第186回国会 予算委員会 第2号
平成二十六年一月三十一日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 二階 俊博君
   理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君
   理事 塩崎 恭久君 理事 萩生田光一君
   理事 林  幹雄君 理事 森山  裕君
   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君
   理事 石田 祝稔君
      あかま二郎君    青山 周平君
      赤枝 恒雄君    秋元  司君
      秋本 真利君    穴見 陽一君
      井野 俊郎君    伊藤 達也君
      池田 佳隆君    石崎  徹君
      今村 雅弘君    岩屋  毅君
      うえの賢一郎君    衛藤征士郎君
      小倉 將信君    越智 隆雄君
      大島 理森君    大野敬太郎君
      金子 一義君    小池百合子君
      佐田玄一郎君    菅原 一秀君
      関  芳弘君    薗浦健太郎君
      高橋ひなこ君    中谷  元君
      中山 泰秀君    西川 公也君
      野田 聖子君    野田  毅君
      原田 義昭君    福山  守君
      船田  元君    牧島かれん君
      宮路 和明君    八木 哲也君
      保岡 興治君    簗  和生君
      山本 幸三君    山本 有二君
      湯川 一行君    大串 博志君
      岡田 克也君    奥野総一郎君
      篠原  孝君    玉木雄一郎君
      原口 一博君    古川 元久君
      坂本祐之輔君    重徳 和彦君
      杉田 水脈君    中山 成彬君
      西野 弘一君    伊佐 進一君
      石井 啓一君    浜地 雅一君
      柏倉 祐司君    佐藤 正夫君
      柿沢 未途君    宮本 岳志君
      畑  浩治君
    …………………………………
   内閣総理大臣       安倍 晋三君
   財務大臣
   国務大臣
   (金融担当)       麻生 太郎君
   総務大臣
   国務大臣
   (国家戦略特別区域担当)
   (地方分権改革担当)   新藤 義孝君
   法務大臣         谷垣 禎一君
   外務大臣         岸田 文雄君
   文部科学大臣       下村 博文君
   厚生労働大臣       田村 憲久君
   農林水産大臣       林  芳正君
   経済産業大臣      
   国務大臣
   (原子力損害賠償支援機構担当)          茂木 敏充君
   国土交通大臣       太田 昭宏君
   環境大臣
   国務大臣
   (原子力防災担当)    石原 伸晃君
   防衛大臣         小野寺五典君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     菅  義偉君
   国務大臣
   (復興大臣)       根本  匠君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長)
   (防災担当)       古屋 圭司君
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当)
   (科学技術政策担当)
   (宇宙政策担当)     山本 一太君
   国務大臣
   (消費者及び食品安全担当)
   (少子化対策担当)
   (男女共同参画担当)   森 まさこ君
   国務大臣
   (経済財政政策担当)   甘利  明君
   国務大臣
   (規制改革担当)     稲田 朋美君
   総務副大臣        上川 陽子君
   財務副大臣        古川 禎久君
   経済産業副大臣
   兼内閣府副大臣      赤羽 一嘉君
   総務大臣政務官
   兼内閣府大臣政務官    伊藤 忠彦君
   政府参考人
   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    北川 慎介君
   参考人
   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君
   参考人
   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君
   参考人
   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君
   予算委員会専門員     石崎 貴俊君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月三十一日
 辞任         補欠選任
  衛藤征士郎君     池田 佳隆君
  越智 隆雄君     野田 聖子君
  大島 理森君     高橋ひなこ君
  薗浦健太郎君     福山  守君
  中山 泰秀君     穴見 陽一君
  西川 公也君     簗  和生君
  船田  元君     秋本 真利君
  保岡 興治君     湯川 一行君
  山本 幸三君     赤枝 恒雄君
  大串 博志君     奥野総一郎君
  玉木雄一郎君     原口 一博君
  伊佐 進一君     石井 啓一君
  佐藤 正夫君     柏倉 祐司君
同日
 辞任         補欠選任
  赤枝 恒雄君     山本 幸三君
  秋本 真利君     石崎  徹君
  穴見 陽一君     大野敬太郎君
  池田 佳隆君     青山 周平君
  高橋ひなこ君     大島 理森君
  野田 聖子君     中谷  元君
  福山  守君     八木 哲也君
  簗  和生君     井野 俊郎君
  湯川 一行君     保岡 興治君
  奥野総一郎君     大串 博志君
  原口 一博君     玉木雄一郎君
  石井 啓一君     伊佐 進一君
  柏倉 祐司君     佐藤 正夫君
同日
 辞任         補欠選任
  青山 周平君     衛藤征士郎君
  井野 俊郎君     小倉 將信君
  石崎  徹君     船田  元君
  大野敬太郎君     牧島かれん君
  中谷  元君     越智 隆雄君
  八木 哲也君     薗浦健太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  小倉 將信君     西川 公也君
  牧島かれん君     中山 泰秀君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成二十五年度一般会計補正予算(第1号)
 平成二十五年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成二十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)
     ――――◇―――――
○二階委員長 これより会議を開きます。
 平成二十五年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十五年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。
 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、中小企業庁長官北川慎介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田聖子君。
○野田(聖)委員 おはようございます。自由民主党の野田聖子でございます。
 本日は、安倍総理初め閣僚の皆さんと、二十五年度の補正予算につきましていろいろ議論を交わし、また質問にお答えいただきたいと願っています。
 質問に先立ちまして、私は今、自民党の総務会長を仰せつかっております。そして、自民党としていま一度私たち全員が肝に銘じなければならないことは、一昨年の衆議院選挙に立ち戻ることです。
 私たちは、自分たちのさまざまな過失によって政権を失いました。三年三カ月、大変苦しい日々であったと思います。しかし、その野党になった私たちを見捨てずに支え、そして建設的な意見をいただいた国民の皆さんのお支えがあって、一昨年の衆議院選挙、そして昨年は夏の参議院選挙で衆参ともに過半数へ戻ることができ、懸案であったねじれを解消するに至りました。
 私たちは一昨年、安倍総裁のもと、国民にお約束したのは、かつての傲慢な自由民主党には決して戻らない、謙虚に、そして、皆さんからいただいた一つ一つの課題にしっかりと応えていく、約束した仕事はちゃんとやる、そして、ねじれを解消してもらったから、決める政治に取り組んでいく。それをやはりいついつまでも忘れずに、大臣もそうですけれども、私たち国会議員一人一人がことしもその思いで一丸となってやっていかなければならないんだと思っています。
 そんな中、ことしは好循環実現国会ということでスタートが切られました。経済再生の政策、これは、一昨年の衆議院選挙の政権公約の中にある経済再生の政策、そして、今は、いつの間にかアベノミクスと命名されているわけですが、その中に一本の矢、二本の矢、三本の矢ということで、多くの国民の皆様方には中身の理解をいただいているところです。
 金融の矢が放たれました。そして、公共事業を中心とする財政の矢も放たれました。
 謙虚に、立ち戻っている私たちにとって、公共事業は単なるお金のばらまきではありません。財源が逼迫している中、まさに国民にとって必要とされている、命を守る公共事業を友党公明党の皆さんとともに進めていることは火を見るより明らかで、なおかつ、この数年、経済が停滞したことで、都市部よりむしろ地方の人たちが苦しんでいます。そういう地方経済が自立できるような、地方の魅力が倍増するような公共事業を最優先に取り組んでいるところも、ぜひ改めて国民の皆さんにも御理解いただき、御協力をいただきたいと思っています。
 そして、それ以外に大きなものとしては、税制がありました。
 三本の矢というと税制が抜けてしまって、我が党の野田税調会長はいつも憤慨されているんですけれども、まさにこの税制もとても重要な仕事の一つになっておりまして、多くの人たちが、やる気のある人たちがこの税制を活用して、減税とともに、経済の活性化に向けて、一人でも多くの人たちが手を挙げていただけるように進めてまいりたいと思います。
 そして、何といっても、ボーナスとしては、東京のオリンピック・パラリンピックの招致が決定いたしました。過去の歴史の中で、世界じゅうどこを見ても、オリンピックまでにその景気が落ち込んだ国はなかったという話を聞いています。しかし、それに甘えずにしっかりと、この東京オリンピック・パラリンピックによって次の日本が見えるような、そういう建設的な取り組みをしていかなければならないと思っています。
 アベノミクス、一年たって、結果は出ています。多くの輸出関連企業が望んでいた円安基調も安定しています。そして、それに伴って株価も上昇しています。一年ぐらい前には七千円台だった株価も、一万四千、五千円と上がってきています。そして、さらには、一番私たちが苦労している税の収入ですけれども、まだまだ、景気がよくなったねと感じている人が一割、二割しかいっていない中にあっても、その人たちによって二・二兆円の税収の上振れがあったということも事実であります。
 ですから、私たちは、このアベノミクスしかないんだということを改めて国民の皆さんにお伝えするとともに、二年目は最大の試練を迎えることになります。四月には消費税の増税があるわけです。そこで、今、順調なスタートを切っている、アベノミクスに基づいて経済の再生が進んでいる中、決して腰折れにならないようにしっかりと取り組んでいかなければなりません。
 それがまさに、きょうから議論をしていただく補正予算の中身だと思います。速やかにこの補正予算の審議をしていただきまして、実行し、そして切れ目のない経済再生に向けて取り組んでいきたいということを、ぜひとも野党の皆様方の御協力もお願い申し上げるところでございます。
 さて、本題に移りたいと思います。
 就任、一年過ぎました。私が一番びっくりしていることは、安倍総理の元気であります。この一月も、何と、アフリカにも行かれたし、ダボスにも行かれたし、そしてインドに行かれました。さらに、もうすぐ目の前には、ソチに行かれるという話もございます。
 私は、大変元気な女なんです。毎年、子供が生まれてからは必ず健康診断をやっていて、全ての数値でAなんです。そんな私が驚くぐらいの元気であられることが、何よりも私にとってはうれしいことです。とはいえ、油断せずに、ぜひ、多くの国民の声を、間違った情報が届いている国々がたくさんあると思います、本当の日本を、総理として、一国でも多く、一人でも多くの人にお伝えいただける一年である、充実した一年であることを心から望んでいます。
 しかし、それよりも驚いているのは、総理の、女性力を連発される日々であります。
 野党の皆さんはわからないかもしれませんけれども、私は、自民党の国会議員を二十年、安倍総理と同期の桜であります。岸田大臣もそうですし、茂木大臣もそう、あとは根本大臣もそう。そうやって二十年前、野党として厳しい中で当選してきた同期の桜でありますが、女性という言葉がなかなか使えない、ましてや、女性の力なんというのはないだろうというぐらいの文化、伝統のあった政党なんですね。ですから、過去の歴代の総理、一生懸命やっておられたけれども、女性がこの国を変えると明言していただいたのは、私が知る限り、安倍総理が初めてです。これは本当にすごいことなんです。
 ちなみに、私は十七年前に郵政大臣になったことがあります。小渕内閣のときでした。私が当時の秘書官を連れて議員会館の廊下を歩いておりますと、怖い男性の先輩とすれ違いました。すれ違いざまにその先輩がおっしゃったことは、スカートをはいていると大臣になれるんだなとおっしゃったんです。
 私は、まだ当時若く、純情でしたので、その言葉にすくんでしまって、返す言葉もありませんでした。今、いろいろ修羅場を経験した私なら、そういう先輩がそういうことをおっしゃったら、よければ私のスカートをどうぞと言えるわけですけれども、そのくらい、なかなか、自民党の中で女性が活躍する、活躍させてもらえるというのは、選挙のときには言ってくれるんだけれども、終わってしまうと消えてしまうような問題であったわけですね。
 ところで、安倍総理は、そういういろいろな岩盤があると言われる中でも一番の岩盤だと思っているんですけれども、その岩盤にドリルをあけていただきまして、先日も、ダボスの日本の総理初めての基調講演の中で、アベノミクスの効果、そして今後の取り組みの中で、大きな声でこうおっしゃいました。いまだに活用されていない資源の最たるもの、それが女性の力ですから、日本は女性に輝く機会を与える場でなくてはなりません、二〇二〇年までに、指導的地位にいる女性の割合を三割、三割を女性にしますと世界じゅうの人たちに明言されました。
 実は、そればかりじゃないんです。国内外さまざまな場所で、必ずこの同じことを何度も何度も繰り返しています。私は、とても心配しているんです。そこまで追い詰めてしまっていいのだろうか、本当にこの約束は果たせるのだろうかと。やはり、自民党の支持者の人には疑心暗鬼の人も随分多いと思うんです。
 ですから、ここでしっかりと総理のかたい決意をお伝えいただきたいと思うんですが、最初の質問は、アベノミクスの、好循環実現国会の中で一番重要である成長戦略、三本目の矢の中の一丁目一番地に女性の力を明言している、その根拠というのは一体どこからきているか、教えてください。
○安倍内閣総理大臣 先ほどの質問で、我々が同期であることを思い出しました。ここにさっきまでいた塩崎さんも、林さんも同期であったわけでありまして、あのときは、女性は自由民主党は二人しか当選者がいなかった。野田聖子さんと、もう一人は田中真紀子さんだったことも、今思い出したわけでございます。
 そこで、女性の力を使うかどうかということでありますが、これはもう選択の問題ではなくて、日本の未来をつくっていく上において、女性の活用、女性の能力を開花していくということは、これはマストでありまして、それ以外に道はないと私は思っているんです。
 少子高齢化が進んでいく、もちろん少子化対策もしっかりとやっていくし、人口の減少も食いとめなければいけない。でも、それはすぐに政策効果が出るわけではなくて、残念ながらしばらくは生産人口も減っていく中において、日本が成長していくためには眠れる可能性を引き出していく必要があるんだろう、それはやはり女性の力ではないかと思うわけであります。
 我が国の女性の労働力率は子育て期に一旦低下するわけでありまして、いわゆるM字カーブを描いておりまして、希望しながら就職できていない女性が三百万人以上もいるということでありまして、ある意味においては、活力の宝の山と言ってもいいんだろうと思います。
 この我が国最大の潜在力である女性の力を最大限発揮できるようにすることは、少子高齢化で労働力人口の減少が懸念される中で、新たな成長分野を支える人材を確保するために不可欠であろう、このように思います。
 きのうもニュースで、若き研究者の小保方さんが柔軟な発想で世界を驚かせる万能細胞をつくり出したというニュースがあったわけでございます。いわば、私たちが今進めているのは、社会政策としての女性政策というよりも、成長戦略としての女性政策という観点から、今お話も申し上げているところであります。
 女性の労働力参加率がもし男性並みになれば、日本のGDPは一六%ふえるだろう、これはヒラリー・クリントン氏が講演で述べたことでありますが、先般も、ダボス会議で、女性の皆さんに集まっていただいて懇談会を持ったんですが、そこで、米国の学者のローラ・タイソン氏から、いわばマクロ経済的にも、女性の活力を生かしていくことによってその国の生産性は上がっていくということを私たちは証明しているというお話もいただいたわけであります。
 企業においても、積極的にボードメンバーに女性を入れることは、その企業の強靱性を増すということにもつながっていくということも含めて、我々は、しっかりと女性の活力を生かしていく、世界で日本が女性が一番輝いている国にしていくために全力を挙げていきたい、このように決意をいたしております。
○野田(聖)委員 私は、安倍総理は持っていると思ったんですね。女性の力とか、女性に頑張っていただくといっても、漠然とその言葉だけが浮遊してしまっていると、特に男性にはぴんとこないことが多いと思います。
 この小保方さんの連日のニュースによって、本当に、輝く女性が、具体的に男女問わず国民が見ていただくことで、ああ、これこそが、安倍総理が目指している、私たちの仲間、女性の力の発揮の成功例なんだということで、そういった意味では、小保方さんの新しい万能細胞の発見というのは、大変、安倍総理のおっしゃっていることとの整合性を生んでくれたんだと思って感謝しているところです。
 同時に、今まさに総理がおっしゃったように、これまでの国の政治の中では、女性政策は社会政策なんです。男女平等とか男女共同参画とか、そういう理念とか倫理とか道徳とか、してさしあげなければならない的な話にとどまっていたんですけれども、まさに、今話があるように、きちっとデータが出ているわけですね。
 今、ヒラリー・クリントンさんの話によれば、大体GDPが五百兆円とすればその一五%だ、七十五兆円、八十兆円ぐらいは女性がたたき出すんだと。やはり同様のデータがゴールドマン・サックスの松井さんによっても言われておりますし、さらには日本のニッセイ基礎研においても、二十五歳から四十四歳までの女性が七三%しっかり働くだけでGDP五兆円を上げられる、にわかに。そして、その就業率が男性並みになれば、今ほぼ同じ数字です、七十兆円近くをこの経済の中で生み出すことができる、国富を生み出すことができるということを、もうありとあらゆる国内外の研究によって立証されているわけです。政治がやるべきことは、ただ実行するだけなんですね。
 もう一つ、今、ヒラリー・クリントンさん、民主党です。では、アメリカの共和党はどうか。アメリカの共和党は、どちらかというと保守的で封建的だから、そんなこと考えていないだろうとおっしゃる方もいるんですけれども、私が必死で探したところ、ちょっと古いんですけれども、ニクソンさん、今ケネディ大使がいらっしゃっていますけれども、そのお父さんと戦ったお相手ですけれども、その方が実は一九九二年に御著書を残していて、我々日本人のために、日本の経済の弱点は人口問題であると明言されています。そして、それを解決するには、ニクソンさんは、女性の能力と才能が開放されれば、日本はこれまで以上に飛躍するんだということを私たちにメッセージとして残してくれています。
 要は、私たちが、実行あるのみ、実現することが経済再生の大きな第一歩になる。つまり、私たち、今、アベノミクスの女性政策というのは、まさに国土強靱化であるに間違いないと断言したいと思います。
 しかし、その大きな宿題の一つに私たちが課しているのは、二〇・三〇という仕事であります。
 これはどういうことかというと、二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックの開催の年までに、全ての、政治も行政も民間企業もさまざまな団体も、その管理職の三割を女性にするという公約を掲げています。果たして、これがしっかりできるかどうかというのが、私たち新しい自民党の課題であります。これができなければ、やはり古い自民党だ、言うばかりだと、そういうふうに立ちどまってしまって、あっという間にまた政権をどなたかにとられることになってしまうかと思うわけであります。
 今、経団連初め経済団体の皆さんと安倍総理初め関係大臣が真摯にお話をしていただいておりまして、じわじわと民間企業の中でも女性登用のニュースを耳にすることがございますし、公務員の方でもそういう圧力がきいているのか、少しずつでありますけれども、例えば目の前に山田さんがいますけれども、初の女性の秘書官が誕生してきたわけであります。じわじわとは動いてきているけれども、二〇二〇年までに三割にはほど遠い数字を私は手にしているところであります。
 せっかく大臣がいらっしゃるのでちょっと厳しいことを言わせていただくと、一番下が、今の段階ですよ、管理職で一番女性を使っていないのが、申しわけありませんが、国土交通省、その次に悪いのが金融庁、そしてその次がたしか財務省、そんなふうになっているわけですね。六年後の三割は、六年後の大臣がやるんじゃないんです。今の大臣が始めていかなければ、到底その数値はクリアできません。残念ながら、その工程表というのが見えていません。
 それについていろいろ、総理も少しお疲れなのでお休みいただく中で、勇気ある大臣、私はこういうことをしてその三割をクリアするという、何かアイデアなり妙案があれば、ぜひ御披露いただきたいなと思うわけであります。別に他の閣僚でもよろしいんですけれども。太田大臣、お願いします。
○太田国務大臣 国土交通省が、管理職、女性が少ないという御指摘がありまして、本当にそのとおりです。
 それは、土木とか建築という携わる部門が、そうした今まで男性的であると。大学などでも、建築には女性が、土木も、土木という学科が少ないんですけれども、かなり女性が入っている場面が多いんですが、それでもやはり少ないということもあったりします。
 しかし、私は、ここは本当に女性が活躍をしていただくようにしなければいけないし、そうなれば活力がより増す、強靱性という、しなやかさという強さが出てくるというふうに強く思っています。
 観光という分野でも、女性の感覚が物すごく必要です。国土交通行政の中で、観光もあり、あるいはバリアフリーとか、野田先生と一緒に去年の四月に、高速道路のマタニティーマークをつけようということで十日間ぐらいでやらせていただいて、全国、サービスエリアのところに全部、トイレに近いところに車をとめて行けるように、お子さんを抱えている、おなかも大きい、そうした人たちにという措置をとらせていただいたり、駅のバリアフリーとか、また、おなかが大きい人たちが階段で転んだら大変だ、そして女性専用の車両が必要だ、公明党は随分それを推進してきました。
 これからの国土交通行政の中で、防災の観点でも女性の視点というものは必要だ、こういうことは女性の視点が必要だというところがいっぱいある。そこのところをしっかりアピールして、そしてそれに即応した、女性が活躍する場を設置するということが私は大事なことだというふうに思います。
 工程表と同時に、なぜ女性が必要なのかという、そこの物の考え方を国土交通省の中にも私は徹底をしたいというふうに思っているところです。
○麻生国務大臣 ワーストツーと言われた金融庁ですから。
 野田先生御存じのように、金融庁というのは、平成十二年に設立をされておりますので、まだできてから十五年目ですから、管理職というところにはなかなか行き着かない点は確かにちょっとマイナスに考えないかぬところだと思いますが、平成二十六年度の総合職新規採用率は、御存じかと思いますが、十六人のうち八人。金融庁以上に採用したところ、五〇%を超えたところはないんじゃないですかね。
 そういった意味では、結構、そういった採用なので、主要課の総括補佐や人事担当等々に、担い手として女性の管理職というものを今そういったところに使いつつありますので、今後とも、働きやすい職場環境という状況、私どもはいろいろ全国の現場とかいうのを持っているわけではありませんので、そういった意味では女性の活躍がしやすい場所の一つであろうということも考えて、今後とも積極的にと考えております。
○小野寺国務大臣 ワーストスリーの防衛省であります。
 先週、二十三日ですが、防衛省で初めて女性のプロパーの職員が課長になりました。また、実は、毎年三月、防衛大学、防衛医大の卒業式がありますが、成績優秀者、首席が号令を全体にかけます。昨年私が出た中で、防衛大学も防衛医大も、首席は女性でありました。
 昨年、実は、自衛隊の練習艦二隻がありますが、「せとゆき」、「しまゆき」、この両方の艦長、これは女性であります。初の艦長が防大女性卒業生一期生から出ております。現在、NSCの中にも防大女性一期生が入っております。
 私どもとしては、今、女性の能力が大変高いので、これから自衛隊の現場の中でも女性がどんどん、枠を決めるというよりも、むしろ能力でそういうふうになってくると思っております。
○野田(聖)委員 各大臣、ありがとうございました。
 やればできると私は信じています。総理の施政方針演説の中に、冒頭、ネルソン・マンデラ氏の言葉を引用されまして、何事も達成するまでは不可能に思えるものとおっしゃいました。まさに、女性登用も、取り組むことが肝要ではなかろうかということで、大臣の皆様方のハッスルを期待するところであります。
 しかし、私たち国会議員、政治家は、行政への圧力または民間企業へのお願いだけではなく、みずからのこともしっかり二〇・三〇の達成に向けて取り組んでいかなければなりません。
 先ほど、ダボスで日本の総理初の基調講演をされた話をしましたけれども、その会議を仕切っている世界経済フォーラムというのは、実は男女格差報告というのを毎年出しています。とりわけ今回は、日本は百五位に転落しまして、過去最低、最悪の順位になっています。一番初めは、二〇〇六年に始まっているんですけれども、このときはまだ、まだといっても八十位だったのが、現在は百五位まで転落している。その大きな原因の一つというのは、国政に携わる女性の数の少なさなんですね。
 IPUというところが、列国議会同盟というところなんですけれども、ここが、実は議員の女性のパーセンテージというデータを出してくれていて、非常に興味深いんですけれども、一位はアフリカのルワンダという国なんです。ここは新しい国で、とにかくどんどんよくしていかなきゃ、リフォームしなきゃいけないということで、やはりリフォームには女性の力だという思いが強く、何と六三・八%が女性であります。
 そして、よく聞かれるのが、七位、フィンランド、これが四二・五%。ドイツ、メルケルさんのいるドイツですけれども、二十位で三六・五%。そして、日米同盟で親しくしているアメリカなんですけれども、意外と低く、九十六位、しかし一七・九%。そして、お隣韓国は、現在百十一位で一五・七%です。
 さて、日本は、百五十八位の八・一%。実は、前回の国会の一一%からダウンしました。これは、私たち自民党にとっては、政権に戻らせていただいたことは大変ありがたいし、私たちは日本の国のためにいいことだと思っているんですが、反面、私たちは女性議員を減らしてしまったという責任者でもあるわけです。ですから、私たちはしっかりと、二〇・三〇が、ほかの人たちへの強制だけではなくて、私たちみずからもその厳しさに耐えて数字をクリアできるような取り組みをしなきゃいけない。残念ながら、まだ国会議員に関しては、具体的な話が全く出てきません。
 例えば、韓国は、日本を逆転した一番の要因はクオータ制の導入でした。ノルウェーも非常に女性の率が高いんだけれども、ではノルウェーはどうかというと、クオータ制は導入していません。だけれども、ノルウェーというのは、政治にはクオータ制を導入しない、割り当て制を導入しないけれども、民間企業に割り当て制を導入している。
 つまり、韓国は、政治に対して、例えば比例の名簿、一、三、五、七、九は女性にしなさい、そして、小選挙区の三〇%は、努力義務だけれども女性にしなさいという法律があって、その数値になった。ノルウェーというのは、政治に関しては制約は何もない。だけれども、民間企業、上場企業の役員の割合は四〇%以上。四〇%以下になってはならない、女性が。そういう厳しい法律をつくっていて、破った者に対してはかなり厳しい罰則が来るわけですね。
 いろいろなやり方があると思うんですけれども、そろそろ日本も二〇・三〇で国会議員の数をしっかりふやして、本来、政策決定の場にいるバランスを取り戻していくためには何をするべきかということで、試案でもいいから、思いつきでもいいですから、総理としては、どういうことがこの日本の風土に合っているのかなという、アイデアを御披露いただければありがたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 現在、国会議員の中における女性の比率が低下をしているというのは大変残念なことであります。
 我が党はクオータ制度はとっていないということであります。これはいろいろな議論がありました。
 国会議員の候補者としては、さまざまな分野から人々が手を挙げているわけでありますが、一つは、地方議員が特に女性議員の数が非常に少ないという中において、地方議員から手を挙げてくる方の中では女性が非常に少ない。前回、その中からも女性の地方議員出身の方が国会議員になりましたけれども。
 ですから、そういう意味において、自民党の政治大学院をつくりまして、ここから、今、ここで学んだ人たちが女性の地方議員としてどんどん誕生しておりますので、それを一気に加速化していく中において、すぐにこうだというのは、我が党は前回の選挙で大勝しましたから、既に議席が、ほとんど現職がいるということもあります。そこで、これから比例等も活用しながら、いわば候補者選定の際に、女性の候補者について特に新体制を考えていくということも大切な点ではないかと思います。一気に、今、何%ということは、残念ながら国会議員については申し上げることはできません。
 もう一方、自民党の議員の中で役所出身の方が大変多いんですが、その上においては、来年度から公務員の採用は三割は女性にするということを、これはクオータ制として決めたわけでありますから、それはきっちりとやっていきたい、こう考えているところであります。
○野田(聖)委員 何度も申し上げますけれども、女性を登用するというのは相当な力仕事ですし、相当な岩盤。特に政治の世界では、男性の皆さんに若干引いていただかなきゃならないという、いわば抵抗勢力があるわけで、相当の胆力を持って取り組まなければならない。
 でも、私たちがそれをしなければ、行政や民間企業や団体にそれを強制することはなかなか容易ではないのではないかということで、クオータ制もいい面と悪い面があります、しかし、何もせずに気持ちだけ先行するよりは、何かやって、やはりトライ・アンド・エラーで日本の土壌を変えていくということが、新しい自民党、そして安倍総理の魅力なんだと私は信じているので、ぜひ活躍をしていただきたいと思っています。
 そんな中で、総理が、働く女性をふやそうと。具体的にどういうことが望まれているかの一つに、育休三年というのがございました。これが物議を醸しているというか、両極端に、よかったねという人と、何だ、昔の自民党かという意見に二分されてしまったことは非常に残念なことであります。
 私自身は、そもそも育休がとれない人が多い中、総理みずからが、やはりこれからの少子化でしっかり子供を産み育てていくためには、育休は最優先課題なんだというアピールをしていただいたんだと思うんですけれども、育休三年とだけ聞くと、多くの女性たちは、ああ、また自民党は女性を家に囲い込むんだ、三年間働かせないで、戻ってきたときには働く場所がなくなってしまう、そういう社会をつくろうとしているんだという疑心暗鬼になっている方が多いことも事実です。
 実は、私自身、一昨年十二月の二十四日に安倍総裁から電話をいただきました。総務会長をやれという御下命でございました。私は、少し思案した後、お引き受けすることにしました。
 その理由は、私自身が実験台にならなきゃいけない。それは、今まさに議論している、仕事と育児の両立が本当にできるかどうか、今のこの日本でできるのかどうかというのを、恐らく大臣も多くの国会議員も、真っ最中の人というのは非常に少ないわけですね。過去にやっていたけれども今はやっていないわけですから、ノスタルジックな世界の中で子育てを思っていらっしゃる。
 実際に渦中は戦場なんですね。子供という、とにかく制御のきかない人様と闘い合うわけですから、それが本当に今の日本でできるかどうか、私自身がフルタイムの責任ある仕事についてやってみて、できるんだったらできると言う、できないんだったらできないと言おうと思って、一年過ごしました。
 お答えを申し上げると、できません。
 いや、野田聖子、毎日働いているじゃないか、きょうだって国会でこうやって質問しているじゃないかと言われるかもしれません。それは、私は夫を犠牲にして働いているからなんです。一般社会では、妻が犠牲になって夫を働かせているんです。そのことに気がつきました。
 ですから、ましてや待機児童。私の息子は、わけあって在宅看護を続けている子供ですけれども、待機児童です。毎日家にいます。動き回るわけですね、危険なこともいっぱいある。どちらかが見ていなければ何が起こるかわからないわけです、待機児童。とても待機児童がいる中で二人が働くことなんていうのは不可能なんです。
 ですから、待機児童ゼロなんということじゃなくて、保育全入ぐらいの気持ちでなければ、働きたい女性を働いてもらえる環境に置けないという現実の厳しさを、もう一度やはり再確認していただきたいと思います。
 ましてや、私の息子の場合は、医療ケアが必要な子供です。そうなりますと、障害を持っているだけで、待機どころか場所もない。やはり、多くの技術を持った女性たちが、少しの障害を持った子供を授かったことによってその能力を生かせないのが、この国家なんです。
 そういうことを考えたときに、育休三年、これはどういう重みを持つのか。子供を持って仕事をするということは容易でない、そして、ほとんどが、これは女性が泣きながら、根性で育てて働いているという現状をもう一度やはり自分のこととして受けとめて、具体的に、そして実効性のある育休三年をオファーしていただきたいと思うんですが、総理から、もう一度国民の皆さんに、何なのかというのをお伝えいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 この育休三年というのは、まさにこれは選択肢であって、こういうものはある種の価値観を押しつけるべき政策をとるべきではないと思っています。
 女性の中には、ゼロ歳、一歳のときには赤ちゃんとともに自分は過ごしたい、人生の中で、その後、社会に、また仕事に復帰したいと思っている人の比率はかなり多いんですね。その人たちに対して、これは十分に育休制度ができていませんから。それで、批判される方は、何か育休三年とらなければいけない、あるいは、とっているやつはおかしいだろうというのは、おかしいだろうと思う方がおかしいんですよね。
 これは選択肢ですから、それは、私はそういう生き方はしません、いわば育休三年なんか要らないし、もうずっと働き続けますよという人がいるのは、それはそれで、当然、そういう方々のためにも、乳幼児に対する保育所等の充実も進めていくわけでありますが、この育休三年というのは、最大限三年育休とれますよということは、そういう価値観を持っている人たちは数としてはあるわけですから、そういう皆さんは三年間は育児休業をとりますよ、しかし、企業はその間、しっかりとキャリアが維持できるような支援をしてくださいね、あるいはまた、その三年間を生かして、自分はある資格を取っていく、あるいは、ある種のキャリアアップをしていくための何か研修を受けるということも可能になっていく。
 例えば、資生堂という会社はそれをやっていて、そこで三年育休とった女性に話を聞きました。そのためにさまざまな支援体制があって、キャリアを維持できて、かつ、新たな資格にも自分は挑戦した、そして、いわば育児をするということも、それは一つの大きなキャリアになったということなんですね。仕事の上でもそれはさまざまな形で生かすことができたということになるわけでありまして、ですから、我々が進めようとしているのはそういうことであります。
 一方、保育所がまだ足りないのは事実でありますから、それに対しましては、保育の受け入れについて、まず二十万人分をこれは供給していく、そして五年で四十万人分。五年で四十万人分をつくっていけば、これは潜在的な数からいえば、事実上、待機児童というのは解消されていくということになるわけである、このように思います。
○野田(聖)委員 この四月に、私たちは大変厳しい決断をし、消費税を上げることにいたしました。
 その遠因は、やはりこの少子化に伴って、過去、若い世代が多くいた時代には、高齢者を支える賦課方式というのが機能していたんですけれども、今や逆転し始めている。その中で、若い人たちだけでは到底背負い切れない社会保障に対して、広く薄く、高齢者も含めて頂戴することで、安定的な社会保障を維持させようということであります。
 でも、これを、やむを得ない、消費税を上げることはやむを得ないんだと言い切るだけでなく、今総理がおっしゃったように、育休三年を頂点としたさまざまな少子化対策に対して、人それぞれなんです、女性十人いれば、考え方は十通りあるんですね。みんなをママにしないで、どういう生き方をしたいかというその選択肢を豊富にすることこそが少子化対策で急務であり、一つの枠に追い込むことが実は子供がふえることではないんだと。
 過去、戦争中に大本営が、人口をふやそうということで、俗に言う、産めよふやせよという大号令をかけました。実は、そこまでやっても子供の数はさほどふえなかったのが歴史の事実です。
 つまり、今私たちがやろうとしていることは、産みたいと願っている人たちが産めるようなルートづくりをいっぱい、メニューをたくさん用意してあげて、それに乗っかっていく。それは女性だけじゃなくて、男性もしっかり乗り込んでいけるようなレールをつくっていくことが急務なんだということで、ぜひ柔軟な発想を持って取り組んでいただきたいと思います。そこにやはり消費税も充てられていくんだと。
 ただ、私は、今回、子育て支援が入ったことは是としますけれども、いかんせん、他国に比べて少な過ぎる。子供に差し出すお金というのは必ず戻ってきます。子供たちに使ったお金は必ず、子供たちが成人したときに、労働力として、そして消費力として、そして納税者として戻ってくる。戻ってくるお金なんです、生きたお金なんですね。それをけちっているようでは、やはり百年の計が立てられません。
 ぜひそういうところも、お金のあり方というのをしっかり吟味した上で、できれば、小渕優子さんが大臣のときに、消費税の一%は各国並みに子育て支援に充てたいと自民党の方で頑張ってきたんですね、そういうことが果たせるような具体的な取り組みをしていただきたいと思います。
 そこで、私たちは、決める政治、ねじれを解消していただいたから決める政治をやりますということで、去年は半ば大変なラッシュアワーで、いろいろな懸案の法律を通させていただきました。でも、決める政治というのは何でしょう。消費税を上げさせていただくことが決める政治なのか。
 いや、むしろ、私たち国会議員にとって嫌なことを決めることこそが真の決める政治であるとするならば、私たちは、四月の消費税の導入前に、かつてお約束してきたことをしっかりと果たさなければなりません。それは、国民に御負担を強いるかわりに私たちも身を切りますという一つのあかしとして、定数削減というのがあったはずです。
 私たちは、もう既に去年の段階で、自民、公明で合意案ができています。比例を思い切って削減して、そして約束に応えていこうと。ただ……(発言する者あり)そういう案が出ています。それに対して、これから各党に呼びかけていくんですけれども、総理も責任野党という言葉をされました。
 これはやはり、民主党も消費税に賛成されたわけですから、自分たちのどこを身を切るのかということで定数削減もおっしゃってきた。だから、これは一日も早くやらなくちゃいけない。これをやらなければ、自民、公明、民主、他党だって、全ての政党が国民を裏切ることになるわけですね。
 それで、一部の政党は小選挙区を動かそうということをおっしゃっています。小選挙区を動かすには法外な時間がかかることは、ここにいる国会議員は誰でも知っています。比例区であれば、単に数字を削減するだけで済むわけですね、インスタントに。それをやろうと言っているのに、なぜか、時間の引き延ばしを図っているのかなと非常に疑問を感じているんです。
 さらに、今度自民党と公明党が差し出している案というのは、比例を二段階で選抜して、最初は普通どおり比例を選んで、残りの分は第二党から選ぶという、少数政党に極めて有利で、国民の死に票が極めて少ないというリーズナブルな提案にもかかわらず、手を挙げてくださる人がいらっしゃらない。
 本来ならば、私たちが行かなくても、これでさっさとやりましょう、この形でどんどん減らしていきましょうと言っていただく責任野党の登場を私たちは待ち望んでいるんですが、もしそれがないとするならば、私は、総理みずから決める政治、決意をしていただいて、こういうことについて、総裁としてしっかりと、ことしじゅうに、できれば国会中に約束を果たしていただくというお言葉を頂戴したいと思います。
○安倍内閣総理大臣 この定数削減については、まさにこれは国会議員全体の責任なんだろう、このように思います。
 その責任感の中で、私は、自由民主党総裁として、我が党の案、与党案をまとめようということで議論を進めてきたわけでございますが、今、野田委員がお話しになったように、小選挙区では〇増五減がありますから、小選挙区で五、そして比例区で三十、三十五減らすという案を考えました。そして、野党の皆さんにも参加していただけるように、例えば、前回の選挙の結果から割り出していきますと、これは我が党にとって一番不利な案なんですね、我が党にとって一番不利な案を出して、あえて自由民主党が一番身を切って、身を切ってこの案を出そうという決意をしたところであります。
 いわば選挙制度を変えていくことにもなっていくわけでありますが、定数削減というのは、それぞれの党が自分の自我を通そうとするとなかなか決まらないものでありますから、ぜひ我が党の案を軸に皆さん考えていただきたい。それは、前回の選挙の結果、我が党と公明党は与党となった、多数をいただいたわけでありまして、一応、多数政党の案を軸に皆さん考えていただきたい。
 これができないのであれば、これはなかなか国会議員としては難しいということになりますから、議長のもとに、一番いいのは、私は、国会のもと、民間有識者による第三者機関を設けるということがいいのではないか、このように思います。かつては政府のもとに置いたんですが、これは国会のことですから、政府のもとの民間の機関ではなくて、これは国会のもと、議長のもとでもいいんですが、そういうものを検討していただけないか、このように考えているところでございます。
○野田(聖)委員 昨年一年は、野党の方たちから、もっと減らせ、もっと減らせという声で一年がたってしまいました。あっという間に一年が過ぎてしまいました。
 段階的にどんどん減らしていけばいいんです。まずは三十五減らして、二年後にまた三十五減らして、どんどん減らしていけばいいんですよ。ただ、始めていかなければ減りません。
 そういうことを、やはり国民に真摯に、誠実に向き合う政治を、決める政治を、自民党は公明党とともに取り組んでいかなければならないと思います。
 最後に、東京オリンピック・パラリンピックの話をさせていただきたいと思っています。
 冒頭申し上げたように、アベノミクス、そして税制、そして大きなボーナスとしてこの招致がございました。
 私は、ぜひこれも異次元の発想を持っていただき、専ら東京オリンピックでとまってしまうんです、言葉が。そうじゃなく、できれば東京パラリンピック・オリンピックというぐらい、やはりパラリンピックを通じて次の日本の姿がしっかり見えてくる、いい時代が見えてくるような、公共の施設整備とかそういうことに取り組んでいただきたいと思います。
 健常者のためにつくられた施設は、障害者は使えません。でも、障害者のためにつくられたユニバーサルデザインの施設は、健常者が使えます。私たちがこれから向かう百年後の日本は超高齢社会です。世界じゅうにお手本はありません。
 高齢化というのは、いわば障害者と表裏一体になってきます。今、健常である皆さんも、加齢とともに病気になって、さまざまな不自由があるかもしれません。誤嚥性肺炎で寝たきりになるお年寄りがふえています。そして、私たちの身近な子供たちは、脳性麻痺で寝たきりの子供たちがいます。子供たちは障害と呼ばれます。でも、お年寄りは病気と呼ばれています。でも、介護する私たちにとっては同じなんですね。
 つまり、将来的にはそういう人たちがふえていくだろうと予想される中、そういう人たちがしっかりと安心して生きていける東京そして日本の具現化として、東京オリンピック・パラリンピックの施設は、東京パラリンピック・オリンピックの施設として充実させていただきたい。新規の施設だけで十一あるそうです。せめてそのくらい、道路もそう、そういうことがしっかりできた上で、我々は、世界に類を見ない超高齢社会に立ち向かっていく、そういう優しく強い日本を世界の人たちにお見せできる機会をつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 二〇二〇年、確かに、野田委員がおっしゃったように、東京オリンピック・パラリンピック、特にこのパラリンピックが二〇二〇年に開催される、これを我々は受けとめなければならないわけであります。
 先般、都知事選挙についての候補、どういう候補を応援するんですかということを聞かれたときにも、私は、東京パラリンピックが二〇二〇年にある、このパラリンピックがあり、世界から人々がやってきて、障害を抱えるアスリートもたくさんやってきて、彼ら、彼女たちにとって、日本というのは全くさまざまなバリアが解消されている、そういう国なんだな、いろいろなものがユニバーサルデザインによってつくられているという認識を持ってもらえるような、そういう都市づくりができる人がふさわしいのではないかということを申し上げたわけでございます。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の施設整備に当たっては、全ての競技施設をユニバーサルデザインに基づいたものとするとともに、会場へのアクセスについても、道路や駅などの交通基盤のユニバーサルデザイン化やバスのノンステップ化などを行うということを決めているわけでありまして、国としても、しっかりとその方向に向けて、今までのパラリンピックと比べても一番よかったと思ってもらえるようにしていきたいと思うわけでありますし、一九六四年のあの東京オリンピックで初めてパラリンピックという名前がしっかりと使われたわけでありますから、その日本にふさわしい、東京にふさわしいパラリンピックにしていきたい、このように考えております。
○野田(聖)委員 ありがとうございました。質問を終わります。
○二階委員長 この際、塩崎恭久君から関連質疑の申し出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。塩崎恭久君。
○塩崎委員 自由民主党の塩崎恭久でございます。
 野田聖子総務会長に続いて、質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど来お話がありましたように、政権に復帰いたしまして二年目ということで、この道しかないという道を、去年、まさに仕込みの年として一年間、安倍総理を先頭に、我々自公政権が頑張ってきたわけでありますけれども、ことしはその仕込んだものを結果を出していく、そういう大事な年ではなかろうかと思いますし、これは自公民で決めた消費税の引き上げが四月からあるわけでありますけれども、それをも吹き飛ばすような勢いで、新しい日本をつくっていくということをやっていかなければならないというふうに思います。
 今回の、先ほど来お話が出ているオリンピック、パラリンピックが東京に二〇二〇年にやってくるということを決めるに当たって、やはり心を一つにして当たった、総理を先頭に当たったということがあの大きな成果をもたらしたということでありますから、ことしも、結果を出す年、そのときに当たっては、やはり心を一つにしていくことが大事じゃないかなというふうに思います。
 また、当然のことながら、これはもう総理も私どもの幹事長も何度も言っているように、やはり丁寧に、そして謙虚にやらなきゃいけませんし、私も今、予算委員会の自民党の筆頭理事をやっておりますが、予算委員会の運営に関しても同様にやっていきたいというふうに思っております。
 まず外交でありますが、先ほど、総理が元気なのでびっくりしているという話がありましたが、まさにそのとおりでありまして、外遊、既に十六回、特にバイの訪問国が二十八カ国ということで、民主党政権の三年三カ月のときのバイの訪問国というのはたった四カ国であります。
 したがって、最近は国際会議に行っても、もう顔なじみになっている方がたくさんおられるものですから、会議の雰囲気もとてもいいという話を聞いているわけであって、人間というのは世界じゅうどこへ行ったって同じでありますから、やはり個人的な人間のつながりというのが基本、そういうことを考えてみれば、いわゆる地球儀を俯瞰する外交というのはどういうふうにことしはなるのか、その意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今、塩崎委員がおっしゃったバイというのは二国間という意味であります、改めて、ちょっとわかりやすく述べさせていただきたいと思いますが。
 十六回海外に出張いたしまして、三十一カ国を訪問いたしました。そして、それ以外にも多くの外国の賓客が日本を訪問いたしまして、電話会談も含めれば百五十回以上首脳会談を行ったところでございますが、日米同盟関係を強化する、日米同盟関係というのは日本の外交、安全保障の基軸であります。そして、アジアは大切であります。ASEANの国々、一年間で全てのASEAN十カ国を訪問し、そして、年末には特別首脳会議を開催したところでございます。
 残念ながら、中国、韓国の首脳と首脳会談を開催できていませんが、中国においては、戦略的互恵関係の原点に立ち戻って関係を改善していきたい、こう思っておりますし、韓国については、大局的な観点から、未来志向で重層的な関係を築いていくべく努力をしていきたいと思っております。
 また、日本にとってほとんどのエネルギーを中東に依存している中において、GCC全ての国を訪問させていただきました。こうしたエネルギー外交、さらには、インフラ輸出を進めていく上においてもトップセールスが大切でございますので、そういう意味における経済外交も展開をしてきたところでございます。
 さらには、日本が、国際協調主義に基づく積極的平和主義によって、世界に対して今まで以上にその安定と平和の維持のために貢献をしていくということを発信していきたい、こう考えているわけでございますが、その観点からは、国連における演説、あるいはダボスにおけるスピーチ等で積極的に発信をしてきたところであります。
 まだ訪問していない主要な地域としては、中南米あるいはまた大洋州等があるわけでございますので、そうした地域を訪問したいと考えているわけでございますし、またヨーロッパにおいては、イギリスとそしてポーランドには参りましたが、まだほかの国々、たくさん残っているわけでございますので、そうした国々もぜひ訪問しながら、日本の国際社会におけるプレゼンスを高め、国益を確保していきたいと考えているところでございます。
○塩崎委員 ありがとうございました。
 トップセールスといえば、オマーンには私ども愛媛県の紅まどんなを持っていっていただいたというふうに聞きまして、大変ありがたく思っておりますし、また、トルコの首相のときにも出していただいたというふうに聞いております。
 いずれにしても、各地の名産品を必ず何か持っていっておられるという、フードフェアみたいなことをやっていらっしゃるように聞いておりますので、ぜひ、地域を元気にする、地方を元気にするという意味で、さまざまなそれぞれの名産品を売り込んでいただきたいと思います。
 ことしの一月の八日から四日間、日米議連で訪米をしてまいりました。中曽根会長、それから小坂憲次幹事長、私が事務局長、本当は民主党の長島事務局次長も御一緒されるところでありましたが、残念ながら、都知事選などの関係で出られなかったんです。我々三人で行ってまいりました。約二十名余りの議員に会い、久方ぶりにドアノックをやってきたということでありまして、やはりこれが基本なんだろうなと。
 一方、翻って、アメリカからどうかというと、かつては、日本を飛ばして中国へ行くという議員が多いとよく言われていましたが、実は、去年初めて、上院議員九人、下院議員十七人、合計二十六人のアメリカの議員が日本に来て、これは最多数、今まで一番多かった議員の訪問数だというふうに思っております。
 そういうふうに、お互いの議員が行き来をする中で重層的な外交を広げていくということが大事であり、総理も下院議員の一行にこの間お会いをいただきましたし、それから、将来の共和党の大統領候補と言われているルビオ上院議員にもお目にかかっていただきました。二月には、我々のカウンターパートの議連の一行が参ります。それから、ロイス下院外交委員長一行も来ます。さらに四月には、アスペングループというのが、また割合多い人数で多分来ると思います。
 かなり来るようになってきていただいているんですけれども、これはなぜだろうか。
 考えてみると、やはりこれは、強い日本の復活というか、独自の日本の復活を見て、それをまた予感して、それで関心を持って来てくれているんだろうと思いますし、この間アメリカに行ったときに、やはり向こうから出てくるのは、経済的に最も影響力があり強い国であってほしいと、日本について思っているわけでありますし、何よりもやはり経済だと。経済、経済、経済と日本語で言ったアメリカの識者もいたぐらいであります。
 結局、外交も安全保障も、何においてもやはり経済が強いということがまず第一の条件であって、そういう意味で、今、アベノミクスがやっていることは大変、全ての面で意味があるというふうに私は思っております。
 そこで、きょうは経済を中心に御質問させていただきたいと思います。
 まず、第一の矢と第二の矢でありますけれども、第一の矢につきましては、実質金利が高かった、あるいは円高だった、そして、実物投資をしても損をする、価格が下がるから。ですから現金を持っていた方がいい、こういう言ってみればデフレの縮小均衡だったのを、黒田日銀が、まさに人々の期待を変えて、これについてはいい方向に向かっていると思いますが、問題は、大胆な金融政策をやるときには、やはりきちっとした財政の規律というものがなければできないわけであって、そうでなければ、国債は売れません、長期金利は上がりますというふうなことになる。
 そういう意味で、財政再建については目標を立て、まず来年度までに対GDP比で半減、そして二〇二〇年に黒字化ということであります。
 来年はどうも達成はできそうでありますけれども、心配なのは、二〇二〇年に黒字化というのが、どうも今のままいくと、この試算でいきますとマイナスの一・九ということで、かなりギャップがあって、これについては来年になって本格的に考えるということになっていますけれども、もちろん、アベノミクスで経済がどれだけ成長するのか、その他どういうふうに歳出を改革していくのかということでありましょうけれども、やはり来年まで待つというのでは、ちょっと心もとない。
 そういうことであるということになると、どういう意気込みで黒字化に向けての取り組みあるいは道筋を考えておられるのか、この決意のほどを聞かせていただきたいというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 政府としては、経済再生と財政健全化の双方の実現に取り組んでいるところでありまして、平成二十六年度予算では、一般会計の基礎的財政収支について、中期財政計画の目標を上回る五・二兆円の改善を実現いたしまして、新規国債発行を一・六兆円減額しているわけでありますが、これはもう委員御承知のように、この幅の改善というのは過去二番目の高さでありまして、一番高かったときは六・八兆円、これは平成十九年、委員が官房長官のときであります。そのときが六・八兆円、今回は五・二兆円であったわけであります。
 財政健全化に向けて、着実に今、歩みを進めているところでございまして、当初予算で見ますと、民主党政権において編成された三回の予算で、一般会計の基礎的財政収支は十一・八兆円悪化したわけでありますが、その後の内閣のもとで編成した予算で六・九兆円改善したわけでありまして、引き続き、二〇一五年度における国、地方の基礎的財政収支の赤字、対GDP比半減に向けて財政健全化の取り組みを進めていきたい、このように考えているわけでございます。
 二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化に向けては、中期財政計画に沿って、基礎的財政収支対象経費と税収等の対GDP比の乖離を解消できるよう、歳出歳入両面の取り組みを強力に進めていかなければならない、このように思っています。黒字化目標の達成については、今後、二〇一五年度における財政状況等を踏まえて経済、財政を展望し、その後五年間について、さらに具体的な道筋を描いていきたいと思うわけであります。
 基本的には、デフレ下にあっては財政再建というのは、税収が伸びないわけでありますから、これはできないわけでありまして、だからこそ、デフレから脱却し、同時に経済を成長させて、税収をふやしながら無駄遣いをなくしていく。さらには、消費税をことしの四月から引き上げていくということによって税収増を図っていく。我々は、この道しかない、こう考えているところでございます。
○塩崎委員 成長と財政再建の好循環ということを甘利大臣なんかはいつもおっしゃっているわけでありますし、総理もそのとおりおっしゃっていますから、これをどうやってつくっていくか。
 前回申し上げましたけれども、やはり、社会保障それから行革、これらについては、どこかで腹をくくって大胆なことを決めなきゃいけないことが来るんじゃないかなというふうに私は思っておりますので、引き続き議論してまいりたいと思います。
 足元の財政という意味では、安倍内閣のやっていることについての誤解の一つに、しょせんは公共事業による回復じゃないか、こういう意見があります。この間の海江田代表の代表質問でも、財政出動による公共事業の大盤振る舞いというふうにありました。
 ちょっとこれを見ていただきたいんですけれども、いろいろ統計のトリックがありまして、例えば、民主党時代に一括交付金というのがありました。実態は公共事業なんですけれども、そうじゃないようにしてほかに振っていったというのを、ちょっと棒グラフで足してみたり、それから今回、実は、公共事業の特別会計、それを一般会計に繰り入れることにしました。したがって、それは今伸びているように見えるけれども、六兆になっていますけれども、実はこれは本当は五・四兆、今までのものでいけばですね。
 そうして見ると大体微増ぐらいなところであって、中身を精査しながら、やはりやるべきことはやっていく、しかし、抑えていかなきゃいけないということだろうと思うんです。
 そこで、大事なことは、総理みずからが、去年の一月に所信表明演説の中で、「財政出動をいつまでも続けるわけにはいきません。」こう明言をされておりました。この基本方針は変わらないかどうか。この決意をしっかり聞いておかないといけないと思います。
○安倍内閣総理大臣 安倍内閣発足以来、デフレ脱却、経済再生を最重要課題として、第一の矢である大胆な金融緩和とともに、第二の矢として大規模な平成二十四年度補正予算を直ちに編成するなど、全力を尽くしてきました。こうした取り組みによって景気の回復が進んでいるわけであります。
 他方で、我が国の財政については、巨額の公的債務が累積するなど大変厳しい状況にあると認識をしているわけでありまして、こうした中で、我が国経済の持続的な成長を実現し、経済再生と財政健全化を両立させていくために、いつまでも財政出動に頼るわけにはいかないと考えておりまして、それは今も全く変わっていないわけでございます。
 平成二十五年度補正予算では五・五兆円の経済対策を実施することとしておりますが、これは、消費税引き上げに伴う反動減を緩和して成長力の底上げを図るためのものでありまして、そうした中で、民間の創意工夫を促し、我が国企業の競争力を強化する施策などに重点化をしているわけであります。
 また、こうした措置に加えて、成長戦略を強力に進めていく考えでありまして、成長の主役はあくまでも民間経済でありまして、今後とも、規制改革などあらゆる施策を総動員して、民間の投資と消費が持続的に拡大する経済成長を目指していく考えであります。
○塩崎委員 ありがとうございました。
 次に申し上げたいと思うんですけれども、去年の十二月に、ドイツのシュレーダー前首相を私ども、日本に招待いたしまして、講演とパネルディスカッションをやりました。そのときのタイトルは、アベノミクスへの提言というのでお願いをしたわけであります。
 ドイツは、皆さん御存じのように、九〇年代の後半は、欧州の病人と呼ばれるぐらい、経済はへたっておりました。それが今や、欧州最強の牽引役というふうになっている、元気な経済になっているわけでありまして、それがまさにシュレーダー改革によってもたらされた。メルケルさんは、言ってみれば、その効果を後で享受して、いい割を食っているということであります。
 九八年にスタートしたシュレーダー政権、たしか二〇〇三年だったと思いますけれども、アゲンダ二〇一〇という構造改革のパッケージを発表しましたが、次々といろいろな改革を打っていきました。労働組合をバックにしていながら非常に雇用政策についても切り込んでいって、大変大胆な改革をやったことは皆さん御存じのとおりだと思うんです。
 そのとき、安倍総理へのアドバイスはどうですかということをパネルディスカッションで聞きましたら、彼が瞬時に言ったことは、やはりトップダウンによる改革断行しかないよ、自分はそうしたということで、国益のためにトップダウンでやれということで、ボトムアップでは議論が堂々めぐりになって成り立たないということであります。
 政治家が必要な決断を下すということが必要であって、私からも、ぜひ総理には、国益のために全てをかけて、ひるむことなくリーダーシップを発揮してもらって、もちろん、各方面の理解は最大限の理解を得られるように努力を絶えずしながら、しかし、引き続きトップダウンで頑張ってもらいたいというふうに思っています。
 もう一点は、去年一年間、株価が随分上がったのはもう御案内のとおりで、きょうもちょっと上がっていますが、去年一年間で、では誰が株を買ったのかというのを見てみると、御存じかと思いますけれども、実は、外人が十五兆円の買い越し、それに対して日本の個人の投資家は九兆円の売り越しであります。日本の金融機関は、さらに十一兆円の売り越しをしている。つまり、日本の国内の投資家は、かなりの部分、投信は買っているかもわかりませんが、かなりが売って、そして外人が買ってこれだけ上がってきているということを、我々は忘れてはならない。実は、一月に入って三週連続、外人は売り越しになっています。
 ですから、これは非常にこれから気をつけなければいけないのであって、何を意味するかというと、やはり、外人の投資家に向かっても、アベノミクスはぶれずに進めていくというメッセージを強く出すこと、それと、国内はまだ慎重になっているわけですから、これなら確実に大丈夫になるなということをわかってもらうようにしていくことが大事なんだろうと思うんです。
 この間、ダボスで初めて日本の総理として冒頭の演説をやられました。初日に御案内をいただいたというのは初めてだと聞いておりますけれども、その講演の中で力強くアベノミクスについて主に語っていただいたわけでありますけれども、強烈なメッセージだったと私は思います。
 とてもよかったと思いますが、一方で、これは世界に対してメッセージを送ったわけですから、言ったことはやらなきゃいけない。まさに言ったことはやらなきゃいけないのであって、それを念頭に、それもやはりスピード感というのが大事だと思うんですね。発信をして、やるぞということをたくさん言っていただきました。ですけれども、向こうは、じゃ、すぐやるんだなと必ず思いますから、そのスピード感がずれると、買い越しが売り越しに変わってくるということになるんだろうと思います。
 これから、法人税の問題、岩盤規制の問題、コーポレートガバナンス、それからGPIFの問題についてお話をしていきたいと思いますが、まずは法人税であります。
 ダボスでのスピーチでは、もう何度も引用されていますけれども、国際相場に照らして競争的なものにするということと、本年さらなる法人税改革に着手をいたしますということでありました。誰しもが、法人実効税率を引き下げるんだな、その決意だなというふうにとったと思います。
 それから、一方で、与党の税制改正大綱や成長戦略進化のための今後の検討方針など、あるいは、麻生大臣が諮問会議でお出しになったペーパーなどでは、やはり、政策税制の抜本的見直しを含めた課税ベースの拡大、そして他の税目での増収ということで、税収を考えた上での減税ということをおっしゃって、レベニュー・ニュートラルということなんだろうというふうに思います。
 それに対して総理は、一月二十日に諮問会議で、法人税の議論に、レベニュー・ニュートラルの考え方にこだわらないというふうにとれる御発言をされておりましたし、諸外国で、減税をしたけれども、オーバータイムでは、何年かにわたって見れば税収がふえているじゃないかということもあるので、実例を検証しろ、こういうふうに指示をされたというふうに聞いているわけであります。
 私も、いつも税調で何年も議論をしていて、よく単年度の減収額というので政策を判断していますけれども、これで本当にいいんですかということは何度も言ったことがあります。やはり、ある程度モデル的な、複数年度にわたってダイナミックに、スタティックというか静的にじゃなくて、動的に物事を考えて、その政策効果をどうするのかということをやるべきじゃないかというふうに私としては主張してまいりましたけれども、まさにそういうことではないかなというふうに思います。
 そこで、総理に御質問は、今申し上げたような趣旨で、このレベニュー・ニュートラルに必ずしもこだわらずに外国の例なども検証してみろということをおっしゃったのかどうか、あるいは、民間議員の皆さんは二〇%台のことを言っているわけですけれども、そういった方向について考えていらっしゃるのかということについて少し、いろいろな意見がありますので、この法人実効税率の引き下げ問題について、改めてその肝を聞かせていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 昨日の諮問会議の特区の部会において、竹中委員から、ダボスにおいてキャメロン首相が法人税の実効税率を二〇%にしますと言ったときに大変どよめきがあったという紹介をされました。同時に、イギリスは二〇%消費税というものを、軽減税率がどんとありますが、持っているのも事実であります。
 この法人課税の改革については、与党でも議論をいただいているところでありますが、政策効果もしっかりと検証していただく。また、課税ベースの拡大や他税目での増収策の検討といった論点が示されているところでありますが、日本経済の活性化のためには、産業構造も含めた大きな議論が必要であります。そういう議論を行い、グローバル経済の中での競争等も考えながら法人課税のあり方を検討していくことは重要と考えております。
 本年、さらなる法人税改革に着手したい、こう考えているところでありますが、先般の諮問会議においては、いわば、ある程度のスパンをやはり見ながら、実際どうだったかという検証もしてみる必要があるだろうと。いわば、法人税率を引き下げていくと、本当に、ある程度の期間においてはファクトとして税収が伸びているのかどうか、それを行った国等の検証をやっていく必要があるだろう。私も、雲をつかむような話でただ下げろというわけではなくて、これはアカデミックなアプローチでしっかりとその検証を行っていただきたい。
 そういう中において、もし、その検証していく中において、そういう政策的効果ということであれば、今までのレベニュー・ニュートラルという考え方とは別に、もうちょっとダイナミックなアプローチがあるのではないかという趣旨の話をしたところでございまして、法人課税については、こういう幅広い論点について議論を行っていく必要があると考えているわけでございますが、財務大臣とも相談をして、政府税制調査会において、専門的観点から、法人実効税率のあり方、課税ベースのあり方、政策効果の検証、他の税目との関係などについて、来月にも検討を開始させたいと考えているところであります。
○塩崎委員 ぜひダイナミックな議論をしていただいて、みんなでやはりこの国をどうしていくのかを考えていきたいというふうに思います。
 次に、昨日、今お話があった特区の諮問会議がございましたが、そこで基本方針の案というのが出てきたようであります。そこで、岩盤規制全般について速やかに具体的な検討を加えて、関連する障害をあぶり出して、国家戦略特区を活用して規制・制度改革の突破口を開いて、経済成長につなげることを目標とするということを言っているようでありますけれども、この間、二十九日の代表質問の答弁では、今後二年間を集中取り組み期間として、規制改革の突破口である国家戦略特区を活用するなど思い切った改革を行っていきますということをおっしゃっています。
 質問でありますが、これは、今後二年間で、少なくとも特区においては残された岩盤規制を全て処理していくというふうにとっていいのかどうかというのが一つ目。
 二つ目は、きのう岩盤規制のリストというのが出てきたようでありますけれども、聖域なく取り組むとしているこのリストの中には、労働規制、全国でないとだめだとか、いろいろなことがある労働規制も入っているのかというのが二番目。
 三番目は、これから区域指定などをやっていきますし、いろいろな議論が行われて、この改革について、特に規制改革と税制についていろいろ出てくると思いますけれども、今度、今国会中に特区法の改正法案が国会に出てくるという可能性はあるのかどうか。
 この三つについてお伺いをいたしたいと思います。
○新藤国務大臣 国家戦略特区の担当大臣を仰せつかっておりますので、私の方からお話をさせていただきたいと思います。
 まず三つ、今御質問いただきました。
 最初の、二年間で全ての岩盤規制に取り組むのか。これは、そのかたい決意を、きのう、この特区の基本方針の中で定めたところであります。これは積極的に取り組んでまいろう、こういうことを皆さんで共有いたしました。
 それから、労働規制も入っているのか。これも、今まさに、そういったものも入っているということであります。この労働規制につきましても、これはあらゆる分野を聖域視せずに、いろいろな検討をやっていこう、このこともきのう決まったわけであります。
 それから、本国会中に特区法の改正があるのか。これにつきましては、私どもは、これから新しい緩和項目を入れるということは、具体的な場所とテーマ、そして事業内容が詰まっていかないと、そこの地域でやって、こういう仕事をやるから、効果が出るから、ここはこの緩和をしようじゃないか、これが必要なのであります。
 ですから、作業を進めていく上で必要であれば、私どもはこれは即座に対応したいと思いますが、それはあくまで作業の進捗状況によるということでございまして、予断を持たずに、我々とすれば、とにかくスピーディーに進めなければいけませんから、取り組みたい、このように思っております。
○塩崎委員 総理も同じような決意で、聖域なく、この岩盤規制に取り組んでいくということでよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 今、新藤大臣が答えさせていただきましたように、まさに聖域なき改革を進めていきたい、その中において、もちろん労働規制も含めてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○塩崎委員 ぜひ、二年間にいわゆる岩盤規制と呼ばれているものを全て片づけるというぐらいのことはやはり達成していかなきゃいけないんじゃないかなと思いますし、先ほど来申し上げているように、ダボスで大変すばらしい演説をして、この特区のことも言っているわけであります。これらを達成しないと、さっき申し上げたような、買いが売りになるということになりかねませんので、ぜひそこはやっていただきたいというふうに思います。
 そこで、もう一つは、東京など大都会を中心にいくんだということで、実は自民党の中でも、我々議論をすると、地方が大事だろうという声がやはりたくさん出てくるんですね。私も愛媛県ですけれども、特区を大阪とか東京じゃなくて、愛媛県も、松山もやってくれと、つい思うわけであります。
 そのときにも話が出たのは、東京など大都会が世界に勝てる都市にならないで地方が元気になるわけがないというふうに説明をすべきではないかという話が出ましたが、やはり日本全体の成長をやるためにも、世界に勝てる都市をつくっていくということが大事なので、そこをやるんだという理解でよろしいでしょうか。簡潔にお願いします。
○安倍内閣総理大臣 これは基本的には、日本全体で世界の競争に勝ち抜いていくということが大切である、だからこそ戦略特区ということになるわけであります。この国家戦略特区の地域の指定については、ある種の誤解はあると思いますが、取り組みがリーディングプロジェクトとして、日本経済全体を再生する観点から行うこととしておりまして、必ずしも大都市に限定されるものではありません。地方も視野に入れた全国的な視点に立つこととしておりますが、しかし、もちろんこれは、日本経済全体が活力を持っていく、成長していく、勝ち抜いていくという観点から見ていくということになります。
 このため、地域の指定基準の中に、当該プロジェクトの実施により、産業の国際競争力の強化または国際的な拠点の形成を通じて、全国的に広く波及効果を及ぼすことを盛り込むことにしております。また、指定地域としては、都市圏を想定した類型に加えまして、一定の分野において、国家戦略として必要な取り組みを強力に推進する市町村を特定して、地理的なつながりにとらわれずに指定するバーチャル特区という類型を設けたいと考えているところであります。
○塩崎委員 新たな実験ですので、あらゆる可能性を考えてやっていただきたいと思います。
 次に、コーポレートガバナンス。これも総理が、会社法を改正して、社外取締役がふえますといったような一連のことをおっしゃっておりますけれども、それに移りたいと思います。
 まず一番最初に、これは日米の生産性の業種別の比較で、なおかつ横軸は、どれだけの人がその産業で働いているかということがわかるように、これを経産省に言ってつくってもらいました。
 これを見てわかるように、実はこれは、麻生大臣が一月二十日の経済財政諮問会議でお配りになっていたペーパーのとおり、日本の経済の本質は、やはり産業構造を大転換しないとだめだということであり、そして、生産性が低過ぎる。そうすると、収益力が低い。ですから、当然、賃金を上げようにも上がらない。こういう問題であって、これを見てわかるように、例えば、卸、小売というのは、全体の二五%ぐらいの人が働いていますけれども、何とアメリカの半分以下の生産性しかないんですね。それから、飲食、宿泊なんというところは四分の一の生産性しかない。これで生活水準を特に地方で上げるといったって無理だと思うんですね。
 ですから、これは全体的に上げなきゃいかぬということで、アベノミクスでやらなきゃいけないことは、大変大きな、日本の経済の、言ってみれば、何度も言いますけれども、文化や風土に根づいたものを直していかなきゃいけないという大作業だということをお示ししたつもりでございます。
 それからもう一つは、しかし、日本人とか日本の企業は、やはり優秀な人や優秀な企業はいっぱいある、いっぱいいい人がいる。だけれども、なぜか収益が上げられていない。なぜだろうか。
 これをちょっとつくってもらったんですけれども、アメリカで特許を取っているランキング、上から十位まで。それから、右側にROEを並べて書いてございますが、これを見てわかるように、実は、十位までに入っているのは、日本がやはり四社で、一番多いんですね。あとはアメリカ三社、韓国二社、台湾一社ですから。ところが、残念ながら、見てのとおり、ROE、利益率は非常に低い。
 これはどういうことだろうかということでありまして、結局、企業が、あるいは一人一人の日本人が自分で頑張るということをやらない限り無理だなというふうに、私は結論づけているわけであります。
 そこで、会社法を今回直しますということで、総理もダボスで発信をしていただきました。社外取締役がふえるぞということであります。
 お手元にあるのは、私の事務所で、法務省などと協力をしながらつくったものでありますけれども、今回決めたことは何か。
 要するに、社外取締役というのが日本は非常に少ない、そう言われていました。世界はどうなっているかというと、まず、本当に義務化をしている、法律かあるいは取引所で義務化をしちゃっているというのがアメリカであり韓国、そこに書いてあるとおりであります。
 おととし民主党政権下で決めたことは、義務化はしないという結論になって、いわゆるコンプライ・オア・エクスプレーン、難しい言葉ですけれども、ルールに従え、さもなければ従わない理由を説明しろという枠組みにしましょうということになりました。実は、これを見てわかるように、イギリス、ドイツ、フランス、ヨーロッパ型のやり方がとられたわけであります。
 残念ながら、いわゆるコンプライの方、独立取締役の選任の方、これも、東証のルールなんですけれども、今回もそのままいきますが、東証のルールが極めて不明確だった。それから、遵守しない理由の説明についても、省令でやろうということで、経済界の中には、もうひな形をつくって、みんなこのひな形を使えば逃げられるわと言っておられたというような説すらもあって、これじゃだめだな、こういうふうに評価されていました。
 それで、我々自民党の中で議論した結果どうなったかというと、まず、コンプライの方は、東証のルールを変えて、独立取締役を少なくとも一名以上という明確な数値目標も入れて、なおかつ、理由説明は、口頭説明を総会でやれということになって、これも会社法で、法律で定めますから、やらなかったら当然法律違反になるという世界にしたわけであります。
 さらに、前年度入れなかった方がよかったという理由で、ほかの国は前年度入れなかった理由というのを言うわけですけれども、我々は、前年度入れない方がいいという理由を言え、それも口頭で言えということにしましたし、当該年度の取締役を入れないという場合についても、入れないんだったら、入れない方がいいという理由を総会の書類に書けということにしましたが、結局、口頭で両方説明しないといけなくなったということなんです。
 ですから、これは総理、谷垣大臣でいいんですけれども、事実上、義務化したのと同じぐらい、もし、これまでやっているのに、まだやらないということになると、これは相当恥を忍んでやらなきゃいけないので、上場会社ですから、そんなことをやる会社というのはめったにないだろうと私は思っているので、ですから、今回の我々の改正は、事実上、義務化をしたのに等しい。
 何でかというと、マスコミは義務化を先送ったとか断念したとかと書いているから、違うと。たまたまきのうの新聞に、キヤノンもついに入れるようになりましたという新聞報道がありましたが、この事実上義務化したのと同じじゃないかということについて、お考えを述べていただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 事実上義務化したという塩崎委員のお考え、私は、そういう評価は十分可能だと思っています。
 御承知のとおり、これを決める過程では相当賛成、反対論がありましたので、正面から義務化するという形は確かにとっていないわけです。だけれども、今委員が説明されましたように、今度の改正案の中では、それを入れていないところは、株主総会で、口頭で理由をきちっと説明しなきゃならないということになっております。社外取締役を置くことが相当でない理由をきちっと説明しなきゃならない。
 それからまた、法務省令を改正しまして、委員のおっしゃったとおり、事後的にもきちっとやらなきゃならぬ、こういうことになっております。
 それからもう一つは、これも委員がお挙げになったことですが、東京証券取引所は、上場規則を改正して、上場会社に、取締役である独立役員を少なくとも一人以上確保するという努力義務を課す予定で、今作業をしていただいている。
 これは、イギリス等々のコンプライ・オア・エクスプレーン・ルールを参考としたものでありますが、結局、各会社の個別の事情に照らして、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明できないような上場会社は、もう社外取締役を置くことが強く促されることになると私は思います。
 そういう意味で、委員がおっしゃった評価というのは、十分私は可能だと思います。
○塩崎委員 ありがとうございました。
 それで、日本の中のコーポレートガバナンスコードがないというのが色を違えて書いてあります。本当は答弁をいただくところだったんですけれども、時間がなくなっちゃったのでやめますが、私はやはり、ドイツのシュレーダーもコーポレートガバナンスコードを入れて企業をきっちり元気にしていったということでもありますので、日本でもコーポレートガバナンスコードをつくるべきだということで、実は自民党の中でも既に作業を始めていますので、政府の方でもぜひやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、GPIF、年金の問題について、時間がないので、もう簡潔に。
 運用の方針を変えるということ、これは伊藤先生たちを中心としたところから提言が出ているわけでありますけれども、同時に組織も変えようということでありました。
 今回、GPIFについては、総理も、ポートフォリオの見直しを初めフォワードルッキングな改革を行いますと書いてありますから、これをスピード感を持ってやらなきゃいけないと思います。
 したがって、これは組織を変えますから、法改正が必ず要るようになるわけですから、スピード感という意味では今国会中に出してくるべきだ、財政検証があるからというようなことは理由に私はならないと思うんです。
 ダボスでこれだけのことをお約束してきた総理ですから、その内閣としては、やはりこの法律を出す。出すことによって考えがわかりますから、通らなくたって、六月に出したとしても、私は世の中には伝わると思うんです。政府は、こういう形で変えていくということは、じゃ、本気なんだなということになりますから。
 ぜひ田村大臣のところでやっていただきたいし、もし今国会中に出さないということであるならば、我々はもう既に議員立法を、今作業を始めていますから、我々がかわって出そうじゃないかという考えも我々は持っていますので、ぜひ今国会中に組織の法律についても出すということをお約束いただければありがたいなと思っています。
○田村国務大臣 今、GPIFのお話が出ました。GPIF、なかなかわかりづらいんですが、年金積立金管理運用独立行政法人、積立金を運用している、そういう機関であります。
 これは内閣官房の中で有識者会議をしていただきまして、非常に機動性が悪いと。例えば、人員それから給与水準、すばらしい専門家を雇おうと思えば給与水準を上げなきゃいけない。それからさらには、いろいろと組織を動かしていく上において、合議制、こういうものも含めてやろうということで、行政改革推進会議の中で検討をいただいて、結論を出していただきました。ですから、今までよりも機動的に動くようになります。
 ただ、そのように党の方でもいろいろと組織を変えるための法律のお話があるようでございますので、これはまた相談をさせていただきながら進めさせていただきたいというふうに思います。
○塩崎委員 ありがとうございました。
 下村大臣に、もし可能ならば、教授会のあり方というものが、どうも大学の改革に足手まといになっているのではないかということで、物事をはっきりさせる意味で、学校教育法の九十三条を改正する、いわゆる決定機関じゃなくて諮問機関にするということをおやりになる御決意があるかどうか最後に聞いて、終わりたいと思います。
○下村国務大臣 文部科学省としては、大学のガバナンス改革に対して、精力的にやってまいりたいと思います。
 教授会については、その役割を明確化するため、学校教育法第九十三条も含め、関係する法令の改正に向けて検討してまいります。
○塩崎委員 終わります。ありがとうございました。
○二階委員長 この際、中谷元君から関連質疑の申し出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中谷元君。
○中谷(元)委員 自由民主党の中谷元でございます。
 安倍総理初め安倍内閣の閣僚の皆様、就任しまして一年以上になるわけでありますが、この一年間、外交、安全保障においても懸命に取り組みをされまして、多くの成果というものを出してこられたと思います。
 去年の一月十六日、就任直後に、アルジェリアで、日本の海外プラントのメーカーである日揮のプラントがイスラムの過激派に襲撃をされまして、多くの邦人が人質になりました。
 総理はハノイにおられたんですが、菅官房長官が官邸の中でいろいろと情報収集をして、そして救出に向けて懸命の努力をされたわけでありますが、そのときの課題が、海外における情報の収集、官邸内での情報分析、活用、そして意思決定ということでございました。
 与党でもPTをつくりまして、こういった海外における邦人の安全確保はどうしたらいいのかという点におきましては、一つは、救出とか邦人の輸送のために自衛隊法改正をいたしまして、それまで、陸上においては日本人を救出、輸送するために自衛隊が現地に行けなかったという点を、自衛隊法改正をしまして、陸上輸送も可能になりました。
 このたび、防護車を四両、補正予算で追加要求をしていただいておりますが、これも対応の一つでありますが、何といっても、海外における情報収集能力の向上、そして官邸内での分析をしっかりするための組織の立ち上げということで、昨年の秋の臨時国会においては、NSC法案と秘密保護法案、この二つを国会で審議して、成立をしました。
 NSCというのは、国家安全保障会議、そして国家安全保障局という、国家の安全に関して、国の持ついろいろな組織の情報を集約して、速やかに官邸で意思判断をするという組織でありまして、もう既にこれは発足をして、今回のPKO、南スーダンの活動においては、韓国に弾薬の提供という大変早い判断をされたわけでございます。
 もう一つは、このNSCがより機能的に活動するために、特定秘密保護法案、国家にとって、国の安全、そして国民の生命財産を守るために必要な情報、これを漏えいしないようにしっかりと保全していく措置のために特定秘密法案が成立をいたしました。
 さまざまな議論がありました結果、本日に至っておりますが、もう一度総理の方から、この特定秘密法案において、なぜ必要なのか、そして、この法律が成立したことによって国家にとってどういうメリットがあるのか、国民の皆様方に説明をいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 国際情勢は大きく変化をしている中において、特にアジア太平洋地域の安全保障環境は厳しくなっております。もちろん、アジア太平洋地域だけではなくて、今、中谷委員が例として挙げられましたように、アルジェリアにおいてああいう事件がありました。日本の企業は世界で活動しているわけでありまして、そういう人々の安全を守っていくことも私たちの大きな責任であります。
 そういう観点から、我々、外交政策あるいは安全保障政策を進めていく中にあって、省庁の縦割りではなくて、総合的に、官邸において、正しい政策的な、政治的な政策判断をしなければならないわけでありまして、当然、そのためには、情報を収集して、それがしっかりと分析をされ、その分析をした中において、政策的な選択肢をしっかりと用意していくという場が必要であります。
 そこが今までなかったわけでありますが、それはまさに、日本版のNSC、国家安全保障会議であり、その事務局である国家安全保障局であります。この保障局に事務局機能をしっかりと持たせまして、そこにおいて、今申し上げましたようなことを念頭に置きながら、それぞれの地域を見ながら、状況、危険度、あるいはそれに対するどういう政策が有効であるか、日本の邦人の利益あるいは邦人企業を守るために何が必要か、あるいは日本本土を守るために何が必要かということを、常に、いつも考えながら政策を進めていくために政策を用意する、あるいはまた、そのための情報の分析を行う。
 しかし、情報の分析を行っていく中において、日本は対外情報機関がないわけでありまして、そういう情報機関から情報を受け取るということも大切でございます。受け取るためには、その情報がしっかりと保全されていることが前提であるわけでありまして、その意味におきましても、特定秘密保護法を成立させたわけでございます。
 のみならず、この特定秘密保護法をつくるに当たりましては、今までも、特別管理秘密もあり、防衛秘密があり、そしてアメリカとの協定による秘密があり、あるいは外交秘密がある。全くなかったところに、白地に新たにつくって、どんと、これを秘密にしますよということではないんですよ。今まで既にいっぱいあったんですね。
 そして、それについては共通のルールはなかったわけであります。誰が責任者で、誰がそれを決めたのかということもはっきりしていなかったわけであります。その中におきまして、今回はしっかりと情報の漏えいを保全する、そしてさらには、誰が責任者かということも明らかにしながらルールを決めていくということにしたところであります。
 その結果、現に、米国のクラッパー国家情報長官が、先日、上院情報委員会において、日本との情報協力に言及した際、日本は特定秘密保護法を成立させ、我々とさらに情報を共有することが可能となった、日本は情報分野のすぐれたパートナーになってきている、こう高く評価をしているところでありまして、日本人の生命、国益を守るための情報がもっともっと入りやすくなってくるというのは紛れもない事実であるということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。
○中谷(元)委員 そのとおりだと思います。この法案ができた大きなメリットは二つありますが、一つは、海外から、日本はいろいろな情報を提供してもこれが守られる国だという信頼を得たということで、アルジェリアの事件のときも、フランスの軍の情報とか、またイギリスの首相なども特別の情報を寄せていますけれども、それは、漏れないという前提の場合が多いと思いますので、そういった海外からの情報は得やすくなったということ。
 それから、国内的にも、官房長官が担当されますけれども、各省庁から情報が上がる場合に、各省庁は、省の情報が漏れてしまったら困りますから、余り官邸に上げたがらないんですね。しかし、この共通のルール、罰則ができますと、それが官邸に集約しやすくなるというメリットもあります。
 また、国民の知る権利やマスコミの取材活動を制限しないということにも配慮をしていますけれども、特に、秘密の指定の仕方、解除の仕方、これまで無期限だったんですね。各省お任せで、無期限にそれが秘密として存在をしておりましたが、今回、法律で、五年ごとに指定をし直す、そして、少なくとも三十年たったら内閣の承認が要るというような公開の原則もつくられたわけでありまして、数段これは進歩があったと思っております。
 そういう中で、各省の秘密の指定におきまして、私も防衛省の大臣をしましたけれども、省内にたくさんの秘密というのがあります。今、平成二十四年度末で特別管理秘密と呼ばれるのが四十二万件あるわけでありまして、恐らく防衛省の中では、衛星の画像とか通信の内容とか映像とか、そういうものがほとんどだと思いますが、それが全て大臣に上がってくるわけではありません。したがって、あるところで、ある人が必要上決めているということであります。
 今回、そういった面において、この秘密の指定が適切であるかどうかということも国会の審議でチェックしなければならないということで、内閣の部署でこれをチェックするようにしたわけでございますが、大臣が頑張ってもなかなか一人ではチェックし切れませんけれども、こういう部分を政府全体としてどのように対応していくのか。現状において、この考え方について、お考えを聞かせていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 特定秘密の指定、解除ということだと思いますが、特定秘密保護法では、法律の別表に限定列挙された事項に関する情報に限って、外部の有識者の意見を反映させた基準に基づいて、大臣等の行政機関の長が特定秘密を指定します。また、総理大臣が各省庁の運用状況をチェックし、有識者の意見を付して毎年国会に報告する仕組みを設けるわけであります。さらに、内閣総理大臣が特定秘密の指定、解除等についてチェックする機関としての役割を果たすことに資する組織として内閣官房に保全監視委員会を、独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関として内閣府に独立公文書管理監及び情報保全監察室を設置し、本法の適正な運用を確保することとしております。
 このように、本法には、恣意的な法律の運用を防ぐため二重三重の仕組みが設けられているところでありまして、これらの仕組みが真に機能を発揮するよう、施行までの期間、検討を進めていきたいと考えております。
 総理大臣が見るということを今申し上げましたが、最初は、特別管理秘密というのが四十万件を超えている、果たしてこれは見れるのかというふうに私自身も思ったわけでありますが、しかし、そこで詳細について調べさせたところ、衛星情報が九割なんですね。衛星情報が九割でありまして、残りのほとんども防衛に関する情報です。多くは暗号であり、あるいは、例えば潜水艦のさまざまな能力というのは、これは全部秘密です、特別管理秘密、防衛秘密に当たりますから。
 そういうものを足し込んでいくと、これはもう、例えば暗号なんかは一々私が全部見る必要というのは、暗号ならそれは特定秘密ですねというのはわかりますね。そして、衛星については、その画像解像度自体が秘密になっていますから、これはもう最初から一々管理する必要がないと言ってもいいんだろう、それはそのカテゴリーとして存在するというふうに理解していただいていいんだろうと思うわけでありまして、その中において、例えば外国の情報機関から寄せられた情報等については、これは十分に、そのカテゴリーを分けて私自身が見ていくことができる、こういうことになるのではないか。
 今までそれはやっていないんですから、今までそれをやった総理大臣は一人もいないんですから、この法律ができて初めてそういうことが行われる。まさに、国民によって選ばれた国会議員の中から選ばれた総理大臣がしっかりとそういう役割を果たしていくことになるということであります。
○中谷(元)委員 そういった、特定秘密という国にとって大事な情報ですけれども、一般に漏れたら困るという非常に機密の情報をどうチェックするかという問題でありまして、第三者がチェックしろとよく言いますけれども、部外者、政府の人間以外がチェックをするような国はどこもありません。
 やはり政府の責任においてこれはしっかりと管理していかなければならないということで、今回、法律の議論を通じて、情報保全諮問会議という、一般の有識者の方々による、基本的なルールを定めるための会議ができました。座長は読売新聞の渡辺恒雄会長でありますが、マスコミの代表、そして、弁護士からは、住田さんという女性の弁護士さん、あと、清水さんという、これは日弁連のこういった秘密法に関するプロジェクトの事務局長が就任をされた。
 いわゆる、内外ともに、賛成、反対、幅広い分野からの本当の意味の有識者が集まられた会が立ち上がったと伺っておりますが、この会議、一体、どのような内容をいつごろまでに決めていかれるのか、この諮問会議の状況について、森大臣の方から御報告いただければありがたいと思います。
○森国務大臣 この有識者会議におきましては、法律の条文にきちっと書いてある、有識者の皆様の御意見を伺って、そして、先ほどの秘密の基準をしっかり決めていくための御意見を伺うということで、各界各層から、さまざまな意見の方から御意見をいただくために、豊富な経験と知見をお持ちの方々の中から安倍総理大臣が委嘱をして、本年の一月十七日に立ち上がったものでございます。
 本会議においては、特定秘密の指定、解除、そして適性評価の実施に関する運用基準について御議論いただくとともに、この特定秘密保護法の政令案や、本法を適正に運用するために必要な事項について御議論いただくこととなっておりまして、政府において、その意見を反映させて、運用基準や政令を施行までの間につくっていくというスケジュールになっております。
 施行が公布後一年以内というふうに決まっておりますので、各省庁における施行準備を考慮いたしますと、スケジュール的には、秋の早い時期には閣議決定する必要があるかなというふうに私の方で考えておりますので、それまでに、このようなスケジュール感を踏まえて、有識者の皆様に御意見をいただきながらまとめていくというふうに考えております。
○中谷(元)委員 この諮問会議のメンバーを見ますと、本当に幅広い分野から、いろいろな意見を持たれている方、権威のある方が入られています。特に、最近は、デジタル化とか電子化によって、電子情報にどう対応していくかというのが一つの課題だと思いますので、それもあわせて御検討をお願いしたいと思っております。
 もう一つ、特定秘密法の審議の中で、国会の役割があるのではないか。やはり、こういった政府の情報活動や、また特定秘密の内容等についても、全て任せるわけにはいかぬ、いろいろな問題や課題においては、国会においても、必要に応じてこれを見て、そして国会としての判断をして、監視、監督をしておかなければならないという本来の国会の役割に基づいて、今回、自民、公明、維新、みんな四党の共同修正を行いまして、政府の特定秘密の情報を国会に提出するものとするという義務化をしたわけでございます。
 その関連で、では、国会として、国会に提供された特定秘密をどのような機関で、どのような形でこれを検証し、それが漏れないためにどうあるべきかということを協議して、結論を得る、そして対処するという四党の合意ができました。
 それに基づきまして、ことしの一月十二日から十九日までの間に、国会といたしまして、衆議院から、自民党、公明党、民主党、維新、みんな、生活、共産、この各党の特定秘密法案の実務者、そして議院運営委員会の代表の方々とともに、ドイツ、イギリス、そしてアメリカの三カ国の行政の情報管理と国会の情報に関する監視機関の状況を見てまいりました。
 お手元に資料を配付いたしましたけれども、テレビの方にも、ちょっとパネルを準備してまいりましたので、ごらんいただきたいと思います。
 アメリカ、イギリス、ドイツ、この三カ国。
 まず、アメリカは、上院と下院に情報特別委員会というものがあります。大体、十五名、二十一名で、各委員会の代表が入っております。イギリスは、上下院両院の議員が九名いまして、これは、首相の推薦に基づいて、各議院で任命をされるということで、いわゆる閣僚経験者で、非常に情報に精通された方がおられます。それからドイツは、議会統制委員会ということで、これは下院にありますけれども、メンバーが九名ということで、与野党で協議をいたしまして、院で、過半数で人選をしているということでございます。
 そこで、それぞれの委員会の任務としましては、政府の情報機関の監視、調査、報告。イギリスも、各情報機関の予算、運営、政策、活動を検証。ドイツも、連邦政府の情報機関を監督するということで、いわばシビリアンコントロールなんですね。軍にしても、政府にしても、やはり国民の代表たる国会が、こういったものにおいては監視、監督ができるという権限を持っております。
 そしてもう一つ。では、この委員会の権限はどういった権限があるかと申しますと、全ての国に共通していることは、それぞれ情報活動においては完全に最新の情報を提出しなければならない。アメリカも、イギリスも、ドイツも、基本的には議会でそういった情報を知り得る権限を持つということですが、この上に書きましたけれども、秘密の指定とか解除、それの権限は議会にはありません。やはりこれは政府の責任において活動をしているわけであります。しかし、議会としては、こういった行政全般をしっかりコントロールするという意味で、こういった権限を持っているわけでございます。
 しかし、例外規定がありまして、やはり秘匿性の高い事項においては、アメリカにおいても八項目ぐらいの公開できない規定というのがありまして、軍事の計画とか、また外国の政府からいただいた情報とか、こういった情報源とか、暗号とか、外交機密文書とか、こういった例外がありますけれども、しかし、アメリカの場合は、上下院の委員長またはそれぞれの筆頭委員、フォーコーナーズといいますけれども、四人に関しては非常に機密度の高い情報も知れるということになっています。
 イギリスも、現在継続中の活動及び将来的な計画、重大な問題は支障がありますけれども、委員会と政府が交渉して、政府の情報を聞くことはできる。
 ドイツも、サードパーティールールといいますけれども、これは、外国からいただいた機密を約束された情報とか、情報源とか、内外の協力者の名前とか、明かせない情報があるんですけれども、こういったものも含めて、議会で、交渉上、この委員会としては知ることができるというふうに言っておりました。
 あくまでも、これは、出しても漏えいしない、外に出ない、いわば議会の信頼性と名誉が前提の、政府との緊張また信頼の関係に基づいたルールになっていますが、しかし、議会としての持つべき機能を最大限生かしていくということにおいては、我が国としても、こういった、国会において政府の情報を取り扱ってそれを審議できるような、情報委員会のような組織が私は必要ではないかなと思っております。
 こういった諸外国の情勢等について、総理として、国会としてどういった対応で行政との関係があるべきか、御所見を伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 本法において、一定の条件のもと、国会の秘密会に特定秘密を提供するものとする仕組みが盛り込まれたことによって、国会の審議がより充実したものになると考えております。
 他方、国会の関与のあり方については、国会で講じられる具体的な保護措置などを含め、あるべき国会運営の全体像の議論の中で、国会において、さまざまな観点から検討されるものと考えているところでございます。
 中谷議員御承知のように、視察に行かれて、米国、イギリス、ドイツでありますが、任務としては、基本的にこの三カ国とも対外情報機関に対する監視を任務としているということでございまして、日本にはその対外情報機関はないということであります。
 さらに、世界では今、既に言及されたように、秘密指定の適正性は監視対象外、この三カ国とも、ということになっているということも事実であります。
 同時に、この秘密漏えいについては、米国とドイツにおいては、例えば、議員に対する免責特権もこの秘密会においてはないということになっているわけであります。
 まあ、日本においては、それは憲法において保障されておりますから、そういうことにはならないわけでありますが、大変厳しい規定になっているということも付言させていただきたいと思います。
○中谷(元)委員 お答えをいただきましたが、国会としても、やはり、政府との信頼関係において、特定秘密というものもしっかりと把握をしながら、国政に生かす観点で、また行政をチェックするという観点で必要だと思いますので、今後、国会の中で、私は、各党で協議していくべき問題だと思っております。
 先ほど総理がお答えになりましたが、日本には情報機関がないと言われましたけれども、しかし、私は、憲法上、国家の主権を維持し、そして、国の運営上、やはり日本だからこそ海外の情報を多く取り入れるということが必要だと思うんですね。
 そういう意味では、現在、内閣情報調査室という形で、内閣官房の中にそういった責任ある部署がありますが、なかなか、人員の面においても、組織においても、権限においても、束ね切れるのかなという不安もありますし、海外から十分に外務省も防衛省も情報収集できる権限を与えられているのかな。
 そういう中で情報活動を行っていますが、情報収集機関のあり方、そして日本の情報収集の対応等について、総理は率直にどう考えておられて、どうあるべきだなと思っておられるんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 日本の場合は、対外情報機関がない中において、例えば、先般、例として出ましたアルジェリアの件におきましても、これは、イギリスがとった情報において、私どもは電話でキャメロン首相から直接さまざまな情報の提供をいただいたわけでございます。
 邦人の安全確保等において、そうした情報の収集が極めて重要であろうということは言をまたないわけでございますが、我が国をめぐる安全保障環境が悪化する中、国家国民の安全を守るためには、安全保障や国民の安全に直接かかわる情報の収集が極めて重要であります。
 例えば、国際テロ、大量破壊兵器拡散等について、関係する国や組織の内部情報の収集は極めて重要でありますが、一方で、それらの国や組織は閉鎖的であるため、情報収集活動は相当の困難を伴うものであります。
 このような認識のもと、内閣の戦略的な意思決定に資する情報機能を強化することは、極めて重要であると考えております。
 御指摘のような内閣情報調査室を初めとする情報コミュニティーのあり方についてはさまざまな議論があると認識をしておりますが、今後とも、内閣における情報の収集、集約、分析の一層の充実強化に取り組んでまいりたいと思います。
○中谷(元)委員 一層、海外における情報を日本はやはりどんどんとるべきだと思いますので、こういった情報活動、機関の検討も進めていただきたいと思います。
 そして、評価できる点、第二点としては、NSCが設置されてすぐに政府の判断をされました。
 昨年の十二月二十二日、南スーダンでPKOを実施しておりましたけれども、韓国の駐屯しておりますボルというところで政府軍、反政府軍の紛争が起こりまして、韓国軍が孤立。その日のうちに、韓国軍が日本部隊に弾薬の提供を求めてきました。事務的にも、UNMISSからきちんと来て、そしてその日のうちに調整をして、NSCで関係九大臣会議、四大臣会議を開催しまして、二十三日には決定をして、速やかに弾薬の提供を韓国に行いました。
 私はこれは非常にいいことだと思っておるわけでありまして、このようにNSCは機動的にやっていただきたいんですが、二つの点を申し上げます。
 一つは、日本と韓国との関係。これは、本来もっともっと密接に、軍事的にも防衛的にも協力をすべき間柄であります。海外においては、現にこのように同じミッションを持ちながら支援をしておりますが、韓国に対して、情報の共有、提供並びに物資の協力、提供、これの協定を早急に結ぶべきだと思っておりますが、この努力についてしっかりやってもらいたい。
 もう一点は、やはりPKO活動のあり方として、何でこれが武力の行使の議論になってしまうのか。そもそも、日本単独の意思で活動しているわけではなくて、国連の組織の中でPKO活動をやっております。このような物資の提供、協力そして安全、任務、こういったものにおいても日本はもっともっと活動できるわけでありますが、今後のPKOのあり方についても、総理、積極的平和主義ということで、いろいろなお考えがあると思いますけれども、現状をどのようにお考えなのか。
 二点について、総理の御所見を伺いたいと思います。
○小野寺国務大臣 日韓の防衛交流、これは大変重要だと思います。
 今、委員から御指摘がありました、例えば情報分野のGSOMIAについては、私どもとして、直接、韓国と一日も早く進めていきたいと思っております。
 また、現在、南スーダン・ジュバにおきましては自衛隊が活動しておりますが、これは今、南スーダンの中で多くの避難民が出ております。この避難民に対して給水活動、あるいは難民キャンプのための造成活動、これを行っておりまして、国連、UNMISSからも高い評価をいただいております。
 これからも、防衛省・自衛隊としましては、政府のさまざまな御決定によってこのような活動をしっかりしていきたいと思っております。
○安倍内閣総理大臣 今御指摘のように、まさにPKO活動をしている際に、今回あったように弾薬を提供する、これは武器輸出三原則の中において例外措置として行ったんですが、御承知のように、紛争が発生するかもしれないという中において、武器弾薬においても、弾薬を提供すればこれは一体化するではないかという議論が続けられてきたのも事実でございます。
 今回も、いわば、UNMISSにおいても、弾薬を輸送するということについては、その課題、問題を乗り越えなければいけないわけでありまして、まさに今現在、安保法制懇において、そのままでよいのか、PKO活動において日本がそれをできないということでいいのかどうかということについても議論がなされているわけであります。
 まさに、日本は、日本のみで日本の平和と安定を守ることができないわけでありまして、国際協調主義の中における積極的平和主義の観点から、世界にもっともっと貢献をしていくべきだというのが私の基本的な考え方でございます。
○中谷(元)委員 そういう観点で、ぜひ、国際活動において自衛隊の活用を広げるために、憲法のあり方も含めて御検討いただきたいと思います。
 それから、もう時間、最後になりましたけれども、安倍内閣として、安全保障、外交において最大の功績は、昨年末に防衛大綱並びに中期防、これを決定したことであります。続いてきた冷戦期以降の防衛の縮減傾向にストップをかけていただいて、中国の関係を念頭に、島をいかにして現実的に守っていくのかということを念頭に、しっかりとした防衛体制を打ち出すことを表明したということでありますし、また、九州の各自治体との協力関係も強化していくということで、大変すばらしい内容であったと思います。
 そういう中で、昨年末、沖縄におきまして、仲井真県知事が、辺野古の埋め立てにおいて、県としての承認をいただいたということも、これは、政府の沖縄に対するいろいろな対応や説得によって県知事が理解を示していただいたということで、政府としての対応については評価をいたしますが、問題は、名護市の市長選挙で、残念ながらそれがまだまだ理解をしていただけませんでした。
 しかし、日本の防衛を考えますと、まさに尖閣列島とか南西海域の島の防衛、これにおいては、自衛隊の能力を向上させるということも大事ですけれども、水陸両用作戦においても、どうしても米軍との共同行動というのが必要でありますし、沖縄における米軍の基地、部隊、こういうものも、抑止力としては、この南西地域の防衛のためには必要ではないか。
 そういう意味では、やはり普天間は、沖縄の辺野古というところ、海上の方に移転をするというのが時間的にも一番早くできるし、また戦略的にもそこが適切だと私は思っておりますが、ぜひ総理の方から、その必要性において、沖縄の皆様方に御理解をいただけるように、私としては、やはり総理が直接沖縄に行っていただいて、名護市で、そして、辺野古の方々はそういうことに理解をしている方が多いんですけれども、誠意を持って直接お願いしていただきたいと思っております。
 もう一つは、米軍だけではなくて、沖縄の基地は自衛隊と共同使用、司令部においても訓練場においても、やはり、そういう意味では、日米の協力のためにも、そういうことが考えられると思います。
 改めまして、安倍総理の方から、この南西地域における防衛と今回の普天間の名護市への移転において、そのお考えをお話しいただければありがたいと思います。総理から、もう時間がないので。
○安倍内閣総理大臣 私も昨年、三度、沖縄を訪問いたしまして、仲井真知事初め、関係者の皆様とお話をしてきたところでございますが、なぜ沖縄で、なぜ辺野古なのかということだろうと思います。
 この普天間飛行場の移設は、平成八年四月、日米間で全面返還が合意された際から、在日米軍の抑止力を維持するとともに、沖縄の基地負担を軽減し、地元の皆様の安全及び生活の質にも配慮するとの観点から取り組まれてきた課題であります。
 普天間飛行場の移設を沖縄県内で行う理由については、まず、我が国を取り巻く安全保障環境に鑑みて、在沖海兵隊を含む在日米軍全体のプレゼンスや抑止力を低下させることができないということ、そして、沖縄が南西諸島のほぼ中央にあり、かつ、我が国のシーレーンにも近いなど、安全保障面で地理的、戦略的な重要性を有しているということ、そして、司令部、陸上部隊、航空部隊、後方支援部隊を一体的に運用することによって、すぐれた機動性、即応性を持つ米海兵隊の特性を低下させることはできないことなどが挙げられるわけでございます。
 具体的な移設先としては、滑走路を含め、所要の地積が確保できること、既存の米軍の施設・区域を活用でき、その機能を損なわないで極力短期間で移設し得ること、移設先の自然環境、生活環境に最大限配慮し得ることなどの条件を考慮し、日米間で検討した結果、これらを総合的に満たし得るのは辺野古しかないという結論になったところであります。
 政府としては、引き続き、移設に関するこのような考え方を丁寧に説明しながら、地元の皆様の御理解を求めながら、返還に向けて全力で取り組んでいかなければならない、このように思います。
○中谷(元)委員 以上で質問を終わります。今後とも、安倍内閣としてしっかりと、外交、安全保障、頑張っていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○二階委員長 これにて野田君、塩崎君、中谷君の質疑は終了いたしました。
 次に、石井啓一君。
○石井委員 公明党の石井啓一でございます。
 まず、外交、安全保障について何問かお尋ねをいたします。
 総理は、就任以来、地球儀を俯瞰する外交ということで、積極的にトップ外交を展開されていらっしゃいます。歴代の総理が余り足を運ばれなかった中近東やアフリカも訪問されていらっしゃいまして、総理みずからが積極的に我が国をPRされているということについては評価をいたしたいと思っております。
 一方で、近隣の中国、韓国との関係改善が進まないことは、これは残念なことでございます。
 総理は、対話のドアは常にオープンです、こういうふうにおっしゃっております。また、先日の本会議の代表質問に対しましては、ダボス会議で韓国政府幹部と挨拶し、握手を交わした、中国には防衛当局間の海上連絡メカニズムの早期運用開始を提案するなど、中国、韓国には積極的に働きかけている、こういうふうに答弁をされておりますが、より積極的に日本側から対話、交流を呼びかけることが重要だというふうに思っております。
 中曽根元総理が、ことしに入りまして、民放のテレビ番組で、日本の首相の方から努力して、国民と一緒になって中国や韓国との関係を直していく努力をする必要があると思う、こういうふうに発言をされています。
 民間交流や議員交流、また共通の課題での政府間交流など、できるところから対話、交流を重ねて、首脳会談を実現する努力が重要というふうに思っております。総理の御見解をまずお伺いいたします。
○安倍内閣総理大臣 まさに石井議員がおっしゃったように、この日中、日韓、大切な関係であります。そして、両国が良好な関係あるいは関係を発展させていくことは、地域の平和と安定そして繁栄において明らかにプラスになっていくわけでありますし、必要なことであろうと思います。
 残念ながら、今、首脳間の交流は途絶えているわけでございますが、民間交流や議員交流、共通の課題での政府間交流など、できることから対話、交流を重ねていきながら、首脳会談の実現に向けて努力を重ねていきたい、このように考えております。
○石井委員 首脳会談実現に向けて、これまで以上の努力をされるということを多くの国民が期待しているということを申し上げておきたいと思います。
 では、続きまして、武器輸出三原則等の見直しについてお伺いをいたしたいと思います。
 パネルを用意いたしました。お手元の資料にも配付をしておりますが、昨年初めて取りまとめました国家安全保障戦略において、武器輸出三原則等の見直しに関しまして、PKO活動での防衛装備品の活用や供与、また、防衛装備品等の共同開発、生産等への参画が求められている状況を踏まえて、「武器輸出三原則等がこれまで果たしてきた役割にも十分配意した上で、移転を禁止する場合の明確化、移転を認め得る場合の限定及び厳格審査、目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保等に留意しつつ、武器等の海外移転に関し、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めることとする。」こういうふうに位置づけをされたところでございます。
 これに対して、我が国が積極的に武器輸出する姿勢に転換するのではないか、こういった批判、あるいは、従来は、武器輸出する場合は官房長官談話で例外を個々に認めてきてやってきたわけですね、いわゆるポジティブリストだったわけでありますけれども、今後は、移転を禁止する場合以外はおのずと武器輸出を解禁するのではないか、いわゆるネガティブリストに転換するのではないか、こういった批判がございます。
 こういった批判への反論を含めて、武器輸出三原則等の見直しに関します政府の考え方、総理にお伺いいたしたいと思います。
○菅国務大臣 委員御指摘のとおり、国家安全保障戦略においては、与党間の議論も踏まえて、国際協調主義に基づく積極的平和主義、その観点から、武器等の海外移転に関し、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めることといたしております。
 新たな原則については現在検討中でありますけれども、その策定に当たっては、今御指摘をいただきましたように、武器輸出三原則が今日まで果たしてきた役割、そうしたものを十分に配慮した上で、武器の移転を認め得る場合を適切な形で限定する、また、移転を認める場合にあっても、移転先の適切性や安全保障上の懸念等を厳格に審査する、さらに、目的外使用や第三国移転についても適正に管理していく、そういう考え方であります。
 したがって、新たな原則についても、今言われましたように、我が国が積極的に武器輸出する姿勢に転換をしたり、あるいは、移転を禁止する場合以外はおのずと武器輸出を解禁するという、御指摘の批判にあるような内容とは全く違うということであります。
 さらに、政府としては、これまでの例外化の経緯についても適切に整理をしながら、公明党初め与党の皆さんと十分な検討、調整を行い、具体的に定めていく方針であります。
 いずれにしろ、国連憲章を厳守するという平和国家としての基本理念というのは持ち続けてまいります。
○石井委員 今回の見直しが、今後、武器輸出を積極的にやるという姿勢に転換するわけでないということは確認をさせていただきました。
 また、これまでの官房長官の例外措置を整理するということも、私は重要な意義があると思います。これまでは、官房長官談話を出せばどんどん武器輸出するケースがふえていったわけでありますから、ある意味で、どこまで認め得るのかというルールがなかったわけですね。それをきちんと整理するということは、我が国の平和国家としての理念をむしろ堅持し、強調する方向になるということで、私は意義があるというふうに思っております。
 続きまして、沖縄の普天間基地移設問題についてお伺いしたいと思います。
 昨年末、沖縄県の仲井真知事が辺野古沖の埋め立てについて承認をされました。知事として苦渋の決断だったと思いますけれども、沖縄県内の反応は非常に厳しい状況でございます。
 公明党は一貫して、普天間基地の辺野古への移設には沖縄県民の理解が不可欠と訴えてまいりました。県民の理解を得るためには、沖縄の基地負担の軽減を着実に進める、このことが重要でございます。
 総理は、仲井真知事と昨年十二月二十五日に会談をされまして、沖縄県側からは、普天間基地の五年以内の運用停止とオスプレイ十二機程度の県外配備、また、キャンプ・キンザーの七年以内の全面返還、環境に関して日米地位協定を補足する新たな政府間協定の作成、こういった要望が出されたわけでございます。
 これに関して総理は、先日の本会議の代表質問において、政府を挙げてその実現に向け全力で取り組む、こういうふうに答弁をされております。この答弁どおりに確実に実行して、目に見える形で沖縄の基地負担軽減を進めていただきたいと思います。総理の御見解を伺います。
○安倍内閣総理大臣 私の沖縄の基地負担の軽減に対する考え、意思については、御党の井上幹事長に、代表質問に対する答弁でお答えしたとおりでございますが、地元の皆様の気持ちに寄り添いながら、できることは全て行うという姿勢で、政府一丸となって負担軽減を進めていきたいと思います。
 具体的には、御指摘のとおり、地元の皆様の目に見える形で基地負担を軽減していくことが重要であります。そのためには、沖縄県外におけるそれに向けた努力を十二分に行うべきであると考えています。
 米国を初め、これは相手があることでありますが、政府としては、普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む沖縄県の要望については、政府を挙げてその実現に向けて取り組んでまいります。
 具体的な取り組みとしては、まず、オスプレイについては、その訓練等の約半分を県外で行うとともに、牧港補給地区、キャンプ・キンザーについて、返還までの期間を最大限短縮していくということ、これを目指し、防衛副大臣をヘッドとする沖縄基地負担軽減推進委員会を設置して、精力的に検討をしているところであります。
 また、環境に関しましては、日米地位協定を補足する新たな政府間協定を作成するため、日米交渉を開始することで米側と合意をしました。なお、これは、地位協定発効後五十年を経たわけでありますが、初めての日米における取り組みでもあるということは申し添えておきたいと思います。
○石井委員 ありがとうございます。
 総理の決意を伺わせていただきました。文字どおり、政府を挙げて全力で沖縄の基地負担軽減に取り組んでいただきたいと思っております。
 それでは、内政の問題に移りたいと思います。
 昨年は、安倍政権の経済政策、特に大胆な金融緩和と機動的な財政出動が効果を発揮いたしまして、過剰な円高が是正をされ、株価が高騰し、また、四四半期連続で経済がプラス成長ということで、大きな成果を上げることができました。
 しかし、本年は、経済再生の正念場であるというふうに思っております。
 パネルを用意いたしましたけれども、まず第一に、ことしの四月に消費税率の五%から八%への引き上げが控えているということでございます。これをいかに円滑に乗り切っていくか、これがまず第一の正念場でございます。
 消費税率引き上げ直後は、駆け込み需要の反動減がございますし、また、価格上昇に伴う一時的な消費の落ち込みがございます。この一時的な景気後退から速やかにもとの景気回復軌道に戻していく、これが重要でございます。
 このため、昨年末に五兆五千億円規模の経済対策、今年度の補正予算を決定いたしまして、今、審議をしているところでございます。後ほど補正予算案の主な中身を紹介いたしますが、これを速やかに成立させ、着実に執行するということが重要でございます。
 二つ目の正念場は、実感できる景気回復ということでございます。
 この一月に、私も地元の茨城県を初め各地を回りましたけれども、いろいろなところで指摘がされましたのは、まだ私のところには景気回復の効果は及んでいないという声がたくさんございました。いまだに大企業あるいは大都市に景気回復の効果はとどまっているというのが国民の率直な実感でございます。
 足元の景気回復の効果を、地域や中小企業や家計に波及させていく。このためには、企業収益の拡大を雇用の拡大と賃金の上昇につなげ、これによる消費の拡大がさらなる企業収益の拡大につながるという経済の好循環をつくることが不可欠でございます。
 総理御自身も、この国会を好循環実現国会と位置づけられていらっしゃいます。好循環が生まれて初めて民間需要中心の持続的な経済成長が可能になりますし、また、消費税率引き上げによる物価上昇率以上に賃金が上がれば、その増税の痛みも吸収できる、こういうことでございます。
 この経済再生の正念場という認識のもとで、まず、第一の正念場でございます消費税率引き上げに対処する今年度の補正予算についてお伺いをいたしたいと思います。
 二十五年度補正予算の主な内容をパネルにいたしました。
 家計支援・駆け込み需要対策、中小企業支援、防災・減災対策、復興加速、競争力の強化、女性、若者、高齢者、障害者向け施策、多彩な施策が盛り込まれておりますが、消費税には、所得の低い方ほど負担が重くなるという、いわゆる逆進性がございます。そこで、消費税率八%への引き上げに伴う低所得者への影響緩和策といたしまして、簡素な給付措置、臨時福祉給付金を実施いたします。
 市町村民税非課税の方、約二千四百万人を対象にいたしまして、一人一万円の現金給付を行って、このうち、年金を受給されている方やあるいは児童扶養手当を受給されている方については五千円を加算する、こういった中身でございますが、この簡素な給付措置の支給事務について、実務を担っていただく全国市長会から先日要請がございました。給付対象が市町村民税非課税の方なんですけれども、課税情報が利用できないということから、手続が非常に難しくなる、こういう声が寄せられております。
 できるだけ市町村の手間がかからず、かつ、確実に臨時福祉給付金を支給できるように、国として全面的に支援すべきだというふうに考えますが、これは厚生労働大臣、御答弁をお願いいたします。
○田村国務大臣 臨時福祉給付金でありますけれども、大変御心配をいただいております。
 といいますのは、これは、今委員おっしゃられましたとおり、着実に申請をしていただかなければならないわけであります。そのためには、対象者は、住民、市町村民税、この非課税者の方々でありますけれども、この方々に確実に広報や個別勧奨をしていくということが大変重要であるわけでありますが、今委員がおっしゃられましたとおり、税務情報に関しましては守秘義務がございまして、なかなか他の用途に利用できないということで、御心配を全国市長会の方からもいただいておるということであります。
 市町村といろいろと御議論をさせていただく中において、提案もいただきまして、住民税、市町村民税、この非課税者の方々に対して、納税手続を円滑にするために、確認的な通知を送っていただく。その中に、臨時福祉給付金の案内でありますとか申請書、こういうものを入れていただいて、確認的な納税の、非課税ということの文書を送っていただくということであるならば、これは納税業務の一環でございますので、これは使えるのではないかということでございます。二月三日の全国説明会、ここでこのようなことを説明させていただきたいということでございまして、今、最終的な詰めをさせていただいております。
 とにかく、これは円滑に進めていかなければならぬというわけでございまして、担当省庁でございます厚生労働省、全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。
○石井委員 現場の市町村長さんは非常に悩んでいらっしゃって、私のところにもいろいろなところから声が寄せられてきておりますので、ぜひ速やかに、今おっしゃったようないろいろな知恵を発揮していただいて、また、総務省ともよく連携していただいて、現場が混乱しないように適切にやっていただきたい、こういうふうに思っております。
 このほか、補正予算案にはいろいろな施策が盛り込まれております。特に子育て世帯の臨時特例給付、これは、私ども公明党が独自に主張いたしまして、低所得者のみならず、中堅所得者、特に子育て世帯への家計支援もやろうということで、この一月の児童手当支給対象者のうち、臨時福祉給付金とかあるいは生活保護の方は別途対処しておりますので、そういった方を除いて、所得制限以内の方については子供さん一人一万円の現金給付を行う、こういったことも盛り込まれております。
 また、中小企業支援策が非常に今回充実しておりまして、昨年の二月の補正予算案にものづくり補助金というのが組み込まれておりました。これが、三分の二補助という従来にない高率の補助だったものですから、非常に人気がございまして、これは製造業への設備投資の補助なんですが、例えば私の地元なんかでは、申し込んだ方のうち四割ぐらいしか採択されなかったという状況でございます。
 今回、また新たに、昨年の二月の補正は一千億円規模でしたけれども、一千四百億円に予算規模を拡充いたしました。さらには、商業、サービス業も含めた補助金にする、こういうことになっております。
 このほかにも、商店街の活性化支援の補助金ですとか、小規模事業者向けの支援のパッケージ、あるいは創業、第二創業への補助がございますし、また資金繰り支援も、政策金融公庫あるいは商工中金によるセーフティーネット貸し付けとして六兆円規模を確保しておりますし、また、信用保証協会の借りかえ保証も四兆五千億円規模を確保しております。
 多彩な中小企業支援策を盛り込んでおりますので、全国の中小企業、小規模事業者によく周知徹底をしていただきたいと思います。経産大臣から取り組みを確認いたします。
○茂木国務大臣 全国三百八十五万の中小企業の中でも、その九割を占めます小規模事業者、まさに地域経済、雇用を支える大切な存在でありまして、石井政調会長の茨城も、そして私の栃木も、残念ながらまだ景気回復の実感を全体が得るまでにいっていない。
 そういった中で、この中小企業、小規模企業を元気にしていく、何よりも重要だと思っておりまして、御指摘いただきましたように、平成二十五年度の補正予算におきましては、ものづくり補助金、我々が政権に復帰をいたしまして導入いたしまして、昨年が一千七億円、一万社を対象にいたしましたが、結果的には一万五百社以上を採択することができました。非常に好評でありまして、平成二十五年度の補正におきましては、これを一千七億から一千四百億まで拡大をいたしまして、今、一万一千社以上の採択を目指しております。そして、前回は製造業、それの試作品の支援ということでありましたけれども、今回は物流であったりとか小売も対象に含める、そして、試作品だけではなくて、製造プロセスの改善等々も支援に加える、こういう形をとらせてもらいました。
 こういった措置で、全体を含めますと、三千四百三億円、中小企業、小規模企業の支援策として導入をしたわけでありまして、知ってもらう、使ってもらう、極めて重要でありまして、周知徹底に努めていきたいと思っております。パンフレットを百八十万部つくりまして、税理士会、中小企業団体、自治体等へ配付をいたしております。それから、経産省の職員も、全国四十七都道府県、県であったり、それから市町村に出向き、さらには商工会議所、商工会で、担当の方にも補正の内容を御説明申し上げております。
 そして、今回、中小企業庁のホームページ、ポータルサイト、ミラサポと呼んでおりますけれども、これも全面的に変えまして、例えば、おじちゃんとおばちゃんだけで経営しているようなお店でも見やすいようなものにつくりかえをさせていただいたところであります。
 周知徹底をしっかりしていきたい、同時に、やはり使い勝手がいいものにしたいということで、例えば、ものづくり補助金の申請書類も、これまでの三分の一に簡素化をさせていただきまして、申請がしやすいようにしてまいったところであります。
○石井委員 よろしくお願いいたします。
 消費税率引き上げに備えるためにも、補正予算案の速やかな成立と着実な執行が重要だということを改めて強調しておきたいと思います。
 次に、消費税率引き上げに伴う中小企業の転嫁対策についてお伺いいたします。
 消費税の円滑かつ適正な転嫁を目的としまして、消費税転嫁対策特別措置法が昨年の通常国会で成立をして、十月に施行されました。会社や取引先が、その優越的な地位を利用して、例えば取引価格について消費税率引き上げ分を上乗せすることなく据え置いたり、あるいは、消費税率引き上げ分を上乗せするかわりに商品購入やサービス提供の要請をする、こういうことはあってはならないことであります。しっかり調査、指導していただきたいと思いますし、また中小企業、小規模事業者の相談にも親身に対応していただきたいと思います。
 その上で、中小企業、小規模事業者にとりましては、こういった取引上の問題は払拭されたとしても、売り上げが落ちるのではないかという懸念から、消費税率引き上げ分を価格に上乗せしていいものかどうかというちゅうちょがございます。現に今、円安による原材料高あるいは燃料高というコストアップ分について、価格転嫁が難しいという状況もございます。
 実感できる景気回復によって消費者の購買意欲が盛んになって需要がふえてこないと、価格転嫁に慎重になる、こういった事情がございます。総理の御認識をお伺いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 消費税率引き上げの中小企業への影響を抑えるため、消費税の円滑かつ適正な転嫁等を確保することが重要であります。
 このため、委員の御指摘のとおり、転嫁拒否等に対する監視、取り締まりや事業者等に対する指導、そして周知徹底、事業者等からの相談に対する適切かつ丁寧な対応、転嫁対策等の積極的な広報に努める、今後も政府一丸となって万全の転嫁対策を講じてまいりたい、このように思います。
 こうした対策を講じていくに際して、中小企業はなかなか転嫁がしにくいんだ、しにくいんだということを念頭に置きながらしっかりと対応していくことが重要ではないか、このように思います。
 また、売り上げの落ち込みの懸念等に対しては、本年四月に消費税率が引き上げられた後も我が国経済が持続的に成長を確保していくために、企業収益の拡大を賃金上昇につなげ、これを個人消費の増加につなげる経済の好循環を実現させていくことが重要であると考えております。
○石井委員 中小企業の実情にもよく配慮していただいて、しっかり経済対策をとっていただきたいと思います。
 続いて、消費税率の引き上げは、そもそも、社会保障と税の一体改革で、社会保障の充実と安定の目的のために行われるものでございますので、この消費税の増収分は、全て社会保障の充実と安定に使われるということになります。
 来年度、二十六年度の消費税増収分は、初年度ということがありまして、約五兆円でございますが、それは基礎年金国庫負担二分の一財源に約二・九五兆円使われます。これによりまして、二〇〇四年、当時は百年安心プランというふうにアピールしましたが、二〇〇四年の年金改革がこれで初めて完結をするということになります。また、社会保障の充実に約〇・五兆円、五千億円、消費税率引き上げに伴う社会保障の経費の増で約二千億円、後代へのツケ回しの軽減、これは社会保障経費に充てている借金を減らすということでありますが、これに一・三兆円使うというふうに承知をしております。
 平成二十六年度は、消費税の増収分を活用した社会保障制度改革のスタートの年となります。平成二十六年度の主な社会保障改革をパネルにまとめました。
 待機児童の解消推進と子ども・子育て支援の充実に、二千九百十五億円投入をいたします。あるいは、病院のベッド、病床の機能分化、連携、また在宅医療の推進、地域包括ケアシステムの構築。この地域包括ケアシステムといいますのは、御高齢の方が住みなれた地域で住み続けられるように、在宅の医療、在宅の介護あるいは生活支援、住まいの提供等、これを一体的にやるということでありますが、この構築に向かってのスタートになる。
 また、国民健康保険の低所得者に対する保険料の軽減措置を拡充いたします。また、高額療養費制度の見直し。これは、ここ数年、私ども公明党が訴えてきたことでありますけれども、患者さんの毎月の負担の上限を決めている、これを所得の低い方によりその上限を引き下げる、こういう見直しが行われます。また、難病対策については、現在、財政支援の対象が五十六疾患を、約三百疾患に拡充するという抜本的な拡充が行われます。
 こういった社会保障制度改革を着実に実施するということが、消費税率引き上げに対する国民の理解を深めることになるというふうに考えます。総理の御認識をお伺いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今委員が丁寧に御指摘をいただきましたが、御指摘のとおり、今般の消費税率の引き上げは、安定財源を確保して、世界に冠たる我が国の社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくとともに、子ども・子育て支援を充実させていくためのものであります。消費税率の引き上げによる増収分は全額社会保障費の充実、安定化に充てる、このことは明確であります。
 具体的には、基礎年金の国庫負担割合の二分の一の恒久化などにより社会保障の安定化を図るとともに、待機児童解消加速化プランの推進を初めとする子ども・子育て支援の充実、そしてまた、医療や介護が必要になっても住みなれた地域で暮らしを継続できる仕組み、地域包括ケアシステムの構築、所得が低い世帯の保険料のさらなる軽減。そしてまた、医療費助成の対象疾患の、今御紹介をいただきましたが、大幅な拡大、難病対策においては、小児の難病、そして一般の方の難病、一般の方については五十六疾患から三百に拡大をしているわけでありますが、といった社会保障の充実を図ることとしております。
 国民の理解と納得を得ながら、昨年成立したプログラム法に沿って、受益と負担の均衡がとれた制度へと改革を不断に進めていく考えであります。
○石井委員 しっかりと社会保障と税の一体改革の趣旨にのっとって進めていきたいというふうに思っております。
 続いて、第二の正念場でございます、実感できる景気回復についてお伺いしたいと思います。
 多くの国民が景気回復を実感できるためには、企業収益の拡大を雇用の拡大、賃金の上昇につなげることが不可欠でございます。
 実は、昨年の参議院選挙の際に、私ども公明党は、賃金引き上げを議論するために政労使の会議をつくるべきだというふうに提案をしておりました。政府は早速、昨年の九月二十日に経済の好循環実現に向けた政労使会議を設けられて、議論を重ねてきております。昨年十二月二十日に取りまとめられました政労使会議での共通認識、これをパネルにしてまいりましたけれども、賃金上昇に向けては、労使は、各企業の経営状況に即し、企業収益の拡大を賃金上昇につなげていくというふうにされております。
 また、経団連の、春闘への経営側の基本姿勢をまとめた経営労働政策委員会報告、これを見てみましても、実は昨年の報告書では、ベースアップを実施する余地はないというふうに決めつけていらしたんですけれども、ことしは何と書いてあるかというと、業績が好調な企業は、拡大した収益を設備投資だけでなく雇用の拡大、賃金の引き上げに振り向けていくことを検討することになる、その際、賃金の引き上げについて、ここ数年とは異なる対応も選択肢となり得よう、こういうふうにされておりまして、これは非常にさま変わりをしている状況でございます。
 このように、大企業の従業員に関してはこの春闘で一定の賃上げの効果が期待されるところなのですが、課題は、中小企業、小規模事業者の従業員と非正規雇用労働者の賃上げでございます。
 この政労使会議の共通認識の中にも中小企業が取り上げられておりまして、企業は、下請関係を含めた企業間取引において、物価や仕入れ価格の上昇に伴う転嫁についてしっかりと取り組む、特に、中小企業、小規模事業者を調達先とする企業は、復興特別法人税の廃止の趣旨を踏まえ、取引価格の適正に努めるというふうにされています。これは非常に重要なことだと思います。
 中小企業は、円安で資材高、燃料高の状況でも下請価格、取引価格が上がらずに、苦しんでいるところがたくさんございます。そこで、復興特別法人税の一年廃止の議論の際に、私ども公明党は、恩恵を受ける企業の従業員の賃金を引き上げるとともに、下請価格の引き上げを主張いたしました。
 中小企業、小規模事業者の従業員の賃金を上げるには、この下請価格の引き上げが非常に重要な課題でございます。総理の御認識をお伺いいたしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 御指摘のように、多くの国民が実感できる景気回復を実現していくためには、企業収益の拡大を速やかに雇用拡大や賃金上昇につなげる経済の好循環を実現していくことが重要でありますが、その中でも、今おっしゃったように、中小企業あるいは小規模事業者、あるいはまた非正規の方々の賃金上昇、これを目指していきたい、こう思っているわけであります。
 このため、政府としても、政労使会議を開催して、労使は、物価の動向等も勘案しながら十分な議論を行い、企業収益の拡大を賃上げ、上昇につなげていく、労働者の将来への安心感を醸成して賃金上昇を消費拡大につなげていくという観点から、さまざまな対応をとったところでございます。
 ただいまおっしゃったように、この政労使会議の主な合意内容の中において、我々は復興特別法人税の廃止を行うと。これは、必ずしも高い支持の政策ではありませんでした。しかし、これをやることによって、我々はこれをやりましたよ、だから、あなたたちもしっかりとやってくださいということが言えるようになったわけでありまして、そのことを私たちは強く経営者側にも主張したわけでございまして、その結果、合意内容にこうしたものが入ってきたところであります。
 こうした共通の認識に至り、好循環実現に向けた、一応、確固たる土台を築くことはできたのではないかと思います。
 この共通認識を踏まえて、今般、経団連が発表した、春闘への経営側の基本姿勢を示した経営労働政策委員会報告の中では、業績が好調な企業は、拡大した収益を設備投資だけでなく、雇用の拡大、賃金の引き上げに振り向けていくことを検討する、賃金の引き上げについて、ここ数年と異なる対応も選択肢となるとの、今御指摘があったように、例年と異なる言及があったわけでございます。
 既に、こうした経済の好循環を目指す取り組みに呼応して、経済界から賃上げに向けた動きが出ているわけでありまして、具体的な賃金の水準は個別労使間の交渉を通じて決定をされるものでありますが、今後、こうした共通認識や経労委報告も踏まえた真摯な議論が行われ、ベースアップを含む賃上げに向けた具体的な動きが広がることを期待したい、このように思います。
 厚生省あるいは総務省がきょう発表いたしましたが、十二月の有効求人倍率あるいは失業率、ともに改善をしているわけでありまして、失業率は三・七%、これは六年ぶりの水準に戻ったわけであります。労働市場がこのような形になっていくことによって、いわば賃金を上げていかなければ人材を確保できないという雰囲気も醸成されていくのではないか、このように考えておるところでございます。
○石井委員 賃上げの状況とともに、企業間の取引価格の適正化の状況もぜひフォローアップをしていただきたいと思います。
 それから、非正規労働者でございますけれども、今や働く方の約四割弱を占めるという状況になっておりまして、その賃金引き上げも重要な課題でございます。
 この政労使会議の共通認識においては、非正規雇用労働者に関しまして、労使は、非正規雇用労働者がその意欲と能力に応じて正規労働者に転換する道筋を積極的に広げる、企業は、非正規雇用労働者についても、必要な人材育成投資を行うとともに、業績と能力を評価し、これを処遇に適切に反映させるということで、非正規雇用労働者の正規雇用労働者への転換を促進するということと、非正規雇用労働者の処遇の改善、これがうたわれておるわけであります。
 このことについては、経済政策面はもちろんでありますけれども、社会保障政策の面からも、あるいは、そもそもの社会の安定という面からも取り組まなければいけない重要な課題というふうに思っております。
 総理の御認識をお伺いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 先ほどちょっと答弁に漏れたところがございました。
 中小企業、小規模事業者の賃上げのためには、中小企業、小規模事業者を調達先とする企業が下請価格の適正化に取り組むことが重要でありまして、政府としても、下請取引の適正化に取り組み、下請代金の減額や買いたたきなど、仮に下請代金支払遅延等防止法違反がある場合には、勧告や指導など厳正に取り締まりを行うとともに、消費税転嫁対策に万全を期してまいります。
 また、ものづくり・商業・サービス革新補助金を初め、中小企業、小規模事業者の前向きな取り組みを応援する補助金の採択に当たっては、賃上げを実施する事業者を優先的に採択することで、賃上げ、上昇を促していきたいと考えております。
 そして、非正規雇用の方々につきましては、賃金が低い、能力開発の機会が乏しい、あるいはセーフティーネットが不十分であるといった課題があります。その雇用の安定や処遇の改善に取り組むことは、石井委員が御指摘のとおり、経済政策のみならず、社会保障政策や社会の安定の面からも極めて重要であると認識しております。
 安倍内閣としては、全ての人々が生きがいを持って働くことができる、何度でもチャンスを与えられる環境をつくっていくことが重要と考えており、キャリアアップ助成金の拡充などにより、非正規雇用の方々の雇用の安定化や処遇の改善を進めてまいります。
 また、政府としては、日本経済において景気回復の裾野が着実に広がっていく中、経済の好循環を実現し、正規、非正規を問わず、全国津々浦々まで、頑張って働く人の所得の拡大、増大につなげてまいりたいと考えているところでございます。
○石井委員 よろしくお願いをいたしたいと思います。
 それから、大分時間が迫ってまいりましたが、大震災からの復興の加速についてお伺いいたします。
 復興の加速については、高台への移転先などの用地取得の迅速化が大きな課題でございます。
 特に、相続に伴う名義変更が何代にもわたって行われていないために相続人が多数に上る場合や、あるいは集落の入会地で地権者が多数に上る場合、あるいは地権者がそもそも不明の場合がございます。こういった場合は相当の時間がかかるという懸念がございます。
 昨年、政府から、用地取得加速化プログラムといたしまして、財産管理制度を活用した場合の手続の迅速化や、あるいは土地収用制度を活用する場合の手続の迅速化が発表されております。これら用地取得加速化プログラムの成果、実績についてお伺いしたいと思います。
 また、被災地からは、この用地取得加速化プログラムでも不十分で、新法を制定していただきたいという声もございます。さらなる用地取得加速化措置を検討すべきではないかというふうに思いますが、これは復興担当大臣、御見解をお伺いしたいと思います。
○根本国務大臣 委員御指摘のように、用地取得加速化プログラム、これをつくりました。これは、用地取得手続を飛躍的に短縮するさまざまな措置を盛り込みました。
 その結果、例えば土地収用対象事業、具体的な釜石のモデル事業、これは通常の場合ですと、用地取得に二十八年度末から二十九年度末までかかると思われていましたが、この二、三年前倒し、これが可能になりました。あるいは防災集団移転事業、これは三県二十四市町村、昨年の九月段階では、用地取得率四八・一%でした。これが昨年十二月には二〇%上昇して、六八・五%までに達しております。あるいは財産管理人の選任件数も、昨年九月の十九件が七十九件。
 問題は、加速化措置を講じましたが、一方で、一部の市町村の現場においては、マンパワー不足や専門家の不足、これによって加速化措置を十分に活用し切れていないケースがある。ですから、我々、関係省庁から成る実務者支援チームを市町村に派遣する、あるいは司法書士、これは法律の、登記手続等の専門家ですから、司法書士を今回復興庁で採用して市町村に駐在させる、あるいはURによる支援、こういう具体的な対応をしっかりしていきたい、しっかり取り組んでいきたいと思います。
 今の、土地所有者が江戸時代のもので多数相続となっている土地、これも具体的な事案でやりました。これは四カ月ぐらいで解決しましたが、大事なのは、現場でどういう課題があるか、やはり、具体的な市町村、そして具体的な課題ごとに、我々が政府を挙げて支援するということが必要だと思いますので、新たな課題が出てくれば、しっかりと対応していきたいと思います。
○石井委員 では、時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
○二階委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。長妻昭君。
○長妻委員 民主党の長妻昭でございます。
 きょうから予算委員会の質疑が始まるということでございまして、端的に御答弁いただきますよう、よろしくお願いをいたします。
 七十三年前の十二月、日本はアメリカと戦争を始めました。当時、真珠湾攻撃の日の日記を読みますと、普通の国民の皆さん、かなり多くの方が歓迎ムードがあった、非常に留飲がおりたというような方々も多かったのではないか。一部知識人の中には将来の懸念というのもあったようでございますけれども、私は考えるに、情報が制限をされて空気がつくり上げられると、日本は一つの方向にぐっと行く、こんなような過去の経験があったのではないかと思います。
 特定秘密保護法案が、昨年、強行採決されました。情報が制限されて空気がつくり上げられて一つの方向に持っていかれる、よもやこういうことが起こらないように、我々国会できちっと監視をしてチェックをするというのが野党の役割だと思っております。
 その中で、今、安倍自民党が進める社会、目指す国というのが、私ども民主党が目指す国、目指す社会とかなりかけ離れてきているのではないかなというふうに思っております。
 そして、こういうフリップをつくらせていただきました。「民主党と自民党の対立軸」というものでございます。
 民主党がどういう社会を目指すのかということでございますが、全ての人に居場所と出番のある社会。そして、自民党はというと、総理がおっしゃっておられるのは、どういう国を目指すんだ、世界一企業が活躍しやすい国。
 そして、我々は、共助公助で自助を支えるんだ。自民党は、自助自立が基本。それは基本はそうなんですけれども、自立をずっと一生の間されている方というのもそういらっしゃらないし、やはり自立を支える共助公助というのもきちっとないとそれはだめだ、こういうところに我々は力点を置いております。
 そして、自民党は、富裕層を引き上げ、果実を滴り落とす。一部輸出企業あるいは富裕層、資産を持っておられる方を豊かにして、そこからどんどん果実が滴り落ちる、トリクルダウンという形で末端までしみ渡らせる。ただ、このトリクルダウンが成功したという国は私は聞いたことがございませんが、我々は、所得再分配政策、安心を提供することによって消費を拡大していく。低所得者の方ほど、貯蓄に回るお金は少なくて消費に回るお金が多いわけでございますから、ボトムアップ型の景気回復。
 そして、我々は、家計の補助を重視してまいりました。子ども手当、今も中学生のお子さんには出ております。高校の無償化もいたしました。中退者が半分に減りました。そして、非正規雇用も雇用保険に入ることができました。二百万人、新たに民主党政権で入りました。自民党は、どちらかというと、企業への補助を重視していく、そういうような政策ではないか。
 そして、我々は、人への投資である格差是正を重視していく。自民党は、よくおっしゃるのが国土強靱化計画、十年、二百兆円。公共事業重視型に戻っているのではないのか。必要な公共事業は必要ですけれども、新規事業がこれほど必要なのかというものも精査する必要があるんじゃないか。
 そして、我々は、社会保障や格差是正は結果として経済成長の基盤をつくるんだ。しかし、自民党は、社会保障、格差是正策は経済成長にマイナス、そんなような発想の政策をお進めされているのではないのかな。
 これは、例えば介護離職、親の介護で離職される方が年間十万人いらっしゃるわけでありまして、これは放置しておくと、今後、団塊の世代が七十五歳以上に全員がなったときに、団塊ジュニア、お子さんたちがどんどん離職せざるを得なくなるということで、GDPにも大きいマイナスになってくる。こういうような発想を持つ必要もあるんじゃないのか。
 そして、自民党は、インフレターゲットということで、二%の物価上昇、超金融緩和。これは、本当に国債が高騰して、長期金利が〇・三一%という非常に低金利になったこともございましたし、今は〇・六%ということで、本当に将来、長期金利が急騰するリスク、バブル崩壊、国債、ないのか。我々は、一%の物価上昇をめどとして金融緩和、つまり、バブルを絶対に起こさない、そしてデフレを脱却していくということで政策を進めたわけでございます。
 そしてもう一つは、借金でございますけれども、我々は、一年間四十四兆円以上は借金しない、こういうことを遵守してまいりましたが、自民党になってから、初めての補正から四十四兆円ルールが撤廃をされて、平成二十四年度の借金は、補正も入れて年五十兆になってしまった。
 そして、憲法観も違うのではないか。我々は、立憲主義ということで、国を縛るのが憲法。国家権力というのは非常に大きいものなので、それを制約していく、そして国民の権利を守っていくというのが憲法のそもそも論ではないのかと。
 ところが、自民党は、ここはちょっと空欄になっておりますけれども、自民党の方から、これは削れ、削らなければパネルは出してはまかりならぬ、こういうことがございましたので、ここの文書には書いておりませんが、国民を縛るのが憲法と言わんばかりの憲法改正案じゃないか。基本的人権を規定した憲法九十七条、最高法規と言われるこの九十七条をばさっと自民党の憲法試案では削除している。ちょっと私は、ちょっとというか、かなり驚いたわけでございます。
 そして、原発政策。この後触れさせていただきますけれども、我々は、二〇三〇年代にゼロ。自民党は、原発を今後もベース電源として使うのかどうか、閣議決定が二月に控えているというような話もありますけれども、そこが継続に向かっていると私は思えてなりません。
 こんなように、強い国というのは、上から愛国心を持ちなさいということで国民が一致結束して強い国、こういう発想ではなくて、やはり、格差を是正して、全ての人に居場所と出番がある社会、そして能力が発揮できる、そういう社会の積み重ねが結果として強い国になるんではないか、こういうふうにも考えております。
 総理、これをごらんになって、御感想、おっしゃりたいことをお願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 一昨年、我々は政権に復帰をいたしましたが、この間三年三カ月、私たちはなぜ負けたのか、深刻な反省をいたしました。今、長妻さんのお話を伺っていて、なぜ一昨年大敗したのか全然考えてこられなかったのかなという気がしたわけでございます。
 そこで、申し上げますと、「共助公助で自助を支える」ということがありますが、「家計への補助を重視」と書いてありますが、家計の補助を重視というのはいいんですけれども、皆さんも三年間政権を担当してきて、ベースアップを検討するということになりましたか。ならなかったじゃないですか、全く。国がずっと家計を補助する、この財源は一体どこから持ってくるんですか。国の税金で家計を補助し続けるんですか、賃金の上昇なしに。
 我々は、そうではないんですよ。しっかりと企業活動を促し、そして経済成長をさせ、その果実でしっかりとさまざまな支援をしていく、これが私たちの基本的な考え方であります。
 ここにさまざまなことが書いてありますが、「一%の物価上昇を、目途として金融緩和」「バブルを起こさずデフレ脱却」。デフレ脱却というのは全くできなかったじゃないですか。これは見事にできなかった。
 しかし、十二月の全国の物価、消費者指数は、前年に比べて一・六%、これはコアでも、生鮮食品を除く指数は一年前に比べて一・三%、そしてコアコア、食料とエネルギーを除いた指数も〇・七%上昇をしているわけでありまして、私たちの政策は間違いなく成果を上げているわけであります。
 そして、長妻さんが大切にしておられる年金もそうですね。年金の積立金、運用していますよ。運用においては、皆さん、二十四年度前半、マイナス一・五兆円じゃないですか。我々が政権をとって、直近の一年間でプラス十八兆円ですよ。この差をどう考えるか。これがなければ、年金財政だって危うくなるんですよ。
 今私たちがやっていることを全て否定して、逆の結果が出てきているということをしっかりと認識すべきなんですよ。その認識のもとから、やはり信頼というのを積み上げていこうと考えるべきなんじゃないかと私は思いますね。
 我々も当然、格差についても、いわば格差を固定してはいけない、誰にでもチャンスがある、何回でもチャンスがある社会をつくるためのさまざまな施策を行っているわけであります。
 そしてまた、借金の上限の話をされておられました。しかし、私たちは、経済を成長させた結果、税収も五十兆円を超えたんですよ。そして、プライマリーバランスについても史上二番目の改善を行っているじゃないですか。皆さんの三年間で、プライマリーバランスは十二兆円悪化したんですよ。それを、この二年間で七兆円、半分以上改善しているんですよ。そのことをしっかりと申し上げておきたい、このように思います。
 いずれにせよ、このようなレッテル張りというのは私は余り意味がないと思います。レッテルを張るのではなくて、我々政治家というのは、しっかりと政策を磨いて、その政策を実行していく力を持って、決めたらみんなで一致結束して物事を進めていく、結果を出していくことなんですよ。
 私たちに配ったこのペーパー、自民党が削除したのは、国民を縛るのが憲法、デマゴーグですよ、こんなものは。はっきりと申し上げますけれどもね。こういうことをやっているからだめなんですよ。だから、お互い、政策論争をしていくのはいいですよ、でも、こういうレッテル張りはお互いに、私は、不毛のレッテル張りはやめるべきではないかなと、この表を見ていて、強くそのように感じました。
○長妻委員 こういう議論をきちっとするというのが予算委員会だと思います。
 今、総理、ちょっと看過できないのは、デマゴーグみたいなお話をされましたけれども、憲法の件で。九十七条という、国民の皆さんも憲法をごらんになれば、九十七条、基本的人権を規定しているこの条文をばっさり削除する、こういうことが自民党の憲法草案にあるわけでございます。そして、「公共の福祉」というものが「公の秩序」ということに、文言が変わっているわけですね。ですから、こういう懸念もあるわけでありまして、本当に立憲主義に立った憲法改正を考えておられるのか、こういうことで私は聞いているわけであります。
 そして、るる総理おっしゃられました。
 今、インフレターゲット二%ということで、インフレが上がって、やはり賃金は、インフレ以上に上がらないと実質賃金はマイナスになるわけでありまして、今ベアを多少考えているという企業があったとしても、今後インフレが起こったときに、それを上回る賃金上昇がないと実質マイナスになるということもぜひ踏まえていただかなきゃいけない。
 そして、成長ということをおっしゃりますけれども、当然我々も、ライフイノベーションを初め、成長戦略というのはやらせていただきました。ただ、劇的な金融緩和というのがバブルを生み出す、そういう懸念があるから、我々は、デフレ脱却には時間をかけて脱却しなければならないということで政策を続けてきたつもりなんですね。
 例えば、アメリカのグリーンスパンでも名言があります。バブルは崩壊して初めてバブルとわかる。ですから、本当に出口戦略、これもお考えになっておられるのかどうか、そこが甚だ不安で、いや、今は劇的に、劇薬を飲んでデフレ脱却に向かっているから、副作用はまあおいておいて、どんどん走りましょうというふうに私には感じられるわけであります。
 年金積立金の話も総理はよくされるんですね。ただ、年金というのは百年なんですよ。百年のスパンで、では運用利回りがどれだけ出るのか、得したり損したり、この株価の上昇がどっと天まで行くのかどうか。それはないと思いますよ。
 ですから、百年の中で運用が本当に何%になるのかというので、来月あるいは再来月の財政再検証だってやられているわけでありますから、短期的に今株が上がって、利益が出たから年金は大丈夫だと言わんばかりの話というのは、これは誤解を招くんじゃないかと思います。
 そして、税収がふえたということであります。
 確かに税収はふえましたけれども、であれば、返せるときに借金を返済する、こういう考え方もあるんじゃないでしょうか。公共事業にかなりお金をつぎ込んで、今回の補正だって、これはこんなに、五兆円、本当に必要なのかどうか。その中から借金に返すお金というのは本当に捻出できないのかどうか。プライマリーバランスだって、二〇二〇年黒字化というのは、今の楽観的な成長率ですらできないというふうに見通しを出されておられるじゃないですか。
 ですから、こういうようなことを含めて、我々は野党として、我々の目指す社会と、そして懸念を申し上げているので、頭から、いやいや、そんなことはあり得ないんだ、俺たちが正しいんだと言わんばかりのお話というのは、もう少しその副作用というものもお考えをいただければ大変ありがたいというふうに思っているところであります。
 そして、総理に、原発について。
 ここに、原発継続か否かというふうに、これはクエスチョンを書かせていただきましたけれども、この原発というのは、将来とも、総理、使われるんでしょうか。
 これは、総理がおっしゃっておられるのは、一月二十八日の衆議院の本会議場で、そう簡単に、原発をもうやめる、こういうわけにはいかないとおっしゃられているんですが、今後とも原発は使い続けていく、こういうお考えでございましょうか。
○茂木国務大臣 現在、三・一一以降、全ての原発が停止をしている。その影響でありますが、化石燃料への依存度、これは、御案内のとおり、石油ショック時以上上がっておりまして、現在八八%までいっている。しかも、例えば石油でいいますと、情勢が不安定な中東の依存度八三%ということでありまして、エネルギーの安定供給、これにも大きな懸念があるわけであります。
 さらに、コストで申し上げますと、原発が停止をする中で、二〇一三年度の燃料費、これは三・六兆円増加をするという見通しでありまして、国民一人当たり三万円、海外に多く払わなければならない。民主党が言っていた子ども手当以上のものを海外に出すということになるわけであります。
 さらに、電気事業者の二酸化炭素の排出量、皆さんは減らすという話でありましたけれども、二〇一〇年度に比べて一・一億トン増加をしておりまして、これは日本全体の排出量の九%に当たるということであります。
 もちろん、我々としては、原子力につきましては、いかなる事情よりも安全性を重視する、そして、そこの中で、安全性につきましては、独立した規制委員会において、世界で最も厳しい新規制基準のもとで判断をするということになっております。
 そして、そういった中で、省エネを徹底的に進める、そして再生可能エネルギーの最大限の導入を図っていく。さらには、高効率の火力、こういったものも使いながら、エネルギー源の多様化、こういうことを図ることによりまして、可能な限り原発への依存度を減らしていくというのが我々の方針であります。
○長妻委員 総理にお伺いしたわけでございますけれども。
 これは、今、可能な限り原発依存度を減らすということをおっしゃりましたが、そうすると、総理も最終的には原発はなくしていくというお考えでございますか。
○安倍内閣総理大臣 ただいま茂木大臣から答弁したとおりでありますが、国民生活と経済活動を支える責任あるエネルギー政策を構築していくことが、何よりも重要であります。
 原発については、再生可能エネルギーの最大限の導入や、高効率火力発電、徹底した省エネの推進など、エネルギー源の多様化を図りながら、可能な限り依存度を低減するというのが基本方針であります。これは、最大限進めていきますよ。できるんだという前提でゼロということは、まだ我々は、それを言うことは無責任であると考えております。最大限それはチャレンジをしていくということであります。
 福島の事故も経験し、国民の皆様が原発の安全性に不安を持つのは当然のことであります。福島の事故の教訓を踏まえて、安全を確保していくことが大前提でありまして、ただいま茂木大臣から説明したように、だからこそ、原子力規制委員会が世界で最も厳しい水準を決めているということでありまして、そうした中において我々はベストのエネルギーミックスを構築していきたい、このように考えているところであります。
○長妻委員 先ほど、三・六兆円という、原発がとまって余計に油を買っていると。総理も一月二十九日、原発がないことで化石燃料の輸入に三・六兆円も多い、こういうように金額のことを、先ほども一人当たり三万円だとおっしゃりましたけれども、私は非常にその金額について、超短期的な視点なんじゃないかなというふうに危惧するわけでございます。
 これは、ちょっとイメージ図を描いてみたところでございます。
 この事故コストというのは、万が一、もう一回事故が、これは起こってほしくありませんけれども、そういうリスクがもちろんゼロではないわけでありまして、今現在は、皆さんの計算であると、コストが安いということで、こう来るわけですが、仮にこれは事故が起こった場合、ぐっとコストが上がる。
 そして、最大の関門の一つが、使用済み核燃料を一体どういうふうに処理するのか、まだ全く決まっていない。これは莫大な経費がかかるというのは容易に推定されるわけでございます。
 これを本来は、あらかじめ積み立てて、そして現在の原発のコストに反映させるというのが、将来世代にコストを先送りしない非常に重要な仕事だと思います。確かに、今度事故が起こったとき幾らぐらいかかるのか、あるいは使用済み核燃料の処理コストというのは詳細にはわからないでしょう。しかし、それをある程度推計してお示ししていくということも大変重要なんじゃないかと思います。
 今回、福島第一原発の除染あるいは賠償を含めると、恐らく十兆円とかすごい金額に、あるいはそれ以上になるんじゃないのか。まだまだ予想がつかないわけだと思います。
 そして、もう一つ、この事故についても私が気になるのは、経済産業省の方とも話していると、いやいや長妻先生、福島第一原発ほどの事故はもう起こりません、日本はもう教訓を得たんだから、事故なんてもう起こらないですよ、あれまでの事故はとおっしゃるんですけれども、また私は安全神話になってはいないかなという心配を非常に持つわけでございます。
 配付資料の二ページ目にもございますけれども、事故が起こったとき、福島第一原発、最悪のときは首都圏を含む三千万人の避難が必要になるということも政権の中で検討をされたということでございまして、三千万人が避難ということは、日本国民、一億三千万人ですから、四分の一の国民が避難。これはコストがどうだこうだという話じゃなくて、国家存亡の危機、こういうことも可能性としてはあったわけで、今後もないとは言い切れないわけで、これほどの大きなリスクを負ってまで原発を動かしていくというのは、私は逆に無謀だというふうに思うわけであります。
 そして、三ページ目でございますが、昨年産経新聞に、五月にスクープ記事のような形で、「北、対日原発テロ計画」ということで記事が載りました。「北朝鮮の朝鮮人民軍が対韓国開戦直前に日本全国にある原子力発電所施設に特殊工作員計約六百人を送り込み、米軍施設と同時に自爆テロを起こす計画を策定していたことが」「軍元幹部ら脱北した複数の関係者の証言で分かった。」と、かなり詳細に報道があるわけで、警察に問い合わせましたけれども、当然警察は、この真偽はお答えできませんということでございます。
 いずれにしても、事故、津波、地震のみならず、こういうテロというリスクもあるわけでございまして、本当に、総理、あらかじめこのコストを積み立てていくとすると、莫大な金額になるんじゃないでしょうか。
 今、原発がないから油を買うのが大変だ、大変だとおっしゃりましたけれども、それ以上にコストが上がるんじゃないのかと思うんですが、このコストを計算していただくということはできませんですか。
○茂木国務大臣 長妻先生のお示しをいただいた資料を拝見しますと、何か、原発のコストだけ、事故コストであったりとか使用済み核燃料の処理コストを見込まずに安く見ているのではないかな、こういうふうに聞こえてくるんですけれども、我々の試算よりも、皆さんがやられた試算、どうなっているか。
 二〇一一年の十二月に、当時の民主党政権、試算を行っております。この試算では、原子力のコストについて、事故対応費用、そちらにある最初の山ですね、それから二つ目に使用済み燃料の処理コスト、二つ目の山ですけれども、それも含めて、キロワットアワー当たり八・九円以上とされております。これは、その他の主要電源のコストと比較して、これは民主党の試算です、必ずしも高いコストと試算されているわけではありません。
 申し上げます。ほかのコストはどうなっているか。LNG火力が十・七円、そして石炭火力が九・五円、そして石油火力が三十六円、一般水力が十・六円。再生可能エネルギー、これはこれから下がってくると思います。ただ、風力は、民主党の試算時点では九・九円から十七・三円、太陽光については三十・一円から四十五・八円ということであります。
 事故対応費用、これは福島第一原発の事故対応費用をもとに約五・八兆円として仮定をされておりまして、キロワットアワー当たり〇・五円と試算をされております。仮に事故対応費用が一兆円を超えると、キロワットアワー当たり〇・一円ずつ増加をする。つまり、事故対応費用が五・八兆円から倍になったとしても、石炭火力よりは安いということになります。
 ちなみに、事故コストにつきましては一般負担金の形で、使用済み燃料コストについては、再処理の積立金、さらに最終処分の積立金、こういった形で積んでおります。
○長妻委員 これは、民主党時代に、そういうコストを見直すということでそういう委員会があったんですが、自民党政権になってその委員会が解散になって、今、そのコストの見直しがないわけですね。
 ですから、我々も申し上げているのは、この事故コスト、使用済み核燃料の処理コストというのは天文学的数字になる。ですから、コスト計算のときに、今まではきちっとした数字を出していたのを、それ以上かかるということで、そういう試算を出させていただいて、しかも、その委員会がもう今継続されていないじゃないですか。
 ですから、我々が申し上げているのは、本当に幾らかかるのか、そして使用済み核燃料のものも含めて、これはぜひ真摯にこれから計算をしていただきたい。
 そして、CO2の話も先ほどされましたけれども、これは五ページ目でございますが、環境省からいただいた資料では、原発がゼロ、今は原発は日本じゅうどこも、一基も動いておりませんけれども、そういう状態をずっと続けたとしても、日本のCO2削減目標について一定の理解が得られるのではないのかというふうに環境省もおっしゃっているところであります。
 そして、三・六兆円、三・六兆円とおっしゃりますけれども、その数字も精査をする必要があると思うのでございますが、では、短期的に考えて、三・六兆円というのはどのくらいの金額なのか。仮に消費税に換算しますと、一・五%分ぐらいになると思います。
 これは、国民の皆様が、原発を動かさない安全のコストとして三・六兆円をある程度受け入れる、つまり、消費税率一・五%分の上乗せをある程度の期間御負担いただく、それで原発を再稼働もしないでもうストップをしていく、こういう選択をされるのか、いやいや、三・六兆円は大きい金額で負担だから、それは原発を動かして短期的にその負担をなくしていく、そちらの方がいいとお考えになるのか、国民の皆さんに私は聞いてみたいと思うんですね。
 ぜひ、そういう国民の皆さんに聞いていただくような世論調査なり、国民投票というのは法律が整備されていないとは思いますけれども、そういう考え方もぜひ取り入れていただきたいと思うわけでございます。
 これはぜひ、コストというのを将来のものもきちっとやはりお考えをいただきたい。原発も、三・一一以降、聞いてみますと、再稼働するときの設備投資、これについて、安全基準が厳しくなったので、全電力会社で公表されている分だけでも余計に一・六兆円設備投資がかかる、こういうふうにもおっしゃられているわけでございまして、総理、最後に、この事故コストや使用済み核燃料の処理コスト、これは膨大でありますから、日本の国が最終的に原発がなくなる、ゼロにするということをぜひ決意をいただきたいと思うんですが、総理、いかがでございますか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど、この三・六兆円を消費税に換算されましたが、消費税で、我々、今度消費税を上げさせていただきますが、消費税をいただいたものは社会保障費に充てるんですよ、国内で。そして、子育て支援を拡充するわけですよ。ところが、この三・六兆円、これは海外に出ていってしまうんです、丸々、私たちの富が。税金で集めて、それは産油国に回っていく、そういうことになってしまうわけでありますから、これは丸々マイナスになるんだということも念頭に置いておく必要はあるんだろう、このように思います。
 そして、コストについては先ほど茂木大臣から答弁させていただいたとおりでございますが、まさに原発の事故があった発災後に、皆さんが一一年の十二月に当時の民主党政権で行った試算について紹介させていただいたわけでございます。
 もちろん、この後、福島の状況の、補償の進展ぐあい等々も含めながら、それはどういうコストになっていくかということは、それは常に考えていく、検討していく必要はあるんだろう、このように思います。
○長妻委員 総理、お金のことをおっしゃるんですが、確かに、円安になって、油が、たくさん買う、金額が上がっているということで貿易赤字が常態化して、そして経常赤字も常態化していくということは考え得ると思います。
 ただ、経常赤字が常態化している国というのはほかにも先進国はあるわけでございまして、国民の皆様方に、例えば、短期的に消費税一・五%分の御負担をいただく、そして、原発はもう再稼働しないで動かさないという選択もある、そうでなければ、原発は動かして、御負担は、それも発生しますよ、そういうような問いかけというのをすると非常に、やはりそれなしに、金が大変だ、金が大変だ、しかも、こっちの方のばかでかい金は先送りして、そして、短期的なコストだけで考えていくというのはいかがなものか。国家存亡の危機が発生する可能性が、過去、我が国はあったわけですから、福島第一原発で。
 ぜひ、そこの点を総理にお考えをいただきたいと思います。ぜひこれは真剣にお考えいただきたいと思います、コスト計算も含めて。
 そして次に、先ほども塩崎さんから質問がありましたが、日本の労働生産性なんですね。これは年々下がっておりまして、とうとう世界で十九位というふうになっておりまして、OECDの平均よりもトータルで低い、こういうことになってきているところであります。
 そこで、冒頭に、社会保障、格差是正に対する自民党と民主党の違いということを申し上げました。我々は、格差是正や社会保障というのは結果として経済成長の基盤をつくる、こういう考え方を持つ必要があると思っております。
 例えば、労働生産性というのは、当然、労働者の質、教育、これにも大きく関連をいたしますが、日本は、残念ながら、大学進学率が大体全体で五〇%。OECDの平均が六〇%なんですね。先進国の三十四カ国の平均よりも大学進学率が低い。しかも、親御さんが年収四百万円の御家庭にお生まれになった方は大学進学率三割なんですね。年収一千万円以上だと六割ということで、非常に、意欲ある人が大学進学を断念されている方が多い。これこそ、成長戦略、成長基盤のマイナスになるんじゃないか。格差を是正しなきゃいけない。
 例えば、一人当たり県民所得と大学進学率、これを調べてみますと、非常に相関関係がございました。これは、プロットしているのは二〇一三年度でございますが、最新の数字で見てみますと、平成二十五年度で見てみますと、大学進学率が三〇%台の道県は十七あります、三〇%台。そして、この表でもおわかりのように、県民所得と大学進学率というのは相関関係がある。
 格差によって能力が発揮できたり発揮できなかったりするというのは、これはまさに、結果として成長の基盤を崩して労働生産性にもマイナスになる。つまり、結果としては経済成長にもマイナスになる。こういう発想をぜひ持っていただいて、格差是正策というのも、総理は余りおっしゃりませんけれども、これも大変重要なカテゴリーにあるということも御理解いただいて、政策をお進めいただきたいと思うわけでございます。
 そして、例えば、先ほども若干触れましたけれども、介護離職、親が介護になってお子さんがやめざるを得なくなる。これが、今でも毎年十万人の方が介護離職されている。これはもう成長にもマイナスだし、労働生産性にももちろんマイナスになるわけでございます。
 二〇二五年になると団塊の世代の方が全員七十五歳以上になりますから、統計的にも、七十五以上になると介護がぐっとふえてくるわけであります。しかも、今介護保険を受けている方の八割が、軽いものも含めて認知症なんですね、八割の方が。
 そういう大変な状況になったときに、では、その七十五以上の団塊の世代を支えるお子さんはというと、団塊ジュニアと言われる、非常に人口の多い、今恐らく三十六、七、八歳ぐらいだと思いますが、そういう方が二〇二五年に五十歳弱になって、企業の中枢で働く方がどんどんやめざるを得なくなるということで、企業の中には、国はもう頼りにならないからということでかなり自己防衛をされている企業もあるということで、そういう中で、残念ながら、要支援を介護保険から切り離すということも政府は検討されておられて、短期的に経費は節減できたと思いきや、長期的に考えると、労働生産性、結果として経済成長の基盤を崩していく、そういうこともあるということも、ぜひ総理、御理解をいただきたいと思います。
 そして、予算配分をちょっと見てみますと、公共事業など、OECD、G7と比較をしてみました。左の方が、これはGDPの比率でございますが、プラスマイナスでありますが、日本とOECD平均との差ということでございます。
 これは、総固定資本形成というのは公共事業ですが、相変わらず公共事業はG7も含めて日本は平均よりも多い。その一方で、教育が非常に少ない。我々民主党は教育予算をふやしましたけれども、結局、ぜひそれをふやしていただきたい。
 公共事業、これは自民党政権で比べてみますと、我々のときに比べて予算が公共事業はふえているわけでございまして、やはり家庭、児童とか、お子さん、人生前半の方々に対する手当てというのが薄くなって、公共事業は高いわけでありますので、そういう格差是正策についてもぜひお考えになっていただきたいということも強くこれはお願いをするところでございますが、総理、今の労働生産性の話、いかがでございますか。
○安倍内閣総理大臣 もちろん、労働生産性を上げていくというのは極めて成長にとっては重要なことであります。我が国の経済成長のためには、人材の育成を初め、民間投資の拡大やイノベーションの促進によって労働生産性を高めていくことが重要であると考えています。
 一方、政府が格差是正のためにどれだけ所得再配分を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済のパイ全体も個人の所得も減っていくことになるわけでありまして、格差については、格差を固定化させない、そして、誰にでも何度でもチャンスのある社会をつくっていくということが重要だろう、こう思うわけであります。
 まず第一に、我が国の場合は、長年にわたってデフレが継続をしていたわけでありまして、そうなれば賃金は伸びない。こうした中では、特に低所得の方々の生活に大きな影響が出ることは事実であります。このような観点から、デフレを脱却して経済再生に全力を尽くしているところでありまして、賃金が上昇していくという景気の好循環を実現していきたいと思います。
 さらに、職場でのキャリアアップや人材育成の機会を確保したり、ただいま長妻委員から資料が提出をされましたが、家庭の経済状況によって大学への進学が妨げられないようにしていく、これにも我々は力を入れていきたいと思っています。
 個人の可能性が最大限発揮をされる、そういう社会をつくっていく必要がありまして、このため、政府としても、平成二十五年度補正予算及び平成二十六年度予算において、まず育児、介護等による離職者に対する再就職支援、そして若者の職業的自立に対する支援、そして大学等奨学金の充実、授業料の減免などを講じているところでありまして、こうした措置によって、頑張る人が報われる社会をつくっていきたい、そして、人材育成を通じた労働生産性の向上を図っていきたいと考えております。
○長妻委員 やはり、自民党政権になって、公共事業、これは必要な公共事業は必要ですけれども、絶対的なGDP比の量が多いんですよね。その一方で、教育、これが非常に少ない。こういう構造が固定化しないように、生活保護を受けておられるお子さんの四人に一人は大人になっても抜けられない、こういう貧困の連鎖がもう現にかなり拡大しているという現実を、本当にぜひ踏まえていただきたいと思うんです。
 そして、特定秘密保護法案の件を御質問しますけれども、やはり、情報が制限をされて空気がつくり上げられる、こういうことは絶対あってはならないということでございます。
 私、配付資料十三ページですけれども、こういう質問主意書を年末に出させていただきまして、こういうことをお伺いしました。
 特定秘密保護法案においては、特定秘密でかつ文書保管期間前、つまり特定秘密は解除されず特定秘密であると同時に文書保存期間前に文書が捨てられる、こういうことはよもやないでしょうね、こういうお尋ねをしたところ、答弁で、秘密の保全上真にやむを得ない場合は政令等で定めることができる、こういう答弁が来たわけでございまして、つまり、秘密の保全上真にやむを得ない場合は、政令等で定めれば、秘密を保管期間前そして特定秘密のままでも廃棄できるということでございます。
 これは、今も防衛秘密でもいろいろそういう規定があるやにも聞いておりますけれども、この政令というのは実際につくるわけですか、つくらないんですか。
○安倍内閣総理大臣 真にやむを得ないときはいつかと私も聞いたんですが、なるほどそうだと思ったんですが、例えば、有事などの際に航空機が不時着をしまして、運搬中の特定秘密が記録された文書が奪取されるおそれがある場合など、そういう場合は、これはその場で奪取されないように破棄をしなければいけない、そういう場合も生じる、これは極めて例外的な状況であります。
 いずれにせよ、このような、緊急やむを得ない、極めて例外的な場合の取り扱いについては、特別な定めとして政令等を定めるかについては、その要否も含め、今後検討していくこととしたい。
 検討していくということについては、こういう場合は、例として決めていなくても、事後的にこうであったということにおいて了解されるという共通認識があれば、それは定める必要はないわけでありますが、しかし、こういう場合は、やはりとられる前に廃棄をする必要があるということでありますから、それは定めることが必要かどうか。
 ですから、その点について、これは今後検討していく必要があるだろう、こう思っているところであります。
○長妻委員 これは私もいろいろ議論していまして、例えば特定秘密を、仮に、戦闘状態にある敵が来てとられそうに今やなっている、そういうときに廃棄するということはあり得ることだとは思いますけれども、役所の方と議論していると、いやいやそれだけではありません、もうちょっといろいろあるんですとおっしゃられるので。
 私が懸念するのは、仮に、例えばマスコミがスクープをしそうになっている、こういう情報を政府が持っているんじゃないのかと。これは捨ててしまえばないわけですから、そういうことでまさか捨てるということはないようにしなければならないし、あるいは、野党に何かそういう書類の存在を嗅ぎつけられそうになって、これは捨てちゃえばないということだから、捨てちゃおうと。
 安倍総理、お笑いになりますけれども、やはり我々政治家は、そういうことはないように真摯に議論して法律をつくって、政令も、政令は役所、まあ閣議決定ですけれども、つくるわけでありますが、例えば、総理がかわって何年かしてまた別の内閣になったり、時がたつとその法律がひとり歩きして、官僚システムというのは、別に官僚の方個々が悪いわけではありませんが、拡大、拡大、拡大解釈になる傾向があるので、できるだけ抑制的に考えなきゃいけないというのが、特にこの秘密保護法案だと思います。
 我々は、これは疑義がありますので、この対案も出したわけでございますけれども、これは総理、重要なところでございますので、今おっしゃったように、例えば本当に敵が来てそれを奪われそうになるとか、本当に緊急やむを得ないときに非常に限定、限定して、政令をつくるとしてもそういう限定案件に限るんだ、こういうことをちょっと明言をもう一回していただきたい。
○安倍内閣総理大臣 これは当然、限定案件に限るということでございまして、この件についても、私も事務方から説明を受けた際に、それはどういうことだというふうに聞いたわけでありますが、そういうことが必要があるかということで、この例を示されまして、こういうことであればそれはやむを得ないだろう、こう思った次第であります。
 まさに、そういう極めて限定的な状況の中で例外的に行うということでありまして、これはそう簡単には起こり得ないという事例だろう、こうは思いますが、しかし、それはそれとして、起こり得る可能性が全くないわけではない、こういうことではないかと思います。
○長妻委員 時間が参りましたけれども、やはり、こういう国民の権利を制限するものは楽観的に議論すべきではないと思っていまして、本当に厳密、厳密に厳密に議論しても、それは拡大解釈になっておかしなことが起こるということもあるわけであります。
 我が国は、過去、本当に国家存亡の危機になるような戦争を経験しているところでございます。情報を制限して空気をつくり上げると、思いもよらない形で国家が一つの方向に動く、そして間違いを犯してしまう、こういう教訓がつい七十三年前に起きているわけでございますので、私はちょっと今、社会の流れが心配なんですよ、安倍内閣。ぜひ、そうならないように、我々も野党として監視をしてまいります。
 ありがとうございました。
○二階委員長 この際、岡田克也君から関連質疑の申し出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也君。
○岡田委員 民主党の岡田克也です。
 長妻委員に引き続いて、総理にお尋ねしたいと思います。
 まず、外交密約の件について少し認識をお聞きしたいと思っています。
 この外交密約の問題は、私が外務大臣のときに、四つの密約ということで取り組みました。その中で、きょうは、核の持ち込み密約について取り上げたいというふうに考えております。
 この核の持ち込み密約というのは、核兵器を搭載した艦船や航空機が日本に寄港する、そのことについて議論されたものであります。(パネルを示す)下の方に、アメリカのライシャワー元大使が、もちろん現職のときにはそういうことはおっしゃっていないんですが、やめた後、毎日新聞のインタビューに答えて、こういうふうに言っているわけであります。
 「われわれにとって、」つまりアメリカ側にとって、イントロダクション、これは持ち込みというふうに日本では訳されるんですが、「イントロダクションとは、その核兵器を陸揚げし設置することを意味しました。 他方、日本での「モチコミ」とは、日本の領海内に核兵器を単に持ってくるという意味にとっていました」、こういう食い違いが存在したわけであります。
 中曽根さんの総理当時の答弁、これはライシャワー元大使の後、昭和五十九年でありますが、参議院予算委員会において、「一時寄港あるいは領海通過も事前協議の対象であり、もし核兵器を持っておれば断る、それは一貫しております。」こういう答弁をされています。これは、中曽根総理だけではなくて、歴代総理が同趣旨の答弁をされてきたということであります。
 密約調査で外務省の中を徹底的に調査したところ、決定的な証拠が出てまいりました。それがこれで、これは外務省のホームページで公開しておりますので、ぜひ、これは表紙だけつけてありますが、全体、御関心がある方はごらんいただきたいと思います。
 ここで書いてあることは、日米の食い違いがある、しかしこれはいかんともしがたいんだ、したがって、このまま放置していくしかないという趣旨のことが書いてあるわけであります。
 そこで、そのときに、これは昭和四十三年ですけれども、当時の総理大臣が佐藤栄作総理で、肩のところに、佐藤総理御閲読済みと書いてあります。その前には、三木外務大臣も御閲読済みであると。それが一回きりではなくて、歴代総理に対して、この紙を使って、あるいは口頭で、ずっと説明してきたということが明らかになっております。
 例えば、実は、ここには中曽根総理と安倍外務大臣というのもあるんですけれども、海部総理まで、この紙に基づいて、現物を見せたかあるいは口頭でか、説明をしてきたということが明らかになっているわけであります。
 私は、この密約調査の中でも申し上げたんですが、こういう食い違いがあったことがわかっていて答弁をしてきたということについて、一方的に批判するつもりはない。それは、当時の政治的な状況なども考えて、いろいろな苦渋の決断だった面もあるというふうには考えるんですが、しかし同時に、国会において、あるいは国民に対して、明らかに間違ったこと、あるいはうそと言われても仕方のないことを歴代の総理大臣が答弁してきたことは、これは私は重大ではないかというふうに思うわけであります。
 このことについて総理はどういうふうにお考えか、御答弁いただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今、この文書を拝見させていただきました。私、この文書は、岡田当時外務大臣によってこうした文書が表に出た後に拝見したことがございますが、私は、官房長官あるいは総理としては拝見したことはないし、説明は受けていないわけでございます。
 これはどうしてかなと思ったんですが、別に私が信頼されていないというわけではなくて、九一年に、当時、お父さんのブッシュ大統領の時代に、いわば戦術核の海洋配備をやめましたから、基本的に、こういう持ち込まれる可能性というものは、その可能性自体がなくなったということによって、その後、説明がなくなったんだろうと。しかし、私はそれは問題だと思っていますが。
 これは、今、岡田委員が御指摘のように、これを決めた当時の状況、日本を守るために必要であったという判断の中において、しかし、なかなか国内でこれが理解し得るかどうかという中における判断だったんだろうとは思いますが、それをそのままずっと、国民にそのことを示さずに来たのは、これはやはり私は間違いだった、このように思うわけでございます。
○岡田委員 今、総理から間違いだったというお話がありましたが、特に九〇年以降、アメリカの核政策が変わって、総理おっしゃるように、戦術核について艦船や航空機に積むということがないということになった後、それでもなおかつ同じ答弁を繰り返してきたということについて、やはりそれはきちっとけじめをつける必要が私はあると思うんです。
 これは自民党政権の時代の話です。今それを一方的に私は批判しようとは思いませんが、しかし、国会で、あるいは国民に対して、明らかに違うことを言ってきたということについて、きちんと内閣として、つまり、我々民主党政権がやるのもおかしな話ですから、それは、自民党政権に戻られたわけですから、きちんとした内閣の見解を私は出されるべきじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 この問題について政府としてどう考えているかということについては、お示しさせていただきたいと思います。
○岡田委員 総理から御答弁いただきましたので、それを待ちたいと思います。私は、これはやはり国民に対する政府あるいは政治の信頼の問題だと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 その上で、総理は、特定秘密保護法の審議の中で、この法律があればこのような密約の問題は起こらないというふうに国会答弁をされています、十二月四日、参議院ですけれども。これはどういう意味なんでしょうか。総理大臣が事実に反することを言う、そういうことがある以上は、幾ら法律があっても、特定秘密保護法があったとしても、それは防げないことではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 それは、例えば特定秘密に該当する秘密があって、それが歴代受け継がれているという中にあれば、それは総理大臣として把握をするという立場に、この新しい法律によって、なるわけでございます。ということは、その時々の総理大臣がそういう判断ができる、こういうことになるわけだろうと思います。
 そうでない場合は、今までの場合は、これが、今、特定秘密になるかどうかということをにわかに申し上げることはできませんが、もし特定秘密に指定されるようなものに当たるものが書類としてあるのであれば、そしてそれが政権の代を継いで引き継がれているものであれば、それは当然、総理大臣として、こういうものがありますという説明を受けるわけでありまして、当然それは、もう既に解除する必要があるという判断は総理大臣としてできるわけでありますし、五年ごとにそれはそういう判断のときが来るわけでありますから、当然そういうことは起こり得ない、こういうことになるのではないかと思います。
○岡田委員 これは先ほどの、九〇年代になってアメリカの政策が変わった後も、総理大臣は何人も国会で、アメリカが協議してこない以上、ないと、それは過去のことについて聞かれて、そういうことを答えておられるわけです。非常に有名なのは森総理と不破共産党委員長との党首討論、これは何回も行われまして、そのときに、恐らく森元総理もちゃんと説明は聞いていたと思うんです。知らなかったということは、私はあり得ないと思うんです。
 ですから、やはりそれは、総理大臣が場合によってはこれは隠すということになれば、幾ら法律をつくったってだめなんですね。そのことをまずしっかりと考えておかないと、法律をつくったから全部うまくいくというものではないと思うんですが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 森政権時代、私は官房副長官でありましたが、これには当時の森総理のサインはないわけでありまして、森総理がこの説明を受けていなかった可能性の方が私は高いと思いますし、私は官房副長官でありましたが、もちろん、そういう説明は一切受けていないわけでありますが、これは今までの答弁にのっとって答弁をするということだったんだろう、こう思うわけであります。
 いずれにせよ、今までは、秘密のあり方については、今ある特別管理秘密もそうですが、防衛秘密もそうですが、日米の協定による秘密もそうですが、総理大臣がその秘密の全体像を把握しているわけではありません。しかし、今後は、その全体像を把握して、諮問会議に年に一回報告をするという義務を負うわけでありますから、ここは当然大きく変わってくるんだろう、こう思うわけでございます。
 これは核にかかわる話でありますから、その書類については、当然、これは特定秘密になる可能性というのもあるんだろうと思いますが、それは当然、総理大臣が責任を持ってしっかりと見ていくということになるわけでありますし、当然、政権が交代になれば、民主党政権において、新しい総理大臣であり、官房長官であり、それをしっかりと見ていくということになるわけであります。
 先般の政権交代の際には、それがなかったことによって、岡田外務大臣がそういう委員会をつくって調べられたんだろうと思いますが、今後は、この法律にのっとって、もしそれが特定秘密に指定されていれば、当然それを把握することになっていくんだろう、このように思います。
○岡田委員 私は、森元総理個人を取り上げるつもりはないんですけれども、あのときの議論というのは、アメリカ側の資料のコピーを示しての議論で、全く知らなかったということはあり得ないし、少なくとも総理大臣として、調べろと言う責任はあったと思います。恐らく、現実には、外務当局はきちんと説明をした上でああいう答弁になったんだと思うんですね。ですから、制度が変わったから常に大丈夫だということではないということは申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、総理、総理は特定秘密保護法について、知る権利は奪われないとか、それから、この前の自民党大会でも、知る権利が侵害されることはありませんとか、非常に強く断言されていますね。私は非常に違和感を感じる表現なんですね。
 この法律をつくったことで一定の知る権利というのは制限を受け得るという前提で、やはりきちんと国民に説明すべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 今でも、外務省には外交秘密がありますね。特別管理秘密もありますし、防衛秘密もありますし、そして、今でも、日米の協定に基づく秘密については、これは情報を漏えいすれば十年という厳しい刑があるわけであります。今でもそれは既にあるわけですよ。
 これに加えて、例えば今、私は、機密、暗号を知りたいと言っても、それは教えるわけにはいきませんよ。そういう意味においては、知る権利といっても、暗号を知りたいといっても、それはお教えするわけにはいきませんねということになるわけであります。例えばまた、当然、衛星写真についても、それはお示しするわけにはいきません。また、あるいは、外国の情報機関から提供された、サードパーティールールで提供されたルールについて示してくださいと言われても、これはお示しすることはできません。
 そういう意味においての知る権利ということについては、これはある程度制限されるわけでありますが、何をもって知る権利ということかということなんだろうと思うわけであります。
 まず、報道の自由については、これは全く制約されることはないわけでありまして、いわばこの秘密をとるために、例えばその当該の課長なりを、おまえの娘をひどい目に遭わせるぞとか言って、おどかしてとったら、これは罰せられるということになるわけであります。あるいはまた、特定の国からお金をたくさんもらって、このお金で誰々を買収して、脅迫して、秘密をとってこいと言って、その国に渡せば、これは罪になるわけでありまして、これは新しく罰せられるようになるわけでございます。
 いわば事実上のスパイ行為として罰せられるようになるわけでありますが、通常の取材活動において取得したものについて、これが罰せられるということは基本的にないわけであります。だって、今までも、それぞれ公務員法違反になるわけですから、取材においてそれをいわば法令に反してとった場合、それは今までだって罰せられるわけでありますが、そこが今までと大きく変わることはないということは明確にしておきたいと思います。
 むしろそうしたルールがきっちりとしていくわけでありまして、我々は誰から情報を守っているかといえば、それはテロリストであり、スパイであり、工作員なんですね。一般の国民から守るとか、あるいはジャーナリストから守るということではないんですよ。
 この法律の相手は、あくまでもそういう人々から情報を保全していくということであるということを、それは国民の命を守ったりあるいは国益を守るためのものであるということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。
○岡田委員 結局、総理の御認識なのか説明の仕方なのかわかりませんが、私は、知る権利というのは、やはり国家としてどうしても守らなければならない秘密というものがある以上、制限を受け得る、そういう前提で国民にきちんと丁寧に説明されるべきだと思うんですね。それを、知る権利は一切害されることはありませんと。それでは丁寧に説明したことにならないじゃありませんか。そして、それでは理解も進んでいかないと思うんですね。
 今度のこの法律の中でも、例えば情報収集の手法とか暗号とか、そんなものは六十年たっても公開しないことはあり得るということになっていますね。これだって、ある意味での制約ですよ、知る権利の。
 ですから、どういう場合について、こういったことで国家としては知る権利を制限せざるを得ないということを丁寧に説明することで国民の理解を得るということがないと、いや、もう絶対大丈夫です、一切害されることはありません、そういう説明が、ある意味では非常に疑念を招いている。
 やはり、そこはバランスの中で、国家として秘密を守らなければいけないということと国民の知る権利、そこのバランスの問題であるということをきちんとまず説明された上で、この法案について政府の立場を御説明になるべきではなかったかと私は思うんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 私も今のような説明をずっとしてきたわけでありますが、この説明で、何でも知ることができると思った人は、私は誰もいないと思いますよ。ですから、私は、こういう説明を常にしてきたつもりであります。
 今までも秘密があったということは申し上げているわけでありまして、それはどういうものであるかということは申し上げてきましたし、特別管理秘密の中の、中身はどれぐらいのものであるか、中身は例えば、衛星情報が九割ですよ、あと暗号があって、そして武器等にかかわる秘密がありますよ、それが実はほとんどですよという説明をしてきたわけであります。
 これは、今までこういう情報は政府が公開してきていなかったわけでありますから、この際しっかりとそういうことを公開していくべきだという考え方のもとに、そういう御説明を繰り返してきたつもりであります。
○岡田委員 私も総理の議事録は全部読みましたけれども、そして、総理はもっと丁寧に自分が説明すべきだったということも言われているわけですから、やはり説明が私は十分じゃなかったんだと思うんですよ。総理御自身も認めておられるわけですね。
 そこで、第三者機関、つまり情報保全監察室、仮称でありますが、これを内閣府に設置するということになっております。
 私が非常に違和感を覚えるのは、これがどうして第三者機関なのか、それから、独立性というのはどういうふうに担保されているのかということなんですが、御説明いただけますか。
○森国務大臣 法律の附則九条におきまして、独立した監査する機関を置くというふうになっておるのです。これを、施行までに、仮称でありますけれども情報保全監察室を設置し、行政機関による個別の特定秘密の指定等をチェックすることとしております。これは、内閣府に置かれます。
 ですから、例えば、防衛大臣が指定した防衛秘密、外務大臣が指定した外務上の特定秘密の指定について、そこと独立した公正な立場で特定秘密の指定をチェックするというものでございます。
○岡田委員 まず、第三者機関というのは、当事者の外にあるというのが普通の第三者機関だと思うんですね。政府の中にあって、それが第三者機関というのは、私はちょっと、第三者機関で政府の中にあるものというのは聞いたことがないんですね。
 それから、独立性についても、内閣府にあるからほかの役所と独立しているということですが、内閣の中ではこれは一つじゃないですか。
 そして、例えば、総理にお聞きしますけれども、内閣官房の長というのは総理ですよね、違いますか。総理なんですよ。ですから、総理が基本的には特定秘密を指定する、そういう立場にあるわけです。内閣府も総理なんですね。ですから、そこは共通しているわけですよ。決して独立じゃないですよね。
 内閣官房の恐らく特定秘密になるであろうという秘密は、非常にたくさんのものが想定されます。もちろん、衛星写真だけではなくて、内閣情報調査室の情報もあります。あるいは、これから日本版NSCをつくるということであれば、その事務局である国家安全保障局の情報もあります。膨大な情報が内閣官房にあるわけですね。
 それを、同じ総理をトップにいただく内閣府で、独立して中身をチェックできるんですか。
○安倍内閣総理大臣 第三者機関といっても政府内ではないかというお話なんですが、しかし、例えば、今まで、外務省のものであれば外務省だけで判断をしていたわけですね。防衛省であれば防衛省だけだったわけですよ。新たにこうしたものがつくられるのは、特定秘密で初めてそれはつくられるわけでありますから、これはやはり大きな違いが私はあると思いますよ。
 そこで、総理大臣である私というのは、国民によって選ばれた国会議員から選ばれて、いわば政府を率いる立場として、正しく行政機関が秘密に指定しているかどうかということを国民の代表としても見る。もちろん政府の代表でもあるわけでありますが、国民によって選ばれた国会議員の代表としても見るわけであります。
 そして、それは、政権もかわるわけですから、正しかったかどうかというのは、後々必ずその検証を受けるわけであります。
 そこで、私が果たしてそれを全部見られるかということでありますが、先ほども申し上げましたように、特別管理秘密については、九〇%以上が衛星写真であって、さらに暗号があって、そして武器。潜水艦については、例えばスクリューの形状あるいは厚さ等々も含めて、細かい秘密がたくさん、幾つもあるわけです。そして、それをコピーすればそれは一件一件ふえていくわけでありますから、それを全部足し込んでいっての四十二、三万件ということになるわけでありますが、ほとんどが防衛秘密と言ってもいいんだろうと思います。
 内閣官房においてもそれはほとんど衛星と言ってもいいんだろうと思うわけでありまして、そしてその上において、カテゴリーをいわばしっかりと分けていく中において、これはしっかりと見ていくもの、あるいはこういうカテゴリーになっているんだなというものもあるわけでありますから、その中で、私は十分に把握が可能であろうと。
 それは、例えば外国の情報機関から提供されていて、つまりサードパーティールールで外に出せないものというのもあるでしょうし、それ以外の、テロから守るためにこういうことをしていますよというカテゴリー……(発言する者あり)外野からやじらないでください、真剣に議論しているんですから。
 ということをしっかりと私たちは、見ていくことは十分に可能なんだろうと、このように思います。
○岡田委員 総理御自身が最終的な担保になっているという御答弁だと思うんですけれども、やはりこの法律の本質というのは、権力というものが時には国民にとって暴走したりその権利を侵害するということでつくられている法律でもあると思うんですね。その権力の頂点が総理大臣ですから、私は、総理が見ているから大丈夫だというのは、それは説明になっていないと思うんですね。
 先ほどの密約の話だって、歴代総理が事実に反する答弁も平気でしてきたという歴史もあるじゃないですか。ですから、そこはもう少し独立した、あるいは第三者の入ったような、そういう機関構成にする必要があるんじゃないかというふうに思います。
 二十名と言われましたよね。今言われているのは、体制が二十名。私、二十名でちゃんとチェックできるとはとても思えないわけですよ。
 私は、外務大臣のときに、古い、三十年たった外交資料を公開するというルールをつくって、今は、聞きますと、外務省では常勤、非常勤を入れて六十六人体制でやっていると。過去三十年以上たったものを順次公開しているんですけれども、四年間で一万四千件、一生懸命やったけれども、それだけしかできなかった。
 そういうことを考えると、とても私は、二十人で本当に中身にわたってチェックできるとは思えませんし、それから、総理がその中の大事なものを見るといったって、お忙しい中でそんなことができるとはとても思えないんですね。だから、もうちょっと現実的な姿にして見せないと、結局、形だけじゃないかということになるんじゃないでしょうか。
○森国務大臣 附則九条の、独立した公正な立場による監査機関についての御議論でございますけれども、諸外国の例を参考にしてつくっていくということを御答弁申し上げてきたところでございますが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、どの国も、政府から外にチェック機関があるということはございません。
 これはどうしてかと申しますと、やはり国家機密の性質上、大変機微な情報があるということで、その中で、情報保全監督局、これは米国にあります、それから省庁間上訴委員会もございます。こういったものは、米国でも、大統領が全て委員を任命したりしております。
 総理大臣は日本では行政機関全てのトップでございますから、それは総理大臣がどこも関与しているわけではございますけれども、その中で、公正性を保ってチェックしていく仕組みをつくっております。
 なお、政府と違う第三者の立場の目が入るという点では、有識者会議、諮問会議を立ち上げておりまして、そこで基準をしっかりと決めていく仕組みとなっております。
○岡田委員 有識者というのは、中身を見ないわけですね。
 それから、私の質問に答えていないんですけれども、二十名で本当にできるんですか、中身をちゃんと見るのなら。私は、とてもできないと思いますよ。だから、できないことをやりますと言っているのは、私は、誠実ではないと思うんです。全部ちゃんと見るような印象を与えて、そして二十名でやるというのは、私はそれは違うと思いますが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 例えば、官邸について、恐らく特定秘密に指定されるものは、ほとんど衛星写真です。ほとんどと言っていいと思います。例えば、内閣府については、果たしてそれに該当するものがどれくらいあるだろうかということではないか、このように思いますよ。そしてまた、例えば、国交省、国土地理院、これはほぼ一〇〇%は衛星写真であります。もちろん、防衛省のものは防衛秘密であります。外務省においては、外交秘密が全て特定秘密になるわけではありませんから、そのほんの一部ですね。一部であります。
 であれば、そもそも、重要なものについて、カテゴリーとしてちゃんと分けていって、私自身が中身までよく読んでおく必要があるものがありますね。衛星写真というのは解像度そのものが秘密でありますから、あるいは暗号もそうでしょうし、武器に関するものは一々私が見る必要は、私はないと思っていますけれども、それ以外については、これはある程度、カテゴリーに分けていく中において十分把握していくことは可能だろう。もちろん私一人ではできませんから、それを補佐するスタッフがいれば、それは可能だろう。
 しかも、今まではそれはないんですから、今までなかったものを新たにつくるんですから、つまり、事態としては今よりも当然よくなるんだろう、このように思いますよ。
○岡田委員 総理、ごまかさないでいただきたいんですが、今までよりよくなるだろうという話をしているんじゃなくて、総理がそれを全部チェックするかのごとくおっしゃるから、それは無理ですよと私は言っているわけです。
 今、内閣官房の話をされましたが、内閣官房だって、さっき言った国家安全保障局もできますよね。ここにやはり特定秘密に属するものがかなり集まるはずですよ。それから、内調はどうですか。これはテロに関する情報も入っていますよね。内調の情報にかなりそういうものが私は入ってくるはずだというふうに思うんですよ。
 ですから、そこはよく現実的に考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次に、歴史認識についてお話ししたいと思います。
 私は、この問題は、いつも申し上げるんですが、別に海外に言われたからどうのこうのという問題ではなくて、やはり日本国自身の、あるいは日本国民自身の問題だというふうに考えております。
 そこで、まず総理にお尋ねしたいのは、この村山談話にある、我が国は、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジアの諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた、それについて、歴史の事実を謙虚に受けとめて反省の意をあらわすと。これが、私は、村山談話の一番コアの部分だというふうに思うわけです。
 実は、これは、村山談話だけではありません。戦後、村山談話は五十年ですが、六十年のときの小泉談話もほぼ同じ文言を踏襲しています。この植民地支配とか侵略といったことについて、総理が果たしてそこまでお認めになっているのかどうかというのは、今までの国会のやりとりの中ではっきりしないんですね。それを疑っている人もいる。そうであれば、やはりこういうことも、植民地支配や侵略も含めて村山談話を受け継いでいますということを明言された方が私はいいと思うんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 歴史認識については、累次申し上げてきたとおりでありまして、我が国は、かつて、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えてきました。その認識においては、安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えであります。
 戦後、我が国は、その深刻な反省の上に立って、自由で、民主的で、基本的人権や法の支配をたっとぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり平和国家として歩んできました。その歩みは今後も変わらないということでありまして、安倍内閣として、今、岡田さんがおっしゃったように、侵略や植民地支配を否定したことは一度もないわけであります。
 そしてまた、累次申し上げてきたように、基本的には、歴史認識については、歴史家に任せるべきであろうというのが私の考え方であります。
○岡田委員 従来と同じ御答弁なんですが、つまり、最初のところで、植民地支配とか侵略ということを飛ばして必ず言われるんですね。それで、後で、否定したことは一度もないと。
 これは総理のパターンなんですが、しかし、この村山談話は、植民地支配、侵略によって、とりわけアジアの国々に多大の損害と苦痛を与えたということを明言しているわけです。そこの部分、どうして総理は最初のところの植民地支配と侵略というのを飛ばして言われるんですか。そのことが、何か違う考えを持っているんじゃないか、そういう疑念を招いているわけですね。そこはちゃんとおっしゃった方が私はいいと思うんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 ですから、ただいま申し上げましたように、侵略や植民地支配を否定したことは一度もないわけでありまして、我が国が、植民地支配や、あるいは侵略をしていない、こういう否定をしたことは一度もないわけであります。
 ですから、これは再々、繰り返しになりますが、我が国は、かつて、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えてきた、その認識においては、安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代の内閣の立場を引き継ぐ考えであります。
 一方、戦後、我が国は、この深刻な反省の上に立って、自由で、民主的な、そしてしっかりと基本的人権を守る国をつくってきた、法の支配をたっとぶ国をつくってきたわけでありまして、平和の道をひたすら歩んでいった、この歩みは決して変わることはない、これはもう再三申し上げてきたとおりでございます。
○岡田委員 総理はおっしゃらないんですよね。これは本当にわずかなところというふうに総理は思われているかもしれませんが、私は非常に損していると思うんですよね。植民地支配や侵略も含めて、きちっと村山談話、小泉談話を引き継ぎますというふうに言われれば済む話じゃないかというふうに思うんです。そこをもって、いや、考え方が違うというふうに言われているとすれば、それは極めて残念なことだと私は思うんですね。
 では、菅談話というのがあります。
 これは、政権交代した二〇〇九年、まあ二〇一〇年なんですが、日韓の併合条約、その百年だったんですね。それに当たって、当時の菅総理が出した談話であります。
 基本的には村山談話、小泉談話を踏襲しているわけですけれども、この中で、これは韓国に絞った談話なんですけれども、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷つけられました、こういう表現になっているわけです。
 この菅談話については、総理は引き継がれるおつもりですか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、安倍内閣の立場は、かつての国々、特にアジアの諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えてきました。その認識においては、安倍内閣としても、歴代の内閣の立場を引き継いでいるということでありまして、その中において、戦後、我が国は、その深刻な反省の上に立って、自由で、民主的で、基本的人権や法の支配をたっとぶ国をつくり、戦後六十八年にわたって平和国家としての歩みを歩んできた、その歩みにおいては今後も一切変わることはない、こういうことでございます。
○岡田委員 今の答弁がよくわからないんですけれども、結局、この菅談話について、総理は引き継いでおられるのかどうか。村山談話については、全体として引き継ぐということは言われているわけですね。では、菅談話についてはどうなのかということをお聞きしているわけです。いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 今、内閣としての立場については申し上げてきたとおりでありまして、いわば歴史認識ということについては、我が国は、かつて、多くの国々、とりわけアジアの諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えてきた、その認識において、安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代の内閣の立場を引き継ぐ考えであるということは、再々申し上げてきたとおりであります。
○岡田委員 そうすると、今言われた範囲で菅談話も、歴代内閣と言われましたから、引き継がれている、こういうことですか。
○安倍内閣総理大臣 累次申し上げてきているとおりであります。
 その上に立って、日本は、深刻な反省の上に立って、我々は、戦後、民主主義、そして自由をたっとび、そして法の支配をたっとび、基本的人権を守り、平和な国をつくり上げてきたわけでありまして、この戦後の六十八年の歩みは今後も変わることがない、こういうことでございます。
○岡田委員 日韓関係、なかなか難しいところがあります。もちろん、我々にも主張が当然ある。今の韓国の政府に対しても言いたいことはあるし、それは当然、言うべきことは言わなければならないと思います。
 しかし、そういう中で、今までの歴代内閣がさまざまな努力を積み重ねてきた。先ほどの村山談話、小泉談話だけじゃなくて、日韓関係でいえば、一番大きな一つの結節点になったのが、小渕政権時代の小渕総理と金大中大統領による日韓共同宣言、ここにあらゆることが私は言い尽くされているというふうに思うんですね。
 にもかかわらず、結局、そのことがきちんとした、これから未来志向でいこうということになっていないその理由は、もちろん韓国側にもあるんですが、日本側も、今まで出してきたいろいろな談話について、それを否定するような発言が、場合によっては閣僚も含めて相次ぐものですから、結局、苦労してこういうものをつくっても、それが意味がないというか、それを口実にして、また議論が振り出しに戻ってしまう。
 総理のおっしゃった、この菅談話についてもそうですし、村山談話の植民地支配のところについてもそうなんですが、結局そういうことになってしまっているんじゃないかということを私は非常に懸念しているわけですよ。
 今までの歴代政権が努力をしてなし遂げてきたことを、しっかりそのまま全て受け入れて、その上で未来志向の考え方に持っていくということでなければならないと思うんですが、総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 もちろん、私どもも日韓関係は大切だと思っておりますし、最も大切なこの隣国関係を、そして基本的価値を共有する国でありますから、何とか関係を発展させていきたい、こう考えているところでございまして、対話のドアは常に開いている、こういうことを申し上げているわけでございます。
 もちろん、歴代の内閣がそれぞれ努力をしてきているわけであります。しかし一方、課題もありますから、課題を解決していく。それは、かつて菅内閣において菅談話を出された。しかし、民主党政権下において韓国の大統領が竹島に上陸をしたことは、極めて遺憾なことでもありました。
 こういう問題、課題があるからこそ、私は、いわば両国の首脳は胸襟を開いて、会って話をするべきだ、こういうことを申し上げているわけでございますので、韓国側にもぜひそういう姿勢をとっていただきたい、こう思っている次第でございます。
○岡田委員 私も、十二月の二十日過ぎだったと思いますが、韓国に参りまして、旧知の政治家やマスコミの方々と議論してまいりました。私の主張は、無条件で首脳会談をやるべきだということで話をしてまいりました。韓国側にも、メディアも含めていろいろな、そのときには少しやり過ぎじゃないか、そういう報道もなされたりして、私は少し変わってきたという印象を受けました。外交当局も随分努力されていたと思います。でも、その直後に総理が靖国神社に行かれたことで、もう一回これがゼロベースに戻ってしまったと思うんですね。
 その総理の靖国神社参拝について、少し議論をしたいというふうに思うんです。
 私は、一つはやはりA級戦犯を神として合祀しているということと、それから靖国神社のさきの戦争に対する戦争観、この二つがやはりネックになっているというふうに思うんです。
 まず、靖国神社にある遊就館では、大東亜戦争について、自存自衛の戦争でありアジア解放の戦争であったというふうに言っています。それから、遊就館で一日六回上映されている映画、「私たちは忘れない」。私はインターネットでしか見ていませんので中身はわからないんですが、その宣伝の中で、日本参戦をしかけた米国の陰謀、日本は苦渋の開戦決断へ、日本を侵略国として断罪した東京裁判の不当性を暴き、戦犯の無念を振り返る、これが遊就館で上映されている映画の宣伝文句なんですね。
 遊就館というのは靖国神社の一部でありますから、そういう考え方をしている神社に内閣総理大臣が行くということは、私は非常に誤解を招きかねないんじゃないかというふうに思うんですね。もちろん、遺族の皆さんが、それぞれの親族、亡くなった親族に対して靖国神社に行かれること、これはもちろん当然のことだというふうに思うんですが、内閣総理大臣というお立場でそういう考え方を持っている神社に行くということについて、問題があるというふうにお考えになりませんか。
○安倍内閣総理大臣 私は、遊就館に行ったわけではありません。靖国神社にお参りをしたわけでありますし、また、鎮霊社にもお参りをしたわけでありまして、いわば国のためにとうとい命を犠牲にされた方々に対して尊崇の念を表し、そしてみたま安かれなれと手を合わせたわけであります。
 これは、各国の指導者の姿勢にも共通するんだろうと。国のために命をかけて戦った、そして倒れた人々に対して手を合わせる、そしてみたま安かれなれと祈るという気持ちは、これは世界各国のリーダーの共通の姿勢だろうと思います。
 また、私は、世界の全ての戦場で倒れた人々が祭られている鎮霊社にもお参りをしたわけであります。二度と戦争の惨禍によって人々が苦しむことのない時代をつくっていくという意味において、決意を込めて不戦の誓いをしたところでございます。
 それが、私が参拝した思いの全てでございまして、決して韓国や中国の人々を傷つけよう、そういう気持ちはないということは、参拝をしてこられた歴代の首相と全く同じであるということも申し上げておきたい、このように思うところでございます。
○岡田委員 遊就館と靖国神社というのは、全く別物なんですか。やはりそれは、遊就館というのは靖国神社の敷地の中にあって、それは私は基本的に一心同体だと思いますよ。そして、そこでそういう主張をしているということをどう考えるか。少なくとも、いろいろな人が外から見たときにどういうふうに受け取るかということだと思います。
 例えば、アーリントン墓地。総理は、アーリントン墓地と靖国神社を並べて言われましたが、それは全く違いますよね。アーリントン墓地は、墓地です。そして、靖国神社は、全体、それはA級戦犯を含む戦争で亡くなった方々、あるいはその関係の方々を神として祭っているんです。そこは全然違うんです。そこをきちんと踏まえないと非常に誤解を招いてしまうということだと思います。
 A級戦犯についても少し議論したいと思うんですが、これは総理と何度か、官房長官とか第一次安倍内閣でやっていますので、確認ですが、A級戦犯で赦免、減刑ということがありました。
 実は、これは政府の、質問主意書に対する答弁なんですが、A級戦犯の方で赦免された方はいない、十名の方が減刑されたというのが正しい理解だというふうに思うわけですが、そのことと、それから、東条英機元首相を初め七名の死刑執行された方や獄中死した五名の方は、当然この赦免、減刑の対象にはなっていないということですが、それはそういう認識でよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 かつて、私、官房長官時代に、岡田議員とこの件について議論させていただいたわけでありますが、その際に私は大橋法務総裁の発言を引いたわけであります。
 大橋法務総裁は、我が国がサンフランシスコ平和条約第十一条によって極東国際軍事裁判を受諾し、今後は日本政府が刑を執行することになるとしつつ、この条約において日本政府に許されている赦免、減刑、仮出獄等に関する関係国政府に対する勧告権を行使して、戦争犯罪者の早期釈放に向けて、できる限りの努力をしていきたいという旨、衆議院法務委員会で述べておられるわけでございます。
 その後、この件について委員とお話をさせていただいた際、これを私が引いてお話をさせていただいたわけでございますが、その際、岡田委員から、今のお話ですが、確かに赦免、減刑あるいは仮出獄ということは認めておりました、しかし、赦免というのは、そのもとになった東京裁判の判決そのものを無効にするものなんですか、そういうふうに聞こえますよということでございましたので、それに対して私は、これは減刑等、赦免、減刑ということで言っていたわけでありますが、岡田委員から赦免ということで言われたものでありますから、十一条において書いてあったことを述べたわけでありまして、手続に沿ってその人たちを赦免した、これは赦免ではなくていわば減刑であったわけでございますが、そういう気持ちで答えたということでございます。
○岡田委員 当時、もう十年ぐらい前になりますから、お互い知識が若干不十分なまま議論していたところがあったかもしれませんが、結論は、先ほど私が申し上げたようなことだと思います。
 そして、中には、赦免、減刑をもって、既に刑が執行された東条英機元首相を初め七名の方も含めて、何か、刑に問われたことが、効力がなくなってしまったというふうに誤解する方もいらっしゃいますが、それはそういうことではなくて、その刑は、死刑執行でそこで終わっているということもよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 これは、いわば、いわゆるA級戦犯の人々だけではなくて、サンフランシスコ平和条約の十一条によっては、これは内外全ての裁判について定められたものでございますが、海外では約九百人近くの方々が処刑されたわけでございまして、数千人の方々が獄につながれたわけであります。
 当時の解釈としては、平和条約が締結をされた段階においては、将来に向かって戦争裁判の効力は失われるというのが多数説でありました。しかし、今は、人道に対する罪ということ等が確立をされておりますので、その概念は事実上なくなっているわけでありますが、当時はそういう考え方の中において議論もなされていたということではないか、このように思います。
○岡田委員 基本的に、刑としては確定したということで、そこは誤解が結構あるということ。私は、いろいろな誤解に基づいた議論が相当なされていると思いますので、ここで少し確認をさせていただいたわけです。
 さて、総理、靖国に行かれたことで、アメリカが、失望したというコメントをいたしましたよね。このことをどういうふうに受けとめておられますか。
 私は、どうして、日米同盟がスタートして以来、異例のこの厳しい表現が出てきたかということは、それはやはりきちんと受けとめなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 日米同盟関係においては、まさに日本の外交、安全保障の基本でありますから、これが揺らぐことがあってはならないし、今揺らいでいるわけでは全くないということは申し上げておきたい、こう思いますが、この靖国参拝については、米国側にも私の真意をしっかりと説明していきたい、こう考えているところであります。
○岡田委員 これは外務省の調査、アメリカの会社に委託した調査なんですが、私は、ちょっとやはり気になるんですよね。
 これは、過去五年間をとりました。二〇〇九年時点では、これは一月の調査ですから、麻生政権のときの調査なんですね。鳩山政権、菅政権、野田政権、安倍政権と。安倍総理のときは、これは七―八月であります。もちろん、このころには慰安婦をめぐる他党の発言もありましたので、別に安倍総理のせいでこうなったというふうに私は言うつもりはありませんが、かなり下がってきているわけであります。
 特に、日米間の協力関係を一般的に言ってどう思うか、これが一番気になるんですが、極めて良好と良好を足したものが、七〇%以上だったものが五八%にがくっと落ちている。
 これは、アメリカの一般の方々の意見なんですけれども、日本を見る目というものが少し変化してきたのかもしれない。そこのところはやはり相当慎重に受けとめておかないと私はまずいんじゃないかというふうに思いますが、何か御感想はありますか。
○岸田国務大臣 御指摘の米国における世論調査でありますが、お示しいただきました資料のような数字、こうした変化があるのは事実でございますが、同じ調査における、この二〇一三年の調査の質問項目としまして、日本は信頼できる友邦であると考えるかという質問がありますが、この質問に対しましては、二〇一三年の時点におきましても、一般の部で、信頼できる七六%、有識者の部、信頼できる九三%、こういった数字も示されています。
 こうした世論調査の結果につきましては、今後ともしっかり注視していきたいと考えておりますが、現時点では、日米関係、日米同盟は揺るぎないものであると認識をしております。
○岡田委員 今大臣が言われた数字は、前年も同じぐらいの数字なんですね。ですから、それは変わっていないということなんですが、こういう変わったものもある。やはりそこはもう少しちゃんと受けとめた方がいいんじゃないかということを私は申し上げておきたいと思います。
 次に、集団的自衛権などについて少し議論したいと思います。
 まず、総理にお尋ねしますが、総理は、国際協調主義に基づく積極的平和主義ということを言われています。この積極的平和主義における集団的自衛権の位置づけというものはどうなっているんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 我が国を取り巻く環境は、安全保障環境はますます厳しさを増している中において、脅威は容易に国境を越えてくるわけでありまして、もはや、どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることができない、この認識の中において、国際社会と協力して地域や世界の平和を確保していくことが不可欠である、まずこういう時代認識であります。
 我が国としては、この中において、この時代認識のもとに、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、これまで以上に積極的に国際社会の平和と安定に寄与していくことによって、我が国の平和とそして国益を守っていくというのが積極的平和主義でありますが、集団的自衛権については、こうした状況にふさわしい対応を可能とするよう、安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの認識のもとに、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討を行っているわけでありまして、我々は、この結果を、まずは懇談会の議論を待ちたい、こう思っているわけであります。
 今、岡田委員の御質問において、積極的平和主義というのは、日本一国において日本の平和と安全と繁栄を守ることができないという、この認識を持って国際社会に貢献をしていく、同時に、いわば今申し上げましたような、その認識の中において、我々にできないことがあるのであれば、それは果たして本当にできないのかどうかということを検討していくということで、今懇談会において検討しているということでございます。
○岡田委員 私は、国際協調主義ということとそれから日米同盟に基づく集団的自衛権の行使というものが、もちろん一致する場合もありますが、お互い矛盾し合う場合もある、そういうことについてどう整理するのかということがきちんと説明されなければならないと思うんですね。
 外務省や総理御自身も言われているんですが、いろいろな国に行って、積極的平和主義が評価された、評価された、こう言っておられるんですが、そのときに集団的自衛権というのは多分説明されていないんじゃないかと思うんですね。
 ですから、非常に重要なパーツを説明せずに、評価されたと言って誇るというのは、私には非常に理解しがたいことだということを申し上げておきたいと思います。
 もう時間が非常になくなりましたので、先ほど野田総務会長が選挙制度について言われましたので、このことについて御質問したいと思います。
 総理も、あるいは野田委員も言われましたが、結局、我々野党と、野党も全部じゃありませんが、野党と、そして与党との違いは、小選挙区のところをこれ以上さわらないのか、さわるのかというところにおいて決定的な意見の違いがあるわけです。
 先ほど野田委員も言っておられたように、もうこれ以上小選挙区はさわれない、五つ減らしたからこれでいいというふうに与党の方はお考えであります。もし違ったのであれば言っていただきたいんですが。
 そして、私たちは、一つはやはり一票の格差の問題、最高裁からも指摘をされている。今のこの五減案では一・九九八です。この前の国勢調査で一・九九八ですから、事実上はもう二倍を超えている可能性が極めて高い。それから、この一票の格差の問題は、二倍以内ならいいんだということじゃなくて、やはりもう少し縮めていく努力が要るじゃないか。そのためには、やはり小選挙区ももう少し手を入れなきゃいけない。そして、小選挙区の数も減らし、比例も減らすことで、全体を減らせばいい。
 それを、小選挙区をいじらずに比例だけで数を減らそうとするから、いびつな、二つの枠に分けて、私は違憲の疑いが非常に濃いと思いますけれども、第一党に投票した人の権利が、全体の中の八十議席については、五十議席ですか、これは生きてこない、こういうことになっているわけであります。
 やはり小選挙区についてももう少し手を入れるということについて、総理はどうお考えですか。そのことを言っていただければ、私はかなり歩み寄れる余地はあると思うんですね。
○安倍内閣総理大臣 まさに民主主義の土俵をつくっていくのが選挙制度なんだろう、このように思います。
 その中において、定数の是正ということにおいて言えば、〇増五減について、これは最高裁においても評価されているところや、高裁においても評価されているところがあるわけでございます。
 そして同時に、定数の削減ということについては、我々、消費税を上げていく中において、みずからも身を切る必要があるという認識のもとに、定数の削減に取り組まなければならないということでありまして、そこで、私たちが出した案が、比例を三十削減する。これは、国会議員の中において、その土俵をどうするかというのは相当、常になかなか議論がまとまらないというのは、かつて二十年前に岡田委員も自民党におられて、それがなかなかまとまらなくて党が割れたという過去があるわけでございます。
 ですから、現実的に、まず着地点を考えていくことも我々政治の責任ではないか。つまり、我々は、我々の案をぜひ軸に議論をしていただきたい、こう思っているところでございます。
○岡田委員 小選挙区はこれ以上手を入れないという前提で第三者に投げても、これは第三者も困っちゃいますよね。もう比例のところの数をどうするかという話しか残らないわけですから。
 ですから、小選挙区についても手を入れるということはやはりお認めいただいた上で具体的中身を議論していくということでなければ、私は、第三者に投げたって結局同じだと思いますよ。時間がたつだけですよ。それで、一・九九八の格差は残るということになるわけですから、そこはよくお考えいただきたいと思います。
 終わります。
○二階委員長 この際、古川元久君から関連質疑の申し出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。古川元久君。
○古川(元)委員 民主党の古川元久でございます。
 総理は今国会を経済の好循環実現国会というふうに位置づけておられます。そこで、きょうは、私は経済のことについて議論をしたいというふうに思っております。
 まず、景気の現状と先行きについてちょっとお伺いしたいと思うんですが、昨年来の異次元の金融緩和と大規模な財政出動、こういう強力なカンフル剤でマクロの景気が上向いているのは事実だと思います。それは、いつも総理がおっしゃっていることだ。
 ただ、私、その内実をちょっとよく見てみますと、かなり危ういところもあるのではないか。きょうは、その危惧しているところについてお伺いしたいと思います。
 例えば、総理がいつもおっしゃる、株がこんなに上がったじゃないですかという、株が上がった原因。午前中の塩崎委員の質問でも、実際にこの株高は、買っているのは外人ばかり。外人が大体十七兆ぐらい買い越して、一方で、日本の機関投資家も個人投資家も、これはむしろ、ほぼ同じぐらい売り越しているんですね。
 総理、ニューヨークの証券取引所ですね、バイ・マイ・アベノミクスと言われたのは、講演されたのは。外人は買っているんですけれども、景気はよくなっていますと言うんですけれども、そうであれば、もっとやはり日本人が、そして日本の機関投資家も買っていいものだと思います。でも、実際にこの一年間、そうなっていなくて、買っているのは外人だけ、日本人はむしろ売っている。この現状について、今総理はどのように感じておられますか。
○甘利国務大臣 外国人投資家が日本市場に投資をしているのは、結論から言えば、日本が買いだという判断だと思います。一方で、日本の投資家が、むしろ売り越しになっています。これは、株価が極めて低いときに保有していたものが、株価が上がってきて、利益を確定する行為だというふうに思っております。
 これから日本経済が本格的に成長軌道に入っていけば、外資も内資も、それぞれ投資に向かっていくというふうに思っております。
○古川(元)委員 今の大臣の話だと、株が上がってきたから、日本人はとにかく利益を確定しようということですけれども、これから景気がもっとよくなるというふうに総理もおっしゃっていて、みんなだんだんそう思ってきているというわけでしょう。そうであれば、まだ株が上がるのに今売っちゃったら、もっと上がってから売ればいいじゃないですか、そうしたら。どうして今の状況でこれを売っているのか。
 やはり、ここはまさに日本人の皆さん方が、まだこの景気、そういうものに対して、将来、なかなかこのままいくとはとても思えない、むしろ、またすぐ下がっちゃうんじゃないか、であれば、今売っておこう、そういう意識に立っているというふうに考える方が普通じゃないですか。どうですか。
○甘利国務大臣 株価は、この一年でたしか五八%ぐらい上がっています。これは、アメリカの上がり方、ドイツの上がり方と比べても、はるかにこちらの方が高いわけでありまして、今まで低い価格で抑えられていた人たちが株を一定の利益確保で売ることを通じて、それをもって消費にも回っているわけであります。
 今回の日本経済の回復というのは、従来型と違って、輸出が先導する景気の回復というよりも、消費が先導しています。そこはそういう株式保有者の判断だと思いますし、これから、もちろん、引き続き、利益を一定確保した後に、また買いに転ずるという行為は当然あろうかというふうに思っています。
○古川(元)委員 やはり、本格的な好循環と言われるのであれば、日本人がちゃんと買う。先ほど塩崎委員からあったように、外人に売られないようにしなきゃいけない。外人の顔ばかり見ているんじゃなくて、やはりちゃんと日本人が自分たちの将来に対して自信を持って株を買っていけるような状況になって、初めて好循環が実現するんじゃないかと私は思うんですね。
 ですから、この株高の中身というものは、これはこれからもしっかり精査をしていかなきゃいけない問題じゃないかと思います。
 次に、貿易赤字、これは過去最大規模というような状況にもなってきているんですけれども、当初、私はことしの前半のころに役所の人に来てもらってレクを受けましたが、円安で、貿易収支は最初は悪化をします、しかし、次第に輸出がふえて、そしてだんだん貿易収支は改善していく、Jカーブ効果を発揮するんですと。これは内閣府の出している資料でありますけれども、こういう赤い図がJの字に見えますから、Jカーブ効果でだんだん回復していけるんです、そういう見通しを立てていたんですね。
 しかし、実際に起きていることは何かというと、Jじゃなくて、むしろ、下がったかと思うと、急に一回、貿易収支は改善しましたが、逆に、秋以降、むしろ輸出が減って、これが下がっている。これはへの字カーブになっているんですね。Jカーブじゃなくて、への字カーブになってしまっているんです。
 円安が進めば、輸出競争力を回復して輸出が伸びて、貿易収支も改善するんだ、輸出が伸びるんだという輸出の伸びは、実際には起きていない。こういう状況について、総理、そして日銀総裁、どのように考えていらっしゃるか、お答えいただけますか。
○甘利国務大臣 輸出入で比較しますと、輸入の方が外貨建てが大きいわけです。ですから、円が安くなってきますと、輸入が金額ベースでふえる。しかし、やがて、為替の安いのが輸出の競争力になって、輸出がふえていって、輸出が輸入増を超えていく、これがJカーブ効果と言われているのであります。
 しかしながら、Jカーブ効果の発現が我々の予測どおりに出てこないのには、やはり幾つか原因があります。
 一つは、吸い込む方は、内需が元気ですから、吸い込む力は強いんです。それから、押し出す力は、先方の元気によります。先方の元気、新興国の元気が若干失速ぎみのところも出てきております。それが一つの理由。
 それから、もう一つの理由は、輸出企業が、本当は、円安効果で外貨建ての輸出の金額を下げて競争力を確保するというのが普通なんですけれども、ところが利益確保に走っているために、現地の価格は下げないで、為替効果で利益をとるという行動に出ているのがもう一つです。
 それからもう一点、構造的な問題は、円高のときに生産拠点自身が外に行ってしまっているということがある。
 この三つの関係で、Jカーブ効果が予定どおりに出てきていないんだというふうに思っております。
○黒田参考人 ただいま甘利大臣が答弁されたことの繰り返しに一部なるかもしれませんが、貿易収支の動向を見てまいりますと、一方で、内需の回復、そして燃料の輸入増加、それからさらに、為替相場などを反映した輸入価格の上昇といったこともあって、かなり輸入が伸びております。他方で、輸出は、持ち直しがかなり緩やかなものにとどまっているということでございます。
 そこで、輸出がなぜ緩やかなものにとどまっているかということにつきましては、これも甘利大臣が指摘されたところでありますけれども、我が国の製造業の現地調達拡大に伴う海外生産シフトというのがかなり構造的な要因として起こっております。これはある程度影響を与えている可能性はありますけれども、このところのやや輸出の持ち直しが緩やかな原因の一つは、やはり、日本経済と結びつきが強いASEANなどの新興国経済がややもたつきぎみで、思ったほど回復してこなかったということの影響が大きいと思っております。
 この点につきましては、IMFを含め多くの見通し機関が、海外経済がことし、来年と先進国を中心に緩やかに回復していく中で、ASEANその他の新興国経済も緩やかに回復していくというふうに予測しておりまして、私どもも、その予測に沿って考えれば、輸出は今後緩やかに改善していって、貿易収支も赤字は少し減少ぎみになるであろうというふうに思っておりますが、委員御指摘のとおり、いろいろな要因がありますので、一概に決めつけることはできないと思いますので、よく注視してまいりたいと思っております。
○古川(元)委員 要は、大臣の答弁を聞いても日銀総裁の答弁を聞いても、政府が最初に言っていた、円安になればJカーブ効果が発現しますということでしたけれども、実は、日本の産業構造はそういうJカーブ効果が発現するような状況になっていないということを、これまでの一連の構図はあらわしているんじゃないですか。
 実際に、リーマン・ショック前の円安期においても、確かに輸出は伸びましたけれども、これは円安で伸びたというよりも、やはり海外経済が非常に景気がよかった。そもそも現地価格は当時もそんなに下がったわけじゃない。円安になって下がったからじゃなくて、海外の経済がよくなったから輸出が伸びた。
 今も、円安になって競争力が伸びたから価格が下がって輸出がふえるという状況じゃなくて、要は、海外経済、特に、今お話のあったASEANなどの途上国、新興国、そうしたところの経済の状況に左右される。今、そういう日本の経済の構造になっている。そういう認識を見てやはり経済運営をしていかなければいけないんじゃないですか。どうですか、大臣。
○甘利国務大臣 輸出の回復を業種別に見ますと、自動車は完全に回復をしています。何が弱いかというと、電機ですね。ということは、電機は生産拠点が外に出ているということもありますけれども、電機産業自身の競争力が落ちているということだと思います。
 委員御指摘の問題で大事なことは、単に為替の変動に依存することではなくて、本来の日本の産業の競争力をつけていくということが大事でありまして、それに沿って、アベノミクスでは競争力強化策というのが柱立てになっているわけであります。投資減税とか研究開発減税、これを使いやすく深掘りをして、それを使って本来の日本の競争力を取り戻すということを根本政策として捉えております。
○古川(元)委員 私も全くそこはそうだと思うんですよ。だから、最初にも申し上げましたけれども、総理は、結果が出ているじゃないですかと言うんですけれども、企業が収益を上げたのも、結局は為替による部分がやはり大きいんですよね。ですから、輸出が伸びたとか競争力がついたとかいう部分よりも、やはりそういう見た目のところで収益が上がって過去最高益ということになっている。
 そういった意味では、やはり構造問題に本当にきちんと取り組んでいかないと、今後の先行きというのは結局また海外の需要頼みということになりかねない。やはりそういうリスクがあるということをぜひ認識していただきたいというふうに思います。
 黒田総裁、済みません、ありがとうございました。結構です。
 次に、総理は、景気の好循環を実現する国会で、企業収益を改善する、そのために復興特別法人税の前倒しの廃止とかをやって、それを賃金上昇、消費拡大へつなげて好循環を実現するというふうにおっしゃっておられるんですけれども、消費拡大までつなげるためには実質賃金、実質所得がふえることが必要なわけでありますけれども、そのためには、消費税引き上げ分も含めて、ことし起こるであろう物価上昇分を超えるような賃金上昇が必要ではないかと思うんですね。そうでないと、実質所得がふえなければ、消費する原資がふえないわけでありますから、消費がふえてこない、そういった意味では好循環につながらないと思うんですが、果たして、そこまでの賃金上昇を期待できる、そこまで総理も期待しておられるのか。その点はどうですか。
○安倍内閣総理大臣 もちろん、物価が上昇していく中において、物価を上回る賃金の上昇、これが直ちに起これば一番いいわけでありますが、だからこそ我々は、三本の矢によって、大胆な金融緩和だけではなくて、需要をつくるという意味において大胆な財政出動もしているわけでありますし、そしてまた、成長戦略を進めていくことによって生産性を上げていくということが給料を上げていく上においてもやはり大切であろう、こう思っております。
 ただ、今、企業の収益が上がった。第一次安倍政権のときにおいても企業の収益というのは空前の収益を上げたわけでありますが、残念ながらそれが十二分に賃金につながらなかったという反省も含めまして、今回は、政労使の懇談会を立ち上げましてお願いをしているわけであります。その中で、今度は初めてベアを検討するということが行われているわけであります。
 これは全くなかったことでありまして、例えば、私の地元において山口銀行という銀行があるんですが、ここが今度ベースアップをするんですね。しかし、ベースアップをしようと思ったら、今までのソフトがないんですよ。十数年ぶりだからもうソフトがなくなっていたんですが、まさにベースアップに取り組む。
 そういう動きが、全くなかったことが今起ころうとしているわけでありますから、この動きを我々はしっかりと後押ししていきたい、こう考えているところであります。
○古川(元)委員 そういうことですと、企業の中には、まだ将来先行きがなかなかわからないから一時金アップぐらいでという話が多いようにも聞こえるんですが、総理としては、賃金上昇、そして消費の拡大、そこにつなげていくためには、それはやはりベアが好ましいと考えているというふうに理解してよろしいですか。
○安倍内閣総理大臣 もちろん、今後、この水準等については労使間で決めていくことでありますが、要は、収入がふえていくということが実践されていくことが一番肝要なんだろう、このように思います。
○古川(元)委員 ただ、一時的に収入がふえても、またすぐ下がるかもしれないというのでは、なかなか消費がふえるということまでつながりませんよ。消費の拡大までいかなければ好循環というのは実現しないんじゃないですか。
 総理が考えていらっしゃる好循環を実現するためには、賃金が恒常的にふえて、そして実質所得がふえて、その分が消費に回る、消費が拡大して、それによってまた企業が収益を上げてと、その循環を実現したいというのが総理の認識ですよね。やはりそこまでいかなきゃいけないんじゃないですか。どうですか。
○安倍内閣総理大臣 昨年、私は、この場で、企業が賃金を上げていくことが望ましい、そういう中で例えば新浪さんのローソンが手を挙げてくれましたという話をしたら、これは民主党側から、そんなの一社しかないじゃないかという批判というか、やじがかかったんですが、しかし、今やまさに、経団連においても、そして商工会議所においても、しっかりとそれを検討していくということになったわけでありまして、地方においても、これは中小、小規模ではありませんが、それなりの企業は賃金を上げていく。
 そして、一時金じゃないかとおっしゃったけれども、しかし、一時金であっても、これは、下がるよりは上がった方がいいに決まっているじゃないですか。昨年の連合の調査に、連合の調査ですよ、連合の調査によれば、昨年の冬のボーナスは三万九千円上がったんですよ。これは、全然上がらなかったところから、上がるところまでまず来たんですよ。一回上がったってしようがないと言われるかもしれませんけれども、一回も上がらなかったら、もっとしようがないんですよ。
 ですから、まずはそういう循環をつくって、その中において、だめだ、だめだと言うのではなくて、我々も、今できることはみんながやろうと。長い間ずっと続いてきたんですから、十五年ぐらい続いてきたデフレから脱却するのはそう簡単なことではないですよ。
 それから脱却するためには政労使でそれぞれができることをしようということで、先般、合意に至ったわけでありまして、ここは、まずはデフレから脱却するために、我々もできることは全てやっていきたいし、また、経営者の皆さんも、好循環につなげていくためには、消費の拡大を目指す、そのためにはやはり賃金を引き上げていただくことが望ましい、こういう共通の理解を持っていただいた。そして、ぜひそれを実行していただきたい、こう願っているところでございます。
○古川(元)委員 私は何も、一回だけではしようがないなんと言っているわけじゃないんです。それは、上がった方がいいんです。ただ、好循環につなげていくためには、賃金上昇が将来にわたって続くような状況に持っていく、やはりそういう方向に努力していかないとなかなか消費の拡大とか好循環にいかないんじゃないですか、そこのところがこれから大事なことになるんですよということを指摘しているんですね。
 今また、総理がいみじくもおっしゃいましたけれども、中小企業までには行きませんがというお話がありましたが、今回の減税の恩恵は、要は、黒字の企業しか恩恵は受けられないわけでありますし、また、いろいろな税制措置、賃金を上げたりあるいは人を雇用したりしたら税制控除を受けられるのも、これもやはり黒字企業じゃないと恩恵を受けられない。中小企業の七割以上が赤字であって、しかも、中小企業に働いている人たちの数が、言えば、働く人の七割以上が中小零細企業で働いていらっしゃる。
 ですから、要は、総理がいつもおっしゃる、隅々まで景気回復の実感をと言うのであれば、中小企業で働いているような人たち、この人たちの賃金をどう上げていくか、ここについてはどのように考えていらっしゃるんですか。
○安倍内閣総理大臣 先般、これはNHKの調査なんでしょうけれども、見ておりましたら、経営者の意識調査で、経営者が、大企業の七割は賃上げを検討する、そして中小企業でも七割が検討する。残念ながら、なかなか収益が上がっていない中で難しいけれども、しかし、上げなければ人材が集まらない。
 失業率においても、三・七%に、四%からさらに先月失業率が改善をしたわけでありますし、有効求人倍率も、リーマン・ショック後については〇・四二倍だったものが、とうとう一倍になって、一・〇三倍に先月はなって、順調に改善をしているわけであります。
 つまり、労働市場がだんだんタイトになっていく中において、ある程度賃金において対応しないと人材を集めることができないという状況になっているわけであります。
 同時に、先ほども議論において申し上げたわけでありますが、我々は、復興特別法人税を一年前倒しして廃止します。当然、それによって収益が上がった企業においては、それを例えば下請企業に対する支払いにある程度ちゃんと結びつけていただくように、そういうお願いもしているわけでございます。
 そうした形で、この好循環が隅々まで、中小・小規模事業者にまでちゃんと及んでいくように、我々もやるべきことをやっていきたい、こう考えているところでございます。
○古川(元)委員 有効求人倍率も上がっているから、賃金を上げないとなかなか人が集まらない状況になってきている、それはそのとおりだと思います。
 しかし、中小零細企業は、例えば、大企業でもうかっているところで内部留保とかがあれば簡単に上げられるかもしれませんが、そもそも赤字でそういうもののないところは、経営者の立場からしたら、これは身を切って上げないと、とにかく人も集められないという状況ですね。ですから、働いている人としてはそれでいいかもしれませんけれども、中小零細企業の経営者の立場はどうなのか。
 私は、今の政府の政策などを見ていると、どうもまだやはり大企業とかに中心の政策になっていて、中小の、そういう人たちも賃金が上げやすいようなためにはどういう政策を打っていくか、やはりそこのところが足らないんじゃないか。この点は、またこれからの予算委員会でいろいろと議論していきたいと思っていますけれども、そのところはぜひやはり考えていただきたいと思います。
 次に、もう一つ、賃金が上がれば消費がふえるという話がありましたけれども、今、日本社会、団塊の世代の皆さん方も高齢者の領域に入ってきて、もちろん、そこに座っていらっしゃる皆さん方のように、六十五歳を過ぎていても元気でばりばり働いている方もたくさんいらっしゃいますけれども、そうじゃない方々もふえてきているわけですね。つまり、賃金をもらっていない、年金で生活をしている方々もふえてきているわけなんです。
 こういう方々にとってみると、賃上げというのは関係がないわけでありますし、むしろ、円安の影響で物価が上がってきている、そのことや、あるいは、昨年から年金額も減額になってきていますから、そういった意味では実質の所得が減ってきている。そういう状況の中で、こうした人たちの消費をどう喚起するかということも考えていかなければいけないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○甘利国務大臣 今回、消費税が上がるということ、全額社会保障の安定と充実に充てる、基礎年金の二分の一にするための費用、恒久財源、税源がなかった、それを今回手当てをするということは、年金受給者にとってみれば、年金が将来にわたって安定してくるという、いわゆる安心感につながる。よく民主党の先生方が、社会保障というのは将来の安心を培うことになるから、それが景気の後ろ盾になるとおっしゃっていたとおりのことになっていくかと思います。
 あわせて、消費税の影響を受ける年金生活者については、給付金ということも予算上立ててありますし、加えて、年金受給者の中にも余裕のある人は当然います。日本の個人金融資産の六割は高齢者の所有ということにもなっておりますから、そういう人たちに対して将来にわたっての安心感、安定感を与えるということは、消費を喚起するということにもなろうかと思っております。
 あわせて、先ほど、アベノミクスは株が上がって消費が云々というお話がありましたけれども、大事なことは、アベノミクスは何が一番大事だったかといいますと、デフレマインドを払拭したんですね。デフレマインドというのは、お金は使わない方が得という認識なんです。それを、デフレを脱却するということは、必要なものは今買った方が得だという認識に変えていった。ここが物すごく大きい消費効果になってきたんだというふうに思っております。
○古川(元)委員 これについても、また予算委員会が本格的に始まってきたら、いろいろ議論したいと思います。
 次に、ダボス会議でのスピーチについて、ちょっとお伺いしたいと思います。
 まず、総理、本当に、ダボス、お疲れさまでございました。
 日本の総理として今までダボスに行かれる総理は、大体週末を利用して飛んで行く、大体向こうに着くのが土曜日。ダボスというのは、総理がやられた冒頭の演説、あの日から、ここから始まって、翌日、翌々日の二日間ぐらいがメーンで、土曜日になるとかなり、土曜日も一応はやっていますけれども、もう帰っていく人も多い。
 そういった意味では、今、財務大臣はいらっしゃらなくなりましたけれども、多分、財務省なんかは国会をもっと早くやってというふうに言っていたんだと思いますが、そこを総理の御意思で、ここは行く、国会の開会をおくらせてでもということで冒頭でやられたということはよかったことだと、その点については大変私は敬意を表したいと思います。
 ただ、スピーチについては、ちょっといろいろと言いたいことがあります。
 まずお伺いしますが、これは先ほど塩崎委員からもお話がありましたけれども、世界に対して発信をした、そういった意味では国際公約というふうに考えてよろしいですか。
○安倍内閣総理大臣 当然、あそこで私が述べたことは、十分にこれは、官邸内においても政府内においても議論を重ねたことについて世界に対して発信をしたわけでございますから、そこで述べたことについて実現をしていくために全力を尽くしていきたい、こう考えているところでございます。
○古川(元)委員 では、そういう前提でちょっと聞かせていただきますけれども、かなり総理は思い切ったこと、ちょっと言い過ぎじゃないのということをおっしゃっているんですよね。
 例えば、とにかく、こんなことを言っていらっしゃるんですね。昨年終盤、大改革を幾つか決定しました、できるはずがない、そういう固定観念を打ち破りました。三つの例を挙げて、電力システム改革と、医療の話、特に再生医療の話ですね。それから米の減反の話であります。それを一つずつ挙げて、日本では久しく不可能だと言われてきたことですと。インポシブルと、大変お上手な英語でいらっしゃいましたけれども、強くおっしゃっていたんですけれども、そんなに、これまで誰もできなかった、それをやり遂げたんだというほどの中身なのかどうか。
 例えば、電力システム改革について見たら、これは、もともと我々の政権の中で、とにかく、あの原発事故を踏まえて、また成長戦略としても、発送電分離を含めた電力システム改革をやろうという方向性を決めて、それは安倍政権になっても基本的方向を引き継がれて決まった話であります。総理だけでやったというわけじゃない話です。また、再生医療についても、我々のときからも検討しながら、あるいは超党派の議員立法という形で決めた話。
 でも、この二つとも、まさにこれからどうやっていくかというので、これからきちんとやらないと、電力システム改革も本当にちゃんと、二〇二〇年、東京オリンピックのころに、自由な、完全な競争市場になっているかどうか。私は、この前通った法案、そしてこれから出てくる法案、よく中をチェックしていかないと、そうなるというふうにはまだまだ今の時点では言い切れないと思いますし、また、再生医療についても、さまざま、まだこれからこれを発展させるためには乗り越えていかなきゃいけない部分がある。ここまでやりましたよと言っていいのかなと思いました。
 ただ、これは前に進んでいるから、まあいいとしましょう。
 私が一番問題だと思ったのは、四十年以上続いてきた米の減反を廃止します、そうやって宣言をしたところなんです。
 これは、要は、減反廃止というふうに総理はちらちらいろいろなところで言ってはいますけれども、それだけすごいことであれば、農水省が出した「新たな農業・農村政策が始まります!!」、このパンフレットのやはり頭に、四十年続いた米の減反を廃止して、やめますとあってもいいものですが、どこにもないですね。
 要は、これは、今までの米の生産目標数量の配分をやめるというだけで、そんな、今まで誰もできなかったことというか、そもそもこれは林大臣も産業競争力会議ですかとかでも述べられているという話を聞いておりますけれども、今までも、もともと生産目標数量の配分というのは、事実上、もう別に義務でもないし、そういう状況になっていた。それをやめるだけだということで、そんな、誰もできなかったというか、できるはずがないと思っているということを実現しましたと言うほどの中身はとてもないんじゃないかと思いますが、どうですか、総理。
○安倍内閣総理大臣 物事には、政策にはいろいろな段階があるんだろうと思うんですが、まずプランを考える、成長戦略、さまざまな戦略、プランを考える、そしてそれを法案にする、さらにそれを実行していく、こういう三つの段階があると思うんですが、プランについては、確かに御党もプランとして考えておられたんだろう、類似点もあるんだろうということは認めます。
 しかし、成長戦略の多くはそうなんですが、みんなプランは考えるけれども、その次の、いわば閣議決定まで行ったって法律になっていないものは民主党政権だっていっぱいありましたよね。我々は、まずそれは法案化したんですから、さっきの電力の自由化についても。(古川(元)委員「米は」と呼ぶ)
 そして、お米についても、これは、いわば我々自由民主党というのは、多くは農村を基盤としている議員が多い政党でありますし、私のところもそうですよ。その中において、減反をやめるということについては、これはやはり大きな議論があったことでありますが、これはまさに党として決断をしたということであります。
○古川(元)委員 では、総理、そもそも、今まで減反というのは何のためにやってきたんですか。
○林国務大臣 時間があれば農水委員会でまたゆっくりやりたいと思いますが、まず、減反というのは、反を減らすと書きますから、狭義の意味では、米をもうつくるな、そこでできた米はもうつくらない、こういうこと。(古川(元)委員「何のためにやってきたかということ」と呼ぶ)これは、まさに生産と需給のバランスをとるためにやってきたわけです。その結果として価格が安定的に推移した。
 その後、これはちょっと細かい話になりますが、水田はフル活用しようということで、いろいろな転作支援もしながらやってきた。その間ずっと、今委員が御指摘になった生産数量目標の配分というのは続けてきたということでありまして、今回の見直しは、これなしでできるようにやっていこうという大きな転換をした、こういうことでございます。
○古川(元)委員 要は、減反というのは、米価を高く維持するためにやってきたんじゃないですか。だったら、減反廃止ということだったら、そういう米価は維持できなくなる。むしろ、総理が考えているような、みんなが、特に都市部の人たちとか、私なんかも最初聞いたときには、これでもう自由になって、米の価格がどんと落ちて、競争になって、そして、小さくてもうやらない人たちはむしろ大規模化、集約させる、そういう方向に進めるためなのかなと思ったんですけれども、どうも、中身を見てみると全然そうじゃないですよね。
 そういった意味でいうと、米価が完全にこれで下落して、そういうような状況というのは起きてくるんですか。どうですか。
○林国務大臣 需給のバランスと申し上げまして、古川委員も御案内だと思いますが、日本の米の需要、これはずっと減ってきております。今でも毎年八万トンずつぐらい減っております。
 ですから、これに合わせた供給をどうやっていくかということにずっと苦心してきたわけでございまして、それを、国がマクロで管理をする数量目標の配分から、こういうものに頼らずして需給がバランスするように、農家の自主的な経営判断によって需要に対応していこうという大きな転換をやったということでございますので、今までの政策が米価を高く維持するためだけであって、今後は、これをやめたので、下げるためにやる、こういう片面的な改革ではないということでございます。
○古川(元)委員 これは結局、やめるかわりに、やめるというか、調整をやって、ほかのもの、飼料米とかそういうところには補助金を出すわけじゃないですか。結局、それは名を変えた減反政策。
 実際でいうと、これはそんな、もし本当に総理が言うような、今までできなかったことをやったんですというふうになったら、それこそ、農協初め、大変な、むしろ旗のそういうのが起きたっておかしくない。それを乗り越えて決めたのならわかりますよ。誰も何もほとんど言っていないですよ、この話。農協さんだって、いや、これは別に減反廃止じゃないというふうに言っているわけでしょう。
 そういった意味では、減反廃止だなんて世界に対して言うというのは、かなりこれは大げさな表現を使っているとしか言いようがないと思いますけれども、どうですか、総理。
○安倍内閣総理大臣 それは、古川さんはそういうふうに受け取っておられるんだろうと思いますが、政府で決定した減反廃止というのは、今、林大臣から答弁させていただいたとおりであります。
○古川(元)委員 この話はまた別の機会にぜひゆっくりやらせていただきたいと思いますが、そういうかなり大げさな言葉を使っているなという部分はほかにもあるんですね。
 法人税の改革で、企業がためたキャッシュを設備投資、研究投資、賃金引き上げへ振り向けるための異次元の税制措置を断行しましたと。異次元の金融緩和の次は異次元の税制措置となるんですけれども、設備投資減税とか研究投資減税、あるいは賃金引き上げへ振り向けるための税額控除、この辺の制度というのは、基本的に今ある制度を拡充や延長した、そういった意味では、そんな異次元というほどの、異次元の金融緩和に比べたら、全然ちょっと、これは次元がそれこそ違うんだと思いますけれども、どこがこれは異次元なんですか。
○麻生国務大臣 異次元という言葉にえらくこだわっておられるようですが、何が一体そんなに問題なのかよくわからぬのです。
 少なくとも我々は二十六年度の税制改正において、今まで企業が、この数年間にわたって内部留保金が、昨年九月末で約三百六兆円の内部留保金がある。御存じでしょう。その内部留保金がじっとしているわけですよ。皆さん方の政権の間じゅう、ずっと動かなかった。どんどんどんどんたまったんだから。その間にたまっていた額はすごいものでしょうが。この二年間か三年間ですからね、これがたまったのは。そういった意味では、猛烈な勢いでたまった。そのお金がじっとしているわけですよ。
 配当するか、設備投資に回すか、賃金にするか、その三つに行かないでじっとしているのを動かすために何をするかといって、我々は、今、設備投資を国内でしていただければ即時償却を認めます。だって、これはすごいことじゃないですか。即時償却をさせてくれるんですよ。黒字の企業だけが優遇されているわけじゃありませんよ。全企業ですよ。
 そして、賃金を、そういうような税制を幾つもずっと言いましょうか。(古川(元)委員「いいです、いいです」と呼ぶ)言わなくていいでしょう。だから、わかりやすく説明してあげると聞かない。それで、異次元だけいちゃもんをつける。もうちょっと素直に聞いてください。
○古川(元)委員 どうも総理、言葉がかなり、海外へ行ってちょっと気持ちが大きくなっている部分があるかもしれませんけれども、米の減反廃止にしても、異次元の税制措置にしても、その看板と中身にかなり違いがあるんじゃないか。やはりそこのところは、私たちはしっかりこれからも指摘やチェックをしていきたいと思っています。
 次に、ちょっと時間がありませんので、TPPについて少しお伺いしたいと思います。
 まず、総理は、所信表明演説の中で、これは国家百年の計であると。ダボス会議においても、これは経済政策を支える主柱だと。経済政策の中で極めて重要なことだというふうに考えているようなんですけれども、そういう御認識はいつからお持ちになられたんですか。
○安倍内閣総理大臣 TPPについて議論がスタートしたとき、我々は野党でありまして、私は、残念ながら、余り発信力もないし、目立たない立場にいたんですが、その中にあっても、テレビ出演のあった機会においては、TPPについては基本的に議論に参加していくべきだということはずっと申し上げてまいりました。それこそがまさに、オープンな経済と社会をつくっていくことが日本の成長につながっていくということは一貫して申し上げてきたとおりであります。
○古川(元)委員 では、お聞きしますけれども、総理が総裁になって臨まれた一昨年の衆議院選挙の自民党の公約、どこにこのTPPが書かれているか、覚えていらっしゃいますか、総理。
○安倍内閣総理大臣 今急に言われたから、それはわかりませんが、しかし、そのときどうだったかということではなくて、皆さんは、結局、TPPの交渉には参加していないですよね。私たちは大きな決断をしてTPPの交渉には参加しましたし、私は、いわば聖域なき関税撤廃という前提条件ではないということを確認すれば交渉に参加するということは再三申し上げてきたとおりであります。
○古川(元)委員 それだけ大事なことであれば、最初に「経済を、取り戻す。」と、経済再生があるんです。私は、ここにあるかなと思ったんですよ。ないんです。どこにあるかと思ったら、「外交を、取り戻す。」の中の一番最後のところに一行だけ、「「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します。」。交渉に、前進というよりも、反対しますというのは、何かどちらかというと後ろ向きなようにも読めるんですよね。
 実際に自民党の議員の人たちは、TPPは反対ですみたいなことで選挙を戦ったわけであって、総理がそれほど国家百年の計とか経済政策の主柱だと言うんだったら、なぜ、御自分が総裁として臨まれた選挙のときに、経済再生のところに大きな柱としてもっとちゃんとTPPの話を載せなかったんですか。どうですか。
○安倍内閣総理大臣 自民党というのは大きな全国組織であります。その全国組織を一つの政策の方向に向けて率いていくのは大変なんですよ。ですが、御党はうまくいかなくて割れたじゃないですか、それで。それで、結局、何も結果を出していないんですよね。
 ですから、我々は、その中において十分な説明をしっかりとしながら、そして最終的には私がばちっと判断して、皆さんが従って、今まさに交渉について先導的な役割を担っているわけでありまして、古川さんが、一昨年の総選挙、皆さんが大敗した総選挙において、どこに書いてあるとかいう小さなことを言うよりも、皆さんがTPPについて何を考えているかということをここでおっしゃった方がいいと思いますよ。
○古川(元)委員 これは小さなことじゃないですよ、総理。TPPに参加するかどうかという話は、まさに前の総選挙の一つの大きな争点だったんですね。我々としては、これは推進をしていこうということで、ちゃんと野田政権の中でもやってきたわけです。
 私が言っているのは、総理が国家百年の計とか経済政策の主柱だとかいうことを言っていて、そこまで前から考えているのであれば、正々堂々とやはり、これはまさに選挙のときにきちんと、そんなこそっと外交の一番下のところに書くんじゃなくて、やはりちゃんと示すべきだったんじゃないですか。そこを私は問いたいんですよ。
○安倍内閣総理大臣 まさに昨年の、衆議院の選挙、そして二月に日米の首脳会談を行い、まさに公約を守れる、聖域なき関税撤廃ではないということを確認して交渉に参加するという判断をしました。そして、記者会見をして、国家百年の計だということを申し上げました。
 その上に立って、私たちは参議院で勝ったじゃありませんか。民意を得ているんですよ、その上において。そういう説明をした上において民意を得ているということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。
○古川(元)委員 説明をしているとおっしゃいましたが、このTPPに参加するに当たって、私は、総理が非常に大きな決断をされたにもかかわらず、きちんと国民に対して説明をしていないことがあると思います。それは何かといえば、アメリカとの並行協議の話です。
 私が担当大臣でした。我々が、最後、野田総理とも話をして、TPPに交渉参加表明をするかどうか、決断するかしないかで一番大きな障害になったのは、アメリカ側から、自動車、当時は自動車をやっていました、これを並行協議して、この結果については拘束力のあるようなものにしたい、それを受け入れなければ、幾ら日本が参加したいと言っても、アメリカとしてそれを受け入れることはできない、そういう話でした。
 しかし、私は、これは野田総理もそうでしたけれども、本来、自動車なんというのは、これはまさにTPPの場で、マルチのテーブルの場で協議するべき話であって、バイで話をする話ではないと。しかも、バイで話をしたその話が、これがまた拘束力を持つ。これは、我々、TPP、まさに二国間で、日米だけでやると交渉力とかそういうところで日本は押し込められるんじゃないか、そういうさまざま、それこそ皆さんからの御指摘もありました。
 そういうものを踏まえて、我々がマルチの場で、自分たちと利害の共有するような人たちとも協力して、我が国にとって最も国益に沿った、そしていい形の協議をしていくんだ、そういうことを言っていましたから、そのような形の並行協議、しかも拘束力があるような、そうしたものは受け入れられないと。だからこそ、我々、最終的にそこは参加表明という判断までいかなかったんです。
 総理はそれを、まさにこのまま拘束力あるものと。これは、並行協議の結果はカセットでそのまま入ってしまうわけですね、このTPPの結果の一つに。そういうものをどうしてそんなにやすやすと受け入れられたんですか。その理由をお話しください。
○茂木国務大臣 若干議論が極端な部分はあるかと思うんですけれども、例えばダボス会議。総理が冒頭出席されたんですけれども、土曜日もちゃんとやっていましたから。誰も人がいなくなったなんと言うのはおかしいですよ、やはり。正しい認識を言った方がいいですよ。私も一泊三日で土曜日だけ出ましたけれども、ジャパン・ランチもジャパン・セッションも今までになく盛況でした。(古川(元)委員「いや、そんなことはよくわかっています。私も評価しているんですよ」と呼ぶ)でも、それは、あなたが言っていることと違いますから。
 それから、並行協議があったから民主党がTPPに踏み切れなかった、それは多分違うと思いますよ、皆さんが見て。
 我々は並行協議は進めています。しかし、並行協議とTPP、これは同時決着です。並行協議だけ決着するということはありません。
 そこの中で、日本にとっては、KORUS、日韓のFTAより難しいんですよ。日本は関税がないんですから。アメリカだけが関税を持っている。そこの中でゼロ関税をとっていくということで、今、最終的な交渉を進めているところでありますけれども、その結果をきちんと出して、TPPもまとまる、こういう形になりましたら、そこの中に組み入れる、当然のことであります。
○古川(元)委員 そもそも、我が国は、米も含めて、農産物、センシティブ品目、全部これはテーブルにのっけているんですよ。
 本来であれば、当然、アメリカだって、自動車も含めてまずテーブルにのっけて、最終的にその取り扱いをどうするかについては、それは交渉の場で決める。そんな、バイで、並行協議でやる話じゃない、そういうものじゃないですか。これがもともとやはりTPP交渉の原則じゃないですか。
 ここの部分だけ、アメリカから言われたところだけ横に分けて、では、何でこっちは、日本の方は米とかそういったものを入れなかったんですか。やはりここの方が問題があると思いますよ。
○甘利国務大臣 御承知のように、TPPというのは、後から入ってくる国は既加盟国の全ての了承をとるということになっています。日本は、全部、了承をとりに回りました。アメリカは、この機会に懸案事項になっていることを協議したいということでありました。そこで、アメリカは自動車がセンシティビティー、日本は農産物ということでありました。
 アメリカも、関税を最終的に自動車についてゼロにする、その仕方の話なんですね。日本もセンシティビティーとして農産物がありますよと。そこがスタートしているから今の交渉があるんです。センシティビティーは、最終的に交渉の結果かち取るもの。アメリカもかち取るために今いろいろな努力をされているし、我々もしているというところであります。
○古川(元)委員 この問題はまたこれからやらせていただきたいと思います。時間ですから、終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。
○二階委員長 この際、篠原孝君から関連質疑の申し出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。篠原孝君。
○篠原委員 民主党の篠原孝でございます。
 米の生産調整廃止、TPPということで、私の前座を皆さんに務めていただいたような感じがするので、これから本格論戦をしたいと思います。けれども、農政は、通告を全然してありませんし、それでやったら私が一方的に話すことになりますからやめまして、通告してありますTPPについて、皆さんが自民党政権になってから始められたTPP交渉について、いろいろお伺いしたいと思います。
 まず、甘利大臣、病気が回復されて、おめでとうございました。論戦できて、楽しみにしておりました。
 これは何か、特定秘密保護法と軌を一にしているというわけじゃないんですけれども、その前から、秘密交渉だとかいうんですね。WTOの交渉とかそういうのと違ったわけですね。内容がさっぱりわからない。一年前、二年前ではTPPがどうかという本がいっぱい読まれたりしていたんですが、昨年は、ぱたっと読まれなくなってしまった。みんな、もう何をやっているかわからない。ふわっとしたことだけしかわからないんです。やはりよくないと思うんですよ。
 ほかの国を見ると、ほかの国もルールは守っているんです。交渉内容は言えないんですけれども、少なくとも、見ていますと、アメリカとかマレーシアとか、英語圏だからそこそこわかるんですが、自分の国がどういうスタンスでどういうことを主張していると。それに対して相手がこう言っている、ああ言っているというのは失礼だから言っていないんですが、そういうことは明確に言っているんですね。
 ところが、日本は、米や何かとかだめだ、それは公約があるから言っているというのはわかるんですけれども、総理がよくおっしゃっている言葉、日米共同で世界の共通のルールをつくっていくんだと。なかなか難しいと思いますけれどもね、私は。靖国神社なんか徹底的に違うわけですから。あんなもの、TPPでも議論すればいいと思うんです、だめだと思いますけれども。
 では、日本がどういうことを主張して、攻めるべきものは攻めると。どういうところを攻めているんでしょうか。日米共同作業で一体どういう成案が得られつつあるんでしょうか。そのぐらいは国民の前に明らかにしなかったら、TPPやっていきましょうという雰囲気にならないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○甘利国務大臣 各国が、今お話がありましたけれども、自分の主張についてはつぶさに報告をしているというお話ですけれども、それはないと思います。
 仮に、参加各国がそれぞれ自分の主張をつぶさにしていたら、各国のを全部あわせてくると全容がわかりますから、そんなことはないはずです。TPPに加盟をするときには、最後に秘密保持契約にサインをして、初めてそこからテキストにアクセスできるんです。それまではできません。ですから、約束を守るということを前提に行っているわけです。
 今、日本、アメリカ以外にも、当然、バイやプルリやマルチ、いろいろなレベルでやっていることは事実であります、水面下で。日米でやっていることは、日米が懸案事項を解決することがTPP全体の前進に極めて大きいかかわり合いがあるからということで、今やっているわけであります。
 攻めるは攻め、守りは守る。日本は、工業製品については関税がほぼゼロであります。農産物について守っている部分があるわけであります。ですから、ほぼゼロの部分については、相手に対しても同じような要求をしてくるし、あるいは、TPPではルールの分野が大きい分野になっています。政府調達であるとか、投資に対して内資と外資を差別しないとか、いろいろな、内外の投資に対してイコールフッティングを確立していく等々、そういうところについて日本はかなり強みを持っていますから、これは各国に対して攻め入っているところであります。
 同時に、センシティビティーとしてどうしても守らなくちゃならないこと、これは、衆参の農林水産委員会での決議もいただいております。国会の決議も受けとめながら、どうクリアしていくかということを、厳しい交渉をしているところであります。
○篠原委員 今、国民の皆さん、テレビを見ていて、ラジオを聞いていても、日本が何を主張して、どこで困っているかというのは余りよくわからないんじゃないかと思います。アメリカの状況は結構わかっているんですが、あちらの方がずっと情報公開が進んでいますから。
 私のところへ聞こえてきているのは、TPA、トレード・プロモーション・オーソリティー、これの授権がなかったら政府は交渉できない、それがなしでやっているわけですね。途中で追いかけて、議会が政府に交渉権限を与えなかったら、アメリカの政府は交渉できないんです。それがさっぱりうまくいっていないようなことが聞こえてくるんですね。
 これは大問題でして、どういうことかというと、政府が幾らTPPをまとめたって、アメリカ議会が、こんなもの知ったことかと。あちらの議員たちも怒り狂っているんです。日本の議員はおとなしいなと思っている。何もわからないのに、ぽっと来て、はい、認めてくださいと。アメリカの議員たちは怒って、百五十人の人たちが大統領に書簡を送って、秘密交渉というのはよくない、我々に今の交渉の状況を知らせろという書簡を送ったりしているんです。
 それにちゃんと応えないから、もうだめだぞ、このTPAは通さないぞということになっているというふうに聞いているんですけれども、岸田外務大臣、どのようにこの辺のところを承知しておられますでしょうか。
○岸田国務大臣 御指摘の貿易促進権限法案、TPA法案ですが、御案内のとおり、この法案、政府と議会のそれぞれに与えられた権限を踏まえつつ、外国政府との通商交渉合意を円滑に遂行するために設けられた制度ということで、かつてはファストトラックと言われ、二〇〇七年に、立法化された法案です。
 こうした交渉妥結へ向けた動きを促進するための法案を、一月九日、米国におきましては議会に法案提出が行われました。このこと自体が、米国が交渉妥結に向けて意欲を示している、こうしたことだと我々は感じておりますし、このことは歓迎したいと思っています。
 ただ、その後、一月十六日に上院財政委員会で公聴会は行われましたが、審議はこれからだと承知をしております。ぜひ、この審議の状況、そしてこのTPP交渉そのものへの影響、これにつきましては引き続き注視をしていかなければならないと認識をしております。
○篠原委員 年が明けてから、私、アメリカの議員、民主党二人、共和党二人の皆さんと一日ほど議論する機会がありました。この四人とも、声を大にして、我々に何も知らせていないし、TPPはどうも内容がおかしいし、TPAは絶対通さないと四人が断定していました。
 だから、フロマン代表も、甘利さんも大変だろうと思いますけれども、十二月には、相当強硬なことを言っていて、全然日本の言うことを聞かなかった。わからないですが、新聞報道で私は知るだけですけれども、甘利さんが相当でかい声で日本の主張をされた、だけれども、あちらはへのかっぱだ、へのかっぱか何かは知りませんけれども、聞かなかった。これはいかぬと思います。
 だけれども、よく見ていますと、アメリカが妥協をすれば十二月で妥結できたんですよ。それができない。なぜかというと、アメリカのプッシュしている医薬品業界、保険業界、農業界が、こんななまくらな妥協をしたら承知しないぞと言われている。議会からも言われている。困っちゃって、それだったらというので、アメリカが国際交渉でよくやる手なんですが、誰か悪者を探して、どこかが強硬に変な主張をしていたからこれはだめになった、そういう逃げの態勢に入っているんじゃないか。これは私の予測ですよ。結構当たるんですけれどもね。
 こういう気がするんですけれども、いかがでしょうか、担当大臣として。
○甘利国務大臣 結論からいいますと、アメリカは何とかまとめたいというふうに思っています。
 ただ、確かに、先ほど、TPA、大統領一括交渉権限について上院院内総務が反対だという情報が入ってきましたので、そのときには共和党も困ったものだなと思わず思いましたが、民主党ですと言われたのでちょっとびっくりしました。日本でいえば、石破幹事長が反対しているみたいな話になっちゃうものですから。ただ、それはやはり議院内閣制の国との違いが少しあるんだと思います。与党だから、野党だからまとまっているというのじゃなくて、それぞれ個々の意思があるということであります。
 あとは、政府の方が議会をどうまとめていくか。TPAがあれば、それは事は楽ですね、一括して認めるか、イエスかノーかですから。ただ、TPAに余り細かいことをいっぱい書かれ過ぎちゃうと、それが足かせになるということも当然あるかと思います。
 ですから、TPAがあった方がいいか、ない方がいいかというのは、一概にこっちの方が絶対ということでもないと思うんです。要は、十二カ国でまとまった内容をそれぞれの国が批准するのに、議会をどう説得するかということであります。
 日本も、まとまってから、では、それは議会が無条件にのむかといったら、それから先は政府と議会との交渉ということにも当然なってくることだというふうに思っています。
○篠原委員 この交渉には総理も深くかかわっておられます。去年の二月二十二日に、日米共同声明で、聖域なき関税撤廃というのは、聖域がないなんということはないんだ、あるんだというふうにして交渉が始まったわけです、三月、四月に。
 総理が意欲的なのはわかるんですが、古川さんがいろいろ言われましたが、何か大胆なことを言われ過ぎているんじゃないかと。僕はその一つに、日本には岩盤規制がある、それをこじあけるドリルの刃となるとおっしゃっているんです。私、これはいかがなものかと思うんです。
 どうしていかがなものかというと、菅総理が同じようにダボス会議や、その前も、一が、二が、よくわからなくて、あの定義、あれも何を言っているんだかよくわからなかったんですが、第三の開国とか突然言い出したわけですね。そのとき総理はまだ野党時代で、自分の国が開国していない、閉鎖的な国だなんて言うのがあるか、外交の基礎がわかっていないと。僕は、それはそのとおりだと思います。
 では、今、何ですか。自虐史観というのはいけないと言っておられるんですが、これは自虐規制史観ですよ。自分の国に規制がいっぱいあるんだと。フロマンならすぐ飛びつきますよ、その規制をみんな取っ払って、アメリカの企業に何でもやらせてくれと。僕は、これはよくないな、余りこういうことは外国に向かっていくべきじゃないと思いますけれどもね。
 これは、日本の中で努力してやっていく、日本の企業が何かの規制があってだったらわかる。外国に向けて、規制があるから、世界で一番企業活動のしやすい国にすると。それは、勝手に日本の企業を買収しまくって、そして労働者が多過ぎたら金銭解雇してという、そんなことを言っておられるんじゃないと思います。誤解を受けますから、そこはぜひ私は気をつけていただきたいと思うんです。
 ついでに言わせていただきますと、言葉をいろいろ、後で触れたいんですが、時間がなかったらやめますが、責任野党とか、へんちくりんなのが地球儀外交というもの。地球儀というのはグローブ。だから、僕なんかは冗談が好きだから、地球儀をぐるぐる回して、ぽっととまったところに、次、この国に行こうとか、そういうことかなと思っちゃいますよ。だから、そんな変な外交ではなく、ちゃんとしたことでやっていただきたいと思います。
 それで、資料を見ていただきたい。
 総理が一体TPPについてどうされるのかと国民は注視しているんです。物すごく農家は神経を研ぎ澄ませて、安倍総理の一言一言、甘利大臣の一言、林農林水産大臣の一言を気にしているんです。施政方針演説にTPPがどうやって書かれているかと見ています。アメリカのだって見ているんです。
 アメリカのオバマ大統領は急に腰砕けになりました。去年は年内に終了させるとか言っていたんですが、ふわっとしたものになっちゃいまして、向こうは語数で一・五%、安倍総理の施政方針演説は三百三十行のうち六行。日本の方が意欲的ですよ。アメリカのところに、交渉をリードするとは書いてないんですよね。総理の方が意欲的で、米国とともに交渉をリードしているという。
 ちょっと、この辺のところ、私はどういうふうになっているのかわからない。もっとかみ砕いて、この予算委員会の審議を通じて日本国民に、TPPをどうするのか伝えていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 まさに、TPPについては、成長センターであるアジア太平洋の活力を取り込んでいく、アジア太平洋に一つの大きな経済圏をつくる、これは大きなチャンスである、国家百年の計であるということを施政方針演説で申し上げているわけでありまして、これは、ただ物の関税だけではなくて、知的財産や、投資や、あるいはまた政府調達も含めて、人、物、金、知恵等が行き交う貿易圏をつくっていくということであります。
 その中におきまして、さまざまなルールにおいては、知財の問題もそうですが、環境もそうですが、政府調達もそうですが、日本というのはまさにある意味では優等生なんだろう、こう思うわけでございまして、その中において、日米というのは、ともにこの経済圏の中で第一位の経済大国と三番目の経済大国であり、そして、ともに自由と民主主義という基本的な価値を共有し、地域の安全保障においても同盟国としてお互いに責任を持っている国同士が、ここで経済においてより強い結びつきを持ちながらルールをつくっていくということは、さらなる、このTPPは、RCEPあるいはFTAAPへと発展していく上において、これは大きな基礎的なルールをつくっていくことにもなる。
 こういう考え方のもとに、日米において、現在もそうですが、協議をしながら、あるいは緊密な連携をとりながら、この交渉をリードしていきながら最終的に妥結を見ていきたい、こう考えているところであります。
 もちろん、日本も米国もそれぞれ国益がありますし、ぶつかり合う面もあるということではありますが、その中で何とか交渉をまとめるべく、甘利大臣も連日努力をしているところでございます。
○篠原委員 農家は、五品目をどうするんだ、ぐだぐだしているけれどもはっきり言ってくれということなんです。余りはっきりした答えが出ていませんけれども、よく考えて交渉していただきたいと思います。
 それから、これは後々の議論についてお願いです。
 甘利大臣からも、ちょっとさっきヒントがありました。私は、これは非常に国論が割れているのだと思います。徹底的に議論していけばいいんです。その点では、谷垣総裁のころに非常に建設的な意見をいただいているんです。これについては情報を、交渉の内容をちゃんと早く公開しろ、TPP特別委員会を早くつくるんだと。山口代表もずっと言い続けておられるんです。僕はこれをまずとっととすべきだと思うんです、わからないんだから。我々が議論して、我々がプレッシャーをかけている、我々が気にしているということが甘利さんを助けることになるんです。総理を助けることになるんです。
 それからもう一つ。びっくりした、民主党の院内総務が反対していると。
 あちらは、なぜかというと、二大政党制が確立していますから、党議拘束がないんです。イギリスは、先ほど、議院内閣制の国なんですが、五分の一ぐらいしか党議拘束がなくて、国際関係にかかわるのは、党の意見よりも、それぞれの議員の個人の考え方によるから、党議拘束を外すんです。
 私は、TPPこそ典型的な、党議拘束を外し、議論をして、そして採決していくべき問題だと思いますので、皆さん、このことを頭の中に入れておいていただきたいと思います。圧倒的な一強他弱と評される国会ですから、そういうことをされても十分大丈夫なんじゃないかと思いますので。
 それから、最後にちょっと、この関係なんですが、気になることがあります。
 国際何とか年というのがあります。私が農林水産副大臣をやったときは、国際森林年でした。前の年からイベントを考えて、どうやって日本の森林を大事にしていこうかと、イベントをいろいろつくりました。それから、その次の年は国際協同組合年でした。
 皆さん御存じないかと思いますが、ことしは国際家族農業年なんです。しかし、我が国の農政は、株式会社の農業への参入、農地改革、農協改革、世界の流れに逆行しているんです。だから、農林水産省は、私が聞いたところ、さっぱり何のイベントも用意していないし、大事にしていく気もないような気がするんです。
 これじゃだめなので、この点についてだけ、年頭ですけれども、大臣から、きちんと大事にしていくという答弁をいただきたいと思います。
○林国務大臣 委員がおっしゃったように、国際連合で、二〇一一年の国連総会におきまして、家族農業が持続可能な食料生産に果たす重要な役割を広く認識するために、二〇一四年、ことしを国際家族農業年、インターナショナル・イヤー・オブ・ファミリー・ファーミングに決定したところでございます。
 これを受けて、FAOが、加盟国、国際機関、関係団体等で構成する国際運営委員会を設置しまして、家族農業をテーマとした世界食料デー式典などの取り組みを行うことに既にしております。
 実は、一月十八日に、私もベルリン農業大臣サミットに出席してまいりましたが、その際に、私も、エンパワーリング・アグリカルチャーということで、この側面も発言をしてまいりましたが、閣僚コミュニケにもその旨の記述がありました。また、バイで会談したEUのチョロシュ農業農村開発担当委員とも、この家族農業の重要性に対する認識を共有してまいりました。
 もう御案内だと思いますが、食料・農業・農村基本法においても、農業経営の法人化とともに、家族農業経営の活性化を図る、こういうふうにされております。したがって、しっかりと、ことしはこういう年でもありますし、国際的な取り組みに積極的に参画してまいりたいと思っております。
○篠原委員 大臣、ちゃんとやってください。
 どうも見ていますと、産業競争力会議という、メンバーを見たら、財界の皆さんがいろいろ議論して農政に注文をつけている。農業関係者は一人も入っていない。これは、総理が非常に執心しておられます安保法制懇を、画家や文学者やそういう人たちばかりで議論して意見をもらっているような感じなので、専門家も入れなきゃだめですよ。そういうのに負けないように頑張ってください、私が全面的にバックアップしますから。
 次に、特定秘密保護法案の関係に入りたいと思います。
 これは先ほども議論をやっていましたけれども、国民の皆さんは何だかよくわからないんじゃないかと思います、どこに向かっているのか。
 森担当大臣に、非常に基本的なこと、常識的なことをお伺いしたいと思います。
 軍事、防衛というのは、機密になるのはわかっている。こういうものについて守らなくちゃいけないというのは、誰でもわかることなんです。
 では、お伺いしたいんですが、これは質問通告していないんですけれども、常識で答えられることですから。
 これから戦争を始めますと。十二月八日の三日前、十二月五日でもいいです。八月十五日の三日前、もう戦争が玉音放送で終わるとか、そういうようなこととか、あるいは戦争を始めた、終わった、こういった事実は特定秘密になるんでしょうか、ならないんでしょうか。
○森国務大臣 私は、戦争というのは二度と起こしてはならないと思っておりますので、これから戦争が起こるという前提での御質問には答えられません。
○篠原委員 過去のことです、当然。
○森国務大臣 特定秘密保護法案というのはこれからのことでございますので、過去のことは答えられないものであります。
○篠原委員 そういう答えじゃだめですね。議論をして、ここで皆さんに、国民の前にきちんとわかっていただくために、ちょうどいい機会なんですよ。何でそういう機会を利用されないんでしょうか。
 それでは、まことに済みませんけれども、ちょっと資料をごらんいただきたいと思います。資料の二ページ目、これは数分の話になりますけれども、聞いてみていただきたいんです。
 高社郷集団自決の経緯、これは皆さん御存じないかと思います。終戦の事実を告げられなかった悲劇。私の地元、高社山というところ、その人たちが満蒙開拓団というのに行きました。行って、満州の三大悲劇と言われているんですが、五百十四人の皆さんが集団自決をしました。
 この年表を、じっと私の話を聞きながら見ていただきたいんですが、八月十五日、終戦というのを入れてありません。なぜかというと、この人たちは知らなかったんです。ソ連の参戦も知らず、守ってくれている関東軍のところへ行ったら、もぬけの殻。そして、逃げて逃げていき、悲しいのはどこかというと、真ん中の辺、八月二十三日。二十四日の上です。高社郷の六百人は、他の団と意見を異にしと。
 どうやって意見を異にしたか。我々は軍民一体で戦うべきである、ここで徹底的に戦って、だめだったら自決しようということで、ほかの団の皆さんと違う行動をとるんです。体力のある人は出ろと。しかし、古幡副団長は、線を引っ張ってあります、「生きて辱めを受けるよりは、死して護国の礎となろう。」体力のある人は出ろと。
 五百十四人が、子供、女性、夫というか若い男はみんな召集されちゃって、ほとんどいなかったんです。
 一番下を見てください。九月。終戦を知っていたら絶対に自決をしないと。
 私は絶対必要だと思いますけれども、こういった、事実を国民に知らせないことについての規定も絶対必要じゃないかと思います。
 最近でいえば、SPEEDI、二カ月後に情報が知らされたとかなんです。私は、役人がどうこうとか新聞記者がどうこうというだけじゃなくて、国家がこんな重大な秘密を、秘密じゃないんですよ、公然たる事実です、それを知らせない、こんなことは法律できちんとしてもらわなくちゃいけないことなんです。(発言する者あり)違いますよ、何を言っているんですか。SPEEDIのことを言っているんじゃないですよ。
 いいですか、これは総理にもかかわることです。
 これは私の肉親なんかが行っているからわかるんですけれども、長野県がどうして行ったかというと、次のページを見てください、長野県が一番いっぱい行っているんですよ。真面目ですからね、国家の命令に対して。それで、寒いから、寒いところで、一番北の端に行ってもできるということで行くんですよ。一番いっぱい亡くなっている。
 それで、どうしたかというと、この人たち、こういったことはほとんど忘れられているんですよね。
 長野県には小林という人が、小林一等兵が、これはいけない、知っていると。かわいそうだから、ソ連も参戦しそうだ、もう終戦だ、もうそんな戦う必要ないんだと言っていったら、見てください、前のページ。八月二十五日に自決しているんですよ。
 「大地の子」の中の、皆さんもごらんになったかどうか、ソ連の飛行機が不時着するんです。彼らがこれをやっつけるんです。そして、報復を受けるんじゃないかということで、みんな自決するんです。まだ戦っていると。一緒に戦っていたんです。こういうことを考えていただきたい。
 そして、この農家の皆さんは、しまったと思っているんです。開拓だと思って行ったら、おかしい。畝がある。耕した跡がある。わかりますか。開墾だと思って行ったら、違うんです。あそこの人たちを蹴散らしていたんです。だから、この人たちこそ土地を奪った。なぜかというと、長野の二反歩、三反歩の百姓が行ったんです、農地を奪われることの切なさは一番よくわかっているんです。
 だから、侵略は、学者の考えることだとか、僕はそうは思いません。ほかのビジネスなら知りませんけれども、少なくとも満蒙開拓の農民は、絶対、同じ農民の土地を取り上げたということを知っているんです。
 だから、長野県の人たちは中国人に優しいんです。日中交流協会の活動が一番盛んです。だから、中国政府は、北京オリンピックのときに、長野を聖火リレーの地に選んでいるんです。そういうところなんです。よく考えていただきたいんです。
 こういったことについて、どうもこれは安倍さんの政治姿勢なんかに深くかかわることなんですね。関係者はほとんど亡くなってきて、慰霊碑もできずに、しようがないからというので、立派な人がいますから、阿智村という、私は北信ですけれども、南信の一番下の、南の方のところに、満蒙開拓の平和記念館というのができているんです。みんなボランティアです。
 こんなことこそ、国が、祭りますと、国が、済みませんと言うべきだと思うんです。捨てられているんです。
 こういうことについて総理はどういうふうに思われるでしょうか。私は、一度行っていただきたいと思います。考えてみていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 私は寡聞にして存じ上げなかったんですが、まさに、これはしっかりと、人々に終戦の事実を知らせていなかったということについては、これは大変な問題であったわけでありますし、そのことによって悲劇が起きたということは、我々、しっかりと肝に銘じなければならないんだろう、こう思う次第であります。
 そうした戦争の惨禍で人々が苦しむことがないような、そういう時代をつくっていかなければならない、こういう決意を新たにいたしておる次第でありますし、こうした悲劇で亡くなられた方々に対して、私も手を合わせていきたい、こう思っている次第でございます。
○篠原委員 森さん、もう答弁はいいですけれども、検討してください。国家が、重要な秘密、国民の生命にかかわる重要なことを知らせなかった、これもちゃんと罰せるような形にしてください。それがなかったら、どこかおかしいと思うんです。
 その長野県が、次のページを見ていただきたい。特定秘密保護法の成立後に廃止や慎重な対応を求める意見書を可決した地方議会、これは、下にありますように、東京新聞の記事です。
 これもちょっと嘆かわしいことなんですが、どういうふうにこういう意見書が来たかといって政府に要求していたんですが、政府が、これが特定秘密なのかどうか、私のところにはさっぱり持ってこないんです。そちらの資料でつくりたかったんですが、来ないのでしようがない、東京新聞のをかりて、そのまま出してあります。
 見ていただきたいんですが、県によってばらつきがあるんです。一番多いのは、圧倒的に長野県です。そして、二番目が北海道。そして、四角にやってあるもの、ここからは私がつくったものです。私の選挙区の市町村です。私の選挙区、十市町村なんですが、そのうちの九市町村が、おかしいと。
 何でこういうことを言ってくるんでしょうか。私のさっき言った話の延長線上にあるんです。秘密とかなんとかというのをやって、とんでもない目に遭った、また同じような社会になっていくのか、それは御免こうむるということなんです。
 だから、そういう人たちに不安をかき立てさせちゃ僕はいけないと思うんですよ。原発だけじゃないんです。TPPも不安なんです。こっちも不安なんです。
 これは、私の同僚議員の、立派な、尊敬される方が、篠原さん、立派です、働きかけたのかと。そんなことはしていません。逆ですね。こういう風土だから、私のような者が堂々と小選挙区で当選させてもらってくるんです。まあ、堂々は要りませんけれどもね。そういう相関関係にあるんですよ。おわかりいただけますかね。
 考えていただきたいんです、こういうことを真面目に。ゼロベースというのを、原発ゼロばかり言われていますけれども、この特定秘密保護法、本当に大事な法律だと思います、日本が国際社会においてちゃんと伍していくためには。ですけれども、余りにも粗っぽ過ぎる。だから、ゼロベースで議論し直すことを私は提案させていただきたいと思うんです。
 次に、もう一つのゼロベースの方の、原発と東京オリンピック。
 茂木大臣、余り長くないように、簡潔に。私、短い答弁でもよく理解できますので。
 二つ、原発だめだ、だめだと。さっきからの議論もあるんですよね、原発をとめているから、燃料をいっぱい、化石燃料を輸入して、そして貿易赤字になっている。もちろん、違う、円安とか海外に移転とかいろいろありましたけれども、それをやり玉に上げているんですよね、貿易赤字の原因だと。
 それから、これは絶対にちゃんと、立派な方ですし、余り否定するのもよくないかと思いますが、森東京オリンピック組織委員長は、原発ゼロだとオリンピックできない、オリンピックを返上しなければいけないと。これはちょっと言い過ぎですよ。森さん、非常に小ばなしの上手な方で、私はいい人だなとは思うんですけれども、いい人だからといって、それでほっておくわけにはいかないですよね。事実は違うのなら違う、そんなものじゃないということをちょっとお答えいただきたいんです。
 原発と貿易赤字、東京オリンピックの返上、こんなのに結びつけて原発だめだなんて言われるのはよくないんです。
○茂木国務大臣 オリンピックを返上したいと、ほかの方が対談の本の中で書いていらっしゃったのを拝見したことはありますけれども。
 エネルギーの需給というのは、例えば、二〇二〇年の夏の東京都、一地域一時点というよりも、中長期的に全国レベルで安定供給を図ることが極めて重要だと思っておりまして、エネルギー源、これは安定供給も必要です。コストも重要です。環境負荷も重要です。安全性も重要です。全てにおいてすぐれたエネルギー源というのは、残念ながらない。ですから、現実的にバランスのとれたエネルギー構成、こういったものを責任を持って我々としてはつくっていきたい。
 同時に、東京オリンピックに向けましては、エネルギー問題だけではなくて、都市の防災も含め、万全な準備でオリンピックに臨んでいきたい、そのように考えております。
○篠原委員 もう一回お答え願います。
 森組織委員長の、原発ゼロだとオリンピックを返上しなくちゃならないというのは、信じている人はそんなにいないと思いますけれども、そんなことはないんだと僕は思うんですが、専門家の大臣からびしっと言っていただきたいんです。単刀直入にお答えいただきたいと思います。
○茂木国務大臣 エネルギーの需給については、万全を期していきたい。ただ、現状におきまして、原発は稼働しておりませんが、例えば火力の定期点検、これを延長したり、そして老朽化した火力のたき増し等々を行っておりまして、電力の事情、需給の事情は予断を許すものではない、そんなふうに思っております。
○篠原委員 お答えがないようなので、私がかわりに申し上げますよ。そんなことはない。結びつけるのは私はよくないと思います。
 だったら、逆なんじゃないかと僕は思っているんです。どういうことかというと、総理が昨年IOCの総会に行かれて、また英語で演説されて、そして東京に決まってきたわけですけれども、そのときの外国人の記者団の質問は、放射能に汚染された水が漏れていたということもありますけれども、六人の外国人記者団のうち、四人が日本の原発についての質問で、東京と福島がすぐ近くだと思っているわけですね、日本は小さな国ですから。というので聞いている、心配している。
 これは、今のお話と同じなんじゃないかと思います。また大きな地震、あってほしくないと思いますよ、大きな地震があって、原発事故があったら、そのときこそ、私は東京オリンピックを返上しなくちゃならなくなるんじゃないかと思っています。だから心配しているんです。だから、そういうことも考えて、余り、オリンピックと原発とかを結びつけて何かやったりするのはよくないと思います。
 それから、さっき、一人当たり三万円とか茂木さんからありました。また長くなるのでやめておきますが、電気代が上がるとか、貿易赤字国への転落の原因は化石燃料の膨大な輸入だと。
 これはややこしいのでやめておきますけれども、資料を出してありますのでちょっと見ていただきたいんですが、総理もおっしゃっているんですが、最後のページのところ。これは、よく、二十七兆円、化石燃料を輸入していて、そして、先ほど三・六兆円、総合資源エネルギー調査会の昨年の数字ですけれども、三・六兆円多い多いと言っていますけれども、これは何かというと、この一番下の一〇年度との比較で見ますと、二・七兆円なんです。
 何でそうなっているかというと、原油のところが全然違うんですね。発電用の原油だけにすればいいんですが、何かそういうときは、都合よく、大変だと言うために、全体の石油、原油の輸入で、それがふえている、ふえていると言っているんです。これは正確さを欠くんです。
 国民にちゃんと情報を提供して、これだけになっていますというのは言っていいと思います。原発がなくなったら、これだけ化石燃料を輸入しなくちゃならないんですよと、それは言うべきだと思いますが、そこのときに、ガソリンをいっぱい使っていて、車を走らせているものまで一緒に使っているわけです。そういうことは私は絶対やめていただきたいと思います。
 この件に関して、また、済みませんけれども、総理の政治の問題なんですが、この前の御質問のときには余り触れなかったんですが、小泉元総理が原発だめだと言っておられる。困ると思いますよ、大恩ある先輩からそういうことを言われて。僕なんかは素直だから、ああいう人に聞かれたら、はいはいはいと言うことを聞いちゃうんですけれども、小泉さんは一体どういうことを考えてやられたか。
 済みません、さっきちょっと本を示すのを忘れちゃったので。「ノノさんになるんだよ」という、これはさっきの本なんですが、僕の本もちょっと持ってきているんです。
 小泉さんは、オンカロに行かれて、そして最終処分場、僕も環境委員の筆頭理事として行ったんですが、そこのところで見て、あんな小さな国があれだけ責任を持ってやっているとびっくり仰天して、日本はそれがないからだめだといって、突然言い出されたと皆さんは思っておられると思います。
 しかし、違うんですよ。二年前に、どこで聞いたのか、私が、原発だめだ、原発だけではないんですが、TPPもだめだといって、二つ本を書いたんですよ。そうしたら、TPPの方はどうも関心を持たれなかったようですけれども、原発だめだと僕が書いているということで、その本を読みたいと言っていた。二年前に、私のこの「原発廃止で世代責任を果たす」というのを、読みたいと言っておいて読んでおられないことはないですから、絶対読んでおられるんです。もうずっと原発がおかしいとお考えになっていたんです。
 そして、老骨にむち打って、それは細川さんも同じだと思いますよ。今の経済が大事だなんというのは、構造改革、構造改革といって、日本を元気にしなくちゃとやってこられた総理ですから、おわかりになっているのは当たり前です。しかし、そうじゃないんじゃないかと。このままいったら、原発を持っていることこそ、日本が潰れるもとになるんじゃないか、東京オリンピックもやれなくなるんじゃないか、そういうことをお考えになったんじゃないかと私は思うんです。それで、小泉さんが目をおかけになった安倍さんに忠告されているんです。
 私は、これは、聞くなりというか、盲目的に聞く必要はないですけれども、そこのところを考えて、少しは政策変更していただいてもいいんじゃないかと思います。
 小泉さんは安倍さんを相当買って、こんなことを言うとなんですけれども、さっき、一番最初の野田さんが、同期生だと。よく見てみましたら、自民党の、ほかの党のことで済みませんけれども、日本国民として言わせていただきますと、ちゃんと下地がないといけない、経験を積んだ人ということで、自民党の総理・総裁というのは、当選十回前後で、閣僚を三回、そのうち一回は財務大臣、党の三役も一回。この基準をクリアされているのは、麻生さんと谷垣さんと、そんなにいないわけですね。安倍さんは当選回数がちょっと少なかった。しかし、安倍さんの才能を見込んだんです。そして、やられた。だから、安倍さんに期待しておられるんです。
 私はそれに報いるべきだと思うんです。まさに長幼の序を重んじられる、日本の伝統を重んじられる、安倍さんはそういうことをしていただくのじゃないかと……(発言する者あり)余計なことを言わないでください。やめさせてください、これだけ真剣に議論をしているのに。
 ちょっとこの点について、日本の国をどういう方向に持っていくかという、非常に分かれ目だと私は思うんです。今のこと、それも大事なんです。しかし、将来のことを考えて、新しく技術開発していったりした方がいいんじゃないか。イノベーションは幾らでも日本人はできるんです。やればできるというのは、ここでもできるんですから。
 この点について、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 尊敬する篠原委員の本が小泉元総理に影響を与えていたというのは今初めて承知をした次第でございますが、私にとっては、政治の師というのは、小泉さんもそうでありますが、同時に、森先生もそうでありまして、お二人に私は官房副長官としてお仕えをさせていただきまして、お二人の指導によって今の自分はある、こう思っているところでございます。
 今、原発については、それぞれ御主張が全然違うわけでございますが、ただ、もちろん、小泉元総理がおっしゃっているように、しっかりと省エネを進めていく、東京の省エネを進めていく、世界に冠たる省エネ都市にしていくというのは方向も同じでございますし、また、最終処分場については、まさに政治の責任において、我々がもっと前面に出て決めていかなければならない問題だろう、こう思っている次第でございます。
 同時に、エネルギー政策においては、まさに日本は、多くの化石燃料を中東地域に負っているわけでございまして、先ほど輸入の価格の問題についての議論をいたしましたが、同時に、中東というのはやはり政治的にも不安定な地域でありまして、何か事が起こったときに、ほとんど中東によっている日本にあっては、まさに経済が大変な事態に陥る危険性があるわけでございます。
 そういう中において、エネルギーにおいては、先ほど茂木大臣が答弁をいたしましたように、エネルギーミックスを、ベストなものをつくっていく、多様化していくことも大切であるわけでありまして、もちろん、この三年間にしっかりと再生可能エネルギーにも力を入れていく考えでございます。
 そこで、間違いなく、そうしたものが原発を代替していくという確証を得ることができなければ、それは、それをやめるというわけには、私は責任ある立場としては言えないわけでございまして、これからも、この課題、さまざまな課題があるわけでありますから、そうした課題について向き合いながら、我々は、低廉で安定的なエネルギー供給、そして、なるべく自前なものをふやしていく、そういう観点も入れながら、原発依存度をできる限り低減していきながら、エネルギーのベストミックスを目指していきたい、こう思っているところでございます。
○篠原委員 常識的な線でいいんだろうと思います。
 二人の師と言われましたけれども、これについてはいろいろお考えがあると思います。
 しかし、前のときに申し上げました。私は、日本国民のことを考え、日本の美しい国土をちゃんと守っていきたい、それを前面に押し出したら、今すぐというのは、それは極論だと思います、じゃんじゃんつくるというのも極論だと思います、ですけれども、なるべく安全なエネルギーにかえていくというのは当たり前の話で、そういう方向をきちんと打ち出されれば、日本国民も皆安心するんじゃないかと私は思います。
 どうも、それを、再稼働とかいって、何か外国に輸出とかいうのもあって、何かそっちの方に、逆の方向にだけ走っているような気がするので、皆さん、ぎょっとして、それじゃだめだと言うんですよね。だから、その辺のところをぜひ考えていただきたいと思います。
 最後に、またさっきの言葉の問題ですが、責任野党という言葉が出てまいりました。手前みそになりますが、この「世代責任を果たす」。おわかりになりますね。我々の世代のことばかり考えているんじゃなくて、次の世代のことを考える。本のタイトルにこれを使われたのは初めてだそうです、知りませんでしたけれども。責任というのは大事だと思いますけれども、私は、責任という言葉は、野党よりも責任与党の方に使われるべきだと思います。
 ただ、責任野党というのは、僕は、十年以上、十七、八年前からよく聞いていたことがあるんです。誰から聞いたかというと、羽田孜さんからなんです。ぴんとこられる方はおられますかね。羽田さんのおっしゃっている責任野党というのは、ちゃんと政権交代の受け皿になれる野党ということを言っておられたんですよ。
 どうも安倍さんは違って、何でも反対ではなく建設的な提案をしてくれる、これを責任野党だと。野党なんて、それは万年野党というふうによく使われますけれども、野党はしょせん野党ですよ。それは、だめならだめとわあわあ言ったり、言い過ぎたっていいんですよ、と思いますけれどもね。与党こそ責任を持っていただかなくちゃいけないと思うんですよ。だから、私は、ちょっと、責任野党論が走って、何かそういうふうにやって、みんな仲よくというのは違うと思います。
 責任与党として、むしろ私は、与党こそ野党のいろいろな意見を聞いて、いいところは聞いて取り入れていくという、責任野党論が急にこの代表質問の中で出てきましたので、それにかわって、責任与党の立場というのを考えてやられることをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
    ―――――――――――――
○二階委員長 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長福岡徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○二階委員長 この際、原口一博君から関連質疑の申し出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。原口一博君。
○原口委員 民主党の原口一博でございます。
 きょうは、放送、表現の自由、報道の自由ということで、特に、この補正予算にはコンテンツの国際流通促進の施策がございます。また、この国会に、政府として、放送法の改正案、これも安倍総理、考えておられるようでございますが、公共放送そのものの信頼といったことについても多くの国民の声が寄せられておりますので、NHK会長を中心に、きょうは、総務大臣とも議論を交わす予定でしたが、インフルエンザで急に来られないということで、例外的に事務方からお話を聞きますが、簡潔にお願いをしたいというふうに思います。
 まず、NHKの会長、御苦労さまでございます。一週間前に就任のお祝いをしたばかりでございまして、きょう、会見全体のことについては後で聞きますので、手短に、放送法に関連することのみをお答えいただければというふうに思います。
 会長は、一月二十五日の就任会見で、放送法を真に理解するということがNHKの使命だと言われながら、しかし、実際にはどこまで御理解されているか。
 委員長初め皆さんにお礼を申し上げたいと思います。メディアで出ていたものとは違う、実際の会見録が全部出ました。ですから、一部を見て何かを批判するというんじゃなくて、私、これをきのう読んで、それまでは、いや、多くの会見にあるように、部分的に見られた誤解なんだろうなと思っていました。
 ですから、きょうは、私は、従軍慰安婦や、そういった個人としての発言については問いません。放送法についてだけ、そこに絞って聞きますので、よろしくお願いいたします。
 まず、NHK放送番組の編集権はどなたが持っているのか、会長に伺いたいと思います。
○籾井参考人 会長が持っております。
○原口委員 ありがとうございます。
 NHKの放送番組の編集権は、責任ある編集権を総括する会長にあるわけであります。制度上、放送局としての公共放送の編集権を持っているのは会長ただ一人であります。
 しかし、この会見の中で、これは放送法の第一条、第四条です。
 事務方に伺いたいと思います。副大臣がお見えであれば副大臣でも大丈夫ですけれども。この第四条については、特に、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と書いてあります。この四条と一条の関係について、副大臣、簡潔にお答えください。
○上川副大臣 新藤大臣がA型のインフルエンザということでございまして、私がかわりに答弁をさせていただきたいと存じます。
 御質問の放送法の第一条でございますが、まさに放送法の目的規定でございます。一つ、放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること、二つ、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること、三、放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすることという放送法の大原則を掲げているところでございます。
 第四条につきましては、この第一条の目的を具体化する規定の一つでございまして、放送番組の編集に当たり放送事業者が遵守すべき事項といたしまして、公安及び善良な風俗を害しないこと、二つ、政治的に公平であること、三つ、報道は真実を曲げないですること、四つ、意見が対立している問題につきましては、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることと規定しているところでございます。
○原口委員 条文を逐一読んでいただいて、ありがとうございます。私は四条と一条の関係について問うたわけですが。
 つまり、この四条は、国民の知る権利、それから、民主主義を健全に育み、多様な意見を日本放送協会が自律的にしっかりと国民に届けていく。
 この放送法の条文とともに、これまでの受信料の推移を、総理、ごらんになってください。
 NHKが、国営放送でなくて、なぜ公共放送なのか。きょうは、会長に問われているのはそこだと思うんですね。
 不祥事がありました。国民の皆さんはNHKに対して大きな不信を抱きました。私たちは、もう与党、野党を問わず、この信頼回復に努めてきたわけです。そして、やっと、遅々とでありますけれども、七四%まで来ました。今、放送と通信の融合で、次にはこの受信料そのものについてのあり方も考え直さなきゃいけない、そういうときに来ているわけです。
 さてそこで、会見の中身について一つずつ聞きたいと思います。
 特定秘密保護法についてです。
 特定秘密保護法については、きょうもこの予算委員会でいろいろな議論がありました。安倍総理としても、これは通ったから終わりではなくて、この後、国会の監視機能やさまざまな議論を与野党通じていいものに仕上げていく、これが立場だと思いますが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 この特定秘密保護法については、重層的なチェックの仕組みをまさにこれからつくっていくわけでありますし、同時に、今、委員が御指摘になったように、国会における監視をどうしていくかということについて国会において御議論をいただきたい、このように思っております。
○原口委員 それは正しい姿勢だと思います。
 しかし、それを伝える場の、今おっしゃいました編集権をお持ちの籾井会長は、どのようにこれを伝えるかと聞かれて、「まぁ、一応通っちゃったんでですね。もう言ってもしょうがないのではないかと思うんですけれども」と。いろいろな特集番組で幅広い意見の検証や問題点の追及をもっとした方がいいのではないかという記者の問いに対して、必要とあればやりますけれども、必要だと思わないのでやらないという趣旨のことをおっしゃっています。
 これは、今、上川副大臣が条文をお述べになりましたけれども、放送法第四条、幅広い意見をNHK、公共放送がしっかりと国民に届けるというその原理原則、そこが民主主義の基本なんです。私たちがどういう立場にあるかということではなくて、政府の御用放送ではなくて、あるいは政府の広報放送ではなくて、自律的にさまざまな問題について国民に届けるというのがNHKではないんでしょうか。
 あなたは、もうこの段階で放送法第四条の趣旨に大きく反する御発言をされているのではないか、そう思料しますが、御見解を伺います。
○籾井参考人 先日の会見におきまして、私は、個人の発言と断った上でお答えした部分については、きょうは会長の立場として参っておりますので、その場では、会長として来ておりますが、会長としての会見の場との指摘を受けまして、その日には、その場で取り消したわけでございます。
 本当に、皆さんに誤解と御迷惑をおかけしまして、まことに申しわけなく思っております。
○原口委員 籾井会長、よく質問を聞いてください。初めて国会で答弁をしなきゃいけないので、私も、総務省が所管する人間、会長を一方的に何か責めてという気持ちは持っていないんです。
 しかし、これは個人として言った言葉ではないでしょう。あなたが個人的見解と断られたのは従軍慰安婦のことで、きょうは私はそこには触れない。安倍総理ともまだ若いころからずっとこのことは議論しました。そこは触れないと言っているんです。
 ところが、あなたは、先ほどおっしゃったように、唯一の、編集方針、その責任、編集権を持つNHKの会長として、こういうものはやらない、通っちゃったものはしようがないとおっしゃっているから聞いているわけです。
 放送法第四条に反しているじゃないですか。そうじゃないと言うのであれば、そうじゃないということを、この公共放送をごらんになっている方々にわかるように伝えてください。あなたの弁明の場を私は用意しているんです。
○籾井参考人 先ほども申しましたけれども、私は、本当に、記者会見におきまして、私的なコメントはずっと差し控えてまいりました。ところが、何回も質問されたところで、ついに私としましては、コメントを差し控えたんですが、何回も聞かれましたので、私は私見と断りました。
 先ほども言いましたけれども、これは会長の会見だから私見は通らない、こう申されたので、私は全部を取り消したわけでございます。
 私が会見に、初めてこういう場に立ちまして、非常にふなれであったこと、これはまことに申しわけなく思っておりますが、今後は、本当に、NHKのトップとしまして、公共放送のトップとして、放送法に基づきまして職責を全うしてまいりたいと思います。(発言する者あり)
○原口委員 後ろでわかったと言う人がいますけれども、本当にそんなことでいいんですか。このままこの方針が編集権として通れば、多様な意見は言えませんよ。そして、NHKの記者の人たちは、ジャーナリズムというのは一体何なんですか、抑圧というか、抑制的になるでしょう。
 これも私的な意見ですか。あなたは編集方針をNHKの会長として聞かれてこう答えておられるんですよ。
 では、これが私的な意見だったかどうかだけをお答えください。つまり、「まぁ、一応通っちゃったんで」という、この特定秘密保護法についての考え方、報道についてのあなたの報道方針、編集権の行使の仕方を明確におっしゃっているけれども、私は、これは放送法第四条に明確に違反する、そう思わざるを得ないので、きょうここであなたにお見えいただいているわけです。
 これは私的な意見であって、あなたの編集権の行使の理念とか姿勢とは関係ない、そうおっしゃるわけですか。
○籾井参考人 記者会見におきます私の意見は、私的なコメントでございます。
 もう一つ、何だったですかね。
○原口委員 総理、今ごらんいただいて、個別の報道機関に対しての意見を私は総理に求める気はありませんが、NHKの会長が就任会見で、それこそジャーナリズムの一つの柱である私たちの公共放送の、まさに民主主義の基本を形成する大事な国民のインフラのトップである会長が、私的な意見をずっと言ったというわけですか。
 そうすると、これもそうですか。靖国参拝についてです。
 これは、靖国参拝の是非をここで言っているんじゃありません。私自身もその会に入っています。ですから、そこに触れるんじゃありません。しかし、「どうだこうだというつもりもないですよ。ただ淡々と、総理は靖国に参拝されました、と言うだけでしょう。ピリオドでしょう」ということは、これから、公共放送では、靖国神社参拝については、安倍総理がこれから行かれるかどうかわからないけれども、それを報道して、それで終わりだということをあなたはここでおっしゃっているんですよ。
 靖国の問題については、私たちのように尊崇の念を抱いて、そこに行った方がいいという人も、そうじゃないという人もいます。裁判において、最高裁でも何回も議論されてきました。そのことをあなたは伝えないということをここではっきり言っているじゃないですか。これは放送法第四条の、先ほど上川副大臣が読んだことに真っ向から反しているんじゃないですか。
 あなたは、私的な意見と言って、この真っ向から反することも、それで責任が阻却されるというふうにお思いですか。お答えください。
○籾井参考人 NHKとしましては、あくまでも、放送法に基づきまして、不偏不党、公平公正、表現の自由などの原則を守って放送していくことに変わりはございません。
 私の個人的な意見を、あるいは個人的な見解を放送に反映させることはございません。
 放送法第四条やNHKの国内番組基準により、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱って放送を行ってまいります。
 放送法の原点をしっかり踏まえ、取り組んでいきたいと思います。
○原口委員 それを言い続けても、あなたがおっしゃったことを、さっきなぜ冒頭に聞いたかというと、編集権を持っているのはあなた一人なんですよ。そのあなたがその方針を聞かれて、私的な意見を言いました。あれは、では、これも撤回されるわけですか。撤回するわけですか。
 きのう、NHKの皆さんとのレクでは、あなたに確認をしていただいて、従軍慰安婦発言については撤回するということでした。まあ、一回撤回して、それで何か済むという話では私はないと思うけれども。個人的な見解で通るわけないじゃないか。それは、会長、よくお考えください。
 番組編集権についてもおっしゃっているじゃないですか。「最終的には会長が決めるわけですから」「そういう問題については、ちゃんと、きちんと私の了解をとってもらわなきゃ困る」、これはある意味正論ですよ、会長。会長に責任がありますから。
 ですから、ガバナンスの責任の中心は自分にあるということを片っ方でおっしゃりながら、そしてほかは私的な意見だったというのは、これをごらんになっている皆さんは納得いくでしょうか。私は、このことが不問に付されるということはあってはならないのではないかと思います。
 それで、経営委員長、きょうお見えいただいています。新聞には、安倍総理の任命責任を私が厳しく問うと書いてありましたけれども、私はそれだけではないと思っているんです。今の経営委員を選んだ責任は私にもあるからです。私たちの政権のときにお願いをしました。
 ですから、経営委員長に伺います。
 一月二十八日の経営委員会で御意見をおっしゃっていると思います。それは何に対しての御意見であって、ある意味非常に異例な御意見だったと思いますが、会長のこの会見について何をおっしゃったのか、伺いたいと思います。
○浜田参考人 お答えいたします。
 会長には、公共放送であるNHKのトップの立場にある会長が、議論が複数ある事項について個人的見解を述べたことは、公共放送のトップとして立場を軽んじた行為であると言わざるを得ないこと、また、改めて御自身の置かれた立場を十分に御理解いただきたいこと、そして、しっかり説明責任を果たし、執行部一丸となり、総力を挙げて事態の収拾に取り組んでいただくこと、それから、会長が再三再四発言されているとおり、不偏不党、公正公平の理念を改めて御認識いただき、放送法の趣旨にのっとり職務を遂行していただくよう、強く要請をいたしました。
 また、あわせて、国民・視聴者の皆様に対して、今回の事態につきましては、経営委員長として遺憾であると申し上げました。
○原口委員 会長に再度伺います。
 今回の補正予算の中に入っている国際放送についてもおっしゃっていますね。「政府が右と言っているものを我々が左と言う訳には行かないと」。これは、自民党さんや私たちとの間で放送法を改正しました。ですから、政府の立場や日本国の立場を正しく伝えるというのは、NHKの一つの大きなミッションです。ある意味では半分正しいと言えましょう。
 しかし、NHKはそれだけじゃないんですよ。あの放送法の中には、要請放送というのを私たちは入れさせていただいたけれども、それについて、会長、NHKはそれを受ける義務がありますか、それとも努力義務ですか。お答えください。(籾井参考人「ちょっともう一回」と呼ぶ)
 放送法の解釈について伺っています。
 あなたは、「政府が右と言っているものを我々が左と言う訳には行かないと」。ここまで言い切っておられる。しかし、放送法は、それをあなた方に求めているだけではないんです。NHKの自律も求めているんですよ。
 私が答えを申し上げるわけにはいかないので、ちゃんとレクをしていますので、お答えください。
○籾井参考人 要請放送につきましては、我々は、いろいろ吟味した上でお受けする義務といいましょうか、必要があると思っております。
 国際放送につきましても、私どもは、NHKの国際番組基準というものに照らし合わせて放送をしているし、また、今後も続けていく所存でございます。
 右とか左とか言ったのは、これはちょっと、赤と白と置きかえていただければ、たまたま、右と左と若干誤解を招くような表現になったので、それはそういうふうに御理解いただければよろしいかと思います。
○原口委員 右と左、赤と白かは、ちょっと私には意味がよくわからないんですけれども。
 何をここで私たちが議論をしたかというと、会長、たとえ政府が要請をしても、NHKは、さっき義務があるとおっしゃいましたけれども、これは努力義務なんです。私たちが政府にいたときも、努力をしてほしいけれども、だけれども、NHKが、幾ら政府が言うことでも、違うと思ったらはねのけることができるんですよ。それは、言論の自由や表現の自由を守るNHKの自律性として法の中に残しているんです。今、非常に不完全な、義務があるというお答えになったというのは残念です。
 私は、今これをごらんになっている方々が何を懸念されているかというと、NHKが御用メディア化して、政府の広報化してしまうのではないか。それは、安倍政権にとっても私たちにとっても、決していいことじゃない。安倍総理だってそんなことを望んでおられませんよね。正しい批判勢力があり、民主主義も、多数決だけれども少数意見を尊重して、それをちゃんと伝えることがNHKの使命なんじゃないんですか。報道の使命とは何だと思っておられますか。
 再度伺いますが、この右と左、赤と白というのも会長の個人的な御見解だったわけですか。これも取り消されますか。
○籾井参考人 先ほどから、放送法にのっとって誠心誠意放送していくということは申し上げておりますが、第四条の第四号、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という項目がございますが、私どもは、その点に立ちまして、今、委員が御指摘になりましたように、いろいろな観点から放送を続けてまいりたいというふうに思っております。
○原口委員 経営委員長に伺います。
 十二月二十日の籾井会長の選任を決めた経営委員会の議事録を拝見すると、十二名の委員のうち五名が、会長の、当時は候補ですけれども、御発言の仕方やその内容についての意見を表明されています。安倍首相が私たちに年末に提案された方々からの御意見は、懸念というものは全くありませんでした。
 経営委員長に伺いますが、今回、経営委員会での議論の中で、まさに会長が会見でおっしゃっている、私たちも言論の自由、報道の自由、公共放送を守るために柱としてきたこの放送法との関係で、今回の会長の御発言について御議論があったかどうか、そのことについて教えてください。
○浜田参考人 議論は若干ありました。
 ただ、私どもとしては、そういうものを踏まえても、現会長が適任であるという判断をいたしました。
○原口委員 私がお願いした方ですから、更問いをするのは私自身に返ってくる話ですけれども、本当にそれでいいですか。
 経営委員会は監査委員会を持っていますね。その中で、放送法についてのきっちりとしたチェックをすべきだったんじゃないですか。いや、これからでも遅くない、やるべきじゃないでしょうか。
 これだけ大きな国の、しかも民主主義の先進国の公共放送のトップの発言というのは取り消せません。そして、これが編集方針だと。今、私的な会見であって取り消すと言われても、失墜した信頼はそう簡単に戻りません。
 私は、大変残念ですが、会長、放送法をしっかりと御理解されて、そして御自身の御判断を、賢明な御判断をされることを求めます。
 第一条についても、不偏不党、政治的公平、多様な角度からと。主張の中身を見ると、安倍政権のなさっていることと同じようなことをおっしゃる。それはやはりいかがなものかというふうに思います。不偏不党でないという証明も、私的な会見であったということで取り消されるわけでしょうか。
 安倍総理に伺います。
 私は、言論界において多様な意見があるというのは民主主義の基本だと思います。物言えば唇寒し。民主党の時代はどうだった、古い自民党の時代はどうだったといって足を引っ張り合う、もうそれはやめましょう。
 安倍総理が任命された経営委員の中の御発言も、総理、聞いておられますか。どことかの新聞に経営委員会の中身が出て、そして、それは漏らす人間、スパイがいたんじゃないかとか、あるいは、誰が籾井会長の悪口を経営委員会で言っているかこれから見に行ってやるとか。
 それは、経営委員としての品位に、あるいは限度を超えたものについては、やはり私たちはみずからの任命責任を感じなきゃいけないというふうに思うんですが、総理の見解を伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 私は一々経営委員の発言を見ているわけではありません。いわば経営委員としてお願いをした以上、お任せをしているということでございますし、それこそ、私が経営委員にさまざまな指示をするべきではない、このように思っているところでございます。
○原口委員 経営委員会には、放送法第五十五条の会長の罷免規定がございますね。お答えください。
○福岡政府参考人 お答えをいたします。
 放送法第五十五条におきまして、委員御指摘のとおり、経営委員会は、会長が職務の執行の任にたえないと認めるとき、または会長に職務上の義務違反その他会長たるに適しない非行があると認めるときは、これを罷免することができるという規定はございます。
○原口委員 一方で、総理、私たちは、この経営委員については国会の同意人事ですね。そして、この経営委員を罷免する権限、これは誰にありますか。
○福岡政府参考人 経営委員を罷免する権限は、内閣総理大臣にございます。
○二階委員長 ちょっと、はっきり言ってください。答弁。何を言っているか、ごちゃごちゃ言っていないで、はっきり言いなさい。
○福岡政府参考人 内閣総理大臣にございます。
○原口委員 これで終わりにしますが、内閣総理大臣にあるんです。
 そして、先ほど局長が答弁をした、放送法第五十五条に規定する職務の執行の任にたえないものと断ぜざるを得ず、さらに、同条の放送法の遵守という職務上の義務違反に今回の会長の御姿勢は当たるのではないか、会長たるに適しない非行にも該当するのではないかと多くの声が上がっております。
 経営委員会において真摯な議論をして、そして、公共放送がなぜ国営放送でないのか、ジャーナリズムとは何か、報道とは何か、その使命とは何か、その真摯な反省に立って賢明な判断をされることを求め、そして、最後に委員長にお願いしますが、私は、この言論の自由について、ゆゆしき事態だと思います。ぜひこの委員会で集中審議を求めるものでございます。
 終わります。
○二階委員長 後刻、理事会に諮って、またお返事します。
 これにて長妻君、岡田君、古川君、篠原君、原口君の質疑は終了いたしました。
 次回は、来る二月三日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二分散会