1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十三年六月一日(火曜日)
午後二時三十二分開議
—————————————
議事日程 第四十九号
昭和二十三年六月一日(火曜日)
午後一時開議
第一 高等試験委員及び普通試験委員臨時措置法案(内閣提出)
第二 自由討議(前回の続)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/0
-
001・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます
暫時休憩をいたします
午後二時三十三分休憩
————◇—————
午後三時六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/1
-
002・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/2
-
003・笹口晃
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、野本品吉君提出、雹害対策に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/3
-
004・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/4
-
005・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
雹害対策に関する緊急質問を許可いたします。野本品吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/5
-
006・野本品吉
○野本品吉君 群馬縣、栃木縣、茨城縣等関東北部の各縣が、激甚なる打撃を受けておりますることは、皆樣つとに御承知のとおりでございます。そうして、この被害地の農民諸君は、眞に郷土の復興、祖國の再建を目指して、その後血みどろな復旧工事に努力を続けてまいつておつたのでありますが、その應急復旧さえ未だ十分に仕上がらないこのとき、再び大雷雨に伴います大雹害に襲われまして、これまたわれわれの想像を越えた甚大な被害をこうむつておるのであります。私どもは、これら被害地の農民各位に対しまして心からなる同情を禁じえないのと同時に、政府はこの際、これら被害地農民の救済に対しまして、緊急に具体的に適当なる方策を樹立し、これを推進する必要ありと思いますので、私は、以下概況を申しまし上げまして、関係当局のお考えをお伺いしたい、かように考えるのであります。
ただいま手もとにはいつております情報は、主として群馬縣下における情報であります。五月二十七日の夕刻約三十分間、引き続いて翌二十八日の夕刻四十分間にわたりまして、大雷雨とともに、全縣下五市十一郡にきわめて激甚な雹害をこうむつたのであります。その概要を申し上げますと、群馬縣下におきましては、大小麦の被害面積が一万一千四百余町歩、その半ばは収穫皆無といわれております。これによりまして、推定十五ないし二十万石の大小麦の麦の減収を見るとのことであります。桑園の被害面積は三千六百余町歩でありまして、これまた収繭におきまして十万貫の減収を見るであろうといわれておるのであります。馬鈴薯におきましては六百余町歩、雑穀におきましては二百九十五町歩に及ぶ被害を受けております。陸稻におきましては五百三十七町歩、蔬菜において一千十六町歩にわたる被害を受けておるのであります。これらの被害地の最も激甚なる所におきましては、桑園のごときは一枚も桑の葉が残つておりません。また麦ごときは、まつたく穂の一つさえも見ることができないのであります。わずかに芽を出した苗代が、これまた、たたきのめされて、田植えをどうするかということが、農民にとりましての苦労の種になつておるのであります。
これら災害地の農民は、昨年の風水害に加うるに、再びこの災害を受けたのでありまして、ほんとうに天に訴え、地に叫んでも、どうすることもできない気持ちに立ち至つておるのであります。從つて、これらの農民は、いまやまつたく絶望感に落ちておるのでありまして、できるだけ早い時期に、具体的に、強力に援助の手が伸ばされないならば、これらの農民はおそらく自暴自棄の状態に陷りまして、差迫つておりますところの大小麦、馬鈴薯の供出の問題も、また近く行われる稻の作付けの問題の、おそらく彼らが考えております、先ほど申しました郷土の復興、日本の再建というような精神が鈍つてくるのではないかということを、私は憂えざるを得ないのであります。そこで、当局に私のお伺いしたいということ思うことを、以上数項にわたりまして申し上げたいと思うのであります。
第一の問題は、収穫を目の前に控えましてこの打撃を受けたのでございますが、麦、馬鈴薯等の供出割当ての補正の問題が、ただちに取上げられなければならない問題であります。私ども食糧委員会その他の関係者の公正妥当なる供出の補正が行われまして、その農民の今後の生活を脅かすがごときのないようにということを考えておるわけであります。
第二の問題は、大体におきまして昨年裸供出をいたしまして、今や農民といえども、目の前に実つております小麦と馬鈴薯とが、それらの人々にとりましては唯一の頼りになる食糧なのでありましす。この唯一の頼りとしておりまする食糧を一瞬にして失つてしまつたわけでありまして、農民ではございますけども、これらの被害地の人たちは、すでに食糧を持つておりません。しかも、田植えその他の農民といたしましては最も食糧を必要とする時期に差迫つておるのであります。そこで私どもは、緊急にこれら被害地の農民に対しまする加配米を含めて食糧配急の対策が考えられなければならないと思うのです。
第3の点は、被害地の復旧、被害地のあと作、その他いろいろな点から考えまして、肥料を急速に配給をしなければ、被害地のあと作、の他が適当に行われないということを考えるものであります。さらに、これら農家の愛育しておりますところのうし、馬、豚等の大動物の飼料がただちに困つてくるのであります。わたしどもは、飼料、肥料の緊急特配ということが、これら被害地にとりましてきわめて大事なことであると考えるのであります。
第四の点は、昨年末、あるいはかわいい子供を教育するための六・三制の完全実施のために、苦しいうちにも農民はその財布を搾りまして、実に巨額な負担をいたしております。またそれに次ぎまして、これまたきわめて重い税の負担をいたしております。かような結果、今農村民のふところには、ほとんど一文も残つておらないというのが実情であるといつて差支えないと思うのであります。從つて、これら被害地の人たちを救うために最も大事な事柄は、緊急にこれら被害地の農民に対する金融対策を講じなければならぬことであると思うのであります。
次に、金融対策を講ずると同時に、租税の減免等によりまして、これら被害地の人たちの負担を軽からしめて、それらの人たちの起ち上る素地を養つていかなければならぬと思うのであります。
以上数項につきまして関係大臣の御方針を伺いたいと思うのでありますが、最後に申し上げたいと思いますことは、今やこれら被害地に農民は、先ほども申し上げましたように、昨年の風水害に加うるにこの災害、半ば自暴自棄の状態になつております。從つて、ただいま申し上げましたような各種の救済対策というものは、きわめて緊急に、きわめて具体的に、きわめて効果的に推進されることに特別の努力とくふうを要するものであると考えるのであります。これらのことにつきまして、私は関係当局の御答弁を求め、同時に、被害農民の人たちが安心して再び復旧に立ち上がることのできるような御答弁を期待してやまないものであります。
以上を持ちまして私の質問を終ります。(拍手)
〔國務大臣永江一夫君〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/6
-
007・永江一夫
○國務大臣(永江一夫君) ただいま野本君からお尋ねになりました、群馬縣ほか二縣にわたりまする雹のための農作物の被害につきましては、当局としては鋭意緊急に調査中でございます。ただいまでの、私どもの判明したところにおきましても、いま野本君がお述べになりましたような、相当甚大な被害がございます。從つて、今日各種の悪條件のもとに食糧増産に鋭意努力をされておりまする被害地の農家の皆さんに対しましては、私どもは深甚の同情を持つて善処いたしたいと思うのであります
今お尋ねになりました第1点の、供出割当の補正につきましては、全國知事会議の決議もございますので、事前に割当てましたものにつきましては、かくのごとき被害のありましたときには適切に補正をいたします。
第二の、食糧、肥料、飼料の緊急特配もいたしたいと考えておりまするが、何分にも現地に派遣をいたしておりまする調査員がまだ帰つておりませんので、これらの調査が完了次第、適切にきわめて早くそれらの処置をとりたいと考えております。
なお、特別金融、税の処置等につきましては、大藏当局と十分協議をいたしまして、緊急なる処置をとりたいと考えております。
〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/7
-
008・北村徳太郎
○國務大臣(北村徳太郎君) ただいまの野本君の緊急質問にお答えいたします。
群馬縣を中心といたしまして、栃木、茨城にわたりまする五月二十七日、二十八日の雹害が、実に深刻なものであつたということに驚いておるわけであります。特にこの地方は野本君もお話になりましたように、昨年の風水害でずいぶんひどい目にお遭いになりまして、その非常な困難な悪條件のうちで、創痍未だいえざるうちに、ようやく立ち上がれたところへ今回の被害をこうむられた次第でございまして、それぞれ被害地の農家の方々に対しては、私といたしましても衷心御同情にたえぬ次第でございます。今回のことにつきましては鋭意調査をすすめておりますが、まだ私どもの手もとに十分に調査が届いておらないのであります。それで調査を十分にいたしまして、これに対しては、ただいまのお話がありましたように、緊急に対策を講じたい。
第一には金融の問題でございますが、これは金融機関等に十分相談いたしまして、敏速に金融の斡旋をしたい、かように考えております。
第二点の、租税減免等の問題につきましては、これは法の定めるところに從いまして十分に考慮いたしまして、その実情に應じた措置を急いでとりたい、かように考えておる次第でございます。
〔國務大臣一松定吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/8
-
009・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) ただいまの御質問に対しまして、わたしの所管の方面についてお答えします。
二十七日、並びに、二十八日における群馬、栃木、茨城の三縣における雹害の甚大なることは、それぞれ各地の報告を受けて驚いておる次第であります。私の所管事務といたしまして、家屋の倒壊、また橋梁の破損流出、道路の破損というような点にたしまして、相当の被害があることをよく承知いたしました。早速、これらの点に対しまして関係官を派遣いたしまして、実地の調査をして、ただいま大藏大臣お答えになりましたような、適宜の処置を急速に講じたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/9
-
010・野本品吉
○野本品吉君 ただいま関係各大臣から御答弁がありまして、私は、その誠意ある御答弁に対しまして満足の意を表します。ただ、いかにも時間的な余裕がありませんから、具体的な内容をもつことは、政府といたしましても相当困難であろうと思います。重ねて、大至急完全な調査をせられて、施策の推進をはかつて頂きたいと希望いたしまして、質問を終ります。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/10
-
011・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、高等試験委員及び普通試験委員臨時措置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長松原一彦君。
—————————————
〔松原一彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/11
-
012・松原一彦
○松原一彦君 ただいま議題に上りました高等試験委員及び普通試験委員臨時措置法案につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
本法案は、國家公務員法が來る七月一日から施行されるのであるますが、その実体的規定が適用されますのは、職階制及びこれに應ずる試験制度等が完成した後となります。なおそれまでの間現行の試験制度を存続せしめんとするものであり、同時に、この機会に右の事情を基礎として、その組織に若干の改正を加えんとするものであります。すなわちその第一点は、國家行政組織法案との関連上、高等試験委員を外局として扱うのを適当として、高等試験委員会と改めたことであります。第二点は、高等試験委員の構成、殊に司法試験を担当する第三部の組織を中心として、所要の変更を加えんとするものであります。すなわち、行政科試験が廃止された今日では、司法科試験の実施が重要な仕事になりますので、從來総理大臣の管轄下にありました高等試験委員は、これを法務総裁の所轄に移し、かつ第三部長は最高裁判所事務総長をもつて充てんとそるものであります。
本委員会は、以上の諸点につき、昨日午前中政府当局の説明を聽取いたしましたが、これに対する質疑はなく、討論を省略して、ただちに採決に入り、全会一致をもつて原案通り可決いたしたのであります。
以上、決算委員会の報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/12
-
013・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案は委員長の報告通り決するに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/13
-
014・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/14
-
015・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) これより前回に引続き自由討議に入ります。
河野金昇君、発言者の指名を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/15
-
016・高野金昇
○高野金昇君 國民協同党は、黒岩重治君を指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/16
-
017・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 黒岩重治君、発言を許可します。
〔黒岩重治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/17
-
018・黒岩重治
○黒岩重治君 衆議院選挙法が明治二十二年制定いたされましてから、その後において、現在まで六回の改正をいたしておると承知しております。しかも、その六回のうち、あとの二回は、終戰後の短い期間において行われたものでございます。しかるに、さらに選挙法の改正をいたさなければならない議が、本委員会においても考えられておりますし、全國選挙管理委員会の方におきましても、これに対するところの参考案を作成しておられるのであります。
何ゆえに、かくも頻繁に選挙法を改正しなければならないか、この理由について考えてみますと、端的に申しますならば、選挙のために從來非常な費用を使つておつたということによりまして、しかも、たくさんの費用を使いますことによりまして、それが政治の明朗を欠くような方面に関係をもつという事実を深く考えるわけであります。現在不当財産取引調査特別委員会におきまして調査されておりますところの事実の中に、選挙に関連をもちまして不当財産の授受が行われたという事実が、白日のもとにさらされてまいつているのであります。
かつて政治評論化が、明治の前期の政治家は命をかけて政治を行つたが、後世の政治家はお金をかけて政治を行うと(拍手)——まことに幸辣な批評でございまして、政治家全部がそのことに該当するということはないと信じますけれども、日本の政治史を檢討いたしますときに、この言を否定することのできないところの事実のあることを認めます。
かような批評もあります通り、昭和時代を中心としての政党政治の勃興いたしましたころは、有力政党と財閥の間に、政治資金の供給を仰ぐと同時に、一面利権をこれに附與するという、まことに遺憾な行爲があつたのは事実でございます。かような事実も一つの理由となりまして、政党は軍閥にその頭を押さえられまして、遂に政党解体となり、翼賛政治会の名において、軍閥の走狗にまで身を落としたのであります。終戰の結果、軍閥が一掃されますと、再び政党政治の勃興期になつたわけでございますが、この時期においても、なおかつ過去の轍を踏んで、再び金銭のために政治を冒涜するような行爲がありますときには、政党自体の自殺行爲であり、現在の政治家そのものが國民から見放されるところの時期が近く参ることを予想されまして、まことの寒心にたえないのであります。
かかる段階に相なりましたために、選挙法の不備を根本的に改正いたしまして、金銭のために選挙を冒涜し、政治に害毒を流すような禍根を、根本的に断たなければならぬということが、今回の選挙法改正の主眼であると私は考えております。この点につきまして、國民協同党の意向をもとにいたしまして、具体的な部面につきましては私見も加えまして、以下申し述べたいと存じます。
政治を明朗にするために選挙費用を軽減するということについての解決の着眼点は、代議制度の本質から考えてまいらなければならぬと思います。すなわち、代議士の候補者がみずから選挙してもらおうとして立候補するというのが主眼ではなく、國民みずからがみずからの代議者を選挙するのが選挙運動であるということを考えるのであります。しからば選挙は、現在のごとく候補者が相当多額の費用を投じて運動することであつてはならない。國民みずから選ぶ適当な方法を考えなければならぬと私は感じます。
前回並びに前々回におきましては、民主自由党や社会党、民主党の方からも、この点についてご意見がございました。すなわち選挙公営の問題であります。民主党の長野君は、公営を完全公営にするということは望ましいけれども、これは経費の点においても、実行不可能であると論ぜられました。なるほど現在の條件下におきまして、完全公営はむずかしい点があろうと存じますが、それがために候補者自身が選挙費用の一部分を負担するというこの具体的なこの御意見に対しては、いささか疑問をもつものであります。すなわち、候補者が選挙費用の一部分を負担して、それを政府に委託して公営をやらすということになりますときには、これは請負選挙であります。請負によつて政府が選挙をやるというのでありまして、代議制度におけるところの代表者を選ぶという事には相ならぬと思います。
そこで私は、現在の條件に若干の制度上の改正を加えまして、完全なる選挙公営を強調するものであります。すなわち、選挙を完全公営にいたしますと、相当多額の選挙費用が要るということ、その費用を國民の現在の租税において補うということになりました場合には、確かに相当の額に上りますがゆえに、現在予算編成にもご苦労をなさつておられるような國家の現状から、まことに具合が悪い点があると考えますが、私は、これを補うために、選挙公営費用分担金というものを有権者から徴収するという案をもつております。全國の有権者の数がおよそ三千五百万と仮定いたしましたときに、年額一人十円の負担金を徴収いたしますときには、三億五千万円という金が生まれてまいります。今日、有権者の各位が年額十円の負担によつて政治が明朗になり、國民が何らの疑惑をもつこととなく、安心して國政を政党に任せるということになれば、有権者は喜んでこれを出してくださることと思います。この選挙公営費用分担金の制度を確立することなしに、なまはんかな公営をやりました場合には、相変わらず今日までの弊害は、そのままに後々にもち越されて行くことであろうと思いますので、私は、今日の改正においては、必ず私の主張します分担金制度の確立をいたしたいよ思います。
これによりまして完全なる選挙公営を行う、すなわち選挙公営を行うには、第一に、候補者の実体を有権者にはつきりと確認さすという運動をする必要があります。その方法としては、もちろん從來のやつておりますところの演説も必要でありますし、また選挙公報のごときも必要であります。ラジオ放送も必要でありましよう。あらゆる方法を講じて、候補者の実体をほんとうの正しい姿において有権者に完全に理解さすという方法をとるのであります。
全國選挙管理委員会の案にもございます通り、その方法の一つとして、立会演説会の公営というのがあります。これも、選挙期間中に計画的に地方の都道府縣の選挙管理委員会の方で各選挙区ごとに綿密な立案のもとに行うなれば、まことに適当な方法であると私は考えます。なおまた、個人々々の演説会も公営をもつて行うことが可か否かという問題もいろいろ論議せられておりますが、私は、やり方によれば、これも可能であると存じます。各市町村の選挙管理委員会の方へ候補者が申し込みをしておきまして、その申込みの日時に差支えがなければ、候補者が來れば演説会のできるような準備を整えておくというだけのことは、あえて不可能ではないと考えます。なおまた、公営以外の演説会を、そうなれば認めることを絶対に禁ずるかという問題が起りますが、私は、金もかからず、また大衆の労力のためにも迷惑をかけないような方法であれば、候補者の自由な意思によるところの街頭の挨拶ぐらいは認めてもいいと思います。公営の会場へ参ります途中において、知人に出会つても挨拶もできないというような窮屈さをもつて臨みますことは、まことに不合理であると思います。それで、街頭における簡單な候補者の挨拶行爲というものは、これは公営選挙以外の、言葉によるところの、候補者の実体を有権者に把握さす方法として認めることが適当であると思います。ラジオ放送や、しかも候補者の演説を録音するという御主張が、民主自由党の方からございましたが、これに対しては、私は全面的に賛成するものでございます。
なお選挙公報と、今まで候補者に無料はがきを附與されておつたわけでありますが、これの関係について一言と申し添えておきたいと思います。これは同じようなことに二重の手数をかけますので、私は無料はがき全廃を主張するものであります。その代わり、選挙公報の中へは、もちろん候補者の経歴も書きますし、政見も書きますが、その上に、候補者の写眞入りの公報を発行すればいいと思います。田舎の方で、候補者がいかに努力しても、そこに参ることもできず、また公営の選挙会場もないようなところの人が、今度の候補者はどんな顔をしているかということすら知らずして一票を投ずるということは、まことに頼りない気持ちがするであろうと思うのであります。かような意味で、今までの無料はがきに候補者の肖像を入れておりましたが、この肖像を選挙公報の中に入れるならば、あえて通信事務に二重の手数をかけずして、有権者に候補者の実体がつかめるところの措置がとられるであろうと思います。かような、あらゆる方法をくふういたしまして、すべての公営の中において候補者の挨拶程度のことを認めるというようなきまりを、改正の上に現したいと考えております。
その次に、候補者がたくさん立つ場合に、この候補者に対して平等なるところの立場において選挙運動ができることは、きわめて大切なことであります。今までは、経費をたくさん持つているものはたくさんの自動車を持ち、たくさんの宣傳方法をとつておりましたし、また金を使うことのできない者は、自轉車や徒歩によつて選挙運動をやつておつたわけであります。公営選挙におきましては、いずれの候補者に対しても平等公平な立場においてこれを扱い、選挙運動の機会均等を與えることが大切であると思います。かような問題について具体的な方法といたしましては、自動車の数に制限といつたような問題がございますが、省略をいたします。
その次に、第三者の選挙運動に関する問題でありますが、從來は大体第三者の選挙運動は、候補者と意を通じて、そこに忌まわしい関係があり得るという推定のもとに禁止されておりましたが、國民の言論の自由を尊重する立場から申しますと、第三者が自分の信ずる候補者を推薦するところの、自筆で書きましたはがきくらいは、発送することを許していいと思います。活字にして、一人が多数に枚数を発送するといたしますと、あるいは候補者と意を通じて、金をもらつてやつておつたというような疑念もさしはさまれるかもしれませんけれども、はがきに肉筆で書いてこれを発送するということになれば、熱心な支持者でなければ、そうした労をとるはずのないと思います。かような点につきまして、選挙腐敗をしますような、いわゆる拔け穴がないといたしますならば、私は望ましいことであると考えておるわけであります。
ただいま申し上げました通り、選挙公営を徹底することによりまして、泡沫候補者の濫立ということが一つの弊害として現れはしまいか。これは、前回の発言者におきましても、同樣の心配をなさつておつたと思います。私も、眞に國家のために身を挺して起きとうという政治家のみが立つてくれることは理想でございますが、選挙に金が要らなくなつたことによつて、われもわれもとものずきが押しかけてくるといつたようなことは、現在の日本の國内情勢からして、あり得るということを考えます。
そこで、これらを抑制するところの一つの方法というものを考えなければならぬ。この点につきましては、私は供託金の増額を提唱するのであります。これは前々の方々も論ぜられたところでございますが、現在の五千円の供託金でございますのを、十倍程度の五万円、あるいは三万円でもいいと思いますが、この程度の引上げをやりますと同時に、供託金没収の、今までの衆議院議員選挙法第六十八條第二項にあります規定を改正いたします。今までの規定によりますと、有効票数を定員数で除したる数の十分の一に満たざる者は、供託金を没収したのでありますが、私は、これを二分の一にしても、三分の一にしても、五分の一にしても、というほどに考えるのであります。しかしながら、一候補者がたくさんの票を固めてとるという場合に、あるいはあまりに率を高くいたしますと、その辺に不都合が起きるかもしれませんので、これも前々の方の主張のありました通り、五分の一ないし三分の一程度まで、嚴格にこれを引上げるという方法をとりますとともに、泡抹候補者の濫立を防止する一つの方法が生まれると思います。
なおまた、選挙取締りの嚴正なることを前々にも主張された方がございますが、私も同感でございます。選挙の取締りが表面的なものでありまして、内々は、これだけのことはあり得るということを一つの常識として見逃しておるといつたような傾向は、政治の腐敗をますます助長する結果になりますので、取締りはきはめて嚴格にこれを行うというふうにいたしたいと思います。その代わり、形式犯のごとき、今までポスターをどこへ貼つてあつたから何とかいつたような、つまらぬ法律は、これを廃止いたしまして、本質的な、最も顰蹙すべきところの不法行爲に対する取締りをきわめて嚴格に取扱う方法をとりたいと思います。
なお一言加えておきますが、こういう問題に関連をいたしまして、選挙区の廣さの問題、投票の記載方法の問題につきまして、前々御意見もございましたが、私は、選挙区の廣さは現在よりも小さくすることを好みません。なぜかと申しますと、選挙区が小さくなりますことによつて、新人の進出を阻害いたします。われわれは、現在当選いたしておるものが、自分の立場というものを有利に考えるといつたような考え方で選挙法を改正してはならぬと思います。なおまた、新人の進出を阻止するということは社会の進化に逆行するということであります。今日まことにその存在にあきたらぬ気持ちをもつておるところの、政治意見をもつておるところの集団があると仮定いたしました場合、今後十年、二十年、三十年の後に、はたして現在の考え方が正しかつたかどうかということについては、反省をさせられる時期が参ると思われます。歴史は、これを雄弁に物語つております。新人の進出こそ社会を進歩さすところの有力な原動力であるということを考えて、新人の進出ということを助成するというような気持ちで、われわれ先輩のものは考えていきたいと思います。かような着眼点から、選挙区が現在よりも小さくなるということは、新人新進出にまことにぐあいの悪い点がございますので、これを希望いたしません。できるならば、五人区ないし七人区くらいの程度を希望するものでございます。
なお記載の方法も、現在は單記でございますが、これを今さら今回の改正で改めたいとは考えぬのでございますけれども、理想としては連記制が理想であると思います。そして、完全連記で行いますことによつて、定員数に相当するものを各個人々々が候補者に選ぶことができるのであります。ただ、その中で一人選んだところが、五人比べましたならば、四人までは必ずほかの者が出るわけであります。してみると、みながこのたくさんの候補の中で、定員数五人だけを選別すると、自分はこれこれの方に出ていただくのが望ましいという意思表示ができるわけでございますので、理想としては私は完全連記を主張するもものでございますが、しかしながら、現在制限連記の無記名の投票でございますから、この方法を今回改めるということになりまして、かつての選挙法改正のときのごとく、政党間につまらぬ摩擦を起して、もしこれが成立しないということになれば、せつかく選挙界を明朗にしようとするところの選挙公営制度というものが実現できなくなるということを憂えますがために、今回は私は、選挙区とか投票樣式ということには触れずして、重点的な改正をし、過去の政治上忌まわしい問題の起こりましたその轍を再び履まないように、眞に國家の再建にふさわしい政治運動ができ、政党が健全なる発達をし、もつて政治に貢献できるような体制を早急に確立したいということを切に希望するものでございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/18
-
019・笹口晃
○笹口晃君 自由討議はこの程度に止め、本日はこれにて散会されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/19
-
020・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/20
-
021・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X05319480601/21
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。