1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年七月三日(土曜日)
午前零時三十分開議
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議事日程 第七十三号
昭和二十三年七月三日(土曜日)
午前零時十分開議
第一 昭和二十三年度一般会計予算
第二 昭和二十三年度特別会計予算
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001・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
暫時休憩いたします。
午前零時三十一分休憩
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午前一時九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/1
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002・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。
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003・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 鍛冶良作君より議事進行の発言を求められました。これを許します。鍛冶良作君。
〔鍛冶良作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/3
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004・鍛冶良作
○鍛冶良作君 私は、衆議院規則に定めてありまする明文に反したる本日のこの会議は、何ゆえに開かれたのであるかを明確にしておく必要があると思いまするがゆえに、その理由を議長に説明していただかんとするものであります。
衆議院規則第百八條には、「会議を開こうとするときは、議長は、予め議事日程を定めてこれを議院に報告する。」とあります。しかして第百十條には「議事日程は、これを官報に掲載し、且つ、各議員に配付する。」とあるのであります。(拍手)院議をもつてこの特別会議を開くことを決定することがよろしいという議論はあるかもしれませんが……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/4
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005・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/5
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006・鍛冶良作
○鍛冶良作君(続) 官報によつて掲載するということを、いかにして抹殺せられるのでありましようか、この点を伺いたい。(拍手)また、院議によつて定めるというならば一應聽かれますが、本日欠席しておる議員に対して、なぜ官報に報告せなかつたかといつて要求せられたならば、何と言つて答えるのであるか、この点を明確にせられたい。
私の質問せんとする要綱は、この明文があるにもかかわらず、これを無視してやらなければならぬということは、非常中の非常手段であると考える……
〔「その通りだ」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/6
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007・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/7
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008・鍛冶良作
○鍛冶良作君(続) ここにおいて私は、かくのごとき非常手段をとらなければならなかつたならば、その理由を明確にせられたいということが、私のここに質問せんとする要旨であります。
なお、かくのごときことが先例になつてはたいへんである。再びかくのごときことがあつてはならぬ。從つて、先例とならないがために、このたびだけはやむを得なかつたどいう理由があるならば、その点を明確にせられたいというのが、私の質問の要点であります。
この二点を議長に明確にしてもらえば足りるのであります。これをもつて私の質問を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/8
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009・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) ただいまの鍛冶君の議事進行の発言に対してお答えいたします。衆議院規則第百八條により、議事日程はあらかじめ議院に報告することになつておりますから、本日の日程は昨日の議院に参事より報告いたさせました。
また百十條によれば、議事日程は官報に掲載し、各議員に配付する義務があります。よつて、本日の日程は官報にも掲載いたします。(拍手、発言する者多し)印刷のでき次第、各議員にも配付いたりします。
なお本日の本会議は、従來になき異例なものではありますが、御承知の通りに七月からは予算が成立いたしておりませんので、一日も早く國家のために予算の審議を了する必要があると存じます。(拍手)本院の各党派におきましては、本年度の予算を、昨日中にもその審議を了したかつたのでありますが、しかるにかかわれず、時間の関係上、それが……(発言する者多し)不可能な状態になりましたので、議員各位は特別に勉強して、本日午前零時十分より本年度本予算を審議すべしとの動議が出ましたから、議長はこの動議を院議に諮りましたところ、そのように可決されました。よつて動議のごとく本日零時十分より開会いたすつもりでありましたが、都合によつて零時二十分に振鈴いたした次第であります。(拍手)
右、御了承願います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/9
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010・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、昭和二十三年度一般会計予算、日程第二、昭和二十三年度特別会計予算、右両予算は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長鈴木茂三郎君。
〔鈴木茂三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/10
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011・鈴木茂三郎
○鈴木茂三郎君 ただいま議題となりました昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算について、その内容および委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げたいと存じます。
本年度予算に関する政府の編成方針については、先般本会議において、大藏大臣から詳細な説明がありまして……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/11
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012・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/12
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013・鈴木茂三郎
○鈴木茂三郎君(続) これを中心として質疑應答が行われましたので、私はあらためてここで御報告する必要はないと存じますが、まず大づかみに本年度予算の概要を申し上げますと、その金額において未曽有の巨額に達しでおります。すなわち、一般会計予算総額は歳入歳出とも三千九百九十三億八千万円、これを前年度に比較いたしますと約八六%の増額になる。特別会計予算は歳入一兆一千百八十三億四千九百万円で、前年度に比較いたしまして一三三%の増加、この両会計を合計して重複額を控除いたしますと、予算純計額は九千四百五十七億二千七百万円余となり、前年度予算純計額に対して約四五%の増加と相なるのであります。從つて、かかる厖大な予算が國民経済の総体的な循環過程において占めている國家資金の地位は、きわめて大きなものでありまして、地方財政の約二千億円の予算と併せ考えまするとき、國民経済の前途は、これらの中央及び地方を通じて操作される國家資金の吸收と散布のいかんにかかつていると申すことができるのであります。
まず歳出経費における重要なものをあげますと、終戰処理費は九百二十六億円に達し、これを賠償施設処理費六十四億円、連合國財産返還費十六億円と合計いたしますと一千六億円となり、終戰処理費は総裁出額の約二七%に及ぶものであります。連合軍側におかれましても、種々節約に努めておられるのでありますが、今年度の終戰処理費の特徴といたしましては、事業費中の建設部面の予算が、維持管理の費用よりも比重が低減していることであります。
次に、價格調整費の五百十五億円は、石炭等の基礎物資を昭和九年ないし十一年の價格の百十倍の安定帶に押えて、企業の赤字の一部分を埋めるためにとられた経費であります。これによつて企業の赤字が解消されるとは考えられませんが、賃金を三千七百円とじて、現下の物價水準よりも生産財の價格を七割、消費財を八割値上げいたしまして、この線を一應堅持せんとする予算的措置であります。しかしながら、本予算の編成の基礎となつております賃金と物價の均衡が今後ますます破れていく場合、この價格調整費は一層増額されるか、しからざれば赤字融資の増大となるものと思われるのであります。
その他、地方分與税分興金の四百四十九億円余、公共事業費の四百二十五億円余、政府事業再建費の百九十五億円余、政府出資金の百八十九億円余等、概括いたしまして本年度予算の経費には消費的支出がきわめて多く、投資的、生産的支出が比較的少いのは遺憾でありまして、(拍手)政府側の資料によりましても、消費的支出は予算総額の七四・五%に及んでいるのに、生産的支出はわずかに一六・五%でございます。(拍手)從つて、歳出における予算の構成そのものが、はなはだしくインフレーシヨン的であり、かつ不均衡であることは、見逃しがたいところであります。(拍手)
次に歳入面におきましては、以上の経費の増大を賄うために各種の増收手段が講じられたのであります。所得税も、免税点の引上げによつて若干負担の軽減がはかられたのでありますが、一千八百円ベースに基礎をおく現行所得税率及び税額と、その二・一倍に当ります三千七百円べースの改正所得税率及び税額を比較いたしますと、必ずしも軽減されているとは申されないのであります。(拍手)また取引高税の新設、諸種の定量税及び從價税の引上げにより、專賣益金の増徴と相まちまして、辛うじて歳出を賄うというやり方でございまして、インフレ利得、やみ利得に対して、これを徹底的に捕捉して課税するという思い切つた措置のとられなかつたことは、これによつてインフレの波を鎮め、負担の公正を期するためにも、これまたまことに遺憾にたえないところであります。(拍手)
かような次第で、本年度予算は前年度よりもさらに間接税への依存度を高め、その総歳入に対する比率四七・一%に達し、前年度よりも〇・四%だけの累増となつております。このほか、直接税中の大衆負担に属するもの及び專賣益金等を含めますると、大衆課税は約七〇%以上に及びまして、國民一人当りの租税負担額も五千三百七十円余であります。しかも、國民各階層一般において所得及び納税力が漸次に均衡を失い、本年度の納税は昨年度以上に各般の問題を包含するものと思われるのであります。
なお特別会計につきましては、運賃及び通信料金を一挙に驚くべき高率に値上げして大衆の負担に背負いかけ、なおかつ鉄道及び通信両会計の赤字を解消することができないで、約百五十億円を一般会計から繰入れねばならぬ現状にあるのであります。この両会計の赤字の問題は、價格調整費の支弁だけでは、なかなか困難な問題であると存ぜられるのであります。
かような本年度予算案に対しまして、予算委員会におきましては、六月十日より二十八日にわたつて、予算の内容並びに財政経済の一般について、各党委員より終始熱心なる質問と意見の開陳が行われたのでありますが、これらの種々なる意見に関しましては、本日は時間の都合上省略いたしまして、これは会議録に留めることにいたします。
次に、一般質疑の後の四つの分科会の審議について申し上げますと、二十九、三十の両日にわたつて、それぞれ各省所管について愼重に審議を行い、その結果、各分科会は採決を行わず、三十日の委員総会に持ち越しまして、その際各分科会主査の報告がございましたが、これらにつきましても、一々ここで報告いたすことは差控えておきます。また公聽会に関する報告も、この際省略いたしまして、これらは会議録に留めることにいたしたいと存じます。
〔本号の末尾参照〕
以上、概略ながら申し述べましたごとく、政府原案には種々の欠点を包含しておるやに見受けられましたにつきましては、與党三派間において、これが修正の要望が起りましたので、政府の責任において、本日予算修正書が提出された次第であります。(拍手)修正書の内容は省略いたしますが、この修正によつて、一般会計において歳入歳出とも百五十億円余を増加し、総額四千百四十四億円余となり、特別会計の歳入増加十二億六千万円余、歳出増加十二億三千万円余、歳入総額一兆一千百九十六億円余、歳出総額一兆二百三十九億円余となりました。
かくして、昨日予算委員会におきましては、この政府の修正に対しまして、大藏大臣より修正案の説明があり、これに対する質疑を終り、各党提出の修正案につきまして、まず民主自由党の西村委員より修正案の説明があり、次に、社会革新党の大原委員より修正案の説明がありまして、続いて討論に入り、まず民主自由党の青木委員より、政府原案がインフレを刺戟し、國民負担を増大する等につき批判を行い、(拍手)政府原案に反対し、民主自由党提出の修正案を支持しました。次いで、社会党あるいは民主党、國協党等におきましては討論を省略され、社会革新党の大神委員より政府原案に反対の意見が述べられ、次に第一議員倶樂部の東井委員より、この修正が運賃の引上げを少くし、取引高税を一部減免し、インフレ利得の補足に努めんとする点を認め、政府原案に賛成の意を表されました。(拍手)次に日本自由党の世耕委員より、國民生活の安定、インフレ阻止について積極的な施策を行うべしとの警告をつけて、政府原案に賛成の意を表されました。(拍手)次に日本農民党の中村委員まり、賃金ベースの保持困難、農村対策への不滿等よりして、政府原案に反対の意を表されまた。(拍手)最後に日本共産党の野坂委員は、この予算を実行するときは、インフレの高進、人民生活の破綻は必至であり、独占資本の支配体制のみが強化され、自主再建が不能になるからという理由で、予算の組替を要求するとの意見を述べられました。(拍手)
かようにいたしまして、討論終了後ただちに採決に入りました結果、野坂參三君提出の予算返上の動議は少数をもつて否決、社会革新党の大原博夫君提出の修正案は少数をもつて否決、民主自由党の西村久之君提出の修正案も、少数をもつて否決されました。最後に、本予算案の両案について採決いたしましたところ、出席四十九名中、賛成二十四名でございまして、少数をもつて否決されました。(拍手)
最後に、本予算案の審議の経過に鑑みまして、この際一言申し添えておきたいことがございます。予算委員会における審議について御参考までに申上げますと、質問の総時間三十二時間十三分のうち、民主自由党十七時間七分、社会党六時間四十五分、民主党三時間二十八分、國民協同党一時間六分、社会革新党一時間七分、第一議員倶樂部三十分、日本農民党一時間三十八分、日本自由党三十五分、日本共産党一時間七分、かような次第でございまして、民主自由党の発言は、この質疑のうちの五割三分一厘を占めておりまするから、從つて、この委員長報告に現れておりまするいろいろな意見は、かような意見が多く出ておるということも、この際一言申し添えておきます。
私は、ここに本案審議の経過に鑑み申し上げたい点は、その第一点は、本予算案の單價の基準となつておりまする三千七百円ベースについてでありますが、この三千七百円ベースは、すでに政府の予算編成の過程において、その算定の方法につきまして三回に及ぶ修正が行われ、合理的な数理的根拠が失われたばかりではなく、三千七百円ベースでは生活できないことが、國民生活の実際上明々白々たる現実でございます。從つて、本予算案がさいわいに本会議において可決せられるに至りましても、政府においては、この予算の單價の基準たる三千七百円ベースに対し当然何らかの対策をとり、きわめて近い機会において臨時國会を召集されて、これが対策に関し國会の議決を求められなければならぬという点でございます。(拍手)
第二点は、予算編成上の根本方針についてでありますが、私は、いわゆるインフレ予算と称される予算を毎年編成し、施行するという、これまでの安易なやり方に対しましては、もはやここらで最後の終止符を打たなければならない、(拍手)すなわち、インフレーションを一挙に根絶せしめる基本方針を立てて、その計画に副つてインフレを抑制克服するどころの断固たる対策をとらなければならない、必至の段階に到達しておるものと確信いたすものでございます。(拍手)
第三点は、占領下におけるやむを得ざる事情にもよることではございまするが、予算の編成に関しましては、國会は何らこれに関與し得ないで、主として大蔵省主計局の手によつて編成され、しかもこれは、関係方面と政府との間の協議の結果として提案されてくる関係上、ややもいたしますると、関係方面との事情上、國会の審議権が無視されるやに見受けられる点があるのであります。(拍手)また質疑の時間が短かく、かつ審議に必要な資料の提供が少い状態にありまするが、これらの二つの点に関しましては、私はさきに関係方面に対しまして、委員長としての意見を提出いたした次第でございますが、今回の予算にあたつて、委員の発意に基き修正の行われましたことは、修正の内容の可否、または採決のいかんは別といたしまして、私といたしましては、予算委員会並びに國会の権威を一段と高めることができたように、ひそかに信念を固めたのでございます。(拍手)
以上簡略でございまするが、予算委員会における審議の概要を御報告申し上げた次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/13
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014・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 植原悦二郎君及び西村久之君より、成規の賛成を得て、昭和二十三年度一般会計予算に対する修正案及び昭和二十三年度特別会計予算に対する修正案が提出されております。また大原博夫君より成規の賛成を得て、昭和二十三年度一般会計予算に対する修正案が提出されております。この際、その趣旨弁明を許します。西村久之君。
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〔西村久之君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/14
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015・西村久之
○西村久之君 私は、民主自由党を代表いたしまして、昭和二十三年度一般会計予算並びに同年度特別会計予算に対する修正案について趣旨弁明をいたさんとするものでありまするが、その前にあたりまして、一言政府に対して遺憾の意を表するものであります。
今日この席、異例の審議を私どもがいたさなければならなくなりましたところのその責任は、まつたく政府にあるのであります。皆さん方も御承知の通りに、議題となつておりまするところのこの予算案は、昨日の午後に私どもの委員会に提案されたものであります。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/15
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016・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/16
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017・西村久之
○西村久之君(続) これを審議するのに日時がすこぶる短かいのを私は遺憾だと申しておるのであります。(拍手)しかして委員会におきましても、予算成立の早急必要なることを認めておりまするがゆえに、今日この夜会までも皆さん方にお願いをして、予算案の成立に努めておるようなわけであります。私ども議員に責任はないのでありまして、提案の遅かりし政府に責任のあることを、ここで私は明らかに申し上げておきます。(拍手)しかして、政府提案の予算案は、政府が中間にはいらなければ六月末には本議場に審議されたはずでありまするが、政府が要請いたしまして、こういうふうな型変りをこしらえてまいつたのであります。議員に審議権があり、修正権がありまするならば、予算委員会にお任せを願つておきますれば、與党三派の諸君は話合いをして、與党三派の心持に合うように修正してまいるのであります。そうすれば、今日のように時日を遷延することはなかつたのでありまして、かくのごとく遅くなつたのも、政府が中にはいつて、政府の面子を立てんとする、その行爲のために遅れておることを私ははつきり申し上げておきます。(拍手)
政府提出の本予算案は、芦田内閣組閣に際し、三党政策協定の線に沿つて編成さるべきであることは、現内閣が三党連立内閣である点よりして明瞭でなければなりません。しかるに何ぞや、予算案が六月八日に提出されるや、朝野をあげて、非難の声は囂々として高まり、各党ともに大幅修正の意見が強くなつたことは、御承知の通りであります。大藏大臣は記者團を通じて、與党の修正これを許さずと豪語いたして、牽制策をとつたのでありまするが、その後依然として修正意見は強く、会期の切迫につれまして、與党の修正を受けることは内閣の不信任を意味し、天下に恥をさらすことになるので、政府独自の修正を裝うて再び提出されたのが、今日審議をしておるところの予算案であります。(拍手)この方法をとられて、そうして平氣でおられるところの政府の厚顔無恥、無方針のほどに、私は唖然とするものであります。(拍手)……(「修正案の内容を説明しろ」と呼ぶ者あり)黙つてお聽きなさい。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/17
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018・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/18
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019・西村久之
○西村久之君(続) この醜態を演じながもも、なおかつ閣僚のいすに便々たる態度をとつておることは、國民の断じて許しがたいところであります。(拍手)現内閣が……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/19
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020・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/20
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021・西村久之
○西村久之君(続) 自己の余命を保たんがために、國家國民を犠牲にし、いたずらに日を送り、國民を窮乏のどん底に追いこみ、世の非難にも耳をかさず、しかも自己の慾望達成に汲々たる態度を継続しておるこのことは、私どもは断じて許しがたいところであります。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/21
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022・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。——静粛に願います。——櫻内君、靜粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/22
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023・西村久之
○西村久之君(続) 今日まで政党政治の本義に反する閣僚專制の予算案を提出いたしまして、その審議に日時を空費せしめ、國家國民に対して精神、物質両面よりかけたる苦難については、まつたく現内閣の政治力の貧困の結果に基くものであります。(拍手)責任政治の何ものであるかを弁えられるならば、速やかに出処進退を明らかにすべきものだと信ずるのであります。(「議長注意しろ」と呼び、その他発言する者あり)しかしながら私どもは、國家の財政の現状に鑑み、眞に忍びがたきを忍んで、應急暫定的に予算を成立せしめ、國家の財政経済の破綻を防止することとしたのでありまして、予算成立後は、現内閣の退陣を要求して、國家の再建に最も有効適切なる予算はわが党によつて編成をして、國家の不明朗を除去する以外には、断じて方法はないと断言するものであります。(拍手)
政府は、組閣以來三箇月を経て、ようやく予算ができたと称して、五月の二十八日に予算大綱なるものを示され、しやにむに國会の審議を強要ざれたのでありまするが、一週間を出でずしてその内容を改竄し、特別会計の繰入金二十億を増額して、本予算なるものを示したのであります。しかるに、今回またもや與党の修正意見を参酌して、予算の組替をなすに至つたのであります。
〔「修正案をやれ」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/23
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024・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/24
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025・西村久之
○西村久之君(続) これはまつたく一貫したる方針がなく、予算編成の拙劣性を暴露し、芦田内閣本來の無方針ふりを遺憾なく発揮しておると申して過言ではありません。
右に述べましたような内閣の予算でありまするがゆえに、税制を改正すると称して大衆課税たる取引高税を創設し、物價値上げを敢行して中産以下の家庭生活を脅かし、鉄道・通信料金の大幅値上げをしてインフレを高進さすような方針をとつて、まつたくそのなすところ大衆負担偏向の傾向が強い、無謀きわまる予算でありますることは、國民のひとしく認識するところであります。よつて私どもは、本來でありまするならば、返上するか、組替を要求して、根本的にその内容を改善すべきことが当然でありまするが、國家國民の財政経済状況が、暫定予算でひきずられまして窮乏の域に到達しておる点から、忍びがたきを忍んで、一應われわればこの修正案を出しておるものであります。本格的予算は、現内閣を打倒の上、わが党内閣によつて編成をし……。
〔「それが修正案の説明か」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/25
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026・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 講粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/26
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027・西村久之
○西村久之君(続) 國家國民の財政経済を安泰ならしめることは断じて不可能なることを断言するものであります。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/27
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028・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。——静粛に願います。——着席してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/28
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029・西村久之
○西村久之君(続) これより修正意見を申し述べるのでありますが、わが党は修正いあたすにあたりまして、大綱をきめて修正をいたしておるのであります。統制経済の漸次的改廃を期し、人件・物件費の節約及び價格調整費の軽減をはかること。従つて、欠員不補充の原則をとり、一面惡税の廃止、鉄道・通信料金等の大幅修正によつて大衆負担の軽減をはかることをモツトーといたしまして、予算の修正に当つたのであります。その結果、六・三制及び災害復旧の國家負担を増大し、地方財政の緩和をはかり、他面食糧増産の実をあげる、治山治水、土地改良費等の増加をはかることを要綱といたしまして、予算の修正に当つたのであります。この措置は、政策を異にいたしまする現政府の断じてとり得ざるところであるのであります。
右の方針に基き、歳出においては、行政費の整理節約により七十三億円を減額いたしました。なお、不要の統制は自由経済に引もどすことを前提といたしまして、價格調整費を大幅に圧縮し、補給物資の範囲を最小限度に止めることとして百八十六億円を減額し、なお物價補正特別補充費は、各聽が内部的に経費節約をしてこれに充当せしむることとし、経費十五億円を減額し、軍事公債利拂い復活の要あるがために、預金部繰入金六億円を減じ、その結果、歳出減額は合計二百八十億円といたしたのであります。(拍手)しかしながら、國家再建に緊急欠くベからざる食糧増産に資する経費、文教振興費等は、これを積極的になさなければならない関係上、これに要する費用と公共土木費中國土復興費関係において五十五億円、治山・治水、土地改良費関係に七十三億円、漁港修築費に四億円、そのほか六・三制の実施を期するため中央・地方の負担比率を七と三に改める関係上六十一億円を増加し、合計百九十三億円を公共土木費に追加増額することとしだのであります。(拍手)なお引揚者住宅緩和のため、建設費において九億円を増額し、軍事公債利子二十一億円を國債費中に増額せんとする結果、歳出において合計二百二十三億円を増すことといたしたのであります。
次に、歳入の修正の点を申し述べますると、新税たる取引高税は、今日の段階においては新設すべき時期にあらざるがゆえに、大衆負担過重を軽減する意のもとに、これを全廃することとして二百十四億円を全削し、なお、税制改正に基く所得税の増加予定額二十億円を減額するこことし、地方財源附與のためには、近く酒、タバコの消費税を認める方針を立つべきでありまするが、われらは六・三制の負担比率改正により三十億円程度の地方費負担軽減をはかるほか、酒税の一割消費税を地方税に創設することにより五十億円を地方財源に附與することとし、この結果、地方財源には八十億円余を附與することとなるのであります。(拍手)なお歳入において、租税の年度内増收見込額、すなわち自然増を百二十二億円程度見込むほか、酒税において二十二年度と同量の増石をなさしむることとし、その結果、増加額は百六十五億円となるのでありまするが、年度内の收入が完全にまいりません関係上、そのうち百億円を財源としてみておるのであります。その他價格差益金は、政府が本年中の予定額を極力徴收することに督励をし、三十三億円を増類するこことし、官有財産賣却その他の費用を増額いたしまして、ここに二十七億円を増額計上することにいたしたのであります。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/29
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030・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/30
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031・西村久之
○西村久之君(続) かく修正することによつて、一般会計歳入歳出は、ともに十七億円を増額することとなるのであります。
次に、特別会計中、鉄道会計と通信会計との関係について一言いたしたいのであります。鉄道会計においては、旅客運賃十割、貨物運賃二十割を増すこととし、学生バスすえおき、普通バス五割増し、遠距離料金遞減の方針に基きまして、内部の諸節約により七十三億円を減じ、生産公債発行によつて收入増加八億円を見込み、一般会計よりの繰入を三億円増額して收支の均衡を保つことといたしたのであります。通信会計におきましては、二倍半値上げを原則として、はがき一円、封書三円となすことにより生ずる赤字は、節約によつて六十億円を減じ、残額十億程度の赤字となるので、一般会計よりこれを繰入れて收支の均衡を保つことといたしたのであります。修正のおもなるものにつき、その内容を御説明申し上げたのであります。
大体以上が修正の趣旨でありまするが、その結果、一般会計歳入歳出予算額は、ともに四千百六十一億六千二百余万円となるのでありまして、また特別会計予算は、歳入一兆九百六十二億六千七百九十八万九千円、歳出予算は一兆六十五億九千九百六十七万円と相なる次第であります。
最後に一言申し上げておきたいことは、この修正に対する内容を皆さん方におあげしなければならないのが、時間の関係上お配りできないことを遺憾に存じます。ここで謹んでおわびを申し上げます。何とぞ御賛成あらんことを望みます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/31
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032・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 大原博夫君。
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〔大原博夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/32
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033・大原博夫
○大原博夫君 私は、社会革新党を代表いたしまして、二十三年度一般会計予算に対する修正案の趣旨弁明をいたさんとするものであります。大部にわたりますので、これが朗読は省略をいたしまして速記に留めることとして、その大綱の御説明を申し上げたいと思います。
われわれは、この予算案を次の四つの観点に立つて檢討いたしました。その第一は、今日日本の当面しておる第一の命題は、何と申しましてもインフレを食い止めることにあるのであります。もちろん、インフレは物資と通貨の関係によるものでありますが、物資の不足をしばらくおけば、その原因は財政インフレである。この予算を実行いたしますれば、必ずインフレは高進をいたすものと思います。ゆえに、ぜひとも予算の削減を行わなければならないと思うのであります。予算の総額のわく内において、そのまま予算をいじくつても、意味はないと思うのであります。
第二番目には、一般國民の負担はすでに限界に達しております。物價の値上げ、賃金の引上げによつて、國民所得は増加もいたしております。しかしながら他面において、物價の引上げ、あらゆる税の増徴によつて、家庭の経費は收入を上まわるのであります。その上、インフレの追撃ちを食いますれば、國民生活は昨年よりも一層苦しくなるばかりであります。さらに國民の中には、收入の増加しない、相当多くの人たちもおるのであります。少しでも國民負担の軽減をはかつて、國民生活の安定を高めなければならないということが、その二であります。
その三は、中央・地方を通じまして、官公廳その他の企業面において、戰時中人員が増加し、終戰後幾多の復員官吏を收容いたしております。その後もだんだん増加して、昨年十月以來でも、純官吏だけで七万五千人の増加を來しておるのであります。こうした過剩なる人員、放漫な官廳経費が、何ら節約されることなく、そのまま國民の負担に轉嫁されておるというようなことでは、國民は納得いたしません。
第四番目には、この予算を実行すれば、インフレはもつともつと高進して、事業はできないのでありますから、この場合大削減をやつて、インフレの高進を止めますならば、事業費はたとい二割程度削りましても、なお実際の事業量はむしろ多くなるという観点をもつておるのであります。
以上四つの観点に立ちまして、いかにしても削除することのできないところの九項目、すなわち地方警察國庫負担金、小学教育費國庫負担金、小学校教員給與費補助、中学教育費國庫負担金、中学教員給與費補助、公共事業費、六・三制費、災害復旧費、年金及び恩給その他國債費等の九項目を除いて、歳出を一律に二割天引を行いまして、政府はこの実行予算を編成して、これを実行に移すべしという結論に達したのであります。こうした非常時局におきましては、勇猛心をもつて断行せざる限り、財政の緊縮は断じてできないのであります。
このように二割天引をいたしますと、歳入歳出とも三千五百二十三億八千万円となりまして、七百二十二億五千二百万円の経費が不用となるのであります。この不用となりました費用を國民の負担軽減に充てるのでありますが、それには第一に、取引高税のごとき惡税を廃止いたします。二番目には、公平なる負担の軽減を目的として所得税の軽減をはかり“これに二百億円を充てるつもりであります。その他鉄道の特別会計に百四十億円を繰入れて運賃の引下げを行うつもりでありましたが、これは今日すでに決定になりましたので、これをそのまま予備費に繰入れることにいたしました。ほかに予備費を百四十億円とつておりましたので、合わせて予備費は、はからずも二百五十九億二千四百二万六千六百円となつたのでありますが、この予備費は、天引によるところの無理な面を是正するために、しかもまた行政整理によるところの赤字にこれを充て、また失業者の救済に充てる費用に充当するものであります。
所得税の軽減につきましては、基礎控除あるいは扶養控除を引上げるとか、あるいは税率の軽減を考えるのでありますが、今日國民が所得税のために苦しんでおりますのは、むしろ税率でなくして、算定基準がその問題であります。算定基準に非常な無理を行つてつおるのでありまして、詳しく申し上げますれば、調査したものがあるのでございますが、簡單にいたしまして、今後この税算定基準を改めなければ、國民はいつまで経ちましても、たとい税率を下げても、何らの役には立たないのであります。この算定基準を改めてこそ、國民の所得税に対する苦しみを改めることができるのでありまして、私は強くこれを政府に要望いたす次第であります。
また、二割天引を行います結果は、第一番に、取引高税の廃止及び所得税の軽減をはかることができます。二番目には、財政を健全にすることができます。また第三番目には、財政インフレの高進を食い止めることができます。第四番目には、行政管理、官廳経費の節約を強制的に行わしめることができるのであります。第五番目には、事業費を二割減額いたしますけれども、インフレの高進を食い止めますから、二割減額しても、むしろ事業量は増加するのであります。第六番目には、賃金の三千七百円ベースも維持しやすくなるということは申すまでもありません。第七番目には、貯蓄を増加することができるのであります。また地方自治團体にも、これに即して二割天引を誘うのでありまして、この面におきましても國民負担の軽減をはかることができます。よつて事業税も中止せしむることができると思うのであります。政府企業はもちろん、民間企業をも刺激いたしまして、合理化を促進いたします。國民心理に及ぼしまするところの影響も多大であると思うのであります
また今まで、政府並びに他の党によつて、修正案がいろいろ論議されておりましたが、これらは剩余金あるいは増收を見込まれておるのでありますが、追加予算はどうしても避けることができないのであります。こうした二割天引の方法によりますれば、決して他の財源をあさつておりませんので、追加予算に対する財源が枯れないと思うのであります。今年行政管理をすると赤字になるという人がありますが、整理しないでインフレが高進して、賃金を引上げたために生ずる莫大なる赤字と、どちらが大きいかということは、言うまでもないことであります。
以上の理由によりまして、私は歳出二割天引を強く主張するものであります。この予算は、與党諸士の支持によつて通過するのでありましようが、せつかくインフレの足踏みをしておりまするのを、これは九仭の功を一簀に欠くものと申し上げても間違いないと思います。その結果インフレが高進しました場合には、これは政府や與党が責任を背負わなければならぬところだと存じます。しかしながら、責任はどうでもよろしゆうございますが、困るのは國家であり、國民であります。昔、山本内閣や濱口内閣がやつたように、予算の通過した後においてでも、政府は二割天引の実行予算を編成して実行せられんことを強く要望いたすものであります。
この予算の修正を見て残念に思いますことは、あつちに三億、こつちに五億、少しずつわけ合つておることでありまして、インフレが高進してきますれば、何のかいもないことであります。このインフレ高進を食い止め、実際の價値を高めて、初めて効黒があるのであります。これが私は逆攻勢というものではないかと存じております。以上の理由によりまして、二割天引の大削減をすることが日本を救う今日の唯一の途であると考えておるのであります。(拍手)
以上、簡單に御説明申し上げましたが、何とぞ御賛成をいただきまするようお願いを申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/33
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034・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。順次これを許します。島田晋作君。
〔島田晋作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/34
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035・島田晋作
○島田晋作君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました二十三年度本予算修正案に賛成の意を表するものであります。(拍手)右修正案賛成の理由を述べるに先だぢ、私は、今回わが党が……
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/35
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036・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 上林山君、靜粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/36
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037・島田晋作
○島田晋作君(続) 修正案作成にあたりましてとりました根本的態度について、一言いたしたいと存じます。
御承知のようにわが党は、二十三年度予算編成方途といたしましてA案とB案とを用意したのであります。A案ば、社会党といたしまして、本來あるべき方途を明示したのであります。これを一言にして言うならば、二十三年度本予算案は、今後二箇年を目途としまして、インフレーシヨンの根本的処理と生産増大をはかり、もつて長期復興建設計画の基礎を培養するとともに、本格的な経済復興を推進するという、わが党の基本的立場に基き、その第一年度として編成さるべきものといたしたのであります。しかして、最近のインフレ進行速度の緩慢化傾向を絶好のチヤンスといたしたのであります。從つて、二十三年度予算案編成は、原則として物價の改訂は行わず、むしろ國際物價への接近を容易ならしめる方針を堅持しなければならないといたしたのであります。かくて二十四毎度には、爲替相場の決定、根本的通貨安定方策の確立にまでもつていきたいと念願したのであります。
このA案の構想をもう少し具体的に申しますと、特別会計や重要企業等の赤字補填は、最も安易な運賃料金の引上げや、タバコ等專賣品の値上げ、ないしは一般價改訂等勤労大衆の負担となる措置によるべきものではなく、主要努力は、できるだけ経営の合理化、生産性の向上等に集中すべきであるといたしたのであります。わが党がかねて、石炭のみならず、電力、肥料、製鉄等の重要企業体制の徹底的社会化を主張してきた趣旨も、ここにあつたのであります。とは言え、われわれは、それらの方策のみでは赤字の全面的克服は困難でありまするから、必要に廳じて、過渡的に一般会計からの若干の繰入補給は当然認める方針であり、また物價改訂につきましても全面的に否定するものではなく、ただ物價改訂の場合は、重要物資の價格間の不均衡を是正する限度に止めねばならないといたしたのであります。
しかしながら、このA案に基いて二十三年度本予算を編成するといたしますると、当然に政府原案は根本的に組替を行わねばならぬとともに、それに基く影響に対し万全の準備措置を講ずる必要が生じてくるのであります。しかしながら、実際問題といたしましては、この際根本的な予算組替のためには、なお相当の時日を要し、自然國務の澁滯と経済的困乱とを生ずるのであります。かりに七月も暫定予算で組むとすれば、すでに事実上崩壞しています三千七百円ベースさえ算單價として採用できなくなり、二千九百二十円ベースにあともどりせねばなりません。また、産業復興や災害復旧等、國家の経費にまつ重要事業は、ほとんど実事しがたくなるのであります。さらに、予算不成立となれば前年度予算を踏襲せざるを得なくなり、経済界への影響は致命的なものとなり、勤労大衆の生活の窮乏に一層拍車をかけることになるのであります。なおまだ、先ほど申しました準備措置も、事実上間に合わぬことになりますと、明らかに安定恐慌を招來せざるを得なくなるのであります。わが党は、これらの点を愼重に考慮しました結果、このたびはA案を自発的にひつこめまして、いわゆるB案でありまする政府原案の修正案によりまして、できるだけ速やかに二十三年度予算案を通過させる建前をとるに至つたのであります。
B案の具体的内容につきましては、すでに新聞紙上その他に発表されましたので、ここでは省略いたしまするが、要するに、大衆負担を重課することに重点を置いておるところの資本家的な政府の原案を、最小限度に勤労大衆の生活を擁護する建前において修正せんとするものであります。(拍手)しかしながら、そのB案さえも、連立内閣という條件や、現在の日本が置かれておりまする國際的環境といつた内外の諸條件に制約されまして……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/37
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038・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/38
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039・島田晋作
○島田晋作君(続) われわれにとつては、まことに不滿な修正案として、ここに現われるに至つたのであります。われわれとしましては、まことに遺憾千万であると存ずる次第でありまするが、かかる不滿足きわまる修正案が提出されましたことにつきましては、もとよりわれわれも責任を感じます。しかしながら私は、政府当局にいたしましても、この際深刻に反省すべき点があると考えるのであります。何となれば、昨年以來の前年度追加予算に関する審議、殊に本年春のわが党大会におきまする諸政策審議の経過についてみましても、政府の予算原案の内容について、わが党としましては相当本質的に異なつた見解をもつていたことは、政府の当局といたしまして、前もつて推察するに難くなかつたと存ずるからであります。この点、もしも政府当局が十分考慮に入れまして、愼重に予算編成に努力せられておつたならば、おそらくは、この急迫せる時局下におきまして、多くの貴重なる時間と労力とを節約でき、ひいては、わが國の國際上の信用を高からしめるに役立つたに違いないと信ずるのであります。
さて本論に入りまして、わが党がこの修正案に賛成するにつきまして、簡單に述べることにいたします。予算修正にあたりましては、われわれは二つの根本的な原則を滿たささなければならなかつたのであります。その第一は、高進するインフレ下にありまして生活苦にあえぐ勤労大衆の負担強化という不公正なる方法によつて財源を賄うことを極力排除することであります。その第二は、それにもかかわらず、國民生活の同上や経済復興をはかる諸政策実現の財源は、どうしても確保しなければならないことであります。いうまでもなく、この二つの原則はしばしば相対立する要請をもつているものであり、この二つの原則を滿たしつり、われわれの目的を達することは、きわめて困難であることは明らかであります。しかしながら、われわれは現実の問題を建設的な線に沿いまして、絶対に解決しなければならないのでありまして、観念的な空理空論や、破壞のための暴埋暴論は、いたずらに社会を不安混乱に陷れるものであります。(拍手)いやしくも責任ある公党としてなすべきものでは断じてないのであります。(拍手)從つて修正案は、あくまでも実行可能で、かつ建設的なものでなければならぬのであります。
まず第一に、わが党といたしましては、当初勤労者の所得税は基礎控除二万四千円……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/39
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040・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/40
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041・島田晋作
○島田晋作君(続) 勤労所得の無制限三割控除、扶養家族一万八千円の控除を而要求したのであります。しかしながら、現実の國家の支出の大きさや、徴税機構の弱さ等から考えますと、形式上の税制改正を固執するよりも、実質上の徴税事務の改善強化に重点を置き、直接税負担の庶民階級への重圧を避け、やみや不当利得の正確な捕捉を要求することにいたしたのであります。第二は、取引高税についてであります。われわれといたしましては、これは一般大衆に轉嫁される間接税負担であることに鑑みまして、極力これが中止に努力いたしたのでありますが、これまた現実の問題といたしまして、これが廃止による赤字の補填難から、一部惨正減額で一應了承することにいたしたのであります。しかし、蔬菜、鮮魚介、みそ、醤油、牛乳、ふろ屋、理髪業等、生活必需品関係やサービスヘの課税を停止いたしましたので、相当程度庶民階級への重課は避けられるものと信ずるのであります。なおまた奢侈品については、むしろ増税すべきであるとわれわれは考えたのであります。第三に、高額所得者の税率引上げでありますが、これは何人も依存のないことと信ずるのであります。第四に、國鉄運賃の問題であります。この鉄道運賃引上げは、いうまでもなく直接に勤労大衆の生活に大幅の影響を與えるものでありますので、できるだけ引上げを中止いたしたかつたのでありますが、ここにもまた、これによつて生ずる赤字をいかに埋めるかの財源問題で、われわれは困難につき当つたのでありまして、遂にわが党といたしましては、本修正案のごとき大きな讓歩を余儀なくされたのであります。すなわちわれわれは、涙をのんで、わが党のB案にありました鉄道運賃引上げ倍率二・〇を…
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/41
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042・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/42
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043・島田晋作
○島田晋作君(続) 二・五まで讓歩し、さらに最後には二・五五まで後退したゆえんのものは、主として財源問題でありますが、不当増加財産税は急場に間に合いませんし、小切手印紙税もまだ関係筋の了解を得るに至らなかつた等々を考えますと、二・〇を強行いたしますれば、どうしても、大藏当局の用語に從えば、課税充実による増徴という方式にまたざるを得なくなるのであります。この点については後ほど言及したいのでありますが、かがる危險性を多分に包藏します方式に、財源をこれ以上求めますことは、遊けねばならぬとわれわれは考えたのであります。次に歳出の面におきましては、金額はきわめてわずかでありますが、学校施設費、六・三制設備費、引揚者住宅建設費、災害復旧費等の公共事業費の増額や、日本育英会補助の増加、科学研究費の増加、恩給の増加等を計上しましたのは、今日の苦しい財政状態において、いささかたりとも國民大衆の熱心なる要望にこたえたものとして、この際欣快に存ずる次第であります。修正案の個々の点につきましては、討論すべきことは多々あるのでありますが、以上概略述べましたように、われわれは不滿足ながらも、内外各般の事情から、この程度の修正をこの際一應了承した次第であります。しかしながら私どもは、この際強く政府に要請しておきたい数点について申し上げてみたいと存じます。第一点は、所得税の増加についてであります。先ほど申しましたように、わが党の構想しました新税は、いろいろな事情からしまして実現不可能となり、將來の問題に取残されました結果、政府は前申しました課税充実による増徴に財源を求めるに至つたのであります。用語はなかなか巧妙にできておりまして、大藏官僚の官僚らしい頭のよさをよく現わしておりますが、前年度の例から考えましても、これはよほど注意いたしませんと、高額所得者を捕捉し得ずして、小額ないしは低額所得者を課税対象としまして、執拗にかつ苛酷に追求するような事態が起り、納税をめぐつて國民不安を激成するような結果を生じないとも限らぬのであります。大藏官僚に言わしむるならば、與党三派が政治力の重みをもつて、むりな財源を求めてきた、殊に社会党が強く迫つてきだので、やむなく課税充実云々で財源を提供した、從つて、これは水増しを多分に含んでおる、從つてまた、事実上苛斂誅求の非難の声が本年末あるいは來春にかけて囂々と起るかもしれないが、これは財政当局の罪ではなく、責任は國会が負うべきものであるというような言葉が、あるいは言われるかもしれません。また現に、かかる口吻は、昨年末から本年春にかけまして、かの徴税が強化された際に、われわれがしばしば聞かされたことでありますが、かかる責任轉嫁論が本年度においても財政当局から云々されたならば、われわれは断じて許すことはできないのであります。またこの意味におきまして、私はかような弊害の起らぬように、また起さぬために、課税について國民的、民主的な審査機関及び提訴機関のようなものの創設を國会の同僚諸君に提唱したいのであります。第二点は、歳出の面についてでありますが、現在の会計檢査院は、これはこれとして存在價値はありますが、もつと積極的な、ただ單に個々の決算を形式的に檢査するに止まらず、この厖大な歳出をほんとうに生かし、能率を上げる意味での、國民的、民主的監査制度の確立を、同じく國会の関係諸君に提唱いたしたいのであります。たとえば修正案を見ますと、物件費の節約は、一般会計で十六億四千百万円、特別会計で六億二千三百万円となつておりますが、はたしてこの程度しか節約できないのかどうか。あるいはまた、たとい節約ができないにしても、節約てきない歳出の中の、はたして全部が効率的に支出されるものかどうか。こうした点について、私は多大の疑問をもつものであります。最後に私は、賃金問題との関連につきまして、わが党の態度をはつきりさしておくとともに、この機会に、政府に対して重大なる関心を喚起しておきたいのであります。予算委員会におきまして、同僚の川島金次君は、本予算案は初めから賃金ベースの計算において欠陷をもつており、事実改訂物價の実行を來す新賃金ベースは、すでに崩壊しつつあることを指摘いたしたのでありまするが、このことは、二百六十万全國官公吏の生活を危殆に陥れるものでありまして、本來ならば当然今回の修正に算入しなければならないものでありますが、内外諸般の情勢からいたしまして、これより除外いたしたものと私どもは了解したのであります。しかし、わが党といたしましては、その内容から申しましても、当然迅速なる措置を必要とするものでありまして、本修正予算の成立に相次いで、可及的速やかに追加補正予算を編成して國会に提出することを要求するものであります(拍手)わが党は、インフレーシヨンの解決と勤労大衆の生活擁護に関しては、今後もあらゆる機会をとらえて鬪う決心であり、いずれは必ずわが党本來の目的を達成せずにはおかないという決意を、この際はつきりしておく次第であります。以上、賃金ベース改訂のための速急なる追加補正予算提出の条件を附しまして、本修正予算に対する賛成の意を表するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/43
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044・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 鈴木正文君。
〔鈴木正文君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/44
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045・鈴木正文
○鈴木正文君 私は、民主自由党を代表いたしまして、昭和二十三年度一般会計並びに特別会計予算案に対しまして意見を表明いたします。
ただいま上程されておりまする政府提出の予算案は、実質的には與党三派の修正案と見るべきものだと思います。從つて、本予算案に対する討論は、実質的には民主自由党の修正案と並んで、二つの修正案の比較という形において行われなければならぬと思うのであります。(拍手)これがためには、政府の当初原案を一應檢討してかからなければならぬと思うのであります。修正案の優劣は、この当初原案のもつておるところの欠陥を、いずれの修正案がより徹底的に改めておるかという一点によつて、その優劣がきまるはずなのであります。(拍手)政府の当初原案は、疑裝されたる数字的健全財政の名で、三千七百円賃金水準と七割引上げ物價水準との、この二つの柱のうえに立つておつて、この二つの柱は、予算遂行過程において自己崩壊必至という自己矛盾を内藏しておることは、すでに委員会においても、公聽会においても、完膚なきまでに各方面から指摘されておるのであります。(拍手)一例をあげれば、当初原案において、織物消費税、物品税、通行税、取引高税、酒、タバコの収入等々直接的に國民生計日を上昇せしむるところの費目に属する收入は二千億円を超えておるのでありまして、一般会計歳出の全体に対する比率は五割二分を占めておつたのであります。昨年度は、これらの費目に属するものは総計八百億円前後で、一般会計歳出全体に対するところの比率は四割強であつたのであります。しかも、歳出そのものは二千百億前後から四千億に膨張し、追加予算必至という情勢の中で賃金と物價の柱が維持できるはずはないのでありまして、これが維持できると考えて、そう言つておるのは、芦田総理大臣と北村大藏大臣、日本でたつた二人だけなのであります。(拍手)從つて、今ここに民主自由党の修正案と、與常三派の修正案によつて新たに提出されたところの政府原案と、いずれがまさつておるかということを決定するには、この当初原案のもつところの二つの重大なる欠陥を救うに、どちらの修正案が力があるかということによつて決しなければならぬと思うのであります。(拍手)以上の見地に立つて、両案について大局的に比較検討をいたします。まず当初原案のもつ性格破綻は、本日上程されたところの新しい原案で救われておるかどうか。旬日に近いもちまわり論議の結果、その性格はいよいよこまかく分裂してしまつたにすぎない感があるのであります。旅客運賃二・五五倍というような、理論も方針もない、けちくさい数字——三次方程式を解くに算術の割算で押しつけてしまつたというような、ごまかしの数字におちついておる。この形においては、性格の破綻は救われたなどとは、とうてい考えられないのであります。むしろ民自党の修正案は、党の基本方針であるところの新自由主義への轉進を企図しつつ、現條件において與えられる限りこの方向に進もうとしている性格をもたせておるはずであります。すなわち、價格調整費として当初原案に計上せられたところの五百十五億円は、党の將來の方針といたしましてほ、これを全廃すべきであるという方針をもつておることはもちろんであります。(拍手)修正案におきましても、百八十六億円を削除しておるのであります。國民の要望であるところの人件費、物件費の節約も、当初原案に対して、一般会計で九十億円をあげております。與党案による十六億円の節約は少な過ぎると思うのでありまして、國民の要望に副うものではないと思うのであります。今の官廳全体から九十億円前後の人件費、物件費の節約が、努力によつてできないというはずはないのであります(拍手)次に民自党案は、物價補正等特別補充費六十億円を、当初原案の歳出から削除しておるのであります。物價水準の引上げによつて生ずるところの補充金は、各省別に総計六百億円が原案にすでに計上されておるのでありまして、なおこの上に六百億円を置いて、官僚の浪費を助ける必要はとうていないと私たちは思うのであります。(拍手)かくて、当初原案より歳出において三百四十六億円を圧縮したのが民自党修正案であります。当初原案修正の財源として、もう一つ重要なのは歳入増でありまするが、税の過年度收入を嚴格に行い、自然増收等をも加えるならば、二百六十億前後の財源が可能だと思うのであります。價格差益金を当初原案より五十六億円多くしたのも、物價の趨勢よりして妥当であり、與党修正案の二十一億円増は、だれもが言つておるインフレの過程の中においては、少な過ぎると思うのであります。酒については、増石により百億円前後の増收をはかり得ることは、專門家も言つておるのでありまして、ここに新たなる財源の糸口を見つけておるのであります。両案を比較して、民主自由党案の方が、大衆への直接負担を避ける点において、ま、さつていると私たちは思うのであります。(拍手)
では、これらの歳入増と歳出減とをにらみ合わせて、新たにどれだげの積極的経費を盛り得るか、また大衆負担の税をどれだけとり除き得るか、両案について比較してみるならば、その長短はきわめて明瞭だろうと思うのであります。われわれは、まず第一に、悪税として天下周知の取引高税二百七十億円を全廃するという基礎の上に修正案を立てたのでありますけれども、わずかに五十六億円だけを——理論的、現実的にはこれに反対でありながら、わずかに五十六億円だけを圧縮し得たにすぎなかつたどころの政府の修正案よりは、民主自由党の修正案の方が、この点においてまさつていることは、明瞭であると思うのであります。さらに最も重翼なのは、眞に國民の血となり肉となるところの公共事業関係の費用であります。当初予算の四百二十五億円では、災害復旧も、六・三制も、治山治水もできないことは、すでに周知の通りであります。與党修正案は、たつた十億円前後をこの部門に増加したにすぎないのでありますが、民主自由党案では、当初原案に対して二百二十三億円、今政府が上程しているところの原案に対しましても百九十三億円を増加しているのであります。(拍手)両案の積極性において、どれだけの相違があるかということを知つていただきたいのであります。最後に、今回の予算審議にあてつて論議の中心となつたところの鉄道運賃についての與党並びに民主自由党の修正案の比較檢討につきましては、さきに尾崎議員により、詳細なる事実を列挙して実証した通りであります。膨湃たる國民の聲を生かして、國民生活の破綻を阻止するためにも、予算案自体の自己崩壊を食い止めるためにも、運賃引上率は財源の許す限り低率であることが修正案として優秀であるという考え方には異論はないと思うのであります。(拍手)旅客二・五五倍、貨物三倍半の率にしか下げ得なかつた與党案は、旅客二倍、貨物三倍を中心とする民自党の案と対比して、財源において合理的であるという実証さえあげられ得ましたならば、民自党の修正案の前に敗れ去らなければならないという立場にあると思うのであります。(拍手)
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/45
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046・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/46
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047・鈴木正文
○鈴木正文君(続) ここに、その根拠を示したいと思います。民自党案を採用する場合に生ずるところの赤字は、当初原案に対して百八十億円、今提出されているところの原案に対して三十億円前後となるのであります。何がゆえにこの程度の赤字で食い止め得るか。思うに鉄道当局は、まず自らなすべき努力を盡して後に一般会計の援助を求めるべきであると思うのであります。(拍手)ここに大きな財源があるのであります。これがためわれわれは、國鉄内部における節約八十一億円を求めることを盛つておるのでありまして、その具体的内容は、以下に列挙する通りであります。第一、人員の自然減少年間四万人のうち、補充を要する一万五千人を除き、二万五千人を補充しない方針によつて二十五億円を節約する。組合專從職員二千人の給料を組合に負担させることによつて二億円を節約する。石炭カロリーを五千三百から五千六百に引上げることは、現状において可能である。これによつて七億円を節約する物件費七億円の節約も可能である。不用財産賣却により十億円増収する。貨物輸送量を三%上げて、二十八億円の増収をはかる。(拍手)さらにレール、まくら木関係は、いわゆる財産として残るところの生産公債として、四十億円を公債によつて賄うことは、前例もあり、合理的であると考える。かくて残る赤字は、一般会計から補充する。その額は、今提出された政府予算案に対して三十億円多いだけであつて、その財源が、一般財政におけるどこにあるかの基礎は、西村議員の提出したところの修正案に明示されておるのであります。(拍手)多少の苦痛を忍んでも、鉄道運賃に関する限りは引上率を最小限度に止めんとする修正条がすぐれておるのであり、この程度の財源をあげ得ましたならば、政府の修正案、政府與党の修正案は、その引上率がまだ努力が足りなかつたという点において「現にただいま島田議員も明らかに遺憾の意を表しておる点から徴しても、民主自由党の鉄道運賃引下げ改正案の前に敗れ去らなければならないと思うのであります。(拍手)
かくのごとき無節操なる、ごまかしの予算をつくり上げたところの政府と與党は、旬日に及ぶ予算修正の折衝において、一体樂屋裏で何の取引をしておつたのであるか。政府及び與党は、寸刻前の予算委員会最後の場面において、あなた方が樂屋裏でつくり上げた修正予算案が、まさに間違いなく葬り去られたという事実の前に、痛烈な自己批判を加えなければならぬど思うのであります。内容において性格分裂とインフレ必至の大欠点を包藏し、修正予算案提出の方法と政府の態度に幾多の疑問を残し、遂に委員会において否決の極印を押された、この死かばねにもひとしい予算案を、たとい本会議において数に訴えて成立させたところで、民心をつなぎ、日本経済再建の民族的悲願を達成せしむることは、今やこの予算の中には財政論的にも、精紳的にも、その力は絶対になはずなのであります。(拍手)予算案は、他の諸案とは違う。委員会において否決になつたということに対しては、政府も與党も深く政治的責任を考うべきだと思うのであります。(拍手)
以上の結論として、第一、予算の性格がはつきりしておる点、第二、大衆負担を軽減し得た点、第三、公共事業の積極的建設性をとりもどしておる点、第四、鉄道運賃において、眞劔な検討の末、大衆負担を軽減する基礎を確立し得た点、これらの点において私は民主自由党の修正案の方が、滿身創痍の政府原案よりはるかにまさつておるものと考へる。ここに政府原案に反対し、民主自由党の修正案に賛成の意を表するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/47
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048・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 田中源三郎君。
〔田中源三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/48
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049・田中源三郎
○田中源三郎君 私は、民主党を代表いたしまして、政府修正案に賛意を表するものであります。
本年度の予算を見まする場合に、まずその現われたる数字を考えてみまするならば、これは日本の今日の苦悩を表現いたしておる数字だろうと私は考えるのであります。従つてわれわれは今後の國家再建に対してのこの日本の苦悩を静かに考えてみて、しかも実質的にして、かつ現実に即ししましたところの、その、本質をもつところの健全なる予算を組んでいかなければならないと考えるのでございます。(拍手)かような観点からいたしまして、私は、ただいま上程されておりまするところの政府案に対しまして、少しくわが党のもつておりまするところの意見を申述べてみたいと思うのであります。(拍手)
大体政府予算案は、一應収支の均衡を保持して、その間國際情勢並びに米國の対外援助政策に呼應いたしまして、外資の導入と粗まち、わが國の産業復興を促進し、併せで國民最低生活を確保するために、インフレに対する経済的処置として、中間安定期を画したることに対しましては、同意するものでございます。(拍手)はたして私は、この政府予算をもちまして、ただ政府が今日行いましたところの物價改訂に件つて、これ以上にいわゆるインフレーシヨンを高進しないように抑圧し、またはこれ以上のインフレーシヨンから財政の膨脹、財政の膨脹からインフレーシヨンと、この物價と賃金との悪循環を断ち切ることができるであろうかという点について、いささか危惧をもつておるものでございます。私は、この点につきましては、政府のこの方針によるところの、このインフレシヨンを抑止していこうという政府の中間安定期におけるところの経済処置を十分に講じなければならないと考えるのでありまして、これらの財政処置を講じましてこそ、初めて物價並びに通貨の安定の事前処置がとられるのでございます。もし、この処置を政府が誤るときにおきましては、中間安定が破れて、さらにインフレーシヨンは高進するのでございます。従つて私どもは、このインフレーシヨンに対しまするところの、政府が今日とつておりまする中間安定期に対しましては、格段の注意と、これに対するところの事前の財政的処置を十分に講ぜられんことを、強く政府に要望しておく次第であります。(拍手)
他面私は、この歳入面の租税收入に対しまして考えてみますのに、申すまでもなく課税は、所得の生ずるどころによつて課税されなければならないと思うのであります。今、英米の國民研得に対するところの課税の率に対比いたしますと、わが國の課税率は、一見低いところにございます、しかしながら、英米の課税されておりまする率の高いということは、すなわちその國家において國民生活の最低を確保されておるのに、わが日本の國においての今日の課税は、國民がその最低生活を得ておる上に課税せられているかと申しますならば、この点については、やや國民生活は不安定な実態の上に課税ぜられておるということは、政府も御承知のことであろうと存ずるのでございます。従つて政府は、租税收入の実体を確保いたしまして、公正妥当なる課税をなすとともに、迅速なる徴税処置を行うべきであろうと思うのでございます。
終戦後、わが國の領土と人口、生産と消費の両面の資材が枯渇せることは、諸君も御了承のことであろうと思うのでございます。従つて、わが國の財源もまた枯渇するということは、言をまたないのでございます。本年度の國民一人当りの担税負担額は、前年度の二千六百八十五円に対して五千三百七十円となり、今回の税制の改正になつて、直接税と間接税との割合が逆行いたしまして、大衆課税の度が強くなつてまいりまして、國民生活圧迫の度が漸次増加するの傾向を帶びてきでおるのでごいます。この点は、政府におきましても、今後の税制の上に格段の注意を拂つていただきたいと考えるのでございまするが、なかんずく取引高税のごとき、われわれの最も好ましからざる税と考えるのでございます。大衆課税の性質を帯びておる点におきましては、他の税をはるかに凌駕しておるのでございます。わが党は、可及的速やかに本税の廃止を企図するものでございまするが、しかしながら、現下のわが國の情勢と國際環境とを考察いたしましたときに、本税の課税率を軽減して、やむなく承認をするよりいたし方がないのでございまして、今回のいわゆる税制の面におきましても、わが党は、五十六億というところの軽減につきまして全力をあげるとともに、政府に同意せしめて、この修正案を出さしめた次第でございます。(拍手)
私が第三点に申し上げたいことは、いわゆる國営企業の問題でございます。國家企業の中で、いわゆる政府の專賣事業を除きまして、現在通信、運輸のこの両面の國家企業の面を考えてみまする場合におきまして、はたして機能運営において合理的に行われておるかどうか、しかして、その國家企業が漸次健全なるところの企業運営に進みつつあるかということにつきましては、私は今日非常に憂うべき実態にあると思うのでございます。年々の赤字を一般会計から補填して、國民負担を増加しつつあることを重視いたさなければなりません。これのよつて來る原因は、戦災による特殊事情と、戦後インフレの高進に禍いされて、再建の途が阻まれておるということはもちろんでありまするが、企業の根本的理念を忘れておるきらいがあるのでございます。合理的運営の施策と、その熱意に欠けておることは、見逃すことはでき得ないと思うのでございます。鉄道、通信の両特別会計におきまして、企業と企業のもつ公共性の両面より考察するときにおきましては、國家経済の現実と、その有するところの資材・資金等の両面が、わが國の現在より将來において國際的に與えられる環境とを合わせ、さらに國民生活を附加して、その施策と経営の上に果断的なる独立採算制をとるべきであつて、政府は漸進的独立採算制を具現せんとせられておるのでございまするが、もはや今日におきましては、さような緩慢なるところの施策を許さぬのでございます。果断な処置をもつて、その企業の一部または大部を民営に移し、あるいは半官半民の策をとり、企業の自主性を尊重し、いたずらなる國営主義を打破し、國民の負担において企業の安易化をはからんとするがごとき観念と施策を根本から除去し、もつて産業の根基を培養し、企業の自立をいたさしむべきであります。かくのごとき観点より、今回の通信・運賃料金は、政府の中間安定期の施策を遺憾ながら破るおそれありとまで考えておる次第でございます。わが党の主張するところの企業独立制の観点より、私どもは、今日の改訂されました政府のいわゆる修正案による二・五五倍には、遺憾ながら企業の合理性から考えまして不滿足の意を表するのでございます。
〔「なぜ反対しないか」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/49
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050・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/50
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051・田中源三郎
○田中源三郎君(続) 今後におきましては、つとめて政府は、企業の合理性について重大なる考慮を携われんことを、私はここに重ねて注意を促す次第であります。(拍手)
専賣事業に対しましては、國民生活と密接不可欠な関係があることは、いまさら申すまでもないのであります。その収益を主として、國民生活を忘れてはいけないのであります。政府は常に國民生活に留意し、その収益との調和をはかり、もつて事業の遂行に万全を期せられんことを、この際政府に御依頼をいたす次第であります。私は、この際一言、民主自由党の修正案と、わが党の考えておる点につきまして、申し上げたいと思うのであります。ただいま西村君は、本壇上におきまして、あるいはまた予算委員会におきまして、民自党の修正案を御提出に相なつたのであります。ところが、この歳入を拝見いたしますというと、酒の造石高税百億円という財源が盛られております。また官有財産費卸金として、七億五千万円というものが見積られておるのであります。私が考えてみまするのに、酒の造石をすることが可能であるならば、政府は当然今までの予算の中に考慮して織りこんでおるはずであると思う。(拍手)わが日本の國においては、今日食糧の不足を來し、外國より輸入いたさなければならないとぎにおいて、ほたしてわが國において、この百億の増税をいたすところの造石の米なり原料があるかどうかということであります。(拍手)諸君の中には、密造をそている濁酒をやめさせたならば、どのくらいのものが出てくるであろうと思う方もありましよう。しかしながら、その濁酒の密造をつかまえることが今日できるか。さようなことを考えて、確定財源の中に入れられるということは、はなはだ当を得ざるものと言わざるを得ないのであります。(拍手)また、この中で拝見をいたしますと、鉄道運賃につきましては、なるほどこれは、政府においても考慮いたすべき点があろうと思います。それは鉄道の特別会計において、ただいま私が申し上げた通りに、合理的に企業をいたしていく上において、整理、節約をいたしていくということは、これは当然のことであると思いますが、皆さんは一体、今日の日本の鉄道の上において、収支の均衡をとれ、企業の合理化せはかれとおつしやるときにおいて、いたずらに公共性があると見ても、それのみを考え、企業の実体を考えずして、一般会計からこれを繰入れて、ただ運賃ざえ低くしたならば、それで事が足りるがごとき考えをいたされておることは、年々一般会計から特別会計に補填することが多くなつて、かくのごときことで國民の歓心を買うということは、両家の財政を忘れておるものと言わざるを得ない。(拍手)
しかして、これらの修正案を拝見いたしまするならば、人件費、物件費、あるいは價格調整費というものについての大幅の歳出減がとられております。そうして、その反面において公共事業費を増額し、あるいは・六三制を増額して、できもしない財源をもつて、できるように見せかけてやるということは、國民を欺瞞するものだ。(拍手)しかして、與党三派におきましては確定財源をもつて……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/51
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052・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/52
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053・田中源三郎
○田中源三郎君(続) これによつて、でき得る限りわれわれは、この面に向つて國民の輿望に副うべく修正をいたした次第であります。
かかる観点において、私は政府修正案に対して賛成し、民自党その他の修正案に対しては、根本より反対をするものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/53
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054・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 叶凸君。
〔叶凸君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/54
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055・叶凸
○叶凸君 深夜にわたる討論で、私も含めましてはなはだ迷惑な点もありまするので、わが社会革新党を代表いたしまして、簡單に反対論をなさんとするものであります。鈴木予算委員長から、大綱に関しましては報告があつたはずでございまするから、重複を避けるにいたしましても、與党三派の賢明なる同僚議員諸君が、九日間にわたりまして愼重審議をされました、絶対多数を誇るととろの與党三派の皆様方のその案というものが、否決されるという奇妙なる状態をわれわれは見たわけであります。(拍手)この問題を端的に考えてみますと、あしたのことはわからないとおつしやるところの芦田内閣に対する痛烈なる批判であります。(拍手)
この予算案に対しましては、わが社会革新党を代表しまして、大原議員から二割天引論の論旨の展開があつたわけであります。私は、これと重複を避けましで、ただ米價問題につきまして、わが党の見解を披瀝いだしまして、この予算に対しまして端的に反対せんとするものであります。(拍手)
そこの座席に片山前総理がおられますが、昨年平野農相と和田安本長官が、米價の問題に関しまして非常なる論争を展開したことは、皆様記憶に新しいところと存ずる次第であります。当時の和田安本長官の主張は、千八百円ベースは崩れていない、だからして石当り千七百円であると、こういう主張をなしたのであります。ところが、当時平野農相は、すでに千八百円ベースは崩れておる、だからして、当然最小限度石当り二千円くらいの余裕をもつべきことを主張したのであります。そうして、当時の内閣の記録にも残つておると存ずる次第でありますが、二十三年の十月に至るまでに千八百円ベースがもしも崩れました場合は、当然米價の石当り千七百円は改訂せられなければらない、しかも、その差額は当然農民に還元すべきであるということが記録されておるのであります。
井上農林委員長が、はるか向うからやじつておられまするが、井上農林委員長は、われわれ全議員の名前におきまして、この壇上より、この米價問題に対しまするところの決議を、ついこの間いたしておるわけであります。しかるにかかわらず、今度の予算のどこをめくつてみましても、さような米價のべの字も書いてないのであります。当時、外國新聞のある通信によりますると、この米價の價格差の補給金に対しまして、相当程度の意見が出ておつたことは事実でありますけれども、現在の敗戦治下の日本におきまして、まだ戦争中の日本におきまして、その以前におきまして、完全に生産に従事し、わが日本の再建のために全能力を傾注いたしておりまするのは、わが日本の半分を占めますところの農民諸君ではないか。(拍手)現在労働者諸君が三千七百円ベースを問題にいたしておりまするのも、まず食うということが、このベースにおいて不可能であるからして、問題がそこから出発いたしておるわけであります。(拍手)こういう点から考えましても、どういたしても農民諸君に対しまして、どういたしても農民諸任において善処しなければならないところのこの價格差補給金に対しまして、今度の予算を見まするのに、厖大なる予算を組みながら、一言半句も触れずして、ほおかむりをいたしておるということは、まつたくもつて無責任であると私は考える。〈拍手)そういう意味からいたしまして、私は本予算に対しまして端的に反対せざるを得ない。
今後、この天文学的な数字でありますところの四千百國十四億六千二百十三万五千円、これをどんどん、支出することにおきまして、われわれの周囲は紙幣の洪水となるであろう、半月、一月をまたずして、街頭に紙幣があふれるであろう、こういうことを考え、また、われわれのすべての基礎をなすところのこの食糧の供出というものがこの内閣の無責任極まりますところの態度によつて、もしも農民諸君が日本の再建の前途に対しまして不安なる氣持をもつといたしますならば、こればまつたく片山内閣、芦田内閣の農林政策のためでなければならぬと私は考える。(拍手)
こういう意味におきまして、端的にこの予算に対しましては、われわれ社会革新党は断固反対するものであります。指数を一一六、四といたしまして、石当り千七百円の新パリテイ計算のもとで、三千百六十一円四十二銭の米價をかりに決定いたしまして、これの價格差補給金の総額というものは、私の計算によりますると百七十六億五千九百五十万円であります。これだけのものが、この尨大なる予算の中で、なぜとれないか、こういう意味におきまして、われわれはこの予算に対しまして絶対に反対するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/55
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056・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 松本瀧藏君。
〔松木瀧臓君登壇〕
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/56
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057・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/57
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058・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 不規則な発言であつても、不穏当なことは禁止いたします。——静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/58
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059・松本瀧藏
○松本瀧藏君 私は、國民協同党を代表いたまして、きわめて簡単に本予算案に対する賛成の意を述べたいと思います。
予算が常例よりもかなり遅れたことは、至極残念であります。しかし、講和條約の締結を未だ見ていない今日、完全な自主独立権は、これまだ残念ながら回復されていないのであります。従つて、いかなる首班内閣をもつてしても、今日の國際関係並びに敗戦後のアブノーマルな客観情勢においては、遅延もやむを得ないであろうと思うのであります。また、いかに苦心しても、完全なる予算を計上することは、これまた至極困難であつたと思うのであります。もちろん本予算案については、わが党といたしましては、修正の余地なしとしないのであります。わが党は、本会議においても、また予算委員会においても、それらの諸点を指摘してまいりました。
第一に、民主日本、文化日本の基盤となる教育文化に関する経費についても、種々努力は拂われてきたのでありまするが、その総額は今なお僅少でもあり、将來財源が許すならば優先的に振り向けるべきである。従つて、國民の要望にこたえるべきであると思うのであります。
第二に農林関係において、農林金融については、これまた種々の努力が拂われておるものの、まだその実現を見ないことは残念であります。なお土地改良、農業技術の研究及びその普及、さらに食輝増産等に関するところの経費も、予算全体から見るならば、きわめて貧弱であります。
第三には、新物價体系に関連いたしまして、わが党の希望を強く主張してまいつたのであります。しかし、敗戦後のわが國の現状をもつてすれば、これ以上予算の遅延を許さないのであります。われわれは、ここに一日も早く國民経済の安定を見出さなければならないのであり、一時も早く生産を高め……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/59
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060・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/60
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061・松本瀧藏
○松本瀧藏君(続) 経済の諸問題を解決し、実質貸金の確保もはからなければなりません。この解決の根本をなすものは、國民ほとんど全部が待望しておりますところの外資と資材の導入であり、われわれが最も頼りとしておりますところの対日援助であります。予算成立と対日援助は密接不離の関係にあることは、今さら贅言を要しません。この対日援助資金の輪郭は、すでに決定しておるのであります。七月一日をもつて米國は新会計年度にはいつておるのでありますが、ガリオア資金あるいはエロア資金も、日本援助額が未だ発表されていないのであります。プライヴエートの外資も六千万ドルにすぎないのであります。このときにあたりまして、われわれは、一時も早く國際信用を確立し、もつて國民経済の安定をはかる義務を感ずるのであります。よつて、わが國民協同党は、修正を見得なかつた若干の点を後日に留保いたしまして、重ねて本予算案に対しまして賛成の意を表するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/61
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062・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 中村寅太君。
〔中村寅太君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/62
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063・中村寅太
○中村寅太君 私は、政府提出二十三年度一般会計並びに特別会計予算案に対し、日本農民党を代表して反対の意見を述べるものであります。(拍手)
第一、私はこの予算案は、政党内閣の予算案としては認め得ないと存ずるのであります。政党内閣は、その與党が國民に約束いたしました政綱政策を忠実に実行することを使命とするものであります。(拍手)この意味において、政府が出す予算案は、政府の行わんとする政綱政策の裏づけとして出されるものであり、内閣を構成する與党の総意によつてできたものでなくてはなりません。しかるに、芦田内閣が出したる予算案に対して、今回のように與党のことごとくが反対するということは——驚くべきは、完全與党の民主党に反対のあるということは、政党内閣としては実に重大なる出來事であると考えなければならぬのであります。(拍手)私は、この状態を靜観するときに、この予算案ができるまでの過程において、與党の総意によつて、その政綱政策が裏づけとなつてつくられたものでなくて、先ほど委員長の意見にもありましたように、大蔵省官僚の机上計画によつてでき上つたものではないかと疑わざるを得ないのであります。(拍手)
およそ政党政治下において内閣が不信任をせられる場合に、二つ形があると存ずるのであります。一は、内閣不信任案が國会を通過した場合であり、いま一つは、内閣が行わんとする政綱政策の裏づけである予算案が國会において否定せられた場合であると思うのであります。(拍手)今回のように、芦田内閣の提出した予算案に対して、與党、野党より大幅の修正がなされるという現状は、明らかにこの内閣が國会より遊離して、政党内閣としての使命と本質を失つたものであると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)われわれは、政党のいかんを問わずい政党政治確立のために根本的に検討を加えなければならぬ重大な問題であると考えるのであります。
第二点として、生産増強とインフレ克服政策の躍動が見出されないのであります。政府は口を開けば健全財政と言うが、われわれもちろん健全財政の重要性を認めるものでありまするが、ただ現在のように、形式的な、機械的な健全財政偏重が、生産との関係を軽視したために、結果において生産復興を遅らせ、物價の上昇を不可避ならしめ、せつかくの財政健全化の目的が達せられなかつた現実を見逃してはならぬと存ずるのであります。(拍手)私は、今月のインフレの原因として三つの点があげちれると思うのであります。第一は、生産が過少であるということ、第二は、生産に反映しない金を政府と國民がともどもに使つておるということ、第三は、敗戦國であることを國民が自覚じないで、物を欲しがるか、あるいはまた働かない風潮が跋扈しておるということであります。従つて、インフレを防止するには、まず生産増大の方向に全力を盡すとともに、政府でも、民間でも、生産の裏づけとならぬ費用は使わぬようにすることが大切であると思うのであります。政府が言うインフレ克服のための堅固なる堤防としての新物價体系を築くために、まず力を注ぐべきことといたしましては、第一に、復興資材の確保であると思います。第二に、生産の一定水準までの増強回復をはからなければなりません。第三に、食糧事情のある程度までの緩和をはからなければなりません。第四に、労働運動の健全化をはからなければなりません。(拍手)第五に、企業採算の改善等の重要政策の強行が必要だと考えられるのであります。しかるに、今回の予算にはどこを見ましても、この積極的な氣魄が残念ながら見出し得ないのであります。(拍手)
第三点といたしましては、三千七百円の賃金水準の維持は絶対困難であり、三千七百円給與水準の定め方に難点があると思うのであります。政府は、やみ物價の高騰率を七、八割とふんでおるようでありますが、この推定は、あまりに低過ぎると思われるのであります。もばや全面的に労組からは否定されておるのでありまするが、先般來苫米地、加藤両大臣は、労組との團体交渉開始にあたり、これの改訂のやむなきを認めておるのであります。
政府は、この三千七百円ベース維持の裏づけとして、流通秩序の確立に相当期待をかけておるようでありますが、この予算を見るときに、これまた何らの力強き裏づけを見出し得ないのであります。前片山内閣においても口ぐせのように言つたのでありますが、事実においては流通秩序の確立がなされず、次ぎ次ぎと給與水準を改訂せざるを得なかつた前車の轍を踏むものであると考えるのであります。われわれは、日常生活必需品において、くつ下一足も、ハンカチ一枚も、手ぬぐい一枚も配給を受けていないのであります。おそらく、諸君の身にまとうておる服裝のうち、一品一点といえども、政府の配給によつて得ておるものはないであろうと想像するのであります。殊に、政府が固く約束しておる農民に対する供出の裏づけとしての地下たびのごときも、福岡縣における例を申しますと、十五万農家に対してわずかに三万余足でありまして、農家五戸に一足というなさけない実情であります。かくのごとく政府の配給は、國民の生活の糧としては、ほとんど問題にならない実情で、ことごとくやみの世界の保障によつて、辛うじて國民の窮乏生活が続けられておるという実情であります。かくのごとく、政府の健全財政の裏づけなるものは、すべて空念佛にすぎないものであることは、何人といえども認めざるを得ないのであります。(拍手)
第四点として、鉄道運賃—旅客二・五五倍、貨物三・五倍の値上げには、絶対反対であります。その理由とするところは、運賃値上げが國民生活に及ぼす影響は、貨物運賃の場合よりも旅客の方が大きく、やみ物價に敏感に響くのであります。先般、私鉄あるいは乗合自動車の暫定値上げが発表せられまするや、東京におけるやみ米の價格が、ただちに六、七十円騰貴したという事実があるのであります。また、家計画における通勤費とか、あるいは旅費の割合は、戦前のそれよりも高まつているのであります。それに反し現行貨物運賃が價格構成上に占めております比重の割合から見るとき、旅客運賃の引上げよりも、貨物運賃の引上げが妥当だとわれわれは考えております。すなわち物價面における運賃の比率は、昭和十一年と現在を比較すれば、鋼材において四一四%から一・三%へ、石炭において一三・四%から四・一%へ、米は一・一%から〇・四%へと、いずれも三分の一に低下しておるものでありまして、これをもつて見ても、貨物運賃の引上げが國民経済上影響が大きく、旅客運賃が影響薄しとして、旅客運賃の引上げの率によつて貨物運賃引上率を抑えようとする政府の謬見に対しましては、われわれは断じて賛成できないのであります。
第五点といたしましては、大衆課税が軽減されていないという点であります。政府は、價格改訂が勤労所得者に加える重圧を緩和するために所得税の大幅軽減をなしたと言つておりまするが、これは國民を欺瞞するもはなはだしいものである思います。政府のいうように、基礎控除も、現行法では四千八百円のものが一万五千円に、扶養家族の控除額も四百八十円を千八百円に改正されている。しかしながら現行法は、昨年の春、給与水準一千二百円を基礎としたものであり、改正法は新給與水準三千七百円を基礎としておるのであります。本年は昨年春に比ぶれば、約三倍の収入がなければ昨年と同じ程度の生活はできないのであります。しかるがゆえに、控除額の三倍引上げは、実質的には何らの軽減にはならぬ勘定となるのであります。それでも、収入の割合に少い人には、改正税率が有利であることは間違いないが、たとい所得税の面では負担が軽くなつておつても、國民生活の他の面では、到るところに課税の伏兵が配置されております。
取引税は物品の販賣ごとにかかるのでありますから、大抵の商品は、製造業者から卸賣業者へ、卸賣業者から小賣業者への三段階を通ります。その上、それらの原料にもかかりますから、三%ないし四%になることは普通と見ねばならぬのであります。われわれが、南京豆一袋買つても、コーヒー一杯飲んでも、あるいは銭湯に行つても、床屋に行つても、行くところとして必ず税金がついてまわるのであります。そのぼか酒税、タバコ税も上る、汽車賃は二・五五倍、通信料金四倍、かくのごとく、行往坐臥到るところで小刻みに課せられるところの税の負担は、相当の税額となると言えると思うのであります。ゆえに、改正法で國民大衆の税が軽くなるなど、まつたくインチキもはなはだしいといわねばならぬと思うのであります。(拍手)殊に、地租の現行百分の二十五を百分の二百へ、宅地税を百分の二百五十への十倍に近い大幅引上げは、現在ですら過重なる課税負担にあえいでいる農村をして、さらに不均衡なる重税によつて再生産への意欲を減殺するものであつて、われわれは断じて反対せざるを得ないのであります。これを現行課税率の二倍ないし三倍ぐらいに止めることが正しい途であると考えるのであります。
最後に、政府は行政事務の整理再編成と機構の簡素合理化を行うと称しておりますけれども、これに対する誠意と眞剣さが予算面に現われておらないのであります。さらに、二十二年産米の生産者に対し、米價に対する追加拂いの必要が、先般來本院において滿場一致可決されておるにもかかわらず、政府は何らこれを予算面に表わすことなく、実行するの誠意を示さないのであります。この点につきでましては、われわれは強く追究して、その責任と、その能度を難詰したいと存ずるのであります。
かくのごとく見まするときに、今度の予算は、明らかに日本経済を破綻させ、國民生活をまます混乱と窮乏に追いこむ性格を盛り上げた予算であるという意味において、断固として反対するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/63
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064・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 東井三代次君。
〔東井三代次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/64
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065・東井三代次
○東井三代次君 私は、政府提案の予算案に三つ大きな欠点のありますことを率直に指摘申し上げたいと思います。
その第一は、この算案においては企業の赤字が毫も解消されていないことであります。周知のごとく企業の実体の再建整備は、未だその過程にありまして、完了はしていないのであります。企業の数百億円以上に上る新勘定の赤字は、今次の物價改訂によつては解消されず、おそらく固定資産の許價替を賑薄價格の三十倍ないし五十倍にしなければ、企業の赤字は解消できないと思うのであります今次の物價改計は、むしろ既存の赤字を増大する傾向さえもつておると思うのであります。すなわち、基礎資材の物價改訂に伴う第二次、舞三次の物で改訂が、現在のごとき改訂の速度で行えば、七月または八月中に完了できるかどうかということは疑問であります。
なお、價格調整費五百十五億円のわぐが決定いたしましても、二十二品目に割り当てるべき細目の金額が、未だ最終の決定に至つていなおであます。價格調整費が僅少に過ぎるという声は、すでに公聽会においても表明せられておるのでありまして、もし第二次及び第三次の製品の物償改訂が二箇月以上も遅延する場合に、企業が原斜高の製品安に見舞れれる事態が昨年と同様に起ると想像されるのであります。
さらに重大なこと、政府は物價改訂に伴う運轉資金の増大を一千億円と発表したのでありますが、通貨の膨脹を回避するために、貸出を極力引締める方針のようであります。そうして政府は、第二・四半期の通貨の発行限度を二千七百億円から二千八百億円台に維持すると発表しているのであります。各企業は、必ずしも要求するだけの運轉資金は得られないものと考えられるのであります。その結果は、有数の大企業はともかくといたしまして、しからざる企業、特に中小企業の資金難は、今後一層これに拍車をかけられるであろうと察せられるのであります。下請工場の資金難は企業の赤字増大の有力な原因となるということを考えなければならないと思うのであります。
第二点は、物價に織りこむ三千七百円の新賃金ベースが、科学的根拠においてまことに薄弱であると申し上げるのであります。石灰、電氣、繊維工業、等においては、物價に織りこむ新平均賃金は三千七百円ベース、この協定賃金がそれ以上に高いことによりまして、すでに崩壊に頻しているのであります。また三千七百円ベースの算定方法は、三次にわだつて改正され、現に第四次修正が考慮せられているのであります。しれは政府の算定方法によります三千七百想べースが、四月の全國工業平均賃金三千六百七十一円によりまして、すでに破られていることとともに、まことに不合理であることを物語るものであします。
さらに、通貨が政府予定のごとく九月末までに二千七百億再会に増加しますれば、その増加率は、七月以降毎月平均七%となりまて、物價も、この通貨増発率と同率またはそれ以上に騰貴するご考えられるのであります。その場合、物價の、騰貴は、今回の八割方の公定價格の引上げ加うるに、二割五分ないし三割方の上昇となりまして、九月末までには、おそらく十割ないし十一割の物價上昇を來すであろうと思います。かくして、消費財の八割方の騰貴と均衡しているのであります。三千七百円ベースでは、二、三割方の家計の赤字が生ずる。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/65
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066・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/66
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067・東井三代次
○東井三代次君(続) 少くとも四千五百円程度のべースでなければ、九月夫の物價との珍衡はとれないというのであります。人件費の予算單價三千七百九十一円を四千五百円に引上げる場合、約百八十億円の人件費の追加予算が必要となり、これでなければ勤労者の家計の赤字は解消されないと思うのであります。
第二点は、政府提出予算が形式的バンスのみを憂慮した結果、その当然の帰結といたしまして、支出面に計上すべき金額を金融面に轉嫁しているということであります。すなわち、二百三十四億円の交付公債、百八十億円の市中銀行の手特金復金債券への價還措置、約八百億円ないし一千億円と考えやれます價格調整費の不足、十五億円の軍事公債利拂停止による事実上の赤字公債化、二百八十億円に達する地方債の起債の必要等々を考慮いたしますときに、一千億円に及ぶ復金融資の需要等と勘案いたしまして、約二千五百億円が金融に轉嫁されているのであります。政府は、健全財政とは、一般会計、特別会計、復金融資、地方財政等はわたり資金の需要供給を均衡させみことにあると申しておられるのでありますが、事実はまつたく均衝しておらない。
次に、財政収支の時期的ずれが昨年以上の巨額に上ることが、この手算の不均衝の結果として当然予想されるのであります。
〔「賛成か反対か、はつきりしろ」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/67
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068・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/68
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069・東井三代次
○東井三代次君(続) すなわち、四月以降六月二十日までの本年度の歳入総計二百六十三億円に対しまして……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/69
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070・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/70
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071・東井三代次
○東井三代次君(続) 支出総計六百三十二億円であり、今日までに、すでに一般会計におきまして三百七十億円の収入不足を生じている現状であります。かくて、その収入のずれは、十月までには優に四、五百億円に達するものと確実に予想せられるのであります。
この点より、通貨の膨脹は必至の勢いでありますが、他面また政府の資金引締め政策は、おそらく今日までの政府支拂延期の支拂を急がればならぬ関係上、その効果を半減されるのではないかと考えられるのであります。しかしながら、政府は一方におきまして、貸出を引締めるという強固な決意を有している模様であります。しかしこれは、終戦処理費、價格調整費、公共事業費、地方財政費、官公廳給與等のごとき、どうしても支出せばならぬ政府資金の散布の必要とまつたく矛盾衝突するものであり……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/71
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072・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/72
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073・東井三代次
○東井三代次君(続) その結果は、結局中小企業の資金難と、その赤字のみを増大しまして、通貨の発行が膨張するにもかかわらず……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/73
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074・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/74
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075・東井三代次
○東井三代次君(続) 勤労階級や中小企業は、現在以上に資金難と家計の赤字に困却するという事態を惹起をする懸念のまことに大なるものがあるのであります。
以上の三点について私は本予算の欠点を率直に披歴申し上げたのであります。今回政府は、本予算を修正されたのであります。まず歳出の面におきまして、第一、公共事業費及び教育文化費等文教関係におきまして約九億円の増加、第二、災害復旧及び引揚者関係におきまして約八億円の増加、第三恩給費及び國会費等人件費において約八億円の増加、合計二十五億円の追加をしているのであります。考え方としては、いかにももつともであります。
次に歳入の面におきましては、第一は、大衆課税の非難を浴びておりました旅客運賃の高率の倍率が低減されましたこと、第二は、インフレ激成のもとと見られましたところの取引高税の免除品目が増加されましたこと、第三は、高額利得者及びインフレ利得者に対する課税が加重されましたこと、これはきわめて常識的であり、またきわめて健全な方向に向いたものと考えるのであります。
なお、ここに私が一言附加しておきたいことは、以上申し述べた本修正予算の歳出減及び歳入増によります財源約二百四十四億円中、その約九〇%の二百二億円が、國鉄及び通信両特別会計の赤字補填に充当されていることであります。政府事業再建費のこの増加によつて、國鉄及び通信両特別会計への一般会計からの繰入は、実に三百五十億円に達し、昭和二十三年度一般会計修正予算総額四千百四千四億余円の八・五%に及んでいるのであります。生産施設の荒廃、資材の不足、配線の不円滑から起つてくる旅客列車の混雑、劣悪な採炭事情によります高熱省用炭の入手不能、やみ物資の輸送と、倉庫化した貨車の使用のために生ずる効率的配車の困難、あるいは資本構成の高度化ができないための従業員の増加と人件費の累増等々、そのいずれを取上げても、今日の日本経済の弱点を表現しておるものにほかならないのであります。この両特別会計の現状こそは、すなわち、わが國刻下のインフレの実態的縮図であると申して過言ではないと思うのであります。
政府は、この修正予算の実行に当たりまして、極力インフレ要因の排除に対して全力を傾倒すべきであると考えるのであります。すなわち、政府は予算の支出に際しましては、支拂の抑制や延期というがごとき姑息な手段でなく、発注そのものを抑制、制限すべきであり、また収支の時間的ずれで、六百億円の大蔵省証券のほとんど全部を発行せざるを得ないような始末にならないよう、四半期別収支計画の科学的確立が絶対に要請されるのであります。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/75
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076・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/76
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077・東井三代次
○東井三代次君(続) 政府が中間安定の準備期といわれます七月以降九月までの三箇月間において、いかなるインフレ処理策忍講ずるか、そこにわが國経済再建のかぎがあり、他面また政府の政治経済施策の能力の試金石があると私に断ずるのであります。
最後に私は、國会が予算編成の当初から政府と十分密接な連絡をとりまして、國会側の意見が強烈かつ十分に政府側並びに関係方面に反映徹底していたならば、今回のような結果は断じて起らなかつたと思うのであります。この点において、予算編成過程における政府の秘密主義と官僚主義に対しまして遺憾の意を表し、今後の徹底的改善を望むものであります。
以上、本予算案には幾多の欠陷を藏しておることは前述の通りでありますが、この修正において、われわれが欲する方向へ修正されたことを了承し、かつは諸般の事情を勘案いたしまして、私は本予算案に賛成の意を表するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/77
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078・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 野坂參三君。
〔野坂參三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/78
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079・野坂參三
○野坂參三君 私は、日本共産党を代表しまして、この予算原案に対して全面的な反対をここで主張するものであります。但し私たちの反対は、民主自由党の反対される理由と立場に対して根本的に違うことを一言申し上げます。
先ほど民主自由党のここで提案されました修正案を見ましたときに、これと與党側の出された原案と比べてみて、われわれの感ずるところは、この予算を編成するその立場と利益とが完全に一致しておること、與党の立場と民主自由党の立場と根本的には同じである、階級的な立場が同じである、これをわれわれは、はつきり見ることができると思うのです。私たち共産党の立場は、これはすでに皆さんも御承知のように、われわれこそ眞実に日本の勤労大衆の立場をあくまでも護つていく、この立場から、われわれはこの予算案に反対するのである。
さて、私たちの反対の理由を、できるだけ簡単にここで申し上げたいと思いますが、まず第一に、この予算案は編成の基礎を欠いていること、これはさきに北君からも由されましたが、米價というものについて、現在政府は何らの発表をしていない。この点については、私が本会議においても農林大臣にお伺いしたところ、農林大臣は、今日に至るまで何の御回答もない。おそらく政府には、この米價をきめずに、この秋とか冬まで、そのまま、ほおかむりして済ましていこうという魂胆があるに違いない。この議会において十六月十日ですが、ここに全党の共同提案として、米價を早くきめてもらいたい、この決議がされている。政府当局においても、これについて、皆さんの意見を尊重して善処すると言われたにもかかわらず、今日まで、まだ何らの回答がない。(拍手)しかし、この米價の基準がきまらないで、どうして一体賃金がきまるものであるか。従つてまた、予算全体がどうしてきまるものであるか。このようにして根拠がない。
第二には三千七百円べースの問題。これも加藤労働大臣がしばしばここで申されましたように、これ巨体加藤労働大臣が不滿をもち、これは決して保てないということをここで明言されておる。しかも、この三千七百円の問題は、今團体交渉によつて政府と交渉中である。何らここで決定されていない。こういうようにして不安定な、まだ何ら決定されていないものを、これを土台にしてこの予算が組まれておる。從つて、私がまず第一に申し上げたいことは、予算の基礎が全然ない、足がないということである。それで芦田内閣だ。
さてそれから、この予算案は國民所得に対して著しく過重であること、これは先ほどここで鈴木委員長さえも、これに類するような言葉を申されておる。すなわち國民所得に対する歳出の割合は、一般会計だけで二割五分であり、特別会計を合わせると五割に達しておる。これは歳出です。いかに過重であるかがよくわかる。昨年の比率を見ますと、あの三割七分に比べて、今日はこれが五割に上つておる。人民の苦痛がもう耐えられないところまで來ておることは、はつきりわかつておると思う。従つてわれわれは、このような予算には絶対に賛成することができない。
第三には、人民の税負担はすでに頂点に達している。歳入の約七割が大衆負担であり、中央。地方を通じた平均一世帯当り税負担は月額二千円に及び昨年の九百五十円に比べると、約二・一倍の重税である。実に平均一世帯当りの收人の約三割が収奪されておる。これが今度社会党、民主党及び國民協同党が共同で提案された税であります。
第四の理由は、今度の予算は産業の再建に役立つていない。この点において、鈴木委員長も同じようなことを申されておる。しかも、大資本家擁護の支出が約八割を占めておる。この支出は、ただに無用であるばかりでなく、かえつてインフレを促進する。これらの徹底的に削減すべき支出は、一般会計だけでも、われわれの計算するところによると約二千億ある。これだけのむだなものが費されておる。このような予算に、われわれは絶対に反対する。
第五番目には、この厖大な歳出は、大資本家と高級官僚、これらと結びつく保守政治家の食い物になつておる。ここ一切の政治的腐敗の根源がある。たとえば土木建築費は、一般会計歳出の中で約三割三分を占めておる。昨年の歳出は二割五分であつたが、今年のこれは三割三分になり、今度の予算は結局土木建築予算ということもできる。あの一部の政治家、政党と結びついて、今不当財産取引委員会によつて暴露されておるような、あの臭い醜事実、腐敗の事実が、ここに結びつけられておる。根本の原因がここにある。第六の理由としては、この予算案の前提になつておる外資導入は、不安定であるだけでなく、これは少数の独占資本の利益のため使われる。このようなやり方では、かえつてインフレを高進し、自主的再建を妨げるものである。この点については、私は前に本会議において相当詳しく述べましたから、これ以上述べません。以上申し上げたことを要約的に申し上げますれば、結局この予算案を執行するときは、インフレの高進、人民生活の破綻は必至である。と同時に、経済再建は不能となり、おそらく独占資本の支配体制のみが強化されることとなる。さらにこれは、自主的再建を捨てて民族を破滅させる亡國予算である。しかし、われわれ共産党は、單にこの予算に反対するだけはでなく、この予算を新しい個別の無産階級的の立場から編成し直さなければならぬということを主張しております。われわれは、この予算案を編成し直さなければならぬが、これについてわれわれの見解は、八つの條件をここで申し上げようと思う。われわれは、次のような前提のもとに、この予算の全組替を要求する。
第一、物價の引上げを絶対的に行わないこと、たとえば運賃、通信料金、授業料、タバコ、こういうものの値上げを行わないこと、これがわれわれの予算編成の基準でなければならぬ。第二には、全官公職員の給與は、少くとも手取り五千二百円を確保しなければならない。第三には、二十二年度産米の限界生産費は四千円であつたが、これを考慮し、再生睦を可能ならしむるごとく米價を改訂し、その差額を農民に追加支拂いをすること。第四の基準は、大衆の生活安定のための給與、教育文化費を大幅に増額すること。(そんなことは組めない」と呼ぶ者あり)組める。第五番目には、産業再建、災害復旧のための経費、農業のための土地改良、治山治水の費用を増額すること。
第六の條件としては、非再生産的、大資本家擁護の歳出を徹底的に消滅すること。やろうと思えば、いくらでもできます。
第七番目には、大やみ脱税を、税の人民管理によつて徹底的に徴收し、地方所得税の免税点を大幅に引上げる。われわれは、少くとも所得税の免税点を、本年度年收二十万円程度にしなければならないことを主張したい。さらに大所得者に高率累進税を課し、超過法人税率を引上げ、生活必需品の消費税、物品税、通行税、農業協同組合等すべての特別法人税を廃止し、取引高税を撤回する。
最後に、教員の給與、生活保護費等の全額國庫負担により、また所得税配付税の増額により地方財政の破綻を救済し、地租、家屋税の引上げ中止、事業税、電氣ガス税の新設を撤回、入場税の廃止を行うこと。この八つの條件のもとに、われわれは新しい予算の編成を主張しなければならない。以上、すべて言つたことは、結局これらは眞実の意味の健全財政を実現する方法であるが、さらにわが党は金融機関と重要産業の國営、人民管理を断行し、これによつてインフレとやみを絶滅し、財政の基礎を確立し、自主的経済再建と人民生活の安定向上を期するものである。
さて私は、今日までわが國の議会または國会が九十数回開かれておりますが、この開かれた國会の中で、未だ一度も予算委員会で予算案が否決されたという事実はありません。(「しかりしかり」と呼ぶ者あり、拍手)しかも、今日のこの会議で最後には多数で可決されるかもしれないが、しかしながら、今日までの日本の國会の歴史の上で、予算案に対する賛否の投票の差の一番少なかつたのでも、第四十四議会において百三十四の差があつた。しかし、今晩ここで可決される場合には、わずかに数十名の差であります。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/79
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080・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/80
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081・野坂參三
○野坂參三君(続) わずかに数十名の差しかないに違いない。(拍手)この二つの事実を見ただけでも、予算委員会で否決されたこの予算案がここに上程され、そこでわれわれが数十名の差で通過する。この運命を担つた予算案は、すなわち日本の國民大衆の怨嗟の的である。最近、通信料金の値上げに対する反対の署名が二千五百万もあつて、三台のトラックでここへ運んできておる。この事実を見ただけでも、この予算がいかに大衆収奪であつて、大衆の恨みの的であるかということが、よくわかる。(拍手)この予算案が通過するならば、ただこれによつて喜ぶのは大資本家である。しかも、この大衆收奪的の予算案に対して、勤労者の味方を主張し、社会主義を主張される社会党の諸君が賛成されるということ。(拍手)しかし、社会党の中にも硬骨漢がある。日本の社会主義の先輩としての荒畑氏が、先ほど、この社会党がすでに社会主義の実を失つたという理由によつて、社会党から脱党されたということを、われわれは聞いておる。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/81
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082・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/82
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083・野坂參三
○野坂參三君(続) しかも予算委員会においては、すでに三人の社会党員が反対されておる。もうすでに社会党自身が崩れできておるではないか。(拍手)これはすなわち、大衆は社会党から離れてきておる、これはすでに芦田内閣の地盤が崩れてきておるということである。われわれは、この予算案に反対するとともに、芦田内閣がただちにここで総辞職することを要求するものである。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/83
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084・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 世耕弘一君。
〔世耕弘一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/84
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085・世耕弘一
○世耕弘一君 私は、日本自由党を代表いたしまして、簡單に本予算に賛成の意を表したいと思うのであります。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/85
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086・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。椎熊君、着席を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/86
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087・世耕弘一
○世耕弘一君(続) 私が述べたいと思うことは、今回提出された本予算を通覧いたしますと、依然として官僚統制の基盤に立つておるということが明らかにうかがえるのであります。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/87
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088・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 山本君、靜粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/88
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089・世耕弘一
○世耕弘一君(続) たとえば、月額百億円に達するところの統制関係に要する額は、年間通算いたしますると、結局千二百億以上に達するのであります。この統制関係の経費を見ますと、いかに統制経済の弊害が明らかであるかということがうかがえるのであります。從つて、國民大衆が要望するところの……。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/89
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090・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 小澤君、靜粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/90
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091・世耕弘一
○世耕弘一君(続) 今申し上げましたごとく、統制経済の予算がいかに日本の産業を阻止しておるかということを言い表わすことができるのであります。しかも、本予算を、あくまでも愼重な態度で決定するものとするならば、かくのごとき予算案の内容について、むしろ檢討することが必要ではないかと思うのであります。
今、統制経済関係の額をば通算して、みますと、一箇年において千二百億のほかに、終戰処理費をかりに一千億とたとえますと、二千億円の数字が出てくるのであります。かかる予算が、しかも非生産的な経費に消費されるということも、われわれは見逃すことができないのであります。國民大衆の要望は、今日ひとしく自由経済を要望しているのであります。ところが、この予算をながめてみましたところが、自由経済に移行すべき予算が計上されておらないということは、はなはだ遺憾に思うのであります。しかし、これも現在の政情がかくあらしめたものといたしまして、わが党は内外の情勢を察知いたしまして、大乗的見地から本予算に賛成する次第であります。
次に、わが党がさきに本会議において指摘した通り、運賃その他が一應妥結したことは、この際適当と思われるが、本予算が國民生活の安定とインフレ阻止の対策……
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/91
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092・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/92
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093・世耕弘一
○世耕弘一君(続) すなわち健全財政としては國民の期待を裏切り、かえつて將來大いなる不安を醸成せしめた点が多いように思われるのであります。よつて政府は、今後國民の要望を十分検討されて、いわゆる民意のあるところをよく暢達し、また進んで國民経済の復興、と発達を促すために、たとえば積極的方面の施策として一例を示せば、農漁村関係における金融金庫のごとき積極的な施策をどしどし、樹立するように努力せられんことを望むのであります。思うに、今後予算編成にあたり、特に國民生活に直結する実質予算の編成をなすべきことを、特に注意を拂つてもらいたいと思うのであります。なおまた本予算を……。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/93
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094・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 同僚の言論に敬意を表してください。静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/94
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095・世耕弘一
○世耕弘一君(続) 本予算を通じて見ましても、未だ芦田内閣の性格が現われておりません。願わくば、今後の予算編成にあたりまして、この点に特に留意されて、万全を期せられんことを特に警告発して、本予算に賛成する次第であります。
なお私は、この機会に申上げたい。特に民自党の諸君に申し上げたい。私は、本予算に対して公平なる立場において論議しておるものであります。(拍手)ただ單純な、感情的な氣分で物事をはかるような軽薄な気分はもつておらぬ。われわれの希望するところは、國家の重大時期にあたつて、冷静なる立場において國事を処理するということが、われわれの本務であると考えるからであります。(拍手)
以上を述べて、本予算に賛成の意を表します。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/95
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096・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
この採決は起立採決をもつていたしたいと思います。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/96
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097・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) これより採決に入ります。まず、大原博夫君提出の、昭和二十三年度一般会計予算に対する修正案につき採決いたします。この採決は起立採決をもつていたしたいと思います。この修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/97
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098・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 起立少数。よつて大原君提出の修正案は否決いたしました。(拍手)
次に、植原悦二郎君外一名提出の、昭和二十三年度一般会計予算に対する修正案及び昭和二十三年度特別会計予算に対する修正案を一括して採決いたします。この採決もまた起立採決をもつていたしたいと思います。この両修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/98
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099・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 起立少数。よつて植原君外一名提出の両修正案は否決いたしました。(拍手)
次に、昭和二十二年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算の両予算を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/99
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100・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 次に、昭和二十三年度一般会計予算及び昭和三十三年度特別会計予算の両予算を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。両予算を原案の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
氏名点呼を命じます。
〔参事氏名を点呼〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/100
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101・松岡駒吉
○議員(松岡駒吉君) 投票漏れはありませんか。
〔「あり」と呼び。その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/101
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102・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。投票漏れはありませんか。投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
投票計算いたさせます。
〔参事投票の数を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/102
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103・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
〔事務総長朗読〕
投票総数 三百九十三
可とする者(白票) 二百十七
否とする者(青票) 百七十六
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/103
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104・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 右の結果、昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算は原案の通り決定いたしました。(拍手)
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〔参 照〕
両予算を原案の通り決するを可とする議員の氏名
赤松 勇君 淺沼稻次郎君
井伊 誠一君 井上 良次君
井谷 正吉君 伊瀬幸太郎君
伊藤卯四郎君 猪俣 浩三君
池谷 信一君 石井 繁丸君
石神 啓吾君 石川金次郎君
稻村 順三君 今澄 勇君
受田 新吉君 海野 三朗君
大島 義晴君 大矢 省三君
加藤 勘十君 加藤 靜雄君
花月 純誠君 笠原 貞造君
梶川 靜雄君 片山 哲君
勝間田清一君 金子益太郎君
上林與市郎君 川合 彰武君
川島 金次君 河井 榮藏君
河合 義一君 菊川 忠雄君
菊池 重作君 清澤 俊英君
久保田鶴松君 金野 定吉君
佐々木更三君 佐竹 新市君
佐藤觀次郎君 榊原 千代君
笹口 晃君 重井 鹿治君
島上善五郎君 島田 晋作君
庄司 彦男君 鈴木茂三郎君
鈴木 義男君 田中織之進君
田中 松月君 田中 稔男君
田淵 実夫君 高津 正道君
竹内 克巳君 竹谷源太郎君
辻井民之助君 土井 直作君
戸叶 里子君 冨吉 榮二君
中崎 敏君 永井勝次郎君
永江 一夫君 成瀬喜五郎君
成田 知巳君 西尾 末廣君
西村 榮一君 野上 健次君
野溝 勝君 馬場 秀夫君
林 大作君 原 彪之助君
福田 昌子君 藤原繁太郎君
細川 隆元君 細野三千雄君
前田榮之助君 前田 種男君
正木 清君 松尾 トシ君
松澤 兼人君 松永 義雄君
松原喜之次君 松本 七郎君
松本 淳造君 萬田 五郎君
溝淵松太郎君 水谷長三郎君
武藤運十郎君 村尾 薩男君
守田 道輔君 森 三樹二君
森戸 辰男君 師岡 榮一君
司 亮君 八百板 正君
矢尾喜三郎君 矢後 嘉藏君
安平 鹿一君 山口 靜江君
山崎 道子君 山下 榮二君
山花 秀雄君 山本 幸一君
吉川 兼光君 米窪 滿亮君
安東 義良君 芦田 均君
天野 久君 荒木萬壽夫君
伊藤 恭一君 生悦佳貞太郎君
荊木 一久君 打出 信行君
馬越 晃君 梅林 時雄君
小川 牛夫君 小野 孝君
岡野 繁藏君 押川 定秋君
金光 義郎君 川崎 秀二君
神山 榮一君 木村小左衞門君
喜多楢治郎君 北村徳太郎君
栗田 英男君 小坂善太郎君
小島 撤三君 小林 運美君
小松 勇次君 五坪 茂雄君
後藤 悦治君 佐伯 宗義君
坂口 主税君 櫻内 義縦君
志賀健次郎君 椎熊 三郎君
鈴木 強平君 関根 久藏君
園田 直君 田島 房邦君
田中源三郎君 田中 豊君
高岡 忠弘君 高橋清治郎君
高橋 禎一君 高橋 長治君
竹田 儀一君 武田 キヨ君
橘 直治君 圖司 安正君
佃 良一君 寺島隆太郎君
苫米地義三君 中垣 國男君
中島 茂喜君 中曽根康弘君
中村 俊夫君 中村 又一君
長野 長廣君 長野重右ェ門君
成島 憲子君 西田 隆男君
西山冨佐太君 橋本 金一君
原 彪君 坂東幸太郎君
一松 定吉君 福田 繁芳君
舟崎 由之君 細川八十八君
堀川 恭平君 三好 竹勇君
村瀬 宣親君 最上 英子君
八並 達男君 矢野 政男君
安田 幹太君 山崎 岩男君
山下 春江君 吉田 安君
米田 吉盛君 早稻田柳右エ門君
井出一太郎君 石田 一松君
今井 耕君 大島 多藏君
岡田 勢一君 川越 博君
川野 芳潤君 木下 榮君
吉川 久衛君 黒岩 重治君
小技 一雄君 河野 金昇君
笹森 順造君 多賀 安郎君
竹山祐太郎君 坪井 亀藏君
豊澤 豊雄君 内藤 友明君
野本 品吉君 半川 篤雄君
船田 享二君 松原 一彦君
松本 瀧藏君 的場金右衞門君
三木 武夫君 谷口 武雄君
東井三代次君 大瀧亀代司君
川橋豊治郎君 世耕 弘一君
中野 寅吉君 本田 英作君
小津專七郎君 鈴木彌五郎君
寺本 齋君
否とする議員の氏名
再木 孝義君 青柳 高一君
淺判 三朗君 東 舜英君
有田 二郎君 井上 知治君
伊藤 郷一君 石田 博英君
石原 圓吉君 石原 登君
泉山 三六君 磯崎 貞序君
稻田 直道君 今村 忠助君
岩本 信行君 植原悦二郎君
内海 安吉君 江崎 真澄君
小笠原八十美君 川原 政信君
小澤姓重喜君 尾崎 末吉君
生越 三郎君 大石、武一君
大内 一郎君 大上 司君
大澤嘉平治君 大野 俘睦君
大村 清一君 岡井藤志郎君
岡村利右衞門君 鍛冶 良作君
角田 幸吉君 柏原 義則君
上林山榮吉君 川村善八郎君
神田 博君 菊池 義郎君
工藤 鐵男君 倉石 忠雄君
栗山長次郎君 小千 久雄君
古賀喜太郎君 近藤 鶴代君
佐々木秀世君 佐々木盛雄君
佐瀬 昌三君 佐藤 通吉君
齋藤 隆夫君 坂田 道太君
坂本 賢君 重富 一嘉君
幣原喜重郎君 澁谷雄太郎君
島村 一郎君 庄 忠人君
庄司 一郎君 白井 佐吉君
周東 英雄君 鈴木里一郎君
鈴木 仙八君 鈴木 正文君
鈴木 明良君 關内 正一君
千賀 康治君 田口助太郎君
田中 角榮君 田中 萬逸君
田村 虎二君 多田 勇君
高田 弥市君 高橋 英吉君
竹尾 弌君 塚田十一郎君
達 寛一君 綱島 正興君
圓谷 光衞君 冨田 照君
冨永格五郎君 中嶋 勝一君
中島 守利君 中野 武雄君
中山 マサ君 中村 嘉壽君
神西 憲治君 長尾 達生君
夏堀源三郎君 西村 久之君
根本龍太郎君 野原 正勝君
花村 四郎君 林 讓治君
原 健三郎君 原 孝吉君
原田 憲君 平井 義一君
平津 長吉君 平島 良二君
廣川 弘禪君 深津玉一郎君
淵上房太郎君 降旗 徳弥君
星島 二郎君 本多 市郎君
本間 俊一君 前田 郁君
前田 正男君 益谷 秀次君
増田甲子七君 松井 豊吉君
松浦 榮君 松浦 東介君
松木 弘君 松崎 朝治君
松田 正一君 三浦寅之助君
水田三喜男君 水谷 昇君
明禮輝三郎君 武藤 嘉一君
村上 勇君 村上 清治君
森直 次一君 八木 一郎君
梁井 淳二君 山口喜久一郎君
山口 好一君 山口六郎次君
山崎 猛君 山名 議芳君
山村新治郎君 山本 猛夫君
吉田 茂君 若松 虎雄君
渡邊 良夫君 亘 四郎君
荒畑 勝三君 石野 久男君
太田 典禮君 岡田 春夫君
黒田 寿男君 境 一雄君
館 俊三君 玉井 祐吉君
野老 誠君 中原 健次君
松谷天光光君 山中日露史君
大石ヨシエ君 大原 博夫君
大神 善吉君 叶 凸君
佐竹 晴記君 田中 健吉君
高瀬 傳君 成重 光眞君
早川 崇君 平工 喜市君
藤田 榮君 松澤 一君
宮村 又八君 斎藤 昇君
只野直三郎君 中村元治郎君
堀江 實藏君 山口 武秀君
河口 陽一君 北 二郎君
高倉 定助君 寺崎 覺君
中野 四郎君 中村 寅太君
木村 榮君 徳田 球一君
野坂 參三君 林 百郎君
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/104
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105・笹口晃
○笹口晃君 午後四時まで休憩されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/105
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106・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/106
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107・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつてこの際、午後四時まで休憩いたします。
午前四時四十七分休憩
————◇—————
午後七時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/107
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108・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/108
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109・笹口晃
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、所得税法の一部を改正する等の法律案、取引高税法案、國有鉄道事業特別会計及び通信事業特別会計における事業運営以外の行政に要する経費の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、薪炭需給調節特別会計法の一部を改正する法律案、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律案及び連合國占領軍の管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属の地金の連合國占領軍に対する引渡に関する法律案の六案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/109
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110・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/110
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111・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
所得税法の一部を改正する等の法律案、取引高税法案、國有鉄道事業特別会計及び通信事業特別会計における事業運営以外行政に要する経費の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、薪炭需給調節特別会計法の一部を改正する法律案、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律案、連合國占領軍の管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属地金の連合國占領軍に対する引渡に関する法律案、右六案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長早稻田柳右エ門君。
〔早稻田柳右エ門君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/111
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112・早稻田柳右エ門
○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました法案について、逐次御報告を申し上げます。
まず、所得税の一部を改正する等の法律案及び取引高税法案の委員会における審議の経過並びに結果でありますが、両法案は、その重要性に鑑み、詳細な報告書を用意いたしたのでありますが、右詳細な報告は、特に議長にお願いたしまして会議録に参考として登載していただくことにし、ただいまは、きわめて簡単に、議事の進行上必要欠くべからざる点のみ要約して御報告申し上げたいと思います。政府が、最近における賃金、物價等経済諸情勢の推移に應じて國民の租税負担を調整合理化するとともに、財政需要に対應して租税収入を確保する等のため所得税法その他に対し行わんとする改正の要点は、すでに御承知の通り、所得税の税率の大幅引下げ、勤労控途、基礎控途、扶養控除の引上げ、法人税の軽減とともに、有償証券移轉視、相続税、通行税、酒税、砂糖消費税、物品税を繪徴し、併せて取引高税を創設し、なお國税犯則取締法を制定せんとすることなどであります。
この法案は、去る六月八日、本委員会に付託されましたが、本委員会は、この議案の重要性に鑑みまして、十六、十七の両日にわたり、学界、財界その他各界代表の意見を聴きました。その意見中には、貨幣價値の変動に顧み減價倍数制度を提唱するもの、勤労大衆の租税負担をさらに一層軽減せよと叫ぶもの、食糧増産の見地から農民負越の過重を訴えるもの等があり、特に取引高税については、それぞれの見地から賛否両論が述べられました。
公聴会が終了して、いよいよ本格的な質疑に入り、委員と政府との間に、あるいは税制の根本問題につき、あるいは税務執行の実情につき、白熱的な論戰が連日にわたり鬪わされました。委員諸君は、一、二の例外を除き、ほとんど全員が発言せられたのでありますが、そのうち注目すべき意見は、税制改正と外資導入との関係、所得の更正決定に対する國民不滿の状況、今回の税制改正の大衆重課税的傾向、課税標準の民主的決定方法、基礎控除と最低生活費との関係などに関する論議でありました。取引高税の創設については、これが物價に及ぼす影響、脱税防止の困難等が論議の中心となりました。
かくて、七月一日質疑を打切り、翌二日討論採決に入りましたが、修正案は、社会革新党の本藤委員、第一議員倶薬部の堀江委員より、また第一議員倶樂部の堀江委員を除く各派共同提出案になる修正案と、社会党、民主党、國民協同党の三派共同提出案になる修正案とを社会党の川合委員より提出されました。また取引高税法案については、民主党の梅林委員より社会党、民主党、國民協同党の三派共同提案になる修正案が提出されました。これより逐次その修正案を申し上げます。
まず革新党の本藤委員より、所得税法の一部を改正する等の法律案について、第十二條第一項の「一万五千円」を「三万円」にするという修正案が出ました。
節一議員倶楽部の堀江委員よりは、基礎控除を六万円に引上げる。二十五万円以上の所得に対する課税を一〇%ずつ引上げる、勤労控除三五%以上とすること、農業所得につついても、勤労所得並に三五%の勤労控除を認める。必要経費を再生産につ必要な程度に量ること、民主的な委員会を設けること、團体交渉権を認めよ、法人税の普通所得も超過房得も減免をしないこと、という修正案が提出されました。
さらに社会党の川合委員より、第一議員倶楽部の堀江委員を除く各派共同提案に成る修正案が出ました。
それは、原案の第五條通行税法の一部敗正中、附則の改正規定中「(昭和三十三年第 号とを削る。
第十二條物品税法の一部改正中、第一條第一項の改正規定の中の第一種第三十八号中「、玉露」を削る。
第二十三條関税法の一部改正中、第百一條の三中「場合ニ限ル」を「海上保安官トス」に改め、「二於テ税関官吏の要求アル場合」及び「港域外ノ」を削り、「在ラサル場合又ハ税関官吏ノ要求アル場合ニ限リ犯則事件二関スル事務」を[要求アル場合又ハ税関官吏ノ在ラサル場合ハ本法違反事件人予防及取締」に改める。第百一條ノ四中「犯則事件を発見又ハ」を「本法違反事件ヲ発見シ又ハ関税法規ノ」に改める。
第二十四條横須賀港を開港に指定する等の法律の一部改正中、昭和二十三年法律第号)」を削る。
第三十九條施行期日中、「昭和二十三年七月一日」を「公布の日」に改め、「適用し、」の下に「通行税法第二條から第八條まで及び同法附則の改正規定は、政令で定める日から、」を加え、「(昭和二十二年法律第 号)」とを削る。
第四十四條通行税法に関する経過規定中、「この法律」を「通行税法第二條から第八條まで及び同法附則の改正規定」に改める。以上であります。
さらに川合君提出の與党三派共同提案に成る修正案を申し上げます。
所得税法の一部を改正する等の法律案中一部修正案、所得税法の一部を改正する等の法律案中次のように修正する。
第一條 所得税法の一部改正中、第十二條第一項の改正規定を次のように改める。第十三條第一項中「一万円以下の金額百分の二十、一万円を超える金額百分の二十五、一万五千円を超える金額百分の三十、二万円を超える金額百分の三十五、三万用を超える金額百分の四十、四万円を起える金額百分の四十五、五万円を超える金額百分の五十、七万円を超える金額百分の五十七、九万円を超える金額百盆六十四、十二万円を超える金額百分の六十八、十五万円を超える金額百分の七十二、二十万円を超える金額百分の七十六、二十五万円を超える金額百分の八十、三十万円を超える金額百分の八十二、五十万円を超える金額百分のん十四、百万円を超える金額百分の八十五。」を「二万円以下の金額百分の三十、二万円を超える金額百分の二十五、四万円を超える金額百分の三十、七万円を超える金額百分の三十五、十万円を超える金額百分の四十、十五万円を超える金額百分の四十五、二十万円を超える金額百分の五十、一十五万円を超える金額百分の五十五、三十万円を超える金額百分の六十、五十万円を超える金額百分の六十五、七十万円を超える金額百分の七十、百万円を超える金額百分の七十五、二百万円を超える金額百分の八十、五百万円を超える金額百分の八十五」に改める。第十三條第二項及び第三項の改正規定を削る。以上であります。
さらに民主党の梅林君より、與党三派共同提案に成る取引高税法案に対する修正案が提出されました。その修正案は次の通りであります。
取引高税法案中次の箇所を修正する
第二條第一項第三十五号を削り、同項第三十六号の「理容業」の下に「(理髪業を除く。)」を加え、同号を第三十五号とし、以下順次一号ずつ繰り上げる。
第七條第七号の次に次の一号を加え、第八号を第九号とし、域下順次一号ずつ操り下げる。
「八 そ菜及び鮮魚介並びにみそ、しようゆ、牛乳その他の臨時物資需給調整法(昭和二十よ年法律第三十二号)に基いて配給される食料品及び燃料で命令で定めるものの製造、取次及び販費」
第九條第一項第五号中「拂込保険料額」の下に「(但し、再保険契約に基いて収入するものを除く。以下同じ。)」を加える。第三十二條第三項中「第四十号」を「第三十九号」に改める。
第四十九條第一項及び簿二項並びに第五十條第一項中「昭和二十三年七月一日」を「この法律の一公布の日」に改める。以上であります。次いで討論に入り、民主自由党を代表して大上委員は、所得税の改正案は不滿足ではあるが、國家財政全体の立場からやむを得ず政府原案に賛成し、取引高税法案には反対である旨を述べられ、社会党代表の中崎委員は、所得税に関する川合君並びに梅林君の修正案には賛成である。社会革新党の修正案は、趣旨は諒としたいが、國家財政の実情から賛成」がたい。また堀江君の修正案は現実に目をおおわんとするものであつて、反対であり、取引高税は望ましいものとは思わないが、國家財政上やむを得ない。運用に関しては、脱税等の危険なきよう十分に留意してほしいど述べて賛成せられたのであります。また民主党の梅林委員も中崎委員とほぼ同様趣旨の意見を述べられ、さらに税務官吏の質的向上につき教育機関設置の要望があり、るる賛成意見を述べられました。
かくて討論を終り、採決に入りまして、まず所得税法の一部を改正する等の法律案について採決の結果、社会革新党の修正案は少数をもつて否決、堀江委員の修正案も少数をもつて否決されました。川合君提出の第一議員倶楽部堀江委員を除く與党玉液共同の修正案は多数をもつて可決、同じく川合君提出の與党三瓶共同の修正案も多数をもつて可決せられました。また修正部分を除く原案についても多数をもつて可決せられ、よつて所得税法の一部を改正する等の法律案は修正議決となつたのであります。次に、取引高税法案の採決の結果について申し上げまするが、梅村君よりの異常三法共同の修正案及び修正部分を除く原案は、いずれも賛成多数をもつて可決、よつて太法案も修正議決となりました。なお、國民協同党の西藤委員より、農業所得の計算方法について申出があり、政府当局はごれを了承しました。その内容については、会議録をごらん願いたいと存じます。以上が、取引高税法案並びに所得税法の一部を改正する等の法律案の審議の概要であります。
次は、國有鉄道事業特別会計及び通信事業特別会計における事業運営以外の行政に要する経費の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案についてでありますが、國有鉄道事業特別会計の所属として経理している経費のうち、事業運営以外の行政に要する経費と認められるものりにつきましては、この会計がいわゆる企業会計でありますので、その事業等の企業的な運営に資し、かつその健全な発達に資するために、その財源は一般会計から同特別会計に繰入れることといたそうとするのが本案であります。
本案については、六月十五日審議をいたし、一七月二日、討論を省略し採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決いたした次第であります。
次は、薪炭需給調節特別会計法の一部を改正する法律案であります。
今回改正しようといたしまする点は、次の二点であります。第一点は、薪炭証券、借入金及び一時借入金の限度額の引上げに関する改正でありまして、現在その最高額は三十億円となつておるのでありますが、山元における手持量の増加、近く実施される登録店舗制及び物價改訂に伴う薪炭の買入價格の引上け等により、薪炭の最も手持量の多い九月におきまして約五十五億円の資金を必要とする予定でありますので、限度額を五十五億円に引上げることにいたそうとするのであります。第二点は、薪炭買入代金の支拂方法の整備に関する改正でございまして、從來はもつぱら農林中央金庫を通じて支拂いを行つてきたのでありますが、今般農業協同組合、農業会または市中銀行においても、これが支拂いを受けることができることとし、これに必要な改正措置を講じたのが本案であります。
去る六月十五日提案理由の説明を聴取し、その後二回にわたつて慎重に審議いたしました結果、七月二日、國民協同党の井出一太郎委員より次のような各派協同提案になる修正案が提出されました。今修正案を朗読いたします。
薪炭需給調節特別会計法の一部を改正する法律案中修正第七條の二
政府は、薪炭の買入代金の支拂に関する事務の部を農林中央金庫に委託して行わしめることができる。
政府は、日本銀行又は農林中央金庫に対し薪炭の買入代金の支拂に必要な資金を交付す戸ことができる。
辰林中央金庫はつ農林中央金庫法(大正十五年法律第四十二号)第十六條の規定にかかわらず、薪炭の買入代金の支拂に関する事務を行うこととができる。以上であります。
次いで討論を省略し、本修正案並びに修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、全会一致をもつて賛成、よつて本案は修正議決せられた次第であります。
次は、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律案につついて申し上げます。本案は取引高税の新設施行に伴う手続上の法規でありまして、大正九年勅令第百九十号を廃止し、本法により、これらの諸事項を併せ規定したのであります。
本案は、去る六月二十四日政府の説明を聴き、昨二日質疑を打切り、討論を省略して採決の結果、賛成多数をもつて原案の通り可決いたした次第であります。
次は、連合國占領軍の管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属地金の連合國占領軍に対する引渡に関する法律案でありますが、この法律案は、連合國占領軍の管理下から解除せられた貴金属等の代替として貴金属の地金の引渡しを連合國最高司令官から指令されだ場合の実行に関する義務関係を規定したものであります。
本案については、去る六月三十日、提案理由の説明を聽取して審議に入りましたが、その後しばしば討議いたしましに、昨日討論を省略し、全会一致をもつて可決いたしたものであります。
以上が、ただいま議題となりました各法案に対する委員会の審議の概要でございます。何とぞ御協賛あらんことをお願いいたしまして御報告にかえます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/112
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113・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 右六案中、所得税法の一部を改正する等の法律案に対し、本藤恒松君より、成規の賛成を得て修正案が提出されております。この際その趣旨弁明を許します。本藤恒松君。
〔本藤恒松君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/113
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114・本藤恒松
○本藤恒松君 ただいま議題となつております所得税法の一部を改正する等の法律案、この政府提出案に対しまして、社会革新党といたしましては反対の意を表する次第であります。社会革新党といたしましては、政府原案に対して次のように修正いたしたいのであります。所得秘法「第十二條第一項中「四千八百円」を「一万五千円」に改め」とあるを「三万円」と修正いたします。
この理由を申し上げます。
現在のインフレ下の生活に対しまして、控除額を一万五千円ということならば、全日本國民として、これによつて控除されるような人は、おそらく家のないような國民であるようにわれわれは考えるんであります。結局、この控除ということをつくられても、何ら勤労大衆には意義をなさないのであります。
第二には、農民や一般勤労大衆は働くことが第一でありまして、所得税の申告、その手続のいろいろな書類の面に対しましては、あまりできないのであります。そこへ、杜撰な今日の税務職員が、ただ腰だめでもつて税金を徴収する方法をとるならば、必ずあらゆる面に不公平な問題が続出するのであります。現在の税務署官吏の頭では、とうてい公平なる徴収はできないと思うのであります。
第三に、昭和十二年の控除顧問は千円であつたのでありますが、今日のあらゆる物價は、その当時と比較するならば、十万円くらいに控除額を引上げることが当然と思うのであります。今日どんなその日暮しの家庭においても、家族五人ほどあれば五千円、六千円の生活をするのであります。こういうような状態からいきまして、現政府の原案によつて徴収するならば、貧しいその日暮しの家庭に、思わざるところの一万円前後の所得税が課せられるのであります。こういうときにあたつては、日本全國到るところに、所得税の問題でいろいろなことが起るのは、火を見るよりも明らかと思うのであります。政府は、今からこれに対して相当の注意を拂つて、税務官吏が慎重な態度でやるようにお願いしたのであります。
なお生活費は、今日インフレによつて高まつていきます。われわれ國民の収入は、むしろデフレであつてり、インフレに逆行してわれわれの収入が減じていく傾向であるのであります。殊に、こういうときにあたつては、税金などは相当な問題が起るのであるから、政府当局は相当の関心をもつていただかなければならぬ。
この議会を通じて税金の問題を見ますのに、消費税はだんだんと高められ、今日のようなたくさんの額を徴収するならば、國民はこの所得税の問題で相当悩むことになるのであります。所得税は一千二百八十二億六千百万円となつており、法人税の方は百三十億となつておりますが、法人税の方は新興会社や大会社がこれを負担するのであるから、法人税の方をもつと予算の上において高くするのは当然であるが、法人税の額の少いということは、どういうわけか、われわれの疑うところであります。われわれとしてはこの控除額を五万円としたいのであります。五万円といだすならば、一千二百八十算億六千百万円のものが、八百六十三億二千万円からの減収を生ずるのでありますから、われわれは三万円どいうところで決定いたしたのであります。三万円と五万円との開きにおいて、すでに千八百万円を超えておるということは、この所得税はやはり大衆課税であるのであります。こういうような点から見ましても、原案それ自体には断固反対しなければならぬのであります。
この際社会党の諸君に一言申したいのは、民主党はすでに金融会社や新興会社の傀儡となつた政党であつたといたしましても、社会党は、おそらく二十年、三十年の長き間大衆運動をいたしまして、要するに國民大衆の負担軽減をはかることが、この長い間の叫びであつたのであります。しかし、この議会を通じて、おそらく消費税を高くし、また所得税も高くする、こういうことに対しては、われわれとして、わが國始つて以來の悪税がこの議会を通過するものではないかと思うのであります。どうか社会党の諸君は、立党当時の考え、また十年、二十年、三十年の歴史をもつて社会運動をしてきた当時のその氣持を呼び起して、民主党とは全然その性格が違うから、断じてこの際民主党とは縁を切つて現内閣を辞職させて、次にわれわれの期待するような一つの政治を確立するように、われわれは願いたいのであります。(拍手)
以上簡単でありますが、一言もつてその理由を説明いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/114
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115・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。これを許します。宮幡靖君。
〔宮幡靖君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/115
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116・宮幡靖
○宮幡靖君 ただいま議題となつております所得税法の一部を改正する等の法律案並びに取引高税法案について、民主自由党を代表して簡單に討論を行わんとするものであります。
國家再建の途上においては、租税負担の重圧となることは必然であつて、國民各階層を通じて、納税義務完遂のため固き決意を要することは、いまさら申し上げるまでもないととろでありますが、租税の負担力は、國民個々について無限の源泉を有するものではなく、おのずから限界のあることも当然の事実であります。
今回提案せられました政府原案を檢討すれば、中央及び地方を通ずる租税の負担は、國民所得の約二二%に当つており、負担力の限界点を超ゆるものと推定せられる次第であります。政府当局の示す資料によれば、租税の負担は、英國においては國民所得の約四〇%、米國においては約三〇%であり、わが國の二二%は決して過重でないと説明せられておりますけれども、生活水準を異にする文化國家と、耐乏生活にあえぐわが國とを、單なる負担比率をもつて判断することは、当を得ないものであります。すなわち米國のごときは、たとい三〇%の負担をしても残余の収入で安定した文化生活を営むことのできる状態におかれておるが、わが國は、二二%の租税負担を全うした残余の所得では、最低生活も保障し得られない実情であつて、最低生活を保障し得ない租税の負担となることは比率の高低にかかわらず、負担の軽減をはかることが喫緊の急務であります。この意味において勘案すれば、新税の創設は極力阻止すべきものであつて、わが党が取引高税に全面的に反対するゆえんも、また実にここに存するのであります。
しかも、昨年実施せられた予定申告納税制度は、未だ國民の納税思想に調和せず、税務機構の弱体と併せて税負担の不均衡をもたらし、いわゆる正直者がばかを見るという実情にあるときに、さらに新税を設けて徴税を全うせんとすることは、実効を収めがたいものであつて、よろしく現行制度のもとに徴税機構を強化し、一般國民の納税思想を涵養して、公正にして均衡を得た課税を行い、税収入の確保を期すべきであります。
わが党が所得税法等において一應政府原案を支持したゆえんは、政府原案の万全を証明するものでなく、現下の財政事情と思い合わせ、國民負担の軽減を新税の排除によつて行い、政府原案の欠点是正は、中間安定諸施策とにらみ合せて、租税法規の抜本的改正に讓つた次第であります。(拍手)從つて、あが党が國民負担の軽減に志す熱意は将来に継続せられ、不断の努力を惜しまないものであることを、敢然と本議場並びに廣く天下に声明するものであります。(拍手)
かかる観点より論ずれば、社会革新党提出の基礎控除を三万円に引上げんとする修正案の趣旨には共鳴するものでありますが、その結果として招來すべき約三百億円を超える歳入減を補填するの財源の捻出は容易なすべでなく、遺憾ながら反対の意を表明せざるを得ない次第であります。また、第一議員倶楽部堀江議員の修正意見にも傾聴すべき要素を含むものと思考せられるのではあるが、國民負担の軽減のみを力説し、予算編成上の裏づけ措置のない一種の観念論である点において、ただちに同意しがたいものであります。
次に、日本社会党より提出せられた與党三派共同提案にかかる、所得二十五万円以上の所得者に対する課率を五%ずつ引上げんとする案は、租税増徴の一方法としては肯定し得ちれるものではありますけれども、國民負担の軽つ減を念願とするわが党の根本方針と相容れざるもので、殊に二十五万円以上の所得者とは、いわゆる中小企業家層であつて、現在の中小企業家の租税負担はすでに限界に到達し、その資本力と経営規模の継続に少からず困難を感じつつある実情に昭らしまして、日本の産業再興の希望がこの中小企業に嘱されておる関係をも考慮するときは、この階層に歳入不足の補填をしわ寄せすることは当を失するものであると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
最後に、所得税法等の改正において一感政府原案を支持する立場から、政府当局に苦言を星ぜんとするものであります。まず政府は、勤労階級の負担軽減のために基礎控除、扶養控除の大幅引上げ等を行つ心ことを強調せられますけれども、実質においては決して負担の軽減とはならず、かえつて実質的負担の加重となるものであることに留意し、眞に負担の軽減となるべき諸施策の研究と、これが実行に不断の努力を切望するものであります。妹には、三千七百円の貸金ぺース維持の自信がもてないと加藤労働大臣が言明せられるにおいては、一層強く政府の責任ある措置を要望してやまないものであります。また農民が租税負担の過重に苦悩する実情を救うべき適切なる方策を講ずることを熱望するものであります。所得税法における一般勤労者と農民との負担の不均衡なることは、やがて農民の勤労意欲の減退となるべきおそれがあります。食糧対策上より見るも、農民の負担軽減に一段の考慮を拂うべきであります。
さらに、今次の改正において、徴税のためにする政府の調査、質問の権限を拡大し、罰則を強化して納税義務者に臨むの措置をとつたけれども、これに対応する納税義務官の権利保護の規定を設けなかつたことは、税務の民主化を提唱する政府当局の眞意を疑うものであり、現務の封建的臭味がいよいよ濃厚であると断ぜざるを得ないのであります。すなわち、政府の更正決定に対する審査請求については期限の定めはあるも、異議に対する処理期限の定めはなく、國民の基本的人権さえ侵されているものではなかろうかと思われる、不合理かつ非立憲的な演劇と申すべきであります。わが党としては、税務の民主化のために異議処理期限並びに異議処理機関の設定もつき積極的修正意見を有するものでありますが、現大蔵事務当局から、財務職員の質的及び量的不足によつて、本年ただちにこれが実行は困難であるが、近い將來において政府が進んで改正する用意ある旨の弁明があり、かつ税務の運用の面において弊害の除去に努むべきことの誓約があつたので、この際一應修正案の提出を差控えたものであります。よろしく委員会の審議経過を無視することなく、税務の民主化のため、誓約を忠実に実行せられるよう切望するものであります。
その他、政府原案中是正を要する点は少くないけれども、すでに現行租税法規は拔本的改正必至の状況であり、この際部分的修正は差控うべきものとの大乗的見地から、政府原案に全幅の信頼を寄するものではないか、予算の急速な成立と客観的諸情勢とに深く思いをいたし、租税法規の全面的再編成は次の機会に譲つて、一應政府原案を支持した次第であります。(拍手)
以上を要約すれば、わが党は取引高税の制定に全面的に反対であり、日本社会党提出の、與黨三派共同提案にかかる、二十五万円以上の所得者に対する課率引上げ並びに社会革新党提出の修正案及び第一議員倶楽部の堀江修正案に賛意を表しがたきものであつて、所得税法の一部を改正する等の法律案につき、政府原案に希望條件を附して賛成の意を表するものであります。(拍手)しかして、その論拠の中心は國民負担の均衡保持と軽減に資するものであることを強調し、議員各位御賛同を求めんとするものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/116
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117・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
まず、所得税法の一部を改正する等の法律案の採決に入ります。本案に対する本藤恒松君提出の修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/117
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118・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 起立少数。よつて本藤君提出の修正案は否決せられました。
次に、委員会の修正中、所得税法第十三條第一項の税率改正の修正部分につき採用いたします。この修正部分に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成君起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/118
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119・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて修正部分は可決いたしました。(拍手)次に、その他の部分は委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/119
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120・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつてその他は委員長報告の通り決しました。
これにて所得税法の一部を改正する等の法律案は委員長報告の通り修正議決いたします。(拍手)
次に、取引高税法案につき採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/120
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121・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
次に、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律案につき提決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/121
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122・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
次に、國有鉄道事業特別会計及び通信事業特別会計における事業運営以外の行政に要する経費の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、薪炭需給調節特別会計法の一部を改正する法律案及び連合國占領軍の管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属等の地金を連合國占領軍に対する引渡に関する法律案の三案を一括して採決いたします。三案中、薪炭需給調節特別会計法の一部を改正する法律案の委員長報告は修正でありまして、その他の両案の委員長報告はいずれも可決であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/122
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123・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/123
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124・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/124
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125・笹口晃
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、罹災都市借地借家臨時処置法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案、商法の一部を改正上る法律案、有限会社法等の一部を改正する法律案、昭和二十三年六月以降の判事等の報酬に関する法律案、昭和二十三年六月以降の檢事等の俸給に関する法律案の五案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/125
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126・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/126
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127・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
罹災都声借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案、商法の一部を改正する法律案、有限会社法等の一部を改正する法律案、昭和二十三年六月以降の判事等の報酬等に関する法律案、昭和二十三年六月以降の檢事等の俸給等に関する法律案、右五案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。司法委員石井繁丸君。
〔石井繁丸君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/127
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128・石井繁丸
○石井繁丸君 ただいま議題となりました、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案、昭和二十三年六月以降の判事等の報酬に関する法律案、昭和二十三年六月以降の檢事等の俸給に関する法律案、商法の一部を改正する法律案、有限会社法等の一部を改正する法律案について、便宜一括して政府原案の趣旨及び司法委員会における審議の経過並びに結果の概要を、委員長に代つて御報告申し上げます。
まず、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案について御報告申し上げます。
昭和二十二年十月十七日、山口縣下関市長府町に発生いたしました火災について、その被害状況及びその後の復興状況を調査しましたところ、右災害につき、同地区にも罹災都市借地借家臨時処理法を適用することが、同市の復興に役立つことが判明いたしました。これが原案提出の要旨であります。
さて、この法律案は六月二十九日付託されまして、審議にはいつたのであります。顧みるに、この法案の母法たる罹災都市借地借家臨時処理法は、第一國会において司法委員会において審議され、その詳細は熟知するところであります。よつて司法委員会は、七月二日、質疑応答を省略し、ただちに討論に入り、各党より賛成意見の開陳ののち、採決の結果、全員一致をもつて政府原案通り可決された次第であります。
次に、昭和二十三年六月以降の判事等の報酬に関する法律案と、昭和二十三年六月以降の檢事等の俸給に関する法律案について御報告申し上げます。
裁判官及び検察官の給與については、さきに裁判官の報酬等に関する法律及び檢察官の俸給等に関する法律が制定せられておりまするが、これらの法律は、いずれも職員総平均の月収二千九百二十円を基準といたしておりますことは、御承知の通りであります。しかるに政府は、このほど一般政府職員の給與を増額する必要を認めて、昭和二十三年六月以降の政府職員の俸給等に関する法律案を提出いたしましたが、これは月収三千七百九十一円を基準といたしております。されば、同様に裁判官及び檢察官の報酬または俸給月額についても三千七百九十一円の新基準に從つて定めることが必要であります。以上が政府原案提出の趣旨であります。
この両法案は、七月一日付託されました。その内容を見るに、増額率の十三割は、まさに月収二千九百二十円より三千七百九十一円への切替に相当する額であります。よつて司法委員会は、七月二日委員会を開き、質疑を省略し、ただちに討論に入りました。各党より賛成の意見の開陳があり、採決の結果、全会一致をもつて政府原案通り可決された次第であります。
次に、商法の一部を改正する法律案について申し上げます。
現行商法は、株金分割拂込の制度を採用いたしております。すなわち、株金はこれを分割して、会社の設立または資本増加の際、第一回拂込としてその四分の一以上を拂いこむことをもつて足りるとしておるものであり、残額は会社の成立した後、または資本増加の効力を生じた後、必要に応じて拂いこませることにしております。ところが、この株金分割拂込いの制度は、その実情を見ますと、利便よりも、むしろ弊害が多いのであります。すなわち、未拂込株金の拂込義務の遅滞による債務の強制執行、失権手続など、手続上の煩雑さは、まことに煩わしい限りであります。これに加えて、現在のインフレーシヨンにおいては、貨幣價値の下落によりまして、実際には株金分割拂いの実効はなくなり、現在会社の多くは全額拂込済であります。結局、分割拂制度を廃止しても、経済界にさしたる影響はないと考えられるのであります。よつて政府は、株金分割拂制度を廃止し、さきの弊害を一掃し、会社の資本計算を容易ならしめ、もつて外資等の導入の一助たらしめたいと考えるのであります。以上が政府原案の要旨であります。
商法の一部を改正する法律案は、六月三十日付託されました。その内容を見まするのに、株金分割規定を削除したこと、株式金額を一株二十円以上に改めたことと、その経過規定だげのものであります。よつて司法委員会は、七月二日委員会を開いて、未拂込株金につき簡單なる質疑の後、ただちに討論に入りました。すなわち、各党より賛成意見の開陳がありまして、採決の結果、全会一致にて政府の原案通り可決された次第であります。
最後に、有限会社法等の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。
有限会社法及び非訟事件手続法においては、商法上の株金の分割抑制の規定が引用され、または準用されております。今商法の規定の一部改正に伴い、有限会社法等において関係條文を整備すべきことは当然であります。結局、有限会泣法等の一部を改正する法律案は、商法の一部を改正する法律案と同じ理由によりまして、同じ日に政府原案の通り可決された次第であります。
以上、五つの法律案について御報告を申し上げる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/128
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129・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 五案を一括して採決いたします。五案の委員長報告はいずれも可決であります。五案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/129
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130・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて五案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/130
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131・笹口晃
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、石炭鉱業権等臨時措置法案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/131
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132・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/132
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133・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
石炭鉱業権等臨時措置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。鉱工業委員長伊藤卯四郎君。
〔伊藤卯四郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/133
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134・伊藤卯四郎
○伊藤卯四郎君 ただいま上程になりました石炭鉱業権等臨時措置法につきまして、鉱工業委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この法案の主要な内容は、石炭鉱区の調整と、石炭鉱業権に関する使用権制度の設置等であります。法案の審査の内容等については、委員長報告はすべて会議録に譲ることといたします。
〔最終号の附録参照〕
鉱工業委員会におきましては、七月二日、本法の審査に入りましたが、時宜を得た措置であると認めましたので、全会一致をもつて可決した次第であります。
はなはだ簡単でありますが、右、御報告をいたします。
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/134
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135・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/135
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136・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/136
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137・笹口晃
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、地方自治法第百丑十六條第四項の規定に基き、経済査察廳法第十三條第一項の規定による地方経済査察廳の設置に関し承認を求めるの件を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/137
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138・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/138
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139・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、経済査察魔法第十三條第一項の規定による地方経済査察廳の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長松原一彦君。
〔松原一彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/139
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140・松原一彦
○松原一彦君 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、経済査察廳法第十三條第一項の規定による地方経済査察廳の設置に関し承認を求あるの件は、すでに本院において修正可決せられました経済査察廳法の規定によりまして、地方経済査察廳を各都道府縣廳の所在する都市並びに函館市、旭川市及び釧路市に置くことにつきまして、地方自治法第百五十六條第四項の規定による國会の承認を求めるものであります。なお経済査察廳法案は、本院の修正によりまして経済調査廳として発足いたす予定でありますので、これが確定に伴いまして名称も変更せられるわけであります。
本件は、六月八日、本委員会に付託せられ、本二日、質疑並びに討論を省略して採決に入り、全会一致をもつて承認を與うべきものと議決いたしたのであります。
以上、本委員会の審議の概略を御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/140
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141・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/141
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142・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/142
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143・笹口晃
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、少年法を改正する法律案及び少年院法案の両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/143
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144・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/144
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145・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました
少年法を改正する法律案、少年院法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。司法委員長井伊誠一君。
〔井伊誠一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/145
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146・井伊誠一
○井伊誠一君 ただいま議題と相なりました少年法を改正する法律案及び少年院法案について、司法委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず少年法を改正する法律案について、政府原案の要旨から申し上げます。
最近少年犯罪が激増し、かつ悪質となりつつあることは、毎日の新聞で御承知の通りであります。これは主として戦時中の不完全な教育と、終戦後の社会的混乱のためであります。今や祖國もようやく復興せんとする際、少年に対する刑事政策的見地から構想を新たにし、少年法を全面的に改正すべき時機に到達しました。今回の改正の重要点は、第一に、少年に対する保護処分は裁判所がこれを行うようにしたこと、第二に、少年の年齢を二十歳に引上げたこと、第三に、少年に対して保護処分を科するか刑事処分を科するかを裁判所みずから判断するようにしたこと、第四に、保護処分の内容を整理したこと、第五に、抗告を認めたこと、第六尺、少年の福祉を害する成人の刑事事件に対する裁判権について特別の措置を認めたこと等であります。以上が政府原案の要旨であります。
本改正法案は、六月十六日当委員会に付託され、六月二十六日提案理由の説明があり、爾來連日これが審議に当つたのでありますが、司法委員会においては、厚生委員の質疑も多く、あたかも司法、厚生連合委員会を連日開いて審議せる観を呈したのであります。以下、委員会において論議の中心となつた点二、三を御紹介申します。
第一に、犯罪を犯した少年を家庭裁判所に入れ、罪を犯さない不良少年を兒童相談所に入れることは、すでに定まつていることではあるが、罪を犯すおそれのある少年については、これを兒童相談所に入れるか、あるいは家庭裁判所に入れるかについて、意見がわかれたのであります。不良少年であつでも、罪を犯さない少年は、これを兒童相談所に送つて、愛と涙で教育する方がよい、この方針は兒童福祉法制定以來確立しているが、兒童相談所は四月から発足したぽかりで、未だ見るべき実績をあげていないというのが、主として厚生に関心ある委員の意見であります。これに対して、不良少年であつて、今ほ罪を犯さなくても、やがて罪を犯すことが多年の経験上あるいは環境條件によつて判明しておる少年に対しては、強制力愛護とを併用監護教育の必要がある、不良少年を愛の手でなでまわしてぽかりいては、少年犯罪問題は解決されない、殊に少年審判所は、三十年の専門知識と熱烈なろ篤志家とを擁している、少年福祉行政の所管が将来どこにいくかは別として敗戦後数年間の現在が少年問題とつて最も危機である、これがためには、憲法上強制力を附與されている機関として家庭裁判所を利用すべきであるというのが、主として少年裁判に関心ある人々の意見であります。
第二の問題は、罪を犯すおそれのある不良少年であつて、強制力を必要とする少年は、いかなる種類の少年であるかという質疑に対して、政府から、医学、心理学、社会学等の科学的方法によつて兒童を鑑別するという程度で、あまり明確なる答弁はありませんでした。
第三に、最高裁判所の意向として、罪を犯すおそれのある少年は、これを兒童相談所と家庭裁判所の両方へ送致すべきであり、一方を主とし、他を従とすべきものではない、かつ兒童を兒童相談所から家庭裁判所に、反対に家庭裁判所からも少年を兒童相談所に送致てきるようにすべきであるという見解であることが、政府委員を通じて判明いたしました。
司法委員会は、七月一日、二日と懇談を重ねて、厚生委員の意向をも斟酌して、修正案を各派共同にて提出しました。その内容は、一言で言えば、十四歳未滿の少年を兒童相談所より家庭裁判所に送致することができるということであります。
右の各派共同修正案は七月三日提出され、全会一致にて可決されました。修正案を除くその他の部分は、政府原案の通り可決されました。結局、少年法を改正する法律案は修正議決された次第であります。
次に、少年院法案について御報告申し上げます。
少年に対し収容施設を拡大し、矯正教育を徹底させ、かつ基本的人権の保障を全うするために、新しい構想のとに少年院を設け、さらに少年裁判所の審判前の少年、つまり未決の少年を収容する施設、すなわち監護所を矯正施設から分離独立させるため、少年院法をつくることになつたのであります。
少年院においては、混合収容の弊害を避けるとともに、矯正教育を便宜にするため、少年院を初等少年院、中等少年院、特別少年院及び医療少年院の四種にわかつたのであります。初等少年院は、心身に著しい故障のない十四歳以上十六歳未滿の者を収容するのであります。中等少年院は、十六歳以上二十歳未滿の者を収容するのであります。特別少年院は、心身に著しい故障はなくても、犯罪傾向の進んだ者を収容するのであります。医療少年院ば、心身に著しい故障のある十四歳以上二十六歳未滿の者を収容するのであります。
少年院における矯正教育の一部は、学校教育法による教育と同一でありますから、常に文部大臣と密接な連絡を保つ必要があります。かつ、そり勧告に従つて教育の進歩をはかることにしております。次に、少年院においては累進処遇の主義を採用しております。また、収容者の年齢の限度を一應二十歳と定め、原則として二十歳で退院させますが、超えても二十三歳以上となつてはいけないことになつでおります。
さて、少年院法は六月二十三日に司法委員会に付託され、六月二十六日提案理由の説明がありました。爾後、少年法とともに審議の対象となりました。質疑は多く懇談会にて行われ、七月三日討論に入り、各党代表より賛成意見の開陳があり、採決の結果、全会一致をもつて政府原案の通り可決された次第であります。
右、少年法改正法案と少年院法案について一括して御報告申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/146
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147・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。少年法を改正する法律案の委員長報告は修正でありまして、他の一案の委員長報告は可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と叫ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/147
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148・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/148
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149・笹口晃
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、輸出品取締法案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/149
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150・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と叫ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/150
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151・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
輸出品取締法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商業委員長堀川恭平君。
〔堀川恭平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/151
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152・堀川恭平
○堀川恭平君 ただいま議題と相なりました輸出品取締法案につきまして、本委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
まず、本法案の要旨を御説明申し上げます。本法案は、輸出貿易の健全な発達を期するため輸出品の声價の向上及び品質の改善を趣かることを目的とするものでありまして、第一に、本法案の取締りの対象となる輸出品の範囲は、輸出品のすべてにわたるものでなく、第三條の規定により主務大臣が省令で指定した輸出品及び第四條に掲げる輸出品のみであります。
第二に、本法案の取締りの対象となる輸出品のうち、第三條の指定輸出品は、あらかじめ定められた等級及び標準に從いまして、業者がその品質の等級を附さなければならないのであります。また、第四條に掲げる輸出品については、その最低輸出標準に達したものでなければ輸出することはできないのであります。すなわち品質確保については、第一次的に業者がその責任をもつわけでありますが、その実行を確保するため必要がある場合は、第六條または第七條によりまして、主務大臣が、輸出品について等級が適当に付されているか否か、最低輸出標準に達しているかについて檢査することができるのであります。
第三に、輸出用割当資材を使用して生産または加工した輸出品が國内において不当に横流れすることを防止するために、ただいま申し上げました檢査により合格しない輸出品について、一定條件のもとに、主務大臣が國の機関に対してこれを買取ることを指示しているのであります。
第四に、本法案の適用については、直接國民の権利を尊重し、定められた輸出標準または檢査の決定その他の処分について不服がある場合は、関係事業者その他の利害関係人は聴聞会の開催を要求することができるようになつているのであります。以上が本法案の概要であります。
本法案は、六月二十八日内閣より提出され、即日商業委員会に付託されました。本委員会におきましては、六月三十日商工大臣より提案理由について説明を聴取いたし、引続き質疑応答に入りましたが、その際、本法案については、法案の性質上、一般の貿易関係業者よりその意見を聴取すべきであるとの意見がありましたので、さらに本月二日委員会を開催し、参考人といたしまして輸出業者五名、製造業者二名、檢査機関より二名、計九名を招き、参考意見を聴取いたした次第であります。
その際、輸出品檢査の施行を國営とすることには原則的に異論はないが、ただ実情に副わざることをおそれるとともに、はなはだしく非能率化することも考えられ、一方、從來檢査実務に当つた人員の官吏への身分振りかえは本人としては喜ばないといつたようなことが考えられるとのことでありました。しかし、問題は國営檢査に対する根本的な不滿ではないようでありました。
続いて、七月三日委員会を開催いたし、熱心な質疑応答が行われたのであります。なお民主自由党多田委員より、次のごとき希望がありました。すなわち一、商品檢査は全品目について抜取り檢査を必ず励行してほしい、二、檢査施行にあたつては從來の民間機関を極力利用し、いやしくもその間官僚化に堕せざるよう留意せられたいとの申出がありました。
以上をもちまして質疑を終了し、討論を省略いたしまして、ただちに採決に入り、全員一致をもちまして原案通り可決した次第であります。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/152
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153・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/153
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154・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/154
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155・笹口晃
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、性病予防法案、健康保險法の一部を改正する法律案、へい獸処理場等に関する法律案、社会保險診療報酬支拂基金法案及び松原一彦君外六十五名提出、恩給法臨時特例案の五案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/155
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156・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/156
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157・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
性病予防法案、健康保險法の一部を改正する法律案、へい獸処理場等に関する法律案、社会保險診療報酬支拂基金法案、恩給法臨時特例案、右五案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長山崎岩男君。
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〔山崎岩男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/157
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158・山崎岩男
○山崎岩男君 ただいま議題となりました性病予防法案について厚生委員会における審議の経過並びに結果を申し上げます。
わが國における性病の蔓延状態は、戰前すでに憂慮すべきものがあつたのでありまするが、戰時中より戰後にかけての社会的混乱に伴い、性道徳の紊乱、道義心の頽廃等眞に寒心にたえぬ実情であります。よつてこの際、性病の徹底的な予防及び治療を行い、もつて健全なる國家の建設に資せんとするのが、政府の本法律案提出の理由であります。
次に、この法案の大要を申し上げますと、第一に、性病の徹底的な治療及び予防を國及び地方公共團体並びに個人の義務とし、医師はこれに協力する義務をもつこととしておるのであります。第二に、性病の取扱いは急性傳染病とほぼ同様として、匠師の届出制度をとり、都道府縣知事の監督下に医師及び患者に徹底的治療を義務づけ、必要により患者を強制入院させ得るようにいたしておるのであります。第三に、感染原の発見追及を行う規定を設け、患者についていわゆる接触者調査を行い得ることといたしておるのであります。第四に、性病の対象範囲の拡大に伴い、業態者の健康診断を廃止しましたが、費淫常習の疑の著しい者に対しては強制健康診断を命じ得ることとし、公娼廃止後憂慮せられていました、この方面における性病の傳染を防止することができるようにいたしたのであります。第五は、性病の蔓延の著しい場合、その治療及び予防のため都道府縣知事が強力な予防措置を講ずるには、特に厚生大臣の承認を必要とすることにしております。以上の都道府縣知事の健康診断命令が濫用されるときは、基本的人権蹂躪を招くおそれがありますので、知事の命令が違法であると考えたときには、裁判所に命令の取消しの訴えを提起することができるようにしております
本法律案は、六月二十八日、本委員会に付託せられ、ただちに審議にはいつたのでありますが、その内容が公衆保健上きわめて重要なる点に鑑み、連日政府との間に熱心なる質疑應答が行われたのであります。七月三日審議を終り、討論を省略して採決に入りましたところ、全員一致原案通り可決すべきものと決した次第でございます。
次に、健康保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。
健康保険法におきましては、從來、被保険着の権利義務に関する規定等で政令に委任した事項がきわめて多かつたのでありますが、最近の立法の趨勢に鑑み、これを法律に規定するとともに、社会経済情勢の変動に伴い実質的な承足を行わんとするのが、政府の本法律案提案の理由であります。
次に、本法律案のおもなる点について申し上げますれば、第一は、被保険者の標準報酬を、最近における賃金の上昇に鑑み、最高八千円に改めておるのであります。第二に、國、都道府縣及び市町村等に使用される公務員をも被保険者とすることとしたのでありますが、そのうち國家公務員については、法律をもつて組織された共済組合がありますので、これに健康保険事業の実質的代行を認むることといたしておるのであります。第三に、健康保険の保険医及び保険薬剤師は、礎來の強制指定制を改めて、保険医または保険薬剤師となる者の同意を得てい都道府縣知事がこれを指定するこことしているのであります。第四に、保険料に関しては、政府の管掌する健康保険については千分の四十とし、特別の場合に、主務大臣が健康保険委員会の意員を聴いて、その一割の範囲内で決定して主務大臣の認可を受けることといたしているのであります。
次に、へい獣処理場等に関する法律案について申し上げます。
從來へい獣処理場等の衛生取締りは、各都道府縣令によつて行われてきたのでありますが、昭和二十二年法律第七十二号日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律の規定によりまして、これらの都道府縣令はその効力を失うに至り、かつ各都道府縣令による取締りをもつてしても、その取締りの対象、方法等が一定していなかつたため、取締りの徹底と指導の適正等を十分行うことが困難で、公衆衛生上遺憾の点がありましたので、この際統一的な基準を定めて、これらの衛生取締りを徹底化せんとするのが、政府の本法律案提案の理由であります。
次に、社会保険診療報酬支拂基金法案について申し上げます。
健康保険、船員保険、國民健康保険及び法律をもつて組織されている共済組合が、その被保険者等の保険医等について診療を受けた報酬として支拂う費用は、従來各保険者または共済組合から直接支拂つていたところでありますが、礎來の実績に徴し、各保険者等がら区々に支拂うことは、ややもすれば、その支拂遅延と診療担当者の請求の煩雑性によつて、どかく円滿な保険診療を阻害していた事情に鑑み、今般社会保険診療報酬支拂基金を創設して、従來の支拂方法を改め、その支拂機関を一元化して、円滿な保険診療の推進に寄與せんとするのが、政府の本法律案の提案理由であります。
次に、本法律案の内容のおもなるものについて申し上げますれば、第一に、社会保険診療報酬支拂基金は公法人として、主たる事務所を東京都に、従たる事務所を各都道府縣に置き、業務を運営するのであります。第二に、基金の理事機関として、保険者代表、被保険者代表、保険医代表及び公益の各代表者をもつて理事に充て、また、從たる事務所にも同様な代表者をもつて幹事とし、最も民主的な運営に資することとしておるのであります。第三に、基金の基本金は百万円として、うち四十万円は政府が醵出し、残額はその他の保險者で醵出することとしているのであります。第四に、基金の業務は、各保險医と契約して、保險者が診療担当者に対して支拂う診療報酬の支拂を代行し、またこれら診療報酬請求書の審査をすることであります。
次に、松原一彦君外六十五名の議員の提案にかかる恩給法臨時特例案について申し上げます。
終戰直後制定せられた恩給法臨時特例案は、公務員の俸給の増加にもかかわらず、恩給金額計算について暫定的に制限的の措置を講ずる趣旨のもので、最近における社会経済事情に徹するときは、恩給法はすでに退職給與の実を失つたものと言わねばならぬのであります。これがため、恩給法改正の声は全國的に膨湃として起り、國会に対する請願、陳情も、毎年おびただしき数に上つたのでありますが、國会においては、これらを採択の上、内閣に送付して、その善処を促し來たつたのでありますが、公務員に対する新給與制度の実現にもかかわらず、未だこの趣旨における恩給制度の改正案は提出を見ない次第であります。よつて、國家公務員法に明らかにされた恩給制度の趣旨にも鑑み、長年忠実に勤務せる公務員をして退職後も相應の生活を営ましめることを目途として恩給法の改正を行わんとするのが、本法律案の理由であります。
次に、本法律案の内容の主たるものについて申し上げます。
第一は、普通恩給年額、一時恩給または一時扶助料の金額の計算について、公務員の退職または死亡した当時の俸給額を基礎とする恩給法の原則に復して、恩給法臨時特別による暫定的取扱を廃止せんとするものであります。
第二は、増加恩給及び傷病年金の年額は、退職当時の俸給を基礎とし、これに分務傷病の原因及び症状等差の区分のみによる一定の律を乗じて算出することとし、定額制を改めたのであります。
第三は、増加恩給及び傷病年金の年額に対しては、暫時的取扱いとして、恩給受給者の家族一人につき年額二千四百円を加増することとしておるのであります。
第四は、公務扶助料の年額は、普通扶助料の額を基礎とし、これに死亡の原因の区分のみによる一定の率を乗じて算出することとし、遺族加給については、遺族一人につき一律に年額二千四百円加給することとしておるのであります。
第五は、恩給國庫納金及び恩給交付金の金額算出率を、恩給法所定の百分の二の率に復しておるのであります。
第六は、普通恩給の停止に関し、恩給外所得ある者については、その恩給年額を一万五千円、恩給外所得年額を十五万円に引上げ、若年普通恩給者については、暫定的取扱として、五十歳未満の者につき、その年齢に應じ恩給金額の金額ないし十分の三までの三段階に区分して、その支給を停止することといたしておるのであります。
第七は、この法律改正前に給與事由の生じた普通恩給、増加恩給、傷病年金、扶助料については、從來の俸給給與を新給與水準に切替えた際の最低額程度までこれを増額改定することとしておるのであります。
以上四法律案は、それぞれ六月二十九日、三十日及び七月三日、本委員会に付託せられ、連日政府との間に熱心なる質疑應答がが行われたのでありますが、その詳細は会議について御承知くださるようお願いいたします。
かくて、本日討論を省略して採決に入りましたところ、全員一致で案通り可決すべきものと決した次第でございます。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/158
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159・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 五案を一括して採決いたします。五案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/159
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160・松岡駒吉
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて五案は委員長報告の通り可決いたしました。
これにて日程は終了いたしました。明四日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
午後八時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100205254X07719480703/160
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