1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月十一日(金曜日)
午前十時三十六分開会
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本日の会議に付した事件
○派遣議員の報告
○漁業法案(内閣送付)
○漁業法施行法案(内閣送付)
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001・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。
この前委員会の決議で、議長の承認を受けまして、千葉県の被害状況視察に参られました西山委員と青山委員から、被害地の状況の御報告を願います。西山委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/1
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002・西山龜七
○西山龜七君 十月三十一日に、院議を以て派遣を命ぜられまして、十一月の四日、五日両日調査しました、千葉県下におけるパトリシア台風の被害状況を申上げます。台風の態勢を先に申上げます。
パトリシア台風は、昭和二十四年十月二十七日、午後三時頃から翌二十八日午前七時頃までの間において、房総沖百五十キロの海上を時速六十キロの速さで北々東に向つて進んだものであります。銚子測候所の観測では、二十八日午前六時三十分頃、風速四十三メートル八、平均風速三十二メートル八、最低気圧九百八十ミリバールで、二十八日正午現在の雨量は百九十七ミリ七でもあつた。
その次に、被害の大きかつた原因を申上げます。被害が比較的に大きかつた第一の原因は、台風警報が遅かつたこと、台風が測候所の観測発表より甚しく大きかつたことであります。測候所がいつも発表せられまする風速は、実際より大きく発表せられるのが通例であつたようであります。今回のパトリシア台風は、風速二十メートル、程度と発表されたため、これ以上になるとは思わなかつたために、漁船の避難対策も講じなかつたのが、実際は風速四十メートル以上で上あつたのであります。第二の原因は、銚子の漁港も、館山の漁港も防波堤が不完全であつたことであります。
その次に、被害の実情を申上げます。全県下の被害は目下調査中でありまして、銚子市と館山市における漁船の被害と、県下の漁港、船溜りの被害は、合計いたしまして一億八千七百九十八万円でありまして、その内訳を申しますと、銚子漁港の被害は三十九隻、九百五十七トン八四で、その損害は約四千八百万円であります。館山漁港の漁船及び県水産学校練習船等の被害は十一隻、五百二十三トンで、この損害は約二千六百万円であります。尚この外に米国の貨物船二隻、五千四百トンが坐礁しておるのであります。その次に、銚子港外五港の被害金額が四千五百九十八万円であります。次に、漁具、漁網の損失が、定置網、あぐり網等の合計損害が六千五百万円であります。その次に、共同施設及び荷揚場の損失が三百万円であります。
その次に、被害に対する復旧対策を申上げます。漁船の被害に対しましては、代船建造又は復旧修理費等として、金融の方法を講ずる必要があると思います。その次に、漁網、漁具の被害に対しましては、資材の特配並びに金融の方途を講ずる必要があるのであります。その次に、漁港、船溜り、共同施設等については、いずれも災害復旧費を速やかに支出して修築をなす必要があるのであります。
大体以上でありまして、明細のことにつきましては、書類を以ちまして委員長のお手許まで差上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/2
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003・青山正一
○青山正一君 只今西山さんからいろいろ千葉県の事情についてお話がありましたのですが、これは千葉県のみならず、神奈川県、愛媛県、福井、石川、京都、鳥取、兵庫、こういつた方面にも相当の被害があつたように思われるのでありまして、この漁船の修理或いは漁港の修築或いは紛失資材の復旧、金融の関係など、日本全国に亘つて相当の損害があつたように思われますからして、これはただ軍なる千葉県の報告のみではなしに、委員長の方から政府の方へ適当に御指示頂きたいと、こういうふうに考えております。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/3
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004・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 何か出張された委員に対する御質問がありましたら……、御質問がありませんければ、出張委員の報告はこれで終ります。
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005・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 次に、前々回の委員会でありましたか、法制局において作案されました修正事項について、詳細なる説明を受けました。各委員にその後研究を願うということになつておりましたが、本日更に具体的に箇條書で修正條項ができましたから、これについて更に法制部長の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/5
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006・中野哲夫
○法制局参事(中野哲夫君) 法制局の第三部長の中野でございます。委員長の御指示によりまし、只今から漁業法案中の修正案について御説明いたします。この修正案は本日までの委員会の御審議にかかる点と、第五国会において、関係筋から法制局長を通じて検討を促された点と、法制局におきまして法制技術的に気の付きました点等を総合いたしまして、委員会の御指示になつて作つたものでございます。
お手許に漁業法案中修正案という書類と、漁業法案及び漁業法施行法案修正要綱という書類と、政府提案の漁業法案にインクで訂正書きを加えましたものと三つ差上げてございます。御説明申上げますのは、この要綱を中心として申上げますが、その要綱によりまして、政府提案のものがインクの傍書きのように変つて行く。併し現実の修正法案としては、この修正案と、いうふうな形になりますので、この三つを関連せしめつつ御説明を申上げます。
第一点は、「定置漁業の範囲を水深二十七メートル以上とし、水深二十七メートルに満たないものは、第二種共同漁業に包含すること。」、これは、この印刷物の第六條をちよつと御覧願いたいと思います。第六條第三項には「定置漁業」として、「身網の設置される場所の最深部が最高潮時において水深十五メートル以上」という点を、「二十七メートル以上」と訂正いたしております。
第二の点は、「河川における共同漁業権を加え、これに伴い第一種共同漁業のうちに淡水そう類を目的とする漁業を包含させること。」、これは只今の第六條の第五項第一号に関連いたしまして、河川共同漁業権というのを、原案になかつたのを新たに修正案で認めますので、海草類をそう類と直しました外、第五号においては「湖沼」とあつて、海水面は河川に入りませんので、広く「内水面」と修正をいたしております。それに関連する條文が以下第十四條までございますので、それぞれ同じように規定いたしております。
それから第三は「真珠養殖業についてひび建養殖業と同様漁業協同組合又はその連合会に漁場に管理権を認め」ることにいたしたのでございます。政府原案といたしましては、それがなかつたのであります。「且つ、これに伴い真珠養殖業を入漁権の目的に加え、又漁業協同組合又その連合会の有する真珠養殖業についてその組合員が各自漁業を営む権利を認めること。」としたのであります。これに従いまして、真珠養殖業免許の優先順位に関する政府原案の第十九條を削除いたしております。この点に関連する條交は、第七條以下、そこに掲げてあるのでございまして、第七條第一項には、真珠養殖業をひび建養殖業と同様に加えております。それから次に第八條の第一項にも、真珠養殖業を加えており、次に第十四條を御覧願いたいと思います。第十四條の第二項にも、ひび健養殖業と相並べまして真珠養殖業を加えて、協同組合に対する共同管理権を認めることにいたしております。次は、第十八條、ここにも真珠養殖業を加えまして、漁業協同組合が管理する場合を第一順位とするという修正を加えております。
次は、第十九條、第十九條は先程御説明しました通り、真珠養殖業の優先順位をひび建養殖業と同様にします関係上、ここで優先順位をこまごま書いてあります点を一切削除いたしておるのであります。それから第二十三條、第二十三條には民法の規定中、先取得権或いは抵当権の規定を漁業協同組合が持つております場合には適用しないと、こういう規定がありますので、かき養殖業と同様、真珠養殖業をこれに加えて同様の特例を開くことにいたしております。次は、第二十五條であります。区画漁業権の譲渡によつて、先取得権又は抵当権が消滅する場合の規定でありまするが、真珠養殖業を第二十五條に加えまして、これらの権利を協同組合に譲渡する場合には、先取得権者又は抵当権者の同意を得なければならないという扱いにいたしたのであります。
第四の点は「漁業の免許の内容たるべき事項の決定に当つては、海区漁業調整委員会があらかじめ公聴会を開き、利害関係人の意見をきくものとすること。」、第十一條、八頁にございます。この中に第三項を加えるのでありまするが、これは長文になりまするから、この修正案という中の(5)という点を御覧願いたいと思います。第三項を加えますために、第十一條第三項中、前二項を第一項又は第二項に改め、同項を第四項に繰下げて、第二項との間に第三項として次の一項を加えると、こうなるのであります。それは「海区漁業調整委員会は、前二項の意見を述べようとするときは、あらかじめ、期日及び場所を公示して公聴会を開き、利害関係人の意見をきかなければならない。」海区の関係調整委員会の漁業関係地区を予め定めることなどについて、調整委員会が意見を徴するときには、公聴会を開けということで、利害関係人の利益を保護いたしておるわけであります。
第五点は、「漁業の免許を受けようとする漁場の敷地の所有者又は水面の占有者の同意に代るべき裁判所の許可の裁判及びこれに対する上訴に関しては、その手続に限り、最高裁判所規則に委任するものと、委任立法の範囲を必要な限度にとどめること。」、これは第十三條に書いてございます。この第十三條の第二項及び第三項でありますが、これは関係方面から注意がありました点で、「定めるところ」というのは、実体の権利関係ではなしに手続である。こういうことでありますので、インクで書きましたように、「手続により」と修正を加えております。
第六点は「第十三條第一項各号の事由により免許をしないときは、海区漁業調整委員会は、あらかじめ公開の聴聞を行い、申請者又はその代理人が弁明し、且つ、有利な証拠を提出する機会を與えること。」、第十三條の第五項でございまして、これは修正案の別紙(6)を御覧願いたいと思います。二頁の冒頭第五項として書いてありますが、第十三條の第五項として、「海区漁業調整委員会は、都道府県知事に対し、第一項の規定により漁業の免許をすべきでない旨の意見を述べようとするときは、あらかじめ、当該申請者に同項各号の一に該当する理由を文書を以て通知し、当該申請者又はその代理人が公開の聴聞において弁明し、且つ、有利な証拠を提出する機会を與えなければならない。」、第十三條第一項第一号乃至第五号に免許をしてはならない場合がありますが、それに対する弁明の機会を與えようとする修正であります。
第七は、「第十四條第一項各号の免許の適格性を適正にすること。」これは修正案の(7)に出ておりますので、政府原案の第十四條の第一項に御覧のような規定がございますが、これがいろいろ認定の不適正、不明確という点がありますので、修正案(7)のように改めるわけであります。即ち「第十四條第一項」各号を次のように改める。
一 海区漁業調整委員会における投票の結果、総委員の三分の二以上によつて漁業若しくは労働に関する法令を遵守する精神を著しく欠き、又は漁村の民主化を阻害すると認められた者であること。
二 海区調整委員会における投票の結果、総委員の三分の二以上によつて、どんな名目によるのであつても、前号の規定により適格性を有しない者によつて、実質上その申請に係る漁業の経営が支配される慮れがあると認められた者であること。」
次は第八でありますが、「区画漁業及び共同漁業の免許についての漁業協同組合又はその連合会の適格性の要件並びに定置漁業の免許の優先順位についての漁業協同組合の要件に、その組合員が当該漁業を営むことの外地元地区内又は関係地区内に住所を有することを加えること。」、これは第十四條の第二項、第六項等に出て参るのでありますが、第二項の第一号を御覧になりますと、当該漁業を営む者の数と、地区内に住所を有して当該漁業を営む者との比率を、三分の二以上と限つて原案は規定しておりますが、やはりこの三分の二を計算いたしますためには、地元地区内に住所を有する当該漁業を営む者が、当該漁業を営む所帯総数の三分の二以上というふうに修正を加えまして、それに適格性を持たせると、こういう方法が妥当であろうと考えまして修正を加えております。それと同様の関係で、同條第六項、次の頁第六項にも「関係地区内に住所を有し」と、第一号、第二号に、それぞれの関係地区内に住所を有するという條件を附加えております。それからそれに関連しまして、十八頁の第十六條第九項に、「地元地区内に住所を有する漁民の属する世帯の数」と修正を加えております。
次に、第九の修正点は、「北海道においても定置漁業の免許についての漁業生産組合の優先順位を認めること。」、これは関係方面の示唆もあつた点でありまするが、第十六條第八項を削除いたしておるのであります。即ち原案においては、「第六項の規定は、北海道においては適用しない。」ということになつておりまするが、その規定を削除いたしまして、やはり漁業生産組合の優先順位を認めることといたしております。
第十点は、「定置漁業の免許について村張組合の優先順位を認めないこと。」、これは只今の第十六條の第十項に規定いたしてありまするが、最優先順位を認めておりまする、いわゆる村張組合というものを削除するのが適当だろうと、こういう御意見によつて、これを削除いたしております。
第十一の点は、「定置漁業権並びに漁業協同組合及びその連合会以外の者の有する区画漁業権は、抵当権の外先取特権の目的とすること。」これは第二十三條以下に規定いたしております。即ち第二十三條の第二項には、先取特権の民法の章を適用しない、こういう原案になつておりますのを削除いたしまして、やはり先取特権を抵当権と同様認めようとするものであります。これは、抵当権と同様、やはり法律で定められておる先取特権を認めまして、債権者を保護した方が適当だろう。こういう趣旨であります。第二十三條の外、第二十四條の第一項の後段に「定置漁業権又は区画漁業権が先取特権の目的である場合も亦同じである。」と加え、こういうことで、漁業権に附加してこれと一体となすものとみなす範囲を、先取特権についても適用しようと、こういう趣旨であります。それから第二十五條にもこれに関連しまして、ひび建養殖業等の区画漁業権が、先取特権又は抵当権の目的である場合においては同意を得なければならないという、抵当権と同様の扱いをいたしておるわけであります。それから第二十六條、第二十七條、第四十一條、これはちよつと私のが直つておりませんが、第四十一條の第一項に、「先取特権又は抵当権者」と加えておりますでしようか。第四十一條の第一項でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/6
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007・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 直つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/7
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008・中野哲夫
○法制局参事(中野哲夫君) ではお直し願います。第四十一條第一項でございます。三十八頁、第四十一條第一項の「登録した抵当権者」とございますが、その「登録をした」というところに棒を引いて頂きまして、そこを削りまして、その代りに「先取特権者又は抵当権者に」そういうふうに直して頂きます。全部そこを読みますと、「漁業権を取り消したときは、都道府県知事は、直ちに、先取特権者又は抵当権者にその旨を通知しなければならない。」、こういうふうに修正されるわけです。
次が四十四頁、第五十條、ここにも「漁業権及びこれを目的とする先取特権及び抵当権並びに」とあつて、これは漁業原簿にやはり抵当権と同様、登録して便宜の方法を図る、こういう趣旨であります。
次は、第十二であります。「定置漁業権を目的とする抵当権の設定について認可の基準を定めること。」、第二十四條、三十頁であります。ここに第三項を新たに加えます。これは修正案の(16)という点をちよつと御覧願いたいと思います。五頁であります。「3 都道府県知事は、定置漁業権を目的とする抵当権の設定が、当該漁業の経営に必要な資金の融通のため已むを得ないと認められる場合でなければ、前項の認可をしてはならない。」
修正の第十三は、「漁業権者が当該漁業に関し行政庁の許可等に基いて有する権利義務は、漁業権の処分に従つて漁業権者の承継人が承継するものとすること。」第二十九條、ここに傍書しましたように、「権利義務」という下に括弧を加えまして、「(当該漁業権者が当該漁業に関し行政庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)」、こういう規定をしまして、例えば河川法等に基いて、漁業用工作物の設置許可などを受けました場合に、それが当然承継されて行く、改めてその手続を要しないということで、漁業者の便宜を図つて、おるのであります。
修正の第十四は、「免許後漁業権に制限又は條件を付ける場合並びに休業、適格性の喪失等による漁業権の取消、漁業調整、公益上の理由による漁業権の取消、変更及び行使の停止をする場合には、あらかじめ海区漁業調整委員会が公開の聴聞を行い、当該漁業権者又はその代理人が弁明し、且つ、有利な証拠を提出する機会を與えること。」、第三十四條、これは別紙修正案の(23)、四項として新たに(23)を加えるのであります。六頁の一番初めのところであります。「4 海区漁業調整委員会は、前項の申請をしようとするときは、あらかじめ、当該漁業権者に制限又は條件を付ける理由を文書をもつて通知し、当該漁業権者又はその代理人が公開の聴聞において弁明し、且つ、有利な証拠を提出する機会を與えなければならない。」それに関連しまして、第三十七條の第四項として同様の趣旨に基いて、「前項の場合には、第三十三條第四項(聽聞)の規定を準用する。」それから第三十八條の第五項といたしまして、別紙修正案の(27)、「5 第二項及び第三項の場合には、第三十三條第四項(聽聞)の規定を準用する。」こういうことで適格性の喪失による取消の場合も同様の手続を取ることにしてあるのであります。
それから第三十九條の第四項といたしまして、同様「前項の場合には、第三十三條第四項(聽聞)の規定を準用する。」、こういう関連した修正でございます。
それから修正の第十五は、「漁業権者以外の者が当該漁業権の内容たる漁業の経営を実質上支配していると認められる場合の漁業の免許の取消の運用については、漁業協同組合が他の者から全出資額の過半の出資を受けている事実のみをもつて、その免許の取消をすることのないようにすること。」と修正をいたしおります。第三十八條の第四項でございまして、これは別紙の(27)であります。「前項の規定の適用については、漁業権者たる漁業協同組合又は漁業協同組合連合会が他の者の出資を受けて当該漁業権の内容たる漁業を営む場合において、当該出資額が出費総額の過半を占めていることをもつてその他の者が実質上当該漁業の経営を支配していると解釈してはならない。」、御趣旨については御存じかと存じます。
第十六は、「漁業権者の責に死すべき事由による場合を除き、漁業権の変更、取消又は行使の停止によつて生じた損失は、政府が補償するものとし、又補償金額について増額請求の訴を認めること。又、担保権者保護の規定を設けること。なお、受益者があるときは、政府は、補償金額の全部又は一部をその者に負担させることができるものとすること。休業中の漁業許可の取消の場合についても以上と同様とすること。」、第三十九條に関連いたしまして新たに條文を起すのであります。修正案の(29)、七頁の中程に、(損失補償)という前書を置きまして、第三十九條、政府は、前條第一項の規定による漁業権の変更若しくは取消又はその行使の停止によつて生じた損失を当該漁業権者に対し補償しなければならない。
2 前項の規定により補償すべき損失は、同項の処分によつて通常生ずべき損失とする。
3 第一項の補償金額は、都道府県知事が海区漁業調整委員会の意見をきき、且つ、主務大臣の認可を受けて決定する。
4 前項の補償金額に不服がある者は、その決定の通知を受けた日から九十日以内に、訴をもつてその増額を請求することができる。
5 前項の訴においては、国を被告とする。
6 前條第一項の規定により取り消された漁業権の上に先取特権又は抵当権があるときは、当該先取特権者又は抵当権者から供託をしなくてもよい旨の申出がある場合を除き、政府は、その補償金を供託しなければならない。
7 前項の先取特権者又は抵当権者は、同項の規定により供託した補償金に対してその権利を行うことができる。
8 前條第一項の規定による漁業権の変更若しくは取消又はその行使の停止によつて利益を受ける者があるときは、都道府県知事は、その者に対し、第一項の補償金額の全部又は一部を負担させることができる。
9 前項の場合には、第四項、第五項、第三十三條第二項、第四項(漁業権の制限又は條件)及び第七十七條から第八十一條まで(免許料又は許可料の徴収)の規定を準用する。この場合において、第四項中「増額」とあるのは、「減額」と読み替えるものとするる。」
これは例文でありまして、補償によつて、損害を受けた者の利益を保護をする、或いは担保権者を保護するというために、例文に従つて以上のような條文を置いたのであります。
次に第十七、「指定遠洋漁業の許可又は起業の認可をしない場合には、漁業の免許の場合と同様あらかめ聽聞を行うものとすること。」第五十六條、これに第二項といたしまして、修正案の別紙(34)を加えます。(34)を読みますと、「第五十六條に次の一項を加える。
2 主務大臣は、前項の規定により許可又は認可をしないときは、あらかじめ、当該申請者にその理由を文書をもつて通知し、当該申請者又はその代理人が公開の聽聞において弁明し、且つ、有利な証拠を提出する機会を與えなければならない。」、先程の遠洋漁業の免許
の場合と同様の規定であります。
十八、「指定遠洋漁業についての適格性の内容を漁業の免許の場合と同様適正にすること。」、第五十七條。ここに第一号、「漁業に関する法令を遵守する精神を著しく欠く者」、同様第二号、「労働に関する法令を遵守する精神を著しく欠く者」ということで、違反者に関する規定を設けたのであります。
次は、第十九でありますが、「主務大臣が指定遠洋漁業の船舶の條件を定めるには中央漁業調整審議会の意見をきくものとすること。」第五十七條の第二項に、「主務大臣は、前項第三号」、つまり「許可を受けようとする船舶が主務大臣の定める條件をみたさないこと。」、これを定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見を聞かなければならない。
次に第二十であります。「大型捕鯨業の新規許可についても他の指定遠洋漁業と同様の取扱とすること。」、これは第五十入條の第六項を削除したのであります。即ち「前五項の規定は、大型捕鯨漁業には、適用しない。」と書いてありまするが、これをやはり適用することにいたしまして、同等の條件がある場合にはくじ引等によるいうことにいたしたのであります。
第二十一、「指定遠洋漁業の許可又は起業の認可の取消等の場合も、漁業権の取消等の場合と同様あらかじめ聽聞を行うものとするとこ。」、第六十三條、これは準用規定を修正いたしました。別紙(37)に書きましたように「第六十三條を次のように改める。」、こういうことにしてあります。準用規定の内容及びその読替え規定を書いてあるのでありますが、これを朗読を省略いたします。
次は、第二十二、「船舶の定数の減少のため指定遠洋漁業の許可又は起業の認可を取り消す場合には、あらかじめ聽聞を行うとともに損失補償をするものとすること。漁業調整、公益目的のためにする取消の場合も同様とすること。」、第六十四條でありまして、これに末項として別紙(38)を加えてあります。これも前の取消等の場合の損失規定を準用いたしておるものであります。それから所要の読み替え規定を書いてあります。
次は、第二十三、「主務大臣が漁業取締規則を制定するには、あらかじめ中央漁業調整審議会の意見をきくものとすること。」、第六十五條に第五項をはさみまして、「主務大臣は、第一項の省令を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。」、第一項では非常に包括的に主務大臣が定められるようにしておりますので、これを審議会に諮るということが適切であろうという趣旨であります。
第二十四は、「第七十一條第二項の規定による工作物の除害工事の命令のあつた場合における担保権者を保護するため、補償金の供託制度をとること。」、第七十一條に第六項として刷紙(40)を加えております。即ち「第二項の規定による工作物の除害工事の命令があつた場合において、当該工作物の上に先取特権、質権又は抵当権があるときは、第三十九條第六項及び第七項(補償金の供託)の規定を準用する。」と、先程申上げたような修正條文を準用いたしまして、担保権者の保護を図つておるわけであります。
第二十五は、「免許料及び許可料の額の決定の基準を法定し、且つ、その特権料たる本質を徹底させるため、免許料及び許可料の年総額は、旧漁業権の補償金額の算定の基礎とした基準年度の賃貸料の合計額を限度とすること。従つて行政費、補償費用等は、免許料及び許可料の額の決定の基礎としないこと。」、これは委員会の御審議によつたものでありまして、第七十五條でありますが、第二項以下を消除いたしまして、新たに別紙(41)を加えております。重要な点でありまするから、朗読いたしますと、
2 前項の免許料及び許可料の額は、漁業の種類又は規模、漁場の優劣等を勘案し、当該漁業の収益力に応じ、その合計額が、漁業法施行法(昭和二十四年法律第号)第一條の規定により消滅する沿岸漁業の漁業権についての左の各号に掲げる額の合計額をこえない範囲内において、毎年、定めなければならない。
一 漁業法施行法第十條第三項に定める基準年度の全漁期間貸し付けられていた漁業権については、基準年度の賃貸料(使用貸の場合にあつては同項第一号の規定により漁業権補償委員会が定める額)に相当する額
二 前号に掲げる以外の専用漁業権については、漁業法施行法第十條第三項第三号に定める当該権利による漁獲金額の百分の六に相当する額
三 前二号に掲げる以外の漁業権については、漁業法施行法第十條第三項第二号の規定により漁業権補償委員会が定める推定賃貸料に相当する額
3 前項の場合には、漁業法施行法第十條第三項第六号(特別の場合における補償金額)及び第四項(賃貸料及び漁獲金額の算出基礎)の規定を準用する。
以上のような修正を加えんとするものであります。これは漁業権の免許料或いは許可料の額の算定基準を、今の修正案のように直したのでありますが、同様のことは第百二十八條内水面の漁業の許可の場合も同様であります。第百二十八條を全文削除いたしまして、別紙(60)をお聞き願います。
(60) 第百二十八條を次のように改め
る。
(免許料取び許可料)
第百二十八條 内水面における漁業の免許又は許可を受けた者は、毎年、政府に免許料又は許可料を納めなければならない。
2 前項の免許料及び許可料に関しては、第七十五條第二項及び第三項(免許料及び許可料の額)及び第七十六條から第八十一條まで(免許料及び許可料の徴収)の規定を準用する。この場合において、第七十五條第二項中「沿岸漁業」とあるのは「内水面漁業」と読み替えるものとする。
同様の趣旨で内水面における漁業の免許、許可について規定いたしております。
次は、第二十六でありますが、「漁業者の責に帰すべき事由による場合を除き、漁業権行使又は許可を受けた漁業の停止の場合には、負担能力の減退の場合と同様免許料及び許可料の減免を行うこと。」、第七十六條であります。第七十六條の第二項を修正するのでありますが、「漁業者は、その営む漁業につき不漁、天災その他やむを得ない事由によりその負担能力が減退したとき、又は漁業者の責に帰すべき事由による場合を除き漁業権の行使若しくは許可を受けた漁業を停止されたときは、」と加えまして、「海区漁業調整委員会に対して、その納付すべき免許料又は許可料の徴収の緩和を云々」という修正を加えるのであります。
第二十七は、「免許料及び許可料の督促手数料及び延滞金は、国税の場合と同様、手数料二十円、延滞金は、百円につき一日二十銭とすること。なお、強制徴収の場合の先取特権の順位に関する規定の不備を補うこと。」、第七十九條(43)、第八十條(44)、今の説明の順序といたしまして、第八十條を全文修正いたしまして、修正案の(44)というふうにいたしております。十一頁でございます。
(44)は第八十條を次のように改めています。「免許料及び許可料に関しては、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)第四條ノ七(書類の送達)、第四條ノ八(公示送達)及び第九條第二項から第六項まで(督促手数料及び延滞金)の規定を準用する。」、こういうふうな修正をいたしまして、その前の條文第七十九條、この中に「国税」の下に、「並びにその督促手数料、延滞金及び滞納処分費に次ぐものとする。」といたしまして、原案の技術的な面の不備を補なつているわけであります。
次は二十八、「当選人がないとき、又は当選人がその選挙における委員の定数に達しない場合は、すべて再選挙を行うべきであるから、その趣旨を明らかすること。」、第九十二條(46)、第九十三條(47)であります。その第一項第一号を削除いたしております。そして以下号を一つずつ繰上げまして、一番あとに第四項を加えまして、「当選人がないとき、又は当選人がその選挙における委員の定数に達しないときもまた前二項に同じである。」、再選挙を行うということに決めたのであります。
第二十九は、「委員は、選挙又は当選の効力に関する異議の申立又は訴があつても、その異議の決定又は判決が確定するまでは、その職を失わないものとするため、地方自治法第百二十八條の規定を準用し、これに相当する第九十七條第五項前段を削り、同項を整理すること。」にしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/8
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009・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) 法案の七十九頁のうしろから四行目です。矢じるしで、「及び第百二十八條(失職の時期)」という規定を準用いたしておるのであります。そうして原案の第九十七條の第五項、八十二頁、そこで「第九十四條において準用する地方自治法第六十六條第一項、第四項若しくは同法第六十八條第二項」とありますところを創ります。第二項まで削つて、「本條第一項若しくは第三項」というのは、「第一項又は前項」として、文字の修正を施して残しております。八十二頁の一番前の行に、「第一項又は前項」という文字が加わつております。一行半に亘つて棒が引つ張つてございます。「第一項又は前項」ということになつております。ですから「第九十四條において」から「同法第六十八條第二項」とあるところまでが結局なくなつて、先程の第九十四條の規定で、地方自治法の第百二十八條を準用して、これがなくなる。こういう形になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/9
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010・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 第五項は……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/10
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011・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) 第五項は、「委員は、第一項又は前項の規定による決定又は判決が確定するまでは、その職を失わない。」発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/11
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012・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 分りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/12
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013・中野哲夫
○法制局参事(中野哲夫君) 次は第三十であります。「委員の無資格の決定に対する不服の訴について、出訴期間を三十日とすること。」第九十七條(49)、只今の條文に関連しまして、第九十七條の第四項に「第一項の規定による決定に不服がある者は、前項の交付を受けた日から三十日以内に、」という修正を加えるのであります。
三十一は、「知事選任の委員についても解職」、いわゆるリコール、「の請求をなし得るものとすること。」、第九十九條第一項から「第八十五條第三項第一号の」までを削除いたしますると、こういう官選の知事選任の委員も同様リコールができると、こういうことになるわけであります。
三十二は、「漁業調整委員会又は中央漁業調整審議会は、船舶についても調査を行い得るものとすること。又、土地の測量、検査又は障害物の移転、除去によつて生じた損失の補償については、漁業権の取消の場合と同様とすること。」、こういうことであります。それは第百十六條であります。九十四頁。第一項の「漁場」の下に「船舶」を加えております。それで準用規定として、それに第三項を加えます。これは修正案の(53)を御覧願いたいのであります。(53)は、「3 前項の場合には、第三十九條(損失補償)の規定を準用する。この場合において、同條第三項中「都道府県知事が海区漁業調整委員会」とあるのは云々」というような、読替え規定を置きまして、権利保護が出ておるのであります。
次は第三十三の修正点、「漁業調整委員会の費用は、国の全額負担とすること、第百十八條第一項から又瀬戸内海連合海区漁業調整委員会を除く。以下本條中同じ。)」とい点を除き、同様「漁業調整委員会に関する費用」の下に書いてある「については、第七十五條第二項の規定による免許料及び許可料の額の決定の際基礎とした云々」というような点を除きまして、これを要するに「国は、漁業調整委員会に関する費用の全額を負担する。」という一項にいたしまして、他は全部削除いたしております。
第三十四、「土地の使用及び立入、障害物の除去等の場合における補償すべき損失の範囲、担保権者の保護については、漁業権の取消の場合と同様とすること。」、第百二十三條に二項を加えまして、「前項の場合には、第三十九條第二項、第六項及び第七項(損失補償)の規定を準用する。」。
次に第三十五は、「裁定に定められた海草乾場、船揚場、漁舎等の使用権の設定若しくは買取の対価又は定着物の移転料の額に不服がある者に対し出訴の途をひらくこと。これらの賃貸料の裁定についても同様とすること。」第百二十五條の末項ですね。末項に別紙修正案の(57)を加えております。ことに第十四項といたしまして「第一項若しくは第四項又は第五項の裁定において定める使用権の設定若しくは買取の対価又は移転料の額に不服がある者は、第十一項の公示の日から九十日以内に訴をもつてその増減を請求することができる。」、第十五項「前項の訴においては、申請者又は当該土地若しくは当該定着物の所有者その他これに関して権利を有する者を被告とする。」、同様の関係からいたしまして、今の第百二十六條の末頃、つまり第四項でありますが、「前項の裁定があつた場合には、前條第十一項、第十二項、第十四項及び第十五項の規定を準用する。」
第十四條と書いてあるのはございませんですか。それは第十四上項の誤まりであります。今加えました「第十四項第十五項の規定を準用する。」。
第三十六は、「内水面における第五種共同漁業の免許を受けた者は、水産動植物を増殖する義務を負うものとし、その義務を怠たるときは、都道府県知事が増殖計画による増殖命令を発し、これに従わないときは、漁業権を取り消すことができるものとすること。」、これは第百二十七條といたしまして原案を全部削除しまして、別紙(59)のように新たに規定を置いたのであります。即ち「(内水面における第五種共同漁業権)」これは先程申上げた新たに修正で加わつた共同漁業権でありますが、「第百二十七條、内水面(第八十四條第一項の規定により主務大臣が指定する湖沼を除く。以下同じ。)における第五種共同漁業の免許を受けた者は、水産動植物の増殖をしなければならない。
2 都道府県知事は、前項の者が水産動殖物の増殖を怠つていると認めるときは、内水面漁場管理委員会の意見をきいて増殖計画を定め、その者に対し当該計画に従つて水産動植物を増殖すべきことを命ずることができる。
3 前項の規定による命令を受けた者がその命令に従わないときは、都道府県知事は、当該漁業権を取り消すことができる。
4 前項の場合には、第三十八條第三項及び第四項(公益上の必要による漁業権の変更、取消又は行使の停止)の規定を準用する。」。
次は第三十七の問題でありますが、「内水面の料金をやめ、沿岸漁業と同じく免許料及び許可料を徴収するものとすること。」、第百二十八條でありまして、これは先程御説明を申上げましたので、ここには省略いたします。
それから第三十八は、「漁業手数料の最高限度を千円とすること。」第百三十三條であります。これに第二項を加えて、「前項の手数料の額は、二千円を」……「二千円」とありましたら、それを「千円」と御訂正願います。「前項の手数料の額は、千円をこえない範囲内において、命令で定める。」
それから第三十九は、「当該官吏吏員は、船舶にも臨検検査をすることができるものとすること。又、土地の測量、検査又は障害物の移転、除去によつて生じた損失の補償については、漁業調整委員会の場合と同様とすること。」、第百三十四條であります。この第一項の「漁場」の下に「船舶」を加えております。それから第二項の但し書を削除いたしまして、第四項に「第二項の場合には、第百十六條第二項」……、ちよつと「第二項」とございましたら、それは「第三項」の誤まりですから、御訂正を願います。「第三項(損失補償)の規定を準用する。」、
ちよつと一つ飛ばしまして、その方が御理解がよいかと思います。
第四十一、「旧法に基ずく許可の有効期間を短縮する場合の基準を法定すること。」、これは施行法の第六條第二項でありますが、第六條第二項中「別に命令で特別の定をする」を「漁業調整のため必要な限度において命令でその期間を短縮する」というのでありまして、原案によりますと、原案は第二項、「前項の規定により新法に基いてしたものとみなされた処分の有効期間については、別に命令で特別の定をすることができる。」こういう考えでありまして、甚だ長くするのか短かくするのか不明確でありますので、技術的ですが、漁業調整のため必要な限度において命令でその期間を短縮するという修正を加えた方が妥当ではないかと思います。
それから第四十でありますが、いろいろ細かな不備を直しておるので、例えば第六條第五項第五号を「内水面」と直した関係上、「水面」を「海面」と直した点、その他……もうよろしゆございますか、御覧になれば分ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/13
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014・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 何か質疑があつたら……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/14
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015・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) ちよつと只今の点で脱漏がございましたので、それを補足いたします。修正案の(53)、十三頁でございますが、このところに「前項の場合には、第三十九條(損失補償)の規定を準用する。」とございまするが、これは間違いでございまして、「第三十九條第一項から第七項まで(損失補償)の規定を準用する。」こういうふうにして頂きます。第三十九條の第八項、第九項は、いわゆる受益者に損失補償金の全部又は一部を負担させるという規定でございますので、この場合これは準用してはならないわけでございます。
それからもう一点、先程漁業手数料の最高限度を千円とするというように申上げましたが、これは私の方で調べましたところでは、現行法の最高限度は千円になつておるのでございます。ところが水産庁では二千円取つているということを申しておりますので、もう少し調べまして、若し現実に二千円取つているような場合には、二千円まで引上げることに修正いたす。そのように御了解頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/15
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016・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 只今中野部長が説明いたしましたことは、この前の委員会で詳しく説明を聞いて、第二回目でありますが、大体従来の委員会において、皆さんの意見を法文化し、或いは法文の條文化した問題でありますので、この際御異議がなければ、決定は公聽会の後にやりますけれども、仮に一つお決め願いたいのですが、如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/16
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017・江熊哲翁
○江熊哲翁君 この修正案の(41)の第七十五條のところをもう少し詳しく御説明して頂きたいと思います。ここに書いてあることを離れて、これにいろいろ並べてありますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/17
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018・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) 第七十五條の第二項の規定の趣旨は、免許料及び許可料の額を決めます場合の基準を法定する趣旨でございまして、そうして原案には免許料及び許可料の額の総額が、主として補償金額、これに行政費が若干入つておりますが、それの補償料及び行政費の総額の範囲内において、免許料及び許可料の額を定める。こういうふうになつておりまして、要するに合計額の枠が定められているに止まつておつたのでございます。これでは免許料及び許可料の基準を法律で定めたということには十分なりませんので、そこで免許料及び許可料の額を、個々の漁業権者に対しまして決定いたします際の個別的な基準といたしまして、漁業の種類又は規模、漁場の優劣等を勘案し、当該漁業の収益力に応じて免許料及び許可料の額を決定するということが、第一の具体的な個別的な基準であります。更にこれにその合計額が、漁業法施行法第一條の規定により消滅する沿岸漁業の漁業権についての、左の各号に掲げる額の合計額を超えない範囲とするという、この枠についての制限を加えているのでございます。この趣旨は、修正要綱の中にもございますように、免許料及び許可料というものが本来特権料の性質を持つものであります。従つて免許料及び許可料の額というものは、当該漁業権の、いわば差額地代に相当する経済的な価値に該当する額とすべきであるという考え方からいたしまして、免許料及び許可料の合計額は、従前のいわゆる旧法によつて免許せられた漁業権の基準年度におきまする、いわゆる基準年度と申しますのは、漁業法施行法の第十條第三項第一号に規定いたしております、昭和二十二年七月一日から二十三年六月三十日までの1ヶ年を基準年度といたしておりますが、この間における。当該旧漁業権のいわば賃貸料、これはこの賃貸料がいわゆる漁業権の差額地代を現わすものでありまして、この賃貸料の合計額を以て新らしい漁業権について徴収すべき免許料及び許可料の合計額にする、こういうふうにいたしておるものでございます。ここで第一号から第三号まで分けて書いてございますが趣旨は、要するに旧漁業法によりますところの漁業権の差額地代に相当する経済的な価値というものを現わしておるのでございまして、第一号は、基準年度の全漁期間貸付けられていた漁業権につきましては、その基準年度の賃貸料、若し使用貸しておりました場合には、これは漁業法施行法の第十條第三項第一号の場合と同様に漁業権補償委員会が近傍類似の漁業権の賃貸料を参酌して定める額となるのであります。第二号、第三号の規定いたしております趣旨は、全漁期間貸付けられてなかつた漁業権、或いはその一部貸付けられておらなかつた漁業権についての、算定の基準を定めたものでありまして、第二号はそのような専用漁業権につきましては、漁業法施行法第十條第三項第三号の定める当該権利による漁獲全額の百分の六に相当する金額といたしたのは、これは財産税の場合の漁業権の物納の際の評価が、大体漁獲金額の百分の六という基準で算定したのでございまして、今度の漁業法の施行法におきましても、大体それを基準にいたしまして、漁業法施行法の第十條第三項第三号の規定は、基準年度の当該権利による漁獲金額といたしますが、これは百分の六を十六倍した結果、結局漁獲金額の一〇〇%ということになるのだというような趣旨になつておりますので、第二号の百分の六に相当する額というのを加えたわけでございますが、第二号は専用漁業権以外の漁業権につきましては、漁業法施行法の第十條第三項第二号の場合に準じまして推定賃貸料に相当する額とする、こういうふうにいたしたわけであります。尚新らしく第七十五條に加えました第三項におきましては、漁業法施行法第十條第三項第六号の規定を準用いたしております。これは特別の事由ある場合には、前各号の規定に入れないで、主務大臣の定めるところの基準によつて算定する額とするという趣旨の規定でございます。
それから施行法の第十條第四項を準用しておりますのは、賃貸料或いは漁獲金額の算出につきましては、漁業権調査規則に基いて報告されたものを基準とするという趣旨の規定を準用いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/18
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019・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 外に質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/19
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020・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) ちよつと今申し落しました。これで参りますと、大体免許料及び許可料の推定総額が十億六千万円程に上るそうでございます。政府原案によりますと、毎年十億円を予定しているのだそうでございまして、その間約三千円か、四千万円くらいの開きが出て来ると思います。その点については、大蔵当局等については難色があるかも分りませんが、その点を……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/20
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021・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 若し延期になりませんと、二十三日で臨時国会は打切られますので、いろいろの修正、その他についての公式手続上、今からこれを翻訳してGHQに提出しなければならない。本決定は公聽会が済んだ後やりますけれども、大体こういう條文修正みたようなものに異議なかろうと思いますから、これは早く翻訳をして、GHQに提出いたしたいと思います。御異議がなければ、ここで仮に決定いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/21
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022・千田正
○千田正君 これは決定となると重大な問題でありまして、仮決定でありますか、決定であるか、その点をはつきりして貰いたいということと、それから、これは水産庁或いは法制局で御苦労なさつたと思いますが、苟くもこういう法案は、全然無学文盲であるというような漁民まで徹底するように考えなければならない。併し我々のような人間でさえも、誠にこれは判断し難い程煩雑なものである。これはもう少しこの法案を広く頒布する場合においては、最も国民が直ぐ納得できるように、一つ纏めて貰いたいということを注文いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/22
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023・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) まだこれは討論もしませんし、審議中ですから、決定じやありませんけれども、時間の関係上予め委員会の意向を決めてGHQと折衝して行きたいというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/23
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024・千田正
○千田正君 分りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/24
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025・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 御異議なければ、大体委員会の意向はこうだということをGHQに訳文して折衝します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/25
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026・青山正一
○青山正一君 私らの意向ではまだこれでは足らん。こういうふうな意向ですが、そこは一応皆さんも分つているのですから、了承いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/26
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027・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 他に御異議ございませんでしたら、本日はこれを以て閉会いたします。
午後零時四分散会
出席者は左の通り。
委員長 木下 辰雄君
理事
千田 正君
委員
青山 正一君
田中 信儀君
淺岡 信夫君
西山 龜七君
江熊 哲翁君
法制局側
参 事
(第三部長) 中野 哲夫君
参 事
(第三部第一課
長) 堀合 道三君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614562X00419491111/27
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