第197回国会 文部科学委員会 第5号
平成三十年十一月二十一日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 亀岡 偉民君
   理事 大見  正君 理事 神山 佐市君
   理事 馳   浩君 理事 村井 英樹君
   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君
   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君
      安藤 高夫君    池田 佳隆君
      上杉謙太郎君    小此木八郎君
      尾身 朝子君    大串 正樹君
      大塚  拓君    小林 茂樹君
      高村 正大君    下村 博文君
      白須賀貴樹君    高木  啓君
      中村 裕之君    根本 幸典君
      福井  照君    船田  元君
      古田 圭一君    宮内 秀樹君
      宮川 典子君    宮路 拓馬君
      八木 哲也君    川内 博史君
      初鹿 明博君    村上 史好君
      吉良 州司君    牧  義夫君
      稲津  久君    中野 洋昌君
      金子 恵美君    高橋千鶴子君
      畑野 君枝君    杉本 和巳君
      吉川  元君    笠  浩史君
    …………………………………
   文部科学大臣       柴山 昌彦君
   文部科学大臣政務官    中村 裕之君
   文部科学大臣政務官
   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君
   経済産業大臣政務官    滝波 宏文君
   経済産業大臣政務官    石川 昭政君
   政府特別補佐人
   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 荒木 真一君
   政府参考人
   (復興庁統括官)     小山  智君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育局長)          永山 賀久君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君
   政府参考人
   (文部科学省研究開発局長)            佐伯 浩治君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君
   政府参考人
   (環境省大臣官房環境保健部長)          梅田 珠実君
   政府参考人
   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君
   政府参考人
   (原子力規制庁長官官房審議官)          片岡  洋君
   政府参考人
   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君
   参考人
   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           守谷 誠二君
   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月二十一日
 辞任         補欠選任
  下村 博文君     安藤 高夫君
  宮川 典子君     高村 正大君
  中川 正春君     金子 恵美君
  畑野 君枝君     高橋千鶴子君
同日
 辞任         補欠選任
  安藤 高夫君     下村 博文君
  高村 正大君     宮川 典子君
  金子 恵美君     中川 正春君
  高橋千鶴子君     畑野 君枝君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
     ――――◇―――――
○亀岡委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、本案に対し、初鹿明博君から、立憲民主党・市民クラブ提案による修正案が、また、牧義夫君から、国民民主党・無所属クラブ提案による修正案がそれぞれ提出されております。
 両修正案について、提出者から順次趣旨の説明を求めます。初鹿明博君。
    ―――――――――――――
 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。
 済みません、風邪で声ががらがらなんですが、お許しをいただきたいと思います。
 ただいま議題となりました原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、立憲民主党・市民クラブを代表し、その提案理由及びその主な内容の概要について御説明いたします。
 本修正案は、現在原子力発電が置かれている状況及び平成二十三年三月に発生した東京電力福島原子力発電所事故において、広範囲にわたり多大な原子力損害が生じたこと等を踏まえ、今後、万が一原子力事故が発生した場合においても、原子力損害の被害者への賠償が十分に図られるよう、被害者の保護に万全を期すること等に改めるための所要の修正を行うものであります。
 次に、修正案の内容の概要について御説明申し上げます。
 第一に、第一条の目的規定から「原子力事業の健全な発達」という文言を削除することとしております。
 第二に、原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解案について、原子力事業者は、その内容が著しく不合理でない限り、これを受諾しなければならないこと等としております。
 第三に、本法律案の附則に、政府は、これまでの原子力事故による損害の額が第七条第一項の賠償措置額を大幅に超えるものであったことを踏まえ、福島第一原子力発電所の事故による損害の額を勘案し、賠償措置額の引上げについて、速やかに検討すべき旨の検討条項を追加することとしております。
 以上が、修正案の提案理由及びその内容の概要でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○亀岡委員長 次に、牧義夫君。
    ―――――――――――――
 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○牧委員 ただいま議題となりました原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、国民民主党・無所属クラブを代表し、その提案理由及びその主な内容の概要について御説明いたします。
 平成二十三年の原子力損害賠償支援機構法の附則及び附帯決議では、原賠法の改正等の抜本的な見直しを講ずるものとしておりました。しかしながら、本法律案では、原賠法の抜本的な見直しとはほど遠い内容となっております。
 そこで、東京電力福島原発事故による甚大な被害を踏まえ、被害者への迅速かつ公正な賠償の実施、被害者への賠償に係る国民負担の最小化、原子力事業者の予見可能性の確保、そして、国が最後まで責任を持ち被害者保護に万全を期する観点から本修正案を提出するものであります。
 次に、修正案の内容の概要について御説明申し上げます。
 第一に、第一条の目的規定について、「原子力事業の健全な発達」を「原子力事業の健全性の確保」に改めることとしております。
 第二に、国は、原子力政策の推進に伴う社会的な責任に鑑み、この法律の目的を達成するため、万全の措置を講ずるものとする旨の規定を追加することとしております。
 第三に、第三条第一項ただし書きの原子力事業者の無過失責任の例外事由について定める規定について、「異常に巨大な天災地変」を「過去に経験したことのない異常に巨大な天災地変」に改めることとしております。
 第四に、第七条第一項の賠償措置額について、現行法では千二百億円と定められているのを二千四百億円に引き上げることとしております。
 第五に、原子力事業者は、原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解案について、その内容が著しく不合理でない限り、これを受諾しなければならないこと等としております。
 第六に、附則において、政府は、この法律の公布後五年以内に、国内外の保険市場の動向、原子力事業者の事業環境の変化、原子力発電所等での事故発生の危険性に対する評価等を踏まえ、第七条第一項の賠償措置額の引上げについて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること等の検討条項を追加することとしております。
 以上が、修正案の提案理由及びその内容の概要でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○亀岡委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○亀岡委員長 この際、お諮りいたします。
 本案及び両修正案審査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長守谷誠二君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官荒木真一君、復興庁統括官小山智君、文部科学省初等中等教育局長永山賀久君、高等教育局長義本博司君、研究開発局長佐伯浩治君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官新川達也君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、環境省大臣官房環境保健部長梅田珠実君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君、長官官房審議官片岡洋君及び原子力規制部長山田知穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○亀岡委員長 これより原案及び両修正案を一括して質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。上杉謙太郎君。
○上杉委員 おはようございます。自民党の上杉謙太郎でございます。
 本日は、質問の機会をいただきまして、委員長、そして理事始め委員の皆様に御礼申し上げます。
 きのうの参考人質疑に続いて、また野党さんからの修正案等もあって、いろいろとお話をしたいことが多々ございます。
 私は、亀岡委員長もそうですし、金子先生もそうでありますし、我々、福島県に住まう者でございます。これは本当に人ごとではない法律案でありまして、今回の改正に当たってはいろいろと、いい点、悪い点、思う点はあります。
 そういった中で、震災が起きて七年八カ月たちました。文科省さんまた内閣府さん筆頭に、専門部会等も開いて、今回の改正に当たってさまざまに議論をされてきた。しかしながら、前向きな部分もある中で、課題も随分残っているというのが正直なところでございます。
 我々福島県民は、被災して避難を余儀なくされ、そういった中で、この賠償というのがある意味最後のとりでであって、国が前面に立って、しっかりと補償の担保、安心感を与えるというのが必要なことであるというふうに考えております。
 そういった中で、今回の改正はポイントが四つありまして、例えば仮払い資金の貸付制度の創設ですとか、非常に評価できる部分もあります。
 最初の質問でありますので、一旦、まずは文科省さんに、今回の改正のポイントについて御説明いただけますでしょうか。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の法改正におきましては、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会におきます検討を踏まえまして、東電福島原発事故における対応のうち、一般的に実施することが妥当なものなどについて所要の措置を講じるものでございます。
 具体的には、第一に、原子力事故が発生した場合に、損害賠償の迅速かつ適切な実施を図るための備えとして、あらかじめ、原子力事業者に対して、損害賠償の実施のための方針の作成及び公表を義務づけます。
 第二に、和解などに基づく本賠償開始前の被害者への賠償を早期に実施するため、原子力事業者による迅速な仮払いの実施を促す枠組みとして、国が仮払いのための資金を貸し付ける制度を創設します。
 第三に、原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続について、時効の懸念によってその利用がちゅうちょされることがないよう、和解の仲介が打ち切られた場合における時効の中断に係る特例を措置します。
 第四に、原子力損害賠償補償契約の新規締結及び原子力事業者に対する政府の援助に係る期限を、平成三十一年十二月三十一日から平成四十一年十二月三十一日まで、十年間延長します。
 これらの改正によりまして、将来、原子力事故が発生した場合における被害者への適切な賠償がより迅速かつ円滑に行われるとともに、原子力損害の被害者の保護を着実に図ることができるものと考えております。
○上杉委員 ありがとうございます。
 専門部会で、三年間、二十回以上にわたって、さまざまな有識者から出た御意見がありました。賠償措置額千二百億円をどうするのだですとか、国の責務の明確化ですとか、いろいろな問題がありました。文科省さんもいろいろ努力されて今回の改正のポイントに至ったというところは評価をしたいと思います。
 特に仮払い資金とかは、やはり今回の法律の改正、またこの法律の大切なところは、安心の担保であると思います。今なお続く我々福島県民の賠償の問題、そしてその他、各地にある原発の立地周辺地域、そこに暮らす皆様に対して、万が一、万が一があってはいけないんですが、万が一があったときのための万が一の賠償の法律でありますから、そこはしっかりと、大丈夫なんだという安心を担保する、これが今回の改正で大事なポイントだというふうに考えております。
 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、まずは、大臣御就任おめでとうございます。
 大臣は聡明でありますし、真面目で、ひたむきで、何よりも優しいお人柄であるというふうに、僣越でありますが、思っているところであります。派閥の議員総会でも、気軽に私のような一年生に話しかけてくれて、その優しい大臣に、これから文部科学行政を牽引されることを御期待しております。
 そんな優しい大臣だからこそ、被災者に寄り添ったこの原賠法の改正、ぜひやっていただきたいというふうに思っております。また、これは十年の適用時限がありますから、必ず通して安心感を与えていただきたいというふうに思っております。
 ぜひ、大臣のこの法案に向かう御決意を教えていただけたらありがたいと思います。
○柴山国務大臣 発災直後は野党でありましたけれども、私は、自民党の青年局の一員として、他の福島の議員の、当時は必ずしも現職ではない方々もいらっしゃいましたけれども、さまざまな形で復興への支援に携わってまいりました。また、私自身、実は父親が福島県の生まれ育ちでありまして、この復興にかける思いは私も非常に強いものがございました。
 今、上杉議員から御説明があったとおり、この改正は、将来、原子力事故が発生した場合に、この福島の事故を教訓として、被害者への適切な賠償がより迅速かつ円滑に行われるために必要であり、その制度設計は、本当に慎重かつ丁寧に議論が積み重ねられた結果、できたものでございます。
 文部科学省といたしましては、本法律案の成立、そして原子力損害賠償制度を通じ、被害者の保護に引き続き全力を尽くしてまいりたいと決意をしているところでございます。
○上杉委員 大臣、ありがとうございます。
 ぜひ私も一緒になって頑張らせていただければありがたいというふうに思っております。
 もともといただきました時間が十分ですので、きょうは質問を随分細かいところまで用意させていただきましたが、なかなか質問できないで終わってしまいそうなので、細かいところを一点だけ教えてください。
 ADRセンターの和解仲介手続についてでありますけれども、やはり被災者に寄り添わないといけないというふうに思っております。しかも、ADRは公平中立な国の機関であって、でき上がった和解案があります、それを東電側も拒否するという事例も多々出ています。浪江町もそうですし、飯舘村の件もそうであります。やはり東電自身も、仲介案を尊重するとうたっている以上は、もうちょっと寄り添ってもらいたいというのが正直なところであります。
 今回提出されました追加の修正案の方でも提言されておりますが、しっかり、このADRの仲介については、これは少し法的な拘束力なり、和解案に対して優位性を持たせるということもひとつ検討に値するというふうに思っております。
 この点について文科省の見解を教えていただけますか。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 ADRセンターの和解仲介案に受諾義務を導入することにつきましては、原子力損害賠償制度専門部会においても検討がなされましたが、拘束力のある手続を利用することを望まない紛争当事者が和解仲介手続の利用をちゅうちょし、紛争解決の迅速性及び簡易性が損なわれて、被害者の早期救済の妨げとなるのではないかという懸念がある、原子力事業者が半強制的に応諾せざるを得ない状況となり、それにより原子力事業者の裁判を受ける権利が制限されることになるのではないかなどの専門委員の意見が表明された結果、現行の規定を維持することが妥当であるとされております。
 一方、東京電力が特別事業計画において和解仲介案を尊重する旨を表明していることが和解仲介手続の実効性の確保に資しているとの観点から、報告書においては、和解仲介手続を被害者が積極的に活用できるよう、賠償実施方針の整備の中で適切に対応することが妥当であるとされております。
○上杉委員 ありがとうございました。
 時間が来てしまいましたので、最後に。
 今回の改正は、前進した部分もありますけれども、しかも十年後の適用期限の延長タイミングというのもありますから、これはこれでいいと思います。しかし、引き続き、課題も多々ありますから、検討部会を始め、いろいろと議論を継続していきたいということをお願いして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○亀岡委員長 次に、中野洋昌君。
○中野委員 公明党の中野洋昌でございます。
 通告に従いまして、早速質問をさせていただきます。
 東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電事故という未曽有の災害がございまして、私も、発災当初はまだ、当時、国土交通省、政府の方で働いておりましたので、まさに、原子力の損害賠償というものについても、各省それぞれどういう形でやっていくのかということに携わらせてもいただきましたし、また、初当選後も、東日本大震災の復興特別委員会にもずっと所属をさせていただいておりまして、復興について何とか応援をしていこうということで、本当にやらせていただいております。
 そんな中で、原子力の損害賠償制度の今回の見直しということでございます。
 実際の東京電力の事故に関しましても、賠償というものはまだ続いておりまして、例えば風評被害の問題もございますし、あるいはADRにつきましても、まだ全部まとまっているという状況ではございません。復興特の方でもそれぞれ、先ほども上杉先生からもお話がございましたけれども、被災者に寄り添ったこういう賠償というものをしっかりやっていくべきであるとるるお願いをさせていただいておりますけれども、改めてお願いをさせていただきたいというふうに思います。
 その上で今回、この原子力損害賠償の制度の見直し、もともとは、平成二十三年の機構の法律ができたときが議論の出発点であるというふうに承知をしております。さまざまな復興また賠償の現状等々を見ながら慎重に検討されてきたものだというふうに承知をしております。
 まず、冒頭ですので、基本的な質問でございますけれども、大臣に、今回の法改正の経緯と、今回の目的は何か、これについて答弁をいただきたいというふうに思います。
○柴山国務大臣 原子力損害賠償制度については、御指摘のとおり、平成二十三年の原子力損害賠償支援機構法の成立時に、国会より、原賠法の改正等必要な措置を講ずるものとして、附則及び附帯決議において検討が求められました。
 これを踏まえた政府の主な対応として、まず、東電福島原発事故の賠償について、迅速かつ公正な被害者の救済のために必要となった原子力損害賠償紛争センターの設置、当該センターにおける和解仲介手続の利用に係る時効中断の特例に関する法律の制定など、組織の整備やその強化を実施いたしました。
 また、平成二十六年四月に閣議決定されたエネルギー基本計画において「現在進行中の福島の賠償の実情等を踏まえ、総合的に検討を進める。」とされたことを踏まえ、同年六月に原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議を設置し、当面対応が必要な事項等について議論を行ってまいりました。その後、同会議より内閣府原子力委員会の原子力損害賠償制度専門部会に対し、原子力損害賠償制度の課題についての検討が要請され、この専門部会において平成二十七年五月から約三年半、二十一回の議論が行われたところです。
 今般の法改正は、この専門部会における検討を踏まえ、東電福島原発事故における対応のうち、一般的に実施することが妥当なもの等について所要の措置を講ずるとしたものでございまして、具体的には、損害賠償実施方針の作成、公表の義務づけ、仮払い資金の貸付制度の創設、和解仲介手続の利用に係る時効中断の特例、原子力損害賠償補償契約の新規締結等に係る適用期限の延長などを行うものでございます。
 これらの改正によって、今後、原子力事故が発生した場合において被害者への適切な賠償がより迅速かつ円滑に行われるものと考えております。
 以上です。
○中野委員 大臣から御説明いただきましたとおり、東京電力の福島第一原子力発電所の事故、その賠償を受けて、原子力災害というのは万が一にもあってはいけないわけではございますけれども、しかし、その万が一に備えて、その被災者、被害を受けられた方を救済していく、しっかり賠償していく、こういうために必要な制度というものをしっかり今回整えるものだというふうに理解をしております。
 参考人質疑も既にしておりますけれども、原子力災害が万が一起きた際の賠償が実際に迅速に、また確実にされていくように、必要なさまざまな措置というものに関しましては、それぞれの参考人の皆様も、特段の異論がない、これはしっかりやっていくべきだ、こういう内容であるというふうに承知をしております。これについてしっかり措置をしていくことは必要である、こういうふうに考えております。
 むしろ、今回改正をしていない、制度を変えていない点についていろいろな議論が集中をいたしまして、それについてさまざまな論点がまだある、こういうふうに承知をいたしました。
 そこで、確認として何点か質問をさせていただきます。
 今回、逆に、変えなかった制度といたしましては、例えば原子力事業者の無限責任である、あるいは責任が原子力事業者に集中をする、こういう責任の範囲につきましては特段の変更がなかった、こういうわけでございますけれども、どのような議論があってこのような結論になったのかについて答弁をいただきたいと思います。
○佐伯政府参考人 原子力損害賠償制度におきます原子力事業者の無限責任や責任集中といった原則に関しましては、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会において検討が行われました。
 無限責任につきましては、検討の中で、民法において無限責任が不法行為の一般原則であるとした上で、専門部会報告書において、仮に有限責任とした場合、被害者保護のための賠償資力を最大限確保しつつ、どのように責任限度額の水準を決定するのか、責任限度額以上の賠償責任を免れて原子力事業者が事業を継続することについてどのように国民の理解を得るのか、有限責任と事故抑止効果の関係をどのように考えるべきかといった課題があり、現行どおり無限責任を維持することが妥当であるとされたところです。
 また、原子力事業者への責任集中につきましては、専門部会報告書において、機器などの資機材供給を行う事業者を免責することにより資機材供給などの取引を容易にし、資機材の安定供給に資する、被害者保護の観点からは、原子力事業者に責任集中することで損害賠償措置に係る保険契約に関して保険の引受能力を最大化することが可能となるという利点がある、被害者にとっては、損害賠償措置が義務づけられている原子力事業者が損害賠償請求の相手方となることが明確になるという利点があり、被害者の迅速な救済にも資するといった観点から、現行どおり、原子力事業者への責任集中を維持することが妥当であるとされたところです。
 加えて、我が国が締結している原子力損害の補完的な補償に関する条約においては締約国に原子力事業者への責任集中が求められていることにも考慮する必要がございます。
 以上のことから、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会報告書において示されたことを踏まえまして、今般の法改正においては、無限責任及び責任集中に係る点は変更しておりません。
○中野委員 もう一つお伺いをしたいのが、先ほど少し議論の中でもありましたけれども、賠償措置額が、今回、今まで千二百億円だったものが変更がない、これが参考人の質疑でも大変に大きな論点になったわけでございますので、これに関連して幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先ほど原子力事業者の責任の範囲については変更はないということで、原則は維持をするということで説明がございました。他方で、参考人の質疑では、大きな議論としては、この賠償措置額、民間の保険等でやはり受けられる千二百億円という額がある一方で、東電の事故の場合は賠償額が既に八兆円を超えている、こういう状況の中で、この千二百億がどうなのか、こういう議論があったというふうに思います。
 今回、原子力事業者、無限責任ということで、引き続き責任を負うということでございますけれども、万が一の事故の際に、どのように確実にこの被害者に対しまして賠償する財源を確保する仕組みというふうになっているのか。これも確認でございますが、お聞かせいただきたいと思います。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 原賠法におきましては、万が一の事故に備え、原子力事業者に対して最大千二百億円の損害賠償措置を義務づけ、賠償のための資金を確保させています。
 具体的には、操作ミスなどによって生じる一般的な損害をカバーする民間責任保険契約と、地震や津波など民間責任保険では引き受けられない自然災害などによる損害をカバーする政府補償契約の締結を基本としております。
 加えて、東電福島原発事故を契機に、原賠法第十六条に基づく国の援助の具体化といたしまして、千二百億円の賠償措置額を超える損害が発生した場合に対応するための原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく相互扶助スキームを整備することで、これまで八兆円を超える損害賠償にも対応してきたところでございます。
 今後、原子力事故が発生した場合におきましても、千二百億円の損害賠償措置と、機構法に基づく相互扶助スキームによりまして、賠償に必要な資金の確保は可能となっているところでございます。
○中野委員 ありがとうございます。
 千二百億円を超える分については機構法のスキームで賠償するんだということで御説明があったかというふうに思います。そういう意味では、事業者間の相互扶助のような仕組みも含めて賠償の額というものを確保していくんだ、こういうことだというふうに思います。
 そういう意味では、この賠償措置額の千二百億円がなぜ変更がないのか、こういうことについていろいろな議論があったわけでございますけれども、この機構法による全体のスキームとの関係というのも含めて議論をしていかないといけないのかなというふうに、私は参考人の質疑を通じて感じたところでもございます。
 他方で、千二百億円、なぜ変わらないのか、こういう大きな疑問もあったわけでございますので、今回、賠償措置額の金額を変えなかった理由、これについても説明をいただきたいというふうに思います。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 賠償のための資金の確保に関しまして、原賠法に規定する千二百億円の損害賠償措置と、先ほどの相互扶助スキームから成る現行制度によって必要な資金が確保できる、既にそういう措置が講じてあるところでございます。
 一方で、原子力事業者にとりまして、相互扶助スキームは他の事業者の動向によって負担の規模が影響を受けるため予見可能性が低いことや、電力システム改革の進展による事業環境等の変化などを踏まえ、損害賠償措置のあり方について検討を行いました。その結果、現段階においては具体的な見直し案を得られる状況になく、千二百億円の損害賠償措置を維持しているということでございます。
 ただ、民間責任保険につきましては、国内外の保険市場の動向を勘案すれば、当面、現行の引受限度額を引き上げる状況にないと考えられますが、国内外の保険市場の中長期的な見通しを更に検討する必要があること、電力システム改革の進展によります原子力事業者間の競争関係といった事業環境の変化を見きわめる必要があるということ、東電福島原発事故後に導入された新しい安全規制への対応や事業者の自主的な取組などにより安全性が向上し、原子力発電所等での事故発生リスクの低減が見込まれており、その評価を見きわめていく必要があることといったことが要因でございます。
○中野委員 先ほど、何点か説明をしていただきました。事業環境の変化を見ていかないといけないというふうな御説明もありました。また、保険市場の中長期的な見通しというのもあろう。あるいは、安全性のところ、今、新規制基準ということで新しい規制基準を導入いたしまして、そしてやっておるわけでございまして、ここについての評価等々ということで幾つかお述べをいただきました。
 しかし他方で、この賠償の措置額、確かに機構法のスキームでしっかりと救済ができるんだ、こういう制度にはなってはおるんですけれども、参考人の質疑をお伺いいたしましても、やはり実際の事故の賠償額というのが非常に巨額になっているという現実がある中で、これはやはり上げるべきではないか、こういう意見が非常に強かったというふうに感じます。
 あるいは、現状なかなか、実際に上げろといっても民間の保険がどれだけ受け入れられるのか、こういうものについてはおのずと限界があるというふうな指摘もあったところでございまして、そういう意味では、上げろといって簡単に上がるわけではないんですけれども、しかし、上げる努力はしていくべきだ、こういう意見もあったかというふうに思います。
 私も、民間の保険の受入れの限度というものは、確かに理由としては非常にわかりますので、直ちにこれを上げろと言ったからといってすぐに上がるものではない、こういう意見も理解はするものではございます。しかし、これだけさまざまな意見があるわけでございますから、これについて引き続き検討をするということでございますので、この中長期的な見通し、あるいは電力システム改革のような事業環境の変化、いろいろなことを述べられておりますけれども、こうした情勢の変化をしっかり踏まえつつ、もし引き上げる、あるいはこういう環境の変化、あるいは、さまざまな努力によってこういう検討をしていくことが可能になれば、私は、これは速やかに見直しはなされるべきではないか、こういうふうに考えております。
 今後の検討をどのような姿勢で取り組んでいくのか、こういうことについて、政府の答弁を求めたいというふうに思います。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 今後の賠償措置額のあり方につきましては、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会報告書の中で、「迅速かつ公正な被害者への賠償の実施、被害者への賠償に係る国民負担の最小化、原子力事業者の予見可能性の確保といった観点に十分に留意しつつ、文部科学省を中心に、引き続き検討を行う」とされております。
 これを踏まえまして、文部科学省においてしっかりと必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
○中野委員 しっかりと検討を行うということでございますので、これは、制度としては十年間ということではございますけれども、十年間このままほっておくということは決してないように、しっかりと検討をしていただきたいというふうに思います。
 最後に、復興庁にも来ていただいておりますので、ちょっとお話をお伺いしたいと思います。
 私も、公明党の方では、福島イノベーション・コースト構想のプロジェクトチームの事務局長ということで、原子力災害という未曽有の災害を被災した福島県、なかんずく浜通り地域、この復興というものを進めていこうということで取り組んでまいりました。
 ですので、復興の特別委員会の方でもさまざま、復興庁にはこうした進捗についてお伺いをさせていただいておりますけれども、今回、原子力損害賠償の法案質疑ということでございますので、この福島県の復興、特に浜通り地域の復興に向けた政府の取組というのを最後にお伺いしたいというふうに思います。
○小山政府参考人 お答えいたします。
 福島県におきましては、避難指示が解除された地域におきまして小中学校の再開や医療機関の開設が進むなど、復興再生に向けた動きが本格的に始まっております。
 しかしながら、一方では、いまだ四万人を超える方々が避難生活を余儀なくされていらっしゃいます。福島の復興再生には中長期的な対応が必要であり、引き続き、国が前面に立って取り組んでいく所存であります。
 復興庁といたしましても、一日も早いふるさと再生と帰還の実現に向けまして、医療、介護、買物環境、教育等の生活環境整備、ロボットやエネルギー等の分野で新たな産業基盤の構築を目指す、今御指摘のありました福島イノベーション・コースト構想の推進、今なお続く風評の払拭、帰還困難区域におけます特定復興再生拠点の整備などに取り組んでまいります。
 引き続き、現場主義に徹して被災地の御意見をよく伺い、被災者に寄り添いながら、復興の司令塔として復興を加速させていきたい、かように考えております。
○中野委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○亀岡委員長 次に、城井崇君。
○城井委員 国民民主党の城井崇です。
 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 今回は、議題となりました原子力損害賠償法の改正案が抱えております、本来は事前にやっておくべき見直しの議論、この見直し議論に必要な課題の解決に向けて、その解決を先取りする我が党提案と照らしながら、大臣と国民民主党修正案の提案者に質問をさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いをいたします。
 まず、国民民主党の修正案について、提案者に修正案の趣旨を幾つかお伺いいたしたいと思います。
 まず、この修正案にも記載のあります目的規定についてであります。
 東日本大震災そして福島第一原発の事故等も踏まえてという状況でございます、原子力エネルギーへの依存を下げていく観点も含めてでありますけれども、「原子力事業の健全な発達」という文言が今回の改正案も含めてもいまだに法律には残る形になっておりますけれども、ここを、私どもの提案といたしましては「原子力事業の健全性の確保」という形に改めるべきだということで、具体的な提案を準備し、修正案として提案をさせていただいたところであります。
 提案者にお伺いします。この改めた趣旨についてお答えをください。
○牧委員 そもそも、「発達」という文言がこの法律の目的になじまないんじゃないかなというふうにまず考えました。
 「原子力事業の健全な発達」という文言は、この原賠法の制定時における、原子力発電事業を保護、育成、推進していきたいという政策が反映されたものだと思うんですけれども、そもそもこの法律の目的というのは、そうじゃないと思います。
 原子力事業を推進する、あるいはしない、さまざまな御意見があることは承知をしておりますけれども、そもそもこの法律の目的というのは、被害を受けた方の救済、保護というのが目的ですから、そのことについて、この「発達」という文言はあくまでも必要ないんじゃないか、健全性を確保すればこれは事足りるというふうに思ってございます。
 したがって、修正案では、「原子力事業の健全な発達」というのを「原子力事業の健全性の確保」と改めることにいたしました。
○城井委員 被害者の救済、保護という観点を置きながらという答弁であったかというふうに思います。
 続いてお伺いをいたします。この国民民主党の修正案の中で、新たに国の責務を規定する部分を設けております。この国の責務規定を設けた趣旨について御説明いただけますでしょうか。
○牧委員 ありがとうございます。
 そもそも、原子力災害については原子力発電事業者の責任というのが第一義であることには間違いない、変わらざるところだと思うんですけれども、しかしながら、この原子力政策というのはそもそも国が国策として進めてきたことでございますから、ここで国には原子力政策の推進に伴う社会的な責任があるということを明確化させておくことが必要であろうと思ってございます。
 国の責務規定を、以上のような理由から設けた次第であります。
○城井委員 国には原子力政策の推進に伴う社会的な責任がある、この点を明確化するためという趣旨ということで確認をさせていただきました。後ほど大臣にも国の責務についてお伺いしたいというふうに思います。提案者、ありがとうございました。
 それでは、ここからは大臣にお伺いしてまいりたいというふうに思います。
 まず、国の責任のあり方についてお伺いいたしたいと思います。今ほど提案者からもお話をいただきました国の責任のあり方についてであります。
 原子力政策は、大臣御承知のように、国策で進められてまいりました。その中心たる国がこれまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っているというものは、言うまでもないことだというふうに考えております。このことを踏まえまして、原子力損害賠償におきましても、政府は国の責任を明確化することの必要性について検討をし、必要な法制上の措置を講じるべきだというふうに考えますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○柴山国務大臣 委員御指摘の国の責任に関しましては、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会の報告書において、「原子力事業者が万全の被害者の救済や迅速かつ適切な賠償を最後まで行うよう、国は、引き続き責任を持って原子力損害賠償制度を適切に運用していくことが重要である。」とされております。
 一方、同専門部会におきましては、国の責任を明確化する観点からの必要な法制上の措置について、法改正を行うことが妥当との結論には至っていないものと承知をしております。
 なお、現行原賠法第十六条及び第十七条において既に必要な国の措置が定められておりまして、文部科学省としては、引き続き、原子力損害賠償制度を通じた被害者の保護にしっかりと力を注いでいきたいと考えております。
○城井委員 大臣、一点だけ、基本的な確認をさせてください。
 これまでの原子力政策は国策で進められてきたという認識は共有できるでしょうか。
○柴山国務大臣 国の産業育成、発展のために国としてもバックアップをしてきたということは事実でございます。
○城井委員 国策で進めてきたというのとバックアップしてきたというのは少々違うと思うんですが、原子力政策そのものは国策で進めてきたという認識でよろしいでしょうか。
○柴山国務大臣 国の原子力基本計画に基づいて進めさせてきていただきました。
○城井委員 原子力基本計画に基づいてという答弁でございましたが、この原子力基本計画の作成とその実行は国策でしょうか。
○柴山国務大臣 そう考えていただいて結構です。
○城井委員 確認をさせていただきました。
 続きまして、「異常に巨大な天災地変」という文言が法律にはございます。この定義、解釈についてお伺いをいたします。
 政府は、原子力の損害賠償に関する法律、原賠法第三条第一項ただし書きに規定する原子力事業者が免責される場合について、「異常に巨大な天災地変」が広く解釈されないよう、この文言の削除を含め抜本的な見直しを行うべき、こうした意見がございます。
 大臣、この「異常に巨大な天災地変」につきまして、政府としての現在の定義、解釈を確認したいと思います。これまでも国会答弁がありますけれども、今回の審議に当たって、いま一度、基本部分でありますので、確認をさせてください。
○柴山国務大臣 原賠法第三条第一項ただし書きにおいて、損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、当該損害を与えた原子力事業者は免責されるとしておりますが、この免責事由は、立法過程において、ほとんど発生しないような超不可抗力、人類の予想していないような大きなもの、全く想像を絶するような事態であると説明されております。
○城井委員 もう少し具体的に確認を申し上げたいと思いますが、これまでの国会答弁で、関東大震災の三倍を超えるものというのを想定していたというふうに承知をいたしておりますが、この具体的な部分について、大臣、いま一度お答えいただけますか。
○柴山国務大臣 今御指摘があった関東大震災の三倍を超えるものという免責事由に関する過去の答弁は、かなり以前の、昭和三十五年当時の答弁であるかと思いますが、何を基準に比較したのか明確ではなく、一つの説明の例にすぎないと承知をしております。
 先ほど説明させていただいたとおり、免責事由については、ほとんど発生しないような超不可抗力、人類の予想していないような大きなもの、全く想像を絶するような事態であると立法過程の段階から一貫して明確に解釈をされており、それに基づいて、東日本大震災についてもこの免責事由の適用がないというように判断されたところでございます。
○城井委員 今ほどの関東大震災のというのは、国会での正式答弁でありまして、単なるそこら辺で聞いた説明ではないということは付言をいたしたいというふうに思います。
 大臣、今のはかなり古い国会答弁であるというのは私自身も認識をしておるわけでありますが、では、この定義と解釈について、今ほどの説明ですと、具体的なそうした基準の部分には触れずにという形になりましたけれども、過去の答弁から今ほどの表現された部分について変わっていると思いますけれども、この見直し、どのように行ったのか。今の答弁に固まった経緯をお話しいただけますか。
○柴山国務大臣 大変お待たせして失礼をいたしました。
 今御指摘の、免責の範囲を変更すべきかという点についてでございます。
 原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会の報告書においては、被害者の保護という法目的に照らして、免責事由は、いわゆる我々が法学上利用している不可抗力という概念よりも更に狭い非常に希有な場合に限定されていること、そして、国際条約において、我が国が批准する原子力損害の補完的な補償に関する条約、いわゆるCSCでは異常に巨大な天変地変は免責が認められていること、この二つを踏まえて、現行の規定を維持することが妥当であるというように結論づけられておりまして、文部科学省でも同様に考えております。
○城井委員 今ほど大臣から御説明いただいた説明に照らしても、そして過去の国会答弁での基準に照らしても、現状は見合わない形になっているのではないかというふうに感じております。
 このたびの改正案に対しまして我が党から修正案を出させていただいた中で、「異常に巨大な天災地変」を「過去に経験したことのない異常に巨大な天災地変」と改めるべきだという提案をさせていただきました。
 今ほどの答弁に照らしても、そして、過去の国会答弁で、関東大震災の三倍を超えるものを想定していたという答弁に照らしましても、大変悲しい出来事でございました東日本大震災の発生によって、既にそうした想定は超えている事態が起こっているというふうに認識をしております。事実、実態に見合わない状況が続いております。
 大臣、我が党提案の形、「過去に経験したことのない」という文言を加えての法案修正をすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
○柴山国務大臣 今、現行法の「損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるとき」の意味は、立法過程の段階から、ほとんど発生しないような超不可抗力、人類の予想していないような大きなもの、全く想像を絶するような事態であると説明をされており、そういう意味では、十分明確なものとなっていると考えます。
 また、東北地方太平洋沖地震においては、過去に発生した地震と比較した結果、人類の予想していないような大きなもの、全く想像を絶するような事態には該当しないと解されたため、免責規定は適用されないとされたものでございまして、これにより、免責規定の解釈が、あのようなマグニチュード九クラスのものであっても免責されないんだという意味では、更に明確になっていると考えられます。
 これらのことから、文部科学省としては、免責事由の文言を修正するほどの立法事実はないものと考えております。
○城井委員 一点だけ確認をさせてください。
 では、大臣、東日本大震災は、その災害の規模などを含めて、政府の想定の範囲内であったという認識に大臣はおられるということでよろしいでしょうか。
○柴山国務大臣 先ほどマグニチュード九クラスということを申し上げましたけれども、過去において、世界の巨大地震、例えばあのチリ地震、一九六〇年では、マグニチュード九・五クラスのものもございました。
 ということで、過去の巨大地震に比べればそういった超不可抗力といったものには当たらないということで、我々がこの法律の適用対象としているということは、繰り返しになりますが、言えるかというように思います。
○城井委員 では、東日本大震災は政府の想定の範囲内だったということでよろしいでしょうか。
○柴山国務大臣 少なくとも、全く想像を絶するような事態ではなかったということは言えると思います。
○城井委員 大臣、被害の大きさのはかり方はさまざまな尺度がございますが、先ほど過去の国会答弁でも御指摘を申し上げた、関東大震災の三倍を超えるものを、マグニチュードのクラスでは超える事態が東日本大震災では起こったという意味では、我が国にとって過去に例がない極めて異常な、そして巨大な天災地変であったという受けとめは、多くの日本国民の共有するところだというふうに思っております。そういう意味で、実態にかなり合わないということは確認させていただきたいというふうに思います。
 次に参ります。
 原子力事業にかかわる関係者の責任のあり方について質問いたします。
 原子力損害賠償に当たり、広く国民負担を求めることとなる場合には、原子力事故を起こした原子力事業者の法的整理等により、当該原子力事業者の株主、金融機関等の利害関係者に公平な負担を求めることを含めて、責任のあり方について検討し必要な措置を講ずる、検討すべきと、我が党からの提案の中で、こうした趣旨を申し上げております。
 この責任のあり方について、大臣、お答えいただけますか。
○柴山国務大臣 今の責任のあり方についてでありますけれども、さまざまな可能性は指摘をされてきたところでありますけれども、少なくとも、事故事業者が破産等によって法的に整理された場合には、既に実施されている被害者への賠償、事故収束、廃炉の着実な実施、電力の安定供給などに支障が生じて国民生活及び国民経済に重大な支障を生じさせるおそれがあるため、原賠・廃炉機構法による資金援助によって事故事業者の破産等を回避し、将来の収益をもって賠償、廃炉の責任を果たさせることが、結果として国民負担の最小化に資すると考えたところでございます。
 その上で、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会の報告書においては、法的整理によって株主、金融機関等の利害関係者に公平な負担を求めるべきであるとの指摘があることを指摘した上で、「法律上は、原子力事故を契機として会社更生手続等の法的整理を原子力事業者自身が選択する可能性を否定できない。」として、「国は、見直し後の原賠制度において対応可能な事項、対応困難な事項等を整理し、万が一の事態に備えておくことが重要である。」というふうにされております。
 これを踏まえて、文部科学省としては、法的整理や利害関係者の負担に関する考え方について、必要な対応について検討してまいります。
 ですので、そういった、今申し上げたようなことは、しっかりとオプションに加えた上で検討を進めさせていただいているということでございます。
○城井委員 オプションに加えてということで、確認をさせていただきました。
 続きまして、損害賠償措置のあり方についてお伺いいたしたいというふうに思います。賠償措置額の件であります。
 本日も、公明党の委員さんから、この引上げについての言及もございました。これは各党の関心の高いところかというふうに思っております。
 この損害賠償措置のあり方については、東京電力福島原発事故による甚大な被害を踏まえまして、被害者への迅速かつ公正な賠償の実施、被害者への賠償に係る国民負担の最小化、原子力事業者の予見可能性の確保といった観点から、現行の一千二百億円以内の賠償措置額の引上げを含めて、抜本的に見直すべきだという意見があります。
 私どもも、事業者等からの聞き取りや過去の賠償金額の引上げの経緯なども踏まえまして、我が党からも、今回の修正案の提案の中で、現行の賠償金額からの上限引上げに言及をいたしております。
 引上げの際に、民間保険会社が増額分の保険を引き受ける準備が整うまでは、引き続き一千二百億円を措置すれば足りる旨の政令を定めることが可能としております。閣法の附則第八条を踏まえての提案であります。
 さらに、我が党提案では、検討条項の追加として、政府は、この法律の施行後五年以内に、国内外の保険市場の動向、原子力事業者の事業環境の変化、原子力発電所等での事故発生の危険性に対する評価等を踏まえ、第七条第一項の賠償措置額の引上げについて検討を加え、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると提案をいたしております。
 この狙いは、中長期的な見通しを踏まえて、今は変えられませんではなくて、ぎりぎりまで、引上げできるか、どこまでできるか、この努力を促したい、こうした狙いが私どもとしては強くございます。
 先ほど申しましたように、ここは各党会派をまたぐ形で、引上げについてどこまで努力ができるだろうか、現実は踏まえたい、でも引上げには至りたい、この部分をぎりぎりまで努力したい、こうした趣旨でございます。
 この損害賠償措置のあり方について、このように賠償金額の引上げを含めて今後抜本的に見直すことについて、大臣、国のお考えはいかがでしょうか。
○柴山国務大臣 原賠法第七条に規定する損害賠償措置につきましては、賠償措置額の国際水準及び原子力損害賠償責任保険に関する国内外の保険市場の引受能力を踏まえて、平成二十一年改正による一千二百億円に至るまで、それまで数次の引上げを御案内のとおり実施してきました。
 しかし、今般の法改正に関しては、現時点における賠償措置額の国際水準及び保険市場の動向を踏まえ、責任保険の引受限度額を引き上げ得る状況にはないと判断をさせていただきました。
 賠償措置額については、迅速かつ公正な被害者への賠償の実施、被害者への賠償に係る国民負担の最小化、原子力事業者の予見可能性の確保といった観点も踏まえつつ文部科学省を中心に必要な検討を行いますけれども、民間保険市場の引受能力が整う見通しも現時点では不透明であることを踏まえれば、今御提案のあった、政令で経過措置的な規定を置くことも必ずしも適切ではないのかなというように考えております。
 なお、先ほど事業者への聞き取りということについて言及をしてくださいました。民間責任保険の支払い限度額の引上げ余地については、平成二十八年十月から累次にわたって日本原子力保険プールを始めとする関係事業者との交渉を行ってまいりましたけれども、引上げ余地があるとの回答は得られなかったところでありまして、今般改めて関係事業者に確認をとったところ、やはり現時点で支払い限度額の引上げが可能であるとの認識は持っていないというように私どもは回答をいただいております。
○城井委員 大臣、この点、ぎりぎりまで努力をいただきたいということを改めてお願いしたいというふうに思っております。
 一千二百億円ということで金額がとどまりますと、実際に、東日本大震災そして福島の原発事故の折の賠償の、現在見えている実際の総額のところでいいますと、最新の数字で十兆円を超えるという形になっております。一千二百億円ですと、一割前後という形であります。残りの部分は国が仕組みを整えて責任を持ってということを政府の説明ではおっしゃるわけですが、実際には電力会社の相互扶助で賄うというのが実際の仕組みになっているというふうに思います。この相互扶助ですと、電力会社が負担をするとなりますと、結果として電気料金にはね返ってくるという意味では、回り回って国民の負担になるという形であります。
 先ほど大臣も国民負担の部分については言及いただきましたけれども、国民負担は最小化していくべきという観点に立ちますと、電気料金にはね返っていくというところをやはり慎重に考えるべきではないかというところ、この点を考えるべきだというふうに思いますけれども、大臣、最終的に電気料金にはね返っていくという現状認識を含めて、お考えはいかがですか。
○柴山国務大臣 今回の原子力・廃炉支援機構のスキームにせよ、それから今御指摘になった電力料金の負担にせよ、御指摘のとおり国民負担ということにはつながってくるのかなというふうに思います。ですので、事業者が負担したから国民負担が減るというふうにストレートにはつながらないのではないかなというふうに思います。
○城井委員 この国民負担という部分はぜひ認識、意識をしながら行政執行を進めていただきたいというふうにお願いしたいというふうに思います。
 さて、続いて、原子力損害賠償制度における国の措置のあり方についてお聞きをいたします。
 原子力損害賠償請求に係る訴訟については、被害者の迅速な救済を図る観点から、アメリカ合衆国におけるクラスアクションのような団体訴訟制度の導入について政府は検討すべきとの意見があります。これは、当委員会の参考人質疑でも確認をさせていただいたところであります。
 我が党におきましても、原子力損害賠償制度における国の措置のあり方等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると提案をいたしました。このクラスアクションのような仕組みを念頭に置いた提案であります。
 こうした原子力損害賠償制度における国の措置のあり方の改革の方向性についての大臣のお考えをお聞かせください。
○柴山国務大臣 実は、原子力損害賠償請求に係る訴訟に関して、被害者救済の観点からクラスアクションを導入するべきではないかという点については、原子力損害賠償制度専門部会において検討が行われました。
 ただ、その結果、専門部会の報告書においては、クラスアクションの導入は、我が国の司法制度全般のあり方とも密接に関係する事項であり、また、御案内のとおり既に導入されております他の団体訴訟の施行状況等を踏まえて、将来的な検討課題とすることが妥当というふうにされたところでありまして、文部科学省としても同様に考えております。
○城井委員 この原子力損害賠償以外の部分で、専門部会での検討時にぶつかった部分があったということですが、もう少し詳しくお聞かせいただけますか。
○柴山国務大臣 具体的には、専門部会の報告書の中に以下のような記述がございます。「原子力損害賠償請求に係る訴訟に関して、例えば、アメリカのクラス・アクションに対応する仕組みの導入についての指摘があるが、我が国の司法制度全般の在り方とも密接に関係する事項であり、また、他の団体訴訟制度の施行状況等を踏まえ、将来的な検討課題とすることが妥当である。」こういう記述でございます。
○城井委員 その将来的な検討は、どちらで行っていただけますでしょうか。
○柴山国務大臣 原賠制度の所管は文部科学省でございますので、当省においてまた検討させていただければと思っております。
○城井委員 では、検討をしっかりとよろしくお願いいたします。
 続きまして、ADRの改善の方向性についてお伺いいたしたいと思います。
 この原子力賠償におけるADR、二万件の取扱いが全部裁判になっていたらという心配の声もあり、そういう意味では相当に大きな役割を果たしてきたということを関係者からも伺ってまいりました。
 しかし、その一方、このADRが進まないことに苦しんでいる当事者が東日本大震災の被災者にいるということも同時に伺っております。改善の必要性があるのではないか、何か方法はないのかという思いであります。
 政府は、原子力損害賠償紛争審査会のもとに置かれた原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解案について、東京電力はその内容が著しく不合理でない限りこれを受諾しなければならないこととする等の、東電福島原発事故に係る損害賠償における和解仲介手続の実効性を確保する法制上の措置を講ずるべきとの意見があります。
 我が党におきましても、原子力事業者は、原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解案について、その内容が著しく不合理でない限り、これを受諾しなければならないこと等とする提案を出しました。片面的受諾の規定として、金商法を参考に条文案とスキームを書き起こしたものであります。
 こうしたADRの改善の方向性について、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○柴山国務大臣 ADRセンターの和解仲裁案に、今御紹介をいただいた片面的受諾義務を導入することは、原子力損害賠償制度専門部会においても検討がなされました。
 しかし、拘束力のある手続を利用することを望まない紛争当事者が和解仲介手続の利用をちゅうちょし、紛争解決の迅速性及び簡易性が損なわれて、かえって被害者の早期救済の妨げとなるのではないかという懸念があること、原子力事業者が半強制的に応諾せざるを得ない状況となり、それにより原子力事業者の裁判を受ける権利が制限されることになるのではないかなどの委員の意見が表明された結果、現行の規定を維持することが妥当であるとされております。
 ただ、今回の改正案におきまして、原子力事業者は、損害賠償実施指針において、原子力損害の賠償に関する紛争の解決を図るための方策を定めなければならないこととしておりまして、この中で、ADRセンターによる和解仲介への対応の方針についても記載をしていただくということで、和解仲介手続の実効性の確保を私どもとしては図ってまいりたいと考えております。
○城井委員 今、大臣から最後の方でおっしゃっていただいた実効性の確保の部分でありますが、ADRの改善の方向性の提案をしておりますのは、実際に当事者同士がぶつかった、あるいは、手続の受入れの検討が長引いて結果として受け入れなかったというような形で、ぶつかっている紛争そのものが長期化してしまうことで立場の弱い被災者にそのしわ寄せが行ってしまっている、こういう現状があるので、ここを改善できないかというのがこの提案の中身の肝心のところなんです。
 今の実効性の確保、書き込んでいただくというお話がございましたけれども、長期化させないための仕組みがそこに盛り込まれなければ改善には至りません。紛争解決までの長期化を防ぐ手だてがそこに書き込まれるかどうかという点、大臣、確認をいたしたいと思いますが、この点をお答えいただけますか。
○柴山国務大臣 貴重な御指摘でございますので、そういったことがうまく読み取れるような規定ぶりについて、省令でしっかりと検討させていただきたいというふうに思います。
○城井委員 省令検討ということで、しっかりお願いしたいというふうに思います。
 続きまして、提案者にも確認をさせていただきました原子力損害賠償法の目的規定について、一点お伺いをいたします。
 政府は、原賠法の目的規定のうち、原子力事業の健全な発達に資することについては、今後、被害者の保護や、つまり、賠償をやり遂げる観点、そして原子力事業の健全性を確保する観点、こうしたことが重要だという考え方から、私どもからは、原子力事業の健全性の確保に改めるべきではないか、このような提案をいたしております。大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○柴山国務大臣 原賠法は、「被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資すること」が目的とされておりまして、この原賠制度の目的について、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会において議論、検討が行われました。
 その結果、報告書においては、「原子力事業者が適切な賠償を行い、被害者の保護を確実に行うためには、原子力事業者の予見可能性の確保と事業の円滑な運営にも留意する必要があり、これらをもって、国民生活の安定と国民経済の健全な発展に寄与する」として、目的規定を変更するべきとの結論には至らなかったと承知をしております。
 さらに、原子力事業の健全な発達の視点については、発電事業者やメーカーなどのみならず、東電福島原発事故の事故収束や廃炉などを進めていく上でも重要であると認識をしております。このため、私ども文部科学省としても、原賠法一条の目的規定については、現状を維持することが妥当であると考えております。この「健全な発達」には、健全性の確保ということも読み取れるのではないかと考えております。
○城井委員 時間が限られておりますので、最後の質問になろうかというふうに思います。
 最後に、原子力事業にかかわる人材の育成の確保について、この機会に大臣と議論をさせていただきたいと思います。
 原子力事業にかかわる人材は、養成や採用、そして現存の人材を含めて減少の一途をたどっております。東日本大震災の前から、この減少傾向は変わっておりません。
 時間がなくなってまいりましたので、本来でしたらこの二十年での変化を大臣からお答えいただきたいと思っておりましたが、かなり減っているというところを大臣も確認いただいているというふうに思いますので、最後の質問で聞きたいのは、原子力発電所等の安全性の確保、そして廃炉等の技術革新の必要性を考えますと、国による研究開発を始めとする原子力にかかわる人材の育成と確保は不可欠であると考えます。
 中長期的な人材育成、確保について、具体的な政府の見解を大臣から最後に伺いたいと思います。
○柴山国務大臣 極めて重要な御指摘だと思います。
 具体策として、文部科学省では、大学や高等専門学校等において、福島第一原発の廃炉に資する基礎的、基盤的研究や、学生などを対象とした講義、研修等の実施、原子力関連教育のカリキュラムや講座の高度化、国際化などを通じ、原子力分野の人材の育成を支援する取組を進めてまいります。
 以上でございます。
○城井委員 終わります。ありがとうございました。
○亀岡委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。
 原賠法の目的は、被害者の保護を図り、原子力事業の健全な発達ということでありますが、私は、二〇一一年、原発事故が発生した福島県の人間として、まさに当事者として、きょうここで質問させていただきたいというふうに思うんですが、まず冒頭、原子力事業が健全な発達を遂げてきたかということに疑問を呈したいというふうに思っています。
 冒頭申し上げなくてはならないのは、原発事故は二度と起こしてはいけないということで、また、事故が起こることを想定して、事故に備えるために、それを前提としてきょうこのように議論をするということは、被害者の一人としても大変苦しい思いであるということを申し上げさせていただきたいと思います。
 東日本大震災、原発事故が発生してから七年八カ月以上がたっても、先ほどもお話がありましたけれども、四万人以上の方々が今避難をしているという状況であります。帰還困難区域を残し避難指示が解除されましたが、まだまだ、ふるさとの再生とそして人々の生活再建には時間がかかります。
 そしてまた、原発の廃炉作業が進められていますけれども、この廃炉への道のりというものも本当に長いものになっていきます。大変長い道のりとなっています。見通しすらついていないと私は思います。そもそも、廃炉の技術すらなかったからです。
 一度原発事故が発生したら、取り返しのつかないことになる。原発は安全でしょうか。原発被害者の一人として、原発そのものをなくして、そしてまた、原発事故、原発の原子力損害そのものをなくしていかなくてはいけない、そういう方向で我が国が動いていくべきだと私は思います。福島の教訓をぜひ生かしていただきたいと思います。
 そこで、柴山大臣にまずお伺いしますが、原子力は安全なエネルギーでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 そしてまた、きょうは滝波経産大臣政務官もおいででございますけれども、我が国の政策の中で、なぜ原発が重要なベースロード電源なのか、続けてお伺いしたいと思います。
○柴山国務大臣 今御説明があったとおり、東京電力福島第一原発事故の経験、そして真摯な反省、教訓を肝に銘じて、安全性の確保に取り組まなければいけないと文部科学省としては考えております。
 原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、この規制委員会によって世界で最も厳しい水準の規制基準にて審査が行われ、その判断を私どもとしては尊重することとさせていただいております。
 あわせて、今後、原子力の安全性向上のための研究開発や人材育成にしっかりと取り組んでまいります。
○滝波大臣政務官 お答えいたします。
 原子力につきましては、安全確保が大前提でありますけれども、資源に乏しい島国である我が国にとって安定、安価な電気の供給、気候変動、環境問題への対応、エネルギー安全保障を考えた際に、責任あるエネルギー政策を実行するためには、現実的に欠かすことのできない重要な選択肢であると考えてございます。
 こうした中で、原子力発電所につきましては、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査をし、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原子力発電所については、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針でございます。
 なお、ベースロード電源につきましては、発電の際の運転コストが低廉で安定的に発電することができ、昼夜問わず継続的に稼働することができるという特性を持つ電源の総称でありまして、地熱や流れ込み式水力、石炭とともに原子力もこれに該当すると整理されてございます。
○金子(恵)委員 滝波政務官おっしゃっていただいたように、ベースロード電源、安定的に低コストで供給できる、そういう電源だということでありますけれども、じゃ、実際にこれが本当に低コストであるかどうかという議論が、もっとしっかりとされなくてはいけないというふうに思います。
 一度このような事故が発生した場合にどれだけの賠償というものが発生するかということも含めて、そしてまたさらに、先ほどから原子力の安全性について、あるいは原発の安全性についてというお話があったんですけれども、田中俊一前原子力規制委員会委員長は、適合性審査に合格したからといって安全とは申し上げないと明言していらっしゃいます。何度も明言しているということであります。本当に安全なエネルギーなのかという議論、本当になされてきたのでしょうか。
 そのことについて何かありましたら、滝波政務官、もう一度お願いします。
○滝波大臣政務官 安全の追求には限りがないというふうなことかと思ってございます。
 福島の事故によって我々が思い知らされたことは、ゼロリスクというのは世の中にはない、常にそこにリスクがあって、そのリスクを少しでも減らしていく、そのことに全力を挙げなきゃいけないということかというふうに考えてございます。
 規制委員会の新規制基準対応、もちろんこれはきちんとやっていかなきゃいけないことだと思いますけれども、それがクリアされたから終わりということではなくて、常に、事業者も、また国も関係者も安全対策を、更にリスクを低減するように頑張っていく、その努力を惜しまないということかと理解してございます。
○金子(恵)委員 原子力発電、原発を重要なベースロードと位置づけている、国がそのように位置づけたということで、電力会社はそれに応じて原発を運転しなければならないという状況、これは国策民営ということです。
 その事故のときには電力会社だけでなく国も責任を負うべきだ、国が前面に出て責任を負うということ、それについては否定的な立場ではないのですけれども、ただ、問題になるのは、電力会社は、原発は安全で安いとまず主張する、そして、経産省もそれを前提にして重要なベースロード電源と位置づけました。
 ところが、一旦ベースロード電源というふうに位置づけられると、電力会社は今度は、原発を維持するためには、国に言われて維持せよということだというふうに理解しているんだと思いますけれども、事故の損害賠償額が少額に抑えられないと、リスクが大き過ぎて誰も運転できないというような話になっていきはしないかという懸念があるわけです。
 そして、損害賠償の上限を設けて、それを超えたら国が責任をとることになるというような、そうすべきだという議論になっていくのかどうか、そういうところも今まできちんと議論がされてきたのかということだと思うんです。
 ここで矛盾に感じるのは、やはり本当に非常に安全で、それが客観的に評価されているというものであれば、実際には損害賠償責任保険の上限をなくしても保険料は大して高くならないはずである。そして、それを含めても原発はほかの電源より安くならなければ、原発は本当に安い電源だというふうには言えないのではないか。
 そして、もし保険料が高過ぎて事業として成り立たない、そういう議論があるのであれば、それは保険会社が原発は十分に安全ではないというふうに判断していると言えるのではないかというふうに思います。つまり、原発は危ないから保険料は高いということになっていくのではないかというふうに思います。
 この間、原子力損害賠償制度専門部会で、そういうことも含めてしっかりと議論がなされてきたのかということを伺いたいと思います。
 平成二十七年五月十三日に設置されたこの部会でありますけれども、どのような論点を中心に議論がなされたのか、お伺いしたいと思います。
○柴山国務大臣 専門部会では、平成二十七年五月以降、二十一回の会合を開催し、検討が行われたと伺っております。
 その論点についてでありますけれども、被害者に対してどのように迅速に適切な賠償を行うか、賠償制度における官民の適切な役割分担をどうするかといった観点から、原子力事業者の責任の範囲、損害賠償措置のあり方、損害賠償手続のあり方などについて、慎重に議論を重ねていただいたと承知をしております。
 こうした原子力損害賠償制度全般にわたる専門的かつ総合的な議論が幅広く行われてきた結果、被害者の迅速かつ適切な賠償が図られるよう、本年十月に原賠制度の見直しについての報告書を取りまとめていただきました。
 なお、今、金子議員から、安全だったら責任限度額、要らないじゃないかというような御指摘もありましたけれども、原子力損害賠償に関する保険は極めて特殊な、大数の法則が必ずしも十分に働かないという保険でありまして、そういう観点から独自の保険制度についての議論が行われてきたというように承知をしております。
○金子(恵)委員 それでは、その議論の中で、今回は賠償措置額の上限を引き上げるということについては見送ったということでありますけれども、これでは実際に、先ほど来お話がありますけれども、この東京電力福島第一原発によって八・六兆円の賠償金がもう発生しているという状況の中で、全く足りないということだと思うんです。一言で言えば、実際に、事故の発生というのを私は前提にはしたくありませんけれども、万が一事故が発生した場合、その備えが不十分なままであるということであります。
 原発の再稼働を進めるということも私はもちろん否定的でありますが、それ以外に、当然、廃炉の問題、これから長期的に原発をゼロにしていくということについても、いろいろな事故を起こしてはいけないということでもありますので、その備えをどのように進めていくかということだと思いますけれども、それについてもこのままでは不十分であると言わざるを得ません。そのことについては、どのようにお考えでしょうか。
○柴山国務大臣 先ほど滝波政務官からも御答弁をいただいたように、原発の安全性の確保を全力を尽くして追求していく。ただ、それであっても、どんなに安全性を追求していっても一〇〇%ということは残念ながら実現をいたしません。ただ、本当に万々々が一のことがあった場合に、その賠償のための資金を確保していくということが極めて重要であります。
 そういう観点から、原賠法に規定する千二百億円の損害賠償措置と原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく相互扶助スキームから成る現行制度によって、今申し上げた賠償のための資金を必要な分確保できるように措置を講じさせていただいているところでございます。
 一方で、原子力事業者にとって、今申し上げた相互扶助スキームは、他の事業者の動向によって負担の規模が当然のことながら影響を受けるため、予見可能性が低いですとか、電力システム改革の進展による事業環境が変化しているのではないか等の意見があったことを踏まえて、賠償措置額についても検討を行わせていただきました。
 ただ、その結果において、現段階においては具体的な見直し案を得られる状況にはないという判断に至りました。
 ただ、民間責任保険については、国内外の保険市場の動向を勘案すれば、当面、現行の引受限度額を引き上げる状況にないと考えられますが、国内外の保険市場の中長期的な見通しを更に検討する必要がある、また、電力システム改革の進展による原子力事業者間の競争関係といった事業環境が変化をするのではないか、これについて見きわめる必要があるのではないかといったこと、また、東電福島原発事故後に導入された新しい安全規制への対応や事業者による自主的な取組等によって安全性が向上し、原子力発電所等での事故発生のリスクのさらなる低減が見込まれ、その評価を見きわめる必要があるということでございますので、今後の損害賠償措置額については、迅速かつ公正な被害者への賠償の実施、国民負担の最小化、原子力事業者の予見可能性の確保といった観点も踏まえつつ、引き続き、私ども文部科学省を中心に、必要な検討を継続するということで御理解をいただきたいと思います。
○金子(恵)委員 時間に限りがありますので、ADRについてお伺いしたいというふうに思います。
 東電福島第一原発の賠償問題で、原賠ADRセンターから提示された和解案について原子力事業者が拒否するというケースが出たり、そして、和解審理の長期化や打切りが相次いでいるという状況があるわけです。
 昨日の参考人質疑でも、河合参考人からはADRの改善の必要性があることが指摘され、そしてまた、大坂参考人からも、法案及び専門部会の最終報告書に関しての論点の一つにADRをめぐる問題が見過ごされていないかということをおっしゃられていました。
 そこで、ADRを機能させるための法改正というものが必要であったのではないかと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
○柴山国務大臣 御指摘のような紛争の長期化などの問題点については承知をしているところでございます。
 ただ一方で、高い割合での合意実績を上げるなど、重要な役割を果たしているということも事実でございまして、専門部会の報告書においては、現行の規定を維持することが妥当であるというようにされております。
 ということで、現行の規定においては、原子力損害賠償紛争審査会を政令で速やかに設置ができる規定となっておりますし、同条三項に基づいて、原子力損害賠償紛争審査会の組織及び和解の仲介の手続について政令で定めるということとしておりますので、事故の態様に応じて柔軟な調整かつ実効性のあるものとするように、今後また制度設計をしてまいります。
○金子(恵)委員 政令ではなくて、法律本体にきちんと規定していくということも重要なのではないかというふうに思います。
 もう時間がなくなりましたので終わりますけれども、国が、原発の再稼働となると、地域の皆さんの理解を得るということで前面に立つといって、エネルギー基本計画で定めていくということになりますけれども、では、その原発を推進するために、営業はするけれども、その後、何かあったとき、事故があったときの補償というものの責任については曖昧であるということであってはいけないということを申し上げさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
 しっかりとこのことについて取り組み、そしてまた、福島の原子力災害の問題についても寄り添っていただきまして、そして賠償問題にもしっかり取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。
○亀岡委員長 次に、杉本和巳君。
○杉本委員 日本維新の会、略称維新の杉本和巳であります。お時間をいただき質問させていただきます。ありがとうございます。
 福島第一原発の事故、月日がたってちょっと忘れがちになってしまう国民の皆様に、やはり未曽有の事故であったという認識と、私自身も現地周辺並びに現地に防護服を着させていただいて入り、そして、周辺地域では線量計を持って回るとやはり高いところがあったりするという現実を体感させていただいているので、そういうタイミングで政治の責任を負わせていただいているという重責を感じつつ、質疑をさせていただきます。
 きょうは、立憲民主党さん、そして国民民主党さんから修正案が出されているということで、私は、いわゆる話合いをする国会、与野党問わず対話をしていく国会というのが大変意義があるという観点からも、せっかく出していただいた修正案でございますので、比較的考え方が近いかなというふうに考えさせていただいた国民民主党さんの牧代議士に質問させていただきますが、牧先輩は厚労副大臣をされて答弁席にも前は立っておられたということですが、久々かもしれないんですけれども御回答をいただければと思います。
 大変日程が厳しい臨時会の中で修正案ということなので、実はけさほど頂戴したという状況の中で質問をさせていただきます。
 例えば、目的規定の適正化みたいなところで、「健全な発達」を「健全性の確保」というように改めるなどというのも比較的いい案ではないかなというふうに思わせていただいていますけれども、それに加えて、概要としていただいたものの三番、四番についてまとめてお伺いをさせていただきますが、「異常に巨大な天災地変」を「過去に経験したことのない異常に巨大な天災地変」に改めるというような提案がなされております。
 過去を振り返りますと、やはり今回の東日本、今回というか、月日がたってしまったわけですが、東日本震災の地震においても貞観地震があったという、データ的には当然、平安時代であったらそういった調査の結果みたいなものはないわけですけれども、しかし、経験は我々日本国民というかはしているわけでありますし、このところの地震で、大阪の北部地震であったりというようなものについても、過去、歴史をさかのぼると地震があって、小此木防災大臣、前大臣に質疑もさせていただいた記憶があるんですけれども、やはり過去の歴史を十分さかのぼって我々は地震に備える必要があるというようなことを申し上げたことも思い出します。
 この書きぶりが、過去に経験したことのないということを書いてしまうと、我々は有史以来、データはないとしても経験しているので、ちょっとここは書き方がいかがかという点をお伺いさせていただきます。
 それともう一点、賠償措置額の引上げ、これも単体で考えれば、きのうも参考人質疑で河合弁護士、参考人が言われていましたけれども、一部報道では七十兆とかいう金額にも、いろいろな総合的な費用を勘案して合わせるとなるのではないかみたいな報道もあるという御指摘があって、千二百億円を二千四百億円に引き上げるという御提案、単体で見れば考えられますけれども、一方で、今も質疑がありましたけれども、保険業界の実情とか世界の経済の情勢だとか、こういった点を考えると、なかなか現実的にどうかなというふうに私は思っていますが、いきなり民間に倍増というような保険を引き受けろというところにはちょっと無理があるというふうに感じますので、こういったことの、提案は一つの考え方と思うんですけれども、経過措置をどう考えておられるのか。
 以上、御提案の概要の三番、四番について、御答弁をいただければと思います。
○牧委員 御質問ありがとうございます。
 まず第一点目でございますけれども、「過去に経験したことのない」というその表現について、「過去に経験したことのない」というのはどういうことを指すのかということでございますけれども、過去に起こった災害のうち、常識的な範囲内で、歴史的に検証可能なものを超えるかどうかで判断されるというふうに思います。
 貞観地震のお話がありましたけれども、その貞観地震等についても、その規模が検証可能であれば、貞観地震と同規模の災害については過去に経験しているということで、原則どおり無過失責任の対象になるということで、さっきもお話が、城井さんの質問と大臣とのやりとりの中にもございましたけれども、現行の「異常に巨大な天災地変」については、昭和三十五年に政府の答弁があるわけで、関東大震災の三倍以上の大震災といった場合が該当する旨の答弁がなされております。
 これをこのまま適用すると、東日本大震災は対象外とされる可能性が、可能性としてはあったわけで、一方においては、現実にはこの原子力損害については、この例外規定は適用されていないわけで、そうすると、先ほど大臣の答弁で、この文言を改めるほどの立法事実はないというお話がありましたけれども、想定外なのか、あるいは想像を絶するのか、こういった曖昧な言葉だけで済まされる話ではなくて、私どもはここをきちっと、最初に申し上げたような、「過去に経験したことのない」という定義できちっと法律に盛り込むことが立法事実にかなったことだというふうに考えてございます。
 もう一つ、損害賠償額についてのお話でございますけれども、政府においては、国際的な動向と民間保険の引受け能力を踏まえて、これまで十年ごとに賠償措置額の増額の措置がされてきたと聞いております。
 今回の閣法では、現行の一千二百億のままということでありますけれども、過去の累次の改正においてもほぼ倍増に近い増額がなされてきたわけで、東日本大震災における事故についても、損害額が賠償措置額を大きく超えているところでありますから、東日本大震災後十年以上、賠償措置額を現状のまま放置するということは不適切だというふうに考えております。少なくとも、過去の改正と同様、措置額の倍増を行うこととさせていただきました。
 この経過措置についてのお話がありました。
 民間の保険会社のことですので、これは努力をしていただくべくお願いをするしかないわけでありますけれども、可及的速やかに経過措置を終えていただきたいということでございますけれども、その程度しか申し上げられないんですが、この立法が仮にあった場合に、経過措置の間には政令で据置きができますので、支障は起きないという理解をしております。
 以上です。
○杉本委員 ありがとうございます。
 法律、きちっと定義づけるということは共有させていただきたいと思います。
 以上で、国民民主党さんの修正案に対しての質問は終わります。
 次に、政府原案について、ちょっと関連的な質問になるかもしれないし、重複があるかもしれないんですが、改めて質問させていただきます。
 これは経産省さんにお答えいただくのかもしれないんですが、今回の東電の事故による無限責任部分、実質的には電力料金に付加されているという状況ですけれども、一体いつまで国民の皆様にこの事故の影響といったものによるところの電力料金のお願いをし続けなきゃいけないのかという点は改めて確認しておきたいと思いますけれども、一体どのくらいまで続く見通しを立てておられるのか、御答弁いただければと思います。
○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘いただきました原賠機構法に基づきます機構の業務に要する費用を、機構に対して、いわゆる一般負担金として毎年度納付いただいているものでございます。
 この一般負担金の金額につきましては、同法に基づきまして、原子力事業者の収支の状況に照らし、電気の安定供給や原子力事業の円滑な運営に支障を来さないかなどといった要件を満たす金額を、毎年度、その状況を踏まえまして、機構が運営委員会の議決を経て決定し、それを経産大臣が認可することとしております。
 したがいまして、毎年この一般負担金の額が決まるということでございますので、この時点で、いつまで継続するかということについて、予断を持ってお答えすることは難しいわけでございますが、今、一般負担金として近年どれぐらいの額が支払われているかと申し上げますと、一千六百三十億円、一般負担金としての負担があるわけでございます。
 一方で、いわゆる福島事故の費用といいますのは、賠償費用で約七・九兆円、除染費用は四・〇兆円、中間貯蔵費用は一・六兆円ということでございますので、数十年のオーダーで続くものと想定されると思います。
○杉本委員 なかなか予断を持てないということですが、数十年のオーダーだというところまで言っていただきました。
 本当にこの事故一つでこれだけということなので、もう二度と起きてはならないし、起きたらば、それこそどういうことになってしまうのかということを想起すると、身の毛もよだつという感じかとも思います。
 ありがとうございました。
 次に、ちょっと関連的な質問になるかもしれませんが、福島の第一原発の事故、F1事故は、事故に遭った炉の事故処理に加えて、今もお話にありましたけれども、除染、冷却用の汚染水の問題、あるいはこれ以外の多くのコストの問題を惹起して費用がかかっているということでございますが、現時点までの国として直接的にかかった費用は今言っていただいているかもしれませんけれども、今後国が負担すべきものはいかほどに上るのか、ちょっと先の見通しを確認させてください。
○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
 これまでかかった費用も含めまして、将来の見通し、総額でお答えさせていただきますと、賠償で七・九兆円、それから除染で四・〇兆円、中間貯蔵で一・六兆円、計十三・五兆円に加えまして、廃炉費用として八兆円を想定しておりまして、これらを合計しますと、二十一・五兆円が福島事故に係る費用ということで見込まれている金額でございます。
○杉本委員 現時点で発表いただいている数字かと思いますけれども、本当にそこで済むのか。新聞報道では、中日だか日経だかが七十兆という数字を躍らせたりしているわけなので、この数字の部分は適宜精査をいただき、また、透明性を持って国民の皆様に御負担をお願いするということなので、事故は起きてしまったということでもありますので、むしろある意味で、理解いただくのはなかなか大変な問題ではありますけれども、負担をお願いするからには透明性を持って、状況が変わればきちっとした御説明をしていっていただきたいとお願いを申し上げます。
 次に、これはちょっと重複しているかもしれないんですが、文科省さんに伺います。
 原子力事業の健全な発達という観点の広義の解釈では、廃炉技術者の養成というような点が大事だと思いますし、原子力を専攻する大学生が最近少なくなっているというやに報道されたりしていますけれども、こういった分野の大学生の入学、卒業者、就業者等の実数、あるいはその実態と、政策当局が必要とされている原子力分野での人員の状況、見通し、こういったものの差異があれば教えていただきたいと思います。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 東電福島第一原子力発電所の廃炉を始めとした原子力の安全確保、向上のためには、高いレベルの人材が必要とされております。
 文部科学省の平成二十九年度の学校基本統計によりますと、平成二十九年度に原子力関連学科、専攻等に入学した学生の数は合計二百四十九人、平成二十八年に卒業した学生の数は合計二百七十九人、そのうち就職した学生の数は合計二百二十五人となってございます。
 今後必要とされる原子力分野の人員の数につきましては、今後のエネルギーをめぐる諸情勢の変化に影響されるため、文部科学省として正確にお答えすることはできませんが、原子力分野におきましては、福島第一原子力発電所の廃炉を始め、長期にわたる課題解決に必要となる人材の育成が重要であると考えております。
 このため、文部科学省では、英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業を通じ、大学や高等専門学校において、多様な分野の知見を結集した廃炉に資する遠隔技術や分析技術等の基礎研究を推進するとともに、産学官の連携講座やワークショップの開催などの教育プログラムを実施しているところでございます。
 文部科学省といたしましては、引き続き、原子力の基盤と安全を支える幅広い分野における人材育成をしっかりと進めてまいります。
○杉本委員 この人材というのは、ちょっと例えがどうか、医学の分野になるかもしれませんが、山中伸弥教授のiPS細胞であったり、あるいは本庶佑教授のオプジーボの開発とか、そういった大きな技術革新というか進歩があると、救われないものも救われる命だったりするわけなので、制御不可能な原子力も、コントロールなり廃炉なりが技術革新によって進む、あるいは最終処分場の問題も解決の道が出てくるとか、そういった可能性も専門の方々の育成なくしてあり得ないと思っておりますので、ぜひともこの部分では、鋭意、意を払っていただきたいと思っております。
 次に、環境省さんに伺いますけれども、私も結構前に福島の子供たちの甲状腺がんの問題を何度か環境委員会等で質問しているかと思うんですけれども、現状の確認をやはりしておきたいというふうに思っております。
 最近の福島の子供たちの甲状腺がんの診察頻度あるいは診察結果等を確認させてください。
○梅田政府参考人 お答えいたします。
 甲状腺検査は、福島県が実施する県民健康調査の一環として、事故当時福島県に住んでいたおおむね十八歳以下の方々に対し、平成二十三年度より、二十歳を超えるまでは二年ごと、それ以降は五年ごとに検査が実施されております。これまでに延べ約八十万六千人の方々が検査を受診しており、そのうち悪性ないし悪性疑いの方が二百二名報告されております。
 検査の結果につきましては、福島県県民健康調査検討委員会で放射線の影響とは考えにくいと評価されており、また国連科学委員会におきましても、放射線の影響ではなく、集団検診の感度が高いことによって発見された可能性が高いという評価がされております。
 県民健康調査甲状腺検査は現在も継続して実施されておりまして、環境省といたしましては、今後とも、福島県に対し必要な支援を行うとともに、その結果の評価については、専門家から成る福島県の検討委員会の議論を注視してまいりたいと考えております。
○杉本委員 ありがとうございます。
 時間となりました。残余の質問はちょっと割愛させていただきますが、この健康診断を引き続き行っていただきたいとお願いしまして、以上で終わります。
 ありがとうございました。
○亀岡委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、柴山大臣に初めて質問をさせていただきます。よろしくお願いします。
 原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会報告「原子力損害賠償制度の見直しについて」によれば、今回の法案の見直しは、三・一一の原発事故が出発点だったということでありますが、三・一一の原発事故の教訓が法案のどこに生かされたのか、大臣の認識を伺いたいと思います。
○柴山国務大臣 今回の法改正は、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会における検討を踏まえ、御指摘の東電福島原発事故における対応のうち、一般的に実施することが妥当なものについて所要の措置を講じるものです。
 具体的には三点ございまして、一点目としては、東電福島原発事故において、東京電力は短期間に多数の請求に対応するために、賠償請求の手続や受付窓口の整備などを早急に進める必要がありました。これを踏まえて、今般の改正において、原子力事業者に対し、それらを含んだ損害賠償実施方針の作成、公表を義務づけすることとしております。
 二点目としては、東電福島原発事故において行われた賠償の仮払いが迅速な被害者救済という観点から非常に意義ある取組であったと考えておりまして、これを踏まえて、今般の改正において、国が仮払いに必要な資金を貸し付ける制度を創設することとしております。
 三点目といたしましては、和解仲介手続の利用に係る時効中断の特例措置を、東電福島原発事故に係るものに限らず、今後、原子力事故が発生した場合においても適用可能とすることとしております。
 これらの改正によりまして、将来、原子力事故が発生した場合において、被害者への適切な賠償がより迅速かつ円滑に行われるために、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 本当は、事故の教訓ということで、大臣の言葉でお話をしていただきたかったんですね、報告書に書いてあることではなくて。やはり賠償を早くという、そこに集約したまとめになっておりますので、そうではなくて、そもそもあの事故がどうだったのかということでお話ししていただければありがたかったかなと思います。この後の質問の中でまた議論していきたいと思います。
 当時、東電を債務超過にさせてはならないと声高に叫ばれて、被害者の保護を口実にするんですけれども、資料の一枚目にありますように、原賠法十六条に基づいて原子力損害賠償支援機構がつくられました。その後、廃炉等というのがくっつくわけですけれども、この二枚目を見れば、政府が交付国債、政府保証、これは融資を金融機関から受けるときの政府保証ですよね、という形で、機構を通し東電を支えているのがわかると思います。
 言ってみれば、今度の法案は、この東電救済スキームを一般化し、全国の原発再稼働を準備するものである、私はそう言いたいと思うんですね。きのうから議論があったとおり、第一条、目的、原子力事業者の健全な発達、ここに象徴されているのではないか。この連鎖を断ち切り、原発ゼロをやはり決断するべきだと思っております。
 具体の質問に入ります。
 専門部会の報告書には、東電が二〇一一年十月の緊急特別事業計画において、被害者の方々の立場に立って、紛争処理の迅速化に積極的に貢献するために、紛争審査会において提示される和解案については、東電としてこれを尊重すると表明をしているということで、この和解仲介手続を被害者が積極的に活用できるよう、実効性を確保するための措置が必要と指摘をされております。
 ただ、このことが条文には一切ないわけなんですね。これがなぜなのか。明記すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 和解仲介手続につきましては、御指摘のとおり、原子力損害賠償制度専門部会報告書において、高い割合での合意実績を上げるなど重要な役割を果たしていると評価できるとされておりまして、規定については、現行の規定を維持することが妥当であるとされています。
 一方、東京電力が特別事業計画におきまして和解仲介案を尊重する旨を表明していることが和解仲介手続の実効性の確保に資しているとの観点から、和解仲介手続を被害者が積極的に活用できるよう、賠償実施方針の整備の中で適切に対応することが妥当であるとの指摘もなされているところでございます。
 これを踏まえまして、今回の改正案におきましては、原子力事業者は損害賠償実施方針におきまして原子力損害の賠償に関する紛争の解決を図るための方策、これを定めなければならないこととし、この中で、ADRセンターによる和解仲介への対応の方針についても記載をさせることで和解仲介手続の実効性の確保を図ってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 条文にないのはなぜかと伺いました。つまり、これは、結果としては省令に落とされるということだと思うんですね。
 八月六日の専門部会のときには、和解仲介手続への対応方針を含め、損害への対応方針をあらかじめ整備しておくということが報告書の中にあったと思うんですね。それが消されているじゃないかという指摘がされております。
 そういう点で、やはり東電が尊重すると言ったんだから、必要だと言っているけれども、では、具体的に方針の中にそれを書けよというところまで盛り込まなかったというのは非常に残念に思います。もしこれがそうじゃないんだというのであれば、反論は後で答弁の中でしていただきたいと思うんですね。
 問題は、東電の方針がどうなのかということ、言ったとおりになっているのかということなんですよ。ADRの和解案の受諾義務については、昨日の参考人からも意見が多数ありました。
 資料の三枚目を見ていただきたいと思うんです。
 東京新聞の四月七日付ですが、浪江町の町民七割に当たる一万五千人が申し立てた慰謝料の増額について、ADRの和解案を東電が拒否したために仲介手続を打ち切ったという記事であります。
 私は、これは予算委員会でも取り上げたことがあるんですが、本来なら十分満足いく勧告ではないんだ、だけれども、町が町民の合意を得て集団申立てをするというのは、実は、長く続く賠償問題に、町がまとめて一律でいいよと言ってくれるのはむしろ東電にとってはプラスになるんだと思っていたんですね。そういうふうに質問してきました。非常に残念に思います。
 中間指針の第四次追補では、相当程度因果関係のある場合は個別具体に指針の範囲を超えて賠償ができるとあります。しかし、現実は、東電がその因果関係があるかないかの基準を決めているんです。大臣はそのことを承知していますか。やむを得ないと思っていますか。伺います。
○柴山国務大臣 紛争審査会の示す中間指針においては、一律に賠償すべき損害の範囲を示すとともに、個別具体的な事情に応じて事故との相当因果関係が認められれば賠償の対象であるということが明記をされております。
 それを受けて、東京電力においては、中間指針を踏まえて、賠償実務の円滑化の観点から御指摘のような基準を定めていると承知をしておりますけれども、その基準の運用に当たっては、個別の御事情を丁寧に把握し、公平かつ適切な賠償の実施に努めていると私どもは伺っております。
 私ども文部科学省といたしましては、東京電力に対して、「三つの誓い」を遵守して被害者の方々に寄り添った賠償を一層進めていただくよう、累次にわたって要請を行っております。
 いずれにいたしましても、東京電力は、中間指針等に示された考え方を十分に踏まえて、中間指針等に示された一律の賠償を行うことのみではなくて、被害に遭われた方々の個々の事情に応じて被害者に寄り添った適切な賠償を行っていただくことが重要であると考えております。
○高橋(千)委員 そうなんです。東電は、この浪江の問題は一律だから対象にならないんだということを言っているんですね。だったら、個別に見るのかということなんですよ。そうじゃないでしょう。一律に、本当はそれぞれ言いたいことはありますよ、これじゃ足りないよというのを町がまとめてくれた、これは本当にありがたい、道筋をつけてくれたことなんですよ。それに対して、それを、個別じゃないからということを理由にして退けている、これがいいのかということを言っています。
 例えば、商工業者に対する損害賠償についても、事実上打切りになりました。
 九月にいわき市で、県といわき市の旅館ホテル組合の方々からもお話を聞きました。汚染水をALPSで処理してもなお残るトリチウム水、これが、放出すべきかどうか、非常に大きな議論をされているときです。実は、トリチウム以外の放射性物質が、基準値を超えているものが八割もあったという事実が発覚したころなんですよね。海で商売しているわけですから、海水浴客がいて、そして海の恵みを使った料理を使っている、その旅館や民宿の方たちがずっと風評被害で苦しんでいるんですね。
 それに対して、風評被害があるかどうかをあなたたちが証明しなさいと言っている。旅館は全国的にもう下火だから、ホテルに比べてはお客が少なくなっているんだから、別に福島だけの問題じゃないでしょうみたいな、そういうことを東電が言っているんです。
 二〇一五年八月以降の賠償について、東電は、将来分として二倍一括を支払うとしました。二倍払ったらそれで終わりなんです。しかし、現実に被害が続いている人には超過分を払うと言いました。だけれども、今言ったように、風評被害を証明せよと言って実際には認められていないんですよ。
 このような、賠償方法が変更されたのを承知しているかということと、合理的かどうかの基準をやはり東電が決めている、資料をあなたが出せと被害者に言っている、これをおかしいと思わないのか、経産省に伺います。
○石川大臣政務官 高橋委員にお答えいたします。
 商工業の営業損害につきましては、平成二十七年に閣議決定された福島復興指針を踏まえまして、一括賠償後も、損害が一括の賠償額を超過した場合には、個別事情を確認の上、事故との相当因果関係が確認されれば、追加賠償をすることとしております。ことし十月で七件が合意に至っているところでございます。
 また、農林業の風評賠償につきましては、東京電力と福島のJAグループ協議会との間で、新たな算定方式による風評賠償を平成三十一年以降実施することで合意をしております。
 また、東京電力は、その他の農林関係者にも、合意内容を踏まえて丁寧に説明に伺っているものと承知をしています。
 いずれにいたしましても、被害者の置かれた状況はさまざまであり、経済産業省としては、今後とも、東京電力に対して、被災された事業者や生産者の皆様の御相談に対して、個別の御事情を丁寧に把握して公平かつ適切な賠償を行うよう、しっかりと指導してまいります。
    〔委員長退席、神山委員長代理着席〕
○高橋(千)委員 今の答弁、もともと準備をされていたと思うんですが、実態を話しているのに、ちゃんとやっていると承知していますと。それでいいんですかということなんです。七件でしょう。でも、七千件のうちの七件ですよ。冗談じゃありませんよ。実際に実態を示しているのに対してこういうことなんですよ。
 私の手元に、ある業者に対する却下の理由を東電が書いた書面がございます。ことしの三月二十日の日付です。
 中間指針においては、賠償の対象となるべき期間には一定の限度があるとされていること、弊社としましては、上記の賠償をすることにより、基本的には、本件事故と相当因果関係のある損害は全て賠償がなされるものと考えております。こういうときだけ指針を使うんですね。また、中間指針においては、被害者の方におかれても、損害の発生を可能な限り回避し又は減少させる措置をとることが期待されている、こう言っている。
 わかりますか、言っている意味。被害者が回避をしろ、そして被害を減少する努力をせよと言っている。避難指示区域にいた業者が避難先に避難したんだからそこで開業すればいいじゃないかと言っているんですよ。開業していない、あなた努力していない、だから、賠償、追加はできませんと言っているんです。
 開業した人もいますよ。ところが、商売をかえた、そうすると、比較ができないから対象にならない。同じ商売を避難先でもやる。だけれども、全部開拓をしなくちゃいけないわけでしょう。そういうことをあなたたちが努力しなさいと言って、基準を東電が決めている。おかしくないですか。もう一回。
○石川大臣政務官 高橋議員の御指摘に関しましてお答えいたします。
 あくまで東電と個別の被害者の関係で、個別の賠償につきましては、官民チームを挙げまして丁寧に対応してまいりましたけれども、今後とも引き続き対応してまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 一言でも少しは御自身の言葉でお答えできないでしょうか。
 丁寧に対応していくというのはもうずっと言ってきたことなんですよ。だけれども、実態がそうであれば、もう少し自分で聞いてみるとか指示してみるとか、もう少しお答えできないですか。
○石川大臣政務官 私も被災地に近い茨城県北部の人間でございますので、地元の商工業者、いわきから北の浜通りの業者さんとは、いろいろつき合いがある業者さんが地元に大変多く所在をしております。
 個別の案件に対しまして、私も、旅館組合等の皆様から、なかなかお客さんが戻ってこないという個別の相談を、それは震災以降ずっと受け続けてまいりました。
 そういう気持ちに寄り添って、私もこういう立場で対応を指導してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 茨城であれば、まさにお隣ですからね、同じ被害を受けていると思います。今、寄り添ってというお言葉をいただきました。ぜひそういう立場で対応していただきたいなと思うんです。
 今後も、法案は、三・一一の事故を受けての指針が、今取り上げている指針がベースとなっていくと思うんですね。新しい指針をつくるにしても、やはり仮払いとかそういうときに、今の指針がベースとなっていくわけなんですよ。
 だけれども、専門部会報告にも記述があるように、原子力損害賠償紛争審査会の組織、運営については、「現行の規定を維持することが妥当である。」としつつも、「事故直後から被災地の声をきめ細かく聞き取る対応を求める意見があることに留意が必要である。」とされました。
 少なくとも、指針を逆手にとって、加害者である東電が、終期があるんだ、つまり終わりの期ですよ、終期があるんだとか因果関係の証拠を示せと迫るような事態は避けるように強く要望して、時間が来てしまいましたので終わります。
○神山委員長代理 次に、吉川元君。
○吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。
 早速質問に入らせていただきます。
 まず、今回の法改正、抜本的な改正というふうなことで行われる予定だったものが、昨日も少し述べましたけれども、本当に果たしてこれが抜本的な改正だったのか、改正と言えるのか、非常に疑問に思わざるを得ません。
 とりわけ、これは他の委員からも指摘があったと思いますけれども、また、昨日の参考人からも指摘がありましたが、第一条の規定、原子力事業の健全な発達、これがそのまま残っている。ぜひこれは変えていただきたかったというふうに思いますし、原子力事業者の存続や発展なくして補償なしというたてつけは、被害者の側に立つ法律とは私は到底言えないのではないかというふうにも思います。まずそのことを指摘させていただいた上で、具体的な質問を少しさせていただければと思います。
 まず、賠償額についてであります。
 既に八・六兆円が損害賠償として支払われておりますし、今後、廃炉、除染費用を含めれば二十二兆円に達する事故処理費用、そう勘案したときに、千二百億という賠償措置額は余りにも少ない、これはもう誰しも考えることだろうというふうに思います。
 一千二百億円据置きを求めた専門部会は、今後の損害賠償措置のあり方では、民間責任保険では、保険市場の動向を勘案した場合、現状、引受限度額を引き上げる状況にはないとしております。一千二百億から措置額を引き上げることはできない、いわば、事故発生時のリスクに十分対応できない、保険が成立をしない、そういう事業が原子力発電だと言っているようなものだというふうに思います。
 そもそも、市場が受け付けられないような、こうした危険リスクをはらむ原子力をこのまま続けていいのか、そして、今回千二百億を据え置いておりますけれども、それをどのように大臣としては受けとめておられるのか、尋ねます。
    〔神山委員長代理退席、委員長着席〕
○柴山国務大臣 原子力発電事業の特殊性ということについては、今の御指摘の側面がございます。
 ただ、そうであっても、賠償のための資金の確保、これはしっかりと行わなければいけないということでございまして、原賠法に規定する千二百億円の損害賠償措置と原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づくいわゆる相互扶助スキーム、これらから成る現行制度によって必要な資金が確保できるように既に措置を講じてあります。
 これによって、事故を起こした原子力事業者は、被害に対する賠償のために必要な資金を確保できる仕組みとなっております。
 その上で、今後の損害賠償措置額のあり方については、迅速かつ公正な被害者への賠償の実施、国民負担の最小化、原子力事業者の予見可能性の確保などといった観点も踏まえつつ、必要に応じて、私ども文部科学省を中心に検討を継続させていただきたいと考えております。
○吉川(元)委員 今、原子力事業者の予見可能性というお話がございました。そもそも原子力、今回の福島もそうですし、過去の大きな原発事故もそうですけれども、予見可能なものではないんです、そもそもが。それを、予見可能性を確保すると。どのぐらい被害が広がるのか。今、二十二兆円と言いましたけれども、二十二兆円で済むかどうかだってわからない話です。そこに予見可能性といった場合に、それは何を意味するのかといえば、無限責任ではない、有限責任だというふうにつながっていってしまう。
 ですから、予見可能性なんという言葉は、私は、今回の事故を率直に反省するならば、とても使えない言葉だということを指摘させていただきたいと思います。
 続いて、今、政府によって電力システム改革が進められており、二〇一六年に電力の小売が自由化され、二〇二〇年には法的分離による発送電分離が行われます。料金規制もなくなり、いわゆる総括原価方式が撤廃される、そういう方向性だということは一般の理解ではないかと思います。
 そこで確認なんですけれども、経産省において東電委員会というものがつくられておりまして、二〇一六年の十二月に東電改革提言を取りまとめております。そこでは、今回の福島原発事故の処理について、東電の負担あるいは国の負担等々を、経産省の中の東電委員会が提言をするというのは私は非常に理解できないんですけれども、そこで提言がまとめられております。
 見ますと、約四兆円については東電以外の電力事業者の負担ということで、託送料から総額二・四兆円の負担を求めておりますし、それから、発送電分離で新規に参入する電力事業者も二千四百億円の負担が求められております。二〇二〇年から四十年、年額六十億円、一般家庭で月十八円、こういう負担になるというようなことが参考資料として掲載されております。
 結局、総括原価方式の撤廃、電気料金の規制廃止といいながら、事実上、原発事故の賠償費用を含めた後処理の費用が電気料金に上乗せをされる、これはいわゆる形を変えた総括原価方式になっているのではないかというふうに思いますけれども、その点はいかがですか。
○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御指摘いただきました東電委員会の後に、各種審議会を回した上で、平成二十八年十二月二十日に、原子力災害からの福島復興の加速のための基本方針についてということで閣議決定をさせていただいておりまして、ただいま御指摘いただいた環境整備につきましてもその中で言及されているところでございます。
 具体的に申し上げさせていただきますと、「国の行う新たな環境整備」という中で、被災者、被災企業への賠償については、電力自由化が進展する環境下における受益者間の公平性や競争中立性の確保を図りつつ、国民全体で福島を支える観点から、福島第一原発の事故前には確保されていなかった分の賠償の備えについてのみ、広く需要家全体の負担とし、そのために必要な託送料金の見直し等の制度措置を行うという閣議決定を受けまして、これに基づいて二〇一七年に措置をさせていただいたものでございます。
 もちろんのことながら、こういった御負担をいただいているということは透明性を持ってお示しさせていただくことが重要だというように考えてございまして、透明性の確保、適正性の確保の観点から、まず、上限額を明確にこの閣議決定の中で定めた上で、具体的に御負担いただく個々の御負担についても、料金明細票等において明記することなどによってその透明性を確保するという方針で対応させていただいているところでございます。
○吉川(元)委員 先ほど、競争中立性云々というふうに言われました。
 東電は実際に、事故後、国からもお金が入り、さまざまな支援のスキームが入って、結局、大幅な黒字を今上げております。事故を起こしたのは東京電力そのものでありますし、そこで負担すべきものを、広く、しかも新しく参入してくる電力会社にも負担してもらう、これは明らかにおかしいのではないか。
 文科省に尋ねますけれども、専門部会で賠償のあり方において大きな柱として掲げたのが国民負担の最小化ということであります。しかし、今の経産省の答弁では、まさに国民負担を求めるという中身になっておりますけれども、この専門部会のあり方、大きな柱としたものと矛盾をするのではありませんか。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会の報告書では、原賠制度の見直しの検討に当たりましては、適切な賠償を迅速に実施することを前提に、被害者への賠償に係る国民負担の最小化、こういった視点に加え、原子力事業者と国の役割分担や原子力事業者の予見可能性の確保にも留意しつつ検討が行われたと承知しております。その検討の結果、原子力損害賠償・廃炉等支援機構による資金援助の仕組みを活用して、被害者保護に万全を期すことが重要であるとの指摘がなされているところでございます。
 なお、電気料金として国民負担を求めることや国民負担の最小化との関係性につきましては、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく一般負担金や、電気事業者における電力料金のあり方を所管する経済産業省において、詳細な検討を行っているところと認識しております。
○吉川(元)委員 国民負担の最小化というのを柱にしているんですよ、専門部会の方では。一方で、経産省の方では、国民負担を求めるという内容のものが出ているんです。これは明らかに方向性が逆じゃないですか。
 昨日の参考人の質疑の際にも指摘させていただきましたし、全ての参考人から同様のお答えがあったというふうに思いますけれども、一方で文科省そして今回の原賠法があって、経産省がもう一方で同じようなことをする。片方は、原子力をとにかくやっていくんだ、続けるんだ、拡大するんだ、これが経産省の今までの立場であります、見ておりますと。そこが賠償についてああしろこうしろという話をするということ自体が、本当の意味で被災者に寄り添った賠償のスキームになっていない、非常に複雑怪奇な内容になっているということを指摘させていただきたいと思います。
 次に、今回、先ほど少し大臣からもお話がありました損害賠償措置額の据置きの理由、幾つか挙げられております。それで、専門部会の報告書の最後に、「今後の賠償措置の在り方の検討について」ということで、別添として文書が出ております。これは、大臣も答弁されておられましたけれども、損害賠償措置額を据え置いた理由の一つとして、三つ挙げておりますが、その最後に、原発の事故発生リスクの低減が見込まれる、こういう文言が入っております。
 事故リスクの低減を理由に、原発事故の前に決めた賠償措置を継続するというのは、それはつまり、文科省あるいは経産省は、福島原発事故のような大規模災害は二度と起こらない、そういう認識に立っておられるのか、経産省に尋ねます。
○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
 安全規制が強化されて、安全性を高める努力が事業者によって行われているとは思いますけれども、決して事故が起きないという前提に立って対応してはならないという教訓を得たと考えてございまして、事故が起きたときでも対応できるような準備をしておく必要があるということで臨ませていただいてございます。
○吉川(元)委員 ですから、この別添の資料、別添を読むと、今回、一千二百億に据え置いた理由として、事故発生リスクの低減というのが書かれているんです。これはもう別添の中に書いていますから。どう日本語を読んでも、そういうふうにしか読み取れない別添がついているわけです。
 事故リスクの低減で、賠償額、当然もう八兆六千億を出しているけれども、一千二百億で据え置いた、その中の理由として事故発生リスクが低減をしているからだというふうに書けば、もう二度と福島のような、ああいう事故は起こらない、そういうふうに理解しないと、なぜ事故発生リスクが低減したことと一千二百億が据え置かれるのが結びつくのか。
 何で結びついているんですか、これは。
○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
 ここは文科省さんの方から御答弁いただいた方がよろしいかと思いますけれども、三つ目の理由のところの事故リスクの低減については、我々の理解は、現在、規制庁が新しく設立され、新規制基準ができ、それに対して事業者が、それへの対応をしているということを今取り組んでいる途中であるということと、事業者の取組は、この新規制基準をクリアしたらいいということではなくて、その規制をクリアした上で更に安全の高みを求めていくという自主的な安全性追求の取組を今事業者がやっている途中でありますので、このリスクの低減がどれぐらい達成できているかということを見きわめる必要があるという意味で書いてあるというふうに理解してございます。
○吉川(元)委員 答えてもらえないですかね、ちゃんと。一千二百億じゃ足らないんですよ、福島原発事故は、全く。きのうの参考人でも約九九%はカバーできないというふうに、実際そうなっているわけです、八兆六千億と一千二百億ですから。
 一千二百億に据え置いた理由の中に「事故発生リスクの低減」と書いているんです。だとするならば、それはもうあのような、福島のような事故は起こらない、起こったとしても、八兆円も賠償が出るような事故はもう二度と起こらないというふうに考えているとしか論理的には説明できないでしょう。
 例えば、自動車事故で、最近新しい保険では、三十歳代から上は、三十か四十かはちょっと正確には覚えていませんけれども、保険料が安くなる。なぜかというと、それは事故をする確率が減るからだ。これはわかります。だけれども、だからといって、事故をする確率が減るからといって、例えば人身事故で相手の命を奪ってしまった場合、今は大体無制限ですけれども、事故リスクが低いから無制限の部分を一千万円に引き下げますなんという、そんな保険はないでしょう。
 なぜこれが結びついているのか、それをもう一回説明してください。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 賠償措置額とここのリスクの関係でございますが、賠償措置額につきましては民間保険でのカバーを前提として考えてございますので、民間保険の料率を考える際、あるいは引き受ける際、市場のマーケットを考える際に、この引き受ける側の保険事業者側でそのリスクに関するデータを必要とする、それによって状況が変わるということが考えられるものと思います。
 そういった点も含めての記載だと私どもは理解しております。
○吉川(元)委員 それも答えになっていないんですよ。
 さっき言ったように、もちろん、今答弁あったとおり、当然、事故リスクが下がれば保険料は下がるかもわかりません。例えばさっきの自動車保険でも、事故を起こしにくい年代の人は保険料が下がるということはあります。だけれども、補償額はそれによって下がることはないでしょう。
 ところが、この文章では、一千二百億に据え置く理由として、リスクの低減、これを挙げているわけです。これを論理的に説明しようと思えば、大きな事故が起こったとしても、福島のような事故はもう二度と起こらないという立場に立たない限り、この文章は出てこないんです。そういう立場に立っているんですか。
    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 確かに、一つはその料率、コストの問題がございますが、もう一つは、率が下がることによって、世界、グローバルに、海外も含めて、全体として受け入れられる、保険を引き受けるだけの規模にも影響があり得るということがございますので、その点も含めて我々としては検討していくということを考えてございます。
○馳委員長代理 吉川さん、質疑時間が終了しましたので、簡潔にお願いします。
○吉川(元)委員 まだだと思います、今、回っていますので。
 もう時間が来ましたので終わりますけれども、ちょっと余りにこれを見ておりますと、今回の改正、改正にはなっていないと言わざるを得ませんし、今回の事故で被災された方に寄り添う内容にはなっていない、そのことを指摘させていただいて、私の質問を終わります。
○馳委員長代理 次に、笠浩史君。
○笠委員 笠でございます。
 まず、きょうお伺いをしたいと思いまして、きょうは経済産業省の方に来ていただいております。
 先ほども若干あったんですけれども、我々、福島における原発の事故を経験し、問題は本当にさまざま、今、除染等々も含めて、もちろんいろいろな賠償等々が生じておるわけでございますけれども、一体本当にどれぐらいの賠償金額ということになっていくのかということがよくわからないんですね。
 ちょうど二〇一三年のときには十一兆円というのが東電の試算も含めて出されていたわけでございますけれども、今、政府として、二〇一六年の十二月の閣議決定、原子力災害からの福島復興の加速のための基本方針では二十一・五兆円ということが、多分、今の政府の公式な見解かというふうに思いますけれども、それでよろしいんでしょうか。
○石川大臣政務官 笠委員にお答えいたします。
 笠委員お尋ねのとおり、現在、交付国債を原資とする資金交付によって対応すべき費用として、現時点では、賠償費用約七・九兆円、除染費用約四兆円、中間貯蔵費用は約一・六兆円、合計十三・五兆円を見込んでいるところでございます。また、福島第一原発事故の廃炉に要する費用として、東電委員会において八兆円という数字をお示ししているところでございます。
 これらの合計であります二十一・五兆円という金額は、復興加速化の観点から必要となる制度整備や資金確保に資するよう、最新の情報に基づき、一定の蓋然性を有するものとしてお示ししたものであり、現時点において上振れることは想定してございません。
○笠委員 今、現時点において上振れることは想定していないということでしたけれども、本当に大丈夫なんだろうかと。
 もちろん、今、もう事故からかなりの年月がたちまして、当然ながら、かなりいろいろなことが見通せるようになっているかもしれないけれども、一部報道等々では、これはやはり四十兆円ぐらいになるんじゃないかというようなことも報じられたこともあるわけです。
 その点を、本当に上振れはないということを経産省としては責任を持って国民の皆さんに申し上げることができるのかということを、改めて確認したいと思います。
○石川大臣政務官 私どもといたしましては、新たな国民負担につながるようなことがないように取り組んでいくとともに、今後、八兆円の廃炉に関しましては、廃炉に関する研究開発等、イノベーションも進めつつ、できるだけ費用をふやさないような方向で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○笠委員 今私が確認をしたことは、本当に私は、やはりこれは恐らくもう少しまたかかってくるんじゃないかと思います。
 ただ、それが二十一・五兆円であれ、それよりも更に上振れする可能性もあるとしても、これはとてもじゃないけれども、この損害賠償措置額、今回も千二百億で据え置かれたことがどうなんだという議論もあるし、もちろん、これをもっときちっと上乗せしていくべきじゃないかということもあるけれども、果たして今のスキームでこれだけの負担というものを、きちんとした形で、じゃ、誰がどのような形で負担をしていくのか、あるいは、国民の負担を最小限にしていくためにどういうことを考えなければいけないのかという観点に立てば、本当にこの抜本的な見直しとは、今回のこの改正案というものは、まだまだ課題が多いんじゃないかという認識を持っているわけでございます。
 柴山大臣の方にお伺いをしたいのは、今回の改正するいろいろな事項について、私もそれは必要なことだろうと思います。しかし、そもそもこの二十兆円を超えるような、あるいはもっと膨らんでいく可能性のあるこの賠償をどのようにしていくのかということを考えたときに、やはり私はもっと抜本的な見直しというものをしっかりと行っていく必要があると思いますけれども、その認識をまず伺いたいと思います。
○柴山国務大臣 巨額の損害賠償を余儀なくされる可能性のある原子力事故でございます。ですので、まず何よりも賠償資力を確保する枠組みをつくるということが極めて重要でありまして、その観点から、原賠法第十六条に規定する国の措置を具体化した原子力損害賠償・廃炉等支援機構が制定されて、一千二百億円を超える賠償については、同法に基づいて原子力事業者間の相互扶助のスキームによって賠償資力を確保するという枠組みが整備をされました。ということで、現時点において被害者の保護の観点から問題があるということは承知をしておりません。
 ただ、これで事足りるかというと決してそういうわけではないわけでございまして、今後の損害賠償措置のあり方については、迅速かつ公正な被害者への賠償の実施、国民負担の最小化、原子力事業者の予見可能性の確保といった観点も踏まえつつ、必要に応じて私ども文部科学省を中心に検討させていただきたいと思います。
○笠委員 世界のいろいろな原子力損害賠償においても今回は最大の規模であったわけでございます。
 これまでも原賠法については、一九六一年、昭和三十六年に制定以来、大体十年に一度の見直しということが行われてきているわけですけれども、昨日、私も参考人の方からも伺ったわけですけれども、そうした中で損害賠償が初めて適用されたのは一九九九年のジェー・シー・オーの臨界事故でございました。ただ、このときは六百億円から千二百億円という形で損害賠償の措置額が倍々というか、それまで三百だったものが六百になり、六百が千二百と。私は千二百になった根拠というのが何なのかよくわからないんですけれども、ただ、千二百を二千四百にするとか、そういうレベルの話じゃないんですよね、今回の福島の原発事故。ですから、私はジェー・シー・オーのときにももっと本質的な抜本的な改革がなされるべきではなかったのかと、ちょっと参考人の方にもお伺いをしたんですけれども、それにしても、今回の福島原発事故を受けてどういった点が今後の課題になるのかということを、大臣はその点、お考えがあればちょっとお聞かせをいただきたいと思います。今後の検討課題として。
    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕
○亀岡委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○亀岡委員長 速記を起こして。
 佐伯研究開発局長。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 原子力損害賠償制度専門部会における検討におきましては、原賠制度に関する幾つかの課題について今後の検討が求められております。
 今後の検討を要する事項といたしましては、原子力事業者の責任の範囲、法的、制度的に短期的に解決ができない課題が多く、現行の制度の維持が妥当とされましたが、中長期的な観点からの検討というものはございます。利害関係者の責任のあり方、法的整理、これは特に見直し後の原賠制度において対応可能な事項、対応困難な事項などを整理し、万が一の事態に備えておくことが重要とされているところでございます。
 それから、先ほどの千二百億の部分でございますが、賠償措置額、こちらについて引き続き検討をしていくこととなります。
 また、長期的な課題として引き続き検討することが妥当とされたものにつきましては、ADRの和解仲介の手続を実効たらしめるためのさらなる手続といったものについても必要ではないかということが指摘されているところでございます。
○笠委員 この専門部会の中で、今後、私は今基本的なことを本当に問うたと思っているんですけれども、やはりこの中で、さまざま国民負担というものをしっかりと最小限に、最小化を図っていく、原子力事業者の予見可能性の確保といった観点、公正な被害者へのしっかりとした賠償というようなことを引き続き検討を行うということが課題として課されているわけで、特に国民負担の最小化というものは、これから東電が全て仮払いを含めて返していくということになるんだけれども、果たして本当に大丈夫なのか。東電の今回の、例えば株主であったり、貸し手の金融機関、あるいは社債の債権者、原発メーカー等々の原子力関連事業者などは、ある意味では一切の負担をしていないというような中でのスキームになっているわけですけれども、果たして本当にこれで大丈夫なのかということを私は問題点として指摘しておきたいというふうに思っております。
 それで、もう一点お伺いしたいのは、先ほど申し上げたように、また次、恐らくこの法案が成立をしたら十年後の今ぐらいにまた議論をしているんじゃないかというふうに思うんだけれども、これは十年待たずに、やはりきちっとした形で文科省が中心になって検討を重ねていくということが私は大事だと思いますけれども、その点の大臣の認識を伺いたいと思います。
○柴山国務大臣 済みません。ちょっと答弁に手間取って、大変失礼をいたしました。
 今、議員が御指摘になられたように、原賠制度に関する幾つかの課題については専門部会において今後の検討が求められておりまして、例えば今御指摘のあった原子力事業者の責任の範囲ですとか、あるいはステークホルダーの責任のあり方、法的な整理の検討、損害賠償措置、あるいは他のさまざまな救済手続、こういったことをやはり検討していかなければいけないということでございました。
 ただ、その検討の時期につきましては、必ずしも、原賠法第二十条に定める政府補償契約の新規締結、あるいは国の援助に係る適用期限である十年後に結論を出すことが前提となるものではないと考えておりまして、必要に応じて、迅速に文部科学省で検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○笠委員 一点、具体的に伺っていきたいと思いますけれども、そのことは本当に、抜本的な見直しへ向けた文科省としての大臣のリーダーシップはしっかり求めておきたいと思いますが、今回の改正事項の中で、損害賠償実施方針の作成そしてその公表を義務づけることになるわけですけれども、原子力事故が発生した場合に、損害賠償の迅速かつ適切な実施を図るための備えとして、あらかじめ原子力事業者に対して損害賠償の実施のための方針の作成及び公表を義務づける。その方針の内容というものについては、詳細はこれから、今後文科省令で定めるということになっているわけですけれども、これはやはり事業者によっていろいろなばらつきが出たり、さまざま、ではどういったことを義務づけていくのかということは非常に大事な、ある程度しっかりとしたガイドラインなりを示す必要があるかと思います。
 今、文科省の方で、もちろんこの法改正が行われた後ということにはなると思いますけれども、どういったスケジュール感で、またどういったことを具体的にガイドラインとして示していく、そういった検討を当然されていると思いますけれども、その点の状況についてお聞かせをいただきたいと思います。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 損害賠償実施方針には、まず、原子力事業者の各事業ごとに講じている民間責任保険契約、政府補償契約等といった事業所ごとの損害賠償措置に関すること、二点目といたしまして、原子力損害の賠償に関する事務の実施方法に関する内容として、原子力事業者における内部規則などの整備、賠償請求の受付窓口の整備、賠償請求の手続、情報の管理方法に関すること、次に、紛争の解決を図るための方策に関する内容として、原子力損害賠償紛争審査会により行われる和解の仲介への対応に関すること、こういったことの記載を義務づけることを考えてございます。
 その上で、損害賠償実施方針に定めるべき内容につきましては、原賠法第十七条の二、案文の第二項におきまして、文部科学省令で定めることとしてございます。
 省令の検討は、今後、今般の改正後、法律の施行までに政府において行うことになりますが、その検討に当たりましては、作成される方針が各原子力事業者の事前の備えとして実効性のあるものとなりますよう、東電福島原発事故の賠償実務の経験から得られる知見や教訓を踏まえたものとなることに留意しながら、検討を行ってまいりたいと考えております。
○笠委員 ということは、まだその辺は、今おっしゃったことというのは、具体的な中身というよりも、ここの法律の中で定められていることですけれども、これは、有識者か何かの方々の検討を何か行っていただくような形、どういうふうにこれから、あるいは、もちろん施行までの期間があるわけですけれども、いつぐらいまでにという、もう少しちょっと具体的にスケジュール感も含めて教えていただけますか。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 まさに、検討をしっかりと進めていく上では、さまざまな有識者の方々の御意見も伺いながら進めてまいりたいと思っております。
 検討のスケジュールにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、今般の法の改正後に作業を始めていくこととなりますが、法律の施行までに充実した検討ができますように、しっかりと作業を進めてまいりたいと思っております。
○笠委員 もちろん、実施方針を作成していくということは、もう二度とこういった事故はあってはならないんですけれども、何かがあったときにしっかりとこの福島の経験というものを生かしながら対応していくということは大事なんだけれども、そういった中で義務づけをするけれども、私もまた委員会の中でも今後チェックをしていきたいと思いますけれども、やはりこれは省令でということになっているので、きちんとした形で、わかりやすい、そしてまた実効性のある形での省令をぜひ検討いただきたいということをお願いいたしまして、時間が参りましたので質問を終えたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○亀岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時四十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○亀岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。川内博史君。
○川内委員 川内でございます。
 亀岡委員長のもとで発言をさせていただけることに、心から感謝を申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 きょうは原賠法の質疑ということで、原賠法、何か胸がざわざわする法律なんですけれども、その前に、先日の本委員会の城井委員の質疑で、英語の入試に民間試験を導入する、その入試を担当する業者さんが他方でその対策本を出すということについては公正を疑われるのではないかという質疑があって、大臣からは、李下に冠を正さずという言葉がある、公正への懸念をどのように払拭するかということをやはり当事者にしっかりと検討してもらうということが大事だというように思っておりますという御答弁があったわけです。
 英語の入試に関して、その入試を担当される事業者が他方で対策本を出してビジネスをするということに関する公正さを欠くのではないかという懸念に、文部科学省としてはこういうふうな対策をとっているよということがあるのかどうか。
 ここに、大学入試英語成績提供システムの「不正、情報流出等の防止策などの対応」ということで、その事業者が出している対応策がネットに出ているんですけれども、この中には、対策本を出しているけれども変なことはしないからねというようなことは一切書いていないです。
 文部科学省として懸念を払拭する努力を事業者に求めるよとこの前大臣が御発言いただいているわけですから、この事業者がどのようなことをしているのかということについて御説明をいただきたいというふうに思います。
○柴山国務大臣 文部科学省では、英語力を向上させるためには大学入学者選抜においていわゆる英語四技能の評価を行うことが重要であると考えておりまして、既に大学入学者選抜において使用されている民間の英語資格検定試験の成績を、二〇二〇年度から大学入試センターが提供することとしております。
 多くの民間の英語資格検定試験については、各試験に関する公式問題集などの参考書が発行されておりますけれども、その受検者は大学入学共通テストの受験者に当然のことながら限定されるわけではないわけでありまして、民間団体の問題集の発行を禁止するということは、いささか乱暴であるというように考えております。
 また、これらの試験は既に大学入学者選抜に活用されてはおりますけれども、具体的に試験問題の漏えいに該当する問題集があるということは承知をしておらず、出題者が問題集を発行しただけでは不正に当たるとは考えておりません。
 ただ、先ほど御紹介をいただいたように、私どもといたしましても、李下に冠を正さず、入試の公正を害することがないようにするということは極めて大事だと考えております。
 今、GTECの公表している防止策、対処方策、これも私はやはり非常に重要な方策だと考えております。今お示しをいただいた資料の中には、不正、情報流出等の防止策及び不測の事態発生時の対処方策を公表していることということが定められておりまして、失礼いたしました、これはGTECじゃなくて、大学入試センターが設ける参加要件です。
 大学入試センターが設ける参加要件の一つに、不正、情報流出等の防止策及び不測の事態発生時の対処方策を公表していることということが定められておりまして、この要件を各参加試験が満たしていることを確認しております。
 その上でなんですけれども、みずから情報を漏えいすることを、先ほどお示しをいただいたGTEC、これが想定していないという御指摘でございます。
 確かに、GTECの方でみずから情報を漏えいしていることは想定をしていないのが通常であろうと思いますけれども、今お示しをいただいた冊子におきましては、当サービス責任者は、応急処置、被害拡大の防止、回復処置等を速やかに講じるなどの、情報流出事案が発生した場合の対処方策をみずからの責任として策定、公表をしているところでありまして、もし万が一みずからがそういった不正を行った場合にも、こういった形で対処を図るということが読み取れるかと思います。
○川内委員 今、柴山大臣から御丁寧な御答弁をいただいたわけですけれども、公正への懸念をどのように払拭するかということを当事者にしっかりと検討してもらいたいと大臣が御発言をされている、前回の質疑でですね。
 その中で、私どもは、大学入試を担当する事業者がその対策本を出すことを禁止せよなどとは一言も言っておりません。禁止せよなんて言っていないです。その公正さが疑われるようなことがないようにしなければなりませんよねということを言っている。それは、大臣もそうだねとおっしゃっているわけですね。
 そこで、これは事務方に答えていただきたいんですけれども、GTECを担当する事業者、そして同時に対策本も出すわけですけれども、今大臣が情報の漏えい、流出という言葉を使われたわけです。これは社内で情報のやりとりが遮断される組織になっているか、そして、社内でそういう情報をやりとりしたときに、社内的に処罰をされる規定に社内規定がつくられているかというようなことについて、文部科学省は確認しているんですか。
○義本政府参考人 民間試験を共通テストに活用することにおきましては、参加要件というのは大学入試センターが定めて、今申し上げたところでございますが……(川内委員「聞いたことに答えるだけ。確認しているかどうかだけ答えてください」と呼ぶ)
 要件としては、特に社内での情報のやりとりについて確認するということはしておりません。
○川内委員 まさしく、大臣、そこなんですよ。公正を疑われるようなことがあってはいけないよね、それはそうだねということになると、では、社内の仕組みが、組織がどうなっているのと。
 GTECを担当する部署と、それから対策本を出す部署と、これは情報のやりとりをできないようにしてくださいよと。もしそんなことがあったら、社内的に処罰をされるし、この入試に参加する資格からいえば、あなた方は資格を失いますよということをきちんと文部科学省として担保していく、指導していくということが必要なのではないかということを申し上げているわけで、それは同意していただけると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○柴山国務大臣 おっしゃっていることは極めて理屈が通っていると思います。
 今の御指摘もいただきまして、そういう公正性の確保ということをどうするかということを、大学、高等学校関係者や各試験団体を構成員とする意見交換の場を年内に設置させていただきます。そして、その中で、各試験団体に対して、試験の公正性の疑念を生じないよう注意喚起するとともに、実際の試験問題と問題集の関係性について、問題がないということについてどのように担保するのかということも含めて説明を求め、確認をすることをぜひ検討させていただきたいと思います。
 その上でなお情報漏えいが疑われる場合、今御指摘をいただいたように、一定の手続を経た上で参加を取り消すなど、必要な手続をとることとさせていただきたいと思います。
○川内委員 大臣、ありがとうございます。
 文部科学省は大学入試に絡んで大変残念な事件があって、文部科学省として、受験生、あるいは受験生の保護者の皆さん、そして国民の皆さんからの信頼をしっかりとかち取っていかなければならない、もう一度つくり直していかなければならないという時期なので、余計になおさら老婆心ながら申し上げさせていただいたところでございます。
 それでは、原賠法の方に入らせていただきたいと思うんです。
 さっき冒頭で私、心がざわざわする、こう申し上げたんですけれども、この法律は歴史が随分ある法律で、しかし、福島原発事故という大変な事故を私どもは経験し、そして今回の改正、原賠法の改正案というものに至るわけですけれども、立法事実として、福島原発事故というのは大変大きな重い重い事実であるというふうに思います。
 ところが、その大変重い事実を経て、今回の改正案、枠組みは福島原発事故の前の法律の枠組みと同じです、変わっていません、一緒なんですということになっている。そこが今回の改正の一番の問題点なのではないかというふうに思っておりまして、「原子力事業の健全な発達」という言葉、ずっと本委員会できょう一日問題になっているわけですけれども、この目的規定というのは法律ができたときからずっと入っている規定なんですか。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 法律の制定時から定められている言葉でございます。
○川内委員 原子力事業の健全な発達というものを目的にしてつくられてきた法律がありながら原発事故が起きた、そして、起きたにもかかわらず、枠組みは今回も変わっていませんと。
 私はすごく腹立たしい思いもあるんですけれども、今、検察審査会の起訴議決を受けて、東京電力の旧経営者の皆さんが業務上過失致死等で裁判にかけられているじゃないですか。そこで、東京電力の昔会長さんでしたとか社長さんでしたとかいうと、もう経済界の中では大変な大物中の大物、日本の経済をリードしてきたような方たちだと思うんですけれども、その方たちが裁判で、見ていないとか読んでいないとか記憶にないという言葉を繰り返していらっしゃるわけですよね。原子力事業の健全な発達という、法律である種守られながら経営に参画していらっしゃった方たちが、いざとなると、見ていない、記憶にない、読んでいないという発言をされる。
 今回のこの原賠法というのは、「原子力事業の健全な発達」という目的規定があるんだけれども、その文言のある法律が電力会社を守る、それはちゃんと賠償するためだよ、賠償するために守るんだよ、だから交付国債を発行して、返すのはいつでもいいからねと言いながら、健全な発達と言いながら、非常に不健全な法律だなというふうに見える。それがさっき申し上げた、心がざわざわしてしまうということの原因なんです。
 そういう東京電力さん、今は生まれ変わったとおっしゃるんでしょうけれども、裁判でそういう、見ていない、読んでいない、記憶にないということを繰り返す経営陣が経営していたお会社を結局はこの原賠法という法律が結果として守ってしまうわけですけれども、大臣は、率直に、この法律の枠組み自体が全く福島事故以前と以後と変わらないということについて、それでいいんだというふうにお思いになられるのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。
○柴山国務大臣 福島の事故の前と後で最も大きく変わったのは何かというと、やはり私は原発の安全神話というものが大きく瓦解したということだと思いますし、それがゆえに、実際、大きな損害が発生してしまった場合に、被害者の保護を確実に行う、原子力事業者が適切な賠償を行うということがより一層シビアに求められるようになったということだと思うんですね。
 確かに、今御指摘のように、関係各位の責任のとり方ということについては、これは非常に重要な課題なんですけれども、それは、今紹介をいただいたように、当局がしっかりと今手続を進めているところであろうというように思います。
 我々がやはり大事だと思うのは、繰り返しになりますけれども、適切な賠償、そして被害者の保護を、安全神話が崩れた中で、それでもやはりしっかりと行うということでありまして、確かに枠組み自体は従前のままかもしれませんけれども、今回の法改正によってそれらがより十全に行われるようにしたということが重要だというように考えております。
 目的規定との関係でいえば、今少し議員御自身が紹介をしてくださったように、その賠償をしっかりと行ってもらう、これをもって国民生活の安定と国民経済の健全な発展に寄与するという観点からすれば、その目的規定を変更すべきとの結論には至らなかったということであります。
 またさらに、原子力事業の健全な発達の視点については、発電事業者やメーカーなどのみならず、東電福島原発事故の事故収束や廃炉を進めていく上でも重要であると考えております。
○川内委員 大臣のおっしゃることも私は理解しないわけではないんですけれども、例えば、「原子力事業の健全な発達」というのを私ども立憲民主党の修正案では削除させていただいているわけですね。
 例えば、そういう被災者、被害者に対する賠償というのは大事だね、それはもうみんなが、大事だ、それはしなきゃいかぬねということは合意しますよね。だけれども、賠償するために会社を守らなきゃいけない、会社を守った結果として、では、今行われている裁判で旧経営陣が言っていることは、知りません、見ていません、記憶にありません、何でそんなことになったのか僕たちはわかりませんということをおっしゃるわけですね。それはちょっと、国民の方から見たら、えっという。
 だから、「原子力事業の健全な発達」という言葉を削除して、例えば、事故を起こした会社の経営者にはちゃんと責任をとらせるよという文言を、差しかえるとか、どこかに入れるとか、そういう工夫があってもよかったのではないかということを私は言いたいわけですけれども、きょう、立憲民主党の提案者初鹿先生にも来ていただいているので、何でこの「原子力事業の健全な発達」という言葉を削除する修正をするのかということをちょっと皆さんに御説明いただきたいと思います。
○初鹿委員 ありがとうございます。
 川内議員からの質問にお答えさせていただきます。
 まず、先ほど委員からもお話がありましたが、この「原子力事業の健全な発達」という文言は、原賠法制定当時の、原子力発電事業を保護し、育成して推進するとの政策が反映されたものであります。
 しかしながら、昨日の参考人で来られておりました大坂恵里先生も指摘をしておりましたが、不法行為に関する特別法の中で特定の事業の健全な発達に資することをうたっている例は、この原賠法以外には見当たりません。原子力開発の黎明期をとうに過ぎ、そして、甚大な被害をもたらした福島第一原子力発電所の事故を経てなお、原子力事業だけを特別視することはできないというふうに考えます。
 また、原子力事業の発達が法律の目的に入っていると、原子力事業を発達させるためには、原子力損害に関する原子力事業者の責任については有限責任の方がよい、あるいは、損害賠償措置額についても低目に抑えて負担を少なくした方がよいという議論を呼ぶ可能性があります。
 したがって、原賠法の目的を被害者の保護に純化したものとすべきと考えまして、修正案では、この「原子力事業の健全な発達」を削除することとしたわけであります。
○川内委員 ということなんだそうですけれども、きょう、東京電力の方にも来ていただいているので、副社長さん、本当に、お忙しいところ、ありがとうございます。心から感謝を申し上げます。
 一点、ちょっと教えていただきたいんですけれども、こだわるようなんですけれども、旧経営陣の方々の裁判での御発言ですね。そんなことはないと思いますよ、そんなことはないと思いますけれども、世の中とか人生とか社会というのは何が起きるかわからない、東京電力さんが原発事故をまた起こしてしまうということもあるかもしれない。そのときに、また再び、例えば、きょう見えていただいている副社長さん、裁判等で、いや、俺は知らなかった、書類は見ていなかった、記憶にないねということをおっしゃるようなことをお繰り返しになられるのか、今後の覚悟をちょっと聞かせていただきたいと思うんです。
○守谷参考人 お答えいたします。
 まずは、当社、原子力福島事故によりまして、福島県民の皆様を始めとする多くの皆様に大変な御迷惑と御心配をおかけしていることについて、改めて心よりおわび申し上げます。
 福島原子力事故にかかわる当社元役員三名の刑事責任を問う訴訟が係属していることについては承知しておりますが、刑事訴訟に関する事項につきましては、当社としてはコメントは差し控えさせていただいております。
 当社としては、福島復興を原点に、原子力の損害賠償、廃炉措置、除染に誠意、全力を尽くすとともに、原子力発電所の安全性強化対策に不退転の決意で取り組んでまいりたいと思っております。
 以上です。
○川内委員 私が聞いたのは、また万々が一事故を起こしたら、見ていないとか記憶にないとか、そんなことを言うんですかということを聞いたんですけれども、結局、何かしゃくし定規に御答弁になられて、そんなことはない、経営陣が責任持ってやるんだということはお答えにはならないわけです。
 ちょっと教えていただきたいんですけれども、この原発事故を理由として、東京電力の役員の方々で、責任をとって、退職金をもらわずに退職した方というのはいるんですかね。
○守谷参考人 お答えいたします。
 済みません、現時点で確認できておりませんので、お答えを現在は保留させていただきます。確認させていただきます。
○川内委員 多分、全員、退職金を受けて円満に、円満にというか、形上は責任をとったみたいなのもあったでしょうけれども、皆さん退職されていらっしゃるのではないかというふうに思うんですけれども、そういうことを含めて、全部この原賠法の枠組みの中に入っちゃうわけですよね、お金に色はついていないので。
 東京電力さんは、賠償についても、三つの決意、「三つの誓い」という形で、大変立派な決意をお述べになっていらっしゃるんですけれども、その三つの決意を、項目でいいですから、三つ、簡単に述べていただけますか。
○守谷参考人 お答えいたします。
 「三つの誓い」、一つ目、最後の一人まで賠償を貫徹する、二つ目、迅速かつきめ細やかな賠償の徹底をする、それから三つ目、和解仲介案の尊重、以上の三つでございます。
○川内委員 その「三つの誓い」、最後の一人まで賠償を貫徹ってどこかで聞いたような言葉もあるわけですけれども、でも、東京電力さんが和解案を拒否したというような記事がおとといも出ておりました。
 東京電力さんが今まで、和解案を勧告されて、しかし、その受諾を拒否した件数と人数を役所の方から教えていただけますか。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもの方では、ADRによって件数のみ把握してございますが、東京電力が和解案の受諾を拒否したために和解仲介が打ち切られた件数につきましては、平成三十年六月末までの累計で九十二件と承知しております。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま文部科学省より答弁のありました九十二件におきまして、東京電力が和解案を拒否したことにより打ち切られた申立人の人数は一万六千二百六十三名であると承知をしております。
○川内委員 これは多分、本邦初公開の数字だと思うんですけれども、現時点における東京電力が和解案を受諾拒否した件数が九十二件、人数は一万六千二百六十三名ということだそうでございます。
 東京電力さんも、いろいろな理由があって、その和解案は受け入れられませんわということで拒否をされるんだろうということなのかもしれませんが、少なくとも、和解案、間に入っている人が、この原賠法の枠組みの中で、法律の枠組みの中でつくられた審査会が、これでどう、和解したらどうと言っていることに関して、いや、それはだめだと言うのは、これは相当な理由がなきゃいかぬと思うんですけれども、何で拒否するんですかね。
○守谷参考人 お答えいたします。
 まず、当社といたしましては、和解仲介案の尊重というお約束に従って誠実に対応してきたところでございます。その考えに変わりは一切ございません。また、ADRの手続が、簡易な手続により早期解決を目指す場であるということも十分承知しております。
 他方で、ADRでは、個々の申立人の御事情に基づき審理が行われているところでございますが、個別事情を考慮しても事故との相当因果関係のある損害を認めることが困難な場合というものもございます。このような一部の案件につきましては、和解案に基づく損害賠償を行うことが困難であるという結論に至ったものでございます。
 いずれにいたしましても、ADRの手続については、引き続き、被災者の方々の個別の事情をよく御丁寧にお伺いしながら、適切に対応していく所存でございます。
 以上です。
○川内委員 原発事故とその損害との相当因果関係を認めることができないから和解案を拒否しましたよということなんですけれども、そもそも、この和解案というのは、原発事故との相当因果関係をADRセンターが判断したからこそ和解仲介案を提示するのではないかというふうに思うんですけれども、どうなんでしょう、このADRセンターの仕組みというのは。これは東京電力じゃなくて、ADRセンターを担当する役所。
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 和解仲介に際しましては、紛争審査会の示します中間指針に従って仲介案をまとめてまいります。
 個別の事案ごとについての事柄につきましては、ADRは公正中立な仲介委員によって担当されておりますもので、私どもから言及は差し控えさせていただきますが、その中間指針の中では、一律に状況を認められるものと、個別具体的にそれぞれの状況に応じて因果関係を判断していただくというものがございます。それぞれのADRの中で、仲介委員が、それぞれが具体的な和解仲介案をその考え方のもとでまとめているものでございます。
○川内委員 私が聞いたのは、和解仲介案を仲介委員の方がおまとめになられる前提として、事故と損害との相当因果関係がある一定あるねということを判断するからこそ和解仲介案に至るのだという理解でよろしいかということを聞いているんです。
○佐伯政府参考人 そのとおりでございます。
○川内委員 そうすると、大臣、東京電力さんは、因果関係がない、ないから拒否したんだとおっしゃるんだけれども、ADRセンターは、因果関係があるものを和解案として出しているんだ、こうおっしゃる。ADRセンターの仲介案については尊重するよと一方で東京電力さんも言う、しかし尊重しないものもある。
 これが大変混乱を生んでいる原因で、立憲民主党案では、ADRセンターが示した和解案については受諾してね、よっぽど変なものじゃない限り受諾してねということを修正案として出しているんですけれども、これは要するに、今やりとりしていた、そういうことが理由ですよね。どうでしょう、初鹿先生。
○初鹿委員 先生のおっしゃるとおりで、相当な因果関係があるからこそ和解案が出ているわけでありまして、これを受諾拒否するのにはそれなりの理由をきちんと東電側が示す必要があるというふうに考えております。
○川内委員 大臣、だから、この原賠法、政府側あるいは与党の先生方は、きょう採決なんだ、修正案、我々の案は否決をして、原案で可決するのだということなのかもしれないですけれども、今やりとりをお聞きいただいていても、ADRセンターの、要するに国の、政府の機関というところが、これは一定因果関係があるね、和解案、これで和解してねという提示をしたものを東京電力さんが、いや、これは因果関係はない、だから僕たち嫌だもんと。嫌だもんと言う権利はあるんですよ。それは、僕も法律は素人だけれども、そうなんだろうなと思います。
 だけれども、原賠法という枠組みで、ちゃんとまず、「原子力事業の健全な発達」という、我々は削除した方がいいと思うけれども、目的が書かれる前に、被害者の救済という大きな目的があるわけですから、そっちの目的の方が優先されるに決まっているわけで、和解案の受入れについては、ただ今回原賠法を成立させるだけではなく、政府として、文科大臣として、原賠法を担当される大臣として何か一工夫しないと、お互いに無用な溝ができちゃうというのは、被災者と東京電力の間に溝ができるというのは絶対よくないことですから、そこをちょっと、何か工夫があるのかないのか、御答弁いただければと思います。
○柴山国務大臣 まず、法的なことを一つ言わせていただきますと、今回御指摘いただいた法律の文言修正について、ADRセンターの和解仲介案にいわゆる特段の不合理な事情がない限り従う義務があるという片面的受諾義務を導入することについては、現に、原子力損害賠償制度専門部会においても検討がなされたところではあります。
 ただ、そういった拘束力のある手続を利用することを望まない紛争当事者が和解仲介手続の利用をかえってちゅうちょして、紛争解決の迅速性及び簡易性が損なわれて、被害者の早期救済の妨げとなるのではないかという懸念、それと、原子力事業者側が半強制的に応諾せざるを得ない状況となって、それにより原子力事業者の裁判を受ける権利が制限されることになるのではないかなどの委員の意見が表明された結果、現行の規定を維持することが妥当であるというようにされました。
 ただ、今御懸念を示されたことも非常によく理解できるところでありまして、文部科学省といたしましても、東京電力に対して、和解仲介案の尊重を含めた、先ほど御紹介をいただいた「三つの誓い」、これを遵守して、被害者に寄り添った賠償を進めるように累次にわたって要請をしてまいりましたが、それに加えて、今回の改正案において、今度、原子力事業者が損害賠償実施方針において原子力損害の賠償に関する紛争の解決を図るための方策を定めなければならないこととさせていただき、この中で、ADRセンターによる和解仲介への対応の方針についてもしっかりと記載をしていただくということで、和解仲介手続の実効性の確保を図ってまいりたいと考えております。
○川内委員 では、次の論点に行きたいというふうに思いますが、私はずっと不思議に思っていることがあるんです。
 熊本の地震、震源の浅いところでマグニチュード六・九とかマグニチュード七・二という地震が起きて、地表面では物すごい加速度だったわけですね。今回の北海道胆振東部地震も、これは震源の深い、四十キロぐらいのところなわけですけれども、しかし、地表面では物すごい加速度を記録している。
 原子力規制委員会は、大臣、覚えておいていただきたいんですけれども、原子力規制委員会は、日本じゅうどこでもマグニチュード六・八までの地震であれば起こり得ると言っているんですね。マグニチュード六・八までの地震であれば日本じゅうどこででも起こり得ると。実際に熊本は、断層があると認識をされていない箇所でマグニチュード七・二の地震が震源地下十キロで起きた。
 そうすると、日本全国に原発がいっぱいあるわけですけれども、例えば、今回、東京電力さんは、東海第二原発に出資するとかしないとかということで、今社内で検討していらっしゃるということなんですけれども、東海第二原発の直下で、地下浅いところでマグニチュード六・八の地震が起きたらば、炉心に与える加速度はどうなるのか。
 あるいは、今、福島は廃炉作業中、復興に向けて作業をしていらっしゃるわけです。福島の二号機、三号機はまだ事故の原因さえわかっていないんでしょう。だけれども、じゃ、その直下でマグニチュード六・八の地震が起きたら、福島の原発一号機、二号機、三号機に与える影響はどうなのかというようなことについて原子力規制委員会は検討しているのか。直下でですよ、直下で起きたときに基準地震動との関係はどうなのかということを検討しているのかということについて教えていただきたいと思います。
○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。
 先生の御質問は、私どもが各原子力発電所の新規制基準適合性の審査において検討の対象としている、震源を特定せず策定する地震動を指しておられることと思います。
 まず、東海第二原子力発電所ですが、震源と活断層を関連づけることが困難な、震源の位置も規模も推定できない地震を対象とするもの、この震源を特定せず策定する地震動について、これらの地震の観測記録を収集して適切に策定することを要求しておりまして、審査の中で各種の不確かさも考慮した上で、この震源を特定せず策定する地震動をきちんと事業者が策定していることを確認し、妥当であると判断をしております。
 また一方、福島第一原子力発電所ですけれども、福島第一原子力発電所につきましては、震源を特定せず策定する地震動も検討の対象に含めた上で、東日本大震災における地震で得られた知見を踏まえまして、検討用地震動、これは九百ガルですが、検討用地震動を策定し、使用済み燃料並びに滞留水が存在している建屋等について耐震性が確保されていることを特定原子力施設監視・評価検討会において確認しております。
 なお、もう先生御承知のように、東京電力福島第一原子力発電所は、現在も事故の対応中であります。困難な廃炉作業が続いていることを鑑みて、例えば、新たなボーリング調査をしてより詳細な地震動の評価を行っていくことよりも、むしろ、建屋内の滞留水の処理や使用済み燃料の取り出しを着実かつ迅速に進め、施設全体のリスク低減を早急に行っていることの方が適切であるというふうに考えております。
○川内委員 大臣、今、更田委員長にいろいろ説明していただいたんですけれども、ちんぷんかんぷんで、わけがわからないですよ。
 私が聞いたのは、専門家がいろいろ専門用語を使って我々素人を煙に巻くわけですけれども、そうじゃなくて、東海第二原発の直下十キロメートルでマグニチュード六・八の地震が起きたときに原発に与える影響、加速度を計算していますかということを聞いているんです。
 マグニチュード六・八の地震が日本じゅうどこででも起きると規制委員会はおっしゃっているわけですから、マグニチュード六・八までは。そのマグニチュード六・八が原発の炉の直下の十キロで起きたときに加速度を計算していますかということを聞いているんですよ。計算しているのかいないのかということを答えていただきたいと思います。
○山田政府参考人 お尋ねでございますので、お答えをさせていただきます。
 東海第二原子力発電所の審査におきましては、先ほど更田委員長から申し上げましたとおり、震源を特定せず策定する地震動というものの評価はしておりますけれども、先生がおっしゃっているマグニチュード六・八という地震についての評価は求めておりません。
 それから、付言をさせていただきますと、六・八の地震がどこででも起きるので、いずれの発電所の審査においてもその審査をすべきというような要求はしてございません。
○川内委員 いや、だから、要求をしているかいないかということを聞いているんじゃないんですよ。要するに、計算していないと言ったんですよ、大臣。
 震源を特定せず策定する地震動については、東海第二原発のマグニチュードは幾らですか。
○山田政府参考人 申しわけございません。ただいま正確な数字を手元に持っておりませんので、お答えできません。
○川内委員 いやいや、これは大臣に答えてくださいとか言っている話じゃないですからね。御専門の、御担当の方に答えてくださいと言っている話ですから、ここで答えていただかないと。きょう、ここにそろっている委員がどういうことなのかということをきちんと理解してもらわなきゃいけませんから。
 震源を特定せず策定する地震動の東海第二原発におけるマグニチュードは幾らかというのを答えてください。
○亀岡委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○亀岡委員長 速記を起こして。
 山田原子力規制部長。
○山田政府参考人 東海第二原子力発電所の震源を特定せず策定をしている地震動につきましては、北海道留萌支庁南部地震で観測された地震を使ってございまして、その地震につきましてはマグニチュード五・七でございます。
○川内委員 マグニチュード五・七の地震で計算しているわけですよ、大臣。
 マグニチュード五・七とマグニチュード六・八はどのくらい違いますか、エネルギーが。答えてください。
○山田政府参考人 ちょっと正確な数字ではございませんけれども、三十倍近い違いだと理解をしてございます。
○川内委員 全然規模が違うんですよね。
 六・八まではどこででも起こり得ると規制委員会は文書に書いているんですよ。だから、六・八で計算したらどうなるのということをきちんとやらないと。
 実際に熊本でも、熊本のマグニチュード七・二は、産総研の地震を研究するセクションがあるんですけれども、産総研の地震を研究するセクションが、これは今まで知られている断層じゃないところが動いていると書いているんですから。それで七・二ですよ、震源の深さ十キロで。
 だから、六・八まで起きるというのであれば六・八できちんと計算して、直下十キロで起きたらどうなるのか、その対策をしないと。またこれは安全神話に陥っているんですよ、皆さんが。
 何となく、いや、大丈夫ですよ、もうこんなことはないようにしますからねと言いながら、また結局同じことを繰り返して、原賠法で、枠組みで救われるから大丈夫だもんと。それでは、最後に全部しわ寄せが行くのは国民ですから、あるいは電力のユーザーじゃないですか。
 それはきちんと、ちょっと大臣、震源を特定せず策定する地震動について、マグニチュード六・八という数字で計算させるということを御答弁いただけますかね。
○山田政府参考人 まず、地震動の評価について、どういう評価をすべきと規制委員会で要求をしているかということについて御説明をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、地震動として評価すべきは、周辺の活断層、それから敷地内の活断層を十分評価した上で、その活断層の活動性それから長さについて十分な保守性を考慮した上で地震動を計算するというのが前提になってございます。
 それに加えて、地表面に断層があらわれていない地震動が起きる場合もあり得ないわけではないので……(川内委員「いや、もう起きているんだから。熊本で起きたでしょう。北海道胆振東部もそうじゃないですか」と呼ぶ)そういう地震動については、震源を特定せずの地震動で評価をしてくださいという形になってございます。
○川内委員 いや、おっしゃることはわかるんですよ。要するに、規制基準がそうなっていないから計算などはさせられないと今おっしゃっているわけですね。大臣、そういうことなんですよ。要するに、規制基準がそうなっていないんですよ。
 だから、世界最高水準の規制基準だと総理は何度もおっしゃるわけですから。であるとするならば、日本全国マグニチュード六・八までは起こり得ると、実際に起きているんですから。それはきちんと知見を踏まえて対処をしなければ、また同じことを繰り返すことになると私は思いますよ。
 だから、大臣、ここでやると言ってくださいと言っているんじゃないんですよ。いや、それはちょっと検討してみる価値あるね、俺もちょっと勉強するわぐらいは言っておかないと、政府として、あのときまた政府は何も言わなかったじゃんということになるんですよ。
○柴山国務大臣 いかなる基準をつくるかということについては、原子力規制委員会の方でしっかりと検討してくださるというように思います。
○川内委員 柴山大臣、残念でした。また議論しましょう。
○亀岡委員長 これにて原案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○亀岡委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申出がありますので、順次これを許します。義家弘介君。
○義家委員 自由民主党の義家弘介です。
 私は、自民党を代表し、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案に対し、賛成の立場から討論いたします。
 今般の法改正は、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会における検討結果を受けて、東電福島原発事故における対応のうち、一般的に実施することが妥当なもの等について所要の措置を講じるものであり、いずれの改正事項も、将来、原子力事故が発生した場合に、被害者への適切な賠償がより迅速かつ円滑に行われるために必要なものであると考えております。
 第一に、損害賠償実施方針の作成及び公表の義務づけについては、原子力事業者が、あらかじめ、損害賠償の実施のための方針を作成及び公表することによって、今後、原子力事故が発生した場合に、損害賠償の迅速かつ適切な実施が図られることが期待できると考えます。
 第二に、東電福島原発事故の経験を踏まえると、賠償金の仮払いは早期の被害者救済に資するものです。このため、原子力事業者による迅速な仮払いの実施を促す枠組みとして、仮払い資金の貸付制度を創設する意義はあると考えます。
 第三に、ADRセンターにおける和解仲介手続は、高い割合で和解合意の実績を上げており、簡易な手続により迅速な紛争解決に寄与するものと評価できます。このため、時効の懸念によってその利用がちゅうちょされないよう、和解仲介手続の利用に係る時効中断の特例を定めることは、被害者の早期救済に資するものと考えます。
 第四に、政府補償契約の新規締結等は、今後、原子力事故が発生した場合における被害者保護という観点から、引き続き必要な規定であるため、延長することが妥当であると考えます。
 なお、立憲民主党及び国民民主党から提出がありました修正案については、現行賠償法でもって対応が可能である事項、今後慎重に検討する必要がある事項が盛り込まれたものであることから、反対という立場ではありますが、これまでの委員会での審議を踏まえ、賠償措置額のあり方等引き続き検討が必要な事項については政府において真摯に御検討いただくことを求め、以上をもちまして、私の賛成討論といたします。
 ありがとうございます。
○亀岡委員長 次に、村上史好君。
○村上(史)委員 立憲民主党の村上史好でございます。
 私は、立憲民主党・市民クラブを代表して、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、立憲民主党・市民クラブの修正案に賛成、原案に反対の立場から討論を行います。
 平成二十三年の東京電力福島原子力発電所事故において、広範囲にわたり甚大な原子力損害が生じたこと等を踏まえれば、原賠法の改正等の抜本的な見直しが必要であります。
 本法律案では、仮払い資金の貸付制度の創設や和解仲介手続の利用に係る時効中断の特例などが盛り込まれたものの、現行の千二百億円の賠償措置額の引上げが見送られ、原子力損害賠償ADRセンターの和解案に拘束力を持たせるなどの被害者の保護に必要な措置が講じられておりません。
 また、福島原発事故の経験をしたにもかかわらず、被害に遭った方々の賠償に関する法律に、「原子力事業の健全な発達」との文言が不適格であることは明らかでございます。
 修正案は、現在、原子力発電が置かれている状況に鑑み、今後は被害者の保護や救済に特化するべく目的規定を改定し、また、原子力損害賠償ADRセンターから提示された和解案について、その内容が著しく不合理でない限り、原子力事業者はこれを受諾しなければならないこと、賠償措置額の引上げについて速やかに検討すべきとすることなど、原子力事故の被害者の保護に向けた取組が明記されております。よって、修正案に賛成をいたします。
 最後に、原発事故による甚大な被害が起こったことを踏まえれば、政府の改正案では不十分であり、根本的な見直しが必要であることを指摘して、討論を終わります。
○亀岡委員長 次に、畑野君枝君。
○畑野委員 日本共産党を代表し、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 東京電力福島原発事故による損害賠償額は、現時点で八兆六千億円に膨れ上がっています。この賠償額は、ふるさとの喪失を押しつけられた住民や地元業者らの被災者にとって極めて不十分なものであるにもかかわらず、東京電力を始め大手銀行や原子力メーカーなどの責任は曖昧にされ、その多くを税金と電力料金という形で国民に負担を押しつけるものとなっています。
 建前上は、原賠法第十六条が規定する政府の援助を具体化した原子力損害賠償支援機構を通じて、原賠法の無過失責任、責任集中、無限責任の三原則は維持されているように見えますが、実際は、賠償全額がいつまでに払い終わるかさえ定まっていません。今後起こり得る事故への対応以前に、原賠法の三原則は実質的に破綻しているのです。
 にもかかわらず、原賠法、原子力損害賠償支援機構スキームで賠償を可能とする法案は、東電救済の特別スキームを一般化し、全国の原発の再稼働に備えようとするものにほかなりません。
 また、原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解案を東電が拒否する事例が多発していることは看過できません。加害者に和解案の受諾義務を課すべきです。
 さらに、原子力損害賠償紛争審査会の指針は、本来、最低限のものであるにもかかわらず、東電が、指針を超える被害について被害者側に因果関係の立証を求めていることは重大です。加害者が基準を決めるようなことを許すべきではありません。
 今回の法改正は、過酷な原子力事故を踏まえ、賠償法制度の根本的検証が求められたにもかかわらず、原子力事業者による原発事故の賠償が可能であるかのように描き出し、原子力事業の健全な発達を目的とする現行制度の根本を維持したことに最大の問題があります。原子力事業者が原発事故の引き起こす被害にとらわれず安心して原発を推進できるようにするものであり、新たな安全神話を生み出すものであって、断じて許されません。
 なお、立憲民主党提案の、法の目的規定から「原子力事業の健全な発達」を削除する修正案には、賛成です。国民民主党の修正案には、賛同できません。
 以上を表明し、討論を終わります。
○亀岡委員長 次に、杉本和巳君。
○杉本委員 維新の杉本和巳です。
 私は、日本維新の会として、政府原案に賛成の討論をいたします。ただし、もろ手を挙げての賛成ではございません。
 今次、修正議論が主になされた「原子力事業の健全な発達」という目的規定については、これまでの延長上の法律の目的規定としてではなく、福島第一原発の複数の原子炉大事故という未曽有の悲劇的な大事故を経験したことや、今なお国民負担や廃炉の工程が釈然としない状況を鑑みての解釈に改める必要があるのではないかということ。
 また、的確な廃炉や最終処分などのいまだ不透明な難題に対して解決策を導き出す人材を育成、養成することは、原子力事業を現実に抱えている我が国にとって、また原子力事業にかかわる世界各国にとって不可欠な要請であります。そして、その人材の活躍による科学技術の進歩がなされることが、いまだ解決できない難題の解答に近づく唯一の道であることを意味するものと明言させていただきます。
 以上、原案に対しての我が党の考え方を申し上げて、討論といたします。
○亀岡委員長 次に、吉川元君。
○吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。
 政府提出の原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の立場で討論を行います。
 反対の理由の第一は、損害賠償措置額を据え置いたことです。
 福島原発事故で既に八兆六千億円が賠償費として支出されているにもかかわらず、事故前の措置額を据置きしたことは、福島原発事故のような大事故は起きないという前提に立ち、安全神話に回帰したものとしか思えません。速やかな見直しを求めます。
 第二の理由は、原発機器メーカーなどの製造者責任を免責したこととあわせ、株主や債権者などステークホルダーに賠償責任を求めることも見送った点です。
 事故に際して責任を負うべき関連事業者に広く賠償を求めること抜きに、国民負担への理解は得られません。
 第三の理由は、ADRによる和解案を東京電力がたびたび受諾拒否する現状に際し、和解仲介案の尊重の義務化を改正案に盛り込まなかった点です。
 被害者の立場に立った補償を実現するには、最低限、原子力事業者が和解仲介案を受諾することを原則とする規定を法制化することは、必要不可欠な措置と考えます。
 原子力損害賠償法の根本的な問題は、法の目的、第一条に、被害者救済と相入れない「原子力事業の健全な発達」が盛り込まれていることにあります。この文言の存在で、原子力事業者の予見可能性の確保の必要性が強調され、原子力事業者の存続、成長ありきの有限責任論が堂々とまかり通っているのが現実です。原賠法からの削除を求めます。
 以上が、政府案に反対する理由です。
 なお、立憲民主党提出の修正案は、政府案の問題点についておおむね対応し得るものとして賛成をします。国民民主党の修正案につきましては、党内で十分な検討をする機会がなかったため、賛成には至りませんでした。
 以上です。
○亀岡委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○亀岡委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。
 まず、初鹿明博君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○亀岡委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、牧義夫君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○亀岡委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○亀岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○亀岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五分散会