1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年六月二十六日(土曜日)
午後二時二十分開議
出席委員
委員長 井伊 誠一君
理事 鍛冶 良作君 理事 石川金次郎君
理事 八並 達雄君
大村 清一君 佐瀬 昌三君
花村 四郎君 松木 宏君
山口 好一君 池谷 信一君
石井 繁丸君 猪俣 浩三君
打出 信行君 中村 俊夫君
吉田 安君 大島 多藏君
出席政府委員
法務行政長官 佐藤 藤佐君
委員外の出席者
專門調査員 村 教三君
專門調査員 小木 貞一君
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六月二十五日
民事訴訟法一部改正案の施行期日に関する陳情
書(第九
四五号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
少年院法案(内閣提出)(第一七八号)
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〔筆 記〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204390X04219480626/0
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001・井伊誠一
○井伊委員長 会議を開きます。
少年院法案を議題といたします。提案の理由につき政府委員より御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204390X04219480626/1
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002・佐藤藤佐
○佐藤(藤)政府委員 ただいま上程となりました少年院法案の提案理由について御説明申し上げます。さきに申し述べた理由によつて、この度裁判所法と少年法を改正いたすのでありますが、少年に対して矯正教育を授ける收容施設がこれに伴つて改善されなければ、少年の保護は完璧を期することができないのであります。そこで少年に対し收容施設における矯正教育を徹底させ、かつ、日本國憲法の要請する基本的人権の保障を全うするため、新らしい構想のもとに、收容施設すなわぬ少年院を設け、さらに少年裁判所の審判前の少年すなわち未決の少年を收容する施設すなわち観護所を矯正施設から分離独立させるため、少年院法をつくることになつたのであります。
この法案によつて設けられる少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致された者を收容し、これに矯正教育を授ける施設すなわち矯正施設でありますが、この少年院は從來の矯正施設たる矯正院に比べまして、矯正教育の徹底と基本的人権の保障において、格段の進歩を遂げているのであります。まず、少年院における混合收容の弊害を避けるとともに、矯正教育を便宜にするため、少年院を初等少年院、中等少年院、特別少年院及び医療少年院の四種にわかつたのであります。初等少年院は、心身に著しい故障のないおおむね十四歳以上十六歳未満の者を收容するのであります。心身の発達より來る生理上の差異の第一段階を、おおむね十六歳で区切つたのであります。中等少年院は十六歳以上二十歳未満の者を收容するのであります。心身の発達より來る生理上の差異の第二段階を、おおむね二十歳で区切つたのであります。特別少年院は心身に著しい故障はないが、犯罪傾向の進んだ者を收容するのであります。すなわち心身に著しい故障はなくても、年齢がおおむね十八歳以上で犯罪的傾向の進んだ者を他の者と同一施設内に置くことは弊害が多く、またかかる者は矯正教育上特殊な方法を用いなければ、その目的を達することができないので、ここに特別少年院を設けて、彼等に矯正教育を授けることにしたのであります。医療少年院は、心身に著しい故障のあるおおむね十四歳以上二十六歳未満の者を收容するのであります。心身に著しい故障のある者は、特に設けた施設で特殊の矯正教育を授けなければ矯正の目的を達することができないので、医療少年院を設けそこで特殊な矯正教育を授けることにしたのであります。
以上の如く少年院を四種に分つて矯正教育を授けやすくしたのでありますが、矯正教育は少年をして社会生活に適應させることを目的とするものでありまして、一面は自覚に訴え、他面には紀律のある生活のもとに知的教育、職業補導、訓練すなわち徳育と体育及び医療を授けるのであります。そして知的教育について申しますれば、在院者の年齢、智能程度等を参酌して、第四條各号に掲げる教科を授けることにして、義務教育の年齢にある在院者には必ず義務教育を授け、義務教育年齢を超えた者でも、中途退学者等には、必ず義務教育を授け、その他の者には必要な程度に應じてさらに進んだ教育を授けるのであります。
少年院における矯正教育の一部は、学校教育法における教育と同一のものでありますから、常に文部大臣と密接な連絡を保つ必要があり、かつ、その勧告に從つて教育の進歩をはかり、少年院の長は前述の教科を修了した者に対して証明書を発行するのでありますが、この証明書は学校教育法によつて設置された各学校と対應する教科課程について、各学校の長が授與する卒業証書その他の証書と同一の効力を有せしめて、学校教育法による各学校の卒業者と同一の資格を有せしめ、また轉校を可能ならしめて、少年院における教育と一般社会の教育との間に自由な交流を認めたのであります。
次に、少年院に累進処遇の原則を取り入れたのであります。すなわち入院の当初には、本人をもつぱら悔悟反省させる方法を用い、漸次に処遇を向上して社会生活に近ずかせるのでありますが、特に成績の不良な者については、その段階を低下させる手段も併行させて、本人をその自覚に訴えて発奮努力させ、なるべく早く矯正の目的を達しようとしたのであります。
さらに、收容者の年齢の限度を一應二十歳と定め、原則として二十歳で退院させ少年院の長が在院者の心身に著しい故障があり、または犯罪的傾向がまだ矯正されていないため退院させるに不適当であると認めるときは、少年を送致した裁判所に対して收容の継続を申請し、裁判所が收容継続の決定をした場合にのみ、継続して收容することができるようにしたのであります。その場合に決定の期間は二十三歳を超えることができないのでありますが、特に在院者の精神に著しい故障がある場合に限つて、二十六歳まで收容することができることにしました。けだし人権に係わることでありますから、裁判所の愼重な手続を経るのが妥当であり、年齢その他の條件についても、適当な制限を設ける必要があると認めたからであります。なお、家庭裁判所の審判決定前の少年は、これを警察の留置所、矯正院の出張所または拘置監等に收容して置くことは弊害が多いので、この弊害を防止するため、独立した少年観護所を設け、さらに医学、心理学、教育学、社会学その他の專門的智識に基いて、少年の資質の鑑別を行う少年鑑別所を附置して、少年の科学的分類と矯正教育の基礎の確立をはかつたのであります。
以上が今回の法案の改革の要点でありますが、この改革の精神を十分に実務に反映せしめて、少年保護の完璧を期したいと思うのであります。何とぞ愼重御審議の上速やかに御可決あらんことを希望致します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204390X04219480626/2
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003・井伊誠一
○井伊委員長 本日はこれにて散会致します。
午後二時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204390X04219480626/3
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