に向けた支援プログラムをきちっとやっていく、そして、これは政府全体で取り組んでいくことが必要であると考えております。
 当時、民主党政権の中でも、平成二十四年七月に、犯罪対策閣僚会議というのを開かれて、そこで再犯防止に向けた総合対策というのを決めていただいております。
 そこで、さまざまな検討課題について、法務省内でプロジェクトチームをつくって協議を重ねながら、そしてこれは、社会復帰を促進していくというのは、法務省だけでできることではありません、ほかの関係省庁との協力も必要でありますし、特に、社会に戻った人が居場所をつくっていくためには、民間のお力をかりないとこれはどうしてもできないことでございます。そういった取り組みを着実に進めていきたい、このように考えております。
○大見委員 民間の取り組み等、後でまた触れさせていただくことになると思います。よろしくお願いいたします。
 次に、犯罪が繰り返されている現状、これをもう少し詳しく見てまいりたいというふうに思います。
 刑務所へ初めて入所した者が五年以内に起こす犯罪率、これが二四・四%であるのに対して、二度目の入所者のそれは四五・九%と二倍近い数値に上っていることや、刑期を満了して釈放された者が五年以内に再び犯罪に手を染める者の割合が五一・六%を占め、半数以上の者が再び刑務所に逆戻りをしているという状態になっております。犯罪者が再び犯罪を起こす傾向が顕著になっているということが言えます。
 刑務所の人的あるいは施設的な部分や矯正プログラムに不足のところがないのか、あるいは地域では、保護観察中の者も含めまして、こうした者に対しまして、保護司さんらが仕事や暮らしのさまざまな相談や見守りを行ってくれておりますけれども、年々増加する対象者に対しまして大変苦労されております。こうした点で何か取り組むべきところがあるのではないか、さまざまな観点から検証と改善が求められていると感じております。
 そこで、こうした点も含めまして、再犯防止施策の取り組みをいろいろな観点から着実に推進していくためにはさまざまな基盤整備が必要だと考えますけれども、盛山法務大臣政務官の御所見を承りたいと思います。
○盛山大臣政務官 大見委員の御指摘のとおりだと思います。
 大臣からも今お答えがあったとおりでございますけれども、再犯の防止、これは我々法務省だけでできることでは必ずしもありません。関係の省庁あるいは関係者の方々の御協力がなければ何ともなりませんが、まずは我々法務省の方として何をしていくべきなのか、そういう点につきましても、さまざまな取り組みを行うことがあろうかと思います。
 そのうちの一つが、今、大見委員がおっしゃいました治安関係の職員あるいは治安関係施設、これらについての所要の増員といったような人的、あるいは施設を整備する物的な基盤の整備、こういうものが必要だと我々考えており、また取り組んでいるところであります。
 そしてまた、委員がおっしゃいました民間の方々、例えば保護司の方、あるいは更生保護施設、そして協力雇用主さん、こういう方もいらっしゃいます。住むところ、そして働くところ、こういうものがなければ、なかなか再犯を防止するということは難しゅうございます。さらには、地方自治体、そして民間団体、こういう多くの方々への連携の強化、そしてお願いをこれからも続けていきたい、そんなふうに考えております。
○大見委員 再犯防止対策の関連で、就労対策についてもう少し詳しく触れてみたいと思います。
 先ほど総合対策の中で、社会における居場所と出番をつくるということでお述べになりました。
 犯罪白書などにおきましては、平成二十一年に刑務所へ再入所した者のうち、無職者が占める割合が七一・八%にも上ることや、平成十七年から平成二十一年までにおいて保護観察終了時に無職であった者の再犯率が三六・七%であり、有職者の再犯率の約五倍に上っていることなどから、無職者の再犯率の高さが著しくなっていること。さらには、平成十六年以降、刑務所出所者に占める満期釈放者の割合が年々増加しており、平成二十一年には満期釈放者は五〇・七%を占め、そのうち、適当な帰住先がない者というのが四〇%を超えている現状があること。他方、平成十六年から二十年の間に刑務所に再入所した者を見ると、前回出所時に適当な帰住先がなかった者のうち五六・六%が一年未満に再犯に及んでおり、適当な帰住先のない者が短期間で再犯に至る傾向が見られるということが述べられております。
 このことから、犯罪者に対しましては、社会の中での就労支援や住居の確保が喫緊の課題であると考えられます。
 また、先ほどの質問でも触れましたけれども、犯罪を重ねるのに比例をして再犯率も高くなり、その理由が就労や住居の確保であるとうかがえることから、初犯の段階での支援や取り組みが極めて大切であるという認識を持っていかなければいけないというふうに感じております。
 加えて、先ほど、関係機関とともに民間団体とも協力をして総合対策を推進していくことも示されましたけれども、これらは、地域や官だけではなくて、先ほど御答弁いただきました、民間も含めた社会全体での再犯防止、犯罪防止に努めるという観点から、民間企業による就労支援が非常に大切になるというふうに感じております。
 こうした中、三月十九日の新聞各紙に、関西の七企業が来年度から、刑務所や少年院を出た人に就労の機会を一定期間提供し、仕事ぶりを見て正規雇用する、職とそれから親という漢字を書いてショクシンと読むそうでありますけれども、職親プロジェクトを本格的にスタートするという記事が掲載をされました。
 概要は、日本財団と関西系企業七社が、刑務所や少年院といった矯正施設からの出所者の社会復帰を手助けする取り組みを始め、笹川陽平会長と、関西で有名な、大臣の御地元の近くでありますけれども、お好み焼きチェーンの千房の中井政嗣社長が谷垣法務大臣を訪れて、民間としての取り組みに対する協力を要請したということでありました。
 職親プロジェクトという言葉自体がちょっと聞きなれない言葉でありますので、取り組みの概要や意義につきまして、初めに担当の矯正局長から御紹介をいただきたいと存じます。
○西田政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねのありました職親プロジェクトと申しますのは、先ほど御紹介ありました千房株式会社の中井社長が中心となりまして、この社長が呼びかけました関西系企業七社と日本財団が協定を結びまして、少年院の出院者、刑務所出所者に企業が就労体験の機会を提供することで社会復帰を支援するという取り組みでございます。
 具体的には、まず、犯罪傾向の進んでいない初犯者を対象といたしまして、各社において半年以内の就労体験をさせまして、その後に正規雇用につなげていくということを目指しております。その就労体験期間中は社員寮とか更生保護施設等から通勤をいたしまして、各社が職場での悩み等、生活面も指導しまして、また定期的に関係者間で情報交換を行うというものでございます。
 一方、日本財団におきましては、プロジェクト全体を管理するほか、プロジェクトの対象となる者一名につきまして一カ月八万円の支援金と、通勤手当の実費を各企業に対して就労体験期間中に支払うという援助を行う、そういったものでございます。
 以上でございます。
○大見委員 このプロジェクト、民間による自主的なプロジェクトということで、非常に、社会での居場所と出番が必要とされております出所者にとっては大切な事業だというふうに考えております。
 これまでは、平成二十年のリーマン・ショック以来雇用状況が厳しさを増すということもありましたので、矯正施設出所者の就労支援の取り組みというのは非常に厳しい状況にあったということもあり、できにくかったという面もあると思いますけれども、自民党政権になりまして、景気の明るさを取り戻しつつある中で、こうした取り組みがたくさん生まれて、景気の動向とは別に企業の社会貢献として定着をさせていくことが大切だというふうに考えております。
 そこで、まずは、この職親プロジェクトに対して法務省としてどのように協力をしていくのか、盛山大臣政務官に伺います。
○盛山大臣政務官 今委員からお尋ねがありました点に関しまして、先ほど矯正局長の方からも御答弁いたしましたし、委員の御質問の中にもありましたが、大臣に対してのお申し出であり、そしてまた、我々法務省としても、大臣以下、大変結構なことである、そういうふうに考えておりますので、大臣の方から、この職親プロジェクトに対して可能な限り協力できるよう、矯正局あるいは保護局の方に指示があったところでございます。
 具体的には、矯正施設において本プロジェクトの内容などを受刑者等によく周知する、そして、矯正施設の中で企業の担当者等と受刑者等の面接の円滑な実施に配慮する、あるいは、本プロジェクトに参加する刑務所出所者等の帰住先として、住まいとして、必要に応じて更生保護施設を活用して指導する、こういうことを今やっているところでございます。
 いずれにせよ、このすばらしいプロジェクトがこれから定着していくよう、我々としても全面的に協力していきたい、そんなふうに思っております。
○大見委員 どうぞよろしくお願いをいたします。
 次に、大きな項目の二つ目、東日本大震災の法律面からの復興支援について、法テラスによる被災者支援の取り組みについて初めに伺います。
 東日本大震災が発生をいたしまして約二年が経過をし、今後、復興を加速させるためには、個々人が抱えておりますさまざまな法律問題をクリアする必要があると感じております。
 そのような中、平成二十四年三月二十三日に、東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律、いわゆる震災特例法が議員立法によりまして成立をいたし、同年四月の一日から施行されております。法テラスは、この法律に基づきまして、時限立法により、三年間にわたって被災地の皆さんのさまざまな法律相談に対応されていると承知をしております。
 津波で家が流されて、家族も失って、家や車のローンも残っているというような被災地の皆さんは、不動産や相続、あるいは二重ローン問題など、素人では難しい法律問題を一度に抱え込むことになりまして、これらの課題というのを解決しなければ、安心して復興に向けて歩み出すことはできません。
 そこで、法律の施行から約一年がたった法テラスの活動状況、すなわち、被災者が抱える法的問題にどのように対処をしてきたのか、政務官の方にお伺いをさせていただきます。
○盛山大臣政務官 今委員からお話がありましたとおり、被災地においてはいろいろなことで皆さん御苦労しておられます。
 我々法務省としましては、法テラスという点で、被災者の皆様方の法的な御支援をということで今取り組んでいるところでございます。
 先ほどから被災者支援法の話もございましたけれども、これまで、この三月までに、岩手県の大槌町、大船渡市、宮城県では南三陸町、東松島市、山元町、福島県の二本松市、広野町という七カ所に法律相談の拠点としての被災地の出張所、こういうものを設置しております。そして、先ほど御指摘の被災地支援法によりまして、昨年の春から、被災された方々についてのその資力にかかわらず、無料法律相談等を受けるような状況になっておりますが、この法テラス、今申しました出張所等を活用して、適宜適切、そして、できるだけ皆様方にとって使い勝手がいいように御支援をさせていただきたい、そんなふうにこれからも取り組んでまいります。
○大見委員 あれだけの被災状況でありますので、大変な相談件数が寄せられているというふうに思いますけれども、相談体制におきましては、従来の弁護士さんを中心とした体制だけではなくて、やはり枠組みを超えたような手厚い体制というのが必要ではないかというふうに思っております。
 また、相談に対する姿勢も、相談に来るのを待っているというよりはこちらから出向いていくぐらいの、そしてまた、被災者の皆様方の気持ちに寄り添って相談に乗るというような姿勢というのが非常に大事ではないかというふうに考えております。
 法テラス被災地出張所の開所式典に先日大臣が御出席なされたというふうに伺っておりますので、被災地において被災地出張所の果たすべき役割及びその意義についてどんなふうにお考えになっているのか、法務大臣にお伺いをいたしたいと思います。
○谷垣国務大臣 先日、階先生がおられますけれども、岩手県の大船渡に法テラス気仙というのが開所、オープンしまして、私もその開所式に出席してまいりました。
 地域の方々初め多くの方に御参列をいただいたことも大変ありがたかったんですが、そのときにあわせて法律相談会を開きましたところ、やはり潜在的に非常にニーズがあったんだなと思いましたが、大勢の方が相談に来てくださいました。
 それで、この法テラス気仙というのは、小さな拠点であることは事実なんですが、目指すところは、かなりいろいろなことを目指しておりまして、もちろん、こういう法的な問題があると被災地で意識しておられる方、明確に意識しておられる方はもちろんおられます。しかし、そうだけじゃなくて、明確に法律の問題なんだけれども、専門家に相談に行くには敷居が高いなと思っておられる方もあると思います。それから、あの地域の特質なのかもしれませんが、法的な問題だと実は意識しておられない、潜在的には法的な問題なんですが。それは法的な問題なんですよと言うことによって解決ができることもたくさんあるんじゃないか、こんなふうに思っておりまして、したがいまして、そういった潜在的なニーズをこっちから掘り起こしていくというぐらいの意気込みがなければいけないのではないか。
 だから、ここを一つ、そういう法的な解決能力を持った専門家の拠点としまして、この事務所にちんと座っていればいいというものではないと思うんですね、職員や専門家が仮設住宅や何かに出かけていって、このごろアウトリーチという言葉を使うようですが、そういう手法を徹底することによって可能な限り潜在的なニーズをくみ上げて解決していくということが必要じゃないかと思います。
 そして、そのためには、単に弁護士あるいは司法書士の法律相談というだけではなくて、消費者庁というようなところに関係する場合もありますね。消費者庁の国民生活センターと連携するとか、あるいは税の問題もある。税理士の先生、あるいは建築士、それから社会福祉の専門家によるような相談というようなものもいろいろ考えて実施していく必要があると思います。
 今、寄り添うという言葉を使われましたけれども、被災地、被災者に寄り添っていろいろな問題を解決していく、そういう期待を私どもも非常にしております。
 そして、私、この間、その大船渡に行きまして感じたことは、ちょっと脱線して恐縮ですが、インドネシアのバンダアチェで大きな地震があり、津波が起こりました。東日本大震災が起こる前ですが、私、インドネシアの大臣にお会いする機会があって、復興はどこまで行きましたかとその大臣に伺ったときに、その大臣のお答えは、インフラの復興という意味での再建は大体できた、しかし、例えば、災害で親を亡くした子供がたくさんいるとか、そういう被災者に寄り添う心のケアというのは、実はまだまだなんですとその大臣がおっしゃっておられた。まだこの東日本大震災が起こる前でしたので、私は、なるほどと思ったんですが、今から考えますと、そのインドネシアの大臣のおっしゃっている意味が本当はつかめていなかったと思うんです。
 ところが、今度、やはりこうして日本でも起き、私も何度か被災地に入らせていただきました。インフラの復興、もちろん必要です。しかし、同時に、こういう被災者が抱えておられる悩みを何とか解決する道をつくっていく、これは決して、法律相談ですから、心のケアというだけじゃありませんけれども、そういう役割も果たしていくんだという意識が私は必要なんじゃないかな、こんなふうなことを感じて帰ってまいりました。
○大見委員 大臣から、被災地に対する法務省としての取り組み、また人間としての取り組みというのをしっかりと伺ったような気がします。
 残余の質問、若干、東日本大震災関係があるわけでありますけれども、大臣のお気持ちはしっかりと承りましたので、次の質問の方へ行きたいというふうに思っております。
 最後、大きな項目でありますけれども、司法制度改革について伺いたいというふうに思います。
 十年ほど前に司法制度改革が始まりまして、その際に、質、量ともに豊かな法曹を養成するということを目的として、司法養成制度が改革をされました。そして法曹人口を増加させるとともに、受験勉強一辺倒の司法試験のあり方を見直して、法科大学院の設置を初めとして、法曹人の養成を、試験という点から、プロセスを重視して質の向上を図るという観点からの改革を目指したというふうに承知をしております。
 社会がますます複雑多様化している中で、さまざまな国民生活において、専門家である法曹に対するニーズも、より多様化、高度化するという方向は変わらないのではないかというふうに思っております。また、先ほど震災のところにもありましたけれども、人々の心に寄り添うような、そうした法曹人も必要とされてくるのではないかというふうに思っております。
 この委員会でも法科大学院の議論がされているところでありますけれども、そのような中にあって、法律の専門家である法曹が果たす役割というのは依然大きく、質、量ともに豊かな法曹を養成するという司法制度改革の理念自体は揺るぎないものではないかというふうに考えております。
 そこで、司法制度改革の理念とその継承、維持につきまして、副大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
○後藤副大臣 社会の隅々まであまねく法曹が行き渡ることで法の支配を貫徹させる、それを目指すという司法制度改革でございます。
 その中におきまして、法曹の質を確保しながら、従来よりも多数の法曹を養成するために、委員御指摘の、プロセス教育を重要視しました法科大学院を中核として、司法試験や司法修習と有機的に連携した新しい法曹養成制度を導入したところでございます。
 こうした新しい法曹養成制度のもとでも、既に多くの有能な人材が法曹として活躍するに至っておりまして、大見委員御指摘のとおり、質、量ともに豊かな法曹が養成される、その目標は非常に重要なことであるというふうに考えております。
○大見委員 そうはいいながらも、法科大学院の議論では非常に難しい課題がたくさんあるということが示されたわけでありますけれども、ちょうど、質、量両面の中での求められる法曹人に対しまして、産みの苦しみというような状況が今の状況ではないかというふうに感じております。
 法曹、特に弁護士の分野では、数が増加をして競争が激しくなる中、司法試験を通ったものの、就職がままならないというような、そういう状況もあるというふうに聞き及んでおりますけれども、一方で、例えばTPPの議論の中に出てくるISD条項だとか、企業が持つ知的財産権をめぐっての企業間そして同時に多国間の訴訟が起こっている状況などから、国際的な訴訟に対応できる法曹人を求めるニーズ、あるいは自治体病院での医療をめぐる訴訟やら、地方分権や情報公開、最近では一票の格差の是正を求めますような、住民の権利意識の変化に対応できるような人材など、法曹でなければ担うことができない分野もいろいろと拡大してきているように感じております。
 そうした多様な事案に対応できる法曹人の確保というのが求められているわけでありますけれども、特にその中でも、社会あるいは経済のグローバル化が進んでいる中、海外進出を検討している中小企業への法律面からのビジネスサポートやら、相手国の法律や国際的な貿易や投資のルールに精通した法曹人材の育成と確保は、我が国のこれからの成長戦略を描いていく上でも非常に必要不可欠なことだというふうに認識をしております。
 そこで、法曹が海外や海外を相手にした積極的な活動を促進することについて、後藤副大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
○後藤副大臣 司法制度改革におきましては、法曹がその特性を生かして広く社会に進出し、その活動領域を拡大することが重要だというのは、今まさに大見委員からの御指摘のとおりでございます。
 政府におきましては、平成二十四年八月に設置されました法曹養成制度関係閣僚会議とともに、その下に設置された法曹養成制度検討会議で、法曹有資格者の活動領域のあり方を広げていく検討をしておりまして、まさに、特に御指摘のありました海外展開業務の分野についても、活動領域の拡大が必要だということで検討をいたしております。
 特に、今後我が国の弁護士が海外で業務を展開することは、ビジネスサポートの点からも、あるいは契約ルールをつくっていく観点からも、さまざまな点で非常に重要でありまして、法務省として、こうした検討の結果も踏まえまして、関係機関や団体と連携しながら、こうした領域でますます有資格者が活躍していけるように検討をしてまいりたいということでございます。
○大見委員 ありがとうございました。質問を終わります。
○石田委員長 次に、枝野幸男君。
○枝野委員 よろしくお願いいたします。
 済みません、赤羽副大臣にも来ていただいているので、ちょっと順番を変えて、そちらの問題から先にやらせていただければというふうに思います。東京電力福島原子力発電所事故による損害賠償請求の時効の問題でございます。
 これについては、二月の四日に東京電力が、消滅時効に関する弊社の考え方についてというコメントを発表し、また、このときに社長コメントというものも出していただいております。損害賠償請求の消滅時効は三年でございますが、東京電力は事故から三年たったら時効で賠償が終わりなどということはもとより全く考えておりませんという趣旨のコメントを出していただいておりますし、消滅時効の起算点や時効の中断事由などについて非常に広く前提にして対応していく上に、起算点や時効中断事由などについて幅広くとってもそれでも直接的には対応できない件についても、柔軟な対応をするということを言っております。
 この点に限って言えば、東京電力のこの対応は評価をするべきものと思っておりますし、茂木経産大臣・原子力損害賠償担当大臣もこの件についてしっかりと対応していただいたというふうに思っておりますので、評価をしたいと思っております。
 ただ、これに対してもいろいろな声が出ている中で、民法百四十六条には、時効の利益はあらかじめ放棄できないという明文規定、強行規定がございます。これがありますので、そうはいっても、柔軟な対応をとります、あるいは、時効で賠償が終わりなどということはもとより考えておりませんと東京電力がコメントしていても、それでも心配だという声が出てきております。
 実質論としては、東電が時効を援用して賠償請求をはねるということは考えにくいとは思いますが、それでも被害者の皆さんにとっては大変不安であると思いますので、これについて、経済産業副大臣と、そして、時効、民法を担当している法務大臣からのコメントをいただきたいと思います。
○赤羽副大臣 御質問ありがとうございます。
 私も、昨年十二月二十七日に経済産業副大臣を拝命いたしまして、原子力災害対策の現地災害対策本部長ということで、一月二日から毎週二日間、福島の当該地域を訪れさせていただいております。
 本当に、被害に遭われた地元の方々と率直に接触をする中で、東京電力並びに政府に対する不信感が大変強いということを率直に感じている中で、今回の原子力災害の多くの被害者の皆様がこの時効に関して不安を根強く抱かれているということは、枝野委員御指摘のとおりだと考えております。
 それに対しまして、今、御質問の中に御説明ありましたように、東電としての基本的な考え方、方法について、一つ目には、被害者の方々が東電から請求書、ダイレクトメールを受領している限り、東電が消滅時効を主張できる状態とならないこと、二つ目には、本賠償を未請求の方に対しては戸別訪問など丁寧な情報発信を行うこと、三つ目には、東電みずからが把握できていない被害者の方々がなお存在する場合に備え、御請求のサポートに万全を尽くす等、被害者の方々が不利益を受けないよう、それぞれの御事情を十分踏まえて真摯に対応していくこと等々を、総合特別事業計画にも盛り込んでいるところでございます。
 この総合特別事業計画は、御承知のように、原子力損害賠償支援機構法に基づいて東電及び原子力損害賠償支援機構が作成をして、それを経済産業大臣が認定している大変な重要なものというふうに位置づけておりますし、経済産業省としても、事故から三年たったから時効で賠償が終わりなどということが万が一にもないように、被害者の方々に不安を与えないように、東京電力をしっかり指導していきながら我々もしっかりと取り組んでいきたい、こう考えております。
 以上です。
○谷垣国務大臣 今、枝野委員がおっしゃいましたように、東電が、時効の完成、これに柔軟に対応すると表明していることは私も承知しておりますし、これはなかなか時宜を得たものだろうと思います。
 他方、しかし、民法百四十六条、あらかじめ時効の利益を放棄することができないと明文で規定しておりますので、これで時効の利益を放棄したものと解釈することは難しいんだろうと思います。
 私の立場からしますと、訴訟になったときにどう判断されるかは、司法部の判断ですから、余り踏み込んだことは、確たる見通しを申し上げることは控えなきゃいけないんですが、こういう見解を東電が表明しておられるということになると、これで訴訟で消滅時効を援用するということになると、信義則の問題も生じないわけではないかもしれぬ、こんなふうに思ったりしております。
○枝野委員 ありがとうございます。大臣にもぎりぎりの線で踏み込んでいただいて、感謝を申し上げたいというふうに思います。
 東電の損害賠償債務については、一定の前進と評価ができるというふうに思っておるんですが、実は、ここは言い方を注意してやらなければいけないと思っておりますが、実質、既に何件か出ているという話も聞いておりますし、少なくとも請求が起こることについて間違いなく予想できるのが、この原発事故に起因をして、国家賠償法に基づく損害賠償請求があり得るだろうということでございます。
 ここでは、国としての責任があるのかどうか、失礼、気をつけないといけません、法的責任があるかどうか、政治的、社会的責任は免れないと思っておりますので、法的責任があるかどうかについてはきょうは立ち入らないことにしたいと思いますが、請求があるだろうということは否定できないというふうに思っております。
 まず、前提として、これは政府参考人で結構ですが、国家賠償法に基づく請求権の消滅時効、これも三年ということでよろしいでしょうか。
○深山政府参考人 国家賠償法には、消滅時効に関する特別な規定は置かれておりません。
 国家賠償法四条は、特別の規定がない部分については民法の規定によるとなっておりますので、御案内のとおり、民法の七百二十四条が適用されて、三年の消滅時効にかかるということでございます。
○枝野委員 となりますと、今の状況で、来年の三月十一日が、あるいは十二日とか十三日とかが起点になるかもしれませんが、三年がたつわけでございます。
 東電に対する請求権は時効ではねられることはないだろうというふうに思っていただけると思うんですが、そのときに、例えば訴訟とかいろいろなことを考えるというときに、では国も訴えることにしようかどうしようかということを、今のままだと、来年の三月までに被害者の皆さんは判断しなければならないということを余儀なくされるというおそれがあるというふうに思います。これは誰にとってもいいことではないと思います。
 国としても、もちろん、責任があるならばしっかりと法的責任を果たさなければいけませんが、国に対して責任を追及するかどうかはじっくり考えてという被害者の皆さんの立場からも、じっくり考えることなく、来年の三月までには判断しないといけない。ということは、恐らく、非常に大量の国を相手にする訴訟等が起こる。つまり、少なくとも時効を中断させるような法的行為が行われる可能性が出てくる。じっくりと、例えば、東電がしっかりと賠償されるならばということのお考えの方まで訴訟を起こされるかもしれない。
 そうすると、国としても、たくさんの訴訟に対応しなきゃならないということになりますし、被害者の皆さんも、別に国まで相手にしなくても、結果的に東電がちゃんと賠償してくれたからそれでという、国は国で、国家賠償法に基づく責任ではなくて、さまざまな政策的手段で復興支援をしてもらえばと思っている方だとしても、時効になっちゃうから、その前には訴えておかなきゃいけないんじゃないかということを余儀なくされるとすれば、それはさまざまな精神的なものを含めて負担がかかりますから、被害者の皆さんにとっても必ずしも望ましいことではない。
 そうした意味では、国に対して国家賠償法に基づいて責任を追及するのかしないのかということについて、来年の三月までに判断しなさいということを被害者の皆さんに迫るのは、誰にとってもいいことではないというふうに思います。
 すぐにお答えをいただけると思いません。なかなか難しい問題だというふうに思いますが、こうした問題意識も、東電の時効だけではなくて、国賠法の三年消滅時効についてもどうすればいいのかということは、これは、原子力経済被害担当、実態としての経済産業省とそれから法務省とで、しっかりと、しかも早期に検討していただく必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、それぞれの御見解をお願いします。
○赤羽副大臣 お答えします。
 私どもも、既に、被災者また被害者の一部の方々が国に対して訴訟を提起しているとの報道もあり、そういったことがあるということは承知をしておりますが、枝野委員よく御承知のように、今回の原子力損害に係る賠償につきましては、原子力損害の賠償に関する法律に基づきまして東電が一義的な責任を担うこととなっておりますし、国として、まずは、東電による賠償が円滑かつ適切に行われるよう、原子力損害賠償支援機構を通じた支援など、責任を持ってしっかり支えていくということが第一点。
 もう一点は、国に対する賠償請求や訴訟が起きた場合は、今御指摘のように、提訴された訴訟について、関係省庁と必要な協力をしつつ適切な対応をしてまいりたいということになります。
 よろしくお願いいたします。
○谷垣国務大臣 今、枝野委員が指摘されたような状況は私どもも意識しております。私としても、国の代理人になる立場もあり、また、基本法制というものを所管しなきゃならない立場もございまして、今にわかに明確な、快刀乱麻を断つような答えを申し上げることは大変難しゅうございます。
 ただ、訴訟を起こすのは国民の皆様の権利でございますから、これを否定することはできませんし、現行の制度を前提としますと、来年の三月までに大量の訴訟が起こってくるということも、これはあり得ないわけではないと思っております。これは、私どもも、経産省等々と十分相談しながら、国賠法のこれからの動向も見なきゃなりませんが、よく検討しておきたいと思っております。
○枝野委員 なかなか即答いただけないのは十分わかっているつもりですが、ぜひしっかりと検討してください。
 私も、四カ月前までそちら側の立場でこの問題に対応しておりましたが、その責任もありますので、被害者の、特に弁護団などの皆さんとはいろいろと意見交換等しておりますが、やはりあれだけの被害を受けられた皆さんですので、もちろん、中には裁判所でいろいろな決着をつけてということを望まれる方もいらっしゃいますが、かなり多くの皆さんは、裁判とかなんとかでそこに時間とかエネルギーをかけたりとかということよりも、とにかく早く復旧復興したいという思いでいらっしゃいます。
 ですから、そうした思いの方が多くいらっしゃることを前提にしつつ、なおかつ、まさに被害者の皆さんの権利をしっかりと擁護、守るという見地から、柔軟かつ適切な対応を特に経産省と法務省とで御相談いただければというふうにお願いを申し上げます。
 その上で、テーマをかえまして、前回に引き続いて、法曹養成の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 赤羽副大臣初め経産省の関係の皆さん、以上でございますので結構でございます。ありがとうございます。
 前回の議論で、現在の司法試験の合格率というか、ロースクールの定員の多さというか、本来は、六割、七割ぐらいの方は、ロースクールでまさにプロセスをしっかりと学んだら、従来の司法試験みたく、受けてみても受かるかどうかわからないみたいな試験じゃなくて、普通にちゃんとやっていれば受かりますよねというようなことを想定して今の仕組みができた。だからこそ、社会人の方に、会社をやめて学び直して、そういった方もどんどん出てきてほしいとか、そういったことも期待をされていたわけでありますが、現状のロースクール出身者の皆さんの司法試験の合格率というものは、全くその想定と違っている。
 このことについての認識、これはこの間確認しましたが、ここについては、おおむねの認識、大臣、同じような認識でよろしいでしょうか。
○谷垣国務大臣 私も何度も司法試験をおっこったものですから、点で判断するというのは嫌だなと、プロセスに期待した一人でございます。
 それで、枝野委員御指摘のように、法科大学院でしっかりやれば、大体七、八割はプロセスとしてきちっと選ばれるというのが前提だったはずですが、これは今、数字を見てみますと、単年合格率では法科大学院を出た人は二五・〇六%、それから、累積して何度受けてもやっと半数に行くか行かないかというところでございますから、当初の想定とは大きく異なってきている。共通の認識だと思います。
○枝野委員 ここから先は、実は私も司法制度改革のときにそこまで思い至らなかったですし、その後、与党をやらせていただき、政府の仕事をさせていただいたときも気がつかなかったんですが、最近ふと気がつきまして、実は、ロースクールの定員を、そもそも最初から、司法試験の合格者の総定数に合わせてある程度歯どめをかけておくべきだったのではないか。それができないと思っていたんですが、よく考えたら医学部はやっているわけでございます。
 医師の養成数は、入学定員、平成十九年までが七千六百人余りだった、これを平成二十四年度までに九千人弱まで増員している。二十五年度は、さらに地域枠を設定したり、大学ごとの定員を対応状況次第によって増員可能だというようなことで、いずれにしても、医学部の入学定員を縛っている。この事実関係、文部科学省、よろしいですね。
○常盤政府参考人 お答え申し上げます。
 医師の養成につきましては、今御指摘のとおり、昭和五十七年以降、設置認可に当たって医学部定員の増を認めないことといたしました。また、各大学は、その当時の定員から定員減を行った次第でございます。
 その後、平成二十年度以降、設置認可に当たって定員増を認めておりまして、定員増に当たっては、地域枠の設定、あるいは各大学の入学定員の上限の変更などを行っているところでございます。
○枝野委員 さて、この医学部の大学設置や定員についての認可、定員の大枠を定めていることについての法令上の根拠は何でしょうか。
○常盤政府参考人 今申し上げました医師の養成の扱いでございます。
 昭和五十七年度に閣議決定がございまして、それを踏まえて、定員増の抑制あるいは定員の減ということが行われてきております。
 定員増の抑制ということにつきましては、文部科学省の告示に基づきまして、設置認可に当たって定員増を原則抑制するということとしておりました。平成二十年度以降は、先ほど申しましたが、関係大臣の合意等に基づきまして告示を改正いたしまして、条件つきで定員増を認めるという扱いをしているところでございます。
 一方、定員の減ということにつきましては、同じく昭和五十七年の閣議決定を受けて関係省庁でその後検討が行われまして、医師の新規参入を一〇%削減するなどの提言が出されたことも踏まえまして、各大学において入学定員の縮減を図ったということでございます。
○枝野委員 それでは、確認をいたしたいと思いますが、政策論としてロースクールの定員を縛るのかどうかということは別として、縛ろうと思えば閣議決定と文部科学省告示で縛ることは法令上可能であるということですね。
○常盤政府参考人 ただいま医学部の例について申し上げましたが、定員増の抑制という点につきましては、医学部の例にもございますように、閣議決定や告示の改正などで対応してきた例があるというところでございます。
 一方、定員の縮減ということにつきましては、医学部の場合、大学の主体的な取り組みを進めたところでございますけれども、法科大学院の今後の扱いについては、政策の経緯や進捗状況、法的、政策的な検討課題を含めまして、現在、政府の法曹養成制度検討会議で議論が重ねられているところですので、その結果を踏まえて対処してまいりたいというふうに思っております。
○枝野委員 要するに、政策論としてこれでいこうということであれば、法律の改正すら要らない、閣議決定と文部科学省の告示でできる。それで、医学部については入学定員を枠をはめて、したがって、医師の国家試験についても、大学によって合格率に差はありますが、普通の方は、医学部に入れば、普通にやっていれば医者にはなれる。もちろん、医学部の勉強は多分大変なんだろうと思いますけれども。ということで、まさにプロセスで医師を養成するということが、少なくともその視点の限りにおいてはうまくいっているわけです。
 私も、まさに十数年前の議論のときに、医者がやっているんだからできるじゃないかという議論をすればよかったんですが、正直言って、そのときはそこまで思い至りませんでした。
 むしろ、これからですから、実際に今あるのを減らせとかということは、定員をふやすなということ以上に難しいところがあるとは思いますが、まさに谷垣大臣、プロセスでやることが大事だというお考えであるならば、ここは、これもすぐに、わかります、やりますとお答えになれないのはよくわかりますが、今現在行われている議論の中で、実際に前回の議論でも、さすがにちょっとこれは教育の水準としてもいかがなものかというのが客観的な数字で出ているロースクールが少なからずあるというような状況の中でありますから、頑張って維持しようか、だけれども維持すると大学として赤字が積み重なってしまうんじゃないかとか、そんな中途半端なことを大学に迫るよりは、むしろ、きちっとこれぐらいの定員にする、すぐにできなければ何年計画でこうするとかいうことでちゃんと枠を絞って、そして、まさに当初の想定どおり、ロースクールに入れば、そうなると入るのが難しくなると思いますが、やはり七割、八割、医師などを考えると本当はもうちょっとかなと思いますが、ちゃんとプロセスで学べば司法試験の方は受かるんですと。
 こういう制度に持っていくためには、まさに定員の抑制のところを、繰り返しになりますが法律改正が要らないんですから、ぜひ御検討いただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 仕組みとしては、今文科省と先生の間の御議論のとおりだと私も思うんですね。
 それで、この制度ができたときのいろいろな経緯は、私も十分、全部詳細に把握しているかどうかは別としまして、やはり参入障壁をつくることに対する警戒心が非常に市場を重視する方々からは強く出ていたという事情があの当時にあったと思います。ですから、結論は政策的判断なんだと思うんですね。
 それで、今、どう教育の質の向上も図りながら、確保しながら司法試験合格率を上げていくか、これはまさに法曹養成制度検討会議の主要テーマでございますので、その中で、法科大学院の定員あるいは設置数のあり方についても今議論していただいている。今私がお答えできるのはそこまででございまして、よい結論を出していただくのを見守っているという段階でございます。
○枝野委員 これはどちらかだと思うんですよ。
 実は私は埼玉でございまして、埼玉は国公立の医学部のない県でありまして、県立の医大が欲しいというかなり強い声がありますが、まさに医学部についてはああいう枠がはめられているので、なかなかそう簡単につくれないというようなことの壁にぶつかっています。
 まさに、参入障壁を求めないということであるならば、ロースクールには参入障壁を設けないけれども医学部には設けるというのは全くナンセンスな話で、医学部もどんどんつくって、そのかわり合格率は五割とか四割になるかもしれませんよということでやるんだったら合理的です。だけれども、医学部は入ったら大部分が受かるようにしておいて、こっちは参入障壁をつくっちゃおかしいから、参入障壁をロースクールに設けない、これは明らかにアンバランスだと思います。
 どちらでも僕はありだと思います、この問題は。医師とかあるいは法曹三者の重要性とか、あるいは、それを目指す人にとっても非常にコストがかかるということを考えたら、医学部に入って高い授業料を払ったけれども六年たったら医者になれなかったでは、なかなか入ってこないんじゃないか。今、ロースクールはそれに近い状況が起こっているわけですが。だから、参入障壁、大学の設置というところでは枠を絞ってということを両者ともやるのはありだと思うし、逆に、両者ともなしならなしだと。
 どっちかにしないとこれはアンバランスだと思いますので、お答えがいただけないのはよくわかりますが、法曹養成という観点だけでなく、国務大臣としてもぜひそのアンバランスということも考えて、もちろん、諮問をされているわけですから、諮問の答えが出るまではなかなかおっしゃれないかもしれませんが、諮問の答えが出たらそれに必ずしも一〇〇%従わなきゃならない仕組みではないはずですので、特に、まさにそこの諮問していない医学部の入学定員の問題だなんというのは、国務大臣としてもしっかりと、バランスのとれた議論と結論が出されるようにお願いをいたします。
 その上で、現状の司法修習の問題についてなんですけれども、いわゆる給費制が廃止をされて、これもなかなか、わからないではない。特に、弁護士になればそれなりの高い収入が得られるんじゃないのというのが、大臣や私が弁護士になるころはそうだったかもしれないという経緯もありますから、わからないではないんです。でも、給費制をなくして、今の状況で、しかも一般的な大学を卒業してロースクール二年やって、順調にいっても二十五ぐらいの人が無収入で一年間修習する。
 確認をしたいんですが、これは法務省、最高裁の事務総局、どちらでもいいですが、司法修習生、私のころには修習専念義務がありましたが、今も修習専念義務がある、つまり、修習生をやりながらアルバイトをしてはいけないということになっている、これで間違いありませんね。
○小川政府参考人 お答えいたします。
 司法修習は、新しい法曹養成制度においても実務教育の主要部分を担う不可欠の課程として置かれておりまして、法律上、これは裁判所法でございますが、司法修習生は、修習期間中、修習に専念すべき義務を負うこととされておりまして、原則的に兼職、兼業は禁止でございます。
○枝野委員 ということは、つまり、一年間無収入ということを前提にしているわけなんですよね。
 一年間無収入を前提としていて、例えば実務修習というのは、もちろん東京修習の方もいらっしゃいますが、今は埼玉の和光の研修所で最初と最後二カ月ずつの四カ月ですか、もうちょっと短いのかな、やって、後は地方に行く。この地方に行くときの例えば旅費や引っ越し費用、これは公務員との比較でどうなっているのか教えてください。
○垣内最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 司法修習生に対しましては、一つは転居を伴う場合における採用内定時の住所地から実務修習地までの旅費、それから集合修習に参加するために実務修習地から司法研修所に移動するための旅費、そして実務修習中に事件出張等に要する旅費等を国家公務員に準じて支給しておりますが、引っ越し費用については支給しておりません。
 以上です。
○枝野委員 普通は、早くて二十四歳で司法研修所に入るわけですよね。専念義務があるからバイト等をしてはいけないから、一般的には他に収入はない、とりあえず旅費、つまり移動の本人の電車代は出るかもしれないけれども、引っ越し費用も出ないということで、一年間どうやって食べていくことを想定、前提としているのか。
 これは答えを求めませんが、あえて極論を言いますが、資産がない司法修習生で働くことができないということは、生活保護でももらえというのかな、生活保護を申請したらもらえるのかなと私は実はきのうから疑問に思っていて、調べてみなきゃいけないなというふうに思っているんですね。この仕組みはやはり幾ら何でもちょっと無理があるんじゃないか。
 ましてや、これはまさに、今回の一連の司法制度改革の一つのポイントとしては、大学の法学部に入って、大学で法律を勉強して、それで弁護士になる、裁判官になる、検事になるという人ばかりではよくないよね、ほかの学部を出た人とかあるいは一度社会人をやった人とか、そういう人たちがロースクールへ入って法曹三者になっていく、こういうことが大事だよねと。
 特に社会人からなった人なんというのは、まずロースクールに行く二年間どうやって食うのか、その後、司法修習の間どうやって食うのか。資産のある方はいいでしょう。資産のある親戚でもいて、保証人になってくれてお金を借りられるならいいでしょう。だけれども、私は、幾ら何でも今の制度にはちょっと無理があるんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
○谷垣国務大臣 これはなかなか、私も今、これは諮問をしている最中でございます。法曹養成検討会議の中でも、定数をどうしていくかとか、そういった問題ももちろん大きな問題でございますが、同時に、今のような問題、司法修習生に対する経済的支援のあり方、これも大きなテーマでございます。
 それで、一つは貸与制というものを入れたわけです。その趣旨も、やはり今までの五百人から、三千人というのは一応今度は非現実的だねということにいきますが、やはり五百人から三千人になったときに、明らかに法律家の質的変化というものを考えたと思うんですね。そこで、貸与制というものをあのときに入れたのは、それなりに意味がなかったわけではないとは思うんです。しかし、あれは途中でまた裁判所法を変えましたよね、返還期限の延長を求めようという。やはり少し無理があったということでしょう。
 ですから、そのあたりを踏まえて、どうしていくかということは十分議論を煮詰めていただかなきゃいけないと思っております。
○枝野委員 これは幾つかの考え方があると思います。簡単ではない。
 確かに、司法研修所を出て、それこそお金の稼げる事務所で弁護士をやれば、それはロースクールの費用を含めて短い期間であっという間に、例えば借金をしたとしても返して、大きな個人的な収入も得られるという人も出るでしょうけれども、必ずしもそれが最近は多数派ではないような気もするし、先ほど来申し上げているとおり、社会人を経験してからとか家族を抱えてとか、そういう人たちにとっては物すごい参入障壁になってしまっているだろうというふうに思うんですね。
 だから、従来、大臣や私の時代のように、一律に全部国が給料を持ってということが必ず必要だとまで言い切るつもりは私は現時点ではありません。しかし、その時代のよかった点、悪かった点も含めて、そのことも含めてちゃんと議論をするべきである。
 逆に、一方では、今も二回試験という言い方をするのかどうかわかりませんが、研修所の卒業試験、終了試験に落ちれば自分がリスクをとるわけですから、あえて言えば、そうしたことの中で専念義務を外す。だから、稼ぐならバイトをして稼ぎなさい、そのかわり、ちゃんと勉強しなければ二回試験で落としますよというやり方も、場合によってはあるかもしれない。多分、後者のような視点は今まで余りおっしゃる方はいなかったと思うんですが、こういうことまで含めて幅広く議論と検討をしていただきたいというふうに思います。
 残り五分なので、最後にもう一点だけ。
 法曹養成制度検討会議で修習生や若手の法曹からどの程度意見を聞いたのかとあらかじめ尋ねたら、経済的な状況に関する調査はかなり大規模なものをなされた、あとは、ロースクールか何かを視察したときにそこの方から意見を聞いたみたいなことがあるんですが、私は、私のみずからの経験からも、若手の法曹の皆さんあるいは修習生の皆さん、場合によっては受験生の皆さんにかなりきちっと意見を聞くべきだというふうに思っています。
 十年ちょっと前の司法制度改革の議論のときに、私は研修所を出て十年ちょっとぐらいの段階でした。大臣と多分二十年ぐらいの違いだと思うんですけれども。私は当時、そのころの司法試験の仕組みと、そのころの司法試験を受ける受験生がどういう勉強をして、どういう学び方をしてということを当事者として経験してきたので、かなり自信を持って申し上げました。
 基本的には、今の日本では、全部とは言いませんが、大学の法学部の教育よりも司法試験予備校の法学教育の方が、単なる受験テクニックというレベルではなくて、きちっとわかりやすく、法律とは何なのか、法的思考とは何なのかというようなことをちゃんと教育しているのはむしろ予備校だと、私自身の体験として、かなり自信を持って申し上げました。
 だから、今の大学をベースにしてロースクールをつくったりいろいろなことをやったとしても、なかなか思ったとおりの結果は出ませんよ、それから、結局はセカンドスクールの方で勉強をすることになってしまって、ロースクールの費用がかかる上に予備校の費用もかかるような話になりますよというようなことを、私は、みずからが当事者として経験をしていたので、自信を持って申し上げました。
 今の例えばロースクールを受験しようとする人らがどういう勉強をしているのかとか、ロースクールでの勉強の中身がどういうものなのかとかは、いろいろ情報は聞きますが、今は当事者じゃないので、あのときほど自信を持っては言えません。
 今、大学やロースクールがどういう教育をしていて、それが役に立つのか立っていないのか、あるいは予備校がどういう教育をして、それがどういう中身で、まさに受験テクニックだけなのかそうでないのか、こういったことについて一番実はわかっているのは、当事者や、この間まで当事者だった人たちなんですよ。大学の偉い先生とか、弁護士会の偉い先生とか、産業界の偉い先生とかも大事ですが、一番実態をわかっているのはそういった人たちです。だから、そういった人たちにかなりきちっと意見を聞く、意見を言わせるということをやらないと、やはり現場の実態と机の上での議論がずれると私は思っておりますので、ぜひそういった視点で意見を集める。
 ぼちぼちはパブリックコメントとかはあるんでしょうが、最終段階でじゃなくて、まさにそういった人たちの声がむしろ議論の出発点だという観点で議論を進めていただきたいんですが、これについてのお答えをいただいて、終わりたいと思います。
○谷垣国務大臣 私は、予備校もないころ司法試験を受けていたもので、今、枝野委員のお話を伺いながら、なるほどと感じました。
 ただ、法曹養成検討会議では司法修習生に対するアンケートもやったようですし、それから、ちょっとお触れになりましたけれども、その検討会議の方々に法科大学院にも視察に行っていただいて、そのときに大学院生の意見も聞くということもやっていると聞いております。
 そういった状況を踏まえて、実は、検討会議も今、座長の私案が出ておりますが、大体四月九日に案が確定する予定で作業を進めていると思います。その後、今委員がおっしゃったパブリックコメントになると思いますが、ここのところで、受験生も結構ですし、大学院生あるいは若手法曹に十分御意見を寄せていただければというふうに期待をしているところでございます。
○枝野委員 ありがとうございました。
○石田委員長 次に、階猛君。
○階委員 民主党の階猛です。
 先ほどの法テラス気仙のお話は、大臣、非常にすばらしい答弁だったと思います。ぜひそのお気持ちでもって、被災者の方に寄り添うような法的な支援をお願いしたいと思います。
 私は、弁護士時代に犯罪被害者の支援に取り組んでいました。犯罪被害者も津波で被災された方と同じく、ある日突然、何の落ち度もないのに大切な家族を奪われたり、みずからが傷を負ったり、また財産を失ったりと、こういう意味では共通していると思うんですね。私は、犯罪被害者の支援についても、大臣にはぜひ津波の被災者と同じような気持ちで取り組んでいただきたいと思っております。
 きょうは、そのような観点から、犯罪被害者にかかわること、実はこの後の法案の提案理由の説明にもかかわることでございますが、そうしたことをお聞きしたいと思います。
 まず最初に、今これから提案理由の説明がされると申しましたけれども、要するに、犯罪被害者が刑事裁判に参加するための制度について、より手厚くしましょうという法案なんですね。つまり、犯罪被害者の方が刑事裁判に出るときの旅費を支給したり、あるいは、資力が乏しくて、犯罪被害者として弁護人を頼みたいんだけれども頼めない方に、国費で弁護人の費用を賄ってあげよう、こういう仕組みです。この方向性自体は私も異存はないところですけれども、さらに一歩進んだ手当てができないものかということです。
 私が日弁連の方からお話を聞いていますと、昨年の三月の十五日ですか、立法提言というのが出されて、その中で、いろいろあるんですけれども、無料の法律相談、これは、資力にかかわらず、まさに先ほどの津波の被災地の話と同じようなことですけれども、こういう制度を設けられないか。
 あるいは、今現在日弁連が自分たちのお金で行っている被害者支援の仕組み、これは日弁連がお金を出して法テラスの方で実施している援助事業というものでございます。例えば、被害届の提出であるとか、告訴、告発であるとか、事情聴取に同行するとか、犯罪被害者等給付金申請、あるいは、加害者側と対話するとか、和解の交渉をするとか、いろいろあるんですが、こういうものについて、弁護士会でお金を出しているけれども、だんだん利用がふえてきて、だんだん厳しくなってきている、それを国費で賄えないかというような提言があったわけです。
 私も、被害者の置かれた立場を考えると、こういう手厚いことをぜひやるべきだと思っております。
 今、日弁連でやっているようなこうした援助事業、あるいは、先ほど申し上げたのはその前提となる無料の法律相談、こういったものを国費でやるべきではないかと思うんですが、この点について大臣の御所見をお願いします。
○谷垣国務大臣 犯罪被害を受けられた方々に対して、弁護士によって必要な法的支援が行われる、これは極めて大事なことだと私も思います。
 今、階委員がおっしゃいましたように、法テラスでは、被害者参加人のための国選弁護制度あるいは民事法律扶助制度、これを活用するなどした犯罪被害者援助を実施しているほかに、第二次の犯罪被害者基本計画というのをつくっていただきまして、それで被害者参加人に対する旅費等の支給などの対応を行う、これはこの後また法律で出させていただくわけですが、検討しているわけでございます。
 そこで、日弁連の委託事業、つまり、そういう法制度で国がバックアップできないものに対して、日弁連が委託事業という形で日弁連の負担でやっていただいているのがあるわけです。これは非常にありがたいお取り組みだと私も思います。
 ただ問題は、そこから先、もっと手厚くせよというのは、つまりそれは国費で何とかできる仕組みはできないかというお問いかけだと思いますが、結局ここは、最終的には、どういうところに国費をもってやっていくのか、どういう弁護士活動に対して国費支出の対象とするのかという議論をしていかないといけないわけですね。そうしますと、結局、合理的な国民負担であるのかどうかという観点から、制度全体として整理していかなきゃいけない。また、私の立場からしますと、それはやはり財務省と予算の折衝をしてとれるかどうかという問題にもなってくるわけでございます。
 だから、これは現在の制度全体を見なきゃお答えが出せませんし、それから今の厳しい財政事情も考えなきゃいけない、非常にお答えがしづらいところでございます。そういった検討を踏まえないとお答えができにくいということを申し上げたいと思います。
○階委員 大臣の先ほどの津波で被災された方への思いからすると、当然、犯罪の被害者で不幸な目に遭った人に対しても、何かしなくてはという思いもおありだと思いますよ。
 例えば、せめて無料の法律相談ぐらいはしてあげて、その中で、先ほど心のケアとおっしゃられましたけれども、法的に何か問題があるかどうかわからないけれども、まず一回ちょっと寄り添ってあげる、これぐらいはしてあげてもいいんじゃないかなと思うんですが、その点だけお願いします。
○谷垣国務大臣 確かに、そういう寄り添いという気持ちを法律家が持ち、そのための制度を整えていこうということは私は大事なことだと思います。
 ただ、やはり、そういう制度をどう整えていくかという観点に立ちますと、全体の財政状況等も見ながらやっていかなきゃならない、そういうことだろうと思います。
○階委員 この点については、この後の法案の中身を吟味させていただいて、必要があれば、理事とも協議して、我々の方で修正の案なども出させていただければと思っております。
 次のテーマに移りますが、平成二十二年に施行された法案で、私どもの政権のときにやったことですけれども、重大な法律については時効を撤廃する、あるいは延長するという中身でございました。
 お配りしている資料の二というカラーのものをごらんになっていただければと思うんですが、そもそもなぜ、重大犯罪、殺人等の凶悪な犯罪について、公訴時効、事件から一定期間たつと刑事罰を問えなくなるか。この趣旨、当時、私も犯罪被害者の方から御意見を聞きました。特に、世田谷一家四人殺人事件というまだ未解決の事件があります。(谷垣国務大臣「宮沢さんね」と呼ぶ)ええ。その遺族の方からもお話を聞きました。
 公訴時効というのは、よく言われるのは、このペーパー、資料二の右上の方に趣旨というのが書いてありますけれども、時間の経過による有罪、無罪の証拠の散逸であるとか、時間の経過による被害者及び社会の処罰要求の希薄化、あるいは三点目として一定期間訴追されていないという事実状態の尊重という、三点が挙げられます。
 ところが、やはり遺族の方にすると、これ自体が大変被害者にとってはつらい、あるいは悔しい思いがする。例えば、処罰要求の希薄化とあるんですが、被害者の方にとってみると、事件のときから時間がとまったままで、そのときの感情は未来永劫引きずるものなんですね。その中で、刑事事件としては一定期間が過ぎると責任を問えなくなるというのは到底納得できない、そういうようなお話。本当に我々も心に響いて、政権担当当時に法を改正させていただきました。
 そこでお尋ねしたいんですが、この法案の中で幾つか附帯決議があります。大変汚くて恐縮なんですが、次の資料三というのをごらんになってください。
 例えば、この附帯決議、手書きで、右側の方ですけれども、漢数字の四番のところに、「性犯罪やひき逃げ事案等、人を死亡させた犯罪以外の犯罪についても、事案の実態や犯罪被害者等を含めた国民の意識を十分に踏まえつつ、公訴時効を含めた処罰の在り方について更に検討」ということで、前回の法案、平成二十二年の法案ではこういった犯罪については手がつけられなかった。
 ところが、やはり、性犯罪、特に子供が被害者となる性犯罪については、世界的には、これは、時効を撤廃したり、あるいは、成人に達するまで時効期間を停止したりというのが潮流なんだそうです。また、そうしなければ、犯罪被害に遭った方は、当初はなかなか言い出せなくて、時間がたってから処罰を求めたいといったときに、時効が成立して対応できないということもあるということですから、私は、この四番目の附帯決議、こうした事件についても時効を延長すべきだと思っています。
 この点についての検討状況について、大臣の方からお聞かせいただけますか。
○谷垣国務大臣 今、四番目の項目について、性犯罪についておっしゃいました。
 まず、そこから申し上げますと、性犯罪について、これは、今のような附帯決議の御指摘もありますのと同時に、男女共同参画の観点からも、性犯罪に対してどう取り組んでいくかをきちっと検討せよという宿題を私ども負っておりまして、そちらの方は、平成二十七年度末までに何らかの結論を出せという御指摘を男女共同参画の方のプロジェクトからいただいているところでございます。したがいまして、私どもとしては、そういう尻も切られておりますので、検討を当然今しているところでございます。
 その検討をしていく上での視点を若干申し上げますと、公訴時効期間というのは、もう委員御承知のとおり、法定刑がどのぐらいかということによってそれぞれの長短が定められているわけですね。したがって、公訴時効をどうしていくかということは、同時に、一体どのぐらいの重みのある刑として処罰規定を、つまり、処罰規定のあり方とセットで見直さないとなかなか適切な解決が出ないということじゃないかと認識しております。ですから、公訴時効という観点だけではなく、犯罪の類型とか、それから実体法のあり方というものもあわせて考えなきゃいかぬ、こういう観点から検討しております。
 それから、公訴時効のあり方につきましては、確かに、さっき御指摘のような三点が通常言われております。時間がたつと証拠や何かもどこかに散逸してしまうじゃないか、長い間にやはり被害感情も和らぐのではないか、それから事実も重んじなきゃならない、こう通常言われているところでございます。
 しかし、さらに根本を考えていけば、今おっしゃいましたね、私、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、やはり検察官は被害者の感情も踏まえて物事を処理するということを考えていかなければ事件処理は適切に行われないんだと思います。もちろん、報復感情だけでやっていいというわけじゃありません。しかし、やはり犯罪をきちっと解決していくことが世の中の治安の安全感とかいうものにつながってくる。
 そういうことを踏まえて、尻も区切られておりますので、検討してまいりたいと思っております。
○階委員 時間がもう切れそうなので、最後に申し上げます。
 二十七年度というのは若干ちょっと遅いかなと思いますので、までにですから、なるべく早くお願いしたいのと、もう一つは、きのう法務省の方にお聞きすると、この時効撤廃法案が通った後、従来であれば時効にかかっていた犯罪がどれぐらい検挙に至っているのかということをお尋ねしたところ、把握していないということだったんですね。これから時効制度をどうするかということを考える上でも、また、遺族の方々の希望というか、それを実感していただくためにも、これはちゃんと検証すべきだと思っております。そこだけ、ちょっとお願いします。
○谷垣国務大臣 把握していないと事務方が先生にお答えしたかどうか、ちょっと私、十分報告は聞いておりませんでしたが、把握していないというのは、私の聞いている報告では、ちょっと行き過ぎなんじゃないかと思います。検察庁の方から法務当局に必要な報告は上がっていると思います。ただ、網羅的に全部そういうものを集積しているかどうかと言われると、必ずしもそうなっていないのかもしれません。
 それから、現実に、公訴時効が廃止されたことによって検挙することが可能になった事例も出ておりまして、平成二十五年二月、津の地検が公訴を提起した強盗殺人事件、これはかなり前の事件、平成九年四月の事件発生でございますが、公訴時効を廃止したことによって公訴ができた事案が生じております。
○階委員 ありがとうございます。ぜひ、そういう情報もどんどん発信してください。
 ありがとうございました。
○石田委員長 次に、田沼隆志君。
○田沼委員 日本維新の会の田沼隆志でございます。貴重なる質疑の機会をいただき、ありがとうございます。
 大臣の選挙区の舞鶴は、私、何人か仲間が、地方議員がいるものでして、あと、軍事的な施設に行くのが好きなものですから、いつか行きたいなと思っておりましたので、大変親しみを持たせていただいております。それは関係ありませんけれども。
 維新の会、私たちは理念を非常に大事にしております。自立と責任。自分のことは自分でやる、そして統治機構における無責任や責任の曖昧化を許さない、これが私たちの理念でございます。
 きょうはまず、自立する個人という観点で、尊厳死の問題についてお尋ねしたいと思います。
 過去、この尊厳死の問題は、厚労委員会のみならず、こちらの法務委員会でも何度か議論されていると思います。枝野委員、ちょっとおられませんけれども、以前質疑されたと記憶しておりますが、大変難しい問題だと思っております。
 過去、二〇〇六年の富山の射水市民病院事件などもありましたけれども、いろいろな事件のたびに議論の機運も高まりますが、なかなか前へ進まない現状もあろうかと感じています。大もとである国民の意識も、やはり依然、余り変わっていないんじゃないかと感じております。
 生き方については、夢、目標とか、人それぞれに考えがあると思うんですけれども、死に方について、果たしてどの程度考えたり準備したりといったことができているのかという問題意識がございます。
 特に、ゆっくりと最期を迎える場合もあるんですけれども、突然の場合というのがやはりございます。
 先日、救命センターで働く医師の方から話を聞く機会があったんですけれども、その先生が言われていたのは、救急医療の場合、特に苦痛を伴う、そのことがちょっと忘れられているのではないかという意見でした。一分間に百回以上繰り返す心臓マッサージなどをやると、もうあばら骨が折れちゃったりするそうです、救命なのに。非常に激しい、これは患者にとって大変な苦痛ですと。特に高齢者の方は当然ですね。一般の人は、苦痛を伴う医療なんだという実態を知らないで、むしろ病院に行くことはよいことだと誤解しているんじゃないかという御意見でございました。
 実際に、そばで、激しい苦痛を伴う蘇生措置を患者の御家族の親御さんとか兄弟の方とかが見られた場合は、これ以上の救命治療はもうしなくてもいいと言う方も多いそうです。ただ、承諾のサインを書面にもらっても、後日別の親戚の方がやってきて、何でやってくれなかったんだ、救命してくれなかったんだと言われて裁判になったりもする。それで、書面で承諾のサインをもらっていても、それがあっても敗訴してしまうという事例もたくさんあるということでございました。
 救急救命の現場では、場合によっては刑事事件にも発展してしまったり、損害賠償、民事訴訟になったりとか、そういう不安を覚えながらもそれぞれの医師の方が判断を迫られている現状が続いているわけでございまして、患者さんにとってみれば、苦しい処置を拒否する権利がない、医師からすれば、不必要なら苦痛を与えたくはないんだけれども、やらないならやらないで今度は医療の不作為ということで問われてしまうということで、どちらも望まないまま処置がされているということもあるはあるということです。
 やはり、苦痛を患者に与える処置というのをやめるには、終末期医療の考え方をきちんと整備して改めていくことがないと今の現状が続いてしまうという問題意識がございます。
 日本救急医学会の方で、救急医療における終末期医療に関するガイドライン、こちらにありますけれども、ガイドラインというのが以前発行されて、終末期の定義ですとか、そのときの対応方針、延命措置を中止する方法なども事細かくまとめられております。法曹関係者や倫理関係者の方にも意見を聞いたそうです。
 このガイドラインの周知状況などのアンケートがあるんですけれども、それだと、ガイドラインを適用したかったけれどもできなかったという方が百十四名おられて、その中で、何でガイドラインを適用できなかったのかという理由を聞いたら、七十三人、全体の六四%の方が、法的な問題が未解決であるということでこのガイドラインの適用ということをためらっているという現状があるようでございます。これは、一番の理由は家族らの意見がまとまらなかったということなんですけれども、二番目が法的な問題が未解決ということでございますので、やはり問題があるというふうには感じております。
 この問題は長らく議論されてきたと思うんですが、そろそろ、適当な時期にやはり政府として、人の死に方について、特に終末期医療のあり方について、ある程度の方針を示すことが大事と思うんですけれども、その中で、尊厳死の法制の整備というものも今あろうと思います。これまでも議論はあったと思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
    〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕
○谷垣国務大臣 私、田沼委員の質問通告をいただいたときに、これは難しい問題をお問いかけだなと思いまして、正直申し上げて、自信を持ってお答えすることがまだ私の頭の中に思い浮かばないんです。こう言うと、こういう委員会の質疑の場で、閣僚として答弁を申し上げるのに非常に不適切なのかもしれません。しかし、率直に申し上げて、そうでございます。
 この問題は、今おっしゃいましたように、医療の現場で、まず、それぞれの医師が具体的にどういう判断をしなければならないのかという問題があると思いますね。それで、それぞれのお医者様にしてみると、そこでどういう判断をしなきゃならないのか、恐らく非常に悩まれる場合もあるだろうと思います。最近、私、病院なんかにドックに入ったりなんかした場合も、承諾書みたいなものをたくさん書きまして、異論は唱えないとか、いろいろな承諾書をとられますけれども、お医者様としても恐らく非常に判断に迷われるんだろうと思います。
 しかし、さりとて、法でもって一律にできるのかということになりますと、それは、患者さん御本人がどう考えておられるのか、あるいは御家族がどう考えておられるのか、そしてそういった方々が意思を表明できるのかどうかといういろいろな問題があって、法律ですぱっと解決してしまうにはまだ余りにも、これは宗教観、哲学観、死生観、倫理観等々があるので、余りにもまだ問題が十分整理されていないのじゃないかな。
 今までの議論の経過も、実は質問の通告をいただいてから若干報告も聞いたんですが、余りはっきりした答えかどうか、答弁原稿もつくってもらったんですが、私、それも見ましたけれども、ちょっと自信を持ってまだ、もう少しいろいろ議論を積み重ねたいと思っているのが正直なところでございます。
○田沼委員 実感のこもった御答弁、ありがとうございます。
 非常に難しい問題と私も思ってもおります。ただ、長らく議論が続いてきてそのままになっているという現状もやはり、私は、このままでいいんだろうかという問題意識もあるわけでございます。
 先ほど少し言いましたが、やはり、国民の皆さん全体での死に方の議論がもう少し盛んになっていって、私たちがどういうふうに最期を迎えるべきかということがもう少し政治としても取り上げやすい環境になっていく必要もあろうかと思っております。
 かつて、リビングウイルという議論も、こちらだったかな、あったかと聞いていますけれども、私のまたちょっと別の親しい友人で、医師の方で、ぴんぴんころりを推進している人がいるんですけれども、その人がこんな言葉を言っていたんですね。
 私の父は、私が二十二歳のときに、五十七歳の若さでこの世を去りました。父の主治医は、父の同僚でしたが、父への配慮もあって、私たち家族に幾つか言葉を残せるようにしてくれました。そして、後は頼んだぞという言葉を聞くことができたのでした。この言葉は私を支えてくれました。そして、この経験から、自分が生きているということの意識が変わった。人はいつか死ぬ、生きているということは非常に価値があるということを、自分の中で意識が変わったというふうに言っていました。
 また、死というものを乗り越えるときに、逆に最大の障害でもありますが、それをきちんと真っ正面から受けとめることでよい最期も迎えられる。そして、本人だけじゃなくて残された家族も、有意義な経験、この場合はそのお医者さんのことだと思いますが、迎えることができるというふうに信じているということです。
 やはり最期について考えておくということは、具体的には言葉を残せるということが一番なんだとは思うんですが、最期に至るまでの生きている間の時間をとても輝かせる大切なことだと私は感じておりまして、死に方について国民的な議論が進むよういろいろな取り組みというのをするべきではないかと考えております。
 これは本当に一例なんですけれども、免許証がありますが、免許証の裏に臓器提供についての意思表示の欄がありますけれども、ここに自分の終末期の医療についての意思表示も、上の段でもいいんです、どこでもいいんですが、あった方がいいんじゃないか。特に、救急医療の結果、いきなり植物状態になってしまったりとか、そういう方もおられますので、やはりあらかじめそういった意思表示ができるような仕組みというのが必要ではないかなというふうに考えております。
 とにかく、これじゃなくてもいいんですが、自分の最期のあり方というのを人に伝えるフォーマットが今は公式にはありません。その結果、それがあればこそ国民的な議論も高まる面もあろうと思うんですが、大臣、この問題について、今のアイデアも含めてですけれども、国民の意識についてどのようにお考えか、御見解をお尋ねします。
○谷垣国務大臣 今免許証をお示しになって臓器移植の欄があるとおっしゃいました。今伺いましたように、臓器移植法をつくるときのいろいろな議論も思い出しまして、やはり法律でどこまでそういうものが、ある程度整備しておかなきゃならないのは事実ですが、どこまで踏み込めるかという議論もあのときにあったと思います。
 それで、死に方といいますか、田沼委員のような、私から見ると、多分私より三十歳ぐらいお若いんだと思うんですが、そういう問題意識を持たれるのは非常に大事なことだと思います。私も、だんだん友人が死んだり、家族が死んだりしますと、そろそろ俺も七十近くなってくるから、自分の死に方もよく考えておかなきゃいけないな、何も言わずに死んでしまったら家族も困るかもしれないなと思いながら、なかなかまだその整理が、毎日、日々追われてちっともできない。やはりどこかで自分の死に方はどうかというのをじっくり考えるのは、人として必要なことだろうと思います。
 ただ、それをどこまで政治の場の議論でできるのかというと、これまた戸惑いがあるんですね。そういうことを各自が考えなきゃならないことは事実でしょう。だけれども、どこまで政治がリードできるのか。その辺のことも踏まえながら考えていかなきゃならないところに難しさがあるな、今委員の御意見を伺いながら、そう思いました。
○田沼委員 ありがとうございます。
 この問題、私も、大変難しい、語気もちょっと落ちてしまいますけれども、難しいと承知をしております。ただ、臓器移植のときも最終的にはこういう形になったわけで、やはりいつかは政治の決断も必要ではないかなと思っております。
 やはり法的に未整備状況で、さっき大臣言われましたけれども、現場の先生方も苦労されているというのもございますし、患者の、尊厳死したいという方の権利も保障されていないという状況もいいとも思えませんので、冒頭、維新の会の理念は自立と言いましたが、患者が自分の最期のあり方を自己決定するというのは、それができるように尊重するということは、やはり個人の自立にとっては基本的な概念であります。日本社会が目指すべき方向でもあると私は思っていますので、ぜひお考えだけはいただければなというふうに思います。
 次に、ちょっとがらっと話がかわりまして、今度は責任の方でございまして、ことしの三月に発覚しました府中刑務所の刑務官による受刑者への覚醒剤差し入れ事件について御質問します。
 先月、府中刑務所の看守が、受刑者に頼まれて覚醒剤を入手し渡したとして、警視庁に逮捕された。新聞報道によると、看守は受刑者から暴力などを振るわれて菓子を渡すという不正便宜を図っていた、さらに、ここまでやったら一緒でしょうと唆されて、要求がエスカレートして、覚醒剤の入手、差し入れにつながったということですけれども、はっきり言って、これは言語道断な話ですね。
 これは、まず明らかになった事実関係を教えていただきたい。それと、受刑者側から本当におどされていたんでしょうか。お答えください。
○西田政府参考人 お答えいたします。
 先ほどございました府中刑務所事案につきましては、御迷惑、御心配をおかけしまして、まことに申しわけございません。
 今わかっている事実でございますけれども、三月六日に所持をしたということで逮捕されまして、その後三月二十七日にこれを受刑者に譲り渡したということで再逮捕されております。
 同事案につきましては、今捜査当局におきまして捜査をしておりますので、詳細につきましてはちょっと御容赦いただきたいんですけれども、ただ、府中刑務所における調査によりまして、この職員が覚醒剤を所持してこれを受刑者に譲り渡して、当該受刑者がこれを使用したという事実が確認できましたので、三月二十六日付で同刑務官を懲戒免職にしたというところでございます。そういうところで御容赦いただきたいと思います。申しわけございません。
○田沼委員 御容赦いただければといっても、やはり御容赦できない部分もございます。これはやはりあってはならないことですよ。
 過去にも同じような看守と受刑者の癒着というのはあったと聞いております。特に有名なのが二〇〇六年の大阪拘置所の事件ということで、暴力団の組長さんが連絡役を頼んだ、それで見返りに車を渡したというような事件、二〇〇六年と聞いていますが、同じような事件ですね。なぜ同じような事件がまた起こるのかと思うわけです。
 局長も、今回の事件で、事実であれば極めて遺憾、矯正当局でも全容解明に努め、全刑事施設に対して緊急に行うことのできる措置を講じ、不適正処遇防止の徹底を図るというコメントをされていますけれども、では、具体的に何をしたんでしょうか。
○西田政府参考人 お答えいたします。
 まず、今回の事案を受けまして、全矯正施設、特に刑務所、本所、支所、百八十八庁ございますけれども、全てに、緊急点検ということで、まず、受刑者が生活し行動する範囲におきまして、あってはならない物品があるのではないか、そういった点検をするように指示をいたしました。それから、職員が実際に受刑者が生活する場面には持ち込んではならないというものがございますので、それにつきましても、そういったことがないのか至急点検するように指示をいたしました。
 それとあわせて、先ほど言われましたように、暴力団関係者等処遇困難者の処遇が適正にできているかどうか、各施設で決めた処遇方針がきちんと守られているかどうか、こういったことを点検するように指示をいたしまして、今その報告を受け取っている最中でございます。
    〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○田沼委員 幾つか打っていただいたのはわかりましたけれども、やはりもう少し厳しくやった方がいいと私は感じます。
 二〇〇六年のさっきの事件のときに、抜き打ちで矯正施設を調査する特別監査官制度というのを新設して再発防止に乗り出したと聞いたんですが、これはその施設のみで終わったそうですね。それで、二〇〇七年にまた大阪とか岐阜でも収賄容疑で看守が逮捕されたということで、その後も続いているわけですけれども、私は何でやめちゃったのかなと思うんです。事実関係が違ったら教えてください。
 相次ぐ不祥事が続いていることを考えても、この抜き打ち調査みたいなものも恒常的に必要じゃないかと思うんです。要は、対策が今のではちょっと十分ではないのではないか。毎年のように続いているわけですね。これに関しての御見解をお願いします。
○西田政府参考人 平成十八年度に大阪拘置所であって以来、特別監査という制度も設けまして、今まで何回かやっております。
 ただ、おっしゃるとおり、その後もこういった事件が起こっているわけでございますので、抜き打ちといった手法も考えて、その調査の実効性を高めるといったことは必要じゃないかということを非常に考えておりまして、今回の府中刑務所の事案も受けまして、引き続き、実効性を高める工夫をして、個々の事案に対応した調査も行ってまいりたいというふうに思います。
○田沼委員 局長、少し踏み込んでの御答弁、ありがとうございます。期待しております。
 私は、刑務所内の不祥事を追及したいんじゃなくて、刑務所の適切な運営というのは犯罪の再発防止につながりますから、治安の向上にも直結する大切な取り組みと思っています。ぜひ、刑務所内の秩序を維持しながら、犯罪者の矯正、更生を効果的に実施できるのかという問いについての議論にしたいと思って、応援したいと思っているんですね。
 最後に、時間ですので、大臣、刑務所内の……
○石田委員長 もう質疑時間が終了していますから、まとめてください。
○田沼委員 わかりました。では、この対策をぜひこれからもやっていただきたいという要望をお伝えさせていただきまして、質問を終わりにします。
 ありがとうございます。
○石田委員長 次に、西田譲君。
○西田委員 維新の会の西田譲です。
 三回目の質問でございますけれども、本日は、国防に関する問題を取り上げさせていただきたいというふうに思っております。安全保障委員会ではございませんから、当然、法務省に対しての質問ということになるわけでございますが。
 当然、国防といいますのは、軍事国防と情報国防の二本から成るわけでございます。そういった中にあって、軍事国防においても、我が国の状況、まだまだたくさん整備しなければならないところがあります。特に、平時の軍事国防の体制、そして戦時における軍事国防の体制、それぞれがごちゃまぜになったまま議論がされているような状況でございますので、こちらはきっちりと整理をして、いわゆる軍事国防の強化という議論をしていかなければなりません。
 本日、私の方からは、まさしくこの情報国防ということについて、公安調査庁の長官がお越しでございますので、質問を何点かさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。
 さて、公安調査庁では、国際テロリズム要覧を発行されているわけでございますけれども、国際テロリズムの情勢について、日々情報収集をされていらっしゃることだと思います。
 そういった中で、今回、アルジェリアの事件が発生したわけでございますけれども、このアルジェリアの事件で露見しましたけれども、海外で本当に頑張っているいわゆる企業戦士の方々をしっかりと守っていくためには、やはり日ごろから海外における諜報活動といったものをしっかり行っていなければ、いざというときの対処ができないということがわかったわけでございます。
 実際、今回、アルジェリアの事件発生時、情報の収集を急げと総理も号令をかけていらっしゃったわけでございますけれども、実際問題、どうか。現地にいる日本の外務省の職員が、アルジェリアの外務省からの情報収集しかできないという状況でもございます。
 当然、現地の状況を推察するに、一番情報が集約されているいわゆるアルジェリアの陸軍、陸軍省、ここはまさに現場でテロ組織と戦闘の任務についているわけでございますので、そこからアルジェリアの外務省に情報を提供する暇なんてないわけでございます。つまり、幾ら日本の外務省がアルジェリアの外務省と情報をくれ、くれということでやりとりをしたとしても、結局、情報ゼロでしかないわけでございます。
 こういったことが露見したわけでございますけれども、政府がたしかアルジェリアのこのテロに関する検証の報告書を出したと思いますが、この中では、残念ながら、いわゆる今後について、日本国内において、海外諜報機関の創設という核心の問題について一文字も触れていなかったということでございました。せっかくのこの事件を経験として、情報国防の体制を強化していくという方向にかじを切らなければならないのに、検証の報告書にはその文言がなかった。非常に残念でございました。
 実際、我が国には、例えば米国のCIAであったり、英国のMI6等の海外諜報機関はないわけでございますけれども、せめて、この情報国防といったことの体制を強化していくためには、海外諜報とあわせて、防諜の体制、いわゆるカウンターインテリジェンスですけれども、その体制の構築をまずしっかりとしていかなければならないというふうに考えます。
 このカウンターインテリジェンス、いわゆる防諜ですけれども、我が国において防諜と言える任務を行っているのは、いわゆる警察庁の外事、そして公安、そして法務省の公安調査庁、あわせて内閣の情報調査室があろうかというふうに思うわけでございます。
 さて、法務省の公安調査庁、一番人数が多かったころは二千人ほどいらっしゃったと思いますけれども、最近では千五百名程度に縮小されてしまっております。また、公安調査局と公安調査事務所で全都道府県に拠点を置かれていたと思いますけれども、現在では合わせて二十二の公安調査局と公安調査事務所という状況に縮小されているわけでございます。
 まさしくこれから情報国防の体制を強化していかなければならない中で、この縮小されてしまった背景についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
○尾崎政府参考人 委員御指摘の縮小に関しましては、平成十年に施行された中央省庁等改革基本法に基づきまして平成十一年四月に閣議決定された、国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画によりまして、公安調査庁におきましては、府県単位機関である公安調査事務所について整理合理化を行ったところでございます。それにあわせて定員も縮小されているということでございます。
○西田委員 御答弁ありがとうございます。
 いわゆる行政改革という背景もあったと思うわけでございますけれども、まさしく情報国防の強化に際して、体制の構築とあわせて、やはり法整備というものも欠かせないわけでございます。
 防諜体制の法整備を行うということにつきましては、私の記憶ですと、一九八〇年代に、自民党が議員立法で、国家機密に対するスパイ行為の防止に関する法律、その議員立法の提出の動きがあったかと記憶をしているわけでございます。当時、共産党さん初め日弁連さんも一斉に猛反対をされて、たしか廃案に追い込まれたんじゃないかと記憶をしているわけでございます。
 法整備という観点では、防諜に対しては、いち早く、例えば軍事機密保護法、例えば外交機密保護法、それに含まれない国家機密保護法、ハイテク技術の漏えい防止法、そういったものを即座に整備していく必要があろうというふうに思うわけでございますけれども、その前に、まずもって行わなければいけないのは破防法の復権だというふうに考えるわけでございます。
 そこで、北朝鮮の問題についてちょっと触れさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
 もう御承知のとおり、三度目の核実験が二月に行われました。総理も、断固抗議する、制裁措置だということで強い姿勢をお示しでございました。しかし、一方で、その制裁措置の中身を見てみますと、朝鮮総連幹部の再入国禁止措置の拡大であったり、朝鮮総連に所属する技術者の再入国禁止といった措置でございまして、これはもう今さら感があるわけでございます。
 といいますのも、既に、北朝鮮は我が国に対して射程距離千三百キロのノドンミサイルを配備しているわけでございます。千三百キロでございますから、沖縄の一部を除いて、ほぼ日本全土が射程に入るわけでございます。弾頭には、VXやサリン、そういった化学弾頭、場合によって、小型化に成功しているのであれば、核弾頭の可能性もあるわけでございます。
 そういったノドンミサイルが、日本に向けて、日本を標的として配備されているという状況にあって、朝鮮総連幹部の再入国の禁止という制裁措置では、もう既に時遅しというふうに思うわけでございます。
 そこで、お伺いをさせていただきたいと思うのでございますけれども、まさしくそういった北朝鮮が我が国に対しての体制をしいている以上、朝鮮総連に対して破防法の適用をすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
○尾崎政府参考人 破壊活動防止法では、暴力主義的破壊活動を行った団体が継続または反復して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由がある場合に、団体の活動を制限することができまして、さらに、活動の制限だけではそのおそれを有効に除去できないと認められる場合に、解散の指定を行うことができると定められております。
 朝鮮総連につきましては、御指摘のとおり、北朝鮮の強い影響下にある団体であると認識しておりまして、関連する北朝鮮の動きを含めまして、引き続き、重大な関心を持って、鋭意調査に努めてまいる所存でございます。
○西田委員 御答弁ありがとうございます。
 破防法で定義されておりますいわゆる破壊活動ということの中においては、いわゆる刑法で言う七十七条、内乱罪でございますし、あわせて、外患罪も含まれるわけでございます。外患誘致罪、敵国と通じて我が国に武力行使をさせた者ということがあるわけでございますけれども、明らかな状況として、私は、この破防法適用ができる状況にあるのではないかというふうに思うわけでございます。当然、公安審査会に請求をするという、非常に破防法を形骸化する形式となっているわけでございます。
 実際問題、私はきょう、国防の観点から質問させていただいているわけでございますけれども、いわゆる治安の維持と違いまして、国防でございます。これは、事が起こってから対処するというのはあくまで次善の策でございまして、事が起こらないようにするにはどうすればいいかというのが最善でございます。例えば、侵略が発生したときにそれに対処するということも当然一つの次善の策でございますけれども、最善は侵略を未然に防ぐというのが国防の要諦でございます。
 そういった観点で、破防法の適用がなされるべきだというふうに考えるわけでございますが、いかんせん、この破防法、制定されて六十年以上がたつわけでございますけれども、公安審査会というものが上に乗っかってしまっている形で、どうしても形骸化されてしまっていると思っております。
 実際、この六十年間、一度も破防法の適用がなされていないわけでございますけれども、この現実についてどのような認識をお持ちなのか、お聞かせいただければと思います。
○尾崎政府参考人 破壊活動防止法による規制に関しましては、委員御指摘のような要件あるいは手続が定められておりますけれども、団体や構成員らのさまざまな権利や自由を制限するものであるため、このような非常に厳格な要件が定められているというふうに理解しております。
 各種団体について、当庁といたしましては、調査を継続し、その要件が満足されるというふうに認められる場合には適切に規制請求を行う所存でございます。
 なお、法整備に関しましては、当庁は破壊活動防止法等の法を執行する立場にございますけれども、当庁の業務遂行に必要な法整備につきましては、その要否を含めまして、法執行の立場から検討を継続してまいりたいと考えております。
○西田委員 長官、ありがとうございます。
 長官にお聞きするにはふさわしくない質問があったことも十分理解しているつもりでございますけれども、心強い御答弁だというふうに思っております。
 しかし、加えて、重ねて申し上げなきゃいけないのは、やはり破防法制定当時の経緯を振り返れば、まさしく公安審査委員会の存在そのものが、まるで私には盲腸のような組織にしか思えないわけでございます。公安調査庁がこれまで培ってきた例えば情報貢献の能力、そういったものを今後生かすに当たっては、もはや破防法を根拠とする組織を超えていかなければいけないのではないかというふうに思うわけでございます。
 そんな中、総理は今、日本版NSC、いわゆる国家安全保障会議に大変な意欲を見せておられるわけでございます。最初に総理になられたころ、そしてまた今回もということで、もう既に有識者会議が数回開かれて、その設置に向けて着々と準備がなされているところではないかというふうに思うわけでございます。
 まさしくこれは安倍総理の強い思いであろうかと思うわけでございますけれども、最初に総理をされたころ、これは、アメリカのいわゆる国家安全保障会議のカウンターパートとして我が国でもつくろうというところからスタートされたのではないかというふうに記憶しているわけでございますけれども、もしそうであるならば、アメリカの国家安全保障会議が一体どのような組織なのか、そして、なぜそれが国家の安全保障において機能できているのかといったことをきちんと把握しなければならないわけでございます。
 アメリカの国家安全保障会議、これは、アメリカの膨大な情報機関が行う情報収集、そしてその情報国防の上に成り立った組織でございまして、ただアメリカのNSCを日本に形だけ持ってくれば機能するといったものでは決してございません。
 冒頭にお話ししましたいわゆる海外諜報についても、CIAが二万人以上いるわけでございますし、NSAが三万人以上、国防省や国務省の中にも各種海外諜報機関があります。そして、防諜機関としても、FBIを初めとして、情報機関だけで十を超える機関、約十万人の組織を持ってアメリカの安全保障といったものをまさしく支えているわけでございまして、ただただその名称と形態だけ日本に輸入したからといって、これは決して機能できるものではないわけでございます。
 安倍総理が意欲を見せるのであればなおのことでございますけれども、我が国の国防の中にあって、情報国防、この体制の構築をしっかりとしていかなければ、幾ら会議だけつくったって、これは羊頭狗肉、格好だけになってしまうわけでございます。
 そういった中にあって、まさしくこれまで公安調査庁が情報貢献を行ってきたわけでございますが、そのノウハウ、そしてその拡充、これは人的にも予算的にもそうでございます。総理が言ういわゆる国家安全保障会議の構築に向けて、そういったものがこれから果たすべき役割は非常に大きいというふうに認識しています。これについて、大臣の御見解をぜひお聞かせいただければというふうに思います。
○谷垣国務大臣 安倍総理がいわゆる日本版NSCの設立に極めて意欲を持っておられるというのは、かつてからそうでございました。
 それで、今、有識者会議が、先々月からですか、始まったと承知しております。どういう議論をされているのか、私はまだ詳細には存じ上げていないんですが、委員が今まで御指摘のように、きちっと情報収集の機能を高めていくというのは、国家のあり方としては極めて必要なことだと思います。
 日本にも、情報村と言うとちょっと卑俗な表現でございますが、幾つか情報を扱っている機関がございます。公安調査庁もその一翼でございまして、今までも必要があれば、いろいろ収集した情報も提供してまいりましたし、また、これからも能力を高めてそういうことをやっていく必要があると思います。
 ただ、今委員御指摘の、日本版NSC等々の中で公安調査庁がどういう役割を果たすべきかという議論は、まだ十分私どもも承知しておりませんし、煮詰まっているわけでもないように思います。その辺の議論も十分踏まえながら、さらに我々も情報の能力を高めるように努力していきたいと思っております。
○西田委員 大臣、御答弁ありがとうございました。
 繰り返しになりますが、この安全保障会議、本当にこの国の国防のかなめになっていかなければならないわけでございますので、国防の一つの柱であります情報国防について、やはりこれまでの経験、ノウハウを蓄積された公安調査庁の役割は非常に大切だというふうに思っておりますので、今後、有識者会議を踏まえて検討される際に、大臣、ぜひ御留意をいただければというふうに思います。
 きょうは、情報国防についてのお話の中で、いわゆる海外諜報、そして防諜、カウンターインテリジェンスでございますが、この二点についてお話しさせていただきましたけれども、まだまだ情報国防については、その要素として、敵国の積極工作に対するいわゆる対抗謀略についてのお話もしていかなければなりません。
 我が国のように自由を掲げる民主国家には、いわゆる積極工作を他国に働きかけるなんてことはありませんが、他国からの積極工作に対する対抗謀略はしっかりと行っていかなければならないということがあるわけでございます。
 この問題につきましては、引き続き取り上げさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○石田委員長 次に、椎名毅君。
○椎名委員 みんなの党の椎名毅です。
 本日は、一般質疑の機会を頂戴いたしまして、まことに感謝を申し上げたいというふうに思います。
 本日で法務委員会での質問は三回目になりますけれども、相変わらずなれないところもございますが、何とぞ御容赦いただければと思います。
 早速ですが、質問に入ってまいりたいと思います。
 本日は、現在、法務省の内部で行われております民法の債権法改正など、そういったところに関連しまして、国際的なルールづくりという観点から質問をしてまいりたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いできればと思います。
 先月の三月十五日だったと思いますけれども、安倍総理がTPPの交渉に参加するという大英断の記者会見をなされました。そして、かかる交渉参加表明において、安倍総理は、日本がルールづくりを主導的に行っていく国にならなければならないという明言をされているかと思います。
 国際化というのは、グローバル化と申しますのは、要するにその制度やルールの国際的な衝突でございまして、その進展の中で、結局、世界経済は、国際的な制度選択、そういった時代に突入しているんだろうというふうに私自身は思っています。
 卑近な例で考えてみますと、非常に卑近な例でございますけれども、十年ほど前、スキーのジャンプで、オリンピックで日本は大変活躍していたと思いますけれども、ルールが変更された瞬間から日本は活躍することができなくなってしまった、低迷をしている時代が続いているかと思います。これがまさにルールづくりの重要性を端的にあらわしているところかなというふうにも私自身は思います。
 ここで、政府参考人にいらっしゃっていただいております、内閣府のTPP担当の政府参考人の方にお伺いしたいと思います。
 ここで安倍総理がおっしゃっている、TPPにおけるルールづくりに参加していくと言っているのは、具体的にどういったことを指していらっしゃるんでしょうか。お答えいただけると大変幸いでございます。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
 TPPは、アジア太平洋地域の高い水準ということでございますが、高い水準ということのみならず、関税以外に、例えば知的財産であるとか電子商取引、投資といった、これらのさまざまな非関税、先ほど先生がおっしゃいましたルールづくりの部分が含まれる二十一分野、現時点ではこういう経済協定の中では一番包括的な経済協定と言われており、なおかつ、今後、中国等を含むアジア太平洋地域全体の自由貿易構想、FTAAPのテンプレート、たたき台になるというふうに言われております。
 このような分野につきまして、総理は、今後、我が国の将来を見据えて、ぜひともルールづくりをリードしていきたいというふうに申しておられるというふうに承知しております。
○椎名委員 ありがとうございます。
 今おっしゃっていたのは、知的財産権それからサービス貿易、そういったところに関する、恐らく個別イシューについてのルールづくりということなんだろうというふうに理解をいたしました。
 国際ビジネスにおいて、ルールというのは幾つかレイヤーがあると実は思っておりまして、国際ビジネスを行うに当たって、基本的には当事者と当事者が個別に契約を結ぶということだと思います。そして、契約内容の交渉をしていく、この過程の中で、どの法律を適用していくか、準拠法をどこの法律にしていくか、そういう争いをしているのが多分一番手前のレイヤーなんだろうというふうに思っています。
 その次ぐらいに、もう少し大きな範囲で、国と国との間で個別の、先ほどおっしゃっていただいたような知的財産権それからサービス貿易、財・物といったようなところで共通ルールをつくっていこうということ、これが次ぐらいのレイヤーにあるのではないかなというふうに考えています。
 その下に、もっともっと基本的なこととして、私が問題意識として持っているところでございますけれども、そもそも論として、国際取引の基本法である民商法、こういったところについて、統合ないし共通化をしていくというような考え方というのもあろうかと思います。
 私自身も、渉外弁護士として国際ビジネスの実務に携わっていた者でございますけれども、必ずしも全ての民法学者やそれから法律実務家がこういったことを申し上げているわけではないかもしれませんけれども、やはり、国際ビジネスや国際取引において、取引の基本法である契約のルール、こういったものを、世界的それから地域的に統一化していくという傾向がこれから進んでいくのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。そして、その中で、今現在、日本の法務省の中で検討されている債権法改正、これもこの中に位置づけられていくべきではなかろうかというようなことも問題意識として持っている方がいるということでございます。
 TPPやFTAといったものは経済統合というものの一例だというふうに考えられていると思いますけれども、この経済統合というのは、恐らく段階が幾つかあるというふうに多分講学的には説明されているんだろうと思います。域外に共通関税をかけていく関税同盟とかそれから経済政策、こういったものを調整していく経済同盟とか経済統合とか、こういった段階があるんだろうというふうに思っています。
 今後の日本の三十年後それから五十年後という未来を考えて日本の経済成長戦略を考えていくべきなんだろうと私自身は思っていて、安倍総理自身も三本の矢と言っているところの、恐らく三本目の話なのかなというふうに思っています。このTPPの先にどういった未来を見据えているかということを考えながら、TPPの交渉、そしてFTAAPの交渉といったことをやっていかなければならないのかなというふうに考えています。
 ASEAN諸国と市場の共通化をしていく、そして、その背景となる取引基本法である民法それから商法、会社法、こういったことについて共通化していくことによって、取引基本法が異なることによる取引コストだったり、その予見可能性を上げるというようなことが重要視されてくるのではなかろうかということを考えております。
 こういったことを私自身は考えていて、要は、何かと申しますと、日本が発信して、日本発の契約法それから取引基本法の国際ルールをつくって、主導的にやっていくべきではなかろうかというようなことを考えているわけでございます。そして、その中で、この債権法改正といったものを位置づけていこう、いった方がよろしいのではなかろうかということを考えております。
 そこで、再び政府参考人に質問させていただきたいんです。
 国の今後の、三十年後それから五十年後、こういった全体戦略を考えたうちに、全体戦略の一歩目としてのTPPがあるということなんだろうというふうに思います。この全体戦略の一歩目としてのTPPの中で、そして、今後を考えたときに、今申し上げたような、契約法の国際ルールを統一化していく、そういった流れについて戦略的に考えていくという発想、こういった発想を持っていらっしゃるかどうかという点をお伺いしたいと思います。
○石井政府参考人 大変大きい問いかけでございまして、政府参考人でお答えできるか、あれでございますが、総理は、交渉参加表明の記者会見において、私たちの次の世代、また次の世代に、将来に希望を持てる強い日本を残していくために前進しようという、将来を見据えた意思を強く示しておられます。
 TPPにおいて、現時点でまだ交渉に正式参加もしておりません。このような段階で交渉の今後の方針あるいは将来展望ということを示すことは大変難しゅうございますが、今後、交渉に際して、さらには大きなFTAAP等の枠組みに向けては、今後の我が国の基本法の考え方、改正の動向といったものも踏まえつつ、我が国として守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めていくというような交渉方針で臨みたいというふうに考えております。
○椎名委員 ありがとうございます。
 同じ質問を谷垣法務大臣にも聞かせていただければと思います。
 要は、やはり全体の中の部分という観点で法律を見ていかないと、要するに、債権法の改正というのを現代化していく、変わってきた社会の時代の流れに合わせていく、それから、書かれていないルール等を明確化する、そういった観点だけではなく、もう少し全体の中で法務というものがどういうふうに位置づけられるかということを踏まえて考えていただきたいなというのが私の考えなんですけれども、大臣の意見を伺わせていただければ幸いです。
○谷垣国務大臣 今の委員の問題意識は、私も、大変貴重な問題意識、大事な問題意識だと思います。
 今、債権法をどうしていくか、抜本的に改めていこうということを法制審議会で議論していただいているんですが、その際にも、当然、今委員が指摘をされているような問題意識が背景になきゃいけないと思っております。
 法の分野でどういうところが国際的な統一になじみやすいかといえば、多分、商事法のようなものは、手形、小切手などは、明らかにあれは国際条約があって、そういう中で共通のものにしていかなければ機能しないということで、動いたわけですね。
 それで、そういった分野では、いろいろな、まだまだやらなきゃならないことがあると思いますが、この債権法に関しましても、EU等は、まだEUが統一した法をつくっているわけではありませんけれども、そういういろいろな統一民法典みたいな試みがEUでもあるわけですね。今回の法制審議会の議論の中でも、そういったEU等の試みも十分そしゃくしながら、日本発の民法改正というものが、今後、国際的な法の統一の方向性をやはり切り開いていくようなものにできたら、そういう意識でやっていただいているというふうに私は思っております。
 それで、日本は民法ができて百数十年たつわけですが、今回の狙いの一つは、その間に膨大な判例の蓄積もある、外から見ただけではなかなか、日本の民法典がどうなっているか、条文だけ読んだのではわからない、だから、十分今までの判例の蓄積等も条文の中に組み入れて、外から見た場合に、いろいろな予見性や、先ほどコストの問題、日本との取引をしていく場合に、予見性もあり、コストも低減できるようなものにしていく。
 そして、そう考えたとき、百数十年の日本の判例が築き上げてきた水準というのは、決して低いものではないと私は思います。国際的にも十分通用し、むしろ国際的にもリードできるものも中に含んでいるのではないか。
 事実、今度の民法典、債権法の改正に関しては、特に東南アジア等々からは、私の関知する限りでは非常に高い関心が寄せられていて、恐らく彼らは、日本がどういう民法改正をするか、債権法改正をするかということは、やはり自国の法律制度の参考にしたいという意識があるのではないかと思います。ですから、そういった方向を目指していくということでございます。
 それから、今委員はおっしゃいませんでしたけれども、今まで日本がやってきたものとして、既にカンボジアやベトナムで民事法典をつくるのに、もちろん、これは国家主権があり、それぞれの国のニーズがあるわけですから、日本の法律を押しつけるということではいけません。やはり向こうの立場にもなり、日本の経験を伝えていく。
 世界は、もう申し上げるまでもありませんが、英米法体系と大陸法体系の対立がございます。そういう中で、日本は、戦後は非常にアメリカ等の影響も受けてまいりましたから、英米法体系と大陸法の体系というものを日本なりにそしゃくをし、日本法をつくってきた、そうして経済発展もしてきたという目でアジア各国が日本の法制度を見ている面もあるわけでございますから、そういった観点を踏まえて、やはり国際的な法の世界の中で、準拠法をどうしていくかという問題も大事な問題でございます、日本がリーダーシップをとれるような、そういったことを努力していかなければいけないと思っております。
○椎名委員 すばらしい、踏み込んだ御発言をいただきまして、本当にありがとうございます。私の聞きたいことも先取りしてお答えいただきまして、本当にありがとうございます。
 昨今、日系企業が、日系の特に中小企業が海外へ進出していこうというアウトバウンドの投資がだんだん盛んになってきている、こういったことがあろうかと思います。こういった中でも、やはり一番問題視されているのが、というか、一番彼らが使い勝手が悪いというふうに感じているのが、現地の法制度、そういったものを調べたりするための取引コストだったりするという話もありますし、さらには、現地に支社などをつくって現地で取引を行っていくに当たって、やはり一番問題になるのは債権回収に関するトラブル等々、そういったことに関するものが問題点として言われているようでございます。
 やはり、債権回収といったところについては、結局、最終的には裁判所で執行していくということで、取引の基本法、それからその基本法の背景にある手続法、こういったところが日本と違うから、どうしても使い勝手が悪い、さらには信用できるかどうかがいまいちわからないというようなところで、債権回収のための手続をとることを差し控えてしまうというような形で、中小企業の海外進出に伴って、債権回収の問題というのは非常に大きな問題になっているんだ、だからこそ、ルールを共通化していくということ自体が、日系企業の海外へ出ていくというアウトバウンドの投資に資するものなのではなかろうかというふうに私自身も考えております。
 ぜひぜひ、特に東南アジアの国々で、日本の法制度を共通化させていくための努力というようなことを引き続き続けていくべきじゃないか、その観点の中で、この債権法の改正というのをぜひ位置づけて考えていくべきではなかろうかというふうに思っております。
 では、次に行きます。
 今の話の流れの中でなんですけれども、司法制度改革との絡みでございますけれども、増員している弁護士のこれからの職域拡大の内容として、海外展開というものも有用ではなかろうかというようなことを言われているわけでございます。この海外展開という観点からも、やはり法の共通化、考え方の共通化というのは非常に重要なものではなかろうかということを最後に付言させていただいて、次の論点に行きたいと思います。
 次の論点は、基本的に同じ流れなんですけれども、法整備支援という話です。
 もうこれも十年ほど前のお話でございますけれども、司法制度改革審議会の答申が出た後に、司法制度改革推進本部というところがそれぞれその実行プランみたいなものをつくっていたわけでございます。そして、この実行プランの中で、国際化検討会というところで、そこに法整備支援の目的、理念等というところで、法整備支援の推進のための共有すべき理念というようなところにこんなことが書かれています。法整備支援には、究極的に、支援を通じて日本の法制度や法令と親和性が強い体制をつくるという面もあるということだったと思います。
 今、現状として、先ほど大臣もちらっとお話しになられましたけれども、日本の法整備支援の現状、特に東南アジアに関するエリアで今どういう状況にあるのかということをお聞きできればと思います。
○谷垣国務大臣 法整備支援について、法務省では、東アジアを中心とする諸国に対して、これは法務省だけでやっているわけじゃなしに、当然、外務省、最高裁あるいは日弁連、それからJICA、こういったところと協力しながら、対象国の実情やニーズなんかも踏まえながら、特に基本法令の起草と、それから、法令を起草したというだけじゃやはりなかなかうまく機能しませんで、運用方法、さらに言えば人材養成、そういうところまで見込んだ法制度支援が必要だ、そういう基本的スタンスでやっているわけでございます。それで、先ほどちょっと触れましたが、ベトナム、カンボジア等では既にその成果も出てきている。
 ちょっと話が脱線しますが、今の麻生副総理は外務大臣もおやりになって、俺はいろいろなことをやってきたけれども、感謝されるのはおまえのところがやったあれだぜ、法整備支援だぜと、ちょっと議事録に残るとこういう言葉遣いはいいかどうかわかりませんが、だから、おまえ、勲一等やるならああいうやつらにやれよと、ちょっとここは脱線し過ぎたことで、そういうことをおっしゃっていただきますが、それだけの成果は上がっていると思います。
 法の支配をそれぞれの国に浸透させながら、そして、必ずしも日本法を押しつけるというわけじゃありません。向こうのニーズを聞き取りながらつくっていく。そして、結果的に、それが日本の法制度と親和性があるものであれば、日本の関係者にとっても、このアウトバウンドのいろいろな投資をしていく上でも、非常に、先の見通しもできるし、やりやすいということがあると思います。
 ですから、今後とも、こういう仕組みをつくって、こういう仕組みをさらに推し進めていきたいと思っているところでございます。
○椎名委員 ありがとうございます。
 推し進めていくに当たって、いろいろなボトルネックがあるんじゃなかろうかと思います。先ほど大臣もちらっとお話しされていらっしゃいましたけれども、基本的にはやはり相手方は主権国家ですので、要するに、法整備については主権国としての当然の権限を持っているわけでございます。ですので、まさに日本の法律を押しつけるというわけではなく、現地のニーズを酌み取りながらやっていくことの必要性というのは非常にあると思います。そういった意味で、非常に時間がかかるということもあろうかと思います。
 それ以外にも恐らくいろいろなボトルネックがあろうかと思いますけれども、でも、やはり、先ほどのこの司法制度改革推進本部のところに書かれていたように、戦略的な目的を持って、日本の法制度や法令と親和性が強い体制をつくっていく、その結果として、日本人のビジネスが海外でやりやすくしていく、そういった目的を持ってそれぞれその法整備支援といったものに携わっていかなければならないんじゃないかというふうに思っています。
 こういったボトルネックについて、どのように認識された上で、どうやって対策を打っていこうかというふうにお考えでしょうか。
○谷垣国務大臣 確かに、幾つかボトルネックがあるのは事実でございます。
 ただ、日本の法制度支援は、現に、どこの国とは申しませんが、かなり自分たちの法制度を与えてやるというような態度で臨んでいる国もないとは言えないと思います。我が国はやはりそれではいけない。やはり相手側のニーズに合った法を一緒になってつくるという姿勢で臨んでいる。これはボトルネックを解消していく上での一つの有力な考え方ではないかと思っております。
 それから、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、人材支援まで視野に入れた援助体制といいますか支援体制をつくっていくということではないかと思っております。
 それから、国内とすれば、先ほど申し上げたことでもありますが、官僚機構だけではなくて、学界や何かとのオール・ジャパン体制みたいなもの、あるいは経済界も含めてオール・ジャパン体制みたいなものがなければなかなか難しいということもございます。
 やっていくと具体的な問題がいろいろ出てくるわけですが、基本的には、今のような考え方でもってそういったナローパスを乗り越えていきたいと思っております。
○椎名委員 どうもありがとうございます。
 人材育成という話を含めて法整備支援といったものを行っていくべきではなかろうかというのは、非常にそのとおりだというふうに思っています。
 人材育成というのはどのように行っていくのかというと、幾つか考え方があろうかと思いますけれども、日本にアジアの方々を招き寄せて、それで日本の法律に関する教育なんかをしていくということも一つのアイデアではなかろうかというふうに思います。そんな観点で、法科大学院の役割ということについても考えてみたいというふうに思います。
 例えば、米国のロースクールという大学院は、世界じゅうの各国からいろいろな留学生を受け入れているわけでございます。そして、三年コースのジュリスドクターと呼ばれる博士号の課程と、それから一年コースのLLMと呼ばれる法学修士号というコースと、大体この二つに分けられるんじゃないかというふうに思います。
 アメリカ五十州の大抵の州、ほとんどの州に関しては、基本的にこのジュリスドクターというものを取った人でないと司法試験の受験資格がないというような形だと思いますけれども、例外的に幾つかそうではない州があるということだと思います。このLLMと呼ばれる法学修士号、これを取った人でも、米国の特定の州、おおむねニューヨークだと思いますけれども、ニューヨークの州なんかの司法試験の受験資格を得て、そして受験して、そして弁護士の資格をいただく。そして、米国の国内で仕事をする、または母国に帰って米国法のアドバイスという形で仕事をしていく。
 こういった形で、法科大学院そのものが人材教育の場であるとともに、何と表現していいのかよくわからないんですけれども、法輸出というか、法的な考え方を輸出するハブになっているんだろうというふうに思っています。こういった観点を、日本の法科大学院に対しても、私自身は持ちたいというふうに思っています。
 まず、文科省の事務方の政府参考人の方に伺いたいんですけれども、現状としてなんですけれども、法科大学院における国際交流というか、留学生の受け入れというところについての現状を教えていただければと思います。
○常盤政府参考人 お答えいたします。
 法科大学院につきましては、直近の平成二十四年度でございますけれども、正規の課程の学生として入学した留学生は八名ということでございます。
 ただ、個別の取り組みの例といたしまして、例えば早稲田大学では、短期留学制度、短期の交換留学制度というようなものを設けて、正規の課程の学生ということではございませんけれども、短期間の留学生受け入れをしているというような事例がございます。
○椎名委員 ありがとうございます。感覚値としてですけれども、非常に少ないなというふうに思います。
 それは当然といえば当然なわけでございます。あくまでも日本の法科大学院というのは、日本の司法試験を受けるための専門職大学院ということでございますので、日本法の資格を持つための、日本法の資格を持って日本法のアドバイスをしていく、そのための資格である以上、どうしても、外国人が日本にやってきて、法科大学院で勉強をして司法試験を受けるというのはなかなか考えがたいかなというのは、確かにそのとおりだと思います。
 しかし、おもしろい取り組みをしている大学なんかも実はございます。これは法科大学院ではなくて大学なんですけれども、九州大学という大学が、英語で日本の法律を教える、先ほど申し上げたような法学修士号プログラム、LLMのプログラムというものを立ち上げたのが平成六年だと思いますけれども、平成六年にこういったプログラムを立ち上げて、外国人が日本の法律を学ぶ場をつくるというようなことの対応をしているみたいでございます。
 これがなぜ法科大学院ではなくて、大学の法学部についている附属の大学院なのかということでございますけれども、やはり法科大学院は、先ほども申し上げたような、結局、司法試験を受験するための大学院だからだということなんだと思います。
 これに対して、やはり外国人枠なんかも設けていくべきではないかというような指摘を、先ほど文部科学省の方がおっしゃっていた早稲田大学の前総長の方が、外国人枠なんかを設けていって、より日本の法曹というものを国際化していくべきではなかろうかというふうなことを言っている見解もあったりします。
 そういった形で、どんどんどんどん法科大学院を、日本の法律的な考え方を外へ打ち出していくためのハブとして機能させていくべきではなかろうかというような考え方を持っておりますけれども、大臣、それに対して何か御見解をいただければと思います。
○谷垣国務大臣 先ほどからの委員の問題意識、やはり日本の法の考え方、世界のいろいろな法の議論があるけれども、日本の法の考え方が国際社会にも受け入れられていくように努力することが必要じゃないか、それが日本がやはり世界でいろいろな働きをしていく上にも必要じゃないか、そのとおりだと思います。
 それで、法科大学院についてもそういったことを期待する議論が検討会議の中にもあることは事実ですが、どこまでそれが実際にこなせているかということになりますと、なかなかハードルがたくさんあるように思います。
 ちょっと今の委員の御質問そのものではありませんが、さっきもちょっと触れられたことですが、例えば中小企業がアウトバウンドで出ていこうというときに、果たしてリーガルサービスを日本の法律家が十分提供しているかどうか。そういうのが必ずしも十分でないところがあるんじゃないかと思いますが、法務省としても、そういったことがどうできるか考えなきゃいけないと思います。
 それから、例えば、この間、国際仲裁の専門家の方々にちょっとお話を伺ったんですが、国際仲裁の世界では、どうしてもイギリス、アメリカにその主導権をとられている。それは言葉の問題もあると思いますし、また、英米法がつくってきたその仕組みがそれなりにうまくできているということもあるんだというお話でございました。
 ただ、こういうTPPや何か、いろいろなことを考えますと、要するに、あの国の法制度はまだ我々から見ると信用できないというときに、やはり国際仲裁みたいなものももっと活用していくということは必要ではなかろうか。そのときに、やはり日本の法律家がある程度日本の法を前提としてできるようなことも、もう少し力を入れていかないといけないのかなということを思ったりいたします。
 事柄はロースクールにとどまるわけではなく、非常に幅広い問題だと思いますが、またこの委員会でのいろいろな御議論も踏まえながら努力をしたいと思っております。
○椎名委員 どうもありがとうございました。
 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。
     ――――◇―――――
○石田委員長 次に、内閣提出、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。谷垣法務大臣。
    ―――――――――――――
 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○谷垣国務大臣 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 平成十九年六月に犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律が成立し、これにより、犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度が創設されたところですが、一般に、犯罪被害者等は、犯罪により多大な損害をこうむり、経済的にも困窮することが少なくないと指摘されており、その権利利益のより一層の保護を図るため、この制度を利用する被害者参加人の経済的負担を軽減するための施策を講ずることが求められています。
 そこで、この法律案は、公判期日等に出席した被害者参加人が旅費等の支給を受けられるようにするとともに、国選被害者参加弁護士の選定を請求することができる要件を緩和するため、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、公判期日等に出席した被害者参加人に対する旅費等の支給に関する規定等の整備であり、公判期日等に出席した被害者参加人は、裁判所を経由して請求書等を日本司法支援センターに提出し、日本司法支援センターから、旅費、日当及び宿泊料の支払いを受けられることとしております。
 第二は、国選被害者参加弁護士の選定請求に係る要件の緩和に関する規定等の整備であり、被害者参加人の資力基準について、その算定の基礎となる必要生計費等を勘案すべき期間を三月間から六月間に伸長することにより、国の費用で被害者参加弁護士が選定される被害者参加人の範囲を拡大することとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時九分散会