第189回国会 法務委員会 第15号
平成二十七年五月二十日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 奥野 信亮君
   理事 安藤  裕君 理事 井野 俊郎君
   理事 伊藤 忠彦君 理事 柴山 昌彦君
   理事 盛山 正仁君 理事 山尾志桜里君
   理事 井出 庸生君 理事 漆原 良夫君
      大塚  拓君    門  博文君
      菅家 一郎君    今野 智博君
      冨樫 博之君    中谷 真一君
      藤原  崇君    古田 圭一君
      宮川 典子君    宮崎 謙介君
      宮澤 博行君    宮路 拓馬君
      簗  和生君    山口  壯君
      山下 貴司君    若狭  勝君
      黒岩 宇洋君    階   猛君
      鈴木 貴子君    柚木 道義君
      重徳 和彦君    大口 善徳君
      國重  徹君    清水 忠史君
      畑野 君枝君    上西小百合君
    …………………………………
   法務大臣         上川 陽子君
   法務副大臣        葉梨 康弘君
   法務大臣政務官      大塚  拓君
   最高裁判所事務総局刑事局長            平木 正洋君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 島根  悟君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 露木 康浩君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    深山 卓也君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    林  眞琴君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    小川 新二君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  岡村 和美君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  井上  宏君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           木下 賢志君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           武田 俊彦君
   法務委員会専門員     矢部 明宏君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十九日
 辞任         補欠選任
  遠山 清彦君     漆原 良夫君
同月二十日
 辞任         補欠選任
  辻  清人君     中谷 真一君
同日
 辞任         補欠選任
  中谷 真一君     辻  清人君
同日
 理事遠山清彦君同月十九日委員辞任につき、その補欠として漆原良夫君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
五月十九日
 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
     ――――◇―――――
○奥野委員長 これより会議を開きます。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に漆原良夫君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○奥野委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官島根悟君、警察庁長官官房審議官露木康浩君、警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君、法務省民事局長深山卓也君、法務省刑事局長林眞琴君、法務省矯正局長小川新二君、法務省人権擁護局長岡村和美君、法務省入国管理局長井上宏君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、厚生労働省大臣官房審議官木下賢志君及び厚生労働省大臣官房審議官武田俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○奥野委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局平木刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○奥野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井野俊郎君。
○井野委員 おはようございます。自由民主党、群馬二区選出の衆議院議員の井野でございます。
 本日は一般質疑ということでございますけれども、昨日、本会議において法案審議に入りました刑事訴訟法についてお伺いしたいというふうに思っております。
 この法案については、昨日、理事会でも議論になりまして、刑事訴訟法の大改正につながっていくものでありますので、十分な審議時間を確保し、議論していこうということでありました。法案審議に入る前にも、一般質問でも、こういう形で我々与党としては審議に入っていきたいというふうに思い、刑事訴訟法を質問させていただきたいというふうに思っております。
 野党の皆さんも、きのう、大変いろいろな質問をされておりましたけれども、我々与党もその問題意識を共有しているところであります。この点をしっかりこの委員会で精査していきたいというふうに思っております。
 刑事訴訟法でございますけれども、私の認識といいましょうか、少しお話をさせていただきたいと思います。
 刑事訴訟法の一条、目的にありますとおり、この法律は、やはり二つのバランスを保ちながらやっていくものだというふうに思っています。
 その一つは、もちろん、真実発見と適正な刑事処罰の実現であります。これが実現されない限り、公平そして正義ある社会というものは実現しないということでございます。
 そして、他方でもう一つ重要なのが、いわゆる基本的人権の尊重であります。憲法三十一条にもありますとおり、適正な手続に基づいて適正な刑事罰の執行、適用、これが何よりも重要だということは、刑事訴訟法、そしてまた憲法にも保障されている人権でありますし、論をまたないところであります。
 そして、刑事訴訟法、今回の改正では、一つは、人権保障に資する改正もあります。その筆頭格がいわゆる可視化の部分かなというふうに思っております。
 他方で、真実発見という意味では、捜査手法のいろいろな新たな制度の構築というものが幾つかうたわれております。通信傍受法の拡大であったり、いわゆる刑事司法取引というものが、まさにそういった捜査手法の新たな拡大というところなのかなというふうに思っております。
 ですから、結局は、この二つのバランスをどうとりながら適正な刑事司法を実現していくかということがやはり質疑の大きな的になっていくのかなというふうに思っています。この点、私も、司法試験を勉強していた中で、やはり常にこの二つのバランス感覚を問うような試験問題があったように記憶しております。
 そういう中で、この国会において、その二つのバランスをどうとっていくか、私もそんな観点から質問させていただきたいというふうに思っています。
 では、早速ではございますけれども、今回、最初、前段階ということでありますので、大ざっぱに聞いていき、法案質疑の中でまた個別具体的な質疑をしていきたいと思っています。
 まず、司法取引という新たな捜査手法といいましょうか、こういうものが、創設といいましょうか、改正が予定をされております。現時点において、近代社会といいましょうか、過去の、供述に頼る証拠から、いわゆるDNA鑑定等による科学的捜査が進展してきた中で、こういった刑事司法取引という、ある意味、改めて供述の部分をクローズアップするような内容の刑事司法手続といいましょうか、証拠収集手段というものを創設することが予定されております。
 まず、このような刑事司法取引により、どのような捜査手法、証拠収集を考えているのか、そういった意識といいましょうか、予定されている捜査のあり方等をお聞かせください。
○林政府参考人 今回の新たな証拠収集手段の証拠という観点で見ますと、一つにはそういった供述等の証拠がございますが、他方で、客観的な証拠、証拠物といった証拠もございます。
 事案の真相を解明するためには、客観的な証拠を収集するとともに、関係者等の供述をも収集しまして、これらをあわせて吟味することが必要となります。特に、組織的な犯罪となりますと、首謀者等の関与を含めた事案を解明いたすためには、客観的な証拠だけでは限界が多く、下位の実行者などからの供述を得ることが非常に重要となります。
 今回の法律案でございますが、こうした考え方を前提とした上で、捜査、公判が取り調べ及び供述調書に過度に依存しているという状況を改めるために、証拠収集の手段の適正化、多様化、そして公判審理の充実化を図るものでございます。合意制度は、この目的のために必要であることから、他の諸制度とともに導入するものでございます。
 この合意制度におきましては、解明対象となる他人の刑事事件について、捜査、公判を通じまして供述や証言を得ることのほかに、客観的な証拠物の提出を受けるということも可能とするものでございまして、こうしたことを通じまして、組織的な犯罪等における事案の解明のために非常に有用な手法であろうと考えております。
○井野委員 この点についてですけれども、一つ私が思っているのは、客観的証拠収集も一つの手段というか、それも含まれるということでありますけれども、やはり客観的証拠収集手段というものは、ある意味、現時点においては、捜索差し押さえ令状等によるいわゆる強制的な証拠収集手段というものがあり得るわけでございますね。
 にもかかわらず、新たに司法取引によらなければ、証拠収集といいましょうか、客観的な物に対する証拠収集ができない理由というものは具体的にはどういうところにあるのでしょうか。
○林政府参考人 委員御指摘のとおり、現行法におきまして、捜索、差し押さえといった手段がございます。この場合の手段によって証拠物等を適切に発見し、差し押さえるためには、当該証拠物という存在について何らかの情報がなければ、それを的確に差し押さえることはできません。
 こういった場合に、やはり、どこにそのような本件に一番適切に関連する客観的な証拠物があるのかといったことの情報がまず得られなければならない。それなくして、捜索、差し押さえのみをもって、現在の必要な客観的証拠物を適切に差し押さえて証拠とするということは困難であろうと思います。
 そういったことも含めまして、今回の合意制度におきましては、そうした合意制度の合意の中で、一定の証拠物についての提出といったものを担保する、それを必要な協力行為として行わせるということが可能になって、実際に適正な事実認定を行うために必要な客観的な証拠物の確保に資するものであろうと考えております。
○井野委員 わかりました。
 続きまして、ちょっと日経新聞の資料を配付させていただきました。新たな司法取引というところでありますので、企業であったり、そういったところにも大分戸惑いがあるんだというような新聞記事でございます。
 まず、新聞記事にもちょっとありますとおり、この司法取引の主体についてであります。
 本来、刑事訴訟法は、基本的には、身柄拘束等、自然人というものを対象とした法律手続だというふうに理解されておりますけれども、この司法取引についての主体というものは、自然人以外にこういう企業などの法人というものも含まれるのかどうか、その点をまず明確にしていただきたいと思います。
○林政府参考人 現行の刑事訴訟法においても、会社等の法人も被疑者または被告人となり得るとされております。したがいまして、今回、合意制度において検察官との間で合意をすることができる者は被疑者または被告人となっておりますので、こういったことから、法人もその合意の主体となり得るものと考えております。
○井野委員 法人というものが含まれるということになりますと、基本的には取締役会等における会社の意思決定に基づく司法取引になるのかなというふうに思いますけれども、それは、ある意味、代表取締役個人で、この新聞報道の下の図にもちょっとありますとおり、A社長がいて、B取締役がいて、C部長とかもいる。この中で、例えば、B取締役が取締役会の意思決定に基づかずにやる場合と、はたまた、B取締役が会社の取締役会の意思決定に基づく、この場合は相手が法人といいますか会社という形になるのかと思いますけれども、そういう線引きは、ある意味、取締役会という意思決定に基づくのか、はたまた社長個人というか、その線引きといいましょうか、そこら辺はどういうふうに理解すればよろしいんでしょうか。
○林政府参考人 刑事訴訟法第二十七条では、「被告人又は被疑者が法人であるときは、その代表者が、訴訟行為についてこれを代表する。」という規定がございます。こういったことから、代表することの権限を有する当該代表者が、こうした法人を主体とする合意というものにつきましても、そうした訴訟行為を行うものと考えております。
○井野委員 わかりました。
 とすれば、いわゆる代表取締役という肩書であれば、基本的には法人が行ったものというふうに考え、そしてまた、代表取締役以外の、平といいましょうか、それは会社を代表するわけではないから、その場合には、例えばB取締役だったらB個人と取引するという形の理解になるかというふうに思います。
 その上で、司法取引、この新聞報道にもありましたけれども、供述等によって捜査に協力してくれた者に対して、ある意味、特典といいましょうか、司法的な部分での、刑事司法手続を受ける特典を与えるということになっております。
 この主体についてですけれども、三百五十条の二においては「被疑者又は被告人」というふうに規定をされております。この場合、被疑者というものはどの範囲をいうのかということが一つ論点になってくるかと思います。
 すなわち、被疑者の段階というのは、身柄を拘束されている被疑者と、拘束されていない被疑者の場合があります。もっと言えば、ある意味、被疑者とまでは言えない、参考人という段階ですね、重要参考人とか、たまにテレビ、新聞報道等で言われておりますけれども、参考人と言われる段階もある。被疑者といってもさまざまな段階があるわけであります。
 この場合、どの段階での司法取引が可能なのか、被疑者という範囲についてお伺いしたいと思っています。
 すなわち、これは、もっと言えば、全く捜査の端緒がない段階、例えば内部通報等、この新聞報道にはまさに、内部通報も司法取引によって行われるんじゃないかというような懸念が新聞報道等では行われておりますけれども、こういった内部通報は果たして被疑者と言えるのかどうなのかというところもあるかと思いますので、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○林政府参考人 合意制度において合意の主体となり得る被疑者といいますのは、一般に被疑者という概念に規定されますが、公訴提起前に捜査の対象となっている者をいうものと解されます。
 したがいまして、全く捜査の端緒を得ていなくて、捜査が開始されていない段階においては、こういった被疑者というものは観念されませんけれども、捜査が開始されて、公訴の提起の前に捜査の対象となっている者であれば、この場合の被疑者に該当するということになろうかと思います。
○井野委員 そうしますと、ちょっと確認的にお話しさせていただくと、内部通報というのは、基本的には捜査の端緒が得られていないわけでございますから、この対象にはなり得ないということになりますか。そうすると、ある意味、たしか内部通報に関しては、済みません、ちょっと私も法案名称までは把握しておりませんけれども、別途の法律での対象というか取り扱いになるという理解でよろしいでしょうか。
○林政府参考人 あくまで今回の合意制度における意味での被疑者というものは、公訴の提起の前に捜査の対象となっている者と解されます。
 したがいまして、委員御指摘の内部通報者という概念がございますけれども、その場合に、実際にその時点で捜査の対象となっているのかなっていないのかということによって、捜査の対象になっておれば一応今回の被疑者ともなり得ますが、内部通報の時点においてまだ全く捜査の端緒がなく、捜査も開始されていないというような場合には、それはその時点では被疑者には当たらないということになろうかと思います。
○井野委員 そうしますと、やはり、ある程度検察ないし警察が捜査に着手しているということが前提なのかなというふうに思いますね。
 ということは、ある程度検察ないし警察が捜査しているという状況でありますから、この司法取引というものは、ある意味捜査手法でありますから、検察、警察の方が主体的に活用していくということになってくるのかなというふうに思いますけれども、もう一点、その点だけ、そういう理解でよろしいのかどうか、教えてください。
○林政府参考人 合意の主体が被疑者または被告人となっておりますので、合意がなされる時点におきましては、少なくとも被疑者という観点においては、まさしく捜査が開始されていなければなりません。したがいまして、その点においては、捜査機関あるいは訴追機関がそうした捜査を開始しているということが前提となろうかと思います。
 ただ、実際にこの合意制度をどのように使っていくかということについては、もちろん、捜査、訴追側からのアプローチもあれば、あるいは、そうではない、むしろ被疑者、被告人、あるいは弁護人側からのアプローチもあろうかと思いますけれども、実際に合意という手続がなされるためには、少なくとも被疑者というものが存在する段階、すなわち捜査が開始されている段階というものが必要でございますので、その意味では、最低限、捜査機関側の活動によって捜査が開始されていることが必要となろうかと思います。
○井野委員 わかりました。当然、捜査の段階で、被疑者から司法取引してくれという場合もあり得ることだというふうに理解しました。
 この司法取引についてでありますけれども、きのうの本会議での質疑等にもありましたとおり、一番懸念しているのは、やはり他人の巻き込み、いわゆるなすりつけの供述になります。虚偽供述の危険性についてであるかと思います。
 この虚偽供述の危険性、巻き込みによる危険性についてでありますけれども、きのうの大臣答弁では、三つの点で担保されているよという話でございました。
 一つが弁護人の立ち会いでございます。そして二つ目が、裁判所での司法取引書面の取り調べといいましょうか提示。三つ目が、いわゆる虚偽供述に対する制裁規定がきちんと規定されているということで、それによる担保がなされているということでありました。これらはいずれも、引き込まれる側といいましょうか、ある意味、取引する、利益を得る側に対する制裁であったりチェックでしかないわけでございます。
 私的には、これは、やはり本当にその供述が、信用性といいましょうか、虚偽ではないということの証明といいますかチェック、担保は必要だというふうに思いますけれども、これで果たして十分だと言えるのか、ちょっと疑問に思っているところがありますので、この点についてもう少し具体的に、虚偽供述の危険性を除去する手段、信用性確保について教えていただきたいと思います。
○林政府参考人 まず、この合意制度について、第三者を巻き込むおそれがあるといった御指摘がございます。また、そういったおそれがあるということにつきましては、そういったことを前提に、それをいかにして防ぐかということをもって今回の制度の構築をしておるものでございます。
 その点でどのような手当てがなされているかという点については、御案内のとおり、一つには、弁護人が必要的に関与するということ、そして、その合意に基づく供述が他人の公判で使われるときには、その合意内容が記された書面が、当該合意において捜査の目的とされた当該他人及びその弁護人、そして審理をする裁判所に対してもオープンにされる仕組みとなっていること、さらには、虚偽の供述をした者に対して新設の罰則を設けている、こういった制度的な手当てをしておるところでございます。
 委員が、巻き込まれる側のチェックといった面が弱いのではないかというようなことの御指摘もございましたが、まさしく、二つ目に申し上げましたものにつきましては、こうした合意に基づく供述というものの信用性にかかわる問題については、巻き込まれる側の当該他人及びその弁護人、そして審理をする裁判所、これに対してオープンにされるということによって信用性が十分に吟味される。そういったことがされるためにも、こういった合意書面、合意の内容が記された書面については、当該他人の裁判所に必ずオープンにしなくてはいけない。こういったことを制度上担保していることによってチェックがなされるものと期待しているということでございます。
○井野委員 そうしますと、局長の答弁によりますと、あくまで裁判所でのチェックということがやはり重要だという御説明かと思います。
 では、その裁判所なんですけれども、いわゆる巻き込みのある、司法取引に基づく供述について、その信用性、そしてまたそういうものについての証拠採否といいましょうか、場合によってはそういう手続に入ってくるかと思います。それについて、果たしてどのように考えているのか。
 私も、司法試験の方で勉強させていただく中で、大変この事件がクローズアップされたのは、やはりロッキード事件であるというふうに思っております。ロッキード事件において、反対尋問をなされない、いわゆるコーチャン証言というものが検面調書として提出され、採用されるという事態に至って、現実問題として過去にそういう例があるわけであります。
 そういう意味では、反対尋問権を得ていない証拠、ましてや、巻き込み危険性のある調書、証拠についてはやはり慎重であるべきだというふうに私は思っていますけれども、その点については、最高裁の認識等についてお聞かせいただきたいと思います。
○平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 供述が信用できるかどうか、虚偽供述であるかどうかということにつきましては、証人尋問を実施した裁判体におきまして個別具体的な事情を踏まえて判断するものでございますので、事務当局から一定の見解を示すことは困難でございますが、司法取引制度を利用した供述に関しましては、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会におきまして、当時最高裁刑事局長であった委員が、要旨、次のような発言をしております。
 この種の第三者に罪を負わせる内容の供述というのは、供述者が、通常、第三者に罪を負わせることについて何らかの利益を期待して行われる可能性があるというわけであり、裁判実務では、類型的にこの種の供述は警戒すべきものと考えられてきました。
 このような趣旨の発言をしておりました。
 最高裁といたしましては、国会や法制審議会等でのこうした議論を全国の裁判官に情報提供してまいりたいと考えております。本制度が採用され、裁判体が司法取引を利用した供述の信用性を判断する際には、今申し上げました議論の趣旨をも踏まえまして、慎重に判断することになるものと考えております。
○井野委員 要は、ある程度裁判所も慎重にならざるを得ない部分があるよねということだというふうに理解をさせていただきました。
 そして、もう一つ、司法取引と同じような、似た制度として、今回、刑事免責制度というものの導入が規定されております。
 この司法取引と刑事免責、いわゆる刑事免責というのは公判廷における証言の免責だというふうに理解しておりますけれども、司法取引後、刑事裁判、公判廷に移った場合には、刑事免責に基づいて証人尋問を行うということが当然予定されるのかなというふうに思っております。
 ところが、条文は二つあるわけですね。今回の改正案については、百五十七条の二のいわゆる刑事免責に基づく証言と、三百五十条の九における司法取引に基づく公判廷証言というもの、二つ規定されているわけでございます。
 このように二つ規定した意味といいましょうか、利用者の予定しているところというのはどういうところで違うのか、教えてください。
○林政府参考人 今回の法案の合意制度と刑事免責制度、全く別個の制度でございます。
 まず、合意制度は、解明対象となる他人の刑事事件について、捜査あるいは公判を通じまして、供述証拠や証拠物の収集、顕出をする手段として機能するものでございまして、検察官と被疑者、被告人及び弁護人とが協議を行いまして一定の合意をする、こういったことを内容とするものでございます。
 これに対しまして、刑事免責制度は、証人尋問という場面に限られております。証人尋問において証言を得る手段として機能するものでございます。また、裁判所の決定により一方的にその証言内容に免責を付与するものでございまして、協議、合意といった要素は含んでおりません。
 また、両制度は、対象犯罪なども異にしております。事案に応じてそれぞれの制度の利用が検討されることとなると考えております。
○井野委員 そうしますと、ちょっと確認なんですけれども、司法取引に基づいてその人を証人尋問、当然、公判廷に行ったら、司法取引で得られた供述に基づいて証言してもらいたいというお話になってくるかと思うんですけれども、この場合は、刑事免責を付与しての証言を公判廷で求めるのか、それとも、そうじゃなくて、司法取引の場合はあくまでも三百五十条の九の証人尋問でやっていくよということになるのか。その両者のリンクといいましょうか、三百五十条だったらそのまま三百五十条の流れの中でやっていくのか、それとも三百五十条の方から百五十七条の方に行くのか、その違いだけもう一度確認させてください。
○林政府参考人 合意制度と刑事免責制度は別個の制度でございますので、法的な意味におきましては、被疑者と検察官との合意がなされた場合において、かつ、免責制度の要件を満たす場合には、その合意に基づいて行う証人尋問について刑事免責という制度を利用することは、法的には可能でございます。
 しかしながら、合意制度というものは、合意の内容によりまして、検察官と被疑者等との間で、当該被疑者等が他人の刑事事件の証人として真実の証言をするという旨の合意をするわけでございまして、そういった場合には、当該被疑者等は、証人尋問において、それが当該合意の対象になっている事項である限りにおきましては、自己に不利益な事項も含めてありのままの証言をする義務を負うこととなりますので、通常の場合、合意制度を利用された証人尋問において、重ねて刑事免責制度をあえて利用する必要がない、必要とされることは通常予定されていないと考えます。
○井野委員 わかりました。
 また別途、法案質疑の中で深掘りをしていきたいと思います。
 きょうはありがとうございました。
○奥野委員長 次に、柚木道義君。
○柚木委員 おはようございます。本日は、一般質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 きょうの質問の中では、前半は、この間も私、一貫して、法務委員会ですから、人権という大きな視点の中で、外国人労働者の方々に対して幾つかの視点から質疑をさせていただいてまいりましたが、本日は、外国人労働者の方の社会保険の加入問題について、これは具体的な事案として私も伺っておるものですから、その方だけの問題ではないということも含めて、前半、ちょっと質疑をさせていただきたいと思っております。
 また、後半に当たりましては、私の中では、もちろん、人権侵害というくくりでいえばさまざまな側面があるわけですが、私は、そういう意味では最悪の人権侵害だろうと思っております児童虐待、その中でも、所管の法務委員会でございますから、今回については、いわゆる性がかかわる虐待、そして、さきの当委員会での質疑の中でも、裁判員制度の議論の中で、本当に痛ましい事件等の被害者の方のお話も伺いまして、いろいろなフェーズでそういったことを防止していく、あるいはアフターケアをしていかなければいけない、こういう視点も持ちながら、後半部分については、現状における児童虐待の具体的な課題についての質疑をさせていただきたいと思っております。
 まず、前半の部分でございます。外国人労働者の社会保険の加入問題についてということなんですが、私、この間、何回か、外国人労働者の方々のさまざまな課題あるいは支援体制等についてお伺いをさせていただいてまいりました。
 大きな流れとして、日本再興戦略推進による外国人の受け入れ議論、これは当然しっかりと進めていかなければいけないという側面があるわけですが、その中でも、いわゆる観光客の方に来ていただく観光立国という側面に加えて、例えば、優秀な高度人材、あるいは建設分野などを中心に緊急的、時限的な措置としての、即戦力としての外国人労働者の受け入れの拡大、あるいは、今後も議論があるわけですが、例えば介護分野などでの外国人労働力の、そういう意味では補填といいますか、絶対的に数が不足をしていく中で、ともすれば、欲しい分野で欲しいときに欲しい数だけ、こういった側面がないとは言えない。
 そういう中で、そうはいっても相手があっての話ですから、私もこの間、何度か指摘をさせていただいてまいりましたが、こちら側の立場だけでの御都合主義というようなことであってはならないわけでありまして、やはり、多文化、多民族、共生社会というのは、今の政権あるいは私たちの重要な考え方でもありますので、こういったことも含めて、当委員会あるいは他委員会でも質疑をさせていただいてまいりました。外国人労働者の人権問題に加えて、例えば外国人の御子息の教育にかかわるさまざまな課題や支援策についてであったり、ヘイトスピーチについても同様の側面があると考えております。
 そういった中で、本日は、私もこのお話を伺いまして本当に驚いているわけでございますが、ある外国人労働者の方の事案を紹介させていただきながら、社会保険の加入問題についてお伺いをさせていただきたいと思っております。
 これは一枚目の資料をおつけしておるわけですが、お名前はちょっとお許しをいただいて、被保険者氏名というところに、ンダイキヤさんと、ンで始まるんですね、ンダイキヤさんという方の事案でございます。
 このンダイキヤさんは、神奈川県の相模原市所在の、いわゆる中小といいますか、そんなに大企業ではない建設会社で働かれるタンザニア出身の労働者の方でございますが、この方が社会保険に加入をする際に健康保険証が交付されないということでありまして、会社の担当者が、これは今、日本年金機構が所管になっているわけですが、この機構事務所に問い合わせたわけでございます。
 そうすると、その機構の担当者の御説明では、当該のンダイキヤさんの氏名がンで始まるということでありまして、現行システムの上では加入台帳をつくれないので、当該外国人労働者の届け出上の氏名、ンダイキヤ云々云々というお名前でいらっしゃるわけですが、その氏名の順番を変えるしかない、そしてまた、そういったケースは何もンダイキヤさんが初めてではなくて、前例があるんだ、こういうことをおっしゃられたということでございます。
 ちなみに、私も確認をさせていただいておるんですが、在留カードはもとより運転免許証も記載は本人名、それから、同じ厚生労働省の所管であっても、雇用保険の被保険者名は何の問題もなくこの氏名で受け付けられておりまして、私も現物を確認させていただきました。もっと言いますと、国保の加入の場合は、各自治体が手書きの書面も含めて柔軟に対応されているということも聞いておるわけでございます。
 これは、話を伺うと、日本人が同じような対応をされるということはあり得ないと思いますし、逆に海外で同じような対応をされると、私の場合、柚木道義ですが、ミスター・ユノキをミスター・ミチヨシとか、逆にしろとか、ちょっとなかなか、むむっというような状況が今生じていると思っておりまして、それ以上に、現在、健康保険証が交付されなくて、御本人や御家族が困っておられるわけであります。
 そこで、具体的に確認あるいは質問をさせていただきます。
 まず、これは所管の厚生労働省に伺いますが、私が今承知をしております事実経過が合っているかどうか、そしてまた、氏名の順番を変えろ、こういう対応が初めてではないということのようなんですが、これまで、氏名の変更をいわば強要したというか、こういう件数あるいは時期等、把握している部分について御答弁をいただけますでしょうか。
○樽見政府参考人 お答え申し上げます。
 事実関係ということでございますけれども、まず初めに、お客様に御心配と御迷惑をおかけしておりまして、本当に申しわけないと思っております。
 五月の十五日に、御指摘のンで始まるお名前の方がお勤めの事業所から神奈川の事務センターにそういう御相談があったということでございまして、この事務センターから、現行システム上登録できないので、例えば氏名の順番を変更されるなど、最初にンが来ないようにお願いできないかということを御説明したというふうに聞いてございます。
 現行のシステムは、何分、実は昭和三十九年から運用しております非常に古いシステムでございますので、当時どうしてそういうふうになったのかということについてはよくわからないところがございますけれども、いわば入力ミスを防ぐという観点から、普通はないような、ンで始まるということについては、それをはじくというような設計になったのではないかというふうに推察をされるところでございます。
 なお、現在、この社会保険のオンラインシステム、全面的な刷新ということに向けて取り組んでおりますけれども、その中ではこの問題は意識をしてございます。
○柚木委員 済みません、最後のところがちょっとうまく聞き取れなかったんですけれども、現在システムを刷新しているから、同様の事例はもう起こらないと……。ごめんなさい、ちょっとそこを確認させてもらえますか。
○樽見政府参考人 システムの刷新に取り組んでおりまして、この中では、こういう問題が起こらないようにしたいということでは取り組んでございます。
 ただ、これは若干時間がかかりますので、直ちにということにはこのシステム刷新ということでは取り組めないわけでございますけれども、刷新をした暁にはこういう問題は起こらないようにしたいということでございます。
○柚木委員 後ほど改めてそこのところを詰めた議論もさせていただきたいと思いますが、現状の認識については確認をさせていただきました。
 きょう、それぞれ所管の参考人の皆さんにお越しいただいておりまして、ありがとうございます。
 それで、今の答弁であるわけですが、これは、法務大臣、氏名の順番を変えろということなんですね。現場で実際にそういう応対がなされているわけですね。
 これは私も非常に驚いておりまして、もちろんいろいろな人権侵害があるわけですが、氏名というと、我々の中では当たり前のことですが、それを変えろというのを、こういういろいろな手続の際に、半ば強制と受け取るかどうかというのももちろん本人の受けとめ方はあるわけですが、これはアイデンティティーそのものですよね。そういう、氏名の順番を変えろというような対応というのは、私は、本当にこれは人権問題という側面が否定できないと思うわけですが、これは、法務大臣として今の事例を聞かれてどういうふうに思われますか。
○上川国務大臣 外国人の方々が日本の中で生活をする、働く、あるいは学ぶ、さまざまな場面がある中で、この社会保険の問題につきましても、その大事な要素として、大変大事な手続になろうかというふうに思っております。
 とりわけ氏名に係ることについては、個人のアイデンティティーに係るということでありますので、私どもが、日本の氏と名ということでありますが、海外に行くと逆に言われるんですけれども、それはそれとして、それぞれの文化というのもあるわけでありますけれども、やはり適切に対応していくということが大事ではないかというふうに思っております。
 具体的にどんな状況の中で、どのような強制というようなことも含めてということについては、ちょっと事情がよくわかりませんので、個々の状況の中での把握という形で、人権問題であるというような認定そのものも、それぞれの個々の中での判断になろうかというふうに思っております。
○柚木委員 私も、あえて質問前に、ミチヨシ・ユノキというような、国外に出るときにそういう言われ方というのももちろんあるわけですが、この問題というのは、他の、運転免許とか雇用保険上は、きちんと、つまり、まさに真実の氏名どおりに対応されている中でのお話でございますので、やはり国内の同じいろいろな行政手続等の中でこういう違いが出てくるというのは、先ほど、所管の担当審議官の方からの御答弁、システム刷新のプロセスの中で起こらないようにしたいということでありますが、これは当然のことでありまして、人権という部分について、所管の法務大臣としては、そこの意識はやはり明確にお持ちをいただきたい部分でございますので、そこはしっかりと御認識をいただくことをお願い申し上げたいと思います。
 それで、これは、二〇〇九年の入管法改正、在留ICカード導入の際に、当該外国籍住民の利便性を図る、こういう趣旨を説明されていたというふうに私は認識をしておるわけですが、これは、関連も含めて、私自身の認識が合っているかどうかも含めて、法務省の方から御答弁をいただけますか。
○井上政府参考人 委員御指摘のとおり、平成二十一年の入管法の一部改正案の提案理由説明等におきまして、外国人の利便性を向上させるための措置をとっている、そのような説明をしておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、同年の改正におきましては、いわゆる在留カードの交付を含みまして、新しい在留管理制度を導入したわけでございますが、その結果、法務大臣が外国人の在留管理に必要な情報を正確かつ継続的に把握して、的確な在留管理を行うことが可能となりました。
 そこで、我が国に中長期間在留する外国人に対しましては、まず第一に、在留期間の上限をそれまでの三年から五年に延ばすことができるようにする、それから第二に、出国の日から一年以内に再入国する場合は原則として再入国許可を不要とする、いわゆるみなし再入国許可と言っておりますけれども、そのような二つの措置を講じたところでございまして、これらは外国人の利便性の向上に資するものということで、そのような説明をさせていただきました。
○柚木委員 今御答弁いただいたような利便性の向上をお図りいただく中で、やはり、今、こういう事案があるということを確認あるいは改善を求める質疑をさせていただいているわけでございまして、利便性というのももちろん重要でございますが、もちろん利便性にもかかわるわけでございますが、人権という観点も含めて、それがちゃんと大前提として、人権が尊重、守られるという中での利便性向上という形での運用を、所管の法務省、それから今般においては、健康保険の関係でいえば厚生労働省との連携をいただきながら、しっかりとお取り組みいただきたいと思うわけでございます。
 それで、冒頭御答弁いただいているわけですが、これはやはり、先ほどのシステムの導入が非常に古い時期のものであって、入力ミスを防ぐというのは、ちょっと、その状況が今日まで続いているというのは非常にどうかなと私も思うわけであります。
 いずれにしても、システム刷新を速やかに行っていただくということが重要でございますし、その際に、外国籍労働者に今般のような不利益が生じないように、とりわけ、健康保険加入、これは当然、法的に強制加入ということでもございまして、先ほど、国保についての柔軟な運用、つまり手書き等による保険証の発行についても申し上げたわけでございます。ぜひ、今のような状況が起こらないようにしたいということでございましたが、このシステムの刷新というのは、これはいつまでに行われるものでございますか。
○樽見政府参考人 今お尋ねでございますシステム刷新、先ほど申し上げましたように、システム刷新という形で今の記録管理のシステムが稼働するのは平成三十三年の予定で進めてございます。ですので、実は、今御指摘の点につきましては、ンで始まるお名前も登録できるように、この部分については現行のシステムをその前に改修するという方向で、日本年金機構に影響調査を急ぎ行ってもらいたいというふうに考えております。
 それから、先ほど、過去の同様の件数ということについてお尋ねがありまして、明示的に申し上げませんでしたけれども、これまで同様の事案があったかどうか、その件数ということについては、そういうシステム上の都合でございますので、システム上検索するというようなことができませんで、個別に全国の年金事務所や事務センターに照会をして確認しなきゃいかぬということになりますので、直ちにお答えができないということについて御理解を願いたいと思います。
 以上でございます。
○柚木委員 最後の方の答弁は、もちろん把握をしていただくことも重要だと思うんですが、まずは、そういう今そこにある問題に対しての対応をしっかりと優先いただくことが必要だというふうには思います。システムについては平成三十三年であっても、今般のンダイキヤさんの部分については現行システムの中で改善をしていただける、こういう御答弁をいただいたというふうに認識をいたしました。
 そうはいっても、これはいつ何どきけが、病気になるかわからないわけでありまして、大変恐縮ですが、対応していただけるということで、いつぐらいまでに対応していただけるか、ちょっと目安をお示しいただければありがたいんですが、いかがでしょうか。
○樽見政府参考人 保険証の発行というところにつきましては、医療保険の方の話になりますけれども、これは、協会けんぽと年金機構と、いわば資格管理をできるだけ速やかに情報共有するということのやり方ということでございますので、この個別のケースについて、できるだけ速やかに保険証を発行できるように、これについては取り急ぎ相談を進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、このンで始まるというところについての年金機構のシステム改修、システム刷新よりも早くできるようにということで進めてまいりたいというふうに考えてございますけれども、これについては、まず年金機構の方で影響調査というものをやってもらいまして、それに基づいて予算規模あるいは調達手続というものがございますので、現時点でいつということについてお約束することはなかなか難しい状況にございますけれども、できるだけ早くというお気持ちについては共有しているつもりでございます。
○柚木委員 誠実に御答弁いただいていると思うんですが、ンダイキヤさんについても、そこにある課題ですから、これも大変恐縮ですが、御対応いただいたら御連絡いただければありがたいなというのが一点で、それから、ンで始まるという部分についても、やはり今、速やかにということでございますので、そこのめどが立った段階で共有をさせていただければありがたいなということをお願い申し上げておきたいと思います。
 この問題についての質疑はここまでとさせていただきますので、もしあれでしたら、答弁者の方は御退出いただいて結構でございます。
 続きまして、冒頭、後半部分はということを申し上げさせていただきました。児童虐待、これは、いろいろなフェーズ、側面が当然あるわけでございまして、この間、当委員会の委員の先生方もさまざまなフェーズにおけるお取り組みを個別あるいは党派を超えてなされておられると思うんですが、さまざまな児童虐待あるいは虐待死、あるいは性犯罪が絡むもの、いろいろな形で、この間、本当に事件、報道が後を絶たないわけでございます。
 私自身も四歳の娘と一歳の息子の父親でもございますが、同年代の子供が虐待で死亡させられる、餓死させられる。あるいは、きょう私も、こういう課題を取り上げることも、ある意味ためらわれるというか、はばかられるような、そういう、児童というよりも幼児というような年齢の方がいわゆる性の商品化の対象になって、こういう方が成長されていく中で、まさにそういうことを認識して、そしてまさに心の傷、場合によっては、それが大変に悲惨な事例にまで進んでしまう場合には、いわゆる性犯罪、強姦、魂の殺人とか、いろいろなことが、当委員会でもお話をお聞きしている部分があるんですね。
 当然、児童虐待は、入り口による防止、抑止、あるいは実際にゼロにできないときの対応、アフターケア、フォロー等、いろいろなフェーズがあるわけで、所管もそれぞれあるわけでございます。
 これは、私自身、こういったことが起こる背景というものを考えると、親御さんがある意味加害者である事案は、当然、許されないことではあるんですが、背景を調べていくと、その親御さん御自身の生育、養育環境であったり、そこに貧困の問題があったり、そういったさまざまな背景があって、だからといって許されるわけではないわけですが、やはりそういった貧困対策であったり、親子それぞれへの支援であったり、そういう部分が求められることも事実でありますし、そういったことが起こってしまった後の社会的なサポート、支援体制の強化、この質問に臨ませていただくに当たりまして、そういったさまざまな活動をされておられますNPOの方々にもお話を伺ってまいりました。
 それで、私の中では、いわゆる児童虐待、虐待死、性が絡むもの、広範な、全体としての児童虐待そのものをいかにしてなくし、減らし、あるいは起こってしまったときのケア、フォローをしていくかという問題意識の中で、これは本当にライフワークとしてやっていかなきゃいけないという思いで、この間、委員の皆さんとともに取り組ませていただいてきている部分はあるんですが、きょうは、その児童虐待の中でも、一つの類型という言い方がいいのかどうかわかりませんが、昨年は改正児童ポルノ法が成立をして、そして施行という流れの中で、この児童ポルノにかかわる部分について、これは当然、児童虐待、性犯罪という視点を持たざるを得ないわけでございまして、その視点から幾つか質問をさせていただきたいと思っているところでございます。
 もちろん、改正児童ポルノ法の議論の際に、例えば表現の自由等でありましたり、そもそも、そういった議論、制度の規制強化あるいは厳罰化といったことがどの程度の抑止効果を持つのかどうなのかとか、それぞれの議論があったことは承知をしておりますが、私がきょうの質問でとりわけ視点を絞って質問させていただきたいのは、いわゆる児童虐待、児童ポルノということが起こった場合に、その対象となってしまった児童の方々は、その段階で、あるいはその先に、心身ともに大きな傷を負い、さらにはその後の人生、社会生活が著しく困難に陥ってしまう、そういう状況。この質問に臨むに当たりまして、実際にそういう対応をされていらっしゃるシェルター、当事者、現場の方のお話も伺ってきておりますので、やはりそういうことが起こってしまうということをしっかり我々は認識した上でこの質疑をさせていただきたいと思っております。
 それで、まず、所管の法務省、警察庁等にお伺いをいたします。
 昨年、改正児童ポルノ法が成立、施行。そして、とりわけ、きょう資料にもおつけをしておりますが、二ページ目以降、これはちょうど、産経ニュースで継続的にそれぞれ重要な視点が書かれておるので、下線を引いておりまして、そこだけちょっと抜き出して認識を共有させていただきたいんですが、私も、今回質問するに当たって調査をしたりする中で、全く認識していないような状況も現状として起こり、また、それがさらに深く進行しているというところがあるんですね。
 ジュニアアイドルとか着エロという言葉を私も初めて知りましたが、そういういろいろな状況があって、そして摘発事例もある。しかし、線引きの難しさ、当然、当事者がなかなか告訴をすることが困難である事情等、あるいは法の合間をかいくぐるような違法性ぎりぎりの商品が制作、販売され続ける、こういうことの実情が書かれておりますし、摘発が、この後御答弁いただくわけですが、非常に過去最悪の状況が続いていて、被害の約半数が中学生以下、つまり、小学生、それ以下という部分があるわけでございます。
 そういった部分というのは人身取引にも当たるのではないかということで、そういった我が国に対する見方というものもあり、今後、東京オリンピック等に向けて進んでいく中で、こういう実情があるということは、これは非常にゆゆしき状況でもありますし、この産経ニュース、三回のシリーズの最後のところには、やはり、そういった被害を受けた子供、児童、特に女児の方等、心身ともに病んでいく、そしてまた、養護施設の出身者の方に被害が目立つということであれば、アフターケアの必要性等は言うまでもないわけでございます。
 そういった状況、そしてその後、ちょっとつけるのもどうかと思ったんですが、小学生あるいはそれ以下とおぼしきような方も含めて、だっこ会、サイン会、こういう状況で行われているという現実。
 こういったことも含めてちょっと共有させていただいた上で、現状の、改正児童ポルノ法施行後、そしていわゆる三号ポルノ規定も含めた取り締まり等の進展状況について、所管の法務省、警察庁から御答弁いただきたいと思います。
○林政府参考人 平成二十六年六月に児童ポルノ禁止法が改正されまして、いわゆる三号ポルノの定義が一層明確化されたほかに、性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等の罪あるいは盗撮による児童ポルノ製造罪が新設されるなどしたところでございます。
 このように、改正によりまして児童ポルノに対する規制が強化されたということを踏まえまして、検察当局におきましては、三号ポルノ事案を含む児童ポルノ事案につきまして、児童ポルノ禁止法の関係罰則を積極的に適用して、厳正な科刑の実現に努めているものと考えております。
○柚木委員 これは警察庁の方からも御答弁をお願いできますか。
○島根政府参考人 お答えいたします。
 通年の数字で申し上げさせていただきますが、警察における平成二十六年中の児童ポルノ事犯の送致件数は一千八百二十八件、送致人員は一千三百八十人、被害児童数は七百四十六人と、いずれも過去最多となっております。
 なお、児童ポルノ禁止法二条三項の各号ごとに区分した送致件数の統計はとっておりませんが、ちなみに、二十六年中の児童ポルノ事犯の検挙事案で、新たに特定された被害児童数七百四十六人のうち、法二条三項三号に該当する児童ポルノに係る被害児童数は、他の号に該当する児童ポルノがある場合も合わせ、六百三十五人と把握をしております。
○柚木委員 今のそれぞれの御答弁、法務省については当然、抑止、事後も含めた厳正な対応をいただくこと。そして、警察庁の今の御答弁を伺うと、これは本当に悪い意味で右肩上がりで、過去最多、つまり最悪の検挙状況、被害状況。そのうちの、被害児童七百四十六人のうち六百三十五人について、私、まさに三号ポルノ規定も含めということで御答弁いただいたわけですが、六百三十五人ということでございまして、これは本当にゆゆしき状況が続いているということなんだと思うんですね。
 それで、こういったことをいかにして防いでいくかという視点もこの後お尋ねをするわけですが、もちろん、改正児童ポルノ法の法改正の趣旨、取り締まり強化も必要なわけですが、同時に、被害を受けた児童の保護についての必要性ですね。私も、地元が岡山県なんですが、そういったシェルターもございまして、実際に伺ってお話を聞いてまいりました。
 改正児童ポルノ法の十五条、私も条文を見ながらちょっとお伺いするんですが、ここでは、心身に有害な影響を受けた児童の保護、これはつまり、回復や成長のための相談、指導、心身とものケア等の責任が法文上明記された、新設されたわけでございまして、この明記をされた行政機関の取り組みの進捗について、もちろん去年のことではありますが、具体的な数値があれば、これはそれぞれ所管の厚労、法務、警察庁から御答弁をいただきたいと思います。お願いいたします。
○木下政府参考人 ただいま委員御指摘されました、児童ポルノ事犯等の被害児童に対して適切に支援をしていくということは、やはり非常に重要であると考えております。
 昨年六月の改正でございますので、直近の数字、二十六年度の数字はちょっと私ども持ち合わせておりませんけれども、改正前の二十五年度の児童買春等の被害相談として受け付けた件数は五十五件というふうになっております。この数字は、非行相談等々もございまして、そういった数字の中にも若干この児童ポルノの関係も入っておろうと思います。
 私ども児童相談所といたしましては、特に今、性的虐待についてのガイドラインをつくっておりまして、被害児童に対しまして、児童心理司によるカウンセリング、あるいは医療的なケアが必要な場合には医療的な対応の専門機関のあっせん、あるいは、場合によっては緊急に一時保護をする、そういったことによって適切に児童を保護していくことがやはり必要だと思っておりまして、今後とも、関係機関と十分に連携をとりながら、要保護児童への適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
○島根政府参考人 児童ポルノや児童買春は、児童の権利を著しく侵害し、その心身に有害な影響を及ぼす悪質な犯罪でありますことから、警察では、積極的にこれを取り締まるとともに、被害児童に対する継続的な支援等を実施しております。
 数字としては把握しておりませんが、具体的には、少年の特性や心理に関する知識、技能を有する少年補導職員等が被害児童に対するカウンセリング等を行っているところであります。そして、こうした被害児童に対するカウンセリングを実効的なものとするために、臨床心理士、大学教授、精神科医等の専門家を被害少年カウンセリングアドバイザーということで委嘱いたしまして、支援を担当する職員が専門的な助言を受けることができるようにしているところであります。
 今後とも、被害児童がその受けた影響から心身ともに回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○岡村政府参考人 児童買春、児童ポルノ等の性被害による被害児童の救済は、積極的に取り組むべき課題と認識しております。
 法務省の人権擁護機関では、性被害を含む子供の人権問題について、全国の法務局、地方法務局の窓口、電話、メールなどで人権相談を行っております。この人権相談などにより人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として関係者の聴取などの調査を行い、児童相談所等の関係機関と連携協力いたしまして被害児童の保護を図るなど、適切な措置を講じているところでございます。
 今後とも、これらの相談窓口についてより一層適切な周知に努めるとともに、人権侵犯事件について、関係機関と連携協力し、被害の救済に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○柚木委員 それぞれ所管から御答弁いただきました。
 改正児童ポルノ法の十六条の二において今後の施策の検証等が明記をされておるわけでもございまして、これは、三年をめどに必要な見直し等も講じていくということだと思うんですね。厚生労働省の方からの件数、二十五年分、半年分ですから、さらには、そういう意味では事案の特性というものがありますから、五十五件というのがどうなのかなという思いもするわけではございます。
 いずれにしましても、今後のこういった心身へのケアの体制を、それぞれの所管、あるいは児相等、福祉事務所その他、行政機関の責任がこういった形で法律上明記をされたことをしっかりと認識をした形で今後の対応をお願いしておきたいと思います。
 それで、先ほどの資料も、JKビジネスとかジュニアアイドルとかだっこ会、握手会、サイン会、例えばBBCなどでもこの特異な状況について報道で特集されるようなことがあったり、いわば、他国から見れば非常に異様なというか異常な状況が、ある意味公然と行われているということでございます。
 これに対して私が非常に危惧をするのが、女の子、特に幼児とかも含めて、いわばそういうビジネスの対象になっていることが、その先いろいろ、心身ともに、非常に御本人、当事者を苦しませることになるようなことが想定される中でこういうことが起こっている。これは、つまり、外部の第三者がそういうことを強制的にという部分についての問題ももちろんあるわけですが、親御さんがそういう形で介在をしているという部分について、非常に私も危惧するわけであります。
 この点について、所管の警察庁、一定の把握あるいは対応については講じておられるんでしょうか。可能な範囲で御答弁をいただけますか。
○島根政府参考人 いわゆるJKビジネス等少年の性を売り物とする営業につきましては、女子高生等が児童買春等の被害者となる危険性があることなどから、少年の保護と健全育成の観点から憂慮すべきものであると認識をいたしております。
 ただいまお尋ねのありました親御さんの関与ということにつきましては、余り具体的に把握しておりませんけれども、警察におきましては、こうした営業の実態把握に努め、労働基準法等の各種法令を適用して取り締まりを行うとともに、これら営業において安易に稼働している女子高生等に対する補導を行っているところであります。
 具体的な検挙事例を申し上げますと、制服姿の少女らを撮影するJK撮影会と呼ばれる撮影スタジオを経営する男らが、女子高生をアルバイトとして雇い入れ、制服や水着などを着用させた上、客の注文に応じて卑わいなポーズをとらせるなどした。また、これは最近の事案ですが、女子高生らが折り鶴をつくる作業を見せる作業所と呼ばれる店舗を経営する男らが、女子高生をアルバイトとして雇い入れ、客に下着を見せながら折り紙をするなどの業務につかせた。こういった事案につきまして、労働基準法等を適用して検挙を行っているところであります。
 今後とも、少年の保護と健全育成を図るために、この種事犯の取り締まりを積極的に推進してまいりたいと考えております。
○柚木委員 本当に、私もある意味質問するのもはばかられるような現実が今そこにあって、それに対して、やはりもう少し我々が危機感を持って臨んでいかなきゃいけないのではないかと思います。
 それで、今、そういう対応をいただくということなんですが、まさに労基法六十二条及び六十四条の三、年少者及び妊産婦等の危険有害業務の就業制限違反、こういったことで対応されたりもしているんですが、そうはいっても、実際、その場合、では仮に摘発された場合の量刑はどの程度なのかとか、そもそも親に対する摘発根拠は規制法に存在するのかとか、児童福祉法の三十四条、この児童福祉法の成立過程、歴史的な背景もある中ではありますが、では、それを適用した場合の量刑はどの程度なのかとか、ちょっと、そういう部分も含めて確認をさせていただいた上で最後にもう一つ質問させていただきたいので、これは法務省から簡潔に御答弁いただけますか。
○林政府参考人 具体的に犯罪が成立するかどうかについては、個別の判断になりますのでお答えすることはできませんけれども、一般論として申し上げますと、十八歳に満たない者を福祉に有害な場所における業務等につかせた場合、労働基準法六十二条二項違反の成立が考えられますけれども、これについては、六カ月以下の懲役または三十万円以下の罰金に処されるという法定刑となっております。
 あるいは、児童に淫行をさせる行為のおそれがある者などに情を知って児童を引き渡すなどの行為、これについては、児童福祉法三十四条一項七号違反の成立が考えられまして、三年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金となっております。
○柚木委員 量刑の可否というか適否について、ここで余り今の答弁について議論をする時間もないわけであります。
 他方で、過去のそういった重大事件といいますか、非常に皆さんが記憶の中にもとどめておられるようなそういった事案で、まさに、捜査あるいは裁判等のプロセスの中で、自宅に、つまりこういった背景があってそういった行為に及んでしまうような、そういったことも起こっており、ひょっとしたら、まさに前回も、性犯罪、強姦も魂の殺人というような、本当に痛ましい当事者の方のお話も聞く中で、背景にいろいろな要因はもちろんあるわけですが、いわゆる規制、処罰の部分がどの程度の抑止効果があるのかという議論も同時に必要なんですが、本当にもう少し考え直す余地があるのではないかと私自身は思うわけでございます。
 もう最後の質問にいたしますが、自動車の危険運転のときの議論もありました。性犯罪に対する処罰規定、議論が今なされております。こういった児童虐待、性がかかわる部分、こういった部分を含めて、例えば、児童虐待致傷罪、致死罪など、名前は議論すればいいんですが、もう少し、本当にこういうことが起こったときの処罰、対応というものを検討する余地が、これだけで解決するとは申しません、しかし、事の重さを考えたときに、そういったことも御検討いただく必要があるのではないかと私は思うわけですが、これは法務大臣、ぜひ御答弁をしっかりとお願いできませんか。
○上川国務大臣 今、柚木委員から、一連の、性的搾取というふうな名称で呼んでもいいかと思いますけれども、そうしたさまざまな大変痛ましい事案ということで御紹介の上で、最終的に今のような御質問ということになったかというふうに思っております。
 刑罰の規定の中に、児童の虐待とかというところに焦点を当てた形で法定刑を議論するということについては、今までそうしたことをした事実はございませんし、また、その要否につきましても、大変難しい問題があろうかというふうに思います。児童虐待の事案の発生状況、きょうも御指摘ありましたけれども、また、それに対して処罰をどうするかというような状況等も踏まえまして、慎重な上での検討が必要ではないかというふうに思っております。
 ただ、今の犯罪の状況の中では、例えば、暴行を加えて死亡させた場合には殺人罪そして傷害致死罪が適用されますし、また、児童に暴行を加えて傷害を負わせた場合におきましては殺人未遂罪それから傷害罪が成立をするということでございますので、こうした既存の法の適用ということについて、これは、子供であるということを十分に考えながら対応していくということであろうかと思います。適切なる対応が何よりも大切だというふうに考えております。
○柚木委員 終わります。どうもありがとうございました。
○奥野委員長 次に、鈴木貴子君。
○鈴木(貴)委員 皆さん、改めまして、おはようございます。
 きょうも、この法務委員会の場において、外の暑さにも負けないような熱気あふれる議論をできるべく頑張らせていただきたい、このように思っております。
 まず冒頭、皆さんもニュースなどで見ていらっしゃるかと思うんですけれども、志布志事件のことについて御見解を伺わせていただきたい、このように思っております。
 平成十五年、鹿児島県議選をめぐる選挙違反冤罪事件、いわゆる志布志事件であります。無罪が確定した元被告と遺族ら計十七人が国と県に計約二億八千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁は十五日、捜査した警察、検察に違法があったとして、国と県に計約六千万円の賠償を命じた。こういった報道がなされていることは、もちろん大臣も、そしてまた各委員の先生方も御承知かと思います。
 大臣、この報道をごらんになっての見解をまず伺わせてください。
○上川国務大臣 五月十五日に鹿児島地裁におきまして御指摘の判決が言い渡されたということにつきましては、そのとおり承知をしているところでございます。
 今後の対応につきましては、この判決内容を十分に検討した上で適切に行ってまいりたいというふうに考えております。
○鈴木(貴)委員 改めて大臣にお尋ねをしたいんですが、この判決、特に、捜査した警察、検察に違法があったと鹿児島地裁が、吉村裁判長がはっきりとこのように述べていらっしゃるわけであります。違法があったというこの部分に対して、所管の大臣である大臣の真摯な御発言を、どのように受けとめられているのかについてお尋ねをさせていただきます。
○上川国務大臣 個別の事案ということでございまして、今真摯な答弁ということでございますけれども、その上で、具体的にお答えするということにつきましては差し控えさせていただきたいと存じます。
○鈴木(貴)委員 判決の内容に対して何か申してくれという質問ではなくて、実際に鹿児島地裁において、まさに大臣が、そしてまたこの委員会の場においてもよく使われますが、法と証拠に基づいて適正な裁判が、審理が行われた結果、もう一度読み上げさせていただきます、捜査した警察、検察に違法があったとして国と県に賠償を命じた。その裁判の内容、過程についてどうこう申してくれという話ではなくて、違法があったというこの判決に対して、所管の大臣として、個別の案件だから答えられない、これだけで答弁逃れをできる案件ではない、私はこのように思っております。
 この裁判に携わって実際に賠償金を受け取った皆さんだけでなく、このニュースを見て国民の皆さんが、もしかしたら海をも越えて世界が、日本はどうした、法治国家日本じゃないのかと、不安が今まさに高まっている。
 では、その不安に対しての大臣の御見解、御見識を伺わせてください。
○上川国務大臣 五月十五日に鹿児島地裁におきまして、そのような判決がなされたということでございます。
 これにつきましては、鹿児島地裁の判決ということで、大変大事な判決が言い渡されたというふうに思っております。
 また、当然のことではございますけれども、犯人でない人を処罰することに対しては、あってはならないことだというふうにも考えているところでございます。そのような意味で、この判決につきましても、そうした判断の中で行われたというふうに思っております。
 また、判決内容につきまして今後どのように検討し対応していくかということにつきましては、適切な対応に努めてまいりたいというふうに考えております。
○鈴木(貴)委員 判決に対してどうのこうのしてくれという思いは毛頭なくて、ただ、この判決においてのという話でありましたが、冤罪、罪を犯していない人を逮捕してしまうことは遺憾であると、この委員会でも、また以前にも答弁はいただいているかと思います。ゆえに、その大臣の心意気といいますか思いを形にしっかりとしていくべく、さまざまな対策、取り組み、見直しを引き続きしていかなくてはいけないし、また同時に、なぜこういうことが起こってしまったのかという検証というものが必要ではないかと思います。
 過去の例をさまざま出しますと、もう既に終結した案件、終わった案件で、例えば、足利事件もありました、東電のゴビンダさんの冤罪、無罪事件もありました。しかしながら、ここでの問題というのは、なぜ捜査当局が無理な、違法な捜査にまで及んだのか、どのタイミングで行われたのか、なぜそんなことが行われたのか、もっと言えば、組織的な犯罪としてそれがまかり通ってしまっていたことに対しての検証というものを国として今までやってきたことはあるでしょうか。
 まず、事実関係を伺わせてください。検証を行ってきたことがあるかどうか。
○林政府参考人 これまでに、このような形での無罪判決あるいは再審請求を受けた上での無罪判決等を受けた場合に、検証を行って公表したことがございます。
 最高検においては、平成十九年八月十日に、氷見事件及び志布志事件の捜査、公判活動での問題点を検証して、その結果等を公表したところでございます。
○鈴木(貴)委員 その結果を報告されたというのは、こういったことがあったという事実関係だけではなく、誰が、どのタイミングで、なぜという検証をなされたものが発表されているという認識でよろしいんでしょうか。
○林政府参考人 それぞれの事件等につきまして、捜査段階あるいは公判段階での問題点等について検証を行ったものと考えております。
○鈴木(貴)委員 引き続き刑事局長にお尋ねします。
 まず、平成十九年八月十日だったでしょうか、その報告というものは、どういった目的で、何を期待しての報告書だったんでしょうか。
○林政府参考人 それぞれの事件におきましての判決の結果によって指摘された事項等を踏まえまして、当該事件における捜査あるいは公判においていかなる問題点があったのか、また、そのような問題点があったとすれば、どのような対応を今後すべきなのかというようなことについて、それを目的として検証したものでございます。
○鈴木(貴)委員 今後の対応ということで、もちろん、常識的に考えれば二度とこういったことはしてはいけない、そういった考えのもとで報告書というものが作成また公表されたのではないかと思います。
 では、改めて、林刑事局長、実際に平成十九年八月十日に公表された報告書は、果たして、その本来の目的、二度とこういったことを起こさないというその趣旨はしっかりとクリアをされているでしょうか。
○林政府参考人 こういった報告の中で今後のあるべき検察活動の行うべきことというものを指摘された上で、それを受けて、検察内部におきまして、そういった問題点及びそれを防ぐための今後の捜査のあり方、公判のあり方について内部の会議等で共有したものと承知しております。
○鈴木(貴)委員 まさにそこを私は指摘させていただきたいんです。内部で共有したで今までとまってきてしまっているんじゃないでしょうか。
 共有するだけで果たしていいのか。しっかりと事実や事象を検証し共有をした上で、こういったことを二度と繰り返さないというものが最終的な、そしてまた何よりも一番大事なゴールではないかと思いますが、刑事局長はどのようにお考えでしょうか。
○林政府参考人 まさしく、いろいろな問題点、対応について内部で共有して、そういったことが起きないようにすること、これが非常に重要でございます。
 その意味で、今回の志布志事件等につきましても、そういった対応を行ったものでございます。今回の国家賠償訴訟の判決というものについては、もちろん、過去に起きた志布志事件についての刑事事件とは違う形での判決がなされたというものでございますけれども、そのもととなった事件につきましては、そこで指摘された問題点というのは、今後ともそのようなことがないような形で当然内部で共有して、十分な対応をしていくべきものと考えております。
○鈴木(貴)委員 引き続き、質問をしていきたいと思っております。
 通告を何点かさせていただきましたが、ちょっと順番を変えさせていただいて、最初にまず再犯の方の質問を伺った後に、まさに今の話題にまた戻ってくるんですけれども、検察について、検察とはという視点で質問をさせていただきたい、このように思います。
 まず、再犯について、通告をさせていただいている質問について伺わせていただきます。
 これは以前も伺わせていただいたんですけれども、事件数における初犯と再犯の割合からいろいろ数字を計算しますと、実際に起きている事件の実に六割が再犯である。こういった観点で考えると、今、安倍政権も打ち出されている世界一安全な国日本、そしてまた治安の維持といった観点からも、再犯をいかに未然に防いでいくか、こういったことが全体の事件の数も減らす、そしてまた、おのずと治安をよくしていくということにもつながっていくかと思いますが、まず、大臣の再犯防止に対してのお考えを伺いたいと思います。
○上川国務大臣 御指摘のように、犯罪の件数、犯罪率というのは年々下がっているわけでございますが、犯罪に占める再犯の割合は六割ということで、この再犯をいかに防止するか、再犯をさせないようにしていくかというのは喫緊の課題であるということで、日本再興戦略の中でもしっかりと位置づけたところでございます。
 再犯の防止のためのさまざまな施策についても、特に出所後の住まいが確保されているかどうかでありますとか、あるいは自立した生活ができるための仕事をしっかりと得ることができて、そして安定した生活を営むことができるようにするかということが大変大きな課題であるということでございます。その意味で、居場所と仕事をつくっていくということを目標に、施設内での処遇の段階、受刑をされている段階、入所の段階から出所後の対応も含めて切れ目ない対応をしていこう、こうした考え方で今取り組んでいるところでございます。
 二〇二〇年は大変大きな節目の年ということでもありますし、その折に、再犯者がしっかりと復帰できるということ、このことが安全の第一のシンボルにもなるということでございますので、全力を傾けて取り組んでまいりたいと思っております。
○鈴木(貴)委員 全力を傾けて取り組んでいかれるという前向きな御答弁をいただきました。
 そこで、私自身、再犯防止議連にも入っているんですけれども、いろいろ、視察であるだとか有識者の皆さんのお話を伺いながら、ひとえに再犯防止といっても、どういった罪を犯して刑事施設に今入っていらっしゃるのか、そういったバックグラウンドなどもしっかりと勘案して、個々の対応といいますか、丁寧な対応というものが求められているのではないのかな、このように思っております。
 その中でも、私自身、非常に、今後もずっと取り組んでいきたいと思っている課題に、性犯罪者の更生、そしてまた再犯防止、こういったこともしっかりと建設的な議論をしていくべきではないのかなと思っております。
 松島前法務大臣がいわゆる強姦罪の罪の軽さなどを指摘されまして、量刑以外でもいろいろ議論はされていらっしゃるかと思いますが、性犯罪の罰則に関する検討会というものを立ち上げられております。この性犯罪の罰則に関する検討会立ち上げの趣旨というものを伺いたいと思います。
○林政府参考人 性犯罪の罰則に関する検討会につきましては、幅広い論点がございます。
 まずもって、男女共同参画の観点からのさまざまな性犯罪の罰則に関する指摘がございましたので、その点についてまず議論をするということがございます。具体的には、法定刑の問題もございますけれども、性犯罪の構成要件においての男女差、ジェンダーの観点からの男女差があるという問題等の指摘がございますので、そういったことについても議論をする。また、性犯罪の被害に遭った者が告訴をする、これが親告罪という形で性犯罪が規定されている場合があるわけでございますが、そういったものの当否についても議論をする。そういったことを踏まえて、検討会が立ち上げられたものと考えております。
○鈴木(貴)委員 名前にもあるように、罰則に関する検討会ということではあるんですけれども、再犯防止といった、もちろん被害者を出さない、もちろん加害者を出さないという観点で考えれば、果たして本当に、量刑の部分、罰則の部分に余り重きを置き過ぎるというのもいかがなものかな、このように思っております。
 例えば、強姦や強制わいせつ事件というのは、いわゆる親告罪、つまりは、被害者からの告訴がなければ起訴できない。こういった現状ではありますが、例えば、親告罪、被害者からの告訴がなければ起訴できないという対象から外す、こういった検討などはされていらっしゃるのか。そしてまた、大臣のお考えもあわせて伺わせていただければと思います。
○林政府参考人 性犯罪の罰則に関する検討会におきましては、そういった性犯罪に係る親告罪の是非ということについても議論がなされております。
○上川国務大臣 親告罪の御議論も、今、九回にわたる検討会が開催されているわけでありますけれども、そろそろ論点整理という段階に至っているわけでありますが、いろいろな角度から先生方の御意見が出されているという状況でございますので、親告罪のままにした方がいいという御意見もございますし、そうでないという御意見もございますので、そういったことを踏まえた形で、どのように整理していくかということについてはよくよく注視してまいりたいというふうに考えております。
○鈴木(貴)委員 時間も限られているんですけれども、やはり、我々としても、量刑だけでなく、いかに被害を未然に防ぐか、そしてまた、裏を返せば、いかに加害者が、再犯も含め、こういった事件を起こさないようにしていくか、こういうことだと思っております。
 そういう意味では、量刑の引き上げというものが抑止に一方ではつながる、こういった議論もされております。しかしながら、同時に、量刑の引き上げというものが果たして本当に抑止力につながっているのかという客観的な、科学的な検証などというのは法務省の方などでもされているのか、お尋ねをさせてください。
○林政府参考人 具体的な量刑とそれによる再犯防止との関係について、直接的な検証、研究等がなされているとは承知しておりません。
 他方で、量刑の後に、さまざまな刑事施設における矯正処遇というものがございます、あるいは、更生保護の段階でのプログラム等がございます。こういったものが全部相まって、最後に、どのような刑事政策的な効果があるのかということが問われるわけでございますが、そういったことについて、個別の矯正処遇の効果というようなものについては、全部網羅的とは言いませんけれども、検証、研究がなされているものと承知しております。
○鈴木(貴)委員 刑務所内での性犯罪者用の特別な処遇プログラムというものにも近年力を入れているかと思います。
 実際に、このプログラムによって再犯防止につながったであるとか、そういった客観的な事実というのは出ているんでしょうか。
○小川政府参考人 お答えいたします。
 刑事施設におきましては、平成十八年度に刑事収容施設法が施行されまして、同法上の特別改善指導ということが始まりましたので、それ以降、性犯罪者につきましても再犯防止の指導を行っているところでございます。これは、平成十七年度に性犯罪者処遇プログラム研究会というものを省内に設けまして、その検討をもとに策定したプログラムに基づきまして実施しております。
 その効果でございますけれども、十八年度から始まりましたので、その後、平成十九年以降に効果の検証を行っております。具体的に申し上げますと、平成十八年からその処遇プログラムを始めましたので、平成十九年七月以降、平成二十三年十二月三十一日までの間に出所した性犯罪者が二千百四十七名おりました。それが平成二十四年三月三十一日までに再犯を犯したかどうかについて調査を行った結果がございます。
 その結果につきましては、平成二十四年十二月に公表しているところでございますけれども、刑事施設を出所した性犯罪者二千百四十七名を対象としまして、統計学的な手法を用いて分析を行いました。プログラムを受講したグループの出所後三年間の推定再犯率は二一・九%でございました。受講していないグループの推定再犯率は二九・六%でございました。
 したがいまして、一定の再犯抑止効果があったというふうに認めることができると考えております。
 他方、処遇プログラムの課題についてもいろいろ指摘をいただいておりまして、指導対象者の問題性により焦点を当てた指導が必要であるというふうな課題も示されておりますので、今後も引き続き、外部の有識者等の意見も聞きながら、性犯罪再犯防止指導の充実を図ってまいりたいと考えております。
○鈴木(貴)委員 一定の効果と言いますが、二九・六引く二一・九というと、七・少しですよね。性犯罪者処遇プログラムというものを導入して、これで皆さん納得はされていらっしゃらない、鋭意前向きに取り組み、見直しをされていらっしゃるとは思いますが、実際に、さまざまな客観的データ、そしてまた例えば心理学的な見地からの専門家の意見を聞くだとか、さまざまなことをぜひとも取り入れていただきたいな、このように思っております。
 実際に受刑者の皆さんまた元受刑者の方からも伺ったところ、刑事施設というあくまでも誘惑のないところでそのプログラムを受けていて、実際に社会に戻ったときへの不安というものは拭い切れないと。
 そしてまた、性犯罪にかかわる、もしくは性犯罪者と呼ばれる皆さんにかかわる資料などを読んでいくと、私自身、自分の勉強不足などを痛感したところでもあるんですけれども、この皆さんは、往々にして、絶対に二度と繰り返したくないと、刑事施設にいる間は非常に模範的な、規範にのっとった態度をとっていらっしゃる方が多い。しかしながら、どうしても社会に出たときにまた戻ってきてしまうケースも多いという、非常に負の連鎖というものが生まれている分野だ、このように思っております。実際、もうやりたくないんだ、だけれども、どうしようもないという、そこの部分において、出所後もしっかりと対応、取り組み、またサポートのすべというものもぜひ考えていただきたい。
 そしてまた、先ほど上川大臣が、居場所だとか仕事、こういったことが再犯率を低下させることに大きく役立つと。実際に、こういった、さまざまなデータが出ているかと思います。
 ただ、一点だけ、性犯罪者の再犯の動向という観点でいきますと、実は仕事も持っている、家も持っている、時には家族も、刑事施設内にいるときから非常にサポーティブな家族もいる、しかしながらまた繰り返してしまう、こういったケースが非常に多いというのが性犯罪の特徴でもある。ゆえに、さまざまな分野、ジャンルごとに検証などを引き続き鋭意行っていただきたいということを強く訴えさせていただきたいと思います。
 残りの時間、十分少々かと思いますが、一番最初に通告をさせていただきました検察についてという部分について伺わせていただきたいと思います。
 先ほど志布志事件に関しても伺わせていただきましたが、私も何度となく、過去、質問主意書そしてまたこの委員会などでも、「検察の理念」ですとか、さまざま、るる質問を続けてまいりました。
 「検察当局において、法と証拠に基づいて、適切に処理したものと考えている。」であるとか、「検察当局が、法と証拠に基づいて適切に判断したものと承知している。」であるとか、「検察当局は、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として、適切に対処しているものと承知している。」この三つがまさに順番、きょうはこれ、あしたはこれ、その次はこれ、ローテーションでもあるのかと言いたくなるような形で、大体この三つが返ってくるわけなんです。こういった答弁が数多く、閣議決定を経た質問主意書の答弁でも、そしてまたこの委員会においてもよく散見されるところであるんです。
 改めてお伺いします。検察当局は、常に法と証拠に基づき、厳正公平、不偏不党を旨として、どんなときにも適切に対処していらっしゃるんでしょうか。大臣と刑事局長にお尋ねします。
○奥野委員長 これは刑事局長なのか。どうだ、政務官、行くか。
 では、刑事局長、先に答えて。(鈴木(貴)委員「いや、政務官でも。ぜひお願いします、政務官」と呼ぶ)
 刑事局長。
○林政府参考人 検察当局は、委員御指摘のとおり、常に、厳正公平、不偏不党、そして法と証拠に基づいて、適切に検察権を行使していくべきものと考えております。
○上川国務大臣 検察の役割ということにつきましては、司法の中で大変大きな比重を占めているということで、数々のさまざまな事件の中で、無罪の方に対して、厳しい状況の中で、冤罪をかけてしまったというような事例もございまして、検察の在り方検討会におきまして幅広い議論をしながら、「検察の理念」という形でまとめ上げた。
 これは、ただ単にまとめ上げるだけでは意味がないわけで、これを日々の検察の活動の中で十分に生かしていくことができなければ意味がないわけでありますので、このために一人一人が研さん、努力をしていくということ、また、さまざまな状況の中で勉強を重ねながら真摯にこの問題に向き合っていくということの中で、初めてその精神が生かされていくのではないかというふうに思っております。
 その意味では、たゆまぬ意識の改革と、そして努力がなくてはならないものというふうに考えております。
○鈴木(貴)委員 まず、答弁者がすぐに出てこなかったというのが答えじゃないでしょうか。常に法と証拠に基づき、不偏不党を旨として、適切に処理していると言い切れるのであれば、きっと、今目の前にいらっしゃるお三方、誰でもすぐに手を挙げて、我先にという勢いで答弁していただくのが本来のあるべき姿ではないでしょうか。
 しかしながら、大塚政務官、目も合わせていただけないような形で、私、今、非常にショックを受けているんですけれども。そしてまた、葉梨副大臣も、日ごろ、答弁席で大臣を横からサポートしていらっしゃるところもよくよく拝見をしているんですけれども、その副大臣でも手を挙げられなかったということを我々はしっかりと受けとめなくてはいけない。林刑事局長は、書類だけでなく、そういった状況もしっかりと幅広い視点で見ていただきたいな、このように思うところであります。
 そして、林刑事局長に改めてお尋ねをさせていただきます。
 閣議決定もされた質問主意書の答弁書においても、「適切に対処している」、このように言い切っていらっしゃる。しかしながら、先ほどの答弁では、いくべきものと考えていると。
 ということは、できていないということの裏返しでよろしいでしょうか。
○林政府参考人 法務省から、検察の検察権行使のあり方についてその認識を述べる場合に、検察の行為について、そうした法と証拠に基づいた検察権行使がなされていると言われている、それについては、当該質問主意書等において、当該事件についてそのような認識を示したものと考えております。
 それで、私が先ほど、いくべきであると申し上げましたのは、「検察の理念」等にも掲げておりますように、検察というものは、常に、その「検察の理念」に掲げられた基本的な姿勢、基本的な指針に基づいて、絶えずそのような行動をしていくべきであるということになっておりまして、検察みずからがそのような「検察の理念」を定めておりますので、そういう検察権の行使がなされるべきであるという旨を述べたものでございます。
○鈴木(貴)委員 今、「検察の理念」という話も出てまいりましたが、では、その「検察の理念」がつくられた背景、そもそも論を改めて伺わせていただきたいと思います。
 そしてまた、最高検察庁のホームページの検事総長の紹介の部分で、小津博司前検事総長でありますが、「検察に対する国民の信頼が回復されるよう、全力で取り組んでまいります。」このようにホームページ上でも明記されていらっしゃいました。
 「信頼が回復されるよう、」これも先ほどと一緒ですが、裏を返せば、信頼を一旦失った、だからこそ全力で信頼回復に取り組んでいくという前検事総長の思いのあらわれではないかと思います。この認識、ちなみに、この日本語の解釈というのは、非常に常識的な解釈だと思っています。
 ぜひ、この間の裁判員裁判ではありませんが、国民の皆さんにわかるように、わかりやすい言葉で、誠実な答弁を望みます。
○上川国務大臣 「検察の理念」を策定する背景というのは、いわゆる厚生労働省元局長の無罪事件等、一連の事態というのを受けまして、検察の在り方検討会が設けられた。その提言はされるわけでありますが、同時に、検察みずからの使命として、みずからの問題として捉える、こうしたことが非常に大事だというふうに思っておりますけれども、そういった提言を踏まえて、「検察の理念」という形で、検察みずからが、戒めとして、しっかりとよって立つものを共有したものとして打ち出したというふうに思っております。
 したがって、使命そして役割を再認識すること、そして、日々の仕事の現場におきましても指針とすることができるように基本的な規定を設けていくということでありますので、先ほど申し上げたとおり、規定が規定だけに終わることなく、日々、それをしっかりと戒めにしながら、職務の遂行を果たし、そして、国民の皆様からしっかりと信頼をしていただくことができるような最大限の努力をたゆまずしていくということが何よりも大事だというふうに考えております。
○鈴木(貴)委員 今、「検察の理念」がつくられる背景には、いわゆる厚生労働省の村木局長事件があったというお話でもありました。
 そしてまた、私、きょうの委員会の冒頭、志布志事件についても質問をさせていただきましたが、今回、なぜ志布志事件で国賠そして県への賠償が認められたか。これは、違法捜査が認められたということなんです。
 例えば、典型例として有名なのが、踏み字と呼ばれるものです。取り調べの際に、捜査員は、取り調べている人の例えば父親であるとか、もしくは三歳のお孫さんの名前を使って、おまえをこんな人間に育てた覚えはないであるとか、早く正直なおじいちゃんになって帰ってきてください、このように書いた紙を足をつかんで踏ませていた、これがいわゆる踏み字というものであります。
 もしくは、取り調べ官に机をたたかれ、認めないと息子も逮捕するとどなられた。これはまさに脅迫ではないでしょうか。(発言する者あり)
 もしくは、否認を続けていた際に、取り調べ官はその方にこう言ったそうです、妻が自白しているぞと。認めれば妻を釈放すると言われたために、やっていないけれども、妻を釈放したいがゆえに自白をした。しかしながら、その妻の自白というのも虚偽だった。(発言する者あり)
 また、朝から晩までの取り調べにおいて体調を壊されました。その方は、何とベッドに横になった状況でも取り調べが続けられた。(発言する者あり)そうなんです、人権侵害なんです。
○奥野委員長 不規則発言が多過ぎますよ。
○鈴木(貴)委員 また、弁護士との接見の際も、何とその場においても検察や警察が介入をしていた。そしてまた、この弁護士ではだめだということを言って、弁護士解任の事態も相次いだ。
 こういったことがあって、今回、志布志事件、まさに、鹿児島地裁がはっきりと、違法な捜査があった、このような判決を下しています。そしてまた、大臣みずからおっしゃいました、「検察の理念」、いわゆる村木事件があったがゆえに、たゆまぬ努力が必要だから理念を書いたと。
 であれば、改めてお尋ねします。質問主意書でもあるように、検察当局は、常に法と証拠に基づき、不偏不党を旨として、適切に対処している、本当に対処しているんでしょうか。大臣に答弁を求めます。
○上川国務大臣 今回の事件につきましての判決ということでございますけれども、個別の案件の中で、どのような形で今おっしゃったような訴訟が行われたかということも含めまして、結果が出た暁には、検証しながら、さらにしていくということが大変大事だというふうに思います。
○鈴木(貴)委員 大臣、答弁を求めます。
 実際に、常に法と証拠に基づいて、適切に捜査を、適切に対処をしているんでしょうか。
 今、志布志事件のことも、これも、たくさんある中のたかだか四つか五つの例を挙げたにすぎません。先ほど大臣みずからおっしゃったんです、「検察の理念」をつくったその背景には村木局長の事件があったと。反省をしなくてはいけない、信頼回復をしなくてはいけないことがあったということは、大臣も既にお認めになっているんです。
 改めてお尋ねをいたします。検察当局は、常に法と証拠に基づいて、適切に捜査、対処をしていますか。(葉梨副大臣「それはいつの質問主意書なのか」と呼ぶ)
○上川国務大臣 「検察の理念」にしっかりとのっとって、また、厳正公平そして不偏不党の精神の中で、公益の代表者として検察がしっかりと誠実に職務を遂行していく、こうしたことについては最大限の努力をしながら取り組んでいく、この本旨に基づいて行動していくということに尽きるというふうに思います。
○鈴木(貴)委員 時間も参りました。
 今、今回のこの問題を挙げたのは、まさに刑訴法の審議、きのう登壇がありましたけれども、いわゆる司法取引であるとか通信傍受の拡大、こういった捜査権限の拡充というのは、あくまでも検察が常に適正な捜査を行っているというもとでの拡大しかないんじゃないでしょうか。
 しかしながら、今現在、こういった志布志事件がある、ゴビンダさんの事件もある、足利事件もある、袴田事件もある、氷見事件もある、こういった中で捜査権限の拡充だけをするというのは、私は、まずは反省が足りない、このことをしっかりと認めることが大事である、このように申し添えさせていただきます。
 また、一点。葉梨副大臣が先ほど、いつの質問主意書かと……
○奥野委員長 時間が来ていますよ。もう時間が来ています。終わってください。
○鈴木(貴)委員 はい。ぜひとも議事録を見ていただきたいと思います。
 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○奥野委員長 次に、井出庸生君。
○井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。きょうもよろしくお願いいたします。
 最初に、最高裁判所の平木刑事局長の先ほどの井野委員との質疑について一点伺いたいんですが、井野委員の方から、司法取引に対する裁判所側の見解といいますか、そういう御趣旨で質問があったときに、まず、それぞれの個別の裁判体の判断だということをおっしゃっていただいてから、その上で、法制審のときに最高裁の委員が、司法取引と言われるものについて、もともと、そういう類いのものについては一定疑ってかかりといいますか慎重にというような意見を申し上げていて、それを情報提供していくんだというようなお話があって、ちょっとまどろっこしいなと思って、整理させていただきたいんです。
 法制審でその発言をされているのは、最高裁事務総局刑事局の何とか課長さんとかだと思うんですよね。平木さんは事務総局の刑事局長ですよね。法制審で最高裁の選出の委員が発言されていることと平木さんがここでされる発言、そこを一線を画さなきゃいけないというところを、なぜなのかをちょっと御説明いただきたいと思います。
    〔委員長退席、柴山委員長代理着席〕
○平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 まず、委員御指摘の法制審議会での発言をした者は、当時の最高裁事務総局刑事局長でございます。
 法務委員会で御意見を申し上げる場合でございますが、最高裁判所長官代理者として、司法行政をつかさどる立場から、所掌事務について御説明させていただいております。したがいまして、司法行政として最高裁事務総局が行っております事務の内容については御説明させていただいておりますし、現場の裁判体が行っている裁判事務の内容であっても、事務当局が把握している裁判体の一般的な運用などにつきましては御説明させていただいております。
 しかしながら、過去の裁判体の判断内容の当否や、将来裁判体が個々の事件で行うであろう判断に影響を及ぼしかねない事柄につきましては、司法行政部門としては申し上げることが適当でないため、発言を差し控えさせていただくことがございます。
 また、立法の当否につきましても、申し上げる立場にないことから、発言を差し控えさせていただいております。
 これに対しまして、法制審議会で最高裁判所刑事局長として発言をする場合でございますが、法制審では、最高裁刑事局長という肩書で出席はしておりますので、もちろん、法務委員会で御説明申し上げるのと同様の立場、すなわち、司法行政をつかさどる者として種々発言をさせていただく場合がございます。
 しかし、法制審議会では、その会議の性質上、そのような立場にとらわれずに、裁判実務家の立場から、全国の運用を承知している限りで、現場の裁判に支障があるかどうかとか、一般的に裁判実務家としてどのように考えるかとかにつきまして発言をすることがございますし、場合によりますと、立法の当否についても裁判実務家の立場から発言する場合もあろうかと思います。そのような意味では、他の委員の方と同様に、有識者としての発言もあることと思われます。
 したがいまして、法制審議会で最高裁刑事局長が発言した内容でありましても、法務委員会で最高裁の見解として申し上げることを差し控えさせていただく場合があることを御了解いただければと思っております。
 今回、井野委員からの御質問に対し、法制審で当時の最高裁刑事局長が発言した内容について引用させていただきましたのは、裁判実務家の立場から議論をしていることの御紹介として申し上げさせていただいたものでございます。
○井出委員 司法取引という捜査手法、それに基づく裁判での立証についての裁判所側の見解、今の御説明ですと、法制審では実務家のお立場から述べられたと。
 これは司法取引に限った話ではないんですね。さきにやっていた裁判員裁判の見直しのときも、例えば、裁判員裁判の判決を尊重すると。その件に関しても、最高裁の資料を読めば、おおむねの共通認識といいますか、そういう最高裁側のお立場を示されたような資料もありました。私、きのう本会議でちょっと取り上げさせていただいたんですけれども、可視化についても、法制審の中では最高裁刑事局の方が、録音、録画されたものが供述の任意性を争う最良の証拠となるだろうというような御発言。今の御答弁からすると、それも実務家としてのお立場なのかなと思うんですけれども。
 私は、これから刑訴法の一部改正の議論があって、特に最高裁に聞いていきたい一つの問題に、保釈の件があるんですね。それも個別の判断だと言われてしまうのかなということは、まだ議論が始まる前からそういう答弁を想像しておるんですけれども、法制審で実務家の立場として物が言えて、そこで案がまとまって法律案が出てきて、それをなぜここで言えないのかというところがちょっとわからないんですよ。
 最高裁長官の代理者としていらっしゃっていて、最高裁の長官も、司法行政のトップとしてのお立場と、最終の司法判断をする実務者としてのお立場もあるかと思うんですけれども、では、国会で最高裁にこうした日本の司法、裁判の実態についての見解を問うということは、これはもう不可能と考えるしかないんですかね。ちょっと御答弁をいただきたいと思います。
○平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 法務委員会におきまして最高裁事務当局として答弁させていただく場合には、最高裁刑事局で把握している限りの各地の裁判体におけます一般的な取り扱い、運用状況等につきましては御報告させていただくことが可能でございますけれども、個別の裁判体の判断に影響を及ぼすような事柄につきましては答弁を控えさせていただくことになろうかと思っております。
    〔柴山委員長代理退席、委員長着席〕
○井出委員 個別に影響を及ぼすことに御発言を控えるというのは、確かに私もごもっともだなと思うんですけれども、例えば過去の事件の当否、また将来のことに対する予測といいますか判断というものもできないということなんですけれども、そうすると、私は、裁判に係る制度の議論を果たして尽くすことができるのかなと。
 司法取引の件も、司法取引というものに対しては裁判所側は慎重にやっていくということをはっきり言っていただければ、それを前提にした議論ができると思いますし、可視化の件もそうなんですけれども、録音、録画されたものが供述の任意性を争う上で最良の証拠となる、そういうことが高まってきているとはっきり言っていただいた方が制度設計の議論をしやすいのは間違いないと思うんですけれども、それはちょっと私の認識が甘いんですかね。
 もう一回、それは違うんだったら違いますと言っていただきたいんですけれども。
○平木最高裁判所長官代理者 重ねての御質問で恐縮でございますけれども、最高裁事務当局として、刑事局が把握している限りの全国の裁判体の一般的な運用ですとか取り扱い、こういったものについては御説明申し上げることが可能でございますけれども、個々の裁判体の判断に影響を及ぼすおそれのある事柄につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思っておるところでございます。
○井出委員 先ほど、井野委員に対する答弁の中で、最高裁の事務総局としてもそういう情報提供をされるというお話もあったかと思うんですけれども、その情報提供というものは、一体、どの程度の効力といいますか、どの程度の波及効果といいますか、効果を持っているものなのか、御説明いただきたいと思います。
○平木最高裁判所長官代理者 新しい法律ができますと、各地の裁判官といたしましては、この法律がどういった趣旨、目的でできているのかといった点をよく研究、検討した上で自分の担当する事件の処理に当たることになります。
 その前提としまして、法制審議会での議論の状況ですとか国会での議論の状況等の情報を提供し、各裁判体におきまして、それらの情報をも踏まえまして、自分の担当しております具体的な事件につきまして適切な判断をしていくことになる、そういうふうに思っております。
○井出委員 なかなか、何と申し上げていいのかわからないんですけれども、法制審の法律の案文をつくる前の議論には実務家として事務総局の刑事局長が御意見をされる、ただ、それが法律の文案となって国会の方に出てくれば、仮に同じ方が、今回は人が違いますけれども、平木さんが法制審で実務家のお立場としてこういうことを言っていたと。それが国会に出てきたら、平木さんは法制審でこのような御意見も出しましたというような言い方になっちゃうわけですよね。
 だから、お立場が、国会と法制審の有識者としての立場とお立場が違うということで、そういうことで分けられていると思うんですけれども、例えば、先ほどの井野委員に対するお話でしたら、個別のことは申し上げられない、ただ、法制審ではこういうことを申し上げた事実がありますと。それを我々としては前提として使っていかざるを得ないなと思うんですけれども、そこは黙して認めていただけるのかどうか。お願いいたします。
○平木最高裁判所長官代理者 私も、一実務裁判官として各地の裁判官と議論させていただくときには、自分の個人的見解などを思う存分述べさせていただいておるところでございますけれども、最高裁長官代理者として法務委員会で答弁させていただく場合には、やはり裁判官の独立という大きな要請がございますので、その立場を踏まえて、お答えできるものについてはお答えし、お答えを差し控えさせていただくものについては、申しわけありませんが差し控えさせていただくという対応をさせていただきたいと思っておるところでございます。
○井出委員 お立場はわかりましたので、私も、質問に立つ際は、法制審の資料をくまなく見て質問させていただきますけれども、私の方で見落としていることがありましたら、法制審ではこんなことを裁判所は言っているということをこれからも言っていただきますようにお願いしたいと思います。
 済みません、急な質問で、大変失礼をいたしました。最高裁は、もう質問はこれで終わりですので、結構でございます。
 さて、大臣、きのうは本会議、お疲れさまでした。
 きのう、私、大臣の御答弁をずっと聞いておりまして、我々の質問とそれに対する御答弁の中身というものは、まさに法務委員会で審議が始まってから一つ一つ議論をしていかなければいけないなと思いますが、答弁をずっと聞いていて、特に後半、一番最後に質問された清水委員に対する御答弁など、かなりいつもより力がこもっていて、よかったと私が言うのも失礼なんですけれども、率直にそういう印象を持ったんですが、大臣御自身、きのうの御感想というものがあれば、おっしゃっていただきたいと思います。
○上川国務大臣 昨日の本会議におきまして、刑事訴訟法の改正の議論をしていただくということで、今回の十本に余る法律の中でも大変大きな影響のあるものでございますので、どれももちろん大変大きなものですけれども、とりわけ、登壇をしながら各党の代表の皆様に対して答弁をするということ、このことの大変な重みと重大さということを痛切に感じながら答弁をさせていただきました。
 今回、刑事訴訟法に係る制度改正なり新しい制度をお願いするということでございますので、さまざまな論点もそれぞれの代表の御質問の中にもございましたし、とりわけ、先生は日ごろ非常にゆっくりとお話をなさるわけでありますが、大変力強く、あの時間内に二十問に及ぶ御質問がございまして、私も、その一つずつに抜かることなく丁寧に答えなければいけないという中で、これはちゃんと回答しなければという思いで一つずつ回答させていただきながら、また最終の清水委員の御質問に対しましてもそのような気持ちで答弁させていただいたところでございます。
 二時間半に及ぶ御質疑、御質問への答弁ということでありましたけれども、さまざまな論点がその中に集約されていたのではないかというふうに思っておりまして、一つずつ、また法務委員会の中でしっかりと議論ができるように、国民の皆様への説明責任ということも含めまして、丁寧に対応していこう、こういう決意も持って最後の答弁を締めくくらせていただきました。
○井出委員 今のお話も非常に思いが伝わるお話だと思って拝聴しておりましたが、私も、ふだんはこんななんですけれども、一年に一度ぐらい、思いが高ぶってやることもあるんですよ。
 ただ、それは何かというと、大臣も今、この法案は非常に重要な法案である、どれも大事ですけれども、重要であって、各質問者がそれなりの気持ちを込めてというところもお感じになったと思うんです。
 私もどの法案も大事だと思っているんですけれども、正直、不勉強な法案ですとかもあります。私は、質問する側は、しっかりと準備をして、思いが高まったときには思いをぶつければ、質問ができればいいと思うんです。大臣は、御答弁をされますので、もちろん、これまでの政府の見解ですとか守るべき答弁をきちっとしなければいけないところと、あと、その中に御自身の思いをどれだけ込められていくのかなというところで、ちょっと失礼な話になるのできょう限りの御無礼をお許しいただきたいんですけれども、やはり、さきの裁判員の法改正の議論なんかを見ていても、後半の方は少しそういう思いを込めてお話しいただいたかと思うんですけれども、前半戦など特に、私はあの法案も思いがあって、しゃべりはゆっくりでしたけれども、いろいろ準備を尽くして質問させていただいたんですけれども、恐らく答弁は守らなければいけない線があるということだと思うんですけれども、私は、例えば、だめなものについては、だめなものはだめなんですと、そこに思いを込めて言ってほしいんですね、私がたまに爆発するみたいに。
 そういう答弁をいつもいただけると、もっとちょうちょうはっしの議論ができるんじゃないかとちょっと失礼ながら申し上げるんですが、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 法務大臣という職責の重さということで、私自身の発言する言葉一つ一つが、過去、大変長い歴史のある法務省のさまざまな見識を積み上げてつくられてきた中で、ここに対して、ある意味では、つい問題のような発言なんということになってしまってはいけないという意味で、非常に自制をしながら、一つずつ言葉を選びながらというのは、これは、正直なところ、そうした重さを感じながら答弁をさせていただいております。
 それで、それぞれ一つずつということでありますが、法務行政の範囲が大変広いということで、これは、国民の皆さんの生活、仕事、あるいはさまざまな活動、そういうものに全て法律が密接に結びついていて、そして、その法の支配のもとで、これをしっかりと守って、ルールを守って国民生活を営んでいただきながら、幸福な、幸せな地域社会をつくり、国をつくっていくということを念頭に置きながら、しかし、現場の中にはさまざまな課題や問題もあるというところで、委員の先生方から御指摘をいただき、そして、そうした声を政策やあるいは制度の中でしっかりと実務的にも担ってもらわなければいけない、そういう大きな立場にあるということを私自身置きながら答弁に立たせていただいているところでございます。
 さきの裁判員制度につきましての御発言がございましたけれども、後半はなかなかいい形でやりとりができたというお話もありましたが、前半からもそのような形で私自身は臨んでいたつもりではございます。
 私も、裁判員制度そのもの、つまり国民に身近な司法のさまざまな制度づくりにつきましては、裁判員制度につきましてもかかわってきた、そちらの立場に立っていろいろな形で質問をするというような場面もあったわけでございますので、そういう意味では、こちらに立ったときに、しっかりと充実した審議ができるように、そして、課題や問題があるかどうかということもあわせて、審議を通してたくさんのことを学ぶという機会にもなるということで、審議のプロセスそのものが大変重要な役割を担っているなということを、先回の裁判員制度の審議の中ではそのように考えながら臨ませていただいたところであります。
 これから大変大きな御議論をいただくということでございますので、一つずつの論点につきましても、真摯に、また丁寧に、またわかりやすく説明をすることができるよう心がけてまいりたいというふうに思っております。
○井出委員 私はちょっと先ほど失礼なことを申し上げました、裁判員裁判の前半戦のことの話とか。でも、きのうの大臣の答弁ですとかきょうのお話を伺っていますと、やはり大臣の心を動かすのも我々質問者の重大な役割である、大臣が答弁を棒読みしたまま終わってしまうような審議では、我々も質疑者としての責任を果たしていることにはならないな、今、そういう思いをしました。
 何できょうこんなことを申し上げたかといいますと、大臣もおっしゃいましたけれども、これから始まっていく法案の審議というものは、恐らく、この数年の議論の集大成でもありますし、刑事司法にとって非常に大事な局面だと思うんですね。
 先ほどおっしゃられたように、法務行政というものは非常に幅が広くて、その全てに大臣は目を配っていかなければいけないんですけれども、今この法改正の審議がこれから国会で始まろうとしている、そのときに法務大臣の任にあられる上川大臣がその大臣としてそこに当たるということは、もうこれは何かのめぐり合わせといいましょうか、運命といいましょうか、そのとき大臣をやっている上川さんに命がけでやっていただかなければいけないと私は思うんです。
 そういう意味で、これからまだ諸々の問題がございますが、この法案審議にかける覚悟といいますか、その思いを伺いたいと思います。
○上川国務大臣 刑事訴訟法というのは大変歴史的にも長い積み重ねの中で今があるということ、そして、そうした中で、さまざまな課題や問題があるわけでありますが、それを乗り越えながら、国民の皆さんから絶大な信頼をいただくことができるように、また、そうした制度にのっとって、さらにこれから未来に向けて皆さんに信頼していただいて、協力をしていただくということでございますので、その意味では、このときに法務大臣を務めるということの責任の重さを大変強く感じているところでございます。
 これから審議の始まる中でも、過去から、また、法制審の中でのさまざまな審議もございましたし、さまざまな方が長年にわたって意見を開陳しながら、議論を重ね重ね重ねながら法案に至るところまで来たという法案でありますので、それを国民の代表である立法府の見識の中で十分に御議論をいただきながら、最終的に可決をしていただくことができるように、この間のプロセスそのものが大変大事であるということを踏まえて、私も命がけでこの問題に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○井出委員 我々質問する側といたしましても、大臣の心を動かすような質問をしなければいけませんし、これは委員長によく聞いておいていただきたいんですが、大臣の心を動かす議論というのは、前の裁判員裁判のときも申し上げたんですけれども、参考人の話をもっと早く聞いてみたらよかったとか、現場を知る視察もあるかもしれません、そういういろいろなものを、議論を尽くしていくべき法案かなと思っております。
 細かい議論はこれからやっていきたいんですけれども、一点、私がきのうの本会議で法務大臣と国家公安委員長に来ていただきまして、大体半数ずつぐらいの質問、特に可視化については、その大半を私は国家公安委員長に質問いたしました。それはどうしてかといえば、きのうも申し上げたんですけれども、刑事事件の第一次捜査、端緒、その捜査に当たるのは警察であって、極めて役割が重大であるということからああいう質問をさせていただいたんです。
 ただ、その一方で、もう一つ申し上げたいのが、検察側は、これまで取り調べでの試行をかなりやってきて、恐らく、今回の法律案以上のことを、今現状として、運用でされているのではないかと思うんですね。
 その一方で、警察はどうかといいますと、つい何日か前に、警察の可視化状況ということで警察庁から発表があって、その新聞記事が出ておりましたが、残念ながらおくれていると言わざるを得ません。
 このことは、私は、一般の国民、一般の方からすれば、警察と検察、ほとんど区別がつかないぐらい、事件の捜査をするという意味においては同じだと思うんですね。私だって、子供のころ、社会人になるまでは、警察と検察の区別がいつまでたってもつかなかった時期が正直ありました。お恥ずかしい話、今だから申し上げます。
 だけれども、捜査をするという意味においては私は同じだと思いますし、そこで可視化が、検察が進んでいる、警察がおくれている。決して意図的にではないと思いますし、それなりの理由があってそういう実態があると思うんですけれども、警察と検察の可視化、これまでの状況に大きな差があることについて、これは局長に、その御認識があるかどうかを伺いたいと思います。
○林政府参考人 検察と警察、例えば、被疑者の取り調べ、それによってつくられる供述調書、こういったものについて、法制度上、その区別を設けているものではございません。
 そういったことを前提にして、今回の法律案についても、基本的には、警察官による調べと検察官による調べ、こういったものについて差があるという前提での制度構築をしているものではございません。
○井出委員 そうしますと、法制審の議論なんかも見ましても、やはり警察の代表の方が検察の方に比べると、若干可視化に対する、若干じゃないんですけれども、抵抗感が強いなというものをいろいろな議事録を見ていて感じますし、新聞記事なんかでは、警察は可視化に対しておくれているということをはっきりと書いているんです。
 それは、検察側としては、やっていることは、捜査は一緒だ、差はないと。おっしゃるとおりだと私は思うんですけれども、やはりそこを一緒になって進めていかなきゃいけないという思いは検察も警察に対してあるんじゃないかと思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。
○林政府参考人 制度を考える上で、検察の調べ、警察の調べ、これについて違いがないと申し上げましたけれども、録音、録画ということについて、例えば有用性ということがよく言われます。有用性とあるいは取り調べの機能を損ねるという側面、こういったものを考えますと、そういった面につきましても、基本的には、警察と検察、そのよって立つ考え方の違いがあるわけではないと思います。
 もちろん、いろいろなこれまでの経過の中で、議論の中でも、警察と検察の例えば取り調べの録音、録画に対する試行の範囲の拡大というようなものについては、軌を一にしてきたわけではございませんし、検察の方がより拡大がなされているというのが現実でございます。
 これは、制度上の違いをもってそうなったというわけではございませんで、もちろん、それぞれが抱えている取り調べの状況がございます。例えば、検察官の調べの時間と警察官の調べの時間というのは、明らかに警察段階の警察官の調べの方が時間が長いわけでございます。
 そういった形で、録音、録画に取り組む場合も、ボリューム感、時間の問題がございますし、また、取り調べる警察官の数、検察官の数、これはもう圧倒的に警察官の方が多いわけでございます。また、全国各地にある警察署における調べというもので、調べる場所の数とすれば、もう圧倒的に警察の方が多いわけでございまして、そういったことが実態としてはございます。
 そのようなこともあって、さまざまな、録音、録画の対象範囲の拡大の問題であるとか、実際の録音、録画の実施状況については差が出てきているんだろうと思います。
 ただ、最初に戻りますと、しかしながら、この録音、録画に対する、警察にとっての録音、録画、検察にとっての録音、録画、その有用性と、一方での問題点、弊害、こういったものの考え方の根っこのところは全く同じであろうなと考えております。
○井出委員 当然、ボリュームもありますし、検察の方が早い時期から危機感を持って、まあ、危機感を持ってと言うとちょっと警察に失礼なんですけれども、早い時期から取り組まれてきたと思いますし、検察官の可視化に対する取り組み、可視化についての検察官の理解ですとか、そういう浸透をしっかりと図られてきて、警察は、一方で、そのボリューム感も大きいですし、取り調べの時間、人数、そういったことを考えて、さらに取り調べでの試行の時期が遅くから始まったとなれば、現状、差がついているのも私は理解はするんです。
 ただ、取り調べの時間が圧倒的に警察の方が長い、人数も多いという実態を見れば、私は、警察にも早く追いついてもらうといいますか、そうでないと、大半の調べを警察がやっているのに、それが裁判になって、警察のときの可視化はないんです、検察のときしかありませんでは、では何のために可視化したんですかという話になってしまうと思うんですよ。
 やはり、局長としても、警察にも頑張ってくれという思いはありますか。
○林政府参考人 例えば、取り調べの録音、録画の有用性といったときに、実際に裁判において供述の任意性をめぐる争いが生じたときに、録音、録画の記録媒体が非常に有益な立証方法である、そういった考え方がございます。
 この点につきましては、やはり、例えば非常に任意性が争われるような事件につきましては、もとより、検察官の取り調べが録音、録画されていることに加えまして、例えば警察段階での同じ被疑者に対する取り調べ状況が録音、録画されているとなれば、任意性の立証方法という点では非常に資するわけでございます。そういった形で、個々の事案においては、やはり、そういった将来の公判、裁判における任意性の立証という観点でいけば、検察のみならず、警察の取り調べにおける録音、録画というものが行われているということが有用であろうということになるような事案があろうと思います。
 こういったことは、これまで、実際に録音、録画を行っている個々の検察官たちも恐らく感じているところでございまして、検察が、義務づけという形ではない、運用の世界で録音、録画の範囲をある程度拡大されていった一つのポイントとしては、やはり、検察官というのは、公判立証に責任を負っている、刑事事件の中では一番公判に近い存在でございますので、公判立証に責任を負う検察官としては、そういった任意性をめぐる争いが生じたときに、最も的確な立証方法というのは現時点においては録音、録画の記録媒体であろうと。また、そういったことを裁判所もそのように考えているということになれば、その立証方法をあらかじめ備えておくというような観点、こういった思考、考えることに、検察官というのは一番近い存在なわけです。
 もとより、警察においても、実は同じ事件について警察で集めた証拠あるいは検察で集めた証拠が、全体として、最後には裁判所で判断されるわけでございますので、そういった事件で、任意性の立証ということに関しては、録音、録画が警察においてもなされるべき事案というのは当然ありまして、そういったことは、警察においても個々の事件の中では考えられておると思います。
 これはやはり、全てを制度として義務づけるかどうかの議論とは離れまして、個々の事件の立証という観点での考え方では、そういった判断もあろうかなと思っております。
○井出委員 警察もちゃんとやれというのがここまで出そうになっているようで、なかなか、個々の判断もあり得るというようなお話だったと思うんです。
 今、林局長のお話の中で、証拠としては極めて有用である、しかし、取り調べ機能を損ねると。これは、検察も警察もそういう不安、危機感というものを実際持っているということは私も聞いているんですけれども、私は、その件について伺いたいことがあります。
 供述調書に偏った取り調べが問題となってきたのは、捜査サイドの意向を認めるような調書をつくるために調べが行われてきた、裁判で裁判所に認めてもらえるようなきちっとした調書をつくるために取り調べをやって、それが時に行き過ぎがあったものがあった、それが時折言われる強引な取り調べだと思うんです。
 この録音、録画、可視化をしたときに、私は、裁判で見てもらって、きちっとした録音、録画をしようと思うから、取り調べ室に取り調べ機器がきちっとしたものがあって、今から始めます、終わりますというような、今、ある程度費用をかけて、裁判所できちっと認めてもらう映像をおつくりになろうという意図はそれはあって当然だと思うんですけれども、ただ一方で、取り調べというものは、質問をして模範解答が返ってきてというようなものではないと思うんですよ。もっと喜怒哀楽があって、笑いがあったり涙があったり怒りがあったりすると思うんですよ。
 そういうものも含めて、そういうものをちゃんと見てもらおうというのが今回の可視化の本当の意図であって、そこは私、ちょっと、その感覚が検察側にあるのかなというところを伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○林政府参考人 取り調べの状況を録音、録画しておく、これがどのような形で……(発言する者あり)
○奥野委員長 速記を一旦とめてください。
    〔速記中止〕
○奥野委員長 では、速記を起こしてください。
○林政府参考人 取り調べの録音、録画制度について、一面では、任意性の立証、判断に資するという観点がございます。他方で、録音、録画によって取り調べで供述が得られなくなるという問題点、こういったものがあります。この両方の点が当然あるわけでございまして、問題点と有用性、これをいかにしてバランスをとった形で制度化するかということだと思います。
 それで、検察官において、すべからく取り調べの状況、経過を録音、録画して、それが裁判所に顕出された方がよいと考えているのではないかというようなことについての御指摘については、任意性の立証という形で、例えば供述が得られた、そして供述調書にした、この内容を前提として、それの任意性を立証するという方法、その観点から考えれば、当然、その経過がなるべく幅広く、あるいは全過程、録音、録画されていた方がいいと考えるのは当然だと思います。
 他方で、それは供述が得られたということを前提とした、それを前提としての問いに対する答えであって、実際に取り調べの中では、録音、録画のもとで供述が得られなくなる、そのような場合があり得るということについては、それはやはり実際に録音、録画を試行している検察官からの意見もございます。
 そういう意味では、有用性の観点を強調すれば、やはり任意性の立証、判断に資するという点は、検察官の中でもそういった考え方は非常に広まっているとは思いますけれども、一方で、実際に供述を得られるかどうか、任意性の立証に資するからといって、そういう全ての場合で、なるべく録音、録画をどんな場合でもすべきかどうかという問いかけに関しては、当然、それは問題があるというような認識だろう、こう思っております。
○井出委員 事件の幅ですとか過程の全てを録音、録画するかという話の前に、私がさっき伺いたかったのは録音、録画する中身なんですね。
 私が言いたいのは、裁判でそれが任意性を争うときに、証拠として提出されるときに、調書に沿ったきれいな、きれいなと言ったらちょっと表現が悪いですけれども、調書と全くそのとおりの映像が出るのが捜査側の目指すところかもしれません。しかし、調書に沿った映像を撮ろうとすれば、当然、変な緊張感が出たり、嫌だという人がいるかもしれないんですよ。そうじゃなくて、カメラを回していても、私がきのう御提案したような録音だけでもいいんですけれども、取り調べというのは、私がいろいろな方から伺っているのは、涙があって、笑いがあって、時には怒りがあって、まあ、怒ってぶん殴っちゃいけませんけれども、そういうものだと。この部分なんですよというものを裁判所に出せれば、それは検察にとって、理解の得られるものであって、撮ろうとしている映像のイメージがどういうものをイメージされているのかなと。
 私は、きれいな映像を撮ろうとしていることが取り調べ機能を損ねることにつながっているんじゃないかなと。録音機器だけ置いておいて、もっとざっくばらんに今までどおりやって、緊張しないでやって、このときにちょっとこっちも怒って言ったけれども、怒ったら向こうが反省してしゃべったんです、そういう音声がありますと。そういうありのままを撮れるような環境をつくっていくのが可視化の本当の意義なんじゃないかな、そういう疑問なんですけれども。
○林政府参考人 取り調べの録音、録画の試行にもかなり歴史がございまして、当初は、録音、録画する場合も、取り調べの中の一部、特に供述調書を作成する部分というようなものを録音、録画している、こういうのを主としている時代がございました。現在は、録音、録画する場合においては、一回の取り調べについては、取り調べ室に入ってくる入室の段階から出ていくまで、これを全部録音、録画しております。
 そういったことにおいては、当初は、部分的な録音、録画となりますと、その部分では非常に緊張しているというふうなこともあったかもしれません。現在は、そのように入室の段階から出ていくまでを録音、録画しておりますので、ある一定の長い時間録音、録画をしているということにおいて、全体の取り調べが自然な形で録音、録画の記録媒体に記録されている、こういった状況が生じているという事実はございます。
○井出委員 もう少し私の方でも実態のイメージを固めて、もう一度また伺いたいと思います。
 時間なので終わります。きょうはありがとうございました。
○奥野委員長 井出君の質問は終わりましたけれども、定足数ぎりぎりで回していますから、余り出入りしないようにしてください。特に、理事はしっかりと席を温めるように、お願いします。
 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史です。
 私ごとで大変恐縮ですが、昨日、私の本会議場での質問場面と、それに対する上川陽子大臣の答弁の場面が、テレビ朝日の「報道ステーション」で報じられました。(発言する者あり)僕だけでしたか。大臣の答弁はなかったですか。失礼しました。
 そのときのテレビ画面に映ったテロップが、「犯罪捜査が大きく転換か 「司法取引」「盗聴」審議入り」というものでした。国民の関心もこれから大いに高まっていくのではないかというふうに思っております。
 本日は、現行の通信傍受法、つまり盗聴法について質問したいと思うんですね。
 これは、一九九九年、国民の多くの批判を押し切って強行成立させられたものです。以来十六年になりますが、これまでの運用についてただしていきたいと思います。
 前提として、盗聴法施行後、去年まで、盗聴した通信回数の総数、そのうち、犯罪にかかわる内容が含まれていた通信は何回ありましたか、教えてください。
○林政府参考人 通信傍受法施行から平成二十六年までの間、裁判官の発付した傍受令状に基づく傍受の実施をしている間における通話回数は、合計八万七千八百十四件であります。
 そのうち、犯罪に関連する通信、すなわち傍受令状に記載された傍受すべき通信に該当する通信数は一万二千七百三十二件、他の犯罪の実行を内容とする通信数は七百六十七件となっております。
○清水委員 資料をごらんください。盗聴の事件数及び通話回数を一覧にしてまいりました。
 今、林刑事局長がお答えになられた犯罪に関連するという数字は、いわゆる令状をとって、恐らくこれは犯罪につながるであろうということで傍受したものと、その傍受の中で別の犯罪にたまたま行き当たったというものを含めた数が「うち犯罪関連」というところに含まれております。これを見ますと、犯罪関連は一万三千四百九十九、犯罪と無関係のものが七万四千三百十五と、実に八五%にも上ります。
 つまり、改めて聞くんですけれども、盗聴した総数のうち、実に八五%もの通話が犯罪とは無関係な日常の通信だったということですか。端的にお答えください。
○林政府参考人 ここで言う犯罪に無関係あるいは犯罪に関連するというものは、傍受令状が発付された通信手段について、その中で行われた通信についての内訳になります。
 この場合の犯罪に無関係という通信につきましては、通信傍受法の仕組みの中で、通信傍受の実施に当たりましては、通話の機会に行われた通信が、傍受令状に記載された傍受すべき通信に該当するかどうかの判断を行うために、最小限度の範囲に限り、傍受することができるとされております。
 ここに掲げられておる犯罪と関係のない通信というものは、こうした傍受を行うに当たって法律で認められている最小限度の聴取がなされたもの、その通信の回数になります。
○清水委員 聞いたことに答えてください。犯罪に関係があったのかなかったのかと聞いているんです、この八五%が。それだけ答えてくれたらいいんですよ。時間稼ぎしないでください。
○奥野委員長 いや、今、ちゃんと説明はしたのではないですか。(清水委員「委員長、違います」と呼ぶ)
 では、どうぞ。清水さん。
○清水委員 私は、犯罪に関係あるのかないのかを確認したんです、この通話の中身がです。この表が間違っているんだったら、そう指摘してください。
○奥野委員長 では、もう一度答えさせますよ。(清水委員「答えてください」と呼ぶ)
 いいですよ。ちゃんと説明してあげてください。
 林局長。
○林政府参考人 犯罪と関係のない通信、逆に言えば、犯罪に関係がある通信とは認められなかった通信のことであります。
○清水委員 つまり、今おっしゃったとおりですよ。犯罪に関係あると認められなかったということは、犯罪と関係なかったということです。時間稼ぎはやめてください。
 続いて言いますけれども、犯罪とは無関係な通信が、この間ずっと、毎年これは、年ごとにいうと九〇%を超える犯罪と無関係の通信を盗聴しているわけなんですよ。これは本当に驚くべき数字だと思うんです。
 法務大臣、つまり、犯罪と関係があるものを傍受するために、八割から九割の犯罪と関係のない通話を傍受しているわけです。これで適正な捜査と言えるんでしょうか。上川大臣、お答えください。
○上川国務大臣 通信傍受法にのっとって行われる傍受ということで、この数値でございますけれども、犯罪関連通信に用いられる疑いがある通信手段のみに限って行うということでございまして、最小限度の範囲にとどまる、そういう中での通信傍受でございます。
 傍受すべき通信に該当しなかった通信は、その一部が断片的に傍受されるにとどまるということでございまして、また、傍受記録からも消去をされる、一連の守秘義務もかけられるということでございますので、極めて厳格に、そして極めて最小限の範囲で行われているものと考えております。
○清水委員 私は、打率が二割にも満たないような捜査方法が本当に適正か、大変疑問だと言わなければなりません。
 犯罪にかかわる通話を一発で探知するなんというのは難しいことです。まさしく川底から砂金を探るような非常に難しい手段で、このことによって犯罪にかかわる盗聴をしようと思えば、多くの犯罪に関係ない通話を傍受しなければならないという現実をもっと重く受けとめてもらいたいと思うんですね。
 きのう、私の本会議の質問に対して、上川大臣は、私が、基本的人権を侵すものではないですかという質問をしましたが、それに対して、通信傍受法に基づく通信傍受は、適正な要件、手続のもとでのみ認められるものとお答えになられました。
 では、伺いますが、厳格な要件、手続とは何を指すんでしょうか。
○林政府参考人 通信傍受法の通信傍受は、法律に掲げられた重大犯罪に関する高度の嫌疑があること、そして犯罪の実行に関連する事項を内容とする通信が行われる蓋然性が認められること、さらには、他の方法によっては事案を解明することが著しく困難であると認められること、そういったときに、犯罪関連通信が行われる蓋然性のある特定の通信手段に限り、裁判官が発する傍受令状により傍受することが許されるものとされております。このように厳格な要件があります。
 その上に、傍受の実施の際に行われる、犯罪に関連するかどうか等の該当性の判断のための傍受も、必要最小限度の範囲というものに限定されております。
 こういったことから、厳格な要件のもとで実施されるものとして法定されているものと考えております。
○清水委員 続いて大臣は、同じくその答弁に続いて、通信当事者の通信の秘密、私生活の自由を不当に制約するものではなく、憲法上許されると言明されました。
 私は改めて聞きますが、知られたくない、他人に公表されたくない、八五%もの傍受の内容が犯罪と無関係だった、こういう方々、犯罪と無関係に盗聴した圧倒的に多くの方々は、私生活の自由を不当に制約されたというふうに考えるべきではありませんか。それとも、そうした方々も、憲法上許されるというくくりで肯定されるおつもりですか。
○上川国務大臣 通信傍受法そのものの、現行制度の中で、憲法の通信の秘密にかかわる部分についての御質問ということで、昨日もそのような御質問をいただきました。
 現行の通信傍受法の規定そのものも、先ほど局長答弁がございましたとおり、大変厳しい要件を課して、そして裁判所におきましての捜査令状をしっかりととった上で、極めて最小限、限定的に行われるということでございまして、そうした手続をしっかりと適正に踏んだものというふうに考えているところでございます。
 したがいまして、御懸念の部分があるということも前提にしながら、そういうことにならないような形でしっかりと厳格、厳密にやっていく、こうした中で現行制度が提起され、また運用されてきたものというふうに考えております。
○清水委員 刑事訴訟法上の盗聴というものを引いてみました。すると、公開を望まない人の会話をひそかに聴取または録音することというふうにあるんですね。
 それで、今、手続を厳格に運用すれば憲法上問題がないと。
 では、手続がずさんであれば違憲だということですか。手続が厳格であれば憲法上許されて、手続がずさんであれば憲法上許されないと。しかも、会話を傍受された、盗聴された人の被害は回復できないと思うんですよ。
 角度を変えて聞きますが、関係のない盗聴をした人に対しては、申しわけありませんでした、関係のないあなたの会話を聞いてしまいましたという報告をするんですか。単純な質問ですが、お答えください。
○林政府参考人 現行の通信傍受法は、その二十三条におきまして、傍受記録に記録されている通信の当事者に対して、傍受記録を作成した旨等を書面で通知しなければならないとしております。
 他方で、傍受をした通信であって、傍受記録に記録されたもの以外のもの、すなわち、該当性判断のために必要最小限の範囲で一部傍受したが、傍受すべき通信等に該当しなかった通信の当事者に対しては、通信の一部を断片的に傍受するにとどまり、それのみの通話の記録は消去して、捜査機関の手元に残さないこととされていることから、通知することとはしておりません。
○清水委員 消去すると言いますけれども、傍受した事実というのは消えないわけですよ。
 しかも、傍受記録は関係のないものを削除したものだと言いますが、裁判所に保管される原記録というものには、関係のない通話も残るんじゃないですか。
 これは、警察庁にちょっと確認したいと思います。原記録の中には犯罪に関係のない通話も残るんじゃないですか。
○露木政府参考人 お答えいたします。
 原記録には、傍受をした全ての通信の記録が残ることになります。
○清水委員 今おっしゃったように、通話を録音したものは、いわゆる裁判所に提出する全ての傍受が含まれた原記録と、そして関係のないものをそぎ落とした傍受記録とに分かれるわけなんです。ですから、今、林刑事局長がおっしゃった、傍受記録からは、もちろん関係のないものはそぎ落とされる。しかし、原記録には保存されるわけですよ。
 しかも、関係のない通話を傍受された、盗聴されたという人は、盗聴された事実を永遠に知ることができないということではありませんか。
 では、聞きますけれども、犯罪とは無関係な通信を警察によって盗聴された人に対して、その被害は救済されるんですか、されないんですか。お答えください。
○林政府参考人 現行法上で、傍受した全記録、全ての通信の記録が裁判所に保管されるのは、先ほど申し上げた、例えば該当性判断のために必要最小限の傍受をしているのかどうかというようなことを後に事後的に検証するためでございます。
 すなわち、実際に捜査機関に残される傍受記録と、それから傍受した全ての通信が記録されている記録とを比較対照すれば、どのような形で該当性判断のための必要最小限の傍受を適正に行っていたかどうかということを検証できることになります。
 逆に言えば、全記録が裁判所に保管されていないと、その比較検証はできないこととなります。その前提として、この傍受制度、この通信傍受法の中でも不服申し立てという制度がございまして、不服申し立てがなされたときには、やはり裁判所においてその点が検証されるということになります。
 そういった意味で、裁判所にはそういった記録された全通信が保管されるわけでございますが、そのことをもって、犯罪に全く関連のなかった通信の当事者において被害が生じているというふうに考えているものではございません。
○清水委員 今、重大な発言ですよ。人の話を盗み聞きして、その人に対しては被害は一切ないというふうにおっしゃるんですか。
 上川大臣も同じ認識ですか。犯罪に関係のない通話をされる、恋人との会話、家族との会話、病気やプライバシーにかかわる会話もあるでしょう。そうしたことを盗み聞きされた、プライバシーを侵害された、そういう国民にとって、一切被害はないというふうに大臣はお考えですか。
○上川国務大臣 適正な手続のもとで聴取された記録、原記録そのものが封印をされて裁判所にしっかりと保管をされ、そして検証に付されるということでございます。その意味で、適正な手続のもとでの記録ということでございます。
○清水委員 もっと単純に聞きます。
 上川陽子大臣、もしあなたの電話が盗聴されていたとしたら、どのような印象を受けられますか。一般的に答えていただいて結構です。
○上川国務大臣 一般的な御質問ということでございますが、そのようなことがもし起こったとするならば、それは日常生活の中では非常に不快感があるというふうに思います。
○清水委員 だから、盗聴されたのを本人が知っているか知っていないかじゃなくて、盗聴された時点でプライバシーの侵害は起こるという認識を持つべきだと私は思います。
 次に、現行盗聴法の中身について聞いていきたいと思います。
 だからこそ、いろいろ問題をはらんでおりまして、現行法は、当時、国民の厳しい批判にもさらされ、政府原案を、自民党、自由党、公明党など当時の与党によって大幅な修正を余儀なくされました。
 資料の二枚目をごらんください。
 この資料は現行法を抜粋したものですが、下線つきで赤い文字は、修正案で与党修正によって追加された部分です。あるいは、傍線を引いているものは削除された部分というふうに、わかりやすくしてまいりました。
 第三条にありますように、例えば、もともとは、禁錮以上の刑が定められる犯罪については盗聴できるようにしようというふうにしていたわけですが、修正によって、死刑または無期もしくは長期二年以上の懲役ということで、非常に重い刑罰のものに限定しようと。
 そして、第一条を見ていただきたいんですが、もともと「数人の共謀」、これではだめだということで、赤文字で、「組織的な犯罪が」、あるいは「組織的な殺人、」ということで、明確に、改めて組織的ということがつけ加えられたわけです。対象犯罪につきましても、当初の部分を大幅に割愛し、集団密航、薬物、銃器、組織的殺人の四類型に限定されました。
 このときの与党修正の趣旨について説明していただけるでしょうか。
○林政府参考人 まず、通信傍受法政府原案に対する与党修正において、現行の通信傍受法一条の部分でございますが、「組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害していることにかんがみ、」との文言が加えられた理由につきましては、この文言を加えることにより、通信傍受法による通信傍受の制度の趣旨がより明確となり、同法の解釈及び運用の指針となることを期待したものであると説明されているものと承知しております。
 また、通信傍受法の対象犯罪が四類型、四罪種に限定された趣旨につきましては、これも通信傍受法政府原案に対する与党修正という形で修正がなされたものでございますが、その趣旨については、通信傍受が憲法の保障する通信の秘密を制約するものであるほか、我が国で初めて行われるものであることに鑑み、対象犯罪については、平穏な社会生活を守るために通信傍受が捜査手法として必要不可欠と考えられる最小限度の組織的犯罪に限定することとしたなどと説明されているものと承知しております。
○清水委員 つまり、通信の秘密を侵すというのは憲法に大きくかかわる問題ですから、当時の政府・与党の立場からいえば、極めて厳格に縛りをかける、歯どめをかけるという意味だったというふうに思います。初めてのことだからと言いますが、二度目、三度目だから広げてもいいということではないということはつけ加えておきたいと思います。
 もう一つの歯どめとなったのが、三枚目の資料の、現行法第十二条、立会人の規定です。これも、警察による盗聴の濫用を防止するためということで、通信事業者の常時立ち会いについて規定されております。
 もともとは、傍線で消しておりますように、その二項で、立会人を常時立ち会わせることができないやむを得ない事情があるときは、その事情に限り、立ち会わせることを要しないという規定が入っていました。
 しかし、これも、そんなことで本当に適正な捜査、適正な傍受ができるのか、関係のない国民の秘密を警察のやりたい放題に盗聴することができるんじゃないかという国民の強い批判にさらされて、この立ち会いは、検察官、司法警察官に云々ありますが、いなくてもいいという規定は削除されたんです。これが、NTTなどの事業者による盗聴時における常時立ち会いの意義だと思うんですが、そういう趣旨で合っているでしょうか。
○林政府参考人 通信傍受法の政府原案においては、やむを得ない事情がある場合には立会人の立ち会いを要しないものとしていたところ、与党修正におきまして、常時立ち会いが義務づけられました。
 その趣旨につきましては、通信傍受に対する国民の心配を払拭するため、常時立会人を置くことによって公平公正に通信傍受が行われていることを担保することとしたなどと説明されているものと承知しております。
○清水委員 今の同じことは、上川大臣もきのう私の答弁で申し上げられました、国民の心配を払拭するためと。
 では、当時、国民は何を心配していたとお考えですか。
○林政府参考人 通信傍受というものが公平公正に行われること、すなわち、通信傍受というものが密行的、継続的に行われることに鑑みて、公平公正に通信傍受が行われることに対する期待であると考えております。
○清水委員 まさしくそのとおりなんですね。通信傍受の法律はできましたけれども、警察が通信事業者のところまで行くという場所的制約、そして、必ず立会人が立ち会う、どんなときでも必ず立ち会うという心理的抑制、そして時間的な抑制、こうした縛りがあるからこそ、今、林刑事局長がおっしゃった、公正公平な捜査を期するために国民に理解してもらおうということで設けられた規定であるということをいま一度思い起こす必要があるのではないかと思います。
 そもそも、電話盗聴時における通信事業者の立ち会いの役割というものはどういうものでしょうか。
○林政府参考人 現行通信傍受法において、傍受の実施における立会人は、傍受のための機器に接続する通信手段が傍受令状により許可されたものに間違いがないか、許可された期間が守られているか、傍受をした通信等について全て録音等の記録がなされているかといった外形的な事項についてチェックすることのほか、傍受の中断または終了の際に、裁判官に提出される傍受をした通信を記録した記録媒体について、改変を防止するための封印をすること、これが役割であると考えられております。
○清水委員 まさしく令状に合致した傍受対象であるかどうかの確認ですよ。これは極めて重要です。
 そして、警察が傍受したデータの封印というふうにおっしゃられました。
 封印のイメージは、恐らく、CDの円盤などをケースに入れて、それを密封するようなことだと思うんですけれども、最初から最後まで盗聴した記録、先ほども申し上げました、犯罪に関係のない通話が盛り込まれている原記録、これについては、封印されて、第二十五条の規定によって原記録裁判官のもとへ行く。そして、捜査機関、警察が手元に置くのはこれを複製したものであると聞いているんですけれども、これはいつ、どこで、どうやって複製するんですか。教えていただけますか、警察庁。
○露木政府参考人 傍受記録の作成の方法、手続でございますけれども、これは法律に定めがございます。
 原記録の作成と同時に同一の方法を用いるなどにより原記録と同内容の記録媒体を作成し、傍受の実施を中断または終了したときには、その都度、速やかに、当該記録媒体、すなわち原記録と同内容の記録媒体から犯罪関連通信などの一定の通信内容以外の記録を消去することにより行っております。
○清水委員 そうしたら、聞きますけれども、複製の現場において、立会人がかかわったり、あるいはそれが適正に削除されたものであるかということの確認や封印などはするんですか。
○露木政府参考人 傍受記録の作成につきましては、立会人は関与いたしておりません。
○清水委員 つまり、立会人にそこまでの権限が認められていないということなんですね。
 ですから、立会人がついて、常時立ち会いしているのはまさしく最低限の歯どめであって、複製された傍受記録の内容すら確認することができないということは改めて明らかにしておきたいと思います。
 それで、そのことと関連して聞くんですけれども、いわゆる傍受記録、つまり原記録から関係のないものをそぎ落とした犯罪にかかわる証拠、これが裁判所の公判で証拠として使われたのはこれまで何件ありましたか。
○林政府参考人 傍受記録を公判で証拠として使用した事件の数については、法務省において把握しておりません。
○清水委員 なぜ把握しないんですか。
○林政府参考人 法務省としましては、通信傍受法二十九条に規定されております国会への報告及び公表を行う前提となる事項、すなわち、傍受令状の請求、発付の件数でありますとか、その請求、発付に係る罪名とか、傍受の対象とした通信手段の種類、傍受を実施した期間、傍受を実施している間における通信の回数等については、把握をして報告させていただいているところでございます。
 他方で、通信傍受はあくまでも証拠収集手段の一つでありますので、通信傍受の結果を公判において証拠として使用するか否かは、当該事件の内容や証拠の状況等によってさまざまな事情がございます。その件数を網羅的に把握することはなかなか困難である、また、その必要性も含めて慎重に検討する必要があると考えているからでございます。
○清水委員 つまり、盗聴した記録が必ずしも裁判の証拠にはならないということですね。これはたしか、検察の在り方検討会だとか、この間の刑事司法改革の中で、非常に議論のあったことだと思っております。
 例えば、今提出されている盗聴法の拡大、刑訴法の一部改正、これは、この委員会でも刑事局長おっしゃいましたけれども、証拠収集の適正化、多様化というふうにおっしゃいました。そのことの本意は、いわゆる犯罪集団を有罪に追い込んでいくということのための証拠、自白調書、検面調書に頼らず、それ以外に証拠を適正に確保していこうということの流れの中で傍受を拡大しようとしているにもかかわらず、これまでの盗聴法のもとでさえ、集めた傍受記録が公判の証拠になったかどうかの確認すらしていないということで、この盗聴によってどうやって検挙率が上がり、犯罪捜査の適正化につながるのかという検証などできないというふうに私は思います。
 それで、そもそも、これまでも警察は、違法な盗聴をしてまいりました。緒方宅事件の問題について、改めてこの委員会で確認します。
 これは、裁判所も警察官による極めて重大な違法行為と断罪した明白な権力犯罪ですが、警察は、盗聴という違法行為をいまだに認めておりません。
 では、もう一回聞きましょうか、今この時点で、この委員会で。
 緒方宅盗聴事件について、これは警察による違法行為というふうに認めますか。警察庁、どうぞ。
○塩川政府参考人 御指摘の事件につきましては、国賠訴訟の控訴審判決において、警察官である個人三名がいずれも県の職務として行ったものと推認することができると判示しておりますが、組織的犯行と断定した判決ではなかったと承知しております。
 いずれにせよ、警察としては、違法な通信の傍受は、過去にも行っておらず、今後も行うことはございません。
○清水委員 どんな思いでそういう答弁をずっとされているのかなと思うんですよね。判決が出て、盗聴していますよと。
 今おっしゃられましたけれども、県の職務として推認できるということなんですが、これは神奈川県警も全く否認しているんですよね。私は、警察官である個人三名が、それぞれの思いで、相談もせず、あるいは意思の疎通も示し合わせず、それぞれの思惑でたまたま一人の人間の電話を盗聴することなどあり得ないと思っております。
 大臣にちょっと確認したいんですけれども、三人そろえば組織というんじゃないんでしょうか。
○大塚大臣政務官 何人かということによらず、一概に何人いるから組織かどうかというふうに認定できるものではないというふうに理解しております。
○清水委員 袴田巌さんの事件でも、弁護士との接見交通時の会話が録音されていたということも明らかになりました。袴田巌さんが逮捕されて五日後に弁護士が接見に行った、その内容が録音されていたオープンリールテープが出てきたということも明らかになっているんです。
 上川大臣、一般論として私は聞くんですが、被疑者、被告人と弁護人との接見交通の場において、警察が双方に知らせず会話を録音するということについてどう思われますか。
○上川国務大臣 双方に知らせることなくそのような記録をとるということについては、許されることではないというふうに思っております。
○清水委員 そのあってはならないこと、許されないことが現に起こっているということをしっかりと受けとめるべきだと私は思うんですね。
 先ほど私は、緒方宅盗聴事件を行った神奈川県警の話をしましたが、実は、一九九四年九月六日、朝日新聞の夕刊にこのような記事が出ております。一審の判決前、盗聴した犯人の警察官の上司だった神奈川県警幹部は、朝日新聞の記者にこう言っているんですね。「晴れてたって、気象庁が雨だと言えば雨なんだ。そして何年かたって、その日の天気を調べてみるとする。その日は雨だったということが、真実になるんだよ」、こんなことを平気で言っているんですね。
 つまりこれは、警察が盗聴しておきながら、その真実をねじ曲げ認めないこと、そういう姿勢を貫くことに、歪曲した事実をつくり出すという、こうした態度に今なおしがみついているということが、きょうの審議を通じていよいよ明らかになったと思います。
 現行の盗聴法の成り立ちと、与党修正がかけられて、なお国民の強い批判にさらされる中で、野党欠席のもと、あるいは反対するもと、あるいは牛歩戦術をとるもと、強行採決をされてきたという歴史を重く受けとめるべきですし、引き続き、国民の人権、プライバシーを守り、冤罪を根絶するという、本来の司法制度改革の観点から質疑をしていきたいと思います。
 終わります。
○奥野委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十六分散会