第189回国会 農林水産委員会 第14号
平成二十七年六月四日(木曜日)
    午前九時三十二分開議
 出席委員
   委員長 江藤  拓君
   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君
   理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君
   理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君
   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
      井野 俊郎君    伊東 良孝君
      伊藤信太郎君    池田 道孝君
      今枝宗一郎君    岩田 和親君
      大西 宏幸君    勝沼 栄明君
      工藤 彰三君    瀬戸 隆一君
      武井 俊輔君    武部  新君
      中川 郁子君    中谷 真一君
      西川 公也君    橋本 英教君
      古川  康君    前川  恵君
      宮路 拓馬君    森山  裕君
      簗  和生君    山本  拓君
      金子 恵美君    岸本 周平君
      小山 展弘君    佐々木隆博君
      福島 伸享君    井出 庸生君
      松木けんこう君    稲津  久君
      中川 康洋君    斉藤 和子君
      畠山 和也君    仲里 利信君
    …………………………………
   議員           岸本 周平君
   議員           玉木雄一郎君
   議員           福島 伸享君
   農林水産大臣       林  芳正君
   農林水産副大臣      小泉 昭男君
   農林水産大臣政務官    中川 郁子君
   政府参考人
   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君
   政府参考人
   (水産庁長官)      本川 一善君
   農林水産委員会専門員   奥井 啓史君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月四日
 辞任         補欠選任
  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君
  橋本 英教君     岩田 和親君
  古川  康君     大西 宏幸君
  佐藤 英道君     中川 康洋君
同日
 辞任         補欠選任
  岩田 和親君     橋本 英教君
  大西 宏幸君     古川  康君
  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君
  中川 康洋君     佐藤 英道君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七一号)
 農業協同組合法の一部を改正する法律案(岸本周平君外三名提出、衆法第二一号)
     ――――◇―――――
○江藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案及び岸本周平君外三名提出、農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省経営局長奥原正明君及び水産庁長官本川一善君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田道孝君。
○池田(道)委員 おはようございます。自由民主党の池田道孝でございます。
 本日は、こうした質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。おくればせながら、質問をこれからさせていただきます。
 まず、議題となっております農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案につきまして、農家の立場、現場の立場の視点に立った質問をさせていただきます。
 御承知のように、農業協同組合は、農家の方々のため、農業を営んでおられる方々のために設立した組合でございます。
 今までに、農家と組合は一心同体となってやってまいりました。ちょうど、先月そして今が田植えシーズンでございます。昔は、前年の収穫が終わった時点から、翌年の種もみの注文、そしてまた肥料、農薬等の注文をし、それも六月だけでなくて、八月、稲の病害虫の発生、あるいは穂肥等の注文をし、せっかく苦労してつくったお米はそのまま全量農協へ出荷ということでやってまいりました。
 それが、高度経済成長に合わせまして、兼業農家がどんどんふえてまいる。そして、その農家の方々は仕事帰りに資材を購入する。そのために農協とだんだん疎遠になってくる。また、農業所得が家庭に占める割合というものもだんだんと低下してくる。そして、農外収入でもって田植え機、コンバイン等を購入する。だんだん農協との関係が薄れてきますし、高齢化社会になりまして、後継ぎがいない、そして耕作放棄地がどんどんふえてきた。それが、今の農業の抱えている大きな問題でございます。
 一つ例にとって申し上げますと、昔は、農協に勤めておられる職員の方々も兼業農家の方々であり、そしてまた地域の方々が多く農協へ勤めておられました。
 そうした方々が、夜な夜な貯金の勧誘あるいは共済の勧誘に来られる。大きな会社の民間の生命保険ですと、外交員が来られても、昼の時間、いやいや、もうそういう必要はないと断りますけれども、やむなくと言っては失礼になりますけれども、何回も来られますと、生命保険あるいは建物共済へ加入をする。
 そして、その間に、今、種をまいている苗代の苗が十分に生えていない、あるいはこういう病害虫が発生しているというときに、JAの方から、こういう農薬がありますよ、あるいは、あすでも専門員に行かせますということをやっておりました。専門員が行くといいましても、農地の場所等は大体すぐわかる。
 そうした農協と農家の関係というものがだんだん希薄になってまいりました。家庭の事情まで知っているというのが農協の職員の方々でございました。
 今回の農協の改正案につきましては、そうした農家と農協との親密な関係、それが薄くなっている、そのことが改正の大きな問題点であろうというふうに考えておりますけれども、また、提出されております内閣、衆法につきましても、農協は多くの問題を抱えておるというのは両者一致した点だろうと思いますけれども、まず、現場の視点に立った農協の改革をしなければならなくなった理由について、両者にお尋ねをいたします。
○林国務大臣 農協法が制定をされました昭和二十二年の当時と現在、異なってまいりまして、まず、食料が過剰基調になったということでございます。
 したがって、消費者、実需者のニーズに対応した販売努力が不可欠であって、国内の食料マーケット、これは残念ながら、人口が減少する、そういう局面の中で、マーケットも全体としては縮小に向かうということでございますので、六次産業化で川下の付加価値を取り込むとか海外への輸出、こういうものを視野に入れなければならなくなってきているということでございます。
 また、昭和二十二年当時と異なって農業者の方も、今少しお話をしていただきましたけれども、大規模な担い手の農業者というような方々と小規模な兼業農家の皆さんというふうに階層分化してきておりまして、組合員のニーズもそれに応じて多様化してきている、こういうニーズに応えた農協の運営をそれぞれ行う必要が生じているということでございます。
 農産物販売、生産資材購入、大事な仕事でございますが、その取り扱いのシェアがずっと低下してきているということで、現在、農業者、特に担い手の農業者のニーズに十分応え切れているとは言いがたい状況にあるわけでございます。
 中央会についても、単位農協を指導するということですが、この単位農協が、発足当初一万あったのが今七百程度になって、一県一JAも増加している。また、信用事業については、JAバンク法に基づいて農林中金に指導権限が与えられてきた、中央会の制度発足時と状況が変わってきているところでございまして、こういう状況の変化を踏まえて、地域農協が、農産物販売、資材調達等、農業者の所得向上を図る上で重要な業務を刷新して、特に担い手を中心とした農業者の皆さんと力を合わせて全力でできるようにやっていこうと。
 そこで、今回の改革では、地方分権の発想に立ちまして、それぞれの地域の特性を生かして地域農協が創意工夫をする、そして、自由に経済活動を行って農業者の所得向上に全力投球ができるようにしていく、連合会や中央会はこれを適切にサポートしていく。
 こういう改革を行っていくことによりまして、農産物の販売力強化に全力を挙げていくような環境を整備していこう。そういうことによって、地域農協には、農業者のメリットを大きくするように創意工夫して取り組んでいただくことを期待しよう、こういう改革を目指しているところでございます。
○岸本議員 池田先生の御質問にお答えをさせていただきます。
 農業の現場に身を置かれている池田委員の御質問、大変感銘を受けました。
 今、私たち議論していますけれども、農協といってもいろいろな農協があるんですね。それを何か十把一からげに農協として議論をしていくわけですけれども、そうではない、一つ一つきちんと六次産業化に対応している農協もあれば、まさにみずから改革を行って農業者のために頑張っている農協もある。一方で、何となくこれまでの流れにあぐらをかいていて、組合員のために一生懸命やらない農協もないではない、こういうことだろうと思います。
 もう一つは、自主性ですね。
 全中が単位農協の自主性を失わせているという立法事実がいまだに示されていないわけでありまして、理事会もそのためにおくれているわけですが、私ども早くその証拠が欲しいんですが、少なくとも、農林省の行政が農協の自主性を奪っていた事例は幾らでもあるわけで、これも後で議論になると思います。
 まさに役人は、悪気はないんですけれども、現場を知らないまま一生懸命政策をつくるものですから、小さな親切大きなお世話になってしまうんです。これは各省庁みんなそうなんです。私がやっていたから自信を持って言えます。小さな親切大きなお世話、これを農協に押しつけていたということ。これを変えなきゃいけないということが一つ。
 それから、やはり地域に根づく農協。
 和歌山のことばかり言ってはあれですけれども、今、氏子が少なくて祭りのみこしを担ぐ人がいないんです。それは山奥もそうです、和歌山市内もそうなんです。だから、農協の職員若いですから、みんな今みこしを担いでくれているんですよ。あるいは、女性部が屋台を出してくれているんですよ。
 そういう地域のための農協ということの改革が必要だ、このように考えて法案を提出させていただいております。
○池田(道)委員 ありがとうございました。
 どちらにいたしましても、端的に申し上げますと、今回の改正が農家にとりまして、資材を農協から購入し、そしてまた営農指導を受け、販売を農協を通じてやる、そして農家の所得が向上するということに必ずつながっていくという方向性でやっていただきたいと思います。
 先般の参考人質疑の中で、龍谷大学の石田先生の方から、私としてみれば衝撃的なお言葉をいただいたわけでございますが、根拠のない今の内閣提出法案は根拠のない未来志向的な改正であるというお言葉がございました。どちらの法案につきましても、全てがそうではなかろうと思いますけれども、その点について両者にお尋ねを、端的にお願いいたします。
○小泉副大臣 先生御懸念のことでございますが、五月二十七日の参考人質疑において、石田参考人からの発言でございますけれども、協同組合という普遍的な存在に対する配慮がない、また、戦後農協という歴史的個体に対する配慮もない、その意見との関係で、根拠のない未来志向の改正である旨の発言があったと承知をいたしております。
 この発言の正確な意図は明らかではございませんが、農協は、農業者が自主的に設立する協同組織でございまして、農産物の販売や生産資材の調達で農業者がメリットを受けることを主な目的とする組織でございます。
 したがって、今回の改革は、こうした農業者の協同組織としての原点に返り、農協が農業者の所得の向上に向けて、地域の農業者と力を合わせて、農産物の有利販売などに創意工夫をしながら、積極的に取り組むことができるようにすることを基本的な考えとしているところでございます。
 また、農業や農協をめぐる経済環境は、農協法が制定された昭和二十二年当時と大きく変わってきているところでございまして、先ほども大臣からもお話がございましたが、食料は過剰基調でありまして、消費者、実需者のニーズに対応した販売努力が不可欠でございます。
 また、国内の食料マーケットが縮小傾向に向かう中で、六次産業化により川下の付加価値を取り込んだり、海外への輸出を視野に入れなければならなくなっているのも現実でございます。また、農業者も大規模な担い手農業者と小規模な兼業農家に階層分化し、組合員ニーズも多様化してきていることから、こうしたニーズに応えた農協の運営を行う必要が生じているわけであります。
 こうした状況の中で、農協の農産物販売や生産資材購入における取り扱いのシェアは低下傾向にございまして、農業者、特に担い手農業者のニーズに十分に応え切れているとは言いがたい現状にございます。
 このような状況を踏まえまして、今回の改革では、現在の経済環境のもとで、農協が農業者のニーズに的確に応え、農業者の協同組織としての役割を果たせるようにする観点から見直しを行っております。
 地域農協が、それぞれの地域の特性を生かして、創意工夫しながら自由に経済活動を行い、農産物の有利販売など農業者の所得向上に全力投球できるようにすること、あわせて、連合会や中央会は、地域農協の自由な経済活動を適切にサポートしていくことを基本的な考えといたしておるところでございます。
 以上でございます。
○岸本議員 お答え申し上げます。
 石田参考人の御批判ということは二つの点だったと思います。
 一つは、協同組合というものの本質をどう考えるのか、それから、戦後のこれまで歩んでこられた農協の歴史についてどう考えるのか、こういうことだと思いますが、全く私どもも同じ観点で同様に考えておりますし、野党はいつも質問をしていますけれども、同じような観点から質問させていただいていると思います。
 何より、根拠がないというのは、まさに今理事会で問題になっていますように、立法事実が示されていない、この点でも全く同感であります。
○池田(道)委員 ありがとうございました。
 続いて、衆法についてお尋ねをいたします。
 行政の下請ということでございますが、時の政府や政権が中央会や農協を利用して行政の下請をやらせてきたことが、農家の自由な経営を妨げてきた問題の本質なのですということでございますが、下請というより、私の個人的な意見とすれば、例えば今の中間管理機構、あるいは戸別所得補償制度、生産調整、そしてまた長い間続いてきた減反政策につきましては、下請以前の問題として、農協が同じ土俵に乗っていなかった。ほとんど市町村が窓口となってやっておられた。
 それはもう当然、農家と農協との関係は希薄になってきているというふうに考えておりますけれども、その点につきまして、今後の課題も含めて答弁をよろしくお願い申し上げます。
○玉木議員 池田委員にお答えしたいと思います。
 昨年も、池田委員からは大変建設的な御質問をいただいたことを覚えております。
 今の農協の行政の下請的な役割についての質問でありますけれども、これまで農協は、減反の徹底を初めとしてさまざまな行政代行的な仕事を事実上やってきたんだと思っております。私は、そのことは意味があったと思うし、もう少し積極的に、関係機関が連携する中で、もっと積極的な役割を果たしてもいいという側面もあったと思います。
 ただ、今般提出されている政府案を見ますと、そういったものよりもむしろ、各単協が自由に、独自に、より機能を発揮できるようにということを言ってはいるんですが、ただ、実際矛盾を感じるのは、今回も、七月末に飼料用米の作付の深掘りを、期限を延長して、中央会、連合会を通じて現場に徹底させようという政策を農林水産省がやっております。ビラもつくっています。
 なので、少し、あれ、どうしたのかなと思わざるを得ないのは、もし現場の自由度、単協の自由度を認めるのであれば、例えば、うちは、政府が何を言おうが、人間の食べるおいしいお米をつくって、それをできるだけ自分たちが努力して高く売っていこう、こういったことを推進するのが今回の政府の農協改革の方向性なのかなと私は思っているんですが、ただ、そうではなくて、とにかく餌米をつくれ、家畜用のお米をつくることを徹底していけというのは、私は、少し改革の方向性が矛盾しているのではないかなと思っております。
 そこで、単協の自由度を増していくこと、より行政の下請的機能から離脱をしていくという意味では政府案と同じだと思っていますので、我々としては、それを徹底するために、確認的に、国、地方公共団体からの自主性を担保するということを法律上明記した次第でございます。
○池田(道)委員 ありがとうございました。
 ちょっと時間の都合で飛び飛びになりますが、戸別所得補償制度について、衆法提出者にお尋ねをいたします。
 以前も、多分玉木委員だったと思いますが、私の方から質問させていただきまして、御答弁いただきました。
 当時、できた制度は、農家の方々にとりましては非常にいい制度だ、おおむね好評。ほっておいても八万円もらえるわけですが、ただ、その当時問題となっておったのは、何もしなくても、稲かヒエかわからないような田んぼでも八万円。あるいは、減反政策が農家の方々にしみ入っておりますので、生産調整しなくても八万円もらえる。あるいは、酒造メーカーからは、荒れた水田で米をつくっても八万円もらえる、だから酒米をつくってもらえないというようないろいろな意見もございましたけれども、先般の参考人質疑の中で、これも、先ほどの、根拠のないと同じように衝撃的なお話だったんですが、この戸別所得補償制度こそ農業者と地域を分断ということを参考人の方がおっしゃられました。
 このことについて、衆法提出者にお尋ねをいたします。
○玉木議員 池田委員にお答えいたします。
 今、参考人がおっしゃった発言を紹介いただきましたけれども、私は、これはちょっと意味がわかりかねます。
 池田委員が今おっしゃったのは、いわゆる米に対して反当たり一万五千円を出していた戸別所得補償なのか、水田活用の直接支払交付金、水田を活用して麦をつくったら幾ら出します、飼料用米をつくったら幾ら出します、加工用米をつくったらというこちらの話であれば、おっしゃるとおり、生産調整という前提は我々のときに外しました。外した上でこれをやっているんですが、それは今日も同じです。
 ですから、いわゆるダイレクトペイメント系の、生産奨励をしない、デカップリングの中で出てきたこういう制度は全てだめだ、地域を分断するというふうにおっしゃるのであれば、現在行っているまさに飼料用米の政策も含めて、これは地域との分断を促す政策になってしまうのではないかと。
 ですから、少し参考人のおっしゃった趣旨がわかりかねるなと思いましたので、ここはちょっと真意がわからないのでコメントはできないというのが正直な気持ちでございます。
 ただ、水田の活用の直接支払交付金については、我々のときもそうでありますし、現在も意味があると考えています。
○池田(道)委員 続きまして、いわゆる地域の重複農協、これは今でもいろいろな形で農家の方々にとっては非常に役に立つということだろうと思いますが、その上に、都道府県域を超える農協の設立を容易にしということを改めて衆法では言っておられます。これがどういう形でのメリットがあるのか。
 これは趣旨とは違うと思いますけれども、今、地元、私は岡山県ですが、岡山県と鳥取県と共同で新橋にアンテナショップを出しております。岡山と鳥取のどっちを先に言うのか。鳥取、岡山。道路を隔てた反対側に香川、愛媛のアンテナショップがございます。
 岡山、鳥取につきましてはまだ昨年開設したばかりでございますので、私も時々見回りに行くんですが、見回りに行ったら必ず、道路を隔てて隣へ視察、偵察に行くわけですが、来場者は皆さんの想像されるとおりでございます。
 これは県単位でやっているシステムでございますけれども、こうした都道府県域を超えた農協の設立を容易にした場合に、デメリットは別にいたしまして、農家の方々にとってのメリットをどう考えておられるのか、お尋ねをいたします。
○玉木議員 お答え申し上げます。
 池田委員から大変貴重な視点を御提示いただきましたけれども、現行法でもこれはできます。ただ、これはできるんだけれども、定款で区域を定める際に、できないという前提でいろいろなことを考えるというのが実際あるので、法律上明示をして、県域を超えてさまざまなアライアンスが組めるようなことを明示しようということが趣旨であります。
 この前も林大臣に私は質問しましたが、外国に行ってみるとよくわかるんですね。牛のブランドも、和牛という単一ブランドではなくて、さまざまな県の何とか牛、讃岐牛とかうちもあるんですけれども、例えば、少し大きくして四国全体のブランドとかあるいは中国地方全体のブランドをつくってそれで攻めていくというようなこと、こういった県域を超えた農協の新しいあり方ということを促していくことが例えば輸出や六次産業化にもプラスになるということで、県域を超えた設立が可能ということを法律上明示した次第でございます。
○池田(道)委員 ありがとうございました。
 続きまして、農協のいわゆる理事のことでございますが、今回の改正案では、理事の過半数を、原則として、認定農業者、または農産物販売、法人経営に関し実践的能力を有する者でなければならないものとするという、原則としてということになっております。
 これは、後で時間があれば農業委員会もお尋ねしたいんですけれども、今までの農協の理事さんというのは、昔は農業に関心のある方、農業をやっておられる方が出られておったわけですけれども、農協合併によりましてだんだん地域が広くなる。そうした中で、農業というより、理事さんそのものは非常に立派な方々ばかりでございますが、農業の経験のない、あるいは関心のない、金融に関心のある方々、そういう方々がどうしても理事の選出の中で、広範囲で選出をいたしますので、そして、そういう方々が理事になり、農協経営の中心となられて、農家、農家経営の方からだんだん離れていったというのが現実だろうと思います。
 この認定農業者を含めての理事の過半数のことにつきまして、私は非常にいいことだろうと思うんですけれども、衆法、内閣、両者にお尋ねをいたします。
○奥原政府参考人 農協の理事の関係でございます。
 今回の農協改革では、地域農協が、担い手農業者の意向も踏まえまして、農業所得の増大に配慮した経済活動を積極的に行えるようにする、これが一つの大きな目的でございます。
 この観点で、農協の理事の過半数を、原則として、認定農業者あるいは農産物の販売や経営に関して実践的な能力を有する方とすることを求める規定を置くことにしているところでございます。
 この趣旨でございますが、認定農業者の方につきましては、担い手の意向を農協の業務執行にきちんと反映していくということが目的でございますし、それから、実践的な能力を有する者、これにつきましては、販売方針を決めたときに、大口の実需者等ときちんと渡り合って、農産物の有利販売等をきちんと実現していく、これが一つの目的でございます。
 原則でございますので、例外規定も適切に設けることにしておりますけれども、いずれにいたしましても、これを契機といたしまして、農協の農産物販売事業等を発展させる観点に立ちまして、組合員が適切な方を役員として選出していただく、これが重要であるというふうに考えております。
○岸本議員 お答え申し上げます。
 池田委員の御指摘は、歴史的に納得するところもあるんですけれども、農協ごとにいろいろな事情もあるし、違う農協もあったと思います。
 我々は、あくまでも協同組合という本質からしますと、これはICAの宣言にもありますように、自主性と自立性ということを考えた場合に、最も大切な協同組合の役員構成にまでお上が口を出すというのはちょっといかがなものかなという気持ちがいたします。あるいは、性別とか年齢にまで言及するというのは、まさに小さな親切大きなお世話ではないかと思うので、自主性にぜひ任せていきたいと思っております。
○池田(道)委員 ありがとうございました。
 時間がありませんので、最後、農業委員会についてお尋ねをいたします。
 今回、農業委員会とあわせて、農地利用最適化推進委員という組織をつくられます。一つは、屋上屋を重ねるのではないかというような危惧もございますし、もう一方では、今の農業委員さんというのは昔と比べて非常に忙しい。耕作放棄地を含めて一筆一筆、現地を調査するというようなことがございますけれども、今の農業委員会制度とこの最適化推進委員さんとの関係についてお尋ねをいたします。
○奥原政府参考人 農業委員と推進委員の関係でございます。
 現在の農業委員の機能は大きく分けまして二つございまして、委員会としての決定行為、それと、それぞれの委員の方が各地域において具体的な活動をしていただく、大きくこの二つに分けられるというふうに思っておりますが、このそれぞれがより的確に機能するようにするというのが今回の改正の一つの目的でございます。
 この観点で、今回の法改正では、農業委員とは別に農地利用最適化推進委員、こういうものを新設することにしておりまして、この改正が行われますと、農業委員の方につきましては、合議体としての意思決定を行うということが中心になりますので、具体的には、農業委員会の総会または部会の会議に出席をしていただいて議決権を行使して、農地の権利移動ですとかあるいは農地転用の許可に当たっての具申すべき意見等を審議する、こういうことをやっていただくことになります。
 これに対しまして、推進委員の方でございますが、こちらの方は担当区域が決まることになりますので、それぞれの担当区域におきまして、担い手への農地利用の集積、集約化、それから耕作放棄地の発生防止や解消、こういった農地利用の最適化の推進に関する具体的な現場の活動に携わっていただくということでございます。
 ただ、この際、農業委員会が農地の利用の最適化の推進に成果を上げるためには、両者の連携が非常に重要でございますので、今回の法律の中では、両者の連携規定もきちんと置かせていただいているところでございます。
○池田(道)委員 ありがとうございました。
 以上で質問を終わります。
○江藤委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。
 通告に従いまして順次質問させていただきますが、きょうは農協法等についてまた質問させていただく予定なんですが、その前に、先般も少し発言させていただきましたが、ロシア二百海里水域内におけるサケ・マスの流し網漁業の日ロ間協議の交渉状況がどうなっているのかということについてお伺いしておきたいというふうに思っております。
 これは実際のところ、私が関係者から伺っている範囲では、なかなかまだ本交渉に入っていない状況じゃないか、一方では、かなり大詰めに来ている、こういうこともありまして、いずれにしても、近年は大体、交渉に入っていったら一週間程度で決まったという状況なんですが、五月の十四日からの交渉入りから、もう数えて三週間近くたってきているという状況です。
 根室の漁業者、関係者の方々からも、大変、このことについて不安の声もたくさんいただいておりますし、一方では、ロシアの政府の流し網漁の禁止の法律の話もあって、いずれにしても、大変厳しい状況であるということには変わりございません。
 一日も早い交渉妥結ということを強く望んでいるんですけれども、現段階での交渉の状況についてお伺いしたいと思います。
○本川政府参考人 お答え申し上げます。
 御質問の日ロサケ・マス政府間協議でございますが、モスクワにおきまして、五月十四日木曜日から開催されておりまして、現在、漁業者の代表者の方、それから外務省、北海道庁、私ども水産庁、これで構成される日本代表団が妥結に向けて鋭意努力をしているところでありますが、三週間を経過してなお妥結には至っていないという状況でございます。
 申しわけございませんが、交渉の進捗状況など具体的な事項につきましては、交渉途中でありますのでコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、漁業者の方々の御不安、私ども非常によく承知をしております。我が国サケ・マス漁業者が一日も早く出漁できるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○稲津委員 交渉の中身については、外交交渉ということで具体的に触れることはできないという長官からの今御答弁ですけれども、それは十分承知した上でお伺いしているんです。
 一番憂えていることの一つとして、妥結したという状況の中で、ではすぐ漁に入っていく、そうなると、六月の残りのわずかの日程と七月で一斉操業になりますから、実際には、その海域の中の操業というのはかなり混雑するということで、そのこと自体も現場は非常に憂えているんですね。
 ですから、そうしたことへの配慮もいただきたいと思っていますし、私は、このことのテーマというのは、これは根室の地域や漁業者の関係だけの問題じゃなくて、非常に波及効果というか影響力の大きい話だと思っているんです。
 したがって、この交渉妥結もある意味では大詰めに来ているというふうに思っておりますが、とにかく一日も早い交渉妥結を望むとともに、今私お話し申し上げましたように、その後の対応についてもできるだけの配慮をいただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
 次は、農協法等についてお伺いさせていただきたいと思います。
 本会議でも質問させていただいて、この農水委員会でも何回か質問させていただきました。参考人の方々からの意見もいただきました。そういう中で、全中の監査機能の変更ですとかあるいは准組合員の利用のことですとかさまざま聞かせていただく中で、一つのまた大事な争点として、農協法の第八条の改正のことなんです。
 これは先日の農林水産委員会でも質疑がありました。ただ、そのときに、十分な政府側の答弁というか説明をもう一回きちんとしていただかなければ、ここの争点というのは具体的に見えてこないと思っております。したがって、農協法第八条の改正の趣旨、改めて、少し丁寧に説明をお願いしたいと思います。それが一つ。
 もう一つは、ここのところで問題になってくるのは非営利のことなんですね。ほかの協同組合で非営利の規定はどうなっているのかということについても、政府側の方からこのことの説明をいただきたいと思います。
○奥原政府参考人 今回、農協法の第八条を改正いたしまして、新しい七条に変えるというのを御提案させていただいておりますが、まず一つのポイントといたしまして、現在の八条に書いております、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」この部分を削除するということにしております。
 現在の、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」この規定の趣旨でございますけれども、農協はあくまで協同組合でございまして、株式会社ではございません。したがって、出資配当を目的として事業を行ってはならないというのが、この営利を目的として事業を行ってはならないということの意味でございます。
 この趣旨につきましては、農協法の別のところにも実は規定がございまして、農協法の第五十二条第二項でございますけれども、ここで、出資配当については、法律上上限が設けられております。これによって担保をされているということでございます。
 協同組合法制、農協以外にもいろいろな法制がございますけれども、ほかの法制を見た場合に、協同組合におきましては、全て出資配当に関する制限は規定をされているということでございます。
 その一方で、営利を目的としてはならないという規定がほかの協同組合の法律に書かれているかどうかということでございますけれども、消費生活協同組合法、中小企業団体の組織に関する法律、それから労働金庫法、この法律におきましては、営利を目的としてはならないという規定がございますけれども、一方で、水産業協同組合法、中小企業等協同組合法、それから信用金庫法、これには営利を目的としてはならないという規定は置いておりません。
 ですから、各協同組合法制におきましてこの点はまちまちでございますが、この規定の意味であります出資配当の上限は、全ての協同組合について書かれているということでございます。
 このようなことを踏まえまして、今回の農協法の改正に当たりましては、出資制限を定める規定は、これは当然維持をいたします、改正しておりませんが、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」この部分につきましては、農協の間に、そもそも利益を得てはならない、もうけを出してはいけないといった誤った解釈もなされているという傾向がございますので、この誤解を解くという意味におきまして、この部分は削除をするということにしております。
 その上で、今回の改正におきましては、農協が農産物の有利販売等に積極的に取り組んでいただく、そのことを促す観点におきまして、組合は、事業の実施に当たって、農業所得の増大に最大限配慮しなければならない、これを新しい七条の第二項で追加しております。
 それから、七条の三項というところでは、組合は、農畜産物の販売等において、事業の的確な遂行により高い収益性を実現し、その収益で事業の成長発展を図るための投資または事業利用分量配当、これに充てるよう努めなければいけないということも規定をしているところでございまして、この趣旨を追加しているところでございます。
○稲津委員 ここはこの法案の最大の肝の一つだというふうに思っておりまして、今御答弁いただいた中で、漁組等についての非営利の規定はないんだという話がありました。
 今回の法改正の大事なポイントというのは、答弁でも何回かいただいていますけれども、いわゆる農家所得の向上に資するということが目的だったと思っています。そこのところが七条に明確に書いてきているところなんですけれども、八条の営利目的のところがやはりリンクしてくる話ですので、今出資配当の話もありましたけれども、なぜ今回の改正を行っていくのか、それは、何回も繰り返しになりますけれども、農家所得の向上に資するように、そして、農協がそのことを踏まえて高い収益性をきちっと確保していくんだ、このことが最大のポイントで、そして、この八条のところも書きかわっているということを改めて今確認させていただいたところでございます。
 次は、農業委員会の方に質問を移させていただきたいと思っているんですけれども、特に、都道府県の農業会議、それから全国の農業会議所のあり方について確認をさせていただきたいというふうに思っています。
 この都道府県の農業会議、それから全国の農業会議所、これは当然、農業委員会の活動を支えるということが一番大事な役割であるというふうに認識しております。
 そこで、この農業会議と全国農業会議所の今後果たしていくべき役割ということについてなんですが、当然、農地情報の収集とか提供、それから担い手の育成、新規就農支援とか、これは現下の農政における最重要課題であろうと。そこを今度は、これらの部門がいわゆる全国に、あるいは県内にしっかりとしたネットワークを広げていく、そのネットワークの確保がやはりまず一番大事なんだろう、私はこのように思っております。
 それで、このネットワークに関連して、この二つの団体の各農業委員会との連携の重要性についてお伺いしたいと思っていますし、あともう一点は、これは本会議でも私は質問をさせていただきましたが、この農業委員会あるいは事務局の研修とか実務の向上の話なんです。
 これは本会議で質問させていただいて答弁もいただきましたが、その後で私のもとに、大変重要な、現場的には非常に今までも思っていたことを質問してくれたということで喜びの声をいただきました。まさに、この農業委員会の現場というのは、そうしたレベルアップをしていきたいという強い意欲もあるし、またそういう研修の機会をもっとふやしていくべきだ、そういう御意見があるというふうに思っています。
 したがいまして、この都道府県の農業会議とか全国の農業会議所、今後、農業委員それから事務局の能力の向上に向けての研修ですとか、組織の底上げを図るような、そういう役割が私は期待されると思っているんですけれども、この点についてお示しいただきたいと思います。
○林国務大臣 今回の法改正では、全国農業会議所それから都道府県の農業会議について、農業委員会の活動をサポートするネットワーク組織として見直して、指定法人に移行した上でその業務を法律上明記することにいたしております。四十三条でございます。
 今、委員からもお話がありましたように、この農業委員会のネットワーク機構ですが、委員会相互の連絡調整をする、優良な取り組みを行っている農業委員会の情報を横展開していく、それから、農業委員、推進委員、職員等に対する講習、研修、今お話がありました農地に関する情報の収集、整理及び提供、こういうことをやって農業委員会の業務をサポートする、こういうことが明確に位置づけられておるわけでございます。
 特に、農業委員や推進委員、事務局職員に対する研修について今お話がありましたけれども、これは、農業委員会がそれぞれその機能を発揮していくためには極めて重要であると我々も考えておりまして、国としても、農業委員会ネットワーク機構に対して必要な支援を行っていくことにしておるところでございます。
 それから、農業委員会の事務局に関しては、四十三条と別に二十六条五項で、「農業委員会は、専任の職員の配置及び養成その他の措置を講じ、」「知識及び経験を有する職員の確保及び資質の向上を図るように努めなければならない。」こういう旨を規定しておりまして、これによって、しっかりと支えていくということの裏づけをしたいと思っておるところでございます。
○稲津委員 ありがとうございました。ぜひその方向で進めていただきたいというふうに思っております。
 次に、農業農村整備事業の予算の確保ということで、これはぜひ大臣に御答弁をいただきたいと思っています。
 直接は、今回の農業委員会法の改正とは違うかもしれませんけれども、しかし、農業委員会のあり方、役割を考えていったときに、人・農地プラン、この話し合いをしっかり踏まえた上で、今度は具体的に、地域の担い手を育成していく、あるいは地域の農家の法人化なんかにもいろいろなかかわりも持っていく、そして何よりも、農地の集積をしていく中で、担い手に農地をいわゆる集めていく、そういう大事な役割があるんです。
 そこで、もう一つ出てくるのが、中間管理機構でも議論されましたけれども、やはりある一定程度農地の整備をする、規模拡大していくということがあると思うんです。
 農業委員会が果たすべき役割の延長線上というか、あるいは同じレールの中に何があるかというと、当然これは農地の規模拡大、そのための農地の整備、汎用化とか大区画化、これはもう避けて通れないと思うんです。
 しかし、その予算がきちんと確保されていない、もしそういう状況があったらこれは非常に悲しいことで、近年の予算状況を見ると、NNのところは、補正ではかなりの対応をしていただいたんですけれども、本予算のところが残念ながらそうとは言い切れない状況で、今後ここは最大の配慮をしていかなきゃいけない、こう思っております。
 そこで、そういう意味でも、この農業農村整備対策予算を十分確保すべきということで、大臣の御決意も含めてお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 今まさに委員から御指摘いただいたように、農業の構造改革を進めて、担い手への農地の集積、集約化、経営規模の拡大を図るためには、その対象になります農地について、農業農村整備によって大区画化、汎用化等がなされているということが大変重要である、こういうふうに思っております。
 集積と整備の関係ですが、例えば、農地整備事業の実施後に担い手の経営規模が拡大している、こういう調査の結果もありますし、一方で、担い手農家への聞き取り調査によりますと、耕作をしてくれと依頼をされた場合に断ったときの理由ですが、区画が狭小または未整備である、こういうものが答えの中では一番多い、こういう調査もあるわけでございます。
 したがって、今御指摘いただいたように、農地中間管理機構で農地を借り受ける、貸し付けをやっていく、こういうことを円滑に実施していく、それから、今回の法改正で農地利用最適化推進委員、先ほど触れていただきましたけれども、農地利用の最適化を推進する活動を促進してもらう、こういうことをやっていく上でも、そのもとになっている農地整備、大区画化や汎用化等を推進していくということが欠かせない、こういうことでございます。
 まさにそれをやるための予算でございますが、今申し上げたような観点を踏まえて、農地中間管理機構との連携を強化しつつ、事業を計画的に推進するため、必要な予算、なかんずく当初予算をしっかりと確保していくということが大変大事であって、それをしっかり努力してまいりたいと思っておるところでございます。
○稲津委員 ありがとうございました。
 今、大臣から力強い御決意を伺いまして、大変期待をするところでございますが、我が党も石田議員を中心に、私も入らせていただいていますけれども、農業農村の予算の拡充等も踏まえた専門の部門をつくりまして、スタートいたしているところでございますけれども、ぜひそうしたことをこれからも進めていただきたいというふうに思っております。
 ほとんど時間が参りましたので、質問の方はこの程度で終わらせていただきますけれども、残り、この農業委員会のところでは、農地利用最適化推進委員は具体的にどういうような役割を果たしていくのか、あるいは農業委員との連携をどのように進めていくのかということは、もう一方では、農業委員会のあり方については一番大事な肝の部分ですので、またぜひ機会がありましたら、その折に質問させていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、松木けんこう君。
○松木委員 それでは、質問させていただきます。
 その前に、きょうは奥原局長さんもおられます。林大臣、ずっと局長にいろいろと勉強させてもらっていまして、我々維新と民主党の皆さんと勉強会を持たせていただきました。私が一番できが悪いものですから、事細かく教えていただいたというのが非常にうれしかったので、そのお礼の言葉だけ、まずは述べさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。
 と言っておいて、では、質問させていただきます。いやいや、本当にありがたく思っているんですからね、局長。
 私の時間がちょっとずれたりして、理事会でも大分もめちゃったみたいですけれども、私の質問の中にもいろいろと入っていますけれども、大臣、今、農林水産省のトップはあなたですので、そしていろいろと野党が質問を、与党の方ももちろん質問するわけだけれども、実のあるいい委員会にもしたいので、いろいろと難しいことも野党の皆さんは聞いてくる可能性は当然あるわけですよね、その中で、ぜひ、なるべくもめないで、できる限りのいい、委員会以外でもいろいろと質問しているみたいですから、そんなことにも協力してやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、まず、農業協同組合法の改正案審議ということでありますけれども、我が国の農業を支える農家、農山村の今後に重大な影響を与える法改正であるというふうに私は思っています。日本の農業が力強く発展し、しっかりと持続していくためにも、農協が今後果たしていく役割も大きくなるというふうに私は思っております。
 改革派か守旧派かというような、農協が仲間か敵か、そういうことではなくて、党派も超えて、立場も超えて、日本のよりよい農業のあすを考えて議論を進めていきたいというふうに私は思っているわけでございます。
 農業の歴史をちょっと考えますと、戦後、農地解放で多くの方が自作農になりました。急激な経済発展の中で工業化が進んで、多くの農山村の青年たちが都会に出ていったわけでございます。高度経済成長を担う人材の供給源がまさに農山村だったということだと思います。
 そんな中で、農山村は人口が減り続けてきたわけでございまして、少子高齢化というのは昔からではありませんが、人口流出、人口の社会減というのは昔から我が国の中山間地域を苦しめてきた課題でありました。
 私は、農協というものを見るときに、やはり多面的な機能を見ていく必要があるというふうに思っております。巨額な預貯金を持つ大金融機関の側面、地方の経済と生活を支える社会インフラとしての農協、そして、日本農業を支え、我が国の食料安全保障の守り手としての農家が加盟している農協、いずれも大事なポイントであるというふうに思います。単に改革イエスかノーかというような色分けは難しいというふうに私は思います。
 加えて、農協改革というテーマで取り組みを進めるのであれば、地域差というものもやはり丁重に見ていくべきだというふうに思っております。農協をよりよい姿にしようと思っても、首都圏の農協、大都市圏近郊の農協、また、私の住んでいる大規模化も進んでいる北海道の農協と、全部同じやり方で制度をいじっても、かなり現実とのずれ、想定外のゆがみ、そういうものを結果として生んでいく可能性が高いんじゃないかなというふうに私は思っています。
 そんな思いを持ちながら、それでは質問させていただきたいと思います。
 まず、林大臣に聞きたいと思いますけれども、今回の農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案の概要にこういうことが書いてあるんですね。地域農協が、自由な経済活動を行い、農業所得の向上に全力投球できるようにする。
 ここであえて地域農協がと言っているのは、要は、中央会や都道府県中央会が地域農協の自由な経済活動を制限しているという認識があるのかどうか、それをお聞かせ願いたいと思います。
 加えて、もし中央会なりが自由な経済活動を制限しているというのであれば、具体的にどういった制限が行われているのか、どういうものが失われているのか、いかなる損害が発生しているのか、こういうことを、ぜひ具体的にお話をお聞かせいただけたらありがたいというふうに思います。
○林国務大臣 今、松木先生おっしゃっていただいたように、いろいろな地域に農業はいろいろな形態がある、さまざまである。まさにおっしゃるとおりでございます。
 さらに、今、歴史的な経緯も振り返っていただきましたように、農協法ができたのは昭和二十二年でございまして、一番大きく変わったのは、食料が当時は足りなかった、それが今過剰基調になっているということですから、やはり生産者の方もしっかりと売る努力をする。昔のように、足りないときはつくればもう飛ぶように消費された、こういうことであったと思いますけれども、そこが一番変わってきて、六次産業化であったり、輸出をやったりしなければいけなくなったということでございます。
 それから、まさに今委員がお地元の北海道の例も出されましたけれども、大規模化が進んでいるところもあり、また都市の近郊もあり、中山間地で小規模なところもある。組合員もさまざまになってきまして、ニーズがさまざまになってきている。
 こういう当時と変わった状況になってきているということがまさに今回の法改正の大きな背景でございまして、こういう状況変化を踏まえて、もともと農業者の自主的な協同組織である農協システムを現在の経済環境等に適応したものとしていく観点から見直していこう、こういうことが今回の改革でございまして、それによってまさに、地方分権と言っておりますけれども、それぞれの地域の農協が、自立、そして自由な経済活動をしていただくということを目指そうということでございます。
 したがって、今回の法改正、今ちょっと最後におっしゃったような、中央会が地域の農協の自由な経済活動を制限したということを理由にこの法案を提案させていただいたというものではないということでございます。
○松木委員 ありがとうございます。
 とはいえ、もちろんそれだけが理由だとは僕は言っていないんだけれども、こういうこともあったので今回のような改革をするんだという具体的な何か、全中の監査業務が単位農協の活動を妨げたとか、そういう具体例、そういうのは何かないんですかね。局長の方がいいかな。大臣、大丈夫、いいですか。
○林国務大臣 前回の委員会でも、ヒアリングでいろいろな意見を聞いたというお話は御披露をしたところでございます。まさにいろいろな改革をやっていこうということで、今回、中央会のシステムも見直そうということになっております。
 単位農協が、中央会が始まったときは一万ありまして、小さいところもたくさんあったわけでございますが、これはまさに中央会がしっかりと仕事をしていただいたという結果で、今七百ぐらいになって、一つずつが規模も大きくなってきている。また、一つの県で一つのJAだ、こういうこともふえてきているということでございます。また、JAバンク法というのができまして、信用事業の部分については農林中金が指導権限を持っている。
 こういうことで、中央会を取り巻く状況についても制度発足時と状況が大きく変化をしてきておりますので、こういうことが、先ほどの状況変化、これを踏まえて改革を行うということにつながってきている、そういうことでございます。
○松木委員 ということは、特に単位農協の活動を妨げたというような、そういう具体例がある、そういうことはないということでいいのかな。局長さんの方がいいかな。
○奥原政府参考人 中央会が単位農協の経営の自由を制約した事実がどの程度あるのか、これは事例でお示しすることは非常に難しいと思っておりまして、といいますのは、農協側の主観的な受けとめ方でありますし、JAグループの一員でございますのでなかなか公然とは発言をしにくい、こういった御事情もございます。
 例えば、一月二十九日付の農業新聞に掲載をされましたアンケートでも、JA組合長などの、中央会の指導は各農協の特異性を生かさず画一した面もあるとか、一律な経営指導は改める必要があるとか、それから、全国一律の指導で特徴のない農協となり地方衰退へと進んではいないか、こういった具体的な意見が紹介されていることは承知をしているところでございます。
 数の多い少ないという問題がございますけれども、単位農協の自由な経営展開を促すという面で中央会制度を否定的に捉えている、そういう方々がいらっしゃるのは事実だと思っておりますので、農協システムを現在の経済環境等に適応したものとしていく観点から、見直していく必要があるものと考えております。
○松木委員 このことはこのぐらいにしておきましょうか。余りこれ以上言うと、局長にもお世話になっているし。
 でも、やはりちょっとこれは問題が、また多分理事会の方でやると思うので、なるべくいい答えをいただけるようにしていただいたらいいかなというふうに思います。私の方ではこの程度にとどめさせていただきます。
 それでは、次の質問をさせていただきます。
 今回の法改正の目玉、全中監査の強制権排除と言われていますけれども、全中じゃなくても監査法人に頼んでもいいですよというお話だと思いますけれども、全中監査の強制権を除くとどのようなメリットがあるのか、具体的にちょっと教えていただけたらありがたいと思います。
○小泉副大臣 お答えいたします。
 今回の改正で全国中央会の監査の義務づけを廃止するわけでございますが、会計監査につきましては、信金、信組と同様に公認会計士監査を義務づけることによりまして、信用事業を安定的に継続できるようになると考えているわけであります。
 また、業務監査でございますが、他の民間組織と同様に農協の任意とすることとしておりまして、地域農協が農産物の販売体制の刷新等を進めて農家の所得向上を図ろうとするときに、自由に能力のあるコンサルを選べるようになるものと考えております。
 このことで、組合員にとっては安心して農協の信用事業を利用できるとともに、今回の農協改革を契機として、地域農協の役員が従来以上に経営者としての責任を自覚して、農業者のメリットを大きくするよう創意工夫して取り組んでいただくことを期待しているところでございます。
 以上でございます。
○松木委員 わかりました。
 今までのことじゃ安心できなかったんですかね。いや、ちょっとそこら辺がよくわからないので。そんなに悪いことを全中がしていたとも思わないんだけれども、せっかくお答えいただいたので、次に行きましょう。
 何か、余りぴんとこないんですね。いやいや、副大臣の言ったことが悪いというんじゃないんですよ。ありがとうございました、本当に、答えていただいたんですから。まあ、しようがないですよ。
 では、三問目、次に行きましょうね。
 改正案では、組合は、事業を行うに当たって、組合員に利用を強制してはならないものとするという規定が盛り込まれています。これはなぜ盛り込まれたのでしょうか。何となく、事情をよく知らない人がこの改正案に関する資料を読むと、これまで農協は組合員に無理やりいろいろなものを買わせたりしていたのかなというふうに思ってしまうんじゃないかなと思うんですね。
 農水省は、過去に組合が組織的に利用を強制したことがあるという認識なのかどうかというのをちょっとお答えいただきたいと思います。
○奥原政府参考人 今先生から御指摘いただきましたように、今回の農協法の改正では、十条の二というのを追加しておりまして、組合員への利用強制を禁止するという規定を新たに設けることにしております。
 農協が組合員に対しまして、農産物の販売ですとか肥料、農薬の購入を強制したり、あるいは、資金を融通するに当たりまして、資材の購入を、農協から買うようにすることを条件にする、こういったことをやりますと、独禁法上の不公正な取引方法に該当することになります。農協は独禁法の適用除外ではございますけれども、不公正な取引方法は適用除外になっておりませんので、こういう行為をやりますと、現在でも違法ということで取り締まられることになります。
 農林水産省といたしましては、これまでにも、農協等に対する監督指針におきまして、農協がこのような行為を行わないことを明記して指導してきたところでございますが、農協の行う事業活動について独禁法に抵触する疑いが生じた場合、これは結構ございますけれども、その場合には、公正取引委員会とも連携をして厳正に対処してきているところでございます。
 過去にも、その結果として、公正取引委員会の方から警告あるいは排除命令、こういったものを受けたものが幾つかございます。ことしに入ってからも一件出ておりますし、昨年も一件警告がございました。こういった状況になっております。
 今回の農協改革では、地域農協が、それぞれの地域の特性を生かして工夫をしながら自由に経済活動をやっていただいて、農産物の有利販売など、農業者の所得向上に全力投球できるような環境をつくっていく、これが目的でございます。
 したがって、これがきちんとできれば、農業者、特に担い手農業者から選ばれる、メリットがあるから農協を利用するんだ、こういうことが徹底されるというふうに考えているところでございます。
 このために、こうした改革の趣旨に反する組合員に対する事業利用の強制については明確に禁止をして、組合員が農協の事業を利用するかどうかは組合員の選択に委ねるということを徹底する観点で、この十条の二という規定を新たに設けたところでございます。
○松木委員 わかりました。そういうことですね。今ちょっとやじも飛びましたけれども、現行法でいけばいいのかなとかというふうにも思うけれども、まあまあ、いろいろとお考えでしょう。一生懸命頑張ってもらいたいなと思うんです。
 次に、理事の構成についてちょっとお聞きしたいんです。
 理事の過半数を原則として認定農業者または農産物販売、法人経営に関し実践的能力を有する者でなければならないものとするということが定められていますけれども、ちなみに、全国の農協でこの新しい条項に合致しない例はどのぐらいあるのかなということをちょっとお聞きします。
○奥原政府参考人 今回の農協改革では、地域農協が、担い手農業者の意向も踏まえて、農業所得の増大に配慮した経済活動を積極的に行えるようにするという観点で、農協の理事の過半数を、これは原則としてでございますが、認定農業者、それから農産物の販売や経営のプロとするということを求める規定を置くことにしております。
 現行の農協法ではこういったルールは定めておりませんので、これに適合しない個別の農協の数は、現在把握はしておりません。
 ただ、総合農協の全国の平均的な姿で見ますと、一農協当たりの理事数は普通二十人ぐらいでございますけれども、一方で、現在の七百農協を前提としますと、一農協当たりの認定農業者の数は平均で約三百人いらっしゃいますので、必ずしも実現困難な要件ではないというふうに考えております。
 ただ、地域によっては、認定農業者の数が少ないなど、原則どおりの役員構成とすることが困難な事情もあることは十分認識をしておりますので、このため、この理事構成の要件につきましては、あくまでも原則とした上で、適切な例外を設けるということにしているところでございます。
 いずれにいたしましても、制度の運用に当たりましては、実態調査を行うことなどによりまして、制度の趣旨を踏まえながら、現場の実態を踏まえた適切なルールになるように十分留意していきたいと考えております。
○松木委員 わかりました。
 そうしたら、次、改正案のここの部分で言う認定農業者についてですけれども、この制度は、農業経営基盤強化促進法に基づき、市町村が地域の実情に即して効率的、安定的な農業経営の目標等を内容とする基本構想を策定し、この目標を目指して農業者が作成した農業経営改善計画を認定する制度と農水省のホームページに載っているんですね。
 そうなると、間接的にですけれども、行政の側が理事の有資格者として望ましい人物というものを定義づけることにつながるという気もするんですけれども、理事の過半はこういう人にしなさいということの条件の一つに挙げるわけですから、地域農協の自主性、自由な経済活動というものをあれほど強調されていたわけですけれども、一方で行政の関与については強めるべしという主張をするのはいささか矛盾しているのではないかというふうに思うんですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
○奥原政府参考人 農協が地域の農業者の方と力を合わせて農業所得の増大に向けて適切に事業運営を行っていくという観点では、やはり農業に積極的に取り組んでいただいているこの担い手の意見が農協運営に的確に反映されるということが重要であるというふうに考えております。
 その一方で、食料・農業・農村基本法第二十一条では、効率的かつ安定的な農業経営を育成して、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う、そういう農業構造を確立するということも明確に規定をされているところでございます。
 食料・農業・農村基本計画、これは閣議決定で決めているものでございますが、この中では、この主要な構造を担う担い手といたしまして認定農業者をまず掲げております。
 認定農業者は、今御紹介ございましたように、農業経営基盤強化促進法に基づいて、効率的かつ安定的な農業経営に向けた経営改善計画をつくって市町村の認定を受けた、こういう方ということですが、この認定農業者が担い手の一番中心的な存在でございます。
 そのほかに、将来認定農業者になることが見込まれる認定新規就農者の方も担い手でございますし、それから、将来法人化をして認定農業者となることも見込まれる集落営農組織、こういったものも担い手であるというふうに思っておりますが、こうした担い手の中でやはり中心になっておりますのは、この認定農業者の方でございます。
 数からしましても、現在、二十三万経営体いらっしゃいます。それから、現在、農地利用の五割が担い手のところに集積をしているということをたびたび申し上げておりますけれども、これの大宗も認定農業者が利用している、こういうことでございます。
 こういったことも考慮いたしまして、今回の農協改革では、農協の理事の過半数を、原則として、この認定農業者、それから販売や経営のプロの方というのも入っておりますが、こういう規定を置くことにしているわけでございます。
 ただ、地域によっては、この認定農業者の数が少ない、こういうケースもございますので、適切な例外規定は設けるということにもしております。
 また、この認定農業者を特に書いてございますけれども、具体的にどなたを理事にするか、これにつきましてはあくまでもそれぞれの組合でもって判断をしていただくということでございますので、確かに、認定農業者そのものは市町村が認定をする、そこはございますが、それによって組合の自主性を阻害するものになるとは考えてございません。
○松木委員 そんなに行政がぎゃあぎゃあ口を出すつもりはないんだというお話だったと思います。はい、わかりました。
 いろいろな意見がありますからね、それは何とも言えないところもありますけれども、悪いものをつくろうと思っている人はいないはずですから、そういうふうに聞いておきます。
 それでは、農業、経済的にもうまくいって発展していく、これはもう本当に一番いいことだと思いますけれども、一方で、経済原理だけではない部分で農業がやはり大きな役割を果たしているということも事実だと私は思うんですよ。
 農業の議論をしますとよく出てくる言葉、多面的機能という言葉であります。美しい景観もそうでしょうし、山林の保水機能、自然を守るとか、あるいは棚田だとかああいうのに代表されるように、水田のあの景観もいいですよね。水田ということで考えれば、ダム機能も持っているわけです。
 こういったものも、生産性が低いから、利益が少ないからということで切り捨てていいものだということではないと私は思うんですね。無論、経済原理は大事でありますけれども、それだけではやはりいけないと思います。営利一辺倒になることが万が一にでもあれば、多面的機能が失われ、大きく国益を毀損することになりかねないというふうに私は思うんです。
 今回の農協法改正審議に当たって、改めて、大臣に、農業の果たす多面的機能の大きさ、そしてそれを機能させる意味でも、経済原理一辺倒ではないんだよ、こういう意思表示をちょっとお願いしたいなというふうに思うんです。営利目的を禁じるという条項が削除されているということもありまして、そこら辺で、ちょっと大臣の御所見というのを伺いたいと思います。
○林国務大臣 まさに委員がおっしゃっていただいたように、農業は、食料の生産、販売による経済活動を通じて、地域の基幹産業としての重要な役割を有する、これだけではなくて、国土の保全、それから農山漁村の景観形成、さらには学習、保養の場の提供、こういった多面的な、お金に換算できない機能を有しておる、こういうことでございます。
 こうした農業、農村が有する潜在力を引き出して国内農業の活性化を図っていくというためには、それぞれの施策ごとにその目的、対象、施策の内容を明確にして、どちらを主にやっていくのかというのを明確にして、効果的に推進していく必要があると思っております。
 先般閣議決定しました食料・農業・農村基本計画、またその前の農林水産業・地域の活力創造プランでも、産業政策、農業の成長産業化を図っていこう、これとともに、将来にわたって農業、農村の持つ多面的機能の維持、発揮を図る、これを地域政策というふうに位置づけて、産業政策と地域政策、両方あるんだと。これを、それぞれの目的に応じて政策体系を整えて、車の両輪として進めていくことにしておるわけでございます。
 それぞれの地域の実情に即してこの二つをしっかりと組み合わせて、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村の実現、これをしっかり図っていきたいと思っております。
○松木委員 ぜひ、大臣、頑張ってもらいたいと思います。
 まだいっぱい聞きたいことはあるんだけれども、時間が来ました。
 准組合員の問題というのがあったじゃないですか、これは自民党さんの方で頑張って、もう先に落としちゃって、さすがだなというふうに私は思っているんです。高い球を投げて、このぐらいでストライクかなとか、いろいろなことの言い方がありますけれども、でも、本当に一生懸命、やはり自民党さんというのは今政権を持っているわけですから、責任を持った御態度で、頑張ったなと思いますけれども……(発言する者あり)いやいや、褒め殺しということはないよ。
 それで、この准組合員の問題もまたどこかで出てくるのかなという心配がちょっとあるんですけれども、やはり地域によって随分違うと思うんです。
 北海道なんかは、私は、北海道二区という吉川筆頭と同じところに今いるんですけれども、その前は北海道十二区というところだったんですね。ここは本当に広いところで、ガソリンスタンドとか、そういうのもやはり農協さんが経営されているというのが非常に多くて、こういうのがやはり地域の人たちには大変役に立っているというのがあったので、そういうものがこれからもなくならないようなことだけはお願いしたいなというふうに思っております。
 それと、農業委員会の話もちょっとしたいんですけれども、公選制から市町村長の任命になるということでございますけれども、これもどんな影響がこれから出てくるんだろうとかも聞きたかったんです。
 そしてもう一つは、いろいろな制度の変更で、将来的に株式会社の農地所有を可能にしようということを目指しているようにもちょっと見えるんですけれども、いずれにしても、いい農業改革、農政改革であってもらいたいというふうに本当に心から思います。
 大臣、今ちょっと私がばらばらっと話しましたけれども、もし何かあれば、最後、もう時間がないので端的で結構ですから、お答えください。
○林国務大臣 いずれも大事な論点でございまして、准組合員は、まさに実態調査をして、検討ということにいたしましたし、それぞれの論点については、先生の御意見も踏まえて、しっかりとやってまいりたいと思っております。
○松木委員 どうもありがとうございました。
 農水委員会は、委員会全体で農業をよくしようという会ですので、皆さんで頑張っていきましょう。
 以上です。
○江藤委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十時五十六分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時九分開議
○江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。岸本周平君。
○岸本委員 民主党の岸本周平でございます。
 それでは、休憩後、質疑に入らせていただきます。
 きょうは、附則の条文について、大臣の御所見を伺いながら議論を進めていきたいと思います。主として、法附則第十三条第五項及び附則第九条と、法附則第五十条第一項及び第二項について議論をさせていただきたいと思います。同僚議員の皆さんは既に条文をお読みだと思いますので、私が何を聞こうとしているかおわかりだと思いますが、監査機構の話であります。
 今、理事会でどういう御報告があったか、私ども平委員には届いておりませんが、少なくとも、JA全中が業務監査、監査の中に会計監査も入るのかどうか、業務監査なり会計監査をすることが単位農協の自主性を奪った例があるのかという事実関係は出てきておりません。立法事実がないにもかかわらず質疑を行うというのは大変不本意でありますけれども、玉木理事からのたっての要請でありますので、大変愉快ではありませんが、質疑をさせていただきたいと思います。
 この附則というのはどういうことかといいますと、要すれば、経過期間の間にできるだけJAの全国監査機構をソフトランディングさせるという考え方で、丁寧につくられていると思います。そのことは当然、責任ある政府としてはやるべきことだろうと思いますので、そのことについては、私はこれから建設的な討論をしていきたいと思います。
 もう一度言いますけれども、立法事実が出てくるという前提で質疑を続けさせていただきたいわけであります。本来、そういう事実がある前提で、では、JA全中の改革を皆さんなさりたい、監査を外出しされたい。
 JAの全国監査機構を外出しされるということは、大変な御決意が要るわけであります。ということは、経過期間が過ぎれば、JA全中の全国監査機構が新たに監査法人に生まれ変わられた後は、全く普通の監査法人と同様に扱われるということであります。当然であります。公認会計士協会の一員となって、大変厳しい公認会計士協会のいろいろな規則を守っていただかなければいけないわけであります。よもや二流の監査法人になるおつもりもないでしょうから、品質管理を徹底され、大勢の公認会計士を雇われ、胸を張って立派な監査人となられる努力をなさるわけであります。
 そういたしますと、現在監査機構には、約五百人を超える五百五十八名の職員がおられます。そのうち農協監査士が三百四十一人、そして公認会計士の資格を持たれている方ないしは試験に合格をされている方が二十九人おられます。
 現在、わずか二十九人の公認会計士で会計監査をなさっているわけでありますので、グローバルスタンダードから考えると、およそ監査人たり得ない、大変弱小な監査法人という形になります。品質管理も、わずかおととしから品質管理を始めている。びっくりしました。品質管理をおととしから始めているんですね、わずか三十人足らずで。これではどうしようもないです。大変厳しい公認会計士業界で稼いでいくことは不可能だろうというのが、衆目の一致するところであります。
 さあ、そこで頑張っていただかなきゃいけない。その間の期間にどれだけのことをされていくのだろうか。
 今申し上げましたように、農協監査士は三百四十一名であります。一方で、公認会計士、なかなか資料を出していただけないので、この方々がどういう方々なのかよくわかりませんが、内部からの方もおられる、都道府県中央会からの出向者の方も十二人ぐらいいらっしゃるようでありますが、二十九人。
 JA全国監査機構のトップは、公認会計士の方であり、日本でもトップの監査法人のトップをされていた方でありますから、当然のことながら指導されていたでしょう。おまえら、公認会計士の資格取れよと当然指導されるに違いない、私ならそうしますから。
 しかし、全体の農協監査士の一割にも達していない人しか公認会計士の資格を持っていない。試験に合格していない。
 ということは、客観的に申し上げると、農協監査士の試験は、公認会計士の試験に比べれば相当易しい資格試験であることが推測されるわけであります。
 この人たち、これからどうするんですか。大変ですよね。では、頑張って今から公認会計士の試験を受けるのか。だって、農協監査士だったら補助者ですよ、補助者。監査できませんよ。補助者ですよ。出向者がほとんどです。八割出向者です。では、都道府県中央会へ戻って普通の職員になるんですか。あるいは、農協のグループを見限って転職するんですか。人生の曲がり角でありますよ。
 この彼らの生活をどう考えるのか、彼らの人生設計をどう考えるのか、これは改革をされる政府には責任があります。大臣、そこの責任は痛感されていらっしゃいますか。
○林国務大臣 岸本委員は財務省にもおられましたので、今のは大変お詳しいところの部分で、本質的なお話だったと思います。我々が党内で議論したときも、移行ということを前提に議論をしますと、やはりそこの部分は大事だろうと。
 推測をされるとおっしゃられましたが、そこの部分が、試験のどちらがどう難しくて、今の農協監査士の方と公認会計士の皆さんがどうかというのはいろいろ議論のあるところだと思いますけれども、監査法人や公認会計士ということになりますと、金融庁の企業会計審議会が監査基準というのを定めております。また、監査に関する品質管理基準、それから、公認会計士協会が監査事務所における品質管理の規程、こういうのがございますので、これがしっかりと要求されることになる。
 ですから、会計監査を適切に行うための適性や能力を備えた十分な専門要員が確保されなければならない、こういうことになるわけでございまして、ここに移行していただくということをしっかりと認識して、それが円滑に移行していただくように適切な配慮をしていこう、これが与党の取りまとめにも明記をされておりますので、しっかりとそこの部分は意を用いて運用を、法律が通った暁にはさせていただきたいと思っておるところでございます。
○岸本委員 ありがとうございます。
 大臣と問題意識は共有していますが、ただ、大臣は法律が通ってからとおっしゃいましたけれども、これは役所の仕事ですから、法律が通る前から万端の準備をしていただかないと、法律が通ってから準備しますというのではいささか、それは経営局長の名前が泣くわけでありまして、経営局長は準備しているはずですから、準備していなかったら辞表を書いてもらわなきゃなりません。法律が通ってからでは遅いんです。
 経過期間は少しありますけれども、十全に保障があって、用意ドンでスタートする。法律を書くというのはそういうことだろうと私は、少なくとも政府側にいた人間としては、それが我々政府の、今我々は政府じゃありませんが、政府側の責任のとり方だと思っております。
 そこで、幾つか御質問したいんですが、まず、今、都道府県中央会のことを申し上げましたので、そちらからお聞きをしたいと思います。
 今、農協に対して監査を行っているのはJA全国監査機構でありまして、平成十六年の農協法の改正で、ここしかやっちゃいけない、JA全国監査機構しか実は監査をやっちゃいけないということになっています。それを今回変えられるわけであります。
 したがって、都道府県の農業組合中央会は、現在監査業務はしておりません。監査業務はしておりませんが、今回の法の附則第十三条の五項及び十九条を見ますと、監査事業が行えることになっております。これは、いろいろな報道には出てきませんし、農水省がいろいろな場面で説明するときに省略する部分であります。
 私も、さっき松木先生がおっしゃった勉強会に出て、逐条で勉強して初めて知りました。それまで、農林省の官僚の方は、説明に来られますがわざと説明をされない。うそはついていません。それを見抜くのが我々立法機関の仕事ですから。私も齋藤健さんもやっていました。うそは言いませんけれども説明しないというのは、官僚の最もすばらしいテクニックなんであります。聞かれなければ答えない、これが官僚道の王道であります。
 しかし、勉強すれば、都道府県の中央会が何と突然監査ができるようになっているんですね。
 国民の皆さん、インターネット中継を見ている皆さん、よく覚えておいてください。突然、都道府県の中央会が監査ができることになっちゃっているんです。誰も知らないんです。そうやってさくさくさくっといろいろなことをなさるというのが、これも官僚の王道でありますので、批判はしませんが、これについてお聞きをしたいと思います。
 ここで言う監査はどういう監査なんでしょうか。これがよくわからないんですよ。ここはなかなか局長も教えてくれなかったんです。
 業務監査と会計監査しかないので、業務監査と会計監査なんですが、少なくとも、三十七条の二の会計監査人に県の中央会がなれるのかどうかがポイントなんですけれども、三十七条の三を読むと、会社法の三百三十七条が準用されていました。三百三十七条は、「会計監査人は、公認会計士又は監査法人でなければならない。」という条文であります。
 これは準用されていますので、そうすると、素直に読みますと、県の中央会は会計監査人ではありません。なれません、三百三十七条を準用している以上。第三十七条の二、こういう理解でよろしいでしょうか。それとも、私の読み方が間違っているでしょうか、大臣。
○林国務大臣 まず、先ほどもちょっと触れさせていただきましたように、党で政府と議論しながら与党の取りまとめというのをやりましたけれども、そこに、「会計監査については、農協が信用事業を、イコールフッティングでないといった批判を受けることなく、安定して継続できるようにするため、信用事業を行う農協(貯金量二百億円以上の農協)等については、信金・信組等と同様、公認会計士による会計監査を義務付ける。」こういうふうにされております。
 これを受けていろいろな条文を整備していった、こういうことになるわけでございますので、今御指摘のあったところは、監査事業の中の会計監査の部分でございますが、会計監査人による法定監査以外の、会員の求めに応じて行う監査、したがって、二百億円未満の貯金等の農協の会計監査とそれから業務監査、こういうことになるわけでございまして、そういうたてつけになっているということでございます。
○岸本委員 今のですと、貯金量及び、等というのは負債なんですけれども、負債の額が二百億円以上のものは会計監査を受けなければならないということになっていて、したがって、当然、十三条の第五項、任意で監査を受けるというのは業務監査のことですよね、二百億円以上のところは。
 二百億円未満の単位農協は、会計監査なるものを、公認会計士でもなければ監査法人でもない県の中央会から受ける。任意で受けるというのは、これはどんな意味があるんですか。
○林国務大臣 ちょっと御質問の趣旨をちゃんと捉えているかどうかわかりませんが、移行後の農協連合会の業務で、法の附則の第十三条の五項で、会員の要請を踏まえた経営相談、監査、会員の意見の代表、会員相互間の総合調整ということを書いております。
 連合会の事業について、農協法の十条一項の方に監査事業が含まれておりませんので、都道府県中央会から組織変更した農協連合会が引き続き監査事業を行うということを附則によって措置した、こういうたてつけでございます。
○岸本委員 私の言いたいのは、業務監査なら結構なんです、業務監査なら。業務監査ができるということはいいんですけれども、貯金量と負債額が二百億円未満の農協の会計監査ができるとおっしゃいましたので、それはできるのかなと思っただけなんです。
 そこは、業務監査はできるんでしょうけれども、いわゆる会計監査は、公認会計士もしくは会計監査法人でないとできないということを、私も必ずしもプロフェッショナルではないのでありますが、そこは業務監査だということで割り切られて説明された方がいいんじゃないですか。どうでしょう、大臣。
○林国務大臣 岸本委員がプロフェッショナルでないと言われると、私もそれ以下でございますが、これは法律でそういうふうに定めてやるということでございまして、業務監査にとどまらず、二百億円以下のところの、二百億円というメルクマールがまさに会計監査のところの線を引くということで、要するに、信金、信組と同様なものを二百億円以上のところは義務づけることによってイコールフッティングという考え方でございますので、そうでないところについては、別途個々の法律で定めることによってやれるようにする、こういうことだというふうに思います。
○岸本委員 それでは、その点についてはちょっと留保させていただいて、私ももう一度勉強して、何度も何度も質問の機会をいただけると思っていますので、その際に質問をさせていただきたいと思います。ちょっとそこは非常に難しいところなので、それは法律の解釈ですので、少し勉強させていただいて詰めたいと思います。
 いずれにしても、では、その二百億円以上の預金残高、負債高のある農協に対して業務監査をするということでありましょう。
 何でこういうことをお聞きするかというと、業務監査してあげて結構なんですが、何で今までやっていなかった業務監査を都道府県中央会がするのかな、こう思うわけであります。今までやっていないわけですから。
 業務監査というのは、片仮名で言うとコンサルティング業務なんですけれども、そういうコンサルティング業務をできる人が都道府県の中央会ににわかに天から降ってきて、あるいは、今まで別の業務をやっていた人が、にわかにコンサルティング業務ができる有能な方がたくさんおられてやられるのかなと思ったときに、農協監査士という方がたくさんいらっしゃるわけですけれども、実は、都道府県中央会からの御出向の方が、農協監査士三百四十一人のうち三百二十一人。さっき、八割と言いましたけれども、八割を超えていますね。
 実は、この農協監査士の方々というのは、従来、業務監査もし会計監査もしてきたわけでありますけれども、出向というのがよくわからないんですね、私には。JA全国監査機構にいる農協監査士の方々が出向者だ、この人たちの生首をどうするのか、本当にこの人たちの能力をどう生かしていくのか、人生をどう幸せにしてさしあげるのかということを考えたときに、さっき大臣は法律が通ってからとおっしゃいましたけれども、それは法律をつくる前に、少なくとも農林省は考えていただかなきゃいけない。
 そのときに、さっき言いましたように、お幾つぐらいの方なんだろうか。いや、二十代、三十代だったら、結構今優秀なんですよね、選挙区の皆さん御存じのとおりで。JAなんか入れないですから、優秀でないと。JAの単位農協に入るというのはすごく優秀な、必ずしも昔のように農家の息子さんとか娘さんじゃなくて、とてもいい大学を出て、そして、中で金融、共済とかJAバンクをやっている人は本当に、地方銀行の職員より優秀ですよ。同じような方が多いですよ。
 ここに一人例がいますけれども、とても優秀な職員さんがおられるわけで、その中で特に選ばれて農協監査士になっておられるので、若い方、二十代、三十代の方はちょっと頑張って公認会計士試験受けなさいよ、人生も広がりますよ、それでJAに貢献してよという話もある。五十五歳過ぎた方に、今から公認会計士試験受けて頑張ってねというわけにも、なかなかこれは難しいかもしれない。いや、それはもう人それぞれですけれども。
 そうすると、新しく県の中央会に主として業務監査という仕事を与えるのは何なんだろうか。例えば、農協監査士の中で、人生設計の中で一つのルートなのだろうかなと思ってみたり、わかりません、これから聞きますけれども。
 つまり、本当に今まで一生懸命やってくださって、JAの新監査法人になる中、これからも世帯を、屋台骨を支えなきゃいけない人たちの人生をどう考えるのか。これは考えていただいていると思うんですね。
 出向というのは、まず勤務実態を教えてください。出向している人はどこで働いているんですか。東京で働いているんですか。都道府県の中央会のオフィスでよもや働いているんじゃありますまいね。それを教えてほしいのが一つ。
 それから、やはりこの人たちが大体お幾つぐらいの方々なのか。これはわずか三百人の話ですから、その人たちが、例えば二十一歳の人が何人、二十二歳の人が何人というのは、総務部に言えば、パソコンがありますから、五秒でピッと、エクセルでピッと出るはずなんですね、年齢構成というのは。絶対、この農協監査士の方々の年齢構成も含めて、ピッとエクセルで出して、その方々のうち、年齢で、この方はこういう処遇をする、こういう方々にはこういうチャレンジをしてもらうということを考えていらっしゃるはずなんです。もし考えていないとするならば、これは大変な落ち度であります。
 なので、その勤務実態とそれぞれの年齢構成について、別に一歳ずつがお嫌いなら五歳刻みでも結構ですよ。それは人事管理の要諦でありまして、そういうことを農林水産省が十分考えてこの附則をつくっていると私は信じたい。
 大臣、どうですか。
○林国務大臣 まず、都道府県の、最初の方でお尋ねがあった県中ですが、今度新しくここが監査をやる。業務監査をやるというのは、必ずやるというんじゃなくて、頼まれたらやる、やることができるということでございますので、あくまで地域農協がお願いすればできるということでございます。
 今お話のあった農協監査士ですが、まず、与党の取りまとめにおいても、「政府は、農協監査士について、当該監査法人等における農協に対する監査業務に従事できるように配慮するとともに、公認会計士試験に合格した場合に円滑に公認会計士資格を取得できるように運用上配慮する旨、規定する。」こういう取りまとめをしておるところでございまして、そこも随分議論があったところでございます。
 まさに今、委員がおっしゃったように、年齢が若いからみんな受けろとか、五十五と言われると、私も五十四なので微妙だなと思いますけれども、五十五だったらもう受けないだろうということじゃないとは思いますけれども、そこは非常に配慮が必要だろうということを議論して、与党として示していただいたということでございます。
 そこは、先ほど法律が通ったらと申し上げたのは、通らないうちに何でやっているんだとお叱りをいただくと困るので、形式上そういうふうに申し上げました。野党の先生からそういうふうにやっておけと言われるのは大変ありがたいことですから、しっかりと準備は、できることはしたい、こういうふうに思っております。
 そこで、全国監査機構へ出向している職員の勤務実態ですが、これはもうまさに全中の中の話でございまして、詳細を我々として把握しているわけではないですけれども、出向者も含めて、その職員については、全国監査機構で適切に管理がなされておると思っております。
 全国監査機構は、御案内のように、東京の大手町に主たる事務所があって、四十七都道府県に都道府県監査部というのを設置しておられるということですから、出向者と言われている方は通常この都道府県の監査部で勤務をされておられるのではないか、こういうふうに聞いております。
 この都道府県の監査部において、主に当該の都道府県に所在する総合農協の監査を担当しておられるんだろう、こういうことでございます。
 せめて五歳刻みでの年代構成ということでございましたが、これは先生からの御依頼があったので全中に確認をいたしましたが、そういう整理、公表はしていないということでございますので、この場においてお示しをすることはなかなか難しい、こういう状況でございます。
○岸本委員 済みません。林大臣に大変歴史に残る答弁をさせてしまいまして、まことに申しわけなかったです。
 職員の年齢構成がわからない人事部というのは、皆さん、あり得るでしょうか。
 インターネット中継を見ている全国の農協監査士の皆さん、今、聞きましたか。皆さんの親元の全中は、皆さんの年齢構成を人事部は知らない。知らなくて皆さんのお給料を決めていらっしゃるということが、今この議事録に残ってしまいました。大変残念であります。
 そして、私は、本当に尊敬する林大臣に申しわけないんですけれども、それは全中もひどいけれども、やはり農林水産省として、いや、それは別に年齢で、さっき私も言いましたように、人それぞれですけれども、これは目玉ですよ、監査機構を外出しするというのは。
 附則というのは、この人たちがどう移行していくかということをたくさんたくさん書いてある附則ですよ。この法律は前代未聞で、附則の条文の方が本文より多い。それは、そうやって丁寧に丁寧になさろうという政府の気持ちですよ。
 それは、さっきも言いましたように、役人はみんな悪気はないんです。一生懸命やっているんです。本当なんです。ただ、その中で、農協監査士の人たちの年齢構成もわからないで作戦を考えるというのはあり得ないと思います。
 それから、さっきも言いましたように、人事部が、少なくとも私ども民主党は、大変へんてこりんな政党かもしれないけれども、うちの民主党の、私も役員をやっていましたけれども、職員の年齢構成は調べています。うちの民主党の事務の職員の年齢を一歳ずつ何人いるかと言われたら、お出しできます、誰も求めないかもしれませんけれども。
 何でJA全中が、人事部が、職員の年齢構成がわからないのか。それは私にとってはあり得ないのです。かつ、農林水産省の担当部局がそのことを勉強もしていないということについて大変びっくりしておりますのと、この資料が、これは立法事実なんです。私がこれから事細かく、場合によっては、次では局長にも聞きましょう、細かい条文ですからね。政府参考人を呼んでも、私は呼ばない方針ですけれども、場合によっては呼んでもいいかもしれない。法制局を呼んでもいいかもしれない。これからこの附則の条文をきちんと議論する前提として、この農協監査士の皆さんの実態がわからないでは、私は責任ある審議はできませんので、これ以上の質問はやめさせていただきます。
 委員長、時計をとめてください。
○林国務大臣 議事録に残っておりますが、先ほど私が申し上げたのは、全中がそれを知らないと申し上げてはおりませんで、年齢構成について整理、公表していないと。
 当然、あらゆる組織ですから、今、委員がおっしゃったように、人事部は採用もされておられると思いますので、どういう方が何歳でというのは全部知っておられると思いますが、それを整理、公表していないということで、我々として、この場においてお示しをすることはこの段階でできないと申し上げたということでございますので、念のため申し上げておきます。
○岸本委員 示してください、それは立法事実として。だから、五歳刻みでもいいと申し上げたのはそういうことです。別に個人情報でもありますまい。
 我々が立法事実として議論をするために必要なデータですので、お出しいただくまで、私は質問をとめさせていただきます。
 委員長、時計をとめてください。
○江藤委員長 岸本君に申し上げます。
 御提案の点については理解をいたしますが、理事会の協議に回させていただいて、その他の件について、ぜひ質疑を続けていただきたいと思います。
 非常に広範な法案でありますので、その他の点についてもたくさんの質疑は可能だというふうに委員長は判断いたします。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○江藤委員長 速記を起こしてください。
○岸本委員 それでは、これまで大変公平中立に運営をしていただいていました委員長にお任せをした上で、私の質疑を続行させていただきたいと存じます。
 まず、冒頭申し上げましたように、新しく生まれ変わる新監査法人は、新しい、例えば会社法ですとか金商法の世界に、あるいは公認会計士法の世界に入っていただくわけでありますが、そもそも、独立性に関する指針というのがあります。公認会計士協会倫理規則、独立性に関する指針というのがあります。
 この会計監査の世界の独立性といいますのは二つに分かれます。一つは精神性、精神的な独立性と外観的な独立性、この二つを有していなければならないということであります。
 恐らく、全中から分離した新しい監査法人は、精神的には独立性を保っていただけるということはわかります。しかし、外観的な利害関係は残りますよね、どうしても。
 どういう監査法人のお名前になさるのかわかりませんし、また、これもすばらしい附則があって、JA全中はなくなるんですけれども、全中という名前を使ってもいいよという親切な附則がついていますので、全中は全中のまま残ります。形は一般社団法人かもしれませんが、残ります。それと、新しい監査法人の、どういう名前になるかわかりませんが、これまた、先日私が不規則発言をしたように、名は体をあらわすんです。
 そうすると、外観的な独立性というのは著しく損なわれます。これは国民から見たときに、大丈夫ということになりますが、これは直さないと、新しい公認会計士業界では生きていけないんです。そういうところは認められません、独立性に関する指針に違反しますから。
 この法律を一生懸命読みましたけれども、その新しい監査法人が全中からの支配力は及んでいませんよということを明確に認識できるシステム設計は、この法律のどこにも書いてありませんでした。本則にも附則にもありませんでした。
 これは大問題でありまして、これはどうしますかね。どこかで、外観的な独立性を保つためのシステムをつくらなければいけないと思うんですが、林大臣、どう思われますか。
○林国務大臣 監査法人、公認会計士等が監査を行うに当たっては、今まさにおっしゃっていただきましたように、指針で、公正不偏の態度を保持し、独立の立場を損なう利害や独立の立場に疑いを招く外観を有してはならない、それが今おっしゃったことでありまして、被監査法人等からの独立性が求められているわけでございます。
 まさに今回、全国監査機構というのは全中の中にあるわけですが、これを外出しして新たにつくるものは、公認会計士法に基づく監査法人をつくる、こういうことでございますので、監査法人、公認会計士法に基づいてできたものがこの倫理規則や指針をしっかりと遵守していただくということだ、こういうふうに思っております。
 今、委員が御質問されたシステムというのがどういう意味を……(岸本委員「仕組み。仕組みというか枠組み」と呼ぶ)仕組みというのが具体的にどういうことなのか、ちょっと質問をよく把握していないのかもしれませんが、まさに公認会計士法に基づいて監査法人をつくって、そこがしっかりとこの倫理規則、指針を守るということではないかというふうに思っております。
○岸本委員 全く新しく生まれ変わって、岸本監査法人として農協の仕事をされないんだったら結構なんですけれども、どうもそうでもない。
 ちょっとした、やはりJAという名前、それはお好みですから、JA何たらかんたら監査法人で、しかも、さっき言ったようにJA全中というのは名前として残りますので、外観的な独立性はそこで保てないですから、そこでの支配力が及ばないような形を、私もちょっと今にわかに具体的なアイデアはありませんで、それは御提案されている皆さんの方でお考えいただきたいと思いますが、外観的な独立性を保つためのルールづくりをぜひお考えいただきたいと思います。
 これはぜひ次の質疑までに何がしか、事務方に宿題をおろしていただいて、勉強していただきたいというお願いが一つ。
 もう一つ。では、一般の監査法人はどうしているか。
 これは、一般の監査法人でも小さなところは、例えば一つのAという企業あるいはBという企業グループだけを主なクライアントとすると、この点において実は外観的独立性が失われるんです。例えば、佐々木監査法人が岸本株式会社グループだけをクライアントにしていて監査していると、それは明らかに外観的な独立性はないですよね、お客さんは私だけですから。
 では、どうするかというと、一般の監査法人では、当然ですけれども、これは公認会計士協会の御指導をいただいてセーフガードというのを、業界用語でセーフガードというんですけれども、つまり報酬を決めるんです。大体五〇%というのがルールですね。つまり、特定の企業ないし企業グループからの報酬は、五〇%は超えないように運用します。佐々木監査法人は岸本グループからの仕事は四割にします、残り六割は小山グループあるいは金子グループから商売をもらいますので、五〇%を切るので、だから外観的な独立性が保たれるんです。これが常識なんです。
 だとすれば、少なくとも、その新しいルール、これはつくりにくいんですよ、大臣、実は。私にアイデアはないと申し上げましたけれども、つくれない、つくりにくいと思います、新たに。法律の条文でも難しいでしょうし、通達でできるかどうかわかりませんが、JA全中から切り離された新しい監査法人がもとのものと外観的な独立を保てるルールづくりというのは実は難しいんです。
 そうすると、新しい監査法人が公認会計士業界の参加者になった途端、このセーフガードをつくっていただかないと生きていけないんです。したがって、農協グループからの仕事は少なくとも半分以下にするセーフガードをつくっていただかなければいけません。本当ですよ。冗談じゃありませんよ。これはそういう業界なんですよ。
 そういうことは御存じでしたか。それはできますか。可能ですか、大臣。
○林国務大臣 与党の取りまとめにはいろいろなことを先ほど申し上げたように書いておりまして、その下に、政府は、以上のような問題の迅速かつ適切な解決を図るため、関係省庁、これは金融庁も当然含まれると思いますが、それから日本公認会計士協会及び全国中央会による協議の場を設ける旨規定するということで、これが附則の五十条の二項ということになっております。
 まさに、そこで円滑に移行する、それから公認会計士協会にも所管の金融庁にも入っていただきますので、それをやった上で、先ほど申し上げましたように、指針や基準というものをきちっとクリアしてもらう、これはここでしっかりと協議をしてもらわなければいけない、そのためにわざわざ附則に明記をしてしっかりとやっていく。
 それは、要するに、岸本委員や私がこの基準に反しているかしていないかということを判断するということではなくて、この基準は、やはりそこでつくられた皆さん、また自律的なものであれば公認会計士協会の皆さんが判断されるということでありますから、まさにその場においてそういう議論をきちっとするということでその附則を入れさせていただいた、こういうことでございます。
○岸本委員 答弁としてはそういう答弁だと思います。移行期間はそうかもしれません、移行期間は。だから、移行期間はいいですけれども、未来永劫、新しくできた監査法人が二流、三流の、公認会計士協会の規則から離れた、とてもいびつな監査法人として生きていくことなんかはあり得ないわけです。移行期間はいいですよ。だけれども、移行期間はそんなに長くないです。
 それから、公認会計士協会というのは非常にシビアな団体であることは申すまでもありませんから、この四者協議だってそう簡単なものではありませんし、金融庁だってそう甘い役所ではありませんから、やはり国民から見たときに、移行期間が終わった後まで特別扱いがあることは絶対あり得ない。その移行期間においても、特別に特別に特別に扱うということではなかなか通らないのではないかと思います。
 そうなると、申し上げたいのは、まさに普通の監査法人にならなきゃいけないわけです。そのためには、公認会計士が三十人では、品質管理上およそ問題外だと言われています。
 御存じのとおり、品質管理というのは当然自分たちでやるわけですけれども、品質管理というのは、業界用語で済みません、いわゆる監査の品質をどうやって管理するか。自分たちで管理するんですけれども、自分たちだけで管理するのでは当然いけません。第三者のレビューが要ります。これは、基本的には公認会計士協会がレビューをします。そこで、そのレビューからある水準に達していなければ直さなきゃいけません。
 三十人の、今の状態ですね、今の状態のJA全国監査機構というのは、いろいろな意味でおよそあり得ないような状態なんですね、これは後で議論しますけれども。今ある、七百近い単位農協のうち、二百億円以上の貯金ないし負債のある数百の農協をわずか三十人の公認会計士しかいない監査法人で会計監査することは、レビューを通りません。品質管理上最低です。レビューを通りません。
 ですから、移行期間をどう考えるかという問題はありますけれども、第三者機関によるレビューを受けなければ設立できないというふうにしませんかね。新しい監査法人をつくるときには、公認会計士協会のレビューをきちんと受けてもらわないといけないんじゃないですか。そうすると、外観的な独立性の原則も含めて、ある一定の水準は保たれるということですけれども、どうでしょうか、第三者機関のレビューを受けるという、設立の前に。大臣、いかがですか。
○林国務大臣 まず、移行期間というのは今委員がお使いになっている言葉でございますが、我々は準備期間ということで、この新しい仕組みのもとで公認会計士法に基づいて外出しした監査法人がやり始めるところまでを準備期間ということで、それまでは今の制度でやっていこうと。
 それなりに、今おっしゃったように大変ないろいろな準備は要りますので、そこの部分は準備をして、その後何かお試し期間みたいな、五年、十年移行期間があって、それからまた本格的になるという三段階ではないので、あくまで準備期間の間は前の制度でやっていて、そこが終われば新しい制度になるということでやっておるということをまず申し上げておきたい、こういうふうに思います。
 それで、その場合に、ピアレビューなんかをやって品質確保する、こういうことを当初からやるという御提案ということですが、先ほど申し上げましたように、公認会計士法に基づいて監査法人をつくる、そこがイコールフッティングだという原点でございますから、ほかの法人がそういうことをやる場合と同じように、イコールフッティングになるようにする。
 移行の問題は、先ほど申し上げたような協議の場でやっていただきますけれども、この段階で、何かほかの人がやらなくていいことをここだけに義務づけるというのが果たして適当なことかどうかというのがちょっとよくわかりませんので、基本的には、公認会計士法に基づいてしっかりと監査法人を新設するということを旨としてやっていきたいというふうに思っております。
○岸本委員 済みません、もう残り時間がなくなってきたんですけれども。
 いや、私は、経過措置という意味で移行期間と使ったんですが、済みません、これは言葉の定義をしていませんでした。準備期間ということで申し上げたのではありません。
 つまり、四者協議、四者協議はまさに、私は入りませんから大臣の言うとおりですけれども、私のこれまでの経験からすれば、この四者協議でそういうことが話し合われるんですよ。だって、未来永劫三流の監査法人がいると困るんですよ、公認会計士協会は。そういうところはクライアントがつきませんから、申しわけないけれども。だから、準備期間をして、用意ドンで走る。
 そのときにどういう形で、つまり、そのときに農協の仕事が四割でもいいと言ったって、それは気の毒かもしれないじゃないですか。だから経過措置的に、経過措置というのは役人が得意なんですけれども、つまり、五年間つけてプロラタで、例えばセーフガードも二割ずつ緩くしていくとか、そういう意味の話し合いをこの四者協議でやることになるんだろうと思います。
 それは小さな親切大きなお世話かもしれませんけれども、監査法人の中に特殊な、かぎ括弧つきなんちゃって監査法人ができると困るんですよ、業界は。だから、そういう意味での経過措置といいますか、事実上何年かかけてこういうふうになってくださいよというようないわゆるプログラムを、私は、JAの新監査法人みずからおつくりになるべきだと思いますし、また、農水省はそういうふうに指導すべきだと思います。
 公認会計士業界で生きていくというのは本当に大変なことなんですよ、くどいようですけれども。わずか三十人足らずの公認会計士で単位農協の会計監査をしてもらっちゃ困りますよ。そんなことをしてもらったら困りますよ、イコールフッティングになりませんから。イコールフッティングになるというのは、そういうことも含めてちゃんとした監査法人になっていただきたいということです。
 最後に一つだけ。
 このままだと、従来の単位農協は、では監査はどこを選ぶのかという議論を次の時間でしたいと思いますけれども、それはやはり過去の経緯を知っているところに行きたがるかもしれませんし、あるいはそういうなんちゃって監査法人で公認会計士の少ないところを選ぶのかもしれません。そういうことがあるかもしれませんが、しかし、今七百近い農協の中で、JA全中の監査を受けているところで、任意で普通の監査法人の監査を受けているところもある、志の高い農協もあると聞いているんです。
 ちょっと私、数はわからないんですが、もし、大臣おわかりであれば、任意で普通の監査法人の監査も受けているというところはあるんでしょうか。あったら幾つぐらいでしょうか。
○林国務大臣 全中の監査を受けている農協であって、さらに任意で監査法人の監査を受けている農協があるかどうかはちょっと、農林水産省で調査を行っておりませんので実態を把握しておりません。
 今まで、そういう総合農協で、さらに任意で監査法人の監査を受けているということは聞いたことが私としてはないわけでございますが、県信連のレベルで、全中の監査に加えて監査法人の監査を受けているものはある、こういうふうに聞いております。
○岸本委員 では、また次の機会にしたいと思います。
 県信連の数を教えていただければいいと思いますし、恐らく単位農協なんかも、マーケットで自分たちのバリューを得るためには、なんちゃって監査法人じゃなくてちゃんとした監査法人で監査を受けていますよという方がいいかもねというのを選ぶ人たちもふえてくるかもしれませんし、それはやってみないとわからないんですけれども、附則について全くきょうは審議が進みませんでしたので、少なくともあと五、六時間、しっかりと審議をさせていただきたいと思います。
 きょうはありがとうございました。
○江藤委員長 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十一分開議
○江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。小山展弘君。
○小山委員 民主党の小山展弘です。
 早速質問に入りたいと思います。
 先ほどの別の委員の質問にもありましたが、ここでは、きょうこの委員会の中断の理由にもなった、全中が単位農協の経営の自由を制約した具体的事例があるかどうか、まずこのことから質問させていただきたい。これは事前通告させていただいていると思います。
 それで、先ほどせっかく私も資料を見せていただきまして、全中の業務監査によるデメリットとして、出していただいた文書を読ませていただきました。圧力は、ここで言うようなことではないが、ここまでやるかという感じで大変である、とあるJAの組合長さんのお話と、それから農業者の方のコメントがありますが、申しわけないですけれども、これでは、全中が各農協の経営の自由を制約したという具体的な論拠としては、私は、これは論拠になり得ないと思っております。
 これは、もう一度、別の具体的事例をぜひお示しいただきたい。こんなものは、週刊誌の、誰か悪口を一人か二人が言って記事を書いちゃうようなものと同レベルです。これは証拠にはならない。
 具体的事例というのであれば、全中が、どういう業務監査、あるいはどういう指導によって販売先を無理やり変えさせられたとか、あるいは、そのことによって経営の判断ができなくなったとか、そういうようなものをぜひ具体的事例としてお示しいただきたい。そうでなければ、ないならないというふうにやはり御答弁いただきたいと思います。
 というのは、この質問は、私は思い入れがあります。実は浪人中から、ずっと規制改革会議の議論を聞いて、あるいは新聞で見ておりまして、こんな、全中が単位農協の経営の自由を制約するとか、販売先を指定するということはあり得ないと思っていました。議会に戻ってきて、農水委員会に所属して最初に聞いた質問がこれなんです。三月十日の予算委員会の分科会、三月十九日の農水委員会の質問でもお尋ねいたしましたが、今に至るまでこのようなことでございます。
 今、ほかの委員からも質問がありましたので、今出されたこの資料も含めて、大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
○林国務大臣 私が御紹介を差し上げて、今ちょっと読んでいただきましたけれども、この仕事の前の前職の党の会長のときに、最終的な与党としての取りまとめ、それに至る自民党の取りまとめをいたすときのヒアリングをいたしましたので、そのときに聞いた意見等を御紹介したということでございます。
 午前中の質疑でも申し上げましたように、立法事実という言葉が、どういう定義かどうかというのもいろいろ議論があるところでございますが、我々は、冒頭、提案理由ということで説明させていただいておりますけれども、必ずしもこういう具体的な事例があるのでこれをやるということは申し上げておらないわけでございまして、私が申し上げたかったことは、いろいろなヒアリングをした結果、政府・与党の取りまとめというのがなされて、それに基づいて、我々は政府として法案を出させていただいている、こういう意味で御説明をさせていただいたわけでございます。
 そういう前提で申し上げますと、先ほど局長から答弁させていただきましたように、これは、制約されたかどうかというのは極めて主観的なそれぞれの単協の判断になるということでございますから、週刊誌的なものかどうかは別として、いろいろな方のヒアリングをした中で、そういう御意見もあったし、それから、よくお引きになられるように、農業新聞だったと思いますが、多くの方はそういうことはないと感じていらっしゃる、こういうアンケートもあるので、いろいろさまざまな意見はあることは承知をしております。
 したがって、提案の理由といたしましては、冒頭から申し上げておるように、発足当初、昭和二十二年、また中央会の制度が始まった二十九年のころと比べて、やはり大きく背景が変わってきた、それに対応していろいろな改革をやっていくという中で、経済主体である農協もそれに対応して変わっていただかなければならないというのが我々が申し上げたい提案理由、こういうことでございます。
○小山委員 恐らく、私どもが求めている具体的事例というのは多分ないんだろうと思っておりますけれども、もしこれが裁判とかであれば、証人の伝聞というところだけ、しかも、それもごく限られた人たちのヒアリングということになろうかと思います。
 賛成意見あるいは全中が経営の自由を制約、奪ったということではないんだというような考えの方々からのヒアリングというものもあったかどうかということもあろうかと思いますが、やはりそういった人の伝聞ということだけではなくて、ぜひ、もしあるのであれば具体的事例を示していただきたいと思いますし、ないのであれば、そういった具体的事例はなしでこの法案を出したんだということで御説明をいただきたいと思います。
 委員長、これはもう一度、もしこういった事例があるのであれば、理事会の方で御協議をいただいて、再度農水省にそういった事例があるかどうか求めていただきたいと思います。
○江藤委員長 午後のこの委員会が再開された経緯につきましては、資料を提出させていただいて、野党筆頭にも御了解いただいて、再開をさせていただきました。
 ですから、今の段階では、資料の提出等については応えているというふうに委員長としては思います。
 しかし、委員の御指摘も、私としても受けとめまして、理事会の方で協議をさせていただきます。
○小山委員 済みません、これは通告していないんですけれども、たくさん出てきた質問ですので、もう一つちょっとお伺いしたいと思うんですが、営利を目的として事業を行ってはならないという部分を削除する、第八条の規定のところですけれども、これが誤解を生むというようなお話がございました。
 これについても、具体的に誤解を生んだ事例、あるいは、それが誤解を生むというようなおそれが存在する事例、そういった事例があるのかどうか、これを改めてお伺いしたいと思うんです。
○奥原政府参考人 この点について、特にアンケート調査をやったとかそういうことではございませんが、我々は農協の組合長あるいは役員の方々との意見交換もかなりやっております。
 昨年六月には政府・与党での取りまとめが行われましたので、その後、ブロック別に分けていろいろ意見交換の場もやっておりますが、そのときに、やはり組合長の方々からこういう御意見は出ているんですね。農協はやはり利益を出してはいけないんじゃないかというような御質問も実は出ております。我々の方は、農協に、もっと農産物の有利販売をやっていただいて、もっともうけを出していただいて、農家にメリットを還元することをやっていただきたいというような話をいろいろ申し上げたときにも、こういう御発言はやはり組合長の方から出ておりましたので、そういうふうに思っておられる方々はそれなりにいらっしゃるというふうに我々は思っております。
 これはぜひ誤解を解いていただいて、やはり農産物の有利販売で本当に農家にメリットを出すというところを一生懸命やっていただくためには、この規定は削除した方がいいというふうに思っているところでございます。
○小山委員 特に奥原局長の経済事業改革にかける思いや、あるいは、先日も立ち話で馬路村農協のお話をされたとき、局長がああいう組合がもっとできたらいいと思うんですよとお話しされていた熱意は私も共感するところもありまして、その点は、私も奥原局長の熱意というものに大変敬意を表しているところでございます。
 ただ、その上で、私の違う考えということで申し上げたいと思うんですが、これも先般も申し上げてまいりましたが、農協が有利販売をしていくというのは、農家から高く買って、さらにそれを高く販売をしていく。普通の株式会社は、なるべく安く仕入れて高く売る。そういう普通の株式会社でさえもなかなか経営がうまくいかないというところに、高く買って高く売るということをやることは、普通に考えても、株式会社と比べてもハンディがあるというか、経営が大変なわけです。
 そんな中で、理想的に買い取り販売が行われることばかりではない、どうしても農協の経営ということになると、収益性を追求すれば、安く仕入れたいというような誘惑に駆られるということは十分あろうかと思います。
 ですから、私は、そういった観点から、有利販売あるいは買い取り販売に積極的に乗り出すからこそこの条文は必要ではないか、あえてこれから、今の政府・与党の方針をやっていくのであればこそ必要ではないかというふうに思っております。
 余りこういうのを要求するのは個人的には好きではないところもあるんですが、誤解が生まれるというような、あるいは、どんな方々がそういったおそれを抱いているかというようなことの根拠を、これも文書で提出するように求めていただきたいと思うんですが、委員長、いかがですか。
○江藤委員長 なかなか文書というのは、私もインナーのメンバーでやってきましたので、思うところがございますが、ひとまず引き受けさせていただいて、検討させていただきます。
○小山委員 ありがとうございます。
 次に、信用事業のことを伺いたいと思います。
 協同組合の信用事業というのは、他の銀行が営利目的で〇・一%でも多くの金利を取ろう、こういうような、一般的に営利目的で金融を、融資をするわけなんですけれども、そうではなくて、協同組合の信用事業というのは資金を供給すること自体が目的である。もちろん、赤字を出してはいけないし、返済可能性のないところに貸し出しはしてはいけない、それは背任罪になってしまいますので。
 現在では余り一般金融との違いというものがわかりにくくなっているかと思いますけれども、組合員への日常的な接触であったりとか、あるいは、その中で経営改善計画をともにつくって、仮に担保が十分でなくても、経営改善計画をもとに、あるいは日常的な接触をしているということも含めて融資を実行する、こういう側面が、これは協同組合金融、農協だけじゃなくて、共通している性格があろうかと思います。
 農家の方は、全ての農家の方ではないんですが、農業に専念し、農作物をつくる、そして協同組合の信用事業の職員がプロとして農家の経営の安定に努め、資金繰りまでのアドバイスをしていく。まさに、信用事業の職員こそ、農家の経営改善を通じ農家の所得の安定を図ってきた、そしてまた金融のコンサルタント的な機能というものを果たしてきた側面があろうかと思っております。
 ですから、信用事業だから農協あるいは協同組合の事業ではないということではなくて、むしろ信用事業も立派な協同組合の本来業務である。しかも、この協同組合、特にライファイゼンバンクであるとか、こういったものは、あるいは日本の報徳社は金融から始まっている。高利貸しに対抗して発展してきたということであります。
 これは実は五年ほど前に財務金融委員会や予算委員会の分科会でも聞いておりますが、改めて、相互金融の役割、使命について、大臣の認識を伺いたいと思います。
○林国務大臣 地域農協の信用事業は、元来、相互扶助の理念のもとで、組合員から貯金として集めた資金を、それを必要とする組合員に貸し付ける役割を担っているということでございますから、それによって利ざやを稼ぐということではなくて、組合員に寄り添いながら、今委員がおっしゃっていただいたように、その事業や生活に必要な資金が調達できるようにする、これが本旨であろう、こういうふうに思っております。
 資金の融資に当たりましては、組合員の経営状況などをしっかりと把握して、過度に担保に依存することなく、事業の実現可能性、計画の妥当性、こういうものを重視して融資する、これは農業に限らず全てそうだと思います、それから、経営課題への適切な助言、販路拡大等への支援、こういう組合員の多様なニーズに応えることも必要だ、こういうふうに考えておりまして、農林水産省としても、監督指針によって、こういう対応を農協系の金融機関には求めてきております。
 民主党政権時において、政府から協同組合金融の特色に関して先生に御答弁差し上げた、こういうことであったと思いますが、基本的な認識は全く変わっておらないということでございます。
○小山委員 協同組合金融、信用事業も協同組合の立派な業務の一つであるということで御答弁いただきました。
 そこで、ここからは、今回、経済事業に入ってまいりたいと思います。
 先日の局長の答弁でも、五月十三日に、農業中心の販売活動あるいは資材活動、これをやっていただくということが今回の改革の最大の目的でございますと御答弁もいただいておりますので、まさに、この経済事業をどう好転させていくか、そして、経済事業が好転することによって、もって農家の方の所得を向上させていく、これは本当にもってになるかどうかはいろいろケース・バイ・ケースかとは思いますが、それが今回の与党そして政府の法案の提出の趣旨だと思います。
 そこで、一枚目のこの資料、お出しさせていただいた資料、これは農水省さんがつくった農協についてという資料なんですが、これを見ますと、信用事業が平成二十四事業年度では三億五千万の黒字、共済事業が二億一千三百万の黒字、経済事業等がマイナス二億三千の赤字で、トータルで三億三千三百万の全国の農協の部門別損益の平均ということになっていて、だから経済事業の改革が必要だということが言われてきたということでありますが、前回の質問で、経済事業というのは、決して経済事業とは何かという定義があるわけではないということで御答弁もいただいております。
 一枚めくっていただきたいと思うんですが、では、この経済事業の損益の内訳を見てみますと、実は、農業関連事業、これは農水省に伺ったところ、販売事業と購買事業の利益の合計とほぼほぼ、ニアイコールであると。いろいろ倉庫とか利用事業が入っているんだと思うんですが、マイナス三千五百万、生活その他事業、これは葬祭ビジネスとか、その他いろいろなところが入っています、これがマイナス三千七百万、営農指導事業がマイナス一億五千七百万で、ちょっと資料が途中で切れてしまって大変申しわけないんですが、経済事業の赤字の大宗は営農指導事業なんですね。
 こういうことが、この農水省から出していただいた資料をもとに作成させていただいたんですが、わかろうかと思っております。
 あたかも、農協の販売事業、購買事業が赤字の温床と言われてきましたが、わずか三千五百万、これは、大手電機メーカーでさえ大変苦境にあえいでいる中で、全中等の指導のもとに、むしろ、まずまず頑張ってきたのではないかなと。そして、総合農協全体としては黒字を確保しているということも、むしろ評価すべきことではないかと思っております。
 そこで、私はぜひ認識をお伺いしたいんですが、経済事業の経営改善ということで一くくりにせずに、農業関連事業、できれば、販売事業、購買事業、これは統計がないということですけれども、販売事業単独で黒字、購買事業単独で黒字、生活その他事業で、事業部門単独で黒字確保すべきであると考えますが、これについて政府の認識はいかがでしょうか。
○林国務大臣 現在の農協経営の平均的な姿は、今おっしゃっていただいたように、農業関連事業、それから生活その他事業及び営農指導事業といった経済事業部門が赤字で、金融事業の黒字で補填するというのが平均的な姿になっているわけでございますが、信用、共済事業が黒字であるからほかのところが赤字でもいいということではいけないわけでございまして、まさに、農業関連事業それから生活関連事業、それぞれの部門ごとにやはり収支の改善を図っていくということが必要だと考えております。
 今おっしゃっていただいたように、それぞれ理由があるわけでございますから、大きくくくれば経済事業ということかもしれませんけれども、その中で、これはどうだ、これはどうだというふうにやはりやっていく必要がありまして、そういう意味では、農協に対する監督指針で、事業別、支所・支店別、主要施設別等の損益管理単位で赤字事業の原因を明らかにしていただいて、そしてそれに対して対策を講じることによって赤字額を段階的に縮減するということをこの指針に明記しておりまして、都道府県と連携して指導しておるわけでございます。
 今、特に指導のところのお話がありましたが、必ずしも全ての部門で全部黒字にしなきゃならない、こういうことではないと思いますが、やはりそれぞれの部門別に赤字削減の努力ということをしていただくことが必要ではないかと考えております。
○小山委員 今、実は次の質問でお伺いしようと思ったことも大臣から御答弁いただきましたので、まさに私も、営農指導事業の収支実態についてということでお伺いしようと思ったんですが、ここだけは赤字でいいと私は思っているんです。
 といいますのは、この営農指導事業、今大臣からも、赤字でもやむを得ない、全ての事業が黒字でなくてもいいというお話がありましたが、ここは賦課金を農家の方からお願いをして、そして、指導事業に関する人件費が主かとは思いますが、それを支払っている。ところが、賦課金で指導事業の人件費等を全部賄えないものですから赤字になっているということですので、ここを部門単独で黒字にしようとすれば賦課金あるいは手数料を上げなきゃいけない。そうしますと、今回の政府の農業改革の最大の目的である農家の方の所得の向上ということと背反するということになろうかと思います。
 ですから、私も、営農指導事業については、むしろ赤字でも、赤字幅にもよるかもしれません、農協の規模とのバランスもあるかもしれないですが、赤字でもいいんだと思います。その部分を他の事業で補って、全体として黒字はやはり確保しなければいけない、できれば、財務の健全性も含めて、若干の黒字には持っていかなきゃいけない、こういうことかと思います。
 では、そこでお伺いしたいのですが、今回、経済事業改革、言いかえれば、農業関連事業、生活その他事業、営農指導事業での黒字確保を求めるとした根拠、政府の考えというものをお伺いしたいと思います。
 経済事業において、いわゆる政府の示しているこの一枚目の紙、三事業で黒字確保ということであれば、極端な話でいえば、販売事業が赤字、購買事業も赤字、営農指導はもちろん赤字、だけれども、生活その他事業の、例えば葬祭ビジネスとか毛皮販売とか宝石販売とか、ここで大幅に二億円ぐらいの黒字を出せば、これは経済事業は黒字ということになってしまいますけれども、そういうような認識ではないとは思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○奥原政府参考人 農協は、農協法に基づきましていろいろな事業をやっているわけですけれども、法律の中で組合員がどこまで事業をやるか選択できるということでございます。
 多くの農協がその事業の内容や方法について適切に見直しを行っていくことは当然必要でございますけれども、そのときには、各種事業ごとの事業管理費を含めた損益の状況を組合員が正しく認識をする、このことが非常に重要でございます。
 このため、農協法では、事業ごとの損益状況を組合員に対して開示することを義務づけておりまして、総合農協については、省令の規定によりまして、信用事業、共済事業、農業関連事業、それから生活その他事業及び営農指導事業、これに区分することにしているわけでございます。
 こうした情報を組合員に開示することによりまして、組合員が組合運営の実態について的確に判断を下し、運営の改善に積極的に参画できるようにしているものでございます。
 農林省がつくっております先ほどの資料の中で、信用事業、共済事業、それから経済事業と三つにくくっている資料もございますけれども、この資料は、これをまとめてつくっておりますが、農協の平均的な収益構造を理解しやすくするためにつくった、ある意味便宜的なものでございますので、基本的には、先ほどの、信用事業、共済事業、農業関連事業、それから生活その他事業、それと、営農指導はちょっと性格は違いますけれども、これに区分してきちんと収益改善を図るということでございます。
○小山委員 そうしましたら、農水省としては、総合農協として最終黒字を図るということで、特別今も法的には問題があるわけではないんですけれども、そういうことで認識しているということで理解してよろしいでしょうか。
○奥原政府参考人 現在の農協の平均的な姿が、先生御指摘のように、経済事業が赤字で、これを金融事業の黒字でもって補填するという構造になっていることは、御指摘のとおりでございます。
 このことが法律に違反しているということではございませんけれども、経済事業、特に農産物の販売とか、こういったところが赤字に甘んじて何も改善をしないということでは農家のメリットは大きくなってこない、こういうふうに我々は思っているわけでございます。
○小山委員 今、奥原局長の答弁がまた経済事業という話になりましたが、その経済事業も、大宗は営農指導なんですね。
 そうしますと、農業関連事業は、農協の平均でいいますと、マイナス三千五百万。ここはやはり私も黒字にしなきゃいけないと思う。生活その他事業も、事業を手広く広げて赤字になっているということではいけませんから、ここも黒字にしなきゃいけない。
 でも、そうしますと、二億三千万というイメージではなくて、三千五百万とか三千七百万の黒字転換だ。これは、平均がこのぐらいですから、恐らく、この販売、購買事業が黒字の農協はわずか全国の二割ということではないと思います。
 こういったところも考えますと、むしろ全中のこれまでの経営改善指導はよかったということも、私は、もっと声高に言ってもいいのではないかと。そして、今回、あえて法制度を変えてまで経済事業の黒字転換を図るほどの根拠として、この営農指導事業の一億五千七百万の赤字を認めるのであれば、今回の法改正の根拠として薄いんじゃないかということを私は指摘させていただきたいと思います。
 それでは、きょうは質問したいことがいっぱいありますので、次に移りたいと思います。
 先日、政府参考人、奥原局長の答弁で、さんざん農協の経済事業の指導をしてきたのに、JAグループは経済事業の事業改善をしてこなかった、ちょっと乱暴な言い方をしましたが、だから、制度的なものも手をつけていかなきゃいけないんじゃないかということを、この一、二年、さまざまな角度から政府・与党の中で検討してきて、今回、こういう農協改革の法律案を出した。これも五月十三日に御答弁をいただいております。
 そこで、今までどんな経済事業の指導をしてきたかということで、農水省さんに資料をお願いいたしました。これは民主党の農水部会で資料をお願いしました。そして、出てきたのが「経済事業に対する指導について」という二枚紙でございます。
 こちらをごらんください。
 私も、多分これ以外にも奥原局長が、経営が悪い県域とか、農水省にお招きをしていろいろ直接に御指導されている事例がほかにもあるとは思うんですけれども、本当にこの二枚だけですかということで電話でももう一度お伺いしましたら、この二枚だけですと。もし補足があれば、また答弁の中でお話しいただきたいと思うんですけれども。
 これを見ますと、大変、農水省としては一生懸命やられていたのかもしれないですが、例えば、平成十六年、記載がありません、何にもやっていないんです。それから、平成二十一年と二十二年も何もないです。中を見ても、優良事例を公表とか、ガイドラインとか指針を出しているだけ、これは販売、経済事業の増益ではないですから。
 質問の中で聞きましたら、こういった指針とか取り組み事例なんかを出しても、その後、どういうふうに指導して経営が改善したかという報告も県に対して求めていないということも、これは電話ですけれども、農水省の方から伺っております。
 こういう指針を出したりガイドラインを出しても、本当に実際の現場で農協を指導しているのは、全中であり、また県の職員です。こういった二枚紙の経済事業のこれぐらいのことで、経済事業に対する指導をしてきたとは私はとても言えないと思います。
 まさに、今まで経済事業、実際には販売、購買事業はわずか三千五百万の平均の赤字ですけれども、私は、今回、全中の組織を大幅に変えるというのは、経済事業があたかもすべて悪いかのような、二億三千万もの赤字を出しているかのように、資料を配付してそういうイメージをつくって、その経済事業が不振であることの原因を全て全中に押しつけるというようなものではないかと。
 そうではなくて、本当に経済事業が好転していくためには、大臣も何度もお話しになっておりますように、今、食料が余っている、そして需要が不足である、こういう時代です、経営はただでさえ苦しいんだと思います、こういうときに、まさに、農水省、行政とこういった民間の全中なりそういう組織が車の両輪となって経営改善に努めていかなければならないと私は思っております。
 これは本当に、農水省、これだけしかやっていなかったのかというような評価だと思いますけれども、この経済事業に対する指導実績について、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 一つ、先ほどのお話の中で、どういう黒字赤字構造になっているかというところでも話題になったところですが、御案内のように、経済事業で黒字の農協もあるんですね。全国で二割ほどあって、さらに北海道では七割ということで、経済事業でも黒字が出ているところもあるということです。
 私は、余り民間の株式会社と比較するというのが適当かどうかわかりませんが、例えば、商社というのは、コンサルでお金を取るというよりは、商売を続けていくためにいろいろなアドバイスをする、それでコミッションを取ったり、売買の差益で収益をするという、かつてはそういうモデルが多かったわけですが、そういうのもありますし、コンサルタントファームというのは、まさにコンサルそのものがお金になる。
 したがって、やりようによっては、営農指導であっても、それが本当にすばらしいものであって、全国から来てくれ来てくれ、こういうものであれば、あるいはそこでも黒字を出すということは不可能ではないのではないか、こういうふうにも思っておりまして、まさに個別事業をやはりしっかりと、個別農協ごとに地域の事情に応じて工夫をしていただく、これが大事ではないか、こういうふうに思っております。
 今までどういう指導をやってきたかというのは、資料にまとめてお出しをさせていただいたとおりでございますが、これはもう釈迦に説法ですが、やはり信用事業と違って法規制でやっていくという分野ではないわけでございます。したがって、経済事業の改革を促すという意味では、ガイドラインとか、いい事例の横展開、どうしてもそういうものになるということで、最終的に法律で強制をするというのは信用事業の場合と違ってなかなか難しいところがある、こういうことではないか、こういうふうに思っております。
 先ほど申し上げたように、いろいろなことがあって、個別の農協ごとに見ますと、黒字になっている例とか非常にいい事業をやっていただいている例もあるわけでございますが、全体としては、先ほどもお触れになっていただいたような数字があるということでございますから、そういう状況を踏まえていろいろな議論をして、先ほど、提案理由のところでいろいろ議論はありますけれども、そういうものもいろいろ議論をした上で与党の方で取りまとめたものがこの間お示ししたものでございまして、この赤字の部分だけをとって組織を変えなきゃいけないという理由で法案を出したわけではない、そこは御理解をいただければというふうに思います。
○小山委員 奥原局長、よろしいですか、先ほど手を挙げていただいていたので。
○奥原政府参考人 経済事業に対する指導がこの紙だけかというお話がございまして、うちの職員に電話で確認されたというお話を先ほどされましたが、私、ちょっとそれは聞いておりませんので。
 この紙をつくるときにも、我々は、どこまで書くかということはやはり相当悩んだわけでございます。
 この前にも検討会をやっていたこともありますし、それから、我々毎年、全国全ての農協について、県庁を通したヒアリングをやっております。毎年やっておりまして、県庁には農協ごとに、これは二十ページぐらいになるんですけれども、農協のいろいろな状況、信用事業も共済事業もそれから経済事業についても、前年と比べてどうなっているか、その原因がどこにあるかわかるような資料を毎年持ってきていただいて、ヒアリングをやっております。
 その中で、信用事業の改善も当然指導しておりますけれども、経済事業についても、ここをこういうふうに変えられないのとか、いろいろなことはやっているんですね。それは、ヒアリングも一回では終わらないで、場合によっては、問題のあるところは一年に二度も三度もやるということもございます。
 そうやって、かなり細かくそこについては対応してきているつもりでございますが、この紙にそういうのを全部書くと切りがない話になりますので、それは載せていない、そういうことでございます。
○小山委員 さすがにこれだけではないだろうとは思っておりました。
 この後、全中の業務監査の、これはホームページ、インターネットで公表されているものを少し出しておりますけれども、委員長にもう要求はしませんけれども、できればもう少し詳細な、経済事業に対する指導実績について資料を出していただければありがたい。もちろん、個別情報に係るところは黒塗りしていただくとか、代表的なもので結構かと思いますが、それはぜひお願いをしたいと思います。
 それから、次に移っていきたいと思いますけれども、有利販売、買い取り販売について伺いたいと思います。
 先ほども申し上げましたとおり、食料過剰基調で需要不足、こういう時代であります。買い取り販売というのは当然リスクがありますから、中には、高く買って高く売ろうと思ったら、高く買ってそれよりも低く売ってしまった、赤字転落というようなケースも考えられようかと思います。
 あるいは、加工事業をやろうとして過剰設備を行って、それで失敗してしまった、これで繰越欠損が出てしまったというような場合、これは、最終的には、その年はそうでなくても、その損失補填を組合員がしなければいけないというケースも想定されるかと思いますが、損失を出した場合、農家の所得が減るという心配はないんでしょうか。
○林国務大臣 これは前回も御議論いただいたところでございますが、まさに委託販売が今九六%ということで、確かに委託販売であれば、農協の方はリスクはないわけでございますね、売れた分だけ手数料が入ってくる。したがって、逆に言えば、努力をしなくても全くリスクがない、こういうことでございますので、やはり有利な販売につながっていないのではないか。したがって、もっといい値段で売れるはずなのにと思っている農業者の方が、そのモデルに魅力を感じずに、自分でみずから販路を開拓するということで農協離れが進んでいる、これはよく言われることでございます。
 やはり、そういう方というのは有力な方だ、商品力があるということかもしれませんので、そういう方からだんだんいらっしゃらなくなれば、結果として農協の収益力というのが落ちてしまう、こういうことであろうと思います。
 したがって、全部買い取り販売、一〇〇%義務づけ、こういうことではありませんけれども、やはり買い取り販売をふやす努力をしてもらう。その中で、前回でございましたか、農業者の所得がふえるようにというのが大原則でございますから、自分が利益を上げるために、買いたたいて、そして値差を上げるということでは本末転倒でございますので、あくまで、高く売って高く、何といいますか、生産者に還元する、このためにも、買い取り販売にどんどんと挑戦をしてもらう努力をしてもらう、これが我々の言っている趣旨でございます。
○小山委員 必ずしも高く買って高く売るということが理想どおりにいくばかりではない、やはり市場競争ですので、勝つところもあれば負けるところも出てくるということですので、これも繰り返しになるかもしれないですが、農協がやはり赤字を出すこともあると思うんですね、だからこそ、破綻未然防止であるとか経営改善指導の仕組みというものはしっかりしていなきゃいけないのではないか、このことを申し上げさせていただきたいと思っております。
 ちなみにですけれども、受託販売のお話がかなり出ておりますが、受託販売で高く売ろうとして農家の方々の所得を上げるということもできようかと思うんですけれども、受託販売についてはどのような認識でしょうか。
○奥原政府参考人 委託販売であっても、農産物を有利に販売するということができないわけではもちろんないと思います。ですが、委託販売の場合には、販売委託を受けた農協の方はリスクは負わないということでございます。値段が下がったとしてもリスクを負うのは農家ということで、やはり、リスクをとらないときに、どれだけ本当に真剣な販売努力が行われるか、結局そういう問題だというふうに思っております。
 現在、農協の販売の九六%が委託販売であるというこの事実、それから農家の方からは、なかなか農産物が農協を通して有利に売れない、こういう声も、アンケートをすれば八割、九割出てくるわけでございます。結果として、農協の農産物販売におけるシェアもだんだん落ちている、これも事実でございますから、やはり農産物の有利販売をもっときちんとやっていただくために、適切なリスクをとりながら販売を前向きにやっていただく努力は不可欠だというふうに考えております。
○小山委員 幾つか真面目な意味でこの論点があろうかと思っておるんですが、委託販売でも、もちろん、農家の方の出したものを高く売るということはできます。農家の方々の所得も上がっていくということはできるんですね。
 これは、今御答弁の中で、リスクをとっていないとなかなか緊張感が生まれないというお話がありましたが、そこはいろいろ人の心理の問題で、確かにそういうこともあろうかと思います。
 しかし一方で、協同組合の職員、販売の担当の職員がいかに農家の皆さんのお役に立つかというそのモラルがあるかどうか、結局はそこなんじゃないかなと。買い取り販売でも、余りくどくなると恐縮ですが、安く買い取っていたとかということも出てきてしまうところもありますし、結局はそのモラルのところではないかなというふうには感じるところもございます。
 それと、大規模に自分で展開できる農家さんというのは、よく福島さんなんかも例に出しますけれども、もう既に農協は使っていないというところもあろうかと思います。
 農協というのは協同組合ですから、兼業の方も含めて、必ずしも自分たちで、商系の大きなスーパーとか大きな会社にバーゲニングパワーとして対抗できない、だから集まって協同組合をつくっている、独禁法も適用除外になっている部分もあるということですから、逆に言えば、協同組合がなくなるぐらい農家の皆さんが強くなるということはいいことなんだと思います。
 だけれども、農協が大規模な農家さんとか強い農家さんの方に軸足を置けば、本来の協同組合の存在意義というものと乖離してくるんじゃないか、あるいは、軸足を置くことによって、この中小規模の農家さんのニーズが吸い上げられなくなることが問題ではないかということを、私どもは申し上げているつもりでございます。
 そこで、本当はいっぱい質問したいことがあったんですけれども、次に、全中の監査について、ちょっと質問をしたいと思います。
 資料をもう一枚おめくりください。
 「JA全国監査機構の監査の流れ」ということなんですが、端的に申し上げます。この資料は、いろいろなところでも、自民党の皆さんや他の野党の皆さんも部会で配られているかと思いますが、何がいいところなのか、僕は、全中の監査は今までどおり続けた方がいいと思っています。
 というのは、この期中監査、審査、ちょっとこれはわかりにくくなっていますが、期中監査一、期中監査二、期末監査一ということで、三回、これは監査が入るんです。これは、公認会計士の監査法人も大体、おおむね三回やったり、あるいは四半期決算ですから年四回監査をやるということであります。
 この全中の監査機構の監査が違うのは、期中監査で入ったときに指摘事項があると、次の期中監査であったり最終監査までにその指摘事項を直しなさいという指導をするんです。これがいいんです。
 ですから、最終的に期末監査の段階まででそういった指摘事項というものが改善をされて、それで最終的な監査証明、指摘事項が改善されたからこそ証明書を出す、こういう仕組みになっていて、このような経営改善指導、これを業務監査に広く含めておりますけれども、やっている仕組みというものが、今後については、ただ単に会計が合っているかどうかということだけを見るようになっていくわけですから、投資家の判断に供する監査報告書であればそれでいいかもしれない。だけれども、組合の永続性、組合員が利用するこの社会システムとしての農業協同組合の永続性ということを考えれば、私は、経営改善指導に入って組合の問題がなくなっていくこの業務監査こそが協同組合監査としての命である、そのように感じております。
 このような全中の業務監査、期中監査の仕組みと、次をもう一枚おめくりいただきまして、農協中央会は昭和二十九年にできたということでありますが、実はその前もあったんですね。大日本産業組合中央会設立、これは明治三十八年です。戦前の産業組合でも中央会があって、大正十三年には監査部が設置されております。
 ですから、これはちょっとした小ばなしですけれども、必ずしも戦後になって中央会ができたというわけではなくて、戦前の産業組合中央会の皆さんの人的な部分で、その人たちが昭和の全中の設立にかかわっている。だから、人的な伝統は受け継がれているということだと思っております。
 もう一枚おめくりいただきまして、これがインターネットで公開されている全国監査機構の指摘事項です。
 この中で、例えば、ちょっとラインマーカーを引いていないので見にくいかもしれないですが、経営改善計画の達成とか、経済事業施設の集約化と収支改善、自己資本比率の改善、あるいは不良債権比率の改善とか、こういった具体的な経営改善指導の指摘事項、項目が載っております。
 まさに、農協の経営を改善していく、経営の安定化のためのアドバイスを行っていくというのは、こういうことを地道に一つずつ積み重ねていくことだと私は考えております。
 こういったような全中の監査というものは、農協の経営改善指導に、今私から事例をお示しさせていただきましたが、どのように役立ってきたのか、こういったことも含めて政府としてどのように評価をしているのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
○奥原政府参考人 これまでの全中の監査は、会計監査と業務監査、これを一体として行ってきたわけでございます。
 今先生御指摘になりましたように、この資料の五ページ目でしょうか、「JA全国監査機構の監査の流れ」の中で言いますと、先ほど御指摘ありましたこの期中の改善指示書の提出ですとか、それを踏まえて改善方策についての回答ですとか、こういった部分が、ある意味、業務監査、要するに会計監査でない部分としてあるわけでございます。
 確かに、この点はあるわけですけれども、この業務監査、これは定義は特にありませんけれども、会計監査以外のものをいわゆる業務監査と称しているだけでございますが、この中身、先ほど御指摘もございましたけれども、そこで指摘されている中身は、いろいろですけれども、経営改善計画の達成ですとか、店舗の統廃合の実践ですとか、ある意味、やはりそれぞれの農協においてきちんと考えていただかなければいけない問題でございます。
 だから、この業務監査の位置づけというのも、農協それぞれの内部監査あるいは内部統制の補完をするといったような位置づけでやられている、そういう側面はございます。
 もちろん、外部からチェックをして、それで改善していただければプラスになるわけですし、これまでそういうことを積み重ねてきたとは思いますが、こういう部分は、ほかの民間組織では、特に誰の監査を受けなさいということは義務づけられておりません。
 農協についても、やはり自分たちで、中に監事もおりますし、内部監査の部署もございますので、そこがきちんとやる。いろいろなデータを見た上で、経営者が、役員がきちんと判断をして改善をしていく、これが基本だというふうに思っております。
 そういう意味で、この監査全体、会計監査の問題も業務監査の問題も、これからどういう形にしたら農協全体が発展するのかという観点で今回見直しを行ったということでございます。
 会計監査の方は、主として信用事業を安定的にやっていくためにどうするかという観点でございますが、業務監査の方につきましては、基本的に、ほかの民有機関、民間の組織と同じようにする。義務づけられておりませんので、農協についても義務づけはやめて、必要なときに必要なところに頼んでやっていただく、それ以外は農協本体が役員と職員一体となってきちんと自分たちで改善をする、これが基本だというふうに考えているということでございます。
○小山委員 質問時間、持ち時間が終了いたしましたので、次回、機会があればまた質問させていただきたいと思いますが、私は、この業務監査の中で指摘事項を重ねてきたということが経営改善に資するものだと思いますし、今のお話の中でも、株式会社と協同組合というのは違うんですね。
 ですから、投資家の判断に供する、あるいは潰れてしまうしまわない、リスクだということと、永続性を前提として、ずっと利用していくんだというところの協同組合に対する監査というものは、やはり目的が違ってくると思うんです。
 ここの違いというものを踏まえるべきではないかというのが私の主張でございますけれども、次回、もし機会がありましたら、きょうの残余の質問とともに、ぜひこの点をまた質問させていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
○江藤委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 民主党の金子恵美です。どうぞよろしくお願いいたします。
 たくさんの疑問点がある今回の大改革でありますけれども、待ったなしの農協改革と言われながら、待ったなしであるのは、私のふるさとの復興でもあります。法案に対しての質疑に入る前に、まず最初に、被災地の声とともに質問させていただきたいと思います。
 政府は、集中復興期間を平成二十七年度で終了することを決定しておりまして、「集中復興期間の総括及び平成二十八年度以降の復旧・復興事業のあり方について」が先月、五月十二日に発表されました。平成二十八年度以降は、一部自治体の負担が発生する方針が示されているところでもあります。
 その中で、営農再開あるいは農業再生に影響が出る事業があります。例えば、農山漁村地域整備交付金、農村地域復興再生基盤総合整備事業などは、自治体に一部負担を強いることになっています。また、平成二十七年度で終了する事業のうち、農水省の事業としては、被災農家経営再開支援事業と農地等の放射性物質の除去・低減技術の開発事業の二つがあります。
 昨日も、復興庁から自治体の負担割合などが示されたところでありますけれども、安倍内閣では、以前から、全ての閣僚が復興大臣だ、そういう意識を持って復興に取り組むようにという指示があるというふうに聞いています。
 林農水大臣も、もちろん被災地の復興に御関心を持ち、取り組んでいただいていることだというふうに思いますが、今申し上げました集中復興期間終了後の政府の方針、考え方について、どのようなお考えをお持ちか、大臣にお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 今お話がありましたように、総理からも、閣僚全員が復興担当大臣の気概を持って、こういう指示をいただいております。
 私も、機会を捉えてお地元等にお邪魔して、同じところにも、かれこれ二度、三度行くようなところも出てきましたけれども、それぞれが、進んでいるところ、進んでいないところ、大分分かれてきたな、こういう実感を持たせていただいておりますが、やはり大事なこととして取り組まなければいけないことだ、こういうふうに思っております。
 復興庁におかれまして、先月の十二日に、平成二十八年度以降の復興事業のあり方について、三つに分けられる、引き続き復興特会で実施するもの、一般会計等で対応する事業、それから平成二十七年度限りで終了する事業という区分を示して、それぞれの当てはめを公表されておられます。
 昨日、引き続き復興特会で実施する事業の中で、自治体の負担を導入する事業とする場合には、その負担水準について公表をした、こういうふうに承知をしております。
 今から、復興庁において、被災自治体からの御意見を聞きながら、平成二十八年度以降の復興事業について最終的に決めていくものというふうに聞いておりますので、我々としては、復興庁と被災自治体がどういうふうに調整していくのか、この調整状況をよく見守りながら、冒頭申し上げましたように、それぞれが復興担当大臣の気概を持って、こういう気持ちで、特に私としては、被災地の農林水産業の一日も早い復興に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
 風評被害、賠償の問題、ソフト面もハード面もさまざまな課題がある中で、被災地の農業者の方々からは、今なぜ農業政策の大改革が行われなくてはいけないのかと戸惑いの声も聞かれているところでもあります。そういう声が本当にたくさん聞かれます。
 千年に一度と言われる地震、津波、そして世界で初めてのケースである原発事故の収束に本当にさまざまな課題を抱えているところでありますけれども、なぜ、この農業政策の大改革、特に六十年ぶりの農業改革が今なんでしょうか、今行われなくてはいけないのでしょうか。そしてまた、なぜ、歴史ある農業委員会制度の改革なのでしょうか。
 被災地の復興を進めることを忘れ、目的が明確でない今回の農政改革等が進められていることに、繰り返しになりますけれども、被災地では、本当に疑問の声が多く上がっているところであります。
 大臣の御所見をお伺いします。
○林国務大臣 東日本大震災からの復興は、先ほど申し上げましたように、安倍政権における最優先課題でございまして、被災地の農業の一日も早い復旧復興、これは全力で取り組むべき課題だと認識しております。
 その一方で、我が国全体の農業、農村についても、農業従事者が大変に高齢化をしていらっしゃる、耕作放棄地が増大している、課題が山積をしておりまして、国内農業の活性化を図っていくためにも、こちらもやはり待ったなしの極めて重要な課題である、こういうふうに考えております。
 今回の農協の改革、農業委員会の改革、また生産法人の改革は、一連の活力創造プラン、基本計画とずっとつくってまいりました、こういう農政の改革そのものが今の状況に対応したものでございまして、それに合わせて、プレーヤーである、経済主体であるそれぞれの農協、農業委員会、生産法人にもこの改革を行ってもらおう、こういうことでございまして、この復旧復興、農政改革、どちらとも全力で取り組んで、被災地はもちろん、全国で若者にも魅力のある農業というものをしっかりとつくっていかなければならないと思っております。
○金子(恵)委員 農は国の基なり。もちろん、農業の政策についてしっかりと進めていく、そしてまた改善すべきところは改善する、それは重要なことだというふうに思っています。
 しかしながら、繰り返しになりますけれども、営農再開支援等の妨げになるような形で、今回の、例えば自治体に対しての一部負担を強いるような考え方、こういうことには農水大臣としてもしっかりとノーと言っていただかなくてはいけないというふうに私は思っています。
 復興も待ったなしなんです。大変厳しい状況にある農業者の方々を救ってくださるのが、私は農水大臣のとても重要な役目だというふうに思っています。
 六十年ぶりの農協改革ですけれども、根拠はこれまでも示されていません。中央会が単協の自由な経営を妨げているというその事例さえ、先ほど来質問がありますけれども、示されていないという状況であります。また、歴史あるこの農業委員会制度を改革するということが農業者の所得向上にどのようにつながっていくのかということが、明確に答弁もされていません。
 さらにもう一度私は質問させていただきますが、全中の業務監査が単位農協の活動を妨げている、その具体的な事例というのはあるんですか。
○林国務大臣 これはもうきょうの最大の話題になっておるわけでございまして、先ほどからの繰り返しの御答弁を差し上げることになりますが、まさに、我々が提案理由として説明をさせていただいたのは、特に、中央会制度が昭和二十九年に導入されたとき、農協経営が危機的状態に陥っていて、行政にかわって農協の経営を指導してやっていこう、一万以上あった単位農協を、その成果もあって、中央会がいろいろな御指導もしていただいて、今七百程度に減少してきた、一県一JAもふえた。
 そして、それからもう一つ、先ほどの小山先生のときにも議論になりましたけれども、信用事業の方は、しっかりとこれは農林中金に指導権限が与えられておる。これも、実は昭和二十九年の今の中央会制度が始まったときにはなかったことでございますので、制度が始まったときとやはり状況が大きく変わってきている。
 それから、もっと大きな背景としては、食料の足りない時期から過剰基調になってきたので、全体の改革がある、これは申し上げてきたとおりでございます。
 したがって、今回の中央会制度の見直しも、スタートした昭和二十九年当時との状況が変わってきたということで、どういう新しい制度にするかということを御議論を与党でまとめていただいて、その過程においていろいろヒアリングをしたことはこの間から申し上げているとおりでございますが、提案理由としては、そういう状況の変化に伴って制度を見直した、こういうことでございます。
○金子(恵)委員 先ほど来申し上げております、本当に、単位農協の活動を妨げている、そういう具体的な事例があるのかないのかということをまず明確にしていただきたいということ、そしてまた、あるのであれば、きちんと出していただきたいと思います。
 次に、一体的な今回の改革ということによって、どのようにこれからの我が国の農業というものが変わっていくのか、改善されていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
○林国務大臣 これはもう常々申し上げておるところでございますが、まさに今回の農政改革で目指すべき姿というのは、先ほど松木先生のときに御議論もさせていただきましたが、成長産業化していくという産業政策の部分、そのためにはやはりサプライサイドである生産現場を強化する、それから、売る方を努力して、高付加価値化を図って、六次産業をやるなり輸出をやっていく、こういう産業政策の部分と、それから多面的機能と言われておりますが、農業、農村の持ついろいろな、お金に換算できないような機能も含めた多面的機能の維持発展を図っていく、この地域政策、これを車の両輪として改革を進めていきたい、こういうふうに思っております。
 そして、強い農業を産業政策を中心に実現して成長に結びつけていくということと同時に、美しく伝統ある農村、集落、コミュニティーというものをしっかりと地域政策でもって守っていく、これを目指していきたいと思っておるところでございます。
○金子(恵)委員 地域を守る改革という方向性も持っているということでよろしいでしょうか。そのように私は理解をさせていただいておりますが、ただ、今回の法案を見ておりますと、それが明確に見えてこないのが残念でなりません。
 私は、実は、福祉系の専門学校の講師をしておりまして、地域福祉論を担当しております。地域福祉の観点から見ても、福祉コミュニティーを構築するために必要なネットワークを構成する、そういうさまざまな組織の一つに協同組合があります。
 協同組合はそもそもどういうものかというと、ICAの声明によれば、協同組合は、人々の自治的な組織であり、自発的に手を結んだ人々が、共同で所有し民主的に管理する事業体を通じて、共通の経済的、社会的、文化的なニーズと願いをかなえることを目的とするとあります。相互扶助の非営利組織、あるいは組合員の助け合いの協同が共通理念であります。これは地域福祉の理念と大変重なっておりまして、ともに生きる社会をつくる上でも、とても重要な組織であると言えます。
 農協、地域農協は、農業者と地域の皆さんの相互扶助の精神によって成り立ってきた組織で、農業協同組合です。私は、それが農協の本当に一番根底にある考え方だというふうに思っております。
 そこで、林大臣のお考えをお伺いしたいんですが、農協とはどのような組織でしょうか。
○林国務大臣 これは若干、今の先生の御見解とは違う見解を私は持っておるのかもしれませんが、一条というのがございます。ここにどう書いてあるかというと、農業協同組合法第一条、「この法律は、農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする。」こういうふうになっておりまして、まさに、農業者が自主的に設立する協同組織で、農業者が農協を利用することでメリットを受けるために設立されておる、こういうことでございます。
 したがって、やはり農業者、特に担い手から見て、その所得向上に向けた経済活動を積極的に行える組織である必要があり、有利販売、有利調達に重点を最も置いていただいて事業運営を行うということが重要である。これは常々申し上げてきたところでございます。
 今委員から御指摘があったように、社会的なインフラを実際上担っているということも事実でありますが、そちらが中心になってしまって、一条である、そもそものよって立つ原則である、農業者が農協を利用することでメリットを受ける、販売活動等々がおろそかになってはいけないというふうに考えておるところでございます。
○金子(恵)委員 私は、実は、その部分についても大変重なる部分があると思っています。
 先ほどICAの定義を言いましたけれども、共通の経済的、社会的、文化的なニーズと願いをかなえることを目的としているのが協同組合だというふうに言いました。
 農業という産業を通しながら地域の人々を潤わせていく、そういう仕組みなんだと思います。そして、農業の担い手というのは、今の意味は広い意味での担い手ですけれども、農業をしていらっしゃる全ての人たち、そしてまたそれにかかわる全ての地域住民の人たちにプラスになる、そういう組織でなくてはいけないということですので、私は、その地域に住んでいらっしゃる人たちが農業にかかわらないということはあり得ないと思うんです。
 農というのは、食の安全と間違いなくつながっているものです。全くそこは重なっている。ですから、いろいろな解釈があるかもしれませんけれども、間違いなく、地域のための農協ということだというふうに思っています。
 それで、協同活動というのを農協はしてきたわけですけれども、そもそも協同活動というのは、もちろん、地域づくり、生きがいづくり、そしてまた幸福を得るための運動であるというふうに思います。
 農協も、協同活動を進めてきて、地域と地域住民の皆さんを支えてきたということです。そして、農村あるいは地域のニーズに対応するために生まれてきたのが、例えばJAバンクの信用事業、Aコープの生活事業のような事業であります。
 地域農協は、住民生活及び地域生活における必要不可欠なライフラインになっています。大切な組織になっています。このような農協の多面的な機能というのはこれからも継続、持続させていかなくてはいけないと思っておりますけれども、この多面的機能など、地域貢献しているJA、農協の役割ということについてどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか、お聞かせください。
○小泉副大臣 先生御指摘の部分でございますが、先ほど大臣からも御答弁いただきましたけれども、農協法第一条において明らかになっておりますことは、農協は農業者の協同組織であるということでございまして、このため、今回の改革では、農協が、農業者の所得の向上に向けて、地域の農業者と力を合わせて、農産物の有利販売などに創意工夫をしながら積極的に取り組むことができるようにすることを基本的な考えとしているわけであります。
 一方で、農協は、過疎化、高齢化等が進行する農村社会において、実際上、地域のインフラとしての側面も持っているのも事実でございます。したがいまして、農協が、農業者に対して十分なメリットを出した上で、地域のインフラとしての機能を果たしていただくことも重要と考えております。
 今回の改革では、実際上のインフラとしての機能について、組合員でない地域住民に対しても円滑にサービスを提供していく上で、必要な場合、例えば員外利用規制がネックになる場合等がございますが、農協の選択により、組織の一部を株式会社や生協に組織変更できるようにすることとしているわけであります。
 このように、今回の改革は、農業者の協同組織としての原点に返りつつ、これまで農協が地域において果たしてきたインフラ機能も適切に果たせるようにしようとするものでございます。
 以上でございます。
○金子(恵)委員 地域のインフラだと先ほどもおっしゃっていただきました。それは、なぜそういう言い方をするかというと、必要なものだからですよね。私は、ライフライン、そういう言葉を使わせていただきますけれども、なくてはならない、そういう組織であるということは同じ認識でよろしいでしょうか。
 その中で、例えば株式会社化する中、その中に競争の原理が入り、そして競争後、例えば地域社会の、今申し上げたようなライフラインが断たれるというようなことがあるかもしれない、そういう懸念を持っております。
 つまりは、例えば事業分割や株式会社などへの移行に伴うリスクがあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○奥原政府参考人 事業を分割したり、あるいは組織を変更するという話は、あくまでもその農協の選択でございます。今副大臣からも御答弁いたしましたように、農協という組織形態のままでは、員外利用規制等によって、農業者でない地域住民に対してインフラとしてのサービスを提供していくことが難しくなる、そういうような場合に、この選択肢を使って株式会社に転換できるという規定を入れているということでございます。
 あくまで選択制でございまして、例えば生活購買ですとかあるいはガソリンスタンド、こういったもの、これは、農家だけではなくて、その地域の方はたくさん使っていらっしゃるかもしれませんが、そういう方々にとっても使いやすいようにして維持をしていく上で、会社にした方がいい場合には転換をしていただく、こういうものでございます。
 株式会社に転換した場合には、農業者であるかないかにかかわらず、地域住民であれば誰でも事業を利用できるということになります、員外利用規制がなくなりますので。それから、従来、准組合員であった方々も、この場合、株主として議決権を持ってその会社の運営に参加できる、こういうことも出てまいります。
 そういったことで、地域のインフラとしてのサービスを適切に維持、提供するということを可能にするために選択肢を入れている、こういうことでございます。
○金子(恵)委員 ちょっと通告していないんですが、今のやりとりを聞いて、衆法の提出者の御意見を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。
○玉木議員 お答え申し上げます。
 先ほど小泉副大臣から、インフラとしても大切だという話がありました。我々もそう思います。思いは同じなんですが、それが法律にどうあらわれてくるのかは、閣法と衆法では随分違うなというふうに思います。
 地域において、例えば、ガソリンスタンド等例示がありましたけれども、こういったことが大事だ、JAの果たす役割として大事だというときに、我々は、そういった役割も法律上正面から認めた上で、ただ、必要な規制があればむしろ強化するところもあって、一般の人が使うのであれば、例えば金融であれば、ほかの金融と同じような規制を受けなさいという中で、きちんと農協組織としてやってほしいというのが我々の考え。
 今、奥原局長が説明したのは、そういったものはこれから必要かもしれない、ただ、員外の利用規制なんかに当たるかもしれないから、例えば、これから、中間管理機構で人を寄せてきて、農家じゃない人がふえてくる、むしろ離農を促していく、そうなると、今まで農業をやっていたけれども、地域に住んでいるけれども、農業をやれなくなって離れていく人が出てくる、そういう人たちが自動的に多くなってしまうと、規制にひっかかっているからもうやめてくださいと。そのやめるときに、株式会社という受け皿も用意します。でも、これはもうJAじゃありません、株式会社ですから。
 そういうふうに総合農協を切り離していってやるのがいいという今の政府案と違って、我々は、あくまで農協という組織が、農家のための組織であるとともに、地域のための組織なんだということ、特に人口減少、高齢化社会という地域の現状を踏まえたときに、それを正面から認めた上で必要な規制を法律に書き込むことが地域に応じたもの、根差したものになるということで、我々の法案を作成し、提出している次第でございます。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
 事業分割とか、株式会社に移行する道を開くということではありますけれども、その中では、信用、共済事業の分離とかJAグループの解体とか、そういうことにつながっていく危険があるということだというふうにも思います。反対に、そういう道から地域の人たちあるいは地域の農業者も守るということをしっかりと進めていかなくてはいけないと思うんです。
 農協の総合事業については、いつも、先ほど来お話があるように、組合員の農業と生活の総合性に基づくというふうな形で説明されることもあるんですけれども、実際に、農協の総合事業について言えば、収益性の低い営農指導事業と収益性の高い信用、共済事業を一つの経営体の中に存在させるからこそ成り立っている、農業という低収益の部門へのサービスも成り立つということだと思います。
 つまりは、雇用の確保もなされていったり、そしてまた反対に、中山間地域などでは、このバランスが壊れることによって、雇用、地域経済が崩れていくということにもなっていくのではないかと懸念するところでもあります。
 そうすると、先ほど来申し上げていますように、農協の役割というのは大変大きく、地域の農業者を守るだけでなく地域の人々を守っているということにもつながっていくというところでありまして、今、閣法と衆法の違いということも明確に提出者から答弁をいただいたところではありますけれども、ぜひ、これまでの農協の機能というものを守れる、そしてまた、プラスいい改革ができればというふうに思っているところでもあります。
 実は、私は、農協の女性部の部員でもあります。私の地元のJA伊達みらいの女性部の部員です。農協には、青年部や女性部など、地域住民の皆さんとの多様な社会的なつながりを持っている、そういう組織があるということだというふうに思います。
 今回の農協改革で、これまでの単位農協が積み上げてきた多様な社会的つながりというものは維持されるというふうに考えていいのでしょうか。私は、それをもちろん願っています。
 私自身も、女性部の部員としては、例えば、地域の行事に協力をしていく、参加をしていくということであったり、ほかの団体との連携をとりながら地域活動をしていく、そういうことを今までもしてまいりましたし、農業というくくりだけではなく、消費者の目線で、あるいは女性の視点ということでも、いろいろな取り組みをこれまでもしてまいりました。
 今申し上げましたような、地域の中での多様な社会的つながり、これはすごく重要であると思います。いかがでしょうか。
○中川大臣政務官 今回の改革は、農協が農業者の協同組合であるという原点に戻って、地域の農業者と力を合わせて、農産物の有利販売などに創意工夫をしながら積極的に取り組むことができるようにすることが基本的な考えであるというふうに思います。
 したがって、女性部の行う直売所運営への参画や加工、販売など地産地消の取り組み、各種イベントへの参加は、もっと積極的に行っていただくことを期待しているものでございます。
 今回の農協改革によりまして、農協が積み上げてきた多様な社会的つながりが維持されなくなるという懸念はないものと考えています。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
 先ほど、員内、員外というような分け方をされて、組合員とそうでない方々の差別化というようなお話もありました。
 実は、例えばJAの女性部というのは門戸を本当に広く開いておりまして、私自身は農業者でありまして、実家が組合員でありますので、もちろん、女性部の部員になるというのは私は当然だと思って以前から活動させていただいてまいりましたが、今現在は、やはり女性部の方々でも、組合員でない方々も入っているということです。
 これが、私は、ある意味、農協が積み上げてきた歴史、そして文化なんだというふうに思います。地域の方々をとにかく守っていく、そういう協同組合なんだということだというふうに思います。もちろん、それは農業を通してであります。
 そういう意味で、とても重要な農協でありますけれども、今回、農協法の改正事項には入りませんでしたけれども、実態調査をした上で五年後にあり方を検討するとしている准組合員の事業利用の規制についての課題があります。
 保留扱いになっているわけなんですが、今後、どのように調査が行われていくのか。そして、調査によって、現場の実態とか、JAグループの取り組み、農協の取り組みを適切に把握していくことが重要だというふうに思います。その上での検討がなされるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○奥原政府参考人 准組合員の関係でございます。
 農協は、あくまでも農業者の協同組織でございますので、正組合員である農業者のメリットを拡大する、これが最優先でございます。
 したがいまして、准組合員へのサービスに主眼を置いて、正組合員である農業者へのサービスがおろそかになってはならないというふうに考えております。
 ただ、一方で、過疎化、高齢化等が進行する農村社会におきまして、農協が実際上地域のインフラとしての側面を持っているのも、これはこれで事実でございます。
 こういった状況を背景といたしまして、准組合員の利用規制につきましていろいろ議論が行われてまいりましたけれども、これまで准組合員につきましては規制がございませんでした。組合員ではない員外者については規制は既にございますけれども、准組合員については規制がなかったこともございまして、正組合員と准組合員の利用実態の把握ができておりません。
 それから、今回の農協改革によって、農業者の所得向上に向けた成果がどの程度出るか、これを見きわめる必要もございます。
 こういったことから、五年間の調査を行った上で決定をするということにしたところでございます。
 調査の中身につきましては、これから検討していくことになりますけれども、事業ごとに正組合員と准組合員の利用量がどのくらいであるかというようなこと、それから、各地域ごとに見たときに、当該事業についてほかにサービスを提供する事業者がどの程度あるのか、こういったことも含めて調査をしていく必要があるというふうに考えております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
 ここで、衆法について、提出者の方々に伺います。
 民主党が取りまとめました「政府・与党の農協・農業委員会「改革」に対する基本的考え方」で、「政府・与党は認定農業者に政策を集中しようとしているが、民主党は今後も集落や地域を守る観点から、農業・農村全体を対象にした農業政策を推進していく。」としております。
 このような農政についての考え方のもと、今回法案も提出されたというふうに思っておりますけれども、法案提出者の皆さんが考える農協のあるべき姿というのはどういうものでしょうか。
○福島議員 先ほど玉木委員からも御答弁申し上げましたように、我々は、農協というのは、農業者のための組合でもあり、地域のための組合であるべきだと思っております。
 当初、農協法の第一条は、農協は農民の協同組織であると。農民というのは恐らくいろいろな概念があって、農業を産業としてやる人もいれば、地域で農家を支える人もいれば、農民というのは日本語で言うと百姓でありまして、百姓というのは全ての民草のことなんですね。そうした意味で、農村でなりわいを支える全ての人の組合というのがもともと農協であった。
 その一方で、組合員の要件として、農業者と極めて限定しております。それは、制度発足の当初の意図は、農業者と、当初は農民ですけれども、限定しないと、資本家が入ってきたり、不在地主とかが入ってきた農業組合ができかねないので、それを排除する意味で農民というふうに限定したとなっております。
 その上で、准組合員という、その地域に住んで、農民を支える人たちも同じ組合員として、准組合員も組合員もこの法律上は組合員なんですね。そうして、地域で支える農業協同組合として発足しているのが日本の農協であるというふうに我々は考えております。
 現に、先日の参考人質疑で石田参考人も、日本の農協は生まれながらにして職能組合であり、かつ地域組合である、三元交配だ、産業組合、農会、販売農協の三元交配で生まれたのが日本の農協であり、それは国際的にも高く評価されているというお話がありました。
 我々は、そうした、これまで積み上げてきた農協の歴史と伝統というのをしっかり守るべきであると思っております。
 なお、政府側から先ほど来、農業者の協同組織であるということは繰り返し言っておりますが、農業者というものは認定農家だとか担い手だとかというのを大臣や局長が勝手に決めるものでありません。誰が農業者かは定款で決めるんですよ。
 そうした自治の組織が協同組合の大原則であって、政府側が、農業者は誰だとか農業を担うべき人はこうあるべきだと言うことは、我々は協同組合の精神に反することだと考えておりまして、そうした協同組合としての自治性というのをしっかり保つ、しかも地域のみんなで社会的なインフラを維持していく、そうした農業協同組合であるべきであるというふうに考えているところでございます。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
 農協のあるべき姿というのを御答弁いただきましたが、それを守るための今回の法案の提出であるというふうに思います。
 そこで、我が国の農協というのは、総合農協として、地域農業の振興だけではなく、先ほど来お話がありますけれども、住みやすい社会をつくっていくための、地域住民の皆さんのニーズに応えていく、そういうサービスを提供していく組織であるということだと理解をしていますが、衆法の第三条の二を設けた趣旨をお伺いしたいと思います。
○福島議員 これは、先ほど来答弁していることでございますけれども、現に、今の政府案のように、農業協同組合というのが、あたかも職能組合である、法律には明確に規定されていないにもかかわらずそういう動きがある中で、我々は、農協が地域のインフラとして必須の役割を果たしている地域もあるという今の現状を踏まえて、しかも、そうしたものが、近年の市町村合併や過疎化の進展に伴って地域インフラが、ガソリンスタンドがない集落やコンビニエンスストアもないような村というのが私の地元にもあります。
 そうした中で、農業協同組合のそもそもの立法の原点であるものを確認しようという意味で、この条文をつけ加えたものでございます。
○金子(恵)委員 そうしますと、地域社会のための農協という位置づけだということだと思いますが、このことについては、そうすると准組合員制度とはどのような関係にあると考えますか。
○福島議員 先ほどの答弁とダブることもあるかと思いますけれども、農協法上、准組合員も組合員も組合員でございまして、それは、農業協同組合というのが、職能組合であり、かつ地域組合である、この理念に基づいた骨格になっていると思っております。
 ただし、中には、准組合員のための部分が大きくなっていて、農家のための組合じゃない部分の比率が多いところもあるかもしれませんけれども、それはしかし、協同組合の理念の中では自治に任せられるべきであって、当然、それぞれの協同組合の中で、誰のための協同組合なのかというのを組合員の一人一票の中で民主的に決められるべき問題であるというふうに私どもは考えております。
○金子(恵)委員 准組合員制度は必要でしょうか。
○福島議員 必要であると思っています。
 ただし、准組合員自身も、組合員と准組合員の関係も含めて、ここは大いに議論するべき点はあるとは我々は考えております。
 しかし、だからといって、准組合員は要らないという乱暴な議論には立ちませんし、准組合員の利用が多いから、その農協は農協の本来の道を外れていると短絡的に考えるべきでもないというふうに考えております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
 次に、三条の三に「国及び地方公共団体は、第五条に規定する組合の特性に鑑み、その業務運営における自主性を尊重しなければならない。」とあります。この条文を設けた趣旨は何でしょうか、お聞かせください。
○玉木議員 お答え申し上げます。
 この委員会でもきょう累次話がありましたけれども、全中があるから現場が縛られているのではなくて、全中を中心とした農協組織を利用して、時の政府や農政がある政策をいわば押しつけてきたところが、現場の自由度を奪っている面があるのではないか。例示として飼料米の話も取り上げましたけれども、こういったことからのある種の解放を促していくことが、真の現場の自由度を促していくことになると思っております。
 ちなみに、協同組合のアイデンティティーに関するICA宣言の第四原則、これは自主自立、よく取り上げられる原則でありますけれども、ここにはこう書いています。協同組合は、飛ばしますが、政府を含む外部の組織と取り決めを結ぶ場合、組合の自主性を保つ条件で行いますという規定が、実は、ICAの宣言の中にも政府との関係も書き込まれていて、その意味では、先ほど福島委員からも説明がありましたが、組合の自主性というこの協同組合の原点に立ち返って、政府、行政との関係についても明確に法律に書き込んだ次第でございます。
 以上です。
○金子(恵)委員 そうしますと、これによって、業務運営における自主性を尊重されることによって、農協の中で最も影響を受けるところ、変わっていく部門というのはどこだと想定されますか。前進する部門というのはありますか。農協全ての部門において前進していくというふうにお考えでしょうか。
○玉木議員 これは、目指すところは政府案とも同じなんですが、やはり地域農協あるいはそこに属する組合員の皆さんが創意工夫を発揮して、例えば、飼料用米をこれからつくった方が国からお金がもらえるからとかではなくて、本当にマーケットは今何を欲しがっているのか、これからの需要が一体どうなっていくのかということを個々の農家や単協が本当に考えて行動していくためには、そういった行政あるいは政府からのある意味での自由度ということをしっかり確保することが現場を一番動かしていく要因になると私は思っております。
○金子(恵)委員 ぜひ、閣法も修正をし、この衆法のいい部分を取り上げていただきたいなという思いがしたところであります。
 時間になりますので、最後の質問をさせていただきたいと思います。
 ここで、女性農業者の活躍の場をどのように広げるか、お聞きしたいと思います。
 今回の改正で、実は、農協法の三十条第十三項、第三十条の二第四項に、理事の年齢及び性別に著しい偏りが生じないように配慮しなければならないものとすることとあり、農業委員会法では、第八条第七項でも、農業委員の年齢、性別等に著しい偏りが生じないように配慮しなければならないものとすることとあります。
 御存じのとおり、女性は農業就業人口の約半数を占めています。平成二十六年の数字では、五〇・四%。男性より女性の方が多いんです。基幹的な農業従事者も四一・八%になります。しかし、残念ながら、農業委員の女性の割合は、これは平成二十六年の数字ですが、七・二%にとどまり、農協の女性役員は六・九%です。
 指導的女性農業者の育成も必要だと思いますし、繰り返しになりますが、これからどのような形で女性農業者の活躍の場を広げていくのか、お伺いしたいと思います。
○林国務大臣 女性は、我が国の農業就業人口の過半、また基幹的農業従事者の約四割を占めておりまして、地域農業の振興、六次産業化の担い手として重要な役割を果たしております。
 農業委員、農協役員といった指導的地位に占める女性の割合はいずれも約七%にとどまっておりまして、女性農業者が一層活躍できる環境整備を進めることが必要である、こういうことでございます。
 三月に食料・農業・農村基本計画を決定させていただきましたが、ここにも「女性農業者が能力を最大限発揮できる環境の整備」、こういう項目を設けまして、指導的地位を担うことができる地域農業の次世代リーダーとなり得る女性農業者の育成ですとか、六次産業化などにチャレンジする女性農業者に対する補助事業の積極的な活用等々を明記させていただいたところでございます。
 先ほどは、誰を理事にするかというのを法律で決めるのは大きなお世話だという御批判もほかの委員からいただきましたが、先生からは、そこは積極的に評価をしていただけているような御質問でございましたけれども、法案成立の暁には、農協理事の選任や農業委員の任命に当たって性別に著しい偏りが生じないように配慮するとしたこの規定の趣旨は、周知を徹底していきたいと思っておるところでございます。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
 復興も、女性の視点で進めていくことによって、以前よりもすばらしい地域社会ができるということを言われています。そして、ここで本当に農業の大改革をするのであれば、やはり女性の視点をしっかりと入れていっていただきたいと思いますし、女性農業者の活躍の場をどんどん広げていっていただきたいと心から願いまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、井出庸生君。
○井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。きょうもよろしくお願いをいたします。
 六十年ぶりの大改正、安倍総理が今国会再三強調されてきた審議ですので、安保法制に負けずの議論をしていかなければなと思っております。
 きょう私から伺いたいのは、午前中岸本委員が取り上げた監査の部分を伺いたいのです。
 全中の監査が単協の何か仕事の妨げになってきたのか、そういう議論がずっとされてきまして、その妨げになっていないのだったら改革する必要はないのではないか、そういうことがずっと言われてきました。
 しかし一方で、監査というものは、監査をする側と監査を受ける側はやはり独立した関係でなければいけない、ある程度、中立、独立した、時に厳しいことも言う、そういう関係でなければいけないと思います。
 ですから、きょうは、そういう視点からまず質問をしていきたいんです。
 午前に岸本委員が伺いました農協監査士、私も、この農協監査士というものがどういう方なのかというところ、大変興味を持っております。
 と申しますのも、地元の農協の組合の方、単協でそれなりに御活躍をされている方に聞いても、監査の部分、農協監査士というものは少し雲の上のような存在でよくわからぬと。実際、自分たちが農業を頑張っている分には、監査というものとそもそもかかわり合いがないのかもしれないですけれども、そういう情報というものもおりてこないし。
 ただ、一方で、農協というものが、先ほどの議論でもありましたけれども、地域のインフラとなっている。農業だけではなくて、病院もあったり、いろいろなことをやっている中で、業務に支障といいますかひずみが出ているんじゃないか、そういう声も聞いております。
 ですから、監査の実態というものを伺っていく上で、まず、農協監査士という方が、年齢は問わないんですが、一体どんな方が農協監査士になるのか。もともと、よし、では俺は農協でそういう会計部門をやりたい、そういう気持ちを持った方が入るのか、そうではなくて、とりあえず農協に就職をしてから、一から、ちょっと君、会計をやってくれないかというような、そういう立場で、農協監査士を取得することにはなるんですけれども、かかわっていくのか。ざっくばらんに言って、一体どんなような方がこの農協監査士というものを担ってこられたのか、一般的なところを教えていただきたいと思います。
○奥原政府参考人 まず、農協監査士の制度でございますけれども、これは公認会計士法に基づくものではございません、農協法に基づいた措置でございます。農協監査士の試験、これは全中が実施をするわけですけれども、この試験に合格をされた方が農協監査士、こういうことになるわけでございます。
 全中、県中の職員の方々、これは人事異動でいろいろな仕事に従事をされるということでして、監査の仕事をやられることもありますし、それから農政の関係の仕事をされることもあるし、いろいろな部署を人事異動でもって動かれているというふうに思っておりますが、中央会におきましては、多くの方が、監査士の資格はやはりきちんと取ろう、そういう動きがあるというふうに思っております。
 ですから、現在実際監査に従事をされている監査士の方よりも、監査士としての資格を持っていらっしゃる中央会の職員の方はかなり多くいらっしゃる、こういうことでございます。
 やはり農協の中央会の方の場合には、一般的に農協に対する指導とか監査をしますし、農協の方と接する機会も多いわけですので、きちんと経理的なものが見られるとか、そういう観点で、監査士の資格はできるだけ中央会の職員は取ろうということで動かれているというふうに我々は承知をしております。
○井出委員 農協監査士は、午前中の岸本委員との話の中でも出てきましたが、これから新しい監査業務に入っていくために公認会計士にならなきゃいけない、移行をしていくというような話も出ておったんですが、今お話しになった試験ですね。
 試験の案内とかを見ておるんですが、試験は、受験資格の制限はない、そして全六教科の試験があって、総点数で一千点満点なんですけれども、総合で六百点以上点をとって、全ての科目八十点以上とれば合格ですとか、あと、前の年に、合格はできなかったんだけれども、合格基準は満たさなかったんだけれども、ある程度の成績をとれば、次の年次の試験では教科が免除されるというような仕組みだとホームページで伺いました。
 そして、これから農協監査士の方が対等に仕事をしていく公認会計士、この試験の合格率などを見ても、農協監査士の合格率というのは二〇%、多いときは三〇%ぐらい毎年あります。それに対して、公認会計士は大体一割ぐらい。これも、母数が丸が一桁違うんですね。公認会計士の試験は一万人を超える人が受けております。
 そういった中で、私も岸本委員と同じ問題意識を持っておりまして、農協監査士の皆さんが公認会計士ときちっとこれから戦っていけるのか、そこのところをどうお考えか、改めて伺いたいと思います。
    〔委員長退席、吉川(貴)委員長代理着席〕
○奥原政府参考人 現在農協監査士の方がこれからどういう仕事をしていくかというのは、一つの重要なポイントだと思っております。
 今回の法律の附則の中でも、現在農協監査士の方が公認会計士の試験に合格をした場合には、公認会計士になる場合に実務経験とかそういった要件がございますけれども、そういったところは従来の農協監査士としての経験も考慮して、円滑に公認会計士になれるように、こういうことは書いてございますが、全ての方が公認会計士になっていただいてこれからも監査の業務に従事していただくということでもないというふうに思っております。
 例えば、新しく監査法人、外出ししたものができますし、あるいは、従来の監査法人でこれから農協に対する監査をやろうというところも出てくるかと思いますけれども、そういったところでとりあえずは監査のときの補助者として仕事をしていただく、こういうケースも当然あり得るというふうに思っておりますし、先ほど申し上げましたように、この監査士の方々も、全中あるいは県中の中の人事異動でもっていろいろな仕事をローテーションでやっていらっしゃる方々でございますので、監査以外の業務に従事をするということも当然あると思います。
 それから、この監査の体制、今回かなり変わることになりますけれども、その場合に、これから例えば、業務監査の方について義務づけはなくなりますが、末端の農協の方から見て業務監査を受けたいという需要がどのくらいあるのか、むしろ、業務監査を受けるよりも自分たちの中の内部監査の体制を強化したい、自分たちの中にきちんと経理を見ていろいろなことをチェックできる人を置きたいということであれば、従来農協監査士として中央会でやっていただいた方に農協の方へ移っていただくというケースもあるかもしれません。
 そういったことをトータルで、現在監査の業務に従事をされている方々が困ったことにならないようにきちんと配慮していかなければいけないというふうに考えております。
○井出委員 農協監査士をされていた方のこれからというのも、私も同じ思いで、しっかりとそこをフォローしていっていただきたいと思います。
 ただ、その一方で、これから新しい監査法人を外につくる。政府案でこれから求められているのは、やはり公認会計士の監査。これは、端的に言えば、独立性をきちっとした公認会計士の方の監査に移行していくと思うんです。
 農協監査士は、受験資格は問わないと書いてあるんですけれども、その中に、唯一、全中に所属をしていなければいけないと。その農協監査士が、これまで会計監査と業務監査の両方をやってきたんですね。
 私は本当に根本的なところを伺いたいんですが、これまでの農協の監査というものに、全中に所属をしていることが受験資格の条件になっている農協監査士というものが、果たして農協の監査を独立性を持ってやってきたのか。また、その方たちが一生懸命公認会計士にできる範囲で移行していって新しい監査法人をつくったときに、全く別の監査法人がある企業を監査しているような独立性を保った監査が、今までの経緯を見ると、これからも難しいのではないかなと私は思っておりますが、そこの見立てを伺いたいと思います。
○奥原政府参考人 これまでの農協法に基づく監査の体制は、県の中央会それから全国中央会、これは、監査の業務はもともと行えるようになっております。
 その上で、平成八年の制度改正で、外部監査として、二百億円以上の貯金量を持っている農協等には、会計かつ業務監査として、全中の監査を義務づけるということになりました。したがって、あくまでも今の制度のもとで監査を実施するのは中央会、そういう法制度でございます。そのために、監査士の受験資格としても、全中の職員であることというのはついているというふうに思っております。
 ただ、今回、全中監査機構を外に出して、公認会計士法に基づく普通の監査法人をつくっていただく、こういうことでございます。そこに移る方も当然いらっしゃると思いますけれども、移った方は、今度は全中の職員ということにはなりませんので、独立性はきちんと確保できるようにしませんと純粋な外部監査を行ったということになりませんから、そこはきちんとした体制をつくっていくということになると思います。
○井出委員 普通の監査法人に果たしてうまくなれるのかどうかというところは、一つの問題として提起させていただきたいと思います。
 実際、この農協の監査というものは、恐らくドイツなどの例を参考にされていると思うんですが、ドイツも、信用事業を行っている組合には銀行法を適用するとか、商法に基づいて監査団体による財務諸表等監査が義務づけられているとか、監査団体の理事は過半数が公認会計士であることが必要とされているとか、現行制度を比較しても若干日本と違いがあるのではないかなという思いでおります。
 これから公認会計士の監査にかわっていくわけでありますが、農協と公認会計士業界といいますか団体といいますか、そのかかわりというものも少し見させていただきたいと思うんです。
 今の全中の監査機構、その監査委員長をお務めの方は、ある大きな監査法人のトップの方がお務めになられている。この監査機構は平成十四年に設立をされまして、今の方が三代目に当たるんですが、お三方とも、同じ大きな監査法人のトップやしかるべき立場から監査機構の監査委員長になられているといういきさつがあるということは聞いております。
 これは何か理由があるのかないのか、御存じの範囲で教えていただきたいと思います。
    〔吉川(貴)委員長代理退席、委員長着席〕
○奥原政府参考人 全中の監査機構でございますけれども、あくまでも、法律に基づくというよりも、全中の内部組織でございます。ここの監査機構の委員長をどなたにするかはまさに全中の中の人事の話でございますので、これについて我々は詳細を承知しておりません。
○井出委員 あと、もう一つ伺いたいのですが、JAの監査機構、ホームページでいろいろなところを見ておりますと、監査の取り組み内容として、適切な監査を行っていくためにさまざまな取り組みをやっているんですが、公認会計士等専門家を活用していく、公認会計士と契約をしなければいけない、そういうことも現行法で決まっているかと思うんですが、実際に、今は農協法に基づく農協監査士が監査しているから問題ないんですけれども、公認会計士が監査をすることになってきたときに、岸本先生がおっしゃっていましたけれども、監査をする側とされる側の独立性というものが非常に問題になってくる。例えば、今私が申し上げました、ずっと同じ監査法人から農協の監査委員長が出てきている。
 もう一つ私が伺いたいのは、公認会計士三十名と契約をしている、その契約というのもどういう形でやっているのか。これが、ある程度、例えば、公平性といいますか、いろいろな監査法人を見てやっていただいているのであれば、これから先農協の監査改革というものを進めていく上ではいいのかなと思うんですけれども、この三十名の契約も、例えばどこかに偏ってしまっている、そういうような事情があるのかないのか、御存じであれば伺いたいと思います。
○奥原政府参考人 全中と公認会計士の方の契約でございますけれども、要するに、いろいろな監査法人の方が全中の監査機構の方に来ていただいて、実際に現場に監査に行くときに同道していただくこともありますし、それから、農協監査士が中心となって監査したものについて、それをいろいろな形でチェックしたり指導していただく、こういうことをやっていただくための契約を結んでいるということでございます。
 そのときに、一つの監査法人からということではなくて、複数の監査法人から公認会計士の方に来ていただいている、こういうことでございます。ずっといらっしゃるということではなくて、時々もとのところに戻られるということも当然ございますので、そういう意味では、一般の監査法人の公認会計士の方で農協の監査に何らかの形で従事をした方はだんだんふえている、こういう状況にもあるというふうに思っております。
○井出委員 今、複数のところから来ていただいているというお話で、いろいろチェックや指導をしてもらっているということでしたけれども、これからの監査というものは、今までは農協監査士が農協について、会計監査と業務監査、いわゆる普通の会計の監査の方とコンサルと言われる部分をやってきたかと思うんですけれども、これから公認会計士の監査をするとなると、業務監査、コンサルティングというものは、むしろ会計監査としてはしてはいけない領域に入ってくるのでは、そういう問題提起をさせていただきたいと思います。
 一般的に、会計監査の監査人が監査をしたときに、独立監査人の監査報告書というものを出して意見を述べるんですが、財務諸表等をチェックして、何か誤りがあったり、間違いを是正するとか、そういうことは監査人としての仕事だと思いますが、何か業務の改善を求めるとか、そういうことはこれから外れてくると思いますが、そこのところはそういう認識でいいのか、認識を伺いたいと思います。
○奥原政府参考人 基本的に、今回の法改正で、会計監査については、公認会計士、監査法人の監査を義務づけるということになりますが、業務監査の方については全て任意になりますので、普通の民間組織と同じように、自分が必要であると判断したときに必要なところに頼んでいただくというだけの世界になります。
 そういう意味で、常に業務監査を受けなければいけないということはなくなるわけでございますが、受ける方の立場からして、会計監査と業務監査的なもの、場合によってはコンサルが入るかもしれませんけれども、そういったものを同時に受けたいというニーズがあった場合にどうするか、これが一つ問題になってまいります。
 これは、公認会計士法の中で、上場企業等につきましては、監査法人が一つの監査の対象に対して、監査業務とそれからそれ以外の、例えばコンサル業務を一緒に提供してはいけないという規定がございます。これは、特にエンロン事件の後、規制として導入されたものですけれども、経営の指導のようなことをやっていますと、自分が指導した経営についての会計のチェックはどうしても甘くなるということで、同時提供は禁止をするということが決められております。
 ただ、この対象に協同組織は入っておりませんので、法律的に言えば、農協は、一つの監査法人から会計監査と業務監査、コンサル的なものを同時に受けるということも法的には可能になります。
 ですけれども、公認会計士協会に今度の外出しした監査法人も属するということになりますので、公認会計士協会の内部のルールには当然従わなければいけません。
 そこにつきましては、同時提供を完全にしてはいけないということではありませんけれども、一定の独立性を保つルールを守っていただくというようなことが内規で決まっておりまして、例えば、監査をする方のチームとコンサル的なことをやる方のチームは人を完全に分けるとか、いろいろなルールが決まっておりますので、これは農協のニーズが、会計監査と業務監査を同時にやってほしいというニーズがどれだけあるかにもよりますけれども、ニーズがかなりある場合には、それをどういう形で提供するか、それについては公認会計士協会とも今後よく協議をしていく必要があるというふうに考えております。
○井出委員 協議をされていくというお話なんですが、公認会計士、監査法人が、業務監査の部分、コンサルティングを法的には今できるとおっしゃいました、協会に内部のルールがあると。
 公認会計士の側からすれば、法的に認められていたにせよ、今までやってこなかった、ましてや、エンロン事件、ワールドコム事件の後、日本でも日本版SOX法というのがたしか二千何年かにできて、そこのところが厳しくなって、たしかエンロンやワールドコムの事件があったとき、アメリカの大きな監査法人も、世界一大きい監査法人も潰れている。
 それだけ、今局長がおっしゃられた、公認会計士、監査をする側が監査を受けるところの業務にかかわるということは、公認会計士にとっては大きなリスクになると思いますし、私は、業務監査をやってくれと言われても、それは、普通の公認会計士だったらまず受けないと思います。
 ここで業務監査というものはもう事実上なくさざるを得ない、それぐらいの今転機なのかなと思っておりますが、いかがでしょうか。
○奥原政府参考人 先ほど申し上げましたように、今回の法改正では、業務監査の部分については、完全に規制をなくしておりますので、もう完全に、受けるか受けないかは自由でございます。ですから、業務監査を受けてくださいというふうに国の方からお願いする気も全くございません。
 ですから、末端の農協の方から見てそういうニーズがあるかどうかということだけでございますし、ニーズがあるとしても、それを同じ監査法人から同時に受けなきゃいけないのかという問題もあるわけですね。
 監査はある監査法人にやっていただいて、コンサルは別のところに頼むということも当然あります。
 特に、コンサルとしてこれから想像されますのは、要するに、販売をもっと強化していくために、例えば、自分のところはこういうふうに六次産業化に取り組みたいのでそのノウハウを持っているところにいろいろコンサルで見てもらいたい、あるいは輸出を拡大したいのでその能力があるところに見てもらいたい、こういうことになったときに、監査をやるところに同時にコンサル的なことをお願いするということになるのかどうかという問題もございます。そういうふうに理解をしております。
○井出委員 業務監査の部分は、任意、自由になります。ですから、国の方で業務監査を勧める必要もなくなってくる。それはおっしゃるとおりだと思うんですけれども、どうなんでしょうか、これまでやってきた業務監査はこれからの農協には残念ながらこの法改正をもって必要はなくなります、そういうことなんでしょうか。
○奥原政府参考人 今の業務監査の中身がどのようなものかということにも関連をいたしますけれども、先ほど小山先生の資料の中にも入っておりましたが、現在の全中のやっている監査の中で、業務監査で指摘をされている事項といいますのは、要するに、農協の内部統制の補完的な仕事でございます。本来であれば、農協の中の監事、あるいは内部統制をやっている部署がございますから、そういったところが本来きちんとやるべきことですね。
 法令違反がないかどうかとか、それは自分たちでやはり日ごろからチェックをしなければいけない。ですから、ほかの民間組織については業務監査の義務づけはないということでございます。
 ただ、農協の場合には信用事業等もやっておりますし、農協は協同組合ですから、行政の監督、検査もございます。だから、行政の検査が入ったときは当然そういうものもチェックをすることになりますので、そういうものとして、農協はこれからどうするか、自分たちで御判断いただくということになると思います。
○井出委員 今、業務監査はこれまでどういうものをやってきたのかというところのお話がありまして、私も、「JA全国監査機構における業務監査結果の事例」というものを見てきたんですね。それをぱらぱらとめくっていると、確かに、補完的と申しますか、もう少し悪く言っちゃいますと、どこの農協にも言えるようなことが並んでいるだけではないのか、そんな印象すら持っているんです。
 ただ、一方で、地域の農協がこれから切磋琢磨をして、地域の農協が活力を持ってやっていくという部分では、コンサルティング、誰かに指導を受けなければいけないという話ではありません、自分たちでアイデアを出してやっていくことも重要な部分だと思うんですけれども、ここの部分をどうするかという議論はしっかりと考えていただきたいと思うんですね。
 業務監査、今までやってきたけれども、自由にします、こちらからは言いません、中身を見てきても補完的です、そこまでで終わってしまったら、では、地域の農協はどうなっていくのか。地域の農協の活性化に資する一番重要なブレーン、アイデアの部分だと思うんですけれども、そこをどうしていくかということについてお考えを伺いたいと思います。
○奥原政府参考人 そこは農協の役員体制の問題とも絡んできている問題だというふうに思います。
 農産物を有利に販売していくというためには、やはり担い手農家の方々の御要望もきちんと踏まえた上で、自分たちのところの農産物をこれからどういうふうにして売っていくのか、地域によって農産物も違いますし、市場との距離も違うでしょうから、これはそれぞれのところで本当によく考えなきゃいけないと思います。
 どうやれば有利に販売ができるかという販売方針をきちんと担い手の意向を聞いて立てていく、これを立てて、実行できる方をその役員の中にちゃんと入れていくというのが、そこの理事の要件のところの考え方です。
 その際に、役員だけではなくて、方針は大体決めたけれども、やはりプロの人にもっと見てもらって、アドバイスもしてもらって、例えば、六次産業化をもっと進めたい、あるいは輸出を拡大したい、こういうことが当然ございます。そのときには、そういう専門能力を持っているところにコンサルの相談をするということは当然あり得るわけです。
 従来は業務監査も当然のように全中の監査として受けていたわけですけれども、そのコストは今回なくなるわけですので、本当に必要なときに必要なコストを払っていただいて、能力のあるところにそのコンサルを頼んでいただく。これは、その農協自身の販売方針をこれからどうするか、それをどうやって実現するかという全体の中での流れで考えていただくべきテーマだというふうに思っております。
○井出委員 今、今までの監査に対するコストが振り向けられるというようなお話もありましたけれども、一方で、会計監査というものはきちっと受けていかなければいけないと思いますし、私は、今回の監査の改革というのが、まず、公認会計士の監査に移行していく、これは独立性という意味では一つの改革なのかなと思いますけれども、冒頭に申し上げた農協監査士さんの、これからまた新たにできる監査法人がどうなるかというところもありますので、そこは疑問符を持っております。
 もう一方で、今申し上げた業務監査の部分が、業務監査は自由になっていく、今おっしゃった、農協ごとの、六次産業化に対する取り組みですとか、そういうところでやっていくというお話だったんですけれども、私は、農家のため、組合員のための改革であれば、今局長がおっしゃった最後の取り組みの部分をどうしていくのか、国が何ができるのか、それが改革の本丸であって、監査の権限をなくしました、それがこの農協法の目玉に、イの一番に項目として挙がっているようでは、私はまだまだ本当の農家のための六十年ぶりの改革とは言えないと思いますし、地域の農協がどうやっていくかというところの議論がまだ残念ながら足りていないと思っているんですけれども、どうでしょうか。
○奥原政府参考人 監査の話も当然今回の農協改革の重要な要素ではありますけれども、それが一番大事なところかといえば、必ずしも我々はそうは思っておりません。やはり一番重要なのは、地域の農協のところで農産物の有利販売に向けて本当に全力を挙げていただく体制をどうつくるのか、これとの関係で全てができてくるということだと思っております。
 そういう意味では、この農協法の目的規定のところ、営利を目的として事業を行ってはならないというのをなくして、農業所得の増大を入れる、それから、収益性を高めてこれを将来への投資や利用高配当に向ける、こういう規定を入れた。これで関係者の意識をきちんともう一回整えていただいて、皆さんが農産物の有利販売に取り組むような姿勢を持っていただく。その上で、役員体制のところについても、担い手の方、それから販売能力のある方を理事の過半に入れていただいて、そういうことが実行できる体制をきちんとつくっていく、こういうことを入れているわけでございます。
 そういった方々がきちんと前向きにいろいろな仕事をやっていこうと思えば、当然コンサルを必要とすることも出てくるでしょう。自分たちでできることもあるかもしれませんので常にコンサルが必要だとは思いませんけれども、そういう場合に必要があればコンサルを使っていただく。
 この全体があって初めて今回の農産物の有利販売に向けた改革が進んでいくということだろうというふうに思っております。
○井出委員 今、農協法の目的も変わると。今までより少し、荒い言葉で言えば、頑張って稼いでいこう、そういう方向になると思うんです。
 少し監査の法律論の方に戻りたいんですが、先ほども少し申し上げたんですが、公認会計士、監査法人というものは、監査される側とする側で独立をしていなければいけない。そのときに、新しい監査法人がどういう性質のものになるのか、もう少し議論をしたいんです。
 この法律の提案理由説明のときに、安定的に信用事業を継続できるようにするために会計監査を義務づける、そういう趣旨の説明があったんですけれども、この趣旨説明も、監査法人や公認会計士の監査は、最初にも申し上げたんですけれども、安定的に信用事業を継続できるようにするために、そこまで公認会計士はかかわってはいけないと私は思うんですよ。
 信用事業の、さっきも申し上げましたけれども、財務諸表など、間違いなどをきちっとチェックしていくために公認会計士というのはなければならなくて、法律の提案趣旨の中で、安定的に信用事業を継続できるようにするために公認会計士を導入するというのでは、そこは私は間違っていると思います。
 私は、今までの農協の監査がやはりほかの監査に比べると少し内部的なものだったのかなという思いもあるんですよ。それを引きずっているんじゃないかと思って、ここの提案理由説明、ここは公認会計士の考え方と相入れないのではないかと思うんですけれども、ここをもう一度はっきりさせておきたいと思います。
○奥原政府参考人 信用事業を安定的に実施していくためにという、この言葉の趣旨でございます。
 平成八年に、これは信用金庫、信用組合を含めまして、外部監査を導入するということになりました。信金、信組も、公認会計士、監査法人の監査を義務づけられるということになりました。
 このときに、では、農協についてはどうするのかということが相当議論になりまして、当時農林省と、それから当時金融庁はまだできておりませんでしたので大蔵省銀行局ですけれども、そこと相当な調整があった結果として、最後の決着は、全中監査を義務づけることによって外部監査にするということになりました。
 ですが、その後も、全中がやる監査については純粋な外部監査とは言えないのではないか、要するに、監査を受ける方が全中のメンバーとして金も出しているわけでございますので、そこの監査は純粋な外部監査とは言えない、したがって、きちんと会計書類が点検されていないのではないかという疑いもある、こういう指摘が外部からいろいろなされております。
 特に、平成二十年には公認会計士協会の方からもこういった意見書が出されておりまして、全中の監査では純粋な外部監査とは言えないので、これは早急に公認会計士の監査に切りかえるべきであるという意見も出されたところでございます。
 こういった批判が次々に出てまいりますと、これから先、信用事業を健全に運営するということが難しくなっていく、そういう可能性もあるというふうに考えているわけでございまして、こういった外部監査としての中身をきちんとするというのが今回の改正の趣旨です。
 疑いを持たれている全中監査ではなくて、純粋な監査法人の監査に切りかえて、会計書類については適正にきちんと点検をされている、会計書類の数字は信用できるものであるという前提でそれぞれの農協が判断できる、あるいは預金者の方も判断できるという状態をつくるということでございますので、それ以上のものではございません。
○井出委員 公認会計士の監査の方にきちっと切りかえる、そういうお話が今あったんですけれども、そうしますと、冒頭私は、ちょっと岸本委員と考えの方向性が違うものの、農協監査士についていろいろ聞いてきたんですが、農協監査士の方が公認会計士に受かったら、公認会計士としてできるだけ速やかに仕事ができるようにしようですとか、その経過措置ですね、公認会計士の側からすれば、一体どういうことなんだと。
 平成二十年の公認会計士の意見もそうだったと思うんですけれども、果たして農協の監査というものを公認会計士がやっていけるのかどうかというところは、公認会計士の側からすると、今なお大きな不安と疑念があると私は承知していますけれども、そのあたりはどうでしょうか。公認会計士側の声について、どういう認識を持たれているか。
○奥原政府参考人 質問の御趣旨は、公認会計士や監査法人の側が、農協の監査がうまくできるかということでございましょうか。
 そこにつきましては、現在、公認会計士の方は、当然、いろいろな企業の監査をやっていただいております。これはいろいろな業種があるわけでして、信用事業、金融のところだけではございません、いろいろな業種があります。農産物の販売をやっているような会社もあるし、スーパーもありますし、いろいろな業種の監査をそれぞれ経験されていると思いますので、それと比べて農協がやっている仕事が特別に全然違うという話ではないというふうにまず思っております。
 ただ、農協法という法律がございますので、農協の特性みたいなところはありますから、そこは、三年六カ月の経過期間がありますので、この間に、監査法人あるいは公認会計士の方々に、農協の仕事の仕方は基本的にこうなっているということを勉強していただくような機会も我々はつくらなきゃいけないと思っておりますので、そういった準備活動をこの三年六カ月の間にきちんとやる。
 特に、公認会計士協会や全中や金融庁も入れまして協議の場もつくることにしておりますので、そういったところで、三年六カ月たってこの部分が施行されたときにきちんとした対応ができるように準備をしていく、こういうことだと思っております。
○井出委員 実際、既に私が公認会計士の関係の方から伺っているのは、実際に農協監査士を監査法人が受け入れをして、職業訓練とでもいうんですか、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、そういうことをやっているという話も聞いているんです。
 ただ、やはり公認会計士の側からすると、本当に大丈夫かという、むしろ反発に強いぐらいの疑念の中から今受け入れをされていて、実際にオン・ザ・ジョブ・トレーニングをやってみても、本当にやっていけるのかというところは大きな疑念が残っているということをいろいろな方から伺ってきているんです。
 私は、農協の監査を公認会計士にしていこうという方向性は、それは一つの道だと思うんですけれども、経過措置またはその協議の場で、果たして本当にそういう道になるのかと。
 農協が今までやってきた部分を残して、何かほかの監査法人が、将来的にはほかの監査法人が農協の監査をやるようなことも出てくるかもしれませんよね、そういうものがしづらい、新たな監査法人をつくったんだけれども、やはり農協は農協のためだけの監査の環境しかならないよね、そういうことになるような大きな不安を引きずってのスタートになりかけているんじゃないかと思いますけれども、そのあたりの展望をもう一度お願いします。
○奥原政府参考人 そこは、そういうふうにならないようにこの準備期間をきちんと過ごしていくということだと思っておりますので、法律が成立をした暁には、当然、協議の場をすぐにつくってその検討を始めますので、始めて、三年六カ月後にきちんとした体制で、要するに、外出しした法人も、公認会計士法に基づいて適正な、独立性を保った形で仕事ができるような仕組みをきちんとつくるということで調整をしていきたいと思っております。
○井出委員 監査の改革、移行というものも、今お話をしたように、まだまだ幾つか越えなければいけない課題というものがあるかと思いますし、そして、その本丸は、私が途中で質問して局長からもお話をいただいた、地域の農協がどうやって元気に農業をやっていくか、そこだと思いますし、そこの議論が尽くされないまま、この法案が、確かに分厚い条文で大改正だと思います、ですけれども、その一番は、この法律ができて、組合員の方も、また農家の方が農業をしやすくなる、そういう改革でなければいけないと思いますし、そのためには、まだ少し、少しじゃないですね、たくさんの議論が必要かと思いますし、まだ道半ばかと思いますが、最後に大臣に思いを伺いたいと思います。
○林国務大臣 非常に専門的な立場から監査のところを中心に御質疑いただきましたが、まさにこれを決めるに当たって、与党自民党内でも今のような議論をして、この間まとめた与党取りまとめというのも、そういうことも踏まえて、関係省庁、日本公認会計士協会、全国中央会による協議の場を設けるというふうにしまして、それが附則にきちっと明定されておりますので、そういう場をしっかりと活用しまして、今お話のあった御懸念がないようにする。
 また、何よりも、これは手段であって、目的である農家の所得をふやしていく、このことについては、これだけではなくて、全体の改革を統一的に推進することによってしっかりと実現を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
○井出委員 終わります。どうもありがとうございました。
○江藤委員長 次に、斉藤和子君。
○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。よろしくお願いいたします。
 農業委員会法の改正問題について質問をいたします。
 農業委員会法の改正を進めてきたのは、二〇一三年一月に設置された、住友商事相談役岡氏が議長を務める規制改革会議でした。
 第一回の規制改革会議で安倍総理は、規制改革は安倍内閣の一丁目一番地と強調をし、二〇一三年の九月十九日の規制改革会議で、農地中間管理機構の創設に関する規制改革会議の意見を取りまとめ、その中で、「今後の課題について」として、「下記に掲げる事項をはじめとする抜本的な改革に早急に取り組む必要がある。」として、このように書いています。「(一)農業委員会の在り方 今回の新制度において、農業委員会の法的な関与は求めないこととする一方、そもそも農地制度における農業委員会の果たすべき機能及び組織の在り方について、早急に検討を開始すべきである。」としています。
 この日の規制改革会議では稲田大臣が、私はやはりここの今後の課題の中の農地法そのものが一体どうなのか、農業委員会のあり方とか農協のあり方もそうなんですけれども、農地法自体、それはどうなんでしょうか、今、戦後のそれこそ総理がおっしゃっている戦後レジームの中でできているこの農地法が機能しているんですかという根本的なところをぜひ検討していただきたいと話されています。
 もともと、農業委員会からは改正をしてほしいという要望は出ていません。逆に、反対の声の方が充満している。
 このもとで、安倍政権によるこの改正というのは、安倍政権が進めている戦後レジームからの脱却、この一環としての農業委員会法の改正だと理解してよろしいでしょうか。
○林国務大臣 安倍内閣においては、農業を成長産業として地方創生の核としていくために、農林水産業・地域の活力創造プラン、これをつくりまして、農政改革を進めてきたところでございます。
 農政改革が、時代の変化、環境の変化に応じて成果を上げていくためには、政策面の見直しに加えて、政策を活用する経済主体等が積極的に活動できる環境を整えていく、これが必要不可欠でありまして、今回の農業委員会改革もその一環として行っているものであります。
 平成二十五年十二月に、先ほど申し上げました農林水産業・地域の活力創造プランを決めさせていただいておりますが、実はここに、農業の成長産業化のための施策を定めるとともに、農業委員会についても翌年六月に向けて見直しの議論を進める、これが既にそこに明記をされております。
 その後、政府・与党で議論が進められて、昨年六月に与党取りまとめであるとか、それから日本再興戦略ということが決まっておりますが、そこで農業委員会の改革の方向性が示されて、これらを踏まえて、ことしの年初だったと思いますけれども、さらに検討を加えて、今回の法案を提出したということでございます。
 今御指摘の規制改革会議でございますが、昨年五月に意見というものが出ておりますが、ここは内閣総理大臣の諮問機関でございますので、内閣総理大臣に直接諮問に応じて答申を出すということの性格でございますので、今回の法案を見ていただくとわかりますように、先ほど申し上げた経緯で法案はつくっておりますので、規制改革会議の意見とは、この法案は異なっているところもある、こういうことでございます。
○斉藤(和)委員 ところもあるということなんですけれども、ちょっと先に、先ほど言った二〇一三年の九月十九日の規制改革会議、その二カ月後、十一月二十七日の規制改革会議で今後の農業改革の方向性についてというのが決められます。
 そこで、「農地の権利移動に係る許可や農地転用に係る意見具申、農地の適正利用の監視・監督に係る措置といった農業委員会の業務における重点の見直しを図るとともに、委員の構成や選挙・選任方法、事務局体制の整備等についての見直しを図るべきである。」というふうに、今回の改正の大筋が明記をされています。
 この日の規制改革会議で岡議長が、総理を含めた関係者の農業改革をしなければいけないという意識は大変強いものがあると私自身も認識しておりますので、ぜひ我々規制改革会議でも、今、金丸座長からも御指摘がありました、農業委員会なり、あるいは生産法人の資格要件、農協問題について、目指すべき農業にとっての阻害要因は大いに変えていこうと、これから積極的に取り組んでいきたいと思いますというふうに言われています。
 まさに総理の、諮問機関と言われましたけれども、意向に沿うように、今回の農業委員会法の改正を進めるというふうに明らかにしています。
 そして、その規制改革会議は、六カ月後の二〇一四年、昨年の五月二十二日に、先ほどありました農業改革に関する意見を取りまとめ、そこで今回の農業委員会法の改正の詳細な事項と方向性が打ち出された。
 林大臣が、その三日前の五月十九日、林大臣自身も出席されていた産業競争力会議課題別会合が開かれ、そこで農業改革に関する意見が説明をされて、それに対して林大臣は、問題意識は共通する、規制改革会議の意見については、稲田大臣と協力してしっかりとまとめていきたいと、規制改革会議の意見を法制化することを表明しています。
 しかも、この会議に出席していた安倍総理も林大臣に対して、林農林水産大臣には、今が農政転換のラストチャンスとの認識のもと、以上の改革について、官房長官と調整して実行していただきたいというふうに指示を出されています。
 林大臣、今回の農業委員会法の改正というのは、まさに安倍総理の意向を受けた規制改革会議が取りまとめた意見を法制化、違う点もあると言いましたけれども、やはりこの意向を本当に受けて法制化したものだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 もちろん、内閣でございますから、最終的には総理のリーダーシップのもとで内閣として一体である、これがまずあるわけでございます。
 地域の活力創造本部で農林水産業・地域の活力創造プランを決めさせていただいた、こういうふうに申し上げましたが、その活力創造本部の本部長は総理でございます。したがって、産業競争力会議ですとか規制改革会議、またこの活力創造本部がいろいろな議論をして、そして最終的に、政府全体としては、当然でございますが、法案の決定というのは閣議決定でございますので、総理の責任のもとで最終的に政府として行うということでございます。
 私が申し上げておりますのは、規制改革会議はあくまで諮問機関であるので、諮問機関である規制改革会議の意見を受けて総理がどういう御指示をされるかということは、これは、規制改革会議は諮問機関としての役割をそこまで果たした上で総理の御判断ということになるわけでございます。
 今、多分議事録だと思いますが御披露いただきましたけれども、総理の指示ということでその場で出たわけでございますので、私は、規制改革会議の意見をそのまま全部法案化するというふうに申し上げたつもりはございませんが、総理の指示として受けとめて、しっかりとそれをまとめていく、官房長官がこの調整に当たるということでありましたから、しっかりと政府部内でまとめて、そして法案化をした、こういうことでございます。
 規制改革会議の意見は、例えば、農業委員の過半数を認定農業者とする、こういうことはございませんし、また、あらかじめ地域から推薦を求め、募集を行う、こういうことも入ってございませんが、法案では入っております。
 また、農業委員会をサポートするネットワーク機構として指定法人に都道府県農業会議や全国農業会議所がなっていくということも、規制改革会議の意見では、こういうところは廃止するというふうになっておりますので、そのまま規制改革会議の意見が法案になったということではないということでございます。
○斉藤(和)委員 規制改革会議がそのままではないというのは、ただやはり、総理の意向に基づいて改革を進めるといった内容であるということには私は変わりがないというふうに思います。
 しかも、一番の根幹である公選制というところは、この会議の中でも非常に追求されていた問題で、その核は残っているわけでありまして、そうしたことからいっても、この規制改革会議の影響力というのは非常に大きく受けているというふうに捉えられると思います。
 先ほど、二〇一四年五月十九日の産業競争力会議で安倍総理は、地域の農業の担い手の経験と企業の知見が結合し、農地が最大限有効に活用されて、力強い農業活動が展開されるように制度改革を進めていきたい、このため、農業委員会の見直し、農地を所有できる法人の要件見直しについて具体化を図っていきたいと述べています。
 また、同じ会議で、産業競争力会議の農業分科会主査でローソン代表取締役の新浪さんは、意欲ある農業の担い手と企業の英知と人材を総動員した農業の産業競争力を強化することが改訂成長戦略の核であるとしています。
 農業改革に関する意見でも、既存農業者や新規参入者、農業団体や企業などの意欲ある主体が、地域や市町村の範囲を超えて精力的な事業展開を図るなど、新しい道を積極果敢に切り開いていく必要があるというふうにしているわけです。
 これらに共通するキーワードというのは、担い手と企業だというふうに読めます。
 これからやっていく農業の成長戦略化、この推進役はまさに担い手と企業である、この考え方に間違いありませんでしょうか。
○林国務大臣 それは、新浪当時座長でしょうか、がおっしゃったことというふうに御紹介いただいたということだと思いますけれども、我々としては、農業基本法とか基本計画に基づいて、担い手を中心とした方々が農業の大半を占める構造を確立していく、これは法律で定められて、基本計画で追求すべき姿ということでございますので、我々としては、その法律や計画に基づいてやっていくということが基本的なスタンスであると考えております。
○斉藤(和)委員 企業ではなくて担い手なんだと。要件緩和も含まれていますので、企業というのがこれから入ってくるだろうということは容易に想像がつくわけです。
 そこで、具体的に法改正の中身について質問をいたします。
 まず、農業委員会の公選制の廃止についてです。
 規制改革会議の農業改革に関する意見では、より実務的に機能する者を選任することができるよう選挙制度を廃止し、選任委員に一元化する、また、制度の中立的で健全な運用を担保するため農業団体などからの推薦制度を廃止する。
 さらに、規制改革に関する第二次答申では、現在の農業委員については、名誉職となっているのではないか、兼業農家が多いのではないかなどの指摘がある、したがって、農業委員会の使命を的確に果たすことのできる適切な人物が透明なプロセスを経て確実に委員に就任するようにするため、選挙制度を廃止するとともに、議会推薦、団体推薦による選任制度も廃止するとしています。
 今回の公選制の廃止というのは、まさにこうした理由があるのでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 いろいろなところでいろいろな御意見を賜っておりますので、その一つの御意見であろう、こういうふうに思いますが、二十六年六月、先ほど御紹介いたしました与党の取りまとめというのをいただいておりますけれども、選出方法については、適切な人物が透明なプロセスを経て確実に就任するようにするため、市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制に変更し、その際、事前に地域からの推薦、公募等を行えるようにする、こういうものを与党の取りまとめとして示されておるところでございます。
○斉藤(和)委員 ちょっとここでお聞きしたいんですけれども、逆に、では何でこれまで公選制が農業委員会においてとられてきたのか。
 衆参両院、私たち議員もそうですが、都道府県、そして市町村議会議員の選挙と同じように、公職選挙法が準用されてこの農業委員の公選制は行われてきました。公選制がとられてきた理由というのは、なぜなんでしょうか。
○林国務大臣 農業委員会は昭和二十六年に各市町村に設置されたものでありますが、農業全般にわたる問題を農業者が自主的に解決していくために、それまであった三つの委員会、すなわち農地解放による農地の売り渡しを行った農地委員会、それから農業者から食糧の供出を行った農業調整委員会、農業者への技術指導を行った農業改良委員会、この三つの委員会を統合してできたというものでございます。
 そのときに、母体となった農地委員会それから農業調整委員会が選挙制をとっていたということもありまして、農民の代表である農業委員の選出に当たって選挙制を採用したということであります。
 また、ちょっと歴史の勉強になりますが、農林水産省としては、その後、昭和三十一年でございますが、選挙制を廃止して、首長の任命制とする改正法案、これを提出したところですが、当時の野党の反対により選挙制が維持された、こういう経緯もあるそうでございます。
○斉藤(和)委員 要は、農地というのはほかの土地と違って、農地の権利の移動や転用というのは一定の制限がかかっています。そこに介入する、それが農業委員だからこそ、農業者の代表者であり、農業者そもそもに納得してもらえる、そのためにやはり公選制は不可欠だったからこそ、先ほどもありましたけれども、公選制が、廃止を提案されたけれども結局否決をされて、この間ずっと維持されてきたということだと思います。
 二〇〇三年の農業委員会に関する懇談会の報告書においても、農業委員会は公選制を基本に制度が構築され、現在その役割を発揮していることなどを踏まえれば、直ちに公選制の見直しを判断し、結論づけることは困難だというふうに指摘をしています。
 それを、実務的に機能する者を選任することができるようにするということで廃止するというのは、私は、非常に乱暴な議論ではないかと思うんです。
 現在、農業委員は七五%が公選制で、要は選挙によって選ばれています。
 無投票が多いといっても、現在の市町村議会選挙でも無投票当選がふえ、現在の与党、自民党や公明党さんの市町村議会も、無投票当選されている方も多くいらっしゃいます。だからといって、議員の権威が損なわれているかといったら、そんなことはないと思うんです。
 市町村議会選挙で無投票当選が多くなったからといって市町村長の任命制にしようとしたら、国民世論は大問題になって大変なことになると思うんですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 地方議会の議員との比較でございますが、地方議会の議員は地方自治の基本を形づくるものでございまして、地方行政をその地方の住民の意思に基づいて行おうという住民自治の原則がありまして、憲法において、住民が直接選挙することが定められております。憲法第九十三条でございます。
 これに対しまして、地方公共団体における独立行政委員会は、特定の分野についての専門的な知識が必要、こういった事情から、法律に基づき設置をされております特定の分野の執行機関でございますので、その委員の選出方法はそれぞれの委員会ごとに異なっておりまして、公選制を採用しているのは、現在の農業委員会と海区漁業調整委員会のみでございます。
 したがって、どういう仕組みにするかは立法論、こういうことになるわけでございます。
 農業委員会の委員の選出方法と地方議会、これは憲法の九十三条に原則が定められております、この選出方法を同じに論ずるのはなかなか難しいものと承知をしております。
○斉藤(和)委員 確かに役割は違います。ただ、住民自治ということと、農民の代表者である、土地との関係で、農民から信頼される人という代表者を自分たちで選ぶ、ここにやはり公選制の大きな位置づけ、意味があったと思うんです。
 農業者の代表機関として農業者が自主的に運営する趣旨から、市町村長から独立した執行機関とされ、その指揮監督を受けることはないというふうにされていますけれども、これが、公選制が外されて、農業委員が市町村長の任命制になれば、この独立性さえ奪われることにならないか、そういう懸念があるんですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、法律でそれぞれ定められておりますので、公選制を採用しておりますのは農業委員会と海区漁業調整委員会のみだ、こういうふうに申し上げましたけれども、それ以外の独立行政委員会において、委員が独立性を欠いているという御指摘は余り聞かないわけでございまして、公選制を採用しているからといって独立性があって、これがなければ独立性がない、こういう議論ではないのではないかというふうに考えております。
○斉藤(和)委員 実は、公選制をやめたのが教育委員会です。一九五六年に教育委員も任命制になりました。これで実は問題も起こっています。
 例えば大阪では、橋下徹大阪市長が、府知事時代に、大学時代の友人である方を府立高校の校長に任命し、その後教育長になりますが、パワハラ問題などさまざまなトラブルを起こして大問題になりました。このようなことが起こらないとも言えません。あの池上彰氏も、教育委員会の委員の選出を公選制に戻すべきだと主張をされています。
 問題は、先ほど来言われている独立性の問題であって、教育委員会は公選制から任命制に変わったことによって、独自に教育予算案をつくる権限を奪われました。農業委員会の予算も、現在、独自の行政委員会として、時々の市町村財政に左右されずに適正な法令事務を遂行するために、交付金として措置をされています。
 これまでも、地方分権改革推進会議の「事務・事業の在り方に関する意見」でこの交付金の一般財源化というのが繰り返し主張されていますが、大臣、行政委員会の独立性を確保するという点で、農業委員会の交付金制度はきちんと堅持されますでしょうか。
○林国務大臣 まず、橋下市長、知事のお話がありましたが、個別の事案についてコメントするのは差し控えたいと思います。せっかく維新の先生方がおられますので、維新の先生方にお答えいただく方が適当か、こういうふうに思っております。
 教育委員会以外にも、人事委員会、公平委員会、公安委員会、労働委員会等々、選任を首長さんがやっている例というのはほかにもたくさんございますので、制度的に、こういうところで全て今御指摘のような問題があるということではないのではないかというふうに考えておるところでございます。
 それで、農業委員会の交付金でございますが、現行の農業委員会法では、農業委員会の委員の手当、それから職員の人件費については、国の義務的経費ということで農業委員会交付金で措置をしております。
 今般の改正では、農業委員会がその主たる使命である農地利用の最適化、これをよりよく果たせるように、合議体としての意思決定を行う農業委員とは別に、農地利用最適化推進委員を新設するなど、体制の強化を行うこととしております。
 したがって、今般の改正においては、農業委員会交付金の対象にこの農地利用最適化推進委員も追加をしまして、同交付金の制度については維持することといたしまして、改正後の農業委員会法第二条一項にその旨を明記しておるところでございます。
○斉藤(和)委員 さまざまなものがどんどん公選制でなくなって、任命制にされてきた。しかし、農業委員会はこれまで公選制がとられてきた。そこには私は重い意味があると思うんです。
 ちょっと話を進めますが、農業委員会の農業委員は、委員の過半を認定農業者でなければならないとするとともに、農業委員会の事務に関し利害関係を有しない者が含まれるようにしなければならないというふうにされています。
 しかし、現在の公選制の農業委員の過半数は専業農家です。もう十分に私はこの要件を満たしていると思うんです。
 また、農業委員会の委員の定数を削減するわけですよね。推進委員をつくりますけれども、農業委員自体は半減する。その中に、あえて、利害関係を有しない者を加えるということは、私は逆に農業委員会の機能を弱めることになるのではないかと。
 なぜ、あえて、利害関係を有しない者を農業委員会に加えるんでしょうか。
○林国務大臣 農業委員会、今御指摘があったように、農地に関する市町村の独立行政委員会でございまして、農地の権利移動の許可、農地転用許可に関する意見具申等を行っておりますので、公平公正な判断が強く求められるということでございます。
 平成二十四年に行ったアンケートによりますと、農業者の約半数が、農業委員会については農業分野以外の人の意見を反映させるべきだ、こういうふうに回答をしておられます。ちなみに、農業者の方は、そういうお答えが五一%、農業以外の人の意見を聞く必要はないは二四・九%ですが、これが、農業委員会事務局になりますと、聞く必要はない四九・一%、もっと聞くべきだが二七と、やはりギャップがあるわけでございます。こういうアンケートでも、農業者の皆さんからそういう意見が出ているということがわかるわけでございます。
 したがって、市町村長は、委員の任命に当たって、今御指摘いただいたように、農業委員会の所掌に関する事項に関して利害関係を有しない者が含まれるようにしなければならない、こういう改正をさせていただこうとしたところでございます。
○斉藤(和)委員 そうしますと、農業委員会の事務に関して利害を有しない者というのは、どのような方を想定しているんでしょうか。
○林国務大臣 どういう方ということでございますが、例えば、弁護士、司法書士、行政書士、農業委員会の所掌に属する事項に関し利害関係を有していない会社等の役職員など、かなりいろいろな方が具体例としては挙げられるのではないか、こういうふうに思っております。
○斉藤(和)委員 利害関係を有していないとしても、その先に、農業に関する見識を有し、農地などの利用の最適化の推進に関する事項その他の農業委員会の所掌に属する事項に関しその職務を適切に行える人でなければだめなわけですというふうに書かれています。
 弁護士や司法書士、行政書士で、果たしてどれだけ農業に関する見識を有している人がいるのか、非常に疑問に思うわけです。特に、地方で弁護士がいない地域も逆に言えばあるわけです。そもそも、農業に関する見識をどういうふうに判断するのか。
 それから、もし、会社などの役員さんになっていただいた、その会社の役員さんが農業委員になった後、その会社が生産法人に出資をして利害関係が生まれてしまった場合、どうなのか。いかがでしょうか。
○林国務大臣 法律には、「委員は、農業に関する識見を有し、」こう書いておるところでございますが、この識見というのは、広辞苑を引きますと、「物事を正しく判断・評価する力。」こういうふうに書いておりますので、いわゆる学識経験とは異なって、その分野に関して特別な知識を求められるものではない、こういうふうに考えております。
 したがって、現に農業を営んでいる者のほかに、その地域に長期にわたって住んでおられて当該地域の農業事情に精通している方とか過去に農業を営んでいた方、または農業を営む者と過去に取引関係があった方、農業問題に関し日ごろより関心を持っている方など、幅広い方がこれに該当するものと考えております。
 先ほど弁護士と申しましたが、弁護士でなくてはならないということではなくて、例えば弁護士の方でも該当する、こういう意味で申し上げたところでございます。
 そして、役員が立場が変わった場合というお尋ねもあったところでございます。
 今申し上げましたように、「農業委員会の所掌に属する事項に関し利害関係を有しない者が含まれるようにしなければならない。」こういうことでございます。
 したがって、農業委員になったときにはそうではなくて、この条項には当てはまるんですが、その後に、例えば出資等によって農業生産法人と利害関係を有することになった、結果、その方がいなくなると利害関係を有しない人が一人もいない、こういうことになってしまいますと、これは制度上適当ではない、こういうふうに考えております。
 したがって、市町村では、農業委員会の所掌事務に利害関係を有しない者として就任する委員に、あらかじめ、在任中は利害関係を有することにならないように求めておくこと、仮に、その委員が利害関係を有することになって、利害関係を有しない者が一人もいなくなる、こういう事態になる場合には、その委員に辞任を促して、かわりの委員を任命する、こういった措置などをとっていただくことが必要になる、こういうふうに考えております。
○斉藤(和)委員 物事を判断できれば誰でもいいのかといったら、決してそうではなくて、公選制をとってきた意味の重みというのは、先日、全国の農業委員会の委員長をやられている方と懇談をしました。農業委員会の仕事を円滑に進めるためには、何よりも農業者の方からの農業委員会に対する信頼が不可欠だというふうに話されていました。農業委員会が農業者からの信頼を失ったら、農業委員会の任務を果たすことはできないと。
 しかし、今回の公選制の廃止と、市町村長による任命制、過半は認定農業者、さらに、今ありました中立委員の加入など、その趣旨が、規制改革会議が言うように、実務的に機能する者を選任するというものである以上、果たして本当に、農業者の皆さんから信頼をされる委員構成ができるんでしょうか。いかがでしょうか。
○林国務大臣 まさにそのことは、与党の議論でも大変議論になったところでございますが、首長さんが、地域を定めて推薦する、また公募をする、そして、そういうふうにして挙がってきた方々の名前を整理して公表してやっていく、こういう丁寧な手続をいろいろ工夫してとることによって、選ばれた方がしっかりと皆さんから信頼を得られるようにしていく、やってもらわなければならないと思っておりますし、我々も、そういうふうに意を用いて、この法律が通った暁には運用してまいりたいと思っておるところでございます。
○斉藤(和)委員 信頼という点で、農業委員会が果たしてきたもう一つの役割、建議の規定を削除したという問題です。
 先日の参考人質問でも、農業、農村の問題というのは複雑に絡み合った要因から成り立っておるものです、これが解決するには、農業、農村の全般の問題について意見の公表をすることは必要だというふうに考えます、したがって、農業委員会の意見公表の内容をさらに充実するということと、これを重く受けとめていただけるような裏づけの整備をお願いしたいというふうに意見が表明されました。
 これは私、非常に大事だと思うんですけれども、裏づけを整備する、大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 そこも、実は随分議論をしたところでございまして、農業委員会は独立行政委員会であって、主たる任務が、担い手への農地利用の集積、集約化、耕作放棄地の発生防止、解消といった現場の実務であるということでありますので、まずは主たる業務に集中をしていただこうということでありまして、そういう意味で、法的根拠がなくても行える意見公表や建議は、法令業務から削除をすることにしたところでございます。
 もちろん、法令業務から削除しても、当然、意見の公表等は自由に行うことができるわけでございます。
 さらに、今、先生からあったような御議論もございまして、農地に関する施策について、いわゆるPDCAサイクルをきちっと回していくという観点から、農業委員会におかれて、その所掌事務の遂行を通じて得た知見に基づいて、必要があると認めたときは、関係行政機関に対して、農地等の利用の最適化の推進に関する施策についての具体的な改善意見を提出する義務を課す、そして、改善意見を提出された関係行政機関は、その意見を考慮しなければならない、この旨を法律に明記するということで、三十八条にその対応をしたところでございます。
○斉藤(和)委員 その主たる任務の耕作放棄地がなぜ生まれるのかといえば、やはり米価暴落など農業をめぐる大変な、生産がなかなかいかないというような、農政全般にかかわる、だからこそ、農業委員会に建議という規定があったんだというふうに思うんです。
 この点を、農業委員の参考人の方が言われた、重く受けとめて、裏づけを強化してほしいという、ここはもうちょっと考えていただきたいというふうに思います。
 最後の質問です。
 私、この質問の準備のために、茨城県の古河市の農業委員会の活動を視察しました。そこで奮闘されている秋庭農業委員という方にお会いして、農事組合法人茨城県古河中央植物センターが、水耕栽培のトマト工場をつくると称して膨大な産廃残土を持ち込んだという現場を見てきました。
 この問題は、五月二十九日の全国農業新聞でも紹介をされて、「農業生産装い残土捨てる」との見出しで、深刻な事態だと警鐘乱打をしています。
 この記事でも、国会では、農業生産法人の要件緩和とともに、農業委員会改革も審議中、農業委員の公選制を廃止し、全て市町村長による選任にする内容だ、委員数を半数程度に減らし、かわりに農地利用最適化推進委員を農地集積やパトロール活動に充てるという、この体制で本当に農地の番人が務まるのかと不安は拭えないというふうにしています。
 私は全くそのとおりだと思うんですけれども、茨城県では建設残土の埋め立てが頻発し、産廃マフィアの介在も懸念されている。本当にしゃれにならない問題が起こっています。
 林大臣、今回の改正でこのような事態というのは一掃できるんでしょうか。
○林国務大臣 農地への建設残土の投棄でございますが、農地法上、これは農地を農地以外のものにするということで転用行為になりますので、都道府県知事の許可を受けなければできないこととされております。これは農地法第四条一項でございます。
 したがって、都道府県知事の許可を受けない不法な投棄は違反転用になりまして、農地法上、都道府県知事は、原状回復その他違反を是正するための必要な措置を講ずべきことを命じることができる、また、三年以下の懲役または三百万円、法人の場合は一億円でございますが、以下の罰金に処せられる、こういうふうになっております。
 今回、農地法を改正いたしまして、こういった違反転用については、都道府県知事が措置を講じない場合、農業委員会が都道府県知事に対して、原状回復その他の是正措置の命令を講ずるように要請できることといたしましたので、さらに番人としての権限が強化されるということでございます。
○斉藤(和)委員 権限が強化されるということでしたけれども、及び腰だというふうにおっしゃっていました。新聞にも書いていますけれども、是正を求めて、その生産法人に言ったら、おまえらより偉い人がバックについているんだと言われたと。
 この意味というのは非常に重いと思うんです。公選制で選ばれているからこそ、農家の代表として、農地を守るという立場でパトロールをされている。自分も非常に命の危険を感じるけれども、やはり農地は農地として守りたいから頑張っている、こういう農業委員さんの思いを本当に酌み取る、そういう中身にする必要があるというふうに思って、公選制は、私はやはり残すべきだということを最後に主張し、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十八分散会