1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年四月二十五日(月曜日)
午後四時八分開議
出席委員
委員長 花村 四郎君
理事 北川 定務君 理事 高木 松吉君
理事 吉田 安君 理事 梨木作次郎君
押谷 富三君 鍛冶 良作君
田嶋 好文君 牧野 寛索君
松木 弘君 眞鍋 勝君
大西 正男君 世耕 弘一君
出席政府委員
法務政務次官 遠山 丙市君
委員外の出席者
專 門 員 村 教三君
專 門 員 小木 貞一君
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四月二十三日
刑法の一部を改正する法律案(内閣提出第九六
号)
刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出
第九七号)
裁判所法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第九八号)
司法試驗法案(内閣提出第一〇〇号)
公判前の証人等に対する旅費、日当、宿泊料等
支給法案(内閣提出第九四号)(予)
刑事訴訟費用法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九五号)(予)
司法警察職員等指定應急措置法等の一部を改正
する法律案(内閣提出第九九号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
同日
兒島市に簡易裁判所設置の陳情書
(第二八二号)
戸籍事務費全額國庫負担の陳情書外三十九件
(第二九二号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
司法試驗法案(内閣提出第一〇〇号)
刑事訴訟費用法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九五号)(予)
司法警察職員等指定應急措置法等の一部を改正
する法律案(内閣提出第九九号)(予)
議院における証人の宣誓及び証言等に関する法
律の一部改正に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505206X01019490425/0
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001・花村四郎
○花村委員長 これより会議を開きます。
刑事訴訟費用法の一部を改正する法律案、司法警察職員等指定應急措置法等の一部を改正する法律案、司法試驗法案の各案を一括議題といたします。政府委員より提案理由の説明を求めます。遠山政府委員。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505206X01019490425/1
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002・遠山丙市
○遠山政府委員 ただいま上程になりました刑事訴訟費用法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
本案は、いわゆる在廷証人に対しても旅費、日当、宿泊料等を支給するとともに、これを訴訟費用の一部に加えようとするものであります。職権主義を基調とし、かつ起訴と同時に一件搜査記録が裁判所に引継がれることになつておりました旧刑事訴訟法のもとにおきましては、在廷証人の利用は算えるに足る程度で、ほとんど問題になることはなかつたのでありまするが、職権主義が後退し、多分に当事者義が主取入れられ、かついわゆる起訴状一本主義が採用せられている新刑事訴訟法になりましてからは、この在廷証人の利用が、從來に比し著しく活発になつて來ているのであります。これは、証拠はまず檢査官なり被告人または弁護人なりの当事者側から提出することにした新刑事訴訟法の当事者主義的構造にももとらず、かつ全体としての審理の促進をはかる上からいたしましても、当然の傾向と認められるのであります。しかしてかかる在廷証人は、当事者の求めにより、当該公判期日に出頭して來ているものでありますから、裁判所において証人として採用され、取調べを受けた以上、当初から裁判所が喚問した証人とその取扱いを同じにするのが相当と認められるのであります。なお鑑定人等についても、これに準じて考えられるのであります。それでこれらの者に対しても、旅費、日当、宿泊料等を支給し、これを訴訟費用の一部に加えることにいたした次第であります。
以上まことに簡單でありますが、提案理由の御説明を終ります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
次はただいま上程に相なりました司法警察職員等指定應急措置法等の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
第一は、司法警察職員等指定應急措置法の一部改正でありますが、御承知の通り運輸事務官、鉄道手等の國有鉄道の職員につきましては、從來大正十二年勅令第五二八号によりまして、司法警察官吏の職務を行う者として指定されており、改正刑事訴訟法のもとにおきましても、司法警察職員等指定應急措置法により、從來と同樣に司法警察職員として指定されているのでありますが、今回日本國有鉄道法の施行に伴いまして、これらの職員は、公法人たる日本國有鉄道の役員または職員となることと相なりましたので、これを新たに司法警察職員として指定する必要を生じ、これを司法警察職員等指定應急措置法中に規定することといたしたのであります。なお指定の方法につきましては、前に申し述べましたように、日本國有鉄道が國家の手を離れた公法人であることにかんがみまして、從來のごとくその指名権者を、当該役職員の所属する事務所の長に一定する方法によることなく、運輸大臣が適当と認められる者を指名権者として選定することとし、指名については運輸大臣の監督の道を残した次第であります。
次は、海上保安廳法第三十一條の改正でありますが、現在の海上保安官につきましては、二級の海上保安官が司法警察員として、三級の海上保安官が司法巡査として職務を行うものとせられておるのであります。ところが二級の海上保安官は、その数が比較的少く、それがために司法警察員として捜査事件の処理をいたします際に、少からざる不便を感じて來たのであります。そこで本案におきましては、司法警察員と司法巡査の区別を、海上保安廳長官の定めるところによるものといたしまして、その職務の遂行を円滑ならしめることといたしたのであります。
以上御説明いたしましたように、本案は、特殊司法警察職員の機能を十分に発揮せしめるため、ぜひとも必要な應急的措置を規定いたしましたものでありますから、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決あらんことを望む次第であります。
次はただいま議題となりました司法試驗法案について、提案の理由を御説明申し上げます。
これまで裁判官、檢察官、弁護士等の法律專門家は、原則として高等試驗令による高等試驗司法科試驗に合格したる者が、司法修習生または弁護士試補として実務修習を終えて、初めてその資格を得たことは御承知の通りであります。ところが國家公務員法の改正によつて高等試驗が廃止せられ、高等試驗司法科試驗の制度は昨年末でなくなりましたので、これにかわるべき試驗制度を早急に定める必要があるのでありまして、ここにこの法律を提出いたした次第であります。
法案の内容について簡單に御説明いたしますと、この試驗は、法律專門家として必要な学識及びその應用能力を有するかどうかを判定することを目的とする國家試驗でありまして、これを第一次試驗と第二次試驗にわかち、第一次試驗は第二次試驗を受けるのに相当な教養と一般的学力を有するかどうかを判定することを目的とし、学校教育法に定める大学卒業程度において、一般教養科目について筆記の方法によつて行うことにいたしたのでありまして、從前の高等試驗予備試驗のごとく、その受驗資格を制限しないこととするとともに、試驗科目の範囲を廣めることといたしたのでありますが、その具体的な細目は、後に述べる司法試驗管理委員会規則で定められることになろうと存じます。そしてこの第一次試驗は、学校教育法に定める大学において、学士の称号を取得するのに必要な一般教養科目の学修を終つた者、旧高等学校令による高等学校高等科、旧大学令による大学予科または旧專門学校令による專門学校を卒業または修了したる者、旧高等試驗令により高等試驗予備試驗に合格したる者、または弁護士法第三條の試驗の受驗資格の特例に関する勅命の規定等によつて、高等試驗予備試驗の免除を受けていた者等に対しては、第一次試驗を免除することといたした次第であります。第二次試驗は、法律專門家として必要な学識及びその應用能力を有するかどうかを判定することを目的とし、第一次試驗に合格したる者またはその免除を受けたる者について、筆記及び口述の方法によつて行うこととし、筆記試驗は憲法、民法、刑法、民事訴訟法及び刑事訴訟法の五科目のほか、商法及び行政法のうち受驗者があらかじめ選択する一科目。商法、行政法、これはすでに選択した場合を除くのでありますが、それから破産法、労働法、國際私法及び刑事政策のうち、受驗者があらかじめ選択する一科目。合計七科目について行い、また口述試驗は筆記試驗に合格したる者について憲法、民法、刑法、民事訴訟法及び刑事訴訟法の五科目について行うものでありまして、これらの試驗科目を從前の高等試驗司法科試驗の試驗科目に比べますと、筆記試驗、口述試驗ともに受驗者にとつてやや負担が重くなつておりますが、健全な法律專門家養成のためには、この程度の負担加重は必要やむを得ないものと信ずるのであります。なお司法試驗は毎年一回以上行うこととし、その期日及び場所はあらかじめ官報をもつて公告することにしたのであります。
次に司法試驗に関する事項を管理する機関といたしましては、司法試驗が法律に関する学力檢定の國家試驗たる性質にかんがみ、政府の法務統轄機関たる法務総裁の所轄とし、その所轄のもとに司法試驗管理委員会を置き、委員会は法務総裁官房長、最高裁判所事務総長及び法務総裁が弁護士会の推薦によつて任命する弁護士一人、この三人で構成し、委員長は委員の互選に基き、法務総裁が任命することにしたのであります。そうして別に委員会に、法務総裁が法律学者や法律実務家等のうちから委員会の推薦に基き、試驗ごとに任命する司法試驗考査委員を置き、司法試驗はこの委員に行わしめ、合格者の決定もこの委員が行うこととしたのであります。なお委員会の庶務は、法務総裁官房においてこれをつかさどるものとし、この試驗の施行に必要な細則、その他委員会がその職務を行うために必要な事項については、委員会が司法試驗管理委員会規則を制定することができることといたしたのであります。
なおこの法案におきましては、司法試驗の合格者に対する合格証書の授與、不正受驗者に対する処分及び受驗手数料等について規定を設け、附則においては、この法律の施行に必要な経過規定を定めてありますが、これらについては別段御説明をいたすまでもないと存じます。全体といたしまして、この法案は、つとめて從前の高等試驗司法科試驗の例にならつて、不当の混乱を避けるように努めたのであります。
以上はなはだ簡單でありますが、この法案の大要について御説明申し上げました。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505206X01019490425/2
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003・花村四郎
○花村委員長 本日は提案理由の説明にとどめ、質疑は次会にいたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505206X01019490425/3
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004・花村四郎
○花村委員長 次に議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の一部改正に関する件を議題といたします。本件は議院運営委員会で取上げられております問題でありますが、正式に本委員会に提出せられまする前に、予備審査的な意味におきまして法務委員の御意見を承りたいと存じます。
なお正式に提出せられましたときは、議院運営委員会に付託せられ、本法務委員会と連合審査会を開くことになつているのではないかと存じます。本件に関しまして、懇談会に移りたいと思います。
本日はこの程度において散会いたします。
午後四時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100505206X01019490425/4
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