第187回国会 厚生労働委員会 第5号
平成二十六年十一月五日(水曜日)
    午前九時二十三分開議
 出席委員
   委員長 渡辺 博道君
   理事 赤枝 恒雄君 理事 高鳥 修一君
   理事 とかしきなおみ君 理事 松野 博一君
   理事 松本 文明君 理事 山井 和則君
   理事 浦野 靖人君 理事 古屋 範子君
      池田 道孝君    今枝宗一郎君
      岩田 和親君    大久保三代君
      大串 正樹君    大野敬太郎君
      金子 恵美君    小松  裕君
      古賀  篤君    白須賀貴樹君
      新谷 正義君    田所 嘉徳君
      田中 英之君    田畑 裕明君
      武部  新君    豊田真由子君
      中川 俊直君    永山 文雄君
      丹羽 雄哉君    橋本  岳君
      船橋 利実君    堀内 詔子君
      前田 一男君    松本  純君
      三ッ林裕巳君    村井 英樹君
      山下 貴司君    大串 博志君
      中根 康浩君    長妻  昭君
      柚木 道義君    井坂 信彦君
      清水鴻一郎君    伊佐 進一君
      輿水 恵一君    今村 洋史君
      宮沢 隆仁君    中島 克仁君
      高橋千鶴子君    阿部 知子君
    …………………………………
   厚生労働大臣       塩崎 恭久君
   厚生労働副大臣      山本 香苗君
   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君
   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長)            岡崎 淳一君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局長)            生田 正之君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君
   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月五日
 辞任         補欠選任
  金子 恵美君     武部  新君
  田畑 裕明君     田所 嘉徳君
  山下 貴司君     岩田 和親君
同日
 辞任         補欠選任
  岩田 和親君     池田 道孝君
  田所 嘉徳君     前田 一男君
  武部  新君     大野敬太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  池田 道孝君     山下 貴司君
  大野敬太郎君     金子 恵美君
  前田 一男君     田畑 裕明君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
     ――――◇―――――
○渡辺委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長岡崎淳一君、職業安定局長生田正之君及び職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○渡辺委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井英樹君。
○村井委員 自由民主党の村井英樹です。
 本日は、厚生労働委員会で質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 派遣法の委員会質疑のトップバッターということでもありますので、法案の大枠について幾つか質問をさせていただければと思います。
 まず、労働政策を議論する際に注意をしなくてはならないのは、企業側、労働側の利益を二項対立する形で捉えて、片方を応援すると片方を苦しめることになるといった類いの議論に陥ることだろうと思います。
 経済政策の分野の議論で、厳し過ぎる労働規制も六重苦の一つとされておりますが、労働者の利益を余りにも短期的視野から保護し過ぎてしまうと、企業も海外に出ていってしまったりだとか雇用を減らしてしまうということで、結果、労働者の利益を損なうということになるんだろうと思います。
 そういう意味で、労働政策の要諦は、企業側そしてまた労働側のニーズをしっかりと酌み取って、いかに適切な制度設計を行ってウイン・ウインの関係を築いていけるか、そういうところにあるんだろうと思います。
 その上で、安倍内閣が進めておられます雇用制度・労働市場改革の大きな方向性について質問をしたいと思います。
 現下の失業率などは三%台で推移をしているということで、良好な数字も出ておりますが、その一方で、労働市場につきましては、長時間労働が常態化をしているだとか、また市場が硬直化をしていて正規と非正規が分断をしている、さらには非正規の方がキャリアアップをなかなかしづらい、そしてまたサービス業、建設業を中心として人手不足が起こっているなど、多くの課題が労働市場にはあるんだろうと思っています。
 それらを踏まえて、まず初めに、塩崎大臣においでをいただいておりますので塩崎大臣に、安倍内閣が進める労働市場・雇用制度改革の大きな方向性について見解を伺えればと思います。
○塩崎国務大臣 今、村井先生からお話がいろいろございましたけれども、ウイン・ウインの政策をやっていくべきじゃないか、こういうお話でありまして、まさにそのとおりだと思います。
 安倍内閣としては、若者も女性も、そしてまた高齢者も、あるいはその他の方々を含めて、やはり全員参加型の社会というものを実現していくことが一番大事だというふうに考えておりまして、それも、一人一人が、みずからが選べるライフスタイルというのが、あるいは希望をかなえられるというのが大事であって、社会で活躍の場を見出せるということが個人個人できるように、柔軟で多様な働き方というものを可能にするような、そういう労働市場改革をしなければいけないんじゃないかというふうに思っております。
 今回、労働者派遣制度の見直しについて御審議を賜るわけでありますけれども、その実現に向けた、今申し上げたような社会をつくるための重要な取り組みの一つとして考えておって、今回の改正案も、みずから働き方として派遣を積極的に選択される働く方々についてはその待遇の改善等を図る、一方で、正社員を希望する派遣の方々については正社員への道が開かれるということが大事であって、全ての人がそれぞれ独自の生きがいを持って安心して働けることが大事ではないかと思いますので、そのような社会をつくることを目指して、今、改革をしているところでございます。
○村井委員 ありがとうございました。
 今、塩崎大臣から、安倍内閣は、柔軟で多様な働き方を実現するということを大きな目標に掲げて制度改革を実行していくという決意を伺いました。
 今回の派遣労働の議論に移っていきたいと思いますが、まずその前に、この派遣労働という働き方が我が国の労働市場においてどのように位置づけられていて、そしてまたどのような役割を担っているのか、厚生労働省のお考えを伺いたいと思います。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 先ほども委員の方から、労働政策について労使双方のニーズをしっかり捉まえてという御指摘がございました。
 今御質問の労働者派遣制度でございますけれども、こちらの方につきましても、まず、労働者側のニーズとしては、自己の希望する日時でありますとか場所、あるいは専門的な知識を生かして就業することを希望される方のニーズに応える、労働者側のニーズに応えるという側面がございます。
 また、企業側のニーズという意味では、企業において専門的な知識とか技術とかそういったものを必要としている業務に対応できる人材を迅速的確に確保していくというようなことがございまして、まさにそういった労働力の需要、供給の両面における労使双方のニーズに対応して、労働力需給調整システムの一つとして機能を果たしてきたということだと理解をしております。
 こういう機能につきましては、今後も、労働市場においても我が国において引き続き重要な役割を果たすということが期待されると思いますし、先ほど大臣からも御答弁させていただきましたように、柔軟な、多様な働き方ということを実現する上でも非常に重要だということで考えております。
○村井委員 今部長からもお話をいただいたとおり、派遣労働は、企業側、労働側のニーズを受け入れて、そしてまた労働力の需給の調整機能を担っているということでございました。
 ただ、今回、法改正をするということで、この派遣制度を大きく見直すということでありますが、派遣制度について、現在どのような問題点があって、どのように見直していくのか、大きな質問でありますけれども、副大臣にお答えをいただければと思っております。
○山本副大臣 お答えさせていただきます。
 どういう課題があって、どう見直すのかということでございますけれども、まず労働者派遣の課題といたしましては、雇用と使用、これが分離しているために、派遣労働者の雇用の安定またキャリアの形成、こういったことが図られにくいという課題がございます。また、そのほかにも、現行の業務単位の期間制限についてはわかりにくいといった指摘がなされております。
 このため、今回の法律案におきましては、労働者派遣事業を全て許可制といたしまして、派遣労働者の安定した雇用継続のための措置とともに、キャリア形成の支援等の仕組みを法律に盛り込ませていただきました。と同時に、また期間制限のあり方を働く人に着目したよりわかりやすい制度に見直すこととさせていただいておりまして、先ほど申し上げた課題に対応させていただくことになっております。
 これらの措置を通じまして、派遣労働者の一層の雇用の安定また労働者の保護、こうしたことを図って、多様な働き方の実現を目指すものでございまして、先ほど大臣から御答弁ございましたが、安倍内閣といたしまして、全ての人々が生きがいと働きがいを持って安心して働くことができる社会を目指してまいりたいと思っております。
○村井委員 今副大臣から、今回の法改正で、派遣事業についての全面許可制への移行、そしてまた期間制限の見直し、この二本柱と言っていいんですかね、について改正を行っていくというお答えをいただきました。
 ここから少し各論に入っていきたいと思います。
 特定労働者派遣事業について廃止をするということでありますが、廃止をすることによって、特定労働者派遣事業を行っていた方々の事業の継続性といったような問題が出てくるかと思います。まずこの点について伺いたいと思いますが、この特定労働者派遣事業をまず廃止すると決めた理由について伺いたいと思います。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘の、特定労働者派遣事業を廃止するということに至った経緯でございますけれども、今回の改正全般にわたりまして、労使双方、公労使から成る労働政策審議会において御議論いただいて、その議論の結果に基づいて法案要綱を作成して提出させていただいておるところでございます。
 その審議会におきまして、労使双方の委員の方から、この特定労働者派遣事業につきましては、本来これは常時雇用する労働者のみを派遣する事業ということになっておるわけでございますけれども、定義上その中に無期雇用派遣の方だけでなくてもよい、一年以上の雇用見込みがあればいいというような形で運用しておりますので、中には有期雇用の方が多く含まれているというような実態があるということ。それから、現実に、各事業者さんの状況から見ても、一般労働者派遣事業と比しましても、行政処分の件数が多いというような実態があったこともございます。
 それから、先ほど申しましたような定義とも相まって、一般労働者派遣事業の許可要件を満たせないということもあって、特定労働者派遣事業と偽って事業を行っている事業者もいるというような、さまざまな問題点が審議会の中でも御指摘がなされまして、建議においても全ての事業を許可制とすることがふさわしいということとされたところでございます。
○村井委員 今部長からお話があったとおり、特定労働者派遣事業については、幾つか問題点が指摘をされておりまして、この点についてしっかりと改善を行っていく、そして、派遣労働者の雇用の確保と労働環境の改善といったような観点から全面許可制に移行していくということだろうと思います。
 ただ、この特定労働者派遣事業者数というものは、厚生労働省からいただいた資料などによると、現在、実績があるところで約三万件ほどあるということであります。この三万件のうちの相当数は許可をとって事業を継続していくということになるんだろうと思いますが、大体どれぐらいの数が事業継続を目指して許可をとりに行くのか、そのあたり、推計という形になってしまうかもしれませんが、何か数字があれば教えていただければと思います。
○坂口政府参考人 正直に申し上げまして、全体をどういう形で推計するかということは非常に難しいわけでございますけれども、今委員の方から約三万の事業所という御指摘がございましたけれども、実は、現在、二十四年度の実績で見ますと、派遣事業者については毎年事業報告を提出していただくということになっておりまして、その事業報告の提出、特定派遣事業者の方から出てきたものが約五万六千件というようなことになっております。
 一方で、そもそも届け出はされているというところではありますけれども事業報告の提出がない事業所も一万件あるということがございまして、その約五万六千件の提出があった事業所のうちで実績があった事業所が約三万件というようなことになっております。
 委員の御指摘のように、どれだけがということについて、我々としてもなかなか難しいわけでございますけれども、特定派遣事業としてそういった事業実態がない、あるいは、今回いろいろな取り組みを事業者に求めるということもございますので、そういった形で、事業を廃止するというような部分も出てくるのではないかということで考えておりますが、全体とすると、今御指摘がありました三万件のうちの一定の部分がやはり許可をとりに移行される可能性があるのではないかということで考えております。
○村井委員 今お話をいただいたとおりで、具体的な数字はやはりわからないということでありますが、三万件ある特定労働者派遣事業者数のうち相当数が事業を継続するために新たに許可を受けようとするということは確かなんだろうと思います。
 そういう意味で、新たな許可基準が一つ重要になってこようかと思いますが、現在、一般の労働者派遣事業者につきましては、許可を受ける際、基準として一事業所当たり二千万円以上の資産要件などが課されておりますが、こういった要件というのは、今回の法改正に伴って特定事業者についても適用されるということでよろしいのでしょうか。そしてまた、何か激変緩和措置的なものがあれば、予定をされておられれば、教えていただければと思います。
○坂口政府参考人 今るる委員の方から御指摘いただいておりますのは、やはり円滑に、今特定労働者派遣事業を行っておられてその実態を伴っているところが今後許可をとられるという動きに際してということかと思っております。
 その意味では、そういう特定派遣事業者が許可をとりに来られるという場合に、円滑な移行が図られるようにきっちり丁寧な相談をするということがまず第一だと私どもは考えております。
 その上で、今委員の御指摘にありましたような、いろいろな激変緩和措置等でございますけれども、まず、円滑な移行を図るために、法律上も三年間の経過措置を設けるということにしております。これがまず第一点でございます。
 それから、今委員の方から資産要件等の許可基準のお話がございましたけれども、やはり小規模の派遣元事業主に対しては一定の配慮が必要だろうという御議論もございましたので、その点については、何らかの形での暫定的な配慮ということを設けることが必要ではないかということで考えております。
 具体的には、今委員の御指摘にあったような資産要件等について、派遣労働者の人数が少ない事業所について軽減するというようなことを今考えておるところでございます。
○村井委員 幾つか軽減措置を考えていただいているということでございました。
 今回の制度改正の中で、派遣事業の全面許可制への移行というのは、事業規制の強化であります。もちろんですけれども、事業規制の強化を行う際は、そのマイナスのインパクトをできるだけ小さくしていくということが必要だろうと思います。
 仮に、適正に特定労働者派遣事業を行っていた事業者が今後事業を継続できないということになりますと、派遣先の方で労働力の十分な調達に支障を来すということのみならず、派遣労働者としても職を失ってしまうということでありまして、地域経済等への影響も大きいと考えられますので、ぜひ激変緩和など十分な経過措置を講じていただけるように私からお願いを申し上げたいと思います。
 実は、この後、期間制限の見直しについても幾つか伺おうかとも思ったんですが、いろいろ、時間も押しているということでありますので。
 この派遣法について、今、与野党の対決法案といったような形で世間の耳目を騒がせておりますが、大切なことは、最初に申し上げたとおりで、労働者そしてまた企業側のニーズをしっかりと酌み取って、適切な制度設計を一つ一つ組み立てていくということだろうと考えております。
 そういう意味で、この厚生労働委員会の場が建設的な議論の場にしっかりとなっていくことを願いつつ、トップバッターとしての質問を終えたいと思います。
 本日はありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、大串正樹君。
○大串(正)委員 自由民主党の大串正樹でございます。
 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 既にお話がありましたけれども、少し私としても掘り下げてお伺いしたいというふうに思っております。
 この法案に関しましては、賛否が非常に大きく分かれる法案で、今国会でも重要な位置づけであるというふうに言われているところでございますが、恐らく、皆様の事務所にもいろいろな方々からこの法案に関しての御意見が届いていると思います。ファクスであったり、はがきであったり、メールであったり、いろいろな意見が届いていると思いますし、あるいは、新聞の記事なんかでもいろいろな意見があるわけでございます。
 今回の法改正に関して、多様な意見がある中で、大きく分けると、これが生涯派遣につながるのではないかという危機感を持っていらっしゃる方と、あるいは、三年で首を切られるのではないか、そういう危機感を持たれている方、この全く逆の不安を持たれている方々がいらっしゃるような感想を持っているんですけれども、なぜこのような全く異なるような意見が出てくるのか。その辺についてどのように認識されているか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○高階大臣政務官 お答え申し上げます。
 今回の改正案におきましては、有期雇用の派遣労働者につきまして、同一の職場への派遣に三年の期間制限を設けますことで、派遣労働への固定化の防止を図ることとしております。その際、次の雇用の安定につなげていく、このことがとても大切だと考えてございます。期間制限の上限に達する前の時点で派遣会社に雇用安定措置を講じることを新たに義務づける、こういうこととしております。
 具体的には、雇用安定措置といたしまして、派遣先への直接雇用を依頼する、新たな就業機会の提供を行う、派遣元での無期雇用、あるいはその他安定した雇用の継続が図られると認められる措置を行う、こういうことを新たに義務づけてございます。
 一方で、無期雇用の派遣労働者につきましては期間制限の対象から除外することとしておりますが、有期雇用と比べますと、無期雇用の場合には比較的雇用が安定しており、キャリアアップも比較的図られやすいものと考えてございます。
 いずれにせよ、今回の改正案におきましては、派遣会社に対し計画的な教育訓練等を新たに義務づけるほか、派遣先に対して派遣労働者への正社員募集に関する情報提供を新たに義務づけるなど、派遣労働者のキャリアアップの支援や雇用の安定等を図るためのものでございまして、生涯派遣や三年で解雇といった御指摘には当たらないものと考えてございますが、そうした点について御懸念があるということも踏まえ、丁寧な説明を行っていくこと、そして御理解を得られるよう努めてまいりたいと考えてございます。
○大串(正)委員 ありがとうございます。
 今、これからちょっとお伺いしようというところも触れていただいていると思うんですけれども、やはりこの法案の重要なところは、ただ単に三年でという話ではなくて、そこから雇用安定化措置があったり、あるいはキャリアアップを図っていくという支援があって初めて意味のある改正ではないかなということで、その部分が恐らく伝わり切っていない。説明をしていく上で、支援をしていくという部分をもうちょっと重点的に伝えていく、情報を提供していくというところがこれから大事になっていくのではないかなというふうに思っております。
 それとあわせまして、派遣という雇用形態について、本当にこれがいいのか悪いのかというところで恐らくいろいろな意見があると思うんです。
 冒頭、大臣の趣旨説明の中でも、労働者派遣制度というのが、労働力の迅速かつ的確な需給調整を行うという重要な役割を占めている、非常に重要な位置づけにある形態であるという意見と同時に、先ほどの質問にもありましたけれども、雇用と使用の分離という弊害がある、課題があることを踏まえた上で、やはりこれは臨時的、一時的なものに限るという原則を設ける。
 つまり、重要でありながらこれは一時的なものですよという非常に相反する部分、これが両方ある雇用形態ではないかなというふうに思っておりまして、ですから、その意味で、受けとめ方、派遣雇用という形態がいいものか悪いものかというのが意見が割れるところではないかなというふうに考えておりますが、これを払拭する上でも、雇用安定化措置が本当に実効性があるものになるかどうか。実はこの法案の一番大事なところはここではないかなと思っております。
 四つの条件が提示されておりまして、一番目の派遣先への直接雇用の依頼というものをまず働きかけて、それがもしうまくいかなければ残りの三つの条件のどれかを御対応していただくというふうな趣旨になっているわけでありますけれども、多分、一番の派遣先への直接雇用の依頼という点に関しては、そもそも派遣雇用しようという企業であれば、これを直接雇用に切りかえるというのはなかなか難しいのではないかなという懸念が一つあります。
 逆に言うと、大きな企業ほど、制度として派遣を利用しているのであれば、なかなか難しい。我々の事務所のような小規模の事業所であれば、派遣で来てもらったけれども、なかなかいいから、しばらくこれからはうちで正社員としてやってもらうよという話になるかもしれませんけれども、もともとの派遣雇用という性格上、それが直接雇用になるのはなかなか難しいとなると、残りの三つ、新たな就業先を提供する、あるいは派遣元での無期雇用、あるいはその他の雇用の継続が確実に図られると認められる措置をとるというこの三つのどれかが重要になってくるのかなというふうに思うんです。
 この三つについて、それぞれ、例えば新たな就業機会を提供する上で非常にタイムラグが起こってしまうのではないかとか、あるいは派遣元での無期雇用、本当にそういう可能性があるのか、あるいは、四番目の安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置というのは非常に多様に解釈ができるんですけれども、具体的に何を想定しているのかについて、お答えいただきたいと思います。
○坂口政府参考人 今委員御指摘の雇用安定措置でございますけれども、今ございましたように、雇用安定措置につきましては、派遣先への直接雇用の依頼、あるいは新たな派遣先の提供、あるいは派遣会社での無期雇用、その他というようなことの四つの選択肢がございます。
 まず一点目は、派遣先への直接雇用の依頼ということにつきましては、今委員もいろいろ難しい面ということで御指摘ございましたけれども、これは派遣会社だけで成り立つわけではありませんので、派遣先への直接雇用を依頼した場合に雇用に至らなかったという場合につきましては、ほかの措置、派遣先の提供でありますとか派遣会社での無期雇用といったようなほかの措置を確実に設けていただいて、雇用の継続が図られるようにするということがまず第一点でございます。
 それから、その他の措置を選択された場合ということでございますけれども、それにつきましては、それぞれの派遣会社さんの特性というものがあろうかと思います。派遣先の提供ということになりましても、どこでもいいというわけにはいかないということの難しさもございますし、それから、派遣元での無期雇用ということになりますと、いわゆる派遣労働者でない形でということになりますので、派遣会社さんの中で、事務スタッフのような形での雇用というようなものをどういう形で工面していただくかというような形の難しさがあろうかと思います。
 それから、あと、そのほかの措置ということでどういったことが考えられるかということでございますけれども、雇用の継続を図っていただくということがございますので、雇用の継続をしていただきつつ、有給の形での教育訓練をしていただくとか、紹介予定派遣というような形での派遣につなげていただくというような形を予定しているということでございます。
○大串(正)委員 ありがとうございます。
 今、多様な方法が提示されたわけでございますけれども、ぜひとも、そういう可能性があること、これも含めてしっかりとこの法案の意味としてPRをしていっていただければというふうに思います。
 次に、今少し触れられましたけれども、並行して、キャリアアップの話についても少しお伺いしたいというふうに思っております。
 雇用安定化措置以上に実は重要なポイントは、今回、キャリアアップをしっかりやる、これが一番重要なのではないかなというふうに私は思っております。
 派遣は、希望されて働いている方もいらっしゃいますし、本当は正社員になりたい、だけれども派遣で労働せざるを得ないという方々でも、しっかりとしたキャリアアップを図って、本当に必要な人材として、ぜひともうちで正規で働いていただきたいというふうな人材に成長していっていただけることが、実はこのキャリアアップとしての非常に重要な位置づけになるのではないかなと思うんですけれども、ここの中身が、単なる社員研修プログラムを履修して、これで終わりですよというふうにならないために、これがしっかりと正規雇用につながっていくために具体的にどのような方策を考えていらっしゃるのかというのをお伺いしたいと思います。
○坂口政府参考人 お答えします。
 キャリアアップ措置につきましても、今委員御指摘のように、今回の改正の中身の中でも非常に重要と思っておりまして、こういった措置を派遣会社の方に義務的に位置づけるというのはこれまでもなかったということで、新たにそういった法律的な義務を課するというものでございます。
 具体的に、このキャリアアップ措置を盛り込んだ趣旨と申しますのは、派遣会社さんの方で、雇用責任をもとに、派遣労働者の希望に応じたキャリアアップを図ることができる環境を整備していただくということがその本旨でございます。
 このため、そのキャリアアップ措置の内容でございますけれども、やはり派遣労働者のキャリアパスを踏まえた段階的、体系的な教育訓練を計画を立てていただいて実施していただくということが必要であるということで考えております。
 具体的な詳細につきましては、今後、労政審の中で議論を深めていただこうということで考えておりますけれども、やはり、その義務を履行しないという派遣会社に対しましては、許可の取り消しも含めて厳正な対応ということをしつつ、しっかり実効性を確保してまいりたいと思っております。
○大串(正)委員 ありがとうございます。
 恐らく、派遣というスタイルの中でもいろいろな職種、いろいろな業種があると思いますので、そのキャリアアップの仕方、教育の仕方、研修の仕方というのは本当に多種多様だと思います。技術的なスキルを身につける方もいれば、本当に事務的な作業であってもクオリティーを高めていくとか、いろいろなタイプがあると思うので、業種や職種、あるいは本人の向き不向き、適性、そういったところに細かく目配りをしながら、労政審の中でこれから議論されていくというお話でしたけれども、本当に実効性があるきめ細かな方法論というのをしっかりとつくっていただいて、このキャリアアップのプログラムが派遣の中だけではなくてもいろいろな社会でも使える、こういうふうに人材を育てていけばいいんだ、そういうひな形をぜひつくっていただければいいなというふうに期待しております。
 次の質問なんですけれども、今回、派遣の問題をずっと考えさせていただいている中で、派遣が抱えている雇用形態、最初にもお話ししましたけれども、これが社会で重要な仕事の形態として位置づけられながらも、やはり一時的なもの、臨時的なものという位置づけにしていくという、非常にある意味歯切れの悪い法案になっているのかなというふうに思っているんです。
 なぜそういう状況、雇用を拡大しながら、雇用を維持しながらいろいろなニーズに応えてこういう法案ができてくるんだと思うんですけれども、そこを根本的に考えると、やはり派遣の雇用形態が抱えている問題というのは、実は正規雇用が抱えている問題の裏返しなのではないかなというふうに考えております。
 例えば、正規雇用が抱える課題というのは、コストがやはり割高になるであるとか、解雇あるいは調整といったものがそう簡単にはできるものではない。一方で、正規雇用の利点というのは、非常に高い忠誠心、組織としての一体感を持って働いていただけるとか、あるいは、しっかりと安定して仕事をしていただくことによって技術や知識の伝承や蓄積ができる、そういうメリットもあろうかと思います。
 そういうさまざまな課題がある中で、特に日本の伝統的な雇用環境、昔から言われている雇用環境より大分今は変わってきていると思いますけれども、その中で、現在把握されているような正規雇用の利点とか課題を踏まえた上で、今後の日本の雇用政策というのは派遣も含めてどういうふうに変わっていくべきなのか、その方向性についてお伺いしたいと思います。
○山本副大臣 お答えさせていただきます。
 今、正規雇用の方の課題をという話がございましたけれども、我々といたしましては、正規雇用の大きな課題というのは、恒常的な長時間労働というものがやはり大変大きい課題だと思っております。仕事と生活の調和や労働者の健康の確保の観点からこれは直ちに是正しなくてはいけないと思っておりまして、大臣を本部長といたしまして、ついせんだって、長時間労働削減推進本部というものを設置させていただきました。
 そして、企業に対する監督指導の強化などに、今月は過労死防止法も施行になりましたので、しっかりと取り組ませていただいておりまして、さらに、長時間労働抑制策や年次有給休暇の取得促進策等について、現在、審議会で検討を進めさせていただいております。
 こうした取り組みを着実に進めまして、我が国の若者や女性、高齢者等が多様な就業形態によってその能力を存分に発揮できるような、全員参加型の社会というものをつくってまいりたいと思っております。
 そして、今御指摘の点でございますけれども、いわゆる労働市場の流動化ということでの課題について指摘があることも、我々としても十分承知をしておりますけれども、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換を図りながら、失業なき労働移動の実現というものも目指してまいりたいと考えております。
○大串(正)委員 ありがとうございます。
 今回の派遣の話だけではなくて、ぜひとも正規雇用の問題についても一緒に取り組んでいきたいというふうに思っております。
 最後の質問なんですけれども、今、くしくも長時間労働というのが正規雇用の抱える大きな課題であるというお話があったんですけれども、厚生労働省自身も、本当に長時間労働で大変なお役所であるというふうに伺っております。
 この法案が今国会で議論されるに至ったのは、やはりさきの国会での条文ミスがあったりとか、いろいろミスが続いたことがありまして、田村前労働大臣は、厳しく厚労省にお叱りをした、要するにしっかりと気を引き締めてやるようにというふうにお話をされていたんですけれども、精神論だけで乗り越えるような課題ではなくて、実際に何でこんなにミスが起こってしまったのかということを考えて、その背景を明らかにして、これから省庁としてどんなふうにマネジメントをしていくのかということを踏まえた上で、改善を図らなければいけないんだろうなというふうに思っております。
 いろいろな資料を集めたんですけれども、やはり厚労省という役所の特性なんだと思いますけれども、例えば委員会の審議時間も、ほかの省庁に比べると莫大な時間が費やされている。あるいは、政府の答弁回数もそれに伴ってふえますし、国会提出法案自体の案文の分量とか政令数なんかもほかの役所に比べると段違いで多いという省庁になっている。
 ですから、そういう意味では、本来、厚労省のあり方そのものを考えなければいけないのかもしれないですけれども、今回の点を踏まえて、これから省庁としてどういうマネジメントをしてこういうミスを繰り返さないというところをぜひお伺いしたいと思います。
○山本副大臣 激励ありがとうございます。重要な法案がたくさんございますので、その分、業務も多いことだと思っておりますが、御指摘も踏まえてしっかりと頑張りたいと思っております。
 さきの通常国会におきまして、厚生労働省におきましては、御指摘のような重要な事務の処理誤りが続けて発生したことを受けまして、省内に業務適正化推進チームというものを、五月二十六日に、前の副大臣が主査になりまして立ち上げさせていただきまして、再発防止策の検討をしっかりと省内で行ってまいりました。
 このチームの議論の中では、事務処理誤りがなぜ発生したのか、その要因については、確認する事項を確認する方法自体が決められていなかったりとか、あるいは、決められていた確認の方法というものがしっかりワークしていなかったといったことが指摘されております。
 こうした議論も行いましたし、また、若手の省員の皆様方から声をいただきまして、意識改革の徹底や、ミスが未然に是正されるようなチェックの徹底、また研修の実施等を柱とする再発防止策の取りまとめを七月に行わせていただきました。
 この取りまとめを受けまして、省内におきましては、これまで、部局ごとに業務を見直すための議論を行って、意識改革につなげていくとともに、法案提出などの事務手続が確認できる工程表を作成し、また法文案をチェックする項目や内容の充実などを行わせていただきまして、国会業務全般に対します研修というものも実施させていただきました。
 私どもといたしましても、職員の意識改革を進めて、ミスの発生を未然に防止する取り組みとともに、よく田村前大臣がおっしゃっておりましたけれども、ミスが起きても最終的には訂正される強い組織を目指して、取り組みを徹底してまいりたいと考えております。
○大串(正)委員 ありがとうございます。
 もともと、厚生省と労働省が合併した時点で、この省庁は余りにも大き過ぎるのではないか、海外の例とかと比べても扱う範囲がかなり広い、ましてや個別の案件が個人個人の生活に本当に密着した話になればなるほど細かい議論が必要になってくるということで、これからも、いろいろな議論がある中で、大変な業務であろうかと思いますけれども、少なくとも、すぐにこれが解決する問題ではない、仕事量が簡単に減るものではないと思いますので、できるところから、我々も、できるだけ通告を早くするとか協力してスムーズな運営ができるように、業務が滞りなくいくように協力していきたいというふうに思っておりますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございます。
○渡辺委員長 次に、伊佐進一君。
○伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。
 派遣法につきまして質疑をさせていただきます。
 現在、派遣労働者の皆さんの置かれた現状、この不安定な立場、また派遣を含む非正規と言われる皆さんの置かれた環境でありますとか、あるいは正規であったとしても過酷な環境の中で働いていらっしゃる方々とか、働く世代の労働環境というのは今ますます厳しくなっていると思います。
 我々公明党は、この中に青年委員会というものがございまして、私も所属をしておりますが、働く世代、この青年の声を聞いていこうということで、全国で五十カ所、ヒアリングを行いました。青年市民相談会を開催いたしまして、八百人を超える方々から直接現場の声を聞かせていただきました。
 こうした声を受けまして、若者の今のこの雇用環境をどう改善していくのか、こうした課題も含めて、青年政策アクションプランというものをつくって、八月に政府に申し入れを行いました。
 こうした現場の声を聞いていく中で、それ以外でもアンケートもとらせていただいたんですが、そういう中で、今、派遣と言われる方々、この立場で苦しんでいらっしゃる方々の声を少なからず聞いてまいりました。こうした声を果たしてこの法案がしっかりと反映しているものなのかどうか、こうした観点から質疑を行ってまいりたいと思っております。
 この法案はこれまでの派遣法から一歩大きく前進したものだ、そう思っております。もちろん、この法案の中で実効性を担保していくという観点で、政府に確認をさせていただきたい点もございます。そういった論点を踏まえつつ、議論させていただきます。
 まず、今回の改正の大きな意義についてなんですが、そもそも、派遣法ができたのは三十年前、一九八五年です。この八五年の前から派遣の労働市場というのは既にあったわけです。実際に派遣事業をやっている人たちがいて、この現に行われている事業を制度の上でどうやって位置づけるかというところで、後追いから始まったのが現在の派遣法です。
 派遣法には二つの価値観、考え方がある。一つは常用代替防止、もう一つは派遣者保護。常用代替防止と派遣者保護、この二つの考え方は、時には衝突することもあるかもしれない。
 つまり、常用代替防止というのは、本来正社員がするような仕事を派遣に置きかえてはいけません、派遣労働者を常用で正社員の代替としてはいけません、それが常用代替防止。つまり、どちらかといえば正社員の観点で議論されている。自分たちの仕事を奪っちゃいけないよ、だから、派遣は契約の期限が来ればそれで終わりです、これが常用代替防止。
 ところが、派遣者保護の観点からすると逆です。契約期限が来てやめさせられる、いわゆる有期ですが、この有期がいつまでも続く、反復で更新される、これは安定性が全くない、安心して仕事ができない。だから、派遣であったとしても、その安定性は一定程度守られるべきじゃないのか、これが派遣労働者保護の観点です。
 この二つの価値観はなかなか両立が難しいというふうに思いますが、まず質問ですが、この派遣法ができた当初、派遣法の趣旨として、常用代替防止なのかあるいは派遣者保護なのか、どちらを重視していたんでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘のように、労働者派遣法は、昭和六十年、一九八五年に制定された法律でございます。そのときの制定の目的としましては、先ほど来出ていましたような労使双方の労働力需給調整のニーズに応えるということが第一点でございます。
 今委員からもありましたように、その当時、実態としてそういう現場の実情が既に見られていたということで、やはりそういった派遣労働者の適正な就業を確保するためのルールはつくらなきゃいけないということもございました。派遣契約のルールでありますとか、派遣元、先の責任を明確化するというようなこともございましたので、そういった意味では、労働者の保護というような観点もあってそういうルールを決めたということでございます。
 ただ、委員御指摘のように、この制度化をする際には、常用雇用労働者の代替が促進されることがないようにという趣旨は確かに強くございましたので、昭和六十年の制定当時、対象業務に関して限定を加えるというような措置を講じたというのが制定当時の姿ということでございます。
 全体としてどちらを重視ということについてはなかなか言いがたいんですけれども、そういう意味では、常用代替防止という機能をしっかり果たすということと、先ほど申し上げましたような派遣労働者の就業のルールの確保という意味での保護の観点という、双方の目的を持った形で制定されたというものと理解しております。
○伊佐委員 ありがとうございます。
 役所の立場ではなかなかはっきりとは申し上げられないと思うんですが、何となくニュアンスは私は伝わってきたと思います。
 さっきおっしゃったように、常用代替防止が強くあったという表現をされました。そもそも、私、この常用代替防止が今までの派遣法の中心的なコンセプトだったんだと思うんです。なぜかというと、例えば、先ほど申し上げたように、派遣法ができてから三十年間、派遣労働者保護というのが第一条の目的規定に明記されたのが実は二〇一二年。ついこの前の改正でやっと入ったわけです。それまでなかったんです。そういう観点では、これまで常用代替防止がメーンだったと私は思います。
 さらに言えば、実は判例もあるわけです。最高裁の判決で、いよぎんスタッフサービス事件というものがございました。これは、有期の登録型の派遣労働者の方が短期で契約を何度も何度も反復更新する、こうした派遣労働者の立場が争点になったわけですが、厚労省に、このいよぎんスタッフサービス事件の最高裁判決について少し説明いただければと思います。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員の方から御指摘がありました、いよぎんスタッフサービス事件の裁判でございますけれども、最終的には、平成二十一年の三月二十七日の最高裁判決が出たというものでございます。
 事案につきましては、今委員の方からも少し触れられましたけれども、このいよぎんスタッフサービスというところが派遣会社ということでございますけれども、その派遣会社との間で有期の雇用契約を締結、反復更新をされたという労働者でございますが、約十三年間派遣されていたということで、その上で派遣契約の終了に伴って雇いどめされたということで、この派遣会社でありますいよぎんスタッフサービスにおいての雇用継続の期待性があるのではないかということで争われたというのが事案でございます。
 判決の内容でございますが、その判決の中身としましては、同一の労働者の同一事業所への派遣を長期継続することによりまして派遣労働者の保護を図るということにつきましては、労働者派遣法の目的である常用代替防止の観点から同法の予定するところではなく、雇用継続に関する期待は保護されずという形で、原告による上訴、上告が棄却されたということで承知しております。
○伊佐委員 これは、派遣ではなくて直接雇用であれば、たとえ有期であったとしても雇用継続の期待が認められる、つまり、有期の契約を何度も何度も更新したとしても、もし直接雇用だったら更新する期待というものが認められてもしかるべきだという判決。逆に、さっき政府が説明したように、派遣については、今回の場合は登録型の派遣労働者ですが、雇用継続の期待を持つことは許されないという判決です。なぜかというと、その判決文にもありますように、派遣法の目的は常用代替防止だから、こういう判決なんです。こうした常用代替防止と派遣労働者保護のバランスの悪さというのがこれまでいろいろな問題を引き起こしてきた、そう思っております。
 では、今回の法改正はどうなったか。この一つの柱として、個人単位の期間制限を組み入れたという点です。つまり、労働者個人に注目して、個人が同じ派遣では三年間までしか働けない。今までは、原則一年、最長三年。この意味というのは、このポジションが原則一年、最長三年で派遣を使ってもいいですよ、そういう意味でした。
 質問は、今回、個人単位で三年と規制するのは新しい規制なんですが、この規制の意味、目的というのは何なのか。つまり、常用代替防止なのか派遣者保護なのか、どっちなんでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今回、個人単位の三年の期間制限を設けたわけでございますけれども、これにつきましては、派遣という就業形態というのが、直接雇用の労働者に比べまして雇用の安定でありますとかキャリア形成が図りにくい面があるという弊害を防止するために設けるということでございます。
 そういう意味では、委員御指摘のような形での今回の目的でございますけれども、これは常用代替防止のためということではなくて、派遣労働の固定化を防止するためということでございます。
○伊佐委員 ありがとうございます。つまり、今回の法改正の一つの柱、趣旨というのは、個人単位の三年規制、この意味は、今まで薄かった派遣労働者の保護という観点なんだという答弁だったかと思います。
 そこで、ちょっと資料を見ていただきたいと思うんですが、この一枚目、これは厚労省の作成した資料ですが、この左上のところが今までの派遣法です。原則一年、最長三年、三年すれば派遣というポジションがなくなる、つまりスクラップされるという趣旨です。
 なぜかというと、派遣というポジションは、そもそもこの業務は未来永劫続けていく仕事、業務じゃない、つまり、あくまで派遣というのは一時的、臨時的な仕事なんだ、もしこれが未来永劫続けていい業務であれば、それは正社員の仕事じゃないか、そういう意味だから、スクラップをされるわけです。
 この同じ考え方を引き継いでいるのが右下の部分、事業所単位の期間制限です。つまり、同じポジションで派遣を受け入れられるのは原則三年まで、三年たてば、このポジションは、あくまで一時的、臨時的な仕事として、スクラップをされる。
 その中で、過半数組合の意見を聞くというのがありますが、この過半数組合の意見を聞くのだって、そのポジションが派遣なのか、スクラップすべきなのか、あるいは正社員に転換すべきなのか、こういうことを確認するわけです。もし派遣のままでずっとそのポジションを残すのであれば、正社員の仕事を奪うことになりますよと。つまり、この右下も常用代替防止の観点。これが事業単位の規制の趣旨です。
 いま一度、ちょっとここのところを確認させていただきたいと思うんですが、派遣就業が臨時的かつ一時的という原則は、今回の法改正でも変わるところがないんでしょうか。
○高階大臣政務官 派遣就業が臨時的かつ一時的という原則に変わりがないのかというお尋ねでございます。
 今般の改正法案におきましても、派遣は臨時的、一時的なものという考え方を変更するものではございません。
○伊佐委員 ありがとうございます。
 では、右上の部分です。今回、新しく加わった個人単位の三年の制限、先ほど答弁いただいたとおり、これは常用代替防止、どちらかといえば、正社員の目線ではなくて固定化防止だということをおっしゃいました。派遣者保護の観点なんだということをおっしゃいました。
 有期の派遣労働者は三年間業務を行って、これまでのこの左側にあった原則一年、最長三年というのは、そのポジションをどうするかという議論。今回、そういう議論じゃなくて、派遣労働者がでは次にどういう人生を歩むのか、こういう議論になるわけです。
 具体的に言うと、これまで働いていた派遣先に直接雇用されるようになるのか、あるいは派遣元に雇用されるのか、あるいは別の派遣先を提供されるのか、こういう雇用安定措置というものが組み込まれているわけです。これまでは、ポジションの議論はあったんですが、派遣労働者の人生をどうするか、こういう制度は派遣法にはっきりと組み込まれていなかったわけです。
 さらに、この改正派遣法の大きな意義は何かというと、無期雇用が認められるという点です。これまで、派遣である以上は、どんなに優秀であっても、通常業務の中で無期雇用というのはなかったわけです。あったのは、あくまで例外的に二十六業務というものだけが無期雇用が認められていた。
 ところが、今回は、この右下の注一の線を引かせていただいていますが、もし無期雇用するのであれば、二十六業務だけじゃなくて全ての業務で認めます、つまり、期間制限を置きません、ずっと働いていただいて大丈夫ですという観点なんです。
 私も声を聞いた中で、派遣労働者が一番不安に感じるのはどこかというと、短い有期契約を何度も何度も反復更新する、そのたびごとに不安になるわけです、このまま次は大丈夫か、その次は大丈夫かと。こういう不安定な状態なまま固定化される、この固定化が一番きつかったという声をいただいております。
 今回の法改正の指示するところは何かというと、有期を反復更新するんだったら無期に転換しなさい、これが今回の法案の一番の指示だ、そう思っております。例外の二十六業務だけじゃなくて、全ての業務で無期というものを認めたわけです。これまで派遣法の世界の中では、派遣というのは、いよぎんスタッフサービス事件というものに見られたように、雇用継続の期待というのは認められない立場だったんです。ところが、今回は、無期、全ての業務において雇用継続の立場に転換できるという道を開いたと思っております。
 冒頭、今回、この派遣法改正案というのは大きく一歩前進したと申し上げました。これは、これまでの常用代替防止の観点が色濃かった派遣法というものを一歩大きく踏み出して、派遣労働者保護というものに踏み出した。また、これまでなかった雇用安定措置とか、あるいは全ての業務で無期雇用を認める、こういった点を高く評価したいと思います。
 さて、また少し観点を変えて質問させていただきますが、果たして派遣は悪かどうか。当然、正社員になりたいという方、望まない派遣労働というのを繰り返している方々にとっては、派遣というのは悪かもしれません。あるいは、多様な仕事の選択肢として、人生の選択肢の一つとして、積極的に派遣というものを選んでいる人たちにとっては、もしかしたらそうでもないかもしれません。
 質問は、派遣という選択肢をとるかどうか、これは別として、そもそも派遣の弊害、派遣という間接雇用ですから、間接雇用の制度に内在している弊害というものはどういったところにあるというふうに認識されていますでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員の方からも、常用代替防止あるいは派遣の固定化防止という点について、るる問題点を御指摘いただいたわけでございますけれども、派遣という働き方につきましては、先ほども申しましたように、直接雇用の労働者に比べますと雇用の安定というものが図られにくい、あるいはキャリアの形成が図られにくいということがやはり問題点と申しますか、弊害の視点ということであろうかと思っております。
 今後も御質問があるのかもしれませんけれども、今回の改正案の中では、そういった形で、雇用の安定あるいはキャリアの形成を図られにくい弊害を除去していかなければいけないということで、雇用安定措置というような形で、先ほども別の方の御質問の中でも申し上げましたように、個人単位の期間制限というものが満了した場合に、派遣労働者の雇用の安定を図るための一定の措置を派遣会社の方に新たに義務づけるということ、あるいは、キャリアコンサルティング、計画的な教育訓練の実施ということを新たに派遣会社に義務づけるというような形で、派遣就労への固定化を防ぐための措置を強化していくということとしております。
○伊佐委員 今、弊害が引き起こすさまざまな問題に対する対処についてお答えいただきました。それはまた後ほど議論させていただきたいと思うんですが、間接雇用の弊害と言われますのは、指揮命令系統と言われるもの、職場での指揮命令系統と、そして労使の契約関係の系統が異なる、この違いが、もし何か職場でトラブルが発生したときにいろいろな問題になる、こういう点だと思っています。この関係というのは本当に複雑でわかりにくいわけです。
 経営者の中には誤解している方もいらっしゃって、例えば、ひどいところになりますと、派遣というのは雇用関係に対する盾だと誤解している方もいらっしゃる。つまり、派遣会社というのを間に挟んでおけば何をやっても許されるんだ、こういうひどい経営者もいるかもしれません。でも、本来、派遣法を見てみますと、派遣元だろうが派遣先だろうが、責任は実はそれぞれが分担しているんです。
 これは、資料の二枚目を見ていただきますと、派遣元、派遣先それぞれの責任分担というものが書かれています。当然、派遣先もこれぐらいいろいろな責任を負っているわけです。例えば職場でパワハラが起こったとか、あるいは、直接の関係あるいは指揮命令の関係の中で生じていくような責任でありますとか、そういうものは基本的に派遣先が担っているわけです。
 ただ、法律は、詳細に見ず、法律だけぱっと見ていると、派遣元と派遣先の責務、責任というのが、非常に義務、責任関係がわかりにくいということだと思います。詳細を見ないとわからない。だからこそ、派遣先というのはみずからの責任が免除されているような、そういう誤解を生んでしまっているのではないかなと思っております。
 そこで、厚労省は、派遣元と派遣先の権利義務関係、責任関係というのをわかりやすくしっかりと説明すべきだ、普及啓発すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員の方の資料から御指摘があった点でございますけれども、やはり派遣会社と派遣先の責任の所在をわかりやすく説明するということが必要であると私どもも当然考えております。そういった関係で、リーフレットでありますとか、許可に当たっての更新のマニュアルというようなものも策定しております。
 それからまた、派遣会社につきましては、派遣元責任者等を置くというような形で、元、先に一定の責任者を置くという形になっておりますけれども、こういった派遣元の責任者の方への講習というようなものも通じまして周知啓発ということを行ってきたところであります。
 引き続き、そういった責任の所在がわかりやすい形になるよう、御指摘も踏まえまして、今後一層の周知啓発ということをしっかりやっていきたいと思っております。
○伊佐委員 ありがとうございます。しっかりお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 派遣労働者も非正規雇用の一種でありますが、派遣労働者が今現場でいろいろと抱えていらっしゃる皆様の苦悩でありますとか課題、問題というものの中に、派遣特有のものもありますが、派遣だけの話じゃなくて、そもそも非正規雇用全体の問題だというものもあります。
 早速質問ですが、派遣制度の中で、今申し上げたように、常用代替防止、つまり、事業単位で同じポジションには三年しかいられませんという観点が盛り込まれておりましたが、では、派遣以外の非正規、契約社員であったりとかあるいはパートタイムの労働者であったりとか、こうした方々、直接雇用される非正規の労働者の方々には現在の法制度で常用代替防止の規制があるかないか、お答えください。
    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘のように、常用代替という問題につきましては、派遣会社とあと派遣先というような形で、いわば派遣先と労働者の間に雇用関係がないというような特性に応じて、派遣先において正社員から派遣労働者への置きかえを防がなければいけないということからこの常用代替の防止を行わなければならないということは、先ほど来の、制定時からの労働者派遣法の目的の一つということでございます。
 ただ、委員御指摘のように、この点につきましては、今申し上げましたのは派遣労働の特性ということに応じた図らなければならない問題点ということでございますので、契約社員、いわゆる有期契約の社員でありますとかパート労働というような形の働き方については特段の制限は設けていないということでございます。
○伊佐委員 ということなんですね。つまり、非正規雇用の法制度には常用代替防止というのはないんです。非正規雇用の法制度は、基本的な観点というのは何かというと、労働者保護なわけです。今、非正規というのは労働者全体で四割近くというふうに近づいてまいりました。比べて、派遣は労働者全体の中で今二・二%です。このわずか二・二%にだけ常用代替防止というのを背負わせているわけです。減らして、禁止して、正社員というのを守ろうとしている。
 大事なことは、こうした措置によって非正規の全体の労働者の皆さんの雇用環境が改善するのかどうかです、四割近くになろうとしている非正規雇用の皆さんの。一番大事なことは、この非正規雇用の皆さんをどうやって正社員に転換していくかということが、今のこの日本の雇用状況を考えたときに、一番大きな課題の一つではないかと思っております。
 ちなみに、派遣の賃金を比較しますと、派遣の時給というのは、登録型で今千二百六十三円、無期派遣の場合は千四百三十二円。ところが、この方々が直接雇用になったとしても、実は今、この直接雇用も、正社員以外の労働者の賃金というのは千九十八円、つまり派遣よりも低いんです。
 もちろん、派遣がいいというわけじゃないんですが、つまり、この問題というのは、派遣を含めた非正規全体の抱えている問題なんだということを申し上げたいと思います。
 そこで、現在、安倍政権の方針として、正社員を望む非正規労働者、こういう方々の正社員化というものに一生懸命取り組んでいるというふうに伺っておりますが、この非正規の正社員化をどのように進めていくのか、取り組みについて伺いたいと思います。
○山本副大臣 派遣労働者も含めた非正規雇用の方々を正社員化していく取り組みをどうしていくのかというお話でございますけれども、御指摘のとおり、非正規雇用につきましては、正規雇用に比べて、やはり雇用が不安定で、かつ賃金も低くて、能力開発の機会も少ないといった課題がございまして、正社員になりたい、正社員を希望したいという非正規雇用労働者の方々の正社員化を進めるということ、また、処遇の改善に取り組むということは、極めて重要だと私どもも認識しております。
 そのため、今回の改正案につきましては、先ほども御説明ございましたけれども、計画的な教育訓練等を法的に新たに派遣元に義務づける仕組みや、また、キャリアアップ助成金、これは予算措置でございますけれども、この支援によりまして、正社員を希望する方々につきまして、正社員への転換をより一層推進してまいりたいと考えております。
○伊佐委員 ありがとうございます。
 この政府の取り組み、しっかり与党としても後押しをしてまいりたいと思っております。
 では、今回の派遣法の改正法案の具体的な中身について質問させていただきます。
 これまでは意義についてさまざま議論させていただきましたが、まず冒頭、質問させていただきたいのは、均衡待遇の確保というものについてです。つまり、派遣労働者と、派遣先にいらっしゃる正社員その他の方々と同じような仕事をしているという場合、この両者の待遇をどういうふうに考えるかという問題です。
 厚労省とこの均衡待遇の議論をさせていただいておりますと、均衡ということはおっしゃるんですが、なかなか均等とは言わない。
 果たしてそれはなぜかというと、この均等待遇というのは、厚労省いわく、これは同一労働同一賃金をあらわします、それはなかなか難しいんですとおっしゃいます。
 安倍総理も、実際、これは国会審議の中でこうおっしゃっています。すぐさま同一労働同一賃金や均等待遇の仕組みを導入するには、乗り越えるべき課題があるというふうに国会質疑の中でもおっしゃっております。
 では、果たして、この乗り越えるべき課題とは一体何なのか。現時点でこの同一労働同一賃金というのが難しいとお考えになる理由について、お答えいただければと思います。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘のように、同一の労働をしていれば同一の賃金を保障していくという仕組みをつくっていくということにつきましては、私どもも、一つの重要な考え方であるということでは認識しております。
 ただ、今引用されましたような、大臣等から答弁させていただいておりますけれども、我が国におきます賃金の体系というのが、それぞれの仕事、職務に応じて決定するというような賃金体系というものが普及していないということで、現実的には、その人の能力でありますとか責任の大きさというようなさまざまな要素を考慮した上で、賃金でありますとかその処遇ということが決定されることが一般的であるということがございますので、同一労働をしていれば同一賃金が保障されるという仕組みをつくっていくということについては、いろいろな課題があるのではないかと考えておるところでございます。
 とりわけ派遣の場合については、派遣会社と派遣先というような、雇用主が異なる二つの方が出てくるというような中での問題になりますので、とりわけこういった問題についての課題ということが大きいと考えております。
○伊佐委員 つまり、日本の雇用環境というのは職能給であって職務給じゃないんだ、つまりジョブ型じゃないんだというお話だったと思います。
 日本の今の雇用システム全体を見てみましても、いまだ年功序列というところも大きいわけですし、そもそも、派遣の問題というよりも、同じ正社員同士を比べてみたとしても、果たして同一労働同一賃金というのが達成されているのかどうかという観点だったと思います。
 つまり、同一労働同一賃金、派遣だけの問題じゃなくて日本全体の、そもそもの日本の雇用環境の課題だということでありますが、そこで、こうした中で政府が今使っている言葉というのは均衡待遇。均等じゃなくて、均衡という言葉を使われていると思います。
 つまり、同一賃金じゃないんだけれども、少なくとも処遇の差とかあるいは賃金の差とか、そういうものはちゃんと合理的に説明できますよ、合理的に説明できるようにしてください、そこはしっかり担保しましょうよ、これが均衡待遇だと思います。
 いずれにしても、総理もこの国会答弁の中で発言されておりますのは、同一労働同一賃金の重要性というのは認めているわけです。そういう意味では、現在は確かに今の雇用環境全体がそうなっていないということではありますが、今後また長い目で、この均等・均衡待遇の問題、取り組んでいかなければならない課題ではないか、そう思っております。
 私の質問は、労働者派遣における均等・均衡待遇について今後どのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
○高階大臣政務官 お答えいたします。
 議員御指摘のとおりでございまして、同一労働に対して同一賃金が支払われるという仕組みをつくっていくことは、一つの重要な考え方であると認識をしております。
 今のやりとりの中でもありましたとおり、現状として、我が国では、責任や能力などさまざまな要素を勘案して待遇が決定されることが一般的であるという状況にもございますため、これらを乗り越えていくためにはさまざまな努力が必要になってくると考えてございます。
 まずは個々の事情に応じた均衡待遇を着実に推進していく、このことが重要になろうかと存じます。今回の改正案におきましては、賃金等の面におきまして派遣先の責任を強化するなど、均衡待遇を一層強化することとしております。
 今後とも一生懸命取り組んでまいりたいと思います。
 ありがとうございます。
○伊佐委員 ありがとうございました。
 では、次の議論、先ほど少し議論させていただきました期間制限の話に戻りたいと思います。
 特に、一枚目の資料の右下の事業所単位の三年規制、ここの中でよくこういう指摘がされるわけです。三年たった、受け入れ先がこの業務を派遣としてさらに残したいと思った、そのときに過半数組合等に意見聴取をする、そうすれば残せる。もし意見聴取の段階で過半数労働組合がこの派遣の受け入れに対して延長を反対したとした場合どうするかというと、派遣先の企業は過半数労働組合に対して説明をする義務がある、対処方針を説明するということになっています。
 指摘されますのは、過半数組合がどんなに反対しても、経営者が説明しさえすれば派遣期間はどんどん延長できるんじゃないか、派遣先は説明しさえすれば派遣の受け入れをずっと継続できるんじゃないか、もしそうであれば、過半数組合に意見を聞くというのは本当に意味があるんだろうか、こういう御指摘があるわけですが、厚労省、今、過半数組合への意見聴取、これに一定の歯どめがあるかどうか、その考え方についてお答えいただければと思います。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘の、派遣先事業所における期間制限につきましてでございますけれども、過半数組合等からの意見聴取という仕組みでございます。
 このそもそもの考え方につきまして申し上げますと、この仕組みを設けるというのが、常用代替が発生するかということについて、法律で一律に制限をかけるということではなくて、個々の派遣先の事情により事情が異なるということもございますので、現場をよく知っておられる労使の方の話し合いということに基づいて、より実態を踏まえて常用代替の防止を図っていただくということで、意見聴取ということを法律上の義務として期間制限の考え方に取り入れているということでございます。
 それで、今委員御指摘のように、過半数組合等から反対があった場合ということでございますけれども、今回、そういった場合につきましては、今委員も御指摘がありましたけれども、反対意見が表明されたという場合には、その理由でありますとか対応方針ということをしっかり説明するという義務を課しておりまして、一定のそういった意見聴取の内容についても、例えばその内容を保存するとかあるいは掲示するというような形も含めまして、その手続の透明さと適正さということをしっかり確保してまいりたいと考えております。
 そういったこと全般を通じて、私どもとしましては、意見聴取の一連の手続ということで、一定の歯どめの効果はあるということで考えておるところでございます。
○伊佐委員 今の御答弁では、確実に、延長に当たって交渉するという場所、手段というものがきちんと担保されているという観点が大きいんだということでした。確かに、日本の今の雇用、先ほど申し上げた雇用環境とか、あるいは労使の慣行というものを考えると、しっかりとそうしたプロセスが用意されているというところは一定の効果があるということだと思っております。
 次に、雇用安定措置義務について伺いたいと思います。
 有期雇用、三年の期間制限に達したときに、派遣元というのは三年たったときに、労働者に対して雇用安定措置というものをとらなければいけません。これがこの左下の部分ですが、まず一つは、派遣先への直接雇用の依頼をするか、あるいは、就業機会を提供するか、あるいは派遣元事業主において無期雇用するか、あるいはその他の措置という雇用安定措置というものをとることになっております。
 まず、1派遣先への直接雇用の依頼、これができれば、当然一番いいわけです。派遣先である事業者も派遣労働者のこの方を気に入って、あるいは派遣労働者もこの職場が気に入って、正社員化していくということも考えられる、これが1です。もしかしたら1が一番いいのかもしれませんが、残念ながらこれが無理な場合どうなるかというと、この2から4というもののいずれかを講ずるというふうにあります。
 2の新たな就業機会の提供、つまり、新しい仕事、新しい派遣先というものを紹介しようということです。これが派遣元の義務ということになっております。この点についての質問なんですが、果たして、派遣元の義務、この雇用安定化措置の義務というのはどれほどのものか、どの程度のものかという点です。
 派遣先を紹介するということになったとしても、例えば物すごい低い賃金のところを紹介したとか、あるいはとんでもない遠隔地を紹介したとか、とりあえずもう紹介したんだ、だから断ったのは派遣労働者の方なんだ、一応我々は派遣元としての義務は果たしましたよ、果たしてそれでいいのかどうか、こういう議論があるわけです。
 そこで、新たな就業機会の提供、この考え方について伺いたいと思います。
    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘の、資料の左側のところの雇用安定措置の義務でございますけれども、今回この雇用安定措置を設けた趣旨でございますけれども、冒頭御質問がございました、今回、派遣労働への固定化防止の観点から、派遣労働者個人単位の期間制限を設けるということとしたところでございますけれども、この期間制限を設けたことによって、逆に、その上限に達した派遣労働者が雇用機会を奪われるというような悪影響を与えることがあってはならないということから、雇用安定措置というものを派遣元、派遣会社の方にしっかりと位置づけるというのがこの雇用安定措置の趣旨でございます。
 このような趣旨に鑑みますと、やはり新たな就業先の提供がどのようなものであっても認められるということではないと私どもも考えておりまして、対象となる派遣労働者のそれ以前の就業の状況でありますとか、派遣会社の取引状況などに照らして、やはり合理的なものでなければならないということで私どもとしても考えております。
○伊佐委員 どのようなものでもオーケーというわけではないということでした。
 派遣労働者の能力であるとかあるいは経験というものに照らしてしっかりと合理的な仕事が提供されるというような取り組み、しっかりと担保をしていただきたいと思っております。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 キャリアアップの制度について質問させていただきます。
 まず、今回の改正、派遣元と派遣先のそれぞれ事業者に対していろいろな新たな義務と責任というものが課せられているわけですが、その一つがキャリアアップの推進という点です。
 派遣労働者のキャリアアップのために、派遣先、派遣元、さまざまな取り組みを行う義務がございますが、例えば派遣元事業者としては、計画的な教育訓練、あるいはキャリアコンサルティングを提供するとか、あるいは、これらについてしっかりと事業の報告をするということも必要になります。派遣先は派遣先で、派遣先事業者キャリアアップとして、研修の情報をしっかりと労働者に提供するであるとか、あるいは正社員の募集をするときにはしっかりとお知らせするという義務もございます。
 こうした、派遣先、派遣元ともにさまざまな義務が課せられているわけですが、派遣労働者のキャリアアップを目指す措置というのは今回新しくつけ加えられて、今までなかった、なかなか十分じゃなかった措置がこうしてたくさん、さまざま充実したという点では、大きく評価されるべきものだと思っております。
 あとは、このキャリアアップの措置をどれぐらい実効ならしめるかということが重要ではないかと思っております。
 そこで、例えば先ほど申し上げた教育訓練とかあるいはキャリアコンサルティングといったもの、これは具体的にどこまでやればいいのか、どの程度まで行うべきものなのか、そうした内容、もう少しこれを明確に、特にこの義務を負う事業者に示してあげる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘の、キャリアアップの関係の措置について今回新たに法的に義務づけをするということでございますけれども、そこで義務づけられます計画的な教育訓練につきましてでございますが、やはり教育訓練計画において、派遣労働者のキャリアパスを踏まえた訓練というものが、段階的、体系的に整理していただくということが必要であろうかと考えております。また、そういった計画に基づいての訓練の機会が着実に提供されているということが求められると考えております。
 その詳細な内容につきましては、今後、労働政策審議会において議論を深めていただきたいと考えておるところでございますが、各派遣会社において、派遣労働者の希望に応じたキャリアアップに資する教育訓練ということを個々の事情に応じて実施することが求められるかと思っております。
 また、先ほど委員の方からも触れられましたように、そういった実施内容等については毎年事業報告の中で報告をしていただくというようなことも含めて、その実施の担保ということをしっかりしていきたいと思っております。
○伊佐委員 今後示していく、審議会の中で議論するということだったと思います。
 これは与党として、問題意識を我々はここのところはしっかりと、この審議会の議論についても見守ってまいりたい、しっかりと主張してまいりたいと思っております。
 キャリアアップが今回義務化されるということは非常に大きいと思っています。なぜかといいますと、派遣労働者から見ると、どこに自分を登録するか、派遣元事業者を比較することができるわけです。選ぶことができるようになるわけです。つまり、どの派遣元事業者がキャリアアップの措置というのを充実してしっかりやっているかどうか、あるいは、自分の目指すべき将来に合ったキャリアアップ措置をやっているのはどこか、こうした観点から、派遣労働者から、それぞれの派遣元事業者がやっているような事業を比較することができる。
 そういう意味では、見られる側としては、派遣元事業者としてはきちんと対応せざるを得ないということだと思います。派遣労働者が人生の次のステップに行くという点で大きく貢献する措置ではないかな、そう思っております。
 次の質問に行かせていただきますが、いわゆる派遣元、労働者派遣を行う事業者というのはこれまで、許可を得ているものと届け出のものと二種類ありました。これを今回の法改正で許可制に一本化するということですが、一般的には許可制だったんですが、もし派遣が常時雇用ばかりであれば特定派遣事業者ということになって、特別に届け出だけでもいいですよということになっていたわけです。常時雇用ばかりであれば届け出だけでよかった。
 この常時雇用というのは一体何かというと、実態上一年雇っていれば常時雇用とみなされていたわけです。一年でよかった。つまり、派遣労働者を一年雇えば、わざわざ許可をとる必要はなかったわけです。今回は、全てきちんと許可制にしましょうというふうになりました。そうすると、何が起こるかというと、今まで届け出でやってきた事業者の皆さん、これからの許可の基準に合っていない事業者というのも出てくるかもしれません。
 ここで質問なんですが、派遣元全てが許可制になる、今まで届け出でよかった特定労働者派遣事業者が円滑にきちんと許可制に移行できるかどうか。もしできないということになると、例えば事業が廃止されてしまう、そうすると、そこで登録されていた派遣労働者の皆さんが失業してしまうというような状況につながってしまうわけです。最後は派遣労働者にしわ寄せが来るというようなことになりますので、こうした許可制にするに当たっての激変緩和措置といいますか、何らかの経過措置、あるいは特に経営が厳しくなるかもしれない小規模な派遣元事業主に一定の配慮をすべきではないか、そう思います。
 こうした経過措置、あるいは小規模派遣元事業主への配慮措置について、何が行われることになるかについてお答えいただければと思います。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘のとおり、今般、この特定労働者派遣事業につきましては労政審でも種々の問題点も指摘されたということで、全体の事業者の質の向上という観点から、今回、全体的に許可制に一本化するということにしたわけでございますが、今委員御指摘のように、既に適正に事業を営んでいる方については、その移行が円滑に図られるということについても重要な課題だと認識をしております。
 そこで、この移行に当たりましては、現在、施行の日から三年間につきましては経過措置期間を設けるということとしておりますのが一点でございます。もう一点は、やはり一般労働者派遣事業という許可を得るためには、資産要件を初めとする許可要件を満たすことも必要になってくるということで、一定の準備期間も必要ということで、先ほど申し上げました経過措置の期間内にその準備を整えていただくということもあろうかと思いますけれども、やはり、とりわけ小規模の派遣元の事業主におかれては、その準備ということもなかなか厳しいという状況もあろうかと思いますので、事業の財産的基礎となる資産要件等については、そういった派遣労働者の人数が少ない事業主については一定の軽減ということも考えることを今検討しているところでございます。
○伊佐委員 今回の派遣法の改正法案は、その許可制の話もそうなんですが、派遣元、派遣先に対して、いろいろな新たな義務と責任というものを課しているものだと思っております。冒頭申し上げたように、これまでの常用代替防止という観点から、派遣労働者の保護という観点に大きくかじを切ったものだと思っております。
 さまざまな義務の中、例えば、先ほど申し上げたように、届け出制から許可制にしていく、全部許可をとらなきゃいけないという点であったりとか、あるいは、派遣労働者に対して雇用安定化措置をとるという点がありました。また、均衡待遇というもののための新たな措置を確保していくという点もございました。先ほど質問させていただいたキャリアアップにも、新たな義務が派遣先、派遣元に課せられるということになりました。
 こうして派遣労働者を守るためのさまざまな義務、責任というのが強化をされるわけですが、そうすると、これは、私が思うのは、今回の法改正で派遣元事業者の業界再編が進むんじゃないかなと思っております。
 というのは、いろいろな新たな義務に対応するために、当然、派遣元事業者もそれなりの体力が必要になってくるわけです。今まで小規模でやってきた派遣元事業者というのは、強化された義務とか責任に対応できないところもあるかもしれない。そういうところはやがて淘汰をされていくということになりますが、そうすると、労働者派遣の事業者の中で、今現在あるものよりもどんどんと大規模化されていくんじゃないか、そう思っております。
 そうすると、派遣元事業者が大規模化されると、派遣元が派遣先に対して物申す、発言力というのがアップしていくんだと私は思っております。つまり、派遣先に対して、派遣の現在の境遇の改善を求めていくということも声を大きくできるのではないかと思っております。そうした観点からも、派遣から正社員への道を開いていくことにつながるのではないか、そう期待をしております。
 今回の法改正、先ほど申し上げたようにいろいろな措置があります。雇用安定措置、均衡待遇、キャリアアップ、こうした新しい取り組み、重要なことは、実効性をいかに政府として担保するかということではないか、そう思っております。この実効性の担保をどうやって確保していくのか、ぜひこれは重視をしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
○山本副大臣 御指摘のとおり、今るる挙げていただきました措置の実効性を担保するということは、極めて重要だと思っております。
 今御指摘ありましたけれども、今回、派遣会社、派遣元に対して、しっかりとした計画的な教育訓練等を義務づけるとともに、派遣元である派遣会社とまた派遣先、双方の均衡待遇に関する責務を強化するなど、派遣労働者の雇用の安定や処遇の改善を図るための新たな仕組みというものを、しっかり法律の中にインプットさせていただいたわけでございます。
 これらの実効性をしっかりと担保していくためには、これらの義務等がしっかり履行されなくてはならないわけでありまして、これを履行しない派遣会社に対しては、許可の取り消しを含めて、厳正な指導監督というものをしっかりと行わせていただきたいと思います。
○伊佐委員 しっかりとした実効性の担保というものに政府として取り組んでいただければと思います。
 以上、終わります。ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、長妻昭君。
○長妻委員 おはようございます。
 きょうは派遣法の審議ということで、労働法制といいますのは、人の働き方を決めるということで、これは単に労働者がどういう形で働くかだけではなくて、国全体の、国の形を決めると言ってもいいような、当然、子育てとかいろいろな、年金も含め、医療も含め、ほかの問題にも大きく影響してくる大変重要な、本当に重要な問題だと思っております。
 一見これがいいと思っても、どういう影響が最終的に出てくるのかをよくよく考えないと非常にまずいことになるということで、もうヨーロッパ諸国でも、一旦やったけれどもこれはちょっとまずかったということで修正がなされて、それでいろいろな教訓が出てきている、こういうふうに承知をしております。
 そういう意味で、今回ちょっと不可解なのが、公明党の方から修正案というのが出されたということで、配付資料の六ページでございますけれども、こういう骨子が出された。それで、その後、何か撤回されたというようなことも仄聞して、直接は聞いておりませんけれども仄聞しているんですが、派遣法、この法律そのものが、今審議しているものが不十分あるいは問題があるということで修正案を出されたのかどうか、その意図について公明党の山本副大臣にお伺いします。
○山本副大臣 お答えさせていただきます。
 今、公明党の方から提案された案につきましての御質問でございますけれども、私といたしましては、政府提出案が不十分だという認識は持っておりません。とにかく、本日からしっかりと本格的に御審議をしていただく政府提出案につきまして、現在の政府の一員といたしまして、しっかりと早期の成立をお願いしたいと思っているところでございます。
○長妻委員 これはちょっと本当に腑に落ちないんですね、大切な法案ですので。
 不十分ではないと。修正案を提出した意図は、本法案が不十分だから出したということではないという御答弁でしたけれども、では、どういう意図で出されたんでしょうか。
○山本副大臣 私の現在の立場といたしましては、どういう意図かということをお答えする立場にはございませんけれども、今回の公明党から提出されました提案につきましては、与野党の間で幅広い合意形成をするための一つの案だというふうに伺っております。
○長妻委員 意図はわからないとおっしゃりながら、冒頭の御答弁では、本法案が不十分だというようなことだからこの修正案が出されたのではない、こういうふうにおっしゃいましたけれども、では、そこの部分は確認しているということなんですか。
○山本副大臣 政府といたしましては政府提出案をお願いしているところでございまして、政府の一員といたしまして、この法律案をお願いしたいと申し上げたところです。
○長妻委員 与党が多数をとって、それで内閣を形成するわけですよね。ですから、別に国会は関係ない、政府とは全く別物ではないわけでありまして、そういう意味では、本法案、閣法について修正案が出るということは、もちろん不十分あるいは補足をしたいという思いで出されたというふうに思っておりまして、そういう法案であれば、私としては、もう一回じっくり議論をして、与党は閣議決定をやり直す権限があるわけですよね、閣法をもっとちゃんとつくって、そして国会に提出する、これが筋だというふうに思います。
 これは委員長にも、私、委員長の差配というのは理事会に出席していないのでわかりませんけれども、本来であれば、これは不十分なんじゃないのかということを与党に問うていただいて、そうであれば、与党の中でもう一回きちっと話し合って、ちゃんとした法律を閣法として出されたらいかがですか、こういう問いかけ、依頼をするべきではなかったかと思うんですが、委員長、いかがですか。
○渡辺委員長 私は、基本的には、今回の提出された閣法、これをしっかりと審議するのが委員会としての役目だということで、私はそういうふうに決めさせていただいたわけです。
○長妻委員 質問する側の野党の立場もぜひ御配慮いただきたいと思うんですけれども、野党としては、やはり修正案の案文を見ると、例えば、臨時的かつ一時的なものであるという派遣の原則、これは今の法律に書いてないわけですね。ところが、それを書くべきだというものがここにある。ということは、やはりそれを書き込まないとまずいという意識があってそういうことを出されているのではないのか。つまり、我々も質問を準備させていただいているわけですが、不完全な法律を議会で質問しろと言われても、これを成立させてしまうと不完全なものが成立するということになりかねないので、これは後の質問者からも指摘があると思いますけれども、非常におかしい、不可解だと思います。
 その延長線上での質問をいたしますけれども、結局、今回の法律はいろいろ問題をはらんでいる。若い人たちが今後、労働生産性も上がらずに、大変な状況に追い込まれる懸念が非常に強いというふうに私は思っておりまして、例えば、今回の法案では、派遣元が無期雇用の場合は、全く制限なく、派遣を一生することができる、フリーなんですね。
 これは大臣個人としての御意見でもいいんですけれども、我々の子供たちもこういう働き方が普通になってしまう世の中、本当にいいのかという強い危惧を私は持っているんですが、派遣元に無期雇用されている場合は何にも制限がない、期間制限がない、フリーだ、なぜそんな考え方をお持ちになったんですか。
○塩崎国務大臣 無期雇用の派遣労働者の場合のお尋ねがございました。
 みずからの働き方として派遣を積極的に選択するケースもあって、そのうち、相当数の方が派遣のままで常用的に働くことを希望されているということ、それから、有期雇用に比べて、無期雇用の場合には雇用の安定が図られているということ、それから、今回の改正案によりまして、派遣会社に対して長期的な観点に立ったキャリア形成支援を義務づけることなどから、派遣労働の弊害が少ないのではないかという考え方のもとで、労働政策審議会の建議において期間制限の対象外というふうにされたものでございます。
○長妻委員 これは、塩崎大臣、本当によくよく考えないと禍根を残す危険性があると思うんですね。
 厚生労働省がとったアンケートでも、あなたはなぜ派遣で働くことになったんですかといったらば、正社員になれなかったからだというのが一番多い理由でもありますし、雇用の安定とおっしゃいましたけれども、派遣元に無期雇用で雇われている、これはもうずっと一生派遣元の正社員だから大丈夫だ、こう思いきや、派遣先との契約が切られたとき、本当になくなったときは、例えば休業になるということなんですね。十六ページでございますけれども、休業になる。
 私は、休業になるのはいい方で、本来はそこで解雇されるというようなことも非常に多く起こると思いますが、休業ということを厚労省はおっしゃっていますので、例えば休業になると、平均賃金の六割しか金が出ないんですね、正社員と銘打っても。
 これは、大臣、最低賃金はまさか下回らないでしょうね、正社員ですから。
○塩崎国務大臣 今、休業手当と最低賃金、この比較の御質問がございました。
 労働基準法では、使用者の責に帰すべき事由によって休業になる場合、これのときは、休業期間に対しまして使用者は休業手当を支払うということとなってございます。
 所定の賃金額が最低賃金額以上であって、かつ、労働基準法第二十六条の規定どおり、平均賃金額の六割、六〇%以上の休業手当が支払われている場合には、実際に支払われた休業手当の額が最低賃金を仮に下回っていたとしても、最低賃金法上、問題はないとしています。
 いずれにしても、休業手当が適切に支払われるよう、関係法令の周知に努めてまいりたいというふうに思います。
○長妻委員 これは雇用の安定と全然違うんじゃないですか。
 ある派遣会社のニュースリリースを今持っているんですけれども、早速この法案を先取りしてか、今度、社員を採用する、常用型派遣事業をやる、今回採用の正社員だと。派遣期間が終了しても派遣会社と派遣労働者の雇用関係は継続しますというふうにあるんですが、雇用関係が継続したとしても、休業になる可能性がある。そのときは六割だから最低賃金より下がる。これが、どこが雇用安定なのか。
 私が理解しているのは、ドイツなどでは、そういう場合でも最低賃金を下回らないようにするというような配慮があるやにも聞いておりますけれども、これは、この考え方、最低賃金を下回るということはさせないというふうに考え方を変えるというお気持ちはありませんか。
○塩崎国務大臣 先ほど、労働基準法の第二十六条に、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合において、使用者は休業期間中の当該労働者にその平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならないということで、休業手当が支払われるわけでありますけれども、今のお尋ねについては、休業期間中は実際には労務の提供を受けていないということから、当該期間におきまして最低賃金額を下回っても問題はないということとしているものでございます。
 雇用関係は、もちろん、今御指摘のように、無期雇用ということでつながっているわけでございます。
○長妻委員 ですから、政府のたてつけは、派遣元が無期だから一生派遣でもいいんじゃないか、こういうことなんですが、それは大変問題がある。
 もう一点目の問題としては、配付資料の一ページですけれども、こんな図をつくってみました。派遣労働者は二重上司、上司が二重になっている。雇用主と使用者、しかも、雇用主にとって使用者は大切なお客様なんですね。使用者の方が雇用主より力が強い、会社でいえば。こういう非常に問題がある状況になっている。
 塩崎大臣も御存じのように、労働者供給事業ということは昭和二十二年から全面禁止されています。それで、派遣というのが例外として出てきた。アルバイトとかパートは昔から禁止はされていません。これは、禁止されていない直接雇用の働き方として、禁止はされていないんです。例外でもないんです。
 ところが、派遣というのは、労働者供給事業、つまり、昔は親方がいて、自分の子分に仕事をさせて、そこから給料をピンはねするとかいろいろなことが起こって、これ自体はもう二重上司なんだと。派遣、つまり、雇用主と使用者が違うというのはいろいろ問題があるということで全面禁止されていたものを、例外的に認めるということで我が国は一歩踏み出したということも踏まえないといけない。
 その中で、二十一ページを見ていただきますと、これも非常にせつない話だと思うんですが、厚労省に正確に資料をちょっとつくっていただきまして、製造業で働く派遣労働者の事故率ですね。千人当たりの事故、労働災害、四・八ということでありますが、全労働者でいうと二・八なので、全労働者に比べて倍近くも派遣労働者は製造業現場で事故が多い。これが端的に、私は、雇用主と使用者の分離というこの矛盾がここに弊害が露呈している案件ではないか。
 厚労省に聞きますと、二十二ページですね、いやいや、これは経験年数が少ないから、それが大きな要因なんだ、派遣が倍多いのは。でも、逆に言うと、経験年数の低い人をそんなに働かせているというのも問題だと思うんですが、実は、この要因というのも本当にそうなのかということで、最近厚労省が、九月末ですか、発表した調査を見ますと、ちょっと別の観点が出てくるんですね。
 二十三ページでございますけれども、この右の方、安全衛生教育を受けていないという労働者は、派遣労働者、一番下ですけれども、四四%。臨時・日雇い労働者が三五パー、パートタイム労働者が三一パー、契約社員が三四パー、正社員が三四パーですから、パートタイム、アルバイトよりも安全衛生教育を受けていないんですよ。一番受けていない働き方なんですね。
 私も、ある製造業で働く派遣の方にお話を聞きましたら、いや、正社員はもう十分、何カ月も安全教育を受けているけれども、自分は受けたことがない、こういうふうにおっしゃっている派遣の方もいらっしゃるわけで、二十四ページ目も、ここの調査でも、安全衛生活動に参加していないというのは派遣労働者が一番多いんですよ。臨時・日雇い、パートタイムよりも参加していないというのが多いわけで、本当に見過ごされているわけであります。
 二十五ページですけれども、法律はいろいろ立派なことを書いてあるんですよ、その両方、派遣元と派遣先がこういう責任を負いなさい、衛生管理者の選定とか、いろいろな教育とか。ただ、同じ義務が両方に同時にかかっているので、お互い、どっちかがやるだろう、こういう形になって、結局はそれが進んでいない。
 しかも、問題なのは、二重上司と言いましたけれども、派遣先、つまり、派遣労働者を受け入れて工場で働いていただく派遣先にとっては、もしその労働者に事故が起こったとしても、労災の保険は払わないでいいんですよ。労災の保険を払うのは、派遣元が払うわけですから。労災の保険は、御存じのように、払えば払うほど保険料率は上がっていくんですね。ですから、派遣先にとっては、その事故の責任というのが非常に少ない。
 こういうことで事故が倍近く起こっているということをほったらかしたまま、こういう弊害が、事故だけじゃありません、セクハラも多いと聞いておりますし、育休もとりにくいとか、いろいろな問題がある。そういう問題を放置して、派遣元が無期だから何でもいいんだ、フリーにしよう、こんなばかな考えは変えた方がいいんじゃないのか。
 公明党もそこの重大な問題に気づいたのではないかと私は推測するんですが、大臣、もう一回閣議決定をやり直す、国家百年の計に立ってそういう決断をするというのも私は一つだと思います。いかがでしょう。
○塩崎国務大臣 先ほど山本副大臣から御答弁申し上げましたけれども、我々政府としては、厚生労働省としては、閣議決定をし、そして、我々としてベストなものということで法案を提出しているわけでございます。
 今、国会の方で、委員会の現場で話し合いがなされていて、その中での、公明党の言ってみれば考え方の整理を示されたというふうに理解をしておりまして、私としては、厚生労働大臣として、これを取りまとめて閣議決定をして、そして国会で御審議をお願いしているということでありますから、やはりこれをしっかりと審議に取り組んでもんでいただくということが一番大事なことであって、その中から何が出てくるかは、それは議会の、国会の方の御議論の話でございますので、ぜひとも御審議を賜れるようにお願いを申し上げたいというふうに思います。
○長妻委員 人の一生を決める法律を、何が出てくるか御審議ということで、本当に詰めて考えていただかないといけないと思います。
 十三ページを見ていただきますと、ドイツでもフランスでも期間の制限があるわけですね、それは別に派遣元が無期だろうが有期だろうが。ですから、派遣という働き方はあくまで例外であるということが大変重要な観点であると思います。
 その意味で、何か政府の中で、我々がいろいろ質問して一生派遣になることを認める法律だというような話をすると、それは間違った認識だみたいな御答弁がある場合があるんですが、ちょっとこれは決着をつけたいんですけれども、派遣元が無期の場合は、その方が二十から六十歳、六十五歳までずっと派遣労働者、派遣先で働くということはこの法律で解禁になる、これはお認めいただきたいと思うんですが。一生派遣で働くことができるようになると。
○塩崎国務大臣 今派遣で働いていらっしゃる方々全体の中で、無期雇用になっていらっしゃる方、つまり、今回は期間制限がかからないということになっている方々は大体一七%というふうに聞いております。
 この方々が、先生のおっしゃり方でいけば一生派遣というふうにおっしゃられますけれども、当然のことながら、こういう方々にもキャリアアップの言ってみれば義務はかかって、派遣元の方でしっかりと長期的な観点からもやるということでありまして、そこからどういうふうに行くかというのはそれぞれの働いていらっしゃる方々の選択があるというふうに理解をしていますので、決して、基本的には一時的、臨時的な働き方、そして使い方という認識は何も変わらないということでございます。
○長妻委員 一七%と言いますけれども、この比率は私は急増すると。つまり、全体のパイが、この法律が通れば来年の四月から新入社員が派遣会社に正社員として多く採用される、そして一生働き方が派遣という形に陥って、キャリア教育云々とおっしゃいますけれども、もう派遣先がころころかわって、本当にそんなことが受けられるのかどうか。つまり、あくまで例外的なのが派遣なわけでありまして、ぜひこの一生派遣の問題について真摯に向き合っていただきたい。
 今の答弁だと、これは誠実ではないと思うんですね。つまり、今は自助努力でそれは正社員になるようなこともやってあげるからなりなさい、ただ、法律的な仕立てとしては、一生派遣で働くことができるということを解禁する、それはそうなんですということをちゃんと大臣がおっしゃらないと、これは誠実さに欠けると思うんですね。国民の皆さんに誤解を与えますよ、一時的、臨時的の原則は守っているんだと。そうじゃなくて、一時的、臨時的ではないことを踏み出す法案である、それをまず前提として押さえて言っていただきたいと思うんです。
○塩崎国務大臣 まず第一に、今回、いわゆる派遣元は全て許可制になるわけで、その際の条件は……(発言する者あり)
○渡辺委員長 静かにしてください。
○塩崎国務大臣 キャリアアップをちゃんとやる仕組みを持っているということが一番の許可の条件でもあるわけでございます。
 それと、先ほど申し上げたように、無期雇用派遣労働者については、みずから希望されてこれを選んでいらっしゃる方々がおられるということ、それから有期雇用に比べてはるかに雇用は安定しているということでもあり、しかし、キャリア形成支援を義務づけるということを派遣会社に対して、長期的な観点から、無期雇用の場合には特に長期的な観点からキャリア教育ができるわけでありますから、それを義務づけているということで、派遣労働の弊害が少ないということで、これは期間制限を対象外としてもいいんじゃないかということでありまして、希望する方々にはやはり正規の雇用の関係になっていただくように、それは支援をするように派遣元にも義務を課しているわけでございます。
 そういうことで、私たちは、決して一生派遣というようなことを認めているわけでも全くないということでございます。
○長妻委員 塩崎大臣とは、予算委員会の筆頭理事同士、いろいろ長期にわたって議論させていただきましたけれども、塩崎大臣は本当にもっと誠実な方のはずなのであります、私の理解では。
 つまり、我々は政治家同士ですから、やはり法案のデメリット、メリットを、全くデメリットのない法案なんてないでしょう、世の中に。これは考え方の違い、私はデメリットの方が非常に大きい法案だと思いますけれども、ただ、それをお互いちゃんと事実は事実として認めて議論しないと、国民の皆さんに、これも高い税金を払って審議しているわけですから、誤解を与えるわけです。
 今回は、だから、派遣元が無期の場合は生涯派遣労働者という働き方を解禁する。もちろん、個々の努力で正社員に移りたい人は途中で移るということもありましょうが、法律的な仕立てとしては、そういうことを解禁する法律になっているんだということはお認めにならないと、対策も打てないですよ。
○塩崎国務大臣 今先生がおっしゃっているのは、無期雇用、約一七%の方々のことをおっしゃっているわけでありますけれども、何度も申し上げますけれども、キャリアアップに関しましては、この無期雇用の方々についても当然やるわけでありますし、そもそも、現行制度で期間制限の対象外としている二十六業務については、これに従事する派遣労働者は派遣労働者全体の約四割を占めているのでございまして、それに対して無期雇用の派遣労働者は、今申し上げたように全体の約二割弱。
 今回の改正案によって、より期間制限の対象外が拡大されるということではなくて、むしろ逆に期間制限の対象外が縮小しているというか、四割のが今度は二割弱になるわけでありますから、これまで対象外だったところが、むしろ制限がかかるということになっているところもあるということを御理解を賜らなければいけないなというふうに思います。
○長妻委員 ちょっとお答えになっていないんですけれども、業務で制限している例えば通訳業務とか、常にずっと恒久的に毎日八時間働くような、そういう業務でないものも規定をして、その範囲内だけで、それ以外は原則期間制限を設ける、派遣元が有期だろうが何だろうが例外はないというのが現行の仕立てであります。
 やはりいろいろ聞いてみますと、派遣労働者は派遣先の人事部が絡んでいないケースが多い。人件費でもなく、物件費として支払っているケースもある、資材部が対応しているケースもあるということで、ある方から聞いたんですが、派遣の方を別の派遣にかえるときに、派遣先は派遣さんの返品をするというような表現をしたり、あるいは派遣さんというふうに呼んだり、アルバイトのことは自社さん、自社で採用しているジョブさんとか、呼び方がいろいろあるということであります。
 今お答えになっていただけていないんですけれども、派遣元が有期であっても、単純に部署さえかえれば三年置きに永久にできる、こんな抜け穴もあるということで、有期だろうが無期だろうが、派遣元に雇われて、基本的には一生派遣として働くことを解禁する。それは、自助努力あるいはサポートでそうでないルートに入るという方もいらっしゃるかもしれませんが、法律の仕立てはそういうふうになっている、これについてどうするんだということなんですね。
 この仕立てを、実は私の理解では規制改革会議も心配しまして、この仕立てにするのであればEU並みに均等待遇にしろ、EU並みに均等待遇にして、そこでストッパーをかけなさい、こういう趣旨の御提言をされておられるんですね。
 今回は法律の中にも、均衡待遇ということが非常に曖昧な形で、配慮義務のような形で入っております。
 五ページ目でございますけれども、均等と均衡の違いは何なのかと厚労省にお尋ねをいたしましたところ、均等、これは下にもありますように、EU指令でも、EU加盟の国々は、この均等というのは特に国内法に全部反映させなければならないということで、これが派遣における、ある意味では最高法規であるわけであります。均等は、EU諸国が守っている。
○渡辺委員長 長妻君に申し上げます。
 申し合わせの時間が過ぎておりますので、御協力をお願い申し上げます。
○長妻委員 委員長、五分前と普通来るのが今回来ていない。
○渡辺委員長 もう既に行っております。
○長妻委員 では、ちょっと短くやりますけれども、均等というのはイコールのことだ、つまり、結果として同じ待遇だと。均衡というのは、これは日本にしかない概念だと厚労省もおっしゃっておられます。これはバランスという意味で、具体的措置を法律で規定して近づけていくだけであって、結果は問わないんだ、こういうふうにおっしゃっておられて、全然、規制会議が提言しているように、これでストッパーをかける、歯どめをかけるということもなくなって、そして一生派遣というような働き方を解禁していくというのは大変問題が深いと思うんですが、最後、大臣、これを是正するお気持ちはないですか、均等ということで。
○塩崎国務大臣 長妻先生御指摘のように、同一労働をしていれば同一賃金が保障されるという仕組みをつくっていくことは大変重要な考え方であるということは、今のEUの指令においてもまた定められていることは承知をしているわけでありますけれども、やはり、これはそれぞれの国の報酬のあり方というのがそれぞれあって、日本の場合とEUの場合は必ずしもそれが一致をしていないわけでございます。
 職務に対応した賃金体系が日本の場合には普及をしていないで、むしろ、能力とか責任とか配置転換の範囲などの要素によって賃金が決定される、いわゆる職能給というのが日本では一般的であるわけでございまして、我が国の労働市場においてすぐさま、今おっしゃった同一労働同一賃金、こういう仕組みをそのままストレートに導入するというのはなかなか難しいという問題が数多くあるのではないかということで、まずは個々の事情に応じた均衡待遇を推進していくことが重要であって、今回の改正案においても、賃金等の面で派遣先の責任を強化する等によって均衡待遇をできる限り推進していくということが、私どもとしての今とるべき道ではないかというふうに思っておるところでございます。
○渡辺委員長 既に質疑の時間が終了しております。
○長妻委員 はい、わかりました。ここで質問はやめますけれども、これはヨーロッパ諸国だって二十数カ国がEU指令を守っていて、それぞれ賃金が違うんですね、考え方が。正社員と同じような賃金に派遣労働者もするとすると、正社員がふえるんですよ。派遣で雇うよりも、正社員と同じだったら正社員の方がいいということで。
 ドイツは、好景気のときに正社員がふえて派遣が減ったんですね。日本は、この法律が通ると好景気のときに正社員が減って派遣がふえる、こういう悪循環にならないという保証がないので、ぜひ出し直すという決断をしていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 三十分質問をさせていただきます。
 まず最初に、こういう審議の初日冒頭から、委員長職権で、異常な形で強行で審議がスタートすることを強く抗議したいと思っております。
 午前中の審議を聞いても私はびっくりしましたが、大変問題だらけの法案ですね。一生派遣の人がふえる、均等待遇は確保されていない、キャリアアップはこれから議論する、雇用安定措置、安定しても最低賃金以下、そんなのは雇用安定措置と言わないじゃないですか。
 私は、この与党の修正案をきょう配付しておりますが、三十三ページ、これを見たとき、かなり衝撃を受けました。どう書いてあるか。
 「厚生労働大臣が、派遣法の運用に当たって、派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることが原則であるとの派遣法の趣旨を考慮することを規定すること。」つまり、こういう修正案が出てくるということは、現在は考慮はされていないという法律になっておりますし、また、検討条項の中でも、今後、「新法施行後の通常の労働者及び派遣労働者の数の動向等の労働市場の状況を踏まえて、雇用慣行に悪影響を及ぼしているおそれがある場合には、新法の規定について速やかに検討を行う」。
 これは本当に与党議員の方が、今の法律は心配だ、このまま通すと大変なことになると。これは前代未聞ですよ。与党の審査を通った閣法を、審議の前に与党が、このままで通したら大変なことになる、修正しないとだめだと。
 そういう意味では、もう一回これは出し直すべきだということを強く言いたいと思いますし、また、昨日の理事懇でも、あさって総理入りの総括質疑をしたいとか、そんな話がありましたが、とんでもない。問題だらけ、審議も全く詰まっていないじゃないですか。
 これは大前提として、今回の法改正によって、今後十年間で五十万人、百万人、派遣労働者がふえる可能性がありますよ。どうするんですか。
 この間、多くの派遣労働者の話を私たち民主党は勉強会で聞かせていただきました。きょうも聞きます。例えば、十三年間働いてきた、一カ月前に契約打ち切りと言われた、私はこれから人生どうしたらいいんですか、涙ながらの話も聞きましたよ。さらに、実際、派遣労働者であるがゆえに、正社員よりも危険な仕事をさせられて病気になっちゃった、それで契約打ち切りになった。さらに、三カ月交代の派遣をして人生設計が立たない、結婚どころか恋愛もできない。こういう派遣を固定化する今回の法改正、頼むから阻止してくれと。安定雇用につきたい、正社員になりたい、待遇を改善してほしい、その趣旨に今回逆行しているんです。
 今の長妻議員の質問の続きとして、ストレートに塩崎大臣にお聞きします。一生派遣の労働者は、今回の改正によってふえるんですか、減るんですか。
○塩崎国務大臣 これは、派遣がふえるかふえないかというのはさまざまな要件によって決まってくることであり、また、一義的には、やはり個々人がどういう働き方を選ぶのか。ライフステージによって、いろいろまた与えられた要件というのはそれぞれ時点時点で違うわけでありますから、それぞれがやはりそれぞれの与えられた状況の中でどういうふうに働くかということを選択されるということなので、また、経済状況や、あるいは企業の方の方針もありましょうから、ひとり働く側だけの都合ではなくて、いろいろな形で物事が決まってくるわけであります。
 今回の場合には、我々は、派遣というのは一時的、臨時的な働き方であり、また使い方でもあるという基本的な認識は何も変わらないわけでありまして、さらに、そこで、どういうふうにしたら働く人たちが、そのままでもし派遣でいきたいというならば、どうやってその立場を守っていくのか、地位を強化していくのか……(山井委員「答えてください。一生派遣はふえるのか減るのか。委員長、注意してください」と呼ぶ)
○渡辺委員長 今答弁中ですから、ちょっと聞いてください。
○塩崎国務大臣 そして、もし、キャリアアップしたい、正社員になりたいということであるならば、できる限りそれをやれるような条件を整える。
 あとは、皆さん方がどう選ぶか、そして企業がどうやるか、そして経済がどうなるかによって結果は決まってくることでございますので……(山井委員「委員長、いいです。委員長」と呼ぶ)
○渡辺委員長 ちょっと待ってください。答弁中ですから聞いていてください。
○塩崎国務大臣 単純に、ふえるとか減るとかいうようなことを事前的に申し上げるようなことでは私はないと思っています。
○山井委員 ということは、大臣、これで一生派遣の労働者がふえるかふえないかわからない、そういう趣旨かと理解をしました。
 先ほども長妻さんの質問の中でもありましたが、例えば、私も手元に持っておりますが、十月二十七日、大手の人材派遣業者のニュースリリースのチラシがございます。どう書いてあるかというと、本臨時国会で審議される見通しの労働者派遣法改正案というもの、この状況において当社は、事務職派遣領域において常用型派遣事業を本格展開いたしますということなんですね。つまり、二〇一七年三月末までに、この事業を通じて五千人。五千人、二〇一七年三月末までに事務職派遣、常用型派遣をふやしますと。無期雇用の派遣をふやす方向で、法改正をにらんで一生派遣をふやす方向でもう動き出しているじゃないですか。
 塩崎大臣、こういう実態があるのに、責任者が一生派遣がふえるかふえないかわからないというんですか。答弁してください。
○塩崎国務大臣 先生は今、常用型というふうに書いておられるという話でございましたが、常用型の中には、当然のことながら、無期雇用型と有期雇用型と両方あるわけでございます。したがって、先生が今おっしゃっているのは、一生派遣とおっしゃっているのは多分無期雇用の方のことをおっしゃっていると思うので、これは有期雇用と両方の話だということをまず申し上げなきゃいけないと思うんですね。
 先ほどの質問に戻ることにもなりますけれども、正規雇用がふえるのか、あるいはずっと派遣がふえていくのかという御質問でありましたが、経済要因が変わらないで、そしてまた派遣を希望される方の増減等の他の要因も考慮しなければ、私どもとしては、今回の法改正事項には正社員化の推進のための措置それからキャリアアップ措置があることから、方向性としては私は正規雇用がふえる方向になっていると考えている、これは以前にも申し上げたところでございます。
 実際には、正規雇用の数については、景気、雇用、それから失業情勢等の影響を当然のことながら受けるわけでありますので、一概にその増減について予測することは難しいということだと思います。
○山井委員 非常に無責任だと思いますね。
 やはり国会というのは、この法案でどれだけ多くの人の人生に悪影響が及ぶかもしれないということを心配するのが政治じゃないですか。それを、これだけの規制緩和を出してどうなるかわからない、そんな無責任な法案は出し直してください。
 例えば、きょうの配付資料の一ページにありますように、ドイツの例。ドイツはどうなったんですか。二〇〇四年に、それまであった二年の派遣上限期間を撤廃した、三十八万人だった派遣労働者が、二〇一一年、七年間で八十八万人に倍増以上にふえているじゃないですか。今回と同じ派遣上限期間の撤廃をやったら、それだけふえているんです。
 私がびっくりしたのは、こういう状況を厚生労働省は把握していますかと聞いたら、何と、配付資料の六ページ、この状況は「当方では把握しておりません」。そんなことも知らずにこの法改正を出しているんですか。
 ドイツは、これでワーキングプアや、さらに、派遣は奴隷労働のようであるというような報道までなされて、若者の貧困が深刻な状況になって、昨年末に連立合意で、十八カ月、一年半にもう一回上限を決めるとしたんですよ。それによって、このグラフにもありますように、もう一度派遣労働者は減り出したんですよ。
 規制は緩和したら派遣労働者がふえる、強化したら減る、これは当たり前の話。この十八カ月に再度ドイツが短くしたのも知っていますかと聞いたら、厚生労働省の回答は、九ページ、これも厚生労働省、「当方では把握しておりません」。気楽でいいですね、本当に。
 これだけ派遣法の緩和で派遣労働者がふえて大問題になって、再改正が行われようとしている。にもかかわらず、その失敗に学ばない法改正を出して、塩崎大臣、先ほど、派遣労働者はふえるかふえないか一概にはわからないということでしたが、このドイツの例を見ても、日本では、派遣労働者は今回の規制緩和でふえないんですか。
○塩崎国務大臣 ぜひ今回の法案の中身をもう少しお尋ねいただくとありがたいと思いますし、説明をさせていただくと、結論でふえる減るの話だけではないというふうに思いますので、お願いを申し上げたいというふうに思うんです。
 先生が先ほどお触れになったドイツのケースですが、シュレーダーのときのいわゆるハルツ改革。この以前からドイツにおける派遣労働者数は増加傾向にあったと承知をしておりまして、なお、このハルツ改革における労働者派遣制度の改正は、国内の高い失業率等を背景に、雇用機会の拡大を目的として変更されたものであって、こうした事情は日本の状況とはやや異なる状況でもございまして、ドイツがこうだからといって日本がこうなるということは必ずしも言えないのかなというふうに思っているところでございます。
○山井委員 無責任な答弁ですね。
 普通、この状況を見たら、日本でも今回の規制緩和で派遣労働者がふえて、今、均等待遇は全く保障されていませんから、低賃金でいつ切られるかもしれない。そして、一生派遣の労働者がふえる。後ほど我が党議員が質問しますが、育児休業をとれている割合、正社員四三%、派遣四%。十分の一ですよ。結婚されている割合も、無期の直接雇用に比べて約半分。こういう働き方をふやしていいんですか。
 塩崎大臣は予算委員会で、枝野幹事長の質問に対して、十九ページにありますが、「今回の法改正は、他の経済要因が変わらない場合に、派遣をふやす方向に向かう中身であるのか、それとも派遣を減らす方向の中身であるのか。」と聞かれて、赤線を引きましたが、「正規雇用がふえる」と。
 ドイツでは派遣がふえているのに、塩崎大臣は全国の国民に対して、この改正で正規雇用がふえるということをおっしゃった。これは虚偽答弁じゃないですか。本当に正規雇用がふえるんですか、この改革で。
○塩崎国務大臣 この委員会での答弁の、「正規雇用がふえるという方向になる」と私が申し上げたのは、先ほど申し上げたとおり、他の経済要因が変わらないで、そしてまた派遣を希望される方の増減等の他の要素も考慮しなければ、今回の法改正事項には正社員化の推進のための措置やキャリアアップの措置が入っているわけでございますので、方向性としては正規雇用がふえる方向になる提案だということを申し上げているわけでございます。
 結果としてどうなるかというのは、何度も申し上げているとおり、さまざまな事象の、言ってみれば与えられた要件の中で働く方々も選ぶことでもあり、また企業の側も選ぶことでもありますから、そして経済情勢がどうなるかによって結果としてはどうなるかというのはわからないので、むしろ私どもとしては、正社員化の推進のための措置とかあるいはキャリアアップの今までにない政策をぜひ御理解賜って、これをさらに、もし御議論があるならば、よくしていただくことを御議論いただくことが、この国会としてお願いをできればなというふうに思っているところでございます。
○山井委員 わからないという答弁でも無責任だと思うけれども、正社員をふやす方向だとまで言ったら、私はこれは国民をだます話だと思いますよ。
 実際、中根議員もおっしゃっているように、現場では五千人の常用型派遣をふやす、これはどういうことかというと、今まで正社員を求人していたのを、来年四月、この法案が通ったら、派遣で使いませんかという形で今もう動いているわけですよ。
 おまけに、長妻議員も指摘された昨年の規制改革の配付資料、厚生労働省の配付資料、これは私はうそがあると思いますよ。
 十四ページ、ドイツでは、対象業務の派遣期間の制限なしとなっていて、わざと見えにくいように小さい字で、二〇一一年の改正で労働者派遣は一時的であることを規定、つまり、なしじゃなくて、あるんじゃないですか、二〇一一年に。にもかかわらず、なしだというわざとうその資料を配って、この時点で、一時的にするということが最高裁判決でドイツで決まっているわけじゃないですか。そこまでして、なぜ、ドイツの事例をほっぽらかして規制緩和をしようとするのか。
 それで、塩崎大臣に一つ確認したいんですが、派遣会社で無期雇用だった場合、それも塩崎大臣がおっしゃる正社員に含まれているんですか。あくまでもそれは私は派遣労働者だと思いますが。そうですよね。大臣、後ろで聞いている場合じゃないでしょう。そんなこともわからないんですか、大臣が。そんなものもわからないんですか。
○塩崎国務大臣 当然、派遣会社の無期雇用でありますから、派遣の方であります。
○山井委員 確認しますが、正社員じゃないということでよろしいですね。
○塩崎国務大臣 無期雇用というのは、無期に雇用されて定年まで行くわけですから、御本人によっては、それは正社員の認識をされている方がおられるかもわかりませんけれども、我々はそれを、あえてやはり派遣で働いていらっしゃる方というふうに考えます。
○山井委員 今おっしゃったように、幾ら無期雇用でも、派遣は派遣なわけです。
 そこで、二十四ページ、実は、今回、正社員になれる雇用安定化措置があるとおっしゃっているんですが、何とこれは、昨年の六月十四日、厚労省の研究会で、こういう雇用安定化措置がいいですよと人材派遣協会が提案した内容そのものが今回の法案になっているんですね。労働者が求めているんじゃないんですよ。
 具体的に言います。塩崎大臣、派遣先企業への直接雇用の支援、今回の法案では、三年間が終わったら、派遣先に直接雇用、正社員にしてもらえませんかと頼むんですけれども、頼んで雇ってもらえると思われますか。正社員にしたかったら、頼まなくてもその派遣先は雇いますよ、それは。一言お願いするだけだと何の実効性もない。
 おまけに、長妻議員も言いましたが、他の派遣先を紹介する、これなんて派遣会社の本来業務じゃないですか。紹介するのが当たり前じゃないですか。しないような派遣会社なんかないですよ、これがビジネスなんだから。塩崎大臣、これで正社員がふえると考えておられるんですか。
○塩崎国務大臣 先生も御存じでおっしゃっているんだろうと思いますけれども、この雇用安定措置というのは今まではなかったわけですね。これを初めて派遣元に義務づけるということであります。
 もう一つ、さっき、人材派遣の協会からの要望どおりだというふうにおっしゃいましたけれども、これは、彼らは当然のことながらいろいろな要望をするわけです。その中で、たまたま我々も考えていることと同じものもありますけれども、そうじゃないものもたくさん入っているわけであって、我々は言われたとおりやるような話では全くないということはちょっと言っておかないといけないなというふうに思いました。
 その上で、先ほど、直接雇用の依頼に応じるわけないだろう、こういうお話でありますけれども、百回やったら百回全部そうかというと、それは必ずしもそうじゃないと思うんです。
 ただ、おっしゃるように、直接雇用の依頼をして採っていただけないというときには、実は、二、三、四と、新たな就業機会の提供、つまり、派遣先を別なところを紹介する、あるいは派遣元での無期雇用をする、無期雇用ということはさっき申し上げたとおりのことでありまして、それから、その他安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置、このいずれかを直接雇用が実現しないときには講じないといけないということを義務づけているわけでありますので、これまでの派遣のお立場の方々にとってはやはり今までよりも安定するということを考えていけるのではないかなというふうに思ったからこそ、こういう提案をさせていただいているということでございます。
 ですから、一生派遣というようなことでいくことでは全くなくて、こういうようなことをさまざま派遣元は努力をしないといけないということを今回御提案申し上げているわけでございます。
○山井委員 全く実効性がないです、これは。全く実効性がない。これで安定雇用になると考えるならば、甘過ぎて話にもなりません。
 さらに、おっしゃったキャリアアップ、私の配付資料の六ページを見てください。
 私もびっくりしたのは、厚生労働省に文書質問をいたしましたが、私はこう聞いたんですね。例えば、経理担当の派遣労働者が経理についての教育訓練を希望し、あるいは、英語、パソコンを駆使する派遣労働者がそれぞれ英語、パソコンなどの教育訓練を希望し、年に一時間あるいは半年に一時間、それぞれ経理、英語やパソコンの教育訓練を提供した場合は、派遣元は今回の法案の義務を果たしたことになるのか、なり得るのか。これについては、場合によっては義務を果たしたと判断できると。
 年一時間でもキャリアアップの講習を、あるいは教育訓練をすれば、年一時間でも義務を果たしたということになる場合があるんですか、塩崎大臣。
○塩崎国務大臣 キャリアアップ措置についてのお尋ねでございますけれども、今回、この法案では、派遣労働者のキャリアアップに向けた雇用主責任を強化するために、派遣会社に対して計画的な教育訓練等の実施を新たに義務づけるということにしております。
 派遣会社が策定をいたしました教育訓練計画が法の趣旨に沿ったものであるかどうかは、派遣労働者のキャリアアップに資するかどうかを個別の事案ごとに労働局で判断をするということになっていまして、派遣元が策定した教育訓練計画が派遣労働者のキャリアアップに本当に資するのかというのは、今申し上げたように個別に見ますけれども、派遣会社や派遣労働者の状況によって、一概にはやはり言えないと思います。
 いずれにしても、具体的な内容については、今後、この法案成立後に労働政策審議会で議論を深める予定であります。
 ということでございますので、これからさらに、どうやったら有効な教育訓練ができるのかということを御議論いただくということになっておるわけでございます。
○山井委員 全く質問に答えないんだったら、質問時間を延ばさせてもらいますからね。
 私は、年一時間の教育訓練でも今回の法案の教育訓練の義務を果たしたことになる場合があるんですかと聞いているんです。答えてください。
○塩崎国務大臣 一年に一遍とかいう極端な話はもう歴然としているわけでありますけれども、どういう訓練をやるのかというのはやはり一概にはなかなか言えないことであって、その中身にもよりましょうし、何を月に一遍やるのか、週に一遍やるのか、年に一遍やるのか、それはいろいろだと思いますので、それぞれいろいろなことが考え得るわけでありますから、だからこそ、申し上げているように、これは労政審で、労働側、使用者側、そして中立側でしっかりと議論していただいてお決めをいただくということを今お願いを申し上げているわけであります。
○山井委員 欠陥法案じゃないですか。年に一時間でいいかどうかも答えられない、それでどうして実効性があると言えるんですか。私たちは何を審議するんですか。一時間でいい場合があるのかないのか、一年に一日でいい場合があるのかないのか、答えてください。そうしないと審議できないじゃないですか。
○塩崎国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、何を、どういうものをやるのかにもよっていろいろとケースはあり得ると思いますので、一年に一遍とか一月に一遍とかいうだけでは、中身を知らない限りはなかなか判断はつかないということだろうというふうに思います。
○山井委員 こんな法案、知りませんよ。何を審議したらいいんですか。一年に一時間でもいいかもしれない。
 では、塩崎大臣、一年に一時間で教育訓練になるんだったら、例えばどういうケースだったら、一年に一日、一年に一時間で教育訓練になると考えるんですか。実効性があると言っているのは塩崎大臣なんですから、説明してください。
○塩崎国務大臣 職業は千差万別でありますから、どういう教育訓練をやるのかはいろいろあって、それぞれの専門の分野で、それがどのくらいの教育訓練になり得るのか、どういう頻度でやるのがいいのかというのは、それはやはりそれぞれだと思うんですね。
 ですから、それを今何か例を挙げて言えといってもなかなか難しいと思いますし、まあ常識的な範囲で考えてみて、先ほど申し上げたように、労働局もちゃんとそれをやっているかどうかをチェックするわけでありますから、それを教育訓練として意味があるかどうかはまた労働局もきちっと厳しく見ていくということをしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思っております。
○山井委員 待遇改善だとか正社員化するとかキャリアアップとか言いながら、年に一時間でいいのかどうかも知らない、大臣もわからない、そんなことでよく法案審議してくれと言えますね。こんな無責任な法案、私は聞いたことがありません。
 あした理事懇がありますから、理事懇までに、年に一時間でいいのか、年に一回でいいのか、どういうものだったら最低限義務を果たしたになるのか、資料を提出してください、塩崎大臣。
○塩崎国務大臣 単純化するのは簡単でありますけれども、先生、やはりいろいろな職業があって、いろいろな訓練のやり方もあって、それを一年に一遍でいいとか悪いとかいうような、単純化した話ではなかなか難しいと思うんですね。
 ですから、これはやはり労政審で議論していただいて中身を詰め切っていただいて、労働側の皆さん方も納得するものをつくろうじゃないかと申し上げているわけだし、ちゃんとした制度になったときには、労働局が必ずこの教育訓練の計画というのは見るわけですから、それを、先生や私たちが考えてみて常識的におかしなものをいいと言うわけがないので、先生と私と余り感覚は多分違っていないんだろうと思うんです。
 そういうことだと思いますので、具体的にできるかできないかとかいう今の御要望でありますけれども、なかなか一概に定量的なことを言うようなことは難しいというふうに思います。
○山井委員 これは審議の前提ですので、あしたの理事懇には政府から提出してもらえるように、委員長、お取り計らいをお願いします。
○渡辺委員長 これは理事会で協議をいたします。
○山井委員 これは、私もびっくりしたのは、結局、中身が空っぽじゃないですか。キャリアアップ、教育訓練、一年に一時間でいいのか、一年に一回でいいのか、常識で判断してください、それだったら国会は要らないじゃないですか。そんな法律案、聞いたことないですよ。そこがわからないから法案審議をするんじゃないんですか。やはりそこを詰めて、こういう教育訓練だったら不十分だ、もうちょっと厚くすべきじゃないか、それをするのが国会審議じゃないですか。
 そういう教育訓練の中身が全く空っぽであるような法案というのは、私はこれは審議できないと思います。ぜひ出し直していただきたい。
 以上のことを申し述べて、私の質問を終わります。
○渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。大串博志君。
○大串(博)委員 お疲れさまでございます。民主党の大串博志でございます。
 午前中に引き続き、派遣法の改正法案、議論をさせていただきたいというふうに思います。
 まず冒頭に、私も先週の金曜日はびっくりいたしました。まだ法案の実質委員会審議も始まる前に、与党の一部の皆様から修正案なるものが提示されている。前代未聞だな、私自身もそういうふうに思いました。
 その内容においては、見させていただくと、私たちと懸念を、大いに方向性としては同じくするものもありますので、思いはよくわかります。
 しかし、なおさら、であればのこと、今の段階で修正案を与党の皆さんから提案しなければならないような法案というのは、一体、本当にこの委員会でまず審議する段階にあるのかというのはやはり疑念として抱かざるを得ないというふうに思います。
 こういった中で、私たちとしては、一旦考え直して、見直して、派遣の現場をもう一回勉強していただいて、出し直していただくというのが筋ではないか、私自身はそう思います。
 そういう中で、委員長、今回職権での委員会立てでございます。これも非常に遺憾でございます。派遣法ができて三十年、今回、これだけ大改正と言わざるを得ない内容になっている。これを議論するのに今のような進め方、私は非常に遺憾でございます。
 この点をまず冒頭申し上げさせていただいて、質疑に入らせていただきたいというふうに思います。
 さて、大臣、今回の派遣法、先ほど申しましたように、私の目から見ると、過去三十年、いろいろな経緯の中でできた法律でございましたけれども、その中で、規制緩和、規制緩和と続いてきた。そういう中で、派遣による労働需給の調整という機能も果たしてきましたけれども、しかし、派遣の現場で大いに苦しまれる方々が私たちにいろいろな訴えをしていただくのも事実でございます。
 そういった中で、やはり今回の派遣法の改正の考え方、根本論、私として最も心配するのは、今までの派遣法の中で基本的理念として守られてきた、派遣労働を臨時的、一時的な働き方として位置づけるこの原則。
 大臣、端的にお尋ねします。
 今回の改正案の中でも、派遣労働を一時的、臨時的な働き方として位置づけるという原則は守られているか。イエスかノーか。お答えください。
○塩崎国務大臣 今回の改正案において、いわゆる二十六業務を含めた派遣労働全体について、その利用を臨時的、一時的なものに限ることを原則として維持した上で、新たに派遣労働という働き方についても臨時的、一時的と位置づけることを原則としておるところでございます。
 具体的には、派遣先については同じ事業所における継続的な受け入れは原則三年まで、有期雇用の派遣労働者については同じ派遣先の職場への派遣は原則三年までという期間制限を設けることとしておるわけでございまして、今先生がおっしゃった臨時的、一時的なものに限るという原則は変わっていないということでございます。
○大串(博)委員 大臣が今答弁をされたところから、少し私は掘り下げさせていただきたいと思うんですね。
 今、有期雇用に係る一事業所単位での派遣に関しては三年を制限とするというふうに言われました。三年とする制限、法文でも私は読んでいます。これがなぜ臨時的、一時的ということに資するのか。お答えください。
○塩崎国務大臣 質問の真意をちゃんとつかめていないかもわかりませんけれども、先ほど申し上げたように、継続的な受け入れは同じ事業所の場合原則三年まで、有期雇用の派遣労働者については同じ派遣先の職場への派遣は原則三年までという期間制限を設けることにしたということでございます。
○大串(博)委員 その中の一つとして、一事業所単位で見ると派遣の期限は三年である、しかし、それに関しては例外もあるという規定になっていると思います。そのことを大臣が今おっしゃったから、それがなぜ一時的、臨時的という考え方の原則に基づくものなのですかという考え方を聞いているんです。
○塩崎国務大臣 今回は、いわゆる自由化業務といわゆる二十六業務と言っていたのを、期間制限につきましては、個人単位の期間制限と派遣先事業所単位の期間制限の二つに整理をし直したわけでございます。
 今おっしゃった事業所単位の期間制限については、原則三年で、過半数組合等への意見聴取により延長可ということでありますから、必ずここで一回立ちどまって考える、そしてまた、過半数組合の了解を得なければいけないということでありますから、その臨時的、一時的という位置づけは変わっていないというふうに思っております。
○大串(博)委員 確認させていただいていいでしょうか。過半数組合等の了解を得なければならないということは、法律上、どこに書かれていますでしょうか。
○塩崎国務大臣 失礼しました。意見聴取により延長可ということでございます。
○大串(博)委員 さらに詳しく聞かせていただきます。
 その部分が臨時、一時的な考え方の原則をあらわしているとおっしゃいますけれども、過半数労働組合等の意見を聴取することが、なぜ臨時的、一時的な原則に資するんでしょうか。
○塩崎国務大臣 意見聴取について、なぜそれで意味があるのかということでございますけれども、これは、やはり現場重視の労使関係というのを踏まえれば、労働側の意見を無視して一方的な延長は想定しにくいわけでありまして、これで歯どめ効果が一定程度あるということで、自動的にずっと勤めるというような形でいくわけではなくて、基本的に、先ほど申し上げたように、臨時的、一時的な働き方であることはあれですけれども、意見聴取をやって延長が可能になった場合には、過半数組合の意思を確認の上で延びることがあるということでございます。
○大串(博)委員 今の答弁の中で、過半数組合等の意見を聞けば、それは一方的には物を決められないというふうにおっしゃいました。しかし、その過半数組合等というものがレジティマシー、正統性を持つかどうかというのは非常に重要な論点だと思うんですね。そこがレジティマシー、正統性を持たないのであれば、そこの意見を聞いたところでどの程度の意味を持つのかということがあります。
 過半数組合等、この意見を聞くと。過半数組合等、これはどの程度正統性、レジティマシー、だからいいんだということになるんでしょうか。
○塩崎国務大臣 過半数組合等というのは、言うまでもなく過半数組合か、あるいは、組合がない場合、個人の代表者を集めたものということでありますけれども、これは、派遣労働者の受け入れを法律で一律に制限するのではなくて、現場をよく御存じの労使の判断に委ねようということでございまして、言ってみれば、その場での民主主義を貫徹するということだと思います。
○大串(博)委員 この過半数組合及び過半数組合がない場合の過半数代表者ということの実態に関しては、資料もお配りしています。これは厚生労働省の資料です。
 これに関して言うと、もちろん、組合の組織率は今二割を切っている、こういう状況にある。その中で、では、残り、過半数代表者は実態としてどうなっているかというと、この厚生労働省の資料にもあるように、上の横グラフで見ていただくと、右の方から、その他・無回答、一〇%、会社側が指名した、二八・二%、社員会・親睦会などの代表者が自動的に過半数代表者になった、一一・二%、合わせて五〇%がこのような、会社側が指名したとか、社員会とか親睦会がいつの間にかこうなっていたとか、こういった正統性の乏しいものになっているんです。ここの意見を聞いているからいいというふうにこの実態を見てなるんですか。
○塩崎国務大臣 この過半数代表者の選出手続というのが大事でございまして、先生がおっしゃるように、懸念を持たれるような選び方というのは、やはりそれは民主主義に反するだろうというふうに思っております。
 労政審の建議において、過半数代表者は、管理監督者以外の者とし、投票、挙手等の民主的な手法による手続により選出された者とすることが適当であるとされておるところでございまして、具体的な手続については厚生労働省令で定めることにしておりますが、法案成立後の労働政策審議会の場で御議論いただいて適切な手続を定めたいというふうに思っておりまして、先生が今御指摘のような形で、全体の声を代表しているかなという疑念を持たれるようなことはないようにしていかなければならないというふうに思います。
○大串(博)委員 まさにこの過半数労働組合のない場合の過半数代表者がどういうふうに選ばれるか、極めて大事なところなんです。
 これは法文で言うと、当該条項、四十条の二の三項、四項のところで厚生労働省令に落とされているんですね。省令で決められる手続によって決めます。これは極めて大事な省令なんです。先ほど、これからきちんと決めますとおっしゃった。かつ、民主的な手続でとか、あるいは管理者じゃないとかいうふうに言われましたけれども、今までとは違う、よりよい手続にするんだということをどのように省令に書かれるんでしょうか。
 というのは、先ほど大臣がおっしゃいました、管理者じゃない、あるいは選挙等での民主的手続でやるからいいんだというような答弁でございました。しかし、過半数組合あるいは過半数代表者というのは今までもいっぱい規定はあるんです。労働基準法の中の強制貯金とか、あるいは賃金の支払い、二十四条、あるいはフレックスタイム制、三十二条の三、あるいは三六協定をつくる三十六条の時間外労働、こういったものを決めるときに、過半数労働組合あるいは過半数代表者、こういうところから意見聴取しなきゃならないと言われている。それをどういうふうに選ぶかという省令も既にあるんです。
 その省令には、まさに今大臣、こういうふうにするからいいんだとおっしゃった、管理の地位にある者でないこと、あるいは、実施される投票、挙手等の方法による手続により選出される者と、今でもそうなっているんです。今でも省令にこう書かれているんですよ。にもかかわらず、この現状です。
 にもかかわらず、今大臣は、管理者じゃない、挙手等の手続で選ばれるからいいんだというふうに言われた。これは一体どういうことですか。一体どういうふうな省令に、よりよくしようとしているんですか。お答えください。
○塩崎国務大臣 先ほど先生がお配りになった資料で、必ずしも望ましい形になっていないということでございまして、それは好ましいことではないというふうに私も思うところでありますが、しかし、問題は、今そうなっているというよりは、これからどうやって民主的なプロセスを確立してこの過半数代表者を選んでいくかということが大事なので。
 先ほど申し上げましたように、労政審の建議でも、過半数代表者の選び方については、管理監督者以外の者として、投票、挙手等の民主的な手法による手続により選出された者とすることが適当であるということで、繰り返しこういう指摘があるということは、これをどう徹底するのかということが大事であって、厚生労働省令で改めて定めるという法案成立後につくるものについて、労政審での議論もいただきながら、これまでの、やや実効性がなかったと先生御指摘のようなことにならないような省令をどうつくっていくかということだろうというふうに考えております。
○大串(博)委員 いや、だから、まさにそれを聞いているんです。
 今までも、過半数組合あるいは過半数代表者等というものが重要であった法規制があるんです。そこには、今まさに大臣が今回の労政審建議でこういうふうに書かれましたと言われたことと同じことが省令に、すなわち、「管理の地位にある者でないこと。」あるいは「実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。」もう既にそういう制度になっているんです。にもかかわらず、こういう民主的じゃない実態になっている。だから聞いているんです。
 だから、先ほどおっしゃったように、この省令にどう書かれるかが肝なので、ここはどう書かれるかがわからないと、大臣がおっしゃったように、この規定は実効性があるんです、臨時、一時的にならないような実効性があるんです、私たち、わからないじゃないですか。
 どういうふうな省令になるんですか。ぜひお示しください。
○塩崎国務大臣 繰り返して恐縮でございますけれども、今回のこの法案をつくるに当たっての労政審での審議の中で、繰り返し先ほど申し上げたような、適当、適切なる手続についての御提案が建議として出てきているわけでございます。
 実態として今ある省令が今有効に機能していないということでもあることを踏まえた上で、なおかつ、今回新たな、先生方の御指摘になるような懸念をどうこの省令の中で生かしていくかということは、これから本当にいろいろ考えていかなければいけないことで、これもまた労政審でこの後議論することになっているわけであります。
 なおかつ、仮に省令がパワーアップされて、それで、では、本当に民主的なプロセスになるのかということに関しては、これは、派遣会社に対して、当然のことながら労働局が全国できちっと監督をするという立場にあって、先生が今出してこられたような、こういうようなことで、本来の民主的なプロセスになっていないぞというようなことをやはりきっちりと指導していかないといけないんだろうというふうに思いますので、いわば、これが今少し指導が足りないということのあかしになっているのかなという感じもいたさないでもないというところでございます。
○大串(博)委員 今、仮に省令がパワーアップされたものになるとするととおっしゃいました。
 これは、非常にここが肝なんです。過半数組合が適切に、民主的に、働いていらっしゃる皆様の民意をあらわしているか、これは肝なんです。それがわからないと、大臣がおっしゃったような、大丈夫です、臨時、一時的の原則は守られます、私たちはとても認識できないんですよ。だから聞いているんです。省令がどうなるかがわからないと、ここで議論していることが、大臣が答弁されたことが、はい、そうですね、次となかなかならないんですよ。だから省令のことを聞いているんです。
 委員長にお願いしたいと思います。
 今聞いていただきましたように、ここがまさに肝なんです。この省令がどう書かれるかに関しては、ぜひ当該委員会に、今、大臣は非常にあやふやだったので、紙で提出していただきたいというふうに思います。
 委員長、よろしくお願いします。
○渡辺委員長 理事会で協議をさせていただきます。
○大串(博)委員 あと、私、もう一つお尋ねしたかったのは、意見聴取をすると。意見聴取をすることで、大臣、なぜこの規定は実効性があると言えるんでしょうか。
○塩崎国務大臣 これは、先ほど御答弁申し上げたように、やはり現場で、労使双方が現場の事情をわかった者同士の中で意見を言い合って、意見聴取をするということが、職場民主主義というか、そういうことにつながるわけでございますので、意見聴取をするというプロセスなくして、これは判断ができないということだろうというふうに思います。
○大串(博)委員 これは、あくまでも意見聴取なので、意見を聞けばいいということに法律上の義務としてなっているんですね。意見を聞けばいい、すなわち経営側は意見を聞けばいいというだけの義務を負っているにもかかわらず、それによって経営者側が拘束されることはあり得ないと私は思うんです。
 なぜ意見聴取だけで実効性があるのか、もう一度答弁ください。私、ちっともわからない。
○塩崎国務大臣 これまではこういうようなプロセスが全くないままに来たわけでありまして、今回こうやって、新たな仕組みとして意見聴取をしようということでございます。
 確かに、聴取をするということでありますけれども、当然それは経営者側に対しても、もしネガティブな反応であればそれは非常に経営者側にとってはプレッシャーになるわけでありますから、当然のことながら、意見聴取がやはり意味を持ってくるというのは、少なくとも今までのように何もせずにいくということはなくなるわけでありますので、こういう意見聴取のプロセスを大事に、新たに導入するということは意味があるというふうに思っております。
○大串(博)委員 意見を聴取するということは経営者側にはプレッシャーになるというふうにおっしゃいました。しかし、法文上は意見聴取をするのみが義務です。
 経営者側が意見聴取をした、意見聴取をした上で期間を延ばした、そういう手続を踏んでいる中で、手続さえきちんと踏んでいれば、労働局は処分、監督をしないと思うんですね。にもかかわらず、なぜ、今おっしゃいました、経営者側は意見聴取をするということでプレッシャーを感じる、こういうことになるんでしょうか。
○塩崎国務大臣 先生おっしゃるように、意見聴取がバインディングになるかというと、それは確かに違うと思います。しかしながら、やはり、例えば反対一色だった、それを強行したといったときには、それはもう企業内の民主主義も成り立たないわけでありまして、それを強行するということであるならば、労働局としても指導せざるを得ないということになるのではないかと私は思うんですね。
 だから、何のために意見聴取をしているのかということであって、だからこそこの意見聴取の仕組みというのは、おおむね妥当というふうに労政審でもされたものでありまして、それに現場実態を熟知しているという労使の代表も入っているわけでありますので、私どもとしては、労政審の方向性について、それを法律にしているということでございます。
○大串(博)委員 今の答弁はとても大切で、反対が多かった、反対一色であった、にもかかわらず経営者側が期間を延ばしました、強行しましたという場合には、労働局も指導監督しますとおっしゃいました。極めて重要なポイントなので、ぜひこの法文に、それを修正して出し直してほしいと思います。
 今おっしゃった点が鍵なんですよ、大臣がおっしゃった点は極めて鍵なので、これは法律の肝なので、直して出し直していただきたい。どうですか、大臣。
○塩崎国務大臣 さっきも申し上げたように、意見聴取をした際に反対一色だった、それを全く無視して継続させたというときには、やはりそれは幾ら何でも、労働局としては意見を言う、指導をするということは当然のことだろうというふうに思うんです。全く無視をするようなことはあり得ないことであって。それはどこまで介入するかは別ですよ。
 それを私は申し上げているのであって、そういうものが、今までこういう仕組みすらもなかったわけですから、それを新たに入れて、意見をちゃんとプロセスとして聞く、その選び方も定める、そういう中で、三年たったときにどうするかということを決める際の意見聴取を行うということではないかと私は思っております。
○大串(博)委員 今大臣がおっしゃいました、反対が多い、一色である、それを無視して継続した場合には労働局は指導に入るということだと思いますとおっしゃいましたけれども、その労働局が指導に入る根拠、これをお示しください。
○塩崎国務大臣 指導に入る根拠ということでございますが、労働者派遣法第四十八条の第一項に、「厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、労働者派遣をする事業主及び労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、労働者派遣事業の適正な運営又は適正な派遣就業を確保するために必要な指導及び助言をすることができる。」というふうに書かれてございます。
○大串(博)委員 今の四十八条の読み方はそういうことであるというふうに引かれました。これは実は、全国のいわゆる経営陣の皆様にとってはとても大きな今の大臣の発言だと思います。
 一体どういう場合には労働局の指導が入ってくるのか。反対一色とおっしゃいましたけれども、反対が九割あるいは八割、どういう場合には指導が入るのか。それを明らかにお示しください。
○塩崎国務大臣 四十条の二の四、五ですね。派遣先は……(発言する者あり)先生、答弁しているんだから、ちょっと聞いてくださいよ。
○渡辺委員長 まず答弁を聞いてください。
○塩崎国務大臣 「派遣先は、派遣可能期間を延長しようとするときは、意見聴取期間に、厚生労働省令で定めるところにより、当該派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」
 それで、五のところですね、今のは四ですが。「派遣先は、第三項の規定により派遣可能期間を延長したときは、速やかに、前項に規定する労働組合に対し、派遣可能期間を延長した理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならない。」ということになっています。
 先ほどの……(発言する者あり)
○渡辺委員長 今答弁していますから、聞いてください。
 答弁をちゃんと、きちんとお願いします。
○塩崎国務大臣 ですから、それを労働局が、先ほどの……(発言する者あり)山井先生、答弁しますから、ちょっと待ってください。
○渡辺委員長 一回ちょっと時間をとめます。
    〔速記中止〕
○渡辺委員長 速記を起こしてください。
 厚生労働大臣。(発言する者あり)
 とめておいてください。
    〔速記中止〕
○渡辺委員長 速記を起こしてください。
 塩崎厚生労働大臣。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、まず、指導権限は、申し上げたとおり、労働者派遣法第四十八条の第一項に「指導及び助言をすることができる。」とございまして、その根拠は、先ほど読み上げたとおり、派遣先、つまり……(大串(博)委員「それはわかりました。どういう場合か」と呼ぶ)派遣先が説明をしなければならないという、意見を聞いて、それに対して、意見を、今度は「派遣先は、第三項の規定により派遣可能期間を延長したときは、速やかに、前項に規定する労働組合に対し、派遣可能期間を延長した理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならない。」となっていて、それを過半数組合に対してきちっと説明していないということになれば、当然、これは労働局として指導をしなければならないということになるというふうに理解をしております。
○大串(博)委員 もう一度聞きます。
 大臣は先ほど、反対一色の中で延長を強行した場合には指導の対象になるというふうにおっしゃいました。反対一色の中、つまり八割、九割、どういうふうな場合に継続した場合には指導の対象になるんですか。そのことを端的にお伝えください。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、派遣先の企業は意見聴取をしないといけないわけですね。それで、その場合に、会社が意見を組合側から聞いて、それを完全に無視するような形でやったような場合について私は申し上げているわけで、いろいろな意見がありましたという程度ではなかなかこれは指導は難しいというふうに思いますが、意見を聴取してきちっと説明をしないということであるならば、やはりこれは労働局が指導に入るというふうに私は思います。
○大串(博)委員 いや、先ほど大臣は、完全に無視したような場合には指導に入るとおっしゃいました。完全に無視したような場合というのは、かなり幅のある概念だと思います。事業者の皆さんは大変困られると思います。どういう場合が、大臣がおっしゃる、指導に入る完全に無視したような場合になるんですか。
○塩崎国務大臣 それは、組合側が反対をしているということで言っているにもかかわらず、会社が意見を聞かないような、そういう場合にはやはり指導をするということに私はなると思います。
○大串(博)委員 今大臣がおっしゃったことは極めて実はこの法律が書いていたことと違うことで、すなわち、反対の意見があるのに、会社がそれを聞かないで継続した場合には指導に入るとおっしゃっていること、この法律の中にどこにも書かれていないんですよ。
 その点は法律に書かれていないから、明確に書いて出し直していただかなければならないと思います。あるいは、四十八条の一項を淵源とするのであれば、そのことをどこかに明確に書いて出してもらわないと、極めて大きなところですよ。大臣、どうですか。
○塩崎国務大臣 反対の意見があるからすぐ指導に行くだのようなことは私は全く申し上げておりませんで、全く意見を聞かない、意見を聞いた上でそれを会社が無視するというようなことではやはり指導をせざるを得ないんじゃないかということを申し上げているのであります。
○大串(博)委員 もう一回確認します。反対意見があるにもかかわらず、それを聞かないで継続した場合には労働局は指導に入る、これでよろしいですね。
○塩崎国務大臣 反対の意見があるぐらいのことで言っているわけではなくて、反対一色で全く意見を聞かないようなことで対処をしたら、それは問題ではないかということを言っているので、常識的に考えてみて余りにも民主的ではないということを察知したときには、労働局はさすがに、それはちょっと意見をもう少し聞いてもらった方がいいんじゃないんですかと言うことに恐らくなるだろうということを申し上げているわけです。
○大串(博)委員 まさにそこのところがこの法案の鍵なんですよ。どれだけ実効性があるか、これだけ議論になっているじゃないですか。
 よって、反対一色である、まあ一色であるということも非常に幅のある言葉です。では、どれだけの反対があれば、どれだけの反対の中で継続すれば労働局が指導に入るのか。これは極めてこの法律の根幹のところなので、何がしかの形でそれを明らかにしてほしい。そうしないと事業者も困る、あるいは働いている方々も困る。それは法律を直して、出し直すぐらいの話だと私は思いますよ。どうですか、大臣。
○塩崎国務大臣 これは派遣法の問題ではなくて、派遣法というのは今回の新たに提案をしている部分ではなくて、むしろ、先ほど申し上げた四十八条の一項の指導というものをどう発動するかということであって、それを今も私は申し上げているのであって、そうすると、先ほど申し上げたように、「労働者派遣事業の適正な運営又は適正な派遣就業を確保するために必要な指導及び助言をすることができる。」ということになると、今先生がおっしゃったような形で、私は反対一色と申し上げましたけれども、どう考えてもこれは職場内の労使関係にもとるし、意見を全く聞いていないじゃないかというときはということでこれを言っているので、では適正な運営の幅を全部克明に説明できるかというと、それは私はできないと思うんです。
 したがって、今回の提案で書かれているようなプロセスをちゃんと踏んでくださいよというデュープロセスを今回定めているのであって、これに全くもとるようなことをやっている場合は、さすがに労働者派遣事業の適正な運営にはなっていないんじゃないだろうかということで指導に出ていくのではないのかということを私は申し上げているわけであって、もちろん、先ほど申し上げたように、法律成立後に労政審で議論していただいて、いろいろな基準についてもお決めをいただいた上で省令をつくっていくということになっているわけでございますので、そこのところは、今申し上げているように、今回提案をしているものを出し直すということのような話では私はないのではないのかなというふうに、大串先生、そう思ったところでございます。
○大串(博)委員 今も大変大事な発言をされました。適切な運営そして就業が図られていない場合にはというような前提でおっしゃいました。幅を言うことは難しいけれども、これから労政審でいろいろ議論して、基準をつくるとおっしゃいました。
 その基準が極めて大切。その基準はどういうものですか。
○塩崎国務大臣 基準というよりは、省令を後でつくるわけですね。それをどう書くかについての議論を労政審でいただくということを私は先ほどもう既に申し上げております。
○渡辺委員長 大串博志君。
 申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔に、御協力お願いいたします。
○大串(博)委員 いやいや、もうこれだけ違うことを答弁されたんですから、少し質問させていただいて。
 省令をこれから決めると。基準じゃなくて省令なんだと。そうすると、この省令が極めて極めて極めて大切なことになると思うんですね。
 この省令はどんな省令になるんですか。(発言する者あり)
○渡辺委員長 では、速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○渡辺委員長 速記を起こしてください。
 塩崎厚生労働大臣。
○塩崎国務大臣 四十条の二、三項から五項までの省令で定めるところというのは、特に四十条の二ですね、派遣先の期間制限について規定した条文ですけれども、厚生労働省で定めるものについては、国会での今回の法案の審議の後、労政審で議論していただくわけですけれども、四十条の二の第三項または第四項の厚生労働省令で定めるところについては、過半数代表者の管理監督者以外の者とすること、それから、過半数代表者を投票、挙手等の、先ほど申し上げたように民主的な方法による手続により選出すること、それから、意見聴取のやりとりの記録を一定期間保存し、派遣先の事業所において周知すること、それから、過半数代表者の不利益取り扱いを禁止することなどを規定することを想定しているわけですね。
 第四十条の二第五項の厚生労働省令で定める事項については、過半数労働組合等からの意見への対応方針等を規定することを想定しています。
 いずれにしても、先ほど来申し上げているように、具体的な規定の内容、さっき基準と言ったかもわかりませんが、規定の内容については、本法律案の成立後、労働政策審議会の場で御議論をいただいて検討していきたいということを申し上げているわけで、そのことを私は繰り返し申し上げているところでございます。
○渡辺委員長 大串君に申し上げます。
 申し合わせの時間が過ぎておりますので、御協力お願いいたします。
○大串(博)委員 では、最後に一言。
 先ほどの四十条の二の三項、四項、五項のあたりにあるこの厚生労働省令、大臣がおっしゃいました、これらに違反している場合、すなわち、違反して、反対一色の場合に延長した場合には指導に入るという極めて重大なことをおっしゃいました。これがどのような労働省令に反映されるのかというのが極めて私たちとしては論点の焦点なんです。
 これを、ぜひ、委員長、速やかに、速やかにこの委員会に提出していただくよう、それがないとなかなかこの審議は先に進みません、そのことを委員長にお願いしたいと思います。
○渡辺委員長 理事会で協議をさせていただきます。
○大串(博)委員 終わります。
○渡辺委員長 次に、柚木道義君。
○柚木委員 民主党の柚木道義でございます。
 ちょっと時間が超過をしておりますので、私の質問に早速入らせていただきます。
 冒頭、資料をおつけしておりまして、皆さん、お手元にありますか、これをごらんください。
 一枚目、二枚目等は、これは皆さん御記憶に新しいんですが、十月の二十三日に、いわゆるマタニティーハラスメント、マタハラ、つまり、妊娠を理由に降格をさせられたということに対しまして、最高裁判所がこれは違法という判断を下しております。
 この記事の中のマタハラnetという、まさに同様の被害を受けられた方々、団体さん、そういった皆さんも含めて私も今回お話をお伺いする中で、ここに赤線を引かせていただきました。
 まず、その判決を受けられた当事者の女性は、本当に、「あきらめず、声をあげてよかった」「これまで何度も憤り、傷つき、悔しい思いをしてきました。新しい命を宿した女性がこのような苦しみを受けることはあまりに酷です」と。そして、「安心して子を宿し、子を産み、子を育てながら、働きがいのある仕事を続けられるようになってほしい。そのために、今日の判決が役立ってほしい」と切に願い、ほかのマタハラに苦しむ女性たちを思いやったと。そして、弁護士の方も、「均等法に真正面から向き合った、非常に画期的な判決。これから女性たちが声を上げやすくなる」。マタハラnetの代表の方は、この方は二回にわたって流産をされているわけですが、「マタハラのない社会にしていくための、大きな一歩になってよかった。勇気をもらった」と。
 こういったことなんですが、実は、その先の記事にあるように、今、こういったマタハラだけじゃなくて、パワハラやセクハラも含めて、いわゆる三大ハラスメント、相談件数が非常に増加をしてきておりまして、ちなみに、マタハラの場合には、二〇一三年度は三千三百七十一件と、前年度二割増。
 こういう問題は、日本の職場の構造的な問題で、「育児や介護などに責任をもたず、時間の制限なく働ける人を評価する風潮が日本の企業社会に根強くあるため、妊娠・出産する女性を排除しようというマタハラが起きやすい」ということで、次のページも、肝心かなめの駆け込み寺であるはずの労働局が伝書バトといったような形の役割しか果たし得ていない現実が書かれております。
 こういった状況の中で、次のページはちなみにマタハラの類型で、いろいろこういう類型があるので、皆さん、ぜひまたごらんをいただきたいんですが、私、今回、この後、実際に派遣社員の方や非正規の方々がこういういわゆるハラスメントの被害を受けやすいという実証調査研究が、実は間もなく発表されます。そのことを御紹介いたしますが、実際に、この法案が成立をして、もちろん正社員になる方もいるかもしれません。しかし、当然、派遣労働で働かれている方、望む方も含めてふえていく。そういう場合に、まさにこういうハラスメントの被害を受ける方、立場が不安定であれば、まさに派遣切りに遭うかもしれないから言いたくても言えない、そういうことも含めて、被害に遭う方がどんどんふえていくということが懸念をされております。
 実はきょう、大臣に加えて山本副大臣にも御答弁のお願いをさせていただいておりますのは、ちょっと副大臣にお伺いしたいのが、先ほど長妻委員からも、この公明党さんの撤回をされたという修正案、私は、この修正案を出されることというのは、非常に、福祉の党の公明党さんとして理解できますよ。
 しかし、今ハラスメントのことを申し上げましたが、こういうことの対策も含めて、本当に、今回、派遣法を、私の中では改悪ですが、して、そしてまた、ハラスメントなどの被害を受けられる方がふえる懸念がある中で、そういった点も含めて、これは調査もカテゴリーもまだ不十分ですから、しっかり対策を講ずることをセットでこの法案を議論するならまだしも、そのようなことにもなっていないわけです。
 これは副大臣、与野党間で幅広い合意形成ができる案ということで御所見を述べられましたが、こういうハラスメント対策も含めて、しっかりとしたスキーム、特に、マタハラ、セクハラは均等法上の規定がありますが、パワハラについては法規定はない中で、労働局のあっせん等で対応している中で、こういう法律を議論する以上は、ハラスメント対策についてもしっかりと対応していく中でこの法案審議をすべきだと思いますが、副大臣、同じ女性として、御所見をお述べいただけますか。
○山本副大臣 御質問ありがとうございます。
 今、与野党間での幅広い合意形成のための提案というのは、私が言ったことではございませんで、公明党の方からそういう形で提案されたと伺っているということでございます。
 今お話がございましたセクハラ、マタハラ、またパワハラの関係でございますが、これは派遣に限ることなく、非正規、正規、働いていらっしゃる方々のためにやらなくてはいけない対策だと思っておりますので、この法案はこの法案としてしっかりと審議をお願いしたいというのが現在の立場でございます。
○柚木委員 そのような御認識ではまだまだですね。昨日も参議院の予算委員会で、公明党の委員さんが母子支援強化というすばらしい質問をされていましたよ。これは本当に逆行しかねませんよ。
 私の先ほど申し上げた実際の調査研究、私もこれを聞いて、本当にますます懸念を深めています。
 労働政策研究・研修機構の内藤忍副主任研究員が、今月発表の調査研究によると、全国で初めてパワハラの十万人調査というものを行って、それを分析したもの、これで、正社員と非正規職員の中で、いじめを受けた、いわゆるハラスメントを過去三年で受けた者は、実は二二ポイント、二一ポイントと余り大差はないんですが、非正規雇用の中で派遣職員の方は三一・二%と、一〇ポイントも高いんです。
 なおかつ、いじめの、つまりハラスメントのあっせん、つまりは調停ですね、その事案調査においては、派遣労働者の方は全申請人の八・五%。派遣労働者の割合というのは二〇一一年の調査では全労働者中の一・七%ですから、五倍も、まさにその調停、ハラスメントの相談をして調整を受けている方が多いんです。
 もっと言うと、パワハラの被害を過去三年間で五人に一人が受けたと答えられていて、それ以前も含めれば、三人に一人が被害経験を持つというお答えで、非常に深刻な実態。被害に遭われている女性というのは、十代、四十代、五十代、六十代の女性の比率が実はパワハラについては高い。
 しかし、当然、セクハラとかマタハラとかも含めて、二十代、三十代の女性がそういう対象が多いことも含めて想定されるのは、この研究員の方が分析をしているのは、セクハラとパワハラが複合的に行われている実態があるのではないか、こういう考察をされています。
 ちなみに、資料におつけをしておきましたが、四ページ目をごらんいただきますと、これはマタハラではなくてセクハラの方です。この写真の真ん中に写られている方、私もお話を聞きましたが、もう聞いていて本当に胸が塞がれる思いです。
 相手は社員の方が加害者、そして自分は派遣社員として、本当に言いたくても言えない、我慢をする、しかし、そういう中でとうとう精神障害を発症する、気がついたら、家に帰ったらバッグの中にロープとナイフがあって、まさに記憶にない、自殺をしようとしている、そして最終的には会社をやめる、こういう方ですよ。そういう方がふえるという懸念が、先ほど御紹介をした今月発表の実証研究の中で指摘をされています。
 塩崎大臣、今回の法律、派遣法の改悪だと私は言わざるを得ない。これによって、いわゆる三大ハラスメント、パワハラ、セクハラ、マタハラの被害者がふえるということは、アベノミクスの女性活躍でも真逆、逆行しますよ。このような甚大な被害を生み出しかねない派遣法の改悪というのは、女性活躍の観点からも絶対にやめるべきだと思いますが、大臣、それに対して何か対策をちゃんとお考えですか。
○塩崎国務大臣 当然のことながら、セクハラあるいはマタハラ、この間の先生御指摘になられた最高裁の判決、私も強く感銘をしたわけでありますけれども、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱い、マタハラについても、女性が希望を持って働くことを阻害することであって、決してこれは許されることでもないし、また男女雇用機会均等法違反であって、当然のことながら、これは、どういう働き方をしようとも、あってはならないこととして立ち向かっていかなきゃいけないことだというふうに思っています。
 今、この対策というのは、セクハラ、パワハラ、そしてまたマタハラの対策は、派遣元のみならず派遣先にも適用を、もちろん男女雇用機会均等法は適用されているので、これは引き続き都道府県の労働局の雇用均等室がちゃんとやらなければいけないところであって、ここのところが厳正な指導をやっていかなければならないというふうに思っているところでございます。
○柚木委員 今、最後のところで、労働局が厳正な指導をやっていかなきゃいけないとありましたが、実は、その指導体制が全く不十分なんですよ。そしてまた、今、均等法においてマタハラ、セクハラのお話があったが、パワハラについては現行法規の中でそういう罰則規定も含めてないから、あっせんをしていてもなかなかその対応状況、そして実効性が問われているんですよ。だからこそ、私はこういう質問をしているんですよ。
 ちなみに、二十五年度の、まさに今大臣が答弁をされた労働局における対応状況を見ると、マタハラ、セクハラはそれぞれもちろんふえていますが、セクハラは九千件以上、マタハラ関係は三千六百件以上あるにもかかわらず、実際に例えば調停をやった、受理をした件数はそれぞれ過去三年で五十件台、四十件台、三十件台ですよ。そして、実際に労働局長による紛争解決の援助、これについても、マタハラ、セクハラはそれぞれ二百件台ですよ。
 九千件台とか三千件台のそういう相談申請があるのに、こういう状況がなぜ起こるのかといえば、労働局の中で、例えば機会均等調停会議の対応というのは各都道府県で三人程度、東京でも四人、こういうことでやっていて、まともな対応ができるわけがありません。
 そして、パワハラについては、先ほど申し上げましたように、法規制上の対応がない分、余計に対応が後手に回っている、こういう状況なんですよ。
 そして、今回この派遣法を審議するということは、そういう方々がさらにふえることを想定せざるを得ないわけですから、そういうことをちゃんと想定もしないのにこの法律を通すというのは、私は、おかしい、対策をしっかりと講ずることとあわせて初めてこの法律を議論すべきだと言っているんですよ。
 大臣、だから、私は、そういう仕組み、受け皿がない中で、この法律だけ、派遣の方がどんどんふえていく法律を先に議論することはおかしいと言っているので、しっかり対策を講じてこの法律を出し直すべきだという趣旨のことを言っているので、大臣、ちゃんと私の質問に答えてください。
○塩崎国務大臣 繰り返しますけれども、セクハラなどについて、労働局の雇用均等室がしっかり見なければいけないわけでありまして、先ほどパワハラについては法的根拠がないというお話もございましたが、いずれにしても労働局がこういった雇用環境の問題については見ていかなければいけないわけであります。
 今お話しのように、派遣の問題とセクハラ、パワハラ、そしてマタハラ、これの問題は、いずれもやらなければいけないことであって、当然ハラスメントについてはそれが起きないようにしていく、あるいは、起きているならばちゃんとそれが是正されるように持っていく。
 セクハラは是正指導件数は割合多いわけでありますけれども、マタハラになりますと大分少ないということでもありますから、これは当然、均等室ももっとパワーアップして、そして、やるべきことをもっと果たしていくということは必要だというふうに思います。先生御指摘のとおりだと思います。
 その体制の整備については、今努力を行って、概算要求でも人数をふやすようにということはやっていますけれども、しかし、やはり今回の我々が提案を申し上げているこの派遣法の問題で、それで派遣の方々の働く立場を強くしていくということをやることと、このハラスメントに対する対応をきちっとやるということは同時にやらなければいけないことであって、事ハラスメントの体制を整えてから派遣をやるとかいうことでは私はないんだろうと思うんです。
 同時に、いずれも大事な問題としてやっていかなければいけない問題だということで、今回のことは、派遣法自体が、何も先ほど来皆さん方からお話が出ているような一生派遣とかそんなことを狙ってやっているわけでは全然ありませんので、権利をちゃんと守るということをきっちりやっていることもお認めをいただきたいというふうに思います。
○柚木委員 今大臣から、労働局で対応している非常に脆弱な体制、予算をふやすように努力をしていると。
 概算要求を出してもらえませんか。私がヒアリングをした限りでは、もう減らさないだけで精いっぱい。
 これまでに比べて来年の概算要求が、これは要求ベースだけではだめですよ、実際の実績、そして要求、どう本当に努力しているのか、ちゃんとお示しください。
○塩崎国務大臣 先生御指摘のように、驚くほどたくさん要求しているわけではもちろんございませんが、それでも、二十七年度につきましては、要求三人ということでやっておるわけでございます。
 ちなみに、二十六年度は、定員合理化の削減数がマイナス四、要求が四、査定が三ということで、マイナス一になっておりまして、その前もマイナス三、その前がまたマイナス二ということなので、我々としては、これを絶対ふやさないといかぬと思っております。
○柚木委員 まさに今言われるように、ふやしていないんですよ、要求ベースでも。今、現状が、各都道府県で三人ずつ、東京ですら四人。ふやしていないんですよ、努力をしていると言うけれども。だから私は聞いているんです。大臣、そういう本当に希望的な御答弁をいただくと、実態に即していないんですから、本当に被害に遭われている方に対して失礼ですよ。ちゃんとお調べいただいて、そこはしっかり御答弁いただかないと。
 それで、次のページを見ていただくと、派遣労働者、今回私は、この法案は、働く方、あるいはその御家族も含めて、本当に健康や命や生活を損なう、家庭を損ないかねない、そういう思いを持っているわけですが、先ほどのハラスメントの方も、これは雇用の問題じゃない、命の問題なんだ、もっと真剣に考えてほしい、そういう話がありました。
 この資料を見ていただくと、これは派遣労働者の労働災害の発生状況で、二十五年度ベースで、これは製造業派遣のところが一番母数が多いので比較をさせていただきますと、派遣労働者の方は死傷者が千六百四十二人、五六・九%、全労働者だと二万七千七十七人で二二・九%、つまり倍以上も派遣労働者の方の死傷者数の方が比率が高いんですよ。
 この労災死傷事故、そうでなくても非常に大きな問題である中で、今回、こういった事故が起こらないための対策、聞くところによると、派遣の方というのは当然短期間で入れかわる可能性があるから、パートの方に比べてもしっかりとした安全訓練、教育がなされていないという話もあります。
 そういう中で、こういった死傷者数が倍もの開きがある中で、どこにそういった点を担保しているんですか。お答えください。
○塩崎国務大臣 今先生御指摘の、派遣労働者の労働災害の発生状況でございますが、確かに、派遣労働者の割合、製造業の場合には大分高いということが見てとれます、他のところでは必ずしもそうなっていないところもございますが。
 そこで、厚生労働省では、派遣元、派遣先の事業者が実施すべき労働災害防止対策に関しての重要事項を示すとともに、具体的な安全衛生管理の方法等をまとめました安全衛生管理マニュアルというのを作成、公表するなどによって、派遣労働者の安全確保につきまして周知、指導を行ってきているところでございます。
 派遣労働者に係る安全衛生管理マニュアルというのを配っているわけでございますが、これは、今御指摘の製造業、それから商業、陸上貨物運送事業それから倉庫業ごとに作成をしているということでございます。
 今後、これは年度内に作成予定でございますけれども、派遣元、派遣先事業者向けのリーフレットを新たに作成、配付し、それから、派遣労働者の安全衛生教育とその内容の充実を促す取り組みを行って、派遣労働者の労働災害の防止を進めなければならないというふうに思っているところでございます。
○柚木委員 実は、そういうことでは本当に実効性がないんです。そして、これまでもそういった対策をずっと講じてきながらも、ここをごらんいただくとわかるように、過去五年分を見ても、微増でずっと、死傷者数については派遣の方も、そして全労働者もふえてきているんですよ。そして今回、さらに派遣の方がふえるとなれば、この割合、倍も多くの死傷者がおられる方々が、さらにそういった死傷事例がふえてしまいかねないんですよ。
 私は、この法案の中にそういった実効的な仕組みがない、そしてもう一つ、この後、同じ視点で申し上げますが、その仕組みがない中で、先ほど来、三大ハラスメント、そして死傷者数、本当に健康や命を損ないかねない、こういう法律がどんどん議論が進んでいくことを懸念しているんです。
 それからもう一点、今回の法律の中に不十分な点、これは公明党さんが撤回されたという修正案の中にも入っていますが、雇用安定措置、これがあります。
 しかし、この雇用安定措置というのは、それぞれ努力義務であって、努力義務というのは、事業者の方々からすれば、言葉は悪いですけれども、別にやらなくてもいい、罰則規定もない。先ほど御紹介をした労働局の事例も、罰則、企業名公表、そういったものはほぼ皆無ですよ。
 そういう実効性がない中で、この雇用安定化の部分についても、私が伺ったところ、では、正社員がふえるようなエビデンスがあるのか、派遣の方はむしろ減るようなエビデンスがあるのか、全くない、そういう答えなんですね。
 雇用安定措置を明確化と書いていますけれども、この明確化によって、では、本当に直接雇用がふえるとか、あるいはキャリアアップができるという実効性が本当にどこに担保されているのか、エビデンスも含めてお答えいただけますか。
○塩崎国務大臣 今先生は努力義務とおっしゃいましたけれども、それは少し正確性を欠いておりまして、個人単位でも、それから事業所単位でも、期間制限は三年ということになっておりまして、三年たったところでは雇用安定措置は義務ということになっています。ただ、そこに満たない短い場合ですね、一年から三年、この間は努力義務ということで、先生の御指摘は当たっているところがあるわけでございます。
 したがって、義務でありますから、義務は義務として守ってもらわなければいけないというのがこの雇用安定措置でありまして、その義務によって、先ほどどなたかの質問のときにも触れましたけれども、一つは派遣先への直接雇用の依頼、それから新たな就業機会の提供、それから派遣元での無期雇用、その他安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置。
 特に直接雇用というのはなかなか難しいという話がありましたけれども、それでもやはりこれを派遣先へ依頼するということが派遣元に課せられた義務としてあるわけで、それができないときには、今申し上げた二番目から四番目の中のいずれかを講ずることが義務づけられているということでございますので、三年の満期が来たところでは当然実効性があるというふうに思います。
○柚木委員 これは現場の方はそうは受けとめていませんよ。
 派遣元と派遣先、私もそういう立場の方からもお話を伺いましたよ。ちなみに、皆さん方は、きょうも傍聴に来られていますが、働く現場の皆さん、被害を受けられた方々の声をお聞きになられていますか。私が聞いたところ、与党の方、政府の方に聞いてほしくても聞いてもらえなかったという答えですよ。
 私はちゃんと、派遣元、派遣先、そういう方々からのお話も含めてお聞きをして、今質問していますよ。そういう皆さんは、今大臣が答弁されたような認識を持っていませんよ。やはり強制力、罰則規定、インセンティブもそうでしょう、そういったものをもっとクリア、明確にしてくれなければ、こんなものは絵に描いた餅で、例えば、私、提案しますけれども、派遣先と派遣元との間に具体的なそういう本当にもっと協定みたいな形で結んでいただく中で、そして、それが守られる守られないによってペナルティーとかインセンティブをもっとよりクリアなものにしないと、現行のこの法案の中では、とてもじゃないけれども、そういったものは担保されていないし、事業者さんたちもそういう認識でいる。これは、残念ながら現実ですよ。ですから私は今そういう質問をしたんです。
 そしてもう一つ、私はこの法案が極めて問題だと思うのは、ちょっと時間の関係があるので、その後の資料をまとめて見てください。
 資料の六ページ目以降、派遣社員の方は、正社員の方に比べて、結婚をしているしていない、倍ぐらい違います。
 そして、次のページ。派遣社員、非正規の方々は、妊娠をして育休をとる、そもそも妊娠した段階でやめる方がたくさんいる中で、この赤線を引いている、やめなかった方が五二パーと一八パー、その中で育休をとった方が四三パーと四パーで、十倍も違うんですよ。育休格差が十倍もある。
 そして次のページは、そういった雇用の格差が、何の責任もない未来の子供たちの貧困にもつながっていく。
 さらに次のページは、雇用の不安定化が治安の悪化につながりかねないという事例ですよ。
 そして、さらに最後、こういうことがどんどん続いていくと、この十年間だけでも派遣の方は一〇ポイントふえていますが、将来、無年金とか生活保護とかに陥るおそれがある、そういう状況がどんどん加速をすると、この法案で、派遣会社、企業の方はいいかもしれないけれども、国民全体で二十兆円の財政負担がふえるかもしれない、こういう試算まであるんですよ、大臣。
 だから、この法律を、きょうさまざまな議論の中で不備なことがたくさん明らかになっていますよ。公明党の方も、こういう修正案、ごもっともだと思いますよ。私は、本音は反対じゃないかと思いますよ。
 そういう中で、この議論をこれだけ不備がある中でどんどんどんどん進めて、まさか、これはちょっと本当に、次、もう採決とか、総理が出られるとか、何かとんでもない、私はそんなことはあり得ないと思っていますが、こういう不備がたくさんあるという中で、しっかりと審議時間を確保して、正すべきところをしっかりと、きょうの答弁、正すものを出していただいた上で審議を進めていただけますか。大臣、ちゃんとお約束いただけませんか。
○渡辺委員長 時間が終了しておりますので、大臣、簡潔に答えてください。
○塩崎国務大臣 審議は誠意を持って尽くしていきたいというふうに思っております。
○柚木委員 このままではとてもじゃないけれども採決はできないということを申し上げて、質疑を終わります。
 ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、井坂信彦君。
○井坂委員 維新の党の井坂信彦です。
 私も、いろいろ法案の審議等々あるいは自分で賛否の態度決定をするときに、いつも基軸に置いている考え方があります。自分ならどうかという物差しであります。例えば何か事業の賛否を考えるときは、税金ではなく自腹を切るとして本当にこの事業をやりたいと思えるかどうか、あるいは制度であれば、自分ないしは家族であってもこの制度を使いたいと思えるかどうか、こういった物差しを大事にしているところであります。
 本日、八十五分時間をいただきまして質疑をさせていただきますが、まず、通告に先立ちまして、大臣に個人的な感覚をお伺いしたいというふうに思います。
 大臣は、お二人息子さんがおられます。お孫さんも四人いらっしゃるというふうに思います。今回の法改正、これがなされた後に、大臣のお子さん、今は相当なところにお勤めでありますけれども、息子さんが、お父さん、これから考えが変わって派遣の道で生きていきたいんだとおっしゃったときに、もろ手を挙げて賛成ができるのかどうか、あるいはお孫さんが、将来は常用型派遣でずっと頑張りたいんだと言われたときに、それはいい考えだ、いい生き方だということで応援ができるのかどうか、自分ならどうかという個人的な感覚でまずお聞きをしたいと思います。
○塩崎国務大臣 私は、息子たちの進路について口を出したことは一度もないので、私は多分何も言わない、自分の選んだ道は自分の選んだ道ということだろうと思います。
 むしろ、二人のお嫁さんたちが、一人は今働いておりますけれども、一人は今専業主婦で子育て中でございますから、このお嫁さんが、今後ずっと専業主婦でいくとは思えませんし、今までは、結婚するまでは働いて、結婚しても、子供がいても、日本にいるときは、今ちょっと海外にいるものですから、働いておりましたから、多分、また転勤で戻ったときにはお勤めをしようというふうに思うはずです。そのときにどういう働き方があるか。今、下の子がちょうど一歳になったぐらいですので、もう少々したら多分また働き出すんだろうと思うんです。
 そのときにやはり多様な選択肢がないといけないということは思いますので、このような派遣も一つの選択肢ではあるんだろうなということを私は思っていましたし、特に女性の活躍を大事にするという我々の今の内閣の方針からいけば、多様な働き方の一つである派遣というのはあり得る選択肢であって、そこにぜひ行った方がいいというようなことを言っているわけではなくて、先ほど申し上げているように、一時的、臨時的な働き方としての原則は何も変わらないので、それを選ぶという方について、どうやってその権利を守っていくかということに心を砕くことが大事なんじゃないかというふうに思います。
○井坂委員 私も、多様な働き方が用意されている、これはとても大事だというふうに思っております。我が党も、そういう考え方を大事にしている党であります。
 ところが、多様な働き方、これは、きれいごととしてはもちろんそうなんですけれども、やはり自分のこととして考えたときに、私は、どうも、今回この派遣法の審議に当たっていろいろ勉強もし、また、いろいろな方のお話、賛否両論の方、もちろん業界の方も含めてお話を伺い、まだ私自身、結論を出しているわけではありませんが、現時点で我が子が、私も三人子供がおりますけれども、お父さん、僕は将来派遣の道で一生頑張るんだと言われたら、やめときというふうに言います。やはりそこは非常に懸念が私はあるわけであります。
 大きく三つ心配をしております。一つは、本法案の改正を経てもなお、あるいはむしろ望まない派遣労働者の雇用枠が、要は椅子がふえてしまうのではないか、常用代替防止の問題であります。そして二点目が、本法案の改正が行われた後でも派遣労働者の低賃金、低待遇が続くのではないか、これは同一労働同一賃金、均等待遇の問題であります。そして三点目に、本法案の改正を経てもなお、派遣労働者の雇用は極めて不安定なままいくのではないか、雇用安定化措置の実効性の問題であります。
 本日、八十五分ありますけれども、大きくこの三点に分けて質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 まず一点目の、望まない派遣労働者の雇用枠がふえてしまうのではないか、そしてまた、結果として望まない派遣労働者がふえてしまうのではないか、この問題についてお伺いをいたします。
 総理は、この臨時国会の所信表明演説でこうおっしゃいました。農業、雇用、医療、エネルギーなど、岩盤のようにかたい規制にこれからも果敢に挑戦する、このように演説をされたわけであります。
 そこでお伺いをいたしますが、今回の派遣規制の改革は成長戦略の成功にどうつながるのか、まずこれをお伺いいたします。
○塩崎国務大臣 今回の改正案は、派遣労働者のキャリアアップを支援するとともに、派遣期間の設定を、働く人に着目した、かつてわかりにくいと言われたものですから、わかりやすい仕組みとするというような観点に基づいたものでございます。
 先ほどお触れになられました安倍総理のことにつきましては、成長戦略では、一人一人がそれぞれのライフスタイルや希望によって社会で活躍の場を見出せるように、柔軟で多様な働き方、先ほど申し上げたとおりでありますが、この働き方が可能となるようなことを目指して労働者派遣制度についても見直しを実現して、働き方の選択肢をふやすということではないかなというふうに思ってございます。
○井坂委員 一方で、午前中からも質疑がありましたけれども、派遣労働の大前提として、臨時的、一時的な働き方であり、しかも常用代替は防止すべきという理念もいまだにしっかりと保たれている、こういう話であります。
 午前中の質疑も経て、もう更問いの部分から行かせていただきますけれども、その理念というのは本法律では書かなくてよいのかということ。また、もう一点、一時的ということをよく言われますけれども、こういう一時的というのは、労働者が一時的に派遣労働者として働くという意味での一時的なのか、あるいは、派遣先企業がある業務を一時的に派遣労働者で賄う、派遣先から見て、一時的にこの仕事、このジョブは派遣で埋めていいんですよ、こういう意味での一時的なのか、ここをお伺いしたいというふうに思います。
○塩崎国務大臣 先ほど来繰り返し出ております、労政審が建議を出していますが、そこにおいて、派遣労働者はその雇用の安定やキャリア形成が図られにくいという不十分性があって、派遣労働を臨時的、一時的な働き方と位置づけることを原則とするとともに、派遣先の常用労働者との代替が生じないように、先ほどちょっとお話が出ましたが、その派遣労働の利用を臨時的、一時的なものに限ることを原則とすることが適当とされたわけで、つまり、働き方と使い方というか、両方の面から見ても臨時的、一時的な働き方あるいは使い方というか、そういうことだと思います。
 この考え方を踏まえて、今回の見直し案では、労働者が派遣労働という働き方に固定化されることを防ぐための個人単位の、個人に注目して期間制限を設け、それから、派遣労働者が派遣先の常用労働者を代替することを防止するための派遣先の事業所単位の期間制限の二つの期間制限を設けることとしたというところでございまして、今お話があった理念として、これは両方のサイドから見た臨時的、一時的な考え方ということでございます。
○井坂委員 両方だとおっしゃるので両方お聞きしますけれども、まず、労働者にとって一時的な働き方である、それは労働者が派遣労働という働き方に固定化されないためだというふうにおっしゃるわけでありますが、一方で、多様な働き方が用意されているという考え方を是とするのであれば、労働者が派遣に固定されるというのは、大臣は問題だと本当に思っておられますでしょうか。
○塩崎国務大臣 望まずして固定化されるということがよくないことで、当然、今までの二十六業種もそうですが、これからも常用雇用の場合には制限はないということでもございますが、何しろ大事なことは、みずからの要望というか希望、働き方として希望する働き方でないのに派遣にずっといるというのはよくないだろうということでございます。
○井坂委員 望めばずっと派遣の生き方があってもいいし、望まなければそれを強いられるようなことがあってはならない、こういう話だというふうに思います。
 そこでお伺いをいたしますが、一方で、雇う側から見ても一時的であることが必要だということで、これが常用代替防止の考え方にもつながっているんだというふうに思いますが、先ほど来ずっと議論になっております、過半数組合等に意見聴取、意見を聞きさえすれば、それで三年の期限を延長して六年、九年、その都度意見を聞けば、ある仕事を派遣労働者を取っかえ引っかえ入れることでずっと派遣で賄うことができる仕組み、多分、ここが今回最大のいわゆる規制の緩和に当たる部分だというふうに思います。
 一時的ということをおっしゃりながら、三年という期間制限を解除できるようにわざわざした目的は何でしょうか。
○塩崎国務大臣 今回の法律案では、労政審の先ほど来出ている建議に基づきまして、派遣先に対して事業所単位の期間制限を課して、三年を超えて派遣労働者を受け入れようとする場合には、今御指摘の過半数労働組合等への意見聴取を新たに法的に義務づけることにしたということでございます。
 これは、派遣労働者の受け入れを法律で一律に制限するということではなくて、やはり現場の声、現場をよく知る労使の判断に委ねて、会社内の民主主義で、延ばしていいかどうかということを決めていただくということでございます。
 現場を重視する我が国の労使関係を踏まえると、派遣先が労働者の意見を無視して一方的に受け入れ期間を延長することはなかなか想定しにくいわけでございますが、それは、先ほどその話を申し上げたところでありますけれども、派遣先の正社員を派遣労働者に置きかえること、つまり常用代替、これに一定の歯どめをかける効果がこの仕組みはあるのではないのかということを私どもは考えているところでございます。
○井坂委員 もともと同じ仕事、ある仕事をずっと派遣労働者で賄うことはできなかった、それは、雇う側から見ても派遣労働というのは一時的なものでなければいけないという大原則があってできなかった。ところが、それを今回、三年を超えて延長ができるように、これが一番大きな規制緩和ですが、した。ただ、自動的にできるようだとさすがにまずいから、過半数組合の意見ぐらいは聞こうということで、それが歯どめたり得るのかというのが先ほどの議論だったというふうに思うわけであります。
 要は、緩和をしなければ別に歯どめも何も要らなくて、三年で終わりとすればいいところを、民主的とおっしゃいますけれども、別に民主的歯どめの要る要らないも何も、そもそも緩和をする必要がないという考え方もあると思うんですよね、一時的だという原則に忠実であるならば。その点、わざわざ外しているので、それはなぜ、どういう目的、どういうメリットを見込んで外しているんですか。
○塩崎国務大臣 規制緩和というふうにやや一方的におっしゃいますが、必ずしも規制緩和だけではなくて、規制強化の側面もあることはもう先生よく御存じの上でおっしゃっているんだろうと思います。
 それは、例えば二十六業種については、今までは全く三年も何もないわけでありましたが、これは今回、無期雇用であれば別でありますけれども、そうでなければ、有期であれば、常用型であろうと登録型であろうと規制がかかるわけでございまして、実は二十六業種だけで全派遣労働者の四三%を占めているんですね。ですから、ここのところは、実はこういう規制が強化をされることによってかなり歯どめがかかっている。
 しかし、大事なことは、先生が一番気になさっている、三本柱の一つである常用代替が起きてしまうかどうかということで、ここのところは私たちも、正社員の人たちを空洞化させるようなことをすることはやはり望ましくないだろうということで、こういうことで新たなる歯どめを設けて、もともと、規制緩和とおっしゃいますけれども、許可制に全てするというのも規制強化の部分があるわけでありますから、そこのところはお考えをいただきたいと思います。
 三年ごとの、三年が来たときの事業所における過半数組合等への意見聴取は、先ほど来いろいろ有効性について議論が出ていますけれども、しかし、今まで全くなかったところにこういうものを持ってきて、会社内民主主義というものをしっかりと機能させてもらうということで、おかしなところは、先ほど申し上げたように、派遣法の第四十八条の指導及び助言等というところで、政府が責任を持ってやはり不適切な運営はとめるということをしなければいけないというふうに思っております。
○井坂委員 本法案の改正では、先ほど来議論がある過半数組合への意見聴取、これが歯どめになるのか、それとも、全く、単に聞くだけで、やりたい放題になってしまうのか、ここは一つ大きな争点だというふうに思っているんです。
 私からきょうお伺いをしたいのは、過半数組合への意見聴取で反対意見が多かったにもかかわらず派遣受け入れ継続を決めた企業、こういうものは、どれぐらいの割合でそういう出来事が起こっているのか、まずしっかり調査をしていただく必要が、本法案が改正されれば当然あるというふうに思うんですけれども、こういう、意見は聞いたけれども、それに従わず、経営者は引き続き派遣受け入れを延長しましたよという割合を実数調査するのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○塩崎国務大臣 改正法案におきましては、過半数組合等への意見聴取に際して反対意見が出されたというような場合、反対意見に対する対応方針を説明することなどを派遣先にも新たに、先ほど申し上げたように、法的に義務づけておるわけでありまして、それに加えて、意見聴取手続の適正や実効性を担保することとしているわけでございます。
 今お話がありましたように、調査すべしという御提案でございますけれども、今回の法律案が施行された後に、法の施行状況の実態把握は当然行っていかなければならないというふうに思っております。
○井坂委員 ちょっと曖昧におっしゃいましたけれども、法の施行状況の実態把握はしていただくとして、こういう、反対意見が多かったけれども受け入れを延長しましたよという実数の調査は行っていただけますか。
○塩崎国務大臣 大変失礼しました。
 もちろん、施行状況でありますから、そういうプロセスもちゃんと民主的に行われているかどうかということも踏まえて、そういうところの調査を含めて実態調査をしながら、適正運営を実現していくということが大事だと思います。
○井坂委員 先ほどの激しい議論の中で、大臣は、これは有効な歯どめとして機能するというふうに信念を持って答弁をしておられるわけであります。また、野党側質問者の方は、こんなのはざるだ、機能しないんだと言っているわけであります。
 実数調査をしていただいて、どうも、反対意見が多くても、皆さん、企業経営者側は平気で受け入れ継続をしている割合が思った以上に多いようだ、まあ大臣がどの程度を多いと感じられるか、歯どめは有効に機能すると考えておられるので、そんなのがもう二割も三割もあったら多分問題なんだろうという認識になると思いますけれども、当然、歯どめが機能していない、聞くだけ聞いて従わないという事例が思ったより多くなっているということになれば、これは新たなる歯どめ、そして法改正、検討していただけますでしょうか。
○塩崎国務大臣 もともと今回の改正法案の附則に、法律の施行後三年をめどに、改正法案の施行の状況を把握して必要な対応をしなければならないように書いてありまして、今お話がございましたように、今回、皆さん方が大変御心配をしていただいているわけでありますので、この法律が国会の御審議を経て仮に成立をした場合には、当然、施行状況というのはしっかりと見て、言っていることと実際に起きていることが違うということになれば、当然、必要な対応をとっていかないといけないというふうに私も思っております。
 その辺は、法律というのは我々やりっ放しというわけにはいきませんので、やったからには、それがちゃんと正しく施行されているかどうかを絶えず確認し、必要ならば直していくということは当然のことだというふうに思います。
○井坂委員 ちょっと余りしつこくお聞きするのも申しわけないなと思いつつも、一般論はもちろん、施行状況を見て、おかしければ法改正、それは当たり前なんですけれども、歯どめになるかならないか、これだけ議論になった上で、過半数意見で反対が多かったにもかかわらず継続した、そういうのが多ければ、これは歯どめ不十分と考えて、歯どめの強化をするんですかということをお答えいただければと思います。
○塩崎国務大臣 やってみないとわかりませんけれども、先ほど大串先生からお示しをいただいたデータにもあるように、期待していたような形で意見聴取が行われていないというようなことになるならば、それはやはり我々の、立法者の意図が実現していないということであれば、当然、そのことも再検討しなければいけないことになり得ると私は思います。
○井坂委員 三回聞くとさすがに失礼だと思いますのであれにしますけれども、同様の問題で、予算委員会で総理はこうおっしゃっています。派遣労働者をふやすための法律ではないんだ、ふやすべきだとは全く考えていない、総理はこのように明言を繰り返しされているわけであります。
 これは、そうなるだろうと本当に信念を持って見通して本法案を提出されているんだというふうに思うんですが、もし仮に見込みが大きく外れて、本法案改正後、派遣労働者が大幅にふえてしまったら、これは望ましくない効果が出たと判断して、速やかに再度の法改正を行うのかどうか、お伺いをいたします。
○塩崎国務大臣 十月三日の予算委員会での総理の発言は、正社員を希望する派遣労働者の方々には正社員の道が開かれることが重要だという考えで述べられたものだと私は思っております。
 今先生がおっしゃった、仮に正社員がふえない、あるいは非正規がふえていく、あるいは派遣がふえていくというようなことがあった際にどうなのかということでありますけれども、これは、なぜふえたのかということの分析をきっちりやらなければいけないというのがまず第一だというふうに思います。
 先ほどドイツのケースがありましたけれども、あれも、経済の置かれた状況とか労働市場の置かれた状況とかの中で、ドイツではああいう結果になっているわけであります。では日本はどうなるのかというのもちゃんと分析を冷静にしていかなければいけないので、それを冷静に分析して、どういう結論になるかによって何をするかは決まってくるというふうに私は思っています。
○井坂委員 そもそも価値観として、大臣は、派遣労働者がふえた方がよいと思っておられるのか、減った方がよいと思っておられるのか、あるいは、ふえても減ってもどちらでも構わない、それは労働者が選択することだというふうに考えておられるのか、どういうお考えですか。
○塩崎国務大臣 先ほど来申し上げているように、希望して派遣でいらっしゃるという方は、希望されているわけですから派遣でいいんだろうと思うんです。希望していないのにもかかわらず、なかなか派遣から脱せない、脱することができないということであるならば、これは望ましいことではないというふうに考えるべきであって、それがどっちになるのかというのは、それは、先ほど来申し上げているように、経済情勢等々いろいろな条件が重なって結果がベクトルとして出てくるわけでありますから、そこのところを一つ一つきちっと分析をしていくことがやはり大事で、ここは冷静に分析をして、しかるべき対応をその分析に基づいて行っていかなければならないのではないかというふうに思います。
○井坂委員 ちょっと今から二点、参考人に質問をいたします。
 総理の御発言の中で、派遣労働者がふえるのか減るのか、こういう議論の中で、ふえるか減るか、これは本法案の改正だけが原因じゃなくて、経済状況とかグローバルな競争の状況とかいろいろな要素があるので、一概には予測はできないと。また、今の大臣の答弁では、事後に仮にふえたとしても、その原因が、本法案の改正が原因なのか経済状況なのか、あるいはグローバルな競争の状況が原因になっているのか、これは分析してみないとわからないと。
 こういう話になるわけでありますが、経済状況と派遣労働者の増減の関係、答弁にわざわざ入れておられるぐらいですから、一般論として、どのような関係があるというふうに考えておられますか。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 全般論としましては、委員の方から御指摘のとおり、総理並びに大臣の方から、景気あるいは雇用失業情勢、労働者の意向といったようなものの、複数の要素によって派遣労働者数の増減というのが左右されるということかと思います。
 今お尋ねの景気との関係で申しますと、恐らく、景気が改善するというような状況になってまいりまして、例えば派遣先の方でも、優秀な派遣労働者を派遣先で正社員化していこうというような動きも景気がよくなってくると出てくるということもあろうかと思います。また一方で、景気の改善過程では、労働需要が急激に出てきてというような過程で、派遣労働者、あるいは非正規労働者も含めてですけれども、入り口ではそういった非正規労働、派遣労働者のニーズということがふえるということも想定されるのではないかと思っておりまして、景気の動向そのものが派遣労働者数の増減にどういう影響を及ぼすかということについても、なかなか一概には申せないのかなということで私どもとしては考えております。
○井坂委員 わざわざ総理の答弁に経済状況もあるのでということで入れておられるので、当然、そういう経済状況によって、例えば景気がよくなればふえるだとか、悪くなれば減るだとか、あるいはその逆とか、何かそういう一般的な見通しがあって答弁にわざわざ入れているのかというふうに思ったわけですが、それすらも一概には言えないと。
 もっと言えば、それが本当に派遣労働者の増減に関係があるかすら私はよくわからないというふうに思っています。景気がよくなったって、ふえる要素と減る要素、両方あると思いますから、そんなものを何か本法案の効果をぼやかす答弁の一つの材料に使ってよいのかなという気がするわけであります。
 もう一点、同じ質問ですけれども、グローバルな競争の状況によって、これまた派遣労働者がふえるかもしれない、減るかもしれない、だから本法案の効果はわからないんだ、こういう、答弁にわざわざグローバルな競争状況ということを入れておられますが、これと派遣労働者総数との関係は、一般論としてどのように見通しておられますか。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 今御質問の、グローバルな競争というものがまたこういった労働市場にどういう影響を及ぼすかということでございますけれども、やはり、グローバルな競争の中で、いろいろ受け入れ側として専門的な技術者というものを求める動きが強まってくれば、そういった専門的な技能、技術を持っている派遣労働者のニーズが高まるということかと思いますし、一方で、そういったグローバルな競争というのが一時的じゃない、長期化というようなことになれば、技術者の確保というものも一時的では済まされないということで、今度はやはり正社員化という動きも出てくるということで、これまた恐縮ではございますけれども、グローバル競争の状況というものが一概に増減に及ぼすということはなかなかいわく言いがたいということで考えております。
○井坂委員 総理答弁で、経済状況とかグローバルな競争の状況もあるから、この法案そのものが派遣労働者の増減に与える影響は直ちには予測ができないというふうにわざわざ書き込んでおられますけれども、私は、一般論として、そんなことは言えないというふうに思っておりますし、今、答弁でも、それが果たして増減に影響があるのか、どの方向に影響があるのかすら答弁ができない状況、これが普通だというふうに思うんですね。
 であればこそ、この法案がどうなるかで、これはやはり派遣労働者の総数には私は物すごい影響のある法案だというふうに思っています。当然、これだけ影響のある法案をつくる際には、ほかの要素は多少増減はあるにしたって、この法案単体を見れば、やはり、ふえる方向なのか、あるいは同程度で行く見通しなのか、あるいは減る方向の要素が強い法案なのか、これはしっかりと事前に分析をすべきだというふうに思うわけであります。
 もう一点、大臣お戻りですのでお伺いをいたしますが、派遣労働者の数というのは、経済情勢、雇用情勢、労働者の意向あるいは会社の経営の方針など、いろいろなもので結果として決まる、こういうふうに答弁をしておられます。派遣先企業の経営方針をもって、本来なら三年たったら正社員を雇って行わなければいけない普通の仕事を、今後は派遣社員で賄い続けることも本法案の改正ではできるようになるわけであります。
 派遣先企業が一時的ではなく連続的に派遣社員をかわるがわる雇い続ける動機、要は、経営方針を変えて、もうこのジョブは、この仕事は、派遣社員を三年ごとにずっと取っかえ引っかえはめて回そう、この事業部はそうやって回そう、こういう経営方針の変更を行う動機、いわゆる半ば常用代替に近いようなことを経営者が判断する動機というのは、主にどのようなものが考えられますでしょうか。
 複雑ですけれども、通告どおりです。
○塩崎国務大臣 現行制度におきましては、三年たったら直ちに派遣労働者を正社員として雇わなければいけないという仕組みにはなっていないわけでありまして、派遣先企業にとって派遣労働というのは、専門的な知識、技術、経験、こういったものを必要とする業務等に対応できる人材を迅速的確に確保できる等のメリットがあるがゆえに今日まで伸びてきたところがあるわけでありまして、例えば自社にはない技術等を有する派遣労働者を継続的に受け入れたいといったニーズもあり得ると思うんですね。
 しかし、今回の改正案におきましては、派遣先に対して事業所単位の期間制限を課して、三年を超えて派遣労働者を受け入れようとする場合には、先ほど来お話が出ている例の過半数組合等からの意見聴取を新たに義務づけて、常用代替の防止を図っているというふうにしているわけでありまして、安易な常用代替はやはりいけない、防止をするということでこのような仕組みをつくっているわけであります。
 どういう場合に継続的に派遣社員を雇い続けるかというような今お尋ねだったと思いますが、今申し上げたように、特別な技能とか高度な技術をお持ちで派遣でずっとやっていらっしゃる方というのも、かなり、それも超一流大企業にも結構おられるということを私も最近知りました。
 そういうようなこともありますが、一方で、やはり企業というものも、大きくなれば大きくなるほど世の中の目というのがあって、だからこそコーポレートガバナンスが今極めて重要な経営の中の要素として出てきて、市場での評価というのを受けるわけであります。したがって、あの会社は常用代替を平気でやって、派遣で社員が端に追いやられているみたいな会社は、恐らく長続きはしないんだろうというふうに私は思います。
 やはり、あるべき姿というのは、もともと、申し上げたように、臨時的、一時的な働き方あるいは使い方としての派遣ということでありますけれども、それを、しかし望んで派遣である人のための立場を守るということ、そしてまた、希望をすれば正社員や常用雇用になれるという道を絶えず開いておくために、いろいろな義務を今回新たに加えているということであります。それは派遣元、派遣先、双方に課していることでございます。
○井坂委員 答弁をお聞きしていますと、どうしても釈然としないのは、今回の少なくともこの部分は、私はやはり明確に規制緩和だというふうに思うんです。いい悪いは私は言っていないですよ、ただ規制の緩和だ。
 二十六業務は除きますが、大方の仕事にとっては、これまで、三年たったら、その人を正社員に雇用しなきゃいけないんじゃなくて、その仕事はもう派遣労働者ではやっちゃだめだ、正社員でやらなきゃだめだ、こういうルールにもともとなっているんですよ。それが、今回の規制緩和で、三年派遣労働者でこの仕事をやらせて、また次の派遣労働者を連れてきて、また三年この同じ仕事をやらせてということで、延々派遣労働者で、ある仕事あるいはある事業部を回せる、こういう規制緩和がされているんです。いい悪いは私はまだ言わないですけれども。
 そういう緩和をしておきながら、いや、そんな判断をする経営者は社会から爪はじきに遭うんだとか、何か緩和をしながら、いや、そんなのはよくないんだとおっしゃっているような、何か本当に釈然としない答弁だというふうに思うわけであります。
 維新の党は、自由主義と市場経済、こういったものを大事にする政党であります。労働者は働き方を自由に選べて、そして企業も雇い方を自由に選べて、両者が本当に自由な労働市場の中で、きれいに相思相愛でマッチングをすることができれば、これは非常にいいと思う立場であります。
 ただ、今の日本の現状を真面目につぶさに見れば、派遣を初めとする非正規労働では、特に一家の稼ぎ頭、大黒柱としての働きの方がそういう派遣を初めとする非正規労働であると、これは結婚や子育てに十分な賃金が、私は、やはり現状、得られないケースがもうほぼ全てじゃないかというふうにも考えているところであります。
 自由と言いながら、結局生きていけない道を自由にどっちでも選びなさいということであれば、これは例えるならば、ジャングルに丸腰で放して、右でも左でも、ヒョウがいる森でもワニがいる池でも、好きな方に行っていいですよと言っているような、それは本当に自由と言えるのかな。
 やはり、どのような働き方を選んでも、同じ業務なら同じ賃金、生きていくために必要な賃金が得られる、こういう同一労働同一賃金という原則が、雇用の規制緩和あるいは雇用労働市場の流動化の大前提になければいけないと私は思うわけであります。
 そこで、私の大きな懸念の二点目、このままでは派遣労働者の低賃金、低待遇が続いてしまうのではないかという問題に移ります。
 先ほど来議論がありました、総理も本会議で答弁をされておられますが、同一労働同一賃金は重要な考え方である、しかし乗り越えるべき課題があるんだ、こういうふうにおっしゃっているわけであります。
 具体的なその壁については先ほどの質問者の答弁でお聞きをしておりますので、再質問でお伺いをしたいのは、乗り越えるべき課題がある、その課題も厚生労働省として明確に認識をしておられるなら、ではそれをどう乗り越えるおつもりなのか、大臣にお伺いをいたします。
○塩崎国務大臣 総理が、同一労働同一賃金については、乗り越えるべき課題がある、重要な考え方ではあるけれども、そういうことで、難しい問題を乗り越えなきゃいけないということを申し上げているわけであります。
 この乗り越えるべき課題については、例えば、何をもって同一労働とするか明確にするためには、個々の労働者の具体的な職務等の内容を比較するという比較可能性がなければいけないわけでありますけれども、我が国の場合には、職務の範囲が極めて不明確な雇用契約というか、そういうのが非常に多い。ですから、極めて狭いところで仕事をしている人たちじゃなくて、もっと広い、全国どこへ行っても、世界どこへ行っても、何の仕事をしてもやるというような形でやっているということがまず第一点。
 それから、我が国においては、いわゆる配置転換に伴って職務の内容が変わる場合が多いということをどう考えるのかということ。
 それから、派遣労働者の場合には、雇用主と使用者が異なるために、雇用主である派遣会社に派遣先の労働者の情報がないということ。それから、派遣会社内での派遣労働者間の待遇のバランスもとるということが必要になってくるなど、例えばこういうような問題が存在するというふうに思っていて、これを乗り越えるとすると、今申し上げたようなことでかなり整理をしないと。
 つまり、派遣の方を整理するんじゃなくて世の中の方を整理しないと、派遣が同一労働同一賃金じゃいかないということになって、恐らく、もし仮に当てはめをして、同一賃金だといってやったところが、その会社の正社員の方が、それはおかしいじゃないかというふうに言う場合も僕は多分にあるんじゃないかなと。今のような不明確な定義の中で同一労働同一賃金、では同一労働というのは何なんだということも、やはりきっちり定義をしないといけないんだろうというふうに思います。
 そういうことで、私どもは、まずは個々の事情に応じた均衡待遇、できるだけ均衡がとれたところまで持っていこうじゃないかと。
 同一労働同一賃金というお気持ちは何となくわかる。しかし、今申し上げたような大きな問題を乗り越えないと、派遣と正社員の方々の両方が、先ほど来先生がおっしゃっているウイン・ウインの、ハッピーになるために決めるということはなかなか難しいので、均衡待遇を推進していくことがまず重要だということで、今回の改正案においても、賃金等の面で派遣先の責任を強化するなど、均衡待遇を一層推進していくということで整理をさせていただいているということでございます。
○井坂委員 ちょっと時間がないので飛ばしますけれども、均衡待遇、そうはいっても、今回の法律では配慮義務という規定、大変低いところにとどまっているわけであります。
 一方で、非正規労働の中で、パート労働それから有期雇用労働、そして派遣労働と大きく三本ある中で、派遣労働の方は、均衡の配慮義務ということで非常に低いところに法律上とどまっている、パートは、これは均等待遇まで法律に書かれております。有期雇用も均衡待遇までは法律にはっきりと書かれております。しかし、パートや有期を見ても、現状を見ると、とてもそういう均等待遇、均衡待遇が十分になされているとは思えない現状があるわけであります。
 この実態、法律では均等・均衡待遇が明記されていながら、実態はこういう同一労働同一賃金にほど遠いパートや有期、ここについては、大臣はなぜだというふうに考えておられますでしょうか。
○塩崎国務大臣 実際、パートタイム労働者あるいは有期の方々は、場合によっては派遣よりも給与水準が低いというケースすら間々あることだろうというふうに思います。
 そういう中で、同一労働同一賃金にはほど遠いという御指摘でございますけれども、同じ仕事をしていれば同じ賃金が保障されるという仕組みをつくっていくことは、これは何度も言いますけれども、大変大事な考え方です。
 一方で、我が国の雇用管理制度は、さっき申し上げたような、職務ではなくて職能ということで整理をされてきているわけでございます。このため、パートタイム労働者とかあるいは有期契約労働者についても、同じ仕事をしている場合には同じ賃金を支払うべきという仕組みを導入するのではなくて、パートタイム労働法やそれから労働契約法において、職務内容、配置転換や転勤等の人材活用の仕組みなどを考慮しつつ、均等・均衡待遇を求める規定を設けているというのが今の実態でございます。
 ですから、我が国において、全く同じというふうに見る、職務に基づいた同一の賃金というのは、そう簡単ではないという感じがいたしております。
○井坂委員 均等・均衡待遇、今の日本の、いわゆるジョブ型でない働き方が広まっている世の中で、均等待遇というのは一筋縄ではいかない、おっしゃったようないろいろな、ここがこうだからここも同じというような簡単な話ではない、これは私もよく理解をしているわけであります。
 ただ、一方で、重要な考え方だとまで繰り返しおっしゃって、乗り越える壁があるとこれまた明確におっしゃって、重要なんだったら、そこを乗り越えて、その重要だと思われる方に向けて行動を開始していただきたいと思うわけであります。
 それが均衡配慮義務であるというふうにおっしゃりたいんだと思うわけでありますが、私は、ここの部分は全くもって不十分だというふうに考えております。なぜなら、先ほどこの一つ前に質問を差し上げましたように、パートや有期は、法律に均等・均衡待遇が明記されていながら、なお実現しているとは言いがたい状況がある。
 裏を返せば、まず、せめて法律に明記をして、それでもなお実態は理想にほど遠いわけでありますから、むしろ、実態を変える第一歩として、パートや有期と同等の書きぶりで、均等・均衡待遇を派遣労働者にも書いて適用させるべきではないかというふうに考えるわけでありますが、大臣の御見解を伺います。
○塩崎国務大臣 基本的な考え方は繰り返し申し上げてまいりましたので、今の先生の御指摘、御質問のところにダイレクトに行けば、やはり我々としては、先ほど来申し上げているように、同じ職務ということでいくと、多分、さっきも申し上げたように、正社員の方々の中で、なぜ同じなんだということも出てくるのは間違いないし、むしろ組合の、強い組合であればあるほど、恐らくそういうことが出てくるんだろうというふうに思うんです。
 したがって、個々の事情に応じた均衡待遇というものを、先生はまだまだ十分じゃないということで御指摘、お叱りをいただいていますので、やはりここは強力に推進していくことがまずは重要なんじゃないかな。
 ですから、さっきの、均等・均衡待遇でも法律に定められたようにはなっていないという現状でありますから、これについても、均衡待遇をただ推進じゃなくて強力に推進することが重要であって、今回の改正案においても、賃金等の面で派遣先の責任を強化するなど、この均衡待遇を一層推進することをバックアップする仕掛けをつくってはいますけれども、ここのところをやっていくためには、恐らく、繰り返しますけれども、派遣あるいは非正規以外の正規の方々の中の給与体系のあり方、このことについて直していかない限りは、なかなか本当の意味での、パートや有期と同じように、同一労働同一賃金になるということにはならないんだろうというふうに思います。
 確かに、海外では、かなり狭いエキスパティーズを持った人がいろいろな形で飛び歩いている、場所を変えながら働いているということをよく見ますから、そういうことを考えてみると、普通にそういうものが当たり前のように行われるようにしていくためには、少しやはり乗り越えなきゃいけない問題があるのかなというふうに思います。
○井坂委員 正社員の側の働き方も、これは当然変えなければいけないというふうに思うわけでありますが、しかし、重要だ、強力に推進をしていくんだとおっしゃる割には、やはり本法案を見れば本当に配慮義務どまりということで、私は、これは繰り返し申し上げますけれども、せめて法律はきちんと均等・均衡待遇を書き切って、書いたからってそのとおりにしなきゃいけないんだったら、もうパートも有期もとっくにそうなっているはずですよ。でも、実態は、法に書いたって、そこまでは及ばない現実が許容されている、許容というか野放しになっている。こういう状況がある中で、なぜ、そもそも派遣に関してはそこまですらできないのかというふうには思うわけであります。
 ちょっと先に進みますけれども、キャリアアップの問題です。
 これはお聞きした話でありますが、派遣先企業からすれば、派遣社員は三年で必ずいなくなる、であれば、その三年でいなくなる派遣社員にあえてうちの会社の業務の本質的な知識や技術を教えたって仕方がない、教えたってよそに行ってしまう、全く意味がない、こういう話も聞くわけであります。
 結果的に、派遣社員、三年ということで、表面的な知識、技術しか身につかないことが多いわけでありますけれども、こういう派遣労働を三年ずつ繰り返しても、派遣社員の少なくともキャリアアップにはつながらないのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕
○塩崎国務大臣 今回、個人単位の期間制限として、節目節目という三年を、みずからのキャリアを見直す契機ということで設けさせていただいているわけでございますけれども、やはり多様な仕事を経験するということで、仕事の幅を広げる効果があるのではないかというふうに思っております。同じところにずっといるんだったらば同じ技術がさらに蓄積されていくということはありますけれども、むしろ逆に、多様な仕事を経験することで仕事の幅もできるのではないかということ。
 それから、派遣会社でのキャリアアップ措置、それから派遣会社、派遣先での正社員化の推進措置、あるいはキャリアアップ助成金の活用といった取り組みを組み合わせることによって、派遣労働者のキャリアアップをしなければならないというのが今回の提案をしているパッケージであるわけであります。
 いずれにしても、派遣元それから派遣先には、キャリアアップをしやすいようにするということで、先ほども申し上げましたけれども、そもそも許可制にして、これは規制強化ですが、許可制にして、その際に必ずキャリアアップの仕組みを持っていないといけない、そういうシステムを持っていないといけないということにしているわけでありますから、今申し上げたように、広い意味では、先生がおっしゃったような、教える動機がないということで身につかないままに三年が繰り返されるというようなことがあるというのは、これは派遣労働としての適正な運営にもとるような話でありますから、こういうようなことで人材が育たないということであれば、これまた我々も考え直さなければいけないところではないかと思うんですね。
○井坂委員 少なくとも派遣先は、三年でいなくなる、いなくなるだけならまだしも、大体、同業他社に次の三年行ってしまう可能性の高い人でありますから、業務の根幹にかかわる技術とかノウハウはむしろ教えないというような話も私は聞くわけであります。そういう表層的な技能しか身につかない。
 派遣元にそういうキャリアアップの義務を法律でいろいろと課すわけでありますけれども、私は、派遣社員のキャリアアップというのは、法律で派遣元に無理やりさせるようなことかなというふうに思うわけであります。
 自由主義とか労働市場の考え方でいけば、むしろ派遣元は派遣社員を鍛えた方が、派遣元の会社からしたら派遣社員はもう大事な大事な、言ったら稼ぎ頭でありますから、鍛えて鍛えてキャリアアップさせて、同一労働同一賃金の中で、高い賃金をもらえる仕事にその派遣社員を充て込んで高いフィーを派遣元がもらう、こういうインセンティブ構造がないとおかしいと思いますし、また、そういうインセンティブ設計によって、法律でやりなさい、やらなきゃ許可を取り消しますよというやり方ではなくて、やった方が得ですよ、派遣社員がキャリアアップした方が派遣元の会社はもうかりますよ、こういう制度設計が肝要ではないかなと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先生御指摘のように、派遣労働者にとって適切な教育訓練等を行っている派遣会社が、提供される労務スキルの高さを通じて派遣先から選択をされて、派遣労働者からも魅力的な会社として選択をされ、また、派遣会社の利益として還元されるという姿は、やはりウイン・ウインの関係だろうと思うんですね。
 しかし、派遣会社の中には、単なる労務の提供しか行っていなかったり、あるいは、長期的な視点でのキャリア形成支援が行われていない会社があるというのも、これまた実態だろうというふうに思うんです。
 このため、今回の法律案では、派遣会社に対して新たにキャリアアップ措置を義務づけることとしたわけであって、これによって、派遣労働者が能力向上によって派遣先からまず評価をされるわけですね、行っている先で。その待遇の向上とか、あるいは派遣単価が上がるということになって、ひいては、派遣業界にとっても、派遣会社にとっても、派遣労働者のキャリアアップを積極的に推進することの言ってみればインセンティブになってくるわけでございまして、将来的に正規社員に派遣会社から羽ばたいていくということになれば、仮にその派遣会社が人材紹介も有料でやるということであれば、育てた分、その分はちゃんと経済的な見返りを持って羽ばたいていってもらえるということになるんだろうというふうに思います。
○井坂委員 ちょっと時間があれなので飛ばしますけれども、均等待遇の考え方でもう一点お伺いをしたいというふうに思います。
 同一労働同一賃金といえば、同じ仕事をしていれば同じ賃金、こういう考え方だと思われるかもしれませんが、私は、むしろ派遣労働者の方が高い賃金をもらうのがフェアな考え方だというふうに考えているわけであります。
 職務が同じであれば、仮に全く同じ職務であれば、派遣労働者はそれに加えて雇用リスク、解雇リスクが高い、そこだけが違うということであります。その分だけ派遣社員の方が職務が同じ正社員よりむしろ高い賃金をもらうのが、労働市場における公正な労働価値のつけ方だというふうに考えますが、大臣のお考えをお伺いいたします。
○塩崎国務大臣 今先生がおっしゃったように、雇用の不安定リスクを賃金に反映すべきという考え方は十分あるんだろうというふうに思います。
 一方で、我が国の賃金制度については、先ほど来ずっと出ているように、職務内容のほかに能力や責任といったことがさまざま入ってきて考慮されて決定されるという実態が厳然としてあって、このような考慮された結果として、一般に正社員の賃金が相対的にやはり高くなっているということになっているんだろうというふうに思います。
 今回の改正案では、派遣労働者について、派遣先から派遣会社に賃金水準等の情報を提供する、あるいは、派遣会社では、均衡待遇を確保するために考慮した内容をきちっと本人に説明しなければならないといった仕組みを新たに設けておりまして、均衡待遇というのを強化するということをここで裏打ちしているわけでございます。
 これらの措置を通じて、派遣労働者の待遇の改善を実現していければなというふうに思っております。
○井坂委員 これはフランスの例でありますけれども、派遣の期間が終わると、当然、その派遣労働者は派遣先がなくなってしまうわけであります。そのときには、派遣期間中の賃金の一〇%が不安定雇用手当としてちゃんと派遣期間終了後には支払われる、そういう形で、雇用の不安定さに対する見合いのプラスの上乗せの賃金が支払われる。
 逆に、こういうふうにでもしなければ、同じ仕事で片や不安定、片や安定、だったら、相互の労働移動なんか起こり得ないというふうに思うわけであります。不安定だけれどもその分余分にもらえる仕事、安定だけれどもその分少し少ない仕事、ここがイコールフッティングして初めて、正規雇用と非正規雇用が本人の望むままに行ったり来たりができる、こういうことではないかなと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕
○坂口政府参考人 今委員御指摘のように、できるだけ正規雇用との関係の処遇の格差が狭まるようにという形では、私どももしっかりやっていかなければいけないということで、今回、先ほど大臣が申したような形での均衡待遇の強化ということを図ることにしたところでございます。
 今おっしゃいましたような雇用の安定を図るという意味での対応ということにつきましては、今般、無期派遣労働者については、個人単位等の期間制限等について対象外ということにはしておるわけでございますけれども、有期雇用派遣の労働者については、個人単位の期間制限の悪影響が出ないようにということで、今回、雇用安定のための措置を派遣会社に義務づけるということで、雇用安定の面での課題の克服というような形についても新たに義務づけるということにしたところでございます。
 そういった形も含めまして、派遣労働者の処遇の向上ということにしっかり努めてまいりたいと思います。
○井坂委員 格差をなるべく縮めるために均衡の配慮義務というどころではもう全然足りなくて、むしろ、申し上げたように、派遣あるいは非正規の方の方が、もし本当に同じ仕事であれば正規労働、安定雇用を賃金の面で超えるということが、超えてむしろ公正な労働市場だというふうに思っておりますので、何か、格差を縮めて、しかもそれが配慮義務でなるべく頑張りましょうというのは、これは本当にまだまだの段階ではないかなというふうに思うわけであります。
 今回、なかなか重要な問題だ、強力に推進するとおっしゃりながら、少なくとも法案、条文の面では、こうした均等待遇に関する実効性、そしてやる気というものが私は不足しているというふうに感じられますので、また今回、派遣労働だけでなく、パートや有期も含めた同一労働同一賃金の推進法というものを提出していきたいというふうに思うところであります。
 三点目に、私の大きな懸念の、本法案の改正をもってしても、派遣労働者の雇用は相変わらず極めて不安定なまま続くのではないか、先ほど部長から話がありました雇用安定措置についてお伺いをしたいというふうに思います。
 まず、大臣にお伺いをいたします。
 働きたい人の望みに応じていろいろな働き方の道が開けるように、これが本法案の改正の趣旨であるというふうに繰り返し答弁をされておられます。そこでお伺いをしたいのですが、派遣社員が三年間働いた派遣先で引き続き働きたいと望んでも、今回継続できないようにしてある理由は、逆に何でしょうか。
○塩崎国務大臣 派遣労働というのは、直接雇用に比べまして、雇用の安定あるいはキャリア形成が図られにくいというマイナスの面がどうしてもあるわけですね。
 この派遣労働の弊害を防止するために、今回の改正案では、派遣労働を臨時的、一時的な働き方と位置づけて、これを原則として、その考えのもとに、有期雇用の派遣労働者を対象に同じ職場への派遣は三年までとする個人単位の期間制限を設けて、派遣労働への固定化を防止することとしたものであります。
 仮に、派遣労働者の希望によって同じ職場での就労の継続を可能とした場合、継続を希望していない派遣労働者に対しても派遣先が希望を強要するなど、制度が悪用されるおそれがあることから、このような特例を設けることは適当ではないのではないかということで、こういうような形にしたということでございます。
○井坂委員 派遣の働き方が、ずっと同じ職場で三年だけじゃなくて六年、九年と固定化されては、これは問題があるんだ、弊害があるんだという答弁であります。
 しかし、それを言うなら、派遣社員は、三年でなれた会社で働けなくなっても、派遣元会社に次の派遣先をただまた紹介されて、次の三年も別の会社ではありますけれども派遣労働を続けることになるというふうに思うわけであります。であれば、派遣の働き方の固定という意味では、同じ会社で六年働こうが、あるいは、三年、三年で別の会社に無理やりかえさせられようが大差ないのではないかというふうに思うわけでありますが、その点は何が違うんでしょうか。
 今回、同じ会社で六年働くのは禁じていて、三年、三年で会社をかえれば別に派遣の働き方を六年続けてもいいというのは何が違うんでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど来キャリアアップの話を大分申し上げてまいりましたけれども、今回の見直しの中で、個人単位の場合には、課をかえれば同一組織で三年を超えてということもあり得るということがございましたが、今お話があったように、職場をかえるということによってキャリアアップの、先ほど御説明申し上げましたけれども、チャンスがやはりふえるということで、みずからを磨きながらキャリアを積んでいくということを想定した上でこのような形にしたというふうに理解をしております。
○井坂委員 先ほど議論させていただきましたとおり、ころころかわる派遣社員に対して業務の真髄を教えるのかという問題が実際現場では起こっておりますので、課がかわれば、あるいは、会社がかわればいろいろな業務のスキルが身についてキャリアアップになるんだ、これは極めて表層的な議論ではないかなというふうに思うわけであります。
 雇用安定措置について引き続き伺いますが、この雇用安定措置の一番真っ先にやりなさいと言われている派遣先への直接雇用の依頼、これは法律のどこに定められていることになるのでしょうか、参考人にお伺いをいたします。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 今委員御質問の雇用安定措置の中に幾つかございますけれども、その中の派遣先への直接雇用の依頼ということでございますが、これにつきましては、現在、改正案として提出させていただいております改正法案の第三十条の第一項第三号におきまして、厚生労働省令で定めるということとしておるところでございます。
○井坂委員 1、2、3、4と我々はみんなポンチ絵を見せてもらっているわけでありますけれども、まずは派遣先に、うちから送っていた派遣社員を正社員で雇ってくれませんかと頼みなさい、それがだめなら2、3、4ということで、次善の策として四種類書かれているわけでありますが、ところが、法律にはその一番大事な1は書かれていないのではないか。
 まず、何でこれは明記ができないのかということと、あともう一点、直接雇用の依頼をまず最初にしなければいけないというのは、これは法律のどこに書かれているんでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 まずもって、今委員御指摘のように、派遣先への直接雇用の依頼、あるいはほかの派遣先を提供する、あるいは派遣元での無期雇用化、あと、その他の措置ということでございますけれども、法律上、これらの措置のいずれかを講ずるようにしなければならないということが義務づけられているということでございます。
 この規定につきまして、今委員御指摘のように、直接雇用の依頼ということをした場合に、これは、直接雇用の依頼ということで派遣会社だけでなし得るものではありませんので、これについては派遣先の方で受け入れがなされないということがあり得るので、その場合には、他の号、二号から四号に係る措置をしなければならないというのが、労働政策審議会における建議において報告されたという内容でございます。
 今委員の御指摘のように、先ほど申し上げましたとおり、派遣先への直接雇用の依頼ということにつきましては、この法律の各号にまでは今回掲げていないということでございますけれども、これにつきましては、現行の第三十条の規定との、法律との整合性といった立法技術的な観点から判断をしたということでございます。
 また、今委員から御指摘ございました、先ほどの、派遣先への直接雇用の依頼ということが成就しなかった場合については、法律上の規定はないということで、これにつきましては、運用上の対応ということで、そのような対応を求めていくということを予定しているところでございます。
○井坂委員 我々が事前の法案レクで受けた説明は、今の御答弁とは随分様相が違って、まず第一に派遣先への直接雇用の依頼をするんです、それがだめだったら、2、3、4をどんどん試みるんですというような説明を受けてきているわけであります。随分違って、どれをやってもいい、しかも、我々がこれが一番ありがたいだろうなと思える派遣先への直接雇用の依頼は、むしろ法律には、技術上とおっしゃいますけれども、明記をされないということで、大変解せないなというふうに思うわけであります。
 ことし前半の通常国会に本法案は一度出されて、懲役一年以上という、あってはならないミスがあって出し直しになって、法案をつくってからもう随分時間がたっている中で、公明党さんが修正案を審議前に出してこられたように、この半年間、見直せば幾つも書き直すべきところがあるのではないかというふうに私は思うわけであります。
 当然、この点も省内で議論があった上で、今の法案のままでいいということで、ことし前半の通常国会のまま出しておられるんだろうと思いますが、省内でこの点どういう議論があって、当初の法案どおりで、そのまま秋も同じものを出そうというふうになったんでしょうか。この点に関して。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘のように、さきの通常国会で事務的な条文ミスをしたところでございますので、きょう午前中の御答弁の中でも副大臣が申し上げましたとおり、省内体制を整えて、しっかり条文のミス等がないようにということの再チェックをしたということでございます。
 ただ、この規定の仕方につきましては、当初、通常国会に提出した際にも、立法技術的な問題ということも含めて、このような形での条文化がふさわしいということで出したということで、今回の再提出に当たっても、そのままの形で再提出をさせていただいたというものでございます。
○井坂委員 派遣先への直接雇用依頼に関して、大臣にもう一点お伺いをいたします。
 派遣元は、これも先ほどお話ししたことと少し似てきますが、これは法律で派遣元に強いるような話ではなくて、やはり、派遣元が派遣社員を鍛えて、最終的には派遣先にめでたく正規雇用で雇ってもらえるということになれば、それが一番派遣会社として大成功の派遣社員の育て方だというような、そういうインセンティブ設計をする。
 法律で無理やりそんなことを強いるのではなくて、派遣会社が、うちの会社がもうけるためには、とにかく社員をどんどん鍛えて、派遣社員を派遣先にとにかく気に入ってもらって、雇いたいと言ってもらって、雇ってもらえたらそのフィーで、成功報酬で派遣元が一番もうかるんだ、こういうインセンティブ設計、そして法体系にしていかなければいけないし、そうならないと、結局、派遣元に幾ら法律で強いたって、それが派遣元の得にならないことである限りはいろいろ抜け穴を探すのが、やはりこれはよくも悪くもたくましく生きる民間企業でありますし、そうだと思うんですよ。
 インセンティブ設計が大事だと思いますが、この派遣先への直接雇用依頼、それをインセンティブ設計で実現をするということについては、大臣はいかがお考えでしょうか。
○塩崎国務大臣 先生おっしゃるように、何でもインセンティブがあるというのはとても大事で、やる気を出すということを、やはりそこに仕掛けを仕組むというのがとても大事なことではないかというふうに思います。
 そういう意味で、今回のこの改正案において、派遣労働者に対して計画的な教育訓練をしてほしい、キャリアコンサルティングもやってほしい、それから、常用雇用でもちゃんと長期的なキャリアコンサルティングをするということを義務づけているわけでありますけれども、やはり今お話があったように、何々派遣会社は何人、去年、正社員にちゃんと送り込みましたというのが多分これから競争の一つのメルクマールになってくるということも、私は十分あり得ると思うんです。
 もちろん、ずっと派遣でいきたいという方は、それはそれであれですけれども、しかし、ちゃんとしたコンサルティングをやる、計画的な教育をやっていくということで、ちゃんと直接雇用を実現していくということはとても大事なので、したがって、どれだけ有効、適切な教育訓練を派遣労働者に対して派遣会社がやるか。提供される労務スキルというか、その高さを通じて派遣先から派遣会社も選択をされるというような中で、魅力的な派遣会社というのが、いろいろ、先ほど来、大分評判の悪い会社というようなイメージで言われていますけれども、それはまたちょっとイメージが変えられることであろうというふうに思います。
 また、直接雇用化について、労政審の建議では、派遣先が派遣契約の終了直後に、受け入れていた派遣労働者を直接雇用しようとする際、職業紹介手数料を支払うこと等のトラブル防止策を派遣契約に定めることとしており、このような措置を通じて派遣元に経済的不利益が発生しないようにしているほか、行政としても、キャリアアップ助成金の活用を、我々は政府として直接雇用化を進めていこうということで、この建議の中でも、今申し上げたように、さっきちょっと触れましたけれども、職業紹介として正社員に採ってもらうことによる、経済的に見返りをちゃんと得られるようなことも大事なインセンティブにもなるだろうというふうに思います。
○井坂委員 インセンティブ設計に関して、もう一点伺います。
 登録型派遣、これは、派遣先がある間は派遣元が雇うけれども、派遣先の雇用が切れたら、派遣元で雇い続けるのではなくて、もう自宅待機してください、こういう形で、仕事がある間だけ派遣元が雇って派遣先に送るという、派遣労働者の中でもまたもう一段、雇用が不安定な派遣の形態であります。
 この登録型派遣よりは、雇用の安定化という意味では常用型派遣の方が安定はしているというふうに思うわけでありますけれども、この登録型を常用型の派遣労働者に格上げをするようなインセンティブ、これについて、私は必要だと思いますけれども、大臣はいかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど来申し上げているように、派遣会社に対して、今回の法律案で、計画的な教育訓練等を新たに義務づける、それから、派遣労働者の能力の向上を図る、それに加えて、派遣期間の終了後、派遣元での無期雇用を含む雇用安定措置を新たに義務づける、さらに、キャリアアップ助成金の活用ということで、これは予算措置でありますけれども、登録型を含む、今先生おっしゃった有期雇用の派遣労働者の無期雇用化等を支援するということにしてございます。
 改正案において、無期雇用の派遣労働者については、有期雇用の者に比べて雇用の安定が図られていることから、期間制限の対象外ということになっているわけでありますけれども、このような仕組みも、派遣労働者を無期雇用化するインセンティブが関係者に働いて、安定的な雇用の拡大に資するのではないかというふうに思っております。
○井坂委員 私がなぜインセンティブ設計にこだわるかといいますと、インセンティブ設計のやり方ではなくて、法律で、やりなさい、やりなさい、ああしなさい、こうしなさいと、ほっておけば嫌がるようなことをさせるやり方ばかりを使っているとどうなるのかということがやはり心配なわけであります。
 予想されるのは、派遣元が、雇用安定措置自体がちょっともう面倒くさい、勘弁してほしいということで、この雇用安定措置を避けるために、例えば契約期間をそもそも三年未満としてしまったり、こういうことが私は予想できるわけであります。
 もし仮に、こういう雇用安定措置を義務づけた結果、それを避けるために、そもそも派遣元、派遣会社が、三年未満の契約で、そういう雇用安定措置をやらなくていいような派遣ばかりを雇い始めた、こういう事例が多発した場合、これは図らずも派遣労働者の雇用安定にむしろ逆行する現実が起こってしまうというふうに思うわけでありますが、どのような対策をとられるおつもりか、お伺いをいたします。
○塩崎国務大臣 今お話がございましたように、雇用安定措置の履行義務を回避するために派遣期間をあえて短く設定して、三年未満の、一年から三年未満は努力義務ということになっている先ほどの雇用安定措置でございますので、そういうような事業主が仮に出てくるとすれば、これはやはり雇用安定措置の趣旨が没却されないように指導を徹底していかなければならないというのが、労働局が担わなければいけない役割ではないかというふうに思っています。
 また、今の問題については、労働契約法に基づく無期転換申込権の発生前の雇いどめの懸念については、改正労働契約法の周知とか、有期労働契約に関する労働基準法の規定の遵守の徹底、あるいは無期転換に取り組む企業への支援など、無期転換申込権の発生前の雇いどめの抑制に向けて取り組むことにしておりまして、これについては、いろいろなセミナーとかコンサルティングとか、あるいは広報とか、そういうようなことを予算化もして今やっているところでございます。
 いずれにしても、できる限りこの雇用安定措置の趣旨が没却をされないようにしていくということに行政は汗をかかなきゃいけませんということだというふうに思います。
○井坂委員 雇用安定化措置の趣旨が失われないように指導したりセミナーをしたりということで、この部分、私は実際に起こり得ると思っていますので、それに対してやや心もとない対策ではないかなというふうに思うわけであります。
 最後にお伺いいたしますが、総理も大臣も、今回の法改正は、派遣社員が三年たったら正社員になれるような法改正だ、こういう言い方でいつも答弁をされているわけであります。
 今回の法改正で、正社員になれた派遣労働者がどれだけふえるのか。当然、そういう答弁をずっとされておられますので、そこが一番大事だと思って今回の法改正をされているわけでありますから、御自身方が狙った効果が本当に出ているのかどうか、法改正後には効果測定をして、狙いどおりの効果が出なかったら、これは当然、再度の法改正を行うべきだというふうに思いますが、正社員になれた派遣労働者がどれほどふえるのか、効果測定するのか、そして、その結果を踏まえて必要があれば法改正をするのか、お伺いをしたいと思います。
○塩崎国務大臣 先ほど来、私の方からも申し上げているように、単純に派遣労働者の数がふえるとか減るとかいう、最後の尻だけを見ても余り意味がないんだろうというふうに思います。それはいろいろな要素によって最終的に決まるからであります。
 しかし、先生がおっしゃっているのは少し違っていて、正社員化するかどうかとか、そういうような、きちっと法律の効果が出て正社員がふえるかどうか、あるいは逆に派遣労働者がふえるかどうか、そこのところが、もし意にたがえているんだったらばちゃんとやるんだねということを、今、効果測定をしてということだろうと思います。
 私は、先ほども申し上げましたように、きちっと緻密な分析をして、なぜ減ったのか、派遣が、あるいは正社員が。あるいは逆にふえたのか、正社員が、あるいは派遣が。こういうことをきっちりと要因も含めて分析した上で、これが今回の立法趣旨に反するような事態になっているということがわかれば、当然、三年後の見直しもございますし、そのためには、先生おっしゃるように、効果測定をやるということは極めて大事なことだと思います。
○井坂委員 時間が参りましたので終わりますが、大臣にぜひお願いをしたいのは、出された法案、隅々まで何が書いてあるのか、そして我々野党側が何を具体的に懸念しているのか、そこにもっと本当に関心を持っていただきたいというふうに思います。
 まだ、きょうが審議の初日でありますので、引き続きじっくり議論した上で本法案への賛否を決めてまいりたい、そのように思います。
 どうもありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、宮沢隆仁君。
○宮沢(隆)委員 次世代の党、宮沢隆仁です。よろしくお願いします。
 私、派遣法については、正直言いますと全く素人でしたが、それなりにいろいろ勉強しまして、それから、本日の今までの審議を聞きまして、大分勉強にもなりましたし、いろいろな疑問点がある程度明確になってきました。
 その内容をお話しする前に、私自身の労働環境を、多様性の一つという意味で簡単に御紹介しますと、私が医者であることはここで何回も申し上げましたが、私が研修医のころは、大学病院で月給三万円で働いていました。働く内容というのは、一週間ぶっ続けで病院に泊まったこともありますし、それこそ、今思うと労働環境としては無法地帯ですね。
 ただ、では、何が働くエネルギーになっていたかといいますと、やはり一人前の外科医になりたい、もうその一心だけです。だから、仕事の内容がどんなにつらかろうが何だろうが、それをやらなきゃ外科医になれないんだったらもうやるしかないという、それしか考えていませんでした。今考えると、それでは本来いけないんだろうと思うんですが。
 ただ、その中でも、やはりいわゆるスクリーニングされていくんですね。やる気のある人、ない人、スキルの高い人、低い人、それからコミュニケーション能力のある人、ない人という形で、若い外科医たちの中から少しずつ減っていくんです。最終的に、それなりの技量に至った人たちが一人前の外科医となって、三十年、四十年とやっていくわけです。ということは、その中に、能力の差、やる気の差、それからモチベーションの差等、さまざま個人差というのが当然出てきます。
 それから、ちょっと報酬のお話をしますと、日本では、外科医だろうが何科の医者だろうが、どこの病院でも報酬はそう大差ないです。ところが、アメリカへ行きますと、心臓外科医、脳外科医というのは億万長者が結構います。そのかわり、リスクも高いので、保険料を何百万も払っている医者もいますね。訴訟も、どんな神の手でも訴訟はありますから、結局、訴訟に負ければそれを払うという形になります。
 それからもう一つ、さっき非正規で高報酬でもいいんじゃないかというお話が井坂先生の方からありましたが、本当にゴッドハンドと言われているような医者は、それこそ非正規で、世界じゅうを飛び回っています。私が知っているF先生なんかは、僕も一週間ぐらい一緒に仕事をしたことがありますけれども、本当に上手で、それこそ、結果もいいということでそれを評価されて、いろいろな病院から引っ張られるわけですね。そうすると、日本では余り高額の報酬はなかったみたいですけれども、アメリカでは普通に物すごく高い報酬を一回の手術だけでもらえるという世界だそうです。
 だから、そういう意味でいくと、アメリカと日本を比較した場合に、いわゆる労働に対する価値観も全く違うし、労働の流動性という意味では、それも全く違いますね。やはりアメリカの方がずっと高いですね。恐らく、今までの議論は、いわゆる日本の労働環境の特性を念頭に置いた上で、この労働者派遣法改正案をどうするかという議論だろうと思うんですが、世界にはそういう国もあるということは知っていてもいいかなと思います。
 先ほど、実は長妻議員とか山井議員の資料を見てこれはすごいと思って、やはり勉強量ではちょっと負けたなと思ったんですけれども、私がきょうの議論をずっと聞いていて感じたことをそのまま述べます。私は現在、この法案については全くフラットな立場で、別に今の時点で個人的には賛成も反対もどっちもちょっと表明できないなというぐらいの感じですね。
 それで、一つは、自由主義をとるのかとらないのか、自己責任でいくのかいかないのかという議論が余りたくさんないなと思いました。すなわち、これは労働者のやる気とか、今お話が出たモチベーション、能力に応じて、当然その中身は差が出てくるはずですね。それがそのまま自立に向かうと思うんですけれども、余り保護し過ぎたら、かえってそれはマイナスかなと感じました。
 なぜかといいますと、今、外国人、特に英語なんか普通にぺらぺら話せるような中国人、韓国人が日本にどんどん入ってきていますので、普通に並列で並べられたら、日本の企業は、恐らく外国人の能力のある人を採ろうとしますよね。だから、そういう意味で、日本人の労働者ばかり保護するというのもちょっと違う方向かなと一つ感じました。
 それから、法案のいわゆる明確性というキーワードで見ると、民主党の先生方おっしゃるように、明確でない面が結構あるなと。そこを今後省令とか政令で補っていこうという意図があるんだろうと思うんですが、公明党の先生方から理事会に出されたもの、これを後でもう一回見直したんですが、結構いいことを言っているなと私は思いました。ただ、ちょっと出すタイミングをしくじったのかなと思いましたけれども。公明党の先生方がこういうのを出すぐらいですので、それはやはり厚労省側も与党の先生方ももうちょっと念頭に置いてもいいんじゃないかな、明確性という意味で。
 それから、実効性というキーワードも盛んに出てきました。これも、先ほどの、職務内容を評価するとか、それからスキルアップの内容とかというのに関しても実効性が本当にあるのかないのかという意味で、私もちょっと首をかしげたところがあります。
 それから、先ほどから正社員、正社員と、正社員は理想郷のようなお話が出ていましたが、本当にそうなのかなと。医者の立場でいいますと、正社員になってメンタルストレスで潰れている人というのは結構いるんですね、責任が重いとかいろいろな意味で。だから、もうちょっとフレキシブルに考えて、大臣も先ほどから派遣を望む人もいるとおっしゃっていますけれども、まさにそのとおりだろうと思うんです。だから、余り正社員を理想郷のように考えて議論するのは、ちょっとどうかなというのが私の印象です。
 先ほどアメリカの話をしましたが、あとは、日本人はこれから労働に対する価値観をどこに置くのだろうというところが、いろいろな意見が出ましたけれども、結局定まっていないですよね。だから、そこら辺を今後どうするかというのを先にやって、それで労働者派遣法をどうするかという議論の方が私はわかりやすいかなと思いました。
 細かいことはこれからお聞きしようと思うんですが、今の私の感想を大臣はどのようにお感じになりますか。そこをちょっと、私の今感じたままをそのまま述べましたけれども、コメントをいただければありがたいです。
○塩崎国務大臣 先生のお考えと私の感じは極めて近いのではないかなというふうに思っていて、もともと安倍総理も、多様な働き方と。それぞれの希望する働き方、あるいは置かれた状況、事情、それは家庭内での子育ての事情とか、さまざまなことがあり、また、先生御自身がそうであるように、大変高度な技術というか技能を持っていらっしゃって、知識も持っていらっしゃる。これをどう自分で自己実現をしていく、そのやり方がどうかということであって、雇用形態というのはやはり手段だろうと思います。
 先ほどいろいろお話が出ましたけれども、例えば私なんかは、派遣で我が事務所でコンピューターをやってもらおうと思って来ていただいたことが大分前にありましたけれども、余りにも高いのでやめました。そういうことで、やはり我々は、もう少し安い、仲間で頑張らないとしようがないということでありますが、それは負担能力がないんだからしようがないといえばしようがないんですが。
 一方で、さっき申し上げたように、大変技術のある方が、それこそ世界の先端を行っている我が国の自動車メーカー、そこで先端の仕事をやって、新しい車のデザインやエンジンをつくっていくというようなことも聞いておるわけでありまして、医学の世界も、あるいはいろいろな世界でそういうことがあります。
 したがって、やはり働き方というのは、きちっと権利が守られる限りは多様な働き方があって、それを選択できて、そして、またそこから次に行くことが容易であるということであれば、いろいろな形があっていいのかなと。ただ、守られないで弱い立場の人が損をするというのだけはやはり避けなきゃいけないというふうに思っております。
○宮沢(隆)委員 もちろん、私も全て能力で線を引くというのがいいとは思っていませんので、やはりある程度のレベルでセーフティーネットみたいなのを設けることは重要だろうと思います。
 この後、この法案について、多分余り今まで触れられていなかったことを、主に参考人にお聞きしていこうかと思います。
 まずは、派遣先の企業の立場からのお話になるんですが、今回の法改正では、専門二十六業種の区分が撤廃されて、全ての業務で同一労働者は最長三年の期間制限を受けることになっています。
 IT業界などでは、現時点では期間制限がないため、同じ職場に五年から十年とかかわるベテランの派遣技術者が実際存在しています。派遣先の技術者よりもシステムを隅々まで知り尽くして、要するに正規社員よりも知り尽くして、その会社の担当システムに詳しい人も珍しくないと聞いています。
 その中で、期間無制限の恩恵はもはや受けられなくなるので、移動せざるを得なくなるわけですね。そのときは、むしろ派遣先企業の方が困るのではないかという声が結構あるようなんですが、いかがでしょうか。参考人の方にお聞きします。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 今御質問の点、先ほどの全般的な宮沢委員の方からの御指摘にも通ずるところかと思うんですけれども、今般の派遣法改正につきましては、大臣の方からも提案理由の説明でもさせていただきましたとおり、まず、期間制限の問題につきましては、現行の専門二十六業務と自由化業務の区分によっての期間制限というのが非常にわかりにくいということで、現場でも混乱を生じているということで、これは二十四年の国会での附帯決議に基づいて、審議会等で再検討させていただいたということでございます。
 その過程で、常用代替という考え方とともに、派遣労働者の方についても、やはり派遣労働者という形になりますと、派遣労働特有の、雇用の安定であったりキャリア形成ということについて不十分な部分がどうしても出てしまうというような懸念もあるということで、そういったことにも鑑みて、どういう期間制限を設けるかということもあわせて御議論をいただいたということでございます。
 そういう意味では、今般、専門技術という面でも、専門二十六業務の中身でも、専門性が時代とともに変化するため制度が不安定ということで、専門二十六業務と自由化業務の区分をなくす必要があるのではないかというような点、それから、専門二十六業務のような技術系の派遣労働者の方にあっても、いわゆる有期雇用の派遣労働者という方が多数存在されるということで、そういった方についてもやはり雇用安定ということは課題ということがございまして、今般、委員御指摘のような個人単位での派遣期間制限三年ということを設けたわけでございます。
 その意味では、委員御指摘のように、派遣先の側にとってみると使い勝手が悪いというような声があることも事実かとは承知しておりますけれども、今回、働く人に着目しつつ、そういうわかりやすい制度にするための期間制限を設けたということで、やはり制度をわかりにくくしたり、あるいは制度の悪用ということから考えると、なかなか例外的な措置も設けがたいということで、このような制度にしたというところでございます。
 答弁が長くなって恐縮でございますけれども、一方で、派遣元との関係で、無期雇用の派遣労働者の方については期間制限の対象外ということに今回することとしておりますので、そういった無期雇用の派遣労働者の方を技術派遣の中でも活用していただくことによって、その影響が、派遣先でも受け入れていただくようなことができないかということで考えておるところでございます。
○宮沢(隆)委員 この三十年間の労働者派遣法の推移というのを一応自分でも見てみたんですが、専門業務が、最初一桁ぐらいの数からだんだんふえてきて、十幾つというときも来て、二十六に来て、いきなりここでどんとゼロにする。
 わかりにくいというのはわかるんですけれども、ただ、これからもまた新しい仕事もどんどん出てきますし、全く予想だにしなかった業務も出てくると思うんですね。だから、逆に、この二十六業務の分け方自体をもうちょっとクリアにして、あるいはA、B、Cの枠をつくってそれぞれの枠の意味をはっきりさせるとか、そういうアイデアもあってもよかったかなと思うんですけれども、二十六をいきなりどんとゼロにした理由というのは何なんですか。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 今回の見直しの過程では、学識者の方の研究会、並びに、先ほど来申し上げているような公労使の労政審で御議論いただいたところでございますけれども、二十六業務の区分によっての派遣期間制限の分け方については、やはり二十六業務の専門性というものについても時代として変化してしまう部分もあるので、専門性という形での二十六業務というのが維持しがたいという部分、わかりにくいという点があったこと。
 それから、実際の現場で二十六業務の業務についているということになっているものの、実際上は他の、二十六業務でないような業務も混在して行っているということで、実態として、二十六業務であるから期間制限をつけていないというような意味合いが現場で混在しているというようなこともありまして、議論の過程で、やはりこの専門二十六業務については、二十四年の国会のときにもそういった御議論もあったことも踏まえまして、今回、見直しをするというような結論に至ったということで承知しております。
○宮沢(隆)委員 先ほどから、今回の改正案について明確性がないとか私も言いましたけれども、やはりそこなんですよ。
 二十六業務を設定した時点では予測していなかったわけですよね。それが結局、わかりにくい、実態に合わない、期間制限がついていないことが問題という問題点が出てきちゃった。そうすると、では、だったらそれを最初から法律に入れておけばいいじゃないという話になるわけです。
 だから、やはり法律のたてつけというんですか、そういうものに問題があったことを反省するのであれば、今回も、本当にいい改正案をつくりたいと思うのであれば、もっと明確性が向上してもいいかなと思いました、今の話を聞いていて。
 では、次の質問に行きます。
 派遣期間について、派遣先での派遣労働者の継続受け入れについて三年を上限とし、例外的に、派遣先が過半数労働組合あるいは過半数代表者から意見を聴取した場合に、最長三年ごとの延長を認めるとされています。ただ、もっとも、これは過半数組合からの意見聴取手続を求めるにとどまり、先ほどもお話が出ていましたが、同意は必要でなく、労働者の雇用を無期雇用にすれば継続可能となります。
 しかし、派遣を継続利用するか否かの決定権はあくまで派遣先と派遣元にありますので、三年後に仕事を覚えたところで交代となると、技術者個人へのノウハウの蓄積を期待することが難しくなって、要するに、新しい人が次から次と来るという現象になりますよね。そうすると、ミスを犯す確率が増すので、派遣先企業にとってはそれが損失となって、技術者への教育モチベーション、技術者を育てようというモチベーションが湧かなくなるんじゃないか。これは、外科医にもこの現象はあり得ます。その辺の危惧はいかがでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 今議員の御指摘の、派遣労働者が派遣先で入れかわるという部分でいきますと、今回の期間制限のうちの特に個人単位で三年という期間制限も設けられたということの点も大きいのではないかと思っておりますが、先ほども申し上げましたように、この点につきましても、一定の派遣労働者の固定化の防止というような、大きな意味での派遣労働の弊害をどういう形で軽減していくかというようなことで、今般この個人単位での三年という派遣期間制限を設けたということがございます。
 今委員御指摘のような、派遣先企業にとっての、いろいろな派遣契約で来られている派遣労働者に対しての対応ということになりますれば、全般として、より長期の教育的な形でのモチベーションということになると、派遣元との関係での無期雇用派遣労働者という方を活用していただいて、長期の派遣の受け入れが引き続きできるような形をとっていただくというような工夫をしていただくとか、あるいはより正社員化にお努めいただくというような形でのお取り組みということを何とかお願いせざるを得ないのかなということで考えておるところでございまして、御理解をいただければと思います。
○宮沢(隆)委員 私自身が派遣先の社長の立場で考えると、恐らく、三年の間のその人の仕事の内容、スキル等を見て、ああ、これは使えるなと思えば、多分正社員にしちゃおうという意思も働くし、無期雇用というんですか、そっちに持っていく可能性もある。ただ、これは使えないなと思った時点で、次の人に来てもらおうと。多分社長だったらそう考えるだろうと思うんですけれども、その方向を狙っているという解釈でいいですか。
 質問になっていますか。要するに、社長の立場になった場合に、ある意味これは非常に使える制度だなというふうに思ったんですけれども、そういう理解でいいですか。
○坂口政府参考人 派遣労働というのは、派遣契約において、派遣先の社長さんの方がどういった労働力を必要とするかということで派遣契約を結んでいただくということなので、その契約の内容に沿った派遣労働の提供が行われていないということになりますと、これは、派遣会社の方と派遣先の社長さんの間で、そういった契約に基づいた提供が行われていないのではないかというような形で見直していただくということかと思います。
 ただ、全般として、派遣労働ということの活用に当たっては、やはり派遣労働をどういう形で迅速に提供するような形の契約を結ぶかということでございますので、その点につきましては、派遣先は迅速な提供を受けるという意味ではそうですけれども、Aさん、Bさんがいいというような形での特定という形のところまでの要求は、実はできない仕組みになっております。
 先ほど申し上げましたように、既に来られている派遣労働者の方について、どれだけさらにモチベーションを付加するかということになりますと、やはり、派遣先の側からいきますと、より安定した形で来ていただいているような方であれば派遣期間制限はかからないということでございますので、そういった形の活用をお願いするというようなことかと思います。
○宮沢(隆)委員 いずれにしても、この改正法案では、三年たてば、やめていっていただいた後に、また新しい方が来る。それはいいんですよね。そういう制度にしたいわけですよね。なるほど、わかりました。
 では、次の質問に参ります。
 今度は、派遣元の事業者の立場からの質問ですが、法改正が通れば、施行が来年の四月になりますね。それから、その三年後にも制度移行の時期が訪れます。そのときの混乱の有無をお尋ねしたいんです。
 二〇一一年時点で特定労働者派遣の事業所数というのは六万強あると書かれていました。資産要件の一時的緩和によって、相当数の事業所が許認可の取得にまず動きます。二〇一五年四月での審査件数の増加に対処するために、労働局の体制を強化しなきゃいけないんですが、まずは、それが準備できていますかという質問です。
 もう一つは、さらにその三年先、二〇一八年四月、今度はそれを更新しなきゃいけなくなりますね。さらに、今回の移行期間が終わって、新たに新規の業者が入ってきます。そのとき、物すごい数の申請があるんじゃないかと思うんですが、その辺までちゃんと対応できるんでしょうかという質問です。いかがですか。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 今議員御指摘のとおり、今般の派遣法見直しでは、派遣会社の健全な育成、質の向上というために、全ての派遣事業者を許可制にするという見直しを行っております。
 その過程では、今委員御指摘のとおり、激変緩和の措置を講ずるということにはしておりますが、いずれにしても、今委員御指摘になられましたように、一定の割合で、現在の特定労働者派遣事業者が、一般労働者派遣事業という形での許可制に移行していくということが見込まれるわけでございます。
 このため、現在も私どもの現場でも当該業務を行っております職員がございますけれども、この業務を行う需給調整指導官という職員につきまして、可能な限り十分な人員を確保していくことが私どもも必要と考えておりまして、行財政改革の中で非常に厳しい状況ではございますけれども、しっかり対応ができるように、最大限、必要な定員の確保ということに努めてまいりたいと思っております。
 また、今委員の方から、三年経過措置期間があるけれども、その後にはまたさらなる混乱、新規の対応のところも出てくるのでという御指摘かと思います。
 まずもって、そういった十分な人員を確保するための定員の確保に引き続き応えてまいりたいということでございますけれども、いま一点は、三年の経過期間中に、来年の四月早々にということは、これは全体的な動きということかとは思いますけれども、三年の期間の中で、やはり一番最後の二〇一八年の四月に、急にまた一どきに相談あるいは移行者が出てくるというようなことがないように努めていかなければならないということは認識しております。
 私どもとしましては、この三年の経過期間中に円滑な移行がなされるように、特定労働者派遣事業を現在行っておる事業者に対して、いろいろ、許可の移行への相談の窓口であったり、あるいは移行ができない場合の対応ということも含めての支援ということをしっかり行っていきたいということで考えております。
○宮沢(隆)委員 法改正するのであるから、できると言うしかないだろうと思うんですけれども。これは、また三年後に苦情が出ないような体制をつくっていただきたいと思います。
 それから、先ほどから派遣労働者のお話がいっぱい出ていますけれども、派遣元の会社にも労働者がいるわけですね。今回の改正によって、いわゆる派遣元の業界に業界再編が起こって、倒産する会社も出てくるんじゃないかという危惧から質問するんですが、特定労働者派遣の廃止に伴う許認可制への一本化により、派遣業界への規制強化が起こり、倒産し、派遣先企業が受け入れている技術者の派遣元が事業を継続できなくなることによる弊害が懸念されます。
 無期雇用中心の人材構成に転換できない事業者は、技術者を集めにくくなり、競争力が減退し、事業者が集約化する方向に進めば、派遣先企業は人件費を見直し、技術者単価の上昇につながる可能性を指摘する意見もあります。これは先ほど大臣もおっしゃっていたように思うんですけれども。
 この二つの現象についてコメントしていただきたいと思います。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘のように、今般の改正で、先ほど御答弁させていただきましたような派遣事業者の全般の許可化ということ、あるいは、期間制限を、これまでの業務単位のものから個人単位あるいは事業所単位ということで、これは新たに個人単位も設けてというような形で、二つの期間制限を設けるということでございますので、派遣会社にとりましては、先ほど委員の方が御指摘されたように、無期雇用化できないというような派遣会社にとってみると、いろいろ制約が出てくるということがあるということは事実であろうかと思っております。
 ただ、先ほど来申し上げておりますように、一つ目は、特定派遣事業者の移行につきましては、先ほど申し上げましたような形で、適正に特定派遣事業を行っておられる事業者におかれては、経過措置あるいは激変緩和措置というようなことを講じる中で許可制への移行が図られるようにということも努めてまいりたいと思います。
 また一方で、無期雇用の関係も含めての派遣会社への影響ということにつきましては、全般的な雇用の安定を図るという主眼もございますので、一定の御理解をいただきつつ、一方で、委員が御指摘になったような、より安心して働けるようになるということで、優秀な派遣労働者が集まるというような形での、一定の派遣会社あるいは派遣事業業界への影響ということはあろうかということで考えております。
○宮沢(隆)委員 やはりこの改正の意図の中に、派遣業界の再編を促す、競争させるという意図もあるという理解でよろしいですか。お願いします。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 私ども行政の立場としまして、業界の再編を云々というようなことを申し上げられるという形ではなかろうかと思いますけれども、特定派遣事業についていろいろな問題点があるということにつきましては審議会等の御議論の中でもあったということでございますので、そういった派遣事業者、派遣業界の質の向上あるいは適正化というようなことを図ってまいりたいということは、今回の法改正の主眼の一つということでございます。
○宮沢(隆)委員 余りはっきり明言はできないということですね。
 では、たくさんあるのですが、ちょっと時間が来ていますので。
 先ほど山井議員の方から、ちょっと人の資料を使って申しわけないんですが、ドイツの派遣労働者の増加という話が出ていました。
 これを参考にして、日本にも、今、外国人労働者がどんどんふえていると言われています。実際、今コンビニなんかへ行くと、中国人の若い男性、女性がいっぱいいますよね。別にそれが悪いと言っているわけではないのですが、労働者派遣法は、これら外国人、テンポラリーに日本に来てすぐ帰っちゃうんだろうと思うんですけれども、こういう外国人に対してどのように適用されるのかということをお聞きしたい。ちょっと漠然とした質問なんですが、まずはお答えください。
○生田政府参考人 お答えいたします。
 労働者派遣法につきましては、派遣元から派遣先に派遣するという形式で行われる事業なものですから、その派遣の行為の一部分でも日本国内にあれば日本国法が適用されるということになりますので、労働者派遣法は、日本に入ってくる外国人労働者、外国から入ってこられる方はそうですし、日本国内で仮に派遣という行為があるとすれば、そういう方にも適用されるということになります。
○宮沢(隆)委員 適用すると言葉で言うのは簡単だろうと思うんですが、まず、言葉の問題がありますよね。それから、ビザの問題。それから、先ほどスキルアップのための教育云々というお話がありましたけれども、それを日本人と同じように適用できるとお考えなんでしょうか。お願いします。
○生田政府参考人 お答えいたします。
 外国人労働者につきましては労働者派遣法以外にさまざまなルールがございまして、まず、外国人労働者の受け入れの基本的な考え方につきましては、日本政府は、専門的、技術的分野の外国人労働者の受け入れは進める、ただ一方で、単純労働者の受け入れなど、外国人労働者の受け入れ範囲の拡大などにつきましては、労働市場や治安などの国民生活への影響を考えて、国民的コンセンサスを踏まえて検討、議論する必要があるという立場でございます。
 外国人労働者の受け入れに当たりましては、就業形態に着目した議論は今現在余り行われていないわけですけれども、我が国で就労する外国人労働者につきましては、基本的には雇用契約などを踏まえまして付与された在留資格の範囲内、在留年数の範囲内で就労するということでございまして、在留資格の変更だとか在留期間の更新の場合を除いて、在留期間の終了後は帰国するというのが出入国管理の扱いでございます。
○宮沢(隆)委員 そうすると、先ほど、できるだけ正規に入れるようにしましょうとか、ここで議論していたことは、外国人には適用されないと理解していいですか。
○生田政府参考人 お答えいたします。
 出入国管理の考え方でございますので、私どもは権限がないわけでございますけれども、一応、情報としていただいている中では、入国の段階では、雇用契約を踏まえて在留資格の在留期間の間就労して、それが終わったら帰国することになってございます。ただ、在留期間が延びるということが当然ございまして、永住許可が起きるようなレベルに達すればそのまま国内におられるということで、そうなれば、いわゆる正社員として働く機会は当然ふえてくるということかと存じます。
○宮沢(隆)委員 何でこんなにしつこく聞くかといいますと、ここで問題にすることではないんですが、労働者として外国人が入ってきて、正規に行ったりあるいは日本人と結婚したりという話になっていくと、移民という問題と少し結びついていくかなと。ですので、こういう労働者の法律を制定するときは、やはりこれからは常に外国人労働者をどうするかという視点も必ず織り込みながらつくっていかなきゃいけないだろうなと思いました。
 次の質問ですが、同一労働同一賃金のことを私もお尋ねしようと思っていたんですが、先ほど大臣がかなり、乗り越えるべき課題ということで幾つかお示しになって、なるほどなと思いまして、一番最初に言いましたけれども、今の日本の労働環境、文化の中では、この同一労働同一賃金というのは本当に一筋縄ではいかないなというのが私の今の印象であります。これまた法律にしようと思っても、もっと一筋縄ではいかないのではないかと考えておりまして、うちの党でもいろいろ検討中ではありますが、深い考察が必要だろうと思います。
 最後に、先ほど大臣から哲学的なことをちょっとお聞きしたんですが、これだけの議論がある中で、同じことをお聞きすることになると思うんですけれども、今後の日本国の労働に対する価値観というのをどこに置くか。例えば流動性をどんどん高めるんだとか、あるいは正規の社員をどんどんふやすんだとか、いろいろな考え方はあると思うんですけれども、もう一回端的に述べていただければと思います。それを最後にして、終わりにしたいと思います。
○塩崎国務大臣 いろいろ言い方があろうかと思うんですけれども、やはり多様化というのが一番大事なことかなと。
 それに対して選択ができるということで、それはすなわち、生き方がさまざまになってきて、国境も余りかつてのような意味を持たなくなって、大学ももちろん日本ではなく外国に、それも外国も、昔だったらアメリカとかイギリスとかそんなものでしたけれども、これからはいろいろなところに行かれる方がいて、そして、やはり独特の能力を持っている方々がいろいろなジャンルでおられる。
 先ほど来話が出ているように、職務給というのが日本には余りなくて、職能給ということで、何でもやりますみたいな、そうすると長時間労働になってしまうようなことになるんだろうと思うんですけれども、そういうことにならないように、私は、あらゆる方々のあらゆる価値観が生かされるような、そして、家庭での働いている人の位置づけとか、あるいは御夫婦の組み合わせとか、いろいろなものがありますから、それぞれに希望するものが選択できて、なおかつそれが不利にならないような働き方をつくり出していくということが、実は結果としてパワフルな国になるし、またパワフルな人が育つし、パワフルな人が世界や国内でも貢献をすることになるのではないのかという、今、過渡期になっていて、ですから日本も多分職務給の方に行くんだろうと思うんです。しかし、一〇〇%行くかといったら、多分そうじゃないんだろうと思います。
 したがって、いろいろな、いい、悪いの問題ではなくて、幅がある価値観を反映する働き方を選択できて、なおかつ権利は守られるということが大事だというふうに思います。
○宮沢(隆)委員 ありがとうございました。
 終わります。
○渡辺委員長 次に、中島克仁君。
○中島委員 みんなの党の中島克仁です。
 本日から、労働者派遣法改正案、ようやく審議が始まったということかなというふうにも思います。朝から、各党それぞれの立場、考え方がある中でも、不明瞭な部分が確かに多いなというふうに改めて感じておるところであります。
 そもそも我が党は、国民の関心も高く、社会的にも大変話題性があるということの中で、早く審議を進めるべしというスタンスでおりましたが、二閣僚の辞任に伴います審議日程のおくれ、厚生労働委員長の突然の交代、そして先週の金曜日、ようやく審議がというところで与党公明党さんからの修正案と、大変戸惑うことばかりでございまして、そういった意味で、今までの審議日程の持ち方、そしてきょうの委員会の立て方についても、憤りを感じるとともに強く抗議をさせていただきたい、そのように思います。
 そんな中で、先ほども申し上げましたように、我が党は、労働の多様性を確保することを高らかにアジェンダの中でも掲げております。我が国において、労働力の供給構造が大きく変わって、全員参加型の社会を実現していくことが、経済的に、また個人の自己実現といった観点からも重要になる。そのために、今、国民一人一人がみずからのライフステージに合わせて働き方を選べる雇用制度を構築するべきということを我々としては考えておる。そのメニューの一つとして派遣労働制度が存在するというふうに考えております。
 改めて、きょう、先ほど、前の宮沢議員からの質問の中でも多様性ということがございましたが、経済的な部分、自己実現の部分、そして多様な働き方の一つのメニューとして派遣労働という働き方があるという理解でいいのか、もう一度、確認の意味も含めてお聞かせください。
○塩崎国務大臣 先ほど宮沢委員にお答えをしたような考え方が基本的な私の働き方の考えでありまして、そんな中にあって、この労働者派遣というものの位置づけ、そしてまた、今回、改正を御審議いただくというのは、位置づけとしては、多様な働き方の中の一つである派遣という形での働き方については、当然、ポジティブな面とネガティブな面があるわけですね。
 どんな働き方も恐らくプラスマイナスがあって、ですから、終身雇用の、昔ながらの日本の働き方が、いい面ももちろんありますけれども、それではとてもじゃないけれども、全員がそれでいくということには相ならぬということに、世界も、日本も、個人個人の家庭環境も、地域も多分そうなっているんだろうというふうに思います。
 そういう意味で、派遣労働は、一つは、先ほど来出ている自分が希望する働き方、つまり、いつ、どこで、どういう自分の能力を生かしてくれるのか。それから、企業が、専門的な知識を必要とする業務に、企業側としてもスピーディーに、みずから欲しいと思っているタレントを、能力をゲットできるというようなことなどがやはりこの派遣労働にはプラスとしてあるんだろうと思いますし、女性が子育てをしながら働こうというときにも、結構私は、あり得る働き方として派遣は十分あるし、これからの女性の活躍にとってもあるんだろうと思います。
 一方で、課題は、派遣労働が雇用と使用が分離しているということで、派遣労働者の雇用の安定とかキャリアを積み上げていく、これが非常に弱いということもありますし、また、行った先での会社との力関係の強弱をどう考えるかということになると、やはりいろいろ克服しなきゃいけないことがあるなというふうに思っております。
 そんなこともあって、今回、この改正案では、キャリアアップの支援とか雇用の安定というものに力を入れていこうということでございます。
○中島委員 それぞれの判断ということもございますし、大臣からもあったように、我が日本においては、そのポジティブな面とネガティブな面、両面を経験してきたのではないかな、そのようにも思います。
 そういう意味で、この労働者派遣法の趣旨、やはりいいところも私はあると思っています。ただ、今もおっしゃったように、内容もそうなんですが、コンセプトというか明確な目的というか、それに非常に欠けているんじゃないかなというふうに思うんです。
 もう一点、ちょっと確認なんですが、何度も答弁の中で、派遣労働は臨時的、一時的な働き方と位置づけることが原則と答弁をされております。本当に基本的なところで恐縮かもしれませんが、そもそも派遣労働という働き方が臨時的、一時的なものと位置づけているのか、それとも臨時的、一時的な仕事に対して派遣労働があるのか。どのような整理をされているのか、お尋ねしたいと思います。
○塩崎国務大臣 今先生御指摘の二つの側面が私はあると思っています。
 企業の中における専門的な知識などを必要とする業務に対応できる人材を、スピーディーに的確にベストな人材を得るということにおいて、企業側としては使い勝手のいい制度でもあるというのが派遣であると思うんですね。
 ですから、企業側のニーズもあって、それから、一方で働く側のニーズというのもありまして、自己の希望する時間、場所で、あるいは自分のどの能力を生かして働くか、いろいろな能力を持っていらっしゃる方がいますからということで、それを可能とする制度でもある、言ってみれば労働力の需要と供給の両方のサイドからのニーズを満たすということがあり得るということで、労働力の需給調整システムの一つとしての役割を果たしてきたとよく言われるわけでありまして、そういうことではないかと思っております。
 ですから、仕事のニーズと働き方のニーズの双方があるということでございます。
○中島委員 需給調整機能ということですが、私は、最も入り口で基本的なところなんですが、ここの概念、この尺度がはっきりしていないから、やはりここを、ウイングを広くというとなんなんですが、先ほど大臣の答弁にもございました、もちろん、正社員になりたいけれどもなれない方々、そういう方々はしっかりとその道筋を立ててあげなければいけないですし、働き方なのか使い方なのかというところは非常に、例えば労働者側からしても、派遣という仕事をどういうふうに理解するかというところの根本が欠ける可能性が私はあると思うんです。
 例えば、常用代替防止と言いますが、先ほどの、どちらなんですかという点からいきますと、臨時的、一時的な仕事に対して派遣労働というものが存在するのであれば、これは常用代替防止になると思います。ただ、働き方としての派遣労働ということになると、常用代替防止する必要が本来あるのかどうか、その観点からいっても相反する部分になるんじゃないかというふうに私は非常に思うんです。
 そういった観点から、やはりここの入り口の部分をしっかりと整理して、派遣労働が、先ほど言ったこれからの日本の供給構造、少子高齢化の中で、先ほど大臣からもございました、育児中の女性の方々、現役は引退をなさったけれどもまだまだ働ける方たち、そして介護をしながら働いていきたい、そういったニーズに応えるメニューの一つだとするためには、こういった入り口の部分をしっかりと私は整理する必要があると思うんです。
 私は、これは個人的なあれかもしれませんが、やはり臨時的、一時的な仕事に対して派遣労働があるのではなくて、一つの働き方として派遣という働き方があるんだ、使い方ではなくて働き方としてあるんだということを明確にするべきだと思いますが、もう一度、大臣、御答弁いただけますか。
○塩崎国務大臣 先生のお気持ちはよくわかりまして、先ほど来言っているように、価値観の多様化というのは、主に働く側の価値観と生活パターンとか生き方とか、これはもう国内に限らず、世界じゅうでいろいろな活動をされる人がふえてきているということでもありますから、そういうことで、働き方の多様性というものに言ってみれば一つの答えを出すのがこの派遣だということになります。
 ただ、一方で、さっき申し上げたように、私も一回派遣をお願いしたことがあって、それはやはり、この仕事について得意な人に来てもらおう、それも、ある一定期間で多分いいだろうというようなときには来てもらいたいと思いますから、企業の側にニーズがあるということも否定はできないというふうに思います。
○中島委員 何度も言うようですが、やはりこの入り口の部分、なぜ私が今それに非常にこだわるかといいますと、先ほどからも出ております、先週の金曜日、公明党さんから修正案というか提案というものが出て、その一ポツのところ、一番最初ですけれども、派遣法の運用に当たっての考慮事項の追加というものがあって、これには、厚生労働大臣が、派遣法の運用に当たって、派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることが原則であるとの派遣法の趣旨を考慮することを規定するというふうに書かれておりました。
 もちろんこれは撤回というか取り下げられたものではございますが、やはり、与党でございます公明党さんからの提示ということで、これはもともと原則ということで法の条文には書かれていない。そして、答弁の中では必ず、臨時的、一時的が原則だということになっておるわけですが、私は、今のような感覚、もちろん我が党としてもそういう概念の中で、もしこれが規定をされるということであると、その入り口の部分が随分変わってきてしまう。
 そもそも、臨時的、一時的ということが原則だとおっしゃるんですが、本当に原則なのか理念なのか、それとも本来規定するべきものなのか。今後、その入り口の部分をどう整理されるのか。公明党さんは取り下げられましたけれども、これは与党さんから出された修正案ということで、最後の最後にこれが通ってしまうようなことですと、我々の議論の入り口が覆されてしまうということになってしまいます。
 その辺について、大臣、御見解をいただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 公明党さんがお出しになったと言われているその提言については、先ほども申し上げましたように、私ども政府側が閣議決定をして出したものに対して、国会での審議に当たって問題点を整理されたものだというふうに理解をしておりますので、そこは、国会が最終的に国権の最高機関として立法をするわけです。
 したがって、先生方が議論をして、先生方がお決めになる。それを、まずはたたき台を我々が閣議決定をもって出しているということでありますので、先生方に大いに議論していただいて、お決めをいただきたいというふうに思います。
○中島委員 これは、さまざまな各党の立ち位置とか考え方によって、きょうも午前中から議論されておりますように、大変我々は戸惑ったわけです。
 そして、きょう議論になっている過半数組合の意見が歯どめになるのか等々、その不明瞭な部分、どっちなんだというところで、我々としてはそういう観点から、やはりこれは一度整理していただきたい。本当に統一したものを議論の土台としてもう一度出し直すべきじゃないかということを、それぞれの観点から言わせていただいておるということは、大臣にもぜひ御理解をしていただきたいというふうに思います。
 現在の日本の雇用人口のうち、派遣労働の占める割合は二・二%。派遣先進国と言ったらいいかどうかわかりませんが、米国においては派遣労働者の割合は五・五%。
 先日の安倍総理の答弁においても、一人一人がそれぞれのライフスタイルや希望に応じ、社会で活躍の場を見出せるよう、柔軟で多様な働き方が可能となることを目指していて、今回の労働者派遣法改正も、その実現に向けた重要な取り組みの一つというふうに明確に答えられております。
 政府も、今後、そのような雇用環境を目指すということを前提に、これもきょう何度か同じ趣旨の質問をされておりますが、この二・二%という数字を、まず政府としてどう認識して、評価しているのか。
 これも何度も何度も質問されておりますけれども、今回の改正によって派遣労働者はふえるのか減るのか。これはさっきからもうずっと聞いておりますが、そもそも冒頭にも言ったように、派遣労働者というものの概念、この法律に制定されているものが何を目指しているのかということが私は明確になっていないんだと思っている観点からいきますと、ふえるのか減るのか、もう一度お答えいただくとともに、そもそもふやそうとしているのか、その辺についてもう一度御見解をいただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 何度も申し上げるように、派遣は、みずから積極的に選択をされている方々もたくさんおられるということでありまして、正社員を希望する方にとっては正社員の道が開けることが大事であり、また待遇の改善、派遣でいこうという人にとっても待遇とか権利が確立をされるということが大事であって、私どもとしては派遣労働者の割合をふやすというようなことを目的としているわけでは決してございませんで、今言ったような、正社員になりたいという方にとってはその道が開かれる、そして……(発言する者あり)
○渡辺委員長 静かにしてください。
○塩崎国務大臣 したがって、派遣でいきたいという方にとっての待遇の改善そして権利の保護ということをやるということであります。
 やはり、派遣労働者数の増減については、何度も申し上げますけれども、いろいろなファクターで決まってまいりますので、それを目的に法改正をしているわけでは決してございませんので、経済情勢によってふえるときもあれば減るときもあるだろうというふうに考えざるを得ないんだろうというふうに思っています。
 いずれにしても、価値観の多様化を反映する働き方というのは多くの方々が望んでいるはずでございますので、その権利をどうやって守りながら新しい制度をつくっていくかということではないかというふうに思います。
○中島委員 肝心なのは、正社員になりたい方については、そうなれるように支援する、そして、派遣という雇用形態で働く方についても、より安定的に働き続けられる道が開かれ、適切な処遇とキャリアアップの機会が得られるようにすることだということで、それぞれの経済状況とかということになるとは思うんですが、先ほど言ったように、かなりウイングが広くて、しかも、やはり改正案、今まで歴史もございますが、そこが明確に、これは何を目指すものなのかというところがはっきりしていないがために、一方では、正社員になりたいけれどもなれない、固定化されてしまう人たちも出てきてしまう。
 本来、労働者派遣法、派遣という仕事自体が全世代型で、例えば、先ほど言ったように、お母さんの介護をしながら働きやすい職をするとか、そういった意味で、これから少子高齢化で労働人口が減っていく中で、まだまだ働ける方々にとって働きやすい職業をという、いい面をもっと強調するべきじゃないかと思うんです。そのために、やはりコンセプトというか意思をはっきりとするべきではないかな。もちろん、先ほど言った、さりとてそういう方々に対してはしっかりとキャリアアップや処遇改善を図らなきゃいけない。そもそもこの労働者派遣法改正案というものが何を目指しているのかということが、私には正直、明瞭にはならないんですね。
 そういう意味からいくと、私も診療所をやって、三階にはショートステイ、介護保険の施設がございます。今、地方において、介護人材というのは大変手薄です。確保するのが大変難しい。実際には、派遣の介護従事者に頼らざるを得ない。そして、我々も半年間ぐらい一緒に仕事をして、大変能力もあるし、技術的にすぐれている、その方々に、どうかうちで正規として働いてくれないか、そういった提供もいたします。
 ただ、なぜ派遣として介護についているかといったら、やはりさまざまな事情の中で、夜勤はできませんとかそういった中で、実際に私が携わっている介護現場では、現実に派遣の介護従事者に頼らなければ人材が確保できない、そういう現状もあるというふうにも思います。
 そして、私も医者でございます。今、派遣の分野においては、医療者、看護師さんは一定基準のもとで認められておりますが、そもそも、大学から各地方の中核病院に行く、これも派遣機能みたいなものなんですよね。二年間で移されて、そしてその後、またどこどこへ移される。これは私、今ちょっと誤解があったらいけないんですが、なかなか医師偏在というのも、医者が足りないところには全く足りない、産婦人科医が足りない、内科医が足りない。
 そういった意味からいっても、もう少し派遣という働き方のコンセプトをしっかりとして、もっと推し進めるのであれば、もちろん、先ほど冒頭にも言ったように、何かを選べば何かリスクがある、そして、今までの派遣法の改正、できたときから、そのポジティブな面、ネガティブな面を経験してきたわけですから、その辺のコンセプトをしっかりと明確にする必要があるのかなと。
 そういう意味では、働き方の多様性、そして、やりがいを持って自分の能力を前面に押し出して、ダイナミックな労働市場ということであれば、私は、政府として、そのような派遣労働者をむしろふやしていくんだ、そして一方では、ネガティブというか、固定化されてしまっている人たちは、そこは違う観点から解決していくんだと明確なコンセプトを示す必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 最終的な数がふえる、ふえないの方向性は、余り意味は重くないのではないかと思っておりまして、むしろ、例えばどういうパターンの場合の派遣が有益で、そしてまた働く人にとってもプラスかというようなことは、先生今御指摘のように、もっと堂々とプラスの面をはっきり打ち出して、そういう形でいくべきだろうと思います。
 早い段階できょう議論があった中で、私がかつて答弁したことを引用されたケースがありましたけれども、あれとて、いろいろな条件を、経済条件とかいろいろなものを一定としたならば正社員はふえる方向だということを言っているだけで、全体として本当の生きた世界でふえるかどうかということには余り大きな意味はないんじゃないかなというふうに思っております。
○中島委員 私は、それぞれの立場があるので、その件についてどうのこうのではないんですが、やはり、こうやって法改正をして、ネガティブと言ってはいけないですが、固定化されてしまっている人たちをどうにかするためのスキルアップとか、一方では、多様な働き方として、日本の経済、そして自己実現の面でもいい面がある。その数がどうなるかというのは、それは社会の経済状況次第だと放ってしまうのではなくて、ある程度の、どういう方向性にこれからの労働市場が進んでいくのかは、政府が出す法案である以上、やはり明確にコンセプトを持つ必要があると私は非常に思います。
 それが、先ほど言った、せっかくいい面もあるにもかかわらず、悪い面が、例えば、社会においても派遣切りという言葉が非常に定着してしまって、ネガティブな面が非常に強調されてしまう。もっといい面をしっかりと、アピールと言うとちょっと変ですが、そのためには、午前中から議論されているように、これはやってみなきゃわからないというのは余りにも私は無責任なような気がしてなりません。
○塩崎国務大臣 最終的な派遣全体の数がふえるかどうかということはやってみないとわからないと言っているので、あるいは置かれた状況によって決まってくるので、ですから、さっきから申し上げているように、経済状況を一定とすればとか、ほかの条件が変わらなければ、今回のいろいろな我々が入れているものでいけば、必ず正社員の方々の数はふえるはずだということを繰り返して申し上げているわけでございます。
○中島委員 そこも午前中から議論になっていて、私は逆の立場でのあれかもしれませんが、いろいろな意味からしても、ちょっと私は納得できないかなというふうにも思います。
 時間もございませんので、これも何度も質問されて、実はきょう、きのうのどたばたの中で質問通告していないので、先週の金曜日に質問予定のことを大臣にお聞きするということになっておりまして、そのような現状の中で、さりとて、多様な働き方が確保されたとしても、そこに賃金や待遇の格差が生じることは決して我が党としても是とはしていない。
 先ほどから、同一価値労働同一待遇ということで、日本の労働市場では越えなければならないハードルがあるということは何度もお答えになっておりますが、私は、この問題は、均等待遇も含めて、さまざまなテクニカルな問題やいろいろな課題があることは十分承知した上で、それがわかっているのであれば、やはり、タイムスケジュールを決めてでも、しっかりとその姿勢を見せていくというのは非常に重要なんじゃないか。
 これも私、医者でもございますし、労働分野がそんなに詳しいわけじゃありません。私なりに考えた、考えたというか、感覚的な問題ではありますが、必要だとこれは安倍総理もはっきりおっしゃっておりますよね。そのような趣旨の発言はされております。ただ、越えなきゃいけないハードルは高いと。では、一体いつそのハードルを越えるんでしょうかということにもなるわけです。
 課題がわかっているのであれば、その課題を克服するための、しっかりと、タイムスケジュール、タイムスパンの中で具体的に取り組んでいく必要があると思いますが、もう一度御答弁いただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 今の均等待遇の原則という考え方でありますけれども、同一労働同一賃金、もう何度も繰り返しますけれども、考え方としてはこれは大変大事であり、ヨーロッパなどではそういうふうになっているわけですが、何度も言いますけれども、なかなか日本の給与体系の中でやることは、非正規の問題以上に、正規の方々がそれをお好みになるのかどうかということについてもなかなか難しいぐらい、職務給の定義というのが難しい。つまり、比較可能なものを同一といったときに難しいものですから。
 ですけれども、やはり、大体似たようなことをやるならば、大体似たような報酬が支払われるべきじゃないかということで、今回は、労働者派遣法の改正案では、派遣先に対して、賃金水準に関する情報提供あるいは教育訓練、福祉、厚生施設の利用に関して、配慮義務を設けるとか、あるいは派遣元に対して、派遣労働者の求めに応じて、均衡待遇確保の際に何を考慮したのかということを、内容の説明を義務づけるということもしているわけで、こういった個々の事情に応じた均衡待遇を推進していくということが、当面、できる限り近い待遇を得られる派遣労働というのを実現するためには必要だというのが、今回、我々が今提案をしているところでございます。
○中島委員 今大臣がおっしゃった、派遣元に対して均衡待遇確保の際に考慮した内容の説明を義務づけることでバランスということだと思うんですけれども、この内容に関しても、では、説明すればそれでいいのか。何となく、今回、努力義務というか配慮義務みたいになっている点が、本当に、先ほど言った、問題意識として同一労働同一賃金を確立しなければいけないとはいいながら、例えば、先ほど井坂議員の中にもございました、非正規三分野と言ったらいいかわかりませんけれども、パートや有期雇用、そこの部分も一応たてつけ上は均等待遇となっているにもかかわらず、その先が実効性がない。
 今回、派遣に関して言えば、もちろん、派遣元、派遣先、労働者、三者になっている間接雇用の中で、そこのバランスというのは大変難しいとは思いますが、そういった中でも、やはりハードルを越えなきゃいけないという意思をしっかりと示す必要がある。この問題意識はみんな共有していると私は思っていますので、今のようなことであれば、なかなか前向きだというふうに我々はちょっと受け取れないなというふうに思います。
 我々も、この問題は、社会、国民の皆さんの関心が大変強いと。もちろん、アジェンダで掲げてある、冒頭に言った内容でございますから、今までもさまざまな団体からヒアリングを受けたりして、前向きな意見が多いわけですが、やはり、きょうのさまざまな議論を聞いていたり、私どもも、そうはいってもここは押さえておきたいという部分からいたしますと、これまた考え直さなきゃいけないなというふうにも、きょうの質疑を聞いていて思いました。まだまだ審議は続くと思いますので、また引き続き審議をさせていただきたいと思います。
 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 まずは、本委員会が委員長職権で立てられたことに強く抗議をしたい、このように思います。
 そもそも、なぜそういうことが起こったのか。もう朝からたくさんの委員の方がおっしゃっておりますけれども、委員会の審議、まだ一分も審議をしていないときに、理事会に、与党である公明党から修正案が出されたからであります。これは撤回されたといいますけれども、なぜあのタイミングで出されたのか、また、なぜ出したのか、全く納得がいきません。
 まして、きょうの質疑をずっと聞いていますと、これはひょっとしたら、修正案がなければ、法案としてちょっとうまくないことがあったのではないかということを考えざるを得ないところがあるわけですね。そうした点で、やはり法案は出し直すべきだ、ちゃんと与党でそこはすり合わせをして、必要な修正を行って出すべきだということを重ねて指摘したい、このように思います。
 それで、きょう理事会はまだ何も決まっていないわけですけれども、七日に総理入り、来週採決をするということで、自民、公明の幹事長らが了解したということが時事通信で既に流れています。全く、断じて認められません。
 きょうここまでの議論だって、全く、大臣がお答えになっていること、法案の中身と本当に合っているんですかと何度も聞かなきゃいけない。整合性がとれていないんですね。そういうものを一つ一つ精査しなければなりません。そのためには、たくさんの時間が必要です。また、参考人、当事者の意見も聞かなければなりません。
 そうした点では、まだそういう議論が話題に上ってくるということは断じて認めることはできません。徹底審議を求めたいと思いますが、委員長、いかがですか。
○渡辺委員長 これは理事会で協議いたします。
○高橋(千)委員 よろしくお願いします。しっかりと理事会で議論させていただきたい、このように思います。
 さて、二十八日の本会議質問で、職業安定法の四十四条、労働者供給事業の禁止、これの例外だった、ここから派遣法が始まっているということで私が質問しました。だからこそ、常用代替の防止や、臨時的、一時的という原則なんだということが、たび重なる規制緩和をされてきたんだけれども、その原則は言われてきたんだということで、認識は同じですかという質問をいたしました。
 そのときに総理は、労働者派遣法が、職業安定法で禁止されている労働者供給事業から分離する形で、常用労働者との代替のおそれが少ない業務に限り制度化されたものとして、制定以来、こうした考え方は維持されている、このように答えております。
 しかし、今回の法案では、業務と期間という二つの制限が取り払われているわけですよね。そうすると、これはもう例外ではなく、派遣という働き方が一般的なものだ、こういう考え方になったのではないでしょうか。大臣に伺います。
○塩崎国務大臣 現行制度は、業務による区分に基づいて、いわゆる専門二十六業務以外の業務に係る労働者派遣については、臨時的、一時的な業務に限るものとし、期間制限を設けてきたというところでございます。
 今回の改正案では、労働政策審議会の建議を受けまして、業務にかかわらず、派遣労働を臨時的、一時的なものと位置づけることを原則として、新たに個人単位の期間制限と事業所単位の期間制限という二つの期間制限を設けることとしておるところでございます。
 このため、派遣は臨時的、一時的なものという考え方は基本的に維持をされているものと考えております。
○高橋(千)委員 基本的に維持をされていると答弁がありました。
 私は、そういうふうに維持されていると答弁し続けているからこそ、矛盾が起きていると思うんですね。
 撤回されたという公明党の修正案は、維持されていると大臣がそう答弁されているにもかかわらず、臨時的かつ一時的なものであることが原則である、この趣旨を二十五条に入れなさいとわざわざ書いているわけなんですね。この二十五条というのは、今回の改正案でさわっていない部分、つまり白表紙の中に出てこないんですよ。それをわざわざ引き合いに出してきて、この原則を入れなさいというふうに修正案として提案をされたということは、やはりそれは原則になっていないからだと与党がわかっている、与党だから一番わかっているということではないでしょうか。
 このことを指摘した上で質問しますが、現行法では、原則一年、最長三年と期間制限がなっています。なぜ、いきなり三年が原則になるんですか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今般の改正法案では、この期間制限につきまして、二十四年の派遣法改正時の附帯決議を踏まえながら、働く人に着目したわかりやすい制度にするということで見直すこととしておるわけでございます。
 今議員御指摘のように、今回、個人単位の期間制限等について三年という形に原則しておるわけでございますけれども、これにつきましては、この議論の、労働政策審議会をしていただく参考として有識者の方の研究会でも御議論いただいた際に、業務の習熟には一定の期間が必要だということ、それから、正社員の方につきましては、二年から五年の周期で部署を異動する方が四割程度、五年以上の周期で異動する方と合わせると、同じ部署で二年以上勤務される方が九割以上ということになること、それから、今委員からも御指摘がありましたけれども、現行制度の最長期間というものが三年ということで、これにそろえることが適当だということで、それを踏まえながら、労働政策審議会の建議において三年ということとされたところでございます。
○高橋(千)委員 わかりやすい制度というのは使用者側にとっての理屈なんですよね。結局、期間制限だとか、業務に対する、二十六業務がまさにそうでしたけれども、それを厳格に守ろうとすれば、自分たちの都合によっては非常に困ることができてくるわけです、付随業務がどうのとか。だから、もっとわかりやすい制度にしてくれ、そういうことを受けた上での見直しじゃありませんか。
 大体、最初は九カ月だったんですよね、期間制限というのは。まさしく臨時的、一時的だったんですよ。それを一年にして、それを最長で三年、しかし三年にするためには手続があったはずなんですね。ところが、それがいきなり今回は原則になってしまう。三年にもなって、それを臨時的な仕事と言いますか。大臣、率直に感想を伺いたいんですけれども。
○塩崎国務大臣 繰り返し申し上げているように、この制度につきましては臨時的、一時的なものだというふうに考えております。
○高橋(千)委員 今すごい単純な質問をしたんです。最大三年働いた人を、それを臨時的な働き方と言うでしょうかと感想を聞きました。
○塩崎国務大臣 三年ということでありますから、決して終身やる仕事ではないということで、これは一時的というふうに思います。
○高橋(千)委員 とても答えになっていないと思うんですね。
 というのは、先ほど部長の答弁を聞かれたと思うんですけれども、なぜこれを三年にしたんですかという質問に対して、審議会の中でいろいろ議論がありました、その理由が、派遣業務の習熟期間、それから、正社員の異動周期が大体三年だと。霞が関もそうかもしれませんよね、大体二年か三年で異動する。だから、これは正社員の当たり前のルールなんですよ。三年もいれば職場になれるでしょうという話でしょう。それを臨時的と言わないんですよ。
 最大の理由が、そもそも最長三年にしちゃっている、そこから円滑な移行をすると。つまり、さっき言ったように、使用者側にとってわかりやすい制度なんですね。今もうとっくにやっちゃっているから現状を追認してくれ、そのままでやってくれということで三年原則になったんじゃないですか。違いますか。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 先ほど御答弁させていただきました二十四年の附帯決議に沿って、労使双方にとってわかりやすい制度とするというような形で御議論もいただいたということで、これにつきましては、委員の御指摘のとおり、派遣会社さんあるいは派遣先の方から、二十六業務以外の業務を行わせていることの指導監督との関係というようなことがあったということも事実でございますけれども、一方で、実際に派遣労働者の方からも、みずからが従事している業務が二十六業務に該当しないではないかというような形で、いつまでこういった派遣先での業務に従事できるかということが不安だというような話も含めて、やはり労使双方にとってわかりやすい制度にしようといった経過があったわけでございます。
 一方で、先ほど申し上げました三年の点について付言させていただきますと、先ほど申し上げました研究会等での御議論を踏まえてということでございますけれども、一方で、今回の期間制限につきましては、大臣からも御答弁ありましたように、個人単位の、臨時的、一時的という働き方に着目した期間制限を設けるということで、その点について申し上げますと、やはり三年程度のものがキャリアの見詰め直しを節目節目で行っていただくということにふさわしいということでも、三年という期間設定をさせていただいたということでございます。
○高橋(千)委員 ですから、そこがそもそも原則とは全く違うものになっているということ。
 最初九カ月だったときは、やはり臨時的な仕事として、そういう仕事として選んでいたかもしれません。だけれども、それが当たり前になっちゃって、延長延長という細切れ雇用が当たり前になっちゃって、むしろ正社員よりも立派な派遣社員がいっぱいいるんですよ。職場で正社員を指導している派遣社員がいっぱいいるんですね。そうなったときに、いきなり、期間制限を守るためには雇いどめせざるを得ませんねと。だから、雇用をちゃんと守らなきゃいけないという議論がされてきたんじゃないですか。そこを、本当に議論が逆さまになっていると指摘をしなければならないと思うんですね。
 それで、厚労省のネット調査、昨年の三月なんですけれども、派遣可能期間の制限を回避するために部署を変更したことがあるかないかという質問に対して、ない方が多いんですけれども、七八・九%。同じ課とかグループ内の異なる係に移っているという方が二一・八%なんですけれども、問題は、異なる部署、異なる係に移っているんだけれども、移った後の仕事の内容は、四九%が同じ仕事だった。つまり、部署がかわっても仕事は同じだということなんですよ。
 それから、期間制限に抵触する日が到来した際の対応としては、直接雇用が五三・五%で、雇用されている方もいらっしゃいます。
 ただ、問題は、三年たって業務自体が終了したというのは八・六%しかないんです。つまり、何が言いたいかというと、仕事はずっとある、期間は関係ない。さっき井坂さんが質問したのもまさにその趣旨だと思いますけれども、ずっと仕事があるのにもかかわらず、無理やり期間を設けて派遣を入れていた、こういう実態というのはまさに常用代替ということになりませんか。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 今委員が御指摘のように、派遣期間、あるいはそれに伴う雇用期間が短い派遣労働者が多いというのも実態であることは事実かと思いますけれども、やはり派遣労働者の雇用の安定等ということを考えますれば、細切れというような形での派遣契約、あるいはそれに伴う雇用期間ということにならないように、私どもとしても指導助言等も行ってまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 全然、何を答えていらっしゃるんでしょうか。
 仕事がずっとある。つまり、三年とかと区切るのではなくて、要するに業務が終わっていない、だから新しい人が必要だ、それで今回、事業所ごとの見直しをするわけでしょう。だから、そういう考え方というのは、仕事がずっとあるけれども、そこにルールを決めて派遣労働者を入れるということは常用代替と違いませんかと指摘しています。
○坂口政府参考人 今回の期間制限につきましては、一つには、派遣労働者の方については、一定の課という単位での派遣期間制限の三年という形で設けております。
 今議員の御指摘の常用代替ということにつきましては、これは派遣先の事業所単位で、派遣先の中で人がかわってもということでありますけれども、あるいは、人がかわって、いろいろな課がかわったとしても、当該事業所におきます期間制限として原則三年ということで、常用代替ということを防止していこうというために設けるということでの期間制限を設定するということでございます。
○高橋(千)委員 ですから、本来は正社員がやるべき仕事を、期限を区切ったりルールを決めて派遣にやらせているということを指摘しているんです。そういう意味ですよ。
○坂口政府参考人 その点につきましては、派遣先の方で過半数組合の意見の聴取もしながらということになりますけれども、延長する場合も含めてでございますが、本来、その仕事について派遣労働という形で受け入れるべきかどうかということについては、常用代替防止等の観点も含めて十分考えていただいた上で、派遣労働の契約を締結されるというものかと思っております。
 いずれにしましても、先ほど申しましたように、そういった派遣労働の受け入れについての常用代替の防止を図るという観点から、今般も引き続き、派遣先事業所における期間制限ということを設けさせていただくというものでございます。
○高橋(千)委員 理念や原則を幾ら言っても、実態がそうだということをお認めにならない。それは実態を追認するための改正だということを何度も指摘しています。
 そこで、今、過半数労働組合のことを答弁になりました。朝からずっと議論しているわけですけれども、そもそも、原則一年を三年に延長する際も過半数労働組合の意見聴取はありますよね。どのようになっていますか。
○坂口政府参考人 ちょっと今手元に資料がございませんけれども、今委員御指摘のように、現在も、業務の区分によって、二十六業務以外のものについては原則一年の派遣期間制限が設けられておりまして、今委員からの御指摘のように、これを最長三年まで過半数組合の意見を聞いた上で延長するということになっております。
○高橋(千)委員 第四十条の二の二項の二に「前号に掲げる場合以外の場合 一年」と書いてあって、その先に、「あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を定めなければならない。」ということで、あらかじめ過半数で組織する労働組合の意見を聞く、そして決定した場合は速やかに説明する、そういう流れになっていると思います。
 それと、今回の三年をさらに延長するときの仕組みは、同じですか、違いますか。
○坂口政府参考人 今回の派遣先事業所での期間制限につきましてでございますけれども、こちらにつきましても、同じ事業所における継続的な派遣労働者の受け入れについては、三年という期間制限を課した上で、三年を超えて派遣労働者を受け入れようとする場合には、過半数労働組合等からの意見聴取を義務づけておるというところでございます。
○高橋(千)委員 同じ仕組みですかと聞いています。あらかじめ、速やかにと現行法には書いておりますが、表現が違うと思いますが。
○坂口政府参考人 失礼いたしました。
 今回の三年の期間制限の延長につきましても、その三年の期間の到来する一カ月前ということで、意見聴取をした上で、その上で延長の手続ということになっております。
 それから、プラス、午前中来お答えしておりますように、そういった過程で反対意見が表明された場合には、現在の意見聴取の規定ではございませんけれども、反対意見が表明された場合には、その理由や対応方針ということを説明するという手続が必要になるということでございます。
○高橋(千)委員 一カ月間の意見聴取期間を置くというふうに書いているんですね。
 そこで、先ほど来の議論なんですが、私は本会議の際に、先ほど大串委員が指摘をしたように、過半数労働組合等、あるいは、ない場合の過半数労働者代表の実態が余りにも、組合もほとんどないし、選ばれているのは親睦会の代表とか、こんなので本当に歯どめになりますかという質問をしたわけです。
 そのときの大臣の答弁は、「意見聴取に際しては、反対意見に対して対応方針を説明すること、意見聴取の記録を事業所内に周知等すること等を派遣先に新たに法的に義務づけることとしており、」とあるんですね。意見聴取に際してはということは、これは当然、延長を決める前という意味だと思いますが、違いますか。
○坂口政府参考人 先ほど御答弁しましたように、延長する前の段階で意見聴取をするということが義務づけられております。
 それで、意見聴取の過程で反対意見が表明された場合には対応方針等を説明するということで、これにつきましては、委員御指摘のとおり、実際、延長するということを意見聴取する過程で、派遣先の方が意思決定をしたということの段階でそういう反対意見が表明された場合には、対応方針ということを説明するということでございます。
○高橋(千)委員 丸めて言っちゃだめなんですね。これはちゃんと段階があるんです。
 さっき言ったように、一カ月間の意見聴取期間に意見聴取を行う。その後で、五項はこうなっていますよね。「派遣可能期間を延長した理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならない。」
 延長した理由、これは延長してから事後承諾、説明だ、そういう意味じゃありませんか。
○坂口政府参考人 今委員の御質問の点につきましてでございますけれども、条文上そのような記載にはなっておりますけれども、延長するという意思決定をしたときに意見聴取を行って反対意見が表明されていた場合には、対応方針等を説明するということでございます。
 したがって、延長する事前の、前の段階ということでございます。
○高橋(千)委員 まず、その対応方針等を説明すること、意見聴取の記録を周知すること、これはまだ法定はしていませんよね。これから政令を改正して行うわけですよね。
 あたかももう決まっているかのように答弁をされていますけれども、まずそこを確認します。
○坂口政府参考人 今委員の御指摘の点は、先ほども御議論のありました改正法案の第四十条の二の第五項でございますが、この中で、派遣先が派遣可能期間を延長したときは速やかにという形で、「派遣可能期間を延長した理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならない。」ということとしておりまして、この「その他の厚生労働省令で定める事項」の中に、実は労働政策審議会の中でも対応方針というようなものを説明しなければならないということを建議でいただいておりますので、具体的には、再度、労政審で確認していただいた上で定めるところでございますけれども、延長した理由のほかに対応方針ということについて説明しなければならないということで御説明を申し上げているところでございます。
○高橋(千)委員 まず、そこは決まったことではないんです。そこを確認した上で、やはり公明党さんが出した案というのは、派遣先が派遣可能期間を延長するに際し労働組合等から意見があった場合の当該労働組合等への理由などの説明を、延長する前に行うことを明確化すること、これはあえてこうやって、延長する前にと書いている。
 こういうことを言わざるを得なかったということじゃないですか、この法案では読めないから。そして、それを先取りした大臣の答弁じゃありませんか。
○坂口政府参考人 お答えをさせていただきます。
 四十条の二の第五項でございますけれども、これにつきましては、委員御指摘のとおり、条文上、「派遣可能期間を延長したときは、」という形で、そのような条文の形になっております。これは他の法令の用例等を勘案してこういう形にしたという形でございまして、労働政策審議会の法案要綱の審議会での議論の過程におきましても、このような要綱での書きぶり、書き方につきまして、この意味合いで、延長をする意思決定をしたときだということで御説明をしたところでございまして、立案当初から、この「延長したときは、」ということについての意味合いというものについては変更しておるわけではございません。
○高橋(千)委員 大臣に伺いますが、私は、それをあえてわかりやすく公明党さんが修正案で、前にと書いてくれたんだと思うんです。それを踏まえた答弁に私は聞こえました。その方がわかりやすくないですか。
○塩崎国務大臣 私が答弁したときには、その公明党の修正案なるものは存在をしておりませんでしたし、私のところにはですね、ですから、そういう意味で言ったことではなくて、今部長が御説明申し上げたことを言ったつもりでございます。
○高橋(千)委員 大臣のところにわざわざ公明党さんの案はこうなっていますという説明をしなくても、答弁を書けばそうなるから、そこはちゃんと踏まえていただきたい。私は、もう修正を踏まえた答弁にしか聞こえません。そのことを強く指摘したいと思います。
 それから、念のため伺いますけれども、先ほど大串委員の議論の中で大臣が答弁したこと、つまり、反対意見があったときに、やはりそれを全く聞かないというのに対しては指導していくんだという答弁をしたんですね。そのとおりだったら、私はいいことだと思うんです。でも、どう考えてもそうは読めません。そうは読めないんです、別にこれは反対意見があったってそのままでいいということになっているわけですからね。それはもう明確に答弁がミスではないのか。
○塩崎国務大臣 繰り返し答弁を申し上げますけれども、私が申し上げたのは、指導及び助言がどういうときにできるのかということを申し上げているので、労働者派遣事業の適正な運営というものをちゃんとやっているかどうかという観点から、もし、意見聴取をしたときに反対一色であったにもかかわらず、それを全く意に介さないというようなことであれば、これは今回提案をしているプロセスをちゃんと踏んでいないということになるので、そこまでいけばやはりさすがに、これは適正な運営に反するということで指導に出るのではないのかということを申し上げたところであります。
○高橋(千)委員 それは、ごめんなさい、私、さっきから場外発言をしていて失礼しましたけれども、条文の中に反対意見を踏まえるということが書いてあれば、それは、言うことを聞いていないじゃないか、全然踏まえていないじゃないかということで指導ができるんです。つまり、派遣先は法律違反をしていないんですよ。法律違反をしていないのに、なぜ指導ができるんですか。そこがちゃんとわからないとだめなんです。
 これは実は、大臣、さっき過半数労働組合の問題も指摘されたときに、実態を知ったときに、今は実態は非常に問題がある、しかし、それはこれから政令にちゃんと書いて正していけばいいと、大串さんが何度指摘しても、全くかみ合わない答弁をしておりました。
 これは実は、二〇一三年八月二十日の分科会で、使用者側が意見を言っているんですね。つまり、研究会の報告書が出た日です、この日は。そのときに、労使の新しい委員会をなぜつくるんだということを指摘しているんです。反対があれば一定期間受け入れられないというふうな案があった、それに対して、それは余りにも厳し過ぎるじゃないかという議論をしているんですね。これは、結局、取っちゃったでしょう。
 それで、条文を読むと、労働組合があればと書いてある。つまり、既存の組合でいいということになったんです。幾ら大臣がいろいろ言ったって、突然、労働者の側に立つ組合ができるはずもないし、過半数代表ができるはずもないのです。そういう規定は一切考慮されていなかったんです。違いますか。部長でいいです。
○坂口政府参考人 今委員御指摘の、審議会の分科会冒頭のということでございますけれども、ちょっと日にちはわかりませんけれども、委員御指摘のように、確かに、先ほども引用させていただきました有識者の方の研究会の中で、そういった労使での委員会ということでの協議の形をとってもいいんじゃないかというような、一つの案としての案が提示されていたのは事実かと思います。
 それで、委員御指摘のとおりでございますけれども、その研究会報告については審議会の御議論の参考とされた上で、審議会においては、最終的に、今般の労政審の建議のような形で御提言をいただいたということで承知をしております。
○高橋(千)委員 一言言って終わります。
 ですから、何の歯どめにもならないというのが実態であります。今やられている過半数労働組合と代表に対する意見聴取では、ほとんど意見が出ていないというのが八割です。それで、受け入れてはならないという意見が出たのは一・二%とか〇・数%、そういう実態であります。何の歯どめにもならないと改めて指摘をして、引き続き審議をするべきだということを訴えて終わりたいと思います。
○渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十一分散会