第185回国会 経済産業委員会 第5号
平成二十五年十一月十二日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 富田 茂之君
   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君
   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君
   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君
   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君
      青山 周平君    秋元  司君
      穴見 陽一君    石崎  徹君
      越智 隆雄君    大串 正樹君
      大見  正君    勝俣 孝明君
      熊田 裕通君    佐々木 紀君
      白石  徹君    菅原 一秀君
      田中 良生君    武村 展英君
      辻  清人君    冨樫 博之君
      根本 幸典君    福田 達夫君
      福山  守君    細田 健一君
      三ッ林裕巳君    宮崎 謙介君
      八木 哲也君    山田 美樹君
      枝野 幸男君    岸本 周平君
      近藤 洋介君    辻元 清美君
      長妻  昭君    伊東 信久君
      丸山 穂高君    國重  徹君
      青柳陽一郎君    三谷 英弘君
      塩川 鉄也君
    …………………………………
   経済産業大臣       茂木 敏充君
   厚生労働副大臣      土屋 品子君
   経済産業副大臣      松島みどり君
   経済産業大臣政務官    田中 良生君
   政府参考人
   (内閣官房地域活性化統合事務局長代理)      富屋誠一郎君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局審議官)            遠藤 俊英君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局審議官)            池田 唯一君
   政府参考人
   (金融庁証券取引等監視委員会事務局次長)     寺田 達史君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           西山 圭太君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           山田真貴子君
   政府参考人
   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    北川 慎介君
   政府参考人
   (中小企業庁事業環境部長)            松永  明君
   参考人
   (一般社団法人日本経済団体連合会副会長・税制委員長)           佐々木則夫君
   参考人
   (株式会社ローソン代表取締役CEО)       新浪 剛史君
   参考人
   (富士市産業支援センターf―Bizセンター長)  小出 宗昭君
   参考人
   (株式会社政策工房代表取締役社長)        原  英史君
   参考人
   (日本労働組合総連合会事務局長)         神津里季生君
   経済産業委員会専門員   乾  敏一君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十二日
 辞任         補欠選任
  越智 隆雄君     三ッ林裕巳君
  宮崎 政久君     熊田 裕通君
  八木 哲也君     福山  守君
  岸本 周平君     長妻  昭君
同日
 辞任         補欠選任
  熊田 裕通君     宮崎 政久君
  福山  守君     八木 哲也君
  三ッ林裕巳君     青山 周平君
  長妻  昭君     岸本 周平君
同日
 辞任         補欠選任
  青山 周平君     大串 正樹君
同日
 辞任         補欠選任
  大串 正樹君     越智 隆雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 産業競争力強化法案(内閣提出第三号)
     ――――◇―――――
○富田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、産業競争力強化法案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、一般社団法人日本経済団体連合会副会長・税制委員長佐々木則夫君、株式会社ローソン代表取締役CEO新浪剛史君、富士市産業支援センターf―Bizセンター長小出宗昭君、株式会社政策工房代表取締役社長原英史君、日本労働組合総連合会事務局長神津里季生君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず佐々木参考人にお願いいたします。
○佐々木参考人 ただいま御紹介をいただきました、経団連で副会長と税制委員長をしております佐々木でございます。
 本日は、産業競争力強化法案に関する経団連の考え方について御説明差し上げる機会をいただきまして、まことにありがとうございます。法案に賛成の立場から意見を述べたいと存じます。
 安倍政権の発足以降、景気は着実に回復しております。大胆な金融政策、機動的な財政政策が功を奏しており、消費者マインドが改善しているほか、多くの企業で収益が持ち直すなど、経済の本格的な再生に向けた明るい兆しが見え始めております。
 また、経済政策の第三の矢として、六月に政府において日本再興戦略が策定されました。ここでは、国家戦略特区の創設を初め、企業の創意工夫を発揮しやすくするための規制・制度改革も行うこととされました。ここには、民間投資や産業の新陳代謝を高めるため、税制を中心にさまざまな仕掛けも含まれております。さらには、人材の流動化策や少子化対策、外国人材の活用促進など、雇用、人材面にも十分な目配りをいただいているものと存じます。
 今般、こうした産業競争力の強化に向けた取り組みが一つの法案として形づくられることになりました。政府・与党の御尽力に改めて感謝申し上げたいと思います。
 また、この法案の成立を前提といたしまして、投資減税、事業再編促進税制、ベンチャー投資促進税制が創設されることになります。特に投資減税につきましては、幅広い業種に利用可能な非常に利便性の高い仕組みとなっており、心より御礼申し上げます。経団連としては、本法案の速やかな可決、成立を強く希望いたします。
 我々は、競争力の強化に向けて改めて意を強くする一方で、成長の担い手としての責任の重さを強く感じております。
 これからは企業の出番でございます。経済界といたしましては、アベノミクスによりもたらされた事業環境の改善や企業収益の好転を、新事業の創造、前向きな事業再編、国内における投資や雇用の拡大、賃金の引き上げなどにつなげ、経済の好循環を実現することが必要との認識を政府・与党と共有し、タイムリーかつ積極的に対応してまいりたいと存じております。
 その上で、ここからは、法案に関連して、税制と規制改革について幾つか申し上げたいと存じます。
 まず、税制でございます。
 企業は、今回の投資減税に大変注目してございます。事実、経団連にも会員企業からいろいろなお問い合わせをいただいております。例えば、導入した設備に係る投資計画上の投資利益率が基準値以上であることについてどのように認定をしていくのか、あるいは、対象となる資産の細目は省令レベルで規定されることになると聞いておりますが、いついかなる形で公表されるのかといった点でございます。
 このあたりにつきましては、政府において詰めの議論を行っておられると存じておりますが、ぜひとも、法律の施行日からスムーズな制度の運用が可能となるよう、御準備のほどよろしくお願い申し上げます。
 このうち、設備の認定方法については、政策税制である以上、一定のスキームは不可欠であると存じますが、結果として使い勝手の悪い制度となることのないよう、十分な御配慮をいただければと存じます。特に投資利益率につきましては、あくまでも計画上の数値ですので、経済産業局や税理士、会計士が過度に厳格な審査を行うことで確認作業そのものが滞ることのないよう、よろしくお願い申し上げます。
 また、制度の利用を促進すべく、法案成立後、速やかに全国的なPR活動をしていただければと存じます。
 なお、法案とは直接の関係はございませんが、投資減税につきまして、今回、先生方にぜひとも御理解いただきたい点がございます。それは、償却資産に係る固定資産税の件でございます。
 例えば、半導体産業では、一千億円の投資を行ったとすると、耐用年数の五年累計で固定資産税は約二十八億円、すなわち投資額の二・八%にも達します。仮に今回の投資減税により法人税で五%の税額控除を受けたとしても、その効果の半分以上が固定資産税によって減殺されたのでは、投資促進策として十分ではないと考えております。
 今回の投資減税の効果をより高めるべく、少なくとも法人税の特例を受けた資産については固定資産税を免除すべきと考えます。このことは秋の税制改正大綱でも検討課題とされておりますので、年末の税制改正におきましてぜひとも成案を得ていただければと存じております。
 事業再編促進税制、ベンチャー投資促進税制については、経済界として十分活用してまいりたいと存じますが、事業再編に係る税制措置について若干申し上げますと、今回の法案で措置していただいた事項もさることながら、年金税制すなわち確定拠出年金の拠出限度額の議論も重要であると存じております。
 例えば、確定拠出年金を採用する企業と確定給付年金を採用する企業が合併いたしますと、合併存続会社においては確定拠出年金の拠出限度額が半減してしまうという問題がございます。このことが円滑な事業再編を妨げているのではないかという指摘もございます。こちらについても年末の税制改正で議論されると承知しておりますが、拠出限度額の拡充をぜひともよろしくお願い申し上げます。
 次に、規制改革について申し上げます。
 法案の中で我々が注目している施策は、企業実証特例制度とグレーゾーン解消制度の創設でございます。
 規制改革会議と産業競争力会議を両輪とした全国一律の規制改革の推進に加え、このように企業単位で規制の特例を認めていただけるという選択肢がふえることにつきましては、企業の創意工夫を生かし、新たな事業活動への道筋がつけやすくなると存じております。
 具体的な制度設計はこれからの作業になると承知しておりますが、ぜひ、利用する企業の立場に立って、使い勝手のよい制度に仕上げていただければと存じます。
 例えば、これらの制度を活用しようとして企業が申請する際に、その要件や手続などが官庁で異ならないよう共同省令を定めるなど、申請者の負担が増さないような配慮をしていただければと思います。
 このほか、企業実証特例制度につきましては、法案では、新たに事業活動を行う事業者は事業所管大臣を通じて規制所管大臣に規制の特例措置を求めることとなっております。しかしながら、事業所管大臣と規制所管大臣を同じくする場合、かえって事業を萎縮させる懸念もございます。こうしたことのないようお取り計らいいただければと存じます。
 それから、グレーゾーン解消制度についてですが、本制度に関連して、現在、日本版ノーアクションレター制度がございます。これは、事業活動を行う際に照会可能な法令や条項が各省ごとに限定されておりまして、かつ、申請者が、抵触すると思われる規制の根拠法令や条項を特定しなければならないとされていることから、企業サイドからすると使いにくい部分もございました。
 グレーゾーン解消制度におきましては、あまねく法令等の照会を可能とするとともに、法令、条項を特定しなくても照会ができるようにしていただきたいと存じます。また、速やかに回答が得られるように回答期限を三十日以内にする、希望があれば照会内容、回答内容を公表しないといった措置も講じていただきたいと存じます。
 なお、企業実証特例制度、グレーゾーン解消制度というすばらしい制度をつくっても、行政が規制改革に消極的であれば、政府が目指す競争力の強化にはつながらない可能性もあります。規制改革そのものは成長戦略の一丁目一番地と定義されるわけですから、申請は原則として認めるという姿勢を全省庁に持っていただきたい、このように存じております。
 法案では、規制改革等の内容を産業競争力の強化に関する実行計画として策定して、担当大臣の責務を明らかにした上でPDCAサイクルを回すこととし、成長戦略の実行を法的に担保しようとしておりますが、これを確実に実施していただきたいと思います。
 これまでの我が国企業の行動パターンは、どちらかといえば規制ですとか制度の中で創意工夫で何とかしようという面が強かったことは否めません。今後は、すぐれた技術、人材を武器に、新たなものに積極的に取り組み、真にイノベーティブな国を目指す姿勢を持ち続けてまいりたいと考えておりますので、まずは産業競争力強化法案の成立をお願いしたいと存じます。
 私からの発言は以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○富田委員長 ありがとうございました。
 次に、新浪参考人にお願いいたします。
○新浪参考人 おはようございます。御紹介いただきました株式会社ローソンの新浪でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、このような場をいただきましてありがとうございます。この機会を捉まえまして、将来の日本の経済や社会の姿を見据えて、現在審議をされています産業競争力強化法案に対して、賛成の意見を述べさせていただきたいと思います。そして、できるだけ早いタイミングでこの法案が成立することを願っております。
 幾つか述べさせていただきたいんですが、まずは、私の日本経済に対する現状認識を述べさせていただきたいと思います。
 私は、言うまでもなく、歴史的な構造変化に日本社会が直面し、人口減少、また少子高齢化が一番大きな問題であるなと感じております。とりわけ経済のグローバル化がこのように浸透し、ICTなどの技術革新等が大きな社会構造の変化に拍車をかけている、このように思います。
 私は、多くの人たちが古い社会構造や経済構造を変えなくてはいけないなとずっと思ってこられたというふうに思います。しかし、日本は大変居心地のいい国でございます。国内マーケットに安住し、変えなくてはいけないなと思っていてもなかなか変えられなかった。今のままが何となく続くんじゃないかな、続いてくれて、また昔のように戻ってくれたらいいな、こういう意識があったんじゃないか。それがデフレの中で失われた二十年の間に、改革しなくてはいけないんだけれどもできないんじゃないかというネガティブシンキングに陥ってしまった、そういう社会になってしまったと思います。
 しかしながら、今般、現政権のリーダーシップのもとに、大胆な金融政策や機動的な財政政策によって、株式市場も好転し、企業の業績も大変いい状況になりました。中長期的な観点から、今こそやろう、できるんだ、こういうようなモメンタムが生まれてきている、このように思います。
 この強いモメンタムをいかに中長期的に持続可能な経済成長に結びつけていくか、これが大変重要である。私たちが一人一人のやる気や意欲をそぐような規制や制度を改革してポジティブシンキングに変えていくちょうどいいタイミングじゃないか、このように思う次第でございます。そこで最終的には新たな雇用ができ、年収アップが行われ、そしてデフレ脱却し、経済成長を安定的に持続していく、こういうことが必要だと考えます。
 今般審議をされています産業競争力強化法案は、日本経済の構造改革に向けた政府の取り組みを強化し、政府部内の縦割り行政を乗り越え、新しい政治のリーダーシップを発揮しながら、サステーナブルな経済成長を実現していくフレームワークをつくる法案だと私は思います。そして、これは大変意義のあるものであるというふうに思います。
 そこで、私として三つのポイントを申し上げたいと思います。
 まず第一に、社会の本格的な高齢化の到来による健康寿命の伸長というニーズを新たな需要として捉え、企業のイノベーション力を活用しながら、その解決策、ソリューションを見出す新たな産業を伸ばしていくことが大切だと考えます。
 例えば、健康増進や医療の分野でございます。
 現在は、生活習慣病において、病気になっていく過程で、余り予防や未病への対処もせず、例えば糖尿病といった慢性疾患になってから、また、さらに悪くなり人工透析を行うことになってから治療を開始するという状況になっていることも事実だと思います。
 このように、慢性疾患になってから受け身で治療に対処し、膨大な医療費を個人や社会が負担するのではなく、人々が病気になる前の段階から対処していくことが必要だと思います。病気の予防や早期発見、日々の健康増進の分野において新たな成長市場をつくっていくことが必要であり、またできると思います。そういうことで最終的に医療費など社会保障費もマネジャブルなものになっていくのではないか、このように思います。
 そのために、単に医療という狭い範囲を超えて、例えば日ごろからみずからの健康を簡単にチェックして対処していくセルフメディケーションや、継続的に毎日の食と健康を考えたミールソリューションなど、総合的なアプローチを広げることによって新たな事業、新たな投資を起こしていくことができると思います。
 こうした予防の分野での取り組みは、公的医療保険で対応する分野ではないことも多く、民間の多くの企業のイノベーション力を活用し、新たなサービスや商品が市場に出てくることが大いに期待できます。
 しかしながら、そういうことを企業がやろうというときに幾つかの障害があって、なかなかやれなかったのも事実だというふうに思います。
 例えば、特に健診の受診率が低い配偶者の皆さんや中小企業の皆さんを対象に、いかに受診率を上げて早期発見し、病気をなるべく少なくしていくか。また、日常的な健康管理、病気の早期発見のために、企業が簡易な血液検査サービスを実施したり、生活習慣病の予防などを目的にして企業が行う健康指導、運動・栄養指導などは、さまざまな法的位置づけが曖昧で、民間企業の創意工夫がなかなか生かせない状況になっております。
 今回の法案に盛り込まれているグレーゾーン解消制度は、まさにこういったことが大変重要だということで、現在ある法令の適用関係がわからないケースについて、企業の具体的な事業計画に基づきまして規制の適用の有無を明らかにすることで、規制の所管官庁とのトラブルを未然に防ぎ、企業がちゅうちょなく新たな事業に挑戦していくことを後押しするものだというふうに思います。
 また、例えば町における調剤薬局やドラッグストアやスーパーマーケット、コンビニなどの身近な場所で、企業の創意工夫がイニシアチブをとって、地域の健康拠点センターにすることができるんじゃないか。ここに新たな事業、新たな雇用がつくれるのではないかと思っております。
 同時に、企業実証特例制度についてでございます。
 企業の創意工夫を生かした新事業の支障となるような規制について、安全性の確保等の面で実力のある企業には先行して特例措置を講じ、潜在的な需要に積極的に応えていくサービスや商品を提供する企業活動を促すことができると考えております。また、そうした成功体験を横展開し、社会全体に広げ、新たな企業や事業投資を生んでいくこともできます。
 こうした観点から、この制度は、企業の先駆的な取り組みを応援する制度として極めて意義が深いと思います。先ほど佐々木さんがおっしゃったように、この場合は、まずは認めるということを大前提で考えていただきたいと思います。とりわけ健康、医療、介護、こういったところには大いに具体的な取り組みができるのではないか、私はこのように思います。
 法案が成立した暁には、私も一人の経営者として、ぜひともこうした先駆的な制度を使って新たな事業にチャレンジしていきたい、このように思っております。ぜひとも積極的に考えていきたいと思います。
 第二に、日本の産業構造の姿が大きく変わっているのは先ほど申し上げたとおりでございますが、日本の雇用をふやしてきたのは、実は昨今はサービス産業でございます。二〇〇〇年以降で見ても、製造業や建設業は雇用を大きく減らし、その分、サービス業が四百万人の雇用をふやしております。
 さらに、将来的にも、先ほど来述べています健康・医療といった新たな需要が創出される成長分野においても、サービス産業が果たす役割は大変大きいと思います。こういう分野では、とりわけ女性の活躍が大いに期待できます。医療や、いわゆるヘルスケアと言われる分野においては、何と七五%が女性の就業になっております。
 こうした中で、金融業を除くサービス産業においては、生産性が低いという問題がございます。賃金が製造業に比べて低い。こういったことを改めるためには、サービス産業の生産性向上が極めて重要な課題でございます。
 このために重要なのは、ICTのフル活用、利活用でサービス産業のさまざまな分野の生産性を向上させていく。そして、サービス産業を担う人々の雇用が拡大し、また収入も向上してまいります。女性が大いに活躍しているこの分野で、ダブルインカムになり世帯収入がアップすることによって、消費の活性化が大いに期待できます。
 そうした意味で、規制改革、構造改革によって、健康、医療や農業の産業化なども大いに期待できるのではないか、このように思っております。
 現在審議されています産業競争力強化法案においても、健康・医療分野における規制改革や、新商品、新たなサービスの提供など、広く新しい事業創出に向けたさまざまな支援策は、こうした日本経済がサービス産業に重点をシフトしている現状を踏まえると、大いに積極的に評価できるものだというふうに思います。
 今後とも、政府の産業政策が、こうした産業構造の実態を的確に踏まえた実効的な政策であり続けることを期待しております。
 三つ目のポイントは、企業や事業の新陳代謝を促すということでございます。
 特に、出入りのあるダイナミズムに裏づけされた産業構造が大切だと思います。
 ベンチャー企業の創出については、米国においては、七〇年代まではベンチャー企業は少なく、産業の再編も余り進んでおりませんでした。八〇年代にヤング・リポートなどが出され、官民挙げた発想の転換、すなわちベンチャー企業の積極的な育成策や、民間企業における選択と集中、コアコンピタンスを追求する動きが勢いづいた結果、現状のようにベンチャー企業の創出がふえております。
 日本においても、ベンチャーファンドに出資する企業に思い切った支援策を与え、ベンチャー企業への資金供給の増大を図ることは、極めて重要な課題だというふうに考えます。
 また、中小企業についてでございます。
 私は、中小企業は日本の足腰を支える大変重要な要素だというふうに思っております。日本の企業数の何と九九%を占めます。雇用者で七割を占めます。
 本当の意味で地域レベルの成長戦略を実行するためには、中小企業に生産性をいかに向上してもらうか、また、実は国際競争力が潜在的にある中小企業をより伸ばしていく、そしてグローバルニッチ・トップに育てていくことが大変重要だと考えております。
 日本再興戦略の目標である、アメリカ、イギリス並みの開業率一〇%を目指して、国や基礎自治体、民間企業の三者が協力して、地域での創業や事業再編を支援していくことが非常に重要ではないか、このように考えます。
 これらの点を踏まえましても、産業競争力強化法が効果的に機能していくことが大変期待されます。
 以上三点が、今回の法案審議に当たりまして私から申し上げたいポイントでございます。
 最後に一つ、今後の行政のあり方について政府に要望を申し上げたいと思います。
 現在の歴史的な変革期に構造改革を行うにおいて、規制当局を中心とした省庁の縦割りに基づく対症療法では、決して正しいソリューションは見出せない、このように思います。
 今回の産業競争力強化法案において、ことし六月に決定されました日本再興戦略、省庁の縦割りを超え、政府一丸となって強力にこれを実行していくための法的枠組みを設けていくことは極めて重要だと思います。
 そして、重要分野での構造改革は、従来型の縦割りの所管官庁の対応では処理し切れない内容も含んでおり、日本の経済社会の構造変化を踏まえた横くくりの横断的な大胆な取り組みをぜひやっていただきたい、このように思います。また、そうでなくてはソリューションにつながらないというふうに思います。
 そして、規制官庁ではなく、新たな産業をつくるという発想で柔軟に政策立案に取り組む事業所管官庁が、意欲と創意工夫に満ちた起業を行う方々とともに、きちんと責任を持って制度設計や個々の具体的事例などに対応していくことが必要不可欠だと思います。
 今まで、どちらかというと縦割りの部分最適ということをやってきたと思います。横断的な取り組みによる全体最適の政策が実現することによって初めて、企業が挑戦しよう、チャレンジしようと。一刻も早く企業がチャレンジできるように、また成功事例が生まれるように、ぜひこの法案で具体的に実施できるような体制づくりをしていただきたいと思います。
 重ねまして、今回の審議を経てこの法案が早期に成立し、民間企業の創意工夫や新しい試みを引き出していくことが一刻も早く現実となることを切に望んで、終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
○富田委員長 ありがとうございました。
 次に、小出参考人にお願いいたします。
○小出参考人 皆さん、おはようございます。富士市産業支援センターのセンター長の小出でございます。
 本日は、このような場にお招きいただいて非常に光栄に思っております。
 私も、産業競争力強化法案に賛成の立場からお話をさせていただきたいと思います。
 同時に、私自身、中小企業支援の現場、最前線に十二年間携わっておるわけでございまして、その経験の中から、本日は、中小企業活性化のあり方、その支援の大切さについて皆様方にお話しできれば幸いに思います。どうぞよろしくお願いします。
 私は、もともと、静岡県にございます株式会社静岡銀行の銀行員でございました。二十六年間在籍しておりまして、銀行の中においてはMアンドAのアドバイザーを長くやっておったんですけれども、ちょうど二〇〇一年の二月、当時の銀行の経営者の方針で、公の産業支援、中小企業支援あるいは創業支援の世界に出向の形で現役の行員をかかわらせるということで、全国の金融機関の中でも極めて珍しいチャレンジだったんですけれども、それに指名されました。
 当初は二年の約束だったんですけれども、たまたますごくうまくいってしまいまして、結果的には七年半にわたって現場に出向の形でおりました。静岡市で二カ所の支援施設の立ち上げと運営、その後、浜松市の施設の立ち上げと運営という形で、現役銀行員の出向の立場でかかわらせていただいたわけでございます。
 私は、生まれ故郷が今やっております静岡県富士市なのでございますけれども、富士市の行政から、非常に地域経済が疲弊してしまって困窮をきわめている中で新たな流れをつくりたいということで、新たな支援センターづくりを計画している中、ぜひ銀行をやめてその立ち上げにかかわってくれないかということで、小さな会社をつくり、その運営を受託するという形で二〇〇八年の八月から今の富士市産業支援センターエフビズがスタートしたわけでございまして、以来、五年三カ月やっておりました。その中で見えてきたものをこれから順にお話ししていきたいと思うんです。
 お手元に資料を一つお配りさせていただいてございます。
 三ページをごらんになっていただきたいと思います。
 私は、この世界にかかわっている非常に数少ない民間の人間だろうと思っておりますけれども、ずっと考えておりますのは、経済産業省の皆様方あるいは中小企業庁の皆様方がおつくりになっているさまざまな施策、制度、ハードに関しては、実はとてもよくできている、完璧な状態でございます。にもかかわらず、残念ながら期待した成果が出ていないとお感じになっている委員の皆様方も多かろうと思います。
 これもやはりある面で事実でございまして、原因はどこにあるかというと、支援人材の部分、私どものような支援の最前線に立つ人間、ここに大きな課題を抱えてしまっているのではないかというふうに私は考えております。
 日本の九九・七%が中小企業なわけでございます。ここの再生なくして日本の経済の再生はなかなか思うようにいかないんだろうと思います。それに際して、効果的な支援を行うことのできる人材の育成並びに輩出、そういった人材がいるような支援の拠点が必要じゃないか、こういうふうに考えたんです。
 四ページをちょっとごらんになっていただきたいと思います。
 私が民間の立場から公の支援の世界にかかわっている中で、支援そのものについてどう考えたかということについて述べさせていただきたいと思います。
 支援、支援、支援というと一体何をやっていいのかよくわからないだろう、これを単純明快、ビジネスチックに考えたらどうなるかというふうに考えたんです。
 日本の九九・七%は中小企業と先ほど申し上げました。その一〇〇%の人たちが経営的な課題、悩み、問題点を抱えておるわけでございますが、これは皆さん御認識のとおりだと思います。
 その同じ一〇〇%の人たちが今よりもよくありたいと考えているはずなんです。その意思をなくすと廃業してしまいますので、何としても生き残りたいだろう、ならば、我々のような公の支援機関のなすべきことというのは単純明快だろう、その悩み、課題、問題点をうまく受け入れて、それをよくする方向に持っていくことが我々支援機関のなすべきこと。
 つまり、この中身は何かというとコンサルだ、ビジネスコンサルティングに間違いないだろう、公によるところのビジネスコンサル、これがやるべきことではないかと我々は考えたわけでございます。
 であるからして、求められているのは結果だ。一生懸命やっているということじゃなくて、成果が求められているというところなんですね。成果を出すことによって中小企業の皆様方に活性化を促していく、これが我々のミッションだろうというふうに考えたわけでございます。
 結果が出ればどうなるかというと、当然ながら、地域の中小企業の皆様方はみんな悩みを持っているわけでございます。そこに行けば自分たちがよくなるというような拠点があれば必ず人は集まってくるだろう、であるからして、支援施設の活性化のバロメーターは間違いなく来場相談件数にあらわれるだろうというふうに考えておりました。
 私どもには、今現在、月間二百五十件の相談が寄せられておるわけでございます。ちょっと後ろのページをめくっていただきますと、七ページにその推移が出ておりますけれども、年々年々相談件数がふえて、昨年度までは月間の相談件数が平均二百件だったのが今は二百五十件。もう朝から晩まで、多分この時間も何社か来て、皆さんが我々のアドバイザーと一緒に知恵を絞っているところだと思います。こんな状態でございます。
 ちょっとページを戻っていただきまして、五ページに参ります。
 先ほど申し上げましたとおり、富士市産業支援センターは二〇〇八年の八月にオープンしたんですけれども、この運営形態というのは極めて全国的には珍しいと言われております。公の支援センターでありながら、純粋な民間企業に運営を受託させているわけでございます。恐らく、私が認識している限りにおいては、純粋な民間企業が運営しているのはこのケースだけだと認識しておりまして、なおかつ、やることの中身そのものに大きな違いがあるというふうに考えております。
 六ページをごらんになっていただくと、三つの切り口で分けてみました。
 我々は、単なるアドバイスではなく、具体的なソリューションを提案しようというふうに考えております。つまり、具体的な解決策、こうすればもうかるという具体的な戦略を提示するのが我々の仕事だろうというふうに考えております。
 二つ目として、ワンストップ・コンサルティングと書きました。私どもは、さまざまな分野の専門家がそろっておるわけでございます。全員で十一名のアドバイザーがいるんですけれども、この人たちが一つの案件に対して、個別に扱うのではなく、みんなで総がかりになってコンサルをしていこう、こういうような形態をとっておりまして、これがまさにワンストップ・コンサルなんだろう。
 もう一つの特色として、当然ながら、継続的なフォローをする、結果が出るまで徹底的におつき合いしましょうね、こういう形。もちろん、公のサポートなものですから、一切お金は取っておりません。無料でございます。
 こんな形でやっておりますと、八ページを見ていただきたいんですが、私どもがユニークな中小企業支援を行っているということで、全国各地から、このモデルをうまく自分たちの地域に引っ張りたいというふうなお話がございました。そんな中で、幾つかの地域で、私どもと同様の考え方、ノウハウを持ったやり方で展開しておるわけでございます。
 一番最初に私どもに目をつけていただいたのが、実は東京の巣鴨信用金庫でございまして、今まで巣鴨信用金庫はこういった中小企業支援を全く行っていなかったところ、この必要性を今現在の経営者の方が強くお感じになって、行員を五人、トレーニーとして派遣していただきました。その人間が、豊島区がつくったとしまビジネスサポートセンター、区の支援センターの最前線に立っておって、非常ににぎわった状況と聞いております。こんな形態のものが現在各地で行われております。
 さらには、経済産業省さんが私どもの取り組みに対して非常に強い関心を持っていただいて、現在、よろず支援拠点という形で、委員の皆様方も御存じかもしれません、全国で最大四十七カ所をめどに、エフビズ的な支援を全国に配置できないかということで御検討なさっておるわけでございます。
 そうはいっても、具体的に一体何をやるのかということについては、なかなかイメージがつかめないんだろうと思います。それについて、残された時間の中で簡単に触れていきたいと思います。
 九ページをごらんになっていただきたいと思います。
 左上の司技研さんのケース、これは、私どもに相談に来たのが二〇〇八年の八月の中旬でございました。当時の当社の環境というのは、極端な売り上げの減少で困っていたわけでございます。中川社長いわく、バブル期を頂点としてずっと売り上げが下がっていたんだ、今までいろいろなことを講じたんだけれども、全く効果なし、もはやどうしていいのかわからないんですという、いわばどん詰まりの状況で来たわけでございます。自動車関係の試作部品をつくっている会社です。
 私どもは、これに対してどうするかというと、実は決算書をつついたりはしません。これでやらなきゃならないことというのは、売り上げを伸ばすことなのでございます。決算書をつついても残念ながら売り上げが上がらない中で、この会社の特色をつかんでいこうということで、徹底的にお話を聞いたところ、当社が、自社として見るとさしたるセールスポイントとは考えていない、当たり前のサービスとして考えておった超短納期の納品、三日間で試作部品をつくるというところに着眼しまして、これをベースとして新サービスを展開しようというような提案をしました。
 試作特急サービス3DAYというサービス名までつけまして展開したところ、直後の三カ月間で新規の取引先が五十先とれた。翌年からは、某自動車メーカーから直接的にホームページを通じて話が参りまして、今やそのメーカーと直取引で、その会社の取り組んでいる電気自動車の試作部品を大量に受注しているというところでございます。また、当然ながらV字回復をした。
 ぜひ着目していただきたいのは、この司技研を再生させた試作特急サービス3DAYを達成するに当たって、一体幾らお金がかかったんだろうというところでございます。新たにつくったのは、手書きでつくったチラシをカラーコピー機で刷っただけでございまして、数万円もかかっておらないわけでございます。基本、お金をかけずに流れを変えた、真のセールスポイントを生かすという知恵を使って流れを変えたというわけでございますけれども、こういった知恵を出すのが我々のような支援センターのなすべきところだと考えております。
 その下の資料をちょっとごらんになっていただきたいと思います。
 次のページの真ん中にマルミヤ食品という会社がございます。
 この会社が相談に参りましたのは、昨年の五月でございました。一九七八年ぐらいにたしか創業した会社だと思うんですけれども、当時も、長期にわたって売り上げが低迷して、従業員さんも残すところ一人、もはや廃業だということで社長さんが相談に来たわけなんです。
 我々が着眼したのは、実は、本人たちが自分たちの弱みと思っていた、設備が老朽化してしまっているがゆえに小ロット生産しかできないというところだったんですけれども、その小ロット生産そのものが強みになるんだということをアドバイスしました。ターゲットを絞ってしまって、最近非常にニーズの高まっている飲食店向け、あるいは農業者向けのレトルト食品製造に傾けたらどうかということで提案したわけでございます。そうしたところ、瞬時に大量の受注が参りまして、今や従業員さんもふやされてV字回復、こんなような状態でございます。
 このケースにつきましても、これをやるに当たって何か新しい設備をしたわけではございません。的確なアドバイスをすることによって流れを変えるというところです。これは、ターゲットを絞るという知恵を我々が提示したわけなんですけれども、私どもは、こういった具体的な知恵を出すようなサポートが求められている、まさに中小企業の再生にはこういった知恵が必要ではないかというふうに考えております。
 実は、私も長いことこの世界におりまして感じますのが、中小企業、小規模事業者向けのアドバイス、コンサルティングというのは、かなり高度なコンサル力を要するのではないかと考えるわけでございます。理由はと申しますと、皆さん御存じのとおり、残念ながら、中小企業、小規模事業者というのは、人、物、金について、全てに課題を抱えておるわけでございます。こういった制約条件の中で流れを変えられるようなアドバイスというのはやはり知恵出しでございまして、知恵の出せるようなコンサルティングを有するような支援機関が必要だということでございます。
 次のページをごらんになっていただくと、こういった中小企業支援の現場に行くと、ニーズは多様にあると言われておりますけれども、実は、最大のところが売り上げの問題だということがわかっていただけると思います。
 私どもでいうと、全体の相談の八八%が売り上げに関する悩みを持っていて、売り上げ増を何らかの形で達成したいというのが最大のニーズでございまして、これは静岡市でやっても浜松市でやっても同じような結果でございました。ですから、目指すべきサポートの最大注力するところは、どうやったら具体的に売り上げを上げることができるかという、知恵出しをするようなアドバイスだろうと考えております。
 一方、当然ながら、起業の相談も多いわけでございます。私は十二年やっておりまして非常に驚いている現象がございまして、何かというと、今年度に入りまして創業の相談が急増したことです。
 私どもは、昨年度まで、創業の相談は月間十一件でございました。それが、今年度に入りまして四十二件というふうに急増したわけでございます。このグラフを見ていただくとよくわかるところでございます。九月に至っては五十五件、先月は、途中までが五十一件だったんですけれども、先月末までですと六十五件でございます。当然ながら、それに伴って創業者も数としてはふえるわけでございまして、九月も十月もそれぞれ五件ずつの起業家が生まれて、事業をもう既に開始しておるわけでございます。
 こういった観点から考えてみますと、今政府が目指しているところの創業率を倍増させるということは決して無理な数字ではなく、達成可能だと私自身は考えております。ただし、その部分においてはやはり効果的かつ実行力のある、成果の出せる支援が必要だし、その配置が急務ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
 後のページには、私どものアドバイザーにどんな人間がいるかということも書いてございます。御参考にしていただければ幸いに思います。
 現在検討を進められております産業競争力強化法におきましても、中小企業支援の大切さをより一層訴えていただいておるわけでございます。ぜひ早期に成立して、日本の中小企業の皆様方に新たなイノベーションが生まれるような流れができることを切に願っております。
 これで私の発表を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○富田委員長 ありがとうございました。
 次に、原参考人にお願いいたします。
○原参考人 皆様、おはようございます。
 政策コンサルティングの会社を運営しております原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、ことしの五月からは、新藤大臣のもとで、国家戦略特区の制度設計を行うワーキンググループの委員も務めております。この視点も交えて意見を申し上げたいと思います。
 まず、今回の法案について、全体の枠組みでございますが、規制改革と産業新陳代謝を柱として、五年間の集中実施期間を定めて取り組むという方針は極めて適切であると考えます。
 ただ、個別の政策について気になる点もございます。こうした点を中心に意見を申し上げたいと思います。
 まず、規制改革が産業競争力強化の大きな柱とされていることは的確と考えます。
 二〇〇〇年以降の規制改革の流れを振り返ってみますと、配付資料でも書かせていただきましたが、全国レベルでは、一九九八年に規制改革委員会が設けられ、その後、総合規制改革会議、規制改革・民間開放推進会議、規制改革会議、行政刷新会議規制・制度改革委員会、規制改革会議と名称を変えて今日に至りますが、一貫して、こうした会議体を設けて規制改革が進められてきました。
 一方、地域限定で実験的に規制改革を進める取り組みとして、二〇〇二年に構造改革特区制度がスタート。その後、二〇一一年には規制改革以外の支援措置も含め、総合特区制度がスタートいたしました。
 こうして見て言えることは、この間、どの政権も、総論としては規制改革に賛成だったということであります。
 ただ、問題は各論だと考えます。同じく規制改革のための会議体を設けていても、スピード感を持って、どこまで各論の規制改革に踏み込むのかという点において、これまでも時期によって相当の違いがありました。
 今回の法案でも、総論として規制改革を柱に掲げたということは大いに結構だと存じます。ただ、問題は、各論の規制改革をいかに進められるかだと考えます。
 今回の法案では、規制改革のための仕組みとして、企業実証特例制度を設けることにしています。全国レベルの規制改革、地域レベルの特区に加えて、企業レベルでの取り組みという新たな枠組みを構築しようとするものと理解しております。
 方向性そのものは何ら否定いたしませんが、法案を見る限りで、幾つか問題があるように思います。
 四点申し上げます。
 第一に、規制改革を実効的に実現できるのかという問題であります。
 先ほど、規制改革のこれまでの歴史に触れ、どの政権も規制改革に総論賛成だったと申し上げました。これは別の見方をすれば、規制改革という課題がいつまでたっても片づいていないということでもあります。例えば、農業への企業参入に対する規制、医療分野での混合診療の問題など、いわゆる岩盤規制と呼ばれる課題、これらは、過去十年、物によっては二十年、ずっと問題を指摘されながら、いまだに課題として残されています。
 つまり、規制改革という課題は、こう直すべきだと規制所管省庁に提案したら、一筋縄で簡単に解決するような話ではないということだと思います。それどころか、規制所管省庁からは現行規制を維持すべき理屈を十も二十も並べ立てられるというのが標準的な流れであるわけであります。
 このため、従来の規制改革の取り組みでは、全国レベルの場合も、特区の場合も、いずれも、各省よりも一段上の、内閣官房ないし内閣府に調整の場を設けてきたと理解しております。規制所管省庁が現状維持に傾きがちな中で、こうした一段上の場で調整する、さらに、規制改革会議のように、民間人有識者が切り込み役を務める仕掛けを設けるといった手だても講じられてきました。
 しかし、それでもなお、いわゆる岩盤規制と言われるような領域は、残念ながら、なかなか改革が進んできませんでした。そこで、今回新たに設けることとした国家戦略特区では、規制改革実現のための枠組みづくりにさらなる工夫を重ねていると理解しております。
 私自身、国家戦略特区ワーキンググループの委員としてこの制度設計にはかかわりましたが、例えば、特区ごとの統合推進本部、これは法文上は特区会議ということになっておりますが、これを設けて、現場での規制改革ニーズがダイレクトに特区担当大臣に伝わるようにする、あるいは、総理を長とする特区諮問会議を新たに設けて、民間人有識者の力も活用しつつ、最後は総理が決断して規制改革を実現する場を設けるといった仕掛けをつくっています。
 今国会の予算委員会で、そうした意思決定プロセスに関連して、規制担当大臣が意思決定に参画するのか否かという点が議論になりました。その際、総理は、関係大臣は意思決定に参加させないと明確に答弁される場面もあったと思います。
 これは、まさにそうした規制改革実現のための枠組みをいかに強めていくかという議論でありまして、総理の決断によって、関係大臣は意思決定に参加しないということが明確に法文に盛り込まれ、国家戦略特区法案の提出に至ったと認識しております。
 こうした過去の経緯や、国家戦略特区での動きと見比べたときに、企業実証特例における仕組みは、全く別次元で検討されているようにも思われます。
 企業実証特例制度では、条文を見る限り、制度の仕組みは、事業所管省庁から規制担当省庁に特例措置の整備を要請するというだけになっているように見えます。それだけで規制改革が進むのであれば、規制改革会議、過去のこうした会議はとっくに任務完了していたのでないかと言うこともできようかと思います。
 第二に、取り扱うべき規制改革課題を適切に選定できるかという問題であります。
 従来の取り組みでは、例えば、定期的に集中提案受け付け期間を設けるなど、透明性ある提案募集と選定プロセスを設けていました。
 今回の国家戦略特区の場合も、ことし八月から九月にかけて提案を受け付け、ワーキンググループでヒアリングを行い、取り組むべき規制改革課題を選定いたしました。
 提案資料などは基本的に公開されています。もちろん、民間企業の提案など、当事者が非公開を希望される場合もありますので、こういった場合は全部または一部を非公開としていますが、それ以外は公開している。
 この結果、例えばの話、本来取り扱うべき規制改革課題が何らかの圧力で検討課題として落とされるといったようなことが仮にあれば、公開資料で相当程度明らかになってしまうということになっているわけであります。
 こうした一定の透明性あるプロセスが設けられるのかどうか、これも課題であると思います。
 第三に、規制改革メニューの具体的イメージの問題です。
 従来の構造改革特区や総合特区では、いずれも、制度創設時に法案の中に、制度の枠組みだけでなく規制改革措置の初期メニューを盛り込み、その後の国会でメニューは引き続き追加していくという方式がとられていたと思います。国家戦略特区の場合も、特区諮問会議などの制度枠組みはまだできていない段階でありますが、暫定的にワーキンググループを活用して各省調整を行い、初期メニューをつくりました。
 一方、企業実証特例では初期メニューの提示がなされておらず、この制度によって実現される規制改革の具体的なイメージが明確になっていないように思います。
 また、企業実証特例は実験的な仕組みであります。その意味で、スピード感が極めて重要と思います。その中で、あえて初期メニューの提示がなされていないということには、やや違和感を覚えるところであります。
 第四に、国家戦略特区との関係であります。
 国家戦略特区では、地域という枠に必ずしもとらわれないバーチャル特区という可能性についても議論がなされています。今回の国家戦略特区法案でも区域指定を行うことを前提としていますが、区域指定の仕方次第で、こうしたバーチャル特区の運用も可能になるものと理解しております。
 この場合、企業実証特例との区別、すみ分けがどうなっていくのか、これも課題であると思います。
 以上、企業実証特例の問題点を申し上げました。
 ただ、規制関連では、もう一つ、規制改革を論ずる以前に、むしろ逆行して、新たな規制強化がなされているという問題もあると思います。
 例えば、最近話題になっている医薬品のインターネット販売規制もその例かと思います。
 政府では、スイッチ直後品目などのネット販売を一定期間禁止するという方針が固められたやに聞いております。しかし、少なくとも公表されている専門家会合の報告書などの資料を見る限り、インターネット販売が対面販売と比べて危険であり、一定品目について禁止する必要があるという論拠が明確に示されているとは思えません。
 こうした新たな規制強化は、場合によっては、まさに産業競争力に悪影響を及ぼすことになりかねないと考えます。成長戦略実行国会という位置づけのもと、産業競争力強化法案が審議されている中、一方でこうした逆行とも見える動きが生じていることは、憂慮すべき問題かと考えます。
 次に、産業新陳代謝に関して意見を申し上げます。
 本法案では、産業新陳代謝のため、ベンチャー投資の促進、事業再編の促進、先端設備投資の促進の措置を講ずることとされています。
 ただ、これまで、産業競争力会議などでは、産業新陳代謝のための施策として、これら以外に、コーポレートガバナンスの強化や労働市場改革といった議論もなされてきたと理解しております。
 具体的には、コーポレートガバナンスの強化では、独立性の高い社外取締役の設置、日本版スチュワードシップ・コードの導入、労働市場改革では、ハローワーク改革、解雇ルールの明確化といった課題が挙げられてきたと思います。
 配付資料では、最後に、自民党の日本経済再生本部で二〇一三年五月にまとめられた中間提言の一部を抜粋しておりますが、ここでもこのように書かれています。
 日本は他の先進国に比べ、特定分野における同業者数が多いため国内競争で消耗し、国際競争で敗北しているとの指摘がある。しかし、むしろ問題なのは、低収益率に甘んじる取締役、株主、融資元金融機関の存在である。独立社外取締役の確実な導入等により、刷新と新陳代謝が自律的に改善されるコーポレートガバナンスの強化が必要である。
 これは極めてもっともな指摘であると思います。
 社外取締役は、経営者の不正を防ぐブレーキ役といった見方をされることが多いですが、それだけでなく、不採算事業の温存など経営判断の先送りに目を光らせ、企業の収益性を向上させるという役割も重要であると考えます。
 現に、東京証券取引所がことし公表しているデータによりますと、東証上場二千百八十四社のうち、社外取締役が三分の一未満の企業のROEの平均は一・一七%、これに対して、社外取締役が過半数を占める企業のROEは平均一二・七五%に達するわけであります。
 現在、別途検討がなされている会社法改正案では、社外取締役の確実な導入に向けた措置が盛り込まれない方向で検討が進められているやにも聞きます。
 先ほどの規制強化の動きもそうですが、せっかく産業競争力強化法をつくっても、その法律の外側で逆行ないし停滞させる動きがあったのでは、産業競争力強化という目的が実現されないのではないかと危惧いたします。
 社外取締役の確実な導入などコーポレートガバナンスの強化、雇用市場改革などの課題についても、的確な実施が確保される必要があると考えます。
 以上で私の意見陳述を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○富田委員長 ありがとうございました。
 次に、神津参考人にお願いいたします。
○神津参考人 おはようございます。連合の神津でございます。
 本日は、働く者の立場からの意見を述べる機会をいただいたことにまず御礼申し上げます。
 産業競争力強化法案につきましては、政府として、日本経済の再生を目指して策定された日本再興戦略を実行に移すための法整備の一つに位置づけられているわけであります。
 まずは、日本経済の再生、経済の好循環には何が重要かということについて、私どもなりの意見を申し述べたいというふうに思います。
 まず、基本的な認識ですが、日本経済の再生、好循環の実現の鍵は、雇用の安定、そして質の高い雇用の創出、維持にあるということであります。
 今日の日本社会が抱える大きな問題、長引くデフレと景気低迷の背景にあるのは、非正規労働者など低所得かつ不安定な労働者層の増加、そして中間層の崩壊といった現象と、それらによって引き起こされる国民の閉塞感の蔓延ということではないかと思います。
 その主因は、目の前のコスト削減に重きを置く個別企業の施策によりまして、賃金デフレと雇用の不安定化、内需の縮小、景気の低迷という悪循環を招いた合成の誤謬にあると思います。
 日本経済の再生に向けて、この悪循環を好循環に変えていくためには、雇用の安定、そして質の高い雇用の創出と維持、社会的セーフティーネットと所得再分配機能の強化など、真に国民の暮らしと雇用の安定、向上につながる政策を実行し、雇用不安、社会保障を含めた将来不安を払拭することが極めて重要であります。とりわけ、非正規労働者、そして中小企業で働く労働者の格差是正と貧困の解消をすることが必要であると考えます。
 政府におかれても、いわゆる政労使会議を設置され、デフレ脱却を図り、国民所得を向上させ、さらなる成長を実現させる新たな好循環の道筋をつくることが重要であるとの認識を示されています。私ども連合も、その点において意義のある会議であると受けとめ、参加をさせていただいておるところであります。
 その場で申し上げていることとして、今後の政策運営につきましては、従来のトリクルダウン型だけの発想からボトムアップ型を重視した発想に転換していく必要があるということであります。
 この二十年の中でもイザナミ景気のような景気回復局面があったわけでありますけれども、大企業の業績回復は中小企業や家計部門に波及をせず、力強い内需を伴う本格的な経済成長には至らなかったわけであります。今必要なことは、トリクルダウンのもととなるような一部の企業に目を向けた政策だけではなくて、中小企業や非正規労働にかかわる問題を初めとして、国民の暮らしの底上げを起点とした好循環の実現を図るような政策を講じることであると考えます。
 これらのことを踏まえますと、日本経済の再生を目指すための産業競争力強化法案には、その目的、基本理念の中に、雇用の安定、質の高い雇用の創出、維持を盛り込むべきではないかということをまず申し述べておきたいと思います。
 その上で、個別の課題について三点、意見を申し述べたいというふうに思います。
 まず一点目でありますが、規制改革を強力に推進するための制度の創設に関してであります。
 そもそも規制改革につきましては、昨今のさまざまな議論において、雇用、労働に関する規制まで緩和の対象として俎上にのせられていること自体に私どもは強い違和感を覚えているところでありまして、そのことにまず触れておきたいと思います。
 いわゆる参入規制等の経済分野における規制緩和につきましては、ビジネスチャンスの機会平等を促進することで経済を活性化させる効用を生むものと承知をしております。それらについては大いに進めるべきというふうに思います。
 しかし、労働分野の規制につきましては、それらとは根本的に異なる性格のものであります。物や金ではなくて生身の人の生きざまに直接かかわる事柄でありますから、抜け駆けのように労働規制を緩めることでコスト競争上優位に立つような企業がもしあらわれれば、遅かれ早かれ水は低きに流れることとなります。そこで生じる労働コスト引き下げ競争からは何らの効用も生まれないと考えるところであります。
 それどころか、結果として、労働の質を下げ、ブランド力も低下し、収益は低迷、賃金は削減、そして消費購買力はさらに低下、税や社会保険料の納付も滞るという、いわば悪魔のスパイラルダウンに陥るほかないと大きく懸念するところであります。本来、雇用、労働の規制が経済規制と同列に置かれて議論されるようなことがあってはならないと考えるものであります。
 また、雇用、労働の規制につきまして、ほかのいろいろな経済的規制の幾つかのものと同列に、岩盤規制といった表現をされることがあります。そういった主張も耳にするわけでありますが、私どもとしては、労働者が人たるに値する生活を営むための最低基準として設けられている規制がなぜ岩盤規制といった言われ方をするのか、全く理解ができないと率直に思うところであります。
 この岩盤規制という言葉は、経済的規制における既得権益をやゆする意味に限定されるべきと考えます。低所得あるいは身分の不安定にあえぐ非正規労働者や、あるいは一方で長時間残業の呪縛にさいなまれる正規労働者、これらをどのようにして救い、どう守っていくのかという意味での規制は、むしろ強化されるべきと考えます。労働者保護ルールの緩和により利益を得る集団が仮に生まれるとすれば、それこそが新たな既得権益の岩盤になるのではないか、そういった懸念を申し述べておきたいと思います。
 以下、幾つかの論点について申し述べていきたいと思います。
 同法第八条におきまして、新事業活動を実施しようとする者は主務大臣に対して規制の特例措置の整備を求めることができる旨が規定をされています。
 この企業実証特例制度は、新事業開拓の取り組みに資するように、企業単位で特例的に規制を緩和するものということであります。私どもも、ビジネスを展開する上で新たなシーズを世の中のニーズに結びつける試みが、懐の深い、基盤のしっかりした企業を足場に展開されること自体を否定するつもりはありません。しかし、一方で、我々としては、この制度を通じて労働者保護を目的としている諸規制までも緩和されてしまう事態を懸念するものであります。
 国家戦略特区との関連でもいろいろな場で申し述べてきたことですが、特定の地域や企業において労働時間規制等の緩和を行うことは、全ての国民にひとしく適用されるべき生存権的基本権としての労働者保護ルールの枠組みを否定するものでありますから、法のもとの平等の観点から決して認められるものではないと考えます。
 また、万一、企業単位で労働規制の緩和が認められることとなれば、企業間で労働条件の切り下げ競争が生じるおそれも高まります。ましてや、本制度の特例を受けられるような基盤を持つ企業が労働コストの切り下げを始めれば、その影響は甚大であります。こうした事態は、労働者保護を後退させるだけではなく、公正競争さえも阻害されてしまうなど、極めて問題が大きいと考えるものであります。
 したがいまして、今後、企業実証特例制度の運用を行うに当たりましては、労働者保護を目的とする諸規制については除外されることを明確にされるよう、強く求めるものであります。
 二点目でありますが、産業の新陳代謝、すなわち事業再編を促す際に留意すべき事項について申し述べたいと思います。
 私どもは、こうした事業革新を促すことの必要性自体は否定をいたしません。事業再編は、本質的に雇用の維持、確保に大きな影響を与える可能性があるとともに、従業員の主体的な関与と理解、協力なくして成功することはあり得ないと強調しておきたいと思います。したがいまして、計画の策定、実施に際して、雇用の安定に十分な配慮を行うことや、労働組合等との協議は不可欠であると考えるものであります。
 そのことにかかわって、具体的に補強すべき点として二点挙げておきたいと思います。
 まず第一は、計画認定の要件に、計画の実施に際しては雇用の安定に最大限の考慮を払うこと、そして労働組合等と十分な協議を行い合意を得ることを盛り込むということであります。
 第二点目でありますが、いわゆる第二会社方式による事業再生に関して、労働条件や雇用を維持する観点から、当該労働者の労働契約を包括的に継承することや、人員削減を目的とすることがないよう適切な措置を行うことを盛り込むことであります。
 これらの措置は、二〇〇九年に産業活力再生法が改正される際に、国会審議での争点となり、国会での大臣答弁や附帯決議で確認をされてきた経緯もあるわけであります。
 さらに、第百三十五条「雇用の安定等」における雇用の安定には、直接雇用に限らず、派遣や請負といった間接的な雇用も対象とすることとして、補強すべきと考えます。
 今回の法制定に際しましては、労使協議が確実に実施をされ、雇用と労働条件に十分な配慮が行われるよう、これらの内容を法案の本体に明記し、指針などに反映させることを求めたいというふうに思います。
 最後は、中小企業にかかわる問題であります。
 私どももさまざまな主張をしておるわけでありますが、時間の関係もありますので、支援強化にかかわる内容の中で幾つか絞って申し上げたいというふうに思います。
 中小企業政策は、雇用政策と密接不可分にあります。また、すぐれた技術を持っている、あるいは技術開発に努力しているが経営資源が不足をしている中小企業に対して、金融面や技術開発、保有技術の保護、公正な取引慣行の確立などの支援策強化が求められていると認識をいたします。
 また、中小企業再生支援協議会における相談受け付けや再生支援対応などの機能強化を着実に進めるためには、専門人材の確保、拡充が重要な課題となります。特に地方におきましては、数的にも質的にも専門人材が不足しているとの指摘もあります。専門人材の育成、その適正な配置に資する施策、そのための予算措置を講じるように求めておきたいと思います。
 以上でありますが、連合といたしましても、働く者を守り、一人一人のやりがいを高めるとともに、経済の好循環の実現に向けて、私どもなりの役割をしっかりと果たしていきたいということを申し述べまして、以上、意見とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○富田委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○富田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木紀君。
○佐々木(紀)委員 自由民主党の石川二区選出の佐々木紀と申します。
 本日は、参考人の皆様には、大変お忙しいところ御出席を賜り、産業競争力強化法案の審議に大変参考となる御説明をいただきまして、心から御礼を申し上げたいと思います。
 それでは、皆様に幾つか御質問をさせていただきたいと存じます。
 まずは、佐々木参考人と新浪参考人、民間企業の経営者をされておるお二人にお伺いしたいというふうに思います。
 私は、昨年末の衆議院選挙で初当選をさせていただきました。その際に、多くの企業経営者の方から、とにかく国が民間企業の足を引っ張ることだけはやめてほしいということをよく言われました。確かに当時は、領土問題であるとか過度な円高であるとか、民間企業の経営者の方がどれだけ頑張っても、何か邪魔をされているような感じがありました。
 国の役割というのは、企業が活動しやすい環境を整備することが第一だというふうに私も考えております。政権が交代して、いわゆるアベノミクスの三本の矢が次々に放たれて、景気マインドも経営環境も改善してまいりました。そして、この産業競争力強化法案において、成長戦略を確実に実行して、競争力を向上させて、我が国経済の持続的成長につなげていかなければならないというふうに思います。
 そこで、お二人に御質問させていただきたいと思います。
 成長戦略における企業の役割をどのように考えておられるかということについてであります。この法律において、政府は、制度面、税制面において民間投資を促進する環境を整えました。いよいよ企業側が投資をふやしていくんだ、そういう覚悟をお聞かせいただきたいというふうに思います。
 企業が投資をふやせば、生産性が向上して、収益が上がって、賃金も上がる。その結果、個人消費がふえて、マクロの好循環が生まれていく。企業の果たす役割は大変大きいと思います。先ほど、佐々木参考人からも、いよいよ企業の出番が来たというような御発言もありましたし、新浪参考人も、安倍総理の要請に応じて、従業員の賃金を上げるというようなことにも取り組まれました。
 その辺の決意といいますか、覚悟をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○佐々木参考人 成長戦略における企業の役割という御質問をいただきましたけれども、先ほど来お話し差し上げましたように、やはり、第三の矢の主たる担い手は我々企業だというふうに自認してございます。
 我々自身は、今回の法案も含めて、そのベースとなるような規制改革、税制の改正、そういったものを成長戦略を実行する者の糧として確実に生かした上で、これを投資に回した上で、事業の業績が上がったものを賃金に置きかえていく、これをいいスパイラルに回していけば確実に成長していける。これはいろいろな経済理論からも一応実証されているものであります。
 そのときに、非常に大事なことと我々が認識しておりますのは、企業というのは、いつまでも同じことをずっと続けていては、確実に、成長力というよりは競争力が落ちるのは自明のことでございます。
 それから、今、グローバル環境でいろいろ競争をしている中では、我々は日本の中だけで競争しているわけではなくて、大体、世界の強豪と競争をしている。その中で、常に競争力そのものを磨いていかなきゃいけない。そういう意味では、今回の競争力強化法案は、そのベースとなるようないろいろな、環境をつくる施策を政府として盛り込んでいただいているというふうに我々は認識してございます。
 その意味では、使いやすい制度設計をお願いして、それを我々企業が成長の糧にした上で、確実に成長、業績アップ、賃金につなげていく、こういうよいスパイラルに持っていくことが企業の役割だ、そういうふうに思ってございます。
 以上でございます。
○新浪参考人 私は、企業の役割は、どんどんチャレンジし、イノベーションをつくり上げ、とりわけ他の競争相手と差別化して勝ち抜いていくことである、この中でイノベーションが大変重要だ、このように考えております。
 今回、構造改革や規制改革等でイノベーションの芽が出てくる、これをどう生かすか、料理するかは、企業経営者並びに社員が一緒に考えていくことであると考えております。
 今、佐々木参考人がおっしゃったように、糧を料理するのはあくまでも企業である。ですから、そういった意味で、チャンスをいただき、それをぜひ活用していきたい。その結果として雇用がふえ、賃金がふえていく、こういう構造をつくっていくべきだというふうに考えます。
 一方で、企業の役割として非常に重要なのは人材の育成だ、新しいことに備えてやはり人材の育成をしていくことが大切であり、またこれは日本企業の持っている強みである、このように考えます。そういった意味でも、この先わくわくするような大きな変化が前向きに起こってくることで、企業経営者にとっても人材育成にかける意気込みが大変強くなってくる、このように思います。
 私たちが新たなチャレンジの糧をもらうことによって、これを正のサイクルに持っていく。最終的には、能力の高い社員を育成していく、そしてその社員とともに企業が成長していく、日本の成長とともに企業が成長していくモデルになっていく、こういうことをぜひやっていきたいと考えております。
 以上でございます。
○佐々木(紀)委員 ありがとうございました。
 使いやすい制度をつくっていくことが非常に大事だということでありますし、本当に、イノベーション、人材育成、ぜひ企業側で頑張ってやっていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。
 続きまして、カリスマ起業支援家と呼ばれていらっしゃいます小出参考人にお聞きをしたいというふうに思います。
 新たな需要や雇用を生むためには、起業家による創業を支援することは大変重要ではないかというふうに考えます。先ほどのお話の中でも、開業率は倍にできるんだという力強いお話もありました。
 今、この法案では、民間ノウハウを活用してワンストップの創業支援体制を創業者の身近に置くというような仕組みを整備していこうと考えております。実際、市区町村単位での支援ということになっていくかと思いますけれども、これから創業支援を始めていこうという市区町村もあろうかと思います。
 先ほどの御説明の中にも、エフビズモデルを広めていくということが非常に大切なのかなと思ってはいたんですが、これから取り組んでいこうという自治体に対して何かアドバイスとかがあれば、お教えいただきたいと思います。
○小出参考人 私は、十二年間やっておりまして、特に、エフビズを始めて強く思っておりますのは、やはり、先ほどもちょっと触れさせていただいたとおり、支援人材だと思うんです。この輩出、それを見つけ出すことが非常に重要なんじゃないかなと思っているんです。
 なかなかこの人材が見つからないんじゃないかとお考えの方も多かろうと思うんですけれども、実は、資料につけました私を含めて十一人のアドバイザーというのは、全部私自身がスカウトした人間なんです。地域の中で非常に能力のある、さまざまな専門家の人たちなんですね。この人たちを見つけ出して、やっていただいたんですけれども、この人材は、実は、経験とか資格というよりも、むしろ適性だというふうに私は考えているんです。
 適性は、三つの要素で捉えているんですけれども、まず一番大事なのは、ビジネスセンスが高いことだろうというふうに考えております。こういった人材は、いろいろな企業、もちろん私がいたような金融機関の中にもおるわけでございまして、こうした人を見つけ出すこと、ビジネスセンスが高いこと。二つ目として必要なのは、コミュニケーション能力の高さだと考えております。中小企業ときっちりお話ができる、問題発見能力の高い人です。三つ目が情熱を持っている人。この三つがあって、こういった産業支援人材として成功する要素を持った人だろうと考えておるんです。
 各市町村におかれましては、こういったプロジェクトを成功させるためにはやはり人がキーファクターだということを前提として、全力を挙げてその発掘に努めていただきたい、かように思っております。
 以上です。
○佐々木(紀)委員 ありがとうございます。
 本当に、人材をどうやってスカウトしていくかということがやはり課題なんだろうなというふうに感じました。
 それでは、新浪参考人にちょっとまたお聞きしたいと思います。
 私も企業を経営していた経験がありますから、どうしても、企業経営者の方への興味、関心というのはすごく強うございまして、特にローソンを経営されている新浪参考人のこれまでの御経歴を見ていますと、非常に大胆な発想で事業をどんどん新分野に切り開いていかれる。その姿勢は本当に尊敬しております。実際、当時、日本郵政公社と提携して店内にポストを設置したりとかという、本当に革新的な取り組みをしてこられました。
 今回の法案にも企業実証特例制度であるとかグレーゾーン解消制度というものが盛り込まれておりますけれども、こういった制度を使って企業の革新的な取り組みを促進していくために、やはりどんどん規制改革に取り組んでいくことが大切だと思います。
 先ほどのお話の中でも、この制度を使って新たな事業にチャレンジしていきたいんだというようなお話もありましたし、医療分野あるいは健康分野にこれから進出していきたいんだという、何か宣言ともとれるようなお話もあったと思います。
 その点、この二つの制度について、どうやって使えば有益なものとなっていくか、あるいは、どういうふうに運用すれば使い勝手のいいものになるかということについて、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
○新浪参考人 ありがとうございます。
 私は、企業として、今回、絶対にやっていかなきゃいけないのは、社会の問題を解決するところに実は企業のビジネスチャンスがある。先ほど来、医療や福祉、介護、こういったところのお話を申し上げましたが、ここに新たな、規制改革によって、社会に便利で役立つサービスができるのではないか。
 しかし一方で、やってみなきゃわからないということで、いわゆる企業特区なり、また実証制度を使っていくということができるのではないかと思います。人口が減り、大変な課題を抱えていますが、高齢化によって、一方で課題先進国であるからこそビジネスチャンスがある。そのときにどういうふうに、先ほど来申し上げているように、イノベーティブに発想してチャレンジしていくかということが大切だと私は考えております。
 他と同じものであればお客様はそこへ行っていただけばいいわけで、しかし、異なるものをつくるときは一つの変化が生まれるときであり、その変化をどうやってうまく活用してビジネスにしていくか。一方で、その変化が嫌だと思ってビジネスにしない、このスタンスの大きな違いがある。私は、変化に対して常に前向きにやっていきたい、こういう企業経営をやっていくべきだと。新しい制度を活用することによって新しいビジネスが生まれる。
 一方で、企業は常に社会の公器でもあり、社会問題を解決すること、ただ利益を追うだけではなく、中長期に社会に貢献することが大切である、こういったことを考えながら、中長期にきちっとやれるビジネスをやっていくべきだ。こういう制度をうまく活用すれば新たなビジネスも生まれる。知恵を出して、そしてチャレンジ、チャレンジには失敗もございますが、こういったことをやることによって、実は、先ほど来申し上げている人材の育成ができる。
 考えてみよう、やってみよう、こういった機運が今生まれていることが大変重要で、私どもも、社員そして会社の成長のためにも企業実証をぜひ何かやってみたい。まずこれを活用してみよう、変わるというならそれを活用してみようじゃないか、こういう意気込みでチャレンジしたい、こう考えている次第でございます。
 以上でございます。
○佐々木(紀)委員 どうもありがとうございました。
 大変すばらしいお話であったと思います。本当にすばらしい経営理念で、社会の問題を解決するところにビジネスチャンスがあるんだと。企業が成長すれば、その分社会の問題も解決していく。大変すばらしい、理想的な社会だと思います。よろしくお願い申し上げたいと思います。
 今ほど、新浪参考人の方から、制度はとにかく使ってみるというお話がありました。
 そこで、原参考人にお聞きしたいと思います。
 先ほどの御説明では、制度の実効性にちょっと否定的というふうに私は受けとめたんですけれども、制度設計がいま一つ実効性に欠けるのではないかというようなお話があったと思います。
 私は、制度は制度として、やはりそれをどう運用していくか、どう使っていくかということが非常に大事なのではないか、とにかく使ってみるということが非常に大事なのではないかというふうに考えるんです。
 まず、原参考人の、かつて経産省の官僚であったということでもあり、今は民間のシンクタンクにおいでるということで、官僚の経験をされた、役所の外と内を経験された、その御経験を踏まえて、これからそういった規制改革をどのように運用していったらいいか、とにかく制度を前向きに、実効的に進めるにはどうしたらいいかということについて、お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
○原参考人 ありがとうございます。
 規制改革の話は、先ほども少し触れましたが、例えば、十年前に、重点課題だといって十五から二十ぐらい挙げられていた項目が現時点でもほぼそのまま残っていまして、残念ながら、議論はなされてきたのだけれども遅々として進んでいないというのが実態であると思います。
 その中で、やはりいかに実効的に規制改革を実現できる仕組みをつくっていくかというところは大事だと思っております。
 先生が御指摘のように、運用の問題というのは極めて重要でございまして、制度をつくって、いかにこれを運用していくか。これは、運用次第によっては、いかに立派な制度をつくっても全然うまく進まないということも間々あるわけでございます。
 ただ、その前に、まず制度設計については、できるだけ最善の制度をつくることを目指しておくべきではないかということで、先ほどの意見を申し上げました。
○佐々木(紀)委員 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりでございまして、とにかく制度をつくったら、いかにうまく運用を重視してやっていくかということではないかと思います。
 続きまして、佐々木参考人にお伺いしたいと思います。
 実は、私の地元、能美市というところに、ソニーと東芝と日立のディスプレー事業を統合したジャパンディスプレイという工場があるんです。
 産業競争力の強化には過剰規制、過少投資、過当競争という三つのゆがみを是正していかなきゃいけないというところで、とりわけ、世界と闘うには、国内企業の過当競争を改めて、事業再編を進めていかなきゃいけないということだと思います。
 今回の法案にも事業再編の支援が盛り込まれておりますが、このジャパンディスプレイ、不採算部門を統合して競争力を高めていこうという取り組みをされたわけですけれども、そういうものも含めて、事業再編についての支援措置への評価をちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。
○佐々木参考人 非常に具体的な事例をいただきましたので、これをそのまま御説明差し上げるのが適当かどうかというのもなかなか難しいと思うんです。
 御存じのとおり、当社はその時点で、液晶事業と半導体事業という非常に設備投資の大きなものを必要とする事業を二つ持っていまして、これから先のことを考えたときに、どちらに集中すべきかということをまず一つ考えて、もう一つは、一つの規模が小さい産業で競争力を維持することは難しいので、大きくすればそれなりの競争力ができる、そういうような判断のもとに、半導体と液晶の中では半導体を残すというふうに決めて、液晶の方をMアンドAで出したということでございます。
 このとき、単純に不採算だから切ったというのは余り適切ではなくて、実は、液晶事業を、創業以来、最高の営業利益率でお渡ししております。要するに、もうかっていても、確実に競争力を強化するためにはやはり分けて、本当に世界の相手と闘える競争力を持つというのが我々の目的でありまして、最近、上場を早めるというジャパンディスプレイさんの話を聞いていますので、そういう意味では、非常に適正な事業分割をしながら確実に競争力がふえた部門だと私は評価をしてございます。
 今回のいろいろな施策の中では、もし赤字で切れても、そのときに、いろいろな意味での、損切りをある程度計上できるとか、いろいろな施策を考えていただいていますので、やはり、MアンドAでさらに強化しながら成長できるといった施策、こういうものに対しては確実に、制度設計も含めて、適用できるものをお願いしたい、そういうふうに思ってございます。
○佐々木(紀)委員 ありがとうございます。
 時間が参りました。神津参考人にお伺いできなくて、大変申しわけございませんでした。
 使い勝手のいい法案をつくって、ぜひ日本の産業競争力強化につなげてまいりたいと思います。
 本日は、どうもありがとうございました。
○富田委員長 次に、國重徹君。
○國重委員 大阪五区選出、公明党衆議院議員の國重徹でございます。
 本日は、お忙しい中、そうそうたる参考人の皆様に御出席いただき、大変示唆に富む御意見を賜り、心より感謝と御礼を申し上げます。
 時間の関係で、全ての参考人の皆様には御質問できないかと思いますけれども、どうか御容赦いただきますようよろしくお願いいたします。
 まず初めに、小出参考人にお伺いしたいと思います。
 公明党の経済産業部会のメンバーで、実は先月の十月三日、富士市の産業支援センター、エフビズを訪問させていただきました。後でブログを拝見しますと、国会議員で視察に行ったのは初めてだと書いてありましたけれども、私も行って、非常に勉強になりましたし、感動しました。
 まず、行って、壁一面に新聞記事がところ狭しとべたべたべたっと張られていました。エフビズで成果を出した記事が張られている。相談に来られた方にどうやって見える化、見せる化をするかということで、相談に来られた方が、ここに来たらこれだけの成果が出るんだというような安心感をそこで抱いていただくということで張られているのを見て、まず驚きました。
 そして、きょうもエネルギッシュな話でしたけれども、ホームではまたきょうの三倍増しぐらいの熱を帯びたエネルギッシュな話で、大変参考になるお話をいただきました。
 質問に入ります。
 きょう配付いただきました資料によりますと、平成二十五年に入ってから起業相談件数が大幅にふえて、これまでの年に比べて約四倍にふえているということですけれども、この原因は一体何なのかということと、相談に来られる方が何を一番必要としているのか、何を求めて来られるのかについてお伺いします。
○小出参考人 先日は、公明党の皆様、本当にありがとうございました。
 最初の御質問からお答えしたいと思うんですけれども、実は私も、先ほど申し上げましたとおり、この世界で十二年間ずっとやっておりまして、特に創業支援については、初期の段階においては相当力を入れておったわけでございます。そんな中で、短期的に創業者の相談が四倍にもなったことというのは今まで全くなかったんです。
 一体これは何が起きたんだろうという要因分析を私どもでしたところ、多分二つ要因があったんだろうと。
 まず一番大きかったのは、富士市が、エフビズの活況を見て、実は、今年度からさらに力を入れていこうということで、創業支援についてさらに特化した部分でやっていきたいということがあって、施設を多少拡充いたしました。それに伴って人員をふやしたわけでございます。私どもは、それに応えるべく、創業支援に対してのアドバルーンを相当大きくしました。これによってふえたんだろうということが一つ。
 ただし、それに関しては従来の私自身の取り組みの中でも随分やっておったことなものですから、それだけでは、とてもじゃないけれども四倍にふえるようなことは想像もできなかったんです。
 正直申し上げまして、来ている相談者の状況を見ておると、ことしに入って、何か雰囲気が変わったなというような感じがしているんですね。政府にも盛んに創業支援をやるんだとおっしゃっていただいていることが、かなり後押しになっているような気がしております。
 特に、ことしに入りまして新しく制度ができた創業補助金に関しては、お金が欲しいからというよりもむしろ、はっきり言って、創業者に対して勇気を与えたのではないかという気がするんですね。来ている相談の中身を見ましても、お金欲しさで云々なんという人は実は一切来ていなくて、極めて真っ当な起業の話が多いんです。
 ですから、やはり、国を挙げて創業支援に取り組むんだという姿勢そのものが、地域のチャレンジャーたちのチャレンジスピリットに火をつけたのではないか。ちょっときざな言い方になりますけれども、僕自身はそれを強く感じておる次第です。
 来られる方々の御相談の中身というのは、さまざまに分かれるんですけれども、非常に多いのは、やることそのものは極めて明快になっているんです。どこの場所で、いつごろ、どのぐらいお金をかけてやるんだということはできているんですけれども、私ども自身が心がけておりますのは、実は、起業することそのものはそんなに難しいことではないんです。難しいのは、持続的にその地域の中で頑張り抜く中小企業になることなんです。
 このために何が必要かというと、それぞれの起業家の方々の売りを明確化すること、それをベースにしてコンセプトを明確化していくこと、効果的なPR手法を考えることなどのいわゆる戦略立案だと思うんです。そこのところが実はすごく喜ばれているのではないかと。
 つまり、事業として、持続的に頑張り抜いて雇用を生むような中小企業に育て上げるためのサポートが実は求められていて、エフビズにたくさん人が集まってくるのは、それを総がかりになって、各コーディネーターが全力を挙げてお手伝いすることが地域の人たちに非常に支持を受けた、こういう理由だというふうに考えております。
 以上です。
○國重委員 今、小出参考人から、要は先ほどの意見陳述のところでもありましたように、結局は、知恵の出せる資質のある人材が一番のキーポイントになるんだということだと思います。
 では、先ほどの佐々木委員からの質疑と答弁の中にもありましたけれども、要は、資質のある人材というのは日本全国にいるけれども、ではそれをどうやって見つけ出すんだということが次のポイントになるかと思います。先ほども、中小企業の支援はかなり完璧に整っている、でも人材がなかなかいないんだ、でも実際にいるかもしれない、それをどう見つけ出すか。
 今現在、官僚の皆さん等でその資質のある人材を選別されているかと思うんですけれども、やはり私は今回、このエフビズでも小出参考人が十一名スカウトされてきたと言われましたけれども、こういうような力のある、資質のある人材を見つけ出す目ききのある民間の方をセレクトする側に入れていくということも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○小出参考人 全く先生のおっしゃるとおりだと思うんです。やはり目きき力だと思うんですね。
 東芝さんでも、ローソンさんでも、企業を支えていく人材を、全力を挙げて人事サイドあるいは企業サイドの中で見つけ出し、選び出しているんだろうと思うんです。実は、そういったトップランナーの皆様方、いろいろなプロジェクトをやって次々に成功させるようなプロジェクトマネジャーさん、こういった人間は、この世界に来ていただければ必ず成功するはずなんです。私がいたような金融機関でも、その銀行を担っていく最先端の仕事をしている人たちは、そういった可能性のある人たちだと思うんです。
 ただし、問題だったのは、従来、私どものようなこの手の仕事は、プロフェッショナルな仕事としての位置づけになかったような気がするんですね。業として成り立つようなポジションではなかったし、そういったような報酬体系でもなかったような気がするんです。
 やはり、この仕事というのはプロでないとだめなんですよ。アマチュアではできないんです。先ほど申し上げましたとおり、かなり高度なコンサル力を有する人材でないとできないんですね。ですから、それに伴うようなポジションを明確にしていくんだ、報酬体系も明確にするんだということではないか。
 そういった前提の中で、きちんとしたビジネスでまともに結果を出せる人材を選び抜いていく、それには民間の力が必要だし、民間経営者の人たちにもかかわっていただきながら人材の選定のところに注力してみたらいかがか、かように思っております。
 以上です。
○國重委員 よくわかりました。
 あと一点だけ、小出参考人に質問します。
 今、人材がキーポイントだと。一点は、見つけ出す、次は、育てるということだと思うんです。小出参考人の著作も読ませていただきましたけれども、やはり人材育成はOJTが一番なんだとおっしゃられています。今後、資質のある人材を育てていくために、政策としてどのようなことをやっていけばよいとお考えでしょうか。
○小出参考人 今おっしゃっていただいたとおり、OJTはかなり効き目があるというふうに思っております。私どもも、エフビズが始まって以来、金融機関の職員の皆様方においでいただきながら、現場で、ある意味で修行に近い形で学んでいただいているわけなのでございます。
 今までも、経産省の施策の中で、産業支援人材の育成はいろいろやられていたと思うんです。ただし、課題があったとすれば、明確な目指すべき像がどこまでクリアになっていたかというところが一つあると思うんですね。人材として、どういう人材を目指すべきなのかということ。もう一つは、やるべき支援は何なのかということです。ここを明確にしていく必要があって、そのターゲットを明確にした上で、目指す像をどういうふうな形で育成していくのか、こういうアプローチではないかというふうに思っておりまして、私どもの現場においては、極めて限定的になりますけれども、いろいろなところから依頼されながらそれを実行している、それが成果につながっているのではないか、かように思っております。
 以上です。
○國重委員 私も、この人材育成に関して、また今後しっかりと考えてまいりたいと思います。
 次に、新浪参考人にお伺いします。
 先ほど、初めの意見陳述の中で、雇用をふやしたのはサービス産業なんだ、女性の活躍、活用が大いに今後期待されるとおっしゃられました。
 今、ローソンでは、私は少し資料を読んで驚きましたけれども、新入社員の半分以上は女性だということです。女性の管理職をふやすためには、まず女性社員をふやさないといけない、新入社員の半分以上が女性だということで驚きました。
 そして、ローソンでは一九九二年から、三年間の育児休業を導入している。しかし、いろいろな意見が出ていますけれども、三年間育児休業をとったら、さまざまな問題点も出てきた。実際に、育児休業をとったんだけれども復職しない人たちが出てきたというようなことも資料で読みました。
 では、それに対してどのような対策をローソンではとられたのか、それによってどう変わったのか。また、今、国でも育児休業制度をさまざま進めていこうとか、待機児童の解消とかありますけれども、例えば、育児休業制度と何かほかの政策を抱き合わせればもっと女性の活躍が後押しできるというようなことがございましたら、アドバイスをいただければと思います。よろしくお願いします。
○新浪参考人 お答え申し上げます。
 おっしゃられるように、三年間の育児休業で頭を悩ませたのは、復職しないということが一番の大変な悩みでございました。
 まず、何をやったかというと、私たちはママさんと呼んでいるんですが、ママさんプロジェクトをつくりまして、育児休業をとられているお母さんたちに、プロのお母さんというのは当然のことながらスーパーにも行けばコンビニにも行く、それを一カ月に一回でいいからレポートに書いてくださいと。
 もうさんざんローソンの悪口も言われ、いろいろな情報が入ってきます。実はそれが会社に帰ってきたときに大変生きるということで、約一年間どこにも配属せず、その知識を生かしてローソンに物を申してくれという組織をつくり、その結果、自分の適性に応じたところに戻る。こういういわゆるバッファーをつくって、戻りやすいようにした。
 たまたま私たちの業種からするとこういったことが非常にマッチしたということで、実は今、一〇〇%戻ってきていただいています。そんな意味で、やはり企業サイドも、戻りやすい仕組みと適性があるということで、たまたま私たちがそういう業種であったということに起因したんだと思います。
 そして、三年間育児休業をする、これ自身が、本人の意思で働きながら育児をやりたいという方は実はすごく多いんだと思います。三年間をフルに使った方々はむしろ少ないぐらいで、みずからの意思を持って会社に戻ることができるような体制が必要だ。最大限三年間というのは大変重要だと思いますが。
 そこで、やはり、保育施設をもっと民間に開放し、民間のアイデアでできるよう、そしてまたいわゆる規制をなるべく緩和して、例えば何階に階段が外づけでなきゃいけないとかいろいろな規制がございます、こういったものも見直していただいて、企業の中にも育児施設ができるようにする。働かれるママさんたちが希望する育児ができる、また、何かが起こって夜遅くなっても、長い時間でも保育していただける、こういう体制。
 実は、コストが高くては国費が余りにもかかりますから、民間の創意工夫をここに出して、非常にコストの低い、しかし安心して預けられる体制づくりが必要だ、このように思います。またここに新しい事業が生まれ、この雇用も女性、こういうようなことで、問題解決をすることによって新たな雇用も生まれてくる。
 そのときもう一つ必要なのは、フレックスに働けるように、雇用のいわゆる規制等も、女性の方々が働きやすいように変えることの検討も必要じゃないか、私はこのように思います。
 以上でございます。
○國重委員 大変参考になるお話をありがとうございました。
 私も、候補のときから、やはりこれからは女性の時代だということで、女性施策を訴えてまいりましたので、また今後、参考にさせていただきながら、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 次に、原参考人にお伺いします。
 先ほど、企業実証特例制度に関しまして、特例措置の申請を受けた事業所管大臣が、規制が他省庁の所管にかかわる場合は規制所管大臣等が要請を通知することに今回の法案ではなっております。これだけでは期待される特例措置が認められないのではないかという懸念があるということもおっしゃられましたけれども、霞が関にいらっしゃった御経験からして、また外から見て、では、これをどのように改善、運用していけばより実効性のある制度にできるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
○原参考人 ありがとうございます。
 一つのやり方は、先ほども少し触れましたが、内閣に調整の場を設けるというやり方はあり得るかと思っております。
 これは、国家戦略特区の場合でいいますと、特区諮問会議という総理をトップにする場を設けて、特区担当大臣が規制改革を求め、それと規制担当大臣とが対峙して、そこで議論する中で、最後は総理がトップで決断するという決定の場をつくるということをやっております。例えばそんな可能性があると思います。
 それからもう一つありますのは、やはり民間の有識者の理論武装といいますか、力のサポートを受けるということもあり得るかと思います。
 これは、規制改革会議などでも、機能していた時期には規制改革会議の民間委員が最前線に立って関係省庁との調整、折衝を行うといったようなこともよく見られました。そういった民間有識者の場を設けられるのかどうか、そんなことも可能性としてはあり得るのかなと思います。
○國重委員 持ち時間が参りますので、もうこれで終わりにしたいと思いますけれども、本当に、きょうは、冒頭にも申し上げましたとおり、そうそうたる参考人の皆様にお越しいただきまして、貴重な御意見を賜りました。
 きょうの御意見をしっかりと踏まえて、進化し続ける成長戦略をやっていけるように、私も全力で頑張ってまいります。
 ありがとうございました。
○富田委員長 次に、辻元清美君。
○辻元委員 民主党の辻元清美です。
 本日は、産業競争力強化法案の審議に当たりまして、五名の参考人の皆様には貴重な御意見をありがとうございました。
 この間、もう十年以上、どうしたら日本の経済が再生できるのか、そして、働く人たちがディーセントワーク、人間らしく生き生きと働くことができるのかということを議論してまいりました。
 その中で、企業がもうかれば人々が果たして幸せになるのかというテーマが一つありました。もうけだけ追求して、そして賃金は下がる、さらには暮らしが苦しくなっていく、格差が広がっていくようではだめじゃないかと。
 もう一つ、この間、デフレの原因は何かという議論もございまして、安倍総理は予算委員会で、私もその場におりましたけれども、デフレは貨幣現象であると言い切られた。
 一方、この十年以上にわたりまして、これは日本に特徴的な現象ですけれども、アメリカもそしてヨーロッパも、リーマン・ショックなどもございましたけれども賃金は一定上がっている、しかし、日本は下がり続けてきた。賃金が下がるということは、内需を含めて経済が非常に縮んでいくことじゃないか、やはり賃金の問題や人を大切にしてこなかった点がデフレの原因ではないかというような議論が、この間ずっと国会の中でも進められてまいりました。
 そんな中で、安倍総理は、今回この法案をお出しになるに当たりまして、世界で一番企業が活躍しやすい国にするんだという発言があったわけです。世界で企業が一番活躍しやすい国は、果たして人が幸せになるのか。そういう国が人を幸せにしないと意味がないわけです。ですから、その点などについてきょうはお聞きをしたいと思います。
 まず最初に、佐々木参考人に。
 いろいろ経済界で御活躍をなさっておりまして、世界じゅうの国々ともおつき合いされていると思いますが、今この時点で、世界で一番企業が活躍しやすい国は、ああ、あそこやなという国があったら教えていただきたい。
○佐々木参考人 我々は、グローバル化の中で世界の企業といろいろおつき合いをしながら、アライアンスを結びながら、自身の競争力を高めていくという努力をしているわけですが、ではどの国が一番働きやすいかというと、その国その国ごとにやはり規制の体系が違うということがあると思います。
 日本も実際には非常に働きやすい国だと我々は思っています。ただし、いろいろな意味で、みんなで一緒になって働く。
 先ほど賃金の話とか人を大切にしているかというようなお話もありましたけれども、日本の企業でいいますと、リーマン・ショック直後においても五・一%の失業率でしかない。そのときに、たしかアメリカは九・九%ぐらいになっていたと思うんです。そういう意味では日本は働きやすい国です。
 企業はそのときに、売り上げも利益率も非常に下がったにもかかわらず正規社員をしっかり確保して失業率を上げなかった、こういうこともあります。そういうことがまた許されながら、企業倫理も含めて、日本での企業の活躍の仕方は若干外国とは違う面もありますけれども、日本は日本で、また企業としての動き方というものについて、ある方向性を持って活躍ができる国だと思っています。
 ただ、世界のグローバルマーケットの中で本当に我々が競争していかなければいけないときに、コスト競争力であるとか性能の競争力、イノベーションの競争力、そういうことを全部やるに当たって、今の環境は安倍政権になるまでは六重苦の話がありました。そのうちの三つぐらいが今解決をしつつある中で、この条件をしっかり解決していって、さらに日本の企業が人を大切にでき、賃金も上げていける、こういう形にしていけば、日本が一番活躍しやすい国になると認識してございます。
○辻元委員 よく法人税が安い国がいいんじゃないかとかいろいろ言われるわけですが、では、どこなんだと言われたときに、タックスヘイブンの地域がいいのかとか、そうでもないわけですよね。トータルに考えてどうなのか。
 今、日本の話がありましたけれども、賃金は下がり続けたわけです。トリクルダウン理論というのがこの間も議論されてきました。ぽたぽた落ちて、そして労働者までお金が回っていくんだと。しかし、この間見ていますと、非正規社員がふえてきた。非正規社員をバランサーのようにして、賃金をカットしていくなりして企業が生き延びていくというような指摘も一方であるわけです。
 先ほどイザナギ景気の話も出ましたけれども、景気はずっと拡大していった、そして内部留保もたまっていった、今三百兆とも言われている、しかし賃金は下がっています。
 そこで、神津参考人にお聞きしたいんですが、先ほどボトムアップの政策が必要だとおっしゃいました。トリクルダウンと対照的におっしゃったのかもしれないです。そのボトムアップの政策。そして、先ほど私は、ディーセントワークで、やはり人間らしい暮らしができる社会にしないと、内需も拡大しないし少子化も進んでいく。ということは、経済全体が縮んでいくことになります。
 その働く立場から見たボトムアップ型の政策、もう少し詳しくお聞きしたい。それから、ディーセントワークが果たして日本で実現しているのかどうか。この点についてお聞きをしたいと思います。
○神津参考人 ありがとうございます。
 トリクルダウンという言葉は、私ども連合も率先して使っているんですけれども、辻元委員におっしゃっていただいたようなことだと思っています。
 やはり、イザナギ景気が戦後最長と言われながら、結果として格差の拡大を生んでしまった。それで、デフレの脱却ということには到底至らなかったということを、私どもとしては、日本の経済社会全体が顧みる必要があるんだろうというふうに思っています。
 給与所得も九七年以降ずっと減り続けている。これは平均でということであります。連合傘下の労働組合においても、この間、労使交渉において、いわゆる大手のところは基本的に定昇制度であるとか基本賃金のカーブ維持とかをもって賃金は維持をしている。あるいは、年によっては賃金改善という手法をもって向上を果たしている部分もある。したがって、格差が拡大したことが全体の水準を押し下げているということであります。
 御質問いただいた、非正規のところ、あるいは格差の拡大の一つの大きい要因として、やはり中小企業で働く者の関係があると思います。
 これは政策の面でもぜひぜひあらゆる局面において光を当てていただきたいと思うわけですが、率直に言って、言うはやすく行うはかたしのところがあると思います。これは政労使が力を合わせて、自分たちのやれるところ、守備範囲のところを精いっぱいやるということだと思います。
 政府に求めることで非正規に関したところでいえば、基本的には、政策以前の問題ですが、いわゆるブラック企業なるものがばっこするというようなこと、そこはしっかりとした労働基準ルールの適用をこれまで以上に強化していただきたいと思います。
 そして、政策面ということでいえば、やはり最低賃金。これはここ数年は向上するという結果になってきているわけですけれども、まだまだだと思います。やはりそこのところは一層力を入れていただくということが必要だと思います。
 また、正規労働者への転換です。
 統計などを見ても、私どもが把握しているところでいえば、いわゆる不本意な形で非正規という働き方をせざるを得ない方々が四割ぐらいいらっしゃるということですから、これは日本の社会にとって大いなる損失を結果として招いているということだと思います。
 労働法制の問題はさまざまな論点で議論されていますが、やはり本人にとっても自己実現を図れるような働き方、もちろん非正規を望んでいる方もいらっしゃるわけでありますから、全てを否定するつもりはありませんけれども、四割の方々が、本当は正規社員としての働き方を望んでいるにもかかわらず、心ならずも非正規という働き方に甘んじざるを得ない。
 先ほど新浪参考人からも、人材の育成が企業として物すごく大事だということで、そういうふうにやっていただいている企業ももちろんあるわけですけれども、一方で残念ながら使い捨てに結果としてなってしまっているところも少なからずあるわけでありますから、やはりこれは政策面においても、どうやって本人方が働く者の立場で望んでいる形に転換ができるのか、そういった施策の推進をお願いしておきたいと思います。
 それから、パート労働法も今宙に浮いた形になっているわけですけれども、やはり均等、均衡処遇。これも言うはやすく行うはかたしのところがありますが、現状をつぶさに精査していただいて、目に余るような実態がそこここにあるのではないかと思いますから、均等、均衡処遇ということについて、さらに深掘りをしていただきたいと思います。
 それから、中小企業に関してですが、先ほど申し上げたように労使関係の問題でもありますけれども、定昇がないと結果的には実質賃下げになってしまっているということがあります。これは価格転嫁がなかなか進まないということが一つあると思います。
 先ほどの意見の中ではいろいろな支援策について要請申し上げましたけれども、消費増税が来年の四月です。価格転嫁は関係省庁におかれてもそういった仕組み、あるいはそういった発信を今準備されているやに伺いますけれども、私ども連合としても、そういった仕組みをつなぐ役割を果たしていきたい。働く者あるいは経営者の方々から、価格転嫁がなされていないというようなことが発信されれば、私ども連合としても、それを関係した制度につないでいく努力もしていきたいと実は考えておるんです。
 やはりそこらについては、行政当局のいろいろな指導を含めて力を発揮していただくということが極めて重要だと思いますので、その点をお願い申し上げておきたいと思います。
 それから、ディーセントワークですね。
 私ども連合は、よく正社員中心の組合だというふうに言われますが、実は非正規も百万人ぐらいいるというふうに私は思っています。
 一方で、正規社員も、さっき意見の中でも触れましたが、やはり長時間労働ということが本当に抜きがたい問題としてあります。これから先、男女共同参画社会を実現していく上でも、やはりそこのところはしっかりと働きかけていくことが大事だと思っています。やはりカローシなんという言葉が日本語発で世界に流布するようなことだけは避けていかなきゃいかぬ、こういうふうに思っています。
○辻元委員 今のお話で、政労使の十分な話し合いと合意という点がありました。
 実際に、ドイツは今、経済が堅調だと言われています。今の政権になる前のシュレーダー政権で政労使の協議が徹底的に行われ、一定の雇用の流動化ということも必要なわけですけれども、その場合には、よい流動化と悪い流動化があるだろう、やはり同一価値労働同一賃金というか、均等待遇をどうしていくのかということも含めて話し合いがなされ、働く人をきっちり守っていこうという中で政労使が話し合われたのが基盤になって、今のメルケル政権の堅調があると言われております。
 そこでもう一点、ちょっと違う角度からお聞きをしたいんです。
 新浪参考人にお聞きしたいんですが、私自身はNPOの支援をずっとやってまいりまして、「新しい公共」推進会議では、新浪参考人にもお越しをいただいて、一緒に支援をしてまいりました。
 そんな中で、ソーシャルビジネスの可能性です。
 先ほど健康増進の話をされました。私は五Kと言っていまして、健康、観光、教育、環境、きずな、この五つの産業を伸ばしていく。その際には、ソーシャルビジネス的な、社会問題を解決することを一つの仕事にしていくという分野が、日本の中でも、今までのさまざまな産業構造の転換もですけれども、必要だと思っているんです。その点についての御意見を伺いたいこと。
 これは中小企業の支援にもつながると思うんです。ですから、小出参考人に、中小企業の、新しく起業なり仕事をかえていくに当たってのネック、何が問題点になっているのかということをお二人にお聞きしたいと思います。
○新浪参考人 ありがとうございます。
 私は、新しい公共、とりわけ前政権のときに税制が変わった、大変に評価すべきことだと思います。その中で、若い人たちが社会に貢献したいというのが、三・一一のこともありまして、大変大きな希望になってきたんだな、こう思うわけです。
 その中で、私も新しい公共はもっと取り組むべき課題である。また、ここに、私たち企業と、いわゆるソーシャルな部分で社会と向き合うところで、まだ我々がわからないところを手助けしていただくこともあり得ると思いますし、国が全てやるのではなくて、自分の町は自分たちで守るんだ、こういったところにもつながることになると思うんです。
 今申し上げているのは、全て国に頼って何かをやるということではなくて、いわゆるソーシャルエンタープライズが、まさに自分たちで自分たちの町の発展のためにやっていくということは大変重要なことだ、このように思います。そこに、私たちみたいな企業でノウハウを持ったところをどう巻き込んでやっていくか、これが大切だと思います。
 一方で、課題は、我々企業にしてみると、どこと組んだらいいのか、認定であろうがなかろうが、どういうところが一番いいのか。まだまだ新しい公共があれから進んでいない、こういうふうに思いまして、NPOの皆さん、意気込みが非常にある方々、しかし一方で我々との接点がどうもまだまだ持ちづらい。
 ありていに言いますと、何となく企業サイドからすると大丈夫かなと思うようなところをもっとうまくつなぐことができることによって、いわゆるNPOの皆さんは、志があって、その実現もでき、また企業のノウハウも活用できるんじゃないかなと。
 また、企業からは、六十歳以降、企業に残るよりも、ノウハウのある人たちがNPOに行く。とりわけNPOの若い人たちは意識は大変あるんですが、ノウハウの面で企業からもっと卒業生をうまく移動できれば、私は、地方の抱える問題点を早く解決できるんじゃないか、このように期待をしております。
 以上でございます。
○小出参考人 委員がおっしゃったネックの部分ですけれども、企業家にとって最大のネックになるのは資金調達ではないかというふうに言われておるわけでございます。実は、それは全く違っておりまして、各金融機関におきましてもそうですし、政府系金融機関もそうですが、創業資金に対してのアプローチはかなり積極的にやっておりますから、資金調達面で困るということはほとんどないんです、中身さえしっかりしていれば。
 問題なのは、皆さん一様におっしゃることですし、ソーシャルビジネスを目指す人たちは全く一緒だと思うんですけれども、どこに相談に行っていいのかわからなかったというようなことをおっしゃる方はすごく多いような気がします。並びに、相談に行ったところで、的確な、望ましいアドバイスがあるのかというところについては、ソーシャルビジネスの部分においても全くそうだと思いますけれども、やはり支援人材の育成並びに配置が急務だ、かように思っております。
 以上です。
○辻元委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。終わります。
○富田委員長 次に、今井雅人君。
○今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。
 きょうは、五名の参考人の皆さん、大変御多忙の中、経済産業委員会にお越しいただきまして、また卓越した御見識をいただきまして、ありがとうございました。大変参考になりました。
 時間も二十分ということでありますので、早速質問させていただきたいと思います。
 まず、新浪参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほどからずっとお話をお伺いして、大変すばらしい取り組みをしていらっしゃると思います。基本的に、おっしゃられた考え方は、我が党とも同じ考えですし、私ともほとんど同じ考えでありまして、特に女性の取り組みはすばらしいと思いました。あと、我々は今予防医療というものにもっと力を入れて、これの保険化ということもやっていきたいと言っているんです。
 まだ正確にデータをとっていませんが、私のところに白川町というちっちゃい町がありまして、ここの白川病院で院長さんが何十年も予防医学に取り組んでおられまして、運動と食事それから笑うこと。あとは診断をずっとやってこられました。今、八千人ぐらいのところですけれども、たしか百歳以上の方が八人か九人、九十九歳の方が二十人近くいらっしゃるんです。これは多分全国的に非常に珍しいケースだと思うんですけれども、こういうものをぜひデータ化して、また国に提案したいと思っているんです。
 お話の中で農業が産業化できるんじゃないかということがありましたので、そこについてお伺いしたいと思います。
 競争力会議でも御発言されていると思います。私は岐阜県の田舎の方なので農業をずっと見ていますが、今、六次産業化、あるいは減反の廃止も含めて、TPPと関係なく農業を伸ばしていかなきゃいけないという取り組みはいいんですけれども、やはり実際に見ていますと、農家の方たちは、物をつくるのは上手だけれども、一体何をしていいかわからない。六次産業化をやるのはいいけれども何から手をつけていいのかさっぱりわからない、そういう方がたくさんおられるわけです。
 せっかくいいものをつくっておられるんですから、ここをやはりビジネスにしていくことはとても大事だと思うんです。現在も企業が一定の要件のもとで参入できるようになっていますけれども、なかなか企業と農家がうまくつながらない部分もあって、農家の方も、農地がとられちゃうんじゃないかとか、企業が来てもだめなら逃げちゃうんじゃないだろうかとか、そういう御懸念を持っておられると思いますけれども、私は、企業家の方たちはそんな方ばかりじゃないというふうに思います。もっとしっかり規制を改革して、農業を地方の産業にすべきだ、まだ今の改革は踏み込み不足だと考えているんですけれども、この辺についての御所見をいただきたいと思います。
○新浪参考人 ありがとうございます。
 これから幾つか課題として取り組んで、改革の実を上げる、また改革そのものを行っていかなきゃいけないと言っていただきたい、このように思うわけです。
 もともと農業は貿易自由化において何となく犠牲になってきたという雰囲気があって、予算をたくさんつけてきた。とりわけ私が一番懸念しているのは、ウルグアイ・ラウンドの二の舞にならないように、こういうことが大変重要だ。そういった意味で、意味のないお金の使い方をしてきたのではないか、このように思っております。
 それは、効果として掲げている自給率も上がっていない。では結果的に競争力が上がったかというと、上がったものもございますが、全般的にそうではない。ここで、ちょうどいい機会ですから、見直すべきである。構造改革には大変意味がある。
 意味があるというのは、今先生がおっしゃった六次産業化して付加価値をつける。米はなかなか付加価値がつかない。しかし、野菜等、付加価値のつくものはまだまだあります。こういったものの生産性を上げ、企業の技術、またICT等を入れることによってまだまだいいものができる。
 かつ、今度は、マーケティングが苦手だったんですね、マーケットインという発想じゃなくてプロダクトアウト、つまり、つくったら売れるというのが今までのやり方で、いわゆるチャネルもあってそこに渡せばいい。そうじゃなくて、お客さんが何を求めているかということで付加価値をつくる。その産業に付加価値が生まれるということは、そこに雇用も生まれ、そして事業体も生まれてくる。こういった意味で産業化できるということで、実は、行政のもとに産業化されていなかったという大前提があります。
 ですから、産業化することによって、地方における雇用、場合によっては七十歳以上の方々も働ける。例えば植物工場で東芝さんに技術をもらって、企業ともいい意味でコミュニケーション、そしてコラボすることによって産業化されるんじゃないか、このように思っております。
○今井委員 ありがとうございます。
 そこで、農協についてもお伺いしたいんです。
 私は、農協は非常に重要な組織だと思いますけれども、ややもすれば、今内向きになって、本来の農協の役割を果たしていないところがあるんじゃないかと思っているんです。
 ただ、各農協さんでも、地域によってはすばらしい取り組みをしているところもあれば、そうでもないところもあって、ばらばらになっていまして、全体的に農協が悪い、そういう論調は僕は間違っていると思っているんです。
 農協が本来の姿に戻るためには、やはり競争の原理も必要であって、第二の農協、第三の農協、いろいろなものが入ることによってサービスを上げていく、農家の方にもっともっと目が向いていく、そういうことをやっていく必要があるんじゃないかなというふうに思っているんですが、この辺について御意見を伺いたいと思います。
○新浪参考人 私も、農協全般を批判することは違うのではないかなと思います。私の記憶だと七百ぐらいの単協さんがございます。その単協さんの中で大変頑張っているところもたくさんございます。そういった意味で、農協全体ということで捉まえて議論するのではなくて、むしろ頑張っているところが頑張れるような体制をつくって、どんどんフロントランナーとして進んでいってもらう。私どもも、進んでいる単協さんとはローソンとして取り組みもしております。先にどんどん進むところを進みやすいようにしていけば、後からついていくということもあり得ます。
 また、そういったところを応援する制度設計にしていく、こういうことが行われれば、全般的にみずからの役割というものが変わってくる。どういうことかというと、プロダクトアウトからマーケットイン。どういうものを求めているかということで、集荷したものを全部そのまま流すんじゃなくて、誰々さんがつくって、誰々さんの思いがあってやった。例えばこういうようなことを消費者に伝えるようなマーケティングをそれぞれの単協さんベースでやられたらきっと変わってくる。こういった意味で、私は、変われる可能性、また、価値のある企業がつくれる可能性は大いに秘めている、このように思います。
○今井委員 ありがとうございます。
 私も全く同感でありますので、ぜひまたいろいろな会議の場でも声を大にして発言していただきたいというふうに思います。
 次に、小出参考人に質問したいと思います。
 公明党さんも視察されたということで、ぜひ我が党も今度視察させていただきたいと思いますが、先ほども御質問がありましたけれども、さっきペーパーを見て、これだけの人材をどうやって集めたんだろうなと思ったら、スカウトされたということで、やはり人の力というのはすごいなと思いました。
 今回、創業支援を各市町村でやるということなんですが、富士市さんは二十五、六万人ぐらいの単位ですよね。二十万、三十万単位の市であれば、私は人材を探すということは十分できると思うんですけれども、平成の市町村合併のときに合併をしなかったような市町村もたくさんありまして、小さい単位、一万人以下の単位の市町村というのはたくさんあるわけです。特に田舎にそういうところが多いわけです。
 では、各自治体で人材を探せといっても果たして見つかるんだろうか。それよりもう少し広域でこういうものをつくってやっていかないと、これだけ自治体がたくさんある中では、それぞれが人材を見つけてくるのは非常に難しいというふうに思っているんですけれども、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○小出参考人 まず、支援の拠点のあり方について先にお話しさせていただいた方がよろしいかなと思うんです。
 私ども、現場でやっておりまして非常に強く感じますのは、フェース・ツー・フェースでやれるエリアの中でサポートするのが非常に有効だと思うんです。例えば、我々、静岡県全体として捉えてみるといま一つ届き切れない部分がありまして、やはり市町村単位でやるのが支援のやり方としては望ましいということがまず前提としてあろうかと思います。
 問題の人材でございますけれども、これについては、逆に、もう少し幅広に捉えてみたらどうかと。私ども、コーディネーター、アドバイザーの中には、富士市在住の方もおりますけれども、遠く離れて静岡市の方、あるいは藤枝市の方、焼津市の方と広域に捉えておるわけでございます。こういった観点で探し出す必要はあろうかなというふうに思っております。
 それからもう一つ、地域金融機関。これは全市町村に支店があるわけでございます。なおかつ、私も在籍しておりましたけれども、地域金融機関というのは、地域が活性化して初めて自分たちが事業として成り立つわけでございます。この地域金融機関と密接なタッグを組むことによって優秀な人材を出してもらうというやり方も一つあろうかと。
 私自身も、静岡銀行から当初は出向で七年半もやっておったわけでございます。同じようなスキームというのが成り立たないか、かように考えておりまして、やり方一つで各市町村に配置できるような持っていき方もできるのではないかと思っております。
 以上です。
○今井委員 ありがとうございました。
 私も長く銀行員をやっておりましたので、銀行員の中にも優秀な人がいるのはわかっています。例えば、私の選挙区でいいますと、信金、信組がありますけれども、預貸率が四割を切っているようなところもあるんです。何とか貸し出しをしようということでコンサルティング機能、人材の育成をやるんですけれども、それは組織の意識革命をしなきゃいけない、やらなきゃいけないといいながら、なかなかうまくいっていない地域もあります。これはやはり、金融庁も含めて、金融機関のコンサルティング機能の強化というのは本当にやっていかなきゃいけないと思いますので、大先輩ですから、またいろいろ御指導いただきたいというふうに思います。
 次に、原参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほども新浪参考人から、要望として省庁縦割りじゃないように、ぜひ横断的にやっていただきたいということで、原参考人にも御質問がありました。
 ちょうど今国家公務員の制度改革法案が出ておりますけれども、私たちは中身を見て骨抜きになっていると思っていまして、やはり、先ほど言われたように、権限をどこかに集中してわあっとやるということも大事なんですけれども、それと同時に人事権もしっかり持ってやるということで、初めていろいろなものが横断的にやれる体制ができると思うんです。
 そういう意味においては、官僚制度というか国家公務員制度というのはもっと大胆に変えていかないと、結局、今のような産業競争力のようなものをやろうとしても縦割りの壁に当たってしまう。やはりそこの抜本的な改革が必要だというふうに思っているんですが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○原参考人 ありがとうございます。
 規制改革がなかなか進まない理由として、やはり官僚機構の問題というのが相当程度構造的な要因として大きいと思っております。例えば、よく言われる鉄のトライアングルという話がございます。官僚機構と、先生方を前にして申し上げるのも恐縮ですが、関係議員と関係業界とで一体になって既得権を守るような規制が維持されるなんという話がよくあったりするわけでございます。
 あと、いろいろな規制の改革がなかなか進まない要因としては、やはり、全国一律で物事が決まっていて、地方で物事を決めて改革できるようになっていない、そんなような問題があると思っております。
 規制改革を含めて、いろいろな意味で制度面での環境整備を進めていく上で、官僚機構の改革、それからもう一つ地方分権の推進という二点は、構造的な制度改革という観点で極めて重要だと思っております。したがって、各論の規制改革であるとかいろいろな制度改革を進めていくことはもちろん大事なんですが、これとセットでやはり基盤的な改革を進めていくということが極めて重要だと思います。
○今井委員 まさにそうでありまして、だからこそ我々は道州制を導入すべきと提案しているわけであります。
 今取り組んでおられる国家戦略特区も、言ってみれば、ある地区で規制を緩和して、そこでイノベーションを起こしていこうということでありますから、道州制をやれば、それぞれの道州で自分たちで規制を緩和してイノベーションを起こすことができるようになるわけです。そのことによって各地方でいろいろな競争ができるというのが道州制のメリットというふうに我々は思って提案をしているんですけれども、この道州制についてのお考えをお伺いしたいと思います。
○原参考人 ありがとうございます。
 今、道州制と国家戦略特区との関係についてお話がありましたが、私もまさに同じように認識をしておりまして、今回、国家戦略特区の中で統合推進本部をつくることにしております。国と地方と民間とが一体になって、いわばミニ独立政府のようなものを特区の中でつくり、そこでいろいろ、制度改革であったり、施策のニーズを吸い上げ、実際に新しい制度をつくってそれを運用するところまでやっていく、そんな制度設計をやろうとしているわけでございます。これはまさに、その延長線上に出てくることというのは、地方のことは地方で決めるという道州制の考え方につながっていくのかなと思っております。
○今井委員 ありがとうございました。
 我が党はとにかく、日本がよくなるためにどうしたらいいかということで、政党に関係なく、正しいことをやっていればどんどん応援しようということでありますので、今のアベノミクスの基本的な方向は賛同できるところはたくさんありますけれども、やはりまだ踏み込み不足のところもたくさんあると認識しておりますので、ぜひ皆様にもお力をかしていただきたいと、ここでまたお願いしておきたいと思います。
 次に、佐々木参考人にちょっとお伺いしたいんです。
 ちょっとこれは漠とした質問なんですが、アベノミクスで世の中は非常によくなったというふうに言われていますけれども、私が選挙区に帰りますと、全くそういう雰囲気はなくて、むしろ負担ばかりふえて本当に生活が苦しくなったという地域があって、やはりばらつきがあるわけです。
 そこをわあわあ言っても仕方ないんですけれども、今後の都市部と地方のあり方、これは本当に根本的な問題だと思うんです。だから、今の地方と都市部の格差をどうやってなくすかという目先のことではなくて、今後、国のあり方として、都市部と地方の役割をどういうふうに分けたらいいかということを、もしお考えがありましたら御見解をいただきたいと思います。
○佐々木参考人 都市部と地方の格差のもともとの原因というのは、やはり少子高齢化それから過疎の二つであると思います。この二つを本当に根本的に直さない限り、確実に地方と都市との格差はふえていくわけです。
 それを例えば地方交付金みたいな話でサポートをしていくと、経費はかかるけれども実質の発展がない。本来しっかり発展させなきゃいけないところを延命してしまうという形ではいけないというふうに私は認識してございます。
 そのときに、では地方を切り捨てていいのかと。それは違うと思います。
 過疎化をしていくプロセスにおいて本当に密度の低いところが出てきてしまったときに、今コンパクトシティーとかいろいろな提案がされていますが、これはあくまでも効率を上げるだけです。本来は効率を上げただけではだめで、そこに新しい産業をつくる、そのためにはコンパクトにして、サービスの密度を上げるだけではなくて、そのコンパクト化されたものをまた複合体として魅力のある地域をつくった上で、そこで新たな雇用が生まれるような形にしないと、確実に地方との格差はふえてしまうと思います。
 そういったところで、今回の特区の話にしても何にしても、いろいろな試みができるというふうに私は信じておりまして、ただし、少子高齢化と過疎化の話を確実に補完する施策がないと、いずれ下がっていってしまうわけです。
 だから、そこの根っこのところをしっかりやることによって、本来あるべき地方の姿というのを確実に確立していけばいい、そういうふうに考えております。
○今井委員 どうもありがとうございました。
 神津参考人に労働形態のあり方についてお伺いしようと思っていたんですが、時間が来てしまいましたので、これで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○富田委員長 次に、三谷英弘君。
○三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。
 本日は、五名の参考人の皆様にお越しいただきまして、大変貴重な御意見を伺うことができました。改めて御礼を申し上げたいというふうに考えております。
 時間の関係もございますので、お越しいただいた参考人の皆様に全て御質問させていただくことは難しいかもしれませんけれども、その中でも順を追って質問させていただきたいというふうに考えております。
 まず、佐々木参考人と新浪参考人にお伺いをいたします。
 この成長戦略はアベノミクスの三本目の矢と言われておりまして、その中でしっかりと成長戦略を掲げていくんだというようなことを言われておりますけれども、やはりその主体は企業なんだろうというふうに考えております。
 経団連に加盟されている企業の皆様、もちろんローソンさんですとか、そういった本当に意欲的な取り組みをされている方々が今の日本の経済を牽引されているというような状況であると考えております。
 その中で、政府の役割というものについて若干お伺いできればと考えております。
 二つございます。
 一つは、成長戦略の中で、できるだけ国とか役所の関与を下げていくべきだというような意見がありますけれども、その点についてはいかがお考えか。
 それからもう一つ、企業がそういった事業活動を行う上での政府の役割を考えたときに、いわゆる減税、何かをするときに税金をかけないよというようなやり方と、何かをやるんだったらそこにお金を出してあげる、ある意味ターゲティングポリシーというようなものがあると思いますけれども、そのどちらの方が企業としてやりやすいのか。
 その二点について、佐々木参考人、新浪参考人、お二方にお伺いできればと思います。
○佐々木参考人 今、成長戦略における政府の役割ということで御質問いただきました。
 規制緩和ということを、今メーンでは規制改革会議がいろいろなアイテムを挙げながらやっているわけですけれども、これはやはり、今までかなり規制をしてきた政府の役割は下げていっていると思うんですね。
 ただし、規制というのは必要に応じて出てきたものもありますので、そこのところはキープした上で、諸外国と比べて不要な規制について確実に下げていく。やはり、自分たちの社会の都合だけではなくて、海外の状況等も含めてイコールフッティングな形でやっていくことがまず確実に必要だというふうに認識してございます。
 それから、減税と補助金のどっちがいいのかと言われたら、我々の方からすると両方いいんですが、役割が大分違うというふうに認識してございます。
 減税の方は、我々が前から主張していますのは、法人税減税の話をしておりまして、世界の企業と闘っていく上で、我々が今コンピートしている企業の属する国というのは、特に東南アジアも含めてですけれども、二五%ぐらいの実効税率で推移しているわけですが、日本の場合は三八%ぐらいという、本当にこの差が、次の投資とか次の賃金とか、そういうところに回り切らない部分の一つの根幹をなしていると思います。そういった意味では、世界の競争で勝っていくための減税ということが必要だと思います。
 成功体験に基づいた事業というのはこれをやり続けるという特性がありますので、それとは別に、新規分野、ベンチャー分野、そういったところに補助金という形でやること自身はいいと思いますが、かなり新陳代謝をしなきゃいけないものの延命のために補助金を使うなんということはあり得ないわけで、だから、補助金の使い方と減税のあり方というのはやはり違うというふうに認識してございます。
 以上でございます。
○新浪参考人 まず、政府のあり方というのはケース・バイ・ケースで、今のようなときにはある程度表に出てきてもいいと思っているんです。どういうことかというと、この二十年間、節約がビューティーだ、内部留保もたまり、かつ、エクセスキャッシュ、いわゆる余剰資金も抱えている中で、何か背中を押してやる仕組みをつくってあげる、政府として、今のような環境であれば。ですから、政府というのは時代時代によってその役割が変わるんだと思うんです。
 そういった意味で、今、例えば官民ファンドについてもいろいろな議論があります。しかし、私は、例えばベンチャーも、本来であればベンチャーファンドがあって、これは政府が関与しない方が本当はいいんです。しかし、全般的に銀行出身のベンチャーキャピタルが多いとなりますと、一次では出さないんですね。こういうアイデアがあるけれどもお金を下さいでは出さないんです。うまくいったぐらいにお金を出す。いわゆるアメリカのようなベンチャーキャピタルは余り存在しないわけです。そういったときに、背中を押してやって、いいアイデアがあるんだったらやってやろうと。
 そのかわり、期限を決めなきゃいけないと思います。三年なら三年と決めて、そこで実効を上げていく。いつまでたってもずっとやっているんじゃだめだと思いますので、いわゆるトリガー、つまり引き金になるようなことはある程度仕組んでやるのが今必要かな、こういうふうに思うわけです。
 そして、減税と補助金でございますが、今、佐々木参考人がおっしゃったとおりだと思います。
 私は、ターゲティングポリシーそのものが仮に設定されるとすると、企業としてはだらしないなと。むしろ、自分たちがこれをやっていくんだということで、基本はターゲティングポリシーではなく、例えば、補助金で考えなきゃいけないのは、雇用の流動化を生み出したいときに、雇用を引き受けたところに、しばらくの間しっかりと補助金を出してあげる。いてくださいという方向から、動いたところへ。
 今はどちらかというと、まだ予算配分としては、こっちが三百億、あっちが一千億以上、これはいかぬと思います。実は、こっちを重くして流動化して、いわゆる成熟企業から成長する方へ向けてやる、こういったところに使って、それも期限を切ってやっていく、こういうことが必要だと思います。
 減税も、私は、企業の活力を出すという意味では非常に重要で、先ほど佐々木参考人がおっしゃったように、グローバルで見ていかなきゃいけないということで、こういったことは必要かなというふうに考えます。
 以上です。
○三谷委員 基本的な考え方を改めて確認させていただきました。ありがとうございます。
 その上で、佐々木参考人に改めてお伺いしたいと思います。
 先ほど、投資減税の重要性、まさに成長戦略の中で極めて重要なファクターであるという趣旨をお話しいただいていたと思いますけれども、その中で、投資効率のよさを過度に重視しない方がよろしいという御意見を述べていらっしゃったと思います。もちろん、私としても、投資効率のよさなんというものは霞が関で判断し切れるものではないと考えておりますけれども、こういうふうに御意見をいただいたその趣旨を改めて確認させていただければと思います。
○佐々木参考人 内容の説明についてはちょっと正確に言った方がいいんですが、投資効率は高い方がいいに決まっています。だけれども、それを閾値とした形で減税の制度設計をすることがよくないということで、やはり、余りにも閾値を高くしてしまうと、その投資減税のシステムそのものが適用できない。そうした場合には、形だけ残って、例えば一年たってみたら誰も使っていなかった、そういうシステムになってはいけない、そういう意味でございます。
 我々としては、投資の効率は非常に高いところを狙っておりますので、よろしくお願いします。
○三谷委員 失礼いたしました。もちろんそのとおりだとは思います。まさに投資減税、減税をしていくことが企業のより自由な活動につながっていくのかなというふうに考えておりますし、その意味で、閾値を余り高くすることはよろしくないのではないかというのは、私もそのとおりだろうと考えております。
 そして、先ほどからお話をいただいている中で、新浪参考人、佐々木参考人に共通しているのが、企業実証特例制度でもいいんですけれども、申請があれば認める方向で検討していただきたいですとか、事業所管省庁の方が意欲的に取り組んで、まずは認める方向でというような話をされていたと考えております。
 新たな制度をこれからつくっていくということになりますけれども、一方で、今政府で起きていることは何かと申しますと、よしあしは別にしていろいろな御意見はあろうかと思いますけれども、例えばタクシーの規制強化を行うですとか、インターネットでの医薬品の販売というものに規制を行っていくですとか、必ずしも規制を緩和していく方向ではない動きも見られるところではございます。
 私からすれば、例えばネットでの販売も、その程度のことができなければ、ほかのこともなかなか難しいんじゃないかと思ってしまう部分はあるんですけれども、その辺について、今、政府の規制改革への取り組み、意欲、どのようにお感じになっていらっしゃるでしょうか。お答えいただければと思います。
○佐々木参考人 ネットの問題、それからタクシーの問題、規制強化側という話ももちろんあるんですが、ただ、ネットでの例えば薬の販売については、あれだけのものが認められて一部の例外があるというふうな形ですので、大分前に進んだと私は認識をしてございます。
 そういう意味で、劇薬と、副作用をある程度確認できていない二十八種類ですか、ああいったものに対してもうちょっと様子を見るというようなことは、それほど規制強化とかとリンクしているというふうにはちょっと認識はしてございません。
 それから、タクシーの話は、確かにいろいろなお話があると思います。
 これも、業界側として考えたときに、タクシーの台数をふやさない、そうすると、タクシー利用者の利便というものがあって、どこにバランスを置くかによって決めるべきであって、タクシーの業界側だけがこういうふうにしたいという話ではなくて、利用者側の利便性もちゃんと含めたバランス感のある規制であればそこそこの対応ができると思いますが、そこのところのジャッジを誰がするかということがなかなか難しい。
 やはり、こういうものについて、単に監督官庁が右だ左だということではなくて、確実な調査をベースにした上で規制を強化するなり緩和するなりということで、どこをバランスポイントにするかという場合には、基本的には利用者の利便性だと思いますので、そこにある程度重みを置いた上での事業の継続性ということでの若干の規制の変更のようなものについては、ある意味ではやむを得ない部分もあると思います。
 以上でございます。
○新浪参考人 規制改革が進んでいるかどうか、これから幾つか産業競争力会議と一緒になってやっていくことがたくさんあるかなと。例えば、農業などでも進みつつあると思います。
 一方で、特に規制改革は、経済成長に資するものに重点を置いてやるべきだ。インターネットの規制は、私個人としては経済成長に資するものではないと考えております。むしろ、全体ビジョンをつくって、例えば対面販売、実は私どももやっておりましたが、対面販売というのは大変効果があるものだと思っています。
 一方で、人と人が触れ合う必要はなくて、テレビでやればいいじゃないか、家にいて、専門家の、例えば薬剤師から、場合によっては医師と。社会で抱えている問題、例えば行くのが大変とか、もうこれだけ東芝さんを初めとした解像度の高い8K、十六倍のテレビが出る時代に、会って直接やる必要はないと。しかし、会うことによって安心感を得るというのはある。少なくとも我々がやっている限りは、対面である必要性があると思っております。
 ですから、そういった意味では、ICTを使う。ネットじゃなくて、ICTを使って新たな産業とか新たなアイデアを生んでいくことは大変重要で、こういったときに、アイデアが浮かべば新たな投資も起こってくる、そういったものに対しては規制を考えるべきであって、どれもこれもやるべきじゃなくて、むしろ、一つずつに時間がかかるのは事実ですので、ぜひとも、経済成長に何をやることによって雇用が生まれ、賃金が生まれ、また事業が生まれるか、こういったものに絞り込んでやっていっていただきたいな、このように思います。
○三谷委員 ありがとうございます。
 まさに、これをやったら雇用が生まれる、経済成長に資する、そういう観点は非常に重要なんだろうと思っております。
 その意味で、新浪参考人と小出参考人にお伺いしますけれども、先ほど新浪参考人の御意見の中で、まさにこれからサービス産業では女性に今まで以上に積極的に活躍していただくんだという話があったと思います。
 それはまさに、今までですと、例えば正規雇用、非正規雇用がある中で、非正規雇用というだけで、正規雇用に比べると割合不利な条件で働かざるを得ない。女性はなかなかフルで仕事ができない場合もある。正規雇用、非正規雇用で取り扱いが変わってしまうというようなこと自体、なかなか女性の活用には難しい部分がある。そういう意味で、今まで以上に雇用のルールというものを自由化していくことが必要なのではないかと考えているところでございます。
 そして、小出参考人は、こういった施設は民間で行っていくんだ、その中で、人がまさにアセットだというようなことをおっしゃっていたと思います。コミュニケーション能力が高い人、情熱がある人、そういう人たちをしっかりと確保していくという意味では、民間、エフビズのような産業支援を有効活用していくためには、人材の流動性を高めていくということが重要なのではないかと考えるわけです。
 その意味では、今の雇用法制がそういった観点から支障になっているという側面があるのかないのか、その点についてお答えいただければと思います。
 お二人ともお答えいただきたいと思います。
○新浪参考人 ありがとうございます。
 私は、女性がより働きやすくなるには、税制の問題もあると考えております。俗に言う百五万と百三十万の問題でございます。しかし、働きたくない方もおられるわけで、ここは一つの問題点ではあるので、逆に引き上げることを考えて、働きたい方が自由に長い時間働けるように環境をつくってさしあげるということがすごく重要だと。
 税制上は、女性が家庭にいて、少しパートで働く程度の仕組み。でも、社会構造を大きく変えたい。また、今回の成長戦略でもダブルインカムと。世帯収入をふやすと間違いなく消費がふえていきます。それとともに、全般的に統計的に少子化対策にもなる。こんなことから、ぜひとも税制面を考えてもらいたい。
 それと、私が申し上げたかったのは、家庭内に有資格者が随分入っております。例えば、看護師さんであれば五十万人が家庭に入ってしまっている。こういった方々にもっと出てきていただくためにも、雇用ルールというよりも規制緩和をする。例えば今、注射にしても、血液を抜くのもできないとか、こういった新しいことをやることによって雇用が生まれる、そして今度は雇用が生まれるところに雇用規制がありますから、そういったものを一つずつ解決するべきだ、このように思います。
○小出参考人 私どもは民間なんですけれども、行政の仕事を民間が受託している、そういう位置づけでございます。
 その前提の中で、先生がおっしゃられた、法制面での何かネックがあるかという観点から考えますと、そこはほとんどないというふうに思っています。むしろ、我々のような支援人材を配置するために必要なのは、こういったポジションがプロフェッショナルのしっかりした仕事であるというような位置づけをつくることが必要ではないか、それが急務じゃないか、かように思っています。
 以上です。
○三谷委員 ありがとうございます。
 時間も限られておりますので、続いて原参考人に三点お伺いしたいと思います。
 まず一点なんですけれども、企業実証特例制度の内容につきまして、今までは特区は一段上の内閣に調整の場を設けてきたと思いますけれども、今回の企業実証特例制度ではある意味同じレイヤーの官庁同士で話をするということで、率直に、こういった改革が企業実証特例制度で進むとお考えなのかどうか、改めて確認させていただければと思います。
 二つ目ですけれども、企業実証特例制度は先端的な取り組みには認めるんだ、そういうような政府の見解がありますけれども、先端的な取り組みかどうかを政府または経済産業省が判断することが果たしてできるのかどうか。何が先端的で、何が先端的ではないということを判断できるかということについて、御意見を伺えればと考えております。
 三点目なんですけれども、国家戦略特区におけるいわゆるバーチャル特区の考え方は、事実上それは導入できるという御意見をいただいたかと思います。そのバーチャル特区というものにこの企業実証特例制度をある意味吸収することもできるのではないかという御意見かと正直思ったんですけれども、その点の御見解を伺えればと思います。
 以上三点、お願いいたします。
○原参考人 ありがとうございます。三点お答えいたします。
 一点目でございます。
 まず、実効性が今の企業実証特例の関係大臣間で要請するという枠組みで十分かという点でございますが、先ほど申し上げましたとおり、十分かどうかについては疑問があると考えております。例えば、先ほど来申し上げております特区諮問会議といったような枠組みを使うといった可能性はあるのかなと思います。
 二点目、先端的かどうかを政府が認定するということでございます。
 先端的かどうかというところは、どうしても恣意的な判断、認定につながりかねないという問題があるように思います。
 三点目、バーチャル特区でございます。
 これは、国家戦略特区のワーキンググループでも議論され、新藤大臣が提示されている国家戦略特区のコンセプトの中にも示されておりますが、要するに、地域ではなく分野という切り口で特区を指定するという考え方でございます。したがって、場合によっては、地域を越えて活動されている企業について分野という形で特定していく、指定していくということもあり得るのかなと思っております。
 そうすると、今回なされようとしている企業実証特例制度と相当程度重なってくるということではないかと考えております。
○三谷委員 ありがとうございました。
 持ち時間が終了いたしましたので、これで質疑を終了します。
 ありがとうございました。
○富田委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 参考人の皆さんには、貴重な御意見をいただきありがとうございます。
 きょうは、私は、労働規制の緩和問題を中心に、佐々木参考人と神津参考人にお伺いをしたいと思っております。
 日本経団連の提言の中でも、労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制というのが挙げられております。それを拝見しますと、労働規制の見直しについても一気に実施する必要がある、正社員に対する使用者の雇用保障責任が諸外国と比較して厳しいとされる、このように述べておられます。
 政府は、日本経済のゆがみの一つとして過剰規制ということを挙げておられますが、佐々木参考人は、日本の労働者保護ルールは過剰規制だとお考えなのか、その点をお聞きしたい。あわせて、神津参考人にも、日本の労働者保護ルールが過剰規制なのか、この点についてお考えをお聞かせください。
○佐々木参考人 言葉の話の中での過剰という言葉と、実際の運用の中での労働の流動性というお話では、若干その趣が違うというふうに認識してございます。
 リーマン・ショック直後でも、先ほどお話をしましたように、日本の場合は五・一%ぐらいまでしか実は失業率が上がってこない。それはやはり、日本の労働法制もありますし、もう一つは、日本の企業の特質として社員を大事にしていく、こういった二つの特性から出てきているというふうに認識をしてございます。
 そういったものが若干いろいろな競争力には影響しておりまして、非常に大きな日本の企業は、エレクトロニクスでも自動車でもいいんですけれども、やはり利益率を諸外国の同等の企業と比べたときに差がついている、そういうことも、過剰にとは言わないんですけれども、自分たちが抱えている労働力そのものを大事にした上で、社内にキープしていくことも含めて、一つの原因になっているというふうに思います。
 では、そのときに法制を変えてどうするかという話、これが非常に難しいところでございまして、労働市場そのものが固定化しているままで実際のグローバルな競争の中にさらされますと当然競争力に差がついてくるわけでして、そこのところで、ある程度、実際のビジネスそのものの新陳代謝に合わせた形で、労働移動が失業なくうまくできる仕組みがあれば、我々自身はそれを補完するような法制をぜひ立案していただきたいと思います。
 それには、一時的な状況もありますので、例えば政府がセーフティーネットを構築するとか、やはり流動に対して、受け入れた相手方に対していろいろな補助をするとか、いろいろな仕組みがあるというふうに思っております。
 そういった全体の施策を含めて、労働法制そのもののフレキシブル化のようなものはぜひやっていきたいということが経団連の趣旨でございます。
○神津参考人 雇用に関する規制、諸外国との比較ということでありますけれども、私ども連合として、さまざまな海外の国の制度を把握しておりますけれども、特にヨーロッパの諸国と比べて日本の解雇にかかわるところの規制が厳しいという認識は全く持っておりません。むしろ、ドイツなどに例をとると、よほど日本よりそこについての規制は厳しいというふうに認識をしています。
 そういう意味では、同じく海外のマーケットに向けて製造業を中心に展開しているような、加工貿易立国的な共通点というのは多々あると思うんですが、もう御案内のように、ドイツ経済はヨーロッパの中でも比較的堅調さを保っているということを含めていえば、我が国が過剰規制であるということは全く当を得ていないというふうに私どもは認識をしております。
 それと、例えば北欧において解雇規制は比較的緩い、そういう認識はあります。ただ一方で、雇用について、働く者の立場からのセーフティーネットということの観点でいえば、これは全く日本とは比較にならないほどしっかりとしているというふうに認識をしています。
 そういう意味では、やはりリーマン・ショック直後にああいう年越し派遣村というような状況が出来したわけでありまして、そういったことについて本当に我が国の法制面できちんと手当てがなされているのかということ、大いにそこは改善すべきではないのかというふうにむしろ思うところであります。
○塩川委員 ありがとうございます。
 続けて、佐々木参考人と神津参考人にお尋ねします。
 今回の法案の企業実証特例制度の問題であります。
 先日の質疑におきましても、茂木大臣は、この企業実証特例制度について、労働規制緩和提案も排除されないと答弁をしておられます。
 スキームとして、企業みずからが安全性等を確保する措置を講じることを前提にということを掲げておりますけれども、経団連の会員企業などにおきまして、企業実証特例制度を労働規制緩和を求めるツールとして使うということはあるのかどうか、この点についてお考えをお聞かせください。
○佐々木参考人 今、法案を実際に審議している最中に、経団連の会員企業が、この時点で、それを労働法制のいわゆる特例として採用するかどうかについての検討をしていることはございません。
 ただし、茂木大臣がおっしゃるとおりに、可能性としてそういう使われ方をするということに関しては、やはり我々としては、労働法制に関するフレキシビリティーの追加というような形と捉えております。
 これは、今お話にありましたように、安全性の実証というものに対して、労働に対する安全というものを何と捉えるかということはもちろん定義として非常に難しいところはあると思いますが、これをちゃんとしっかり規制所管の大臣に説明ができて、なおかつセーフティーネットが確保されるというふうなことも含めて認可されることがあれば、可能性としては、ないということはないというふうに認識しております。
 今の時点では、ちょっと時期尚早の議論というふうに考えております。
○塩川委員 ありがとうございます。
 神津参考人に同じ問いです。
 今お話ししましたように、茂木大臣としては、労働規制緩和というのも排除されないという話があります。そういう点で、私は、フレキシビリティーのお話もございましたが、やはり労働法制の最低基準の問題ですから、そういった形で、企業実証特例制度のように、企業単位での労働規制の緩和ということがあっていいのかと率直に思います。
 参考人の御意見をお聞かせください。
○神津参考人 冒頭の意見の中でもお話を申し上げたんですが、基本的に労働者保護ルールにかかわるところの問題であります。やはり、全ての国民にひとしく適用されるべき生存権的基本権であるということの中で、法のもとの平等の観点から、そういった形で、雇用の問題、労働者保護ルールにかかわるところについて、これを取り上げることについては私どもとしては認められるべきものではないというふうに考えます。
 また、これも前段で申し上げたんですが、基本的に経済的な規制とそこは峻別されるべきだというふうに思っておりまして、それとこれとを混同した議論が進められると、肝心なところの経済的規制の緩和、前向きな内容も逆に滞ってしまうのではないのかな、こういった懸念を持つところであります。
 以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
 続けて神津参考人にお尋ねします。
 今回の法案は、産活法の主要な部分を取り込んでいるものであります。事業再編を大きな柱とする産活法におきましては、雇用についてもさまざまな影響が出たと私たちは承知しております。冒頭の意見陳述の中でも、雇用の安定を盛り込むべきではないのかというお話もございました。
 一九九九年から始まった産活法におきます事業再編の総括として、雇用の安定というのが図られたものだったのか。産活法についてのお考えをお聞かせください。
○神津参考人 実際に適用された事例においてさまざまなケースがあると思いますので、私は今この場で、全てを把握しているわけではありませんから、そこについては一概に言えるということではないのかなというふうに思います。
 ただ、間違いなく言えるのは、やはり基本的に良好な労使関係を持って、そこでしっかりとした話し合いが行われて、働く者の立場で納得のいくような形での転換が図られているケースであれば、その法の趣旨ということについては、基本的に、円滑な形での経済の活性化なり、産業構造のあるべき形での進捗ということに資しているということはあったのかなと思います。
 私はやはり、労使関係においてきちっと納得のいく形を追求する、そういう形こそが重要なんだと思います。
 私どもの事務局の中でもこの問題についていろいろ議論、検討しておるんですが、スピードが求められる経営ということで、それはトータルで考えるべきだと思います。たとえ労使関係の中でこの問題についてどういうふうに最終的な解を見出すかということで時間がかかったとしても、しかしながら、そのことはトータルで、実行面でスピードアップが図られるわけでありますから、やはりそういった観点を織り込んで捉えられるべきではないのかな、こういったふうに考えるところであります。
○塩川委員 ありがとうございます。
 残りの時間で、佐々木参考人にインフラ輸出戦略、原発輸出の問題についてお尋ねをいたします。
 佐々木参考人は、経済財政諮問会議の議員でもございますし、また産構審のインフラ・システム輸出部会の委員でもございます。
 政府が、日本再興戦略、今回の法案のベースの戦略においても、三つのプランの一つとして国際展開戦略を挙げ、海外市場の獲得としてインフラ輸出、その中には原発も挙げているわけであります。二〇一〇年十兆円を二〇二〇年に三十兆円、その中で、原発の占める割合が二〇一〇年〇・三兆円に対して二〇二〇年に二兆円という規模になっているわけです。
 お尋ねしたいのは、政府として、総理、閣僚による強力なトップセールスを実施すると言っている、この政府方針についてはどのように評価しておられますか。
○佐々木参考人 原発に限らず、国際的なビジネスの中では、トップセールスが非常に重要な地位を占めているということは否定できないというふうに認識してございます。
 その中で、原子力を取り上げてトップがやるのはいかがなものかというようなお話だとすると、原子力そのものは、三月十一日の東日本大震災も含めていろいろな経験の中で、我々はこれから安全性も確保しながら事業を推進していくというポジションにあります。
 やはり、今いろいろと海外に輸出するに当たっては、我々自身の安全に対する基準というのは、世界標準、例えばNRCですとか、あとはヨーロッパの規格ですとかIAEAですとか、そういったものも含めて、世界標準の安全性を確保した上で確実に輸出していく。
 そのときに、輸出すること自身が一つのビジネスではありますけれども、本来は、輸出したビジネスによって得られたお金で、しっかり例えば経常収支の黒字なりなんなりを確保していかない限り日本の今の財政状態というのは守れない、そういうふうに認識してございます。
 今、原発がとまっていることによって貿易収支が赤字になっていますね。だから、ああいうような三・六兆円もの火力たき増しをしなきゃいけない、こういうような状況の中で本当に、貿易収支の改善、さらには経常収支を確実に黒字をキープしていく、そういった日本の方針も含めて、トップセールスという意味での国際展開の拡大というのが必要だというふうに認識しております。ただし、それが原発だということではなくて、原発もワン・オブ・ゼムである、そういうふうに認識をしてございます。
○塩川委員 福島第一原発事故のお話が今ございました。
 一号機プラントの主契約者はGEですけれども、圧力容器の供給者は東芝でございます。また、二号機のプラントの主契約者はGEと東芝、三号機の主契約者は東芝ということで、炉心溶融の事故を起こした三つの原子炉について、製造者としてかかわっているのは東芝で、佐々木参考人自身は、東芝でまさに原子力部門の中心として仕事をされてこられた方と承知しております。
 今の原発の状況はどうなっているのか、炉心の状況はどうなっているのか、プラントメーカーとして炉心の状況の把握についてどのようにお考えか、今の時点で事故原因が究明されたと言えるのか。この点についてお考えをお聞かせいただけますか。
○佐々木参考人 実際に炉心溶融が起きたときの、溶融した炉心そのものの現状については、まだ実際に見ているわけではないので、確実にこうであるということは言いにくい部分がございますが、実際の解析ですとか、核分裂、それによる発熱も含めて、いろいろな評価をしたときにこうなっているであろうということ、それから、現実の冷温停止の状態でいろいろ温度をモニタリングしていますが、そういった外的な状況の中で、安定的に冷温停止ができているというふうに認識をしてございます。
 これからいろいろ廃炉の作業その他に入るわけですけれども、その前に状況をどういうふうに確認していくかということについて、今、技術開発をロスアラモスと一緒にやっています。宇宙線にミューオンという粒子があるんですが、ああいうものを利用して、炉全体を透過してしまうんですけれども、溶融した炉心がどうなっているかを見る。いわゆるレントゲンのようなものですけれども、それを宇宙線規模でやるような開発もしておりまして、現実の炉心のところの廃炉の作業の開始前に、そういうことについては確実に技術的な開発をしていこうというふうに捉えております。
○塩川委員 炉心の状況が、実際に例えば圧力容器が損傷している、結果として水を流しても漏れていくわけですから、どこに亀裂があるかという状況も今の時点では把握できない。そういうことを含めて、事故原因が究明されたと言える段階なのか。
 その点について、改めてお聞かせいただけませんか。
○佐々木参考人 原子力発電所の場合は、確実に冷却材でずっと冷やしていかないと発熱するという特性があります。津波で電源が喪失して水が送られず、冷却が不可能になったことで炉心が溶融した、こういう形のものの大きな原因については捉えられていまして、その原因に基づく解析によって、現実にどこまで炉心が溶融しているか、そういうことについての評価をしっかりしております。
 それを後は確認するという作業が残っているわけで、その確認する作業というのはこれから廃炉の中でもやらなきゃいけないですし、廃炉の前に先ほど言ったような形での確認もしていく。こういう形で、あるプロセスをステップ・バイ・ステップ、踏みながら確実に実行していく、そういうことだと思ってございます。
○塩川委員 時間が参りました。
 参考人は、経済財政諮問会議で、安全性の確認された原発の再稼働については総合的に判断すべきと、再稼働推進の立場での議論もあります。しかし、いまだに十四万人の方々が避難生活を送っておられる。事故原因が真に究明されたとは言えないような段階で、再稼働推進あるいはまた原発の輸出というのはあるべきではない。
 日本の産業戦略のあり方がそもそも問われてくる、そういう点でも……(発言する者あり)いや、重大な問題ですから。東芝の製造者責任を含めて、きちんとした責任のあり方も明らかにする、それ自身が日本の産業戦略を進めていく上での土台となるということを申し上げて、質問を終わります。
○富田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。
 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十五分開議
○富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き、内閣提出、産業競争力強化法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長代理富屋誠一郎君、金融庁総務企画局審議官遠藤俊英君、金融庁総務企画局審議官池田唯一君、金融庁証券取引等監視委員会事務局次長寺田達史君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、経済産業省大臣官房審議官西山圭太君、経済産業省大臣官房審議官山田真貴子君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、中小企業庁長官北川慎介君及び中小企業庁事業環境部長松永明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。
○長妻委員 民主党の長妻でございます。
 きょうは質問の機会をいただきましてありがとうございます。
 産業競争力強化法ということで、やはり、産業競争力を強化するかなめの一つが、ベンチャー企業をどんどん出していく、最近はスタートアップということも言われておりますけれども、こういうことが大変重要じゃないかと思っております。
 かつて日本で政治的に最高のキャッチフレーズに、実現もできたものとして、所得倍増という四文字があったと思います。これからは、起業倍増計画、社会的起業も含めて、これを本当に全力でやっていかないと日本は取り残されてしまうという危機感を持っておりますので、まずはその点から質問をいたします。
 まず、配付資料でありますが、一ページ。「日米における起業意識の違い」ということです。日米における人口に占める起業家の割合が、日本は二〇一二年に四%ぐらい。アメリカは一三%ぐらい。
 あるいは、三ページを見ていただきますと、「今後三年以内に起業を計画している人の割合」でありますが、日本は、この四十二カ国の表で一番低い。最下位。
 そして、資料四として開業率というものがございますけれども、日本は、最新のデータでも、これは経産省の資料ですが四・五%と非常に低い。イギリスが一一・二%、アメリカが九・三%。
 そして、資料五は、フランスと比べても半分以下の開業率であると。
 資料六が、「全登記済み企業に対する新規登録企業割合」。日本は五%で、この表でもかなり低い。そういうようなことがあります。
 そして、ここにいらっしゃる理事の田嶋要議員が本会議でも触れましたけれども、八ページでありますが、大学発のベンチャーが二〇〇三年に六十四社で結構伸びてきたなと思ったら、いろいろな要因があるかもしれませんが、今は十二社しかない。しかも、大学発ベンチャーの七割が売り上げが一億円未満と非常に低迷をしております。
 新しい企業というのは、言うまでもありませんが、十一ページを見ていただくと非常に雇用に対する寄与度が高い。雇用がどんどんふえてまいります。例えば、二〇〇六年の時点における年齢がゼロから五年の会社は二百万人従業員を純増させている。非常に経済活性化に資するわけでございます。
 茂木大臣に基本的認識をお伺いしたいんですけれども、日本のベンチャー、スタートアップともいいますが、それがこれまで低迷しているというのはどこに原因があると思われますか。
○茂木国務大臣 委員からさまざまな資料を御提示いただきました。若干年代の違いはありますが、基本的には欧米諸国と比べてベンチャーが日本で育っていない。それは、一つにはやはりチャレンジ精神というものが生まれるような環境が十分でなかったところに原因があると思います。同時に二つ目には、ベンチャーに対するいろいろな資金の提供がやはり日本の場合少なかったのではないか、こんなふうに考えております。
 それから、大学発のベンチャー、また詳しい質問がありましたらお答えをさせていただきますけれども、基本的にはシーズをベースにしてでき上がっているのが大学発のベンチャーということになると思うんですが、そのシーズを具体的なニーズに結びつけてビジネスにしていく。相当な時間もかかります。そこに至るまでのいろいろな資金の提供であったり経営のノウハウの提供、こういったことができていない。さまざまな要因が重なって現状に至っているのではないかと。
 この状況を大きく変えて、開廃業率、今日本は四・五%程度でありますけれども、英米並みの一〇%に持っていきたい、こんなふうに考えております。
○長妻委員 かつて民主党が、二〇〇二年、十年ぐらい前に、産業再生戦略という提言を出しました。これは私が事務局長でつくらせていただいたんです。
 これについて、その後ベンチャー支援がどうなっているのかというのを、今配付資料で、経産省にまとめていただいたわけであります。
 我々が提言をいたしました、個人保証を行う企業経営者へのセーフティーネットの導入、ベンチャー企業経営者の表彰制度創設、教育におけるベンチャー企業の観点の教育、日本版ノーベル賞の創設、女性の観点、あるいは起業家教育、マネジメント教育を行う機関の設立支援とか、SBIR、これはアメリカにもある制度ですけれども、高度技術を持つ中小企業に対して政府が補助金を直接交付する制度とか、エンジェル税制拡充、全国的エンジェルネットワークの設立、運営を支援、技術者のスピンアウトの促進でございますけれども、今の時点でこの提言がどうなっているのかまとめていただきました。このポイントを、現在どうなっているのか大臣から説明をいただければと思います。
○茂木国務大臣 民主党からいただきました提言は二〇〇二年ということですから今から十年以上前になるんですけれども、ベンチャーに対する支援策としては第四世代ということになるんだと思います。
 冒頭、一九六〇年代、所得倍増計画のお話もありましたが、ベンチャーの支援策も、まずは一九六〇年代前半、中小企業投資育成株式会社の設立に取り組むことによりまして、七〇年代に研究開発型のベンチャー企業が多く設立されて、第一次のベンチャーブームが起こりまして、日本電産であったりとかコナミがこのころ生まれております。
 その後、八〇年代の前半、東京証券取引所の公開基準が緩和されてベンチャー企業が上場しやすくなった。第二次ベンチャーブームが起こります。このころ、ソフトバンクであったりとかエイチ・アイ・エス、こういう企業が生まれてまいります。
 さらに九〇年代、バブルは崩壊いたしますが、そういった中でも、エンジェル税制であったりとかファンド法、これによりまして第三次のベンチャーブーム。ここで、楽天であったりとかディー・エヌ・エー、こういう会社が育ってくるわけであります。
 二〇〇〇年以降、民主党からの提言、そしてまた大学発ベンチャーの千社構想等々によりまして、第四次といいますか、また大きな流れができるわけであります。
 民主党は、大きく十二項目のベンチャー支援策、例えば女性の起業の支援であったりとか、高度技術への補助、こういったことの御提起をいただいておりまして、その十二項目中三項目につきましては、関連施策を実施いたしまして、既に当該施策を終了して、現在は民間でこういった事業が継続をされております。残りの九項目につきましては、施策を継続中であります。
 よいものについてはしっかり続け、そして、バージョンアップが必要なものについてはバージョンアップも考えていくということで進めたいと思います。
○長妻委員 具体的に申し上げますと、今回の法案でもベンチャーファンドに出資する企業に支援措置を講じるというのが盛り込まれておりますけれども、ここが確かに大きな問題だと思っております。
 例えば、お配りした先ほどの資料の九ページ目に世界各国のベンチャーキャピタル投資額というのがありますけれども、日本は非常に低くてGDPに対する投資額が〇・〇二%ということで、カナダ、オーストラリア、ドイツ、イギリス、フランス、アメリカを下回っていますし、スイス、スウェーデン、イスラエル、ベルギー、韓国、ノルウェー、オランダ、デンマーク、フィンランド、アイルランド、多くの国に比べてGDP比が下回っている。
 そして、十ページ目でありますけれども、IMDという競争力をいろいろ調べているところでありますが、ベンチャーキャピタルの利用のしやすさということで、二〇一三年度の最新の調査で日本は六十カ国中四十六位であるということです。ベンチャーキャピタルがなかなか日本で難しい理由は、どういう目的なのかというのがはっきりしていない部分もあるのではないのか。
 例えば、私も起業家の方とお話をしますと、いろいろなところに行っても、堅実な経営計画を出したら通ると思いきや、やはりベンチャーなんだから、かなり飛躍的に売り上げが伸びる計画でないと通せないということで、あえて無理して、できそうもないんだけれども、そうでないとお金が出ないので書かざるを得ないということが一方ではあります。
 あるいは、地産地消型のベンチャーというのも重要で、地産地消するようなベンチャーがあるし、一方では、世界のハイテク、ITも含めたトップランナー型のベンチャーもあるわけで、ベンチャーキャピタルの性格がまだ日本では定まっていないんじゃないかということ。あとは、日本は、官製ベンチャーファンドのような、産業革新機構もそうだと思うんですけれども、そういうものの役割もなかなか特化し切れていないんじゃないかということが言われているんです。
 これは、大臣、今後どういう対策を打って、今回の法律でそれをどう改善されるおつもりなのか。
○茂木国務大臣 ベンチャーファンドは、一つには、やはり目ききの能力というのが必要だと思うんです。もちろん、銀行もそうだと思うんですね。
 ピッツバーグという町を見ますと、かつては、カーネギー、鉄鋼があり、そして、そこにメロン銀行という銀行があり、産業融資を進めた。それが、アメリカもだんだんそういった既存の産業が衰退をし、一九七九年にエズラ・ボーゲル教授が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本を書きます。相当アメリカの産業競争力が落ちて、日本の自動車、家電等々が台頭する。そういった中で、八〇年代、アメリカはベンチャーを育成する。そして、最初に手をつけたのがベンチャーファンド、ベンチャーキャピタルに対する優遇税制、こういうところから始めたわけであります。
 日本においても、ベンチャー企業に対する経営支援能力の高いベンチャーファンドが少ない、このことが一つの要因になっているのは間違いないと思っておりまして、今回、経営支援能力の高いベンチャーファンドを認定いたしまして、認定ベンチャーファンドに対する企業からの投資を促進するため、出資額の八割を損失準備金として積み立て、その積立額の損金算入を認める新たな税制措置を設けたところであります。
 このようなハンズオンの支援能力のあるベンチャーファンドを通じた資金供給の仕組みを構築することで、特に起業、そしてさらに事業の拡張期のベンチャー企業への投資を質、量ともに高め、ベンチャー企業の育成、拡大につなげていきたいと考えております。
○長妻委員 本当に目ききというのが大変重要でありまして、官製ファンドも直に投資するんじゃなくて、例えば大学のファンドに投資をして、そこに目ききを任せるというような流れも今あるようですので、そこら辺を十分進めていただきたいと思います。
 そして、これは私もびっくりするわけですけれども、改めて調べると、エンジェル税制という、ベンチャー企業等に投資して、それが失敗したときに損金で落とせるというような制度があります。あれだけ鳴り物入りで、平成十九年の段階で全国で二十二社だった、これを急速にふやしていこうということだったんですが、残念ながら今現在日本全国で三十八社しかエンジェル税制を利用されていないというような課題もあります。これを利用している投資家の数も今四百三十一人しかいないということもあります。
 これはやはり、財務省と経産省の綱の引き合いで、財務省のいろいろなこともあって戦略的税制というのが日本ではなかなか成り立っていかない。財務当局、税務当局の職員も二年で転勤をされるので、そのときに税金が減るというのは何としても避けたい、初め減っても将来ふえるような長期的展望がなかなか描けないというのも大きな原因であると思います。
 あるいは、敗者復活ができないという問題もあります。これは資料をお配りしていますけれども、日本で破産経験者が再び経営者に復帰するのが一三%、アメリカでは四七%。これは十五ページにあります。アメリカでは、破産経験者が、破産経験者といっても、もちろん、起業をしてチャレンジして破産になった経験者でありますけれども、半分が経営者に復帰をしているというような、敗者復活ということもあります。
 これはいろいろなテーマがあるわけで、一つ一つ取り組んでいって、何よりも、ベンチャー企業が社会から尊敬される、ベンチャースピリットが社会の中で認められるということが大変重要だと思います。ぜひお伺いしたいのが、やはり一定の目標値というものを、この法案を審議するからには立てる必要があるんじゃないか。
 例えば、開業率についての目標値が何%、あるいは新規ベンチャー企業、定義にもよりますけれども、倍増計画なのかどうか、そういう目標値を大臣にここである程度おっしゃっていただいた上で、そして、結果をやはり一定の期間の後に国会で御報告いただく。
 これは税金をかけているわけですので、今まで我々民主党も政権をとっておりましたから、我々も反省するところはありますけれども、一定の期限を区切って、成果が対費用で本当に出たのか出ないのか、あるいは、ここはやっても無駄なところなのかどうかという検証がなかなかなされていないので、今回、ベンチャーに限って言うと、大臣の具体的数値目標、あらあらのこういう目標を立てる、そして何年後かに国会でちゃんと報告する、こういうことについてちょっとおっしゃっていただきたい。
○茂木国務大臣 ベンチャーに限らず、成長戦略を実行していく上では、目標値をしっかり定めるというのは極めて重要だと考えておりまして、六月につくりました日本再興戦略におきましては、起業の重要性を指摘いたしまして、開廃業率一〇%台を目指すとしております。
 産業競争力強化法案は、この成長戦略を実行するための法案でありますから、当然、一〇%を目指してさまざまな措置をとっている。スピンアウト、カーブアウトをする。そういったことも進めていき、同時に、毎年、実施状況についてはフォローアップする、こういった形にしておりまして、さまざまな側面から、こういったベンチャーの支援を行っていきたい。
 メンタリティーの変更というのも必要なんだと思います。例えばアメリカでは、ブルックリン・ブリッジだと思いましたけれども、できて一日で壊れちゃうんですね、橋が。その壊れた橋、同じ建築家に設計を任せるんですよ。やはりそういう度量というか、そういったものも必要ではないかと。一回失敗した人間がその失敗から学び、新たに立ち上がる、こういったことも含めて支援はしていきたいと思っております。
○長妻委員 フランスでは起業促進法という法律が二〇〇三年八月にできまして、デュトレイユ法というものなんですが、起業ブームが起こって、かなりベンチャーが振興されたということなんです。これは事前にちょっと調べていただきたいと申し上げていたので、デュトレイユ法の概要と、こういう類いの法律をやはり日本でもつくる必要があるのではないか。全くまねする必要はありませんけれども、非常によく考えられたものだと思います。大臣の見解をお願いします。
○茂木国務大臣 このフランスのデュトレイユ法は、御指摘のように、二〇〇三年に制定された法律でありまして、フランスにおきまして、起業のプロセスを簡便化するとともに、企業の従業者が副業を持つことを認めるなどの措置で起業を促進する目的でつくられております。企業で働きながら起業の準備や実際の起業を行う人がふえて、創業促進につながった、そのような結果が出ております。
 日本におきましては、二〇〇六年の会社法の改正で最低資本金規制を撤廃するなど、起業のプロセスの簡便化は行っておりますが、このデュトレイユ法に当たるような類似の法案は、現在存在しておりません。
 ただ、一部のIT系の企業やサービス系の企業におきまして、積極的に副業を認めたり、社内のベンチャーを奨励し独立を奨励する企業が出てきているのも事実であります。企業の従業者の多様な働き方を促進することは、業を起こす環境を整える上で重要であると考えております。
 ただ、もう一つの要因として検討しなければならないのは、これが賃金の引き下げの理由に使われたりすることがないように、先行的な取り組みをやっている企業がありますので、そういった動向も検証しつつ、今後の支援策というものは検討してまいりたいと考えております。
○長妻委員 この法律の中には、おっしゃっていただいたもの以外に、大学の教員がベンチャーを起業する場合に、兼業措置を柔軟にとれる雇用慣行を徹底させるとか、いろいろありますので、ぜひこの法案も、日本版のデュトレイユ法というような発想も含めて、ぜひ、経産省のみならず、文科省とか法務省とか税務当局、あるいは厚労省も巻き込んだ起業倍増計画を実行するようなチームをつくって、やはり縦割りでこれまでずっと来ていたと思いますので、法改正も含めて取り組むというぜひ御検討、御決意をいただきたいのですが、どうですか。
○茂木国務大臣 現在、成長戦略は、総理をトップといたしまして、全閣僚がメンバーになります日本経済再生本部が司令塔になりまして進めているところであります。
 総理のリーダーシップのもとで、省庁横断的な対応をとってまいりたいと考えておりますが、先ほども申し上げたように、今回の成長戦略、そして産業競争力強化法のそれぞれの具体的なプログラムにつきましては、毎年、その成果、進捗状況、これをフォローアップする、チェックするということにしておりまして、この中で、必要な体制の整備等々がありましたら、それも含めて検討したいと思います。
○長妻委員 このベンチャー支援というのは日本が最も弱いところですので、ぜひ茂木大臣のリーダーシップで強力に進めていただきたいと思います。
 そして、この法案のベンチャー支援以外のところでいろいろ懸念がありますのが、第三の矢が第二の矢になってしまうのではないのか。第二の矢というのは財政出動なんでしょうが、成長戦略の中でも、ばらまき的企業減税というか、ちょっとその哲学がどうなのかなというものがあるのではないか。
 一方で規制緩和つまり自由だといいながら、ターゲットポリシー、例えばこことここを再編する場合はお金を免除しますよとか、計画経済とまでは言いませんけれども、経産省が特定のところに、しかもベンチャー支援じゃなくて自立している大企業の関係の、いわゆるカーブアウトとか言われる再編にもお金を出していくというようなことについて、自立自助が基本ということであれば、自分の足で立っている大きい企業よりも、今申し上げた、起業、ベンチャーにもっとお金を使っていただきたい。
 金額を見ると、ベンチャーのところの予算とそういう大企業の関係の減税予算が何桁も違うということでありまして、財務省のおもしがなくなったから経産省の省益を拡大する、こんな週刊誌的なことは言いませんけれども、ちょっと国家資本主義的に見えてしまうという懸念があるんです。
 例えば、事業再編の促進でありますけれども、私もかつて、NECという会社のサラリーマンをしておりましたけれども、私が入社したとき、私は大型コンピューターの営業をしましたが、東芝とチームを組んでやる、こういう縛りがあって、いろいろ往生したんですね。
 一九七一年から七二年にかけて、通産省が、国内のコンピューターメーカーは多いから、国際競争力を高めるために三グループに分けようということで、上からどんと分けてしまったんです。
 富士通と日立が組みなさい、私がかつておりました日本電気、NECと東芝が組みなさい、三菱と沖が組みなさい、こういうことになったんです。結局、別の会社で、ポリシーも生産の発想も哲学も違うので、いろいろ論文はありますけれども、小宮さんがお書きになった「日本の産業政策」という総括のものも含めて、基本的には、通産省主導による業界再編政策によって生産面での集約化がどの程度効果的に行われたかは疑問であり、グループ化は補助金の受け皿になったにすぎないといった評価がありました。
 あるいは、元東芝専務の溝口さんは、NECと一緒に進めた電算機事業の業績が思わしくなく、結果的に一九七八年に大型電算機事業から撤退した。こういうこともあって、これは私も実体験なんですけれども、勝手にお国が、この企業と組んで、競争力強化だからやりなさいといっても、全然哲学が違うわけですから、そんな計画経済みたいなことを言われたらたまらない。
 ただ、政治力のある自動車業界は、はねつけたんです。
 これも御存じだと思いますけれども、当時、一九六一年五月、通産省は、乗用車を三グループに分けましょうと。これまたコンピューターと同じような発想で、一つのグループは量産車、そしてもう一つのグループは高級車とスポーツカー、そして三番目が軽自動車グループということで、それぞれ二、三社に集約して、三つの会社を組ませてグループ化しよう、これで競争力を強めようと。
 しかも、これは有名な話ですけれども、ホンダが四輪車に参入しようとしたときに、通産省が、いやいや、過当競争になるからそれはだめだよとホンダに言ったんですが、ホンダは逆らって四輪車産業に参入して、今は四輪車でちゃんとホンダはやっている。これはある程度政治力があったから、このグループ化に自動車メーカーは反発して、のみませんでした。それで、今、自動車はちゃんとしているわけです。
 そういう意味で、今回気になるのは、事業再編の促進で、過当競争、過剰供給等の分野ではそれを解消させる、そして事業再編をする、こういうような上から目線であるわけでございます。
 この法律の前にもこういうのはあったんですね。あったんですが、今回の法律では新たに、特定事業再編というのをお国が認定して、子会社に損失が出ても親会社の損金として計算できますよと。今回初なんですけれども、これは本当に大丈夫なのかということで、こういうことをやるのであれば、業界に任せてもらって、このお金をベンチャーの支援に回していただきたいと思うんですが、いかがでございますか。
○茂木国務大臣 長妻委員は、NECの後、日経ビジネスで記者として辣腕を振るわれまして、お話を伺っていると、城山三郎の「官僚たちの夏」の時代を質問の中で再現していただいているように見えるんです。
 自動車とコンピューターは基本的に違うと思うんですね。自動車というのは、ダイムラー・ベンツの時代からがいいのか、ヘンリー・フォードの時代からがいいのかわかりませんが、基本的な事業モデルは大きく変わっていないわけでありまして、同じグループ内で基本的には生産から販売まで行う垂直統合型のモデルが今でも基本的には続いている。
 それに対して、委員もよく御案内のとおり、コンピューターの業界は八〇年代、企業の基幹業務向けのメーンフレームの時代でありました。それが、パソコンの時代を経て、現在はネットワーク中心のシステム。言ってみると、ここはもう革新なんですね、全く違ったビジネスになっていく。そして、そこの中で垂直統合型のモデルというものが崩れて、モジュール化され、水平分業が進む、そういった中でグローバル競争において淘汰が進んできた、このように基本的には理解をいたしております。
 今我々が考えておりますのは、事業環境の激変があっても、企業が柔軟に自発的な判断によって新たな挑戦とか事業展開ができる、それを後押しすることによって産業競争力の強化を図るものであって、あくまで企業が主役である、このように考えております。
 政府の役割は、どの産業においてどう合併しろということではなくて、企業の取り組みを促すための規制の見直しであったりとか、支援措置を講ずるなど、事業環境整備を行うことにあると認識をいたしておりまして、このような考え方はこの法案の基本理念として第三条で明確に記載をさせていただいております。
○長妻委員 今おっしゃっていただいたのは結果論だと思うんです。
 自動車とコンピューターが違うから、コンピューターだけやったんだと。ただ、当時は、通産省は自動車も三つのグループ化をもう絶対やるんだということで、自動車の方はある程度政治力があったのでそれをはね返したわけであります。当時もし自動車も三つのグループにされていたら私は日本の自動車産業のこれほどの発展はなかったと思っておりますし、コンピューターの件も、三グループ化がなければまた違う形で日本のコンピューター産業は発展したんじゃないか、こういう反省をぜひしていただきたいと思うんです。
 ちょっと哲学でいうと、例えばお国が直接出張っていく。減税措置とかも含めて。それも私は全部否定はしません、さっき申し上げたベンチャー企業等々。ただ、哲学ですね、国はここは出ちゃだめだけれどもこういう場合は出るんだ。その切り分けにどういう哲学が経済産業省、政府にはあるのか。わかりやすく、こういう場合は国が出張っていく、こういう場合は絶対出ちゃだめなんだ、市場に任せるんだ。この切り分けの哲学というのはどんなところにあるんですか。
○茂木国務大臣 コンピューターで申し上げると、アメリカでこれだけのインターネット、ネットワーク社会ができた。これは政府、特に軍需産業等々による部分というのは大きいんじゃないかなと私は思っております。
 そこの中で水平分業が進むわけでありますけれども、閾値というのがあるわけですね、新しい産業、ベンチャーを起こしていくために。その閾値、クリティカルマスを超えられるようなさまざまな支援策というのは必要だ、このように考えております。
 また、企業が新しいチャレンジをする上で障害になるような規制は撤廃をするということについては、政府が大きな役割を担わなければいけない、このように考えております。
○長妻委員 ちょっと今も明確ではなかったと思うんですが、哲学、どういう場合に政府が出ていくのか。当然、政府も失敗しますし、市場も失敗する。
 いろいろな有識者の御意見もお伺いしましたけれども、市場が失敗するだろう確率と政府が失敗するだろう確率をその事象で比べて、市場の失敗の確率の方が政府の失敗の確率よりも高いだろうというときに政府が出ていくと言う方もいらっしゃるので、ぜひ、特に自立できている大企業絡みの話におきましては余りこういう法律でがちがちにやらないで、ベンチャーはいいと思うんです、いろいろな施策を、自立できていませんから。
 ですから、自立が基本だというのであれば、自立できていない産業の種のところにぜひ注力していただいて、ゆめゆめ省益拡大ということにならないようにしていただきたいと思います。
 そして、もう一つの観点がこの法案に抜けているような気がするんです。きょうは厚生労働省副大臣にもお出ましいただきましたが、成長戦略といったときに、社会保障も成長戦略だと言われるんです。これは社会保障を産業として見た成長戦略という意味で言う方もいるんですが、そうでなくて、例えば認知症対策というのも私は立派な成長戦略だと。
 これは別に産業としてじゃなくて、認知症対策を薄くしておくと介護離職がふえる。つまり、お父さん、お母さんを介護している社員が会社をやめて、GDPもマイナスになるし、企業活動も停滞していく。こういう介護離職を防止していくということも成長戦略の大きなかなめではないか。
 今、団塊の世代の方が、これから十年ぐらいたって二〇二五年になりますと、団塊の世代全員が七十五歳以上になります。七十五歳以上になると介護を受ける方がどっとふえてくるわけです。お子さんが今、団塊ジュニアで三十六、七、八、九歳ぐらい。ここにも若い方がいらっしゃいます。それで十年たってお父さん、お母さんが七十五以上になると、その団塊ジュニアの方は五十弱なんです。そうすると、多くの人口がいるところに介護の負担がどっと来る。その五十弱の人というのは、企業では管理職で中枢なんですね。やめても誰かほかの人を入れればいいという話じゃなくて、GDPの大きなマイナスになってくるという問題。
 今現在はまだ少ないんですけれども、年間十万人が介護離職して、どんどんふえていく。さらに申し上げると、出産、育児離職はもっと多くて、年間二十六万人の方が離職をされている。
 こういう支えをきちっとしていく、そういう企業に対して例えば減税するとか、経産省の戦略と整合性をとって。そういうようなことも大きな成長戦略だと思っております。厚労省と経産省を見ておりますと、同じ企業に対するアプローチでもやはりばらばら、縦割りで、効果的に機能していない嫌いがあると思っております。
 これは厚労副大臣にお伺いしますが、介護離職を防止する企業に対する新たな認証制度のようなものを検討されているとお伺いしましたが、どんなものがございますか。
○土屋副大臣 樋口恵子さんから要請があって、「介護離職ゼロをめざすための要望書」というのが厚生労働大臣に出されておりまして、その中には、くるみんのような介護の環境整備の基準についての内容が含まれていると承知しております。
 くるみんは、次世代育成支援対策推進法に基づく認定マークで、子育ての支援のマークです。介護と仕事が両立しやすい職場環境づくりのための両立支援のひろばの活用による好事例の紹介や、企業表彰も今行っているところでありますけれども、さらにどのような取り組みができるのかについては、十分検討していきたいと思っています。
○長妻委員 今おっしゃっていただいたのは、くるみんという、子育て支援とか出産支援をちゃんとやっている企業にマークをつけるというか、認証のことだと思います。それと似たようなことを介護でも、介護離職を予防している、介護する社員を支援する、そういう企業の認証制度ということなんです。
 GDPに対する介護離職のマイナス要因、これも何度も私は内閣府と議論しましたが、ちょっと出せないということなんですね、残念なんですけれども。
 ただ、女性が離職することでGDPマイナス幾らだ、これは出ているので、ぜひ経産大臣も内閣府と一緒に、やはり成長戦略にマイナスになる要因に取り組んでいくというのが大変重要だと思っておりますので、介護離職がちょうど十年後、非常に大きくなるだろうときの、今のままいくときのGDPに対するマイナスダメージの試算をぜひ要請していただきたいと思うんですが、いかがでございますか。
○茂木国務大臣 いろいろな仮定の置き方というのはどうしても出てくると思いますけれども、そういった社会的な変化、二〇二五年問題がどう日本経済に影響を与えるか。そこの中で、できるだけ細分化して、それぞれの項目についてどういうプラスマイナスの影響がある、こういったことについては政府として検討する必要があると思います。
○長妻委員 これは厚労副大臣にお伺いしますけれども、介護離職に伴う経済損失額ですね、金額。GDPは厚労省の担当じゃないでしょうけれども、その損失の絶対額についてぜひ算出をいただきたいと思うんですが、いかがですか。
○土屋副大臣 介護の問題、介護離職者は本当に深刻な状況だと思いますが、これについては、現在、国立社会保障・人口問題研究所に推計を依頼しております。今後、整理ができ次第、回答させていただきたいと思います。
 また、離職防止に関しましては、就業を継続できるように、いろいろな面から取り組んでいきたいと思います。
○長妻委員 大体いつごろ経済損失額は出ますか、推計値は。
○土屋副大臣 以前に長妻さんが大臣のときに、うつ病など心の病の受診者がふえているということで、社会的損失というデータがありますけれども、それから考えると少し時間はかかるかなと思いますが、そういうことで一生懸命やっていきたいと思います。
○長妻委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
 そして、もう一つ、先ほどの、国が出張っていく、いかないの話として、産業革新機構という政府出資の株式会社がございます。配付資料の十八ページ目に、どういうところに投資をしたのかを書いていただきました。
 これは確かに、民間のベンチャーキャピタルとかあるいはベンチャー関係とか、そういうところの投資もあるわけでありますけれども、例えば、ソニーとか東芝、日立が親会社のところにも出資をされていたり、丸紅とかが親会社、あるいは三菱商事、日揮とか、あるいは日産とか日立建機とか。共同投資先に、まあ、親会社と言っていいんでしょうけれども、それを見ますと大企業がどっと並んでおります。大企業もベンチャーもあるんですね。ベンチャーはある程度必要なことは必要だと思うんですけれども、さっき申し上げたように、余りこういうことが哲学なくしてなされると非効率な事業の温存につながりかねないと強く私は思うわけです。
 先ほどの事業再編の促進にも共通するんですけれども、当然、全部が全部、私もだめだと言っているわけではないんですが、同じ金を使うのであれば、やはり自立できていない企業が親会社とか出資者にいるようなところに対して手厚くやっていくことにしないと、言葉は悪いですけれども衰退的なものを一緒に集めてそこに出資をしてもなかなかうまくいかない、エスタブリッシュ企業の子会社は余り好ましくないのではないか。全部が全部そうではないと思いますけれども。
 こういう哲学というのはどういうところに、当然これは経産省も絡んでいるでしょうけれども、第三者の方に投資先は選定していただいているんだと思いますが、その選定の大きな基準に、やはり自立できていないベンチャーを育成するということも大きく視点として入れていただきたいんですが、どうでございますか。
○茂木国務大臣 まず基本的な哲学、考え方でありますが、これはオープンイノベーションを促進していくということで、不足する民間からのリスクマネーの供給を補完して、民間の出資等を促す呼び水の役割をこの産業革新機構が果たしていくということになります。
 資料を御提示いただきまして、ぽんと、三菱商事とか丸紅とか、こういう名前が飛び込んでくるんですけれども、これまで五十二件の案件に出資を決定いたしておりますが、このうち約七割に当たります三十七件がベンチャー企業やベンチャーファンドへの支援となっておりまして、ベンチャーを中心に支援をこれまでも行ってきております。
 もちろん、大企業と共同で出資等々を行っている事業もあるわけであります。例えば、患者数が少なくて開発費回収が容易でない難病の治療薬、いわゆるオーファンドラッグの開発において、大学の基礎技術と大手製薬企業の開発能力を組み合わせて画期的な筋ジストロフィーの治療薬を開発する大学発のベンチャーに、大企業、これは第一三共でありますけれども、ここと共同出資した例もございます。
 それから、スマートメーターの国際的なデファクトスタンダードを獲得していく。海外も含めて裾野の広い新たな電力関連サービスのインフラとして我が国企業にとって市場拡大が期待をできる分野でありますから、大手企業、これは東芝でありますが、ここと共同で海外の企業、スイスの会社を買収した事例もございます。
 このように、社会的な意義が深いにもかかわらず、大企業単独ではリスクが大き過ぎる案件について、革新機構が共同で出資することで、大企業からのリスクマネーを引き出す投資、こういったものも行っておりますが、基本的には、申し上げましたように、オープンイノベーションの促進、そのための呼び水としていくということで考えております。
○長妻委員 私も全部が全部だめだと言っているわけじゃないんですが、ただ大企業がスポンサーでついてくれているわけですから、確かにどっちが呼び水か、これがなければ大企業がつかなかったということもあり得るかもしれませんけれども、やはり限られたお金でありますので、より目線を低く、自立できていないベンチャーをぜひ重点的に考えていただければ。
 そしてもう一つ、今回目玉として出されているのは、これは初めてのことだと思いますけれども、企業実証特例制度という、ある意味では企業ごと特区制度のようなものではないかと思います。これは報道で見たわけですけれども、安倍総理が国会の周辺で自動走行の車に乗られていたという話がありまして、これはもう認証されているわけですか。
○茂木国務大臣 土曜日、安倍総理の後ろを私が走っておりました。これは企業実証特例ではなくて既存の法律の運用ということでやらせていただきまして、自動走行の車を日本では初めて公道で実証を行うということでありまして、センサー機能であったりとかさまざまな制御装置、日本のすぐれた技術を使って自動走行の車を実用化していく、これによってお年寄りの方の交通事故等を減らしていく。
 そういった意味で、安心・安全社会の実現にもつながりますし、さらに成長分野としても期待をされるところでありますが、こういった技術がさらに進んで、例えば今の道路交通法にひっかかってしまう事例が出てきたとします。そういったときには、企業実証特例を使って、もちろん車の問題でもほかの問題でもそうでありますけれども、安全性の措置が十分確保された上でそういった特例を設けることを想定いたしております。
○長妻委員 そうすると、例えばこの前の土曜日の話は、既存の法律で別に自動走行は公道を走れるとすると、例で挙がっている、お配りしました資料の十六ページ、企業実証特例制度ができればこれをやりたいというのは、今でもできるというか、どこが違うんでございますか。
○茂木国務大臣 細かい制度について、もしあれでしたら、本来でしたら参考人なり呼んで聞いていただいた方がいいんですけれども、やりました実験では総理も私も助手席に乗っております、そして運転手がいます、そして何らかのときに運転手がきちんとできるような措置をとって実証する。
 そうではなくて、本当に運転手もいない状態でそういったものをやるとか、高速道路でそういった走行実験を実際にやるということになりますと、既存の例えば道路交通法との関係とか、ちょっとこの時点ではわかりませんけれども、これはかかってくる可能性があって、その場合には当然企業実証特例なりを使う可能性というのは出てくると考えております。
○長妻委員 これも私も一概に否定するわけではありませんけれども、裏口入学と言ったら言葉は悪いんですけれども、まず一社だけ突破口にして、ほかも全部やろうと。それだったら、初めから全部、法改正なりをして、その一社のためだけでなく、続く産業ができているような裾野の大きな問題であれば、それは別に全体にある程度認めていくということが必要なのと、あともう一つ懸念するのは、常に、私がどんな国を目指すんですかと安倍総理にお伺いすると世界一企業が活躍しやすい国だとおっしゃる。
 それはそれでお考えでしょうけれども、今の話も一般論としてはいいとは思いますが、経済的規制、これもいろいろあるんですが、特に安全にかかわる規制で、例えば高速道路で誰も乗っていない車が八十キロか何かで走っていて、本当にこれを一社に認めて大丈夫なのか。一社だけだからということで、警察とかいろいろなところに話をしてそれはオーケーとなるんでしょうけれども、そうすると、例えば、一社が認められた、同じことをやりたいという会社があって、そこの会社はだめというケースもあるわけですか。
○茂木国務大臣 まず、土曜日の実証実験は、トヨタ、日産、ホンダ三社同時にやっております。
 今後、企業実証特例制度を使っていく上で、最終的には全体に広げていきたい、そんなふうに考えておりますが、安全性等の措置がきちんととられた上でということであります。例えば、A社がそういう措置をとりました、そこについて認めました、B社も同じような措置をとったという場合は、当然B社にも認められるということになってまいります。
○長妻委員 結構裁量が入るんじゃないかと。
 極端な例ですけれども、大きい会社はいいと。同じようなことを従業員一人しかいない個人事業主がやりたいといっても、確かに、いろいろな安全面とか、別に一人が悪いというわけじゃなくて、それは本当に確保できるかどうかというチェックは必要だと思いますけれども、それをどういうふうに判断するのかというのは、何か第三者委員会のような認定委員会があるんですか。
○茂木国務大臣 最終的には、これは事業所管省庁、つまり、どういう事業をやります、この事業について所管する省庁と、ぶち当たった規制を所管する規制所管省庁の間で調整、そして決定をするということになるわけでありますけれども、当然、従業員の数の多さ少なさを基準にするというよりも、そこでとられるべき措置の妥当性によってチェックをされることになります。
○長妻委員 私は、適正に使えばそれは効果が発揮できると思いますので、その申請をする人は、いろいろな省庁を駆けずり回らないで、経産省の、地方経済産業局でもいいんでしょうけれども、そこに行けば皆さんがほかの省庁には手続とかを全部やってくれて、経営者というか会社は一カ所だけ行けばいい、こういう理解ですか。
○茂木国務大臣 事業所管省庁は必ずしも経産省とは限りません。ですから、例えばその事業が経産省の事業であれば経産省に申請をしていただく。厚労省であれば厚労省にしていただく。例えば経産省と国交省にまたがった事業である場合は、どちらにしていただいても、ワンストップであります。
 さらに申し上げると、どの省庁が所管するかわからないという話でありましたら、この法律を担当させていただきます経済産業省につないでいただきましたら、しかるべく政府内でワンストップで対応したいと思っております。
○長妻委員 最後に、先ほどもちょっと質問しましたけれども、エンジェル税制が常に使い勝手が悪くて、うまくいっていない。民主党の戦略の資料の十四ページですけれども、全国で今使っている人が三十八社しかいない、このエンジェル税制です。
 これは、ぜひ本当に使い勝手のいいものにしていただいて、大企業にいろいろ減税するのも、私は、時と場合によってはいい部分もあるかもしれませんが、ただ、同じお金でありますので、やはりベンチャー企業に特化をしてお金を使っていただきたいと思うんですが、大臣から、三十八社しかいない、これを今後どうやって拡充していくのかという意気込みと御決断をいただければと思います。
○茂木国務大臣 制度というのは、使っていただいてどれだけだ、そういうふうに私も認識をいたしております。数字だけで評価するのがいいかどうかは別にいたしまして、決して多いというふうには私も認識をいたしておりません。
 さまざまな方策が考えられますが、まずは、やはりベンチャーファンド、ベンチャーキャピタル、これを強くするということが結果的にはエンジェル税制をもっと活用していただくことにつながるのではないかなと思っております。
○長妻委員 平年度ベース七千三百億円の企業に対する減税措置で、ベンチャーも五十億程度は入っていますけれども、このエンジェル税制も二十四年度でたった五・五億円だけだということであります。同じお金を使うのであれば、自立できていない企業に対してもっと手厚くして、繰り返しですけれども、省益を拡大するだけのような形にならないように、哲学を持ってぜひ進めていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○富田委員長 次に、今井雅人君。
○今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。
 午前中に引き続き質問させていただきます。どうもありがとうございます。
 午前中は参考人の方に御質問しましたけれども、この産業競争力強化法案で政府に質問するのは私は個人的には初めてでございます。法案の中身に入ります前に、そもそも論を少しお話しして、あすも質問時間をいただきますので、各論に入っていきたいというふうに思います。
 アベノミクスという言葉自体、非常に上手なネーミングをしたな、後ろに上手なコピーライターがいらっしゃるんだろうなと思って感心しておったわけですけれども、それ以外に関しても、安倍総理は非常に、ワンフレーズで、みんなの心にすとんと落ちるような言葉を使っておられて、それが支持率の高さにつながっている部分もあるんだというふうに思います。
 先ほど長妻委員が紹介しておられましたけれども、安倍総理は常に、企業が一番活動しやすい国を目指すというふうにおっしゃっておられますが、私はちょっとこの言葉の意味がすとんと落ちてこないんです。
 世界一企業が活動しやすい国というのは、企業側からすれば、企業の負担、つまり税金あるいは社会保険料が世界標準で一番安くて、事業活動をやるのにいろいろな規制が一番ない国。私も、ちっちゃいながら企業をやっていますけれども、企業側から見れば、それ以外にもあるんでしょうが、この二つがやはり、企業が活動するにおいて一番やりやすい環境じゃないかなと思うんです。
 安倍総理の御発言なので、茂木大臣の発言ではありませんけれども、政府として、この世界一企業が活動しやすい国というのは、どういう国というふうに捉えておられるでしょうか。
○茂木国務大臣 二つの側面があると思うんです。
 企業が一番活動しやすい国。企業というのは、言ってみますと法人でありますけれども、それを構成する要素、従業員であったり、株主であったり、またその企業が持っている技術であったり、恐らく企業が最も活動しやすい国という中には、人材が活用される、その企業の持っている技術が世界のスタンダードになり、世界でそれを使ってさまざまなビジネスが生まれる、こういった側面があります。
 もう一つは、企業が実際に活動していく環境を整える、こういう側面があると思っております。これまで日本はよく、三重苦、四重苦、六重苦、こんなことも言われてきたわけでありますけれども、企業が一番活動しやすい環境をつくっていく。国内環境をつくっていくということでいいますと、幾つかのハードル、恐らく四つぐらいのハードルをクリアしていかなきゃならない。一つは、やはり為替の問題、昨年までの円高の問題。二つ目には、関税を初めとします国境措置の問題。三つ目には、国内の規制や税の問題。そして、資源やエネルギーコストの問題。こういったハードルをクリアしていくことが必要だと考えております。
 まず、我々としては、政権交代後、三つの矢の第一の矢、大胆な金融緩和によりまして、デフレからの脱却、過度な円高の是正が進んできたわけであります。
 また、関税などの国境措置につきましては、TPPへの参加も決めたわけであります。同時に、ASEANを含めて、RCEP、日中韓FTA、日・EU・EPA、こういったものを進めていって、経済連携の大きな網をこの地球儀の上に張りめぐらしていく。現在一九%のFTA比率、これを二〇一八年までに七〇%に持っていく、こういったことも進めたいと思っております。
 また、規制緩和であったりとかエネルギー等々につきましても、大胆な改革を実施することによりまして、企業が活動する環境整備ということもしっかり進めていきたいと考えております。
○今井委員 ありがとうございます。
 少子高齢化が進んでいく中で人口が減って、グローバルで日本企業が活躍しなきゃいけないというのはおっしゃるとおりでありますし、その方向は私も賛同しております。
 規制改革、あと税制という話をしましたのは、これはもう釈迦に説法ですけれども、やはり、国際競争では、いろいろなグローバル企業がどこに拠点を置いてどういう活動をするかという競争をしているわけで、その中で日本は勝ち残っていかないといけないということです。
 私は、ずっと銀行で国際市場の債券や為替やいろいろなところのチーフディーラーをやっていましたけれども、実は象徴的なことが起きました、外為市場で、ことしの九月に。三年に一回BISが調査をしておりますけれども、外国為替取扱高についての、世界の各市場でどれぐらい取引がされているかというものであります。ことしの四月、一カ月の一日当たりの平均売買高です。四月というと、まさに日銀が異次元の金融緩和をしたときで、円相場が非常に動いたときです。
 各市場を見ますと、取扱高第一番はロンドン、英国です。二番目はニューヨーク、アメリカです。それまでずっと三位だった日本がとうとう転げ落ちました。シンガポールが三位になって、日本は四位に落ちたということです。私の認識では、安倍政権のもとで東京をアジア一の金融センターにするということも当然成長戦略に入っていると思いますが、現実的には、今、シンガポールの後塵を拝しているんです。
 私は、いわゆるインベストメントバンクのグローバルヘッドの人たちが日本に来られたときによくお話をしていますけれども、これも大臣は御存じだと思いますが、大体今は外国の金融機関というのは縦割りじゃなくて横割りになっていますから、例えば、営業部門をまずグローバル展開、あるいはマーケット部門はグローバル展開ということでやっています。それぞれ、どこかの拠点にグローバルヘッドがいて、それぞれの地域にリージョナルヘッドというのがいます。グローバルヘッドはロンドンかニューヨークが多いんですが、最近、アジアのリージョナルヘッドが置いてあるところはシンガポールが圧倒的に多いんですね。香港も若干ありますが、東京は非常に少ない状況になっています。
 なぜここに金融センターが育たないんですかと聞くと、大体皆さんがおっしゃることは同じなんです。
 まず一つは、英語です。英語の環境が非常に悪いし、かつ、やはり子供さんたちの教育環境という意味でいろいろ問題があるというのが一つ目です。
 二つ目は、税金が高いということです。これは法人税だけではありませんで、実は皆さん高給取りなので個人の所得税も高い、だから嫌だという部分があります。
 三つ目は、さまざまな金融の規制です。これは、例えばファンドの組成に関するものとかいろいろなもの、金融庁の規制が厳しくて組成が難しい、そういうこともあります。
 四つ目は、雇用です。やはり、日本という国は雇用の法制が非常にわかりにくい。正直言えば、外資系のところなんて、あした来るなとか、そういうことを突然言われる。それもちょっとやり過ぎだと思いますが、ただ、労働環境という意味でも、労働形態でも非常にやりにくいということ。
 大体この四つのことを皆さんおっしゃいます。ですから、アジアの金融センターにするためには、実はこの四つを解決しておかないと、ここは金融センターのアジアのトップにはならないんです。
 あえて私はここで、これは本当は厚労省の所管ですけれども、一般論として大臣にお伺いしたいんですが、これらのものを踏まえた上で、特に労働の形態に関して、ずっと長くいい伝統としてきた終身雇用も含めて、日本の労働環境がどうあるべきかというのは私自身も正直悩んでいるところであります。ある程度の雇用の流動化が起きていかないと、やはりグローバル企業は日本には来てくれないんじゃないかということを、私は現場で見ていてすごく思うんです。
 そのあたりについて、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○茂木国務大臣 金融機関に限らず、恐らく、世界を代表するようなグローバル企業にとって、先ほど指摘された四点は、拠点を選ぶ上で極めて重要なポイントだと思っております。
 私もマッキンゼーにおりましたから、マッキンゼーはアップ・オア・アウトと言うんですね。上に昇進するか、首になるか、どっちかなんですよ、基本的なシステムは。日本の労働法制とは完全に違っている部分もあると思うんです。
 金融ということで考えると、私は、日本という国は、シティーのようにウィンブルドン化するとか、ケイマン諸島になればいいとは思っていません。やはり、ものづくりの産業があり、きちんとした技術を持った産業があり、それが金融とも連携しながら発達していくようなモデルが必要なのではないか、こんなふうに思っております。
 もともと、終身雇用制度を含みます日本型の雇用システムは、長期的展望に基づきます企業内の人材育成の活性化であったり、従業員みずからスキルアップをするモチベーションの向上、さらには生活の安定などをもたらして、恐らく高度成長期においては少なくとも日本の発展を支えてきた、こういう側面は大きかったと思っております。
 ただ、今は、日本経済が持っている三つのゆがみ、過剰規制、過少投資、過当競争の是正を進めなきゃならない。そのために産業の新陳代謝を進めていくわけでありますけれども、これは人材の活用ともかかわってくる問題でありまして、単に一つの産業で雇用を維持するのではなくて、人材をいかにより有効に活用していくかという観点から、新しい成長分野に雇用機会を拡大するということが極めて重要だ、失業なき労働移動を進めるということであります。
 六月に策定いたしました日本再興戦略におきましても、雇用政策の基本をこれまでの行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型へと大胆に転換することとして、労働移動支援助成金の抜本拡充といったことも打ち出しているところであります。
 産業と金融、これをやはり裏表で進めなきゃならない、そして、産業の新陳代謝と労働の移動も並行して進めなきゃならない課題だと思っております。
○今井委員 ありがとうございました。
 私は、ある意味マネーゲームをやるセクションにいましたけれども、マネーゲーム自体は非常に問題があると自分でやりながらも思っておりましたし、やはり実業とリンクして発展していくのが本来の金融のあり方ですから、今大臣がおっしゃっているとおり、全く同感であります。金融機関というのはそれぞれのセクションを別々に置いているわけじゃないので、MアンドAにしても企業金融にしても、全部のセクションをどこに置くかということになると、アジアの金融センターの中心を日本に置くためにはやはりそういうものも解決していかなきゃいけないと思います。
 今、雇用調整助成金のお話が出ました。これを大幅に予算シフトしていって転業の方に移すというのは再興戦略にも出ておりましたし、私は大賛成でありますが、それだけで本当に、今までやったことのない仕事についてみようかというマインドが起きるかどうか、これはなかなか現実には難しい問題であります。恐らくそれだけでは人は移動しないと思うので、今後、それを促進する方法をいろいろまた考えていかなきゃいけないというふうに思います。
 これは基本的には厚労省の話ですけれども、経済全体の話ですから、この場でまた議論もさせていただきたいというふうに思います。
 次に、産業競争力強化法案に少し入っていきたいと思います。
 今回、さまざまなものが中にこうやって制度として入っていて、メニューとしては非常にたくさんあります。先ほどからもお話がありますように、企業実証特例制度というものといわゆるグレーゾーン解消制度というものが新しい制度としてできたということであります。
 これは恐らく、現場の皆さんがいろいろヒアリングで、こういうことが困っているというものを制度として支援しようということでできたのではないかと思います。私の周りでも、例えば、こういう事業をやるのにこの規制にひっかからないのかな、どうなのかな、ちょっと省庁に確認していただけませんかというような御依頼をいただくことがありますから、なかなか窓口がなくて困っているという方がたくさんいらっしゃって、その声を受けてこういう制度ができたということなんだと思います。
 企業実証特例制度も、大きな壁があるんだけれども、ちょっと自分はいい仕組みを考えているんだけれどもできないかなという声がいろいろあるのを経産省として何とかしようということでつくられた制度だと思うので、出てきているニーズに対して応えようという制度をつくったことは、趣旨としてはよくわかります。
 ただ、そもそも論なんですけれども、やはりグレーゾーンというものがあるからいけないのであって、全部が黒か白であればわざわざこんな制度をつくる必要もないわけですし、先ほどからも議論がありますけれども、ある特定の企業に認めて、その後これを全国展開するとおっしゃっていますけれども、それは法的に担保されているわけじゃないですね、この法律の中では。規制をどんどん広げていくということも書いてあるわけではありません。
 ですから、そもそも、そういうアイデアがあったら、もう最初から皆さんにオープンにしますよ、どんどんやってください、競争ですというふうに、規制を全部見直してしまえばこういう制度はつくる必要がないと思うんです。
 我々としては、やはりもうとにかく原点に返って、先端テストでしたっけ、ああいうものをしながら規制をどんどん撤廃していくということをまずやるべきであって、これはもちろん担保措置とあわせてということでしょうけれども、こういうことをやっているとかえって規制撤廃がおくれてしまうんじゃないかという懸念の声、意見も聞いたりするんですが、そのあたりについてのお考えはいかがでしょうか。
○茂木国務大臣 現政権として、規制改革に全力で取り組まなければいけないと思っております。
 三層構造でやっていくんです。まず、委員がおっしゃったように、全国レベルで規制撤廃できるにこしたことはありません。そういった意味で、規制改革会議の検討を通じた全国単位の規制の改革を進めてまいります。また、国家戦略特区という形で地域単位の改革も進めてまいります。そして、御指摘をいただきました企業実証特例によります企業単位の改革。こういった三層構造で規制改革を進めていくわけであります。
 全国レベルの取り組み、既に規制改革会議で次世代自動車の普及に資する水素スタンドの設置の円滑化であったり先端医療の拡大、再生医療の推進に資する改革項目を取りまとめ、六月に規制改革実施計画においてこれは既に閣議決定しております。
 さらに、岩盤と言われる分野。ちょうどきょうの午前中、電力システム改革の法案につきましても参議院の委員会でも可決していただきました。さらには、医薬品、医療機器の開発、再生医療の実用化などを推進いたします薬事法の改正法案も今国会に提出して、提案して、御審議をいただいているところであります。
 そういった全国レベルのものは進めていきますけれども、全国レベルだと、やはり例えば安全性を全部の企業が担保するまでなかなか規制緩和に至らないということだったら、まず一つの先例をつくっていこう、こういったことから企業実証特例制度を設けたわけでありまして、これは基本的には企業単位で始めますが、これをできる限り全国に広めていくという形で取り組みを進めていきたいと思っております。
○今井委員 そうであれば、では、こういうものを例えばどれぐらいの期間で全国展開していくか、そういうことも法案の中に書いたらいかがでしょうか。
○菅原政府参考人 お答えいたします。
 法案の第十五条におきまして、法律用語ですから面倒くさく書いていますけれども、平たく言えば、主務大臣及び規制担当の関係行政機関の長は、この法律に基づくいわゆる新規事業に係る規制について、規制の特例措置の整備、適用の状況、特例措置をやった場合の状況、そして諸外国における規制の状況、技術の進歩の状況その他、これらを踏まえて検討を加え、その結果に基づき、次でございますけれども、「規制の撤廃又は緩和のために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。」という形で、基本的には個別の企業実証から入って、最終的にはいろいろ、諸外国、技術その他も見て全国展開する方向性を法律に明記しております。
 あわせて第二項で、いわゆる事業所管大臣は、この検討に当たり、規制担当大臣に意見を述べることができると、これは当然、全国展開する方向での意見ということになりますが、法律上明確にしているところでございます。
○今井委員 第十五条にそういう規定はありますけれども、期限もないですし、結局、読みようによっては、ずっと時間がかかっても構わないとは言いませんが、かかってしまう、でも何もそれはこの法律には抵触しないと。こういうふうに僕は読めるので、できるだけやはり期限をきちっと書いてやった方がいいんじゃないか、これは意見であります。
 先日の三谷委員の質問の中で、きょうの答弁にもありましたけれども、なかなか岩盤で全国に広げにくいものもやるんだというふうにおっしゃっていましたけれども、この間、国家戦略特区の本会議の趣旨説明の代表質問のときに、安倍総理が、我が内閣には規制改革を邪魔する大臣はおりません、閣僚はおりませんと言っておられましたから、内閣が全員前を向いておられるんだったら一緒に全国レベルで変えていけばいいのにと思いました。これは答弁は要りません。ちょっとそういうふうに感じました。
 では、次に行きます。
 今回、独法ですとか産業革新機構とか中小基盤機構とか、いろいろなところを活用してやっていますし、金融の支援制度も、保証協会を使ったり、ベンチャーキャピタルに何かやったりとか、いろいろな制度があるんです。これまでの制度もそうなんですが、きょう午前中の参考人は非常にメニューはもう充実しているとおっしゃっておられましたけれども、一方で、いろいろな機構がたくさんあって、支援制度は山のようにあって、どれがどれなのかよくわからないということがやはり起きているような気がします。
 最近、地域経済活性化支援機構というのができました。これも似たような役割があったりして、金額で違うんだとかいろいろ御説明がありましたけれども、もう少し見直して整理統合して、もっと、ワンストップでここ、中小企業の金融ならここというように、わかりやすくする必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○北川政府参考人 中小企業政策の展開に関する御指摘でございます。
 中小企業政策は、全国四百二十万という大変多くの方々を支援するという政策でございます。まさにきめ細かく、先ほど午前中の参考人の方からもいろいろあると御説明がございましたが、私どもといたしましては、時代に応じまして、統廃合も含めていろいろやってまいった所存でありますけれども、もう一つの課題は、わかりにくい、たくさんあってわからないじゃないかという御指摘を常にいただいております。これまでの政策は特に中小企業団体、関係団体と協力しながらやってきたわけでございますけれども、それだけではわからないだろうという御指摘がございますので、今のところ、三つほど段階的な改善を考えてきたところでございます。
 一つ目が、昨年来やっております認定支援機関ということで、地域に密着した税理士さんとか信用金庫、こういったところに中小企業支援のネットワークに入っていただいて支援をしていくということ。
 二つ目が、この時代ですので、ITポータルを使ってやっていく。既に三十万ぐらいのアクセスをいただいているところでございます。
 三つ目が、きょうの参考人の方と同じでございますけれども、まさに基礎自治体と一緒になってやっていく。そこでまた政策展開、周知を図っていただくということで、そういうことで周知を図りながら、適切に見直しを図って進めてまいりたいと考えております。
○今井委員 そういう取り組みをしていらっしゃるということですけれども、それでもまだやはり複雑だと思いますので、この統合はぜひやっていただきたいということを御要望しておきます。
 時間も少なくなってまいりましたので、ちょっと細かい点を、二点お伺いしたいと思います。
 きょうの午前中の質疑でも私は参考人に申し上げたんですけれども、創業支援のワンストップサービスということで、各市町村に支援センターを民間の協力を得てつくるということでありますが、市町村には非常に小さいところもあって、小さいところの市町村では、とてもそんな専門的な人材を集めてやるということはできないんですね。
 ですから、きょうの富士市の方は、二十六万人の都市ですからできると思いますけれども、郡部ではとても無理なので、やはりもう少し広域でいろいろやるとか、そういう措置、対応を考える必要があると思うんですが、いかがですか。
○北川政府参考人 今回の法案で想定しておる数字でございます。人口二十万ぐらいの市を想定して考えておるんですけれども、委員御指摘のとおり、小さい町もいっぱいございます。
 その場合には、まず、幾つかの市町村で連携してこのような制度がとれないかということを考えておりますとともに、もう一つは、県庁、県がそれを応援する、こういうやり方も考えてございまして、小さいからなかなか取り組みにくいということがないようにしていきたいと考えております。
○今井委員 安心しました。とにかく、私のところにもちっちゃい自治体がありまして、あそこに、それぞれの自治体でやってくださいといったら、それは余りに能力、キャパオーバーだなと思いますので、まず連携でいろいろやる必要があるなと思っていましたから、そういう御答弁をいただきましたので、安心しました。
 最後になります。
 今回の先端設備リース保険制度に関してなんですが、類似のもので低炭素設備リース信用保険制度というのを創設されておると思いますけれども、実績をお伺いしましたところ三百五十億円程度ということで、これは多分、政府の試算を大分下回ったんじゃないかなというふうに思います。
 これをまずどう総括されて、今度の先端設備リース保険制度をちゃんと活性化して使っていただくためには、その総括を踏まえてどういうことをしたいか、その辺を御答弁いただきたいと思います。
○西山政府参考人 お答え申し上げます。
 今お尋ねの、いわゆる低炭素投資促進法という法律がございます。ちょっと長い名前でございますけれども、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律という法律がございます。それに基づきまして、いわゆる低炭素リース信用保険が設けられているわけでございますけれども、その実績は、平成二十四年度末の時点で、保険引受件数が三千四百五十五件、引受総額が約四百七十七億円というふうになっております。
 これは、法律をつくりました当初、市場規模として一千億円を上回るようなものを想定しておりましたので、それに比較するとまだまだそこには立ち至っていないわけでございますけれども、年度別に見ますと、引受実績が平成二十三年度で百二十六億円、平成二十四年度で三百五十一億円ということで、簡単に言えば倍増しているということもございますので、まず、この制度についてはしっかり運用、周知していくことで、もともと目標としておりましたような額にできるだけ近づけたいというふうに考えております。
 ただ、当初想定しておりましたような規模に達していない一つの原因といたしましては、この制度だけに限定されませんけれども、リース全体として、特にリースの大宗を占めているのがいわゆるファイナンスリースでございますが、これは、会計制度が二〇〇七年に変更されたことに伴って、いわゆるオフバランスの効果がなくなったためにリース全体の需要が下がってきているという事情がございます。
 そうしたことも踏まえまして、今回の産業競争力強化法案の中では、特にオフバランスのメリットが得られるオペレーティングリースという制度に着目して、それを活用した先端設備投資の推進を集中的に行うということを考えております。
 具体的には、そうした制度が使いやすいよう、特に、会計基準の適用についてできる限り明確化する、つまりオフバランス化しやすくするということと、先端設備でございますので、二次利用の市場が今ございませんので、そうした不確実性を減殺するための一定のリスクシェアの仕組みを設けることによって、先端設備投資の推進を図っていきたいというふうに考えております。
○今井委員 ありがとうございました。
 そのオフバランスの検討は実は非常に重要だと思いますから、ぜひお願いしたいと思います。
 まだ質問が残っておりますが、またこれはあすに回させていただきまして、これで終わらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○富田委員長 次に、丸山穂高君。
○丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。
 先ほどの今井委員に引き続きまして、我が党からは、次は私から産業競争力強化法案につきまして質疑させていただきます。
 去年十二月に私は初当選させていただいて、最初の経産委の質疑のときに大臣に、私も役所にいたものですから、そこで常々気になっていたことをお話しさせていただきました。
 それは、とにかく役所の政策において、PDCAサイクル、プランをした後に、最後にきちんとチェックしてそれを新たなアクションへと反映させていく、この過程がなかなかできていないんじゃないかと。
 役所の人事の回し方も二、三年でどうしてもかわってしまう部分もありますし、さらには、どうしても、前の方がやったものに対して、ここはだめだったとかという形ではなかなかそれを指摘しづらいところがあるなどと、いろいろな要因がもちろんあるとは思うんですけれども、経産省の施策を拝見していても、経済成長戦略大綱とか、幾つも毎年出されている中で、それはどのように違いがあって、またバージョンアップされていって、より具体的に日本経済にどのように反映されていっているのかというところに非常に疑問があったのでございます。
 その点につきまして、ことしの最初の経産委で私が立たせていただいたときに大臣に御質問させていただいたところ、大臣から明快に、PDCAサイクルの重要性というか、チェックしていく、そして改めていくことが大事だとおっしゃっていたのが非常に印象に残っております。
 今回出してこられた競争力法案につきまして特に私がすばらしいなと思ったのは、最初の一番大きな目玉のところで、産業競争力の強化に関する実行計画をおつくりになる。しかも、それは経産省だけじゃなくて、閣議決定という形でもなくて、担当大臣まで決めて、そしてPDCAサイクルを回していくという、これまでとの違いという意味では一歩前進する可能性を秘めているすばらしい取り組みだと思うんです。
 ただ、今お話ししたように、これまでたくさん同じような成長戦略が出ている中で、先日の経産委でも、違いはどこかという御質問が委員の方からございまして、違いにつきましては、大臣から、実行が伴うかどうかだというお話がありました。
 実行というのは、ヒューマンベースというか、大臣によっても変わってきますし、政権によっても変わってくると思うんです。PDCAサイクルを回す中で実行が伴うかどうかというところに関して今回明文化されたというのは、もちろん今までなかったというのもあると思うんですが、PDCAサイクル、誰もが思うところですけれども、これがなぜこれまで実行に移せなかったのか。このあたりの原因の分析につきまして、役所ではどのようにお考えなのか、まずはそこについてお伺いしたいと思います。
○茂木国務大臣 PDCAサイクルは基本的には回すのに一年はかかると思うんですね、一般的に考えると。毎週PDCAサイクルを回しているというところはないと思います。これまでは実行するまで政権が続かなかった、これが一つの大きな原因じゃないかと言っている人はたくさんいるようでありますが。
 現在、総理を中心とした今の内閣、中長期のコミットメントと強いリーダーシップのもとで成長戦略に取り組んでおります。
 例えば税制、これはいつも年末の恒例行事でありました。年末に決める。これに対して、今回、これまでのスケジュールを大幅に前倒しして、前例にないレベルで、大胆な投資減税、事業再生を促進する税制を秋には決めるということも進めたわけでありまして、御指摘いただいたように、実行計画をつくります、そこに担当大臣も置きます、そしてPDCAサイクルを回していく、三年間の計画、それもローリングを行っていく、そういうスパンで物事が考えられるような力強い推進体制をつくってまいりたいと思っております。
○丸山委員 しっかりやっていただきたいと思います。
 大臣、いみじくも御指摘されたように、恐らく、最終的にこの問題は、この国の統治機構という大きな部分にかかわってくる、首相の強さだとか政権の長さだとか、そういった部分にかなり影響も受けるところだと思います。
 幸い、安倍政権は長期政権になるんじゃないかというお話もございますので、我が党としましても、ただただ足を引っ張るんじゃなくて、しっかりとPDCAサイクルを回していただけるように、我々もチェックさせていただきながら、そちらの政権の方でもしっかり見ていただくように重ねてお願い申し上げます。
 そういった意味で、大臣、非常に合理的なお考えで、もちろんマッキンゼーで鍛えられたあれだと思うんですけれども、先ほどのお話を聞いていても、PDCAのお話もそうですし、例えば三という数字がとても多くて、三層の構造でやられるという話は非常にわかりやすい部分でございますが、今回のこの法案につきましては、うちの党の部会でも、かなりわかりにくいという話がありました。
 それは何かといいますと、かなりの条文、今回、約百五十条近くありますけれども、そのうち約三分の二の百条近くが産活法から移動している条項だということで、一方で産活法を同時に廃止するという話でした。
 先日の経産委でも大臣がお答えになっていて、以前に産活法がつくられたときには、過剰設備と過剰債務という状況において産活法が必要であった。その形が、いつも大臣がおっしゃっている三つのゆがみ、くだんの過少投資等になっているので産活法を廃止して、今回の新法という形で競争力法案をつくるということなんです。
 この産活法に関しまして、以前よりずっと委員から御指摘があります。
 私も、短いながらも役所にいて、産活法の是非に関しましては役所内でもいろいろな議論があるのは存じております。後ほど述べようと思うんですけれども、少し制度によっては案件の少ない、なかなか利用してもらえないものもあったんです。このあたりの産活法の事後評価というか、今後に生かしていく意味で、先ほどのPDCAじゃないんですけれども、チェックとアクションというのは、もう廃止したから終わりだということではもったいないと思うんです。
 そういった意味で、ちょっとそのあたりに関しまして、どのようにお考えか、お話を伺いたいんです。
○松島副大臣 委員がおっしゃいました産活法でございますが、これは御存じかと思いますが、平成十一年に制定されました。そして今、平成二十五年十月一日時点で、全省庁で六百九件、経済産業省はこのうち四百件の計画を認定しました。
 この中で計画が終了したのは経産省分は三百五十件ですが、その八割を超す案件が、計画期間中に法律の求める生産性の向上、生産性の向上が目標でございましたから、これは実現している、そのように考えております。もちろん、これのどこがどうだったか、そしてチェックというもの、事後の評価というものは、これからもしっかりと丹念に続けていくべきだと考えております。
 同時に、今回、新しい法律にした。新しい法律にしたということは、委員もいみじくも御指摘されましたように、過剰規制を打破するということ、そしてまた投資が少ない、過少投資だから設備投資をふやしてもらうということ、過当競争、この三つが狙いでございますが、特に規制を打破する方法。企業がいろいろなところでいろいろな法律の規制にぶつかって、どうしようか、それを打破する、これについては産活法ではほとんどなかった。ですから、この意味でも新しい法律をつくらなければいけなかった。
 もう一つ、投資に関しましても、今回は思い切った設備投資の減税。即時償却というのは初めての導入でございますし、もう一つ、これは即時償却か税額控除か選択制にしておりますけれども、税額控除の場合、設備投資をしたときの税額控除は、今年度ですと、三%だったものを大企業は五%に拡大する。そしてまた、資本金三千万円を超して一億円以下の大き目の中小企業の場合は、これまでですと大企業並みの三%しか税額控除されなかったのを七%に引き上げる。そしてまた、資本金が三千万以下の本当の中小企業及び個人事業主は、何と七%から一〇%まで、百万円の設備投資をしたら税金、納める法人税を十万円まけてくれるという、非常に思い切ったことによって設備投資を本当に盛んにしていこう、そういうふうな意欲的な取り組みとして新しい法律にしたということでございます。
○丸山委員 先ほど件数のお話がありまして、特に規制の打破についての新法の必要性ということで、それは十分承知しております。しっかりやっていただきたいんです。
 その中で、数字がありましたけれども、これも先日の議論を伺っていて、岸本先生だったと思うんですけれども、ノーアクションレター制度の件数がございまして、ノーアクションレター制度に関しましては十二件という御回答がございました。それを聞いて、やはり非常に少ないなと思ったところと、もう一点、ちょっと具体的な部分でお伺いしたいんです。
 本法案を読んでいますと、中小企業承継事業再生計画の認定を受けた企業に対して、登録免許税の軽減とか信用保証の特例措置等をやられるということです。これは産活法でも事業再生制度という形で存在すると思うんですけれども、産活法上の同様の支援制度につきまして、認定を受けた件数はどれぐらいでしょうか。
○松島副大臣 確かに、おっしゃいますとおりに、産活法の中で、中小企業承継事業再生計画の認定スキームというのは本当に少ないです。十五件しかこれまでなかった。
 一つは、登録免許税を本則が二・〇%のところを〇・四%に減免してあげるということはありましたが、これが有効に働くのは土地をいっぱい持っているような中小企業で、例えばホテルはうまくいっているけれどもゴルフ場はうまくいっていないとか、そういうことを複合しているような中小企業が片一方の部門だけ残す形でやる、そういうことには適していたんだろうとは思いますけれども、それ以外にはなかなかこれは適用されてまいりませんでした。確かに、オーナー企業とか、創業者がいる会社の場合、なかなかそれを手放すことが難しかったりします。
 今まで、本当に中小企業の方々のためになった法律として、中小企業金融円滑化法がことしの三月まで生きていました。そして、もちろん今もその趣旨を生かしてやってもらうように中小企業庁としても金融庁に求めているところでございますが、これによって命長らえてきた中小企業も多い、あるいは、なかなか踏ん切りがつかなかったところも多い。
 これからは、この扱い方としても、単にリスケ、先延ばしするというだけでなくて、取引先の債権を持っている金融機関に対して債権放棄まで思い切ったことをしてもらって、銀行の側も傷むけれども、同時にその中小企業も新しい形で立ち直らせる、そういうことをこれからやっていくべき時期に差しかかっているのではないかと思います。
○丸山委員 おっしゃるとおり、ノーアクションレターも十二件で、先ほどの支援制度も十五件ということで、この制度は恐らくこの競争力強化法案でも同様に引き継がれていくと思うんですけれども、今のままだと、また少ない件数になりかねないんじゃないでしょうか。先ほどの分析を生かした上で、今回何か変わった部分があるのかどうか、そのあたりにつきましてお話をいただきたいと思います。
○菅原政府参考人 私からノーアクションレターについて御説明します。
 ノーアクションレターは、委員御案内のとおり、そもそも照会を受ける条文に限定がございます。役所で、この条文、この条文について法律上の適用について疑義があれば照会を受け付けますよということで、かなり照会の対象となる条文数に限定があるというところがございます。
 もう一つは、ノーアクションレターは、個別具体的な事業計画に基づいた問い合わせを前提にしていないがゆえに、どちらかというと、抽象的な問い合わせに対して、抽象的な答えで返すという事例が過去には非常に多かったと思います。そういう積み重ねで、聞いても何かよくわからないという評価が結構定まってしまった傾向があると思います。
 それに対しまして、今回のグレーゾーン解消制度ですが、法律の条文、照会すべき条文について一切限定は設けておりません。
 それと、今回は、抽象的な問い合わせではなくて、個別具体的な事業計画について、具体的な法的適用、オール・オア・ナッシングじゃなくて、この計画のここが法律にひっかかります、ここはセーフですからどうぞ御安心をという形で、かなり具体的な御報告といいますか、お知らせができるということで、いわゆる御利益がノーアクションレターとは全く違うものになってくるのではないかと思っていまして、周知徹底をしっかりすれば利用する人は格段にふえるというふうに考えてございます。
○丸山委員 ありがとうございます。
 ノーアクションレターに関しましては、今、PDCAのCとA、チェックとアクションを課されているという話で、先ほど副大臣がお話しされた、十五件あるという産活法上の案件につきましては、どのようなチェックをなされていますか。
○北川政府参考人 お答えいたします。
 今の御指摘は、いわゆる第二会社方式による再生ということでございます。
 十五件ということでございますけれども、年次別に見ますと、毎年四件から三件ぐらいの件数が続きまして、この累積になっております。第二会社方式というのは特有の方式でございますので、このような結果になってございますが、使われている業態も旅館あるいは建設というところに集中してございます。
 これはこれで、あながち全てが否定されるようなものではないと思いますけれども、再生計画全体が五千件という中の十五件でございますので、これも周知を図りながら進めてまいりたいと考えております。
○丸山委員 やはり、非常に我々も見ていてわかりにくいと思ったように、使う側も、わかりにくいと思っていらっしゃる方がかなりいらっしゃると思うんです。
 わかりにくいという声をチェックとアクションのところにうまく生かしていただいて、なるべく数をふやしていただかないと、岸本先生から、数がふえない方が財務省はうれしいんだというお話もありましたけれども、そうじゃなくて、やはりきちんと生かしていただかないと制度の意味がないと思いますので、そのあたりのきちんとしたチェック、アクションはやっていただいているとは思いますけれども、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 そういった意味で、気になるのは、今回、日本再興戦略に基づいて今回の競争力法案を出されていると思うんですけれども、そこで、先ほど来お話のあった設備投資、今後三年間で七十兆円、リーマン・ショック前に戻していくという目標を具体的に立てられているということで、PDCAのPの部分、すばらしいと思うところなんです。
 一方で、成長率の目標を見ると、今後十年間の平均で名目成長率三%、実質成長率二%程度という目標を出されております。
 どういった因果関係でこの数字を出されてきているのかという背景の御説明を、国会の場でございますので、少し詳しく伺いたいと思うんです。そのあたりにつきまして御説明いただければと思います。
○松島副大臣 お答えいたします。
 これまで、アベノミクスの進展、まず金融、それから財政の出動、そういったことを通じまして、経済の中で、例えば企業に関することでも、金融の緩和の結果、円安になって輸出がふえた、あるいは株価が上がって、株を持っていた個人の方々が、ぜいたくというか、高級品を消費したりした。そうやっていろいろよくなっているところへ、今回、設備投資、三年間で七十兆円。
 設備投資を行うということは国内での企業の生産をふやすということですし、もちろん、設備投資に当たり、そういった土地の値段、さらに機械が買われるといったことがどんどん起こってくる。前倒しで、十年間でなくて、三年間でとにかく七十兆円まで戻すことによって経済活動が活発になり、さらにそれが企業の収益を生む。日本の企業の収益が高まり、その後は、安倍総理も茂木大臣も何度も繰り返し経済界にいろいろな形で、また我が省がいろいろな団体、地方の経済産業局も通じてお願いしているように、収益が上がった分を雇用に生かしてほしい、そしてまた収入を引き上げる、賃金を上げてほしいと。それに対して経済界にも、今この流れに乗らないとおかしいというような雰囲気がやっと漂い始めて、まだ来年の春闘の要求が出ていないうちから自分たちも検討すると言ってくる。
 こういういい循環を起こしていく、その中で設備投資をとにかくリーマン・ショックの前の七十兆円に三年以内に戻すということが重要だ、そのように考えております。
○丸山委員 つまり、私が申し上げたかったのは、名目成長率三%、実質成長率二%はかなり意欲的な数字だと思うんですけれども、一方で、これは十年間の平均というかなり長期的な目標を組まれている。一方で、設備投資の目標に関しては今後三年間で七十兆円。
 三年と十年、そのワンステップは何かお考えのものがあると思うんですけれども、このあたりは、具体的に何か積み上げられてお考えというよりは、まず目標としてあって、それのためにあらゆることをやるんだというお考えなのか。どちらなのかも含めて、ちょっと詳細を伺いたいんです。
○茂木国務大臣 名目成長率三%、実質成長率二%、これは今後十年間の平均ということであります。この名目三%よりずっと低いところでいって、ようやく十年目で三%に達するというよりも、平均でそれぐらいの数字をたたき出していきたい、そして、それを行うためには経済の好循環をつくっていかなきゃならない。
 輸出は伸びてきました。次は設備投資です。まずは設備投資。先端的な設備であったり、省エネ設備、競争力を強化する設備、こういう設備投資がふえることによって企業が収益を上げる、その収益が賃金や所得にはね返り、消費が拡大してさらなる投資、生産を生む。こういう好循環をつくっていくためには今まさに設備投資に手をつける必要があるということで、我々としても、大胆な減税策等々もとりながら、企業の決断を後押ししていきたいと思っております。
○丸山委員 その意味で、設備投資の減税も含めて、また今回は企業実証特例制度という形で規制緩和を、いみじくも大臣は三層でとおっしゃいました。全国展開、そして特区で、今、戦略特区の法案が出ておりますけれども、そして企業でも、できるところからやっていくという思想だと思うんです。そういった意味で、まず現地でどういったものが出てくることを想定しているのかというのは、みんな気になっているところだと思うんです。
 この間、自動車の規制緩和の話が少し委員会でも出てまいりました。ちょうど、安倍総理が自動運転の車に乗られて、すばらしいという御発言をされていました。それも含めた、ああいったイメージがつくんですけれども、そのほかにはどういったものを具体的にお考えなのか、少しお伺いしたいんです。
 国家戦略特区で出ているような自動車の話だけじゃなくて、例えば、この間少し物議を醸しました三木谷さんの薬のネット販売の話だとか、あれがもし企業側でできるんだったら、また違う反応になってくると思いますし、もっといけば、雇用規制の緩和も今回はなくなりそうだという話ですけれども、そういったものも入ってくるのかどうか。具体的に政府として期待されている案件がありましたら、お伺いしたいと思います。
○西山政府参考人 お答えを申し上げます。
 まず、企業実証特例制度そのものは、法令上明らかでございますけれども、事前にこの分野に限るとか、あるいは逆にこの分野を外すといったようなものはございません。あくまで企業の方の発意に基づいて、新しいビジネスの提案があったことに基づいて規制の特例を検討しようというものでございます。
 ただ、この法案の立案過程でさまざまな方の声を伺う中で、一つの例として申し上げれば、いわゆる電動アシスト自転車というものがございます。これは自転車に電動のモーターで助ける力を加えるものでございますけれども、これを特に重い荷物を運ぶ物流の現場で使いたいという御要望があるようでございます。
 今の規制のままですと、ある程度以上、アシスト力というんですけれども、電動モーターで助ける力を加えますとなかなか実現ができないんだけれども、別途の安全措置を講じることでこうした電動アシスト自転車を物流の現場で使いたいと。こういうものが導入できれば、例えば女性とかあるいは高齢者の方が、物流の現場で重い荷物を運ぶという観点から働きやすくなるといったような声も聞いております。
 この電動アシスト自転車はあくまで例でございますけれども、こうしたものも含めまして、例えばさまざまな、モビリティーと呼んでいますけれども、新しい移動体が出てきますと、当然、そういうものと既存の道路交通法等々の法令との関係が生じてまいりますので、そうしたような事例を発掘していくといいましょうか、申請があれば検討してまいりたいというふうに考えております。
○丸山委員 自動車も含め、また電動アシストの自転車も含め、新モビリティーという例が挙がりましたけれども、先ほど私が申し上げたような例えば薬のネット販売だとか雇用規制の緩和、特定企業によるところから始めるということがもし出てきた場合は、それはまず検討の中に入ってくるということでよろしいんでしょうか。
 もう一度、その部分をお聞かせください。
○西山政府参考人 やや繰り返しになりますけれども、この法案そのものは、どの分野に限るとか、あるいはどの分野を外すという限定はございません。
 私どもがこの法案を立案する過程で今先生が御指摘になりましたような具体的な事例を把握しているわけではございませんけれども、あくまで一般論として申し上げれば、いろいろな分野について提案があり、その内容がこの制度に沿うものであれば、事業所管大臣としてはこれを規制所管大臣に提案することになるということだというふうに理解しております。
○丸山委員 やはり現状では、特区の話をしていますけれども、なかなかいろいろな御意見がありまして入り込めないものを、まず三層でおっしゃる企業のところからできるチャンスでもあると思います。そのあたりははじくものではない、排除するものではないというお話なので、出てきたときにまた議論が起こることだと思いますけれども、しっかりできるところから進めていただく姿勢を崩さずに、よろしくお願い申し上げます。
 時間がなくなってきましたので、最後にお伺いしたいのは、企業実証特例制度において、先ほど事業所管大臣と規制所管大臣の折衝があるという話がありましたけれども、今までを見ていても、どうしても、事業所管省庁が規制緩和に前向きであっても規制所管官庁の方が消極的な場合、結局、企業が期待するほどの特例措置が認められてこなかった、こういう繰り返しだったように感じるんです。この法案は、常々懸念が出ていますけれども、この解消方法として、具体的にどのようにやっていけば企業側が望むような規制緩和が進んでいくとお考えでしょうか。お答えください。
○田中大臣政務官 そもそも、企業実証特例制度というものは、事業所管省庁から規制所管省庁への働きかけ、そしてまた内閣官房の調整によって、企業が提案する規制改革を実現していこうというものであります。
 当然、事業所管省庁というのは、民間企業の新たな挑戦を支援する立場であります。まず、規制所管省庁に対して、規制緩和の必要性ですとか、緩和に当たっては、規制が求める安全性を確保する措置について十分説明を行うなど積極的な働きかけを行ってまいります。
 一方、規制所管省庁は、産業競争力強化というこの法案の目的を踏まえて、企業の要望に応える規制の特例措置を創設する、あるいは、規制の特例措置を創設することがもし仮に難しくても、どのような安全性を確保する措置を講じれば要望実現の障害が解決されるかという論点を明確にするなど、できる限り前向きな対応を行っていただくということであります。
 それでもなお事業所管大臣と規制所管大臣の意見が一致しない場合は、やはり必要に応じて、総合調整を行う権限を有する内閣官房が各省庁の意見調整を行うことで解決を目指すということであります。そして、最終的には、総理がリーダーシップを最大限発揮していただいて、しっかりと結論を出すということであります。
○丸山委員 時間がないので終わりますけれども、この法案も含めて、やはり違いは実行が伴うかどうかだというところを強調されております。恐らくそこは、規制官庁と緩和したい側の最後の実行力の勝負は政治決断だと思いますので、大臣を含めまして、総理も含めまして、しっかりやっていただきますようお願い申し上げます。
 すごく残っているところはありますが、まだまだ審議がありますので、そちらで残りはさせていただきたく思います。
 丸山穂高の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○富田委員長 次に、三谷英弘君。
○三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。
 本日は、先週金曜日そして午前中の参考人質疑に引き続きまして、産業競争力強化法案についての質問をさせていただきます。
 まず、企業実証特例制度に関して、もういろいろな方が聞かれていることでございますけれども、加えて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この企業実証特例制度の対象となる、いわゆる新事業というところでございます。規制改革はどういったものについてしていくのか、やはり経済産業省の裁量が非常に広くなり過ぎているのではないかというような点が懸念として挙げられるわけでございます。
 以前大臣にお伺いしたときには、先端的な取り組みというもの、企業から申請を受けたときにそれを認めるんだというような話でございます。この法文に基づけば、恐らくは産業競争力の強化に資するものであれば企業実証特例制度の対象としていくことになろうかと思います。
 では、何が先端的な取り組みなのか、何が産業競争力の強化に資するものなのか、形式的な基準があるのか、お答えいただければと思います。
○松島副大臣 委員は前回から、この企業実証特例制度について今のような御趣旨で多々御質問があったんですけれども、そもそも企業実証特例制度というのは、ある会社が、いかなる会社であっても、どこかの役所の法律とか政省令とかにぶつかって、うまく事業が進まない。しかし、自分は安全にも気をつけているし、自信があるというときに、所管している官庁、これは経済産業省とは限りません、国交省も、そして厚生労働省も農林水産省も、いろいろな場合があります。それぞれ事業を所管している役所に申し立てて話をして、あそこの法律のこういう規制で困っているんだ、そういうことを言ってくるわけです。こういう分野ならいい、こういう分野はだめだとか、こういう会社ならいい、こういう会社はだめだということがあらかじめ基準にあるものではありません。
 ただ、言ってこられたときに、やみくもに全部やったのでは、規制の中には安全面での確認というのがやはりありますから、この会社のこの取り組みを調べていったら、安全上も問題ない、そういう判断をしたときに取り上げて進んでいく、そういうことでございます。
○三谷委員 今、安全面での確認ができるかどうかが基準だというお答えと受け取らせていただきますけれども、法文上は産業競争力の強化に資するものかどうかというように書いてあると思うんです。そこは同じなのかどうか、ちょっと確認させていただければと思います。
○松島副大臣 そもそも何で企業がこういうことを言い出すかというと、個々の企業は利潤を求めて動いているわけですけれども、それぞれの企業の行動が集積されて産業競争力になっていくわけですから、それをむげに規制しているところがあれば取り上げなければいけないということです。
○三谷委員 いろいろな形で規制というものがかかってくるんだろうと思いますし、普通に考えれば人に迷惑をかけたいからビジネスを行う方はいらっしゃらないわけで、何らかのビジネスを行うことによって収益を上げたい、収益を上げることは産業競争力の強化につながる、そういうふうに考えれば、どんなビジネスでも産業競争力の強化につながるという判断になろうかと思いますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
○茂木国務大臣 恐らく先端的な取り組みというときに技術の問題等々が思い浮かぶと思うんですけれども、例えば、ビジネスモデルであったりとか、仕事の運営の仕方を変えていく、こういうのもある意味先端的取り組みだ、そんなふうに我々は思っております。そういった事業を御提案いただく、そして、もともとそれをやっていた会社の所管が国土交通省であっても、その新しい事業、提案をいただいた事業をどこの省庁が所管するかによって事業所管省庁は決まってまいります。
 一方で規制の問題でありますけれども、何のために規制するか。国が力を誇示するために規制をするのではなくて、言ってみますと、規制が要請する安全上の措置をきちんととらなければいけないということでありまして、そういった規制が要請する安全上の措置がとれたかどうか、きちんと確認した上で、規制官庁との間の調整に入るということになります。
○三谷委員 ありがとうございます。
 その中で、企業実証特例制度の具体例、先ほど丸山委員が質問されたことに対して、電動機付自転車の馬力を上げるという話がありました。例えば農業ですとか、医療ですとか、電力もそうかもしれません。いわゆる岩盤規制というものの規制改革に比べると、残念ながら、余りにも寂しい。ちょっと言葉が過ぎるかもしれませんけれども、貧相というところだと思わざるを得ないんです。
 そんな中で、この企業実証特例制度というものをあえて認めていく、これを行っていく理由がなかなかわかりづらいのではないかと考えているわけでございます。
 特に、午前中の参考人の意見を踏まえましても、事業所管官庁は全て経済産業省ではないと前回大臣からも御答弁いただきましたけれども、事業所管官庁と規制所管官庁の間で全て決めることは難しいのではないかという見方もあります。この国家戦略特区法案におけるいわゆる国家戦略特区の中で、こういった発想を処理していくことができるのではないかという見解もございます。
 そういう観点から、国家戦略特区について幾つか質問させていただきたいと考えております。
 まず、国家戦略特区とはどういうものでしょうか。一般論でお答えいただければと思います。
○富屋政府参考人 内閣官房からお答えいたします。
 国家戦略特区は、全国的な見地から国が定めました地域単位で、国、地方、民間の三者が一体となって取り組むプロジェクトを推進するために必要な、大胆な規制制度改革を実行するための枠組みでございます。
○三谷委員 ありがとうございます。
 大胆な改革を進めていくという上で、いわゆるバーチャル特区が議論されたと理解をしておりますけれども、このバーチャル特区とは何でしょうか。そして、このバーチャル特区が今の国家戦略特区の中での特区に含まれているかという点についてお答えいただければと思います。
○富屋政府参考人 お尋ねのバーチャル特区につきましては、国家戦略特区の制度設計の検討を重ねてまいりました国家戦略特区ワーキンググループの議論の中で提案がなされたものでございます。
 その概念は、土地といった物理的な場所ではなく、分野や体制を対象とすることによって、地理的には離れていても、関連する事業や事業者を対象としてプロジェクトに参加していただくものであり、国家戦略特区制度の中にこうした概念を取り込んでいくことになると考えております。
 具体的には、国家戦略特区の指定に当たりまして、特区として指定する連担した土地から離れている土地でありましても、特区におけるプロジェクトを連携して実施することで高い相乗効果が認められる区域につきましては同じ特区として指定することも想定をしておりまして、バーチャル特区の趣旨を運用面に反映していくことになろうと考えているところでございます。
○三谷委員 ありがとうございます。
 今のお答えを踏まえますと、バーチャル特区自体を正面から認めることは今回はなかったと思います。しかしながら、国家戦略特区というものを運用する中でバーチャル特区の趣旨を生かしていく、つまり、バーチャル特区が事実上運用の中で認められたと理解してもよろしいものでしょうか。
○富屋政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○三谷委員 ありがとうございます。
 今のお答えは非常に重要な内容でございます。
 それは何かといいますと、企業実証特例制度は特定の企業のみに規制を緩和していくものでございますけれども、その趣旨は、特定の場所に限らない、先端的な取り組みをしているところには規制緩和をしていくということだと理解をしております。
 このバーチャル特区というものでも、実は、特定の場所にとらわれることなく、事業が連携して行われるような場所、例えば、今の宅急便の電動機付自転車の馬力を上げるということについては、東京、大阪、その他大都市というような連携的な指定を行うことによって事実上効果を発揮していくことができるんだろうと思うわけでございます。
 そして、いわゆる企業実証特例制度の中で、特定の企業のみにそういった規制緩和を行うという懸念は、この特区の中の概念には当てはまりません。
 今の企業実証特例制度においていろいろ言われているような懸念と、もう一つありました、内閣府が規制の調整を行うという意味では、経済産業省とその他規制担当官庁の連携よりもスムーズにさまざまな規制緩和を行うことができるという意味では、この国家戦略特区というものを有機的に使っていく方がより実証的なのではないかというような見解があろうと思うわけでございます。
 経済産業省にお伺いしたいと思いますけれども、企業実証特例制度というものをあえて認めなくても何とかその趣旨は実施できるのではないかというような意見もあると思います。その点、御意見を伺えればと思います。
○松島副大臣 国家戦略特区というのは、国が戦略を、つまり、こうあるべきだとつくるものなんです。企業実証特例制度というのは、各企業が規制にぶつかって、だけれども、こういう活動をしたいんだということで発案があって、それから始まるものです。つまり上から、まあ上から目線と言ったら悪いかもしれないけれども、国家戦略特区を国としてつくるのと、それは全然方向は違うと考えております。国として国家戦略を決めるというのと、ある特定の企業にやらせるというおっしゃり方をしたんですけれども、同じことを、問題ない、いい発案がいろいろな会社から起こってきたら全部それは認められますので、特定の企業と何かどこかの役所が一緒にたくらんでやる、そういう性格のものでは全くありません。
○茂木国務大臣 基本的には今の松島副大臣が答弁したとおりなんですけれども、もう少しかみ砕いて申し上げると、例えば国家戦略特区、先ほど内閣官房からバーチャル特区について答弁があったと思うんですけれども、バーチャルでありますから特定の空間というのは想定しません。
 しかし、バーチャルそのものではなくて、特定の空間で起こっていることを使いながら、それと連関してバーチャルな事業を進める。極端な例で言いますと、例えばフォレックスが取引をやるというときに、バーチャルの空間で何かをやろうと思ってもなかなか難しいわけです。そうすると、例えば、東証であったりとか、いろいろな機能を使いながら実際にはバーチャルの空間で起こるようなことも関連しながらやっていくという意味で、地域に関連した概念として進めるのがこの特区制度になってきます、バーチャルであっても。
 それに対して、企業実証特例でやっていることは、一つの企業が先端的に取り組んでいることについて、企業にとっては全国レベルという活動でありますけれども、企業の中でまずは始まるということであります。それが同じような規制が求める安全上の措置がとれた場合には、当然、ほかの企業にも広げますし、最終的には全体に広げる、こういう形でありまして、若干、地域をスタートにするか、企業の実際のビジネスモデルをスタートにするか、こういうところで入り口というのは違ってくるのだと思っております。
○三谷委員 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりだと思います。ただ、どちらの方がより規制改革がスムーズに行われるのかという観点も一つ検討の中に入れて、最終的な判断に進んでいただければというふうに考えているところでございます。
 続きまして、グレーゾーン解消制度について若干お伺いしたいと思います。
 これは先日も質問させていただきましたけれども、ノーアクションレターというものではない、ビジネスそのものを前提としていろいろな判断をしていくんだということだったと思います。ごめんなさい、直接的には通告はなかったかもしれませんけれども、評価の問題ですのでちょっと質問させていただきたいんです。
 もしこのグレーゾーン解消制度というものが、実際、ある規制担当省庁に対して規制の有無を問い合わせるということを一つの大きな主軸とするのであれば、これは規制が対象となる、ならないというだけの話なので、規制改革の一つの目玉に位置づけるというのもちょっと大げさなのかなというふうに考えるんですけれども、その点いかがお考えでしょうか。
○西山政府参考人 まず、今回のグレーゾーン解消制度の趣旨といたしましては、企業実証特例制度のいわば姉妹版の制度というふうに考えておりますが、その根底にございますのは、この法律で新事業活動と言っておりますけれども、新しいアイデアを持って事業活動に取り組む人がいろいろな意味で規制にぶつかることがある、それを克服する手だてをつくろうというものでございます。
 そのぶつかるという場合に、もちろん、具体的に当事者の方が今の制度の中ではそのビジネスが実現できない、いわゆる規制緩和が必要であるという場合もあろうかと思いますけれども、他方、新しいビジネスである場合に、どうしても既存の法令に照らしてそれが違法なのか適法なのかはっきりしない場合がございます。
 そうなりますと、やはり、違法なことをすると当然リスクがございますので、新しいビジネスに進出することをちゅうちょする、萎縮をするということがございます。そうした、規制が理由になって新しいビジネスに進出することをためらうことを少しでも緩和するということがこの制度の趣旨でございまして、そういう意味において規制改革の中に位置づけているということでございます。
○三谷委員 ありがとうございました。
 では、続きまして、企業再編について質問させていただきたいと思います。
 新しくできます産業競争力強化法は、基本的には産活法を受けて、それにさまざまな規制改革をつけ加えた法律ということで用意されているところでございます。そういう意味では産活法のころの事案が参考になるのかなというふうに考えております。
 先ほど、丸山委員が指摘されていましたけれども、PDCAサイクルをしっかりと回していくことが必要なんだろうというふうにまさに感じているところでございます。
 その中で、産活法というものを考えたときに、エルピーダメモリの案件が一つ大いに参考になるのではないかと思います。
 二〇〇九年にエルピーダメモリは産活法の適用対象となって財政的な支援を受けたけれども、その三年後の二〇一二年に会社更生法が申請されて、国に損害が生じた、雑駁に言うとこういうことでございます。その中で、幾らエルピーダメモリにお金が渡って、それで最終的に国に幾ら損失が生じたかということについて、簡単に事実確認だけさせてください。
○山田政府参考人 お答え申し上げます。
 産活法の出資円滑化制度でございますけれども、平成二十年に始まりましたリーマン・ショックによりまして資本が毀損した企業を支援するということで、市場の安定化、雇用の維持、確保を図ったものでございます。
 平成二十一年八月、エルピーダメモリに対しましてこの制度が適用されました。金融市場に一定の安心感が広がったと考えております。当時の金融情勢のもとでは、産活法の基準に沿いまして適切に支援を行ったものと認識をしております。
 実績でございますけれども、出資額として三百億円ということでございます。
 以上でございます。
○三谷委員 ちょっと事実関係に補足していただきたい部分があるんですけれども、それは僕の方で時間がないので申し上げますと、政策投資銀行から三百億円の出資、そして百億円の融資がなされたかと思います。そしてその中で、二〇一二年に会社更生法が申請をされて、その中で、三百億円の出資の方には政府系金融機関による保証が八割、百億円の融資の方には五割の政府保証がされていて、合計では二百八十億円の損失が国に生じたというふうに理解をしておりますけれども、それでよろしいでしょうか。
○山田政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生御指摘の点でございますけれども、出資に関しましては、出資残高といたしまして約二百八十億円でございます。その八割でございますので約二百二十七億円。融資に関しましては、約百億円でございますけれども、五〇%でございますので最大五十億円ということで、合計最大約二百八十億円ということでございます。
 以上でございます。
○三谷委員 三年間何とか支援をしようというような動きの中で、それが損失として出てきてしまった。結果責任を問うつもりは特にないんです。そうではなくて、そういった損失が出てしまったことをどのように次に生かしていくのかを、しっかりと考えていかなければならないんだろうと考えているわけでございます。
 その意味で、今回の、いわゆる産業競争力強化法案の事業再編に関する部分でありますけれども、何か判断が慎重になったですとか、そういった損害が生じないようにした点はございますか。
○西山政府参考人 お答え申し上げます。
 二点ございますが、まず、エルピーダメモリに適用されました、いわゆる出資円滑化制度でございます。これはもともと、今既にお話がございましたとおり、リーマン・ショックあるいは東日本大震災といったような、いわゆる危機対応ということでできた制度でございます。もちろん、全てということではございませんけれども、ある意味では危機の事態というのは一巡したところでございます。
 それから、その他の新しい制度といたしまして、例えば、現在名前が変わりまして地域経済活性化支援機構と言っておりますけれども、そういったような事業再生に関係するような仕組みもできたということ等々も踏まえまして、今、産活法において措置をされておりました出資円滑化制度そのものは、今回の法案によって廃止をすることになっております。
 第二に、今後の事業再編につきましては、この法案の中で、特に税制をうまく活用しようということで、親会社が事業部門を切り出して新しい統合会社をつくった場合に、可能性のある損失を準備金として前倒しで計上できるような損失準備金制度をうまく活用しながら、民間の主導で事業再編を進めていくような仕組みを新たに導入するということを御提案しているところでございます。
 以上でございます。
○三谷委員 ありがとうございます。
 出資というものが制度として廃止されていくという意味では、同じようなことにはならないということでございますし、事業再編というものの中で、減税をうまく利用していくということ自体は非常によろしいと考えております。
 しかしながら、現在、まだ残っている問題点といたしましては、どの事業再編をそういう減税措置を講じて支援していくのか、そこに政府が何らかの判断をしていくというところではないかと考えております。
 そういう意味では、エルピーダメモリと同じことは起きないかもしれません。しかしながら、効果が出ると思って応援した事業再編だけれども、効果が出ない結果に終わってしまうことは、まだ引き続きあるのかなと。政府系金融機関による債務の保証云々というような規定もまだこの法律の中には残っているところでございますから、そういった損失がこれから生じないように、心からお願いをいたします。
 残りの時間で、新事業、いわゆるベンチャー支援について御質問をさせていただきます。
 私の周りでも、新しく自分で会社を立ち上げている友達も、数多くはありませんけれども、それなりにいるところではございます。やはり日本だと、ベンチャーファンドの資金回収手段としてはIPOが一般的なのではないかと考えております。
 しかしながら、IPOしかエグジットがないとなかなかお金を投じにくいという指摘は免れないのではないかと考えておりますけれども、IPO以外にもエグジットを広げるような変更は行わないのでしょうか。
○茂木国務大臣 ダーウィンも進化論の中で、生き残っていく生物は、大きなものでも強いものでもなく、一番環境に対応できるものということです。地球上の歴史を見ても、カンブリア紀に生命の多様化が進む、その後、ジュラ紀そして白亜紀を経て、恐竜が闊歩する時代でありますけれども、地球に隕石が落ちることによって氷河期に入り、哺乳類が出てくるわけでありますけれども、そこで新しい新陳代謝が生まれるわけです。卵で産まない。新しい種の残し方として、そのまま胎盤の中に胎児を残すということになってくるわけであります。
 さまざまなオプションというのを、これからはやはりエグジットの中でも持っていかなければいけない、こんなふうに考えておりまして、IPO以外でも、MアンドA、そしてベンチャー企業の経営者による買い戻し、こういった方法が有望であると考えております。
 アメリカを見てみますと、ベンチャー企業の九割が事業会社とのMアンドAを出口としております。我が国でも、事業会社によるMアンドAを増加させていくということが極めて重要だと考えております。例えば、今回措置をいたしますベンチャー企業投資促進税制、これは事業会社等によりますベンチャーファンドへの出資を促進するものでありまして、資金回収手段の形態をもちろん問うわけでありませんけれども、投資先のベンチャー企業がベンチャーファンドを通じて事業会社とより身近な関係になるということによりまして、ベンチャー企業と事業会社のMアンドAを含めました事業の提携、資本の提携、こういったものも進むことを期待したいと思っております。
○三谷委員 まさにそこがうまくいくということになれば、もっともっとお金を投じやすくなると思いますし、ひいては日本の経済を強くすることに資すると考えておりますので、ぜひともその点は、いかなる形であれ進めていただきたいと考えております。
 残る時間、新事業に関してです。
 今回、規制の緩和という中で、産業競争力の強化という観点でいろいろな新陳代謝の幾つかのメニューが出ておりますけれども、残念ながら、雇用の流動化というもの、そして、きょう参考人の質疑の中で出ておりましたけれども、コーポレートガバナンスの強化、特に社外取締役の設置について、この法案の中で踏み込んでいらっしゃいません。
 しかしながら、その点について、私は、産業の新陳代謝、そして産業競争力の強化、その二つの点は極めて重要なのではないかと考えております。特に、きょう午前中の参考人質疑の中で新浪さんがおっしゃった女性の積極的な社会参加は、働き方の違い、雇用の流動化、そして雇用の自由化というところも含めて、やはりどうしても不可欠なのではないかと考えております。
 先ほど申し上げましたコーポレートガバナンスの強化、そして雇用の流動性を高めるというところについてどのように進めていかれるおつもりか。もう時間も極めて限られておりますので、お答えいただければというふうに思います。
○茂木国務大臣 産業の新陳代謝、そして失業なき労働の移動、成長産業への移動、これは車の両輪として進める必要がある、そんなふうに考えております。そして、コーポレートガバナンスの強化につきましては、産業競争力会議等々でも議論を進めておりまして、こういったことをさらに進めることが重要だと考えております。
○三谷委員 まさにその点なんです。重要だとお認めいただいたところでございますけれども、残念ながら、今回の法案でそこまで踏み込んでいただけていない。これは、国家戦略特区法案で解雇特区だ何だというような話で非常に非難が出てきたところにも一つの遠因があるのかもしれません。しかしながら、日本の経済にとって雇用の流動化は極めて重要なのではないか、改めてこの点については強調させていただきたいと思うんです。
 その中で、解雇ルールの明確化に踏み込んでいかれるおつもりか、その辺の御見解をお聞かせいただければと思います。
○西山政府参考人 既に、解雇ルールという言葉が適切かどうかわかりませんけれども、これも先生御案内のとおり、今提案されております国家戦略特区法案の中におきましても、特にプロ職に関しまして一定のルールを明確化しようといったような動きもございます。
 そうした点も含めまして、今回の法案との関係では、先ほど御質問のありました会社法、コーポレートガバナンスの問題等々を含めまして、これは必ずしも直接この産業競争力強化法案で取り組むものではございませんけれども、まさにこの中に位置づけます実行計画というものの中で、成長戦略の全体を受けてPDCAサイクルを回していくということになりますので、その中で雇用分野の改革についてもしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。
○三谷委員 あと二分残っております。その二分の間に、最後に、ベンチャーの開業率を何とか上げていくということについてお伺いできればと思っております。
 ベンチャー支援ですとかベンチャーの開業率を上げていくというのは、恐らくは規制改革と同じようにずっと前から、まあ二十年はいっていないかもしれません、十年間、ずっといろいろな内閣において言われてきたことだろうと思っております。
 その中で、どういうベンチャー支援策、開業率を上げる政策があるかといったら、こんな政策もあります、あんな政策もありますというようなメニューをお話しいただくことになろうかと思いますけれども、今私が聞かせていただきたいのは、今までの支援策ではある意味なかなか功を奏しなかった部分がある中で、それを超える政策を恐らく考えていただいていると思います。
 その中で、お金という部分では、先ほどベンチャーファンドというものの損失準備金への算入ということでの税制優遇があろうかと思いますけれども、その点以外に何かあれば教えていただければと思います。
○松島副大臣 税制や信用保証というのはいろいろと拡大してきました。
 それ以外のこととして、これは経済産業省が結構関係して取り組んでいることなんですが、例えば大学生に、起業はおもしろいんだ、起業の中で苦労をしたり、挫折をしたり、でも夢を持ってまた頑張ってやっていって、ある一定の成功をした。そういったことを大学生とか大学院生、若い人たちに話しかけていく場を、一つの例で申し上げますと、経済産業省とNPO法人の起業家教育ネットワークが一緒に主催しているんですけれども、ユニバーシティー・ベンチャー・グランプリという形で行っております。
 昨年の十二月に第一回目を東大で行いまして、このときは、例えば、ミドリムシをもとにして人類を救おうと思っていろいろな事業をやってうまく成長させましたユーグレナという株式会社、これは東大の学生から商社を経て独立した人ですけれども、この出雲さんという社長が講演しました。
 二回目はことしの十二月に、二十五歳の史上最年少で株式を上場させたリブセンスという会社の村上社長、これは人材派遣の会社ですけれども、この方に来てもらって開催する。それは早稲田でやるんですけれども、どこの学生でも来ていい。
 あるいは東大の中では、東大の産学連携本部が今申しました起業家教育ネットワークというところの協力を得て、これは対象は東大の学部生と院生なんですけれども、LINEの森川社長やケンコーコムの後藤社長が講師になって自分の体験を聞かせる。
 そういった中で、若い人の間に、何かおもしろいことをやってみよう、大企業に勤めるだけでなく、あるいは大企業に勤めてもどこかで飛び出してこういうことをやってみようというような気持ちを若いときから持ってもらう、そのお手伝いを経済産業省も今始めて、いろいろやっておりますけれども、一層これを活発にしてまいりたいと思っております。
○三谷委員 ありがとうございます。
 持ち時間が終了いたしました。産業の新陳代謝に向けて全力で取り組んでいただきたいと心からお願いしまして、終了させていただきます。ありがとうございました。
○富田委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 産業競争力強化法案について質問いたします。
 きょう午前中、参考人質疑がございまして、各参考人の方から貴重な御意見を賜りました。
 その中で、私は、企業実証特例制度を労働規制緩和のいわば一つのツールとして使うことについて、経団連の佐々木参考人と連合の神津参考人にお尋ねいたしました。経団連からは使えるものは使いたいというお話がございましたし、また、連合の神津参考人は、労働規制の緩和措置のツールとして使うことについては認められないということをおっしゃっておられました。
 本会議や先日の委員会でもこのことをお尋ねしまして、大臣は、企業実証特例制度を活用し、労働規制に関する規制緩和の提案があった場合には、事業所管官庁がその内容、必要性などを精査した上で、規制所管官庁である厚労省と協議、調整を行っていくことが想定されると述べ、前回の質問では、個別企業が求める労働規制に関する規制緩和提案については、事業所管官庁が受け付ける際に特段の制限はないということを確認いたしました。
 一方、規制官庁である厚労省は、労基法等に定めるルールは労働者が人たるに値する生活を営むための最低基準であり、企業によって差をつけることは困難と述べておりました。
 厚労省に改めて確認をいたします。
 厚労省としては、企業単位の労働規制の緩和は認められないという立場なのか、この点についてお答えください。
○大西政府参考人 一般的に申し上げまして、労働基準法などに定めます最低労働条件につきましては、労働者が人たるに値する生活を営むための最低基準としてひとしく保障される必要があること、あるいは企業間の公正な競争を確保する必要があることから、労働条件の基本的なルールにつきまして、企業によって差を設けることは一般的には困難であると考えております。
○塩川委員 労働法制の基本的なルールについて、企業によって差をつけることは困難という話でありました。
 日本再興戦略において、労働時間法制の見直しを掲げています。その中で、企画業務型の裁量労働制の見直しを求めております。
 厚生労働省にお尋ねします。
 この企画業務型裁量労働制の緩和については、日本経団連としても要望されていると承知しておりますが、その点についてお答えをいただけますか。
○大西政府参考人 お答えいたします。
 経団連の要望でございますけれども、四月に要望が出されたというぐあいに私どもは承知しております。
 その要望の中では、労働基準法が極めて画一的であり、企業実態を反映していない部分は、集団的な労使自治を尊重する仕組みに見直すべきということとした上で、個別の労働時間制度の規制改革を求めているというぐあいに承知しているところでございます。
 労働時間法制につきましては、サービス経済化とかグローバル化の進展といった経済社会の変化に対応するため、労使協定や労使委員会決議等を要件とする各種の弾力的な制度を設けてきたところでございますが、こうした制度改正の前提といたしましては、最低労働基準の確保を初めとする労働者の保護の観点を十分踏まえる必要があるものと考えております。労使の議論を尽くした上で対応してきたところでございます。
 御指摘の企画業務型裁量労働制につきましては、現在、労働政策審議会におきまして企画業務型裁量労働制を初めとして労働時間法制に関する総合的な検討を行っておるところですが、そうした検討に当たりましても、労働生産性の向上と同時にワーク・ライフ・バランスの観点もしっかり踏まえて進めているところでございます。
○塩川委員 労働時間規制の問題について、経団連として裁量労働制の弾力化などを要望しているわけですが、私は、労働時間規制の緩和というのは、そもそもこれ以上の緩和をやっていいのかというのが大きな問題だと思うんですね。
 現在も長時間労働せざるを得ないフルタイム労働者の過重労働が一層深刻になる、長時間労働というのが、仕事や家庭生活の両立が困難になること、少子化を加速すること、過労やメンタルヘルスといった問題を引き起こすということで、過労死や過労自殺が増加傾向にあるということも問われなければなりません。こういう長時間労働を一層拡大しかねない規制緩和はそもそも認められないと考えます。
 大臣にお尋ねします。
 日本経団連の提言では労使自治の尊重を強調し、例えば、企業実証特例制度の活用において、労使の協議が調えば安全性等を確保する措置が実施されているということで、企業単位の規制緩和も可能ということになりはしないかという懸念を覚えるわけですが、大臣のお考えをお聞かせください。
○茂木国務大臣 企業実証特例制度につきましては、これまでも答弁申し上げておりますように、分野の制限というのは設けてございません。
 ただ、労働規制に関する提案がどれくらい出てくるかとなると、恐らくでありますけれども、電動の自転車の話とかを例で出していますけれども、私は、例えば、エネルギーの分野、それから社会保障、公的保険の隣接分野、予防医療であったりとか、そういった分野の提案は相当ふえてくるんじゃないか。これから健康長寿社会をつくっていく、そういう中での新しいビジネスであったり、現在の三・一一以降のエネルギー制約を乗り越えるための新しい事業展開、こういったものを期待いたしております。
 その上で、労働基準法に定めるルール、これは御案内のとおり、最低の基準であります。ただし、労使合意のもとで、その最低基準に反しないものについて企業ごとに定められている場合もある。
 例えば、労働時間については、一週間四十時間以内というルールがありますが、労使合意を行った企業については、その時間を延長して労働させることができるようになっております。
 また、賃金の支払いについても、通貨で直接支払わなければならない、こういうルールがあるわけでありますが、労使合意を行った企業については、賃金の一部を、持ち株会での株式の購入費用などとして、控除して支払うことができることとされているわけであります。
 したがいまして、仮に、企業実証特例制度において、労働規制に関する新たな規制の特例の提案があった際、事業所管省庁において、当該提案が最低基準を逸脱するものではないと判断される場合には、規制所管省庁である厚生労働省と協議、調整を行っていくことを想定いたしております。
○塩川委員 現行の労働時間規制の緩和、労使合意、その実態というのは、結果として長時間労働をつくり出しているというところにこそ目を向けるときで、私は、そういうものをさらに緩和する方向では行うべきではない、現時点でも労働団体からはこの企業実証特例制度を労働規制緩和のツールとして使うことは認められないという、国民合意がないままで進むのかということを指摘しておくものです。
 次に、産活法の生産性向上の問題についてお尋ねいたします。
 産活法では、計画の認定基準として幾つか指標を設けて、企業の生産性向上の数値目標を求めているわけです。
 そこで、経産省にお尋ねします。
 最も活用されている事業再構築計画は幾つか生産性向上の指標を持っていますけれども、その中に、ROE、株主資本利益率の向上というのも掲げていると思います。その点、確認させてください。
○西山政府参考人 お答え申し上げます。
 産活法では、今お話のございました事業再構築計画も含めまして、生産性の向上度合いを客観的に判断できるように、複数の認定基準を選定しているところでございます。
 今お尋ねの事業再構築計画につきましては、いわゆるROE、有形固定資産回転率、それから従業員一人当たり付加価値額の三つを指標として示しておりまして、そのいずれかが計画期間中に、具体的には三年間でございますけれども、達成する度合いというのを確認しているところでございます。
○塩川委員 例えば、ROEにおける生産性向上の目標の達成状況というのは、どんな感じかわかりますか。
○西山政府参考人 今手元にあります資料では、計画別、指標別ということにはなっておりませんけれども、総じて申し上げれば、平成十一年の産活法の制定以来、平成二十五年十月一日の時点で、全省庁で六百九件、経済産業省分で四百件の計画を認定しておりますけれども、経済産業省が認定し計画が終了した約三百五十件のうち、八割超が計画期間中に法律の求める生産性の向上のうち少なくとも一つを達成しているというふうに認識しております。
○塩川委員 ROE向上を含めて、指標に定めたものについて八割が達成しているという話であります。
 産活法の認定において、株主利益の増加につながる企業の生産性向上の目標の一つとなっているのがROEの向上でありますが、今、資本の構成において外資の株式保有比率が高まっているという状況にあります。
 金融庁にお尋ねいたします。
 外国法人等の投資部門別株式保有比率について、上場企業についての調べがあると思うんですけれども、二十年前の一九九二年度と直近の二〇一二年度における外国法人等の比率がそれぞれ何%かについて、教えていただけますか。
○遠藤政府参考人 お答えいたします。
 証券取引所が本年六月に公表いたしました調査結果によれば、投資部門別株式保有比率の推移におけます外国法人等の比率でございますけれども、一九九二年度、平成四年度は六・三%でございます。それに対して、平成二十四年度は二八・〇%となっております。
○塩川委員 外国法人等の株式保有比率について、一九九二年度が六・三%、二〇一二年度が二八・〇%ということで、この二八・〇%というのは、これまで最高だった二〇〇六年度を上回って、過去最高の水準ということであります。
 資料を配付させていただきました。
 一枚目に「投資部門別株式保有比率の推移」を載せてあります。ごらんいただくとわかりますように、上場企業の株主の構成は、この間、外国法人の比率が大きく増加しております。
 あわせて、二枚目以降をごらんいただきますと、これは、日本経団連役員企業の大株主の上位十社について掲載したものであります。経団連役員企業の株主構成を見ると、産活法の認定を受けている企業も多いわけですけれども、二枚目が、一九九〇年時点の経団連役員企業の大株主上位十社です。網かけをしているところが外国資本ということですけれども、昭和シェル石油を除けば、大株主は皆国内資本だったわけです。
 三枚目と四枚目が、二〇〇六年度の日本経団連役員企業の大株主上位十社で、網かけをしている外国資本の割合が非常にふえているというのが見ていただけると思います。ステート・ストリート・バンク・アンド・トラスト・カンパニーとか、ザ・チェース・マンハッタン・バンク・NA・ロンドンとか、幾つものこういった外国資本の名前が見てとれるわけです。整理できているのがこの二〇〇六年の時点までのデータでありますけれども、現状を見ても同じ傾向にあるということが言えます。
 そこで、大臣にお尋ねします。
 先日の質問への大臣の答弁で、企業活動が国際化するに従って株主や従業員、顧客などのステークホルダーも多様化する、そうなると、相対的に企業は特定の国の利益のみを優先しづらくなると述べておられます。
 ここにありますように、外資の比率が高まることによって、その企業の利益とその国の国民の利益が一致しなくなるのではないのか。この点については、大臣、どのように受けとめておられますか。
○茂木国務大臣 お配りいただいた資料ですけれども、二つのポイントに注意する必要があると思うんです。
 大株主の一位、二位等々を並べていただいておりますけれども、例えば、三分の一以上の株を持つ、過半数の株を持つということで決定的に経営に影響力を及ぼす状態にはなっていない、このように思います、この数字からは。
 もう一点、こういった株式といいますか、海外からの投資は、日本の企業だけではなくて、外資系の企業そのものも同じような形でありますから、外資系の企業もグローバル化して、一つの国の、アメリカの企業であろうとも、アメリカの国益だけを代表する立場ではなくなっている。
 そういった意味で、双方においてこういったグローバル化が進んでいる、このように理解いたしております。
○塩川委員 一九九二年の通商白書の指摘もそうだと思うんです。
 ある国の資本による企業の利益がその国民の利益と一致する度合いが減少しつつある。かつては、一国の企業活動の活発化はその国の雇用を増大させ、豊富な財を提供することによって国民生活に貢献するものであった。しかし、国際展開が進んだ企業は、資本の国籍にかかわらず、現地の市場を中心として財、サービスを提供する。したがって、自国籍企業の収益向上が直接に国民生活と関係するところは、収益の分配が主として当該国の投資家に対して行われるという点に限定されていく傾向を有する。さらに、投資家が国際的に分散していけば、その意味すら失われる。
 これが九二年の通商白書の指摘であります。
 ですから、株主が外資中心になるということで、企業の利益とその国の国民の利益と一致する度合いが一層減少していくという、九二年の通商白書の指摘どおりの事態が進んでいるのではないかと私は思うんですが、重ねていかがでしょう。
○茂木国務大臣 まず一点、数字の上からいいますと、それだけ顕著な割合かという問題が一つあります。さらに申し上げると、今、国際的に一つの製品をつくるとなっても、サプライチェーンがアジア全域に広がる等々によりまして、その一つの製品をつくる上での各国の役割分担も特に進んでいるわけでありまして、そこの中で、いかに例えばマザー工場の機能を日本に残すか、さらにはキーデバイスについては日本で製造する、こういったことがより重要な国益につながる状況になってきているのではないか。
 まさに今、日本再興戦略においても、この産業競争力強化法案においても進めようとしていることは、グローバル展開が企業で進む中で、そこの中で一番日本の企業が、また国民にとって収益が上がる、利益を持続的に確保できる、こういった戦略を着実に実施していくことだと思っております。
○塩川委員 ここに一九九九年九月三十日付の日本経済新聞があるんですけれども、「トヨタ、NY・ロンドンに上場」「資本の国際化推進」「ROE一〇%目指す」と。ですから、当時五%、六%というトヨタのROEについて、倍以上にしようということがある、これが紹介されているわけです。
 一方で「問われる日本的経営」という見出しも立っているように、私は、株主資本利益率の向上を掲げて外資を初めとした株主の利益向上を目指すことが、その企業にとって、労働者や下請取引業者、地域社会などとの矛盾を拡大せざるを得なくなるのではないのか、この法案は、そういう矛盾を包含する、一層拡大するものになるのではないのかということを指摘しておきます。
 九二年の通商白書はもう一つ指摘をしておりまして、国家の産業競争力が当該国企業の産業競争力と厳密に一致しなくなっていると述べているわけで、まさにそのような事態が生まれているのではないのか、このことを指摘しておくものであります。
 残る時間で、ファンドの問題について何点かお尋ねします。
 金融庁にお尋ねします。
 本会議で麻生大臣にもお答えいただきましたが、日本で販売された内外ファンドの運用財産額は、平成二十五年三月末で二百十一兆円であります。その中で、集団投資スキームは約十五兆円となっています。この点はちょっとわかれば教えてほしいんですけれども、平成二十四年度の集団投資スキームにおいて、商品分類別の販売額、ビークル別の販売額というのは、今お手元に資料はありますか。
○池田政府参考人 ただいまのお尋ねは、国内で販売された集団投資スキームの販売額と……(塩川委員「商品分類別の販売額」と呼ぶ)販売額ということでございますと、全体が平成二十四年四月から二十五年三月までの間で一兆四千二百二十六億円でございます。
 その商品分類額の内訳は、不動産ファンドが四千百七十五億円、現物ファンド、これは事業ファンドを含みますが、これが千三百五十四億円、バイアウトが千二百二十九億円、ベンチャーが四百五億円、事業再生が三百七十二億円等となっているところでございます。(塩川委員「続けてその後もちょっと紹介してください。メザニン以降も」と呼ぶ)さらに、メザニンが三百三十八億円、ファンド・オブ・ファンズが三百二十億円、ヘッジファンドが百四十億円、その他五千八百十四億円となっているところでございます。
○塩川委員 経産省にお尋ねしますが、今回の法案で、ベンチャーファンド支援との関係で、事業拡張期のベンチャー企業に投資する、ハンズオンも行う、こういったこの法案で支援するファンドについてですけれども、これは投資事業有限責任組合法、LPS法で定める投資事業有限責任組合だと思います。
 今、金融庁の方で紹介してもらったビークルの中で、このビークルとの関係では、この法案で取り上げているLPSに、ビークルとして排除されているものは何かあるんでしょうか。
○西山政府参考人 お答えを申し上げます。
 まず、産業競争力強化法案に基づいて、この税制の対象になりますのは、いわゆるLPS、投資事業有限責任組合ということになります。その中で、この法案のもとでは、特に事業拡張期のベンチャーに対して投資を行い、なおかつ、それを育成するという意味で、それに対する経営支援能力をきちんと有しているものというものを対象にしております。
 したがいまして、そういう要件を満たさないものは対象にならないということでございます。
○塩川委員 そうなると、例えばバイアウトですとか再生ファンドとか、こういったものについては一応含み得るということでよろしいですか。
○西山政府参考人 繰り返しになりますけれども、基本的には、事業拡張期のベンチャーに対して投資するもの、それを目的とするものを対象にいたしますので、それに該当しないもの、基本的には、いわゆる事業再生とかバイアウトというのはそういうことではないというふうに認識しておりますので、そういうものは対象にならないということであります。
○塩川委員 ただ、いわゆるベンチャーファンドに限定されているものではないと。今言った要件に合致すれば、LPSであれば対象だよということになっているわけですね。
○西山政府参考人 やや繰り返しになりますけれども、今回の税制の対象になっておりますファンドというのは、基本的には事業拡張期のベンチャー企業に投資するということを事業活動の内容としているファンド、LPSということに相なりますので、例えばそのファンドがいわゆる事業再生案件ということに投資することを事業活動の内容にしているということであれば、それは今回の計画認定あるいは税制の対象にはならないということであります。
○塩川委員 続きはあした行います。
 ありがとうございました。
○富田委員長 次回は、明十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十九分散会