1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月十九日(土曜日)
議事日程 第十二号
午後一時開議
第一 輸出品取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 少年法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 国立学校設置法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
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●本日の会議に付した事件
進駐軍解除物件処理に関する緊急質問(小川半次君提出)
日程第一 輸出品取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 少年法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三国立学校設置法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
住宅営団法を廃止する等の法律案(内閣提出)
災害防止国土保全に関する決議案(大内一郎君外四十四名提出)
午後二時十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/0
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001・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
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002・山本猛夫
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急質問を提出いたします。すなわち、小川半次君提出、進駐軍解除物件処理に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/2
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003・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/3
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004・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
進駐軍解除物件処理に関する緊急質問を許可いたします。小川半次君。
〔小川半次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/4
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005・小川半次
○小川半次君 特別調達庁の解除物件について政府にお尋ねいたしたいと存じます。
この問題につきましては、一昨日の外務委員会におけるわが党の並木議員の質問、さらに国務大臣山口賠償庁長官の答弁によつて、俄然国内に大きな反響を呼び、今後の措置がきわめて重大視されるに至つたのであります。山口国務大臣も弁明しておられるごとく、現在特別調達庁に関する進駐軍の拂下け物件は、その金額にして約七十三億円の多額に上り、倉庫使用料だけでも、本年四月から八月までに二億六千万円を支拂つており、なお毎月六千万円の保管料を支出せねばならぬ状態にあるのであります。
解除物件がかくのごとく滯貨となつて山積されるに至つた原因は、進駐軍から納入を解除されたことや、納入後返還されたためであると政府筋では弁解しておるのでありまするが、この物資をめぐつていろいろな風説が流れ、現に今きびしい批判の対象となつておるのであります。
仄聞するところによりますれば、特別調達庁において、生産業者や御用商人との惡縁関係上、直接進駐軍が必要としない物件までも購入したり、あるいは必要数以上に多く購入して、その残余の物件は価格の変動をまつて処分せんとする思惑などがあつたとも伝えられ、まことに奇々怪々のうわさを生んでいるのであります。事実倉庫の中には、白たび以外は、あらゆる種類の物資が大量に山積されており、その中には、時日の経過するに従つて腐蝕して無価値同然になりつつある物件も、かなり多くあるのであります。国民の尊い税金によつて納めた七十数億円もの物件が、たやすく納入解除となつたり、あるいはまた納入後返還されたりするというような、そんな簡單なことで済むものではないのであります。あやふやな契約であつてはならないはずであります。一体どんな契約方式をとつておられるのであるか、その内容を明らかにしていただきたいのであります。
以上は、納入に関連して疑問を持たれている点を申し上げたのでありますが、一方さらに拂下げに関しては、拂下げの趣旨を広く国民に周知せしめずして、一部特定の業者にのみ拂下げを行わんとする意図があつたことく伝えられており、現に開拓移民団体その他から拂下げを懇請したにもかかわらず、入札の際にはこれらの団体を全然無視しているという事実などもあるのであります。特に納得の行かない点は、競売制をとらずして、一部特定業者にのみ随意契約がなされていることであります。なお拂下げにあたつても、本年の第一・四半期ころまでに思い切つてこれを行えば、当時は金まわりも少しはよく、入札価格もよく、政府の損失が案外少かつたはずでありますが、今日経済状態がデフレの傾向になるや、あわてて拂下げに大わらわとならねばならないという不手ぎわを演じなければならないのであります。それゆえに、八月以来の売却額は、二億四千九百万円という、まことに心細い数字を示しているのであります。
今や、金詰まりとデフレ政策によつて、政府の拂下げ希望価格と入札価格との間に大きな開きがあり、入札者の希望に応ずるような拂下げを行えば国家財政の大きな損失となり、逆に政府が時価主義を強く主張する場合には買受手がなくなり、いつまでも倉庫に山積され、毎月六千万円ずつの保管料を支拂わねばならないのであります。この毎月の保管料を支拂わねばならないということは、一面むだ金を投じているがごときものであつて、国家予算を食う寄生虫的な存在である。この問題をすみやかに解決しなければならぬのであります。民自党内閣は、鉄道の拂下げとか、あるいは省営バスの民間拂下げなど、何でも拂下げのすきな内閣でありながら、七十三億のこの解除物件を今なお拂下げ得ないとは、日ごろの公約に似合わないことでありまして、今後タバコの民間拂下げなどと大きな口をきかぬよう、一言申し上げるものであります。
以上、拂下げにあたつて一般国民に周知せしめなかつた理由、あるいは拂下げ契約の内容、さらに政府が拂下げ希望価格に達しない場合でも入札者の価格で拂い下げるのであるか、しかしてその場合の政府損失はいかにするのであるか、この点、御答弁願いたいのであります。
なおこの解除物件の中には、日本人の生活に向かない、輸出品として適当な物資が相当あるにかかわらず、貿易庁当局は、これに対して何らの熱意を示さず、また輸出する積極的な意思もなく、そのまま倉庫の中に積まれ、保管料を毎月支拂わされているということであります。貿易庁当局がかくのごとく輸出に不熱心であるから、民間貿易も目標を失い、一昨年八月貿易が再開されてこの方、日本の業者は、いわばめくら生産、めくら貿易を営んでいるのであつて、わが国の貿易振興の上にも、かなりの障害となつているのであります。解除物件の中の輸出に適する物資を、今後いかに取扱うつもりであるか、稻垣通商大臣の責任ある御答弁を願いたいのであります。
以上をもつて私の緊急質問といたし事ます。(拍手)
〔国務大臣山口喜久一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/5
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006・山口喜久一郎
○国務大臣(山口喜久一郎君) ただいまの小川君の御質疑にお答えいたします。
解除物件についてでありますが、特別調達庁が、連合軍設営用として軍の指令で購入し保管しておるところの在庫品のうち、計画変更等によつて今後不要であるとされたもの、及び特別調達庁が購入して軍へ納入した品物について、軍が使い古して使用できなくなつたため、または軍の在庫が過剰となつたために、日本政府に返還命令を発し、特別調達庁が引取つた、こういう品物であります。従つて、御指摘の通り相当各種の品目がございまして、一般の建築資材はもちろん、電気、給水、暖房、いわゆる建築用の資材とか、機械、器具、家具、じゆうたん、ふとん、台所用品等雑多なものがあるのであります。その解除物件の量は、御指摘の通り総数が五十五万五千トンに達しておりまして、倉庫への寄託金額は七十三億であります。
この多数の物件が、本庁及び全国各地の特別調達庁の指定する倉庫に保管されているような現状でありまして、売却の状況といたしましては、八月から十月三十一日までで、およそ九万二千トン、金額にして二億四千九百万円でありましてまつたく売れ行きがはかばかしくないのであります。
この売れ行きのはかばかしくない原因といたしましては、金より物の時代から、物より金の時代へ移つて行くこの経済界の状況、あるいは法規上の煩瑣な手続きとか、その拘束から生れるのであります。たとえば、入札に際しましてはそれぞれ保証金をとらなければならない。また代金は全部即金で納めなければならない。特別調達庁に限らず、政府の購入する物品の代金の支拂いは三箇月も四箇月も遅れておるような次第でありますが、一たん政府が売り出すものについては即金で納入しなければならぬ。こういうことが、いかにもお役所商売でありまして、私らとしても、この会計法規を改正いたしまして、たとえば政府が信頼するところの金融機関の保証があるならば、三箇月とか、六箇月とか、これを延納してもさしつかえないというような方法も講じなければならぬと、せつかく考えておるような次第であります。
また統制品については、その品物につきまして、経済安定本部に一応リストを提出して、そうしてその安本の割当に基いて切符と引きかえにしなければならぬ、こういうふうなネックもあるのでります。こういういろいろのネックのために、物件の処理が思わしく行つていないことは御指摘の通りであります。
今後の売却見込みといたしましては、解除物件は何しろ連合軍用としての軍の要求によつて調達した事のでありまして、もとより日本人の生活に適しないものも相当あるようであります。これは貿易その他というようなお説もありましたが、なお詳細に一々の物件に対して今後検討を加えまして、小川君の申さるるように、もしこれが貿易に適当な品物であるならば、通産省とも十分打合せの上、御趣旨に沿うように善処いたしたいと思つておるような次第であります。(拍手)これを要しますのに、代金の延納を認めるとか、あるいは随意契約のできる範囲についての再検討、あるいは統制品の割当手続を簡素化するとか、あるいはまた現品を、たとえばデパートのごときところへ展示しまして、そうしてこれによつて販売をするとか、あるいはいろいろのとりまぜた雑件につきましては、せり市をやつてこれを売却するとかいうような点等に関しまして、現行法規に必要な改正をすることも考えておるような次第でございます。
なお、ただいま予定価格が高いというお話でございましたが、政府の購入した当時の値段等とこれを勘案しまして一応の予定価格は出すのでありますが、予定価格に達しない場合は、いたし方がございませんから再入札をする、それでもいけない場合には、最後の手段として随意契約にもしなければならぬ、こういう方法もとつているような次第であります。また必要としないものまで購入したのがそもそもの誤りであつた、こういうことを仰せられましたが、そうではないのでありまして、御承知の通り、進駐軍向けの物資につきましては軍からPDが出るのであります。このPDに基いて、軍の命令によつて購入したものでありまして、決して不必要なものまでも購入したのではないのであります。
開拓団を入札者からオミットしたというような御質問でありましたが、この点に関しましては、私も初耳でありますから、入札上におけるところのさようなことが、もしもありましたならば、十分調査をいたしまして、後よりその実相を御報告いたしたいと思います。
以上とりあえずお答えいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/6
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007・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一……。
〔「通産省はどうした」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/7
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008・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 通産省は今答弁がないそうです。
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009・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、輸出品取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事神田博君。
〔神田博君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/9
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010・神田博
○神田博君 ただいま議題と相なりました輸出品取締法の一部を改正する法律案につきまして、審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
まず改正の要点を御説明申し上げます。第一の点としましては、輸出品の海外における声価の維持向上をはかりますのには、粗惡品を輸出しないようにすることが最も必要であります。これがため必要があります場合には、主務大臣が輸出品を指定して、通常の用法において正常の機能を果さないような輸出品については、これが輸出を防止するために、輸出の最低の標準または包装條件を設定し得るようにしているのであります。第二の点は、現行法によりますと、輸出品を検査し、その結果によつて輸出品にそれぞれの等級の表示をなす責任者は輸出業者のみとなつているのでありますが、これは検査の実情にも沿わない点がありますので、今回検査の責任者を輸出業者のみに限定せず、実情によつては生産業者もその責任者となり得るようにしたことであります。最後に第三の点は、国が行う臨検検査でありますが、輸出品取締法による検査は、これが輸出品に関する検査であるだけに、これが完全に励行されているかどうかということが非常に重要な問題となつて来るのであります。ここにおいて、この検査の励行の確保をはかりますための臨検検査に関する規定についてもこれが整備をはかり、遺憾なきを期したいというのであります。以上が改正の大要であります。
本案は、十月三十一日、本委員会に付託せられ、十一月十二日、政府より提案理由を聽取いたしたのであります。越えて十五日質疑に入りまして、政府委員と当委員との間に熱烈なる質疑応答が十五、十六の両日にわたり行われたのであります。その内容に関しましては会議録を御参照願います。
続いて十七日討論に入り、共産党を除く各党より賛成意見が開陳せられました。まず民自党を代表して前田正男君より、検査の取締りにあたつては、みだりに官憲の容喙を許さないように、また労働強化等による品質の低下を十分警戒されたい、また根本的には企業の科学的管理を実施するようにとの希望があり、民主党有田喜一君より、取締りと並行して中小企業の育成に努力すべきであり、また合理化のために生産量の増大のみを強調せず、設備の合理化、融資の万全、技術の指導等に万般の配慮を願うとともに、検査取締りが業者の輸出意欲を阻害することなきよう官吏の素質の向上を期されたいとの希望意見が表明せられました。続いて民主党連立派永井要造君、社会党山口シヅエ君よりも同様の希望が披瀝せられました。引続き本案を採決に付しましたところ、多数をもつて可決いたしました次第であります。
右簡單ながら御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/10
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011・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。その発言を許します。川上貫一君。
〔川上貫一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/11
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012・川上貫一
○川上貫一君 私は、日本共産党を代表いたしまして本案に反対の意見を述べたいと思います。
反対の理由は、まず本法案の根底をなす吉田内閣の貿易政策が、日本にとつてはなはだ不利益なものであり、また危險なものであるということであります。第二には、本法案そのものが日本産業にとりまして利益がないばかりでなく、貿易の発展にも決して役に立たないということであります。私は、以下それを五点に要約いたしまして述べたいと思います。
まず第一に、吉田内閣の貿易政策は、世界の一部分、特に東南アジア中心の貿易方針でありますが、これははなはだ将来性のない、危險な、不利益な政策であると同時に、貿易そのものが、まつたくめくら貿易であるばかりでなく、自主性が一つもないという点であります。すなわち、これを政府の一枚看板のように言われておる協定貿易について見ましても、第一、この協定には日本代表が参加しておりません。さらに政府の答弁によつても、為替管理委員会が貿易勘定の決済じりさえ知らないのであります。これでは決して相互協定ではありません。(拍手)
第二に、かようなやり方による貿易の実際を見ますると、相手国は何らの義務も負わないのに、日本は輸出しなければならない。そういたしますと、相手国は自分の都合によつて、日本にとつて不急不要の品物でも、かつてに押しつけて来ることができるのであります。たとえば、日独協定においてこれがはつきり出ておる。何を輸入するか。まず第一に化学薬品、第二には鉄鋼製品、第三には機械であります。これはことごとく日本において余つておる品物であります。ただカリ塩だけは必要がありますが、その他の品物は、日本において十分できる品物であります。かような貿易を強化いたしまするならば、輸入の面においては、いよいよますます国の産業を圧迫するのである。輸出においては、日本の生産は外国のための生産となる危險があるのである。
第三といたしましては、かような不利益な貿易にもかかわらず、この貿易が国内にどういう影響を與えておるか。内に向つては、人民に苛酷きわまる耐乏生活を要求しておる。集中生産の名によつて中小企業を壊滅させておる。労働者に対しては低賃金、労働強化と首切り、農民に対しては低米価を押しつけておる。これはいうまでもなく、輸出の面では完全な飢餓輸出であり、国内市場を荒廃させる。貿易といたしましては、かような貿易は明らかにダンピングであり、国際憲章に違反する。これは事実なのである。もちろんこういう政策は、すべての公約を無視し、あらゆる政策が破綻して、このさんたんたる日本の状態を、安定などと言わなければならぬような吉田内閣のたつた一つの血路ではありましようが、日本人民の血路では断じてないのであります。(拍手)
第四には、この貿易政策はただの政策ではないのである。すなわち、それは吉田内閣が企図されているところの、なしくずし講和から單独講和への布石であつて、この内閣のありとあらゆる売国政策の一つであることを、われわれは指摘しなければならない。(拍手)
第五に、本法案は(一方では日本製品の規格をば外国のための規格へ強制し、他方では中小企業の生産を押えて、必ず独占的大企業のみを利益する結果をもたらすのでありますが、それにもかかわらず輸出の振興には役に立たない。なぜ役に立たないか。今日の輸出の行き詰まりは、取締りの不備などで起つているものではない。その原因は、第一に吉田内閣の貿易政策の誤りであり、資本主義世界の相対的過剰生産恐慌、その結果としての市場の狭益、その上に自主性のないめくら貿易であること、めくら貿易であるから、かようなことがやられる、目があいたらびつくりしてしまう。(拍手)その上に、飢餓輸出の強行と国際的反撃というようなものが今日の貿易行き詰まりの原因である。もしもこの行き詰まりの原因が取締りにあるのだということを言うならば、従来政府自身がやつておつた貿易が、もつとりつぱに行つているはずなんだ。それゆえ、本法のねらいとするところは、決して取締りではない。それはほかにある。なぜか。これは取締りに籍口してダンピングを隠蔽する欺瞞法なのである。かような法律はアメリカにはありません。そればかりではなく、世界の国にその例を見ない。
日本共産党は、かようなことに反対し、吉田内閣は半分より世界を見る目がないが、われわれは中国、北朝鮮、ソ同盟を含めた世界全体に対する相互親善の自主的貿易を主張するのである。こういう意味において、日本共産党は本法案に反対するもので事あります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/12
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013・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/13
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014・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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第二 少年法の事一事部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/14
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015・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二、少年法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長花村四郡君。
〔花村四郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/15
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016・花村四郎
○花村四郎君 ただいま議題と相なりました少年法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審議の経過並びに結果を簡單に御報告いたします。
まず本法律案の内容を申し上げますと、少年法は本年一月一日より施行されたのでありますが、新少年法第二條において、少年とは二十歳に満たない者と規定しているのでございます。旧少年法は十八歳未満の者を少年といたしましたのに、新法はこれを引土げたのであります。この規定通り実施いたしますと、旧法時代に比して少年事件は約二倍以上増加することが予想せられるのであります。ところが、本法施行当時における家庭裁判所、少年院、少年観護所及び少年鑑別所等、少年事件取扱い機関の人的、物的の設備の現状と、犯罪者予防更生法がその後五月に施行される予定でありましたため、この激増する少年事件に対しまする受入れ態勢がきわめて不十分であつたのでございます。
そこで、少年法第六十八條により、同法施行後一年間は、少年は旧法同様十八歳未満の者とするということにいたし、この一年間に受入れ態勢の整備に努めることといたしたのでありますが、今日すでに十一箇月を経過しておるにもかかわらず、この受入れ態勢の整備工作の進展が裁判所側、法務府側ともに十分でなく、あまつさえ少年犯罪が激増する今日、二十歳に引上げた場合、とうてい少年事件を滯りなく処理し得ないと考えられるので、さらに年間少年法の常則にのつとることを延期して十八歳未満といたし、その間に受入れ態勢の整備をはからんとするのが、本案の趣旨であります。
法務委員会におきましては、十一月十日、殖田法務総裁より提案理由の説明を聽取した後、三回にわたり熱心活発なる質疑があり、ことに青少年の犯罪が激増する今日、政府当局はいかなる施策を行つているかについて、法務、文部、厚生各当局より報告を求めなお政府に対し、受入れ態勢の急速な完備と、来年再びこれを延期することのないこと等希望意見が開陳せられ、十一月十七日、全会一致をもつて原案の通り可決いたした次第でございます。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/16
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017・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) ただちに採決に入ります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/17
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018・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/18
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019・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第三、国立学校設置法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文部委員長原彪君。
〔原彪君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/19
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020・原彪
○原彪君 ただいま議題に相なりました国立学校設置法の一部を改正する等の法律案につきまして、この法案の要旨及び委員会における審査の経過並びにその結果を御報告申し上げます。
本法案の目的は、第一に新たに商船大学を設置することであります。第二に、国立学校の職員の定員を行政機関職員定員法の規定に合致させるために、国立学校設置法の一部を改正し、同時にこれに伴う関係法規を整備することにあります。
商船大学は、さきの第五回国会で可決されました国立学校設置法に国立大学として加える予定でありましたが、種々の事情のために保留されたのであります。その後運輸、文部両関係者間の研究の結果、高級船員の養成は学校教育法による大学にすべきであるとの結論に到達いたしまして、さしあたり静岡県に、現在の高等商船学校と海務学院とを合併した商船大学を設置するものであります。なおこれと関連いたしまして、運輸委員会よりは、今日の情勢上高級な船員の養成は急を要することとし、すみやかに神戸にも商船大学を設置されたい旨の申入れがございましたが、当局においてもその計画のあることを明らかにいたされたのであります。
〔議長退席、副議長事着席〕
次に国立学校の職員の定員の一部改正につきましては、さきの国立学校設置法における国立大学付属病院の事務職員の定員は従来のままとなつておりますので、その後に規定されました行政機関の定員法に合致させるものであります。同時に、以上の改正に伴う関係法規を整備する必要があります。
以上の法案につきまして、本委員会におきましては愼重に審査を行やまして討論に移つたのでありますが、共産党の代表の今野武雄君が反対意見を述べられました。社会党代表の松本七郎君及び民主自由党代表の岡延右エ門君はそれぞれ賛成の意見を述べられたのであります。よつて採決いたしました結果、賛成多数をもつて本法案は原案通り可決せられたのであります。その詳細につきましては会議録によつて御了承願いたいと存じます。
はなはだ簡單でございますが、これをもつて御報告にかえます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/20
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021・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。今野武雄君。
〔今野武雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/21
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022・今野武雄
○今野武雄君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本法案に反対の意を述べんとするものであります。
第五国会におきまして、私は、この国立学校設置法が上程されました際に、この法案提出の経過が官僚独善そのものであり、教育の民主化を脅かすおそれが十分あるということ、それからまた、これによつて設立された大学が学問の研究にたえない低劣なものになつて、国の独立を危うくするものであること、さらには財政の裏づけがなく、六・三制の場合と同じように恐るべき混乱を招くであろうというような理由をあげて、反対の意を表明したのでありますが、不幸にして可決されました。
その実行の実情を調べてみまするに、やはり心配していたように、人事はますます官僚的になり、学科の程度は低下して、これでも大学かという声が学生の間に猛然として起り、非常な不安を招き、また寄付金等の徴收によつて、それでなくてもお寒い国民のふところを、さらに冷やしている次第であります。特に人事については、納得できないような理由を示して辞職勧告を行うというようなことが盛んに行われております。これは小学校から国立大学に至るまで、すべてに通じておるのでありますが、かようにいたしまして、国立大学教授の身分はまつたく不安にさらされておるという現状であります。従つて、憲法二十三條によつて嚴然として保障されておりまする学問の自由というものは、まつたく地を拂つておると言つても過言ではありません。
その一々の例については、あげるわけにも参りませんけれども、その共通の特色をあげますれば、文部省やあるいは学校の直接の責任者である学長は、まず特定の教授をやめさせるということを先にきめて、そのあとから理由をつけるのに苦心をしておるというような状態にあるのであります。たとえば、富山大学の鷲尾教授をやめさせるというような問題のときにあたりましては、とうとうその辞職勧告の理由に窮して、文部省も学長も、辞職勧告を出したりひつ込めたりするというような醜態を演じておるのであります。
こういう点から考えてみますと、民主国家の面目がどこにあるのか。こういうような一番重要な教育というものが、まつたく自主性を失つて、官僚の独善的な支配に階つているというようなことから見て、私どもは、この国立学校の現在の行き方に対しては絶対に反対いたすものであります。
ところが、今回の改正案においても、学校のこういう現状を改善するというようなところは少しもなくて、たとえば商船大学というようなものができます。これは高等商船学校がそう直るわけでありますが、しかし、これが新制大学になることによつてはたして内容が向上するかというと、そうではございません。かえつて低下するということがやはり言えるのであります。あまつさえ、この国立大学設置法制定後に、この前の国会で多数の横暴をもつて通過させましたところのあの定員法というものに基きまして、国立学校の職員をさらに百名以上首切りをするということも盛られておるのであります。これら首切られる者は雇員あるいは用人であると申しておりますけれども、それらの人々の生活の窮迫ということを考えて、現在それでなくても多い失業者がさらにふえ、悲惨な事態が起ることを考えますと、この点から見ましても、この法案は改惡であると言わざるを得ないのであります。
こういうような理由によりまして、私どもはこの法案に断固反対の意を表明するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/22
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023・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/23
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024・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/24
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025・山本猛夫
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、住宅営団法を廃止する等の法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/25
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026・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/26
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027・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
住宅営団法を廃止する等の法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長淺利三朗君。
〔淺利三朗君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/27
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028・淺利三朗
○淺利三朗君 ただいま議題となりました住宅営団法を廃止する等の法律案に関し、建設委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
まず第一に、政府提案の理由並びに法案の内容を御説明申し上げます。本法案は、住宅営団法の存続期間並びに閉鎖機関として指定されている住宅営団の業務の範囲を明確にせんとするものであります。御承知のごとく、住宅営団は昭和十六年法律をもつて設立された国家的な住宅供給機関でありまして、資本金一億円は全額政府が出資して、労務者その他庶民の住宅を建設して参つたものであります。終戰後も活動を続けておりましたが、昭和二十一年の末、閉鎖機関に指定されたのであります。したがつて、住宅営団法も当然同時に廃止さるべきであるが、清算結了前に法律を廃止することは種々の不都合を生ずるため今日に至つていたものでありますが、その後清算事務が進捗して、明二十五年度末をもつて清算結了の見込みもつき、かつ関係当局よりの示唆もあつて、ここに本法案を提出するに至りたというのが政府の説明であります。
法案の内容自体に対しては一見明瞭で、特に異論がなかつたのでありますが、本営団廃止に伴う結果について、特に清算の過程に対して重要なる質疑応答が交わされたのであります。その二、三について申し上げます。
第一に、住宅営団の事業の功罪はどうであつたかという点、並びにこれが廃止された後の政府の住宅対策いかんという問題であります。すなわち、本営団は住宅供給政策の一機関として、公共の福祉増進に寄與する点多しと認めるが、閉鎖機関の解除またはその機構の改組等によつて住宅供給事業を継承する必要なきかとの問題であります。これに対して、営団は設立以来閉鎖機関に指定されるまでに約二十万戸の住宅建設を行い、相当の功績を上げたものと認められている、しかし現在においては、庶民住宅の建設は地方公共団体によつて行われており、かつ民間に対する建設資金融通の見通しもついてきたので、住宅営団のごとき住宅建設機関を存続または復活することは考えていないという答弁でありました。
第二に、清算の状況に関しては貸借対照表及び損益計算書等の資料に基き詳細な検討が行われ、清算はどの程度進んでおるか、処分方法及び処分価格は適正であつたか、並びに清算事務を簡易化するため公共団体に有償または無償をもつて移譲する方法は考えられなかつたか等の質疑がありました。これに対して、公共団体がこれを引受くる希望なきため、やむなく現居住者に縁故売却の方法をとりたること、及び清算機関が住宅営団より引継いだ六千五千余戸の住宅中、本年八月までに四万五千余戸が処分され、残り一万八千余戸も主として公共団体に引受けしむる等の方法をもつて、来年度末までに処分し得る見込みであること、価格はいずれも帳簿価格を上まわつているが、時価よりはるかに低廉であること、並びに公共団体へ無償譲渡するより有償として清算をした方が損失が少い旨の答弁がありました。
第三に、清算結了時における損益の見込み及び損失の場合の負担方法いかんという問題であります。これに対しては、今後における清算事務の経費を含め、およそ三億数千万円の赤字となる見込みであり、政府が出資した資本金一億円の償還は行わないこととしても、社債に対しては政府が保証をしている関係上、政府予算に計上して赤字を補填する必要があるという答弁でありました。
第四に、営団の住宅に居住していた者の居住権が適当に保護されているかどうかという問題でありますが、これに対しては、売却の際は第一に現居住者を優先し、これが困難の場合は公共団体に譲渡してできるだけ競売などの方法は行わない方針をとつており、今後もこの方針に基いて処理したいという答弁でありました。
第五に、近く東京都に譲渡される六千余戸の住宅は、さらに民間の会社へ転売されるという見込みであるが、これが営利的な経営を行つて居住者を脅かすおそれはないかという問題であります。これに対しては、民間の経営に移つても、政府は住宅行政の面より十分に監督し、居住者を不当に圧迫せしめないという答弁でありました。
最後に、委員会の総意を体して田中委員より次のごとき発言がありました。すなわち、清算当局は清算期間をできるだけ短縮して極力赤字の圧縮に努めること、建設省は今後も居住者の居住権保護に徹底を期すること、及び清算その他の状況に関しては、今後の住宅政策に資するため別途本委員会において審議を継続すべきこと等であります。
かくて、討論を省略し採決の結果、全員一致をもつて本案を可決いたした次第であります。
以上、簡單でありますが御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/28
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029・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/29
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030・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/30
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031・山本猛夫
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、大内一郎君外四十四名提出、災害防止国土保全に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/31
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032・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/32
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033・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
災害防止国土保全に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を求めます。上林山榮吉君。
〔上林山榮吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/33
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034・上林山榮吉
○上林山榮吉君 ただいま議題となりました災害防止国土保全に関する決議案の発議者を代表いたしまして、簡單にその趣旨の説明を申し上げたいと思いまするが、まずその決議案を朗読いたします。
災害防止国土保全に関する決議案
近時わが国においては、国土の荒廃はなはだしく、台風その他によける被害は、財政ひつ迫 に基く復旧事業の不完全と相まつて、逐年累増せられる状況にある。
よつて政府は、社会不安を除き、資源を確保し、国民の経済力を充実せしめ、民生の安定を 期するため、左記の諸方針に従い、速やかに災害の復旧ならびに予防の対策を講じ、もつて国 土を保全すべきである。
一 災害に際しては、速やかに応急措置を講ずるとともに、その災害の原因とを調査研究し 、 植林、砂防、農業、土木、河川、道路、港湾等の工事を通じ、将来の国土開発との関 連において、総合的にその応急の復旧ならびに恒久の予防対策を樹て、国土保全に努める こと。
二 災害における応急措置とその復旧事業とに対しては、全額国庫負担をもつて、急速且つ 適切に図るとともに、恒久的な予防対策は、国庫の負担、補助の下に、中央、地方ともに 協力して完成せしめること。
三 災害復旧費及び予防費は、一般公共事業費に優先してこれを確保し、失業救済の事業と しても有効なるようその実施に遺憾なからしめること。
四 本事業の特殊性にかんがみ、その経費に備えるために、相当額を国土保全積立金として 積み立てるとともに、起債、富くじその他の財源をも併せ確保し、あるいは地方に低利長 期の融資をなすこと。
五 災害の復旧ならびに予防の国土保全事業については、総合的企画と統一的実施を期するために特別の機関を設けること。
右決議する。
決議案はただいま朗読した通りでありまするが、提案の理由を、きわめて重要ではありまするけれども、簡單に説明したいと思います。
御承知のごとく、災害復興の予算は、補正予算において百六億円、明年は約一千億円の公共事業費中に相当額の予算が組まれておるのでありますけれども、これでは、非常なるところの災害に対しては、なお不十分であると思われますので、さらに予算の増額を要望するとともに、地勢、風土、雨量によりわが国の宿命的な災害に対しては、その予防対策が、植林、砂防、農業、土木、河川、道路、港湾等の工事を通じ、将来の国土開発事業との関連において、総合的にしかも積極的に講ぜられることが最も必要であると信ずるのであります。特にシャゥプ勧告書にもある通り、災害の国庫補助のごときは一府県へ市町村を問わず、また戰災その他のあらゆる災害を含めて、全額を国庫において負担すべきものであると存ずるのであります。こういうような意味におきまして、この決議案をわれわれは提出するのでありまするが、政府においても、この決議案の趣旨に沿つて国会の意思を尊重して善処せられんことを要望する次第であります。
以上、簡單に説明を申し上げます(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/34
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035・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。飯塚定輔君。
〔飯塚定輔君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/35
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036・飯塚定輔
○飯塚定輔君 私は、民主自由党を代表いたしまして、本案に賛成する次第であります。
本決議案が当国会に提出せられましたことは、まことに時宜を得たものと信じますが、欲を言えば、この決議案は遅きに失したと言わなければなりません。但し、たとい遅いとは言いながら、この趣旨をわれわれの力よつてすみやかに現することが、われわれの責務であると信ずるものであります。
日本は長年にわたつてあらゆる災害に見舞われ、その被害の程度、その経費の巨額に上りましたことは、今さら申し上げるまでもありません。歴代の内閣におきましても、その対策には相当努力せられた跡があります。しかしながら、当局の施策よりも災害の方がはるかに前進しておる現状であります。
顧みるに、明治四十四年、第二十七回帝国議会において、一千六百三十四万三千円の経費を計上して、第一回の治水事業を十八年計画をもつて始めたのであります。さらに昭和十二年、六千七百万余円の経費をもつて第二次治水計画を発足したのでありますが、不幸にして大戰に突入し、その所期の目的を貫徹し得ざるのみならず、山林は濫伐せられ、農地は掠奪農業と化し、荒らされ、あらゆる河川は、ほとんど原始河川のごとく荒れほうだいとなつたのであります。突如として昭和二十二年東北六県を襲いましたあの大水害、さらに同じ年関東地方を侵したあの大水害、これに対しては、国をあげてその対策に苦心せられたのであります。
当時片山内閣で、われわれは罹災地の代表として国会並びに当局に対して陳情し、国会においても、当局においても、非常なる好意をもつてわれわれを迎えてくれた。ことに国会におきましては、災害地対策特別委員会を特に設けて、われわれ国民は感謝にたえなかつた記憶があります。しかしながら、当局のその施策は、ほとんどなすところがなかつたといわなければならない。われわれは、当初の感情に対して、逆に悲観せざるを得なかつた。
私の郷里のある一農家は、当局のその施策を待つまでもなく、自分から立ち上らなければならないという雄々しき決意をもつて、八十に余る一老農が、雨の日といわず、風の日といわず、くわを振つて自分の荒れ果てた土地に立ち、毎日石ころを拾つて、ようやく一枚の田をつくり上げ、さらに二枚、三枚とその復興に努力したために、その附近の町村の罹災地は、たちどころに復旧を見たのであります。これに対しても、はたして当時の政府はいかなる救助の手を伸べたのであるか。今私はそれを言わんとするのではありませんが、この国会において、災害の復旧に対し今まで見ることのできなかつた巨額の公共事業費を計上し、明二十五年度において、さらに多くの公共事業費を計上することを仄聞するとき、われわれは国土の復旧に対して一大光明を見出したと言わなければならないのであります。(拍手)
しかしながら日本は、御承知のごとく北緯三十度程度より四十五、六度の間にわたつて細長き弓状をなし、気候風土において一様にこれを見ることはでき得ないのであります。人の力と科学の力を極度に活用しなければ、日本の国土保全ということは完全にでき得ない。人の力の偉大なることは申すまでもありませんが、人力をもつていかんともすることのできない気候を、科学の力によつて克服することはできる。さらに災害は、單なる暴風雨、水害それのみではありません。
日本は、御承知のごとく毎年冷害によつて悩まされておる。今年九月、国会より派遣せられまして、われわれは北海道の大旱魃の跡を調査して参つたのでありまするが、旱魃とともに、冷害によつて北海道は非常に悩まされておる。しかしながら、この冷害地も科学の力によつて克服することはできる。御承知と思いまするが、ミチユリンは、北緯五十三度の土地に対しては果樹その他の植栽ができ得ないとまで言われたのに対し、この一研究者の力によつて、北緯五十三度まで果樹を栽培することができるようになつた。これを考えるときに、單に公共事業費の増額のみならず、科学の研究に対する経費をも、どうかともに増額せられ、人の力と科学の力によつて必ず祖国日本の復興を完全ならしめられるよう特にお願い申し上げまして、簡單ではありまするが賛成の意を表するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/36
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037・岩本信行
○副議長(岩本信行君) この際あらかじめ申し上げておきます。討論はなるべく簡潔に願います。前田榮之助君。
〔前田榮之助君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/37
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038・前田榮之助
○前田榮之助君 私は、ただいま議題となつております決議案に対して、日本社会党を代表いたしまして賛成の意を表するものでございます。
本決議案は、申すまでもなく歴年起りまするところの災害に対する対策と、これに伴う国土保全という点にあるのでございます。昔から、水を治むる者は国を治めるとか、あるいは一年の計は家を治めるにあり、十年の計は木を植えるにあり、という言葉でございまするが、最近における国土の荒れ果て方というものは実に寒心にたえないものがあることは、諸君も御承知の通りでございます。最近の災害を見ましても、二十一年、二十二年と歴年増加いたしておることは、日本の国土の荒れ果て方がいかに激甚であるかを物語つておるのでございます。すなわち、日本の災害は不可抗力的なものではございまするけれども、定期的に毎年来るということが予想されるのであります。
しかるにもかかわらず、昭和二十四年度の当初予算におきましては、これが組入れられておらないのに均衡予算とされているのでございます。私は、当時委員会におきましても、定期的に来るところの災害である限りは、これを当初予算に組まないということは無責任であることを強く強調いたしたのでございますが、残念ながら今日の実情から見ますると、昨年関東を襲うたアイオン台風から、昨日の新聞によりますると、アリーン台風がカロリン諸島の南から北西に推移しつつあるということでございますが、すでに日本近海を襲うところの台風は二十有余を数えており、また日本本土を襲うた台風は、すでに十を数えられておるのでございます。かような状態から考えますると、定期的に来るところの台風に対して災害が必ずある。ことに、今日国土の荒れ果て方から申し上げますると、かりに二百ミリの降雨量によつて災害があつたものが、今日の河川の荒れ果て方から考えますると、いわゆる河床の上つた点から、百ミリですでに水害をこうむつておる実例はいくらもあるのでございます。かような点から考えましても、われわれは、この災害対策というものを根本的に計画的に立てないということは、実に政府の重大なる責任であると深く考えるのでございます。
こういう意味から、災害対策委員会におきましても、この点を強く各委員から論議されて、ただいま上程になりましたところの五項目にわたる決議が行われることについて、日本社会党は心から賛成するものでございます。
この際政府は、昭和二十五年度の予算に六十億の災害費というものを計上するように報道されておりまするが、私は、この六十億の予算で——本年の災害あるいは昨年の災害の経験から見ましても、かようなことで、ほんとうの均衡予算ということはできないと深く考えておるので、少くとも百億以上の予算は毎年災害費として計上を必要とすると深く信じておるのでございます。かような意味から、この決議案の趣旨を政府は十分に付度して、この決議案に対して心からなるところの熱意をもつて実行されんことを希望して、本案に賛成するものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/38
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039・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 床次徳二君。
〔床次徳二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/39
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040・床次徳二
○床次徳二君 私は、民主党野党派を代表いたしまして、ただいま上程になりましたところの決議案に対しまして賛成の意を表するものでございます。
本年度の災害によりまして罹災いたしました地方民が、応急対策が確立いたしまするまで、いかように悩み苦しんだか、憂慮にかられたかということに関しましては、皆様もよく御存じのことと存ずるのであります。すなわち、本年におきましては災害対策並びに予防に関する十分なる財源を持たなかつた大きな欠点を持つておつたのでありまするが、それはあえて本年に限らず、従来絶えず繰返して参つたところの、大きなわが国の行政上の欠陥であつたと存じます。また、わが国の災害予防の事業を見ますのに、その仕事におきまして統一、一貫性を欠いておつた。また経費がありませんために、單なる応急仕事にとどまりまして、将来の予防的対策を欠いておつたということも、大きな欠陥であつたと存ずるのであります。今日ここにこの決議案が提案せられましたことは、過去の苦い経験の集積でありまして、これこそ将来の国土保全、資源愛護に関するところの根本原則の確立を見たことと私は確信する次第でございます。
今日、われわれ国民が、この戰時中の苦しみより、新しい平和日本といたしまして、ここに国土の愛護のために新しい努力をいたしますことは、私は必ずやりつぱな実を結ぶものと信ずるのでありまして、われわれ国民の心の中にありますところの自然を愛する心、祖国郷土を愛する心は、必ずや将来りつばな平和日本をつくるものと信ずるのであります。私どもは、この決議が單なるこの議場の決議にとどまることなく、この決議の趣旨が、ただちに国の根本対策でありますところの法律の形になつて、これが近く現われることを要望し、さらに明年度以後の仕事におきまして現実の政治となり、われわれの国民生活に現われて来ることを要望するものであります。私は、満場の諸君が、必ずやこの意味におきまして十分なる決意を有せられ、またこの成立に対しまして御協力くださることを確信してやまないものでございます。これをもちまして賛成の意を表します。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/40
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041・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 高田富之君。
〔高田富之君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/41
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042・高田富之
○高田富之君 私は、日本共産党を代表いたしまして本決議案に賛意を表するにあたりまして、特にこの機会に政府に対しまして強く要望いたしたい数点を申し上げたいと思うのであります。
第一点は、治山治水の総合国土計画の重大性つきまして、まだまだ政府の認識は非常に少いという点を強調いたしたい。現在のこの累年災害の拡大されて行きますところの状態は、ひとり農業関係におきまして約百万町歩の農地が危険に瀕しており、あるいは一千万石近い食糧が常に災害の危険に瀕しておるというような重大な事態にあるのみでなく、わが国の産業の根幹をなす電気産業あるいは港湾等が、非常にこのために大きな被害をこうむりまして、わが国の農業並びに産業が根本的な破壊を招いておる大きな要因をなしております。ことに食糧につきましては、外国からたくさんの食糧を入れなければならないような状態になつておるときにあたりまして、このようなことが年々拡大されて行くことは、ひいてはわが国の民族的な独立に関する重大事であることを強調したいのであります。(拍手)
このように莫大な被害を年々見ております原因は、先ほど来財政的な面からも種々御指摘がありました。民主自由党の諸君からさえ、この点については要望があつたのであります。特に水害につきましては、山林の荒廃でありますが、これは国有林、ことに御料林として前にありました部面につきましては、ほとんど人民の入ることを禁じ、これを官僚的に統制いたしまして、あるときはこれを濫伐し、あるいは全然手入れをしないままに放置いたします結果、ここに大きな水害の根本をつくり出しつつあるのであります。また私有地におきましても、地主がこれを私利私欲のために運用いたします結果、非常な濫伐が起り、また非常な放置が起りまして、ここに山が非常にひどく荒れて参つておるのであります。
最近の割当によりまして、木材の需給が逼迫しました関係上、どんどん伐採をさせました。ところが植林につきましては、ほとんど経費倒れでありますので、伐採と植林との比率は三対一、あるいはそれ以上の開きを示しております。この状態で行きますならば、山林がほとんどはげ山になつてしまうような事態も遠からず来るような状態でございます。
この木材に関しましては、今早急に大々的に植林をやれと言いましても、いろいろな関係から困難があるので、どうしても木材を輸入することを考えなければならぬ。木材を輸入することによりまして、この濫伐を防ぎ、山を休ませるということをやらなければなりません。それには、どうしてもソビエトからの輸入がなければならぬ。対ソ貿易の拡大、世界のあらゆる国との提携強化ということを望む。いわゆる全面講話の方法を拒否するような人々には、断じて治山治水を論ずる資格はないのであります。
次に強調いたしたい点は、第五国会以来、本国会に至ります間に、数回にわたりまして非常な台風がありました。これに対する応急措置といたしましても、政府がほとんどなすべきことをやらなかつたことは、さつき民自党の方も言われた通りであります。この非常な放置をいたしました結果、罹災地におきましては、罹災民がみずから立ち上つて自分たちの生活を防衛せざるを得なかつた。民主団体がこれに協力し、あらゆる労働団体がこれに対して涙ぐましい協力をいたしたのであります。もとよりわが党は、その先頭に立つてやつた次第であります。
ところが、この応急対策を怠りました政府が、これに対しましてやつたことは何であるかと申しますと、新聞紙上を通じて御承知の通り、政府は共産党の言うようなことはやつておる、共産党を弾圧するについては地方庁はもつと元気を出せという声明書を出した。すなわち、災害地に対してとりました政府の応急措置は、罹災民の救済にあらずして、ただ一つ共産党対策であつたのであります。ことに、今の災害救助法のごときは問題にならないのであります。東京のごときは、二日間に、乾パンをたつた三つくらい配給した程度である。これで共産党の言う通りに政府がやつておるとは、いささか受取れないのであります。
しかも政府におきましては、今回の災害は当然予測されるのでありまして前国会におきましても、農地改良あるいは災害復旧については、同趣旨の決議案が満場一致可決されておるのであります。それを政府はやらなかつたばかりでなく、逆に、このために最も必要である建設関係あるいは国鉄、逓信関係の従業員の大量馘首をいたしました。これが災害の予防に対して非常な障害となりまして、現地におきましては、災害の応急措置のためには、首を切られた労働者諸君が立ち上つて補修の作業に従来したという、涙ぐましい事実さえあるのであります。
しかも重大なことは、この建設関係におきまして何千人の大量馘首がありましたが、事実これを首切つてしまうことはできないのであります。実際、今の地方建設局の状態から言いましても、やれない。そのために、今はこれを入夫として採用しておる。入夫という名義で、ほとんど全員を採用しておるということは、いくら諸君が、来年度は一千億の公共事業費が出ると、ほらを吹きましても、その中には、首を切られた従業員の当然の給與が、工事費の中から人夫賃として出されておるということを、忘れてはならないのであります。
こういうふうな状態でありますので、今日地元におきましては、予算の獲得のために、あるいは政党に対し、あるいは官吏に対しまして、贈賄をやつたり、いろいろなことをやりまして、非常な腐敗をかもし出しておるのであります。この工事関係にからむ不正のごときは天下公知の事実でありまして、まさにこの建設関係は、これらの不正腐敗の温床であるといわなければなりません。
さて次に強調いたしたい点は、罹災民に対しましては、当面税金を減免するとか、供出の減免をするとかいうことは、当然これはやらなければなりません。なおこれは、翌年になりましても、ずつとあとまであとを引きますので、常態に復するまでは、やはり税金の減免あるいは供出の減免等につきまして、特別の措置を、政府が地方官庁に対しまして強力に指示する必要があると信ずるのであります。
最後にもう一点強調しておきたいことは、これからの対策は、單なる応急的な、あるいは部分的な工事でなく、総合的にこれを施行する。ことに河川を中心といたしまして、その地方の一帶の農業あるいは産業の総合的な開発計画の見地から、これを根本的にやることが、かえつて経済的にもむしろ有利であるのであります。そういうふうな大計画を立てるために必要な経費というものは、これは今日の財政を一目見ればわかるような、むだな、しかも日本の経済を破壊するに役立つような厖大な経費を削減すれば、優にこれは出て来る。こういうふうな財政の方針をとりまして総合的な大計画を樹立する。
これについては、共産党としましては、すでに各種の案を提示いたしまして、目下專門家各方面の御協議をいただいておるような状態でありますが、このような大計画を立て徹底的な改革をやり得るものでなければ、とうてい、ただいまの決議案を実行することはできないのであります。私は、現在の政府がこの決議案の趣旨について忠実にやられることは考えないけれども、この決議案の裏には、政府の今までの施策に対する不信任の強い意思が含まれておるものであることを理解し、これに対して徹底的に実行を推進せんとするものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/42
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043・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 小平忠君。
〔小平忠君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/43
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044・小平忠
○小平忠君 私は、ただいま議題となりました災害防止国土保全に関する決議案に対しまして、新政治協議会を代表いたしまして賛成の意見を申し述べたいと思います。
日本が置かれております気候風土、すなわち地理的條件によつて毎年受ける災害の、再建途上の日本の復興のために及ぼす影響というものは、まことに甚大であります。特に本年の夏以来、本州、四国、九州を襲いましたデラ、ヘスター、キティ等の台風によるところの被害、さらに北海道における開道以来の旱魃による被害というものは、全国で約一千億に達するような厖大な被害を受けております。本年度の予算に計上されました公共事業費五百億の二倍に達するような厖大な被害を受けておるのであります。
この災害の問題に関しましては、衆議院におきましても災害地対策特別委員会が前国会において設けられ、特に委員会においては、超党派的な立場に立つて真劍に本問題を論議し、本日この決議案を上程する段階に至りましたことは、まことに私は同慶にたえないと思うのであります。ただいままで、各党の諸君からいろいろ賛成討論がありましたので、私は簡單に結論を申し上げて賛意を表したいと思うのであります。
日本の地理的條件によつて受ける災害というものは、年々の台風以外に、先ほど民自党の飯塚議員からも主張されましたように、この細長き領土が有する気候の條件によつて、旱害あるいは冷害等の災害もある。ことに私は、その点について、今回民自党の青木、飯塚両議員とともに、北海道の旱害の実態を調査して参りました。その北海道の旱害の実態を簡單に申し上げて、日本の災害の現状とはどういうものであるかということも、私は参考までに申し上げてみたいと思う。
というのは、北海道の旱害は、確かに長期間降雨がなかつたことが大きな原因をなしておるのでありますが、根本問題は、誤れる戰争による水源林の濫伐、これによる。さらに北海道は、原始河川のままに放置されておる。もちろん本州、四国、九州においてもその例はあるのでありますが、特に北海道は代表的なものである。かかる観点から、北海道開道以来、本年のようなひでりは何回も続いたが、その被害はまつたく開道以来のものであつたという。すなわちその被害において、農産物の被害総数が二十五億を突破しておる。最もはなはだしい実例は——私は北海道の岩見沢市でありますが、岩見沢市におきましては、飲料水が一升二十五円で売買されたという実例があります。特にはなはだしい村においては、農作物がまつたく皆無に瀕して、約八百戸の農家が、村長以下どうでもしてくれといつてすでに投げ出してしまつておるという現状である。私は、この実例を申し上げておるのでありますが、特に三万三千戸の農家は、收穫皆無で、本年の冬越しができない。特に北海道は單作地帯でありまして、一年一ぺんの收穫であります。
このような現状に対し、私は特に民自党の両議員と現地調査して、ただちに応急的施策を講ぜねばならぬということに対しまして、災害地対策委員会におきましても、さらに国会あるいは政府の関係当局に強くこの実情を御報告申し上げ、ただちに応急処置を講じてもらいたいということを、調査委員の立場からも強く要請いたしておるわけであります。
これは私は一つの実例を申し上げたのでありますが、本年の台風による家屋の破壊や、河川、道路の破壊というものが、いかに大きな被害を及ぼしておるか。すなわち、公共事業費として災害復旧の予算を組んでも、その二倍、三倍の被害を受けておる。今日の段階では、災害復旧の予算を計上するだけではいけない。すなわち、この災害を未然に防止する予算が国の予算に計上されるようにならなければ、私はこの地理的條件に置かれておる日本の宿命的な災害を防止することは断じてできないと思います。(拍手)
従いまして、本日上程になりましたこの決議案に対しましては、單に決議に終つてはいけない。大民自党の力をもつて、この決議の趣旨をただちに実現に移すということになつてこそ——かつて政友会は、農村を地盤にし、あるいは力として発足しておつたが、今日においても、民自党が、すなわちこの絶対多数の力をもつてこれを実現に移すことに最善の努力を盡してもらつてこそ、りつばなる吉田内閣であると私は思うのであります。どうか、かかる観点に立ちまして、本年度の補正予算はもちろん、明年度の予算の編成についても、他の公共事業費に優先して災害復旧、さらに災害防止の予算を大幅に編成し、これを実行に移すという段階について、ひとつ與党の民自党の方に私は特にお願いし、本決議案に全面的に賛成するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/44
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045・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/45
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046・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
この際建設大臣より発言を求められております。これを許します。建設大臣益谷秀次君。
〔国務大臣益谷秀次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/46
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047・益谷秀次
○国務大臣(益谷秀次君) ただいま御決議になりました災害防止国土保全に関しまする対策の根本は、申すまでもなく治山治水にあると存じます。ゆえに、治山治水を根幹としまする根本的、恒久的の災害対策を樹立して実施いたすこと、そうして国土を保全いたしますると同時に、進んで国土の総合開発利用に対する対策を樹立実施いたすことは、きわめて緊要なことと存じておるのであります。政府におきましては、治山治水に関する根本的の対策を樹立して、すでに実施に入つております。(「やつていないよ」と呼ぶ者あり)実施に入つております。なお一部のものについては、目下対策樹立を急いでおる次第でございます。
明年度予算編成にあたりましては、現内閣は、御承知の通り災害復旧、国土開発及び治山治水に最も重点を置きまして、目下予算編成を急いでおる次第でございます。(拍手)なお明年度予算の編成にあたりまして、災害復旧費の全額国庫負担ということも目下考慮中でございますると同時に、明年度におきましては、予備金の制度を設けまして明年の災害に備えたいという考えでございます。
その他、ただいま御決議になりました決議案の御趣旨はきわめて適切妥当なものと存じまするので、政府におきましても極力実現に努力したいと存じております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/47
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048・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 本日はこれにて散会いたします。
午後事三時一五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100605254X01319491119/48
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