1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月二十七日(日曜日)
午後一時十九分開議
出席委員
委員長 石原 圓吉君
理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君
理事 夏堀源三郎君 理事 松田 鐵藏君
理事 佐竹 新市君 理事 林 好次君
理事 砂間 一良君 理事 早川 崇君
川端 佳夫君 田口長治郎君
玉置 信一君 冨永格五郎君
二階堂 進君 奧村又十郎君
岡田 勢一君
委員外の出席者
專 門 員 小安 正三君
專 門 員 齋藤 一郎君
十一月二十五日
委員川端佳夫君辞任につき、その補欠として小
西寅松君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
委員小西寅松君辞任につき、その補欠として川
端佳夫君が議長の指名で委員に選任された。
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十一月二十六日
沿岸漁業保護育成に関する決議案(砂間一良君
外三十六名提出、決議第一三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
小委員補欠選任に関する件
漁業法案(内閣提出、第五回国会閣法第一八六
号)
漁業法施行法案(内閣提出、第五回国会閣法第
一八七号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/0
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001・石原圓吉
○石原委員長 これより会議を開きます。漁業法案及び漁業法施行法案を一括議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/1
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002・石原圓吉
○石原委員長 去る二十五日、右両案に対して小委員長より小委員会の修正案について報告を受けたのでありますが、いろいろな客観的情勢にかんがみまして、小委員会の案をもつて折衝することをとりやめ、この際は原案に対し一部の修正を加えて結論を得たいと存じます。御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/2
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003・砂間一良
○砂間委員 ただいまの委員長の、小委員会の修正案をもつて関係方面と折衝されることは一応おとりやめになるという結論に対しましては、私は賛成であります。しかしその前に、去る二十五日鈴木小委員長より、いわゆる小委員会の修正案なるものにつきまして御報告があつたのであります。その際鈴木小委員長の報告の中にも、砂間委員を除く他の委員の賛成をもつて修正案が得られたという言葉がありましたが、その私の意見につきましては何ら報告されませんでしたので、ごく簡單に私の修正案に対する意見を申し述べる機会をこの際與えていただきたいと思うのであります。
きわめて簡單にやりますが、去る第五国会以来、鈴木委員を小委員長といたしまして、漁業権小委員会が、この漁業法案及びその施行法案につきまして、多大の努力を傾倒されまして愼重審議され、そうして一つの修正案をつくられたという、その努力に対しましては、私は尊敬の念を持つものであります。しかし案そのものに対しましては反対の意見を持つものであります。その反対の要点を簡単に申し上げたいと思います。
今度の漁業権制度改革は、日本の最も遅れた、封建的諸関係の残存しているところの漁業を民主化して、そうしてあわせて漁業生産力の発展をはかるということが眼目であります。そのためには、古くは徳川時代の殿様のお墨付といつたような、そういう漁業権が残つておりますが、そういういろいろな古い錯綜した諸関係を一応御破算にいたしまして、新たに免許によつて漁業権を設定して行くというような、根本的な、全面的な改革がなされなければならないと思うのであります。とかるに小委員会の修正案なるものを見ますと、この漁業権制度の根本的改革ということをまつたく骨抜きにいたしまして、そうして整理の対象を單に不在地主的な漁業権であるとか、あるいは休業中の漁業権であるとか、不当な慣行による漁業権、不当な集中による漁業権というものに限定いたしまして、そうしておおむね現在実際に経営している人の漁業権はそのままに認めて行く。大体この現行漁業法の部分的修正にとどまるというふうな、漁業権制度の根本的改革をまつたく骨抜きにするものでありまして、そういう関係からいたしまして、私は第一にあの修正案に反対したのであります。さらに私どもは、一切の漁業権は実際沿岸で働いているところの、漁民の民主的な管理のもとに運営して行くという根本的な考えを持つているのであります。政府原案でも、一応協同組合に優先的に漁業権を渡して行く建前になつているのでありますが、修正案によりますと、この点が非常にぼやかされてしまつている。現在漁業を自営しているものの漁業権は、おおむねこれを認めて行く。また漁業協同組合に漁業権が渡りましても、これの貸付を認めることによつて、事実上有力な個人が経営して行くということになるのであります。またこの修正案によりますと、すべての漁業権は協同組合に渡してやるという原則はどこにもないのであります。また漁業権の再配分を実際にやつて行くのに一番重要な機関であるところの漁業調整委員会にいたしましても、私どもはこれを市町村に設定し、海区に設定し、そうしてその調整委員を階層別に選出して行くという主張をしたのでありますが、修正案によりますと、市町村や海区の調整委員会は一応とりやめて、行政区画であるところの県單位に調整委員会を置いて行く。その下に必要に応じて、海区や地区に諮問機関的な機関を置くことができるような仕組みになつているのでありますが、この漁業権制度改革の実際の実務をやつて行くところの、非常に重要な機関である調整委員会は、県單位ということになつております。現状のもとにおきましては、県單位の調整委員会を、しかも一般漁民の選挙ということによつてやるならば、大体有力な人たち、いわゆるボスと見られるような人たちによつてこの機関が独占されることは明らかであります。そうしてまた官僚と結びつきまして、いろいろな情実関係や、不正な漁業権の配分が行われるだろうという危惧を多分に抱かせるのであります。また漁業権を付與して行くところのその適格性や、優先順位というものにつきまして、一応政府原案ではこれを法律の條文に明定してあるのでありますが、これを單なる調整委員会の勘案事項に落してしまつている。今のような調整委員会の構成からいたしますならば、この適格性や優先順位を法律に明定することなくして、單なる勘案事項に移してしまえば、ますますその有力な人たちに漁業権が渡つて行くというふうな、そういう危険性が多分にあると思うのであります。その他こまかな点について申し上げますと、たとえば存続期間を延長して更新の制度を認めるということであるとか、あるいは共同漁業権の内容なんかを見ましても、非常に室虚なものにされている。また修正案全体を見ますと政令に譲つて、そして官僚の支配を非常に強化するようなところも見えております。あるいは附則を見ますと、旧漁業権で新漁業権に該当するものはそのまま認めて行くとか、あるいは貸し付けているのは貸付期間中そのままでいいとか、旧漁業権で新漁業権に該当しないものは、旧漁業権の存続する期間はそのままにしておくとか、そういうふうな大体現状維持的な規定が非常に多いのでありまして、この修正案全体を通ずる考え方、根本思想というものが、ほとんど現行の漁業法をそのまま認めているというふうな、漁業権制度改革の根本の趣旨を骨抜きにしたようなことになつているのであります。これでは改革でも何でもない。そういうふうなものでありまして、私は小委員会におきましても、この修正案には絶対反対して来たのであります。今委員長の御提案によりますと、この修正案をもつて関係方面と御折衝をすることはおとりやめになるということでありますが、こんなみつともない修正案をもつて外部へ発表すること自体を、私は恥かしいような気がするのでありますから、委員長の御提案には全面的に賛成でありますが、とにかくあの小委員会で半年の間、こんな反動的な修正案をつくつて来たということに対しまして、私は非常な不満を持つておる。日本の民主化のために農地改革と並んで、この漁業権制度の改革ということが、漁村の民主化の上に一番緊急な大事なことでありますが、それを今日までさぼつて来て、この最も緊急を要する漁業権制度改革について、半年の間こんな反動的な修正案をでつち上げるためにさぼつて来たという責任につきましては、私は鈴木小委員長に対して非常な不満を持つておるのでおります。簡單でありますが、以上のことを申し上げまして、私はあの修正案にはもともと反対であつたという趣旨をはつきりいたしますと同時に、今委員長が、この案をもつて関係方面に御折衝なさることをおやめになるということにつきましては、心から賛成であります。当然そうでなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/3
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004・石原圓吉
○石原委員長 ただいま委員長より提議しましたこの際は原案に対し一部の修正を加えて結論を得たいと存じます。という点に対しまして砂間議員は賛成であります。その他の諸君には御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/4
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005・石原圓吉
○石原委員長 御異議ないものと認めます。よつて決します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/5
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006・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 議題外の問題でありましたので、なるたけ触れたくないと存じておつたのでありますが、速記をとります本委員会におきまして、砂間委員から小委員会の修正案について、いろいろむし返しての御意見があつたのであります。ただいま砂間君が言われました御意見は、小委員会において砂間君からるるお話があつた点でありまして、その点につきましては、小委員会において小委員長並びに各委員から、わが国の漁業の実体に即せざる砂間君の過激なる行き方については、遺憾ながら小委員会で採用することができないということで、詳細にお話をいたしまして、砂間君を除く全小委員の御賛成を得て決定した修正案であつたわけであります。私は共産党の砂間君から、極左的な共産党の主張に基いて小委員会の案に反対の意見を表明されたことを、むしろわが国の健全なる民主主義の方向から、かえつて砂間君の反対を名誉と考えておるのであります。私どもはあくまでわが国の漁業の実体に即しまして、そうして生産力の発展と、わが国の漁業の民主化の基盤の上に立つて小委員会の案を作成いたしましたことを、ここにあらためてお話申し上げておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/6
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007・石原圓吉
○石原委員長 なおただいま御承認になりました一部修正の試案の要綱は、委員各位のお手元に配付いたしましたが、一応專門員にその趣旨を説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/7
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008・小安正三
○小安專門員 実は私どもの方の粗漏から、各條項につきましての明細なものを差上げたいと思つてやりましたのですけれども、つい間に合いませんことをお許し願います。大体のことはこの修正案の要綱でわかると思いますけれども、各條項の部分的にやや大切なところを條文的に申し上げたいと考えております。
〔朗読〕
第六條第三項第一号中「十五メートル」を「二十七メートル」に、第五
項第一号中「海草」を「そう類、」に、同項第五号中「湖沼(主務大臣の指定するものを除く。)」を「内水面(主務大臣の指定する湖沼を除く。以下第二十五條までにおいて同じ。)」に、「水面」を「海面」に改める。
第八條中「第六條第五項第五号の規定により主務大臣の指定する湖沼以外の」を削る。
第十一條第三項中「前二項」を「第一項又は第二項」に改め、同項を第四項とし、第二項の次に第三項として次の一項を加える。
3 海区漁業調整委員会は、前二項の意見を述べようとするときは、あらかじめ、期日及び場所を公示して公聽会を開き、利害関係人の意見をきかなければならない。
第十三條第一項第二号中「第三項」を「第四項」に、第二項及び第三項中「定めるところ」を「定める手続」に改め、同條に次の一項を加える。
5 海区漁業調整委員会は、都道府県知事に対し、第一項の規定により漁業の免許をすべきでない旨の意見を述べようとするときは、あらかじめ、当該申請者に同項各号の一に該当する理由を文書をもつて通知し、当該申請者又はその代理人が公開の聽聞において弁明し、且つ、有利な証拠を提出する機会を與えなければならない。
第十四條第一項各号を次のように改める。
一 海区漁業調整委員会における投票の結果、総委員の三分の二以上によつて漁業若しくは労働に関する法令を遵守する精神を著しく欠き、又は漁村の民主化を阻害すると認められた者であること。
二 海区漁業調整委員会における投票の結果、総委員の三分の二以上によつて、どんな名目によるのであつても、前号の規定により適格性を有しない者によつて、実質上その申請に係る漁業の経営が支配される虞があると認められた者であること。
次に條文に詳細な字句の訂正がございますが、これは省略いたします。
〔朗読〕
第十六條第八項を削り、第九項中「漁民である者」を「地元地区内に住所を有し漁民である者」に、「前八項」を「前七項」に改め、同項を第八項とし、第十項中「前九項」を「前八項」に改め、同項を第九項とし、第十一項中、「第九項」を「第八項」に改め、同項を第十項とし、第十二項を第十一項とし、第十三項中「第九項又は第十項」を「第八項又は第九項」に改め、同項を第十二項とし、第十四項を第十三項とし、第十五項中「第十二項」を「第十一項」に改め、同項を第十四項とし、第十六項中「前十五項」を「前十四項」に改め、同項を第十五項とする。
第十七條第七項中「第十二項」を「第十一項」に、「第十四項から第十六項」を「第十三項から第十五項」に改め、「準用する。」の下に『この場合において、第十六條第十一項中「第一項、第二項又は第四項」とあるのは「第十七條第一項から第五項まで」と、「第一項第二号、第二項第三号又は第四項第二号」とあるのは「第十七條第一項第二号、第二項第二号、第三項第二号、第四項第三号又は第五項第二号」と、第十三項中「第一項第一号、第二項第一号若しくは第二号又は第四項第一号」とあるのは「第十七條第一項第一号、第二項第一号、第三項第一号、第四項第一号若しくは第二号又は第五項第一号」と、第十四項中「第二項第一号」とあるのは「第十七條第四項第一号」と読み替えるものとする。』を加える。
第十八條第二項中「、第七項、第九項、第十一項及び第十三項」を「から第八項まで、第十項、第十二項及び第十五項」に、「第九項中」を「第八項中」に、「前八項」を「前七項」に改める。
第十九條第五項中「第十二項、第十四項、第十六項」を「第十一項、第十三項、第十五項」に改める。
第二十一條第三項中「第三十七條から第四十條まで」を「第三十七條、第三十八條、第三十九條第一項若しくは第二項又は第四十條」に改める。
第二十三條第二項中「第八章(先取特権)及び」を削る。
第二十四條第一項中「みなす。」の下に「定置漁業権又は区画漁業権が先取特権の目的である場合もまた同じである。」を加え、同條第三項中「前項」を「第二項」に改め、同項を第四項とし、第二項の次に第三項として次の一項を加える。
3 都道府県知事は、定置漁業権を目的とする抵当権の設定が、当該漁業の経営に必要な資金の融通のためやむを得ないと認められる場合でなければ、前項の認可をしてはならない。
第二十五條の見出し中「抵当権」を「先取特権又は抵当権」に改め、同條第一項中「区画漁業権について抵当権が設定されている」を「区画漁業権が先取特権又は抵当権の目的である」に、「抵当権者」を「先取特権者又は抵当権者(登録した者に限る。以下同じ。)」に、第二項中「抵当権者」を「先取特権者又は抵当権者」に、第三項中「抵当権」を「先取特権又は抵当権」に改める。
第二十六條第一項中「及び抵当権」を「並びに先取特権及び抵当権」に改める。
第二十七條第一項中「抵当権」を「先取特権又は抵当権」に改める。
第二十九條中「権利義務」の下に「(当該漁業権者が当該漁業に関し行政庁の許可、許可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)」を加える。
第三十三條中「又は入漁権」を、削る。
第三十四條に次の一項を加える。
4 海区漁業調整委員会は、前項の申請をしようとするときは、あらかじめ、当該漁業権者に制限又は條件を付ける理由を文書をもつて通知し、当該漁業権者又はその代理人が公開の聽聞において弁明し、且つ、有利な証拠を提出する機会を與えなければならない。
第三十六條第四項中「第四号」の下に、「、第五項」を、「第二項、」の下に「第五項、」を加える。
第三十七條に次の一項を加える。
4 前項の場合には、第三十四條第四項(聽聞)の規定を準用する。第三十八條に次の二項を加える。
4 前項の規定の適用については、漁業権者たる漁業協同組合が他の者の出資を受けて当該漁業権の内容たる漁業を営む場合において、当該出資額が出資総額の過半を占めていることをもつてその他の者が実質上当該漁業の経営を支配していると解釈してはならない。
5 第二項及び第三項の場合には、第三十四條第四項(聽聞)の規定を準用する。
第三十九條に次の十項を加える。
前項の場合には、第三十四條第四項(聽聞)の規定を準用する。
5 政府は、第一項の規定による漁業権の変更若しくは取消又はその行使の停止によつて生じた損失を当該漁業権者に対し補償しなければならない。
6 前項の規定により補償すべき損失は、同項の処分によつて通常生ずべき損失とする。
7 第五項の補償金額は、都道府県知事が海区漁業調整委員会の意見をきき、且つ、主務大臣の認可を受けて決定する。
8 前項の補償金額に不服がある者は、その決定の通知を受けた日から九十日以内に、訴をもつてその増額を請求することができる。
9 前項の訴においては、国を被告とする。
10 第一項の規定により取り消された漁業権の上に先取特権又は抵当権があるときは、当該先取特権者又は抵当権者から供託をしなくてもよい旨の申出がある場合を除き、政府は、その補償金を供託しなければならない。
11 前項の先取特権者又は抵当権者は、同項の規定により供託した補償金に対してその権利を行うことができる。
12 第一項の規定による漁業権の変更若しくは取消又はその行使の停止によつて利益を受ける者があるときは、都道府県知事は、その者に対し、第一項の補償金額の全部又は一部を負担させることができる。
13 前項の場合には、第八項、第九項、第三十四條第二項、第四項(漁業権の制限又は條件)及び第七十七條から第八十一條まで(免許料又は許可料の徴収)の規定を準用する。この場合において、第八項中「増額」とあるのは「減額」と読み替えるものとする。
第四十一條第一項中「登録した」を「先取特権者又は」に、第二項中「取消」の下に「又は錯誤によつてした免許の取消」を加える。
第四十二條但書を削る。
第五十條第一項中「抵当権及び」を「先取特権及び抵当権並びに」に改める。
第五十六條に次の一項を加える。
2 主務大臣は、前項の規定により許可又は認可をしないときは、あらかじめ、当該申請者にその理由を文書をもつて通知し、当該申請者又はその代理人が公開の聽聞において弁明し、且つ、有利な証拠を提出する機会を與えなければならない。
第五十七條第一号及び第二号中「法令の悪質な違反者」を「法令を遵守する精神を著しく欠く者」に改め、同條に次の一項を加える。
2 主務大臣は、前項第三号の條件を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。
第五十八條第六項を削る。
第六十三條を次のように改める。
第六十三條 指定遠洋漁業の許可又は起業の認可に関しては、第三十四條第一項、第四項(漁業権の制限又は條件)、第三十五條(休業の届出)、第三十七條第一項、第二項、第四項、第三十八條第一項、第五項、第三十九條第一項、第二項、第四項から第十三項まで(漁業権の取消)の規定を準用する。この場合において、「都道府県知事」とあるのは「主務大臣」と、第三十四條第一項中「公益上必要があると認めるときは、免許をするにあたり、」とあるのは「公益上必要があると認めるときは、」と、同條第四項(第三十七條第四項、第三十八條第五項及び第三十九條第四項、第十三項において準用する場合を含む。)中「海区漁業調整委員会は、前項の申請をしようとするときは、」とあるのは「主務大臣は、第一項の処分をしようとするときは、」と、第三十八條第一項中「第十四條」とあるのは「第五十七條」と、第三十九條第七項中「都道府県知事が海区漁業調整委員会の意見をきき、且つ、主務大臣の認可を受けて」とあるのは「主務大臣が」と、同條第十三里中「第三十四條第二項、第四項」とあるのは「第三十四條第四項」と読み替えるものとする。
第六十四條に次の一項を加える。
3 第一項の場合には、第三十四條第四項(聽聞)及び第三十九條第五項から第十一項まで(損失補償)の規定を準用する。この場合において、第三十四條第四項中「海区漁業調整委員会は、前項の申請をしようとするときは、」とあるのは「主務大臣は、第六十四條第一項の規定による取消をしようとするときは、」と、第三十九條第七項中「都道府県知事が海区漁業調整委員会の意見をきき、且つ、主務大臣の認可を受けて」とあるのは「主務大臣が」と読み替えるものとする。
第六十五條第五項、第六項を夫々第六項、第七項とし、第四項の次に第五項として次の一項を加える。
5 主務大臣は、第一項の省令を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。
第七十一條に次の一項を加える。
6 第二項の規定による工作物の除害工事の命令があつた場合において、当該工作物の上に先取特権、質権又は抵当権があるときは、第三十九條第十項及び第十一項(補償金の供託)の規定を準用する。
第七十五條第一項及び第三項中「命令の定めるところにより、」を削り、第二項及び第四項を夫々次のように改める。
2 前項の免許料及び許可料の額は、漁業の種類又は規模、漁場の優劣等を勘案し、当該漁業の收益力に応じ、その年総額が、漁業法施行法(昭和二十四年法律第号)第九條の規定により補償金のうち沿岸漁業に関する分を主務大臣の定める期間及び利率により元利均等年賦支拂の方法によつて支拂うものとした場合における年支拂額に相当する額とおおむね等しくなるように定めなければならない。但し、免許料又は許可料の額が漁業者の負担能力をこえると認められる場合においては、免許料又は許可料の額は、その年総額が年支拂額に相当する額よりも少くなるように定めてもよい。
4 前項の許可料の額は、漁業の種類又は規模等を勘案し、当該漁業の收益力に応じ、その年総額が、第一項の免許料及び許可料の年総額に主務大臣が中央漁業調整審議会の意見をきいて定める一定割合を乗じて得た額をこえないように定めなければならない。
第七十六條第二項中「その負担能力が減退したときは、」を「その負担能力が減退したとき、又は漁業者の責に帰すべき事由による場合を除き漁業権の行使若しくは許可を受けた漁業を停止されたときは、」に改める。
第七十九條中「国税」の下に「並びにその督促手数料、延滞金及び滯納処分費」を加える。
第八十條を次のように改める。(国税徴收法の準用)
第八十條 免許料及び許可料に関しては、国税徴收法(明治三十年法律第二十一号)第四條ノ七(書類の送達)、第四條ノ八(公示送達)及び第九條第二項から第六項まで(督促手数料及び延滯金)の規定を準用する。
第八十四條中「内水面」を「湖沼」に改める。
第九十二條第一項中第一号を削り、第二号を第一号とし以下順次繰り上げ、同條に次の一項を加える。
4 当選人がないとき、又は当選人がその選挙における委員の定数達しないときもまた前二項に同じである。
第九十三條第二項但書中「第二項」の下に「又は第四項」を加える。第九十四條中「及び第七十三條(罰則に関する衆議院議員選挙法の準用)」を「、第七十三條(罰則に関する衆議院議員選挙法の準用)及び第百二十八條(失職の時期)」に、『地方自治法第三十條第二項』を『地方自治法第十九條第四項中「前三項」とあるのは「漁業法(昭和二十四年法律第号)第八十七條第一号」と、第三十條第二項(本條において準用する同法第四十條及び第四十七條において準用する場合を含む。)』に、「第四十一條」を「第四十一條及び前二項」に、『「漁業法(昭和二十四年法律第号)第九十一條と、』を『「漁業法第九十條第三項及び第九十一條」と、第三十四條中「第三十二條第一項、第二項」とあるのは「漁業法第九十條第三項」と、』に、「第九十二條第二項」を「第九十二條第二項若しくは第四項」に改める。
第九十七條第四項中「ある者は、」の下に「前項の交付を受けた日から三十日以内に、」を加え、同條第五項中「第九十四條において準用する地方自治法第六十六條第一項、第四項若しくは同法第六十八條第二項又は本條第一項若しくは第三項」を「第一項又は前項」に改める。
第九十九條第一項中「第八十五條第三項第一号の」を創る。第百十一條中「同條中」を削り、
『と読み』を『と、第百三條中「都道府県知事」とあるのは「都道府県知事(瀬戸内海連合海区漁業調整委員会にあつては主務大臣)」と読み』に改める。
第百十四條中「及び第五項」を「、第五項及び第百三條」に改める。第百十六條第一項中「漁場、」の下に「船舶、」を加え、同條第二項但書を創り、同條に次の一項を加える。
3 前項の場合には、第三十九條第五項から第十一項まで(損失補償)の規定を準用する。この場合において、同條第七項中「都道府県知事が海区漁業調整委員会」とあるのは「瀬戸内海連合海区漁業調整委員会又は中央漁業調整審議会にあつては主務大臣がその委員会又は審議会の意見をきき、その他の場合にあつては都道府県知事が海区漁業調整委員会」と読み替えるものとする。
第百十七條中「漁業調整委員会に対し」を「漁業調整委員会(瀬戸内海連合海区漁業調整委員会を除く。以下第百十八條までにおいて同じ。)に対し」に改める。
第百十八條第一項中(「瀬戸内海連合海区漁業調整委員会を除く。以下本條中同じ。)に関する費用については、第七十五條第二項の規定による免許料及び許可料の額の決定の際基礎とした当該費用」を「に関する費用」に改め、同條第二項及び第三項を削る。
第百二十三條に次の一項を加える。
2 前項の場合には、第三十九條第六項、第十項及び第十一項(損失補償)の規定を準用する。
第百二十五條第六項中「前項の期日」を「第三項の期間」に改め、同條に次の二項を加える。
14 第一項若しくは第四項又は第五項の裁定において定める使用権の設定若しくは買取の対価又は移転料の額に不服がある者は、第十一項の公示の日から九十日以内に訴をもつてその増減を請求することができる。
15 前項の訴においては、申請者又は当該土地若しくは当該定着物の所有者その他これに関して権利を有する者を被告とする。
第百二十六條第四項中「及び第十二項」を「、第十二項、第十四項及び第十五項」に改める。
第百二十七條を次のように改める。(内水面における第五種共同漁業の免許)
第百二十七條 内水面(第八十四條第一項の規定により主務大臣が指定する湖沼を除く。以下同じ。)における第五種共同漁業は、当該内水面が水産動植物の増殖に適しており、且つ、当該漁業の免許を受けた者が当該内水面において水産動植物の増殖をする場合でなければ、免許してはならない。
第百二十八條を次のように改める。
第百二十八條 都道府県知事は、内水面における第五種共同漁業の免許を受けた者が当該内水面における水産動植物の増殖を怠つていると認めるときは、内水面漁場管理委員会の意見をきいて増殖計画を定め、その者に対し当該計画に従つて水産動植物を増殖すべきことを命ずることができる。
2 前項の規定による命令を受けた者がその命令に従わないときは、都道府県知事は、当該漁業権を取り消さなければならない。
3 前項の場合には、第三十九條第三項及び第四項(公益上の必要による漁業権の変更、取消又は行使の停止)の規定を準用する。
4 主務大臣は、内水面における水産動植物の保護増殖のため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定による命令をすべきことを命じ、又は当該命令にかかる増殖計画を変更すべきことを命ずることができる。
第百二十九條を次のように改める。
(免許料及び許可料)
第百二十九條 内水面における漁業の免許又は許可を受けた者は、毎年、政府に免許料又は許可料を納めなければならない。
2 前項の免許料及び許可料に関しては、第七十五條第二項(免許料及び許可料の額)及び第七十六條から第八十一條まで(免許料及び許可料の徴収)の規定を準用する。
この場合において、第七十五條第二項中「沿岸漁業」とあるのは「内水面漁業」と読み替えるものとする。
第百三十二條中後段を創る。
第百三十三條に次の一項を加える。
2 前項の手数料の額は、千円をこえない範囲内において、命令で定める。
第百三十四條第一項中「漁場、」の下に「船舶、」を加え、第二項但書を創り、同條に次の一項を加える。
4 第二項の場合には、第百十六條第三項(損失補償)の規定を準用する。
附前第九項中「第七十五條」を「第七十五條及び第百二十九條」に改め、第十三項を削り、第十四項を第十三項とし、第十五項を第十四項とする。以上が漁業法に対する修正の点であります。
次に、漁業法施行法案に対する修正案でございます。
〔朗読〕
漁業法施行法案に対する修正案
第六條第二項中「別に命令で特別の定をする」を「漁業調整のため必要な限度において命令でその期間を短縮する」に改める。
第二十六條中「第二十四條」を「第二十五條」に改め、同條を第二十七條とする。
第十八條を第十九條とし、以下第二十五條まで順次繰り下げ、第十七條の次に次の一條を加える。
(日光養魚場の所管換)
第十八條 農林大臣が日光養魚場の用に供されている国有財産の所管換を受ける場合には、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第十五條(異なる会計間の所管換等)の規定にかかわらず、無償とする。以上でございます。
その要点を申しますと第一が定置漁業の範囲を水深二十七メートル以上とし、水深二十七メートルに満たないものは、第二種共同漁業に包含することとし、第六條第三項第一号を訂正したのでございます。
第二に、河川における共同漁業権を加え、これに伴い第一種共同漁業のうちに淡水、藻類を目的とする漁業を包含させることとしたのであります。それは第六條第五項第一号及び第五号、第十四條第六項第一号でございます。
第三に漁業の免許の内容たるべき事項の決定にあたつては、海区漁業調整委員会があらかじめ公聽会を開き、利害関係人の意見を聞くものとすることを第十一條につけ加えたのでございます。
第四番目は、漁業の免許を受けようとする漁場の敷地の所有者または水面の占有者の同意にかわるべき裁判所の許可の裁判及びこれに対する上訴に関しては、その手続に限り、最高裁判所規則に委任するものとし、委任立法の範囲を必要な限度にとどめることといたしまして、第十三條第二項及び第三項に必要な修正をしたのであります。
第五番目は、第十三條第一項各号の事由により免許をしないときは、海区漁業調整委員会は、あらかじめ公開の聽聞を行い、申請者またはその代理人が弁明し、かつ、有利な証拠を提出する機会を與えることとして、第十三條第五項を修正したのであります。
六番目は、第十四條第一項各号の免許の適格性を適正にいたしまして、ただいま朗読いたしましたように第一号、第二号をまとめて、ことに第三号が非常に抽象的でございましたので、関係方面からも御指示がありましたようなことを体しまして、これも相当抽象的とは思いますけれども、原案よりはややよくなつていると考えましたので朗読いたします。
〔朗読〕
第十四條第一項各号を次のように改める。
一 海区漁業調整委員会における投票の結果、総委員の三分の二以上によつて漁業若しくは労働に関する法令を遵守する精神を著しく欠き、又は漁村の民主化を阻害すると認められた者であること。
二 海区漁業調整委員会における投票の結果、総委員の三分の二以上によつて、どんな名目によるのであつても、前号の規定により適格性を有しない者によつて、実質上その申請に係る漁業の経営が支配される虞があると認められた者であること。こういう意味におきましては、原案と同じようでございますが、表現方法をかえたのでございます。
七番目は、区画漁業及び共同漁業の免許についての漁業協同組合またはその連合会の適格性の要件並びに定置漁業の免許の優先順位についての漁業協同組合の要件に、その組合員が当該漁業を営むことのほか、地元区内または関係地区内に住所を有することを加えて、第十四條第二項、第六項、第十六條第九項を修正したのであります。
八番目は、北海道においても定置漁業の免許についての漁業生産組合の優先順位を認めることとし、第十六條第八項を修正したのであります。
九番目は、定置漁業権並びに漁業協同組合及びその連合会以外の者の有する区画漁業権は、抵当権のほか先取特権の目的とすることに、第二十三條、第二十四條、第二十五條、第二十六條、第二十七條、第四十一條、第五十條にそれぞれ修正をしたのであります。
十番目に、定置漁業権を目的とする抵当権の設定について認可の基準を定めることとして、第二十四條第三項を訂正したのであります。
十一番目は、漁業権者が当該漁業に関し行政庁の許可等に基いて有する権利義務は、漁業権の処分に従つて漁業権者の承継するものとすることとし、第二十九條を修正したのであります。
十二番目は、免許後漁業権に制限または條件をつける場合並びに休業、適格性の喪失等による漁業権の取消、漁業調整、公益上の理由による漁業権の取消、変更及び行使の停止をする場合には、あらかじめ海区漁業調整委員会が公開の聽聞を行い、当該漁業権者またはその代理人が弁明し、かつ有利な証拠を提出する機会を與えることといたしまして、第三十四條、第三十七條、第三十八條、第三十九條にそれぞれ必要な修正をいたしました。
第十三、漁業権者以外の者が当該漁業権の内容たる漁業の経営を実質上支配していると認められる場合の漁業の免許の取消しの運用については、漁業協同組合が他の者から全出資額の過半の出資を受けている事実のみをもつて、その免許の取消しをすることのないようにするための解釈上の規定を第三十八條第四項として修正いたしました。
第十四、漁業権者の責めに帰すべき事由による場合を除き漁業権の変更、取消しまたは行使の停止によつて生じた損失は、政府が補償するものとし、また補償金額について増額請求の訴えを認めること。また担保権者保護の規定を設けること。なお受益者があるときは、政府は補償金額の全部または一部をその者に負担させることができるものとすること。休業中の漁業許可の取消しの場合についても以上と同様とすることとして第三十九條、第三十六條を修正しました。
第十五、指定遠洋漁業の許可または起業の認可をしない場合には、漁業の免許の場合と同様あらかじめ聽聞を行うものとすることとして第五十六條を修正しました。
第十六、指定遠洋漁業についての適格性の内容を漁業の免許の場合と同様適正にすることとして第五十七條を修正しました。
第十七、主務大臣が指定遠洋漁業の船舶の條件を定めるには、中央漁業調整審議会の意見を聞くものとすることとして、第五十七條第一項第三号を修正しました。
第十八、大型捕鯨業の新規許可についても他の指定遠洋漁業と同様の取扱いとすることとして、第五十八條第六項を創ることとしました。
第十九、指定遠洋漁業の許可または起業の認可の取消し等の場合も、漁業権の取消し等の場合と同様、あらかじめ聽聞を行うものとすることとして第六十三條を修正しました。
第二十、船舶の定数の減少のため指定遠洋漁業の許可または起業の認可を取消す場合には、あらかじめ聽聞を行うとともに損失補償をするものとすること。漁業調整、公益目的のためにする取消しの場合も同様とすることとして第六十三、四條を訂正しました。
第二十一、主務大臣が漁業取締規則を制定するには、あらかじめ中央漁業調整審議会の意見を聞くものとして第六十五條を修正しました。
第二十二、第七十一條第二項の規定による工作物の除害工事の命令のあつた場合における担保権者を保護するため、補償金の供託制度をとることとして第七十一條を修正しました。
第二十三免許料及び許可料の額の決定の基準を法定し、かつ免許料及び許可料の年総額は、旧漁業権の補償金を一定の期間及び利率により元利均等支拂いの方法によつて支拂うものとした場合における年支拂額とおおむね同額とすることとし、従つて行政費は免許料及び許可料のの額決定の基礎としないこととして、第七十五條、第百二十九條を修正しました。
第二十四、漁業者の責めに帰すべき事由による場合を除き、漁業権の行使または許可を受けた漁業の停止の場合には、負担能力の減退の場合と同様、免許料及び許可料の減免を行うこととして第七十六條を修正しました。
第二十五、免許料及び許可料の督促手数料及び延滯金は、国税の場合と同様、手数料十円、延滯金は、百円につき一日二十銭とすること。なお強制徴收の場合の先取特権の順位に関する規定の不備を補うこととして、第七十九條、第八十條を修正しました。
第二十六、当選人がないとき、または当選人がその選挙における委員の定数に達しない場合は、すべて再選挙を行うべきであるから、その趣旨を明らかにすることとして第九十二、三條を訂正しました。
第二十七、委員は、選挙または当選の効力に関する異議の申立または訴えがあつても、その異議の決定または判決が確定するまでは、その職を失わないものとするため、地方自治法第百二十八條の規定を準用し、これに相当する第九十七條第五項前段を削り、同項を整理することとして、第九十四條、第九十七條をそれぞれ修正しました。
第二十八、委員の無資格の決定に対する不服の訴えについて、出訴期間を三十日とすることとして、第九十七條を修正しました。
第二十九、知事選任の委員についても解職の請求をなし得るものとすることとして第九十九條を修正しました。
第三十、漁業調整委員会または中央漁業調整審議会は、船舶についても調査を行い得るものとすること。また土地の測量、検査または障害物の移転、除去によつて生じた損失の補償については、漁業権の取消しの場合と同様とすることとして第百十六條を修正しました。
第三十一、漁業調整委員会の費用は、国の負担とすることとして、第百十八條を修正しました。
第三十二、土地の使用及び立入、障害物の除去等の場合における補償すべき損失の範囲、担保権者の保護については、漁業権の取消しの場合と同様とすることとして、第百二十三條を修正しました。
第三十三、裁定に定められた海草乾場、船揚場、漁舎等の使用権の設定もしくは買取の対価または定着物の移転料の額に不服がある者に対し出訴の道を開くこと。これらの賃貸料の裁定についても同様とすることとして、第百二十五、六條を修正しました。
第三十四、内水面における第五種共同漁業の免許を受けた者は、水産動植物を増殖する義務を負うものとし、その義務を怠るときは、都道府県知事が増殖計画による増殖命令を発し、これに従わないときは、漁業権を取消すことができるものとすることとして、第百二十七、八條を訂正しました。
第三十五、内水面の料金をやめ、沿岸漁業と同じく免許料及び許可料を徴收するものとすることとし、第百二十九條附則第九項、第十三項を修正しました。
第三十六、漁業手数料の最高限度を千円とすることとして、第百三十三條を修正しました。
第三十七、当該官吏員は、船舶にも臨検検査をすることができるものとすること。また土地の測量、検査または障害物の移転、除去によつて生じた損失の補償については、漁業調整委員会の場合と同様とすることとして、第百三十四條を修正しました。
第三十八、旧法に基く許可の有効期間を短縮する場合の基準を法定することとして、施行法第六條第二項を修正しました。
第三十九、農林大臣が日光養魚場の用に供されている国有財産の所管がえを受ける場合には、国有財産法第十五條の規定にかかわらず無償とすることを、施行法第十八條にうたつたのであります。
第四十、その他條文中脱漏不備を補正し、または修正に伴う規定の整理のため、必要な修正を行つたのでございます。たとえば第六條第五項第五号、第十七條第七項、第十八條第二項、第三十三條、第四十一條、第六十三條、第八十四條、第九十四條、第百十一條、第百十四條、第百十七條、第百二十五條第六項などがこれらでございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/8
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009・石原圓吉
○石原委員長 なお申し添えます。ただいま説明しました案は、本年の五月七日に政府提案となりまして、その当日において、法務局オプラー、主としてブレークモーアの発言であります。次に五月十二日天然資源局水産部副長ネビル、この両人より参衆両院の法制局長を通じて要望があつたのであります。その要望の事項は、五月十二日の本院の委員会におきまして、入江衆議院法制局長が要望事項を説明したのでありまして、それに抵触しない程度にこの案を作成したのであります。なお今朝入江局長にもこの案を出しまして、これならば抵触しないという言明があつた次第であります。このことをつけ加えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/9
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010・川村善八郎
○川村委員 漁業法案並びに漁業法施行法案の原案の目的というものは、まことにわれわれ賛成をするのでありますけれども、その全文の内容を見ますときに、はたしてその目的とするところの生産の増強と、漁村の民主化が行われるかどうかということについて、われわれは非常な危惧の念を持つておるものであります。従つて第五回国会に提案されて以来今日まで、閉会中にもわれわれは北海道班、日本海班、太平洋班、四国九州班の四班にわかれて、延べ日数約二百日にわたつて、われわれは漁民の声を聞き、また委員会並びに小委員会を数十回開いて内容の審議を続け、さらに第六回国会になりましてから、四日間にわたつて公聽会を開きまして、それぞれ漁民の意見も十分聞きまして、そうして去る二十五日に小委員会案なるものができまして、関係方面と折衝するというところにまで行つたのであります。その内容については可否はあることと思いますけれども——砂間共産党出身の委員より反対の意見はあつたのでありますけれども、小委員はほとんど全部賛意を表して、そうして委員長に折衝方をお願いしたのであります。しかしながら客観情勢からいたしまして、そうしたような大修正は今国会に通過の見込みがないので、その代案とも言うべきところの委員長試案の修正案が、ここに説明されたのであります。いろいろ内容はこまかく説明されたのでありますけれども、これは十分に頭に入ることができないが、しかし大体感覚からいたしますると、大局的には私らは賛意を表しておるのであります。ただ二、三私らが賛意を表しかねることがありますので、この点について一応立案者の方の意見も伺つて、そうして自分が賛否を決したい、かように思うのであります。
そこで第一の問題は、法案の第六條の漁業権の定義の問題であります。定置漁業の範囲を水深二十七メーター以上とし、二十七メーターに満たないものは第二種共同漁業に包含することになつておりますが、おそらく立案者の方といたしましては、いわゆる実際にこの法案を法律として施行した場合において、漁業協同組合は過去の漁業権をもつて自営をすることが不可能であるから、零細漁民を救済して行くには、ごく沿岸の海域を開放して行かなければ、沿岸漁民の生業が成り立たない、増産もできないというお考えから、定置漁業を二十七メーター以上としたという趣旨であると思います。その趣旨には必ずしも私は不賛成ではありませんけれども、私らの体験から行きまして、二十七メーターと言いますれば大体十八ひろくらいになります。その海の深さにおいて定置漁業のような類似のもので、はたして漁網をそこに設置いたしまして、風波あるいは潮流にたえて、そうして増産ができるかどうかということを心配するものであります。従つて必ずや私は定置漁業にはつきりしなければならない時代が来るのじやなかろうか、言いかえれば、定置漁業でなければ、二十七メーターでは漁業ができ得ない。つまり類似のものではでき得ない。かように私は判断をするものであります。従つて定置漁業となりますと相当に資材、資本、それから労務者等も多数に要します。すなわち漁業協同組合の現在の経済状態から言つて、あるいは組織の状態から言つて、その定置漁業に類似するところの第二種共同漁業権に編入したところの漁業を経営ができない。できない場合になりますと、また他の資本家の漁業を入れなければならぬことに相なることも明らかであります。また共同漁業権は原則的には浮魚をはずすということであります。そこでせつかく漁業協同組合員、すなわち零細漁民のことを思いまして、海域を広げましても、浮魚を他の漁業者に漁獲されたのでは、その思いやりがかえつて漁民の損失になるのではなかろうか、かように考えるのでありますが、この修正の御趣旨はいかにあるかということを、まずもつてお伺いしたいのであります。
それから第二点は要項の第二項、それから法案の第十六條の第八項であります。そこで第八項には、第六項の規定は北海道において適用しない、ということになつておりますが、この十六條の全文は生産組合第一優先となつておるのであります。そこで第六項の生産組合の優先は決して私は悪いとは申しません。これはやはり先ほど申し上げましたように、細民の生活のためにそうしたような制度を設けられることには賛成であります。しかし実際に北海道を見まするときに、生産組合をつくつて、定置漁業に最優先を與えるということは、先ほども申し上げましたように、資本、資材その他あらゆる條件からいたしまして、はたして漁業の経営が可能であるかどうかということと、それから北海道の漁業権は約七千四百ほどありますが、現在自営をしておるものは四千以上ありまして、北海道は定置漁業が主となつて、全日本の三分の一以上の生産をあげておるのであります。そうした特殊性を持つておるところの北海道に、趣旨としてはまことにけつこうであるかもしれませんが、実際に漁業経営のでき得ないところの生産組合をつくつて、定置漁業を経営させることになると、増産がはばまれるばかりでなく、その漁業を経営してもし損失をこうむつた場合において、細民がかえつてその生活に苦しむことがあるのではなかろうか。漁業は御承知の通り必ずしも利益のあるというものではありません。特に定置漁業の危険性ということは何人も認めております。すなわち内地におきましても約七割の漁業権を漁業会が所有しておりながら、これを賃貸して資本漁業家に委ねておるというその一つの例をもつてしても明らかであります。こうしたような実情から、北海道はどうしても特別に扱つてもらわなければならない。また扱うべきであるという政府の案になつております。もちろん一つの勧告とも言われる、先ほど委員長が読まれました関係方面の趣旨を体して、この特別扱いになつておることを削除したとは思いますけれども、原案にりつぱに了承をとつたものとして出ておるにもかかわらず、ただ一部の勧告があつたために、ただちにこれを修正し、すつかり削除するというようなことは、北海道の事情を知らない者が考えたのではなかろうか、私はかように考えますので、この点をあわせてお伺いしたい。さらに討論に入ります場合には、そのお答えによつて私は討論をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/10
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011・小安正三
○小安專門員 ただいま川村先生からいろいろお話がございました通り、第一の定置漁業の水深二十七メーターにつきましては、地方によりましていろいろと実情が異る。ことに漁具及び底形あるいは地勢等の差異によりまして、種々ございましようが、共同漁業権の性質から考えまして、水深十五メーターではやや大型の定置がまだまだ相当困難であろうというような関係から、水深をいま少しく増した方がいいのじやなかろうかという点も考えられますので、二十七メーターぐらいが適当であろうというような考え方でありまして、先生のあげられた理論に対しましては、私どもも同感でございます。
次に御意見のございました第十六條、第八項の点でございますが、この点につきましても、川村先生のおつしやられました、北海道の特殊事情が他と違つておるということは、あえて申し上げるまでもございませんが、なかなかデリケートな点がございますので、過般五月十二日に入江法制局長からるる御説明がありました通り、第十六條第八項、すなわち定置漁業の免許の場合に関する優先順位の規定は北海道に適用しないとあるのは、やや不合理ではないかというので、この規定は削除いたしまして、北海道におきましても、他の一般の地区におけると同様に、定置漁業免許の優先順位の規定を適用する方がよかろう。なおこの点は種々実質的に議論のあるところでもありましようが、当時入江さんからのお話によりますれば、北海道についての特殊事情は種々研究はいたしましたが、この規定を置いて適用を排除するほどに特別の事情は認めがたいというような御注意もありましたので、先生の御意思また御意見のあるところを重重拝承はいたしておりますけれども、以上のような次第で一応削除したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/11
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012・砂間一良
○砂間委員 私は今日の審議のやり方につきましてはなはだ不満を持つておるのであります。大体この修正案を審議するということになつたのでありますが、この修正案はどの議員が出されたのかちつともわからない。委員長が出したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/12
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013・石原圓吉
○石原委員長 委員長の提案です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/13
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014・砂間一良
○砂間委員 それではそうとして、半年かかつてつくつた修正案を、客観情勢の変化とか何とかいうことになりまして、突然たな上げをしてまた別の修正案が出されたのでありますが、今日いただきました四十項目にわたる漁業法案及び漁業法施工法案修正要綱というものは、この開会の直前に出されたのでありまして、ほんのざつとしか目を通すことができなかつた。ところが專門員が説明に出ますと、いきなり政府原案の字句の修正をぺラぺラやつて、何が何だかちつともわからない、まことに不親切なやり方だと思う。それでもおくといたしましても、とにかく委員会のこういうやり方に対しまして、私は非常な不満を持つている。法案の審議にあたつては、一字一句でも非常に重要性を持つていると思うのですが、これを突然提出されまして、やつさもつさでやるというやり方に対しまして、私は非常に不満にたえないのであります。しかしそのことをいつまで言つていても切りがありませんから、一、二の点について提案者に質問いたします。
その第一点は第十四條についてでありますが、去る五月の国会におきましても、入江法制局長から、関係筋の意見として言われておりますことは、第十四條の第一項の第三号にある「漁村の民主化を阻害すると認められた者であること」という点が抽象的であるから、これをもつと具体的にする必要があるのではないかという意見だつたと思う。ところが先ほど説明されました專門員の意見によりますと、なるほどこの修正要綱中の第六項には、第十四條第一項各号の免許の適格性を適正にするというふうにしてありますが、しかし先ほどの説明によりますと、少しも適正に具体的になつているようなふうには思われないのであります。先ほどの説明によりますと、第一号と第二号を省略いたしまして、そうして海区漁業調整委員会における投票の結果、総委員の三分の二以上によつて漁業若しくは労働に関する法令を遵守する精神を著しく欠き、又は漁村の民主化を阻害するものと認められた者であるというふうなお話があつたのでありますが、これは原文とは非常に意味が違つて来る。たとえば原案によりますと、この漁業に関する法令の悪質な違反者とか、労働に関する法令の悪質な違反者とかいうものは、別にこの海区漁業調整委員会の投票をしなくても、もう初めから適格性を有しないことになるのであります。漁業もしくは労働に関する法令を遵守する精神を署しく欠きというようなことを、海区漁業調整委員会の投票の結果、総委員の三分の二以上で認めなければ、適格性なしとは認めないということになりますと、非常に意味が違つて来る。この漁業に関する法令の悪質な違反者であるとか、労働に関する法令の悪質な違反者であるということは、これは不適格性の重要な條項になるのでありますが、それを海区漁業調整委員会の投票の結果、三分の二以上でそれを認めなければ認めないということになりますと、これは原文とは非常に違つて来るのであります。これは関係筋の方からしましても、第一号と第二号については別にどうこうということはなかつた。ただ第三号の、漁村の民主化を阻害するということが非常に抽象的であるから、これをもつと具体的にする必要があるのではないかという御指示があつたのでありますが、その点については何ら触れておらない。そうして一号と二号を省略して、この條項に具体的に修正されている点が非常に違つておるのでありますが、これは一体どういうわけであるか、提案者の方に第一にお尋ねしたい。
その次には、第三十八條に新たに第四項を設けまして、修正要綱によりますと、第十三項になるのでありますが、漁業権者以外のものが当該漁業権の内容たる漁業の経営を実質上支配していると認められる場合の漁業の免許の取消しの運用については、漁業協同組合が他のものから全出資額の過半の出資を受けている事実のみをもつて、その免許の取消しをすることのないようにするというになつておりますが、これは実に重大なる修正になるのであります。何となれば現在内地におきましては、漁業会が約七〇%の漁業権を持つておるのでありますが、これが自営できるとか、できないとかいうことが先般来いろいろ問題になつておるのでありますが、これに金を貸してやつて、あるいは出資して、そうしてそれが全出資額の半額以上を持つておつても、これは漁業経営を事実上支配していると認められる場合の免許の取消しには当らないということにいたしますと、非漁民であるところの人たち、あるいは漁民でありましても非常に資力を持つておる人が、現に漁業協同組合が持つておるところの漁業権を実質上支配して行くことになるのでありまして、そうすると、この漁業権は原則として漁業協同組合に第一に優先的に與えて行くという、この今度の制度改革の根本の趣旨がここでまつたく骨抜きにされてしまう。この点につきましては、例の小委員会の修正案までもつくつて、あの貸付を認めるという條項が、ここにひそかにこつそりと突込んでおるような、もぐり込ましておるような感を受けるのでありますが、こういう重大な修正をするにつきましては、立案者は今度の修正案を出されるにあたつてはどういうお考えのもとにやられたか。これは今度の漁業権制度改革の根本の精神を、ここでスポイルすることになるのではないかと思うのでありますが、この点について私ははつきりした御説明を伺いたいと思うのであります。とりあえず以上二点を御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/14
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015・夏堀源三郎
○夏堀委員 先ほど委員長より、この修正案について、今議会ももう数日に追つておりますので、一応この案によつて関係筋の方の了解をとりたいというのでお諮りになつて、共産党としては、これに対しては賛成しておるはずであります。いまさら意見としてお述べになつたところで、意見は意見としてまた述べる機会がたくさんあるのでありまして、討論においてそうしたような意見を述べるのはさしつかえないのであります。これは先ほど委員長から諮つて、あなたはこれに対して賛成をしたのだから、このままこれを関係筋の方に出してそうしてすみやかに了解を得て本議会においてこれを必ずまとめなければならぬ責任を持つたのだから、いまさらこれに対して意見を述べて——意見はいくらでもあります。あなたばかりでなく、意見はたくさんあるのであります。いまさらそれをどうこう言つて混乱するということはどうかと思いますので、これに対しては委員長が先ほど委員会に諮つた通り、この修正案によつて関係筋の方にこれをもつてすみやかに了解を得るような運びにしてもらいたいと思います。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/15
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016・奧村又十郎
○奧村委員 議事進行について——私もただいまの夏堀委員からの御発言に関連して申し上げてみたいと思います。もちろん短時日に追つた間にこれを審議せんければなりませんので、われわれも非常に苦慮するわけでありますが、しかしまた考えてみると、この修正案はこの法案の根本的な性格に相当影響する重要な修正を含んでおりますので、この修正に対する質疑なしにこれをやるわけには行きません。もう時間もありませんから、そうお互いにけんか腰でなしに、ここである程度のわずかの時間を制限して、質問を受ける。そこまでひとつおはからいを願うて、理事の間ででもどうか話合いをして、少々時間を割いていただくよう、私も一、二御質問がありますのでお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/16
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017・石原圓吉
○石原委員長 お諮りします。それでは三時三十分までに終るようにお願いしたいと思いますが、いかがでございましようか。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/17
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018・石原圓吉
○石原委員長 御異議がないようでありますから、三時三十分まで……(発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/18
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019・川村善八郎
○川村委員 議事進行——夏堀委員並びに奥村委員から、一人は全面的にこの際質問を打切つて、ただちにこの案をもつて関係方面の了解を得るようにはかれという意見と、それから時間を切つて質疑を打切つて、夏堀委員の言うごとく決しろという意見と、二つにわかれたのであります。私はただいま三時三十分という時間を制限されたことには賛成をいたします。本会議でも場合によつては発言時間を制限しております。そこで各委員一分ずつやつても、二十人ぐらいおりますから二十分であります。そこで一人三分以内、かように制限してやつていたださたいと思います。
さらにちよつとつけ加えますが、三分間を中心としてそこは委員長においてとりはからつていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/19
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020・砂間一良
○砂間委員 私は川村委員の動議に反対であります。この問題は非常に重要であります。三時三十分までというと、あと二十九分しかありません。きようはたとえ六時までかかつても、十時までかかつても、少くとも不明の、わけのわからないような案を、そのまま関係方面へ持つて行くという、そんな権威のないやり方はやめてもらいたいと思う。十分時間をさいていただきたい。
それから先ほど委員長は私が便所に行つていた留守に、砂間委員は政府原案の一部修正に賛成しておられるというような発言をされたそうですが、私は政府原案に対しては、討論の場合十分意見を述べるつもりですが、委員長が先ほど申されましたように、ただ一部の修正で賛成するという意見ではありませんから、その点は御訂正を願いたい。
もう一つこの修正案が委員長提出の修正案であるならば、一応委員長は委員長席をどなたか他の理事なり、他の委員にかわつていただいて、委員長から具体的に答弁ないし御説明を願いたいと思います。このことを提案いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/20
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021・石原圓吉
○石原委員長 砂間委員は川村委員の一人三分説に反対であります。この場合採決いたします。反対の方は御起立願います。
〔反対者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/21
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022・石原圓吉
○石原委員長 お二人であります。
それでは專門員にかわつて答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/22
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023・小安正三
○小安專門員 ただいま砂間先生から御質問がありましたが、第十四條の一号から四号までを一号、二号にかえる。ことに第一号の「漁業に関する法令の悪質な違反者であること。」及び二号の「労働に関する法令の悪質な違反者であること。」は明瞭であるからそれをかくのごとく総委員の三分の二以上によつてということであれば、法案の精神を没却する傾向はないかというような御質問でございますが、しからば漁業に関する法令の違反、労働に関する悪質な違反というものは、法規に明記してあります場合はとにかくとして、この言葉自体が御承知の通り相当抽象的なものでございますので、過般の政府説明の際のどこがどうであるかということについては、結局調整委員会の決定にまたねばならぬというものがこの法案に多々あるというその一つであろうかと思うのでございます。従いまして、具体的にやります場合には、漁業調整委員会の投票の結果、三分の二以上によつて漁業もしくは労働に関する法令を遵守する精神がないと認めること、そのことはやはり一つの重要な意義を持つというような意味合におきまして、ことに漁村の民主化を阻害するというような抽象的なものでははつきりいたしませんので、漁業調整委員会の三分の二の意見によることが適当であろう、またそうする以外に実際に調整委員会がこれを認める場合においても困難であろうというような関係から、民主的に総委員の三分の二以上によつて決せられます場合、また次のどんな名目によるというような事柄につきましても同様に解されますので、一号、二号というように全体をまとめて規定いたしましたのでございます。
次に第三十八條第四項を入れましたのは、御承知の通り原案の三十八條の三項に「漁業権者以外の者が実質上当該漁業権の内容たる漁業の経営を支配しており、」とあります。このことについて種々検討いたしたのでございますが、結論といたしまして、漁業協同組合と個人との場合におきましては、わが国の沿岸漁業を民主化し、かつその生産力を発展せしめます上におきましても、相当実情の異る点があると考えるのであります。従いまして調整委員会がこれを決定しようとする場合に、一つの解釈規定を設けておくことが便宜である。かつまた漁業協同組合が将来において発展いたしますためには、他の資本その他の援助を仰ぎまして、徐々に発達して参らなければならぬ点も多々あろうと考えられます。もつとこれをはつきりいたしますれば、漁業協同組合の場合はこの限りでないというような意味合をつけたいのでございますが、それではあまりに法文上ぎらつきますので、穏当にこういうような解釈規定をいたします方が、漁業組合の経営をして、むりでなく、その発達を円満にせしめることができると考えますので、漁業協同組合が当該漁業権の内容たる漁業を営む場合におきまして、その出資額が総出資額の過半を占めるということだけの條件をもつて、その者が実質上当該漁業の経営を支配しているという解釈をしてはならないというふうに、法律で合理的な規定をいたしたのでございまして、先生のおつしやいますように、法案の全精神を失うとか、あるいは民主的な精神が欠けておるというような考えは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/23
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024・砂間一良
○砂間委員 もう一点御質問いたします。第十四條でありますが、この「漁業に関する法令の悪質な違反者」と、それから「労働に関する法令の悪質な違反者」ということが抽象的であるならば、この内容を具体的に規定してこそ今あなたがおつしやつたような精神に沿うわけでありますが、その内容を具体的に規定しなくて、ただ海区漁業調整委員会における投票の結果、総委員の三分の二以上できめるということにしたならば、何も具体的なことにならぬ。ただ十四條の原案の精神で行きますと、「漁業に関する法令の悪質な違反者」「労働に関する法令の悪質な違反者」は初めから適格性がないことになつているのであります。それを海区調整委員会にかけてやるということになれば、非常にそれが緩和されたことになる。それから入江法制局長を通じて、関係筋の方から、漁村の民主化を阻害すると認めるということが抽象的であるということを言われたのですが、それを具体的にする内容の規定どいうものは、今あなたがおつしやつたところでは何もない、それも原案のままです。海区漁業調整委員会における投票の結果、総委員の三分の二以上で判断するということであるならば、これは何も原案とかわりはない、これは改悪です。
それから三十八條の第四項についてでありますが、これは私はどうしても合点が行かぬ。そういうことになれば、資力のある人たちが金を出すことによつて、現に協同組合が持つているところの漁業権までもどんどん浸蝕いたしまして、そうして自営するということになつて来る危險性が多分にある。これは鈴木小委員長がつくられましたところのあの修正案で、貸付を認めたり、あるいは共同経営をやつて行くというあの漁業協同組合で持つておる漁業権までも、有力な個人が皆ひつたくつてしまう、そういうことをこつそりと忍び込ませておるということは事実だと思うのでありますが、もう一ぺんその点について、はつきりした御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/24
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025・小安正三
○小安專門員 砂間先生から重ねて御質問でございますが、時間がありますればいろいろ具体的の例も申し上げたいと思いますけれども、先ほど申し上げたのでひとつ御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/25
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026・奧村又十郎
○奧村委員 私はただいまの砂間委員のお尋ねした後段の分に関連してお尋ねしたいと思います。漁業協同組合の漁業自営の場合に、漁業組合以外から全出資額の過半の出資を受けていても免許の取消しをすることがない。この修正はたいへん重大な修正であると思うのです。これは砂間委員とは少し意味が違うが、われわれは初めから漁業協同組合に定置漁業権をまず持たす、こういう考えであつて、ところがこの修正が行われるとすれば、漁業協同組合とほかのものとの共同経営も認められ、しかも過半以上の出資も認められということでありますならば、全国の定置漁業権のほとんど大部分が、事実上漁業協同組合に漁業権が持たれる、こういうことになろうと思うのであります。この意味においてわれわれの意見にこの修正案が非常に近づくと思うので、そういう考えで御訂正になるかどうかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/26
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027・小安正三
○小安專門員 お答え申し上げます。そういうような單なる全国的の漁業権をすべてが漁業会が持てるというのはこの條文だけから生れて参りますまいと思います。漁業協同組合の自営につきましては、法律上一定の條件を備え、その條件を備えておるものが、たまたま出資の過半数を占めたというそのことによつて漁業権を支配すると解釈してはならないというだけでありまして、先生のおつしやいますように他のいわゆる自営をいたします法定上の條件が満たされております場合でなければいけませんので、われわれは單に端的に全部なるとは考えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/27
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028・奧村又十郎
○奧村委員 私の申し上げるのはいかなる漁業協同組合でも、大体自営の意思はあるものなんで、條件は備わる、ただ資金資材の都合で困る、その場合この修正ができるとするならば、資材資金は他から仰いで、ある程度実力が備わらなくとも自営でやつて行ける、従つて漁業権を持つことができる、事実上こういうふうになると思うのです。これは解釈の問題でありますからこれで止めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/28
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029・石原圓吉
○石原委員長 もう発言はないようでありますから、この試案につきましては関係方面との折衝を完了いたしたいと思いますので、御了承願います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/29
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030・石原圓吉
○石原委員長 御異議ないようでありますからさよう決します。
次におはかりします。かねて現地調査等をいたしました神戸市に瀬戸内海海区調整事務所を置くということが今日まで案となつておりますが、なお瀬戸内海の海区、紀伊水道の海区に関する取締りの件、またこれに関する漁業法上の関係、あるいは有明海における海区調整事務所設置に関する件、靜岡県の狩野川放水路設置に関する件等が、今国会中に決定的な処置ができないのでありまして、そのうち狩野川放水路はただこの常任委員会の意見を申し出るということにあるのでありますが、他の各件は法文化すべき性格を持つておるのでありまするけれども、ただいま即時これが手続上からもできないことでありまして、過日調査班長の玉置君より本委員会に報告があつてそれを承認をしておるのであります。それによつてここに要望事項として決議をしていただいて、議会を通じて要望事項を表現する方法、また関係当局へ申出る方法等の手続をとりたいと思うのでありまするが、それらの方法は委員長におまかせを願つて、適当な処置をとりたいと思いますが、いかがでございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/30
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031・石原圓吉
○石原委員長 御異議ないようでありますからさよう決します。
なお狩野川放水路の設置は靜岡県にとつては重大な問題のようであります。その放水路の位置が万一にも漁業の中心地帶であつた場合には、靜岡県の漁業に甚大なる被害を及ぼすのみならず、太平洋の一部の漁業に悪影響を與えると思うのでありまして、これに対しては水産庁と会議をするというか、あるいは水産常任委員会の意見を尊重するというか、何らか被害を少くして、そうしてこの放水路もできるという案があれば、適当だと思うのであります。それらに対しての処置についておまかせを願うということに御承認を願いたいと思うのでありますが、いかがでありますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/31
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032・石原圓吉
○石原委員長 御異議ないようでありますからさよう決します。
次になお御報告申し上げます。去る二十五日委員川端佳夫君が辞任されて、その補欠として小西寅松君が委員に選任されました。また昨二十六日委員小西寅松君が辞任されて、その補欠として川端佳夫君が委員に選任されました。右の委員異動によりまして、水産の漁港小委員に関する委員が一名欠員になつておりますが、その補欠は委員長において指名することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/32
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033・石原圓吉
○石原委員長 御異議なしと認めまして、川端佳夫君を漁港に関する小委員に指名いたします。
それでは本日はこの程度で散会いたします。
午後三時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100604562X01519491127/33
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