第183回国会 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第11号
平成二十五年五月二十一日(火曜日)
    午前八時三十分開議
 出席委員
   委員長 保岡 興治君
   理事 石原 宏高君 理事 奥野 信亮君
   理事 原田 義昭君 理事 平沢 勝栄君
   理事 ふくだ峰之君 理事 泉  健太君
   理事 山田  宏君 理事 佐藤 茂樹君
      青山 周平君    安藤  裕君
      井野 俊郎君    石川 昭政君
      大串 正樹君    大塚  拓君
      熊田 裕通君    今野 智博君
      白須賀貴樹君    助田 重義君
      田所 嘉徳君    高橋ひなこ君
      津島  淳君    中村 裕之君
      長坂 康正君    鳩山 邦夫君
      藤井比早之君    前田 一男君
      宮内 秀樹君    宮川 典子君
      務台 俊介君    吉川  赳君
      岡田 克也君    奥野総一郎君
      後藤 祐一君    中根 康浩君
      山井 和則君    井上 英孝君
      坂元 大輔君    丸山 穂高君
      村上 政俊君    井上 義久君
      國重  徹君    井出 庸生君
      佐々木憲昭君    村上 史好君
    …………………………………
   議員           逢沢 一郎君
   議員           岩屋  毅君
   議員           泉  健太君
   議員           山田  宏君
   議員           大口 善徳君
   議員           北側 一雄君
   議員           椎名  毅君
   議員           塩川 鉄也君
   議員           玉城デニー君
   議員           吉川  元君
   総務副大臣        坂本 哲志君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    高綱 直良君
   政府参考人
   (総務省自治行政局選挙部長)           米田耕一郎君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 萩本  修君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君
   衆議院調査局第二特別調査室長           岩尾  隆君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  白須賀貴樹君     青山 周平君
  高橋ひなこ君     熊田 裕通君
  務台 俊介君     津島  淳君
  後藤 祐一君     中根 康浩君
  玉城デニー君     村上 史好君
同日
 辞任         補欠選任
  青山 周平君     白須賀貴樹君
  熊田 裕通君     高橋ひなこ君
  津島  淳君     前田 一男君
  中根 康浩君     後藤 祐一君
  村上 史好君     玉城デニー君
同日
 辞任         補欠選任
  前田 一男君     務台 俊介君
    ―――――――――――――
五月十七日
 成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十名提出、衆法第一六号)
四月二十三日
 小選挙区制廃止、消費税増税と結びつけた比例定数削減反対、抜本的な選挙制度改革に関する請願(穀田恵二君紹介)(第六二七号)
五月二十日
 小選挙区制廃止、消費税増税と結びつけた比例定数削減反対、抜本的な選挙制度改革に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七〇六号)
 同(笠井亮君紹介)(第七〇七号)
 同(穀田恵二君紹介)(第七〇八号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第七〇九号)
 同(志位和夫君紹介)(第七一〇号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第七一一号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第七一二号)
 同(宮本岳志君紹介)(第七一三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十名提出、衆法第一六号)
     ――――◇―――――
○保岡委員長 これより会議を開きます。
 逢沢一郎君外十名提出、成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。逢沢一郎君。
    ―――――――――――――
 成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○逢沢議員 ただいま議題となりました成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党、公明党及び民主党・無所属クラブ、日本維新の会、みんなの党、日本共産党、生活の党、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 まず、本法律案の趣旨について申し上げます。
 本案は、成年被後見人の選挙権等を回復するとともに、あわせて、選挙等の公正な実施を確保するため、代理投票における補助者の要件の適正化等の措置を講じようとするものであります。
 次に、本法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、公職選挙法について、成年被後見人は選挙権及び被選挙権を有しないものとする規定を削除することといたしております。
 また、代理投票の要件に関して、「身体の故障又は文盲」とされている条文上の表現を「心身の故障その他の事由」に改めること、代理投票における補助者は、投票管理者が投票所の事務に従事する者のうちから定めるものとすること及び不在者投票管理者は、市町村の選挙管理委員会が選定した者を投票に立ち会わせることその他の方法により、不在者投票の公正な実施の確保に努めなければならないものとすることとしております。
 第二に、電磁的記録式投票法について、公職選挙法と同様、電磁的記録式投票機による代理投票の適正化等を図ることといたしております。
 第三に、憲法改正国民投票法について、公職選挙法と同様、成年被後見人に係る投票権の欠格条項の削除並びに代理投票における補助者の要件の適正化等及び不在者投票における公正確保の努力義務を設けることといたしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行し、施行日後に公示、告示される選挙について適用することといたしております。
 以上が、本法律案の趣旨及び内容でございます。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
○保岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○保岡委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長高綱直良君、総務省自治行政局選挙部長米田耕一郎君、法務省大臣官房審議官萩本修君及び厚生労働省老健局長原勝則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○保岡委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國重徹君。
○國重委員 公明党の國重徹です。よろしくお願いいたします。
 約二カ月前の三月十八日、東京地裁における選挙権確認請求事件で勝訴されました名児耶匠さん御一家と私たち公明党の議員がお会いする機会がございました。判決言い渡しの四日後です。
 その中で、私の胸に深く刻まれておりますのが、そこにおります我が党の北側副代表が、その冒頭に深々と頭を下げられまして、立法府にいる者として、まずおわびをしなければなりません、この裁判をきっかけに、その結論を尊重して、最終解決ができるようにしないといけないと。本当に一言の言いわけもせずに真摯に謝罪をして、るる決意を述べられたこと、手前みそですけれども、私はそこにすごく胸を打たれました。
 そして、名児耶さんが、成年後見制度を利用して選挙権がなくなったことについて、自分が否定されたようで寂しい感じがしたというような趣旨のことをおっしゃられて、今回、勝訴判決について一家を挙げて非常に喜んでおられる姿を見まして、私も、新人の国会議員ではありますけれども、大変申しわけないというような思いとともに、これほどまでに選挙権、この一票ということにこだわりを持たれていることに非常に感銘を受けました。
 そもそも、能力によって選挙権を制限することができるのか、その能力の判断基準は一体何なのか。また、日本では、成年後見制度を考えるべき対象者というのが約四百五十万人いると言われるそうですけれども、昨年末時点の成年被後見人は、その中でわずか約十三万六千人。同じ能力の人が、成年後見制度を申し立てると選挙権がなくなってしまう、申し立てないと選挙権がある、明らかにおかしい。
 判決文の結論部分には、成年被後見人は選挙権を有しないとした公職選挙法十一条一項一号は、憲法十五条一項及び三項、四十三条一項並びに四十四条ただし書きに違反するものであり、無効であると言わざるを得ない、こう結論部分に書かれております。
 今、憲法改正論議とかさまざまなされておりますが、国家権力、多数派の少数派に対する人権侵害また理不尽は許さない。立法府にいる私が言うのは不適切な表現になるかもしれませんけれども、少数者の人権の最後のとりでとしての役割を憲法そして裁判所が果たした評価すべき妥当な判決であるというふうに思います。
 選挙権は、国民主権原理に基づく議会制民主主義の根幹をなすものです。社会的に弱い立場にある人たち、この人たちの思いのこもった一票を国に届けないで何が民主主義か。
 その後、自民、公明の与党両党で、成年被後見人と選挙権に関するプロジェクトチームが発足しました。私もその一員として携わらせていただきまして、熱い議論を交わしてまいりました。そして、今回、与野党共同で法案として提出することができました。
 与党プロジェクトチームの自民党の座長また公明党の座長、きょうここにお越しいただいておりますので、それぞれから今回の法案提出に至った思いについて述べていただきたいというふうに思います。
○北側議員 提出者の北側一雄でございます。
 今、國重委員の方からお話がありましたように、ことしの三月の十四日に東京地裁の判決で、公選法の十一条一項一号、これは違憲無効であるといたしまして、原告の名児耶さんの選挙権の回復を確認する判決が出ました。
 そもそも、この成年後見制度というのは、一九九九年に法律が成立いたしまして、二〇〇〇年の四月から施行されております。それまでは、御承知のとおり、禁治産制度というのが明治以来あったわけですね。この禁治産制度に対する反省といいますか、そこを通じてできたのが、この成年後見制度です。
 この成年後見制度の趣旨というのは、高齢であったり、また障害をお持ちで、事理弁識能力に欠けるところがある方々について、その財産を保護していこうという趣旨でできた制度なんです。
 その哲学というのは、禁治産制度と全く異なりまして、そういう障害をお持ちの方々の能力というものをできるだけ活用していこう、また、自主的な決定能力というものをできるだけ尊重していこう、さらには、ノーマライゼーションといいまして、障害をお持ちの方も、また健常者の方も一緒に生活をしていく、一緒に社会生活を営んでいく、そういう社会にしていこう、こういう理念に基づいた制度がこの成年後見制度でございました。
 この成年後見制度ができまして、そのときに、実を言いますと、禁治産者は法律の中に欠格事由がたくさん掲げられておりました、それを見直しいたしまして、かなり多くの欠格事由が排除されたんですね、廃止されました。
 ところが、そのとき、残念ながら、今思えば残念ながらなんですけれども、この公選法の十一条一項一号の、その前は禁治産者が選挙権を失うという規定であったのが、成年被後見人は選挙権及び被選挙権を失うという趣旨の規定がそのまま残ってしまったわけでございます。
 この成年後見制度の趣旨からしたら、私は、もっと早く選挙権の回復というのをしなければいけなかったなというふうに改めて、特に名児耶さんのお話なんかを聞かせていただいて、この方がそういう選挙権を行使できるような判断能力がないとはとても思えない。
 そもそも、成年後見制度とは財産保護の制度です。それを借用して、選挙権があるかないか、このような極めて重要な国民の権利についての判断を、一律になくしていく、このような規定についてはやはり大変大きな問題があったと思います。
 言うまでもございませんが、選挙権というのは議会制民主主義の根幹にかかわる権利でございまして、私ども国政に身を置く人間としては、この問題については極めて敏感でなければいけなかったにもかかわらず、二〇〇〇年以降、十数年の間放置をされてきて、選挙権行使ができなかった。
 名児耶さんの場合は、十年ぐらい前までは選挙権は常に行使して、選挙に行っていたらしいです。ところが、後見指定されて被後見人になった途端に選挙権が失われてしまう、このような事態になったわけでございます。
 被後見人の方々は、極めて多様でございます。極めて多様で、十分に選挙権行使ができる能力をお持ちの方もたくさんいらっしゃるというふうに思っております。ぜひ、この国会でこの法律を成立させていただきまして、できましたら、この夏の参議院選挙に選挙権行使ができますように、皆様の御協力をいただきまして、御理解をいただきまして、させていただきたいというふうに願っているところでございます。
○逢沢議員 今、公明党の北側先生から、経緯にも触れていただきながら、詳しく答弁をいただいたところでございます。
 本来ならば、禁治産者から成年後見制度に移行する段階で、我々立法府が努力を行って、欠格事項を削除しておくべきだった。今にして思えばということにもなるわけでありますが、そういう意味からいたしますと、私自身も、あの裁判を契機に、深くこの問題に向き合いながら、そのような反省の念を持ったところでございます。
 成年被後見人の方々、十六万を超える多くの方々がその制度を活用しておられる。認知症の方あるいは精神障害、知的障害、そういう障害をお持ちの方々が中心でございますが、中は多様でございます。財産の保護でありますとか、あるいは処分、それにかかわる契約等については、いささかこれは不安がある、心配がある、したがって成年被後見人の立場を選択される。しかし、生活全般について判断する能力が全ての分野において欠けているかというと、決してそういうわけではない。まさに名児耶さんのケースがそういうケースに当たられたんだろうというふうに思います。
 そういうことに思いをいたしますとき、この十一条一項を一応削除する形で、成年被後見人の方々に堂々と胸を張って選挙権を行使していただく、そう判断するのが妥当であるということには絶対の確信といいますか信念といいますか、そういうものを持たせていただくに至った、このように申し上げたいと思います。
○國重委員 ありがとうございました。
 時間の関係で、質問をさまざま用意していましたけれども飛ばしていきたいと思います。
 先ほど、成年後見制度の理念についてもるる説明いただきましたけれども、我が党としましても、成年後見制度の利用促進についてこれまで積極的に取り組んできました。その現状について伺いたいと思います。
○大口議員 公明党の大口でございます。
 成年後見制度、今委員もおっしゃいましたように、大体、認知症の方が三百万人以上、そして精神障害の方も三百万人ぐらい、あるいは知的障害の方、十八歳以上で四十一万人いらっしゃいます。それに比べますと、成年後見制度、保佐、補助等を含めましても、二十六万件ぐらいしか累計では申し立てられていません。非常にその利用が滞っている。
 その背景は、成年後見制度自体よく知られていないということもありますし、それから、何といいましても、選挙権を失うということが相当この利用の障害になっている。こういうこともありまして、私ども、二〇一〇年の十二月に、公明党の中に成年後見制度促進プロジェクトチームを発足させていただきまして、そして、昨年の七月に法律案の骨子もまとめさせていただいたわけでございます。
 その中で、やはりちゃんと内閣府に成年後見利用促進会議をつくり、また有識者の委員会もつくって基本方針を定め、そしてまた、地方におきましては基本計画を定めまして、それで、この利用の促進、それから被後見人の、今回の問題であります権利制限に係る制度の見直し、あるいは成年後見人の担い手の確保、こういうものを盛り込ませていただいたところでございます。
 今回の改正というのは、そういう点で、成年後見制度を利用する大きな障害になっているものを取り除く結果になる、こう考えております。
○國重委員 よくわかりました。またしっかりと成年後見制度の利用促進を進めてまいりたいというふうに思います。
 次に、今回の改正で、公選法四十八条一項の規定の「身体の故障又は文盲」の文言から「心身の故障その他の事由」に変わりましたが、その「心身の故障その他の事由」の意味と、この改正の趣旨についてお伺いします。
○大口議員 四十八条の一項は、現行法におきましては、「身体の故障又は文盲により、」となっていたわけでございます。しかし、このことを今度、「心身の故障その他の事由」ということに変更をしたわけですが、代理投票を利用できる範囲の変更はするものではございません。
 文盲というのは、本来、文字の読めない人の意味でありますが、公職選挙法の逐条解説書によれば、自書能力またはこれにかわるべき点字による記載能力のない全ての者を含む広い概念として解釈されているところでございます。
 また、それに沿った運用がなされているものと承知しております。すなわち、これまでも、知的障害等により自書能力のない者に対しては代理投票が認められてきたと承知しているところでございます。
 そこで、このような実態を踏まえて、用語の明確化を図るとともに、文盲という言葉が現在では用語として適切でないのではないか、こういう指摘もありまして、用語の整理を行うことにしたわけでございます。
 その他の事由には、学習機会がなかった等により文字が書けない場合が含まれることから、現行法上の文盲に当たる者は、全て「心身の故障その他の事由」に含まれることになります。
○國重委員 これは今回の改正とは直接のかかわりがあるものではございませんけれども、認知症の高齢者、また知的障害者の選挙権を悪用した事件が全国的に起きているというふうに言われております。判断能力の欠如につけ込んだ、第三者が特定の候補者に投票するよう不正に働きかけた、こういうような不正というのが、二〇一一年までの五年間に公職選挙法違反で二十五件立件されている、知的障害者の施設で、施設側が入所者に投票先を指示する事件も起きているというようなことが新聞記事に掲載されております。
 認知症の高齢者、知的障害者の選挙権を悪用した事件、どのような犯罪統計なのか、また、これに対してこれまでどのような対策をとってきたのか、これについてお伺いします。
○高綱政府参考人 御指摘の記事にございます二十五件という数字が犯罪統計のいかなる部分を取り上げたものであるかにつきましては、確定的なことは申し上げられませんが、犯罪統計中の違反態様に、投票の秘密侵害、投票干渉という区分がございます。この検挙件数につきまして、二〇〇七年から二〇一一年まで五年間の数字を合計いたしますと二十五件となりますので、これを指し示しているものと考えます。
 また、このような違反態様の検挙事例といたしましては、例えば、前回の衆議院議員総選挙におきまして、介護施設の職員らが、期日前投票所におきまして、同施設に入所する高齢者が投票するに当たり、特定の候補者の氏名等が記載された紙を所持させて投票させたとして、投票干渉罪で検挙した事例がございます。
 このような、いわゆる第三者の判断力の欠如につけ込んだ投票干渉等の不正投票罪につきましては、私ども警察といたしましては違反取り締まりの重点というふうにしておりまして、これまでも各種会議等でその徹底した取り締まりを指示してきているところでありますけれども、今後とも、こうした不正投票を含めて、悪質な事犯について徹底した取り締まりを行うことにおきまして、この種事犯の抑止に貢献をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○國重委員 またしっかりとその取り締まりもよろしくお願いいたします。
 また、今回、そのような趣旨も勘案して、公選法四十九条九項ということで、不在者投票管理者は、市町村の選挙管理委員会が選定した者を投票に立ち会わせることその他の方法により、不在者投票の公正な実施の確保に努めなければならないものとすることというような新たな条項が設けられたり、また、公選法四十八条二項で、新たな、投票所の事務に従事する者のうちから定めるというような条項が盛り込まれました。
 詳しいこの趣旨を本当はお聞きしたかったですけれども、時間の都合で、後ほどの質疑に期待したいと思います。
 私も、名児耶さんのような、本当に選挙権を行使したいというような、やむにやまれぬこういうような思いで一票一票を投じられた、この一票によって国会議員に選んでいただいたという思いを忘れずに、しっかりとこれからの国政、頑張ってまいりたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
○保岡委員長 次に、白須賀貴樹君。
○白須賀委員 自民党の白須賀貴樹でございます。
 まず初めに、このような質問の場をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。
 そしてまた、私も参議院選挙で負けた経験がございますので、選挙というものは神聖であって、そして厳格であるべきだと思っております。
 その上において、この倫理選挙委員会において、皆様方、委員の先生方が本当に真剣に今まで議論をされてきました。いわゆるネット選挙や〇増五減の問題、そして今回の成年被後見人の問題等も、皆様方が真剣に与野党を含めて議論されていることに心から感謝を申し上げます。
 その中で、例えば〇増五減の問題のときに共産党の佐々木委員がおっしゃられたことが今でも私の頭によぎっております。削減ありきの議論というものだということで、それに対して異議を唱えられました。
 私も同じような考えでございまして、本来でしたら、削減ありきではなくて、この国、日本の経済状況や社会構造、政治状況を見て、三百選挙区、百八十人という比例の方が、この数が本当に多いのか少ないのか、その議論を先にすべきであった、そこをしっかりと考えて、多過ぎるならば減らすべきだし、少な過ぎるならばふやすべきだ、そういう議論を先にするべきだったと私も勉強させられました。
 本当に皆様方が与野党を含めて真剣に議論をされている姿を国民の皆様方にも理解していただき、この国がよくなることを私も一緒に頑張っていきたいと思います。
 成年被後見人の選挙権の回復のための今回の法律案でございますが、成年被後見人の方は、平成二十四年十二月現在、十三万六千四百八十四人ほどいらっしゃるということになっております。
 一般的に、成年後見制度を利用する可能性のある方というのは、やはり認知症を持たれた高齢者の方や精神障害を持たれた方、そしてまた知的障害を持たれた方、その方々が将来的に成年被後見人になる可能性がございます。成年被後見人というものは、家族が家庭裁判所等に申請することによって行われますので、あくまで可能性の問題でございますが、厚生省の方にお尋ねさせていただきます。
 今現在、将来的にひょっとしたらそういう可能性がございます認知症の高齢者の方や精神障害を持たれる方、そして知的障害を持たれる方、大体どれぐらいの方がいらっしゃるか、推測でも結構でございます、お答えをお願いいたします。
○原政府参考人 お答えを申し上げます。
 議員御指摘のように、将来、成年後見制度を利用する可能性がある方ということについては、家族の状況や病状あるいは生活環境などで、それぞれ置かれている状況が異なりますので、なかなかそれを正確に推計するということは難しゅうございます。したがいまして、それぞれに該当する現在の数ということでお答えをさせていただきます。
 まず、認知症高齢者の数は、推計で、平成二十四年でございますけれども、三百五万人でございます。
 また、精神障害者の数でございますが、推計で、平成二十三年でございますが、三百二十万人であります。そのうち二十歳以上の方は三百一万人となっております。なお、この中には病院に入院または通院している認知症高齢者も含まれておりますので、ちょっとそこはダブってございます。
 それから、知的障害者の数でございますけれども、推計で、これは平成十七年、ちょっと古いのでございますけれども、五十五万人でございます。そのうちに、これは二十以上という数字がとれないものですから、十八歳以上の者の数でございますが、四十一万人となっております。
○白須賀委員 ありがとうございます。
 今お話をいただいただけでもやはり数百万という数字でございまして、もちろん重なっているという可能性も御指摘いただきましたから、正確な数はわかりません。しかし、数百万単位の方々が今そういう状況であります。
 そういう方々の中で、例えば、自分のうちのお父さんが少し認知症が出てきたことによって変な契約とかされちゃ困る、そういった意味で、お父さん、申しわけないけれども、こういうふうに成年被後見人制度があるから、そちらの方で、財産を守ったりするためにもよろしく頼むねという方で、申請されている方が十三万六千四百八十四人ということなので、全体の数から拝見させていただきますと、この方々が選挙権を持たないということに対して非常に不条理があります。
 やはり、せっかく、せっかくという言い方は変ですけれども、申請したにもかかわらず、その方々にはもう選挙権を与えないよと。でも、同じような状況といっても差があるかもしれませんが、同じような状況の方がひょっとしたら数百万単位でいらっしゃる。でも、この方々は申請をしていないから選挙権を有している。やはり、平等という概念からこれは是正していかなければいけない。今回の法律に関して私も賛成していきたいのはそこの理由であります。
 そしてまた、先ほどの國重委員への答弁と重なるかもしれませんが、例えば、本当に成年後見人制度を利用される方は、それこそ、先ほど言ったように、変な契約をされたり財産をとられたりするのが困るからということで家庭裁判所等に申請をされている方がほとんどだと思います。その結果、選挙権がなくなるということまで認識されている方がどれぐらいいらっしゃるのか、はっきりと私もわかりませんが、余り一般の方は、そこまで、選挙権までなくなるということを思っていない方の方が多いんじゃないかなと思っております。
 今回の提出者の方にお尋ねいたしますが、そういった成年後見人制度を利用した方が選挙権までなくなってしまう、そのような認識がしっかりと広まっているかどうか、そういった認識があるかどうかの方をお答えいただけたらと思います。
○逢沢議員 白須賀先生から、まさに根幹の部分について御指摘、御質問をいただいたと理解をいたしております。
 今、厚労省の方から、それぞれ、認知症、精神障害、知的障害、推計でございますけれども、非常に多くの方々がこういう立場にあられる、そして、将来、こういった方々の中で相当な割合で成年後見制度を活用される、そういうことになるだろうということが推定をされるわけであります。
 確かに、同じように障害をお持ちでも、成年後見制度を活用されて被後見人になった途端に選挙権を失う。さまざまな事由でそういった後見制度を活用しない、そういう方につきましては引き続き選挙権を持っていただける。同じような判断能力、同じ程度のいわゆる事理弁識能力であっても、選挙権がある、ない、そういった大きな差が出てくるということについて、これは合理性がないということは、やはりしっかり我々は認識をしなくてはならない。
 先ほど申し上げたように、また先生御自身が指摘をされましたように、社会生活を営む全般、万般において判断能力がないというわけではなくて、財産の管理や処分やそれに伴う契約についてはいささか心配がある、不安がある、こういう方が後見制度を活用されるわけでありますので、今回の公選法改正によって、そこをしっかりと整理させていただくというのが筋であろうかというふうに存じます。
    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕
○白須賀委員 逢沢先生、ありがとうございました。今回提出した先生方と同じ、共通の価値観でいさせていただくことを認識させていただきまして、ありがとうございます。
 それではまた、もう一つ質問させていただきたいんですけれども、諸外国において、この成年後見制度、そして成年被後見人等の制度が、類似したような制度があると思いますが、代表的な国々で結構でございます、その国々の選挙権の取り扱いはどうなっているかを教えていただけたらと思います。
○岩屋議員 諸外国における状況でございますけれども、大きく分けますと、成年被後見人に対して一律に選挙権を付与している国、例えば、オーストリア、イギリス、アメリカの一部の州などがあります。また、選挙権行使能力を個別に判断している国、例えば、ドイツ、フランス、アメリカの多くの州などがあります。
 主な国だけ御紹介させていただきますけれども、オーストリアですが、かつては、日本の成年後見人制度に相当する代弁人制度を利用している者は選挙権を有しないとされておりましたけれども、一九八七年の違憲判決を受けましてこの規定は削除されております。現在では、原則として全ての国民が選挙権を有しているということでございます。
 次に、イギリスでございますが、かつては、投票時に自分が今何をしており、票を投じるという行為がどのような効果をもたらすかを広い意味で理解できる精神能力が必要と考えられておりまして、そのような精神能力を有しない者は投票資格を有しないとするコモンロー上の原則が存在しておりましたが、二〇〇六年の選挙管理法によりまして、この原則は廃止され、現在では、投票所において本人確認と二重投票防止のために行われる質問に答えることができる選挙人には投票が認められているということでございます。
 次に、ドイツでございますが、世話人を選任する裁判所の決定におきまして、全ての事務について世話人を付すとの表現がされている場合に限って当該被世話人は選挙権を失う。ただし、そのような事例は全世話ケースの数%であると言われております。
 フランスです。原則として、後見開始のとき、または五年ごとの更新の審判の際に、裁判官が個別的に選挙権の行使の可否について判断するとなっております。
 最後に、アメリカですが、連邦制でございますので州ごとに異なっているわけでございますけれども、州憲法においても州選挙法においても精神疾患に関する欠格要件を設けていない州もございます。これに対して、例えばワシントン州のような何らかの欠格要件がある州においても、一律に選挙権を有さないとするのではなくて、裁判所が個人の投票に関する能力を判断して選挙権の有無を決定する州がふえているとなっておりまして、全体の傾向としては、できるだけ選挙権を付与していこうという方向に向かっているということが言えようかと思います。
○白須賀委員 岩屋先生、ありがとうございました。
 本当に今先生がお話しされたとおり、世界的には選挙権を与えようという方向でございまして、大きく大別すると、一般的に、全部オーケーか、もしくは個別審査があるかに大きく分かれると思いますが、十三万六千人近くの方を個別審査することの事務能力というか、それが可能かどうかという問題、また、それと同じような状況の数百万の方がいる、しかも、その数百万の方の正確な数字の把握もできていない中で、それを個別に審査していくことはほぼ不可能だと思っております。
 ですから、世界的な流れも含めて鑑みますと、やはり、一般的に皆様方に選挙権を付与することが一番妥当なのかなと私も今感じたところでございます。
 そして、何よりも、選挙というものは厳正でなければいけません。そして公平でなければいけません。今回の改正において、代理投票等の補助者を投票所の事務に従事する者に限定した理由、これについて教えていただきたいと思います。
○岩屋議員 まさに先生おっしゃるとおり、選挙の公正な実施を確保するためでございます。
 現行法では、投票管理者が選任する補助すべき者の要件に特段の制限はないんですね。したがいまして、条文上は、選挙人の家族や付添人を選任することも認められているわけでございます。
 そこで、今回の改正は、代理投票を補助すべき者を中立的な立場の投票事務従事者に限定するという趣旨でございます。
 なお、現行法下においても、実態としては、大多数の事例において投票事務従事者が補助者となっていると聞いておりますが、それを改正によって明確にするということでございます。
○白須賀委員 ありがとうございます。
 それに関する問題でもう一つ御質問なんですが、不在者投票における外部立会人の設置を努力義務にされた理由の方も一緒に教えていただきたいと思います。
○岩屋議員 「努めなければならない。」という努力義務にとどめたのはなぜかということをお尋ねでございますが、全国で二万カ所近くあるんですね、指定病院、指定施設等の投票所が。したがって、外部の第三者の立ち会いを一律に義務化するだけの、人的体制等を含めて、なかなか整っていない、難しいということを考慮したものでございます。
 このような状況におきまして第三者の立ち会いを義務化すれば、これに違反があった場合には選挙無効の原因にもなりかねないという現実がございます。そこで、本法案では、第三者立ち会い等の義務を努力義務にとどめることにさせていただいたわけであります。
 しかし、努力義務ではありますけれども、指定病院等の不在者投票管理者ができる限りこの義務に努めるべきことは当然のことでございまして、本法案では、この義務を果たせるように、外部の第三者を立ち会わせるために必要な経費につきまして、国による財政面での措置を講ずることとしたところでございます。
○白須賀委員 岩屋先生、ありがとうございます。
 現状と現実において、今できる限りの公平性を担保するということで、そういうふうに努力義務等も含めて皆様方が考えられたということは重々今わかりましたので、本当にこれをもって極力公平にしていくということを理解させていただきました。
 最後の質問になりますが、本法案の施行期日を公布の日から起算して一カ月を経過した日とした理由は何かを教えていただきたいと思います。
○岩屋議員 公布から施行までに一カ月とした理由でございますけれども、当然、改正が成れば、成年被後見人の方に係る選挙人名簿を整備しなければなりません。さらに、代理投票の補助制度の見直し、不在者投票における外部立会人の設置に係る制度見直しの周知及び選管による準備を行わなければなりません。さらに、成年被後見人及び有権者に対する制度改正の周知徹底をしていかなければなりませんので、これらの準備期間を確保するために一カ月とさせていただいたところでございます。
○白須賀委員 ありがとうございました。
 私はすごくせっかちなので、法案が通ったら、さあすぐにと思っておりましたが、そういう準備期間等を鑑みての一カ月だということを理解させていただきました。
 一刻も早く成年被後見人の方々がしっかりと投票所に行って一票を投じられる環境をつくっていきたいと思いますので、皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
○平沢委員長代理 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
 本日は、私も法案の提出者ではあるわけですけれども、提出者に質問をというよりは、提出者の一人として、政府に対してしっかりとした認識を持っていただきたい、そういう趣旨で質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、私たちの党も、選挙権の回復ということについて大変関心を持っておりまして、国会、各委員会でもこのことを取り上げさせていただく中で、選挙権の回復を早期に図るべきということを提案してまいりました。裁判が現在も控訴状態にあることも含めて、やはり今後整理をしていかなければいけないというふうに思っております。
 まず、この法案、今回、議員立法という形で各党共同提案というふうにさせていただいておりますけれども、一方では、閣法という選択肢もあったのではないかという声もございます。今回は立法府からの提案でありますけれども、政府として閣法で出せないという状態もまたどう考えるのかということは、政府自身がよくお考えをいただきたいことの一つであると思います。
 その意味で、提出者にお伺いをしたいのは、なぜ閣法で提出できなかったのかということについてお伺いをしたいと思います。
○逢沢議員 御承知のように、三月十四日、東京地裁で、社会的にも大きな反響を呼んだ判決がございました。それを受けて、自由民主党の中でも、成年被後見人と選挙権の問題にどう向き合うか、議論がスタートいたしたわけでありますし、友党であります、パートナーであります公明党の中におきましてもそういった議論がございました。
 同様の裁判が、同趣旨の裁判が同時並行で幾つか進んでいるという現実、また、地裁の、いわば第一審での判決であるということ、そして、全国各地でさまざま、各級の選挙が日常的に行われているという現実、そういうものを踏まえて、むしろこのテーマは政党間の協議によって一つの新しい判断が生み出されるべきである、政府と与党間でいわばそういった合意といいますか意思の疎通といいますか、そういった状況が確保された、このようにぜひ理解をいただきたいというふうに思います。
 したがいまして、そこから以降の経緯は先生も御案内のとおりでございますけれども、自公で案を取りまとめさせていただき、全ての野党の先生方に御説明をさせていただき、今日に至った。かような経緯についてぜひ御理解を賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○泉委員 今御答弁がありました。次に質問をする中身とも一部重複をしておりましたので、次の質問についてはこちらの方から説明をさせていただきたいと思いますけれども、政府と見解を異にした部分はどの部分かということをお伺いしようと思ったわけですが、今おっしゃられたように、裁判が係属中であったということでありますでしょうし、あるいは、こういった公選法に係るものというのが立法府でまずは議論されるべきものだというような御見解もあったというふうに思っております。
 一方で、先ほど逢沢先生の方からも、こういった裁判があって、十年前の成年後見制度がスタートしてからこの状態が続いていたことが裁判で大きく認識されたことについてはやはりおわびをしなければならないというお言葉もございました。
 まさに立法府も、今、そういった意味では考え方を大きく転換して、選挙権を付与すべしというふうになりました。一方で、政府の側も、立法府がそう判断したからただ従いますというスタンスではなくて、考え方を同じ考え方でそろえていただきたいという思いを持っているところであります。
 その意味では、控訴の問題であります。
 裁判で、今現在、名児耶さんの件も控訴されている状態でありますが、これは法案も、政治情勢、何があるかわからないとはいえ、一応各党共同で提案していることでありますので、間違いなく成立をしてまいります。その意味で、取り下げのスケジュールということを政府はどう考えているか、お答えいただきたいと思います。
○米田政府参考人 お答えいたします。
 この改正法案が成立、施行されますと、成年被後見人の方全てに選挙権が付与されるという結果になります。そういたしますと、裁判の原告はその目的を達することとなりますので、原告から訴えの取り下げがなされなければ、訴え却下の判決により、訴訟はすぐ終結、終了することになるというふうに承知しております。
○泉委員 そうすると、政府の側からは、控訴を取り下げるということを先にはされないという理解でよろしいですか。
○米田政府参考人 政府の方から控訴の取り下げは予定しておりません。
○泉委員 これはいろいろと裁判の技術的な問題もあるのかもしれませんが、質問の通告にはないわけですが、その辺は、与党の提案者の皆様は、控訴の取り下げということについてはいかがお考えでしょうか。答えられる範囲で結構ですけれども、これはどうでしょうか。
○逢沢議員 政府・与党、ある意味で一体ではございますけれども、しかし、個々の判断、政府がすべき判断はやはり政府に委ねるというのが基本的な立場ではなかろうかと思います。
 同様なケースが今まで他にあったのかどうか。つまり、裁判続行中だけれども法改正によって新たな状況が確保された、その場合に、訴訟を起こした目的はその段階、その瞬間で達成をされた、そういったケースが過去にもあったかどうか十二分に承知はいたさないわけでありますが、恐らく、裁判を進めていく上での何らかの判断、あるいは事務処理上の問題、そういうものは、政府にその判断は一応任せるというのが基本的な態度ではなかろうか、そのように存じます。
○泉委員 急な質問で申しわけございませんでした。
 続いて、こうして法案が通って、実際に運用が開始をされるということで、今回回復をされた方が投票所に足を運ぶ、あるいは投票をすることになるということでありますけれども、実際に投票所のバリアフリーが果たして十分な状況なのかどうかということも我々は関心を持たなければいけないというふうに思います。
 今回、十三万六千人の方々の選挙権が回復するわけですが、その意味でのバリアフリー改善というものは何か想定をされておりますでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○米田政府参考人 バリアフリーの改善につきましては、これまでから障害者の方に投票権を十分活用していただくという観点で進めてまいりました。
 平成二十二年の参議院選挙における投票所数、これは全国で約五万カ所ございますけれども、障害者や高齢者の方々が投票しやすい環境をつくるということで、車椅子や車椅子用の投票記載台の設置、それから点字や拡大文字による候補者名簿等の準備、投票所における段差をスロープ等の設置等により解消するといったことを、全国の選挙管理委員会に私どもからも要請をしてきたところでございます。
 かなりの点で改善が見られているというふうに評価しておりますけれども、今後とも、各選挙管理委員会、関係者の方々と十分に連携をいたしまして、障害者の方々の投票環境の向上に努めてまいりたいと存じます。
    〔平沢委員長代理退席、委員長着席〕
○泉委員 さらに細かい話になりますが、投票所における今回の十三万六千人の方々、被後見者の方々はさまざまな意思表示の方法があると思います。それらに基本的に全て御対応いただけるというふうな考えでよいのか、あるいは意思表示の中で対応できないようなものが想定されているのかどうか、この辺も含めて確認をしたいと思います。
 この被後見者の意思表示の手段、これはどのようなものをケースとして想定されているか、お答えください。
○米田政府参考人 これは投票でございますので、まず、投票人のみずからの意思で行うということが絶対に必要なことでございます。したがいまして、原則といたしまして、これは成年被後見人の方だけではございませんけれども、みずから投票用紙に候補者の氏名等を自書して、これを投票箱に入れるということが原則であるということは言うまでもございません。
 ただ、心身の故障等により、みずから候補者の氏名等を記載することができない場合には、御承知のとおり、投票管理者に申請をして、投票する候補者の氏名等を補助者に記載させる代理投票を行うことができるというふうになっているわけでございます。
 代理投票の際におきましては、あくまで選挙人の意思の表示は補助者に伝えまして、これを補助者が書き取るという格好になります。この補助者に対してどのように伝えるのかということでございますけれども、これは口頭で行うということがまず当然すぐわかりますけれども、そのほか、候補者名を指し示す方法等々、いろいろな、投票人の方の状況に応じてコミュニケーションがとれる方法というのを模索しながら、投票人の意思を探るということになろうかと存じます。
○泉委員 ここは、特に各自治体、もっと言えば各投票所、恐らく、初めてそういった方を受け入れて補助するケースというのが相次ぐと思うんですね。そういう意味では、事前の研修ですとか、そういったものを徹底していただいて、例えば、投票所に行ったけれども結果的に意思表示を受けとめてもらえなかったということが後から報道されるような、そういった事例が起きないように、やはり研修をぜひ徹底していただきたいし、対応を十分に確保していただきたいということがお願いであります。
 次ですけれども、いわゆる指定施設というものが現在二万カ所あって、そこでは、学校ですとか公民館で設置をした投票所ではない形で、指定施設、病院等で投票できるということであります。これは、小規模なグループホームですとかさまざまな福祉施設も大変ふえておりますので、こういったものについてもどんどんどんどん指定をされていく傾向ではあるのかなというふうに思いますけれども、今後、小規模の施設等も十分に指定を受けられる状況にあるのかどうか、この確認をしたいと思います。
○米田政府参考人 お答えいたします。
 不在者投票制度は、選挙期日当日、みずから投票所に出向いて投票するという原則のいわば例外になっておりまして、投票の秘密、選挙の公正を確保するという必要から、厳格な手続を定めて行っているものでございます。
 したがいまして、今御指摘の、病院等の施設における不在者投票、これを適正に行っていただくためには、人的、物的に相当の規模の施設であることが必要であると考えられるということで、施設設備や人手といった点を考慮いたしまして、従来から、収容人数がおおむね五十人以上の施設を指定するのが適当というような基準を私どもの方ではお示ししているところでございます。
 ただし、このおおむね五十人という基準は判断の一つの目安であるということで、定員は五十人未満であっても、これらの施設と同様に不在者投票の適正な管理執行が確保できると認められる場合には、各都道府県の選挙管理委員会の判断で指定することができるというように、私どもの基準の中でもそういうふうに述べているところでございます。現に、かなりの都道府県で五十人未満の施設を指定しているという現実もございます。
 私どもも、積極的にその辺を指定するようにということで要請をしているところでございます。
○泉委員 私もつぶさには承知をしませんけれども、今おっしゃった目安の五十人、やはり地域のグループホーム等々を見ると二十人前後というところも結構ありますし、そういったところが投票の機会の確保がされているのかということは、今後の高齢社会においては非常に重要な観点ではないかというふうに思っております。ぜひ、厚生労働省等々とも連携をして、この辺の、投票機会の確保ということについては政府も研究を進めていただきたいというふうに思います。
 続いてですけれども、今回、一歩前進ではありますけれども、努力義務規定として、外部からの投票の補助者というか、投票事務の補助者を確保して、指定施設内で投票していただく場合には、その外部からの人員に対しては日当を出すという形で、できる限り第三者が立ち会う中で指定施設での投票を行うようにしてもらうということを定めております。
 ただ、一方では、先ほどの質問者からもあったように、施設内において投票が強要されたり、あるいは操作をされたりということはあってはならないわけで、理想的な観点からいけば、努力義務というのはやはり足りないのではないかというふうに思っております。恐らく多くの委員の先生方も、理想としては、最終的にはしっかり義務化すべきというふうに考えられているのではないかというふうに思います。
 これはぜひ、今回努力義務ということについては一定理解をしますが、今後しっかりと、努力義務ではなく義務として、制度として成立させていくべきだと考えますが、政府はいかがでしょうか。
○米田政府参考人 今回努力義務になりました一番の大きな要因といたしましては、現実にそういう人的な体制がとれるのかどうかといった点であるというふうに承知しております。
 そういう点におきまして、この努力義務がかかります次の選挙、特に、次は参議院の通常選挙が予想されておりますので、そのあたりの設置の状況等々を十分踏まえまして、また、現場の選挙管理委員会の意見等も十分踏まえまして、今後、これが努力義務ではなくて義務化をするという点を私どもとしても検討してまいりたいと存じます。
○泉委員 これは、ある一定段階というか一定時期において見直しをするというふうになっていくべきだと考えますので、ぜひ政府の方としても、できる限り短期間でその体制を整備していただいて、義務化に向かって頑張っていただきたいというふうに思います。
 さまざま今お話をさせていただいたように、やはり、一律に選挙権を否定するのはおかしいという判決から社会的に注目を浴びたこの問題ですけれども、改めて、参議院選挙から選挙権が回復するというのは大変ありがたいし、うれしいことだと思っておりますし、多くの関係者の方々も、本当に希望を持って、国会の役割というものはここにありということを感じていただける機会になったのではないかなというふうに思います。
 ただ、これがしっかりと運用されていくことがとても大事なことであります。きょうは総務副大臣にお越しをいただいておりますけれども、この参議院選挙から選挙権が回復されるということであります。裁判長からも温かい言葉がございましたけれども、政府の立場としても、まず一つは、先ほど言ったような、投票所の整備の徹底、この整備についての決意、バリアフリー対策も含めたその決意と、さらには、当事者の方々、関係者の方々、御家族の方々に対して、投票の呼びかけということもぜひあわせてお願いしたいというふうに思いますが、最後に一言お願いいたします。
○坂本副大臣 七月には参議院選挙が行われる予定でございます。総務省といたしましては、今回の法案が成立をいたしましたならば、その内容を、まず全国の選挙管理委員会に周知徹底をさせます。そして、投票事務が行われる全国の現場におきまして、成年被後見人の方々に円滑に投票していただくとともに、公正かつ適正に選挙が執行されるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
 それから、全国の選挙管理委員会とも協力をしながら、さまざまな広報媒体を活用してまいりたいと思っております。新たに投票ができるようになる成年被後見人の方々への改正内容の周知、そして投票参加の呼びかけ、こういったものについても遺漏なきよう今後取り組んでまいりたいと思っております。
○泉委員 終わります。ありがとうございました。
○保岡委員長 次に、中根康浩君。
○中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。
 ただいまも泉議員から質問が行われておりましたし、前段の質問者の方々も数名済んでおりますので、重なるところもあるかと思いますけれども、私の立場から質問させていただきたいと思います。
 まずは、今も泉議員からも御指摘がありましたように、三月の十四日の東京地裁の判決に対して、三月の二十七日、この判決について、今回の違憲判決が確定すると、全国各地で行われる選挙において、その地方の現場で直ちに成年被後見人の方々の取り扱いに混乱が生じるおそれがあるという、理由にならないような理由で控訴されたということについては、大変残念な判断であったと言わざるを得ないということは指摘を申し上げておきたいと思います。
 政府の判断が適切ではなかったということに対して、国会が正していく、その意味で、自民、民主、維新、公明、みんな、共産、生活、社民、このたび八党の共同提案という形でこの法案が提出されるに至ったということは、まさに、国会が国民の声をしっかりと受けとめ、それを具現化するということを示した、その能力を示したということで、大変歓迎すべきことだというふうに考えさせていただいております。
 親亡き後のせめてもの安心というものが成年後見制度であり、財産管理ということなどの障害者の権利を守るはずの制度、これを利用するとして被後見人になると一律に選挙権が剥奪をされる。この状態を長らく放置していたということで、政府あるいは国会の不作為というものが厳しく指摘をされたということであると自覚をしなければならないと思っています。
 障害の有無にかかわらず全ての国民が、主権者としての権利、あるいは人間としての尊厳が大切にされる、この一環として今回の改正法案の成立が大変期待をされております。障害者が保護の対象から権利の主体となる大きな前進の一歩であると捉えさせていただいております。
 また、この改正によって、なかなか進まない成年後見制度の利用促進にもつながると思っておりますし、さらには、国連障害者権利条約の批准に向けての環境がまた一つ整うということにもなると考えさせていただいております。
 この改正を実効性あるものにするために、つまりは回復される選挙権が有効に行使できるように、投票環境の整備がなされなければならない。これは、今も泉議員からもさまざま御指摘、御質問があったところでございますが、例えば記号や点字や代理投票制度、こういったものも今までもありますが、これからさらに配慮していかなくてはならないのは、知的障害、発達障害、こういった方々に対する配慮が必ずしも今まで十分ではなかった。
 我が国が批准を目指す国連の障害者権利条約や、あるいは過日閣議決定された障害者差別解消法、この中に、中心的な考え方として、合理的配慮の提供ということがあるわけでございます。この法律を施行する場合に国政選挙で二億二千百万円が見込まれていると書かれておりますが、いわゆる合理的配慮ということでございますので、過度な負担にならない範囲でということで、障害者が投票する際に提供されるべき合理的配慮がどのようなものであるかということをお尋ねしたいと思います。
○米田政府参考人 投票に際しましては、先ほどの御答弁でも申し上げましたとおり、やはり、選挙の公正さ、それから選挙というものは投票者の自由な意思によるということが最も大切なことでございますので、そういうことを求められているわけでございます。
 ただし、今御質問になりました障害者の方につきましては、そのことが十全になかなか全うができない障害をお持ちなことがある、その点についての配慮というのが非常に重要になってくるというようにまず考えております。
 そこで、実際的なところで申し上げますと、知的障害者の方で自書することができない場合には、代理投票による投票が可能になってまいります。その際、最も難しいのは、意思表示がうまくできない選挙人についてどのようにその意思を酌み取るかという点だろうというふうに思います。家族や付添人等との間で本人の意思の確認方法等を事前に確認する等、できる限りそのような障害者本人の意思を確認するように努めて投票をサポートするというような体制を各選挙管理委員会に要請してまいりたいというふうに考えております。
 それから、施設的なところで申し上げますと、投票所に行けるかどうかというようなことで、投票所の中に入りやすいように、投票所の施設、階段等がないようにスロープをつけるですとか、そのような方専用の投票台を設置するといった施設面の配慮ということももちろんございますし、そのように投票所に行けない方について、病院等の施設による不在者投票という手段もございます。その辺をどのように使いやすいものにしていくかといった点について、これからさらに努めてまいりたいというふうに考えております。
 それからもう一つ、投票に当たりましては、障害者の方々がいろいろな情報が必要でございます。例えば投票の方法、それから候補者本人に関する情報といったものをもとにして判断をしていただきますので、そのような情報がきちんと伝わるような手段も講じてまいりたいと思います。
 例えば、現在、選挙公報は基本的には文書でございますけれども、音声による選挙のお知らせ版といったものを配布するといったことが有用になる場合もございますので、そのような配布がとられるような形を目指して、今努力をしているところでございます。
○中根(康)委員 ありがとうございます。
 選挙部長からはさまざまな、ある意味これから考えられるあらゆる手段を総動員して、知的障害、発達障害、意思表示が困難な方々においても主体的に投票権が行使される環境を整えていくということが示されたということであろうと思います。
 例えば、今の例の中になかった、特に知的あるいは発達、自閉症、こういった方々の特性を捉まえたときに、漢字は苦手だけれども平仮名だったらとか、絵とか写真とかが示されていると判断がしやすいとか、あるいは、バツということはないにしても、投票したい方にマルを打つというようなこと、こういったことも当然考えられるわけでございますので、そういったことも含めて、ぜひこれからいろいろと工夫をしていっていただきたいと思います。
 部長からは今、合理的配慮ということのお言葉がなかったわけなんですが、もちろんこれは、まだまだ社会全体に十分普及あるいは理解されている概念ではないかもしれませんけれども、今後、障害者差別解消法が成立をする、その前段としては障害者基本法が大幅に改正されたということもありますし、障害者権利条約が批准をされていけば、この合理的配慮の提供というもの、あるいは提供義務というものが、国には強く期待されるというか、かかってくるということでございますので、ぜひ、この合理的配慮という言葉というか、この観点からの投票環境の整備というものを推し進めていただきたい、御配慮いただきたいというふうに思います。
 改正案においても、代理投票の際、立会人の意見が重視されるということになっております。
 これは、今申し上げました提供されるべき合理的配慮ということにも関連をするわけでございますが、投票所の立会人などの関係者の方々に、ぜひ、各種障害特性、あるいは、再三にわたって申し上げております、外見からは判断しづらい、知的障害、発達障害、精神障害、こういった方々に対する理解を深めていただきたいと思います。
 社会において、警察とか法曹関係者の方々が障害を理解するということが、犯罪を防止したり、あるいは冤罪をつくらないことにつながるということと同じように、心配される不正投票の防止、こういったものにも有効であると思っておりますので、立会人の方々などが障害に対する理解を深めることで投票しやすい環境を整備するということにつなげる、このことについてのお考えをお示しいただきたいと思います。
○米田政府参考人 お答えいたします。
 今御質問の投票立会人でございますけれども、これは、市町村の選挙管理委員会が、選挙ごとに、各投票区における選挙人名簿に登録された者の中から、本人の承諾を得て選任をしているということでございます。
 この立会人、非常に重要な役目を持っております。投票事務の執行が公正に行われるよう立ち会うということになっておりますので、選挙の公正さを担保するという意味合いで非常に重要な役目を果たしているというふうに考えております。
 代理投票の補助者の選任につきましても、投票管理者から求められたときは意見を述べることができるというような、一定の権限も有しているところでございます。
 こうしたところから、投票立会人には投票事務全般についての知識が求められるというふうに私ども考えておりまして、その中には、投票について配慮を要することになる各種障害、特に知的障害、発達障害をお持ちの方に対する理解というのも非常に重要であるというふうに認識をしているところでございます。
 このたびの法改正が成りますれば、成年被後見人の方に選挙権が回復されることになりますので、選挙管理委員会とも連携をいたしまして、私ども、より一層、この点、立会人の理解が深まるように研修等を求めたりという格好で努力をしてまいりたいというふうに存じます。
○中根(康)委員 次は、提案者に対する質問ということになると思いますが、公正性を確保するため、選管あるいは市職員など公的な立場の人々が担当することになる投票補助人、今もるる説明があったわけでありますけれども、これは先ほど泉議員からも指摘をされたところでありますが、障害種別によって投票補助人による支援のあり方はさまざまであろうと思います。
 身体障害に対する投票の補助と、それから知的、発達、精神、認知症など、こういう障害をお持ちの方々に対する補助というものは質的に異なってくると思います。これら意思疎通がうまくできない方々に対しては、投票補助人とは別に意思疎通支援者のようなサポートが必要になってくるとも考えさせていただいております。
 このようなサポートについては今回の法案では可能なのか、あるいは、可能でないということであるならば、今後、こういった意思疎通支援者、投票補助人に加えての意思疎通支援者、サポート、こういったものを検討していくお考えはあるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
○泉議員 御質問ありがとうございます。
 大変大事な観点でありまして、おっしゃっていただいたような身体、そして知的、発達、認知、それぞれ障害の種別が違う。恐らく、地域で、家庭で生活をされていく中で最も理解者と言われる方々は、御家族であったり、そしてふだんからその介助ですとか介護に携わっている方ということになろうかと思いますので、やはりそういう方々が、まず、おっしゃっていただいているような支援者に当たるのかなというふうに思います。
 今回、制度として意思疎通支援者ということを定めているわけではありませんけれども、投票にお越しをいただく以上は、一定の公正性というものは確保しながら、実際に代理投票の補助という意味では、これは投票所の事務に従事をする者というふうに限定をしておりますけれども、一方で、意思疎通が十分でなければ、せっかくお越しいただいてもその思いが果たせないということになりますので、投票の機会を決して奪うことはできないということで、やはり、御家族ですとか付添人という方がその間に立っていただくという考え方は我々も同様に持っております。
 ですので、御家族が、意思表示の方法というのはこの当事者の場合はこういうケースですということをぜひ補助者に説明をいただきながら、その補助者が理解をする中で投票していただけるような、そういう形をできる限りとっていきたいというふうに思っております。
 実際に意思疎通支援者というものを、例えば事前に定めておくのかどうかということについては、逆に言うと、余り厳格に定めると、投票の機会の限定につながってしまう可能性もありますので、その辺は、まずは家族、そして付添人という方々にできる限りの補助をしていただきながら、今後の改正法の施行状況を見ていきたいというふうに考えております。
○中根(康)委員 ただいま提案者から前向きな御答弁を賜ったということで、ぜひ、施行状況を見ながらの必要な見直しということについても期待をしてまいりたいと思います。
 つまりは、これまで質問してきたことの意味合いは、障害をお持ちの方々こそ、まさに政治に対してさまざまな期待やあるいは思いを持っているし、また、こういった方々の意思、気持ち、御意見を受けとめていくということが、いい政治を、いい社会をつくっていくということにつながるんだろうと思います。
 よく言われるように、障害をお持ちの方々が住みやすい社会というのは全ての人々にとって住みやすい社会であるということで、こういった観点からも、今回の法案の意味合いというものは極めて重要なものがあると思っております。
 そして、これは先ほど泉議員が最後の方で触れられておったことでございますけれども、障害をお持ちの方々御自身も、まさに権利の主体として積極的に政治や選挙に参加をしていただくということがとても大切なこと。
 その意味で、普通学校においても、あるいは特別支援学校等においても、障害児教育の現場、場面において、子供のころから選挙とか投票ということに興味や関心を持ってもらうような、そういう教育がなされるということも望まれるのではないかと思っております。
 この点、積極的に取り組んでいただきたいと思っておりますが、いかがお考えでしょうか。
○米田政府参考人 選挙について、教育上どのように取り扱うかということにつきましては、障害児のみならず将来を担う子供たちに、早い段階から、社会の一員、主権者という自覚を持たせることが重要であるというふうに認識しております。
 そのようなことで、平成二十三年十二月に報告されました常時啓発事業のあり方等研究会というものの報告書におきまして、子供たちの政治意識の醸成は各国の共通課題である、諸外国の事例も参考に、学校教育と選挙管理委員会、地域が連携し、参加体験型の学習を充実させることが必要というふうに報告をされたところでございます。
 実際、幾つかの中学校、高校におきましては、このような、主体的に政治に参加する意義についての学習が既に行われている。実際の指導に当たっては、模擬投票を取り入れている例もあるというふうに承知しております。
 健常者が今のところ主だと思いますけれども、このような取り組みも参考としまして、関係省庁と連携をした上で、障害児教育のみならず各学校の現場で、子供たちが政治参加や選挙の意義について学ぶことができる機会をふやしていく努力をしてまいりたいと存じます。
○中根(康)委員 この法案がつくられるまでの間に不正投票というようなものもいろいろと心配をされておって、そのことを防止するような内容も盛り込まれているわけでありますけれども、不正投票を行うのは障害者本人ではないんですね。その周りの方々が、さまざまな悪意を持って、結果的に不正投票というようなことになってしまうというようなことでありますので、このあたりの認識だけはしっかりと提案者の皆様方も御理解をいただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○保岡委員長 次に、村上政俊君。
○村上(政)委員 日本維新の会の村上政俊です。
 三月十四日の東京地裁の判決を受けまして約二カ月で、この国会の場においてこうした成年被後見人の選挙権の回復について議論ができるということは、今回、与野党八党あわせて提出するわけですけれども、我々国会議員として、非常に前向きな仕事のやり方であるというふうに私自身認識しております。
 先ほど、審議の中で多くの委員の方々がおっしゃっておられるとおり、選挙権というのは我々の基本的な人権の最も重要なものの一つでありますので、この審議の中でさまざまな問題点あるいは課題について明らかにしていきたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 一つ目として、まずは、我が国の今回の法改正において、成年被後見人に一律に選挙権を認める理由についてお尋ねしたいというふうに思います。
 一律に認めていない海外の例として、例えばフランスでは、裁判官が医師の意見を聞きながら、成年後見開始のときに、選挙権を認めるかどうかということを判断している。あるいはドイツでは、世話人、我が国の後見人に当たる制度でありますけれども、この世話人が選任される際に裁判所が世話人の権限として選挙権を行使できるかどうかということを判断している。こういった事例があるわけです。
 我が国においては、今回、公職選挙法の第十一条一項の一号において、一号の規定を削除する、その削除によって選挙権を一律に認めるということになりますが、この一律に成年被後見人に選挙権を認める理由について、まずはお伺いしたいと思います。
○山田(宏)議員 村上委員の御質問にお答えします。
 先ほども提出者の方から答弁をさせていただきましたように、そういった外国の事例があることは承知をしておりますし、また、この法案を作成する段階において、そういったことについても検討したところでございます。
 ところが、やはり、選挙権を行使するに足る能力といったものをどのように定義するのかということは大変難しいということと、また、仮に定義ができたとしても、一体誰がどのような手続でそれを決定していくのかというような点についても非常に難しいところがございます。
 そういった点で、現時点では、一律に成年被後見人に対しては選挙権を付与するということにしたものであります。
 先ほどもお話がありましたように、成年後見制度を利用している人、またそれを利用していない方も、利用すると選挙権がなくて、利用しないと、同じ能力であっても選挙権を付与されるという、公平性といった点からも一律に選挙権を付与するということが適当だというふうに判断したものでございます。
○村上(政)委員 この一律に回復した後に、法案が成立した後に、今夏、参議院議員選挙が予定されているわけですけれども、選挙権を回復した、そのことについて、成年被後見人本人あるいはその家族、そして介護施設の方々といった多くの関係者に対して周知を行っていかなければならないと思います。
 今般の選挙権回復というのは極めて前向きな話でありますので、ぜひ多くの方々に知っていただいて、そして、多くの方々に選挙権を行使していただくということが必要になってくると思いますが、今回の制度改正をどうやって周知していくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○米田政府参考人 お答えいたします。
 今回の制度改正が実現をいたしますと、主に三つの点について周知が必要になってくるというふうに考えます。
 まず第一は、この成年被後見人の方が、新しく選挙人名簿への登録が必要になってまいりますので、これの事務が確実に行われますように、都道府県それから市町村の選挙管理委員会への周知徹底、これが第一番目でございます。
 第二番目は、指定病院等の不在者投票におきまして、外部の第三者立会人の設置等、不在者投票の公正な実施についての規定が盛り込まれておりますので、この点について、この指定病院等への周知と取り組みの促進といったことが必要になってくるというふうに思います。
 そして、第三点目が、この成年被後見人の方、それからその他の関係者の方について、新たに選挙権が行使できるといった点についての改正内容の周知啓発が必要になってくるというふうに考えております。
 ただ、この第三点につきましては、特定の成年被後見人の方だけについて周知をするという方法は、これはプライバシーにかかわるような問題もございますので、むしろ全国民に対して周知をするという方法が適当ではないかというふうに考えております。
 したがいまして、その方法といたしましては、新聞、それからネットといった各種の媒体を利用するといった点が中心になろうかと存じます。
 以上です。
○村上(政)委員 今の選挙部長の答弁の中で、一つ目の点について、さらに詳しく伺っていきたいと思います。
 選挙権を実際に行使できるようにするためには、選挙権が付与されるこの成年被後見人の方々を選挙人名簿に登録する作業が必要になってくると思います。
 現在の数字としては、約十三万六千人の方々がこういった対象者になる。こういった方々を実際にどのように選挙人名簿に載せて、そして滞りなく選挙に向けて選挙事務を遂行していくのか、この点について伺いたいと思います。
○米田政府参考人 まず、現行の制度についてちょっと御説明を申し上げます。
 現在、選挙人名簿を管理しております住所地の市区町村の選挙管理委員会は、成年被後見人であるため選挙権、被選挙権の欠格条項に該当する方については、本籍地の市区町村長からの通知、もしくは前住所地の市区町村の選挙管理委員会からの通知等により把握しております。その情報により、選挙人名簿、在外選挙人名簿に表示を行ったり、登録をしないという取り扱いを行っているわけでございます。
 したがいまして、現在でも、住所地の市区町村の選挙管理委員会は成年被後見人の方々に関する情報を持っている、把握しているということでございますので、選挙人名簿、在外選挙人名簿に登録された後に成年被後見人となり名簿に表示がされた方については、選挙人名簿、在外選挙人名簿の表示の消除、それから、選挙人名簿の登録要件を満たす前に成年被後見人となって名簿に登録されていない方については、施行日以後の選挙時の登録で選挙人名簿に新たに登録をする、こういったどちらかの行為が必要になってまいりますけれども、これを改正法の公布の日から施行までの一カ月の間に準備をする必要がございますが、これは十分可能であるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、今回の法律が成立しました際にはこれらの事務を適正に執行していかなければなりませんので、速やかに全国の選挙管理委員会に周知を徹底し、遺漏のないよう対応してまいりたいと存じます。
○村上(政)委員 次に、公職選挙法四十八条二項によって、今回、代理投票の補助者を投票所の事務に従事する者に限定したという、この点について伺っていきたいと思います。
 先ほどからの質疑でもありますとおり、代理投票を厳格化するという点について、成年被後見人がきちんと選挙権を投票所において行使できるという、この点ときちんと両立できるようにしていかなければならないというふうに考えます。
 投票する、投票所に足を運ぶ成年被後見人の方と、そしてこの四十八条二項において定められた代理投票の補助者というのは、その投票所で初めて会うケースがほとんどであると思います。また、選管の事務に携わっているような方、投票所で事務に従事するような方というのは特段介護について知見を有しているわけでもない。こういった環境の中で、投票所に足を運んだ、実際に投票する成年被後見人の方の意思をきちんと酌み取った上で適切な補助業務ができるのか、そして、その成年被後見人の方が適切に選挙権を行使できるのか、この点について伺いたいと思います。
○山田(宏)議員 現在の公職選挙法上では、選挙人の家族や付添人も補助者として選任することが認められておりますけれども、今御指摘ありましたように、今般の法改正で、選挙の公正な実施を確保していくために、より中立的な立場の投票事務従事者に限定するということになりました。
 これまでの大多数の事例も、ほとんどがこの投票事務の従事者が代理投票を行っているということも踏まえながら、今般、成年被後見人の意思をどう確認するかという方法等について、事前に家族や付添人の方にもその代理投票をする投票事務従事者が確認をできるということも認めておりますので、そういったことをきちっとやった上で、投票所においては中立的な第三者が代理投票を行っていただくという意味で厳格化したということで、今御指摘のようなことは、これまでの点から見ても考えられないだろうというふうに考えております。
○村上(政)委員 今までの事例と同じような形で遂行できるということで、せっかく成年被後見人の方が選挙権を回復するわけですから、この点はしっかりと制度の中で反映されていくべきだというふうに考えますし、今の山田代議士からの御答弁の中で、私自身もきっちりと安心したものになるというふうに考えました。
 次に、公職選挙法の四十九条の九項について伺っていきたいと思います。
 約二万カ所あるというふうに言われております指定施設において不在者投票が行われるわけですけれども、今までにも、老人ホーム等の指定施設においては、不在者投票の偽造等の不正の事例が報道されてきたわけであります。
 こういった不正の事例というのは、全国的には一体どれぐらいの数になっているのか把握されていますでしょうか。
○米田政府参考人 老人ホーム等の指定施設での不在者投票に関しまして、最近の選挙におきましても投票偽造や投票干渉といった不正事例が報告されております。
 私どもに報告のあった指定施設における不正投票の件数でございますけれども、最近のものを申し上げますと、平成二十三年の統一地方選挙では一件、二十二年の参議院の通常選挙では三件、二十一年の衆議院総選挙では三件、十九年の参議院の通常選挙では一件、同じく十九年の統一地方選挙では四件というふうになっております。
○村上(政)委員 今、選挙部長からも御答弁があったとおり、これまでの選挙の中でも不正の事例が報告されているわけであります。
 今回の改正においては、四十九条九項において努力義務が設定されました。不在者投票の公正な実施の確保を目的として、四十九条九項において努力をするように求めているということでありますけれども、この努力義務ということで足りるのかということをお伺いしたいと思います。不正事例をこれから根絶していくということにおいて、効果がこれで果たして発揮できるのかという点について伺いたいと思います。
○米田政府参考人 今御質問の公選法四十九条九項が努力義務として新たに規定をされるという法改正でございますが、努力義務ではございますけれども、これまで指定施設におきまして外部の立会人を導入する際の課題の一つとして挙げられておりました立会人に関する費用負担につきまして、執行経費基準法の改正でその費用負担を国の方での法定化というようなことがされたということでございますので、その課題をかなり解消できるのではないか。したがって、実際の不正事例の抑止につながる効果が期待できるのではないかというふうに考えております。
○村上(政)委員 政府にもう一点お伺いしたいと思うんですけれども、この夏に参議院議員選挙が予定されているわけであります。これに向けて、法案が成立した後に、この法律を実際に実施していくために、政府の政令とか省令といったものがきちんと間に合うように改正する段取りというものは考えておられるでしょうか。
○米田政府参考人 今回の法案の内容を踏まえまして、政省令の改正をすべき点というのが幾つかございます。
 例えば、公職選挙法施行令等で定められております不在者投票や在外公館投票の代理投票につきまして、法改正と同様に、補助者の要件を投票記載場所における投票事務に従事する者に限定するといった改正、それから、公職選挙法施行令等におきまして、法改正と同様の文言の整理の改正、これは「身体の故障又は文盲」という用語を心身の故障その他の事由という、法律と同じようにするという改正でございますが、そのような内容の政省令の改正が必要というふうに見込んでおります。
 これらの政省令の改正でございますけれども、今後さらに精査を進めまして、今回の法案と同時に施行される必要があるというふうに考えております。
 総務省といたしまして、遺漏のないよう適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○村上(政)委員 政府としても、きっちりとした対応というものをお願いしたいと思います。
 最後に、提案者を代表して山田議員の方に、成立に向けた決意と、そしてお考えをお伺いしたいと思います。
○山田(宏)議員 これはこれまでも御質問いただきましたように、成年後見制度を利用した方とそれを利用していない方、同じ能力がありながら、選挙権が一方では認められない、認められる、そういった問題をはらんでおりまして、今回、東京地裁で違憲判決が出まして、それを踏まえて法改正をなすもので、多くの成年後見制度を利用されている方々にとっては、まさにこれまでの不平等なものが解消されるものと思っております。こういった意味で、立法府が主導してこういった状況を改善するということは、立法府としてあるべき役割だと考えております。
 今後は、提出者として、全議員が、こういった制度がきちっと根づくように、お互い各地域で努力をして、多くの方々が選挙権を行使できるようにしていくべきと考えております。
○村上(政)委員 これで質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○保岡委員長 次に、丸山穂高君。
○丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。
 成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律案につきまして質疑させていただきます。
 十三万六千人以上にも上ると言われております成年被後見人の方々のこれまでの思いを考えますと、また、今回の司法判断の趣旨を鑑みますと、我が党ももちろん提出者の中に入っておりますし、本法案に関しましては賛成でございます。ただし、成立後の施行を見据えて、詳細、細かい部分や、特にその施行に関係してくるような立法趣旨に関しまして、この質疑の中でお伺いしていきたいと存じます。
 まずは、政府側にお伺いしたいと思います。
 今回、三月十四日、東京地方裁判所において、この案件、憲法上の、法のもとの平等を保障した憲法に反するという判決が出ておりますが、今回の地裁判決を受けて、政府としての御見解はどのようなものでございましょうか、お伺いします。
○米田政府参考人 この判決は、選挙権、被選挙権にかかわるものでございます。選挙権、被選挙権は、民主主義の土台である選挙制度の根幹にかかわる事項でありまして、成年被後見人の方の選挙権、被選挙権の取り扱いにつきましても、非常に重要な課題であるというふうに認識しているところでございます。
 今回の判決を受けまして、成年被後見人の方の選挙権のあり方等についてどのような立法措置を講じていけばよいのかについて、各党各会派で御検討、御協議が行われ、今回の法案が提出されたものというふうに承知をしております。
 総務省といたしましては、今回の法案が成立しました際には、その内容を都道府県、市町村の選挙管理委員会に周知徹底いたしますとともに、選挙管理委員会等とも協力をいたしまして、有権者の方々への周知啓発を適正に行うなど、公正かつ適正な選挙の実施に努めてまいりたいというふうに考えております。
○丸山委員 今回の判決を受けまして、先ほどの泉委員の御質問でもありましたけれども、控訴のお話がございました。法案成立後、もしくは今回の判決を受けまして、政府としまして、控訴を取り下げないという御見解でよろしいんでしょうか。また、その場合には、理由はどういったものでございましょうか。そのあたりにつきまして再度お伺いしたいと思います。
○米田政府参考人 お答えいたします。
 この改正法案が成立、施行されますと、成年被後見人の方に選挙権が付与されることとなります。そうなりますと、原告はその目的を達するため、原告から訴えの取り下げがなされなければ、訴訟はその目的を達したということで、訴え却下の判決により終了することになるものというふうに承知をしております。
 控訴を仮に取り下げたということになりますと、現行の公職選挙法の規定を違憲とする東京地裁判決の判断を確定させることになるということになりますので、国としては控訴を取り下げる予定はないところでございます。
○丸山委員 今のお話では、訴え却下に持ち込んでいくということであるということでございます。
 政府としての立場はあると思いますけれども、また地裁判決ということで、なかなかこの時点でという御判断もあるのかもしれませんが、やはり名児耶匠さんを初め多くの成年被後見人の方々の思いを考えれば、もう少し誠実な対応でお考えいただくように進めていただければと思います。
 特に、先ほど逢沢議員からもお話がありましたけれども、過去の事例等を見てというお言葉もありました。ぜひ、なかなか役所の方では判断できないところを、最後の決断として政治的決断をしてまいるのが政治の役割だと思っておりますので、政府の、特に与党の皆様の御判断等を進めていただきますよう、強くお願い申し上げます。
 次に、先ほど白須賀委員からも御質問がありましたけれども、後見人制度に関しまして、他国でどのような運用をされているかということにつきまして、さらにもう一度詳しくお伺いしたいと思います。
 先ほどのお話で、オーストリアやイギリスやアメリカの事例がございました。一律に選挙権を失う制度を持っている国と、一方で、一部を制限している国と、そして完全に制限していない国があるということでございますけれども、それぞれどれぐらいの国の割合で、また数で、制度として存在しているのか、政府として、もし御見解、認識、調査等があればお教えいただければと思います。
○米田政府参考人 これは、私どもといたしましては各国の制度を網羅的に把握をしていない、それから、後見の制度そのものも各国によって違うといった点がございますので、具体的な国の数をお答えすることは困難でございます。
 しかし、ことしの四月に国立国会図書館がまとめた資料、それから二〇一〇年にEUの欧州基本権庁がまとめた資料を参照いたしますと、まず、精神疾患や知的障害により後見制度が適用された場合に選挙権が自動的に停止される国として、ベルギー、ポルトガル、ポーランドという国が挙げられております。それから、選挙権が個別の判断、裁判官の個別の判断により制限される国としては、フランス等かなり多くの国がある。選挙権がこういう後見制度等と精神障害等という点から全く制限されない国として、イギリス、オーストリア等が報告されているというふうに承知をしております。
○丸山委員 ありがとうございます。
 いずれにしましても、今回の件は裁判という形で争われてきた部分もございますので、そういった件に関しましては、今回の法案審議に関しましては急ではございますけれども、やはり政府の方でもできる限り情報を集めていただくような形で、統計的、また数字的な部分に関しましても見えてくるような形にしていただければと思います。
 次に、最初の國重委員の質問にもございましたが、本法案の、四十八条、特に第一項の点につきまして詳しくお伺いしたいと思います。
 今回の改正案につきましては、「心身の故障その他の事由」ということでございますけれども、先ほどの御答弁では用語を明確化するというお話でございました。この件に関しましては、内容が現行法と、成年被後見人の方の選挙権を回復するという点以外に関しては変わらないという認識でよろしいんでしょうか。特に、その他の事由という言葉が入っておりますので、その他の事由には何が含まれるのか、何を想定されているのか等も含めて、より詳細にお答えいただければと思います。
○山田(宏)議員 先ほどもこの四十八条一項についての御質問がございましたけれども、もう一度繰り返しになりますが、「心身の故障その他の事由」に変更することになります。これまでは身体の故障及び文盲ということで、範囲は同じであります。
 一つは、文盲という言葉自体がふさわしくないということですけれども、これまで文盲の中に入っていた解釈としては、自書能力またはこれにかわるべき点字による記載能力のない全ての者を含むと解釈をされておりました。ですから、そういった意味では、これまで、知的障害をお持ちで、そして自書能力のない方も、この範囲の中で対応、代理投票をされてきたものということであります。
 文言を変更するということで、その他の事由ということにつきましては、今の文盲の解釈の中にもありましたように、これまで学習をする機会がなかったことによって文字等が書けないという場合も含まれております。こういったことで、これまでの範囲をきちっと確保するために、このその他の事由という言葉も入っているということでございます。
○丸山委員 わかりやすい御答弁、ありがとうございます。
 次に、同条の二項についてお伺いしたいと思います。
 同条二項において、本法案では「投票所の事務に従事する者のうちから」という言葉を追加されております。先ほど、これに関しましては他の委員からも御質問がありました。
 さらに、同じ二項において、「その承諾を得て」という文言を削られているんですけれども、ここを削られた理由について、提案者の方からお伺いしたいと思います。
○山田(宏)議員 これまでは、今お話がありましたように、現行公選法四十八条二項は、投票管理者は、投票立会人の意見を聞いて、当該選挙人の投票を補助するべき者二人をその承諾を得て定めるというふうにされているものであります。
 今回、補助者の範囲を投票所の事務に従事する者と限定しておりますが、この投票所の事務に従事する者としては、今、選管の職員や市役所等の職員を想定しているものであります。ということは、つまり、投票所の事務に従事する者に対しては投票管理者が指揮命令権を持っているということでございますので、その承諾を得るということは不要というふうな考えをもってこの条文を削除したものということでございます。
○丸山委員 わかりやすい御説明、ありがとうございます。
 成立後の施行を見据えて、やはり立法趣旨としてどうして削除したのか等は、答弁として残るということは重要でございますので、お答えいただいてありがとうございます。
 次に、不正投票の問題につきましてお伺いしていきたいと思います。
 先ほど来、多くの委員から不正投票の問題につきましても御指摘がございました。また、この点に関しては少し重なってしまうんですが、今回の裁判で政府側が述べた点としまして、判断力の欠如につけ込んだ第三者が特定の候補者に投票するよう不正に働きかけるおそれがあるので、現行法の規定は問題がないんだという主張でございました。
 先ほど、何件かというのを、ずっと立件もされているというお話もございましたけれども、今後の取り締まりをきちんと、先ほど来ありました、例えば介護の施設のところで起きている問題がある等ありましたけれども、そうした投票干渉罪が起きないような体制をきちんと重点的にやっていただきたいという思いはあるのですが、一方で、判決を拝読しておりますと、制限の必要性自体を完全に否定したという形の判決ではございません。選挙権を一種の公務という形で位置づけて、選挙権を行使する能力がない人に権利を与えないことは合理的だという判断でございます。
 例えば、全く意思表示ができない人に限って家庭裁判所が選挙権を認めるかという判断の方法も考えられると思います。先ほどのお話では他国でもそういった制度があるというふうなお答えもありましたけれども、そうした制度にせずに、今回、成年被後見人の条項を一律に削除した理由について、いま一度、先ほどお答えになっていた部分もあると思うんですけれども、詳しくお伺いしたいのと、再度、今後の検討としまして、実際の運用も今後されていくわけでございますけれども、その中で問題が生じた場合には、今後の変更も含めた検討課題として入ってくるのかどうか、提出者の御認識を伺えればと思います。
○山田(宏)議員 一番重要なことは、やはり投票者、選挙人がきちっと本人の意思を確認されて、そしてそれがきちっと表明されるということが確保されることと、やはり第三者による投票行動への影響を排除するということだと認識をしております。
 そういった点で、施行に当たっては、十分それが確保できるように、今回、代理人としては投票所の事務に従事する者というふうに限定したものでありまして、そういった者等を通じてきちっとそれが厳正に対応できるように、これからきちっと施行をしていかなきゃいけない。
 今後、一回これを施行した後で、やはりその施行がちゃんと行われているかどうかということをきちっと把握した上で、必要があれば、法改正または規則等の改正が必要になろうかと思いますけれども、まずはそれが起こらないようにきちっと初回の選挙で対応していきたいと考えております。
○丸山委員 政府としてはいかがでしょうか。
○米田政府参考人 不正投票の対策でございます。
 今回の法案におきまして代理投票の制度を見直すといったこと、それから指定施設等の不在者投票におきまして外部の立会人の設置等の努力義務を課していただいたこと、この点は選挙の一層の公正な実施につながっていくものと期待しているところでございます。
 これらのことがまずきちんと整理されて、投票の公正さが一層担保されますよう、外部の立会人が全ての指定施設でできるだけ活用できるような方向に、都道府県の選挙管理委員会、市町村の選挙管理委員会とも協力をして、私ども努力をしてまいりたいと存じます。
 このような地道な努力を通じまして、不正投票が起こらないような体制に持っていければというふうに考えております。
○丸山委員 先ほどの、外部の立会人が立ち会いできるように、そういった方向に持っていくという政府の御答弁でございました。また、先ほど取り締まりを重点化していくというお話もございました。
 こういった点に関しまして、予算や人員をつけられるというお考えがございますでしょうか。具体的にもう少しお伺いしたいと思います。
○米田政府参考人 外部の立会人の導入につきましては、今回の法改正によりまして、執行経費の基準法の法案化、法制化というのをしていただきました。国政選挙におきまして外部の立会人をつけた場合には、一定の金額を市町村、都道府県の選挙管理委員会が交付した場合には、国の方で、国政選挙におきましてはそれを交付ができるというふうな体制になります。
 これがいかほど使われるかどうかというのはこれからでございますけれども、例えば次の参議院選挙等々を見て、実績がありますと、確実にこれは交付をするということになろうかと存じます。
○丸山委員 今回の判決は名児耶匠さんの事例をもってという判決でございますが、先ほど申し上げた十三万六千人以上の方々も、やはり同じ思いで、今回の判決を万感の思いで待っていた、そして法改正を切望しているという状況でございます。
 具体的な点につきましてもこれから詰められるということでございますが、参院選前にも選挙もございますので、なるべく早い段階での施行ができますよう切にお願い申し上げまして、また提案者の方にも、特に与党の方にも、繰り返しになりますが、判決の行方を見守っていらっしゃる方々もございますので、なるべく前向きな方向でさらに進めていただきますようお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○保岡委員長 次に、井出庸生君。
○井出委員 みんなの党、信州長野の井出庸生です。よろしくお願いをいたします。
 早速ですが、まず最初に、今回の改正法案の評価、提案者に評価をというのもあれなんですが、確認の意味を込めた評価と、あともう一つ、成年被後見人にこれまで選挙権が与えられてこなかったことについての見解を提案者にお伺いします。
○椎名議員 井出委員、ありがとうございます。
 改正案に対する評価と、それから、今まで成年被後見人に選挙権が与えられてこなかったことに対する所見ということで質問をいただきました。
 まず、我が党、みんなの党でございますけれども、ことしの三月の十四日に判決が出た、成年被後見人の選挙権を制限する公職選挙法第十一条一項一号、これが違憲無効であるという東京地裁の判決が出た段階で、我が党におきましても、非公式ながら検討を開始しようとしていたところでございます。
 その中で検討しようとしていたことでございますが、基本的には、選挙権と申しますのは、憲法十五条で国民固有の権利ということで、国民の、民主主義の根幹をなすようなそういった権利であるというようなことを原則として考えている。したがいまして、原則として選挙権に対する制限というのは非常に限定的であるべきであるということを踏まえた上で、この公職選挙法第十一条一項一号の成年被後見人に対して選挙権を制限している、これが限定的に許容される場合に当たるのかどうかというところを非公式に検討を始めたところでございます。
 そういった中で、対立概念として考えられることが、先ほど来質問にも上がっておりますけれども、選挙の公正ということで、特に、第三者から投票に影響を与えるような行為、こういったことが行われているのではないかということだったと思います。そして、基本的には、成年被後見というものについて、この制度を借用するということで、第三者からの事理弁識能力のない方に対する投票行動への働きかけを防ぐということだったと思います。
 しかし、やはり一律に成年被後見人に対し選挙権を制限していくということについては望ましくないのではないか、成年被後見の方についても、一律ではなく個々それぞれいろいろ違うということで、そういった形で一律に制限することについては問題があるという結論に達していたというところで、自民党及び公明党の与党二党から議員立法の共同提案の御案内が来たときに、これに賛同して共同提案という形になるということだったと思います。
 今回提案されたこの法案につきましては、成年被後見人の選挙権を制限することを削除するということで、非常にすばらしいものだというふうに私たちとしても評価をしているところでございます。
 そして、今までの話ということでございますが、平成十一年に成年被後見人の制度ができたときに見直しをかけておくべきだったんだろうと思います。成年被後見人については、基本的には財産処分権というものがないというところで制限をされているところでありまして、家事に関する行為についてはみずからの意思で行うことができるとされています。したがいまして、この場合、選挙に関するところについても見直しをかけておくべきだったと思っており、遅きに失しているというふうに私は考えております。
○井出委員 ありがとうございます。
 私も、昭和二十五年に公職選挙法、それ以来、日本は、禁治産者制度を含めて、それまで一貫して、やむを得ない事情ということで選挙権を与えない形で来た、それが今回一律に付与する、これは非常に大きな転換点だと思っております。
 それで、ここで幾つか政府見解を伺っていきたいんですが、成年後見人制度の利用を始めたがゆえに選挙権がなくなってしまった、また、選挙権がなくなってしまうということを理由に、成年後見人制度の利用そのものをためらう人が出てきた。その一番の原因は、やはり、今答弁にも出ましたが、禁治産者制度から成年後見人制度に変わるときのことだったと思っております。
 過去の国会の議事録を見ても、何度も出てくる政府の答弁の中に、制度の呼び名が変わっても、禁治産者制度と成年後見人の制度、その対象は一致しているという答弁が繰り返し出てきて、これによって、過去、これまでも、公明党さん、共産党、社民党さんが何度も問題提起をしてきたのですが、それがなかなか改正に至らなかった。
 一致しているという政府のこれまでの答弁が今も正しいと認識をされているのか、政府の見解を伺います。
○米田政府参考人 これは平成十一年の民法の改正時の議論でございますけれども、まず、要件といたしまして、禁治産者につきましては、「心神喪失ノ常況ニ在ル者」と書いてございました。今度の成年被後見人の定義といたしましては、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」と変えられたわけでございますけれども、これは政府側の説明、立法時の説明といたしまして、書き方は変わりましたけれども、その対象は一致するということで認識をしていたわけでございます。
 それで、平成十一年の民法の改正時におきまして、選挙権のほかにも、いろいろな権利等々の要件になっていたもの、これを見直すというようなこともあったわけでございますけれども、その見直しにつきましては、それぞれの要件について、個別に能力審査を別途しているものについては、その能力審査で足りるという格好で外していくといったようなことが行われたというふうに承知をしております。
 しかしながら、選挙権につきましては、選挙時に個別に能力を審査するということが非常に困難であるということ、それに、現に個別の審査というのは行われていない、そのようなことから、文言は変わりましたけれども、対象者の定義は変わっていないという点を捉まえまして、禁治産者と同様、選挙権及び被選挙権を認めないこととされたというように承知をしております。
○井出委員 今、選挙権はその場その場で個別の能力判断ができないから、そういった事由として残った、そういった話だったと思うんですが、きょうのこれまでのやりとりを聞いておりますと、提案者、公明党の北側議員は、まず、その裁判の原告だった方に十八日にお会いしたときにおわびをされた、そういう話が先ほど國重委員のお話からも出ておりました。また、ほかにも、反省の気持ちといった、そういった発言も提案者の方から出ております。
 政府としては、これまで国会の中で議論が低調だったとも報道されておりますが、私からすれば、低調ではなく、問題提起はあったと思っております。ただ、そこをずっとこの状態で来たことに対して、反省や、そういったお気持ち、見解はないのか、改めてお伺いします。
○米田政府参考人 私どもといたしましては、法に基づく行政をやっておるところでございまして、現行法があるという前提でこれまでいろいろなこともやってきたわけでございます。
 訴訟におきましても、先ほど申しましたように、選挙権の行使に最低限必要な判断能力を有しない方に選挙権を付与しないという立法目的には合理性があるとの理由で、現行の公職選挙法十一条の制度は違憲とは言えないというような主張もしてきたわけでございまして、もちろんこの点は立法の裁量の中の問題ではあると存じますけれども、私どもの方から、この点について現行法をたがえるような形でのコメントというのはしたことはないわけでございます。
○井出委員 現行法をたがえることはできない、法に基づく行政をやらなければいけないというその重要性は私もしっかり理解しております。ですから、一番の問題提起を与えてくれた三月十四日の東京地裁の判決におきましても、国としては控訴をされているんだと理解をしています。
 先ほど、さきの委員の皆様のお話の中で、東京地裁、控訴した件に関しては、裁判の終結になるだろう、そういった御答弁がありましたが、この終結のめどといったものは何か把握されておりますか。政府の見解をお伺いします。
○米田政府参考人 これは裁判の実際の進行ということにかかわってくるかと存じますけれども、私どもの聞いております範囲では、現在、裁判の事前の手続というものが裁判所、両当事者の間で進んでいるというふうに聞いておりまして、この夏の間には、この法案の成立等々も見きわめた上で判断がなされるのではないかというような情報を得ておるところでございます。
○井出委員 それは、参議院選挙に間に合うという理解でよろしいでしょうか、もう一度お願いします。
○米田政府参考人 その点につきましては、ちょっとわかりかねます。
○井出委員 現行法にのっとってやっていかなければいけない、そこのところは非常によく理解をするんですが、今回この裁判がなければ、恐らくこういった法改正はなかった。
 過去の議事録を見ますと、控訴されている理由は幾つかこれまでの答弁でもあるのですが、その中で、今回、東京地裁の判決は、原告本人個人に次回の選挙権を認める内容だった、ほかの十三万六千人の皆さんへのものではないというような、そういった政府の答弁もあったんですが、今各党一致で法案が出ている、成立は間違いない、こうした状況が整っている中で、控訴を取り下げなければ、参院選にそれが、裁判の終結が間に合わなければ、仮に原告に選挙権が与えられることになったとしても、一番の問題提起をしてくれた原告御本人にその裁判を引きずらせたまま参議院選挙に入るということになってしまうのではないかと私は危惧をしております。
 ですから、ほかの委員の方も、控訴の取り下げについて少し考えてほしいというような御意見、きょうもありました。これまでにも、判決以降、多くの先生方がそういったことを述べております。私は、状況もこれだけ整っていることはないんじゃないか、控訴をぜひ取り下げていただきたいと思いますが、もう一度御答弁をお願いします。
○米田政府参考人 控訴を取り下げた場合でございますけれども、これは、この東京地裁の判決が、現行の公職選挙法の規定を違憲である、まさに立法裁量権を超えたものであるといった判断でございますので、この判断を確定させることとなる控訴の取り下げは、国としては予定はございません。
○井出委員 この法律が成立をすれば、七月の参議院選挙に向けて、先ほど選挙部長も御答弁をされましたが、国として、公正かつ適正な選挙をやっていく、法律をしっかりと、今度はこの新しい法律を現行法としてやっていく責任が総務省、国にはあると。その一方で控訴を取り下げないというのは、私はその姿勢に矛盾を感じているのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
○米田政府参考人 私どもといたしましては、この成年被後見人に選挙権をどのように与えるかといった問題につきましては、立法裁量の中の問題であるという主張をしているわけでございます。これを、控訴を取り下げるということになりますと、東京地裁の判決が確定をし、違憲だ、まさに立法裁量の中にはないという判断を確定させるということになります。これは、現在、まさにその立法裁量権の中で立法が行われている今回の改正法の成立とは全く矛盾するものではないというふうに考えております。
○井出委員 私、きょうの議論は、参議院選挙に向けてスピード感を持って議論をしていかなければいけない、そういう思いが各党あって、きょうここに至っているわけですが、きょうは、ですから、総務大臣はどうしてもいらっしゃれない、ただ、審議を急がなければいけない、それは十分わかっております。
 しかしながら、今までそういった判断能力がない人に選挙権を与えてこなかったものを認めていくという大きな転換がある中で、先ほど委員の方からもお話がありましたが、私は、これだけの大転換を、通常の周知というものでは到底足りないんじゃないか、政府の見解として、これからこの成立した新しい法を現行法としてしっかりやっていく政府の責任として、新しい見解をしっかり示すべきではないかと思いますが、政府の見解をお伺いします。
○米田政府参考人 今回の成年被後見人の問題につきましては、まさに選挙権、被選挙権という、民主主義の土台である選挙制度の根幹にかかわる問題でございます。その点についての取り扱いが変わったというようなことでございますので、私どもといたしましても、これは、全国民に対して、この改正の内容について知っていただく必要があるというふうに考えております。そのような周知と申しますか、投票参加の呼びかけも含めまして、これから進めてまいりたいというふうに考えております。
○井出委員 先ほども少しお話をいただきましたが、政府としては、なかなか反省、謝罪というわけにはいかない、裁判も控訴を取り下げるわけにはいかないと。ただ、しかし、その周知、政府見解というところは、今お話があったように、しっかりやっていただきたいと思います。
 最後に、副大臣にお伺いをしたいのです。
 その周知のところで、まず、今、東京地裁の一番の問題提起をしてくれた原告の方、また、ほかにも三つの裁判があると聞いております。また、過去の経緯を見れば、過去に四十一万人の皆さんの署名を集めた、全日本手をつなぐ育成会という団体の皆さんが一二年にその規制の撤廃を求める署名を四十一万人分提出されたと聞いております。そうした方々への誠意ある対応が必要だと思いますが、副大臣、いかがでしょうか。
○坂本副大臣 繰り返しになる部分もありますけれども、お許しいただきたいと思います。
 選挙権、被選挙権につきましては、先ほど選挙部長もお答えいたしましたように、民主主義のまさに土台である選挙制度の根幹にかかわる事項であります。成年被後見人の方の選挙権、被選挙権の取り扱いにつきましては、ノーマライゼーションの精神からも重要な課題であるということは、私たち、全て認識をしているところでございます。
 ことしの夏には、七月には任期満了を迎えます参議院通常選挙が予定をされております。総務省といたしましては、今回の法案が成立した際には、全国の選挙管理委員会と協力し、さまざまな広報媒体を活用しながら、新たに投票ができるようになる成年被後見人の方々へ、改正の内容の周知と、投票参加の呼びかけについて、遺漏なきよう取り組んでまいります。
 それから、投票事務が行われます全国の現場におきましても、成年被後見人の方々に円滑に投票していただくとともに、公正かつ適正に選挙が行われるよう、全国の選挙管理委員会に周知徹底をし、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますし、さまざまな団体、そのほかの方々にもしっかりとした周知、広報活動をしてまいりたいと思っているところであります。
○井出委員 周知、政府見解を示していくところは、今副大臣おっしゃられたように、副大臣、大臣、その政治の方のリーダーシップで引き続きやっていただきたいと思います。
 私からの質問を終わります。きょうはありがとうございました。
○保岡委員長 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 選挙権、参政権というのは、国民の基本的権利であって、全ての国民にひとしく保障しなければならないものであります。その意味で、今回の公選法の成年被後見人に係る選挙権、被選挙権の欠格条項の削除、これは当然でありまして、もっと早くから実現すべきものであったと思います。
 日本共産党は、成年後見人制度の導入のときからこの問題点を指摘してまいりました。約十三万六千人とも言われる方々の選挙権回復について、国会審議等で取り上げ、選挙権の回復をと主張してきたところでございます。
 そこで、提案者の塩川議員に、これまでの審議経緯も踏まえて、今回の改正についての思いを伺いたいと思います。
○塩川議員 佐々木委員にお答えいたします。
 我が党、日本共産党は、成年後見人制度の導入時からこの問題点を指摘し、選挙権回復について国会審議等で繰り返し取り上げ、早い選挙権の回復をと主張してまいりました。公選法の成年被後見人に係る選挙権、被選挙権の欠格条項の削除は当然であると考えます。
 成年後見人制度は、認知症や知的障害、精神障害者で判断能力が不十分な人を保護し、支援することが目的の制度であります。そして、選挙権は、憲法が保障した国民固有の権利であります。これは、国民が主権者として政治に参加する機会を保障するものであり、国民主権、議会制民主主義の根幹をなすものであると考えます。
 一九九九年、成年後見人制度導入の審議の中でも、我が党の木島日出夫議員は、財産保護のための成年後見人制度と国民の基本的権利である選挙権は全く関係ない、国民に対して選挙権を剥奪する理由はないと指摘をしておりました。
 本案は、ことし三月の東京地裁での違憲判決もあり、全党で共同提出することとなりました。
 本案がことし五月中に成立をすることで、ことし夏の参院選から回復することになります。この夏の参院選から成年被後見人の選挙権回復を実現するためにも、本案の早期成立が必要であると考えます。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。
 今答弁がありましたように、選挙権というのは国民固有の権利でございます。この憲法上の権利行使については、投票機会の保障というものが不可欠であります。これなしに選挙権の保障はないわけですね。
 今回、選挙権が回復する成年被後見人に限らず、障害者を含む有権者全体の投票機会の保障ということが必要だと思いますけれども、改めて、この点は提案者の逢沢議員に確認をしておきたいと思います。
○大口議員 今先生が御指摘されたとおりでございまして、やはり選挙権を有している方がその権利を具体的に行使できるよう、投票の機会を十分に保障することが重要であると考えております。今、公選法では、不在者投票あるいは郵便投票あるいは代理投票というのがございますが、しっかり実施していく。
 それと、あと、今回、補助者が投票所の従事者に限定されたわけでありますが、特に意思の疎通をしっかりしていかないといけないと思います。身体障害における投票の補助と、知的障害、精神障害、認知症、脳卒中後遺症の言語障害等は質的に異なりますので、事前に十分な意思の疎通をして、配慮していかなきゃいけないと思っています。
 以上です。
○佐々木(憲)委員 分担をされて答弁をするということでありますので、大変失礼しました。
 今回の改正では、代理投票の適正化という内容が含まれております。代理投票の制度というのは現在でも行われている制度で、投票用紙に文字を記入できない選挙人のための制度でございます。投票管理者に申請しますと、補助者二名が定められ、その一人が選挙人の指示に従って投票用紙に記入し、もう一人が指示どおりかどうかを確認するというものです。
 そもそも、自書能力を有しないという理由で有権者を選挙に参加させないということは、憲法が保障する国民固有の権利、成年による普通選挙を保障していることの本旨に反することになるわけでありまして、これは確認でありますが、現在、どれくらいの方が代理投票を利用しているのか、全投票に占める比率はどの程度か、これは総務省にお答えいただきたいと思います。
○米田政府参考人 直近の選挙で申し上げます。
 まず、平成二十一年の衆議院選挙におきましては、代理投票者の数は、小選挙区で十五万八十三票、比例代表で十五万一千百八十一票となっております。いずれも投票者数の〇・二%ということであります。
 それから、平成二十二年の参議院選挙におきましては、選挙区で十二万九千二百三十二票、比例代表で十三万一千二百票の代理投票者数がございました。これも、いずれも投票者数の〇・二%というふうになっております。
○佐々木(憲)委員 今お答えをいただいたように、全投票者の〇・二%というのが現状ですけれども、成年被後見人の方々の選挙権が回復することで、この投票はさらにふえるということになると思います。比率も高まると思います。
 本案では、代理投票の補助者を、投票所の事務に従事する者のうちから定めるとなっております。その際、意思疎通が困難な方の意思をどう確認するかということが課題になるわけです。現行制度でも、投票所に行ったけれども、意思が伝えられない、伝わらないということで投票ができなかったという例も聞いております。
 一方で、自閉症の方とか知的障害のある方に対して、付き添いの方が投票所内に入ってもらって、投票所の雰囲気とか選管職員になれてもらうということで、十分時間をとっているところもあるようです。
 ほかにも、代理投票の場所で落ちつきをなくしたような場合、一度その場を離れて、落ちついてからまた入るというようなことも、いろいろ各選管で工夫して知恵を出しているようであります。本人の意思を確認し、代理投票を実行するということが大変大事なことでありますので、大切なことだと思うんです。
 障害の度合いなどは、一人一人状況が違います。これは、マニュアルで一律に決めて実行するというのは大変難しいと思うんですね。先ほど提案者からも答弁がありましたが、投票機会が奪われるということはあってはならないわけで、大事なことは主権者がきちんと選挙権を行使できるようにすることでございます。
 代理投票の補助者は、これまでの経験や工夫を生かし、本人の立場に立って、意思疎通、意思を酌み取る努力をしなければならないというふうに思いますけれども、総務省はどのようにお考えでしょうか。
○米田政府参考人 今御質問にあったとおり、投票につきましては、何回も申し上げておりますけれども、選挙人本人の意思に基づいて行うということと、それをいかに酌み取るかということに代理投票の成否がかかっているというふうに考えております。
 選挙人それぞれ、障害の程度、状況は異なっております。意思疎通の方法もかなり異なっておりますので、各現場におきましてこれまでもさまざまな工夫が行われてまいりました。
 私どもからも、代理投票は本人投票の原則の例外をなす場合であるから、その補助者は、いやしくも選挙人や投票立会人から疑惑を持たれないよう十分注意しなければならないとか、補助者が選挙人に候補者の名前を聞くときは特に慎重を要するとか、補助者が選挙人本人の意思を確認できないときは最終的には投票できないこともあるといったような一般的な留意点というのはお示しをしておりますけれども、原則としては、それぞれの現場でさまざまな工夫をできるだけするということが重要であるというふうに考えております。
 何よりも、今回の改正におきましては、できるだけ多くの選挙人の方の意思を酌み取るということが重要なことだと存じますので、新しく、その点、各現場の選挙管理委員会に改正内容や留意事項等という形でお伝えをしてまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 私は、広島県に住んでおられる二十三歳の男性のお母さんから話を聞きました。この男性は、手足が不自由で、話すこともできないという状態にあります。お母さんや親しい方は、男性の目の動きあるいは微妙な表情の変化などでコミュニケーションをとれるということらしいんですね。
 この男性は、一回の地方選挙と昨年の総選挙を代理投票で行ったそうです。お母さんが投票所に行く前に、これから選挙に行くよと声をかけますと、そして、あなたも国民の一人だからその権利があるんだよ、こういうふうに言いますと、その男性は大変生き生きと目を輝かせているそうです。投票所に行って、投票所の係員が投票用紙に記載し、本人の手に投票用紙を握らせて、車椅子に座ったまま係員が傾けた投票箱に本人の手で投票用紙を入れる。投票が終わると、この男性は大変誇らしげな顔をしているということです。
 今回の改正で約十三万六千人の成年被後見人の方々の選挙権が新たに回復をして、これから代理投票の利用も多くなると思うんです。引き続き、国民の選挙権行使ができるように、現場の選管や総務省も最大の努力をしていただきたいと思います。
 代理投票は投票所に行って投票するということになりますけれども、投票所になかなか行けないというアクセスの問題があるわけです。この委員会で私も触れたことがありますが、投票所が、だんだん数が減ってくる、あるいは住んでいるところから遠いところに行かなければならない、そうなりますと、障害者の方には大変大きな負担になるわけですね。
 この間、投票所の数が激減しているというふうに思いますけれども、一九九六年の総選挙の投票所の数と昨年の総選挙の場合の投票所の数、この数だけ確認したいと思います。
○米田政府参考人 お答えいたします。
 一九九六年では五万三千二百十四カ所ございました。昨年、平成二十四年では、これが四万九千二百十四カ所になっております。
○佐々木(憲)委員 四千カ所も投票所が減っているわけですね。これほど投票所が減りますと、投票所まで遠くなる人もふえるわけであります。
 三月にも質問しましたけれども、国政選挙執行経費基準法が改正されて、投票所経費を大幅に減らしているという状況のもとで、投票所の減少傾向にさらに拍車をかけているというふうに思うんです。こういうことはあってはならないと思うんですね。
 投票所自体のバリアフリーも問題でありまして、例えば投票所が一階にない、二階にあるというようなこともあるわけです。あるいは、入り口に段差がある。こういうことで障害者の方の投票行動を制約させてはいけないと思うんですね。
 投票所において、入り口に段差があって簡易スロープを設置しているというのは一体どのぐらいあるのか、全体の何%か、これも数字を答えていただきたいと思います。
○米田政府参考人 これは平成二十一年の衆議院議員の総選挙の数字でございますけれども、入り口に段差のある投票所というのが二万八千二百七十八カ所、全体の五五・五%ございました。このうち、簡易スロープが設置されました投票所数は一万二千四百八十九カ所、入り口に段差のある投票所の四四・二%になります。それから、人的介助等の措置がなされた投票所が一万五千三百九十四カ所で、入り口に段差のある投票所の五四・四%でございました。
○佐々木(憲)委員 障害者の方の話を聞きますと、人的介助というのは、ありがたいんだけれども、どうしても遠慮してしまうというわけです。そういうことがあるので、結局投票には行けないと思ってしまうとか、やはり当事者の立場に立って、何が必要かということをぜひいろいろな角度から検討していただきたいと思うんです。
 それから、車椅子用の投票記載台ですね。健常者の場合、一定の高さで書くわけですけれども、車椅子の場合は少し低くなければ書けないわけです。それから車椅子用のトイレの整備とか、いろいろな意見があります。
 投票所のバリアフリー、投票所へのアクセス、こういう問題も全体として解決していく必要があると思うんですけれども、提案者の方に、この点についての今後の対応についてお聞きしたいと思います。
○逢沢議員 佐々木先生から大変重要な点について御指摘をいただいたと思います。
 選挙権の行使、被選挙権の行使、まさに国民固有の権利でございますし、民主主義、議会制民主主義の土台、根幹をつくるのが選挙。そう考えますと、選挙権を、権利を持っておられる方が一人残らず行使をしていただける、そういう状況、また環境を整備するということは、まさに立法府、政治の大きな役割と言わなきゃならぬというふうに思います。
 私も国会議員をしておりながら、投票所の数がこれほど多く減っているという事実、実は、恥ずかしながら承知をいたしておりませんでした。もちろん、経費の面その他、自治体におけるさまざまな事由がその背景にあろうかというふうに思いますが、適切に投票所を確保するということ。確かに障害やさまざまな状況にある方が投票所が身近にないということは、選挙権を行使したいという意欲、意思はあっても物理的になかなかできにくい。そうであってはならないわけでありますので、適正化を図っていかなくてはならぬというふうに思います。
 もちろんバリアフリー化の問題、これも投票所の物理的な状況等も背景にはあろうかというふうに思いますが、しっかりとバリアフリー化を確保して、選挙権を行使していただくということの重要性、ある意味では、予算にかえがたい大きな意味があるわけでありまして、そのことをしっかりと体した議論を深めてまいりたい、そのように存じます。
 ありがとうございました。
○佐々木(憲)委員 現在、選挙権を持っている障害者も、代理投票の制度ですとか、あるいは病院等での不在者投票、それから郵便投票、郵便代理投票、点字投票、こういう方法があるということを知らない方が結構いるわけです。
 先ほど紹介した広島県の男性のお母さん、最初、こういう制度を知らなかったということで、男性が成人しても投票できないものだというふうに思っていて、大変忍びないと思っていたそうであります。ところが、思い切って選管に相談すると、代理投票というものがあるんだよということを知らされた。後で、この方は、成人して数回あった選挙を棄権させてしまったというのは親として非常に悔やまれるというふうにおっしゃっています。
 ですから、全てのこういう成年被後見人の方々、それから障害者の方々にさまざまな投票の手段があるんだということを周知徹底するというのは非常に大事だと思うんですね。その点で、最後に、総務省の見解をお聞きしたいと思います。
 それから、ネット選挙運動の解禁ということもありますので、例えばウエブ上で選挙運動なども自由に今度はできますから、そういう点も障害者の方々が参加していく非常にいいきっかけにもなると思います。この点について、総務省とそれから提案者それぞれに、一人ずつ、もう時間ですので簡潔にお答えいただきたいと思います。
○米田政府参考人 障害等をお持ちの方々が実際に投票ができる手段として、不在者投票、郵便投票等があるということを実際に知っていただくということが非常に重要なことだと思います。
 そういう意味で、いろいろな手段、例えば、実際の文字の文書だけではなくて、ウエブそれから点字のパンフレット、音声CD等のいろいろな媒体を使いまして、これらについて周知をこれからも深めていきたいというふうに存じます。
○逢沢議員 大変重要な点について、重ねて先生から御指摘をいただきました。
 不在者投票、郵便投票また代理投票等の状況が確保されているということの周知徹底、一義的には総務省、各都道府県選管の仕事であろうかと思いますが、よい意味で、我々、政党、政治家も、先生御指摘の、ネット選挙も解禁ということでございます、そういうツールもよい意味で大いに活用しながら、周知徹底を図っていく。
 また、障害者団体初め、いろいろなNPOの皆様方にもお願いをして、そういった立場からもこういった状況の徹底を図っていただく、そういうよい意味での協力が進むことを期待いたしたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。
○保岡委員長 次に、村上史好君。
○村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。
 私で九番目、最後の質疑者となります。どうしても重複する部分もあろうかと思いますけれども、御理解をいただきたいと思います。
 私は、この三月十四日の東京地裁の判決を受けて、全党が法改正に向けて取り組んで、そして今日を迎えたということに対して、心からの評価と、また提出者への敬意を表したいと思っております。本当に御苦労さまでございます。
 そこで、まず、玉城議員にお尋ねをしたいと思います。
 この法案は八党がまとめてこられました。この法案への思いをお伺いしたいのと、それと、諸外国の例もいろいろと勉強されたと思います、先ほども質疑の中に出ておりましたけれども、諸外国の制度についての検討の経緯について、あわせてお尋ねをしたいと思います。
○玉城議員 村上委員の質問にお答えいたします。
 まず、平成十一年の民法の一部改正による成年後見制度の導入は、高齢社会への対応、知的障害者、精神障害者の福祉の充実の観点から、旧来の禁治産制度を見直し、自己決定の尊重、皆さんの能力の活用、ノーマライゼーション等の新しい理念と従来の本人の保護の理念との調和を旨として、柔軟かつ弾力的な運用しやすい制度を構築することを目的としたということであります。
 しかし、この間、やはり国民の主権である、選挙権、被選挙権が認められなかったということは、これはもう大変な問題であり、その制度が移行してから時間はかかりましたものの、今般、各党の合意によってこの欠格条項が削除されるということは大きな一歩であるというふうに思っております。
 さて、あわせて、諸外国の検討の件が質問でありましたが、実は、この成年被後見人の選挙権行使のあり方には、オーストリア、イギリス、アメリカなど一律に選挙権を付与しているという国と、それから、個別に判断する、例えばドイツ、フランス、それからアメリカは合衆国ですからそれぞれの州によってその規則が異なるわけなんですが、選挙権の行使の能力を個別に判断して付与するという国々があります。
 実は、この間、例えばオーストリアなどは一九八七年の違憲判決を受けて規定が削除され、原則として全ての国民が選挙権を有するということになりましたし、また、イギリスでは、投票時に自分が今何をしており、票を投じるという行為がどのような効果をもたらすかを広い意味で理解できる精神能力が必要と考えられており、そのような精神能力を有しない者は投票資格を有しないものとする、その原則が二〇〇六年の選挙管理法によって廃止されて、現在では、投票所において本人確認と二重投票防止のために行われる質問に答えることができる選挙人には投票が認められているということなんですね。
 実は、この二〇〇六年以降、先進国では、規約の見直しがかなり進みました。それはなぜかといいますと、実は、二〇〇六年十二月十三日に第六十一回国連総会において、障害者の権利に関する条約というものが採択されたわけですね。そして、二〇〇八年五月三日にこの条約は発効したんですが、二〇一三年三月現在の批准国は百三十カ国なんです。ところが、日本はこれを批准しておりません。
 ですから、世界各国と比べると、障害者の権利に関する規定はもっと、この法案を改定することをきっかけにして、さらに諸外国の制度をしっかりと取り入れていくという方向に進むべきではないかというふうに思います。
○村上(史)委員 ありがとうございました。
 次に、判決の中身について若干触れたいと思いますけれども、判決の中で制限の必要性を完全に否定したわけではないということにもなっております。選挙権を行使する能力がない人に権利を与えないことは合理的だとも指摘をしております。
 そういう判決の中で、今回、いわゆる制限というものはもちろん一切入っておりません。ただ、当初、自民党さんではある程度の能力の線引きも必要ではないかということでスタートをされたと思いますけれども、なぜ今回、こういう、裁判所でも合理的な理由があればという項目があるにもかかわらず条文に載せなかったのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
○逢沢議員 三月十四日の判決は、非常に社会的にも大きな反響を呼んだことは事実でございます。それを受けて、自由民主党の中でも、成年被後見人の方々の選挙権、被選挙権の問題をどうするかということについて早速議論を始めました。
 その議論の過程の中で、きょうも質問があり、岩屋先生からも答弁がございましたけれども、諸外国の事例にもやはり大いに学ぶ、また参考にする必要もあるだろうということで、国会図書館等にも協力を要請し、また専門家の先生方を通じて、諸外国もさまざまな経緯やいきさつの中で苦労、苦心をしながら今日を迎えている。また、ある意味では現在進行形で、よりよい制度をつくろう、そういう努力を各国もなさっていらっしゃる。各国の努力にも、さまざまな努力、形がある。その中に、裁判所において選挙権を行使できる状態、状況にあるかどうかを判断しておられる国もある、あるいは、アメリカにおいては州も存在をしている、そういう事実等の確認をいたしました。
 しかし、この問題に最終的にどう結論を出すかという過程において、多くの精神障害、知的障害、あるいは認知症の方々、成年後見制度を使っていらっしゃらない方の方がむしろ多い、そういう方々は選挙権がもちろんあるわけであります。そういった対比等々、全体を大きく判断して今回のような結論に至った、そのように申し上げたいと思います。
○村上(史)委員 ありがとうございました。
 それでは、条文について伺いたいと思います。
 第四十九条の九項でございます。不在者投票管理者云々のいわゆる努力義務についてでございますけれども、この条文の中で、「市町村の選挙管理委員会が選定した者を投票に立ち会わせることその他の方法により、」とございます。その他の方法について御説明をいただきたいと思います。
○米田政府参考人 これは今回改定をされるので、立法者の方がお答えするのが適当かとは存じますけれども、僣越ではございますが、私どもの方では、その他の方法といたしまして、例えば、指定病院等の不在者投票が公正かつ適正に行われているか、選挙管理委員会職員の派遣を不在者投票管理者が依頼しその確認を受けること、さらに、指定病院等の院長、職員等が選挙管理委員会が行う不在者投票事務に係る研修に参加をする、指定病院等において職員向けの不在者投票事務に係る研修を実施するといったような事柄が想定されているのではないかというふうに思っております。
○村上(史)委員 実は、今現在も各施設で立会人をやっているわけですけれども、その場合は施設の関係者が立会人になるということが今既に行われているんですけれども、そういうことも可能である、それでもいいという判断でよろしいんでしょうか。
○米田政府参考人 その点につきましては、やはり選挙の公正さを第三者的に確保するという観点から、今回、指定施設における不在者投票の投票管理者が、第三者といいますか、そこの施設にかかわりのない方にお願いをするといったことが努力義務として課されたものというふうに理解をしております。
○村上(史)委員 努力義務ですから、それはそうでなくとも構わないという判断でよろしいんでしょうか。
○米田政府参考人 今回、第三者による立会人という形が努力義務にとどまったというのは、やはり、現状、二万カ所を超える指定施設に全て第三者の立会人を求めるということは人的な体制からいって無理がある。直ちにそれを法制化して義務化をするということになりますと、それをやっていないところについて選挙無効の原因にもなりかねないといった配慮から、現状を見た、現実的な判断として努力義務にとどめたというふうに承知をしておるところでございます。
 私どもといたしましては、この現状をとにかく望ましい方向に持っていくということが非常に重要でございますので、まず、この環境の整備として、そのような人を早く見つける、それぞれの選挙管理委員会が指定をする、選定をするといったことを進めてまいりたいと思っておりますし、不在者投票管理者の方にも、できるだけ第三者の立会人をつけていただくように依頼をするといったことが必要だというふうに思っております。
○村上(史)委員 その辺もやはりちょっと曖昧な部分が残る、だからこそ努力義務ということになっていると思うんですけれども、その点について、問題意識としてその辺を早く変えるべきだということを言っているわけではなくて、現実の問題としてどうなるのかなという視点からお尋ねをしたんです。
 それに関連をしまして、今回の法改正では、国政選挙において、不在者投票管理者が市町村の選挙管理委員会が選定した者を投票に立ち会わせるために要する経費、一日一万七百円を国が措置するということになっております。そういうことを考えると、国から費用が出るので、第三者の立会人を選定するということは財政的にも十分可能と思うんです。
 ただ、地方自治体の選挙です。地方自治体選挙の場合は、もちろん国からは措置はされません。自治体の費用で、自治体の職員等あるいは地域の役員など、そういう方が選定をされるということになると思うんですけれども、現実に、自治体も、財政的にもいろいろと厳しい部分もありますし、また人員的にも、それだけのことが確保できるのかと言われたら、なかなか難しい部分があると思うんですけれども、地方自治体選挙においての制度、条文はどういう形が想定をされるか、お尋ねをしたいと思います。
○米田政府参考人 もちろん、今回、経費の面で措置をされますのは、国政選挙に係る部分だけが法定化されたわけでございますけれども、選挙の公正さは、国政選挙のみならず、地方選挙においても重要なことは言うまでもないわけでございます。そういう意味で、国政選挙においてのみ第三者をお願いするといった行動は、それぞれの市町村の選挙管理委員会においてもそれは普通は考えられないというふうに存じます。
 地方選挙につきましては、当然のことながら、国から補助ないし委託費という形では全く出ないわけですけれども、一種の財政需要でございますので、いわば地方財政制度全体の中でこれも当然入ってくることになります。
 現在のところ、立会人の経費がないのでそういうものの推進ができないというふうには私どもは見ておりませんけれども、仮にそのような事態になったということになりますれば、財政制度の部分で何か手当てができないのかどうかといった検討も必要になろうかと存じます。
○村上(史)委員 ありがとうございました。
 国政ももちろん一票の価値というのは高いわけでありますけれども、地方議会の選挙は、一票によって当落が決まるというケースがしょっちゅう見受けられます。それだけに、国政のみならず地方選挙でも、不正の予防ということは大変重要な問題。いわゆる選挙の公正性を確保するという観点から、国政も、地方議会、自治体の選挙にも十分配慮をしていかなければならない、そのように思っております。そういう視点から、今質問をさせていただきました。
 いよいよ時間も参りました。
 最後になりますけれども、私も、周知、事務の準備というのは、今後、法を執行する上において大変重要な課題だと思っております。この問題も再三再四質疑をされておりますので、あえて私の方からは申し上げませんけれども、政府として、遺漏がないように強力に準備等を推進していただきますことを心から要請いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○保岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○保岡委員長 この際、本案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。坂本総務副大臣。
○坂本副大臣 衆議院議員逢沢一郎君外十名提出の成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律案につきましては、政府としては特に異議はございません。
    ―――――――――――――
○保岡委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 逢沢一郎君外十名提出、成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○保岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○保岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時三十三分散会