1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年五月十一日(火曜日)
午後一時五十分開議
出席委員
委員長 坂東幸太郎君
理事 松野 頼三君 理事 門司 亮君
理事 矢尾喜三郎君 理事 小暮藤三郎君
井上 知治君 大内 一郎君
大村 清一君 佐藤 通吉君
千賀 康治君 中島 守利君
笠原 貞造君 菊池 重作君
高橋 長治君 中垣 國男君
小枝 一雄君
出席政府委員
総理廰事務官 鈴木 俊一君
委員外の出席者
專門調査員 有松 昇君
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五月六日
中島茂喜君が委員を辞任した。
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五月六日
海上保安廰の設置に伴い地方自治法の一部を改
正する等の法律案(内閣提出)(第五六号)
五月十日
主要都道府縣に建築部設置の請願(坂東幸太郎
君紹介)(第五三二号)
地方税財政制度改革に関する請願(塚田十一郎
君外五名紹介)(第五四六号)
海上保安廰法案並びに開港々則法案に関する請
願(島上善五郎君外一名紹介)(第五六五号)
警察法施行に伴う要望に関する請願(坂東幸太
郎君紹介)(第五六七号)
の審査を本委員会に付託された。
五月十日
公安委員の任命に関する陳情書
(第二〇八号)
競犬法の制定に関する陳情書
(第二二六号)
壱岐対馬両島の福岡縣に轉縣反対の陳情書
(第二三八号)
新警察法実施に伴う警察費全額國庫補助の陳情
書
(第二六四号)
新給與実施に伴う地方経費國庫補助に関する陳
情書
(第二七八号)
入場税の地方委讓並びに地方税の新設に関する
陳情書
(第二八〇号)
地方財政の確立に関する陳情書
(第二八四号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
大阪市及び神戸市における朝鮮人騒じよう事件
に関する件
消防法案起草に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204398X02819480511/0
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001・坂東幸太郎
○坂東委員長 これより治安及び地方制度委員会を開会いたします。
本日の日程は、内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案(第四一号)、消防法案起草に関する件でありますが、これを議題にする前に、小暮委員より大阪、神戸事件の調査の概要の報告がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204398X02819480511/1
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002・小暮藤三郎
○小暮委員 私はさきに本委員会を代表いたしまして、川橋君と松澤君と私と三人、去る五日に東京を出発いたしまして、予定通り、六日の午前七時に三宮に着きました。かねて本委員会より通告がしてある時間は、神戸縣廰に六日の九時に参ることになつておりましたので、その定刻に三人相携えて参りました。ちようどそのときに参議院の治安委員会並びに司法委員会の一行と一緒になりまして、そうして兵庫縣廰におきまして、知事、警察部長以下公安委員、その他各委員と会同いたしまして、いわゆる朝鮮人集團不法行為事件の梗概を聽取いたしました。その詳細につきましては、十五日過ぎ松澤君と川橋君が参りまして、そうして三人で打合せをいたしまして、詳細なる御報告を申し上げることになつておりますが、私は昨日帰つてまいりましたので、本日の委員会の劈頭にその概要を申し上げることにいたしたい、かように存じまして、ここに委員長の許しを得た次第でございます。
新聞その他において皆様がよく御承知の通り、また衆議院から司法委員会におきましても参りまして、それぞれ詳細なる御報告がありましたので、よく御承知のことと存じますが、私ども一行は治安の委員といたしまして主として警察方面の関係、治安方面の関係を聽取することにいたしまして、その点を最も詳細に調べてまいつたわけであります。兵庫縣廰において九時より午後一時まで、各方面からそれぞれ報告を聽きまして、またちようど参議院の治安委員、司法委員も一緒でありましたから、それぞれの面から質問が出まして、その事情を聽取することのできたことは、私ども衆議院の治安委員一行としては、非常に仕合せだつたと思うのであります。大体御承知の通り、わが國においても、いまだかつてない事件でございまして、從つて各方面の注目の的となつておりますし、またさきに有松專門調査委員から、衆議院の治安委員会の一行がその調査に行くという通告が参つておりましたので、あちらでもよく書類をそろえておいてくださいまして、今ここに持つてまいりましたが、これらにつきましては、先ほども申し上げましたように三人でよく調査の結果を集めて、成文化して御報告申し上げることになつておりますので、その点は略させていただきます。
要するに、四月二十四日の午前十一時ごろより、兵庫縣廳の知事室において、知事、副知事以下の首脳部、神戸市長、檢事正等の一行が、朝鮮人の教育問題、学校問題について善後策を協議しておりますときに、いわゆる三々伍々と集まつた者が結局縣廰を占拠いたしまして、十三日に檢束いたしました者以下を解放するとともに、学校問題についてそれぞれ処置しましたことが不当であるとして、情勢がそうなつてまいりましたので、遂に撤回した。それらのいきさつにつきましていろいろ詳細なる説明があつたのでありますが、よく三人で御報告の材料をまとめて申し上げることになつておりますから、その詳細についての報告はこの程度で簡略することにいたします。
そうして午後一時から神戸市役所に参りまして市長、助役以下の要路の者と参議院の一行と一緒になりまして、調査いたしたのでありますが、概要は縣廳における話と同じであります。ただ私どもは公安委員と警察長以下の活動がどういう連絡のもとに行われたかという点を神戸市役所においても特に尋ねたのでありますが、何にしましても、あとの報告でありますから、その報告によつてその連絡がさほどの遺憾の点がないようにも考えられるのでありますが、その模様を詳細に聽いておりますうちに、報告にありますよりも不備の点があつたのではないかというような点が想像されたのであります。数時間にわたりまして調査いたして、その日は終日それに没頭いたしましたそうして翌日参議院の一行とわかれまして、さらに神戸市の警察当局並びに公安委員、また消防当局にも集まつてもらいまして午前中、主として神戸市助役の主催のもとに詳細なる報告を聽いたのであります。午前中はその報告を聽き、午後は朝鮮人の一番集まつております生田警察署に署長を訪ねまして署長からさらに詳細に意見を聽きまた生田消防署に参りまして、消防署長からも報告を聽き、結局午後はそういう方面の調査に没頭いたしたのであります。これは七日の日の話であります。
それから八日にはこちらから通牒してあります大阪府廳への時間は午前九時ということになつておりましたが、十五分ばかり前に大阪府廰に参りまして、知事以下に会いました。殊にあそこには大阪警察管区本部がございますので、大阪警察管区本部に私どもがねらつておりますところの連絡の関係等につきまして、特に尋ねてみたいと思つておりましたので、谷口管区本部長の出席を求めましたところ、ちようどよんどころない用事がありまして北越の方へ参つたという話でありまして、代理の警備部長から詳細なる説明を聽いたのでありますが、せつかくわれわれが調査に参ります前に通告がしてあるにもかかわらず、谷口管区本部長がいないということは、すこぶる遺憾であると思いまして、遺憾の意を表し、さらに帰京の後に詳細なる意見を聽かしてもらいたいということを頼んでまいつたわけであります。
午前中は大阪府廰で終始いたしまして、午後は大阪市役所に参りまして大阪市長、助役、警察長、公安委員長とあらゆる方面の参集を求め、数時間にわたりましていきさつを聽きました。その概要は大体府知事の話も市長の話も同じであります。結局二十三日の日、ちようど神戸において知事以下がいわゆる軟禁されたという前日でありますが、約五千の朝鮮人が学校問題で大阪府廰を取巻きまして、ちようどその日には知事が不在でありましたので、副知事に例の学校問題の撤回を迫つた、交渉がなかなか長引いて容易に解決がしない。ちようどそのとき、数時間の後に副知事は打切りまして、そうして他に行かれた。これもやはり新聞等で皆さんが御承知の通りであります。その日には遂に朝鮮人側で失敗だつたというので、二十六日に大挙して二万の朝鮮人が集まつた。しかもその朝鮮人を指揮する者は、共産党員がまじつておつて共産党が指揮しておつた。御承知の通り、大阪の全逓の委員長がその指揮をしたということが明確になりまして、証拠が上つたので、收監されておるというような話も詳細にわたつて聽き得たわけであります。私どもは特に公安委員の活動について説明を求めたのでありますが、大阪府の公安委員は、たいへんよく活動した話をされました。それはたまたまその附近に参つておりましたので、そのことを知りまして、府廰へかけつけて詳細なる状況を調べ、遺憾がなかつたという報告を受けたのであります。しかし、公安委員と警察の活動との連絡等については大いに研究を要する点を、私どもは感知してまいつたわけでありますが、それらについても、いずれ川橋、松澤両君が参りました上で詳細に御報告申し上げたいと思います。
結局大阪市の警察局の扱いは非常に当を得まして、公安委員長の活動についてはいろいろ研究すべき点が多々あるようでありますけれども、警察局としては非常に手際のよい活躍をいたしましたために、朝鮮人側は結局目的を達しなかつた。その結果として共産党が指揮して、その指揮した者も指揮をしたという確実な証拠が上つて收監された。そういう点まて警察の力が、よく徹底してあの混雜の場合できたということは、私どもはまことに機宜の処置であつたというやうに三人とも感じました。午後四時中ごろまで話しまして、その日は土曜日でありましたけれども、熱心なる説明を聽いて帰つたわけであります。
九日の日曜日に帰つてまいりましたわけでございますが、概要今申し上げたような次第でございまして、詳細なる点、さらに警察の活動と公安委員との連絡の関係、それから情報の交換等が非常に不備であつたというような点も、大阪においても、また神戸においても十分に感ぜられたのでありますがそれらの点についても、なお詳細なる報告を正式にいたしますときに要点を摘出して申し上げたいと考えておる次第であります。
以上概要を申し上げまして私の御報告といたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204398X02819480511/2
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003・坂東幸太郎
○坂東委員長 これより日程の順序を変更しまして、消防法起草に関する件を議題に供しまして、委員長から中間報告をいたします。本日は議決は行うことはできませんが、すでにこの法案は審議が済みまして、結局は委員長に字句修正が委託されておりましたのでその責任上、委員長から大体中間報告をいたします。議決は次の機会において行います。
消防法案の修正字句の整理にあたりましては、法制部寺の意見も求めまして、なるべく慣用語を用いることに留意いたしまして、一應法文としての体裁を整えることといたしましたが、整理の箇所も相当廣範囲で、その筋の了解を求める必要もありまして、ようやく本月六日に至りまして全文の了解を得た次第であります。條文全体といたしましては、第三十八條の消防署長を消助長に読み替える條文でありますがこの両者は消防組織法中に消防長及び消防署長の管轄区域は明らかに明示されておりますので、特に読み替えの一條を設けず、各條文中に「消防長又は消防署長」として「消防長」の一語を附け加えましたので、この読み替え條文は必要がなくなり削除いたし、以下條項を繰り上げました結果、本法本文四十七條が四十六條となりました。
次に整理の要点について、簡單に申し上げます。第一章第二條は用語の定義では「防火対象物とは」「消防対象物とは」の定義中に、その目的物が列挙されてありますので、次の「関係者とは」「関係のある場所とは」の定義では目的物を、列挙するの反復を避けて、前の定義を引用して「関係者とは、防火対象物または消防対象物の所有者、管理者または占有者をいう」といたしました。「関係のある場所とは」の定義もまた同様にいたしたのであります。
第二章第三條から第九條までの間では、第二條の定義語を用いて、文章を簡潔にし、その他文字の訂正と字句の補足をしたのであります。
第十條から第二十三條までの間では文字の訂正補充、文句の轉置等を行つたのであります。
第二十六條と第三十五條とは全文にわたり疑義がありましたので、関係方面の説明をも求めました結果、原文には何ら変化がありませんが、その表現が満足でないので、現在のような文面に改めたのであります。
次に第九章の罰則では、原文では「刑法に、別段の規定がなければ懲役及び罰金を併科する」とありましたが、これを「前項の罪を犯した者に対しては、情状により懲役及び罰金を併科することができる」としたのであります。
以上が整理の概括的要点でありますこのほか文字の訂正とか、文句の轉置とかは、廣汎な箇所にわたつておりますが、そのこまかい点につきましては次の機会に整理條文等を配付いたしまして御了承を願うことにいたします。
そこで今最初に申し上げましたように、本日はこれを議決を行うことができませんから次の機会にいたしまして、單に中間報告に止めておきます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204398X02819480511/3
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004・坂東幸太郎
○坂東委員長 なお日程第一の内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案でありますが、これは次の機会に延期するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204398X02819480511/4
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005・坂東幸太郎
○坂東委員長 それではこれは次に延期することにいたします。
本日はこれをもつて散会いたします。
午後二時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100204398X02819480511/5
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