1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年十一月十七日(水曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 小川原政信君
理事 冨田 照君 理事 田中 稔男君
理事 福田 繁芳君 理事 唐木田藤五郎君
植原悦二郎君 菊池 義郎君
辻 寛一君 村上 勇君
加藤 勘十君 冨吉 榮二君
山中日露史君 北 二郎君
出席國務大臣
逓 信 大 臣 降旗 徳弥君
出席政府委員
内閣官房長官 佐藤 榮作君
総理廳事務官 大野木克彦君
総理廳事務官 井上 豪君
委員外の出席者
專 門 員 亀掛川 浩君
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十一月十五日
科学技術行政協議会法案(内閣提出第二三号)
國家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二四号)
郵政省設置法案(内閣提出第二五号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十六日
行政整理刷新に関する陳情書
(第二三五号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
財閥同族支配力排除法の一部を改正する法律案
(内閣提出第九号)
科学技術行政協議会法案(内閣提出第二三号)
國家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二四号)
郵政省設置法案(内閣提出第二五号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/0
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001・小川原政信
○小川原委員長 会議を開きます。
これより、去る十五日本委員会に付託に相なりました科学技術行政協議会法案、國家行政組織法の一部を改正する法案、郵政省設置法案を議題といたし、審議に入ります。
まず國家行政組織法の一部を改正する法案について政府の趣旨弁明を求めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/1
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002・大野木克彦
○大野木政府委員 本日行政管理廳長官の工藤國務大臣が出て御説明申し上げるはずでございましたが、ちよつと微恙のために引きこもつておりますので、行政管理廳次長の私がかわつて御説明申し上げます。
なお、御説明を申し上げる前に印刷にミスプリントがありますので御訂正願いたいと思います。三頁の理由のところを「國家行政組織法の施行期日を延期する必要がある。これがこの法律案を提出する理由である。」と御訂正願いたいのであります。
それでは提案理由の御説明を申し上げます。
國家行政組織法は、第二國会において成立を見たものでございますが、その施行期日は昭和二十四年一月一日と定められております。すなわち同法は、行政機関の組織の基準を定めたものでありますから、各行政機関の組織をこの基準に從つて法制化することが必要でございまして、國家行政組織法はこれらの各省等の設置法と同時に施行すべきものでございます。從つて政府といたしましては、今期國会に各省等の設置法案を提出いたしまして、そうして本法を明年一月一日から施行すべく準備を進みて参つたのでございますが、御知承のように今期國会は、國家公務員法の改正を中心として、その会期も短期に定められたのでございます。それで政府は、今期國会に各省等の設置法案を提出することはこれを取りやめまして、今後なお十分準備をいたしまして、次期國会にこれを提出して、その制定をまつて、明年四月一日を期して國家行政組織法を施行することを適当と認めた次第でございます。從つて同法の施行期日及びこれと関連する事項を定めました國家行政組織法の第二十三條、第二十五條及び第二十七條の三箇條の中で、それぞれ「一月一日」とありますのを「四月一日」と改めるというのが、この法律案の内容でございます。
何とぞ御審議の上、御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/2
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003・小川原政信
○小川原委員長 本案に対し、御質疑はありませんか。何か御質疑がありますれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/3
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004・田中稔男
○田中(稔)委員 この法案はきわめて簡單な、單純な性質を持つておりますし、別に異議はないと思いまするので、質問等は省略して、これで採決していただいていいのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/4
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005・小川原政信
○小川原委員長 田中君の御発議がありました通り、きわめて簡單でありますから、その通りにいたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/5
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006・小川原政信
○小川原委員長 御異議なしと認めます。それではこれを議決いたしたいと思います。
これを原案通り可決いたすに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/6
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007・小川原政信
○小川原委員長 御異議なしと認めて、原案通り可決いたします。
なお委員会報告書の作製及び提出はこれを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/7
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008・小川原政信
○小川原委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/8
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009・小川原政信
○小川原委員長 次に郵政省設置法案について、政府の提案理由の説明を求めます。降旗逓信大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/9
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010・降旗徳弥
○降旗國務大臣 それではただいま委員長から申されました郵政省設置法案について御説明を申し上げたいと思います。実はこの郵政省の設置に付随いたしまして、電氣通信省、この二つの設置法案が関連しておるのでありますが、何がゆえに現在の逓信省が郵政省と電氣通信省の二つの省にわかれなければならないか。このことを大要申し述べてみたいと思います。
申し上げるまでもなく、今日行政簡素化がとなえられておるときに、二省が一省になるなら版ともかく、一省がなぜ二省になる必要があるか。こういう疑いが起るのでありますが、しかしながら私は逓信省の内部へ入りまして、いろいろの事情を調査した結果、これは当然二省にわかれなければならぬということを感じざるを得なかつたのであります。これは卑俗な例でありますけれども、私どもは戰爭前までは日本が一等國であるとうぬぼれておつた。英國と、米國と、日本は世界で一番強いなどと、うぬぼれておつたのでありまして、從つて通信事業も世界の一流だ。こう思つておつたのでありますが、しかし実際の統計を調べてみますと、電話におきましては、アメリカは四人に一個の電話がある。スエーデンには八人に一個の電話がある。日本はそれよりはるか下でありまして、世界におけるところの二十何番目の國である。そうして日本以外の國におきましては、四十六個の電話について從業員が一人であるけれども、日本はわずか六、七個の電話について從業員が一人であるという能率の悪い状態である。さらに郵便物について申しますると、米國は一人当り二百通の郵便物があるのに、日本は一人当り三十通である。先般毎日新聞などを読んでみますと、アメリカにおいては放送局が千九百、テレビジヨンの放送局が百十八、こういう今日の文明の利器として、最もわれわれが考えなければならない電氣通信事業というものについて、いかに日本が遅れておるかということを感じまするときに、人間のからだで申しますならば、神経系統とも言うべきこの通信事業をいかに向上発展せしむるか。單にそれは戰災によつてこうむつたところの打撃を復旧せしめるということのみにあらずして、われわれのまだ思いもつかないように発展発達しておるところの通信事業の國があるとするならば、そういう國に追いつくような状態を今日整えて行くことが、祖國再建の重大な問題であると感ぜざるを得なかつたのであります。
そこで大体この逓信省の機構改革の問題がいかなる経緯をたどつて來たかと申しますと、これは一昨年三月ごろからGHQのCOS、これは通信事業の関係でありますが、ここにおいて非常の人數と非常の努力をもつて日本の通信事業を調査研究されたのであります。そうして昨年二月になりまして、ひとつ日本政府の逓信省とも一緒になつて、この研究を行おうということで非公式のメモランダムが参りまして、爾來日本政府、特に逓信省のそれぞれの係りと、GHQのOCSにおける專任の人々、この中にはアメリカの電氣通信の権威者が幾人も交つておるのでありますが、これらの人々と熱心に研究が続けられたのであります。そうして本年五月になつて一應その成案を得て、これが逓信省の機構を電氣通信とその他の事業とを分離経営することとして、前期國会に逓信省設置法案というものを提出いたしました。しかしこれは國家行政組織法の審議の関係もあつて会期中審議未了となり、継続審議に移されておつたのであります。ところが去る七月二十二日マツカーサー元帥の書簡によつて逓信省の機構を完全に再編成して、そうしてこの能率を上げることに努力しなければならぬ。これがためには先ほど私が申しましたように、逓信省の業務事務を二省に分離することが必要である。こういう慫慂のもとに九月九日付のスキヤツピン五九八五のA、九月十六日付のスキヤツピン五九八五のAによりまして、日本政府あてにそれぞれ電氣通信省、郵政省の設置方のメモランダムが参つたのであります。これによりまして、政府におきましてはいろいろ対策を立てまして、当時の芦田内閣によりましてこういう基本方針が決定されたのであります。
すなわち、逓信省機構再編成の基本方針案、二十三年九月二十一日閣議決定
一、基本方針——七月二十二日付マツカーサー書簡の主旨に基いて、逓信省所管の業務を郵政関係と電氣通信関係との両部門に明確に分離し、各事業の能率的かつ強力な運営をはかるため、左の要領により逓信省の機構を再編成するものとする
二、機構——1、逓信省の業務を二分して郵便、貯金、保險の各事業をもつて郵政省(仮称)を、電信電話事業をもつて電氣通信省(仮称)を新設する
2、電波監督行政部門は電氣通信省の外局として電波廳を創設する
3、航空保安部門は電氣通信省の特別な部門とする
4、現業官署は普通局までは機構上二省に分割する、ただし特定局は郵政省の所属とし、電氣通信業肩は原則として委託の形敷でこれを取扱う
三、会計——通信事業特別会計はこれを郵政特別会計と電氣通信特別会計に分離し、それぞれ事業会計の自主性と特殊性とを徹底せしめる
四、人員——人員の分割は原則として行う
五、実施の時期——昭和二十四年四月一日実施を目途とし、両省の設置法案は第三臨時國会に提出、両特別会計法案は次期通常國会に提出するものとする
かような方針で参つたのであります。しかるに御承知のごとくわが國は終戰後におきまして万國の條約には加入しておらなかつたのでありますが、この逓信省関係におきましては、幸いなことには去る七月には万國郵便條約というものに加入いたしまして、今度も國会において御審議を願うことになつておるのでありまするが、國際電氣通信條約、これに加盟することになつております。これは連合國側の非常な御援助によるものでありまして、われわれが平和條約を一日も早く締結したいという國民の願望から申しますると、たとえそれが郵便條約あるいは電信條約でありましても、われわれが世界の國の一員としておつき合いのできる條約に加盟できるということは、まことに愉快に存ずる次第でありまして、これはひとえに通信事業というものがわが國だけのものでなくて、列強と足並を整えて行かなければならぬものである。こういう意味において終戰後この二つの條約に加盟する運びになつておるものと私は信じておるのであります。こういう意味から申しますると、國内の政治問題として逓信省の機構改革の問題を考える必要のうることはもとよりでありますけれども、國際的の大きな立場に立つて、日本を再建するためにはどうしたらよろしいか、この点について考える必要が非常に多いと私は思わざるを得ないのであります。そこでおそらく明日あたりはこの電氣通信省の議案が上程されると思いまするが、本日はこの意味におきましてまず郵政省設置法案について多少の説明を試みてみたいと思うのであります。
お手元に差上げました法案は、いずれも國家行政組織法案に基いて立案されたものでありまして、國家行政組織法とともに施行せられるものであることは申すまでもないのであります。そこで郵政省とはどういうものなのかと申しますと、この官廳は郵便と、郵便貯金と、簡易保險の三つの異なつた事業を経営して参ります関係上、本省の内部部局構成の中心といたしまして郵務局、貯金局及び簡易保險局を置き、これに人事、経理、資材、営繕等の補助的な部局を設けたことは、おおむね現在の組織をそのまま長所として受入れたからであります。ただ監察関係の業務については、これらの事業が主として人的施設に依存するものである。かつ國民の信頼感を回復することが事業経営の死命を制するものであり、しかも当面最も強くその充実が要請せられておることを考慮いたしまして、今回特に監察局を新設して、事業経営の全面的な刷新をはかろうとするものであります。從いまして地方管理機関につきましても、從來の逓信省に相当する地方郵政局を從來の所在地に設置いたしますほか、これとは独立して地方監察局を別個に設けることとしたのであります。なお監察事務に從事する監察官には、このたび新たに司方警察権を持たせることにいたしまして、監察機能の運営に万全を期した次第であります。
現業事務については、從前通り郵便局において一括運営して参りますことは、何ら異らならないのであります。
こういう意味において大体の郵政省設置の骨格を定めました。こまかいことにつきましては当務当局から説明があることと思いますから、これについて御質疑願いたいと思うのであります。先ほども御報告申し上げました経緯の中にもありますように、たとえ逓信省がこの二省になつたといたしましても、その総体人員をふやすというようなことは私ども考えておりません。現在の状態においてこの二省の設置をして行きたいと思つておるのでありまして、この点は特に御留意願いたいと思います。申し上げるまでもなくこの問題につきましては、電氣通信あるいは郵便の先進國でありまして、わが國に対して非常な御努力をくださつておりますアメリカの力が多いのでありまして、これはやはり先進國の助力助言によつてここに祖國再建の基底をつくることが一番正しいことである。それには先ほど前内閣でも決定しておりますように、明年の四月一日にこれを発足せしむるには、今日臨時國会といえども、この間に一切を議了されまして國会を通過せられるのでありますならば、逓信省におきまする事務は、まことにきまりよく、支障なく進めることができるのであります。從つて今國会には公務員法の審議という重大な問題があるかもしれませんけれども、この祖國再建の中枢神経をいかに再組織するかということは、まことに重大な問題でありまして、でき得べくんばこの大きな点を御了承くださいまして、今國会に皆様方の御協力を得まして本法案が無事通過いたしますならば、祖國の再建のために非常な幸いをいたすものであるということを痛感しておるのであります。
大体の説明は終りましたが、なお御質疑によりまして詳細な答弁をいたしたいと思います。何分とも絶大なる御協力をお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/10
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011・小川原政信
○小川原委員長 次に科学技術行政協議会法案について政府の提案理由の説明を求めます。佐藤官房長官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/11
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012・佐藤榮作
○佐藤(榮)政府委員 政府はこのたび科学技術行政協議会法案を提案したのでありますが、ここにその提案の趣旨を御説明申し上げます。
平和的文化國家の建設には、科学技術の向上と普及がその基礎をなすものであることにかんがみまして、日本学術会議法を提案し、すでに公布を見ておるのであります。このたびは、日本学術会議とともに学術体制刷新委員会の答申の二つの大きな眼目でありますところの科学技術行政民議会を設置しようとするものであります。科学技術行政協議会はいわば日本学術会議と政府との間に立つて、両者の意思の疎通をはかり、科学と國策との相遊離ずることのないようにするためのものであります。從來わが國の政治におきまして、科学研究の成果が、十分に行政上の諸施策に活用されず、また各省間の連絡調整が必ずしも十分でなく、政府全体としての科学技術行政の一貫性、総合性に欠くるきらいがあつたのであります。かかる弊害を除去することがこの協議会の重要な目的であります。こういう目的を達成いたしますのには、單に行政官の手腕と識見のみでは十分でなく、科学者の專門的知識がこれに加わり、両者相協力することが必要であります。本協議会の委員の數が行政官と科学者とがそれぞれ同數を占めることになつておるのは、この意味からでありまして、ここに本協議会の大きな特色があるのであります。
次に前にも申し述べましたように、本協議会の重要なねらいの一つは、各省間の連絡調整をはかり、科学技術行政に一貫性、総合性を與えようとするところにありますが、しかし本協議会は実施機関ではなく、審議機関でありまして、その審議の結果は内閣総理大臣がその権限に基いて、重要なものは閣議を経て実施するのでありまして、各省の立場は十分尊重され、画一的統制に堕することのないような配慮がなされているのであります。
なお本協議会は、関係方面の特別な要請もありましたので、本年度初めに設置する予定で、こりに要する経費はすでに本年度の当初予算に計上されているのであります。しかしその後種々檢討すべき点がありましたので、その設置を延期し、今日に至つたのであります。しかしながら明年一月二十日には日本学術会議が成立いたしますので、これと同時に本協議会を発足せしめる必要から、今臨時國会において、本法案の審議をお願いする次第であります。
以上が本法案の提案理由であります。十分御審議の上、御協賛あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/12
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013・小川原政信
○小川原委員長 本日はこの二案の趣旨弁明を聽取するだけのことにいたしまして、質疑は次会にいたしたいと考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/13
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014・小川原政信
○小川原委員長 先般審議中でありました財閥同族支配力排除法の一部を改正する法律案について審議を続けます。他に何か御質疑はございませんか——なければ引続いて討論に入りたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/14
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015・冨田照
○冨田委員 一つだけ討論に入ります前にお尋ね申し上げたいと思います。お許し願います。それは今議題になつております財閥同族支配力排除法につきまして、この審査委員会が廢止になります。そのあとの処理として、総理廳の官房の中に一つの課を新設して、そこであとの事務を処理する。こういうことになつておりますが、これは國家行政組織法の第七條三項におきまして、課を置きます場合には、必ず予算上の措置がこれに伴つていなければならないというのが、國家行政組織法の根本の建前であります。そりにつきまして総理廳官房にある課を新設する場合に、その予算上の措置がとられておるかどうか。その一点をお尋ね申し上げておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/15
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016・井上豪
○井上政府委員 ただいまの御質問に対しましては、ここに資料の二のところに書いてございます。職員といたしまして予定されておるのは二級五人、三級五人になつております。これに対しましてしかるべくこの割合によつて予算を組む予定になつております。すなわち定員は二十四名になつておりますが、現在は実員といたしまして二十一名でございます。これを新しい予算に組みますと十人になりまして、課は新設いたすといたしましても、予算面におきましては簡素化される次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/16
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017・福田繁芳
○福田(繁)委員 議事進行について、この際委員長にちよつとお願い申し上げておきたいと思うのでありますが、委員長の方からもう少し政府の方に綿密に連絡をとられて、そしてこの委員会の運営方法を万遺漏ないようにしていただきたいと思うのであります。それは先般理事会でもその由は十分申し上げてあつたのですが、たまたま今日の委員会におきましても、その完全な連絡がとれてなかつたのか、とれてあつても政府が不一致でありまするか、そういう大きな矛盾が起つてきておる。この委員会で國家行政組織法の一部を改正する法律案の提案の理由を承つたときに、政府は今期國会に各省設置法案を提出して、そうしてそれを明年一月一日から施行する準備を進めておつたんだけれども、今國会は会期が短かい、加うるに公務員法の改正を中心としておるから、今議会に提出するのはとりやめて、來國会に各省の設置法案を提出する。それまで準備をする。こういうところのごもつともな趣旨弁明がなされたので、われわれはそれに賛意を表して、決定いたしたのでありますが、今逓信大臣のお話を聞きまするというと、郵政省設置法あるいは電氣通信省設置法、これはぜひこの今國会にまとめてもらはないと困るという申し出があつたのですが、そうしますと、先ほどの國家行政組織法の一部を改正する法律案の趣旨弁明からいたしましても、大きな矛盾を見出すのであります。こういう点は相なるべくは予盾のないように、われわれ委員として過日の理事会の時分に、各党の理事の方が仰せられたごとくに、この委員会に扱つている法案が重大法案であるから、相なるべくはスムーズに能率的にやりたい。こういう申し合せをしておるにかかわらず、こういうことが起ることは非常に困りますから、でき得る限り委員長において政府と完全な連絡をとられて、委員会の運営方法をよろしく御檢討願いたいと思うのであります。
なお先日の理事会でもお話がありましたごとくに、本日は一、二の法律案を決定して、残余の法律案は趣旨弁明を承つておいて散会する。そうして次会には残余の法律の審議に移るというような申し合せもあるわけなのでありますから、多分にその点を織り込まれて御檢討を願いたい。かようなことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/17
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018・小川原政信
○小川原委員長 ごもつともなお話でありまして、私も今趣旨弁明を聞いて、あなたと同じ感がしたのでありまして、御注意ありがとうございます。その点特に注意いたします。
この財閥同族支配力排除法の一部を改正する法律案につきましての討論を省略いたしますか。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/18
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019・加藤勘十
○加藤(勘)委員 いや討論はある。あるがその前にちよつと聞きたいのですが、今表を見せてもらいますと、ほとんど大部分が差しもどしというと、結局緩和されたことになる。緩和されることについて一体何を標準にして緩和されたのか、こうやつて表を見ると、かなりかんじんなときに、同じような時期に一方では却下になつておる人もあるし、他の一方では差しもどしになつておる。そうするとこれは何を標準として却下と差しもどしが審査過程において決定されたのか。そういう点聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/19
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020・井上豪
○井上政府委員 この法律の建前といたしまして、原審すなわち第一審で却下されたものにつきましても、さらにこれに不服な者は新しい証拠を出しまして、訴願を請求することができるのであります。それで第一審の場合に却下になつたものでも、その申請者におきまして十分な資料がなかつた、りあるいはその時に説明することを省略しておつたために、不利な、すなわち却下になつたというような実情が多々あつたのであります。すなわち同一の申請書の基いて審査したのではなく、再審査委員会におきましては、新しく提出された、内容のある再審査申請書に基きまして、それで詳細に審査いたしまして決定いたしたのでございます。從つてその間にことさら審査の標準が変更になつたというようなことはいたしませんので、この同族支配力排除法の條文によりまして、新しく提出された訴願申請書に基いて審査決定して、さきに却下させれたものも、再審査委員会では通過させた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/20
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021・加藤勘十
○加藤(勘)委員 その御説明はその通りだと思うのです。前と同じ條件で一遍却下されたものが二度目に通過するはずはないのですから、新しい資料が提起されて、それに基いて審査がなされたということは、よくわかりますが、ただそのほかの政治とか言論というものは、相当内容にわたつて資料の関係があると思います。財閥関係はどうですか。時期というものは形式上相当重きを置かれておるのじやないですか。その同族会社における地位というものは、その地位の時期というものは、この形式は相当重きを置かれているのじやないですか。ただ私の憂えるのは、今後こういうことになつて、結局財閥関係のパージが事実上ほとんどなかつたと同じような結果になつてしまう。ごく少數の人間、きわめて特殊の人間だけが残つて、あとはほとんどみな解除されてしまうというようなことになつたり、今後こうなると、機構も小さくなるし、それから新しいパージに該当するような資料が出て來ても、ほとんど問題にされない。それからまた現在ほとんど潜在的にパージに該当すると思われる潜在パージ該当者がほとんど問題にされない。こういうことになると、結局経済会における形をかえた財閥支配がまた復活して來るのじやないか、こういう危險が感ぜられるのです。從つてそういうことを思うと、この同族会社における支配的地位の時期というものが相当重要でないかと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/21
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022・井上豪
○井上政府委員 この再審査委員会で審査いたしましたのは、初めから終りまで、あらゆる勢力利益というものから全然別個に、関係されずに、公平な見地からいたしたのでありまして、初期の場合と、最後に近づくに從つた場合において、差別なく行つたのでありまして、再審査委員会といたしましては、これはこの法律を公平に解釋して適用したものであるという確信を持つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/22
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023・加藤勘十
○加藤(勘)委員 いや、そういう法の適用を委員会が公正に扱つたということについて疑義を持つのじやないのです。その該当者が同族会社における支配的地位の時期です。期間です。期間というものが、該当者として決定する上において相当重要なる一つの形式上の要件であつた、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/23
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024・井上豪
○井上政府委員 ございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/24
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025・加藤勘十
○加藤(勘)委員 そうでしよう。その重要だと思われる支配的地位の期間の問題について、これを見ると、同じような時期になつておつたものが、ある人はパージになり、ある人は免除されておる、こういうことがここに出て來るというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/25
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026・井上豪
○井上政府委員 その御質問に対しましては、時期も、この期間が長いのは考慮に入れまして、審査いたしたいのであります。しかしすべての点から考えまして、たとえばその地位が取締役であるか、社長であるかという上下の点も考慮に入れます。それからその人がかりに常務でなくとも、平の取締役であつても、その個人的の調査によつて非常に財閥会社に寄與貢献したというような証拠が上る場合には、期間は短かくても、その方を重く見る場合には、この法律によつて財閥役員と認定したのであります。從つてその期間の長短ということは一應は一つの審査決定の標準の一部にはなりますけれども、それのみによつたのではないのであります。またその地位と申しましても、下の地位の人が落ちて、常務あるいは專務が通つておる場合もありますが、これはまた個々の場合について考えたのでありまして、一定の標準を立てて再審査委員会で決定したのではないのであります。たとえば社長は必ず落すとか、あるいは長く役員をしておつた者は落すというようなことでなくて、全体の各個人について考えて決定いたしたのであります。從つてその將來に対する危惧というものはないように考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/26
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027・加藤勘十
○加藤(勘)委員 その点はそれ以上聞いてもむだと思うが、ただこういうことばどうですか。現在潜在該当者と自分も思つておるし、世間でも思つておるというような人が、再び、審査を受けることなく、こういつた会社の実質上の地位につけるのか、それともやはりそういう人は一應審査を受けなければいけないのか、その点どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/27
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028・井上豪
○井上政府委員 それは審査を要するのであります。現在までやりましたところでは、今年の一月七日だと思いますが、この法律の公布になつた当時に財閥会社及び関係会社に現職におつた者だけについて審査されるのであります。それ以外のつまり潜在と申しますか、現についておらなかつた者は、今度新たにつく場合には、審査を受けなければつけないということになります。現についておつた者は申請の手続をとつておかないと、当然財閥役員とみなされてしまうのであります。けれども潜在しておる者はただちにする必要はないので、新しく財閥に関係のある会社につく場合には、審査されまして、それで合格した場合は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/28
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029・加藤勘十
○加藤(勘)委員 たとえば第二会社の場合はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/29
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030・井上豪
○井上政府委員 第二会社も同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/30
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031・小川原政信
○小川原委員長 御質疑はありませんか——それでは質疑が終了いたしたものと認めまして、引続き討論に入りたいと思います。田中君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/31
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032・田中稔男
○田中(稔)委員 加藤委員の御質問の中にもありましたが、從來の審査及び再審査の業績を見ておりますと、少し甘いのではないかという感じがあるのであります。しかしながら処理の事情につきましては、もうこれ以上具体的にいろいろお聞きすることもどうかと思いますから、今度審査委員会及び再審査委員会がなくなつて、そのかわりに総理廳の官房に一課ができ、そして從來の両審査委員会の仕事を継続するにあたのましては、その機構の簡素化はけつこうでありますけれども、審査の方針にあたりましては、あくまでもこの支配力排除法の根本方針にのつとつて、嚴密な審査方針をとつていただきたいと思います。この法案の提案理由の中に、從來つくられました先例を尊重するという言葉があります。その先例がもう少しゆるやかであつたならば、むしろ今後はそれをもつと嚴重にするということをお願いいたしたい。また同じ提案理由の中に、いささかたりとも経済界の実情を無視した決定に陷ることのないようにいたすということがありますが、もちろんこの支配力排除法の適用にあたつて、いたずらに経済界を混乱に陷けるということは愼まなければならぬと思いますけれども、また日本の経済の民主化という仕事を進めて行く上におきまして十分御留意を願いまして、問題になるような人は、過去においてどんなに実績があり、どんなに有能でありましても、そういう人はひとつ経済界の第一線から引いてもらつて、新人を大いに進出させて、そして日本の経済の民主化をはかるというふうに、ひとつ持つて行つていただきたいと思います。そのことを希望いたしまして私の討論にかえます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/32
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033・小川原政信
○小川原委員長 福田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/33
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034・福田繁芳
○福田(繁)委員 私は民主党の委員を代表いたしまして本案に対する態度を表明いたしたいと思います。今社会党の方から仰せられたのとあまりかわりはないのでありますが、この法案の制定の趣旨から考えましても、終戰三年數箇月の今日になつて、大体この目的も達成できたと申しまするか、その意味合いにおいて非常に簡素な機構のもとに行われるという段階になつたことは、一面考えようによると、非常に御同慶に存ずるのであります。ただしかし今も仰せられたごとく、今修の運営いかんということが、せつかく今まである程度の成果を收めて來たことに対して、根本からくつがえされるおそれがなきにしもあらずで、その点多分に御配慮にあずかりたいと思うのであります。機構の簡素化はまことにけつこうです。しかし何としても、この文面にもあるごとくに、経済界の実情を絶対に無視しない、同時に先例を尊重する。決して総理大臣としてでも、あるいはその衝に立つ者としてでも、この経済界の実情と先例を無視しないということを絶対條件にしてもらう、その上、多分にお含み置き願うという意味合いにおいて、本案に対して賛成いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/34
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035・小川原政信
○小川原委員長 これにて討論は終局いたしました。ただちに採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/35
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036・小川原政信
○小川原委員長 起立総員。よつて本案は原案通り可決いたしました。
なおこの際お諮りいたしますが、委員会が付託せられた事件について審査を終つたときは、委員会報告書を作成して議長に提出いたすことになつておりますが、この委員会報告書の作成及び提出方は委員長に御一任願いたいと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/36
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037・小川原政信
○小川原委員長 御異議ないものと認めまして、さようとりはからいます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100304889X00319481117/37
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