1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年十二月五日(金曜日)
午前十時四十五分開議
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議事日程 第六十一号
昭和二十二年十二月五日
午前十時開議
第一 綜合燃料及び電力危機突破に関する決議案(佐々木良作君外三名発議)(委員会審査省略事件)
第二 昭和二十二年度一般会計予算補正(第九号)(委員長報告)
第三 昭和二十二年度特別会計予算補正(特第四号)(委員長報告)
第四 戸籍法を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第五 昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第六 國有林野法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第七 郵便法案(内閣提出、衆院送付)(委員長報告)
第八 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆院送付)(委員長報告)
第九 北海道に在勤する政府職員に対する越冬燃料購入費補給のための一時手当の支給に関する法律案(内閣提出、衆院送付)(委員長報告)
第十 関税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆院送付)(委員長報告)
第十一 食糧の輸入税を免除する法律案(内閣提出、衆院送付)(委員長報告)
第十二 國民健康保險制度の更正に関する請願(委員長報告)
第十三 國立病院及び國立療養所改善に関する請願(委員長報告)
第十四 住宅営團経営の住宅を國営とすることに関する請願(委員長報告)
第十五 傷痍者更正援護に関する請願(委員長報告)
第十六 拂下げミシンに関する請願(委員長報告)
第十七 傷痍者保護に関する請願(委員長報告)
第十八 生活保護法の普及と同法の一部改正に関する請願(委員長報告)
第十九 遊休公共建造物の即時解放等に関する請願(委員長報告)
第二十 伏古別漁港築設に関する請願(委員長報告)
第二十一 有珠漁港改修工事に関する請願(委員長報告)
第二十二 追直漁港築設に関する請願(委員長報告)
第二十三 豊間漁港修築に関する請願(委員長報告)
第二十四 磐越東線三春、船引両駅間の要田村に停車場を設置することに関する請願(委員長報告)
第二十五 磐越東線神俣、大越両駅間の瀧根町菅谷に停車場を設置することに関する請願(委員長報告)
第二十六 木原線鉄道残工事の速成に関する請願(委員長報告)
第二十七 東北本線二本松、本宮両駅間の杉田村に停車場を設置することに関する請願(委員長報告)
第二十八 國民健康保險組合制度を改革することに関する陳情(二件)(委員長報告)
第二十九 國民健康保險金に対する國庫補助金の増額等に関する陳情(委員長報告)
第三十 國民健康保險組合の振作促進に関する陳情(委員長報告)
第三十一 社会保險制度の一元化に関する陳情(委員長報告)
第三十二 國立療養所高山荘の完備並びに運営に関する陳情(委員長報告)
第三十三 星塚敬愛園入園患者生活擁護に関する陳情(委員長報告)
第三十四 生活保護法による生活保護費を全額國庫負担とすることに関する陳情(委員長報告)
第三十五 炭坑労務者福利厚生施設拡充に関する陳情(委員長報告)
第三十六 住宅建設に関する陳情(委員長報告)
第三十七 漁業用資材の確保に関する陳情(委員長報告)
第三十八 資金融通準則の一部改正並びに水産金庫設置に関する請願(委員長報告)
第三十九 漁業用網索原料マニラ麻の輸入懇請に関する陳情(委員長報告)
第四十 漁業用燃油の配給に関する陳情(委員長報告)
第四十一 江差町、東瀬棚村間に國営自動車の運輸を開始することに関する陳情(二件)(委員長報告)
第四十二 姫路及び新宮両駅、宍粟郡内間に國営自動車の運輸を開始することに関する陳情(三件)(委員長報告)
第四十三 中央線高藏寺、名古屋鉄道小牧両駅間に國営自動車の運輸を開始することに関する陳情(委員長報告)
第四十四 水産物集出荷及び配給制度に関する調査に関する件(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/0
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001・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/1
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002・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。日程第一、綜合燃料及び電力危機突破に関する決議案(佐々木良作君他三名発議)(委員会審査省略要求事件)、本件は発議者佐々木良作君外三名の要求通り、委員会の審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/2
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003・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。佐々木良作君。
〔佐々木良作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/3
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004・佐々木良作
○佐々木良作君 只今議題となりました綜合燃料及び電力危機突破に関する決議案の趣旨を簡單に御説明いたします。
先ず最初に、非常に簡單ですから、この決議案の全文を朗読いたします。
綜合燃料及び電力危機突破に関する決議
光、熱及び動力源の深刻なる危機に遂に家庭生活を崩壞せしめ産業に決定的打撃を与えんとしつつある。國民は襲いくる酷寒を迎えて底知れない不安と焦燥にかられている。今にして大胆且つ有効なる施策を本問題の解決に集中しなければ遂には民生の安定も産業の復興も凡てその足懸りを失い一大社会混乱を誘致するの虞れがあろう。
このエネルギー源の危機は、当面燃料と電力の危機として現われており、然もこの危機は決して打開の方途がないのではない。政府は恒久施策の樹立を急ぐと共に、よろしくこの事態の緊迫と責任の重大性を自覚して次の超重点緊急措置を講ぜられたい。
一、政府は本問題解決のため強力なる綜合的実施機関を設置して迅速果敢なる措置を講ずること。
二、政府は石炭、電力、薪炭等各種エネルギー源につき、その相互間の効率的配分と確保につき適切なる措置を講ずること。
三、政府は石炭及び薪炭等燃料の生産増強のために有効適切なる凡ゆる手段を講ずること。
四、政府は海陸運を含めて凡ゆる輸送力を動員して燃料を迅速に國民の手に確保せしめること。
五、政府は以上の緊急措置を講ずると共に電力増強の緊急方策を進め民生の安定及び産業復興に要する最低所要電力は公平且つ無停電を以て供給すること。
六、政府は國民にこのエネルギー源危機の眞相を周知せしめると共に合理的使用の徹底を期すること。
七、政府は以上各項に関し現に採り又今後採るべき措置につき第一回國会開会中に本院に報告すること。
右決議する。
以上が決議案の全文であります
御承知の通りここに盛られてある内容、特にこの必要は殆んど言うまでもないと思いますが、この内容的な詳しい説明は省略いたしまして、結論だけを二三附加えたいと思います。
現在の國民に対して非常な深刻なる影響を及ぼしておるところの電力の危機の原因は何か。簡單に申上げますと、第一は、本当に綜合的なエネルギー源の絶対量の不足ということであります。この電氣を含め石炭その他すべてのものの綜合エネルギー量の絶対量の不足が電氣という恰好で現れておる。電氣がない。電氣が不足しておるという恰好を取つて現れるということ。從つてこの解決は電力内部だけでは決して解決できない。それよりもつと包括的に含めた綜合エネルギーをどうするという立場からでないとその解決はできない。
第二番目は、最近の特殊の事情でありますけれども、このエネルギー源の絶対量の不足の上に、異常渇水によつて電力生産が非常に低下しておるという点でありまして、これは更に異常渇水があつた場合には火力で以て電氣を出せばいいわけでありますが、火力を出すための石炭が不足しておる。要するに異常渇水にプラス石炭不足ということ、この二点が現在の電力危機の直接の原因であります。綜合的なエネルギー源の絶対量の不足と、そして最近における渇水と石炭不足による電力の生産低下、この二つであります。
從つて私共考えまして、それならば今年の冬の緊急的な対策をどのようにすれば重点的に何とかなるかということでありますが、今の原因から直ぐに結論は出て來るわけであります。尚これは例年の慣例でありますけれども、冬における電力需要の圧迫は最も家庭用の電力から圧迫されて來る。要するに冬になれば家庭用の電燈及び電熱の使い方が殖えて來るということであります。從つて今年の冬の電力の需給を最も圧迫してくるのは、当然に家庭用の電熱になつて來るわけであります。例を取りましても、昨年度の場合におきましても、全部の電力消費量の中で、冬になるというと三五%がそういう家庭用のものに食われて來るという事実になつて來る。この部分を成るべく少くすることによつて電力危機を何とか切り抜けることができる。電熱を成るべく少くすることによつて電燈を消さずに済むような措置ができる。こういうことであります。そこで家庭用の電熱使用を防ぐためにはどうすればいいかというと、これは言うまでもないことでありまして、外の燃料で以て家庭用の燃料を確保するという以外にはないのでありまして、從つて次の対策としては、この家庭用の燃料を確保するためには、現在の直ぐの問題としては、今の電熱以外の家庭用の燃料としてあるところの薪炭であるとか、加工炭浪であるとか、これをはつきり確保して國民に供給するという措置を採ればいいわけであります。私共が電氣委員会、並びにその後に開かれましたところの連合委員会において檢討したところによりますと、一應政府の計画の九俵、炭換算の九俵の檢討をいたしました結果、この九俵では足りない。足りないけれども、この九俵を完全に確保することができるという結論に達したのであります。政府の施策よろしきを得るならば完全にこの九俵は確保することができる。そうすれ電熱は最小限に防ぐことができる。そうすれば当然に電燈は消えなくて済むという結論になるわけであります。ただこの九俵を確保するためには、現在のような政府のなまぬるい措置では絶対に不可能であります。もつと本当に命がけの強力な措置が打たれなければならない。打たれた場合には、はつきりと確保することができるという結論に達したわけであります。この確保することでき、そうしてそのための強力な措置が採られなければならないという結論が、この決議案を出しまして、そして政府に最も強力なる措置を要望する理由になるわけであります。
從いまして、この具体的な内容、一から七に挙げておるところの具体的項目につきましては、説明を省略いたしますが、要するに家庭用の光と熱とを供給するために、今年の冬の端的な措置といたしましては、先ず加工炭、薪炭という他の燃料を綜合的な観点から必ずこれを確保する。そうして、確保することができるからやれということが一つと、その次にはこの家庭用の燃料が確保されるならば、当然に家庭用の電燈は必ず確保し得る措置がある。だからこれを確保しろという結論になるわけでございます。そうしてそのための措置といたしましては、現在こういう措置を最も不可能ならしめておるものは、政府部内のセクト主義であります。官僚主義の中心をなすところのセクト主義であります。(拍手)私共は数回の電氣委員会並びに連合の委員会におきましても、セクト主義がいかにこの問題の解決を邪魔しておるかということを如実に見たわけであります。これを例を取りますと、電氣委員会でありますから、電氣を何とかしろということで内容を衝く。それで電力関係の者を呼べ。それで電力関係を呼んでやる。そうすると、当然に、我々がこの電氣を確保するためには、今のような薪炭云々が確保されなければならない。或いは火力を焚くためには石炭が確保されなければならない。この二つが確保されたならば、私共電力の官吏としてはその責任は達成いたします。こういう返事であります。それは誰が確保するかと言へば、それは石炭廳であり、もう一つは農林省あると言う。そこで農林省の役人を呼んで同じことを言うて、薪炭を確保するのはお前たちの方じやないか。確保できるかと言えば、私共の方の生産は何とか今年の冬にはなる筈であります。併しながら今の直接の配給のうまく行つていない原因は輸送力でありますから、だから一つその辺は運輸省の方に当つて頂きたいと言う。そこで運輸省を呼んで、仕方ないから運輸省の官吏を呼んで別にたたく。そうすると、それは御尤もでありますけれども、汽車が動かない。汽車が動かないのは、これは石炭に原因があります、一つ商工省の石炭廳でその点は確保して貰いたいというわけで、幾らいつても堂々廻りで、綜合的な強力な措置が採れないわけであります。(拍手)私共はその観点から、電氣委員会から要請いたしまして、連合委員会におきまして、今の私共電氣委員会並びに鉱工業委員会、それから農林委員会、更に運輸委員会、この四つの委員会で以て私共は一堂に我々委員が一緒になり、同時に関係の役人たちも全部一緒にしまして、できるかできんか、一つ一つ駄目を押して行つたわけであります。そうすると、皆を寄せると必ずできるという結論が出て参ります。このできるという結論が出るに拘わらず、なぜやらなかつたか。私共は國民の代表として憤懣に堪えない次第であります。(拍手)これは今のところ腹を立ててもできない。ともかくも当面の危機は何とか打開しなければならない。このためには、かくのごとき方法を採れば必ずできるという結論を持つたが故に、この結論をこの決議案として上程いたしまして、そうして皆さんの御賛同を得まして、政府に対して最も強力なる実施の施策を要求する。そうして少しでも前進させ、今の危機を解消して貰うということをやりたいという意味であります。
尚最後に、これまでいろいろな問題で決議が行われましたけれども、なかなかうまくその決議の尻拭いができない。そのあとを私共考えまして、当面の措置に対しては第一回國会中に日にちが何ぼもありませんけれども、この國会中に必ず本院に報告すること。これは今更政府がじたばたしなくてもいいので、もうすでに対策はできておる筈であります。直ぐに返答ができる筈であります。そうして本國会中に報告して頂きまして、その報告の内容によつて、どのような立場からも我々はこの内容を突ついて、今のような立場から家庭用の光と熱とを必ず確保しろ。そうして家庭用の最少限度の光と熱を今のような方法によつて確保すれば、当然にその余力は殆んど全部工場、産業用の動力へ行くことができるのであります。そのような大きな綜合燃料、綜合動力的な立場から、政府一本になつて、各省のセクト主義をはつきり放擲して、一本にこの措置に立ち向かわしめようということであります。第一回の國会中に報告を受けて、これを受けつ放しでなくて、直ちに具体的な実施要領に基ずいて、私共は尚必ずあとを追求して、責任を以て実施せしめようと考えておるのであります。どうか趣旨を御了解願いまして、皆さんの御賛同を得たいと思う次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/4
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005・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 討論の通告がございます。これより発言を許します。田村文吉君。
〔田村文吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/5
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006・田村文吉
○田村文吉君 私は緑風会を代表いたしまして、本決議案に対する賛成の意見を開陳いたしたいと存ずるのであります。
実はこの問題は、今日かようにどん底に追い詰められましてから本決議案を出しまするようなことは、少しく六日の「あやめ」の嫌いがあるのでありますが、併し先月は衆議院おいて電力危機突破に関する決議案が行われておつたのでありまするし、この状態はすでに昨年から、又今年の春、今年の夏の状況から見ましても、当然起こるべき運命であつたのでありまするから、必ず何らかの施策が行われて、この冬は我々はこのような目に遇うことなく済むものと考えておつたのでありますが、遂に今日このような状況に立ち至つて参つたのでありますが、而も尚今日これを言うて、そうして政府から善処して貰うことが絶対に必要に相成つて参りましたので、今回この決議案が上程されました次第と存ずるのであります。
私は先月の二十四日の日に今度炭鉱の國家管理法案修正案が参つて廻りまして、これを僅かの日の中に檢討いたしまして、職責を全うせねばならぬと存じまするので、家へ帰りますると、その日は到頭終夜電氣が参りません。僅かに國から持つて参いりました蝋燭をともしまして、そうして勉強をしたようなわけでありまするが、その前の日もその前の日も、約一週間に亘つて、僅かに一時間ぐらいの送電がありましただけで、殆んど電燈を拝むこともできないような状態にあつたのであります。これは私一人の問題ではありませんで、東京の全部の皆様、日本の全部の皆様が非常にお苦しみになるお嘗めになる苦痛なのであります。尚今月になりまして、木炭が二貫目だけ私の世帯に配給に相成つたのでございますが、実は電熱も今のような状態で使うことは無論できません。ガスはありません。僅かに燒けた材木を伐りまして、それを以て炊事をいたしておるような状況でありまするところへ、二貫目の木炭が実ば配給に相成つたのでありますが、このようなことで炊事をいたしますのは、どうやらこうやら漸くいたすのでありますが、昨今のように寒く相成つて参りましても、実は炭一つないのでありまするから、煖を取ることなんぞは到底でき得ないような状態になつておるのであります。これは恐らくは全國の皆様はより以上に悲惨な状況においでになることであろうと私は心配しておるのでありまするが、殊に北國地方にもなりますると、関東方面と違いまして、これからは一ケ月の中にお天氣の日というものは二日ぐらいしかないのでありまして、もう三時過ぎますると暗くなりますのみならず、冬の囲いをいたしまするから、家の中は晝間でも暗いのであります。ところが全部電力が参りませんような状況でありまするから、まあ蝋燭をともすとか、或いはアセチレンを工夫するとかいういうようなことで、灯を奪われた陰惨な生活をいたさねばならぬような状況に相成つておるのであります。又農家にいたしましても、これからまだ調製をしなければならぬのでありますが、調製が、電力が参りませんためにでき得ない、こういうような状況にあるのであります。尚最も憂慮すべき状態にありますることは、御承知でありまするけれども、昨今の工場は一週間に二日しか電氣が参りません。甚だしい所になりますと一週間に一回しか動力が参りませんので、これで生産が非常に減つて参りますることは申すまでもありませんが、折角増産をして今日のインフレーションを何とかして緩和する方法を考えようというので、國民は経営者も労働者も一生懸命に働いて行きたいという考えでおりまするときに、今のような状況でありまするから、実に毎日不愉快な生活をいたすのみならず、生産はガタ落ちに落ちて参つておるのであります。物が不足いたして参りますると、從つて生産が不足して参りますると、從つて生産費は高くなるのであります。生産費が高くなりまするからどんどんインフレが激化する。こういうことに相成る次第でありまして、この結果は賃金の問題その他各般の問題が非常に憂うべき状況に相成るのみならず、今年の暮になりますると、どこの会社でも金融にお詰まりになりまして、恐らくは賃金も支拂えないような状況に相成るであろうということを、実は非常に心配しておるのであります。品物ができませんから金繰りが付きませんが、支拂うベき賃金や材料の金は拂つて参らなければならないのでありまするから、この暮になりましたならば、恐らくは全國の小さな会社も大きな会社も金融が皆詰まるということは実に憂慮に堪えないのであります、在來の國民耐乏生活ということも前途に何かしら明るみを持つから、耐乏生活ということに堪えてやつて來ておるのでありまするが、今のような電力がないために、又熱がないために生産も上げることができない。こういうような状況に相成つて参りまするというと、もう前途に光明がなくなつて來る。こういうことになりますると、勢い耐乏生活もできなくなる、やけ糞になる、こういうようなことが非常に憂慮されて参るのであります。即ち國民の希望を全く蹂躙してしまうような政策であつては誠に相成らんと考えておるのであります。私はかような状況になるということは、もう少しく政府も我々も考えて見なければならん。國民に対して何とも申訳がないような氣持がするのであります。昔ならばこのような状況に立至らしめるということは、いわゆる主君に対して家老が相済まんと言つて腹を切つて申訳をしなければならん。私は責任を感じなければならんと思うのでありまするが、さつぱり責任の方は感じておられないようでありまするが、今更責任を追及申しても仕方がないのでありまするが、先刻提案者より説明もあつたようでありまするが、いろいろの施策が行えれば行えるのであります。のみならずこの問題は今年よりも來年、構わんで置けば再來年とますます電力の不足という問題が強くなつて参りまいりまするから、今にして何かしら強力な方策を立てると同時に、その強力な方策を実行に移すということを切に政府に希望して止まんのでありまするが、今のようなことで置くということは、到底忍び得ないことであります。いろいろの機構いじりや何かでやつておることは、國民が脇から見ておりまして、議会は何をしておるか、政府は何をしておるか、我々の今日の生活をどうしてくれるか、こういうことで腹一ぱいだろうと考えておりまするので、私はこの際政府に向つて必ずできることであるのであるから、実行を是非やつて貰いたいというふうにお願いしたいのでありまするので、提案者に賛成をいたしまして、この壇を降る次第であります。
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/6
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007・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 丹羽五郎君。
〔丹羽五郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/7
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008・丹羽五郎
○丹羽五郎君 私は社会党を代表いたしまして、本案に賛成をする者であります。その理由は、古來より我々國民生活の根幹は衣食住という言葉を以てこれに当てられておるのであります。その食に対しまして本年六月非常なる食糧難に遭つたのでありまするが、幸い農民諸君の協力、連合國軍の非常なる御同情によりまして、その危機は突破をいたしたのであります。ところが再び私共に熱と光の危機が迫つて参つたのであります。人間の生活に光を失いますこと程凄惨且つ悲惨なるものはないのであります。暗黒の家庭に襲い來たりまするところの酷寒、光なき家庭に、何の休養と何の團欒とがあるのでありますか。
過日本院におきまして道義の昂揚に関する自由討議があつたのであります。その時各議員が非常に切実なる御意見を述べられまして、私もこれを拝聽いたした者であります。政府は國民に百万言、千万言の道義の昂揚を説きましても、この暗黒の家庭に住む國民には、何らのそれは價値も與えないのであります。私はこの場合道義の昂揚を図らんといたしまするには、先ず國民平等に小さき一つの光でも與えるならば、必ずその光によりまして陰惨なる氣分は一掃され、氣分は柔らげられます。それが即ち道義の昂揚に大きな力を有するものであることを固く確信をいたす者であります。
昨日の朝日新聞によりますると、商工大臣は電力問題に対しまして、記者團との一問一答が掲げられてあります。その結論といたしまするところによりますると、大臣は結局この打開策は、雨を待つより仕方ないとの悲鳴を挙げられたのであります。人事を盡くして天命を待つというその言葉通りにいたしますならば、果たして商工大臣は人事を盡くして天命を待つておるのでありましようか。(「ひやひや」と呼ぶ者あり)政府は最近にこの電力危機を突破するため、商工省の一部に電力危機突破対策本部を設けられましたることは、これは適切なる処置として私共も承知をいたしておるのであります。併し未だその本格的活動を開始したことを開いていないのであります。そのときに至りまして、ただ天命を待たなければならんということは、國民といたしましても誠に心細い次第であります。私はかような泣言を繰返えすより、関係官廳が只今佐々木君の申しましたるごとく渾然一体となりまして、確乎たる綜合燃料対策樹立をなしまして、在來の官廳機構の弊害であります薪炭は農林省、電力、石炭は商工省、輸送は運輸省、各その立場を保持いたしまして、お互いに譲らなかつたのが、今日のこの危機に迫つた一つの重大なる原因と私は考えるのであります。この場合に、電力危機突破対策本部が折角設けられましたのでありまするから、これを中核体といたしまして、緊密なる連絡、又緊密なる融合を図りまして緊急適切する処置を施し、一日も早く國民に熱と光を與え、この社会不安から國民を救うことが一番適切なることであります。生産工業を活動させますることは、一つのインフレ対策の一助にもするのであります。政府はこの場合必死の努力を拂い、一日も早くその実現を図ることを強く要望する者であります。
以上の理由によりまして、只今上程されましたる決議案に対して私は賛成をする者であります。どうか皆さんの切なる御賛同を得たいことをここにお願いする次第であります。
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/8
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009・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 石川一衞君。
〔石川一衞君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/9
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010・石川一衞
○石川一衞君 私は民主党を代表いたしまして本決議案に賛意を表する者であります。終戦以來生産の不振に依りまして、國民の生活は窮乏の一途を辿り、物資の不足とこれによるインフレの昂進は國民生活を脅かしつつあります。厳寒期を目睫に控えて燃料不足に苦悩を重ねつつあるのであります。我が國の現下の情勢といたしまして、何事も不自由を忍ぶことは止むを得ざる次第でありまするが、燃料及び電力の最近の危機は、生存並びに社会生活を脅かし、その施策がよろしきを得なければ社会に一大混乱を巻き起こす憂いが多分にあると私は思料する者であります。燃料不足が國民特に都市市民に致命的でありまして、現今の情勢におきましては主食と同様に考うべきものであります。燃料全般の不足と、今年の水害のため各所の発電所は破壊せられ、且つ稀なる渇水によりまして、電力危機のため緊急停電となり、多数國民の電燈及び電力を奪う結果となりましたことは誠に遺憾であります。電力危機の國民に及ぼす影響は誠に深刻且つ廣汎であります。
経済復興の基本たる工場生産は、停電連続によりまして激減し、たださえ不足する物資は更に減少して、生産の裏附けなき融資はインフレに拍車を掛けております。一般配電線によりまして電力供給を受ける中小商工業者は、打続く緊急停電で生産の計画は成立たず、この状態が継続いたすならば倒産者が続出いたしまして、労働者の職場も亦安全とは申されません。一見して影響少なき農村方面においてさえ、脱穀調製の不能によりまして、米麦の供出に絶大なる支障を與え、甘藷の澱粉加工を不能にし、多量の甘藷を腐敗せしめんとする状態であります。石油燃料の不足せる我が國においては電燈に依存して参りましたが、國民が未だ曾つて経験いたしませんでした昨今の電力異変は、多数國民より光と熱を奪い、無理なガソリン使用等によりまして、火災の危險に暴されております。
かような事態に立ち到つた原因は、燃料及び動力資源の総体的不足にありまするが、一面薪炭の搬出を怠り、今日降雪期に立ち到りまして、輸送作業に支障を來し、その無方針なる施策が禍いしたと思われるのであります。而も何らかの余裕資材があるうちは、それで間に合つて参りましたが、現在我が國の状態は瀕死の状態に陥つておるのでありまして、それ故に大胆迅速に事態を判断いたしまして、この危機を突破いたさなければ相成りません。この意味におきまして、政府も國民も正しき認識の下に本決議案を強力に推進するよう要望いたす次第であります。
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/10
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011・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 大隅憲二君。
〔大隅憲二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/11
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012・大隅憲二
○大隅憲二君 私は自由党代表いたしまして、只今上程になりました決議案に賛成をする者であります。電力危機につきましては、佐々木委員長外各党の先輩から詳しい御説明がありましたから、私が重ねて申すまでもないと存ずるのであります。ただ私の憂うる問題は、今朝程もラジオで申しておりましたが、農村電化に大きな支障を來たすことになりまして、これが供出に重大なるところの悪影響を來すのではないか、これを憂うる者であります。尚各産業は日増しに低下する。各家庭におきましては、衛生、尚子供の勉強等に誠に由々しき危機が迫つて來たのであります。そこで酷寒を迎えてこの燃料対策をいかにするかというのが、先程佐々木委員長から上程されましたところの七ケ條にあるのでありまして、この責任は最も政府にあるのあります。是非共七ケ條の決議を、政府におかれましては、適切なる処置と、迅速に最もよりよき施策を講じて、1日も早く完遂せられんことを私は希望するものでございます。
次に薪炭のことで一二申上げてみたいと思うのであります。本院におかれましては、先日燃料対策の委員会のときに、各先輩の申される言葉のうちに、生産は上廻つているけれども、輸送に隘路があるというような言葉をかずかず私は聽いておりました。その輸送の面につきましては、幸い昨日新任なされました北村運輸相は、誠に適任な運輸大臣と私は信じておるのでありまして、どうぞこの輸送面を担当されまして、これも一日も早く滞貨している薪炭を需要者の手許まで配給されることを希望いたすのであります。そこで私はこの輸送方面につきまして一つ申上げて置きたいことは、ただ軌道輸送、船舶輸送にのみ囚われずに、その前後を担当する小運送と小運搬を強化させて、そうして万全の策を講じて貰いたい。この小運送と小運搬には御承知の通りのトラックが大きな役割をなすのでありまして、先ず全國には私の記憶しているところでは大体十二万台ぐらいはあると存ずるのでありますが、その中の約六割は自家用トラックでありまして、これは法規的にも営業用に使うことはできないのでありまするが、先ずこの際、北村運輸相には大胆に且つ適切なる合法的な御処置を採られまして、そうしてこの自家用トラックを動員しまして、より早く輸送に専念せられんことを切望いたす次第でございます。
終りに臨みまして一言総理大臣にお願いしたいことがあるのでございますが、本日大臣は見えておられませんが……。時と人ということがございます。もう一遍申上げます。時と人ということがございます。先ず主食の供出のときに、燃料の確保、集荷、配給のときに、専任の農林大臣がおらないことが誠に國民一般が不安と思うのであります。(拍手)一人二役ということは能率的に到底不可能なことであると思うものであります。私共が委員を二つ持つ場合には両方共能率はうまくいかん。よつてこの際國民の信頼のでき得る農林大臣を一日も早く任命されまして、そうしてこの綜合燃料及び電力危機突破に格段の御努力をお願いいたしまして、私は本決議案に賛成する意思表示をいたしたいと思うのであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/12
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013・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 栗山良夫君。
〔栗山良夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/13
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014・栗山良夫
○栗山良夫君 私は無所属懇談会を代表いたしまして本決議案に賛成いたす者であります。綜合燃料及び電力の危機は遂に未曾有の最悪段階に突入いたしました。この恐るべき破局的段階の実態に関しましては今更喋々する迄もないのでありまして、先程來同僚諸君がお述べになつた通りであります。晝と夜とを問わず、又家庭と企業との別なく、國民が挙つてあげておりますところのあの悲痛な叫び声で十分でありましよう。從いまして、只今なすべきことは、この危機の実態を云々しておるのではなくて、この危機をどうして克服するか。これをどのような手段と方法によつて打開するか。この点を集中的に究明いたしまして、且つ積極的に実行することだけであると思うのであります。
戦争前に比較いたしまして、石炭、木炭、薪等の燃料は五〇%以下の生産率であります。これらの決定的な不足は、電力の生産が一〇〇%以上に維持されておりましても、如何ともなし得ない現状であります。いわゆるエネルギー源の総倒れの状況下に現在あるのであります。若しこの國民的危機が打開されなければ、再建日本の前途は、戦慄すべき一大暗礁に乗上げることは必至でありますが故に、何といたしましても、又いかなる努力を拂いましても解決しなければならないのであります。本問題の解決こそ現政府が万難を排して、断乎として採るべきところの焦眉の重大政策であると私は断じたいのであります。(拍手)
國会におきましても、今春以來すでに今日あるを予見いたしまして、衆参両院共電氣委員会が中心となり、あらゆる角度から熱心な研究が続けられ、政府を鞭撻して参つたのであります。衆議院におきましては、十月二日に電力危機突破に関する決議として、その結論が発表されましたが、本院におきましても、事態の急迫に備えまして、関係四連合委員会が組織せられまして、遂に本日の決議と相成つたのであります。國会が眞に國民の意思を代表するところの権威を有しております以上は、本日のこの決議こそ八千万國民の決議であり、又國民の政府に対するところの強力なる要求でもあります。(拍手)(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)本決議案につきまして、「この危機は打開の方途がないのではない」と断じておりまするが、正にその通りであると思うのであります。
政府におきましても、それぞれ問題を所轄省をして鋭意処理せしめられつつあることは私も認めるのであります。にも拘わらず、依然として國民の期待を裏切りつつあるところのものは、官僚のセクト的独善、責任の囘避、行政の食い違い等が存することを指摘せざるを得ないのであります。山元における多量の滞貨を、需要期を迎えながら國民の手に届けられないこと、予定計画を割り、不可避的な異常渇水に対処するところの新しい計画が用意されていないこと、火力発電設備の應急補修によりまして百万キロまで発電力を回復しておりながら、石炭の割当計画の拙劣によりまして、現在三十万及至四十万キロより発電をなし得ないこと、電力制限によるところの工場操業率の低下によりまして、工場には必要以上の貯炭を許しておる向が相当あるのであります。然るに依然として何ら割当の修正が行われていないこと、これに引換え火力用炭が充足されていないのであります。これら挙げれば全く枚挙に遑のない有様でありまして、これらこそ結局各省間の綜合的な、有機的な行政の妙を発揮するところの最も重要な点が欠けておるからであると思うのであります。
從いまして、本問題解決の鍵は、強力なる政治力の結集と、綜合された行政力との一体的展開に掛けられておると思うのであります。從つて政府は事態の重大化を端的に認め、直ちに強力なる綜合的実施機関を設置いたしまして、本決議を尊重し、忠実に且つ迅速に成果を挙げられ、國民に光と熱と動力とのエネルギー源を最低所要量を確保せられまして、國民の現在抱いておりますところのこの不安を、事実を以て一掃されんことを私は政府当局に強く要求する者であります。以上私の所信を申述べまして、本決議案の賛成の辞といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/14
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015・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は終わりました。討論は終局したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/15
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016・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/16
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017・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 日程第二、昭和二十二年度一般会計予算補正(第九号)、日程第三、昭和二十二年度特別会計予算補正(特第四号)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/17
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018・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。予算委員長櫻内辰郎君。
〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/18
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019・櫻内辰郎
○櫻内辰郎君 只今議題となりました昭和二十二年度一般会計予算補正第九号及び昭和二十二年度特別会計予算補正特第四号案の予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
去る十二月一日より十二月四日まで慎重に審議いたしまして、質疑應答の後、十二月四日討論に入り、採決の結果全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定したのであります。
さて本案は、北海道に在勤する政府職員に対する石炭手当支給に関する法律に伴う必要なる経費、その他先に本國会において決定せられました補正予算編成後において必要となりました経費につき、予算の補正をなさんとするものであります。
先ず一般会計について申し上げますと、その歳出においては、石炭手当を支給するために必要なる経費六千四百三十二万円、現行五十銭紙幣を回収し新紙幣を発行するに必要なる経費九千五百万円、農林省所管試験研究機関等の物件費の増加九千六百五十一万四千円、農業災害補助法施行に伴う経費七千九百六十八万一千円、農地開発営団の資産の一部買収等に必要なる経費四千九百九十七万九千円、花柳病予防対策に必要なる経費三千三百五万七千円、商工省分室設置に伴う建物買収費三千二百万円、臨時石炭鉱業管理法案実施の準備に必要なる経費二千五百十一万六千円、國民貯蓄運動推進に必要なる経費二千三百五十万円、その他大学附属演習林の官行伐採、大学副手の待遇改善、漁船の登録、新日本國民運動、並びに危機突破生産復興運動の展開等緊急止むを得ざる経費一億四千三百四十五万三千円、以上合計六億四千二百六十二万円の増加と相成るのであります。これが財源といたしましては、本年十月までに決定済みの電力超過加算料金受入三億五千五百五十二万九千円、國立病院及び國立療養所おける入院料金引き上げによる増収一億七千三百十六万一千円、その他漁船登録手数料、大学附属演習林伐採に伴う収入等一億一千三百九十三万円、以上合計六億四千二百六十二万円を充当するものであります。
次に特別会計について申上げますと、その歳入二十三億二千二十三万四千円、歳出二十三億二千三十七万七千円の増加となつておりますが、國債整理基金特別会計において借入金の借換え等により歳入歳出共二十一億八百二十万八千円の増加がありますので、これを差引きますと、歳入二億一千二百二万六千円、歳出二億一千二百十六万九千円の増加となるのであります。
その歳出の主なるものは、石炭手当を支給するに必要なる経費一億九千七百七十五万二千円でありまして、歳入の主なるものは、各特別会計の事業収入の外に、國有鉄道及び通信事業の特別会計建設勘定所属職員に対する石炭手当支給に必要なる経費の財源として、公債金収入七百九十五万六千円を受け入るるものであります。
本案の審議に当り各委員より熱心なる質疑があり、政府又これに対して懇切なる答弁がありましたが、今その質疑應答の主なるものを申上げますれば、一委員より、今囘の石炭手当の支給は北海道地域のみに限定されておるが、東北その他の寒冷地域に対してはいかなる考えを持つておるのかとの質疑に対し、政府委員より寒冷地域の決定は極めて困難であり、又國家財政の実情をも考慮し最小限に止めたのでありますが、他の寒冷地域に対しては、将來給與制度改正の際併せて考慮するつもりであるとの答弁があり、一委員より、國民貯蓄運動の最も効果的な推進方策如何との質疑に対し、政府委員より、新円の再封鎖、平價の切り下げ等は絶対にやらないことを徹底して通貨の信用を高めると共に、預金の秘密保持、物賞附定期予金等國民の利益となる点をも併せ考慮し、國民が納得して貯蓄するようにすることが最も肝要との答弁がありました。一委員より、臨時石炭鉱業管理法案の実施により、果たして労働者の生産意欲を昂揚し、石炭増産の実を挙げ得るやとの質疑に対し、商工大臣より、炭鉱労働者の経済上、社会上又は政治上の地位を向上せしむることにより、その勤労の意欲を昂進することができる外、石炭増産対策の浸透徹底、行政、経営、労働三者の渾然一体化、資材、資金等生産所要量の効率的利用等により石炭増産を期することができると思いますとの答弁があり、更に又一委員より、電力は食糧と同様、國民の日常生活に密接なる関係あり、最近のごとき停電状態にては、單に國民の経済生活を脅かすのみならず、精神的にも将來に対し不安を抱かしめる虞れありと思われるが、政府のこれが対策如何との質疑に対し、商工大臣より、我が國における水力及び火力の発電能力は、設備能力九百万キロワット、発電能力、豊水期六百万キロワット、渇水期四百万キロワットでありますが、石炭事情その他により下廻る傾向があり、これに対し需要は四百五十万及至五百万キロワットでありまして、明らかに供給不足になつておるのであります。特に本年は未曾有の渇水と風水害により、電力事情は極めて悪いので、政府としては発電設備の復旧修理、配炭の増加、自家発電の奨励、便乗負荷の切断、その他需要の抑制等、資材と人力の許す限りあらゆる應急対策を講ずると共に、恆久対策としては、我が國の経済事情とも睨み合わせ、先ず既有の水力及び火力発電設備のフル運転をなし得るよう目下全力を注いでおるとの答弁がありました。その外重要なる質疑應答がありましたが、詳細は速記録により御承知願いたいと存じます。
十二月四日討論に入り、二三の委員より賛成の意見を述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。ここに御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/19
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020・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/20
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021・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両予算案は全会一致を以て可決せられました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/21
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022・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 日程第四、戸籍法を改正する法律案(内閣提出、衆院送付)日程第五、昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律案、(内閣提出)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/22
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023・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。司法委員会理事鈴木安孝君。
〔鈴木安孝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/23
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024・鈴木安孝
○鈴木安孝君 只今議題となりました戸籍法を改正する法律案について、その内容の説明と共に、委員会の経過並びに結果を御報告申上げます。
日本國憲法の施行に伴いまして、民法の親族編及び相続編が全面的に再檢討され、その改正が行われることになりました結果、これら実体法規から出て來る身分関係を登録する戸籍の制度についても、必然的にその改正を要するに至ることは申すまでもないことであります。殊に民法から戸主、家族、その他家に関する規定が全部削除されますと、家を單位に、且つ戸主を本として編製しておりました現行の戸籍は、その編製そのものを根本から改めて参らなければならいことになります。そうして民法改正法案中、親族、相続編の條文が口語体に書き改められて、これと対應して、本改正案もその條文全部を口語化して、一般の理解を容易ならしめることになつたのであります。
本法案におきまして、從來の戸籍法を改正した重要な点を簡單に説明いたします。
第一に、從來戸籍は各家ごとに編製され、いわば家の登録とも申すべきものでありましたが、民法が改正されまして、この家の制度が廃止されることになりますと、戸籍を編製する基本的な基準が全く失われることになります。そこで、第六條を改めて、戸籍編製の基準として、夫婦、親子を單位とすることにいたし、戸籍は夫婦及びそれと氏を同じくする子ごとに編製することにいたし、その第十六條をもつて、婚姻の届出があつたときは、その夫婦について新戸籍を編製することにたいしたのであります。そして子供が生まれたときは、その戸籍に入れることにいたしたのであります。又第十七條を以て、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者以外の者が自己と同一の氏を称する子又は養子を有するに至つたときは、別にその者について新戸籍を編製することといたし、いわゆる三代戸籍を作らない原則を明らかにしたのであります。前述のように、戸籍編製の方法を根本的に改めることになりましたが、現行法の規定による戸籍全部を直ちに編製替をすることは困難でありますから、第百二十八條を以て、從來の戸籍は本改正案の規定による戸籍とみなし、今後十年を経過いたしましたときにこれを改編することといたし、又轉籍の場合も、第百三十七條によつて、從來の戸籍によつて、そのまま同じ戸籍を編製することにいたしたのであります。
第二に、從來戸籍を表示するには、戸主の氏名及び本籍で表しておりましたが、本改正案においては、第九條において、戸籍の筆頭に記載した者の氏名及び本籍で表示することといたし、その者が死亡その他の理由で戸籍から除かれた後でも、他に同籍者がある限り、その戸籍はそのままといたし、全員が除籍になつたとき、初めてその戸籍を除籍簿に移すことにいたしたのであります。この点は第十二條に規定されております。
第三に、現行戸籍法では、一定の戸籍に入り、又は新戸籍を編製するのは、民法上の入家又は一家創立に関する規定に從つたのでありまするが、民法からその規定が削除されましたから、本改正案では、入籍、新戸籍の編製又は除籍について、一々その事由を規定いたしております。即ち第十六條及至第二十三條がこれらに関する規定であります。
第四に、本改正案は、民法の改正に伴いまして、現行戸籍法の中から隠居、家督相続、推定家督相続人の廃除、家督相続人の指定、離籍、復籍拒絶、廃家、絶家、分家、廃絶家再興、族称の変更及び襲爵に関する規定を全部削除いたしまして、新たに後見監督人、姻族関係の終了、推定相続人の廃除及び分籍についての規定を設けられてあります。そうして分籍については、第二十一條を以て、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者を除いては、成年に達した者は自由に分籍できることにいたしました。
第五に、我が國人口動態統計に資するため、本改正案第四十八條において、出生届に医師、助産婦その他の者の出生証明書を添附させて、出生の年月日等に不実の記載をすることを防止し、又第四十九條で、特別の事由ある場合に限つて、届書その他市町村長が受理した書類の閲覧の請求を許し、又はその書類に記載した事項について証明書を請求することができることにいたしました。
第六に、子の名には常用平易な文字を使用せしむることといたしまして、当用漢字表制定の趣旨に副うために、第五十條の規定を設けました。また第百七條において、家事審判所の許可を得て、比較的容易に氏名を変更し得ることにいたし、その届出を要するものといたしました。
第七に、郵便による届出が届出人の死亡後に到着したものの効力を認める規定を第四十七條として設け、從來同様のことを規定していた昭和十五年法律第四号委託又は郵便による戸籍届けに関する法律は、これを廃止することにしたのであります。
最後に、本法案においては、戸籍の記載手続、届出の様式等手続上の規定は、これを戸籍法施行規則に譲つて、主要な基本的な事項を規定することにして、條文の数を現行法よりも少くしたのであります。委員会におきましては数回に亘り慎重に質疑應答を重ねましたが、その主要なものを拾い上げて見ると、戸籍の意義は如何、又戸籍を民籍としては如何との質疑に対して、政府委員から、戸籍は身分の登録である。そして或る程度現実の夫婦親子の共同生活体を表示せんとするもので、從來のごとく家の籍という意味ではない。氏を同じく親族団体を現すものであるから、民籍とか人籍とか言うよりも適切であり、又一般化された言葉であるから、採用した旨の答弁がありました。
次に、戸籍事務の監督は如何にして行われるかという質問に対しまして、政府委員から、從來司法大臣の下に裁判所の監督に属していたが、裁判所は純粋の裁判のみをすることになつた。戸籍事務の監督は性質上行政事務であるから、行政官廳たる司法大臣、将來は最高法務廳綜裁の監督の下に置かれることになつた。ただ戸籍取扱に関する不服について、家事審判所が裁判上の監督をする旨の答弁がありました。
次に、氏名の変更を容易ならしめた理由は如何との質疑に対してましては、政府委員から、氏名の変更は從來明治五年太政官布告第二百三十五号改姓名に関する件によつて、正当な事由、例えば襲名、又は同一戸籍内に同一名ある等のことがなければ変更の許可は得られなかつたが、無用の混乱を避けるため、第百七條で、家事裁判所の許可によつて比較的容易に変更し得ることになつたが、この変更は止むを得ない事由ある場合に、戸籍の筆頭者及びその配偶者が許可を受けなければならない。そして氏の変更の許可があれば、その戸籍内にある者はすべて氏が変更される旨の答弁がありました。
次に、無籍者に籍を與える手続が不備でないかとの質疑に対しまして、政府委員から、本人が家事審判所の許可を得て就籍ができる。棄児発見の場合には市町村長が氏名を付け、本籍を定めて就籍せしめる。また右就籍の手続は子供を世話する公設所の長又は管理人もできる旨の答弁がありました。その他の質疑應答は、委員会の会議録に譲ることにいたします。
質疑應答の進むにつれ、法案の修正についての懇談が行われましたが、質疑を打切り討論に入りますと、鬼丸委員から修正案が提出されました。即ち第五條第二項中「政令」とあるを「別に法律」と改める。第十條第一項中「正当な事由があるときは」を削つて、同項の末尾に「但し、市町村長は、正当な理由がある場合に限り、本項の請求を拒むことができる」を加える。附則に第百四十三條として、「第五條第二項の手数料の額は、昭和二十二年法律第三十四号財政治第三條の規定の適用があるまで、政令の定によることを妨げない」という規定を加えるという修正案でありまして、これに対して齋委員の賛成があり、他に反対意見の陳述もないので、採決いたしましたところ、右の修正案については全員異議なく、よつて修正に決し、次いで右修正に決した部分を除く残りの原案部分について採決した結果、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
次に、昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律案の審議の経過及び結果を御報告申上げます。
裁判官の報酬につきましては、裁判所法第五十一條において、別に法律でこれを定めることといたしているのでありますが、前議会当時においては、経済事情が尚変轉極まりない状態にありましたのと、当時政府は官吏全体の給與改善を研究中でありましたので、取り敢えず暫定的措置として前議会において、裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律の通過を見ました。ただこの法律は昭和二十三年一月一日からその効力を失うことになつておりますが、政府においては眞に裁判官の地位と職責にふさわしい報酬額を決定するには、裁判官の地位の独立という性質に鑑み、尚幾多考究の余地がありますので、目下立案中の一般の官吏の給與に関する法律案と並行して、これとは別個に裁判官の報酬等に関する法律案を研究立案中でありますが、これを國会に提出して本年十二月末までに間に合わせる見込みが立ちません。次に、檢察官の俸給につきましても事情は全然右と同様であります。
次に、日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律及び日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律は、共に日本國憲法の施行に伴い民事訴訟法及び刑事訴訟法を憲法に適合せしめるために、應急的措置を講じた法律でありますので、両法律とも昭和二十三年一月一日からその効力を失うと規定されているのであります。政府においては引き続き民事訴訟法及び刑事訴訟法の本格的改正の準備を進めたのでありますが、諸般の情勢から民事訴訟法改正法案及び刑事訴訟法改正法案を國会に提出して年末までに間に合わすことがむずかしい状況にあります。かような次第でありますので、政府は右四法案の本格的なものを第二國会に提出することとし、差当り右四つの應急措置法の効力を昭和二十三年三月十五日まで延長する緊急措置を講ずる必要がありますので、この法案を提出されたのであります。
以上が本案の提出理由として政府が説明したところであります。よつて司法委員会は、これを審議の上事情止むを得ないものと認めまして、大した質疑もなく、討論はこれを省略の上全会一致を以て原案を可決したのであります。簡單ながら以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/24
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025・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。先ず戸籍法を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/25
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026・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り可決せられました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/26
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027・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 次に昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
本案に賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/27
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028・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/28
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029・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 日程第六、國有林野法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆院送付)を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。
〔楠見義男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/29
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030・楠見義男
○楠見義男君 只今議題となりました國有林野法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます
この法律案の内容は極めて簡單でございまして、即ち現行の國有林野法の第二十六條の規定を削除することが改定法案の内容であります。御承知のように國有林野法は國の所有いたしておりまする森林原野の管理及び処分方法等を規定した法律でございますが、その第二十六條におきまして、本法は北海道には適用しない、又沖縄縣においては本法の適用に関して勅令で以て特例を設くることができる趣旨の規定があるのであります。北海道に國有林野法が適用されなかつた理由は、從來北海道の國有林野は内地の國有林野が農林大臣の所管に属しておつたのとは異なりまして、内務大臣の所管の下に北海道廳が直接管理経営しておつた関係もあるのでありますが、同地方におきましては國有林野法に代わるものとして、勅令による北海道國有林野及び産物処分令施行されて今日に至つたのであります。然るに新しい憲法の実施に伴いまして、御承知のように先に制定せられました日本憲法施行の際、現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律、この法律の第一條によりまして、北海道國有林野及び産物処分令のような旧憲法上のいわゆる独立命令は本年の十二月三十一日限りその効力を失うこととなる、從つて別に從來の勅令に代わるべき法律を必要とすることになるわけでありますが、たまたま一方において北海道の國有林野は本年の五月から旧御料林と共にすべて農林大臣の所管に移りまして、内地の國有林野と同一の方針の下に運営せられることになつた関係等もございまして、今回の法律改正により今後北海道にも國有林野法を適用せんとするものであります。尚右申述べました理由に基ずきまして、北海道國有林野及び産物処分令は効力を失うことになるわけでございますが、経過的規定として從前の勅令に基ずいてなされました各種の契約は、改正法施行後におきましても尚有効といたしまして、この既存の権利関係を保護することといたしておるのであります。
次に、沖縄縣についての特例に関する勅令の場合も右に申上げましたと全く同様の理由、即ち、独立命令が効力を失うために、若し必要があれば法律を以て制定する事柄でありますので、第二十六條削除によりましてその点を明らかにしておるのであります。
法案の内容は以上の通りでございまして、新憲法の趣旨に基ずき当然のことであり、從つて本案に関しまする質疑應答につきましても、山崎、河井、岡村等の各委員から、今後の北海道の國有林経営について、從來の実績に徴しまして特に経営よろしきを得るために、政府の努力を要請する趣旨の建設的な意見をこめての御質疑がありました外、さして問題もなく、又討論におきましても別段の御発議もなく、本法案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしたような次第でございます。以上簡單はございますが御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/30
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031・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 別に御発言がなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/31
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032・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/32
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033・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 日程第七、郵便法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。通信委員長深水六郎君。
〔深水六郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/33
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034・深水六郎
○深水六郎君 只今議題となりました郵便法案につきまして、通信委員会の審議の経過の大要及びその結果について御報告申上げます。
先ずその提案理由でございますが、現行郵便法は明治三十三年に制定せられまして、その後経済事情及びその他社会事情の変遷に伴いまして、料金、罰則その他の部分的改正が行われて今日に至つておるのであります。新憲法の制定せられた今日の事態におきましては、現行郵便法を廃止して、新憲法の趣旨に即した新しい郵便法を制定するのが適当であるとの見地から提案されたものでありまして、その内容の要点を申上げますと、第一に、冒頭に郵便法の目的を掲げて法律制定の趣旨を明らかにし、第二に、郵便は國の行う事業であることを規定すると共に、從來官制その他の法令で定められておりましたところの事業の管理者及びその職責を規定しておるのであります。第三に、國民の基本的権利を制限する規定は原則としてこれを廃止すると共に、國民に義務を課することは郵便事業遂行上必要欠くことのできない場合に限るということにいたしまして、且つその範囲は法律で具体的に規定することとしてあるのであります。第四に、從來郵便事業の円滑な運行を保護するため設けられましたところの規定でありましても、一部の國民に特別な法的利益を與える結果となりますものは、原則としてこれを廃止することにしてあるのであります。第五に、司法権の独立に関する憲法の精神に則りまして、郵便局長等が逓送中又は発送準備完了後の郵便物につき、差押えの執行を拒むことができるという規定を廃止することにしてあるのであります。第六に、郵便が國の事業であり、且つ信書送達は國の独占するところであります関係上、郵便の利用条件は原則として法律で規定し、手続的な事項その他簡易な事項に限つて省令の規定に譲ることにしてあるのであります。第七に、郵便の取扱い制度の内容については、原則として現行のものをそのまま維持することにしておりますが、取扱いの実情に應じましてその一部が若干改正せられることになつております。第八に罰則のことでございますが、罰金の金額を現在の物價事情に鑑みまして十倍に引き上げるとともに、罰則の一部について若干の改正をすることにしてあるのであります。又この法律の施行期日は、第十條の運送営業者の郵便物運送義務に関する規定を除き、明年一月一日より実施することになつております。そうしてこの運送営業者の郵便物運送義務に関する規定は、郵便物の運送に関する法律案を次の通常國会に提出して、明年の四月一日までに実施しなければならんということにし、それまでの間は現行法の第三條及び鉄道船舶郵便法を適用することにしてあるのであります。
本法案の内容の要点は以上の通りでございますが、本案が付託されまして以來、通信委員会は予備審査を合せまして、前後五囘に亘つて慎重に審議をいたし、各委員から熱心な質問がありましたが、その概要を申上げますと、今日郵便は頗るサービスが悪い、郵便が届かなかつたり、速達が普通郵便よりも遅いことが往々にしてある、その原因は何であるか。又これを除去するためにどういう努力が拂われておるか。又今後の郵便局の設置方針はどうであるか。通信事業の独立採算制を強調する結果、儲からない所に郵便局を設置することを止めるようなことはないか。若しそうであれば事業の公益性との関係はどうなるか。又この法律の運用、即ち郵便事業の運営上、國民の声を反映させる必要があると思うが、その方法を考えておるか。又現在の郵便事業の財政は非常に悪い。そうして一方從業員の給與は千八百円ベースでは済まされないように考えるが、現在の料金は外からの援助なしでやつて行ける見通しで決めてあるのか。或いはこれでやつて行けないために、料金値上げによる増收或いは行政整理による支出減少の含みがあるかどうか。又從業員の士氣昂揚は十分に対策を講ずべきであるが、更に現業官廳に対しては現業官廳相應するような態勢、即ち一般官廳と異なつた制度なり或いは待遇なりを考える必要がないか。小包郵便の料金は鉄道小荷物などのように距離によつて定める方がよいのではないか等の質問がありました。これに対して政府からは、今日の郵便のサービスの悪いのは、郵便関係の機械又は設備の保守の十分でないこと、及び從業員の不慣れによる能率低下、並びに一般の士氣の低下によるものであるから、機械器具設備の保守の改善、及び從業員の事務的訓練及び士氣昂揚に精々努力中である。尚最近のいわゆる山猫争議によるサービス低下は別として、郵便の速度並びに正確さは漸次向上しておる旨を数字を以て説明がありました。又今後の郵便局の新設方針は、独立採算主義の下において公益性を十分に考慮し、儲からぬ所には局は設けんという一点張りでは行かない、そういうつもりである。現在全國に約二千の郵便局のない町村がありますが、これは事業財政とも睨み合わせの上漸次なくして行きたい方針であるとの答弁がございました。更に今後の郵便事業運営には民間人を入れた委員会のようなものを設けて、できるだけ國民の声を取入れてやつて行くようにいたしたい。又現在の通信事業財政は極めて悪い、そのために本年度において約二十五億円一般会計からの補助を予定しておる、併し現在の郵便料金は本年四月に値上げをいたしたものであるが、これは物件費は昨年の九月、人作費は千二百ベースを取つて決めたものであるから、どうしても赤字になる、從つて遅くとも來年度初めからは料金は値上げをしなければならない情勢であると考えておるということでございました。
現業官廳の態勢が一般官廳と同様になつておることはいろいろな点でやりにくい場合がある。制度、組織、待遇等について現業官廳は現業に適した態勢をとりたいとの考えを持つておるということでございます。又小包の料金につきましては、郵便料金の特色は均一制であつたという関係から、今日まで距離制を採用していない、又これを採用することにした際の数字的資料も纏まつておらんので、今回は考えなかつたが、今後の研究問題にしたいという答弁がございました。
更に法案の各條文につきましては、熱心に詳細な点に至るまで質疑應答がありましたが、その主なるものを一二申上げますと、第五條の事業の独占についての質問に対しまして、荷物に合せて、送状は別といたしまして、一般の信書を託することは違反になるが、運送機関を有する者が自己の内部機関宛の信書を、自己の機関によつて送達することは違反にはならんとの答弁がありました。
第九條の秘密の確保に関連して、同條第二項の「郵便物に関して知り得た他人の秘密」の意味についての質問に対しては、この場合の他人の秘密とは、信書の内容のみでなく、発受信者名、信書の数量、発信又は受信の期間等も含むものである。又犯罪捜査の場合については、法令による正式手続を履んだものに対してはこれに應ぜざるを得ない旨の答弁がありました。
〔議長退席、副議長着席〕
又本法による損害賠償と國家賠償法との関係、及び民法の不法行為による損害賠償の関係ついての質問に対しては、郵便の取扱いについての損害賠償については、國家賠償法第五條の規定によつて國家賠償法の直接の適用はない。但し運送業者に対して、本法案第十條の規定に基ずき郵便物運送義務を課する場合等において損害賠償の事件が発生した際は國家賠償法の適用があること、又民法に対しては一般法と特別法との関係にあつて、本法の規定の範囲においては民法の適用は除外されるものであるとの答弁がございました。又第七十九條の「郵便物の業務に從事する者がことさらに郵便の取扱いをせず又はこれを遅延させたときはこれを一年以下の懲役又は二千円以下の罰金に処する」、こういう規定がありますが、「ことさらに」という言葉は非常に曖昧であるがどういう意味か。現行法では、「正当の事由なくして」といつておるが、これと同じものであるか。又最近起こつた東京中央郵便局の事件はこれに該当するかどうかという質問に対しまして、「ことさらに」とは「故意に且つ犯意を以て」という意味であり、東京中央郵便局の問題は、正当な争議行為であるかどうかは詳細に檢討しなければはつきりとはいえないが、一般に正当な争議行為によつて郵便物の取扱いをしない場合には、労働組合法の定めるところによつて本條の適用がないことになる、こういう答弁がございました。
尚詳細な質疑應答が重ねられたのでありますが、それは速記録によつて御承知をお願い申上げたいと存ずる次第でございます。
かくて本月一日質疑を終了し討論に入つたのでありますが、格別御発言もなく、引続き採決に移りましたところ、全員一致原案通り可決すべきものと認めた次第でございます。以上甚だ簡單でございますが、御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/34
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035・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/35
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036・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 総員起立、よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/36
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037・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 日程第八、地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先づ委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員長吉川末次郎君。
〔吉川末次郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/37
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038・吉川末次郎
○吉川末次郎君 只今議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、我々の委員会におきまする審議の経過並びに結果につきまして、御報告申上げたいと存ずるのであります。
先ず本改正法律案の内容について申上げたいと存じます。政府当局の説明によりますると本改正法律案は二つの内容から成つておるのでございます。即ちその第一点は、府縣民税及び市町村民税の納税義務者一人当り平均賦課額が現在それぞれ「百二十円」及び「八十円」でありますのをば、これをそれぞれ「百八十円」及び「百二十円」に引上げようとするものでございます。これは物價の騰貴に伴いますところの諸経費の膨張並びに職員の給與というものを増額いたしまするという点からいたしまして、財源補充のために、國民の担税力並びに諸般の経済事情を勘案いたしました結果、これくらいの程度の増税ということは、これは止むを得ないであろうというように認められるのでございます。第二点は、学校教育法の施行によりまして國民学校令が廃止せられまして、國民学校が小学校に改まりましたと共に、新たに中学校が義務制となりました。その結果といたしまして、市町村がその設立の義務を負うこととなりましたので、從來地方税法の中におきまして「國民学校営繕費」という文言がありましたのをば、「小学校営繕費、中学校営繕費」に改めようとするものでございます。以上がこの法律案の内容でございます。
本委員会は九月十五日予備審査のためにこの法律案の付託を受けたのでございますが、爾來慎重審議を行つて参りました。この改正法案によりますると、府縣民税及び市町村民税の納税義務者一人当たりの平均賦課額が現在の五割増となりまする結果といたしまして、約十六億円の負担増加となるのでございますけれども、これは今日の社会情勢に鑑みまして止むを得ないものと認められるのでございます。即ち二十二年度当初予算におきまするところの地方公共団体の歳入出推定予算は綜額五百三十二億円でございましたが、その後の物價の騰貴、職員の待遇改善に伴いまする経費、六・三制の実施その他の経費等を含めまして、今日では総計八百二十六億円に達する見込みでございまして、その財政難の状況というものは誠に深刻を極めておるのでございます。本改正案による住民税の増加或いは地方分與税の増額等の措置は全く臨時應急の措置に止まりまして、決して根本的な地方税の改革の対策とはなつておらんと考えるのであります。從つて今後残されました問題は、地方財政に対しまして思い切つた根本的な且つ画期的な税制の改革を断行して、そうして地方分権の趣旨を名実共に実現することの必要に迫られておるのでございますが、これらは先般御議決を見ましたところの地方財政委員会法によるところの地方財政委員会において企画立案せられまして、そうして來るべき國会に提案せられることとなつておるので、委員会といたしましては、満場一致、右申しましたところの地方財政委員会法によるところの地方財政委員会の成案に多大の期待を持ちまして、この法案が規定いたしておりまするような改正というものは、一先ず應急措置といたしまして、これを可決いたしましたような次第でございます。
以上を以ちまして、本法律案に対しまするところの我々の治安及び地方制度委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げました次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/38
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039・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/39
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040・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 総員起立、よつて本案は全会一致を以て可決せられました。これにて午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時三十七分休憩
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午後一時五十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/40
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041・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。日程第九、北海道に在勤する政府職員に対する越冬燃料購入費補給のための一時手当の支給に関する法律案、日程第十、関税法の一部を改正する法律案、日程第十一、食糧の輸入税を免除する法律案、いずれも(内閣提出、衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/41
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042・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田秀夫君。
〔黒田英雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/42
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043・黒田英雄
○黒田英雄君 只今上程に相成りました北海道に在勤する政府職員に対する越冬燃料購入費補給のための一時手当の支給に関する法律案につきまして、委員会の審議の経過並びに結果について御報告をいたします。
先ず提案の趣旨を申上げますると、北海道におきましては、越冬用の家庭暖房石炭は生活の必需品であるのでありまして、北海道在勤の政府職員に対しましては、賞與の制度が廃止せられますまでは、賞與の支給率を考慮しておつたのであります。然るに本年七月の新物價体系によりまして、石炭も約十倍にその價格が引上げられたのであります。從つて北海道在勤の政府職員の石炭購入費は甚だしく増加したために、毎月の収入では支出することができないので、本年に限り特別の手当を支給したいというのであります。
算出の基礎は、北海道住民に対す石炭廳及び配炭公團の計画では、四級及至八級炭を配給することになつておるのでありますが、配炭の操作上、これよりも上級炭を一部配給した例があるのであります。この点を考慮しまして、家庭用炭といたしまして、最上級の四級炭の公價を計算の基礎といたした場合の消費者の支拂うべき石炭一トン当たりの價格は千六百六十二円となるのであります。併し本年度の北海道各家庭の配炭計画は、昨年度と同様に二・二トンとなつておりまするので、所要平均石炭價格は三千六百五十六円となるのでありまするが、全部國庫で負担することも他との振り合い上適当でないと考えて、世帯主には三千円、それ以外の者には千円を支給することになつておるのであります。尚北海道在勤の政府職員は一般、特別両会計を通じまして、世帯主が七万四千七百人、非世帯主は七万二千四百人であるのであります。本案によりまして國庫負担は約二億六千五百万円、その他地方費負担といたしまして八千六百余万円を要する見込みであるのであります。尚この法律実施に当たりましては、成るべく石炭の現物を以て金銭の支給に代えてインフレーション的の悪影響を避けることに努力したいということであるのであります。
質疑に入りまして、一二を御紹介を申上げますが、東北地方等の寒冷地に対してはどうするかということにつきましては、東北地方、その他寒冷地、積雪地に対しましては、從來はやはり年末賞與等に若干割増しをしておつたのである、全官公組合側の要望もあるので、寒冷地給を制度化して欲しいという要求もあるのでありまするが、政府との間で長く折衝をいたしておつたのでありますが、寒冷地給の性格、観念等について議論があつて長引いておりまするが、大分その観念も妥結できる段階に相成つて、目下折衝をしておるということであるのであります。その他質疑應答はいろいろあつたのでありまするが、これは速記録に譲ることのお許しを願いたいと思うのであります。
討論に入りましたが、別に御発言もなく、尚討論ではありませんでしたが、この法案が実施されましたならば、成るべく速かに職員の手に渡りますように、政府において努力されたい。予算の編成等について遅れましたのは、或るいは大蔵大臣の責任ではないかというふうな御質疑もあつたのであります。討論におきましては別に御発言もなく、採決をいたしました結果、全会一致を以て可決すべきものと決定をいたしたのであります。
次に関税法の一部を改正する法律案について申上げます。
その内容は関税法施行規則中の外國貨物の仮陸揚及び沿海通航船が、外國に海難その他止むを得ない事故のために寄港した場合の税関への申告、並びに税関で定めた場所以外で貨物の税関檢査を受けようとする場合の特許申請等に関しまする規定は、昭和二十二年法律第七十二号日本憲法施行の際効力を有する命令の規定の効力等に関する法律によりまして、本年十二月末日までは法律と同等の効力を有するのでありまするが、その以後は効力を失うことになつておるのであります。併し尚引続きこれらの効力を存続する必要があるので、これを法律として関税法中に規定せんといたしておるのであります。又開港及び港域の関係でありますが、現在の開港は関税法制定当時の開港の外に、同法第九十九條に基ずきまする明治三十三年勅令第三百四十二号の開港指定に関する勅令で指定されておるのでありまするが、新憲法施行に伴いまして法律に規定することを適当と認めて、関税法第九十九條の規定を改正いたしまして、現在の開港四十二港を別表として規定せんとしておるのであります。從いまして明治三十二年勅令第三百四十二号は、これらの施行と同時に廃止することにいたしておるのであります。
これにつきましては、質疑に入りましたが、この外に尚本院に提出されておりまする横須賀港その他十四港を開港として指定する等の法律案が出ておるのでありまして、それによりまして十四港が加わることに相成るのでありまするが、これを一緒に規定しなかつた理由についての質問もあつたのでありまするが、これは政府は速記を止めての答弁でありましたから省略さして頂きたいと思います。その他これに関連いたしまして、我が國の将來の関税の制度についてのいかなる考えを持つておるかという御質問もあつたのであります。これについて政府は詳細にその所信を述べたのでありまするが、これも速記録に譲ることをお許し願いたいと思います。
かくて質問を終わりまして討論に入りましたところ、別に御発言もなく採決の結果、全員一致を以ちまして可決すべきものと決定をいたしたのであります。
次に、食糧の輸入税を免除する法律案につきまして申上げます。
從來米、麦、雑穀、澱粉その他罐詰類の主要食糧の輸入につきましては、食糧管理法に基ずきまする昭和二十一年勅令第三百五十四号及び同年勅令第四百四十五号によりまして、期間を指定して輸入税の免除を行つて來ておるのでありますが、本年の十二月末日を以て期間が満了することに相成つておるのであります。併しながら現下の我が國の食糧事情等に鑑みまして、新たに数品目の食糧を追加し、又罐詰類の容器によりまする制限を撤廃いたしまして、更に明年一ぱい輸入税を免除する必要があるので、ここにこの法案を提出しておるのであります。又同時に食糧管理法に定むる主要食糧の範囲を超えておりまするので、同法によらないで別個の法律とすることを適当といたしたとのことであるのであります。
これにつきましては、その内容に相当贅沢の品目もあるようであるがとの御質問もありましたが、これは全体におきまして放出物資或いは代替配給等によつておりまするものを、全部ここに載せることになつておるとのことであつたのであります。何故にこれを一年間に制限したかという御質問に対しましても、これは将來の状況によりましては、或いは関税率を改正しまして、或いは有税品にし、或いは無税にするということの改正をすることもあるのであるが、差当たり今日は一年として置き、その事情によつては又延長をしなければならんかも知れんという答弁であつたのであります。今後の見通し等につきましても御質問がありまして、政府の答弁があつたのでありまするが、これも速記録に譲ることのお許しを願いたいと思うのであります。かくて質疑を終わりまして、討議採決に入りまして、全会一致を以て本案は可決すべきものなりと決定をいたした次第であります。これを以て私の報告を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/43
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044・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/44
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045・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/45
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046・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) この際日程の順序を変更して、日程第十二より第十九までの請願及び日程第二十八より第三十六までの陳情を一括して、議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/46
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047・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。
〔塚本重藏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/47
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048・塚本重藏
○塚本重藏君 只今議題となりました請願並びに陳情に関しまする委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。厚生委員会に付託になりましたこれらの請願並びに陳情につきましては、三つの小委員会、即ち医療制度調査に関する小委員会、住宅問題に関する小委員会、並びに社会事業振興に関する小委員会に付託し、一般的な問題或いは委員会において審議中の法案に関連性のありまする請願並びに陳情については、本委員会においてそれぞれ慎重審議をいたしたのであります。
先ず第一に、医療制度調査に関する小委員会において審議を終えまして、本委員会において十一月二十五日審議の決定を見ました請願並びに陳情について御報告申し上げます。
請第八十二号、國民健康保險制度の更正に関する請願、並びに陳情文書表第六十六号、同第九十八号、同第百五十五号、同第三百三号、同第四百四十六号は、ほぼ同一内容を持つておるものでありまするので、これらを一括して御報告申上げます。これらの請願及び陳情の要旨は、國民健康保險組合は被保險者の加入が相当多数に達したにも拘わらず保險医との協調円満を欠き、医薬品の不足及び薬價の騰貴等の原因がありまして、國民健康保險の診療を拒否し、或いは差別的な取扱いを露骨にいたしまするために、被保險者は自由に診療を受けることができない現状になつて來た。又インフレ増進により諸経費が膨張して参りましたが、保險料はそれに即應して引上げることのできない等の事情から、診療は不自由であり、保險組合の財政難の結果から事業経営は不振に陥り、その活動機能の喪失が続出しておる現状であります。これに鑑み、國民健康保險制度の改善強化を図り、民生安定を期するために、社会保險の統合一元化、公営医療の拡大強化、國庫補助金の増額等を実行されたいというのが陳情並びに請願の趣旨であります。
これらの趣旨に対しまして政府の施策と意見とを徴しましたところ、社会保險の統合、保險の強制加入、保險料の強制徴収等、制度の改正の点は、目下立案中でありまする社会保險制度の実施と睨み合わせて考慮中である。社会保險制度の実施が遅れるようであるならば、國民健康保險法の單独改正を行うつもりである。適正な診療料金の算出については、適時單價の引上げを実施して來たのであるが、目下厚生省では、医務局、公衆保險局及び保險局共同で、医療報酬の調査を実施中でありますので、近くその標準料金が決定せらるることと思うのである。又医療公営については目下医療制度審議会で研究中であるし、医療機関の拡充強化については、取敢えず官公立の機関の利用、一般開業医の強力の外に、直営の診療所を整備し、組合医の設置等を図つてこれが改善を図つて行きたい。國庫補助金は当初予算といたしまして一億七千八百万円を計上したが、更に追加予算として約二億円を計上した次第である。更に厚生当局はこれを増額すべく関係方面と折衝中であるとのことでございました。制度の改正までの当面の対策としては、この健康保險組合の趣旨の普及徹底、保險料の増徴による組合財政の強化、医療組織の整備、國庫補助金の増額等の点について鋭意努力する方針である。こういう答弁を得たのであります。これに対し委員会といたしましては、速かに制度の改正を行い、根本的対策を樹立する必要があるとの意見の一致を見た次第であります。かくしてこれらの請願並びに陳情はいずれも院議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
請願第五百三十三号、國立病院及び國立療養所改善に関する請願、この請願の趣旨は有菌者を隔離し、國家的保証によつて傷痍者の施療をなすべき國立病院本質使命に鑑み、國立療養所及び國立病院の有料化を止めること、患者費を増額すること、全國各地区ごとにコロニー制度、特設寮の確率を図ること、医療施設及び医療從業員の実質的充実を図つて貰いたい。こういう趣旨でありまして、國立療養所並びに國立病院の患者五万人の全國的統一組織体である三患者同盟が大同團結して即時解決を要望しておるものであります。
この請願の趣旨に対しまして、政府当局から実情を聽取し、又政府の施策について質しましたところ、國立病院、國立療養所の入院料については、今議会においてもたびたび審議を願つたところでもあるが、國立病院、國立療養所が一般市民に廣く開放せられたのであるから、支拂い能力のある者からは適正な料金を頂くのが穏当であると考えるので、原則として有料とした次第であり、今後もこの方針で進んで行くということであります。併し生活に困窮しておる者に対しましては生活保護法を適用するの外、社会保險制度の活用と相俟つて個人の負担はできるだけこれを軽減いたしたい。又減免の規定も活用いたしまして、いわゆる経済的理由から医療を受けられないというようなことのないように十分注意し、又この趣旨が各施設の末端まで徹底するように努力して行きたい。患者費の増額についても必要な経費は増額を予算に要求してあるのである。特設寮及びコロニー制度についてもその必要を認め、本年度すでに実施に移つておる所もあり、更に今後拡充していきたい。医療施設並びにその從業員の実質的充実についても、その必要を認めるので、極力努力したいとの旨が述べられまして、委員会におきましては、これらについて熱心に実情について質疑が行われた後、國立病院並びに國立療養所の改善を極力要望し、院議に付して、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
次に陳第四百六十六号、國立療養所高山荘の完備並びに運営に関する陳情であります。この陳情は、昭和二十二年四月、日本医療團より厚生省へ移管せられた飛騨地方唯一の結核診療所高山荘を絶対に整理せずに、飽くまで國立療養所として急速に完備し且つ強力に運営されたいことを、結核禍に悩む飛騨地方民衆のためにこれをお願いすると、高山市長外数名の者から者から陳情に及んでおるのであります。飛騨地方は厳寒積雪のため半年近い冬籠りの非衛生的家屋内生活を余儀なくせらるるのであります。これが慢性伝染病である結核に対する無智と、隠蔽主義とに拍車をかけられて、高冷地飛騨地方民衆の間に結核の蔓延を甚だしくしておるのであります。更に山國特有の焼味噌と漬物、茶漬けの飲食、そういう習慣があるようでありますが、そういうことから來る栄養不良と、温暖地以上に忙しい農繁期における休養もない過激な労働が、高原特有の強烈な紫外線下に行われることによつて、すでに家族内に蔓延しておりまする結核を急速に進行する悪性のものたらしめておることは、夙に専門家によつて指摘されておるところであります。而もかかる恐るべき結核の浸潤に対して、結核予防療養施設が皆無であつたことは、実に山國飛騨の悲劇であつたのであるが、幸いにして一方に岐阜縣立高山保健所が完備せられまして、その懸命な努力によつて一般民衆に放置隠蔽されていた無数の結核が続々と発見され、適当な療養方針が指示せられました結果、非常に愁眉を開いたのであります。殊に昭和十六年縣民の犠牲的な努力により、高山荘の第一期工事が終り、昭和十九年日本医療團に移管され、更に第二期工事の拡張工事中、戰争末期の資材難によりましてその工事の渋滞を來すとともに、昭和二十年九月風害によりまして、未完成の病棟の倒壊等の不慮の災害に遭うたのであります。この高山荘の定員は百名収容の予定のところ、現在僅かに一度雨漏り等を修繕いたしまして、二十名足らずの患者を収容しておるのに過ぎないのであります。而も來るべき半歳の積雪期に当面いたしております。これによつて大損害を蒙ることがあることを予測せられるのであります。從來多大の犠牲を拂つて参りました地元民衆も、最早これ以上負担には堪えられないから、この際是非とも國家の力によつて急速に修理完成されたいとの請願であります。
問題の高山荘の実情について政府当局の説明を聽取したのでありますが、高山荘は本年四月一日に日本医療團より國立に移管せられたものであるが、未だに建設途上にあり、未完成の部分が多いので、これが整備について高山荘からも要求があり、本年度は予算の都合もあつて、現在のところ運営上特に急を要する應急修理整備の経費をすでに配布したのであるが、同地方の結核の蔓延の実情より見て、これが完成整備は必要と考えるので、明年度の予算措置を待つて、極力整備いたしたい旨の答弁がありました。委員会はこれ亦院議に付して内閣に送付すべきものと決定した次第であります。
陳第五百十八号、星塚敬愛園入園患者生活擁護に関する陳情であります。本陳情は星塚敬愛園入園患者の生活擁護のために、左記の五項目を要望いたしております。一、患者食費を増加して貰いたい。現在当院の患者食費は一日一人五円十四銭で、正規ルート配給の主食代が四円六十三銭要る。これを差引くと僅かに副食費は五十一銭しかないという現状であり、事実上この副食費では調味料の一割にも足らぬ状態で、患者の死活を決定するところの栄養保持は全然望めないのである。二、生活保護法による扶助金を増額して貰いたい。此処に入院しておりまする患者は、病氣の性質上社会生活の理想も夢もない生活をしておるのである。これらの人々は又私有物も殆んど売り盡してしまいまして、患者の経済生活は恐るべき破滅の状態にあるのであつて、これが根本的解決が急速に行われない限り、入園患者の将來は実に憂慮すべき状態にあることを訴えております。三、作業賃の増額をして貰いたい。入園患者は病氣の程度と性能に應じまして、十種類の作業に從事しておるのであるが、一日の作業時間は六時間制で、最高一日八十銭、最低四十五銭であります。この作業精度は入園患者の慰安の目的を以て始められ、自主的協力をして行われて來たが、この際根本的な解決として、予算に患者作業費を計上し、それによつて園内作業が認められ、その労に相当するところの作業費が給與される方策が講じられたい。四、医療資材を充実して貰いたい。現在本病治療用の注射液及び繃帯ガーゼ等が極度に不足しておる。又歯科治療の資材は専任の歯科医師がいない療養所には配給されないという現状であるが、これらすべての資材を適当に配給して貰いたい。五、ライ病患者を挺身的に看護しておる職員に対して、その待遇を改善されると共に、更に医官、看護婦を充実して國立療養所としての機能を発揮するようにして貰いたい。
この請願の各項目につきまして、政府当局としては、食費については一日一人当り約十五円程度に引上げる。医療費についても約十円程度に値上げをするよう追加予算に提出しておるのである。又患者に対する生活保護法の生活扶助費の引上げについては、地元民生委員、市、縣当局で適当と認められる額と決定するならば、國としてはそれに相当する國庫負担を致すよう社会局の方とも話合いを済ましておるのである。作業費の値上げについても妥当と思われるのでこれが実現を図りたい。治療用注射薬の大風子油についても、その輸入を関係筋に申請中である。療養所職員の待遇改善については、公務員給與法の制定と共に特別勤務手当の支給等によつて、これが改善を図りたい旨の答弁がありました。委員会は願意の大体は妥当なものと認めまして、院議に付して内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
次に、社会事業振興に関する小委員会において付託審議せられ、厚生委員会において十一月二十七日審議の結果採択となりました請願並びに陳情について御報告申し上げます。
請願第百九十九号、傷痍者更正援護に関する請願、請願第二百八十五号、傷痍者保護に関する請願、この二つの請願は大体同様の趣旨でありますから、ここに一括して報告申し上げます。
戰争の犠牲となつた傷痍者は、國民生活の窮迫と共にますます深刻化し、傷痍者は厄介者にされ、何らの保護も受けず、却つて入院料も有料になり、その最低生活は今や重大な危機に暴されておる今日、生活保護法のみでは救われず、我々が独立して明るい希望を持つにも持てず、精神的にも悪化しておる今日、傷痍者福祉法のごときものを制定し、これら傷痍者の更正自立以て独立希望の持てるようにして貰いたい。又これに対しまして政府当局からは、旧軍人と一般困窮者とを区別することなく、すべて困窮せる傷痍者をその傷痍の状態に應じて保護更正せしめようとする方針である。中央、地方の更正関係廳が関係部局と連絡しながら、実情に即應しつつこれらの問題を解決して行きたい。予算面でも目下四肢切断者及び結核治癒者のために、大蔵省と五千万円の計上と折衝中である。生活保護のため別に法令を立てずに、生活保護法を活用し、これらの傷痍者の要望に幾分でも報いられるように今後努力して行くつもりである。又療養所を退院した者は、自宅で簡單な治療のできるような治療資材を配給すべく目下計画を進めておる。中途失明者は現在全國で一万八千二百五十名であるが、この中に元傷痍軍人の失明者が二千人含まれておる。これらの保護対策費といたしまして、二十三年度には三百二十万円、二十四年度には七百万円、二十五年度には千二百万円を計上して、盲人に対する職業補導を施す計画である。尚盲人教育にも相当額の予算が來年度から計上せられる筈である。又生活保護法により生産扶助を行う國費二千四百万円も計上して。おる身体的欠陥者の授産場を兼ねた保護施設を東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、香川、北海道に四千七百五十万円を以て設ける予定であり、一部はすでに工事施工中であるとの答弁がありました。尚各委員との間に熱心なる質疑應答がありました。その結果といたしまして、政府当局の傷痍者保護計画というものが明らかにせられたのでありますが、その内容は時間の関係上説明を省略することを御了解願いたいのであります。委員会は全会一致を以て院議に付し、内角に送付すべきものと決定した次第であります。
次に請願第二百十号、拂下げミシンに関する請願でありますが、この趣旨は、終戰当時、陸軍被服廠新潟出張所が保有していたミシンが、当時の政府の方針によりまして学校或いは授産所、縫製業組合等に拂下げられたが、これらミシンの中にはフイリッピンよりの掠奪品が混入しておるとの廉で、関係方面から内務省を通じて没収する旨の通知を受けたが、新潟縣では、このミシンを引上げられることは、ミシンによる救済更正事業に対して大きな脅威を受けるから、連合軍に嘆願書を出すと共に、國会においても政治的交渉によつてこれを解決せられたいとの要望であります。これに対しまして内務省の答弁といたしましては、これらの請願は、他からもあり、又重大な問題で、関係方面とも折衝しておるが、掠奪品の入つておることも事実で、なかなか解決に困難である。併しながら政府は鋭意これに善処すべく交渉を続けておるとの答がありました。委員会においては、願意の大体を妥当なものと認めまして、政府にこれが善処を要望して、院議に付して、内閣に送付すべきものと決定いたしたのであります。
請願第三百六十三号、生活保護法の普及と同法の一部改正に関する請願並びに陳情第三百五十五号、生活保護法による生活保護費を全額國庫負担とすることに関する陳情、この二件も大体同一趣旨のものでありますから、一括して御報告申します。
昨年十一月一日、生活保護法が実施されたが、引揚者、戰災者、一般失業者等の実情は、相当困窮しておるが、同法の実施の徹底は、地方によつて区区であつて、而も濫救があり、漏救の弊も招來しておる。市町村の財政難その他の諸原因と相俟つて、適正な運用を欠いておる憾みがあり、折角の社会政策も却つて民心に悪影響を及ぼしておる点が小くない実情に鑑みて、本法の徹底化を期せられたいとして、三つの項目を挙げております。一、生活保護法を普及徹底せしむるため引揚者、戰災者、一般困窮者の実情を把握することを積極的ならしめるため、引揚者、戰災者より半数以上の民生委員を任命せられたい。二、現下のインフレに伴う物價騰貴に現在八十五円の支給では最低生活も維持することができない。よつて扶助支給額を大幅に増額されたい。又生業資金も生業再起のために最小限度これを五千円程度にまで引上げて貰いたい。三、現在の市町村の財政状況より見て、市町村の一割負担では満足な保護もできないから、これを全額國庫負担にして貰いたい、というのであります。これに対しまして政府は、生活保護法の施行に関しましては、市町村長、民生委員その他関係機関はもとより、一般國民に対しても、あらゆる方法を以て十分これが趣旨の徹底を期するように努力しておるのである。又民生委員の選任は、眞に民生委員として適当な者を、推薦委員会、銓衡委員会の議を経て任命するものであつて、引揚者、戰災者等の中よりも民生委員として適任者は現在任命されておるが、引揚者であり、戰災者であるということの故を以て民生委員に任命することは適当でないと思う。生活扶助費現行基準額は、法施行以來、屡次に亘つて扶助費基準額は引上げて参つたのでありますが、尚今後も経済事情に即應して適当な措置を採りたいと存ずるのであるとの答弁がありました。又本法による保護は國家事務であり、都道府縣及び市町村もその住民の福祉を図ることは重要な職務でありますので、その費用の一部を負担することが当然であり、又地方費の負担は都道府縣、市町村それぞれ一割でありまするので、現行通り実施することが適当である旨が答弁せられました。委員会においては願意の大体を妥当なものと認めまして、院議に付して内閣に送付するものと決定した次第であります。
次に住宅問題に関する小委員会に付託審議し、而して十一月二十七日の本委員会において採択になりました請願並びに陳情について御報告申上げます。
請第百六十九号、住宅営團経営の住宅を國営とすることに関する請願、この請願の趣旨は、営團の解散に伴う経営住宅の賣却は、住宅者にとつて重大な問題で、個人に賣却するよりも、政府又は公共團体が買上げて経営せしめ、勤労庶民階級生活費を基準とするところの適正家賃を設定する等の事項を実現されたいというのが請願の趣旨であります。政府の答弁によりますると、住宅営團の経営家屋数は現在六万戸以上あるが、その処分は一般勤労庶民が居住しておる関係上、閉鎖機関処理委員会にのみ委せることは不可能であるという見解を持つている。併しながら、だからというて今日の國家財政の関係上、これを全部國家が買上げるということは又でき難い実情に置かれておる。從つてそれがために居住者に立退き等が起こらないようにも研究して行かねばならぬ。そこで第一に、現に居住者に優先的にこれを賣却することにいたしておるのでありまして、その賣却する条件につきましても、價格を現住者が應ぜられる程度にしたいと考えておるのであります。尚買取者のために利率九分五厘の五カ年特別融資の途も講じておるとの説明がありました。その後質疑に入りまして、居住者に賣却されないものは、第三者に賣却されるということそれ自体が非常に不安を助成しておるのである。この際國家が経営することができないかとの質問に対しまして、現在居住者が一應なりとも自己のものとしてならば安定すると考える故に、一應賣却することにしたのである。閉鎖機関整理委員会の条件に應ずることのできぬ場合の最終決定はまだ確立していない。当局としては第三者に賣却することはできるだけこれを避けて行きたい。そうしてこれを公共團体その他に引取らせて、そうしてその上で処分したい意向である。尚價格の問題は、閉鎖機関の財産が赤字にならない程度で決める方針であるということでありましたが、その後賣却價格が決定したことは新聞紙上で諸君が御承知のところであります。現在ある家屋は、建築時は安いものであつたが、帳面上は建築当時に比べて相当高いものになつているのであるが、但しこれも時價に比べますならば非常に安いものであるとの答弁がありました。委員会におきましては、本請願の趣旨は妥当なものといたしまして、院議に付して内閣に送付するものと決定いたしたのであります。
次に請願第四百三十八号遊林公共建築物の即時解放等に関する請願、陳第五百四十七号住宅建設に関する陳情でありますが、この審査は一括して御報告申上げます。
請願並びに陳情の趣旨は、引揚者、戰災者の困窮者は固より、新たに戰災都市又は開拓地に挺身する者に対し住宅を供給することは、復興に欠くべからざる最小限度の條件にも拘わらず、インフレ下における一般庶民の困窮化、建築資材の不足と騰貴、貸家経営のできない実情から、又更に建築統制束縛等のために、個人によつて住宅の建設は極めて困難な状態にあるが故に、政府は速かに全額國庫補助により、都道府縣をして、單に引揚者、戰災者ばかりでなく、一般庶民を対象とする一般庶民住宅を建設せしめ、その維持管理に当らしめ、以て現下の深刻化した住宅難に対処されたい。更に政府は賠償、企業整備等で不要となつた建物その他遊休公共建築物を調査して、至急に住宅用としてこれを開放されたい。國会における住宅委員会及び学識経験者、民間代表を含めた民主的な住宅委員会を設けたい。又庶民住宅の建築購入には國庫の補助をされたい。宅地法を作つて、土地使用権の公収を図り、又借家人の住居権の保護のために、貸家の國家管理を行うなど、抜本的な立法処理を講じて貰いたいという請願であります。右の請願及び陳情に対しまして、遊休公共施設は場所、構造その他から見て学校や工場の方に適するものが多く、住宅用に向くものは甚だしく少いのである。当局としては遊休建物から六万戸を住宅化したいつもりであつて、今年度は取敢えず一万二千戸住宅化するつもりである。余裕住宅の件は、場合によつては強制命令を出す権限を知事に與えておるが、現在は台所その他の設備も一部改修して、
〔議長退席、副議長着席〕
その用に供する場合は、経費の二分の一を國庫補助としておる。何分我が國の住宅は二世帯を容れる施設になつていないために、なかなか困難であるが、極力努力して行きたいつもりである。闇建築、大料理店は違反建築で住宅にするを可とするものは行政処分として行つているが、大料理店は現在閉鎖になつているが、強制的に住宅化することは不可能であり、知合い等にこれを供與するように指令している。越冬應急措置としては、北海道、東北、ソ連引揚者に対しては集團設備を設けておる。住宅の家賃は只今最近の二万戸に対しては二分の一を補助している併しマル公の引き上げによつて二分の一を補助しても二三百円となり、これは一般勤労者には負担となるために、補助額の引上げを考えておるが、本年度は不可能であり、來年度は考慮してみたいとの答弁でありました。居住権の確保のための行政措置につきましては、借家法により保護しているが、むしろ借家人から今日は不満があるような程度になつている。政府、國会を中心とする住宅問題の根本的研究のための、民間人を加えた調査会については適当であると考えている等の答弁がありました後、委員会においては政府に極力これらの住宅問題についての善処を要望いたしまして、これら請願は院議に付して内閣に送付することに決定いたした次第であります。
最後に十一月二十七日厚生本委員会において審議いたしました陳第三百七十号炭鉱労務者福利厚生施設拡充に関する陳情について報告いたします。
陳情の趣旨は、炭鉱労務者は地下労働で、山間僻地に所在し、特異な事情の下にあつて、地上労働に比し心身の疲労、災害率も高く、一言にしていえば一般の嫌悪する労働者なる現状だから、労働基準法による一般厚生福利施設並ではこれら炭鉱労務者の特異の改善を期することはできない。それ故に成るべくこれら炭鉱労務者にいろいろな福利厚生施設についてその改善を図つて貰いたいというのが趣旨でありました。
これに対しまして、若干の質疑應答がありまして、政府といたしましても、石炭増産のためにも緊要なことであるから、鋭意これが実現に努力したいとの答弁がありました後、委員会におきましては院議に付して内閣に送付するものと決定いたした次第であります。
以上報告を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/48
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049・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 別に後発言もなければこれより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/49
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050・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/50
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051・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) この際日程の順序を変更して、日程第二十より第二十三までの請願及び日程三十七より第四十までの陳情を一括し、議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/51
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052・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます、水産委員長木下辰雄君。
〔木下辰雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/52
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053・木下辰雄
○木下辰雄君 只今議題となりました請願第五百四十四号外三件、並びに陳情第百六十八号外三件につきまして、水産委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。請願第五百四十四号は、北海道の伏古別漁港築設に関する請願であります。紹介議員小林米三郎君から請願の要旨について御説明がありました。同港は太平洋岸漁田の開発上、又避難港として期待でき得るもので、伏古別川河口に位置し、天恵の岸壁を以て自然の港湾を形成し、工事も頗る容易であるから、國費を以て修繕を願いたいというのであります。
請願第五百四十七号は、北海道の有珠漁港改修工事に関する請願であります。紹介議員小林米三郎君から請願の要旨につき御説明がありましたが、同港は内浦湾に面する唯一の天然の良港で、漁獲高も年間六十万貫に達し、漁船数も大小合わせて二百九十隻に及び、漁業上重要であるから、國費を以て修築を願いたいというのであります。
請願第五百五十一号は、北海道追直漁港築設に関する請願であります。紹介議員小林米三郎君から御説明がありましたが、同港は室蘭港を離るる数哩の地点にある天然の良港で、漁船数も三百五十八隻に及び、漁獲高も年間四千六百万円内外に達するも、未だ漁港の設備なく、遠く室蘭港を利用しつつあるも、同港が石炭の積込み、木材の積卸し、一般貨物の荷役等にて混雑し、漁獲物の陸揚げ不可能なるため、速かに國費を以て修築を願いたいというのであります。
請願第五百八十号は、福島縣の豊間漁港修築に関する請願であります。紹介議員は橋本萬右衞門君であります。同港は太平洋岸唯一の天然の良港で、昭和七八年度に國庫補助による防波堤工事をなしたが、浚渫工事が未完成のため、漁船の出入りも困難なるを以て、昭和二十三年度に國庫補助により浚渫せられたいというのであります。
以上四件につき、十二月一日の委員会において慎重審議いたしましたが右に関する政府当局の意見を聽取したところ、伏古別、有珠、追直はいずれも重要であり、政府においても五ヶ年計画の中に加えて工事する計画である。又豊間港は船溜りとして急速着工の計画を立てて居る旨答弁がありました。よつて質疑を終了、討論に入りましたところ別に発言もなく、全会一致を以て、この請願四件はいずれも議院の会議に付し、意見書を附し、内閣に送付することに決定しました。
次に陳情第百六十八号外三件を御報告いたします。陳情第百六十八号外三件につきましては、十二月一日の水産委員会において、かねて付託して調査審議をいたしておりました。小委員会における小委員長加藤富太郎君から次のような報告がありました。陳情第百六十八号外三件については、八月二十九日、十一月十二日の二回小委員会を開き審議いたしました。その経過並びに結果につき報告いたします。陳情第百六十八号は、瀬戸内海水産連合会からの漁業用資材の確保に関する陳情であります。陳情の要旨は、漁業資材は燃油薬六七割程度、漁網二三割程度が正規ルートによる配給で、その他は闇資材である。漁業経営費の八割が資材であるのに、闇資材を購入すれば甚だしく生産費を加重せられるから、資材の不正所持を厳重取締り、資材の配給を生産者團体に一元的に配給せられたいというのであります。次に陳情一六九号は、瀬戸内海水産連合会から出ました資金融通準則の一部改正並びに水産金庫設置に関する陳情で、三月一日附大蔵省告示第三十七号資金準則は系統金融を枯渇し、生産物に対する支拂いの不円滑を來たし、生産資材の購入不可能となり、生産意欲を減退するから系統金融を一般金融と分離し、更に水産金融機関を設置し、漁村金融を確立せられたいというのであります。陳情第百七十九号は、青森、岩手、宮城、福島の揚繰、底曳、定置漁業者の代表から、漁業用綱索、マニラ麻、それを成るべく沢山輸入するように連合軍に申請をしていただきたいというような陳情であります。それから陳情第二百六号は全國漁民大会実行委員代表からの陳情でありまして、漁業用燃油の配給に関する事柄であります。漁業用燃油は公正なる配分と円滑迅速なる需給の操作を必要とするので、輸送及び貯蔵の施設を持つておるところの水産業團体にその配給を委して貰いたいというのが陳情の要旨であります。
この陳情の四件は小委員会に付託しまして、加藤常太郎君が小委員長となりまして、数回小委員会を開きまして、政府当局とも質問應答を重ねました結果、小委員長としてはこれは適当なる陳情であるからして採択して、本会議に付して内閣に送付して貰いたいという報告がありましたので、本委員会においては更に慎重審議の結果、小委員会の報告通りに本会議に付して内閣に送付するということに決定いたした次第であります。以上報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/53
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054・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければこれより採決いたします。
これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/54
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055・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定せられました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/55
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056・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 日程第二十四より第二十七までの請願及び日程第四十一より四十三までの陳情を一括し議題に供することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/56
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057・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸及び交通委員長小野哲君。
〔小野哲君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/57
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058・小野哲
○小野哲君 只今議題となりました請願第二号外三件及び陳情第百五十六号外五件の審議の経過及び結果を御報告申上げます。これらの請願及び陳情につきましては、紹介議員の熱心な説明と、政府の詳細な意見の開陳とがありましたが、委細は速記録、関係文書等で御覧願うことといたし、ここでは簡單にその概要を申上げるに止めたいと存じます。
請願第二号盤越東線の三春、船引両駅間の要田村に停車場を設置することに関する請願に関し、政府より簡易駅設置につき調査に着手する旨の説明があり、審議の結果、予算及び資材の事情とも睨み合わせの上、実施を図るべきであるとの意見を附し、内閣に送付を要するものと全員一致議決いたしました。
次に請願第十三号盤越東線神俣、大越両駅間の瀧根町菅谷に停車場を設置することに関する請願について、政府より本請願地方は優良な石灰石の産地であり、すでに駅設置につき調査をしたが、戰争のため中絶した旨の説明があり、審議の結果予算及び資材の事情とも睨み合わせ実施を図るべきであるとの意見を附し、内閣に送付をするを要するものと全員一致議決いたしました。
次に請願第五十六号木原線鉄道残工事の達成に関する請願に関し、政府より本線の工事は財政上の都合で中止されたが、僅かの区間であるし、これが開通すれば極めて便利となることであるから、成るべく工事を促進したいという説明があり、審議の結果、予算及び資材の事情とも睨み合わせ、工事の促進を図ることが適当である、これを内閣に送付するを要するものと全員一致議決いたしました。
次に請願第九十二号東北線二本松、本宮両駅間の杉田村に停車場を設置することの請願につきまして、政府より、駅間距離が長いために、不便なる事情は承知しておるので、具体的に研究中であるとの説明があり、審議の結果、予算及び資材の事情とも睨み合わせ、実施を要するものとし、内閣にこれを送付することと全員一致議決いたしました。
次に國営自動車路線開設に関する陳情を取まとめ、簡單に御報告いたします。
國営自動車についての政府の説明によりますと、我が國の自動車事業を急速に発展向上せしめることは、経済再建のためにも是非必要なことであり、政府としては極力民営事業の育成強化を図る方針であるが、國有鉄道の面において緊要な路線については國営自動車を開設する。この場合は既存民営事業とよく協定し、極力摩擦を避ける方針であるということであります。
先ず陳情第百五十六号及び第二百七十四号江差町、東瀬棚村間に國営自動車の運輸を開始することに関する陳情、同じく第三百七十六号、第四百一号及び第四百十三号姫路及び新宮両駅、宍粟郡内間に國営自動車の運輸を開始することに関する陳情でありますが、紹介議員の熱心なる説明及び政府の意見を聽取し、慎重に審議の結果、これら各地方は自動車輸送力が不足しておるから、政府は民営、國営のいずれが適当であるかを研究の上、速かに当該地方の自動車輸送能力の増強を図るべきであるとして、これを内閣に送付すべきものと全員一致議決いたしました。
次に陳情第四百七号中央線高藏寺、名古屋鉄道小牧両駅間に國営自動車の運輸を開始することに関する陳情は、全く請願第六十二号と同一でありますので、同請願と同じくこれを内閣に送付することを要するものと議決いたしました。以上報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/58
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059・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければこれより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/59
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060・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全員一致を以て採択し、内閣に送付することに決定せられました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/60
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061・松本治一郎
○副議長(松本治一郎君) 日程第四十四、水産物集出荷及び配給制度に関する調査に関する件、水産委員長木下辰雄君。
〔木下辰雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/61
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062・木下辰雄
○木下辰雄君 只今議題となりました魚介類の集出荷配給の問題につきまして、水産委員会における調査の経過並びにその結果を御報告いたします。
皆様御承知の通り、魚介類の統制は今や全く混乱状態に陥つておりまして、このままで行けば最早収拾の余地なしと申しても過言ではないのでありまして、これは皆様が日常親しく体験せられ、熟知せられるところであります。ここに敢えて詳しく申述べる必要も認めません。ただ我々の最も懸念し最も憂慮いたしまするところは、國民保健の重要要素である蛋白給源をこの混乱状態に置きますることは、國民生活に深刻なる打撃を與えるばかりでなく、今や國家治安の上にも憂うべき事態を惹起するの虞れなしとしないからであります。現内閣におきましては、組閣早々経済緊急対策要綱を発表せられまして、生産食料品は主食同様に扱うという強い決意を表明せられたのであります。この方針の下に集出荷配給機構を整備強化して、六月には生鮮魚介類の配給統制要綱を、又引続いて水産加工品の配給統制要綱を発表いたされ、大いに流通秩序を確立して、國民食生活の安定を図る旨を天下に声明せられたのであります。我々はその当時政府の決意には満腔の敬意を表するが、過去の実績に鑑み、これは必ず失敗に終ると考えまして、本議場におきましてすでに警告を発したのでありますが、果たせるかな、統制はますます混乱の一途を辿り、政府は再び地方長官会議を開いて取締の強化を訴えなければならない結果となつたのであります。
我々は当時すでに今日あるを予想いたしましたので、本委員会におきましては、この際至急に根本的な対策を樹立して政府に協力する必要があることを痛感いたしまして、本院に対し、実情の調査の承認を求めたのであります。而してその後の調査の状況を申上げますると、水産委員会におきましては、水産物の集出荷配給調査小委員会を設けまして、千田正君を小委員長といたしまして、去る八月五日より十四日まで、青山、田中、小畑、三好、遠山、矢野の各委員諸君は京阪神、関門、北九州地方へ、又八月六日より十五日まで、岩男、江熊、松下、千田、大畠、小川、尾形の各委員諸君は東北、北海道方面に出張いたされまして、各地方の重要生産地、消費地において実情を調査し、又生産者代表、集出荷配給業者代表並びに消費者代表を集めて座談会を催し、現在の欠陥や、これが改善意見の開陳を求めて、いずれも貴重な資料と報告書を提出いたされたのであります。更に十月の十六日には、本院におきまして、六大都市の荷受機関代表、生産者及び消費者各代表を証人として喚問いたし、現状の報告と改善方法について陳述せしめたのであります。又この問題に関する各地方からの陳情は多数に上つておりますが、これ又小委員会及び委員会において併せて審議をいたしたのであります。
これらの各方面の意見は極めて肯綮に値するものが多々あるのでありますが、これをここに一々御報告申上げることは省略いたします。ただ根本的な点だけを二三御紹介いたします。
先ず生産者側の言ひ分として、第一が、連合軍の好意により、漁業資材の輸入は漸次好轉しつつあることは誠に感謝に堪えないが、末だ現在においては、重油において約三割、漁網その他において約八割を闇で買つておる。そのため生産費は非常に高いものになつて來るので、魚を公定價で供出したのでは漁業は成立しない。政府は魚介類の統制を行うならば資材の確保が先決問題ではないか、闇資材を全部明るみに出して貰いたい。
又第二には、現状においては殆んど統制は困難であるから、むしろこれを全面的に撤廃されたい。もし諸般の情勢上撤廃が困難であれば、大衆魚、多獲魚だけを統制して、その他は自由に解放して貰いたい。これが生産者側の全面的な要望でありました。
次に集出荷配給業者の希望としては、現在の僅かな手数料では経営が極めて困難である、手数料が三分であります。殊に荷受機関は複数制が採用されたため、至る処濫立に陥り、從つて闇をやらなければ経営が成り立たないのが実情である。よろしく政府は不徹底な統制を撤廃すべきであるというのでありまして、これ又統制撤廃を強く要望しておるのであります。ところが消費者側の意見は、現在の統制には全く失望しておるが、さりとて今統制を撤廃したら一般大衆の生活はどうなるか、急テンポに進む物價騰貴に恐らく國民の勤労階級は魚が買えなくなるのであろう、むしろこの際より適切な方法によつて大衆魚の統制を徹底的に行い、配給量を増加するように努力されたいという意見と、又一方には、現在のごとき混乱状態に陥つては、徹底的な統制は困難であるばかりでなく、統制を強化すればするほどますます闇値を高くするばかりである。むしろこの際統制は撤廃されたいという二つの意見があつたのであります。
以上各方面の意見はその立場々々におきまして、これを考えますればいずれも尤も千万な要望であります。そうしていずれの場合においても現在の統制方法に非常な不満を抱いておることも誠に明瞭な事実であります。そこで委員会におきましては、これら各方面の意見を参酌し、生産者荷受及び配給業者、消費者、おのおのの立場を考慮いたしまして、更に我が國現下の四囲の情勢を考慮にいれまして、慎重に檢討を加え、しばしば小委員会及び委員会を開きまして研究討議をいたした結果、次のごとき結論を得たのであります。
即ちその決定の要旨を申上げますと、第一、大衆魚であり、多獲魚である「にしん」「いわし」「かつお」「まぐろ」「ぶり」「さば」「さんま」「いか」「たら」、この九品種の鮮魚と、これら加工品の主なるものを統制すること。第二、機船底曳網漁業、トロール漁業及び捕鯨業の漁獲物を全部統制すること。第三、以上第一、第二、の魚種及び捕鯨業の漁業種に対しては資材等をリンク制によつて重点的に供給すること。第四、その他の魚種は自由價格を認めること。第五、甲陸揚地に農林省の有力なる係官を、乙陸揚地には地方廳の係官を駐在させ、出荷の指示監督に当たらせること。この甲陸揚地と申しますのは農林省の指定しておるもの、乙というのは地方長官がやつておるものであります。第六、消費地の市場に入荷した統制品に対しては、都市局長が責任を以て正規ルートに分荷配給すること。第七、末端配給に対しては統制品を扱う店舗を特に指定して横流れを防止し、警察官の取締りに協力する消費者の監視機関を拡充強化すること。第八、これら統制品目の不正、違反に対しては厳罰主義を以て臨み、徹底した取締りを励行すること。
以上であります。次に委員会におきまして委員各位が述べられた論旨を要約して以下簡單に申上げます。これら少数の魚種を指定いたしましたのは、國民全般に統制品種を明確ならしめんがためでありまして、現在のごとく二百四十余種の魚が統制下に置かれ、何百種類の公定價格が設けられ、而もその中に統制ルートに乗るものと乗らざるものとがあつて、誠に繁雑混迷を極めておりますので、國民が統制に協力したくも実際上不可能な状態であります。
〔副議長退席、議長着席〕
そこで常識的な大衆魚たる九品目の鮮魚及び主なる加工品を統制品種として、國民の関心を明確ならしめ、これによつて全面的な協力を求めんとするものでありまして、勿論これに対しては重点的に資材等のリンクを行つて、國家が生産者に協力すべきことは言うまでもありません。今この九品種の漁獲高を昭和五年以降の各年の綜漁獲高について見ますと、平均約六割以上を占めるのでありまして、現在の公定價格による末端配給量が綜漁獲高の一割及至一割五分程度であるのに比較すると、この統制が完全に行われますると、少くとも現在の配給量の三倍以上を確実に配給し得ることになるのであります。
次に機船底曳、トロール、捕鯨業の漁獲高を統制いたしますことは、資材供給の面から、我が國漁撈の中核であるこれらの漁業を十分に活躍せしめるためでありまして、品種別の統制をやや混乱せしめるものではないかという懸念も生ずるのでありまするが、これらは最も統制し易い漁業で、現在も大部分が確実に統制されておるのでありますから、当局において更に一層力を入れれば、横流れを防止することは、さまで難事ではないと思うのであります。かくして政府が厳重に統制するものに対しては、又政府が資材を十分面倒を見ることが当然でありまして、その他の魚に対しましては自由な價格で販賣できるようにすることが、漁民の生活にゆとりを與える所以であり、又増産を刺戟する所以であります。
次に甲陸揚地及び乙陸揚地に、今日まで農林省及び地元都道府縣の責任ある機関があまねく設置せられていなかつたことは、これだけの重大問題に対する関係当局の熱意を疑わざるを得ないのであります。この重要ポイントを業者任せにして置いては、陸揚地においてすでに魚が横流れすることは当然と言わなければなりません。又消費都市の当局においても、市民生活の根幹を成す食糧統制に対しては、属僚任せにせず、責任ある態勢を整えるべきであります、又一般消費者におきましては、地区ごとの監視機関を一層拡充強化して、公正なる配給に参加するばかりでなく、統制品は少数の魚種でありますから、日常、常に統制品の闇賣を監視し、不正業者は随時摘発する積極的な態度に出て、統制徹底に協力すれば、今日の混乱を救うことは決して困難ではありません。而して統制品はあくまで徹底し、その他は自由價格を認めて、生産者、中間業者に経営のゆとりを與え、消費者に対しては現在の配給量の三倍以上の公定價配給を確保して、その生活の安定を図らんとするものであります。
以上、申上げるまでもなく、現在の統制方式は全面的に崩壊しつつあります。而してこれが國民の食生活に非常な不安動揺を與えて、闇行為による犯罪は社会全般に瀰漫して、今や法治國の面目は地に落ちたりという有様であります。政府は先月二十七日知事会議を開いて、再び取締強化とリンク制の拡充方針を指示されたのであります。我々は、生産者も、荷受及び配給業者も、消費者も、すべてが納得する統制方式でなければならないと考えます。現在の統制の行き方を再檢討し、政府が確保し得る資材と睨み合わせ、十分ではなくとも、重点的に裏附けの力を背景とした統制を行うことが、実際的であり、又合理的であると信ずるのであります。以上は委員各位の論旨の要領であります。かくして前申上げましたような結果を全会一致を以て決定いたした次第であります。以上御報告申上げます。
尚先月二十八日の本調査の取扱に関する委員会におきまして、政府当局と千田、青山、遠山、前之園各委員との間にいろいろの質問應答が交わされましたが、その要旨の主なるものは、政府におきましては、先月二十七日知事会議を開いて、生鮮食料品の統制強化対策を実施いたされたのでありまするが、このことたるや、もとより政府は確信を以てかかる挙に出たものと信じますが、本委員会に対しては事前に何らの打合せもなかつた。何の予告もなかつたことは、甚だ不都合ではないか。それから又政府は、今回の知事に指示されたあの措置に対して果たして責任が負えるかというような、いろいろな質問がありましたが、これに対しては政府としては明答がなかつたのであります。以上を附け加えて御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/62
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063・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 只今の調査報告に関して千田正君より政府に対し質疑の通告がございます。千田正君。
〔千田正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/63
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064・千田正
○千田正君 生鮮食料品統制強化に関する緊急質問を申上げます。
大体三つの観点から申上げてみたいと思うのでありまするが、第一に、政府は去年十一月の二十七日に都道府縣知事を招集しまして、生鮮食料品配給統制強化を要請したのでありまするが、從來もたびたび政府はこの施策に出たのでありまするけれども、十分なる効果が挙げ得なかつたのでありまするが、この度の実施に当つて、資本、資材、運輸、檢察等十分なる準備ができておるかどうかという点を質問してみたいと思うのであります。又諸般の実情を見まするときに、すべての準備が十分でないように見受けられるのでありまするが、かかる状態の下に突如としてこの緊急措置を採つて、果たして完全なる統制強化が実施できるかどうか。こういうことによつてむしろ逆に國民の栄養の確保が欠陥を生じ、或いは犯罪数が相当殖えるのじやないか。この点について十分に國民の納得の行くような栄養確保の統制強化ができるかどうか。その自信ありや否やという点について所管大臣のお答えを頂きたいと思うのであります。
第二におきましては、当参議院においては、水産物に関しては、政府の要望に應えまして、水産委員会において、漁價並びに水産物集出荷配給制度に関する小委員会を設けて、八月以來眞劒にこの問題の研究調査を続けておつたのであります。政府も亦当該委員を臨席せしめまして、共に協議を重ねておつたのにも拘わらず、この重大なる國民生活の基準を定めるところの統制強化の問題に対しては、すでに先月十八日と聞きまするが、閣議において決定しておるにも拘わらず、衆議院には事前了解を受け、当参議院に対しては何らの通知もなく、又事前の了解を受くることなくして、突如二十七日発表と同時に各都道府縣の知事に統制強化を要請したのであります。本院に対しましては、すでに新聞紙上に発表され、都道府縣知事に要請された二十八日の午後において、藤田水産局長をして事後了解を求めさせましたことは、参議院を無視した態度であり、又民主政治の根本義に悖ると言わなければならないと私は信ずるものであります。(拍手)(「その通り」と呼ぶ者あり)この政府の独善的な処置は、いかなる結果に終わつたとしても、勿論政府は全責任を負うべきでありますが、いかなる施策と雖も、國民の納得のいくような協力なくして完全なる実行は得られないと私は信ずるものであります。(拍手)参議院は衆議院と共に國民の最高代表機関であることは言を俟たないのでありまするが、この問題は今回のみに限らず、参議院の今後のあり方に対して重大なる関係がありまするので、この点特に片山総理大臣の明確なる御答弁を頂きたいと私はお願いするのであります。(拍手)
第三、只今木下水産委員長がこの水産物の集出荷配給統制の関係に対して研究調査報告をなしておりまするが、この報告に対して所管大臣はいかなる御所信を以てお答えできるかという点について、この三つの緊急質問を申上げて明瞭なる御答弁を頂きたいと思うのであります。(拍手)
〔國務大臣片山哲君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/64
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065・片山哲
○國務大臣(片山哲君) 政府は常に國会を尊重いたしまして、十分な連絡を取つて、議案の審議等におきましても万遺漏なきを期して努力いたしておるのであります。只今御質問の生鮮食料品の統制強化に関する問題でありまするが、恐らく知事会議に出す前に発表いたしますと、いろいろ世間に刺戟を與えるので、知事会議に発表する際に同時に両院にもお諮りをいたしまして御了解を得ようと、こういう段取りになつておつたのでありまするが、その間手違いがあつたのでありましよう。私はその事務的な関係はよく了承いたしておりませんが、当院に対しましてお諮りをすることが大変遅れたようでありまして、誠に手落ちであつたことを申訳なく思つておる次第であります。(「それではいかん」と呼ぶ者あり)今後におきましては十分連絡をよくいたしまして、万遺憾なきを期したいと思つております。決して軽んじたり或いは無視したり、或いは独善的に官僚的にやる考えは毛頭ないのでありまするから、(「事実は相違しておる」と呼ぶ者あり)どうかその点を御了解を仰ぎたいと思います。
〔政府委員井上良次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/65
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066・井上良次
○政府委員(井上良次君) 只今生鮮食品の配給確保に関する緊急具体的措置に対しての御質問でございますが、政府が去る十一月二十七日知事会議を開きまして、特にこの問題に対する協力方を要請いたしましたのは、御存じの状來通り我が國の現下の食糧事情というものがいかに緊迫しておるかということからしまして、大体、本年の七月から來年の六月までの間に、主要食糧においては、すでに皆さんも御存じの通り外國から輸入しなければならん食糧が百九十万トン余ございます。而もこの百九十万トン余の食糧というものが穀類で輸入でき得ない現状にあるのであります。そういうような関係から、國内の主要食糧の供出管理は勿論のこと、生鮮食料品におきましても、いかに日本政府がこの食糧問題と眞劒に取り組んで、國民の食生活の安定、延いては社会秩序の再建に対して全力を挙げておるかどうかということが、連合國の方によく理解をされませんというと、この百九十万トン余の食糧輸入の上に重大な支障を來すではないかということを我々は憂えるからであります。そういうような我が國の緊迫した食糧事情の現状におきまして、現在のような生鮮食料品の統制が非常に乱れまして、このまま放置をすることを許さない状態にあることを御了承いただきたいのであります。勿論生鮮食料品は鮮度を尊び、且つ味覚を尊ぶ商品でございますので、これを統制するということにいろいろ問題がございます。今お話がございました通り、一部これを撤廃をせよという意見も非常に強いのであります。併しながら政府としてはこれを直ちに撤廃をするということが、いかに困難か実情にあるかということは、よく國民の人々にも御了解を願いまして、更に現在の統制方式に改善を加え、徹底的にこれを強化実施する方法を採つて行くより仕方のない実情にございます。そこで今回政府が決定いたしました生鮮食料品の集荷配給についての緊急処置につきましては、その生産において、或いは出荷及び配給において、完全なる綜合対策を実施することによつて、又この綜合対策を裏切ろうとするところの者に対しましては、関係各廳とよく連絡を採りまして、裏切られないような方策を講じ、それでも尚且つ裏切ろうとする一部闇横流し等に対しては、徹底的に取締つて行く。こういう方法を講ずることによつて、初めて連合國に対し日本國民がいかに食糧問題で眞劒にやつておるかということを理解して頂くことによつて、更に我が國の食糧問題の大きな解決の一途を見出すと考えますので、政府といたしましては、何といたしましても、今度は國民の皆さん方の協力を求めまして、國民自身の食生活安定、日本再建の原則はここにあるということをよく理解をいたして貰いまして、全体を挙げてこの処置の円満なる遂行のできますようにしたいと考えておる次第であります。尚今御報告になりました水産委員会が御決定になりました水産物の集出荷及び配給制度に関する要綱につきましては、政府といたしましては、その趣旨誠に御尤もな点が多々ございますし、又これは参議院全体の御意見でもございますので、そのお決めになりました各要綱については、十分政府として檢討を加えまして、順次これを採用して参りたいというつもりでございます。
尚最後に、今度の緊急処置に関しまして、参議院の方の了解を得ることが非常に遅かつたというお叱りを蒙りまして誠に恐縮でございますが、今総理からもお話がございました通り、事実を申しますと、閣議では早くこの案は決定されたまま、その後更に司令部側の御意見なりいろいろ各方面との打合せもございまして、最後に知事会議でその具体的なことを決める。こういう寸法を採りまして、それで二十七日に一應参議院及び衆議院の國会に御了解を求める。こういうつもりで実は準備をいたしたのでありますが、行き違いを生じまして、二十七日に参議院の水産委員会の方にお諮りすることができませなかつたことは、政府事務次官として甚だ申訳ない次第でありますが、今後はかくのごとき手落ちのないように、十分事前に各関係委員会と連絡を採りまして、この処置を採つて参りたいと思いますから、どうかこの点は惡しからず御了解頂きたいと思います。(拍手)(「名囘答」と呼ぶ者あり)
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/66
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067・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 参事をして報告いたさせます。
〔青木参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
昭和二十二年法律第八十号(國会議員の歳費、旅費、及び手当等に関する法律)の一部を改正する法律案可決報告書
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/67
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068・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) この際、議事日程に追加して、昭和二十二年法律第八十号(國会議員の歳費、旅費、及び手当等に関する法律)の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/68
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069・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。議院運営委員会理事藤井新一君。
〔藤井新一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/69
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070・藤井新一
○藤井新一君 只今緊急上程せられました本案件につきまして、議院運営委員会における審議の経過並びにその結果について、極く簡單に御報告申上げます。(「賛成」と呼ぶ者あり)
先ずこの法案の緊急上程の理由を申上げますと、昭和二十二年法律第八十号中の第十條を改正せんとするものでございます。次に本案の要旨を申上げます。本案は事務補助員の給料に関するものでありまして、現下の諸物價の値上がり及び一般公務員の給料の増加に鑑みまして、事務補助員の給料を引上げるものでございます。即ち國会法施行の当時と比較いたしますと、現在一般公務員の給料が倍額となつておるのでございます。そこで事務補助員の給料もその倍額といたすのでございます。尚本件は本年九月一日より適用することになつております。
次に委員会の経過を極く簡單に申上げますと、委員会におきましては、慎重に慎重を重ねまして、衆議院から送付して來たところのこの法案を審議したのでございます。質疑應答の後、採決に入つて、全会一致を以て原案通り可決したのであります。(拍手)(「異議なし」と呼ぶ者あり)勿論この案の準備期間中は、議院運営委員会の庶務関係小委員は予備的調査を幾度かして参りました。その間、時には衆議院の議院運営委員会と合同審査を幾度かやりました。時には同委員会内の議院の全機能発揮に関する小審員と合同懇談会をも行つて、万遺憾なきを期して來たのであります。ただ一言附言して置きたいと思うのは、本案に関しましては、衆議院の提出案でありまするが、長期に亘りまして、衆議院議院運営委員長淺沼稻次郎君、参議院議院運営委員長木内四郎君及び両院の当局者におかれまして、関係方面と十分なる協議を遂げられて、立案決定せられたものでございます。
以上、その過程を申上げまして、御報告に代える次第であります。諸君のこの案に対して御賛同を得れば誠に幸福と存ずる次第であります。(拍手)(「泰山鳴動鼠一匹か」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/70
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071・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/71
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072・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。これにて本日の議事日程は終了いたしました。明日は午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100115254X06219471205/72
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