第187回国会 憲法審査会 第1号
本国会召集日(平成二十六年九月二十九日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。
   会長 保利 耕輔君 
   幹事 中谷  元君 幹事 平井たくや君
   幹事 船田  元君 幹事 武正 公一君
   幹事 馬場 伸幸君 幹事 北側 一雄君
      石原 伸晃君    泉原 保二君
      上杉 光弘君    江崎 鐵磨君
      衛藤征士郎君    熊田 裕通君
      河野 太郎君    佐藤  勉君
      櫻田 義孝君    新藤 義孝君
      鈴木 馨祐君    田中 和徳君
      田村 憲久君    高木 宏壽君
      橘 慶一郎君    棚橋 泰文君
      土屋 正忠君    根本  匠君
      野田  毅君    鳩山 邦夫君
      平口  洋君    福井  照君
      古屋 圭司君    牧原 秀樹君
      保岡 興治君    山下 貴司君
      若宮 健嗣君    長島 昭久君
      長妻  昭君    古本伸一郎君
      松本 剛明君    山井 和則君
      伊東 信久君    柿沢 未途君
      畠中 光成君    三木 圭恵君
      斉藤 鉄夫君    浜地 雅一君
      桜内 文城君    西野 弘一君
      三谷 英弘君    笠井  亮君
      鈴木 克昌君
平成二十六年十月十六日(木曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   会長 保利 耕輔君
   幹事 中谷  元君 幹事 根本  匠君
   幹事 平井たくや君 幹事 船田  元君
   幹事 古屋 圭司君 幹事 保岡 興治君
   幹事 武正 公一君 幹事 馬場 伸幸君
   幹事 北側 一雄君
      青山 周平君    石原 伸晃君
      泉原 保二君    岩田 和親君
      江崎 鐵磨君    衛藤征士郎君
      熊田 裕通君    小松  裕君
      河野 太郎君    櫻田 義孝君
      新藤 義孝君    鈴木 馨祐君
      田野瀬太道君    田村 憲久君
      高木 宏壽君    橘 慶一郎君
      棚橋 泰文君    土屋 正忠君
      土井  亨君    中山 展宏君
      鳩山 邦夫君    平口  洋君
      牧原 秀樹君    山下 貴司君
      若宮 健嗣君    長島 昭久君
      長妻  昭君    古本伸一郎君
      松本 剛明君    伊東 信久君
      柿沢 未途君    畠中 光成君
      三木 圭恵君    斉藤 鉄夫君
      浜地 雅一君    桜内 文城君
      西野 弘一君    三谷 英弘君
      笠井  亮君    鈴木 克昌君
    …………………………………
   衆議院憲法審査会事務局長 阿部 優子君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月十六日
 辞任         補欠選任
  石原 伸晃君     田野瀬太道君
  衛藤征士郎君     青山 周平君
  熊田 裕通君     小松  裕君
  田中 和徳君     中山 展宏君
  棚橋 泰文君     土井  亨君
  福井  照君     岩田 和親君 
同日
 辞任         補欠選任
  青山 周平君     衛藤征士郎君
  岩田 和親君     福井  照君
  小松  裕君     熊田 裕通君
  田野瀬太道君     石原 伸晃君
  土井  亨君     棚橋 泰文君
  中山 展宏君     田中 和徳君
同日
 幹事伊藤達也君九月九日委員辞任につき、その補欠として古屋圭司君が幹事に当選した。
同日
 幹事齋藤健君及び平沢勝栄君九月二十六日委員辞任につき、その補欠として根本匠君及び保岡興治君が幹事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 幹事の補欠選任
 委員派遣承認申請に関する件
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団の調査の概要)
     ――――◇―――――
○保利会長 これより会議を開きます。
 幹事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴いまして、現在幹事が三名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、会長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○保利会長 御異議なしと認めます。
 それでは、幹事に
      根本  匠君    古屋 圭司君
      保岡 興治君
を指名いたします。
     ――――◇―――――
○保利会長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のため、来る十一月十七日月曜日、岩手県に委員を派遣いたしたいと存じます。
 つきましては、議長に対し、委員派遣の承認を申請いたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○保利会長 起立多数。よって、そのように決しました。
 なお、派遣委員の人選等につきましては、会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○保利会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
○保利会長 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。
 この際、衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団を代表いたしまして、御報告を申し上げます。
 私どもは、去る七月十六日から二十六日まで、ギリシャ、ポルトガル及びスペインの憲法及び国民投票制度について調査をしてまいりました。
 この調査団は、本審査会のメンバーをもって構成されたものでありますので、この際、団長を務めさせていただきました私から、まず、概要についてごく簡単に御報告し、その後、副団長を務めていただきました武正公一君から調査の具体的な内容について御報告いただき、委員各位の御参考に供したいと存じます。
 議員団の構成は、本審査会の会長である私を団長に、会長代理である民主党の武正公一君を副団長とし、自由民主党からは船田元君及び中谷元君、維新の党からは馬場伸幸君、公明党からは斉藤鉄夫君、日本共産党からは笠井亮君がそれぞれ参加され、合計七名の議員をもって構成されました。
 なお、この議員団には、衆議院憲法審査会事務局、衆議院法制局及び国立国会図書館の職員が同行いたしました。
 具体的な訪問地としては、ギリシャではアテネ、ポルトガルではリスボン、スペインではマドリードをそれぞれ訪問し、多忙な日程ではございましたが、それぞれの国において、過去の憲法改正の内容と経緯、憲法裁判所等における違憲立法審査権行使の実態、財政規律条項や環境権条項を憲法に規定することの意義、国民投票制度と間接民主制の関係など、各国の憲法や国民投票制度について、大変充実した調査を行うことができたと思っております。
 振り返りますと、本当に駆け足で回ってきた調査でありましたが、私は、この議員団に本審査会の多くの会派から御参加いただきましたことを感謝するとともに、その真摯な調査への取り組みに敬意の念を表したいと存じます。
 そして、政治的立場、評価は別として、欧州各国における憲法や国民投票制度の実情について、派遣議員の先生方の間で共通の認識を持つことができたのではないかと思っております。この共通認識をここで委員各位とともに共有しながら、今後の本審査会における憲法論議がより充実したものとなることを願っております。
 最後になりましたが、今回の派遣に御協力をいただきました各位に心から感謝を申し上げ、私の報告とさせていただきます。
 なお、お手元に衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団報告書が配付されていると存じますが、大変に事務当局に御苦労をかけたことを、会長として感謝申し上げたいと思います。
 調査の具体的な内容については、引き続き、副団長の武正公一君から御報告をお願いいたします。武正公一君。
○武正委員 おはようございます。副団長を務めました武正公一でございます。
 御報告をさせていただきたいと思います。今回の欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団の御報告でございます。
 各国における具体的な内容については、訪問した順番に従いまして、その概要を報告させていただきます。
 まず、最初の訪問地であるギリシャのアテネでは、ミツォタキス行政改革大臣やアテネ大学法学部のツァキラキス教授のほか、最高行政裁判所ではシャープ長官代行を初め裁判官の方々と、教育・宗務省ではキリアジス次官など、さまざまな方とお会いし、御説明を受けるとともに、意見交換をいたしました。
 以下、その概要について御報告をいたします。
 まず、憲法改正については、ギリシャでは、総選挙を間に挟んで、二つの会期にわたる手続が必要とされ、さらに、一度改正されると五年間は改正できないこととされているが、このことは、憲法改正が非常に重いものであることをあらわしているとの説明がありました。
 また、今後の憲法改正の見通しについては、経済危機が非常に厳しいものとなっているなど、憲法改正に関する合意が簡単に形成されるような政治状況ではないとの認識が示された一方、このような状況で憲法改正の議論を重ねることは、異なる意見を持つ政党間で協力が生まれることも期待されるとのお話を伺いました。もっとも、憲法改正について基本的な合意が得られず、前回二〇〇八年の改正のように本質的ではない小さな変更をするだけでは意味がないと考えているとの指摘もありました。
 次に、憲法解釈の変更について、ギリシャ憲法には解釈規定があり、これを変更する際にも解釈規定以外の憲法の条文改正と同じ難しい手続が当然に必要となることから、憲法改正の手続を経ることなく、憲法の解釈だけを変えることで憲法を本質的に変えるということは難しいとの説明がありました。
 第三に、財政規律条項については、二〇一三年のEUの財政協定を受けて、憲法レベルではないが、国内法の整備は進んでいるとの説明がありました。その上で、財政規律条項を憲法に導入することは、余りにも国家主権を縛り過ぎるものであり、適当でないとの意見も述べられました。
 第四に、環境権条項については、環境問題は、開発と環境保護のバランスなど、非常に繊細なものを含んでおり、特に国民の賛成をしっかり得ることが必要と考えているとの意見を伺いました。
 第五に、緊急事態条項については、大規模な災害が起きて、通常のように国会で法案審議を行っている時間がない場合に備えたものであるが、欧州の債務危機が発生して以降この四、五年は、本来の緊急事態ではないにもかかわらず、時間がないからという理由でこの緊急事態条項が何十回も使われており、民主主義の観点から問題であると考えているとのお話を伺いました。
 第六に、憲法裁判所については、欧州には欧州裁判所と欧州人権裁判所の二つの裁判所が実質的にEU単位での憲法判断をする裁判所として機能しているので、国内に憲法裁判所をつくったとしても余り大きな影響を持たないと思われるとの御意見も伺いました。
 第七に、国民投票については、現行憲法になってから四十年間実施されたことはないが、その理由の一つは、国民投票においては、イエスかノーかという簡略化した問いでなければならないため、物事の本質を問うという意味では非常に使いにくいということがあるのではないかとの御意見を伺いました。
 最後に、歴史教育、憲法教育については、歴史教育と憲法教育は密接にかかわっており、憲法を教える際には、なぜこのような憲法がつくられたのか、さかのぼって理由を教えることが憲法を理解するために不可欠であること、また、歴史を教える際には、多角的、客観的に教えることに留意していることなどの説明を受けました。
 次の訪問地であるポルトガルのリスボンでは、ジョゼ・ゴメス・フェレイラ高等学校ではエスペランサ校長、パイス教育・科学省調整官、国会では社会民主党のアブレウ・アモリン議員、社会党のラカオン議員とお会いするとともに、マティアス大統領法律顧問、アマラル憲法裁判所副長官、テイシェイラ・ダ・クルス法務大臣、カトリック大学法学部のメデイロス教授、リスボン大学法学部のゴメス助教授を初め、さまざまな方々からお話を伺い、意見交換をいたしました。
 以下、その概要について御報告をいたします。
 まず、憲法改正手続については、ポルトガル憲法は、原則として直近の改正から五年を経過しないと改正できないこととされているが、特に見直しが必要な場合、議会の五分の四の賛成があれば、五年未満でも例外的に改正できる仕組みとなっていること、憲法は安定したものである必要があり、この五分の四は重要な役割を果たしていること、憲法改正そのものには議会の三分の二の賛成が必要とされており、このことにより、憲法改正をするためには与野党が協議して最終的な結論に至る必要があることなどの御説明を伺いました。
 次に、財政規律条項については、憲法に規定すべきだという意見が強いが、一方で、規定した場合には、何か突発的な問題が起こったりして、それを守ることができなくなった場合にどうするのかという問題もある、一般的に言って、細かいことまで憲法に規定した場合、それを実行できなくなったときにどうするのかという問題もあるので、慎重に考える必要があるとの御意見を伺いました。
 第三に、環境権条項については、憲法は国民を団結させるものでなければならないと考えており、環境問題もそのような国家の理念の一つということであれば、憲法に規定することは有意義であるとの御意見を伺いました。また、ポルトガル憲法六十六条の環境権条項だけでは絵に描いた餅であり、民衆訴訟を認める五十二条が追加されて初めて実効性のあるものとなったとの御説明を受けた後、具体的に、環境に関する規定を憲法に設ける際の留意点として、権利という形ではなく、むしろ、義務、責務という形にすべきとの御意見を伺いました。
 第四に、ポルトガルでは司法権が行政権、立法権との関係で強過ぎないかという点については、憲法では分権システムが採用されており、全体の調和がとれて、市民の権利が守られること、法廷での結論が政府の考え方に反することもあるが、それこそが重要であり、司法は政治によって左右されることがあってはならないとのお話を伺いました。
 第五に、憲法裁判所の裁判官の政治的中立性については、裁判官十三名のうち十名は国会が任命することとされているが、その任命に当たっては、国会の三分の二の賛成が必要であり、与党が自由に任命を行うなどということはないとの御説明を伺いました。また、裁判官は政治にかかわることは禁止されているし、政治色を持ち込むこともしないとのお話を伺いました。
 第六に、国民投票については、国民の意見は基本的に国会で代表されており、憲法改正、国家予算等の重要な問題については国民投票にかけることにはなっていないこと、さらに、国民投票の結果が拘束力を持つためには五〇%を超える投票率が必要だが、五〇%以下の場合でも、国民投票の結果自体は無効ではなく、実際、妊娠中絶の合法化の可否について問われた国民投票の結果は、拘束力を持つものではなかったが、合法化に賛成する意見が多かったことから、国会において立法措置がなされたとの説明がありました。
 第七に、歴史教育、憲法教育については、現在、ポルトガルでは、政治の仕組み、法律、憲法などは歴史の時間に教えられていること、歴史を振り返ってみると非常にネガティブな時代もあれば栄光の時代もあるが、客観的に正しい知識を伝えるようにしていること、全体的な政治に関することは教えるべきであるが、憲法四十三条の趣旨から、例えば特定の政党の立場に偏ったような偏向教育は行ってはならないことなどの説明を伺いました。また、政治教育に関連して、十八歳から選挙権が認められていることで、クラス内に選挙権がある人とない人が混在するが、特段の問題は起こっていないこと、生徒は生徒会の選挙などを通じて、市民としてどう振る舞うべきかを学んでいくことなどのお話もありました。
 最後に、ポルトガル憲法は、一九七四年に革命が起きて、それまでの独裁政権が倒されて新しい民主政治に移行したときに制定されたものであること、その際、独裁政治の記憶が強烈で、さまざまな権利を守らなければならないということで、この憲法には三百条近い詳細な内容が盛り込まれることとなったことなどの御説明がありました。
 また、一九七六年憲法が、当初、民主主義的で社会福祉を重視する法治国家と社会主義への移行期にある国家という、いわば二つの頭を持つ憲法であったことについて、一九七四年の革命は本来の意味での革命ではなく、弱体化した独裁政権がいわば自然消滅したものであったこと、そこで政治的空白が生じたが、その際、唯一の組織化された政党が共産党であり、当時の指導者がスターリンとも非常に近い関係にあって、この機会を利用して左傾化を図ったものであり、その後、一九八九年の改正の際に社会主義的な条文が削除されたことなどのお話がありましたが、大変興味深く伺いました。
 最後の訪問地のスペインのマドリードでは、首相府政治・憲法研究センターでサンチェス副センター長と、下院議会ではポサーダ議長、ジャネ第四副議長、サンチェス憲法委員会第二副委員長ほか、関係者の方からお話を伺うとともに、サラゴサ大学のティラード教授や、憲法裁判所のペレス・デ・ロス・コボス長官ほか憲法裁判所の方からも御意見を伺い、意見交換をしました。
 以下、その概要について御報告をいたします。
 まず、憲法の制定過程については、一九七八年の制定当時は、内戦の記憶が人々の中に残っており、多くの政党間で合意に達しなければまた過去の内戦のような状態になってしまうとの危機感が共有されていたため、そのような認識のもと、多くの政党の合意を得て、さまざまな考え方を内包する現在のすばらしい憲法が制定されたとのお話がありました。さらに、そのような制定経緯から、憲法を改正することは難しく恐ろしいことと考えられ、憲法改正はタブーであるとの意見すらあるとのことでした。
 また、非常にバランスをとってできた憲法であるために、そのバランスが少しでも崩れたら、その憲法がまた崩れてしまうかもしれないとの危惧があり、基本的ルールを改正するには大きな合意が必要とされているとの御説明を伺いました。
 次に、憲法裁判所については、ヨーロッパの場合、裁判官がナチスの法律やファシストの法律を許容、適用するなど、伝統的に裁判官が権力に従い過ぎる傾向があったため、そのような裁判官がきちんと法の適用をしてくれるのかという疑念があり、従来の裁判所とは別に、憲法裁判所が設けられることとなったとの御説明がありました。さらに、憲法裁判所は政治的な課題に対して判断を下さなければならないが、一般に憲法裁判所の判決は尊重されているとのことでした。
 第三に、財政規律条項については、二〇一一年に財政規律条項を導入するための憲法改正が行われたが、当時は深刻な経済危機であり、スペインは大丈夫であるというメッセージを市場に対して送る必要があった、そのような認識が二大政党の間でも共有され、非常に迅速に改正が行われることとなったとの御説明を伺いました。
 最後に、国民投票については、スペインでは国民投票ができる場合は厳しく制限されていること、これには、フランコ独裁時代、しばしば国民投票が独裁を正当化する手段として利用されてしまったという歴史的な経緯が背景にあるとの御説明を伺いました。
 調査の内容は以上でございますが、私が今回の調査で印象に残ったことを最後に述べさせていただきます。
 ギリシャのツァキラキス教授からは、憲法の規律密度については、ギリシャ憲法は非常に詳細なものであるが、その点に関し、憲法の単語数の多い国ほど経済的な発展に問題を抱えているとの研究がある旨紹介され、憲法に余り多くのものを詰め込んでしまうと国民や国会議員の動きを阻害することにつながるため、憲法は簡潔なものの方がよいとの意見を伺いました。
 一方、各国憲法にオンブズマン、ストライキ権や、裁判権が付与された会計検査院などが位置づけられていることには目を引かれました。
 また、昨年十一月の当審査会での海外派遣報告では、チェコ上院憲法・法律委員会副委員長から会合の最後に、憲法改正のない日本はうらやましいと挨拶があったことを紹介しましたが、今回の南欧三カ国は、七〇年代まで独裁政権が続いていただけに、その後つくられた各国憲法については実は改正に慎重でありました。そのことは日本では余り知られていないことですが、各国の例を参考にするときは、各国憲法それぞれの成り立ち、生い立ち、歴史経緯を踏まえる必要があるとも感じました。
 私からの報告は以上でございますが、その足らざるところは、後ほどの、調査に参加した委員の皆さんからの御発言で補充していただければと存じます。
 最後に、今回の調査に当たり、種々御協力をいただきました各位に心から感謝を申し上げますとともに、大変充実した調査ができましたことに、私からも心からお礼を申し上げます。
 以上、簡単でございますが、このたびの海外調査の内容を御報告させていただきました。
 ありがとうございました。
○保利会長 以上、このたびの海外調査の概要を御報告させていただきました。
 引き続きまして、調査に参加された委員から海外派遣報告に関連しての御発言をそれぞれ七分以内でお願いいたします。
 発言時間の経過については、終了時間一分前及び終了時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。
 それでは、まず、船田元君。
○船田委員 自由民主党の船田元でございます。
 保利団長そして武正副団長の先ほどの御報告に尽きるところでございますが、若干補足あるいは意見を申し述べたいと思います。
 憲法調査会以来、ヨーロッパで調査をしていなかった二カ国、ギリシャとポルトガルでありますが、それに加えてスペイン、この三カ国の調査を行いました。
 いずれも共通することは、一九七〇年代半ばまで独裁政権が続きまして、相次いで民主政権に移行したという共通点があるのでございます。各国とも、民主政権を具現化するための憲法を大切にする国柄であるということを感じた次第でございます。
 以下、テーマごとに感想を少し述べたいと思います。
 国民投票制度、これは三カ国においてそれぞれ規定をしているわけでございますが、憲法改正に伴う国民投票を要件にはしておりません。これはやはり、憲法改正については専ら国民の代表である国会が慎重に審議をしている、こういった経緯があるものと感じております。
 国政の重要課題については国民投票制度があり、そして、幾つかの国では実施をしておりますけれども、独裁時代に多用された苦い経験がありますので、国民投票を抑制的に使っている、こういう感想を持った次第でございます。
 次に、環境権の問題ですが、三カ国とも一九七〇年代半ばの制定でございますので、既にその際には環境権あるいは環境問題、こういった概念が定着しつつある時代背景があって、そのことにより、ごく自然な形で環境権が導入されたのではないかな、このように認識をいたしました。
 特に、ギリシャとポルトガルにおきましては、環境権と開発とのバランスの問題、あるいは、環境権には環境訴訟を伴うものでなければいけないとか、権利と義務のバランスをきちんと決めなければいけない、そういうことを印象として持ちました。
 次に、緊急事態でございますが、ヨーロッパの他の国々と同様に、三カ国においても、それぞれ緊急事態の規定はしております。
 三カ国では、特に緊急事態の種類、これは自然災害、テロ、他国からの侵害、それから内乱、こういったものにおいて、それぞれ区分して規定されているというのが非常に印象的でございました。また、緊急事態の際には、国会の特例ばかりではなくて、基本的人権の尊重を最大限に守りつつも国民の権利の一部を制限する規定があることを、大変興味深く拝見いたしたわけでございます。
 最後に、財政規律条項の問題であります。
 三カ国とも、財政危機に近年直面をしておりまして、EUからは憲法あるいは法律にこの財政規律を入れることを促されていた、共通の部分がございました。その中で、スペインはいち早く財政条項を入れたわけでありますが、他の二カ国では、憲法の規定によって政府が縛られたくないとの思いが強いということで、財政規律条項が入れられていないということも知りました。同じ問題でありながら、あるいは同じ状況でありながら、やはり国によって対応が変わっている、違っているということは大変興味深いものでございました。
 このような調査をした結果として、今後の我々の憲法論議につきましても、ちょっとお話をしたいと思います。
 三カ国とも、改正手続はかなり厳しいのでありますが、その中でも複数回、それぞれ改正をされております。我々としても、今から将来に向けての我が国の姿に合致するように、ハードルを乗り越えて改正をすることの重要性を改めて感じた次第でございます。
 また、これから先の憲法改正におきましては、徐々にテーマを絞っていく必要があろうと考えておりますが、例えば、今回の派遣調査で関心事項となりました環境権、あるいは緊急事態、財政規律の問題などから取り上げていくのが望ましいのではないか。もちろん、これは各党との協議の上ででありますけれども、そういう方向から進めていくのが妥当ではないのかな、このような印象を持った次第でございます。
 以上であります。
○保利会長 次に、中谷元君。
○中谷(元)委員 自由民主党の中谷元です。
 今回の視察を踏まえ、ポルトガルの憲法改正、憲法裁判所、国民投票制度について意見を述べます。
 ポルトガルの憲法は、一九七四年、昭和四十九年四月、政府の植民地維持のための戦争への反発からカーネーション革命が起こって、サラザール独裁体制が倒れ、革命の二年後、一九七六年四月に制定されました。このため、ポルトガル憲法には、個人の尊厳と国民の意思に基づく自由、公正かつ連帯的な社会建設に努める民主的法治国家が根幹となっていますが、国旗、国歌、ポルトガル語も基本原則として定められています。
 これまで七回改正が行われましたが、直近の改正から五年を経過した後に行われる定期的な改正と、五年を経過せずに改正を行う特別な改正に分類され、過去七回の改正には、憲法裁判所の設置、国民投票制度の導入、国際刑事裁判所の創設を目的とするローマ条約への批准に備えるものがありました。
 次に、ポルトガルの憲法裁判所について述べます。
 ここは、法規範を審査する抽象的審査と、個別的な事案の違憲か合憲かを審査する具体的審査の、大きく二つの権限を有しています。
 抽象的審査には、法律制定前の事前審査と、法律公布後の事後審査、及び為政者が必要な法的措置をとっているか否かを判断する不作為審査の三種類がありますが、具体的審査については、一般の裁判所も憲法判断をする権限を有しており、実際に、下級審で訴えが起こされ、提訴者がその判断に不服であれば上訴することができる仕組みになっており、最後には憲法裁判所の判断を仰ぐことも可能となっております。
 このように、ポルトガルの憲法裁判所は、憲法上独立した機関と裁判組織の筆頭でもあるという二重性を有しており、幅が広い憲法審査権限を持ったものとなっていますが、国家の意思決定における行政、立法とのバランス、司法の独立について留意する必要があると感じました。
 法務大臣に面会した際、政府が行政責任において提出した国家予算のうち、年金や失業手当などの社会保障費を削減する部分を憲法裁判所が違憲と判断したり、政府が締結した条約を憲法裁判所が違憲とするようなことがあれば、行政府がその責任を果たすことができないのではないかと質問しました。
 法務大臣からは、憲法裁判所は行政府の施策の実施を差しとめることができず、一般の裁判所だけが差しとめ可能である、憲法裁判所は規範について判決を下すのであって、行政そのものには権限がない、年金制度について違憲判決をしましたが、行政、政府は、違憲判決に従うのは当然で、その枠内でほかの方法を考えることになると説明を受けました。
 そして、憲法裁判所の正統性については、十三人の裁判官のうち十名は、政府、行政府でなく、議会によって任命をされます。この任命には議会の三分の二が必要で、ポルトガルの選挙制度は比例代表制を採用しておりまして、大量の議員が一党から出るということは非常に起こりにくいため、与党がコントロールできる可能性はゼロに近いと言っていました。
 現在、六つの政党が存在し、議会の構成は、やや右寄りの政党、やや左寄りの政党が拮抗しており、憲法改正も与野党が協議しないとできない仕組みとなっております。
 次に、国民投票制度ですが、ポルトガルの国民投票は、議会、政府または七万五千人以上の市民による発議で可能になっております。そして、ポルトガルでは、憲法改正、国家予算、税制については国民投票を行ってはいけないこととなっております。
 我が国と異なって、ポルトガルでは国民投票が憲法改正の要件となっていませんが、この理由については、革命前の一九三三年に、当時の政府が、憲法を制定するために、体制の都合のよい形で国民投票を利用したという歴史的な経緯があったこと、また、国家の重大な問題が国民投票により大衆迎合化することを避けるためであるという説明がありました。
 憲法改正の発議は五年ごとに行うことができるようになっておりまして、自由に何回も改正できないようにしています。ただし、緊急の場合には五分の四の賛成で発議できるようになっておりますが、改正には議員の三分の二以上の賛成が必要でございます。しかし、国民投票は不要ということでございました。
 調査団は、教育現場のフェレイラ高校を訪問しました。
 憲法、投票権についてどのような教育がされているのかが関心事でしたが、ポルトガルは、財政的な理由により、ベンフィカという集合体を設置し、幼稚園から高校まで一貫して同じ学校で教育されています。
 この教育集団は、全体で二千八百人、高校に千二百人が通っています。教師は二百四十二人いて、就職組、進学組に分かれて、進路指導もしていますが、十八歳から国民投票権が付与されているので、憲法問題についてどのような教育をしているのか尋ねたところ、市民育成のための講義を行っているということでした。
 どのように教えているのか伺うと、教師や部外講師は物を言うときには十分気をつけており、学校はみんなのものであり、偏った思想教育のようなものはやってはいけない、指導陣は偏ったことは言わないようにしているということでした。
 中等教育の最後の学年は、十八歳になって投票権がある者とない者が混在している、特に問題になっていないということでした。
 また、ベンフィカではポルトガル語教育に非常に重点を置いていますが、これは、ポルトガル語を正確に理解することができなければ、ほかの科目を理解できないからということで、団長から、テレビの影響で言葉が乱れることはないかと聞きましたら、ツイッターや携帯で単語を省略して特殊な言い方をする児童もある、教師としては、自分の言葉で話してもいいが、正式な文章を書くときはそのような表現をしてはならないと教えると言っていました。
 最後に、視察の中で、保利団長の憲法に対する考え方を伺うことができました。
 憲法は、その国の歴史を背負っているものだ。日本では、明治維新という大きな改革があったが、それ以前には憲法がなかった。国の近代化を図るには、外国と交渉し、通商交渉、法の秩序の整備が必要である。そのために、日本の独自の憲法が一八八九年にできた。戦後は、民主主義、人権、自由を規定した新しい憲法ができたが、一九四七年に施行されて以来、今まで一文字も変わることなく続いている。国民はいろいろな意見があるが、ポルトガル憲法には、国旗、国歌、ポルトガル語が規定されている。日本の憲法のあり方をこの憲法審査会で議論をしていくということは、審査会長として、自分の大変重要な仕事である。
 こういう御意見が出されました。
 私もまさに同感でありまして、今後、この審査会を通じまして、日本の憲法のあり方について、委員の皆様方と大いにポルトガルの憲法を参考に議論をしていくことを痛感させていただきました。
 以上で私からの視察報告とさせていただきます。
 御清聴どうもありがとうございました。
○保利会長 次に、馬場伸幸君。
○馬場委員 維新の党の馬場伸幸です。
 このたび、調査議員団の一員として、ギリシャ、ポルトガル、スペインの三カ国を訪問する機会に恵まれ、大変意義深い調査に参加することができました。保利会長、武正会長代理を初め、この調査に参加された議員の方々、そしてこの調査を支えてくださった全ての皆様に対して、心から感謝を申し上げたいと思います。
 私からは、現地でのやりとりを通じて感じたことを御報告させていただきます。
 まず、憲法改正のあり方についてです。
 最初の訪問国であるギリシャでは、ミツォタキス行政改革大臣に憲法改正の進め方についての意見を求めたところ、大臣から、ギリシャでは、政治経済情勢が厳しい現況にあるため、異なる意見を持つ政党とも、憲法改正の議論を重ねることで、かえって協力関係が生まれるのではないかとの回答がありました。
 我が党は、先月綱領を発表いたしましたが、そこでは、統治機構改革によって我が国の形を変えることを唱え、我が国が抱える閉塞感から脱却し、将来を切り開くためには、より効率的で自律分散型の統治機構を確立することが急務であるとしています。
 このような統治機構改革を実現するためには、国の役割を外交、安全保障、マクロ経済政策等に集中して、これらの機能を強化するとともに、広域地方政府として道州制を導入するといった、国と地方の関係、役割の抜本的な見直しが必要であると考えていますが、そのためには憲法の改正が欠かせません。
 我が国の憲法論議は、長らく、左右のイデオロギー対立に基づく神学論争を繰り返し、実益のある議論がなされてきませんでした。このような不毛な議論は、我が国に漂う閉塞感を生み出した要因の一つとなっているのではないでしょうか。我が党は、保守・バーサス・リベラルを超えた政治を目標としておりますが、これは、諸政策を、イデオロギーではなく、国益と国民本位に合理的に判断することにより可能となります。
 まして、経済のグローバル化と大競争時代の荒波の中で、新陳代謝がおくれ、国力が停滞、弱体化している我が国は、改革が急務となっている現下の状況にあればこそ、ミツォタキス大臣がお述べになったように、異なる意見を持つ政党ともかえって協力関係が生まれる、そんな状況にあると言えるのではないでしょうか。今こそ、イデオロギーによらず、国益と国民本位に、合理的に判断する改革諸勢力の英知を結集して、必要な統治機構改革を断行する好機にあると改めて認識した次第でございます。
 次に、憲法教育についてです。
 欧州では、選挙権年齢を十八歳からさらに引き下げるべきとの議論があると聞いておりましたので、ギリシャ教育・宗務省のキリアジス次官にこの点についての意見を求めたところ、次官からは、十八歳は適正な年齢である、一般的な科目の基本的知識を習得する年齢が十八歳なのであり、全科目を修了して初めてギリシャの政治システムや一票の意味といったものを理解することができる、これより下の年齢では知識に偏りが生じてしまうとの回答がありました。
 我が国では、さきの常会において、我が党が早期の制定を主張した憲法改正手続法の改正法が成立しました。御存じのとおり、この改正はいわゆる三つの宿題を解決するためのものであり、宿題の一つが国民投票権年齢の十八歳への引き下げの実現でした。そして、この改正法の成立により、国民投票権年齢は四年後までに十八歳へ引き下げられることが確定したのであります。
 しかし、この引き下げには重要な前提条件があるように思います。それが、憲法教育の充実です。
 現在、学習指導要領の中に、一応、日本国憲法の三大原理を初めとした、憲法に関する一定の記述があるところではあります。しかし、私の経験を振り返ってみても、そうした教育がきちっとなされていたかというと、そうではないように思われます。重要なことは、指導要領への記述の有無ではなく、本当に実を伴った内容の憲法教育がなされているかという点であると思います。
 十八歳投票権を真に実現するためには、児童生徒が憲法に対する興味をかき立てられ、日本国憲法に関する正確な知識を獲得することができるような、そんな教育環境が不可欠です。この環境を整備することがいかに肝要なことであるか、ギリシャを初めとする各国においても、同様の認識を共有しているのだと感じました。
 また、我が国では、投票権年齢の十八歳への引き下げに関連して、現在、選挙権年齢の十八歳への引き下げが政党間で議論されています。
 投票権、選挙権年齢については、これらを十八歳に引き下げると、高校三年生の中に権利を有する者と有しない者が混在することになり、問題が生ずるとの懸念が示されることがあります。
 この点、投票権、選挙権年齢がともに十八歳であるポルトガルにおいて、ジョゼ・ゴメス・フェレイラ高校のエスペランサ校長が、同じ教室に十七歳の生徒もいれば十八歳の生徒もいるが、問題が起こったという話は聞いたことがないと話していたことが思い起こされます。
 私は、校長のこの自信に満ちた回答を聞き、投票権年齢に加えて、選挙権年齢も十八歳へ引き下げる措置を速やかに講ずるべきであると改めて確信するに至ったところでございます。
 以上で私からの御報告とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○保利会長 次に、斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)委員 今回の欧州視察団に参加させていただきました。大変有意義な視察であったと思っております。
 私は、今回、テーマが多岐にわたりましたけれども、この中で、特に環境権に絞って皆様に御報告をさせていただきたいと思っております。
 先ほど来お話がありましたように、一九七〇年代、独裁政権から新しい政体になって、そのときにできた憲法ということで、この三カ国とも環境権が規定されております。特にギリシャは、環境権を憲法に入れたのは我が国が最初ではないかという、大学の先生の発言もあったところでございます。
 そして、そのいずれも、憲法に環境権があり、それを受けて環境基本法的な理念法があって、その下に個別の環境基準等を決める法律があるという体系になっておりました。
 憲法の環境権規定と環境基本法、基本法的なものはやはり理念規定になるわけで、これは矛盾しないかということに対しては、それぞれの、憲法にふさわしい書き方、基本法にふさわしい書き方、そして個別法という形になっているので、矛盾しない、こういう話をお聞きしたところでございます。
 そして、どの国の方も、司法の方も政治家も開発と環境の両立に大変悩んでいる、そして訴訟も多い、このような話を聞いたところでございます。これから日本で環境権を議論するときには、そこは十分考えながら議論してほしいというアドバイスもございました。
 環境権に積極的だったギリシャのある政治家からは、前回、この環境権をもっと厳しくするという憲法改正提案のときに、やはり開発とのバランス上、私は反対せざるを得なかったというような苦衷もお聞きしたところでございます。
 その中で私が感じましたのは、今、日本では、環境制約をある意味で成長の一つの新しい原点にしよう、環境といわゆる開発は矛盾しないという考え方が起きておりまして、日本で環境権を議論するときにはぜひそういう方向性を持ちたいと思っておりますが、一九七〇年代にできた環境権では、開発と環境は相反するもの、こういう考え方で規定されていて、やはりそこから一歩我々は脱却しなきゃいけないなということを感じたところでございます。
 最後に、特に印象に残ったのは、リスボン大学法学部のゴメス助教授と議論したときでございました。
 この方は環境権の専門家で、この方とは環境権だけをめぐって派遣団は議論したんですが、その方に最後に、日本へのアドバイスはあるか、このように聞きましたところ、次のような発言がありました。
 先ほど、ポルトガル憲法では、権利と義務、これは国民の権利と国家の義務と両方規定されているという話をしたが、個人的には、権利を規定したのは間違いであると思う。権利を憲法に盛り込むことは非常に魅惑的なので、誘惑に打ちかつのは難しいかもしれない。しかし、憲法に権利について規定してしまうと、世論を二つに割ってしまうという問題も起こり得る。私の個人的なアドバイスとしては、憲法に環境問題に関する文言を入れるのであれば、欧州基本権憲章のような簡潔な文言で、国家の義務、市民の義務、さまざまな機関の義務、そして、環境を保護して将来にこれをつなげる、将来の我々の子孫につなげるという内容を盛り込むのがよいのではないか。
 こういうことで、権利は書く必要がないのではないかという専門家の意見に大変びっくりしたというのが、私の受けた大きな印象でございました。
 今回は、調査だけではなく、各党行かせていただきまして、各党の皆さんと憲法にかかわる意見交換をさせていただいたのも、私にとっての大きな成果でございました。
 以上でございます。
○保利会長 次に、笠井亮君。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
 保利団長を初め、調査議員団、同行の皆さん、関係者の方々には大変お世話になりました。ありがとうございました。
 今回、私は、ギリシャとポルトガルの調査に参加しましたが、訪問した各国は、憲法や国民投票に対する考え方、制度のあり方、運用の実際など、それぞれの国の歴史と文化、国民の政治的体験を反映してさまざまであることを、改めて痛感した次第であります。
 その上で、感想を三点述べたいと思います。
 第一に、訪問した各国では、憲法への理解が、その制定に至る歴史の理解と一体不可分のものとされていることでした。武正副団長も触れたように、それは憲法に関する教育を行う上でも大変重視されているということが印象的でした。
 ギリシャでは、キリアジス教育・宗務省次官が、現行憲法について教える際には、まず、一九六七年から一九七四年にかけてしかれていた独裁政権について教え、そこで何が起こり、何が問題となって現行憲法がつくられることになったかということを教えている、現行憲法が制定される前段階についての理解がないと現行憲法について理解することはできないと強調していました。
 ポルトガルでは、ジョゼ・ゴメス・フェレイラ高等学校のエスペランサ校長が、一九七四年の革命が起きる前の時代についても教えていると述べ、一九七六年憲法の前史は、生徒たちの父親というよりは祖父、祖母の代であるということで、歴史の教材をそろえたり、革命にかかわった人たちを講師に招いて話をしてもらったりしているとのことでした。
 翻って、日本国憲法には、侵略戦争と植民地支配、暗黒政治への痛苦の反省から、憲法九条及び三十カ条にわたる豊かな人権規定が設けられたのであります。
 日本国憲法への理解も、その制定に至る日本の歴史への理解と一体のものとされるべきで、歴史の真実、戦争体験、被爆体験をしっかり継承すること、そのための教育も極めて重要だということです。
 来年は、戦後七十周年、広島・長崎被爆七十周年です。
 歴史は、消し去ったりつくり変えることは決してできません。しかし、正面から向き合うことはできます。そうしてこそ日本はアジアと世界から信頼され尊敬される国となることができる、そうした立場にしっかり立って、日本国憲法を生かした平和外交で世界の平和と核兵器廃絶に向けて貢献することこそ日本が果たすべき最大の役割だと、決意を新たにいたしました。
 第二に、環境権の保障について言えば、憲法に明文の規定があるかどうかではなく、政治がその保障のための立法や制度づくりに取り組むかどうかが重要であるとの確信を深めました。
 ポルトガルでは、マティアス憲法事項担当大統領法律顧問が、環境権について、当然、憲法の中の文言として入れるだけでは役に立たないので、それに関連した法整備は用意していかなければならず、ポルトガルでもそういった法整備は行われていると述べました。
 リスボン大学法学部のゴメス助教授は、憲法六十六条一項に規定されている市民の環境に対する権利は、ある意味で飾りにすぎず、むしろ裁判所が判決を下す根拠としての民事法が重要であると説明しました。
 日本では、現行憲法十三条の幸福追求権などに依拠した、国民の闘いによって環境権を獲得してきた経験があります。
 今日、全国各地で大型開発や米軍新基地建設などにより次々と環境が破壊されようとしていることに、多くの国民が批判の声を上げています。日本国憲法を生かした、環境を守るための政治の責任こそ問われていると、改めて強く感じたところです。
 第三に、今回私が訪問した各国の中で、憲法の根幹にかかわることを、憲法改定ではなく、時の政府による解釈の変更で変えた経験を持つ国はなかったということです。
 ギリシャでは、ミツォタキス行政改革大臣が、解釈を変えることで憲法を本質的に変えるということは余り行われていない、ギリシャの憲法には解釈規定というものがあり、解釈規定を変える際にも憲法の条文改正と同様の難しい手続が必要となるからであると述べ、政府が解釈を変えたという事例の紹介はありませんでした。
 ポルトガルでも、マティアス法律顧問が、憲法の文言を解釈する人間は政府だけではなく、憲法にかかわる全ての人たちが解釈するが、最終的な決断を下すのは憲法裁判所であると述べました。これは、政府による憲法の根幹を変えるような勝手な解釈の変更は許さないという意味だと理解しました。
 日本では、今回の訪問直前の七月一日、安倍内閣が、これまで憲法九条のもとでは行使できないとしてきた集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を強行しました。
 これは、海外で戦争する国への道を開く憲法改定に等しい大転換で、しかも、それを一片の閣議決定で強行するなどというのは、立憲主義を根底から否定するものであり、断じて許されません。このような閣議決定は撤回しかないということを、今回の憲法調査を通じても確信いたしました。
 今、国民の多くは、集団的自衛権の行使容認に反対であり、これが憲法問題における国民の最大の関心事であります。解釈であれ明文であれ、改憲を望んでおりません。したがって、憲法審査会を動かす必要はなく、我が党は、本日の当審査会の冒頭に議決された地方公聴会の開催に反対いたしました。
 日本国憲法を守り、暮らしと平和に生かすことこそ国会の最大の任務であると改めて感じながら、今回の訪問を終えました。
 以上、感想といたします。
 ありがとうございました。
○保利会長 これにて調査に参加された委員からの発言は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○保利会長 これより自由討議に入ります。
 この際、委員各位に申し上げます。
 発言を希望される委員は、お手元にあるネームプレートをお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。発言が終わりましたら、ネームプレートは戻していただくようにお願いいたします。
 発言は自席から着席のままで結構です。また、発言の際には、所属会派及び氏名を述べていただくようにお願いいたします。
 なお、幹事会の協議により、一回当たりの発言時間は五分以内といたします。委員各位の御協力をお願いいたします。
 発言時間の経過については、終了時間一分前及び終了時にブザーをもってお知らせいたします。
 それでは、発言を希望される委員は、ネームプレートをお立てください。
 発言につきましては、できれば最初に、発言をしておられない政党に御発言をいただきたいと思います。優先的に、次世代の党、みんなの党、生活の党に御発言を願いたいと思います。
○三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。
 今回の報告を伺っておりまして、非常に勉強になりました。
 私からは、三点申し上げたいというふうに思います。
 まず、選挙権年齢の話がございましたが、ポルトガルにおきましての、実際に学校内で同じ学年に選挙権のある者、ない者が混在しても事実上混乱は生じていないという実例は、選挙権年齢を引き下げていくという上で非常に有益な御示唆をいただいたなというふうに感じております。
 それから、憲法を改正していくという点に関しましては、二点、私も非常に関心事がございまして、一つは緊急事態、それから、もう一つは財政規律の問題です。
 緊急事態に関しましては、ギリシャにおける緊急事態の中に、運用のあり方にありましたけれども、これが濫用されるというような危険性があるということを改めて実感した次第でございます。その意味で、憲法改正の際に、緊急事態というものをどのように規律していくのか、濫用されないような限定をいかに付するのかということについては、しっかりと議論を重ねなければいけないということを改めて感じました。
 それから、財政規律に関しましては、これは、いわゆる理想といいますか、単なる絵そらごとということで書いては意味がないということで、しっかりと、書いたからには何らかの法的な効果というものをつける必要があると思いますけれども、ただ、縛り過ぎるのもよくないというような意見がポルトガルから出ていたということもありますので、これも、原則と例外というものをどのように明記するのかというのも非常に難しいなというのを感じた次第でございます。
 いずれにいたしましても、この憲法審査会の場におきまして、こういった問題について、しっかり討議できればというふうに考えております。
 そして、最後に、憲法改正に関しましては、スペインにおきましては、憲法改正を議論すること自体が非常にデリケートな問題だというような話がありました。
 いみじくも、先ほど共産党の笠井先生の方からもそういったお話もあったわけでございますが、私は、歴史と一体不可分であるというような観点からいたしますと、第二次世界大戦が終わった後の、日本国憲法の制定の経緯を考えますと、改めて我々の手でしっかりとした憲法をつくっていくべきではないかということを、改めて強く実感した次第でございます。
 以上でございます。
○鈴木(克)委員 生活の党の鈴木でございます。
 保利団長初め、行かれた皆さん、本当に御苦労さまでございました。まだ全部読み切っておりませんけれども、本当にすばらしい報告書をおつくりいただき、御提示いただきましたことに、お礼を申し上げたいというふうに思います。今後の我が国の憲法を考える上で非常に貴重な視察であったのではないかな、このように思っております。
 残念ながら我が党は参加させていただくことはできませんでしたけれども、本当にお疲れさまでございましたということを申し上げたいと思います。
 二点なんですが、まず、やはり私どもとして一番関心があるのは、各国の憲法改正が、どういうような形で考えられているのか、行われているのか、また、行われてこなかったのか、その辺のところを、この報告書をしっかりとまた読み込ませていただきたい、このように思っております。
 それから、いま一点は、憲法に対する教育ということであります。
 ギリシャ、それからポルトガル等々、先ほど武正副団長からありました報告書を拝見しても、歴史といわゆる憲法というものを非常に重視しているということでございました。
 やはり我が国も、もう少し教育という中でいわゆる憲法の歴史をきちっと教えていくということが国民に広く憲法を理解してもらう一つのポイントになってくるのではないのかなと、報告を伺って感じたところでございます。
 そんなようなことをまた勉強させていただきながら、今後の憲法改正の問題、それから憲法に対する教育の問題等々を考えさせていただきたいというふうに思っております。
 大変いい資料を御提示いただいたということで、お礼を申し上げておきます。
 以上です。
○西野委員 派遣で視察に行っていただいた各先生方、大変すばらしい御報告をまとめていただいて、本日も大変勉強になりました。
 御報告の中にもございましたけれども、例えば、ギリシャのミツォタキス行政改革大臣の御発言の中で、憲法教育と歴史教育は密接につながっているんだ、憲法を教える際には、なぜこのような憲法がつくられたのか、さかのぼって理由を教えることが憲法を理解するために不可欠であるというようなことを発言されておりました。果たして教育の中で、我が国の憲法が占領下においてつくられたものである、国民の手にこの七十年間一回も委ねられることがなく、改正も一切行われずに来たというようなことを、正確に、いろいろな各政党であったりとかそういった考え方に偏ることなく、中立な立場で本当に教育をされてきたのかということを改めて考える必要があるなというふうに思いました。
 また、ギリシャ、ポルトガルの視察の中でも、教育のことについて、そのような中立な立場で教育を行わなければならないというふうな御報告がありました。今後は、国民投票法改正において十八歳に年齢が引き下げられる中で、我が党は憲法教育をしっかりとやらなければいけないということを訴えておりますけれども、教育をすることにおいて中立性というものをいかに担保していくのかということもしっかりと議論をしていかなければならないなということを改めて感じた次第でございます。
 よろしくお願いいたします。
○中谷(元)委員 笠井委員と斉藤委員に、環境権について発言がありましたので、お尋ねをさせていただきます。
 まず、笠井委員は、憲法よりも法律でということで、法律で規制するとなりますと、その根拠が問われます。個人の権利と自由、それと公共の福祉というか公の秩序、統制の中で憲法がどのような権限を持つかということでありますが、こういった環境を守るという法律をつくる際においても、憲法上の環境権の定義とか義務としての根拠が必要ではないかなと思います。やはりこういった強制力を持つために憲法に記述する必要性があるのではないかと思いますが、笠井委員のお考えを聞いてみたいと思います。
 それから、斉藤委員も、環境権について、開発とのバランスだとお話がありました。東京の実態を見ていますと、六十年前は武蔵野という非常に自然に恵まれた土地柄が、もうほとんど自然が残っていないような過密状態で、一方、地方は過疎で、人口がどんどん減っている。いびつな国土となっていますけれども、こういった国づくりを考えても、環境権を通じて国の形を変えていくということも必要になっているのではないかと思いますが、改めて、環境権の必要性とイメージ、その点についての斉藤委員のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○笠井委員 御質問ありがとうございます。
 私も今回の感想を述べた中でも申し上げましたけれども、環境権について言えば、憲法十三条の幸福追求権ということで、それに依拠した国民の闘いの中でそういう権利を獲得するということでやってきたわけで、むしろ、そういうことについて明確にすることを妨げてきたというのが歴代の自民党政治じゃなかったか。基本法なんかの問題の議論でもそうだったと思っております。
 むしろ、そういう点でいうと、今の憲法のもとでの十三条ということに依拠しながら、そうした権利も獲得してきたし、やはりそれを本当に生かしていくということでこの問題をやっていけるということは、今回、先ほど斉藤委員もポルトガルの話をされましたけれども、いろいろな話も伺いながら、改めて痛感したところであります。
 なお、一点ですが、憲法と歴史の問題との一体性ということで言いますと、私、改めて感じたのは、訪問した国々で、先ほど派遣委員の方々からもありましたが、やはりいずれも独裁政権のもとでのいろいろな大変な政治があって、そして、痛苦の教訓から生み出された憲法ということが共通して語られたことだったと思うので、日本においても、日本国憲法が、戦前の時代の暗黒政治、そして戦争の時代、侵略戦争、植民地支配の中で、その教訓、あれだけの犠牲があった中で生まれたという、そうしたこの憲法に至る歴史ということについて、本当に日本としてももっと教育の場面でもやる必要があるなということを感じたということも、あえて重ねて強調させていただきたい、感想として申し上げたいと思います。
 ありがとうございます。
○斉藤(鉄)委員 中谷委員からの御質問でございますが、まず、私、個人的な意見ですけれども、憲法に環境権を規定する必要があるのではないかと思っております。
 今、憲法十三条、そして環境基本法、そして個別法という法体系になっているわけですけれども、やはり、憲法十三条を読みましても、今のこの地球環境の中で、生命、生活、生存を守っていく国としての義務、そして個人としての権利というのをきちんと明確にした方が、環境基本法やその下にある個別法も生きてくるのではないかと思っております。
 あと一点、その際に、先ほども申し上げましたけれども、一九七〇年代、八〇年代につくられた憲法の環境規定は、環境と開発が対立するという構図、考え方でございました。これはある意味で第一世代の考え方なのかもしれません。ある意味で、それが今第二世代に移りつつありまして、環境と開発は矛盾しない、環境を守ることが新たな成長に結びつくんだ、そういう考え方のもとでの開発でなくてはならないという考え方がございます。当然、日本はこういう考え方での憲法への規定になるべきだ、このように考えていることを付言させていただきます。
○西野委員 済みません、先ほど少し足りなかったので。
 ポルトガルは、一九七四年に革命が起きて、憲法が新しくつくられたそうですが、そのときの革命は、時の独裁政権がいわゆる自然消滅をしたような形でなくなって、唯一あった政党が共産党で、ソビエトの非常に強い影響下にある共産党しかなくて憲法がつくられた。その後に、これではいかぬということで、一九八九年に大改正をされたということでございます。
 我が国も、敗戦直後に政党は存在をしておりましたけれども、これは占領下の、GHQの大きな強い影響力のもとに、仕方なく今の憲法をつくったわけでありまして、全く国民の手によってつくられた憲法ではないわけでありまして、ポルトガルに倣って、早く国民の手による自主憲法を制定しなければならないんだと、この御報告をお聞きしながら強く思った次第でございます。
 この審査会においても、改正国民投票法もできたことでございますので、早急に憲法の中身を議論できるような審査会にしていただけたらなということを思った次第でございます。
○船田委員 また補足をさせていただきたいと思います。
 今、先生方から年齢十八歳のことについても幾つか御発言をいただきました。実際に現地へ行きましても、ヨーロッパではもうほとんどというか全部十八歳、これは、国民投票もそれから選挙権もいずれも十八歳にそろえられているという状況であり、そして、教育の現場で、日本の高校三年生に当たるクラスにおいて、十八歳の者と十七歳の者が存在している。そういう中で、混乱はないかということを各国でも問いかけたわけですが、特に大きな混乱はなくきちんとやっている、こういうことでございましたので、やはり、選挙権年齢、国民投票年齢を十八に下げるということについて、もう既に八党で合意をいたしておりますが、そのことについてはさらに自信を持って進めていくべきであろう、このように感じた次第でございます。
 この国民投票年齢、三年半後に自動的に十八に下げるということで、前の国会で改正をいたしました。それに伴いまして、やはり、国民投票年齢が十八に下がる前に選挙権年齢も十八に下げるということを前提として、今、八党合意のもとでの各党協議、プロジェクトチームをつくっているわけでございます。きょう、この後、三回目の協議が行われますが、できる限り早く結論を得まして、そして、法律としては公選法の改正ということでございますので、この審査会のマターではなくなるわけでございますが、その節目のときには、この審査会においても、中間あるいは最終報告というものをさせていただきたい、このように思っております。
 それから、憲法教育についても先生方からいろいろ議論がございました。また、現地の皆様も、多くは、憲法そのものの教育はもちろんなんだけれども、その背景をきちんと教えなければいけないということは各国で聞かせていただきました。
 その背景、すなわち歴史ということでございますが、やはり、どこの時点の歴史を教えるか、これは先生方の間でさまざま議論があったと思います。私は、もちろん、戦前の歴史、これもきちんと教えなきゃいけないと同時に、憲法制定にかかわる、GHQによる占領下での憲法制定の過程、その両方をきちんと教えるということが中立的な政治教育につながっていくのではないかということを感じた次第でございます。
 最後に、国民投票でございます。
 これにつきましては、今申し上げたような改正国民投票法のときの八党合意の中にも、一般的国民投票制度について、この審査会で定期的に議論しようということが決められております。
 そういう中で、今回の調査に行きましたときに、ヨーロッパの多くの国は積極的に国民投票を活用しているというイメージを持っておりましたけれども、昨年参りましたドイツ、そして今回参りました南欧の三カ国におきましては、やや、この国民投票につきましては抑制的な、あるいは慎重な態度であったということが非常に大きな印象として残っております。いずれの国も、独裁政治があり、そして、その独裁政治をつくったり、その政治を補強するために国民投票というものを多用したというような過去の歴史があった、それに対する反省がやはり国民投票に関する消極的な態度につながっている、こういったことを認識したわけでございます。
 もちろん、一般的国民投票について、我が国でどういう形で導入するべきか、せざるべきか、議論を続けていきたいと思いますが、今申し上げたようなことは、一つの非常に大きな参考になるのではないかというふうに思っております。
 以上です。
○保岡委員 貴重な海外派遣の御報告、ありがとうございました。
 国民の憲法改正の投票の資格というか、投票年齢十八歳というのが四年後に日本でも行われる、施行されるということになって、選挙権年齢もその四年以内にできるだけ早く十八歳に引き下げる方向で今各党協議が行われているということでございますけれども、やはり、若い世代に主権者教育を行う、社会参加についての意義をしっかり理解してもらうということが国家の形成において非常に重要だ、私はそういうふうに基本的に思います。
 そういった意味で、確かに、憲法教育という点、過去の憲法制定の経緯ということについてしっかり教育していかなきゃならないということも、御報告にもあったように、それぞれの国で努力をされているということでございましたけれども、過去も大事だけれども、変化するこれからの人類社会というか国際社会というか、その平和や繁栄、あるいはそれに対する国家の貢献、そういったことについて、若い世代にこそ、そういう、主権者として国の将来の形をつくるということについての意識を強く持ってもらうような教育、それが日本の世界における輝く国家としての将来の道を開く、同時に世界の繁栄や平和につながるということの教育、このことがやはり非常に重要なんじゃないかと思います。
 そういった意味で、今度の視察において、何か、行かれた先生方から、委員から御感想があればお伺いをしたいし、なくても、今後、そういうことを我々憲法審査会で、そういう趣旨で、この十八歳国民投票年齢、選挙権年齢、あるいは将来は成人年齢ということについて、きちっと、国家として、国会として議論を尽くしていくことが必要なのではないかと思います。
 以上です。
○武正委員 今、保岡先生から御指摘があったように、国民投票法改正、十八歳投票権ということの施行を受けての初めてのこの憲法審査会の視察でもありましたので、やはり、学校での憲法教育あるいは歴史教育あるいは政治教育、こういったことも今回の視察の大きな目的にさせていただきました。
 各国あるいは学校でも、明確にそれについてこういった形ということは、それほどあったということでもないわけですが、それぞれ報告書にあるような形で、また、私も先ほど触れたような形で、自然な形で憲法教育、あるいは政治教育、歴史教育がなされている。当然、公平性といった配慮も念頭に置きながらといったことを非常に印象深く思いました。
 これは、今後、この憲法審査会でも、以前も文部科学省も御出席をいただきましたが、こうした憲法教育の重要性についても議論を深められればというふうに思っております。
 私からは一点。先ほど中谷委員が触れられましたが、ポルトガルの憲法十一条では、公用語はポルトガル語とするということで、これはスペインもそうだったと思いますけれども。日本では日本語が公用語というのはもう当たり前というふうにされておりますが、ちょうど派遣時にポルトガル語圏協議会が東ティモールで行われておりまして、大統領はそちらに出席ということでございました。そのポルトガル語圏協議会では、日本がオブザーバーとして認められる、日本語には、パンとかたばことか、ポルトガル語を語源とする言葉が三百語ぐらいあるという御説明もございました。
 ポルトガル憲法では、同じく九条で、ポルトガル語の教育及び持続的な価値の向上を確保し、その使用を擁護し、並びにその国際的な普及を促進することという条文もございまして、日本語を公用語としているのは当たり前とされておりますが、やはりこの日本語の位置づけ、そして日本語の普及、そうしたものが非常に大事であるということを改めて痛感いたしました。
 以上でございます。
○古屋(圭)委員 憲法改正の関連についてお聞きしたいと思います。
 この議事録を読ませていただいて、学識経験者の皆様からの、憲法改正に至った歴史的経緯等々は拝見をさせていただきました。ギリシャでは三回、ポルトガルでは七回、スペインでは二回、これまでに憲法改正が行われているということで承知をいたしております。それぞれ憲法改正のルールは違いますが、基本的にこの回数、改正をされている。
 それは、基本は、やはり、憲法が硬直的になるのではなくて、世の中の変革、そして国民のニーズ等々を総合的に判断して、議会の判断等々を勘案しながら憲法改正しているという経緯があるということは、それぞれの国々でも変わりはないというふうに思います。独裁国家であったとかいう経緯もあって、その辺も、よりよきものにしていきたいという国民のニーズというのがあったということも恐らく背景にはあるんでしょう。
 そこで、先ほど会長からも御報告がありましたが、日本では憲法改正というのは制定以来一度もなされていないということについての御報告をされたというふうに承りました。この議事録を見る限り、日本国憲法が改正されていないということに対して、どういう背景があるのかとか、その考え方とか、そういったものについて、学識経験者は、あるいは、この議事録に載っていない、夕食とか昼食とか、いろいろそういう個人的な会合の中でもお話があったと思いますので、そういうことに対して三国の識者等々はどんなことをお話しになられたんでしょうか。特にそういったことに言及がなければ、それでも結構でございます。
 以上、お伺いします。
○船田委員 今の古屋委員からの御質問でございますが、昨年はチェコにおきまして、チェコではかなり頻繁に憲法改正をしていたのでありますが、日本が一度も改正していないということを申し上げましたらば、それは大変うらやましいという話があったのは記憶をしておりますが、今回の三カ国の訪問の中では、そういった、我が国の憲法改正がまだなされていないという点については、特に言及をされた識者はおられませんでした。
○保利会長 ほかに御発言はございますか。
 それでは、発言も尽きたようでございますので、これにて自由討議は終了いたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時二十六分散会