第190回国会 外務委員会 第10号
平成二十八年四月二十日(水曜日)
    午後一時六分開議
 出席委員
   委員長 岸  信夫君
   理事 島田 佳和君 理事 新藤 義孝君
   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君
   理事 橋本  岳君 理事 小熊 慎司君
   理事 武正 公一君 理事 岡本 三成君
      小渕 優子君    大野敬太郎君
      城内  実君    黄川田仁志君
      小林 鷹之君    小松  裕君
      佐々木 紀君    鈴木 隼人君
      瀬戸 隆一君    薗浦健太郎君
      辻  清人君    松島みどり君
      三ッ矢憲生君    務台 俊介君
      山田 美樹君    大島  敦君
      吉良 州司君    篠原  豪君
      寺田  学君    長島 昭久君
      浜地 雅一君    赤嶺 政賢君
      笠井  亮君    丸山 穂高君
      玉城デニー君
    …………………………………
   外務大臣         岸田 文雄君
   外務副大臣        武藤 容治君
   防衛副大臣        若宮 健嗣君
   外務大臣政務官      黄川田仁志君
   外務大臣政務官      浜地 雅一君
   外務大臣政務官      山田 美樹君
   防衛大臣政務官      熊田 裕通君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 富山  聡君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 佐藤 達夫君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 大鷹 正人君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 山田 重夫君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 宇山 智哉君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 吉田 朋之君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   相川 一俊君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君
   政府参考人
   (外務省領事局長)    能化 正樹君
   政府参考人
   (防衛省大臣官房審議官) 山本 達夫君
   外務委員会専門員     辻本 頼昭君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十日
 辞任         補欠選任
  小渕 優子君     小松  裕君
  城内  実君     瀬戸 隆一君
  小林 鷹之君     務台 俊介君
  笠井  亮君     赤嶺 政賢君
同日
 辞任         補欠選任
  小松  裕君     小渕 優子君
  瀬戸 隆一君     城内  実君
  務台 俊介君     小林 鷹之君
  赤嶺 政賢君     笠井  亮君
    ―――――――――――――
四月十五日
 核兵器全面禁止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五二一号)
 同(梅村さえこ君紹介)(第一五二二号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一五二三号)
 同(斉藤和子君紹介)(第一五二四号)
 同(志位和夫君紹介)(第一五二五号)
 同(清水忠史君紹介)(第一五二六号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第一五二七号)
 同(島津幸広君紹介)(第一五二八号)
 同(田村貴昭君紹介)(第一五二九号)
 同(堀内照文君紹介)(第一五三〇号)
 同(真島省三君紹介)(第一五三一号)
 同(宮本岳志君紹介)(第一五三二号)
 同(本村伸子君紹介)(第一五三三号)
 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(藤野保史君紹介)(第一五七四号)
 同(宮本岳志君紹介)(第一五七五号)
 普天間基地の無条件撤去に関する請願(堀内照文君紹介)(第一五七六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 刑を言い渡された者の移送に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(第百八十九回国会条約第一五号)
 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とオマーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)
 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○岸委員長 これより会議を開きます。
 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。
 このたび、平成二十八年熊本地震による被害でお亡くなりになられました方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。
 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 これより、お亡くなりになられました方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。
 皆様、御起立をお願いします。――黙祷。
    〔総員起立、黙祷〕
○岸委員長 黙祷を終わります。御着席をお願いします。
     ――――◇―――――
○岸委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官大鷹正人君、大臣官房参事官飯島俊郎君、大臣官房参事官山田重夫君、大臣官房参事官宇山智哉君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長相川一俊君、防衛省大臣官房審議官山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○岸委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。
○大島(敦)委員 きょうは、普遍的価値について質問をさせていただきます。
 外交青書を読んでいますと、各年度ごとに普遍的価値あるいは基本的価値ということでの指摘があります。
 二〇〇六年の十一月三十日の外務大臣の演説の中で、「民主主義、自由、人権、法の支配、そして市場経済。そういう「普遍的価値」を、外交を進めるうえで大いに重視してまいりますというのが「価値の外交」であります。」ということで、ここから価値の外交が始まったと思います。
 その前の年、二〇〇五年の外交青書の中でも、普遍的価値として、日本は、このような認識のもと、日本と普遍的価値や戦略的利益を共有する国との協力関係の強化を重視している。日印関係についての記載では、民主主義、法の支配といった普遍的価値観を共有している。日本、グルジアとの関係についても、欧州への接近を一歩進めており、民主主義などの普遍的価値を共有する両国が引き続き協力していくことで一致したと記載があります。
 同じく、基本的価値についても、日米両国は、基本的価値及び戦略的利益を共有する同盟国である。オーストラリアとニュージーランドは、アジア大洋州地域において日本と基本的価値を共有する重要なパートナー。あるいは、日本と欧州は、自由、民主主義、人権、法の支配などの基本的価値や原則を共有するという記載がありまして、二〇〇五年から指摘があり、二〇〇六年に価値の外交として、今まで引き継がれていると思います。
 翌年の二〇〇七年の外交青書の中でも、「自由、民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済といった「普遍的価値」」と説明をしておりまして、ここの普遍的価値という定義、日本外交の基軸の定義について、まず大臣から、この外交青書の文章の中では、普遍的価値に基づき、日本にとって望ましい国際秩序を維持、発展させていく旨が述べられておりますけれども、そもそも普遍的価値についての大臣の御認識をお聞かせください。
○岸田国務大臣 御指摘の普遍的価値ですが、一般的には、個々の文明あるいは宗教によらず広く共有されている価値ということになるんだと思いますが、それに該当するものとして、自由とか民主主義、法の支配、あるいは人権、こういったものが挙げられると考えています。
 そして、我が国においては、平成二十五年の十二月に初めて国家安全保障戦略という戦略を閣議決定いたしましたが、この戦略の中においても、自由、民主主義、基本的人権の尊重そして法の支配といった普遍的価値やルールに基づく国際秩序を維持、擁護すること、これも我が国にとって国益である、このような記載がされています。
 このようなことから、今申し上げましたような、自由、民主主義、法の支配、人権というものが普遍的価値であると我々は認識をしております。
○大島(敦)委員 大臣に伺いたいんですけれども、この普遍的価値、冒頭大臣がおっしゃられたことは、私の理解なんですけれども、文明とか、あるいはその社会の生い立ちによらず、この自由とか民主主義とか基本的人権という価値を尊重する。
 ただ、ここの概念というのは、一番最初に私が聞いたときは、結構ヨーロッパ的な、あるいは欧米的な、あるいは国際法の中の概念かなと思ったんですよ。その点についての大臣の認識、やはりここの概念というのは、あくまで欧米的な文化を背景とした概念なのか、そうじゃないんだよ、それとは違う普遍的な価値観なのかということについての御認識をお聞かせいただければと思います。
○岸田国務大臣 先ほど申し上げましたような、自由、民主主義、基本的人権あるいは法の支配、こうした価値は、委員おっしゃるように、そもそもは西欧において発達した価値観であるというふうには認識をしています。
 ただ、その後、歴史の中で、さまざまな国際的な動きの中で、国連憲章ですとか世界人権宣言など、先進民主主義国家間の条約、あるいは国際的な政治宣言、こうした中にこうした価値観は共有されていくということが行われてきました。
 ですから、こういったさまざまな文書ですとか枠組みを通じて、先ほど申し上げましたような価値は、西欧のみならず国際社会において広く共有される、こういった動きが進んできたとも認識をしております。
○大島(敦)委員 私も、政府に二回ほど入ったときに結構悩む事例があって、その中で考えた帰結というのは、明治維新後の日本の発展というのは、多分、西洋的な価値観を霞が関で一回かみ砕いて、日本の国土の中に広めたのかなと思っていまして、一回かみ砕くという作業があって、私たちが受け入れてきたのかなという経緯がある。
 特に、この普遍的価値観。自由、民主主義、法の支配、人権ということは、今大臣がおっしゃったとおり、私は、国際秩序を維持する中で結構大切な概念だと思っていて、この概念によって、他国との、友好国との、あるいはそれ以外の国との外交というのは考えていくべきかなとは思っているんですけれども、改めて、その点について、大臣の御所見を伺えればと思います。よろしくお願いします。
○岸田国務大臣 先ほども申し上げたようなことから、国際社会において、こうした普遍的な価値と言われている価値観はだんだんと共有されてきたと思っています。そして、我が国自身も、さまざまな経験の中で、こうした普遍的な価値が実現してこそ政治的な安定を実現できる、あるいは経済的な繁栄を持続的に達成することができる、こういったことを実感する、こうした貴重な経験を積み重ねてきたとも思います。
 こういったことから、こうした普遍的な価値を重視しながら、尊重しながら外交を進めていくということは大変重要なことであるという認識に立ち、先ほど申し上げました国家安全保障戦略等、我が国の基本的な方針の中にもこういった考え方を明記してきたということではないかと考えます。
○大島(敦)委員 世界の中では、この普遍的価値になじまない国とか地域があるのかなと考えておりまして、その普遍的価値観にまだなじんでいない国、地域に対しての我が国外交のあり方というのはどのように考えたらよろしいんでしょうか。
○岸田国務大臣 今申し上げたように、こうした普遍的な価値は、国際社会においても外交においても重要なことであるとは認識はいたしますが、ただ、こうした価値観を一方的に押しつけるというようなことはあってはならないと思います。おっしゃるように、こうした価値観を共有していない国も国際社会にはあります。まずもって、こうした普遍的な価値を共有しない国を最初から排除するというものであってはならないと思います。
 また、価値観の押しつけや体制変更を求める、こういったことを意味するものではありませんし、やはり、各国の文化や歴史、発展段階の違い、こういったことに配慮することが前提であると思います。
 そして、そういった基本的な考え方に立ちながら、同時に、異なる考えの国々や人々と十分に意思疎通を図り、そして考え方を共有していく、こういった外交努力も進めていくべきではないか、このように考えます。
○大島(敦)委員 私たちの近隣諸国の中には、この普遍的価値にまだなじんでいない国があるのかなと思います。
 例えば中国なんですけれども、日中関係については、普遍的価値を共有する関係ではなく、戦略的互恵関係という表現、多分、そういう表現が外交青書二〇一五年の中で用いられていると思うんですけれども、そうすると、普遍的価値ではなくて、戦略的互恵関係ということですから、対中国について、この普遍的価値の実現を求めていくのか。
 例えば天安門事件のときの米国民主党は自由とか民主主義というのを非常に大切に価値観として訴えていたと思うんですけれども、そういう文脈の中で、中国に対してもどのように今後考えていったらいいかという点についてのお考えをお聞かせいただければ幸いです。
○岸田国務大臣 中国自身の内政について直接何か申し上げることは控えなければならないとは思いますが、中国との関係を安定化させる、しっかり維持していく、これは大変重要なことであります。最も大切な二国間関係の一つが日中関係であると思っておりますし、こうした関係をしっかりと維持していくこと、これは我が国にとって、当然のことながら、大変重要であります。
 そして、政府としましては、これまでも一貫して述べてきましたように、自由あるいは基本的人権の尊重、法の支配、こうした国際社会における普遍的な価値、これは中国においても尊重されることは重要であると認識をしております。
 中国との関係において普遍的価値についてどう考えるかという御質問については、今申し上げたような関係になるのではないかと考えます。
○大島(敦)委員 民主主義のコストは結構かかると思っています。民主主義の合意形成のコストというのは、選挙というコストもかかりますし、国会の中でも、あるいは個々の合意形成を積み重ねていくというのは、結構丁寧に行われ、多くのコストがかかってくると思います。
 例えば工場の立地についても、日本国内で工場を立地するとすれば、周辺の住民、環境アセスの問題等々を全て、あるいは道路の建設もそうなんですけれども、一つ一つ積み重ねてようやく事が行われるというのが民主主義です。
 ですから、よく言われている開発独裁的な国家というのは、そこのところを飛ばして簡単に国際的な競争の中に参入できるものですから、そうすると、そういう国々に対しての、抑止というわけじゃないんですけれども、ルールについては、私の持論として、ISOの規格の中の、例えば工場の立地の中に、民主的な手続について工場を立地せよというのを置くだけでも大分状況というのは違ってくるなと思っています。
 ですから、今後の対応の仕方なんですけれども、普遍的な価値観をまだ共有するに至らない国についても、普遍的な価値というのを念頭に置きながら、外交交渉あるいはさまざまな対話、会話の中でも、普遍的価値は大切だよということは常に言い続けた方がいいのではないかなと私は考えております。
 次に、普遍的価値観を重視するのであれば、民主主義国であるインド、これは十三億人の国民を持っている、中国も同じように十三億人前後の人口を有している、その外交というのは、価値観の観点からも対応が異なってくるのかなと思うんですけれども、その点についての大臣の御所見をお聞かせください。
○岸田国務大臣 まずインドですが、日印両国は、アジアにおける二大民主主義国家であり、普遍的価値あるいは戦略的利益、これを共有する二つの国であると考えます。このような日印関係、ぜひ一層強化し、両国が協力して地域の安定にも貢献していかなければなりませんし、戦略的観点からも協力していかなければなりません。こういった点では、昨年十二月、安倍総理の訪印時において行われた日印首脳会談等においても考えが一致していると考えます。
 一方、中国ですが、中国においては、先ほど来議論になっております普遍的な価値に対する考え方も含めて、政治的な側面あるいは社会的側面においても、我が国とは多くの相違点があるとは認識をしております。ただ、こうした相違点はありますが、戦略的互恵関係に基づいて、この日中関係はしっかり安定させていかなければならない、このように思います。
 おっしゃるように、インドと中国、それぞれ関係の中身は違いますが、それぞれの事情に合わせてこうした大切な二国関係を安定化させていく、維持していく、こうしたことにおける大切さは同じではないか、このように思います。
○大島(敦)委員 次にお伺いしたいことは、世界秩序。
 今、世界の秩序は結構変化していると思っていまして、新たな世界秩序をつくっていく上で、共通の価値観を有する先進民主主義国が行うべきことは何かということで。
 これは結構難しくて、中東の春が訪れたときに、我が党の中東の専門家の方にすぐ電話をして、どういうふうに見立てたらいいのかと伺ったことがあります。そのときに、やはりストーリーができるかどうかが必要だと言われまして。ですから、ストーリーができればコミットメントした方がいいんじゃないの、ストーリーができないまでの段階だとまだ先が見えないからコミットしない方がいいんじゃないかとか。
 私たちの価値観とは違う次元で動いている国があるとすれば、そういう国々に対して、共通の価値観を有する先進民主主義国が行うべきこと、世界秩序をどうやってつくっていくかについて、今さまざまな価値観があらわれているのかなと思っていまして、これはなかなか、先進民主主義的な普遍的価値観を有するということで全てを制御できなくなっているのかなという認識を持つんですけれども、その点についての大臣の御所見をお聞かせください。
○岸田国務大臣 まず、今の国際社会においては、委員御指摘のように大きな変化が起こっており、例えば中国を初めとする新興国の台頭によるバランスの変化ですとか、あるいはさまざまな国際秩序における多極化が進んでいる。こうしたことから、これまで国際社会をリードしてきた先進国の地位にも変化が見られる、これは事実であると認識をします。
 しかしながら、その一方で、国際社会においては、力による現状変更の試みですとか、あるいは過激的暴力主義の拡散、こういった既存の秩序の不安定化、こうした動きも存在します。また、新興国経済の減速に起因をする経済状況における不透明感、こういったものも見ることができます。
 こういった不安定な状況あるいは不透明な状況も考え合わせますならば、やはり、自由や民主主義、法の支配、人権といった普遍的な価値を共有するG7を初めとする先進主要国の役割、これは引き続き重要ではないかと思います。こうした先進民主主義国の役割もしっかりと尊重しながら、結果として国際社会全体を安定化し、そして持続的な発展に導いていく、こういった努力が求められるのではないか、このように思います。
○大島(敦)委員 ありがとうございました。
 時間となりましたので、最後に。
 基本は、この普遍的価値による外交だとは思います。ただ、さまざまな文化的背景を持った価値観が極めて多様になっている今の世界だと思っていて、テクノロジーの進歩が物すごく速いと思います。私がインターネットを使い始めたのが一九九四年ですから、当時から比べて、そして二〇一三年の、今話題になっている人工知能ですか、昨年から今回のグーグルの碁のアルファ碁については注目をしていて、一勝でもすれば世界が変わるかなと思っていたのが四勝したものですから、このテクノロジーの進歩とあと情報の流出が物すごく速くなっていることに、多分国際政治が質的に変わりつつあるのかなと。
 例えばISのリクルートについても、よく言われているように、インターネットの中のビジネスだと、これはロングテールですから、本当に十万人に一人とか百万人に一人反応すれば、全世界ではしっかりとしたビジネスができると同じように、こういうロングテールのところで反応する人たちがテロリストとしてリクルートされるという事態になってきていると思います。ですから、これからの国際政治あるいは我が国の安全、特にテロのリスクは極めて高まっていると思っています。
 私の経験でも、二〇〇一年の九月十一日のときに、自宅に帰って二機目が世界貿易センタービルに突入したときに、我が国の東京も攻撃されているのかなと思って東京に戻ってきたんです。でも、翌日の議員会館は結構のんびりとしていました。ごく普通に皆さんが生活をしている我が国です。
 ですから、テロのリスクについて無防備な私たち日本国民ですから、このリスクが上がってくるということをしっかりと私たちが認識して外交の戦略を立て、できるだけリスクを軽減していくことが必要だと思っていますので、その点につきまして今後議論させていただくということで、時間が来ましたので、ここで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○岸委員長 次に、吉良州司君。
○吉良委員 吉良州司でございます。
 一般質疑ということで、きょうは南米のことについて取り上げさせていただきたいと思います。
 今、大島委員から九・一一のときの話が出ましたけれども、私自身、ちょっと一言、自分の経験を踏まえて、政府に言いたいし、国会議員全員にお願いをしたいことがあって、それは、私は、二〇〇一年八月二十七、八とニューヨークにいて、その後、ブラジル・サンパウロに出張にそのまま行きまして、二〇〇一年の九月十三日にサンパウロからニューヨークに戻るチケットを用意していました。十一日にあのテロが起こったので、アメリカには入ることができませんでしたけれども。
 その九・一一の当日、サンパウロでほぼリアルタイムでテレビを見ていたわけですけれども、その際に、ブラジルのテレビのテロップで最初に何が流れたか。実は、犯人としてジャパニーズ・レッド・アーミー、日本連合赤軍のしわざだというテロップが流れたんです。これはもちろん根拠のない、恐らく、かつての神風特攻隊ということと、テルアビブ等で連合赤軍がかなり過激なテロ活動をやっていたということが組み合わさってそういうテロップが流れたんだと思いますけれども、そのテロップを見たときには、もう本当に顔面から血が引きました。
 ですから、今の大島さんの話じゃないですけれども、世界的にテロが起こる可能性が非常に高まっていると同時に、子供たち、若者の教育を含めて、絶対に日本からテロを起こすような人たちを出してはいけない。それは、今いろいろな外交努力が、もうそれで全て泡になってしまいますから。我々がそう心して、そうなるとは限りませんけれども、我々国会議員、そしてやはり子供たち、また若者の教育を預かる立場として、日本から誰一人テロリストを出してはいけないということを誓わなければいけないなということを、今、大島議員の話を聞きながら再度思ったところであります。
 ごめんなさい、私が余計なことを一言言いました。
 岸委員長にも、感謝でございますけれども、この委員会として、冒頭、熊本、大分の地震の犠牲者に対する哀悼の意で黙祷をささげるということをやっていただきました。私自身も大分の選出の議員でありますので、今回の熊本、大分の地震については胸を痛めているところであります。
 ただ、ここは外務委員会でありますので、ほぼ時を同じくして、エクアドルで大地震が起こっております。熊本の地震が十四日の夜、そして十六日の未明が本震と言われていますけれども、エクアドル時間で十六日の、熊本で本震があったと言われているその日の夜に、現地時間でありますけれども、マグニチュード七・八と言われるような地震が起こったと聞いております。
 この地震の状況について、外務省として把握されていることを、事務方で結構ですから教えていただければと思います。
○岸田国務大臣 まず、吉良委員を初め大分、熊本の皆様方には、改めて、お悔やみと、そしてお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。
 そして、御質問のエクアドルでの地震の状況ですが、現地時間四月十六日十九時ごろ、エクアドルにおいてマグニチュード七・八の地震が発生し、現地時間翌日二時ごろにもマグニチュード六・一の余震がありました。エクアドル政府によれば、同十九日までに五百人を超える死者、そして四千人を超える負傷者が発生しているということであります。最大都市のグアヤキル市内で建造物が崩壊するなど、甚大な被害が発生していると承知をしております。
 なお、現時点で邦人の被害の情報には接してはおりません。
 引き続き、情報収集に努めていきたいと考えます。
○吉良委員 ありがとうございます。
 もうこれは釈迦に説法でありますけれども、アンデス近辺の国というのは、海岸沿いはまさに赤道直下、そして山の上の方に、エクアドルの首都キトは二千八百メートルのところにあって、恐らく邦人の多くはそのキトの方におられて、グアヤキル等々海岸のところには多分数人とか十数人とか、そういう単位の邦人じゃないかというふうに思っております。
 余計なことですが、アンデスの民というのは、暑くない山の上に住むことによって、酸素は足りないけれども快適な温度の中で生活するということを選びましたけれども、ただ同時に、環太平洋火山帯がアンデスの海岸に沿った形で太平洋岸にありますので、ある意味では山の方だと比較的そういう地震の災害が少ない、それも人類の知恵なのかなと思っているところであります。
 ただ、今大臣がおっしゃられたように、海岸沿い、グアヤキルを中心とした地域では大変な被害に遭って、これも心痛むところでありますけれども、このエクアドルの地震に対して、日本国政府としてもう既に何らかの支援を決めたなり実行されておるのか、これから検討されて支援体制をつくっていくのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○岸田国務大臣 エクアドルに対する支援ですが、JICAは、中南米地域における自然災害が発生した場合に迅速に緊急人道支援を行うため、平素から米国マイアミに緊急援助物資を備蓄しております。
 現地時間十九日午前にエクアドル政府から支援要請がありましたので、同倉庫にある物資を活用して支援を行うべく、今準備を進めているところであると承知をしております。
○吉良委員 ODAの議論でもよくある話ですけれども、財政状況は日本はかなり厳しい状況にあり、それから国内的にも財政的に支援を必要とするところがあります。また、そういうことがあるがゆえに、国内がこんな大変なときに、ODAそんな余裕があるのかというような議論も時々出てきます。けれども、私は、やはり必要なODAというのは必ず実行していくべきなんだろうというふうに思っています。
 そういう意味で、今大臣の答弁を聞いて非常に安心をしましたけれども、一方で、大臣冒頭言っていただきましたように、私の地元大分等、大変な状況にはありますけれども、そういう中で、国内がこんな大変なんだから、よその国の地震の支援とかそんな余裕はないだろうというような声がもしかしたらあるかもしれませんけれども、私はやはりきちっと支援をしていくべきだというふうに思っています。
 今回の熊本、大分の地震に際して、国内的にも、東北地方の人たちが、三・一一のときにあれだけお世話になったから今度は恩返しだという話がありますし、同時に、世界的にも、台湾を初め、やはり自分たちが苦しいときに日本が助けてくれたので今度は恩返しだ、こういうある意味では配慮と感謝のキャッチボールが行われているのが国際間における外交であります。そういう意味で、このエクアドルに対しても、日本がこういう状況ではありますけれども、しっかりと支援をしていただきたい、このように思っているところであります。
 そういう中で、エクアドルというのは小さな国でもありますし、国際経済におけるGDP等の占める割合というのも非常に小さいし、日本との貿易等もそれほど大きくはありませんけれども、私の知る限りでも、石油以外でも例えばバナナだとか花だとか、こういうところで日本との直接的な貿易がありますけれども、今その貿易額がどうなっているのか。それから、今回、この地震によって、日本との貿易等に何らかの影響が出てくるのか、生産地が被災しているだとか、その辺について、もし外務省の方で今把握されているのであれば、教えていただきたいと思います。
○黄川田大臣政務官 御説明いたします。
 対日貿易については、日本への輸出は千二百三十億円ございます。日本からの輸入は五百六十八億円でございます。
 現在のエクアドルの経済状況を簡単に説明しますと、委員がおっしゃるとおり、主要産品であります石油価格の下落によりまして、世界銀行の統計によると、経済成長率が二〇一四年に三・七%ございましたが、二〇一五年ではマイナス〇・六%に急落するなど、深刻な影響を受けております。
 このような状況の中、今回の地震が、今後、エクアドル経済、さらには我が国との二カ国間の経済関係にどのような影響をもたらすかについては、政府としても注意深く見守っていく必要があるというふうに考えております。
○吉良委員 ありがとうございます。
 エクアドルで石油が出るというのを日本人で知った方は余りいらっしゃいませんけれども、やはり石油の価格の低迷は、ブラジルのみならず、このエクアドル、ベネズエラはもちろんですけれども、及んでいるということで、指摘をいただきました。
 余り知られていないことなんですけれども、さっき私の方で花とバナナということを言いましたけれども、時々日本でもフィリピンや台湾バナナに加えてエクアドル・バナナというのを見るわけですけれども、今、エクアドルからバナナとして百七億円相当が直接輸入されているというふうに聞いています。
 それと、これはまたかなり意外かもしれませんけれども、花の栽培が非常に盛んな国でありまして、米国が最大の市場で、マイアミに送り、また一方、花の直接生産もするし、第三国貿易をしているオランダに輸出していて、実は、エクアドルからかなりの花卉類が日本に輸入されています。さっき言いましたバラだとかカーネーションだとか、十九億円ぐらいでありますけれども、花の金額としては結構大きいというふうに思います。実は、大分の花屋さんなんかにもエクアドルからのバラとかが輸入されているんです。輸入というか、東京を経由してでしょうけれども。
 そういうこともあって、この地震によって花の供給等に影響が出ないかということを心配しておりますので、外務省としては、経産省とともに引き続いてこの辺の影響をチェックしていただいて、また教えていただければというふうに思っています。
 エクアドルの地震関連はこれぐらいにして、次に、ブラジルについて質問させていただきたいと思っております。
 現在、ブラジルは、リオ五輪・パラリンピックを控えた状況ではありますけれども、経済的、政治的に大混乱になっているというふうに聞いています。外務省として、今把握しているブラジルの経済的な低迷そして政治的混乱について、教えていただければと思います。
○岸田国務大臣 ブラジルの現状ですが、まず、ブラジル経済は、つながりの深い中国経済の減速あるいは一次産品の国際価格の低迷によりまして、二〇一五年の経済成長率がマイナス三・八%、そしてインフレ率は一〇・七%、失業率は九・五%と承知をしております。
 また、国営石油会社ペトロブラス社をめぐる汚職疑惑が表面化し、二年間の汚職捜査で政財界等の逮捕者が百名を超えているということでございます。
 こうした中、ルセフ政権の支持率は一〇%前後となり、また、ルセフ大統領に対する、不正会計処理による財政赤字隠蔽を事由とする弾劾請求が行われております。
 三月四日、汚職捜査がルセフ大統領の前任のルーラ前大統領に及び、同十三日にブラジル史上最大規模の反政府デモが行われました。その後、連立与党から政党の離脱が続きました。
 こうした背景のもと、四月十七日、下院本会議において大統領弾劾の是非を問う表決が行われ、その結果、弾劾賛成票が可決に必要な全議席の三分の二を超える三百六十七票に達し、下院は上院に対して弾劾法廷を請求することになった、このように承知をしております。
○吉良委員 ありがとうございます。
 経済的低迷については、先ほど言いました、大臣もおっしゃったように、一次産品の価格低迷、特に油関係の低迷によって、今、後段でもおっしゃられた石油公社ペトロブラスの業績が大きく落ち込んで、それがブラジル経済全体を落ち込ませているというふうに理解をしておりますし、また、ペトロブラスをめぐる汚職事件が政治的な混乱に陥れてしまっていて、このまま本当に五輪開催が行われるんだろうかと心配になるぐらいであります。
 今のブラジルにおける政治的混乱または経済的混乱も含めて、それが国民の政府、政治に対する不信、不満につながっている。それがあって、必ずしも、ブラジル国民挙げてリオ五輪を支持しているわけではないという状況にまで陥っている。こういう状況の中で、きちっと五輪開催が行われるんだろうかという懸念を私自身は持っておりますけれども、大臣また外務省として、五輪開催について今どう見ておられるのか、お聞きしたいと思います。
○宇山政府参考人 お答え申し上げます。
 現時点では、現下のブラジルの政治経済情勢がリオデジャネイロ・オリンピックまたパラリンピック大会の開催自体に影響を与えるというふうな情報には接してございません。
 リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック競技大会の準備は、国際オリンピック委員会の評価あるいは指導を受けながら、リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の責任において進められているというふうに承知しております。
 競技大会の準備状況につきましては、三月二日に、リオ組織委員会からIOCの理事会に対しまして、施設の建設はおおむね予定に従い進捗しているというふうな報告がなされたというふうに承知しております。
 今後、財政逼迫による警備体制への影響の有無、デモ等の治安あるいは社会不安情勢、こうしたものにも注目しつつ、日本からも多くの関係者が渡航することも念頭に置きまして、同大会の準備状況及び現地情勢について、引き続きしっかりと情報収集をしてまいりたい、かように思っております。
○吉良委員 私がリオ五輪がちゃんと行われるんだろうか、開催できるか、まあ、開催はするにしても運営できるんだろうかと心配している背景には、私自身がブラジルが大好きで、若いころブラジルに留学したという経験もあって。そういう意味では、ブラジルの国民性というのは好きで好きでしようがないんですけれども、同時に、その好きさが、何で好きかといったら、聞いているブラジル大使館には申しわけないんだけれども、日本人的感覚からすると余りにもラテンで、今の話じゃないですけれども、進捗に問題ないと言っている感覚は、日本人の問題ないという感覚と全く違います。そういう意味では、心配で心配でしようがないんですね。だから、これは愛するがゆえに心配をしているわけで。
 そういう意味で、政府から政府へ、日本が政府として何か支援しましょうかというのは難しいと思いますけれども、リオの次は東京オリンピックですから、そういう意味では、東京大会の組織委員会が、次の開催地である東京として、リオのオリンピックの開催状況を勉強しに行く、こういうたてつけで大視察団を送るようでありますので、この際、この場で言うことかどうかわかりませんけれども、勉強させてもらいに行くといいながら、日本人のきめ細やかな、きちっと運営していくためのいろいろなノウハウ、また心構えを、ブラジルの人たちにぜひ教えていただきたいというふうに思っています。
 政府対政府、GツーGではないですけれども、政府としてその辺の働きかけができると思いますので、ちょっとその辺について、もし大臣の見解があればお伺いしたいと思います。
○岸田国務大臣 リオデジャネイロのオリンピック・パラリンピックの準備ですが、まず基本的には、IOCの評価や指導を受けながら、リオデジャネイロ大会組織委員会の責任で進められるものであるとは考えます。
 そして、その上で、日本との関係では、リオ五輪テストイベント時及び大会本番時には、二〇二〇年東京大会組織委員会や東京都の職員が、現地研修としてオブザーバープログラムに参加することを予定していると承知しています。大会本番時には、東京大会組織委員会等から延べ約三百名が派遣され、研修を受けることとなります。
 こういった形で、日本の関係者がブラジルの関係者とともにリオ五輪の成功に向けても取り組んでいく、こうしたことを期待したいと存じます。
○吉良委員 本当によろしくお願いします。
 最後になりますけれども、きょうはもう時間が、二十五分という限られた時間だったので詳細には触れませんが、先ほど、ブラジルの政治的混乱をもたらしているその最大の原因であるペトロブラスをめぐる汚職事件、これは日本の企業にも多大な損害、影響を与えております。
 ざっと、公表されておりますので、三菱重工、三菱商事、IHI、エンジニアリング会社でいえば東洋エンジニアリング、それからJGCというか日揮、あと造船会社で今治造船とか、多くの会社が、実はブラジルのペトロブラスから、船舶だったり、海底油田を掘削するためのリグ装置だったり、そういうものを受注する会社があって、そこに出資したり、また、そこから受注をして生産を始めたけれども代金が入ってこない、こういうような問題が出てきています。
 岸田大臣は、外務委員会の冒頭に、やはり日本経済を力強く支える外交でありたいと。ちょっと言葉のニュアンスは私が勝手に言っていますけれども、そのニュアンスのことを言われたと思います、所信でですね。
 そういう意味で、実際にリスクを伴う出資等の意思決定をしたのは民間ではありますけれども、ペトロブラスそのものが、まだブラジルの政府が五五%強を持っている、国営と言ってもいい会社でありますので、日本政府としても、きちっとブラジル政府に働きかけて、ペトロブラスのこの疑惑後の一刻も早い立ち直りを支援する、それは結果的に日本の企業を救うことになりますので。
 そのことを指摘したいし、岸田外務大臣にあっては、そのことを前向きに考えたいというような答弁をぜひいただいた上で、質問を終わりたいと思います。
○岸委員長 岸田外務大臣、簡潔にお願いします。時間が来ております。
○岸田国務大臣 まず、他国の企業の今後の状況について、具体的に何か予断を持って申し上げるのは日本の外務大臣として適切ではないと思いますので、具体的なことは控えたいとは思います。
 いずれにしましても、日本の企業が海外においてしっかりと活躍していく、そのための環境整備やら政府としてできるだけの支援を行う、こうした取り組み自体は大変重要なことであると考えます。
 そうした考えに基づいて、具体的な状況の中で何が具体的にできるのか、これを政府としても真剣に考え、そして、できる限りの対応をしていきたいと考えます。
○吉良委員 前向きにお願いいたします。
 質問を終わります。
○岸委員長 次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 私も、十年以上も九州沖縄比例代表ということで、熊本、大分の被災地、大変ふだんから大きな御支援をいただいたところであります。改めて、犠牲になられた皆さん、被害に遭われた皆様に心からの哀悼とお見舞いを申し上げたいと思います。
 そこで、きょうは米軍普天間基地問題について質問をいたします。
 三月四日、辺野古への米軍新基地建設をめぐり、政府と沖縄県との和解が成立をいたしました。和解条項には、政府と沖縄県が円満解決に向けた協議を行うことが盛り込まれています。
 三月二十三日、政府・沖縄県協議会が開かれましたが、和解条項に基づく協議については、作業部会の設置を確認したにすぎません。
 ところが、安倍首相は、三月三十一日に行われた日米首脳会談で、辺野古が唯一の選択肢、解決策とする立場は不変だと伝えました。岸田外務大臣も、四月十一日に行われた日米外相会談で同じ説明を行いました。
 外務大臣に伺いますが、和解条項に基づく実質的な協議が行われていない段階で、辺野古は不変だと米側に説明したわけですか。
○岸田国務大臣 御指摘の点については、まず、三月三十一日の日米首脳会談において、安倍総理から、辺野古埋立承認に関する訴訟について、辺野古が唯一の解決策とする立場は不変であり、急がば回れの考え方のもと和解を決断したものであるという説明を行い、そして、辺野古移設を一日も早く完了することにより普天間返還を実現したい旨述べるとともに、沖縄の負担軽減について引き続き取り組んでいきたい、こうした旨、安倍総理からオバマ大統領に述べた次第です。
 そして、オバマ大統領の方からは、和解については安倍総理の戦略的な判断と理解している、引き続き緊密に協力していきたい、こういった趣旨が述べられました。
 そして、四月十一日、日米外相会談においても、私の方から日本政府の立場を伝達いたしました。ケリー長官からは、和解に関する日本政府の立場を十分に理解する、こういった旨の発言がありました。
 こうしたやりとりを日米の間で行った次第であります。
○赤嶺委員 つまり、和解協議には入ったけれども、実質的には、和解の内容に立ち入っての日本政府と沖縄県との話し合いはまだ全く行われておりません。いない中で、辺野古が唯一の選択肢だということを、外務大臣も総理も日米外交の場で繰り返しているわけですね。
 一方で、福岡高裁の那覇支部は、この和解を通して、円満な解決、円満解決に向けた協議というのを求めております。
 しかし、今、政府がとっているのは、辺野古が唯一の解決策という一方的な立場ですね。この一方的な立場が今回の混乱を生み出したのに、まだ今なおそういうことを言っている。では、一体、円満な解決に向けた協議というのを政府はどのようにしていくおつもりですか。
○岸田国務大臣 このたび、政府と沖縄県の間において和解案を受け入れるということで合意したということ、これは大変重要なことだと認識をしております。そして、合意がなされたわけですので、ぜひこの和解案を誠実に履行していくこと、誠実に対応していくこと、これは大変重要であると考えます。
 そして、この和解案の中身ですが、和解案の中身は、日本政府も従来の立場を放棄しろというものではありません。これは、沖縄県も従来の立場を放棄しろというような中身にはなっておりません。あくまでも、和解案の中身は、司法の手続を進めながら、それと同時に話し合いを行うというものであります。
 ぜひこの和解案の中身、これを誠実に理解し、そして実行していく、これを両者の間においてしっかりと努力していく、こういったことが重要であると考えます。
○赤嶺委員 和解案の一番の特徴で注目を集めるのが、円満な協議ということを政府にも沖縄県にも求めている。
 翁長沖縄知事は、円満解決に向けた協議について、もともとお互いに考え方を持っているわけであり、そういうものを持ちながら議論を進めるということだ思うと臨む姿勢を明らかにしているわけですね。ところが、皆さんは一方的に、和解の話し合いの中身には入らないのに、是正指示を出してみたり、あるいは、外交の場で日本政府の立場は不変だと言ってみたり、これでは、和解に向けて円満に話し合おうというような、そういうものをつくれないと思うんですね。まず、一方的な政府の立場を改めるべきだということを申し上げておきたいと思うんです。
 そこで、普天間基地の五年以内の運用停止の問題について、政府は日米首脳会談あるいは外相会談で取り上げたんでしょうか。
○岸田国務大臣 普天間飛行場の五年以内の運用停止を初めとする沖縄県の要望につきましては、従来から、首脳会談あるいは外相会談においてたびたび取り上げ、米国側に伝えております。
 そして、委員の御質問が、直近の首脳会談あるいは直近の外相会談で取り上げたのかという御質問であるとしたならば、直近の首脳会談は、先日の核セキュリティーサミットの際の首脳会談であります。そして、外相会談は、G7外相会談の日程の合間で行われたものであります。これは時間が限られておりました。沖縄の負担軽減等については議論は行ったわけでありますが、具体的にその場で五年以内の運用停止ということについて議論をしたかということであるならば、直近のその二つの会談においては具体的なやりとりは行っていないということであります。
○赤嶺委員 どうも、外務大臣、まどろっこしいんですが、これまでは行ってきたけれども、今度は行わなかったということであるわけですね。
 ただし、辺野古の問題についてオバマ大統領も関心を持ったとされております。沖縄の負担軽減というのであれば、普天間基地の五年以内の運用停止が一番核心的なテーマであります。これについて今回は取り上げなかった。
 一月の宜野湾市長選挙で五年以内の運用停止を公約した佐喜真市長を政府・与党は応援しました。そういう佐喜真市長が当選した直後、五年以内の運用停止ということを訴えていたその直後の、初めの首脳会談、外相会談で、何でこの問題を取り上げなかったんですか。
○岸田国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、首脳会談、外相会談においては、普天間基地の移設の問題、そして沖縄の負担の軽減の問題、こうしたものについてはしっかりと議論を行いました。その中で、特に具体的に御指摘の部分について議論をしたのかということでありますので、先ほど来お答えをしているわけであります。
 基本的に、重要なポイントにつきましては、首脳会談、外相会談でしっかり議論を行っております。
○赤嶺委員 普天間の危険性の除去が原点だと繰り返しおっしゃるわけですね。沖縄の負担軽減という場合は、誰が考えても、普天間の危険性の除去、これを最優先してやるべきだと。
 それで、沖縄県と政府が対立しているとはいえ、五年以内の普天間基地の運用停止については、国も沖縄県も宜野湾市も一致しているんですよ。みんなが一致しているんですよ。そういう一致した問題を、大事な外交交渉の場でなぜ取り上げないんですか。政府の立場が疑われる結果になりませんか。
○岸田国務大臣 大事な点を取り上げなかったという御指摘ですが、取り上げなかったということではありません。
 先ほど来申し上げておりますように、まず、普天間飛行場の移設の問題において、普天間飛行場の五年以内の運用停止を初めとする沖縄からの要望につきましての我が国の取り組み、あるいはこの考え方、これは全く変わっておりません。そうした考え方はしっかり伝えた上で、その五年以内の運用停止について明示的に何か述べたのかという質問に対して、これは明示的に言葉として取り上げなかったと言っているだけであります。
 基本的な考え方、そして重要性については、しっかり米国側に伝え、そして意見交換を行った次第であります。
○赤嶺委員 明示的に皆さんが取り上げたのは、辺野古が唯一の選択肢だということの繰り返しなんですよ。
 しかし、仲井真知事が日本政府との間で五年以内の運用停止ということを約束したときには、辺野古の基地の完成は十年後ですよ。つまり、辺野古の基地の完成を待たずに普天間は五年以内に運用停止するんだ。こういうことを、皆さん、仲井真知事との間にも約束し、翁長知事もそれはそのとおりだと、宜野湾市長もそのとおりだと、政府もそのとおりだと。
 つまり、辺野古の基地は予定どおりやりますやりますと言いながら、普天間の五年以内の運用停止については取り上げない。誤解されるんじゃないですか。一番大事な問題を皆さんは言っていないんじゃないですか。
○岸田国務大臣 大事なやりとりを米国側とやっていないという指摘は当たらないと思います。しっかりとこの問題について議論を行っております。
 ただ、具体的に、言葉を明示的にやりとりしたかという点につきまして申し上げているだけであります。
○赤嶺委員 明示的にやりとりして、みんながわかるようにすることが大事なんです。そういうことを申し上げておきたいと思います。
 次に、臨時制限区域の問題ですが、四月十四日の作業部会では、沖縄県がブイやフロートの撤去を求めたのに対し、政府は、フロートの撤去には応じる姿勢を示したわけですが、ブイの撤去や臨時制限区域の撤廃については応じませんでした。
 防衛省に確認をいたしますが、和解の成立を受けて、沖縄防衛局は、埋立承認取り消し処分の審査請求と執行停止申し立てを取り下げました。現在、翁長知事が昨年十月に行った埋立承認取り消し処分が有効になっていると思います。その点の確認と、有効になっているのであれば、フロートに限らず、ブイや臨時制限区域も撤去すべきじゃないかということを伺いたいんですが、いかがですか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
 三月四日の和解合意によりまして、沖縄防衛局長は、行政不服審査法の審査請求及び執行停止申し立てを取り下げたところでございます。それによりまして、国土交通大臣による沖縄県知事の埋立承認取り消し処分に対する執行停止は効力を失っているというふうに考えております。
 一方、今回の和解によりまして、政府といたしましては、和解で中止の対象となる埋立工事とは、埋立承認の対象である工事、作業であり、中止とは、工事を進めず現状を維持することであると考えており、保存、管理行為、原状回復工事などは中止には含まれないと考えており、その旨を、先般、十四日の作業部会においても御説明したところでございます。
○赤嶺委員 一方的な態度ばかりとっているんですよ。
 あそこにブイやフロートが設置されたり、臨時制限水域が改めて設けられたのは、皆さん、埋立工事をするためですよね。しかし、今、埋立工事をする根拠はないわけですよ。翁長知事の埋立承認取り消しが有効なわけですから。
 だから、埋め立てのためのフロート、フロートはもちろん撤去しますね、これも確認いたしますけれども、フロートは撤去するんですか。であれば、ブイや臨時制限区域も撤廃すべきじゃないですか。どういう根拠に基づいてそれを撤去しないと言っているんですか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、和解で中止の対象となる埋立工事とは、埋立承認の対象である工事、作業であり、中止とは、工事を進めず現状を維持することであると考えており、保存行為、管理行為、原状回復工事などは中止に含まれない旨、さきの作業部会で御説明をいたしました。
 その上で、政府側からは、和解条項上の中止についての考え方は変わらないという前提で、さらに調整が必要だが、和解に基づく協議の趣旨を踏まえ、フロートについては撤去につき前向きに検討してまいりたい旨御回答したところでございます。
○赤嶺委員 フロートが撤去されるのは、やはりこれは埋立承認が取り消されたことが大きく影響しているわけですね。
 ブイの設置も臨時制限区域も、埋立承認が取り消されたならば法的根拠がなくなるわけですよ。撤去しないという法的根拠はありますか。
○岸委員長 山本審議官、時間が来ております、簡潔にお願いします。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
 政府といたしましては、和解条項上の中止についての考え方は変わらないという前提で、さらに調整が必要だが、和解に基づく協議の趣旨を踏まえ、フロートについては撤去につき前向きに検討してまいりたい旨御回答したと承知をしております。
○岸委員長 赤嶺君、時間が過ぎております。
○赤嶺委員 法的根拠も全く曖昧なままです。
 終わります。
○岸委員長 次に、丸山穂高君。
○丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。
 私からも、一般質疑、お話しさせていただきたいんですけれども。
 前回の一般質疑のときに、いわゆるジャパン・ハウスの件をお話しさせていただきました。ロンドンとロサンゼルス、あとはサンパウロ、三カ所に、百二十六億円、四年かけて、クールジャパンを含めて日本のよさを発信していくという建物を一等地につくるというお話で、私は、これはクールジャパン機構もやっているし、観光局もやっている、ジェトロもやっている、そういう縦割りでやる必要もないし、外務省がそもそもやるようなものじゃないというお話をさせていただきました。
 しかし、既に予算として決まってしまっているので、その枠内でしっかりやっていくことと、チェックしていく、できているのかどうかの目標達成を見ていくのが大事だという議論をさせていただいた中で、実は、このジャパン・ハウスも、戦略的対外発信の予算に入っております。
 その中で、私は、戦略的対外発信の一番大事なものは、そちらのジャパン・ハウスの方ではなくて、実は、日本の正しい姿の発信と政府予算ではついている部分、いわゆる我が国の外交上の案件、特に誤解を受けているような案件に対してしっかりと国際社会に対して説明していく、具体的には慰安婦の話だとか領土問題だとか歴史の問題だとか、そういった部分に関して発信していくという、正しい姿の発信の予算について、しっかりやっているのかどうか。
 今まで、国連の女子差別撤廃委員会の勧告が出ました。それまでを含めて、慰安婦の話が、どんどんうそが膨らんで大きくなって、今、日本の立場をおとしめている。この状況をつくり出さないために、同じようにならないためにも、しっかりと国際社会において発信してほしいということでお聞きした内容で、最後、そういった予算の中でどれぐらいこの慰安婦問題や歴史問題、領土問題に充てられているのか、そして、セミナーの開催の予算も入っているということなので、そういうセミナーはどれぐらいの数やっているんですかと私がお聞きしたら、残念ながら、外務省から、相当数だがという形で、ずっと外交上の案件で答えられないという驚くべきお答えがありました。
 余りにもひどかったので、最後、大臣にお伺いしたら、いや、それぐらいはさすがに言えるでしょうというお答えをいただきまして、持ち帰って確認させますというお話をいただきましたが、その点をまず、この間の積み残しでございますけれども、お答えいただけますでしょうか。
○大鷹政府参考人 お答え申し上げます。
 正しい姿の発信でございますけれども、平成二十七年度の戦略的対外発信の中には、そのための予算が総額四十八・七億円ございますけれども、そのうち海外シンクタンクとの連携強化のための予算が九・七億円等ございまして、そういった予算を活用して、対世界で合計百十七回のセミナーを開催しております。そのうち約半数程度が御指摘になったテーマに関連するものというふうにお考えいただければと思います。
○丸山委員 ようやくお答えいただき、半数程度ということでございますので、これはしっかり数をこなしていくというのが大事だと思いますし、私は、回数というよりも裏のロビーイングももっと大事だと思っているんですが、そういったところに予算をしっかりとつけていただく、人員をつけていただくというのは外務省としてやっていただきたいんですけれども。
 この日本の立場を正しく発信していく、正しいという言葉をわざわざ外務省は使っていますけれども、要は、日本の立場をちゃんとアピールしていく、誤解のないように、国際社会の中で、しかも国益になるようにアピールしていくというのを、外務省さんは余りうまくないとずっと私は思っているんです。
 それは、慰安婦の話、領土問題だけじゃなくて、例えば、最近ニュースになったものでいいましたら、国連人権理事会の表現の自由の調査でデビッド・ケイ特別報告者が来日されて、きのうですか、会見もされて帰られたというふうに聞いています。
 まず、これについて、外務省はどのような見解でいらっしゃいますでしょうか。お答えいただけますでしょうか、大臣。
○岸田国務大臣 デビッド・ケイ表現の自由国連特別報告者の訪日ですが、四月十二日から十九日まで、デビッド・ケイ表現の自由国連特別報告者が、我が国における表現の自由を取り巻く状況につき調査をするために訪日をし、関係省庁、国会関係者、NGO、報道関係者等と面会をいたしました。
 同報告者は、訪日の最終日である十九日に行った記者会見において、日本における表現の自由が全般的に高い水準にあり、特にインターネットにおける表現の自由は世界有数の高い水準にあることを述べる一方で、幾つかの点につき懸念を表明したと承知をしています。
 政府との面会においては、政府側から同報告者の関心事項につき丁寧に説明を行いましたが、同報告者の懸念及び所見の中には、訪日中に政府から行った説明が十分に反映されていないと思われる点があり、この点については遺憾に思っています。
 今回の記者会見の内容を精査しつつ、同報告者が二〇一七年中に国連人権理事会に提出する予定の報告書が客観的かつ事実に基づいたものとなるよう、しっかり説明し、そして申し入れを行っていきたいと考えます。
○丸山委員 日本なんかは、表現の自由は、ほかの国に比べてかなり保障されているというふうにすごく思います。それは国会にいて特に感じます。マスコミの方々がちゃんとチェックできている環境にあると思うんです。
 しかし、報道なんかは、これを機会に、例えば「秘密法 報道に重大な脅威」とか「政府圧力 自己検閲生む」みたいな、今回のこの報告者が来た件を大々的に取り上げてやっている。
 また、こういう関係のロビーイングをやっている団体なんかもあって、次の報告書までに客観的なデータに基づくようにやってくれと要請するという大臣の答弁が今ありましたけれども、しかし、結局、次、うまくこれをやらなければ、来年の報告書の段階では、日本は報道の自由を保障されていないみたいな形の誤解を生みかねないような国連の報告書が恐らくまた出てくる。
 結局、パターンは慰安婦のと同じなんですよ。最初はロビーイングみたいなのが活動をされて、それを聞きつけた国連が、では行ってみようかみたいになって、そして、やっているうちにその立場の意見が、慰安婦だったら慰安婦の話、今回の表現の自由だったら表現の自由の話、これがまさしく正しいかのように、日本の主張とは違う形で広がっていって、それがフォローできなくなっていくという現状に一番なってしまったのが慰安婦の話で、そして、なりそうになっているのがこの表現の自由の話だと私は思っていて、大臣、今お話しになったように、要は、統計的な資料を示すべきだとか、論拠を示すべきという形で訴えていく、国連に対して言っていく、主張していくという答弁は、いつもされるんですよ。
 何を言いたいかというと、次の質問に関連してくるんですけれども、表現の自由に関する質疑。特に、例えばアニメや漫画が児童ポルノに当たるんじゃないかみたいな形の勧告が、実は来ています。同じように、女子差別撤廃委員会のも来ていますし、重ねて、この三月、四月に、国連の人権理事会、先ほどのデビッド・ケイの特別報告とは別に、別の特別報告者から報告があって、勧告が来ている、人権理事会の勧告。そして、恐らくその影響を受けて、米国の国務省も報告書を出していて、同じように表現の自由の部分が書いてあります。
 実は、皆さんニュースで御記憶があるかもしれませんけれども、JKビジネス、女子高生ビジネスの件で、かなり数字を、一三か三〇かというのを出して、それはおかしいじゃないかと外務省が抗議をした。最終的に、女子高生ビジネスのところは事実上撤回されたというふうに認識しているんですけれども。
 一方で、表現の自由、特に漫画やアニメに対する表現の規制の部分に対して、何を根拠に漫画やアニメ、ゲームといったものの描写が実際の性犯罪みたいな形に関係があるんだみたいなところを、ちゃんと論拠を示して、反論していく。そして、今申し上げたこの三月の報告書にこういったものが載らないように努力をしていくという形で、去年、岸田大臣が参議院の予算委員会で答弁されているんですよ。これは全く、今委員の皆さんお聞きになったように、先ほどのデビッド・ケイ氏の、表現の自由の方の報告書と同じふうに御答弁されている。
 しかし、一方で、この三月、四月に出た米国の国務省の人権報告書にしろ国連人権理事会の勧告にしろ、結局、この部分が入ってしまっていると思うんですけれども、これは、出てきたこういう言及に対して今政府としてどういうふうに捉えられているのか、お答えいただけますか。
○岸田国務大臣 御指摘のように、アニメの規制に関する勧告が出されています。また、米国務省の国別人権報告書の中にも記載があります。
 まず、基本的には、政府として、こうした勧告等について、児童を性的搾取や虐待から保護すること、これは政府が一丸となって取り組むべき重要な課題であると認識をしています。その一方で、日本の大切な文化であるすぐれた漫画やアニメを守っていく必要がある。これを十分念頭に置きつつ、関係省庁と内容を十分検討の上対応していく、こういった必要があると考えています。
 これまでのこの報告者からの発言、あるいはこの報告につきましても、国の実情に基づかない指摘あるいは懸念、これに対してはしっかりと対応していかなければなりません。
 これは、我が国の反論文書を特別報告者の報告書に添付させ国連文書として公表させるなど、毅然とした対応をこれからもしっかりとりたいと思いますし、国際社会に対する説明は尽くしていかなければならない、このように考えます。
○丸山委員 大臣、今、TPPで既に議論をさせていただいていますけれども、外務大臣だけじゃなくて全大臣がおっしゃるのは、外交の交渉過程は言えないと。結果が全てだから、そこの議論をさせてくれという話を、TPPではおっしゃっているわけですよ。
 一方で、今回の話も全く同じだと思います。外交の過程についてはお答えにならないと思いますけれども、しかし、結果として、外務省としても我が国としても望むべき結果がとれていないわけですよね。勧告にそういうふうに書かれてしまった。
 大臣も去年の参院の予算委員会で述べられているように、この特別報告者と国連に対して、統計資料を示すべき、論拠を示すべきである、さらに、どの国との間に何を比較した結果なのか、きちんと論拠を示すべきだ、この三月の特別報告者の報告が客観的なデータに基づくものになるように努力していきたいと答えられているわけですよ。しかし、現実にはこういう勧告が出てしまっているんですね。
 私、関西弁で言うとあれですけれども、餓鬼の使いやないんですから、しっかりと結果をとってくるためにやっていただきたい。無理だったのなら、どうしてできなかったのか、予算をふやすべきなのか、人員もふやさなきゃいけないと思うんですよ、ロビーイング活動もやらなきゃいけないと思うんです。
 このあたり、どうしてこれがうまくいかなかったのか、そして、今後の対応、もっと人員や予算をふやすべきだと思うんですけれども、どうお考えでしょうか。
○岸田国務大臣 どうしてできなかったのかにつきましては、テーマにより、そしてその時々の状況により変化するものであると思います。
 テーマにつきましても、慰安婦等の問題におけるケースと、こうした漫画の表現の自由におけるケースと、これは議論の構図自体が違うわけでありますから、我々の対応も当然変わってくる、当然のことではないかと思います。
 今回の漫画やアニメに対する規制、こういったことについて我が国としてどう対応するべきなのか。先ほど申し上げました、二つの議論のバランスの中で、我が国として適切に対応していかなければなりません。児童を性的搾取や虐待から保護する、これも重要な課題であります。一方で、日本の大切な文化である漫画やアニメ、これを守っていかなければなりません。
 このバランスの中で、日本がどうあるべきなのか、どう取り組んでいるか、これを説明するにはどうするべきなのか、適切な方法は何なのか、これをしっかり考えた上で対応すべきことであると考えます。
○丸山委員 だから、その適切な方法をとるといって、やられた結果が出ていないわけですよ。
 それに対して、どうして出ていないのか。予算が足らない、人が足らないなら、ふやすべきなのかということを聞いているのであって。
 ちょっともう時間がなくなっちゃったので、この後、私、条約の質疑も立つことになっていますので、続きはそこでやりたいと思います。
 ありがとうございました。
○岸委員長 次に、玉城デニー君。
○玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたち、玉城デニーです。
 きょうは、米軍普天間飛行場代替基地建設、これは、代替基地建設と言っておりますが、実は、弾薬搭載可能エリア及び強襲揚陸艦接岸可能バースを備えた米海兵隊の基地機能を強化させた新基地建設と私は思料しておりますが、その件に関する工事に向けて、キャンプ・シュワブ沿岸域の立入禁止エリアを拡大した日米合意と埋立工事承認取り消しによって中断している工事の現状に関連して、質問をいたします。
 きょうは、委員のお手元に、これは二〇一四年五月三十日、琉球新報英字新聞に掲載され、私はニュー・ウェーブ・トゥー・ホープというグループのホームページから引用させていただいておりますが、二〇一四年五月三十日時点で、拡大される第一種区域の範囲というふうな地図であります。
 簡単に説明しますと、本来、第一種区域は、辺野古のキャンプ・シュワブ周辺の陸から五十メートル先、これが常時立入禁止で、第一種区域です。第二種区域は、網を入れて漁業をすることができない地域。それから、第三種区域、上の四角く囲ってある、囲みの中のオレンジの区域。下の、水路を示しておりますが、これは第四種区域。この三種、四種は、米軍が演習を行う場合にはここは漁業禁止ですよ、立ち入りできませんよというふうになっている場所でございます。
 日米政府が、二〇一四年六月二十日に日米合同委員会を開き、米軍普天間飛行場の代替基地建設工事に向けて、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸域で立ち入りを常時禁止する水域を大幅に拡大することを合意したというニュースが、二〇一四年の六月二十一日、報じられています。
 沿岸から五十メートルの現在の範囲を、工事の施行区域を覆う形で沿岸から最大約二キロに広げる、日米は、臨時制限区域の枠組みを初めて設定し、期間は工事完了の日までと規定したということになっております。そして、臨時制限区域は約五百六十一万八千平方メートル、五百六十一・八ヘクタールですね。
 この件について質問をさせていただきますが、日米合同委員会での審議、これについて質問をさせていただきます。
 実は、二〇一六年三月二十三日に、三月四日の和解後初の協議会が開催され、そして四月十四日には、この新基地建設をめぐる和解内容を話し合うために設置した作業部会の初回会合を開いています。
 県によると、政府は、海上ボーリング調査に使用するフロートやオイルフェンスなどについて撤去に向け検討すると伝えた、ブイについては、臨時制限区域の問題があり、アメリカとの調整で時間が必要と述べたということです。
 この日米合同委員会でお答えになられた、アメリカとの調整で時間が必要という協議、審議はいつごろ予定されているのか、まずお伺いいたします。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
 十四日開催された作業部会におきましては、政府側から、和解で中止の対象となる埋立工事とは、埋立承認の対象である工事、作業であり、中止とは、工事を進めず現状を維持することであると考えており、保存、管理行為、原状回復工事などは中止には含まない旨を説明いたしました。
 県側からは、一般的な中止の考え方はそうかもしれないが、埋立承認が取り消された状態である以上、埋立工事に関係するブイ、フロートや仮設道路は撤去し、キャンプ・シュワブ陸上部分の施設の建設工事の中止継続をお願いする旨の発言がありました。
 その後、時間の関係から、ブイ、フロートに絞りやりとりが行われ、政府側から、和解条項上の中止についての考え方は変わらないという前提で、さらに調整が必要だが、和解に基づく協議の趣旨を踏まえ、フロートについては撤去につき前向きに検討してまいりたい旨応答いたしました。
 先般の作業部会において、ブイ、フロートに関するやりとりの概要は以上でございます。
○玉城委員 これは沖縄タイムスの記者さんが撮られた写真で、許可を得てちょっと皆さんに見せておりますが、反対側の嘉陽の海岸から見ると、こういうふうに目の前にフロートが接近しています。同じように、ブイも、このフロートのポイント、ポイントで立ち入り制限を示すために、水底にアンカーが沈められ、そのアンカーでフロートやブイは固定されています。
 しかし、基地建設工事が現在中止している、とまっているという状況の中にあって、ここでフロートを置き、ブイを置き、それを監視することは予算の無駄遣いなんですよ。ですから、裁判が結審をして、工事がいつ再開になるのか、そのめどすらついていない状況にあっては、直ちに撤去し、本来ここは自由な航行の区域であった、住民や漁民の皆さんに開放すべきだというふうに思います。
 この制限区域を従来の位置へ戻すことに基地の運用上で特段の問題があるかについて、お聞かせください。
○若宮副大臣 お答えさせていただきます。
 私ども防衛省といたしましては、和解の決定を受けまして、各種現場の作業も現時点で中止をしているのが現状でございます。
 今後の対応につきましては、和解当事者間の認識が異なることがないように、和解条項の内容をよく確認した上で、適切に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 その上で申し上げさせていただきますけれども、この臨時制限区域、今委員が御指摘になりましたけれども、陸上施設の保安と、それからまた、普天間飛行場代替施設の建設に係る区域の保安と、並びに、水陸両用訓練に使用するために常時立ち入りを禁止する区域として、日米合同委員会での合意を得まして、平成二十六年七月一日に閣議決定及び日米両政府間協定を締結いたしまして、同年の七月二日に防衛省の告示をしたものでございます。
 このように、臨時制限区域は、必要があって、日米間の所定の手続を経て設定をされているものでございますので、それ以上、米軍基地の具体的な運用上の問題の有無につきましては、私どもとしては確たることをお答えすることは難しゅうございますが、いずれにいたしましても、この区域の設定につきましては、必要があるというふうに認識してございますので、御理解をいただければと思っております。
○玉城委員 もう一度、きょう配付をさせていただいたお手元の資料をごらんください。
 第三種区域、第四種区域、演習が行われるときには立入禁止ですよというふうに、この拡大された第一種制限区域よりはるかに広いんですよ。演習が行われることには何の支障もないんです、もともと設定されているから。
 ただ、今回は、工事のためにそこに支障があるかもしれないということで、常時、立ち入り制限区域、陸域から五十メートルの部分を、五百六十一・八ヘクタールも臨時制限区域として拡大したんです。
 しかし、今現在、工事はとまっている。そして、通常の基地の運用に関してはもともと決められている漁業制限区域が三種区域、四種区域といってあるわけですね。ですから、今は工事がとまっているので、直ちに、ブイと水底に沈められているアンカーを全部撤去して、もとの状態に返して、県民やあるいは観光客の方々が、沖縄の良質な自然、観光資源を生かせるように国は努力すべきではありませんか。
 ここにかける予算は、私が今防衛省のホームページを見たところ、国内経費で、普天間移設予算だけで一千七百七億円計上されています。これをこのまま減らすことなく計上し続ける、もしくはこれをふやすということに相なってはならないわけですね。そういうことからも、私は、努力すべきではありませんかということを申し上げております。
 もう一度、改めて、制限区域の撤収といいますか、取り消しについて、米側と話し合う余地がないかについてお伺いいたします。
○若宮副大臣 作業部会では、政府側から、和解条項の中止というのは工事を進めないで現状を維持するという趣旨であるということで、保存それからまた管理行為、それから原状回復工事などは中止に含まれないことなどを御説明申し上げた上で、さらに調整が必要でありますが、この和解に基づきます協議の趣旨を踏まえて、今写真でもお示しくださいましたけれども、フロートについては撤去について前向きに検討してまいりたいという、その旨を発言したものでございます。
 また、委員御指摘のブイその他の個別の議論につきましては、この場ではお答えを差し控えさせていただきますが、作業部会におきまして双方がそれぞれ考え方を述べたところでもございますが、今後引き続き協議がなされるものというふうに考えてございます。
 また、制限区域でございますが、やはり、これも従来の民間船舶の航行に加えまして、例えばブイの維持管理ですとか、あるいは各種作業船舶の往来というものは、正直、見込まれるのが事実でございます。米軍との運用の調整も図る必要もございます。
 また、船舶同士の衝突、それからまた不測の事態が生じた場合は、これも米軍の運用を妨げ、また米側の施設・区域の管理に支障を及ぼしかねないということも留意しなければいけないかなというふうにも考えているところでございます。
 民間船舶の航行の安全を確保した上で、各種作業の安全確保に万全を期しまして、米軍の円滑な活動や施設・区域の適切な管理を図るためにも設定されたものでございます。
 現在もそのような必要性があるものと思いますが、今後とも協議は続けさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
○岸委員長 玉城君、時間が来ております。
○玉城委員 はい。
 質問を終わらせていただきますが、資料を見ても、ごらんのとおり、自由に航行できる海域が著しく狭められているから事故の危険性があるんです。そこは撤収した方が事故の危険性をはるかに軽減できると思います。
 私は、いまだかつて、臨時制限区域を拡大する以前にここでどのような海洋の事故があったのかということについては仄聞しておりません。
 ですから、そういうことに基づいて、自由な海域を県民に、国民に戻すよう政府は努力していただくことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。ニフェーデービタン。
     ――――◇―――――
○岸委員長 次に、第百八十九回国会提出、刑を言い渡された者の移送に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、今国会提出、投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とオマーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官佐藤達夫君、大臣官房参事官大鷹正人君、大臣官房参事官飯島俊郎君、大臣官房参事官吉田朋之君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長相川一俊君、中東アフリカ局長上村司君、領事局長能化正樹君、法務省大臣官房審議官富山聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○岸委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小熊慎司君。
○小熊委員 民進党の小熊慎司です。
 まず初めに、日本・オマーン投資協定についてお伺いをいたします。
 今、熊本、大分、九州地方で発生している地震が大変心配ではありますが、五年前、我が東北でも大震災があって、その折にオマーンからは大変な御支援をいただいた。
 これは、緊急回避の支援が一定程度おさまれば、実際いろいろな支援物資とかボランティアというのも実はありがたかったんですけれども、やはり地元経済をしっかり動かしていく。いつまでも何かをもらったり、してもらったり、我々被災地も、ありがとう、ありがとうというのじゃなくて、同じビジネスをしていくとかつき合いをしていく、観光に来てもらう、物を買ってもらうという方が本当にうれしかったような、また、地元にとっても大変プラスになった部分がありました。
 その後、オマーンの国からは、南相馬の地元企業に浄水器を二十六億円ぐらい発注して、しかも、それをとりに来ないで、逆に、被災者で使ってくださいとやってもらったという経緯があって、非常に親日的な国でもあるなと。それも、王族の中に日本人の血が流れている唯一の国でもあるということも聞いております。
 日本ではオマーンという国のプレゼンスがなかなか上がっていないという意味では、今回、この投資協定を機に、さらなる友好に努めていかなければならないというふうに思っているところでもありますし、オマーン自身は、日本は最大の貿易相手国に入っているということでありますので。
 この投資協定については、外務省の説明資料によれば、早期締結に関して経済界からも強い要望があったと。これは、いろいろな産業もありますから、具体的にどう強い要望があって、どういう結びつきを強くしていきたいんだというものがあったのか、まずお伺いをいたします。
○岸田国務大臣 経済界からの要望ですが、経団連あるいは日本貿易会、こういった経済団体から、オマーンは資源エネルギー国としての投資ポテンシャルが高い、こういった点を指摘し、投資協定の早期締結について強い要望が寄せられております。
 オマーンは、我が国にとり、安定的な原油、天然ガスの供給国であり、また同国で進むインフラ整備に複数の日本企業が参画しています。そして、さらなる進出も見込まれると考えます。
 こういった点を踏まえて、こうした協定を結ぶことによって、我が国企業の投資を保護するとともに、この日・オマーン両国間のビジネス環境を整備し、そして他国企業との競争条件において劣後しないよう、こうしたことを確保する必要があると考えています。
○小熊委員 今大臣答弁されたとおり、天然ガスとかそういった資源確保のためにも、これはしっかりとやっていかなければいけないんですが、この協定を結ぶことで、なかなかお示ししにくいかとは思いますけれども、その貿易量がどの程度拡大していくのか、また、日本としても、目標というか希望というか、進出企業も倍にしたいとか何倍にしたいとかというものがあれば、この協定をきっかけにそういうものが加速していく、目標とするような数値、希望等でもいいんですけれども、あればお示しをしていただいて、詳細な説明をお願いいたします。
    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕
○上村政府参考人 お答え申し上げます。
 予想ですとか目標というのは、定量的にちょっとお示ししづらいところがあるかと思います。やはり投資、貿易、両方ともですが、これはそれぞれ関係者が種々の要素を勘案して、民間セクターがみずからの経営判断によって行うという性格がございます。したがいまして、今回の投資協定の締結自体が、直ちにその協定の相手国に対して投資の増大を保証するといったものではないということで御理解いただきたいと思います。
 ただ、今回の投資協定の締結によりまして、良好な投資環境の創出または整備が促されますと、その結果として、企業が投資先の選択肢として検討する際の重要な要素となる、そういうことは言えるかと思います。投資の増大及び経済分野での交流の一層の促進につながることが期待されております。
 なお、結果論でございますが、他国の例として、例えばメキシコ、チリ、インドネシア、フィリピン、カンボジア、ペルー、インドなどと投資協定を結んでおります。あるいは投資章を含む経済連携協定をやっておりますが、この以前の例から鑑みますと、発効後の直接投資額及び進出日本企業数というのは、発効前のそれと比べまして大変大きな増加を見せていると、これは経験則でございます。
 オマーンは石油依存から脱却することを国是としておりまして、これから日本企業の進出する機会がますますふえていくものと思います。今回のこの協定の締結によりまして、日本企業のオマーンへの進出を後押しして、もってオマーン経済の多角化に貢献し、そしてさらには日・オマーン経済関係の強化に資することを期待したいと思っております。
 以上でございます。
○小熊委員 この協定、今の答弁のあったとおり、両国間の経済交流、また友好関係が進展するということが非常に大事だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいのと同時に、中東にもいろいろな国がありますけれども、冒頭お話しさせていただいたとおり、私の確認したところでいうと、世界の中の王族で日本人の血が流れているというのはもうオマーンだけだということもあって、その血を引く王女もまだ御存命でおられるということでもあります。そういった観点からも、オマーンに関しては、やはり日本に対する意識というのは大変高いものがあるというふうに思っています。
 ただ一方で、日本の中でいうと、オマーンというのは余り知られていない国の一つでもあるわけでありますから、ぜひ外交戦略的には、この経済交流をきっかけにオマーンと日本の結びつきをしっかり太くしていきながら、中東の中での日本のプレゼンスをオマーンを通してしっかりと取り組んでいくということが、今回の協定のまた大きな意味があるというふうに思っています。
 もちろん、中東にはほかの国でも親日的な国が数多くあるのはありますけれども、客観的事実として、日本人の血が流れている王族がいるというのは、これはもうほかの国にはない事実でもあり、また、両国間の関係にとっても大きな背景になってくるというふうに思いますので、経済交流という観点だけではなくて、そういう大きな観点からも、ぜひオマーンとの結びつきをしっかりと結んでいくように配慮しながら取り組んでいくことをお願い申し上げて、次に、イランとの投資協定。
 これもオマーンと同じような質問をさせていただきますけれども、イランについても経済界からの強い要望があったと。では、イランについては、経済界としてはどのようなものを期待してこの投資協定を後押ししようとしているのか、お伺いをいたします。
○岸田国務大臣 日・イラン投資協定ですが、イランは資源エネルギー国として投資ポテンシャルが高いということから、経団連、日本貿易会といった経済団体から早期締結について強い要望が寄せられています。
 イランは、世界有数の資源大国であるとともに、人口約七千八百五十万の巨大市場であり、新規投資先としての潜在性は極めて高いものがあると思います。また、本年一月には核に関する最終合意が履行され、欧米による制裁が終了、停止されたことを受け、今後、中東地域の平和と安定のためにも、我が国としてイランとの伝統的友好関係を一層発展させていかなければならない、このように考えます。
 こうした点を踏まえて、本協定により、我が国企業の投資を保護するとともに、日・イラン間のビジネス環境を整備し、他国企業との競争条件において劣後しないことを確保する、こうした必要があると認識をしています。
○小熊委員 今、国際的な背景を大臣からもお示しいただいたとおり、イラン、これまでの近いところの歴史でいえば、いろいろ国際的にもあった中でありますけれども、大体、国の安定というのは、やはり経済が安定する、政治が安定するということがその国の平和、また地域の平和にもつながってくるというふうに思います。
 今回の投資協定をきっかけに、経済的な交流の中でイランの経済も向上していくことによって、イランがこれまでたどってきたような国際社会の中でのあり方ではなくて、まさに未来志向で平和的な国になっていただけるということが非常に重要だというふうに思います。
 そういう意味で、今回の投資協定を機に、日本との経済交流の結びつきの中で、先ほどと同じように、なかなか数字は示しにくいのでありましょうけれども、とりわけ、この経済的な伸展というのはどういうところにあって、数字的に変わっていく見込みが示せるのであれば、お願いをいたします。
○上村政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど大臣の方からお答えもございましたけれども、イランとの関係でやはり特筆すべきことは、ことしの一月の核合意の履行だと思われます。
 イランとの経済関係は、国際社会による制裁によりまして停滞をしておったわけでございますけれども、この制裁が解除あるいは停止された現在、日本企業にとりましても、インフラやプラントの新設、改修、資機材納入、あるいは医療機器の輸出などの分野に高い関心を示しておられる企業がもうおられると聞いております。そういうことで、今後そういう分野での経済関係が再び強化されることが期待されております。
 また、一つ数字をあえて御紹介するとすれば、これは、特に投資協定締結の効果をはかる数字というよりは、日・イラン間の貿易に関する過去の数字でございますけれども、現在、二〇一四年当時でございますけれども、我が国からイランへの輸出額は二百六十六億、そして我が国のイランからの輸入額が六千五百億ということで、これは制裁が本格化する二〇〇八年と比べますと随分減っております。二〇〇八年の数字は、我が国からイランへの輸出が約千八百九十億円、それから我が国のイランからの輸入が一兆五千六百億ということでありますので、これは一つの例示でございます。
 我が国が投資協定を締結することによりまして、イランとの経済関係が再び強化される中で、我が国企業の展開がさまざまな分野で促進されまして、早期に制裁前の水準を回復することが期待されているということが申し上げられると思います。
○小熊委員 イランも、国際社会の中で平和に貢献をしていただかなければいけない。そのためには、経済が伸展することがやはり大前提の一つでもあります。今回のこの日本とイランとの投資協定の中で、両国が経済的に発展をしていくことが地域の平和安定に資するということで、ぜひこれもしっかりと取り組んで、お互いの経済交流が図られるように取り組んでいただきたいということをお願いしまして、次に移ります。
 日本とイランとの受刑者移送条約であります。
 日本の社会の中でいうと、ちゃんとした数字、根拠ではなくて、インバウンドで外国人誘客も図られて数多くなってくると外国人の犯罪がふえるんだなんていう話も世間話の中ではされますけれども、それはもちろん、日本に入ってくる外国人が多くなればそうした数も多くなるのは事実ではありますけれども、では、率にかえるとどうなんだというと、率でいうと下がっているんじゃないかとか、いろいろな見方をしていかなければ、お互いの、日本と海外の国との余計なあつれきを生んでしまうというふうに私は思っているところでもあります。
 外国人の犯罪指数も、調べてみると、十年前をピークに、ここ数年は下がる傾向にあるというふうに認識をしているところでもあります。
 ただ、国別に言えば、断トツではありませんが、イランは比較的受刑者が多い。窃盗とかが十年前は多かったんですけれども、それは近年は下がってきて、ここ近年は、暴行、傷害はちょっと十年前より逆にふえてしまっているという傾向があるというのも承知をしているところであります。
 まず冒頭、イラン人受刑者の近年の人員の推移と、またその推移の根拠、背景、理由といったものをお伺いいたします。
○富山政府参考人 お答えいたします。
 まず、イラン人受刑者の収容人員の推移でございますが、過去十年間における新受刑者の数をまず御説明したいと思います。新受刑者と申しますのは、一年間に新たに判決が確定して刑務所に入ってくる受刑者の数でございます。
 平成十八年が九十名でございましたが、その後、平成二十年に百二十二名、ここまでは増加をいたしました。その後は、二十一年が百名、二十二年が七十六名、二十三年が四十名、二十四年三十六名、二十五年が三十五名、二十六年が二十五名、二十七年、これは速報値でございますが、二十名と、減少を続けております。
 また、同じ収容人員でございますが、では、年末現在では何人の受刑者がいるのかという観点から数字を見てまいりますと、平成十八年末、イラン国籍の受刑者が三百五十一名おりました。それが平成二十年には四百七名と増加しておりますが、これがピークでございます。その後は、二十一年三百九十七名、二十二年三百九十六名、二十三年三百三十三名、二十四年二百五十三名、二十五年二百三名、二十六年百七十名、二十七年年末は、速報値でございますが、百五十二名というふうに減少をしてきております。
 このような推移の理由、背景というのは、なかなか、私どもからは申し上げるのが困難でございまして、一般論として言わせていただきますと、恐らくは、犯罪の検挙をされた、日本国内で犯罪を犯したイラン人の数自体も減ってきていると承知しておりますので、その影響で受刑者も減ってきているのではないかというようには考えておるところでございます。
○小熊委員 これは、イメージ的には本当はもうちょっと近隣の国の方が多いんじゃないかなというふうに思っていて、でもイランはほかの国に比べて結構多いんですけれども。減ってはきている部分もありますが、先ほどちょっと言ったとおり、この傾向、イラン人の犯罪、どういう犯罪が多い、変わってきているというのを、もう一度お願いします。
○富山政府参考人 イラン人受刑者の罪名の推移等についてお答えしたいと思います。
 過去十年間のイラン人の新受刑者につきまして、罪名別で見ますと、圧倒的に多いのは覚せい剤取締法違反などの薬物事犯でございます。年によってもちろんパーセンテージに違いはございますが、最も少なかった平成十八年でも五七%、また、最も多かった平成二十六年では約九二%というように、過半数を常に占めているという状況でございます。
 それに次いで多い罪名というのが出入国管理及び難民認定法違反でございますが、これは、平成十八年と十九年はそれぞれ二〇%、二三%と高い水準でしたが、その後、平成二十三年、例えば二十五年にはその罪名の受刑者はおらないなど、数は大幅に減っておりまして、直近の平成二十七年の速報値においては一〇%という程度にとどまっております。
 その他の罪名につきましては、傷害、殺人、公務執行妨害、窃盗など、さまざまな罪名がございますが、これについては、各年において人員がさまざまに変動しておりまして、何か特有の傾向があるというようなことはなかなか申し上げることができないというふうに考えております。
 以上でございます。
    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕
○小熊委員 では、先ほどの話、覚醒剤が多いということで。それであると、ほかの国籍別の受刑者を見ると、イランがほかの国に比べて非常に多い。もっと、観光客とか交流の深い国が犯罪者の率として多いんじゃないかなと思ったらイランが多いというのは、覚醒剤ということでは組織犯罪ということが大きな背景にあるから、これだけ受刑者も多いということだというふうに思います。そういう意味においては、国別の傾向というのもイランの場合ははっきりしていますので。
 今回、移送条約ではありますけれども、本来的にはこういうこと、移送されるような受刑者がいないのが理想なわけでありますけれども、イラン人受刑者においては傾向が顕著でありますので、そうした覚醒剤などを取り扱うようなイラン人については、これは個人ではできる話ではありませんので、組織的な犯罪だと思いますので、この取り締まり、また水際措置といったものもぜひしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 一方で、先ほど言った投資協定でどんどん交流を深めていかなければならないんですけれども、ただ、ならぬことはならぬで、だめなものはだめとやっていくということが、あわせて対策としては必要じゃないかというふうに思いますので、ぜひ、その点も留意していただきながら、法務省は直接ではないんでしょうけれども、関係省庁と連携しながらそうしたことも取り組んでいただきたいというふうに思います。
 この受刑者移送条約で常々言われることでありますけれども、最終的に法務大臣の判断に委ねられている部分があるわけでありますけれども、この裁量が大臣によって違う、時々によって違うというのであれば、国際的な信頼も失うということになります。ある程度の裁量はあるとしても、恣意的なものを排除していく、抑制していくという努力をしていかなければ、その時代時代、時々によって、また大臣によって変わってしまって、客観性がないということで、日本は何なんだ、法の支配と言っている国じゃないんじゃないかというふうに言われかねませんので、そうした恣意的なものを排除していく、抑制していくといった努力はどのようにされていくのか、お伺いをいたします。
○富山政府参考人 お答えいたします。
 受刑者移送、これは、外国に服役しております日本人を受け入れます受け入れ移送と、日本に服役しております外国人を母国に送り出す送り出し移送という両方がございますが、いずれにつきましても、受刑者から移送の申し出がなされた場合には、相手国との間において情報交換を行った上、法務大臣において、移送をすることができる場合に該当し、かつ相当と認めるときに、その移送の決定を行うこととなっております。
 移送することができる場合というのは、国際受刑者移送法という法律に明定されておりまして、そこの要件に当てはまるかどうかということをきちんと確認していくことになります。
 次に、相当であるかという判断に当たりましては、受け入れ移送の場合には、例えば、受刑者の改善更生や円滑な社会復帰を促進することが期待できるか、具体的に申し上げますと、我が国にその者が生活の本拠を置くというような環境があるのか、引き受けてくれる家族等が本邦にいるのかといったようなことでございます。また、受け入れ移送を決定した段階である程度の残刑期があると見込まれるのか、受け入れ移送犯罪に係る事件を我が国において処罰する必要はないのかといったような観点を考慮することとしております。
 また、送り出し移送の相当性の判断に当たっては、例えば、執行国、母国において受刑者の改善更生、円滑な社会復帰を促進することが期待できるか、送り出し移送を決定した時点で相当な残刑期があると見込まれるか、事件関係者や社会一般の状況に照らして、送り出し移送を行うことが相当であるかどうか、刑の執行期間や執行国における刑の執行の共助の形態などを考慮し、我が国の刑罰の目的が達成されると認められるかどうか、さらに、我が国における他の刑事手続の円滑な実施を阻害しないか、こういった観点を考慮した上で決定することとしております。
 このようなさまざまな事項を私ども事務方の方できちんと精査して、調査してやっておりますので、大臣の個人的な意思によって左右されるというようなことはないものと私どもは考えております。
 以上でございます。
○小熊委員 ありがとうございます。
 あと、その際に、今回、イランと日本の間でも、数年前にイラン人の受刑者が日本の刑務所はひどいなんというインタビューなんかを受けて、でも、刑務所も、テレビなどで見ていると、ほかの国は全然緩くて、ちゃんと刑務所なのというようなところがあって、日本は真面目に刑務所が運営をされていると思います。日本の刑務所は人権侵害だなんというような意見もあったりするところがありますけれども、そうした点も外務省も留意していただきながら、日本の法制度また刑法、受刑者の扱いといったものもちゃんとしているんだという情報発信も、やはりあわせてやっていかないといけないのではないかなと思います。これは指摘にとどめますけれども。
 あわせて、今回、この条約の審議に当たってほかの国の国籍を有する受刑者も調べてみると、今でも大阪の刑務所は外国人の受刑者がもう満杯以上になっているというのも聞いてはいるんですけれども、国籍別に見ると結構多い国があります。今後、日本で犯罪を犯して捕まっている外国人受刑者の多い国との条約締結の取り組み、また、今話し合っている状況といったのはどういうものがあるか、お示しをいただきたいと思います。
○岸田国務大臣 我が国における外国人受刑者の総数は、本年二月末の時点で二千七百三十八名であり、そのうち国別受刑者数の多い国を申し上げれば、韓国が八百五十人、中国が四百六十九人、ブラジルが二百十七人、そしてイランが百四十八人となっています。
 国際受刑者移送は、外国人受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を促進する意義がありますから、できる限り多くの国との間で実施できることが望ましいと考えます。
 我が国は国際受刑者移送の実施に関しては、相手国との間で条約が締結されることを前提とする考え方、すなわち条約前置主義をとっています。刑を言い渡された者の移送に関する条約、CE条約を締結していない国との間で国際受刑者移送を行うためには、これらの国がCE条約に加入するか、またはこれらの国との間で別途の受刑者移送条約を締結するか、このどちらかが必要であるということです。
 このため、まず我が国としましては、これまでにアジア諸国等、CE条約未締約国に同条約の締結を働きかけてきております。そして、二国間の受刑者移送条約については、タイ、ブラジル及びイランに続いて中国との間で締結に向けた交渉を行っているということであります。
 ぜひ、引き続きCE条約未締約国の条約加入を働きかけるとともに、各国との受刑者移送条約の締結の意義、必要性、実施可能性等を総合的に勘案の上、適切に二国間条約の締結を進めていく、こうした方針で取り組みを進めていきたいと考えます。
○小熊委員 こういう移送条約に関しても、まさに今政府が進めている価値観外交の一つのアプローチの仕方だというふうに思っています。もちろん刑法が大幅に違っちゃえばなかなか条約に結びつけられないわけですけれども、やはり、犯罪に対する考え方は国によって違ったりもしますが、受刑者への取り扱いというのは人権にも絡んだりする部分もありますし、そういう意味では、価値観外交の一つのアプローチの仕方として、この条約といったものが数多くの国で締結されるように、今大臣おっしゃったとおり、ぜひ取り組んでいただきたい。
 同時に、あと、これはあわせて、今後、多分国際的にも議論していかなければいけないと思うんですが、国内外においても犯罪者の低年齢化が進んでいて、少年法との絡みで移送条約に入らない年齢もあるわけでありますけれども、そうした積み残された課題もこの条約の中にはあるというふうに思いますので、そういった観点も、鋭意各国と連携をしながら、今後どうあるべきかというのをぜひ取り組んでいただきたいということをお願いして、この条約に対する質問は終わりますので、委員長、法務省はもう結構でございます。
○岸委員長 法務省は退席していただいて結構です。
○小熊委員 次に移ります。
 丸山議員は今いませんが、ジャパン・ハウスの話で、日本の情報発信の仕方ということがテーマになってきました。
 そこでお伺いをしたいんですけれども、どう日本が世界の中で役割を果たしていくか、またプレゼンスを上げていくかというのは非常に重要なことだというふうに思っています。
 今の受刑者の話ではないんですが、およそ百年前、正確に言うと九十八年前なんですけれども、徳島の鳴門市に板東俘虜収容所というのがありまして、これは第一次世界大戦のドイツ兵を扱う俘虜収容所でありました。第一次世界大戦当時ですから、九州の東久留米にもあったんですけれども、そこはめちゃくちゃな。そこから鳴門に来た受刑者たちは天国だと言った。日曜日なんかは解放して市内に出かけさせていって、市民と交流して、そのときにできたパン屋さんが今でもドイツ軒というのが残っていたりしているという中で、実はその収容所の所長が会津の方でありまして、苦労した中で人に優しくというふうになっていったんじゃないかなというふうに思っています。
 もちろんそのときに軍の上層部からは、何をやっているんだ、賊軍のくせにしやがってと、差別的な用語も使われながら批判を浴びました。でも、それは、はいとも言わず、単に反抗したんではなくて、実は、これは外務省も外交史の中にちゃんと加えておいていただきたいんですけれども、当時、不平等条約を解消しようとしていて、松江所長は、こんな非人道的に扱えば不平等条約は解消されませんよ、先進国の扱いにはなりませんからと押し返して、自分の信念を貫いて人道的に捕虜を扱っていったということがあって、最後、その捕虜が本国に帰るときは本当に涙ながらに感謝して帰ったと。
 実は、その捕虜たちが収容所にいるときに、自前で楽器をつくったりお札までつくったり新聞をつくったり、すごいんですけれども。それで、日本で初めてベートーベンの第九が演奏されて九十八年、二年後に百周年を迎えて、実は今年度の予算でプレの演奏会を、ドイツ演奏旅行に行くということで、国際交流基金を通じて百万円ほどの予算をつけていただきました。非常にありがたいことだというふうに思っています。
 こうした昔の出来事でありますけれども、今でもドイツの遺族たちは日本に対するイメージというのは非常にいいというのもありますし、昨年、総理も見られたトルコとのエルトゥールル号のものも、いまだにトルコの人たちは知っているわけであります。こういう歴史的なことをきっかけに交流をさらに加速させていくというのは非常に重要なことだと思います。
 今回も予算はついたんですが、プレ演奏会で日本人たちがドイツに行って演奏しますが、一方で、二年後の百周年のときはドイツからも遺族たちを呼び寄せたいんですが、そういうメニューがないんですね。草の根国際交流をする場合に、送り出しのは結構ついていますし、全国あちこちでいろいろな、学校とか文化団体が行っています、日本の文化も情報発信していますが、逆に、来てもらって交流をして帰っていただいて日本の宣伝をしてもらうというメニューがちょっと少ないというか、本当にないんですね、今回見つけようとしたんですけれども。
 やはり国際交流は、もちろん、日本人が海外に行っていろいろな活動をしていくというのも重要ですが、相手の国にもそういう派遣の予算はあるだろうと。それは、ある国もあります、文化交流ということで。でも、全てが予算が万全な国でもないわけでありますから、やはり国際交流の観点で、基金等の中で、逆に、派遣ではなくて招聘をしていく、それで文化交流していくというメニューも今後やっていくということが必要なんじゃないかというふうに思いますけれども、見解をお伺いいたします。
○黄川田大臣政務官 委員御指摘のとおり、国際交流は草の根レベルでの取り組みが不可欠であるというふうに考えております。
 このような観点から、国際交流基金では、さまざまな助成制度を通じて、海外における文化芸術活動に参加する日本国内の団体や個人を支援しております。さらに、多様な文化や伝統を互いに尊重しながら、双方向の交流を図ることも重要と考えております。
 このような認識のもと、東南アジア諸国等を対象にしたアジアセンター事業では、海外から文化人等を招聘し、日本の文化人等との共同制作等の双方向の文化交流事業を実施しているところでございます。
 一方で、議員の御心配であります国際交流基金では、限られた予算の中で、日本語教育、文化芸術交流、日本研究支援を実施しており、さらなる双方向の交流については、費用対効果、予算上の制約等を踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。
○小熊委員 実を申せば、私も地元で第九の会の会長をやっていて、全日本でも理事をやっているものですから。
 ただ、この歴史的な事実というのは「バルトの楽園」という映画にもなったり、戦前にしては日本がなかなか国際的にいろいろ言われる歴史的な事実がいっぱいあるんですけれども、でも、これは、戦前の日本の中では、まさに去年映画でやった「海難」に匹敵するようなすばらしい事実でもありますので。二年後が百周年ですから、二年後の百周年はドイツから遺族を呼びたいというふうに思いますので、それに間に合うように取り組みをぜひお願いを申し上げたいというふうに思います。
 次に移りますが、同じく、日本のプレゼンス向上ということで。ジャパン・ハウスは、これまでの委員会の中でもいろいろな厳しい意見もありましたけれども、私自身が各国に行ったときに、特にアジアの中でのジャパン・ハウスのあり方はもっともっとお金をかけてやってもいいなと思っています。それは、中国、韓国の宣伝の仕方を見ればすごいものがありますし、これは日本がしっかりやっていく、取り組むべき課題だというふうに思っています。
 そこで、まず初めに、そのためには戦略的な広報が必要だというふうに思うんですけれども、とはいえ、青天井にいくわけにもいきませんから、予算的な措置としてはどういうものに重点的に配慮してこうした戦略的な広報というものを考えるのか、お伺いをいたします。
○岸田国務大臣 国際社会における我が国のプレゼンスを向上していくためには、一つは、我が国の政策や取り組みを理解してもらうための正しい姿の発信、そして、幅広く我が国の文化や魅力を伝える多様な魅力の発信、そして三つ目として、長期的な観点から我が国の応援団をふやしていくための親日派、知日派の育成、大きく言って、この三点が必要であると考えます。
 まず、一点目の正しい姿ですが、平成二十八年度予算を活用して、正しい姿の発信について、総理、外相、各在外公館長からの発信に加えて、各国の有識者、メディア関係者の招聘、あるいはシンクタンクとの連携、こういったものを予定しています。
 そして、二点目の多様な魅力の発信については、今委員からも御指摘があったジャパン・ハウスの創設準備のほか、世界主要都市における大型文化イベント、途上国における日本コンテンツの海外展開等、これを予定しております。
 三点目の親日派、知日派の育成については、日本語教育事業の拡充、アジア、米国、欧州、中南米等との青少年交流の拡充、米国を初め主要国の大学における日本研究強化、こういったものを予定しております。
 この三点を重視しながら対外発信等の予算を考えているということであります。
○小熊委員 非常にいい重点項目だと思うので、それをしっかりやっていただきたい。
 私のもう一個の質問は、知日派、親日派をふやしていくためには、やはり次の将来世代、若い世代へのアプローチも必要だというふうに思います。
 日本語教育というのも今大臣はおっしゃられたんですが、三年前に、岸委員長とともに、この外務委員会での南アジアの調査でブータンに行ったときに、日本語を一生懸命やってもらっていました。親日的な国でもありましたし、子供たちも日本に対するイメージはよかったんですけれども、その授業風景をいろいろ見て回っていたら、筆箱とかにシールが張ってあって、何だろうと思ったら、韓流スターだったんですね。よくよく見たら、民族衣装をみんな着ているんですけれども、髪型はどこか何だろうと思ったら、韓流スターをまねたような髪型で、何でそうなるんだろうと思ったら、やはりドラマをやっているというんですね。
 せっかくこうやって日本語教育でやっているんだけれども、そこが弱くて、逆にやられちゃっているなと。お互い、韓国も韓国で頑張ってもらえればいいんですが。そういう意味では、真面目な、若年層へのアプローチ、日本語教育と言いましたけれども、この間NHKの方ともしゃべりましたけれども、NHK放送も海外でやっていますと言うんじゃなくて、コンテンツごとに切り分けてしっかり売っていくということが重要じゃないかなというふうに思っています。
 日本人も、どっちかといえば、例えばアメリカが好きな人はいっぱいいますけれども、それはやはり映画の影響もあるし、情報量が海外の中では圧倒的にアメリカが多いというのもありますから。やはりもうちょっと若年層、子供たちが喜ぶ、また子供に限らず、ソフトパワーの売り出し方というのはちょっと日本は弱い、ほかの国から比べると真面目過ぎるというのがありますので、狙っていく視点は、大臣のおっしゃったとおり、結構だというふうに思いますけれども、売り方としては、もう少し頭をやわらかくやらないと、今でもせっかくやっているのに、そういうふうにやられちゃっているというのがありますから、ぜひその点はしっかりと多角的なアプローチをお願いしたいなと思っています。
 次に、今度は海外での発信。今海外からの観光客も非常にふえていますから、直接日本に触れて、帰っていって、日本よかったねと言っていただく観光客も多いというふうに思います。もちろん、観光的な観点からいえば経済的なメリットもあるわけでありますけれども、日本に来た外国人観光客たちが、逆に日本のファンになって、日本よかったよと宣伝マンになってもらうというのが非常に重要な点だというふうに思います。
 そういう意味では、海外観光客受け入れのためにビザ等の緩和をしていくという技術的な話ではなくて、来た人たちが本国へ戻ったときに、日本のいい発信をしてもらえる、そういう観点からの取り組みも必要だと思いますが、この点についてはどうでしょうか。
○黄川田大臣政務官 議員御指摘のとおり、訪日観光客増加に向けた取り組みについては、経済成長や地方創生の牽引役となるばかりでなく、親日派、知日派の増勢にとり重要な取り組みであるというふうに承知しております。
 外務省も、我が国の多様な魅力の発信を通じた対日観光の一層の促進に取り組んでいるところでございます。具体的には、世界じゅうに展開し地域に密着している在外公館の強みを生かして、文化交流事業、地方自治体との連携をした事業、さらに他省庁とも連携をした観光展等、平成二十七年度には年間千二百件強の観光関連に対する対外発信事業を行っているところでございます。
 御質問は国内でどうだというお話でございますが、外務省としても、今後、関係省庁や自治体等との連携の上、しっかりと親日派、知日派の増加に向けて貢献していくというふうに思っております。
○小熊委員 その際、去年も外務委員会で視察をしてきました、中米の方へ行ってきましたが、考えてみれば、おもてなしの国と言っているわけですから、我々はちょっと経験しにくいんですけれども、例えば入管のときも、ほかの国に行くと、僕はアメリカは好きな国ですけれども、嫌なのは入管の、こんなふうにやってネクストとかと言われて、笑いもしないのというのは、もう本当に何なんだろうと思うんですけれども。日本もそういうことがないように、入管のときからウエルカム、おもてなしというのをやっていくというのが、ラテンの国は結構そういうところがあったので、それはいい国だなと思いますよ。
 私の地元は観光地ですけれども、例えば、警備員の方に道を聞く人もいるんですよ、観光のこの施設は何ですかと。地元では、それをしゃべれるようにしているんです。誰でも説明、市民総ガイド運動みたいなのがあるわけですよ。そうやらないとおもてなしにならないんですね。
 だって、多分皆さんだって、どんな観光客だって、国内であろうと国外であろうと、そこに行って全ての人と触れ合うわけじゃなくて、宿屋の人とお店と、あとちょっと会ったぐらいの人で、そこの地域とか国の印象が決まっちゃうんですよ。必ず入管なんかは通るわけですから、そこはもう笑顔でやっていただいてというぐらいのことをやるという戦略を持って、徹底してやっていくというのが、まさに私の質問の狙いでありますので。
 そのぐらいきめ細やかに、例えば、入管、税関でも、いろいろな、どこか旅館のおかみさんたちに研修を受けてもいいぐらいの話で、まさに全国民総ガイド運動みたいなことを打ち出してやっていかないと、今取り組んでいますと簡単に言ったけれども、実態は違いますから、ほかの国よりひどいところはありますから、ぜひ、そういう意味ではやっていただきたい。
 同時に、きのうODA白書の説明を外務省から受けましたけれども、そういう意味では、私も現場へ行ってみましたけれども、例えば、JICAの青年海外協力隊の人たちとかシニアボランティアの人も、そういう国の片田舎に行って、たった一人で一生懸命活動している。その一人の日本人を見て、日本はいい国だと思ってもらえるというのもあります。
 もちろん、いろいろな技術供与、ボランティア活動、JICAの活動の狙いはあるんですけれども、海外ボランティアの取り組みというのも、実は日本のプレゼンスを上げている大きな人員だというふうに思っています。そういう意味では、これはより一層、予算を拡充してもっともっとふやしていく、派遣国もふやしていく、人員もふやしていくということが、こういう日本のプレゼンスが上がっていくことだというふうに思っています。
 ODAがチャリティーじゃないというのはずっと言い続けているんですけれども、なかなかわかってもらえないし、財務省も頭がかたい人たちが多いんでしょうから、わからないんですけれども、そういう、実は日本のためにもなっているという視点も今後ODA白書に書いてくれと、きのう言ったんですよ。そういう評価の仕方もあっていいと思っています。
 いろいろ多角的に日本がどう情報発信していくかということが非常に重要で、今、日が当たっていない部分でも、そうやって効果が上がっている部分もありますから、ぜひそういう観点からも、今後の取り組み、広く、またいろいろな視点で取り組んでいただきたいというふうに思います。今度、私も外国人に会ったら、成田の税関はどうだった、いや、スマイルでしたと言ってもらえるのを期待して、ぜひ取り組みをお願いしたいというふうに思います。
 次に移りますが、ちょっと時間がないので。
 核セキュリティーサミットのときに安倍総理がさまざまな発言をされていますが、記者会見のときに、具体的にはアメリカのAP通信の記者から、プルトニウムの保有、日本が保有するのが五十トン近く、国内が十トン近く保有しているわけでありますけれども、これを削減しますと言って、この間アメリカに持っていったのは三百キロぐらいの話で、大幅な削減になっていない。プルトニウムの扱いもはっきりしていないがゆえに、この保有に関しては、記者会見で総理が幾ら言ったとしても疑念が晴れていないというのは、国内外ともにそういう状況だというふうに思っています。
 そういう意味では、これはまたほかの委員会でやるのが本来的な筋なんですけれども、こうしたプルトニウム、核兵器保有国じゃなくてこれだけ持っているというのは日本だけですから、この疑念をどう払拭していくかというのを、まず外務省としてどう考えているのかお伺いをして、時間がないので、これは、あした原子力特委もあるので、そこでも議論したいと思うんですけれども、まず、外務省の立場から、こうした疑念に対する対策についてお伺いをいたします。
○岸田国務大臣 まず、御指摘の記者会見ですが、これは恐らくことしではなくて前回だと思います。なぜならば、ことしの核セキュリティーサミットでは安倍総理は記者会見を行っておりませんので、多分、二〇一四年、ハーグでの記者会見であると承知をしております。
 いずれにせよ、ことしの核セキュリティーサミットにおいても、全体会合において、日本は利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を堅持し、IAEAの厳格な保障措置のもと、高いレベルの透明性を確保し適切な管理を徹底している旨説明をしています。
 そして、そういった取り組みの一環として、御指摘がありましたFCAのプルトニウム撤去を行っているわけですが、基本的には、二〇一四年四月に閣議決定されたエネルギー基本計画において、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を実効性あるものにするため、プルサーマルの推進等によりプルトニウムの適切な管理と利用を行うとしています。
 引き続き、利用目的のないプルトニウムは持たないというこの原則を堅持し、回収と利用のバランスを十分に考慮しつつ、着実に利用するとともに、国際社会にも明らかな形でプルトニウムの適切な管理を行っていく、こうした方針を続けていくことが重要であると認識をしています。
○小熊委員 これはほかの委員会でもやりますけれども、利用目的のないというのは、それは「もんじゅ」もうまくいっていない中でやはりそういう疑念は払拭されませんので、外務省においては、そういう疑念があるという前提でどうやっていくかというのはぜひ考慮に入れていただきたいというふうに思っています。
 質問を終わります。ありがとうございました。
○岸委員長 次に、寺田学君。
○寺田(学)委員 寺田です。よろしくお願いします。
 三条約の審議で、前の小熊さんが特に投資の方は質問をされましたので、私としては、そちらの方の質疑はせずに、基本的には移送条約の方、イランの方を御質問したいと思いますが、その前に、せっかくの機会ですので、大臣及び外務省の方にも数点お伺いしたいなと思います。
 G7のこと、あとは日韓の選挙の結果のこと、そしてまたTPPのことを軽くお伺いしたいんですが、ちょっとまずG7の方から、大臣の方にお伺いしたいと思います。
 非常に結果はよかったと思います。それは与党だろうが野党だろうが、ああいうような外交的な結果が生まれていることに関しては素直に評価をしたいと思いますし、日韓合意もそうでしたけれども、外務大臣というお立場で、ほかの役所であれば法律をつくって世の中を変えていくことはできると思いますが、長いこと大臣として同じ職につかれて信頼関係を築かれたからこそ出たのかな、ああいう結果が生まれたのかなと思って、それは素直に、野党であっても、あの結果は非常に喜ばしいものだと思っています。すばらしいお仕事でした。
 もしかしたら、ほかのTPP特とかでも聞かれているかもしれませんが、本籍地はこちらですので、まず、G7の外務大臣の会合についての所感及び今後の展望も含めて、大臣の方からぜひとも御発言をいただきたいと思います。
○岸田国務大臣 G7の広島外相会合ですが、我が国は、昨年のG7議長国ドイツから議長を引き継いでから後、この外相会合においても、どんな議論を行うのか、どんなテーマを取り上げるのか、こういったことにつきまして、各国と入念な調整を行ってきました。
 その結果、今回のG7外相会談においては、まずは国際社会の喫緊の課題ということで、テロ対策、暴力的過激主義対策あるいは難民問題、こうした問題が一番大きな議論として取り上げられ、地域情勢につきましては、中東、ウクライナ情勢、こうした議論が注目を集めました。
 加えて、八年ぶりにアジアで開催するG7の会合ですので、アジアの問題についてもしっかり議論しなければならないということで、北朝鮮問題、そして海洋の安全保障、こういった議論についても突っ込んだ議論を行いました。
 そして、加えて、初めて被爆地で開催されるG7外相会談ということでありますので、軍縮・不拡散につきましてもしっかり時間をとって議論を行い、そして、成果文書であります共同コミュニケとは別の文書として、広島宣言という文書を発出したということでありました。
 この軍縮・不拡散に関する広島宣言という文書は、今回、広島で外相会談を開催したことから、アメリカ、英国、フランス、こうした核兵器国の外相を含めたG7外相が、そろって平和公園、平和資料館、さらには原爆ドーム、こうした場所を訪問しました。こうした外相の訪問とこの広島宣言が相まって、国際社会に対して、再び、核兵器のない世界をつくろうという機運を盛り上げる、こうした明確なメッセージを発することができたのではないか、このように考えます。
 いずれにしましても、ことしの日本外交のハイライトは五月の伊勢志摩サミットであると考えます。ぜひ、今回の外相会談の結果をしっかり伊勢志摩サミットに引き継いでいきたいと存じます。伊勢志摩サミットにおいては世界経済を初めさまざまな課題が議論されますが、安全保障、そして外交の分野におきましては、今回の外相会談の成果がしっかり引き継がれ、インプットされるよう、努力をしていきたいと考えます。
○寺田(学)委員 ありがとうございます。
 あの写真がすごくよかったですね。私どもの方からは後ろ側からでしたけれども、ケリー国務長官と背中でお互い手を合わせて、何というんですか、抱き合っているとは言いませんけれども、そういう形で見えているという写真はよかったと思います。もちろん、着実な外交成果を積み上げていくこととともに、やはり見え方というものは物すごく大事だなというのを、今回のあの写真一枚を見ながら、非常に思いました。
 私も、一回、官邸で働いているときに、当時の菅総理が中国の首脳と会われているときに下を向いてメモを読んでいたという、その見え方一つだけで、中国と日本とのつき合い方が、日本国民に対して、こちら側が想定しているものと違う形で伝わっていくなというのがあったのを、すごく苦い思い出として持っていましたので、そういう意味で、ああいう写真一枚というのは非常に私は大事だなと思っています。
 これは小さいことのようで私は大きいことだと思っていまして、外務省のフェイスブック、個人的にいいねを押して写真を見ているんですが、真面目にやっていらっしゃるのはわかるんですが、正直言うと余りおもしろい写真がない。おもしろい写真というのは、その捉え方は難しいですが、やはりホワイトハウスは上手だなと思いますよ。事あるごとに、カットのあり方を含め、緊迫感も含め、革ジャンを着たオバマ大統領がコマンダー室の中において表情をかたくしていたり、していなかったり、及び、背中を撮ってみたりとか。さまざまな形で、今外交が持っている緊迫感であったり、その場所の雰囲気というものを写真を通じて伝えているなと、私は思っています。
 そういう意味でいうと、外務省の広報のあり方を含めて考えますと、すごく真面目でいいとは思うんですが、今回の広島での写真一枚を一つのいい例としながらも、何かしら、写真の切り取り方、それの発信の仕方というのを工夫することが、日本国民にとっても、また、これは海外に対する配信はすごく強いですから、海外に対しての発信にもなると私は思っているんです。
 これは小さいことのようで物すごく本質的なことだと思うので、頑張っていただきたいなと思うんですが、大臣、何か御所見があれば御自由に。
○岸田国務大臣 過去の歴史を見ましても、一枚の写真が国際世論に大きな影響を与え、そして物事を動かしていく、こうしたことというのはたびたびあったと思います。写真一枚といえども大変大きな影響力があるものであるというふうに認識をします。そして、我が国が国際社会に対して戦略的な広報を進めていく、日本の立場や考え方をぜひ広く理解してもらうよう努力をしていく、その際に、御指摘のような写真というようなものについてもきめ細かく心配りをし、そして効果的な発信をしていく、これは大変重要なポイントではないかと思います。
 御指摘の点も含め、よりきめ細かく、心の行き届いた、気持ちの行き届いた広報をするべく、外務省としても努力をしていかなければならない、このように思います。
○寺田(学)委員 真面目な答弁ですね。いいとは思いますが、ぜひともそこら辺は、大臣が率先してというのもあれですけれども、ちょっと一歩踏み出した挑戦している写真を、ぜひとも外務省としてもトライアルしてもらいたいなというふうに思います。
 もう一点だけですが、余りこれを争点化することは、結果に対していい影響があるともないともなので余り争点化はしたくないですが、やはりアメリカの新聞紙も含め、日本の国民の方々も含めて、オバマ大統領が広島を御訪問されるのかどうかということが一つの視点になっていると思います。とりたててこれを争点化することは私は必要ないとは思いますけれども、このことに関して大臣の御発言をいただければと思います。
○岸田国務大臣 世界の指導者が被爆地を訪問し、被爆の実相に触れ、そしてみずからの目や心で感じてもらうということは、こうした世界の指導者一人一人が国際社会において大きな発信力を持っているわけですから、今後、国際社会において核兵器のない世界を実現していく、このために、世界の指導者に被爆地を訪問してもらい被爆の実相に触れてもらうというのは、大変大きな意義があると思います。
 特に、昨年、五年に一度のNPT運用検討会議が開かれましたが、核兵器国と非核兵器国が対立することによって、成果文書すら採択できなかった。近年、核兵器のない世界に向けての機運が著しくしぼんでいると言われている今でありますので、こうした被爆地訪問は大変意義があることであると考えています。
 しかしながら、委員もおっしゃったとおり、アメリカの大統領の具体的な日程について何か申し上げるということは、いろいろな意味で適切ではないと考えます。
○寺田(学)委員 G7に関しては以上にしたいと思います。
 もう一点だけ、TPPのことに関して大きな動きが出ましたので、そのことについてお伺いしたいというふうに思っています。
 昨日、けさ方の新聞を含めてですけれども、今国会においてTPPの関連法案及び承認に関しては見送るというような、与党の中での合意があったというような報道がされております。大臣の方に与党の方から何かしらお話がありましたか。
○岸田国務大臣 特段、御指摘のようなことについては何も聞いてはおりません。
○寺田(学)委員 関連法案及び条約を承認するかどうかは、国会の中で与野党が協議しながら進めることでありますので、そこはその推移を見守りたいという部分が私にもありますけれども。
 外交関係上のことをお伺いしたいと思いますが、六月一日が会期末でありますけれども、今国会で我が国において承認をされないということが、日米関係において何かしらの影響を与えることになるんでしょうか、ならないんでしょうか。いかがですか。
○岸田国務大臣 まず、TPPにつきましては、関係十二カ国の間で、早期締結に向けて努力するということが確認をされています。米国におきましても、米国政府が議会に提出した文書の中で、オバマ政権にとって、本年中にTPPについて議会で承認を得る、これは最重要課題であるという記述があったと記憶をしております。
 こういった中ですので、我が国としましても、ぜひ、早期締結に向けてしっかり努力をし、こうした国際的な早期締結に向けての動き、機運をリードしていく、こうした姿勢で臨むことは大変重要であると考えます。
 日米関係にこれがどう影響するのかという御質問でありますが、これは、TPPの存在自体が日米関係にとって大変重要なことであります。この早期締結に向けて両国が協力をし、そして成果を得るということは、日米関係を進めていく上においても重要なことではないかと認識をいたします。
○寺田(学)委員 もう一度端的にお伺いしますけれども、今国会、六月一日までの間に承認をされないことは、日米関係に何かしらの影響を与えるでしょうか、与えないでしょうか。どちらですか。
○岸田国務大臣 六月一日までに承認されないことが日米関係にどう影響するかということについては、予断を持って申し上げることは控えたいと思います。
 いずれにせよ、TPP締結に向けて両政府とも努力するということ、これは他の十一カ国とともに明らかにしているところですので、努力は続けているべきであり、こうした努力が結果を出せば、両国関係にも前向きな結果が出ていくと考えます。
○寺田(学)委員 最後にしますけれども、TPPを承認するかどうかは、まさしく国会で議論することだと思います。その国会の構成員たる与党であれ野党であれ、その中身であり、そしてまた条約案ですから、国際関係の問題ですから、それがどのような影響があるのかということも踏まえながら、日程的なことをにらめっこしながら、物事を考えていくんだと思います。
 その外交当局の責任者たる大臣として、今国会で承認されないことは何かしらの影響を与えるんでしょうか、与えないんでしょうかということを、ぜひ、国会に対して、外交当局としてお話をしていただきたいということなんです。いかがですか。
○岸田国務大臣 外務大臣の立場から、国際社会において早期締結を確認しているわけですから、早期締結に向けて努力することが重要であるということを申し上げております。
 三月八日に国会に対しまして協定と関連法案を提出させていただきました。政府としましては、ぜひ、この国会において慎重審議の上、速やかに御承認いただきますよう、最善の努力を尽くすというのが我々のあるべき立場だと思います。
○寺田(学)委員 ここからは国会の中での話になる、与党間そしてまた与野党間の話になると思いますので、そちらに委ねたいと思います。
 それでは、日本とイランの受刑者移送条約についてお伺いをします。
 そもそもこれは、条約を締結する、しないという話ですから、どういう形で生まれていったのかというのは関係あると思いますが、これはイラン側からの要請によってこういう形に結実していったのか、どういう形の経緯があるんでしょうか。参考人の方で結構です。
○黄川田大臣政務官 日本の立場としては、基本的には、CE条約に加盟していただいて、その間でのやりとりということでございますが、イラン側から説明を受けたところによれば、欧州と司法制度の違いもあり、国内には欧州諸国主導で作成されたCE条約の普遍性に疑義を呈する声もあることから、CE条約の締結に向けて取り組む見通しは立っていないということでございます。
 一方、同国は二国間の受刑者移送条約の締結実績を積んでおり、我が国としても、イランとの間で受刑者移送を可能とするための枠組みを早期に作成することで一致し、二国間条約の締結を目指すこととなったところでございます。
○寺田(学)委員 少し今御答弁で触れられましたけれども、マルチのCE条約と、あとバイで結ぶ、今、タイとブラジルですか、我が国が結んでいる移送条約があると思います。今少し触れられましたけれども、イランがマルチのCE条約に加入しない理由というのはどこにあるんですか。もう少しお詳しく御答弁いただければと思います。参考人の方でも結構ですよ。どっちでもいいです。
○黄川田大臣政務官 今触れましたが、イランの司法制度と欧州を含むこれらの司法制度との違いがあるということで、なかなかイラン側としてもこのCE条約の枠組みの中で入っていくということは難しいというところでございます。
○寺田(学)委員 だから、その違いというのは何なんでしょう。何がうまくいかなくて、イランは、CE条約、マルチの方に入らずに、こういうバイでやることになったんでしょう。
○上村政府参考人 お答えを申し上げます。
 二〇〇七年以降、イランからこういう要請がございましたのですけれども、具体的に、ここがおかしい、これだから入れないというところまで詰めて話は、我々、たしか、記録をこれからひっくり返さないとわかりませんけれども。イランの刑法の中には、いろいろ、例えばイスラムに起因するような条項がございます。そういったものが恐らく障害の一つになっているんだろうと想像をしております。
○寺田(学)委員 ちょっと見方を変えてなんですけれども、今回、この移送条約を審議するに当たって、恥ずかしながら、初めてこの移送条約の詳細な部分についていろいろ勉強させていただいたんですが、このCE条約というのは、マルチではなくてバイで結んでいるタイとブラジルが、なぜCE条約に入らずにこちら側とバイでやることになったのかというと、恩赦のあり方というところが一つの相違点になっていると思うんですね。
 一言で言うと、日本で犯罪を犯したタイ人及びタイで犯罪を犯した日本人もあるでしょうけれども、そのときに恩赦を与えることができるのは、それを裁判した国。日本人がタイで犯罪を犯した場合であれば、それはタイで判断せざるを得ない。日本がどのように恩赦を出そうとも、それはタイで決めることなんだ。逆に、日本でタイ人が犯罪を犯した場合においては、幾らタイが恩赦だ恩赦だと言ったところで、その恩赦は認めることはできない。恩赦、大赦等さまざまありますけれども、それを認めるのが、CE条約だとどっちも認めるということになっていますが、このバイの形だと、恩赦は裁判した国だ。
 私、法律の専門家ではないのであれですけれども、正直言うと、素人ながら、合理性はこのバイの方にあるような気がするんです。日本人も海外で犯罪を犯していますけれども、まず例え話として、日本の中で外国人の方が犯罪を犯した。そのときに、同じ外国人の方なのか日本人に対しての、何かしらの危害というかマイナスがあった上で罪に問われているわけですね。それでやはり刑に服してほしいと裁判で決めたことに関して、相手国の方の事情で、いや、恩赦だから戻してくださいよと言われて戻すのは、何なんだろうなというところが素朴に思いました。
 なので、タイとブラジルがどちら側からの見方で言ったのかわかりませんけれども、恩赦に関しては裁判をした国しか持っていないんだ、専権事項なんだというふうな決め方をしているのは、私は、一定の合理性があるなというふうに思っています。逆に言うと、このCE条約の方が、お互いが恩赦を決められるという仕組み自体に、私はまだ納得できていない部分があるなというところです。今回、イランは、タイやブラジルとは違って、ほぼ、この部分に関してはCE条約と同じような立ち位置でやっているということでありますけれども。
 これはどうなんでしょう、外務省にお伺いして、正確な答弁かどうかわかりませんけれども、この恩赦のあり方に関して、バイの方の、裁判した国に専権的に授与されるという方が合理的じゃないですか。どうですか。
○上村政府参考人 お答えを申し上げます。
 今の恩赦のあり方、裁判国なのか、それとも執行国かというお話がございました。これはやや哲学的な話になりますので、私がお答えするのが適当かどうか、ちょっとわかりませんけれども、いずれにしましても、日・イラン受刑者移送条約につきましても、別に恩赦を前提として、これがあるがゆえに受刑者を移す、そういう条約のたてつけではございませんで、あくまでも犯罪者の更生を果たすために、お互いに受刑者を必要な場合には交換するということでありまして、その後、例えば恩赦とか刑の減免ということにつきましては、厳正なそれぞれの国の法律に基づいて行うことをそれぞれが認める、こういう方式になっております。
 どちらの方が適切かということにつきまして私からお答えするのは差し控えますが、以上のような、恩赦についても非常に慎重な書きぶりになっているということは御理解いただきたいと思います。
○寺田(学)委員 まさしく、御答弁ありましたけれども、刑法というのは国の哲学そのものだと思うんですね。その中において、裁判した我が国として、外国人であろうとも、罪があると認定をし刑に処すことを決めたことが、他国、締結国であっても他国から恩赦という形でそれを放免されるということ自体が、果たしてどうなんだろうということの疑問点がありました。
 さまざまそういうことを議論しながらこういう条約の成案になっていったんだと思いますけれども、今後、マルチなのかバイなのか、さまざまな形で条約を結んでいく国がふえるんだとすれば、そこら辺もしっかりと政府内でも議論してほしいというところです。
 最後の質問にしますけれども、中国が一番、国内においての犯罪者数が多いということになっております。間違っていたら、それは訂正してください。
 中国との移送条約、一番犯罪が多い国との締結、その協議というものが進んでいないということになっていますけれども、これの交渉経緯、これからの展望についても御答弁いただければと思います。
○能化政府参考人 お答え申し上げます。
 犯罪者の数というお話がございましたけれども、外国人受刑者の数で申し上げますと、本年二月末時点でございますが、国別で受刑者数の一番多いのは韓国の八百五十人でございまして、韓国につきましてはCE条約の締約国になっておりますので、日本との間の受刑者の移送は既に可能となっております。
 次に受刑者の数が多いのが中国ということで、四百六十九名でございます。
 そして、日中間の受刑者移送条約についてでございますが、締結交渉の第一回会合が二〇一〇年六月に東京で、そして第二回会合が二〇一一年十一月に北京で行われ、さらに、第三回会合が二〇一五年七月に東京で行われております。
 今後も、この条約の早期の署名及び締結を目指しまして中国と交渉していく考えでございます。
○寺田(学)委員 いっときとまっていた交渉が、また、二〇一五年ですか、第三回目が開かれたということですので、いまだに締結をしていない国の中においては、多くの方々の受刑者がいる中国との本条約の締結というのは私は急がれるものだと思いますので、そこは一生懸命やっていただきたいというふうに思います。
 ということで、大臣にはこの条約に関してはお伺いしませんでしたが、いずれにせよ、これからグローバル化が進んでいく中において、このような、ある種地味ではありますけれども、必要な条約に関しては国会としても鋭意取り組んで、その両国間の関係というのは高めていきたいというふうに思っていますので、ぜひとも政府の方としても、未締結国との交渉というものに努力していただきたいというふうに思っております。
 少し時間は早いですが、これで終わりたいと思います。
○岸委員長 次に、笠井亮君。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
 本日の委員会の議題である三条約のうち、日・イラン受刑者移送条約については賛成であります。
 その上で、日・オマーン投資協定、日・イラン投資協定にかかわって質問いたします。
 両条約に共通しているものとして、ISDS条項というのがあります。この条項は、今、衆議院のTPP特別委員会で審議中のTPP協定の投資九章にも盛り込まれている大きな問題点の一つだと思います。
 そこで、TPP協定を国会に提出し、趣旨説明を行ったのは、岸田大臣御自身だと思うんですが、それでよろしいですね。
○岸田国務大臣 TPP協定本体に対する趣旨説明は私が行いました。
○笠井委員 ところが、TPPの特別委員会の総括質疑で、私自身、主管たる岸田大臣にも御答弁ということで求めたところ、月曜日、四月十八日の質問当日になって、委員会に出席できないということで、副大臣対応というふうになりました。
 当初の質問予定の四月の八日と十五日については、外交日程が理由ということで副大臣対応ということだったんですけれども、一昨日の場合は、外交日程ではなく、外務大臣は参議院の決算委員会に出席をされていたのではないかと思うんです。しかも、そういう理由の説明というのは、私のところには外務省から一切ありませんでした。
 政府は、TPPを国会に提出して、ぜひともということで、丁寧に説明していくというふうに言われていたのに、協定の主管大臣がそういう対応でいいのかということを、率直に大臣の所見を伺いたいと思います。
○岸田国務大臣 TPP協定の審議につきましては、外務省もしっかり責任を果たしていかなければならないと思います。
 ただ、個別の委員会において、出席する、しないも含めて、対応につきましては、現場の委員会の理事会の判断等にしっかり従っていかなければならないと存じます。
 おっしゃるように、今週月曜日の審議の際には、衆議院におきましてはTPP特別委員会が開催をされました。参議院におきましては決算委員会が開催されました。参議院の決算委員会の審議が、外務省、防衛省、そして法務省その他の省庁について集中的に審議をする内容であったことから、国対あるいは現場の判断によりまして、私自身は参議院の決算委員会に出席するよう指示を受け、そのように従った次第でございます。
 今後とも、国対、議運及び各委員会の理事会の判断に従い、誠実に対応していきたいと考えております。
○笠井委員 これは、国会が決めるということではなくて、やはり、政府、外務省、大臣御自身がどういう位置づけでTPPに臨んでおられるかという問題だと思うんですよ。秘密主義とか国会決議違反とか国民への影響ということで、たくさんの問題が国会内外から指摘されているのに、外務省がそういう対応であるんだったら、まともな審議のしようがないということを強く申し上げておきたいと思います。
 私自身は、三年前に、日本政府がTPPに入るかどうかというとき、予算委員会で再度にわたって大臣にも質問してやりとりをした経過もありましたので、そういう点でいうと、それを踏まえて交渉の結果がどうだったかということについてはしっかりとやはりその場でやりたい、これは当然のことだと思っていますので、申し上げたいと思います。
 そこで、TPPと本日の両協定に共通するISDS条項について、大臣がおられるこの場でただしていきたいと思います。
 このISDS条項というのは、協定締約国の企業や投資家が損害を受けたとすれば相手国を訴えられるという仕組みでありますけれども、まず、外務省に確認をいたします。
 国際仲裁の利用の現状についてでありますが、これまでにISDS条項の手続を利用して、累計で何件の提訴が行われているというふうにつかんでいるでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
 NAFTAにおける仲裁の付託案件の場合でございますと、被提訴国が、米国十六件、カナダ三十五件、メキシコ二十件、そういった形になります。
○笠井委員 私が聞いたのは、国際的に仲裁の利用の現状について、外務省も資料を出しているでしょう、UNCTADでどうなっているか。そのことを端的に聞いているんです。通告していますから、時間がもったいないですから、はっきり数を言ってください。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
 提訴されておりますのは、法制度の未整備な発展途上国が過半数を占めておりまして、中南米、東欧、旧ソ連諸国が多くなってございます。
 UNCTADによれば、二〇一四年末までに、累計で六百八件の提訴があったというふうに承知してございます。
○笠井委員 そこで、例えばこれまでの紛争事例を見ますと、幾つか伺いたいんですが、ドイツ政府が、東京電力福島第一原発の事故の後ですけれども、原発ゼロの政策に転換をした、これを、スウェーデンの大手電力会社が、原発閉鎖に追い込まれて多大な損害をこうむったということで、ドイツ政府を訴えたという事例があると思うんですが、そういうケースはありましたね。
 どういう点が特徴かを言ってください。
○佐藤政府参考人 御指摘の事例は、我が国が当事国ではない事例でございますので、政府として経緯とか現状について正確にコメントする立場にはありませんので、その辺をまず御理解いただきたいと思いますが、御指摘の点でございます。
 これは、スウェーデンの原発会社ヴァッテンフォールがドイツ政府を訴えた事例でございます。スウェーデンのエネルギー関連ヴァッテンフォールがドイツ政府を訴えた事例につきまして、同社が、エネルギー憲章条約に基づき、ドイツ政府を相手に二〇一二年に仲裁に付託したものであるというふうに承知しております。
 UNCTADによれば、ドイツの原子力発電所に関する政策の変更をめぐる紛争であるとされてございます。
 ただ、事案は、現在係争中であるというふうに承知してございます。
○笠井委員 では、別の事例ですが、エジプト政府が最低賃金を引き上げたとして、フランスの水道会社のヴェオリアがこの仕組みを利用して訴訟を起こした、この事例についてはどうなっていますか。
○佐藤政府参考人 同様に、政府として経緯と現状を正確にコメントする立場ではないということは御理解いただきたいのでございますが、それにつきましては、フランスの水会社ヴェオリアがエジプト政府を訴えた事例でございまして、フランスの環境事業関連会社のヴェオリアがエジプト政府を訴えた事例につき、同社が、これはフランス・エジプト投資協定に基づいて、エジプト政府を相手に二〇一二年に仲裁に付託したものであると承知しております。
 UNCTADによりますと、これは、エジプトの地方政府がインフレと労働法制の改正を理由とした契約の変更を拒否したことをめぐる紛争であるというふうにされてございます。
 本事案も、現在係争中であるというふうに承知してございます。
○笠井委員 では、もう一点ですが、メキシコでの廃棄物処理場の建設をめぐって米企業がメキシコ政府を提訴した事例では、地元自治体の建設不許可が北米自由貿易協定、NAFTA違反に問われたと思うんですけれども、この結果はどうなりましたか。
○佐藤政府参考人 同様の前提でお答えさせていただきますが、これは、米国企業メタルクラッド社がメキシコ政府を訴えた事例でございます。これにつきましては、同社が、北米自由貿易協定、NAFTAに基づき、メキシコ政府を、一九九七年に仲裁に付託したものであると承知しております。
 メキシコ政府によれば、廃棄物処理施設の建設の許可をめぐる紛争でございます。
 なお、本事例は、二〇〇〇年に仲裁判断が下されまして、メキシコの同協定違反が認定され、投資家への賠償が命じられたと承知してございます。
○笠井委員 大臣に伺いますが、ISDS条項によってこういう事例があるということでありますが、今度は、TPPの場合に、参加国の多国籍企業から、例えば最低賃金の引き上げによって損害をこうむったということで日本政府が訴えられることは決してない、断じてないというふうに言えるでしょうか。
○岸田国務大臣 このISDS条項ですが、投資協定においては、締約国が必要かつ合理的な規制を行うことを妨げるものではありません。よって、我が国は、投資協定の締結に当たっては、必要な例外規定を置くなどにより、国内法との整合性をしっかり図るということをしております。
 こうした国内法との整合性を図った上で、このISDS手続等を含む協定を結ぶということを行っておりますので、このISDS手続によって我が国の国内法令が協定違反とされ、その結果、国内法令の変更を余儀なくされる、こういったことは想定されないと考えております。
 事実、我が国は、一九七八年以降、ISDS条項を含む投資関連協定を締結しておりますが、これまで一件もISDS手続で訴えられた例はないと承知をしております。
○笠井委員 国内法との関係を言われましたけれども、要するに、最初から訴えられないように国内法を変える、あるいはそういうふうになっているということにもなるわけでありまして、しかも、この協定テキストでいいますと、仲裁人の独立性や普遍性を義務づける規定は設けられておりません。
 TPPの場合は、他の二国間の経済条約とは異なって一挙に十一カ国が相手の協定で、仲裁人の選定などは、これまでの協定とも変わらず、企業寄りの国際弁護士が選ばれることもあって、中立性にも問題があると指摘されている。
 濫訴防止というようなことがよく言われますけれども、その中身も、判断内容等の公開を原則義務づけるとしているだけで、情報が開示されない例外規定がある。
 申し立て期間についても、一定期間に制限するなどで、実質的な防止にはつながらないということになっております。
 そこで、外務省に伺いますが、ISDS条項は、米国がカナダ、メキシコとの間で締結したNAFTA、これにも盛り込まれております。
 昨年十二月、あるいはことし四月のものも最近いただきましたが、外務省資料によると、TPP協定におけるISDS手続の概要ということでありますが、その参考資料の二ページというところに、このNAFTAでの仲裁付託案件がまとめられております。一覧になっている。
 NAFTAのISDS手続で、米国企業が提訴した案件で、米国企業が勝訴した割合というのは二六%というふうにありますが、そのとおりになっているんですか。
○佐藤政府参考人 米国企業が訴えを起こした件数のうち、係争中のものを除いて計算いたしまして、勝訴したものについては二六%というふうになってございます。
○笠井委員 では伺いますが、米国、カナダ、メキシコの三カ国の合計で、企業側が提訴したのは何件で、そのうち米国企業が起こした訴えは何件で、全体の何%を占めているでしょうか。
○佐藤政府参考人 ちょっと今即席で計算をしてございますので、もしかしたら間違いがあるかもわかりませんが、今の計算によりますと、米国企業が訴えたのが、六十一件の提訴のうち五十三件が米国企業による提訴でございます。
○笠井委員 全体、七十一件じゃないですか。計算間違いしていないですか。
○佐藤政府参考人 失礼いたしました。
 全体が七十一件で、その中で米国企業が提訴したのは五十三件でございます。
○笠井委員 こういう問題、この表について聞くと言っているわけですからね。七五%、圧倒的に米国企業が勝っているわけです。
 では、米国政府が訴えられた場合はどうか。これまで米国政府がカナダやメキシコの企業に提訴されたのは十六件あると思うんですが、そのうち企業側、投資家が勝ったのは何件ですか。
○佐藤政府参考人 十六件中、企業側が勝ったものはゼロ件でございます。
○笠井委員 企業側が勝ったのは一件もないということであります、ゼロ件。
 加えて、企業側が負けたのは十件、和解が零件、係属中、仲裁未成立、それから手続停止中、状況未公開というのが三件、企業側の請求撤回が三件。つまり、ISDS条項によって米国政府が外国企業に訴えられても負けたことがない、これはそのとおりですね。
○佐藤政府参考人 これまで、二〇一五年一月までの段階で把握しているところでは、御指摘のとおりでございます。
○笠井委員 今度は訴訟大国アメリカが相手になるわけですけれども、そういう形でいくわけです。だから、結局、日本が訴えられる可能性が出てくるという問題であります。
 そこで、外務省に確認しますが、去る四月一日に、経済局の国際貿易課のもとに国際経済紛争処理室を設置したと思うんですけれども、これを設置した目的は何ですか。
○岸田国務大臣 同室は、これまでのWTO協定に基づく紛争処理に関する事務に加え、EPA、FTA及び投資協定に基づく国家間の紛争解決手続及び投資家対国家の紛争を扱うISDS手続を一元的に扱うことといたしました。
 実際に我が国が関係する紛争が生じた場合には、国際経済紛争処理室を中心に対応していくこととなります。
○笠井委員 平成二十七年度の補正予算で、外務省はTPP対策に二百二十九億円をつけておりますが、ISDSに関する懸念と不安を払拭するためということで、国際経済紛争処理に係る体制を整備するための経費を計上している、これは間違いありませんね。
○佐藤政府参考人 TPPの補正予算の中で、二十七年度補正で千六百八十六万円、政府職員の研修など、ISDSの実務に精通した法律事務所から知見を得るという目的で予算をいただいてございます。
○笠井委員 ですから、これまで日本が提訴された例がないとか、海外進出する日本企業にとって有利などという話が出ましたけれども、今さら日本政府自身が、やはりTPPのもとで外国企業から訴えられるケースを想定して対策を検討しているということであります。
 では、伺いますが、万が一、仲裁廷が我が国の協定違反によって投資家に損害が生じたことを認定して金銭等による賠償を命じた場合には、国際約束に従って賠償することになります。万が一そういうことになったら、賠償することになる。賠償金を支払う場合には、これは国庫から出す、支出するということになりますね。
○佐藤政府参考人 あくまで仮定の御質問だと思いますけれども、制度的には国庫からの支出になると思います。
○笠井委員 ですから、今伺って明らかになったと思うんですが、外務省としては、これまで提訴の例がないとかいろいろなことを言われるけれども、訴えられたときの体制はとる。さらに、いざとなれば賠償金は国庫から支出するということは、そういうケースを想定しているということになるわけであります。
 そういう点でいうと、一たびTPPが発効して動き出すと、さまざまなツールで、米国を中心とする多国籍企業が日本の制度や政策の変更を迫ってきて、変えることができる仕組みが盛り込まれている、そういうリスクがあることについて、では政府はきちんと国民に説明してきたんでしょうか、大臣。
○岸田国務大臣 ISDS条項につきましては、先ほど答弁させていただきましたような考え方から、国内法との整合性をしっかりとっており、そして、今日まで提訴された実例は全くないということであります。
 そして、先ほど御指摘がありました国際経済紛争処理室ですが、これは、近年、我が国が締結する経済連携協定あるいは投資協定、これは数がどんどんとふえております、よってさまざまな紛争が生じる可能性が論理的に高まっている、こういった対応を考えた次第であります。
 こういった説明につきましては、従来から外務省としましても説明をさせていただいておりますが、これからも引き続き丁寧に説明をしていきたいと考えます。
○笠井委員 日本がこれまで途上国相手に訴えられたり負けた例がないというのは、ある意味で当たり前だと思うんですが、今度は、例えばTPPによって日米がやったらどうなるかということになれば、これをてこにして狙ってくるのが訴訟大国のアメリカということになってまいります。そういう点で、結局のところ、今回の制度でやはり非常に重大な問題が出てくると思うんですね。
 政府は、TPP協定においては、食の安全、国民皆保険など、我が国の制度変更を求められるものではないということで、しきりに強調してきましたが、一方で大変なリスクがあることについては国民が説明を受けていない。
 しかも、国内の法制度と整合性を持たせるということでいうと、このTPPのもとで、やはりそれによって訴えられないようにするための国内制度も、みずから変えていくということにもなっていく。訴えられることを口実にして、政府が国民の命や健康を守ることに取り組まなくなるという萎縮効果も生むということが大きな問題としてあると思うんです。TPPは、そういう点でも、国民の利益と経済主権との関係で、やはり重大な問題があると言わざるを得ないと思います。
 最後にもう一点だけ伺いたいんですが、このISDS条項についてなんですけれども、ことし三月末に、アメリカの多国籍企業の現地法人の日本IBMが行った、労働者に解雇を通告して会社から締め出すロックアウト解雇の撤回を求める裁判で、東京地裁は、原告全員の解雇を無効として、解雇時点にさかのぼって賃金を支払うように会社に命じました。アメリカ流の解雇の自由に対して、日本の法理で歯どめをかけた画期的な判決だったと思うんです。
 一般論として伺いますけれども、TPPのもとで、こうした判決が不服だということで、当事者の相手側の多国籍企業から日本政府が判決の執行停止を求められることはないというふうにはっきり言い切れるでしょうか。いかがですか。
○岸田国務大臣 ISDSについては、仕組み上、これは賠償しか求められることはありません。執行停止その他を求められることはないと承知をしております。
○岸委員長 笠井君、時間が来ております。
○笠井委員 時間になりましたので終わりますが、さっきちょっとありましたから、大分、答弁を待ったので一言言います。
 過去の仲裁事例で、大規模環境汚染を引き起こした米国企業に対する裁判所の損害賠償命令が問題となった事件で、仲裁廷は、相手国エクアドル政府に対して、裁判所の判決の執行停止を命じる、三権分立を無視する判断を下したということが実際あると思うんです。そうなれば、深刻な主権侵害になってまいります。そういう点でも、経済主権を脅かすというのがTPP協定である。
 ということでいいますと、この点でも、TPP協定は、継続審議ではなくきっぱりと廃案にすべきだと強く申し上げて、質問を終わります。
○岸委員長 次に、丸山穂高君。
○丸山委員 条約のお話の前に、さっきちょっと残している部分だけやっておきたいと思うんですけれども、時系列的に、大臣、わかりやすくお話ししたいんです。
 いわゆる慰安婦の問題も、軍の関与があった、強制連行がというこの吉田証言があたかも真実かのように国際世論の中で広まっていって、そしてそれをきちんと、日本の立場は違う、真実じゃないんですよというところを言ってこなかったがゆえに、うまくロビーイングできなかったゆえに、この慰安婦の問題が広がってきたという事実があった。
 そして、次に、去年、特別報告者として国連人権理事会から派遣されてきた、要は、子供の売買、児童買春、児童ポルノ等に関する報告者の件で、今回、この三月、四月に報告書が次々と関連で出ています。
 例えば、先ほど述べた女子高生ビジネス、JKビジネスに関しては、女子中高生の間でまれなことではないとか、また、漫画の描写と犯罪との因果関係は確認できないというのが日本政府としての立場ですし、統計的にも常識だと思うんですけれども、しかし、そうした中で、日本は空想上の子供の性的搾取描写の中心的な製作国だと指摘されているとか、その製作や頒布、所持などを犯罪として扱うこととかを勧告するようなものが出てきてしまっている。
 これに対して、去年の段階で、大臣は実は参院の予算委員会で、この特別報告も踏まえて、国連に対して、しっかりと統計資料を、論拠を示すべきだ、それはどの国と比較してどういう論拠に基づくものなのか、私の、つまり大臣の立場からもしっかり国連に対して日本の現状について伝えることによって、この三月の特別報告者の報告がきちんと客観的データに基づいたものになるよう努力すると答弁されているわけですよ。しかし、この三月、四月に今申し上げたようなのが出てきてしまっているというのが今の状況です。
 そして今、次の段階として、次は表現の自由に関する特別報告者が来られて、きのう会見したわけですね。表現の自由が重大な脅威に直面している、日本がそういう状況だというような会見をして帰ったわけで、それが、女子高生ビジネスとか漫画、アニメの規制のようなのと同じように、報告書が来年出る予定になっているわけですよ。
 次に、もっといけば、この間の質疑でやりましたけれども、皇室典範にまで、これが女性差別だみたいな話を女子差別撤廃委員会では触れようとされて、これは外務省さんよくやられたと思うんですけれども、それを水際でとめたということで、しかし、これも出始めている。
 つまり、過去、慰安婦でうまくいかなくて、今手こずっているわけですよ、まずい状況になっていて、何とかこれをやりたい状況で、次は女子高生ビジネスみたいなのとか漫画、アニメの規制みたいなのが出始めて、先を見れば、報道の自由だとか皇室典範とか。
 そういった意味で、ずっと時系列で見たら、残念ながら外務省のやり方としてぬるいんじゃないか、結果責任としてやはり問題があるんじゃないかという流れの中で、それで今、ちょっと表現はよくないかもしれません、餓鬼の使いじゃないんですからというのは、そういうことで、大臣としては、申し入れるんですよとおっしゃって、やります、努力しますとおっしゃっても、結果として来なければ、それは、言ったけれども、言いました、でもだめでした、済みませんという、子供の使いみたいになっちゃうわけですよ。
 そういうのじゃなくて、もしだめだったのであれば、まずそれに対して分析と、そして、きっちり強化していただく、次に失敗を繰り返さない、もしくはもっと日本の立場を出せるように対策を強化していただくということをしっかりやっていただきたいんです。
 要は、ある意味、売国的なロビーイングをやっている団体がいっぱいあるわけですよ。こうやって国連を引っ張ってきて、こういう主張をさせようとしているところもいっぱいあって、その中で国益をすごく大きく損ねているというふうに私は思うんです。
 そしてそれは、今後も同じことを繰り返しそうなので、ぜひ、ここは大事なので、分析と強化してほしいという部分をお願いしているんですけれども、大臣、もう一回、思いを伺えますか。
○岸田国務大臣 まず、今委員の方から、餓鬼の使いではないのだからということで、全く我々の努力が結果に結びついていないというような指摘をされたような気がいたしますが、それは現実を反映していないと思います。
 基本的に、これは、さまざまな課題について御指摘がありました、それぞれ具体的な課題ごとに対応は異なる、これは当然のことであります。
 例えばこの児童ポルノの特別報告者の際のやりとりにおいても、我が国としてさまざまな働きかけを行い、具体的に、あのときはたしか一三%ですか、この根拠のない数字が飛び交っておりました。こういった数字を撤回させる、こういったことは事実行われたわけでありますし、基本的に、不十分だという御指摘は謙虚に受けとめなければならないと思いますが、全く我々は無抵抗にこうした海外からの指摘を受け入れているということではないということは御理解いただきたいと思います。
 さまざまなテーマにおいて、大変激しいやりとりが現場等において行われて、そして、その中で撤回されたものもあり、逆に、委員の御指摘のように、一方的な意見が通ってしまった場合もある。さまざまなやりとりがあった結果であるということはぜひ御理解いただきたいと思います。そして、先ほど申し上げました、さまざまなテーマがあります、テーマごとに適切な対応をしっかり考えていかなければならないと思います。
 先ほど児童ポルノ等の特別報告者の話を申し上げましたが、今回の表現の自由特別報告者とのやりとりの際にどう対応していくかということでありますが、これは先ほど申し上げましたように、児童を性的搾取あるいは虐待からしっかり保護していく、このことも我が国としてしっかり守っていかなければなりません。一方で、我が国の誇るべき大切な文化である質の高い漫画やアニメ、これもしっかりと守っていかなければなりません。この両方の兼ね合いの中で、しっかりとした対応をし、結論を出していかなければならないと思います。
 先ほどの質問の中にありました、ケイ表現の自由国連特別報告者の記者会見がありますが、まずはこの記者会見の内容をしっかり精査し、我が国の対応を具体的にしっかり考えていきたいと存じます。
 そして、その具体的な対応を実行することによって、二〇一七年中に国連人権理事会に提出する予定の報告書、これがぜひ客観的かつ事実に基づいたものになるよう、最善の努力を積み重ねていきたいと考えます。
    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕
○丸山委員 同じ御答弁を去年の委員会でされて、そして、もちろんかち取った部分もあります。
 しかし、表現として明らかにおかしい部分が書き込まれているような報告書が出されて、そして、それが、実は、米国の国務省が出したものにも、例えばJKビジネスというのは今まで一回も出てきていないものが、今回、三月に国連が出て、四月に米国の国務省のが出ているんですけれども、反映されている状況なんですね。
 だから、そういった意味で、来年のこの表現の自由の部分もしっかりやっていくという御答弁がありましたので、本当にしっかりやっていただきたいんです。
 私は、御答弁も欲しいですし、しっかりやっていただきたいんですけれども、これは具体的な予算だとか人員配置とかもしっかりやるべきだと思っていて、だから、比較に出したら悪いんですけれども、ジャパン・ハウスの話を少しさせていただいたのは、ジャパン・ハウスに四年で百二十六億かけられるわけですね、アンテナショップを大都市の中心に、クールジャパン中心みたいな、日本の魅力を発信すると。
 それもいいんですけれども、しかし、さっき、具体的な戦略的対外発信の、例えば慰安婦や領土問題、歴史問題の額は幾らぐらいですかとお話を聞いたら、九・七億だと言っていたんですね。この発信の全体は四十八億なんですけれども、四十八億と、例えばジャパン・ハウスの百二十六億で比べても、三倍以上、このジャパン・ハウスに使うわけですよ。先ほどの九・七億からしたら、十数倍のお金をこのジャパン・ハウスに使うわけで、むしろ、こっちよりも、こういったロビーイングの部分にもっと予算だとか人員をかけるような配慮をできればしていただきたい。
 重ねて、大臣がおっしゃるような、しっかりやっていくという答弁も欲しいんですけれども、最後、この予算や人員について大臣としてどう思われるかというのをお答えいただけますか。
○岸田国務大臣 我が国の正しい姿に対する理解を深める、我が国の立場をしっかりと説明していく、この際には、何か一つこれをやればしっかりとした結果が出るというものではないと思います。
 これだけの多様化した国際社会、そして膨大な情報量等、この環境を考えましたときに、さまざまな手段を講じて、その結果として一つの成果が上がってくるということであり、さまざまな切り口から努力をすること、こういった取り組みは決して緩めてはならないと思います。
 拠点構築についても、従来の発想ではだめだということで、より裾野の広い、日本に対する理解者を広めていかなければならないということで、新しいタイプの拠点構築ということで、ジャパン・ハウスについても今進めています。
 一方で、それ以外の取り組みも必要であります。ぜひ、効果的な発信をするために、さまざまな取り組みをバランスよく配置していきたいと存じます。
 その上で、今御指摘があった分野につきましても、しっかり努力を続けていきたいと考えます。
    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕
○丸山委員 よろしくお願いしたいと思います。
 特に、分析は私は大事だと思っていまして、うまくいかなかったときにどうしてかというところを、うまくやっているところはどうやっているのか。特に今回、ロビーイングしている団体もあるわけで、これらがどういう動きをしていて、今こうやって国連の特別報告者みたいなのがどんどん来ているのか、余りないことですから。そういった意味ではうまく分析もしていただいて、大臣がおっしゃるような努力が形になるように、ぜひともお願いしたいと思います。
 そうしましたら、条約の話をしたいんです。
 実は、我々の党も、党の中で大分精査させていただいて、これはぜひやるべきだ、早くやるべきだというふうに思っているんですけれども、また、今までの質疑の中で、質問が重なってしまう部分も通告の関係でどうしてもあるので、その辺は御容赦いただきたいというふうに思うんです。
 まず、我が国における外国人の受刑者の国別収容者数、先ほど少しありましたが、圧倒的に韓国というお話があって、中国、そのあたりのお話がありました。
 しかし、今回、確かにイランに対してやらなきゃいけないと思うんですけれども、一方で、そういった多い国に関して今現状どうなっていて、そして、できていないというふうに聞いているんですけれども、なぜできなくてという部分、政府としてどう考えているのかというところについて、お答えいただけますでしょうか。
○能化政府参考人 お答え申し上げます。
 受刑者の数が多いところで申し上げますと、韓国、中国、ブラジル、イランの順に今なっておるところでございまして、韓国については、既にCE条約の締約国であるということで、日本との間の受刑者移送が可能ということでございます。
 そして、中国につきましては、既にこれまで三回の交渉を行っておりまして、第三回が二〇一五年七月ということでございますけれども、この条約の早期の署名及び締結を目指して今後とも交渉していくという考えであるということでございます。
 三番目のブラジルにつきましては、既に二国間の条約がございますし、イランにつきましては、まさにこの国会で御承認をお願いしているという状況でございますので、こういった努力を引き続き続けながら、アジア諸国を初めCE条約未締約国については、条約の締結を働きかけていくということもまた引き続きやっていきたい、このように考えておる次第でございます。
○丸山委員 しっかりやってくださいと申し上げるしかないですし、相手もあることなので、細かい交渉をやられているんだと思うんですけれども、前に一歩一歩進めていくことと、移送に関してもなるべく早目にやっていくことが、人がいるわけですから、そういった意味でスピード感というのは持っていただけますように、私からも重ねてお願い申し上げます。
 投資協定の方も、こちらも本当に、我が党としてもどんどんやってくださいと。我が党はTPPも賛成の立場ですので。むしろ、投資協定的な側面、TPPも入っていますから、そういった意味でしっかりと二国間協定もやってほしいというふうに思っているんです。
 実は、TPPの議論で余りこの話、聞きたいなとずっと思っていたんですけれども、なかなかこのための時間がとれなかったので、お聞きしたいんです。
 TPPにも投資協定的な要素が入っていると思うんですけれども、一方で、二国間協定も進められていると思うんですね。この位置づけ、デマーケーションとしては、どういうふうに政府として整理されているのか。
 まず、TPPの審議も特別委員会で進んでいる段階で、この機会にきちんと伺っておきたいな、もう一度伺っておきたいなと思うので、ちょっとこのあたり整理していただけますでしょうか。お答えいただけますか。
○岸田国務大臣 まず、経済連携協定そして投資協定は、日本企業の海外展開を考えましたときに大変重要なツールであると考えます。そうした認識のもとに、経済関係等の二国間関係、そして経済界からの要望、そして相手国の制度、こういったものを総合的に考慮して順次交渉しています。
 現在までに、投資協定及び投資章を含む経済連携協定、合わせて三十五本の投資関連協定を締結しております。そして、一方で、御指摘のTPP、十二カ国によるTPP協定が署名に至りました。
 そして、現在、我が国の主要投資先の一つであるEUとの間におきまして経済連携協定を進めています。これら、メガFTAと呼んでおりますが、こうしたメガFTAを進める、これも大変重要でありますが、これとともに、中東、アフリカ、中南米等の資源国、あるいは地域の拠点国、こういった国々と投資関連協定を二国間で進めていく、このことについても積極的に進めていきたいと存じます。
 こうした仕組みをぜひ重層的に進めていくというのが我が国の方針であります。
○丸山委員 TPPも、二国間も含めて重層的に広げていくということなんですけれども、これは最終的には、全世界、多くの、まあ、全ての国と結んでいきたいということなのかなというふうに今聞いて思ったんですけれども、そうなのかということと、そして、まだ未締結の国の数は今どれぐらいあるのかというのはお答えいただけますか。役所の方で構いません。
○佐藤政府参考人 現在、三十五本の投資協定を締結しておりまして、あと、署名済みでまだ未締結の協定が六本ありまして、これはまさにオマーン、イランとの関係の投資協定二本とTPP協定を提出させていただいているということでございますし、また、現在、九本の投資協定、それから六本、これは投資章を含む経済連携協定、この計十五本の協定について交渉を行っているところでございます。
○丸山委員 これらの国も含めて、できる限り多い国と投資協定を結んでいきたいということでよろしいんですかね。
○岸田国務大臣 先ほども申し上げましたように、二国間関係ですとか経済界の要望ですとか相手の制度等を総合的に勘案しなければいけません。ですから、全部、全ての国とこうした協定を結ぶことが目的ではなくして、そうした、実際、さまざまな現実をしっかりと判断して、必要とされるものについては積極的にどんどん進めていくというのが基本的な考え方だと思います。
○丸山委員 よくわかりました。
 先ほどの説明だと、どちらかというとできる限りというイメージを持ってしまったんですけれども、私の最初思っていたイメージと一緒で、複層的、網の目のように、それは当たるところもあれば、しかし当たらないところもあるし、しかもそれは優先順位をつけた上でふやしていくということでございますね。
 そして、その中にTPPという大きいのが入って、それがこの国の国益になるということで今審議に臨まれているんだという理解に思い至りました。
 いずれにしましても、このTPPにしても二国間協定にしても、民間の方にとっては切実にやってくれという、国によってはありますので、そういった意味で、我が党としては、結んでいただく方向性をしっかりと前に進めていただくようにお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。
 ありがとうございました。
○岸委員長 次に、玉城デニー君。
○玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。
 日・イラン受刑者移送条約、それから日・オマーン投資協定、日・イラン投資協定について質問をさせていただきます。
 まず、二本の投資協定から質問をさせていただきたいと思います。
 この日・オマーン投資協定、それから日・イラン投資協定、どちらも、その背景には、進出日系企業がふえてきているということと、それから、その進出分野においても、これからも非常に重要な国であるということと、お互いの国家間のやはり投資を呼び込むということで、投資財産の設立後の内国民待遇、最恵国待遇、それから、正当な補償等を伴わない収用の禁止などなど、主な内容として挙げられております。
 この中で、投資受け入れ国と相手国投資家間の紛争解決の手続が、日・オマーン投資協定では第十五条、日・イラン投資協定では第十八条でそれが設置されています。いわゆるISDSですね。
 このISDSについては、当然、投資家、企業と国家との間で何らかの問題が発生したときには、投資紛争解決国際センターにその手続が諮られるものということになっていく、そのように思料しております。
 我が国において、これまで投資協定を結んできた国々との紛争解決の手続について、この間、過去において、何らかの解決のための手続をとられたことがあるかどうかについて、まずお聞かせください。
○岸田国務大臣 投資協定におきましては、締約国が必要かつ合理的な規制を妨げることはありません。
 また、我が国は、この投資協定の締結に当たっては、必要な例外規定を置くこと等によって国内法との整合性を図ることとしており、紛争解決手続を提起されないよう留意しながら、協定の締結を進めております。
 そして、その結果、我が国は、一九七八年以降、ISDS手続を含む投資協定を多数締結しておりますが、これまでISDS手続により訴えられたこと、あるいは訴えられそうになったケース、ともにないというのが現状でございます。
○玉城委員 つまり、このISDSを織り込むことで重要なことは、自国の政策を保護することと、国の政策の裁量を確保すること、それから自国への投資が促進されてさまざまな経済的なメリットが得られることのバランスが非常に重要ではないかというふうに思料するわけですね。
 そういうふうに考えてみますと、やはりどこの国ともこのようなISDSをセットすることによって、双方の国家間の利益、メリットとデメリットのバランスの調整がうまくとれている、それが、今まで紛争の解決の手続をとらなかった、とってこなかったという背景にあらわれているのではないかと思います。
 投資関連協定の現状を見てみますと、一方で、例えば、投資章を含むEPAを締結しておりますフィリピンあるいはオーストラリアとはこのISDSの条項がないというふうに説明を受けております。
 フィリピン、オーストラリアとの投資章を含むEPA協定に関して、なぜそのISDS条項が織り込まれていないのかについて、その理由をお聞かせください。
○岸田国務大臣 フィリピン、豪州との投資協定について御指摘がありましたが、このフィリピン、豪州とのEPA交渉において、我が国は投資家の保護に資するISDS条項を含めるべきだという基本的立場に立って交渉を行いました。しかし、最終的に、全体のパッケージの一環として、ISDS条項は含まれないこととなりました。もっとも、両EPAのいずれにおいても、協定発効後にISDS条項の挿入について追加的に交渉を行うことを義務づける条項が置かれています。
 また、仮に日本企業が協定の義務に反する取り扱いを受けた場合には、協定に基づいて設置される投資小委員会を通じ、相手国に対し政府間での問題の解決を求めることができる、このようになっております。
 このように、両EPAのいずれにおいても、将来、ISDS条項を検討するための仕組みが用意されていることとともに、ISDS条項がないことによって日本企業がこうむる不利益をできるだけ軽減するための手当てがなされております。
 なお、フィリピンと豪州との間においては、ISDS条項の挿入に関する協議を今現在行っております。日本企業の投資環境向上のために、鋭意話し合いを進めていきたいと考えています。
○玉城委員 私がここでISDSについて大臣からの見解をお伺いいたしましたのは、例えばTPPの問題においても、署名をしてこれからどのように批准、発効していくかということが、今特別委員会でも協議が始められているわけなんですが、であればこそ、最初はこういうふうにISDSを織り込まなくても、後によって、お互いの各国間の関係性を高める上において、その後からそういう協議を差し込んでいくというふうな手法もとられるやに考えるわけです。
 ですから、TPPの議論の中で、国民の多くの皆さんは、このISDSによって、多国間企業に国が訴えられることによって国民が保護されなくなるのではないかという、そういう不安、懸念材料が広がっているわけですね。
 ですから、こういうことを考えると、例えばこのフィリピンとオーストラリアのように、当初そういうことが入っていなくても、後にそういう関係性を構築することができるのであれば、私は、TPPについてのISDS条項に関する説明もきちんと行って、絶対にこれは日本にとって国民にとって不利益なものではないというふうなこともきちんと情報開示して、委員会などで説明をする必要があるのではないかというふうに思うわけです。
 ですから、今回は、このイラン、オマーンとの二つの投資協定ではしっかりISDSが入っているけれども、この間、二国間の間では、我が国は特に紛争を引き起こすようなそういうことはなかったということを確認させていただいた次第です。
 さて、続いて、日・イラン協定の投資の阻害要因となり得る要求ということについて聞かせていただきます。
 この投資の阻害要因となり得る要求、輸出の制限等の原則禁止が第七条で書かれています。この原則禁止というのは、では、どのような場合に原則禁止の規定が解かれるものになるのか、この形から質問をさせていただきたいと思います。
○黄川田大臣政務官 お尋ねの協定第七条に関してでございますが、投資受け入れ国がとることを禁止されている措置としては、例えば、イラン政府が同国にある日本の投資家が出資した企業に対して輸出の制限を行う場合が該当いたします。
 お尋ねの原則禁止に当たらない場合として、例えば本協定の第十三条において、いわゆる一般的例外や安全保障のための例外として必要な措置をとることは妨げられない旨規定しております。
 これらの一般的例外及び安全保障のための例外に該当する措置については、個々の事例に応じて判断されるものであり、予断を持って具体的に申し上げることは困難ではありますが、一般的例外については、例えば、人、動物または植物の生命または健康の保護のために必要である場合や、公衆の道徳の保護または公の秩序の維持のために必要である場合が考えられます。
 また、安全保障のための例外については、例えば、自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要である場合や、国際の平和及び安全の維持のための国連憲章に基づく義務に従って措置をとる場合が考えられるということでございます。
○岸委員長 玉城君、時間が来ております。
○玉城委員 はい。
 質問を残しておりますが、時間ですので、終わらせていただきます。
 ありがとうございます。ニフェーデービタン。
○岸委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。
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○岸委員長 ただいま議題となっております各件中、まず、刑を言い渡された者の移送に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について議事を進めます。
 これより本件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○岸委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○岸委員長 次に、投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とオマーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件について議事を進めます。
 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。笠井亮君。
○笠井委員 私は、日本共産党を代表して、日本・オマーン投資協定及び日本・イラン投資協定に反対の立場から討論を行います。
 これら二つの協定は、相手国への投資を促進するために、投資設立後の投資家の権利の保護や環境整備に関するルールを定めるものであり、安倍内閣が経済政策の柱と位置づける大企業優先の成長戦略のもと、日本の多国籍企業が海外で最大限の収益を上げる投資促進のために締結されるものであります。
 日本の財界は、国内では法人減税や労働法制の改悪を、国外では日本の多国籍企業が多額の収益を上げられるような条件整備、投資協定や租税条約の締結を強く求めています。
 政府の日本再興戦略は、こうした財界の強い要請と一体となり、積極的に世界市場に展開を図っていくためとして、経済連携協定や租税条約と並び、投資協定の締結拡大に取り組むことを明示しています。石油等の資源国である中東二カ国を対象とする二つの協定は、まさにこの一環であります。
 また、二つの協定には、TPP協定と同じく、重大な問題点の一つであるISDS条項が盛り込まれています。ISDS条項は、一企業が国家を訴え、国の主権を脅かすことにつながる仕組みにほかならず、看過することはできません。
 以上を指摘し、二つの投資協定に対する反対討論とします。
○岸委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○岸委員長 これより採決に入ります。
 まず、投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とオマーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○岸委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○岸委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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○岸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時九分散会