1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月二十五日(金曜日)
午前十時三分開議
出席委員
委員長代理 理事 青柳 一郎君
理事 大石 武一君 理事 田中 重彌君
理事 岡 良一君 理事 苅田アサノ君
理事 金子與重郎君
丸山 直友君 亘 四郎君
堤 ツルヨ君 伊藤 憲一君
委員外の出席者
專 門 員 川井 章知君
專 門 員 引地亮太郎君
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十一月二十四日
身体障害者福祉法案(青柳一郎君外十名提出、
衆法第三号)
結核対策に関する決議案(志賀義雄君外三十五
名提出、決議第七号)
身体障害者福祉法案(塚本重藏君外十五名提出、
参法第二号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
合同審査会開会に関する件
身体障害者福祉法案(青柳一郎君外十名提出、
衆法第三号)
身体障害者福祉法案(塚本重藏君外十四名提出、
参法第二号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604237X00819491125/0
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001・青柳一郎
○青柳委員長代理 これより会議を開きます。
まず身体障害者福祉法案を議題といたし、提案者大石武一君より提案理由の説明を聽取することにいたします。大石武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604237X00819491125/1
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002・大石武一
○大石(武)委員 ただいま議題となりました身体障害者福祉法案につきまして、提案の理由を説明いたします。
新しい憲法のもと、生活保護法、兒童福祉法、諸種の社会保險立法等により、すべて国民は健康にして文化的な最低限度の生活を享受することを保障されることとなつたのであります。しかしながらさんたんたる戰禍や、公務産業上の事故による災害または疾病等によつて身体に重大な障害を負い、苛酷な運命に苦しんでいる全国およそ八十万の人々に対する立法のみは終戰後四年に至る今日まで何ら考慮せられることなく、これらの人々をして健康人ですら生き抜くに困難な、破局的な社会経済情勢下に、この数年を空しく精神的な苦痛と身体障害のハンディキヤツプを背負いつつ呻吟するにまかせ来つたことは、まことに遺憾と申すよりほかはないのであります。従来これが対策につきましては、社会の各方面より、立法の要望は強く現われておりまして、第一回国会以来あるいは身体障害者の援護、補償に関する法案の制定、あるいは盲人福祉法案の制定に関する請願、陳情等となつて本院に提出せられましたことも、すでに十数件に達しておる次第であります。本院におきましても、早くより有志議員を中心として、これが対策樹立に関し熱心な調査審議を継続して参つたのでありますが、たまたま昨年ヘレン・ケラー女史の来朝以来、身体障害者に対する社会の関心が急激に高まるとともに、第五国会においては有志議員より身体障害者の福祉に関する法案の指案を見んとしたのでありますが、諸般の関係から、遂にその実現を見るに至らず、わずかに御承知のごとく、鈴木仙八議員ほか十九名から、各党共同提案をもつて身体障害者対策に関する決議案が本会議に提出せられ、満場一致をもつて通過を見ました次第でございます。他面関係当局たる厚生省においても、特に昨冬来その対策につき、熱心な研究が続けられ、すでにある程度の成果を見ておつたのでありますが、本委員会においては前国会後これとも密接なる連絡の上、逐に身体障害者福祉法案を決定し、今回これを各派共同提案として提出いたす運びとなつた次第でございます。本法案は身体障害者に対し、いわゆる特権的保護を與えんとするものではなくて、いわばこれが更生援護にとどまる法案であります。国、地方公共団体が、自分の義務として身体障害者のために各種の指導援護を行い、一日も早くこれらの人々をその失望沈滯の生活から救い上げ、明るい活動の世界に送り出すことを目的とするものでありまして、現下の社会経済情勢から見て、早急に成立を必要とするものであります。以上の見地からこの法案を提出することになつた次第であります。
次にこの法案の内容を簡単に御説明いたします。第一にこの法律案は、身体障害者の自発的な更生への意欲を根本といたしまして、その更生に必要な物品を交付し、訓練を施し、一般人と同等の社会的活動能力を発揮させることを主眼とするものでありまして、特別の権利や保護を與え、一生国の負担において世話をするといういわゆる特権的保護を規定するものではありません。第二に対象といたしましては、兒童福祉法との競合を避けまして、十八歳以上のいわゆる労働年齢にある者で盲聾唖、肢体不自由の障害のため、労働能力の損傷されているものであります。またこれらの人々にすべてを職権により登録するのではなく、本人の自発的な申請に基いて、身体障害者手帳を交付し、これに基いて法上の取扱いをするのであります。第三に、更生、援護の体系といたしましては、厚生者に中央身体障害者福祉審議会を置き、また都道府県には地方福祉審議会を置き、法の施行機関は都道府県知事とするものであります。知事のもとに数名の身体障害者福祉司を置き、実質的にはこの專門家が個々の身体障害の世話をするのでありまして、市町村長は知事の行政活動に協力するという態勢をとつているのであります。第四に、福祉の措置でありますが、一定の手続により身体障害手帳を受けた者に対しては、義肢、補聽器、車椅子等を交付し、必要な更生訓練施設や職業安定所等へ紹介し、その他万般の厚生相談を行うこと、及び重度の者に対しては、国有鉄道の運賃の減額、タバコ小売人指定の場合の特別な取扱いを行うこと、公共施設内に売店を設置することを優先的に許すこと、さらに盲人その他重度の者の製作したほうき、ぞうきん等政令で定める物品については、国、地方公共団体が一定の條件のもとに購売すべきこと等であります。タバコ小売人や、売店設置や、製品の購売についての特別な規定を置きましたのは、たとい義肢を備え訓練を受けましても、障害のために一般人に伍して経済活動をすることが困難な重度の者に対しましては、やはり安定した職場を特に與えることが必要であるからであります。第五に国都道府県及び市町村は、これらの者に訓練指導を與え、または各種の利便を與える施設を設置することができるという権能を規定しております。なお私人がこれらと同じような施設を設置することは何らさしつかえありませんが、その運営等について監督する必要がありますので、届出制をとることにいたしておるのであります。第六にこの法律の施行は、予算とか法的な諸準備のため昭和二十五年四月一日から施行することにいたしております。
最後に、この法律の施行に要する経費は、一応すべて都道府県の支弁でありますが、生活保護法、児童福祉法と同じように、一般の行政的経費については二分の一、特殊の行政経費すなわち義肢等の交付に要する、ものまたは施設の運営に要するもの等については十分の八、施設の設置費については二分の一と、それぞれ国庫が負担することを規定いたしております。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604237X00819491125/2
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003・青柳一郎
○青柳委員長代理 以上をもつて提案理由の説明は終りました。
なお、この際お諮りいたします。身体障害者福祉法案は参議院からも発議されておりまして、この案の方は本委員会に予備審査のために付託となつております。しかしこの法案も内容はまつたく同一でございますので、もし参議院が了承したならば、この委員会におけるその提案理由の説明は省略したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604237X00819491125/3
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004・青柳一郎
○青柳委員長代理 御異議がなければそのように決定し、参議院の方へは私から了承を求めることにいたします。
次に合同審査会開会に関する件を議題といたします。御承知のごとく身体障害者福祉法案は非常に重要な法案であると同時に、参議院とも密接な関係がございます。この際身体障害者福祉法案を審査事件として参議院と合同審査会を開くことに決定するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604237X00819491125/4
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005・青柳一郎
○青柳委員長代理 御異議なければ、身体障害者福祉法案に関して合同審査会を開くことに決定いたしました。
なお合同審査会の議題を衆法にするか、参法にするかは理事に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604237X00819491125/5
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006・青柳一郎
○青柳委員長代理 御異議なければ、さよう決定いたします。
本日はこの程度で散会いたします。
午前十時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604237X00819491125/6
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