第186回国会 予算委員会 第16号
平成二十六年五月二十八日(水曜日)
    午前八時五十八分開議
 出席委員
   委員長 二階 俊博君
   理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君
   理事 塩崎 恭久君 理事 萩生田光一君
   理事 林  幹雄君 理事 森山  裕君
   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君
   理事 石田 祝稔君
      あかま二郎君    秋元  司君
      井上 貴博君    伊藤 達也君
      今村 雅弘君    岩屋  毅君
      衛藤征士郎君    越智 隆雄君
      大岡 敏孝君    大島 理森君
      鬼木  誠君    門山 宏哲君
      金子 一義君    金子万寿夫君
      金子 恵美君    木内  均君
      工藤 彰三君    熊田 裕通君
      小池百合子君    小林 茂樹君
      小林 鷹之君    佐々木 紀君
      佐田玄一郎君    島田 佳和君
      白石  徹君    菅原 一秀君
      瀬戸 隆一君    関  芳弘君
      薗浦健太郎君    田畑  毅君
      高木 宏壽君    高橋ひなこ君
      中谷  元君    中谷 真一君
      中山 泰秀君    野田  毅君
      原田 義昭君    船田  元君
      星野 剛士君    宮内 秀樹君
      宮路 和明君    保岡 興治君
      簗  和生君    山田 賢司君
      山本 幸三君    山本 有二君
      大串 博志君    岡田 克也君
      篠原  孝君    玉木雄一郎君
      寺島 義幸君    福田 昭夫君
      古川 元久君    岩永 裕貴君
      上西小百合君    小沢 鋭仁君
      坂本祐之輔君    重徳 和彦君
      杉田 水脈君    中丸  啓君
      中山 成彬君    西野 弘一君
      村岡 敏英君    伊佐 進一君
      遠山 清彦君    濱村  進君
      浅尾慶一郎君    佐藤 正夫君
      江田 憲司君    柿沢 未途君
      志位 和夫君    宮本 岳志君
      青木  愛君    小宮山泰子君
      鈴木 克昌君    玉城デニー君
    …………………………………
   内閣総理大臣       安倍 晋三君
   財務大臣         麻生 太郎君
   法務大臣         谷垣 禎一君
   外務大臣         岸田 文雄君
   厚生労働大臣       田村 憲久君
   農林水産大臣       林  芳正君
   国土交通大臣       太田 昭宏君
   防衛大臣         小野寺五典君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     菅  義偉君
   国務大臣         甘利  明君
   国務大臣         稲田 朋美君
   内閣官房副長官      加藤 勝信君
   財務副大臣        古川 禎久君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  佐々木裕介君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長)            平松 賢司君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    冨田 浩司君
   政府参考人
   (外務省国際法局長)   石井 正文君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    佐藤 雄二君
   政府参考人
   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君
   政府参考人
   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君
   政府参考人
   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君
   参考人
   (大阪大学大学院法学研究科教授)         坂元 一哉君
   予算委員会専門員     石崎 貴俊君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月三日
 辞任         補欠選任
  宮本 岳志君     志位 和夫君
五月二十七日
 辞任         補欠選任
  志位 和夫君     宮本 岳志君
同月二十八日
 辞任         補欠選任
  うえの賢一郎君    鬼木  誠君
  越智 隆雄君     中谷  元君
  大島 理森君     熊田 裕通君
  菅原 一秀君     井上 貴博君
  薗浦健太郎君     木内  均君
  中山 泰秀君     工藤 彰三君
  西川 公也君     簗  和生君
  船田  元君     門山 宏哲君
  保岡 興治君     金子万寿夫君
  山本 幸三君     小林 鷹之君
  山本 有二君     小林 茂樹君
  篠原  孝君     福田 昭夫君
  坂本祐之輔君     小沢 鋭仁君
  重徳 和彦君     中丸  啓君
  杉田 水脈君     村岡 敏英君
  西野 弘一君     上西小百合君
  伊佐 進一君     遠山 清彦君
  浜地 雅一君     濱村  進君
  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君
  柿沢 未途君     江田 憲司君
  宮本 岳志君     志位 和夫君
  畑  浩治君     小宮山泰子君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 貴博君     菅原 一秀君
  鬼木  誠君     大岡 敏孝君
  門山 宏哲君     島田 佳和君
  金子万寿夫君     保岡 興治君
  木内  均君     佐々木 紀君
  工藤 彰三君     田畑  毅君
  熊田 裕通君     星野 剛士君
  小林 茂樹君     山本 有二君
  小林 鷹之君     山本 幸三君
  中谷  元君     越智 隆雄君
  簗  和生君     金子 恵美君
  福田 昭夫君     寺島 義幸君
  上西小百合君     西野 弘一君
  小沢 鋭仁君     岩永 裕貴君
  中丸  啓君     重徳 和彦君
  村岡 敏英君     杉田 水脈君
  遠山 清彦君     伊佐 進一君
  濱村  進君     浜地 雅一君
  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君
  江田 憲司君     柿沢 未途君
  志位 和夫君     宮本 岳志君
  小宮山泰子君     青木  愛君
同日
 辞任         補欠選任
  大岡 敏孝君     山田 賢司君
  金子 恵美君     白石  徹君
  佐々木 紀君     薗浦健太郎君
  島田 佳和君     中谷 真一君
  田畑  毅君     中山 泰秀君
  星野 剛士君     宮内 秀樹君
  寺島 義幸君     篠原  孝君
  岩永 裕貴君     坂本祐之輔君
  青木  愛君     玉城デニー君
同日
 辞任         補欠選任
  白石  徹君     高木 宏壽君
  中谷 真一君     船田  元君
  宮内 秀樹君     高橋ひなこ君
  山田 賢司君     瀬戸 隆一君
  玉城デニー君     鈴木 克昌君
同日
 辞任         補欠選任
  瀬戸 隆一君     うえの賢一郎君
  高木 宏壽君     西川 公也君
  高橋ひなこ君     大島 理森君
  鈴木 克昌君     畑  浩治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 予算の実施状況に関する件(集団的自衛権等)
     ――――◇―――――
○二階委員長 これより会議を開きます。
 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
 本日は、集団的自衛権等についての集中審議を行います。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として大阪大学大学院法学研究科教授坂元一哉君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣官房内閣参事官佐々木裕介君、外務省総合外交政策局長平松賢司君、外務省北米局長冨田浩司君、外務省国際法局長石井正文君、海上保安庁長官佐藤雄二君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省運用企画局長中島明彦君、防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
○中谷(元)委員 おはようございます。自由民主党の中谷元でございます。
 本日は、総理に対して、日本の安全保障の根幹の部分に対する質問を行いたいと思います。
 先日、総理は、安全保障の法制懇談会の答申を受けまして記者会見をされました。
 私は、リーダーシップにおいて一番大事なことはトップの企図の明示だと思います。トップが何を考えて何をしたいのか、こういうことをはっきり言うことなんですね。
 私は、想定外という言葉を許さない、つまり言いわけを許さないというのが安全保障だと思います。憲法によって自衛隊があり、法律がなければ自衛隊が動くことができませんが、やはり、現場の自衛官そして閣僚や官僚が迷うことなく安全保障に対応できる、そういう体制をとらなければならない。総理の言葉から、そういう熱意と使命感というものが伝わってまいりました。
 事例にも挙げていましたけれども、PKOや海賊対処、これは現実に今、アフリカで活動されております。四十度を超える灼熱の場所で、派遣された自衛官が懸命に命令に従って支援をしておられます。
 私もジブチと南スーダンのジュバに行ってまいりました。やはり、現地の声を聞きますと、非常に制約された中で、現場のニーズに大変苦労しながら活動しているなと思いました。
 せんだっても、韓国のPKOが非常に危険なときに弾薬の提供を求められましたけれども、一々政府にお伺いを立てて、許可をもらってやらなければなりませんし、現実に警務班という人が行って自衛隊の安全を確保していますが、その人は、自衛隊員なら守れるけれども、ほかの国の人は守れないということなんですね。また海賊対策においても、いろいろな国の船が通りますけれども、日本の船舶なら守れますけれども、外国の艦船とか関係の船が危機にさらされたときに守れるのか守れないのか、非常に曖昧な部分があるわけでございます。
 ですから、何が問題なのかというと、今の憲法の解釈において、やってもいいことだけ定められているんですね。いわば、自衛隊法において、ポジティブリスト、やってもいいことだけしか定められていないので、それ以外の事態になかなか対処できない。ほかの国は、ネガティブリスト、これはやっちゃいかぬということに基づいて派遣された部隊が対応しておりますけれども、その辺で大きな違いがあるわけでございます。
 そこで、これからの日本の平和と安全につきまして、いかなる事態にも対応できる、切れ目のない、すき間のない体制を構築すべきだ、それが総理の御決意だと受けとめておりますけれども、改めて、総理の安全保障に対する決意と考え方を御披露いただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 日本をめぐる安全保障環境は厳しさを増しています。いわば大きな変化があると言ってもいいんだろうと思います。大量破壊兵器あるいはミサイルの技術、これは大幅に高度化しているわけでありますし、サイバー攻撃等は国境を越えて瞬時に日本を襲ってくるわけであります。そしてまた、北朝鮮のミサイルは日本のほとんどを射程に入れているわけでありまして、同時に核の開発も行われているということであります。
 この大きく変化をしている国際情勢、安全保障環境の中で、変えてはいけないものもあります。それは、戦後の日本の七十年間の平和国家としての歩みであります。これは、今後決して変わることがないわけでありますし、変えてはならない。そして、私たちは、平和と民主主義、そして自由と基本的人権をしっかりと守ってきた、この姿勢は将来も変えてはならない。これが私の確信であります。
 同時に、今、中谷委員が御指摘になったように、私たちは、日本国民の命と平和な暮らしを守らなければいけません。その中において、変化する国際社会に対応していくことは私たちの責任であると言ってもいいんだろうと思います。かつては、日本が侵略を受けた際に対応するための法制ができていなかった。中谷委員も中心になって有事法制を整えたわけであります。そして、周辺事態の安全を確保するための法律もできてきた。このように、私たちは努力を積み重ねながら変化に対応していると言ってもいいんだろう、こう思うわけであります。
 その中で、さらに、切れ目のないいわば防衛体制をつくることによって、抑止力を高め、国民の生命と財産をより確かに守っていくことにつなげていきたい、こう考えているわけであります。
 先般、訪日したオバマ大統領は、安保条約の第五条に言及をされまして、尖閣諸島を含む日本の施政下にある全ての領域は対象になるということを明言したわけであります。つまり、この日本の施政下にある領域が侵略されたときには、米国は、米軍は、共同対処するということであります。
 ただ、共同対処するということは、日本を守るためにアメリカの若い兵士が命をかけるということであります。彼らにも家族がいるわけでありまして、その家族が、愛する人そして大切な人が日本のために戦うことを理解することによって、同盟関係はより強化されるわけであります。
 その意味におきましても、日本は日本の努力を進めていく、そして、日米同盟関係をより強化していくという努力を払っていくことは当然のことではないか、このように思う次第でございます。
○中谷(元)委員 おっしゃるように、先日の日米首脳会談、これは大成功だったと思いますし、総理は精力的に諸外国を回って外交に努めておられますが、しかし、それを超えて、今世界は変わっているんですね。
 あの仏教の国の、日本の企業もたくさん進出しているタイ。ここでクーデターが起こって、今、政治が機能を停止しています。一方、ウクライナ。これも、クーデターで、一部が独立をするような事態になっています。そして、あのベトナムと中国。今、海上衝突をして、ベトナム国内で大変な騒乱状態も起こっているように、このアジアにおいても、今、大きな大きな変化の状況になっているわけでございます。
 したがって、このアジアの一国である日本は、単なる隣の国の出来事と考えてはいけないんだと思います。株価にしても経済にしても企業にしても、もう我が事なんですね。隣の家が燃え始めて火の粉が飛んでくるときに対処するのではなくて、やはり、隣で火事を起こさないように、共同で、協力をして、そして連携をして努めていく。
 こういう体制においては、日本は今まで、一国平和主義と言いますが、そういったものには余り積極的にかかわるべきではない、いわゆる消極的な平和主義であったわけでございます。しかし、国家の防衛も地域の安定も非常に大事なわけであります。
 一方で、もう一つは、国の安全保障、大変心配をする出来事が起こっております。二十四日の午前十一時と十二時、中国のスホーイ27、最新鋭の戦闘機が、公海上を通常の警戒監視任務をしておりました我が国の海上自衛隊のOP3C、いわゆる電子データをとる飛行機と、航空自衛隊の電波を収集するYS11、これに対して、五十メートル、そして十二時には三十メートル、ここまで異常接近してきたわけです。突然です。
 これは世界的なルールがあって、そういう場合には、警告をするなり機首を揺らすなり、メッセージを送って、そういう接触を避けますけれども、いきなり無警告で三十メートルまで近づきました。恐らく顔が見える距離だと思いますが、幸い衝突には至らなかったわけでありますけれども、非常に、こういった状況の変化に応じて、海上保安庁の方も、航空自衛隊、海上自衛隊の人も、不眠不休で努力をされています。
 では、総理にお伺いしますが、こういう状況の変化にどう対応したらいいのかなと。
 私は、改めて、日米安保体制、これの機能、役割を強化することであると思います。つまり、集団的自衛権、これの行使の容認でございます。
 政府は、戦後一貫して、米国と同盟関係を維持して、志を同じくする国、つまり、自由社会、民主社会、これを基本に国づくりをしてきました。したがって、貿易の自由だとか公海の航行の自由だとか、できるだけ個人の、国民の意思を尊重できる、そういう国家を目指してきたわけでありますけれども、しかし、この状況の変化にいかに国を守るかということについては、与野党でともに議論をしていかなければなりませんが、本当に今の憲法の解釈のままでいいのか。
 現状において、国を守る場面において、国民の理解を得ながら、やはり政府として、容認できる範囲で国を守る仕組みというものを考えていかなければならない時期になるんですが、しかし、一方で、平和主義というのは非常に大事で、いや、そうすると戦争に巻き込まれるんじゃないか、アメリカから要請が来た場合に本当にちゃんと断れるのかとか、かえって日本の国内の危険が増してテロに襲われるんじゃないか、こういう心配、危惧をする声もありますけれども、総理はこういった懸念の声に対してどのようにお考えになって対処をされるつもりであるのか、お伺いします。
○安倍内閣総理大臣 今回、私が安保法制懇の報告を受けて検討を開始するという記者会見を行った後にも、随分、私たちの検討によって日本が戦争に巻き込まれるのではないかという議論が行われているわけであります。
 結論から申し上げれば、そういうことはないということは申し上げておきたいと思います。
 一九六〇年、日米安保を改正した際、あのときも、この日米安保の改正によって日本は戦争に巻き込まれる、この巻き込まれ論が反対論の主流であったわけであります。しかし、あれから五十年たってどうなったか。つまり、まさに、安保の改定によって、抑止力は高まり、日本の平和は守られてきたわけであります。あのときの巻き込まれ論は全く大きな間違いであったことは、今誰からも常識として受けとめられているんだろうと思います。
 この巻き込まれる論でありますが、それは、例えば、日本が望んでおらず、国益に合致をしないのに、いつの間にか事態に取り込まれてしまうという意味であれば、先ほど言ったように、それはあり得ないわけであります。
 そもそも、今回我々が検討している集団的自衛権の行使についても、それは権利であって義務ではないわけであります。個別的な状況に即して判断をするわけでありますし、そもそも、我が国の安全への影響を勘案しながら我が国が主体的に判断をしていくわけでありまして、巻き込まれるのではないかといういわば受け身的な発想ではなくて、どうすれば我が国をしっかりと、我が国の国民の命を守っていくことができるかどうかを考える責務が私たちにはある、このように思うわけであります。
 つけ加えて申し上げますと、先般の記者会見で申し上げましたように、自衛隊が武力行使を目的としてかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはなく、そのような戦闘への参加は憲法上認められないとする従来の政府の立場を変える考えがない、そのことは明らかにしているとおりであります。
 我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるときという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは許されるという安保法制懇の報告書で示された考え方について、さらに研究するように指示したところでございます。
 このことからも、憲法解釈として集団的自衛権の行使を全面的に容認するという結論にはなり得ないわけでございまして、また、仮に、限定的な場合に集団的自衛権を行使することが憲法上許容されるという結論となったとしても、現実に事態が発生し、我が国として実際に武力の行使を行うか否かは、高度に政治的な決断であり、時の内閣が、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために何が最善の対応か、あらゆる選択肢を比較しながら、個別具体的な事態に即して、諸般の要素を総合的に判断しながら、慎重に決断をしていくことになるわけであります。
 そしてさらに、そうした自衛隊の活動を可能ならしめるためには国内法が必要でありまして、立法の過程におきまして、国会承認を含め具体的な手続を定めることとなるわけでございます。
 いずれにせよ、あらゆる事態に対処できる法整備によって、抑止力を高め、国民の命と国民の平和な暮らしを守っていくことこそ私たちの使命だろう、この観点から検討を進めていきたいと考えております。
○中谷(元)委員 総理は、そういった基本的な考え方を示して、与党にも野党にも、きょうはこういう集中審議が開かれていますけれども、この集団的自衛権、限定されているかどうかのことも含めてやはり議論を求めてきたわけですね。
 そこで、国民の皆さんが知りたいのは、何で今になってこの集団的自衛権の行使について必要性が出てきたのかということを知りたいわけです。
 私なりに考えますと、もう冷戦が終わって二十五年、四半世紀になります。時代の流れというのは速いですね。そういう中で、このアジアにおける力関係、パワーバランスの変化というのはすごいものがありまして、例えばアメリカの軍事費、これは三分の一にカットするということで、アフガンや中東から兵力の引き揚げをするということですが、いまだにこれは実現されていなくて、アジアのリバランスは実行できない状態になっています。
 一方、中国は、やはり、一九九〇年から猛烈な高度成長をしまして、GDPにしても、防衛費にしても毎年二桁伸びていまして、今、中国の軍事費が十四兆円、これはすごいもので、日本は五兆円もないんですよ。これは、先進国の中でも、日本とイギリスとフランス、これを合わせた防衛費よりも中国の防衛費が多い。アメリカが今、世界の半分の軍事費のシェアを占めていますが、そのアメリカに急激に今近づいておりまして、強大な力を持つ状態になってきた。その結果、尖閣を含む南西海域に連日中国の公船がやってくるようになり、南シナ海というあの海域に自分の石油基地をつくったり港をつくったり、非常に権益拡大をしております。
 総理は、本当にこの急激な中国の軍事費の増強、また海洋権益の増大について率直にどう感じておられるのか、お伺いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 中国の防衛費でありますが、ただいま中谷委員が御指摘になったように、急激に伸びてきているわけでありまして、最近の十年間で四倍でありまして、そして二十六年間で四十倍であります。四十倍です。そして、今年度も一二%ふやすわけでありますが、分母自体が十兆円を超えているわけでありますから、いわば二年間連続でこのパーセンテージをふやしていけば、日本の防衛費の半分以上がふえていくということになるわけであります。さらに、この防衛費におきましても、安全保障政策とともに不透明な状況になっておりまして、これは懸案事項であります。
 そして、南シナ海におきましても、力を背景とした現状変更の試みを行っているわけでありまして、その中で、私たちは、法の支配を尊重するべきだということをASEANの国々とともに主張しているわけであります。
 もちろん、日中関係、最も大切な二国間関係の一つでありますから、戦略的互恵関係の原点に戻って、我々は、対話の中において、協調しながら、地域の発展のためにお互いに責任を持ち合っていきたい、こう考えているところでございます。
 しかし、残念ながら、先週末も、委員が御指摘になったように、中国軍による我が国自衛隊に対する偶発的事故につながりかねない危険きわまりない行為があったわけでございまして、こうした状況がある中におきまして、我々はやはり、国民の暮らし、そして命を守るために、日米同盟をさらに強化することの必要性に迫られているわけでございます。
 そうした観点からも、先般結論の出ました安保法制懇の報告書について、しっかりと検討していきたい。これは、国民の命と平和な暮らしを守るためであります。
○中谷(元)委員 これは、東アジアのどの国もそのことを感じているんですね。防衛大臣も、シンガポールで行われるアジア国防大臣会議、これに出席されますが、総理も行かれるんですか。はい。非常にこれは大事なことだと思います、日本がそういうことで意思表明をするということにおいて。
 やはり、東アジアで今心配しているのは中国の膨張でありまして、今の秩序を崩そうとするたくらみに断固立ち向かっていかないと、今の自由と法律の秩序が守れなくなっているんじゃないでしょうか。
 パネルをごらんください。
 これは日米安保体制の変化についてまとめたものでありますが、昭和二十年に、終戦のときに、吉田茂総理が、我が国のあり方において、憲法で軍備を持たないということになりましたので、その当時、日本にいた進駐軍、これが、GHQですけれども、四十万人。日本の自前の防御隊というのはゼロでした。
 昭和二十七年に日本の主権が回復をするわけですが、そのときに日本にいたGHQは二十六万人。そのときに保安隊というものをつくりまして、自衛のための組織ができました。そのときは約十一万八千人だったんですね。
 それから六十年後、二〇一二年のデータなんですけれども、現在、在日米軍が五万三千人になりまして、今の陸海空自衛隊、これが約二十五万人、正確には二十四万七千人なんですけれども、この体制で推移をしているわけでございます。
 総理にお伺いをしますが、リバランスといいますけれども、年々アメリカのパワーが減少していく場合に、これは、やはり日本がもう少し、自衛隊の実力を向上させて、米軍にかわって日本の安全保障を責任を持って担わなければならないと思いますが、日米同盟における日本の責任と自衛隊の役割、これについて、総理の考え方を伺います。
○安倍内閣総理大臣 冒頭申し上げましたように、まさに世界の安全保障環境は大きく変わっているわけであります。アジア太平洋地域におきましても米国と中国のパワーバランスに変化が出てきているわけでありますし、そしてまた、委員が御指摘になったように、今や、いずれの国も、一国のみで自国の安全を守ることができない。だからこそ、私たちは積極的平和主義を掲げ、国際協調主義のもと、地域の平和と安全のためにより一層貢献をしていくことによって、地域の平和を守っていかなければならないと考えております。
 その中で、今委員がお示しになられたこの表は、大変わかりやすい表だと思いますが、まさに、一九四五年、進駐軍の四十万人、日本側はゼロなんですが、足した数によって我が国は守られていると言ってもいいんだろうと思います。
 つまり、これは、四十万人、専ら進駐軍によって日本は守られていたということになるわけでありますが、五二年、独立を果たした後は、日米同盟によって駐留する二十六万人の米軍プラス十一・八万人の自衛隊、これをまさに足し込んだ数によって日本は守られているということになります。
 そして、現在、自衛隊は二十四・七万人、そして在日米軍は五・三万人まで縮小したわけでありますが、しかし、大切な五・三万人と言ってもいいわけでありますし、高度な能力も持ち、そして、いざというときには米軍全体でオペレーションを行うわけであります。
 つまり、これから見てわかるように、自衛隊に期待される役割、能力はより一層高まってきていると考えるべきであって、これを足し込んで日本の安全が守られている。こういう中で、米側の能力が欠けることになれば、我々の安全も毀損されるということになる。
 つまり、そういう中において、より一層日本と米国がお互いに助け合っていくことは、まさに日本の安全に寄与する、そして、それが極めて、死活的に重要であるということなんだろう、その重要度はこの図のようにどんどんどんどん高まってきたと言ってもいいんだろう、このように思うわけでありまして、その中で、我々も果たすべき役割を果たしていくことによって、日米の紐帯はより強化され、日本はより安全になっていく、このように確信をしております。
○中谷(元)委員 この図を見て、本当にそのとおりですね、もう六十年たちましたが、しかし、まだ在日米軍が五万三千人ということで、私は過度に米国に依存をしていると思うんですね。もうそろそろ、日本は、しっかりと我が国の安全保障に重大な責任を負えるようにならなきゃいけないと思います。
 私は、当選以来ずっと、数年前まで、在日米軍の有志と富士登山を一緒にやっていました。ウエルカム・マリン・プログラムということで、アメリカから日本に、周辺の安全のために一生懸命やってくれている人と日本を象徴する山に一緒に登ろうということで、奥様の昭恵夫人も一緒に富士登山をしました。
 そこで感じたことは、最初の、登山口ではお互いに挨拶を交わす関係なんですけれども、一合目、二合目とずっと登っていくたびに、本当にきつく、しんどくなります。そういうときに、お互いに励まし合ったり、キャラメルを上げたり、そういうことで友情が深まり、さらに高くなっていくと、本当に自分のことだけでも大変ですけれども、みんなが一緒に登らなきゃということで、やはり、一緒に汗をかく、そして一緒に行動する、このことによって物すごいきずなと友情ができます。
 私は、集団的自衛権というのはこういうことだと思うんですね。自分のことだけではなくて、相手と一緒に目的を達成するために、お互いに励まし合い、力を出し合う。テレビのコマーシャルで、崖に転落するときに助けるようなコマーシャルがありますが、そのように、やはり相手が危険にさらされたときに助け合うというのが集団的自衛権の本質だと思っております。
 この点で、集団的自衛権の議論にちょっと移らせていただきます。
 この図のように、一九四五年、憲法が衆議院に送付されたときに、吉田茂総理は、憲法九条第一項は自衛戦争を放棄していないが、第二項において戦力と交戦権を全面放棄したがゆえに自衛戦争も放棄した、日本の生存を、国際平和団体、すなわち国連に我が国の安全を委ねるという趣旨の答弁をしております。
 一九五二年、このころに自衛隊が創設されていくんですけれども、一九五四年、自衛隊創設の年に、政府は自衛のための交戦は憲法上許されるという見解を打ち出しまして、政府の解釈の大変更が事実行われたわけでございます。
 そして、主権を回復しまして数年たちまして、安保条約における在日米軍の駐留が憲法に違反するのではないかという裁判が行われました。これがいわゆる砂川事件、砂川判決でありますが、一九五九年、昭和三十四年、最高裁の大法廷は、皆さん立憲主義と申しますけれども、これはまさに三権分立の、法律の解釈、見解を決定する日本の最高機関でありまして、いわゆる憲法で定められた司法判断の場でありますが、この判決の中の主文にある考え方が今の政府の考え方になっていると考えます。
 この主文の中におきまして、まず憲法九条においては、当時、日本は非武装のままでありまして、しかし、その前提となった国連は予定どおりに機能をしなかった、同時に、憲法は主権者である国民の生存を守ることを要請している、どうすれば国民の暮らしと平和を守りながら平和主義を貫くことができるかというのが九条の本質でしたけれども、そこで、最高裁の見解は、憲法第九条は、我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されていない、我が国が、自国の平和と安全を維持してその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないという見解を示しました。
 そこで、お伺いをします。
 総理、この砂川判決で示された我が国の自衛権の見解について、現在の政府見解の基本的な論理と軌を一にしておると考えますが、総理の御見解を伺います。
○安倍内閣総理大臣 憲法第九条の解釈に関する従来の政府見解の基本的な立場は、昭和四十七年の政府見解等で示されたとおり、憲法第九条は、その文言からすると、国際関係における武力の行使を一切禁じているように見えるが、憲法前文で確認している国民の平和的生存権や、第十三条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、憲法第九条は、我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとは解されず、そのための必要最小限度の武力の行使は許容されるというものであります。
 政府として、いわゆる砂川事件最高裁判決を直接の根拠として今後の検討を進めるわけではありませんが、この判決で示された考え方は、憲法第九条の解釈に関する従来の政府見解の基本的な論理と軌を一にするものであると考えております。
○中谷(元)委員 おっしゃるとおりなんですが、改めて自衛権の基本的論理と集団的自衛権について伺うんですが、総理が言われました昭和四十七年、一九七二年に、政府は初めて文書で解釈に基づく整理された見解を国会に示しました。そのことについては、総理がおっしゃったとおりであります。
 根本的な質問をいたしますけれども、それは、では、なぜ個別的自衛権だけで国民の生命、自由、幸福が守られると言い切れたのかということです。谷垣法務大臣も、内閣法制局の示す憲法解釈について、論理の飛躍があるんじゃないかと述べられております。自国民を守るのに必要であれば、個別でも集団でもないはずで、やはり自衛権なんですね。ここには大きな論理の飛躍と断絶があるというのが国際政治の常識なんです。
 ならば、たとえ九条二項はあっても、国民の生命、自由、財産、幸福を守るために、必要な限りにおいて、他国と守り合い、他国と平和を支え合うことを可能とするべきではないでしょうか。言いかえれば、その限りにおいて、集団的な自衛権を行使することを憲法上認めるべきと考えますが、それこそが論理的な解釈ではないかと思いますが、総理はいかがお考えでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたのは昭和三十四年の砂川判決でありまして、まさにこれは、最高裁によって、自衛隊の存在、また、このときは日米同盟における米軍の地位の存在も問われたわけでございますが、いわば自衛隊の存在、自衛権について裁判所が認めた判決でございます。
 そこで、今委員がお話しになられたのは昭和四十七年の政府答弁であろう、このように思うわけでありますが、この答弁において、憲法前文、そして十三条が引かれまして、いわば幸福追求権、そして生存する権利を守るために自衛権を我が国は有するという中において、必要最小限の自衛権の行使を認めたところでございます。
 その中におきまして、その論理につきましては、基本的に我々も、これは今回の検討においてもそれが論理の柱になるわけでございますが、しかし、そこで、果たしてそれが集団的自衛権全てを認めていないものなのかどうか、このときの法制局の答弁は認めていないわけでありますが、果たしてそうなのかどうか、そして、それでこの大きな変化の中で対応できるのか、つまり、国民の命を守り抜くことができるかどうかという中から、我々はその責任を持っている。
 私は、検討すべきだろう、こう判断したところでございます。
○中谷(元)委員 さらに、引き続いて、この解釈の変遷の歴史を検証してみますと、今度は、一九八一年、昭和五十六年に鈴木内閣の答弁書が出たわけでございます。これは従来の解釈を引き継いでいるんですけれども、ここには、集団的自衛権を行使することは、必要最小限度の範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている、集団的自衛権の行使が憲法上許されないことによって不利益が生じるというようなことではないとの記述があります。
 いわゆる不利益が生じるというものではないという判断なんですが、これは、一九八一年、昭和五十六年、冷戦の時代なんですが、集団的自衛権を使用しなくても日本の安全保障には不利益は生じないというのが当時の日本政府の情勢判断だったと思います。
 現在の日本の安全保障環境を考えて、この一九八一年、今から三十年前、この当時の、不利益が生じていない、集団的自衛権の行使が許されないことによって不利益は生じていないと、今でも本当に言い切れる状態なんでしょうか。もし、一九八一年以前と異なって、現在は不利益が生じていないと言い切れないのなら、従来の集団的自衛権としての見解である、行使が許されないとしてきたことをどうするのか。解釈を変更する方がむしろ整合性があると私は感じますけれども、総理の御見解をお願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 三十年前と比べれば、大きく安全保障環境は変わっているわけでありますし、厳しさも増している。そして同時に、自衛隊は、日々研さんを積み、そして能力を向上させているわけであります。
 そこで、先般、記者会見の際にお示しをさせていただいたように、ある国で紛争が起こって、日本の近国において紛争が起こり、その国から逃れようとする邦人を日本に輸送する米国の船を、その船を自衛隊が果たして守らなくてよいのかということであります。
 これは明らかに不利益だろう、私はこのように思います。いわば、日本人が、邦人が命を脅かされる可能性もあるわけでありますし、まさに近隣でそうした紛争状態が起こる中において日本が何もしなくていいのかどうか、そういう問題意識であります。
 そういう観点からも、今後、政府において、また与党において、しっかりと検討していきたい、いただきたい。それはまさに、日本国民の命と平和な暮らしを守るための検討であります。
○中谷(元)委員 まさに、この例は、近い国で紛争が起こったときに、本当に取り残されるんですね。ところが、今の自衛隊の法律では、危ないところには航空機も艦船も自動車も車両も行ってはいけないという法律でありますので、この場合は、もう民間の船も行けないと考えますと、日本の自衛隊が行けない、そうすると、米軍に余積があれば救助をお願いするというケースだと思うんです。
 似たようなケースとして、ちょうど二〇〇一年の九・一一同時多発テロ事件、このときにアメリカは非常事態を宣言しました。いわゆる自衛権の発動時期。
 そのとき、私は防衛庁長官でしたけれども、横須賀の米軍基地からキティーホークが出港することになりました。アメリカ自身が狙われている非常に危険な状況なので、せめて日本の付近では安全を確保しなければということで、海上保安庁と自衛隊の艦船が前後をガードしました。
 ところが、今の自衛隊の法律には、他国の船を警護したり護衛するという権限がないんですね。事実、国会で追及を受けました。そのときに私が答えたのは、防衛庁設置法の調査研究でございます、随伴をして、一緒に行って、危ないときには自分の身を守りますと。こうでしか言えなかったんですね。
 そこで、実例としてこういうケースも挙げられましたけれども、法制局長官にお伺いをいたしますが、今の憲法解釈で、これを自衛隊が守ること、これについてどう考えておられるのか、お伺いします。
○横畠政府特別補佐人 武力の行使については、我が国に対する武力攻撃が発生した場合における個別的自衛権の発動としての武力の行使以外のものは許容されないというのが、従来からの憲法第九条の解釈でございます。
 御指摘の事例でございますけれども、我が国に対する武力攻撃が発生していない場合におけるそのような米艦の防護は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限り自衛権の行使が可能であるとする現在の憲法解釈のもとでは、行うことはできないものと考えられます。
○中谷(元)委員 できないということなんですが、これは現実に私は起こり得るケースだと思っているんですね。
 こういう事態は、法律的に整理しますと周辺事態に分類される。まだ日本に直接攻撃はないけれども、このまま放置をすれば日本の安全保障に重大な影響を与えるという事態で、まさに日本人がこのような形で避難を始めるケース、これは十分あり得ると思うんです。
 しかし、このときには、やはり対処しておかないと、被害がますます広がってしまいます。先ほど火事の例を言いましたけれども、隣の家がどんどんどんどん火が大きくなってしまってから対処するよりは、まだぼやの段階で一緒に消火をして食いとめるという手段、カードも持っておくべきだと思っておりますが、そのケースの一つになると思うんですね。
 そういう意味において、日本の損害が大きくなってしまう前にこういった対処をしなければならない、そう思いますが、総理はどう思われますか。
○安倍内閣総理大臣 その例は、まさに私が記者会見の際に挙げた例であります。あの際、一部報道によっては、これはできるのではないかという報道がありましたが、今法制局長官が答弁したとおり、これはできない、個別的自衛権には入らない、これは明確な、政府の立場、今までの立場であります。つまり、こういう状況になっても、日本は、逃れようとする親子、子供たちを守ることはできない。
 しかし、私は、こうしたケースにあっても、いかなる状況にあっても日本の国民を守り抜かなければならないという責務がありますから、その責務の上において、検討するのは当然のことであります。
 そしてまた、隣国から日本に逃れてくるという避難計画は、これは米国、米軍とともにその計画を立てるわけでありますから、共同のオペレーションであります。その中において、その共同のオペレーションにおいて、日本人が乗っているからこれは守るけれども、これは日本人が乗っていないからだめですよということは、そもそもこれはあり得ないわけでありまして、それを想定して作戦を組むということは、そもそも考えられないわけであります。
 ですから、これは、極めて明確な例、あり得る例として邦人ということをお示ししたわけでありますが、これは邦人が乗っているか乗っていないかにかかわらず、日本人は今、千八百万人、海外に出かけていく時代でありますから、いろいろな国にもう既に日本人はいるわけであります。そうした際にオペレーションをどのようにしっかりとしたものにしていくかということは当然検討していかなければならない、このように私は確信しています。
○中谷(元)委員 ありがとうございます。
 続いて、政府が示した事例について、私は、これは今にも起こり得るような事態について説明をさせていただきます。
 いわゆるミサイル対処事態。北朝鮮がミサイルを発射しようとしているぞ、こういう情報が入りますと、日本も警戒態勢に入ります。ところが、今の自衛隊、日本の能力では、発射した後の捕捉が十分できないんですね。発射直後に、撃たれました、この方向に行っています、この情報は、アメリカの偵察衛星、宇宙衛星の早期警戒情報として日本にやってきます。そして、そういう時期には、日本近海には、弾道ミサイルを警戒するアメリカの艦艇や、実際に迎撃をするイージス艦が配置をされます。当然、日本の防衛省の自衛隊イージス艦も配置されます。日本とアメリカが、いわゆる共通の情報リンク、そしてシステムで動いているわけですね。
 そういう中で、アメリカのこういった、弾道ミサイルの発射を警戒中の、センサーを有した艦艇が攻撃されるとか危険なときに、では、今の日本の自衛隊、これが防御できるかどうか、これについては、防衛大臣、いかがですか。
○小野寺国務大臣 日本が攻撃される前に、米艦、米国の例えばイージス艦等が攻撃された場合には、現在の状況では、できないというふうに判断せざるを得ないと思います。
○中谷(元)委員 私も同じ判断であります。したがって、こういうときには、法律でちゃんと米艦艇も護衛できるような、さっき横須賀から出ていく船の例を挙げましたけれども、やはりこれは、法律に載っていないから大臣も答弁できないし、実際の現場の人もできないんですね。確かにこういうケースがあります。
 それでは、次のケースで、シーレーン防衛で機雷の除去について、法制局に伺います。
 よく、ペルシャ湾、ホルムズ海峡が機雷で封鎖という実例もありますが、機雷の敷設というのは武力行使なんですね。それをのけることも武力行使でありまして、国連の決議等ができて各国がそれを除去しているときに、日本が参加できるのか、できないのか、いろいろ議論がありますが、これは、実際、機雷の除去に各国とともに参加できるんでしょうか。
○横畠政府特別補佐人 御指摘のありました、我が国に対する武力攻撃が発生していない場合におけるそのような機雷の除去につきましては、先ほどと同じでございますけれども、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限り自衛権の行使が可能であるとする現在の憲法解釈のもとでは、行うことができないものと考えられます。
○中谷(元)委員 できるのは、遺棄された機雷なんですね。ですから、機雷に、あなたは遺棄されていますかと聞くことはできませんから、これはなかなか判断できません。
 しかし、これは、日本にとっては死活問題なんですね。オイルを運ばなければ、日本の経済、産業は大打撃を受けます。ホルムズ海峡には、年間三千隻を超える日本関係船舶が航行しております。日本の原油の八割がそこを通ってきます。
 先ほど法制局はこのように答弁をされましたが、それでもできるんだという方もおられますが、総理にあっては、シーレーンで海上交通の安全を確保することは政府の使命だ、それをできるように憲法解釈をしていただくように切望してやみませんが、総理のお考えをお伺いします。
○安倍内閣総理大臣 例えば、機雷によってホルムズ海峡が封鎖された場合、ここを通るいわばタンカー等によって日本のエネルギーは供給されているわけであります。つまり、海洋国家である日本が海洋の航行を脅かされたときに、これは、死活的な利益が失われると言ってもいいんだろう。国民の命を守る上において、平和な暮らしを守る上において、重大な影響があります。
 そして、我が国の商船隊の九五%は外国船籍でございまして、当然、外国船舶が攻撃を受けた場合に個別的自衛権の行使で対処することはできないということは、今までの議論の積み重ねによって明々白々であるわけでございます。
 そこで、今委員が御指摘になったように、機雷が敷設され、危険に遭う可能性が高い中、各国が協力して機雷掃海を行っているにもかかわらず、その能力に秀でる我が国が機雷掃海をできなくてもよいのか、各国が共同で我が国の船舶を含む船舶の護衛を行っているのに、そして、その船舶はまさに日本のエネルギーを供給しているものであるにもかかわらず、我が国が護衛に参加しなくていいのかという課題であります。
 そうした課題についても、しっかりと検討を行っていく必要があると考えております。
○中谷(元)委員 ありがとうございます。
 もう一つ、今度は、事例で、領域警備という問題があります。
 総理が当選されて、私も議員のときに、もう二十年近くこの領域警備の研究をしていましたが、いまだにこれは対処されていないと思うんですね。
 国交大臣にお伺いします。
 海上保安庁、本当に、まず第一線でこういった事態を防いでいただいておりますが、実例として、二〇〇一年の十二月に、北朝鮮の工作船が南西海域で中国の漁船に偽装して航行していました。それを見つけて海上保安庁が懸命に対応しましたが、何と、その北朝鮮の船はロケット砲を持っていたんですね。実際、撃たれました。それてよかったです。
 ところが、機関銃で海上保安庁の船は相当被害を受けて、幸い、相手の船がとまったということで、それで事態が進みませんでしたが、仮に保安庁の船が大破して沈んでいたらどうなっていたか。
 その次のシナリオというのは政府も考えておられるとは思いますが、本当にこれは万全であるかどうかで、いつ自衛隊にスイッチするのか。いわゆる警察作用と防衛作用、こういう国家の作用をどう使い分けていくかだと思います。
 私は、何となく、AオアB、警察か防衛というような考えに縛られていると思いますが、そうじゃなくて、やはりAアンドBで、あらかじめ早い段階で、出る出ないは当時の判断ですが、一応出られるようにしておいて、今の海警行動とか治安出動は非常に敷居が高くて、なかなか命令が出ません。そういうときに備えて、新たな領域警備とか警護出動とか、そういうものも設けて、海上保安庁とともに、そして警察もすぐに移動できるように仕組みをつくるべきだと思いますが、国交大臣の考え方についてお伺いします。
○太田国務大臣 現状も踏まえて答弁させていただきます。
 海上保安庁は、海上自衛隊に海上警備行動が発令された場合におきましても、付近、海域における治安の維持、安全確保など、海上保安庁の任務を実施するということになります。
 また、今御指摘のありましたような、海上警備行動が過去に発令されたことがあった不審船というのがありますけれども、あるいは、海賊の対処等の分野において、共同対処マニュアルの整備がかなり進んではいます。同時に、実際の共同対処、平素からの訓練、情報連絡などを通じまして、海上自衛隊との連携を深めておりますし、また、深めていくことも大事だというふうに思っています。
 我が国の領土、領海を断固として守るという我が国の政府方針を踏まえて、領海警備に従事する海上保安庁の能力の強化、これは今、極めて大事なことだというふうに認識をしておりまして、取り組んでいる状況にございます。
 いずれにしましても、海洋権益をめぐる問題は、法に基づく平和的な解決を目指すべきだというふうに考えております。その意味で、法執行機関でもあり警察機関である海上保安庁が冷静にかつ毅然として対応していく必要があるというふうに考えているところでございます。
○中谷(元)委員 いろいろ事例を今、自民党と公明党、検証、検討しておりますが、最後にPKOの話をしますけれども、そもそもPKOというのは平和維持活動で、武力行使でも何でもないんですね。ですから、こういったPKOに限っては、現場のニーズに応えられるように、実際に近くで働いている日本のNGOとかPKO要員ぐらいはちゃんと守ってあげられるような制度にすべきではないかなと思います。
 いろいろ申し上げましたが、一人の命を救う者は世界を救う、これはイスラエルの格言であります。国民の命を守るというのは国家でありますが、世界の平和と安全があるから国家があるんですね。そして、この国家というのは、やはり国民一人一人が、国を守るんだ、自分たちの地域の文化と伝統と考え方をずっと残していこう、そのために国家を守っていこう、国家を守っていくという基本的な意識と考え方に基づいて国家があるわけでありまして、それが私は世界平和につながっていくのではないかなと思います。
 今後、安倍総理におかれましては、国の安全保障を、大いにリーダーシップを持って、大いに検証し、そして万全なものにしていただきますよう心からお願い申し上げまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○二階委員長 これにて中谷君の質疑は終了いたしました。
 次に、遠山清彦君。
○遠山委員 おはようございます。公明党の遠山清彦でございます。
 安倍総理の五月十五日の記者会見の後、安保法制のあり方に関する与党協議が既に開始をされております。私も光栄にも参加をさせていただいておりますが、現在、記録係でございまして、発言ができないという立場で参加をさせていただいております。きょうは、そういう意味で、発言ができますので、総理と、ぜひ基本的な考え方について直接確認をさせていただきたい、このように思っております。
 安全保障に関する国会及び政府の議論は、従来から神学論争とやゆされてまいりました。先日も、私、東京都内で、千五百人余りの集会で聴衆の皆さんに伺いまして、集団的自衛権は自分はわかっているという方、手を挙げてくださいと言ったら、約二名だけ手を挙げられたということでございます。
 その意味で、現在、与党協議、そしてきょうから国会で議論されるこの安保法制の議論につきましては、やはり、国民の理解を得る、深めていただく、こういうことが最重要だと考えております。それがあって初めて幅広い国民的な合意も形成される、このように考えているところでございます。
 本日は、これらのことを念頭に、今日まで数十年間、そのほとんどは自民党政権のもとででございますけれども、国会あるいは政府の中で緻密な議論の積み重ねの結果として確立してきた現在の憲法解釈における戦力と自衛権の問題につきまして、確認をし、総理のお考えを伺いたい。ぜひ、総理におかれましては、テレビをごらんになっている国民の皆様にわかりやすい御説明をお願いしたいと思います。
 きょうは、パネルを五枚用意いたしました。まず、一枚目のパネルでございます。
 総理はこれは言わずもがなの内容でございますけれども、政府解釈の論理というものを、戦力をキーワードに確認したいと思います。
 まず、左側の絵でございますけれども、極めて大ざっぱに、素朴に考えれば、統治機構として国家が持つ実力装置には、大別して、治安維持のための警察力、これは下段に書いてあります、それから、外敵から国土、国民の防衛をする戦力というものがあるわけでございます。
 しかしながら、このパネルの左側に、見方によっては右側でございますけれども、書いてありますとおり、日本国憲法は、憲法九条という、いわば武力行使を原則として禁止する、こういう規範がございます。一方で、前文や憲法の第十三条に、国民の生命、自由及び幸福追求権を守る責務が国にあると読める内容になっております。
 この一見矛盾する二つの規範を整合的に解釈したものがこの右側の絵になっているわけでございますが、要するに、警察力と戦力の間に自衛力という概念をつくり出して、そして、「憲法九条とともに」云々の下に書いてあるとおり、国民の生命、自由及び幸福追求権が根底から覆される事態に対処して、国はこれを守る、それが自衛力である。それで、現行の憲法解釈では、個別的自衛権のみに基づいてこの自衛力を行使する。こうなっているわけでございます。
 次に、パネル二番に参りたいと思います。
 先日発表されました安保法制懇の報告書には、総理も記者会見でおっしゃっていたように、二つの異なる考え方が示されておりまして、そのうちの一つが、いわゆる芦田修正論でございます。
 ただ、総理、芦田修正論と言われてわかる国民は、九九・九%いらっしゃらないと思いますので、きょうは絵にしてまいりました。
 左側は、引き続き素朴な考え方で、戦力と警察力。もちろん、素朴に考えれば、憲法九条のもとで戦力は否定されていますから、これはうっすらとバツと書いてあります。警察力はマルだと。
 それで、芦田修正論というのは、これは下段の方に憲法九条の全文を載せさせていただいておりますが、第一項におきまして、「日本国民は、」途中、割愛しますが、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」これが九条の第一項でございます。第二項の冒頭、「前項の目的を達するため、」そして「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」交戦権も持たない、こういう内容になっているわけであります。
 芦田修正というのは、これは芦田均衆議院帝国憲法改正小委員長の発案で、この二項の冒頭に赤い下線がついているところがつけ加えられた。この読み方として、この「前項の目的を達するため、」というものが前の一項全体にかかるのではなくて、国際紛争の解決の手段としての戦争だけにかかる、こういう解釈をします。
 そうしますと、上の絵に書いてあるように、自衛力という概念というよりも、警察力と戦力で、戦力の中に、言葉が適切かどうかわかりませんが、よい戦力と悪い戦力があるという考え方になります。悪い戦力というのは、バツになっておりますが、要するに、今私が申し上げましたように、国際紛争を解決する手段としての戦争、すなわち侵略戦争のための戦力を持つことはだめですよと。
 しかしながら、それ以外の戦力はマルになっております。横を見ますと、では、どういう戦力がマルかというと、自衛戦争、個別的、集団的自衛権の行使のための戦力、これはマルですと。それから集団安全保障措置、いわば制裁戦争、これもマルですよ、このための戦力もマルですよという立場でございます。
 これがいわゆる芦田修正論の中身なわけでございますが、総理は十五日の記者会見で、政府の憲法解釈とは論理的に整合しないため、採用できないと御発言をされました。
 まず、この点について総理に伺います。
 総理として、なぜこの考え方が、芦田修正論の考え方が採用できないという判断に至ったのか、改めてわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 ただいま委員におかれましては、芦田修正の論理についてわかりやすく御説明をいただいた、このように思います。
 芦田修正につきましては、確立された定義が実はあるわけではないと承知をしておりますが、一般に、今委員が御説明になられたように、憲法第九条第一項はいわゆる侵略戦争を放棄していると解した上で、いわば侵略戦争はこれは悪い戦力になる、今そういう御解説だったと思いますが、第二項は、前項の目的を達するため、すなわち侵略戦争を放棄するために戦力の不保持を定めているとして、侵略戦争ではない、自衛のための、あるいは集団安全保障のための実力の保持や武力の行使には制限はないとする考え方でございまして、政府としては、この芦田修正論の立場をとったことはないわけでございます。
 安保法制懇の報告書では二つの異なる考え方を示していただいたわけでありまして、一つは、芦田修正の経緯に着目をし、個別的か集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加ということは、国際法上合法な活動には憲法上の制約はない、集団安全保障においての活動は制約はない、そして個別手段についても制限がないという考え方でございますが、これは今まで政府としては一度もとったことがないわけでございます。
 御承知のように、政府の考え方、昭和四十七年に示された考え方におきましても、憲法の前文と憲法の十三条にのっとって我々には自衛権があるという考え方、これは基本論でございまして、その上において、個別的自衛権に制限されていくわけでございます。
 我々は、この基本的な考え方、つまり憲法の十三条そして前文を根拠とするという基本的な考え方にのっとるということにおいて、芦田修正論はとらないということになるわけでありまして、したがって、自衛隊が武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加することはない、この考え方はとらないということは明確にしておきたいと思いますし、そのことを検討することはないということでございます。
○遠山委員 総理は、芦田修正論の立場はとらないと明言をされました。一方で、総理は、安保法制懇が示した二つの考え方のうち、もう一つ、従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方については、今後さらに研究を進めていきたいということで、今、与党協議も行われているわけでございます。
 そこで、従来の政府の基本的な立場とは何かについて、これから二つのパネルを見ながらやりとりをしたいと思うんです。
 まず、パネルの三つ目。
 これはもう毎日のように今新聞に載っている話でございますので、詳細の説明は避けますけれども、自衛権発動の三要件。
 我が国に対する急迫不正の侵害があること、これを排除するために他の適当な手段がないこと、つまり外交交渉で説得しても武力行使をする構えをやめない、この二つが、まず自衛権発動の前提条件でございます。
 その上で、では、自衛権に基づいて武力行使をするというときには、その行使の限度として、必要最小限度の実力行使にとどまる。それで、今までの政府解釈、今までのというか、現行の、今の政府解釈では、この必要最小限の中に集団的自衛権は含まれないということを繰り返し答弁をされているわけでございます。
 ここで、総理に改めて、これも確認の意味で伺いますが、総理は、今後も、この現行の自衛権発動の三要件を維持されますか。
○安倍内閣総理大臣 先ほどの答弁の中でも、一つの考え方として芦田修正が示され、そしてもう一つの考え方としては、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方でありまして、従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方であり、政府としてはこの考え方について今後さらに検討を進めていくように指示をしたところでございます。
 今委員が御指摘になった三要件に該当する場合、今までは、政府は従来から、このいわゆる自衛権発動の三要件に該当する場合、我が国に対する急迫不正の侵害があること、つまり我が国に対する武力攻撃が発生したこと、そして、これを排除するために他の適当な手段がないこと、必要最小限度の実力行使にとどまるべきことに該当する場合に限られる、こう解しているわけであります。
 私は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは許されるという安保法制懇の考え方について、さらに研究するように指示を出したところでございまして、これを受けて、まさに、遠山先生も含めて、与党でも御協議をいただき、そして、政府内におきましては、法制局を中心に議論をしているところでございます。
○遠山委員 そうしますと、今の総理の御答弁は、これを維持するかどうかという私の質問には直接お答えになっていませんので、これからの与党あるいは政府内の協議の結果に委ねるという解釈でよろしいですか。うなずかれているので、それで結構です。
 それでは、これは今までの政府の考え方なんですが、これをさらに詳しくしたパネルを出します。
 「憲法九条解釈の論理」というタイトルのついたパネルでございますが、これは、けさ以来ずっと出ております昭和四十七年の見解を中心に、今の政府の考え方をより詳しく見ているものでございます。
 まず、左側は、既に説明を申し上げました。日本国憲法の中には九条がございます。戦争の放棄、一切の戦力不保持、交戦権の否認。つまり、一言で言えば、戦力を用いた武力行使の禁止を原則としております。一方で、日本国憲法の中には、前文で日本国民の平和的生存権、十三条で国民の生命、自由及び幸福追求権の保護をうたっているわけでございます。
 この一見矛盾する条文の整合的解釈として、今までの緻密な政府内の議論、国会での議論の積み重ねによって、昭和四十七年見解はこう書いております。要点だけ抜き出しております。
 まず、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置を憲法は禁じていない。だから自衛権はあるんだという結論でございます。
 しかし、その次です、しかし、この措置は、憲法九条の規範性がございますので、この措置は無制限ではない、次の場合に限られる。一つは、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処する場合のときのみ。二つ目が、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置としてとるとき。三番目に、先ほども出てまいりました、右の事態を排除するためにとられるべき必要最小限度の範囲ということでございます。
 ここで、黄色くマーカーをさせていただいている真ん中のところを、総理、見ていただきたいんですね。これが私、一番大事な概念だと思っておりまして、つまり、憲法九条で武力行使が原則として禁止されているにもかかわらず、それが許される根拠の最大の重要な部分は、国民の、日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという事態に対処するというところなんですね。
 ここで法制局長官に簡潔に御答弁をいただきたいと思いますが、この昭和四十七年の見解を読むに当たって、どういう読み方をしても、少なくとも言えるのは、今私が申し上げたこの部分、自衛権の行使が容認されるのは、日本国民の生命、自由、幸福追求権が根底から覆される場合だという解釈になると思いますが、それで間違いないですか。
○横畠政府特別補佐人 昭和四十七年の政府見解の、詳細は既に御指摘がありましたので省略いたしますけれども、その肝のところを申し上げますと、平和主義をその基本原則とする憲法が、自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて許容されるものであるとした上で、我が憲法のもとで武力行使を行うことが許されるのは、そのような事態に対処する場合に限られるという趣旨を述べているものでございます。
○遠山委員 ここで総理に伺います。
 今の昭和四十七年見解を、これは安保法制懇の報告書でも引用されているんですね、重要な資料として。この根幹の考え方を維持した上で、憲法解釈との論理的整合性も重視した上で、芦田修正論の立場をとらず、集団的自衛権のことを考えますと、次のような考え方が出てくるかもしれません。
 すなわち、日本ではなく、日本と密接な関係にある他の国が武力攻撃を受けた場合でも、日本の、日本人の、国民の生命、自由及び幸福追求権が根底から覆される事態が生じ得るから、そこに着目をして、これまで必要最小限度に認めてこなかった集団的自衛権を限定的に容認する。
 こういう考え方を論理的に考えると、総理が記者会見で挙げられた、邦人を輸送する米艦防護の例が想起はされます。ただ、ここで質問じゃありません、しかし、この考え方に立ちますと、そうすると、単に密接な関係にある国が攻撃されただけでは、集団的自衛権の行使はできない。つまり、日本人が乗っていない米艦が攻撃されたときには、この昭和四十七年の見解にあるように、日本の国民の生命、乗っていないわけですから、日本国民の生命、自由、幸福追求権が根底から覆される事態とは言いがたいわけでございます。
 この辺を総理はどのように整理をされているのか、お話をいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 論理的な進め方としては、まさに今委員が御指摘になった論理だと私も思います。
 そこで、先ほど例として挙げた、他国で紛争があり、それを逃れてくる邦人を乗せた米国の船を守ることができるかどうかということでありますが、と同時に、では、乗っていなかったらどうかということであります。
 そこで、いわば、根底から覆される事態というのをどう考えるかということにもなるわけでございますが、日本の近隣でそういう紛争が起こったとき、それは日本にも飛び火してくる可能性があるわけでありますし、また、多くの邦人の命を救出する、命が脅かされているという状況と考えてもいいわけでありまして、その邦人を日本に安全に連れ帰ってくることは私たちの責任でもあります。
 そこで、しかし、それを主な任務として米国の船が担うときに、その防衛を依頼されたときに、この船は日本人が乗っているから守るけれども、この船には日本人が乗っていない可能性が、守るということを前提に、そもそも米軍とそういうエバキュエーションの、避難の計画を立てるということ自体が現実的ではないと言わざるを得ないんだろう、このように思うわけでございまして、その中において、事実、そういう意味において、こういう近隣の事態についての作戦等々についての詰めをなかなか行うことができないというのが現実としてあるわけでありますから、そこで、我々は、私たちもある一定の任務を担うことによって、これは邦人の安全も確保することにつながるであろうということであります。
 つまり、あの論理の中におきましては、邦人が乗っている船と同時に、邦人が乗っていない船であったとしても、このエバキュエーションのオペレーション自体、全体を考えることは、今までの、四十七年の考え方の根底を変えるものではない、いわば基本に沿ったものであるという考え方もできるのではないか。
 そういうことにおいて、与党において、また政府においても議論していく。これはまだ、それはまさにこれから議論していくわけでございますから、そういう課題、問題意識のもとに御議論をいただくということでございます。
○遠山委員 総理、今の御答弁は、私もこれからしっかり考えなきゃいけないと思っております。
 私が申し上げたのは、日本人が乗っていない米艦が攻撃されたときは、この四十七年見解のような事態には至っていないわけでございます。にもかかわらず、集団的自衛権ということは自衛権ですから、それは武力行使も含まれるわけでございまして、それをすることが認められるかどうか。
 今の総理の答弁は、避難計画という話が出てまいりましたから、必ずしも、米艦そのものへの攻撃を防御する話は、総理は今されなかったんですね。ですから、そこも含めて、これから少しまた議論したいと思います。
 最後に、もう一枚のパネルを用意しておりますので、御指摘をさせていただきたいと思います。
 これは、総理御本人のお考えではありません、安保法制懇が考える集団的自衛権行使の要件でございます。
 ただし、今パネルで示している、上の枠の中に書いてある、黄色くマーカーしています、「その事態が我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき」という表現は、総理御自身も御答弁の中で何度か使われているわけでございます。
 私としては、国権の発動で、本来九条で原則として禁止をされている武力を行使する要件として、可能性という、英語で言うとポシビリティーですね、これを基準にして判断するというのはどうなのか、いいのか悪いのか、これはやはりしっかり議論しなければいけないと思っております。
 それから、下を見てください。総理、これは、実は私もじっくり読んで初めて気づいたんですが、この下の枠のところは、上のような場合に該当するかどうかについて、さらなる判断要素を五つ書いております。
 この五つの判断要素を政府が総合的に勘案して最終的に判断をせよとなっているんですが、一番と四番は従来の政府の考え方でも出てくる要素です。しかし、私が黄色いマーカーでつけているところ、例えば二番、日米同盟の信頼が傷つくかどうか、あるいはその抑止力が大きく損なわれ得るか。三番、国際秩序そのものが大きく揺らぎ得るか。それから五番はちょっとあれですね、余りにもよくわからない、その他深刻な影響が及び得るか。こういった、いわば大ざっぱな、解釈の幅が極めて広い判断要素で、まさか武力行使の判断をするのかどうか。
 しかも、これはパネルに書いていませんけれども、地理的限定はしないということまでただし書きがついております。
 総理に、ここで二問、質問をいたします。
 総理の記者会見を読んでこれを見ると、総理は、芦田修正論は否定をしていますけれども、こちらの考え方、今私が示している考え方は今までの政府の解釈に近い考え方のようなニュアンスでお話しになっているんですが、今詳しく拝見しますと、どうもそうでもないなというふうになるんですね。特に、この最後に申し上げたような判断要素は、これを認めてしまうと憲法九条の規範性そのものが失われかねない、こう思いますけれども、総理の御見解をいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 これはまさに、今、遠山委員がおっしゃったように、安保法制懇の御指摘であります、考え方であります。
 そこで、いわば、安保法制懇としては、この集団的自衛権の行使についても、これはまさに権利であって、もちろん義務ではないわけであります。つまり、その中において、権利としてあることによって、これはさらに政策的選択肢としてとるかとらないか、これは重大な判断になるわけでありますし、かつ、そのための根拠法も必要であります。そして、この判断をする、これはもう相当、これは日本人の命がかかっておりますから、慎重の上にも慎重に判断をするというのは当然のことだろう、このように思うわけであります。恐らく、安保法制懇としては、さまざまな事態、何が起こり得るかわからないという事態の中において、この選択肢をなるべく、ある程度置いておこうという考えだったのかもしれませんが。
 いずれにせよ、政府としては、まさにこうした安保法制懇の出した報告について、今まさに与党で議論をしていただいております。そうした観点からしっかりと御議論をいただきたい。そうした与党の御議論も踏まえて、政府としても法制局を中心に検討を進めていきたい、このように思っております。
○遠山委員 最後の質問を簡潔に申し上げます。
 安保法制懇の報告書では、今まで政府がとってまいりました、他国の武力行使との一体化論、これはもう採用しない方がいいという結論を出して総理に進言しておりますが、総理の記者会見では、総理御自身はこの点について一切お触れになりませんでした。
 総理として、武力行使との一体化論、これを維持されていくのかどうか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 これまで、我が国による後方支援に際しては、我が国による後方支援が他国の軍隊の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保するための一つの仕組みとして、個別の法律において、非戦闘地域や後方地域といった仕組みを採用してきました。
 他方、安全保障環境が大きく変化する中において、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、例えば、国際の平和及び安全が脅かされ、国際社会が一致団結して対応するときに、自衛隊が幅広い後方支援活動で十分に貢献できるような法整備をすることが必要であると考えています。
 また、後方支援活動等を今まで以上に支障なくできるようにすることは、我が国の安全の確保の観点からも重要である、このように考えているわけでありまして、いわば、地域や世界の平和が維持されて日本の繁栄と平和があるという考え方に基づいて、しっかりと貢献をしていかなければならない。その中で何ができるか、何をすべきかという観点で検討をしていかなければいけないわけであります。
 そこで、御指摘の、武力の行使との一体化の考え方をもはやとらないとする安保法制懇の報告書の提言をそのまま採用することは、従来の政府の立場に照らして難しいと考えておりますが、難しいとしても、従来から政府が示してきた判断基準を、より精緻なものとして、具体的に何が武力の行使と一体化する行為なのかを明確にすることは、今後の検討課題の一つであると思います。
 また、従来から、非戦闘地域、後方地域という概念についてはさまざまな議論もありまして、この点も含めた検討が必要ではないかと考えています。
 いずれにせよ、現在、与党協議が進められている中におきまして、こうした点につきましても御検討いただき、その結果に基づいて、政府として対応を検討していきたいと思います。
○遠山委員 これからしっかり議論をさらに進めてまいりたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○二階委員長 これにて遠山君の質疑は終了いたしました。
 次に、岡田克也君。
○岡田委員 民主党の岡田克也です。
 質疑に先立ちまして、まず私自身のスタンスを御説明しておきたいと思いますが、私自身、集団的自衛権を広く認めることは、そういう問題であれば、憲法を改正すべきだというふうに考えております。
 ただ、全ての集団的自衛権を認めないのか、非常に限定された、非常に限定に限定を加えたような事例で認め得るのかということは、これはまだ決めておりません。今後のさまざまな議論の中で、本当に必要性があるのかどうかということについて判断していきたいというふうに考えております。そういう前提でお聞きしたいと思います。
 総理は、先般、記者会見を開かれまして、五月十五日ですけれども、二つの具体的事例を挙げて、いろいろ説明されました。きょうは、私は、安保法制懇の議論はいたしません。専ら、この総理の記者会見での発言についていろいろと議論したいというふうに考えております。
 まず、先ほど来いろいろ議論になっておりますが、事例を二つ挙げられたわけであります。
 その事例一の、先ほども取り上げられた、日本近海で有事が発生した、こういう場合に、日本人が乗っている米国の船を日本の自衛隊は守ることができない、それでいいのかというふうに総理は言われたわけであります。
 そこで、端的に聞きたいと思いますけれども、日本人を乗せた米国艦船以外の、もちろん日本でもない、第三国の艦船については、日本は守らなくていいんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 この事例として挙げた、先般、私の記者会見で挙げた事例ですね。近国でいわば紛争が起こり、そして、その紛争から逃れようとする邦人を、米国の艦船という表現を使ったわけでございます。
 しかし、これは、例えば米国が用船を行って、船籍が他国ということも当然あり得るわけであろう、こう思うわけでございますが、その際、日本に対する攻撃が起こっていないときに攻撃をされたときに、現在においてはこれは守ることができないということは、先ほど法制局長官が答弁したとおりでございまして、現在は、まさにそれはできないわけであります。
 そこで、今、岡田委員は、それをさらに広げて、それが他国の船だったらという御質問でございますが、これは状況等によるわけでございまして、まさにこれは、安保法制懇により出された報告書において我が国の安全に大きな影響がある場合かどうか、それは個々のケースにおいて判断すべきことであろう、こう思うわけでありますが、大切なことは、少なくとも、最初申し上げましたような事態において、邦人が乗船をしている船について、近国から、米国の艦船、米国の船に邦人が乗っている場合、その船に対する攻撃から守ることができないというのは、事実として存在するわけであります。
 その事例について検討するのは当然のことであろう、こう思うわけでありますが、それ以外のさまざまなケース、これは事態においてはさまざまなケースが当然あり得ますから、まさにそうしたことも踏まえて、与党において御協議をいただきたい、このように考えているところでございます。
○岡田委員 よく説明がわからないわけでありますが、これは、より具体的に言うと、例えば朝鮮半島有事、国境線を越えて南北の戦闘が始まった、そういう場合に、韓国には少なくとも三万人程度は日本人がいる。ビジネスマンとその家族であったり、あるいは旅行者であったり、その三万人の日本人を無事に日本に運ぶ責任が日本国政府にはある。これは当然だと思うんですね。
 活用できるものは全て活用しなければならない。したがって、民間の航空機や船舶も使って輸送するということになります。そのときに、日本でもない、アメリカでもない、第三国の船舶や航空機というのも、当然、活用できるものはしていかなければいけない。
 今の総理の御説明だと、それが米国の艦船なら自衛隊は集団的自衛権の発動で守るけれども、ほかの艦船は守れないと。それで本当に日本人を守ったことになるんですか、総理。
○安倍内閣総理大臣 私の説明をよく聞いていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、そうしたときに、用船して外国の船を雇うこともあるではないですかということを申し上げましたよね。それはつまり、米国船籍ではありません。つまり、さまざまな事態に対応しなければならないということであります。
 ですから、まずは、岡田委員は立場が決まっていないということをおっしゃったわけですね。立場が決まっていないということは、こういうときに守らなくていいか悪いかというのは決めていないということだろうと思いますが、私はそうではないわけでありまして、こうした際に……(発言する者あり)済みません、ちょっとやじるのは、辻元さん、やめていただけますか。大事な……(発言する者あり)
○二階委員長 お静かに願います。
○安倍内閣総理大臣 済みません、少し静かにしていただけますか。大切な議論を、今、岡田さんと行っているわけであります。
 先般、岡田委員に答弁させていただきましたときに、あのとき私は制限的に認められるということも検討しなければいけないかという答弁をしたわけでございますが、それをもとに今現在検討しているところでございます。
 そこで、今申し上げましたように、例として私はあの例を挙げました。同盟国である米国が、近隣の国でそうした事態が起こったときに、いわば、同盟国であるということもあり、当然、邦人の輸送には協力をしてくれるということになるわけであります。
 そこで、議論としては、例えば、そこから発展していく中におきまして、先ほど御説明したように、用船計画をしてほかの船ということも当然あり得るわけでございます。そうしたことも踏まえて、安保法制懇で検討をしていこうということであります。
 いずれにせよ、私たちは、日本人の命を守り、平和な暮らしを守っていくという大きな責任の中において、こうした事態に対応していく責任がある、このように考えているところでございます。
○岡田委員 議論がかみ合っていないんですが、私はアメリカが用船した船のことを言っているんじゃないんです。そのときに韓国にいたさまざまな国の船がある、その船を活用して日本人を輸送する、そういう場合は当然考えられるわけですね。そういうときの乗っている日本人は対応しないで、米国の艦船に乗っている場合だけ集団的自衛権で対処するというのは、私は、集団的自衛権という概念を使うから、そういうおかしな結果になってくると思うんですね。
 例えば、今の自衛隊に海上警備行動というのがありますね。その海上警備行動というのは、もちろんこれは防衛出動の前の段階でありますけれども、それに類似の概念で、そういう場合に日本人が乗っている船舶を国籍のいかんにかかわらず守れるような仕組みというものをつくるべきじゃないかというふうに私は言っているわけです。
 総理は、集団的自衛権の具体的事例をつくるのに、余りにもそこに熱心で、本当に日本人を守らなきゃいけないかどうかという視点が私は欠落しているんじゃないかと言っているわけです。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 申しわけないんですけれども、全く岡田委員は先ほどの私の答弁を理解しておられないと思いますね。まず正確に、私が申し上げたことを聞いてくださいよ、最初から決めつけないで。
 わかりやすい例として同盟国である米国の例を挙げましたね、こういうふうに申し上げました。そして、そこで米軍が用船する場合もありますね、他国の船です。しかし、それも含めてさまざまなケースがあるから、それを検討していただくというふうに申し上げたわけでありまして、私は一言も、米国の船以外はだめだと言ったことはございません。
 そして、そもそも、米国いかんにかかわらず、先ほどの私と中谷さんのやりとりを聞いていただければ明らかなように、他国の船であれば、我が国に事態が発生していなければ、米国であろうとどこであろうと、それは個別的自衛権の範囲には入らないから、いわば自衛権は行使できないというのが法制局の見解であります。
 米国のみが集団的自衛権の対象になるわけではありません。これは当たり前のことでありますが、米国以外の船であれば個別的自衛権になるなんというのはとてもおかしな議論になるわけでありまして、米国の船であろうとほかの国の船であろうと、もちろん客船であろうとそうです。客船であろうとそうですよ。商船であろうとそうです。これは、私は一回も軍艦という言葉は使ってはおりません。米国の船というふうに記者会見のときから申し上げているわけでありますから、そこのところを正確にまず御理解をいただいた上で反論していただきたいと思うわけであります。
 結論から言えば、まさに岡田委員が言われたように、どこの国の船であれ、いわば避難をしてくる邦人について、私たちはその命を守る責任を負っているわけでありまして、それは当然のことであります。その中において、果たして何をなすべきかということを検討すべきだということを申し上げているわけでありまして、これはもう再々いろいろな場で私が申し上げていることの繰り返しにすぎないわけでありますが、改めてそのように申し上げて念を押させていただきたい、このように思います。
○岡田委員 全くわからないわけですね。
 つまり、さっきの第三国の船について、米国の船あるいは米国が用船した船なら、米国に攻撃があった場合、日本は集団的自衛権の行使ということで、それは武力行使できますよ。だけれども、第三国の、相手の侵略国が全く武力行使していない、そういう国の船に対して、どうして日本は集団的自衛権の行使ができるんですか。答えてください。
○安倍内閣総理大臣 これは先ほども申し上げましたように、例えば機雷の例においてもそうですね。機雷の例において、ホルムズ海峡において機雷を敷設するというのは、これは武力の行使であり、機雷を排除するのも、これは武力の行使に当たるわけであります。
 そして、例えば、日本が用船している船も含めまして、日本に入ってくる石油等においても九五%は外国船籍になるわけであります。外国船籍の船を守るための行為、あるいはまた、そのための機雷の排除につきましても、これは武力行使に当たる。これは自国のための武力行使ではない、個別的自衛権ではないわけでありまして、それと全く同じであります。今まさに私が申し上げていることはそのことでありまして、なぜそのことが御理解いただけないのか、私は全く理解できないわけでございます。
 つまり、再三申し上げておりますように、外国の船であっても、その船に対する……(発言する者あり)
○二階委員長 答弁中は静かにしてください。
○安倍内閣総理大臣 攻撃は、まさにこれは自国の、我が国に対する攻撃が発生していない以上、個別的自衛権の対象にはならないのは明白であります。それが明白な中において、この事態にどう対処すべきか法的基盤を構築していくべきではないかというのが私たちの問題意識であるということでございます。
○岡田委員 全くお答えいただいていないんですけれども。
 私が聞いているのは、要するに、アメリカは、朝鮮半島有事のときに、もう既に韓国と一緒に戦闘行動に入っている。そうであれば、アメリカの船舶に対して、あるいはアメリカが用船したものでもいいんですけれども、日本が集団的自衛権の行使ということで、それは行使できる。だけれども、全くの第三国であって、その国に対して、例えば北朝鮮との間に戦闘行動が起こっていない、つまり、そこに武力行使がないときに、どういう理由で集団的自衛権の行使になるのかというのが私には全く理解できないんですね。
 これ以上議論しても同じことの繰り返し、総理答弁でしょうから、私は、これは全くおかしな話を総理はおっしゃっていると思います。
 そして、私は、やはりこれは、防衛出動の手前の段階での行動として、そういったものをきちんと法律で位置づけてやれるようにすべきである、そういうふうに申し上げているわけです。余り早く防衛出動してしまうということは、日本も早く戦争に手を挙げるということになりますから、日本人を運んでいる段階でそういうふうに防衛出動も出してしまうということは、それはかえってリスクを高めることにもなるわけですから、そういうことも考えて、私は、防衛出動の手前の問題として、これに対応すべきじゃないかというふうに思います。
 いずれにしても、総理は、集団的自衛権ということを、具体的事例を正当化しようとして、非常におかしな議論になってしまっているということは申し上げておきたいと思います。
 さて、時間も大分、このことで余り手間取るつもりはなかったので、次に、平和主義……(安倍内閣総理大臣「いや、今もっとやった方がいい、わかっていないんだったら」と呼ぶ)わかっていないのは、私は総理だと思いますよ。
 ですから、あなたは失礼ですよ、そういう言い方はね。わかっていないからというのは、失礼ですよ。後で議事録を見れば、どっちがわかっていないかははっきりしますから、また、次の予算委員会でやりましょう。
 一国の総理大臣なんだから、もう少し懐深く議論された方がいいと思いますよ。発言も求められていないのに、自席でやじるように、わかっていないなどという言い方は、総理として絶対すべきでないということは申し上げておきたいと思います。
 さて、次に、平和主義との関係で、(パネルを示す)総理は、「日本国憲法が掲げる平和主義は、これからも守り抜いていきます。」こういうふうに言われました。
 私は、日本国憲法の平和主義というのは、やはり、過去に自衛の戦争という名目で侵略戦争を行ってしまったことの反省に基づいて、武力行使、とりわけ海外における武力行使については抑制的に考えるというのが日本国憲法の平和主義の根幹だというふうに思いますが、総理の考える、守り抜いていかなければいけない平和主義というのは一体何ですか。
○安倍内閣総理大臣 私は懐深く議論していますよ。そのためにも、決めつけはよくないんですよ。何がという決めつけはよくないということを申し上げております。私は一つの例としてわかりやすい例を挙げたわけでありまして、そして、それ以外の国々については、それは集団的自衛権であるかないかいかんを問わず、これは議論をすべきだということを、問題として、与党において議論しているわけでありますし、内閣法制局においても議論しているわけであります。
 つまり、邦人の安全な退避について何をなすべきか、それをてこに集団的自衛権をこじあけようということではなくて、その中に集団的自衛権の行使に当たる、今、米艦が対象になればそうなるということについては、岡田委員はそういう趣旨の発言をされたわけでありますが、つまり、それであれば、それは行わなくていいのかということは申し上げておきたいと思います。
 その上において申し上げさせていただければ、今の守るべきこの平和主義でありますが、これは、日本が七十年間、平和主義のもとに、平和の国として、いわば平和国家としての歩みを進めてきたわけでございまして、そこにおいて、我々は決してこの道から外れることはありませんし、今後も、これからもこの道を歩んでいくわけであります。
 つまり、平和国家としての歩みというのは、平和な地域、平和な世界をつくっていくために最大限の貢献をしていくということでありまして、武力を行使するという選択肢、あるいはそれをもって他国を威嚇する、あるいは実力をもって、またその実力を背景に現状変更をしようとする試みは一切行わない、こういうことでありますし、日本はそういう行動をとってきたと私は自負をしているところでございます。
○岡田委員 二番目の、「自衛隊が武力行使を目的として他国での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません。」これは、ある記者の質問に対してお答えになっているんですね。
 ここでちょっと気になる、「他国での」ということですが、そうすると、公海上での戦闘に参加するということはあるというふうに総理はお考えなんですか。あるいは、それもないというふうにお考えなんですか。
○安倍内閣総理大臣 いわば、先ほど申し上げましたように、武力行使を目的として戦闘に参加をすることはないということを申し上げたわけでございまして、そして、その上において、他国において武力行使を目的として戦闘に参加することはないということであります。
 いずれにせよ、武力攻撃を目的として戦闘に参加をすることはないということになるわけであります。
○岡田委員 集団的自衛権の定義、みずからは攻撃を受けていないにもかかわらず、みずからと密接な関係にある国が武力行使を受けたときに、それをともに実力をもって阻止する権利と。その実力をもって阻止するというのは、武力行使を含む概念ですよね。
 ですから、武力行使に参加しませんというのは、私は理解できないんです。集団的自衛権を認めるということは、それは武力行使も含めてやるということじゃないんですか。私は、この発言、非常に理解できない発言なんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 私が申し上げたのは、集団安全保障において、いわば武力行使を目的として戦闘に参加するというこの考え方、つまり、これは、安保法制懇における、芦田修正論の上にこの論理が可能であるということでありますが、それはとらないということでありまして、あの記者会見のときにも申し上げましたように、イラク戦争あるいは湾岸戦争のような、ああした形、ああしたものに、我々が武力行使を目的として戦闘に参加することはないということを申し上げたところでございます。
○岡田委員 総理の記者会見を見ますと、最初に言われたときは、確かに、そういう集団安全保障のくだりの中でおっしゃっているんですよ。だけれども、東京新聞の記者の質問は、別に集団安全保障について聞いているんじゃないんですよ。そのときに、総理はこういうふうに、「自衛隊が武力行使を目的として他国での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません。」とお答えになっているんですね。
 今の総理のお答えは、集団安全保障の中では武力行使はしませんけれども、それ以外の、つまり、集団的自衛権のときには武力行使はあるというふうに私はお聞きしたんですが、そういうことですね。
○安倍内閣総理大臣 あくまでも検討をこれから与党でしていくということは前提として御理解いただいているんだろうと思いますが、先ほど例として挙げたように、これは岡田委員が挙げられた例ですね、日本の近海において、他国の紛争を逃れてくる邦人を輸送している米国の船に対して攻撃があったときは、これは、公海上において、その邦人を守る上において、自衛隊が武器の行使をするということは当然あり得るかどうかということについても検討をしていただくということになると思います。
○岡田委員 そうすると、この記者の質問に対する答えとしては、これは適切ではなかったと。その前に総理が述べられているのは確かに集団安全保障のくだりで述べられているんですが、集団的自衛権について武力行使をすることは決してありませんというのは、それは集団的自衛権に関しては当たらないということをもう一回確認しておきますが、よろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 つまり、記者の想定は、まさにイラク戦争とかあるいは湾岸戦争とか、そういう戦いにおいて、事実上それを想起した中において、イメージする中においての質問でありますから、そうしたものについては行わないということを明確にお答えをしたとおりでございまして、一方、いわば自衛権の中においては、我が国あるいは我が国に密接にかかわることについては、まさに、当然これは検討するということを既に申し上げているわけでありますから、それについては検討していくということになるわけでございます。
○岡田委員 記者はそんなこと全然聞いていなくて、集団的安全保障のことではなくて、集団的自衛権について聞いているんです。だから、そこで総理が先ほど言ったようにお答えになっているから、それは違いますねと。
 まあ、違いますということを基本的にはお認めになったというふうに理解をしたいと思いますが、私は、国民にとって非常にわかりにくいというか、ああ、集団的自衛権でも武力行使はないんだというふうに思ってしまったとしたら、それは違うということをはっきり申し上げておかなければいけないと思います。
 そこで、抑止力との関係について申し上げたいと思います。
 私は、集団的自衛権の行使というのは三つぐらいのパターンがあるんじゃないかというふうに思っているんです。
 一つは、ある国がアメリカに対して攻撃をして、それに対して日本が集団的自衛権を行使するということが考えられます。
 二番目は、アメリカは関係なくて、ある国がアメリカ以外の第三国に攻撃を加えて、その国が自衛権を行使する、そのときに日本が集団的自衛権を行使するということが考えられるわけですね。
 三番目は、それがミックスしたようなケースで、ある国が攻撃を受けたときにアメリカが集団的自衛権を行使する。それに対して、当然、反撃がありますから、日本はそのことをもって集団的自衛権を行使する。
 概念的にはこういう三つに分けられると思うんですが、まず、このケース二についてお聞きしたいんです。(パネルを示す)
 こういう場合は、例えばどこの国を想定されていますか。このY国ですね、アメリカ以外の国。そういうアメリカ以外の国に対する集団的自衛権の行使というのはあり得るというふうに総理はお考えなんですか。
○安倍内閣総理大臣 今、特定の国を私が挙げることは控えさせていただきたいと思うわけでありますが、まさに今委員が挙げられたような、幾つかのケースを挙げておられますが、それはまさに、これから与党において協議を進めていくわけでございます。その中におきまして、例えば、集団的自衛権の行使について可能かどうか、そして、それは、もし可能という判断がなされたとしても、必要最小限の中に入るものでなければならないというのが我々の基本的な考え方でございます。
 いずれにせよ、今まさに、自民党、公明党、与党において、この報告書の中身が議論されているということでございます。それを受けて、我々は、法制局を中心に検討を進めていきたいと考えております。
○岡田委員 総理は、集団的自衛権の行使を認めなければいけない理由として、そのこととして、抑止力が高まるということを言っておられるわけですね。
 そこで私はお聞きしているんですけれども、このケース二のような場合で、つまり、アメリカは関係ないような、そういう集団的自衛権のケースで、日本が攻撃される、そのことに対する抑止力が高まるというのは、どういう脈絡でそういうふうになるんですか。私はわからないんですね、説明が。
 抑止力が高まるとは、日米関係でならわかりますよ。日本が集団的自衛権を行使することによって、日米同盟がより強固なものになって抑止力が高まる、そういう議論というのは論理的にはあるかもしれません。しかし、アメリカが関係ないケースで、日本に対する、日本の抑止力が高まるというのは、具体的にどういうことを考えておられるのか、私はさっぱりわからないので、ぜひ御説明ください。
○安倍内閣総理大臣 それは、私は、割と近視眼的な考え方だろうと思います。
 もちろん、日米同盟というのは我が国の外交・安全保障政策の根幹であり、六〇年の安保改定があって、まさにその抑止力によって今日の日本、あるいは地域の平和と安定が守られているんだろう、このように思うわけであります。
 そこで、特定の国を挙げていくことは控えさせていただきたいと思いますが、例えば、いわば2プラス2のような形、これは外務大臣と防衛大臣が協議をしながら、両国、その相手国との関係、安全保障上の協力を高めていくということを今行っております。同時に、日本の海上自衛隊と米国以外の海軍との共同演習を進めている。なぜ共同演習を進めているかということは、これは、ある意味における抑止力効果もあるわけでございます。
 そういうものも進めながら、今、我が国の平和と安定を確保しているということでありまして、それは、相当の国々との関係において行っているわけでありまして、私は、それは成果を上げている、こう思うところでございますが、その具体的な議論につきましては、これはまさに、これから自民党と公明党、与党において協議を進めていく、そして、進めていきながら、我々も法制局を中心に検討していく、そして、結論を得た上において、さらに法制局を中心に取りまとめを行っていきたい、こう考えているところでございます。
○岡田委員 問題は、集団的自衛権行使という武力行使を伴う話ですから、単に関係が深まっているとか、そういうことじゃないわけですね。
 ですから、私は、アメリカ以外で集団的自衛権を行使して、日本に対する、日本の安全が高まる、抑止力がつくということがよくわからないし、逆に言うと、そういう論理をきちんと、もしビルトインするとすると、非常に集団的自衛権の行使が際限なく広がってしまう可能性もある。自国と密接な関係にある国ということで、基準が結局はっきりしない中で、あらゆる場合に日本としては集団的自衛権の行使ということが可能になってしまう、そういう危険性を秘めているということは申し上げたいと思います。
 それでは次に、アメリカとの集団的自衛権の行使ですけれども、集団的自衛権の行使というものについて、戦後、国連憲章ができた後、さまざまなケースがあるわけですけれども、その中で指摘されているのは、集団的自衛権の行使の濫用という問題ですね。
 総理も、ソ連のハンガリーやチェコスロバキアへの武力行使というのは正当なる集団的自衛権の行使だというふうには思われないというふうに思うんですけれども、例えば、アメリカでも、ニカラグアに対する武力行使について、国際司法裁判所は、これは正当な集団的自衛権の行使とは言えないというふうに判断しているわけですね。
 つまり、日本が集団的自衛権の行使をするとすると、その前段階でのアメリカの武力行使が、正当なる自衛権の行使あるいは正当なる集団的自衛権の行使であるということが大前提になるわけです。その判断は間違いなくできるという自信がおありですか、総理は。
○安倍内閣総理大臣 この集団的自衛権については、権利であって義務ではないわけでありますから、自動的に集団的自衛権を行使することにはならないわけでありますし、また、当然、この集団的自衛権の行使がもし可能になったとしても、それを裏づける法律が必要であります。その中における国会の関与も当然あるんだろう、このような議論も行われるんだろう、こう思うわけであります。
 そうした法整備が整った上で、政策的な判断をする上において、まさに、これは我が国の生存と安全に密接にかかわりがあるかどうかという重大な判断をするわけであります。
 そして、それはどんどん際限なく広がっていくという考え方は、私は、それは違うと思いますね。まず法律によってしっかりと、当然ある種の歯どめがかかっていくわけでありますし、その上において、政策的選択肢として、民主主義国家である日本において、そこでどんどんこの行使を行っていくということはおおよそ考えられないんだろう、私はこう思うわけでありまして、当時のソビエト連邦と日本を同一視するのは全く間違っているんだろう、こう思うわけでございます。
 当然、その中で慎重の上にも慎重な判断を行っていくということになるんだろうと思いますが、いずれにいたしましても、今まさに与党において議論をしているところでございまして、しっかりとこの議論が煮詰まり、結論を得ることを期待したい、このように思います。
○岡田委員 総理は私の聞いたことには答えられていないんですが、私が今聞いたのは、日本の集団的自衛権行使の前提となる米国の武力行使あるいは集団的自衛権の行使、これが正当なるものであるということが大前提ですねと。しかし、その判断はきちんと日本はできるんでしょうかということを申し上げているわけですね。
 例えば、あのイラク戦争のときに、アメリカの説明をうのみにして、そこに大量破壊兵器があるということで、このときはもちろん武力行使ではありませんが、日本は自衛隊をイラクに出したわけですね。後から考えれば、結局、ほとんど検証らしい検証をせずに同調していたということが私は明らかになったと思うんですね。
 そういうことが今までなされているだけに、本当に、その前提となるアメリカの行為、武力行使、集団的自衛権の行使、そういうものが国際法上正当なものであるということをみずから確認できるのか、あるいは確認したとして、だから日本はできませんということがはっきり言えるのかどうかですよ。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 まず、前提として、例えば、イラク戦争においては、これは集団的自衛権の行使ではなくて、安保理決議に基づく、いわば集団安全保障の一環として、多国籍軍という形で行われたものであります。日本が自衛隊を出したのは、戦闘が終わった後の、いわばイラクという国の再構築のためにサマワに自衛隊を派遣したわけでございまして、戦闘行動に参加をしたわけではありませんし、そして、そもそも、先ほど私が申し上げましたように、安保法制懇で出された二つの案のうち、我々は、今のケース、イラク戦争のようなケースには参加しません、いわば武力行使を目的とした戦闘には参加しませんということは明確に申し上げたとおりでございます。
 あの際にも、累次にわたる国連決議に違反をしたのはイラクでありまして、そして、大量破壊兵器がないということを証明できるチャンスがあるにもかかわらず、それを証明しなかったのはイラクであったということは申し上げておきたい、こう思うわけであります。
 その上において申し上げれば、つまり、我が国と密接にかかわりがあるかないかということが、これがまさに、我が国の生存にかかわるかどうかということが判断基準の中心に置かれるわけであります。そこで主体的に判断を行っていくということであります。その中におきまして、正当性があるかないかということについては当然検討していくことはある、このように思います。
○岡田委員 あるんじゃなくて、そこがポイントですよね。ですから、違法な武力行使におつき合いするわけにはいかないわけですね。しかし、それがきちんと判断できるかどうか、あるいはノーと言えるかどうかという問題だと思うんです。
 逆に言うと、私は、集団的自衛権の行使ができますよというふうにやった後で、やはりこれはできませんということになると、そのときの日米同盟に及ぼす影響は非常に大きいと思うんですね。もともと、できませんというふうに言っておいて、あるいは非常に限定しておいて、その範囲でしかできませんというふうに言っておいて、その範囲でやるのと、かなり期待を持たせておいて結局できませんと言ったときと、どちらが日米同盟にとって大きなマイナスになるかといえば、私は、できますと言ってみて、結局できませんと実際には断るということの方が影響は大きいと思うんです。日米同盟はそこで非常に傷つくということになると思うんです。
 そういう意味でも、私は、この議論というのは、余り大風呂敷にやるんじゃなくて、しっかりと限定した議論、あるいはできないならできないという議論、それを行うべきだというふうに考えるんですが、そういう基本的スタンスは、総理は共有されますか。
○安倍内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、集団安全保障においては、イラク戦争や湾岸戦争の例を挙げまして、ああした形における武力行使を目的とした戦闘、他国に行って戦闘を行うことはないということは申し上げているとおりでございます。
 そしてまた、米国との関係におきましては、まさに米国は、我々がこうした検討を行うことを積極的に支持、歓迎をしているわけでありますし、その中において、今年末に新しいガイドラインを作成していくわけでございます。そうした中において、もし我々が新しい観点に立って安全保障政策を構築していくということが可能になってくれば、それをもとにガイドラインを詰めていくわけでございます。
 そうした中におきまして、日本は何ができるかということの中において、ガイドラインが決まっていくわけでありますから、その中において、アメリカに、私たちができないことにおいて、彼らに、それができるのではないかという錯覚を持たせることがあってはもちろんならないわけでありますし、また、そうはならないんですね。これは、いわばその中で実際にかなり詰めていくことに、実際に何ができるかということにおいて、共同で何ができるかということをさらに詰めていくわけで、そういう緻密な議論をいずれにいたしましても行っていくということになるわけでありますから、そうしたことにはならないであろう、こう思うわけであります。
 いずれにいたしましても、現実に即した議論をしっかりと行っていくということにおいては、岡田委員と同じ考えでございます。
○岡田委員 次に、集団的自衛権の行使の限定について、先ほど遠山委員がいろいろと御指摘をされましたが、私、一つ気になっているのは、例えば石油の供給が制限されるような場合、これも我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性に含まれるという考え方ですよね、今までのところ。
 つまり、ペルシャ湾に機雷が敷設されて日本に石油が入ってこない、そういう場合も、我が国の安全に重大な影響を及ぼすということで、集団的自衛権の行使を考えるということですが、ここまで広げてしまうということについて、問題はないんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 まさに日本は海洋国家であり、資源をほとんど海外に頼っているわけであります。そしてさらに、ガス、石油の八割を中東地域に頼っているわけでありまして、もちろん備蓄はありますが、そこで、その供給が切断されるということになれば、当然これは我が国に大きな影響があるということでございます。
 そこで、我々は、自衛隊を送って、そこで何か戦闘行動を目的として行くということではなくて、機雷がまかれた段階において、しかし、この機雷をまくということ自体がこれは武力行使であって、この機雷を除去するということも、先ほど法制局が答弁したように、遺棄機雷でない限り、これは武力行使に当たるということになるわけでありまして、そこで、今の解釈では、できないということになっている。
 その中において、例えば、では、この海峡の機雷を何カ国かで除去しようとなったときに、専ら、そこを通る船が日本にやってくるにもかかわらず、日本がそれをやらなくていいのかどうかという問題意識であります。
 そしてまた、その商船、商船隊においても、これは残念ながら日本国籍ではないということになって、その商船隊を全く守らなくていいのかどうかということであります。その商船隊が日本にやってくるとしても、日本国籍ではないわけでありまして、その中において、自衛隊は守ることができないでいいのかどうかという課題と問題意識であります。
 それは、例えば、ほかの国々に任せればいいかということでありますが、そこはしっかりと、やはり真剣にそうした現実と向き合わなければならないのではないのか。まさに、私は、国民の命とそして平和な暮らしに責任を持つ立場から、検討すべきだ、こう判断したところであります。
○岡田委員 原油がとまったとしても、国家備蓄もありますし、しばらくしのげるだけの備えは我が国は行っているわけですけれども、いずれにしても、意図を持って敷設された機雷を除去することも武力行使である、そういう考え方に基づいて議論されていると思うんですね。つまり、武力行使、日本に石油が入ってこない、その状態を是正するためにも武力行使をする、こういうことなんですね。だから、そこまで広げてしまっていいのかという議論です、これは。
 したがって、私は、基本的に、日本国が直接攻撃を受ける、つまり、個別的自衛権と同じレベルの厳しさが日本国民の生命財産に及ぶようなときに、集団的自衛権というものを限定的に、非常に限定的に行使する、そういう論理立てなら、まだそれは成り立つかもしれませんけれども、油が来なくなって国民生活が経済的に大変だ、こういうことまで集団的自衛権の行使ということになると、それは個別的自衛権の行使と並ぶような事態じゃ全くないということになりませんか。
 そこまで広げていくことに、私は非常に懸念を覚えるんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 これも、委員は意図的に議論をすれ違いにさせていると思うんですが、私が申し上げたのは機雷ですよ、機雷。ですから、機雷ということをいつも御質問でもおっしゃっていただきたいと思いますが、機雷なんですよ。つまり、日本が、戦闘目的として、油のためにいきなりどこかの国に出ていくかのごとくのイメージを植えつけるのはやめていただきたいと思います。
 私たちが申し上げているのは、これは機雷の話でありまして、かつ、この機雷が、例えばホルムズ海峡に多数敷かれた段階において、これを除去しようという国際社会の合意ができたときに、ここを通る多くの船が日本に来るにもかかわらず、それをやらなくていいのかということを申し上げたわけでありまして、それ以上飛躍するものではありません。こうしたことを限定的にまさに考えるべきではないか、こういうことであります。
 そして、それは、まさに日本の船でなければこれはできない、いわば個別的自衛権の範囲には入らないというのは先ほどの法制局長官の答弁のとおりでありまして、だからこそ議論を進めていこうということでありまして、こうした議論は、まさに正確な議論を行うべきであって、私も、いろいろな前提条件をつけて、その中で限定的に考えるべきだということを申し上げているわけであります。
 そうではなくて、不正確な議論をまき散らして、何か危険な議論をしているような不真面目な議論は、私はすべきではないんだろう。これは岡田さんに申し上げているわけではありませんが、そういう議論が間々見られるわけでありますので、それは厳に慎むべきではないか、こういうことを申し上げているところでございます。
○岡田委員 今の機雷の話、意図を持って据えられた機雷を除去することは武力行使というふうに国際法上考えられている、そういう前提での議論ですよね。
 したがって、機雷を、例えば日本の船が集団的自衛権の行使といって除去したときに、相手国は、武力行使されたということで、それに反撃をするということは当然考えられるわけですね。そこで戦闘になるかもしれない、そういう話だということを私は申し上げているわけです。機雷を片づけたらそれで全て終わりということには必ずしもならない、そういう議論をしなければ、私は間違いだと思うんですよ。
 時間も参りましたが、私は、やはりこの集団的自衛権の問題は非常に重要な話だと思うんですね。自衛隊の皆さんから見たって、日本の国が攻撃を受けているから、それに対して命をかけて日本を守る、そういう気概は当然、自衛隊の皆さんは持っているはずだと私は思います。しかし、よくわからないまま海外に行って武力行使して、そこに命をかけろと言われても、私は、必ずしも納得できない、そういう声が当然あると思います。
 ですから、そういう、まさしく命もかけてみずからの任務を遂行する自衛隊の皆さんが納得できるだけのきちんとした説明が必要だというふうに思うんです。総理のきょうの答弁を見ていて、私は、その域にはまだなっていないというふうに思うわけですね。
 そして、集団的自衛権の行使は、先ほどの機雷の例でもそうですけれども、単に集団的自衛権の行使と、日本が何かしたからそれで終わるかというと、当然相手は反撃してきて、まさしく戦闘行動になることも十分考えられる。そういう意味では、戦争に巻き込まれるという議論も、それはそれで一つ理があるわけですから、まさしく国民にとっては非常に重大な事態なんですよ。だからこそ、しっかりと議論をして、そして、国民の多くの皆さんが、やむを得ない、こういう場合は本当にやむを得ないんだと納得できるような状態をつくり出す責任が、内閣総理大臣である安倍さんにはあるわけですね。
 ぜひ、そこはよく踏まえた上で、国会がずっと戦後議論してきて、いろいろ積み上げてきた議論を、ある意味では相当変える話ですから、国会議員一人一人にとってもこれは真剣勝負だと思うんですよ。与党も野党もありませんよ。これだけ議論してきた、先輩たちが議論してきたことを変えるということのその重さを十分に踏まえて、私は、真剣な議論、慎重な議論を行っていくべきだ、そのことを最後に申し上げておきたいと思います。
 終わります。
○二階委員長 この際、大串博志君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大串博志君。
○大串(博)委員 おはようございます。民主党の大串博志です。
 きょうは、予算委員会、質問の時間をいただきました。早速質問に入らせていただきたいと思います。
 私は、まずTPPの問題について議論をさせていただきたいと思います。
 単刀直入に議論に入りますけれども、TPPの前に、この四月に、日豪EPAに関して、総理はオーストラリアの首相と会談をされ、大筋の合意をなされました。特に大きかったと私が思うのは、牛肉に関して、三八・五%という関税を段階的に半分近くまで下げていく、こういった合意がなされておるわけであります。
 これに関して、農林水産委員会決議というものがございます。お手元の資料にもありますけれども、右側ですけれども、日豪EPAの交渉開始に関する決議、「米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの農林水産物の重要品目が、除外又は再協議の対象となるよう、」「全力を挙げて交渉すること。」と、極めて明確に「除外又は再協議の対象となるよう、」というふうに書かれています。
 除外、再協議というのは、後ほどまた議論させていただきますが、関税を引き下げるとか関税を撤廃するとか、そういう合意に至らない、すなわち、関税交渉から除外する、あるいは、また議論しましょうというふうに先送りする、つまり、関税率に手をつけないということですね。にもかかわらず、今回、先ほど申しましたように、日豪EPAにおいては牛肉の関税率が半減するような方向の合意になっている。
 総理、日豪EPA大筋合意は、農林水産委員会決議に反するものと言わざるを得ないのではないですか。
○岸田国務大臣 御指摘の日豪EPAですが、合わせて七年にわたる長い協議を続けてまいりました。
 その間、御指摘の衆参の農水委員会の決議、これをしっかり受けとめながら、国益にかなう最善の道を追求すべく、協議を続けてきた次第であります。
 そして、こうした協議を続けた結果、今般、現状において、国内の農林水産業あるいは畜産業の健全な発展との両立を確保し、そして国益にかなう最善の合意を得ることができたと政府としては認識をしております。
 そして、御指摘の決議との関係ですが、衆参の農林水産委員会の決議をしっかり受けとめて最善の道を得るべく努力をしてきたわけですが、その整合性の判断は、これは衆参農林水産委員会の決議でありますので、それぞれの委員会においてこれは御判断いただくべきものであると考えております。
○大串(博)委員 これまで政府の大臣の方々は、決議を踏まえる、あるいは、受けとめる、いろいろな言葉を使っておっしゃってまいりました。しかし、事、では結果はどうなんだという問い合わせになると、それは国会の方で判断してくださいと、他人にげたを預けるような言葉、これは、農家の方々に対しては極めて元気をなくすような答弁だと思うんですね。
 きちんと確認しますけれども、この決議には、除外、再協議となるようにというふうに明らかに書かれているんですよ。極めて客観的に書かれています。客観的に出た答えは、三八・五という牛肉の関税が半分になるという、除外でも再協議でもないんです。
 外務大臣、除外、再協議の定義は何ですか。
○岸田国務大臣 一般論として申し上げるならば、除外ですとか再協議、こうした定義について、確立したものはないと承知をしています。これはそれぞれの交渉の中で決まっていくものだと考えています。
 我が国がこれまで行ってきたさまざまな経済連携の協議の中で、例えば、過去の例を見ますと、関税の撤廃、引き下げに関する約束等の対象から除外される、あるいは、合意された年に市場アクセスの条件の改善等について再交渉する、こういった区分を設けて交渉してきた、こういった経緯は存在をいたします。
○大串(博)委員 先ほど、除外、再協議に関しては定義が確立したものはないと、これまた農家の方々に対しては大変元気をなくす答弁なんですね。
 見てください。政府がつくった資料の中で、除外については「特定の物品を関税の撤廃・削減の対象としないこと」、再協議、「特定の物品の扱いを将来の交渉に先送りすること」、明らかに政府が書いているんですよ。こういう資料を政府がつくって配っている。今でもこれは配っています。にもかかわらず、尋ねられたときには、決まった定義はありません、さらには、決議に合っているかどうかは国会の方で判断してください。これじゃ余りに無責任な交渉態度というふうに言わざるを得ないと思うんです。そこを問うているんです、総理。
 日豪EPAの結論を導き出されたのは総理です。総理自身、この決議に反しているというふうに思われませんか。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 政府としては、衆参の農林水産委員会の決議をしっかりと受けとめて、国益にかなう最善の道を追求すべく全力を挙げてきたところでございますが、この結果、政府としては、国益にかなう最善の合意を得ることができたと考えております。
○大串(博)委員 決議に違反しているかどうかを私は聞いているんです。それは国益にかなった結果になったかどうかというのは、再三にわたって総理はおっしゃっています。
 しかし、先ほど申しましたように、除外、再協議という言葉は、関税を引き下げるものはこの除外、再協議には当たらないというふうなことを政府の文書にもう書いているんですよ。
 しかるに、日豪EPAは、関税が下がるという結論になっている。明らかに決議違反じゃないですか。それを真正面から認めない、あるいは、国会答弁でも、除外、再協議の定義は確立していないなどということを言われる。これは、極めて不誠実な態度だと言わざるを得ない。
 なぜこれを申し上げるかというと、TPPの決議というものがあります。TPPの決議、これも日豪EPA決議と同じ構造なんですね。すなわち、「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、」「除外又は再協議の対象とすること。」と書かれているんです。同じ構造を持っているんです。
 ですから、日豪EPAにおいて、関税が下がったことをもってして、これでいいじゃないかというふうな今のような答弁であれば、TPPにおいても、今いろいろな報道が出ていますけれども、除外、再協議どころか、関税が大きく下がっていく、そういった交渉になってしまっているんじゃないのか、すなわち、はなから、決議を守る、そういった態度での交渉にはなっていないんじゃないかという疑義がみんな頭に浮かんでくるわけです。ですから厳しく申し上げているわけです。
 どうですか、総理。TPPにおいても、この決議、除外、再協議、厳しくこれを認識した上で交渉に臨んでいる、あるいは結果を出す、そういうふうには言われないんですか。
○岸田国務大臣 まず、御指摘の資料についてですが、この資料につきましては、我が国がTPP交渉に参加する前に我が国が行った情報収集の中で、各国が提供した情報を記載したものであります。よって、これは、政府として除外ですとか再協議の定義を示したものではない、このように認識をしております。
 そして、今回の日豪EPAの交渉のあり方がTPP交渉の今後の交渉のあり方にも影響するのではないか、こういった御指摘をいただきました。
 TPP交渉につきましては、現在、最終局面にあると認識をしております。当然のことながら、衆参の農林水産委員会の決議、これをしっかり受けとめ、国益を守るために最善の努力をしなければならないと考えております。
 そして、日豪EPAにしても、それからTPPにしましても、これは、妥結した後、国会においてしっかりと判断をいただかなければなりません。国会の承認をしっかりいただける内容を、我が政府として、しっかりと目指して努力をする、これは当然のことであると考えております。ぜひ、そういった観点から努力をしていきたいと考えております。
○大串(博)委員 決議というのは重いんです。最終的に国会で認められる、それは当然です。その決議をどのくらい重く踏まえてもらっているかということなんです。
 この間、農林水産委員会に総理は来られました。決議との考え方について、いろいろな大臣は、決議を踏まえるという言葉を使われました。しかし、総理は、何度問われても、踏まえるという言葉は使われなかったんですよね。受けとめるとしかおっしゃいませんでした。
 この間、私はこれを農林水産委員会で質問しましたよ。そうしたら、西村副大臣が、大辞泉という辞書から引きました、踏まえるというのは、判断のよりどころとするということでありますと。そのとおりですよ。受けとめるというのは、事柄の意味をしっかり理解すると。随分ニュアンスが違うんです。にもかかわらず、総理は、国会に来られて、農林水産委員会で何度聞かれても、受けとめるとしかおっしゃらなかったんですよ。
 本当にしっかり決議を踏まえる覚悟と存念があられるのか、総理、みずからの口から答弁してください。そして、この踏まえるということ、これを総理としても踏まえるということでよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 私も、また甘利大臣も、また林大臣も、同じ方針で交渉に臨んでいるわけであります、TPP交渉は最終局面を迎えているわけでございますが。
 御指摘の、決議を踏まえと決議を受けとめは、これは使い分けているわけではありませんが、いずれにせよ、国益を最大限に実現し、国会で御承認をいただけるような内容の協定を早期に妥結できるように、引き続き全力を尽くして交渉に当たっていきたいと考えております。
○大串(博)委員 今も踏まえるという言葉を使われなかった。言われないんですよ。全国の農家の方々が今聞かれていると思います。総理は必ず、踏まえるとは言わない。決議を日豪EPAが守っているかどうかも言わない。これが非常に不安の種になっているわけです。
 ぜひ総理、全国の農業者の皆さんの不安を、不満も受けとめていただいて、かたく交渉に当たっていただきたいというふうに思います。
 さらに、農業面で、守るということを言われています。最近の一連の報道を見ていると、農業の面の関税でこれだけ譲らされた、こういう合意になっている、関税はこれだけ引き下がる方向になっている、こういう譲る、譲らされる内容の報道ばかりが目につきます。
 しかし、貿易交渉というものはそうではないはずです。一方で、我が国へのメリットもなければならない。TPPにおける我が国のメリットの中で最も大きなものの一つは、私はアメリカに対する自動車の関税をなくさせるということだと思います。茂木経産大臣も、TPP十一カ国に対して関税支払い額は五千億、そのうちで対米の自動車の関税は八百億、極めて大きいというふうに何度も答弁されています。
 総理にお尋ねしたいと思うんです。
 今、私たちの周りには、譲らされている、譲らされているという報道ばかり出てきます。先般、総理はオバマ大統領と日米首脳会談を行われました。非公式な食事も行われました。聞くところによると、その食事の中でも、オバマ大統領から何とか農業に関して譲ってくれという話をたくさん言われたというふうな報道もあります。
 総理の方から、逆に、自動車に関して、ちゃんと関税撤廃をしてくれよ、何年までには関税撤廃してくれよということをオバマ大統領に総理の口からおっしゃったことは、先般の日米首脳会談、あるんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 自動車の関税につきましては、昨年の二月の日米首脳会談の結果を受けて、既に自動車関税の撤廃に合意をいたしております。既にこの問題については合意をしたということでありまして、いずれにせよ、攻めるべき点はしっかりと事実攻めておりますし、守るべきものはしっかりと守っていくということであります。
○大串(博)委員 答えられなかったですね。
 私がなぜこれを聞いているかというと、去年の二月から四月にかけて、TPP交渉に入ったときに、このような合意を日米でされています。すなわち、車に関しては、左側ですけれども、「TPPの市場アクセス交渉を行う中で、自動車に係る米国の関税がTPP交渉における最も長い段階的な引下げ期間によって撤廃され、かつ、最大限に後ろ倒しされること、」という、極めて日本としては譲歩させられたことをもう既にのまされています。
 さらに、そのことに関して、右側ですけれども、アメリカの通商代表部はそれの解説を公表していて、見てみると、同じような文章ではありますけれども、「日本は、日本の自動車の輸入に係る米国の関税が、TPP交渉における他のあらゆる物品の中で最も長い段階的な引下げ」、「あらゆる物品」と書いてあるんです。
 今、農業に関して、日本が、関税撤廃はやめてくれと。もし万が一、関税撤廃でない結果を日本が得られた場合には、すなわち、関税の段階的引き下げじゃない、関税が残るという形を日本が首尾よく得られた場合には、当然、「あらゆる物品」と書いていますから、アメリカの側も、いや、それであれば自動車の関税も撤廃しないということにしてくれと言ってくる可能性があると私たちは思うものだから、だから聞いているんです。
 だから、総理に先ほど聞いたのは、先般、オバマ大統領と会われたときに、自動車の関税をちゃんと撤廃してくれ、いついつまでに撤廃してくれということを言われたんですかという、この事実関係だけをお尋ねしたんです。言われたんですか。
○安倍内閣総理大臣 それはまさに交渉にかかわることでありますから、私とオバマ大統領の間のさまざまな交渉について、これは今つまびらかにすることはできないということは申し上げておきたいと思いますが、当然、私は日本国の総理大臣でありますから、日本の国益を確保するために、言うべき点はきっちりと申し上げ、要求すべき点は要求しているということは申し上げておきたいと思います。
○大串(博)委員 何を守るか、どう守るかということに関しては、結構日本政府は言っているんですよ。重要五品目、決議を踏まえて頑張ります、こういうことをおっしゃっている。しかし、交渉の中のことは言えないからということで、自動車に関して関税撤廃してくれということを言ったかどうか、これは言えないと。
 みんな疑っているんです。一言も、オバマ大統領との会談においては、自動車の関税撤廃をしてくれ、いいなという、こちらから攻めることを言っていないのではないかということをみんな疑っているんです。だからこそ、譲らされる交渉ばかりになるんじゃないか。
 これは交渉にならないですよ。オバマ大統領の方から、農業のこの関税は撤廃してくれ、下げてくれとだけ言われて、それに対して、いや、それはできないとだけ言う交渉は、交渉にならないですよ。だからみんな心配しているわけです。
 このことは、結果が出てくると思います。結果が出てくると思いますので、しっかり見定めさせていただきたいと思いますけれども、TPPがしっかり双方向の利益を得る交渉になるように、総理にはきちんとやっていただきたいというふうに思います。
 そして、なぜこういったいろいろな右左の報道が出てきてわかりづらくなっているかというと、TPPに関して情報が出てこないからです。今も交渉中のことは何も言えないとおっしゃいました。しかし、他国の例を見ると、情報公開をかなり積極的にやっているケースは多々あります。
 そこで、私たち野党は、TPP等情報開示促進法案というものを提出させていただきました。野党、みんなの党、結いの党、そして生活さん、社民さん、共同で出させていただきました。国会にTPP等の重要な貿易交渉に関しては情報を提示してくださいと。極めて、至極真っ当な法案だと思います。
 これに関して、政府にもぜひ賛成してほしい。なぜなら、これが国会で議論される場合には、最終的には、その過程において、政府はこういう法案に賛成するかどうか意見を述べていただかなければなりません。
 総理、情報公開なりとも、ぜひ積極的にやっていただきたいと思いますが、総理の考えを聞かせていただきたい。総理の考え方を聞かせていただきたい。情報開示に積極的なのであれば、総理の考え方を聞かせていただきたいと思います。
○岸田国務大臣 まず、先ほど御指摘がありました自動車関税の撤廃につきましては、二月に首脳会談が行われた後、四月の段階で、佐々江駐米大使発マランティス米国通商代表部宛ての書簡が発出されております。ここにおきまして、両政府は、自動車に係る米国の関税がTPP交渉における最も長い段階的な引き下げ期間によって撤廃される、これを確認したわけですが、これは、文書におきまして、引き下げられるものの中で引き下げられ、撤廃されるものの中で最も長い期間を確保した上で撤廃する、これを文書で確認した、この意味をぜひしっかり受けとめていただきたいと存じます。
 そして、その上で、情報開示について御質問がございました。
 情報開示につきましては、TPP交渉参加に当たりまして、保秘契約、秘密を守る契約を結んだ上で関係国はこの交渉に入っているわけであります。ですから、交渉上の守秘義務の遵守と情報提供のあり方、これにつきましては、参加国全てがさまざま悩みながら、工夫しながら対応しているということであります。加えて、対外交渉でありますので、お話しできること、できないことがある、これは当然のことであります。こういった中にありまして、我が国としましては、最大限、情報提供に努めているところであります。ぜひ、今後とも、こうした努力は続けていきたいと存じます。
 議員提案の法案につきまして、政府の立場からお答えすることは控えなければならないと考えています。
○大串(博)委員 要するに、情報開示に関しては、極めて、一貫して否定的なんです。というのは、保秘合意の話もありましたけれども、ニュージーランドなんかは保秘合意のひな形自体をホームページ上に公開しています。アメリカは、この右手にありますけれども、TPA法案の中で、国会議員に対して交渉中のテキストの閲覧を保証する、こういう法案を今、国会にかけていて、しかも、大統領も、このTPA法案は急いで通してくれと何度も言っているんです。同じことを各国は言っているんですよ。なぜ日本だけが情報開示しないということになるのか、私は全くわからない。
 このあり方については、またTPPに関しては、繰り返し議論させていただきたいというふうに思います。
 集団的自衛権の話に移らせていただきたいと思いますけれども、総理にお尋ねさせていただきたいと思います。
 この間、安保法制懇の結果が出ました。出た中で、これに関してさらに今後検討していくというふうになっていますけれども、総理としてのお考えを述べられたところがあると私は思うんですね。
 資料の中にもありますけれども、総理の記者会見の中で、先ほど話のあった、芦田修正論に基づく憲法解釈はとりませんと。そして、もう一つの考え方として、「もう一つの考え方は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方です。」これに関して、その二行後、総理としてはどう言われているかというと、「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることは禁じられていない。そのための必要最小限度の武力の行使は許容される、こうした従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方です。」という価値評価を総理はされています。
 どうして、どういう理由から、どういう論理構成で、どういうふうな内容で、「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方」が「政府の基本的な立場を踏まえた考え方」だと言えるんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 いわば政府として自衛権の行使について答弁を確定したものが、昭和四十七年の答弁であります。その以前に砂川判決があったわけでございまして、その後、自衛隊が発足した際にも自衛隊の合法性について述べているわけでございますが、集団的自衛権あるいは個別的自衛権等について整理したものというのは、昭和四十七年の答弁でございます。
 その際、憲法の前文と憲法の十三条を引いて、国民の生命あるいは幸福追求権等々においてみずからを守る権利がある、こう定めているわけでありますが、その中におきましても、この憲法九条との関係において、必要最小限度に限られるという考え方をとっているところでございます。
 一方、芦田修正からすると、いわば、前項の目的を達成するためという書き方になっているので、侵略戦争以外は許されるという考え方であると。
 その論理は我々はとらないということにいたしまして、今例として挙げました憲法の前文あるいは十三条を根拠とする自衛権に我々はのっとっていこうという中において、しかし、その必要最小限に限定されるものの中に集団的自衛権の行使は全て入らないのかどうかという中において、さまざまな事例を挙げさせていただいて、その事例を中心に検討を進めていこうということを与党にお願いし、そしてまた、法制局を中心に検討を進めていくということになったところでございます。
○大串(博)委員 議論の筋道を少し整理させていただきたいんです。
 芦田修正をとらないというのはよくわかりました。しかし、四十七年の政府見解を引っ張りながら、これを踏まえた考え方ですというふうにおっしゃっている。四十七年見解は、まさに先ほど私が読み上げたような、そのための必要最小限度の武力の行使は容認されるというふうなことが書かれているものでございます。
 これを前提として、「基本的な立場を踏まえた考え方です。」とおっしゃっているということは、必要最小限度の武力の行使は許容される、これが時代とともに変わって、必要最小限度という中に、これまでは個別的自衛権のみが認められるということだったけれども、これからは一定の限度の集団的自衛権も認められることもあるのではないか、こういった考え方に基づいて、政府の基本的な立場を踏まえた考え方だというふうにおっしゃっているんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 憲法第九条の解釈に関する従来の政府見解の基本的な立場は次のとおりでありますが、憲法第九条は、その文言からすると、武力の行使を一切禁じているように見えるが、憲法前文で確認している国民の平和的生存権や、第十三条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえると、憲法第九条が、我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとは解されず、そのための必要最小限度の武力の行使は許容されるということでありまして、そして、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるときという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは許されるという報告書を受けたわけでございます。
 これは、いわば、最初の芦田修正論ではなくて、憲法前文そして十三条から引いてきている論理でありますが、その論理の中におきましても、四十七年答弁の中で禁じている、全て集団的自衛権が行使できないという考え方ではなくて、その中において限定的に行使できる集団的自衛権があるのではないか、こういうことでありまして、この報告書を受け、与党において協議をし、また、法制局を中心に政府としても検討を進めていくわけでありますが、会見では、従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方と申し上げましたのは、こちらの考え方をとったところによるものでございます。
○大串(博)委員 芦田修正論でないことはよくわかりました。その上でのさらなる質問なんです。
 すなわち、従来の七二年見解を前提として、それを踏まえて考えるというふうにおっしゃった場合に、それを乗り越えて集団的自衛権を可能とする解釈があり得るとすると、私もいろいろ考えましたけれども、一つは、世上言われている、世上受け取られているのかなと思いますけれども、必要最小限度の範囲が現在の安保環境を踏まえて変わった、すなわち、この点であれば必要最小限度の範囲に集団的自衛権も入るだろう、限定的に入るだろう、だから許されるのではないのかというこの論点。この理屈か、もしくは、先ほど公明党の議員の方からもありました、国民の生存が根底的に脅かされるような我が国に対する武力攻撃、この我が国に対する武力攻撃というものを、国民に対する、根底を揺るがすような、国民の安心と安全を揺るがすような事態なので、それは自衛権行使の第一要件を満たしていると考えて集団的自衛権も可とする考え方、この二通りしかないと思うんです。
 どちらの方向を念頭に置かれているのか、お聞かせいただけたらと思います。
○安倍内閣総理大臣 今挙げられた二つのうちどちらかというよりも、いわば時代の変化の中において、安全保障環境が大きく変わったわけでありまして、核の脅威、ミサイルの脅威にしろ、サイバー攻撃にしろ、瞬時に、前ぶれなく脅威は国境を越えていくという状況、そしてまた、米国、中国を初めとしたパワーバランスが大きく変わってきているという状況、そしてまた、世界どの国も一国のみで自国の安全を守ることができないという状況であります。各国で協力をしながら地域やまた自国の平和、安定を守っていく。前提として、地域や世界の安定にお互い協力をし合っていくということもあるんだろう、こう思うわけであります。そして、それが前提となって、我が国の国民の生存、国家としての存立を維持していくことができるという状況の中において、そうした大きな状況の変化の中において、いわば必要最小限というのは何かということを検討していく必要があるだろうと。
 この必要最小限の中に含まれる集団的自衛権の行使もあるかどうかということについて検討していくということでございますが、これは、記者会見の際に例として挙げさせていただきました。近隣国で紛争が起こったときに、そこから避難してくる邦人を、例えば米国の艦船、これはほかの国の艦船でもいいんですよ、岡田さんが挙げられたように。その艦船を我が国が守ることができなくていいのかどうかという、これは、直面するかもしれない事態に対して我々は検討をあらかじめしておく必要が当然あるんだろう、こういうことでございます。
○大串(博)委員 なぜこれを聞いているかというと、世上よく言われているのは、必要最小限の範囲が現下の安保環境で変わったからそれを認めていこうというようにとられているケースも結構国民の皆さんの中にはあると思うんですね。
 しかし、今おっしゃいました必要最小限の範囲というのは、実は今の政府の憲法解釈の中ではそういう量的限界論はとっていない。すなわち、自衛権の第一要件、我が国に対する攻撃でないから集団的自衛権はだめなんだというのが今の政府の解釈です。ですから、これを乗り越えようとすると、相当に質的に違った判断を憲法解釈の変更としてやっていくことになる。ですから、国民の皆さんにしっかりと、そこはどういう理屈で、どのようなことをやろうとしているのかを伝える必要があると私は思っているんです。そこにまだ少しまじった部分があるように思える。
 同じように、総理は、二つの事例を記者会見のときに出されました。私、非常にミスリーディングだと思うのは、どこかで有事があって、そこから米艦、米国の船に日本人が乗せてもらって避難する、それに攻撃をされたときに守れないということ。あるいは、PKOのときに、日本人の方々がNGOでいらっしゃる、この日本人を守らなきゃいけない。日本人をあえて引き出されていらっしゃいました。
 しかし、これは何か取ってつけたように、急に日本人が出てきたような印象を私は受けますし、そういうふうに受け取られた方々は多いと思います。なぜなら、今までそういった議論はありませんでしたし、安保法制懇の事例の中にも日本人がという形で書かれたところはございません。私はPKOの担当政務官をやっていまして、駆けつけ警護の話も随分議論しましたけれども、日本人のNGOの方がいらっしゃるから何とかしなきゃならぬという議論は、したことは実はないんです。
 取ってつけたような、感情に訴えるような事例を総理自身があえて二つ選んで説明されて、それが本当に相当な確率をもって行われるのであれば、九条の憲法解釈を変更するという非常に大きなものに対して相当すると思われますけれども、総理は、この二事例、特に前者の例、米艦で避難する日本人を助けるという、これは本当に、相当な確度をもって起こるんだ、だから絶対に憲法解釈変更もやらなきゃならないんだということを確証を持って言える根拠はありますか。
○安倍内閣総理大臣 取ってつけた例というのは、これは間違いであります。はっきりと申し上げておきます。
 後者の例におきましては、カンボジアでまさに中田さんがお亡くなりになりました。NGOで地域の平和構築のために努力をしていた方でありますし、文民警察官も殉職をされました。私が昨年カンボジアを訪問した際に、お二人の慰霊碑に手を合わせたところであります。
 現実に起こったことであります。そして、まさにそのときに自己の管理下にあれば守ることができますが、危なくなったから要求されても駆けつけて警護できないというのは、これは現実にあるわけでありまして、現実にない話を私が申し上げているのであれば、それはミスリーディングと言えますが、現実にあった話を今申し上げているということでございます。
 そしてもう一点、いわば邦人の避難についてであります。
 千八百万人が海外に出かけているという時代であります。これは過去とは大分違うと言ってもいいんだろうと思います。海外でまさに日本の経済のために頑張っている企業戦士もたくさんいるわけでありまして、私は、総理大臣として、そういう方々の平和な暮らしや、あるいは命を守ることについても責任を負っているわけでございます。
 そして、その中において、その地域で、そして日本の近隣国で事態が起こるということは、これはあり得るわけでありまして、それが全くないんだということを大串さんが言っているのであれば別でありますが、それはあり得るわけであります。それはあり得る事態と言ってもいいと思います。
 そして、そこから避難していく計画というのは、前もってこれは立てる場合があります。前もって事実立てるんですよ。そして、その計画を立てていく中において、日本が守るということは、ある意味、要請としてはないわけではないんですよ。しかし、そこではできないという中においては、その中における組み立て自体の中に我々は入れないということを最初から言っているわけでありますから、そういう相談をこれは深めていくことも難しいという中においては、現実の状況としてはあり得るわけであります。
 これはもう再々申し上げているわけでありまして……(発言する者あり)ちょっと静かにしてもらえますか。今、艦船が民間人を運ばないということを言った人がいますが、そんなことはありません。何らかの船に乗って逃げてくるのは当然のことでありまして、その中において何らかの事態があり得ないというのは、それは全く、いわば現実から目を背けているダチョウの論理に近いわけでありまして、起こってもらいたくない論理は目を背けるということであります。
 実際、かつて、船によって邦人が輸送されたこともあります。スペインの空軍機によって輸送されたこともありますし、艦船によって、日本の避難民が外国の輸送船によって避難したこともケースとして実際にあるわけであります。これは事実に基づいて申し上げているわけであります。(発言する者あり)
 今、どこかということをおっしゃられたわけでありますが、外務大臣からそれは答弁させたい、事実としてあるわけでありますから、それを、事実を御存じなかったということだと思いますが、事実としてあることを外務大臣から答弁させていただきたいと思います。
○二階委員長 では、岸田外務大臣。
○岸田国務大臣 委員長の御指名ですので、今の総理の発言を補足させていただきます。
 二〇一一年、リビアにおきまして、情勢が悪化した際に、この二〇一一年当時、スペインの軍用機あるいはアメリカのチャーターしたチャーター船、これによりまして日本人が難を逃れるために移動した、こういった経緯が現に存在いたします。
○大串(博)委員 私は、例があるかどうかを聞いたわけじゃないんです、総理。しっかり質問を聞いてください。
 私は、総理があえて二例を挙げて、だから集団的自衛権の憲法解釈変更は必要なんだと言うだけの大きな可能性を秘めたものなんですか、それを証明できますかということを聞いたんですよ。可能性が大きいということをどうやって総理自身が説明するんですか、小さい可能性のことをあえて言われているんじゃないですか、そうではないということを言えますかということを聞いたんです。(発言する者あり)
○安倍内閣総理大臣 では、静かに聞いていただけますか。よろしいですか。
 そこで、今私が申し上げましたように、例としてあり得るということを申し上げましたよね。朝鮮半島においても起こるということを申し上げたわけでありまして、先ほど、中東の例としても挙げました。まさに米国が用船をした。先ほども私は用船ということも岡田氏の質問で答えさせていただいたわけでありまして、まさにこれは起こり得る事案であるわけでありますし、記者会見においても、私は、アメリカの船、つまりこれはアメリカの用船も含むわけでありまして、それは申し上げたとおりでございます。(大串(博)委員「可能性が高い根拠です」と呼ぶ)
 根拠というのは、まだ起こっていない事態でありますが起こり得る、その起こり得るかもしれないということについて、それは絶対にあり得ないということを、大串さん、言い切れるんですか。私は、それは極めて政治家として無責任な態度だと言わざるを得ない。
 そういう事態にしっかりと我々は対応する、その法的な根拠をつくっておく必要があるんだろう、こういうことを申し上げているわけでありまして、繰り返しになりますが、私は、日本人の命に責任を持つ総理大臣の立場として、しっかりと検討していくべきだ、このように判断したところでございます。
○大串(博)委員 これで終わりますけれども、憲法解釈変更という極めて大きな課題ですから、本当に起こり得ることを総理として立証してもらった上で、国民の胸にぽとんと、納得できるような形での議論を望みたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
○二階委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 この際、長妻昭君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。
○長妻委員 民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。
 本日は、安全保障と社会保障、国の根幹の二つの保障について安倍総理に質問をさせていただきたいと思います。
 まず、集団的自衛権の行使を可能にするという件なんでございますが、とすると、総理、これまで日本が積み上げた、いわゆる自衛権発動の三要件と言われるもの、一つは我が国に対する急迫不正の侵害、二番目は他にとるべき手段がない、三番目は必要最小限、この三つの自衛権発動の三要素自体も変えるのか、あるいはそれに文言をさらにつけ加えるのか、あるいはこの三要件の要件は変えないでこれも解釈で見ていくのか、これはどういうお考えでございますか。
○安倍内閣総理大臣 憲法九条のもとにおいて許容される武力の行使については、今委員が例として挙げられたわけでありますが、政府は、従来から、いわゆる自衛権発動の三要件に該当する場合、すなわち、我が国に対する急迫不正の侵害があること、つまり我が国に対する武力攻撃が発生したこと、そして、これを排除するために他の適当な手段がないこと、さらには必要最小限度の実力行使にとどまるべきことに該当する場合に限られると解釈をしています。
 私は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは許されるという安保法制懇の考え方について、さらに研究をするように指示をしたところでございまして、これを受けて、今まさに、安保法制懇において出された報告書を与党において協議しているところでございます。この協議、あるいはまた結果を受ける中において、法制局を中心に検討を進めていく考えであります。
○長妻委員 そうしますと、一番目の我が国に対する急迫不正の侵害、こういうことに対しては、文言は今研究されているということなんですが、それをもうちょっと上回るような概念をお考えになっておられる、つまり、今の自衛権の三要素にそのまま行くわけではない、こういう理解でよろしいですか。
○安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、国際情勢が大きく変わっている中において、どの国も一国のみで自国の平和を守ることができないという中において、我が国においては、日米同盟が極めて死活的に重要な同盟関係と言ってもいいんだろう、このように思うわけであります。
 そうした情勢の変化の中において、今申し上げましたように、安保法制懇から出された報告書について、自民党と公明党、与党において協議をしているということでございまして、委員の御指摘になった点も含めて協議をしていくということになろうと思います。
○長妻委員 我が国に重大な影響ということもおっしゃられましたので、恐らく、我が国に対する急迫不正の侵害だけであると当然これは幅広に読めないので、いろいろ研究をされているということだと思います。
 素朴な疑問をもう一つ質問させていただきたいのは、私も衆議院の憲法審査会のメンバーでございまして、先日、憲法改正手続の法案が衆議院を通過いたしまして、参議院も恐らく来月、成立する。ある意味では、戦後初めて、日本国憲法が物理的に改正の手続が全部整う。こういうことが来月実現するにもかかわらず、総理はこういうタイミングで正式な憲法改正の手続をされないというのは、理由は何なんですか。
○安倍内閣総理大臣 憲法改正の手続法案が憲法が成立をしてからずっとできていなかったということは残念なことであったわけでありますが、第一次安倍政権において国民投票法が成立をし、手続法においても進んでいるということは、まさに、ある意味において、しっかりと憲法を議論していく基盤が整いつつあると言ってもいいんだろう、このように思うわけでありますし、また、今後、憲法改正の是非について国民的な議論が深まっていくことが期待されるわけでございます。
 他方、我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変化をしているわけでございます。午前中にも申し上げましたように、北朝鮮のミサイルは我が国全体を射程に入れているわけでございますし、また、力を背景とした現状変更の試みが繰り返されているという状況の中にあって、我が国を我が国のみの力で守ることができない中において、私は、国民の命を守る責任、そして国民の平和な暮らしを守る責任を負っているわけでございます。
 そこで、先般、またきょうもそうですが、十五日に事例で御説明をさせていただきましたように、近隣国でもし紛争が起こって、そこから逃げてこようとする邦人の乗った外国の船、米国の船を自衛隊が守ることができなくていいのかという課題は、この課題に正面から向き合うことは、まさに国民の命を守る私に課せられた使命であろう、このように私は思うわけであります。
 そして、これは、集団的自衛権の解釈の変更だけではありません。PKO活動における武器の使用の基準等々についても検討していく必要はあるでしょうし、いわゆるグレーゾーンについても検討していく必要がある。こうした全体を議論していく中において、シームレスにしていくことが必要なんですね。どこかに穴があいていたのでは国民を守り切ることはできないわけでありまして、それをシームレスに検討していく中において、今言った憲法との関係においてもこれは整理をしていくことは必要であろう、こう判断したところでございます。
○長妻委員 今、長く御答弁されたんですが、なぜ、憲法改正の手続がもうできたのに、来月できるのに、それにのっとらないのかということについての御答弁はなかったというふうに承知しております。
 これは国民を二分するような議論に今なっているわけでありまして、これは過去の議論の積み重ねがあるわけで、正式な手続にのっとって発議をすれば六十日から百八十日後に国民投票ができる、今こういうような状況にあるわけで、もし国民投票にかけないのであれば、なぜかけないのかということをもっと積極的に御発言いただきたい。
 なぜこれを申し上げるかといいますと、例えば、小泉純一郎総理大臣が平成十六年に衆議院の本会議でおっしゃっているのは、集団的自衛権の件ですけれども、「私としては、見解が対立するこのような」、このようなというのは集団的自衛権ですけれども、集団的自衛権問題については、「便宜的な解釈の変更によるものではなく、今後、正面から憲法改正を議論することにより解決を図ろうとするのが筋」であると。
 これは、心配なのは、総理が、閣議決定、ほとんど国会で何カ月あるいは何百時間をかけて議論をすることなしに閣議決定をされてしまった後、もし、例えば小泉総理もこういう意見を持っておられる、その後出てくる総理大臣が、いや自分はやはり意見が違うので、閣議決定で別の方向に変えましょう、もしこういうことになると、これは自衛隊の装備も含めて、訓練も含めて、大きな影響を与えるわけでありまして、非常に不安定な状況になるのではないか。
 きょうは谷垣法務大臣にもお出ましをいただいて恐縮だったのでございますが、私は感じるに、自民党の中で谷垣大臣は、いわゆるリベラルというんですか、安倍総理とはちょっと立ち位置が違うんじゃないかなと勝手ながら推察をさせていただいているんです。
 これは仮に、済みませんね、こういう事例で質問させていただくのは、仮に谷垣大臣が総理大臣になる、総裁になっておられましたから、そういうことになったときに、仮に安倍総理が閣議で憲法解釈を変えたものについて、今これは議論をしておりますから、それについて御自身は踏襲する、もし疑問があれば変える、あるいは、疑問がある程度あるけれども踏襲するのか、あるいは、今の議論の流れでは疑問はないということで閣議決定を仮に自分がトップになったときでもそのままにしておくのか、それはどんなお感じをお持ちでございますか。
○谷垣国務大臣 私は自分をリベラルと思っておりません。私は、自分は保守だと思っております。
 加えまして、総理大臣になった経験がございませんので、仮定の御質問にはお答えしない方がいい、このように思っております。
○長妻委員 無難な御答弁をされたわけでありますけれども。
 総理、結局、閣議決定というのは、我々も政権の中に入りましたから、はっきり言えば五分ぐらいでできるわけですよ、物理的には。それは、官房長官が、署名してください、大臣が署名をする、そういう軽い形で日本国の戦後の大きな考え方を変えていいのかどうかということについて、私はお伺いしているわけであります。
 与党の議論を聞いておりますと、ちょっと欠けているところは、つい七十年前に、我が国は、非常に国家存亡の危機になるような戦争があって、アジアの皆さん方にも多大な損害を与えた、国策を誤った、こういう経験があるわけで、二度とこういうことが、国策を誤ることがないとは言えない、そういう謙虚な、あってはなりませんけれども、謙虚な気持ちを持ちながら、一つ一つその都度PKOも含めて議論して、少し少し日本の安全保障を拡大していった、世界の理解も得ながら一歩一歩進んでいったものを、私のイメージだと、一足飛びに網を広げて、そしてあとは政治が判断するからいいんだと。これは、七十年前の本当に反省に立って一歩一歩進めるという発想からは、私はほど遠いのではないか。
 私自身は、今回十五事例出ましたけれども、一つは、合憲であるけれども法律がないからできない、そういう案件もあるのじゃないのか。あるいは、個別的自衛権の再定義でできる事例もあるのではないのか。武力一体化のおそれ、あるいは武力一体化のおそれのおそれなんということが周辺事態法のときに議論されて、私もおかしいと思うことはあります。
 そしてもう一つは、国及び国に準ずる者の認定方法の整理をする。これは、テロリストなのか国家なのか、直ちに相手方が直ちにわからない。テロリストの場合は、海外でも治安の範囲内で自衛隊が邦人を救出するということは相手国の了解があればできるわけですけれども、法整備がなっていない。あるいは、集団安全保障の話。機雷の話も、多国籍軍ということもあり得ましょうし、PKOにしても、集団安全保障という考え方の中で整理ができることもありましょうし、そういうような形で、一つ一つ議論をしていく必要があるんじゃないか。
 総理がおっしゃるのは、集団的自衛権を限定的にするとおっしゃっておりますけれども、限定的にすればするほど限りなく個別的自衛権に近づいてくるわけでありますので、そういう方向からの歯どめをきかせながらの議論というのもぜひお願いをしたいというふうに考えているところでございます。
 そして、もう一つについて質問をいたします。社会保障でございます。
 私は、国会議員の最低限の仕事の一つというのは、国家存亡の危機のリスクを減らしていくというのが我々の最低限の責務だと思っております。
 これから日本が国家存亡の危機になる可能性、あってはなりませんけれども、三つあるのではないのか。戦争、原発、財政破綻。戦争は、七十年前、国家存亡の危機になりました。原発については、福島第一原発で最悪三千万人の方の避難計画、これが立案されたとも聞いております。そして、財政破綻。やはり、社会保障のピーク時に日本国の財政が破綻をしないというようなことを想定して、さかのぼって今の社会保障を仕組んでいくということが必要だと思っております。
 そのためには、国民の皆様に、充実とともに、今後とも負担を求めるべきところは求めなきゃいけない、こういう大変厳しい我々政治の選択も発生をしてくる。そのときに、やはり信頼がなければならないというふうに考えております。
 その中で、私が大変気になるのは、総理に直接きょうはどうしてもお伺いしなければならないと思っておりますのは、いわゆる消えた年金問題なんですね。
 これについて、気になるのは、ことし三月、紙台帳の全件照合が終わりました。これは、我々の政権から始めて、自民党も引き継いでいただいて、七千九百万人分、六億枚、全件終わりました。当時は、自民党政権は、そんなものはできっこない、できっこないということで、我々の提言をはねつけましたけれども、できたわけであります。
 そうしたら、ことしの三月にそれができたら、まだ二千九十七万件、未解明の記録が残っているのに、あとはインターネットで勝手に検索をしてくださいと言わんばかりの形で、これがそのままになってしまいかねないという非常に強い危機感を持っているところでございます。
 おかげさまで、これまで一千三百七十万人の方の記録が回復して、生涯年金額で回復された年金額、二・一兆円も回復をいたしました。
 この二千九十七万件、インターネットで検索を自由にするということ、あるいは、いろいろな金融機関に呼びかけてこの年金の検索をPRするとか、この検索を促進するとか、そういう策はあると思うんですけれども、それ以外は、能動的にこちらから働きかけるということはもうしないわけでございますか。
○田村国務大臣 御党が政権を握っておられるときも御苦労されまして、第一次安倍内閣から引き続いて、この年金記録回復をされてきたわけであります。
 結果、今言われたように、紙台帳とそれからコンピューター記録を突合させまして、幾つかの年金記録は回復しましたが、まだ二千百万件の記録が未統合であるということでございます。
 昨年、私も呼びかけさせていただきながら、ねんきんネットによる突合、それぞれの国民の皆様方の御協力をいただいて記録を回復していくということでございまして、これ自体、かなり成果が上がってきておりまして、二十二万件検索をされて、二万件、約九%が記録回復につながっておるということでございます。
 委員がおっしゃられたのは、それ以外に何かしないのかという話でございますが、例えば、年金相談等々で来られたときの記録があります。これをデータベース化しておる、そういう年金事務所が幾つかございまして、三十から四十ぐらいあるのじゃないかと思いますけれども、そういうデータベース化されているものを調べていくこと、これはやってまいりたいというふうに考えておりまして、事務方の方に指示をさせていただきました。
 あと幾つか、実は私も今考えておるものがあるんです。これは費用対効果の問題もありますので、これは税金でございますから、回復するために膨大な費用をかけるわけにもいかない。しかし、費用対効果の上がるものに関しましては、能動的にこちらから、いろいろなフォローアップも含めて対応させていただきたい、このように考えております。
○長妻委員 今、費用対効果という話がありましたけれども、私も、確かに費用対効果というのは重要だと思います。ただし、それは新規事業のときは重要だと思いますけれども、一概に費用対効果を全否定するわけではありませんけれども、これは何か新規事業でやっているんじゃないんですね。これは政府の不手際なんですよ。申しわけないですけれども、自民党政権のときの不手際なんですよ。
 安倍総理がおっしゃっている、第一次安倍内閣のときに何度もこれをおっしゃっておられるんです、「最後の一人に至るまで徹底的にチェックをし、そしてすべてお支払をするということはお約束をしたいと思います。」ということで、普通の新規事業を進めるような費用対効果を当てはめてもらっていいのかどうかと思うんですが、総理、いかがでございますか。
○田村国務大臣 もちろん、これは、行政がいろいろな問題があって、国民の皆様方の記録自体がなかなかくっついていかないという問題でありますから、その点は責任を感じておるわけであります。
 しかし、一方で、それを行う場合には、これまた税金で対応しなければならないわけでありまして、そこの費用対効果というものは一定程度はやはり勘案しなければならないと思っております。
 その上で、全く何もやらないわけではありません、私も私なりに、費用対効果の高そうな、そんな方法論を今検討しておる最中でございまして、それがスタートできるようなことになれば、また長妻委員に御報告をさせていただきたいと思います。
○長妻委員 これは我々が厚生労働委員会で要請をしたことなんでございますが、過去、相談に来て、あなたの記録はありませんというふうに言って帰っていただいた方、ところが、紙台帳を全件照合しましたので、帰っていただいた方も、よくよくその記録をチェックすればやはり記録があった、そういう方が多いわけであります。
 今おっしゃったのは、電子データに入っている記録についてはやっていただく。これは当然のことだと思うんですが、それ以外に、電子データに入っていないで紙のまま積み上がっている、まだまだかなり多くの、年間の相談の記録が六百万件から八百万件あったわけですから、全部とは言いませんけれども、紙で積み上がって、過去追い返してしまった方々を部分部分調査して、どれだけ実は記録が戻るのか、その方におわびをして、やはりありましたということで、部分部分の調査をしていただく。
 そして、先ほど、二千万件の中で、確率が高い五百九万件というのがあるんですね。これは、名寄せ便というのを送って、そして返事がなかった方、これは到達していなくてどこかに行ってしまってわからない方も含めてなんですけれども、こういうところのサンプル調査をして、果たしてどれだけそういう方々が結びつくのかというのも見て、費用対効果、費用対効果と言って、私も委員会で聞いて、では、幾らかかって幾ら戻るのか、それもわからないと。
 計算も全然していないで費用対効果、費用対効果と言うのは、これは非常に責任放棄だと思いますので、田村大臣、五百九万件のサンプル調査と、これまで相談に来て、紙で積んである、追い返してしまった相談者の方を一部調査して、どういう形ができるのか、そして、では、費用対効果とおっしゃるのならば、どれだけの効果があるのかないのか、それを出していただけますか。
○田村国務大臣 年金相談に社会保険事務所に来られて、その結果、そこでは見つからずに結果的には帰られた方々の相談等々に関して、これは実際問題、電子データで入れる、そういうような先進的な年金事務所が幾つかありました。そこは管理できますから、これはすぐにでも対応できると思います。
 ただ、紙の場合、物理的に大変な、それだけじゃありませんよ、それだけじゃないものが膨大にそこに積んであるわけですよね、その中から年金の記録回復のものを引っ張り出して見るというのは、これはまた膨大な作業になりますので、それ以外の方法も含めていろいろなことを今検討いたしております。電子データの方はしっかりやります。
 五百九万件に関しましては、このうちの四割に関してのサンプル調査を三千件やった結果、九六・五%が結びつかないということになっておるわけでありまして、これは、これを全て調査するということになれば大変な費用がかかってこようと思いますし、サンプル調査せずとも、既にもうこれは九六・五%突合しない、合わないというような、そういう結果が出ておりますので、それをやるよりも、まだほかの方法でしっかりと対応させていただきたい、このように考えております。
○長妻委員 これはずっとほかの方法、ほかの方法とおっしゃっていて、厚生労働委員会でも全然答えが出てこないじゃないですか。サンプル調査とさっきおっしゃいましたけれども、民主党政権のとき、まだ二百十万件の分母のときのサンプル調査で、今のと全然違いますよ、様子が。自民党政権になって全然調査していないんですよ。
 ぜひ、総理、相談して追い返した人は、紙のままになっているからそれを全部見るのは難しいと。私も、全部直ちに見ろとは申しておりません。その中の一部を選んで、追い返してしまった方が、実は何%かは今の段階で見ればあったという方は、連絡して、昔追い返したけれども申しわけないということで、アプローチをできるのかできないのか、どのぐらいがヒットするのかぐらい調べていただきたいと思うんです。
 これは総理、こういうやりとりをずっと厚生労働委員会でもさせていただいているんですが、きょう、この予算委員会で申し上げたいのが、総理がこういうふうに最後の一人までとおっしゃっているので、ぜひ、これは与野党問わずやはりやらなきゃいけないことですので、総理、私の提言も含めて、きちっと検討するという御答弁をいただきたいと思うんです。
○安倍内閣総理大臣 いずれにいたしましても、一人でも多くの方の記録の回復につなげていくことができるように、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
 紙媒体で残っている相談記録についてもサンプル調査をすべきという委員の指摘でございますが、厚生労働大臣より答弁をさせていただきましたが、電子媒体で残っている相談記録については調査することを今検討しているということでありますが、紙媒体が保存、整理状態も悪い、なかなか困難なところもあるということも御理解をいただきたい、このように思います。
○長妻委員 何か随分冷たいですね。
 これは、過去たくさん、相談を受けて、紙のまま各事務所にいっぱいあるんですね、追い返してしまった方の。だから、私も言っているのは、その紙を直ちに今から全部コンピューターに入力して、業者に頼んでやってほしいということではなくて、それについて一部調査をして、どれだけ戻るということが確認できれば、その方に連絡をとるなりなんなりしてお戻しをするというようなことぐらい。
 この話と随分違いますね、より多くの人に戻したいと。最後の一人までというふうに大見えを切ったわけでございますので、これはぜひ、そのぐらいはやっていただきたいんです、総理。大臣は後ろ向きですから、総理の決断でできないんですか、これは。総理。(発言する者あり)それは違うだろうって、何が違うんですか。
○田村国務大臣 後ろ向きというわけじゃないんです。実際問題、記録回復に結びつくようないろいろな方法を、今私も、ない知恵を絞りながら一生懸命やっております。その方法が、また、いよいよ実施の段階になるという話になれば、そのときにはそういう方法も長妻委員にも御報告をさせていただきます。
 今の紙媒体の話も、これは膨大なものでありまして、結びつくかどうかわかりませんが、委員、ここで私はサンプル調査するとは申し上げませんけれども、あらゆる方向性を検討する中で、それがしっかりと費用対効果が得られるものであれば、それは実施してまいりたいと思っておりますので、決して後ろ向きでないということだけは御理解をいただきたいというふうに思います。
○長妻委員 いや、これは後ろ向きだと思いますよ。だって、相談して、過去、追い返して、あなたの記録はないと言って、その記録が残っている。そして、紙台帳が今全部照合が終わって、それは、そこを見ればやはり見つかったという方はいっぱいいらっしゃると思いますよ。その紙のところは、一部サンプル調査をして、どれだけ戻るのかもしない。
 消費税も上げさせていただいて、やはり信頼というのが大変重要でありますので、これは総理、こういうふうに大見えを切ったからには、そのぐらい指示するぐらいやってくださいよ。本当はこれは総理に質問する話じゃないんですよね。現場でちゃんとやっていただければいい話が、また自民党政権になって、非常にこういうことについて後ろ向きになっている。
 もう一つ、これはやるように強く申し入れさせていただきたいと思いますが、違法未加入年金という大きい問題もございます。
 これは、今、会社で働いているのになぜか国民年金や国保に入らざるを得ない方、事業主負担が出ていない方、合法的でなくて違法でいらっしゃる、違法状態でそういう立場にならされている方が、田村大臣も予算委員会で答弁されましたけれども、四百万人、最大でいるのではないのか。ただ、その後に、新聞にも四百万人と出たら、やはりそれは概数だから、いいかげんというか、余り正確ではないというふうにちょっとトーンダウンをされましたけれども。
 では、仮に四百万人だとすると、お伺いすると、この違法状態で厚生年金や健保に入れない、国民年金や国保にならざるを得ない方々が、厚生労働省も努力されて、毎年三万五千人は違法状態から適法状態になっている。ところが、四百万人いるとすると、毎年三万五千人ずつ適法になっているとすれば、百十四年間かかるんですね、この違法状態を是正することについて。
 では、その四百万人がそうでないというのであれば、一体、違法状態で放置されている方は数百万人なのか数十万人なのか、そのぐらいの規模感も今お答えができないということでございますか。
○田村国務大臣 今、非常に少ない数をおっしゃられましたが、毎年二十三万企業、件ですね、事業所を訪問しております。でありますから、そういう意味では、年間二十三万事業所をチェックしている。その中で、結びついたといいますか、未適用を適用にしたのが三万幾つだということでございますので、年間二十数万事業所を回っていけば、これはそんなにかかるわけではないわけであります。
 今、数はどれぐらいあるかということをおっしゃられました。前回言った話は、あれは予算委員会で申し上げたと思いますけれども、一定の、我が党ではない他の政党の方々の試算に合わせて出せばこのような数字です、ただし、これに関しては我々が責任を持っている数字ではありませんと申し上げた上で言わせていただいた数字でございますから、そこは御理解ください。
 何よりも、企業は、はっきり申し上げて、設立したり、また廃止したり、これを繰り返しておりますから、一定程度ではありません。あわせて、未適用も、どんどんどんどん、直させていっても、新しいところから未適用がまた出てくる、こういう関係でございますから、これは、そのときの一点を見ても、それで全て正しい数字が出るかどうかはわからないわけでありますし、何よりも、全ての事業所を回って、そして適用させていくということが重要でありまして、今、四年に一回、全ての事業所、適用事業所を回るようにしております。
 適用事業所じゃない部分に関しましては、これは法務省の方から法人登記簿情報をいただきながら、また一方で、今度は財務省の方と、これは動いている稼働法人、この法人の情報をいただきますので、これを突き合わせれば未適用事業者を全部拾い出せますので、そこを適用にすれば、あとは四年に一回、全部網羅しますから、四年に一回は一通り回れる。
 ただし、新しいところがまたどんどんできてきますが、これは、後を追って、毎年毎年ルーチンでチェックを入れていくということを四年周期でやらせていただきたいというふうに考えております。
○長妻委員 結局、何百万人か何十万人かさっぱり、今、違法状態の人の数がわからないというようなことで、お答えいただいていないわけであります。
 二十三万事業所を回った、回ったとおっしゃいますけれども、それを回っても、毎年三万五千人しか違法状態から適法状態にならないということで、ですから、割り算、四百万人だとすると百十四年かかる、こういうゆゆしい、法治国家の日本でかなり多くの方が違法状態になっている。
 これは、テレビ、ラジオを聞いておられる方も、お子さんやお孫さん、知人が会社に勤めていて、そして週におおむね三十時間以上働いていて、しかし、なぜか厚生年金に入れない、国民年金、企業の健保に入れない、国保に入らざるを得ないという方については、これは違法の疑いがあるということで、ぜひ年金事務所等に御相談もいただきたいというふうにも思います。
 それで、これは内訳が、(パネルを示す)これを見ると、非常に被用者が多いんですね。これは実態がまだ全くわかっていないわけです。
 例えば、右の方を見ますと、国民年金の一号被保険者、専業主婦じゃない方々のうち、会社で働いている方が三五・九%もいらっしゃるんですね、自営業なのに、なぜか。恐らく、この中には、違法状態で、企業が事業主負担を払っていない方もたくさんいらっしゃる。そして、左の方は国保。国保の世帯主を見ても、三一%が会社で働いている方なんですね。この中にも違法状態の方がいらっしゃる可能性がある。
 企業の健保になりますと、扶養者が何人ふえても保険料は変わりません。お子さんが何人いても保険料は変わらないけれども、国保は頭割りですから、どんどんどんどん負担がふえていく。
 国保や国民年金を見ると、未納の方は、本当の自営業の方よりも、会社で働いていて、低賃金で事業主負担が出ていない、そういう方々の未納が大変多くて、差し押さえもそういう方々が大変多いのではないかというふうに危惧をしているところであります。
 差し押さえも、例えば、国民年金では一年間に六千二百八件、国保では二十四万三千五百四十件ということで、倍々ゲームで国保の差し押さえはふえているわけであります。
 これは総理にもお願いしたいのは、結局、違法未加入の年金の方々が数百万人なのか何十万人なのかわからない。これもぜひ国民年金の一号被保険者の方をピックアップして調査をしていただいて、サンプル的に調査をして、一号の国民年金被保険者は一千八百六十四万人いらっしゃいますので、その中で、一体何人が会社で働いていて違法状態かがサンプル調査でわかれば、分母の一千八百六十四万人の中の何百万人なのか何十万人なのかわかる。
 そうであれば、我々も予備費を皆さんに使っていただくように要請をするなりして、人、物、金を、百年かかる体制ではなくて、もっと大量に投入をして、国民の意識も変えていただいて、国民の御協力もいただいて、この違法状態を早目になくさないと、これは老後の低年金、無年金にかかわってくる話であります。国保は、無年金どころか、今、医療が受けられない、短期証明書とかそういうことに、もう問題が発生しつつあるわけでありますので。
 全体の規模感、違法状態にある方がどのぐらいなのかのサンプル調査をぜひしていただきたいと思うんですが、これは総理、ぜひお答えください。
○安倍内閣総理大臣 今、サンプル調査をということでございますが、サンプル調査が有効な対象というのは当然あるわけでございますが、他方、この問題については、事業所の状況や従業員の就労状況は常に変動するものでありまして、厚生年金を適用すべきものであるか否かについては、サンプル調査ではなくて、実際の事業所調査を行って初めて把握できるものであると認識をしております。
 重要なことは、未適用の事業所をしっかりと把握して確実に適用を行っていくことでありまして、政府としては、各事業所に対する調査や加入指導を実施していくなど、集中的なそうした取り組みを進めていく考えでございます。
○長妻委員 とはいっても、今の人、物、金では毎年三万五千人しか違法状態から適用、適法にならないわけでありまして、本当に微々たるものなんですよ。だから、もっと実態を解明して、人、物、金を投入しなければならない。
 そしてもう一つ深刻なのは、これはハローワークにも調べていただいたんですけれども、ハローワークで苦情があった、求人票と違うと。つまり、求人票では厚生年金に入れると思って就職したけれども、全然入れないじゃないかと。
 その苦情をちょっと何件かピックアップして調べていただくと、三十三件とりあえず調べていただいた中で、もっと分母は多いんですけれども、十六件が、申し出者がこれは事業所には言わないでくれと。自分が首になるかもしれないということなんでしょう。あるいは、試用期間中に社会保険加入がなされていないという方や、社会保険に加入させてくれないという方々の相談がほとんどであります。
 例えば、これはまた労働組合に相談が来た内容なんですが、パートとして八時から十七時まで週五日勤務しているが、社会保険、雇用保険に加入させてくれない、以前加入を要求したパートが退職させられており、怖くて言えないが、どうにかならないか。求人内容には社会保険の加入ありと記載してあった、しばらくは試用期間ということもあり、そのままにしていたが、一向に加入してくれない。あるいは、求人票では社会保険加入となっていたのに、転職して六カ月たっても未加入、何度も加入を要望したが、社長から社会保険に入ると保険料の会社負担分が払えないので見逃してくれと言われた。こういう相談がごまんと来て、みずから声を上げられないわけであります。
 安倍総理、総理がおっしゃる、世界で一番企業が活躍しやすい国日本ということで、法人税減税等々いろいろな優遇策をされておられますけれども、それはやはり法律を企業が守っていただくというのが前提だと思うんですね。法律を守っていただくということが前提でいろいろな補助策や優遇策、これは私は全否定はいたしませんけれども、法律をちゃんと守っていない、そういう企業に勤める労働者が将来無年金、低年金になって、結局、生活保護がふえて、国も負担がふえるし御本人も不幸になるということが、かなり大きな数字が今あるということでございますので、ぜひ総理、最後、鋭意調査していくというような御答弁を、今後検討する御答弁をいただきたいと思うんですよ。総理、もう時間がありませんから。総理、もう最後ですから。
○田村国務大臣 これは、人、物、金をかけて一年間で全部やっても、次の年にはまた出てくるわけであります。ですから、これはずっとルーチンでやらないと、企業が未適用にすれば、また出てくるんですね。
 だから、我々は、四年で一周しますから、そして、今、適用事業所じゃないところは、財務省のデータで所得税を払っている企業はわかりますから、所得税を払っておられる従業員がおられるということは、まさに社会保険料も払わなきゃいけないので、それを突合すればちゃんとカバーができるということでございまして、四年に一回、それをルーチンで回り続けてまいります。
○長妻委員 では、もっと前向きにやってください。
 これで終わります。
○二階委員長 これにて岡田君、大串君、長妻君の質疑は終了いたしました。
 次に、小沢鋭仁君。
○小沢(鋭)委員 日本維新の会の小沢鋭仁でございます。
 集団的自衛権をめぐる問題について質疑をさせていただきたいと思います。
 最初に、ごくごく簡単に、維新の会のスタンスを申し上げておきたいと思います。
 維新の会は、四月十六日、この集団的自衛権をめぐる問題につきまして見解を発表させていただいております。一言で言いますと、国際情勢を分析し、国際情勢は極めて厳しい、この国際情勢のもとで我が国の平和、国民の命と暮らしを守るためには、すなわち、自衛権を高めて、集団的自衛権行使を認めていくべき、こう決めさせていただきました。同時に、他国の紛争や戦争に巻き込まれないようにする、その歯どめをしっかりかけることが重要だ、こういう認識でございます。
 でありますので、もう一度、繰り返しになりますが、簡単に申し上げますと、今のこの国際情勢のもとでは、集団的自衛権を認めるか認めないかという、容認するか容認しないかという議論をもう我々は卒業して、そして、自衛権をしっかりと高めた上で、しかし同時に、そのことが、我が国が他国の紛争や戦争に巻き込まれないようにしていく、そちらの方に論点を移してきちっと議論していかないと、国民の皆さん方の不安は払拭できないし、そして建設的な議論ができないというのが維新の会の立場でございますので、そのことを委員各位にも御理解いただき、さらにはまた、テレビ、ラジオで見たり聞いたりしている皆さんにも申し上げておきたい、こう思います。
 その上に立って、何点か質問をさせていただきます。
 まず、国際情勢の認識でございます。
 先ほども申し上げましたように、いわゆる憲法ができた一九四六年から、あるいはまた、米ソの冷戦時代、その間と今日の国際情勢は大きく変化をしている、こう思っております。最大の違いは、いわゆる米ソの冷戦構造という、ある意味では単純な構造から、極めて国際情勢は複雑化している、こう思っておりますし、特に北東アジアの情勢を見ますと、いわゆる軍事大国にある意味ではなりつつあるというか、なっている国がございますし、さらにはまた、各国の懸念を押しのけて、核だとかミサイルの開発を推し進めている国もございます。
 こういったことはかつてはなかったわけでありまして、そういった意味では、国民の皆さんは、こういう情勢を鑑みれば、やはり日本が何らかの自衛の力を高めなければいけない、こう思っていただいているのではないかと思います。
 昨今は、中国機の異常近接、こういった問題もございました。こういう事態を、総理はまず、基本的にどう認識されているのか。一九四六年の憲法制定時、米ソのまさに冷戦構造時、それに比べて今日をどのように認識されているか、お尋ねを申し上げます。
○安倍内閣総理大臣 国際情勢は大きく変わったわけでございまして、米ソの冷戦構造は崩壊をした中におきまして、アジア太平洋地域におきましても、米国、中国のパワーバランスにも変化が出てきたところでございます。
 午前中の質疑でも申し上げましたように、日本を守る抑止力としては、自衛隊と米国、米軍があるわけでございますが、日本が独立をし、そして自衛隊が誕生した段階においては、米軍の兵力というのは、在日米軍の兵力は二十数万、他方、自衛隊は十万ちょっとであったわけでありますが、今、自衛隊は二十四万、一方、米軍は五万人になっているわけでありまして、この二つを足し込んで、まさに我が国の、そして地域の平和と安定が守られているわけであります。つまり、一足す一を二にする効果があればあるほど抑止力はきいてくるということではないか、このように思うわけであります。
 そして、サイバー攻撃あるいはテロは、瞬時に国境を越えて襲ってくるわけでございます。また、北朝鮮のミサイルは日本を射程に入れている。もちろん外交努力をするわけでありますし、本日も日朝において局長級の協議が行われているところでございまして、この行方を私も注視しておりますし、期待もしたい、こう思っているところでございますが、しかし、しっかりと我が国の国民の命と平和な暮らしを守っていくことは、私、総理大臣、そして政府の責任であるわけであります。
 その中におきまして、今、小沢委員が指摘をされたように、この大きな中において十分法的な基盤が対応できているかどうかということにおいて、切れ目のない、シームレスな対応ができなければ国民の安全を守ることができないわけでありますし、一国のみでその国の安全を守ることができないという状況の中にあって、今までの憲法の解釈でいいのか、あるいはまた、国際貢献する上において、今までのPKO活動の武器の使用の範囲でいいのかどうかということも含めて、安保法制懇で議論をしているところでございます。
 その際、御党におきましては、こういう大事な問題におきまして、しかし議論が分かれる難しい問題ではありますが、しっかりと責任を果たして、党としての立場を明確にされたということに対しましては敬意を表したい、このように思うところでございます。
○小沢(鋭)委員 国際情勢の認識等はある意味では全く同じかな、こういうふうに聞かせていただいたところでございます。
 でありますから、本当に国民の命と暮らしを守っていくために何が必要かということで考えたときに、それは、今までとは違う、やはりもう少しそこは自衛力を整備していかなきゃいかぬ、こういう話になると思います。その自衛力の中には、個別的自衛権、集団的自衛権、こういう話があって今日の議論に今なっているわけでありますが、国民の皆さんにも御理解をいただきたいのは、まさに日本の平和と安全、国民の命と暮らしを守るための議論なんだということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
 そこで、今総理からもお話がありましたが、法的整備をしなきゃいけない、こういう話で、いわゆる集団的自衛権の議論をどう考えるか、こういうことでございます。
 我が党は、この問題に関して、憲法解釈の適正化という言葉を使いまして、憲法解釈を柔軟に行う、こういう提案をさせていただいております。憲法解釈の適正化という言葉でございます。
 これは若干学術的な話になると恐縮ですが、いわゆる憲法の変遷という憲法学説がございます。これは、憲法というのは、一般に、世界各国、やはり抽象的なものが多いですから、憲法をある意味で解釈していく、そして時代の変化に合わせてその解釈を変えていくということは十分にあり得るんだ、こういう憲法学説であります。ただ単に憲法の解釈が変わるというのを変遷ということではなくて、そういう憲法の変遷という一般的な学説があるわけであります。
 それを我々は、日本国憲法に照らし合わせてみると、まさに日本の憲法九条、この平和主義は我々はしっかり守っていきたいと思いますが、先ほど申し上げたような個別的自衛権、集団的自衛権という言葉はございません。ですから、それをどう解釈していくかという話が重要になるわけでありまして、私どもは、国際情勢に鑑みてそれを適正に判断していく、憲法解釈の適正化という概念を出させていただきましたが、総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 この課題について、御党が建設的に、国民の命と平和な暮らしを守るために御議論をされているというふうに承知をしております。
 その中において、適正化という考え方があるのではないかという御指摘でございますが、我々としては、安保法制懇の報告を受けまして、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるときという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは、従来の政府の憲法解釈に言う必要最小限度の中に含まれるという報告書の考え方について、さらに研究を進めていくということを決定したわけでございます。これをどう捉えるかということの問題だろうと思いますが、いずれにいたしましても、与党において協議をしていくことになります。
 つけ加えて申し上げますと、まさにこれは必要最小限度の中に含まれるわけでありまして、自衛権全体にこれはかかっているということはこの国会でも申し上げたところでありますが、個別的自衛権においてもそれがかかっておりまして、当然集団的自衛権にもかかっている、こういうことでございます。これは、あえて重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
○小沢(鋭)委員 ちょっと総理のお答えが私の質問とずれていたんですが、憲法解釈の適正化というようなコンセプトを使わないと、今までの憲法解釈が間違っていたということになりかねないんですね。我が党は、今までの憲法解釈も、そのときの時代情勢においてはよかったけれども、今日においては適していない、こういう考え方を出させていただいていて、これはちょっと重要な話なんだろう、こう思っています。
 ただ、同時に、先ほども申し上げましたように、憲法は抽象的な文言だから、解釈のあり方というのはいろいろあるんですが、書いてあることを、全く逆なことをできるというような話はあり得ません。ですから、白のものを黒だというような話はあり得ませんし、そこには歯どめが極めて重要であって、適正化をしながら、しかし歯どめをどう考えていくかという話が建設的な議論でなければいけないと我々は申し上げているわけであります。
 そこで、例えば、最終的には、そういった憲法解釈というのを、諸外国では憲法裁判所が行うというのが普通なんだと思います。我が国には憲法裁判所はありません。ですから、我々は、今回、憲法解釈を、政治の分野で、我々はこう考えていますよということを申し上げると同時に、いわゆる司法の場で、憲法解釈のまさに適正化についての判断を仰ぎたいということで、憲法裁判所をつくったらどうか。
 これは憲法改正になりますから大変難しいので、であるのであれば、今の時点でも、最高裁判所の中に憲法部というのを設置して、いわゆる政治家だけがやっていると、国民の皆さんも不安を感じるというところもあろうかと思いますから、そうでない分野、司法の分野でしっかり関与をさせたらいいのではないか。
 そのチェック・アンド・バランスが、まさに我が国が想定する立憲主義、そういう話になるのではないかということで、憲法裁判所、もしくは最高裁判所の、(パネルを示す)この部分でありますが、それを検討するという話を出させていただきましたが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 憲法裁判所については、具体的な争訟を法的判断により解決する通常の司法裁判所と異なり、具体的な争訟を必ずしも前提とせず、一般的、抽象的に憲法問題の裁判を行うことをその権能とする独立した国家機関、こういうものと解されているわけでございまして、現行の最高裁判所は、憲法により、司法機関として、具体的な事件の解決に必要な限度で違憲立法審査権を認められており、個別事件の解決を通じ、法の支配を実現するという司法の役割を適切に果たしているものと認識をしているわけでございます。
 憲法裁判所、あるいは最高裁判所内に特に憲法判断を行う部門を設置すべきとの議員からの御提案は、非常に大きな問題であり、各党各会派で広く御議論をいただいた上、国民的な議論を深めていくことが必要と考えております。
○小沢(鋭)委員 全く反対ということではない、こういうことでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 これは大変大きな問題であり、今これがそうだということについて、例えば、我が党、与党で方向性が決まっているわけではございません。まさにこれは国民的な議論を深めていく必要があるだろう、このように考えております。
○小沢(鋭)委員 議論を深めるのは大いに賛成でありまして、その場合に、ぜひ、総理、この集団的自衛権の問題は、いわゆる与野党の賛否がクロスしているんですね。今の国会、維新の会は是々非々の国会運営をさせていただいているということは毎回申し上げているんですが、クロスしているんです。
 我々は、この問題を国会で、ある意味で、このテーマで、このテーマをしっかりと継続的に議論する国会の場をつくりたい、こういう提案を与野党の国対委員長会談でもしているんです。昨日、十五類型ですか、出させていただきましたけれども、こういう議論を、与野党を超えて国会でやりたいというのが我々の思いですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 国会でどのような議論を行うのかについては、まさに国会でお決めいただきたい、このように思うわけでございますが、いずれにいたしましても、我々は、国会を通じて、私たちが検討をしている中身についても、検討が進み、そして閣議決定を行うわけでありますが、閣議決定を行った後に実行する上においては、グレーゾーンから含めて、シームレスに自衛隊を活用していく上においては、そのための法整備が必要でありますから、その法整備をする段階においては当然国会において議論が行われるもの、このように考えております。
○小沢(鋭)委員 それでは若干遅いのではないかということを改めて申し上げたいと思います。まさに基本的な考え方の部分において国会で大いに議論をさせていただきたい。この場も、その場の一つでありますが、先ほど申し上げましたように、このテーマで継続的に議論をする場をぜひつくっていただきたいと申し上げたいと思います。
 それで、先ほど来出ております限定的容認論であります。
 これは我が党が四月十六日に最初に発表させていただいたものでございまして、先ほど総理が法制懇の中の言葉を使っていただいておりましたが、我が党が発表させていただいたものとほとんど同じだ、こう思っております。ただ、私は何度読んでも、法制懇は、両方書いてあって、限定的容認論だというふうに読めないんですね。さらにはまた、自民党の方は、高村副総裁、いろいろな場で限定的容認論だと言っているんですが、何が限定的か、条件を明示していないですよね。もしかしたら私が不勉強かもしれませんが。
 維新の会は、六条件を既に明示しているわけでありまして、この六条件、こういう議論を進めていくことが重要なんだ、力点を、容認するか容認しないかではなくて、どういった歯どめをかけていくか、これが重要なんだということを言っているんですが、まず、法制懇、これはどうなんですか。限定的容認論なんですか。まず、それを聞かせてください。
○坂元参考人 お答えします。
 柳井座長そして北岡副座長、それぞれ海外勤務あるいは海外出張のため、私がかわってお答えいたします。
 この法制懇の報告書の中には、これまでの政府の考え方に従って、我が国が自衛のための必要最小限度の実力行使ができる、その実力行使の中に集団的自衛権の一部の行使も含まれる、そういうふうな判断をいたしました。
 もちろん、もう一つ別の、あるべき憲法解釈ということも出しておりますけれども、我々は、今、小沢委員の御質問にお答えするとしたら、限定容認論が現実的だろうというふうに考えていると言っていいんじゃないかと思います。
 それでよろしいですか。
○小沢(鋭)委員 坂元先生にはいろいろ御指導いただいておりまして、ありがとうございます。
 限定的容認論でいいのではないか、こういうお話でありましたので、それはそれで結構だ、こういうふうに思います。
 まさに、私は、先ほど申し上げましたように、一般論としては、法制懇は限定的にはしていない、だけれども、限定的な幾つかの条件を、我が国憲法から引いて、幾つかの条件をお書きになっている。両論書いているのかな、こういうふうに実は読ませていただいております。
 それで、総理、我が党は、この限定的な、ここの部分を議論することが大事だ、こう言っているわけです。自民党はまだ出していないんですね。どうでしょう。
○安倍内閣総理大臣 いわば安保法制懇から二つ考え方が示されたわけでございますが、きょうも午前中の委員会で議論になったとおり、いわゆる芦田修正というものを根拠として、侵略戦争以外のものは認められる、これは集団的自衛権の行使についてもそうなんですが、他方、また、集団安全保障においても、これはそもそも芦田修正によって、前項の目的を達成するためということによって、いわばこの部分については禁じられている武力の行使の対象にならないという考え方を一つ示されたわけでございまして、これは私たちはとらないということでございまして、必要最小限度の中において集団的自衛権についても検討すべきだ、こういうことであります。
 そして、つけ加えますと、午前中の岡田委員との議論の中であったわけでありますが、集団安全保障の中において、いわば武力行使を目的とした戦闘に自衛隊が参加することは考えられない。今までの政府の立場とは著しく乖離があるという考え方に立って、それは行わない。つまり、イラク戦争や湾岸戦争のような活動においては、それは考えられない、参加することは考えられないということでございます。
 つけ加えて言えば、その後、岡田委員との間で、集団的自衛権についてはそれはあり得るのかという話でございましたが、その際、私は、邦人を輸送する場合に、守るために武器の使用、武力の行使をすることはあり得るという話をしたわけでありますが、そもそも、個別的自衛権においても、現在の解釈においては、武力行使の目的を持って、武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解しているというのが、今もこれは変わらない立場でありまして、今後もそうでございますので、個別的自衛権においてもこのような制約があることを踏まえれば、仮に集団的自衛権の行使が認められるとしても同様の制約がかかることは当然のことである、このように考えております。
 このため、シーレーンにおける機雷の掃海や船舶の護衛といった事例については検討していく必要が考えられますが、海外派兵は一般には許されるものではないというふうに考えているところでございます。
 このように、我々も、あらかじめ検討する上においては制約を課しているということでございます。
○小沢(鋭)委員 ちょっと整理をさせていただきたいと思います。
 限定容認論だということを御説明いただいたのはよくわかりましたけれども、まず、限定容認論の条件というのを明示されていませんね、こういう話を申し上げて、我々は六項目、こういう話を出させていただいています。これもまだ抽象レベルですけれども、これに安全保障基本法あるいはまた自衛隊法の改正という話で、さらにこれをもっと具体的に詰めていく、こういう作業を今しているわけでございます。
 ですから、早く、与党の方も、限定容認論というんだったらば、我々の限定容認論で考える条件はこれだというのを示していただきたいというのが一つ。
 それから、個別の事例を幾つかおっしゃられましたが、それはそれでちょっと置いておいて、こんがらがっちゃいますから。
 それからもう一つ、集団安全保障の話をおっしゃいましたが、これはまた後ほど質問させていただこう、こう思っております。
 それで、大事な話は、繰り返しになって恐縮でありますが、今、我々は、これは政府だけじゃなくて、ここに籍を置く国会議員、政治家たるもの、国民のまさに暮らしと安全を守る、こういう一つの目標と、それからもう一つは、他国のいわゆる紛争、戦争に巻き込まれない、こういう二つの目標を同時達成するにはどこでいわゆる着地をするのか、こういう話が我々が今直面している課題だ、こう思っているものです。
 ですから、こういう限定容認論というのが維新の考え方です、国民の皆さんに安心してもらえる、国民を守る、最小限のところはこれだというのが維新の考え方なんですが、ぜひ与党に早くこれを出していただきたい、こういうふうに思います。
 そこで、先ほど総理からお話もありました、いわゆる集団安全保障の話、最後にお聞きしようと思っていたんですが、総理からお話しいただきましたので、改めて聞かせていただくんですが、安保法制懇は、この集団安全保障に関しては歯どめをかけておりませんね。一回ちょっと、それは御答弁をお願いします。
○坂元参考人 これは、憲法解釈の問題としては歯どめをかけていないということでございまして、安保法制懇の報告書の趣旨が、集団安全保障における実力の行使を何でもやれるというような、そういう趣旨で書いているものではございません。
 ただ、憲法解釈そのものには制限がない、集団安全保障における実力行使は、国際法に沿ったものであればそれは全て可能である、そういうことを報告書は書いております。
○小沢(鋭)委員 総合的な判断はあり得るんだ、こういうことでありますが、少なくても憲法解釈上は集団安全保障に関しては制約がない、こういう御答弁だったと思いますが、総理は、そこに歯どめをかける、こういうお考えなんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 今、坂元先生からお話があったように、安保法制懇の報告書においては、国連の集団安全保障措置への参加といった、これは当然、国際法上合法な活動になるわけでありまして、その合法な活動においては憲法上の制約はないとする報告書であったわけでありますが、政府はそれは採用しないということを既に公表している、記者会見で発表したとおりでございます。
 現在、与党協議が継続中でございまして、現時点で政府として検討状況について申し上げることはできないわけでございますが、今申し上げました集団安全保障上の、先ほど申し上げました、武力行使を目的とする戦闘行為については参加をしない、それは今までの政府の立場とは著しく乖離をしているということでございまして、それはとらないという考えでございます。それはとらないという上において、今与党において議論をしているということでございます。
○小沢(鋭)委員 坂元先生のお考えというか法制懇のお考えは、ある意味では国際法上の考え方。総理が政府としてとらないというのは、九条があるからですか。そこの根拠をちょっと教えていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 そこは、今まで九条との関係において、その中において、我が国が海外において、集団安全保障の中においても、武力行使を目的として参加することはできないということは、まさにこれは要請するところであるという答弁がなされて、積み重ねてきているところでございますが、自明の理であるという答弁がなされているところでございますが、そこは我々はとらないという判断でございます。
○小沢(鋭)委員 我が党は、憲法改正に関しても、既に中間報告という形で基本的な方針を出しておりまして、その中では、いわゆる九条の平和主義、それはしっかりと継承していく、ただし、ぱっと読んで、一切の武力は持たないというような話は、今の自衛隊の存在と照らし合わせて、これはやはりおかしいだろう、こういうような話はちゃんと改正した方がいいんじゃないの、こういう言い方をしておりますが、いずれにしても、平和主義は守る、こういうことの中で、いわゆる一般的国際法と九条の考え方はかなり違うんだというところが出発点です。
 でありますので、そこは意外と重要でして、実は時間がもう少しあったら申し上げたかったんですけれども、いわゆる必要最小限と総理や法制懇が言う話も、この根拠が、九条から来ているのか、あるいは国際法上の均衡性というところから来ているのかで、かなり実は違うんですね。と私は思っているんです。
 そこは、ちょっと神学論争になりますから、やめて、それに関連する具体的な話で、後方支援のあり方をちょっと具体的に聞かせていただきたいと思います。武力行使との一体化論というものです。
 具体的に言えば、例えば、武力行使を行っている同盟国に水を持っていく、この話は、武力行使のおそれがあるとして、今、日本は、周辺事態法において周辺事態にだけ適用できるということで、やっていませんね。湾岸戦争のときに、結局日本は金だけ出して終わったのか、こう言われましたね。
 ここのところは、いわゆる水を供与するとか、そういう後方支援をどこまでやれるのかという話は、極めて具体的な問題だし、日本が国際社会の中で生きていく上で大変重要な問題だと思いますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 これまで、後方支援に際しては、我が国による後方支援が他国の軍隊の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保するための一つの仕組みとして、個別の法律において、非戦闘地域や後方地域といった仕組みを採用してきたところでございます。
 一方、安全保障環境が大きく変化をする中において、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、例えば、国際の平和及び安全が脅かされ、国際社会が一致団結して対応するときに、自衛隊が幅広い後方支援活動等で十分に貢献できるような法整備をすることが必要である、このように考えます。
 また、後方支援活動を今まで以上に支障なくできるようにすることは、我が国の安全の確保の観点からも重要であると認識をしています。
 武力の行使との一体化の考え方をもはやとらないとする安保法制懇の報告書の提言をそのまま採用することは従来の政府の立場に照らして難しいとしても、従来から政府が示してきた判断基準をより精緻なものとして、そして、具体的に何が武力の行使と一体化する行為なのかを明確にすることは、今後の検討課題の一つであると考えております。
 また、従来から、非戦闘地域、後方地域という概念を提示してきたわけでありますが、この概念についてはさまざまな議論があるのは事実でありまして、その実態を踏まえて、この点も含めた検討が必要ではないかと考えています。
 いずれにいたしましても、今後、与党においてしっかりと協議をしていただきたいと思います。
○小沢(鋭)委員 わかりました。
 武力行使との一体化論というこの理論も、あるいはまた、時間があったら申し上げようと思いましたが、駆けつけ警護における相手が国家もしくは国家に準ずる組織とか、このあたりは、国際法的には全然わからないんですね。国家に準ずる組織というのは英語に直せないんだそうですよ、外務省の話を聞いていましたら。ですから、ガラパゴス化しちゃっているんですね、これは。
 そういった意味では、我が国は、まさに九条があるから、さっき申し上げたように、国際法上の話が全部そのまま通るという話ではありませんし、平和主義は堅持していかなきゃいけない、こう思うわけでありますが、今のような、まさにガラパゴス化したような議論は、きちっと整理しなきゃだめなんだと思いますね。そういった議論を国会で、ぜひやらせてくださいよ。
 それを最後に申し上げて、私からの質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○二階委員長 この際、中丸啓君から関連質疑の申し出があります。小沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中丸啓君。
○中丸委員 
  目に見えぬ神にむかひてはぢざるは人の心のまことなりけり
 日本維新の会、中丸啓でございます。
 貴重なお時間をいただきましたので、しっかりと質疑をさせていただきたい、このように思います。
 まず、我が国の安全保障と集団的自衛権についての御質問をさせていただきます。
 PKO活動等で、武器の所持、使用における問題、それから自衛隊の部隊行動基準も含めまして、現場では必ず、その時々、瞬時の判断が求められるわけです。
 その瞬時の対応を鑑みれば、私も安全保障委員会で理事をさせていただきまして、小野寺大臣とも何度も質疑をさせていただく中でも申し上げておりますけれども、今、さまざまな事例を挙げて、何ができるかという議論をされていると思いますけれども、私は、何ができるかではなくて、世界の常識でいえば、何ができないか、何をしてはいけないのか、これをまさに議論すべきだというふうに思います。俗に言うポジティブリストではなくて、ネガティブリストを考えていく、これが重要だと考えますが、安倍総理、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 国民の生命と平和な暮らしを守ることは、私の、また政府の大きな責任であります。そして、国際社会の平和と安定に貢献をしていくことも求められるわけでありまして、地域や世界の平和、安定があって初めて日本の繁栄があるのも事実であろう、このように思います。
 その中におきまして、今御指摘のように、何ができるかだけではなくて、何ができないかを、明確に、議論した上で、自衛隊に求められている任務とそのために必要な権限を明確にしていく必要があるのは論をまたないんだろう、このように思います。
 自衛隊の諸君は、その現場現場で、まさに瞬時に判断をしなければならないわけであります。つまり、この安全な空間の中での議論と違って、その瞬間で自衛隊員がどう判断するかによって、邦人の命が守られるか、あるいは部隊の安全を維持できるかどうかが判断されるということであります。より明確ないわばそうした判断基準というものが当然必要になるんだろう、このように思います。
○中丸委員 ありがとうございます。
 要は、現場で何ができるかを議論していけば、できることを全部挙げておかないと、挙げていないこと、以外のことが起きたときには、全く判断がつかないわけです。しかし、できないことであれば、できないことをしっかりと決めていれば、その中からできることを、随時、その場で判断できるわけですね。
 当然、軍事、まあ防衛という名のものですけれども、世界的に、軍事力とか軍事の上での作戦を考えるときに、全ての事態を想定するなどということは不可能だと私は思います。もしできるといったら、それは茶番でしかない。
 基本的には、想定できる限りのことはするけれども、でき得ることが起こったときも、できないことが起こったときも対処ができるようにするのが万全な備え、安全保障の基本的な世界的な認識だというふうに私は認識しております。
 その事例の列挙を、今、十五要件、いろいろ挙げられていますけれども、これは、非常に注意していかないといけないのは、事例の列挙にこだわり過ぎる余り、今、十五、では、この十五以外が出てきて、二十になりました、二十五になりました、では、これはどうなんだ、いやいや、こんなのもありました、こういう議論を繰り返していると、手のうちを明かすことになるんですよ。我が国のできることの手のうちをどんどんどんどん明かしていくんですね。
 インビジブル・ディフェンス・パワーという考え方が今の議論には全く抜けていると思いまして、以前、自民党の石破幹事長がテレビで、抑止力は見えないからいいんだと、見えざる抑止力のお話をされていたのを少し見ましたけれども、見えざる抑止力というのは、見えない、これをしたら相手がどう出るかわからないからこそ発生する力なんですよ。
 これをしたらこうなるのがわかれば、相手は、手のうちがわかる、当然作戦を立ててきます。ここまではできるという線引きが相手にできるわけです。
 今我が国がやっている議論は、一歩間違えば、世界じゅうに、我が国の自衛隊ができること、海上保安庁ができること、全てを明かして、ここまではできるけれどもここからはできない、ということは、そこまではやれるんだということを起こしているわけです。
 先日の、中国軍機が三十メートルに接近してくる。音速で飛ぶ戦闘機が三十メートルに接近してくるというのは、威嚇どころか、事故が起こる寸前ですよ。こういうことが日常茶飯事のように起きているという状態を、我々はもっと危機感を持たなければいけないと思います。
 現場に行くのは、現場の自衛隊員であり、海上保安庁の隊員なわけです。彼らの命も国民の命の中の一つではありますけれども、彼らはその中で、最前線で命を張っているわけです。
 そうした手のうちを明かさないことが抑止力であるという中で、事例とグレーゾーンだけが先行処理されると、本来、今我が国がやらなければならない本丸である集団的自衛権が置き去りにされる可能性をはらんでいると思うんですが、総理、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 いわば外交の力、ニクソンが述べていますが、外交の力は、彼は、何をするかわからない、これこそがパワーである、こう言っているわけでございます。
 今、確かにそういう側面はあるんだろうと思いますが、しかし、我々が今議論をしておりますのは、今までの憲法の解釈あるいは法的整備の状況等が、我が国を守る、あるいは国民の命、そして国民の平和な暮らしを守る上において十分なのか、適当なのかということを議論しているわけでございますが、特に集団的自衛権の行使、あるいはまた海外の集団安全保障の中におけるPKO活動の中での武器の使用といっても、これはなかなか国民の皆様はイメージが湧かないわけでございまして、ですから、抽象論ではなくて、実際に起こり得るケースに即して議論することが国民の皆様の理解を得る上で重要だろうということと、実際、また、これ以上はやらないという説明も我々は申し上げているわけでございます。
 他方、これができないんだということを認識していただく上においては、やはり事例について説明をしていくことが大切だろう。
 そして、今委員がおっしゃったのは、いわば法律的な議論と政策的な議論だろう。安全保障政策の議論というのがとても大切でありますが、今まさに法的基盤の整備の話でございますから、これは法的な議論に偏るわけでありますが、しかし、その上において、法律が整備され、また解釈について判断がなされ、法的な整備がされた上においては、政策論でこれをとるかとらないかということが決まってくるわけでございまして、必要であればその政策はとるけれども、必要がなければ、まさに国民の生命財産、国民の命を守る上において必要がないとなれば、それは当然とらないわけでございます。
 ですから、これは、憲法の解釈の問題、そして法律を整備していくという課題、あるいはその先の政策論というのは、それぞれ次元が違う。しかし、その三つ全体を考えながら安全保障ということは議論していく必要があるんだろう、こう思っているところでございます。
○中丸委員 ありがとうございます。非常にすみ分けをうまく説明していただいたと思います。
 すみ分けといえば、実際に現場のことを、私は非常に現場のことを通常から考えながら質疑をさせていただいているんですけれども、そういう現場の中で、今のインビジブル・ディフェンス・パワー、見えざる抑止力、これを防衛大臣はいかにお考えでしょうか。
○小野寺国務大臣 中丸委員には、よく自衛隊の現場を御視察いただきまして、大変ありがとうございます。
 今、このような議論をしていただいておりますが、私どもとしましては、今後、決められた中で、我が国の安全保障、防衛をしっかりしてまいりますが、特に、御指摘がありましたように、当方の手のうちが明らかになるということは、これは我が国の防衛にとって支障が出るというふうにくれぐれも留意をしながら、これからも部隊の育成にしっかり努力をしていきたいと思っています。
○中丸委員 大臣とは、通常、委員会のやりとりの中で、こういう場合はどうなるんですかという質問をすると、そこは部隊行動基準なのでお答えできませんというお答えを何度もいただいておりまして、まさに、その見えないところというのは御理解いただけていると思います。
 また、これは自衛隊だけじゃなくて、実際に今まさに尖閣等でしのぎを削っている海上保安庁、長官、きょう来ていただいていると思いますので、いかがですか。
○佐藤政府参考人 昨日、政府から、与党において議論を深めていただくために具体的な事例が示されたところでございますけれども、その政府が示した事例には、海上保安庁の現場の巡視船の運用上の具体的な対応策が含まれているものではなく、海上保安庁の業務に支障を生じるおそれがあるものとは考えておりません。
○中丸委員 今回の、事例集というよりは参考例の中に、要は、我が国の領海を潜った状態で通過する潜水艦はどうするかという議論があったんです。
 潜水艦というのは、我が国の海上自衛隊、私のいる広島だと呉の基地にかなりの潜水艦がありまして、潜水艦の隊員の皆さんともよく懇親を図りながら現場の話を聞かせていただくんですけれども、基本的に、いつ出ていつ帰るか、どこに行くのか、何をするのか家族にも言わない、非常に極秘任務なわけでございます。
 それを、そういった中でどういった対応をするのかというのをこういう平場で議論するのは、それは部隊行動の中でやるべきことであって、本来やるべきではありませんし、それが警察権の範疇とかいう話もあったりするみたいですけれども、残念ながら、海上保安庁には、潜水艦に対応できる機材はございませんし、そういった訓練も受けていないわけです。
 そういう意味では、これは自衛隊の部隊行動基準の中でお話し合っていただければいいことでありまして、小野寺大臣には、適切に対応していただければいい問題だと思っております。
 そういう中で、そういう安全保障と抑止力には、自衛隊がやる国防という部分と、領海警備、海上保安庁などが行われる上で、でも、結局、一番大事なのは、起こさせないという今の抑止力の部分と、あとは、現実的に、起きたときにどう対処するのか、これは考えておかねばならぬことだと思います。
 そういう意味では、先ほど総理からもお言葉をいただきましたけれども、今、法整備をまさにやっているところだと。まさにやっているところということは、裏を返せば、今、法整備ができていないということでもございます。
 もしも法整備前に、では、今、きょう、あす、不測の事態が起きた場合、一体どのように対処されるのか。例えば、ベトナムでの衝突で、中国と衝突して沈没したというお話もあります。では、これは海保だったらどうなるのか。
 海上保安庁長官、いかがですか。
○佐藤政府参考人 個別具体の状況に応じて総合的に判断すべきでございまして、一概に申し上げることは困難でございますが、海上保安庁では、これまで、たびたびそのような経験をしております。その時々の情勢を踏まえまして、巡視船を増強配備して、状況に応じて適切に対応しているところでありまして、引き続き、関係省庁と緊密に連携しながら情報収集に努めるとともに、哨戒態勢を強化するなど、領海警備に万全を期してまいります。
○中丸委員 なかなか、現場のトップとしてはお答えしにくいんだろうとは思いますけれども。
 国土交通大臣、海上保安庁を総括される大臣として、やはり私は、これは、何かあったときは、最後は政治家が腹をくくって、責任を持って指示、命令を出す、ここしかないと思うんですけれども、いかがですか。
○太田国務大臣 ただいま長官から申し上げたとおり、海上保安庁は、状況に応じて巡視船を増強配備するなど、領海警備に万全を期しているところでございます。
 我が国の領海、領土を断固として守り抜く、こういう決意のもとで、関係省庁と緊密に連携しながら、海上保安庁の勢力を最大限活用して、毅然かつ冷静に対処していきたいというふうに思っています。そのためには、この海上保安体制の充実強化ということが大事だというふうに思っておりまして、その点についても力を注いでいきたいというふうに思っているところでございます。
○中丸委員 ありがとうございます。
 非常に力強いお言葉ではあるんですが、私がお伺いしたかったのは、きょう、あした、もしそういう事例が起きたら御判断できるか、指示ができますかということをお伺いしたかったんですが、いかがですか。
○太田国務大臣 海上保安庁の任というものについては、警察行為ということが定められているところでもありますので、海上保安庁としての任務というものをしっかりと踏まえた上で、領海警備に全力を挙げるという強い決意を持っております。
○中丸委員 ありがとうございます。
 小野寺大臣、この間の三十メートルが、接触して機が墜落する、隊員の方が殉職されるというような可能性もあったわけです。そういったことがあった、そういう仮定はしたくないですけれども、そういうことも含めて、何か予期せぬ事態が起きたときにでき得る御決意をお聞かせ願いたいと思います。
○小野寺国務大臣 まず、今回の事案のみならず、私どもとしては、不測の事態を回避すること、これが最も重要だと思っております。
 そして、万が一の事故が起きた場合には、速やかに、搭乗員を含めて救難活動、これは既にできる体制はとっておりますが、いずれにしても、引き続き、警戒監視任務に当たる自衛隊の艦艇や航空機に対して何らかの危害が予測されるような場合には、私どもとしては、自衛隊法に基づきまして、事態に応じて適切な行動をとるように命ずることになると思います。
○中丸委員 ありがとうございます。
 それでは、少し質問をかえまして、自衛権の行使の三要件などでよく使われる、きょうも安倍総理を初め何度もお言葉で発せられておりましたけれども、必要最小限という言葉がございます。
 この必要最小限という言葉はさまざまな見解や解釈などで登場している言葉ではございますけれども、例えば、自衛隊法八十八条第二項、お手元に資料をお配りしておりますけれども、一番近い言葉で法文としてあるとすれば、この第二項でございまして、「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。」というふうに法律上はなっております。
 衆議院の法制局の皆さんにもお伺いしたんですが、憲法はもちろん、自衛隊法、各種法律を含めて、必要最小限という法律はどこにも登場したことがないという法制局の回答ではございましたが、なぜこのように必要最小限という言葉をたくさん使われるか、私にはちょっと理解不能でございまして、現場で必要最小限といえば、弾は何発撃ったら必要最小限を超えるのか、当然、瞬時の判断なんかできない次元でございます。
 この議論も安全保障委員会でも何度もさせていただいておりますけれども、総理にお伺いします。
 この合理的に必要な限度というのが必要最小限というふうに行使要件の中に入ってくる、この整合性、根拠というのは一体どこにあるんでしょうか。教えていただけますか。
○小野寺国務大臣 個別具体的なことなので、私の方から答弁させていただきます。
 自衛権発動の三要件の一つであります、必要最小限度の武力の行使にとどまるという要件につきましては、武力の行使の態様が、その全体において、当該武力攻撃を排除するため必要最小限度にとどめるべきことを述べたものであり、国際法用語で言えば、武力の行使の態様が相手の武力攻撃の態様と均衡がとれたものでなければならない、均衡性を意味するものであります。
 自衛隊法八十八条二項の「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」という規定は、この自衛権行使の三要件の、必要最小限度の武力の行使にとどまることという要件を具体的に担保するために自衛隊法に規定されたものということでありますので、このように、両者はともに国際法上の均衡性を意味するものであります。
 私どもとしては、十分対応できる、そのような内容を含めてこの均衡性の中で担保していきたいと思っております。
○中丸委員 小野寺大臣が十分に御理解いただいていることは、私もよく存じております。ただ、この必要最小限という言葉は、聞く人が聞けば、非常に誤解を受けやすい言葉であるということだけは御認識いただきたいと思います。
 時間が余りありませんので、外務大臣に質問させていただきます。
 我が国が国連に加盟したとき、昭和二十七年に、加盟申請書を提出いたしております。その加盟申請書、要は、国連に入らせてねというお話をするときに、国連加盟国として、義務を、その有する全ての手段をもって履行することを約束するものであります。全ての手段ですね。
 今、どこまで集団的自衛権が我が国はできるかとか言っていますけれども、国連に加盟時の文書上では、全てやります、できることは全てやりますという国際的な約束をしているわけでございます。また、その宣言において、この義務を遵守することを約束するものであるという宣言も出しているわけですね。
 当時は、まだ我が国は自衛隊もない状態でございましたから、その中ででき得ることは全てやるという約束の中で、今の現状を諸外国から見られたときに、我が国の自衛隊も含め、そういうトータルで見たときに、もちろんこれは、全てというのは、全部を、俗に言うブーツ・オン・ザ・グラウンドでどこでも行けということではなくて、その国の、その時々の事例に合ったように判断すべきであるということ、これは我が国だけではない、世界各国、そういう共通認識でございます。
 それを、今テレビをごらんの皆さんもぜひ知っておいていただきたいんです。本来は、我が国は国連に加盟している、国連に加盟しているということはそういうことなのであるということを知っておいていただきたい。
 その上で、我が国は、憲法九条も含め、どういうふうに考えていくかでございますけれども、その中で、もう一つ我が国が結んでいる約束、日米安全保障条約第五条、この中には「自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」これも宣言しているわけです。共通の危険に対処するように行動するという宣言を、我が国は、日本とアメリカで結んでいるわけですね。
 これも、テレビをごらんの皆さん、ぜひ認識しておいていただきたい。その上で集団的自衛権の議論をやっているんだ、こういう国際的な協約があるんだということを知っていただきたいんです。
 そういう意味で、我が国の憲法も鑑み、現実的に考えて、我が党は、先ほど小沢委員からもありましたけれども、限定容認が見解でございます。
 このように考えますが、外務大臣、いかがでしょうか。
○岸田国務大臣 従来の我が国の政府の見解ですが、我が国が国際法上集団的自衛権を有しているということについては、主権国家である以上当然ではありますが、これを行使することにつきましては、憲法上許されないというものでありました。
 結論から申し上げますと、従来のこの我が国の政府見解は、国連憲章とも、あるいは日米安全保障条約とも整合性があるものであると認識をしています。
 例えば、国連憲章ですが、国連憲章五十一条を見ますと、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」こういった規定を設けています。
 これは、要は、個別的自衛権、集団的自衛権は権利である、国連加盟国に集団的自衛権の行使を義務づける規定ではないということであります。そういった点で整合性がある。
 また、日米安全保障条約ですが、我が国の施政下にある領域における、日米いずれか一方に対する武力攻撃が生じた場合、日米安全保障条約五条に従いまして日米は共同対処行動をとる、このようにされているわけですが、この共同対処行動の一環としてとられる我が国の行動、これは、我が国に対する武力攻撃である以上、個別的自衛権の行使として説明をされます。よって、これは集団的自衛権の行使には当たらないということであります。
 このように、国連憲章そして日米安全保障条約、両方の規定と我が国の従来の政府見解、整合性はとれていると認識をしておりますが、ただ、変化する国際情勢の中で、また、厳しさを増す安全保障環境の中で、絶えず、我が国の国民の生命あるいは暮らしを守るためにはどうあるべきなのか、こうした不断の検討を行う、これは、政府の責任として、大変重要な責任だと認識をいたします。
 そういった考え方に基づいて、今、我が国の安全保障の法的基盤について議論が進められている、このように認識をしております。
○中丸委員 時間がなくなりましたので、最後に総理に一言だけお答えいただきたいと思います。
 我が党は、憲法九条において、第二項に明確に自衛隊の存在を明記すべきというふうに考えておりますが、総理、最後に、この改正についていかがか、お答えいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 憲法の改正につきましては、我が党としては憲法改正草案を既に提出しているところでございまして、自衛隊も憲法上明記すべきだというのが我が党の憲法草案による基本的な考え方でございます。
○中丸委員 時間になりましたので、これまでにします。ありがとうございました。
○二階委員長 この際、山田宏君から関連質疑の申し出があります。小沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山田宏君。
○山田(宏)委員 日本維新の会の山田宏でございます。
 昨日、うれしいニュースが舞い込んでまいりました。高円宮典子様と出雲大社の千家国麿氏の御結婚が決まるということでございまして、本当に縁結びの神様ならではのうれしいニュースでございました。
 まず、この点につきまして、総理の御感想、お言葉をいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 宮内庁から、典子女王殿下と千家国麿氏の御成婚が御内定になったとの発表がございました。
 大変おめでたいことでございまして、国民の皆様とともにお喜びを申し上げたいと思います。末永いお幸せを心からお祈り申し上げたいと思います。
○山田(宏)委員 まさに、伊勢神宮と出雲大社は日本の国柄を決めてきた重要な神社でございまして、そういった意味で、この両家の御成婚ということについては本当に感慨深いものがございます。こういう日本の立派な国柄をこれからも幾久しく私たちは磨き、そして築いていく責務があるというふうに考えております。
 そういった中で、再びこの場所で河野談話の問題についてお聞きをしなければならなくなりました。
 私は、二月の二十日、またその後の予算委員会の審議におきまして、河野談話の作成の事務の責任者であった石原信雄元官房副長官に対して御質問をさせていただき、幾つか重要な証言をいただきました。きょうは、そのことについて何点かお聞きをしておきたいと思います。
 まず、あさって、アメリカのバージニア州フェアファックス郡において、五番目の慰安婦の碑が除幕されるというニュースでございます。
 この内容は、今までの慰安婦の碑と同じように、二十万人のアジアの少女たちが日本軍によってかつて強制的に拉致され、そして性の奴隷にされたということがこの碑文に記されているわけでございまして、この問題につきましては、グレンデール市の問題も含めて、その地域に住んでいる日本人の人たちがいかに肩身の狭い思いをさせられているかというお話をさせていただきました。
 またもや同じようなことが起きているわけでございまして、このことにつきまして、外務省としてどうこれまで取り組んでこられたのかということをまずお聞きしておきたいと思います。
○岸田国務大臣 御指摘のとおり、今般、ワシントンDCから約二十五キロに位置するバージニア州フェアファックス郡の政府庁舎の裏庭に慰安婦碑が設置されていることを、先週二十二日の日でありますが、確認させていただきました。御指摘のように、除幕式はこれからということでありますが、この碑を含め、各地の慰安婦像、碑の設置、これは、我が国の政府の立場とは相入れない、極めて残念なことだとまず受けとめております。
 こうした事態に対しまして、我が国としましては、一九六五年の日韓請求権協定によって請求権はもう完全に完結しているということ、あるいは、第一次安倍内閣で閣議決定した政府答弁書の内容、政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった、こういった点、さらには、我が国は、人道的な見地から、これまでもアジア女性基金等を通じた取り組みを行ってきたこと、こういったことにつきまして、議会あるいはマスコミ、有識者、地方自治体、首長、さらには多くの関係者、こういったものに働きかけを開始したところであります。
 こうした働きかけ、他のこうした動きにおいても、我が国としましても真剣に取り組んできたところであります。韓国系住民が多い地域や選挙事情など、難しい状況も存在いたしますが、こういった働きかけによって、実際、具体例として、具体的な地名は、ここであえて挙げることによってマイナスの動きが出る可能性もありますので控えますが、実際、こういった動きがおさまる、こういった実例も幾つか出てきているところであります。
 引き続きましてしっかりと説明は行っていきたいと思いますし、何よりも、韓国政府自身にこういった我が国の考え方をしっかり理解していただかなければならない。こういったことから、先月から、日韓局長級協議、こうした協議も始まっております。我が国としての取り組み、考え方、立場、しっかりと理解を得るべく努力をしている、こういった状況であります。
○山田(宏)委員 今の外務大臣のお話のように、一生懸命大使館の方でもやられて、幾つかの件数については、事前にそれを何とか防止することができたという御報告もございました。モグラたたきですよね、これは。なので、とにかくもとから断たなきゃだめということだと思うんです。
 そのもとというのは、やはり唯一の根拠は我が方が認めた河野談話なんですね。慰安婦が強制的に軍によって集められたという、どこにも証拠のないものがひとり歩きをしてこういったものにかかわっているということでございまして、だから、私たちはこの談話についての見直しを求めてきているわけであります。
 石原信雄元官房副長官の証言によって明らかになったことは、まず、河野談話で言われているいわゆる慰安婦を強制的に集めたという強制性については、それを示す証拠はどこにも存在していない、見つかっていないということですね。これは韓国にもないんです。アメリカにもないんですよ。そして、もちろん日本にもないんです。ありもしないことですから、こんな証拠があるはずがないんですね。
 そして、二つ目、では、なぜこんな強制性をほのめかしたような文書がつくられたかということについては、これは韓国側の十六人の元慰安婦の方の証言であると。しかし、その証言の裏づけは全くとっていないということですね。
 そして、三つ目は、その河野談話の文言は韓国政府とすり合わせをしたということが推定されるということを石原元官房副長官は述べられました。
 要は、証拠もなく、韓国側の一方的な言い分を引き込んで、そしてこの談話がつくられたということでありまして、こういうことで世界じゅうにうそがばらまかれていくということについては絶対に容認しがたい、こう考えております。恐らく、安倍総理も同じ思いであられるというふうに思います。
 世論調査では、この二十日の質問以降、産経新聞社、二月二十二日、河野談話は見直すべきと思う人は五八・六%、思わない人は二三・八%、事実の検証をすべきと思う人は六六・三%にも上っています。読売新聞社、三月十四日の実施では、検証すべきかどうかについて、評価するということは五割に達しています。さらに、産経新聞社の三月二十九日の世論調査でも、検証については、支持するが五〇%。そして、新しい談話を出すべきというのが六九%、七割にも近い。そして、こういった検証について報告が行われたら、国会においてさらに検証を進めるべきだというのが六三・七%。
 さらに、テレビ朝日の報道ステーションの調査によっても、検証については、評価するというのが四八%。そして、談話を見直さないということを総理は発表されたんですけれども、これを評価するは四二%、評価しないは三三%。そして時事通信社も、検証作業の結果次第では河野談話を見直すべきが四割にも上っています。
 もう世論は、朝日ですら、申しわけないけれども、ここまで行っているんですよ。それはやはり、これは何としても進めていこうというのが世論でありますけれども、総理、この世論調査の御感想、いかがでございますか。
○安倍内閣総理大臣 こうした世論調査については承知をしております。
 先般、委員会における委員の御質問をお伺いしておりました。また、石原参考人とのやりとりもお伺いをしていたところでございます。
 また、そうしたさまざまな世論調査があることも承知をしておりますが、だからこそ、私ども政治家は歴史に対して謙虚でなければならない、このように考えておりますし、歴史については歴史家、まさに専門家に任せるべきことであろう、このように思います。
○山田(宏)委員 私の質問に対して、官房長官の方で、こういう石原証言があるんだから、一つは、十六人の慰安婦の方々の聞き取り調査や、または、産経新聞社が報道されたように、石原さんも推定をされているように、韓国側との文言のすり合わせ、こういったことが本当にあったのか、なかったのか、こういったことを調査するように求めまして、官房長官も、それをやる、できれば今国会中に報告もできるようにしたいというようなお話もありました。
 現在の検証作業の進捗状況について御報告をいただきたいと思います。
○菅国務大臣 二月二十日のこの予算委員会で、石原元官房副長官の証言を受けて、山田委員から、検証するようにという強い要請がありました。それを受けまして、現在、政府としては、河野談話において当時、明らかになった、すり合わせがあったのではないかという可能性を受けて、政府の中枢に検討チームをつくり、今、事態を把握すべく作業を行っております。
 この極秘の検討チームは、静かに検討できる環境を確保するために、その詳細についてお答えすることは控えたいと思いますけれども、現在、五人で構成されて、保秘に十分留意をしながら、有識者による政府内の検討チームとして作業を行っております。基本的には、五人のうち女性が三名、法制度に明るい方、マスコミの方、客観的に見て隔たることのないよう、なるほどと思われる方にお願いをいたしております。
 そして、この検証についてでありますけれども、前にも予算委員会で申し上げましたけれども、検討の結果について、政府としては、国会から要請があれば、その用意はある旨というものを申し上げてきました。その際はメンバーの実名も公表したいというふうに思っています。現時点においては、今度の国会中に検証結果を表明させていただける、事務作業は進めたいというふうに思います。
 いずれにしろ、その取り扱いは、この予算委員会でありましたので、国会の皆さんにお委ねをしたいと思います。
○山田(宏)委員 ありがとうございます。
 極秘のチーム五名、三名が女性の方、五名全員外部の方が、今まで検証作業に取り組んでこられたということであります。
 その内容については報告をお聞きするということになるまで待ちたいとは思いますけれども、今国会中と今もお話がございました。今国会中に報告が可能な状況になるということでございますが、今国会、会期は六月の二十二日となっております。会期延長がありますかね。
 なければ、やはり、最終の週に報告が出てきても、そこからその報告を聞いて、また国民の皆さんが疑問に思うことを代表者たる国会議員が質疑をしていくという時間はなくなってくるわけでありまして、最終の週ではなくて、一番悪くても九日の週、六月の九日の週には、中間報告でも構いませんが、報告をしていただきたい、こういうふうに考えておりますけれども、いかがでございましょうか。
○菅国務大臣 政府としては、国会会期中ということで今作業を進めていますので。今、委員からの要望がありました。今次、座長の方にお願いをして、五人でチームをつくって、国会会期中にというお願いをしていますので、そのようなことも、御要望について、政府としても検討していきたいと思います。
○山田(宏)委員 いや、検討じゃなくて、ぜひ九日の週にやっていただくようにお願いしたいので、ぜひそのように努力をしていただきたいと思います。九日の週ですよ。よろしくお願いします。
 それで、もし、これが九日の週に報告ができる状況になるということでありますので、そうなることを前提に、ここ予算委員会で、この問題については検証をするということを内閣としてお決めになられ、そして進めてこられたわけでございまして、国会といっても、この予算委員会にぜひその報告をしていただくように、予算委員長からも、予算委員会の理事会を通じてぜひお求めをいただきたい。そういう状況になるかどうかを政府ともよくお聞きをしていただきながら、そういう状況になれば、速やかに予算委員会の開会をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○二階委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○山田(宏)委員 それでは、予算委員会で今国会中に、このいわゆる河野談話についての政府における検証結果について審議をしていただくということを改めて確認をさせていただき、次に行きたいと思います。
 この質問以降、オバマ大統領の訪日もございますし、また、さまざまな韓国との関係もあったと思うんですけれども、総理は、検証はするが見直さないということをおっしゃっておられます。
 検証はするけれども見直さないというのはどうにもちょっと理解ができないんですけれども、これは、検証結果がどうあろうが見直さないという意味なんでしょうか。ちょっとその辺をお聞きしておきたいと思います。
○菅国務大臣 政府としては、安倍内閣でそれを見直すことは考えていないということを申し上げました。
 その理由でありますけれども、この河野談話については、その作成過程において、当時、日韓関係を安定させるため、慰安婦問題をめぐり、両国間でさまざまなやりとりの中でこの談話が生まれたものだというふうに認識をいたしております。
 そして、この談話発表の大きな根拠の一つと言われるのが、元慰安婦十六名の方からの聞き取り調査であります。これについて、当時、証言の事実関係を確認するための裏づけ調査が行われなかった。これは石原元官房副長官の証言にもありました。裏づけをされないものを、今日まで二十一年たったわけでありますし、亡くなられた方々もおられると思います。
 現在、そういう状況の中にあって、証言の事実関係を洗い直す、そのことは事実上不可能であるというふうに思っていますので、結果として、政府として、この見直しをしたり新たな談話を発出することは考えていないということでありますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○山田(宏)委員 理解できません。
 先ほど申し上げたとおり、この談話が唯一の根拠となって、世界じゅうにうそがばらまかれているわけですよ。ですから、やはりこれは日本国の名誉にかかわる話でありまして、現実に、その地域に住んでいる日本人の方々も大変な思いをされて住んでおられるわけです。それを守るのが日本国の政府の役割でありまして、本当ならばしようがないけれども、どう事実確認をして検証しても事実が確認できないことについては、私は、見直さないというんだから、見直さないなら見直さないということであっても、新談話は出さなきゃだめですよ。それから、内閣表明だっていいと思うんです。
 つまり、そういうことをきちっと事実を重ねた上で、一体、この問題についての、そういう検証の結果、どういう考え方で今いるのかということは出してもらわないと、永遠にこの河野談話が、百年たっても二百年たってもずっと、誰も知らないのに、これが事実だといって教科書に書かれ、ずっとこれが続いてしまうんですよ。これはあり得ないことだと思っていまして、我々の代でやらなきゃいけないと思うんです。
 見直さないという意味は、私は、新談話を出すのか、それとも内閣表明をどこかで出すのか、そういうことを考えているんだろう、こう思ってきましたけれども、それもやらないと今明言されるのであれば、何のための事実検証なんでしょうか。ちょっとそれをお聞きしておきたいと思います。
○菅国務大臣 前回のこの予算委員会の中で、当時の事務方の責任者の石原元官房副長官が、すり合わせが日本と韓国政府の間で行われたのではないかということを推察する、それと同時に、当時はよかれと思って行った日本の善意が、残念ながら、その当時はよかったけれども、これだけ時間がたった形の中で改めて問題が起きている、逆手にとられたような、そんな思いだという趣旨の発言をされました。ですから、そこについては、ここは検証を私たちは、山田委員からの質問もありましたので、しっかりとやらせてもらうということを答弁させていただきました。
 しかし、この河野談話の発出の大きな根拠の一つと言われている、十六名の慰安婦の方々、これに対しての聞き取り調査でありますけれども、当初から裏づけ調査をしていなかったんです。裏づけ調査をしていなかったものを談話として発表したわけです。しかし、今日、これは平成五年ですから、今二十六年です、二十一年間たって、亡くなられた方もこれは多分いらっしゃると思いますし、新しい、この証言の事実関係を洗い直すことは、やはりこれは不可能だというふうに事実上思わざるを得ないのが現実だというふうに思いますので、そこがはっきりしないうちは見直しをすることは難しいという意味で、今申し上げたところであります。
 この慰安婦の十六名の証言についての検証は、裏づけ調査をしていなかったものをそのまま談話として発表したわけでありますから、それについて今日事実関係を洗い直すということは、それは難しいことじゃないでしょうか。
○山田(宏)委員 河野談話について、十六人の証言をもとにやったものだから、もうこれはどうしようもない、二十一年もたっちゃったということは、半分は理解できないわけじゃないんですけれども、それであれば、やはり、検証の結果、新たな談話、新たな考え方、河野談話は仮にもう手をつけられないにしても、当面、そういった事実検証に基づいた新たな考え、新たな表明というものをすべきじゃないですか。それはどうなんですか。
○菅国務大臣 先ほども申し上げておりますように、検証結果については、つまびらかにそれは国会に提出をしたいというふうに思います。
 どういう検証結果が出てくるかわかりませんけれども、その結果について公表していくのは、これは国会に委ねるわけでありますけれども、政府としては、公表することは全くやぶさかでありませんし、それによって御判断をいただけるものだろうと思います。
○山田(宏)委員 なるほど。検証結果の報告によってある程度わかってくるというような内容が出てくることを、まずは期待をしたいというふうに思います。
 検証は、今回やって、これで終わりになるんでしょうか。
○菅国務大臣 先ほど来申し上げていますけれども、有識者の専門的分野の皆さんにしっかりと検証をお願いしておりますので、事実に基づいた検証結果が出てくるものと期待をいたしております。
○山田(宏)委員 来年が第二次大戦が終わって七十周年ということで、この間、ロシアと中国が、反ファシズムの戦いをやったといって、そういったいろいろなプロパガンダがそこらじゅうで行われてくる、日本を悪者にもう一回仕立てて孤立化させようという、こういった歴史問題が外交カードとして使われてくる、それはもう目に見えているわけです。
 だから、我々は、この歴史カードというもの、これは今、一番日本に対して使われているわけですけれども、これに対して上手にやはり対処していかなきゃいけないわけです。そのときに、やられてからまた考えるとか、後手後手では困るわけですね。もうそれが見えているわけですから。
 ですから、そういった意味では、慰安婦の問題もそうだし、例えば南京事件の問題もそうですけれども、やはり歴史の検証というものを国の方針として、事実の検証ですよ、ちゃんとこれから続けていってほしい、こう思っています。
 そのことを担えるのがアジア歴史資料センターだ、こう思っておりまして、このアジア歴史資料センターとは一体何でしょうか。簡単に御説明いただきたいと思います。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
 アジア資料センターは、インターネットを通じて国が保有いたしますアジア歴史資料をパソコン画面で提供する電子資料センターとして構築しているものでございまして、国の三研究機関からの戦前の資料をデジタル化して提供しているというものでございます。
○山田(宏)委員 この資料センターは、村山談話の後にできたんです。村山談話が発表されて、そして、アジアに対して御迷惑をかけた、今後、日本のそういう資料をどんどんオープンにしていきますということでできたんです。
 村山談話がこれをつくったんです。そして、国立公文書館、外交史料館、防衛研究所の大量の歴史文書を順次インターネットに載せていくという作業をしているんですけれども、ここの資料館が少し動きが鈍いわけです。
 例えば、慰安婦と打つと何が出てくるか検索すると、八件しか出てこない。大量にある、何千も何万も資料があるのに、慰安婦というと八件しかない。
 八件のうち、例えばどんなのが出てくるかというと、これはおもしろいんですけれども、例えば「重大なる軍紀違犯事項報告」というのがありまして、これは防衛研究所のものなんですけれども、要するに、伍長が慰安婦に会いたくて無断出張したということを東条英機陸軍大臣に報告をしている文書なんです。要するに、慰安婦に会いたくて自分の仕事をほっぽらかして遊びに行っちゃった、そして雨が降って帰れなくなった、けしからぬ、こういう内容なんですね。こういうものしか出てこないんですよ。
 これでも、慰安婦のそのときの状況というのは何となく、ほほ笑ましいなという感じはしますよ。しかし、やはり、こういった状況の文書は山のようにあるはずなんです。この検索や公開がもっともっと行われて、世界じゅうのあらゆる人たちが慰安婦の問題について研究するときにはこのアジア歴史資料センターから取り寄せてやれるようにしていけば、総理、先ほど、歴史家が判断していくべきだと、その歴史家が判断しやすいようにするのがこの資料センターなんですよ。
 これがこんな状況ではお寒い限りで、やはり私は、まずは慰安婦の問題、慰安婦ということでまずテーマを決めて、二十人ぐらい若い研究者を集めて、そして、毎日毎日、その資料の整理をして、どんどんインターネットにアップしていく。加工しないでですよ。そういったことをぜひやり続けてほしいんです。
 大体、年間一億ぐらいかかるかもしれません。しかし、そういうことをやっていくことが、日本のやる仕事なんですね。これは南京事件もそうですよ。全部、そういう問題について大量の歴史文書がありますから、それをきちっと公開して、世界じゅうにインターネットで配信をしていく。これを、まず慰安婦の問題からでも予算化してやってもらいたいんですけれども、いかがでしょう。
○菅国務大臣 この慰安婦、河野談話でありますけれども、今般の検証作業、その実態を、結果の把握をして、それをしかるべき形で、ここは明らかにしていく。そこは責任を持ってとり行っていきたいというふうに思います。
 いずれにしろ、客観的事実をインターネットでも配信できる体制というのはつくり上げたいと思います。
○山田(宏)委員 ちょっともう一度御質問します、これは大事なところなので。来年に向けて大事なところなので。
 アジア歴史資料センターを活用して、もっと歴史文書の公開化に拍車をかけてもらいたい。予算がないんです。これをやれば研究者が育つんです。すぐは速成できないんです、研究者を。こういうところに、やってもらうことに関与させることによって、これを動かしていく。
 このアジア資料センターは、村山談話でできた。私にしてみれば、けしからぬ話だ、こう思うんですけれども、この村山談話を引き継ぐ、河野談話を引き継ぐ、嫌々、今そうやっておっしゃっているかもしれないけれども、引き継ぐと言うんだったら、村山談話でできたこの資料センターを使って河野談話を検証してくださいよ。引き継ぐと言うんだったら。
 ですから、私は、そういう意味で、このアジア歴史資料センターというものを、もっと予算化をして、そしてきちっと若い研究者を長年かけて育てていって、そしてそういうことを通じて世界じゅうに日本の資料を提供して、そして事実の解明を進めていく、こういうことを来年に向けて予算化をしてもらいたいと思うんですけれども、総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 どういう事実か、あるいは対象のいかんにかかわらず、いわば政府の税金を使った予算でできた資料センターでございますから、そこに集積された書類あるいはさまざまな文献等については、国民の皆様に対して公開すべく、当然努力をしていきたい、このように思います。
○山田(宏)委員 ぜひお願いいたします。
 きょうは、集団的自衛権等についての質疑ということで慰安婦の問題をもう一度取り上げましたけれども、何点かちょっと、新聞記事によって御質問をしたいと思います。これは通告をしておりませんので、お答えできる範囲で構いません。
 安倍総理が、ウォールストリート・ジャーナルの二十六日のインタビューで、現在、ベトナムと中国で南シナ海で非常に緊張した、緊迫した状況が続いている中で、この間、来日されましたベトナムの副首相との会談で、海保の巡視船の供与について向こうから要請があって、ぜひそれに応じていきたいということで、日本の巡視船の提供をお話しになられたということで、これはやはりそういう方向でやっていかれると。私はいいことだと思うので、ぜひお願いしたいと思うのですが。
○安倍内閣総理大臣 アジア太平洋地域の平和と安定あるいは法の支配を確立していく上において、我が国としても貢献していきたいと考えております。
 御承知のように、フィリピンに対しては、既に巡視艦艇の供与を決定しているところでございますが、ベトナムに対しましては、サン主席が来日をされた際、また、昨年、ズン首相が来日をされた際に、巡視艇の提供を要請されておりまして、政府としては、前向きに検討していきたい、このように思っております。
○山田(宏)委員 総理はこの記事の中で、これから巡視船をつくるということなので、すぐ出せるわけではないと。これもちょっと気の長い話だな、こう思ったんですが、私は、海上保安庁の巡視船でも更新時期を迎えてきているものが何隻かあると思うんです。こういったものは、日本の自衛艦にしろ、巡視船にしろ、海保の方々にしろ、ぴかぴかに磨いて、本当に大事にして、更新時期に来てもまだまだ使えるものというのはたくさんあるんですよ。
 そういったものをぜひ、向こうがオーケーということであれば、その巡視船を、今あるものでも更新時期を迎えそうなものについては、それを向こうに使っていただく。そういうことを通じて、海保、我々の警察官の方々とベトナムの方々との交流、つまり、使い方とかいろいろなことを教えていかなきゃいけませんし、一緒に行動するということがふえてくると思うんですね。
 やはり、こういう船というものを供与することによって、確固たる平和維持のためのきずなができてくる、こう思っておりまして、新しくつくるだけではなく、更新時期を迎えてきている、そういったものについても柔軟に考えていく必要があると思うんですが、いかがでしょう。
○安倍内閣総理大臣 実際、更新時期を迎えている、いわば中古と言ってもいいと思うんですが、について、ベトナムからも、あるいはフィリピンからも、すぐに欲しいという要請がありました。
 そこで、それが出せるかどうかということを検討したところでございますが、今、海上保安庁は大変警備の任務が重たくなっておりまして、もちろん、予算において新しい巡視艇の増設をしているところでございますが、残念ながら、今出る、時期を迎えたものをすぐ退役させるという状況には我が国自体がなっていないという状況に今なっております。検討したわけでありますが、しっかりと我が国の領海を守っていくという要請上、今すぐに退役させるということはできないという状況になっておりますので、そこはなかなか難しいという状況になっております。
 いずれにいたしましても、今委員がおっしゃったように、フィリピン側あるいはベトナム側の海上警察行動をとる人々の訓練等も含めて、しっかりと我々も支援をしていきたいと考えております。
○山田(宏)委員 時間がなくなりましたので、終わりたいと思います。
 国土交通大臣、本当に申しわけございませんでした、おいでいただきましたのに、御質問の時間がなくなりました。
○二階委員長 この際、村岡敏英君から関連質疑の申し出があります。小沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。村岡敏英君。
○村岡委員 日本維新の会の村岡敏英でございます。
 きょうは、集団的自衛権等の集中審議ということですけれども、私は、もう一つの安全保障である食の安全保障という考え方からお聞きいたしたい、こう思っております。
 これは、実は昭和二十一年、共同通信社が国会議事堂の前で写真を撮った資料であります。国会議事堂の前が芋畑になっているんです。その当時は食糧難で、日本の空き地という空き地が全て芋だったり、そして野菜であったり、とにかく食料の確保ということで大変な思いを日本がした時代でありました。
 私も、もちろん戦後生まれですから、食糧難の時代はわかりません。そしてまた、さらに、今の国会議員の先生方ほとんどが知らないという状況だと思っております。
 そういう意味では、今、国会も国民も食糧難という時代を知らない時代になりました。買い出し列車であったり、闇市であったり、栄養失調の子供たちがたくさんいた時代であります。知っていらっしゃるのは、麻生副総理ぐらいは知っていらっしゃるんですかね。もうほとんどの人が知らないという状況の中でありまして、こういう状況を、写真を見てどう感じるかが大切なんです。
 実は、たった七十年前、日本は食料不足だった。そして、歴史を振り返ると、政治は、常に食料をきちんと確保するという中で、政治の一番大事な役割でありました。しかしながら、日本は今、食料は自給率四〇%を切っています。六〇%ぐらい海外から輸入しています。ですから、一国だけではこの国民は食べていけないんです。これは集団的自衛権と同じように、いろいろな国の平和があってこそ、日本は食料が確保でき、そして国民が命と安全を守れるということであります。しかしながら、なかなか食糧難というのは、現実に経験していないと、今のこの国会の中でも、農業に対しての意識が大変低いということがあります。
 その意味では、この写真を見て、改めて総理がどのように感じ、そして食に対してどのように取り組むべきと考えていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
    〔委員長退席、金田委員長代理着席〕
○安倍内閣総理大臣 まさに七十年前、これは国会の前も畑にしなければならないほど食料が窮乏していたんだろう、このように思います。麻生財務大臣、麻生家といえども、恐らく食料については大変厳しい状況になっていた。
 つまり、食料については、他の、例えば工業製品とは違いまして、いわば、常にお金を出せば手に入るという状況ではない可能性もあるわけでございまして、その観点からも、食料自給率あるいは食料自給力を引き上げていくべく努力を積み重ねていきたい、このように思っております。
○村岡委員 総理、ぜひその認識は国会議員全員も持たなきゃいけない、こう思っております。
 というのは、もちろん、平和を続けて、世界の中で日本にも食料がきちんと入ってくる、これが前提であっても、世界の人口はどんどんふえています。このふえている中で、九十億人となると、食料が倍増しなきゃいけないという状況。こういう中で、しっかりと食の安全という部分は考えていただきたい、こういうふうに思っております。
 しかしながら、実は農業は、これまでの政策の中で、平均年齢が六十五歳以上、さらには農業の生産高もどんどん落ちている、そして農業人口もどんどん減っている。その中で、やはり農業を改革しなければ、担い手の人たちが育ってこない、成長産業にすることができないということで、去年からことし、農水委員会でも政府提案の法案を審議してまいりました。我々維新の会も、やはり農業は改革しなければいけない。その中で、例えば中間管理機構、そして経営安定大綱の見直し、日本型直接支払い、よく審議した上で、我々も賛成をいたしました。これはスタートをし始めました。
 そして、この前の規制改革会議の中で、三点ほど大きな見直しが発表されました。この発表の一つには、パネルに出ておりますが、農業委員会等の見直し、農地を所有できる法人の見直し、農業協同組合の見直し、さらには全農の株式会社化など、いろいろな、今までとは全く違う政策が出てまいりました。
 総理は、その規制改革会議の中で、この三点を抜本的に見直し、断行する、こうおっしゃったと出ておりますが、そのとおり、この三つを基本にして断行したい、そういう決意でしょうか。
○安倍内閣総理大臣 安倍内閣としては、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村をつくっていきたいと決意をしております。
 その中で、農政改革を進めていかなければなりません。農業を、競争力ある、魅力ある産業につくりかえ、自立的に発展して地域経済を牽引する、新たな成長産業にしていく必要があります。そうしなければ、若い方々も、農業に進んでいこう、あるいは農業を継いでいこうという勇気を持つことができないんだろう、こう思います。そのためには、経営マインドを持つ意欲のある農業の担い手が力強い農業活動を展開し、活躍できる環境を整備していく必要があるだろうと思います。
 このため、農業協同組合のあり方についても、地域の農協が主役になって、それぞれの独自性を発揮して、農業の成長産業化に全力投入できるよう、抜本的に見直しをしていきたいと考えているところでございまして、今、例として挙げられました農業委員会、あるいは農地を所有できる法人、そして農業協同組合でございますが、こうしたことも踏まえまして、今言った趣旨において改革努力を進めていきたいと思います。
○村岡委員 踏まえましてというのは、何かTPPでも聞いたことがあるような、TPPでは、踏まえましてとは言っていないで、受けとめなんですが、これは踏まえましてということなんでしょうか。
 これは断行するか断行しないかとお聞きしているんですけれども、規制改革担当の稲田大臣にお聞きしたいと思います。
 その後、自民党の方の農業の合同会議において言った言葉を拾ってみますと、この内容や進め方を見て、何か見てくれだけの改革で政府は対応していると率直に思う、こう言ったり、また、地に足のついた政策をお願いしたいと申し上げて意見をさせていただく、我々は国民の代表だ、我々で議論して決めるべきじゃないかとか、ばかみたいなやつがああだこうだと言っている、突然潰れたらどうするのかとか、いろいろな議論があります。
 しかし、稲田大臣は、これを踏まえてなのか、受けとめてなのか、わかりませんが、しっかりとやりたい、こういうふうに発言なさっていますけれども、どうなんでしょうか。
○稲田国務大臣 私も、委員と同じように、農業は単なる産業ではなくて、防衛であり、そして安全保障であり、農業の自給力をつけていくというのは我が国にとって大変重要だと思っております。そのためにも、改革はしなければならないと思っています。
 規制改革会議で示された三つの改革、農業委員会改革、農業生産法人の改革、そして農協改革、この三本柱は一緒に進めていく必要があるというふうに考えております。
 規制改革会議では、本当に一線の農業者の方々に来ていただいて何度もヒアリングをし、また視察もし、私も福井という農業県ですので、地元からもいろいろな意見を聞きながら、真摯な議論を進めて、その議論に基づいて取りまとめられたものというふうに承知をいたしております。
 政府としては、意見に基づき、規制改革会議から出される答申を尊重し、官房長官のもとで、林農林水産大臣とも連携しながら、与党との議論を踏まえ、具体的な農業改革の推進について六月の規制改革実施計画に反映することといたしたいというふうに思っております。
 農業にとって、今、ラストチャンスだという思いで、改革を推進していきたいというふうに考えております。
○村岡委員 本当にこの改革をやるとなると、痛みも、そして大変苦しい問題を解決することになります。
 なぜか、私が質問に立ったら、秋田の委員長が立っていまして、横でちょっとにらんでいるような感じがありますが、農業改革となれば。
 この農業改革は、私も、大切なのは農業委員会。やはり農業委員会の人たちも、実は、きのうの夜も東京に出てきて、いろいろな、この委員会の見直しは反対だということでお話をいただきました。しかし、みずからも改革するという決意も持ち始めています。農協も、もちろん持ち始めています。そして、全農もそうです。
 それから、企業の参入というのは、我々維新の会は常に言い続けてきました。しかし、農業者が企業の参入に対して大変厳しい意見を持っているのは何かということを考えなければなりません。
 農業が衰退したのは、決して農業者や農業団体や、そして農業にかかわる人たちが何か政策を間違ったわけじゃなくて、国の政策にしっかり従ってきたんです。国の政策に従ってきた結果が、今、大変衰退しているんです。そして、毎年のように二兆円かけているのに、なかなか農業が発展しない。むしろ衰退して、日本には農業がもうなくなるんじゃないかという状況になっている。
 そのときに、組織改革はもちろんしていかなきゃいけない。しかし、組織改革だけじゃないんです。農業を、よくコストを見てください。例えば、二兆円行っていて、その補助金の中で、農機具、資材、さらには肥料、そして最終的にはスーパー、いろいろな面で、その人たちは相当な利益があるんです。実は、価格決定能力が全く不足しているんです。その原因は何かというところに食い込まない限り、日本の農業は立ち直りません。やはり、そこなんですよ。
 この組織で、農業者だけに物すごい厳しい改革を迫るんだったら、このもう一つの部分の、価格決定力がないところに国として取り組まない限り、日本の農業は決して発展しないと思っているんです。その点に関して、総理はどう思っていらっしゃいますか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたとおり、農業委員会の見直しや、農地を所有できる法人の要件の見直し、そして農業協同組合のあり方について、この三点については、この三点の改革をセットで断行していく決意には変わりがないわけでありまして、このことは改めて申し上げておきたい、このように思います。
 その中において、農業者の皆さん、もう皆さん一生懸命、真面目に農業に取り組んでおられるんですね。しかし、なかなか利益が上がらない。末端では結構高く売られているものがありますが、それが十分に農業者の収入になっていないではないかという問題意識も我々は持っているわけであります。
 そこで、誰が価格決定権を持っているのか、そして、この中において、ブランド商品にして、さらにいい付加価値がついて高く売れる、その利益が生産者にしっかりと入っていくようなことを我々もしっかりと考えていきたいと思っておりますが、その上において、六次産業化を進めていく上において、今言った観点をしっかりと頭の中に置きながら進めていきたい、このように思います。
○村岡委員 総理、よく農業を、生産高で八兆円、それはもうGDPの二%もない、そして農業人口も減っている、こう言う人たちがいます。私がさっき言った視点は、農業を生産だけで見ちゃいけないということです。食料全体の関連産業は百兆円あるんです。この百兆円の中で、農業という位置が非常に価格決定力のないような仕組みでずっと、生産だけしていればいいみたいな形の中の政策が続いてきたんです。そこに経営マインドができなかったんです。
 そこで、我々は、企業の参入、そして企業はしっかりと、農村社会に行ったときには農村社会の新入社員という気持ちで行ってくれ、そして農業者の人たちは、一緒になって経営を学ぼう、このマッチングができたときこそ農業が変わってくるんです。
 そして、今までの農業はやはり、前にも総理に話しましたが、輸出ということを考えてきませんでした。この輸出には、日本が経済で発展するときの、鉄鋼でも船でも何でも、いろいろな整備に関しては、国がきちんとお金を出してインフラの整備をしました。やはり、輸出にはお金はかかります。しかしながら、日本の食料は、輸出して、日本の農業は必ず成長すると思います。この食の産業という中での農業の位置づけをしっかりしていく、ここが一番大切だ、こう思っております。
 きょうはもう余り時間がなくて、総理に最後にお聞きしますけれども、実は、きのうの記者会見で林大臣がお答えしているんでしょうか、農業の県というのが人口が減っている、そして、農業を何とか立て直さなきゃいけない。
 要するに、一番大きな問題は、いろいろな方が全国津々浦々までアベノミクスが広がるようにということを言っています。しかしながら、今、日本が一番問題なのは、明治以来続いた中央集権なんです。その中で、あの明治維新のときは百万人程度のこの首都圏が、今は三千三百万人なんです。この大きな中央集権を打破するという中に、地方では農業が大切なんです。
 この農業が立ち直らない限り、分散して、全国が均衡ある発展という、政治が本来目指す姿になるためには、農業に対するしっかりとした総理の、最後に決意をお聞きして、もう時間がないので、申しわけございませんが、よろしくお願いします。
○安倍内閣総理大臣 農業には大きな可能性が眠っていると思います。
 確かに、国の政策に農家の方々は従ってきた。それによって、まさにだんだんだんだん衰退をしているのは事実であります。若い皆さんが、自分たちの努力によって、流した汗によって未来が切り開かれるという分野にしていきたい、こう思うわけであります。
 その中において、例えば輸出について、これは実際、国においても農水産品の輸出については余り熱心ではなかったわけでございますが、ちょうど六年前、第一次安倍政権のときに、きょうは中川郁子議員がおられますが、当時、中川昭一議員の地元帯広に行きましたら、長芋、大きな芋があるんですが、この長芋は量販店では余り好まれなかったんですね、大きくて扱いにくい。ところが、なかなか売れなかったので、これを台湾に持っていったわけです。これは非常に高く売れたんですね。この努力によって、しっかりと生産を整備し、そして、倉庫等も大変な努力をして、そこにお金を入れることによって、一億円の売り上げを超す農家がたくさん出てきたのは事実であります。
 そこにやはり私はチャンスがあるな、こう思うわけでございまして、これから安倍政権としても、政権ぐるみで、農水産品の輸出、あきたこまちも含めまして、しっかりと取り組んでいきたい、このように思います。
○村岡委員 総理、あきたこまちまで出していただきまして、ありがとうございました。
 我々は、農業の改革はラストチャンスだと思って頑張りますので、一緒に協力していきます。よろしくお願いします。
○金田委員長代理 時間が参りましたから、よろしく。
○村岡委員 ありがとうございました。
○金田委員長代理 これにて小沢君、中丸君、山田君、村岡君の質疑は終了いたしました。
 次に、浅尾慶一郎君。
○浅尾委員 みんなの党は、公務員制度改革を中心とした行政改革、あるいは市場重視の経済政策、そして地方分権の推進といったようなことを、本来、今進めていくべきテーマだというふうに思っております。
 そういう意味では、この国会において、特に経済政策をしっかりと進めていくべきだというふうに考えておりますけれども、安倍総理が安保法制懇に依頼された集団的自衛権の問題についても、安全保障環境の変化ということを含めて、しっかりと、逃げずに考えをまとめようということで、先般、我々の考え方の素案をまとめさせていただきました。また、私自身の考え方につきましては、ただいまお配りをさせていただいております新聞の記事のインタビュー等にもまとめさせていただいております。
 基本的に、集団的自衛権というもの、あるいは個別的自衛権も、きょうは麻生財務大臣もお越しですけれども、吉田総理の最初の衆議院本会議の答弁の際には、個別的自衛権も読めないという衆議院本会議の答弁があるわけでありまして、個別的自衛権自体も、いわば解釈から、朝鮮戦争を含めた解釈から生まれてきたということから考えますと、私自身は、本来、法律からすれば、自衛権というものを憲法に書き込むべきだというふうに思いますが、個別的自衛権が読み取りで生まれたということからすると、今回、集団的自衛権を読み取りで生んではいけないということは必ずしも言えないのかなという立場であります。
 その上で、幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず、集団的自衛権の行使を容認することによって、変化をした安全保障環境において我が国の抑止力がどう向上するのかという観点から総理にお伺いをさせていただきたいと思います。
 具体的に出す安全保障環境の変化の事例は、安保法制懇の中で取り上げられている、変化した安全保障環境というもので取り上げさせていただきたいと思います。
 まず第一に、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散、高度化、小型化というものが挙げられております。これは、核保有国が、ふえてはいけないんですが、北朝鮮等々が核実験をしている、あるいは、我が国をカバーするノドンそしてテポドン2というようなものを持っているということは御案内のとおりでありますが、この集団的自衛権の行使を容認することによって、こうした大量破壊兵器及びその運搬手段に対する対応策として、どう我が国の抑止力が向上するんでしょうか。
○小野寺国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境、今委員が御指摘のありましたように、大変厳しさを増しております。例えば、大量破壊兵器、弾道ミサイル等の軍事技術の高度化、拡散があります。テロやサイバー攻撃等の脅威は瞬時に国境を越えてまいります。
 これらの事象と集団的自衛権との関係を一概に申し上げることは困難でありますが、今や、これらのことは厳然たる事実でありまして、どの国も一国のみで平和を守ることはできないということであります。
 こうした現実の中、いかなる事態に対しても、国民の命と暮らしを守り抜くためには、切れ目のない対応を可能とするような法整備を含め、今委員が御指摘ありました、テロ、サイバー、宇宙を含むあらゆる分野で、例えば日米同盟、関係各国との協力を強化することにより、すきのない備えが必要であります。それによってこそ、抑止力が高まり、紛争は回避され、我が国が戦争に巻き込まれることがなくなると思っております。
○浅尾委員 大臣、せっかく御答弁いただきましたけれども、一般的な世論調査を見ると、集団的自衛権行使容認に対しては反対の方が多いんです。今のような、申しわけないですけれども、書かれた答弁を読まれても、どういう部分でどう抑止力の向上になるかということにつながらないと思いますので、あえて個別のことで申し上げました。
 まず最初に、大量破壊兵器について伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 いわば大量破壊兵器とその運搬手段を、例えば、北朝鮮は既に保有していて、日本を射程に入れているということであります。我が方は、それに対して、ミサイル防衛によって、海上発射型SM3とPAC3において迎撃体制をつくっているわけでございますが、この迎撃体制においても日米で連携をしているわけであります。
 しかし、これがだんだんだんだん、さらに進歩していく段階で、いろいろな段階での迎撃が可能になっていくわけでありますが、ここにおいて日本のイージス艦と米国のイージス艦が緊密な連携を最初からとれるようにしていくということは、まさに共同で完全に対処していくということになるわけでありまして、抑止力としては、日本への攻撃に対して日米で共同対処をするということが最初から明確になっていくということにもつながっていくということも検討していく必要があるんだろう、それは当然、抑止力は高まっていくということになるのではないか、このように思います。
○浅尾委員 北朝鮮の事例で申し上げますと、多分、集団的自衛権という観点からと、もう一つ、これは防衛省、政府としても検討ということになっております、鳩山一郎内閣のときの見解で、いわゆる策源地攻撃というものが憲法上、これは個別的自衛権で許されるということになっておりますが、そのことを検討し、その体制をとった方が、撃ち出されたミサイルを撃ち落とすよりも、確率論として言えば、単純な確率論として、立法論、政策論とは別に、高いのではないかと思いますが、その検討状況はどういうふうになっていますでしょうか。
○小野寺国務大臣 委員の御指摘がありましたように、累次にわたって例えば日本を攻撃するような、ミサイル攻撃をするような、そういう基地に関して、そこに打撃力をもって反撃をするということに関しては、これは憲法上許されるという解釈は既にございます。
 今回、防衛大綱をつくるに当たりまして、総合的な対応をするということで私どもは検討することになりますし、また、実は、この役割は、現在日米の間で、例えば、日本は攻撃してくるミサイルを防ぐ役割、そして、策源地、反撃をする役割は一義的には米国がしっかりそれを担う、そのような役割分担を協議していくのが日米のガイドラインということになります。
 こういう関係をしっかりすることが大切だと思っております。
○浅尾委員 安保法制懇の答申に従いますと、次の安全保障環境の変化の事例として挙げられているのは、国境を越える、国に準ずる主体によるテロということになります。我々が一番最近経験しているものとしては、これ自体は国に準ずる主体かどうかは別として、ナイジェリアにおける少女の誘拐というのも場合によってはそれに当たるかもしれません。
 実際に集団的自衛権ないしは個別的自衛権が行使された事例としては、九・一一の後のアフガニスタン戦争。これは、今までの総理の御答弁でも、湾岸戦争やイラク、これは集団安全保障の世界になりますが、九・一一の後のアフガニスタン戦争は、最初、アメリカが個別的自衛権を行使し、NATO及びオーストラリア等々がそれに呼応して集団的自衛権を行使したわけであります。
 我が国は、このときは、御案内のとおり、集団的自衛権ということはもちろん議論もされていないときでしたので、インド洋で給油をするということで対応したわけでありますが、今後、集団的自衛権の行使が認められるようになった場合に、アフガニスタンのような事例があったときに対応が変わるのか変わらないのか、変わるとしたらどういう部分で変わるのかというのを伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 アフガニスタンのような事例としては、あの際、我々は、テロ特措法をつくって給油活動を行ったところでございます。
 もし、あのときに、今この安保法制懇で報告がなされた形で検討が行われ、そして解釈の変更が行われた場合ということでございますが、この委員会でも答弁をいたしましたように、集団安全保障において、我々は、武力行使を目的として戦闘に参加をすることはないということを申し上げているわけでありまして、それは検討対象にはしないということにしております。
 そして、集団的自衛権という中においての検討でございますが、集団的自衛権の中で、アフガンのようなケースでございますが、そのケースにおいてどう考えるかということでございますが、現在の政府において、憲法解釈においては、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないというのが政府の見解、これは個別自衛権の見解でございますが、この個別自衛権においてもこれがかかっているわけであります。
 先ほど言われた策源地攻撃は、この一般の、今の範囲の中には入らないわけでございますが、仮に集団的自衛権の行使が認められるとしても、同様の制約がかかるのは当然のことと考えているわけでございます。
 このため、シーレーンにおける機雷の掃海や船舶の護衛といった事例については検討していく必要があると考えられますが、海外派兵は一般には許されるものではないと考えているところでございます。
○浅尾委員 もちろん、戦後一貫して、我が国はそうした戦闘行為に参加をしておりません。しかし、同時に、アフガニスタンのときは、今申し上げましたように、インド洋で給油をした。それは、日本人二十四名が九・一一で亡くなったことも含めて、我が国の同盟国であるアメリカとある種共同歩調をとった。そして、その後のサマワにも、これは復興活動ということになるかもしれませんが、現に行っているわけであります。
 同時に、このアフガニスタンについて言えば、アメリカからは、我が国が持っておりますCH47をアフガニスタン本土に派遣して、負傷をした兵隊の輸送をしてほしいといったような要請もあったわけであります。
 この負傷した兵隊を輸送するということ自体は、必ずしも、武力行使と一体化という、いわゆる憲法が今の解釈の中で禁じているものではない可能性があるようなものがありますけれども、そういうものも含めて一切しないという前提でこの議論を始めておられるのか、それとも、そういうものはやるのかということは、大変私は重要なことだろうと思っています。
 それはなぜかというと、我が国がほかの国と同等の活動を戦闘地域で行わないというのは、平和主義をとっております憲法の考え方から当然の帰結として理解できますが、しかし、同時に、そうはいっても、湾岸のときにはお金を出しました、戦争が終わった後、機雷の除去をいたしました、そして、アフガンのときはインド洋で給油をしました、イラクは航空自衛隊と陸上自衛隊が行っています。それは、何らかの活動をした方が国際社会における日本のいろいろな外交上のメリットもあるからということでしょうし、国際社会から恩恵を受けておりますし、今申し上げましたように、九・一一のときは我が国の国民自体も亡くなっているわけであります。
 その前提で、制限があるけれども、アフガニスタンのようなときに、負傷した、これは現にアメリカからの要請がありましたけれども、そうした兵隊を輸送する、そのために今の解釈を変えるんだと正面切って説明した方が、冒頭申し上げました世論調査の結果なんかにも好意的な、まあ、好意的という評価を下してはいけませんが、解釈見直しに対して好意的な影響を与えるのではないか、むしろ正面からどこに課題があるのかということを捉えたことになるんじゃないかと私は思いますが、総理としてどう考えられますか。
○安倍内閣総理大臣 それは、まさに今、浅尾委員がおっしゃった問題意識で、同じ問題意識を持って検討しなければならないと考えています。
 国際の平和及び安全が脅かされ、国際社会が一致団結して対応するときに、自衛隊が幅広い後方支援活動等で十分に貢献できるような法整備をしていくことが必要であると考えています。
 後方支援活動等を今まで以上に支障なくできるようにすることは、我が国の安全の確保の観点からも重要でありますし、また、このような法整備は、自衛隊と例えば米軍の連携強化、ひいては日米同盟の強化にも資するものであると考えておりますが、これまで、我が国による後方支援に際しては、我が国による後方支援が他国の軍隊の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保するための一つの仕組みとして、個別の法律において非戦闘地域や後方地域といった仕組みを採用してきたところでございます。
 武力の行使との一体化の考え方をもはやとらないとする安保法制懇の報告書の提言をそのまま採用することは、従来の政府の立場に照らして難しい。いわば武力の行使との一体化論は今後も維持をしていくわけでございますが、従来から政府が示してきた判断基準をより精緻なものとして、具体的に何が武力の行使と一体化する行為なのかを明確にすることは今後の検討課題の一つであろう、このように思うわけであります。
 かつては、医療行為自体が武力行使と一体化する、こう言われていたわけでありますが、それは変化してきたわけでございます。これは当然の変化であろう、こう思うわけでありますが、また、従来から、非戦闘地域、後方地域という概念についてはさまざまな議論がございました。この国会の場においても、果たしてそういう概念が存在し得るかどうかという議論もございました。
 いずれにせよ、そうしたことについても検討していく必要があるのではないかというふうに私は考えているわけでありまして、現在、与党協議が進められているわけでございまして、この検討結果を待ちながら、政府としても、法制局を中心に検討を進めていきたいと思います。
○浅尾委員 政策論として、武力行使をしない、しかし、例えば、負傷した兵隊を戦闘地域といえども輸送する、他国の兵隊さんでも輸送するというのは、これは政策論なのであって、憲法からここまでは読めるけれどもここまでは読めないというのは、そのときの読み方を変えてしまえばそうなってしまうだろうということだと私は思いますので、政策論の部分でどこまでをやるのかやらないのかという議論の方がわかりやすいのではないかなと。
 つまりは、憲法九条から日本は平和主義だということでありますから、戦闘地域において実際に我が国が急迫不正の侵害を受けていない場合、あるいは、我が国と密接な国が急迫不正の侵害を受けて、そのまま放置した場合には我が国がそうした危険にさらされるといった場合を除けば、戦闘地域においてそうした活動に参加しないというのは、そういう政策をとっているんですと政策論としては言えると思いますけれども、しかし、それを、憲法からそこまで読めるんだというのは、冒頭申し上げたように、そのとき、その時代環境が変われば読み方がまた変わってくるので、そういう考え方というのは、なかなか、私自身としては、余りすっきりと、すとんと落ちない考え方なのではないかなということを申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、安保法制懇が出した安全保障環境の変化に、中国の影響力の増大というものがあります。国防費は、名目上で、十年間で約四倍、過去二十六年で四十倍にふえているということでありますし、また、中国が領有権の主張等々をして、いろいろな独自の主張をしております。
 例えば、今用意をさせていただきましたけれども、今回、与党の中の事例では、海上の船同士の争いのようなことが言われておりますけれども、私は、船以上に危ないのは、実は空だろうと。それは、こういう表現が適切かどうかわかりませんが、空の場合は、万が一ミサイルが一発でも当たればその飛行機は落ちるわけでありますので、そういう意味で危険だというふうに思っております。
 私の理解では、軍用機も艦船も、その国の旗がついている限りにおいては、まさに主権の象徴ということでありまして、外国の軍用艦に対する攻撃は、例えば、例としていいかどうかわかりませんが、某国ということにしておきましょう、お答えになるときに困るでしょうから。某国の軍用艦が米軍の軍用艦に攻撃したら、これは、某国が米国に対してまさに武力行使をしたということになるんだというふうに思います。同じように、戦闘機も同じなので、某国の飛行機が米軍機にそうした攻撃を加えたら、これも武力行使になるというふうに思います。
 その上で申し上げたいのは、中国がつくりました防空識別区と我が国の防空識別圏は重なっております。そして、先般も、中国軍機が異常接近をしたということがありました。
 先日、この中国の防空識別区、そして我が国の防空識別圏の重なるところを米軍のB52が飛びましたが、その際には、中国側のスクランブルに至らずに、大きなことになりませんでしたけれども、仮に、先日異常接近したような事態で、米軍機に対して中国空軍機が異常接近をして、そして、日本の航空自衛隊が、我が国の領空に入ってくる可能性があるということでスクランブルをかけた場合でも、先に中国軍機が米軍機に攻撃をした場合、我が国が攻撃を受けているわけではありませんから、そこに直接的に対応すると、これは多分、集団的自衛権の発動ということになって、現行憲法解釈上はそうしたことはできないということになるんだと思います。
 こういったようなところに対応するための議論というのが結果として抑止力の向上になるということで今回の議論を始めておられるという理解でよろしいですか。
○小野寺国務大臣 委員が今御指摘されたように、これは一般論としてお話をさせていただくと、公海上空を飛行する外国軍機に対し自衛隊法第八十四条に基づく対領空侵犯措置を実施することは、当該機が我が国領空を侵犯するおそれがない限り困難であるということでありますので、現時点ではできないということになります。
 今さまざまな議論をしていただいているところでありますが、私どもとしては、やはりその目的が、どのような意図でこのような攻撃がなされたか、そういうことが全て勘案される中での判断が重要だと思っております。
○浅尾委員 ちょっと最後の部分の御答弁、結構重要なことをおっしゃっていましたけれども、その目的が、どのような意図でこのような攻撃がなされたのかの判断ということですが、複数の質問があるんです。
 まず一つは、判断をされる主体は、飛んでいる航空自衛隊のパイロットがその瞬間に相手の意図を判断するというのは、これはなかなか難しいというか、事実上不可能だと思います。だからこそ、そういうことになる前に、こういう議論を喚起して、議論をされているという理解でよろしいでしょうか。
○小野寺国務大臣 その某国の戦闘機が、例えば我が国の領空に侵入をする意図を持って航行していた場合、あるいは、例えば我が国の領空の中で今言った米軍機等にもし攻撃があった場合には、この米軍機がもし墜落をする場合には、我が国の領土に大きな影響がある。こういうさまざまなことを検討する必要がある。いつも、そういうことについては、私どもは不断の検証をすることが重要だと思っております。
○浅尾委員 航空機の例を出しておりますのは、実態的に言うと、その空域に日本の航空自衛隊と米軍機と某国の飛行機があって、日本の航空自衛隊が、米軍機が某国から攻撃されているのを見ているということ自体が日米同盟に大きな影響を与える。したがって、憲法上の制約があるとするならば、可能性としてそうならないようにするために今回の議論を提起しているということなのではないかと思いますが、その点についての総理の見解を伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 もちろん、我が国の領空あるいは防空識別圏については、自衛隊が主体的に警備あるいは防衛をしているわけでございますが、在日米軍も日本に空軍として存在するわけでありまして、極東の平和と安全を守っているということでございます。
 そこで、今、小野寺大臣が答弁させていただいた、つまり、米軍機が撃ち落とされて墜落すれば、我が国の例えば住宅地に墜落するかもしれないということをもってして、果たしてそういう事態を防ぐことができるかどうかというような検討、研究をさまざまにしているわけでありますが、これは、まさに相当知的に、何とかしなければいけないという中において、法的な根拠を探す、その相当の格闘をしているのは事実であります。
 そこで、これは政策論とはやや別になってきて、法律論になっているわけでありますが、政策論的には、日本の安全、国民の命、平和な暮らしを守るためには、日本の領空をしっかりと守っていく。これは、それを守っていく上において、そもそも日米で共同して守ることも可能であるわけであります。共同でこれを守っていく上において、今までの解釈のままでいいのかということも含めて検討していく必要はあるんだろう、このように思うわけでありまして、まさに今委員がおっしゃった、抑止力向上には極めてこれは直結する課題ではないか、このように思います。
○浅尾委員 時間になりましたので、坂元参考人にお越しいただいておりますけれども、私の質問を終えたいと思います。
○金田委員長代理 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。
 次に、江田憲司君。
    〔金田委員長代理退席、上杉委員長代理着席〕
○江田(憲)委員 結いの党代表、江田憲司でございます。
 我が党も、安全保障環境の変化、武器、軍事技術の飛躍的進展等に応じまして、国民の生命財産を守る、領土、領空、領海をしっかり守るということは、当たり前の、当然の、政治家というか政治の最大の責務だと思っております。
 ただ、一方、これはもう言うまでもありませんが、我が国には憲法というものがありまして、何十年も、自民党政権を含む歴代政権が営々と築き上げられてきた憲法解釈というのがあって、これはもう安倍総理のおられた自民党政権、私も海部、宮沢政権、官邸の末席におりましたときに、ちょうど湾岸戦争が起こって、九十億ドル、百三十億ドル支援、PKO法案は三日三晩国会で泊まり込みをいたしました。橋本政権になりましたら、中台危機が起こりまして、中国が台湾海峡にミサイルを二発ぶち込む、米空母が展開をするという中で、日米新安保宣言がクリントン大統領との間で行われて、ガイドライン法の見直しというところまで携わらせていただきまして、やはりそれなりに先人はいろいろ苦労して、いろいろな知恵も出してきて、今の解釈が厳然としてあるわけです。
 まず最初にお聞きしたいのは、こういった先人が築き上げられてきた、これは政府の公権解釈ですけれども、これを踏み越えるにしろ、しないにせよ、安倍総理は、そういったこれまでの公権解釈はやはりなるべくなら尊重すべきだ、最大限尊重すべきだというお考えなのかどうかというのを確認したいと思います。
○安倍内閣総理大臣 現在、我々が行使できると考えている個別的自衛権についても、先ほど議論がありましたように、当初の吉田答弁では、憲法が誕生した際は、自衛のための個別的自衛権も認められていないというのが当時の総理大臣の答弁であったわけでございますが、その後、自衛隊の誕生とともにこの答弁自体が変わったわけでありまして、必要最小限の自衛権は持っているという判断に変わったわけでございます。
 そして、その後、安全保障環境が変わっていく中において、先人の皆さんは大変な努力を積み重ねていく。当然、アジアの国々の理解、世界の国々からの理解というのも必要であったんだろう、こう思うわけでありますが、その中で苦労しながら安全保障の法体系を構築してきた、その中において、例えば憲法の解釈についても法制局を中心に解釈を重ねてきた、このように認識をしております。
○江田(憲)委員 それは尊重されるんですか、この議論の前提として。
○安倍内閣総理大臣 これは五月十五日の記者会見でも申し上げましたように、安保法制懇からは二つの考え方が提示されまして、いわば、一つは芦田修正論でございます。これは、いわゆる侵略戦争以外については許される、集団的自衛権の行使についても基本的にフルに許されるという考え方であります。また、国際法上合法とされた集団安全保障上の行為については許されるという考え方であったわけでございますが、今までの考え方、特に昭和四十七年の政府の立場でございますが、これは、いわば自衛権の根拠について、憲法の前文とそして憲法の十三条に根拠を置いて、その上において、必要最小限度の自衛権の行使は許されるという考え方でございます。
 しかし、その中において、つまり、この四十七年答弁の基本的な考え方は我々踏襲をしているわけでございますが、そこで、しかし、集団的自衛権については、この必要最小限度全てから外れるという考え方で果たして日本の国民の命と平和な暮らしを守ることができるかどうかという観点から検討を進めているところであります。
○江田(憲)委員 何も、尊重するとおっしゃったからといって、それを変えちゃいかぬと言うつもりはありませんので、少なくとも、こういったものは土台にして、どうするにせよ、検討していくという姿勢がなければいけないというふうに私は思います。
 では、ちょっとお聞きする見方を変えて、これまでの自衛隊の海外派遣について、今までの公権解釈が憲法上の歯どめになってきたという現実というか事実はお認めになりますね。
○安倍内閣総理大臣 いわゆる歯どめ論でありますが、この歯どめ論というのは、国会がその機能を果たしていく。と同時に、日本は民主主義国家ですから、民主主義国家として、当然、国のリーダーは、いわば国益のために合理的な判断を下すということでありまして、その政策的な選択肢の中から、今言った判断の中で最良のものを当然選んでいくんだろう、こう思います。
 しかし、その中で、そうではない可能性もあるという中においては、国会の議決等々がいわば法的に、これは仕組みとして入れ込まれているわけでございます。当然、その国会の仕組みの中において、憲法とかかわりのある関係において入れ込まれているものもあるでしょうし、そもそも、いわば日本国憲法というのは日本人の平和な暮らしと幸せを祈ってつくられたものであるわけでございます。だからこそ、日本人の生存そのものは否定していないというのが基本的な考え方でありまして、その中で、我々政府としては何をなすべきかということを考えていくべきではないか、こう考えているところであります。
○江田(憲)委員 そういう一般論は私も否定はしませんけれども、私も、政権の中にいて、この公権解釈が事実上、これは現実問題として歯どめになってきたことは誰にも否定できない事実だと思いますね。だからこそ、非戦闘地域だとか後方支援だとか武力行使一体化論とか、そういったものが編み出されてきたと私は認識していますから。
 だから、それをでは金科玉条に守れとは言っていませんけれども、まず、そういう基本的な認識がないと、これは憲法を発布して初日ならともかく、白地で何か議論しましょうという話になかなかならないので、これから議論するに当たっての土台を共通化したいということでお聞きしただけなんです。
 それでは、けさほどから出ておりますけれども、安倍総理のお考えは、集団的自衛権はあくまでも限定容認であって全面容認はされないということ、それで結構ですね。確認したいと思います。
○安倍内閣総理大臣 この委員会においても従来から答弁をさせていただいておりますように、政府の見解として、自衛権自体に制限がかかっているわけでございます。個別的自衛権にもかかっているわけでありますから、当然、これは集団的自衛権にもその制限はかかっている。
 例えば、先ほど例として申し上げましたが、一般論としての海外派兵でございますが、これは一般論としては、個別的自衛権においても、それは憲法上できないという考え方をとっているわけでありますが、それは当然、先ほど申し上げましたように、集団的自衛権に対してもその制限はかかってくるだろう、こういうことでございます。
 そして、同時に、これは集団的自衛権ではなくて集団安全保障における考え方でありますが、これは集団的自衛権の御質問とちょっと離れますが、集団安全保障においても、いわばイラク戦争あるいは湾岸戦争のようなタイプの、武力行使を目的とした戦闘行為には参加をしないということでございます。
○江田(憲)委員 いや、簡単に答えて。要は、安倍総理が目指されているのは限定容認であって、けさほどから芦田修正論とかいろいろ出ていますけれども、要は、全面容認は今の憲法からは許されないから、全面容認はしないということでいいんですねと、確認だけなので、イエスかノーかでお願いします。
○安倍内閣総理大臣 ですから、制限容認であります。制限の容認ということであります。
 なぜずらずら述べたかというと、制限、全面といっても、これは国民的にはなかなか理解されていないんだろうと思いますので、何が制限であるかということについて、一部具体的に述べさせていただいたところであります。
○江田(憲)委員 わかりました。だから、全面容認はとらない、安倍総理としては。限定容認の可能性を、今、与党で協議しているということですよね。うなずかれたので。
 それで、通告していないんですけれども、ちょっと、僕、思い浮かんだんですけれども、専守防衛という言葉は今生きているんですか。私が総理演説を書いているときには、外務省から必ず、防衛庁からも、専守防衛というのが必ず出てきたんですが、最近余り聞かないんですけれども。
○安倍内閣総理大臣 昨年作成をいたしました、NSCをつくり、国家安全保障戦略を初めてつくりました。そのときにしっかりと議論をいたしまして、専守防衛ということは我が国の国家安全保障戦略の中に書き込んでいるわけでありますから、これは基本的な姿勢であります。安倍政権に対して特別な目で見ておられるかもしれませんが、これが基本的な姿勢であるということを申し述べておきたいと思います。
○江田(憲)委員 いや、総理の真意を確かめているんですから。別に疑っていませんよ、だから。そこは誤解なきように。
 それで、法律改正すると、これは釈迦に説法でございますが、私も若いころ、法制局にはもう何百回も通ったものですから、法律改正するときにも、立法事実を示せ、立法事実を示せと言われるんですね。立法事実というのは、法律を改正するだけの合理性というか必要性を経済、社会的事実をもって示せと言われて苦労したわけですけれども。
 であるならば、憲法改正にも匹敵するような解釈の変更をされるとおっしゃるのであれば、立法事実という言葉はちょっと語弊がありますけれども、それよりもさらに強い、やはり、安全保障上の、現実に起こり得る、かつ日本の安全保障にとって本当に死活的に重要なケースであって、かつ、それが従来の解釈では読み込めないんだ、集団的自衛権に踏み込んで限定容認と言わないと説明できないんだということを挙証する重い責任が、変えようという側にあるというのは、誰しも認めるところだと思うんです。
 そういった基本的な考えで、今、与党の中でも、我々もそうなんですけれども、安保法制懇が十五事例を出され、そして、具体的事例に即して検討されているという理解でよろしゅうございますか。
○安倍内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○江田(憲)委員 わかりました。それでやっとスタートラインにつくんですが。
 私の立場を申し上げますと、私も今まで、そういうこれまでの日本の安全保障政策のちょっと下っ端の方でかかわってきたこともありますので、なるべく、できるなら、昨今のいろいろな安全保障環境の変化や、それからミサイル技術を初めとした武器技術の飛躍的進展というのがありますから、それに応じて我々もしっかり考えていかなきゃいかぬのですけれども、では、その安全保障上の要請に応えられて、かつ、今までの公権解釈を、やはり私も結構これはしゃくし定規な内閣法制局の解釈が横行していたと思っていまして、それを、私は個別的自衛権の解釈の適正化と言っているんですけれども、延長線上と言ってもいいんですけれども、なるべくなら今までの公権解釈の範囲内で、具体的な軍事のオペレーションであるとか武器技術の進展に応じて、そういった範囲内で読み込めるのであればそれにこしたことはないという立場で、これからそういう具体的事例はなるべく見ていこうと思うんです。
 そういう姿勢に対しては、安倍総理、どうお考えになりますか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど委員からお話のあった十五事例でございますが、これは、あり得べき事例として挙げさせていただいたわけでございます。
 安全保障環境が大きく変わる中、発生し得る状況でありまして、我々は日本人の命を守る責任がありますから、当然、検討していく必要があるだろう。法的な整備が必要であれば整備をしていく、憲法との関係において解釈の変更が必要であれば、今、適正化という御指摘がございましたが、そうしたことも含めて検討していかなければいけないと考えておりまして、当然、こうした検討を行っていくことによって、よりこれは抑止力は高まっていく、こう考えているわけでございます。
○江田(憲)委員 私も、一政治家として、全部知っているわけじゃありませんから、虚心坦懐に、そういう具体的事例に即して本当に検討していこうと思っているんですけれども。
 私の基本的な心構えというのは、やはり、なるべくこうやって、最高法規たる憲法の、そうはいっても長年の安定性を重んじるということも大事なので、公権解釈として、自民党政権を含めて、安倍総理も私もいた自民党政権で形づくってきた公権解釈ですから、なるべく尊重しながら、しかし、時代に応じて、やはりちょっと、確かに、法制局には悪いですけれども、法律を知っている人間は軍事の現場を知らない、逆に言うと、軍事の現場を知っている者は法律を知らないというところがありまして、これは私が法制局に通っているときからのもう本当に問題意識なんですが、その結果、本当に、軍事の現場からかけ離れたというか、ちょっと机上の空論的ないろいろな概念をつくり出したことも事実ですから、それを見直していくことについては、私は全然やぶさかではないんですね。むしろ積極的にそういったニーズに合わせていくべきだと思っているんです。
 まさにそれが今、これはそうじゃないかもしれませんが、公明党さんなんかが、個別的自衛権だ、警察権の範囲を適正化していくことで対応できるんじゃないかとおっしゃっている趣旨だと思うので、そこと自民党さんがやっておられるということは、多分そういう意識でやっておられるんだろうというふうに理解をしております。
 その際に、ちょっと安保法制懇で看過できない一文があったので、ここだけは確かめたいんですよ。
 これは、立場はいろいろありますよ、限定容認派、個別的自衛権、警察権の解釈の適正化派、立場はありますけれども、個別的自衛権の範囲を拡大するとか解釈を適正化するのが国際法違反のおそれがあると書いてあるんですよ。
 どこが国際法違反なんですか。ちょっと、そこを否定されるのなら否定してください。これは外務大臣がいいのか法制局がいいのか。外務省、どうぞ。
○石井政府参考人 国際法にかかわる問題でございますので、端的にお答えさせていただきます。
 一般論として申し上げれば、我が国に対する武力攻撃、これがないにもかかわらず、これを我が国に対する武力攻撃であると拡大解釈して、個別的自衛権の行使として武力の行使を正当化することは、国際法上はできないというふうに考えております。
○江田(憲)委員 では、国際法の義務というのは、国連報告じゃないんですか。国連憲章五十一条に、自衛権の行使をしたときは報告しろと書いてあるんですよ。個別的自衛権だ、集団的自衛権なんて、その前文には、前のところには書いてありますけれども、そんなものは関係ないはずですよ、国際社会、国際法的にいうと。国際法的にいうと、集団的自衛権まで適法なんですから。ただ、我々は、九条があるからこそ、こんな議論をしているわけで。
 では、個別的自衛権の解釈を多少適正化するというか延長して、一部集団的自衛権の限定容認まで踏み込んだという評価をされたとしても、それは国際法上何ら違反じゃないでしょう。私の言っていることはおかしいですか。だから、こんなことを言い募って、事務局か何か知らないけれども、国民を惑わすことはやめてくださいと言っているんですよ。
 それはどうですか、総理大臣。
○安倍内閣総理大臣 しかし、実際、アフガン戦争の際にNATOは、初めてNATO条約による集団的自衛権の行使ということを明確にして参加をしたわけであります。あのとき、NATOが個別的自衛権の行使だと言ったら、もう世界は恐らくびっくりしたし、これは非常識な行為だということになったんだろう、こう思うわけであります。
 そこで、国際法上の概念からこれは非合法かどうか、それは安保法制懇の報告書でありますから、私はそこに対するコメントはいたしませんが、しかし、国際法上の集団的自衛権の行使なのか、あるいは個別的自衛権の行使なのかということについての、これは当然整理はなされるべきだろう、このように思います。
○江田(憲)委員 私が申し上げたいことは、個別的自衛権の解釈をなるべく現実、ニーズに合わせていこうという立場からして、これから総理にぜひお願いなのは、それは国際法違反だなんというばかなことは、絶対、それは法制懇はもうしようがないですけれども、言わないでいただきたい。NATOが集団的自衛権を行使するのは当たり前のことで、個別具体的な事例に即して、今、十五事例でも、私は、これから精査しますけれども、今のところは、もう個別的自衛権の解釈の適正化でできる。
 例えば、警察権。
 米艦防護で、総理が邦人輸送の米艦防護というふうにおっしゃいましたけれども、私なんかは、いやしくも邦人を乗せている米艦にそういった攻撃が加えられるような事態になるということは、やはり、それを守るための個別的自衛権の行使と、法的評価をそういうふうにして、日本に対する武力攻撃と思ってもいいし、それから、警察権というやり方もあるんですよ。
 それは、例えば、あたかも、米艦というのは外国ですから、外国の邦人保護、救出について、その同意があれば救出できる、保護できるというのが従来の解釈でもありますから、そこは警察権の行使ということで防護する、護衛をするということは私は可能だと思いますから、なるべくそういう立場で、従来の公権解釈を適正化するということでやっていけばいいというふうに思います。
 それから、シーレーンの防衛だって、けさほどありますけれども、これは、機雷の敷設、掃海が武力行使であれば、それは敷設は当然武力行使でありますね。そこに、船籍がどうあろうが、九五%と総理はおっしゃっているけれども、九五%と認めたとしても、五%は、では守らないのかという話になりませんから、五%日本船籍のタンカーがいて油を運んでいるのであれば、それに対する武力攻撃、少なくとも武力行使の着手と見て、個別的自衛権を行使してもいいし、危険物の除去ということで警察権を行使してもいいというロジックも成り立つわけです。
 だから、こういう方向で検討すれば、何もルビコン川を渡って、国民の理解も進んでいない中でわざわざそういうことを説明しなくても、具体的事例で対応できるじゃないかということを申し上げているんですけれども、安倍総理、これに対していかがですか。
○安倍内閣総理大臣 これは、午前中、法制局長官も答弁したように、いわば、邦人が乗っていたとしても、我が国に攻撃が発生していない中においては、法制局としては、邦人を乗せている米国の船、これは他国の船でもいいんですが、それに対する防護のための武力行使、武器の使用はできないというのが今までの解釈であります。
 邦人が乗っていればどこでもできるかといえば、それはそれで、個別的自衛権をどこでも使えるかというのは、やはりそれは、私は国際的には非常識であろう、こう思うわけでありまして、国際社会における常識に私は従うべきなんだろうと。
 やらなければいけないことを、これはどう解釈するか。これは、別に集団的自衛権の行使を何が何でもしたいから言っているのではなくて、実際にシームレスに日本を守るためにどうすればいいか。そのために、無理な解釈をする必要はないんだろう。
 どこまでいっても、警察権というのも、これも国際的にも驚かれる議論になるわけでありまして、それはまさに、国際社会における常識という中において、国際法、あるいは法的な枠組みの中において考えていくべきものでもあろう、このように思うわけでありますし、また、機雷をまく、敷設した後、それを取り除くというのは、遺棄機雷でない限り、これはいわば武力行使に当たるのは、これは国際法上そうなっているわけでございまして、そこで現在はそれはできないということになっている中において、今までの解釈の中でも延長線上でできるということではないということは申し上げておきたい、このように思います。
○江田(憲)委員 従来はそうですけれども、それは私はできると思います。公明党さんにもぜひそう主張してください。
 米艦船は外国じゃないんですか。従来の解釈でも、外国の邦人保護、救出はできる、同意があれば武器行使もできるというのが従来の解釈なんですからね。米艦というのは外国でしょう。そこに邦人がいるわけですよ。
 ですから、原則警察権ですけれども、私は、米艦に邦人が乗って日本に向かっている状況というのは、もう既に、これはもう日本も攻撃されているような戦争状態だと私は思いますけれども、そこは、安倍総理がせっかくシングルアウトしてそういう事例を出されるんですから、私もそれに沿って考えているだけでありまして、それをはなからもう無理だ何だと言うと、私は与党協議も進まないと思いますよ。
 私は、そういう形でなるべく、これはどっちをとってどっちを、オール・オア・ナッシングでとっているという話じゃなくて、やはり安全保障上の要請も大事だ、憲法の今までの公権解釈も大事だ、その中でやはり為政者というのはしっかりと総合判断して、どこに落ちつかせるかという議論をしなきゃいかぬ、こういうことを私は申し上げているわけです。
 今、与党さんの方で議論しても、多分、個別事例でやると余り違いはないと思うんです、対応は。そうすると余り実益はない議論ですけれども、しかし、ここが憲法解釈にかかわることですからこれだけ大きな議論をしているわけで。うちと維新もいろいろ言われていますけれども、個別事例で考えていくとそう違いはないんです。これが、具体的対応で違いが出ると、自衛隊のオペレーション上支障が出ますから大変なことですけれども。
 ですから、こういう精査する、精緻な議論をこれからぜひ進めていただくことをお願いすることと同時に、最後に、やはりこういう問題は公明党さんだけとやるのではなくて、野党ともぜひ国会審議を徹底的にやっていただきたいのと、これまでの相場観としては、私も首相官邸におりましたけれども、どのタイミングかは別にして、最終的には個別の与野党党首会談もして、こういう安全保障の根幹にかかわる話、国政の大転換をやるような話は最後決めていただきたいということを要望いたしまして、私の質問といたします。
 どうもありがとうございました。
○上杉委員長代理 これにて江田君の質疑は終了いたしました。
 次に、志位和夫君。
○志位委員 日本共産党を代表して、安倍総理に質問いたします。
 総理は、五月十五日、安保法制懇の報告書を受け、報告書が提示した限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方について、従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方だと評価し、政府としてはこの考え方について今後さらに研究を進めていくと言明されました。
 そこで伺います。
 そもそも集団的自衛権とはどういう権利ですか。まず定義を、内閣法制局、お願いします。
○横畠政府特別補佐人 集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利と解されております。
○志位委員 今御答弁があったように、集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、他国のために武力の行使をするということであります。自衛という名前がついておりますが、日本に対する武力攻撃を実力をもって阻止する個別的自衛権とは根本的に異なるものであります。
 もう一問、内閣法制局に聞きます。
 政府は、これまでの憲法解釈で、憲法九条のもとで自衛隊に許されている武力の行使とはどんな場合であり、許されていない武力の行使とはどんな場合であるとしてきましたか。昨日のレクで通知した二〇〇三年十月九日、参議院テロ特別委員会での秋山内閣法制局長官の答弁を示されたい。
○横畠政府特別補佐人 御指摘の、秋山内閣法制局長官の答弁でございます。
 九条は、我が国自身が外部から武力攻撃を受けた場合における必要最小限の実力の行使を除きまして、いわゆる侵略戦争に限らず国際関係において武力を用いることを広く禁ずるものであるというものでございます。
○志位委員 今御答弁があったとおりでありますが、憲法九条のもとで自衛隊に許されている武力の行使は、我が国自身が外部から武力攻撃を受けた場合における必要最小限の実力の行使だけであって、それ以外の武力の行使については、いわゆる侵略戦争に限らず国際関係において武力を用いることを広く禁ずる、すなわち海外での武力行使は広く禁ずるということが政府のこれまでの憲法解釈でありました。
 集団的自衛権行使を容認する、すなわち、日本に対する武力攻撃がなくても他国のために武力の行使をするということは、それができるとなれば、この憲法解釈は根底から転換させられることになります。それは、海外での武力行使をしてはならないという憲法上の歯どめを外すことになります。それは、日本の国のあり方の文字どおりの大転換となってまいります。
 仮にそこに踏み込んだらどうなるか、そのことを次に検討していきたいと思います。
 今度は総理に伺います。
 二〇〇一年に開始された米国などによるアフガニスタン報復戦争、二〇〇三年に開始された米国などによるイラク侵略戦争に際して、日本は米国の強い要請に応じて自衛隊を派兵しました。そして、どちらの場合も、自衛隊派兵の根拠になった特別措置法には、その第二条で次のように明記されていました。パネルをごらんください。第二条の
 二 対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。
 三 対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。
  一 公海及びその上空
  二 外国の領域
 要するに、自衛隊は、米軍などへの支援活動を実施するけれども、その場合でも、武力行使をしてはならない、戦闘地域に行ってはならないという二つの歯どめが明記されておりました。だから、自衛隊の実際の活動も、インド洋での給油活動、あるいはイラクでの給水活動や空輸活動にとどまったのであります。
 総理に伺います。
 これが、集団的自衛権が行使できるとなれば、どうなるか。アフガン戦争、イラク戦争のような戦争が起こり、それに協力する場合に、これまであった、武力行使はしてはならない、戦闘地域に行ってはならない、この二つの歯どめはなくなってしまうんじゃありませんか。端的にお答えください、総理。
○安倍内閣総理大臣 安保法制懇において出された報告書でございますが、我が国をめぐる安全保障環境が大きく変わる中において、我々は国民の命とそして平和な暮らしを守っていかなければならないという中において、今委員が御指摘になった、集団的自衛権の行使あるいはまた集団安全保障の中における武器の使用等についてどう考えるべきか、あるいはまた一体化についてどう考えるべきかということについて、与党において御議論をいただくわけでございますが、その中において、例えば、集団安全保障の中におけるイラク戦争あるいは湾岸戦争のような中において、武力行使を目的として戦闘行為に参加することは検討しないということは、明確に申し上げたとおりでございます。
 そしてまた、アフガン戦争でございますが、これは、いわばNATOは集団的自衛権の行使として参加したところでございますが、このようなケースにおいては、これは個別的自衛権においても、自衛隊を海外に、一般論として、一般的に派兵をするということは許されないという考え方にのっとって、個別的自衛権にも制限がかかっているわけでございますから、当然、集団的自衛権にもその制限はかかるということでございますから、アフガン戦争において、いわば武力行使を目的として戦闘に米軍とともに参加するということは、もし、今全く同じ事態が起こり、そしてかつ、我々が解釈を変更したとしても、それはないということははっきりと申し上げておきたいと思います。
○志位委員 私は、集団的自衛権が行使できるとなったら、この二つの歯どめ、武力行使をしてはならない、戦闘地域に行ってはならない、これがなくなってしまうのではないかと聞いたわけでありますが、これに対する答弁は今ありませんでした。武力行使を目的とした戦闘に参加することはないということを繰り返されましたが、武力行使をしないとはおっしゃいませんでした。
 現実に集団的自衛権が問題になったのは、まさに、政府がきょうあれこれ挙げたような具体的事例なるものにあるのではなくて、アフガン戦争、イラク戦争でこそ問題になったのであります。
 米国のブッシュ大統領の特別補佐官を務めたマイケル・グリーン氏は、一昨年十二月、次のように述べております。
 二〇〇一年の九・一一同時多発テロ後、NATO、北大西洋条約機構とオーストラリアは、直ちに条約を発動し、米国への軍事支援を提供できた、しかし日本は、インド洋での連合軍への給油活動やイラクでの人道支援の提供という極めて制限された次善策を見出さなければならなかった、こう述べて、グリーン氏は、集団的自衛権行使の動きは、米日同盟をNATOや米豪同盟の方向に進めるだろうと述べております。
 すなわち、集団的自衛権を行使できるようになれば、自衛隊は、アフガニスタンやイラクの戦争で、NATOやオーストラリアと同じような米軍への軍事支援ができるようになるだろうと言っているわけであります。
 もう一人、イラク戦争当時、米国のパウエル国務長官の首席補佐官だったローレンス・ウィルカーソン氏は、五月八日、テレビ朝日のインタビューで、もし日本がイラク戦争当時に集団的自衛権の行使ができたら、米国は日本政府に参戦するよう要請したかと問われて、次のように答えています。
 イエス。要請したと思う。実際、我々は、政治的支援か軍隊の派遣を求める戦略をまとめていました。もし日本が軍隊をどこにでも派遣できる準備が整っていたら、私は、日本から部隊を二つ送るとその戦略に書いたでしょう。
 こちらも、日本が集団的自衛権の行使ができたら、米軍の軍事的支援のために、日本に二つの部隊の参戦を要求していただろうと言明しているのであります。アフガン、イラク戦争を戦った米国政府の当事者がこう語っているのであります。
 総理に重ねて聞きます。今度はきちんと答えてください。
 集団的自衛権の行使ができるとなれば、アフガン戦争、イラク戦争のような場合に、これまであった、武力行使をしてはならない、戦闘地域に行ってはならない、この二つの歯どめはどうなるんですか。残すのか、残さないのか、端的に答えてください。
○安倍内閣総理大臣 先ほども申し上げたとおり、我々は、安保法制懇の報告書の中から、いわゆる芦田修正論はとらないということを明確に申し上げているわけでございます。
 その中において、例えば集団的自衛権についても、フルにこれは日本には認められていない、行使を認められていないという考え方をとるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、昭和四十七年の答弁の中において、自衛権は必要最小限度に限られるという中において、個別的自衛権にも当然かかっている必要最小限度でありますから、これは集団的自衛権においてもかかるであろうということでございますから、海外に派兵をして、いわば武力行使を目的として戦闘に自衛隊が参加することはないわけでありますから、当然、今言った意味においての歯どめがかかっているということであります。
 これは、アフガン戦争においてもそうですし、イラク戦争、湾岸戦争は、いわば集団安全保障活動の中での行為でありますが、それはない、武力行使を目的とした戦闘行動に参加することはないということは明言をしておきたいと思います。
○志位委員 私が聞いたのは、何度も聞いたんですが、武力の行使をしてはならない、戦闘地域に行ってはならないという歯どめを残すのか、残さないのかと聞いたわけでありますが、残すとは言われませんでした。武力行使を目的にした活動はやらないと繰り返されました。そして、武力行使をやらないとは言いませんでした。
 私、聞きましょう。武力行使を目的にした活動はやらないと言うんだったら、補給、輸送、医療などの兵たん活動、いわゆる後方支援はどうするのか。
 政府はこれまで、自衛隊が米軍などへの補給、輸送、医療などの兵たん活動、後方支援などを行う場合には、戦闘地域に行ってやってはならないとしてきました。それ自体は戦闘行為ではない兵たん活動、後方支援であっても、それを戦闘地域で行うならば、相手からの攻撃を招き、それに応戦し、結局は、九条が禁止する武力の行使をすることになります。だからこそ、たとえ兵たん活動、後方支援であっても、戦闘地域で行うことは許されず、非戦闘地域でのみ許されるとしてきたのであります。
 私たちは、こうした政府の考え方に対して、戦闘地域、非戦闘地域と区分けすることそのものが不可能だと批判をしてまいりました。しかし、ともかくも、戦闘地域に行ってはならないというのは、政府みずからが、憲法九条を守るための担保といいますか、歯どめとしてきたものであります。
 総理に伺います。
 アフガン戦争、イラク戦争のような場合に、政府みずからがつくった歯どめ、自衛隊は、どんな活動であれ、戦闘地域に行ってはならないという歯どめを残すんですか、残さないんですか。
    〔上杉委員長代理退席、委員長着席〕
○安倍内閣総理大臣 これまで、我が国による後方支援に際しては、我が国による後方支援が他国の軍隊の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保するための一つの仕組みとして、これは個別の法律において、非戦闘地域や後方地域といった仕組みを採用してきたところでございます。
 武力の行使との一体化の考え方はもはやとらないとする安保法制懇の報告書の提言をそのまま採用することはないわけでございまして、この一体化論については踏襲していくわけでございますから、従来の政府の立場に照らして難しいとしても、従来から政府が示してきた判断基準をより精緻なものとして、具体的に何が武力の行使と一体化する行為なのかを明確にすることは、今後の検討課題の一つであります。
 また、従来から述べている非戦闘地域、後方地域という概念につきましては、これは志位委員長の御議論も含めて、さまざまな御議論もありました。この点も含めた検討が必要であるのではないか、こう考えているわけでございまして、そうしたことも含めて、現在、与党において議論がなされているところでございまして、この結論が出ていく中において、政府としても、法制局を中心に検討を進めていく考えでございます。
○志位委員 総理は、聞かれたことにまた答えていないんですよ。
 私が聞いたのは、自衛隊は、どんな活動であれ、戦闘地域に行ってはならないという歯どめを残すのか、残さないのか、これを聞いたわけです。今読み上げましたけれども、検討するというようなことを言われたけれども、残すとはっきり言わない。残すのか、残さないのかを聞いているんです。
 もう一回、答弁してください。
○安倍内閣総理大臣 今御指摘になった非戦闘地域あるいは後方地域という概念についても、いろいろな御議論がございましたので、こうした概念も含めて、与党において御協議をいただきたいということでございます。
○志位委員 私が再三聞いても、残すとは言わなかった、歯どめを残すと言わなかった。逆に自衛隊の活動を拡大する方向で検討するということを今答弁で言われました。極めて重大であります。
 そうなりますと、検討と言いますけれども、歯どめを外す方向での検討ということにならざるを得ない。すなわち、自衛隊が戦闘地域に行くこともあり得るということであります。極めて重大な答弁だと思います。
 戦闘地域に行ってはならないという歯どめを外してしまったらどうなるか。
 二〇〇一年の米軍のアフガニスタン戦争に際して、NATO諸国は、米国の要請に応えて集団的自衛権を発動し、この戦争に参戦しました。そのときに、自衛隊派兵のテロ特措法の審議の中で、当時の小泉首相は、NATO諸国との違いを問われて、こう言いましたよ。武力行使はしないんです、戦場には出ないんです、戦闘行為には参加しないんです、明らかに違うんです。戦場に行かない、これが一番の違いだと言ったんです。
 当時の福田官房長官は、自衛隊の活動地域は、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に限られている、そのことがNATOと決定的に違う、NATOとの決定的な違いは戦闘地域に行かないことだと答弁したのであります。
 総理に伺います。
 自衛隊はどんな活動であれ戦闘地域に行ってはならないという歯どめを外してしまったら、アフガン戦争に参戦したNATO諸国と同じになっちゃうんじゃないですか、どうですか。
○安倍内閣総理大臣 アフガン戦争に参加したいわばNATO軍においては、まさに集団的自衛権の行使として、武力の行使を目的として戦闘に参加をしているわけでございます。これはできない。これが決定的な違いと言ってもいいんだろうと思います。
 その上において、この戦闘地域と後方地域については、志位議員もその地域の概念についてさまざまな疑問を呈してこられたのは事実でございます。そうしたことも含めて、さらに精緻な議論をしていく必要があるだろう、このように思うところでございます。
○志位委員 NATOの部隊は武力行使を目的にしていた、そこが違うんだと言いますが、パネルをもう一枚ごらんください。
 これは、アフガン戦争に際して、NATOの諸国が集団的自衛権の発動として決定した八分野の支援であります。燃料補給、空港、港湾の使用許可、米国施設などの保安強化、地中海東部への艦艇の派遣、早期警戒機AWACSの派遣、加盟国の領空通過許可、NATO責任地域への人員、装備の補充、テロに関する情報の協力強化、テロの脅威にさらされた関係国支援、この八項目ですよ。直接の戦闘活動など一つもありません。兵たん活動、後方支援ばかりであります。
 それにもかかわらず、NATO諸国の多くの国々が、アフガニスタン戦争で多くの犠牲者を出しております。戦争開始から今日まで、米軍の犠牲者は二千三百二十二人、米軍を除くNATO諸国の犠牲者は、二十一カ国、千三十一人に上ります。
 なぜ、自衛隊から犠牲者が出なかったにもかかわらず、多くのNATO諸国で犠牲者が出たか。それは、NATO諸国には、日本のような、武力行使をしてはならない、戦闘地域に行ってはならないという歯どめがなかったからですよ。
 この歯どめ抜きに米国の戦争に参戦すれば、それがたとえこのような兵たん活動、これから開始されたとしても、相手側の攻撃の対象となって、戦闘に巻き込まれます。戦争の泥沼に抜き差しならない形ではまり込んでしまう。こうしてNATO諸国でも多数の国から犠牲者が出ることになったのであります。
 総理に最後に伺いたい。
 総理は、「この国を守る決意」という著書の中で、こう述べておられます。「軍事同盟というのは“血の同盟”です。」「しかし今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は、少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはないわけです。」こう述べて、集団的自衛権の行使の必要性を説いておられます。
 総理、集団的自衛権の行使とは、端的に言えば、アメリカの戦争のために日本の若者の血を流すということですね。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 それは明確に違うということは申し上げておきたい、このように思います。
 これは我が国の平和と安全にかかわる、まさに我が国の安全に深刻な影響を及ぼす、そういう観点から判断をしたときに、いわば制限的な中において集団的自衛権の行使を可能にするか。これは、制限的な中において、いわば制限された中において、許容できる範囲の中の集団的自衛権の中においても、もし行使が認められるとしても、我が国に大きな影響を及ぼす、そして、それは国民の生命あるいは国の存立に影響等々も勘案した上において、これは判断するかどうかということにつながるわけでありまして、アメリカのために、要請されれば直ちに集団的自衛権を行使するというものでは全くないということは申し上げておきたいと思います。
○志位委員 るる言われましたけれども、自民党の石破幹事長は、集団的自衛権を行使するようになれば、自衛隊が他国民のために血を流すことになるかもしれない、はっきり言っておられます。
 かくも重大な国のあり方の大転換、海外で戦争する国への大転換を、一内閣の閣議決定で、憲法解釈の変更という手段で強行するなど、絶対に認めるわけにまいりません。立憲主義の否定そのものであります。
 憲法破壊の暴挙を中止することを強く求めて、質問を終わります。
○二階委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。
 次に、鈴木克昌君。
○鈴木(克)委員 生活の鈴木でございます。
 総理初め閣僚の皆さんに逐次お尋ねをしてまいりたいというふうに思います。
 まず、総理にお伺いしたいんですが、我が国は、戦後六十八年、集団的自衛権を行使しなかった、そのおかげで、いわゆる戦争に巻き込まれるということはありませんでした。一人の日本人も、そして外国人も、戦争で亡くなるということはなかったわけであります。私は、このことは非常に大きいというふうに思っています。
 私ごとで大変恐縮ですが、いわゆる戦前派、戦中派という言葉がありますけれども、私は戦中生まれというふうに言ってもいいんじゃないでしょうか。実は、私の戦後の思い出は、白衣を着て、手をなくされて、そして足をなくされた方が、白い箱を持って、アコーディオンやそしてハーモニカを吹いて、多くの町の中で募金活動をされておった、あの姿が実は私にとってのいわゆる戦争の思い出であります。よく、おやじ、おふくろに言われました。絶対に戦争だけはどんな犠牲を払ってでもしてはならない、ああいう方々を二度と日本の国に生んではならない、こういうことを私は親に教えられて育ってまいりました。
 さて、そこで、私は総理にお伺いをしたんですが、安倍総理の現在の政治姿勢は、いわゆる安全保障環境が変わった、こういう危機意識を前面にお出しになって、ある意味では古い主権国家論といいますか、そういったようなものに基づいた安全保障政策を展開されてみえる、このように私は思えてなりません。
 日本の国民の命と暮らし、それを真剣に守ろうとするならば、いわゆる懐古的発想を脱却して、近隣諸国や国際社会と真に協調できる姿勢に転換をする、このことが今私は求められている、このように思います。
 そこで、総理にお伺いします。
 現在の政治姿勢のままで、近隣諸国との関係を改善できるというふうにお考えでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 近隣諸国というのは、韓国、中国、北朝鮮でしょうか。(鈴木(克)委員「含めて」と呼ぶ)では、それぞれお答えをさせていただきたいと思います。(鈴木(克)委員「短く」と呼ぶ)短くといっても三カ国ありますからね。
 韓国については、日本にとっては大切な隣国であります。共通の価値と共通の戦略的利益を持つこの大切な隣国との関係を友好な関係にしていくことは大切な私の使命であろう、こう思っている次第でございます。
 先般、三月ではありますが、日米韓の首脳会談を開催することができました。朴槿恵大統領とも、その際、首脳会談をしたところでございますが、いわば、これを未来志向の第一歩としていきたいと思います。
 そしてまた、中国につきましても、戦略的互恵関係の原点に戻って関係を改善していきたい、そのことは中国側に再三申し上げてきたところでございます。
 しかし一方、一方的に防空識別区を設定する、あるいは、公海上の上空におきまして自衛隊機に異常接近をするという事案が起こっているのは大変残念なことでございますが、日本は対話を求めているわけでありまして、再三再四、対話のドアは開かれているということを申し上げているわけでございまして、同じ対応をとっていただきたい、こう思っている次第でございます。
 北朝鮮については、今まさに局長級の協議が行われているところでございます。拉致問題、核問題、そしてミサイル問題等々があるわけでございますが、こうした課題について、特に拉致問題について、前進があることを期待したい、このように思っているところでございます。
○鈴木(克)委員 現在の政治姿勢のままでも近隣諸国と胸襟を開いて話し合いができるというふうに今御答弁されたと思いますが、しかし、実際に中国のトップそして韓国のトップとバイでお話ができるような関係には今なっていない、私はこのように思うわけであります。
 さて、続いて、総理にもう一点お伺いします。
 安倍政権の目指す国づくりということでお話をいただきたいと思うんですが、第二次世界大戦の反省から世界が目指したのは、争いのない世界連邦とでもいうべき理想の世界でありました。こうした理想を背景に、国際連合は発足をいたしました。しかし、また最近、この二十一世紀型の理想の世界から、争いを繰り返した二十世紀型の世界に、歴史が逆戻りをしているような気がしてなりません。
 日本はどうあるべきか。生活の党は、従来から一貫して、いわゆる自立と共生という理念を主張してまいりました。二十一世紀型の理想の世界の実現を考えたとき、日本は、自立と共生という理念に基づいて国づくりを進め、世界にその範を示し、世界平和と自然との共存をリードする役割を果たしていくべきだ、このように考えております。
 そこで、総理にお伺いしますが、総理は、どのようにさきの大戦を総括され、そして、戦後の国連を中心とした国際秩序をどのように受けとめられ、これからの世界の平和と日本の安全を確保するために我が国をどのようにリードされていくおつもりか、お聞かせください。
○安倍内閣総理大臣 私は、また我が国は、さきの大戦の痛切な反省の上に立って、戦後七十年近く、平和国家としての歩みを進めてきたところでございまして、この委員会の冒頭でも申し上げましたとおり、その歩みをこれから変えてはならない、変わることはないということをはっきりと申し上げておきたいと思いますし、また、自由で民主的な日本をつくってきたわけでございます。その中で、基本的な人権を守り、法をたっとぶ日本をつくってきた、このことを我々は誇りにすべきだろう、こう思うところでございます。
 そして、国連は、さきの大戦の後、いわば連合国を中心につくり上げられた国際組織でありまして、二度と戦争を起こさない組織をつくっていこうということで国連がつくり上げられたわけでございますが、常任理事国、P5と言われる国々に拒否権が存在し、その中で、米ソ冷戦時代には、国連が平和維持の機能をなかなか発揮できなかったのは事実でございます。
 しかし、そういう中におきましても、国連を中心とするPKO活動において、平和構築の努力はなされてきた。日本も積極的に貢献をしてきた。またあるいは、国連においても、日本は、第二位の分担金を支払って、これは国民の税金として支払っているわけであります。国連の果たす機能においても、当然、日本はその機能をこれからさらに強化していかなければいけない、こう考えているわけでありますが、その中で日本も大きな役割を担ってきた。
 私は、国際協調主義に基づく積極的平和主義の考え方のもとに、国連において、また国際社会において、より一層貢献していくべきだろう、そしてそれが地域や世界の平和、安定、日本の繁栄につながっている、このように確信をしているところでございます。
○鈴木(克)委員 もう一点、総理にお伺いをします。
 さきの総理の記者会見をお聞きしますと、国際社会の平和と日本の安全を図る手段は、国連による集団安全保障体制に依拠するよりも、同盟国である米国との集団的自衛権に軸足を置くというような考え方が明瞭だったというふうに私は理解をいたしました。
 集団的自衛権を行使できるということは、日米同盟の関係でいえば、米国と共同歩調で、どこまでも戦争に行く道を開くということも意味をしておるわけです、ある意味では。
 アメリカは、アフガニスタン戦争のときも、これはアメリカの自衛戦争だと言って始めましたけれども、日本に、同盟国として一緒に行動することを要請してまいりました。小泉内閣は当時、テロ対策特措法を制定して、補給艦とそれを護衛する護衛艦を出動させました。米国は、みずからが始めた戦争をアメリカ一国では戦い切れずに、国際社会に応援を頼んでいます。アメリカは今後も同じような戦争を起こす可能性があるというふうに思うんです。
 そこで、総理、安倍内閣は、アメリカとともに、あるいは他の国とともに、日本と直接関係のない紛争地に入って、自衛隊を派遣できるようにしたい、そのように考えておみえでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 まず、日米同盟と国連の関係についてお話がございました。
 国連は大切な機関でありますし、この国連が機能を強化し、世界のためにより一層役割を果たしていくことを期待したいと思いますし、日本もその一翼を担いたい、こう考えているわけでございます。
 しかし、日本の安全保障を考えたときに、例えば、先般、オバマ大統領が来日をされた際に、尖閣諸島を含む日本の施政下にある領域を第五条の対象として、防衛義務があるということを明確に示していただいたわけでございます。つまり、日本の施政下にある地域が尖閣を含めて攻撃をされた際に、アメリカは日本を守るために戦うということを明確にしたわけでありますが、残念ながら、その機能を国連に期待することはできないわけでございます。そこのところはしっかりと踏まえていく必要があるんだろう、このように思うわけでありまして、抑止力を高めていく上においても、この日米同盟関係は強化していく必要があります。
 その上で申し上げれば、先ほど来答弁をしておりますように、アフガンあるいはイラク、湾岸戦争に、日本は武力行使を目的として戦闘に参加する、自衛隊が参加することはないということは明確に申し上げておきたい、このように思うわけであります。
 その上において、あの十五事例を示させていただいた。十五事例全てが集団的自衛権とはかかわりがあるわけではありませんが、示させていただいたということでございます。
○鈴木(克)委員 今、厚労大臣、お見えでありますので、ちょっと、法制局長官にお伺いする前に、厚労大臣と総理にお伺いをしたい、このように思います。
 厚労大臣、労働者派遣法の改正案で、いわゆる条文に誤りがございましたね。それから、地域における医療及び介護の法案で、本会議場で大臣が御説明をした趣旨説明と議場に配られたものとが違う、こういうことがありました。しかも、その誤りというのは、去年成立した社会保障のプログラム法案の文言が入っておった、こういうことでございます。
 このことについて、まず大臣にお伺いをしたいんですが、これはどのような原因でこういうことになったのか、そしてまた、大臣として、その処置といいますかを、どのように今お考えになっているのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
○田村国務大臣 労働者派遣法に関しましては、これは転記ミスでございまして、その罰則のところを、以下というのを以上というふうに転記をするときに誤ったということで、そのまま法案を提出してしまったということであります。
 それから、医療介護総合確保推進法に関しましては、これは、参議院の議員の方々に、私の趣旨説明の内容を事前にお配りをするんです。その中において、以前のフォーマット、それが以前の法律でありまして、それを消して使ったわけですけれども、消し忘れがございまして、以前の法文が残っておったということでございまして、大変申しわけない話でございます。参議院にも大変御迷惑をおかけいたしましたので、心からおわびを申し上げます。
 同時に、すぐに大臣訓示をいたしまして、二度とこういうことがないように、組織としてしっかりチェック体制を図るということでございまして、業務適正化推進チームというものを副大臣のもとにつくりまして、こういうことが二度とないように、しっかり組織としてチェックができるような体制を整えてまいりたい、このように考えております。
○鈴木(克)委員 私も、小さな町でありますけれども、首長の経験があります。議会に対してこのようなミスがあったとき、どんなふうなことになるのかなということを考えたんですけれども、これは本当に大変なミスだというふうに思います。今、ここに麻生副総理がお見えですけれども、麻生副総理は、あってはならないミスだ、たるんでおると言われても仕方がない、こういうことをおっしゃったということであります。
 私は、総理に、ぜひこのことについてもお伺いしたいんです。
 大変申しわけないんですけれども、こういうミスが厚労省で続いたということは、ある意味での緩み、たるみというふうに言われても仕方がないということではないかと思うんですが、総理はこのことについてどのようにお考えになっているのか、お話をいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 政府におきまして御指摘のようなミスが続いたことは大変遺憾であり、重く受けとめております。厚生労働省に対しては、再発防止の徹底のため、必要な取り組みを行わせております。政府全体としても、おっしゃるように、しっかりと気を引き締めていかなければならない、このように思います。緊張感を持って対応していきたいと考えております。
○鈴木(克)委員 総理が今そうやっておっしゃったのであれですが、これは考えによっては、政権のおごりだ、たるみだというふうなきついお小言も実はいただいておるわけであります。
 いずれにしましても、例えば十九本の法律を一括で採決するというような、かなりやはり厚労省も無理をしておるんですね。そういったようなことが結果的にはこういう事象になってあらわれたということも言えるというふうに思っております。
 いずれにしましても、ぜひ総理初め諸大臣は、こういうことが本当にないように、厳にひとつ頑張っていただくようにお願いをして、この質問は終わりたいと思います。
 それでは、法制局長官がお見えになっていますので、お尋ねをしてまいりますが、憲法解釈の変更が認められるかどうか、こういうことでございます。
 第一次安倍政権から第二次安倍政権までの間に、七回も内閣総理大臣が交代をいたしました、七代ですね。そして、政権において憲法解釈の変更ができるということにもしなれば、極端なことを言えば、七年半、八年の間に七回も憲法解釈が変わる、こういうことも考えられるわけです。こんなことが認められるとすれば、憲法の存在価値というのは私はなくなってしまうというふうに思います。
 日本は、個別的、集団的を問わず、自衛権は自然権として保持をしておるわけです。しかし、憲法九条があって、それができない。もちろん、限られた状況では、日本が直接攻撃を受けた、そして周辺事態法で言う、放置すれば我が国が攻撃を受ける可能性がある、そして日本の安全が脅かされる、これ以外は、いわゆる自衛権を行使できないというふうに私は考えておるんですが、もしこういう形で、いわゆる憲法解釈の変更でいけば、まさに歯どめなき自衛権の拡大につながっていく可能性がある、このように思うわけであります。そして、自衛隊を含む国民の命に重大な不利益をもたらしかねません。
 戦後の安全保障に係る大問題ですから、国民投票にかけるべきだ、私はそう思っています。一諮問機関の判断が憲法の精神を変えてしまうというようなことは、大問題であります。国会がこれまで三十年以上かけて議論をしてきたのは何なのか、積み上げてきたものは何なのか、このように思うわけであります。
 あえてこれを行うというならば、九条の改正、すなわち憲法改正が当然必要だというふうに思っております。九条を無視し、国民の意思を問わずして統治権力だけでできるというならば、立憲主義は私は成り立たないというふうに思うんです。
 そこで、法制局長官にお尋ねいたしますが、歴代の内閣法制局長官は、集団的自衛権を行使することは現行憲法下ではできないと答弁をしてきたわけでありますが、安保法制懇の報告書が憲法解釈を変更するという提言を出したことで、これまでの憲法解釈を変更できるというふうにお考えでしょうか、御答弁ください。
○横畠政府特別補佐人 一般論として、憲法を初めとする法令の解釈及びその変更についての考え方につきましては、平成十六年六月十八日の島聡衆議院議員に対する政府答弁書でもお答えしているとおりであります。
 すなわち、憲法を初めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。
 このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではない。
 いずれにせよ、その当否については、個別的、具体的に検討されるべきものであり、一概にお答えすることは困難であるということでございます。
○鈴木(克)委員 だんだん時間がなくなってくるので、本当はこれだけでも一時間ぐらい質問をしたいんですが、具体的に今やられようとしておるものは、要するに、憲法解釈を変更しようというふうに今考えてみえるわけですよね。このことは法制局長官として是か非か、それだけ御答弁ください。
○横畠政府特別補佐人 先ほどお答えしたことは前提といたしまして、その上でのお答えでありますが、集団的自衛権の問題等につきましては、安倍総理が今後の検討の進め方についての基本的方向性を示されたことを受け、現在与党協議が進められており、その結果に基づき、政府としての対応を検討することとなるものと承知しております。内閣法制局としては、その検討の過程において適切に意見を申し上げることとなると考えております。
○鈴木(克)委員 国民は、新たな憲法の番人ということで、長官に対して非常に大きな期待を持っておるということも、私はぜひつけ加えておきたいと思います。
 最後の質問になろうかと思いますが、防衛大臣にお尋ねしたいと思います。集団的自衛権行使容認による近隣諸国への影響ということでございます。
 ここに、防衛省のシンクタンクが発表した東アジア戦略概観二〇一四というレポートがございます。
 ここでは、中身を割愛しますけれども、いわゆる北東アジアは、自国の安全を高める軍事力の増強が、他国にとって脅威となって、対抗的な政策を引き起こすという安全保障のジレンマにあるということを指摘した上で、軍事的な緊張関係が高まり、北東アジアの安全保障環境の悪化を招いているという結論を出しているわけであります。
 そこで、今の世論を考えると、北朝鮮による拉致、それから中国の尖閣の問題、またいろいろとあります。だけれども、そもそも集団的自衛権の問題とこれは関係がないわけです。
 心理的には実は結びついておりまして、国民の皆さんは、なめられているからというような、そういう問題が私はあるのではないかなと思うんです。集団的自衛権などでこわもてになれば近隣諸国もおとなしくなるのではないかというような、いわゆる素朴な感覚が底流にあるのではないかな、外務省筋や政権がそこにつけ込んでおるのではないのか、私はそのように思うわけです。
 抑止力を持つべきだとの考え方を全否定はできませんけれども、安全保障のジレンマと言われるように、強硬策がかえって緊張を高め、偶発的な危機につながりかねないということは、歴史が証明をしています。
 防衛大臣は、集団的自衛権の行使容認が近隣諸国との摩擦を激化させ、さらに軍拡をエスカレーションさせることになるとはお考えになりませんでしょうか。
○小野寺国務大臣 防衛当局の仕事は、国をしっかり守り、そして紛争を起こさないこと、この東アジアを平和裏にこれからも維持することが大切だと思い、私どもは、自国の防衛力整備を行い、近隣諸国との防衛交流を深め、そして、我が国の防衛力については、私も含めて、丁寧に周辺国には説明をしております。
 大切なのは、今行われている議論というのは、これはすべからく、日本国民の生命と財産を守っていくための大切な議論だと思っておりますので、私どもとしては、この議論に精いっぱい努力をし、協力をしていきたいと思っております。
○鈴木(克)委員 終わります。
○二階委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十七分散会