第186回国会 本会議 第11号
平成二十六年三月二十七日(木曜日)
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 議事日程 第六号
  平成二十六年三月二十七日
    午後一時開議
 第一 水循環基本法案(参議院提出)
 第二 雨水の利用の推進に関する法律案(参議院提出)
 第三 貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 内閣府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 森林国営保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第七 次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第八 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 日程第一 水循環基本法案(参議院提出)
 日程第二 雨水の利用の推進に関する法律案(参議院提出)
 日程第三 貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 内閣府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 森林国営保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第八 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案(内閣提出)並びに農業者戸別所得補償法案(第百八十三回国会、大串博志君外六名提出)、農地・水等共同活動の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)及び環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案(大串博志君外六名提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
○議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 水循環基本法案(参議院提出)
 日程第二 雨水の利用の推進に関する法律案(参議院提出)
○議長(伊吹文明君) まず、日程第一、水循環基本法案、日程第二、雨水の利用の推進に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長梶山弘志君。
    ―――――――――――――
 水循環基本法案及び同報告書
 雨水の利用の推進に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔梶山弘志君登壇〕
○梶山弘志君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、水循環基本法案は、水循環に関する施策を総合的かつ一体的に推進するため、水循環に関する施策について、基本理念及び国等の責務並びに水循環に関する基本的な計画の策定等について定めるとともに、内閣に、内閣総理大臣を本部長とする水循環政策本部を設置する等の措置を講じようとするものであります。
 次に、雨水の利用の推進に関する法律案は、雨水の利用を推進し、もって水資源の有効な利用を図り、あわせて下水道、河川等への雨水の集中的な流出の抑制に寄与するため、雨水の利用の推進に関し、国等の責務を明らかにするとともに、基本方針等の策定、雨水利用施設の設置に関する目標の設定その他の事項を定めようとするものであります。
 両法律案は、参議院提出に係るもので、去る三月二十日本委員会に付託され、昨二十六日、参議院国土交通委員長から提案理由の説明を聴取し、直ちに採決いたしました結果、全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) それでは、両案を一括して採決をいたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、両案とも委員長報告のとおり可決をいたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊吹文明君) 次に、日程第三、貿易保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。経済産業委員長富田茂之君。
    ―――――――――――――
 貿易保険法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔富田茂之君登壇〕
○富田茂之君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、近年の日本企業の海外事業地域における戦争やテロのリスクの増大、取引形態や資金調達手法の多様化など、海外事業環境の変化に対応するため、貿易保険の機能の見直しを行おうとするものであります。
 その主な内容は、日本企業が海外で事業を行う際に、戦争やテロによって事業が中断された場合にこうむる追加的費用及び日本企業の海外子会社等による取引等を新たに貿易保険の対象とする等の措置を講じるものであります。
 本案は、去る十八日本委員会に付託され、十九日に茂木経済産業大臣から提案理由の説明を聴取し、二十六日に質疑を行った後、討論、採決を行った結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 採決をいたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 内閣府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊吹文明君) 次に、日程第四、内閣府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長柴山昌彦君。
    ―――――――――――――
 内閣府設置法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔柴山昌彦君登壇〕
○柴山昌彦君 ただいま議題となりました内閣府設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るためには、科学技術の振興を通じた新産業の創出等を促進することが重要であることに鑑み、研究開発の成果の実用化によるイノベーションの創出の促進を図るための環境の総合的な整備に関する事項等を内閣府の所掌事務に追加するとともに、総合科学技術会議を総合科学技術・イノベーション会議に改組する等の所要の措置を講ずるものであります。
 本案は、去る三月十八日本委員会に付託され、翌十九日山本国務大臣から提案理由の説明を聴取しました。次いで、昨二十六日に質疑を行い、質疑終局後、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、みんなの党及び生活の党の四会派共同提案により、地方公共団体による自主的な選択に基づいて実施される事業または事務に要する経費に充てるための交付金の配分計画に関する事務について引き続き内閣府の所掌事務とするため、これを削除する規定を削除することを内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取しました。
 次いで、原案及び修正案を一括して討論を行った後、採決いたしましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。
 起立採決を行いますから、議席に戻ってください。
 本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 森林国営保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊吹文明君) 次に、日程第五、森林国営保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長坂本哲志君。
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 森林国営保険法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔坂本哲志君登壇〕
○坂本哲志君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、特別会計の改革を推進するため、政府が行う森林保険に係る事業を独立行政法人森林総合研究所に移管することとし、森林国営保険法の規定の整備を行い、同研究所の目的、業務の範囲等を改め、森林保険特別会計を廃止する等の所要の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る三月十七日本委員会に付託され、翌十八日林農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十六日質疑を行いました。質疑終局後、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 採決をいたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。
     ――――◇―――――
 日程第六 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊吹文明君) 次に、日程第六に移ります。義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。文部科学委員長小渕優子君。
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 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔小渕優子君登壇〕
○小渕優子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案の主な内容は、義務教育諸学校の教科書採択制度を改善するため、複数の市町村の区域をあわせた共同採択地区内の市町村の教育委員会は、協議により規約を定め、教科書の採択について協議を行うための採択地区協議会を設けることを義務づける等の措置を行うものであります。
 本案は、三月十八日本委員会に付託され、翌十九日下村文部科学大臣から提案理由の説明を聴取し、二十六日質疑を終局いたしました。質疑終局後、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。
 ただいまの委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。
     ――――◇―――――
 日程第七 次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第八 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊吹文明君) 次に、日程第七、次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案、日程第八、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長後藤茂之君。
    ―――――――――――――
 次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔後藤茂之君登壇〕
○後藤茂之君 ただいま議題となりました両案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、次代の社会を担う子供の健全な育成を図るため、次世代育成支援対策推進法の有効期限を十年間延長し、一般事業主行動計画の策定・届け出義務について、優良な事業主に対する特例措置を創設するとともに、母子及び寡婦福祉法の題名を母子及び父子並びに寡婦福祉法と改め、母子家庭及び父子家庭に対する支援を拡充し、児童扶養手当と年金の併給調整を見直す等の措置を講じようとするものであります。
 次に、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るため、差別的取り扱い禁止の対象となる通常の労働者と同視すべき短時間労働者について、期間の定めのない労働契約を締結していることとする要件を削除するとともに、事業主等に対する国の援助について定め、短時間労働援助センターを廃止する等の措置を講じようとするものであります。
 両案は、去る三月十三日本委員会に付託され、翌十四日田村厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、昨日質疑を行いました。
 質疑終局後、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、日本共産党より、差別的取り扱い禁止の対象となる短時間労働者について、雇用関係が終了するまでの全期間において、人材活用の仕組みが通常の労働者と同一であると見込まれることとする要件を削除すること等を内容とする修正案が提出され、趣旨説明を聴取しました。
 続いて、両案及び修正案について採決を行った結果、まず、次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。次いで、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、両案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) ただいまの両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 全会一致。御異議なしと認めます。したがって、両案とも委員長報告のとおり可決をいたしました。
     ――――◇―――――
○あべ俊子君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(伊吹文明君) あべ俊子君の動議に御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、日程は追加をされました。
    ―――――――――――――
 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
○議長(伊吹文明君) 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長高木陽介君。
    ―――――――――――――
 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔高木陽介君登壇〕
○高木陽介君 ただいま議題となりました承認案件につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本件は、日本放送協会の平成二十六年度収支予算、事業計画及び資金計画について、国会の承認を求めるものであります。
 まず、収支予算は、一般勘定において、事業収入は六千六百二十九億円、事業支出は六千五百三十九億円でありまして、事業収支差金九十億円となっております。
 なお、受信料については、消費税率の引き上げに伴う税負担の転嫁による額の改定を行うこととしております。
 次に、事業計画は、正確で迅速な報道に加え、課題を深く掘り下げるなど報道の強化を図るほか、世界に通用する質の高い番組及び日本や地域の発展につながる放送を充実するとともに、世界に向けた情報発信を強化する等としております。
 資金計画は、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てております。
 なお、この収支予算等について、「国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供、海外情報発信の強化を目指す国際放送の充実・強化、我が国の成長戦略の牽引力として期待されるスーパーハイビジョン(4K・8K)等の先導的サービスの開発・普及、大規模災害に備えた公共放送の機能の強靱化等に向けた取組の一層の充実・強化を図ることとしており、おおむね妥当なものと認められる」との総務大臣の意見が付されております。
 本件は、去る三月二十四日本委員会に付託され、翌二十五日新藤総務大臣から提案理由の説明を、日本放送協会会長から補足説明をそれぞれ聴取した後、質疑に入り、本日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本件は賛成多数をもって承認すべきものと決しました。
 なお、本件に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) ただいまの委員長の報告の件につき討論の通告がありますので、順次これを行います。まず、奥野総一郎君。
    〔奥野総一郎君登壇〕
○奥野総一郎君 民主党の奥野総一郎でございます。
 冒頭、北朝鮮の弾道ミサイル発射に強く抗議するとともに、政府におかれましては、米国及び韓国を初めとする関係諸国との緊密な連携のもと、断固対処されることを求めます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、不承認の立場より討論を行います。(拍手)
 さて、公共放送の使命とは何でしょうか。なぜ、国営放送ではなく、公共放送なのでしょうか。
 NHKには、戦時下の大本営発表という苦い記憶がございます。その反省に立っているのが、今の公共放送NHKです。
 公共放送には、国民の知る権利に奉仕し、健全な民主主義の発展のために尽くす使命が課されております。権力をチェックする機構であることが求められているのです。
 NHKの歴代会長も、特定の利益や視聴率に左右されることなく、自主自律を貫き、信頼される確かな情報やあるいは多様で質の高い番組を社会全体に分け隔てなく提供していくことと、国会で重ねて説明してまいりました。これに対し、権力の側も、今日に至るまで、自制心を持って一定の距離を保ってきたわけであります。
 権力が、憲法に従って、マスコミに取材の自由、報道の自由を保障するのが、先進民主主義国家の常識であります。しかし、今、安倍政権では、その常識が揺らいでいるのではないでしょうか。特定秘密保護法もしかり、今回の一連のNHKの人事もしかりであります。
 NHKの経営委員は、経営の基本方針の議決や会長の任命を行うなど、非常に重要な職責を担っていますが、安倍総理の任命した新任の委員の多くが総理のお友達ではないかとの報道がなされております。人事を通じて、公共放送にある種の党派性を持ち込んだり、政権側に追随させたりしようとしているのではないかと、危惧の念が広がっております。
 お友達であっても、委員としてふさわしい節度のある行動が伴えば、そうした疑念も払拭できるはずですけれども、しかしながら、都知事選の候補者を人間のくずと呼ぶなど、到底節度あるとは言えない言動を繰り返す委員や、右翼団体の元幹部の拳銃自殺事件を礼賛していたことが判明した委員など、この人事には極めて疑問符がつくと言わざるを得ません。
 そして、その方々に選ばれた新会長もまた、その言動に世論の批判を受けております。
 新会長は、一月二十五日の会長就任会見で、特定秘密保護法について、一応通っちゃったんですね、もうしようがないのではないかと思うんですけれども、国際放送について、政府が右と言うことを左と言うわけにいかないなどの発言を行っています。
 これらの発言は、放送の不偏不党や、放送番組の編集に当たって、政治的に公平であること、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすること等を規定した放送法に違反する発言を含むものであって、編集権を持つ会長の発言としては極めて不適切であるとの批判を世論から受けております。
 その後、会長は、一旦は個人的発言として取り消し、謝罪されたものの、経営委員会で、それでもなお私は大変な失言をしたのでしょうかと繰り返すなど、問題の重要性を全く認識しておられません。
 さきの総務委員会でのNHK予算の審議におきましても、従軍慰安婦に関して、戦争をしているどこの国にもあったなどの会長発言について、ワシントン・ポスト紙など、国際社会の反発を招いているにもかかわらず、発言は取り消しました、ただ、その中身は変えていないとの答弁を国会の場でされております。報道によれば、こうした会長の姿勢について、経営委員の中でも批判が出ているとのことであります。
 このほかにも、ラジオ番組で原発問題を取り上げないようテーマ変更を求めたことも、放送法違反ではないかと批判されましたし、また、理事全員に辞表を提出させるなど、パワハラではないかとの批判がある、およそ公共放送の会長にふさわしくない姿勢も問題視されております。
 会長や経営委員の一連の言動に対しては、米国大使館がNHKの取材に難色を示したとの報道がなされるなど、国際的にも影響が生じているところです。
 なお、この問題については、会長と理事の答弁が食い違うなど、国会答弁の信用性にかかわる問題も起きていることにも触れさせていただきます。
 また、この収支予算、事業計画では、国際放送の充実をうたっています。
 NHKワールドテレビの視聴可能世帯が全世界で二億七千万世帯と、BBCやCNN並みとなっており、放送五年目にしてはよく頑張っているとも言えますけれども、こうした状況においては、影響が出ることもまた必至であります。
 国際放送の役目は、相手国民に日本の文化や歴史を伝え、我が国への共感を抱いてもらう点にあるのではないでしょうか。国際社会を挑発するようなことを続けていては、国際放送の充実どころか、NHKの信頼の失墜、ひいては、日本国家への信頼も失墜してしまうのではないかと強く危惧するところでございます。
 このような事態に、視聴者の皆様からも、記者会見のあった一月二十五日から三月二十四日の夕方までの六十日間に、実に三万五千五百件もの意見が寄せられており、批判的な意見がそのうち六割、肯定的な意見はわずか二割、また、受信料に言及したものも三割もあるということでございます。
 もう受信料を払えないんだ、払いたくないとの声が多数寄せられており、こうした意見の数は日を追ってふえていることも、委員会の質疑の中で明らかになっております。
 平成十六年に芸能番組不正支出問題が発覚した際には、三十五万五千件もの受信料支払い拒否が起き、受信料収入が四百億円近く減少しています。そのときの苦情件数は、同じ六十日間で一万二千百件であったと聞いており、今回の事態は、平成十六年の事態を上回るおそれもあります。
 このままでは、受信料の不払いで来年度の収支予算及びそれを前提とした事業計画が成り立たなくなることは避けられません。
 現状は、公共放送への国民の信頼を維持できるかどうかの瀬戸際に来ています。また、国際社会でのNHKへの信頼、ひいては、我が国の信頼を維持できるかという問題でもあります。
 会長は、何らかの形で視聴者の皆様にきちんと説明する機会を設けたい、もう少し待って、私は国内外に発信したいというふうに思っておりますと、国会の場で答弁をされました。
 今こそ、新会長みずから先頭に立って、報酬を返納するなどの措置を視聴者に示すべきときではないでしょうか。また、国際社会に向けて真意を説明すべきときではないでしょうか。
 過去、問題を起こした会長は、辞任、あるいは三〇%の報酬返上といった形で責任をとってきました。しかし、新会長は、今考えていないと答弁をしております。
 これほど問題を起こしている会長が、国会にばかりいて業務が滞っている会長が、三千万円にも及ぶ報酬にふさわしい仕事をしていると言えるのでしょうか。
 平成二十六年度のNHK予算は前会長のもとで作成された予算でありますが、このような会長のもとで執行されることは、大いに問題があると思います。
 以上の理由から、本収支予算及び事業計画、資金計画については、到底承認することはできません。NHK会長は、即刻、みずから身を処されるべきであります。
 最後に、民主党は、国民の知る権利、公共放送の自律性を守るため、NHK役員人事の透明性、中立性を担保するための放送法改正案を既に国会に提出しており、このような事態が今後生じないようにするためにも、議員各位におかれましては、早期成立に御協力いただくよう申し述べます。
 公共放送の変質は、民主主義のまさに危機であります。
 今回の事態は、現政権が行った経営委員の人事に端を発していることを再度申し上げ、安倍政権には、節度を持って、憲法の要請している報道の自由を尊重していただくよう要請をして、私の反対討論を終わります。
 以上です。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 次に、鈴木克昌君。
    〔鈴木克昌君登壇〕
○鈴木克昌君 生活の党の鈴木克昌です。
 平成二十六年度NHK予算案に反対の立場で討論をいたします。(拍手)
 その理由は、会長の資質と、会長を選んだ経営委員の言動にも視聴者から批判が寄せられている現状でありますから、反対せざるを得ません。
 容易ならざる状態、経営委員もみずから律する必要があると考え、委員会全体で意思統一を図った、これは浜田委員長の発言であります。十二日に開かれた経営委員会後の報道陣への説明で、このように委員長は顔をしかめられました。異例の見解を出されたということであります。背景には、浜田氏らがNHKの現状について抱く、執行部も経営委員も機能していないとの危機感があるということではないでしょうか。
 籾井会長は、一月二十五日の就任以来、会見でみずからの釈明に追われる日々であります。衆議院だけで、予算委員会や総務委員会などに参考人として十六回も呼ばれ、火消ししかできず、通常の業務が進まないとの声があります。
 そんな中、百田尚樹氏の人間のくず発言が飛び出し、長谷川三千子氏の新右翼活動家への追悼文も明らかになりました。
 NHKに十日午後五時までに寄せられた籾井会長の発言に関する意見は、一万五千件。一方、百田、長谷川両氏に関する意見も約二千件に上り、大半は批判内容であります。
 また、会長の任命権を持つNHK経営委員会の上村達男委員長代行が、今月十一日の経営委員会で厳しく批判をされました。
 上村氏は、籾井氏が就任会見で、国際放送で、政府が右と言うことを左と言うわけにはいかないとか、特定秘密保護法は通っちゃったんで言っても仕方がないというような発言を、上村先生は批判されておったわけであります。公の場であろうがなかろうが個人の見解は変わっていないとおっしゃる中にそれらがもし入っているとすれば、とんでもないと指摘もされておるわけであります。
 また、籾井会長の従軍慰安婦や靖国参拝に関する発言も、NHK内部その他でも言ってはいけないと上村先生はおっしゃっています。
 したがって、会長の考えと正反対の意見や、韓国、中国の主張など、NHKは多様な事実を報道しなければならないのに、会長発言により、報道しなくなるというような疑念を呼ぶと指摘をされました。その上で、NHK会長の立場を理解するための勉強と努力をしていただきたいとの苦言を呈されたわけであります。
 さて、公共放送とは何でありましょうか。
○議長(伊吹文明君) 鈴木君、申し合わせの時間が過ぎていますから、簡単にしてください。
○鈴木克昌君(続) はい、わかりました。
 現場の記者さんや多くの関係者に問題があるというよりも、この混乱は、一にかかって会長とその一連の人事にあるということを申し上げ、反対討論といたします。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 以上をもって討論は終局をいたしました。
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 採決をいたします。
 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案(内閣提出)、農業者戸別所得補償法案(第百八十三回国会、大串博志君外六名提出)、農地・水等共同活動の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)及び環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案(大串博志君外六名提出)の趣旨説明
○議長(伊吹文明君) それでは、この際、内閣提出、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案並びに第百八十三回国会、大串博志君外六名提出、農業者戸別所得補償法案並びに大串博志君外六名提出、農地・水等共同活動の促進に関する法律案、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案及び環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案について、順次趣旨の説明を求めます。まず、政府提案、農林水産大臣林芳正君。
    〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の趣旨につきまして、御説明を申し上げます。
 我が国の農業、農村の発展を図っていくためには、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立し、農業を足腰の強い産業としていくための産業政策と、地域の共同活動等を通じて農業の有する多面的機能の維持発揮を促進する地域政策を車の両輪として推進していくことが重要となっております。
 こうした政策の着実な実施に向け、経営所得安定対策を確立するとともに、日本型直接支払い制度を法制化する必要があることから、本二法案を提出した次第であります。
 次に、これらの法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。
 第一に、交付金の対象農業者の要件の変更であります。
 本法は、農業の担い手の経営安定を図ることを目的としており、対象農業者として、認定農業者及び集落営農組織に加え、農業経営基盤強化促進法に規定する認定就農者を追加するとともに、面積規模要件を廃止することとしております。
 第二に、生産条件不利補正交付金の交付基準の変更であります。
 対象農産物の生産拡大を図るため、対象農産物の品質及び生産量に応じて交付することを基本としつつ、収穫前に作付面積に応じて内金を支払うこととしております。
 次に、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案についてであります。
 第一に、基本理念についてであります。
 農村における過疎化、高齢化の進行による集落機能の低下など、我が国の農業、農村の現場を取り巻く状況が厳しさを増している中、国民に多くの恵沢をもたらす重要な機能である農業の多面的機能の適切かつ十分な発揮を将来にわたって確保するため、国及び地方公共団体が相互に連携を図りつつ適切な支援を行う必要があり、その際、良好な地域社会の維持及び形成や農用地の効率的な利用の促進に資する地域の共同活動を活用していくという、本法の基本的な考え方を定めております。
 第二に、農業の有する多面的機能の発揮の促進を図るための具体的な仕組みとして、農業者の組織する団体等による農用地の保全等に必要な施設の機能を保持する取り組み等の内容を、多面的機能発揮促進事業として規定しております。
 第三に、これらの取り組みに係る計画制度の創設であります。
 農林水産大臣による基本指針の策定、都道府県による基本方針の策定、市町村による促進計画の作成及び農業者の組織する団体等に対する多面的機能発揮促進事業の事業計画の認定について規定をしております。
 第四に、多面的機能発揮促進事業を推進するための措置についてであります。
 市町村の認定を受けた事業計画の実施に必要な費用について、国、都道府県及び市町村が補助を行うことができることを規定するとともに、地域の実情に即して効果的に事業を推進するための農業振興地域の整備に関する法律等の特例措置を講ずることとしております。
 以上、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) 次に、提出者玉木雄一郎君。
    〔玉木雄一郎君登壇〕
○玉木雄一郎君 民主党の玉木雄一郎です。
 農業者戸別所得補償法案及びいわゆるふるさと維持支払い三法案について、その提案理由及び内容を説明いたします。
 まず、戸別所得補償法案についてであります。
 我が国農業の現状を憂い、民主党政権下で導入をしたのが、戸別所得補償制度であります。その結果、農業所得が回復傾向に転じ、農家の皆さんからも高い評価を得てきました。
 自民党に政権交代した後の一年間も含む四年間、何の変更もなく安定的に続けられてきた農政は、ほかになかったと思います。猫の目農政からの脱却を図り、農家の予測可能性を高めてきた制度を、政権がかわったからという政局的な理由で変更することは、生産現場に混乱を与えるものであります。この戸別所得補償制度を安定的な制度とするため、今般の法案を提出した次第であります。
 この法律の最大の目的は、恒常的にコスト割れをしている米、麦などの生産を行う農業者に対し、そのコスト割れ部分を補填することで、価格のいかんにかかわらず、再生産可能な農家所得を直接補償し、農業経営の安定を図り、あわせて多面的機能の維持を図ることであります。いわゆる欧米型のダイレクトペイメントの制度を参考にして導入した制度であります。
 ただし、政府・与党案との大きな違いは、私たちは、麦、大豆などだけではなく、米の生産についても恒常的なコスト割れが生じていると認識し、必要な支援策を講じることとしていることであります。
 米については、国境措置以外の対策は不要だとする政府・与党案とは、根本的に考えが異なります。しかし、その国境措置でさえ守られるのかどうか、農家は不安な気持ちで、今、TPP交渉を見守っています。
 もちろん、私たちも、農業の構造改革を否定するものではありません。
 そもそも、全国一律の交付単価を導入することで、例えば、二ヘクタール以下の農家については、交付金を受けてもなお、コストのギャップを埋め切れません。そのため、面的集積を通じて生産コストの低減を図るインセンティブが、制度の中にビルトインされています。つまり、戸別所得補償制度は、いわば、静かな構造改革を促す制度となっています。
 なお、米の固定支払いについては生産調整を前提としておりますが、逆に言えば、交付金を放棄すれば、生産調整にかかわらず、今でも、幾らでも生産することができますし、安くつくった米を幾らでも輸出することができます。
 つまり、民主党政権下で戸別所得補償制度が導入されたことを機に、自民党が進めてきたいわゆるペナルティー型の減反制度については既に廃止されており、いわば、事実上の選択的な減反制度に既に移行しております。
 よって、安倍政権で四十年ぶりに減反制度を廃止したとの発言は、全く事実に反します。
 次に、農地・水等共同活動の促進に関する法律案について説明します。
 農村集落における共同活動は、農業生産活動を維持し、あわせて多面的機能を維持する上で不可欠であり、共同で行う水路や農道の保持に必要な費用について支援することとしております。
 ただし、本法案が政府・与党の日本型直接支払いと大きく異なるのは、私たちの案は、あくまで非農家も含めた共同活動を支援対象とし、農村コミュニティーの維持、ふるさとの維持を明確な法目的としていることであります。
 これに対し、政府・与党案は、従来の農地・水の制度の中から、農家のみの団体でも交付が受けられる新しいカテゴリーを切り出し、日本型直接支払いを創設したとしておりますけれども、私たちの案では、個々の農家の活動によって発揮される多面的機能の支援については、あくまで戸別所得補償制度によって行うものと明確な整理をしております。
 必ずしも個々の農家への直接支払い、つまりダイレクトペイメントにはなっていない制度を無理に日本型直接支払いと呼ぶことで、政府・与党案は、生産現場に混乱を与えるとともに、制度や事務を複雑にする可能性が高く、問題があると考えています。
 次に、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案について説明します。
 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動は、国土の保全といった、金銭的には評価しにくい恩恵を国民にもたらしています。しかし、こうした地域での営農継続は他の地域より困難であるため、その生産条件の不利性に着目し、それを補正しようとするのが、本法律案の目的であります。
 なお、私たちの案では、政府・与党案とは異なり、支援の要件となる条件不利性について、単に傾斜の度合いだけではなく、分散錯圃の状況など連担化の困難性などにも着目し、平地における条件不利地についても交付可能な仕組みとしております。
 最後に、環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付について。
 これについては、有機農業など自然環境の保全に資する農業を推進するため、こうした農法の費用を補填することとしております。
 以上が、これら法律案の提案理由及びその内容であります。
 私たちは、私たちの理念に基づき、また、三年三カ月の実績も踏まえ、農家にとって、そして日本の農業にとってベストだと思える案を取りまとめました。農家所得の向上や農村集落の維持の観点からは、政府・与党案よりもすぐれているとの自負があります。正々堂々議論を行ってまいりますので、何とぞ、十分な審議時間を確保していただき、徹底した審議の上、可決していただきますようお願い申し上げ、私からの提案理由説明といたします。(拍手)
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 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案(内閣提出)、農業者戸別所得補償法案(第百八十三回国会、大串博志君外六名提出)、農地・水等共同活動の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)及び環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案(大串博志君外六名提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(伊吹文明君) ただいまの農林水産大臣及び玉木雄一郎君の趣旨の説明に対して質疑の通告がありますので、順次これを許します。まず、齋藤健君。
    〔齋藤健君登壇〕
○齋藤健君 自由民主党の齋藤健です。
 ただいま議題となりました政府提出の農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の両法案について、自由民主党を代表して質問をいたします。(拍手)
 今回の政府提出法案及び野党提出法案をつぶさに見てみますと、まさに農業政策についての基本的な哲学の違いを感じます。
 まず、民主党外二党提出の法案にあります農業者戸別所得補償制度についてであります。
 今後の我が国農業の行く末に思いをいたしますと、意欲と能力のある農業者に対する農地利用の集積、集約化を進め、あるいは集落営農を組織化すること等で、担い手たり得る経営体を育成確保し、農業を魅力ある産業としていくことが不可欠であり、それこそが、結局、国民全体の利益になっていくんだと思います。
 にもかかわらず、この戸別所得補償制度は、全ての販売農家を対象としているため、農業構造の固定化を促進してしまいます。そんなことで本当にいいのでしょうか。
 また、安い外国産と競争を強いられ、生産条件の格差からどうしても太刀打ちできない麦、大豆等の畑作物については、食料自給率向上のため、コスト割れの補填を行うことが必要と判断されるわけでありますけれども、一方で、高い国境措置によって外国産との競争にさらされていない米について、麦、大豆等と同等に論じることはできません。
 これらの理由によりまして、我が党は、野党時代から、いわゆるばらまき四K施策の一つとして批判をしてきたわけでありますが、またぞろそれを行おうとされるのはどうしてか、先日来、首をひねって考えておりますけれども、なかなか答えが見つかりません。
 さらに言えば、この農業者戸別所得補償法案については、この政策の重さと政権を担うことの厳しい責任を感じる者ならば当然のこと、三年間の政権担当中に堂々と国会に提出し、議論に付すべきものでありました。
 しかしながら、ついに政権担当中に国会に提出されることはありませんでした。そして、野党になるや否や、突如として国会に出された。これも、どう首をひねっても理解できず、ついに首が痛くなってしまいました。
 要するに、国会を通すための、国会での議論にたえる自信が政権担当中なかったのではないかという理由以外は考えにくい。
 我が国農業は、農業従事者の高齢化、耕作放棄地の拡大が進展しており、五年先、十年先を考えれば、安倍政権のもとで積極的に展開している農業改革は、待ったなしであります。
 経営能力を持った意欲ある農業者を育て、こうした農業者に農地利用の大宗を集積、集約化することにより効率的な経営ができるように、何としても持っていかなくてはなりません。
 また、同時に、子や孫がいざというときに飢えるようなことがないよう、食料自給率の向上もなし遂げていかねばなりません。
 そのためには、国民の皆様の理解を得ながら、国土保全や地域の伝統文化の維持といった面からも重要な、農業、農村が有する多面的機能が維持され、発揮されるような施策を講じていかなければなりません。
 こうしたことを踏まえまして、野党時代から練りに練って今日に至った、我が党の長年の思いのこもった政府提案の二法案について、根本的な点について質問させていただきます。
 御答弁につきましては、農業関係者だけでなく、納税者一般に対しても説明するように意識して御答弁いただければ幸いであります。
 まず、安倍総理に一問だけお伺いいたします。
 安倍政権のもとで進められている一連の農政改革において、我が国農業、農村の将来像をどのように考えておられるのか、また、その改革の中で今回の二法案はどのように位置づけられるのか、お伺いいたします。
 次からの質問は全て農水大臣に対してでありますが、政府案は、担い手を育て、農業を成長産業にするための産業政策と、農業、農村が有する多面的機能を発揮させるための地域政策を分け、その目的を明確にして政策を進めようとしておりますが、その趣旨、狙いはいかなるものか、お伺いいたします。
 また、今回の政府案の産業政策の一つであります経営安定対策の設計の基本的考え方について答弁を求めます。
 さらには、地域政策である多面的機能支払いについては、特に、納税者の理解を得て、安定的かつ継続的に実施することが重要ですけれども、今回の多面的機能支払いの設計の基本的考え方についてもお聞かせ願いたい。
 最後に、政府提出二法案を含めて、今回の農政改革で十年後の農業、農村の所得はどうなると考えているのか、政府の明確な決意をお聞かせ願いたいと思います。
 質問は以上であります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 齋藤健議員にお答えをいたします。
 農業、農村の将来像と二法案の位置づけについてお尋ねがありました。
 地方の活性化は安倍内閣の最重要のテーマであり、地方経済の中核をなす農林水産業の活性化は、待ったなしの課題であります。私は、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現していく決意です。
 これらを実現していくためには、農業、農村をめぐる一つ一つの課題に正面から向き合い、克服していくことが不可欠であります。
 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、新たな需要を取り込むための輸出の拡大、六次産業化の推進による付加価値の向上、多様な担い手の育成確保、そして、農地集積バンクを通じた農地の集積による生産性の向上、担い手の負担を軽減し、構造改革を後押しする日本型直接支払いの創設などに精力的に取り組んだ上で、さらに、四十年以上続いてきた米の生産調整の見直しを行うこととしております。
 今般御審議いただく二法案は、このうち、多様な担い手の育成確保、日本型直接支払いの創設を実現するためのものであります。
 今後、これらの改革を着実に進めることによって、農業を若者に魅力ある産業に成長させ、農業、農村全体の所得倍増の実現につなげていく考えであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 齋藤議員の御質問にお答えいたします。
 産業政策と地域政策を明確にして政策を進める趣旨についてのお尋ねがありました。
 農業、農村は、我が国の成長の糧となる大きな潜在力を有していると考えておりまして、農政を改革し、国内農業の活性化を図っていくことは、待ったなしの課題であります。
 その潜在力を最大限に引き出すためには、施策ごとにその目的、対象、施策の内容を明確にし、効果的に推進していく必要があると考えております。
 このため、政府案では、意欲と能力のある農業者が需要の動向を敏感に把握して、高付加価値化等を進めるなど、創意工夫により経営を発展させることによって、農業の成長産業化を図る産業政策と、農業、農村の持つ多面的機能の発揮を図る地域政策とを明確に区分し、それぞれの目的に応じた政策体系を整えた上で、これらを車の両輪として進めることとしております。
 これによって、強い農業と美しく活力ある農村を実現し、農業の成長産業化を我が国全体の成長に結びつけてまいりたいと考えております。
 次に、経営所得安定対策の設計の基本的考え方についてのお尋ねがありました。
 我が国農業を安定的に発展させ、国民の命を支える食料を安定的に供給していくためには、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を構築することが重要であります。
 このため、経営所得安定対策では、全ての販売農家を一律に対象とするのではなくて、効率的かつ安定的な農業経営を目指して経営改善を図ろうとする認定農業者、将来的に効率的かつ安定的な農業経営を目指す認定新規就農者など、意欲と能力のある担い手を対象とすることにしております。
 このような担い手に対し、諸外国との生産条件の格差から生ずる不利を補填する交付金と、収入変動に対するセーフティーネット対策として、農業者の拠出を前提に、収入減少の一定額を補填する交付金を措置することとしております。
 このように、将来にわたって食料を安定的に供給していく担い手を支援することで、納税者の理解を得て、安定した制度を構築したいと考えております。
 次に、多面的機能支払いの設計の基本的考え方についてのお尋ねがありました。
 近年、農村地域における高齢化、人口減少等により、地域の共同活動によって支えられている農業、農村の多面的機能の発揮に支障が生じるおそれが生じています。
 このような状況に対処し、農業、農村が持つ多面的機能が今後とも適切に発揮されるように、産業政策と車の両輪をなす地域政策として、地域の共同活動に着目した多面的機能支払いを創設することとしたところであります。
 この多面的機能支払いは、水路、農道等の管理を地域の共同活動で支え、担い手の負担を軽減することにより、構造改革を後押しする効果も有しておるところであります。
 本制度については、このような多面的機能支払いの役割に着目し、その安定的な実施に資するよう、法案を提出しているものであります。
 今回の農政改革による十年後の農業、農村の所得についてのお尋ねがありました。
 この二法案を含む今般の一連の改革においては、飼料用米等への助成の充実や産地交付金の拡充等によりまして、意欲ある担い手が、みずからの経営判断で需要ある作物を選択し、農地をフル活用する等の取り組みへの支援を強化しております。
 また、新たに創設する日本型直接支払いは、農家の負担を軽減し、実質的な手取りの向上にもつながると考えております。
 さらに、農地集積等による生産性の向上等を図り、農業所得を増大するとともに、輸出や六次産業化を促進し、市場規模そのものを増大することにより、農業、農村全体の所得の倍増を目指していきたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊吹文明君) それでは、次の質疑者、寺島義幸君。
    〔寺島義幸君登壇〕
○寺島義幸君 ただいま議題となりました、政府提出、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案、民主党・無所属クラブ、生活の党、社会民主党提出、農業者戸別所得補償法案、農地・水等共同活動の促進に関する法律案、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案、環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案について、民主党・無所属クラブを代表して質問をいたします。(拍手)
 まず、減反の廃止について伺います。
 昨年十月、産業競争力会議農業分科会で方向性が示された生産調整制度、いわゆる減反制度の見直しは、年末に向け、戦後農政の大改革かのように報じられました。先週三月二十日、平成二十六年度予算成立後の記者会見においても、総理は、減反の見直しに触れ、強い農業をつくっていくための一方策のように語られました。
 しかし、昨年十二月に農林水産業・地域の活力創造本部で決定された農林水産業・地域の活力創造プランにおける中身を見れば、果たして減反については、五年後という時期は書き込まれているものの、一体となって取り組むとしか記載されておらず、廃止なのか、見直しなのか、五年後にそもそも何がなされるのか、極めて不明瞭であります。
 このような不安定な状況に置かれている農業者の皆様方からは、大変多くの不安の声が寄せられております。ぜひ、この場で、減反は、廃止なのか、継続なのか、明確に総理から御答弁をいただきたいと存じます。
 次に、新たに示された経営所得安定対策の将来的な廃止とその影響について伺います。
 民主党政権において導入した、日本初の直接支払い制度である戸別所得補償制度は、一昨年十二月の安倍政権発足以降も、経営所得安定対策として実施されてきましたが、今般、定額支払い部分の減額や将来の廃止など、大きな制度変更がなされることとなりました。私たちは、このような制度変更が拙速に行われることに、大変大きな危惧を感じています。
 戸別所得補償制度と、新たな農政の展開となった選択的減反制度の導入により、過剰作付面積は、二〇〇七年の七万一千ヘクタールから二〇一二年には二万四千ヘクタールに減少するなど、着実にその成果はあらわれておりました。
 しかし、今般の制度変更がなされることで、過剰作付が増加するのではないか、その結果、米価の低下が引き起こされてしまうのではないかと危惧をいたしております。米価の低下は、つまり、農業者個々の所得の低下であります。
 今般の政策変更を通じ、米価はどのように作用するのか、下がるのか、下がらないのか、農林水産大臣の明確な見解を求めます。
 次に、過剰作付米対策としての、飼料用米への誘導強化について伺います。
 今回の制度改正に伴って、飼料用米、米粉用米について数量払いが導入され、主食用米からの転作が誘導強化されることになっております。
 農林水産省資料では、潜在需要を四百五十万トンとしていますが、現在の生産量は十八万トンにすぎず、転作を誘導したとしても、国内での消化がそもそも可能であるのか、疑問であります。
 また、そもそもの種子の確保、主食用米への混入防止、飼料用米を原料として使用する工場が北・東日本地域に集中していることから生じる流通コストの問題など、急激に伸ばそうとしている飼料用米を取り巻く課題は、山積しているという言葉だけでは足りないほどあります。今回の対策が絵に描いた餅に終わらないのか、強い危機感を感じております。
 このようなさまざまな課題の解決に向け、どのような具体的な方策をお持ちなのか、農林水産大臣の明確な答弁を求めます。
 関連して、政府提出の、いわゆる日本版直接支払い制度について伺います。
 政府による、経営所得安定対策、すなわち戸別所得補償制度としての米の定額支払いの将来的な廃止により、農業所得の減少が大変危惧されます。
 政府は、この課題については、日本版直接支払いで担保されるかのような説明をされてきました。しかし、今般政府から提出された農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案を見る限り、交付金の交付は農業者団体に対して行われるものであって、何ら直接支払いではありません。なぜ、このような制度設計であるにもかかわらず、直接支払いなどと呼ばれるのか、農林水産大臣から説明をお願いいたします。
 あわせて、法律により恒久化されることで、各農業者の皆様の事務負担が過重になるのではないか、心配される声が多数寄せられております。今後の事務負担軽減に向けてどのような取り組みがされるのか、農林水産大臣の答弁を求めます。
 次に、日豪EPA交渉について伺います。
 報道によれば、日豪EPA交渉について、昨日、閣僚会談が行われ、四月上旬にも予定される首脳会談で合意に至るのではないかと報じられております。
 日豪EPAについては、二〇〇六年十二月、衆議院農林水産委員会において、米、麦や牛肉、乳製品、砂糖などの重要品目を除外か再協議の対象とする、交渉期限を定めない等を決議しております。今後、しっかりこの決議を遵守していかれるか、総理の明快な答弁をお願いいたします。
 次に、民主党・無所属クラブ、生活の党、社民党提出の農業者戸別所得補償法案について伺います。
 民主党政権で始まった農業者戸別所得補償制度について、今回、その恒久化に向けた法案を提出されましたが、政府において決定された改革案の問題点を踏まえ、改めてその制度の必要性を御説明いただくと同時に、旧来実施してきた戸別所得補償制度との違いについて、提案者の答弁を求めます。
 あわせて、民主党・無所属クラブ、生活の党、社民党提出のふるさと維持支払い三法案について伺います。
 ふるさと維持支払い三法案は、政府提出法案への対案として提出されたと認識しておりますが、政府案との違い及びその違いを是正することによらなければ解決し得ない課題について、提案者の答弁を求めます。
 先ほどから触れております、農林水産業・地域の活力創造プランでは、これが第二次安倍内閣の農林水産行政の方向だとし、産業政策と地域政策を車の両輪として、農業、農村全体の所得を今後十年間で倍増させることを目指すとし、また、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村をつくり上げると高らかに宣言しております。
 何度読み返しても、違和感が払拭されません。確かに、成長戦略としての農産物輸出など、産業政策の側面はあるでしょう。コミュニティーの支え手としての地域政策の側面はあるでしょう。しかし、その土台は、営農の安定継続をゆるがせにしないようにする農業政策そのものであり、その上にこそ、産業政策があり、地域政策があるはずであります。
 農政を語るとき、農政に与野党なしという言葉がよく使われます。農業者のことを思う気持ちは、農政に携わる者は誰も同じであるという意味づけも大事ですが、それ以上に、日々、作物と向かい合い、天候に左右されながらも、私たちの食卓に農産物を安定的に送り届けてくれる農業者が安心して営農を継続するためには、強いとか美しいなどと浮ついた言葉に流されることなく、大地に根差した政策の土台にこそ目を向け、時の政権与党の判断一つで左右されてはならない強固な思想、制度を、立法府の責任においてしっかり築かなければなりません。
 そのためにも、安倍政権が進めようとしている、将来を見通せない農業がいいのか、私たちが今回対案としてお示ししている、安定的に農業者を支える、将来を見通せる農政がいいのか、ぜひ徹底的な議論をすることをお約束申し上げ、私の質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 寺島義幸議員にお答えをいたします。
 米の生産調整の見直しについてお尋ねがありました。
 政府としては、農地のフル活用を図り、食料自給率、食料自給力の維持向上を図っていく観点から、これまで、行政が配分する米の生産数量目標に従って農業者が作物をつくっていたものを、五年後を目途に、農業者がマーケットを見ながらみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米等の生産振興を図ることを内容とする、米の生産調整の見直しを行うこととしております。
 今後、こうした方向に沿って、農家の方々に丁寧に御説明しながら改革を進めてまいります。
 なお、施政方針演説などにおいては、こうした政策の内容を一般の方々が理解しやすいよう、いわゆる減反の廃止と述べてきたものであります。
 日豪EPAについてのお尋ねがありました。
 日豪EPAについては、御指摘の衆議院農林水産委員会の決議をしっかり受けとめ、国益にかなう最善の道を追求するよう、引き続き、妥結を目指して交渉に取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 寺島議員の御質問にお答えいたします。
 米政策の見直しが米価に与える影響についてのお尋ねがありました。
 今回の米政策の見直しでは、水田活用の直接支払い交付金を充実し、数量払いの導入など、飼料用米等のインセンティブを高めるとともに、産地交付金も充実し、地域の創意工夫を生かした産地づくりを進めるほか、国による、きめ細かい需給・価格情報、販売進捗・在庫情報等の提供等を行うことによって、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、農業者みずからの経営判断によって需要に応じた生産を行える環境をさらに整えていくこととしております。
 米の価格は、基本的には民間取引の中で決定されますが、こうした取り組みを通じて、引き続き、米の需給と価格の安定を図ってまいります。
 飼料用米についてのお尋ねがありました。
 飼料用米については、輸入トウモロコシと遜色ない価格で供給できれば、四百五十万トン程度の潜在的な需要が見込めるものと考えております。
 今後、飼料用米の一層の生産、利用拡大を進めるためには、低コストで省力的な栽培技術や多収性品種の導入、需要先の確保や飼料用米の円滑な流通体制の整備等を進めることが重要です。
 このため、多収性専用品種や直播栽培の導入、多収性専用品種の種子の確保に向けた種子転用の環境整備、主食用米への混入防止対策を記載したマニュアル作成と現場への指導の徹底、耕種側の乾燥調製貯蔵施設や畜産側の加工・保管施設の整備等への支援、耕種農家と畜産農家のマッチング活動、配合飼料工場での長期的、計画的な供給、活用のための情報提供等を一体的に推進しております。
 最後に、日本型直接支払い制度を直接支払いと呼称すること及び法制化による農業者の皆様の事務負担についてのお尋ねがありました。
 一般的に、農業者に対する支援策として、関税の設定などで農業者を間接的に支援する価格支持に対しまして、補助金を支払って農業者を直接的に支援するものを直接支払いと呼んでおります。
 我が国においても、中山間地域等直接支払いや農地・水保全管理支払いなどのように、共同活動を行う地域の組織に補助金を支払うことにより、最終的に農業者を直接的に支援する手法を導入しております。これらの施策においては、我が国では、欧米とは異なり、水田を中心に農業が地域ぐるみで営まれていること等から、地域のまとまりを単位として、活動組織や集落という地域の組織を対象とした支払いを行っているところであります。
 今般本格的に導入することとしている新たな制度も、このような枠組みの制度とすることとしており、こうした特徴を踏まえて、日本型直接支払いと称しております。
 また、法律に基づく制度とすることに伴い、農業者等の事務負担が過重とならないよう、現場の意見や現行制度における事務の内容も踏まえ、事務の簡素化を図っていきたいと考えております。(拍手)
    〔大串博志君登壇〕
○大串博志君 寺島議員に御答弁申し上げます。
 戸別所得補償に対する御質問をいただきました。
 御質問のように、私どもが提案をいたしております農業者戸別所得補償法案は、民主党政権時に実施しておりました戸別所得補償制度を恒久化するため、提案をさせていただいているものでございます。
 日本の農業を取り巻く環境は、農業所得の減少、担い手の減少、高齢化、そして耕作放棄地の拡大による農村の疲弊などから、食料自給率の低下につながっております。
 このような中で、食料安全保障の観点からも、農地を維持していくことが農政における喫緊の課題であり、そのため、欧米では一般的な、規模や形態で差別せずに、コスト割れ部分を国が責任を持って補填する直接支払い制度が、農業者戸別所得補償制度であります。
 民主党政権で初めて導入以降、結果として、農業所得は着実に回復し、全国一律の単価を用いたがゆえに、全体の一割である五ヘクタール以上の農家に予算の六割が集中投下されるという結果をもたらし、その結果として、担い手の育成を後押しし、集落営農数が増加するなど、着実な構造改革が進んでおりました。これがファクトでございますので、念を押して申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 安倍政権におきましては、経営所得安定対策として名称を変え継続されましたが、今般の改革において、何ら根拠を見出せない中で、突然、米の交付金が半額にカットされ、そして五年後には廃止、そして、具体的な需要の全く見通すことのできない飼料用米への転作誘導強化などが決定されました。
 このような拙速な制度変更がなされることともなれば、着実に減少傾向にあった過剰作付が再び増加し、米価が、不測の中で、低下するのではないかという大変な危惧がございます。私たちが育んできた農業、農村は壊滅的な打撃を受けるのではないか、大変強い危機感を抱いてやみません。
 そのような危機感から、改めて、農業者の皆様に大変好意的に受けとめていただいていた戸別所得補償制度を恒久化すべく、法案を提出させていただいた次第です。
 制度の概要ですが、基本的には、従来実施しておりました戸別所得補償制度と違いはございません。ただし、従来の米価変動補填交付金と収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策を整理統合し、国と農業者の拠出で実施される収入減少影響緩和交付金を新たに導入するとともに、三年以内に野菜や果樹を含む総合的な所得保険制度の創設、これを盛り込んでおるところでございます。
 今回の農政改革は、今後の農政に極めて重要な岐路となります。政府案と私どもの案のいずれが、真に農業者の立場に立ち、先の見通せる農政となっているのか、ぜひ委員会においてしっかりとした議論を尽くさせていただきたい旨申し上げさせていただき、答弁にかえさせていただきます。(拍手)
    〔鷲尾英一郎君登壇〕
○鷲尾英一郎君 寺島議員にお答えいたします。
 御質問のように、私どもが提案をいたしておりますいわゆるふるさと維持支払い三法案は、政府提案の農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案への対案として提案をしているものであります。その違いについて、理念と施策双方から御説明をいたします。
 まず、理念について御説明いたします。
 私どもは、農業、農村が発揮すべき多面的機能は、あくまで、農業生産活動の安定した継続を目指した施策の先にこそあるものと考えております。農業生産活動が持続的、安定的に継続される中で初めて、各地域に根差した農業生産活動に即して、地域の特色たる景観の保全や、農業生産活動をより効果的に行うための環境保全、生産方式に沿った地域コミュニティーの再形成などがなされ、よって多面的機能の発揮がなされるとの理解でございます。
 そのため、いずれの法案におきましても、その目的規定におきましては、農業生産活動の継続や農業生産方式の普及を第一義に置き、多面的機能の発揮は副次的に資するものと定めており、多面的機能の発揮促進を前面に出す政府案とは、その理念において、大きな違いがございます。
 次に、各施策の違いについて御説明いたします。
 私どもの三法案の大前提は、現在予算措置で実施されている事業といかに連担性を持たせ、現場で施策を利用している農業者に混乱が生じないかという点に留意しつつ、制度設計をしております。
 その上で、より農業者の皆様にとって活用しやすいよう、農地・水保全管理支払いにおきましては、交付単価の一律的取り扱いを改め、地域の積極性に合わせて柔軟に取り扱うこととし、中山間地域等直接支払いにつきましては、勾配の斜度のみならず、平地における条件不利性も認めるなど、より実質的な取り扱いをしております。
 また、数年分の交付金の継続活用や事務手続の一層の簡素化等、実務上の負担をできるだけ軽減することとしております。
 さらに、昨今の農地の現況を踏まえまして、農振農用地以外の農用地への交付等、柔軟な交付が可能となるよう設計をいたしております。
 環境保全型農業直接支援につきましては、政府案のように都道府県、市町村を通じて交付されることによって生じる現場の混乱を回避するべく、工夫をしております。
 政府案に比べまして、現場の声、これまでの予算措置に基づく交付金の実務実態に即して、より活用しやすい交付金制度となるよう設計しており、ぜひ委員会において議論を尽くしていただきたいと考えております。
 以上です。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 次に、村岡敏英君。
    〔村岡敏英君登壇〕
○村岡敏英君 日本維新の会、村岡敏英でございます。
 会派を代表して、ただいま議題となりました農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案と農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案について質問させていただきます。(拍手)
 今議論を始めようとしているこの法案は、必ずや農業の大改革につなげなければなりません。
 今、農業は、このまま衰退していくのか、それとも成長産業へ変革していくのか、岐路に立たされています。
 国会の中には、変化を望まない抵抗勢力の議員もいるでしょう。しかし、我々維新の会は、既得権益にしがみつく抵抗勢力にひるむことなく、農業を、国際競争力のある成長産業へと脱皮させ、真に、農業者、農村社会の発展のために、大改革を推進する原動力となります。
 さて、安倍総理の、第一次及び第二次政権における、農業への言及について振り返ってみます。
 第百六十六回国会の施政方針演説では、「地域の主要な産業である農業は、新世紀の戦略産業として大きな可能性を秘めています。意欲と能力のある担い手への施策の集中化、重点化を図ります」と述べられました。
 さらに、第百八十五回国会の所信表明演説では、「成長する世界の食市場への農水産物の輸出を戦略的に倍増し、一手間かけて付加価値を増す六次産業化を進めます。 これらによって、今後十年間で、農業、農村全体の所得倍増を目指してまいります」と宣言されました。
 その言葉どおりであるとすれば、農業の大改革を推進していくという強い決意を我々維新の会と共有されていると期待し、以下、具体的な質問に移らせていただきます。
 日本は、米の価格を維持するために、需要と供給のバランスに鑑みて、減反及び生産調整の政策をとりました。減反開始は一九七〇年です。
 しかしながら、現実には、その翌年から一九八三年にかけて、約千三百四十万トンもの米余りが生じました。これらの過剰米に対して、国民の税金を三兆円もかけて処理せざるを得なくなったという結果に追い込まれてしまいました。
 さらには、WTOでミニマムアクセス米を輸入することとし、それに対する対策で、実に、六兆円を上回る税金投入を余儀なくされてしまいました。
 この間、大きな予算を投入してきたにもかかわらず、農家の所得は下がり続け、今や、農業従事者の平均年齢は六十六・二歳です。まさに、現在の日本の農業は厳しい現状にあり、このままいけば日本から農業が消えてしまうとも言える、大変な岐路に立たされていると思います。
 しかし、我々は、自立する国家を実現するためにも、農業が非常に大きな位置を占めていると強く認識いたしております。今こそ、日本の食文化を守る農業を、産業として再生していかなければなりません。
 では、なぜ、毎年二兆円以上の予算をかけながら、農業が、魅力ある産業にならなかったのでしょうか。
 実は、一九七〇年代には、農産物の輸出額で、日本は、ドイツ、オランダ、アメリカとほぼ同じだったのです。ところが、ドイツ、オランダ、アメリカは、当時、生産技術や農業機械の開発によって飛躍的に農業生産高をふやしていく中、自国の農産物を世界に輸出するという戦略をとりました。現在、これらの国の農産物輸出額は、飛躍的に伸びています。
 一方、日本は、日本の一番強みである米について、国内市場だけを見て、減反政策に踏み切りました。成長を目指す産業であったならば、当然、世界市場を見据えた農業政策を展開しなければなりません。しかし、そうしなかったために、世界市場でおくれをとってしまったのです。
 日本の農業がこれまで衰退した最大の原因は、選挙のたびごとに政策を変えてきたからではないでしょうか。つまり、農業政策が、その場その場の選挙の事情に振り回され、農業者の、国に対する信頼を失わせ、競争力を失わせてしまったのです。
 農業の大転換を進めるためには、戦後農政の総括が必要であるのではないでしょうか。
 安倍総理、林農林水産大臣は、戦後の減反政策、生産調整の政策についてどうお考えなのか。なぜ、今、生産調整の見直しをしなければならないのか。御答弁をお願いいたします。
 次に、日本の農業の将来像について質問します。
 このたび、二つの法案が提出されました。
 一つは、経営安定のための、いわゆるゲタと言われる交付金と、いわゆるナラシと言われる交付金を、対象者の要件を見直して交付するという法案です。もう一つは、農業者が共同で取り組む地域活動のコストに着目した支払い制度、中山間地や環境保全型農業に対する直接支払い制度の創設等の法案です。
 いずれも、個々の政策としては、否定するものではありません。しかしながら、農業がどの方向に進んでいくか、はっきりと方向性が示されていない点で、大いに問題があります。一体、どのように将来像を描いているのでしょうか。
 我が党は、農業が成長に向かうには、大きく、七つの視点があると考えています。
 まず、一つ目は、食文化を、世界市場を見据えて、輸出産業にする。
 二つ目は、全国一律の農業政策を、気候や土壌や生産技術に鑑みて、適地適産の政策を打ち立てる。
 三つ目は、企業参入による経営感覚を持ち、六次産業化を目指す。
 四つ目は、若者にとって魅力のある産業にする。
 五つ目は、農協の機能を進化させる。
 六つ目は、観光産業との融合です。
 そして、忘れてはならないのが、日本の環境を維持するために、中山間地の農業は、環境保全として考えるべきであるということです。
 以上七つの視点から考えると、いわゆるゲタ、ナラシという対策は、今現在の農業の対策にとって、それによって将来どのような農業が実現されるかという視点がありません。
 また、後者の法案では、初めて日本型直接支払いという取り組みを法律的に位置づけるという意義はあるでしょう。
 しかし、重ねて言いますが、いずれも、農業の将来像をどのように描いているのかが見えてこないのは明らかであります。
 本日議題になりました二つの法案によってどのような農業の将来像を描いているか、安倍総理、御答弁をお願いいたします。
 次に、成長産業への戦略について質問します。
 日本の農業が衰退したのは、輸入がふえ、自給率が下がったことが原因という主張があります。裏を返せば、日本の農業は、規模が小さく、競争力がないので、関税が必要だということです。
 しかし、世界第二位の農産物輸出国オランダは、農地面積が百九十万ヘクタールで、日本の農地面積の三分の一しかありません。それにもかかわらず、農業輸出は約十一兆を超えています。
 規模の大小だけでは語れないということです。最も重要なのは、市場のニーズをつかみ、経営感覚を持ち、常に挑戦し続けることなのです。
 フードバレーと呼ばれているオランダの中心地区には、大学とその他多数の公共、民間の農食品研究センターの拠点があり、六十万人以上が食品製造、研究、貿易に従事しています。知識と企業家精神が相互作用して、価格決定力を持ち、オランダの農業は成長産業へと発展しています。
 以上のことから、オランダのように、企業家精神ある農業者が価格決定力を持ち、農業が産業化するにはどのような対策が必要だと考えているか、お聞かせください。
 次に、農業が魅力ある産業へ転換するための戦略について質問します。
 農林水産委員会で、我が党同僚の岩永裕貴議員が、現在、農業高校の卒業生は二万人、その中で、農業につくのは七百五十人、五・二%しかいないという状況を指摘しました。
 魅力ある産業には、何も言わなくても若い人たちが集まってくるものであります。それが、農業の場合、将来像が描けていないために、魅力が感じられないので若い人たちが就農してこないのではないでしょうか。
 そこで大事なのは、新しい世代の農業者の姿をどのようにつくっていくかということであります。
 将来の農業を支える若い人たちに、IT化を初めいろいろな農業の最先端の知識を得てもらう取り組みを、ぜひ行わなければなりません。十五歳から十八歳という大事な時期に農業高校で学ぶ人たちのために、農業は成長産業だ、これから伸びていくんだと本当に感じられる、農業の教育プログラムをつくらなければなりません。そこには、思い切った予算も投入しなければなりません。
 ここで、もう一度、第百八十三回国会、施政方針演説の言葉を紹介させていただきます。
 攻めの農業政策が必要です。日本は瑞穂の国です。息をのむほど美しい棚田の風景、伝統ある文化。若者たちが、こういう美しいふるさとを守り、本当に希望の持てる強い農業をつくってまいります。
 私は、IT化や農業ビッグデータなど最先端の技術を取り入れて若者に魅力ある農業を目指してこそ日本の農業は強い産業になると思います。将来に、若者に対する対策が見えてきません。ぜひその点をお答えください。
 総理、この農政の大改革には、冒頭に申しましたように、抵抗する勢力も根強くあって、あつれきも生じれば、痛みも、汗も流さなければなりません。
 我々維新の会は、これまでの選挙目当ての農業政策に決別し、真に、農業、農村社会の発展のため、農業の大改革を目指してまいります。
 日本民俗学の父として名高い、あの柳田国男氏は、戦前の農商務省に入って、農政官僚の仕事に従事したことがありました。そのとき、柳田国男氏は、日本は農国なりという語をして農業の繁栄する国という意味ならしめよと主張しました。
 一世紀以上も前の言葉ですが、この柳田国男氏の言葉は、現在もそのまま当てはまります。ぜひ、日本を、農業の繁栄する国にしようではありませんか。
 安倍総理、この農業の大改革にどれほどの決意をお持ちか、ぜひお聞かせください。
 最後に。
 世界の人口は、今世紀半ばに九十億を超えると予想され、経済発展に伴う新興国の食の改善とあわせて、今後、大幅な食料増産が必要となります。国内市場のみでなく、世界規模の食料事情を見据えて農業政策を決定していくことが重要です。
 そして、日本にとっても、農業を成長産業にできなければ、日本のふるさと、将来の展望は開けません。
 我々維新の会は、農業の成長産業化で農村に新たな人々の参入を呼び起こし、田園からの産業革命を起こして、ふるさとを再生する、農業の発展なくして日本の将来はあり得ないとの強い意思を持つことを述べて、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 村岡敏英議員にお答えをいたします。
 戦後農政の総括についてお尋ねがありました。
 これまで、農政においては、その時々の課題に対応するため、米の生産調整を初め、さまざまな施策を展開し、国民への食料の安定供給等に努めてきましたが、農産物価格の低下等による農業所得の減少、担い手の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増大など、現在の我が国の農業、農村をめぐる状況は厳しいものとなっております。
 その要因として、食生活が大きく変化する中で、例えば米のように、需要が減少する作物の生産転換が円滑に進められなかったこと、水田を初めとする土地利用型農業の部門においては、担い手への農地集積がおくれたこと、農産物の価格が低迷する中で、高付加価値化が実現できなかったことなどの事情があったと認識しております。
 こうした状況を一つ一つ克服し、我が国の農業の活性化を図ることは、待ったなしの課題であると考えております。
 農業の将来像についてお尋ねがありました。
 我が国農業を活性化させていくためには、新たな需要の取り込みや、高付加価値化、生産性の向上など、一つ一つの課題に正面から向き合い、克服していくことが不可欠であります。
 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、輸出の拡大、六次産業化の推進、多様な担い手の育成確保、農地集積バンクを通じた農地の集積、担い手の負担を軽減し、構造改革を後押しする日本型直接支払いの創設などに精力的に取り組んだ上に、さらに、四十年以上続いてきた米の生産調整の見直しを行うこととしております。
 今般御審議いただく二法案は、このうち、多様な担い手の育成確保、日本型直接支払いの創設を実現するためのものであります。
 今後、これらの改革を着実に進めることによって、農業を若者に魅力ある産業に成長させ、農業、農村全体の所得倍増の実現につなげていきたいと考えております。二法案の早期成立をお願い申し上げます。
 農業の成長産業への戦略についてお尋ねがありました。
 私も、先日、オランダに出張した際、すばらしい施設園芸が展開されている状況を見てまいりました。
 我が国においても、ITを活用した施設園芸による高付加価値化を図り、農業者が価格決定力を持つような取り組みが重要と考えており、政府としてしっかりと支援してまいりたいと考えております。
 若者に魅力ある農業についてお尋ねがありました。
 安倍内閣としては、経営マインドを持ったやる気ある担い手が、IT等の最先端技術を駆使したり、消費者ニーズに即した新品種を導入するなど、みずからの創意と工夫を持って、国内の新たな需要や世界の食市場の開拓に挑戦し、そしてその努力が報われるような農業をつくり上げてまいります。
 こうした農業こそが、若者を引きつけ、地方の農山漁村を支える成長産業となるものと考えております。
 農政の改革に対する決意についてお尋ねがありました。
 先ほど申し上げましたように、我が国の農林水産業の活性化は待ったなしの課題であり、安倍内閣においては、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現していく決意です。
 今後、昨年末に取りまとめた農林水産業・地域の活力創造プランに基づき、関連する施策を着実に実行するとともに、農業を若者に魅力ある産業に成長させるため、さらに必要となる改革についても全力で取り組み、農政の大改革を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 村岡議員の御質問にお答えいたします。
 米の生産調整についてのお尋ねがありました。
 我が国においては、食生活の変化等によりまして、一人当たりの主食用米の消費量が、減少傾向が続いております。
 このような中、米の生産調整については、生産抑制の色彩が強かった実施当初に対し、今日的には、貴重な生産装置である水田の有効活用を図る観点から、需要に即した主食用米の生産を進めるとともに、非主食用米である加工用米、米粉用米及び飼料用米や、現状では大半を輸入に頼っている小麦や大豆等を、バランスよく生産していくことが重要な意義となっております。
 今回の米政策の見直しに当たっては、農業者がマーケットを見ながらみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米等の生産振興を図ることによって農地のフル活用を図り、食料自給率と食料自給力の向上をあわせて図っていくこととしております。
 農業の将来像についてのお尋ねがありました。
 我が国の農業、農村の活性化という待ったなしの課題にしっかりと対応していくためには、強い農林水産業と、美しく活力ある農山漁村を実現していくことが重要であります。
 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上、農地集積による生産性の向上、多様な担い手の育成確保、米の生産調整の見直し、日本型直接支払いの創設などに精力的に取り組んでいくこととしております。
 これらのうち、今回の二法案は、意欲と能力のある担い手を対象とした経営所得安定対策を確立し、地域の多様な担い手の育成確保を図ること、日本型直接支払い制度を法制化し、地域の共同活動による多面的機能の発揮を促進するとともに、担い手の負担を軽減し、構造改革を後押しすることを狙いとするものであります。
 今後、これらの政策を着実に進めることによって、我が国農業、農村の活性化を実現し、農業を若者に魅力ある産業に成長させていきたいと考えております。
 農業の成長産業への戦略についてお尋ねがありました。
 オランダでは、狭い国土でありながらも、ITを活用した施設園芸による花卉、野菜等を中心に、高収益型の農業を振興していると承知をしております。
 我が国においても、オランダに倣い、農産物の高付加価値化を図り、農業者が価格決定力を持って高い収益を上げていけるような取り組みが重要と考えております。
 こうした観点から、昨年末に取りまとめられた農林水産業・地域の活力創造プランに沿って、次世代施設園芸等の生産・流通システムの高度化の推進、輸出促進など国内外の需要の拡大、六次産業化の推進など需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築等の施策の具体化を進め、強い農林水産業の実現に努めてまいります。
 若者に魅力ある農業についてのお尋ねがありました。
 魅力ある農業とは、経営マインドを持ったやる気ある担い手が、安心と希望を持って活躍できる農業であると考えております。
 特に、議員御指摘の最先端技術の活用については、将来を担う若者にとって魅力のある農業をつくり上げる上で有効な手法であると考えており、ICT技術を活用した次世代型施設園芸の展開や、ロボット技術等を活用して超省力・高品質生産を目指す、スマート農業の実現などに取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 次に、樋口尚也君。
    〔樋口尚也君登壇〕
○樋口尚也君 公明党の樋口尚也でございます。
 公明党を代表して、ただいま議題となりました農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案につきまして質問をいたします。(拍手)
 過日、豪雪で被害に遭われた大阪府羽曳野市のブドウ農園をお訪ねし、甚大な被害を目の当たりにしてまいりました。
 余り知られていませんが、私の地元大阪府は、主力品種のデラウエアの生産高が全国第三位のブドウの産地であります。この折、被害に遭われた農家の方が、若いころの御自身の体験を語ってくださいました。
 昔、ある名人にブドウづくりを教わったとき、その名人から、ブドウのことは俺に聞くな、ブドウに聞けと一言言われた、農家の人は、誇り高く、寡黙な人が多いんですよというお話でございました。
 寡黙な方が多い農業者の皆様の小さな声、声なき声にしっかりと耳を傾け続けること、それが政治の責任であることを改めて肝に銘じ、今後とも国政に取り組んでまいる所存でございます。
 初めに、本法案等の位置づけや役割、農家所得への影響についてお伺いをいたします。
 政府は、今後十年間で農業、農村全体の所得を倍増させることを目標に掲げ、昨年末に農林水産業・地域の活力創造プランを策定し、現在は、食料・農業・農村基本計画の見直しに着手をしております。
 一連の農政改革において、本法案とそれに基づく各施策は、どのような位置づけがなされ、農業、農村所得倍増という目標や、国の最大の責務と言える食料自給率、食料自給力の維持向上にどのように寄与するのでしょうか。安倍総理大臣の答弁を求めます。
 公明党は、中山間地域等直接支払い制度の恒久化などにより、農業の多面的機能の維持強化や、地域の発展につながる仕組みの構築を目指してまいりました。また、農業者が猫の目農政に振り回されず、安心して営農を続けることができるように、農業の経営安定に資する制度は法制化すべきだと主張してきたところであります。
 平成二十六年度より導入する多面的機能支払いは、農業の多面的機能の維持向上に向けた活動を支援するとともに、結果として、農業の経営安定に資するものだと考えます。
 平成二十六年度より導入する多面的機能支払いが、農業、農村においてどのような役割を果たすのか、総理の答弁を求めます。
 昨年末、政府は、米政策を見直す中で、米の直接支払いを、三十年産米から廃止することとし、それまでの間は、減額して実施することといたしました。
 今後、新制度への移行を進め、農政改革を行う上で、総合的な取り組みにより、農業者の所得を向上させていくことが求められています。農家所得向上に向けた取り組みについて、総理の答弁を求めます。
 次に、政府が目指す、農業の担い手像や農地利用についてお伺いします。
 基幹的農業従事者の平均年齢が六十六歳と高齢化をし、農山漁村人口が減少する中、多様な担い手の確保育成はますます重要となっていますが、政府は、どのような農業者を担い手として描いているのでしょうか。また、その具体的な類型は、本法案の対象となるような、認定農業者、集落営農、認定就農者と一致するのでしょうか。政府の目指す担い手像について、総理の答弁を求めます。
 担い手への農地集積や耕作放棄地対策を加速化させる農地中間管理機構が、いよいよ始動をいたします。
 他方、昨年、総務省からは、農地の保全及び有効利用に関する行政評価・監視について勧告がなされ、改善が求められていますが、これに対し、農水省はどのような回答をしたのか。また、総務省の勧告を踏まえ、今後、農地の保全や有効利用等についてどのように取り組んでいくのか。林農水大臣の御見解をお聞かせください。
 多面的機能支払いについてお伺いをいたします。
 本法案で恒久的な制度とする多面的機能支払いは、現行の農地・水保全管理支払いをベースにしていますが、活動主体や取り組むべき内容により、二つのメニューに分かれています。
 このうち、資源向上支払いについて、現場では、取り組むべき内容が難しいのではないかと心配する声が聞かれています。特に、これまで農地・水保全管理支払いに取り組んでいなかった方を初め、新たに取り組みを開始する農業者に対して、取り組む際のノウハウを提供するなど支援が必要とも考えますが、農水大臣の答弁を求めます。
 続いて、米粉用米、飼料用米についてお伺いをいたします。
 政府は、米政策の見直しの中で、食料自給率、食料自給力の向上を図るために、水田活用の直接支払い交付金により、飼料用米、麦、大豆など戦略作物の本作化を進め、水田のフル活用を図ることとしています。
 特に、主食用米から米粉用米、飼料用米への転換を促進する方向ですが、その裏づけとしては、十分な需要の確保が不可欠であります。米粉用米、飼料用米の今後の需要の見通しと、円滑な流通、活用に向けた施策の充実について、農水大臣の答弁を求めます。
 続いて、収入保険の創設について伺います。
 収入減少による農業経営への影響緩和について、政府は、米価変動補填交付金を二十六年産米から廃止し、収入減少影響緩和交付金の対象を拡大するとともに、中期的には、全ての作物を対象とした収入保険の導入へ道筋をつけるとしています。
 米の生産調整の見直しを万全の体制で進めるためにも、新制度への完全移行までに、公明党もかねてより主張をしてきた収入保険制度を創設すべきだと考えます。収入保険創設の目標時期について、農水大臣の答弁を求めます。
 最後に、施策の適正な執行についてお伺いをいたします。
 農業者戸別所得補償制度について、会計検査院が二十三、二十四両年度の交付金を検査したところ、過大に交付されている事例が三十五件見つかりました。不当事項として指摘をしました。
 農政改革を進めるに当たり、より適正に施策が執行されるよう改善を図るべきことは、論をまちません。政府は、この指摘をどのように受けとめ、農政改革に生かしていくのでしょうか。総理の御見解をお伺いいたします。
 言うまでもなく、私たちの営み、生活は、農林水産漁業に携わる方々のとうとい汗と労苦のもとに成り立っております。
 その御奮闘に、心から感謝を申し上げ、敬意を表し、農林水産業に携わる方々がますます御活躍をされ、その笑顔が輝く日本になりますよう、なお一層努力をしてまいることをお誓い申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 樋口尚也議員にお答えをいたします。
 農政改革における本法案の位置づけなどについてお尋ねがありました。
 農林水産業の活性化は待ったなしの課題であり、私は、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現していく決意であります。
 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、新たな需要を取り込むための輸出の拡大、六次産業化の推進による付加価値の向上、多様な担い手の育成確保、農地集積バンクを通じた農地の集積による生産性の向上、担い手の負担を軽減し、構造改革を後押しする日本型直接支払いの創設、そうした政策に精力的に取り組んだ上で、さらに、四十年以上続いてきた米の生産調整の見直しを行うこととしております。
 今般御審議いただく二法案は、このうち、多様な担い手の育成確保、日本型直接支払いの創設を実現するためのものです。
 今後、この二法案を含め、これらの改革全体を着実に進めることによって、農業を若者に魅力ある産業に成長させ、農業、農村全体の所得倍増の実現や、食料自給率、自給力の維持向上につなげていきたいと考えています。
 次に、多面的機能支払いが農業、農村において果たす役割についてお尋ねがありました。
 我が国は、古来より、瑞穂の国と呼ばれ、水田農業が中心となっており、田植えや稲刈りを共同で行ってきた伝統があります。こうした中、農地や水路の維持は、今でも、地域の集落の共同活動として行われています。
 このため、このような集落の共同活動を支援する日本型直接支払いを創設することといたしました。
 これにより、農業の有する多面的機能の発揮を促進するとともに、今回の農政改革で本格化する農地の集積に伴い、水路の維持といった担い手の負担の増加が見込まれる中、農業の構造改革を後押しする役割を果たすと考えています。
 農業所得の向上に向けた取り組みについてお尋ねがありました。
 今般の農政改革においては、米の直接支払い交付金の見直しとあわせて、飼料用米等への助成の充実、日本型直接支払いの創設、担い手へ農地利用を集積・集約化しコスト削減を図る農地集積バンクの創設等をあわせて行うこととし、意欲ある担い手の所得向上に向けた取り組みを支援することとしています。
 さらに、輸出の拡大、六次産業化の促進などの改革を着実に行うことにより、農業、農村全体の所得の向上の実現につなげていきたいと考えております。
 農業の担い手についてお尋ねがありました。
 我が国農業を安定的に発展させ、国民に対する食料の安定供給を確保していくためには、効率的かつ安定的な農業経営が生産の相当部分を担う農業構造を構築することが必要です。
 具体的には、担い手としては、効率的かつ安定的な農業経営を目指して経営の改善に取り組む認定農業者、将来、認定農業者となると見込まれる認定新規就農者、そして、将来、法人化して認定農業者となることも見込まれる集落営農が考えられます。
 今回の経営所得安定対策の見直しは、これらの担い手を対象として位置づけることにより、多様な担い手の育成確保を図ることとしています。
 農業者戸別所得補償制度に関する会計検査院の指摘についてお尋ねがありました。
 旧農業者戸別所得補償制度に関する会計検査において、生産数量目標を誤っていたことなどにより過大に交付されていた事案があり、不当事項として指摘されたものと承知しております。
 このため、農林水産省において、交付先に返還を求めるとともに、地方農政局等に対して、生産数量目標の確認を徹底するよう指導したところであります。
 今後の農政改革においても、経営所得安定対策の交付金の交付におけるチェック体制の改善など不断の見直しを行い、より適切な執行に努めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 樋口議員の御質問にお答えいたします。
 総務省による農地の保全及び有効利用に関する行政評価・監視の勧告についてのお尋ねがありました。
 総務省が昨年四月に公表しました農地の保全及び有効利用に関する行政評価・監視では、農地の流動化の促進に係る取り組みの効果的な実施、農地法に基づく遊休農地に関する措置の適正かつ効果的な実施、違反転用に対する処分等の適正な実施等が勧告されました。
 この勧告に対し、農林水産省としては、農地の流動化の促進については、人・農地プラン、農地集積協力金等の進捗状況の検証を行い、その結果を今年度補正、来年度予算等に反映させるとともに、各都道府県に農地中間管理機構を整備し、農地の流動化を促進する、遊休農地については、農業委員会に対して遊休農地に関する措置の徹底を求める通知を発出し、違反転用については、指導、勧告や処分の適切かつ厳格な実施の確保等を都道府県等に求める通知を発出した、そういう旨を本年三月二十日に総務大臣に対して回答いたしたところでございます。
 今後の政府としての農地の保全や有効利用等の取り組みについてのお尋ねがありました。
 農業を成長産業としていくためには、担い手への農地集積、集約化をさらに加速化する等の必要があり、農地流動化を進める画期的な手法として、都道府県段階に公的な機関として農地中間管理機構を整備することとし、関係法案を昨年の臨時国会に提出し、成立をさせていただいたところであります。
 今後は、この農地中間管理機構の法制度としての仕組みや、予算上の支援措置、さらには、人・農地プランの作成、見直し、この三つをセットで取り組むことによりまして、担い手への農地集積、集約化を加速して、今後十年間で、担い手の農地利用が全農地の八割を占める農業構造を実現したいと考えております。
 次に、多面的機能支払いについて、新たに取り組む農業者へのノウハウの提供などの支援についてお尋ねがございました。
 今般新たに創設する多面的機能支払いについては、まず、説明会等を通じて農村現場への制度の丁寧な説明に努めるとともに、都道府県、市町村、関係団体等が連携を密にして、取り組みのノウハウの提供や地域ごとの特性に応じた助言を行うといったきめ細かな支援を行うことによりまして、本制度が広く活用されることとなるように、普及推進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、米粉用米、飼料用米についてのお尋ねがありました。
 飼料用米については、輸入トウモロコシと遜色ない価格で供給できれば四百五十万程度の潜在的な需要は見込めるものと考えておりまして、平成二十六年度から数量払いを導入し、生産性向上のインセンティブを高めるとともに、耕種側の乾燥調製貯蔵施設や畜産側の加工・保管施設の整備などへの支援を行うこととしています。
 米粉用米についても、現状の需要量は二万トン程度ですが、製粉コストの低減といった課題が解決すればまだまだ需要は拡大すると考えており、数量払いの導入とともに、製粉コスト削減に資する技術の開発、実証や、米粉製造設備等の整備、官民一体となった米粉の普及運動等に取り組むこととしております。
 これらを通じ、飼料用米、米粉用米の円滑な流通体制の構築と利用の拡大を図ってまいります。
 最後に、収入保険についてのお尋ねがありました。
 現在の農業共済制度は、収穫量の減少のみが対象となっている、また、対象品目が限定されているなど農業経営全体をカバーしていないといった問題があるわけでございます。
 このため、農業経営全体の収入に着目した収入保険の導入について、調査検討を進めていく必要があると考えております。
 来年度予算に調査費を計上しており、この調査結果を踏まえて制度設計を行い、平成二十七年産について、作付前の加入から納税申告までの一サイクルのフィージビリティースタディーを実施した上で、制度を固めていきたいと考えております。
 今後の調査等の結果によるので、現段階で確たることを申し上げる段階ではございませんが、調査検討が順調に進めば、平成二十九年の通常国会に関連法案を提出することになるものと考えておるところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 次に、林宙紀君。
    〔林宙紀君登壇〕
○林宙紀君 結いの党の林宙紀です。
 ただいま議題となりました各法律案につきまして、結いの党を代表して質問いたします。(拍手)
 初めに、政府提出の法案について伺います。
 昨年の秋、報道において、農政の大改革という文字が躍りました。その中心たる内容は、本法案にも強く関連する、生産調整、いわゆる減反の廃止です。四十年も続いてきた農政の基本方針を一気に転換し、いよいよ本気で改革を進めるのかと、非常に期待しました。
 しかしながら、政府から示されたプランには、減反あるいは生産調整の廃止という言葉は見当たらないどころか、転作のための補助金を残し、主食用の米の生産を実質的に調整する内容で、いわば、形を変えた減反政策と言えるものになっています。
 総理が頻繁におっしゃっていた減反廃止という言葉から国民がイメージしたものとは随分と異なる姿になっていると思いますが、総理は、これをどのようにお考えでしょうか。
 減反あるいは生産調整の目的について、農林水産省は、米の需給を調整するのが目的で、米価はその結果であると、常に説明をします。しかし、農林水産省が農家向けに作成しているパンフレットにおいては、「米価安定・経営安定のためには生産調整の確実な実行が不可欠です」と書いてあります。米価を高く支えるために生産調整を行ってきたということは明らかです。これについて、農林水産大臣の見解を伺います。
 結いの党は、減反あるいは生産調整の廃止、これは、行政が介入せず、市場原理に基づいて米価が形成されることを意味すると考えますが、その結果として、米価の下落は十分に想定されます。
 これまで米価が高く維持されたことは、消費者の負担によってそれを支えていたことにほかなりません。また、税金による転作補助金を、生産調整を達成する手段としていることは、消費者の負担に納税者負担も加えた、二重の負担を国民に課していることになります。
 消費者負担を減らし、また、国際競争力の強化につながる意味でも、米価の低下は消費者にとってはむしろ歓迎されるべきもののはずですが、これについて総理の見解を伺います。
 ところで、今回の法案にある、生産条件不利補正交付金、いわゆるゲタ対策は、生産に要したコストと販売額との差に相当する額を交付するものですが、その金額の算定に際し、生産に要したコストとして使う全額算入生産費には、実際に経費としての支払いは一円も発生していないもの、例えば、自作地地代といって、もし自分の土地を他人に貸したら入ってくるはずのお金という、架空の金額も含まれています。これは経済学で言う機会費用に相当するものですが、実際には支払っていないものを費用として考えるのは、交付金の額を不当に高く見積もっていることになるととられかねません。
 透明性の高い交付金にするためにも、算定に使用する生産費の考え方を見直す必要があると思いますが、農林水産大臣の見解を伺います。
 さて、今回の法案は、日本型直接支払いも大きな要素の一つです。
 農業、農村の有する多面的機能の維持発揮に国が支援をする意義は十分にあります。しかし、政策的に高く維持されてきた国内農産物の価格は、まさにこの多面的機能の維持が目的であるという理由で、これまでも正当化されてきました。つまり、既に多面的機能の維持には支援がなされてきたということになります。
 日本型直接支払いは、同じ目的に対して二重に支援をすることになり、この重複を解消するには、農産物の価格を下げるか、この支払い自体をやめることが必要だと考えますが、農林水産大臣に見解を伺います。
 結いの党は、市場原理に基づく米の価格下落は容認し、その下落分に対して一定の補償をするEU型の直接支払いを参考に、農業の構造改革を進める考えです。これまで農産物を買うときに消費者が負担していた分を、税金による負担に置きかえるということになるため、そのことは、十分に国民の皆さんに説明をする必要があります。
 一方で、これまで、高い消費者負担と納税者負担を強いて農業を保護してきた理由を、歴代の政府は、十分に国民に説明をしてきたでしょうか。
 スイスでは、農業直接支払い政策を導入するに当たり、憲法を改正して対応し、その際、国民投票を行いました。結果として、およそ八割の国民が賛成をしたそうです。
 我が国において憲法改正まで行う必要があるかどうかは別として、決して少なくない予算を充てて支援をする以上、国民に対し十分に説明するということは不可欠です。
 総理、今後の農政について、国民にどのように理解を求めていくお考えか、御答弁をお願いします。
 続いて、民主党、生活の党、社民党提出の法案について伺います。
 戸別所得補償制度は、EU型直接支払いの思想を一定程度取り入れたものであり、究極的に目指す方向性は同じとも思える一方で、本法案については、幾つかの疑問点がございます。
 第一に、生産調整は撤廃すべきという我が党の考え方からすると、主食米所得補償交付金における、生産調整に従うことという交付条件は削除した上で、交付の対象を、耕作の規模など一定の要件で限定すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 第二に、戸別所得補償制度により集落営農化が進んだとの御説明がありましたが、昨年の集落営農数は、前年に比べて、およそ百減少しています。この点について御説明をお願いします。
 第三に、全体として、目指す大きな方向性が私たちと同じであるならば、御提案の仕組みは、私たちが主張する形の直接支払い制度に移行する前段階と理解してよろしいのでしょうか。お考えをお聞かせください。
 結いの党は、食料生産の場としての農地、そして多面的機能を発揮する場としての農地を維持発展させることは、食料安保や国土保全の観点から国益に大きく資するという意味で大変重要であり、その意味においての支援こそ、農政が担うべき役割であると考えています。
 農業が持つ本来の力を十分に引き出し、国益に資する真の攻めの農業の実現に向け、既得権益とは真っ向から闘うことを改めてお誓い申し上げ、私の質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 林宙紀議員にお答えいたします。
 米の生産調整の見直しについてお尋ねがありました。
 政府としては、農地のフル活用を図り、食料自給率、食料自給力の維持向上を図っていく観点から、これまで、行政が配分する米の生産数量目標に従って農業者が作物をつくっていたものを、五年後を目途に、農業者がマーケットを見ながらみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米等の生産に助成し、その振興を図ることとしております。
 これは、四十年以上続いてきた米の生産調整を見直すものであり、御指摘のような、形を変えた減反政策といったものではありません。
 また、こうした政策の内容を一般の人にお話しする際には、理解しやすいよう、いわゆる減反の廃止と述べてきたものであります。
 米価についてお尋ねがありました。
 主食用米の価格については、需要動向等に応じて民間取引の中で決定されており、生産コストの低減も反映され、長期的に低下してきております。
 政府としては、今回の農政改革において、農地集積による生産性の向上などを通じ、生産コストの低減にしっかりと取り組み、先ほど申し上げたように、米の生産調整の見直しを進めていくこととしており、今後の米の価格についても、こうした中で、民間取引により決定されていくものと考えております。
 いずれにせよ、こうした取り組みを通じて、農業を活力ある成長産業としていくとともに、多くを輸入に依存している麦、大豆や、需要の見込まれる飼料用米などの生産振興により、食料自給率、食料自給力の維持向上を図り、消費者への食料の安定供給を確保していくことが重要であると考えております。
 農業支援の意義の説明についてお尋ねがありました。
 これまで、歴代の内閣においては、その時々の農政の課題に対応するため、法律や予算を通じてその意義を明らかにし、国民の皆様の理解を得ながら、必要な施策を講じてきたものと考えております。
 しかしながら、我が国農業は、食生活の大きな変化や農産物価格の低迷等への対応が十分に進まず、農産物価格の低下等による農業所得の減少、担い手の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増大など、現在の状況は厳しいものとなっております。
 今回の改革は、こうした状況を一つ一つ克服し、我が国の農業について活性化を図っていくことで、将来にわたって食料を安定的に供給するとともに、美しいふるさとを守る機能を果たしていけるようにするものであり、そうした意義について、国民の皆様への丁寧な説明に努めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 林議員の御質問にお答えいたします。
 米の生産調整に関するパンフレットについてのお尋ねがありました。
 かつて、平成十九年産米は、需給の緩和等により価格が下落し、担い手を含む稲作農家の経営に支障が生じかねない状況になったことに対応するため、平成十九年末に、生産調整の着実な実施に向けた緊急対策や、市場からの政府買い入れを行いました。
 このような中で、平成二十年産米の需要に応じた生産を呼びかけるため、平成二十年に当該パンフレットを作成したものであります。
 米の生産調整については、従来から、消費が減少傾向にある主食用米の需要に応じた生産を図ることを目的として実施しておりまして、あわせて、大半を輸入に頼っている麦、大豆や、需要の見込まれる飼料用米の生産を拡大し、食料自給率、自給力の向上を図るものであります。
 生産条件不利補正交付金の単価の算定に用いる生産費についてのお尋ねがありました。
 生産費については、これまでの価格政策、所得政策の経緯もあって、再生産を確保するのに必要な補填単価を算定する観点から、自作地地代なども含めた全算入生産費を用いてきたところであります。
 単価の算定方法については幾つかの考え方があると思いますが、自作地地代は、自分の土地を他の用途に使った場合の機会費用でありまして、これらを考慮することも合理的な方法の一つであると考えております。
 次に、日本型直接支払いによる支援が、二重の支援に当たるのではないかとのお尋ねがありました。
 今般の農政改革においては、産業政策と地域政策を車の両輪として推進することとしており、地域政策としては、農業の有する多面的機能の重要性等に鑑み、その発揮の促進に必要な地域の共同活動等を支援する日本型直接支払いを政策の柱に据えることとしております。
 この日本型直接支払いは、産業政策として実施する施策では支援の対象としていない、地域の共同活動に要する費用、中山間地域等の条件不利地域と平地とのコスト差、環境保全効果の高い営農活動を行うことに伴う追加的コストに着目して支援を行うこととしております。
 したがって、二重の支援には該当しないものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔玉木雄一郎君登壇〕
○玉木雄一郎君 林宙紀議員に質問いただきました。ありがとうございます。
 せっかくなので、少し丁寧にお答えさせていただきたいと思います。
 戸別所得補償制度の交付要件に関して、生産調整に従うことという要件を外した方がいいのではないのか、あるいは一定の規模以上に限定して交付を行った方がいいのではないか。よく聞かれる質問であります。
 私は、構造改革を進めていくことについては、林議員と同じ気持ちであります。
 太陽政策と北風政策というものに大きく分けるとしたら、例えば、生産調整をやめて米価の下落を容認する、あるいは、前の品目横断のように、一定の面積以上に交付を限定する。これは一つの考え方でしょう。
 我々、農政をやってみて一番考えたのは、例えば米は、一年間に一回しかつくれない、ここに時間の概念が入ってくるので、現場を押さえて丁寧に物事を進めていかなければいけないというのが結論であります。
 その中で、我々の考える構造改革の考え方は、先ほども申し上げましたけれども、全国一律の交付単価を設置することによって、具体的に言うと、二ヘクタール以上の農家では収益が出ますけれども、反当たり一万五千円を交付したのでは、二ヘクタール未満の農家については、この交付金をもらってもなお赤字になります。そうすると、収益の出る領域に移行していくためには、面積を集積するなり、あるいは、さまざまな構造改革を講じることによってしか営農を継続することはできなくなってしまいます。ですから、反当たり一万五千円の全国一律単価を設置することによって、いわば静かな構造改革を促していく。
 もちろん、所得補償だけではありません。農地の集積協力金を出したり、あるいは規模加算を用意したりすることにあわせ持って、農地の集積を促したり、構造改革を進めていくことを我々は目指しているわけであります。
 その意味で、規模の話に戻しますけれども、こういった政策をすることによって、実際に、五ヘクタール以上の農家では九八%あるいは九九%の加入率があるのに対して、五反未満の農家に関しては五〇%台の低い加入率にとどまっています。それは、強制的な規模要件を課さなくても、制度の設計によって、事実上、規模の大きな効率的な農家に交付を集中的に促していくことの仕組みを制度そのものにビルトインしているわけであります。ですから、我々としては、規模要件は課していません。
 また、交付を、生産調整に加入することを要件に求めておりますけれども、こういったことを制度として行うことによって次第に生産コストが下がっていきます。下がっていくことによって、販売価格と生産コストの埋めるべきギャップを少なくし、財政的な支援の負担もだんだん減らすことによって、生産調整に参加するメリットを減らしていき、究極的には、生産調整に参加しなくても生産が行える農家を大宗にしていこうということを考えているわけであります。
 ですから、究極的には、林議員の考えているような方向と同じになるものだというふうに考えております。
 もちろん、今後とも、さまざまな制度改善については行っていきたいと考えております。
 二つ目の質問でありましたけれども、集落営農数が百ほど減少しているということでありました。
 二十二年産米から戸別所得補償制度を導入しましたけれども、二十二年産米に導入した次の年の二十三年度は、その間ずっとなかなかふえなかった集落営農組織の数は、全国で千以上ふえまして、率にして何と八%もふえています。
 そして、所得補償を導入してから、この増加傾向については、ある程度ふえてきたんですが、直近の平成二十五年、つまり、平成二十四年の末に政権交代が起こって、平成二十五年には、おっしゃるとおり、百減少しているわけであります。これは、つまり、政権がかわり、政策が変わることに対して農家が不安を感じて、そういったことも一因となって、集落営農組織の数は減ったものだと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(赤松広隆君) 次に、畑浩治君。
    〔畑浩治君登壇〕
○畑浩治君 生活の党の畑浩治でございます。
 生活の党を代表して、本法律案に対して質問をいたします。(拍手)
 地域を歩いていると、短期間での急激な政策転換に、農家から戸惑いの声が上がっています。現在行われている経営所得安定対策、すなわち戸別所得補償については、急激な方向転換をやめて、安定的に行ってほしいという声が圧倒的です。
 私たちは、この制度を安定的に実施していくべく、民主党、社民党とともに、農業者戸別所得補償法案等を提出しているところであります。
 私は、野党案の提出者の一人でありますが、本日は、野党案と比較しつつ政府案の問題点をただす観点から質問をさせていただきます。
 農業者戸別所得補償制度は、全販売農家を対象にし、農家の、生産者としての農業所得のミニマムな保障を可能な限り追求しつつ、食料自給率の向上をも目指すという基本線に貫かれています。
 一方、日本型直接支払い制度は、集落を対象とし、農地を農地として維持し、その多面的機能発揮を名目とする支払いであります。本来の生産や経営に対する支払いではないという意味で、生産者として立ち行くような支援とは意味合いが違います。
 農家の経営が立ち行けば、おのずと、農地は農地として維持されるものであります。経営が立ち行かなければ、農地を農地として維持する支援を行っても、農地の維持は難しいものであります。
 政府案は、農業支援の理念が全く間違っていると言わざるを得ません。総理は農業支援とはどうあるべきと考えているのか、その認識を伺います。
 戸別所得補償制度をばらまきとする批判は、中身を全く理解しない、浅薄なものです。
 戸別所得補償制度は、ソフトな手法で農地集約化や生産調整を図る、合理的な制度であります。全国一律の単価とすることで、コスト削減と高値販売への経営努力が報われるシステムとなっています。実は、規模の大きな経営体に有利な設計となっています。現に、規模拡大、集約化の効果があらわれていて、先ほども話がありましたが、静かな構造改革とも言える結果が出ています。
 この点についてどのような認識があるか、総理に伺います。
 政府案では、米の直接支払い交付金を、来年度は、十アール当たり一万五千円から、半額の七千五百円にして、四年後には廃止する、そういう方向でありますが、大変問題が大きいと考えます。
 米の直接支払い交付金については、収入変動影響緩和対策、いわゆるナラシでは、米価が趨勢的に下落する中で、過去の平均により計算される基準収入が継続的に低下してしまい、所得の減少に歯どめがかからず、将来の経営見通しが立たないため、岩盤が必要ということでできた経緯があります。
 この廃止は、兼業収入の少ない大規模経営ほど深刻な問題となり、さらに、規模拡大が期待される中心的な稲作の担い手が将来の投資計画をちゅうちょするような状況を生み出すのではないでしょうか。問題点をどのように認識しているのか、お答えください。
 岩手県においては、農政改革により交付金が減少するため、農業所得が十六億円減少するとの試算をまとめています。
 一方、国の試算は、農家所得がふえるとしていますが、その前提は、主食用米の作付面積が順調に飼料用米に転換する、不作付地の大部分に飼料用米が新たに作付される、飼料用米が最大限生産された場合に交付される最高金額である十アール当たり十万五千円の場合を前提としているなど、かなり楽観的な試算となっています。
 政府案により、農家への交付金の交付額についてどのように変わるのか、お答えください。
 飼料用米に想定どおりうまく転換されるかどうかは、需要先とのマッチングが必要不可欠となります。また、飼料用米を飼料に加工するための特別な機械、施設が必要です。平たん部では、畜産農家が少ない上に、そのような機械、施設も十分ではないという、ミスマッチの問題もあります。飼料用米への転換の見通しが甘いと言わざるを得ません。
 飼料用米転換の見通しの根拠及びマッチング支援について、お答えください。
 戸別所得補償制度は、生産数量目標に従って販売目的で生産する主体に交付金を交付する制度です。生産調整のインセンティブを与えるものでありますが、生産数量目標に従わないことに対する個々の農家へのペナルティーはありません。実質的には選択制と言ってよい、合理的な制度であります。
 政府の農政改革については、減反廃止や農家淘汰政策であるという見解がある一方で、減反強化策ではないかという、相反する見方があります。これは、政府の施策が二枚舌で、どちらともとれる曖昧なものだからであります。国の情報提供のみで自主的に生産者において生産調整が行われるというイメージが、私には、よくわかりません。
 逆に、生産者の自主性と言いながら、国と生産者団体が事前に協議しつつ生産数量目標を実質的に割り当て、建前は生産者の自主的な判断だというのであれば、実質的には減反の強化という見方もできるのです。
 どのような手法で、自主的で、かつ、有効な生産調整を行うことが可能と考えているのか、単なるきめ細かな情報提供というレベルを超えて、お答えください。
 これまでの食料・農業・農村基本計画では、食料自給率を目標としていました。
 今回の見直し作業では、曖昧な概念である食料自給力が検討対象となっています。TPPに参加すると食料自給率は現行の四〇%から二七%に低下すると農林水産省で試算されています。食料自給力の検討については、TPP参加を見据えて、自給率を目標とする施策からの逃げを打ったのではないかとする見方もあります。
 また、日本型直接支払いは、自給率の向上という生産面に着目したものではなく、むしろ、潜在的な生産能力の維持を主眼とするもので、自給力の方が親和性が高いという見方があります。
 そこで伺います。自給率五〇%を目指す政策に変更はあるのかどうか、明確にお答えください。
 農政に与野党はありません。必要なのは、猫の目農政と言われないように、そして、農家の皆様に混乱と不安を与えないように、よい制度で持続的な制度を、メンツにとらわれずに構築することにあります。
 政府・与党がみずからの案のみにいたずらに固執することなく、野党案もあわせて客観的に充実した審議がなされ、あるべきよい成案となることを切に念願して、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 畑浩治議員にお答えをいたします。
 農業支援のあり方についてお尋ねがありました。
 我が国の農業が活力ある成長産業となっていくためには、意欲ある担い手が力強く経営を展開できるようにしていくことが重要と考えております。
 政府としては、農地集積バンクにより、農地を集約化して生産性を向上させるとともに、六次産業化の推進などにより、付加価値の向上を図るための施策などを講じてきているところであります。
 また、農業の有する多面的機能の発揮を図ることも重要です。農地や水路の維持といった集落の共同活動を支援する日本型直接支払いを創設したところであります。これにより、農地の集積に伴い、負担の増加が見込まれる担い手の経営を支援することにもつながると考えております。
 こうした取り組みにより、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村の実現を目指してまいります。
 戸別所得補償制度による静かな構造改革についてお尋ねがありました。
 高齢化等によりリタイアする方々がいたことから、これまで農地の集積は、一定程度は進んできたところであります。
 しかしながら、旧戸別所得補償制度については、全ての販売農家を対象に交付金を支払うものであったことから、担い手への農地の集積のペースをおくらせる面があったものと考えています。
 農業者の高齢化が進み、担い手への農地の集積、集約が喫緊の課題となっている我が国農業においては、担い手への農地の集積ペースをおくらせることは適切ではないと考えており、今般の改革を進めることとしたところであります。
 あわせて、農地集積バンクにより、担い手への農地の集積をしっかりと進めることとしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 畑議員の御質問にお答えいたします。
 米の直接支払い交付金の廃止による大規模経営への影響についてのお尋ねがありました。
 米の直接支払い交付金については、米は、麦、大豆等とは違い、十分な国境措置があるため、諸外国との生産条件の格差から生じる不利はないこと、全ての販売農家に交付することは農地の流動化のペースをおくらせる面があること等の政策的な問題があったため、廃止することとしたところであります。
 しかしながら、この交付金を前提に機械、施設の投資を行ってこられた農業者も少なくないため、経過措置として、平成二十六年産から単価を削減した上で、平成二十九年産までの時限措置として実施することとしたところであります。
 一方で、米の直接支払い交付金の見直しに伴う振りかえ、拡充により、農地を農地として維持していくための多面的機能支払いの創設、非主食用米等への支援の充実など水田の有効活用対策の拡充、農地の担い手への集積を推進するための支援策等の拡充を行うこととしたところであります。
 今回の農政改革による、農家への交付金の交付額の変化についてのお尋ねがありました。
 今回の農政改革においては、米の直接支払い交付金は減額いたしますが、飼料用米等への助成の充実や産地交付金の拡充とあわせて行うこととしております。
 御指摘のありました試算は、農家の皆さんが飼料用米に積極的に取り組んだり、不作付地を解消するなどの努力をするという、一定の前提を置いて行ったものであり、みずからの経営判断で需要ある作物を選択し、農地をフル活用する場合には、従来よりも手厚い助成が受けられるということを示したものであります。
 なお、個々の農家への交付金額については、個々の農家の営農類型は多岐にわたっていること、個々の農家がどのような作物を選択し、どのような取り組みを行うかについても、農家や地域ごとに大きく異なることから、一概に幾ら交付されるとは言えないと考えております。
 飼料用米についてのお尋ねがありました。
 飼料用米については、輸入トウモロコシと遜色ない価格で供給できれば、四百五十万トン程度の潜在的な需要は見込めるものと考えております。現在でも、国内生産分と備蓄米、ミニマムアクセス米からの供給分を合わせて、既に五十万トン以上が供給をされております。
 飼料用米については、地域での直接供給を要望する畜産農家から新たに七万二千トンの利用希望が寄せられておりまして、耕種農家とのマッチング活動を行っているほか、配合飼料工場を通じた供給については、全国生産者団体が地域の飼料用米を集荷し、配合飼料原料として飼料工場へ広域的に供給する仕組みが確立されていることから、各地域で生産された飼料用米を安定的に流通、販売していくことが可能であります。
 農林水産省としては、耕種側の乾燥調製貯蔵施設や畜産側の加工・保管施設の整備への支援を行うなどにより、飼料用米の増産に対応した産地の流通体制の整備をより一層推進してまいります。
 米の生産調整についてのお尋ねがありました。
 今回の米政策の見直しでは、需要に応じた米生産を図るため、水田活用の直接支払い交付金を充実し、数量払いの導入など飼料用米等のインセンティブを高め、産地交付金も充実し、県、市町村段階で水田フル活用ビジョンを策定いただき、地域の特性を生かした産地づくりを進めるほか、国による、きめ細かい需給・価格情報、販売進捗・在庫情報等の提供等の環境整備を行っていくこととしております。
 具体的には、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、全国の需給見通しや県内の米の売れ行き、各地域で定める水田フル活用ビジョン等を踏まえて、主食用米の振り向け比率や麦、大豆等の作付面積について、生産者と集荷業者が相談して決定したり、みずから販売している生産者が主体的な経営判断に基づいて決定することにより、需要に応じた米の生産が進められるものと考えております。
 食料自給率目標についてのお尋ねがありました。
 食料自給力については、農地、担い手、農業技術などから成る、国内農業生産による食料の潜在的な供給能力を示すものと整理されており、TPP交渉とは無関係にこれまでも議論されております。
 また、食料自給率については、現行の食料・農業・農村基本計画において、カロリーベースで五〇%、生産額ベースで七〇%を平成三十二年度の目標として掲げて、その向上に取り組んでいるところであります。
 他方、この食料自給率目標を、これまで五年に一度の基本計画の見直しの際に見直してきており、去る一月に基本計画の見直しを諮問した食料・農業・農村政策審議会において、まずは現行の食料自給率目標を検証した上で、食料自給率目標及び食料自給力の取り扱いも検討してまいります。
 以上でございます。(拍手)
○副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       総務大臣     新藤 義孝君
       文部科学大臣   下村 博文君
       厚生労働大臣   田村 憲久君
       農林水産大臣   林  芳正君
       経済産業大臣   茂木 敏充君
       国土交通大臣   太田 昭宏君
       国務大臣     山本 一太君
 出席内閣官房副長官及び副大臣
       内閣官房副長官  加藤 勝信君
       農林水産副大臣  江藤  拓君