1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十三年七月五日(月曜日)
午後七時十七分開会
—————————————
本日の会議に付した事件
○刑事訴訟法を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○檢察審査会法案(内閣提出、衆議院
送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/0
-
001・伊藤修
○委員長(伊藤修君) これより司法委員会を開会いたします。
刑事訴訟法を改正する法律案を議題に供します。昨日小委員会の修正点の決定に対しまして、本委員会に報告がありました。これを朗読いたします。
刑事訴訟法を改正する法律案中修正案
刑事訴訟法を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第三十三條に次の一項を加える。
何人も、被告人又は被疑者の同意を得て、弁護人を選任することができる。
第三十四條を次のように改める。
主任弁護人は、裁判所の規則の定めるところにより、弁護人に対する訴訟行爲又は弁護人のする訴訟行爲について他の弁護人を代表する。但し、証人、鑑定人、通訳人、又は飜訳人に対する補充尋問、第三百十一條第三項に規定する供述を求めること及び第二百九十三條第二項に規定する陳述については、この限りではない。第三十八條第二項中「報酬」の次に「並びに訴訟記録謄写の実費の弁償」を加える。
第四十條第一項を第二項とし、第一項として次の一項を加える。
弁護人は、弁護権の行使について、その目的を達するため必要な調査をすることができる。但し、強制の処分はこれをすることができない。
第四十八條第三項を次のように改める。
公判調書は、各公判期日後できる限り速やかに、且つ、遅くとも五日以内に、これを整理しなければならない。但し、公判を連日にわたつて開廷し、その他やむを得ない事情があるときは、遅くとも判決を宣告するまでにこれを整理しなければならない。
第五十三條第一項但書を次のように改める。
但し、閲覽を求める者が前にその権利を濫用したと認められるとき又は訴訟記録の保存若しくは裁判所若しくは檢察廳の事務に支障のあるときは、この限りでない。同條第四項を第六項とし、同項中「保管及びその」を削り、第三項の次に次の二項を加える。
第一項但書又は第二項の規定により記録の閲覽を拒まれた者は、裁判所の規則の定めるところにより、不服の申立をすることができる。
訴訟記録は、第一審裁判所がこれを保管する。
第六十條は次のように改める。
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隱密すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき
勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第八十九條第一項第一号又は第三号乃至第五号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。
五百円以下の罰金拘留又は科料にあたる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第一項の規定を適用する。
第百五條及び第百四十九條中歯科医師の次に藥剤師を加え、〔本人が承諾した場所、「を「本人が承諾した場合及び」に改め、「その他裁判所の規則で定める事由がある場合」を削る。
第八十九條第二項として次の一項を加える。
裁判所は、適当と認めるときは、前項各号の事由があるときでも、保釈を許すことができる。
第百八十三條に次の一項を加える。
親告罪又は請求を待つて論ずべき罪について告訴又は請求の取消があつた場合には、告訴人又は請求人に訴訟費用を負担させることができる。
第二百三十七條第一項中「公訴の提起」を「第一審の判決」に改める。
第三百四條第一項、第二項を削り、第三項を第六項とし、同項中「第二項」を「第五項」に改め、第一項乃至第五項として、次の五項を加える。
証人、鑑定人、通訳人又は飜訳人は、その取調を請求した者が、まず、これを尋問する。
請求をした者以外の訴訟関係人は、前項の尋問が終つた後、裁判長に告げて尋問することができる。
裁判長及び陪席の裁判官は、必要があるときは、自ら尋問することができる。但し、陪席の裁判官が尋問するについては、裁判長にその旨を告げなければならない。
裁判所が職権で取り調べる証人、鑑定人、通訳人又は飜訳人は、裁判長及び陪席の裁判官が、まず、これを尋問する。但し、陪席の裁判官が尋問するについては、裁判長にその旨を告げなければならない。
檢察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問が終つた後、裁判長に告げて尋問することができる。
第三百四十四條中「第八十九條」を「第八十九條第一項」に改める。
第三百九十三條第一項中「必要があるときはの次に「檢察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は」を加える。
第三百三十八條第四号を同條第五号とし、第四号として次の一号を加える。
四 告訴時は請求を待つて受理すべき事件について、告訴又は請求が取り消されたとき。
次に修正案に基き当該條文を書き改めものを読み上げます。
第三十條 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。
何人も、被告人又は被疑者の同意を得て、弁護人を選任することができる。
第三十四條 主任弁護人は、裁判所の規則の定めるところにより、弁護人に対する訴訟行爲又は弁護人のする訴訟行爲について他の弁護人を代表する。但し証人、鑑定人、通訳人又は飜訳人に対する補充尋問、第三百十一條第三項に規定する供述を求めること及び第二百九十三條第二項に規定する陳述についてはこの限りでない。
第三十八條 この法律の規定に基いて裁判所又は裁判長が附すべき弁護人は弁護士の中からこれを選任しななければならい。
前項の規定により選任された弁護人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬並びに訴訟記録謄写の実費の弁償を請求することができる。
第四十條 弁護人は、弁護権の行使について、その目的を達するため必要な調査をすることができる。但し、強制の処分は、これをすることができない。
弁護人は、公訴の提起後は裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覽し、且つ謄写することができる。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない。
第四十八條 公判期日における訴訟手続については、公判調書を作成しなければならない。
公判調書には、裁判所の規則の定めるところにより、公判期日における審判に関する重要な事項を記載しなければならない。
公判調書は、各公判期日後できる限り速やかに、且つ、遅くとも五日以内にこれを整理しなければならない。但し、公判を連日にわたつて開廷し、その他やむを得ない事情があるときは、遅くとも判決を宣告するまでにこれを整理しなければならない。
第五十三條 何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覽することができる。但し、閲覽を求める者が前にその権利を濫用したと認められるとき、又は訴訟記録の保存若しくは裁判所若しくは檢察廳の事務に支障のあるときはこの限りでない。
弁論の公開を禁止した事件の訴訟記録又は一般の閲覽に適しないものとしてその閲覽が禁止された訴訟記録は、前項の規定にかかわらず、訴訟関係人又は閲覽につき正当な理由があつて特に訴訟記録の保管者の許可を受けた者でなければ、これを閣覧することができない。
日本國憲法第八十二條第二項但書に揚げる事件については、閲覽を禁止することはできない。
第一項但書又は第二項の規定により、記録の閲覽を拒まれた者は、裁判所の規定の定めるところにより、不服の申立をすることができる。
訴訟記録は、第一審裁判所がこれを保管する。
訴訟記録の保管及びその閲覽の手数料については、別に法律で、手数料を定めることができる。
第六十條を次のように改める。
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを仭留することができる。
一 被告人が定めつた住居を有しないとき
二 被告人が罪証を隱滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき
仭留の期間は、公訟の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第八十九條第一項第一号又は第三号乃至第五号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。
五百円以下の罰金拘留又は科料にあたる事件については被告人が定まつた住居を有しない場合に限り第一項の規定を適用する。
第百五條及び第四十九條中「歯科医師、」の次に「藥剤師、」を加え、「本人が承諾した場合、」を本人が承諾した場合及び」に改め、「その他裁判所の規則で定める事由がある場合」を削る。
第八十九條第二項として次の一項を加える。
裁判所は、適当と認めるときは、前項各号の事由があるときでも、保釈を許すことができる。
第八十九條 保釈の請求があつたときは、左の場合を除いてはこれを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮にあたる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮にあたる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隱減する虞があるとき。
五 被告人の氏名及び住居が判らないとき
裁判所は、適当と認めるときは、前項各号の事由があるときでも、保釈を許すことができる。
第百五條 医師、歯科医師、藥剤師、助産婦、看護婦、弁護師、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため、保管し、又は所持する物で他人の秘密に関するものについては、押收を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合及び押收の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)はこの限りでない。
第百四十九條 医師、歯科医師、藥剤師、助産婦、看護婦、弁護士、弁理士、公証人、宗教の職にある者又はこれらの職に在つた者は業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、証言を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合及び証言の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用を認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)は、この限りでない。
第百八十三條 告訴、告発又は請求により公訴の提起があつた事件について被告人が無罪又は免訴の裁判を受けた場合において、告訴人、告発人又は請求人に故意又は重大な過失があつたときは、その者に訴訟費用を負担させることができる。
親告罪又は請求を待つて論ずべき罪について告訴又は請求の取消があつた場合には、告訴人又は請求人に訴訟費用を負担させることができる。
第二百三十七條 告訴は、第一番の判決があるまでこれを取り消すことができる。
右告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。
前二項の規定は、請求を待つて受理すべき事件についての請求についてこれる準用する。
第三百四條 証人 鑑定人 通訳人又は飜訳人は、その取調を請求した者が、まず、これを尋問する。
請求をした者以外の訴訟関係人は、前項の尋問が終つた後、裁判長に告げて尋問することができる。
「裁判長及び陪席の裁判官は、必要があるときは、自ら尋問することができる。」但し、陪席の裁判官が尋問するについては、裁判長にその旨を告げなければならない。
裁判所が職権で取り調べる証人、鑑定人、通譯人又は飜譯人は、裁判長及び陪席の裁判官が、まず、これを尋問する。但し、陪席の裁判官が尋問するについては、裁判長にその旨を告げなければならない。
檢察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問が終つた後、裁判長に告げて尋問することができる。
裁判所は、適当と認めるときは、檢察官及び被告人又は弁護人の意見を聽き、前五項の尋問の順序を変更することができる。
第三百四十四條 禁錮以上の刑に処する判決の宣告があつた後は、第八十九第一項の規定は、これを適用しない。
第三百九十三條 控訴裁判所は、前條の調査をするについて必要があるときは、檢察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で事実を取調をすることができる。
前項の取調は、会議体の構成員にこれをさせ、又は地方裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合には、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。
第三百三十八條 左の場合には判決で公訴を棄却しなければならない。
一 被告人に対して裁判権を有しないとき。
二 第三百四十條の規定に違反して公訴が提起されたとき。
三 公訴の提起があつた事件について、更に同一裁判所に公訴が提起されたとき。
四 告訴又は請求を待つて受理すべき事件について、告請又は請求が取り消されたとき。
五 公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。
只今朗読いたしました部分のみを抽出いたしまして、これを本委員会の修正の問題に供したいと存じます。尚昨日の報告中にあるところの文字の多少修正する部分もありますし、整理した部分もあります。又修正によつて條文を附加しなくちやならん部分がありまして、百八十三條と、三百三十八條、これは「公訴の提起」というものを、「第一審の判決」と修正いたしました関係上、その後の整理を百八十三條と三百三十八條において整理しなくちやならん当然の結果として、これが附加されました次第であります。
以上を一つ問題に供したいと存じます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/1
-
002・伊藤修
○委員長(伊藤修君) それではこれより討論に入ります。では小委員会の只今報告いたしました修正案を問題に供します。
先ず修正案と議案について御意見をお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/2
-
003・小川友三
○小川友三君 本法案につきまして、第百五條並びに第百四十九條は極めて適正なものであつて、又各條項の修正案に対しまして、賛成をいたし、本員が主張申上げた百五條並びに百四十九條の修正に対して、賢明なる委員長さん初め、賢明なる委員諸公に御賛成願いましたことに感謝し、本修正案に賛成する者であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/3
-
004・星野芳樹
○星野芳樹君 本修正案に対して、修正個所については、全部賛成するものであります。但しこの修正案に盛られていない原案について、私個人としては未だ聊か不満もあるのであります。それは七十三條の第三項でありますが、勾引状又は勾留状を所持しない場合でも、急速を要するときは前二項の規定に拘われずと、こういう項があるのですが、これは、憲法に規定されたこの令状主義に反するものと思われるので、これはこの第三項を削除することが適当だと思うのです、政府委員はこれは令状に基礎を置いておるのだから、憲法に違反しないと言われておるのですが、これは憲法すれすれまで利用されようとするのであります。すれすれまで利用されると、それを実際に執行される警察官等においては、そのすれすれの壁を乗り越えるという場合が非常に多いので、これは基本人権の立場から当然削除すべきと思うのでありますが、今日は時間も限られておるので、他日にこの反対を留保しようと思うのであります。
もう一つ三百十三條に裁判を分離したり、併合したりすることができるというのですが、この点、政府委員の答弁によれば、これは被告の保護の目的で併合すると却つて親分子分などある被告の場合、子分は損するから、それを保護するという理由を述べられておるのですが、それならば、この檢察官の請求によつて分離するというのは甚だ矛盾しておるので、これも「檢察官」と「又は職権で、決定を以て」という二句を削るのが適当だと思うのですが、これも時間の関係上、將來急速な機会で修正を提唱しようと思つて、今回はここに提出された修修案に全幅の賛意を表して置きます。
第二百一條もこれは、七十三條を全く同趣旨でありますから、私としては同樣の不満を持つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/4
-
005・伊藤修
○委員長(伊藤修君) 他に御発言もなければ……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/5
-
006・木内曾益
○政府委員(木内曾益君) この修正案中、法務廳側といたしましては誠に賛成いたしかねる個所が一個所あるのでありまして、その点につきまして私共の考えを申上げて、一言御考慮をお願いしたいと思うのであります。
この五十三條の終りの方に「訴訟記録は、第一審裁判所がこれを保管する。」というのが新たに加わつたのでありますが、要するにこの訴訟記録というのは確定訴訟記録の領旨と解するのでありますが、大体訴訟の経過というものは、御承知の通り判決が確定いたしまして、それで事件が終結するのではなくして、更にその後刑の執行という問題があるわけであります。これは訴訟法上も檢察官の責任においてこれをなすべき事項であります。続いて恩赦法によりまして、その恩赦事務は檢察官がこれを取扱うことになつておるわけであります。で、恩赦の問題までが片付いて初めて全体の大きい、廣い意味における訴訟が完了するわけであります。この訴訟記録は、成る程裁判所が裁判したのであるから、これは裁判所に保管して置くのが妥当じやないかという御意見も一應は御尤もと思うのでありますが、これは訴訟経過の実態を無視した考え方だと思うのであります。先程も申上げましたように、判決が確定しても、後に執行というものがある。それは檢察官の責任である。そして尚恩赦の問題についても檢察官の責任である。從つてそのためには確定記録というものが常に必要なのであります。で、裁判所は裁判をしてしまえば、それで一應手が離れてしまうのでありますが、檢察官の方は恩赦事務が完了するまでは、檢察官の責任においてその確定記録が必要なのでありまするから、これを檢察廳の側に保管するというのが訴訟法の建前からも、又この実際から言いましても、又便宜の上から行きましても、これが一番よい方法であると思うのであります。ただ裁判所もその後の記録を見る必要がありましようが、そのときには、いつでも檢察廳においてはこれをお見せすることができるわけであります。
現在におきましても、すでに檢察廳において確定記録は保存しておる実情にあるわけであります。この訴訟法改正案を出しますに当りまして、私共の方では從來の通り檢察廳において保管するような法文にしようといたしましたのですが、裁判所側においてもこの点につきましては、裁判をしたのは俺なんで、そうだから記録は俺のもんだから、俺の所に置くのが当り前であるというふうな、一種のセクシヨナリズム的な考え方、意見が出た。併しながら法務廳といたしましては、そういう議論が出たものを、一應直ぐ檢察廳が保管するというふうな條項にすることは、他日裁判所との関係も考慮いたしまして、そのために先ず別の法律を以てどこで保管するこは決める。その間一年間は現在通り檢察廳で保管して行くということにいたしまして、裁判所と折衝をいたして、この問題を解決して行きたいという考えを持つておつたわけなんであります。
殊に一審裁判所がこれを保管するとありますが、ちよつと見た目には、成る程一審の裁判所が元々やつたんだからよいだろう。こういうお考えでありまするが、このくらい間違つた考え方はないと思う。というのは、執行がどこになるかと申しますと、二審で確定すれば審の檢察官が執行をするわけである。だから、その確定したところの裁判所でその記録を保管する、こういうならばまだ私は筋が通る、かように考えるのであります。それは高等裁判所によつて確定した事件は高等檢察廳の檢察官が執行の指揮権を持つておる。が、結局その記録は一審裁判所へ行つてしまう。手続の上から見ましても、非常な何と言いますか、手違いを生ずるわけであります。
先程も申しました通りに檢察官は、檢察廳がこれを保管しておるからといつて、裁判所には一切見せないでというような、そんなけちな考えを持つておるわけではない。裁判所が必要なときにはいつでもお見せするわけなんであります。裁判所の考え方というものは、私共は誠に遺憾に思うのであります。それで、この点につきまして、私共は最も虚心担懷な氣持を持ちまして、とにかく一年間というものは現状で行つて、裁判所と一つ話を付けて、そうして円滿に事を解決したいと思いまして、一年後別に法律を以て定めるという條項を設けた次第であります。
私の申上げようが非常にくどいようでありますけれども、そういう趣旨でございまして、理論上も、実際上も、便宜上も、檢察廳が保管する一番妥当である、かように考えますので、この点につきましては、一應是非御考慮をお願いいたしたいと思うのであります。
〔「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/6
-
007・伊藤修
○委員長(伊藤修君) 皆さん、御発言もないようでありますから、これで……(「採決願います」と呼ぶ者あり)終結しまして、採決いたしたいと思いますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/7
-
008・小川友三
○小川友三君 採決願います。修正案に対する採決。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/8
-
009・伊藤修
○委員長(伊藤修君) それでは採決いたします。修正案全部について採決いたします。修正案の賛成の方の起立を願います。
〔相員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/9
-
010・伊藤修
○委員長(伊藤修君) 全会一致と認めます。修正部分を除く原案について御賛成の方の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/10
-
011・伊藤修
○委員長(伊藤修君) 全員一致でございます。それでは多数意見者の御署名を願います。
〔多数意見署名〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/11
-
012・伊藤修
○委員長(伊藤修君) 尚委員長報告についてはどうぞお委せを願いたと思います。
次に檢察審査会法案を上程いたします。ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/12
-
013・伊藤修
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて。それでは休憩いたします。
午後七時四十四分休憩
—————・—————
午後十一時五十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/13
-
014・岡部常
○理事(岡部常君) これより檢察審査合法案を上程いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/14
-
015・松井道夫
○松井道夫君 質問を打切つて討論を省略して直ちに採決に入らんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/15
-
016・星野芳樹
○星野芳樹君 只今の松井委員の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/16
-
017・岡部常
○理事(岡部常君) 如何でございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/17
-
018・岡部常
○理事(岡部常君) それでは本案全部と問題とします。賛成の方は御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/18
-
019・岡部常
○理事(岡部常君) 全会一致を認めます。多数賛成者の署名を求めます。
〔多数意見署名〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/19
-
020・岡部常
○理事(岡部常君) 署名漏れはございませんか。それかは委員長報告はどうぞお委せを願います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/20
-
021・岡部常
○理事(岡部常君) これにて散会いたします。
午後十一時五十三分散会
出席者は左の通り。
委員長 伊藤 修君
理事
鈴木 安孝君
岡部 常君
委員
大野 幸一君
鬼丸 義齊君
前之園喜一郎君
來馬 琢道君
松井 道夫君
松村眞一郎君
宮城タマヨ君
星野 芳樹君
西田 天香君
政府委員
檢 務 長 官 木内 曾益君
法務廳事務官
(檢務局長) 國宗 榮君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214390X05319480705/21
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。