第190回国会 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 第3号
平成二十八年四月七日(木曜日)
    午前八時五十九分開議
 出席委員
   委員長 西川 公也君
   理事 笹川 博義君 理事 菅原 一秀君
   理事 鈴木 馨祐君 理事 福井  照君
   理事 吉川 貴盛君 理事 柿沢 未途君
   理事 近藤 洋介君 理事 上田  勇君
      井野 俊郎君    井上 貴博君
      井林 辰憲君    石原 宏高君
      うえの賢一郎君    小田原 潔君
      尾身 朝子君    大串 正樹君
      勝沼 栄明君    木村 弥生君
      北村 誠吾君    工藤 彰三君
      小島 敏文君    國場幸之助君
      坂本 哲志君    関  芳弘君
      田中 良生君    武井 俊輔君
      武部  新君    寺田  稔君
      中川 郁子君    丹羽 秀樹君
      野中  厚君    橋本  岳君
      原田 義昭君    福山  守君
      古川  康君    堀内 詔子君
      前川  恵君    御法川信英君
      宮川 典子君    宮腰 光寛君
      宮崎 政久君    宮路 拓馬君
      務台 俊介君    渡辺 孝一君
      緒方林太郎君    大西 健介君
      岸本 周平君    黒岩 宇洋君
      篠原  孝君    玉木雄一郎君
      福島 伸享君    升田世喜男君
      村岡 敏英君    稲津  久君
      岡本 三成君    中川 康洋君
      吉田 宣弘君    笠井  亮君
      斉藤 和子君    畠山 和也君
      丸山 穂高君
    …………………………………
   内閣総理大臣       安倍 晋三君
   財務大臣         麻生 太郎君
   法務大臣         岩城 光英君
   外務大臣         岸田 文雄君
   文部科学大臣       馳   浩君
   厚生労働大臣       塩崎 恭久君
   農林水産大臣       森山  裕君
   経済産業大臣       林  幹雄君
   環境大臣         丸川 珠代君
   国務大臣         河野 太郎君
   国務大臣         石原 伸晃君
   内閣府副大臣       高鳥 修一君
   内閣府副大臣       松本 文明君
   農林水産副大臣      齋藤  健君
   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君
   衆議院事務総長      向大野新治君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 速水君
   政府参考人
   (農林水産省食料産業局長)            櫻庭 英悦君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  今城 健晴君
   政府参考人
   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君
   政府参考人
   (経済産業省通商政策局長)            片瀬 裕文君
   参考人
   (内閣審議官)      鶴岡 公二君
   衆議院調査局環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別調査室長      辻本 頼昭君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月七日
 辞任         補欠選任
  越智 隆雄君     宮腰 光寛君
  坂本 哲志君     石原 宏高君
  関  芳弘君     大串 正樹君
  田中 良生君     野中  厚君
  武井 俊輔君     國場幸之助君
  橋本  岳君     宮崎 政久君
  古川  康君     尾身 朝子君
  前川  恵君     木村 弥生君
  宮川 典子君     井林 辰憲君
  岸本 周平君     大西 健介君
  稲津  久君     吉田 宣弘君
  笠井  亮君     斉藤 和子君
同日
 辞任         補欠選任
  井林 辰憲君     工藤 彰三君
  石原 宏高君     坂本 哲志君
  尾身 朝子君     古川  康君
  大串 正樹君     関  芳弘君
  木村 弥生君     宮路 拓馬君
  國場幸之助君     武井 俊輔君
  野中  厚君     田中 良生君
  宮腰 光寛君     井上 貴博君
  宮崎 政久君     橋本  岳君
  大西 健介君     岸本 周平君
  吉田 宣弘君     稲津  久君
  斉藤 和子君     笠井  亮君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 貴博君     うえの賢一郎君
  工藤 彰三君     宮川 典子君
  宮路 拓馬君     前川  恵君
同日
 辞任         補欠選任
  うえの賢一郎君    丹羽 秀樹君
同日
 辞任         補欠選任
  丹羽 秀樹君     堀内 詔子君
同日
 辞任         補欠選任
  堀内 詔子君     越智 隆雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)
 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四七号)
     ――――◇―――――
○西川委員長 これより会議を開きます。
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案件審査のため、本日、参考人として内閣審議官鶴岡公二君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、農林水産省大臣官房総括審議官佐藤速水君、農林水産省食料産業局長櫻庭英悦君、農林水産省生産局長今城健晴君、農林水産省政策統括官柄澤彰君、経済産業省通商政策局長片瀬裕文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○西川委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮腰光寛君。
○宮腰委員 自由民主党の宮腰光寛でございます。TPP特別委員会のトップバッターを切って質問の機会をいただき、光栄に存じます。
 政権復帰から三カ月後の平成二十五年三月十五日、安倍総理はTPP交渉参加を表明されました。同年七月二十三日、マレーシアで開かれた首席交渉官会合で、日本は正式に交渉に参加いたしました。その後、二回のTPP首脳会合、八回のTPP閣僚会合が開かれ、昨年十月五日、アトランタにおけるTPP閣僚会合で大筋合意に達しました。ことしの二月四日には、参加十二カ国が調印式、署名式で署名が取り交わされたわけであります。
 そこで、委員会冒頭ということでもありますので、TPP協定の持つ意義、とりわけ、世界の貿易の標準ルールであるWTO協定を超える先進的な経済連携協定であることについて、総理から改めて御説明をいただきたいと思います。
 あわせて、平成二十五年二月の日米首脳会談で日本にとってのセンシティビティーであると確認された農産品について、TPPによって影響が出る場合には国内対策をしっかりと講じていくという総理の御決意も最初に伺っておきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 まず、TPPは消費者の生活を豊かにするわけであります。それは、参加国間の貿易障壁は激減をしていくわけでありまして、域内のさまざまな商品を安く、そして手軽に、かつ安心して手に入れることができるようになるわけであります。
 また、TPPは八億人の市場であります。世界の四割経済圏を生み出し、GDP十四兆円の押し上げ効果が持続するわけであります。日本国内の人口減少を乗り越えて、日本経済が中長期的に力強く成長していく基盤になる、このように思います。
 日本人の人口は、残念ながらしばらくは減少していくわけであります。ということは、消費者の人口も減っていくわけでありますが、しかし、このTPPによって、新たに八億人の市場、世界のGDPの四割の市場が視野に入るということだろうと思います。
 また、関税が撤廃、削減されるだけではないわけでありまして、WTO協定にはない、投資先で技術移転や現地調達をまず強制されない、そしてまた電子商取引の際に現地サーバーの設置を強制されない、またソフトウエアのソースコードの開示を強制されないなど、二十一世紀のビジネスにふさわしい先進的なルールが盛り込まれています。新たなルールは、自由で公正な競争を促し、イノベーションを活発にします。そして、新しいビジネスも生まれてくることとなると思います。
 また、TPPは単なる貿易自由化の枠組みではないわけでありまして、基本的価値を共有する国々が経済のきずなを深め、その輪を広げていくという戦略的な意義も有していると思います。
 農林水産分野については、重要五品目を中心に、関税撤廃の例外をしっかりと確保し、関税割り当てやセーフガード等の措置を獲得いたしました。それでもなお残る農業者の方々の不安をしっかりと受けとめ、総合的なTPP関連政策大綱に即して、重要品目が確実に再生産可能となるよう、交渉で獲得した措置とあわせて、攻めの農林水産業に転換していくための体質強化対策や経営安定対策など、万全の措置を講じていく考えでありまして、宮腰委員にも大変な御尽力をいただいたわけでありますが、まさに農政新時代を切り開くため、実効性のある施策を講じていく考えであります。
 そして、農業を成長産業化させ、若い皆さんにとって、若い方々の情熱や努力が生かされる、それによって、新しい地平線を切り開いていくことができる分野に変えていきたい、このように考えております。
○宮腰委員 ただいま総理から、消費者の視点からも、あるいはマクロ経済の視点からも、それから新たな自由な貿易ルールという視点からも大きな意味があるというお話がありました。現に大筋合意の後、内容がわかった後で、お隣の韓国や台湾を初めとする多くの国々から、交渉参加を検討したいという表明がなされているというのは、今総理がおっしゃった点にあるのではないかというふうに考えております。
 次に、TPP交渉の経緯について振り返ってみたいというふうに思います。
 民主党政権時代の平成二十二年十月。横浜で開かれたAPEC首脳会合で、菅総理がTPP交渉への参加を検討すると発言されたのが始まりであります。その後、平成二十三年の十一月、野田総理の時代に、交渉参加に向けた事前協議に入ったという経緯があります。このときも、実は、衆議院の農林水産委員会等で、TPP協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する件という国会決議を行いました。我々自民党は、TPPについて、聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加に反対という公約を掲げ、総選挙を戦い、政権に復帰をいたしました。
 安倍総理は、復帰直後の二月にアメリカを訪問され、オバマ大統領と初めての首脳会談を行われました。お互いに国益を背負った大変厳しいやりとりがあったと聞いておりますが、会談の結果を反映した共同声明が発表され、日本には一定の農産品、アメリカには一定の工業製品というように、お互いに、二国間貿易上のセンシティビティー、重要品目が存在することを確認されました。また、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないということも日米首脳間で確認されました。
 総理は、帰国後、TPPについて、聖域なき関税撤廃ではないことが明確になったとして、自民党に交渉参加検討を指示され、西川TPP対策委員会でぎりぎりの検討を行った結果、三月十三日、自民党の決議を取りまとめ、それを踏まえた形で、総理が交渉参加を表明されたわけであります。
 アメリカでは、通商交渉権限は合衆国政府ではなく連邦議会が持っております。我々は、それに対抗するには、我が国でも交渉に臨むに当たって改めて国会の意思を明確に示す必要があると痛感をいたしておりました。
 四月十九日、衆議院の農林水産委員会で、TPP協定交渉参加に関する決議が採択されました。政権交代直後という政治状況の中、この決議を成立させることは非常に困難でありましたが、私も与党筆頭理事として取りまとめに当たりました。自民党、公明党の与党に加え、野党の民主党・無所属クラブと生活の党からの賛成も得て、圧倒的多数で決議が採択をされました。
 この国会決議が、事実上、日本政府の交渉方針となり、交渉の強力な後ろ盾となりました。国益をかけたTPP交渉において、この国会決議がなかりせば、今回の交渉結果にはならなかったのではないかというふうに思います。
 また、自民党として、閣僚会合が開かれた現地に毎回議員を派遣いたしまして、国益にかなう交渉となるよう、甘利大臣を初め政府交渉団を督励し、見守ってまいりました。主な派遣メンバーは、西川委員長、吉川筆頭、森山農林水産大臣、国益を守り抜く会の江藤会長、そして私であります。
 現地では、調査のため派遣された民主党の議員とも何度もお会いし、その時点での交渉の状況についてできる限り丁寧な説明に努めてまいりました。現地で取材に当たっている記者団に対しましては、連日記者懇談会を開き、TPP政府対策本部の担当者が記者全員の質問にタイムリーに答えるよう毎回配慮してまいりました。
 自民党の派遣団そのものが交渉を行ったわけではありませんが、私は、現地での経験から、政府交渉団はチーム一丸となって国益を最大化するための交渉を行ったと評価しております。
 正式に交渉参加してから二年と二カ月余りで大筋合意に至りました。非常に困難な交渉ではありましたけれども、今、交渉を振り返って、総理はどのような感想をお持ちであるか、お聞きしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 我々が政権をとる前の二〇一二年の当時から振り返って説明をしていただいたわけでありますが、あのときはアジア太平洋地域に大きな経済圏がまさに誕生しようとしていたわけでありまして、そして、そこでつくられたルールは、その後、FTAAP、RCEP、大きく広がっていくいわば自由貿易経済圏の基礎的なルールになっていく可能性がある。そのルールづくりに参加できないことによって、日本は大変な不利益をこうむる可能性もあった。また、では、全く日本はそこから背を向けてしまえば、日本には衰退の道が待っているのではないかという大きな不安もあったわけであります。
 と同時に、日本の美しい田園風景を守り抜くことができるのかどうか、そしてまた、国民皆保険という世界に冠たるこうした制度をしっかりと守っていくことができるかどうか、食の安全等、そうしたものをちゃんと確保することができるかどうかという不安もあったわけであります。
 そして、我が党は、その二〇一二年の暮れの選挙におきまして、聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉参加に反対する、これを明確にしたわけでございまして、先ほど申し上げましたようなそうした不安を払拭することができるかどうかということがまさにポイントであったわけであります。
 そこで、国民皆保険制度を守るなど五つの判断基準を掲げたわけであります。政権発足後間もない二〇一三年二月に、私は、この国民との約束を守るために訪米をいたしまして、オバマ大統領と会談をして、TPPは聖域なき関税撤廃を前提としないことを直接確認したわけであります。
 TPP交渉は、関税は撤廃するとの原則で始まっておりまして、日本が聖域なき関税撤廃を前提としないと確認して参加した後も、関税撤廃の圧力が極めて強かったのは事実であります。政府は、党の決議や衆参農林水産委員会の決議を後ろ盾にしながら、ぎりぎりの交渉を行ったわけであります。我々は、交渉を行う際において、議会においてこうした決議がなされている、我々はこれをしっかりと守っていく義務がありますよということを再三交渉相手側に伝えながら、訴えながら交渉したわけであります。
 そして、その交渉の結果、日本以外の国々の関税はほぼ一〇〇%撤廃されることになったのは御承知のとおりでありますが、しかし、日本は、農林水産品の約二割については関税等による保護を維持したわけであります。ほかの国はほぼ一〇〇%であったわけでありますが、我々は、厳しい交渉をした結果、二割は関税等による保護を維持したところであります。
 TPPによる新たなルールは、自由で公正な競争を促進し、イノベーションを活発にして、そして高い価値を生む力を発揮させるわけであります。国民皆保険制度や食の安全が脅かされるようなルールは一切ありません。
 その間、交渉会合の期間中や会合終了後に随時記者会見を行い、また、情報を提供し、参考となる意見や情報を収集するために、随時、関係団体や地方公共団体等に対する説明会を開催するなど、国民への情報提供に努めてきたところであります。
 我々は、厳しい交渉の中において、国益にかなう最善の結果を得ることができた、このように考えております。
○宮腰委員 総理からいろいろな御苦労の一端をお話しいただきました。
 今、国会で、国会決議との整合性について議論があります。今ほども総理から御答弁にありましたけれども、関税に関しては、ほかのTPP参加国、関税撤廃の例外品目は平均でわずか一・五%であります。我が国は例外を一八%から一九%獲得をしっかりしてまいりました。
 しかし、農林水産品の重要五品目のうち、交渉結果を個別に見ていくと、中には相当厳しい結果というものもあります。国会決議第一項の核心部分、コアな部分、これは、農産品の重要品目が引き続き再生産可能となるようという箇所でありますけれども、そのための国内対策を確実に実施する必要があります。
 自民党として、TPP大筋合意後直ちに、現場の声を聞くキャラバンを実施いたしました。現場の不安や懸念をしっかりと踏まえ、それに応える農政新時代に向けた提言を取りまとめました。政府としても、十分な国内対策を盛り込んだTPP関連政策大綱も決定し、さきに成立した補正予算や新年度予算を含め、TPP協定発効後も見据えた長期にわたる対策を実施することといたしました。
 これらを踏まえますと、今回の交渉結果は、ぎりぎりのところで国会決議を守り抜いたと言えるのではないかと私は考えます。農水委員会の現場でこの決議の取りまとめに当たった責任者としてそのように理解をしておりますけれども、総理の御見解を伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 TPP交渉においては、これはもちろん国と国との国益がぶつかり合うわけでありますが、他の国が農林水産品の九八・五%を関税撤廃とする中において、我が国は、重要五品目を中心に、今、宮腰委員から御紹介いただいたように、約二割の関税撤廃の例外を確保し、そして関税割り当てやセーフガード等の措置を獲得いたしました。
 それでもなお残る農業者の方々の不安を受けとめまして、多くの農業者の方から御意見を伺いながら、昨年の十一月に総合的なTPP関連政策大綱を決定しました。そして昨年度の補正予算を通じて緊急対策を講じました。重要品目が確実に再生産となるよう、交渉で獲得した措置とあわせて、引き続き万全の措置を講じていきます。
 例えば米については、国家貿易制度を維持し、国家貿易以外での輸入に課される高い枠外税率も維持をいたしました。そして、合計で七・八四万トンという、日本の米の生産量の一%程度の量の国別枠の設定にとどめたわけであります。さらに、この国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れることで、輸入量の増加が国産主食用米の生産や価格に与える影響を遮断することにしたところであります。これは、一%であっても外国からお米が入ってくれば価格に影響して、価格を引き下げるのではないかということに対して、今申し上げましたように、その影響を遮断する措置をとったということであります。
 交渉結果が国会決議にかなったものかどうかは、もちろん、これは国会の決議でありますから国会がお決めになることでありますが、政府としては、国会決議の趣旨に沿うものと評価をしていただけるものと考えております。
○宮腰委員 重要五品目に関しまして、森山農林水産大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 今ほども総理からお話がありましたけれども、重要五品目のうち、牛肉、豚肉を除く四品目は国家貿易の仕組みを堅持いたしました。国家貿易というのは、国が貿易を管理することにより、約束した以上の数量が入ってこないという仕組みであります。この仕組みを四品目に関しては堅持をいたしました。
 まず、米について、総理からも触れられましたけれども、アメリカと豪州で合計で七万八千四百トン、義務輸入ではない新たな枠をつくることといたしました。国内対策として、輸入量と同じ量の国産の主食用米を備蓄米として買い上げ、市場から隔離することで、国内需給への影響を遮断するということにいたしました。
 国産の主食用米に関しましては、昭和四十四年に生産調整が始まって以来、昨年初めて生産調整を四十七年目にして達成いたしました。平成二十六年産米で二万八千ヘクタールの約十五万トンあった過剰作付を解消いたしまして、需給のバランスがとれたことで、米価は適正水準に一歩近づきました。
 二年前の予算委員会で、私の質問に対しまして安倍総理は、五キロ二千円の平均的なお米、一日分で約六十二円、茶わん一杯二十六円ということについて、リーズナブルではないかという御答弁をいただきました。それが、二十七年産のお米では一日分で五十七円と、実は一割近く国内の需給の問題で下がっております。日本人の主食である米の一日分が缶コーヒーやペットボトル一本の値段に比べて半分以下の状態であります。まだまだ適正米価水準とは言えない状態だと思っております。
 米に関しましては、平成三十年産からの生産調整の見直しを確実に実施することが何よりも重要でありまして、今回の備蓄米の買い上げとあわせて、この影響はしっかりと遮断できるというふうに私は思っておりますが、森山大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。
○森山国務大臣 宮腰委員にお答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、備蓄米を買い上げることによって影響を遮断するということは、私もそのとおりだと考えております。
 TPPいかんにかかわらず、主食用米の国内需要が毎年おおむね八万トン程度減少している中にあって、需要に応じた米の生産、販売を行うことにより米の需給及び価格の安定を図ることが重要な課題であると強く認識をしています。
 このため、三十年度産を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、生産者みずからマーケットの動向を見ながら需要に応じた生産が行えるようにすることとしておりまして、国としては、そのための環境整備として、一つは、全国の需要見通しに加えて、各産地における販売や在庫の状況などに関するきめ細かな情報提供や、また、麦、大豆、飼料用米等の戦略作物の生産に対する支援等を進めさせていただいているところであります。
 このような中、二十七年度産におきましては、各産地の自主的な判断により主食用米から飼料米等への転換が進みまして、生産数量目標の配分が始まって以来初めて過剰作付が解消いたしました。現場の皆さんや地方自治体の皆さんの御努力にも敬意を表したいと思っています。また、相対取引価格も前年産に比べて高くなっており、需要に応じた生産が定着しつつあるのではないかと認識をしているところであります。
 国としては、政策大綱に基づく備蓄米の運営見直しにより、TPPの国別枠の輸入量の増加の影響を遮断した上で、引き続ききめ細かな情報提供や戦略作物に対する支援等を行うことにより、TPPに左右されることなく、三十年産以降も農業者が安心して需要に応じた生産に取り組んでいただけるように、最大の努力をしてまいりたいと考えております。
○宮腰委員 重要五品目の二つ目でありますが、麦につきましては、輸入差益にかける課徴金、マークアップが約四百億円減少することになります。
 しかし、担い手経営安定法に基づきまして、我が国における生産条件と外国における生産条件の格差から生ずる不利を補正するための交付金を交付するという政策には、全く変わりがありません。
 政府の大綱では、対策財源につきまして、「既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保する」とされております。
 麦のマークアップの減少分についても、確実に毎年の予算で確保されることになると考えますが、いかがでしょうか。森山大臣、お願いいたします。
○森山国務大臣 お答え申し上げます。
 TPP協定が発効いたしますと、輸入麦のマークアップの削減、九年目までに四五%減少するわけでありますが、これに伴いまして、一般会計からの繰り入れとあわせて麦の経営安定対策の財源となっているマークアップ収入は減少することとなります。
 このため、政策大綱におきまして、農林水産分野の対策の財源については、TPP協定が発効し関税削減プロセスが実施されていく中で将来的に麦のマークアップ等が減少することにも鑑みまして、既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保するということとされておりまして、先生が先ほど御指摘をいただいたとおりでございますが、これに即して必要な予算を確保しつつ、経営安定対策を適切に実施してまいりたいと考えております。
○宮腰委員 重要品目のうち、バター、脱脂粉乳、この乳製品は、生乳換算で七万トンの輸入枠を設けることとしております。七万トンという数字は、ここ二年のバター不足で追加輸入した量の約半分程度であります。
 粗糖、砂糖の原料でありますが、これについては、試験輸入で、ほんの若干、一定量、輸入をふやすということにはなりますものの、新たに加糖調製品に調整金を課すということで、国内対策を講じることが十分可能になります。
 この乳製品の対策、あるいは砂糖に関する今回の関連法案の効果を含め、影響をどのように見ておいでになるか、森山大臣からお伺いしたいと思います。
○森山国務大臣 お答え申し上げます。
 乳製品につきましては、バター、脱脂粉乳の現行の国家貿易制度及び高水準の枠外税率を維持した上で、近年の国家貿易の追加輸入量の範囲内で関税割り当てを設定することとされたところでございます。乳製品全体の国内需要への悪影響は回避されるというふうに見込んでおります。
 他方、チーズの一部やホエーの関税撤廃により、長期的には加工原料乳の価格の下落も懸念をされますので、政策大綱に基づきまして、畜産クラスター事業等を活用した省力化機械、搾乳ロボット等でございますが、の導入を図ったり、国産乳製品を活用した新商品の開発等、生産性向上、品質向上等の体質強化対策を講じてまいりたいと考えております。
 また、経営安定対策といたしまして、生クリーム等の液状乳製品を加工原料乳生産者補給金制度の対象に追加するなど、万全の対策をとらせていただきたいと考えております。
 砂糖につきましては、糖価調整制度が現行どおり維持できましたので、少量の試験輸入枠の設定等の対応にとどめていることから、てん菜やサトウキビの生産に特段の影響は見込みがたいと考えております。
 一方で、現在、糖価調整制度の対象外でございます加糖調製品について関税割り当てを新たに設定したことで、安価な加糖調製品の輸入が増加し、国産の砂糖の需要が奪われるとともに、輸入糖からの調整金収入の減少をもたらすことが懸念をされるところであります。
 このために、加糖調製品についても調整金の対象とさせていただきまして、これを砂糖の国内生産の支援に充当することなどを通じまして国産の砂糖の競争力を強化させていただき、糖価調整制度を安定的なものとするために、今回、糖価調整法の改正をお願い申し上げているところでございます。
 これらの対策により、生産者の所得の確保や経営の安定が図られ、将来にわたって安心して生産に取り組んでいただくことが可能になるというふうに考えております。
○宮腰委員 重要五品目、国家貿易ではない牛肉、豚肉、これにつきましては、関税だけで守っているため、最も影響が懸念される品目であります。
 日豪EPA協定に関する決議では、豚肉は重要品目には入っておりませんでした。自民党の決議、TPPの決議をまとめる段階で、アメリカ、カナダ、メキシコが交渉相手となりますので、豚肉を重要品目に加えるべきだと強く主張されたのはほかならぬ森山農水大臣でありました。
 既に発効している日豪EPA協定の豪州産牛肉による国産牛肉への影響の度合い、それから豚肉に関しましては、TPPで差額関税の従量税を引き下げた場合の国内への影響見通し、経営安定対策、いわゆるマルキンを充実強化した上で法制化するTPP関連法案の効果、それと畜産クラスター事業の継続実施について、森山大臣から御見解を伺いたいと思います。
○森山国務大臣 お答え申し上げます。
 日豪EPAにつきましては、昨年一月の発効以来、国産牛肉の価格が堅調に推移していること等を踏まえれば、国産牛肉との関係では、日豪EPAの発効に伴う影響は、これまでのところ特段あらわれていないのではないかというふうに考えております。
 一方、TPP交渉において、牛肉及び豚肉ともに長期の関税削減期間を確保し、牛肉は十六年目に最終税率が九%、豚肉は差額関税制度が維持され、十年目に従量税をキロ当たり五十円とすることとなっております。
 我が国以外の牛肉及び豚肉の需要が急激に伸びておる中、輸入国との買い付け競争が激しくなる可能性もある中で、当面、輸入の急増は見込みがたいのではないかというふうに考えておりますが、長期的には、国産の牛肉、豚肉の価格下落も懸念をされるところでありますので、昨年十一月に政策大綱を決定いたしました際、牛・豚マルキンについては、法制化した上で、補填割合を八割から九割に引き上げるなどの充実を図ることとしております。
 これにより、TPP協定の発効による関税削減等による畜産農家の懸念と不安を払拭させていただきますとともに、畜産農家の体質強化などの経営発展に向けた投資意欲を後押しすることが可能になるのではないかと考えております。
 また、政策大綱では、省力化機械の整備等による生産コストの削減や、品質向上を図るための畜産クラスター事業を拡充することとさせていただいておりまして、この畜産クラスター事業は今後とも継続的に実施していく考えであります。
 国産牛肉・豚肉の再生産が確保できるように、引き続き、経営安定対策や体質強化対策を着実に実施してまいりたいと考えております。
○宮腰委員 ただいまの森山大臣の御答弁にありましたように、重要五品目の中で最も影響が懸念されている牛肉、豚肉については、今回、経営安定対策をしっかりと法制化するということにいたしておりますので、この対策も含め、重要五品目についてはきちっと対策がとれると私も確信をいたしております。
 次に、影響試算について伺いたいと思います。
 TPPによる農林水産物への影響について、平成二十五年の試算では約三兆円の生産額の減少となっておりました。今回の試算では約千三百億円から二千百億円の減少とされております。
 前回は、農林水産物全ての関税を即時撤廃し、かつ国内対策を何も講じないという前提で試算したものであります。今回の試算は、交渉がまとまり、その結果に基づいて品目ごとに試算したものを積み上げ、かつ国内対策をしっかりと講じることを前提としたものでありまして、両者の数字には当然のこととして大きな違いが出てまいります。
 都道府県では、政府と同じ方法で試算したところが大半でありますけれども、中には、試算は楽観的ではないかという理由で、独自の方法で試算したところもあります。
 私も、大筋合意後、先ほど申し上げた地方キャラバンの意見交換会で、輸入生鮮野菜について、三%の輸入関税を廃止すれば、一兆円の輸入に対しこれまで三百億円の関税で守っている野菜がどんどん入ってくるようになるのではないかと指摘されたことがありました。
 同行した農水省の担当者にその場で確認をいたしましたところ、生鮮野菜類の輸入額は約九百四十億円、関税は約二十八億円、そのうち約四割がTPP参加国ではない中国産ということでありました。正確な数字をしっかり現場に伝える努力がまだまだ足りないというふうに痛感をしたところであります。
 今回の農林水産品の影響試算について、現場の不安解消のために楽観的な試算を行ったのか、それとも客観的に合理性のある試算なのか、改めて森山大臣から御見解を伺いたいと思います。
○森山国務大臣 宮腰委員御指摘のとおり、平成二十五年三月の政府統一試算は、米、麦の国家貿易がなくなるなど全ての関税が即時撤廃をされ、国内対策も行われない等の極めて単純化した前提のもとで行った試算であります。
 今回の試算に当たっては、その前提となる状況が変わっております。
 まず、TPP交渉の結果、多くの品目で関税撤廃の例外や長期の関税削減期間等を措置し、米、麦、砂糖などは今後輸入が大きく拡大する状況にはないと考えております。
 また、政策大綱に基づく生産コストの削減や品質向上のための体質強化対策に加え、重要五品目については、畜産物におけるマルキンの法制化や補填率の引き上げなど、TPP協定発効後の経営安定に万全を期すための措置を講じることとしているところであります。
 このように、今回の試算は、交渉で獲得した措置とあわせて、国内価格や国際価格、輸入量などの客観的なデータをもとにして、品目ごとの影響分析及び政策大綱に基づく国内対策の実施を前提として、これらを精査して影響を試算したものであり、客観的なデータを用いた合理的な試算であると考えております。
 今後とも、大事なことは、丁寧に説明をさせていただくということが最も大事なことであると考えておりますので、今回の試算について御理解をいただけるように、さらに努力を続けてまいりたいと考えております。
○宮腰委員 ありがとうございました。
 次に、石原TPP担当大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 まず、TPPの経済効果ということについてであります。
 TPPは、物の貿易拡大を促すだけではなくて、各国の規制緩和を通じて、サービス産業なども国境を越えて事業展開ができるようにするのが大きな特徴であります。
 昨年十二月二十四日、政府TPP対策本部は、TPP協定の経済効果のシミュレーションを公表いたしました。GTAPモデルという国際標準の方法で試算した結果、実質GDPは二・六%増、約十四兆円の拡大効果が見込まれるとしました。
 これについて、過大な数字ではないかという批判もありますが、ことし一月に発表された世界銀行の試算でも、日本に関しましては、二〇三〇年までに十三兆円程度の拡大効果が見込まれるという結果が出たところであります。ほぼ政府試算と同じ規模になっております。
 もちろん、やってみないとわからないという面もあるとは思いますが、政府試算は経済効果の試算として適切なものと考えるかどうか伺いたいと思います。
○石原国務大臣 交渉結果を踏まえて分析をさせていただいたものであるということが第一点でございます。
 その上で、今委員が御指摘になりましたとおり、TPPの合意内容が、貿易コストを引き下げる、これは当然でございます。例えばですけれども、原産地規則の統一によって事業者の方の負担というものは緩和される、こういうこともいろいろ含まれているんだと思います。さらに、それによりまして貿易量が輸出入ともふえますので、生産性が向上したり、これに伴いまして労働供給がふえるといったような効果を含めて、より包括的に、森山大臣が説明した、単純に関税撤廃、ゼロ、対策ゼロというようなものではなくて、包括的な分析を行ったものだと考えております。
 それでも、よく眺めてみますと、昨年の分析の中には、TPPによりまして、日本に対しての直接投資がどのぐらいあるのかといったような効果はまだ含まれておりません。TPPがもたらす経済効果の全てを実は内包しているとは考えてはいないわけであります。
 そうした点から、内容ですけれども、これは適正であるということは当然なんですけれども、やはり、委員が御指摘のとおり、一つの試算であるということだと思います。
 この分析は、我が国経済を新しい成長経路に乗せるために官民がどのように行動することが必要なのか、総理がよく申されておりますけれども、TPPによる成長メカニズムというものを明らかにすることでお示しをさせていただいたというふうに御理解をいただきたいと思っております。
 なお、委員が後段で御紹介されましたとおり、世銀による試算、これはGDPを二・七%押し上げる。このほか、海外の著名な研究所でもありますピーターソン研究所による試算でも実所得をプラス二・五%。ほぼ我が国の政府の試算と同様の結果が出ているということも事実でございます。
○宮腰委員 今、石原大臣からお話、答弁があった中で、この政府試算には我が国への投資は含まれていないということであります。
 この投資のことについて、貿易と投資の国際中核拠点に向けた取り組みということについて伺いたいと思います。
 海外から我が国への直接投資はGDP比でわずか三・八%と、参加十二カ国中で最低となっております。シンガポールは何と二五二%、豪州、ニュージーは四〇%台、カナダやマレーシアは三〇%台、アメリカでも二一%というふうになっておりまして、直接投資に関しては、残念ながら我が国は世界の中でも極めて低い水準にとどまっております。
 TPPによる一つの貿易経済圏を契機に海外からの投資の好循環を生み出すことは、我が国が貿易と投資の国際中核拠点、いわゆるグローバルハブを目指す上において極めて重要であります。この点において、TPPはどのような役割を果たし得るのか。政府として目指すところ、これを具体的に御説明いただきたいと思います。
○石原国務大臣 大綱の中に示されておりますが、今、グローバルハブについて宮腰委員の方から御言及があったと思っております。
 やはり我が国は、主要国に比べまして、いわゆる二国間の自由貿易協定、FTAのカバー率というものが大変低くなっております。そうした中、関税だけではなくて、投資やサービスなど、TPPの合意内容は三十章にもなり、多岐にわたる分野についてルールを定めるTPP協定の枠組みに我々が入るということが、貿易・投資の国際中核拠点ですか、いわゆるグローバルハブを目指す上で重要になってくるのではないかと思っております。まさに委員の御指摘のとおりだと思います。
 TPP協定というのは、TPP参加国十二カ国のどこでつくられた製品であっても優遇を受けるという措置を確保しております。こういうことは、私も前職が中小企業調査会長でございましたので、全国を回らせていただきますと、中小企業にとっても、日本にいながらにして海外展開のチャンスをつかむことができる、大変関心が強かったことが印象に残っております。
 そうした海外展開の結果、日本企業の技術力や商品の質の高さが、中小企業は持っているんですね、そういうものが海外で認識されれば、これらの企業との連携を目的として、今委員が御指摘されたような、外国から日本への投資がふえることも期待されるのではないかと考えております。国内の投資環境を整備することで、日本全体が貿易・投資の国際中核拠点、委員御指摘のグローバルハブとして発展していくということも、先の段階として期待できると私も考えております。
 こういうものには当然果敢に挑戦してくれる事業者の方がいなきゃいけませんので、そういう方々が出てくるような環境をつくるために政策を総動員して支援を行って、TPPが開く新しいチャンスを、これは都会だけではなくて、地方再生も含めまして、一つのツールとして実現化していくということが肝要ではないか、こんなふうに考えております。
○宮腰委員 今、投資に関する御答弁の中で、意欲ある中小企業に対する今回のTPP協定の貢献ということにお触れになりました。これは極めて重要だと思います。
 地方には、いろいろな分野で高い技術力を持った中堅企業、中小企業が数多くあります。また、日本のすぐれた農産品を利用して輸出に取り組む食品産業などもあります。こういうところにどう後押しをしていくか、これが今回の目玉の一つではないかというふうに思っております。
 なかなか海外展開に踏み切れなかった中堅・中小企業に対して、政府としては、大綱で掲げる新輸出大国実現に向けた強力な後押し、これをどう行っていかれるのか、石原大臣から伺いたいと思います。
○石原国務大臣 委員が御指摘いただいたように、中小企業も、それと、やる気のある農家も、日本のすばらしいプロダクツを海外に輸出していく、そういうメリットというものはあると思います。しかし、やはりバックアップは必要だという委員の御指摘も、また的を得ているのではないかと思います。
 調べてみましたら、我が国の製造業の出荷額、海外に出しているものの出荷額の七五%が、資本金一億円以下の中小企業が輸出している。EPAを利用して輸出してきた。これまでも、カバー率は低いといってもEPAはございますが、その企業の七割が実は中小企業であったというような調査結果も出ております。関税が引き下げられることによりまして市場拡大のメリットというものが、実は中小企業にとって、我々が思っていたよりも大きなものであると思っております。
 これも先ほどお話をさせていただきましたけれども、協定に入っている十二カ国のどこの国でつくられた製品であっても関税優遇の措置が確保できている。先ほどのお話とダブりますけれども、日本にいながらにして、地方の、大変いいものをつくっている中小企業の海外展開のチャンスというものは間違いなく広がってくるんだと思っております。
 さらに、今回はルールも大きく、共通のものにしておりますので、やはり中小企業の方々も、出たはいいけれども、また外国の側から何か言われるんじゃないか、そんなおそれもあると思います。例えば、技術移転要求の禁止や、通関のところで長くとめられて物が届かないといったようなことのできないように迅速化が図られたり、いいものをつくってもすぐまねされて、模造品の防止が図れるなど、環境というものは著しく、発効すれば、中小企業にとりましても安心して海外に出ていくことが可能になってくるんじゃないかと思っております。
 地方の中堅・中小企業の海外展開を促進するために、今まで、委員が御指摘された大綱の中にも入っておりますけれども、各地方の経済産業局、あるいはジェトロの地方拠点もございます、中小機構、これらの組織を使いまして相談窓口というものももう全国で六十五カ所開設をさせていただいておりますし、これに日商を加えて新輸出大国コンソーシアムを設立いたしまして、専門家による海外事業計画の策定や現地での商談や海外店舗を立ち上げるための、単独ではできない部分のサポートというものもさせていただこうと考えております。
 やはり、委員御指摘のとおり、今後、施策を総動員して、やる気のある農家とやる気のある地方に拠点を置く中小企業の皆様方の海外展開を支援していくということは大変重要な点だと認識をさせていただいております。
○宮腰委員 TPP発効前にも地方の中小・中堅企業が、意欲のある会社がどんどん出ていけるように、また、その準備のためにも、しっかりと後押しをお願いいたしたいと思います。
 次に、塩崎厚生労働大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 まず第一点でありますが、食の安全とISDSでありますが、特に食の安全。いろいろと国会でも議論があります。食料の多くを輸入している我が国にとりまして、食の安全は極めて重要な問題でありまして、国民の最大の関心事であると言っても過言ではないというふうに思います。
 TPPには、残留農薬や食品添加物の基準、あるいは遺伝子組み換え食品の表示制度などで我が国が制度変更を求められるような規定は入っておりません。しかし、いまだに不安が存在をしているということも事実でありますので、多くの国民に納得してもらうためにはより具体的に説明をしていただく必要があるのではないかというふうに考えますが、大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。
○塩崎国務大臣 今、食の安全のことをお触れいただきましたが、まさに国民にとって最大の関心事の一つだと思います。TPPでも食の安全は守られるということをしっかりと御理解いただくことが大事だというふうに思います。
 まず第一に、TPP協定では、締約国が自国の食品の安全を確保するために、科学的根拠に基づいて必要な独自の措置をとる権利を認めているということがまず第一であります。
 我が国では、食品中の残留農薬とかあるいは食品添加物の安全基準の設定、それから遺伝子組み換え食品の安全性の確認、これはリスク評価を専門的に行う食品安全委員会というのがございますが、これによる科学的な評価の結果を経て決められております。厚生労働省がそのリスク評価を受けて、リスク管理のために監視指導、そして取り締まりを行うことになっています。当然、これらの基準や安全確認を満たさない食品などの輸入、販売等は認められていないわけでありますから、厚生労働省として、基準などに反した食品が流通しないようにしっかりと監視指導を行うというのが私どもの責任でございます。
 TPP協定がこうした我が国の制度の変更を求めるものでは決してないわけでありますので、引き続いて食の安全性は確保されるものだというふうに理解をしております。
○宮腰委員 わかりやすい答弁だったと思います。
 いろいろな不安があるんですが、やはりこれからも引き続き、丁寧に丁寧に国民の皆さんに説明をして、理解をいただく努力を重ねていく必要があるのではないかというふうに思っております。
 時間がなくなってまいりましたので、最後に総理からアメリカの協定の承認についてお伺いをいたしたいと思います。
 協定発効のためには、最低でも日本とアメリカの協定承認が必要であります。その際、アメリカ連邦議会が承認の条件として他国に事後的な要求をしてくるのではないかという懸念が国会でも表明をされております。しかし、アメリカのフロマン通商代表もいろいろな場で、そのようなことはあり得ない、こうおっしゃっておいでになるわけであります。
 TPPは、そもそも二国間のバイ交渉ではなくて多国間のマルチの交渉でありまして、私もアメリカ以外の参加十一カ国が事後的な要求に応じることはあり得ないというふうに考えております。
 最後に、その懸念を払拭する総理の御答弁をいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 昨年の十一月のTPP首脳会合では、米国を含む十二カ国の首脳が早期の発効を目指すことを確認しておりまして、そして、それぞれの国がその発効のために必要な措置を行うわけであります。
 そして、今、宮腰委員が言われたように、例えば、ある国が自分の国の議会を通すためにもう一回再交渉をしろと言われたら、そうすると言われて我が国はそれに応じるのではないか、そういうことを言う人がいますが、それは全くないわけであります。
 なぜないかと言えば、今、宮腰委員が言われたように、これは十二カ国でまさにさまざまな交渉をいろいろ積み上げて、ガラス細工のような苦労をしながら最終的に決まったものでありまして、そのうちの一つを取り出してそれを再交渉すると言えば、これはいろいろな他の交渉ともかかわっているわけでありまして、一つだけをオープンすれば他の交渉にもかかわってくる、他の国々ともかかわってきますから、それはもうあり得ない話であります。
 そして、仮に交渉を求められても、応じる考えは全くありません。
○宮腰委員 本当にきっぱりとした御答弁だったと思います。これまで二年二カ月、本当に厳しい交渉の中で、ガラス細工のような合意、しかも国益を最大化するという交渉を重ねてきて、その結果まとまった中身について事後的に変えることはあり得ないという答弁を確認させていただきました。
 以上で私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○西川委員長 次に、福井照君。
○福井委員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。
 総理には最後に一問だけお願いをさせていただきたいと思います。
 石原大臣と政府参考人に質問をさせていただきたいと思います。
 まず石原大臣、ぐっと引いて、この百年、百五十年、ブロック経済、そして前世紀、二回も世界大戦があった、そしてWTO、西川委員長も一生懸命やられましたWTO、世界じゅうで関税がない、そんな立派な世界にしようという動きがありました。しかし、百九十カ国もありますと、そういう協定、世界全体の協定というのは無理だということで、FTA、EPA、バイで、バイラテラルで、二カ国間で自由貿易というものをやり遂げるんだという動き、そして一方で今回、このTPP、仲よしクラブで、圏域を区切って、その圏域だけは自由貿易をしよう、そういう動きで今来ている。
 一方で、もう息をのむほど美しい棚田を守るという、今も田園風景を守るんだという総理の御決意もございましたが、非常にセンシティブな項目というのは各国必ずあるんだということで、各国の取り組みがあるということで、それを乗り越えるための安倍・オバマ会談、二月二十二日の共同声明が出ました。ユニラテラリーには、つまり一方的には、TPPには人格はないんでしょうけれども、TPPという人格がもしあるとしたら、一方的にTPPの方から日本に対して全ての関税を聖域なき関税撤廃ということは言わないよということで、TPPの協議に我々としては入った、日本としても入ったということだと思うんです。
 百年、百五十年、ずっと引いてみて、今私たちは一体どこにいるのか、何をしなければならないのか。時代認識、歴史認識を石原大臣の方から御教示をお願いしたいと思います。
○石原国務大臣 福井委員から、歴史に立って、このTPPと我々日本が、また世界の経済圏がどういう位置にいるのか、大変大きな御質問だと思います。
 私の経験から言わせていただきますと、ガットのウルグアイ・ラウンドで初めて米が日本に入ってくる、あのときのインパクトというのはすごかったですね。同僚の仲間が、それこそジュネーブへ行って座り込みをやるぐらいの決意で、日本の農業を守っていこう。しかし、その一方で、今委員がおっしゃられたとおり、保護貿易によって世界の貿易が小さくなって、さきの二つの大きな世界大戦。もちろん、きっかけはいろいろあったと思いますけれども、根底にはやはりそういうものがあったんだと思っております。
 委員が今御指摘されたとおり、FTAを締結する相手国がふえれば、言ってみれば有利な関税を適用できることから輸出が拡大して、また輸出拠点としての魅力というものが増すということは、先ほど宮腰委員のグローバルハブの議論の中でもあったと思います。貿易総額に占めるFTA締結国との貿易額の割合、先ほどもお話をさせていただきましたが、いわゆるFTAのカバー率というのは残念ながら我が国は他国に比べて低いんだと思います。しかし、この協定が発効いたしますと、その割合は、先ほど総理が答弁されたように、アジア太平洋で八億人、世界のGDPの四割といったように、貿易・投資の拠点としての日本の魅力を増大させていくことができるんだと思っております。
 それと、もう一つ忘れてはならないのは、TPPというのは、二十一世紀型の新たな共通ルールをアジア太平洋につくり上げる、自由で公正な一つの自由貿易経済圏を構築する試みであるという点が非常に重要なのではないかと思っております。また、これができれば、人口減少社会の中での日本の発展というものは広いパーセプションを持って私も可能になってくると思います。
 そして、これも忘れてはならないんですけれども、自由、民主主義、基本的人権、そして法治主義といったような、我々にとっては当たり前の普遍的な価値を有する国々が経済の連携を深めることによって、戦略的な意義というものも十分あるんじゃないかと思っております。
 今後ですけれども、TPP協定を通じまして、我が国から海外へ、海外から我が国へ、先ほど投資のお話もございましたけれども、貿易・投資が活性化されて、日本にとらわれず、世界全体の持続的な経済の発展に大変ためになる、それによって大きな紛争を抑止していく効果というものも委員のお考えの中にはあるからこそ、こういう御質問をされたのではないかと考えております。
○福井委員 ありがとうございました。
 まさに、経済だけではなくて社会も含めて、人類の中心に、ハブになろうということで、日本が世界を引っ張ろうという最初のきっかけとしての、背中を押す施策がこのTPPだというふうに思います。マルチだといいながら、バイ交渉、バイ交渉、バイ交渉で、その積み上げが今回のTPPだということ、そして、TPPから一方的に、ユニラテラリーに聖域なき関税撤廃ということはないということで、そのバイという言葉とユニという言葉を縦横で絡ませながらやっと積み重ねてきたというのが今回の交渉の結果だと思います。
 だからこそ、今から申し上げたいのは、その交渉の基盤となったのは、お互いの信用、国際的な信義だと思います。お互いの約束は絶対に守る、お互いの秘密は絶対に守る、お互いに信用するというのが国際信義でございます。国際信義の基本は、秘密を守る、約束を絶対守るということだと思います。
 若干、事実経過を御報告申し上げますと、四月五日、この委員会を始める前の日でございました。理事懇談会がございまして、その後、野党の皆さんがメディアの前でお示しになったので国民の皆さんも御存じかと思います。全て黒塗りされた資料が配付をされました。交渉中の資料ということですけれども、理事会限りということで、私自身も一瞬見ました。
 その資料について、我々与党は、理事会限りですからその資料は回収しなければなりませんので、回収に応じたわけでございます。つまり、国際信義、秘密は絶対守るという保秘義務、秘密を守る、保秘義務を十分に承知しているからでございます。
 しかし、国会の中で国会対策委員長会談を経た上でのぎりぎりの政治判断として、全部黒塗りとはいいながら、資料提出に応じたことになったわけでございます。これは、TPP協定上、TPP協定というのは厳格な保秘義務をお互いに課しているわけでございます、その違反にならないんでしょうか。正確に石原大臣に教えていただきたい。
 つまり、交渉経緯について政府が情報を出さないから審議ができない、そういう主張もありますけれども、こういう交渉では結果が全て、協定の本文の結果が全てであるので、その結果についての是非を議論するべきだと考えております。
 ということですので、その全体集合、結果というのは、協定本体と、いわゆるサイドレター、覚書ですね、日本とアメリカ、日本とオーストラリア、それぞれの国とのサイドレターのうち拘束力のあるもの、協定本体と、サイドレターのうち拘束力のあるものだけであるというふうに理解してよろしいかどうか、石原大臣から御答弁いただきたいと思います。
○石原国務大臣 これは外交交渉全般に言えることでございますので、第二次安倍内閣以来、外務大臣をお務めになっている岸田外務大臣が非常に気にされている点だと私も思います。今委員の御指摘のとおり、協定であります。そして、先ほど総理から、ガラス細工の上に成り立っている、信頼がなくなったらこんなものはすぐ崩れる。
 TPP協定の交渉参加国は、交渉参加に当たって、私もその文書を見せていただきましたけれども、保秘義務、秘密保護に関する書簡によって、具体的なやりとりというものは公表しない。こうした段階から交渉段階での情報を説明することに制約があるということは、やはり国民の皆さん方にもぜひ御理解をいただきたいと思っております。
 また、交渉の論点を整理する文書があっても、そこには、各国の主張や、あるいはどういう主張があったんだろうと想起させるような内容が記載されているものは、委員が御指摘になっております秘密保護に関する書簡によりまして開示することができず、これを説明するということにも制約があるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。
 外交交渉については、相手国との信頼関係、累次の交渉に与える影響等の観点からその内容を公開することに制約があるという一般論も、多くの有識者、また国会の御同僚も同じお気持ちをお持ちだと思っております。
 そこで、TPP交渉において、我が国が他の交渉参加国の間で法的拘束力を持つ形で約束した内容は何かということでございますけれども、これも委員御指摘のとおり、本文及び関税率表を含む附属書から成るTPP協定と、TPP交渉参加国との間で取り交わした、これはバイでございますけれども、法的拘束力のあるサイドレターだけであることは事実でございます。
 これらはもう既に公表させていただいておりますし、この内容については、この委員会が始まる前にも他の委員会でいろいろ御質問等々ございましたので、できる限り丁寧に御説明をさせていただいてきたところでもございます。
 交渉段階での情報については、もう本当にくどいようですけれども、一定の制約というものがあるものの、合意内容については出ているものが全てでございますので、正確かつ丁寧に説明することを通じまして、御懸念の話、先ほど宮腰議員と農林水産大臣との間でお話もあったわけですけれども、国民の皆様方の懸念や不安を払拭するよう、最大限政府を挙げて努力をしていきたいと考えております。
 今後の国会審議の場においても、TPP協定の各規定の内容や趣旨、解釈等について御質問をいただければ丁寧に説明をしていって、しっかりとしたことを国民の皆様方の前にお示しさせていただきたい、こんなふうに考えております。
○福井委員 ありがとうございました。
 続きまして、澁谷審議官から御答弁いただきたいと思います。
 澁谷審議官は、いつテレビを見ても鶴岡首席交渉官の後ろを背後霊のように歩いていまして、実は役所時代から澁谷さんには大変な御指導をいただいておりまして、お互いに親しいわけでございます。
 しかし、交渉中は、私も聞きもしないし、澁谷さんから一言も教えてもくれないし、冷たいじゃないの、水臭いじゃないのというぐらい、もう本当に、お互いに国家公務員でございますから、まさに守秘義務を守り通したわけでございます。
 そんな澁谷さんから、生の声を聞かせていただきたいと思います。
 そうやって現場現場で全てのブリーフィングをやり切った者として、そして、今大臣から御答弁いただきました、協定本体と拘束力のあるサイドレター以外何もないんだ、隠しているものは何もないんだということを、ぜひ澁谷さんの方からも御答弁いただきたいと思います。
○澁谷政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど石原大臣が御答弁いたしましたとおり、TPPの交渉において各国と約束した内容といいますのは、合意いたしましたTPP協定、さらに、TPP交渉参加国との間で取り交わしたいわゆるサイドレターのうち国際約束を構成するもののみでございます。それらは全て公表しているところでございます。
○福井委員 このパネルをごらんいただきたいと思います。TPPにまつわる懸念。
 我々もこの数年間、毎週毎週、地元で御懸念、御心配の声を聞いて、交渉の中身がわからないものですから、もう本当に一緒に心配、懸念を持っていたわけでございますけれども、ふたをあけてみると、結果を見てみたら、ああ、何だ、これは杞憂だったのではないか、まるで空全体が落ちてくるごときの心配をしていたんだということが、ちょっとだけですけれども、羅列をさせていただいております。
 まず、これは先ほど宮腰委員の方から質疑がございました、食の安全、安心が脅かされるのではないか。日本人の食の安心、安全、最も強みの安心、安全が脅かされるのではないかということで、我が国の制度変更の規定は全くこのTPPの協定の中にどこにも書いていないという意味で、心配は全くないということ。
 そして、日本の社会保障の根幹であります国民皆保険制度、いつでもどこでも保険証一枚で医療が受けられるという国民皆保険制度が、薬の値段が高騰するなどして崩壊するのではないかということなんですけれども、これもTPPの本体では制度の変更は一切求められておりませんので、心配は全くなかったということ。
 そして、次のISDS、これはなかなか難しいですね。Iはインベスター、投資家、Sがステート、国家が、ディスピュート、争うわけですね。投資家が国家を訴えることができるそのセトルメント、調整できる、そういう仕組みで、これはもう黒船のように私たちは思っていました。全く今まで知らない、お化けのようなものが日本を襲ってくるのではないか、そういうおそれがあったんですけれども、実はこれは、日本のEPA、日本のFTAの中にこのISDSという仕組みはもう既に組み込まれていて、既に日本の仕組み、日本人は持っていたんだということが改めてわかったわけなので、全く心配はないということ。
 そして、著作権違反の非親告罪化。これはなかなか難しいんですね。つまり、知財なり著作権者が訴えなくても検察が訴追できるということでございます。それはそうなっているわけですけれども、なので、パロディー等の日本の強み、二次創作というのが萎縮するのではないかという心配があったわけですけれども、極めてこれは限定的に運用されるという規定になっておりますので、これも心配ないということ。
 最後も、宮腰先生から今質疑がございましたが、地方の中小企業には全くメリットがないのではないか。それも一緒に地方で心配しておりましたけれども、これは原産地規則の完全累積制度ということで、愛知県の下請の車の企業がメキシコにわざわざ行かなくてもいいんだと。地方の企業こそ、TPPというのはチャンスなんだ、地方創生のばねになるんだということがわかったわけでございます。ふたをあけてみれば、やっとわかったということでございます。
 次のパネルでございますが、食の安心、安全が脅かされるということで、今、塩崎大臣の方からも御答弁がございましたけれども、一言、石原大臣からも、食の安全、安心が脅かされるということがないんだということを、国民への安心をぜひ広めるための御答弁をお願いいたします。
○石原国務大臣 福井委員がつくっていただきましたこれは非常にわかりやすいと思います。現実にこういう御懸念があったということも、私も、歩いた感じでも事実だと思いました。
 今の御質問は食の安全、安心ですけれども、日本が既に締結をしておりますWTO協定の中の衛生植物検疫措置協定、いわゆるSPS協定を踏まえた内容、すなわち、もう既に日本が行っているとおりのことになっているわけでございます。そのため、TPP協定が新たに発効したといって、日本の制度が変更されることはないわけであります。ですから、それによって、委員がここにお書きいただいておりますように、食の安心、安全が脅かされるという懸念はないということが明らかになっている。
 しかし、これはなかなか、いや、そんなことはないよ、そんなことはないよ、もう遺伝子組み換え食品がどんどん入ってきちゃうんだみたいな、流言飛語みたいなことに対してはしっかりとこれからも説明をしていって、こういうものをできればいろいろなところでお示しいただけるということが非常に重要なのではないかと考えております。
○福井委員 では、次のパネルで、まさにこれが象徴だと思います。国民皆保険制度が崩壊するのではないか。いいか悪いかは別として、グローバルな自由主義、絶対自由主義というのに私たちが翻弄されるのではないかというおそれがこれだったのでございます。
 自由と平等というのは矛盾する概念、だけれども、自由と平等がつくり出す矛盾をエネルギーにかえて、それで時代を前に進めてきたというのが今世紀の政治だったと思うんですね。なので、自由貿易という枠の中で、混合診療の全面解禁をするわけでもなく、医薬品の価格の高騰を招くわけでもなく、まさに自由というよりは平等の政治思想を今貫徹しようとしているというのが、この国民皆保険制度が全く心配ないということだと思うんですね。
 なので、石原大臣のお口からも、もう一言、この国民皆保険制度が崩壊する心配は全くないということをおっしゃっていただければと思います。
○石原国務大臣 私も、何で国民皆保険制度が崩壊するというような話が表に出るのか、非常に不思議に思っておりました。
 それは、やはりまだまだ十分に説明が行き届いていないのかな。TPP協定の中に、医療保険制度に関して、日本が今行っているものを改めなさいよ、変更しなさいよという規定が仮にあればそれは大変なことですけれども、そんなものは全くないんですね。ないということは、今やっているものをしっかり守っていくという方針に何ら変更はない。
 このところは、塩崎厚労大臣に聞いていただければ、もっとより確かに、国民皆保険制度は世界に冠たるものであるからしっかり守っていくという御答弁もいただけるのではないかと考えております。
○福井委員 石原大臣、ではもう一問、国交大臣もしていただきましたので、建設業のことでございます。
 これも、地方の建設業が崩壊するのではないかということで御懸念をずっといただいておりますが、それは、WTOで決められております限度額をぐっと下げて、県庁が、市町村が発注する仕事も、海外の建設業者がどっとやってきて、地方の建設業、五十万事業所、六百万人の仕事が全くなくなる、そういう流言があったわけでございます。
 しかし、ふたをあけてみると、今回の中央政府を含む政府調達の基準額等に一切の変更はないというふうに理解しておりますけれども、そういうことでよろしいかどうか、御答弁いただきたいと思います。
○石原国務大臣 これもすごく誤解があったんだと思うんですね。より開かれた自由貿易体制をつくるということで、政府調達や、今、福井委員が御指摘になりました地方が行う公共投資に外国の企業が入ってくるんじゃないか。
 しかし、これも先ほどの話と似ているんですけれども、WTOの政府調達の協定と同様の内容になっておりますから、何ら変化はございません。すなわち、委員御懸念の、外国の企業が現在よりもさらに地方の公共事業に参入しやすくなる、また、それを求めているものではないということは明らかだと思っております。
○福井委員 ありがとうございました。
 そればかりか、マレーシア、ベトナム、ブルネイの市場開放がされましたので、日本の建設業がマレーシア、ベトナム、ブルネイに行って仕事ができるということまでつくっていただきました。本当にありがとうございました。頑張りたいというふうに思います。
 最後に、総理、お待たせをいたしました。済みません。
 先ほど、一つ一つ、誤解、懸念を解かないといけないという項目を羅列させていただきましたけれども、まだやはりTPP全体についての国民的理解が進んでいるとは言いがたいと思いますし、逆に、広範な、国民的に誤解があるというふうに言ってもいいと思うんです。
 ちょうど読み物で、岸総理をお馬さんにしてお孫さんの安倍晋三さんが安保反対、安保反対と言いながら遊んだというのをどこかで読んだような気がいたします。それぐらい、一九六〇年の安保反対というのが、国民的、社会的な、いわば熱狂と言ってもいいぐらいのそういう状況だった。
 しかし、中身は、前の、とにかく基地は提供しますよという不平等安保条約から、アメリカは日本を守るという、不平等条約から平等条約に変えたわけですから、日本国民が反対するわけがない、すべきじゃなかったのにもかかわらず、安保反対、安保反対で全体が熱狂したというのはあり得る話でございます。
 今回はそこまで行っていませんけれども、一つ一つ国民の誤解を解いていかなければならないというふうに思います。国民的理解が進めば、TPPをてこにして、TPPを前提に国民全体が前に進んでいくという状況はつくり出せるし、つくらなければならないというふうに思っております。
 あと一歩、何かが足りない。あと一歩、何かが足りないとすれば、国民に寄り添う、もう寄り添っていらっしゃるんですよ、安倍総理、寄り添っているということもおっしゃっていただいているんですけれども、もう一歩、その寄り添っているということが一〇〇%理解されていないというのが今現状だと思います。
 自民党は、ソーシャルリスニングということを今月始めました。本当に声なき声、この前ブログで問題になりましたのも含めて、何百億、何千億と毎日毎日飛び交っているつぶやきの中から声なき声を吸い取る、聞かせていただく、声なき声に耳を傾けるという作業を自由民主党でも始めたわけでございます。
 それぐらい私たちは国民に寄り添っているにもかかわらず、まだそこまで理解していただいていないという状況なので、そういう状況も含めて、今後国民にどういう語りかけをしていただけるかどうか、御決意を教えていただければ幸いでございます。
○安倍内閣総理大臣 TPPについては、まさにアジア太平洋地域に世界のGDPの四割の経済圏ができて、しっかりとしたルールで守られる経済圏、まさに大きなチャンスが出てくる。
 日本は、残念ながら、人口がしばらくの間減少していくわけであります。ですから、生産人口も減るし消費人口も減るから、将来は厳しいんじゃないか、成長もできないんじゃないか、成長できないと、大切な社会保障の財源もしっかりと守ることもできないのではないか、こういう不安があるわけであります。
 しかし、その不安の中で、新しいチャンスを生かしていかなければいけない。まさに、四割の経済圏ができる中において、八億人という大きな消費者が我々の対象として登場するわけであります。そして、自由貿易の中で、我々も切磋琢磨して生産性が上がっていく。生産人口が減っていったとしても、生産性が上がっていくことによって我々は成長していくことができる。
 ただ、そういう話をしても、でもそれは大企業の話でしょう、安倍さん、知っているの、中小企業は大変ですよ、地方で汗を流していてと。あるいは、農業者も大変なんですよ、農業というのは、それは製造業と違って自然の条件もあるし、いろいろな制約条件もあるんだから大丈夫ですかという声がある。
 それは当然なんだろうと思いますが、そこで大切なことは、まずはルールに乗って守られます。知恵を出してつくったもの、その知恵がちゃんと評価され、守られる。
 今までは、例えば長野県のある村の小さな会社、十五人ぐらいの会社なんですが、ここである技術をつくって、これは結構商売繁盛したんですが、外国に出るかどうかはちゅうちょする。なぜちゅうちょするかは、果たしてこの技術が守られるのかどうか、いろいろなルールで後で変更があるのではないか、それに抗する力はちょっとうちにはないねということでちゅうちょするわけでありますが、まさに透明なルールがアジア太平洋地域にできるわけでありまして、その透明なルールでしっかりと守られていれば、例えば、たくさんの従業員を送らずとも、日本にいながらにして、そうした自分たちのつくったものを海外で、中小企業にも零細企業にもチャンスは出てくる。
 そしてまた、農業者の皆さんにとっても、こちらの関税について先ほど御説明したとおりでありますが、相手の方はほぼ一〇〇%関税が撤廃されますから、そこには大きなチャンスが出てきますし、同時に、加盟国はどんどん今豊かになり始めていますから、もっとおいしいものを食べたい、安全なものを食べたいとなれば、多少価格が高くても、日本の農産品はいいねというところが必ず出てくるわけでありまして、そうしたチャンスが農業者にも当然出てくるわけであります。
 例えば、東日本大震災の後、宮城県で設立された農業法人は、高品質なイチゴやイチゴ加工品を生産して、海外にも輸出をして成功しています。これからは、まさにTPPを生かしてそうした可能性に挑んでいってもらいたい。
 と同時に、外国から無理強いされて、随分力が強い国もあるから、そこに無理強いされて、せっかく大切な食の安全が脅かされるのではないかということについてはもう既に答弁をさせていただいたとおりでありますが、これからもわかりやすく丁寧な説明を心がけていきたい、このように思っております。
○福井委員 ありがとうございました。
 時間が参りましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
○西川委員長 次に、鈴木馨祐君。
○鈴木(馨)委員 自由民主党の鈴木馨祐です。
 宮腰委員そして福井委員に続きまして、TPPについての質疑を進めさせていただきたいと思います。
 まず冒頭、安倍総理にお伺いをさせていただきますけれども、ちょうど一週間前になると思いますが、三月の三十一日、核セキュリティーサミットで訪米をされた際にオバマ大統領と首脳会談をされたということでございますが、その中でこのTPPについて何らかのやりとりがあったのかどうか、その点、お示しをいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 先般、核セキュリティーサミットの際に、オバマ大統領とも三十分近く首脳会談を行いました。今までも、オバマ大統領と首脳会談をするたびに大体TPPについて話題となったわけでありますが、今回、オバマ大統領から、TPPは最優先の議会案件として取り組んでいる旨の発言がありました。そして、TPP協定の早期発効を実現すべく、ともに努力を続けていくことで一致をしたところでございます。
○鈴木(馨)委員 ありがとうございます。
 今、アメリカ大統領選挙が、それぞれの各党の候補を選ぶ、そういったプロセスにあるわけでありますけれども、それなりに有力と言われている候補、例えば、これは民主党のクリントン候補であるとかサンダース候補、あるいは共和党にあってはトランプ候補、それぞれの発言を見ていきますと、どちらかというとTPPに懸念を示すような、そういった発言もかなり多い状況にはなっています。
 その一方で、オバマ大統領、今お話しいただきましたように、非常に強い意思を持っているという状況の中で、これからのアメリカの議会での承認プロセス、ここについてどういった見通しをお持ちであられるのか。あるいは、それぞれさまざまな可能性が考えられる中で、日本としてしっかり今国会においてこのTPPについて審議を進めていくんだという、そういった判断、その御決意についてもお伺いをできればと思います。
○安倍内閣総理大臣 米国議会の承認プロセスについてはコメントすることは差し控えたいと思いますが、米国政府はTPPの早期発効を目指しているというふうに認識をしています。このことは、昨年十一月のTPP首脳会合、そして、米国政府が、これはUSTRでありますが、三月二日に米国議会に提出した二〇一六年通商政策課題、あるいはまた、三月三十一日のオバマ大統領との会談などを通じて確認をしております。
 TPPは、まさに二十一世紀型のルールによる世界の四割経済圏をつくり出していく、日本のGDPを十四兆円押し上げる経済効果も見込まれるわけでありまして、我が国としては、率先して動くことで早期発効の機運を高めていきたい、このように思っております。
○鈴木(馨)委員 ありがとうございます。
 日本とアメリカ、TPPの今回の交渉参加国の中でも極めて大きな経済規模でありますし、その発効の要件として、二〇一三年時点のGDP、これの八五%以上が国内の法的な手続を終えるということが一つ要件にもなっております。そういった中で、日本も当然その中で大きな位置を占めているわけでありまして、その中で、しっかりとこれを進めていくんだ、そういった御決意を明らかにしていただいたこと、これは極めて大事なことであろうと思います。
 そして、安倍総理におかれましては、就任以来、地球儀を俯瞰する外交、あるいは価値観外交ということで、本当に非常にアクティブなそうした外交を繰り広げてきていただいたところでありますけれども、アメリカのさまざまなレベルの専門家、これは外交の専門家もそうですし、あるいは議会の人間、さらには政府の各レベルの方々とお話をしていても、もちろん、通商交渉でありますから、いろいろな懸念は当然その中には出てくるわけであります。しかし、それ以上に、先ほど来質疑の中でもお話をいただいていますけれども、戦略的な意味合い、これは極めて大きい、だからこそ日米がしっかりとタッグを組んで進めていかなくてはいけないんだ、そうした強いメッセージをアメリカの方からも、私もいただくことが非常に多くあります。
 特に、今、中国について申し上げれば、シルクロード基金であるとか、あるいはアジアインフラ投資銀行、AIIB、こうしたものを活用して、一帯一路、ワンベルト・ワンロード、この構想を相当、上海協力機構の地域を中心に広げていっている、こんな状況もあります。そしてそれは、言ってみれば、例えば、これはインドネシアにおける新幹線の、高速鉄道の案件もそうですけれども、ある意味、お金であったりとかさまざまなことに物を言わせて、どちらかというと勢力圏を拡大していく、こういった動きも顕著になっている中だろうと思います。
 そういった中だからこそ、日本とアメリカがこのTPPというものをしっかりと生かして今後展開をしていくということ、極めてこれは大事なんだろうと思います。そうした中で、ぜひ安倍総理の口から、いま一度、この戦略的な意味、特に外交戦略上のTPPが果たしていく意味についての御見解をいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 TPPは単なる貿易自由化の枠組みではないわけでありまして、これは今、鈴木委員も指摘をされたように、日米を初めとして、自由民主主義、そして法の支配、基本的人権といった基本的価値を共有する国々が新しい経済のルールをつくるものであります。
 これは、二十一世紀にふさわしい国際秩序を誰がつくっていくかという問題でもあり、国家百年の計であろうと思います。私が推進をしてきました地球儀を俯瞰する外交とも軌を一にするものであります。まさに、二十一世紀にふさわしい新しい秩序を、日本もしっかりと入って、そしてその中心的な役割を果たしながら、普遍的価値を共有する国々とつくっていくということこそが、まさに地域や世界の平和や安定、繁栄につながっていくものと思います。
 アジア太平洋に世界の四割の経済圏が生まれる。その求心力で、TPPが各国の経済改革の目標となり、法の支配が及ぶ範囲が拡大をしていくというふうにも捉えていいんだろうと思います。基本的価値を共有する国々が経済のきずなを深め、その輪をさらに広げていく。それは地域の安定に資するものであり、そこにTPPの戦略的意義がある、このように思います。
○鈴木(馨)委員 まさに今おっしゃったとおりだろうと思います。
 誰がこのルールを決めていくのか、誰がつくっていくのか、まさにこの点は極めて大事だと思いますし、恐らくこのTPP、当然これは、将来的には、よくFTAAPという、そういった話もされますけれども、恐らくは、今の対象、これがさらに拡大をしていく、そういったことも当然想定はされるんだろうと思います。
 その中で、やはり、最初にどういったルールを固めておくのか、これは極めて大事なことであろうと思いますし、そこで日本も入った形でこのルールをしっかりと固めていく、その上で、いろいろな国にこれを守るということで入ってきていただく、そのことは恐らく日本の国益にも極めて大きな意味を持つのであろうと思います。
 今、諸外国ということで申し上げますと、先ほど宮腰先生の質問の中にもありましたけれども、例えば韓国であるとか、あるいは台湾、こうした国々は関心を示しております。さらには、いろいろと議論もしておりますと、お隣の中国も、これは興味を非常に持っているということは否定はできないんだろうと思います。
 こうした、将来加入を希望する可能性がある国が多くあるわけでありますけれども、このTPPの今後の拡大について、総理の御見解を伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今、私も申し上げましたが、鈴木委員からも再度指摘がありましたが、誰がルールをつくるのか。今まで、日本人というのは、ルールは絶対守るんですが、ルールづくりに積極的に参加してきたかといえば、しようと思ってもなかなかできなかったときもありますし、どちらかというとちょっと控え目だったのではないかと思います。
 今回は、まさにこれからスタンダードとなるルールづくり、先ほど申し上げましたように、同じ価値観を持つ国々とともにつくったわけでありまして、まさに私たちがつくったルール、このTPPのルールがスタンダードになっていく。そのスタンダードになっていくルールのこのTPPに入りたいという国が、まさに今委員がおっしゃったように、出てきているわけであります。
 大筋合意後、韓国や台湾やフィリピンやインドネシアあるいはタイなどがTPP参加に強い関心を表明しています。しかし、もちろん、それは私たちがつくったルールの中に入りたいということでありまして、これに私たちがあのとき決断して参加していなかったらルールづくりに参加できなかったわけでありまして、まさに私たちが参加したルールの中に、新たにそういう国々が入ってきたいと表明しています。まさにTPPの戦略的価値が実現する展望を示すものであり、歓迎すべきものであると考えています。
 同様に、中国がTPPの基準を満たして参加することは大歓迎であり、我が国としては、そのための協力を惜しむことはありません。
 我が国としては、TPPの早期発効を目指しつつ、TPPに関心を有する国、地域に対して協定内容に関する情報提供を行うなど、TPP協定への新規加入を広げるよう取り組んでいきたいと考えております。
○鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。非常に前向きな御答弁をいただきまして、感謝を申し上げます。
 ルールを誰がつくるのか、まさにここが一番の肝だと思いますし、今総理もおっしゃいましたけれども、国際ルールは守るのは当然でありますけれども、同時に、ルールをつくる、ここに積極的に加わっていく、まさにこれは安倍政権での大転換だと思いますし、この点は国益という観点からも極めて大きな役割であろうと思います。ぜひ、引き続き、そうした方向性で積極的にお進めをいただきたいというふうに思います。
 そして、このルール、どのようなルールか、これが一番大事になっていくと思います。これ以降、石原TPP担当大臣にこうした詳細についてお伺いもさせていただきたいと思うんです。
 今回、これまでの日本のさまざまなEPA、FTA、それに加わる形で、言ってみれば、日本のそれぞれの企業にとってのメリット、プラスとなるような、いろいろな各分野のさまざまなルールができてきたんだろうと思います。例えば、いわゆるコンビニに関するものであったりとか、あるいはソフトウエアのソースコードに関するもの、さらには、現地のいろいろなものを使え、そういった強制がある意味あるようなことも、恐らくこれは変えられてきているんだろうと思います。
 日本のそれぞれの企業にとってのいわばメリットという意味で、どういった今回新たなルール策定がこのTPPの中で行われてきたのか、ぜひその点について御説明をいただきたいと思います。
○石原国務大臣 ただいま総理が御答弁されたように、どちらかというと、これまでルールづくりのところに日本が余りコミットメントしてこなかったというのはまた事実だと思います。
 しかし、委員の御指摘は、今回は最初からやってきたんだから、どれだけのことがいいのか。今、一つ、コンビニの例も出されたわけですけれども、やはり、関税だけじゃなくて、投資、サービス、多岐にわたる分野についてルールを定めているということがポイントの一つでもあると思っております。
 これも先ほど来お話をさせていただいているんですけれども、原産地規則についても、交渉した結果、十二カ国どこでつくっても関税の優遇を受けられる措置を確保したというのは日本の中小企業にとっても大変大きい。親会社が海外に出ていく、それに部品を供給し続けるならば一緒にそこに来いという話はよく聞きますけれども、これからはそういうことがなくなりますし、日本にいながらにして、GDP四割、三千百兆経済、人口八億人の巨大市場というものをターゲットに事業を展開していくチャンスを得ることができたというのは大きなメリットであると思っております。
 また、これは委員が御指摘されましたけれども、コンビニなどのサービス業の出店規制、これは新興国の間ではやはりまだあるんですね。こういうものが緩和されるということも大きいですし、それともう一つ、やはり通関手続の簡素化とか、あるいは知的財産の一層の保護、こういうことは日本の企業の海外展開の後押しになると考えております。
 加えまして、貿易と投資が促進されますので、巨大市場の活力を逆に抱え込むことができる。そうしたことによって、ああ、こういうことがあるんだ、ああいうことがあるんだといってイノベーションが生まれていく可能性もありますし、先ほど来、投資が日本に対して少ないじゃないか、日本への投資というものもこれからは十分に期待できますし、それによって日本の企業の生産性というものも向上していく。
 こういうことが全体的に日本の企業、日本社会にとって大きなメリットのある点だと認識をしております。
○鈴木(馨)委員 日本の企業、例えば今おっしゃったコンビニの話もそうですし、さまざまチャンスが広がっていく。特に、言及もありました原産地規則、これは極めて大きかったんだろうと思います。
 例えば、二〇一四年にアメリカで売られていた自動車、これは台数は六百二十二万台でありますけれども、実は、日本から持っていっているものはその過半ではないのが今の状況だろうと思います。特に、北米の中で生産をされている中でも四百五十九万台ということで、その七割強が実際に現地生産をされている中であります。
 特にメキシコなどは、これまでも厳しかった状況もあって、おっしゃったとおり、日本の企業、特に下請あるいは中小企業、こういったところが現地に出ていかなくてはいけなかった。これが状況が変わった、極めてこれは大きい話だろうと思います。
 この完全累積の話も含めていろいろなところでぜひ御説明もいただいて、これがどんなに日本の地方経済についてもプラスの効果があるのか、こうした点についての御説明もこれからぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 そして、日本の企業、私もいろいろな会社を伺いますけれども、先ほど福井先生あるいは宮腰先生の御質問の中にもありましたが、進出をするときの不安、一番はやはりルールが変更されてしまうことなんですよね。実際に、内国民待遇という話もありますけれども、しかし、そうはいっても、例えば日本の企業だけをあるいは外国の企業だけを事実上差別的に取り扱うような、そういったルール変更がされてしまえば、これは幾ら内国民といっても意味がないことにもなってしまいかねません。そうした点を払拭できるような制度的な担保、これがしっかりと組み込まれるということも、恐らくはこれは大きなポイントなんだろうと思います。
 今回のTPPにおいて、こうした日本企業に対する取り扱い、こういったもののある意味法的な、予見可能性というものをしっかりと担保できるような制度、どのような状況で今回TPPの中では組み込まれているのか、その点について石原大臣から御説明をお願いしたいと思います。
○石原国務大臣 ただいま鈴木委員が御指摘されました点は、私も非常に重要な点だと思っております。
 実は、私が初めてベトナムを訪ねさせていただいたのは平成五年なんですね。すごい前でございます。そのとき、まだ民法もベトナムでは整備の途上であった。そんな中、もう既に日本の企業が出ていたんですね。ただ、企業の方とお話をさせていただくと、この先どうなるんだろう、今まさに鈴木委員が御指摘されたような御懸念を持ちつつ、勇気を持って出てきたということが大変印象に残ったわけでございます。
 今回のTPPの協定の中にありましては、予見可能性や法的な安定性ですね、狙い撃ちにするというようなことのないように、そういうものがTPPの投資の章の中に明確に記述をされております。
 例えば、TPP協定の投資の章では、投資について、自国企業と外国企業とを不合理に差別しないことを義務とするというような規定がございますし、また、TPP締約国がその章で規定されている義務に違反したことによって損害をこうむった進出企業は、当該国を相手とした国際仲裁の手続、これも御議論があったところですけれども、ISDS手続に持ち込むことができる。
 実は、ISDSの項目というのは我が国の企業にとっての大きな武器であるということだと思っております。
 TPP協定は、外国企業に対する投資規制が多い国においては、投資環境の将来見通しを確かにして、法的な安定性を改善して、海外進出する日本企業の権利の保護に役立つ制度を含んでいる。こういうところもやはり、委員が御質問いただいたように、もっともっと説明をしていく必要のある重要な点だと認識をしております。
○鈴木(馨)委員 今御指摘をいただきましたISDSについてもそうですし、あとは、いわゆる歯車条項、ラチェットという形で、いろいろな業法とかを後退させない、そういったことも規定をされていると思います。
 同時に、恐らくこれは国民皆保険の話にもつながってくるんだと思いますけれども、現在留保と将来留保という話の中で、こうした、後退をさせない、そういったラチェットの対象になる分野、あるいは、そうではなくて、それぞれの国にある程度委ねられる分野、そういったものがリスト化はある程度されている、そういった中身になっているようにも話を聞いておりますけれども、実際、現在留保と将来留保という点、これは極めて大事なところだろうと思いますので、それぞれどういった分野が具体的にその対象になっているのかの点についての、若干詳細で恐縮でありますけれども、石原大臣から御説明をいただきたいと思います。
○石原国務大臣 現在留保と将来留保、非常に大切なところなんですけれども、国民の方々にはいま一つ、どう違うのかぴんとこないと思うので、そこからちょっと簡単に説明をさせていただきたいと思うんです。
 現在留保とは、現行の法令に定められる措置について自由化に関する規律を適用しない。すなわち、今やらないよということでございます。
 将来留保とは、政策上将来にわたって規制を導入して、または強化する必要があり得る分野について規制権限を包括的に留保する。先のことを言っているわけでございます。
 いずれも非常に重要でございまして、TPP協定では、我が国を含む各国は、一部の義務の適用を逃れるためにそれぞれ必要な留保を行っております。
 留保表は、原則、全ての分野を自由化の対象とした上で、例外となる分野のみを記載する、これとこれは留保ですよ、いわゆるネガティブリスト方式をとらせていただいております。この方式は、規制される分野が、ああ、これがどの国が留保していることだということがある意味ではすぐわかる。すなわち、海外企業にとって、将来留保のところを見れば、将来の見通しをよくしていると言えるのではないかと思います。
 そして、留保表には、協定が適用されない現行法令上の措置を記載する、先ほど言いました現在留保、将来留保が別々に明記されておりまして、留保内容がわかりやすく特定されていて、これによって、企業のサイドとしても、この分野はどうしよう、あの分野はどうしようというような見通しがきいてくるんだと思います。
 なおですけれども、現在留保をした措置については、協定発効後変更を行う場合には、現行の内容より自由化の度合いを下げてはならないというふうになっております。いわゆる、委員が御指摘になりましたラチェット条項が入っているということでございます。
○鈴木(馨)委員 自由化とそれぞれの国の国益、このバランスという中で、恐らく非常に難しい議論の中で整理をされているところだろうと思います。この点、今大臣もおっしゃったように、非常にわかりづらいところでもありますので、この点についても、ぜひこれからも丁寧な御説明を各所にしていただけるとありがたいと思います。
 では、次の論点に移りますが、先ほど福井委員からもありましたが、今回の交渉経過の言ってみれば情報提供、情報開示についての部分であります。
 先ほど福井先生からもお話ありましたけれども、先日の理事会において、その場限りということで提示をいただいた。正直これは、そのほとんどが黒塗りであった。その場で回収ということでありましたから私はその現物を持っていないわけでありますけれども、ただ、非常に国民の関心は高い分野なんだろうと思います。
 この保秘の契約は、たしかニュージーランド政府のホームページでひな形が示されていると聞いていますけれども、これは一体どういった契約内容なのか、ぜひ澁谷参考人からその点を簡潔にお答えいただきたいと思います。
○澁谷政府参考人 御指摘のように、秘密保護に関する書簡、ニュージーランドのホームページにひな形が掲載されておりましたが、実際に政府代表鶴岡公二が交換した書簡というものがそのものずばりかどうかということについてはお答えを今までしておりませんが、ほぼそれに沿った内容だということでございます。
 交渉の中で得られた情報、交渉に関する文書については、一定期間秘密扱いとするという内容でございます。交渉官同士の率直な意見交換を確保する上で極めて重要な枠組み、ルールであるということで、各国とも尊重しているということでございます。
○鈴木(馨)委員 今回、TPPということで、マルチということもありまして、恐らくこうした保秘契約というものが結ばれたというふうに承知をしております。また、これまでいろいろFTAとかEPA、バイでやっている場合、当然、契約を結ぶまでもないという中での交渉が行われてきたことも多々あったというふうには承知をしております。
 外務大臣にお伺いをしたいんですが、これまでのEPA、これまでもさまざまな質疑がありました、私も長年外務委員会で委員をしておりましたので、そうした経緯も承知をしているところでありますけれども、これまで、バイのEPA審議で、どういった交渉経緯についての情報提供ということをされてきたのか、この点について外務大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○岸田国務大臣 一般論として申し上げるならば、条約、協定の交渉におきまして、交渉の成果であります条文そのものについては、署名するまでに内容を確定しなければなりませんので、まず条文の内容を、文言をしっかりと確定し、そして署名を行い、そして、その時点では条文は確定しているわけですから、これを公にし、そして国会の審議をお願いする、こうした順番で物事を進めていきます。
 そして、その成果であります条文に至るまでの相手国とのやりとりにつきましては、相手との信頼関係、さらには、他の類似の条約交渉における影響等を勘案し、明らかにしないというのが通例であります。
 このやりとりを明らかにするというのは、ある意味では、我が国の手のうちを明らかにするということにつながります。今後、我が国が類似の他の国との条約交渉を行う際に、事前に我が国の手のうちが明らかになる、なっているということになったならば、これは交渉に影響が出てくる、国益にもかかわってくる、こういったことでありますので、やりとりについては明らかにするのは控えるというのが通例であります。これは交渉の相手国の立場にとっても同様でありますので、お互いに、信頼関係に基づいて、やりとりについては詳細を明らかにはしない、これが通例であります。
 今までの条約、協定の交渉については全てそういった方針で臨んできておりますし、この国会におきましても十数本、条約、協定、審議をお願いしております。全てこの方針で対応していくことになります。
○鈴木(馨)委員 TPP、総理からも、成長戦略の切り札ということもございました。あるいは、これからのルールベースの、ルールづくりの、外交戦略の中でも極めて大事な問題だと思いますし、同時に、国民の多くの方が心配をしている点もいまだに残っていると思います。
 今、情報開示ということでお話もしましたけれども、可能な範囲で、ぜひこれは国民の方々にもわかりやすく御説明をいただきたい、そのことを最後にお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○西川委員長 次に、上田勇君。
○上田委員 公明党の上田勇でございます。
 きょうから、この特別委員会での環太平洋パートナーシップ協定、それと、その対策法案の質疑がスタートいたしました。
 二〇一三年春に総理が交渉参加を表明され、大筋合意を経まして、署名が行われました。そして、約三年間にわたる総理そして担当大臣また関係閣僚の皆様のこの間の御努力に敬意を表するものでございます。
 協定は、私は、バランスのとれた、我が国にとって有益な内容となっているものと評価をいたしております。もちろん、各国がそれぞれの利害をかけて大変厳しい交渉をするわけでありますから、我が国の主張が全て百点満点で達成をされるということはもともとないわけでございますけれども、そんな中にあって、そういう厳しい交渉の中にありましても、我が国の利益が十分達成をされている内容だというふうに評価をしているところでございます。
 TPPは、先ほどからお話がありましたように、世界のGDPの四割、人口は八億人、そうしたアジア太平洋地域の巨大市場を創出する、かつてない大規模な経済連携協定となります。
 国民の皆様の多くは、このTPPによりまして貿易や投資の自由化が進むこと、それが将来の我が国の成長にとって有益である、そういうことは感覚的には十分御理解いただけているんだというふうに思っております。ただ、やはり、どうしても協定の内容が非常に多岐にわたっていること、中身が非常に専門的な事柄も多いということ、そういうことから、必ずしも広く御理解いただいていないという面がある、これも事実であります。
 まず第一に、TPPの意義はどこにあるのか。第二に、TPPの効果、また期待されるメリットはどういうものなのか。そして第三に、TPPによって農林水産業等には大きな影響が懸念をされますが、果たして大丈夫なのかというような懸念。さらには、対策は十分なのか。そしてまた、きょうも幾つか取り上げられておりますけれども、食の安全、安心の問題やまた医療制度、さまざまな分野で不安の声があるのも事実であります。この委員会の審議によりまして、こうしたTPPの意義やメリット、これをできるだけ広く御理解いただくとともに、不安や懸念を払拭していく、そのことが必要だというふうに考えております。
 まず、総理にTPPの協定の意義についてお伺いをいたしますけれども、私は、このTPPは将来にわたる日本の経済の成長戦略の重要な柱だと認識をしております。
 先ほどから総理がお話しいただいていますとおり、日本は人口減少社会に入っていて、将来は国内の市場もやはり縮小していく、そして、労働力や資本にも限界がある中で、生産力も低下をしていくということもある程度避けられないことであるというふうに思います。
 将来にわたって経済が安定的に成長していく、その安定した成長を持続していくためには、広く世界の市場に目を向けていくことが必要であります。そして同時に、世界と協調しながら研究開発を進める、あるいは生産をしていく、そうした、いわば世界とともに成長していくような日本経済にしていかなければならない、その基盤をつくっていくのがこのTPPであるというふうに理解をいたしております。
 安定した経済成長がなければ、今後必要となる社会保障制度を維持発展させていくことも達成できないわけでありますので、そういった意味で、TPPはこれからの日本の成長戦略の大きな重要な柱だと認識をいたしております。
 また、総理はこれまでの御発言の中で、我が国及びアジア太平洋地域の安定にも寄与し、戦略的にも大きな意義があるという趣旨も述べられております。結果的に関係国の経済が安定をし、成長することを通じまして、地域の安定にもつながるものだというふうに承知をしております。
 きょうも何回も同様の質問がございましたけれども、改めて総理にTPP締結の意義について御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 日本を覆っていた漠然とした不安というのは、かつて日本は高度経済成長時代、どんどん人口もふえていきますし、きょうよりもあす、ことしよりも来年はよくなるだろう、収入もふえていくんだろう、それはやはり人口がふえていくということが大変大きかったんだろうと思います。戦後はずっと右肩上がりで人口もふえてきた。
 しかし、いよいよ人口減少局面に入った。少し前から生産人口はもう既に減り始めているんですが、人口が減るということは、これは消費者も減っていくし、生産者も減っていくから、成長していくことはなかなか難しいのではないだろうか。そうなると、成長していかなければ、高齢化していく中において、大切な社会保障制度を維持できるのかどうかという不安も相まって、何となく閉塞感があった。
 このままであれば、確かにそういう方向に、衰退に行ってしまうわけでありますが、そこで、このTPPというのは、まさに人口八億人の新しい自由な市場をつくっていく。日本の人口は残念ながら減っていくわけでありますが、例えば、この八億人の市場の中のベトナムはどんどん人口がふえていきます。新たに入ってくるフィリピンやタイもそうでしょう。新たに入ってこようとしている国々もあります。そういう中において新たなチャンスを求めていく。
 そして、当然、経済が発展していく上においては、基本的な考え方として、物やお金が自由に動いていくということが基本的な条件であろう、こう思います。かつ、そのルールづくりにおいては、最初に入らなければルールづくりに参加できないということでありました。そこで、我々は、ここはやはり日本の経済をしっかりと成長させていく、このチャンスをしっかりとつかんで、そして私たちもルールをつくっていく。
 そこで、最初に参加したこの十二カ国は、まさに、日本や米国を初め、自由や民主主義や基本的人権、法の支配をたっとぶ、普遍的価値をともにする国々であります。そういう国々とともにまさに自由な経済圏をつくることによって、そしてGDPにおいても十四兆円押し上げる効果があります。
 そしてまた、ルールでしっかりと守られていますから、大企業だけではなくて、中小企業にとっても、ルールがしっかりある、自分のつくった技術が守られる、急にいろいろなルールを変えられない、幾ら小さな企業であってもそれはちゃんと守られているということになれば、小さな企業、小規模事業者にもチャンスが出てくるし、そこに駐在員をたくさん置かなくても、いながらにしてインターネット等を通じてそういう仕事もできるようになってくるわけであります。
 農業においてもそうであります。残念ながら、日本の農業、平均年齢は六十六歳を超えてしまいました。その中において、消費者が減っていくということについても、これは農業においてもなかなか厳しいことになっていくわけでありますから、そこで、やはり大切な大切な国の基である農林水産業を守っていくためにも、私たちは打っていかなければならない。
 かつ、シンガポールもそうですが、マレーシアも、あるいはブルネイもそうでありますし、そういう国々はまさに品質の高い食を求めているわけであります。日本は基本的に、日本の食、日本の製品はしっかりとしていて安全だというブランドはもうかち得ていますから、今度は地理的表示もしっかりと認められているわけでありますから、地理的表示によって、日本のいわば農作物は、手間暇かけたその汗と努力が真っ当に評価されるというルールで付加価値を生み出すことができるようになってくるわけであります。
 他方、多くの方々が心配している、例えば国民の皆保険制度は大丈夫か。これはもう絶対に大丈夫であります。そしてまた同時に、日本の食の安全は大丈夫か。安全、安心についても、全くこれは変化がないわけであります。
 そこで、私たちはしっかりとこのチャンスを生かして、国民の皆さんにとって、このTPPに参加したことによって豊かになったということを実感していただけるように全力を尽くしていきたい、このように思っております。
○上田委員 ありがとうございます。
 次に、TPP協定の効果やメリットについて質問させていただきます。
 政府試算によりますと、今総理からも御答弁ありましたけれども、TPPの経済効果は、GDPを十三・六兆円上げ、また雇用を七十九・五万人創出をすると言われております。
 政府の資料あるいは協定の方から、分野ごとに期待できる効果というのをちょっと資料の方にまとめさせていただきました。
 まず、中堅・中小企業についてであります。
 TPPは、国際的に活動しているような大企業だけではなくて、中堅・中小企業にとっても新たなビジネスチャンスを提供するものであります。
 工業製品の九九・九%の関税が撤廃をされる。その中には、非常に裾野の広い自動車部品、あるいは中小企業の関心の高い繊維や陶磁器といったものも含まれております。輸出拡大の大きなチャンスだと考えています。
 また、通関手続が簡素化、迅速化されるということも重要であります。海外の納入先への納入期間が短縮をされる。あるいは、遅延リスクも軽減をされます。さらには、オンラインの通信販売事業などを手がけている事業者にとってもメリットは大きいというふうに考えています。
 これまでなかなか参入チャンスがなかった各国の国有企業について、日本の企業も含めてでありますけれども、TPP締約国の企業というのは無差別の待遇が得られるということでありますから、これは取引の窓口が開かれるということになります。
 さらに、今後、特にこのアジアの地域では需要が増加していくことが期待されているインフラ整備の分野へも我が国企業の参画の機会が広がる。そして、政府調達へのアクセスも改善をするということが期待されます。特に、世界貿易機関、WTOの政府調達協定に今参加をしていないのが、ベトナムとかマレーシアがありますけれども、今後、こうした地域というのはインフラ需要が非常に期待をされるところでもありまして、同じルールが適用されるということは非常に重要なことだというふうに思っております。
 また、先ほどもちょっと言及がありましたけれども、コンビニなどの小売業、それから娯楽サービス、音響サービス、そうした分野において、一部の国では今外資規制がありますけれども、それらも大幅に緩和をされるということになり、進出が容易になります。コンビニなどを通じて、我が国の国産のさまざまな商品、それの販売のチャンネルが広がる、これも期待をされます。
 また、進出企業に対する技術移転要求が禁止されますので、せっかくのこの技術が盗まれてしまうんじゃないか、そうしたことも心配せずに進出することができるようになる、そうしたことも今回規定をされているわけであります。
 また、次に農林水産分野。ここは負の影響のことがよく議論されておりますけれども、それだけじゃなくて、米、牛肉、青果物、お茶、林産物、水産物などの関税が撤廃されることによりまして、我が国は非常に品質の高い農林水産物を持っているわけでありますから、その輸出環境が改善をしていきます。
 また、先ほど総理からもお話がございましたけれども、地理的表示の保護のためのルールが定められますので、地域ブランドの食品、農産物の輸出、こういったことも促進をされると期待をしています。
 次に、知的財産の分野。ここでも、我が国企業がいつも大きな被害を受けている模倣品とか海賊版、そうした取り締まりが強化されます。特許権や商標権取得の範囲も広がるし、手続も容易になるので、日本企業がそういう意味では安心して海外に進出できる、そういう環境が整う。
 情報通信の分野でも、電気通信インフラの整備やサービス市場へのアクセスも改善をされていきます。
 さらには、労働分野では、労働者の基本的な権利を規律する法律が、これが各国で採用されるということでありますから、全ての国において公正公平な労働条件が担保される。それは結果的に、既にそういう条件のもとで行っています我が国にとっては相対的な競争力が上がるということにもつながります。
 また、進出企業がたびたび経験をする労働トラブル、これを未然に防ぐためのさまざまな貢献もあるというふうに期待をしています。
 また、金融分野でも、一部の国、マレーシアとかベトナムでは、支店の開設やATMの設置などにも規制がある。さらには、外資出資規制がありますけれども、それらも緩和をされるわけであります。これは、単に日本の金融機関だけではなくて、進出している日本企業の資金調達にも資するものだというふうに考えています。
 また、環境分野でも、このTPPの締約国の中の環境に対する関心が高まり、規制が強化されれば、我が国は環境技術という面では非常にすぐれたものを持っているわけでありますから、廃棄物の処理とか、低炭素技術、また水処理、そういった面で我が国としても大きなビジネスチャンスの機会があるというふうに認識をしています。
 このように、このTPPというのは非常に幅広い分野でメリットが期待をされる。また、今概括的に述べさせていただきましたけれども、さらに総理は、先ほどからもお話がありますとおり、TPPというのは私たちの生活を豊かにしてくれますとも述べております。こうしたさまざまな効果、メリットがあって、これは日本経済の成長にも役立つし、また国民生活にとっても非常に大きなメリットがあるんだというふうに認識をしているところであります。
 そこで、今非常に概括的にいろいろなことを申し上げさせていただいたんですけれども、総理に、特に国民にとってのメリット、そこで総理が強調したい点、御見解を伺えればというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 大体もう上田先生によって説明され尽くしているところもございますが、まず、消費者という視点で見れば、関税障壁は激減するわけでありまして、域内のさまざまな国のいろいろな商品が安く手に入るし、いろいろなものと比べて選んでいく、選択肢が大変ふえていくということになります。
 そしてまた、先ほども申し上げましたが、TPPは、八億人の市場、四割経済圏を目指して、GDPを十四兆円押し上げる。そして、労働供給を、先ほどおっしゃったように、約八十万人増加させる効果があるわけであります。そしてまた、関税が撤廃、削減されるだけではなくて、新しいルールの中で自由で公正な競争を促していけば、間違いなくイノベーションが起こってくるわけであります。イノベーションは新しい産業や雇用を生み出し、国民生活の利便性も高まってくるんだろう、このように思います。
 また、TPPを契機に工場を日本に戻すことを検討しているという動きも見られるわけでありまして、産業空洞化の懸念も解消されることが期待もできますし、また、当然、我々三年間の自公政権において、海外からの直投ががんとふえていますが、さらにふえていく。海外からの直接投資が拡大することも考えられるのかなと思います。
 そして、農産物だけではなくて、さまざまな地方の産品も地理的表示によって保護されますから、地域において頑張っている中小・小規模事業者、例えばたくみの技術が真っ当に評価をされて、しかも、なかなか海外に輸出するのは大変だという小さなところも海外に出していく。インターネット等を通じて出していったとしてもしっかりとルールによって守られる、途中でルールを変えられないということもあるんだろう、こう思います。
 また、例えば、日本の携帯電話を海外で使用して不当な高額な通話料を請求されることもなくなるということも期待されるわけでありまして、そうしたようなことも生かしながら、我々はしっかりと国民の皆さんに実感していただけるようにさまざまな対策を進めていきたい、全力を尽くしていきたいと考えております。
○上田委員 ありがとうございました。
 それでは、若干これから各論にも入らせていただきますけれども、まず経済産業大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 このTPPというのは、先ほど述べさせていただきましたとおり、大企業だけではなくて、中堅・中小企業にとっても、製品の輸出拡大やあるいは海外への事業展開、多くのチャンスを提供するものであります。しかし、これはあくまで機会を提供するということでありまして、TPPの新しいルールを生かして、それを生かすことによって初めて事業の拡大ができる、利益の増加という果実を得ることができるわけであります。
 多くの中堅・中小企業ではもう既に積極的な取り組みを行っておるんですけれども、全体から見れば、残念ながら、まだ一部にすぎないというふうに思います。多くの中堅・中小企業がTPPで提供される新しいルールによるメリットを最大限に生かすことができるような環境整備が重要であります。
 そこで、国、地方公共団体、民間、これら全てがここで知恵と力を合わせなければならないわけでありますけれども、TPPの内容の周知や、それぞれの中小企業の事業戦略をどうやってつくっていくのか、それの支援、それから、さまざまなルールについてのきめ細かな相談やアドバイス、そうしたことが重要だというふうに認識をしております。
 今後、そうした中堅・中小企業が、せっかく生まれてくる新しいチャンスを最大限に生かしていくため、そういった対策を、経産省としての取り組みをお伺いしたいというふうに思います。
○林国務大臣 上田委員も御指摘でありますけれども、TPPには、工業製品の九九・九%の関税撤廃のみならず、模倣品対策やら、あるいは通関手続の迅速化など、中堅・中小企業が海外展開するに当たってさまざまな課題に対応するためのルールが盛り込まれております。
 こうしたTPPによってもたらされるチャンス、これを生かして海外展開しようとする中堅・中小企業を支援することが我が国の経済成長にとっても大変重要であるというふうに認識しております。
 我が国の中堅・中小企業の中には、委員御指摘のように、そもそもどのように海外展開を進めればいいのかわからないとか、あるいは現地でのビジネスパートナーをどう探せばいいのかよくわからないとか、海外展開の際に直面する課題もさまざまでございます。そのため、支援対象企業のニーズに応じまして、きめ細かく総合的な支援を行う必要がございます。
 経済産業局あるいはジェトロ、中小機構の六十五カ所の拠点にまず相談窓口を設置いたしまして、そして全国四十七都道府県で百回以上の説明会を開催いたしました。などなどによりまして、全国の中堅・中小企業に対しまして、TPPの合意内容やメリットを含めて幅広く丁寧な情報提供を行っているところでございます。
 また、二月二十六日には、ジェトロ、中小機構、日本商工会議所などの機関の参加を得まして、新輸出大国コンソーシアムを設立いたしました。
 ここには海外ビジネスに精通した専門家を配置いたしまして、このような専門家が個々の企業の担当となりまして、海外事業計画の策定、あるいは支援機関の連携の確保、あるいはまた現地での商談、海外店舗の立ち上げなどなどをサポートすることとしているところでございます。
 中小・中堅企業がTPPで開かれる新しいチャンスをつかんで飛躍ができるよう、そして地域が元気になるよう、政策を総動員して支援してまいりたいと思っております。
○上田委員 ありがとうございました。
 今経済産業大臣から御説明がありましたけれども、ここが本当に一番大切なところじゃないかというふうに思います。いいルールができた、それをどうやって生かしていくのか、そのためにさらにこれから力を入れて取り組んでいただくことを期待いたしております。
 次に、原産地規制について、また経済産業大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 TPPでは、複数の締約国において付加価値や加工工程をそれぞれ足し上げていって原産性を判断するという完全累積制度を採用することとなります。これによって、十二カ国の締約国のどこで製造しても関税優遇が受けられるということになりますので、技術力の高い中堅・中小企業とか、あるいは海外生産比率の高い業種にとってはやはりメリットが大きいというふうに受けとめています。この制度の効果について大臣の御見解を伺いたい。
 そして、さらにまた、これまでの経済連携協定、EPAなどでは、日本商工会議所などが原産地証明書を発給するという第三者証明制度、第三者が証明するという制度をとってきたんですが、今回は、それにかわって自己証明制度、自分がみずからそれを証明する、それぞれの企業がみずから証明をするという制度が採用されることになります。これまで行ってきていない新しい制度でありますし、また、多くの中小企業では、これはどういうふうに対応していいのかわからないというのがやはり率直なところじゃないかというふうに思います。
 この新しい自己証明制度、その仕組みについて、十分対応できるような支援を経済産業省としてお願いしたいというふうに思いますけれども、大臣の御答弁をお願いいたします。
○林国務大臣 TPP協定におきまして、域内における付加価値や工程を全て合算して原産性を判断する完全累積制度を採用しているところでございます。
 この制度のもとでは、日本の企業が、その強みを他のTPP参加国の企業の強みと組み合わせをいたしまして、最適なサプライチェーンを構築することができるようになります。そして、これによって、中小企業が日本に生産拠点を置きながら、つまり日本にいながらにしてTPP域内への展開が可能になるというメリットがございます。
 例えば、自動車以外でも、繊維製品につきまして、日本で生産した生地や糸をベトナムで縫製してスーツを生産する、これをTPPにより関税が撤廃されるアメリカへ輸出するといった可能性があるわけでございます。
 また、自己証明制度についてでありますけれども、TPP協定では、事業者が証明書をみずから作成する自己証明制度が採用されました。これには、各事業者がそのビジネス動向に合わせて機動的に証明書を作成することができるという利点がありますけれども、一方、なれていない事業者も制度を円滑に利用できるように、ユーザーにわかりやすい解説書の作成、あるいはウエブ上で原産地証明書の作成を支援するツールの整備、そして事業者向けセミナーや会計士等の専門家に対する研修の実施、また、全国のジェトロの貿易情報センターへの常設窓口の設置などで相談体制の整備をしているところでございまして、これからもきめ細かな支援を行っていきたいと思っています。
    〔委員長退席、福井委員長代理着席〕
○上田委員 ありがとうございます。
 この点もすごく重要だというふうに思います。せっかくメリットのあるルールをつくったけれども、それが活用できなければ意味がないわけでありますから、引き続き、中堅・中小企業に対する支援をぜひ強力に進めていただきますことをお願いいたします。
 次に、石原大臣にお伺いをいたしますが、模倣品、海賊版対策についてであります。
 我が国の企業、これは中堅・中小企業も含めて多くの企業が模倣品や海賊版によってこれまで大きな被害をこうむってきております。TPP協定によって、それぞれの国において、水際での取り締まりとかを強化する、あるいは法律が強化をされるなどの対策が盛り込まれております。これは非常に意義のあることだというふうに考えています。中堅・中小企業の製品の模倣品の防止あるいはブランド、技術の保護、こういった面から有効であります。
 ただ、制度をつくっても、それの実効性を確保するというのは、こういう問題というのはなかなか難しい面もあるのも事実でありまして、模倣品や海賊版対策の実効性のある対策を確立するために今後どのような方針で進めていかれるのか、御見解を伺いたいというふうに思います。
○石原国務大臣 上田委員の御指摘の模倣品ですか、これは意外にきいていると思いますね。同じものを丸々デッドコピーで、新興国に行きますと、日本のものかなと思うようなものを多く見かけます。
 TPP協定では、模倣品と海賊版対策の強化を図るために、商標権や著作権を侵害する疑いのある物品の税関での職権による差しとめ、もう水際で、今委員が御指摘されたように、税関で差しとめる。商標の不正使用や著作権の侵害に対する法定損害賠償といった救済措置もつくらせていただいているわけでございます。そうした内容を反映した関連法改正を行わせていただき、TPP協定の実施を確実にする。あわせて、模倣品、海賊版対策の実効性を一層確保するために、関係省庁が連携して模倣品、海賊版対策事業を引き続いて推進していく。
 もちろん、ジェトロだとか商工会議所とかで、やはりそういうところが窓口になって、その地元の中小企業の方がまた外国に行って、どうすればいいのか、また、こういうことで困っているという相談にきめ細かく乗っていくということを推進してまいりたいと考えております。
○上田委員 ありがとうございます。
 今大臣が言っていただいたとおり、これはやはり地域で中小企業の方から聞くと、本当に意外と多くのところがこういう被害を受けているという話を私たちも伺うところであります。そういう意味で、今回こういう協定で、そういう懸念をされる国もこの協定に参加することになった部分がありますので、まさに実効ある対策を今おっしゃったとおり期待しておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 それでは次に、農林水産業対策についてお伺いしたいというふうに思います。
 当然、TPPで最も影響を受けるのは農林水産業であります。政府試算によりますと、生産減少額は一千三百億から二千百億円との推計をされておりますが、多くの農業者は大変不安を感じております。
 交渉によって、いわゆる重要品目については国家貿易制度が維持をされる。これは、米、麦、乳製品などについてでありますけれども、それから、長期間の関税削減期間が設定をされた。非常に長い期間をかけて関税を削減していく。あるいは、緊急輸入制限措置、セーフガードも導入をされるなど、直ちに重大な影響が及ばないようなさまざまな措置が確保されております。
 その上で、また、総合的なTPP関連政策大綱、昨年十一月二十五日に取りまとめられたものでございます。我が党からも、また自由民主党からも、それぞれ大臣に対して申し入れをさせていただき、その上で政府として正式に対策本部として決定をしていただいたものでございます。その中には、我々からいろいろと御意見を申し上げたことも随分反映をしていただいたこと、改めて御礼を申し上げたいというふうに思っております。
 この大綱の中の「経営安定・安定供給のための備え」、これがいわば重要品目に対する対策でありますけれども、さまざまな対策を講じることとしております。
 先ほどから御答弁もいただいているんですけれども、米については、国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として購入するということによって、米が輸入されたとしてもそれが市場に影響を与えないような対策をとっている。
 麦に対しては、経営の所得を安定させるための経営所得安定対策を着実に実施していくという対策をとられています。
 さらに、一番懸念をされる分野でもあるんですが、畜産の分野でありますけれども、牛・豚マルキンの法制化。このマルキンというのはちょっと聞きなれない言葉かもしれませんが、肉用牛肥育経営安定特別対策事業ということであります。また、豚マルキンは養豚経営安定対策事業であります。肥育農家それから養豚農家、そうした経営を安定させていく、価格が下がった場合、ちょっと経営を所得補填していこうという従来からあった制度でありますけれども、これを今回は法律できちんとした恒久的な措置として定めよう。さらに、そのマルキンの補填率の引き上げや、豚マルキンについては国庫負担水準も引き上げますという内容となっています。あるいは、肉用子牛保証基準価格の見直し。
 そして、酪農については液状乳製品、これは生クリーム等でありますけれども、加工原料乳生産者補給金の、生乳を加工品として出荷した場合にはどうしても価格が低くなる、それの価格補填をする制度でありますけれども、その対象にそうした生クリームなども加えるという制度であります。
 さらに、甘味資源、お砂糖については、糖価調整制度のもとでの、事実上、加糖調製品が砂糖の迂回輸入になっていたという、事実上なっていた面を塞ぐということから、加糖調製品も調整金の対象に追加をするというような対策が講じられております。
 こうした対策も含めて、それから交渉の結果置かれている措置等を含めて、再生可能な農業が十分維持できるというふうに認識をされているのか、農林水産大臣、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
    〔福井委員長代理退席、委員長着席〕
○森山国務大臣 上田委員にお答えを申し上げます。
 今回のTPP合意を受けまして、生産現場の一部に残っております懸念と不安をきっぱりと断ち切って、安心して夢と希望を持って再生産に取り組んでいただけるように、政策大綱に基づき、万全の対策を講じることが重要であると考えております。
 とりわけ重要五品目については、経営安定と安定供給のための備えとして、協定発効に合わせまして、政府備蓄米の運営の見直し、砂糖や畜産物に係る法制度の整備など、経営安定対策の充実等の措置を講ずることとしております。
 また、体質強化対策とあわせまして、先ほど委員がお述べいただきましたような重要五品目に対する措置を講じさせていただきまして、重要五品目を中心に我が国農業の再生産を確保し、新たな国際環境のもとでも夢と希望を持って所得の向上を図って経営発展に果敢に取り組んでもらえるような農政新時代を切り開いてまいりたいと考えております。
○上田委員 ありがとうございます。
 こうした対策を実行していくためには、やはり予算も確保していかなければならないわけでありますので、引き続きその点も、私たちとしてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、また、農水大臣の方でもぜひ、その点、しっかりと取り組んでいただきますことをお願い申し上げます。
 今、全体像について申し上げましたけれども、その中の何点か、ちょっと各論を申し上げたいというふうに思いますが、まず、いわゆるマルキン制度についてでございます。
 今回提出をされている法案の中で、これまでは経営安定対策事業、マルキン事業というのは予算措置で行われてきました。予算措置で対策としては行われてきたんだけれども、今回は、これを法律できっちり定めましょうということが今回の法案の中に盛り込まれております。予算措置から法律に位置づけるという意義はどこにあるのか。
 そしてまた、今回、それとあわせて制度も、補填率をこれまでは八割だったものを九割まで上げます。そして、豚マルキンについては、国庫負担割合、今までは二分の一から、四分の三まで引き上げるということにしています。こうした措置というのは、これまで関係者、農業者から長年要請のあった事項でもありまして、TPP協定の発効に伴います影響を軽減するとともに、将来に対する不安を払拭するという意味で非常に重要だというふうに考えております。
 制度の見直しの目的と効果についても、あわせて、農林水産大臣、御見解を伺いたいというふうに思います。
○齋藤副大臣 牛肉、豚肉対策につきましては、生産コスト削減を目指す各般の体質強化対策を講じると同時に、経営安定対策であります委員御指摘のいわゆる牛・豚マルキン制度の充実を図ることによりまして、関税削減による影響に対する畜産農家の当面の懸念と不安を払拭していくということと同時に、将来に向けて、畜産農家の経営発展に向けた投資意欲、こういうものを後押ししていくことが大事だというふうに考えております。
 具体的には、今委員御指摘いただきましたが、牛・豚マルキンの補填割合を八割から九割に引き上げる、それからもう一つは、豚マルキンの方の国庫負担水準を、国一、生産者一と今までなっておりましたものを、国三、生産者一に引き上げるということにしており、そして、委員御指摘のように、今まで予算で講じておりましたこの制度を法律に基づく事業として行うことによりまして、TPP協定が発効された後も、長期にわたって経営安定に万全が期せられるということになるんだろうと思います。
 TPP交渉中におきまして、多くの御関係の皆さんから、若い人たちがやる気を失わないように頼みますよとか、将来の夢とかそれから誇りを失わないように頼みますよと、繰り返しそういうお声を聞いてまいりましたが、この政府・与党における法制化の決断はそういう思いに応えるものになっていると確信をしております。
○上田委員 御答弁ありがとうございました。
 もう一つ、次に、この農林水産対策の中で、このオレンジのところ、二つ目の箱のところでありますけれども、食の安全、安心の対策であります。
 食の安全、安心もすごく国民に、消費者にとって大きな懸念でございまして、この問題について厚労大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 協定の衛生植物検疫措置の章とか、あるいは貿易の技術的障害の章に定められているルールによって、我が国の規制制度を変更する必要性が生じてくるのではないかというような懸念の声が今まで聞かれてきました。先ほどから、そうした懸念はないんだという御答弁もいただいてきたところでありますけれども、その結果、多くの国民からは、食の安全、安心、毎日の安心が脅かされるのではないか、そういう懸念の声が上がってきました。
 大綱では、「輸入食品の適切な監視指導を徹底するための体制強化に努める。」というふうに書かれております。具体的に今後どういうような対応をしていくのか、厚生労働大臣、御見解を伺いたいというふうに思います。
○塩崎国務大臣 食の安全につきましては、本当に国民的な関心の大きな問題だと思っております。
 先ほど申し上げたように、リスク評価は食品安全委員会、そして、それに基づく基準などをしっかりと守っているかどうかということを、リスク管理をするのが厚生労働省ということでございます。
 厚生労働省では、この安全基準に適合する食品が輸入をされるように、全国の港とか空港で検疫所がございますが、輸入食品の審査あるいは検査を実施しているわけでありまして、今後、食品の輸入の増加も踏まえて、検疫所の職員の研修による資質の向上、あるいは必要な職員を確保するということ、そしてまた検査機器の充実など、検査体制の強化をしっかりと図っていき、引き続き、我が国に輸入をされます食品の安全性を守っていくということに努めてまいりたいと考えているところでございます。
○上田委員 この問題は多くの国民にとって非常に大きな関心事でもありますので、ぜひ万全の対応をしていただくようにお願いしたいというふうに思います。
 この食の安全、安心の問題でもう一点、今度は消費者庁に加工食品の原料原産地表示についてお伺いしたいというふうに思います。
 加工食品の原料原産地表示は、大綱の中には、「実行可能性を確保しつつ、拡大に向けた検討を行う。」というふうに記述をされております。
 現行制度について若干説明をさせていただきますと、今は、全ての生鮮食品については原産地の表示が義務づけられている。加工食品については、全てではなくて、その中の二十二の食品群について原料原産地の表示、そして、輸入品については原産国表示が義務づけられているという制度になっております。
 したがって、国内で製造される加工食品については、その二十二の食品群以外については、必ずしも原料原産地表示、海外から原料を輸入していたとしてもその原産国を表示するという義務は課せられていないというのが現行制度であります。
 先日、消費者庁からお示しをいただいたんですけれども、アンケート調査を実施したところ、消費者は、加工食品を選択する際に、実に四分の三の人たちがこの原料原産地表示を参考にしているというふうに答えております。消費者の関心は非常に高いということがこの点でもわかるというふうに思います。
 現在、消費者庁それから農林水産省の共同で、有識者も含めた検討会を発足して、この原料原産地表示の拡大についての検討を行っているというふうに承知をしておりますけれども、今後の方針についてお伺いしたいというふうに思います。
○松本副大臣 先生御説明をいただいたとおりでありまして、加工食品の原料原産地につきまして、総合的なTPP関連政策大綱において、実行可能性を確保しなきゃならない、その上で拡大に向けた方向で検討を行うということとされたところであります。
 これを受けまして、消費者庁と農林水産省の共催で、本年一月から、加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会を開催いたしまして、既に三回開催をされたところであります。消費者の自主的かつ合理的な食品の選択の機会を確保するために拡大することが望ましいと考えておりますが、具体的にどこまで広げるのか、どのように広げるのか、実行可能性をどう担保していくのかということにつきまして、検討会でしっかりと議論をいただいた上で、事業者の実行可能性に留意をしつつ、具体的な方向を出してまいりたい。
 検討会は、大体といいましょうか、一カ月に一回程度のスピードで今お願いをいたしておりまして、何とか秋には中間報告ができるような方向でというところで今お願いをしているところであります。
○上田委員 ありがとうございます。
 今御答弁にあったとおり、消費者は非常に関心が高いんですね。ですから、できるだけその対象を広くしていくこと、今それが望ましいという御答弁もいただきまして、私もそのとおりだというふうに思います。
 ただ一方で、今御答弁にもあったとおり、事業者に過剰な負担を強いるというようなことは、それは実行可能性という点なんだというふうに思いますが、そういったことは避けなければならないのも事実であります。私も事業者から聞きますと、例えば原料となるものを複数の海外から調達しているというものがあって、それを厳密に表示するというのはなかなか難しいということであるとか、そういった実効性について若干の意見がございます。
 しかし、その場合でも、表示の工夫の仕方があると思うんですね。複数の国、A国、B国から輸入していても、A国またはB国というふうに表示をするのでもオーケーとするようなことであるとか、あるいは国産か輸入だという区別の方法もあるんじゃないか、そういったことも検討会では意見として出ているというふうにも承知をしております。ぜひ、これは消費者の関心の高いことでありますので、前向きに議論を進めていっていただきたい。
 そして、さらには、やはり今、外食とか中食では、これはお弁当なんかですね、表示義務の対象となっていないんですけれども、結構消費者はそういったところも気にしております。そういったことも、次の課題かもしれませんけれども、ぜひ御検討いただきたいというふうに御要望させていただきたいと思います。
 次に、この農業対策の中でやはり一番重要な、これからの日本の農林水産業をどうしていくのかという点であります。
 先ほど、当面の影響については、今回のTPPの措置とそれから対策で対応できるというお話でありましたけれども、でも、やはり長期的には影響が懸念されるのは当然のことであります。それに対応していくためには、やはり生産性の向上を通じた国内農業の競争力、それを向上していかなければならない、そこが基本なんだというふうに思います。
 大綱には、攻めの農林水産業への転換として、今後重点的に実施をしていく施策、ここに書かれているとおりでありますけれども、さまざまな施策が盛り込まれております。
 農業に一生懸命取り組んでいる農業者に将来に夢と希望を持ってもらうことが重要であります。そのためには、我が国として、将来、日本の農業はどういうものを目指していくのか、そうした将来ビジョンを明確に示していく必要があるというふうに考えておりますが、農林水産大臣にぜひ御答弁をいただきたいというふうに思います。
○森山国務大臣 お答えいたします。
 政策大綱に基づきまして、攻めの農林水産業への転換のための競争力強化、体質強化対策等、万全な対策を講じることがまず大事なことだと思っております。
 ただ、現場を歩きますと、中山間地は本当に大丈夫だろうか、農村、山村、漁村集落を本当に守っていけるんだろうかという不安があることも承知をしております。
 大臣に就任以来、私自身もたびたび現場に足を運んでまいりましたが、昨年十二月に訪れました奈良県の五條市の柿の産地を見させていただきましたけれども、これは相当条件の不利な地域だったんだろうなと思いますが、ここは土地改良事業を導入されまして、非常に柿の生産が盛んになり、かなりの所得を上げておられますし、若い柿農家がふえてきているということを見させていただきました。
 また、愛媛県の八幡浜市の真穴地区のミカン農家も見させていただきましたが、ここも非常に厳しい条件だったんだろうと思いますけれども、国営かんがい排水事業を導入されて、本当にすばらしいミカンをつくれる産地になっています。
 また、同じ日に見させていただきましたのは、松山市の興居島という本当に小さな島でミカンを頑張っておられる農家の皆さんの話を聞かせていただきましたけれども、私はミカンが大変好きでありますから、今まで多くのミカンを食べてまいりましたが、ここでいただいたデコポンの味というのはもう全然違うなというふうに思いましたし、条件の不利なところでもそれぞれ頑張っていただいているということがよくわかります。
 また、今月は、熊本県で集落営農を再編されて、統合されまして、集落を超えたブロックローテーションで三百ヘクタール以上の面積を耕作しておられる法人経営の皆さんとも懇談をさせていただきました。
 また、蓄積した栽培データを生かしたサイエンス農法でベビーリーフの生産、販売に取り組んでおられる現場の意見も聞かせていただきましたけれども、非常に進歩的なサイエンス農業をやっておられるなというふうに思いましたし、ノーベル賞を受賞された大村教授が農業は科学だと言われましたけれども、まさにそのことを実践しておられるなということを感じました。
 ですから、そういう条件が不利なところでもしっかり頑張っていける日本の農業というものを目指していくということが大事なことではないかなというふうに思っておりまして、こういう取り組みというのも我々は積極的にお支えをさせていただきたいというふうに考えております。
○上田委員 御答弁ありがとうございます。
 これから、具体的に、本当にどういう日本の農林水産業をつくっていくのか、さらに検討を進めていただき、また、まさに大臣もおっしゃっているとおり、夢と希望を与えられるような、そういったビジョンをさらにしっかりとつくり上げていきたいというふうに思っております。
 時間の関係で少しはしょらせていただきますが、ちょっと最後に、TPP参加国の拡大に関する考え方について総理にお伺いしたいというふうに思います。
 きょうも既に何回か質問に出ておりますけれども、既に韓国や台湾が参加に関心を示す、今後TPP締約国が拡大することも予見されるわけであります。締約国が多くなれば、市場の規模は大きくなりますから、それだけメリットが大きくなるというのは事実なんだというふうに思います。
 しかし一方で、締約国が多くなれば、我が国の農林水産物も含めて、市場アクセスへの要求というのも出てくるかもしれません。あるいは、これまで定められたルール、これはちょっと見直してほしいというようなことが出てくるかもしれない。そうすると、TPPの本来の性格が変わってくることもあり得るわけであります。
 例えば、アジア太平洋地域には、中国、世界第二位の経済大国でありますけれども、中国が参加するということになると、その市場としてのメリットは非常に魅力的であるのは間違いがないんだというふうに思いますが、では、ルールの面で見たときに、果たしてそれが整合性があるのかというと、どうもそうではないんだろうというふうに思われます。
 これは一例でありますけれども、今後、TPPの締約国が拡大をする、そうしたことの懸念も多いんですね。
 事実、私たちも地域で、今度のTPPによって食の安全が危なくなるとか、あるいは医療制度、こういったところが脅かされるんじゃないかというふうな懸念、実はこの十二カ国の問題ではないことも多いんですね。海賊版の問題もそうです。それ以外の地域も含めてなんですが、拡大されるとそういったことも含んでいってしまうこともありますので、今後、そうしたTPP締約国拡大が、仮定の話でありますけれども、あるとして、それによる利害得失、あるいはそれについてはどういう方針で対応していくのか、御見解を伺いたいというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 今度は、まさにTPPにおいては最初の創設メンバーになることができましたので、我々はルールづくりに参加をし、少し交渉参加はおくれたんですが、基本的にルールづくりのいわば主役を米国とともに担うことができたのではないかと思っています。ですから、我々が守るべき国益を守るためのルールづくりを積極的に行った結果、国益を守るための最善の結果を得ることができた、こう思っております。
 そのルールの中において、そのルールを見ながら、大筋合意後、韓国や台湾、フィリピン、インドネシア、タイ等がTPP参加に強い関心を示していることは、まさにTPPの戦略的価値が実現する展望を示すものであり、歓迎すべきことであると考えています。
 一方で、参加を求める国、地域がTPP協定に参加するには、協定の求める高い水準を満たす必要があります。例として挙げられました、もし中国が入りたいとなったとしても、それは他の国々と同じように高い水準を満たさなければならない。新たな国、地域が正式に参加表明する場合には、これは我が国を含めてTPP参加国がその参加の是非を判断することになります。日本も、この国がちゃんとふさわしいかどうかというのを我が国も判断します。その際には、我が国の国益に照らして適切に判断をしていきたい、このように考えております。
○上田委員 以上で終わります。
○西川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○西川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。玉木雄一郎君。
○玉木委員 民進党の玉木雄一郎です。よろしくお願いいたします。
 私、もう与党時代から含めて五年間以上このTPPにかかわってまいりましたので、きょうこうしてTPPの関連法案を議論できること、感慨深いものがあります。
 ただ、午前中の与党の先生方のやりとりを聞いていて思ったことは、TPPがバラ色のようなお話もされるし、食の安全も全く問題はない、そういう話がありましたが、私は、正直、確信が持てません。なぜなら、その確信に至る情報がないからです。
 まず、安倍総理に伺います。
 おとといの本会議で、TPP協定の各協定の内容や趣旨、解釈について、引き続き丁寧に説明してまいりますと答弁されましたが、この基本方針に変わりはありませんか。
○安倍内閣総理大臣 国民の皆様に丁寧に説明をしていく、これは当然のことであります。
 このアジア太平洋地域に四割のGDPの経済圏ができるわけでありまして、そこでどのような影響があるのか、あるいはまた、このチャンスをどのように生かしていくべきか、そして、政府としては、与党とともにどのような対策を講じているかということをしっかりと説明をこれからも丁寧にしていきたい、このように考えております。
○玉木委員 ぜひ、それはお願いしたいと思います。
 午前の質問の中でトップバッターを務められました宮腰先生、いつも大変御指導いただいておりますけれども、国会決議がこの交渉において重要な役割を果たした、そういうお話がありましたが、私もそうだと思います。
 手前みそになりますけれども、実は二〇一三年の三月、国会において決議をして院としての意思を明確に示した方が交渉上も有利になるのではないかということで、実は、国会としての決議をした方がいいと初めて提案させていただいたのは、当時民主党の私であります。
 聖域の定義をすること、あるいは変に政府を縛ってしまうことは交渉の柔軟性を失わせてしまうということで、当時、与党の先生方からも、そういったことはしない方がいいという声もありました。一方で、同じころ、西川委員長も覚えていらっしゃると思いますが、自民党としても決議をして、一定の交渉の基準といったものをつくられました。
 その質問を三月にして、四月に農林水産委員会の決議が決まるわけでありますけれども、その中の七項に何が書いてあるかというと、交渉で得られた情報については、速やかに国会と国民に対してオープンにしていくという情報開示の努力義務が書かれています。
 このことをしっかり守って交渉してくださいということは再三にわたってお願いをしてまいりました。それでもなかなか情報が出てこなかった。
 その際は、交渉中だから、さすがにそれを全部出してくださいというのは、私も外交に一時携わった端くれとしては、全てが出せないことはよくわかります。しかし、今回のTPP交渉の一つの特殊性は、極めて秘密性の高い、それは、交渉が終わり合意に至ってなお必要な情報が出てこないことであります。
 本当に国益にかなう交渉をしたのか、そして、その結果が本当に国益にかなっているものかどうかは、交渉過程もしっかりと吟味しなければ判断することができないと思います。
 そこで、民進党としては、何度も勉強会を開いて、政府に対して交渉過程についての情報開示をお願いしました。当初、全く出せないということでありましたが、強くお願いすれば紙が出てきました。どのような紙か。まっくろくろすけですよ、これ。
 私、さまざまな黒塗りをするような文書は見てきましたけれども、これまで真っ黒々の情報は見たことがありません。パネルにするとわかるんですが、これはまさにノリ弁当みたいになっていますね。本当に、全く国民に対して明らかにしていただけない。
 きょう、閣僚の皆さんが座っておられますし、与党の先生方もいっぱいいらっしゃいますけれども、このような状況で一体どうやって、この交渉が決議に合致したものなのか、与党内手続あるいは閣議決定ができたのか、私は不思議でなりません。
 もう一つ、この情報を出してくださいと言ってお願いする中で、高鳥TPP担当内閣府副大臣にも御説明を求めましたけれども、プライベートな食事が大切だと、そちらを優先して、我々の会議には欠席をされ、説明することを拒否されました。
 情報は出さない、説明者は来ない、このことで、総理、本当に、丁寧な説明をしてまいります、この約束は果たされているんでしょうか。
 石原大臣にお伺いします。
 もう合意に至りました。出せる情報はできるだけ開示していただきたい。特に、決議に違反しているかどうかは立法府に所属している議員の皆さんで最終的に判断してくださいというのが、これまでの総理以下の政府の答弁であります。
 判断したいと思います。判断するためにも、交渉過程を含めた情報開示を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○石原国務大臣 総理がおっしゃられておりますとおり、御質問があれば丁寧に御説明をさせていただきたいと考えております。
 ただし、これも午前中の委員会で御答弁させていただきましたけれども、秘密保護に関する書簡がございまして、制約もある、こういうこともぜひ御理解いただきたいと思います。
 そして、午前中の委員会で岸田外務大臣から御答弁がありましたとおり、交渉過程というものは原則的に非公開、こういうことが外交交渉の原則であるということもぜひ御理解をいただきたいと思います。
○玉木委員 午前中からありました、秘密交渉の書簡、それを約束した書簡があるので出せないということなんですが、その秘密契約の書簡なんですが、どういう秘密の義務が課せられているのか、我々わかりません。
 大臣、情報が出せない、合意後も出せない根拠となっている秘密文書の公開はしていただけますか。
○石原国務大臣 委員の出されているのは、以前に、ニュージーランドのホームページに載っている秘密保護に関する書簡ではないかと思いますが、制約があるということもぜひ御理解いただきたいと思います。
○玉木委員 ちょっと正確に申し上げます。
 私が今このパネルに出したのは、今、石原大臣がおっしゃった、ニュージーランドの外務省等のホームページにあるひな形であります。ひな形なので、実際にサインをして、関係国で結んだ秘密の協定内容がこれかどうかは我々判断しようがありません。本当に出せないということがどのように規定されているのかは我々はひな形で推しはかるしかありませんけれども、現物について、こういう秘密は守りましょうと書いてある文書はあるわけですから、それぐらい出せますよね。
○石原国務大臣 その点についても、コメントをすることも含めまして御遠慮させていただきたいと思っております。
○玉木委員 いや、ちょっとおかしいですね。
 交渉過程を出せとは、今、私聞きませんでした。交渉過程を出してはいけないという約束を結んだ、その秘密の契約の書簡について出していただきたい、そうしたら、確かにこういう約束をしているから出せないことになっているんだと。
 今のままだと、大臣、どういう秘密義務になっているのかも秘密なわけで、本当にこういう情報を秘密にするんだということを決められていることを我々は判断しようがないんですよ。今、政府側から、秘密だから秘密ですと言われていることだけなので、本当にどこまで交渉が妥結後も秘密になっているのかは、秘密文書でどう書いてあるかを見ないと判断できないので、秘密文書は公開してください。
○石原国務大臣 この点も、きょうの午前中の委員会で岸田外務大臣から御答弁をさせていただいておりますとおり、各国の信頼関係に基づいてこの秘密書簡ができておりますので、この点につきましてもコメントは差し控えさせていただきます。
○玉木委員 では、ちょっとお伺いします。
 秘密協定のこの書簡、このことも秘密にしようというところはどこで決まっているんですか。それは文書で決まっているんですか。
○石原国務大臣 各国との信頼関係に基づいてこの秘密書簡もできておりますので、コメントを差し控えさせていただきたいと申し述べさせていただいております。
○玉木委員 答えていただいていません。
 秘密のこの書簡を秘密にする、その約束はどのように行われていますか。
○石原国務大臣 大変恐縮なのでございますが、制限をさせていただくということで御理解をいただきたいと思います。(発言する者あり)
○西川委員長 いや、整理していますよ。
 質問を続けてください。
○玉木委員 大臣、ウィーン条約法条約という条約を御存じですか。これは外務大臣に聞いてもいいかもしれません。これは慣習国際法を法典化したものであります。日本も昭和五十六年に結んでおりますけれども、条約に関する国際法上の規則を統一的に定めたものであります。
 その三十二条にどうあるかというと、条文というのはいろいろな言語でやられます。そうすると、どうしても意味が曖昧なところとか、あるいはその意味が不明確である場合があります。その際には、その意味を確認するために、解釈の補足的な手段、特に条約の準備作業、これはプリパラトリーワークと英語で書いていますけれども、及び条約の締結の際の事情、ネゴシエーションヒストリー、交渉過程、こういったものに、意味が曖昧な場合は、意味を確定するために依拠することができるとなっています。
 ですから、この条約、条文が関係国で結ばれたときに、最後、解釈でもめた際には、結ぶに至った準備作業や交渉過程、このヒストリー、それに依拠することができるということが条約上決まっています。
 石原大臣、改めて伺います。
 秘密にしなければならない、一定程度わかります。ただ、秘密にしなければならないというこの秘密書簡自体を秘密にするというのは、過度な秘密主義ではないですか。それを公開できないのは、もう一度聞きます、それは信頼関係で出せないというのではなくて、何か明確な約束事があるから、秘密だということのその書簡も出せないんですか。どういう約束でその書簡自体を出せないんですか。もう一度お答えください。
○岸田国務大臣 まずウィーン条約について御指摘がありました。
 この三十二条の解釈は、まず基本は条約のテキストそのものであります。それを補足する手段としてこの三十二条があると解釈をしています。ですので、これは基本は各条約において通例行われている取り扱いが優先されるものであると考えます。これにつきまして、午前中、申し上げさせていただきました。
 条文そのものについては当然明らかにいたします。しかし、やりとりについては、これは手のうちを明らかにすることにつながります。同様の条約を他の国と交渉する際にあって、事前に手のうちを明かすということは、条約交渉上あり得ない話であると思います。これは、相手にとっても同じ話ですのでそうなります。
 だからこそ、ここに、御指摘いただきましたパネルにありますように、「参加各国がその公表に同意した場合を除き、」これは、今申し上げました趣旨があるからこういった条文があるというふうに考えております。
○石原国務大臣 ただいま岸田外務大臣がお話をしましたとおり、書簡の内容も含めて今回は交渉上のやりとりを外部に出さないという形で、秘密保護に関する書簡に二〇一三年にマレーシアで鶴岡首席交渉官が署名をしている、よって、説明をさせていただくこと、コメントを差し控えさせていただきたいということでございます。
○玉木委員 全く答えになっていません。
 今、岸田大臣も言及されましたけれども、私、これはひな形なので、原文がこれと同じかどうかを判断しようがないんですよ。たまたまひな形で書いているけれども、違う内容かもしれませんね。だから、これに基づいて今議論できないんです。こういう義務を果たしましょう、こういう秘密を守りましょうというのが書いてあれば、それぐらい見せてもらってもいいんじゃないですか。それさえ秘密、秘密にしましょうねという約束を定めた書簡さえ秘密、どこまで秘密主義なんでしょうか。
 今、岸田大臣があえて言及されたので、多分このような条文が本物にもあると推測して、今から質問します。
 出せないということなんですが、今大臣がおっしゃったように例外があって、関係国が公表に同意した場合はリリースできるとなっているんです。この条文が、繰り返しになりますけれども、本当かどうかわかりませんけれども、外務大臣がおっしゃったので多分こんな内容なんでしょう。これがあることを前提に質問しますが、この関係国の同意を、日本の国内の法律の審議に役立てたいのでぜひ御理解いただきたいと、関係国の同意を秘密書簡のこの規定に基づいてとっていただけますか。
○石原国務大臣 内容並びに形式について各国とも出しておりませんし、そのような形でこの秘密保護の書簡に署名をしているということで御理解をいただきたいと思います。
○玉木委員 私、何か無理なお願いをしている気はないんです。責任ある議論をして、後世に残る、総理がよくおっしゃる大変巨大な経済圏を規律、規定する新しい貿易のルール、経済のルールができ上がること、これから日本は国内法としてそれを受け入れていくわけでありますけれども、正しいのかどうかを十分な情報のもとで正しく判断したいだけなんです。それを今後これだけで我々に判断しろと求めるんですか、政府は。一体何をこれで判断できるんですか。
 一つ、具体的なお伺いをします。パネルの三を見てください。
 私がなぜこの交渉過程にこだわるかというと、昨年の七月二十一日、甘利大臣がこのようにおっしゃっています。米国産の米の無税の枠について、日本が五万トンという主張をして、アメリカが十七万五千トンだという主張をした、それは事実であると。これは、一部交渉過程を正直に甘利前大臣は明らかにしてくれていますね。この少し前のBSのテレビでも、もう日本は五万トンまでがいっぱいいっぱいだという話もしていました。
 でも、最終的に合意した内容は、五万トンではなくて七万トンですね。二万トンなぜ譲歩したのか。私は、必ずしも譲歩がだめだと今言っているわけじゃないです。この二万トンを譲歩することによって、例えば自動車で何かをとることができれば、それはトータルとして国益にかなうかもしれない、その確信を得たいだけなんです。
 石原大臣に伺います。
 この五万トンが七万トンになぜなったのか、最終的になぜアメリカからの輸入枠が七万トンなのか、この経緯について甘利前大臣から引き継ぎを受けておられますか。
○石原国務大臣 五万トン、七万トンと、この数字の話は、実は甘利大臣の発言の以前から新聞やさまざまな報道でされておりまして、このような交渉過程がどうあったかということについて、交渉過程でございますので、私の口からはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)
○西川委員長 石原TPP担当大臣。
○石原国務大臣 同じお答えになってしまうんですけれども、秘密保護に関する書簡の内容についても、御指摘の点につきましても、制限があるということはぜひ御理解いただきたい。
 ですから、そういうようなことがあったかないかということを含めて、どういう引き継ぎがあったかということを認めてしまいますと何があったかということが明らかになってしまいますので、お話をさせていただくことは交渉過程に含まれますので、コメントを差し控えさせていただきます。(発言する者あり)
○西川委員長 石原TPP担当大臣に申し上げます。
 引き継ぎの状況はどうだったということについてお答えをしてください。
○石原国務大臣 どのような議論があったかということをこの場で私があったないかと言うこと自体も交渉の内容になりますので、コメントを差し控えさせていただきます。(発言する者あり)
○西川委員長 石原TPP担当大臣、重ねて申し上げます。
 甘利前大臣との間の引き継ぎはあったかどうかという質問に対して答えていただきます。
○石原国務大臣 引き継ぎはございましたが、今委員が御指摘されたような内容についてあったかないかということについてのコメントを差し控えさせていただきたいと申しております。
○玉木委員 よくわかりませんでした。
 七万トンについての経緯についての引き継ぎはあったかどうか、もう一度お答えください。
○石原国務大臣 何度もお話をさせていただいておりますとおり、私の記憶がおぼろげではございますけれども、委員は明確に覚えていらっしゃると思いますが、五万トンとか七万トンとか十七万トンとか何万トンという話は、当時メディアの中にたくさん出ておったわけですね。そのことを含めて、私が甘利大臣とどういう過程があったかということを数字をもってお示しすることは、交渉過程を明らかにすることになってしまいますので、コメントを差し控えさせていただきたいと申しております。
○西川委員長 質問を続けてください。玉木雄一郎君。
○玉木委員 いや、余り難しいことを聞いていませんで、米について最終的に七万トンに至ったその経緯について、外に明らかにしろとは言っていません、あったかなかったかだけ。これは大事な話ですよ、笑い事ではありません。だから、交渉の、どういうプロセスだったかを出してくれと。これは四十五ページ全部真っ黒なんですよ。だから、総理が冒頭おっしゃったように、紙が出せないんだったら、せめて担当大臣にお伺いして納得を得たい。
 本当だったら、一粒たりとも入れないと最初交渉していたんですよ。それが、一粒たりともということでは交渉になりませんとかなって、ああ五万トンだ、ふたをあけたら七万トンだ。その間の経緯と、でも、交渉ですから、やはり自動車でとらなきゃいけないから、攻めるべきところは攻めなきゃいけないからといって、そういう交渉があったのかなということが知りたいんですよ。
 これはもう真っ黒ですよ。これ、白いところはありますけれども、何かここに書いていますか、有意な情報が。
 今、春になって、作付をどうしようかとか、農家の皆さんは心配しているんですよ。この五万トンあるいは七万トン、これできちっと営農継続できるような体制が本当に築けるのか、米価は下がらないのか。だから丁寧に答えていただきたいということをお願いしているだけなんです。
 もう一つ伺います。
 重要五項目、先ほど申し上げた決議の中にもあります。米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、そして砂糖、この五項目について除外または再協議、これが決議の内容であります。日豪EPAを例に出しますと、米は除外です、定義上、除外。しかし、このような形で七万トン入れることは、厳密な意味での定義で除外ではありません。でも、何とか決議は守ったとおっしゃいますが、伺います。
 重要五項目のタリフラインは、全部数えると五百八十六です。では、五百八十六が全て関税の撤廃や削減から免れたかというと、そうではありませんね、そうではありません。最初はしっかりと五百八十六全部守るという交渉をしましたか。
○石原国務大臣 平成二十五年四月の衆議院農林水産委員会において、TPP交渉に関し、いわゆる重要五品目について、引き続き再生産可能となる除外または再協議の対象とすることとの決議がなされたことは承知しております。
 TPP交渉では、我が国が参加する前に九カ国が発表したTPP協定の輪郭に関する文書において、原則関税撤廃でございます。ですから、もちろん、委員御指摘のとおり一粒たりとも、これがベストだったかもしれませんけれども、交渉過程で、協定にお示しをさせていただいている結果になったということが事実でございまして、先ほど来、大変恐縮でございますが、交渉過程についてはコメントを差し控えさせていただいております。
○玉木委員 西川委員長はよくおわかりだと思いますけれども、私が聞いたのは、それは交渉だからいろいろある、ただ、一番最初、決議を受けて、五項目に該当する五百八十六の、テレビをごらんの皆さんに言うと、タリフラインといって、五項目でもそれは細かく分かれていきます。関税の項目が細かく分かれているので、それを足し合わせると五百八十六あるんですね。
 ですから、五項目について全てを守るということであれば、まずは、これはもちろん無理かもしれませんけれども、一応、決議を受けてやるんだったら、もし私が交渉官だったら、まず最初は五百八十六全部、これは譲れませんという交渉をするのが当たり前だと思うんですが。
 ということは、最初から譲ったということですか。
○石原国務大臣 タリフラインの結果は、今委員が御指摘されたように、全部守るという形に至っていないということは事実でございます。
 しかし、当然、交渉でありますから、ハイボールからどんどん両方で交渉していくことが予想されますが、どのような交渉があったかということについてコメントは差し控えるということになっておりますので、結果がこうである、そして、そこで何が足りないのかという御質問がございましたら、こういうところが足りないんじゃないかというような御指摘をいただければと存じます。
○玉木委員 相手側の立場は言えなくても、日本は、いや、一応、最初は五百八十六全部守るように頑張ってと言ってくださいよ。それすらしていないんですか。
 では、ちょっと伺います。
 最終的には五百八十六全部守れませんでした、そのとおりです。では、いつの時点で全て守れないと判断して、一部は譲るしかないな、そういう、全部守れないと判断したのはいつなのか、そしてそれはなぜなのか、その経緯についてお話しください。
○石原国務大臣 これも、委員の御指摘は、要するに、途中で中間合意があったんじゃないか、どこかで何か取引があったんじゃないかというようなことを念頭にこの経緯について御関心を持たれているんですが、先ほど来お話をさせていただいておりますとおり、協定の中に示されていること、アトランタで合意をしたということが最終合意なんですね。この交渉は最終合意しかございません。そして、各国とも、この最終合意を国民の皆様に各国の担当者が丁寧に御説明させていただいていると御理解をいただきたいと思います。
○玉木委員 いやいや、五百八十六を最初は主張すべきだったと思いますよ。その経緯を御存じないのかもしれませんが、引き継ぎがどうだったのか教えていただかないのでわからないんですけれども、例えば、五百八十六の中にも輸入実績が全くないものもあります。ですから、それは二つの理由があって、ほとんど関係ないか、あるいは、すごく高い税率なのでそれがバリアになって一粒も、一個も入ってこないという両方の場合がありますけれども、実績がないものだったら、では、それはいろいろな交渉の中で少し考えた、こういう答弁をいただけるのかと思ったんですけれども、全く、交渉の中身にかかわることだから明かせない、いつからそうなったかも言えない、どういう理由で譲ったかも言えない。
 これだったら、委員長、この資料とそして今の現TPP担当石原大臣の答弁では、私、これ以上意味のある質疑ができないんです。委員長からも、もっとその情報を出していただくように、ぜひお願いをしたいと思うんですね。余り無理なことを、私、これはお願いしているわけではないと思うんです。ここまで隠さないといけないんですかね。
 一つ提案があります。
 石原大臣がお答えになれないのであれば、例えば、米の五万トン、十七万五千トン、こういったことをお話しになった甘利前大臣にぜひこの場に出てきていただいて、交渉過程について可能な範囲でこれをお話しいただくように、ぜひお願いしたいと思います。参考人としての甘利前大臣の招致を要請したいと思いますけれども、委員長、よろしくお願いします。
○西川委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。
○玉木委員 委員長にもう一つお願いがあります。
 これは理事懇の場でお話があったということで私は伺ったんですが、西川委員長は、また党においても重要な役割を果たされて、TPPにかかわってこられました。農林水産大臣としても御活躍をされました。その中で、そういったさまざまなTPPに関するこれまでの御経験をまとめた「TPPの真実」という本を中央公論社から出版されると。その趣旨は、これも理事懇でのやりとりを仄聞したんですけれども、やはりこれだけ大事な協定なので、後世にそれをしっかりと残し引き継いでいくという観点から執筆をされたと聞いております。
 それは、委員長、そういう趣旨で、これは事実でしょうか。
○西川委員長 委員長は答弁する立場ではありません。政府提出の協定、関連法案の質疑、これにおいては、政府に関して疑義をただしていただくものと私は受けとめています。
 ですから、委員長としてはお答えする立場にはないと考えます。政府に対して質疑をしていただきたいと思います。
○玉木委員 いや、私、臆測で言っているのではなくて、アマゾンというネットで本が買えるところに、五月の六日発売で、「TPPの真実 壮大な協定をまとめあげた男たち」といって、予約がもう入っているんですね。
 それで、内容紹介が、未曽有の多国間交渉で、自国の将来をかけて繰り広げられた駆け引き、自民党TPP対策委員長として第一線に立った著者が、その熾烈な内幕を明らかにする。
 内幕を明らかにしていただきたいなと思うんですが、実は私、これはゲラを持っています。それで、全文読ませていただきました。それで、時系列的にも大変よく整理をされておられますし、非常に参考になりました。
 これが本物かどうかというのは私はわからないので、委員長に見ていただきたいなと思うんですが、ただ、一つだけ申し上げておくと、書籍には世界共通のISBNという認識番号が付されています。先ほど私が申し上げたように、アマゾンのISBN番号が4120048462となっていて、私の手元にある「TPPの真実」という西川委員長の本の最後のところに書いてあるISBN番号も、4120048463ですか、同じなんです。
 委員長、ちょっと遠いですけれども、これは委員長が書かれた、どの段階かわかりませんけれども、これは委員長のものだと思うんですが。(発言する者あり)
○西川委員長 答えません。
 玉木雄一郎君。
○玉木委員 これがそうなのかということを私は確定的に言っているわけじゃないんですが、ただ、記述で気になったことがあったので伺います。
 第三章にこういう記述があります。この交渉の成否は農林水産関係の譲歩にかかっていました。農林水産関係でどれだけ譲歩をするかがこの協定をまとめ上げていく上で大事だということが第三章に書かれています。
 続いて第九章には、これは私もよくわかりますが、日本を除く十一カ国は自由化率九五%以上を主張しているけれども、先ほど言ったタリフライン、重要五項目五八六を全部残したら、委員長御存じのように九三・五にしかならないので、いわゆるハイスタンダードでアンビシャスというホノルル合意で目指したものにたどり着かないということなので、その一部をやはり譲らなきゃいけないということを二〇一三年十月のバリ会合のページに書かれています。この九章は、まさにタイトルが、聖域を見直すというタイトルがついています。
 さらに、第十九章には、これも私、現地にいましたからわかりますが、交渉の最終段階で、ニュージーランドが日本に対して生乳換算九万トン、これはきついなと。例の、生産余力が本当にあるのかというような話も問題になったところでありますけれども、相手方の要求水準が明確に書かれていますね。
 加えて第十四章では、オバマ大統領の来日の一カ月前から、アメリカは従来の原則論から譲歩すると水面下で打診してきたという記述もあります。これは、アメリカ側の明確な一つの交渉方針ですね。これはまさに、相手方の要求内容、我が方の対処方針を含む、交渉過程そのものに関する情報だと思います。
 石原大臣に伺います。
 今私が幾つか例示を挙げた、特に、冒頭申し上げた、タリフライン五八六を、バリ会合のあたりで少し譲らなければいけないなというふうに書くこと、発表すること、表明することは、先ほど何度も出てきた十二カ国の秘密交渉過程の守秘義務違反に、仮にこれが事実としたら反すると思いますか。
○石原国務大臣 それが、委員が御自身で認められているとおり正しいものか正しくないものかがはっきりしない段階で、そこに記述されているものが正しいか正しくないかわからない以上は、私が正しいか正しくないか、またそうなのかというような御発言はすることができません。
○玉木委員 いやいや、この本がどうかということではなくて、例えば、交渉にかかわった者がニュージーランドの要求が生乳換算九万トンという相手側の要求水準を明かすことは、先ほど出たこのTPP秘密保護に関する書簡で決められた義務に一般論として反するかどうかを聞いています。いかがですか。
○石原国務大臣 一般論としてお答えさせていただくならば、仮に、どこどこの何とかという資料に今委員が言われたようなことが書いてあって、それを提供した人間が国家公務員であるならば、守秘義務がかかっておりますので、それは当然遺憾なことだと思います。
○玉木委員 国家公務員に限定されますか。
○石原国務大臣 何度も申しますとおり、事実か事実でないかということが確認できない以上は一般論でしかお答えできませんが、その資料を提供した者が国家公務員であるならば、守秘義務が当然かかっていますから、そういう事実は多分ないでしょう。しかし、あればどうかと聞かれておりますので、大変遺憾なことであると御答弁させていただいているわけであります。
○玉木委員 この秘密協定文書の中には、ガバメントオフィシャル、公務員も対象になっていますが、それ以外にも、コンサルテーションプロセス、さまざまな、日本語で言うと、相談したり、それを決めていく際に関与する人も、この義務の対象者に、もしこのひな形どおりであれば対象になっております。
 改めて伺います。
 ニュージーランドから生乳換算九万トンという要求がありました、こういった情報を出すことは一般論としてこの義務に反すると思いますか。
○石原国務大臣 ずっと仮定の質問でございますので、その事実が確認されていない以上は一般論でしかお答えすることができないということでございます。
○玉木委員 もう一度伺います。
 大統領来日の一カ月前からアメリカは従来の原則論から譲歩すると水面下で伝えてきた、こういった情報は、極めて大事な相手方の交渉戦略にもかかわる情報だと思います。こうした情報を公開することが違反なのか違反じゃないのか。もし違反でなければ、同レベルの情報は我々国会議員にも出していただきたいんです。
 西川委員長は、農林水産大臣も務められ、そして与党のいわばTPPを決めていく上でも大事な役割を果たしておられる方です。世界じゅうを飛び回っておられて、たしか二カ国でしたかを除いては全部訪問されたということを伺っておりますけれども、その意味では、私は守秘義務の対象者ではあると思いますね。
 改めて、委員長、これを見ていただきたいんですけれども、最終ではないと思いますが、そこは我々はわかりませんけれども、やはり何らかの形で執筆にかかわったものであるということはお認めになりませんか。
○西川委員長 ここで答える立場にありませんので、この委員会は政府提出の協定、関連法案の質疑でございますから、政府に対して疑義をただしていただきたいと思います。どうぞ。
 玉木雄一郎君。(発言する者あり)公正です。(発言する者あり)出していません。(玉木委員「資料じゃなくて、本の出版については一回言われているんですよ。資料じゃなくて、本を出したかどうかだけ聞いているんです」と呼び、その他発言する者あり)とめません。
 玉木雄一郎君、質問を続けてください。
○玉木委員 では、もう一回質問を整理しますね。
 アマゾンでも、ここに書いている衆議院議員西川公也さんというのは、これは別の西川公也さんなんですか。
 では、もう端的に聞きます。「TPPの真実」という本を出版される予定はありますか、委員長。
○西川委員長 この場で私は答える立場にありませんので、質疑を続行してください。
○玉木委員 理事懇で、「TPPの真実」という本のタイトル、出版するのが中央公論社、そして、後世に残さなければならない、時期も五月の六日ということをおっしゃったので、私はあえてこういうふうに質問しているんです。
 なぜこんなことを聞いているかというと、政府に聞いても、こればかりだからですよ。責任あるまともな議論ができないから、西川委員長がずっと苦労されてやってきた経緯が、こうした、世の中にオープンに出版される、間もなく出版される本に書いてあるのであれば、この範囲は守秘義務の範囲から外れているんだろうと思って、今幾つか具体例を挙げて聞いたんです。
 これはどっちかになりますよ。ここの中に書いてあることが守秘義務違反なのか、それとも政府が過度に規制して情報を出さないのか、どちらかなんですよ。
 総理、しっかりとした国民に責任を果たす審議をやりたいので、どちらが正しいんですか、ぜひお答えください。
○安倍内閣総理大臣 先ほど来そのパネルをずっと見せておられるので、国民の皆様は誤解されるんだと思うんですね。
 我々がTPP協定について何にも情報を出していないから審議ができないのではないか、それは全くの誤解であって、まず、交渉というのは、交渉が妥結をして、その妥結した結果が全てなんですよ。まさに結果によって、TPPのいわば新しい経済圏においてさまざまなことが起こってくるわけでありまして、だから、私たちは既にできる限り丁寧に説明しておりますし、三月の二十二日以降、延べ十回にわたる勉強会をやりまして、協定や法案に関する百四十九項目の質問に対して千五百二十九ページに及ぶ資料を提出して、真摯に議論をしているんです。
 一方、その結果に至る交渉はありますよ。しかし、結果に至る交渉、これはTPPだけではなくて、ほかの条約も全てそうです。ほかの条約も全てそうなんですよ。例えば安保条約だってそうですね。それに至る過程については、まさにお互いがその過程についてはしっかりと協議をしますから、この協議がすぐに表に出るというのであれば、外交交渉なんか、そもそもこれは成立しないんですよ。ですから、当然、それは外には出さないということのもとに議論をします。
 ですから、その結果、今回も、我々も先ほど外務大臣からも答弁をさせていただきました。相手方のこともありますし、我々の交渉戦術の基本的な考え方が、今後の交渉、さまざま交渉が、日・EUのEPAだってありますし、そういう中において日本はどういう作戦でやっているかということがわかってしまいますから、そういうことも含めて出せないということになっています。
 そこで、一方、今委員が、西川委員長が本を出される、私は今ここで初めてそれを知ったところでございまして、中身については全く見てもいないわけでありますから、それについてどうこうということはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、当然、今までの過程について、その過程の交渉に携わった者は、それを外に出すということについては、これは守秘義務にかかわってくるわけであります。
○玉木委員 一部報道だと、この西川委員長の本はもっと早く出版される予定だったのが……(発言する者あり)四月十九日という話が当初ありました。しかし、審議をやっている最中に発表されてしまうと、まずいことが知れてしまう。先ほど一番最初に申し上げましたけれども、農林水産物でいかに譲るかがこの交渉のポイントだと、いわば本質的なことがばれてしまうので、官邸の指示で発売をおくらせたという話もあります。
 今、私は総理の答弁を聞いて驚いたのは、TPPは通常の経済連携協定とは違いますよ。交渉後も、妥結後も、四年間にわたって交渉過程を一切出さないような経済連携交渉は、では、過去どのようなものがありましたか。
○安倍内閣総理大臣 今回は、さらに今までの経済交渉に加えて、今、玉木委員が、それはニュージーランドが公開したというひな形に基づいておっしゃっておられるんでしょうけれども、まさに特別なこれは守秘義務がかかっているのは事実であります。
 しかし、他方、これはどの交渉におきましても、貿易交渉においてもそうなんですが、条約交渉においてもそうですが、基本的に、その過程について、その後これは公開をしないという、これは事実上、そういう中において、守秘義務を我が国の中において、そうしたものを、外に出さないということを前提にこれは交渉をしている。これはお互い、相手方もそうでありますし、そういうことになっているわけであります。
○玉木委員 総理からしてまともに答えていただくような気持ちがないということがよくわかりますね。
 二百八十四ページにこういう記述があるので、少し紹介しますが、質問者は答弁者より現場に精通している人たちが大半であり、答弁者が広範囲な交渉事を全て熟知しているはずもありません。このような場合、交渉事ですので内容はお答えできませんと発してその場を乗り切る、こういう記述もありますね。そのとおりのことをされているのかなと思います。
 委員長、お願いです。これは委員長のお書きになったものなのか。役所の幹部の写真も全部入っています。岸田外務大臣も含めて、赤坂の宿舎の二階で菅官房長官を筆頭に議論されたことも克明に書かれています。これは大事な情報、これは秘密じゃなくてオープンになるんですよ。政府がほとんど交渉過程の情報を出していただけませんから、西川委員長が書かれておられる、もうすぐ出版されるゲラを、後世に責任ある議論をするために、この委員会への提出をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○西川委員長 委員長としてはお答えする立場にはありません。
 質問を続行してください。玉木雄一郎君。(発言する者あり)玉木雄一郎君、質問を続けてください。質問を続行してください。玉木雄一郎君。
○玉木委員 いや、私、中身の議論をいっぱい用意してきたんです、きょう、農政の話も。全然できない。
 それで、改めてお願いしますが、これは大事な貴重な資料だと思います。提出をいただきたいと思います。
 なぜこういうことを言うかというと、我々国会議員には正式に出してくるのはこれだけですよ。その一方で、世の中に出版しようとしているのは、こういうものを、今私が例示で挙げましたけれども、克明に書いている。おかしくないですか。
 私は、きょうも委員長は非常に中立的な運営をされてきたと思います。ですから、ぜひ御協力いただいて、後世にしっかりと責任をとれる議論をやりたいと思いますので、改めて要請したいと思いますが、委員長、よろしく取り計らいをお願いします。
 委員長、ぜひ御協力をお願いします。
○西川委員長 お答えする立場にはありませんので、玉木雄一郎議員には、質問を続行してください。
○玉木委員 では、一つだけ。
 これは委員長のものじゃないということであれば、これはまさに、TPPじゃありませんが、著作権の問題があるので、もし違うなら、私はこれ、この後メディアに配ります。構いませんか。
○西川委員長 これは、今、政府提出の協定、関連法案の質疑、これを政府に対して問いただしてもらうこの委員会でありますから、質問を続行してください。玉木雄一郎君。
○玉木委員 もともと、なぜそういう話になったかというと、こんなことでは全く、だって、農業だけじゃなくて国民生活に幅広く影響を与えるTPPについて議論するときに、こんな情報しか出てこない。交渉過程は、結果を分析する上でも評価する上でも極めて大事なんですよ。当たり前じゃないですか、そんなのは。
 結果しか知らないからそういうことをおっしゃるのかもしれませんけれども、私は、与党時代から含めて、入るときのアメリカからの条件、それも含めて全部吟味してきて今日に至っているんですよ。自動車のこと、簡易保険のこと、牛肉のこと。だから、いいかげんな答弁で時間だけ過ぎれば何とかなるみたいな答弁が許せないんですよ。
 今、どんな思いで農家の皆さんも、あるいは農家だけじゃない、いろいろなことに携わっている人たちが、このTPPでどんな影響が自分たちの生活にあるんだろうと固唾をのんでこの委員会を見ているんですよ。
 情報公開をすることは、TPPに賛成の立場も反対の立場も、それを正しく後世に責任を果たす上で、誰にとっても必要なものだと思います。
 改めて委員長に強く要請して、次の質問に移りたいと思います。
 もう一つ、情報が出てこないという話をしましたけれども、年金の話をしたいと思います。
 実は、年金も、TPPの中にはソブリンウエルスあるいは独立年金基金ということで記述がございます。もうきょうは時間がないので詳しいことは聞きませんけれども、一つ今心配事があります。
 二〇一四年の十月三十一日、GPIFは、国民の皆さんの大切な年金の保険料をお預かりしている百兆円以上の基金を、債券や株、さまざまな金融商品に投資をして運用しています。この運用の見直しを行いました。
 簡単に言うと、これまでは元本割れしない安定的な債券を中心に運用していたものを、国内債券六〇%、半分以上を債券で、安心できる資産で運用していたのを、アベノミクスの、総理の言葉をかりるとフォワードルッキングな運用、私は意味がよくわかりませんが、とにかく、株に、今、五〇%、国内外の株式を合わせて最大五〇%まで、リスク資産に投資することになったんです。国民の皆さん、御存じですか。
 私、地元で話したら、そんな頼んでもいないのに危ない株にかけないでよとよく言われるんです。でも、アベノミクスのフォワードルッキングな運用の、何だかよくわかりませんが、株式に半分も突っ込むようになったんです。
 問題は、これは一昨年の十月に見直しましたから、先月三十一日をもって二〇一五年、平成二十七年度が閉じましたけれども、初めて通年でこの運用成績が出てくることになります。
 それで、今、証券会社の私の知り合いやいろいろなところ、これは新聞にも出ていますけれども、およそ五兆円規模の損失が発生しているのではないかと報道されています。官房長官も、株価の下落の影響で運用益はマイナスになる可能性が高いと報告を受けていると会見で述べておられますから、マイナスが生じていることは多分明らかなんでしょう。
 お伺いします。
 年金生活者は今大変心配をしています。アベノミクスのせいで年金の運用が悪化をして、巨大な損失が生じているのではないか。消えた年金五兆円とも言われています。この五兆円規模の運用損が実際出ているのかどうか、事実関係を教えてください。
○塩崎国務大臣 二十七年度の数値につきましては、既にGPIFの方から公表されているように、七月二十九日に年度の数値が発表されることになっています。
 これは、今までも七月末までに公表するということになっていて、今回は特に、GPIFがスタートいたしましてちょうど十年を迎えるわけでありまして、この十年間の運用の状況をきっちりと分析し、なおかつ、これまで以上にディスクロージャーを高めていこうということで、国民に透明性を増していこうということで、運用の銘柄、保有している銘柄などについての分析もしていこう、開示をしていこう、こういうことがあって、お示しをしようということを準備しているわけであります。
 これは年度で発表するというのが法律で定められたやるべきことでありまして、あと、四半期ごとの数値というのは、第一、第二、第三、それぞれ便宜上出しているわけでありますけれども、これは、民主党政権時代を含め、そしてまた、年度の運用益がプラスになろうとマイナスになろうと、もっとも、多くは実は評価損益であるということも国民の皆様方にはよく知っていただかなきゃいけないので、報道がされている数字がそのまま何か赤字になったかのようなことは全く起きていることではないということであります。
 年金の大事なことは、長い目で運用して、皆さん方の大事な年金がちゃんと賄い切れるだけの運用をできるかどうかということが大事であって、短期的にはもちろん経済情勢が変わりましたから、ポートフォリオを変えたのはこれは世界の常識であります。
 したがって、長い目で見て年金のお約束したとおりのものを払えるかどうかの利回りが獲得できるかどうか、これを私たちは最も大事にしているわけでありますので、短期的なことに余り過度に反応すべきではないと思います。
 むしろ、長い目で見てちゃんと運用がなされているかが大事でありまして、我々は、ですから、今やじがありましたが、プラスであろうとマイナスであろうと、評価損が大半の、この数字についてはお出しをするということであります。
○玉木委員 五兆円ぐらい損失が生じているんですね、否定されませんでしたから。
 それで、過去の発表時期を見ると、平成二十一年度が六月三十日、平成二十二年度七月六日、二十三年度七月六日、二十四年度七月二日、二十五年度七月四日、二十六年度七月十日なんですが、今回だけ七月二十九日。
 参議院選挙の前になぜ出さないんですか。参議院選挙の後に、意図的に多分五兆円ぐらいの運用のマイナスが生じていることを選挙の先に発表を先送って、隠そうとしているんじゃないですか、これは。巨額の損失隠しではないでしょうか。
 塩崎大臣にお伺いします。出せないということで、どんなにお願いしても出していただけないんでしょうから、一つだけお願いがあります。
 第一・四半期、第二・四半期、第三・四半期、つまり三カ月ごとの運用は、その期が締まった二カ月以内には必ず発表しています。実際、二十八年度計画でも、第一・四半期は八月二十六、つまり、四、五、六の結果は八月末、七、八、九の三カ月は十一月二十五日、十、十一、十二は三月三日。つまり、二カ月後には技術的には計算可能だということですね。
 ということであれば、第四・四半期、つまりことしの一、二、三、株は大きく下落しました。この一、二、三の運用は、計算上五月末、もっと言うと、この通常国会の会期末の六月一日までには計算して出すことは可能です。
 これが出てくれば、足し合わせた一年間の運用の評価は出ますから、第四・四半期の運用成績は必ず今国会期末までに、参議院選挙前に出すことをお約束ください。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、年度の運用は七月末までに出すということになっていました。それを、日付が確定をしていないといろいろな臆測を呼ぶものですから、今回、GPIFは、七月二十九という確定日付のみならず、これから、八月の二十六日、十一月の二十五日、三月の三日というように、GDPの発表と同じように透明にしていこうということでやったわけであります。
 もう一つ、テレビを見ていらっしゃる方が誤解するといけませんので。私どもは、政治的な判断でこれをおくらすとかなんとかいうことは一切考えているわけではなく、先ほど申し上げたように、今まででも、例えば平成十八年度は七月の三十一日に公表しておりました。かつては、十三年度に七月の三十日でございました。(玉木委員「いや、四半期の話」と呼ぶ)
 なおかつ、先ほどこれはもう既に答弁をしております。年度で出すのが法律に定められたことで、四半期のものは一、二、三と出して、民主党政権のときでも、第四・四半期だけ出したことは一度もありません。
 私たちは、なぜかというと、四半期の数字と年度の数字には、配当が含まれている、いない、あるいは手数料が含まれている、いないなどがあって、正確な数字を年度ベースで出すというのが常識でございます。
○玉木委員 民主党政権でも出していなかった、そういう話がありました。何か困ったらいつも民主党政権だ、民主党政権だ。やめていただきたいと思います。(発言する者あり)やじを飛ばさないでください。
 総理、なぜこういうことを言っているかというと、株価が下がったから巨額の損失が生じたと言っているんじゃないんです。これは我々の同僚議員の井坂議員が計算したものでありますけれども、何が言いたいかというと、実は、二年前の十月の運用見直しをしなければ、株は下がりましたけれども、見直していなければ、プラス・マイナス・ゼロぐらいの損益で昨年度送ることができた可能性が高いんです。
 つまり、アベノミクスによる、株価を上がっているように演出するために、国民の大切な年金を犠牲にして無理やり上げようとした結果、それが裏目に出て五兆円もの損失が生じているんじゃないか、こういうことを指摘しているんです。
 だから、総理にお伺いします。
 今のままでは、巨額損失隠しとか消えた年金五兆円とか言われ続けますよ。今、民間の会社もいっぱい出していますから。ですから、そういった疑念を払拭するためにも、四半期の、三カ月の数字、五月末までに出してください。そのことを塩崎大臣に指示していただけませんか。
○安倍内閣総理大臣 何か、私たちはまるで意図的に隠しているかのごとくおっしゃっていますが、それは全くそんなことはありませんし、そもそも、その必要がないんですよ。
 安倍政権が発足してからの運用収益は三十七・八兆円なんですよ。そして、ポートフォリオ変更後の運用収益も、一昨年の十月以降、累積で八・九兆円あるんですから、そこで、四半期ごと、この四半期を見れば、安倍政権の中においての株価の変動でマイナスが出ているかもしれない。それはそうでしょう。しかし、それをそういうところで見るのではなくて、長いスパンで見る。
 私は、別に三年間で三十七・八兆円を誇っているわけではありませんが、しかし、そういう結果になっている。これは、民主党政権時代のことを言いたくありませんが、民主党政権時代の三年間よりも、はるかに、はるかに、はるかに運用収益は上がっています。
 ですから、そもそもそれを隠す必要はないんですが、四半期ごとにということについては、正確性がこれは担保できないという詳しい説明が厚労大臣からあったとおりでございます。
○玉木委員 総理、GPIFの年金のお金は総理のお金じゃありませんよ。国民のお金ですよ。受託者責任をしっかり果たすためにも、適時適切な情報開示をすることは私は適切だと思いますよ。
 総理こそ短期の運用にこだわっているんじゃないですか。私は、そんなこと言っていません。きちんとしたディスクロージャーのもとで、しかも、安倍政権のもとで運用の見直しをした最初の初年度ですよ。だから、丁寧な情報公開をしてくれとお願いしているだけです。
 TPPの情報も隠す、年金の損失も隠す。隠す、隠す、隠すの安倍内閣ではないですか。そのことを厳しく指摘して、質問を終わりたいと思います。
○西川委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 農業生産高日本二位の茨城県から参りました、民進党の福島伸享でございます。
 一期目からずっとこのTPPの問題に取り組んでまいりまして、本日、こうして協定の審議と関連法案の審議を迎えるということは、本当に感慨深いものがあります。
 この間、ずっと地元を歩いておりまして、この週末もさまざまな方からいろいろな御意見をお伺いしております。また、先日は北海道五区に応援に行ってまいりましたけれども、雪の中、皆さん、今春の作付の準備をされておりましたけれども、このポスターにあるように、「ウソつかない。」「ブレない。」「TPP断固反対。」自民党にうそをつかれたと思う方は投票で示してくださいと言うと、みんな、雪の中をかき分けてきて、わあっと熱心に手を振ってくれました。
 多くの皆さん方は不信感を持っているのは、これは確かですよ。後ほどアンケートの結果もお見せをいたしますけれども、八割とか九割の農業者が、国会決議を満たしていないと言っていることは、いかに説明責任が果たされていないかということだと思っております。
 きょうは私の地元も雨でしょうから、皆さん、本来であれば苗づくりをやったり田起こしをやる時期でありましょうけれども、恐らく多くの農業者の皆さんもこの国会の中継をごらんになっているかと思っております。
 そうした意味で、今までの情報公開のやりとりは余りにも国民の皆さん方に納得をいただけないものだと私は思いますよ。
 私自身は大した経験はありませんけれども、幾つかの条約交渉あるいは条約担保法の法案などで国会答弁などもつくってまいりました。そこで一切何も情報を出さないで条約の審査をやったり、あるいはその担保法の審査をやるなんというのは、私は前代未聞だと思いますよ。前代未聞ですよ、首を振っておりますけれども。
 これは二つ整理した方がいいと思うんですよ。ごっちゃになっていると思うんですよね。
 保秘契約、TPP加盟国による契約によって出せないという話と、そうじゃなくて、まさに政府としての判断として出せないものと、両方あると思うんですよ。私は、その議論がごちゃまぜになっていて、あらゆることを保秘契約をもとに隠しちゃっている、出さないともう決めちゃっている、TPPなんだからもう出せないんですと言っているんだと思うんです。
 もう一度、先ほどの玉木議員の質問を引き継ぐ意味でも、保秘契約というのを確認してみたいと思います。
 お手元の資料の、これはフリップはないんですけれども、資料二というものをごらんください。
 済みません、私は訳を持っていなかったので、英語だけで、一、二、三、四という線を引いてまいりました。英語が読める方はそれを読んでいただけたらと思うんですけれども、ここで秘密保持契約がかかっているのは、一つは交渉テキスト、もう一つが各国からの提案、そしてそれらに附属する各国の説明資料、三番目は交渉内容に関連する電子メール、四番目が、このアザーインフォメーションというか、そのほかの情報ですけれども、交渉の場で交換をされた情報ということであります。(パネルを示す)
 それで見ると、これはどれに該当いたしますか。
○石原国務大臣 先ほど来議論になっている点でございますが、ニュージーランドが秘密保護に関する書簡のひな形をホームページで公表しているということは私も承知しております。
 先ほどもお答えさせていただきましたけれども、我が国を含めてTPP協定への参加国は、交渉参加に当たっての秘密保護に関する書簡に、私どもは二〇一三年、先ほど御答弁させていただいたように、鶴岡さんが署名をしている、各国との具体的なやりとりは公表しないということになっておりますので、委員のお示しされたこのものにつきましてコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
○福島委員 各国の具体的なやりとりを公表しないというのは、今のこの資料二にあるところにはどこにも書いておりません。ということは、日本が、鶴岡首席交渉官が結んだ保秘契約というのは、ここでニュージーランドの政府が示しているひな形とは違うものと理解してよろしいですか。
○石原国務大臣 形についてもコメントを差し控えると先ほど来答弁をさせていただいておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○福島委員 これはニュージーランドのホームページに載っていたわけですよね。私は、恐らくこれからそう変わらないと思いますよ。
 逆に言えば、これと違うもっと幅広い秘密契約を結んでいるとしたら、これはニュージーランドの首席交渉官の名前まで書いてあるわけですよ、マーク・シンクレアと。その人が結んだもの以上の保秘契約を結んでいるとしたら、もっと問題じゃないですか。
 これ以上の幅広い保秘契約を結んだんじゃないんですか。どうなんですか。
○石原国務大臣 本当にくどいようなんですけれども、秘密保護に関する書簡の内容も含めて明らかにしないという形で、私どもは、鶴岡さんが政府全権で署名をしている、これは事実でございます。このファクトをもってお答えできない。ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○福島委員 このやりとりをさっきから聞いている国民の皆さんは全く理解できないと思いますよ、これは。
 だって、このニュージーランドが結んでいるのは、恐らくニュージーランドが各国と結んでいるものですよ。これ以上の秘密は求められないですよ。もし、ここに書いていないさらに深掘りした保秘契約を結んだとしても、その部分を出したって、ほかの国はこの部分を出しているわけだから、資料二の部分を出しているわけだから、出したって怒られないと思いますよ、もしそういう契約なのであるとするならば。
 でも、そういう保秘契約を結んでいるとしたら、きょう、副大臣いらっしゃっておりましたけれども、TPPは、かつて、平成の売国だとおっしゃっていましたけれども、いや、まさにこれは、国民に情報も知らせないまま、ほかの国が結んでいる秘密保持よりもさらに深掘りした保秘契約を結んでいるといったら、そういう言葉は使いたくないですよ、我が国の政府は誰のために仕事をしているんだということになると思いますよ。
 もう一度、私は委員長に求めます。
 ぜひ、政府が結んだこの保秘契約を提出することを求めていただきたいと思います。
○西川委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○福島委員 そもそも、何で我々はこの場で協定を議論しているんですか。何ででしょうか。それは、憲法七十三条三号に基づいて、条約の国会承認は国会の役割だからではないですか。しかも、我が衆議院は、憲法六十一条の規定に基づいて、参議院に比べて優越の地位が与えられているんですよ。この間の我々の審議がこのTPP協定を承認するかどうかの最大の関門であり、山場であるんですよ。だからこそ、我々はこの場できちんとした資料を出すことを求めているんですよ。
 しかも、憲法六十二条には、「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」と憲法上の規定がございます。さらに、国会法の百四条には、「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」国会法百四条があります。
 この憲法や国会法の規定と、政府が結んだとされる保秘契約、どちらが優先されますか。
○石原国務大臣 先ほど来、何にも出していない、何にも出していないというお話がありますが、それを表に出すことは非常に国益を阻害するということもぜひ御理解をいただきたいと思います。
 そして、秘密保護に関する書簡の内容も含めてコメントを差し控えさせていただきたい。そういう形で各国で署名をしているということもぜひ御理解をいただきたいと思います。
○福島委員 私が聞いている中では、どの国もこうした情報を国会との関係で出すかには苦慮しているということは聞いておりますよ。
 アメリカであれば、交渉中ですら、交渉中のテキストを含めて、一定の保秘義務をかけた人には閲覧ができるように、それは民間人であってもできるようなことをやっておりましたし、私が現にワシントンDCでお会いした何人かの議員の補佐官のような方は、実際、私は交渉のテキストを見ていると交渉中におっしゃっている方もいらっしゃいましたよ。
 確かに、それは日米で制度は違うからというものはあるけれども、ただ、事ここに至って、憲法に認められた権能に従って条約の承認をやるときに、私は、一切出せ、全ての交渉のやりとりを出せなんて言っていないんです。これを求めるときも、我々は全部出せなんて言っていないですよ、黒塗りでいいと言っているんですよ。この保秘契約で、仮にニュージーランドが出したものと一緒なものであるとするならば、お互いに交換した文書、つまり、それを出せば、それは俺たちと一緒に交わしたものじゃないかと相手が思うようなものに限って出すなと言っているんです。
 先ほど来あるような、我が方の対処方針とか、あるいは相手のいろいろな交渉のやりとりを見て多少の分析を加えたものなどは、私はそれを出すのは保秘契約には違反しないと思いますよ。皆さん方のやる気の問題、姿勢の問題だと思いますよ。
 だからこそ、このような全部真っ黒、黒塗りじゃなくて、これはURだって、先日、甘利さんの問題で出してきましたけれども、真っ黒じゃなかったですよ。(発言する者あり)初めは真っ黒だった。でも、徐々に出してきた。主語ぐらいは出せるじゃないですか、誰々がって、中身はやったって。
 日にちは、まあ書いてあるけれども、でも、これは黒塗りで、お葬式の通知みたいになって、何なんですかと言ったら、このタイトルを全部塗り潰した上で、上からシールでこのタイトルを張りましたと。そこまで手をかけて、出す、出さない、黒塗りで出す。私はそのような状況では審議に応じられないと思いますよ。
 我々は、国会議員は、きちんと条約の審査を行うため、憲法及び国会法に基づく権能が与えられているんですよ。情報にアクセスする権利が与えられているんですよ。先日、特定秘密保護法との関係で情報審査会というのができましたけれども、工夫のしようは幾らでもあるんですよ。皆様方が本気になって、この条約の審査をしっかりと行い、国民の不安や期待やさまざまな思いに応えようと思うなら、こうやって全部黒塗りで、一切出せませんというのではなくて、何が出せるかというのを考えるべきじゃありませんか。
 きょうの冒頭も、総理は御質問があれば丁寧に答えたいと言って、今までの交渉にかかわる具体的なやりとりは求めませんよ、求めないけれども、我が方の姿勢を求めても一切出さなかったら、何にも審議にならないじゃないですか。情報の出し方をもうちょっと、総理、お考えいただけませんか。
○安倍内閣総理大臣 この場で審議するのは、まさにこの条約そのものと関連法案ではないんでしょうか。
 つまり、交渉した結果、いわばTPPの協定ができたわけでございまして、そしてそれに関する法律も提出をさせていただいているわけであります。
 この法案あるいは協定については、百四十九項目の質問に対して千五百二十九ページにも及ぶ資料を提出させていただいているんですよ。それを、一切出さずに、この経過、いわば交渉の中身を示せと言われても、これはほかの条約等についてもそうでありますが、まさに先ほど外務大臣が答弁をさせていただいたように、条約の議論をするときには、条約の条文についてどうだということを議論するのであって、その過程について表に出さなければ議論ができないということになれば、それはもうどの条約も議論できないというのは当たり前の話であります。
 まさに我々は協議をするときにはさまざまなやりとりをしますよ。それは、こちらの戦術に基づいていろいろなことも言います、相手も対応してくる。しかし、そのときに、例えば我々がかち得たら向こう側は譲ったということになるわけでありまして、どういう場面で譲ったということに、それがまた推測されることになれば相手国側にもこれは影響を与えるわけでありますし、どの国もこれからまさに国会審議が始まるわけでありますが、どの国も今までのやりとりというものを出してはいないわけでありますから、そこはぜひ御理解をいただきたい。
 まさに条約というのは、また協定というのは結果が全てでありますから、当然、結果については完全にオープンにしておりますし、我々がどのように考えているか、どう解釈しているかということについてもしっかりとこれからお答えをさせていただきたいと思うわけでありますが、今までの交渉のやりとり、出せないものを出せ出せ出せと言われても、それはまさに実りある審議にならないんだろう、このように思いますよ。
 農家の方々も、一体自分たちはこれからどうなるんだろうと思っておられるんだと思いますよ。であるならば、なおさら条約の中身について議論していこうではありませんか。
○福島委員 そう言うなら、今から条約の中身について議論いたしますよ。当然いたしますよ。
 ただ、今まで何も出さないじゃないですか。先ほど何千ページの資料も出したと言ったけれども、それは、既存の役所がつくった資料は出してきましたよ。でも、交渉にかかわること、対処方針にかかわること、一切それは出してこなかったんです。それで出してきたのがこれなんですよ。だから我々がそれを言っているんです。
 具体的な例に従って言います。
 一番大事なのは私は米だと思っております。皆さん方は、一トンたりとも輸入はふえない、TPPでやっても一円たりとも米の値段は下がらないとおっしゃっております。そのことについてはまた後ほど検証いたします。
 どうなったかという結果を一度復習いたしますと、今までのWTO枠で、いわゆるミニマムアクセスということで七十七万玄米トンの枠があります。その枠の外の枠に新たなSBS枠、つまり、実需者と輸入者の直接交渉によって輸入する枠として、アメリカ産七万トン、豪州産〇・八四万トン、これを入れるということを決定いたしました。
 さらに、既存の枠の中の一般輸入の中にも、このちっちゃいところですね、※1と書いてありますけれども、中粒種、加工用に限定したSBS方式で六万トン。中粒種というのは、これはほとんど、輸出余力を持っているのはアメリカだけですから、事実上アメリカです。
 先ほど玉木議員の質問で十五万トン要求されたとありますけれども、七と六を足すと十三万トンだから、実際は十三万トンなんですよ。ただ、これは枠だから、あくまでも枠であって、あとは需要に応じてだから、それが入るわけではありませんよという説明も成り立ちます。しかし、そうではない仕組みになっているかもしれません。
 TPP協定以外に、日米で米に関する何か二国間の取り決めがなされているか、高鳥副大臣、お答えください。
○高鳥副大臣 お答えをいたします。
 米国との間では、米に関するサイドレターを交わしてございます。
○福島委員 それはどういった内容のものでしょうか、高鳥副大臣。正確じゃなくてもいいので、どういうレターかという概要だけ教えていただけますか。
○高鳥副大臣 今委員がお話しになられましたSBS米の枠、これが、三年間のうち二年それに達しないということがあった場合、マークアップを一五%引き下げるということだと思っております。
○福島委員 それはごく一部の話です。
 何でこれをお聞きしたかといえば、このサイドレターがあるんですね。
 アメリカと日本の間で、環太平洋パートナーシップ協定に基づく米に関する日本国によるアメリカ合衆国についての関税割当ての運用に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の交換公文というのがあって、これは、「本官は、この書簡及び閣下の確認の返簡が両政府間の合意を構成し、TPP協定第二十八章の規定に基づく紛争解決に服するものとして、その合意が日本国及び合衆国についてのTPP協定の効力発生の日に効力を生ずるものとすることを提案する光栄を有します。 二千十六年二月四日にオークランドで 日本国内閣府副大臣 高鳥修一 合衆国通商代表 マイケル・B・G・フロマン閣下」ということで、副大臣御自身が和服を着て署名された一つがこの協定であるので、よく御存じですよね、このことは。もうちょっと自信ありげに、うんと言っていただきたいんですけれども、御存じですよね。どうぞ。
○高鳥副大臣 御指摘をいただきましたとおり、私が署名をいたしております。署名する前には内容についての説明を受けてございます。
○福島委員 このWTO枠というのは国家貿易でありますから、幾らで買い入れるという価格の目安は政府が設定することになっております。本当は、日本国は独立国なわけですから、この買い入れ価格の設定は日本国独自にできるはずなんです。
 ところが、この書簡では、「合衆国枠の下で輸入する米に関する政府買入予定価格を設定する。」といって、日本国がどういうふうな値段を設定するかという条件が二国間の書簡で付されております。
 つまり、日本国の農林水産省は、国家貿易といって日本国を背負って貿易するにもかかわらず、その基準価格をアメリカと相談なしに決めることができない、そういうことを決めております。
 そしてさらに、先ほど副大臣がおっしゃったように、基準の量に達しなければ、マークアップといって幾らか価格を上乗せして市場に出すわけですけれども、その上乗せ価格を減らすということまでやって、私はこれはまさに高鳥副大臣がいつもおっしゃっている国家主権の侵害だと思いますよ。
 資料の一というものに、高鳥さんのブログを、パネルにはいたしませんでした、テレビに映ってしまうので。これはかつても書いておりますけれども、TPPは「国家主権の放棄であり、平成の「開国」どころか平成の「売国」」。日本政府は、アメリカから輸入する米に関して、基準の価格を決めるのが日米間で決められちゃって自由にできないんですよ。これは、どうですか、国家主権の放棄ではありませんか。これをわかった上で高鳥副大臣が署名をされたんですか。
 ほかにもいろいろ書いてあります。
 「TPPについて私は断固反対である。」「今の価値の基準は損得しかない。産業=金儲け。しかし食べ物の豊かさ=心の豊かさにつながる。」いや、本当にそのとおりだと思います。いいことを言っていますよ。
 「TPP推進派はいろんな理屈をつけてくる。(理屈など何とでもつけられるのだ。)」まさに今の政府じゃないですか。
 この右側を見ても、「私はぶれずに主張します。TPPは平成の売国!」「食料の九割を外国に依存するなど異常である。」「稲作を崩壊させるTPPに私は反対」、全く私は同感でございます。
 何でこういう交渉をしたか、どう認識されておりますか。何でこういう交渉になっちゃったんですか。高鳥副大臣、どう認識されていますか。
○高鳥副大臣 お答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、私がかつて、TPP、それは関税を撤廃するということを前提にする限り、TPPに関しては断固反対と言ってきたことは事実でございます。これはもう否定はいたしません。
 それは、米、特に福島議員は関心がおありだと思いますけれども、私も強い関心を持っていることは事実でございます。そして、米を初めとするあらゆる産品に関しまして聖域なき関税撤廃を前提とする、当時はそういう話だったんです。これは間違いなくそういう認識でございました。遺伝子組み換え食品とか国民皆保険についてもやはり懸念がございました。
 そういうことに対して、私は十月九日にTPP担当の副大臣として着任をしたわけでございますけれども、その後、適宜、大筋合意をした十月五日の内容を、関係者、関係部局から説明を受けました。
 そして、その大筋合意の内容を見てみますと、結果として、政府の強い交渉姿勢というのがあって、米については国家貿易制度及び枠外関税率が維持をされておりますし、市場に影響が出ないように対策をとるということも決められております。そして、その他の産品につきましても、国家貿易の維持、あるいは政府ガードの維持などを獲得ができているわけであります。そして、関税の完全撤廃の例外が確保をされているということ、そして、その他、遺伝子組み換え食品、あるいは国民皆保険についても制度の変更が求められていないということが確認されたわけであります。つまり、当初の懸念が相当部分払拭をされたということが確認をできたわけでございます。
 ですから、要するに、私が変わったというよりも、当初の懸念が払拭され、交渉前に懸念をされていた内容と結果が別物になったということでございます。
○福島委員 長い答弁、お疲れさまでした。私は全くそんなことは聞いていないんですよ。
 私が聞いていることはそうじゃなくて、私は、この国家貿易で新たに米国から七万トンプラス六万トンを入れるためのサイドレターというのは屈辱的な内容だと言っているんです。そう思いませんか。私は思いますね。
 もし屈辱的な内容だとしても、まさに副大臣がおっしゃるような、聖域を守るためにやむを得ぬ判断として、ほかにいろいろな要求があった中で受け入れたというんだったら、まだ議論の余地はありますよ。
 こんな恥ずかしいことはないじゃないですか。何で自分の国で、自分の国民が食べる米の値段を、国家貿易であるにもかかわらず、決めることができないんですか。日本人がもうアメリカの米は要らないと言って買わなかったとしたら、なぜもっと安い値段でアメリカの米を輸入して買わせられてしまうんですか。
 こんなものを二国間で結ぶことに、まさにあなたがサインされたわけだから、なぜこういうことになったか、交渉の経緯を教えてください。(発言する者あり)いや、だから、言うと言ったじゃないですか、具体的な例だったら。
○西川委員長 森山農林水産大臣。(福島委員「高鳥さんに聞いているんですよ。サインした人が高鳥さんだから」と呼ぶ)その後、答えます。(福島委員「いやいや、高鳥さんに聞いているんです」と呼ぶ)その後、答えます。
○森山国務大臣 福島委員、私の方から少し現状の説明をさせてください。
 最低マークアップの引き下げ条項が発動されるのは、三カ年中二カ年でSBSが未達になっているというのが現状でございます。このような状況では、国産米の需給が緩和基調になって、国産米を合理的価格で調達できるために、国内実需者の輸入米への需要が低くなっているというふうに考えております。
 既存のWTO枠でのSBS入札の結果によれば、そのような需給緩和局面では、SBSの政府売り渡し価格の水準も低くなりますが、競合する国産米よりも大幅に安くなるといったことにはならないと考えております。輸入米に対する需要が減少するため、応札も少なくなり、ある程度の不落が発生することとなっております。
 サイドレターによりまして、今委員おっしゃいますとおり、最低マークアップが引き下げられる場合であっても、基本的には状況は変わらないため、引き続き、SBS輸入米は、競合する国産米の価格水準を見据えて国内に流通することになるのではないかというふうに考えております。
○高鳥副大臣 お答えをいたします。
 交渉の経緯については、私の方から申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
 SBSの枠につきまして、そのサイドレターにつきましては、円滑な入札手続を行うために米国と取り交わしたものでありまして、決して国家主権を放棄したものとは考えておりません。
○福島委員 委員長がよしとうなずかないでいただきたいんです。ぜひ中立的な運営をお願いしたいと思います。
 何でこんなのを結んだんですか。円滑のためですか。私はそうは思いませんよ。
 この四項を見ると、農水省または農水省を継承する者は、「合衆国枠の数量が日本国の連続する三会計年度のうちの二会計年度において十分に利用されない場合には、合衆国枠を十分に利用し得るために必要な次の事項を含む合衆国枠の修正を行う。」と書いてあって、とにかく全量約束したものを入れるためには何でもやれと言っているんですよ。さっきのマークアップの話は(a)で書いてあります。(b)には、日本国及び合衆国が合意するその他の手続と、よくわからない項目があるんですよ。
 これは、これに基づいて、何かここにないもので約束しているものはありますか、ありませんか。どちらですか。
○高鳥副大臣 お答えをいたします。
 こちらに示されているもの以外にはございません。
○福島委員 またよしと……(発言する者あり)はい、ありがとうございます。
 それで、質問を忘れちゃったじゃないですか。
 密約はないというふうに言い切りますね。というのは、この手の話は、例えばミニマムアクセスができたときから、アメリカから輸入する米の比率というのはずっと変わっていないんですよ。ずっと密約が疑われている世界だからこそ、この(b)項のような、日本国及び合衆国が合意するその他の手続に基づいて、入らないか、入るようになることはないかということを言ったんです。
 しかし、これだけの規定を設けているわけですから、必ず多くのアメリカからの米は輸入されます。そして、毎年八万トン、日本の米の需要は減り続けていると言われております。十年間たったら八十万トンですよ。どんなに日本の米の需要が減り続けようが、アメリカからの十三万トンの米は輸入し続けなければならない。
 政府は、今、価格も何も変わらないと言っております。これは、実際にSBSで輸入する使途というのはどういうものに使われていますか、農水大臣。
○森山国務大臣 主に中食等が多いと理解をしております。
○福島委員 ありがとうございます。
 外食産業とか格安の外食チェーンとか中食等が、カリフォルニア産米も日本と遜色のないコシヒカリはありますから、そうしたものを輸入していて、既存のSBS枠という十万トンは、米が日本が暴落した年を除いては、ほぼ十万トン、既に満たしているわけですね。つまり、日本の国内で、安いアメリカ産のお米の需要というのはかなりあるんですよ。
 ずっと将来的に、毎年毎年八万トンずつ需要が減っていく中で、日本国内でそれなりにかなりの需要がある安い米が入ってきたら、当然、それにつられて日本のお米の値段が下がるのは当たり前ではありませんか。当たり前だと思いますよ。農家の皆さんというのは、それほど政府の説明にごまかされません。これまで、さまざまな、牛肉・オレンジの自由化とか、ウルグアイ・ラウンドとか、それごとの自由化交渉をやっていく中で、米の値段だって下がっているんですよ。これだけ物価が余り下がらない中で、下がっているのは米ぐらいだと思いますよ。自由化をすれば下がるというのはわかっているんです。
 しかも、中食とかそういうところが今は米の価格決定に大きな影響を与えるんですよ。あなた、この値段で売らないんだったら、アメリカ産のを使っちゃうよと大口で言われたら、生産者は下げざるを得ないじゃないですか。
 私は、輸入する量と同じ量を買い上げるから値段が下がらないなんというのは誰も信じない詭弁だと思いますよ。どうですか。
○森山国務大臣 福島委員にお答えをいたします。
 SBSの枠で輸入されたものは、確かに、平成十七年から二十一年までは十万トンでございますが、二十二年は三万七千トン、二十三年、二十四年はそれぞれ十万トン、二十五年は六万一千トン、二十六年は一万二千トン、二十七年は二万九千トンという、非常に数量については変動があると思っております。
 現在のSBS方式での輸入米の政府の売り渡し価格は、主に、先ほど委員も御指摘のありましたように、中食や外食などの業務用に用いられておる国産の産地品種銘柄の価格水準とほぼ同等でありまして、国産米より大幅に安い価格で国内で流通しているというものではないというふうに理解しています。
 これは、限定された十万トンという数量枠のもとで、SBS方式により、輸入米の価格が、輸入米に比べて圧倒的に多く流通している国産米、八百万トンぐらいだろうと思いますが、の価格水準を見据えて流通しているということによるものであろうと思います。
 この状況は、新たにTPP国別枠、十三年目以降七万八千四百トンが設けられた場合でありましても、その数量規模が数万トンにとどまる以上、基本的にはそう大きな変化はないというふうに考えております。
○福島委員 私は、それは甘いと思いますよ。なぜなら、価格についても、今、そんなに安いわけじゃないから入らないと言いましたよね。入らなかったら、今度はアメリカが文句を言ってくるんですよ。そのためにこのサイドレターが結ばれているんですよ。
 「合衆国枠の下で輸入する米に関する政府買入予定価格を設定する。」「日本国は、それぞれの種類の米の国際市場における状況を反映した水準により、それぞれの政府買入予定価格を設定する。」それはいいんです。「国際市場価格の評価のために使用した全てのデータの要素及び数値を政府の公式ウェブサイトにおいて公表する。」とか、いろいろ縛りをかけて、その米の価格の設定はおかしいというのを言えるような仕組みにして、何としても入れようとしているわけですよ。
 米というのは、ちょっとのことで値段は上下するんです。毎年新米が出れば、その前の年の米というのは大幅に暴落するわけだから、みんな手元に持ちたくないんですよ、米というのは。ですから、売り手が圧倒的に買い手に対して弱い。だから、こうしたもので値段が下がらないなんというのは甘いと思いますし、今までの政府の説明で、私は、納得するような国民はいないと思いますよ。
 それにしても、何でこんなサイドレターを結んだんですか。それも言えないんですか。何でこのサイドレターを結んだんですか。それは交渉にかかわることだから言えないんですか。どうですか、石原大臣。
○石原国務大臣 サイドレターの内容については委員からも御説明がございましたし、その経緯というか、当事者からもサインしたことについての事実確認が確認されましたが、なぜこのサイドレター、アメリカとも十数通あると思うんですけれども、やったかということについては、交渉の結果でございますので、その結果ということだけで御理解をぜひいただきたいと思います。
○福島委員 いや、それは理解できません。先ほど総理は、具体的なことは質問してきたら答えると言ったじゃないですか。
 私は、二つあると言いました。保秘義務の規定によって出せないもの、でも、それも、保秘義務規定自身が明らかにされないから、どの範囲かは明確ではありません。あとは、政府の姿勢として、国会で条約の承認を求める立場として出せるもの、出せないものがあるでしょう。
 今までの説明だと、何を聞いても一切出てこないじゃないですか。何が出せるんですか。一切やはり出せないんですか。どちらですか。一切出せないんですか。
○石原国務大臣 先ほど来総理もお話をさせていただいておりますように、結果についての資料は莫大なものを出させていただいております。
 なぜこうなったかということは、相手があることでございますので、その経緯については御容赦をいただきたいと思います。
○福島委員 ニュージーランドが出したものによると、相手と交換した文書とかそういうものは出しちゃだめなんですよ。
 我が方としてなぜこれを受け入れることにしたか、それについてなぜ日本国民に説明できないんですか。当然、これには国民の財政負担も生じるんですよ。そうしたものに対して、なぜこれを導入したのか、なぜ言えないんですか。言ってください。
○石原国務大臣 なぜということを申しますと、相手が何を望んでいるのか、相手が何を望んでどういうディールがあったのか、これはマルチの交渉でございまして、しかもお米だけの交渉ではございません。そういうことでございますので、経過については御容赦願いたい。
 結果については、いろいろお聞きいただいたら、先ほどのタリフラインですけれども、自分はこのタリフラインが残っていないのはおかしい、それはなぜなのか、こういうことについては御答弁させていただけるんですが、そこの点はぜひ、制約があるということで御理解をいただきたいと思います。
○福島委員 そうだとか拍手している人がいますけれども、国会議員として私はいかがかと思いますよ。政府がやった交渉を承認するのは、国権の最高機関たる国会の役割ですよ。
 それで、今、何にも明かせないということをおっしゃったけれども、これにかかわる方はいっぱいいるわけです。私は協定の中身を言っているんじゃないですよ。米の聖域が守られたとおっしゃるから、聖域が守られたのに、私は、この副大臣がサイドレターというのを結んできて、本当なんですかということを聞いているんですよ。国民に対する答えと、交渉した相手の国の交渉官と、どちらが皆さん方は大事なんですか。
 このサイドレターに従うことによって、日本の国の中に多くのアメリカ産の米が入ってきて、米の値段が安くなるかもしれない。もう今、ただでさえ米の値段がかつかつで、ことし作付するのをやめようかとか、中山間地域なんかは、農地中間管理機構といったって、誰も借り手なんていないですよ。いつやめようかと考えている人が、これで安くなるんだったらもうやめちゃおうかと心配している人だっていると思うんですよ。
 なぜこのような結果をどういう理由で受け入れたのか、それを相手国との理由で言えないというのであれば、私は、そんな政府は日本国政府じゃないと思いますよ。言ってくださいよ。
○森山国務大臣 福島委員にお答えをいたしますが、サイドレターは、SBSに関しまして円滑な入札手続を行うために、透明性向上の観点から、その運用の一部について技術的な変更を行うことを規定したものでありまして、枠数量の全量を輸入するということを保証しているものではありません。
 例えば、毎年最初の三回の入札で消化率が九〇%を下回った場合に、以降は残りの枠数量全量に対して入札に付するとか、三年度中二年度で数量が消化されなかった場合には最低マークアップを一時的に一五%下げるとか、そういうルールを決めさせていただいておるわけでございまして、全量を輸入するという前提のサイドレターというものではありません。
○福島委員 そうやっても、どうやっても全量輸入するような仕組みになっていますよ。まあ、この話はこの話にいたします。
 次に、経済効果の試算に移ります。
 二〇一三年の政府の試算では、TPPによってGDPは三・二兆円ふえるというふうに試算をしましたけれども、二〇一五年にはその五倍近くになって、十三・六兆円ふえるようになった。これはどうやってふえたんでしたっけ、石原大臣。
○石原国務大臣 この点は、福島委員と以前予算委員会で議論させていただきましたが、初期の試算は、対策も打たずに関税が全てゼロになる、言ってみればかなりフラットな形でのケースだったと思います。しかし、昨年発表させていただいたものは、GTAPモデルに必要な条件を入れて、定量的に分析をしてこの数値を出してきた。
 この部分をめぐりましても、それは急に多過ぎるじゃないか、こういう御議論もありましたが、その後、同じような調査をいたしましたIMF等々の調査を見ましても大体同じような調査結果になっている、GDPはおよそ二・五%、二・六%拡大するという調査でございます。
○福島委員 すぐ外国の権威ある機関を利用して正当化するのが今の政権の特色でありますけれども、余り答えになっていないと思いますよ。
 最終的な関税の結果を入れたから上がったんですか。もう一度お答えください。
○石原国務大臣 では、ちょっと長くなりますが、また最初からお話をさせていただきたいと思うんですけれども、二十五年の試算、これは、TPP参加予定国の関税が全て即時に撤廃されて、対策、国内対策を全く講じさせないという前提で、関税撤廃の効果だけをお示ししたものでございます。
 昨年の試算は、関税の削減、今まで御議論がありましたように、国家貿易としての米というものを守ったわけでございます、こういうものや、撤廃の効果、そのほかにも、先ほどタリフラインの話がございましたけれども、ある程度のもので妥協せざるを得なかったものがある、そういう交渉結果を踏まえて分析をしたわけでございます。
 そして、特に委員御関心のございます農林水産物については、品目ごとに精査をして積み上げた数値を、農林水産省から内閣府のこのGTAPというモデルに組み込ませていただきました。
 その上で、TPPの合意内容が、当然、自由貿易の度合いが高まるわけですから、貿易コストが引き下がるというような効果、こういうことを含みますと貿易量がふえる、それによって生産性や労働供給の増加というようなプラスの面が出てくる、こういうものを包括的に含んで分析を行わせていたわけでございます。
 しかし、これもきょう午前中お話をさせていただいたわけでございますが、全ての効果を内包したわけではない。これによりまして日本への対内投資というものが間違いなくふえる、こういうものは除外をして計算をしているわけでございまして、成長メカニズムに日本の経済をどうしたら当てることができるのかという観点でつくらせていただいた数値であると御理解をいただきたいと思います。
○福島委員 私は、よくお勉強されたんだと思いますけれども、ちょっと違うと思います。ここの、輸出入の増加を今の最終交渉のベースに合わせたからふえた、そうした御説明だと思うんですけれども、そうではありません。
 ちゃんと、政府が出している資料を読むと、この赤い字の貿易円滑化、非関税障壁削減、これを輸出入増加に加えて新しい要素として入れて、この1というのも新しく入っているものです。輸出入の増加や貿易円滑化措置によって生産性が上昇する、生産性が上昇することによって賃金が上昇する、賃金が上昇することによって労働供給が増加する、そういうことになっていて、まず一つは、入れた要素、プラスになる要素を仮定として入れれば入れるほどプラスになるから、プラスにするのは簡単なんです。
 だから、一つ、貿易円滑化、非関税障壁削減、政府のところではもっともらしく仮定を置いて数字を出しておりますけれども、これは幾らでも出せます。それだったら、幾らでもこういうのは書くことができるんですね。
 しかも、生産性が上昇して賃金が上昇する。これもこの間議論をいたしましたけれども、本当にそうなんでしょうか。生産性が上昇して賃金が上昇、この二十年間の国民の実態として、それは余り感じられていないと思いますよ。
 総理にお聞きします。
 総理が官邸でやられている国際金融経済分析会合、そこでスティグリッツさんからTPPの話を何か聞きましたか。
○安倍内閣総理大臣 スティグリッツ教授は、TPPについては基本的に賛成はしておられないわけでありまして、そういう中で教授からそういう趣旨のお話がございました。ただ、実際のやりとりについては、御本人の同意をまだ得ておりませんので、同意を得た上で詳細な議事録を公表させていただきたい、このように思います。
 ただ、福島委員が御指摘になられたように、確かに、生産性が上がって賃金が上がって、賃金が上がる中においてまたさらに消費がふえて、いい好循環を生んでいく、そういうことを試算させていただいているわけでありますが、ただ、さまざまな施策を打っていかないとそれはそういうふうにならないわけでありまして、我々は、そういうチャンスがあるので、それを生かすように努力をしていきたい、このように考えております。
○福島委員 今総理は、きちんと御正直にお話しされたと思っています。
 これは、よくTPPの効果は何兆円と出ますけれども、それはあくまでもイメージであって、まさにさまざまな政策を講じればこうなるかもしれませんねという架空のシナリオなんですね。現に政府の資料でも、「本分析は、GDP増等の試算を行うことのみが目的ではなく、TPPによる成長メカニズムを明らかにすることで、」と、試算を行うことだけが目的ではないというふうに言って、これが絶対的なTPPでふえるものと言っているわけではありません。
 いろいろな意見があります。先ほどスティグリッツさんの話が出ましたけれども、官邸が公表しているスティグリッツさんの資料によると、「米国にとってTPPの効果はほぼゼロと推計される。」同じように、タフツ大学が出している推計もマイナスになっております。
 それはどこに違いがあるかというと、生産性上昇で賃金が上昇するという仮定は、ここだけ、何の実証もなく一方的に、生産性が上昇すれば賃金が上昇するという、それだけが政府の報告書には記載をされております。
 ところが、自由化されて、適地適産で、労働集約型産業は途上国に行き、資本集約型産業は先進国に行くとなれば、当然、賃金は下がるし、雇用は減ります。そうすると、ここのところは途端にマイナスになります。ここがマイナスになると、ほかの2、3の矢印も全部マイナスになりますから、タフツ大学の試算のようにマイナスになるし、そういうこともあって、スティグリッツさんは、米国にとってTPPの効果はゼロと推計される、TPPは悪い協定であるというコンセンサスが広がりつつあり、米議会で批准されないであろうということをおっしゃっているんです。
 ですから、私は、このTPPというのは、いいとか悪いとか決めつけるつもりはありません、農業は、農水省がどんな試算をしようが、確実に悪影響はあると私は思っております。対策を打たなければ今の生産量が維持できないということだから、対策が失敗したら目も当てられない状況になるんですよ。それは明らかになる。プラスは、要は、やってみなきゃわからないんですよ。
 だからこそ、しっかり審議をした方がいいし、これは発効するまでどうなるかわからない協定だと私は思いますよ。スティグリッツさんがおっしゃっているように、TPPは悪い貿易協定であるというコンセンサスが広がりつつあり、米国議会で批准されないであろうと。
 現に今、あの、こういう髪型をしたトランプさんはTPPは最悪だと言っておりますし、サンダースさんは、私もアメリカへ行ったときにお会いしたことがありますけれども、根っからのTPP反対派、もうずっと前から言っていた方であります。ヒラリー・クリントンさんも現行のTPP協定には反対。もしヒラリーさんがなったら、現行のTPPには反対なんだから、現行じゃなければ賛成するわけですよ。
 もう皆さん御存じのように、TPPは、参加国のGDPの八五%以上が批准をしなければ発効いたしませんね。その鍵を握っているのは日本とアメリカの二カ国だけです。日本とアメリカの両国がそろわなければ発効されないということは、このTPP協定が発効するかどうかは日本かアメリカのどちらかに握られているんです。私は、これは一対一のチキンゲームだと思っております。
 経済効果とか農業の試算とか、あるいは、今まで皆さんが一切出そうとしない交渉の過程も含めて、なぜこんなに急いでTPPの批准の審議をしなければならないんですか。総理、なぜ今急いでやらなきゃならないんですか。参議院選挙のためですか。サミットで目立つためですか。何のためですか。ぜひお答えください。
○安倍内閣総理大臣 これは、先ほども申し上げましたが、まさに協定について、我々が調印をしたときもそうでありますし、TPP首脳会議のときも、それぞれの首脳がしっかりと国内手続を進めていくということについて合意をしたわけでございまして、その合意にのっとって今審議を行っているわけでございますが、何か拙速にやろうとしているわけではありませんで、しっかりと議論をしていただきたいと思いますし、まさに、先ほど福島委員と森山大臣とのやりとりは、専門家同士の大変掘り下げた、意見は違うわけでありますが、大変実りある議論だった、私はそのように思うわけでありますが、しっかりと我々もこの委員会を通じて議論していきたい、こう思っているわけでございます。
 そして、まさに我々がお示しをした、成長にどのように寄与していくかというメカニズムについても、福島委員が御指摘になったように、これは自動的になるものではなくて、いわばこういうメカニズムを生かしていきたい。実質賃金が、いわば生産性が上がっても、企業が収益を上げて企業がためていたのでは、あるいは経営者だけが大きな利益を得たのではこのモデルは回っていかないわけでございまして、そこは恐らく米国の社会と日本の社会は違うということはあるんだろうと思いますが、しっかりとそういうメカニズムが回っていくように我々も努力をしていきたい。
 また、タフツ大学については……(福島委員「それはいいです」と呼ぶ)よろしいですか。これは交渉の結果は反映されていないというふうに承知をしております。
○福島委員 私は、これは発効までまだ一山も二山もあると思うんですよ。だからこそ、まずは西川委員長の本を出した上で、それも検証しながら、アメリカの動向を見ながらやる時間というのは幾らでもあるんですよ。なぜ急ぐのかが理解できない。
 しかも、説明会をやったと言っておりますけれども、実際にこの協定の条文の仮訳が出たのは一月の国会が始まってからです。これが出てから、この条文というのは、これだけ読むのは大変ですよ。私は四分の一にしているからこの厚さなんですけれども、実際はこの四倍あるわけですよ。
 そのベースに基づいた説明というのは何回やっていますか、政府は。参考人で結構ですので、お答えください。
○澁谷政府参考人 十月の大筋合意以降、内閣官房、農水省、経産省その他、説明会だけで二百回以上……(福島委員「説明会じゃないです。条文の説明です。ごまかさないでください」と呼ぶ)
 条文の説明会につきましては、そういう通告をいただいておりませんので、これから調べて後刻お答えしたいと思っております。
○福島委員 だから、都合のいいことだけ答えようとする。実は、このやりとりは我々の勉強会でもやっているやりとりでありますから、答えたくないだけなんです。やっていないんです、要するに。この協定が出て、この訳に基づいたものはやっておりません。
 さらに、さまざまな法案がこの国会に提出されておりますけれども、審議会で議論したりパブリックコメントにかけたり、大事なものについてはしっかりと国民と議論しながらつくっていくというものがございます。
 例えば、医療機器の登録認証機関。これまでは日本しかできなかったのが今回外国の機関にも認められるというのは、国民の安全上大きな変更だと思いますけれども、この法律改正に当たって、審議会にかけたりパブリックコメントにかけたりしていますか、塩崎大臣。
○塩崎国務大臣 審議会につきましては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の改正が、国内で認められておりました登録認証機関について、海外についても同じ基準を満たす者を認める改正であるために、審議会の意見は求めてございません。
 それからなお、法律案はもちろん国会での御審議を経るので、行政手続法上、パブリックコメントは求められていないということであります。
 ただし、この法改正に当たっては、平成二十七年十二月から二十八年の一月にかけまして、医療機器メーカーや登録認証機関、関係団体、これは三団体ありますけれども、これらからきっちり意見聴取は行っているところでございます。
○福島委員 私は、これはひどいと思いますよ。パブリックコメントにもかけなければ専門家による審議会にも付さないで、なぜここまで大急ぎでやるんですか。アメリカがまだこういう状況なんだから、幾らでも時間があるわけですよ。
 条文を一月に出して、条文ベースの説明は国民に一切しない。TPP協定を実施するための法律をつくっても、その法律の内容、しかも、医療機器の話だから国民の健康にかかわることですよ、そのことに関して、一切審議会にもかけなければパブリックコメントにも付さないで法案を出してくる。そして、この国会の場では、交渉の経緯に関するものは答えられませんと言って、一切答えることができない。そんなことで、本当にこの協定の批准に向けた審議ができますか。
 私は、今、余りにも異常な状況がこの国で起きているんじゃないか、TPPということを理由にして余りにも異常なことが起きているんじゃないかというふうに思わざるを得ないと思いますよ。
 スティグリッツ教授、この方が官邸に出した資料にこう書いてあります。「世界的な意思決定プロセスの改革 世界的な経済政策は、あまりに頻繁に権力や特定の利害に左右される。 国内で説明責任を十分に果たさないような特定の利害を反映したルールの調和は、世界的に民主的なプロセスから生まれる調和とは異なるものである。各国政府が民主的なやり方で必要な規制を実施しようとした際に、新たな貿易取り決めがその能力を損なうことが特に懸念される。」まさにTPPはそのものじゃないですか。
 総理、スティグリッツ教授の消費税のところだけを受けるんじゃなくて、きちんと全部見てください。クルーグマン先生のこともしかりです。我々の勉強会に来たときには、もっとはっきりとさまざまな観点からTPPの問題点というものをスティグリッツさんは表明されました。それは、スティグリッツさんは、こんなTPPなんというのはそもそも自由貿易協定じゃないと言っているんです、管理貿易だと。
 まさに、さっきの米のやつなんて管理貿易そのものじゃないですか。アメリカから枠を設定されて、その枠を運用するための方法までアメリカと取り決めをさせられて、自由に貿易をさせない仕組みをこのTPPでつくらされているんです。しかも、そのつくらされたルールは、国民に相談することもなく、交渉の中身を、過程を一切国会や国民に知らせることもなく批准しようとしている。
 私は、この余りにも異常なプロセスで行われるTPP協定の国会審議、どう情報を公開してやるかというのは、ぜひ理事会でも御協議いただきたい。このままの状況では、私は、国民の期待に応えられる協定の審議ができないということを最後に申し上げさせていただきまして、質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○西川委員長 次に、大西健介君。
○大西(健)委員 民進党の大西健介でございます。
 私からは、まず、同僚の玉木委員の質問に関して、幾つかちょっと付随してお聞きしたいことがありますので、そこから始めさせていただきたいと思います。
 まず、先ほどお話に出た西川委員長の著書の話でありますが、総理は、初めて知ったというような御答弁をされていましたけれども、それで間違いないですか。
○安倍内閣総理大臣 初めて知ったというよりも、今初めて、西川委員長がそもそも本を出そうとしておられるかどうかということすら私は存じ上げないわけでありますし、これは事実かどうかということも今私は知らないわけでありますから答えようがないわけでありますが、そういうことについては全く私は知らなかった、このように申し上げたところでございます。
○大西(健)委員 今、本を出そうとしていること自体知らなかったという御答弁でしたけれども、本の帯の推薦文の依頼を総理に送っているという話があるんですけれども、そんなことはありませんか。
○安倍内閣総理大臣 全く存じ上げないわけでございます。
○大西(健)委員 五月に出るということですから、もし帯に推薦文が書いてあれば、まさに、その本に書いているようなことは言っても構わないと総理が言っているのと同じだと思いますので、そこはしっかりまた見させていただきたいというふうに思います。
 あわせて、年金の話が出ました。
 これは私も先日の厚労委員会でも大臣とも議論させていただいたんですが、もう一度整理をさせていただきますと、玉木委員からもお話がありましたけれども、四半期の運用損益というのは、二カ月あれば確定し公表できるんですね。ですから、ことしの一月から三月の分については五月の末には公表できるということで間違いありませんか。技術的には五月末にある程度の数字は固まるということで間違いないか、それを端的にお答えください。
○塩崎国務大臣 何度も申し上げているように、もともと法律で求められているのは、年度の数字をきっちり利回りを正確に示しながら公表するということになっておりまして、それを七月末までにやる、こういうふうになっているわけであります。それを確定日付で、いろいろな臆測が出てこないようにということでやりました。
 これは、今まで、第一、第二、第三の四半期ベースの数字というのは、必ずしも確定の数字ではございませんので、確定していない、速報値的に数字を出してきて、これは民主党時代も同じようにやってきて、そして最後のところは、年度としてきっちり分析をしたものとして、プラスになろうとマイナスになろうと、これは単年度の話でありますので、年金はあくまでも長期的に、安全かつ効率的に運営をして、年金財政上、必要な利回りを確保するということが最も大事なことでありますので、それは淡々と数字を出してきているということでありまして、ことしも今までどおり、民主党政権と同じように、年度として数字を七月二十九日に出す、こういうことだと理解しております。
○大西(健)委員 年度のものは年一回出す、これが法律に書いてあると。これは別に否定しません。ただ、丁寧な情報開示のために、第一・四半期、第二・四半期、第三・四半期のものは出しているということなんですね。
 我々がお願いしたいのは、アニュアルレポートは七月二十九日で結構です。ただ、ことしは、株式の運用を変えて、通年でやった初めての年なんですから、やはりより丁寧な情報開示をしてほしいんです。ですから、ことしは、ぜひ、第四・四半期、出せるなら出してほしいんです。
 何でそんなことを言うかというと、先ほども玉木委員が最後に、年金は誰のものですか、総理のものじゃないですよ、国のものでもないですよという話をしましたね。年金加入者が預けているものなんです。ですから、普通のファンドであったら、運用益が悪かったらファンドからお金を引き揚げればいいんですよ。だけれども、年金の場合はGPIFに預けるしかないわけですよ。その預けている委託者である国民が唯一評価ができるのは、選挙のときなんですよ。選挙の後に幾ら詳しい数字を、正確な数字を言ってもらっても、それは遅いんですよ。
 だから、ことしは、一年、通年で株式運用の割合をふやしてやった初めての年なんだから、できるんだったら速報値でいいから出してください。何でできるのにやらないんですか。できることをやらないということは、隠していると言われても仕方がないのじゃないかと思うんですけれども、もう一度お願いいたします。
○塩崎国務大臣 年金は名目賃金との連関で動いていくわけでございまして、私どもも、名目賃金上昇率プラス一・七%という利回りで回していただくことをGPIFにお願いしております。これがやはり責任ある内閣として、GPIFにお願いをすることで、今ベースアップも行われるようになって、名目賃金上昇率は、安倍政権が今回出てくる前の賃金の上昇率と比べれば、二、三%高いわけであります。そうなると、四%近くで回さないといけないということでありますから、当然、デフレじゃない状況になってくる中での、新しい経済状況の中でのポートフォリオを組むというのは当然のことであります。
 ちなみに、長妻大臣のときは、あのときの基本ポートフォリオは……(大西(健)委員「関係ない答弁、やめてください」と呼ぶ)関係が大ありなので申し上げれば、あのときは、名目賃金上昇率プラス何%という数字すら出さずに、示さずに、何と、安全かつ効率的に運用しろということをGPIFに指示したのであります。こんな無責任なことは私はあり得ないことだと思っておりまして、私どもは、やはり将来推計を見ながら、ちゃんとした、今は名目賃金上昇率プラス一・七%という数値が、これは約束どおりの年金のお支払いをするのに必要な利回りであるからこそお示しをしているわけでありますので、そのためのポートフォリオとして、今の新しいポートフォリオを組んでいるので。
 ちなみに、諸外国の同じような公的年金のポートフォリオを見ていただければ、半分ぐらい株に回しているというところは幾らでもございます。そこをどうするかというのは、それぞれ経済をどうきっちり分析してポートフォリオを組むかということにかかっているわけでありますので、私たちは絶えず、安全かつ効率的な運用を長期的な観点から努めてまいりたいと思っております。
○大西(健)委員 そこまで言われるなら、ですから、さっきからおっしゃっているように、短期で見ないで長期で見てくれと言っておられるわけじゃないですか。だから、堂々と出したらいいじゃないですかと言っているんです。
 出せるわけでしょう。技術的に出せるものを出さないということは、隠蔽しているんじゃないですかと言われても仕方がないと私は思いますし、ぜひ、これは何度も言っていますけれども、国民のものなんですから。国民が知りたがっているんですよ。リーマン・ショック以来のマイナスになっているんじゃないかとみんな不安がっているわけですよ。だから、国民が知りたがっているんですから、出せないなら仕方ないけれども、出せるんだったら出してくださいということを再度お願いしておきたいと思います。
 続けて質問に入っていきたいと思います。
 先ほど来何度も出ていますような、このまっくろくろすけのものが出てきました。
 私は、これを見たときに、ああ、どこかで見たことがあるなと思ったんですけれども、それは、私が予算委員会で甘利大臣の口きき疑惑を追及してきたときに、URが最初に出してきた議事録。まだましかもしれませんけれども、でも、真っ黒々でした、最初は。しかし、UR、都市再生機構は、後でこういうふうにあけてくれたんですね、一部。
 それで、これは句読点とか、てにをはとか、一部名詞とかをあけても、私は秘密保持契約に反することはないと思いますよ。ですから、そんなこと、本当に、さすがにこの真っ黒々けじゃ、こんなんじゃ審議できないよねというのは私は当然のことだというふうに思いますけれども、きのう、自民党の佐藤国対委員長はこんなふうに言っています。これ以上開示しようといっても、国と国の約束がある中で極めて難しい、疑義に感じるところがあれば質疑の中で聞いてくれということなんですね。では、質疑のときに聞いても答えないし、一番聞きたい人がここにいないわけですよ。それは甘利さんなんです。交渉の経過を知る甘利さんから私は説明を聞く必要があるというふうに思っています。
 石原大臣は以前、予算委員会の答弁の中で、甘利大臣からどういう引き継ぎを受けたのかということに対して、二十分程度、電話で引き継ぎを受けたということを明らかにするとともに、甘利氏からは、困ったことがあったらいつでも相談に乗るとの言葉もいただいたと説明をされています。
 そこで、石原大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣就任後、これまでに甘利大臣にお電話をされたことがあるでしょうか。あるいは、今後、この審議が進む中で、必要があれば甘利さんに電話をするつもりはありますか。いかがですか。
○石原国務大臣 甘利前大臣は、おかげんが悪くて、今、自宅で静養をされている。そういう方に、今、電話をするつもりはございません。
○大西(健)委員 では、同じく総理にお伺いをしますけれども、総理は、大臣がやめられた後、甘利大臣にお会いになったりとかお電話をされたことはありますか。
○安倍内閣総理大臣 大臣をやめられた後、お目にかかったことはございませんが、電話ではお話をしたことが、その直後、しばらくの、いつだったかはもう忘れましたけれども、お話をしたことはございます。
○大西(健)委員 もし可能ならばどういうお話をしたのか教えていただきたいと思いますし、私は、普通、電話をするんじゃないかと思うんですよ。私が総理の立場だったら、最も親しい友人の一人であって、信頼する部下であった甘利さん、おぐあいは、調子はどうだ、いつぐらいになったら出てこられそうだという話をするんじゃないかなと思うんですけれども、そういう病状の話なんというのは、あるいはお見舞いのお電話なんというのはされないんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、電話でお話をしているわけでございまして、その中身については、まさに政治家同士のやりとりでありますから、ここで申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
○大西(健)委員 私は、総理は何度も、任命責任は私にある、そして任命責任を果たすんだということを言われているんですけれども、そうであるなら、病状がどうなのかとか、いつぐらいに出てこられそうなのかみたいなことも、そういうことをちゃんとお聞きになる責任というのもあるんじゃないかなというふうに思うんですね。
 甘利氏は、一月二十八日の辞任表明の記者会見以降、一切表に姿を見せられておりません。二月十六日の衆議院の議院運営委員会理事会におきまして、自民党の方から、睡眠障害で一カ月間の自宅療養が必要だとの診断書が提出されています。それから、三月十五日の日には、まだ体調が回復していないということで、さらに二カ月の休養が必要ということになっております。
 我が党の議運の理事に確認しましたところ、自民党から提出をされた診断書を書かれたのは、慶応大学医学部教授の福田恵一さんというお医者さんだということなんですが、この方は循環器内科のお医者さんなんです、専門は。(発言する者あり)まさに、精神科ではなくて、何で循環器内科の医師が睡眠障害の診断書を書くんだろうと。よくわからないんですけれども。
 また、私がお話を聞いたある精神科の医師の方はこう言われています。睡眠障害で欠勤させる診断書はまず書かない、なぜなら、眠れないならば睡眠薬の処方で治療可能だからだ、本当に睡眠障害で苦しんでいる患者さんを愚弄している、こんな診断書がまかり通れば精神科医療に対する不信感が増す、こういうふうに言われているんです。
 やはり、睡眠障害を理由に全く国会に出てこられないというのは、私はこれは理解できないです。夜眠れない。ずっと国会議員として通常の職務を通常どおりこなすのはちょっと難しいかもしれないというのはわかります。休みつつとかですね。しかし、全く出てこられない、これは理解に苦しむんですね。
 安倍総理は、先ほども言いましたけれども、繰り返し任命責任を果たすと言ってこられました。甘利氏をTPP担当大臣に任命した責任を果たすためにも、甘利氏に、先ほども言いましたけれども、通常どおり国会議員としての公務に復帰するのは難しいとしても、少しでも国会に出てきて協定の交渉当事者として説明責任を果たすように、甘利氏に説得をしていただけないでしょうか。いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 甘利氏は、もう今やこの安倍内閣の一員ではないわけでありまして、自民党の国会議員として、いわば辞任の際に、当時は大臣でありますが、大臣として説明責任を果たしていく、この約束を今は一国会議員として果たしていかれるものと、このように考えております。
○大西(健)委員 やめたからそれでいいということじゃなくて、さっきも言いましたけれども、交渉当事者の甘利さんしかわからないことがあるわけですよね。それから、後でお話ししますけれども、政治とお金の問題についても、全くそれ以降説明責任を果たされていない。あるいは、アベノミクスが曲がり角に差しかかっている、その司令塔だった甘利さんに説明責任を私は果たしてもらう必要があるというふうに思っています。
 それから、先ほど申し上げた精神科の医師の話ですけれども、普通の会社なら、産業医が記載した精神科医に問い合わせをして、怪しければ会社が指定した精神科に改めて診察させるのが当然だと。精神科医とぐるになってにせの診断書を提出して詐欺を行うケースというのもあるんだと。
 一方で、三月十四日発売の週刊現代には、甘利氏は元気で、運動不足とストレス解消のために、宿舎の階段を一階から二十七階までエレベーターを使わずに上りおりしていたと、これは自民党議員の証言ということで載っているんですね。ほかにも、何かマスコミの人と飲んでいたというような話もうわさでは聞いております。
 そこで、提案があるんですけれども、甘利氏の病状が本当に本委員会に出てこられない状態なのかどうなのか、循環器内科の医師じゃなくて、精神科の医師にセカンドオピニオンを求めてはどうかと私は思うんですけれども、これ、理事会で、委員長、協議していただけませんでしょうか。
○西川委員長 後日、理事会で協議をいたします。
○大西(健)委員 何でこんなことを言うかというと、きょうは衆議院の事務総長にこの委員会に御出席をいただいているんですけれども、そこで確認をしたいんですが、一月二十八日以降、本会議が何回開かれて、甘利議員の出席状況はどうだったのか、また、欠席届がちゃんと出ているのかどうなのか、教えていただきたいと思います。
○向大野事務総長 お答えさせていただきます。
 一月二十八日以降、まず最初が二月二日でございます。それから、つい最近がおとといの四月五日。それまで十四回開かれております。この全てに関しまして甘利議員から欠席届が出ております。
○大西(健)委員 衆議院規則では、本会議を欠席する場合は請暇か欠席届を出すということになっていますが、そこには、○○のためということで、所用のためとか、けがのためとか、病気のためとか、理由を付すことになっていますけれども、理由は何て書いてあるんでしょうか。
○向大野事務総長 お答えさせていただきます。
 衆議院規則の百八十五条には、議員は、本会議を欠席する場合は、理由を付して議長に欠席届を提出しなければならないというふうに定めておりますが、この理由の公表につきましては、まず第一に、公表をする、それを規定する規定がないということと、第二に、やはりこれは議員の活動内容あるいは健康状態等プライバシーにかかわる場合もあるということで、従来から行っていないということでございます。
○大西(健)委員 今の話だと、欠席の理由も明らかにされないと。また、聞けば、病気のためと書いても、診断書も要らないそうです。その内容についても、事務局としては確認もしないということなんですね。
 そういうことで、最後に確認なんですけれども、こうやって長期にわたって登院しなくても、歳費は満額支給なんですよね。
 事務総長、それで間違いないですか。
○向大野事務総長 お答えさせていただきます。
 全くそのとおりでございます。
○大西(健)委員 先ほど私はセカンドオピニオンをという話を言いましたけれども、睡眠障害を理由に十四回の本会議に一度も出てきていない。それで丸々給料をもらっているわけです。民間ではこんなことが、今テレビをごらんの皆さん、許されるんですかね。私は許されないと思います。これが甘利氏の言う政治家としての美学、生きざまということなんでしょうか。
 私は、そういうこともあるから、先ほどセカンドオピニオンをぜひ求めてくださいということをお願いしました。
 甘利氏については、TPP担当大臣だった、その交渉当事者としての説明責任も果たしていませんが、先ほど話しました千葉県の建設会社とURの補償交渉をめぐり、口ききを行って現金を受け取ったとされる疑惑についても、これは全く私は説明責任を果たしていないと思っています。
 皆さんのお手元には、一月二十八日、御本人が説明をされた唯一の機会であったこの記者会見で甘利事務所が配付をした資料の抜粋をお配りしていますけれども、これを改めて読むと、この日は、私自身の問題を中心に報告をします、秘書の問題についてはいまだ全容解明に至っていないので、引き続き調査を進め、しかるべきタイミングで公表するとしているんですね。
 しかし、二カ月以上たっていますけれども、何の音沙汰もないんですよ。この一月二十八日以降、説明責任なんて全く果たされていないんです。
 パネルをちょっとごらんいただきたいんですけれども、これは予算委員会でも我々は繰り返し申し上げています。これは、二月十五日の予算委員会、お隣にいる玉木委員と総理のやりとりです。
 玉木委員から、総理は先ほども言いましたけれども、任命責任を果たすと言っているけれども何にもしていないじゃないですか、甘利大臣にしっかり説明させる責任、これをどう果たされるつもりですかということを問うたのに対して、総理はこう答弁されています。甘利大臣は、さきの会見において、しっかりとさらに調査をし、そして国民の皆様に説明をしていきたい、こうおっしゃっていたわけでございますので、今後とも説明をしていかれるものと考えておりますと。それからもう一つ、下の方、玉木委員は、甘利大臣に国会に出てきていただくように説得していただけませんか、こういう問いに対しても、また同様の答弁を繰り返しているんです。
 しかし、先ほど来言っているように、総理の言ったとおりになっていないんですよ、二カ月以上たったけれども。総理の希望的観測、つまり、甘利さんはちゃんと説明してくれると思いますと言っているけれども、説明していないじゃないですか。
 だから、改めて、私は任命責任はある、そして任命責任を果たすと総理はずっと言ってきているわけじゃないですか。こんな同じ答弁じゃなくて、いま一度、ちゃんと国会に出てくるように、そして説明責任を果たすように甘利さんに説得していただけませんでしょうか。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 まず、交渉の担当者は甘利当時の大臣であり、その結果、TPP交渉は締結に至ったわけでございますが、この委員会に出しているこの法案あるいは協定については、まさに今、我々、特に後任の石原大臣がしっかりとこの経緯については事務的にも引き継いでいるわけでありますし、事実、答弁をしているわけでございますので、甘利大臣がここに出てきて答弁をされる必要はない、このように考えております。
 事実、今までも、交渉の途中にかかわった大臣がまた別の大臣にかわったことがあるのは、これは間々あるわけでありますが、当然、まさにその条約を批准する際に担当大臣が答弁するというのはごく当たり前のことでありますし、誰が責任を持って行うかということにおいては、まさに石原大臣が責任を持って行うわけでありまして、そのことに今甘利大臣が責任を持っているわけではないということは申し上げておきたい、このように思います。
 その上で、先ほど申し上げましたように、甘利大臣におきましては、辞任の際にそれまでのつかんだ中身、調査した中身についてはつまびらかにお話をされただろう、このように思うわけでございますが、その後明らかになったことについては説明をしていくというふうにおっしゃっておられますので、そのように説明をしていかれる、このように考えております。
○大西(健)委員 まず、政治とお金の問題については説明していかれると思いますと言っているけれども、全然、二カ月以上たって全く何の説明もされていない、これが事実なんです。
 それからもう一つ、TPPの話についても、先ほど玉木委員は参考人としてこの委員会に来てもらいたいということを要求しましたけれども、先ほど来話があるように、資料は黒塗りだし、そして聞いてもまともな答弁が返ってこないし、交渉過程を知っている甘利さんにやはり聞かなきゃいけないことというのは私はあると思うんです。
 先ほど来あるように、本当に、結果が全てというけれども、守るべきものが守れて、とるべきものがとれたのかどうなのかというのは、交渉過程を見ないとわからないわけですよ。だから、やはり聞かなきゃいけないことが私はあると思います。
 そのときに、ぜひお願いしたいのは、衆議院の先例では、証人が疾病その他の理由で出頭することが困難な場合には、入院中の証人の現在場所等に委員を派遣して証言を求めた例があります。
 先ほど来言っていますように、睡眠障害というのは、話もできないような状態じゃないと思います。どこかにいらっしゃるわけですから、これは委員会で、ちゃんと理事会で決めていただければ、国会になかなか出てこれないというんだったら、本委員会として委員を派遣して、そして、今甘利さんがいらっしゃる場所で、証人として甘利さんの話を聞くことができるんです。
 ですから、これはぜひ、委員長、協議をしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○西川委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○大西(健)委員 この間、先ほどの一月二十八日以来、状況の変化というのもありました。それは、三月の十六日、弁護士団体が、千葉県の建設会社とURとの補償交渉で口ききし見返りに現金を受け取ったという問題に関して、甘利さんと公設秘書をあっせん利得処罰法違反容疑で東京地検に刑事告発しました。
 これまでに、国土交通省、UR、それから千葉県建設会社の総務担当者であった一色氏が東京地検の任意の聴取を受けたという報道がなされていますけれども、今のところ、甘利さん本人、それから元公設秘書が聴取を受けたという情報には接していません。
 元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士は、二月二十四日、本院の予算委員会の公聴会に来られたときに、甘利氏をめぐる問題は、ストライクゾーンが狭く設定されたあっせん利得処罰法の処罰対象の、まさにど真ん中のストライクに近い事案と証言しています。その割には、検察の捜査はやる気がない、やる気が感じられないというふうに私は思います。捜査は本当にちゃんと行われているのか。
 また、郷原弁護士は私の質問に対して、一般論として、検察の側で法務省あるいは政権、党の意向をそんたくして対応するということが過去になかったかというと、必ずしもそうではない、そこでむしろそんたくなどしないで、きちんと検察が事実解明した方がいいんじゃないかという立場に立って、法務大臣が検察庁法十四条に基づき厳正かつ適正な捜査を速やかに行うよう指示してはどうかと述べていますけれども、法務大臣、この郷原さんの言うように指揮権を発動して、ちゃんとやれと言っていただけないでしょうか。いかがですか。
○岩城国務大臣 ただいまのお尋ねは捜査機関の活動内容にかかわる事柄であり、お答えは差し控えたいと存じます。
 なおかつ、私の方から指揮権を行使すべきではないか、こういうお話もございましたけれども、法務大臣が個別案件について指揮権を行使するか否かについての所見を申し上げることは、それ自体、検察の活動に重大な影響を与えかねないものであり、適当ではない、そのように考えております。
○大西(健)委員 過去をさかのぼると、そういうものを逆に隠す方で指揮権を発動したという事例があるんですけれども、郷原先生は、そういうふうに法務省やあるいは政権与党の意向をそんたくしているというふうに疑われないように、むしろちゃんと法務省が、しっかり捜査は厳正に公平にやってくださいと言うべきじゃないかと。
 私も見ていて、田母神さんの話を何か突然として東京地検がやったりとか、狭くとったストライクゾーンのど真ん中の案件について、秘書の聴取さえ行っているそういうそぶりが見られないというのは、これは本当に、検察というのは公平にやっているのかということを疑われても仕方がないというふうに私は思います。
 時間が参りましたので最後に申し上げますけれども、ここに来て甘利氏は、自分の大臣の辞任の引き金になったみずからの政治と金の問題に加えて、TPPの交渉当事者としての説明責任、それから経済再生担当大臣、アベノミクスの司令塔としての説明責任、二重、三重の説明責任を負っていると私は思います。安倍総理は、甘利氏の任命責任を負うと自分が言っているわけですから、甘利氏にその説明責任を果たさせる義務があるというふうに私は思います。
 ところが、今回は、交渉記録は黒塗り、甘利氏本人も隠す、鶴岡首席交渉官は海外に逃がす、そして、年金運用損の額とか潜在的待機児童の数も隠す。とにかく都合の悪いことは全部隠す。安倍内閣は隠蔽内閣だということを申し上げて、私の質問を終わります。
○西川委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 日本一息をのむほど美しい田園風景を持っている秋田県出身の村岡敏英でございます。
 きょうは、総理初め、TPP、農業問題についてお聞きしたいと思いますが、先ほど、委員長が出される予定の本があると聞きました。総理に頼まなくてもほとんどの国会議員が推薦文を書くと思うので、ぜひそういうふうにお願いしてみてください。
 そこで、総理、初めに聞きたいのは、交渉過程をなかなか見せられない、これは相手国がある、こういうことでした。総理が若い議員のとき、MA米に関して座り込みをいたしました。そして断食しました。そのころの記事なんかを見ると、断固反対と、プラス秘密交渉なんか許さない、こう言っているんですね。それに関してどう思いますでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 相当遠い昔の話でございますが、平成五年、当時、細川内閣のいわばウルグアイ・ラウンドについて国会決議がある中において、当時まだ米の自由化について我々は反対をしたわけでございまして、秘密交渉を許さないということを言ったかどうかというのは私もよく記憶にないわけでありますが、反対をして座り込んだのは事実でございますが、今回のTPPについては、米についてはしっかりと我々は守ることができたということでございます。
○村岡委員 そのころ秘書をやっていましたから、断食していた人も、もう絶対に秘密の交渉は許さない、細川政権許さないぞと、非常な勢いでやっていました。断食までしてそのころはやっていたんです。そのとき私は、断食していた人に差し入れを持っていって怒られた思い出がありますので。そのぐらい覚悟があって、秘密交渉を許さない。今回は何で秘密交渉をそこまで隠すのか。
 その中で、我々国会議員全員に出さなくても、まずは石原大臣に聞きます。石原大臣、TPP担当の大臣はもちろん論点整理のメモを見ていると思います。副大臣や政務官、責任者は全部見ていますか。
○石原国務大臣 先ほど来ここのお話は議論になっているのでございますが、交渉過程がどうであったか、また形がどうであったかということも含めまして、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○村岡委員 石原大臣、中身と全く関係ありません。
 我々の勉強会で、政務官は論点メモを見ていないと言いました。そして、副大臣はちゃんと見ていると言いました。大臣と、まず、これだけでも答弁が違うじゃないですか。普通、これは閣議決定したんでしょう、中身を見ないで閣僚の人たちはみんなサインしたんですか。
 総理、それは全部見ているんですかね、閣僚の人たちは、閣議決定するとき。
○安倍内閣総理大臣 私は、当然、途中経過も含めて適宜報告を受けて、説明を当然受けて、その都度判断をいたしております。
○村岡委員 やはりこれだけの、TPP、日本全体にかかわる、総理が言われるこれはラストチャンスなんだという言葉も、経済連携は大切ですよ、それはわかりますけれども、国民生活に相当な影響を与えるというときに、担当の大臣が、政務官、副大臣までそれを見ているか、見ていないかまで言えない。そんな秘密がありますか。
 絶対に見ているでしょう。見るように言ったでしょう。そのぐらいは答えられるんじゃないですか、石原大臣。
○石原国務大臣 交渉の途中経過に関すること全般に含めて制約がある。
 ですから、結果で、先ほどタリフラインの話がございましたけれども、何でこれが欠けているんだとか、そういうことにはお答えすることは可能なんですけれども、なぜ、どうなったか、今委員が、見た、見ないというような話も含めて、経過の話についてはお答えできないと御理解をいただきたいと思います。
○村岡委員 経過じゃないものも大臣が言えなくて、副大臣、政務官は認めているんですから、ちょっとてんでんばらばらだなという感じがします。
 この質問からかえます。
 自民党の政権公約、「「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します。」うまいことを考えたなと思っています。
 これは、まず、聖域というのをちゃんと決めていません。さらには、聖域なき関税撤廃は、関税削減以外の、七万トン入れる、そういうのも何も、そういうのが入ってきたとするのも前提としていません。それから、前提とするのは交渉の前なのか後なのかも書いていません。そうなると、これはもうどうとでもとれるので、やはり政権を長くやっていると、政権公約は、まさにどうとでもとれるようにつくっている。
 しかしながら、これは永田町では通じます。しかし、地方や農民の人たちは、この言葉は、相当な決意を持って、聖域というのは重要五品目を含めて農業が再生産できるような形で、しっかりとやってくれると思っていたはずなんです。ところが、このようなことで、総理がよく言われる公約は守ったというのは、この公約が、よく総理が言われる、自民党は長年の経験で、いろいろな議論を経て決めていくと。この政権公約はうま過ぎるんです。だから総理がこれは守ったと言える。
 そこで、今度は農水委員会の国会決議なんです。ここは比較的、今、森山大臣が農林大臣ですけれども、その当時の自民党の議員も含めて各党の人たちが集まって、やはり農業が心配だということで、国会決議を決めました。これはもうしっかりと「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、」と書いて、「除外又は再協議の対象とすること。」と書いています。しっかりと書いてあるんです。
 そういう意味では、自民党はうまく政権公約は守ったかもしれません。しかし、国会決議というのは超党派じゃないですか。この超党派の決議は守ったとは言えないんじゃないですか。それは総理はどう思いますでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 TPP交渉においては、他の国が農林水産品の九八・五%を関税撤廃とする中、我が国は重要五品目を中心に約二割の関税撤廃の例外を確保し、関税割り当てやセーフガード等の措置を獲得したわけであります。そもそもこれも無理だと言われていたわけでありますが、つまり聖域なき関税撤廃と言われていたわけでありますが、しかし、これは二割を確保し、かつセーフガード等を確保したということであります。
 それでもなお、もちろん、農業者の方々は不安を持っておられると思いますので、そうした不安を受けとめまして、昨年十一月に総合的なTPP関連政策大綱を決定して、昨年度の補正予算を通じて緊急対策を講じたわけでございまして、重要品目が確実に再生産可能となるように、交渉で獲得した措置とあわせて、引き続き万全の措置を講じていく考えでありました。
 例えば米については、国家貿易制度を維持し、国家貿易以外での輸入に課される高い枠外税率を維持して、合計で七・八四万トンという日本の米の生産量の一%程度の量の国別枠の設置にとどめたわけでありまして、さらに、この国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れることで、輸入量の増加が国産主食用米の生産や価格に与える影響を遮断することとしたわけであります。
 そこで、御質問の、これは国会決議にかなうかどうかということでありますが、それは最終的には国会がお決めになること、国会で御審議いただくことになるわけでありますが、政府としては、国会決議の趣旨に沿うものと評価していただける、このように考えております。
○村岡委員 長々と説明していただきましたけれども、最後の部分だけお聞きしたかったんです。
 その当時、この国会決議にかかわったと思われる森山大臣、自民党の政権公約はどうとでもとれるので、これは守ったと言えば守ったと言い切れるんですね。ところが、国会決議は違うんじゃないですか、大臣。お答えください。
○森山国務大臣 国会決議につきましては、国会で御判断をいただくということが正しいことだと思っておりますが、やはりTPPにおいては除外あるいは再協議という定義がないということも事実であろうと思います。
○村岡委員 除外の項目も含めて、私は、農林水産委員会にかかわっていた与党の議員がちゃんと決めていたと思います。それは、こちらの表にありますけれども、即時撤廃はAという項目で、これはEPAですけれども、参考。除外というのはXなんですけれども、TPPには再協議はない。
 そして、例外それから除外というのがあります。この計算もしっかり、資料の、パネル三を出してください、日本の農林水産品の約束内容ということですけれども、これを見ると、重要五品目で除外というのは二六%しかないんですよ。これは確実に国会決議に関してはもう破っているんです。国会が決めてくれと政府側の立場では言いますけれども、しかしながら、国会で決めることですけれども、国会決議には反している、必ずこれはそういうふうな評価になると思うんです。
 石原大臣、どう思いますか。
○石原国務大臣 国会決議は私も承知しておりますし、与野党で大変御苦労をいただいた。そして、総理も御答弁させていただいておりますように、これをてこに二割の例外を農産品で日本だけが獲得することができた。また、この方法についても、それでは不十分だ、米の一俵たりとも輸出量をふやすのはけしからぬ、そういう意見があることは承知しておりますが、ぎりぎりのマルチの交渉の中で国益を維持したものだと承知しております。
 評価につきましては、国会で御審議をいただいた上で御評価いただけるものだと思っております。
○村岡委員 だからこそ、国会決議というのを、どのぐらい重さを見ているかということなんです。
 もし国会決議をしっかりと踏まえているとすれば、その交渉内容もわからなければ、どうやって我々は評価するんですか。結果だけ見て評価しろ、それは普通無理でしょう。やはり、そこは別に全部を公表しなくてもいいけれども、他国のことはいいです、日本はどんなことを望んだのか、この国会決議を受けてどんな交渉をしたのかということぐらいの、日本のことだけは当然わかっていいんじゃないですか、国会決議をして。そうじゃないですか。
 総理、それは、他国のことはいいですよ、こういう交渉をしたと。日本の側の方だけは国会決議を重く受けとめたと何回も言っていたはずです。それは重く受けとめていないということですか。
○安倍内閣総理大臣 もちろん実際のやりとり等については今ここでつまびらかにすることはできませんが、この国会決議を受けた基本姿勢はどうだったかという御質問でございますので、当然、我々は、国会決議を受けて、この国会決議を果たしていく義務があるということを交渉の際に相手方に伝えながら、この国会決議がある限り、これは我々は譲れぬところはありますよと。
 いわば、それを乗り越えて我々が妥協していくことになれば、結果として、まさにこれは国会における批准が厳しくなるわけでありますから、我が党も、あるいは与党も含めて、こういう考え方のもとにそういう話をしていく。基本的な考え方については、当然、国会決議を背景として説明してきたということを申し上げてきましたが、それは、砕いていけばそういうことでございます。
○村岡委員 何を言っているんだかよくわからないんですが。西川委員長が書いたと思われる本の中に、何か、ある審議官は何を言っているかわからずに、答弁が結局最後まで聞いてもわからないなんていうふうに書いていましたけれども、総理もそんな感じで、このことになるともう全くわからないような答弁をされています。
 何で我々が、そういうことも含めて、このTPPを重要であり、そして、秘密じゃなく、いろいろなことを公開してもらって審議したいか。これは、後ろには農業者の人や、またTPPで医療やいろいろな関係者の人たちがバックにいるんですよ。きょうもテレビで見ているんですよ。
 そういう中で考えたときに、私は秋田県という農業の地帯です。隣に座っている升田さんは青森という農業地帯です。たまたま東北で二人座っています。その中で、我々、いろいろな手紙やファクスや、TPPの不安が来ます。その中を少し紹介してみたいと思います。
 よく総理が、農業も世界市場に向けてチャンスがあるんだ、成長産業なんだ、こうおっしゃっています。私も、そういう分野もあると思います。しかし、そういう分野じゃない人たちの心に思いをするということがなきゃいけない。その言葉の中で、TPPに参加しても農業は成長産業になるからと言うなら、国が正当な価格で買って、国が輸出してもうけてくれという言葉もあります。いや、それはできないですよ。できないけれども、そんな気持ちなんです。
 それから、選挙の前になると、前も米の体質強化で二百億出しましたけれども、結果的に、その二百億なんかは、農家の人が使いでが悪くて、結局、百三十億も返しているんですよ。これはしっかりと農業の人たちのことを本当に考えているのか、こう思ってしまいます。
 さらには、大変なことに、例えばコストを下げろということを、機械とかそういうことで、今、自民党がやっています。確かに大事です。私もそれは、機械とか飼料とか肥料を見て、安くすることに努力するということは大切だと思っています。しかし、こういうコストを下げると、また米価が下がるという状況が逆に続いているんですよ。
 だから、総理が、努力しろ、努力しろ、チャンスが、市場が世界にあるんだと言っても、そういうことにしっかり配慮しているかどうか。これは総理、お答えください。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げたのは、まさに衆参の国会決議を盾にしながら我々は交渉していたということは御説明をしたわけでございますが、同時に、まさにそれでもなお残る農業者の方々の不安を受けとめなければならない。
 自民党におきまして、これはお父様が主張しておられましたからよく御存じのとおり、農林部会で相当の議論を行ったわけでございます。そういう議論を行う際には、当然これは農協の方々あるいは農家の方々も出てこられて、さまざまな意見を言われる。そうした意見を受けとめながら、我々、総合的なTPP関連政策大綱に即して、重要品目が確実に再生産可能となるように、交渉で獲得した措置とあわせて、攻めの農林水産業に転換していくための体質強化対策や経営安定対策など万全の措置を講じていくわけであります。
 もちろん、私の地元も中山間地域の農村地帯でありまして、生産性を上げるといっても、中山間地域は確かになかなか大変であります。ただ、大変だといっても、今のままでは確かに、平均年齢も六十六歳を超えていく中にあって、若い人たちがこの分野に自分たちもやりたいと入ってくるようにしなければならないという中から、このTPPをどのように生かしていくかということについて対策をしっかりと打っていきたい、こう考えているわけでありまして、具体的な政策については、必要であれば農林大臣の方からお答えをさせていただきたいと思います。
○村岡委員 私の父のことまで出していただいたので、逆に、安倍総理の父のとき、国対委員長だったときに、部下だったことがうちのおやじがあります。そのころの自民党というのは、農業政策や光の当たらないところに優しかったですよ。やはり財政的に苦しいときは、自民党は、農業や地方に対して、これは今財政が厳しいから頼むよと、安倍総理のお父様の時代は、そういうときにはちゃんと地方に行って説明しましたよ。
 ところが、今は、言葉では、成長産業だ、農業はどんどん成長していく、そしていろいろなチャンスがあると言っているけれども、配慮が足りないんです。だから、農業者が怒っているんですよ。そして、怒りがだんだんと諦めになっている人がいっぱいいるんですよ。そこをわかっていただかなきゃいけない。いたわりがないんですよ。
 やはりしっかりと、農業者は、大きい農家の方々はこれはチャンスだと捉える人はいっぱいいますよ。しかし、小さい農家の人たちは大変苦しんでいますよ。どうしたらいいのかというのを今悩んでいますよ。
 例えば田舎は、農村部というのは鍵を締めていません。それは何でだかわかりますか。防犯がいいだけじゃないんですよ。それは、近くの畑でおじいちゃんやおばあちゃんが耕している。そして、軽トラでお父さんとかお母さんは田んぼに行っている。そういうときに子供が来たり、それからまた近所の人が来たときに、近くにいますから、その中で、防犯も、そしてお祭りも、いろいろな農村を構成しているんですよ。その中の農家の人たち、総理が言うこの農村文化が日本の伝統文化を守っていたというところが今崩壊しそうになっているということを、しっかりそれは認識してもらわないと、やはりちょっと冷たい、こう感じられている。そこはしっかり政策の中でやっていかなきゃいけない。
 農林大臣がどうしても答えたいということですけれども、総理にお聞きします。
○安倍内閣総理大臣 基本的に、まさに私の父も農林水産大臣でありましたが、あの時代と、農業に対する例えば我が党の姿勢は全く変わりがないわけでありまして、私は何回も言っておりますように、農は国の基であります。また、農業を工業と一緒にするという考えはないわけでありまして、地理的な制約、地形的な制約もありますし、天候に大きく左右されるわけでありまして、一年間一生懸命汗を流して作物を育てても、台風とか大きな気候の変動によって、全くこれはゼロになってしまうこともあるわけでありまして、自然とともに寄り添いながら、あるいは時には自然と闘いながら、収穫を得なければいけないわけであります。
 そういう観点のもとに我々は農業政策を進めているわけでありますが、先ほど申し上げましたように、では、このままでいいのかということであります。このままでは、まさに平均年齢が六十六歳を超えているんですから、どんどんどんどんこれは耕作放棄地がふえて、農村は消滅をしていくわけでございます。
 そこで、我々は、TPPだけではなくて、基本的に、攻めの農政で、若い人たちが就農するように、ですから、直近でも、四十歳以下で二万人の方々が、八年ぶりですかね、これは純増、新たに新規就農としては八年間では最も高い数字になってきているわけでございます。こういう状況をチャンスに変えていくことが大切ではないか。
 あと、具体的政策については、ぜひ農林水産大臣からも答弁させていただきたいと思います。
○森山国務大臣 お答え申し上げます。
 今後の日本の人口構成等々を考えますと、やはり農業を成長産業化させていくという視点も非常に大事だと思います。これは産業政策としてしっかりやらなきゃならないと思います。
 もう一方、今委員が御指摘のように、中山間地を含めて、農村、漁村、山村をどう発展させていくか、発展を維持していくかという視点も非常に大事なことでございまして、これは地域政策としてもしっかりやらなきゃいけないと思っています。
 現場を歩きますと、確かに、中山間地を含めて、条件の厳しいところは本当に大丈夫かねとおっしゃる方がたくさんおられます。しかし、中には非常に元気のある地域もございます。私は、そういうところをしっかりと横展開をさせていただいて、頑張っていくということが大事なことだと思っておりますし、先ほども答弁をさせていただきましたが、条件不利地域でありましても、一定の農業農村整備事業をやらせていただくことによって地域が大きく変わっているという先例もたくさんありますので、ここを今からしっかり頑張っていくということが大事なことだと思っております。
 村岡委員のおっしゃるお気持ちもよく理解をできます。しかし、我々は、産業政策と地域政策を車の両輪としてしっかりやらせていただきたい、そう考えております。
○村岡委員 言葉の中では何となく思いをしているようなふうに聞こえるんですが、ところが、私は国会議員になる前、九年間浪人していましたから、回って、気をつけなきゃいけないのは、総理や大臣や現職の議員には比較的本当のことを言いにくいんですよ。農村部の人というのは、非常に心を、相当な地位のある人には言えないというのがある。だから、私のところにいろいろなのが来ます。(発言する者あり)いや、もうそういうのが、ちょっと、褒めたやじに感応しちゃいけないですけれども、そういう思いを本当に受けとめているのか。
 この一つの中には、変化に対応できる農業、今まで猫の目農政で百回も変えられて、もう疲れたよ、ここ十年くらいで、米の、大豆をつくれ、加工米をつくれ、飼料米をつくれ、野菜、果樹、これでもまだかと言っている、もう法人をつくったって、法人だって危ないよと。
 成長産業は私も賛成なんですよ。ところが、そこの配慮が見えてこないんです。キャラバンはやりました。キャラバンは見ました、二百回とか三百回とか。しかし、その中で、東京でやっているのが物すごい多いじゃないですか。そして、地方に行って、秋田も二回ありました。三十人とか四十人とか、それはただ幹部だけ集めているだけですよ。丁寧にやっていない。そして、その部分が、何回やったという数だけで役所の人は言う。そして、人数も総体で言う。
 しかし、農業者の人たちのほとんどはTPPの中身をわかりませんよ。それから、国会議員だって、あの六千ページ、全部読めるなんて大変なことですよ。そういう状況の中というのを、やはり、冷たい、こう感じられていては農業政策はうまくいきません。そこをしっかりと、地方の、そして小さい農家も含めて、そこに説明していくということがなければなりません。我々は、それぞれ地方に行って、しっかりと話していこうと思っています。
 あの安保法案で総理とやりました。総理は安保法案のときに相当説明されたことはわかっています。そのとき、総理は、全国津々浦々まで自民党の議員が、与党の議員がいるので説明している、こう言いましたけれども、私はいろいろな全国の議員に聞いても、余り説明していないんですね。このTPPも説明していませんよ。
 TPP断固阻止というのが高木副大臣かなんかが書いていたと言いましたけれども、そういった人たち、私は今はこういうふうな形でこれに賛成することになった、そしてTPPを説明してきますと。やっていませんよ。総理はやっていますよ。それから、大臣たちもこういう場でやっていますよ。しかし、嫌なことから逃げているんじゃないですか。
 なかなか、そういう姿勢では、総理が目指しているものも、それはいかないですよ。総理がしっかりと議員たちに、自分の与党の議員に、これも説明しよう、説明した方がいい、これはいいことなんだということを勧めていますか。
○安倍内閣総理大臣 政府の説明ぶりについては農林大臣からお答えをいたしますが、党においては、私も、幹事長に対しましても、あるいは広報本部長に対しましても、しっかりと、このTPPについても、あるいは今平和安全法制についても触れられましたが、これはなかなかわかりにくいところがございますので、わかりやすい資料として一応パンフレットをつくり、そしてそれを各議員がしっかりと集会を開いて説明するようにということを指示しているところでありますし、また、各議員も選挙でまさにこれは評価されるわけでありますから、それに向かって当然説明をしていくもの、このように考えているわけでございます。
 私も、例えば、これは総理大臣をやめた後、次の二〇〇九年の選挙までの間については、約三百回ぐらいミニ集会を開いて、なぜ私が辞任に至ったかということについての説明をずっとし続けたわけでございます。政治家は、まさに小さな集会を重ねていきながら、自分の考えを伝え、そしてまた皆さんからいろいろなお話を伺っていき、そしてそれを政策に反映させていく、これが基本であろう、このように考えております。
○森山国務大臣 村岡委員にお答えをいたします。
 TPPが大筋合意をいたしましたときに、総理からの御指示は、現場の皆さんの気持ちに寄り添ってしっかりと説明をするようにという御指示でございました。我々は、その指示を受けまして、全国でいろいろな説明会をさせていただきました。また、補正予算を可決をいただいた時点で、その政策大綱と予算づけについてもずっと説明をしてまいりました。
 また、農林水産省は地方参事官制度を持っておりますので、地方参事官の皆さんにも各農業団体を回っていただいたり、あるいは、地方自治体の首長さんに直接御説明を申し上げてまいりました。また、地方の説明会でいろいろな質問が多く寄せられましたので、それを農水省のホームページにQアンドAとして掲載させていただいて、多くの皆さんに御理解をいただくように努力をしてまいりました。
 ただ、まだまだ説明を続けていかなきゃならないことは重々承知をいたしておりますので、いろいろな機会を捉えて丁寧に説明を続けさせていただきたいと考えております。
○村岡委員 やじの中で、総理が三百回というのはすばらしいと言っていましたけれども、私は九年浪人していたので、十三万五千軒、一戸残らず選挙区は全部回りました。その中でいろいろなことを言ってくる、支持者じゃない人も含めて、この農業問題を心配して全員が来ますよ。その部分をしっかりやはり踏まえなきゃいけないですよ。
 そして、影響調査なんかも、まず影響があるということがあって、そして対策ということなわけですけれども、どうも対策が、その中に見込んで、そしてなるべく額を少なくさせようとしているわけですよ。やはり、影響は影響でちゃんと試算して、その上で対策を立てるという方法じゃなく、なるべく少なく見せておくという方法をとっているから、それぞれ民間がやっている試算と違くなるんですよ。別にそれは、こういうTPPをやったときに影響は正直に言った方がいいですよ。正直に言っていないんですよ。GDPだけはさらに倍にして、四倍ぐらいに前よりもして、そしてこの影響調査は非常に低くしている。
 これは、農林大臣、どう思いますか。いつも前提が違うと言いますけれども、私は正直な数字じゃないと思っています。
○森山国務大臣 前提がいろいろ違うと結果が違うのは当然のことでございますが、対策もやっておりますので、そのことを含んで計算をさせていただいているというふうに思っております。
 また、大学の先生の調査では、例えば、米は三年したらまた市場に出てくるという前提での計算をしておられたり、あるいは、リンゴは果汁とそうでないものも同じ計算をしておられたりするものですから、我々が考えております実態と少し違うなというところが気になるところでございまして、そういうこともしっかりと今からまた説明をさせていただかないと、どっちがどうなのかということは国民の皆さんから見るとわかりにくいと思いますので、なぜこういう計算になっているかということは今後も説明をしっかりしたいと思います。
○村岡委員 TPPに入るときに、自動車のことはすぐさまアメリカと合意して、高い入場料を払った割にいろいろなことを譲歩しなきゃいけなかったんじゃないか、こういうのがやはり農業者の方々にあるんです。さっき言った猫の目行政もそうです。
 そして、米に関しても、これは影響がないという試算を出していますけれども、米で除外する、また隔離するといったら、他国であれば、これは国内に入れないで、援助米とか、そしてそれをODAで出すとか、そういうことで国内に入らせないから隔離というんですよ。中に入ったら隔離じゃないんですよ。それは、例えば飼料米であろうと主食用米であろうと、入ったらもう隔離ではないんです。大臣もよく隔離という言葉を使います。備蓄して隔離しましたと。隔離ではありません。その言葉の定義が間違えているんです。
 国内に入ったら、それはMA米であろうと、それから飼料米であろうと、主食用であろうと、SBSであろうと、これは中に入ったら市場の中に入るんですよ。隔離なんかされていないんですよ。備蓄したって、それは三年で出すとかそういうことになったらだんだんふえていくんです。そして、八万トンずつ需要が減っているわけですから、これは隔離じゃないんです。
 時々、隔離という言葉を使いますけれども、それは農業の人たちは、農業者はそう思っていませんよ。
○森山国務大臣 有事のときに備えて備蓄しております米については、主食米として市場に出回ることはありません。
○村岡委員 国産米は、それは隔離しているけれども、外国産は隔離していないじゃないですか、中に入れちゃっているじゃないですか。それを隔離と言っちゃいけないんですよ。農業者の人たち、それはまた説明がやはり不誠実だなと思ってしまうんです。それは隔離じゃなくて、中に入れてどういう対策をとるか。何かいかにも全く影響がないようにそれを言っているということが不誠実なんですよ。それはやはり考えてほしい。
 それから、牛肉についても、これは関税が相当減ります。その減る中で考えて九割補填にしましたと言いました。この九割補填というのは、大きな農家はこれで何とか黒字になりますよ。小さな農家はなかなか、委員長、うなずいていますけれども、なかなか小さな農家は、牛肉、畜産をやっている人はならないですよ。
 この試算だって、全体で見れば大きい農家がふえていくんだからという試算をしているでしょうけれども、そんなに簡単に、今の繁殖農家、子牛の価格が高くて、そして繁殖農家が投資しているかというと、農業を諦めて、投資しないで、もうけたものを寄せて置いているんですよ。そういう現実があるんですよ。
 だから、一つ一つ品目別に見ると、決して、このTPPによって成長していくからというのは、大きくなった前提があればそれは成長するでしょう。簡単には大きくなりませんよ。そのことを、農林省初め、本当に考えているのか。大きくなった前提で生産もそして価格も維持できると思ったら、大きくなっている前提でやったらそれは違うということを私は指摘しておきたいと思いますけれども、大臣、どう思いますか。
○森山国務大臣 マルキン制度は、村岡委員も御承知のとおり、大型の農家向けの政策だけではありません。これは少頭肥育の農家の皆さんにも生産費をきちっと補填していく制度でありますから、畜産農家の皆さんからは御信頼をいただけると思っています。
○村岡委員 それは、もちろんこのマルキンに関して私もわかっていますよ。しかしながら、これは大きい農家じゃないと、九割補填といっても、それからまた大きい農家もクラスターから何からいろいろな投資をして、投資した結果、これは赤字になる、そして借金を抱える。高齢化している。こういう中でいくと、決して、本当の現場のことをわかってこの予算が立てられるか。
 先ほど言った二百億でも、百三十億を国庫にもう一回返納する、こういう状況ですから、現場を本当に見ているのかな。予算だけつければそれは何となく、大規模な予算をつけるとそれは喜んでくれるだろう。しかしながら、実際には、高齢者の人たちもいて、農業者の人たち、まずは書類が面倒くさくて書けないんですよ。書類が書けないという中で、もう諦めて申請しないという人がいるから百三十億も返ってくるんですよ。その配慮はいまだにされていませんよ。いろいろな申請をして、計画がよくても、それに対して申請する用紙に書けないんですよ。そういう状況があるということを何もまだ配慮していないんです。そういう状況というのは本当に変えなければ農業はうまくいかないです。
 そして、TPPでこれは厳しくなったんですよ。決して農業がチャンスだけじゃない、厳しくなった人たちがたくさんいるということの認識を忘れちゃいけない、こう思っております。
 そして最後に、総理に前の予算委員会でも言いましたが、読売新聞編集顧問の橋本五郎さんのお言葉をもう一度お話ししたい、こう思います。
 秋田県出身で、五十年前に東京に出てきて、冬の季節に布団を干すとき、東京はぽっかぽかで暖かいなと。しかしながら、八十歳のおばあさんがもう毎日のように除雪している。その苦しみに対して、光の当たっていないところに対して、しっかりと心を寄せる、ここが政治の大切なところだと。
 総理は、勢いよく勇ましく、成長産業だ、これからは日本は八億人市場に出ていきますと。確かにそれはいいんです。しかしながら、そう簡単には出ていけないという人にどれだけの光を当て、思いやりを持って、その人たちの子供や孫はさらにこの成長産業に行くという、そこの部分が言葉には足らない、私はこう思っていますので、最後にお聞きします。
○安倍内閣総理大臣 今の村岡委員の言葉、また、橋本五郎さんのお話はしっかりとかみしめていきたいと思います。秋田県の出身の方々はすばらしい方々がいるなと。官房長官もちなみに秋田県の出身でございますが。
 そういう雪の中で育った、さまざまな困難の中で頑張ってきた方々の言葉の重みをしっかりと受けとめながら、このTPPについても、確かにそういう方々が再生産可能かどうかを心配しておられますから、それがしっかりと可能になるような政策を進めていきたい、このように考えております。
○村岡委員 時間が参りましたので終わりますけれども、これからTPP特別委員会、まだ始まったばっかりですけれども、中身をしっかり精査しながら、やはりこのTPPは、相当思い切った形での条約になり、しかしながら農業には大変厳しい面がある。そこをしっかりと、これから我々もそれをチェックし、そしてこれがよりよいものになるために議論を重ねていきたい、こう思っておりますので、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
○西川委員長 次に、柿沢未途君。
○柿沢委員 柿沢未途でございます。
 甘利、フロマン両トップの会談、二十四回、三十五時間にわたるトップ交渉の会談記録がない、全て甘利大臣から口頭で担当官に共有された。関税率の引き下げのような微妙な事柄をさしで詰めていくのに会談の記録をとっていないなんて、こんな話があるか、では、総理にはどうやってそれを説明したんだ、紙なしでブリーフィングしたはずないだろう、こういうふうに我が党のヒアリングで問い詰めたら、今度は、会談記録はないが交渉の前後につくった論点整理のペーパーならある、こういうふうに政府は言い始めたわけであります。しかし、それは出せない。出してきたら黒塗り。どこまで政府は秘密主義なんでしょうか。
 しかも、我が党のヒアリングに、高鳥副大臣そして高木政務官、TPP担当の政務三役いずれも、この黒塗りすら秘密保持契約があって他国との信頼関係の問題となるから出せないと当初は言っておられましたよね。政務として、政治家としての責任を持っての判断だ、こういうふうに高鳥副大臣は断言をしておられた。しかし、強く要求したら、黒塗りといえども出てきたじゃないですか。
 なぜ判断が変わったのかと当の本人に聞こうとしたら、我が党のヒアリングの会合に出ないと言っておられます、副大臣は怒っておられます、こう言って来なかったんですよ。三時間も待ったのに。きのう、高鳥副大臣はこれについて謝罪に追い込まれましたけれども、この対応については与党の政務三役経験者も、高鳥副大臣の対応は恥ずかしいとあきれておられましたよ。
 結局、私は思うんですけれども、高鳥副大臣、高木政務官、TPPを担当しているという当事者意識がないんだと思うんですね。官僚がやっていることを追認し、官僚がつくったペーパーを読んで、ここに署名してくださいと言われて、言われたとおりに署名する、和服で。しかも、交渉の中身もろくすっぽ知らない。こういうことじゃないんですか。
 その証拠に、この論点ペーパーを出す出さないのやりとりをしていたときに、高木政務官は我が党の会合に来られて、出せない、非公開と言われている、誰に言われているかわかりませんけれども。政務として判断してくださいという話をしていたんですけれども、ところで、この論点整理のペーパーを高木政務官は見ているんですか、目を通して判断しているんですかとお尋ねをしたら、見ていないと言うんですね。
 私たちに見せないというのは一万歩譲ってわかりますよ。だけれども、TPPを担当している政務官が、この論点ペーパーの問題について特別委員会に先立ってヒアリングをして、私たちがお尋ねしたら、見ていないと言うんですから。こんなことあり得るんですか。みんなずっこけちゃったんですよ、この話を聞いて。
 高木政務官、この論点整理ペーパー、四十五枚の、私は黒塗りしか見られていませんけれども、このペーパーに高木政務官はお目をお通しになりましたか。お答えください。
○高木大臣政務官 お答えをいたします。
 大筋合意後に私は政務官に就任いたしましたが、その際、合意内容を公表資料に基づいて説明を受けました。その際、その交渉の経緯だとか、あるいは、ある論点についてそれぞれの国の立場がどうだったのか、口頭で説明を受けました。
 これがいわゆるその論点整理メモに相当すると考えて、会合に出席をさせていただいて発言をさせていただきましたけれども、現物を確認しないで出席をしたことは準備不足だったと思います。
 その後、二時間後ですか、確認をさせていただきました。
○柿沢委員 言われて、見ていないと答えて、いわば赤っ恥をかかされて、その二時間後に初めて見た。これが今のTPP担当の政務官の実態ですよ。
 高鳥副大臣もヒアリングにお見えになられて、この論点整理ペーパーを見ましたか、これはおとといだったと思いますけれども、きのう見た、こういうお答えをされていたと思います。(高鳥副大臣「違います」と呼ぶ)いや、お答えされていました。
 では、高鳥副大臣はこの論点整理ペーパーなるものを、いつ、どのような形でごらんになったんですか。
○高鳥副大臣 お答えをいたします。
 論点整理ペーパーがある、そしてその中身も私は見ております。それは、十月九日に着任をして以降、このTPPの内容について事務方から説明を受ける中で、ちょっと日付までは今は突然聞かれましたので正確に思い出せませんけれども、きのう見たとかそういう話ではございません。以前から見ております。
○柿沢委員 率直に言って、私は説明が変わっていると思います。同僚議員も同じ席にいますから。私は、おととい、我が党のヒアリングに高鳥副大臣に初めてお見えいただいて、見たんですか、きのう見た、こういうやりとりをさせていただいた記憶が明確にございます。
 担当副大臣も、また政務官も、ちょっと発言が変わったと思いますけれども、しかし、この論点整理ペーパーなるものについて、少なくとも政務官は、ここまで着任この方、交渉の過程を書類にまとめた、今明らかにされている唯一の紙ベースの資料と言ってもいいこのペーパーに目を通していなかった。これはもうどこまで官僚主導なんだという話だと思います。
 しかも、出てきたものも、こういう形で全く黒塗りなわけです。一枚目のブルネイの交渉会合、四枚のペーパーですけれども、これもタイトルを消して上から張ったもの。はい二枚目、三枚目、四枚目、こういう状態ですよ。こういう、全て真っ黒。
 各国の主張が書かれているそういう内容について、他国との関係で明かせないということは私たちもわかります。しかし、自国が何を主張したか、あるいは、例えばここには交渉品目の項目、こういうことが書かれていると思うんですね。こういうことについては部分的にマスキングを外して黒塗りを外す、こういうやりようは私はあるはずだと思いますよ。こんなふうに全く黒塗りしたら、この中によほど何か都合の悪いことが書いてあるのか、こういうふうに思われてしまうと思うんです。だから全部こうやってかたくなに全て黒塗りにして公開しているのか、こういうふうに疑念や不安を国民に抱かせてしまうと思います。
 先ほど来お話が出ていますが、二〇一三年四月十九日に衆議院農水委員会でTPPに関する決議が行われています。重要五品目を守るとかいろいろ書いてありますけれども、ここにはこうも書いてあります。「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」
 交渉により収集した情報、全然国会にも国民にも明かしていないではありませんか。ぜひこの決議の趣旨にのっとった御対応をいただきたいと思いますが、総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 今も柿沢委員は、我々がこの審議のために必要なものを全く出していないかのごとく、その黒塗りの資料を出されておりますが、交渉の結果、いわば協定は交渉の結果が全てなんですよ。交渉の結果によってまさにTPPにどのように対応していくかということが始まるわけでありまして、経過ではなくて結果なんですよ。
 ですから、この結果にかかわることについては、三月の二十二日以降、延べ十回以上にわたる勉強会で、協定や法案に関する百四十九項目の質問に対して千五百二十九ページに及ぶ資料を提出しているんですよ。なぜそれを議論しないで、我々、交渉の過程については、普通は外交交渉については交渉の過程を公表しませんよ。これは相手が言ったことだけではなくて、こちらがこのように要求したということについて、それを外に出せば、相手の国側が、ではこちらの問いに対してどう答えたのか、こういうふうになってくるわけであります。
 まさに今、世界各国で批准が始まっていくわけでありますが、その交渉経緯を説明している、あるいは公表している国はないというふうに承知をしておりますし、例えばほかの条約等々についても、例えば外務委員会でこれからもなされるでしょうけれども、この交渉の経緯についてこれからそれを説明するということは全く考えていないわけでありまして、それが基本的には常識であるということは申し上げておきたい。相手国の立場もありますし、こちら側の、どのように交渉していくか、どういうスタンスで交渉しながら相手の譲歩を引き出していくかという基本的な姿勢がこれはわかってしまうわけであります。
 今も、TPPは終わりましたが、日・EUのEPAについてはまさにこれは交渉中でありまして、交渉中なんですよ。こちらで交渉しているときに、このTPPにおいてどのような交渉をしているかということを外に出せば、こちら側の交渉は非常に困難になり、そして国益を損なうわけであります。
 かてて加えて、このTPP協定については、秘密保護に関する書簡が他のいわば経済連携協定よりも厳しいものがついているということもありまして、このような形になっているわけであります。
 しかし、これが出ないから議論できないということにはなりませんよ。まさにこれは、我々がお示しをしているこの資料に基づいてちゃんと中身のある議論ができるじゃありませんか。先ほどの村岡さんもそうだし、福島さんも、表に出していないことについては確かに怒っておられましたが、中身について、結構中身のある議論だったと思いますよ、これは。そういう議論をしていくべきなのではないか、このように思います。
○柿沢委員 甘利大臣は、この交渉中の間も、さっき米の話が出ましたけれども、どこを今議論していてどんなことが起きているかということについては、一定程度、みずからの政治家としての判断で明かされてきたことがあったと思います。しかしながら、先ほど大変失礼ながら申し上げましたが、担当の政務官あるいは副大臣がこの交渉経過についてきちんと皆さんと共有できているのかどうかもわからない。そして、一握りの官僚の皆さんがこの交渉については専ら携わっていて、そして結果的に政務にも本当に知らされているのかどうか疑わしくなるような、そういう御答弁をいただいている状況なわけです。
 そして、高鳥副大臣、申しわけないですけれども、私はしかと聞いたつもりですので、何か、この論点整理ペーパーについて、かなり前にごらんになられていたというふうに言われておりますけれども、しかし、おとといの会合では違うことを言っていたと思います。
 こういうことを検証できるかどうかも含めて、真っ黒ではこれはどうしようもないんですよ。ぜひ、こうやって、まさに一国の国益を左右するようなそうした交渉について、きちっと政務の皆さんがハンドリングをしてグリップをしているのかどうか、こういうことについても検証させていただくことが求められているのではないかと思います。
 この論点整理ペーパーなんですけれども、西川委員長、西川委員長も、これ、理事会に提出をされたときに、俺、こんなもの見たことがない、こういうふうにおっしゃられていましたよね。私、ちょっとびっくりしたんです。だって、この論点整理ペーパーが、十四回分あるんですけれども、これは西川委員長が農水大臣に在任中の、その閣僚会合の論点整理のペーパーもあるんですよ、シドニー、北京と。
 これは本当に、委員長、見たことがないんですか。見たことがないとすれば、一体これはどういうものなのかというふうにも思うんですけれども、ごらんになっていないんですか。
○西川委員長 私、委員長という立場で、お答えはしかねます。(柿沢委員「理事会で答えたじゃないですか、自分で言ったんです、誰も聞いていない。おかしいよ、おかしいですよ、それは」と呼ぶ)
 質疑を続けてください。柿沢未途君。(柿沢委員「委員長、自分で言ったことじゃないですか」と呼ぶ)質疑を続けてください。柿沢未途君。
○柿沢委員 委員長、御自分で、誰からも求められていないのにおっしゃった言葉なんです、今の話は。それをここで確認する、こういうことをお尋ねさせていただいたら答えない、これはどういう姿勢なんでしょうか。
 委員長は、同じ理事会、理事懇の席で、政府に対して、出せる資料は出すのが当然だ、委員長として、委員会として政府に要請をする、こういうふうにおっしゃっていますよ。にもかかわらず、みずからが、さっきの本の話もそうですけれども、そうしたことを問われると、いきなり口をつぐんで貝のようになってしまう。これは言っていることとおやりになられていることが違うのではないでしょうか。
 農水大臣が閣僚会合に出る前後にまとめられたそのペーパーを閣僚当時に目を通していない、これは大変面妖な話だと思うんですけれども、これは一体何なんですか、このペーパーは。澁谷審議官。
○澁谷政府参考人 お答え申し上げます。
 閣僚会合の前後、前後というのはいろいろ幅がございますけれども、その時点の交渉の論点について記したものでございますが、日米の閣僚による重要五品目ないし自動車に関する記載はございませんので、総体的にルール面に関する記述が非常に多いのではないかというふうに記憶しているところでございます。
○柿沢委員 つまり、農林水産大臣には見せる必要のない資料だった、こういうことをお答えになられたということですか。
 政府で実際にTPP交渉が行われる前と後に論点整理を行って、総理にもこれを使ってブリーフィングしたということですが、このペーパーについて農水大臣には見せなくていいやみたいなことをやられていたとすれば、TPP交渉というのはどこまで官僚主導だったんですか。澁谷審議官、お答えください。
○澁谷政府参考人 内閣官房において作成をいたしまして、内閣官房の上司である官邸等に御説明をした資料、そういう位置づけでございます。誰かを軽視するとか、そういうことでは全くございません。
○柿沢委員 つまり、これは内閣官房のものであって、例えば農林水産省では農水大臣に論点を記した別のメモ、ペーパーをつくっていた、こういうことになる御答弁ですけれども、そうしたものがあるのかどうか、目を通されているのかどうかについて、森山農水大臣にお伺いします。
○森山国務大臣 内閣官房に一元化しておりますので、私が見ているとか見ていなかったとかという次元の話ではないと思います。
○柿沢委員 この黒塗りのペーパーというのは、そもそも、甘利、フロマン両トップの会談記録を出してくださいと言って、二十四回、三十五時間、さしで交渉していますと。記録はないのかと言ったら、ありません、口頭で伝えられた内容はそれのみですと言われて、そんなはずないだろうと言って、出てきた、これが論点整理ペーパーなるものなんですね。
 そもそも、こんな重要な交渉を紙の記録を残さないで口頭で伝えたということ自体が全く信じがたいと思うんですけれども、しかも、この論点整理ペーパーには、最も注目が高く、最も心配をされている農産物に関する交渉の内容はほとんど書かれていないということですか。こういうことですか。
 では、その記録は一体どこにあるんですか。農水大臣あるいは農水省は御存じだと思いますよ。お伺いします。
○森山国務大臣 農林水産省が所管をいたします部分については、記録は、手続に基づいて、しっかりとして保管をしていると考えております。
○柿沢委員 どういう秘密主義の姿勢なんですか。
 こういう交渉の過程において行われてきた記録について、私たちは出してくださいというお願いをして、マスキング、黒塗りの部分があってもいいですと私たちなりに配慮してお願いをして、出してきていただいたものがこれだった。これは大変不十分で、人をばかにした話だと思いますけれども。
 しかも、これ以外にも、農水省は農水省の記録をきちっと管理し、保管しているというじゃありませんか。
 それについて、一定の配慮のもと、この国会の審議に供するように、ぜひ提出をしていただきたいとお願いを申し上げたいと思いますが、委員長、理事会で御協議いただけないでしょうか。
○西川委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○柿沢委員 澁谷審議官、こういう記録は紙では残していないというのが、何回も何回も私たちが重ねてきたヒアリングでの澁谷審議官の一貫した答えだったと思いますけれども、うそだったということじゃないですか。
○澁谷政府参考人 甘利前大臣とUSTRのフロマン代表が閣僚会合を行ったその記録ないし重要五品目、自動車について閣僚レベルで議論した論点等について記載した文書というものは、内閣官房では記録もしておりませんし保有もしておらないということは、全くそのとおりでございます。
○柿沢委員 国民の皆さん、視聴者の皆さん、こんなこと信じられますか。これだけ、国益をかける、史上最大の自由貿易枠組みの交渉だ、TPPをそういうふうに皆さんの側もおっしゃってこられたと思いますよ。そして、甘利、フロマン両トップの日米の交渉というのは、その中でもぬきんでて重要度の高い、注目度の高いものだったと思います。その記録が政府としてないということを堂々と言われている。その一方で、その交渉をつぶさに見届けてこられた西川委員長は、その傍らで、そうした記録を克明につづった、内幕を明かすと称する本を出される。こういうことが行われている。こんなことで、国会の審議になるはずがありませんよ。
 西川委員長、西川委員長は御自分の判断で資料をこの国会に提出することができると思います。そういう意味で、私たちはもう既に理事会でもお求めをさせていただいていますけれども、そもそも、後年の検証に資するために記録として残すといって出版をされる、当初は四月十九日に発行予定であった、今は五月六日に発行予定になっていますけれども、最終のゲラのチェック中だと西川委員長御自身が理事会、理事懇談会で認められたこの「TPPの真実」なる本の最終チェック中のゲラについて、やはりこの国会に示していただけないと、私たちは今後の国会審議で、本当に後世からの検証をできないまま、このまま審議を続けることになってしまいます。
 委員長において、ぜひ御決裁をいただきたいと思います。
○西川委員長 私は、委員長として、答弁する立場にはありません。きょうのこの委員会は、政府提出の協定、関連法案の質疑においてでありますから、政府に対して質疑をただしていくものと考えております。よろしくお願いします。
○柿沢委員 委員長、後刻の理事会でもこのことは求めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まさにこの黒塗りのペーパーに代表されるような、政府の、今、秘密主義そして官僚主導、こういう姿勢が問われていると思うんです。先ほど来、何でこの話ばかりするんだというような御答弁を安倍総理はされておられますけれども、本当に必要な情報を可能な限りこの国会で明らかにしていく、これは、交渉において収集された情報と決議にも書いてあるわけですから、これを本当に行っていく姿勢があるのかどうか、まさにこのTPP審議に当たっての政府の基本姿勢を問うているわけであります。
 そうした中で、ないと言っていたものが、論点ペーパーならある、そして農水省は農水省で別に記録をとっている、こういうことが尋ねれば尋ねるほど次々に明らかになっていく、こういう姿勢では、一体、本当にできる限りの情報を開示するという姿勢を政府が持っているのかどうかということになってしまうと思うんです。
 農水大臣、今御答弁をされた、農水省として保管をしてきた、このTPP交渉に関連する、農林水産物に関する交渉中の資料をぜひ開示していただきたいと思いますし、委員長にも理事会でそのようにお取り計らいいただきたいと思います。
○森山国務大臣 TPP交渉に関する会合、会談の記録の取り扱いにつきましては、内閣官房にお問い合わせをいただければと思います。私どもの判断で行えることではありません。
 ただ、農水省は、情報管理については適正に対応していることは、そのとおりであります。
○柿沢委員 しかし、それは公文書だと思いますので、私たちが開示の要求をした場合に、それは拒む正当な理由があるようなものとも思えません。これは、後ほど理事会で議論をさせていただきたいと思います。
 先ほどもちょっと話が出ましたが、国際経済分析会合、これは、言ってしまえば、要するに、アベノミクスの行き詰まりを世界経済のせいにして、消費税増税の再延期の口実を得よう、こういう会合のようでありますけれども、ここに、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授、またクルーグマン教授を立て続けにお招きをされています。
 マスコミでは、両先生とも増税中止をアドバイスしたという点がクローズアップされているんですけれども、首相官邸のホームページで和訳されているスティグリッツ教授の資料を読むと、消費税という言葉は一回も出てこないんですね。そのかわりに、指摘しているのは、金融緩和の、いわば一本足打法になってしまっているアベノミクスの行き詰まりなんですよ。
 スティグリッツ教授いわく、深刻な停滞時において金融政策が極めて有効だったことはこれまでにない。また、クルーグマン教授いわく、私たちが今目にしつつあるのは金融政策の限界である、マイナス金利も限定的な効果しかないのが明らかになってきたと。
 会合後の別のインタビューでクルーグマン教授は、アベノミクスは当初こそインパクトがあったが、既にその効果は薄れた、アベノミクスは人々の期待に応えられていない、こういうふうにも語っておられます。
 また、スティグリッツ教授の著書ですけれども、トリクルダウン経済学、つまり、最上位の人の収入をふやして利益が下に滴り落ちる、こういうことを期待するトリクルダウン経済学は失敗した、二〇〇九年から一二年までの収入増加の九一%が、アメリカ国民の最富裕層の一%の懐におさまっている、一%に奉仕するトリクルダウンではなくて、九九%のためのボトムアップの経済政策が必要だ、それが成長の道でもある。何となく、アベノミクスのアンチテーゼみたいなことを延々と書いているようにも思えるんです。
 現下のアベノミクスの状況なんですけれども、このパネルをごらんください。
 日銀の黒田総裁による異次元緩和による株高、円安が、アベノミクスのいわば自慢の種だったわけですけれども、これも現実には、追加緩和を行った二〇一四年十月以降は上がったり下がったりしながら、結果的には、衆議院解散前の水準、それより低い水準に逆戻りを今やしてしまっている状況であります。アベノミクスの信を問う、二〇一七年四月に消費税増税が必ずできるようアベノミクスを軌道に乗せる、再延期はないと断言します、こう言っていたんですけれども、そのときの水準よりも株価も円レートも下回る状況になっているわけです。
 そして、より重要なのは、国民、庶民の消費支出、そして実質賃金なんですよ。実質賃金は青ですけれども、このとおり伸びていません。そして、消費支出は下がっています。この間も申し上げましたが、消費税を八%に上げたときの駆け込み需要でがあんと減った、そのときの消費支出の数字よりも今の方が悪いんです。
 九九%の国民、庶民の景気実感は、それだけ悪くなっているんです。だから、生活防衛的なメンタリティーが世の中を支配して、消費支出の減退につながっているんです。要は、金融緩和の一本足打法のアベノミクスは、ここに来て完全に行き詰まりを見せている。それは、スティグリッツ教授にもクルーグマン教授にも指摘をされているわけであります。
 そこで、成長戦略の切り札とか言って、かつては断固反対と言っていたはずのこのTPPに活路を見出そうとしている、こういうことではないんですか。
 TPPをアベノミクスの成長戦略の切り札、こういうふうに称するに至った理由について、安倍総理にお伺いします。
○安倍内閣総理大臣 私たちの経済政策を大分曲解しておられるようですし、スティグリッツ教授のお話もまた大分曲解をしておられるようですし、また、私自身はTPP断固反対と言ったことは一回も、ただの一回もございませんから、まるで私が言ったかのごとくの発言は慎んでいただきたい、このように思うわけでございます。
 その上で申し上げれば、スティグリッツ教授に私は何回もお目にかかったことがございますし、一番最初に、まだ我々が野党時代に、まさに我々のこの政策、経済政策、三本の矢の政策をスタートしたときに、金融政策も含めてスティグリッツ教授には支持をしていただいております。クルーグマン教授にも支持をしていただいておりますし、スティグリッツ教授は、まさに浜田先生の友人でもあるわけでありまして、今回も浜田先生との関係でお越しをいただいているわけでございます。
 そこで、スティグリッツ教授が言われたのは、世界経済の総需要不足及び気候変動や格差、生産性低迷といった問題について、金融政策のみで対応するのは不十分であり、世界の需要増加のために各国が協調して財政出動が必要。
 つまり、我々は三本の矢の政策であって、一本打法では全くないわけでありまして、金融政策と機動的な財政政策で需要をつくっていく、そして、まさに生産性を上げていくための構造改革を進めていく、成長戦略を進めていくというこの三本の矢には賛成でありますし、また、新たな新三本の矢について、社会政策を進めていく、希望出生率一・八の実現、あるいは介護離職ゼロといった政策についても完全に支持をしていただいております。
 そして、私たちが進めている政策が、いわばトリクルダウンの政策ではないということについてもよく理解をしていただいているわけでございまして、そこは、アメリカの経済についての現状に対する批判と、日本とは違うということは十分にもちろん理解をしていただいた上での発言でございますから、そこはよく考えていただきたい、こう思う次第でございます。
 そこで、実質賃金の話をしておられますが、いわば国民みんなの稼ぎである総雇用者所得でいえば、名目も実質もこれは増加しているわけでございます。そこもしっかりと見ていただきたい、こう思う次第でございますし、GDPについても、この三年間で、名目で二十七兆円ふえてきているわけでございます。
 そこで、税収も、国、地方合わせて二十一兆円ふえているわけでございまして、今、柿沢委員が比較されたのは、安倍政権の中での比較、株価もそうでございますが、これはその前の政権から比べれば、はるかに高い水準にあることは言うまでもないことであります。そのことは申し上げておきたいと思います。
 政治に一番求められていることは、大切なことは働く場所をつくっていくことでありまして、百十万人以上の職をつくり、そして有効求人倍率は二十四年ぶりの高い水準にあって、四十七の都道府県のうち四十六の都道府県において一を超えたわけでございます。これは、前政権、民進党政権というか民主党政権時代は八だったわけでありまして、大幅に改善をしているということは申し上げておきたい、このように思う次第でございます。
○柿沢委員 この御答弁もいささかうつろに響くようになってきたように思いますけれども、私たちは、まさに消費不振によるマイナス成長、生活、老後の不安を解消して、一千七百兆円の個人金融資産を動かす、トリクルダウンからボトムアップへ、こういう方向で政策を打っていきたいと思っています。
 そのために、社会保障の、例えば総合合算とか、あるいは同一労働同一賃金、長時間労働規制、待機児童ゼロ、給付型奨学金、こういうことを提案させていただいてまいりました。こうしたことを随分、安倍総理は最近どうやら取り入れていただいているというか、ぱくっていただいていまして、言ってしまえば、アベノミクスならぬパクリノミクスになっているんじゃないかと思うんです。
 それに加えて、ことし二月、私たちは、今の、まさに軽減税率一兆円が横入りした形での来年四月からの消費税一〇%への増税については認められない、こういう見解を出させていただいています。それに加えて、増税凍結、再延期、これもぱくられるんでしょうかね。ぜひお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
○西川委員長 求めてください、それでは。求めていませんよ。(柿沢委員「質問しました」と呼ぶ)
 安倍内閣総理大臣。
○安倍内閣総理大臣 まさに今私たちの経済政策によって、企業は最高の収益を上げ、国民の所得、賃金も、十七年ぶりの賃上げを行い、そして三年連続のベースアップを行っているわけであります。
 そして、今回は大企業だけではなくて、中小企業の方が大企業よりも賃上げ率は高いということになったわけでありますし、企業においては正規の方々よりも非正規の方々の賃上げを重視したところもあるわけでありまして、まさに我々の政策によってしっかりと底上げは行われているわけでございますし、最低賃金においても、三年連続の非常に高い水準で最低賃金が上がりました。三年間で五十円上がった。今後も三%程度上げていき、そして千円に到達をしていく、これを目標としているわけでございます。
 そして、あらゆる政策を総動員していき、名目GDP六百兆円を目指していきたい、こう思っている次第でございます。
 そしてまた、先ほどおっしゃった実質賃金の話でありますが、私たちは、この三年間の間に三%消費税を引き上げたわけであります。つまり、私たちの政策によって、物価安定目標に従ってデフレから脱却して物価が上がっていく中において、それを超えていく賃上げは実現をしているわけでありますが、残念ながら、消費税については、みんなで社会保障費については分かち合っていこうという中において、消費税を皆様からいただいているわけでございまして、そこは御理解をいただきたい。しかも、消費税を入れ込んでもなお、国民総所得においては、実質においては増加に転じているということも御理解をいただきたい。
 その上において、消費税の引き上げにつきましては、従来から申し上げておりますように、リーマン・ショックや大震災級の出来事が、事態が起こらない限り、予定どおり来年四月に消費税を引き上げていくという考え方に変わりはございません。
○柿沢委員 自信満々で語られた以上、みずからの二〇一四年の衆議院解散のときの言葉をたがえることはないというふうに理解をして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○西川委員長 次回は、明八日金曜日午前八時三十五分理事会、午前八時五十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二分散会