第187回国会 文部科学委員会 第3号
平成二十六年十月二十九日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 西川 京子君
   理事 櫻田 義孝君 理事 冨岡  勉君
   理事 萩生田光一君 理事 福井  照君
   理事 義家 弘介君 理事 中川 正春君
   理事 鈴木  望君 理事 浮島 智子君
      青山 周平君    秋本 真利君
      井上 貴博君    池田 佳隆君
      石原 宏高君    大串 正樹君
      神山 佐市君    菅野さちこ君
      木内  均君    黄川田仁志君
      工藤 彰三君    小林 茂樹君
      桜井  宏君    新開 裕司君
      末吉 光徳君    田中 英之君
      田畑  毅君    武井 俊輔君
      中川 俊直君    中谷 真一君
      野中  厚君    橋本 英教君
      馳   浩君    三ッ林裕巳君
      宮内 秀樹君    宮川 典子君
      山本ともひろ君    菊田真紀子君
      松本 剛明君    笠  浩史君
      井出 庸生君    遠藤  敬君
      椎木  保君    中野 洋昌君
      田沼 隆志君    中山 成彬君
      柏倉 祐司君    宮本 岳志君
      青木  愛君    吉川  元君
      山口  壯君
    …………………………………
   文部科学大臣       下村 博文君
   財務副大臣        御法川信英君
   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官)    中島  誠君
   政府参考人
   (総務省情報通信国際戦略局長)          鈴木 茂樹君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      関  靖直君
   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策局長)          河村 潤子君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長)            吉田 大輔君
   政府参考人
   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       川上 伸昭君
   政府参考人
   (文部科学省研究開発局長)            田中  敏君
   政府参考人
   (文化庁次長)      有松 育子君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議官)           舟引 敏明君
   参考人         
   (東京電力株式会社常務執行役)          木村 公一君
   文部科学委員会専門員   行平 克也君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二十九日
 辞任         補欠選任
  木原  稔君     田中 英之君
  熊田 裕通君     橋本 英教君
  桜井  宏君     黄川田仁志君
  比嘉奈津美君     井上 貴博君
  遠藤  敬君     井出 庸生君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 貴博君     武井 俊輔君
  黄川田仁志君     桜井  宏君
  田中 英之君     中川 俊直君
  橋本 英教君     大串 正樹君
  井出 庸生君     遠藤  敬君
同日
 辞任         補欠選任
  大串 正樹君     三ッ林裕巳君
  武井 俊輔君     末吉 光徳君
  中川 俊直君     田畑  毅君
同日
 辞任         補欠選任
  末吉 光徳君     比嘉奈津美君
  田畑  毅君     木原  稔君
  三ッ林裕巳君     中谷 真一君
同日
 辞任         補欠選任
  中谷 真一君     秋本 真利君
同日
 辞任         補欠選任
  秋本 真利君     熊田 裕通君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 文部科学行政の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○西川委員長 これより会議を開きます。
 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社常務執行役木村公一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、内閣府大臣官房少子化・青少年対策審議官中島誠君、総務省情報通信国際戦略局長鈴木茂樹君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長関靖直君、生涯学習政策局長河村潤子君、初等中等教育局長小松親次郎君、高等教育局長吉田大輔君、科学技術・学術政策局長川上伸昭君、研究開発局長田中敏君、文化庁次長有松育子君及び国土交通省大臣官房審議官舟引敏明君、以上の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○西川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笠浩史君。
○笠委員 おはようございます。民主党の笠浩史でございます。
 今回、臨時国会では初めて、下村大臣ときょうは議論をさせていただきたいと思いますし、また、財務省の方からもきょうは御法川副大臣においでをいただきました。
 まず、きょうは、教職員の定数の改善についてお伺いをしたいと思います。
 大臣が今回また再任をされたということで、一年十カ月に引き続き文部科学行政を担っていただくということでございますけれども、今度は大臣としては三回目の予算編成を行われることになるわけですが、学校の現場、本当にこの時代の変化に合わせてさまざまな問題が生じていることは、これまでも大臣とも随分議論させていただいてきましたし、また、その問題意識というのは、全く同じ方向、また、認識を同じくしていると思っておるんです。
 こうした中で、教員が子供たち一人一人にしっかりと向き合いながら、やはり、きめの細かい対応をしていくことが求められているということで、大臣も、昨年は学校力向上七カ年戦略、あるいは今度の概算要求においては、新たな教職員の定数改善計画で十カ年計画というものをやっていくんだということを方針とされているわけですが、ただ、残念ながら、私どもが政権を担わせていただいて、少人数学級の推進も、小学校一年生までは法改正で、また、小学校二年生については定数の改善でということで進めてきたこの流れというものが、これまで二回の予算編成においては断ち切られてしまっていると指摘をせざるを得ません。
 大臣が就任された最初のころには、少人数学級を推進するんだということが、これから少人数教育というふうに変わっていき、ちょっとこの前の所信では、だんだんそこに対するメッセージが幾分弱まってきているんじゃないかという懸念を抱いておるところでございますけれども、大臣、少人数学級も含めた少人数教育の必要性というものについては、変わらずこれは力強く進めていくという思いであるのか、冒頭、まずそのことを確認をさせていただきたいと思います。
○下村国務大臣 おはようございます。
 笠委員におかれましては、我々が野党のときから文部科学行政の中心的な活躍をされておられまして、引き続き、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 なぜ私の、大臣になってから少人数についての意気込みなり政策が弱まっているとおっしゃっているのかよくわからないんですが、それはそうと、この間の大臣所信の中でもかなり強調したつもりでございます。
 また、今週の月曜日に多摩市で、来週からESDユネスコ世界大会が開かれるということで、中学賞を受賞した学校を視察に行きまして、そういうすぐれた学校におきましても、やはり前から比べると、学校現場は、本当に多様なニーズの中で学校の先生方も大変御苦労されておられまして、教育成果、効果を上げるためには、より少人数学級、あるいはチームティーチング、習熟度別少人数指導等、少人数教育の推進を進めていかなければ、的確なニーズに対応した学校教育は非常に難しいというふうに思っておりまして、ぜひ今後とも、子供第一に、生徒児童の学習意欲の向上等きめ細やかな指導によって実現していくためには、少人数学級の推進が望ましいというふうに考えておりますし、これをぜひ、より進めてまいりたいと思っております。
○笠委員 私が指摘をいたしましたのは、大臣はそういう思いがあっても、現に予算にそれが反映をされていないということです、この二回。平成二十七年度へ向けてはまたしっかりと、私も応援したいと思うんです。頑張っていただきたいというふうに思います。
 そこで、こうした中で、本当にこの時期、いつも財務省が、我々が進めようとすることを、はっきり言えば邪魔をするんですよ、もういろいろなデータを並べてきて。そして、私ども、ちょうど政権交代して、先ほど申し上げたように、三十年ぶりに法改正をして平成二十三年度から実現した小学校一年生の三十五人以下学級を、四十人体制に戻すようにという方針を財政審、財務省が示していることについて、まず大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○下村国務大臣 先ほど申し上げましたように、学校を取り巻く環境が複雑化、困難化し、教員に求められる役割がさらに拡大する中、教員が授業など子供への指導により専念できる環境をつくるべきときに四十人学級に戻すとの主張は、文科省の考え方、学校現場、保護者の声とは相入れないものでありまして、到底容認することはできません。
 全国的に定着した小学校一年生の三十五人以下学級については、子供たち一人一人に目が行き届くきめ細やかな指導や、思考を深める授業づくりが一層可能となる、教員と児童との関係が緊密化するとともに家庭との緊密な連携が可能となるといった調査結果から、子供たちの学習意欲の向上やきめ細やかな指導による学力の向上にとって効果があるものと考えておりまして、少人数学級の推進は望ましいと考えております。
 一方、授業の質向上に対する多様な取り組みや極めて厳しい財政状況等を総合的に考慮し、自治体の創意工夫を踏まえつつ、柔軟で効果的な定数改善を早急に進めていくことも必要であります。
 これら全体を踏まえ、ことし八月に策定した教職員定数改善計画におきまして、アクティブラーニングの推進については、義務標準法の改正により基礎定数の拡充を図ることとしており、その実施に当たっては、少人数学級、チームティーチング、習熟度別指導など、学校の実情を踏まえ、自治体の創意工夫により、少人数教育を柔軟に行えるものとしております。
 文科省としては、計画的な指導体制の整備を図ることができるよう、各方面の理解を得つつ、財政当局と折衝し、教職員定数改善計画の実現に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
○笠委員 きょうは御法川副大臣においでいただいていますけれども、財務省として、なぜ三十五人学級をやめるのか、もとに戻そうとするのか、これ以上の少人数学級は必要ないという財務省の判断なのか、その点をお答えいただきたいと思います。
○御法川副大臣 おはようございます。お答えしたいと思います。
 もとより、教育は未来を担う人材を形成するものでございまして、子供たちの学力、能力、そして人間性の向上を図ることは、日本の将来にとって極めて大事な課題であるということは認識をしております。
 一方、財政状況が厳しい折、全ての、これは教育予算に限ることではございませんが、予算を伴う政策分野に関しては、その政策効果というものも問わせていただかなくてはならないということも現実でございます。
 少人数学級の推進ということについては、先ほど大臣からもお話がありましたけれども、教育現場における多様なニーズ、複雑化、こういうものに対する解決策として、先ほどありましたが、例えばチームティーチングあるいは習熟度別等々、ほかの施策と比較して有効かどうかということも、これを検証する必要があるというふうに考えております。
 また、少子化が進む中で、子供当たりの教員数、これは増加をしているということも踏まえ、さらなる検討が必要だというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、今後の少人数学級の推進に関しましては、文部科学省ともより意思疎通を図って検討してまいりたいというふうに思っております。
○笠委員 副大臣、ちょっとはっきり答えていただきたいんだけれども、では、四十人学級に戻すということは決めていないし、それはまだ財務省としての方針じゃないということですか。
○御法川副大臣 先般の財政審の資料の中で財務省としてこのことを提言として入れていることは、これは事実でありますが、最終決定ということではないというふうに考えております。
○笠委員 小一を四十人学級に戻す、そして、「「三十五人学級」導入の前後で明確な効果は、みられない」という非常に否定的な見解が財政審で示されているんだけれども、では、それについて副大臣はどうお考えですか。
○御法川副大臣 この小一、三十五人学級は、先ほど笠委員がおっしゃったとおりで、民主党政権のときに実行に移された政策だというふうに理解をしております。
 その後、二年、三年目になりますかという中で、私が先ほど申し上げた政策効果の検証という部分でいくと、必ずしも当初のような、思ったような成果が得られていないという部分もあるということは事実ではないかなというふうに考えております。
○笠委員 必ずしも成果が上がっていないと。具体的にどういう点が成果が上がっていないという根拠になるわけですか、この財政審の結果で。
○御法川副大臣 例えばでございますけれども、この資料の内容について若干敷衍をさせていただきたいというふうに思いますが、いじめの問題、あるいは暴力行為、不登校等々についての、これは調査結果でございますけれども、を見る限りにおいては、必ずしも効果が明確ではないということは言えるのではないかなというふうに思います。
○笠委員 今副大臣からありましたけれども、この財政審の資料の中で、いじめの認知件数、小学校における問題発生件数に占める小一のこの割合というものが増加しているじゃないかということですよね。
 ただ、実はこれは認知件数ですから、発生件数じゃないんです。不登校なんかは明確にしっかり客観的に数値を把握することができます、その人数を。私は、逆に言うと、認知件数がふえているということは前向きに評価すべきだと思うんですよ。それだけやはり、小一の、特に少人数学級を、三十五人以下学級になったことによって、教員あるいはいろいろな学校の先生方が、いじめと見られるようなことがいろいろなところで起きている、また、そのことをしっかりと認識できる。だから逆に、ふえていることは私は前向きに評価すべきだと思うんですけれども、いかがですか。
○御法川副大臣 おっしゃるとおり、いじめの認知件数に関しては、これはふえているというのは数字からも読み取れるというふうに思いますが、全体の発生件数に関しては必ずしも読み取れない部分がございます。
 また、いじめだけでない、ほかの暴力行為あるいは不登校に関しては、これは残念ながらはっきりとした効果は認められないというのは、数字からは読めるのではないかなというふうに思います。
○笠委員 今、ちょっと私わからないのは、全体の発生件数について読み取れないというのは、ちょっと解説していただけますか。
○御法川副大臣 はっきりとしたことが言えなくて済みませんでした。
 いじめの認知件数については数字として出ておりますけれども、全体の発生件数が何件かということはここからは出ない、そういう意味でございました。
○笠委員 ですから、認知件数だけでこういう結論めいたことを言う必要はないんですよ。これは本当に勝手なデータでしょう。
 それで、ちょっと文部科学省にお伺いしたいんですが、大津の中学生のいじめによる自殺を受けて、実は、これはもう平成二十四年度から、やはり文科省も当初なかなかいじめの実態というものについての調査が徹底されていなかったということで、以降、それをしっかりやろうじゃないかということで取り組みました。
 その結果、いじめの認知件数というものが、平成二十三年度までぐらいは全体で大体三万から四万ぐらいのところだったんですけれども、それが平成二十四年度は十一万七千三百八十四件、その中で小学一年生が一万五千二十六件というふうに、一桁それぞれこの認知件数が増加をするというような形の結果が出てきているんですけれども、一気にこういうふうに桁が違っているぐらいの認知件数が増大をしたことについて、どういう理由があるのかをちょっと局長の方から御説明ください。
○小松政府参考人 お答えを申し上げます。
 文部科学省では、大津市の中学生の自殺という痛ましい事案を受けまして、平成二十四年の八月に、従来の調査とは別途、いじめの緊急調査を行いました。その結果を踏まえて、いじめの早期発見や十分な対応等について、学校や教育委員会に対して改めて指導を行ったところでございます。
 こうした中で、文部科学省が従来実施している問題行動等調査において、いじめの認知件数は、今御指摘ございましたような大幅な増加、平成二十三年度の約七万件から平成二十四年度には約十九万八千件というふうな変化があったわけでございます。
 この要因につきまして文部科学省は、都道府県教育委員会等に聴取をいたしまして分析をいたしましたところ、一つには、学校においてささいなことでもいじめの訴えに積極的に対応する、あるいはアンケート等に工夫、改善を行ったというような点、それから、教育委員会においてより積極的な対応を学校に指導したという点、それから、社会的な意識の高まりによって子供や保護者から学校への相談がふえたというようなことが挙げられまして、平成二十三年度以前と比べて、学校、教育委員会等において、いじめを積極的に認知していこうとする考え方が浸透したということがあるというふうに理解をいたしております。
○笠委員 今ありましたように、副大臣、よく聞いていただきたいんだけれども、財政審は、文科省の今の生徒指導上の諸問題に関する調査をもとにして、小一の三十五人学級が導入される前の平成十八年度から平成二十二年度の五年間、この認知件数の平均一〇・六%、そして導入後の平成二十三年、二十四年度の二年間の平均一一・二%ということで比較しているんですよ。しかし、平成二十三年度までの調査と平成二十四年度の調査というのは全く質が違うんです。平成二十四年度以降のいじめの調査、今は質が違って、より詳細に、より細かくなったんです。それを同じデータとして自分たちの都合のいいように、二十三年と二十四年の平均をとってデータを解釈するというのは、これは非常にこそくとしか言えない、本当に。
 さらには、これは認知件数ですから、先ほど副大臣も言ったように、発生件数ではないんですよ。こういうデータをもとに三十五人学級の効果は見られないというような、そういう喧伝をすることはやめていただきたい。
 その点について副大臣、明確に御答弁していただきたい。
○御法川副大臣 いじめの認知件数ということに関しては、今、文部科学省さんからもお話があったとおり、さまざまなことでこれは飛躍的に深まったということでございますけれども、そもそもの政策効果をはかる上で、認知件数の向上ではなくて、やはり我々本当に心配をしているいじめそのものをどうやってなくすかという努力あるいは枠組み、政策が必要ではないかという観点から見た場合に、少人数あるいは小一、三十五人というものとの整合性ということを言ったときに、必ずしもそこは合致しているとは言いがたいのではないかというのが財務省の見解でございます。
○笠委員 それはおかしいでしょう。我々だって、ここにいる委員、もちろん財務省の方もそうかもしれない、いじめを社会からやはりなくしていこう、あるいは、いじめで少なくとも子供たちが命を絶つようなことだけは絶対に起こしてはならないという思いをみんな共有しながら、私たちも政策を進めているんですよ。
 何か今お答えになったことを聞いていると、だから私先ほど申し上げたように、そういった調査も含めて認知件数がふえてきたということは評価できることじゃないですか。まず、何がどこでどのように起こっているのかということを把握できていないから悲惨なことが起こっていたわけでしょう。だったら、逆に言うと、政策効果があると言うんだったらわかるけれども、今の答弁は本当によくわからないですよ。
 ですから、やはりそこは、これは副大臣がやったことじゃないかもしれないけれども、こういった形で、もしこの今の認知件数の割合でやるのであれば、私は大体、こういうデータのとり方というか、これを少人数学級の効果に引っ張り出してくること、持ち出してくること自体がおかしいと思っているんですけれども、例えば、平成二十四年度は除いて、平成二十三年度、すなわち小学校一年生の三十五人学級がスタートした年は、小一の占める割合というのは九・六%なんですよ。前五年間の平均の一〇・六%よりもむしろ下がっているじゃないですか。それだったらわかりますよ。ですから、このことは本当に反省をしていただきたいと思う。
 そしてもう一点。そもそも財政審がこのクラスサイズの政策を判断する指標をどう考えているのか。今のような、いじめや不登校、あるいは学力であったり体力など、データ化できるものだけで結論づけられるものではないと私は思っています。そのことももちろん重要だけれども、やはり、児童生徒のさまざまな学習意欲であるとか心理面の変化であるとか、あるいは教員の指導する環境というものがどういうふうに変化をしていくのか、そういったことをなかなか数値として客観的にはかりづらい、そういうものも含めて総合的にこれは判断していかなきゃならないんです。
 こうした現場の状況について財務省としてどう考えているのか。現場の皆さんの声をこの財政審の人たちは聞いているんですか。その点はいかがですか。
○御法川副大臣 繰り返しになって恐縮でございますけれども、財務省といたしましては、財政事情が厳しい中、全ての予算を伴う政策についての効果というものについては、できるだけ客観的あるいは定量的な検証ができることが重要であるということを考えておるということだけは御理解をいただきたいというふうに思います。
 その上でですけれども、やはり、現場の声、学校現場の声、教育行政の現場の声というのは極めて大切であるということは、私は認識をしているつもりであります。
 先週末、地元に帰ったときにも、私の地元の自治体の教育長から、ちょうど週末にかけてこの問題が出ました。しっかりと取り組めというようなお言葉もいただいたところでございまして、この小一、三十五人学級の取り扱いについても、今後、これは予算編成過程がございます、文部科学省と現場の実情等をしっかりと聞きながら検討してまいりたいというふうに思っております。
○笠委員 今、客観的と。客観的なデータじゃないじゃないですか、先ほど私も指摘させていただいたように。いろいろな材料を集めて、その中で自分たちにとって都合のいい、もう結論は決まっているんですよ、その結論を裏づけるためのデータだけを殊さらに喧伝しているわけですよ。
 副大臣、例えば全国連合小学校長会が実施したアンケート調査結果では、小学一年生の三十五人学級導入の評価として、児童の学習意欲が向上したと感じている学級担任が九七%、児童へのきめ細かい指導が充実したと感じている学級担任が九九%、教員と児童の関係が緊密になったと感じている校長が九八%、家庭と緊密な連携が可能となったと感じている校長が九四%、先生がきめ細かく対応してくれると感じている保護者が九五%など、やはり現場の方々は、まだまだもっと進めてほしいという思いを持っている方はおられますけれども、これをもとに戻せ、不必要だというような声というのは、自分もいろいろな学校へお邪魔しますけれども、今副大臣も学校へ行ったとおっしゃいましたね、ないと私は思いますよ。
 そのことをどう受けとめられているのか。そして、それを副大臣として、どのようにしっかりとこの予算編成に当たって、御自身、大臣も含めて政治家としての判断をされていこうとしているのかをお答えいただきたいと思います。
○御法川副大臣 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、現場の声、これは本当に大事なことだというふうに考えております。そういうものもしっかりとお聞きをし検討した上で、今後の予算編成過程においてしっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。
○笠委員 副大臣も恐らく財務省がつくった答弁以外にはなかなか答えられないんでしょうけれども、本当にそこは重く受けとめておいてください。
 それで、財務省はさらに、四十人学級に、もとに戻したときに八十六億円ぐらいのお金が捻出できる、そうしたらそれを幼児教育の無償化に充てるというような提案も、まだこれは正式なものではないんでしょうけれども、本当に何を考えているんだと私は言いたいんだけれども、ある意味、そういう選択を迫られるような状況になりかねない。
 そこについての下村大臣のお考えをちょっとお伺いをしたいと思います。
○下村国務大臣 今、御法川財務副大臣から答弁があったように、財政審の提案が財務省の結論ではないということでありますので、これからしっかりと文部科学省、財務省、話し合う中で、我々の主張というのは別に役所的な主張じゃありませんから、日本の将来を考えたときに、あるべき教育はどうなのかという視点からしっかりと議論をする上で、我々の主張によってこの国の将来を見誤ることがないような判断を財務省がするように議論をしていきたいというふうに思っております。
 今回の教職員定数改善計画は、小中学校における授業革新を初め、教育の質の向上を実現するとともに、教員に加えて多様な専門性を持つスタッフを配置し、一つのチームとして学校の教育力と組織力を最大化することを目指すものでありまして、教員の質と数の一体的強化を図るという視点から、教育現場において大変重要なことであるというふうに考えております。
 一方、幼児教育の無償化、これも重要な政策課題でありまして、その実現に向けて全力を尽くす覚悟であります。
 その理由として、今御指摘がありましたが、義務教育の条件整備を後退させるということがあってはこれはならないわけでありまして、幼児教育は充実をさせる、一方、小学校以降の義務教育段階における教育もやはり充実させるということは、これは日本の未来にとって、子供たちにとっても大切なことであるというふうに思います。
 文科省としては、財務省を初め各方面の理解を得て、計画的な指導体制の整備を図ることができるよう、教職員定数改善計画の実現、そして、幼児教育の無償化に向けたステップを踏み出すよう、最大限の努力をしてまいりたいと思います。
○笠委員 今の大臣の御答弁、私もしかと受けとめましたので、しっかりその線に沿って予算編成をしていただきたいと思います。
 それで、大臣にあわせてお伺いをしたいんですが、ちょうどことしの通常国会でしたか、私、大臣とこの問題について議論させていただいたときに、まさに来年度の予算編成へ向けてという意味合いもございますけれども、次の通常国会で、少人数教育の推進というものも視野に入れながら、新たな教職員の定数改善計画の実現に向けて義務標準法を改正する、法改正をしっかりとやるということを大臣は答弁をされました。
 このことについての今の取り組み状況についてお答えをいただきたいと思います。
○下村国務大臣 今回、教職員定数改善計画を策定し、アクティブラーニングの推進等について基礎定数の拡充を図ることとしておりまして、これを実施するために義務標準法の改正が必要であると考えております。
 この法改正の実現により、御指摘のとおり、少人数学級やチームティーチング、習熟度別少人数指導など、学校の実情を踏まえ、自治体の創意工夫により少人数教育を柔軟に行えることとなるものでありまして、財務省を初めとする関係方面の理解を得て、義務標準法改正の実現に向けて最大限努力をしてまいります。
○笠委員 最後に委員長、ぜひ私、提案があるんですけれども、今おっしゃったように、やはり自治体側からすれば、まず、計画的にしっかりとそれぞれの状況、事情に応じてその取り組みを進めていくということが非常に求めている大事なことだと思いますので、御法川副大臣おられるけれども、財務省の壁、高いことは私もよくわかっております。ですから、予算編成へ向けて、あるいは来年の法改正へしっかりつなげていくことができるように、こういった計画的な教職員の改善をしっかりと行っていくための私は委員会での決議というものもぜひ検討していただくようにお願いを申し上げて私の質問を終わりますが、最後に委員長によろしくお願いします。
○西川委員長 今、笠委員からのお申し出、理事会において協議させていただきたいと思います。
○笠委員 どうもありがとうございました。
○西川委員長 次に、松本剛明君。
○松本(剛)委員 松本剛明でございます。
 今、笠議員からもお話をさせていただきました。私も財務副大臣に残っておいていただくべきだったかなと一瞬思いましたが、要求をしておりませんので、大臣に改めてお願いを申し上げたいと思います。
 お手元に参考資料を配らせていただきました。ざっとごらんをいただきたいと思うんですが、実は、先ほど議論のあった財政審議会の中では、我が国の公的支出というのが少ないというデータがあるけれども、一人当たりで見たら決して少なくないんだというような、先ほどの言葉をかりれば、意図的な割り算をしたような結果があったというふうに思います。
 きょうこれを皆さんにごらんをいただくのは、これを見ていただくと、一番上はいわゆる幼児、真ん中は初等中等、そして三番目は高等ということになるわけですが、ちょっと字が細かいんですが、ちょうど真ん中あたりの日本をずっと見ていただくと、この真ん中の薄い色が家計の負担なんですね。
 我が国は、やはり幼児そして高等教育では極めて家計の負担の多い国であるということは、皆さんも認識を共有されているところだと思います。ありていに言えば、我が国において、少なくともお金の面では、国も県も頑張っていないとは言いませんけれども、親が一番、保護者が一番頑張ってきて、何とかここまで回ってきた。ですから、これをむしろ改善する方向に行かなきゃいけないという意味でも、財政当局に負けずに、私たちも人への政策というのを重視してまいりましたけれども、ぜひ、さまざまな形で、もっと上積みをするんだという勢いで頑張っていただきたいと思っております。
 また、私たちは、教育については三つの側面から改善をしていくことが必要ではないかと思ってまいりました。
 一つは、保護者負担の経済的側面ということで、これは今も幾つか議論がありました。もう一つは、教育の制度。この通常国会でも教育委員会制度なんかで議論がありましたけれども、最終的には、学校、そしてそれを見る地方自治体や教育委員会等の制度、このガバナンスやマネジメント、そして教育の量と質、これは教員の仕組みも含まれると思いますし、教員自身の量と質の改革というのも必要になってくるんだろうというふうに思っておりますが、きょうは、その中で幾つか、予算に絡む、お金に絡む話を中心に何点か質問をさせていただきたいと思っております。
 先ほども申し上げましたけれども、やはり我が国では家計の負担がかなり、特に高等教育において多いということであります。これをどうするかと社会全体で考えたときには、家計の収入をできるだけふえる社会をつくるということと、他方では、少ない家計収入であろうとかかわりなく教育が受けられる仕組みをつくるということであろうというふうに思います。
 家計の負担と考えていただいたときに、今ここで高校の無償化の所得制限を大きく蒸し返す気はありませんけれども、あらゆる制度で、子育てをしている同じ中で見たときには、確かに所得の少ないところを優先的に応援してあげる必要がある、これは私も同意であります。ただ、他方で、広く見ると、子育てをしている家庭としていない家庭があった場合には、やはり子育てをしている家庭を全体として応援すべきではないかと私は思っております。
 そういう意味では、子育てをしている世代の中でのもので整理をしていくよりも、やはり全体として子育てをしている世代を応援していく、このことが子供たちの教育を高めることにもなると思いますし、結果として少子化対策にもなるということではないかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 まず、幼児教育の分野になりますが、今、子ども・子育て新制度というのが、消費税が導入をされれば来年の四月からということになるかというふうに思いますし、もう既にそれに向けて推進をされていると思いますが、これはさまざまな議論を経て三党で合意をしてつくられた制度だというふうに私は理解をしておりますけれども、ぜひこれは、保育、子育て、幼児教育を総合的に大きく推進させるために必要だという認識です。
 この制度を導入する方向で来ていると思いますが、この制度が円滑かつ非常に前向きに導入をされるように推進をされるべきだと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○下村国務大臣 今おっしゃるとおりでありまして、あの三党合意の中で、子ども・子育て支援新制度をスタートすることになっているわけでございます。
 ただ、消費税が財源ということもありますし、また、その財源でもさらに約四千億円が足らない、これについてのめどがまだついていない。そもそも、一〇%に消費税を上げるかどうかの判断は十二月、最終的には総理が判断されるということで、まだはっきり確定していない部分がございます。
 先ほどの松本委員の御指摘のとおりだと思っておりまして、家計負担で、家計をいかに経済的な景気回復によってアップするかということももちろん政策上必要でありますが、一方で、これから我が国は、家計、つまり個人負担による教育投資ではなくて、できるだけ、格差社会がやはり広がっておりますから、どんな家庭の子供においてもチャンス、可能性を提供するという意味では、公的支援をふやしていく。
 先ほどの松本委員のデータの中でも、就学前教育の部分と、義務教育の後の高校教育の部分でいうと、これは公的支援額がほかの国に比べても非常に少ないわけでございまして、特に就学前教育においては、一番の働き盛りの世代が子育てをしているという意味では、ここにしっかりと支援をしていくということは大変重要なことだと思います。
 私としては、子ども・子育て支援新制度が確実にスタートできるような体制と、それから同時に、幼児教育の無償化に向けた段階的な軽減策について、来年、概算要求の方で要求しておりますが、ぜひこれを実現できるように努力してまいりたいと考えております。
○松本(剛)委員 内閣府にお伺いをしたいと思います。
 大変御苦労されているとは思いますけれども、新制度に向けての移行の現状、幾つかの課題がありますし、私も各地域でいろいろ話を聞きますと、特に幼稚園の場合は選択肢があるということもあって、さまざまな議論が出てきている。新制度に私はどんどん移行する形になるのが望ましいというふうに思っているんですが、非常に悩ましい状況も出てきていると思うんですが、現状をどのように認識しておられるか、お願いをしたいと思います。
○中島政府参考人 認定こども園についてでございますけれども、認定こども園につきましては、親の就労の有無にかかわらず施設利用が可能であるなど、保護者や地域の多様なニーズに柔軟かつ適切に対応する施設として、多くの保護者の皆様方、設置者の皆様方から一定の評価を得ており、引き続き、地域や事業者の希望に応じ、その普及を図ることが重要だと考えております。
 ただ、本年七月時点に実施した意向調査におきましては、回答いただいた、既に幼保連携型の認定こども園になっておられるところの一二・四%の方々が、認定を返上したいという旨の御回答を寄せていただいているところでございます。
 その主な原因といたしましては、〇・七兆円の範囲で実施する事項をもとに、ことしの五月に作成いたしました公定価格の仮単価に基づき試算を行いましたところ、現行より減収が見込まれるという結果であったためと認識しておるところでございます。
 必ずしも適切な試算や比較がなされていなかった事例も見受けられましたため、正確な試算をしていただくように、この夏、各種説明会を実施してきたところでございますが、それでもやはり、一部、制度改正に起因する減収要因もあると認識しておるところでございます。
 まず一つ目は、二重行政を解消する制度改正として、現に二つの施設として扱っておりました幼保連携型認定こども園を単一の施設として扱うということになりますので、その施設長の人件費が一人分に減額になってしまうこと。
 また、現行の私学助成の水準や配分方法が都道府県により大きく異なりますので、このたび国が新制度により統一的に保障しようとする全国的水準との差が、特に大規模な施設では生じ得ることといった要因があるものと認識しておるところでございます。
○松本(剛)委員 私は、新しい制度を入れるときに、当初の設計でいろいろ課題が出てきたら、やはりぜひ見直してでも新しい制度を円滑に入れるという努力をしていただくことが大事だと思うんです。
 もちろん、何で最初の設計がおかしかったんだ、そういう議論をする方もいらっしゃるかもしれませんし、その原因は突きとめていただかなければ次の段階には行けないと思いますが、ただただ責任を追及するとか後ろ向きなことをするよりも、見直すべきはしっかり見直していただきたい。
 実際に、十月二十四日ですか、子ども・子育て会議と子ども・子育て会議の基準検討部会の合同会議で、見直すべく議論が始まったというふうにお聞きをしていますが、どんな内容でお考えになっているのかということ、それから、恐らく見直しには予算が必要になってくることもあろうかというふうに思いますが、予算確保の見通しはなかなか簡単ではないかもしれませんけれども、そのあたりについて御答弁をいただきたいと思います。
○中島政府参考人 子ども・子育て支援新制度を円滑に施行するに当たりましては、ただいま申し上げましたように、施設が認定を返上するという事態は決して好ましい状況ではないと考えておりまして、できる限り、こうした動きが現実のものとならないよう、必要な対応に努めたいと考えておるところでございます。
 具体的には、先ほど申し上げました施設長二人が一人になる部分について、人件費が減算になるということになりますが、それにかかわります経過措置、また、新制度の移行に伴いまして大規模な施設が減収になり得るということで、今後、定員規模に応じた各種加算、加配要件のあり方といったものなどについて今後の予算編成過程において検討する旨を、先週、委員御指摘の子ども・子育て会議の場で表明いたしますとともに、少子化担当の有村大臣の方からも記者会見で表明をしていただいたところでございます。
 また、各都道府県に対しましては、来年四月以降の地方自治体独自の私学助成の内容に係ります検討及びその方針の早期公表等につきまして、九月四日の自治体向け説明会や十月一日付の事務連絡におきまして要請をさせていただいたところでございます。
 来年四月から新制度が円滑かつ着実に実施できるよう、予算確保も含め、しっかり取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
○松本(剛)委員 返上のお話は、今もアンケートでありましたけれども、さらにまだ一部くすぶっている部分もあろうかというふうに思います。
 また、実際には、御承知のとおり、もう園児の募集というのは大体始まっている時期に入っています。来年の四月一日のことに対する園児の募集というのは既に始まっている状況にあるわけですので、確かに、予算編成過程ということからすると年内いっぱいかかってくるのかもしれませんけれども、ぜひ、これは子供たちにもかかわることですので、早急にめどをつけていただけるように内閣府にも御尽力をいただきたいと思いますし、文科省にも御尽力をいただいて、ぜひとも円滑な移行をしていただきたいと思っております。
 先ほど大臣もちょっとおっしゃいました、幼児教育の無償化ということで、私自身も、全体として家計の負担を減らしていくべきだと思いますので、幼児教育についても、決してその方向性は否定をするつもりはありません。ただ、後ほど奨学金の話もさせていただこうと思っていますが、今回は、今は、ぜひこの新制度を円滑に入れることが私は最優先順位ではないのかなと。
 予算をとっていく過程の中で、さまざまな優先順位があり得るだろうというふうに思いますし、幼児教育についても、段階的に無償化ということで、どの程度頭出しをするのかということについても幾つかの考え方があろうかというふうに思います。
 財政当局との間では、あっちからこっちからボールが投げられて、これだけとれるかどうかみたいな交渉に往々にしてなりがちですけれども、ぜひこちらからどんどんボールを投げていただいてという意味では、幼児教育の無償化を投げたのも一つのボールだというふうに思いますが、広い意味で、新制度は内閣府が直接は御担当になるわけですけれども、やはり国務大臣として、まず新制度をしっかり円滑にいけるように、その中で幼児教育の無償化についても前向きにお取り組みいただくことはあれですけれども、ぜひとも新制度の円滑な移行を進めたい、そんな形で進めていただきたいと文科省にもお願いを申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小松政府参考人 幼児教育の無償化につきましては、ことしの七月に、幼児教育無償化に関する関係閣僚それから与党実務者の連絡会議の取りまとめで、一つの取り組み、方向が出ております。環境整備と財源確保を図りながら段階的に無償化に向けた取り組みを進めるということとしておりまして、その対象範囲や内容等につきましては、ただいま御議論ありましたように、予算編成過程において検討するというふうにされているところでございます。
 いずれの主題も非常に重要な主題と私ども考えております中で、平成二十七年度の予算編成過程において、この方針に沿いまして、関係府省と連携しながら、財源とあわせてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○松本(剛)委員 幼児教育無償化と新制度の移行は二者択一だと私も思いませんが、目の前に来ている新制度の移行に関して、先ほども内閣府からも御答弁がありましたが、率直に申し上げて、予算が必要な段階に来ているというふうに思いますので、ぜひ、それを確保して、円滑に移行しつつ、さらなる幼児教育の無償化に進むような芽を残していただくような形でお願いをしたいということ、大臣にも、真摯にお聞きをいただいておりますので、お願いだけしておきたいと思います。
 もう一つ、幼児教育についてですが、今後将来、公立と私立の役割分担というのをどうお考えになっているのかということであります。
 これから少子化対策も行われていく中で、子供が減っていくことを、そのまま、我々も、ただただその方向でいいとは言いません。ただ、現実には、今の状況でだんだん世代の人口が減ってきている中では、今の子供を産む可能性の高い世代の方々が今より多く子供を産んだとしても、子供がそうふえる状況にはないのは事実でありますので、子供は客観的には当面は減ってくる。
 そういう中で、私から見れば、やはり、私立は私立なりに相当頑張って、特に幼児教育の分野では大きな役割を果たしてきたこともある等、官業はやはり一定程度補完に回るべきではないかというふうに思う部分もあるんですが、このあたりについて文科省としての御見解があれば伺いたいと思います。
○小松政府参考人 幼児教育が生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものだということでは、さまざまな機会によりまして、希望する全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障することが必要と考えます。
 幼稚園で申しますと、私立幼稚園が大半のお子さんを預かっておられまして、特色のある教育を行っており、大変重要な役割を果たしているというふうに私どもは認識をいたしております。
 あわせまして、幼児教育における各地域の公立、私立の役割分担というような点で見ますと、ここは、各地域においてかなりさまざまな形態や歴史がございますので、国として一律にそれぞれの役割を決めてしまう、明確にするということは困難でございますけれども、地域の実情に応じて、あるいは今回の新しい制度の実施状況、そういったものに合いますように、各地域が取り組めるように支援をしていく必要があると思っております。
 その意味におきまして、各幼稚園が、機関補助あるいは個人補助、それぞれを通じまして、特色が発揮できるようにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○松本(剛)委員 御答弁としてはそうならざるを得ないんだろうというふうに思いますが、やはり私自身は、日本の国はかなり、公な、公的な役割を、これは教育にとどまらずあらゆる分野で、民間の皆さんが公的使命をきちっと認識をしてうまく担っている、それによって総体的に、いわば民間の効率的なやり方の中で、しかし、いい公的な使命を果たしてきたものというのが、医療なんかも私はそう思っているんですけれども、そういう分野というのがいっぱいあると思うんですね。その意味では、幼児教育、保育の分野においても、かなりそういう役割が分担をされてきたと思いますので、ぜひ、それがいい形で残るようにということを要請を申し上げてまいりたいと思います。
 大臣にもお願いをしたいことはたくさんあるんですが、お聞きをいただいて、お願いをさせていただいていると御理解をいただけたらと思います。
 奨学金の問題に移らせていただきたいと思います。
 奨学金を拡充するということは、多分、与野党ともに皆さんそういう認識で動いていると思うんですが、具体的にどんな拡充になっているのかということを少し議論させていただきたいと思います。
 まず、奨学金というのは拡充をされるべきである。そして、一昨年、二〇一二年ですけれども、九月の十一日に、いわゆる国連の人権A規約というので、高等教育の漸進的無償化についての条項、いわば、今まで留保していたのを撤回して承認することになりました。
 我が国として、教育のあり方として、やはり高等教育も順次無償化をしていく方向である、そして、奨学金は拡充をするということが中長期的な方向としては望ましい、そちらへ進むんだという認識を共有しているという理解でよろしいでしょうか。大臣にお願いしたいと思います。
○下村国務大臣 まず、先ほどのことでありますが、決して欲張りということではなくて、子ども・子育て新制度、確実な実行とともに、幼児教育の無償化を同時に進めていくということが安倍内閣の方針でございます。
 その上で、こども園の移行がよりスムーズに行えるようにしていきたいというふうに思いますが、一方、私立幼稚園が残る場合には、その私立幼稚園のよさがさらに拡充できるような、そういう支援もしていきたいと考えております。
 奨学金については、おっしゃるとおりでありまして、ぜひ拡充をしていきたい。まずは、有利子奨学金を無利子奨学金にできるだけ早くシフトしていくということで、来年は無利子奨学金の枠をさらに三万人ふやすということを概算要求の中で求めております。
 また、返還月額が卒業後の所得に連動する、より柔軟な所得連動返還型奨学金制度の導入など、今後さらなる充実を図ることによって、意欲と能力のある学生等が進学等を断念せず、安心して学ぶことができる環境を整備するため、大学等奨学金事業の充実にさらに努めてまいりたいと考えております。
○松本(剛)委員 意思がうまく伝わっていなかったらあれです。私は、逆に、もっと文科省は欲張れと申し上げたいと思っておりまして、あらゆる面でまだまだ教育に関する予算は必要なんだということをどんどんどんどん打ち出していっていただきたい。
 ただ、現実には、財政当局からも多分いろいろなボールが返ってくるでしょうから、そのときにどういう優先順位でおとりになるのかという意味では、私は、先ほど申し上げたように、先ほどの点では新制度でまずお願いをしたいということを少し申し上げたというふうに理解をいただきたいと思います。
 奨学金について、私がお聞きをした限りでは、いわゆる奨学金の家計基準、これ以上の収入があるというか、それ以下の収入の方を対象にするという家計基準は、ここ何年か、何回か引き下げられてきたというふうに理解をしております。
 これは、平均の収入より大分高くなっていると思われるので、平均の収入の方向へ向けるということで引き下げるんだという説明をお聞きさせていただきましたが、私は冒頭で申し上げました、大学に子供をやるということはかなり大きな負担になっているということを考えると、平均以下の人だけを救うというよりは、子供を大学にやろうという家庭は広く救うという意味からすると、家計基準を引き下げるのはいかがなものかというふうに思っております。
 現実に、ちょうど引き下げに当たって、兄弟で片っ方はもらえて片っ方はもらえなくなったという家庭も出てきているわけでありまして、ぜひこれは、先ほどの大臣の表現をかりれば、欲張ってとりに行く方向を考えていただきたいと思うんですが、今どのようにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
 日本学生支援機構の実施しております大学等奨学金事業につきまして、委員御指摘のように、家計基準の見直しというのをこれまで行ってまいりました。それは、真にその奨学金を必要とする学生等に対しまして奨学金の貸与を行うということを趣旨といたしまして、学生等のニーズや経済状況などを踏まえまして、家計基準の見直しを行ってきたというところでございます。
 今後も、より低所得の世帯の学生等への無利子奨学金を重点的に貸与するための見直しですとか、先ほど御指摘もちょっとございましたけれども、同一世帯の中で就学者がどれぐらいいるかとか、それから、世帯の中での、例えばお子さんがたくさんいらっしゃるとか、そういった世帯人数等、個々の世帯の状況に応じましてきめ細かく対応できるようにいたしまして、真にその奨学金を必要とする学生等への支援に努めてまいりたいと思いますし、また、その趣旨から家計基準のさらなる改善を検討しているところでございます。
○松本(剛)委員 さらなる改善がどっちを向いているのか、御答弁をいただけなかったわけでありますけれども、私の理解では、有利子は今、希望者の方々ほぼ全員、そして無利子でも八割でしたか、かなりの希望の方々に対しては確保されつつあるというふうに思います。となれば、家計基準を引き下げるということは対象者を絞るということですから、むしろこれからはやはり対象者を順次広げていくべきですし、冒頭に申し上げたように、私は、奨学金というのは、ある意味では無償化へ近づける過程の話であるというふうに思っておりますので、ぜひその方向で御検討いただきたいということを要請を申し上げて、時間も残りわずかとなりましたので、最後の質問をさせていただきたいと思っております。
 細かい点を政府参考人の方にお伺いしようと思っていたところがありますが、割愛をして、大臣にまとめてお聞きをさせていただきたいと思います。
 学校施設というのは防災拠点としての役割をしているということは、認識を共有しているところだというふうに思います。震災直後、三カ月ほどたった時点で、当時の民主党政権でも、今後の防災拠点としての学校施設のあり方ということの緊急提言を出させていただきました。その後、文科省の中において、学校施設のあり方に関する調査研究ということで、各分野別、また全体もあったのかもしれませんが、いろいろ御議論をいただいておるように承知をしております。
 私も公開されている資料で拝見をしますと、例えば、学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議で、災害に強い学校施設づくりの検討部会が九回行われて、一番直近の部会では、小学校施設整備指針の改正案というのが公開をされておりました。学校と他の公共施設との複合化検討部会というのは、まだ一回しか開かれていないようですのでこれからの課題ではないかというふうに思いますけれども、民主党政権時代に出た「学校施設の整備について」ということでも、やはり避難所としての学校のハードのあり方、ソフトももちろんなんですけれども、それから、他の施設との複合化といったものも一つの今後の課題ではないかというふうに出ておりました。
 耐震性の強化とかそういったものはもちろんでありますが、その次の段階として、どんな形で避難所の機能も備えた学校をつくっていくのか、また、他の公共施設と地域の核としての学校としてどういう拠点整備をしていくのか、かなり御議論いただいているようですので、ぜひこれを一つの形にしていただいて、ことしも全国で幾つかの小学校が大規模改修か建てかえになっていると思います。来年も当然なってくると思います。
 新しい形を早く始めていただいて、一巡するには相当時間がかかるわけですから、ぜひ下村大臣のもとでビジョンをつくっていただいて、全国にどんどん推進をしていただきたいと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
○下村国務大臣 御指摘の提言を踏まえ、文部科学省としても、学校施設の防災拠点、避難所としての機能強化に取り組んでいるところであります。
 学校施設は、児童生徒等の学習、生活の場であるとともに、今お話がありましたが、地域住民にとって、災害時における避難所としての役割を担う重要な施設であるというふうに認識しております。このため、教育振興基本計画や公立学校施設の施設整備基本方針などにおきまして、耐震化や防災機能強化の推進を掲げ、学校施設が避難所等の地域の拠点としての役割を果たせるよう、その取り組みを強力に推進してまいりたいと思います。
 今後とも、学校設置者からの要望を踏まえつつ、地域全体の防災力向上につながる学校施設の整備を目指して、必要な取り組みを一層進めてまいります。
○松本(剛)委員 終わりますが、先ほど申し上げたように、小学校の建てかえは一遍にできませんので、来年の予算からでもできるものはできるような形で大臣のリーダーシップを発揮していただくように強くお願いをして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○西川委員長 次に、椎木保君。
○椎木委員 維新の党の椎木保でございます。
 まず初めに、下村大臣、御留任まことにおめでとうございます。
 私も大臣の就任と同時に文部科学委員会に所属して、これまで本当にずっと大臣とともに文部科学行政に取り組ませてもらいましたけれども、今回も、大臣が留任ということで私も文部科学委員会を希望しまして、再度、引き続きやらせていただくことになりました。
 大臣の丁寧な御答弁と、非常に幅広い知識と経験に満ちあふれた奥の深い教育の理念といいますか、そういう答弁をお聞きするたびに、私自身、本当に、いまだにいろいろ勉強になっています。今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 質問に入る前に、私もちょっとこれを実際読ませていただきました。私も、高校、大学は新聞配達をしていまして、大学は新聞奨学生で入学金も借りて通っていたものですから、非常に、大臣のこれまでの生い立ちといいますか、人間的な幅広さというのも改めて痛感したところです。私の秘書にも、過去の同僚の教員の仲間にも幅広く推奨しまして、多く読んでいただきました。本当に、こういう思いで、大臣が、歴史に名を連ねる文部科学大臣として頑張っていただければと思います。
 若干、注文をつけたいと思ったのは、千五百円というのはちょっと高いかなと思いまして、これはもうちょっと安価であれば、もっともっと読まれる方も多いのかなと。蛇足でしたけれども、本当にいい、私も大変勉強になる一冊だったと思っています。本当によろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、早速質問に入らせていただきます。
 私がこの文部科学委員会に所属して一貫して質問してきた内容が、臨時免許状の内容が本当に大きな柱になっていまして、平成二十五年度の教員免許状の授与件数等の調査、この結果についてどうだったのかというのをお聞きしたいと思います。
○下村国務大臣 私のことに触れていただいたので、私の方でまず答弁をさせていただきたいと思います。
 私の留任に伴って椎木委員が引き続き文部科学委員会を希望されたというのは、大変私にとってもありがたい話でありまして、感謝を申し上げたいと思います。
 また、私の著書にも触れていただいて、大変お褒めの言葉をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。値段については、これは出版社が決めたことですので、申しわけございません。
 臨時免許状についても、今までこの文部科学委員会あるいは予算委員会、事あるごとに取り上げておられることに敬意を申し上げたいと思います。
 平成二十五年度の臨時免許状の授与件数は、平成二十四年度と比較して、百三十一件、残念ながら増加しております。
 臨時免許状については、一つは、病気による離職や育児休業の長期化など、年度途中の人事上の事情変更により、免許状を所有している代替教員が確保できず、やむなく臨時免許状を授与する場合、また、少人数学級や特別支援学級を増加させたことにより必要教員数が増加したにもかかわらず、計画的な採用が行われていないことなどにより、必要な免許状所有者が確保できない場合などに授与されていることが報告をされております。
 今回の増加の理由については、各都道府県教育委員会に確認したところ、病気による離職、育児休業、少人数学級、特別支援学級の増加によるという報告を受けているところであります。
○椎木委員 私は、実は、この資料をきのういただきまして、調査結果がまだもしかしたら出ていないんじゃないかなと若干不安にしていたんですけれども、出ているということで、それについては非常に、前倒しをして調査していただいたことには本当に感謝しています。
 ただ、やはり百三十一人ふえている。今の大臣の御答弁で、その原因といいますか、聞き取り調査をした理由については非常に正当性もあると思います。
 ただ、法の趣旨に照らしても、教育職員免許法第五条第六項に、普通免許状を有する者を採用できない場合に限りという法の趣旨の大前提があって、それで、毎年十八万人からの方が教員採用試験を受験していて、採用者が例年大体三万人。あえてという言葉を使わせていただければ、あえて十五万人を不採用にして、それでこういう臨時免許状を授与する。これが本当に、果たして子供たちの学力向上、私はこれを何度も申し上げているんですけれども、正規の教員を採用して、教員の教師力を向上させて、それで、経験を重ねるごとに、子供たちへの気配り、観察力、そういうものでいじめの抑止力にもつながっていく、これを私は一貫してこれまでも申し上げてきたんです。これは、私の教員を経験した経験上の話でもあるんですけれどもね。
 そういう意味では、昨年、一昨年と下村大臣の方から全国の都道府県に指導していただいて、また、文部科学省の方から都道府県に通知を発出いただいて、それでもってこの結果というのは、やはり本当に、私にとっては非常に遺憾な、残念な結果なんですね。
 普通免許状を有する者を採用できない場合に限るというこの法の趣旨を、もっと踏み込んで今後文部科学省の方で指導していただけるのか、一方で、どの辺までが指導の限界なのか、この辺の見識について文部科学省の方から答弁をいただければと思います。
○下村国務大臣 まず、椎木委員のおっしゃることは正論でありまして、そのとおりだと思います。
 臨時免許状は、普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り授与することができる免許状であるということですから、その授与については、真に必要な場合に限り行い、安易な授与を行うべきではないというのは当然のことだと思います。
 このため、御指摘のように、文科省としては、昨年十二月十九日、各都道府県教育委員会に通知を発出し、臨時免許状の安易な授与は行わないことなどを依頼しているところであります。
 また、ことしの十月九日、各都道府県教育委員会の免許担当者を対象とした会議を開催し、同様の依頼を再度行うとともに、臨時免許状授与の削減のために参考となるような都道府県教育委員会の取り組みについて情報共有を行うなどしております。
 都道府県教育委員会におきましては、現在、臨時免許状授与削減のため、一つに、講習の受講による普通免許状の取得促進をする、二つ目に、人事配置や校務分掌の工夫などによる、授与件数の少ない免許状を有している教員の効果的な活用や配置を行う、三つ目に、特別免許状や特別非常勤講師制度の活用による優秀な外部人材の登用などの取り組みを積極的に進めており、臨時免許状の授与削減に尽力しているところであるというふうに聞いております。
 文科省では、引き続き適切な指導を行い、臨時免許状制度の趣旨の徹底を図るとともに、都道府県教育委員会の免許担当者を対象とした会議を今後とも開催しまして、このような取り組み事例の共有化を行うことによって、臨時免許状の授与削減をさらに促してまいります。
○椎木委員 ありがとうございました。
 大臣の方から本当に丁寧な答弁をいただけましたし、私も、今大臣の答弁の内容ほど、その通知を発出してからされたとは正直思っていなかったものですから、そういう意味では本当に大変ありがたく思います。
 大臣も、この問題については、私が予算委員会の分科会で初めて質問させていただいたときから、その問題意識というのは共有させていただいていると思っていましたし、そういう中で、きちんと指導をこれまで重ねていただいたことについては本当にありがたく思います。
 私は、どうしても、さっきの冒頭の話ではありませんけれども、私のように苦学生で、大学で、新聞配達したりそういう中で学んで、やはり教員になりたいと。私だって、当然苦しくて、途中で教職を投げ出しちゃおうかと思いましたよ。ただ、やはりそういう中で教員を目指した人が、毎年十八万人受験して、それで三万人しか採用されない、そういう事態だけは打開したい。しかも、免許状を有する者を採用できない場合に限りというのとは、ちょっとなかなか、理由が合理的じゃないという考えもあったものですから。
 期待はしていたので、もっとある程度大幅に削減できるのかなと正直思っていたんですね、文部科学省の方からの指導でしたので。ただ、そう簡単に即効性の期待できるものでもないでしょうし、今の大臣の御答弁のとおり、引き続き、文部科学省にも指導の方をお願いしまして、取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 もう一つの資料の方で、免許外教科担任の許可件数、これも多分、委員の方で御承知の方もいらっしゃると思いますけれども、自分の免許以外の教科を一年以内に限り教授することができる、これも教育職員免許法附則の二にうたわれている内容です。この辺もやはり、大臣もこれまで、臨免と同じように、安易にこういうものを授与してはならないという指導をしてくれるということで、こちらもあわせて調査していただきまして、こっちは若干ですけれども、三百九十人ですか、指導の成果が上がりました。
 数的にはもっと期待していたところであるんですけれども、ただ、こちらについては、本当に文部科学省の指導の成果が結果に反映していると思いますので、引き続き、臨免とあわせて指導の方、よろしくお願いできればと思います。
 最後に、これは大臣じゃなくて文部科学省の方の答弁で結構なんですけれども、私が調べたら、大体、毎年十八万人ぐらいなんですよね、教員採用試験を受験している数が。それで、何度も申し上げていますけれども、採用者は三万人。これは都道府県の裁量ですから、私もここで余り多くをお願いする立場ではないんでしょうけれども、どの辺まで、正規の免許を持っている教員を採用するように文部科学省の方で踏み込んで指導ができるのかなと。
 要するに、免許を持った受験者がいて、その中で確保をすれば、臨免とか免外申請の数は当然減るわけですよね。ところが、結局、そもそも採用しないから、やはりこういう応急的になるんですね。
 だから、そういう意味で、もっと都道府県できちっと正規の教員を確保しなさいという指導がどの辺まで踏み込んでできるのか、もし、御答弁いただければと思います。
○小松政府参考人 都道府県におきます教員の採用をどのように決めていくかということ自体は、委員御指摘のとおり、地方公共団体の極めて重要な裁量でございますので、正直申しまして、何%までとか何人までということは、国としては権限はないということでございます。
 ただ、一方で、今おっしゃられましたような、ある意味、不安定であったり、長く教職として腕を磨くことができない方の数がふえていくということについては、やはり危惧されるところがあるわけでございます。
 私ども、その点は、今申し上げましたように、数字を挙げて指導するということはなかなか難しゅうございますけれども、あり方としては、常にその辺については、しっかりした教育をしていただくように指導しております。
 それと同時に、先ほど来、大臣の方からも答弁がございますけれども、都道府県等において、ある意味、見通しを持って長期的な採用計画が立てられるということが非常に重要だと考えております。
 その点におきまして、今回、教職員の定数改善計画の案をつくって、十年の計画ということで概算要求いたしておりますけれども、こうした形で私ども自身としても条件整備に努め、ある意味で、都道府県などがきちっと計画的に長期採用ができるようなことを進めていく、指導だけではなくて、その両方から状況を改善していくように努力する必要がある、これは文部科学省の立場ということだと考えております。
○椎木委員 ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いしたいと思います。
 次の質問に入らせていただきたいと思います。
 これも私が地方の教育委員会に十三年勤めていたときから非常に私も必要だなと思っていた政策の一つ、先ほど笠委員からも質問がありましたけれども、今回の財務省の四十人学級に戻すという、これは本当に私も、現段階ですから、あえてこれ以上の感情は入れませんけれども、本当に一言で残念だなというのが、その報道をされたこと自体が残念だなというふうに正直思っていまして、いじめとか暴力の抑制なんていうのは、一年や二年でなかなか成果なんか出るものではないんですよね。ましてや教育というのは、そう簡単に費用対効果で出るような問題でもありませんし、だから、これについては、もう本当に下村大臣を先頭に、文部科学省の皆さんにも何とか頑張っていただいて、三十五人学級を維持していただきたいなと。これは非常に切に、本当に重ねてお願いしていきたいと思います。
 財務省に対してもそうですし、私の地元の有権者、保護者の皆さんにも、私は自分の経験論で話すんですけれども、大臣とか文部科学省の見解として、逆に、少人数学級、三十五人学級にしたその成果というのはどういうふうに捉えられているのか、それをちょっとお聞きしたいと思うんです。
○小松政府参考人 三十五人学級を導入いたしまして、その効果等につきましては、私どもといたしましても、都道府県やあるいは学校の先生方の集まりなどに、いろいろとお話を伺ったり、あるいは、意見、情報交換をいたしております。
 おっしゃられますように、定量的に直ちに出るものと、それから、むしろ定性的に、学級集団が次第に質が向上していくという部分があると思います。
 現時点で少し申し上げますと、例えば、学力の水準の高さで非常に定評のございます秋田県などの例は、長い間にわたって三十五人学級というようなことを推進しているところでございます。あるいは、学力の向上ということで変化が比較的よく見える山形県などにつきましても、長い間の少人数学級の取り組みがございます。
 そうして、先ほどの全国連合小学校長会のアンケートで幾つかの項目がこの御議論の中でも紹介されましたけれども、学習意欲の向上やきめ細かい指導の充実等々、非常に高い比率で効果があったということを現場で指導していらっしゃる先生方がお答えになっております。
 こうしたトータルの中で、三十五人学級の推進については、非常に効果があるものと私ども思っております。
○椎木委員 今お話しされたようなことをもっと学校現場とか保護者の皆さんに本当に成果としてお示しできるような、そういうものを何か工夫していただいた方が、何か財務省の、数といいますか、計数だけで物事を判断するような、それとやはり教育というのは全然違うと思うんですよね。
 だから、私が教育行政、地方の教育委員会で勤務していたときに、私のその教育委員会では、平成二十年度から三十人学級というのを導入しているんですよ。今は二学年まで三十人学級を導入していまして、当然国費は入っていません、これは全部、市単独の予算です。そういう中で、やはり保護者からの評価というのは極めて高いですし、やはり子供たちも非常に落ちつきが出て、学習意欲が向上している。これは、教師の評価として私たちも聞いているんです。
 そういう中では、まず子供たちが一人一人落ちつきが出てくるということ。そして、教師が、少人数だということで、子供たちの顔色を観察しながら、学習の面、家庭の面、友達との学校生活の面、やはりこういうところに目配りが行く。これも私はすごい成果だと思うんですよね、この三十五人学級。
 私のいた自治体は三十人ですけれども、三十五人と三十人というのは、四十人学級と比べると、現場も非常にやりやすいですし、子供たちも、先生と会話をする時間、そういうのが生まれてきますから、だから、そういう成果というものを、今局長が答弁してくれたようなものを本当に何か上手にまとめまして発信していただければと思いますので、ちょっとそこは御検討いただければと思います。
 学力向上という、その狙いも一方であると思うんですけれども、三十五人学級は机間指導の時間がふえるというのは、これは明らかに、明確な本当に事実ですから、四十人学級よりも三十五人学級の方が、教師が子供たちの机の間を机間指導する。これは、やはり子供にとっても非常に安心感があるんですよね。教壇に立っている先生が自分の近くまで来て、どこがわからないの、どうしたの、ぐあいが悪いのと。そういう生活指導まで含めた指導が、それが私は一つのきめ細かな指導かなとも思っているんです。
 ですから、非常に財務省の見解とは、全くある意味で異次元に成果の上がる政策だと思いますので、簡単に本当に計数で物事を判断するのではなくて、あくまで教育なんですから、そんな簡単に一年や二年で成果の出るものじゃない。これはやはり現場の方も、重ねて、予算要求、折衝の際には頑張っていただきたいと思います。
 ちょっと時間もなくなってきたので、最後に大臣に、改めてなんですけれども、いろいろな大臣のコメントの中で、少人数学級、三十五人学級は非常にきめ細かな指導ができるんだということをいろいろな場面で数多く発信されていますけれども、大臣から見たきめ細かな指導というのは本当に具体的にどういうことなのかというのを改めてお聞かせいただければと思います。
○下村国務大臣 先日、土曜日、MXテレビですが、地域、東京限定のようなテレビ局ですが、そこで、今の四十人学級について、財務省が戻すということについて一般視聴者にアンケートで賛否を問う、文科省の主張と財務省の主張、どちらが望ましいか。
 始まる前から、もう結構ダブルスコアだったんですね。それについて、一時間の番組で、別に議論は、それについては深掘りの議論はしなかったんですが、一般国民から見ると、最終的には、四十人学級に戻すというのが、賛成が八百人、三十五人学級でやるべきだというのが千六百人ぐらいで、ダブルスコアで、国民は、当然三十五人学級の方がまさにきめ細やかな指導ができるというふうに支持しているという明らかな数字ではないかと思います。
 そういう意味で、今おっしゃっていましたが、いかに一人一人の子供たちに応じたきめ細やかな対応がまずできるかということだと思います。それは、子供たちの学習内容の習得だけでなく、今御指摘がありましたが、そもそもの学習意欲とか、態度とか、それから基本的な生活習慣、また、いじめ等の問題なんかも、より感覚的にわかる部分もありますし、さらに、家庭環境などによる教育格差、特別支援教育の対象となる児童生徒への対応など、教員の目がより細かく少人数学級によって対応できるということが可能になってくると思います。
 文科省としては、このきめ細やかな指導ができるよう、OECD諸国平均並みの教員一人当たり児童生徒数を実現するため、計画的な定数改善を図ることが必要であると考えておりまして、ことし八月に策定した教職員定数改善計画、この実現に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
○椎木委員 ありがとうございました。
 いずれにしても、笠委員のときの財務省の答弁にもありましたけれども、これは認知件数だけじゃありませんからね、成果というのは。まさしく、先ほどの局長なり、他の都道府県の事例、今の大臣の御答弁、そういうものを本当にできるだけわかりやすく、より多く発信していただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 恐らく、これは与野党ほとんど認識は一致していると思いますので、特に、この文部科学委員会の委員は、多分、四十人学級に戻すなんというのは到底容認できないという認識だと思いますので、私たちも、与野党の立場にかかわらず、これについては本当に一生懸命大臣をお支えしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 時間がちょっと厳しいので、最後、私立学校の授業料等の減免補助制度、これについて一点だけお聞きしたいと思っています。
 やはり私立学校に通わせる親の負担というのは非常に大きい。そういう中で高校の授業料の無償化というのを大臣も今まで非常に進めてまいったところですけれども、やはり、国が就学支援金制度とか高校生等の奨学寄附金制度を用意したことで、ある程度軽減が図られて成果が出た。
 ただ、一方で、国の補助で足りない部分は都道府県が独自で対策を任されているというのが実際現状で、例えば大阪府では、授業料無償化までこれまで達成する中で、標準授業料が五十八万円を超える学校については学校に負担をお願いするという、大阪ですら、やはりなかなか、橋下前知事と現在の松井知事の強力なリーダーシップがあっても、まだやはり完全にその負担の軽減が図れないというような状況であると思うんですよね。
 そういう中で、結論的には、高校生等への就学支援ということで、文科省なんかは非常にいろいろ政策的には打ち出して、私はこれは非常に成果のあるものだと思いますし、保護者の負担軽減には非常にこれは大きく貢献していると思うんですよね。
 ただ、都道府県がその拡充を国と並行してやはり取り組んでいただけないと、これは非常に不公平な政策になってしまいますので、これについても、先ほどの臨免の質問と同様に、国の方で、その拡充に取り組まない都道府県がもしあるのであれば、一歩踏み込んで指導していただければ、やはり国と都道府県がタイアップして保護者の負担軽減につながると思いますけれども、今後、その辺の指導というのを最後にお約束いただければと思うんですけれども、答弁の方、お願いします。
○下村国務大臣 御指摘のように、都道府県による家庭の経済的負担の軽減策の見直しについて、授業料減免の対象世帯の拡大や支給額の増額など、二十九都府県で支援策の拡充が行われている一方、十六道県では何ら拡充が行われておりませんでした。うち、今後拡充を検討する方針であるのは八道県でありますので、ですから、残りの八県はまだ検討していないということになるわけでございます。
 これまでも、国による就学支援金の拡充によって生じる都道府県の財源については、低所得世帯への一層の支援に充て、家庭の教育費負担の軽減を図っていただきたい旨、要請してきたところでありますが、今回の調査結果を踏まえまして、都道府県に対して、改めて、家庭の経済的負担の軽減策の拡充について要請をいたしました。
 今後、都道府県の補正予算や二十七年度予算要求の状況についてもしっかりフォローアップを行いまして、その結果を踏まえ、引き続き、家庭の経済的負担の一層の軽減に努めるよう、各都道府県に対して文部科学省としてしっかり要請してまいりたいと思います。
○椎木委員 ありがとうございました。
 本当に、下村大臣には今後ますますリーダーシップを発揮していただいて、大臣のときにいろいろな文部科学行政の事業、施策とか課題を一つ一つ改善していただきたいと思いますので、我々も我が党も一生懸命それについては御支援したいと思います。今後ともよろしくお願いします。
 どうもありがとうございました。
○西川委員長 次に、柏倉祐司君。
○柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いをいたします。
 きょうはまず、日本の頭脳流出についてお伺いをしたいと思います。
 ノーベル物理学賞に日本人三人が輝いたということなんですけれども、非常にうれしいニュースではありますけれども、ただ、実際には中村修二氏は実はアメリカ人であったということが、これはみんなああそうなんだぐらいにしか思っていないかもしれませんが、ただ、我々としては、ああ、中村さんもアメリカ人になっちゃったんだなというふうな思いがやはりあると思うんです。ノーベル賞が日本人は二十二人出ているという中で、南部陽一郎先生、そして今回の中村先生、二人は米国籍を取得されているということで、アメリカ人なわけでございます。
 そうしますと、今後こういった優秀な研究員がどんどんアメリカ人になってしまって、アメリカの研究に資するような研究はするかもしれないけれども、日本にフィードバックがないのではないかというおそれも生まれてくるわけです。
 趣旨としては、やはりこれは、いかに日本に帰ってきてもらって研究をしてもらうのか、これはどのように国がやっていかなければいけないのかということなんですけれども、逆に、ではそれなら、日本に住みついてもらう優秀な海外の研究者をどうやってふやすのかというところもしっかりとやらなければいけないという観点から質問をさせていただきたいと思います。
 頭脳流出ということなんですけれども、アメリカというのは三百人今ノーベル賞受賞者がいる。そのうちの三割が外国生まれだということなんです。結局、外国から移民というケースで来るケースもあるし、やはり留学というケースで住みつく、これはさまざまなケースがあると思いますが、多種多様な才能豊かな人たちがやはりアメリカで研究できる、そしてしかもアメリカ人になる、こういう環境が整っているわけです。これをいかに日本でつくっていくか。
 そこでまずお伺いしますが、現在の外国人研究者の比率、日本でどうなのか、海外ではどうなのか、ある一定の指標で説明していただければと思います。
○川上政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国のことから最初始めたいと思いますが、平成二十五年におきまして、我が国の大学及び研究開発法人における外国人研究者の比率でございますが、約四・三%ということになってございます。この数字は、徐々にでございますけれども、大きくなっているというところでございます。
 それに対しまして諸外国でございますが、必ずしもデータがあるわけではございません。今先生が、アメリカにおいて三百人のノーベル賞受賞者、そのうちの三割が外国生まれという数字をお出しになりましたけれども、それに倣いまして米国の状況について調べたものがございますので、答弁申し上げます。
 米国の大学における外国人研究者、これは先ほど御指摘のとおり外国生まれという意味でございますが、その研究者の比率は約二四%、三割と似たような数字になっているところでございます。
 以上でございます。
○柏倉委員 アメリカに関しては大体四分の一から三分の一ということだと思いますけれども、では、日本での目標というのは定めてやるんでしょうか。具体的に目標値もあれば教えてください。
○川上政府参考人 お答え申し上げます。
 本年の六月でございますが、閣議決定をされました科学技術イノベーション総合戦略二〇一四、ここにおきまして目標を定めたものがございます。
 世界トップレベルの大学等と競争する十分なポテンシャルを持つ大学及び研究開発法人の研究拠点等における外国人研究者の割合ということで、先ほどお答え申し上げました日本全国の平均という意味ではございませんが、これにつきまして、二〇二〇年までに二〇%、二〇三〇年までに三〇%を目指すということとされた目標を持っているところでございます。
○柏倉委員 二〇二〇年に二〇%、三〇年に三〇%ということですね。非常に高い目標だと思いますが、いかにしてこの目標に近づけていくかという具体的な政策、これは総花的な議論が行われているという印象は私あります。
 そこで、私も実はアメリカに、メリーランド・ボルティモアに二年間、研究者として海外留学をしてきたことがあります。家族を伴って行ったんですが、これは一研究者の立場としてというよりも、やはり、家族と一緒に優秀な外国人が来て、いかに研究を続けられるかという視点でちょっとお話をさせていただきたいんですが、外国からの優秀な指導者、研究者の給与だとか処遇、そういったものは、具体的なもの、議論が煮詰まっているものもあるかと思います。
 ただ、私は経験上、先ほど申しました、いかに家庭がハッピーであるかというのが実は、日本人でもそうなんですが、外国の方というのはさらにやはり家庭の幸福度というのを優先させて、それがよくないなと思えば出ていってしまうというようなこともあるわけです。
 とすれば、いかに外国人研究者の家庭環境、特に子女の学習環境、これは本当にピンポイントなんですけれども、ここのところの充実も、私は、これは絶対的に避けて通れないインフラだと思っているんです。
 そこで、優秀な研究者、もちろんこれは指導的なトップクラスの研究者、そして、そのリサーチラボを引き入れるようなレベルの研究者が日本で根づくためのその海外子女の教育環境の整備、これを国はどのように把握して、どのように考えているのか、説明をお願いします。
○下村国務大臣 御指摘のように、すぐれた人材の国際的な獲得競争が激化し国際的な頭脳循環が進む中で世界第一線級の人材を確保するためには、最先端研究環境の整備とともに、研究者の家族の教育に対する支援を含めた包括的な生活支援、これは不可欠であるというふうに考えます。
 文科省が平成二十六年に実施した外国人研究者意識調査におきましても、研究環境に対する満足度は高い一方、配偶者の就労サポートや子供の教育サポートに対する満足度が低いという結果があらわれておりまして、外国人研究者を受け入れている大学や研究機関においてさまざまな支援の取り組みが進められている段階であります。
 例えば、多数の外国人研究者を受け入れている世界トップレベル研究拠点プログラムにおきまして、家探し、医療、教育、配偶者の就労等の生活基盤に係るサポート体制の構築等を推進していたり、あるいは、科学技術振興機構、JSTが管理運営を行う外国人研究者宿舎において、子女の学校への入学、転入転出に係る手続の補助等の支援が実施されているということも承知をしております。
 私、ぜひこの当委員会で提案をさせていただきたいと思うんですが、今、国家戦略特区の公設民営学校の話が出ておりますが、私の知り合いのところで海外の子女の障害者の方々を扱っているインターナショナルスクールがあるんですが、我が国は残念ながら株式会社でしか認められないということですね。膨大な費用がかかるんですね。これは、施設も社宅を借りているということで、応募は相当あるんですが、収容は四十人ぐらいしか収容できない、三倍以上応募があるそうなんですが。
 日本もそうですが、海外でもやはりそういう例えば発達障害児の子供はふえているけれども、日本ではサポート機能がないということで、それで日本に行くのを諦めているということも聞いておりますし、例えば、そういうところを公設民営のような形をとってサポートできればと思うんです。これは、いろいろな自治体にこういうのをぜひつくったらどうかということを提案しているんですが、お金がかかることなので、なかなか自治体も乗るところが現在ない状況であります。
 こういうものを国も含めて海外の子女のサポートをすることによって、安心して、日本にはそういうものもあるということをつくっていくということは、文部科学省の所管としてはこれから必要なことではないかというふうに思います。
○柏倉委員 大臣、ありがとうございます。
 障害者の方の教育環境を整備していただけるというのは、非常に外国人研究者の方からすれば、よし、では行ってみようか、日本で研究してみようかというふうにかえって思うと思うんですよ。
 よくプロ野球とかで、子供が風邪を引いたから海外に一旦帰るとか、奥さんが子供を産むから一旦外国にまた戻るというのを聞いて、何だそれは、調子のいいときには特に、何でおまえは帰るんだというようなそういうことを思う人がいるかもしれないんですが、外国ではそれが当たり前のことなわけです。
 その外国の当たり前と日本の当たり前、お互いが譲歩するというのが一番いいことなんですが、実際は、すり合わせるというのはなかなか現実的じゃないと思うんです。やはりある程度ニーズに応えていく、そういったコンセプトをしっかりと我々は共有しながら、現状に満足してもらって、さらに、その上できっちりと歩み寄っていくという人間関係が私は必要なんだと思うんです。
 そういう意味で、大臣の、障害者を受け入れるその学校の整備、これはもうぜひこちらからお願いして進めていただきたいと思います。
 インターナショナルスクールの言葉が今大臣から出ましたけれども、いわゆる研究城下町というのが、こういう言い方が適切かどうかわかりませんが、ありますね。例えば筑波学園都市ですとか沖縄科学技術大学院大学、こういったところではやはり、インターナショナルスクール、そこで働く外国人向けの子女教育、それを何とか国際レベルを担保したい、魅力的なものにしたいということで、積極的に今つくられているかと思います。
 ただ、いろいろとやはりこれは問題点も当然のことながらあるわけです。現状、政府が把握しているこの研究城下町、インターナショナルスクールの問題点、そういったものがありましたら、まず教えてください。
○下村国務大臣 インターナショナルスクールについては法令上明確な定義はありませんが、平成二十五年五月現在、国際バカロレアやカウンシル・オブ・インターナショナルスクールズなどといった国際的な認証機関の認証等を受けているものや、主に英語で授業を行っていると思われる外国人学校で各種学校の認可を受けたものについて文部科学省で調査をしたところ、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫を初め、全国に四十八校あるというふうに承知をしております。このうち、学校教育法第一条に規定する学校や各種学校の認可を受けたものは四十校であります。
 つくば市については、つくばインターナショナルスクールが各種学校の認可を茨城県から受けているほか、国際バカロレアの認定も受けております。また同市では、現在、茗渓学園高等学校が国際バカロレアの認定に向けた準備を進めているというふうに承知をしております。
 インターナショナルスクールのうち、つくばインターナショナルスクールのように各種学校等の認可を受けたものに対しては、税制面の優遇や必要に応じ、地方自治体からの助成等の支援が講じられます。
 こうした各種学校の認可は各都道府県が行うものでありますが、文科省としても、外国人子弟の教育環境整備の観点から、各都道府県に対し、インターナショナルスクールなど外国人学校に対する各種学校の認可について、地域の実情に応じた弾力的な取り扱いを行うよう依頼してきているところでもあります。
 今後とも、こうした取り組みなどを通じまして、引き続き、インターナショナルスクールなど、外国人子弟に対する教育環境の充実に努めてまいりたいと考えます。
○柏倉委員 大臣、ありがとうございます。
 特に、その研究拠点、インターナショナルなレベル、最初から外国人教諭、外国人の研究者、ラボ長を据えてやるというような環境の場合は、その子弟がやはりその周辺に住んでもらう、そして家庭環境もよりいいものをこれは担保していくというのが必然的な流れだと思うんです。そのこれからの流れというのは、今大臣が御答弁いただいた流れをぜひ加速させていただきたいと思うんです。
 ちょっと各論で恐縮なんですが、一点だけ。沖縄科学技術大学院大学設置に伴ってできた沖縄アミークスインターナショナルというのがあると思うんです。これは、本来は沖縄科学技術大学院大学にいるその職員の子弟がインターナショナルスクールという形での教育を受けられるようにということでつくられたと聞いているんですが、実際にことしの五月一日現在、全児童生徒数五百十三人のうち、沖縄科学技術大学院大学の関係者の子弟が七人しかいないというような記事が載っております、これは沖縄タイムスなんですけれども。
 この低さというものは、どうしてこれだけ低いのか、その現状、その理由を教えていただきたいと思うんですが。
○下村国務大臣 済みません、ちょっと通告を受けておりませんでしたので、後で詳しく、資料を持って御説明をさせていただきたいと思います。
○柏倉委員 こちらの不手際で申しわけございませんでした。
 ぜひこの原因分析もしっかりやって、これがいたし方のないものなのか、まだキックオフして間なしだからとか、その子弟そのもの、子供がいないんだとか、そういったところがあればぜひ教えていただきたいと思います。
 それでは次の質問に移らせていただきたいと思います。次は、情報モラル教育についてお伺いします。
 私は自称ICT教育推進議連でございまして、コンピューター、ICTをどんどん教育の場で活用して、日本もその創造力、発信力を子供が身につけて、世界、先進国と伍して競争をやっていかなきゃいけないという立場でございます。
 どんどんICT教育を進めたいという一方で、これはやはり負の側面も同時に考えなきゃいけない。コインの裏表だと思うんです。ICTをどんどん子供に学んでもらうと同時に、そのコインの裏側では、ICT、いわゆるネットを通じたいじめというものも当然今ふえているわけです。
 高校生のいじめの三割はネット上のものだというような記事が出ていますが、現状は、本当はもっとそれよりも多いのかもしれません。ネット上で誹謗中傷を受けて不快と思う、それを申告する人がその中の三割程度しかいない、あとは、ほとんどの人はまだ我慢している段階なのかなと思います。
 ただ、そういったところをしっかりと教育していかないと、やがてはやはり自殺につながっていく、こういう一番悲惨な結果になっていくわけですから、私は、この情報モラルの教育というのは、かなりクローズアップして、ぜひ文科省さんにもやっていただきたいと思っております。
 そこで、いろいろな指導要領、指導要綱、テキストがあるかと思うんですが、平成二十五年度の文部科学白書では、小中高の学習指導要領の総則において、情報モラルを身につけさせるということを明記しています。
 どのようにやっているのか。具体的に、どの教科で、どの程度、どれぐらいの時間を使って教育しているのか、教えてください。
○河村政府参考人 児童生徒がインターネット等を適切に活用していくために学校教育において情報モラルを育成することは、委員御指摘のように、大変重要と考えております。
 学習指導要領においては、小中高等学校を通じて、児童生徒の発達段階に応じて情報モラルを身につけさせることを明記いたしております。
 具体的には、情報発信による他人や社会への影響や、ルールやマナーを守ることについて考えさせる学習活動、ネットワークを利用する上での責任や基本的な法律を理解し、違法な行為のもたらす問題について考えさせる学習活動を行うことなどを指導することといたしております。
 このような情報モラルに関する指導については、社会科や中学校の技術・家庭科、高等学校の教科「情報」を初め、道徳、特別活動、総合的な学習の時間等において幅広く行われております。
 このように、各教科等を通じて行うこととしており、また、教科等の固有の教育内容と関連づけて情報モラルに触れるという場合も多うございますので、個別具体的にどの教科等でどのくらいの時間ということを申し上げることは、大変困難な面がございます。
 ただ、各県や市の教育委員会などにおきまして作成している指導計画案を見ますと、例えば、情報モラルを扱う授業の時間を積み上げてみますと、これは卒業するまでにということなんですけれども、小学校で十四時間程度、中学校では八時間程度となります。また、高等学校の教科「情報」においては、情報モラルについて十時間程度指導するなどの例を見ております。
○柏倉委員 ありがとうございます。
 いろいろな教材、教科、そして段階において情報モラルの教育をしているということだと思うんですが、実際にちゃんと実践に即した形で教育がなされているのかというのがちょっと私は心配です。「私たちの道徳」、これだけじゃないと思うんですけれども、ちょっと私も情報モラルの部分を読ませていただきました。非常によくできているかとは思うんですが、ただ、やはり「私たちの道徳」ということで、良心に訴えるというところが主眼として編集されているように思います。
 これはやはり、現状こういったことも大事なんですが、残念ながら、刑法の部分、こういうことをやると名誉毀損で訴えられますよ、侮辱罪で訴えられますよ、脅迫罪で訴えられますよ、この具体的ないわゆる刑法の教育というのがなされているのかどうかというのが非常に心配でございます。私はやるべきだと思っております。
 残念ながら、やはり子供さんとはいえ、人を傷つけてしまう。そして、傷つけたことによる罰則というものが存在するんだ、そして実際的な事例も含めて、これは事細かにもっと時間を割いて、抑止力としても教育していかなきゃいけない。そういう時代になってきているんだと思います。
 ここに、文科省さんが作成をしました、これは平成二十年でかなり古いんですが、「ネット上のいじめ」に関する対応マニュアル・事例集というところで確かに法律は出ているんです。刑法としまして、ばあっと、二百二十二条、二百二十三条という形で数ページにわたってこういった刑法上の罰則、罰金が出ている。
 ただ、これがどのようにちゃんと教育されているのか、わかりやすく理解されているのかというところが私は非常に重要だと思っています。小さな子供さんだからといって全て看過される、そういう時代じゃなくなっています。やはり、何か起こってからでは遅い。そのためにも、社会の厳しさというのも、一定程度しっかりとこの刑法の教育という形で教えていかなきゃいけないんだと思うんです。
 名誉毀損、侮辱罪等々この罰則、これに関して、ネット上のいじめだけじゃなくて、いじめに関して全般、これは教育はされているんでしょうか、されていないんでしょうか。
○河村政府参考人 学習指導要領におきましては、道徳だけではなくて、技術・家庭科あるいは教科「情報」などを初めとしまして、そのほかの教科等の指導に当たっても情報モラルを教えることになっておりまして、指導要領の解説等では、インターネット上の犯罪や違法・有害情報の問題を踏まえた指導を行うことといたしております。
 文部科学省としましては、これらの指導の充実を図るためにさまざまな取り組みを行っております。
 例えば、情報モラルの指導に役立つ教員向けの動画教材や、指導のポイントをまとめた指導手引書を作成し、これを全国の教育委員会などに配付し、普及を図っております。この中でさまざまな人間関係の例なども入っているものでございます。
 あるいは、スマートフォンなどのトラブル及び犯罪被害の事例、その対処方法のアドバイスなどを盛り込んだ児童生徒向けのリーフレットを最近作成しまして、全国の小中高校などに配付をしております。
 また、加えて、文部科学省、総務省、関係団体が連携した、子供たちのインターネットの安心、安全な利用のための専門家による啓発講座ということも行っております。この中で犯罪ということの関係で申しますと、これは専門家が、例えばネット詐欺とかネット誘引とか、こういったものについての実態や、予防と対策などの講座も提供できるようになっているわけでございます。
 こうしたさまざまな教材の中では、犯罪に結びつくようなさまざまな行為についての控えるべきことが入っているというものでございますけれども、さらに引き続き、関係省庁、関係団体と連携をしながら、情報モラルの育成に係る取り組みを推進してまいりたいと存じます。
○柏倉委員 被害予防に関しては、かなり熱心にページを割いて説明も教育もしているというのはよくわかります。
 ただ、加害予防、変な言葉ですけれども、やはり罰則規定というのもしっかりと教えていかなきゃいけないという趣旨での質問でありまして、その罰則規定について、法をちゃんと侮辱罪ですとか名誉毀損だとか、そういったところの具体的な教育はしているのかしていないのか、済みません、そこをもう一度教えていただけますか。
○河村政府参考人 個別具体的に刑法何条について教えているかということについては、今、済みません、実態把握はつまびらかではございません。
 ただ、いじめに関しましては、被害に遭うという方だけではなくて、例えば、先ほどちょっと御紹介をいたしましたリーフレットの中で、そうしたインターネットを使った「いじめは最低!」というような見出しをつけました。
 加害者としてもいけないということはしっかりと普及をしつつあるところでございます。
○柏倉委員 法学を教えろということではなくて、ネット上のいじめだけじゃなくて、いじめそのものが刑法でこういった形で罰せられる可能性がある、そして、損害賠償が生じた場合は親御さんが払わなきゃいけないんだ、こういったところもしっかりとやはりある程度時間を割いて教えていくべきだというふうに私は思っております。
 ぜひ、そこのところの努力を文科省さんにはお願いをしたいと思います。
 時間が参りましたのでこれで終わりにします。ありがとうございました。
○西川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○西川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。田沼隆志君。
○田沼委員 では、お昼に続き、どうやら無事質問できるようでございますので、させていただきたいと思います。
 まず初めに、副教材について、前回、十月十七日の委員会質疑でも取り上げさせていただきましたが、この副教材についてお尋ねしたいと思います。
 十月二十六日の産経新聞でも取り上げられておりましたけれども、朝日新聞がつくった「知る沖縄戦」というものがございます。今こちらにコピーがございますけれども、委員の皆さん御存じでしょうか。「知る沖縄戦」ですね。
 これは、先日の委員会でも義家委員も取り上げられていましたけれども、ことし、朝日新聞が各学校に無料配付をしているというものですね。大臣もこれは多分御存じだと思うんですけれども、この内容がひどいんですよね。
 私は千葉の生まれでありまして、千葉が大好きでありまして、千葉の偉人の誇りとして、やはり大田実中将がおられます。大田中将は、「沖縄県民斯ク戦ヘリ」という名文を残されて、自決というか散られました。
 この沖縄戦には、いろいろな評価が当然あるわけであります。しかし、この「知る沖縄戦」は、非常に一方的な内容が多いですね。例えば、対馬丸が撃沈されたことが大きく取り上げられているんですけれども、これはもともと民間人を本土に疎開させようとしていた側面があったりするわけですし、あと、集団自決に関しても随分書かれておるんですね、この「知る沖縄戦」。ですけれども、委員の皆さん御存じのとおり、集団自決にもいろいろな見解があって、むしろ、集団自決させないようにという当時の牛島司令官と泉知事との間の合意があったりとか、多角的な見方ができるものなら間違いないと思います、少なくとも。
 この「知る沖縄戦」も、報道機関がいろいろな報道の自由、言論の自由でやるのは結構ですよ。だけれども、教育現場に持ってくる。出前授業というのもやっているそうですね。出前授業を受け付けますよ、どんどん行きますよと言っているんだそうですけれども、やはりそれはちょっと違うんじゃないかと。
 教育の世界では、やはり、学習指導要領でも、多面的、多角的に考察するという言葉が、歴史にせよ公民にせよ書かれているわけでありますから、一面的に思えるこの内容は学習現場に非常にふさわしくないと思いますけれども、大臣、御見解をお伺いできればと思います。
○下村国務大臣 各学校におきまして学習指導要領等に基づき教育を行う必要がありまして、その際、教科書を主たる教材として使用するとともに、その他の教材については、有益、適切なものを選択、活用することが求められます。
 また、特に授業で歴史的事象を扱う場合には、さまざまな資料を活用し、歴史的事象を多面的、多角的に考察し公正に判断することが求められるところであり、その旨、学習指導要領やその解説にも明記されているところであります。
 御指摘の「知る沖縄戦」が実際学校現場においてどのように活用されているのかどうか、その詳細は現在承知しておりませんが、学校等の判断により補助教材を用いる際には、先ほど申し上げました学習指導要領の趣旨を踏まえ、生徒が多面的、多角的に考察し公正に判断することができるよう留意して指導に当たる必要があるというふうに思います。
 「知る沖縄戦」の記述全体の内容までは、私自身まだ現時点で全部を読み込んでおりませんのでまだ何とも申し上げる立場ではありませんが、ただ、報道等によると、光と影の、影の部分しか記述がないのではないかと。
 また、私も沖縄に行ったとき、現地の人に大田中将の地下ごうを案内していただきましたが、沖縄の方々の思いを壁に書き込んだと。感動的で、私自身も、実は沖縄に行ってそこが一番印象に残っているところでありますが、例えばそういうことも、例えばですけれども、書き込む中でトータル的に、朝日新聞的な記述をするとなれば、バランスをとったことであれば問題ないと思いますが、そうでないということであったら、これは副教材として使うのは適切でないというふうに思いますが、全文を読んでみたいと思います。
○田沼委員 ぜひ通知のときに、朝日新聞的という一言が書けるかわかりませんけれども、偏ったものでないように、大臣が今言われたように、多面的、多角的、トータル的に、そして学習指導要領から逸脱しないようにというのを、前回の委員会でも局長から、通知も含めてと御答弁がありましたので、ぜひ通知を出してください。改めて、学習指導要領の内容に逸脱しないということで、学校現場はやはり報道とは違うんですから、学校の中は学校でちゃんと管理していかないと意味がなくなってしまいますので、大臣の答弁のとおりきっちりと、その通知の内容も指導要領に沿ったものであるように要望をさせていただきたいと思います。
 次に、採択についてまたお尋ねしたいと思います。
 前回の質疑でも、やはりこの採択の問題でも、私は取り上げさせていただきました。前回は、ちょっと時間が、後ろが尻切れトンボ的になってしまいましたので、続きをさせていただきたいと思います。私、共同採択地区というもの自体が本当に必要なのかということを、前回の質疑でも最後にちょっと大臣にお尋ねさせていただきましたけれども、この問題です。
 共同採択制度の意義というのが文科省の資料にございまして、四点意義が挙げられています。一つは、多くの教員が参加できますので、調査研究が綿密にできる。それから、共同で授業研究もできる、教材研究もできる、これも同じような話。三点目が、周辺市町村への転校により教科書が変わるという学習上の不便が生じないことというのが、共同採択制度の三点目にあります。四点目が、教科書の円滑な供給と教科書価格の低廉化が期待できることというのが四点目であります。この三と四が、今、意味があるのかというのが私の問題提起であります。
 例えば、四点目の教科書の低廉化ということでも、教科書というのは、最終的に国で一括して教科書会社に部数を発注していると聞いています。となると、共同採択地区がある意味はないんじゃないでしょうか。国でバルクにして、これだけの部数ですよとなれば、低廉化はもう十分できているわけであって、共同採択制度は必要ないんじゃないか。役所の方に聞いたら、供給の手間、コストを低減できるということも言われていましたけれども、それは別に、共同採択地区があってもなくてもできるようなことだと思いますので、説得力が非常に弱い。
 それから、さかのぼって三点目の、周辺市町村への転校により教科書が変わるという学習上の不便が生じないこと。これも、もう今の時代、必ずしも隣に引っ越しするわけではないですし、本当にこれは定量的に分析した上での意義なのかなというのが、非常に疑問がございます。
 定量的にどれぐらいの比率なのかとかはお聞きしませんけれども、この四点目と三点目の共同採択制度のある意義というのは、今本当に必要なんでしょうか。ちょっといろいろな議論もあるかと思いますけれども、御見解を。では大臣、お願いします。
○下村国務大臣 おっしゃるとおり、三点目、四点目は、もう時代に合っていないと思います。削除したいと思います。ただ、一点目、二点目はやはり必要だと思うんですね。
 一点目というのは、教科書の採択に当たっての調査研究、これは、地区内の多くの教員等が参画でき、教科書の内容について綿密な調査研究が可能となる。一町村で一校しかないという学校もあるわけですね。そうすると、その一教員なり、あるいは二、三人の教員が、本当に全ての教科書を読み込んで、どれが一番適切なのかということを判断できるのかというよりは、より多くの関係者の方々が一緒に共同研究するというのは必要なことだと思います。
 それから、同じようなことですが、二点目の、地区内の教員が共同で教材研究や授業研究を行うことも可能だということでありまして、この一点目、二点目はやはり必要だ。また、お互いに、教師同士が一緒に共同研究や授業研究を行うことによって、教師力もアップするということにつながってくるというふうに思います。
 ただ、今後、三点目、四点目は削除いたします。
○田沼委員 明快な御答弁ありがとうございます。全く同じ思いであります。
 一点目、二点目の方なんですが、これは、大臣が言われるように、小さな自治体などでは非常に重要なことだと思うんですが、これは調査研究とか授業研究であって、採択とは別、採択の前段階なわけですね。ですので、通告でも書かせていただきましたが、調査研究、授業研究は共同採択地区でやってもいいんですが、採択の段階では各自治体でやるというのでもいいんじゃないか。要は分解ですね。というのでも私は全く問題がないのではないかというふうに思うんです。
 ちょっと、この提案に対する御見解をお聞きしたいんですけれども、というのは、やはり共同採択制度をなるべく柔軟化するという、今回の教科書改革実行プランでもございますが、一方で、前回質疑で私も言わせていただきましたけれども、なかなか、県教委の取り組み次第によってしまっている。だから、小さな市町村は、県教委に一応、単独採択化してくれと言っても、抵抗に遭ってしまって、だめだという自治体の話はやはりあるんです、これは事実として。どことは言えませんけれども。
 ですので、やはりこれは原則として、採択は自治体、その前の調査研究、授業研究は共同でやりましょうという形にすれば、両方が成り立つんじゃないか。共同採択制度の意義、必要性という意味では、研究の段階、これは大事です。ですが、一方で、各自治体が自分たちで決定したり採択したりという要望にも応えることができるという、二段階論にするのがいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣の御見解をいただければと思います。
○下村国務大臣 これは、八重山地区の教科書採択で、このような問題が出たわけですね。
 文科省としては、八重山共同採択地区で選ばれた教科書は、それぞれの共同研究や共同採択の中で選ばれた教科書がベストだということで、その地区として選ばれたわけですから、それを使うのが望ましいというふうに思いますが、実際は、一つの地区が違う教科書を選んだということで、今までいろいろな議論があったわけでございます。
 そういう意味では、共同研究、採択の中で、調査研究を行った中で、共通してこれがベストの教科書だろうということであれば、当然それを、共同採択地区としても同じ教科書が選ばれるというのが、本来、必然的であるというふうに思います。
○田沼委員 了解しました。
 そういう意味で大臣と私が違ったのは、調査研究というものが本当の調査研究で終われば私はいいと思うんですが、その後、この会社の教科書がいいというふうに、絞り込みになって提案されてしまうのを、多分、現行制度ですから、それを大臣が言われたんだと思うんですが、そこは私は反対であります。やはり、調査研究を踏まえて、後は絞り込みはなしにして、それぞれの会社のいいところ、悪いところはちゃんと報告していただきますけれども、絞り込みをしてしまうと、やはり大臣の言われるとおりになるとは思います。
 ですので、私は、絞り込みをするということは抜きの、その前までの、どの会社がどういう評価だというところまでの調査研究と報告はそれぞれの共同採択地区でやって、あとは各自治体がそれを踏まえながら教育委員さんがみずから決めるという形にするべきだと思うんですけれども、もう一度、大臣、御見解があれば。
○下村国務大臣 共同採択地区ということが前提であれば、それはやはり共同採択地区ですから、そこで同一の教科書採択をするということが望ましいというふうに思います。
 ただ、現在、公立の義務教育諸学校における教科書の採択は、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会の権限と責任において行われるべきものであるというのが法律のたてつけでありますから、最終的にはそこの教育委員会がどんな判断をするかということにもなるわけであります。
○田沼委員 やはりその制度自体にいろいろ私も疑義があるということなんですね。
 この共同採択制度自体の疑問の一つの証拠というか、問題点を御提案したいのが、今大臣まさに言われた教育委員さん、教育委員さんじゃない人も共同採択地区協議会の中では採択にかかわっているという事例があります。
 これはまさに文科省さんが、平成二十四年九月、「教科用図書採択の状況に係る調査結果について」というレポートを出されておりますけれども、そこにあるのは、共同採択地区協議会の委員の構成というところがございまして、それで、何と、教育長さんと教育委員、教育長さんはメンバーの、共同採択の方ですよ、各自治体じゃなくて共同採択の方です。教育長さんは三七・三%、教育委員さんは二三・二%、合わせて六〇%ですね。ほかに、校長先生とか、教諭とか、教委職員、それから保護者、その他ということで、本来、教育委員というのは教育長と教育委員さんだけです。当たり前ですけれども。ここに、校長とか教諭とか、いわゆる現場の先生は入りません。当然ですけれども。でも、共同採択地区協議会の委員構成というこの資料の中では、何と四割が教育委員さんじゃない人が決定にかかわっているということが出されているわけであります。
 これはそもそも、教育委員会が、大臣がまさに今言われた、教育委員さん自身が採択を決めるということと実態的には逆行してしまっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、もっと言うと、採択権限がない課長さんとか、そういった方が決定にかかわっているということは不適切だと私は考えますけれども、御答弁をいただければと思います。
○小松政府参考人 教科書の採択そのものは、教育委員会の権限と責任で決まるということでございます。そのプロセスで教育委員会がどのように採択をするかというときに、その協議会に、その関連の、今のお話でいきますと、先生方というのもありましたけれども、保護者とか、そういうものが入る場合もあります。この辺をどのようにして選定するかというのは裁量になっていることでございますので、必ずしも教育委員会が決定する権限と責任があるということと矛盾はしていないということでございます。
○田沼委員 いや、建前論はそうですけれども、矛盾しているじゃないですか。だって、実態としては、さっき大臣が言われたように、共同採択地区ですからといって共同採択地区で選んだものを使ってくださいと言っているんですから、各自治体の教育委員さんはそれに従わざるを得ないじゃないですか。それでは、実権はもう共同採択地区にあるということですよ。なのに矛盾しないというのは建前論ですよ、そんなのは。そうやって四割も採択権限のない人たちが決定にかかわっているというのはおかしくないですか。
 私、もともとの提案は、大臣、共同研究地区にした方がいいんじゃないかという御提案でした。共同採択地区にすると、こういうおかしな過程に今なってしまっているということが起きているわけです。これはやはり私としては非常に問題だと感じています。
 御見解があれば。
○下村国務大臣 今局長から答弁がありましたように、法律的にはこれは明らかでありまして、今御指摘のあった採択地区協議会、これは教育委員の方々以外の方々も入っていて採択地区の協議会が構成されていても、先ほど答弁申し上げましたように、最終的には当該地区の教育委員会がどの教科書を採択するかは、これは法律上は明確でありますから、ですから、協議会の結果が、そこの構成員の中に当該の教育長や教育委員が入っていたとしても、独自の自治体の教育委員会が最終的な採択権を持っておりますので、その結果と違う教科書を採択することはあり得るということであります。
 ただ、協議会で協議したわけだから、それがいいと思ったベストのものであれば、普通は必然的にはその教科書が選ばれるのは、それは当然の帰結だとは思いますが、しかし、教育委員会そのものが最終的には採択権を持っているということですから、違う教科書を選ぶことはあり得るということであります。(発言する者あり)
○田沼委員 やはり、大臣の言われるのもわかりますけれども、実態的にはとにかく共同採択地区の方で決まってしまっているわけです。私は、だから、八重山の問題は、もちろん大臣と同じ見解ですから、竹富はおかしいと思いますよ。
 ですから、各自治体が採択は決める、調査研究までは共同、だから共同研究地区という名前に変えて、それで研究は大きな単位でやって、あとは各自の採択にした方が、むしろ地方自治の、地方分権の方向性にも沿いますし、あとシンプル。二重回答になっているから、今。二重回答だとどっちが決定者かがよくわからない、これが今の問題なわけですね。だから、これをシンプルにしてしまった方がいいと思います。
 もう一回だけお答えいただければ。
○下村国務大臣 さっきやじで、八重山のときと違う答弁じゃないかというやじがあったんですが、そのときと、法律が改正されたんですね。今は改正された後の答弁を申し上げているわけでありまして、共同採択地区で採択されるというか教科書を選定されたとしても、最終的には教科書の採択は当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会の権限と責任において行われるべきものというふうになったわけでありますから、先ほどからおっしゃっている田沼委員の主張も、今の法律にのっとって、そのようなことが実際はできるわけであります。
○田沼委員 ちょっとこれ以上あれしても、また平行線かもしれないのであれですが、やはり最終的には各自治体と大臣も言われますが、一方で共同採択地区での決定を尊重するということになると、やはり非常にわかりにくいと私は思います。ですので、これはもう御提案にとどめますけれども、共同採択制度をそもそも共同研究制度に、調査研究制度に改めてしまうということを私としては御提案を申し上げたいというふうに思います。
 あと、この採択に関してもう一点。
 同じ文科省さんの二十四年九月の調査結果だと、採択のスケジュールについての問題点もストレートに出されていまして、これは各県に、採択事務のスケジュールについて何か問題点とかはありますかと聞いたら、調査研究期間が短過ぎるというのが三十二県あるんですね。ほかに、学校行事との関係で調査研究の日程設定に苦慮している、十五県、これも同じようなものですけれども。あとは、都道府県からの選定資料の送付時期が遅いとか、需要数報告期限との関係から、採択結果公表前に各学校に採択結果を連絡しなければならないというのが懸念、大変だということで、かなりの自治体は、この日程が短い、時間がありませんということを言われています。
 私も、現場をいろいろ、千葉市のときも見ていましたので、そのとおりだと思います。ですので、八月末までにこの決定をしないといけないというのを、だったらこれを九月末に延長してもいいんじゃないか。これも提案型の御質問なんですが、これは別に、九月末に延ばして十月に決定というふうになっても、その後のスケジュールには何の支障もないということも確認してわかっておりますので、だったらもう延ばした方がいいんじゃないかと思うんですけれども、これはちょっとテクニカルかもしれませんが、どちらか御答弁いただければ。
○下村国務大臣 義務教育諸学校の教科書の採択については、検定合格後の見本が各教育委員会に送付されるのがおおむね四月末ごろでありますが、そこから教科書無償措置法施行令の定めによりまして、御指摘のように八月三十一日までに行うこととされているわけであります。
 一方、市町村教育委員会が実際に教科書採択にかけることのできる期間については、教科書見本そのものの送付がおくれた、あるいは、都道府県教育委員会が設定する市町村教育委員会からの教科書需要数の報告の期限が早いなどの事情によりまして、必ずしも十分に確保できない場合があるものと、御指摘のように承知をしております。
 このため、文科省においては、これまでも通知等におきまして、教科書発行者に対し、教科書見本を作成次第速やかに送付する、つまり前倒しについて求める、また、都道府県教育委員会に対し、市町村教育委員会からの需要数の報告の期限を含め採択スケジュールについて、もうちょっと柔軟に再検討したらどうかということについて促す、そういう取り組みをしているところでございます。
 今、八月三十一日をもっと先に延ばしたらいいのではないかという御指摘がありましたが、そのような御指摘がかつてあって、平成十五年に、もともと、それまで八月十五日だったものを、採択期限を八月三十一日までに延ばしたというのがありますが、事務方からは、これ以上延ばすと特に中小の教科書発行者による印刷業務や教科書供給会社による供給業務への影響が大きいということで、ぜひぎりぎり八月三十一日までにしてほしいという要望がある中での期限だというふうに承知をしております。
○田沼委員 それは時代が気になるところで、平成十五年ということですが、昨今はもう非常に印刷の技術とか事情も大分変わってきていると思うんですね。一カ月延長して、中小の会社と言われましたけれども、大体最低数万部になりますから、そうなると、中小といっても、ある程度ちゃんとした会社ばかりでありますから、今の平成二十六年の現在に、さらにその印刷期間のことを考慮し過ぎる必要は私はないんじゃないかと考えます。
 実際、九月一日以降に採択が延びてしまう場合の事例、その場合の対応方針というのも、もともとこの無償措置法の方で想定されているわけです。第十四条に想定されているので、これはやはり延ばしても大丈夫じゃないかと思います。ちょっとこれは、御見解はもう結構ですけれども、一応御提案ということでさせていただきたいと思います。
 時間がなくなってきたので、本丸がちょっと時間がないんですけれども、あと、道徳の教科化については、ごめんなさい、飛ばします。あと、最後になると思います。教員の体制についてという通告をさせていただきました。
 これはもう、きょう、今までも多くの委員さんが、財務省が突如出してきた四十人学級復活論、三十五人学級なのか四十人学級なのかという議論がありますけれども、いろいろな委員さんの御指摘、いろいろな議論をじっくりする必要が私もあると思います。が、一つの分析の観点として、財務省の数値的な分析だけでは問題でもありますけれども、一方で、三十五人学級が本当に有効なのかということにもちゃんと答えなくちゃいけないかと思っております。
 私の知る先生に、この辺どうなのと、まあ雑談なんですけれども、聞いたときに、三十五人か四十人というのは余り差がない、どちらかというと授業の担任の先生の授業力によるんだ、非常に心をつかめる授業をする先生なら四十人でも五十人でも全然大丈夫だと。なぜなら、つかんでいるから。だけれども、授業力の低い先生だと、人数が多ければ多いほど大変だろうねという話をしておられました。
 それはそれで、その先生の一つの見解でしょうけれども、そういった、単純に学級の規模だけで議論できる問題ではないと私は思っていまして、多角的な議論、見解、分析が必要だと思うんですけれども、その辺に関して大臣、御見解があれば。
○下村国務大臣 今のお話については、個別論と総体論では当然違いがあると思いますね。それは、もちろん、四十人学級であろうが五十人学級であろうが教えられる能力のある先生もおられるでしょうけれども、総体的には、やはり政策として考えた場合には、より少ない人数の方がきめ細やかな指導、目の行き届く指導ができるというのは、これは一般論からいっても常識的な部分だというふうに思います。
 それが三十五人か四十人かということについては、今後、ぜひ財務省も呼んでいただいてじっくり議論をしたいところでありますが、やはり世の中が複雑化、多様化してきているというのは教育現場に反映していますから、一人一人の子供たちの学習意欲や多様性を考えた場合には、より効率的なというよりは、先生についても、いろいろな先生の配置、手配をしながら、配慮した教育をするというのは、文部科学省としては当然の方向性としてきわめていくべきことであるというふうに考えております。
○田沼委員 授業力の向上ということもあわせて、我々としては、我々というのは文部科学族というか、教育を考える我々としては取り組んでいかなくちゃいけないんじゃないかということを御提案申し上げたかったので、御答弁を了解いたしました。
 時間となってしまいましたので、きょうはこれで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
○西川委員長 次に、井出庸生君。
○井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。大変御無沙汰しております。きょうはよろしくお願いをいたします。
 きょうは、私から何度かこれまで取り上げさせていただいておりまして、きょう貴重なお時間をいただいて再度取り上げさせていただきます、原発の賠償の件に関してです。
 きょう、東京電力から木村常務執行役にもお越しをいただいておりますが、まず、もう何度か伺っているんですが、改めて、現状ということで、ADRが示した和解案の拒否、打ち切りとなった件数、そのうち、特に東京電力側の意向によって和解が拒否、打ち切りとなったものの件数。私がことしの初めに伺ったときは十五件で、いずれも東京電力の社員や御家族が当事者だったという御答弁をいただいておりますが、今現状どうなっているかを教えてください。
○木村参考人 お答えいたします。
 和解案に対します、弊社拒否を理由としました審理の打ち切りを紛争解決センターから通知されているものにつきましては、今現在、四十六件になっております。
 以上でございます。
○井出委員 その四十六件というものは、被災者、被災されている当事者というのは、東京電力のまた社員や御家族に限られた話なのでしょうか。それとも、もうそういった社員や御家族以外の被災された方についての、東電側の意向による和解案拒否、打ち切りという事例が出ているかどうか、教えてください。
○木村参考人 四十六件につきましては、全てが当社の社員及びその御家族についてのことでございます。
 以上でございます。
○井出委員 これまでの議論で、なぜ社員や御家族に対する案件のみが打ち切りになるのか。その主な理由として今までいただいていたのは、賠償は基本的に個別の事情に応じたものだということは私もよくわかっております。その中で、これまで東京電力の方でおっしゃられていたのは、社員や家族は、ほかの、そうでない被災者に比べて、家族構成ですとか、どこに何年住んでいたとか、財産とか、そういった事情がよくわかる、だからこそ個別に応じた賠償をきちっとやっている、そういうお話が過去に何度かあったかと思うんです。
 そういった東電の方で把握されている事情も含めて、そういったこともADRの和解仲介の場でやりとりをした上で和解案の提示があると思うんですが、それでもそれを拒否される、そしてまた、拒否されているものが全て東電の社員また御家族という、そういった結果に行き着く、その理由というのは一体何なんでしょうか。教えてください。
○木村参考人 お答えいたします。
 私どもといたしましては、和解案を尊重するということで、新・総合特別事業計画の方にもうたわせていただいているとおり、極力迅速に和解をさせていただく方向で検討してまいっております。しかしながら、中間指針と著しく乖離していたり、あるいは、因果関係の立証が非常に困難であるというような問題につきましては、一部受諾できないという案件が出てございます。
 この社員賠償につきましては、先ほど先生がおっしゃられたとおり、発災から避難している時期というものが、社員でございますので明確に把握できるということがございます。ただ、一時的に避難していたところで打ち切られたというものにつきましても、よくよく御事情をお伺いして、それは、御家族で本当に六畳一間のところに仮住まいをしていたとか、実際にちゃんとしたところに入居できているということではないものも打ち切られているケースがございましたので、私どもといたしましては、ことしの一月に社員賠償の窓口といったものを開設させていただきまして、いま一度、御事情をしっかりと承る姿勢でございます。
 今現在まで五十六件の方が御相談に見えておられまして、その中で数件が、改めて追加で賠償させていただけるといった案件も出てございます。したがって、今後とも、ADR案件であるなしにかかわらず、御事情をしっかりとお伺いして、追加で賠償できるところは賠償してまいりたいというふうに存じております。
 以上でございます。
○井出委員 過去の議論で、文部科学省、ADRの側からすれば、賠償の指針等において、東電の社員ですとか社員でない、そういった基準はない。社員だろうとそうでない方であろうとということは、かつて下村大臣にも一度御答弁をいただいております。ただ、ことしの初めに伺った件数が十五件で、今四十六件、それが全て東電の社員、御家族。
 私が一番案じていますのは、やはり東電の社員、御家族、原発事故の当事者の会社である、そういう思いもあって、例えば世論の、世間からの見られ方とか、そういったこともあって、私は非常に、被災された社員、御家族というのは大変複雑な心中なのかなと思うのですが、賠償の基準はあくまでも、社員であろうとそうでなかろうと、そういう基準になっているわけですね。ですから、社員とその家族だけについて拒否、打ち切りが出ているという事態を、いつまでもこの状態がずっと続くことは何としても解決をしていただきたい。私はそのことを強くお願いをしておきます。
 この和解の打ち切りに関連をしまして、これも以前に取り上げさせていただきました福島浪江と飯舘村蕨平地区の集団申し立ての件に関連するのですが、あの二件の集団申し立ての問題は、東電の方で和解案が受け入れられないということで膠着状態になっている。東電側の方でこの和解は応じられないということで、まだ打ち切りにはなっていないんですが、もう協議が進まない、とまってしまっている。
 私は、こういったものはほかにもあるんじゃないかと思っているんですが、東電側が和解を受け入れずに、尊重せずに膠着状態、事実上打ち切りの一歩手前の状態が続いているようなものというのは、一体どのように把握されているのか、教えてください。
○木村参考人 お答えいたします。
 今おっしゃられました浪江の問題あるいは飯舘村の問題でございますけれども、これは、特に浪江につきましては一万五千人を超える方々のお申し立てということでございまして、個別事情をしっかりと酌み取らせていただいてという本来の趣旨とやや乖離しているということがございまして、いわゆる浪江の方々だけに増額五万円といったものが、個別事由として明らかであるというところが非常に難しいところでございます。
 それ以外の地区に、全てに影響を及ぼす問題でございまして、ここは私ども、先ほど申し上げましたとおり、ADRが被災者の方々に対します適正な賠償を早期に実現するためのものであるということは重々認識させていただいておるのでございますけれども、実際に、今までのADR案件につきましても、そのほとんどをお支払いしてまいっております。ただ、本件につきましては、そういった御事情がございますことをお酌み取りいただければと考えております。
○井出委員 浪江と飯舘の二件については、東電さんの主張も伺っておりますし、また、申し立てをされている方の話も伺っているので、特にこれ以上は伺わないんですが、いま一度伺いたいのは、東電側で和解案がのめない、それで打ち切りの一歩手前で膠着状態になっているようなものというのは、私はほかにもかなりあるのではないかと思っているんですが、そのあたりの把握状況を教えてください。
○木村参考人 お答えいたします。
 このような集団申し立てといったものは、今後ふえてくるのではないかということも想定されております。
 しかしながら、先ほど来申し上げているとおり、私どもとしましては、ADRに申し立てをしていただいた案件につきましては、できる限り早急に、迅速に和解案に沿うという方針のもとでございますので、先ほどの浪江あるいは飯舘村の案件につきましても、今現在、鋭意お話し合いを進めているところでございます。これはあくまで解決に向けてということでございますので、その辺を御理解賜れれば幸いでございます。
 以上です。
○井出委員 繰り返しで申しわけありません。その二件と同じように膠着状態になっているような案件が、ほかにも私は多数あるのではないかと危惧しているんですが、そのあたりの危惧が、本当に危惧なのか、実態としてあるのか、把握されている状況を再度お伺いします。
○木村参考人 お答えいたします。
 相当因果関係が明らかでないという、認めがたいという和解案につきまして、受諾が困難な部分が出てきているものというものが出てきていることは事実でございます。
 しかし、いずれの事案にいたしましても、解決に向けて努力をするということには変わりございませんし、何度もやりとりをさせていただきながら、今も引き続きお話し合いをさせていただいているという状況でございます。
 以上でございます。
○井出委員 ことし九月十四日の毎日新聞に、「東電 和解案拒否 揺らぐ賠償指針」という記事がありまして、その中で、私が今お伺いしております拒否の状態が継続している事例というのが計九件に上っているという報道があるんですが、この報道、私は、この九件というものは、恐らくこの新聞社が独自に取材をされて把握されて、ですから、少なくとも九件なのかなと思っているんですが、この事実関係はいかがでしょうか。
○木村参考人 お答えいたします。
 九月十四日の毎日新聞の記事というふうに存じております。
 件数につきましては、ちょっと変動もございます。というのは、受諾に向けた話し合いが進んでいるものでありますとか、追加に入ってきたものでございますとか、しかしながら、先ほど来申し上げましたとおり、拒否ということでは決してございませんで、そういった見解で速やかに受諾することが難しいという案件につきましても、解決策を見出すべく鋭意話し合いを継続中ということでございます。
 以上です。
○井出委員 東京電力のその解決に向けた努力のお気持ちは、今伺いました。
 このADRは、四十六件という私としては見逃せない数字もあるんですが、その一方で、たくさんの件数の和解を成立させてきた、その迅速な和解を進めてきたという一面もあるかと思います。ただ、そこの解決したものにも、被災者の方も、この和解条件で本当は不満なんだけれども、これでのもうという思いも、私はそういうものもあると思いますので、東京電力の側にも、解決に至っていないものについては、その指針を尊重するというところを原則に努力をしていただきたいと思います。
 次に、きょうは文部科学省の田中研究開発局長に来ていただいておりますので伺いたいのですが、これも発端は新聞記事でございます。
 ことしの八月三十日、これも毎日新聞の記事なんですが、福島第一原発事故「賠償「一律五割」内部文書明記 紛争解決センター「存在せず」は虚偽」という見出しがありまして、ADR、原子力損害賠償紛争解決センターが避難後に亡くなられた方の慰謝料を算定する際に、原発事故の影響というものはその慰謝料のほぼ一律五〇%に、実際にそうした文書が存在をしていたと。
 きょう、資料一枚紙で、表にその記事を添付させていただいておりますし、その裏面が、毎日新聞がホームページで公開をしている文書の一部なんですが、そこに、一律五割として四割か六割といったそういう細かい認定を行わない、実務上確立されつつある運用というような記載もその上の方にあるかと思うんですが、この文書は、既に十月十六日の参議院経済産業委員会で、ほかの議員の先生がこのことを質問されている。
 それに対して、政府の方も答弁書を出していまして、その文書の存在自体は認めているのですが、ここで、複数の仲介委員の間で意見交換が行われた際に、出された意見を整理するために作成されたものであると認識している、本件文書の作成及び配布に係る経緯の詳細については特定をできなかったと。
 この複数ですとか意見交換の場というもの、これは一体どういうところだったのかを伺いたいと思います。
○田中政府参考人 まずは、先生御指摘がございました、この新聞記事の一律五割云々でございます。
 ADRセンターは、申立人の方々の個別具体的な事情に応じて和解仲介ということを行っております。死亡慰謝料ということの案件につきましても、個別具体的な事情に応じて仲介委員が適正と判断して進めているというふうに承知してございます。
 一律五割という御指摘でありますけれども、具体的に既に当方として死亡慰謝料について把握をしているものは百三十七件ございます。百三十七件のうち、事故の影響ということが五〇%より大きいとしたものが約一割でございます。五〇%としたものが約四割、五〇%より小さい、未満としたものが約四割、影響の度合いということが記されていないものが約一割ございました。中には、五〇%より大きいという人の中には、九〇%というようなものもあったということも把握をしてございます。
 したがいまして、実態面におきまして、ADRセンターの和解仲介手続において、死亡慰謝料ということについて一律五割というような運用はなされておらないというのが実態でございます。
 ADRセンターは、同様のいろいろな案件を、これはパネルという数人の仲介委員でやってございますけれども、パネル間で同様の案件を幾つか議論するという場はあろうかと思います。しかしながら、今申し上げたとおり、ADRセンターの個別案件については、個別事情に応じてそれぞれのパネルが仲介委員として判断をするということでございまして、今御指摘の書類ということも、そのパネル間でのいろいろな意見交換の際につくられたものだというふうに承知をしているところでございます。
○井出委員 今、田中さんのおっしゃったパネルというものが、仲介委員の何人ぐらいの集まりなのかわからないので、そこを伺いたいのと、あと、パネルでの扱いということは、この文書は仲介委員がつくった、そう文科省としてはお考えなのでしょうか。
○田中政府参考人 まず、パネルというようなものは、一人ないし三人ぐらい、多いときで三人というようなことで、個別案件ごとにそのパネルで協議をし、和解の手続ということが進められるということでございます。
 もう一つ御質問がございましたものについては、先ほど申し上げたとおり、どういう過程でこの書類ができてきたのかというのは、残念ながら把握はできていないという状況でございます。
○井出委員 把握をできていないというところで、事実関係をちょっと確認したいのですが、この毎日新聞の記事の下から五行目、「毎日新聞が入手した文書は仲介室職員が作成し、複数の調査官に配布された。」この記事の事実関係は確認はされましたか。その確認の結果はどうだったんでしょうか。
○田中政府参考人 当方としては、職員が保有しているということは確認をいたしました。その職員の保有した過程というようなことについては必ずしも把握はできておりませんけれども、パネルで構成をする仲介委員がいろいろな議論をする、その議論をする過程で作成をされたものだというふうに認識をしてございます。
○井出委員 ぜひこの作成の経緯を、私は、きょうお配りしている資料の一番上、四角でくくられた、第一、「センターにおける和解実務上、確立されつつある運用」という、これは、一仲介委員というよりも、ある程度全体状況を把握している立場の人でないとつくれないのかなと思っておりまして、まだそこの作成の過程は今解明されていないということなんですが、ぜひ解明をして教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田中政府参考人 先ほど御説明をしたとおりでありますけれども、ADRは個別事情に応じてそれぞれの事案を処理するということが基本でございます。
 ただいま先生から御指摘がございました、「和解実務上、確立されつつある運用」という表現については、意味するところというのは必ずしも明らかではありませんけれども、この紙は存在をしているということは我々も認識をしてございまして、その作成をされた過程、これは二十四年の十二月二十六日という日付になってございますけれども、その作成過程ということについてはなかなか難しいかなというふうに思っています。
○井出委員 参議院の荒井広幸先生の質問主意書に対する答弁で、和解案を作成するに当たってはいろいろなことを参考にするけれども、その基準としては、やはり、何度も出てきている指針と、あと、総括委員会が策定した総括基準以外に存在はしないということをはっきりと答弁書に書かれている。
 ただ、その一方で、この文書というものは、「和解実務上、確立されつつある運用」と、答弁と違う運用基準があることを示唆しておりますし、何よりも、毎日新聞のほかの報道を見ていますと、最初、毎日新聞に対して、文書の存在をないとおっしゃった。コピーを示されて、そこで、あったかもしれないと。
 そこの説明についても、事実関係が二転三転。最初は、文書がない、その後、見ていなかったかも、そして最終的に、今、複数が所持ということで、答弁のとおり、基準というものが指針と総括基準以外ないと。そのお立場を堅持される意味においても、この文書の作成の経過というものは調査を尽くしていただきたい。
 私は、またこの件に関して質問をさせていただきたいと思っております。その前にまた御連絡をしますので、それまでに調査をしていただきたいとお願いしたいですが、いかがでしょうか。
○田中政府参考人 和解仲介の手続に当たっては、基準となるものは指針及び総括委員会の総括基準、この二つだけでございます。そのほかは、個別事情に応じて、先ほど申し上げたパネルで案件ごとに決めていくということでございます。
 死亡慰謝料につきましても、先ほど申し上げたとおり、一律五割と文書は書いてございますけれども、実態面では、五割以上のものもあるし、五割以下のものもあるし、九割のものもあるというのが実態面ということでございます。
 主意書のところでもまさに書かせていただきましたけれども、文書については認識をされたということは確かでございますけれども、作成及び配布に係る経緯の詳細ということについては特定できなかったというのが状況でございます。
○井出委員 今、九割を認定したものもあるとおっしゃいましたが、最初に、冒頭、田中さんが御答弁されたように、五割を超えるものは全体の一割しかないわけですよ。五割と五割以下のものが八割近く、そういう御答弁、答弁書をいただいていると思いますので、ぜひ調査を尽くしていただきたい。また質問に、この件で立たせていただきたいと思います。
 大臣にも質問をしたかったのですが、ちょっと時間がなくなってまいりまして、先日、浪江、飯舘の被災者の方と会われたときに、その被災者の方が、被災して孫に会うことができなくなってしまったと。大臣は、お孫さんがいらっしゃるかどうかというところは、いらっしゃられるということで、私は昨年子供ができまして、私の父親が、孫の顔が見られないとすごく寂しいというようなことを言っていたのがそのとき頭に浮かんだのですが、そういう当たり前のことがかなわなくなってしまった。そういう状況をずっと抱えてきている。
 この問題は、前にも申し上げましたが、いろいろな過去の公害訴訟ですとか、そういった全てが解決したときに、もう当事者が御存命でないとか、そういうことがないようにこの制度があると思いますので、ADRの迅速に和解を進めていくのはそういうことだと思いますので、またそのあたりの運用を大臣としてもしっかりお願いしたいと思います。
 終わります。どうもありがとうございます。
○西川委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。
 まず冒頭、大臣にお伺いをいたします。
 財務省は二十七日の財政審の財政制度分科会において、文教予算の削減を進めることを表明いたしました。午前中も議論がありましたけれども、とりわけ問題なのは、やっと三十五人学級が実現した小学校一年生の学級編制基準を、明確な効果が認められないなどと決めつけて、何と、四十人学級に戻して教員を減らし、八十六億円の金を浮かせと主張していることであります。
 小学校一年生の三十五人学級は当委員会で全会一致で制度化されたものでありまして、一九八〇年以来、実に三十一年ぶりに学級編制基準を引き下げるものでございました。しかも、この法律の附則には、「政府は、この法律の施行後、」「公立の小学校の第二学年から第六学年まで及び中学校に係る学級編制の標準を順次に改定することその他の措置を講ずることについて検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。」こういう附則がございまして、三十五人学級は、小学校一年生にとどまらず、小学校二年生以上、中学校にまで順次改定していくことが想定されていたわけであります。
 こんな、財務省のような時代逆行、論外な主張が政府内から公然と出されること自体が大問題だと私は思いますけれども、大臣、このような主張は到底認められないと私は思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
○下村国務大臣 おっしゃるとおりであります。
 学校を取り巻く環境が複雑化、困難化し、教員に求められる役割も拡大する中、教員が授業など子供への指導により専念できる環境をつくるべきときに四十人学級に戻すとの主張は、文部科学省の考え方や学校現場、保護者の声とは相入れないものであり、到底認められません。
 全国的に定着した小学校一年生の三十五人以下学級については、子供たち一人一人に目が行き届くきめ細やかな指導や、思考を深める授業づくりが一層可能となる、教員と児童との関係が緊密化するとともに家庭との緊密な連携が可能となるといった調査結果から、子供たちの学習意欲の向上やきめ細やかな指導による学力の向上にとって効果あるものと考えておりまして、少人数学級の推進は望ましいと考えております。
 一方、授業の質向上に対する多様な取り組みや極めて厳しい財政状況等を総合的に勘案し、自治体の創意工夫を踏まえつつ、柔軟で効果的な定数改善を早急に進めていくことも必要であります。
 これら全体を踏まえ、ことし八月に策定した教職員定数改善計画におきまして、アクティブラーニングの推進によって、義務標準法の改正により基礎定数の拡充を図ることとしており、その実施に当たっては、少人数学級、チームティーチング、習熟度別指導など、学校の実情を踏まえ、自治体の創意工夫により、少人数教育を柔軟に行えるものとしております。
 文科省としては、計画的な指導体制の整備を図ることができるよう、各方面の理解を得つつ、財政当局と折衝し、教職員定数改善計画の実現に向け最大限の努力をしてまいります。
○宮本委員 この問題は日を改めてまた大臣と議論したいと思うんですが、この財務省主計局の主張を見ていると、少人数学級だけではありません。加配を削れ、統廃合して教員を減らせ、人材確保法に基づく教員給与の優遇をやめよ、人数を減らして金を動かせと言いたい放題なんです。こんなものがまかり通ったら、前回大臣とやりとりしたまさに二〇二〇年のビジョンなんというものは、それこそ影も形もなくなってしまうと言わなければなりません。
 この財務省の言い分に、一つ一つ論と事実をもって打ち返すということが大事だということをきょうは強調しておきたいと思います。
 さて、きょうは、この間進められてきた奈良県の平城宮跡の整備についてお伺いをいたします。
 平城宮は、千三百年前、七一〇年から七八四年、長岡京に遷都するまでの七十四年間、難波宮などに遷都された一時期を除いて、我が国の政治、文化の中心として栄えた都であります。平城宮跡の特徴は、造営当時の建造物は現地では何一つ現存しておらず、当時の痕跡は地下において遺構や遺物として残り、今日に至っているというところにあります。
 特に、木片に墨書きされた木簡は、役人たちの事務処理や諸国からの税の荷札などに使われ、古代社会を解明する、実に大切な第一次史料として重要だということであります。木簡は地下水によって保護されておりまして、千年以上の年月を経て今日に至っております。平城宮跡を保護する上で最大限留意を要することだと思うんです。
 平城宮跡を訪れる人が期待しているのは、奈良時代を感じること、整備に当たっては、往時の姿がわかるものにしなければなりません。
 まず、これは大臣に基本認識をお伺いするんですが、平城宮跡における木簡など埋蔵文化財の重要性、それから、保護に当たっての地下水保全の大切さ、こういうものについてどう認識しているか。遺跡の真実性の重要性、こういう点について大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○下村国務大臣 特別史跡平城宮跡は、良好に保存された古代の宮殿遺跡として、世界に誇る国民的文化遺産であり、平成十年には、世界文化遺産に登録された古都奈良の文化財の構成資産ともなっておりますが、とりわけ、八世紀の社会、経済、文化をつぶさに語る木簡などの文字史料が良好な保存状況のもと豊富に埋蔵されているという点で、顕著な普遍的価値に貢献をしているというふうに考えております。
 こうした木簡などの遺物が埋蔵されている遺跡は重要であり、文化庁としても、十分な保存を行った上で、史跡として活用を図るべきと考えます。
○宮本委員 平城宮址の整備ですけれども、二〇〇八年の閣議決定で国営公園化されて、平城宮址の一層の保存、活用を図ることを目的に事業化をされました。文化庁の特別史跡平城宮跡保存整備基本構想の基本方針、それと、同推進計画を踏まえて国交省は、近畿地方整備局の国営飛鳥・平城宮跡歴史公園平城宮跡区域基本計画というものが定められまして、進められております。
 ですから、文化庁の推進計画では、「いかなる活用に供するにせよ、その前提となるのは史跡としての保存であり、活用は、史跡として適正な範囲においてなされなければならない。」と述べて、「保存管理の基本方針」として、一つは「埋蔵遺構・遺物の保存には万全を期す。」二つは「平城宮跡としてふさわしい景観・環境を形成する。」これを設定しております。
 国交省の基本計画でも、「いずれの施設整備を行う場合も、遺跡の保存を前提」と述べております。これが建前であります。
 ところが、実際にはこの建前から逸脱しかねない事態が起きていると言わなければなりません。
 特に問題なのは第一次朝堂院の土系舗装でありますけれども、真砂土にセメント三百三十トンをまぜてこの全体を舗装するというものであります。二〇一二年九月、舗装計画が突然発表され、工事が強行され、この夏には完了いたしました。舗装は寝耳に水だ、長年親しまれた草原を潰さないでなどの驚きの声が上がって、四万人以上の反対署名が寄せられております。
 きょうは国土交通省に来ていただいておりますが、この舗装を行った根拠は一体何なのか。公園基本計画に照らして説明いただけますか。
○舟引政府参考人 お答えいたします。
 第一次朝堂院につきましては、平成二十年十二月に取りまとめた国土交通省の基本計画において、シンボルゾーンの遺構表示エリアに含まれてございます。
 この遺構表示エリアは、主要な遺構についてのわかりやすい表示や解説等を通じ、往時の平城宮における形態や役割を学ぶとともに、周囲の山並み等の眺望とあわせ、平城京の広がりを体感できるエリアとする方針となっております。
 今回の舗装につきましては、この方針に基づき、平城京の広がりを体験できるよう、広場整備の一環として行ったものです。
 なお、土系舗装につきましては、自然素材であります真砂土と少量のセメントの混合物により舗装するものであるため、周辺環境と調和しやすく、史跡等の整備において多く用いられているものであるから選定をしているものでございます。
○宮本委員 ぜひ委員の皆さんも現場へ行って見ていただけばわかるんですが、往時の姿を体験すると言うんですけれども、この第一次朝堂院跡というのは、今お話があったように、セメントをまぜた真砂土によってべたっと、ただ単なる平地に舗装されたという状況なんです。それで、全面フラットの舗装にするというのは、この公園基本計画のどこにも書いてはおりません。
 そこで聞くんですけれども、これは文化庁ですが、第一次朝堂院は、文化庁の推進計画では二十八ページに遺構表示ゾーン、こうなっております。遺構表示とはどういう整備をいうのか。また、今回実施した土系舗装というものは往時の遺構を表示したことになるのか。文化庁次長、お願いいたします。
○有松政府参考人 遺構表示でございますが、遺構表示とは、発掘調査の成果をもとに、部分復原や立体的な遺構表示、そして平面的な遺構表示などの各種の手法によって、原位置の地表に遺構の存在を明示することをいうものでございます。
 先ほど御指摘のとおり、文化庁において取りまとめました推進計画におきましては、第一次朝堂院を、奈良時代におけるそれぞれの地区の形態や機能に関する一定の情報を提供するためのゾーンという意味の遺構表示ゾーンに位置づけられておりまして、今回の整備は、こうした遺構表示ゾーンということに沿ったものであるというふうに考えております。
○宮本委員 そこがわかりかねるわけです。遺構表示というものが立体的あるいは平面的に遺構を科学的知見に基づいて表示するものだと言いながら、既に朝堂院跡というものは、あなた方が計画をつくる前に、盛り土で示す形で以前から示されています。つまり今回やったのは、ただ単に、セメントをまぜた真砂土でべたっと舗装したというだけであって、何か新たに表示したものなど、行けばわかりますが、何一つないわけです。
 それで、国の計画で発掘調査成果に基づき遺構表示すると定めておきながら、まさに計画から逸脱した整備をしていると言わざるを得ないと私は思います。
 きょうは資料一をつけておきました。資料一を見ていただきたいんですが、これは、平成二十四年、二〇一二年一月三十日の第二回文化庁協議記録というものです。文化庁はこの段階では、事前協議の場で、「真砂土舗装は遺構の再現性の面からはそぐわない。」と土系舗装に異議を唱えておりました。
 この「遺構の再現性の面からはそぐわない。」というのは、これはどういう意味ですか、文化庁。
○有松政府参考人 委員御指摘の事前協議の部分でございますけれども、正確にはこの部分は、文化庁からは協議の際に、真砂土舗装は遺構の再現性の面からはそぐわない、恒久的な整備でないのであれば、総合的に評価して真砂土舗装を採用することも認められるというふうに発言している部分でございます。
 これはすなわち、遺構を当時のままに再現するという意味では、当時は礫敷きであったということを考えますとそぐわないということになりますけれども、遺構の保存という意味では真砂土舗装は問題がなく、また、活用に向けた利便性などを総合的に評価をいたしまして、真砂土舗装を採用することは許容できるという趣旨の発言であったものでございます。
○宮本委員 そのとおり、今のわかっている知見では、この場所は、真砂土、土でできていたんじゃなくて、礫敷きであったことが既に明らかになっているわけです。そういう知見に基づいて表示するのであれば、もちろん礫敷きで再現するのが望ましいわけでありますけれども、今回ここで言っているとおり、先ほど次長の答弁であったように、恒久的でないのであれば、総合的に判断して、ひとまず真砂土、土系舗装ということもこれは別に認められるということですから、こういう議論が交わされたわけですね。
 そこで、私は改めて国交省に聞くわけですけれども、なるほど、国交省もこれは暫定整備だとこうおっしゃっております。これは暫定整備と言うわけですけれども、一体、期限はいつまでの暫定整備ですか。
○舟引政府参考人 第一次朝堂院広場につきましては、文化庁の方で平成二十年五月に取りまとめられました特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画の中で、「第一次朝堂院については、第一次大極殿院復原が完了した時点で、建物復原の可能性も含めて再度検討の対象とする。」というふうに書かれてございます。
 国土交通省としても、同様に考えているところでございます。
○宮本委員 今お話しになったのは、文化庁の推進計画の中に出てくる話なんですね。それは、今お話があったように、第一次大極殿院復原が完了した段階で建物復原の可能性も含めて再度検討と言うんですが、この第一次大極殿院復原というものは、北側回廊の復原を仮に除いたとしても、今後二十年から三十年、総工費で五百六十六億円かけた、なかなかこれは遠大な計画なんです。これが終わったころには暫定でなくなるんだという話をされますと、二十年から三十年というスパンになるわけですよ。
 ただ、先ほどの私が示した資料一を見ていただいたら、このとき、国営飛鳥歴史公園事務所、つまり国交省自身が、造成計画の考え方として、「第一次朝堂院広場の造成は大極殿院南門の整備が完了するまでの約十年間の暫定整備と考えており、その間に第一次朝堂院のあり方について委員会による検討が必要」、「発掘調査も必要になる」と自身が述べていたじゃありませんか。いつから期限がなくなったんですか。
○舟引政府参考人 お答えいたします。
 委員今御指摘の点でございますけれども、きょうお示しいただいた資料は平成二十四年のものでございますけれども、この協議は、今回の工事に関する現状変更協議、最終的には平成二十四年六月に文化庁から同意の回答があったもので、その協議の途中の議事録と我々は認識してございます。
 両省ともに公式な文書として見解を述べておりますのが先ほどの文化庁の計画という趣旨でございます。
○宮本委員 いやいや、この計画を定めた後の議論ですよ、二十四年ですから。計画は二十年の計画ですから、その後議論がされて、注意してほしいのは、文化庁も、恒久的でないのであればこういうことも認められると言っている。認めてくれと言っている国交省の側は、十年間の暫定整備と考えております。こういうやりとりがされているではないかと私は言っているんですよ。おかしいじゃないですか。
○舟引政府参考人 第一次大極殿院がどこまでどの時点で復原できるかということにつきましては、復原原案の検討及び文化財保護法に基づく現状変更協議、これは適宜文化庁と行っているところでございまして、その復原に適した木材の調達等を行う必要があり、現時点で完了時点を推定するというのは、非常に難しいと考えているところでございます。
○宮本委員 いずれにせよ、協議の途中では、十年間を考えていると言い、文化庁の方も、恒久的でないならば、十年程度であるならば、こういうやりとりがあったにもかかわらず、今日では、なかなか期限を言うのは難しいという話になっている。
 それで、平城宮というのは子供たちがたくさん見学に来ております。私も二回現場視察に行きましたけれども、二回とも修学旅行のバスに出会いました。子供たちがこの場所を見て、その時点で最も正確な最先端の歴史学的、考古学的な知識で、ああ、ここにはこういうものがあったんだということをちゃんと子供たちに正確に伝えるようにしなければなりません。活用ということをおっしゃるけれども、それこそ一番活用で大事なことだと思うんです。
 文化庁にこれはまず基本点を聞きますけれども、今回舗装が行われた第一次朝堂院内の敷地のうちで発掘調査を終えたのは、面積でおよそ何割ですか。
○有松政府参考人 第一次朝堂院におきましては、奈良文化財研究所が発掘調査を行いましたけれども、この第一次朝堂院における発掘調査面積は、第一次朝堂院の三割程度でございます。
○宮本委員 別に全部掘り返せということを言うつもりはないんです。遺跡の保存のためには掘らない方がそれはいいにこしたことはないので、そういう点では慎重さというのが求められるわけですけれども、しかし、別に全てこれをチェックし終えたわけでないわけで、今は三割程度であります。
 要するに、この下には木簡などが埋まっている、それが奈良時代から営々と今日まで保存されているのは、豊富な地下水に浸されて変質が妨げられているからであって、さまざまな要因によって万一地下水がかれるということになれば、木簡が傷むということにもなりかねません。
 それで、慎重にそこは検討すべきだと思うんですけれども、文化庁も国交省も、今回の土系の舗装は地下遺構の保護に問題がない、これは事前のレクでも、なるほど、両方とも口をそろえておっしゃいました。木簡など遺物に絶対に損傷を与えることはないと言い切れるのか。
 そして、万々々が一、これは高松塚古墳の壁画の例を出すまでもなく、大丈夫だと言っていたものでもそういう損傷ということはあり得るわけでありますから、万々々が一、地下の木簡など埋蔵文化財に致命的な影響を与えた場合に一体誰が責任をとるのか。
 まずは文化庁、そして国交省の順でお答えいただけますか。
○有松政府参考人 文化庁といたしましては、第一次朝堂院の広場の整備による御指摘の地下遺構への影響につきましては、建設機械による局部的な荷重負担等を防止する配慮がなされるとされていたこと、また、平城宮跡の地下水は、平城宮跡の周辺部北側から流入をして南側へ流出しておりまして、当該広場の舗装が直下の地下水位に与える影響は少ないと考えられたことから、問題はないと判断したところでございます。
 国土交通省によるモニタリングによりますと、工事施工後におきましても地下水位が低下している傾向は確認されていないという事実がございますけれども、国土交通省では、引き続き地下水位のモニタリングを行うこととしております。
 地下水位に著しい変化が見られるなど地下遺構への影響が懸念されるような場合につきましては、文化庁として、責任を持って対応してまいりたいというふうに考えております。
○舟引政府参考人 今、文化庁の方からも御説明ありましたけれども、地下水位については、当該広場の中の地点でモニタリングを継続しているところでございます。
 国土交通省といたしましては、今後の推移につきましては、文化庁とも連携しながら、国営公園の事業主体として、責任を持って対応してまいりたいと考えております。
○宮本委員 文化庁は、二〇〇八年の推進計画で作成が急務だとしております平城宮址の保存管理計画というのは、いまだにつくられておりません。これは着手もされていないわけですが、文化庁、なぜですか。
○有松政府参考人 特別史跡としての平城宮跡の保存管理計画につきましては、ただいま御指摘の特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画に基づきまして、特別史跡の管理団体であります奈良県が国などと連携して策定するというふうにされております。
 そのように認識しておりますけれども、文化庁としては、これに基づきまして適切に指導助言を行ってまいりたいと考えております。
○宮本委員 奈良県がやるべきことと言うんですけれども、荒井奈良県知事は県議会で、五者協議を続けている、五者協議では、協議の場を持つように奈良県が提案した、五者それぞれの役割に応じて分担し事業を進めている、適宜協議をしていただいているところだ、こう述べてきましたけれども、ことしの七月に、関係機関の役割分担の協議やそのことを踏まえながらこれから検討していきたいと。つまり、現場では策定委員会すら立ち上がっていないんです。にもかかわらず、国はもう国交省、文化庁一体でどんどん工事も進んでいる。
 私は、こういう状況は極めて問題だと言わざるを得ないんです。これはやはり、イベントをここで開くとか、あるいは、観光客をここへ呼び込むとかという集客性みたいな議論が前に出ていると言わざるを得ないと思うんです。
 きょうは資料二につけておきましたけれども、これは地図ですけれども、実は、第一次朝堂院と第二次朝堂院のこのちょうど中間点に、赤い矢印のところに、あずまや、休憩施設が設置されました。
 文化庁の史跡整備の手引というのがありますけれども、この手引では、便益施設は、史跡中核部でない周縁地域を選択するとなっておりますけれども、これは文化庁、なぜ周縁地域というふうにしているんですか。
○有松政府参考人 ただいまお話しのありました「史跡等整備のてびき」でございますが、この手引は、保存と公開、活用の調和に十分配慮した史跡等の整備を行う必要がある、こうした問題意識のもとに、史跡等の整備事業を適切かつ円滑に進めるに当たって必要となる各種の事項を総合的に取りまとめた手引でございます。
 この手引においては、便益施設の設置場所につきまして、「史跡等の中核部でない周縁の地域で、かつ学術的な観点から想定される機能上の地割や領域に抵触しない位置を選択する」というふうにしております。
 この意味でございますが、周縁の地域であれば、当該施設の設置が遺構の保存に影響を及ぼす可能性や史跡等の景観に影響を及ぼす可能性が低いということでございますので、こうした地域については、便益施設の設置場所についても問題がないということであろうかと思います。
○宮本委員 遺構の良好な保存のためということですね。
 実は、なぜこの矢印のところが中核部でないのか、周縁なのかと言うと、第一次朝堂院から見たときには周縁だ、同時に、第二次朝堂院、この部分ももちろん史跡になっておりまして、そっちから見ても周縁だと言うんですけれども、しかし、この第一次、第二次を合わせた平城宮全体から見たらまさにど真ん中なんですね。これを第一次とか第二次に分けるかどうかというのは、勝手に今の我々が分けているだけであって、遺構の良好な保存にとっては、このど真ん中、ここというのは、これはまさに精神からいえばおかしいんじゃないんですか。
○有松政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、「史跡等整備のてびき」につきましては、史跡の保存と公開や活用との調和を十分配慮して整備する必要があるという観点が踏まえられております。
 先ほどの資料の便益施設につきましては、御指摘のとおり、第一次朝堂院と第二次朝堂院の中間にあります、現在の道路部分のところに設置がされようとしているものなどでございます。
 この地域につきましては、当該施設の設置が遺構の保存に影響を及ぼす可能性ですとか景観に影響を及ぼす可能性が低い、この広大な史跡全体の中で便益施設をどこに置くかという保存と活用の調和を配慮するときに、この地域については、遺構の保存などに影響を及ぼす可能性が低いという意味で可能ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○宮本委員 時間が来ましたので、最後一問だけもう一度次長に聞きたいんですけれども、私たちは、やはりこの土系舗装というのは今からでもやめるべきだ、やめるというのは取り去るべきだと思うんですが、少なくとも礫敷きということが明らかになってきた、そして、この図にもあるように、この第一次朝堂院跡には、中央に通りが通っていたことが明らかになっています。遺構表示と言うのであれば、やはりその遺構がちゃんと表示されるようにすべきだと私は思うんですけれども、最後にそれをお伺いして質問を終わりたいと思います。
○有松政府参考人 発掘調査では、第一次朝堂院の南北に二条の溝が存在していることが確認をされております。そして、そのことによってその間が通路であったと考えられますけれども、遺構を表示するに足るだけの十分な学術的根拠はいまだ得られていないという状況でございます。
 将来、研究が進みまして、中央の通路についての学術的根拠が十分に得られ、これをもとに国土交通省が当該通路の遺構を表示する整備を計画されるというようなことがありましたら、現状変更の許可等で文化庁としても適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○宮本委員 終わります。
    〔委員長退席、櫻田委員長代理着席〕
○櫻田委員長代理 次に、青木愛君。
○青木委員 生活の党の青木愛でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 まず私からも、このたびの三十五人学級の見直しについて大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
 財務省は、公立小学校の一年生で導入されている三十五人学級を見直し、一学級四十人体制に見直す見直し案を二十七日の財政審で取り上げました。四十人学級に戻せば、必要な教職員数が約四千人減り、人件費の国庫負担分を年間約八十六億円削減できるとの試算を提示しております。
 また、全国約三万校あります公立小中学校、全て標準的な規模、一校当たり十二学級以上に統合すると、必要な教員数は小学校だけで今よりも約一万八千人少なくなるという試算をもとに、来年度の予算で、教員の定員削減と、そして人件費の抑制を文科省に求めております。
 この件について下村大臣の御所見と、これからどのように財務省に対して押し返していくのか、その点についてお伺いさせていただきます。
○下村国務大臣 学校を取り巻く環境が複雑化、困難化し、教員に求められる役割も拡大する中、教員が授業など子供への指導により専念できる環境をつくるべきときに四十人学級に戻すとの主張は、文部科学省の考え方や学校現場、保護者の声とは相入れないものであり、また、先ほど財政審からのいろいろな見直しがありましたが、いずれも全て認められるものではありません。
 特に、全国的に定着した小学校一年生の三十五人以下学級については、子供たち一人一人に目が行き届くきめ細やかな指導や、思考を深める授業づくりが一層と可能となる、教員と児童との関係が緊密化するとともに家庭との緊密な連携が可能となるといった調査結果から、子供たちの学習意欲の向上やきめ細やかな指導による学力の向上にとって効果があるものと考えており、少人数学級の推進は望ましいと考えております。
 一方、授業の質向上に対する多様な取り組みや極めて厳しい財政状況等を総合的に考慮し、自治体の創意工夫を踏まえつつ、柔軟で効果的な定数改善を早急に進めていくことも必要であります。
 これら全体を踏まえ、本年八月に策定した教職員定数改善計画におきまして、アクティブラーニングの推進について、義務標準法の改正により基礎定数の拡充を図ることとしており、その実施に当たっては、少人数学級、チームティーチング、習熟度別指導など、学校の実情を踏まえ、自治体の創意工夫により少人数教育を柔軟に行えるものとしております。
 文科省としては、計画的な指導体制の整備を図ることができるよう、各方面の理解を得つつ、財政当局と折衝し、教職員定数改善計画の実現に向けて最大限の努力をしてまいります。
○青木委員 ありがとうございます。
 下村大臣の政治家の力といいますか、文科省とともに、政治主導というものはこういうものだというものをぜひ見せつけていただきたいと御期待を申し上げておきたいというふうに思います。
 この点に関連しまして、これは下村大臣のインタビュー記事が掲載されておりました東洋経済に取り上げられていたことでございますが、日本標準教育研究所が教師を対象としたアンケート調査を行っておりまして、教師の平均勤務時間が十一時間十八分ということで、教育委員会への報告や研修、また会議などに忙殺され、肝心の児童の教育に思うように時間を割けないという教師の悩みが浮き彫りになっております。また、教師の仕事に対する満足度の低さもあわせて問題になっています。
 下村大臣が日ごろからおっしゃっているように、今の時代、学校を取り巻く環境は大変複雑化をしておりまして、教師の役割も大変多様化しているというふうに認識をいたしております。教師が本来のやりがいを持って働ける環境を整備することがまず大切だというふうに思っておりますし、また、世界の趨勢はやはり少人数化でございまして、安倍政権として世界に伍するグローバル人材の育成を目指すということであれば、やはり公的支出をOECD並みに引き上げるとともに、こうした学級編制につきましても世界のスタンダードをぜひ日本にも取り入れるべきではないかというふうに考えております。
 もう一つの観点からは、今、国の方針で、まち・ひと・しごと創生法案が提出されておりまして、地方創生に力を入れているということでございます。やはり地方に若い方々が定着をするためには、子育てや教育のインフラが整っているかどうか、これは重要な要件だというふうに思っておりまして、また、学校は、子供たちのためだけではなくて、地域の拠点としても大きな役割を担っていることというふうに思います。
 こうした学校の統廃合を数値のみで推し進めることによって、ますます地域の疲弊に拍車がかかるというふうに思っております。
 こうした地方創生という観点からも、今回の財務省の方針は安倍政権の政府の方針と逆行するのではないかというふうにも考えるのですが、これらの観点から、改めまして、大臣の御所見を伺わせていただければというふうに思います。
○下村国務大臣 おっしゃるとおり、児童生徒の社会性の育成や切磋琢磨をする機会の確保の観点から、ある程度の学校規模があることが望ましいと考えておりますが、小中学校の規模や配置のあり方については、地域の実情を踏まえ、設置者である各市町村が教育的な視点から判断すべきものであると思います。
 また、学校が地域コミュニティーの核としての役割を果たしていることや、離島、山間部など、地理的な要因等により統合が困難なため、小規模校のデメリットの克服を図りつつ学校の存続を選択する場合もあると考え、また、それ自体がおっしゃったように地方創生の核になるということもあるわけでありまして、市町村の選択をそういう視点から尊重すべきものであるというふうに考えます。
 もとより、学校規模の標準は、学校教育法施行規則において、特別な事情がある場合にはこの限りでないとされている弾力的なものであり、文科省としては、標準を下回る場合に一律に学校統合を推進するということではなく、学校規模の適正化や小規模校の課題の解決策を含め、地域の核となる魅力ある学校づくりを各設置者が主体的に検討できるよう支援をしてまいりたいと考えております。
○青木委員 ありがとうございます。ぜひ御期待いたしております。
 次に、高等学校の就学支援金制度についてお伺いをいたします。
 昨年の今ごろ審議をいたしておりました。公立高校の授業料の無償化が高等学校就学支援金に制度が変わりまして、年収九百十万円の所得制限が導入され、受給するには、申請をしなければ、対象であっても無償にはならない制度に変わったと認識をいたしております。
 新制度が導入されてから現場ではさまざまな問題点が指摘をされています。とりわけ、受給対象者であるにもかかわらず支援金を受け取れないでいる生徒がやはりおります。
 理由は申請方法にございますが、申請には課税証明の提出を義務づけておりまして、前回、フリースクールの質問でも触れましたが、多種多様な生活環境の中で子供たちの就学形態が左右されております。
 所得申告を親がしていないがために課税証明書がとれない場合や、自営業で、親権者が申告しておらず、課税証明書がとれない。さらには、養育放棄の状態で申請ができない。また、一人親の場合は、一人親になった理由が必要で、その理由が答えづらいために申請を諦めているなど、全て心が痛む事案でございます。
 そこで伺いますが、今の新制度のもとで、支援金の申請者数、辞退者数、未提出者数について把握をしている状況を教えていただきたいのと、辞退者また未提出者の理由を教えていただきたいと思います。
○小松政府参考人 お答えをいたします。
 高等学校等の就学支援金制度の申請者数等のお尋ねでございますが、現時点で把握している状況といたしましては、これは本年四月からの開始で現在つかんでいるところですが、新制度の対象でございます第一学年の生徒数全体約百二十一万人中約九十二万人、七六%が就学支援金を受給しております。
 就学支援金の辞退者数、申請書の未提出者数というところにつきましては、これが、いわゆる申請主義でございますので、母数が確定していて、その中の何%というふうな計算ができないということがございますので、その数自体を申し上げるということは難しいわけでございますが、ただいま御指摘のありましたその実例としては、存在していることは把握しております。
 御指摘のありました理由で申しますと、所得制限の基準額を超えているというために辞退をしたというのもございますし、課税証明書の取得、提出に困難があった、手間の面とか、そういうものを実際に出すことができなかったというような事情によって申請書を提出しなかったというようなことが理由になっているということは、確かに都道府県等から報告をされております。
 私どもの把握としては、そういった形で今理由をそのように把握しているところでございます。
○青木委員 まさにこの申請主義ということが大きな問題をはらんでいて、実際、この手当てが行き届かなければならないところに行き届いていないという現状があるということであります。
 今、辞退者数また未提出者数については把握をされていないということでございました。理由については幾つか挙げられていましたけれども、下村大臣にぜひお聞かせをいただきたいと思いますが、この新制度の柱は、公私間格差の是正と、そして低所得者への無償の給付、これを柱としていたと思います。しかしながら、今の現状は、残念ながらそういう状況にはなっていないケースがございます。
 一年前までは支給を受けていた低所得者のところに実際に実害が出てきているというこの現状を認識しておられるのかどうか。認識しておられるとすれば、早急なさらなる実態調査をして、事情は本当に個々によって全く異なりますので、プライベートを本当につまびらかにすることであります。それぞれの事情をきちんと調査をしていただいて、そして今からでも申請を促すように、文科省として、また大臣としても取り組んでいただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○下村国務大臣 今回の新制度が、ことしが初年度ということもありまして、申請の際に生徒の家庭状況の確認等で問題が生じたケースもあったということは承知をしておりますが、文部科学省としては、課税証明書の提出が期限におくれるような場合には、期限を猶予して、可能な限り受け付けを行うよう、都道府県に対し要請をしてきたところであります。
 学校現場の先生方が一番生徒のそのような状況について把握できる立場でもあるのではないかと思いますし、また、フリースクールやあるいは不登校の子供たちに対しても、周りの方々がそのような促しをしていただけるようなことを含め、文部科学省としても、新たな新制度が始まって、このような制度だということをより多くの国民の皆様方に知っていただくようなことも含めて、確実に、新制度によって御指摘のようなことがないような対策について努力をしてまいりたいと思います。
○青木委員 各都道府県に可能な限り対応するよう、そのような取り組みを進めているということではありますが、何点か細かい点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 例えば年度途中から申請をする場合、遡及できるかどうかということについてお伺いをしたいのですが、要領を見ますと、四月に申請できなかった理由が、被災や病気による長欠か保護者の海外出張、こうした理由であれば、途中の申請であっても四月に遡及して受給できるというふうになっているかと思いますが、その点についてと、その他の理由だとどうなるのかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。
○小松政府参考人 お答え申し上げます。
 まず前半の部分、やむを得ない理由によって申請ができなかったという場合に、その後で申請を行えば就学支援金を遡及して支給できるかというお話でございますが、これは、遡及して支給することが可能でございます。
 それから次に、そのやむを得ない理由に何が当たるかということでございます。処理要領には、例示として災害への被災等が今御指摘のとおり掲げてあるわけですけれども、これを例示といたしまして、本人の責めに帰さない場合というのは前提となっております。
 したがいまして、いわゆるその他に当たるところで申しますと、例えば、先ほどちょっと出しておられました養育放棄であるとか、あるいは家庭内の問題で出すということが現実的でないとか、そういったものについては、やむを得ない理由として含めて処理をするということができるという解釈でございます。
○青木委員 ありがとうございます。
 養育放棄を初め、それぞれの家庭のさまざまな事情に対応していただけるということでよろしいんですね。わかりました。
 そうしましたら、今回出された第一版の要領がございますけれども、来年度は、ぜひその辺も含めた形で解釈できるようにお願いできればと思いますけれども、いかがでしょうか。
○小松政府参考人 処理要領自体もそうですけれども、さまざまな機会を捉えて、積み重なってまいります多様な例にできるだけ対応できるように、丁寧に説明していきたいと思っております。
 例えば、ほかの理由でも、課税証明書の取得がなかなか困難であるとか、親権者二人の方の合計の所得を見なければいけないけれども一人は難しいとか、幾つかいろいろな例が出てきております。それらの御相談に乗るように私どもいたしておりますが、より広く、そういった多様なケースについて対応できるように、説明を広げていきたいというふうに考えます。
    〔櫻田委員長代理退席、委員長着席〕
○青木委員 あわせて、課税証明書についてもやはりやむを得ない理由という記載がございまして、これについては、やむを得ない理由として、DVや児童虐待のため接触することにより危害が考えられる場合や失踪により接触することができない場合など、当該事情を明らかにした上で、本人の所得のみにより判断することもできるというふうにございます。
 先ほどの、申請のときのやむを得ない理由とともに、こちらについても、養育放棄を初め、幅広くこのやむを得ない理由というものを捉えるべきではないかというふうに思いますが、先ほど局長さんの御答弁にありましたとおり、申請時と同様に、この課税証明書提出のためのやむを得ない理由というのも同様に考えていてよろしいでしょうか。
○小松政府参考人 そのとおりでございます。
○青木委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 もう一点、お伺いをいたします。家計急変の対応についてでございますが、九百十万円以上の所得があることによってこの受給が不認定となった後に、例えば解雇や賃金の引き下げや倒産などによって受給認定基準になった場合、どのような対応がとられておりますでしょうか。
○小松政府参考人 いわゆる家計急変によりまして収入が激減した場合は、緊急に対応する必要が出てまいります。
 そこで、支援の対象となったものが発動するまでの間、その緊急支援については、都道府県等において支援が行われるわけでございますけれども、これを支える意味から、国の方でも二分の一を補助する制度を平成二十六年度に導入したところでございます。
 家計急変への支援を含む授業料減免そのものにつきましては、各地方自治体ごとに制度設計されておりますのでさまざまな形態がございますけれども、それを踏まえた上で、国もこれを支えていくというような制度になっているところでございます。
○青木委員 これは授業料免除制度で対応しているということですね。各都道府県の授業料免除制度で対応しているということで、今お話にありましたように、授業料免除の対象者の収入基準とか家族構成によってもその基準というのは異なってくるのではないかというふうに思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○小松政府参考人 その基準につきましては、各地方自治体ごとに制度設計をされておりますことから、一律のものではございませんで、異なっております。
 ごく簡単に例だけ申し上げますと、その要件といたしまして、例えば失職、倒産、災害、そういうのをどこまでの範囲にするか、あるいは、収入ということで生活保護や市町村民税の所得割額見込みなど、それはそれぞれの地方自治体の諸制度とのバランスも含めて決められているという意味で、それぞれ異なっている面がございます。
○青木委員 そうしますと、各県で収入基準が異なるということは、収入基準から九百十万円までの間の方々というのは、本来のこの新制度であれば受給できる対象であるにもかかわらず、各都道府県に任せているために、それに相当する額が受け取れないということは考えられるというふうに思うんですね。その辺についてはいかがでしょうか。
○小松政府参考人 就学支援金の収入そのものは、国としてどのように支援するかというのは一定のものが決まっておりますので、その点については漏れ、落ちがないと思います。
 問題は、一回認定があって、そのときには九百十万円を超えていたものが途中で超えなくなったために、次の支給が始まるまでの間をどうつなぐかという点では、そこは確かに都道府県によって差異があると思いますけれども、そこはそれぞれの地域の実情に応じて支援をしていただくということと相まって、国としては、それを支えて立ち行くようにするという制度になっているところでございます。
○青木委員 私は、やはり高等学校等就学支援金のこの新しい制度、新制度の枠の中で取り扱うべき事柄ではないかなというふうに思うんです。
 この授業料免除制度は、本来、生活保護家庭に対する制度だというふうに認識をしておりまして、今御答弁にあったとおり、国と県がそれぞれ二分の一ずつの支出で賄われているものでありますが、この対象となる子供はこの新制度の中の本来は対象でありますから、これは、やはり国が責任を持ってこの新制度の枠の中で対応をするべきではないかというふうに考えるんですが、下村大臣、いかがでしょうか。
○小松政府参考人 家計急変につきまして緊急の対応をするということで申し上げますと、一定の期間はどうしても不定期に生じてまいりますので、その部分について一番実情を把握できている、あるいは、さまざまな生活回りの制度を持っております地方公共団体において支援の手を差し伸べていただき、それと相まって国も一緒に手を差し伸べるということで支えるということでまいりたいと思っておりますけれども、ただ、確かに各地方自治体の取り組み状況を伺うと、初年度ということもございまして、考え方も、非常によく情報、意見交換がされていて整備されているかということをいいますと、そこは、情報の収集、提供等については、むしろ、国の方でどういう方法が一番いいかということを提供して一緒に考えていくという余地があると思っております。
 そういった機会をつくりまして、まずはそこがきちっと支えられるような仕組みの充実を全国的に普及していくような、そういう努力をしていきたいというふうに思っております。
○青木委員 家計急変については、やはり、直近の収入状況をもって速やかに受給認定をして支給が可能となるよう制度改正を求めたいというふうに思います。その間だけ都道府県の力を、財源を二分の一ずつ借りてというのでは、この新制度のそれは不備、欠陥だとやはり指摘をせざるを得ないというふうに思います。
 ぜひ、今御答弁にありましたとおり、都道府県ともう一度さまざま情報交換、話し合いをしながら、知恵と工夫でもって制度改正をしていただけるよう、お願いをしておきます。
 さまざま質問をさせていただきましたけれども、この新制度、評価できる点、考えられているなという点は、生徒本人の申請であるという点が唯一救いかなというふうには思うところもございます。
 ただ、この制度を、後に返金をしなければならない制度と誤認をしている例も見られております。入学時にパンフレットを配って簡単に説明をするだけではなくて、やはり、もっと周知を徹底することが必要だというふうに考えております。
 その点と、先ほども指摘をいたしました、早急にこの辞退者数、未提出者数について、またその理由についても把握をしていただいて、四月にさかのぼって受給できることも含めて制度の改善をしていただきたいということ、そして三点目として、先ほどの、申請時と、それから課税証明書が提出できないやむを得ない理由を幅広く次の要領に盛り込んでいただきたい、こうした点をお願いしたいというふうに思いますが、大臣、御所見を一点いただければというふうに思います。
○下村国務大臣 ことしの四月から新制度がスタートいたしました。日々改善、努力、工夫をすることによって、よりよいものを目指してまいりたいと思います。
○青木委員 いずれにしましてもこの新制度は、本人の申請となっているものの、実際には保護者の意向で申請したりしなかったりという恣意的な現状がございまして、生徒にとっては不平等であるばかりではなく、不幸な状況だというふうにも考えます。
 私たちは、全ての受給対象者が受け取れるようにこの新制度の改善が図られない場合は、やはりこの問題の多い新制度を廃止いたしまして、高校の授業料の無償化も視野に入れ、求めていきたいというふうにも考えておりますので、ぜひ前向きな姿勢で取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○西川委員長 次に、吉川元君。
○吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。
 本日は、教育予算に関する財務省の方針等についてお聞きをしたいというふうに思います。
 ちょっとその前に、少し大臣の方にお伺いをしたいことがあります。
 先ほど、田沼委員の質問の際の発言なんですけれども、八重山の問題と違うじゃないかという声に対して、あのときとは法律が変わったんだというようなことをおっしゃられました。もう一度、その意味についてお話しいただけますか。
○下村国務大臣 それ以前においては、共同採択地区で採択した教科書については、それは当該地区の、つまり共同採択地区が共通の教科書を使っていただくということであったわけでありますが、ところが、竹富町だけは違う教科書を使ったということで、文部科学省としては、共同採択地区協議会で決まった教科書を使ってほしい、これが法の趣旨であるということを再三指導してきたわけでございます。
 しかし、その後、さきの国会で共同採択地区の見直しそのものをしたわけでありますが、その中で最終的な教科書採択権限は当該の教育委員会にあるというふうに位置づけたということで、今回、竹富町が共同採択地区で選ばれた教科書と違う教科書を採択したとしても、それは当該教育委員会の判断ということですので、今後は指導対象にはならないということであります。
○吉川(元)委員 ちょっと驚いたんですけれども、義務教育の教科用図書の無償措置に関する法律の一部改正案、今手元にあります。今大臣が言ったような話は一言も書いていません。
 法律ではどういうふうになっているか。改正案の方を読ませていただきます。
 十三条の第四項で、「当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書の採択について協議を行うための協議会を設けなければならない。」これが第四項です。第五項、「前項の場合において、当該採択地区内の市町村の教育委員会は、採択地区協議会における協議の結果に基づき、種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない。」これが法律です。
 今の大臣のお話だと、共同採択地区で決まった教科書以外の教科書を使ってもいいという答弁ですね。
○下村国務大臣 先ほど申し上げましたように、当該地区の教科書採択の最終的な権限は当該教育委員会が持っているということを申し上げたわけです。
○吉川(元)委員 だとすれば、改正前の法律第十三条第四項において、「当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書については、当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない。」これが改正前です。新しい改正の方は、「種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない。」
 何が違うんですか。
○下村国務大臣 いや、ですから先ほど申し上げましたように、最終的な採択権者は当該教育委員会だというふうに申し上げたわけです。
○吉川(元)委員 改正前の法律でも、「当該採択地区内の市町村の教育委員会は、」主語はこれです。「協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない。」当該地区の教育委員会は採択しなければならないんです。いやいや、大臣に聞いているんです。
○小松政府参考人 失礼いたします。
 先ほどの御質問の中で問題になっておりましたのは、それで、大臣からお答えをしたお話でございますけれども、市町村教育委員会が最終的に権限を持っているわけでございますけれども、その中で、実際に教科書の採択のプロセスに当たっていく協議会の中に教育委員以外の人が入っているということから、教育委員会が最終的に決めるということが担保されなくなるのではないか、幾つかの市町村が集まってつくる協議会にそういう要素が入り込むということが御議論になっておりましたので、それらにつきましては、最終的にどういう教科書を採択するかの権限の担保は、それは教育委員会にあるという文脈でございます。
 そのときに私の方でちょっと直接の関係がないので御説明をしませんでしたけれども、協議会の規則その他も含めて、教育委員会が集まって決めますので、その中で全体としては一体的に決まっていくということでございまして、大臣の方から申し上げましたのは、一体的に決めていかないとこの仕組みは責任がとれないということから、その調査研究をやる協議会と教育委員会の一体的な体制によってやる必要があるのでその二つを分離することはできないということを申し上げたところでございまして、教育委員会が設置する、一緒になって規則をつくるその協議会で決めた教科書、それについては、それを尊重して教育委員会が採択地区協議会では採択をするということになっているという意味で一体でございます。
○吉川(元)委員 そういうことを聞いているのではなくて、八重山地区の問題というのは、まさに共同採択地区で決められたものと違う教科書、我々はそれは正しい、竹富町は決して違法な行為はしていないというふうな立場でありますけれども、その際に、これは違法なんだということを大臣は言われたわけです。
 先ほどのお話だと、新しい法律になったときに同じことが起こったとしても、竹富町は今度はそういうことにはならないんだ、指導の対象にならないんだというふうに今おっしゃったんですよ。それでよろしいですね。
○下村国務大臣 先ほど申し上げたのは、当該教育委員会が最終決定権を持つということであります。そして竹富町の問題は、これは、共同採択地区のエリアには自分たちは入らない、例えば八重山地区のですね。独自にやるということについては、それは法律が今度は共同採択地区のエリアを変更することが可能になりましたから、そういうことができるということです。
 しかし、最初からもちろん共同採択地区のエリアとして入っているのであればそれはそのとおりにしていただくわけですけれども、共同採択地区のエリアに入らないということであれば、そこの教育委員会が判断することは可能だということであります。
○吉川(元)委員 さっき言った話とちょっと違うと思うんですけれども。はっきりと、共同採択地区内で選ばれたものであっても、当該の市町村教育委員会がこの教科書を使いますと言えばそれはオーケーなんだというお話を、だからこそ竹富町は、今回の法改正によって、前のように指導なりなんなりをしなくなるんだというふうに先ほど言われていたじゃないですか。
○下村国務大臣 竹富町については、今までは八重山地区の共同採択地区のエリアに入っていたわけであります。しかし、自分たちが独自に教科書採択もしたいということであれば、それはできる。しかし、その場合は共同採択地区のエリアから外れるということであります。
○吉川(元)委員 ちょっとこれ以上やっても、もう一度議事録を精査させていただきますけれども、大臣が言われていたのは明らかに、この無償化措置法に関して誤解をされているとしか私には感じられません。このときの……(下村国務大臣「もう一回」と呼ぶ)ではどうぞ。
○下村国務大臣 ではもう一回、もしそういうことであれば訂正も含めて申し上げますが、共同採択地区に参加するかどうかは、そこの教育委員会の判断で共同採択地区が変えられるということであります。それで、教育委員会が自分のところについては独自に最終決定権を教科書採択としては持ち得る。しかし、共同採択地区にそこの地方自治体が参加した場合には共同採択地区の採択の結果に従っていただくというふうに、もしそういうふうに誤解があるのであれば、訂正ということで申し上げたいと思います。
○吉川(元)委員 法律を読みますと、まず共同採択地区をつくって、そこで協議をして、そこで教科書を選んで、選ばれた教科書については、そこに参加している市町村の教育委員会は同一のものを採択しなければならないというのが法律なんです。共同採択地区に入るか入らないかというのは、それは教科書採択される前に決めているわけであって、共同採択地区が存在していないのに教科書を決めることはできないわけです。
 今の大臣のお話だと、気に食わない教科書が選ばれそうだから私はこの共同採択地区に入りません、こういうことが可能なんですというお話ですけれども、まさに共同採択地区ができた後に協議をするということになるんじゃないですか。
○下村国務大臣 おっしゃっていることはそのとおりです。
 ただ、今までの八重山地区は最初からそういう違いというのが明確でありましたから、今度採択する場合ですね、その場合には、共同採択地区のエリアから外れて独自に採択することについてその教育委員会が選んだ教科書については採択することができるということで、共同採択地区として決まったことについては、その教科書を選んでいただくというのは当然そのとおりであります。
○吉川(元)委員 田沼委員もおっしゃられておりましたし、私もその討論の中で、共同採択地区ではなくて研究地区にして、あくまで研究をして、採択は市町村単位でやればいいじゃないかと。ところが、その法律がなっていない。まさに大きな論点だったんです、この法律についての議論の際に。原案どおりに採決されましたけれども、そこではそうはせずに前と同じ形をして、だけれども市町村単位で採択地区を決められますよというふうにして、分離できるようにしたというだけの話であって、非常に大きな論点だったというふうに私自身は認識をしております。
 改めて議事録等々も見させていただきますが、これについては引き続き、市町村単位での教科書採択ということを私自身は求めていきたいというふうに思います。
 前の話が少し長くなってしまいましたが、教育予算の財務省方針についてお伺いしたいと思います。
 これはもう既に多くの委員の方からお話がありまして繰り返しになりますけれども、御答弁をよろしくお願いいたします。
 先般、財務省が来年度の予算編成において公立小学校一年生の四十人学級復活を文科省に求めるというような報道がなされました。月曜日の財政審でも財務省が実際そのような主張をされたというふうに承知をしております。
 財務省は、小学校一年生を三十五人学級から四十人学級に戻せば、教職員を四千人削減できる、国庫負担分の人件費八十六億円を節約できると説明しております。また、教員の給与についても、一般行政職の公務員と比較して年収で約八万円分を削減せよというような主張もあると聞いております。
 前回のこの委員会で、OECDのTALISの結果について質問した際に大臣は、教員が授業等に専念できるよう教育現場の多忙化の解消を図っていくことが必要である、教員が子供と向き合う時間を確保し、業務の負担軽減に必要な環境整備を図ると答弁されました。この大臣の答弁からしますと、財務省の四十人学級化という主張はとても応じられないものと考えます。
 また、財務省は、四十人学級化と教員給与の削減をもって、これも少しお話しありましたが、現在進めようとしている幼児教育の無償化の財源にすることも念頭に置いているのではないかというふうにも思われます。
 しかし、学校の学級編制、教員の定数と給与は、幼児教育無償化とは直接には何の関係もありません。政府の方針として進める幼児教育無償化は、学級編制や教員の定数とは別の財源で措置するのが当然だというふうに思います。
 そこで大臣に伺いますが、財務省が主張する四十人学級化は認めず、来年度予算の概算要求にも盛り込まれた定数改善を着実に進めること、そして教員給与の引き下げにもくみしないでいただくべく、御決意を伺いたいと思います。
○下村国務大臣 きょう何度も同じ質問がありますので、先ほどのお話のように違った答弁になると問題ですので、繰り返しでありますが、同じ答弁をさせていただきたいと思います。
 学校を取り巻く環境が複雑化、困難化し、教員に求める役割を拡大する中、教員が授業など子供への指導により専念できる環境をつくるべきときに四十人学級に戻すとの主張は、文部科学省の考え方や学校現場、保護者の声とは相入れないものであり、到底認められません。
 全国的に定着した小学校一年生の三十五人以下学級については、子供たち一人一人に目が行き届くきめ細やかな指導や、思考を深める授業づくりが一層可能となります。教員と児童との関係が緊密化するとともに家庭との緊密な連携が可能となるといった調査結果から、子供たちの学習意欲の向上やきめ細やかな指導による学力の向上にとって効果があるものと考えており、少人数学級の推進は望ましいと考えておりまして、また一方、授業の質向上に対する多様な取り組みや極めて厳しい財政状況等を総合的に考慮し、自治体の創意工夫を踏まえつつ、柔軟で効果的な定数改善を早急に進めていくことも必要であると考えております。
 これら全体を踏まえ、ことし八月に策定した教職員定数改善計画においては、アクティブラーニングの推進によって、義務標準法の改正により基礎定数の拡充を図ることとしており、その実施に当たっては、少人数学級、チームティーチング、習熟度別指導など、学校の実情を踏まえ、自治体の創意工夫により少人数教育を柔軟に行えるものとしております。
 文科省としては、計画的な指導体制の整備を図ることができるよう、各方面の理解を得つつ、財政当局と折衝し、教職員定数改善計画の実現に向けて最大限の努力をしてまいります。
 また、教員給与についての御質問もありました。教員にすぐれた人材を確保するため、いわゆる人材確保法によりまして、「一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」こととされているわけであります。新学習指導要領の実施やいじめ問題等への対応など、学校を取り巻く環境は大きく変わってきており、国際的に見ても我が国の教員は多忙であることは明らかであります。教育再生実行会議の第五次提言においても、「人材確保法の初心に立ち返り教師の処遇を確保する。」と提言されており、今後とも優秀な教員を確保していくためには、人材確保法の精神を踏まえ、教員の職責に見合った処遇の確保が必要と考えており、安易な引き下げ論は、これも到底認めることができません。
 それから、幼児教育の無償化についても、これはぜひ進めていきたいと思っておりますが、この財源を、おっしゃったような、教員の数を減らす、あるいは義務教育における教員の処遇を下げることによって幼児教育の無償化に財源を回すということについては、これも到底認めることができません。
○吉川(元)委員 財務省のこの資料を見ますと、前回質問させていただいたTALISについても触れております。単純な国際比較は誤解を招くおそれがある、だから、こんなTALISなんかの調査でどうこうするべきではないというようなことを、いけしゃあしゃあとこういう資料を出しております。
 しっかりと財務省との間で議論していただき、決して財務省の主張が通るようなことがないように頑張っていただきたいと思いますし、政府の教育再生実行会議による第五次提言でも、「今後の学制等の在り方について」を見ましても、教員の配置については、「国及び地方公共団体は、課題解決・双方向型授業等にも対応した質の高い教育を実現するため、教職員配置の充実を図る。」とされております。また、教員の処遇につきましても、「教師に対する社会からの信頼感や尊敬の念が醸成され、優秀な人材を教育現場に引き付けるため、いわゆる」、今まさに大臣が答弁なされました、「人材確保法の初心に立ち返り教師の処遇を確保する。」とされております。
 財務省の主張というものは、この政府の教育再生実行会議の取りまとめにすら反しているとしか思えません。ぜひ大臣、リーダーシップを発揮していただきたい、そのように思います。
 関連しての質問です。これも少しほかの委員の方から質問がありましたが、政府として、五十八年ぶりに公立小中学校の統廃合指針を見直すというようなことが記事で出ておりました。
 現状、学校教育法に従い、小中学校の標準学級数は十二から十八学級と定められております。加えて、通学の基準は、小学校で徒歩四キロ以内、中学校は六キロ以内とされていますが、これにスクールバスの利用時間を加味するのではないかというようなことも報じられております。聞くところによれば、バスで一時間というようなことも聞いておりますし、場所によりますけれども、私の選挙区なんかは、一時間も走ると三、四十キロは軽く行ってしまうようなそういうところでありますけれども、指摘するまでもなく、標準学級数を機械的に適用すれば、五千を超える小中学校が統廃合の対象となり、通学基準を緩和すればさらに統廃合が進む可能性があります。
 一方、学校は、子供たちの学ぶ場であると同時に、地域コミュニティーの中心をなす存在であり、学校がなくなれば、その地域に若い人たちが集まらない。都会からUターン、Iターンで帰ってくる場合に一番やはり心配されるのは、子供がいらっしゃる家庭でいえば教育環境ということになりますけれども、そういう面でいいますと、地域がさらに衰退していくということは明白であります。これも指摘が既にありましたが、政府が今進めている地方創生にすら逆行しかねないのではないかという懸念を抱いております。
 統廃合の基準を今後検討していくのであれば、地域のあり方そのものに直結しかねない課題である以上、もちろん、学習においては一定規模以上の学級数や生徒数というのが必要だというのは十分わかりますが、財政的な観点だけに目を奪われることなく、子供や保護者の負担に加え、地域住民の声、意見をしっかりと受けとめ、慎重に進めていくべきだと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
○下村国務大臣 小中学校の規模や配置のあり方については、地域の実情を踏まえ、設置者である各市町村が判断すべきものであります。
 一方、社会性の育成や切磋琢磨する機会の確保の観点から、ある程度の学校規模があることが望ましく、少子化等に伴い学校の小規模化が一層進むことが予想される中、教育的な視点から学校規模の適正化を推進する必要があると考えております。
 他方、学校が地域コミュニティーの核としての役割を果たしていることや、離島、山間部など、地理的な要因等により統合が困難なため、小規模校のデメリットの克服を図りつつ学校の存続を選択する場合もあると考えられ、そのような市町村の選択も尊重されるべきものであるというふうにも考えます。
 現在、文科省では、学校規模のあり方に関する指針の策定に向けた検討を行っているところでありますが、この指針については、市町村が学校統合や小規模校の課題の解消策も含め、地域の核となる魅力ある学校づくりを主体的に検討する上で参考となるものとしてまいりたいと考えております。
○吉川(元)委員 ぜひ、慎重な検討をよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、いわゆる道徳の教科化について少しお聞きしたいと思います。
 十月二十一日、中教審は、道徳の時間を特別の教科、道徳に改め、検定教科書を使用すること、数値ではなく記述式の評価を行うこと、そうしたことを柱とする答申を行いました。
 私は道徳そのものを否定するものではありません。しかし、道徳を教科化することについては、子供たちや教職員の思想、信条の自由の問題、それから、特定の価値観を強要するのではないかといった危惧、あるいは、いじめの問題の解決に本当に役立つのか、そういったさまざまな課題がありますし、多様な価値観の尊重に逆行しかねないのではないかというような危惧も禁じ得ません。
 今後、特別の教科に位置づけるために省令の改正や学習指導要領の改訂は必要とされるものの、具体裏にこの国会の場で審議をしなくてもできるというようなことも聞いております。道徳の教科化をする際に省令の改正だけで済ませてしまうということは果たしてどうなのか。
 それから、この教科化に関しては、国民の間でも、識者も含めて非常にさまざまな賛否の意見があります。慎重に判断すべきであると考えますけれども、御所見を伺います。
○下村国務大臣 道徳教育は、本来、学校教育の中核として位置づけられるべき重要なものであるにもかかわらず、各教科と比べて軽視しがちであるなど、その実態について多くの課題があると考えております。
 このことを踏まえ、去る十月二十一日の中央教育審議会答申においては、道徳の時間を特別の教科、道徳として位置づけられることなど、道徳教育の改善の方策が提言されたものであります。
 文科省としては、答申を踏まえ、学校教育法施行規則の改正や学習指導要領の改訂等に取り組むこととしております。
 その際、特別の教科、道徳の目標をより明確なものとするとともに、内容や指導方法についても、児童生徒の発達の段階等を踏まえ、より多様で効果的なものに改善すること、検定教科書や記述式の評価の導入等を図ることなどによりまして、各学校における道徳教育の改善充実を図ってまいります。
 また、こうした取り組みの経緯や趣旨を教育現場に周知し、指導の改善を推進するため、来年一月以降、教育委員会の担当者、学校の管理職、道徳教育推進教師等が参加する、道徳に係る指導方法等の改善に関する研究協議会を全国で開催することとしております。
 あわせて、教員の指導力向上を支援するため、来年度概算要求におきまして、特別の教科、道徳の効果的な指導方法等についての具体的な事例も含めた教師用資料を作成し、各学校に配付するための経費を盛り込んでいるところであります。
 さらに、指導要録の具体的な改善策など評価に関することについて、今後、文部科学省において協力者会議を設け、さらに専門的に検討を行うこととしております。
 もとより、特定の価値観を押しつける、あるいは国家主義的な教育を押しつけるということは毛頭あり得ないわけでありまして、国境を越え、歴史を超え、時代を超え、人が人として生きるための社会的なルールや規範意識、子供たちに夢や希望を持つことの大切さ、また、一方的に教師が指導するということでなく、特に道徳の時間は、子供たちの討論等を通じまして、それぞれの、道徳についても一つの価値しかないということではなくて、いろいろな見方がある中で、より道徳の多様的な見方の中で、あるべき道徳は何なのかということを子供たちみずからが考えていくような、そういう場も含めた新たな位置づけも必要だというふうに思っておりますが、いずれにしても、特別の教科、道徳については、わかりやすく、そして丁寧に説明をし、教育現場に要らぬ混乱が生じないようにしてまいりたいと思います。
○吉川(元)委員 内心の問題だと思いますけれども、やはりそれを記述式とはいえ評価をするということは、私は非常になじまないのではないかというふうに思います。
 中教審は、特別の教科、道徳に検定教科書を用いるべしという答申をしております。子供の内心に深くかかわる道徳の授業に検定教科書を使うことには、私は強い違和感を覚えております。
 検定教科書のルールが変わりまして、教育基本法の目標に照らして重大な欠陥があると判断された場合にはその時点で不合格とされることになっておりますが、教育基本法の目標、条文では第二条が該当しますが、その第五項には「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」といった文言が含まれております。これは、人によってはそれぞれとり方が違うかもわかりませんが、愛国心というふうにも読める部分だろうというふうに思います。道徳の検定教科書で、教育基本法の目標、とりわけ愛国心にかかわる部分が強調されるのだとしたら、これは国による価値観の強要になりかねないと思います。
 そこで、道徳で検定教科書を使用する際にも、検定基準として教育基本法の目標を重視し、欠陥がある場合には不合格という規定がそのまま用いられるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○下村国務大臣 教育基本法にのっとって検定教科書をつくるということは当然のことであります。
○吉川(元)委員 もう少し質問したかったんですが、時間が来てしまいました。特区の問題についてもお聞きしたかったんですが、またこれはいつか別の機会に質問したいと思います。
 以上で終わります。
○西川委員長 次回は、来る三十一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十三分散会