第186回国会 本会議 第2号
平成二十六年一月二十八日(火曜日)
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 議事日程 第二号
  平成二十六年一月二十八日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
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○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時二分開議
○議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。
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 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(伊吹文明君) 国務大臣の演説に対する質疑を行います。まず、海江田万里君。
    〔海江田万里君登壇〕
○海江田万里君 民主党代表の海江田万里です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表し、安倍総理の施政方針について質問します。(拍手)
 なお、総理の答弁によっては再質問することをあらかじめ申し上げます。
 うま年のことし、年男の安倍総理は、郷里の山口で、障害を力強くひらりと越えていく駿馬のようにと述べられました。しかし、最近の総理の路線は、立憲主義と平和主義を軽んじ、格差と貧困を放置しているように感じられ、駿馬ではなく、暴れ馬の感がいたします。
 総理が施政方針演説の冒頭で触れられたネルソン・マンデラ元大統領は、平和主義に基づく差別の撤廃、格差と貧困の是正を目指しましたが、安倍総理の目指すところは相当に違いがあるのではないでしょうか。
 お尋ねします。
 安倍総理は本当に、故マンデラ大統領とみずからの進む道は同じだとお考えでしょうか。総理の言う障害とは何ですか。そして、障害を乗り越えた先の日本では、立憲主義と平和主義、格差と貧困はどうなりますか。お答えください。
 私が思うところ、安倍総理の進む道、世の中を変える先には、三つのリスクがあります。
 第一は、経済です。
 一見順調に見える安倍経済政策も、金融緩和と円安誘導、大企業優遇と財政出動による公共事業の大盤振る舞いがその実態です。
 総理が出かけたダボス会議。会議に先立って発表されたグローバルリスク報告書一四年版では、二〇一四年に世界が直面する最大のリスクは所得格差問題の悪化だと指摘しています。しかし、総理のダボスでの冒頭演説は、所得格差の問題には一言も触れられていません。
 今、世界でも日本でも大きな課題となっている所得格差の拡大、格差と貧困の定着を打破する決意と処方箋が一番の課題です。総理自身の言葉で、決意と具体策をこの場で改めて語っていただきたいと思います。
 第二の不安とリスクは、外交です。
 ダボスで、第一次世界大戦前の英独関係と今日の日中関係を同一視した発言が物議を醸しました。欧米のマスコミは総理の発言に驚愕しています。
 フィナンシャル・タイムズの社説は、一九一四年の欧州と現在の比較そのものを日本の総理大臣が容認したということは、ぞっとするほど恐ろしい、扇動的だとしています。
 マスコミは事実を伝えていないなどと責任転嫁する前に、例えが不適切であったことを認め、日本と中国は絶対に武力衝突をしない、私は絶対にさせない、日本はアジアの近隣諸国とは再び戦火を交えないと、この場で断言すればいいのです。ぜひおっしゃっていただきたい。それは、今、日本国民が最も聞きたいことでもあります。
 そして、安倍リスクの第三は、国のあり方であります。
 総理は戦後レジームの解体を唱えていますが、そうなるとはもちろん私も考えたくもありませんが、しかし、閉鎖性と統制色の強い戦前の社会に戻ることの懸念をどうしても払拭することができません。
 その危うさが秘密保護法制定に如実に示されています。総理は、秘密保護法案の強行採決の翌朝、嵐が過ぎ去った感がしたと語りました。驚くべき感覚であります。
 秘密保護法強行採決に危惧の念を抱く国民の声、メディアの声は嵐ですか。正直にお答えいただきたいと思います。
 安倍総理、民主党は、国民の知る権利、報道の自由を守るよう抜本的に改正する、情報公開法改正案と公文書管理法改正案を今国会で成立させることが、揺らいだ信頼を回復する唯一の道と考えますが、総理は、検討に値しないと切り捨てますか、そんなものは要らないと否定されますか。お答えください。
 もう一つ憂慮すべきことがあります。
 公共放送NHKの新会長が、就任会見で、従軍慰安婦の問題を記者に聞かれて、それはどの国にもあった話ですと答えて、フランスやドイツ、あげくの果てにはオランダにも言及しています。この議場での引用をはばかる恥ずべき発言であります。慌てて取り消したようでありますが、取り返しがつかないと言うべきでありましょう。
 このNHK会長の暴言は、河野談話を素直に肯定しない安倍総理の思いが乗り移ったのでしょうか。この暴言をどう受けとめますか。NHK会長は総理の任命ではないといって、このまま看過するのでしょうか。事は公共放送のあり方にもかかわります。明快な見解をお示しください。
 総理の対中関係、対韓関係にかける思いを伺います。
 総理は、ドアは常に開かれていると言いますが、その実、あかずの扉にしています。言うだけで何もしないのでは、誰も言っていることを信用しません。
 具体的にお答えください。日中、日韓の緊張を緩和するために、いつ、どう行動しますか。何もせず、挑発的言動を繰り返すだけでしょうか。
 もう一つ、日本政府が一貫して目指してきた国連常任理事国入りは、安倍政権になって近づいたのでしょうか、それとも遠のいているのでしょうか。端的にお答えください。
 総理は、地球儀を俯瞰する外交を吹聴していますが、あなたの地球儀では、黒く塗り潰された部分があります。しかも、我が国の近隣にあります。大変残念なことであります。
 安倍総理の歴史認識と挑発は、米国やEU諸国からも憂慮されています。総理自身が、村山談話、河野談話を真摯に、素直に認め、歴史認識を明確にし、戦前の侵略と植民地支配について反省の気持ちを率直に表明すべきですが、まだ我を通し続けるおつもりでしょうか。
 安倍総理が自身の総理在任中に拉致問題を解決するとした公約の実現のためにも各国の協調は必要でありますが、総理は、そうした国々といさかいを続けて拉致問題の解決をどう図るのか、はっきりお示しください。
 総理の靖国神社参拝は、国益上、正しい行為でしょうか。国民の心は安らいだでしょうか。諸外国の国民は、安倍総理の行動に賛同しているとお考えでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 そして、自民党の総裁特別補佐は、安倍総理の靖国神社参拝に絡んで、アメリカ政府が失望の念を表明したことについて、共和党政権のときはこんな揚げ足をとったことはなかった、民主党のオバマ政権だから言っていると発言したとの報道があります。この発言は、自民党の共通認識であるのか、安倍総裁の認識であるのか、お答えをいただきたいと思います。
 総理は、靖国参拝について、批判されても責任を果たすと強弁していますが、責任ある態度をとられるなら、この議場で、総理在任中はもう行かないのか、また行くのか、明言されてはいかがでしょうか。ここは、はっきりと態度表明をすべきではないでしょうか。
 昨年十月、米国のケリー国務長官とヘーゲル国防長官は、そろって千鳥ケ淵の戦没者墓苑を訪れ、献花しました。外国の政治家も含め内外の人々がわだかまりなく戦争で亡くなった方々を追悼できる国立追悼施設をつくることは、我が国と国民にとってプラスにこそなれ、マイナスにはなりません。
 総理は、国立追悼施設をつくることには、なぜ後ろ向きなのか。アメリカの高官が、靖国神社に行かず、千鳥ケ淵墓苑で献花したことに、総理は失望をしているのかどうか、どうぞお考えをお示しください。
 さらに、経済外交について、今もなお、TPP交渉については、国民に何も情報開示されていません。自民党の選挙公約、安倍総理の国民との約束は、果たして守られるのか。保険や自動車、重要五品目、国民皆保険と食の安全など、政府・与党方針に変更はないのでしょうね。総理、自民党総裁として、改めてお約束ください。
 第二次安倍内閣では、積極的平和主義という言葉が多用されるようになりました。
 先日の施政方針演説では、フィリピンの台風被害への自衛隊の緊急支援、アデン湾での海賊対処行動、日本のODAなどを例示しました。これが積極的平和主義の内容ならば、これまでの我が国の国際貢献そのものであり、わざわざ積極的平和主義などと粉飾しなくても済むのではありませんか。一体、何が違うのでしょうか。
 わざわざ積極的平和主義と名づけて何をしようとしているのか、また、積極的平和主義との主張がどうしてアジアの隣人や欧米諸国から不信の念を持って見られるのか、総理の説明を求めます。
 韓国のPKO部隊への弾薬提供は、武器輸出三原則の例外として説明されました。トルコとは戦車のエンジンを共同開発する話が進んでいると聞きます。フランスとも協議中との話です。武器輸出三原則は、どこまで緩和するのですか。その原則と方針を具体的に示してください。
 さらに、防衛大綱には、「弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる」とありますが、一体何を意味するのか、明らかではありません。
 武器輸出や敵基地攻撃について、安倍内閣としてどうしたいのか、総理の明快な所見を伺います。
 中国との間では、常態化する領海侵犯、国際ルールから逸脱した防空識別圏の設定など、安全保障面でも課題が山積しています。
 民主党も、こうした中国の、力によって現状変更しようとする行為に対し、強く抗議を行っています。
 政府は、あらゆるルートを使って、海上連絡メカニズム、防衛ホットラインなど、偶発的なケースも含めた危機時のルール化について中国側と協議すべきだと考えますが、総理の見解をお示しください。
 普天間飛行場の移設をめぐって、昨年末、仲井真知事が辺野古埋立申請を承認しました。
 知事は、安倍総理に、五年以内の普天間飛行場の運用停止や地位協定の改定を求めましたが、安倍総理は、この要請について、日米首脳会談でオバマ大統領に直接談判するつもりはありますか。はっきりお答えいただきたいと思います。
 また、先日の名護市長選挙で、自民党の石破幹事長は、五百億円の振興基金構想を突然ぶち上げましたが、現職が当選するや、これを事実上ゼロベースに戻してしまいました。こうした利益誘導のような、選挙目当てと受け取られかねない言動が、辺野古移設のため住民理解を求める誠意ある対応でしょうか。
 安倍総理は、自民党総裁として、この五百億円振興基金構想について、どう考え、どのような責任を果たされるのか、お答えください。
 安倍総理は、戦後レジームからの脱却をなし遂げるためには憲法改正が不可欠だとみずからのホームページに記載しています。一方で、憲法改正ではなく、解釈改憲、すなわち憲法解釈を変更することで、集団的自衛権の行使を容認しようとしています。
 総理、集団的自衛権の行使については、なぜ解釈改憲を目指すのでしょうか。また、解釈改憲が成ったら、もう明文改正の主張は取り下げるのですか。明確にお答えいただきたいと思います。
 そして、安倍総理は、二度目の総理就任直後、最初に行うことは九十六条の改正だと明言をしています。この考え方は、今や撤回されたのでしょうか。やはりまず九十六条改正を目指すのでしょうか。それとも、解釈改憲という手段をとるおつもりでしょうか。具体的にお答えください。
 礒崎総理補佐官は、集団的自衛権の行使について、今国会中に内閣法制局の解釈変更の発表で済むと述べているようでありますが、これが総理の考えでしょうか。これも明確にお答えいただきたいと思います。
 さらに、国民投票法における十八歳投票権は、どうするのでしょうか。自民党内の抵抗が激しく、公明党の顔も立てなくてはならず、当初は二十歳、四年後には十八歳以上とするともされていますが、これが与党としての責任ある国民への提案なのでしょうか。自民党総裁として、責任を持って御説明ください。
 間もなく、東日本大震災から三年になろうとしています。総理は二〇二〇年には新しい東北の姿を発信すると言いましたが、国土強靱化の名のもとに全国で公共事業が展開され、被災地では、人件費、資材費が高騰し、入札不調が相次いでいるのが現状です。
 総理は、こうした実態と隘路を具体的にどう克服していくのか、お示しいただきたいと思います。
 昨年、安倍内閣は、復興加速化に向けた指針を決定されました。その柱は、避難者全員帰還の原則を断念し、帰還困難区域の住民には慰謝料を追加する一方、避難指示解除区域においては早期帰還を促すというものであります。
 しかし、これは福島再生への加速なのでしょうか。
 総理がアンダーコントロールだと国際社会に宣伝した汚染水問題は、今も解決していません。除染や廃炉、被災者への補償も遅々として進みません。
 こうした問題にどう取り組み、東京オリンピックをも通じて福島の再生、原発事故被災者の生活再建を実現するのか、この場で明確にお答えください。
 さて、エネルギー基本計画がいまだに閣議決定されず、安倍政権のエネルギー政策に関する方針が示されていないのはなぜでしょうか。
 安倍政権では、原発を重要なベース電源と位置づけるという議論が行われていたと承知しております。
 先般の施政方針演説で、総理は、安全規制を満たした原発は再稼働させるという趣旨のことを述べた一方で、原発依存度は可能な限り低減させると言われましたが、具体的な目標や工程は、いつお示しいただけるのでしょうか。また、可能な限り低減させるとは、将来的には脱原発を目指すということなのか、そうではないのか、明確にお答えいただきたいと思います。
 さかのぼってみると、自民党の二〇一二年の衆議院選挙公約には、原子力に依存しなくてもよい経済社会構造の確立を目指すとあります。しかし、昨年の参議院選の公約には、このような表現はなく、原子力政策への信頼を取り戻すとあります。これでは、自民党は、原発をやめるのか進めるのかを迷ったあげく、原発神話に回帰するように聞こえ、自民党のエネルギー政策は信用できません。
 こうした政策の変化に対する自民党総裁の御説明をお聞かせいただきたいと思います。
 福島第一原発の事故以来……(発言する者あり)
○議長(伊吹文明君) 言っていることが正しいかどうかは、よく聞かないとわからないから、皆さん、静かに聞いてください。
○海江田万里君(続) 福島第一原発の事故以来、四百五十五の地方議会が脱原発を求める意見書を可決しているとの報道がありました。菅官房長官は原発は国全体で取り組むべき政策課題だと言われましたが、正確には国でも地域でも取り組まれる問題であり、巨大与党の独断が許される政策ではありません。
 今後、この脱原発を求める地方の声にどのように応えていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
 それにしても、東京都知事選挙に絡み、安倍総理を含めて、原発問題は東京都の政策課題ではないという合唱の声が聞こえます。それは東京都民が選択すべきことであります。その東京都民にプレッシャーをかけることが政府のとるべき態度なのか、お答えください。
 同時に、オリンピック組織委員会会長が、就任前とはいえ、六年先の五輪のためにはもっと電気が必要だ、今から原発ゼロなら五輪を返上するしかなくなる、世界に対して迷惑をかけるなどと発言していますが、オリンピックを政治と絡めるのでしょうか。総理は、東京都民が脱原発を支持するならオリンピックは返上するべきとお考えなのでしょうか。お答えください。
 次に、経済です。
 安倍内閣が華々しく打ち上げた大胆な金融緩和、機動的な財政政策は、今では、燃料費や原材料費の高騰など、円安のマイナス面で国民生活を圧迫しつつあります。
 総理は企業優遇で賃金アップが実現するというシナリオをダボスでも強調されましたが、賃上げが、一部企業にとどまらず広範なものになるという根拠は一体何ですか。そして、その賃上げが雇用の安定をもたらし、ワーキングプアと言われる非正規労働者が正規雇用に改善され、基本給そのものが安定的に引き上げられ、可処分所得がたとえなだらかではあっても年々改善されると約束できるのでしょうか。お答えいただきます。
 政府の経済見通しでは、一四年度の物価上昇は三・二%です。これより賃金上昇率が低ければ実質的に賃金は低下することになりますが、本当に三%を上回る賃金上昇の実現が可能なのでしょうか。そして、どのようにして実現するのでしょうか。大企業も中小企業も、大都市でも地方でも、正規社員も非正規労働者も、賃金は三・二%以上上がると言えるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 雇用の安定によって消費を拡大することこそが、持続的な経済成長の本道であると考えます。しかし、安倍政権は、解雇の金銭解決制度、限定正社員の制度化、解雇特区など、解雇しやすくすることばかりに熱心です。
 安倍政権は、正社員を減らし、一生派遣のまま働かざるを得ない労働者をふやす規制緩和を行おうとしています。このような改悪は絶対に認められません。働く人たちの反対を押し切ってでもこの改悪を行うのか、総理に伺います。
 正社員になることを希望する派遣社員の方々に、安倍総理は、派遣でよいではないかと胸を張って言えるのでしょうか。総理の見解を伺います。
 派遣社員から正社員、有期雇用から無期雇用への転換をしにくくする安倍政権の政策は、若者や女性を支援する安倍政権の方針と逆行するのではないでしょうか。総理はどう説明されるのか、お示しください。
 政府の産業競争力会議では、幾ら働いても残業代が払われないホワイトカラーエグゼンプションの導入が検討されています。総理は、ただ働きを励行し、長時間労働によって仕事と子育ての両立を妨害するつもりでしょうか。総理の見解を伺います。
 安倍総理が重視している教育における英語や留学の支援も、教育の機会平等という大もとを大事にしないと本末転倒です。
 雇用の不安定化によって、格差が拡大し続けています。年収四百万円以下の家庭では、大学進学率が三割しかありません。
 まずは雇用を安定化させ、教育格差を是正するのが、あるべき教育政策ですが、総理の答弁を求めます。
 総理は、女性が輝く日本を目指すと言います。
 パート、非正規労働、男女賃金格差に苦しんでいる女性にとって、正規雇用になること、社会保険に加入できること、賃金差別を解消することが、輝くための具体的方策であります。
 女性の正規雇用を強力に進め、そのための税制や社会保険制度のゆがみ、女性差別を解消する道こそ、女性の能力が発揮される道です。安倍総理の御主張は、普遍的な女性重視ではなく、一部の女性にしか視点を当てていません。
 安倍総理は、パートや派遣、非正規労働に従事する女性が輝くためにどのような具体策をお持ちか、お示しいただきたいと思います。
 消費税率の引き上げに際しては、増収分は全額社会保障に充てる、そして、増収分の二割を社会保障の充実に配分することが、民自公の三党合意によって消費税法を成立させたときの政府と国民との約束でした。
 しかし、安倍政権になり、来年度、社会保障の充実に充てられるのは、国、地方合わせて、増収分五兆円の一割に満たない五千億円弱だけでおしまいです。政党間協議でも、自民党、公明党は、のらくら逃げ回っています。
 なぜ、一割弱にとどまるのか、国民との約束をほごにするのか、安倍総理、そして三党協議の当事者としての自民党総裁に、政府と与党としての見解を伺います。
 年金制度の充実について伺います。
 安倍総理は、施政方針演説で、将来にわたって安心できる年金制度を確立しますと断言されました。
 では、非正規雇用の方々が厚生年金に加入できず、国民年金の滞納率が高い状況、低年金、無年金になる人がふえている問題について、どのように説明し、どのように対応し、安心できる年金制度を確立するのか、その説明なくしては施政方針演説は空文句と言わざるを得ませんが、総理の明快な説明をお願いします。
 安倍政権では、社会保障の充実よりも、負担増と給付カットの議論ばかりが先行しています。
 難病対策をライフワークと言っている安倍総理が、難病や小児慢性疾患の患者の一部に対して医療費の負担増を求める方針です。難病指定はふやすが、対象拡大に見合っただけの予算をふやさないのは、朝三暮四にも似たトリックではないでしょうか。
 私は、昨年十二月、佐賀県難病相談・支援センターを訪問しました。そこで、難病患者は生命を維持するために電気代や水道料金など一般の家庭以上に大きな負担がかかっている、新たに医療費の負担がかかると、死ねと言われているようなものだという悲痛な叫びを聞きました。
 ぎりぎりのところで生活されている患者の方々に、どうやってふえる費用を捻出しろというのか、安倍総理からこの場で患者と家族に明確にお示しいただくことを求めます。
 さらに、給付カットの中で私たちが最も心配しているのは、要支援者の介護サービスを介護保険事業から外して市町村に移管する、要支援切りであります。要支援者が適切なサービスを受けられずに重度化し、家族の介護の負担がふえてしまいます。
 なぜ、このような冷たい措置をとるのでしょうか、また、全ての女性が活躍できる社会をつくると言いながら、働く女性を現場からリタイアさせ、働き盛りの四十代、五十代の男性の介護離職を増大させる政策をとるのか、安倍総理の言うこととやることがどうしてこうも逆行するのか、総理の答弁を求めます。
 消費税率の引き上げに伴う低所得者対策も、不十分と言わざるを得ません。
 四月から消費税が引き上げられますが、影響を緩和するための給付金の給付時期は自治体に丸投げで、給付が大幅におくれて、家計や景気に悪影響が出る可能性が大であります。
 総理、消費税の引き上げは四月です。この給付措置こそ、今年度中に実施されなければならない施策のはずです。総理は給付金をいつ給付すると約束するのか、答弁を求めます。
 そして、二十七年度以降の給付方針が示されないままの一回限りの給付金では、人々は安心して消費できなくなってしまいますが、安倍総理から明確な方針を国民に御説明ください。
 消費税引き上げの眼目は、社会保障を充実すると同時に、財政を健全化することでもあります。
 平成二十五年度補正予算と来年度の予算を合算すると、来年度予算案の真の姿は百一兆円、空前の規模です。大盤振る舞いをすることによって、財政再建の道筋をますます困難なものにしてしまっています。
 安倍総理は、消費税の増収の上にあぐらをかき、野方図なばらまきで財政再建を放棄したのでしょうか。どのようなスケジュールで、どうやって財政を再建するのか、はっきりお示しください。
 また、復興法人特別税の前倒し廃止によって八千億円の減収になりますが、連帯ときずなから黒字企業が離脱することに、引き続き所得増税に耐えなければならない国民は納得しているでしょうか。総理の所見を伺います。
 消費税増税という形で国民に負担を求めるからには、政治家みずから身を切る改革が必要と何度も各政党が表明してきました。しかし、残念ながら、安倍総理のもとで一向に進んでおりません。
 自民党は具体的な提案をしているといつも言いわけされますが、実現していないという現実があります。提案を実現するのは、まず巨大与党の責任です。自民党総裁としてどう対処するのか、明確な御説明を求めます。
 議員定数削減のみならず、安倍内閣の行政改革への取り組みそのものが極めて後ろ向きと言わざるを得ません。安倍内閣においても天下りあっせんは行っていないとしながらも、現実に、官僚の天下りはなし崩し的にふえています。公務員人件費の削減については、人事院任せとなっています。
 天下りの増大をどうするのか、国の出先機関の廃止など地域主権改革はいかに進めるのか、公務員の労働基本権付与と総人件費の削減を具体的にどう進めるのか、明快にお示しください。
 最後に、総理は、施政方針演説で、責任野党に言及されています。安倍総理がやりたいことに賛成し、すり寄ってくる野党はよい野党、安倍総理のやりたいことに反対し、厳しく批判する野党は悪い野党とでも言いたいのでしょうか。
 私は、与党の誤った政治、国民を顧みない政策と厳しく対峙し、常に国民に対案を提示し、選挙で政権交代を目指す野党が、真の責任野党であると考えます。
 安倍総理と真正面から対峙し、国民の命を守り、雇用を守り、暮らしを守る政治をたゆまず追求することが、責任政党の姿であり、民主党が目指すところであります。
 私たちは、平和と自由と民主主義を脅かす動きに対しては断固として闘うと宣言して、質問を終わります。
 御清聴に感謝します。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 海江田万里議員にお答えをいたします。
 全部で四十六問、御質問をいただきました。
 まず、乗り越えるべき障害とは何か、障害を乗り越えた先の日本はどうなるのかとのお尋ねがありました。
 御質問にあったように、立憲主義と平和主義を軽んじ、格差と貧困を放置する人が、私も含めて、この会場に一人として存在するでしょうか。存在するわけはありません。
 立憲主義はもとより、平和主義を堅持し、そして貧困と格差のない社会を目指すべきは当然であります。しかし、それは、単なる願望のまま終わってはなりません。その実現のために、私たちは行動を起こさなければなりません。
 日本は少子高齢化の課題に直面しています。成熟した日本が改革を進める、これは大いなる挑戦であります。格差や貧困の問題は、一時しのぎの、現金をただばらまくだけでは解決しません。頑張れば報われる、失敗してでも何度でも挑戦できる、そして誰にでもチャンスが満ちあふれる社会を、皆さん、つくっていこうではありませんか。
 日本社会も、世界も、大きく変化しています。戦後六十八年もの時代の変化を捉えて、日本が目指すべき国の形を、皆さん、私たちの憲法に取り込もうではありませんか。
 平和国家としての日本の歩みをこれからも守り続けていくために、世界の平和と安定に、これまで以上に責任を果たしていかなければなりません。
 全ては国家国民のため、ともに建設的な議論を行いながら政治を大きく前に進めていくよう、改めてお願いを申し上げる次第であります。
 格差と貧困の解決に向けた決意と具体策についてお尋ねがありました。
 格差については、格差が固定しないと同時に、誰もが何度でもチャンスがあるということが重要であり、頑張る人は報われる社会をつくっていかなければなりません。
 また、弱い立場に置かれた方々には、自助自立を第一としつつ、共助と公助を組み合わせて、しっかりと援助の手を差し伸べていかなければなりません。
 また、我が国は、長年にわたりデフレが継続し、賃金も伸びていませんでした。こうした中で、特に低所得の方々の生活に大きな影響が出ています。
 このため、政府としては、デフレ脱却・経済再生に向け、企業収益が雇用拡大や所得上昇につながる経済の好循環を実現し、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしてまいります。
 ダボス会議における私の発言についてお尋ねがありました。
 二度と戦争をしてはいけない。当たり前のことであります。ダボス会議でも、私は、そうなってはならないということを述べました。会議におられた日本のマスコミ関係者の方々にお聞きいただければ、私の発言に何の問題もなかったことがおわかりいただけると思います。
 特定秘密保護法についてのお尋ねがありました。
 特定秘密保護法については、さまざまな御議論を経て成立したものであり、その過程で伺った御意見を真摯に受けとめ、今後とも、同法について、国民の皆様に丁寧に説明を重ねるとともに、その適正かつ効果的な運用が図られるよう、施行準備を進めてまいります。
 情報公開と公文書管理についてお尋ねがありました。
 情報公開や公文書管理は、行政が国民に対し説明する責任を果たすために重要なものであり、今後とも、両者がともに適正かつ円滑に実施されるよう取り組んでまいります。
 NHK新会長の就任会見での発言についてお尋ねがありました。
 放送機関のトップが行った個別の発言について、政府としてコメントすべきではないと思います。
 新会長を初めNHKの職員の皆さんには、いかなる政治的な圧力にも屈することなく、中立公平な放送を続けてほしいと願う次第であります。
 日中、日韓関係についてのお尋ねがありました。
 韓国については、ダボス会議で、朴槿恵大統領の講演を聞きに行き、会場で、尹炳世外相を初めとする韓国政府幹部の方々と挨拶し、握手を交わしました。
 中国については、我が方からは、不測の事態の発生を回避するため、防衛当局間の海上連絡メカニズムの運用を早期に開始することを中国側に提案し、その回答を促しています。
 このように、私の方からは、中国、韓国には積極的に働きかけを行っております。対話に応じてくれることを期待しております。
 我が国の国連安保理常任理事国入りについてのお尋ねがありました。
 政府としては、昨年六月に安保理改革に関する日・アフリカ首脳会合を主催するなど、改革の早期実現に取り組んでおります。
 来年は国連創設七十周年の節目の年であり、我が国の常任理事国入りに向けて、安保理改革の機運を高めていきたいと考えております。
 歴史認識についてお尋ねがありました。
 歴史認識については、累次の機会に申し上げてきたとおり、我が国は、かつて、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えてきました。その認識においては、安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えであります。
 戦後、我が国は、その深刻な反省の上に立って、自由で、民主的で、基本的人権や法の支配をたっとぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり、平和国家として歩んできました。その歩みは今後も変わりません。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 拉致問題については、全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き締める日が訪れるまで、私の使命は終わらないと考えております。
 これまでも、首脳レベルも含めた、二国間、多国間の場等の機会を捉えて、拉致問題を提起し、協力を要請してきており、今後も、関係各国と連携しつつ、拉致問題の解決に向けて全力を尽くす考えであります。
 靖国神社参拝についてお尋ねがありました。
 国のために戦って、とうとい命を犠牲にした方々に対し、尊崇の念を表し、みたま安かれなれと御冥福をお祈りすることは、国のリーダーとして当然のことであり、世界共通のリーダーの姿であると考えています。各国には、謙虚に、礼儀正しく理解を求めてまいります。
 他方、私は、この問題を、政治問題、外交問題化させるべきではないと考えております。私が参拝するかしないか、また、本件についての諸外国の立場について、こうした場で申し上げることは差し控えたいと考えております。
 国立追悼平和祈念施設について、外国の意向をそんたくして決めるというものではなく、遺族の皆様を初め、多くの国民の皆様に理解され、敬意を表されるものであることが重要であります。さまざまな御意見があり、慎重に見きわめていきたいと考えております。
 TPPについてお尋ねがありました。
 我々が選挙でお示しした公約は、たがえてはならないと考えています。
 農産品のいわゆる重要五品目については、衆参の農林水産委員会の決議をしっかりと受けとめ、全力で交渉に当たります。国民皆保険、食の安全、安心などについても、交渉を通じて守っていかなければならないと考えます。
 守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求するという方針に、何ら変更はありません。
 積極的平和主義についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増しており、脅威は、容易に国境を越えてきます。もはや我が国のみでは我が国の平和を守ることはできません。地域や世界の平和を確保していくことが不可欠です。
 このような認識のもとに、我が国は、これまで以上に積極的に国際社会の平和と安定に寄与していきます。これが積極的平和主義です。
 具体的には、新たに策定された国家安全保障戦略に示されています。これまで、ASEAN諸国や欧米諸国を初め多数の諸国から、我が国の積極的平和主義を歓迎し、支持するとの反応を得ています。
 武器輸出三原則や弾道ミサイル発射手段に対する対応についてお尋ねがありました。
 武器輸出三原則については、国家安全保障戦略に従い、同原則等がこれまで果たしてきた役割にも十分配慮した上で、移転を禁止する場合の明確化、移転を認め得る場合の限定及び厳格審査、目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保等に留意しつつ、武器等の海外移転に関し、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めることとしています。
 また、弾道ミサイル攻撃への対応については、防衛計画大綱において、北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上を踏まえ、我が国の対処能力の総合的な向上を図ることとしております。
 弾道ミサイルの発射手段等に対する対応能力のあり方についても、日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対応能力の強化を図るよう、さまざまな観点から検討を行った上で、必要な措置を講じてまいります。
 中国との危機管理体制についてお尋ねがありました。
 第一次安倍政権の際に、日中首脳会談において、防衛当局間の連絡体制を強化し、不測の事態の発生を防止することで意見の一致を見ました。その後、防衛当局間のホットラインを含む海上連絡メカニズムについて大筋合意しましたが、いまだ中国はその運用開始に同意していません。
 不測の事態の発生を回避するためには、防衛当局間の危機管理体制を整備することが急務であり、中国側が運用開始に応じるよう、働きかけを続けてまいります。民主党側も、中国側に働きかけていただきたいと思います。
 沖縄の負担軽減策についてお尋ねがありました。
 沖縄の負担軽減は、日米同盟にとっても重要な問題です。米国を初め、相手のあることではありますが、沖縄県知事からの御要望については、政府を挙げて、その実現に向け全力で取り組んでまいる所存であり、日米間においては、首脳レベルを含め、引き続きさまざまなレベルで議論してまいります。
 名護市を対象とした振興基金の構想についてのお尋ねがありました。
 基金の創設については、今後、沖縄県を初め沖縄関係者間で検討されるものと考えます。
 いずれにしても、政府としては、引き続き、名護を初めとする北部地域の振興に全力で努めてまいります。
 集団的自衛権及び憲法改正についてのお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの認識のもと、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われており、まずは、この懇談会の議論を待ちたいと考えています。
 政府としては、懇談会から報告書が提出された後に対応を検討することとなりますが、懇談会では今後詰めの議論が行われていくこととなっており、期限ありきではなく、まずは、しっかりと議論を深めていただきたいと考えています。
 また、憲法九十六条の改正については、国会による憲法改正の提案を容易にし、国民投票で国民が判断する機会を得やすくするものと考えていますが、実際にどの条項から改正していくかについては、国民的な議論の深まりの中において判断されるべきものと考えております。
 国民投票権年齢についてお尋ねがありました。
 国民投票制度のあり方については、憲法の改正に対する国民の主権行使に関する、いわば憲法改正の土俵とも言えるものであります。
 私は、与党のリーダーシップにより、各党各会派での議論を加速させ、国民に責任ある提案がお示しできるよう、早期に結論を得てまいりたいと考えております。
 被災地における復興事業の進め方についてお尋ねがありました。
 被災地の復興を加速化するため、政府としては、これまで、復興大臣のもとにタスクフォースを設置し、人材や資材の不足に対応するため、発注規模の大型化や生コンクリートのプラントの増設などを行ったほか、実勢価格を適切に反映するため、労務単価を引き上げるなどの加速化措置を打ち出してまいりました。
 今後とも、人材や資材の状況を注視しながら、復興事業の円滑な実施のための対策をきめ細かく講じてまいります。
 福島の再生、原発事故被災者の生活再建について、どのように実現するのかについてお尋ねがありました。
 政府では、昨年末に、帰還に向けた取り組みの拡充と新たな生活の開始に向けた支援の拡充の両面から福島を支援する、予防的、重層的な汚染水対策の実施など東京電力福島第一原発の事故収束に向けた取り組みを強化する、国が前面に立って原子力災害からの福島の再生を加速するという、三つの方針を打ち出したところです。
 今後、この方針を踏まえて、地元とも十分に協議しながら、福島復興の道筋を具体化してまいります。
 避難指示の解除、早期復帰を実現し、あわせて、帰還困難区域を初めとした地域については、新しい生活を始めるために必要な追加賠償を行うとともに、復興拠点を整備してまいります。
 また、御指摘いただいたオリンピック、パラリンピックは、東京だけでなく、福島を初めとする被災地を含めた日本全体が活力を取り戻す大会となるよう、全力で取り組んでまいります。
 エネルギー基本計画や原子力政策についてのお尋ねがありました。
 原発については、徹底した省エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度は可能な限り低減するというのが基本方針です。これは、これまでの自民党の公約や自民党・公明党連立政権合意を踏まえた、一貫した方針です。
 しかしながら、電力供給における海外からの化石燃料への依存度が第一次石油ショック当時よりも高くなっているという現実を考えると、そう簡単に、原発はもうやめる、もうやめたというわけにはいきません。
 エネルギー基本計画については、責任あるエネルギー政策の構築を目指して、さまざまな御意見を踏まえて徹底的に検討し、与党ともしっかり調整した上で決定することとしており、特定の期限を設けているわけではありません。
 原発依存度を含む日本の将来のエネルギーミックスに関しては、再生可能エネルギーの導入状況、原発再稼働の状況などを見きわめ、できるだけ早くエネルギーのベストミックスの目標を設定していきたいと考えています。
 脱原発に関する地方の声、都知事選、また、オリンピックについてお尋ねがありました。
 原発については、各地域においても、原発に依存しない社会の実現を望む声がある一方で、原発がない場合のエネルギー供給への不安や地域経済への影響の懸念など、さまざまな議論があると認識しております。
 原子力を含むエネルギー政策は、国民みんなの課題であり、さまざまな機会を捉えて議論が行われるのは望ましいことであります。こうしたさまざまな御意見を踏まえつつ、国民生活と経済活動を支える、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。
 二〇二〇年のオリンピック、パラリンピックについては、どなたが都知事になられても、東京都や大会組織委員会としっかりと連携して、大会の成功に向け、全力で取り組んでまいります。
 賃金の上昇についてお尋ねがありました。
 まず、来年度の消費者物価については、政府経済見通しにおいて三・二%程度の上昇、そのうち、消費税率引き上げによる影響を除くと、一・二%程度の上昇を見込んでいます。
 政府としては、日本経済において景気回復の裾野が着実に広がる中、経済の好循環を実現し、全国津々浦々で頑張って働く方々の所得の増大につなげてまいりたいと考えています。
 このため、所得拡大促進税制の拡充や復興特別法人税の一年前倒しでの廃止を決定するとともに、政労使会議において、労使は、物価の動向等も勘案しながら十分な議論を行い、企業収益の拡大を賃金上昇につなげていく、職場のニーズに応じたステップアップのための多様な形態の正規雇用労働を実現するといった共通の認識に至り、好循環実現に向けた確固たる土台を築くことができました。
 具体的な賃金の水準等は個別労使間の交渉を通じて決定されるものでありますが、今後は、こうした共通認識も踏まえ、労使間で賃上げの実現や非正規雇用の方々の処遇改善等に向けた十分な議論が行われ、賃上げ、上昇が幅広く実現するものと期待をしているところであります。
 私たちの政策によって初めて、賃上げの機運が盛り上がってきたわけであります。この道しかないということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。
 労働者派遣制度や有期雇用の見直しについてのお尋ねがありました。
 労働者派遣制度の見直しは、派遣労働者のキャリアアップを支援するとともに、事業を全て許可制とすることにより、健全な事業者の育成を図るものです。
 また、派遣期間の設定については、労使双方にとってわかりやすい制度とする観点から行うもので、御指摘のように、一生派遣のままで働かざるを得ない労働者をふやすために行うものではありません。
 また、有期雇用の見直しは、プロジェクト業務などにおいて、高度で専門的な人材の雇用を円滑に進める観点などから行うもので、御指摘のような、有期雇用から無期雇用への転換をしにくくするために行うものではありません。
 今後とも、非正規から正規へのキャリアアップの支援を進めることなどにより、若者、女性を含め、頑張る人たちの雇用を拡大してまいります。
 産業競争力会議における労働時間制度の見直しに関するお尋ねがありました。
 産業競争力会議における労働時間制度の見直しの検討は、長時間労働の抑制、仕事と子育ての両立も視野に入れたワーク・ライフ・バランスの促進、時間ではかれない創造的な働き方ができる仕組みを三位一体で目指すものであります。
 具体的には、例えば、職務の範囲が明確で、高い職業能力を持つ労働者に適合した弾力的な労働時間制度を構築することとしており、ホワイトカラーの方々を広く対象とするいわゆるホワイトカラーエグゼンプションとは、その考え方が異なるものと考えています。
 雇用と教育格差についてのお尋ねがありました。
 雇用については、非正規雇用労働者のキャリアアップ支援などを進めることにより、その安定化を図ってまいります。
 また、高校無償化制度に所得制限を導入し、それによる財源で低所得者層への支援策を充実するほか、奨学金や授業料免除等の拡充を通じて家庭の教育費負担の軽減を図り、教育格差が生じないよう支援してまいります。
 女性の非正規雇用対策についてのお尋ねがありました。
 女性労働者の半数が非正規雇用であり、女性の活躍を推進するためにも、非正規雇用対策は重要な課題であると考えます。
 非正規雇用の方々は、能力開発の機会が乏しく、セーフティーネットが不十分であるなど課題も多いため、非正規から正規へのキャリアアップを支援するための助成金の拡充、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、パートタイム労働者の処遇の改善などにより、労働環境の改善を進めてまいります。
 消費税率の引き上げによる社会保障の充実についてお尋ねがありました。
 消費税の増収分のうち何割を充実に充てるかについては三党合意はなされていませんが、来年度以降の増収分は、民主党政権時と同様に、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げに充て、残余についても、それ以外の社会保障の安定化と社会保障の充実に向けることとしております。
 社会保障の充実に向ける金額は、消費税収の増加に応じて段階的に拡大していくこととしており、消費税の三%引き上げ分についても、来年度は、子育て支援、医療サービスや難病対策などに約〇・五兆円を向けますが、平成二十七年度には、介護サービスの充実を含め、一・三五兆円程度を向け、さらなる社会保障の充実に活用してまいります。
 年金制度についてのお尋ねがありました。
 年金制度については、消費税により安定財源を確保することにより、基礎年金国庫負担の二分の一への引き上げを恒久化し、持続可能で安定的な制度としてまいります。
 また、低年金、無年金、保険料の滞納などの問題については、社会保障・税一体改革の中で、受給資格期間の短縮や短時間労働者への厚生年金の適用拡大などを進めるとともに、保険料の収納対策等の強化を行うなど、着実に対応してまいります。
 難病対策や介護保険制度についてお尋ねがありました。
 難病や小児慢性特定疾患の方々への新たな医療費助成については、大幅に予算を拡充し、対象疾患を大幅にふやすほか、重症者や子供の自己負担については軽減を行うとともに、現在の受給者については経過措置を講ずることなどの配慮を行いつつ、公平で安定的な制度としてまいります。
 介護保険については、要支援者への多様なサービスを市町村の実情に応じて柔軟かつ効率的に行うために給付を見直すこととしており、要支援切りといったものではありません。また、あわせて、住みなれた地域での暮らしを継続できるよう、在宅介護サービスの充実などを行うこととしております。
 これらの改革を通じて、受益と負担の均衡を図りながら、必要な人に適切なサービスが提供される制度としてまいります。
 簡素な給付措置についてお尋ねがありました。
 簡素な給付措置は、消費税率の引き上げに際し、低所得者に与える負担の影響に鑑み、税制抜本改革法に基づき、暫定的、臨時的措置として実施するものであります。
 給付については、所得情報の把握など、体制が整い次第、可能な限り早期に開始していただくことを市町村にお願いしています。また、国としても、制度の周知広報を幅広く行っていくことにより、市町村における支給事務が円滑に行われるよう支援してまいります。
 また、簡素な給付措置の平成二十七年十月以降の取り扱いについては、税制抜本改革法に基づき、低所得者に配慮する施策の検討状況等を踏まえ、検討してまいります。
 財政再建の道筋についてお尋ねがありました。
 平成二十五年度補正予算は、本年四月からの消費税率引き上げに伴う反動減の緩和及びその後の成長力の底上げ等を目的とし、早期の執行を期して編成したものであり、年間を通じて必要な行政経費の全てを盛り込む平成二十六年度予算とは目的が異なるため、両者の規模を合算して論ずるのは適当でないと考えます。
 その上で、平成二十五年度補正予算においては、国債の追加発行を行わずに財源を確保しております。また、平成二十六年度予算においては、一般会計の基礎的財政収支について、中期財政計画の目標を上回る五・二兆円の改善を実現し、新規国債発行を一・六兆円減額しており、これらは経済再生と財政健全化を両立した予算であると考えております。
 なお、当初予算で見ると、民主党政権において編成された三回の予算で、一般会計の基礎的財政収支は合計十一・八兆円悪化し、その後、安倍内閣のもとで編成した予算で、合計六・九兆円改善しております。
 引き続き、二〇一五年度における国、地方の基礎的財政収支対GDP比半減、二〇二〇年度における黒字化目標の達成に向けて、歳出歳入の両面の取り組みを強力に進めてまいります。
 復興特別法人税の前倒し廃止についてのお尋ねがありました。
 日本経済全体を持続的な成長軌道に乗せることは、今後の被災地の経済復興のためにも必要です。
 復興特別法人税の廃止は、足元の経済成長を賃金の上昇につなげるきっかけとするために決定したものであり、企業に対し、復興に係る負担にかわり、賃上げを通じて、被災地を含む日本経済の再生のための役割を果たすように求めるものであります。
 このため、産業界への賃上げの要請等を行ってきたところであり、国民の皆様の理解を得るためにも、賃上げを実現し、景気回復の実感を全国津々浦々にお届けしたいと考えております。
 議員定数削減についてお尋ねがありました。
 議員の定数に関する問題は、議会政治の根幹にかかわる重要な課題であり、与党がリーダーシップを発揮し、各党各会派と真摯に議論を行い、早期に結論を得ることが大切と考えております。
 衆議院の選挙制度改革については、自由民主党から、国会のもとに民間有識者による第三者機関を設けることなど、膠着状況を打破するための提案をしております。各党各会派にも御協力をいただき、建設的な議論を進め、国民の負託にしっかりと応えてまいる所存であります。
 行政改革についてお尋ねがありました。
 国家公務員の再就職については、再就職等監視委員会による監視のもと、再就職の押しつけ等の不適切な行為を厳格に規制し、天下りを根絶してまいります。
 地方分権改革については、事務、権限の移譲等についての一括法案を今国会に提出し、着実に進めてまいります。
 公務員への労働基本権付与については、多岐にわたる課題があることから、これまでの経緯などを踏まえ、引き続き慎重に検討する必要があります。
 総人件費については、我が国の厳しい財政状況に鑑み、給与体系の抜本改革、定員管理の徹底などにより、引き続きその抑制を図ってまいります。
 安倍政権においては、国民の負託に応え、引き続き、しっかりと行政改革に取り組んでまいります。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 海江田万里君から再質疑の申し出がありますが、申し合わせの時間の残り時間がごくわずかであります。
 議長の判断で再質問を認めますので、海江田君には簡単にお願いいたします。
    〔海江田万里君登壇〕
○海江田万里君 それでは、議長からの指示もございますので、ごく手短にお話をいたします。
 一つは、礒崎総理補佐官が、集団的自衛権の行使について、内閣法制局長官の解釈変更の発表で済む、今国会中にということでありましたが、それは答弁が漏れていますので、御指摘をします。答弁いただきたいと思います。
 あとは、何点かありますけれども、一つだけにいたしますと、沖縄の、幹事長の五百億円の振興基金構想でありますが、これに対して、総理は、それは沖縄自身が考えることという形で切り捨てて言っておりますが、これは、沖縄に交付をしております一括交付金の中でやってくださいということなのかどうなのかということ、このことを改めて、はっきりここで答弁をいただきたいというふうに思っております。
 まだたくさんございますが、議長の指示でございますので、この点だけにとどめます。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう既にお答えをしておりますが、改めて申し上げます。
 まず、礒崎補佐官に関する質問でございますが、政府としては、懇談会から報告書が提出された後に対応を検討していくことになります。
 もう一問でございますが、五百億円の振興基金についてでございますが、これはまさに、基金の創設については、今後、沖縄県を初めとする沖縄関係者間で検討されるべきものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 次に、石破茂君。
    〔石破茂君登壇〕
○石破茂君 自由民主党を代表して、安倍総理の施政方針演説に対し質問をいたします。(拍手)
 第二次安倍政権が発足してから一年余り、総理の、日本を取り戻すという強い決意のもと、さまざまな分野において掲げた政策は、確実にその成果を上げつつあります。
 多数の議席を有する安定政権は、ともすれば、強引な政権運営というような批判にもさらされます。総理の、この道しかないとの強い決意のもと、より多くの方々の御理解を得て政策を確実に実現させていくために、今まで以上に謙虚で丁寧な政権運営、国会運営を心がけなければなりません。そのことを、我々自由民主党は強く肝に銘じておるところであります。
 野党の皆様方におかれましても、国民的な広い視点に立ち、建設的な御議論を賜りますよう、切にお願いを申し上げます。
 昨年の参議院選挙における国民の審判により、六年ぶりに衆参のねじれ現象が解消されました。衆議院解散はあくまで総理の専権事項ではありますが、次期参議院選挙が行われる二年半後までは国政選挙がないと想定される中にあって、政策の優先順位を明確にし、期間内に着実にこれを実行することが強く求められます。
 選挙を意識する余り、人気取りのポピュリズムに堕するようなことがあっては断じてなりませんし、短期間に、あれもやろう、これもやろうなどという拙速も厳に戒めなければならないのであります。国民から安定的な議席をいただき、時間的な猶予を与えられたというのは、まさしくそういうことなのであります。
 経済成長と財政再建を両立させるための好循環の実現、そして被災地の復興、総理の示されたこの優先順位は、まさしく国民が求めているものであり、一つ一つ着実に政策目標を達成することで、いま一度、政治と国民との信頼関係を取り戻していかなくてはなりません。安倍政権はそれができる政権なのであり、そのために我々自民党は引き続き全力を尽くしてまいります。
 三月十一日で、あの東日本大震災、大津波、原発事故から三年を数えます。いまだ二十七万人を超える被災地の方々がことしの正月を避難先で迎えられたという現実を我々は直視しなければなりません。
 総理は、就任以来、毎月一回被災地を訪問するなど、地域の人々に寄り添う姿勢で、復興に向けて積極的に取り組んでこられました。
 我が党としても、大島理森前副総裁を本部長とする復興加速化本部が政府に対して三度にわたる提言を行うなど、政府・与党と一体となった取り組みにより、農地や漁港の整備、災害公営住宅への入居など、復興が進みつつあります。
 新たな局面を迎えた被災地からは、市町村の担当者や現場の技術者、技能者等の人材不足、資材不足等へ対応するための切実な要望が数多く寄せられております。このような声に確実に応え、一日も早く平穏な生活を取り戻していただけるよう、引き続き取り組んでまいる必要があります。
 東京オリンピック・パラリンピックを、長く続いた経済の低迷からの脱却と、大震災、大津波、原発事故からの復興の輝かしい象徴としなくてはなりません。世界じゅうの方々が日本を訪れる二〇二〇年には、東北が日本をリードし、日本が世界をリードしている、そのような夢を現実のものとしなければならないのであります。
 残された六年余りで我々は何をなすべきか、いかなるスピード感を持ってこれに臨むか、改めて、総理の復興加速化に向けた具体的な方針を承ります。
 原子力災害を受けた福島の復興再生をさらに加速させることは特に重要であります。長期避難者の方々への手厚い支援を行いつつ、今後の人生設計に明確な指針を示して選択肢を提示するとともに、事態の収束に向けて、国と事業者が一丸となって、汚染水・廃炉・風評被害対策や除染の加速化に取り組むことが政権の責務です。お考えを承ります。
 安倍政権として、ことしの最優先課題は、経済の好循環の実現であります。
 大胆な金融緩和、機動的な財政政策、この成果には目覚ましいものがありました。論より証拠であり、野田前総理が解散を表明した一昨年十一月十四日の日経平均株価は八千六百八十四円、現在は一万五千円前後までに上昇し、対ドル為替レートも、七十九円五十一銭であったものが、百円を超える水準にまで達しております。
 達成すべき目標は、デフレ不況から完全に脱却し、雇用や所得を拡大させることであります。なぜ、日本だけが長期にわたるデフレから脱却できなかったのか。生産年齢人口が減少していることも大きな要因の一つではありますが、それは多くの先進諸国においても見られる現象であります。
 日本だけで起こっている現象は、名目賃金の低下であります。一九九五年から二〇一〇年までの間、アメリカの名目賃金は一・七倍、ユーロ圏でも一・四倍になっておりますが、日本の名目賃金は、この間に一割下がっております。
 賃金が下がれば購買力が落ちる、購買力が落ちれば消費が減る、消費が減れば結果的に過剰生産となり、在庫がふえ、価格が下がる、これをカバーするためにまた賃金が下がり、雇用が減る、そのような悪循環が起こっていたのではないでしょうか。
 好循環を実現するためには、この逆を実行しなければなりません。需要不足を解消しない限りデフレは脱却できないのであり、そのためには賃金を上げなくてはならないのだと考えております。景気がよくなったから賃金を上げるのではなく、賃金を上げなくては景気がよくならないのであります。
 昨年、経済に明るさが戻ってきたことには、大胆な金融緩和によって長期金利が低下し、国債の消化が円滑となり、これが機動的な財政出動とマッチングしたことが大きく寄与いたしております。統計を子細に見れば、円安で輸出が増加したのでも、製造業の設備投資が増加したのでもないことがわかります。
 第一、第二の矢によって生み出された時間的な余裕を何としても生かし、第三の矢である経済成長政策を実効あらしめることが、決定的に重要であります。それは、消費税率が引き上げられてもなお経済が失速しないことを実現するものでなくてはならないのであります。
 政府は、手品師でも魔法遣いでもございません。しかし、政府としてできることは全てやり抜くという決然たる意思のもとで、これまであらゆる政策を総動員してきましたし、これからもそうあらねばなりません。今後は、民間がこれに応えていただくことが必要であり、内部留保はそのためにこそ活用していただきたいのであります。
 内部留保は企業の業態により大きな違いがあり、特に中堅・中小企業においては、経営が厳しくなったときの備えとして内部留保を厚くしているという事情のあることもあわせ考え、経済の好循環実現に向けた総理の見解を承ります。
 来年十月から消費税を一〇%に引き上げることを定めた税制抜本改革法は、附則において、経済状況を好転させることをその条件といたしております。
 平成二十七年度の予算編成のスケジュールを勘案すると、本年七月から九月期のGDPの伸び率が明らかになるのが十一月であることから、引き上げの判断時期は十二月になるものと思われますが、この時期、その際重視すべき点、また、逆進性緩和のあり方につき、総理の考え方を承ります。
 法人実効税率を引き下げる環境づくりに正面から取り組むとの姿勢を政権が示すことは、成長戦略への強いコミットメントを市場や企業に伝えるという大きな意味があります。
 一方において、法人税を引き下げる際には、課税ベースの拡大や減価償却の厳格化が必要となりますが、課税ベースの拡大は、限界税率を引き上げ、投資を抑制することともなり、デフレ脱却の阻害要因となることも指摘されております。
 法人税率の引き下げは、新規の投資を行っていない企業にもメリットが及ぶことを考え合わせると、デフレで実質金利が高どまり、投資が抑制されている間は投資減税を先行させ、その間に、法人税改革に向けた姿勢を鮮明にした上で、徹底した議論を行い、確実に改革につなげていくことが望ましいと考えますが、総理の御所見を承ります。
 総理は、成長戦略の中核として、全ての女性が活躍できる社会をつくることを挙げておられます。経済の成長には、労働力の増加、生産設備の増加、技術の向上が必要であり、そのためには、高い能力を持つ我が国の女性の力が不可欠であります。
 これ以上の少子化を食いとめるためにも、女性にとって仕事と子育てを両立できる環境をつくっていくことが必要です。二〇一七年末までに保育所などの定員を約四十万人分ふやして待機児童を解消すること、三年間の育児休業取得を実現することなどは、その意味から大きな意義を持つものです。
 同時に、女性の社会進出を阻んでいるのは、日本社会特有の長時間労働も大きな要因であることを指摘しなくてはなりません。
 女性は、出産、育児と長時間労働との間で厳しい選択を迫られているのが現状です。三年間休職することで労働市場での女性の地位が下がりかねないことに不安を感じている女性がいることも、また事実であります。
 男性が家事に携わる時間が長いほど第二子以降が生まれるとの諸外国の統計もあります。これまで生産に費やしてきた時間を消費に回すことは、生産と消費の不均衡の是正にも寄与しますし、消費の拡大にもつながります。独身の男女が出会う時間をふやすことで、未婚率の減少も期待されます。
 男女ともに、長時間労働を改め、新たなライフスタイルを構築すべく、従来我々が持っていた価値観から脱却するための強力な施策が必要なのではないでしょうか。総理の御見解を承ります。
 成長戦略を推進していく上で、また、経済の好循環と所得の拡大、財政健全化を実現するためにも、エネルギーの安定供給体制の確保は不可欠であります。
 現在、日本国内全ての原発が停止し、火力発電所などで代替をしておりますが、これらにかかる化石燃料費として、年間約三・六兆円、一日に換算して約百億円の国富が海外に流出をいたしております。
 昨年の貿易統計が過去最大の十一・四兆円の赤字となったのも、円安とともに、原油などの輸入額が急増したことが大きな要因となっております。
 今後、円安が進めば、この額はさらに膨らみ、生産コスト増となって輸出に対する円安効果を減殺するばかりか、輸入物価の上昇等により、国内産業と消費の大きな圧迫要因になるおそれがあります。
 これを放置すれば、総理が成長の大きなエンジンの一つと位置づける賃上げも困難となりかねません。賃上げどころか、さらなるコスト削減、リストラを迫られかねないのであります。
 現在、日本のエネルギー自給率は六%であります。あの一九七三年のオイルショック当時のエネルギー自給率は八・二%。あの当時よりもエネルギー自給率が低いという事実を、我々はもっと深刻に考えるべきであります。
 今、停電という事態が生じないのは、一にかかって現場の努力によるものであり、中東で何かが起こったとき、老朽化した火力発電所の運転に支障が生じたときに、改めて事態の深刻さに気づくのでは遅いのであります。
 我が党も、再生可能エネルギーの比率を高め、原発の依存度を可能な限り引き下げることを公約といたしております。しかし、現状においてなお不安定かつ高コストの再生エネルギーの比率を上げていくためには、それを可能とする経済力が必要なのであります。
 それを生み出すためにも、最高度の安全性が確認された原発を稼働させ、その経済力をもって再生可能エネルギーのコストを下げ、安定性を向上させるべきなのだと考えますが、そこへ至る具体的な道筋を明確に示すことが必要であります。
 原発がとまっていることは安全であることとイコールではなく、その事実を踏まえれば、原発ゼロというのは、スローガンではあっても、政策ではありません。さればこそ、使用済み核燃料最終処分のあり方についても、方針を明らかにしなければなりません。
 我が国の国際競争力を低下させることなく、国民生活を支える、責任あるエネルギー政策を構築すること、あわせて、今後の原子力エネルギーのあり方について国際的なルールを制定するために我が国が先導的な役割を果たすことも、我が国が国際社会に対して果たすべき責務であると考えます。
 今後のエネルギー政策について、総理の御所見をできる限り具体的にお示しください。
 TPPについては、日米両国が交渉の早期妥結を目指す方針で一致し、鋭意協議を行っていると承知しております。
 両国の意見にはまだ隔たりがあると認識しておりますが、我々が国民に約束し、国会においても決議された、重要五品目は必ず守る、攻めるべきは攻めるとの確固たる方針のもと、具体的な着地点を見出していくことが必要です。
 昨年、政府は、米の生産調整の廃止を視野に入れるとともに、農地集積バンクに代表される、生産現場の構造改革を決定いたしました。
 守るべきは、消費者に負担を負わせて農産物の高価格を維持することではありません。重要品目の関税撤廃は断固阻止しつつも、コストを削減し、付加価値を高め、輸出を拡大し、農業、農村の所得を向上させることによって、消費者と生産者との間にウイン・ウインの関係を築き、農業、農村の持続可能性を維持することこそが、達成すべき至上命題なのであります。
 食料自給率だけが政策目標なのではありません。飢餓に苦しむ国でも、自給率の高い国はあります。それは、一つの結果なのであります。大切なのは、農地面積、農業所得、後継者の確保、農業インフラ、農産品の品質などを要素とする、自給力なのであります。
 日本の農業という、抽象的なものが存在するわけではありません。何万という地域にそれぞれの農業形態があり、誰が農業を担い、誰がどのような形で地域を担うのか、所有と経営の分離、産業政策と社会政策の明確な位置づけなどをキーワードとする、今が農政の大転換を図る最後の機会であると考えております。
 農林水産業、農山漁村の再生に向けた総理の考えをお述べください。
 これと関連し、総理は、施政方針演説の中で、ことしは地方の活性化が最重要のテーマであると述べられました。しかし、山口を選挙区とされる総理も強く実感しておられることと思いますが、現在進行している事態は極めて深刻であります。
 増田寛也元総務大臣は、「二〇四〇年、地方消滅。」との刺激的なタイトルを冠した最近の論文の中で、精密な分析のもとに、人口減少の大波は、まず地方の小規模自治体を襲い、その後、地方全体に急速に広がり、最後はすさまじい勢いで都市部をものみ込んでいく、このままいけば三十年後には、人口の再生産力が急激に減少し、いずれ消滅が避けられない地域が続出するおそれがあると論じておられます。
 少子化による人口減少は、高齢者の増加によって、見かけ上、これまで顕在化してきませんでしたが、今後、高齢者すら減少する時期が多くの地域で到来します。
 地方の人口は、東京を初めとする大都市に移動してきました。しかし、東京の出生率一・〇九が全国最低であるように、大都市の人口の再生産力は、極めて低いのが現実です。大都市も地方も急速に活力を失い、国家そのものが衰退していく悪夢の到来を何としても避けるために、国家として、最大の力を注ぐべきであります。
 従来の発想を大きく転換し、企業拠点の地方展開を慫慂することなどによって地方中核都市に資源を重点的に配分して、これを最後のとりでとし、そこから再生を図るなどの施策もまた必要になるものと考えます。認識を承ります。
 財政健全化について、経済の好循環をつくり上げることにより、国、地方の基礎的財政収支を、二〇一〇年度との比較において、二〇一五年度までに赤字の対GDP比を半減させ、二〇二〇年度までに黒字化するとの目標が掲げられています。
 しかしながら、一月二十日に政府が発表した中長期の経済財政試算では、二〇一五年度の基礎的財政赤字半減目標は達成するが、二〇二〇年度の黒字化には十一・九兆円の収支改善努力が必要となることが明らかとなっております。
 これを受けて、歳出歳入一体改革の具体化を求める声もあります。二〇二〇年度の黒字化に向けてどのように取り組むか、考えをお示しください。
 我が国が世界に誇る年金、医療、介護の社会保障制度を持続可能なものとし、社会保障が本来持つ保険としての役割を正当に機能させることにより、真に必要な方々に手厚い制度として、これを次の世代に引き継いでいかなければなりません。リスクを回避できなかった人に、必要とされる手当てを十分に行うのが保険の本質なのであって、決して、これに贈与の機能を持たせてはなりません。
 総理は、増大する社会保障費への対応と、子育て支援の拡充等について言及をされています。制度の適正化、消費税という安定財源を伴う拡充等について、改めて社会保障制度改革への御所見を承ります。
 沖縄県の仲井真知事が、辺野古の公有水面埋め立てについて、法律にのっとって承認をされました。民主党政権で迷走した普天間基地の移設は、仲井真知事、沖縄の多くの方々、与党の沖縄県選出国会議員や、与党の県並びに市町村議会議員等の多くの方々のお力により、再び一歩前に進むこととなりました。普天間基地の危険性を一日も早く除去する、その思いを我々は形にしなければなりません。
 さきの名護市長選挙では、なぜ辺野古崎沖なのかという点について十二分に御説明をし切れなかったことを、私は反省いたしております。
 移設容認の候補が敗北し、現市長は、今後移設を阻止する行動をとると表明しておられます。しかし、それは、その思いとは異なり、普天間の固定化をもたらすことにしかならないことを、私は強く危惧するものであります。
 普天間基地の危険性とは、墜落の危険性であり、また、騒音の被害であります。これを解消することがそもそもの命題なのであります。
 墜落の危険性と騒音被害を回避するには、滑走路を市街地から二千メートル以上離隔して造成することが必要です。音は距離の自乗に反比例する、そういう物理の原則により、距離を二倍にすれば騒音は四分の一に、十倍にすれば百分の一になるのであります。
 普天間基地の市街地との距離約二百メートルから、名護市街地と辺野古代替施設との距離二千メートルへと十倍にすることで、騒音は百分の一にまで減じられます。これは、成田の教訓を踏まえた関西空港、中部国際空港、北九州空港などの例を見てもわかるとおりであります。
 よって、日米合意のV字形滑走路案は、騒音の局限化と集落の上を飛行しないことによる事故の局限化を実現するために、可能な限り沖合に展開することといたしております。
 キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、辺野古弾薬庫という現在の形に、滑走路が加わり、海兵隊が一体運用できることになるからこそ、嘉手納以南の海兵隊六基地、約一千七百ヘクタールの返還が大きく前進するのであります。
 この地域において一定の抑止力を確保することは、我が国とアジア太平洋地域の平和と安全に対し、日本国として果たさねばならない責任であります。
 本土への訓練の分散移転など、従来には見られなかった負担の早期軽減策も打ち出されており、五年での普天間基地の閉鎖状態の実現とあわせてその着実な実施を図らねばなりませんが、それでもなお地政学的に、司令部機能、訓練機能、補給機能、運用機能の一体化の観点からも、一定の抑止力をこの地域に確保することは、決定的に重要なのです。
 平成二十五年まで日本で唯一人口がふえ続け、成長するアジアと距離的に近く、今後多くの土地の有効利用が見込まれる沖縄は、飛躍的な発展が期待されます。
 過去沖縄が負った苦難の歴史を考えるとき、沖縄を日本一、世界一豊かで幸せな島にすることは我々の責任であります。その中で、名護市を中心とする山原地域の雇用と所得を増大させ、医療、福祉を充実させていくことは、沖縄発展の大きな鍵となるものです。
 以上を踏まえ、沖縄県知事並びに自民党沖縄県連から強い要望のありました、普天間基地の五年以内の運用停止の実現とオスプレイ十二機程度の県外拠点配備、キャンプ・キンザーの七年以内の全面返還、環境に関して日米地位協定を補足する新たな政府間協定の作成と沖縄のさらなる振興策について、総理の、実現に向けた所見を承ります。
 外交・安全保障政策の司令塔となる日本版NSCが創設され、NSS策定とあわせて、我が国の領土、領空、国民の生命と財産を守るための環境整備が緒につきました。
 安全保障を図る上で一番大事なのは、地域におけるバランス・オブ・パワーを維持し、抑止力を機能させることです。
 日米同盟の深化は、戦争をするためではなく、戦争を引き起こさないためになされるものであります。日本でできることは日本で行う、これを基本として、国内法を整備し、陸海空の人員と装備の実効性を高め、ガイドラインなど必要な協定を深化させることが重要です。
 昨年の防衛大綱の決定や2プラス2の成果も踏まえ、今後どのように日米同盟を深化させていくか、お述べください。
 昨年の臨時国会において成立した特定秘密保護法により、米国を初めとする国々、友好国との情報共有が飛躍的に進み、我が国の安全保障に寄与することとなりますが、一方で、審議を通じ、行政の恣意や肥大化に対する懸念も多く聞かれました。
 これを解消するため、国会におけるチェック機能の創設に向けて検討を進め、党や議会において、そのために鋭意努力を続けております。総理として、国会の関与についての所見をお述べください。
 中国や韓国は、我が国にとって重要な隣国であり、経済的にも文化的にも密接な相互関係が築かれています。
 残念ながら、いまだ両国との首脳会談は実現しておりませんが、それをもって政権が両国を重視していないとするのは浅薄な見方であります。
 総理は、常に、対話のドアはオープンであること、課題があるからこそ対話すべきであることを発言しておられます。我々は、議員外交やトラック2外交などを可能な限り活性化させ、我が国がいかに地域の平和と安定を望み、そのために積極的に行動する用意があるかを国内外に発信していくことで首脳会談への環境を整えていきたいと考えておりますが、中韓との関係改善について所見を承ります。
 一方で、中国による尖閣諸島領域への侵入や、国際法の概念とは大きく異なる防空識別区の設定など、現状変更を試みる行動を抑止するために、我が国は、法整備と能力の向上を急がなくてはなりません。すきがあればつけ込まれるのは、国際社会の常識であります。
 海上保安庁が有するのは海上の治安維持の権限であり、領海を悪質な態様で航行する外国船舶に対して退去通告や臨検、拿捕はできても、自衛権に基づく強制排除措置をとることはできません。
 自衛隊に対して海警行動や治安出動を下令しても、その本質があくまで警察権である以上、警察比例の原則が厳格に適用され、その行動には、おのずから制約があります。防衛出動は自衛権行使の三要件が満たされない限り下令できないのみならず、急迫不正の武力攻撃以外の手段で領土が侵された場合には、対応が困難となるのではないでしょうか。ここにすき間が存在することは、かねてより指摘されております。
 新たなNSCにおいて、各省庁連携のもと、早急に法を整備し、シミュレーションや訓練の積み重ねによる切れ目のない対応策を進めるべきと考えますが、御見解を承ります。
 冒頭、政策に優先順位をつけることの重要性について述べました。まず復興と経済再生に取り組み、その成果を上げることなくしては、ほかの重要な政策を国民の理解を得て実現させることはできません。
 しかし、それは、ほかの重要課題を放置していいということでは決してなく、それらの解決のために緻密で丁寧な準備を常に怠ることなく、一旦俎上に上った際には万全の体制で臨む姿勢こそが重要であります。
 集団的自衛権の行使を可能とすることは、我が自由民主党が総選挙、参議院選挙で公約に掲げた重要政策の一つです。総理は、施政方針演説の中で、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告を踏まえ、対応を検討すると述べられました。
 集団的自衛権を議論するに当たっては、国連憲章における位置づけ、日本国憲法との関係、我が国並びに地域の平和と安全に与える影響、この三つの観点が必要であります。
 第二次世界大戦後、国連が創立されるに当たり、なぜわざわざ憲章に集団的自衛権が明記されたのか。これは、拒否権を持つ大国の横暴を危惧したラテンアメリカ諸国の提唱によるものでありました。アメリカなどの大国が参加しなかったために機能を十分に発揮できなかった国際連盟の教訓から、大国に拒否権を与えることで国際連合は発足することとなりました。
 しかし、武力攻撃による侵略行為が行われた際に大国が拒否権を行使すれば、安保理は適切な措置をとることができず、侵略国の思いのままの事態になってしまいます。武力攻撃を受けた国は、安保理が適切な措置をとるまでの間に限って、個別的自衛権とともに、密接な関係を持つ国と共同して武力攻撃を排除する集団的自衛権が認められたのであります。
 集団的自衛権の本質が、大国とともに侵略を行う権利ではなく、大国の横暴から自国を守る権利であることを、決して忘れるべきではありません。なぜこれを、国連中心主義を唱える我が国だけが行使できないのか。これにつき、徹底した議論が必要です。
 憲法九条は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」「この目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定めます。
 集団的自衛権を行使不可能とする論拠として、これが、国際紛争を解決する手段であるとか、あるいは交戦権の行使であるとするのは、当を得ておりません。それは、国連憲章の否定にもつながりますし、個別的自衛権行使との整合性がとれません。憲法との関係を論理的に突き詰めて議論することが必要であります。
 尖閣の現状や、中国の防空識別区の設定、北朝鮮情勢の変化などを考えたとき、我が国を含むアジア太平洋地域において、さきにも述べたとおり、バランス・オブ・パワー、力の均衡を維持することは絶対に必要です。
 アメリカの同盟の形が従来のハブ・アンド・スポークからネットワーク型に変化を遂げようとするとき、集団的自衛権行使不可を前提とした、アメリカだけを唯一の同盟国とする非対称的双務関係から、集団的自衛権行使を可能とし、多くの国々との間に新たな関係を構築することは、この地域に確固たる力の均衡を確立し、平和の維持と紛争の回避に大きな影響を与える役割を果たすことになるものと考えます。
 これを可能とすることが、我が国並びに地域の平和と安全にどのように寄与するのか、その観点も議論することが必要であります。
 我が党は、長年にわたり議論を積み重ね、一昨年末に、集団的自衛権の行使を可能とすることなどを内容とする国家安全保障基本法を取りまとめて、選挙に臨みました。集団的自衛権の行使に当たっては国会の事前承認を必要とし、濫用防止の規定を設け、国連憲章との整合性を図るなど、多くの懸念に応え得るものと自負をいたしております。
 広範かつ真摯な議論を積み重ね、多くの国民の理解と支持を得る努力を積み重ねることによってのみ集団的自衛権を行使可能とする法整備が大きな前進を見るものと考えるものであり、我が党として最大の努力をいたしてまいります。
 懇談会報告の時期もさまざまに取り沙汰をされておりますが、スケジュール感も含め、総理の見解をお述べください。
 我が党は、結党以来、自主憲法の制定を党是とし、野党時代には、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という基本原理を継承しつつ、時代に即した草案を作成いたしました。本年は、より理解を深めるため、国民主権の我が国において、丁寧な説明を行ってまいる方針であります。
 総理は、施政方針において、憲法改正も必ずや前に進むことができると信じている、そう述べられました。改正に向けた総理の所見を承ります。
 以上、幾つかの観点から総理のお考えをただしてまいりました。
 経済、財政、安全保障、エネルギー、医療、福祉、第一次産業、我が国は、多くの課題に直面しております。本来、それらは、我が党がかつて政権にあった時代に方向性を見出し、その解を国民に向けて示すべきであったにもかかわらず、それを先送りしてきた面があったのではないかと、長くかかわってきた私は強く反省をいたしております。
 政治不信が叫ばれて久しく、国政選挙における投票率は低下をいたしております。今は内閣支持率も与党に対する支持率も高水準に推移しておりますが、これは、いまだ期待を本質とする相対的なものであるのかもしれません。政権の支持率と個々の政策との支持率には乖離があることもまた事実です。
 政治を、政権を信頼したいとの思いは、多くの国民が持っているはずです。我々は、その思いに応えなければなりません。
 これを言えば嫌われるとか、票が減るとか、人気が落ちるとか、そのような理由で主権者たる国民に対して真実を語る勇気を持たないのは政治の自己保身であり、国民を信じて真実を語らない政治が、国民から信じてもらえるはずはないのであります。
 日本に残された時間は実に短い。政策の選択肢の幅は極めて狭い。総理が常々口にされる、この道しかないとの思いのもと、自民党として、国家国民に対し、今日を築いていただいたいにしえの方々に対し、さらには、まだ見ぬ次の世代に対し、最大の責任感と緊張感、さらには使命感を持って、全身全霊をもって国政に臨むことを申し述べ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 石破茂議員にお答えをいたします。
 復興加速化に向けた具体的な方針と福島の復興再生についてお尋ねがありました。
 復興の加速化は、安倍内閣の最重要課題の一つです。
 本年は、地震、津波からの復興では、住宅再建等の工事が本格化し、また、福島の復興再生では、早期帰還や長期避難者の生活拠点の整備に向けた各種事業が本格化するなど、大変重要な一年となります。
 被災者の方々が一日も早く普通の生活に戻れるよう、復興の加速化に全力で取り組み、東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年には、新たな東北の姿を世界に向けて発信してまいります。
 また、福島の復興再生については、昨年末に決定した、早期帰還支援と新生活支援の両面で福島を支える、福島第一原発の事故収束に向けた取り組みを強化する、国が前面に立って原子力災害からの福島の再生を加速するという三つの方針に沿って、全力で取り組んでまいります。
 経済の好循環実現に関するお尋ねがありました。
 経済の好循環を実現するためには、企業収益の拡大を賃金上昇へつなげることが重要であり、昨年末には、政労使会議において、経済界、労働界そして政府が好循環の実現に向けて一致協力して具体的な取り組みを進めるとの共通認識を取りまとめました。
 議員の御指摘のとおり、いわゆる内部留保については、個別企業ごとのさまざまな事情により確保されているものと承知しておりますが、ことしの春闘においては、各企業の経営状況等に応じ、共通認識を踏まえ、好循環の実現につながる積極的な対応が行われるものと期待しております。
 消費税率の一〇%への引き上げ判断についてのお尋ねがありました。
 消費税率の一〇%への引き上げについては、税制抜本改革法にのっとって、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断したいと考えております。その際には、消費税率の八%への引き上げに伴う反動減後の経済回復について、本年七―九月期のGDPを初め、各種の経済指標をよく見てまいります。
 また、消費税率引き上げ分の税収は、全額、社会保障財源として国民の皆様に還元することとしております。これに加え、所得の低い方々への配慮として、八%への引き上げに際して簡素な給付措置を講ずることとしており、一〇%引き上げ時の対応についても、今後、与党の御議論等を踏まえつつ、税制抜本改革法の規定にのっとって検討してまいります。
 法人課税の改革についてのお尋ねがありました。
 二十六年度税制改正においては、賃上げにつなげるきっかけとするため、復興特別法人税を一年前倒しして廃止することとしており、これにより、国、地方を合わせて法人税率は二・四%下がることとなります。また、設備投資減税や研究開発税制の拡充など、民間の資金を動かす観点から、大胆な対応を行うこととしております。
 法人課税のあり方については、引き続き、与党の御議論も踏まえつつ、グローバルな経済の中での競争力等も考えながら検討していく必要があると考えており、本年、さらなる法人税改革に着手いたします。
 女性が活躍できる就業環境の整備についてのお尋ねがありました。
 女性が活躍できる社会の実現のためには、男女ともに長時間労働を改め、仕事と子育てを両立しやすい就業環境を整備していくことが重要です。
 このため、子育て支援に積極的な企業をふやす取り組みを行う、育児休業給付を半年間五〇%から六七%に引き上げる、柔軟な働き方としての短時間正社員の導入を進めることなどにより、女性の社会参画を支援してまいります。
 原子力政策、エネルギー政策についてのお尋ねがありました。
 国民生活と経済活動を支える、責任あるエネルギー政策を構築することが何よりも重要です。
 このため、徹底した省エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度は、可能な限り低減させてまいります。原子力規制委員会が定めた世界で最も厳しい水準の安全規制を満たさない限り、原発の再稼働はありません。
 高レベル放射性廃棄物の最終処分場の確保については、これまでのやり方を見直し、国から適地を提示するなど、国が前面に立って進めてまいります。
 また、世界では、新興国における原発の導入は今後も拡大していくことが見込まれており、より国際的な観点で原子力政策を進めていかなければなりません。
 こうした中、過酷な事故を経験した我が国としては、事故から得られる知見と教訓を世界と共有することで、世界の原子力安全の向上や原子力の平和利用に貢献していくことが責務だと考えています。
 農林水産業、農山漁村の再生についてのお尋ねがありました。
 我が国の農林水産業の活性化は待ったなしの課題であり、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現していく決意であります。
 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上、リース方式を活用した農地集積による生産性の向上、美しいふるさとを守る日本型直接支払いの創設などに精力的に取り組んでいくこととしております。
 さらに、四十年以上続いてきた米の生産調整を見直し、農業者がみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、麦、大豆、飼料用米の生産振興を図ることによって農地のフル活用を図り、食料自給率と食料自給力の向上をあわせて図っていくこととしております。
 いずれにしても、地方の活性化が最重要のテーマである安倍内閣においては、地方経済の中核をなす農林水産業の振興に、今後とも全力を挙げて取り組んでまいります。
 地方の中核都市についてのお尋ねがありました。
 地方の活性化は安倍内閣にとって最重要のテーマであり、企業拠点の地方展開を進めるなどして、人口減少社会においても元気な地方をつくっていく必要があります。
 地方の経済を牽引する中核的な都市圏をつくるため、人口二十万人以上の地方中枢拠点都市と近隣市町村とが柔軟に連携する、新たな広域連携の制度を創設してまいります。
 また、中心市街地への生活機能の集約、地方の公共交通の再生により、町全体の活性化につなげてまいります。
 基礎的財政収支の黒字化と社会保障制度改革に向けた具体策についてのお尋ねがありました。
 二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化に向けては、昨年八月に策定した中期財政計画に沿って、基礎的財政収支と税収等の対GDP比の乖離を解消できるよう、歳出歳入両面の取り組みを進めてまいります。この目標の達成については、今後、二〇一五年度における財政状況等を踏まえて経済、財政を展望し、その後五年間について、さらに具体的道筋を描いてまいります。
 また、社会保障制度改革については、昨年成立したプログラム法に沿って、社会保障制度の充実と重点化、効率化を同時に図るなど、受益と負担の均衡がとれた制度へと不断の改革を進め、世界に冠たる制度をしっかりと次世代に引き渡してまいります。
 沖縄の基地負担軽減と振興策についてお尋ねがありました。
 沖縄の基地負担を軽減するため、本土におけるそれに向けた努力を十二分に行うべきであると考えています。
 米国を初めとして相手のあることではありますが、日本政府として、普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む仲井真知事からの御要望については、政府を挙げて、その実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 また、沖縄振興については、二〇二一年度まで毎年三千億円台の予算を確保し、沖縄の成長を後押ししてまいります。
 日米同盟についてお尋ねがありました。
 政府は、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、米国とも緊密に連携しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に、これまで以上に積極的に貢献してまいります。
 また、日米防衛協力のための指針の見直しを初め、幅広い分野で日米安保・防衛協力を進めるとともに、経済や人的交流も含め、あらゆる分野で日米関係を強化してまいります。
 特定秘密保護法に関する国会の関与についてのお尋ねがありました。
 本法において、一定の条件のもと、国会の秘密会に特定秘密を提供するものとする仕組みが盛り込まれたことにより、国会の審議がより充実したものになると考えています。
 他方、国会の関与のあり方については、国会で講じられる具体的な保護措置などを含め、あるべき国会運営の全体像の議論の中で、国会においてさまざまな観点から検討されるものと考えます。
 日中、日韓関係についてお尋ねがありました。
 中国、韓国との間で意思疎通を図っていくことは、アジア太平洋地域の平和と安定にとって有意義であり、大局的な見地から関係を発展させていくことが重要と考えます。
 困難な課題があるからこそ、前提条件を付することなく率直に話し合うべきであり、議員交流やトラック2外交などによる相互理解の増進は、その重要性を増しています。私の対話のドアは常にオープンであり、中国、韓国にも同様の態度を期待します。
 中国による尖閣諸島周辺の領海への侵入等への対応策についてのお尋ねがありました。
 中国による防空識別区の設定、尖閣諸島周辺における領海侵入、こうした力による現状変更の試みは、決して受け入れることはできません。
 新たに発足した国家安全保障会議においても、我が国の領土、領海、領空を守るために何が必要か、御指摘も踏まえて、戦略的な観点からしっかりと議論を行い、政治の強力なリーダーシップのもと、省庁横断的な対策を進めてまいります。
 また、個別的自衛権などに関する課題については、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告を踏まえ、対応を検討してまいります。
 集団的自衛権についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの認識のもと、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われており、まずは、この懇談会における議論を待ちたいと考えております。
 政府としては、懇談会から報告書が提出された後に対応を検討することとなりますが、懇談会では今後詰めの議論が行われていくこととなっており、時期については、期限ありきではなく、まずは、しっかりと議論を深めていただきたいと考えています。
 いずれにせよ、この問題については、懇談会においてどういう議論が行われていて、何が課題であり、何を目指しているのかを、個別具体的な事例に即してわかりやすく説明し、国民的理解が一層進むよう努力してまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 自由民主党は、二十一世紀にふさわしい、あるべき憲法の姿を憲法改正草案として発表し、広く国民に憲法改正を訴えてまいりました。これを一つの契機として国民的な議論が始まったものと認識しております。
 今後、国民の中での議論がさらに深まっていくことが何より大切だと考えており、この議論の深まりを踏まえ、私としては、しっかりと着実に憲法改正に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 次に、松野頼久君。
    〔松野頼久君登壇〕
○松野頼久君 日本維新の会の松野頼久です。
 私は、日本維新の会を代表して、安倍内閣総理大臣の所信表明について質問いたします。(拍手)
 日本維新の会は、責任野党として、外交、安全保障、憲法改正については前向きの議論を進めたいと考えますが、内政に関しては、対立軸を明確にして、徹底議論をしてまいりたいと思っています。
 憲法改正について、そして集団的自衛権について、胸襟を開いて大いに議論しようじゃありませんか。
 さて、特定秘密保護法案は、知る権利や情報管理にかかわる重要法案であり、我々が内容に関して修正合意をしていたにもかかわらず、昨年の臨時国会において、与党は、十分な審議を尽くすことなく、多数の論理で強行採決に踏み切りました。また、昨年、予算委員会の集中審議を行う約束を一方的に破りました。数のおごりともいうべき政府・与党による強引な国会運営に、強い抗議を表明するものであります。
 今通常国会では、野党の意見を真摯に聞いていただき、国民に対して丁寧に説明する国会運営を望むものであります。
 現在、国会改革の議論が与野党でなされていますが、国会は、内閣提出法案の下請機関ではありません。政府・与党に対し、憲法第四十一条、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である国会を重視し、野党法案も審議するような、充実した国会運営への転換を強く求めるものであります。
 さて、本年四月、消費税が上がります。しかし、国民に負担を強いる前に、国民との約束である身を切る改革をやるべきではありませんか。
 一昨年の十一月、衆議院の解散を決める直前の、当時の野田総理と安倍自民党総裁との間でなされた約束をお忘れでしょうか。当時、次期通常国会での国会議員定数の大幅削減を約束して衆議院の解散をしたのではないでしょうか。
 与党の皆さん、議員定数の削減を含む身を切る改革を、ともに進めようではありませんか。
 それでは、質問に入ります。
 まず、経済について伺います。
 昨年は、世界的な経済動向と日銀の金融緩和などにより、日経平均株価の上昇が実現いたしました。しかし、その果実が日本全国隅々まで行き渡っているとは思えません。
 日本は、安価な労働力を得られるアジア諸国との競争にさらされてきました。先端技術や医療品などの分野における、先進国との競争も激化しています。国際企業にとって、他国と比べて高い法人税は競争力をそいでいます。
 この法人税減税に関連して、大阪府が企業誘致のために特区内の地方法人税をゼロにしたにもかかわらず、減税でふえた利益に対して、国は法人税課税の対象にしました。そのため、企業誘致に汗をかいた努力の成果が減殺される結果となりました。
 特区は、地方独自の経済政策を実現することで地域の経済発展に寄与するものであります。国がそれを阻害することは、あってはならないことです。
 国際戦略特区が地方法人税減税を行った場合、国は減税分に課税するべきではないと考えますが、総理の考えをお聞かせください。
 次に、補正予算に関して伺います。
 補正予算は、消費税増税のインパクトを軽減するために行う、このように説明されています。
 しかし、補正予算の中に、文部科学省の革新的研究開発推進プログラムという基金に五百五十億円、厚生労働省の緊急雇用創出事業臨時特例基金への積み増し千五百四十億円を初めとして、復興特会も合わせて、全体で、五兆五千億の補正予算のうち、四十九件、何と一・二兆円を超す基金事業が入っています。
 緊急性がない基金の予算を補正予算に入れたことは国民の目を欺くものと考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
 規制改革について質問いたします。
 規制改革は、成長戦略の重要な柱であります。国際競争が激化する中、複雑に入り組んだ規制は、日本の経済成長の阻害要因となっています。日本維新の会は、既得権を守る規制を徹底的に改革するべきと考えています。
 農政について、総理は、減反を廃止し、農地のフル活用を図る旨を述べられました。
 しかし、実際には、飼料用米への補助金の最高額を十アール当たり八万円から十万五千円に引き上げた上、主食用米の増産を制約して、米価の高値維持をもたらす政策となっています。農政を消費者の視点で立て直し、農業を輸出可能な産業に育てること、これに国民は期待していますが、政府が提出している政策は、それと真反対の政策のように思えます。
 成長産業としての農業の育成、農協の役割の見直しを含む抜本的な農業改革、農政改革が必要であると考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
 東日本大震災からの復興が進んでおりますが、被災地からは、各種交付金の使い勝手の悪さの声が上がっています。
 中央省庁が決めた使途以外には使えないケースがたくさんあることが指摘されています。また、限度額の上限が設定されていて、人手不足による賃金高騰や、資材不足による資材価格の高騰が起きている状況で、対応できていないケースがあります。
 除染費用の交付金は、例えば、テニスコートの芝を洗い流す作業には使用できても、芝そのものを交換する経費には使えず、しかも、芝そのものを交換した方が、経費節減で、抜本対策になることがわかっているという事例が聞かれます。農地を宅地など他用途に転用した方が復興が進む場合も、規制があるために転用できず、復興が進展しないという声もあります。現場の実態を踏まえない、そのような規制が復興をおくらせているのです。
 被災地の復興をさらに推進するために、農地転用などの規制改革を進め、現地の自治体の裁量に任せるべきと考えますが、総理のお考えを聞かせてください。
 次に、社会保障と税制改革について質問いたします。
 ことし四月の消費税増税によって国民に負担増を求めるに当たり、受益と負担の公平さを実現するべきと考えます。
 現行の社会保障制度では、受益と負担に関し大きな世代間格差が生じています。二十歳未満の世代と六十歳以上の世代との間には、生涯を通じて、一世帯当たり、社会保障制度全体で約一億円もの格差が生じるとの内閣府の試算があります。
 改革案の一つとして、日本維新の会は、世代間格差を是正するための公的年金制度及び医療保険制度の改革の推進に関する法律案を提出しています。
 税制にしても、課題が山積しています。
 現在医療機関が負担している損税問題は、解決すべき課題です。
 厚生労働省は、以前、診療報酬の上昇分で吸収させると答弁していますが、小泉内閣以降、診療報酬は下がり続けており、損税は吸収できておりません。また、補填制度は、全ての医療機関が算入できるものではないので、平等性を欠く不適切なものであります。
 この医療機関の損税問題について、適切な消費税制度を検討するべきだと考えますが、総理の見解を求めます。
 税制改正に関して、政府は、さらなる消費税増税に際して軽減税率を検討する方針を打ち出しています。
 軽減税率の導入に当たっては、取引を透明にする、請求書等に適用税率・税額の記載を義務づけたインボイス制度の導入が不可欠です。売上額をもとに算出するみなしの手法を導入するのでは、軽減税率の名のもとに、不正が入り込む余地が生み出されます。軽減税率は、適切な、公平な制度のもとに導入されることが、国民が望む適切な税制になると考えます。
 インボイス制度のない軽減税率の導入には断固反対です。インボイス制度をどうするつもりなのか、総理の見解を伺いたいと思います。
 次に、行財政改革について質問いたします。
 深刻な財政赤字を生み出した背景には、現在の財政制度の欠陥があると言わざるを得ません。
 国の財政は、現在、単式簿記、現金主義で運用されています。この会計方法では、現金の移動が記載されるだけであり、記載された現金が、ストックなのか、フローなのか、コストなのか、判断できません。そのため、使われた資金が効果的に運用されているのかどうか、経営的な視点のもとで判断することができません。
 改善には、財政に複式簿記、発生主義による会計を導入する必要があると考えます。東京都や大阪府では、複式簿記を導入し、単式簿記では見つけにくい無駄の削減に成功しています。
 責任ある財政運営をするために、国の会計制度の抜本的な見直しが必要であります。そこで、日本維新の会は、財政健全化責任法案を昨年の国会に提出しています。
 このような公会計制度の抜本改革に着手するべきだと考えますが、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 一般会計歳出の過半数を占めているのは、交付金、補助金、委託費等の移転的支出であります。
 しかし、これら移転的支出の最終的な使途、受け手や金額等に関するデータは、選挙で選ばれた国会議員が要求しても、公表、開示されません。実際に何に対してどれだけ使われているのかチェックする手段がない以上、健全な財政運営は実現できないものであります。
 また、委託費の政策効果の検証体制ができていません。
 会計検査院の監査は、政策に対する判断を行うものではなくて、支払いミスなど事務的なミスをチェックするだけであります。予算執行や政策の必要性などの検証が必要であります。検証なくして健全な運営はなく、行政だからこそ、効果の検証が必要です。
 委託費の政策効果を検証するためにも、移転的支出の詳細なデータを公表するべきと考えますが、総理のお考えを聞かせてください。
 行財政改革に関しては、独立行政法人の改革にも力を入れるべきです。
 例えば、原子力関連の法人が現在二十近く存在しています。福島第一原発事故以来、原子力発電所を増設する方針は、転換を余儀なくされています。廃炉技術や再処分場関連技術、ITERなどの開発など、進めるべき課題はありますが、原子力発電所建設のための法人は、当然、集約されるべきであります。
 総理は、独立行政法人の効率化、公務員制度の改革を初め、行政改革もしっかり取り組むべきと述べられました。
 野田内閣当時、独立行政法人を三十以上削減する方針でしたが、安倍内閣において、わずか十三の削減でお茶を濁そうとしています。独立行政法人や特殊法人の合理化について、総理の御見解を聞かせてください。
 安倍政権成立以来、それまで民間人がトップであった商工中金、日本政策金融公庫、国際協力銀行など政府系金融機関のトップに官僚OBが就職しています。民主党政権において行われた、官僚の天下りをとめる改革が、安倍政権においては逆戻りをしています。
 官僚OBの天下りが復活している現状をどのようにお考えになるか、また、厳格な規制をどのように進めるのか、総理の考えを聞かせていただきたいと思います。
 次に、教育について質問いたします。
 いじめ自殺事件をきっかけにして、地方教育行政の根幹である教育委員会制度が十分に機能していないことが明らかになりました。教育行政のトップは教育委員会ですが、非常勤委員の合議体であり、問題が起きたときの責任の所在が曖昧です。
 日本維新の会は、このような現状を抜本的に解決するために、教育委員会を廃止し、教育事務は首長が一元的に管理執行することを盛り込んだ教育委員会廃止法案を昨年の通常国会に提出し、審議を求めてまいりました。しかし、審議されないまま、継続となっています。
 総理は、責任の所在が曖昧な現行教育委員会制度を抜本的に改革しますと述べられておりますが、中央教育審議会の答申では、教育委員会が審議会に形を変えて存続することになっており、これでは不十分です。
 地方教育行政における責任の所在を明確にするために、教育委員会制度を思い切って廃止し、地方教育行政における責任体制を確立するべきと考えますが、総理の御見解を伺いたいと思います。
 地方分権について質問いたします。
 日本維新の会は、地方自治の仕組みを、広域行政を行う道州と市町など基礎的自治体の二層制に移行するとともに、国と地方自治体の組織と事務、国と地方自治体の税源配分を抜本的に見直すための道州制基本法を昨年の通常国会に提出し、審議を求めてまいりました。
 総理は、第二次地方分権改革の集大成として地方に対する権限移譲や規制改革を進めますと述べられましたが、これまで積極さが感じられませんでした。
 道州制基本法は、時代に即した統治機構改革を実現する第一歩であると考えます。総理もそのような見解をお持ちだと思っておりますが、今国会に道州制に関する法律案を提出する予定があるか、総理の見解を伺いたいと思います。
 東京への一極集中は、直下型地震が予想される中で、リスクがあります。東京とは別の、国際競争力のある都市圏を構築することが、日本の繁栄につながります。
 その意味で、国内第二の都市圏である大阪圏、関西圏の自立的発展を目指して現在推進されている大阪都構想の実現について、総理の見解を伺いたいと思います。
 昨年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定に日本国じゅうが喜びに沸きました。しかし、東京一極集中がさらに加速することになってはいけないと思います。
 海外からやってくる観光客には、東京だけではなく、全国各地を回っていただきたいと思っています。日本のよさは、何よりも、地方がそれぞれに独自の歴史と文化を持っているところにあります。多様で地域色豊かな日本の姿を全世界に発信できるようにするべきであります。
 そのためにも、全国各地で海外の皆さんをお迎えできる準備を始めるべきですが、その際、子供たちが外国人選手や観光客と積極的に交流できる機会を設けるとともに、それら外国の選手たちと直接コミュニケーションができるよう、今から、英語教育、そして伝統、文化に関する教育を強化するべきと考えますが、総理のお考えを聞かせてください。
 さらに、東京オリンピックという絶好の機会を捉え、その経済的波及効果をさらに拡大するために、日本維新の会は、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案、いわゆるIR法案を提出しています。この法案は、観光及び地域経済の振興に寄与し、財政の改善に資するものであり、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした、国際競争力の高い、魅力のある滞在型観光の実現を、適切な国の管理のもとで行うことを目的としています。
 このIR法案の成立を政府は率先して推進していくべきだと考えておりますが、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 日米関係について質問いたします。
 中国が防空識別区を設定した背景には、既存の国際秩序を否定し、新たな規範をつくる長期戦略が底流にあると思われます。
 中国にすきを見せないためにも、この防空識別区問題では日米政府が連携する必要がありますが、日本は真剣に米国に対して外交的働きをしたのでしょうか。どのような働きかけをしたのか、お聞かせください。
 また、防空識別区への対応をめぐって日米が異なる対応をしている現状をどのように是正されるのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
 安全保障の基礎は日米同盟体制であり、関係を一層深化させる必要性については、異論はありません。
 しかし、日米地位協定は、日米不平等条約ともいうべきものであります。米兵の公務中の犯罪には、日本に第一次裁判権がありません。日本の警察は、米軍の許可がなければ基地内の捜査ができません。
 不平等な地位協定は、一九六〇年の発効から一度も改定されていません。協定には環境条項もなく、基地内の環境問題で日本側が立入調査を行うことはできず、米側に土壌汚染などを原状回復する義務もありません。
 日米地位協定の見直しは、沖縄の方々の悲願でもあります。日米地位協定にどのような課題があり、改定をどのように進めていくのか、総理の考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、安全保障について質問いたします。
 これまで、政府は、集団的自衛権は、国際法上保有しているが行使できない権利と位置づけてきたのですが、行使は政策の問題であり、国際情勢の変化に合わせて政策を見直していくべきだと考えます。
 国際社会と連携協力し、自国への攻撃を抑止するのは、安全保障の常識であり、趣旨は、国連憲章にも明記されているものであります。
 集団的自衛権の行使が認められていない現状では、攻撃された他国軍を守る活動が許されず、日本の平和維持活動の足かせとなるだけではなく、日本に対する信頼を大きく損ねることにもなります。
 しかし、その一方で、米国の意向で戦争に巻き込まれるのではないかという懸念もあります。
 そのためにも、個別的自衛権の定義、範囲、運用を明確化した上で、集団的自衛権の行使に関する要件を明確にして、国民的理解を得るべきであります。
 集団的自衛権の行使に関する要件をどうするのか、そもそも、なぜ集団的自衛権の行使が必要なのか、お答えいただきたいと思います。
 日本に対する武力攻撃が持続的、組織的、計画的な侵害に該当する場合、総理は防衛出動を命じることになっています。
 しかし、それには当たらない領空・領海侵犯という侵害に対応する規定は、今では不十分です。漁船を偽装した不審船による領海侵犯や、武装か非武装か判断できない国籍不明の集団による離島への不法上陸に対しても、自衛隊は十分な対応ができません。
 領域の安全を脅かす事態に切れ目なく対処するためには、海上保安庁、警察、自衛隊、米軍などが緊密に連携した共同行動をとる必要があります。そのためには、自衛隊に対して平時における領海警備任務を付与する自衛隊法改正が必要でありますが、こうした法整備についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 日本維新の会は、対馬の海上自衛隊施設の周囲を韓国系資本が新たに購入した事実を指摘して、こうした土地取引を規制するための法律を、昨年の臨時国会に、国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案を提出いたしました。しかし、審議されないままに継続となりました。
 日米の防衛施設や原発施設など、安全保障上重要な施設周辺の土地取引を審査、許可制にする内容であります。
 日本各地で、安全保障上重要な土地が外国資本によって次々と購入されています。防衛上重要な離島の土地を海外資本がどの程度購入したのかさえも、政府は十分に把握していない状況です。政府としても速やかに対応し、いわゆる土地取引規制法を成立するべきと考えますが、総理の御意見を伺いたいと思います。
 次に、国民の間で強い関心のある特定秘密保護法案について伺います。
 日本維新の会は、同法の趣旨に賛同しておりますが、恣意的な秘密の指定など権力の濫用を防ぐため、独立した監視機能を有する第三者委員会の設置が必要だと主張してまいりました。
 しかし、政府は、形だけの機関を設置することで国民の目を欺こうとしているのではありませんか。
 さきの臨時国会において、日本維新の会は、第三者によるチェック機関の設置について、同法案の附則に書き込むのではなく、内閣府設置法に明記させるべきだと主張しましたが、政府・与党は反対いたしました。
 政府は今国会に内閣府設置法の改正案を提出する予定だと聞いています。それならば、第三者による独立性のあるチェック機関を内閣府設置法に明記するべきだと考えますが、総理の考えをお聞かせいただきたいと思います。
 憲法改正について質問いたします。
 昨年の臨時国会では、与党の意向で国会の憲法審査会はほとんど開催されず、議論は全く進んでおりません。
 現在、加憲論をあわせた憲法改正を容認する勢力が衆参両院で三分の二を占めています。この現状は、国民が国会の場で憲法改正に関する真摯な議論を望んでいるあかしではないでしょうか。
 国と地方の仕組みを抜本的に改革するためには憲法改正が必要です。そのためにも、まず、憲法第九十六条を改正し、国民の手で憲法改正ができるようにしたいと考えています。
 日本維新の会は、国民投票法改正案を提出して、積極的に憲法改正議論をリードしておりますが、与党の動きが見えず、残念でなりません。
 総理、抜本的な改革をこのまま先送りする決められない政治には、もう終止符を打つべきではないでしょうか。国民投票法改正案を今国会で成立させるべきと考えますが、総理の考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
 日本維新の会は、党内に憲法調査会を設置して、十四回にわたって会合を開き、昨年の六月、憲法改正に関する基本的な考え方を中間報告として取りまとめました。この報告において、財政健全化条項を盛り込むことや、首相公選制の導入を前提に国会を一院制にすることなど、新たな国と地方のあり方を示しました。
 統治機構改革を推進していくためにも、国会に設置をされている憲法審査会において財政や地方分権、緊急事態などに関する条文案の作成に着手するべきだと考えておりますが、与党自民党の総裁としての、この憲法の議論の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
 現在、与党が多数を占めておりますが、野党である私たちも同じく選挙で選ばれてきています。
 野党も多くの法案を提出していますが、与党の意向に従って、残念ながら、ほとんど審議されることがありません。しかし、国家国民の利益を守るためには、活発な政策議論が国会で行われるべきであり、そのためには、政府提出法案や与党法案だけでなく、野党法案も審議するような国会運営に転換するべきだと考えています。
 国権の最高機関として国民の信頼に応える国会となるように、日本維新の会は最善を尽くしたいと思います。
 戦後七十年となろうとしています。
 現在の政治の仕組みは、内外の劇的な変化に対応できておらず、政策そのものよりも、政策を生み出す、政治の仕組みそのものを大きく変えることが求められていると思います。
 日本を強く賢くするために、日本維新の会は、憲法改正を含む抜本的な統治機構の改革に、真っ正面から取り組む覚悟であります。
 既得権益と手を結んだ抵抗勢力と闘い、批判や反対論から逃げずに必要な改革を断行することを改めて宣言し、日本維新の会としての代表質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 松野頼久議員にお答えをいたします。
 国際戦略総合特区の税制についてお尋ねがありました。
 現行の国際戦略総合特区の税制につきましては、現行制度の期限が到来することから、御指摘の地方税減免に際しての国税の調整措置に係る要望も含め種々の議論を行いましたが、平成二十六年度税制改正においては、現行制度を二年間延長することとしたところであります。
 なお、御指摘の点につきましては、いわゆる特区とは別に、地方団体が自主的に地方税減免措置を行う場合との関係の整理など、種々の論点があると承知しております。
 基金事業についてお尋ねがありました。
 今回の補正予算は、消費税率引き上げに伴う反動減を緩和するとともに、その後の経済の成長力の底上げを図ることを目的としています。
 この中で、来年度以降まで継続し、各年度の所要額が見込みがたいといった施策については、基金を活用しております。これらは、主として、本年四月以降早期に効果を発揮するものや、その後の経済の成長力の底上げにつながると思われるものに重点化したものであります。
 本補正予算により、適切な反動減対策等を実施してまいります。
 農政改革についてのお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現していく決意です。
 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、農業、農村全体の所得の倍増を目指し、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上を図るとともに、農地の集積による生産性の向上などに精力的に取り組んでいくこととしております。
 その上で、四十年以上続いてきた米の生産調整を見直し、農業者がみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、麦、大豆、飼料用米の生産振興を図ることによって農地のフル活用を図り、食料自給率と食料自給力の向上をあわせて図っていくこととしております。
 今後、これらの施策を着実に実行するとともに、現場の声を踏まえ、農林水産業を成長産業とするため、さらに必要となる改革についても全力で取り組み、農政の大改革を進めてまいります。
 復興のための規制改革についてお尋ねがありました。
 被災地の復興を推進するため、復興特区制度においては、土地利用を初め各種の規制や手続などの特例を設けております。
 農地転用については、こうした特区制度等の中で、津波被災市町村や原発事故で避難指示のあった市町村において、本来転用のできない農地であっても復興のための事業ができるよう措置しております。
 今後とも、被災地の声に耳を傾けながら、復興の加速化に向け、現場主義のもと、きめ細かく、迅速に取り組んでまいります。
 医療機関の損税問題についてのお尋ねがありました。
 医療機関等の仕入れに要する消費税の負担については、これまでも診療報酬の改定により手当てを行ってきたところでありますが、本年四月からの消費税率の引き上げにおいては、医療機関等の実態調査を行い、これに基づき、診療報酬において必要財源を確保するなど、しっかりと対応することとしております。
 また、医療に係る課税のあり方については、税制抜本改革法に基づき、医療機関等の消費税負担について定期的に検証を行いつつ、引き続き検討してまいります。
 消費税の軽減税率及びインボイス制度についてのお尋ねがありました。
 仮に軽減税率を導入する場合、区分経理等のための制度整備が必要になるものと承知しております。
 軽減税率については、二十六年度与党税制改正大綱において、インボイス制度といった区分経理等のための制度整備を含むさまざまな課題について与党税制協議会において検討するとされているところであり、政府としては、引き続き、これを踏まえた与党における検討を見守ってまいりたいと考えております。
 国の会計制度改革と移転的支出の詳細なデータを公表すべきとのお尋ねがありました。
 国の会計制度については、国会による財政の確実なコントロールや国民にとってのわかりやすさという観点から、確実性、客観性、透明性にすぐれた現金主義をとっており、御提案については、慎重な検討が必要と考えています。
 なお、発生主義、複式簿記と同様の手法で国の財政状況を把握し開示することも重要と考えております。
 こうした観点から、平成十五年度決算分より、毎年、国の財務書類を作成、公表しているところであり、引き続き、その有効活用に取り組んでまいります。
 また、政府においては、各府省の自律的な取り組みである行政事業レビューにより、国の各事業について、その内容や委託等の支出の形態を含む資金の流れなどを公表してきております。
 さらに、各府省が政策の検証を行う政策評価や、財務省が予算の執行の実態を調査する予算執行調査においても、事業の必要性等について検討、検証を行っているところであります。
 今後とも、これらの取り組みを通じて、予算の透明性の向上に努めてまいります。
 独立行政法人や特殊法人の合理化についてのお尋ねがありました。
 独立行政法人改革については、制度本来の趣旨にのっとり、政策実施機能の向上と官の肥大化防止・スリム化という二つの目的を両立させるため、制度と組織の両面にわたって抜本的な改革を行うこととし、昨年末に改革の方針を閣議決定しました。
 法人の組織の見直しについては、数合わせを行うのではなく、真に法人の政策実施機能の強化に資する統廃合等を実施することとしています。
 特殊法人については、法人の新設改廃に関し必要な審査を行っており、今後も、引き続き適切に対応してまいります。
 天下りについてお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、適材適所の人事を行っているところであります。
 国家公務員の再就職に関して、問題なのは、公務員OBの口きき、予算、権限を背景とした再就職の押しつけなどの不適切な行為であります。再就職等監視委員会による監視のもと、こうした不適切な行為を厳格に規制していくことで、天下りを根絶し、再就職に関する国民の疑念を払拭してまいります。
 教育委員会制度の見直しについてお尋ねがありました。
 昨年四月の教育再生実行会議の提言においては、教育長を地方教育行政の責任者と明確に位置づけるとともに、教育の政治的中立性や継続性、安定性を確保するための制度上の措置を講ずるとされています。
 この提言等を踏まえ、与党の御意見もいただきながら、責任の所在が曖昧な現行の教育委員会制度を抜本的に改革してまいります。
 道州制及び大阪都構想についてのお尋ねがありました。
 道州制の導入は、地域経済の活性化や行政の効率化などを目指し、国のあり方を根底から見直す大きな改革であり、現在、与党において、道州制に関する基本法案の早期制定を目指し、精力的に議論を行っております。
 この議論が集約されていくプロセスの中で法案が国会に提出されることになると考えており、今後、政府としても、連携を深め、取り組んでまいります。
 大阪都構想については、大阪府と大阪市において、大都市地域特別区設置法に基づく特別区設置協議会が設置され、構想実現に向け協議が行われているものと承知しております。
 政府としては、その取り組みを見守るとともに、同法に基づく手続について、適切に対応してまいります。
 東京オリンピック・パラリンピックを契機とした、海外の方々との交流についてお尋ねがありました。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、東京のみならず日本全体の祭典であり、大会を契機に、海外の方々が日本全国を訪れ、地域の方々と交流するようなものとしたいと考えております。
 また、二〇二〇年を目標に、コミュニケーションがとれる使える英語を身につけるよう、小学校三年生から英語教育を開始し、中学校では、英語を使って授業をするとともに、我が国の歴史や伝統的な文化に関する教育の充実に取り組んでまいります。
 特定複合観光施設区域の整備に関する法律案、いわゆるIR法案についてお尋ねがありました。
 我が国経済の成長と地域の活力のため、観光は大変重要な分野だと考えております。
 御指摘のIR法案において規定されるカジノについては、産業振興をもたらし得るとの議論があるものと承知しております。一方、カジノについては、治安や青少年への悪影響を懸念する声もあります。
 この法案をきっかけに、こうした利点や課題に関する議論がさらに深まるものと考えており、御党のアイデアなども参考としながら、研究してまいります。
 中国の防空識別区及び日米地位協定についてのお尋ねがありました。
 防空識別区については、昨年十二月のバイデン副大統領訪日の際、自衛隊及び米軍の運用を含む両国の政策、対応を一切変更せず、民間機の安全確保を脅かす行動は一切許容しないことで一致しており、引き続き、米国と緊密に連携してまいります。
 地位協定については、政府としては、引き続き、事件、事故や騒音、環境などの問題について、目に見える改善を一つ一つ具体化すべく、最大限取り組んでまいります。特に、沖縄の負担軽減に向けた努力を十二分に行うべきと考えており、先般発表した日米地位協定の環境補足協定の交渉をしっかりと進めてまいります。
 集団的自衛権についてのお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しており、もはや我が国のみで我が国の平和を守ることはできず、安全保障の法的基盤を再構築する必要があります。
 このような認識のもと、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、集団的自衛権等と憲法との関係について検討が行われています。政府としては、まずは、この懇談会における議論を待ちたいと考えています。
 いずれにせよ、この問題について、懇談会においてどういう議論が行われていて、何が課題であり、何を目指しているのかを、個別具体的な事例に即してわかりやすく説明し、国民的理解が一層進むよう努力してまいります。
 自衛隊に対して平時における領海警備任務を付与するための法改正についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、我が国領域を保全するためには、関係省庁間の連携を一層強化し、さまざまな不測の事態にシームレスに対応することが重要であります。
 自衛隊による領海警備任務のあり方を含め、我が国領域を確実に警備するために必要な課題については、不断の検討を行い、実効的な措置を講じてまいります。
 また、個別的自衛権などにかかわる課題については、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告を踏まえ、対応を検討してまいります。
 安全保障上重要な土地の取引規制についてお尋ねがありました。
 昨年、国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案が議員立法として提出され、現在、国会において継続審議となっているものと承知をしております。
 政府としては、国会における御議論の動向も踏まえながら、国家安全保障の観点から、防衛施設周辺等における土地所有の状況把握に努め、土地利用等のあり方について検討してまいります。
 特定秘密保護法に関し、独立した第三者機関の設置についてのお尋ねがありました。
 政府としては、日本維新の会を含む四党協議の結論に従い、本法施行までに、内閣府に独立性の高い第三者機関である情報保全監察室を設置し、行政機関による個別の特定秘密の指定等をチェックすることとしております。
 さらに、その上で、法令の改正により、できる限り早期に情報保全監察室を局へ格上げすることといたします。
 国民投票法案についてのお尋ねがありました。
 国民投票制度のあり方については、憲法の改正に対する国民の主権行使に関する、いわば憲法改正の土俵とも言えるものであります。
 これまでも、御党を含めて各党各会派で御議論をいただいてきたところ、私としては、与党のリーダーシップにより、議論を加速させ、早期に結論を得てまいりたいと考えております。
 憲法改正の条文案についてお尋ねがありました。
 自由民主党は、二十一世紀にふさわしい、あるべき憲法の姿を憲法改正草案として発表し、広く国民に憲法改正を訴えてきました。これを一つの契機として、国民的な議論が始まったものと認識しております。
 今後、国民の中での議論がさらに深まっていくことが何より大切だと考えております。この議論の深まりや憲法審査会における検討を踏まえ、しっかりと着実に憲法改正に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上であります。(拍手)
     ――――◇―――――
○あべ俊子君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十九日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
○副議長(赤松広隆君) あべ俊子さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(赤松広隆君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十七分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣     麻生 太郎君
       総務大臣     新藤 義孝君
       法務大臣     谷垣 禎一君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣   下村 博文君
       厚生労働大臣   田村 憲久君
       農林水産大臣   林  芳正君
       経済産業大臣   茂木 敏充君
       国土交通大臣   太田 昭宏君
       環境大臣     石原 伸晃君
       防衛大臣     小野寺五典君
       国務大臣     甘利  明君
       国務大臣     稲田 朋美君
       国務大臣     菅  義偉君
       国務大臣     根本  匠君
       国務大臣     古屋 圭司君
       国務大臣     森 まさこ君
       国務大臣     山本 一太君
 出席内閣官房副長官
       内閣官房副長官  加藤 勝信君